委員長 | 鈴木あきまさ君 |
副委員長 | 福島りえこ君 |
副委員長 | まつば多美子君 |
理事 | あかねがくぼかよ子君 |
理事 | 川松真一朗君 |
理事 | 藤井とものり君 |
森澤 恭子君 | |
平田みつよし君 | |
清水やすこ君 | |
福手ゆう子君 | |
慶野 信一君 | |
西崎つばさ君 | |
原 のり子君 | |
早坂 義弘君 | |
藤井あきら君 |
欠席委員 なし
出席説明員総務局 | 局長 | 村松 明典君 |
危機管理監 | 原田 智総君 | |
次長理事兼務 | 山口 真君 | |
理事 | 小林 茂君 | |
総務部長 | 小平 基晴君 | |
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長 新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 片山 和也君 | |
グループ経営戦略担当部長 | 小野 隆君 | |
人事部長 | 高崎 秀之君 | |
労務担当部長 | 石橋 浩一君 | |
行政部長 | 小笠原雄一君 | |
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長 事業調整担当部長兼務 | 木島 暢夫君 | |
小笠原・国境離島担当部長 | 若林 和彦君 | |
都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務 | 山田 利朗君 | |
総合防災部長 | 猪口 太一君 | |
防災計画担当部長 | 芝崎 晴彦君 | |
防災対策担当部長 | 高島 慶太君 | |
危機管理調整担当部長 | 小林 洋行君 | |
危機管理調整担当部長 | 金久保豊和君 | |
危機管理調整担当部長 | 高田 照之君 | |
統計部長 | 櫻井 和博君 | |
人権部長 | 吉村 幸子君 | |
人権企画調整担当部長 | 上野 正之君 |
本日の会議に付した事件
総務局関係
事務事業について(質疑)
○鈴木委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日はお手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより総務局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、総務局長に村松明典君が就任いたしました。
村松局長から挨拶並びに交代のあった幹部職員の紹介があります。
村松明典君を紹介いたします。
○村松総務局長 去る十月二十五日付で総務局長に就任いたしました村松明典でございます。
新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする危機管理、あるいは地域振興など、総務局職員一同、全力を挙げて事務事業の適切かつ円滑な執行に取り組んでまいりますので、鈴木委員長をはじめ委員の皆様方には、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。
それでは、先般の人事異動に伴い就任いたしました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
危機管理監の原田智総でございます。新型コロナウイルス感染症危機管理担当理事の小林茂でございます。危機管理調整担当部長の小林洋行でございます。人権企画調整担当部長の上野正之でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○鈴木委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。
○鈴木委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小平総務部長 九月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
大変恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料をご覧ください。
まず、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は全部で十七点ございます。
まず、一ページをご覧ください。防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
平成二十七年度から令和元年度まで、五年分の防災対策予算の執行状況を主な事業別に掲げてございます。
続きまして、二ページをご覧ください。タイムラインの区市町村の最新の具体化状況でございます。
水害対応タイムラインを策定している区市町村数を記載してございます。
三ページをご覧ください。長時間労働面接対象者数でございます。
長時間労働の面接対象者数につきまして、平成二十八年度から令和二年度までの五年分の実績を局別に分けて掲げてございます。
続きまして、四ページをご覧ください。知事部局の障害者雇用率の推移でございます。
知事部局の障害者雇用率につきまして、平成二十八年から令和二年までの五年分の実績を記載してございます。
続いて、五ページをご覧ください。政策連携団体における障害者雇用率の推移でございます。
政策連携団体のうち、障害者の雇用の促進等に関する法律による雇用義務制度の適用団体の障害者雇用率につきまして、平成二十八年から令和二年までの五年分の実績を記載してございます。
続いて六ページをご覧ください。性自認及び性的指向に関する専門相談窓口の相談件数でございます。
電話相談につきましては、平成三十年十月から開始いたしました本事業の平成三十年度から令和二年度までの三年分の実績を、また、LINE相談につきましては、令和二年七月から開始いたしました本事業の令和二年度の実績を記載してございます。
続きまして、七ページをご覧ください。人権に関する相談件数の推移でございます。
相談分野別に、平成二十八年度から令和二年度までの五年分の実績を記載してございます。
続きまして、八ページをご覧ください。職員対象の人権に関する講演会及び研修会のテーマと講師についてでございますが、こちらにつきましては、令和二年度は、新型コロナウイルス感染症対策のため、実施を見送ってございます。
続きまして、九ページをご覧ください。同和対策事業の終了に伴い一般対策で実施している事業の総務局分の一覧でございます。
続いて、一〇ページをご覧ください。同和問題に関する専門相談窓口の相談件数でございます。
平成三十年五月から開始いたしました本事業の平成三十年度から令和二年度までの三年分の実績を記載してございます。
一一ページをご覧ください。東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の相談件数の推移でございます。
平成二十七年七月から開始いたしました本事業の平成二十七年度から令和二年度までの六年分の実績を記載してございます。
続きまして、一二ページをご覧ください。東京都立大学の授業料・入学料減免の実績でございます。
東京都立大学におけます授業料及び入学料の減免者数につきまして、平成二十九年度から令和三年度までの五年分の実績を掲げてございます。
続いて、一三ページをご覧ください。都及び政策連携団体における非常勤職員等数の状況でございます。
都及び政策連携団体におけます非常勤職員等の人数について、平成二十九年から令和三年までの五年分の状況を記載してございます。
続きまして、一四ページをご覧ください。都における非常勤職員等数の状況でございます。
非常勤職員等の人数及び東京二〇二〇大会関連の会計年度任用職員の人数につきまして、局別に令和三年八月一日現在の状況を記載してございます。
続いて、一五ページをご覧ください。オフィスサポーターから常勤職員にステップアップした職員の勤務状況でございます。
オフィスサポーターから常勤職員にステップアップした職員の人数、勤務場所及び勤務内容につきまして、令和三年度の状況を掲げてございます。
続いて、一六ページをご覧ください。附属機関等の会議及び議事録・議事要旨の公開状況でございます。
会議及び議事録、議事要旨の公開につきまして、令和二年四月及び令和三年四月の状況を記載してございます。
最後に、一七ページをご覧ください。政策連携団体評議員会の状況でございます。
政策連携団体が設置している評議員会の状況を記載してございます。
説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○川松委員 まず、私からは、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
現在は、都民の皆様、事業者の皆様のご努力によりまして感染が抑えられている状況であるのはいわずもがなでございますが、都は、こうして努力をしてきていただいた、協力をしていただいた皆さん方に報いるために、一日も早い経済活動の回復に向けた取組を後押ししていくことが必要なのはいうまでもありません。
他県の飲食店対策に目を向けると、埼玉、千葉は、飲食店等における営業時間の短縮、酒類の提供制限、人数制限を解除しています。一方、東京都では、認証店は営業時間と酒類提供の制限は解除されているんですが、人数制限は依然として残っているんですね。非認証店になりますと、人数制限、酒類の提供制限が残っています。
ここでお聞きしますが、まず、今の感染状況では経済活動の回復に向けて、少なくとも非認証店の酒類提供制限はもう少し緩めていくという考え方ができるんじゃないかと思うんですが、見解を伺いたいと思います。
○高田危機管理調整担当部長 感染状況等にかかわらず、基本的な感染防止対策は重要であることから、都は、現在、十一月三十日までを基本的対策徹底期間として、業種別ガイドラインの遵守など基本的な感染防止対策の徹底等を、都民、事業者の皆様に依頼をしております。
今委員からお話がありましたように、飲食店等のうち、認証店に対しましては時短要請や酒類提供の制限は行っておりませんが、非認証店は都として感染防止対策を確認できていないことから、酒類の提供を二十一時までとするなどの協力を依頼しております。
また、非認証店に対しましては、文書やメールに加えまして、都の職員が引き続き店舗を訪問いたしまして、粘り強く協力依頼や点検の勧奨を行っております。
○川松委員 十一月三十日までは基本的対策徹底期間だと。私は、この期間を前倒しして短くすることも一つではないかということの思いであってお聞きしたわけですが、今飲食店への対応について答弁があったわけですけれども、これまで緊急事態措置等の期間中に都の要請にご協力いただいてきた店舗との公平性を保つためにも、都の要請を遵守せず、公然と時短要請を聞き入れず、酒類を提供していた飲食店に対しては、私はむしろ厳しく対処すべきだと思うんです。
東京都の中でたくさんある飲食店の中で、総務局の皆さん方の報告では九六%の事業者の皆さんが協力していただいた。でも、四%の飲食店は要請を聞いていただけなかったということですが、じゃあ、東京都は、これらの非協力店に対してどのような対応を行ってきたんでしょうか、教えてください。
○高田危機管理調整担当部長 都は、感染拡大防止の観点から、特措法に基づきまして、要請に応じない飲食店等に対しまして、これまで二千六十七件の個別要請、百九十二件の命令、七十件の過料事件通知を実施してまいりました。
また、感染が急速に拡大した本年八月上旬からは、主要繁華街におきまして、警視庁、東京消防庁とも連携いたしまして、都職員が時短等の要請に応じていない約千三百の店舗を直接訪問いたしまして、感染防止を訴えまして、要請に応じるよう重点的に働きかけを行ってまいりました。
さらに、緊急事態宣言が解除されることになった九月末には、リバウンド防止のため、これまで特措法に基づき個別要請を行った飲食店等のうち、全ての非認証店に対しまして、文書やメールにより、改めて酒類提供自粛等の要請と、点検の受検勧奨を実施したところでございます。
○川松委員 今お話ありましたように、特措法に基づいて個別要請だったり、命令あるいは過料の事件通知をしているんですけれども、なくなることはなかったということなわけです。皆さん方がいろいろと取り組まれていることは重々承知しているわけですけれども、引き続き悪質な店舗の抜け道をできるだけなくしていくと、ここを締めていくことが都民の皆さんの公平性を保つことになると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
次に、人流抑制策についてお伺いします。
これまで、東京都は、去年から第五波に至るまで、幾度となく緊急事態措置や蔓延防止等重点措置を実施してきました。この間、一年以上にわたり実施してきた休業要請や時短要請により、本当にこれ、一方で事業者は大きなダメージを受けているのもまた事実です。現在は、各施設に対する時短要請は解除となっていますけれども、感染状況が落ち着いてきている今、人流抑制策については私は検証が必要なんだと思っているんですね。
そこで、まず端的にお聞きしますが、東京都がこれまでの間、コロナ対策として実施してきた営業時間短縮要請等の人流抑制の政策というのは本当に効果があったのか。そして、第五波の感染急減の要因というのも皆さんはどう捉えているのか。人流は決して減っていないけれども、感染は激減したというこの状況をどう見詰めているのか見解をお伺いします。
○高田危機管理調整担当部長 都は、夜間滞留人口の抑制が感染拡大防止に寄与するとの専門家の指摘も踏まえまして、緊急事態宣言下等におきまして、事業者に対して営業時間の短縮等を要請してまいりました。
時短要請等と感染状況の相関につきましては、これまで緊急事態宣言期間に各施設に対して時短等を要請した後、一定期間内に実効再生産数が減少に転じていることが確認されております。例えば、二十時までの時短を要請していた本年一月から三月までの期間では、一・五まで上昇していた実効再生産数が一を下回る水準まで低下しております。
また、時短要請等を行っていた本年八月下旬以降の感染者数の減少要因につきましては、専門家によりますと、都民の自粛により、夜間滞留人口が全体的に低く抑えられたこと、ワクチンの未接種者が深夜の繁華街などに滞留することが急減したことなどが挙げられております。
これらのことから、都が実施した人流抑制策は、感染防止に寄与していたものと認識しております。
○川松委員 当然、人流抑制策がまるで効果がなかったと私は申しているわけではないんですね。ただ、人流抑制策というのは、施策全体としては一定の効果があったというのは誰もが思っていて、今、部長もそういう趣旨の答弁だったと思います。
ただ、こうした分析は、専門家の皆さんの意見を踏まえているとのことですけれども、改めて今、第五波が収まった今、人流抑制策の効果分析をより精緻に行う必要があるのではないでしょうか。都がこれまでの間、時短要請、休業要請を行ってきた施設は、飲食店、商業施設、映画館など、それぞれみんな人が集まるという意味では一緒かもしれませんけれども、物を出す、お酒を出す、あるいは、ただ人が集まって映画を見るとか、いろんな施設ごとの多様性があるわけです。
今後、東京都として時短要請等を行うということであれば、例えばこの施設分類形、この施設だったらここまでとかというのをより細かく見ていって、事業者さんの皆さんにご理解をいただくなどの人流抑制策の効果検証を行うなどして、真に効果的な対策に絞って行うことが事業者の皆さん方の不満を少し和らげることになるんじゃないかと思いますので、これも要望しておきます。
そこで、事業者の営業制限を伴う時短要請などの人流抑制策については、一律網羅的に行ってきたわけです。感染リスクが高い場所につながる人流を抑えると。私は、だから都がやってきたような、もう都内の飲食店に全部同じ条件で網をかけるよりも、やはり絞っていろんなことの対策、このお店はこうだとかこの地区はこうだと絞りながらやる方が効果的な対策になるんではないかと思いますが、見解を伺います。
○高田危機管理調整担当部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、人流抑制策には一定の効果があると認識しておりますが、感染防止対策と社会経済活動の両立のためには、事業者への要請について具体的なエビデンスに基づきまして効果的に行うことが重要であると考えております。
そのため、都は、夜間滞留人口の抑制が感染防止に寄与することや、飲酒を伴う会食につきましては感染リスクが高まることなどの専門家の知見を踏まえまして、飲食店等に対する時短要請等を行ってきております。
また、政府分科会から、百貨店の地下食品売場やショッピングモールなどの感染リスクが示された際には、都の職員が直接百貨店等を訪問いたしまして、各施設の入場整理等にさらなる推進を要請するなど、エビデンスに基づき機動的に対策も実施してきております。今後も、最新の科学的知見に基づく効果的な対策を進めてまいります。
○川松委員 十月から緊急事態宣言が解除、宣言は解除になりました。そして、先月の末からようやく時短要請なしの営業が再開されて、社会全体が回復に向けて歩み出している状況であります。
ただ、飲食店の皆様、まあ、これはみんなの社会環境とか意識が変わったということも踏まえて、飲食店の皆様からは、決してコロナ前の客足は戻らないという苦しい声も聞かれています。
真の回復にはまだ時間を要するのではないかというふうに私は感じておりますけれども、この社会経済活動が回復に向けて動き出した中、じゃあ、いつ来るか分からないこの第六波の備えに対して、今までの要請の中身も含めて、東京都としてはどのように第六波に対応、要は飲食店事業者の皆さんのお願いについては対応していこうと考えているのか、見解を伺います。
○高田危機管理調整担当部長 感染再拡大に十分留意しつつ、社会経済活動の再生を図っていくことは重要でございます。国は、先日発表した次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像におきまして、感染リスクを引き下げながら経済社会活動の継続を可能とする新たな日常の実現を図ることとしております。
都は、こうした国の考えを踏まえ、大都市ならではの特性も勘案いたしまして、感染防止策と社会経済活動の両立を図りつつ、感染が再拡大した場合に対応できる医療提供体制の強化や、都民、事業者への対応等について検討してまいります。
○川松委員 そういうことしかないわけですけれども、ただ、これまで東京都は、一年半以上にわたって時短だとか、あるいは都民の皆様には外出自粛の要請をしてきたわけですね。お願いする側、例えば、東京都庁側で対策本部会議の中身を聞いているとか、専門家の会議を聞いている我々からすると当たり前のお願いなのかもしれませんが、やはりその大前提が都民の皆さんに届いていなかったんじゃないかというのが私のこの第五波までの感覚です。都民へのメッセージも、もちろんそれに伴って、知事をはじめ、各部局の皆さん、飲食店を回ったりしてメッセージを出してきたわけですけれども、それが届いていないということは、自粛のお願いを一方的にやっていることとイコールだと思うんです。
ですから、本当の意味で、都民の皆様には東京都の要請に対しては納得と共感を抱いていただくようなやり方が必要なんだと思うんですが、現在、今お話あったように、国からコロナ対策の新たな方針が示されて、東京都としても感染防止対策と社会経済活動の両立を図るという方針であるならば、じゃあ、今はこういう状況ですよ、そして、もしかしたら第六波はこうなるかもしれないよ、だから皆さん協力お願いしますといった、都民に対して、情報あるいはお願いを丁寧に届けていくべきだと思います。じゃあ、この国の方針を踏まえて東京都が方針を変更していく、むしろ強める、弱めるも含めて方針を変更していくということであるならば、その内容や考え方を今、感染が収まっている今の段階で準備として都民の皆様に伝えておく、丁寧にメッセージを発信しておくべきだと思いますけれども、見解をお伺いします。
○高田危機管理調整担当部長 コロナ対策を効果的に行うためには、都民や事業者の皆様と危機感や認識を共有いたしまして取組を進めていくことが重要でございます。
都ではこれまでも、時短要請の効果や感染力の強いデルタ株の脅威などを最新の科学的知見なども交えまして分かりやすく説明することで、都民、事業者の皆様に対しまして、感染防止対策への協力を求めてまいりました。
国の示した全体像を踏まえまして、今後、都が対策を進めていくに当たりましては、その考え方やエビデンス等をより一層分かりやすく伝えるため、従来のホームページやSNSなどの発信に加えまして、コロナ対策リーダーを通じた事業者への周知など、多様な媒体や手法を用いることで、都民、事業者の皆様の理解と協力につなげてまいります。
○川松委員 様々な方法で発信していくということでしたけれども、やはり一方通行にならない、こちら側の都合だけじゃなくて、都民の皆さんの視点に立った情報の出し方というのを検討していただきたいと思います。
この一年半以上の間、人流抑制という下、時短や休業を要請されてきた事業者の皆様の負担は極めて大きいと。そしてこれまでの都の人流抑制策の効果検証を、先ほどもいいましたけれども、しっかりと行っていただいて、今後、仮に時短要請等を行う場合には、こういうことをするとこうなるんだということを納得していただくような効果的な対策を説明して実施していただくと。その必要性を常に都民の皆様、事業者の皆様に説明していただくことを強く要望して、次の質問に移ります。
次は、大規模風水害時における広域避難についてお伺いします。
一昨年の台風十九号、いわゆる令和元年東日本台風では、東日本を中心に甚大な被害が発生したことは記憶に新しいところです。都内に目を向けても、多摩川沿いでの浸水被害、西多摩地域での道路崩落に伴う一時孤立化など、大きな被害に見舞われました。
私の地元、墨田区をはじめとした江東五区を経由して東京湾に流れ注ぐ荒川では、埼玉県内の上流の支川での決壊や、多くの地点で既往最高の雨量や水位を観測したものの、彩湖と呼ばれています、日頃から多くの方に利用されている荒川第一調節池での洪水貯留や岩淵水門の閉鎖などによって、大きな被害は免れたわけです。
改めて、このハード対策の必要性を感じるとともに、引き続き首都圏の洪水被害の防止、軽減を図る荒川第二、第三調節池の整備などを積極的に推進していくよう、引き続き東京都からも国に要望していただきたいということをまずもって述べます。
一方で、こうしたハード対策の完成は、当然ながら時間もかかります。お金もかかります。近年、全国各地で線状降水帯や台風の接近などに伴う豪雨の発生によって、毎年のように大規模な風水害が発生しているのもまた実態です。こうした豪雨の頻発化、激甚化も懸念されていまして、東京で大規模風水害がいつ発生するとも知れない。
このために東京都では、こうした状況等を踏まえて、東京の東部低地帯を中心として大規模風水害時の行政区域を越えていく、今までは隣と一緒になって連携していきましょうということでしたけれども、今度は行政区域を越えていくという広域避難の取組を進めていることは認識しているんですが、ただ、私は地元で、常に荒川がどうなるかと心配しているような地域ですけれども、この広域避難の仕組みが住民の皆様に、役所レベルでは十分浸透していますけれども、住民の皆さんに浸透しているとはいい難いというところで、今回は、改めて広域避難というものがどういうもので、東京都はどのような取組を進めているのか、住民の皆様には何を伝えていくべきなのかを確認したいと思います。
まず、広域避難はどのような災害を想定して行われるのでしょうか。
○芝崎防災計画担当部長 災害時における避難は、区市町村が自らの区域内に指定する避難先に、その住民を避難させることが原則となっております。しかし、特別警報級の台風の接近などにより、想定最大規模の洪水による氾濫や高潮のおそれがある場合におきましては、墨田区を含む東京の東部低地帯では、地域の多くが浸水する可能性がございます。
こうした場合、行政区域を越えて、住民をより安全な場所に避難させる広域避難が必要となることが想定されているところでございます。
○川松委員 今のお話の中にある想定最大規模という言葉ですけれども、これは千年とか数千年に一度発生するような確率のレベルの話です。
広域避難がいかに大変規模の大きい風水害が発生する際に必要になるんだということ、この前提は理解しましたが、こうした大規模風水害発生時に、都民は、どのタイミングで、いつ広域避難をしなければいけないのか。そして、行政からはどんな呼びかけがあるのか教えてください。
○芝崎防災計画担当部長 江東五区では、平成三十年八月に江東五区大規模水害広域避難計画を策定し、その中で広域避難に関する発令基準を定めております。
具体的には、台風が東京地方に最接近する時点の中心気圧が−−荒川流域における雨量などの予測に基づきまして、氾濫発生のおよそ四十八時間前程度の段階で自主的な広域避難を促す情報を、氾濫発生のおよそ二十四時間前程度の段階で広域避難を指示する情報を、それぞれ区長が発令することとなっております。
○川松委員 江東五区大規模水害広域避難計画を基にということなんですけど、じゃ、例えば台風最接近のおよそ二日から一日前に、広域避難に関する情報が居住区から発令されるという今の取決めです。
一昨年の台風十九号のときの対応を思い出してみると、最接近の前日、前々日は、テレビでは大型台風が接近するため備えることが大事とはいっていたんですが、雨もぽつぽつ程度で、気象警報が出るような状況ではなかったはずなんです。
そういった意味においては、かなり前の段階から広域避難の必要があることは分かっていたけれども、そんな早い段階で、例えば、かんかん照りの中、危ないですよといったときに、どうやって住民の皆さん方にその危機を伝えていくのか、私はそこが気になるところなんですね。台風接近の直前に、逆になってしまうと、今度は計画運休で鉄道がもう止まって、もう広域避難したくても広域には移動できなかったりなってしまうわけです。
ましてや、お年寄りや、そういった小さい子を連れている皆さん方というのは避難に時間を要するわけでして、こういう避難誘導をどうしていくのかということを細かく決めていかないと、いざというときには大変に混乱をするわけですが、その中で東京都は、今年の九月に渋谷区にある国立オリンピック記念青少年総合センターを大規模風水害時の広域避難先として活用する初めての協定を締結したということであります。
広域避難を余儀なくされる東部低地帯にある複数の自治体がこの施設を活用していくということなんですが、避難誘導に様々な課題がある中で、江東五区から渋谷までの広域避難をしてくれる方々にどうやって情報を伝えて、どうやって誘導していくのか。
今いったようにアクセスが大変難しい人たちも含めて、例えばバスを手配してもらえるのかなど、関係区と連携して具体的な対応を検討しておく必要があると思いますけれども、オリンピックセンターをはじめとする広域避難先に確実に誘導するために、どのように避難者等を対応しようとしているのか、考えを聞かせてください。
○芝崎防災計画担当部長 特別警報級の台風の接近時には、委員のお話にもございましたとおり、公共交通機関による計画運休が実施される可能性があることから、広域避難者の誘導に当たりましては、早い段階から今後起こり得る状況を的確に伝達し、早期の避難を促す必要がございます。
このため、今後関係区と連携いたしまして、広域避難誘導時の住民への情報発信の手段や内容等について具体化を図り、広域避難の実効性を高めてまいります。また、高齢者などの要配慮者の避難につきましては、個別の事情に応じた対応が必要となることから、広域避難先が備える宿泊機能や駐車スペースなどを活用した避難誘導が可能となるよう、施設管理者等と連携を図りながら関係区を支援してまいります。
○川松委員 繰り返しになりますけれども、日頃やっていないことというのは、いざというときには絶対できません。こういう危険な時期というのは常に決まっていますから、来年度に向けても、ぜひオペレーションの具体化を進めていただきたいと思います。
ここでまとめの質問にしたいと思いますけど、国と都が共同で設置した首都圏における大規模水害広域避難検討会の取りまとめにおいては、行政としては、およそ七十四万人分の広域避難先を確保していくという方針が出ています。
先ほどのオリンピックセンターは、非常に大きな施設でありますけれども、コロナ禍にあって十分な間隔を確保すると約三千人程度の受入れです。七十四万人確保しなきゃいけないといっていますけれども、今回初めて協定が出たというふうに、リリースしても三千人程度の受入れです。
広域避難の議論が始まる前は、私の地元の墨田区でも垂直避難で避難行動しましょうということになっていましたけれども、今日のやり取りでも分かるように、広域避難の重要性というのは本当に極めて重いわけです。
ですから、こうした垂直避難と広域避難を連携しながら、どう避難の検討を進めるのかということも私は考えなきゃいけないと思いますが、大規模風水害に備えて、この広域避難や垂直避難など、様々な避難を含めた実効性のある取組をどうやって進めていくのか、今の姿勢、考えを教えていただきたいと思います。
○芝崎防災計画担当部長 大規模風水害に備えるためには、広域避難先の確保だけではなく、親戚、知人宅等への自主避難や、安全が確保されている上層階への垂直避難など、複数の避難行動を組み合せた分散避難の取組を進めることが重要でございます。
このため、都は、今後区部にある国や民間の大規模施設を中心に、さらなる広域避難先の確保を進めるとともに、関係区と連携いたしまして、都民一人一人がそのリスクに応じた適切な避難行動が取れるよう、普及啓発の強化を図ってまいります。
こうした取組を精力的に進めることにより、分散避難を促し、大規模風水害への対応力を一層強化してまいります。
○川松委員 今の方向性は分かりましたが、今の答弁は区部にある国や民間の大規模施設を中心ということでしたけど、恐らく東京都の施設でも大規模にできるところはあるんじゃないかと思いますので、まず、国や民間にお願いする前に、足元のまずその施設を見ていただく。そして、住民、都民の皆様一人一人のリスクに応じた適切な避難行動ができるようという部長の答弁ありましたが、例えば江東五区なら、東京都から江東五区に行って終わりではなくて、さらに例えば町会、自治会の皆さん方に直接連絡をして、いざとなったら町会、自治会の皆さん方にご協力しながら避難誘導しなきゃいけない場面もあると思いますので、一歩進んだ実効性のある取組を進めていただきたいと思います。
災害は、どれ一つとして同じものではありません。雨の降り方一つ取っても、例えば荒川の下流域で雨の降り続いた場合など、災害の様相も変わっていきます。防災は、いわゆるイマジネーションの想像と、イノベーションの創造が極めて重要となってきます。ぜひ常日頃から様々な状況を想定し、それに対する備えをどのようにしていくのか、都民の方々の視点になって考えていただきたいということを要望します。
次に、人事部にお聞きしますが、まず、都における人事考課制度の目的を聞かせてください。
○高崎人事部長 都の人事考課制度は、職員の業績、意欲、適性等について客観的かつ継続的に把握し、これを職員の能力開発、任用給与制度、配置管理等へ反映させることにより、職員の資質向上と組織の生産性向上を図ることを目的としております。
○川松委員 効率よく組織を動かしていくという意味において、上司が部下にどういう声かけをしていくのか、どういう言葉を使うのか、あるいは局長、部長、課長の役割というのを明確にした上で、それぞれの役割を果たして、都庁が一つになって最大限の力を発揮させるために、職員一人一人が目標をどう定めるのかというのが都民の皆様にとって大変重要だと思いますけれども、今の東京都の見解を伺います。
○高崎人事部長 都の人事考課制度の特徴として、目標管理手法がございます。職員は、担当職務や部下職員の指導育成について、局が定めた組織方針を踏まえつつ、さらには上司との意見交換を通じて共通認識を醸成した上で、目標設定を行っております。
○川松委員 これはいわゆる一般的な縦のラインの目標設定ということをお聞きしましたが、プロジェクトチームやタスクフォース等における評価方法はどうなっているんでしょうか。
○高崎人事部長 プロジェクトチームやタスクフォースにおける職員の勤務実績についても、評価者である上司が把握した上で評価を実施しております。加えて、業績のみならず、職務遂行の過程で発揮された能力についても評価対象としております。
○川松委員 局長から、部長、課長につながる縦のラインの中で理事という肩書の方がおられるわけですけれども、理事の役割についてお伺いします。
○高崎人事部長 理事は、東京都組織規程において、局長を補佐することを職責として規定しております。都政を取り巻く状況を踏まえ、その時々の行政課題に的確に対応できるよう、担当分野で局長を補佐しております。
○川松委員 では、理事の人数の推移について、十年前、五年前、例えば現在での比較ということで、人数を教えていただきたいと思います。
○高崎人事部長 理事ポストにおける人員数の推移でございますが、十年前の平成二十三年八月一日時点では七名、五年前の平成二十八年八月一日時点では十名、本年八月一日時点では十九名となっております。
○川松委員 先ほど、理事は局長を補佐するという話もありましたけれども、いわゆる局長級ともいわれている中で、理事がたくさん増えているわけですけれども、一つのラインからすると、ラインの横に出ていく理事が増えていくという見方もできますが、現状なぜ増えているのか、その理由をお伺いします。
○高崎人事部長 都の執行体制の強化の一環として、東京二〇二〇大会の開催準備、新型コロナウイルス感染症対策等の都政の重要課題に対応できるよう措置したものでございます。
○川松委員 理事のポストが増えていると同時に、各局で見えるのは、理事という方が部長の事務取扱を行っているケースもたくさんあります。先ほどいった理事は局長級ですけれども、違うラインの部長の事務取扱を行っている。これはどうしてこういうことが起きるのか、組織論として教えてください。
○高崎人事部長 都は、適切な執行体制確保のため、職員の能力、業績等を踏まえて人事配置を行っておりますが、行政課題の困難性などにより適任者の配置が難しい場合、上司に事務取扱を命じ、その職務を代行させています。
○川松委員 緊急性、困難性というのは分かるので、一時的にということは分かるんですが、ずうっとこれが常態化すると、私は責任と権限が不明確となるんではないかというふうに見ているんですね。ですから、そうすると昇任等を行って人員を配置すべきではないかと思いますけれども、見解を伺います。
○高崎人事部長 事務取扱の発令につきましては、個々のポストの性質や適任者の配置の可否を踏まえ、必要に応じて適切に実施しております。昇任等につきましては、職員の能力、業績を踏まえ、実力本位で実施すべきものと認識しており、今後も適切な人員配置に努めてまいります。
○川松委員 実力本位で引き上げるというのは当然でして、その中で多くの、例えば現場の方、ポストでいえば下にいらっしゃる方が上に行くのがどんどん活発になれば、組織はもっと動いていくんじゃないのかなということでお聞きしましたが、とにかく東京都政を動かしていくのは都庁の職員の皆さんですので、それは肩書に関係なく、偉い方も、現場を持たれている皆さん方も、心を一つにできるような組織体制をつくっていただきたいということを要望して、次の質問に行きます。
国境離島に対する取組です。
四方を海に囲まれて海洋とともに育まれてきた我が国は、周囲百メートル以上の離島だけでも約六千八百の島があるといわれています。世界有数の島国であるというわけですけれども、中でも、小笠原諸島は東京より南へおよそ一千キロメートルから二千キロメートルの太平洋上に点在する島々から成っていまして、日本最南端の沖ノ鳥島、日本最東端の南鳥島という国境離島が東京都に属していると。両島は、それぞれの日本の国土面積を上回る広大な排他的経済水域の根拠となる国境離島でありまして、海洋国家としての我が国の地位を堅持し、国益を維持する上で極めて重要な役割を担っています。
都は、去年十月、総務局に新たな人員を配置し、沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全に向けた取組を進めていくこととしました。今年度、新たに五千万円の予算を計上し、基礎調査を行って、今後の取組の方向性を検討するとともに、両島の重要性を広く発信することとしていますが、今般、東海大学の協力を得て、十二月上旬に沖ノ鳥島周辺に赴いて調査を実施すること、新たに沖ノ鳥島、南鳥島ウェブサイトを開設したということが発表されたわけですが、今回の沖ノ鳥島周辺における現地調査の目的を伺います。
○若林小笠原・国境離島担当部長 国境離島の維持保全や利活用に向けた今後の取組の方向性を検討していくためには、その前提として、周辺海域も含め、国境離島を知ることが欠かせません。平成三十年五月に策定された国の第三期海洋基本計画では、国境離島を根拠とする広大な排他的経済水域の有効利用等の基礎となる情報を得るための海洋調査の推進が掲げられています。また、学術的に未解明な点が多い海洋の調査観測の結果は、海洋資源の利用や海洋環境の保全など、多様な目的での活用が可能とされています。
一方、学識経験者からは、常に変動する厳しい海洋環境も相まって、現地の状況が刻一刻と変遷を遂げていることから、周辺海域も含め、利活用等の検討に当たっての基礎的な情報が不足しているとの意見も伺っています。
そこで、今年度は、現地の最新の状況を把握し、国境離島及び周辺海域の維持保全や利活用につなぐ手がかりを得るため、沖ノ鳥島周辺において、基礎的な調査を実施することといたしました。
○川松委員 今回の調査というのは、非常に貴重な機会になると思うんですけれども、今、島の周辺において基礎的な調査を行うということでしたが、リーフ内の小島には上陸はされるんでしょうか。また、そのするしないの理由についてお伺いします。
○若林小笠原・国境離島担当部長 沖ノ鳥島は、国の法律によって、島の周辺の海域の保全及び利用の促進が必要な国境離島に位置づけられています。
一方、国立研究開発法人の水産研究・教育機構が設置運営する水産大学の研究報告によれば、沖ノ鳥島周辺海域における海洋物理データや栄養塩類等についての海洋調査はほとんど行われていないとのことです。
こうした観点に加え、今回の現地調査に参画する研究者からの意見も踏まえ、短い現地滞在時間の中で、可能な限り多面的に調査観測を行い、国境離島及び周辺海域の維持保全や利活用について幅広く示唆が得られるよう、小島には上陸せず、沖ノ鳥島周辺における外観調査や海洋調査、環境調査に力点を置くことといたしました。
○川松委員 上陸せずに周辺の調査をしていくということで、現地の最新の状況を様々な角度から分析するという調査ということで期待はしています。こうした都としての取組を進めて世に示していくことは、結果として、我が国の排他的経済水域の実効性確保、排他的経済水域を有する島としての地位の確立につながると思いますが、今回の現地調査の成果をどうやって生かしていこうと考えているのかお伺いします。
○若林小笠原・国境離島担当部長 今回の現地調査では、東海大学の協力を得て、海洋調査研修船を活用して現地に赴き、様々な海洋分野の研究者による基礎的な調査観測を行う予定です。現地での調査を終えた後は、調査を通じて得られるデータやサンプル等を基に、各研究者による分析を行い、国境離島や周辺海域の有する利活用の可能性などを多角的な視点から模索してまいります。
また、現地調査の成果は、新たに開設したウェブサイトへの掲載や、年度内に開催を計画しているシンポジウムでの発表などを通じて広く発信し、都民の興味、関心を喚起するとともに、理解の促進を図っていきます。こうした取組を着実に積み重ね、国境離島をフィールドとする持続可能な活動について検討を深めてまいります。
○川松委員 現地調査の成果を広く都民に発信していくということなんですけど、都としての取組の底流にあるのは、都民の理解、関心を得ていくことは忘れてはいけません。
都民の皆様の理解、関心を得ていくために、じゃあ、例えば今回の調査を、恐らく海の上なんかは物すごいきれいで、SNS発信などしたら多くの皆さんに反響があると思いますけれども、その広報展開、調査しました、それを都民に広げていくための発信の仕方、どのようにやっていきたいと考えていることがあれば教えていただきたいと思います。
○若林小笠原・国境離島担当部長 沖ノ鳥島、南鳥島について都民の理解、関心を得ていくことは、両島の維持保全や利活用を進める上で不可欠であり、国境離島の重要性等について積極的に情報を発信し、一層の普及啓発を努めていく必要があります。このため、両島について、都民が少しでも身近に感じることができる機会を創出する観点から、今月新たにウェブサイトを開設するとともに、年度内にはシンポジウムの開催も計画しています。
十二月の現地調査における調査項目の一つとしている外観調査では、ドローン等を用いた写真や動画の撮影も予定しており、これらはウェブサイト等を通じて発信していきます。また、ウェブサイトについてはモニターアンケートを実施し、その結果を基に、コンテンツやデザイン等の改善を図り、段階的に内容を充実するなど、沖ノ鳥島、南鳥島について広く都民に伝える工夫を重ねてまいります。
○川松委員 ドローンを用いた写真なんていうのも、ふだんは本当に行けないところですから、それを効果的に出すことで、これは我が国の島であり、そして東京都の島であるという発信につながるのではないかと思います。
この沖ノ鳥島、南鳥島というのは、海洋立国日本にとって大変重要な島でありまして、都としての取組を進めるとともに、両島の重要性を広く都民に伝える方法なども、鋭意努力を続けていっていただきたいということを要望します。
そこで、「興洋」についてお伺いします。
これは小笠原支庁水産センターにある漁業調査指導船でありますけれども、この「興洋」の乗組員が本当に少なくなっていると。退職者も増えていて、この職員の確保に苦労しているというのを島しょ部の皆さん方からよく聞くわけですけれども、国境離島に関する取組は先ほど聞いたように重要なんですけれども、現場における活動、もう継続的に進めていくことは極めて重要だと思うんですが、「興洋」の乗組員の確保策について所見を伺います。
○小平総務部長 漁業調査指導船「興洋」の乗組員の採用に当たりましては、従来より、伊豆諸島、小笠原諸島管内の町村役場を通じた案内のほか、国土交通省が運営する船員職業安定窓口、いわゆる通称海のハローワークや海洋系の大学、高等学校等教育機関などを通じ、募集を行っております。
しかしながら、乗組員の業務に適性がなかった、イメージしていた仕事内容と異なっていた、離島での生活になじめなかった、こうした理由により、比較的短期間で退職する乗組員が続いております。
こうした状況を受けまして、今後は、「興洋」での職務内容に加え、実際に業務に携わる乗組員の声など具体的な仕事の内容、現地の住環境など生活面に関する詳細な情報、これらをSNSなど様々な媒体を通じ積極的に発信してまいります。
また、募集の際は、産業労働局などとの連携を強化するほか、教育機関への個別訪問など積極的なアプローチを進めてまいります。あわせまして、各局との人事交流もこれまで以上に取り組んでいくことなどを通じまして、乗組員の安定的な確保につなげてまいります。
○川松委員 ぜひ、こちらも積極的な発信、あるいは待遇等について検討していただきたいということです。「興洋」というのは、日々、小笠原海域における取締り、指導に当たっているわけで、ここが稼働しなくなったら元も子もないということでございますので、引締めをお願いしたいと思います。
そして最後に、手短にお聞きしますが、尖閣の活用基金、尖閣諸島活用基金についてお伺いします。
尖閣諸島も、今お話ししてきた島々と同様に我が国固有の領土であり、排他的経済水域等の権益確保を図る上で極めて重要な国境離島です。東京都は、平成二十四年に尖閣諸島の購入と活用を目的として、東京都尖閣諸島寄附金の受入れを行ったわけですが、現在はどう管理し、そして幾らぐらいになっているのかお伺いします。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 平成二十四年四月から翌年一月までの間、受入れを行っておりましたお話の東京都尖閣諸島寄附金についてでございますが、こちらは東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金条例の規定に基づきまして尖閣諸島活用基金という名称の基金を設置いたしまして、現在まで厳格に管理をしております。
この基金は、金融機関に六か月の定期預金として預け入れておりまして、現在の基金残高は十四億一千万余円となっております。
○川松委員 寄附金は、条例によって基金化されて管理されていますが、東京都は、じゃあ、この基金活用をどのように取組を行っているのか。多くの皆さん方から、あれはどうなっているんだと定期的に聞かれるわけですけれども、取組状況を伺います。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほどお話しいたしました基金条例の第一条におきましては、本基金について、寄附金として寄せられた都民等の意思を受け、国による尖閣諸島の活用に関する取組のための資金とするものと規定されております。
都は、尖閣諸島が排他的経済水域などの権益確保を図る上で極めて重要な国境離島であるとの認識の下、寄附者の意思も受け、所有者である国に対し、この尖閣諸島の活用に向けた働きかけを行っているところでございます。
具体的には、ヤギの被害から貴重な動植物を守る取組などといった自然環境の保全のほか、地元漁業者のための船だまり、無線の中継基地、あるいは有人の気象観測施設の設置など、尖閣諸島の活用方策についての提案を行っているところでございます。
○川松委員 条例の規定を踏まえて、条例がある、その規定を踏まえて国に対して働きかけているということでしたけど、今働きかけているだけで、実は基金が動いているわけではないんですね。これは国による尖閣諸島の活用が進まない中にあって、東京都は、基金活用に向けて働きかけというこれまでの取組から一歩進んで、じゃあ、地元の石垣市の皆さん方にこんなことをやるよと、この基金を使ってどうですかみたいな主体的な動きを行っていく必要性もあるんじゃないかと思いますが、見解を伺います。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 尖閣諸島周辺の接続水域内におきましては、中国政府に所属する海警船舶等が連日確認されておりまして、国においては、こうした事案に対し、当該船舶等への警告等の対処を行っているとのことでございます。
また、国は、同諸島における自然環境の保全を図る観点から、人工衛星画像などを活用して、島の植生図の更新ですとか、希少な野生動物などの生息状況に関する調査にも取り組んでいると聞いております。
都といたしましては、国際関係も踏まえたこうした国の動向を注視しつつ、尖閣諸島の所有者でもある国に対して、その活用に向けた取組を粘り強く求めてまいります。
あわせて、現在、感染症の拡大を受けて中断をしておりますけれども、都の職員が地元自治体を直接訪問して情報収集や意見交換を行う取組につきまして、今後、感染動向を見極めつつ再開を検討してまいります。
○川松委員 尖閣諸島の活用は、所有者となった国の意向次第であることは理解していますけれども、この基金を使わない状態が続いて、担当の職員も二、三年おきに交代しちゃうと。それだと、これ塩漬けにして、何か触らないことが当たり前になっていってしまうんじゃないかということを私懸念しています。
重要なことは、寄附金として寄附していただいた都民や国民の志を踏まえて、いざというときにはしっかりと対応できるように常に準備をしていく、その姿勢ということでございます。寄附者の志に寄り添う気持ちを引き継いでいっていただきたいということを要望して、質問を終わります。
○あかねがくぼ委員 私の方からは、都の職員の採用などについて伺ってまいります。
まず最初に、人員配置や採用計画の策定プロセスについて伺います。
十二月四日には、都庁で働く魅力を伝える都庁セミナーが開催をされ、来年度の新卒採用、キャリア採用に向けた動きが活発になっているところでございます。
初めに、人員や採用についての計画は、誰がいつどのようにして作成をして、決定をしているのでしょうか。また、最終的な各局の職員定数と採用の人数は、誰がいつどのようにして決定をされていくのか伺います。
○高崎人事部長 都では、効率的に事業を実施するため、毎年度、人員や組織を精査し、職員定数を定め、各事業の基本的な執行体制を整備しております。
知事部局等に関しましては、例年九月頃に総務局が各局から人員要求を受け、事業動向や個々の職務内容、業務量などを確認して適切な規模となるよう調整し、知事の了承を経て、一月に予算案と併せて翌年度の職員定数案を公表しております。
職員の採用数につきましては、人事委員会が採用試験を実施する職種におきましては、翌年度の職員定数案をベースに、今後の事業動向に係る見込みを調査し、事業執行に必要な人員の確保、職員の退職動向などを総合的に勘案し、翌々年度の予定者数を二月中旬までに知事の了承を得ております。
○あかねがくぼ委員 職員定数については、秋頃から翌年度のものを要望するということです。予算要望のプロセスとほぼ重なっていくということでございました。
一方で、採用については、一月頃に翌年度の職員定数を基に翌々年に向けた採用予定者数、これを二月までに決定をするということでありますので、一年以上先の状況を予測して採用計画を立てる必要があるということでございます。
近年の採用において、各職種別に、必要、適切な人材を採用ができているのか伺います。
○高崎人事部長 職員の採用に当たりましては、地方公務員法に定める成績主義に基づき、採用後に従事する職務内容等に応じた適切な能力実証を実施しております。
具体的には、人事委員会が実施する試験等におきまして、事務や土木など、その職務に求められる能力水準等に応じて出題の範囲やレベルを設定して、職種ごとに試験等を実施しております。
その上で、例えば大学院卒程度の能力実証を行うI類A採用試験における職種、事務では、令和三年度は、採用予定者数二十名に対し、七百七十二名の申込みがあり、競争試験を経て、採用予定者数を上回る二十四名の最終合格者を出すなど、各職種別に適切な能力実証を経た上で、必要な人材の確保に努めております。
○あかねがくぼ委員 各職種ごと選考状況は確認をいたしました。全ての職種において採用予定に応募が満たないということがなく、採用倍率は、受験者数に対する最終合格者の比率、ほとんどの職種で一・五倍から十倍となっているということが確認をできました。
その中でも、事務職がI類A、I類B、それぞれに採用試験がありますが、全ての職種の中で最も人数が多い職種でもあります。同時に受験者数も多いので、全職種の中で最も倍率の高い職種が事務職というふうになっているということでございます。
人事委員会の意見によりますと、都政の構造改革を一層進めるためには、様々な経験や専門性を持つ人材を取り込み、組織の多様性を高めるということが不可欠としています。また、シン・トセイを掲げ、DXを進める上では、職員の働き方や業務の内容、求められている役割なども変化をすると考えますが、人員計画にはどのように反映をされているのかを伺います。
○高崎人事部長 DXを進めることで、職員が、より政策のイノベーションを生み出す業務に携わり、多様化、複雑化する行政ニーズへ対応する組織へと変革していくことが重要でございます。
具体的には、例えば主税局におきまして、滞納者の財産調査業務のうち預貯金照会に係る部分をデジタルツールの活用により電子化し、業務を効率化することで、職員のマンパワーを別の業務にシフトしたことが挙げられます。
こうした内容は、各局との組織定数の調整を踏まえて人員計画に反映されるものでございまして、引き続き、都の事業執行に必要な人員を確保するとともに、業務内容の変化に対応した人材の育成や活用を図ってまいります。
○あかねがくぼ委員 会計や経理の分野で、デジタルツールを使わずに仕事をするということは、もはや世間のスタンダードから考えてもちょっとおかしいという働き方になっています。都庁の会計経理業務に対しまして、主税局での取組事例のように判こレス、ペーパーレスは当然でございまして、デジタル化を一層進め、効率を上げていっていただきたいと思います。
各局において、DXによる事務の業務効率化をスピード感を持って徹底して進めていただくであろうと思いますので、その点が適切に人員計画に反映されているのか、人事部としてもチェックをしながら人員配置の最適化を図っていただきたいと思います。
続きまして、ICT職について伺います。
各局から上がってくる職種別人員配置要望の中に、新たな役割であるICT職への要望は入っているのか伺います。
○高崎人事部長 令和三年度より採用が開始されたICT職につきましても、各局の組織及び定数計画の対象となっております。
ICT職の活用につきましては、本年八月に通知した令和四年度組織及び定数計画の策定方針におきまして、各局に対し、局事業のDXを強力に推進するため、ICT職の設置について積極的に検討するよう示しており、現在調整中でございます。
○あかねがくぼ委員 ICT職を積極的に設置するように、全庁的にも促しているということが確認できました。
調整中ということでございますので、令和四年度の要望としては、恐らく複数の局からICT職の設置の要望が上がってくることと私としては理解をしておりますけれども、部課ごとにDXに対する積極度というのは異なってきますので、本来DXが必要な場所には、ICT職を適切に配置されていくようにするべきと考えます。人事部としてどのように取り組んでいるのか伺います。
○高崎人事部長 先ほど答弁しましたとおり、各局からのDX推進ための人員要求があることに加え、施策の実施段階におきまして、DXの活用が急遽必要になる事業も生じており、全庁のICT職の需要について的確に対応していくことが必要でございます。
そのため、これまでもDX推進を主導するデジタルサービス局とも連携し、一定の資格や経験を有する事務職員のICT職への転職など、ICT人材の裾野を広げる取組を強化してまいりました。また、年度途中でICT職の任期付職員を採用するなど、柔軟に対応してまいりました。
引き続き、デジタルサービス局と綿密に連携し、各局のDXの浸透、展開の状況を踏まえまして、適切にICT人材を確保するよう努めてまいります。
○あかねがくぼ委員 今まで事務職であった方をICT職へ転職していただく。また、年度の途中でも、必要に応じて柔軟な採用ができるということでございました。今後数年間は、シン・トセイの実現に向けて、業務内容も著しく変化をしていくと考えます。そういった変化にしっかり対応できるように、柔軟な人員配置の変更、職種変更などができるように取り組んでいただきたいと思います。
次に、障害者雇用について伺います。
都民ファーストの会東京都議団として、ダイバーシティの推進には特段の思い入れを持って取り組んでおります。その一つとして、障害の有無にかかわらず、誰もが生き生きと活躍できる社会を目指しているところでございます。都においても、率先して障害者雇用に取り組むことが重要であると考えます。
そこで、障害者を対象とするⅢ類選考、採用選考の実施状況について、障害種別ごとに伺ってまいります。
○高崎人事部長 障害者Ⅲ類採用選考につきましては、平成二十九年度選考から、従来の身体障害者に加えまして、精神障害者、知的障害者に対象を拡大しております。それ以降四年間で、精神障害者百十六名、身体障害者五十七名が合格しております。
なお、こうした結果、昨年の知事部局の障害者雇用率は、法定雇用率を上回る二・八一%となっております。
○あかねがくぼ委員 障害者Ⅲ類選考では、精神障害者と身体障害者の採用実績があるということが分かりました。
一方で、知的障害者の方は、平成二十九年度の選考から受験が可能となっていますけれども、これまで一人も合格者が出ていないということでございます。こうした中にあっても、都は、民間企業に対し、障害者の雇用を促進する立場であるということを踏まえれば、精神障害者と身体障害者に加えまして、知的障害者の雇用により一層積極的に取り組むことは重要です。
都において、知的障害者の雇用についてどのように取り組んでいるのか伺います。
○高崎人事部長 知的障害者の雇用につきましては、平成三十年度から非常勤職員であるオフィスサポーターの任用を開始し、現在十一名を任用しております。また、昨年度、非常勤職員から常勤職員へステップアップすることが可能な雇用の枠組みを創設し、今年度から常勤職員四名を任用しております。
今後とも、個々の障害特性を踏まえた職域の開拓や、きめ細かな職場環境の整備などをより一層進め、知的障害者の活躍の場を拡大してまいります。
○あかねがくぼ委員 今までの枠組みでは雇用が難しかった知的障害の方へも、常勤職員へステップアップできるような雇用の枠組みを創設したということでございます。この点は評価をしていきたいと思います。
次に、特別支援学校等からの実習受入れについて伺ってまいります。
先ほどのオフィスサポーターの方の職場でありますオフィスサポートセンターでは、特別支援学校の実習生を受け入れていると伺っています。これまでの特別支援学校からの実習受入れの状況について伺います。
○高崎人事部長 オフィスサポートセンターでは、平成三十年度に開設して以降、特別支援学校からの実習生を受け入れております。受入れ実績は、都内特別支援学校五校から、平成三十年度は延べ十一名、令和元年度は延べ十五名、令和二年度は延べ十九名でございます。期間は、おおむね一週間から三週間となっております。
今後も、特別支援学校を積極的に訪問することなどを通じて、職場実習の受入れを進め、生徒の社会参加や自立へとつなげてまいります。
○あかねがくぼ委員 特別支援学校の生徒が実際の職場で体験を通して働くことへの意欲を高めたり、また、働く不安を解消することができるよう、ぜひ工夫をしながら取り組んでいただきたいと思います。
職員の採用に当たっては、地方公務員法に定める成績主義に基づき、採用後に従事する職務内容等に応じた適切な能力実証を実施ということが定められております。都としては、障害特性を踏まえた業務の切り出しが重要な要素になると考えます。
民間においては、AIやロボット等の先端技術を活用することで、重い障害を持つ方でも就労ができる仕組みに取り組んでおります。都においても、都の障害者雇用でもそういった点を応用することができないのか、民間の動向をよく注目しつつ、積極果敢に障害者雇用に今後も取り組んでいただきたいと要望して、次の質問に移ります。
就職氷河期世代を対象とした採用試験は、先週、一次試験の合格発表がなされたところであります。氷河期世代の就職については、令和元年第四回定例議会におきまして、我が会派の中山議員の一般質問を受け、その翌年から開始をした試験制度であり、今まで二年間取り組んできたところであります。
まず、就職氷河期世代の採用試験について工夫している点、他の採用区分と比較してどのような特徴があるのか伺ってまいります。
○高崎人事部長 都では、誰もが生き生きと活躍できる東京の実現を目指すため、令和二年度から、就職氷河期世代を対象とした職員採用試験を実施しております。当該採用試験では、高校卒業程度と大学卒業程度の複数の試験区分を設定することにより、様々な学歴、経歴などを有する方々の受験を可能としています。
また、受験資格につきましては、一般の高校卒業程度は十八歳から二十一歳までの方を、大学卒業程度では二十二歳から二十九歳までの方を対象としておりますが、令和三年度の就職氷河期世代を対象とした採用試験では、両区分とも三十六歳から五十一歳までを年齢要件として選考を行っております。
○あかねがくぼ委員 試験区分として高校卒業程度と大学卒業程度と、そういった複数の設定があるということ、また、通常ですと卒業してから期間が決まっておりまして、それを超えたら都の職員に採用対象にならないものでございますけれども、それとは異なる年齢、いわゆる氷河期世代の年齢に当てはめて設定をしていただいているということが分かりました。
人事委員会が公表している採用試験の申込み状況を見てみますと、氷河期世代を対象とした採用試験の申込み倍率は、令和二年では百五十倍と、令和三年度はそこまでは行きませんでしたけれども、九十倍という非常に高い倍率でございます。
採用人数がそれぞれ十名程度だったと思いますけれども、そこを大幅に増やしていくということは、なかなか難しいとは理解しておりますけれども、氷河期世代の方々の安定的な就労に向けました工夫を進めていっていただきたいところでございます。
そこで、氷河期世代、氷河期採用試験のこれまでの取組と氷河期世代の方々の安定的就労に向けて、都としてどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
○高崎人事部長 就職氷河期世代を対象とした採用試験の採用予定者数は、職員の退職動向や職員定数の状況等を勘案して設定しております。令和二年度の採用試験におきましては、高校卒業程度と大学卒業程度を合わせて二十三名を合格としております。また、令和三年度につきましても採用予定者数を二十名に設定し、現在選考手続を進めております。
加えて、都庁におきまして就労経験を積むとともに、資格取得などを通じて民間企業等への正規雇用での就労を目指す取組として、非常勤職員の採用選考も実施しており、令和二年度は十名、令和三年度は十一名が合格しております。
常勤職員と非常勤職員との二つの採用を実施し、公務職場を活用することを通じて、就職氷河期世代の方の安定的な就労に取り組んでおります。
○あかねがくぼ委員 都の常勤の職員としての採用というものと、非常勤職員で採用して、それを経験した上で民間企業などでは正規雇用を目指していくと、こういった方法にも取組をしているということでございます。
こういった取組に関しては、他局で、産業労働局でも就職氷河期世代のキャリアチャレンジということで、派遣から正社員を目指す取組を今までも進めてきたところであります。ぜひ、他局ともしっかりと連携を取りながら、就職氷河期世代への支援、これを確実に進めていただきますよう要望して、私の質問を終わります。
○慶野委員 私からは、都立大学、そして都立の産技高専について、若者支援をしていきたい、こういう思いからこの質問をさせていただきます。
初めに、私の地元にございます、荒川区に拠点を構える東京都立大学荒川キャンパスでは、看護師や理学療法士、作業療法士、放射線技師といった医療人材を育成する健康福祉学部を設置しております。今年は、東京二〇二〇パラリンピック大会が開催された年でもありました。医療専門職を志す学生が集う健康福祉学部において、障害者スポーツの理解促進や普及啓発に取り組んでいくことは、学生にとってもよい刺激となるとともに、都が進めるインクルーシブな都市の実現にも貢献するものであります。
パラリンピック大会の成功を追い風に、障害者スポーツの普及について、都立大として積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を求めます。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学荒川キャンパスでは、学生の加わった形でボッチャなどの競技の体験会を開催いたしますとともに、地元区が主催するパラスポーツイベントに講師の派遣を行うなど、障害者スポーツの裾野拡大に向けて取り組んでおります。
また、授業や実習を受けることで、障害者スポーツの指導に関する資格を取得することができる認定校の登録を受けておりまして、これまで学生四十五名の資格取得者を輩出しております。
昨年度は、感染の拡大に伴いましてイベントの実施などは見合わせましたけれども、パラアスリートのインタビュー動画を作成して配信するなど、オンラインを用いてパラリンピック大会の機会を捉えた障害者スポーツの魅力発信に取り組みました。
今後は、感染状況等を見極めつつ、対面方式のイベントを再開するとともに、オンラインによる情報発信も併せて継続していくことによりまして、広角的に取組を進めてまいります。
○慶野委員 ありがとうございます。今、ご答弁いただきました都立大で、障害者スポーツの指導に関する資格が取得できる認定校となっていると。そして、四十五名の学生が、その認定を、資格を受けたということでありました。
都議会公明党は、さきの第三回定例会の代表質問で、体育教員の養成課程における障害者スポーツ科目の必修化を求めました。障害者スポーツのさらなる裾野拡大のために、健康福祉学部においても、障害者スポーツの指導者を目指す学生に対する教育を一層充実させていただきたいと要望いたします。
障害者スポーツが最も脚光を浴びたこの一年間、都立大の取組が普及啓発の一助になったものと思います。教育の面でも効果のあるこの取組を一過性のものとして終わらせず、引き続き実施していただきたいと思います。
次に、健康福祉学部における医療人材の育成についてです。
厚生労働省によると、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年を目途に、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムに移行するとしております。
地域包括ケアシステムでは、医療や介護、福祉といったサービスを病院ではなく地域で受けられることを基本としており、これまで以上に看護師やコメディカル職種の方が有機的に連携していくことが求められるようになってまいります。
こうした社会的なニーズを組み込み、健康福祉学部で学ぶそれぞれの学科の学生が職種間の連携の重要性を肌で感じられるように、これまで以上に現場での体験を重視した教育を実施していくべきと考えますが、見解を求めます。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大の健康福祉学部におきましては、専門知識、それから臨床スキルに加えまして、他の医療専門職と協働して様々な課題に的確に対処できる能力を身につけた人材の育成に取り組んでおります。
具体的には、看護、理学療法、作業療法など、異なる学科の学生が相協力いたしまして取り組む演習や、他の医療系大学との合同によるセミナー、チーム医療の取組が進んでいる海外大学への短期留学などの各種取組を実施しております。
加えまして、来年度は、学科をまたいだ学生のチームが高齢者宅への訪問調査や、それを基にした課題検討を行うフィールドワークなどの新科目を開講いたしまして、より実践的な教育プログラムへと充実を図ってまいります。
今後も、健康福祉学部の特色であります学科を超えて互いに理解し学び合うという、職種間の連携を図る教育を進めてまいります。
○慶野委員 医療、介護、福祉など様々な医療職種の人材育成を進めてきた都立大だからこそできる教育であり、これからも社会の要請に応えていってもらいたいと思います。
こうした医療専門職になるためには、優れた臨床能力が求められております。ただいまのご答弁でも、来年度から行う学科をまたいだ学生のチーム、こうしたフィールドワークなどの科目を行っていくと、開講していくということでありました。
フィールドワークを新たに実施する、医療や福祉の現場で活躍できる人材の育成をミッションとする荒川キャンパスでの教育は、他の学部とは異なり、座学だけではできない実践的なカリキュラムも多く組まれていることが特徴であります。
一方で、コロナ禍で、感染防止のため、都立大学でも多くの授業をオンラインに切り替えて実施してまいりました。荒川キャンパスでは、全てをオンラインで対応するわけにもいかないのではないでしょうか。学生の臨床能力を確保するための実習などの機会の確保について、取組状況を求めます。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 実践的な知識やスキルを身につけた医療人材の育成を図る上で、委員ご指摘のとおり座学だけでなく、体験を通して学ぶことが重要でございますことから、健康福祉学部においては、感染が拡大していた昨年度においても、対象となる学部生全員が病院や福祉施設などにおける実習、演習に参加いたしました。
現場に入るに当たっては、各実習先で定められていた厳格な管理基準に従って体温計測を一定期間実施し、その記録を提出するなどのほか、大学でPCR検査を行うなど、徹底した感染防止対策を行ったところでございます。
今年度からは、こうした実習に加えまして、心肺蘇生などの救命救急に関するVRコンテンツを導入しておりまして、仮想空間の中で、救命現場における医師や看護師同士の連携の動きなどをリアルに体験することができる授業も開始しております。
こうしたデジタル技術も効果的に活用いたしまして、医療専門職種に求められる臨床能力をさらに高める教育を推進してまいります。
○慶野委員 臨床科目を実施するために、様々な工夫をこのコロナ禍で行ってきたということです。特にVRコンテンツを活用した教育は、時間と場所を問わず体験型の学びを学生に提供できるという意味で、非常に期待をしております。実践力が肝要である医療人材の育成を担う荒川キャンパスにおいて、コロナ禍であるか否かを問わず、一層充実していくべきだと思います。活用の場面を広げるなど、さらなる取組の強化を求めます。
次に、都立産業技術高等専門学校の取組についてお伺いいたします。
都議会公明党は、都立学校はもとより、区市町村立の学校体育館への空調設置をこれまで求めて、そして進めてまいりました。この産技高専にあっては、所管が総務局であるということで、この助成事業からは漏れておりました。その点を都議会公明党は課題として指摘しまして、この対象外、設置対象となっていなかった産技高専の体育館にも、私たち公明党は設置をしていくべきだと。そして、私も昨年の第四回定例会の一般質問で、本件について取り上げさせていただきました。
私の地元である荒川区に所在する産技高専の荒川キャンパスの体育館の空調設置状況についてお伺いします。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立産業技術高等専門学校荒川キャンパスの体育館における空調設備についてでございますが、空調方式や設置場所、工程等を定めた整備方針に基づきまして、昨年度から実施設計、設置工事に着手しておりまして、予定どおり本年六月に設置を完了し、供用を開始しております。
この体育館は、ふだんは学生の教育活動などに使用されておりますけれども、災害時には、地元区との協定に基づいて、周辺住民の避難所や、ほかの自治体からの応援職員の宿舎などとして使用されることとなっておりますことから、こうしたことに対応できるよう適切な能力の空調設備を導入しております。
○慶野委員 この六月に設置を完了して、授業はもとより、様々な災害対応に備えが完了したというご答弁でした。
それでは、産技高専のもう一つのキャンパスであります品川キャンパスにおける空調の設置状況をお尋ねします。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専の品川キャンパスの体育館についてでございますが、昨年度末まで、老朽化に伴う改修工事等を実施しておりました。このため昨年度は、空調設備の導入に向けた実施設計までを行っておりまして、設置工事は本年度から着手をしております。令和四年六月の設置完了を予定しております。
○慶野委員 荒川キャンパスは今年六月、品川キャンパスは来年の六月に整備が完了するということでありました。夏はもとより、冬も大変重要な空調設備でございますので、確実に設置を進めていただきたいと思います。
さきの総務委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、産技高専ではデジタルものづくり人材の育成を進めており、日々進化する技術の最先端を学べるプログラムを提供しております。ビジネスの場においてデジタル技術の活用がどんどん進む一方で、最近では、自動車メーカーやゲームソフト会社が身の代金要求型のマルウェアの被害に遭うなど、デジタル化の流れを逆手に取ったサイバー攻撃の手口がますます巧妙になり、被害も深刻化しております。
情報セキュリティに関する技術や知識は、これからの企業活動において、業種や規模を問わず必要性が増してまいります。産技高専において、社会人を対象としてどのような取組を行っているのか、答弁を求めます。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、情報工学に関する専門的な知見を生かし、社会人を対象とした情報セキュリティ講座、情報セキュリティLab.を開講しております。
今年度は、情報窃取などの外部からの攻撃や予期せぬシステムトラブルなどを防ぐためのプログラミング手法について学ぶエンジニア向けの講座ですとか、情報セキュリティ監査の方法論などを学ぶ講座のほか、地元区や警察署、商工会議所との共催により、中小企業経営者向けのサイバーセキュリティ講座も開催をしております。
こうした様々な受講者層に対応するきめ細かなプログラムの展開を通じて、情報セキュリティに関する社会人のスキルアップを後押ししてまいります。
○慶野委員 情報セキュリティのリカレント教育は、産業界からの需要が高く、これからの展開に期待したいと思います。
社会的な動向を背景に国が定める学習指導要領では、昨年から小中高でプログラミング教育が必修となるなど、情報教育の推進はもはや国策ともいえる状況です。産技高専が早くから先見の明をもって力を入れてきたこの分野、高専に入る前の若年層に対する教育も社会的ニーズが高まっております。
そこで、若年層に対する情報教育について、産技高専ではどのような取組を行っているのかお伺いします。
○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、ICTに関心を持つ中学生を対象とした体験型の勉強会を二講座開催しております。
一つは、端末や機器を実際に扱いながらハイレベルな技術を学ぶICT基礎Lab. for Juniorでございます。今年度はプログラミング言語を使ってウェブコンテンツを作成するコースと、画像解析技術を用いたドローンの自動制御プログラムを作成するコースを開設しております。
もう一つは、情報セキュリティの重要性を楽しみながら学ぶサイバーセキュリティTOKYO for Juniorでございます。こちらの講座では、例えば、パスワードの文字の種類や桁数を増やしたり減らしたりすることにより、解読時間がどの程度変わるかを実際に確かめてみるなど、実験やゲーム形式を取り入れたプログラムとしております。
さらに、こうした取組に加えまして、情報セキュリティ教育を担当する地元区の中学校の教員向けに勉強会も開催しておりまして、指導する側のスキルアップも図ることとしております。
○慶野委員 中学生向け勉強会、二講座開催していただいたり、教員向けの勉強会を行っていただいているということでした。私は、かねてからずっと提案を、発言をしているように、この東京都自体が学園都市である、さらに、私の地元荒川区は、都立大の荒川キャンパスがあり、そして産技高専荒川キャンパスがあり、この荒川区こそ東京都と密に連携をした学園都市のモデルにしていきたいと、こういうふうに思っております。
しかし、なかなか学生と地元民との交流が深まっていかないという、こうした課題もあります。地元荒川とも私はしっかり連携を取りながら、縁あって荒川に学ぶ学生を、東京都が東京都を代表する学園都市荒川区にしていけるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。今後も都立大、産技高専との連携、そして活躍を期待して、質疑を終わります。ありがとうございました。
○福手委員 よろしくお願いします。
まず、十月二十二日の知事の記者会見で、知事が地震の被害想定の見直しを行うと表明したことについて確認をしていきたいと思います。
被害想定の見直しをすることになったきっかけは何か伺います。
○芝崎防災計画担当部長 前回被害想定から約十年が経過し、この間社会基盤の整備が進展するとともに、人口構造の変化も生じております。また、大規模地震災害の最新の知見等が蓄積してきたことから、被害想定を見直すことといたしました。
○福手委員 知事は、記者会見で、この十年間で住宅の耐震化、不燃化対策、無電柱化が進んできたと話していました。耐震化は九二%まで来ていて、全国的には耐震化率、高いんですが、東京は建物の総数が多いので、まだ多くの未耐震の建物が残っていると、一概に東京が十年前より安全になっているとはいえないと、都の防災会議地震部会の平田直部会長は都政新報で指摘をしています。
また、知事は、高齢化や一人世帯が増加している、そういう動きを詳細に見ていくということでした。文京区でも、避難所訓練を地元の皆さんが努力して開催されていますが、避難所運営協議会自体が高齢化しているところでは、町会の方も、自治体も苦労をされています。要支援者名簿に登録をしても、実際災害が起こったら高齢化している中で誰が駆けつけることができるか、そういう声も出ています。
いつ、どのような条件下で起こるか分からない大規模地震に備えるために、この十年の新たな蓄積と併せて、正確な調査とこれまでの検証、そして地域の現実的な課題も踏まえて想定を見直すことがその後の計画の見直しにつながり、重要だと私は思います。
先ほど答弁されたように、知事は記者会見で、耐震化などのハード面と人口の変動も考慮する、そして、この間の大規模地震の知見も踏まえ検討し直すというふうにいっていましたが、今回の見直しは、具体的にどの部分の見直しを行うのか伺います。
○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定の見直しは、首都直下地震や南海トラフ巨大地震等による被害想定の内容全体を対象としているところでございます。
○福手委員 被害想定の報告書に書かれていることについての全部が見直されるということでした。
では、どのようなスケジュールで見直しを行うのか伺います。
○芝崎防災計画担当部長 現在、専門家で構成する地震部会で検討を進めておりまして、令和四年度当初を目途に公表する予定でございます。
○福手委員 地震部会は、前回は、南海トラフの首都直下型の方も、それぞれ八回開催されていました。お聞きしたところ、今回も同じぐらいということでした。そして、新たな被害想定がまとまるのは二〇二二年度の初め頃ということでした。
最後に確認しますが、被害想定やその後の計画の見直しの中で、議会や都民の意見をどう聞いていくのか、案の段階で議会や都民の意見を聞くのか伺います。
○芝崎防災計画担当部長 被害想定は、地震等に関する最新の知見や統計データ及び科学的な手法を用いて実施し、地震により都内で起こり得る具体的な被害を客観的に明らかにするものでございます。そのため、有識者を専門委員とする地震部会において検討することとしてございます。
現行の地域防災計画の修正時におきましても、議会に報告させていただくとともに、都民からのパブリックコメントも行っておりまして、今後も適切に対応してまいります。
○福手委員 被害想定の見直しに基づいて東京都地域防災計画が見直されますので、都民の意見を聞き、また、議会で十分に議論ができるよう求めておきます。
防災の質問は以上です。
続いて、障害者の雇用に関して伺います。
現在、点字が分かる職員が東京都で何人働いていますか。
○高崎人事部長 都では、障害者の生活や仕事の相談などを行う福祉Cという試験区分を設け、点字による出題、回答を前提とした試験を実施しております。この区分で採用された職員は、その前身である福祉指導の区分による採用者を含め、本年四月一日現在で十名でございます。
○福手委員 点字ができる職員で確認ができる範囲ということで、今は十名の方たちが働いているということでした。視覚障害で手帳を持っている都民は約三万九千人いらっしゃって、手帳を持っている方全員が点字を使用するわけではないので、単純な話ではありませんが、都内の視覚障害を持つ方に対して、都内の障害者、点字を日常使用する方々に対して、この十名の職員の方たちは都の職員として業務に当たっていて、これはとても重要な役割を担っていると思います。
それでは、具体的に、これらの職員の方たちはどこでどういう役割を果たしているのか伺います。
○高崎人事部長 福祉Cで採用された職員は、主に心身障害者福祉センターや精神保健福祉センター、府中療育センターなどの職場で障害者の生活や仕事に関する相談業務、利用者が閲覧する資料などの点訳チェック業務などを担っております。
○福手委員 福祉Cで採用され、点字ができる十名の職員の方々は、障害者の相談業務や資料の点訳チェック業務を担っているということでした。自らも視覚障害を持ち、日常の何が不自由で、どんな思いで過ごしているか、共通の経験を背景としている人が職員として都庁や都の施設で働いていることは、障害のある方たちにとって、とても安心できることだと思います。
視覚障害者団体からは、都の職員に点字が使用できる視覚障害者がいることが、視覚障害のある都民の社会参加に必要だと訴えていますが、東京都の認識を伺います。
○高崎人事部長 都はこれまで、福祉C区分での採用を実施してきたほか、障害者を対象とする採用選考を実施しており、この選考において視覚障害者の方も受験対象とし、採用の実績もございます。障害のある方々がその能力や適性に応じて働くことは重要と認識しており、今後も都における障害者雇用を推進してまいります。
○福手委員 障害のある方がその能力や適性に応じて働くことは重要で、今後も推進していくと答弁され、これはぜひ進めてほしいと思います。同時に、視覚障害がある、また、知的障害があるなど、いろんな方が他の職員の方たちと一緒に働くということは、多様な都民のニーズに応えることができる、サービスの質の面から見ても必要なことだと私は思います。
そして、視覚障害者団体の方が話されているように、視覚障害者当事者が職員として働くことは、雇用されている障害者だけでなく、障害を持った多くの都民の社会参加につながるということです。障害者の思いを受け止め、さらに職員採用を増やしていくことが求められていると思います。
東京都はこれまで、点字で受験ができるなどの合理的配慮を行ってきていますが、一方で、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格が受験の条件とされており、応募のハードルが高くなり、採用が少ない実態があります。この点はさらなる配慮が必要と考えますが、見解を伺います。
○高崎人事部長 都はこれまで、採用試験において福祉Cの試験を独立して実施し、点字が分かる職員の採用に努めてまいりました。この福祉Cの区分で採用する職員は、福祉施設における相談業務等を担うことから、他の区分の福祉職と同様に、社会福祉士等を受験資格として定めております。
なお、障害者を対象とした事務職の採用選考では、専門的な資格要件は設けておらず、また、本人の意向により点字による受験も可能とするなど、障害特性に応じた配慮を行っております。
○福手委員 今ご答弁があったように、これまで都は、受験による合理的配慮を進めてやってきました。あわせて、都民サービスや障害者の社会参加促進という視点で、採用人数や受験の要件を検証し、改善していくことを求めておきたいと思います。
次に、知的障害のある方の雇用について伺います。
先月、私はオフィスサポーターの視察に行きました。今年度から知的障害のある方の常勤職員へ採用する道が開かれ、四名の方が常勤として働いています。視察したときには、オフィスサポーターの方から仕事の内容や、自分がなぜオフィスサポートセンターを志望したのかなど、パワーポイント使って非常にすばらしいプレゼンをしていただきました。その人の能力に合った仕事を、そして、支援員のサポートによってやりがいを持って働いているということがよく伝わりました。
現在十五名の方がオフィスサポートセンターで働いています。オフィスサポーターの業務は、様々な部署から依頼を受けて行われていますが、依頼を受ける上でどのような工夫をしていますか。
○高崎人事部長 オフィスサポートセンターにおきましては、専門的な知識、経験を有する障害者雇用支援員を配置し、データ入力や資料の電子化など各種庶務事務や軽作業の一部を切り出すことにより、各オフィスサポーターの能力や適性に応じた職務の創出を行っております。
○福手委員 先ほどの視察のときのプレゼンでは、体調管理や生活のリズムを保つこと、落ち着くことで正確な仕事をする、都民に信頼されるために正しく仕事をすることが大切と、心がけていることを話していただきました。
働き続ける上で大事なことや働く意味は、障害があるなしに関係なく同じだということを私自身も気づきました。一つの仕事を一緒に進める上で、障害の特性に応じた仕事を創出する。その過程で、経験の蓄積や気づきはオフィスサポーターの方だけではないはずで、仕事を依頼する側の認識が変化し、発展していくということがあるのだろうと私は思います。
そこで伺いますが、一人一人の能力を生かせる職場を用意し、特性に配慮された労働環境で、障害者がやりがいを持って働けることは重要だと考えますが、認識を伺います。
○高崎人事部長 都における知的障害者の雇用促進は、重要な課題であると認識しており、今後とも、一人一人の特性に応じて能力を発揮できるよう努めてまいります。
○福手委員 一人一人の特性に応じて能力を発揮できるようにするには、特性に配慮された労働環境をさらに広げていくことをぜひ取り組んでいただきたいと思います。
例えば、視覚障害者団体が、あんま、はり、きゅうの職場を広げるなどを要望しているように、知的障害がある人が能力を生かし、今やっている業務以外の職域に広げる、こういう検討はされていますか。
○高崎人事部長 オフィスサポートセンターでは、各種庶務事務、軽作業、事務等の補助など、個々の障害特性に応じた職務内容等を検証しております。
今後とも、知的障害者の方々が能力や適性に応じて働くことができるよう、引き続き必要な検証と改善を積み重ねてまいります。
○福手委員 ぜひ、特性に合った仕事ができ、やりがいを持って働けるように、事務以外にも労働環境を広げ、選択肢を増やしてほしいと重ねて要望します。
これまで障害者雇用は、受験や採用を広げてきました。必要な検証と改善を積み重ねていくという答弁でしたので、ぜひ次の段階、職員として採用すること、一人一人に合った仕事でやりがいを持って働けるよう広げていくことへ踏み出していただきたいと要望し、私の質問を終わります。ありがとうございます。
○西崎委員 私からも、人事関係を中心に伺ってまいります。よろしくお願いいたします。
まず、会計年度任用職員について伺います。
私自身がまだ三か月ちょっとの新人議員という立場でありますので、あまり時系列で申し上げてまいるのは少し僣越な部分もありますけれども、会計年度任用職員につきましては、特に後半の国の動きが少し遅く、どたばたしたというような事情もあったかと思いますし、これはそうでなくても、全国津々浦々、結構な時間をかけて議論をしてきたというような印象がありますけれども、そうはいっても、実は昨年の四月にようやくスタートして、まだ一巡、一つの年度が終わったばかりというところでございます。
そもそもは、通常の事務職員に守秘義務などの服務規律が適用されない場合があるという問題や、労働者性が高いものであっても期末手当が支給できないという問題などに対応するという背景もあって、法改正があったものと認識をしております。
東京都も含めた全国の自治体におきましては、人件費、これは間違いなく押し上げる要素になるという事情もあったかと思いますが、さりとて、この改正自体は必要であったものと考えます。
そこで、まず伺いますけれども、会計年度任用職員制度の導入から一年余りが経過をしたところでありますけれども、現在、この制度が導入をされた趣旨も踏まえ、都では、どのような運用をされてきているのかお聞かせください。
○高崎人事部長 国は、地方公務員の非常勤、臨時職員制度につきまして、本来、地方公務員法が適用される一般職として任用されるべき職が、同法が原則適用されない特別職として任用されるなど、制度の趣旨に沿わない運用が見られることを課題としておりました。そこで、平成二十九年に、任用及び給付等の規定を整備することを目的として法改正が行われ、新たに一般職の会計年度任用職員制度が導入されました。
都においても、令和二年四月一日の改正法施行に合わせ、特別職非常勤職員の大部分や臨時職員を会計年度任用職員に位置づけ、地方公務員法に基づく人事管理の徹底や、期末手当の支給を含め、勤務条件の整備を行い、適正に運用しております。
○西崎委員 多くの職員が会計年度任用職員に位置づけられて、年月というか月日は浅いものの、これまで適正に運用されてきていることかと思います。
ここでもう少し伺いたいのは、会計年度任用職員も含めた都庁全体の定数管理について伺ってまいりたいと思います。
制度が変わったからどうこうというわけでもありませんけれども、身分が新たに規定をし直されたということでお聞きをしたいんですけれども、まず、常勤職員の定数につきましては、長期的には大きく減ってきたというようなことがあるかと思いますけれども、一方で、近年は再び少し増加傾向にあるというふうに認識をしております。
一方で、会計年度任用職員、これはかつては非常勤であったり、臨時職員となっていたかと思いますけれども、ここでは便宜上、一元化して会計年度任用職員と呼びますけれども、そして職員数は、恐らくかなり年々増加をし続けてきているのではないかと思っております。
こうした状況につきましては、この現代において行政ニーズが複雑化をし、また、必要なサービスも多様化をしているという中におきまして、要は今までの人員体制ではまだ少し心もとないと、これ以上の体制が求められているという、そういう要因があるからにほかならないと思っています。
一方で、将来の財政の見通しが決してばら色ではないという事情もありますし、はたまた、社会的な公務員の削減圧力にさらされてきたという面もあろうかと思いますけれども、少なくとも私が地元の区役所の職員体制を見てきた経験から感じるのは、かなりその現場によって限界に近いというような状況もありまして、当然部署にもよろうかと思いますけれども、疲弊をしているというところも決して少なくないと思っております。
こうした中において、じゃあ、安易に会計年度任用職員を増やして頼るということは、やはり少し問題であろうかと思いますし、必要な定数増というものは堂々と行うべきだと思っています。
一方で、当然これを、じゃあ、無尽蔵に増やしていくということも現実的にはなかなか難しいところであります。すると、いわゆる今後の職員の定数管理につきましては、会計年度任用職員の状況も考慮しながらトータルで考えていかなければならないと思いますけれども、それについて所見を伺います。
○高崎人事部長 会計年度任用職員は、常勤職員の臨時的、補助的な業務または特定の学識経験を要する職務に任期を限って任用するものであり、常勤職員と併せて各局の要求を総務局が取りまとめ、常勤職員との役割分担や職務内容を確認の上、設定しております。
都はこれまでも、簡素で効率的な執行体制の確保に向けては、役割分担を踏まえた非常勤職員の活用をはじめとして、委託の導入、ICTによる業務効率化、専門人材の登用など、多様な手法を活用していくことが重要であることから、毎年度の職員定数の調整において各局に取組を促してまいりました。都の事業執行に必要な人員を確保できるよう、今後とも適切に職員定数の管理を行ってまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。本当にそもそもの全体の労働力人口の減少であるとか、先ほども少し申し上げた行政ニーズの多様化という以上に、加えてやっぱり社会の状況変化が著しく速いというのが今現在の特徴でありますから、この定数管理を適切に行っていくというのは、なかなか難しいかじ取りが求められるかと思いますけれども、そこについてはきちんとした采配に期待をするものでございます。
さらに申し上げたいのが、この定数管理に関わる話題といたしまして、今出てきているのが地方公務員の定年引上げということかと思います。実は先週も人事委員会の方にお聞きをしたところでありますけれども、国家公務員の定年引上げに伴い、都の職員の定年も段階的に引き上げていくということになりまして、定数管理に何らかの影響を与えるのではないかと推察をいたしますけれども、改めて、定年延長の決定を受けて今後の職員定数管理、これをどのように考えているのか伺います。
○高崎人事部長 都は、国と異なり、フルタイム勤務を基本とした再任用制度が定着しているとともに、再任用短時間勤務職員も含め、定数内職員として管理を行っており、定年延長に伴う職員定数管理の影響は比較的少ないものと認識しております。
定年の段階的な引上げ期間中は、定年退職者が発生しない年度が生じ、新規採用者数を抑制するおそれがあるなど、考慮すべき影響については、年度の変動を平準化し、計画的に採用者数を算定することなどにより適切に対応してまいります。
再任用制度が定着している都の実情も踏まえ、引き続き、経験豊富な高齢層職員の活用を進めるとともに、今後の人員構成や組織活力の維持にも幅広く留意しながら、職員定数管理を進めてまいります。
○西崎委員 フルタイム再任用が定着をしていて影響は少ないだろうということでございまして、これは過去のご答弁でもそうした認識はお示しになられてきたことかと思います。年度ごとの影響を平準化するという工夫が必要になるということです。そのあたりは皆様プロフェッショナルでありますので、適切に対応されることになろうかと思います。
これも先週議論したところでありますが、やはり気になるのが役職定年制への対応というところでございまして、人事委員会のこのたびの意見でも、国との権衡を失しないよう考慮しつつ、都の任用実態を踏まえ、定めることと述べられておりますけれども、今ご答弁にも改めてありましたように、再任用が一般的になっている、定着をしているこの東京都でどう制度設計をしていくかというのが、少なくとも私にとりまして、なかなか見当がつかないところでございます。
法改正でいわんとしている組織の新陳代謝を確保し、組織活力を維持するというこのお題目がおかしいことをいっているとは思いませんけれども、一方で、国と都の状況は異なるので、どういった方向性に折り合いをつけていくのか、これは今後の課題になってくると思います。
そこで、この役職定年制への対応について、現時点でどのように考えているのか伺います。
○高崎人事部長 国においては、国家公務員法の改正により、組織の新陳代謝を確保し、組織活力を維持するため、令和五年度から、管理職は原則六十歳に達した日以後、非管理職に降任等させる、いわゆる役職定年制が導入される予定でございます。
地方においても、地方公務員法の改正により、国との権衡を考慮した上で役職定年制を導入することとされておりますが、導入に当たっては、改正法の付帯決議において、各団体の実情に応じた自主的な判断に委ねるべきとされております。
都においては、六十歳以降の働き方として、フルタイム勤務を基本とした再任用制度が定着しており、法改正の趣旨や、こうした都の実情を踏まえ、制度を検討してまいります。
○西崎委員 付帯決議のことも今おっしゃっていただきまして、各団体の実情に応じた自主的な判断になるべきということでありまして、実際に都の実態に合わせたものがどうであるのか、これはこれからの課題になろうかと思いますので、これについてはまた機会を改めて議論をさせていただきたいと思います。
少し角度を変えて、女性管理職の状況について伺ってまいります。
昨今の世の中で、女性管理職が増えていくというのが重要であるというのはいうまでもないわけでありまして、それはこれまでも、都も十二分に認識をされていることかと思いますし、女性管理職の割合が、たしか二〇%を超えたところであるかと思いますし、これまで努力をされてきているということも重々承知をしております。いわゆるクリティカルマスというところに向けて、今後さらに取組を進めていただけるものと思っておりますけれども、ここで指摘をさせていただきたいのは、こうして増えてきている女性管理職のポストが限定されるようなことがあってはならないという点であります。
今はまだその数自体を、割合自体を増やしていこうという段階でありますので、もしその配置がどのようになるかという課題が、もう少しの先の話になるかもしれませんけれども、いわゆる性別によってポストが偏るということのないように配置をしていくという視点が今後確実に必要になってくると考えています。
さすがに、まさかそのジェンダーロールにとらわれて、つまり女性だからこういうポストが向いているだろうとか、もしくは、この役職はやっぱり男性だよねとか、そういう配置があってはならないというのはいうまでもないわけでありますが、例えば、あるポストがあまりにも激務で、女性の管理職が配置をしづらいという状況も、やはりこれはあってはならないと思っています。
社会的に見れば、まだまだ家庭における無償のケア労働が女性に偏っているのは統計的にも明らかでありますし、このこと自体、当然変えていかなければならないというのは、これは別の問題でありますけれども、その業務の内容というよりは、働き方による制約で女性の管理職の配置が限定をされないという職場づくりは、今後さらに重要になってくるかと思います。
そこで伺いますけれども、今後、さらに増加をしていくであろう女性管理職について、一部の役職に偏ることのないよう、多様なポストに配置をしていくべきと考えますけれども、見解を伺います。
○高崎人事部長 都ではこれまでも、能力や業績に基づく公平、平等な選考により、実力本位で幹部職員を登用し、性別にとらわれない適材適所の人事配置を行ってまいりました。
本年の行政系管理職の女性割合は二〇・二%と年々増加しておりますが、令和七年には二五%に向上させることを目標に掲げており、より多くのポストに女性管理職を配置していく必要がございます。今後とも、職員の能力、業績に基づき、人材育成の観点も踏まえつつ、適切な人事配置に努めてまいります。
○西崎委員 当然観念的、理論的には、能力や業績に基づいて人事配置を行っていくというのは当然のことでありますけれども、やはり労働環境、職場環境を整えるということも同時に必要になってくるかと思いますし、これは女性管理職のみならず、男性も同様であるかと思います。苛酷な超勤であるとか、いわゆる昔ながらでいう、いわゆるマッチョな働き方を求められない職場環境については、これまでも様々な取組を進められてきていることかと思いますけれども、ぜひこれは引き続きお願いをしたいと思います。
さらに、管理職に限らず、いわゆる女性の活躍推進には、家庭での男性活躍推進が欠かせないと私は思っております。よく象徴的にいわれる男性職員の育休取得ということにつきましても、都は、まだ道半ばであろうかと思いますけれども、着実に進めてきていることかと認識をしております。
実は、私自身もこれまで二度の育休宣言を行ったという経験がございまして、私は別に企業者じゃないので勝手に宣言をしただけなんですけれども、男性の育休取得推進には強い思い入れを持たせていただいています。また、今般の育児・介護休業法の改正もあったところですし、こうした社会的な機運はさらに高まっていくものと期待をしております。
これに関連して、これまでの都の取組の中で育児参加休暇という制度がございます。配偶者の産前産後の期間中に、これから生まれてくる子供、あるいはその上の子の養育などを行うために、五日以内の休暇が取れるという制度でございます。この制度の趣旨は全く別に否定するつもりはありませんけれども、この育児参加休暇という名称があまりに時代錯誤ではないかと非常に気になっています。
ここで改めて解説するような話ではないかと思いますけれども、家事や育児は女性に付随するものではなく、夫婦がそれぞれ担うべきものであって、育児に参加するというのは、何か必ずしもやらなくていいものに協力するというようなニュアンスをどうしても帯びるように聞こえてしまいます。
これを少し調べると、人事院のハンドブックにも同じような名称の休暇が載っているぐらいなので、恐らく国の制度に準じて制度構築をされているのだとは思いますが、今の時代にこうした制度の名称を残していることは、何か職員の方であるとか、ないしは都民、世間に誤解を与えかねないのかなと少し気になっています。
ということで、この育児参加休暇、この名称があまりにも時代に合わないんじゃないかと思います。時代には合わないのではという思い込みをすべきではと思いますけれども、見解を伺います。
○石橋労務担当部長 育児参加のための休暇は、次世代育成支援対策が社会の課題となる中で、公務においても男性職員が積極的に育児に参加することを促すために、国家公務員において平成十六年度から導入している制度であります。
これを踏まえ、都では、国家公務員の制度と同様の趣旨で、男性職員が配偶者の産前産後の期間に育児に参加するための休暇として、平成十七年度から育児参加休暇を導入しています。
なお、職員に対する休暇などの名称については、育児参加休暇を含め、これまでも国や他団体等で広く使用されている名称を用いております。
○西崎委員 国であるとか他自治体でも同じように使用されている名称を今使われているということで、恐らくまだそういう制度設計になっているので、今ご答弁いただく中でも、育児に参加するといわざるを得ない事情があるんだろうなと推察はいたしますけれども、やっぱりもう十五年以上も前に始まった制度でありますし、そのときと今で、また社会状況というものも大きく変わってきております。そのことを恐らく皆さんも認識はされているかと思います。ぜひ、都が率先をして異議を唱えて、見直していただくことを今後期待をしたいと思います。
人事に関連した最後の質問とさせていただきますけれども、これまでいろいろ申し上げてまいりましたけれども、働き方改革であるとか、職場環境の見直しというのは、多様な人材を確保し、それがそのまま組織の強みにもつながるという意味で極めて重要なことであるかと思います。
その取組の一つがストレスチェック制度ということであろうかと思います。この制度は、個々の職員のメンタル不調を発見して、それを改善、解決していくという役割と併せて、職場ごとの分析を行って環境改善に活用するというのが大きな目的の一つとなっているということでございます。
これは制度開始から五年ほどが経過をしたところでありますし、各部署の傾向の把握や分析、改善の措置、そうした精度も少しずつ上がってきているのではないかと思いますけれども、これまでの運用状況についてお聞かせください。
○石橋労務担当部長 知事部局等において実施しているストレスチェックについては、局、部、課単位の組織別分析などの集団分析を行い、その結果を各局等に提供しています。集団分析結果を提供する際には、各局等を対象とする個別の報告会を実施し、集団分析結果の見方の説明や、職場環境改善に関するアドバイス等を行っております。
各局等が報告会の内容を踏まえ、各局、事務所等の安全衛生委員会等において個別に集団分析結果について議論、検討を行い、職場環境改善につなげております。
○西崎委員 各局それぞれで、またその分析結果を改善に生かしているということであろうかと思いますけれども、ぜひ人事部としても丁寧にサポートしていっていただきたいと思います。定量的に職場環境を分析するという取組が意外と貴重であるかと思いますので、引き続きの取組に期待をさせていただきます。
最後に、少し人権の施策について伺ってまいります。
今さらいうまでもありませんけれども、基本的人権の尊重というのは、日本国憲法の大原則でありますし、逆にいうと、あまりにも土台の部分でありますので、ふだんから常に意識するという感覚がちょっとなかなか至らないかもしれませんが、一方で、私はやっぱり人権の問題というのは、古くて新しい問題だと認識をしているところでございます。
特に近年のグローバル社会、そしてまたインターネット社会におきまして、自分と同質のもの、同じ考え方を持つ者同士が集まりやすい傾向にあると思っています。それは楽ですし、心地よいと思います。自分と同じ立場の人が自分と同じ意見をいうのを聞いているというのは、それはストレスも少ないでしょうし、楽であろうかと思います。
そのこと自体は、別にとやかくいうつもりもありませんし、それが悪いというつもりはありませんが、一方で問題になるのは、逆に自分と異質のもの、異なる考え方を持つ者を認めない、排除する、場合によっては虐げるという傾向が同時に進行しているように見受けられることであります。さらにいえば、そうしたことはどうしても少数派に、マイノリティーの方に対して行われやすいという構造がありますし、実際に近年見てみても、ヘイトスピーチの問題であるとか、性的マイノリティーの問題であるとか、差別的な考え方が新たに顕在化をしてきているということについて強く憂慮をしています。
そこで伺いますけれども、こうした近年の人権施策をめぐる状況変化について、これまでどのように対応をされてきたのか伺います。
○吉村人権部長 都はこれまでも、人権施策推進指針において十七の人権課題を掲げ、それぞれの課題の経過や状況を踏まえて施策を展開してまいりました。
平成三十年には、東京二〇二〇大会の開催都市として、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を広く都民に浸透させていくため、人権尊重条例を制定し、性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消及び啓発等の推進や、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消等にも取り組んでまいりました。
具体的には、多様な性の理解の推進について基本計画を策定し、専門相談、企業向け研修、当事者の交流の場づくりなど、様々な取組を実施するとともに、いわゆるヘイトスピーチの解消については、当該表現活動の概要等を公表するほか、各種の啓発活動を行っております。
また、本年四月には、新たに新型コロナウイルス感染症に係る人権専門相談を開始するなど、新たな課題にも速やかに対応しており、引き続き人権尊重条例や人権施策推進指針に基づき、必要な施策を展開してまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。指針であるとか、もしくは人権尊重条例のことも挙げていただきまして、そうした近年のものにも速やかに対応しているということでございます。
ご答弁の中で、新型コロナに関する人権問題への対応についても今触れていただきましたけれども、やっぱりこの局面で人権が守られないというようなケースが全国で続発をしてしまったということは、非常に悲しく思っています。歴史的に何かが足りていなかったのか、それとも近年の状況変化によるものなのかということは、これは分かりませんけれども、やっぱりまだまだ人権尊重の意識を高める取組というのは必要であると思いますし、そういう意味では、人権部の皆様にもますます頑張ってもらわなければならないと思っています。
これは個人的な考えになりますけれども、世の中の本当に多くの問題を突き詰めていくと、やはり基本的人権の尊重に突き当たると思っています。先週の委員会以来、性暴力対策について質疑される委員が多くいらっしゃいましたけれども、例えばこれも包括的性教育の中で、相手の人権を尊重するということを学んでいないことによって大きく起こる問題であると思います。様々なジェンダーギャップというのはいわずもがなですし、いわゆるマンボックスの中でマウントを取り合うというのも、相手を人として尊重していたらまた違う行動になるのではないかと思います。
本当に多岐にわたりまして、学校であるとか職場におけるいじめだとかハラスメント、これもそうであると思いますし、もっといえば障害者施策であるとか、医療的ケア児者への対応、本当に様々、いかに基本的人権の尊重があらゆる施策の根底にあるかということを個人的ですけれども、日々痛感しながら活動をさせていただいています。
そう考えていくと、各局の事務事業を今後も進めていく上で、あらゆるものに通底する考え方として、人権尊重の意識を全庁的に推進をしていかなければならないと考えますし、ますます皆様の役割というものが非常に大事になってくるかと思いますけれども、こうした人権施策の重要性について、所管としてどのように受け止め、取り組んでいこうとされているのか、少し大きい話になりますけれども、改めてこの場で伺わせていただきます。
○吉村人権部長 都は、未来の東京戦略において、東京で働き、暮らす誰もが共に交流し、支え合う共生社会、インクルーシブシティ東京の実現を目指しており、人権尊重の理念を踏まえ、就業、教育、住宅分野など、全庁で取組を進めております。
また、職員研修において、人権意識の醸成を重点事項として位置づけ、職員が人権に配慮した行動や言動を身につけられるよう、定期的に悉皆で受講する人権研修を実施しております。
さらに、各局の人権担当課長で構成する会議を設置し、人権部の取組をはじめとする各種の施策や最新の動向等について、情報交換や意識の共有を図っております。引き続き、全庁を挙げて人権施策の推進に取り組んでまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。各所管で日々の業務に追われている中ですと、やはり常に意識をし続けるというのは、なかなか現実的に難しい部分もあろうかと思いますけれども、繰り返しになりますが、あらゆる施策が確実に人権の尊重に根差していなければならないと思います。こういう時代だからこそ、全庁の意識を引っ張っていく人権部の皆様の働きに、さらに期待をさせていただきます。
以上で私の質疑を終了いたします。
○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時二十二分休憩
午後三時四十四分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○森澤委員 私からは、まず初めにコロナ対策についてお伺いをいたします。
昨年の一斉休校要請には感染拡大を防ぐ効果はなかったとの研究が、学習院大学と静岡大、アメリカのハーバード大学のチームがまとめ、十月の科学誌、ネイチャーメディシンというものに論文が掲載されたということです。
こういった第三者の検証、知見も併せて参考にし、これまでの対策、何が効果があって、何が効果がなかったのか、第五波までの対策の検証を行い、第六波に備えるべきと考えます。
都としての検証の結果、ここまでの対策のうち、何が感染拡大防止に有効だったと捉えているのか、まず伺います。
○高田危機管理調整担当部長 これまで都は、デルタ株に関する最新の研究成果を踏まえ、人と人との距離の確保について働きかけを行うなど、科学的知見に基づく効果的な対策に努めてまいりました。
営業時間の短縮要請等につきましては、例えば二十時までの時短を要請していた本年一月から三月までの期間では、一・五まで上昇していた実効再生産数が一を下回る水準にまで低下するなど、一定の効果が確認されております。
また、都民への外出自粛要請や路上飲みの自粛要請などにつきましても、定量的な効果測定は困難ではございますが、人流抑制や感染防止につながっているものと認識しております。
引き続き、国の基本的対処方針を基に、これまでの経験や最新の科学的知見等も踏まえ、適切な対応を行ってまいります。
○森澤委員 一定の期間においては効果があったということは分かりました。
一方で、先ほども指摘がありましたけれども、人流が増えても感染者数が急減するという時期もあり、全期間において必ずしも先ほど挙げられていた一月から三月に出たような効果が出ていたものではないと認識しています。
まだまだ分からないことの多いコロナウイルスを対象としているのであり、行った施策の正しさを証明しようとするのではなくて、さきに示したような第三者の立場の専門家の知見や分析をしっかりと踏まえて、様々な角度から検証し、第六波以降の対策が、過度な社会経済活動の抑制につながらないよう求めるものです。よろしくお願いします。
今年四月から徹底点検TOKYOサポートプロジェクトが開始され、現在十万を超える店舗が都の認証である徹底点検済証を取得していると聞いております。多くの飲食店が適切な感染防止対策を継続して実施していくことが感染拡大を防ぐために重要です。
制度の開始から半年が経過していますけれども、飲食店における感染防止対策の実効性を高めていく観点から、認証について有効期限を設定し、期間満了前に店舗が行う感染防止対策について、もう一度確認するといった対応が必要ではないかと考えるところです。
そこで、徹底点検済証には有効期限を設けているのか。あるとすれば、今後感染防止対策の徹底のためにも更新等が必要となると考えますが、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○金久保危機管理調整担当部長 徹底点検済証の有効期間は、要綱上、認証を行った日から一年間となっております。
飲食店等における感染防止対策の実効性を確保していくためには、店舗における対策の状況を継続的に確認していくことが重要でございます。このため、認証済店が行う取組の状況を都がオンラインでも確認できるシステムを構築しているところでございます。
十万件を超える徹底点検済証の更新につきましては、直接の訪問に加え、こうしたデジタル技術も活用しながら、効率的、効果的に対応してまいります。
○森澤委員 有効期限一年ということで、今度構築するシステムも活用しながら対応していくということでした。
飲食店、スタッフの入替えなどもある中で、現場に意識を持ち続けてもらうこと、どうやって実効性を担保していくのかというのはなかなか難易度の高いことだと思います。対策の有効性について、常に新しい知見を提供するなど、お店側に意識を持って取り組んでもらえるような取組を続けていただきたいと思います。
そして、そもそもウイズコロナ、アフターコロナのスタンダードとして、何を飲食店等に衛生上の観点から求めていくのか、そういったことも併せてこれから考えていく必要があるのだと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
都は、政府の大規模イベントの技術実証実験に参加しています。今後再び感染拡大した際にも、ライブ、エンターテインメントやスポーツイベントなどを止めない、実施するための方策を模索しているものだと認識しております。感染リスクを抑えながら経済活動を正常化させるための仕組みとして大事なものだと思います。
感染拡大時等におけるワクチン・検査パッケージの実用化に向けて、ワクチン接種歴の確認や事前の検査のオペレーション等を検証するものだということですが、具体的に現在どういったことを行い、今後その結果をどのように検証し都の施策に反映させていくのか、お伺いいたします。
○高田危機管理調整担当部長 大規模イベントの技術実証の実施につきましては、国を通じて、イベント主催者から提案を受け、都道府県が合意する仕組みでございまして、都では現時点で七件のイベントの実施に合意をしております。
都は、イベント主催者が作成した計画に基づく基本的な感染防止対策の実施状況や、ワクチン接種証明の確認方法、当日の検査のオペレーションなどにつきまして、現場視察を含めて確認をしております。
先日、国はこうした技術実証の結果等を検証し、ワクチン・検査パッケージの具体的な活用に当たっての方針案を示したところでございます。
都としては、ワクチン・検査パッケージが現場実態に即した実効性のあるものとなるよう、引き続き検討を進めてまいります。
○森澤委員 オペレーションだけでなく、どういった対策を取ることが感染拡大時において科学的な観点から感染拡大のリスクを抑制できるのかということが重要なのだと思います。その点も踏まえて、今後の対策を考えていただきたいと切に要望いたします。
次に、防災施策についてお伺いいたします。
二年前の決算委員会の質疑で、国のプッシュ型支援を想定し、実際にどの施設でどれだけの量が一時保管でき、どのようなルートで、どの範囲まで物資を届けることができるのか、仮にその施設が被災してしまった際にバックアップ機能はどうするのかといった点から、物流の在り方についてシミュレーションを重ねるべきと指摘をしましたが、その後の取組状況についてお伺いをいたします。
○芝崎防災計画担当部長 都では、国からのプッシュ型支援などを区市町村の地域内輸送拠点に迅速に輸送するため、多摩広域防災倉庫を含む六つの広域輸送基地を確保しております。
また、大手物流事業者等との間で昨年締結した協定におきまして、多摩広域防災倉庫等の施設が被災などにより使用できない場合に、都が物流事業者の保有する施設を広域輸送基地として使用できるようバックアップ体制を構築しているところでございます。
○森澤委員 物流事業者の施設をバックアップ体制として使用できるよう協定を結んでいるということでした。
どこを使用するかは発災時の状況によるということでしたけれども、協定が発災時に生きるよう、やはり事前のシミュレーションなど想定を行うことの必要性を改めて申し述べておきます。
次に、都は、流通系の民間事業者等と災害時における物資の調達支援協力に関する協定を結んでおります。これは発災時にどのような機能を果たすのか。また、実際に機能させていくために、日頃から連絡体制やシミュレーションなどを重ねていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○芝崎防災計画担当部長 被災者の多様なニーズに応え、物資の供給を円滑に実施するためには、流通事業者との連携による調達体制を確保することが重要でございます。
このため、都は、食料品や生活必需品等の調達につきまして、大手流通事業者と順次協定を締結してまいりました。
各協定事業者とは、発災時を想定した訓練や意見交換を行うことで、関係者間の連携手順の習熟を図りますとともに、先月七日の千葉県北西部を震源とする地震の発生時には、初動対応といたしまして、実際に連絡体制を構築したところでございます。
今後とも、協定事業者との連携を図り、発災時の円滑な物資の調達に向けて取り組んでまいります。
○森澤委員 先月の地震の際も初動対応として連絡体制を構築したということであり、この協力体制はとても心強いものだと感じます。答弁にもありましたけれども、流通事業者の物資の支援というのは被災者の多様なニーズに対応できるものであり、引き続き、連携を強化していただきたいと思います。
都では、平成三十一年三月に、東京都災害時区市町村受援応援体制ガイドラインを作成し、区市町村に策定を働きかけてきたということですが、実績についてお伺いをいたします。また、受援応援計画では、ほかの道府県との協力関係はどうなっているのか、お伺いをいたします。
○猪口総合防災部長 都は、災害発生時の区市町村の受援体制の整備を図るため、区市町村に対しまして、計画策定に資するガイドラインを周知するとともに、国とも連携し、受援体制の構築に関する研修会を開催するなどの支援に取り組んでおります。
現在、都内二十六自治体が受援応援計画を策定し、令和四年度末までにさらに十四自治体が策定予定でございます。
また、都は、受援応援計画におきまして、関東知事会を構成する一都九県や、九都県市などとの間で、災害発生時に相互に応援、受援することを位置づけております。
今後も引き続き、区市町村への計画策定を支援するとともに、発災時に有効に機能する広域支援体制の構築に努めてまいります。
○森澤委員 これまでに二十六自治体、そしてこれから十四自治体ということで、以前よりも進んできているということなんですけれども、引き続き計画策定が進むよう、個々の自治体に合わせたきめ細かい後押しを続けていただきたいと思います。
コロナ、また風水害の頻発もあり、災害時の避難所の在り方も見直されてきています。
都は、ホテル、旅館等の活用に向けた区市町村の取組を支援しているということですが、具体的にはこれまでにどの程度の協定が締結されてきているのか、お伺いをいたします。
○芝崎防災計画担当部長 都は昨年、ホテル、旅館や商業施設等の業界団体と、新たに避難先の提供に関する包括的な協定を締結いたしまして、区市町村による個別施設との協定締結を促すなど、区市町村がより多くの避難先を確保できるよう、その取組を支援してまいりました。
昨年度末時点で、二十を超える自治体が、六十を超えるホテルや旅館など宿泊施設等との協定を締結しております。
○森澤委員 ぜひ、この区市町村における協定の実態なども把握して、十分に確保できていない自治体がないか、そういったところには協定を促すなど、区市町村がこのコロナ禍や風水害の頻発という現状に合わせ十分な数の避難所を確保できるよう、引き続きの後押しをお願いしたいと思います。
また、先ほども言及がありましたが、発災時、都と関係団体が緊密に連携し、新たに避難先が必要となった区市町村を支援することが重要です。
九月には国立オリンピック記念青少年総合センターとも協定を結んでおりますが、区市町村で避難所が足りなくなった場合に備え、都は広域行政としての機能発揮が求められますが、具体的にどのように調整をしていくのか、お伺いをいたします。
○芝崎防災計画担当部長 東京の東部低地帯では、特別警報級の台風の接近などにより、地域の多くが浸水する可能性があり、行政区域を越えた広域避難が必要となることも想定されるところでございます。
このため、都では関係区と連携いたしまして、都立施設はもとより、国、民間施設の活用による広域避難先の確保を進めており、本年九月に協定を締結した国立オリンピック記念青少年総合センターは、その第一弾として確保したものでございます。
引き続き、大規模風水害時の避難先の確保に向けまして、施設管理者や関係区等との調整を図ってまいります。
○森澤委員 先ほど都立施設はまだまだ活用できるところがあるのではないかという指摘もありましたけれども、国との施設の連携も進めていただきたいと思います。ありがとうございます。
次に、人権施策についてお伺いをいたします。
パラリンピックの閉会式のテーマは、全ての違いが輝くまちでした。これは、全ての違いが輝く東京、これ東京が示す方向だと思いますけれども、人権施策において、パラリンピックのレガシーをどのように捉え、今後どのように定着させていこうと考えているのか、お伺いをいたします。
○吉村人権部長 東京二〇二〇パラリンピック大会は、障害者に対する都民の理解を深める絶好の機会になったと認識しております。
都はこれまでも、障害の有無にかかわらず、誰もが互いに尊重し、支え合う共生社会を実現するため、都民への啓発に取り組んできました。
今年度は、ヒューマンライツ・フェスタ東京二〇二一において、インクルーシブシティ東京をメインテーマに、パラリンピアンなどによるトークショーをはじめ、手話パフォーマンス、パラスポーツ体験会など、障害のある方への理解を目的に、様々なプログラムを実施しました。
また、東京都人権プラザにおいては、聴覚障害者を対象としたデフリンピックや知的障害者を対象としたスペシャルオリンピックス等のスポーツイベントを紹介する展示や、競技用義足の開発に取り組む講師による講座の実施、さらに障害当事者の意見を取り入れてトイレを改修するなど、人権プラザを誰もが利用しやすい施設に改善するためのプロジェクトを実施しております。
今後とも、パラリンピックのレガシーとして、こうした都民の理解を深めるための取組を進めてまいります。
○森澤委員 まさにこれまでは東京二〇二〇大会を契機にというのが掛け声でやってきたわけであります。ですので、これが終わった今、もうこれがしぼんでしまうのではなく、まさに今年を契機に引き続き障害者、障害への理解、そして互いに尊重し、支え合う共生社会の実現に向けて、引き続きご尽力いただきたいと思います。
また、ぜひ定性的なものではなく、定量的な人権意識の向上もしっかりと見ていっていただきたいと思います。
三年前の人権尊重条例制定の折、東京二〇二〇大会開催を契機として、いかなる差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を広く都民に浸透させていく必要がある、多様な主体と連携を図りながら、これまで以上に人権施策を総合的に実施するというご答弁がありました。
人権尊重条例第二章に規定する多様な性の理解の推進に関して、どのように多様な主体と連携を図ってきたのか。また、人権尊重の理念はどの程度浸透できたと考えているのか。お伺いをいたします。
○吉村人権部長 都は、多様な性の理解の推進に関して、より効果的な施策の実現のため、様々な主体との連携を図ってまいりました。
具体的には、性自認及び性的指向に関する基本計画の策定や、都民向け普及啓発冊子の作成に当たり、当事者や当事者支援団体からご意見を伺い、内容に反映させました。
また、民間企業等を対象に、LGBTも働きやすい職場づくりをテーマとして研修を実施し、受講後にLGBTフレンドリー宣言を行っていただく取組を実施するほか、民間団体が主催する性的マイノリティーの方々のための様々なイベントに対し、都のメッセージを発信するとともに、後援を行っております。
さらに、区市町村との連絡会議を設置して、適宜情報共有を図り、区市町村の施策に生かしていただいております。
こうした取組などにより、多様な性に関する都民の理解は進んできていると認識しており、都が令和三年二月に取りまとめた人権に関する都民の意識調査の結果では、過去の調査と比較して、性自認、性的指向やLGBTという言葉の認知度のほか、人権問題のうち、性自認や性的指向に関心があると回答した人の割合が増加しております。
○森澤委員 多様な主体とこれまでこの三年間図ってきて、そして、言葉の認知度、LGBTや性的マイノリティーの方々に対する認知度というのは増加したということは分かりました。
一方で、周囲に性的マイノリティーの方がいたときに望ましい姿勢、接し方といったことがどういったことなのかということなどが正しく行動として理解されるよう、浸透していくよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
次に、人事関連についてお伺いいたします。
まず、都庁職員の健康課題についてお伺いいたします。
六月に公表された人事院の二〇二〇年度の年次報告書によると、二〇一九年度にメンタルヘルスの不調で一か月以上休んでいる国家公務員は全職員の一・五一%で、全産業の平均〇・四%の約四倍と報道がありました。
まず、都においての現状がどうなのか、お伺いをいたします。
○石橋労務担当部長 知事部局等において、令和二年に精神障害を理由として、病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数は五百四十三人であり、罹患率は二・〇四%となっております。
○森澤委員 国家公務員の罹患率よりも多く、全産業の約五倍であるということが分かりました。
この数字はこの近年、特にコロナだからとか、上がったわけではないということですが、やはりこの都職員のメンタルヘルスの対応というのは重要だというふうに感じます。
昨年から今年にかけては、コロナ対策の対応で不慣れで緊張感のある業務を一定期間行うことが続くなど、職員のメンタルヘルスについて、より一層のケアが必要だと感じます。人事委員会の意見では、長期療養者のうち、精神疾患関連による割合が高い水準であり、一次予防、二次予防、三次予防の対策を継続的、かつ計画的に実施していく必要があるとありますが、具体的にどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
○石橋労務担当部長 知事部局等では、罹患予防から復職まで総合的なメンタルヘルス対策を講じており、具体的には、不調の未然防止を目的とした一次予防として、ストレスチェックの実施やメンタルヘルスに関する教育、啓発を行っております。また、不調者の早期発見、早期対応を目的とした二次予防として、専門スタッフを配置した相談体制を整備しており、さらに、職場復帰支援や再発防止を目的とした三次予防として、職場復帰訓練などを実施しております。
○森澤委員 先ほどの数字からいうと、やはり恒常的に多いということですので、一次予防の前段階というところを考えていく必要があるのではないかということを感じます。先ほど、ストレスチェックによって分析して、職場の改善に取り組むというようなお話がありましたけれども、やはりストレスチェックの前に、ストレスをできるだけ感じずに済む職場づくり、仕事の仕方であるとか、人事や評価の在り方などについても、改めて見直して、今後ぜひ考えていただきたいと、検討いただきたいと要望させていただきます。
三月の予算特別委員会で、女性特有の健康課題の一般的な職場での理解について質問をしました。
その際、国の調査では、働く女性の約半数が月経痛など女性特有の健康課題や、女性に多く現れる症状によって職場で困った経験をするなど、女性が安心して働くことができる職場環境の整備が課題とされ、都は、女性の健康課題に関する職場の理解を深めるための研修の実施や保健師等による相談窓口の設置などを企業経営者に働きかけているというような話がありました。
そこで、都庁においては、この女性特有の健康課題の職場の理解などについて、どのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
○石橋労務担当部長 知事部局等においては、女性特有の疾病の予防及び早期発見のため、乳がん検診及び子宮がん検診を行っております。これらの検診の受診申込み等をするシステム掲示板にチラシを掲載し、職員に対して、乳がんや子宮がんの罹患率や検診の有用性などを周知、啓発することで受診勧奨するとともに、乳がんのセルフチェックについても案内しています。
また、管理職候補者に対する研修において、生理休暇や妊娠症状対応休暇などの女性特有の健康に関するものも含め、休暇制度に関する知識を習得させるなど、理解を促進させています。あわせて、保健師による健康相談窓口を設置しており、女性特有の健康課題に関する相談を含め、職員からの健康相談に対応しております。
○森澤委員 管理職候補者に対する研修で理解促進をしているということでしたが、ぜひ上長だけでなくて、そして、男女ともに職場全体でこういったことを理解していくことがさらに必要だと思いますので、取組を進めていただきたいと思います。
次に、女性の管理職比率向上についてお伺いいたします。
都は、行政系の管理職に占める女性職員の割合を、令和七年には二五%に向上させるとしています。ライフ・ワーク・バランス推進プランによりますと、管理職選考等の男女別受験率は、令和二年度主任級職選考は、男性七九・四%、女性五七・九%、管理職選考になると、男性は二二・八%、女性が六・一%ということです。
主任級職選考においては、令和二年度から、育休や配偶者同行休業を取得中の職員も選考を全て受験できるように改正を行ったということで、制度としては整えてきたということを認識しています。さらに、主任級選考だけでなく、管理職選考にも挑戦するよう、その昇任意欲を引き出していくことが重要です。
キャリア形成等の悩みについて相談できるキャリアメンター制度は、令和二年度において全庁に展開したということでありますが、その取組と成果、課題の対策についてお伺いをいたします。
○高崎人事部長 女性職員が管理職への昇任をためらう理由として、家庭との両立等の不安の声が上げられており、個々の事情へのきめ細かな対応が必要でございます。
このため、先輩管理職等をキャリアメンターとして選任し、職員がキャリア形成等の悩みを相談できる取組を、平成三十年度から試行し、昨年度全庁へ展開しました。
全庁展開に当たりましては、一層の制度利用を促進するため、SNSを活用した気軽なコミュニケーションを可能とするとともに、メンターとの座談会であるトークカフェをオンラインにより三回実施し、育児休業中の職員も含め、五十名が参加しております。
今後とも、こうした取組を拡充し、意欲と能力のある女性職員の一層の活躍推進に努めてまいります。
○森澤委員 こういった地道な取組を続けていただいて、そしてこの取組自体により多くの方に参画してもらうということも重要です。強制はできないということはもちろんそうなんですけれども、その取組の状況を周知するなど、より多くの方が参加できるよう、取り組んでいただきたいと思います。
次に、男性の育休取得についてお伺いいたします。
令和元年度一八・三%の取得率だったものが、令和二年度は三三・六%と順調に伸ばしてきていると感じます。令和七年度には五〇%に向上させるという目標を掲げています。
現在でもパパ職員育児参加応援プロジェクトを行っていますが、これだけ伸びてきている要因、そしてさらなる取得率向上に向けて、何をてこに引き上げていこうと考えているのか、お伺いをいたします。
○石橋労務担当部長 都では、令和元年度に実施した男性職員の育児休業取得に関する実態調査等を踏まえ、令和二年度から、職員が周囲に気兼ねなく取得できる職場環境づくりを一層推進するための取組を強化しており、令和二年度の男性職員の育児休業取得率は、大幅に向上いたしました。
本年三月には、東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランを改定し、男性職員の育児休業取得率を令和七年度に五〇%に向上させることを目標として設定しております。
これまでのガイドブック配布などに加え、配偶者が妊娠中の男性職員に対して、育休取得者の体験談の紹介や意見交換等を行うプレパパ応援講座の実施などにより、理解促進を図ることとしております。
また、所属長が当該男性職員に対して面談を実施し、合計一か月以上を目途とした育休等の取得を勧奨するとともに、職場の職員等と相談の上で、休業期間中の業務計画を策定するなど、取得しやすい職場環境づくりに取り組むこととしております。
○森澤委員 所属長が面談を実施する際に、合計一か月以上の育休の取得を勧奨すること、また休業期間中の業務計画を職場の方たちと策定するということで、これだけ伸びてきているというふうに認識をしました。
一方で、男性職員への調査結果によると、今後育休の取得計画に当たり求められることについては、育休を取得しやすい職場の雰囲気が醸成されるというのが三七%で最も多く挙げられています。
上司や職場の雰囲気づくりについては、どのように全庁的に取り組んでいくのか伺います。
○石橋労務担当部長 育休等を取得しやすい機運を醸成していくためには、管理職の理解、職場や同僚職員の協力が不可欠であります。
令和二年度から、課長や部長に昇任した際、全ての管理職を対象として研修を実施するなど、様々な機会を活用し、男性職員が育休を取得する意義や制度についての理解を深めることを繰り返し行っております。また、イクボス宣言において、男性職員の育休等取得支援に関する内容を必ず盛り込むこととしております。
今後もこうした取組を着実に実施し、一層職員が取得しやすい機運の醸成を進めてまいります。
○森澤委員 あらゆる機会を使って、繰り返しこの啓発が理解を深めることを行っているということが重要だということで、本当に今、民間企業とか、国家公務員に比べても取得率が比較的高いというところで、東京都は、企業の男性育休の取得を推進しているわけですから、今までのあらゆる手段を、取得の勧奨であるとか、その業務計画を策定することですとか、繰り返し理解を深めるようなことを行っているということを、ぜひそういったノウハウも都内企業とも共有して、東京全体を育休取得が進むように引っ張っていただきたいというふうに思います。
最後に、都職員のテレワークについてお伺いをいたします。
東京都では、企業のテレワークにおいて、ホテルやサテライトオフィスの活用を推進しています。
都職員については、現状でも原則テレワークという状況が続いているというふうに認識をしておりますが、都の職員でも、個室を活用するなど、セキュリティ面に留意しつつ、民間のホテルやサテライトオフィスを活用したテレワークの実施というのを求める声もあります。
そこで、現在の都職員のテレワークを行う場所について、どのような考え方があるのか、お伺いをいたします。
○石橋労務担当部長 厚生労働省が策定しているテレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインによれば、テレワークの形態は、業務を行う場所に応じて、労働者の自宅で行う在宅勤務、労働者の属するオフィス以外に設けられたオフィスを利用するサテライトオフィス勤務、外勤においてノートパソコン等を活用して行うモバイル勤務に分類されます。
都においては、職員のテレワーク実施に当たって、東京都職員在宅勤務型テレワーク実施要綱等により、業務の内容が他者の目に触れないようにすること、個人情報等が含まれる公務上の文書等を職場から持ち出さないこと、東京都サイバーセキュリティポリシー等に定める規定を遵守することといったセキュリティ確保に関するルールを定めております。その上で、実施要綱等により、あらかじめ指定した場所でテレワークを実施することとしております。
具体的には、職員の自宅や、都が職員向けに設置したサテライトオフィスのほか、出張、研修等において職員に配備された端末を庁外利用する場合があります。
○森澤委員 都は、産業労働局の事業として、今、都内の宿泊施設の客室を確保し、自宅周辺でテレワークを行おうとする方々にサテライトオフィスとして提供する事業であるとか、サテライトオフィス自体を認証するような事業を行って、テレワークの定着に向けて尽力をしています。テレワークの定着の一環、多様な働き方の推進、生産性の向上といった観点からも、都職員が自らこういった働き方も経験するということも必要なのではないかと思うところです。今後の検討課題としていただけるよう要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○早坂委員 本日は大きく二つ、被害想定と火山噴火について考えてみたいと思います。
まずは、被害想定について伺います。
エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、EBPM、合理的根拠に基づく政策形成において、被害想定の果たす役割は極めて大きいものがあります。
私は、ミスター防災というニックネームで活動していることもありまして、大学院や各種団体から防災に関する講演を頼まれることが多くあります。その打合せの際、初対面の方から、早坂さん、防災の初歩的なところ、つまり何をどれぐらい備蓄したらいいかということから話をしてくださいとおっしゃっていただくことが多くあります。
ですが、防災の本質は備蓄ではないと考えている私は、講演では次のような話から始めることにしています。
防災の本質は、命を守ることにあります。そうした観点から過去の大震災を振り返ると、東日本大震災で亡くなった方の九割は、津波に巻き込まれての溺死でありました。そして、阪神・淡路大震災で亡くなった方の八割は、建物倒壊、あるいは家具転倒の下敷きになっての圧死、窒息死でありました。さらにその前、関東大震災で亡くなった方の九割は、地震に伴い発生した火災に巻き込まれての焼死でありました。過去の地震で、私たちの命を奪った原因は、東日本大震災では水、阪神・淡路大震災では建物、関東大震災では火であって、食べ物や飲物が足りなくて死亡した人は一人もいない。つまり、地震から命を守るという意味で、備蓄は本質的ではないという話をいたします。こういう話をいたしますと、ほとんどの方がとても驚いた表情をされます。
私は続けて、次のような話をします。私の東京都議会議員としての最大の役割は、今後三十年以内に七〇%の確率で発生する首都直下地震から都民の命をいかに守るかということであります。そのためには何をしたらいいか。東京都が二〇一二年、平成二十四年に発表した首都直下地震の被害想定によると、首都直下地震で亡くなると想定されている九千七百人のうち、六割が建物倒壊や家具転倒の下敷きになっての圧死、窒息死、残り四割が火災に巻き込まれての焼死。つまり、首都直下地震から命を守るために必要なことは、倒壊した建物や転倒した家具の下敷きにならないこと、そして、地震に伴い発生した火災に巻き込まれないことに尽きると、こういう話をいたします。私のこういう考えの根幹になっているのが、まさに被害想定なのであります。
今般、十年ぶりに被害想定を見直すとの発表がありましたが、その背景について伺います。
○芝崎防災計画担当部長 都の現在の被害想定は、東日本大震災を受けて策定したものでございますが、この十年間で住宅の耐震化や不燃化等の地震に強いまちづくりが進展するなど、東京の社会基盤が大きく変化しております。また、高齢化の進展や単身世帯の増加など、東京の人口構造や世帯構成は大きく変化しております。さらに、この間、熊本地震や大阪府北部地震、北海道胆振東部地震など、全国各地で大規模な地震災害が頻発しており、地震動や被害データ、最新の知見等が蓄積されております。
こうした状況を踏まえまして、都の防災対策をより一層強化するため、今般被害想定を見直すことといたしました。
○早坂委員 二〇一二年に発表された被害想定では、区市町村によって被害の傾向の違いが明らかになっています。
例えば、区内全体の死者のうち、建物倒壊による死者の割合が多いと想定されているのが、千代田区の九九%、中央区の九六%、港区の八七%であります。これに対して、火災による死者の割合が多いと想定されているのが、私の住んでおります杉並区の七四%、目黒区の六九%、品川区の六六%であります。
冒頭、私は、防災の本質は命を守ることにあると申し上げました。そのためにはどのような対策を取るべきかという、政策形成のエビデンス、合理的根拠は、まさにこの被害想定に求められるのであります。
つまり、どこの区市町村にお住まいかによって、命を守るために必要なことは、建物倒壊対策なのか、あるいは火災対策なのかが異なり、そのどちらにしても、備蓄食料のありなしが重要な問題ではないということが、この被害想定から分かるのであります。
時代が十年もたてば、まちづくりも進んで、大震災の被害の傾向も変わっているだろうと思います。被害想定の見直しには賛成をいたします。
ところで、東京都の発表する首都直下地震の被害想定とは別に、国も被害想定を発表しています。東京都が発表した被害想定では死者九千七百人であるのに対し、国が発表した被害想定では、都内の死者数は八千九百人から一万三千人とされています。
東京都の被害想定と国の被害想定では、一年違いに発表されました。東京都は二〇一二年、国は二〇一三年でありますけれども、そして、地震の大きさがほぼ同じと想定されているにもかかわらず、人的、物的被害の量に差が見られます。その理由について伺います。
○芝崎防災計画担当部長 国の被害想定は、より広域的な観点から区市町村ごとではなく、都道府県単位で被害規模を算出しております。一方、都の被害想定は、地域の特性に応じたきめ細かな防災対策の立案の基礎とするため、区市町村単位で被害規模を算出しております。
このように、都と国とでは、被害想定の算出方法が異なりますことから、被害規模に一部差異が生じているところでございます。
○早坂委員 東京都の被害想定の被害は、当然のことながら都内のものだけであります。一方で、国の被害想定は、一都三県、つまり千葉、神奈川、埼玉も含んだものであります。
国の想定では、都内の死者数は先ほど申し上げた八千九百人から一万三千人でありますが、これに三県、千葉、神奈川、埼玉を含めると、一万六千人から二万三千人と大きく膨らみます。
東日本大震災の死者を考えるときに、都内の死者七人の議論をすることは大変むなしく、全体の死者、行方不明者合わせて一万八千四百人の話を当然のことするだろうと思います。
東京都の被害だけを見ればいいということではなくて、全体、今回の首都直下地震の全体の中での一部が東京都だという観点から、この被害想定を考えていかなければならないと私は考えます。
例えば、この国の想定を見ますと、神奈川県では最大五千四百人の死者が発生するというふうに国の想定ではされています。そうした中で、東京都が受援、支援を受けるのは、じゃあ神奈川からはなかなか困難かなということも、この数字から想定されますし、あるいは東日本大震災でありました広域火葬協力、東京都の火葬場がもうやられてしまって、ご遺体を火葬できない。その場合には、他の県にお運びするという広域火葬協力も、もしかしたら、じゃあ神奈川は難しいかなと、こういう話が、神奈川に限らず千葉、埼玉もそうですけれども、全体を見ると分かってくるわけであります。
東京の被害のことだけをいっているのが東京都の被害想定でありますが、何もそれは東京都が千葉、神奈川、埼玉の被害想定も一緒に調べろということではなくて、先ほど事務方の方にお伺いしたところ、各県、一都三県の千葉、神奈川、埼玉もそれぞれに被害想定を出しているということであります。それらを総合して、一つに出すと。千葉県ではこういう被害があります、神奈川県ではこういう被害がある、埼玉県ではこういう被害がある、これはいつのときの想定ですということをトータルして初めて全体が見えるんではないかなと私は思うわけであります。
今回の東京都の見直しは十年ぶりでありますが、東京都の想定を出したのが二〇一二年でありますけれども、その翌年二〇一三年には国と埼玉県、二〇一四年には神奈川県、二〇一五年には千葉県が、それぞれ被害想定を発表しています。
今さらではありますが、もし可能であれば、この一都三県が一緒のときに、一緒の時期に被害想定を発表すると、総合的になるほどということになったかなと思いますが、もはやもう東京都が突っ走っている話でありますので、その突っ走っているのは悪い話ではないんですけれども、その平仄を合わせる、足並みを合わせるということは、今さらは困難かもしれませんけれども、いずれにしましても、発表される東京都の被害想定の中に、この残りの三県の被害も併せて付記するということは、災害を見る上でとても大事なことだろうと私は考えますので、提案をしたいというふうに思います。まだ間に合うかどうか、ご意見をお伺いしたいと思います。
○芝崎防災計画担当部長 お話のありました周辺三県の被害想定は公表されている資料としてございますので、ただいまご指摘のあった点は検討させていただきたいと思います。
○早坂委員 入れていただけるということで、ありがとうございました。
では、この被害想定を算定する根拠となるデータはどういうものか伺います。
○芝崎防災計画担当部長 建物の被害は、構造や建築された時期により異なる可能性がございますので、被害想定の実施に当たりまして、町丁目単位で建物構造や建築年ごとの建物棟数を把握できる固定資産課税台帳を根拠データとして使用しているところでございます。
○早坂委員 固定資産課税台帳を見て、その根拠としているんだということでありました。
固定資産課税台帳を管理しているのが、主税局、税金を課す、建物に固定資産税を課すために集めているのがその台帳でありまして、当然のことながら防災のためではないわけであります。
主税局に聞いて、どういうものか、その原本を取り寄せましたけれども、その住所、氏名はもちろんでありますけれども、面積、構造−−構造というのは例えば木造かどうかということ、あるいは用途、住宅とか工場とか、そういうことが書いてあるわけですね。防災のためではないので、例えば防災の観点からすると、私たちは延焼火災防止のために狭隘道路を拡張するようなことをしているわけであります。それが、この被害想定にどれだけ加味するのか、影響するのか、私はちょっとつぶさには分かりませんけれども、ただこの課税台帳だけを見て、一定の係数、例えば木造住宅はこれだけ燃えるんだとか、その中でどのぐらいの面積があると何人ぐらいが亡くなるんだということをやっているのかどうか。ちょっとこれは改めて、議会の場ではなくて、個人的に細かく教えていただきたいと思いますが、ごめんなさい、私個人が分かってもいけませんので、その方法は、都民の皆さんに公表を何らかの形でしたいと思います。
いずれにしましても、エビデンスベーストといってこの被害想定を重く考える以上は、その前提となる条件がきちんとしたものでないと、間違った想定というか、変なデータを基に、変なデータといってはいけません、偏ったデータというか、一部しか考えていないデータを基に、これだけでエビデンスですと、合理的根拠ですといって次の対策を練ることは全く見当違いなことになってしまいますから、この基になるエビデンスのことに関して、さらに議論を深めてまいりたいと思います。今日はこの辺で終わりにさせていただきたいと思います。
申し上げるまでもありませんけれども、被害想定を幾ら見直しても、そのことで被害が減るわけでは全くありません。必要なのは、見直した被害想定をエビデンス、合理的根拠にして、地域防災計画など、東京都の各種防災計画を見直し、その実現に向けて努力することが大切だと思います。このことに関するご見解をお伺いします。
○村松総務局長 今回の被害想定では、今、いろいろなお話があったとおり、この十年間の都の防災対策の進捗だとか、社会環境の変化などを踏まえて、まずは最新の状況を反映して、可能な限り正確な、直近の状況に合わせた被害を想定していきたいと、そういうふうに考えております。
また、さらには、実効性の高い防災対策にこの被害想定をつなげていかなきゃいけないと、そういうことから、あらかじめ被害想定に引き続いて行います地域防災計画とか救出救助活動計画、こうした見直しの視点もそうですし、こういったことも視野に入れながら、様々な被害の状況を想定することが重要だと考えております。
被害想定をしてから、それに基づいて対策をするんですけれども、そもそも被害想定を考えるときに、対策上必要な被害想定の項目というのはどういうものだろう、そういったことも考えながらやっていかなきゃいけないと思っています。こうした点から、現在、想定項目などにつきまして検討しているところでございます。
また、被害想定では、今後の取組による被害低減効果などにつきましても、可能な限り都民の皆様に分かりやすく説明をして、そうしたそれぞれの都民の皆様の防災力の向上、こうしたところにもつなげていきたいと思っております。
いずれにいたしましても、今回新たに策定する被害想定を基に、地域防災計画の修正や各種防災施策に反映させていくことで、都の防災対策を一層強化してまいりたいと、そのように考えております。
○早坂委員 ありがとうございました。今までの議論は、直接死というものに関してでありまして、直接死というのは先ほど申し上げた、火か建物か水かということによって命が失われることでありますが、直接死とは別に災害関連死というものがあります。
これは先ほど部長さんのご答弁にあった熊本地震で多く見られたものでありますけれども、熊本地震で亡くなった方の直接死、例えば建物の下敷きになって亡くなったような方々は二〇%でありまして、残りの八〇%は災害関連死。この災害関連死は何かというと、例えば避難生活中に病気などで亡くなって、区市町村が災害がその死亡の原因だと認定したものなどであります。熊本地震は今申し上げたとおり、八〇%、八割の方がこの災害関連死。災害の第一撃から命が守られたにもかかわらず、その後の生活で命を失った方が全体の八〇%あったということになります。
これと同じ数字が、万が一この東京都で起きた場合に、東京都の被害想定は、現在の被害想定は九千七百人、約一万人として、その四倍、五倍ですね、全部で四倍の関連死、四万人の方が亡くなって合計五万人になるかもしれないということになってくるわけであります。
ただ、この災害関連死というものはまだ議論の途上であって、なかなか判断が難しいんですね。避難生活の中でどれだけ亡くなるかということは、これなかなか想定しにくい、考えにくいことであります。また、東日本大震災のときの事例を見ると、この災害関連死に認定された方で、発災から七年後に亡くなった方まで災害関連死と認められている例まであるのです。
なので、被害想定の中にこの災害関連死を含めることはできないだろうというふうに私は思います。思いますが、今熊本地震の例も、部長さんからご答弁いただきましたので、こういったこともあるんだということの記載も、ぜひお願いしたいと思います。間に合うかどうかは聞かないようにいたします。ありがとうございました。
それでは、ここで被害想定の話は終わりにしまして、次に火山噴火の話に移りたいと思います。
東京には様々な魅力がありますが、その一つには、豊かな自然環境が挙げられます。世界には千五百の活火山がありますが、そのうちの一割が我が国にあります。そして、我が国にある百十一の活火山のうち、二十一の活火山が東京にあることは意外と知られていません。その意味で、東京は世界有数の火山先進都市なのであります。
そこで、火山について伺います。
東京にある二十一の活火山のうち、特に活発な活動が見られるのが、大島と三宅島であります。そこで、ここ百年間の大島と三宅島の火山活動について伺います。
○芝崎防災計画担当部長 大島及び三宅島におきましては、過去百年間で見た場合、噴火に伴う噴出物、例えば火山灰などがございますけれども、この噴出物の量に基づく分類で、中規模噴火に分類される噴火が、大島では三回、三宅島では四回発生しております。
また、この間の発生間隔は、大島でおおむね二十八年から三十六年間隔、三宅島でおおむね十七年から二十二年間隔となっております。
○早坂委員 大島の直近の噴火は一九八六年、昭和六十一年で、二十八年間隔でまた次の噴火が起きるとすると、それは二〇一四年、もう過ぎましたが二〇一四年に噴火してもおかしくないという状況でありました。そして、三宅島の直近の噴火は、二〇〇〇年、平成十二年で、これが十七年間隔とすると、次の噴火は二〇一七年、これももう既に噴火していておかしくないということになります。
いずれにしましても、エネルギーがたまっているわけですから、両方の島の噴火は、もはやカウントダウンというか、もういつ起きてもおかしくないということが、このサイクルを振り返ると考えられるわけなのであります。
一九八六年の大島の噴火の際には、一万人の全島民が島を出て、およそ一か月間、避難しました。一方で、二〇〇〇年の三宅島噴火の際には、三千八百人の全島民が島を出て、およそ四年半、避難しました。
ご答弁には、中規模の噴火だったとの評価がありましたが、中規模なのは噴火のエネルギーなのであって、島民の生活には、このような甚大な影響があったわけであります。
都庁や都議会が火山噴火を考えるに当たっては、幾つかの重要な側面があります。
一つは、自然現象であります。
つまり何年間隔でどれくらいのエネルギーの噴火が起きているか、また溶岩の流れる方角や火山灰が飛ぶという意味で、風、島の風向きの傾向などの科学的分析であります。二〇〇〇年の三宅島噴火の際には、六月二十六日から火山性地震が頻発して、緊急火山情報が発出されました。しかし、その三日後の六月二十九日は政府の火山噴火予知連絡会が今後噴火の可能性はほとんどないと発表いたしましたが、それは間違いで、七月、八月と激しい噴火を繰り返して、結果的には、全島民に四年半もの島外避難をお願いすることになったのであります。
当時副知事で、現地対策本部長を務めていた青山やすしさんは次のように述べています。すなわち東京の火山を専門で研究している火山学者は、火山噴火予知連絡会の皆さんとは異なった意見を持っていて、まだ危険だと指摘していた、つまり、東京都は、東京の火山の専門家を大切にしなければならないとつくづく思ったと述べています。
そこで、東京都の火山の専門家との関係について伺います。
○芝崎防災計画担当部長 都では、火山噴火等の自然災害が切迫した場合に備えまして、防災体制の強化のため、火山防災についての専門的知見を有する東京都防災顧問及び東京都防災専門員を配置しております。
東京都防災顧問及び東京都防災専門員は、都や島しょ町村、関係機関などで構成される伊豆諸島六火山防災協議会に委員として参画いたしまして、噴火警戒レベルの設定や火山避難計画の策定に当たりまして具体的な助言を行うなど、主導的な役割を果たしております。加えて、東京都防災専門員は、大島や三宅島を含む伊豆諸島に設置している地震計等の観測データを解析し、各火山の活動状況等の把握にも努めております。
○早坂委員 火山学会の役職者とか、火山噴火予知連の役職者ということではなくて、東京の火山、大島、三宅島、そういった火山の専門家こそ大事だというのが先ほど申し上げた青山教授のお話でありますので、ぜひそういった方々を大切にして、都庁は付き合っていくべきだと考えます。
都庁や都議会が、火山噴火を考えるに当たっての二つ目の重要な側面は、噴火がもたらす島の行政への影響であります。
例えば、全島避難を行うかどうか。溶岩などでダメージを受けた島の復旧、復興をどうするかといった大きな対策であります。
全島避難といっても、島から人っ子一人いなくなるわけでありません。都庁や村役場の関係者はもちろんのこと、警察、消防、自衛隊、崖崩れ防止や道路啓開や電話線の復旧などに当たるライフライン関係企業の皆様など、大勢の方々が島に残り、島民の方々が再び戻ってこれるよう、様々な対策を行っているのであります。また、そうした皆様が活動するためには、ガソリンスタンドや民宿や食堂など、そうした皆様を支える人たちも必要なのであります。家屋の屋根に降り積もった火山灰に雨が降ると、火山灰が重量を増し、家屋が倒壊する可能性があります。そこで、屋根から火山灰を振り落とす作業を、島民の皆さんが島から去った後に自衛隊が行うなど、噴火被災地特有の活動は枚挙にいとまがありません。危険と背中合わせでこうした様々な事業に取り組む皆様に心から敬意を払いたいと思います。
都庁や都議会が火山噴火を考えるに当たっての三つ目の重要な側面は、避難した島民の皆さんの生活であります。
現在の人口は、大島は七千人、三宅島は二千人、この方々が一か所にまとまって避難していただくことはできません。東京都に加えて、島から近い静岡県とに分かれて避難していただく必要があるのだろうと思います。
実際にはこの二つにとどまらず、縁故を頼って日本全国に避難したのが過去の避難の状況でありました。避難の期間が一か月間程度なのか、あるいは四年も五年もかかるのか、予測は不可能であります。その間の学校はどうするか、仕事はどうするか、避難が長期になればなるほど、島に戻らず、避難先で新しい生活を始める方も出てくるでありましょう。
そうした皆さんの心が散り散りばらばらにならないよう、コミュニティを維持するため、二〇〇〇年の三宅島噴火では様々な努力が重ねられました。
その一つが、東京災害ボランティアネットワークがまとめた避難者がお互いの所在を知るための電話帳であります。携帯電話もメールもない時代、避難がごく短期間に行われ、しかも避難先が日本全国であったゆえに、お互いに連絡が取れない状況に陥ってしまいました。行政が把握している引っ越し状況は、個人情報保護のため使えず、思案に暮れていたところ、あるアイデアが生まれました。
それは、三宅島の住所宛てに郵便物を送ることであります。避難者全てが郵便物の転送を登録しているために、封筒によろしければ住所と電話を書いて返送してくださいと書いて送ったところ、多くの方から返事があり、それを入力するのがとても大変だったといいます。また、それがマスコミで報道されて、やはり私もという方も増えて、またその電話帳作成にスポンサーもついて、第三版まで発行したということがありました。
そこで登録を済ませた人にファクシミリつき電話機を配布して、週刊、一週間に一回の週刊でありますが、週刊で五年間にわたり三宅島ニュースを送信、加えてその電話帳を基に電話をかけて、生活や体調のことも含めて、ふるさとの人同士が話をする。そうした中で、やはり直接に会いたいねということになって、リアルで集まる三宅島島民ふれあい集会が、竹芝桟橋の近くの小学校で開催されることにもなりました。竹芝桟橋は、島に帰る船が出る場所であります。こちらは、合計九回開催され、全国から避難者が集まったといいます。二〇〇〇年の三宅島噴火では、当初は二週間程度の避難とされていたため、持ち出した荷物も衣類もほんの僅か、それが結果的に四年半もの避難となってしまいました。
当時の記録をひもとくと、様々な皆さんがコミュニティを維持するために本当に必死だったということが分かります。ボランティアというと、被災地に入って汗を流すことというイメージがあります。しかし、ここで紹介した内容は、自宅でパソコンに向かうような極めて地味なものであります。しかし、それが避難者の心をつないだのであります。今後再び発生するであろう噴火と、それに伴う避難において、支援活動とはどういうものかということを理解する上で、過去の記録をひもとくことが有益であると考えます。
さて、コロナの時代、避難行動において留意するべき対応について伺います。
○芝崎防災計画担当部長 島しょ地域で火山噴火が発生した場合には、多くの避難者が島外に避難する必要が生じるため、複数の避難先に避難することが予想されるところでございます。また、コロナ禍におきましては、感染症対策の観点から、宿泊施設などを避難先として活用することが有効ではありますが、こうした場合、避難者同士のコミュニティの維持が一層困難となることが想定されます。
このため、島外避難に当たりましては、ご紹介のあったような過去の事例、取組事例なども参考にいたしまして、避難者の個々の状況や避難者間のつながりなどに十分配慮した取組を推進していくことが重要であると認識しております。
○早坂委員 昨今のニュースでは噴火に伴う軽石の漂着が盛んに報じられています。
本年八月、福徳岡ノ場が噴火して、その影響によって沖縄に軽石が漂着をしていますが、関係局ではどのような対応を都内で考えているか、あるいは行っているか伺います。
○猪口総合防災部長 都では、現在、島しょ町村や海上保安庁などの関係機関と連携いたしまして、軽石の漂流や漂着情報を収集するとともに、各種対策に取り組んでおります。
具体的には、港湾や漁港への軽石の流入に備えまして、必要な数量のオイルフェンスを確保し、漂流状況に応じまして、事前に設置を進めております。また、軽石が港内に流入した場合には、陸上から重機で撤去する予定でございます。さらに、漁船が軽石を吸い込み、エンジン等が故障するおそれがあるため、軽石の漂流情報を各漁業協同組合に提供するほか、漁業調査指導船による漂流状況のモニタリングなどを行っております。
引き続き、関係機関と緊密に連携しながら、島しょ地域の住民の社会生活や経済活動に影響を及ぼすことがないよう、対策に万全を期してまいります。
○早坂委員 事前にオイルフェンスなどを設置して、港への流入を防ぐ措置をするというようなお話がありました。加えて、漁業、あるいは漁船への影響を最小限に食い止めるために、情報収集をして、その情報を皆さんと共有していただくことや、あるいは大型客船や高速ジェット船の船舶航行の安全を確保するために、運航事業者へ最新の情報を提供するように、併せてお願いをしたいというふうに思います。
直接的な対策は、恐らく港湾局が行うんだろうと思います。危機管理を担当する総務局は、積極的に情報収集に努めて、都庁全体で被害軽減に当たっていただきたいとお願いをいたします。
さて、火山噴火といえば、富士山も活火山であります。私は、現在、当選五回でありますが、初当選の一期目のときに、本会議の一般質問で、富士山の噴火について取り上げたことがございます。
当時は東日本大震災の二年前で、私が大真面目に富士山噴火について取り上げたのですが、石原知事をはじめ、本会議場が、そんなばかなという感じで大笑いされたことを懐かしく思い出します。
時代は変わり、今では都議会でも、記録を見ますと、私以外の人が富士山噴火について真面目に取り上げて、そこでは笑いは起きていないようであります。
富士山噴火の歴史を振り返ると、最近二千年の間に少なくとも七十五回噴火しています。平均すると三十年に一回の頻度で噴火をしている計算になります。直近の噴火は三百年前の一七〇七年、宝永の大噴火ですが、以来、一度も噴火していないということは、この間、十回分のマグマが地下に蓄積されている可能性が高いといえます。
富士山の火口から百キロ離れている江戸にも偏西風に乗って数センチの火山灰が積もりました。江戸のまちは日中でも真っ暗になったといいます。火山灰は、たばこの灰とは異なり、硬い粒子でありますので、目に入ると大変なことになります。江戸時代とは異なり、現代は小さなものではパソコンから、大きなものではジャンボジェット機まで、精密機械にあふれています。細かな火山灰が私たちの生活にどれだけ影響を与えるか分かりません。
そこで、東京都の富士山の降灰対策の検討状況について伺います。
○芝崎防災計画担当部長 富士山の噴火時には降灰に伴う停電や通信遮断、健康被害など、社会経済活動に甚大な影響が生じることが想定されることから、降灰対策は重要な課題でございます。
都はこれまで、地域防災計画に富士山の降灰対策を位置づけ、各防災機関の役割を明確化するとともに、国に対しまして、火山灰の処分方法等の指針の作成や、降灰による影響への具体的な対策の検討を求めてまいりました。
現在、国では関係省庁で構成する検討会を立ち上げまして、降灰に関する各機関の具体的な対策について議論を進めているところであり、都としてもこうした国の動きも踏まえつつ、必要な対策を検討してまいります。
○早坂委員 私が石原知事に富士山噴火について伺ったのは二〇〇九年、平成二十一年であります。以来、十二年が経過をいたしました。今のご答弁では、国に対して火山灰の処理の指針を作成してくれとか、あるいは降灰による影響の具体的な対策の検討をしてくれと要望しているということであります。東京都独自では、この十二年間は動いていないということが、残念ながら分かりました。
何でも東京都だけでやれということではありませんが、事の重要性を意識するのであれば、この分野においても、独自の施策を打っていただくよう、私からもお願いをしたいというふうに思います。
富士山の噴火に関して、少しだけお話をしますと、一七〇七年、先ほど申し上げた直近の噴火でありますが、これが我が国の歴史時代に体験した最大の地震でありました宝永地震というのがありました。この宝永地震から四十九日後に富士山が大噴火を起こしたのであります。
この地震の方は、宝永地震は、今でいう東海地震、東南海地震、南海地震が同時発生をして、その四十九日後に富士山が大噴火をした。これが宝永の大噴火であります。
今日は申し上げませんでしたけれども、南海トラフ地震の発生も懸念されている中、大変なことになる可能性があると。とにかく脅かして脅かしてということは全くそういう趣旨ではありませんけれども、過去の歴史を振り返ると、そろそろいろいろなことが、エネルギーもたまって起こる可能性があるなということが分かるわけであります。
そういったことが起きないことを祈るわけではありますが、自然のサイクルでありますので、必ず起きるということで、まさか想定していなかったということにならないように、英知を絞って、様々な対策に取り組んでまいりたいと存じます。
大分脱線した部分がありましたが、以上をもちまして、被害想定と火山噴火に関する質問を終わります。ありがとうございました。
○福島委員 私からは、まず、都職員のライフ・ワーク・バランスについてお伺いをいたします。
コロナの感染拡大に伴いまして、宿泊療養施設での勤務の増、コロナ対応に全庁の都職員が総出で当たられていたこと、これには本当に頭が下がります。一方で、気になるのが都職員のライフ・ワーク・バランスです。
一つ目の質問は、この長時間労働面接対象者数に関するものだったんですけれども、本日ご提供いただきました要求資料の中に記載がございますので、質問自体はいたしません。
東京都は法定基準に都独自の基準を上乗せし、かつ、申出がなくても医師による面接指導をされており、その対象者はコロナの流行が始まる以前の令和元年度までは、大体全庁で三千人強で推移をしていたのが、令和二年度では五千八百七十五名ということです。この延べ人数、この五千八百七十五名の多くは、やはりこの福祉保健局と、そして総務局、加えて産業労働局で増えているということが、本日提供いただいた情報で分かりました。
知事部局等の都職員は二万六千人ということですので、一定数が長時間労働面接の対象となっていることが分かります。この災害級ともいわれるコロナ禍が二年近く続いておりますので、引き続きこの長時間労働に該当する職員の皆様に対する丁寧な対応と、一部の人に負担が偏らないよう適切な人員配置をお願いしたいと思います。
加えて、東京二〇二〇大会準備等も重なりました。超過勤務の多い職員に対するメンタルケアを丁寧に行うことが大切だと考えます。
都ではストレスチェックを行っているということですけれども、具体的にどのように行っているのか。特に、高ストレス者の状況と対応についてお伺いいたします。
○石橋労務担当部長 知事部局等において、罹患予防から復職まで総合的なメンタルヘルス対策を講じていますが、特にメンタルヘルス不調の発生を未然に防止することを目的として、平成二十八年度から毎年ストレスチェックを実施しています。
組織としては、局、部、課単位の組織別分析などの集団分析を行い、その結果を各局等に提供することで、各職場においてメンタルヘルスに影響を与える職場環境等の要因を把握し、職員のメンタルヘルス不調の未然防止や職場環境の改善に努めています。
職員個人については、ストレスチェックの結果を通知することにより、自らのストレスへの気づきとセルフケアを促しています。
また、毎年一定数が高ストレス者と判定されていますが、その対象者には、医師の面接指導の申出の勧奨や相談窓口の案内を行っており、希望者全員に対して、医師による面接指導や精神保健相談員による相談を実施しております。
○福島委員 この高ストレス者に該当される方が特に増えているという状況ではないというふうにお聞きしています。そして、また医師による面接指導もしっかり行われているということですので、引き続き丁寧な対応をお願いいたします。
続いて、都においては感染拡大防止の観点から、人流抑制に寄与するため、テレワークを徹底したと伺っておりますが、このテレワークの実施率をお伺いいたします。
また、テレワーク時の超過勤務についてはどのような取扱いになっているのか。所属長は職員のテレワーク時の超過勤務をどのように把握しているのかについてもお伺いいたします。
○石橋労務担当部長 テレワークの実施状況については、本年一月から、感染症対策に従事する職員等を除く本庁職員について、対象期間の一日平均の実施率を都ホームページで公表しており、一月から九月の実施率平均は約七割となっております。テレワーク時においても、登庁し、職場において超過勤務を行う際と同様に、所属長がテレワークを実施する職員に対して、あらかじめ超過勤務を命じることで、正規の勤務時間終了後も引き続き業務を実施することが可能となっております。
また、テレワークの実施に当たっては、東京都職員在宅勤務型テレワーク実施要綱により、職員は、管理監督者に対して、勤務開始時に勤務開始と実施予定の業務を、勤務終了時には業務終了と実施した業務内容を報告するよう定めており、超過勤務を含めた勤務状況を把握することとしております。
○福島委員 テレワークの実施率が七割と非常に高いことを確認させていただきました。
テレワークは時間と場所を選ばずに働くことができる一方で、オンとオフのめり張りがつきにくくなったり、申告した残業時間よりも長く働く、申告せずに業務時間外に働くなど、いわゆる隠れ残業が生じやすくなるともいわれています。
規定では、テレワークにおける勤務時間が自己申告というご答弁でしたけれども、パソコンのログインとログオフの時間を取得して、勤怠管理システムに入力された勤務記録との間に大きなずれがある場合には上司にアラートが飛ぶといったシステムで隠れ残業を防ぐ取組も世の中には普及しておりますので、適切な運用に努めていただきたいと思います。
次に、指定管理者の労働環境確保についてお伺いいたします。
平成十五年九月の地方自治法改正により導入された指定管理者制度に基づき、都は、公の施設の管理を広く民間の団体に行わせることで、住民のニーズに応えると同時に、経費の削減等に取り組んでいらっしゃいます。
この指定管理者の労働環境確保の取組及びこれまでの実績についてお伺いいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 指定管理施設で働く職員の適正な労働環境確保は、都民に安全で良質なサービスを提供する上で重要と認識しております。
都は、各都立施設の設置条例において、労働基準法等関係法令の遵守を義務づけており、指定管理者の選定や管理運営状況の評価を行うに当たりましては、外部の専門家を含む委員会を設置し、客観的かつ専門的な観点から労働環境を含めた事業計画の審査や履行状況の確認を行っております。
また、現場実態をより詳細に把握するなどの観点から、平成二十九年度以降、社会保険労務士を活用した指定管理者の労働条件に関する調査を実施しておりまして、令和三年度も指定管理者三者への調査を実施中でございます。
さらに、この調査の結果や法令改正の状況などを踏まえまして、令和元年度からは、社会保険労務士を講師とする労務管理講習会を実施し、全ての指定管理者に対して適切な労務管理のための知識習得の機会を提供してございます。
○福島委員 指定管理者の選定時の審査に加えて、平成二十九年からは、社会保険労務士を活用し、一部指定管理者について調査を実施、そして令和元年からは、全指定管理者に向けて労務管理講習会を実施と、取組を拡充していることをお伺いいたしました。
これまでの成果を踏まえた今後の取組の方向性についてお伺いいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 これまでも調査結果につきましては、指定管理者及び所管局へフィードバックし、業務の改善につなげておりますが、今後は、どの指定管理者においても発生しがちな問題点を一層共有するなど、全ての指定管理者において適正な労働環境確保を実現していくための取組を継続してまいります。
○福島委員 ありがとうございます。社会保険労務士による調査で得られた結果を、他の指定管理者に展開することは、特に労基法の改定等に対応するに当たって喜ばれると思います。引き続き、指定管理者の労働環境改善に資する取組をしていただきたいと思います。
次に、災害対策についてお伺いいたします。
先ほども取り上げられていましたけれども、都は十年ぶりに首都直下型地震の被害想定を見直すことを公表しています。
一期目より課題だと考えておりますのは、一時帰宅抑制対策の周知徹底です。帰宅困難者は帰れないのではなくて、社会全体のために帰らないという機運を醸成するこの取組ですけれども、東京都と東京の防災力向上のための連携協力に関する協定を締結する東京商工会議所の二〇二〇年三月の時点の調査によれば、東京都帰宅困難者対策条例の努力義務の認知度は四二・〇%にとどまり、従業員規模が小さいほど認知率が低いということです。
一方で、勤務先で災害に遭った際に、家族の下に一刻も早く駆けつけたいというふうに考えるのは自然だと思います。加えて、コロナ禍で通勤に自転車を利用する方が増えたことで、自力で帰れる、帰りたいと考える人はさらに増えることが考えられます。
実際に十月七日の夜に起きた震度五の地震において、十月二十八日の報道によれば、最大手のシェアサイクル事業者によると、地震発生後から翌朝五時までの利用回数は、前日比一六五%に達し、千代田区、港区など都心部での利用が急増。その多くが江東区や大田区など住宅部で返却。また関東近郊の別のシェアサイクル事業者によれば、地震発生直後に都心から郊外、この住宅街への利用が目立ち、利用回数は二十三時から二十五時の間で通常時の約三倍になったということです。
加えて、日本シェアサイクル協会によれば、東京二十三区に配備されているシェアサイクルは、二〇二一年六月現在、およそ一万六千四百台に上るそうなんですが、今回の地震でシェアサイクルは帰宅困難時に利用されたというSNSや報道が影響し、週末の新規会員登録者数が平時の二倍以上となったということでした。
自転車通勤やシェアサイクルが増えている中で、帰宅困難者対策における自転車の扱いについて見解を伺います。
○高島防災対策担当部長 都はこれまで、大規模地震等の発生時にはむやみに移動せず、職場や学校などで三日間待機する一斉帰宅の抑制を呼びかけてまいりました。多くの帰宅困難者による混雑の発生や余震等の二次被害を防止する観点から、発災時にはまず安全な場所でとどまることが重要であり、自転車での帰宅の場合も同様であります。
副委員長からお話がありました十月七日の地震においては、シェアサイクルを活用して帰宅された方もいたと聞いておりますが、大規模地震等の発生時には、安全確保の観点から、引き続き自転車利用を含めた一斉帰宅抑制を促してまいります。
○福島委員 自転車利用者も一斉帰宅抑制の対象に含まれることを一層丁寧に周知していただくことを要望いたします。
この一斉帰宅抑制のルールを知っていると同時に、居住地域に残る家族と離れていても安心して任せられるコミュニティがあることも大切だと思います。
一斉帰宅抑制の実効性を高める取組についてお伺いいたします。
○高島防災対策担当部長 発災時に帰宅困難者に安心して会社などの安全な場所にとどまってもらうためには、家族の安否が確認できることが重要でございます。
このため、都は、都民や事業者向けに作成している東京都帰宅困難者対策ハンドブックなどにより、災害用伝言ダイヤルやSNSなど、災害発生時の家族との安否の確認方法につきまして、広く普及啓発を行っております。
また、家族の安全を確保する上で、地域全体で防災力を上げていくことも欠かせないことから、町会や自治会などの地域コミュニティ等を対象に、地域の実情に応じた対策を学ぶ東京防災学習セミナーや、子育て世代を対象に、災害から子供を守るための防災知識や備えについて学ぶパパママ東京ぼうさい出前教室などを実施しております。
引き続き、こうした取組を通じ、発災時の一斉帰宅抑制の実効性強化を図ってまいります。
○福島委員 コミュニティに家族を任せられる、そんな関係をつくれるような、それに向けた数々の取組をご紹介いただきました。
加えて、コロナ禍の人流抑制策として先ほども取り上げたテレワークが大きく普及しております。発災時に在宅勤務をしている人は、職場ではなく、地域で活動の担い手になる可能性も高まっていると思います。
今後は、職場の方から在宅ワーク時に発災した際の行動についても働きかけること、これも必要かもしれません。検討を要望いたします。
令和元年の台風十九号の際には、区内、世田谷区なんですけれども、この区内の多摩川流域の避難所が次々に定員に達する中に、新たに開設される避難所について私は発信をしたんですけれども、それが役立ったというお声を多くいただきました。その経験から、今年度、東京都が実用化に取り組んでいる帰宅困難者対策オペレーションシステム、これは大変重要だと考えます。
とはいえ、この地図にひもづいた情報提供というのは、既に普及している民間の地図アプリで入手できるようにすることが、より広く都民に届けるためには効果的であると考えています。
東京二〇二〇大会時に伴う交通規制に関する情報も、都のホームページや、従来のJARTICやVICSを通じたカーナビ等への情報提供に加え、民間の地図アプリでも取得できるようにということを訴えまして、そういうふうに実際していただきました。
東京防災アプリや都のホームページなど、独自の媒体による情報提供に加え、都民が日常的に使う地図アプリで情報が入手できるよう、APIを介した情報提供が重要だと考えますが、現在の検討状況をお伺いいたします。
○高島防災対策担当部長 都では、帰宅困難者の滞留状況や一時滞在施設の受入れ状況を迅速に把握するため、今年度より、携帯電話の位置情報など、デジタル技術を活用した新たなシステムの構築を進めております。
システムの構築に当たりましては、他の機関とのデータ共有や情報提供が可能となるよう、現在、委託業者による実証実験等を行っており、デジタル技術の活用やスケジュール等に関して取りまとめる予定であります。
今後、お話のAPIを介した情報連携等も含め、新システムの検討を進めることで、帰宅困難者の安全確保に努めてまいります。
○福島委員 APIを介した情報提供についても検討を進めるというご答弁でした。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、基礎自治体の庁舎の非常用電源、これについてお伺いいたします。
この災害発生時にハブとなる区市町村の電源が七十二時間維持されることは大変重要です。我が会派の働きかけにより、都は、平成三十年度に非常用電源の導入を補助することを決定しました。
その後の事業の利用状況についてお伺いいたします。
○芝崎防災計画担当部長 都は、停電時においても区市町村の災害対応が円滑に行えるよう、平成三十年度から、非常用発電機の整備等に対する補助を開始し、庁舎の非常用電源の確保を支援してまいりました。
この事業は、これまでに十六団体が利用しており、各団体が庁舎における三日間の非常用電源の確保や電源室の浸水対策等に取り組んでいるところでございます。
また、現場の実情を踏まえた非常用電源の整備、改修方法や、稼働時間の延長に向けた対応などを提案する専門家派遣も実施しており、これまでに三十二団体が活用しております。
○福島委員 庁舎の非常用電源の確保を支援する事業はこれまで十六団体が利用していて、またこの専門家派遣、これについても三十二団体が活用しているというご答弁でした。都内の災害対応力向上に確実に寄与していることを確認することができました。
では、これまでの決算の推移と今後の見込みについてもお伺いいたします。
○芝崎防災計画担当部長 先ほどご答弁させていただきましたこの事業の決算額は、平成三十年度が約九百万円、令和元年度が約九千八百万円、令和二年度が約一億四千万円でございます。
本年度の予算は六億三千万円であり、昨年度までに専門家派遣を行った区市町村を中心に、現在補助事業の活用に向けた働きかけを行っているところでございます。
○福島委員 ありがとうございます。都から専門家派遣を受けた区市町村が、非常用電源の整備、改修に確実に取り組めるよう、改修経費等に対する補助の予算をきちんと措置されていることを確認しました。着実な事業の実施、これを評価したいと思います。
次に、飲食店の感染症対策についてお伺いいたします。
三定補正予算の点検認証済店舗へのデジタルトランスフォーメーションによる支援強化事業、これの内容について改めてお伺いいたします。
○金久保危機管理調整担当部長 都はこれまでも、コロナ対策リーダーを通じまして、適宜、感染対策に関する情報をきめ細かく発信するなど、認証済店の支援を行ってまいりました。
第三回定例会で予算化されました点検認証済店舗へのデジタルトランスフォーメーションによる支援強化事業では、動画による感染対策に役立つ情報の紹介や、質問などに自動的に対応するチャットボットの導入のほか、認証済店が行う感染対策の状況を都がオンラインで確認できるようにするものです。
これによりまして、コロナ対策リーダーに対する継続的な支援を図るとともに、店舗が行う対策の実効性を高めてまいります。
○福島委員 デジタルを活用して実効性を高める、そういった取組については評価したいと思うんですけれども、この店舗が行う感染症対策の実効性を高めるために、オンラインで確認するの部分ですが、写真や動画で確認する、これを想定していると聞いています。
私は、次の三点からこの取組にはやや問題があるんじゃないかと考えています。
一つは、写真や動画を撮影したその時点の状態が維持されるとは限らない。二つ目には、それを人が見て確認をする。すなわち、それなりの労力をまたかけていくと。三つ目は、最新の研究成果では、新型コロナウイルスの大部分が空気感染であると結論づける中で、写真や動画で第三者が視覚的に、間隔の確保やアクリル板の設置はまだしも、手指の消毒や肝腎の換気の状態、これを監視するのはすごい難しいんじゃないかなと思っています。
本件の事業設計に当たり、デジタルサービス局にどのようなアドバイスを受けたのか、お伺いします。
○高田危機管理調整担当部長 本事業の検討に当たりましては、デジタルサービス局と適宜意見交換を行いまして、システム構築の効果的な手法など技術的な側面からのアドバイスを受けているところでございます。
○福島委員 ありがとうございます。実は、私はデジタルサービス局に関しても同様の質疑を行いまして、デジタルサービス局の答弁も技術的な側面をサポートしたというご答弁でした。より丁寧なサポートをお願いしますということを申し上げたんですけれども、考えてみたらデジタルサービス局の皆様はITの専門家であって、映像や写真を通じて得られる情報について詳しいわけでもないかもしれないなと今は思っています。
ちょっと私語りで申し訳ないんですけれども、前職、総合電機メーカーの研究職で研究者をやっていたんですけれども、世界初の裸眼3Dテレビの開発と製品化を手がけまして、一応、映像メディア学会の丹羽高柳賞を受賞するなどしているんです。丹羽、高柳さんという人はテレビのイという文字を最初に電送した人で、その人の名前がついた賞なんですけれども、こういうものを受賞した経験もありますので、ディスプレーや視覚についてはある程度の専門性があってもいいかなとは思ってます。
その立場から見て、この感染防止対策を写真や動画で確認するという方法は、肝腎の換気状況が分からないだけではなくて、例えばその写真や動画が撮られた時点に限ったとしても、照明や撮影の条件が統一されていない状態で、様々な色や形状の机や椅子、さらには照明条件で見え方が大きく変わるアクリル板を認識して、距離などを自動判定することは難しく、人が見て確認するとしてもこれは大変難しい。トリックハウスみたいなところで写真を撮った経験とかある方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、カメラで見ると立体的に見えても両眼だと平面だと分かるというか、奥行き近くにはやっぱり両眼視差ってすごい大事で、距離とか感覚とかっていうのを写真から得るというのは、誤差がどうしても伴ってくるんですね。店舗ごとの図面や撮影位置などの補足情報があれば、その場所に行った人であれば距離感覚が分かるかもしれないですけど、なかなか難しいかと思います。
そこで提案したいのが、飲食店を利用する都民の声を参考にするという方法です。政策企画局のスーパーシティに関する事務事業質疑でも述べましたけれども、私は大都市東京こそ、都民の声を広く集めて、政策や事業に反映する方法として、デジタルを活用するべきと考えています。
飲食店の感染対策の確認に関しても、認証店の枠組みができるこの以前から、都民の声を集めて、当時限定的に行っていた、人を派遣するエリアについて優先順位をつけるときの参考にするべきというふうに訴えてまいりました。
都からは、都民の声が寄せられている区市町村の声も参考にしていることに加え、店舗を特定してしまうと様々な問題があるといったご意見は伺っておりますけれども、実は位置情報を取るGPSというのは、数メートルから数十メートルほどの誤差、こういうのがありまして、この性能の低さを逆手に取れば、店舗や個人は特定できないので、エリアとしての状況を把握するにとどめたりすることができます。さらに、人を派遣して点検したエリアを地図上に示してあげることで、都がどこを点検したかということを都民に伝えることもできますし、点検後のエリアの飲食店を選んで訪れる、そういうことも可能です。これがデジタルだからこそできる双方向のコミュニケーションになる、そういうふうに訴えてまいりました。
都民の声に基づくというこういったご提案をすると、七月に国が検討した飲食店の利用者から感染症対策に関する情報を収集する仕組みに対する国民の反応が否定的であったという話も伺います。
例えば国民による密告制度だという意見ですけれども、悪意を持った投稿、例えば同一のIDから同一店舗を対象に、何回も何回も投稿がある。こういうのは、ほかの値から大きく外れた値として取り除くことができます。また、さきに述べたように、GPSの性能の低さを逆手に取って、この店舗を特定できないようにしたり、さらには感染防止対策ができていた、安心して飲食できたというポジティブな声を集める形にするのもよいと考えます。
このように議論が巻き起こったときこそ、デジタル利活用の意義や個人情報の保護との両立策、データの取扱いの工夫などについて議論を深めて、国民のデジタル利活用に対する共感を高められるチャンスだったんじゃないかなと私は考えています。現状を変えていくためには、やっぱり議論に時間をかけることは不可欠です。デジタルをこれから東京都が利活用していくときに、やっぱりこの議論を深めていく。悪い反応がありそうだからやめるじゃなくて、判断したときは、きちんと啓発に努めていく。そういった判断もしていただきたいと思います。
東京都は、本年度の春に、国の指針もありまして、都内の全飲食店に人を派遣し、感染防止対策の状況を確認しました。これに十一億円を要しましたが、その後の継続状態の確認にデジタルを活用し、コストを抑えたとしても、検証の信頼性が損なわれてしまえば意味がありません。万が一、認証済店の感染防止対策に問題があった場合に、どのように確認していたのかを問われて、新型コロナウイルスの大部分が空気感染であるとされる中で、写真や動画で確認したといって理解を得られるのでしょうか。
以上は、都民の声というより、私の経験に頼った意見なので、この程度にしておきまして、ぜひ専門家の意見を聞いてほしいと思います。
東京都は平成三十一年度、大学研究者による事業提案制度で、都民が気づいた道路の補修箇所を写真や位置情報を添えてアップロードできるMy City Reportというアプリを使った取組を採択、建設局で試行しています。
このマイシティレポートコンソーシアム事務局に確認したところ、今後より多くの局でポジティブな都民の声を集めるプラットフォームとして展開してもらいたいという思いがあるということが分かりました。
感染防止対策ができているという、このポジティブな評価を集める仕組みであれば、例えば埼玉県で行っている感染症対策セミナーの動画の視聴とセルフチェックを商店街の皆様にお願いするような、コミュニティでの取組の支援事業と同時にやれば、より都民を巻き込んだ形での感染防止対策を進められる可能性もある、こういうふうに考えています。
都民の声を画像を付して集め、行政に反映することに関して知見のあるマイシティレポートコンソーシアム事務局と、感染防止対策への適用可能性について意見交換するなど、改めてデジタルを活用した都民参加型の飲食店の感染防止対策について検討していただきたいと考えますが、見解を伺います。
○金久保危機管理調整担当部長 飲食店等における感染リスクを抑えていくためには、より多くの店舗が適切な感染防止対策を継続して実施していくことが重要となります。
このため、徹底点検TOKYOサポートプロジェクトにおきまして、直接、訪問点検を行い、多くの飲食店等からのご理解とご協力によりまして、現在十万店を超える飲食店等が認証済みとなっております。
こうした多くの認証済店が行う感染防止対策の実効性を確保するため、対策の効果的な確認方法等につきまして、外部の有識者等から幅広く意見を聞いていくことも有意義であると認識しております。
今後お話のありました団体も含め、外部の有識者等との意見交換を通じまして、飲食店等における感染防止対策の継続的かつ効果的な取組につきまして、幅広く検討してまいります。
○福島委員 前向きなご答弁ありがとうございます。
遠隔監視であれば下水道局にも知見があるかもしれません。経験のある有識者と意見交換をして、デジタルを適切に活用し実効性のある取組にしていただきたいと思います。お願いします。
最後に、統計部に関して幾つか質問をさせていただきます。
私は、先ほどもちょっと取り上げていただきましたけれども、政策の精度向上に向けて、EBPM、これの重要性というのを都議会議員になって以降訴えてまいりました。
これ、政策企画局のところでも述べたんですけれども、二〇一九年、二〇二一年には政策の効果をランダム比較実験や自然実験など統計的扱いにより測定する研究がノーベル経済学賞の対象になりました。事業の評価を執行率で測るというのはもう過去にして、これからは事業の影響を受ける団体と受けない母集団、この母集団それぞれについてデータを収集し、統計的処理を経て、その事業が優位かどうかこれを検定する、そういった内容です。
出生率をはじめ、世界が今抱えている問題は解決が難しいものばかりなので、また単年度では解決が難しく、要因も複合的になってきています。だからこそ、政策と事業の間にロジックモデルを作りまして、因果関係があるのかないのか、これを丁寧に統計的取扱いで検証していく、こういったことが重要になってくると思います。
職員に向けた統計リテラシーの向上に向けた研修はどのように行われているのかを伺います。
○櫻井統計部長 EBPM、すなわち証拠に基づく政策立案を推進するためには、職員の統計リテラシー、すなわち分析活用能力の向上を図ることが重要です。
このため、都では従前より、都や区市町村の統計部門職員を対象に、実務能力の向上を図るための研修を実施しております。今年度と昨年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開催を控えましたが、例えば、令和元年度は、総務省の担当職員を招いて、政府統計のウェブの総合窓口であるe−Statの活用について講義を受けました。
また、平成三十年度から、都庁職員等の統計利活用に関する知識やノウハウを高めるため、六回にわたりセミナーを開催しているところです。こちらも、ここ二年は実施を見送っておりますが、令和元年度には、地方自治体の統計利活用事例やビジネスにおける統計分析をテーマに実施をいたしました。
加えて、平成三十年度から毎年、幅広く都職員の統計に関する理解を進めるため、統計用語の解説やその具体的な使い方、他県のデータ利活用事例の紹介などを行うメールマガジンを、都庁全職員に九回にわたり配信しております。今月中には十回目を配信する予定でございます。
○福島委員 大変重要な取組だと思います。各種統計データを使うことはもちろん、このEBPMにおいては、事業を計画する段階でその後の効果検証に必要なデータを収集する、そういった事業設計も重要になってきます。教育をさらに充実させていただきたいと思います。
この研修をした結果、都が作成するこの産業連関表、こういった加工統計が政策立案に当たって活用される、そういうふうにならなければ意味がありません。内容についてのお問合せはあるのか、これについてお伺いいたします。
○櫻井統計部長 既存の統計データを解析し作成する加工統計に関する問合せについては、都の経済構造の把握と各種施策の経済波及効果の分析などに用いられる東京都産業連関表に関する質問等も含め、各局から毎年十件から二十件程度受けております。
これらに対し、適切な助言を行うことにより、政策立案への活用を促してきたところでございます。
○福島委員 ありがとうございます。先ほど研修の中で、地方自治体の統計利活用事例、これもテーマにやっているということなんですけれども、総務省が令和三年七月に都道府県、政令指定都市等の産業連関表作成主管課に対して、令和二年度に実施または把握した産業連関分析事例について紹介し、その結果をまとめた都道府県等における産業連関分析実施状況として、今月発表された内容があるんですけれども、残念ながらこの中に東京都の事例は載っていませんが、他道府県では、コロナが域内環境に与える影響の把握や、コロナ対策に係る助成、融資の各産業への流れの推計等に使われている例が紹介されており、非常に身近で参考になる事例なのではないかと考えます。
研修において具体的な事例を取り上げることにより、事業に統計を生かすことにつながる効果的な研修を実施することができると考えますが、見解を伺います。
○櫻井統計部長 都では、職員の統計分析活用能力の向上を図るため、研修やメールマガジン配信等を行っておりますが、その内容がEBPMにつながる効果的なものであることが重要です。
このため、職員が自らの業務に具体的に生かすことのできるよう、講師や取り上げる題材等の内容に工夫をして実施しているところです。
お話の産業連関表につきましても、これまで四回にわたりセミナーにおいて取り上げ、産業連関表を用いて、イベントや観光政策の経済波及効果を測定するような具体的事例も交えた説明を行い、利活用を働きかけてきたところです。
今後も引き続き適切な具体的事例を選択し、研修等に取り入れてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。私は、二十二年間研究開発の現場にいたからこそ、事前に想定していた結果と実験結果が異なることを何度も経験してきたし、机上検討の軽さ、手を動かすことの大切さをこの身にしみついて知っています。人は見たい方からしか物事を見ないと思った方がいいです。客観的なデータが教えてくれることは少なくありません。
英国から始まったEBPMを、諸外国は本気で取り組んで物にしつつあります。都の事業評価でエビデンスベースという言葉を聞くことは増えたんですけれども、値の確からしさや、有意差の有無、これを判定するためのエラーバーがついたデータを見たことはまだございません。
日本を牽引する大都市東京の行政機関こそ、EBPMに取り組むべきであり、そのためには統計的観点を持った事業評価、政策評価に取り組むべきと考えます。このような取組を進めるに当たり、専門人材を雇用したり、また大学と連携するなど、今まで以上の体制づくりに着手するべきと考えますが、見解を伺います。
○櫻井統計部長 統計部では、令和三年度から、統計専門員として会計年度任用職員を採用し、主に都が作成する産業連関表、都民経済計算などの加工統計業務に活用しております。
また、加工統計の作成等に当たっては、統計学を専門とする大学教授などの有識者による理論指導を年におおむね十回以上受けながら、精度の維持向上に努めているところです。
今後も、様々な外部の専門的な知見を生かしつつ、統計部職員のレベルの底上げを図ってまいります。
○福島委員 ありがとうございます。まずは統計部の職員のレベルが上がって、それが都庁内に広がるっていうことで、段階的にはそうだと思うんですけれども、例えば、内閣官房で実証的共同研究と称して、関係府庁や学識経験者及び総務省と連携し、このEBPMに適した事業をモチーフに、政策効果の把握、分析方法を研究することで、EBPMの考え方を活用した政策評価の質の向上を、国で全体的に上がるように、そういった取組をしています。
このような伴走型の支援、これをリテラシーが上がった統計部の職員の皆様が、必要とする各局と連携をして、事例を示してやってくださいだけではやっぱり進まないかと思いますので、そういった取組、伴走的型の取組を都でも行うこと、これを求めまして質疑を終えます。ありがとうございました。
○まつば委員 初めに、審議会等、附属機関について質問をいたします。
私は、方針、意思決定過程への女性の参画の拡大が重要であると考えております。そうしたことから、審議会等に女性委員の登用を増やすことが必要であると、度重ねて議会で発言をしてきました。
女性委員の審議会等の任用率は長く二〇%台でしたが、二〇一九年、平成三十一年に初めて三〇%を超えて三一・八%となり、今年二〇二一年四月には、任用実績は三五・八%となり、以前からの目標であった三五%を達成いたしました。二〇二一年からは、四〇%を新たな任用目標としているところでございます。
私も委員として参加をしております東京都男女平等参画審議会において、次期男女平等参画推進総合計画に対する答申の中間のまとめを取りまとめ、現在、パブリックコメントを募集したところでございます。
審議会の答申では、都に求める取組として、次のような文章が盛り込まれております。都の審議会等の設置根拠となる条例等に、いずれの性も四〇%以上と規定するクオータ制を導入するなどにより、都の政策や企画立案などへの女性の参画をさらに拡大する必要があります。このように記載をされております。これは、設置根拠となる条例の中に、いずれの性も四〇%以上と明記するという非常に踏み込んだ内容であり、今後この答申を踏まえて、次期計画の策定をしていくことになります。
私は、こうしたクオータ制度導入について、その推進を強く期待をしております。一方で、法律を根拠としている附属機関などでは課題もあるというような認識も持っております。
そこで、実効性のある制度を検討していくに当たって、審議会等附属機関について所管する総務局に対して現状を確認するとともに、課題を明確にする観点から質疑を行わせていただきます。
初めに、附属機関の性質や数、また附属機関に類似する機関が幾つあるのか、その設置根拠と併せてお伺いをいたします。
○高崎人事部長 都においては、専門的知識の導入や公平性の確保、利害等の調整を図るため、法律または条例の定めるところにより、附属機関を設置し、調停、審査、審議または調査を実施しております。
本年四月一日現在、百四十一の附属機関を設置しており、法律に基づくものが六十五機関、条例に基づくものが七十六機関ございます。このほかに、要綱等により、都政の重要課題について幅広く有識者との意見交換等を行う懇談会が十四機関、外部の専門知識を導入する専門家会議が百四十機関、関係団体等との連絡調整を図る連絡調整会議が四十九機関あり、合計で三百四十四機関となっております。
○まつば委員 この附属機関等には様々な性格を有するものがあり、その設置の根拠は、法律によるものが六十五機関、条例によるものが七十六機関、要綱によるものが二百三機関とのご答弁でございました。
また、こうした設置の根拠に基づき運用するために、委員の構成など、具体的な項目をそれぞれ規定しているものと理解をしております。
次に、この附属機関等の委員構成に関する根拠規定の分類について、法律を根拠としているのか、条例なのか、要綱なのか、いずれで定めているのか、その機関数についてお伺いをいたします。
○高崎人事部長 本年四月一日現在、附属機関のうち、委員構成について法律を根拠としているのは二十八機関、条例を根拠としているのは百十二機関、要綱を根拠としているのは一機関でございます。
附属機関以外の懇談会、専門家会議、連絡調整会議の委員構成につきましては、要綱等を根拠としております。
○まつば委員 委員の構成に関しても、法定の機関が二十八機関あるということが分かりました。
この委員構成などについて、法令等で詳細に規定されている審議会等について、どのような例があるのか、具体的にご説明をいただければと思います。
○高崎人事部長 例えば、東京都石油コンビナート等防災本部は、石油コンビナート等災害防止法の定めにより、石油コンビナート等防災計画を作成し、その実施を推進するとともに、災害発生時の関係機関相互の連絡調整を図ることを目的として設置しております。同本部は、法律に基づき、知事、陸上自衛隊第一師団長、警視総監、消防総監等が委員となっております。
また、東京都交通安全対策会議は、交通安全対策基本法の定めにより、東京都交通安全計画を作成するとともに、陸上交通に関する施策、企画の審議及び施策の実施を推進することを目的として設置しております。同会議は、法律に基づき、知事、教育長、警視総監、消防総監等が委員となっております。
○まつば委員 一方で、この法令で詳細に定められていない審議会等もあるかと思うわけですけれども、この委員構成について法令等で特に規定されていない審議会等、これについても、具体的にご説明をお願いしたいと思います。
○高崎人事部長 例えば、東京都公文書管理委員会は、東京都公文書等の管理に関する条例の定めにより、公文書管理に関する重要事項や、特定歴史公文書等の利用請求に係る審査請求についての審議を目的として設置しており、同委員会の委員は、公文書等の管理に関して優れた識見を有する者のうちから七人以内を選任することとしております。
また、東京都情報公開審査会は、都の機関が行った開示決定等に係る審査請求について審議することを目的として設置しており、審査会は、委員十二人以内をもって組織することとしております。
○まつば委員 今、この委員構成について、法令等で詳細に規定されている審議会等と、詳細に定められていない審議会等、この二つについてご説明をいただきました。
この例は、両極の例であると思いますので、この間にある様々な事例というものも整理することが必要であるのではないか、このように考えるわけであります。
今後の検討に向けて、都の附属機関等の委員の構成に関して、女性任用率を義務づけることに関する課題、これについて見解をお伺いいたします。
○高崎人事部長 都の附属機関等の委員構成に関する義務づけに当たっては、幾つかの課題があると認識しております。
具体的には、第一に、職が指定されているなど、法律に委員の構成に関する定めがある附属機関に関しては、条例での義務づけは困難な面があると考えております。
次に、附属機関等の設置目的に沿った適任者を確保できるかという課題がございます。義務づけに基づいた人選を行うことによって、当該機関の設置目的の達成が実質的に果たせない事態を招くことがないよう、個別の機関ごとの精査が必要でございます。
今後、東京都男女平等参画審議会の答申を踏まえ、関係局とも連携して適切に対応してまいります。
○まつば委員 今、様々、課題ということを確認させていただきました。
ご答弁にありましたが、法律上の制約、また適任者の確保など、制度の導入に当たって検討すべき課題があるということだったというふうに思います。
その上で、私は、男女平等参画の中でクオータ制を導入する審議会等に対して、これについては推進すべきであると、このように思っております。ですので、例えば対象審議会等を規定するなどのやり方もあるかもしれないですし、その辺りのところでございますが、やはり実効性ある仕組みというのを併せて検討していくということが大事だと思っています。
これについては、生活文化局が中心となる議論になるかと思いますが、この附属機関等の所管局である総務局も、ここにはしっかりと取り組んでいただきまして、この審議会等委員について、女性委員をさらに拡充もしていくという流れも含めて、なおかつ、この審議会がきちっと設置目的の達成が図れるように、そのことも進めていただきたい。このように思っております。
次に、東京都防災会議についてお伺いをいたします。
東日本大震災をはじめとするこれまでの災害においては、様々な意思決定過程への女性の参画が十分に確保されず、女性と男性のニーズの違いなどが配慮されないといった課題が生じておりました。
このため、防災対策における重要事項等を審議する東京都防災会議の委員構成については、これまで何度も議会で私は提案をしてまいりました。それを受けて、対応が着実にされてきたというふうに認識をしております。
本日、改めてこれまでの経緯について確認をさせていただきます。
まず、東京都防災会議の役割についてお伺いをいたします。
○芝崎防災計画担当部長 東京都防災会議は、災害対策基本法第十四条に基づき設置する附属機関でございます。
その役割といたしましては、東京都地域防災計画の作成や修正、計画の実施の推進、都知事の諮問に応じた都の地域に係る防災に関する重要事項の審議、災害が発生した場合におけるその復旧に関する都と区市町村、関係機関との相互間の連絡調整などが挙げられるところでございます。
○まつば委員 東京都地域防災計画は、都、区市町村、防災機関、事業者、地域の防災組織及び都民が総力を結集し、各主体の持てる能力を発揮し、主体間で連携を図り、東京における災害の予防、応急、復旧、復興対策を実施することで、東京の防災力を高めていくことを目的に策定させる計画であり、まさに都の防災対策の根幹となる計画であると思います。
この本計画の作成、修正の責務を担う東京都防災会議の役割は極めて大きく、その構成員について定めている東京都防災会議条例、これについて、東日本大震災以降、平成二十五年と平成三十一年の二度、条例改正を行っています。
そこでまず、平成二十五年の主な改正内容についてお伺いをいたします。
○芝崎防災計画担当部長 東日本大震災では、避難所で女性が必要とする物資の不足や専用スペースの未設置など、女性の視点からの様々な課題が浮き彫りになったところでございます。
その後、災害対策基本法が改正され、防災会議の委員に自主防災組織を構成する者または学識経験者を任命することが可能となったことから、平成二十五年に東京都防災会議条例を改正いたしまして、知事が指名または任命する委員の上限数を増やし、防災教育や市民防災に精通している学識経験者である女性委員二名を任命したところでございます。
○まつば委員 ただいまご答弁にございました災害対策基本法の改正については、当時公明党が女性防災会議を立ち上げまして、全国の女性議員が防災対策における女性の参画について行政総点検を行い、国に対して提言を行うなど、積極的に取り組み、国も、我が党の提言を受けて実現をしたものであると、このように考えております。
また、この二〇一三年当時、東京都防災会議におきましては、女性委員が一人もいないと。また、その前後の年におきましても、一人もいなかったり、もしくは一人であると、こういう状況がございましたことから、当時、猪瀬知事でございましたけれども、私は予算特別委員会などでも、この点議論をさせていただきました。そして、東京都防災会議条例の改正案が提案され、成立に至ったということでございます。村松局長もよくご存じのことかと思います。
この防災会議条例の改正ですけれども、平成三十一年、この条例改正の主な改正内容についてお伺いいたします。
○芝崎防災計画担当部長 大阪府北部地震や西日本を中心とした豪雨など、全国各地で相次いで発生しました災害を踏まえ、平成三十年に都が実施いたしました防災事業の緊急総点検におきまして、女性の視点に立った避難所運営や、地域住民が連携した確実な避難、要配慮者への健康管理の重要性などが改めて浮き彫りになったところでございます。
このため、都は、こうした様々な課題に対応するため、東京都防災会議条例を再度改正いたしまして、知事が指名または任命する委員数の上限を増やし、地域での共助社会づくりや、災害看護に精通した女性委員を新たに二名加えたところでございます。
○まつば委員 現在、この東京都防災会議の委員ですけれども、ホームページ上に委員名簿もございますが、令和三年十一月一日現在、全体七十三名でございますが、そのうち女性委員は八名ということであります。都の職員、ですので局長が四名、それから、この改正によりまして、自主防災組織構成者または学識経験者という枠がつくられ、そこに四名ということで、合計八名ということになっています。
そうした意味では、この改正によりまして、自主防災組織構成者または学識経験者の枠をつくったことにより、女性委員が登用されてきたということについては評価をするものでございます。
続いて地震の被害想定の見直しについて質問しようと思っておりましたが、先ほど来、他の委員から質疑がございましたので、重複を避けるという意味で割愛をさせていただきます。
その上で、先月の二十二日の小池知事の定例記者会見で、被害想定を見直しすることに加えて、その結果を地域防災計画の修正にも反映させるということを言及されております。また、先ほど早坂委員の質問に、村松局長よりご答弁もあったところでございます。
この地域防災計画の内容について審議する場、これが先ほど来何度も申し上げておりますが、東京都防災会議であります。今回の被害想定の見直しを新たな地域防災計画に反映させる際には、女性や要配慮者など、多様な視点を反映させることが大事でございます。
そうした意味では、こうしたタイミングを捉えて、女性委員の任用を一層充実していただくこと、このことを要望いたしまして、質問を終わります。
○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
午後五時五十一分休憩
午後六時九分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 それでは、初めに政策連携団体について伺います。
東京都は、二〇一九年、監理団体を政策連携団体と位置づけ、協力関係を強化しました。改めて、その目的と内容はどういうことであったか確認します。
○小野グループ経営戦略担当部長 現在の団体の位置づけは、都の政策実現に寄与する団体との関係をより強化するため、都が関与すべき団体につきまして、設立時の出資、出捐の状況から、人的、財政的支援の状況を重視する考え方に見直し、団体との関係性を整理したものでございます。
そして、都が展開する政策の一端を担うなど、都と事業協力を行う団体を事業協力団体として指定し、その中でも、都政との関連性が高く、都と共に政策実現を目指す団体を政策連携団体として指定してございます。
○原委員 都政との関連性が高く、都と共に政策実現を目指す団体を政策連携団体として位置づけたとのことです。
そのような位置づけに高めたことによって、どのような効果があるのでしょうか。
○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体につきましては、令和元年五月に活用戦略を策定し、行政運営を支援、補完する機能にとどまらず、現場で培った専門性を都政にフィードバックさせていくなど、より高度な領域で活用していくことといたしました。
これにより、都庁グループとしての機能を一層高め、都の政策展開を加速する体制の構築が進んできたものと認識してございます。
○原委員 都庁グループとしての機能を一層高めてきた、都の政策展開を加速する体制構築が進んできたとのことです。
ただ、提出をいただいた資料を見ても、各団体の評議員会の公開などについてはあまり状況は変わっていないように見受けられます。
資料の一七ページから、政策連携団体評議員会の状況を資料として載せていただきましたが、政策連携団体二十四団体の会議の公開状況、議事録の有無、公開状況の一覧になっています。これを見ていきますと、会議の公開については変わらず一団体のみというふうになっています。
本来であれば、都の政策展開を共に進めるということからして、できる限りオープンにしていくことが大事ではないかと私は考えます。なぜ会議の公開が進まないのでしょうか。
○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体の評議員会における議事内容につきましては、法人運営上の機密や経営上重要な意思決定が含まれることから、会議自体を公開して行うことは基本的には困難なものと認識してございます。
○原委員 基本的には困難ということなのですが、例えば、原則公開として、どうしても公開が難しい、今お話にあったような案件があったり、また、個人のプライバシーに配慮しなければならない、こういうような課題については非公開にするなどの対応は可能ではないかというふうに思います。
都庁グループとして、共に政策実現を目指すというのが政策連携団体ですから、会議や議事録もできる限りオープンにされるべきではないでしょうか。見解を伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体の評議員会における議事録または議事要旨につきましては、全ての団体で既に公開してございます。
なお、評議員会におけます議事内容につきましては、法人運営上の機密や経営上重要な意思決定が含まれることから、会議自体を公開して行うことは基本的には困難なものと認識してございます。
○原委員 このいただいた資料を見ますと、議事録については公開が十四、非公開が十団体というふうになっています。例えば、保健医療公社は、議事録は非公開で、公開されている議事要旨を見ましたけれども、項目のみで、どういう報告がされたか、どういう意見が出されたかは分かりません。
都庁グループの一員として共に政策実現を目指すパートナーと位置づけている保健医療公社ですが、現在、都立、公社病院の独立行政法人化が進められようとしています。本来であれば、公社の評議員会に対し、どういう説明があり、どういう意見があったかを公開すべきだと思います。
都立病院八病院、公社病院六病院、全体では十五施設になりますが、この施設を対象にしたこれだけの規模の独法化は都として初めてのことであり、これによって保健医療公社としては廃止をされていくということになると思います。とても大きな問題です。
私は、これだけ都庁グループだと位置づけを高めて、この間、コロナ対応でも、行政的医療でも役割を果たしてきてもらっている公社病院の在り方を変えるという提起を東京都がしているのですから、現時点で都の独法化の方針をどう受け止め、評議員会で議論をされたのか、情報が公開されていないということは非常に問題なのではないかと指摘をしたいと思います。
改めて、政策連携団体の情報公開を推進すべきだというふうに意見を述べておきたいと思います。
政策連携団体について、もう一点伺います。
障害者雇用の状況はどうなっているか、東京都としてどのような働きかけをしているか伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 都はこれまで、政策連携団体における障害者の雇用促進に向け、受入職場となる団体の職員の理解を深めるため、ハローワークの講師による講義などを行っており、昨年度は動画による研修を行うなどの働きかけを実施してございます。
○原委員 いろいろ働きかけは努力をされてきていて、前進もあるというふうに私も受け止めています。
しかし、一貫して障害者雇用率を達成していない団体も見受けられます。
達成できていない団体についてはどのような課題があると考えていますか。また、東京都としては、今後どのような働きかけをしていく考えですか。
○小野グループ経営戦略担当部長 団体の規模や業態がそれぞれ異なるため、障害者の法定雇用率達成における課題につきましては一概には論じられませんが、例えば、担当する業務の切り出しに苦慮している等の事情を聞いてございます。
ただし、これまで未達成が続いている団体におきましても、団体ごとに障害者雇用の確保や定着に向けた対策を講じておりまして、雇用率はおおむね改善傾向にございます。
都といたしましては、引き続き、好事例の共有などの働きかけを通じて、政策連携団体における障害者雇用のさらなる推進を図ってまいります。
○原委員 それぞれ各団体も努力をされてきていて、改善の方向に進んでいるということが、全体的な状況を話されていました。
五ページに、この障害者雇用率の推移も出していただいていますけれども、確かに、ちょっと何度もお名前出してあれですけれど、東京都保健医療公社などは、この表でいくと、平成二十八年、一・六四%に比べて、令和二年、二・〇五%など、本当に努力もされてきているということは理解をします。
ただ、都の政策を共に実現していくという立場の政策連携団体が本当にもっと障害者雇用をきちんと進めて、この法定雇用率を一日も早く達成できるような、そういう状況をつくっていくためには、これまでの延長線上の取組だけではなくて、もっと都として障害者を雇用しやすくする具体的なアプローチはできないかどうか伺いたいと思います。
○小野グループ経営戦略担当部長 都といたしましては、引き続き、好事例の共有などの働きかけを通じまして、政策連携団体における障害者雇用のさらなる推進を図ってまいります。
○原委員 引き続きということだったんですけれども、先ほどのご答弁では、それぞれ団体の違いがあるので一概には論じられないけれども、例えば担当業務の切り出しが難航しているとか、そういう事情もよく伺っていらっしゃるんだというふうに思います。
そうなると、やっぱり政策連携団体がしっかりと障害者雇用を進めやすくするように、私は東京都が積極的に提案をしていくということもあっていいのではないかと思います。
例えば、以前は都立病院などでも視覚障害者のあんまマッサージ指圧師の方たちが働いていました。だんだん働ける職場が減ってしまってきていますけれども、例えば公社病院などで雇用できるように都が支援をすることができないのかなど、これはまあ、あくまで一例ですが、様々検討をしていくことが必要ではないかというふうに思います。
ただ、しかし、独法化されれば、障害者雇用についても、今、総務部で努力をされている政策連携団体全体に本当に働きかけしていただいているわけですけれども、この働きかけの対象からは外れるということになるんですよね。私は、保健医療公社も障害者雇用率を達成していないという状況で、この間努力をされてきている中で、改めて、独法化はせずに都民本位の医療を進める大事なパートナーとして公社病院を支えていくべきだということを指摘しておきたいというふうに思います。
次に、多摩・島しょ振興について伺います。
まず、新しい多摩の振興プランに関わって伺います。案の段階で既に質疑をさせていただきましたので、その繰り返しは避けたいと思います。
この間の議会での議論も踏まえて記述をされている点もあって、大事だというふうに思っています。
しかし、都の認識としては、多摩格差は解消したという前提に相変わらず立っていると、このことについては私は異論があります。
例えば、多摩地域にはDV相談支援センターが一か所もありません。各自治体はそれぞれ努力をして相談を受けていますけれども、内閣府が位置づけるところのDV相談支援センターはありません。
コロナ禍の下で深刻なDV被害の相談が増えている中で、多摩地域にはセンターがないということは、これは格差ではないでしょうか、いかがですか。
○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 従来からのいわゆる多摩格差につきましては、これまで都と市町村が連携し解決に努めた結果、かなりの部分で解消していると認識しております。
一方で、多摩地域は、人口減少、少子高齢化への対応、道路交通インフラの整備、防災対策、産業振興など、地域それぞれの課題を依然として抱えており、地域の実情を的確に把握し、課題を一つ一つ丁寧に解決していくことで、多摩地域のさらなる発展を目指していくことが重要でございます。
○原委員 今のご答弁は、多摩地域内のそれぞれの地域の課題を述べているのかなと受け止めました。そうではなくて、DV相談支援センターが二十三区には十七か所ありながら、多摩地域にはゼロという、そういう事実について多摩格差ではないかと私は聞いています。
結局、かなりの部分で多摩格差は解消しているという前提があるために、先ほどのようなご答弁になるんだというふうに思います。
ただ、後段のご答弁の中で、課題があることを認め、一つ一つ丁寧に解決していくという認識を改めて答弁していただきましたので、その点についてはそこを大事に進めていただきたいということをいっておきたいと思います。
そういう認識であれば、まさにDV相談支援センターをはじめ、二十三区に比べて多摩地域で遅れている課題について、問題解決へ丁寧な取組がなされるように、この場では求めておきたいと思います。
あわせて、島しょ地域についても伺います。
懸案の課題の一つは交通の支援です。病院に行くのに、船や飛行機などで交通費や宿泊代の負担がとても重いです。コロナ禍の下で解決を急がなければならないと、課題が浮き彫りにさらになっています。
共産党都議団としては、厚生委員会に支援の条例案も提案してきました。島しょの町村任せにしないで、都として支援が必要だと考えますが、いかがですか。
○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 島しょ地域にお住まいの方々が島外に通院等を行う際には、往復の交通費や日帰りできない場合の宿泊費など、相応の費用を要すると認識しております。こうした島外医療機関受診の実態につきましては、住民に一番身近な町村が把握していると考えており、町村が実情に即して支援を行っているところでございます。
個別事業における都の支援は、基本的に事業を所管する局が法令等に基づき実施するものと考えております。
○原委員 実情については理解をされているということです。
確かに、ご答弁にありましたけれども、具体的に解決をしていこうとすると、事業を所管する局が実施をしていくということになると思いますので、私たちもこれまで厚生委員会で提案も行うなどの取組をしてきました。残念ながらまだ通っていません。
私は、そういう中で、改めて島のこうした困難にどう向き合うのかということを考えて今回質問しています。
多摩格差や島しょの困難を解決していくためには、どうしても財政をどうするのかということが大きな問題になります。財政力が弱い自治体であっても必要な事業が実施をできるように、ここは東京都の支援が必要だと思います。
以前も多摩格差問題で質疑をさせていただいたときに、同じ東京に住んでいる都民が同じようにきちんとサービスを受けられることは大事だという、そういう趣旨のご答弁もありました。
施策ごとに補助などの仕組みを充実させていくということはもちろん必要なんですけれども、それができない下でも、市町村が自主的に使える市町村総合交付金を増額するなど、多摩と島しょの振興のために一層の支援が必要だと考えます。検討を求めますが、いかがですか。
○小笠原行政部長 都はこれまで、市町村総合交付金により市町村が実施する各種施策に要する一般財源の不足を補完することで、住民福祉の増進や市町村の健全な財政運営に寄与してまいりました。
市町村総合交付金の令和三年度予算額は、新型コロナウイルス感染症の影響により都財政が厳しい中にあって、過去最高額となる五百八十五億円を措置しております。
今後とも、都財政の状況を踏まえつつ、地域の課題に即した支援が行えるよう努めてまいります。
○原委員 多摩・島しょ地域の課題に即した支援が行えるように努めていくとのご答弁は大事だと思います。これまでも、ご答弁にもありましたけれども、総合交付金の増額をしてきているということです。
ぜひとも、この総合交付金の増額をはじめ、支援をさらに強めていただけるようにお願いをしたいというふうに思います。
あわせて、緊急に対応が必要になっているのが軽石の問題です。
式根島など島しょ地域で軽石の漂流が確認をされています。シミュレーションによると、さらなる漂着があるということです。軽石は、船舶の運航に重大な影響を及ぼします。
島しょ地域は、通院等の往来、食料品や生活必需品の運搬、島の生産物の出荷、漁業など、船舶は生活に欠かせない重要なインフラです。都としても状況を適宜つかみ、関係各局と連携して対策を取っていくことを求めます。
また、国にも必要な財政支援を求めていただきたいと要望をしておきたいと思います。
次に、コロナ対策について伺います。
さきの定例会でも質問をいたしましたが、都は、リバウンド防止措置期間への切替時に突然、認証店であればアルコールの提供を可能とすると発表しました。そのため、緊急事態宣言期間中、お店を休みにして都の感染対策に協力してきた店舗が、急遽認証店になるための申請を急がなければならなくなりました。一日も早くお店を再開できるようにすることは、そのお店にとっては死活問題です。なぜ店舗の立場に立ってもう少し猶予期間を持てなかったのか。認証の申請が出れば、時間などは短くするなど工夫もしながらアルコール提供を認めて、同時に点検や調査も行うなどという神奈川県などのやり方、こうしたものも含めて検討できなかったのかというふうに思います。店舗関係者からは、都のやり方に対し不信や苦情の声が上がりました。
その上でまず伺いたいのは、認証店になるための点検の申込みが急増したわけですけれども、これらの申込みに対して点検は速やかに行えたのでしょうか。
○金久保危機管理調整担当部長 酒類の提供等を認証済店に限定するリバウンド防止措置への切替えに伴いまして、措置が発表されました九月二十八日から十月五日までの期間を設定し、非認証店のコロナ対策リーダーに対しまして点検の申込みを促しましたところ、約七千六百件の申込みがございました。
これらの点検の申込みに対しましては、人員を増強して対応した結果、リバウンド防止措置発表の翌日の九月二十九日から十月十四日までにはおおむね点検を終了しております。申込みの急増に対しましては、飲食店等への点検、認証に速やかに結びつけることができたものと考えております。
なお、十月五日以降の申込みにつきましても、必要な体制を組みまして速やかに点検を行ったところでございます。
○原委員 かなり努力をされて対応したということはよく分かりました。
また、基本的にはリバウンド防止期間中に点検、認証が行われたということだというふうに思います。この点についてはよかったと思います。
しかし、リバウンド防止期間の終了が近くなってから認証を受けられるという店舗があることも分かっています。その店舗にとっては、かなりの期間、一か月近くを棒に振ったということにもなります。やはりこれはもともとの都の進め方、知事の発信の仕方に問題があったと私はいわざるを得ないと思っています。今後、これを教訓に改善をしていただきたいと要望をしておきます。
現在、基本的対策徹底期間における対応として新たに協力を要請していますけれども、例えばアルコール類の提供時間や、一つのテーブルの人数制限が守られるようにということで協力を要請していますが、どのような働きかけをしていて、状況をどのように把握していますか。
○高田危機管理調整担当部長 基本的対策徹底期間においては、業種別ガイドラインの遵守や飲食店等における同一グループの同一テーブルへの入店案内を四名以内にすることなど、基本的な感染防止対策を徹底していただくという観点から、ホームページやコロナ対策リーダー等を通じまして各店舗に対して協力を依頼しております。
徹底点検を受検していない店舗に対しましては、文書やメールに加え、都の職員が引き続き直接店舗を訪問いたしまして、粘り強く点検受検の勧奨等を行っております。
○原委員 現在の基本的対策徹底期間において、飲食店において五人以上で同一テーブルを使用する場合には、感染リスク低減のため、TOKYOワクションアプリや接種証明書を活用することを推奨していますけれども、具体的にどのような内容ですか。
○高田危機管理調整担当部長 基本的対策徹底期間においては、飲食店に対しまして、一グループ、一テーブル四人以内とするよう協力を依頼しております。
認証店におきましては、五人以上のグループで同一テーブルを使用する場合は、四名を超える人数について、TOKYOワクションアプリ等を活用していただくことを推奨しております。
具体的には、認証店に対しまして、当該店舗の利用者が提示するTOKYOワクションアプリ、接種証明書のほか、PCR検査等の検査証明書などを確認することで感染リスクを低減するよう働きかけております。
○原委員 ちょっと心配なので確認をしたいんですけれども、ワクチンを接種できない方もいらっしゃいます。そういう方が排除をされたり、差別をされたりすることがないか、そこが心配なのですけれども、そういう方の場合の対応について確認をしたいと思います。
○高田危機管理調整担当部長 先ほどもご答弁申し上げたとおり、確認する証明書としましては、TOKYOワクションアプリのみならず、PCR検査等の検査証明書を確認するということでございますので、ワクチンの接種をしていない方でも検査証明書によって確認をするということになっております。
○原委員 そうであれば、検査をいつでも受けやすくするということがますます重要になってきているんだなと今ご答弁を聞いて思いました。
特に検査の証明書が有効な期間なのかどうかとか、いろいろ検討も必要なんじゃないかなと思うんですけれども、この検査の拡充については、局も違いますので、これはこれで改めて強く求めていきたいと思います。
同時に、そうはいっても、このやり方が果たしてどうかというのはよく検証していく必要があると私は思っています。
一つは、科学的に効果があるのかどうかということですよね。五人で一つのテーブルとしたいとき、例えば五人で行ったときは一人分のその接種証明をすればよいという仕組みだというふうに聞いています。ですから、六人で行けば、四人を超える部分だから二人分ですよね。で、この証明をすれば一緒のテーブルでもいいというやり方について、この科学的な効果というのはどうなのかとか、それから先ほどもいったように、PCR検査の証明書でもいいんだと、ワクチンを受けられない人も差別はないようにと配慮があることは分かったんですけれども、ただ、このPCR検査、一回受ければずっとそれが有効なわけではないですので、その期間をどう考えるかとか、さらにその人権に配慮をするという、そういう点でこのやり方がどうなのか、これは私は十分な検証をしていく必要があるというふうに思います。この点については指摘をし、今後も議論をしていきたいと思います。
それで、基本的対策徹底期間中に検査なども拡充をして第六波を抑える、備えるということが重要になってきますけれども、総務局としてはどのような対策を取っていますか。
○高田危機管理調整担当部長 総務局といたしましては、感染再拡大を防止するため、現在、三つの密の回避、人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いなどの手指衛生をはじめとした基本的な感染防止策を徹底するよう、都民、事業者の皆様へ協力を依頼しております。
また、感染が再拡大した際にも、感染対策と社会経済活動との両立を図るための方策につきまして、国の動向を注視して検討を行っております。
○原委員 私は、これまでの延長線上ではない取組が求められていると思っていまして、例えばエアロゾル感染への警戒をもっと強調するとか、いろいろ工夫もあってしかるべきかというふうに思います。
それで、このコロナ対策の最後にちょっと聞きたいのは、特措法に基づいて過料を科すとなったその件数と、それを実施しての都の評価について伺います。
○高田危機管理調整担当部長 都はこれまで、特措法に基づき、時短要請等に応じていない飲食店等に対しまして、行政処分である命令を実施し、一部の店舗はその命令に応じていただいております。
なお、命令に応じない店舗に対しましては、行政罰である過料に向けた手続を行っており、裁判所へ事件通知した数は現時点で七十件でございます。
○原委員 特に評価というのはご答弁にはありませんでしたけれども、私は改めて、科学的で効果的な対策を取って、また、店舗に対しては、守らなければ過料に科すということもあるよという、そういうことではなくて、やっぱり協力をしてもらう、休んでもらうというような要請をするときには、その分の補償、支援こそ必要なんじゃないかということを、私は、第六波に向けてきちんと協議をしていく、検討していくことが必要だと。それは担当局がまた変わってくるかもしれませんが、総務局でも事業者の皆さんの声を聞いていらっしゃいますので、ぜひ横の連携も強めて、各局で連携をしながら対応していただきたいと、このことを求めておきたいと思います。
最後に、人権施策について伺います。
私は、決算特別委員会の第一分科会で、コロナ禍の下、先行きの見えない不安が広がっていて、子供や若者の自殺が増えていること、また、女性の自殺率も増えているなどなどのことにも触れながら、人権相談や性被害の相談など、あらゆる相談が増えている状況について質問しました。
今日提出をしていただいた資料でも、改めて相談が増えているということを実感します。
一一ページには、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの相談が載っていますけれども、昨年度は、その前年度に比べて一・四倍の五千五百八十一件にも上っていて、緊急の相談だけじゃなくて、過去の被害の相談も増えているということを質疑で聞きました。
改めて、センターを増やす検討を本気で進めるよう、これは要望しておきたいというふうに思います。
その上で、最初の質問なんですけれども、性自認及び性的指向に関する専門相談窓口についてです。
二〇一九年度に比べ、二〇二〇年度には相談が百七十六から三百四件に倍近くに増えて、LINE相談も昨年度七月十六日からですけれども、二百六十五件と資料で見て分かります。
この相談内容で何が多いかと決算委員会で聞いたときに、カミングアウトについての相談が多いと答弁をいただきました。このことについて、都としてはどのように分析していますか。
○吉村人権部長 都が平成三十一年三月に取りまとめた性自認及び性的指向に関する施策の実施状況等調査の結果では、性的マイノリティー当事者がカミングアウトできない原因として、家族に止められた、友人や職場の同僚が受け入れてくれるか不安だなどの声を把握しており、多様な性に関する周囲の理解不足が当事者の悩みにつながっていると考えております。
○原委員 そういう状況の中で、オリンピック・パラリンピックでは、カミングアウトした選手が非常に多かったと報告をされていました。しかし、日本の選手はいませんでした。決してカミングアウトするだけが正しいとか、そうあるべきということでは全くありません。一人一人の判断ですけれども、しかし、カミングアウトしにくいという日本の課題が表れているのではないかと私は感じました。
人権尊重条例をつくって多様性を尊重する大会にするということがいわれた中で、人権部としてはどのような見解をお持ちですか。
○吉村人権部長 性的マイノリティー当事者がカミングアウトするかどうかはご本人の意思によるものでございますが、カミングアウトしたい方が安心して自らの性自認や性的指向を表明することができるなど、性的マイノリティーの方が生き生きと自分らしく暮らしていけるよう、多様な性に関する都民の理解を深めることが重要であると認識しております。
そこで都は、都民向けの啓発冊子や企業向け研修等において多様な性について幅広く啓発するとともに、当事者からカミングアウトされた際の受け止め方などについても取り上げております。
○原委員 都の作成している冊子はとても分かりやすいと私も思いました。多くの人に見ていただけるようにできたらと思います。カミングアウトを周りがどう受け止めるか、またアウティングはあってはならないということを共有できるように、さらに周知啓発を進めていただきたいというふうに思います。
私は、決算特別委員会で、LGBTや、そうかもしれないと思っている若者の居場所づくりについてもとても大事な取組であるということを参加者の声も踏まえて紹介して、質問をしました。十代から二十代前半の若い人たちがカミングアウトに悩んでいる、あるいは自分の性自認、性的指向について揺れているなどの状況で、ありのままの自分で参加できる大切な場だということを実感しています。
この取組は継続していくことを求めたいと思いますが、いかがですか。
○吉村人権部長 都は、性的マイノリティーの方々が安心して集い、ほかにも同じ悩みを抱える人がいることを知り、今後の生き方を考えることができるよう、当事者の交流の場事業を実施しております。
この事業については、性自認及び性的指向に関する基本計画に位置づけており、今年度も当事者支援団体と連携して実施することとしております。
○原委員 基本計画にも位置づけられているというものですから、当然継続されていくというふうに思いますけれども、ぜひ定期開催も含めて検討していただきたいというふうに思います。
また、大事なのは、こうした事業を公が責任を持って公的な場で実施をされているということだと思います。そうすることで安心して参加できます。
また、セクシュアルマイノリティーの人たちだけが出入りをするという、そういう場ではなくて、誰もが出入りできる施設の中で、しかもプライバシーは守られながら実施をするということが大事だというふうに、こうした取組を進めている専門の方にもお話を伺いました。そうした点でも、今回、ウィメンズプラザで開催をしたことは非常によかったのではないかと私は思っています。
一方、地域によっては、ウィメンズプラザは遠いという課題もあります。ぜひ、地域で取り組んでいる居場所についても、都のホームページなどで紹介して参加できるように案内することを推進していただきたいと思いますが、いかがですか。
○吉村人権部長 人権部のホームページでは、都内区市町村が実施する類似の事業についても情報提供を行っており、引き続き、より多くの当事者に情報が届くよう取り組んでまいります。
○原委員 ぜひ、より充実をさせていただきたいというふうに思います。
さきに述べた若者の居場所が若い人たちの希望や安心になったことを考えても、パートナーシップ制度を実現することによって、さらに将来を見据えて希望を持って生きていける大きな応援になると実感をしています。
現在のパートナーシップ制度についての検討状況を伺います。
○上野人権企画調整担当部長 都は、都としての同性パートナーシップ制度の在り方について検討を進めており、現在、性的マイノリティー当事者等を含めた都民を対象とする実態調査に着手するとともに、有識者等に対するヒアリングを実施しているところでございます。
○原委員 当事者の皆さんは一日も早くと願われています。人権尊重条例に立って、本当に一日も早く実施できるように強く求めたいと思います。
あわせて、ファミリーシップ制度を進めている自治体も出てきています。都ではどのような検討をされていますか。
○上野人権企画調整担当部長 都は、同性パートナーシップ制度の在り方について有識者ヒアリングや事例調査を行っており、ファミリーシップ制度についても課題等を把握、整理しているところでございます。
○原委員 東京都は、里親制度でも条件をクリアすれば、同性カップルや、あるいは単身の方でも、サポート体制がちゃんとある中で認めるという改善がこれまでされてきています。
そういう下で考えますと、同性パートナーが子供を育てる、同性カップルが子供を育てるとなったときに、ファミリーとして認められるということは自然なことですし、当事者の皆さんからはこの問題も非常に切望されています。
子供たちの権利を考えると、どの家庭で育っても平等であるべきだと思います。そうした思いをぜひ受け止めていただいて、検討を進めていただくということを求めて、質問を終わります。
○藤井(と)委員 私から、新型コロナウイルス対策についてお伺いをいたしてまいりたいと思います。
今週の月曜日は新規の陽性者数が七名ということでございまして、かなり感染状況が落ち着いてきているというようなことだというふうに思います。
一方では、昨年は、この十一月の中旬、下旬辺りからぐっとこう感染が再拡大をして、十二月、一月と大変な状況になったと。医療逼迫だとか、医療崩壊だとか、こんなこともメディアで指摘をされたところであります。
やはりこの第六波というものに対する懸念、不安というものを多くの都民の皆様方からも多数いただいている中で、今の感染状況、私、産業労働局が経済を所管していく、福祉保健局が感染予防ということで、それぞれの判断の上に知事が総合判断をしていくと、その事務局になるのが総務局だというふうに思っているんですが、経済活動、社会活動を維持していくというのが非常に大切だと、私、そのように思っている方なんですが、やはりこの第六波というものをやっぱりもう招いてはいけないということで、しっかりとウオッチをしていく、注視をしていくという必要性があろうかと思っているんです。
現在の感染状況について、そうした不安、都民の皆様の不安も含めてどのように評価をされておられるのかお伺いしたいと思います。
○高田危機管理調整担当部長 現在の感染状況でございますが、先週開催されましたモニタリング会議におきましては、新規陽性者数の七日間平均は横ばいですが、増加比は一〇〇%を超え、今後の動向に注目すべきである、引き続きワクチン接種の推進、基本的な感染防止対策の徹底により感染を抑え込む必要があると分析されております。
都は現在、一般的に感染リスクが高まるといわれている冬を迎えるに当たって、マスクの着用や業種別ガイドラインの遵守など、基本的な感染防止策を徹底するよう、都民、事業者の皆様に協力を依頼しております。
今後、基本的対策徹底期間中の取組等を踏まえまして、人の動きが活発になる年末年始に向けた対応を検討してまいります。
○藤井(と)委員 答弁ありがとうございます。今の答弁、私なりにしんしゃくをいたしますと、いわゆる施設に対する規制というか要請みたいなものではなくて、事業者なり都民の皆様方に基本的なことについて協力をお願いしていくというようなことを徹底していくということなんだろうというふうに思っています。
次に、飲食店等に対する時短協力要請についてお伺いをしていきたいと思っているんですけれども、一方においてこれまで、まさにこの度重なる形で時短要請というものを都として飲食店等に行ってきたところでありますけれども、この協力をした飲食店さんに対して過去何百万というお金が支払われてきたということでもありますし、都というか、最初の第一波のときは都の財源でやっていたと思うんですけれども、国の税金を、数千億円というんですかね、四桁の億の単位でお金を使ってきたということでございますので、それ相応のコストを払わざるを得ないというような政策でもございますので、その効果はどうなんだということがこれまでも問われてきたというふうに思います。
そもそも、営業時間の問題なのかだとか、お酒が悪いのかとか、昼のお酒はよくて、夜のお酒は駄目なのかとか、様々そういった意見、議論がなされる中で、やっぱり、まず第六波を招かないということが一番大切なんですけれども、こういった状況を招いてしまったときにどういう基準でこの時短要請というものをやっていくのか。あるいは、これまでの中で、東京都がやってきた中で、時短要請はこれは効果があるんだというようなことで、科学的な証拠に基づいてしっかりと説明をしていくということも非常に大切だなというふうに思っているんですけれども、これまでの政策に関する評価と、そして今後の方針についてお伺いをしたいと思います。
○高田危機管理調整担当部長 都は、夜間滞留人口の抑制が感染拡大防止に寄与するとの専門家の指摘も踏まえまして、緊急事態宣言下等において、事業者に対しまして営業時間の短縮等を要請してまいりました。
時短要請等と感染状況の相関につきましては、これまで緊急事態宣言期間に各施設に対しまして時短要請を行った後、一定期間内に実効再生産数が減少に転じていることが確認されており、都が実施した人流抑制策は感染防止に寄与したものと認識しております。
引き続き、国の基本的対処方針等を基に、これまでの経験や最新の科学的知見なども踏まえ、感染状況等に応じて適切に対応してまいります。
○藤井(と)委員 今、ご答弁にありましたとおり、実効再生産指数でしたっけ、これが下がってきたというような話でございますけれども、いまいち私、この因果関係というのは分からないわけでありまして、やはりこの時短要請も回を重ねるごとに、特にゴールデンウイークの後なんか、いわゆるヤミ営業といわれるような形で東京都の要請というものに応じない店舗さんというものも大変出てきたところであります。
一方では、東京都の要請に対してしっかり応じている店舗さんからは、ライバル店舗が営業すると、お客さん、そして売上げ獲得をするということで、率直にいって不満だと、しっかり説明をすべきだと、合理的な効果なり目的があるということであるなら協力するけれども、やっぱりそれはおかしいんじゃないかというような声もかなりいただいてまいりましたので、この点、今後、時短協力要請というのを、私は、これはどういう判断をされるのか分かりませんけれども、やる以上はこういった効果があるということは、特に当事者である飲食店さんに対して科学的な根拠、そしてエビデンス、データ、こういうものをしっかりとお示しをいただきたいなというふうに思っています。
今の話と関連をするわけでありますけれども、今のこのお願いベースの法体系というものがそもそもどうなんだろうかと。飲食店さんに対しては、応じる、応じない、これはあくまでも自由ですねと。例えば病床確保でも同様なことがいえるかと思います。
このお願いベースの在り方、これはインフルエンザ特措法も含めてなんですけれども、これ一見すると、応じる、応じないって自由ですよと、一見すれば民主主義的なんですけれども、今お話をしたように、様々な不条理だとか不公正というものを生じさせてしまっている側面もあろうかと思います。
このインフルエンザ特措法も含めて、今の国のコロナ対策に関わる法体系ということについて、ある程度強制力が働き得るものに変えていくということについて要請をした経緯があるのかどうか、こういったこともまずお伺いしたいと思います。
○高田危機管理調整担当部長 これまでのコロナへの対応におきまして、要請に基づく行動制限など、現行の特措法の課題も改めて浮き彫りになっていると思います。全国知事会におきましても、特措法の改正の検討について要望をしているところでございます。
緊急事態宣言下等における都民の行動変容などにつきましては、特措法の在り方も含め、国民的な幅広い議論が必要でございまして、都としてはその動向を注視してまいります。
○藤井(と)委員 東京も含めて首都圏は新型コロナウイルスの陽性者が多いという地域でもありますので、その現場を預かる東京都としての意見をしっかり国に主張していっていただきたいなというふうに思います。
総務局は、特措法に基づいて施設に対する規制というか要請をしていくと、具体的にいろいろ様々線引きをしていくというような立場だと思うんですが、私、この間、議員活動をする中で一番いただいたのは、このゴールデンウイークに行いました映画館、美術館、博物館といった、こういった施設については、さすがに休業要請をするというのはやり過ぎなんじゃないかと。もちろん人流抑制をする、そして感染対策を行う、こういう趣旨は分かるけれども、例えば映画だったら二時間なり静かに画面を見ると、美術館、博物館であれば作品を見るという行為まで含めて、これは全く感染リスクがないとはいいませんけれども、こういった常識的に考えて僅少と思われるリスクの機会までも考慮して、そういった行動の自主的な制限をかけてしまうというような在り方というのはいかがなものなんだろうかというような声もいただいてまいりました。
先ほど申し上げましたけど、第六波を招かないというのが一番よいことなんですが、もし今後、規制、施設に対する様々な要請と、こういうものをかけていく上では、やっぱり必要最小限にしていただくという視点も大切なのかなというふうに思うわけでございますけれども、こういった過去の、このゴールデンウイークのこういった施設等に対する要請も含めて、どのように評価をされておられるのかお伺いをしたいと思います。
○高田危機管理調整担当部長 本年の大型連休前の四月下旬は、新規感染者数の増加が続き、感染力の強い変異株の割合も急速に増加するなど大変厳しい状況でございましたことから、徹底した人流抑制が必要であるとの認識の下、国の基本的対処方針に基づき、四月二十五日から五月十一日まで、大型商業施設や映画館等に対しまして休業要請を行いました。
こうした取組を行った結果、四月の下旬には一・二程度まで上昇していた実効再生産数は、五月中旬には一を下回る水準まで低下しており、休業要請をはじめとした人流抑制策は効果があったものと認識しております。
○藤井(と)委員 振り返りますと、知事は最初は、この三密という、これ流行語にもなったわけでありますが、三密の回避といっていたわけでありまして、それが目的ですと。その手段として人流抑制があるということだったはずなんですが、いつの間にか人流抑制自体が何かもう目的のようになってしまって、結果としては、映画館へ行かないでください、美術館へ行かないでくださいみたいに私はなってしまったというような側面もあろうかと思います。
私は、ある意味で、我々の常識というんですかね、そういったものをやっぱり超えてしまうような、施設に対するそういった要請というものも行われてしまったかのような印象も受けておりますので、ぜひ総務局がインフルエンザ特措法に基づく、具体的にどういう施設に対して要請をかけていくかということを判断されていかれると思いますので、ぜひこれまでの一年半の取組というものもしっかり評価を、総括をされまして、今後の施策に生かしていただきたいということを申し上げまして、次の項目の質疑に移らせていただきたいと思います。
次に、帰宅困難者対策についてお伺いをいたします。
帰宅困難者、首都直下型地震の際に最大で五百十七万人という方が出るのではないかというような形でも推計をされているわけであります。そのうち、職場などの行き場を失うと見込まれる人数が九十二万人にも上るといわれております。
現在、この帰宅困難者となった方を受け入れるための一時滞在施設については、そのうちどの程度カバーをしているのか、公共施設、民間施設の内訳も含めましてご答弁をいただきたいと思います。
○高島防災対策担当部長 都は、都立施設をはじめ区市町村とも連携しながら、民間企業等の協力を得まして、行き場のない帰宅困難者、約九十二万人の安全確保のため、一時滞在施設の確保に取り組んでおります。
令和三年七月現在の確保数は約四十四万五千人分で、九十二万人に対する割合は約四八%となっております。このうち都立施設等の公共施設は約二十万四千人分、オフィスビルなどの民間施設は約二十四万一千人分となっております。
○藤井(と)委員 都立施設、区立施設などの公共施設と民間施設の割合が大体半々というような状況であるという答弁であったと思います。
都立、区立、市区町村の施設についてはおおむね一時滞在施設になっていただいているということでございますので、今後の伸び代ということでいいますと、民間の施設、ビルのオーナーさんなんかもご協力をいただくということが非常に大切になってまいるわけであります。
その際、やはりビルのオーナーさんなんかからご指摘をいただく点は、やっぱり一時滞在施設になりましたと、よかれと思ってなったけれども、仮に余震等が起こったときに、避難をされてこられた方、受け入れた方がけがをされてしまうと、こういうときに民法上の損害賠償責任を負ってしまうということなのでなかなか応じられない、二の足を踏んでしまうと、こんな声もいただいているところでございます。
この点、ぜひ東京都として課題をクリアしていただきたいというふうに思っているわけでございますが、これは二〇一八年の二月に公表された都における帰宅困難者に関する検討会議の報告書の中では、民間施設に損害賠償責任が及ばない免責の仕組みづくりの必要性というものに言及をされています。
一方で、東京都としては独自の補償を見送ったというような経緯があると伺っております。それはどのような判断からそのような経緯があったのか、判断をされたのかお伺いをしたいと思います。
○高島防災対策担当部長 民法では、施設の安全管理が原因で他人に損害が生じた場合には、施設の管理者または所有者がその損害を賠償する責任を負う旨規定されております。
このため、民間一時滞在施設において、発災時に余震等で施設が損壊したことなどにより、受け入れた帰宅困難者がけがなどをした場合には、施設側が民法に基づく損害賠償責任を負うリスクがあります。
これまで様々な検討を行ってまいりましたが、この問題は東京のみならず全国的な課題でありますことから、法改正による全国共通の制度の創設が必要であると考えておりまして、都は、発災時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度の創設に向け、国に対して法改正を実施するよう提案要求を行ってきております。
○藤井(と)委員 今ご答弁ありましたとおり、第一義的には国の判断なり責任だということだと思います。私もその点は承知をしているわけでありますけれども、一方では、民法改正というのはなかなか時間もかかる話でもありますし、この帰宅困難と首都直下型地震、三十年で七〇%の可能性で起こるといわれている中に、やっぱり東京がぜひ意欲的な取組をしていただいて、国に働きかけていくというのはやっていただきたいんですけれども、国がやらないならやっぱり東京都がやるというような気概で、ぜひこの問題は解決に向かって検討していただきたいということを申し上げたいと思います。
次に、十月の七日の夜、首都圏を襲った震度五の地震に関連をいたしましてお伺いをいたします。
幸いなことに、若干の帰宅困難者が発生をしたのみで済んだということであります。都内におきましては四か所で一時滞在施設が開設をされたということでございます。これは東京都が要請をされたというふうに理解をしているわけでありますけれども、これはどのような基準で要請をするというような、するしないというような判断をされたのか。
また、この聞き及ぶところでは、四区の中の港区さんでは、地震の発生から五時間たっての設置であったということでございまして、対応としては、いろいろ現場で事情があったということは拝察をするわけでございますけれども、スピーディーな対応とは必ずしもいえなかったのかなというふうにも思うわけでございますけれども、この辺の都の判断なり基準なりということがどのように決まっているのかお伺いをしたいと思います。
○高島防災対策担当部長 都は、東京都帰宅困難者対策条例に基づき、大規模地震等の発生により多数の帰宅困難者が生じるおそれがある場合などには、区市町村、事業者、その他関係機関と連携協力し、一斉帰宅の抑制など必要な措置を講じることとしております。
今回の地震は、夜間に発生したことなどから多数の帰宅困難者が発生するおそれは少なかったものの、一部のターミナル駅周辺で帰宅を急ぐタクシー待ちの長い列などが発生したため、滞留者の安全確保を図るための受入施設開設を地元区に要請いたしました。
その結果、自主的に開設した区を含む四区におきまして、滞留者を受け入れるための施設が開設されました。
○藤井(と)委員 今回は事なきを得たというか、そんなに極めて大きな影響があったというわけではありませんでしたのでよかったわけでありますけれども、今後やっぱり、地元のことはそれぞれの区なり市なりが分かっているわけでありまして、一方では、要請をしていくというのは東京都の総務局という中に責任の所在ということも出てきますし、どの基準でどういう判断をしていくかというのは、やっぱりこれ、最後協議というと、どっちが責任を負うかというようなことで、どうしても分からない部分も出てきてしまいますので、これは東京都が最終的に判断をするということでもございますので、これはもう、今回は軽微で済みましたけれども、大ごとにならないようにしっかりとこれは検討していっていただきたいなというふうに思います。
これは最後の質問なんですけれども、今回発災をしたのは夜遅く、深夜ということでありましたけれども、この深夜、早朝における対応ということについては様々な問題を浮き彫りにしたのかなというふうに思っています。
そもそも、一時滞在施設として指定を受けている民間施設というのは、営業時間内に限って協力をするというような協定が結ばれているということでございまして、電話なんかをしてもつながらなかったというような声も聞いているわけであります。
先ほどの九十二万人云々かんぬんというのは平日の昼間の想定ということでございまして、夜なり、あるいは早朝に起こった場合、この民間の施設が特に閉まっている時間帯に発生をした場合の開設できる施設なり収容人数、こういうものもしっかりと把握をしていくべきだというふうに思うわけでありますけれども、都としての見解をお伺いしたいと思います。
○高島防災対策担当部長 都が確保を目指している一時滞在施設の収容人数は、多数の帰宅困難者が発生するおそれのある昼間の時間帯に受け入れることを想定したものでありますが、今回の地震のように、一部の駅で発生したタクシー待ちなどの滞留者に関しましては、地震の発生時間のほか、天候や季節、公共交通機関の運行状況など、個別の状況を踏まえて適切に対応することが必要であります。
こうした事例も含め、都は、鉄道事業者や駅周辺企業、地元自治体等で構成される駅前滞留者対策協議会などを通じて、引き続き適切に取り組んでまいります。
○藤井(と)委員 いわゆるタイムライン別というか、早朝なり深夜における一時滞在施設の確保も含めて、帰宅困難者対策を改めて検討して深めていただきたいということを要望いたしまして、私からの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○平田委員 人権施策について質問させていただきたいと思います。既にほかの委員さんからも質問がございましたので、重複はなるべく避けてお伺いしたいと思います。
先ほど、東京二〇二〇大会に関する言及がありました。私は、多様性と調和を掲げた二〇二〇大会は大変成功であったと考えるものであります。
その多様性と調和を象徴する出来事がこの二〇二〇大会で幾つかありました。そのオリンピックの参加選手、一万一千二百五十九人のうち、多くの選手がLGBTQであると自ら公表したことは先ほど言及があったとおりでございます。前々回二〇一二年のロンドン大会のときは二十三人、前回二〇一六年のリオデジャネイロ大会では五十六人でしたが、今回は百八十人ということで、リオ大会の三倍以上になったと伺っております。性的指向や性自認といったものを受け入れて肯定することで自分らしく生きようとする選手が増えたことは、人権にとって重要な出来事であったというふうに考えます。
また、パラリンピックの参加選手は四千四百三名を数えました。これはパラリンピックとして過去最多であったと伺っています。障害を持たれている選手が目覚ましい活躍を遂げて、数多くの新記録を達成されました。私どもは、その姿を目の当たりにして深い感動を覚えたところであります。
オリンピック憲章にうたわれている、いかなる種類の差別も受けることなくというこのオリンピズムの根本原則をまさに実現した大会だったと改めて評価したいと思っております。
さて、いうまでもなく、人権問題は、オリンピック・パラリンピックの華やかな舞台に限った話ではなく、私ども都民の日常生活、職場、家庭、地域社会などなど、あらゆる場面において影響を及ぼす重要な課題であります。
今後、東京を魅力ある国際都市として世界の人々を引きつけていくためにも、人それぞれの違いを当たり前のものとして受け入れ、誰もが個性や持ち味を発揮する社会を構築しなければなりません。人間の尊厳、存在そのものを守る人権施策をあらゆる角度から推進することが求められていると考えます。
そこで伺いますけれども、これまで東京都が人権施策にどう取り組んできたのか、直近の状況を中心に改めてご説明をいただきたいと思います。
○吉村人権部長 都はこれまでも、人権施策推進指針において、多様性を尊重し、そこから生じる様々な違いに寛容な東京などを基本理念に掲げ、あらゆる人の人権が尊重される都市を目指して様々な人権施策を展開してまいりました。
平成三十年十月には、東京二〇二〇大会の開催都市として、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を広く都民に浸透させていくため、人権尊重条例を制定し、多様な性の理解の推進や、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組を積極的に進めてまいりました。
また、令和二年三月には、犯罪被害者等が受けた被害の回復や生活の再建を図るとともに、犯罪被害者等を社会全体で支え、誰もが安心して暮らすことができる社会の実現に寄与するため、犯罪被害者等支援条例を制定し、様々な支援を実施してまいりました。
今後とも、人権尊重の理念のより一層の浸透に向け、庁内各局はもとより、区市町村や民間団体など様々な主体と連携しながら人権施策を展開してまいります。
○平田委員 様々な取組をご説明いただきまして、今後の意気込みについてもお話しいただきました。
しかし、現実には、差別や虐待、各種のハラスメントなど、依然として様々な形で都民の人権が侵害されたり、あるいは侵害されるおそれがある状況があります。
特に、昨年に端を発した新型コロナウイルス感染症によりまして、ウイルスに感染した方や現場で治療に当たられた医療従事者に対して差別的な言葉や取扱いが一部で見られたなど、新たな差別が生じていることは誠に遺憾であって、あってはならないと思っております。差別は、いつどこでどのように生じるか分からないことに加えて、様々な悩みを抱える都民の不安を解消していくためには、いつでも相談できる仕組みが構築されていることが重要だと考えます。
そこで伺いますが、人権侵害に関する東京都の相談体制がどうなっているのか、改めて説明をいただきたいと思います。
○吉村人権部長 都では、相談者に対する助言等を通じて様々な人権問題の解決を図るため、総合的な人権相談と専門相談の窓口を整備しております。
総合的な人権相談については、東京都人権プラザにおいて人権問題全般に関する電話や面接による一般相談を実施するほか、弁護士が対応する法律相談を実施しております。
さらに、専門相談として、インターネットにおける人権侵害に関する法律相談や、性自認及び性的指向に関する専門電話相談などを実施しているほか、令和三年四月には、新型コロナウイルス感染症に係る人権問題に対応する専門の電話相談を設置するなど、様々な人権侵害に対し相談体制を整備しております。
○平田委員 相談体制につきまして、様々なチャンネルを設けて体制を構築されていることを評価したいと思います。
一方で、相談というのは差別が起こってしまった後の対策であります。起きてしまった差別を解消することや原因を探っていくことはもちろん重要ですが、もっと重要なことは、繰り返しになりますけれども、人はそれぞれ違っていて当たり前であるということを一人一人が当然の前提として理解することであります。
今後とも、差別に対する対策や制度を拡充させていくことはもちろん必要ですが、しかし、もっと必要なことは、無理解からの差別や偏見をなくすことであります。成熟した魅力ある都市として東京を発展させていくためには、この取組が絶対に不可欠であるということを改めて強調したいと思います。
今後とも、人権に対する正しい知識を広めていくこと、人権の意義や価値、そして人権に配慮した態度や行動の大切さを社会の共通認識として醸成していくよう強く求めたいと思います。
そこで、ただいま申し述べたようなことを取り組むに当たりまして、人権尊重の意識を広く浸透させていくために、今後東京都はどのように取り組んでいくのかご説明いただきたいと思います。
○吉村人権部長 都はこれまでも、人権施策推進指針等に基づき、都民一人一人が様々な人権課題を正しく理解し、人権尊重の意識が日常的な行動や態度に表れるよう、多様な手法を取り入れて人権啓発に取り組んでまいりました。
具体的には、大型啓発イベントであるヒューマンライツ・フェスタ東京を様々な主体と連携して開催するとともに、人権週間におけるテレビCMの放映や、「みんなの人権」をはじめとする啓発冊子等の作成、配布などを実施しております。
また、各種の人権課題に関する啓発動画も作成し、東京動画やユーチューブの東京都人権部チャンネル等での配信に加え、SNSも活用し、幅広い年齢層の都民への啓発に努めております。
さらに、東京都人権プラザにおいては、人権課題に関する都民講座をオンラインも活用して開催するとともに、タイムリーな企画展示や障害者の意見を取り入れて開発した製品の展示など、幅広い視点での啓発を実施しております。
今後とも、人権尊重意識が社会全体に広く浸透するよう、効果的な啓発に取り組んでまいります。
○平田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
私は個人的には、人権意識には世代による世代間のギャップが一定程度存在するのではないかなと考えております。男女共同参画ですとか、あるいはインクルーシブといった様々な人権概念が広く共有される中で生まれ育った今の若い世代と、私のようなそれよりも上の世代とが混在することに起因する課題もあるのではないかなというふうに考えております。
伝統的な価値観の中には、尊重するべき内容もあります。一方で、昔の考え、昔の手法に捉われているだけでは社会の進展がないことはいうまでもございません。
令和の時代に生きる都民が、かつて多く存在したような、いかなる種類の差別も受けずに社会生活を営めるよう、東京都として引き続き総力を挙げて取り組んでいただきますよう強く要望いたしまして、質疑を終わります。ありがとうございました。
○藤井(あ)委員 総務局への事務事業質疑を行います。
まず最初に、私たち都民ファーストの会東京都議団が提案をして実現しました東京都生活応援事業−コロナに負けない!−についてお伺いをいたします。
この事業は、いわゆるキャッシュレス、デジタル地域振興券等といわれるものでありまして、非接触でこの衛生的なキャッシュレス決済というものはコロナ禍に適した決済手段であり、都としても強力に推進していくべきであります。
本事業は、区市町村のキャッシュレスによるポイント還元などの取組への補助金を交付するものでありまして、本則、つまり原則はデジタルのみ、特例的に紙、商品券を併用する場合でも、二分の一以上はデジタル分で実施することでキャッシュレス決済の活用を促進していくスキームになっております。
私の地元である町田市でも、今年の六月にこの事業を活用したキャンペーンが行われまして、多くの市民の方がこのキャッシュレス決済を利用して買物をしておりまして、非常に喜びの声というか、使いましたという声、たくさんいただきました。非常に評判がよかったと思っております。
この東京都生活応援事業について、これまでの区市町村への交付決定の状況について伺います。
○山田都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務 東京都生活応援事業では、これまで今年の五月と七月の二回、交付決定を行っており、計四十一団体が事業を活用しております。
内訳としては、デジタルのみが三十二団体、デジタルと紙商品券の併用が九団体となっております。また、十二月初旬をめどに最終となる三回目の交付決定を行う予定となっております。
既に本事業を実施した団体からは、還元率が高くお得に買物ができたという住民の声や、本事業をきっかけに新規のお客様が増えたという店舗の声が寄せられていると伺っております。
○藤井(あ)委員 ご答弁の中で、既に都内の約三分の二に当たる四十一の区市町村で交付決定がなされており、次回の交付決定も間もなくこの十二月に行われるということであります。しっかりと多くの自治体に取り組んでいただきまして、しっかりとその恩恵を都民の皆様に届けていただきたいと思います。本事業をきっかけにキャッシュレス決済が一段と進んでいくことを期待しております。
一方で、今ご答弁にありましたとおり、デジタルと紙商品券との併用を選択した区市町村が九団体あるとのことであります。区市町村にはそれぞれ事情があると思いますが、都が区市町村に対して丁寧なサポートを行いまして、このキャッシュレス決済の普及を図っていくべきだと考えます。
本事業で、デジタルと紙商品券の併用を選択した団体のその理由と、そのような団体に対するこれまでの都の取組をお伺いいたします。あわせて、今回得たこの知見を今後に生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○山田都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務 デジタルと紙商品券を併用する団体からは、高齢者への対応や店舗の実施体制が十分ではないなど、地域それぞれのご事情をお伺いしております。
一方、キャッシュレス決済の推進のためには、区市町村の取組により一人でも多くの方々に実際に利用していただき、その利便性を実感してもらうことが重要でございます。
そのため都は、区市町村の担当者を対象に、オンラインの勉強会や情報共有等を目的としたコミュニティサイトを通じて、キャッシュレス決済のメリットや先行事例などの情報提供等を行うなど、キャッシュレス決済を活用した事業を初めて行う団体においても円滑に事業が実施できるよう支援してまいりました。
今回の事業で得られた知見やノウハウは、今後キャッシュレス決済を推進していくに当たって参考となるものであり、庁内各局や区市町村に提供して共有を図ってまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
自治体の皆様からも、東京都がしっかりと支援をしていったであったりとか、あと、なかなかご採用いただけないようなところもありながらも、ご支援は様々していたというようなお話も伺っているところでありまして、このキャッシュレス決済、時代に合った決済手段でありまして、今後も都が一丸となって推進していくべきだと考えております。
実は私、このキャッシュレスというか、いわゆるフィンテックという業界で働いていたこともありまして、あの当時だと、キャッシュレスの比率というのはたしか一五、二〇%行かないぐらいだったと思います。今多分、三〇前後超えているぐらいになっていて、そして、東京都は未来の東京戦略の中でも、二〇二五年に五〇%、それは国を上回る目標を掲げておりますし、国際金融都市東京構想、先日発表されたものですが、こちらにおいては二〇三〇年に八〇%というさらに高い目標値も掲げているところであります。
今回、この事業を通して、初めてこういったキャッシュレス決済を使ったという都民の方々、またその関連する方々もいらっしゃると思いますし、引き続きこういったこのキャッシュレスの決済、丁寧に各局であったり各自治体に支援をしていただいて、しっかりと広げていっていただきたいと思います。
続きまして、人権施策についてお伺いをいたします。
さきの第三回定例会におきまして、第二回ですかね、小池知事より、都においてもパートナーシップ制度を検討していく方針が示されまして、我が会派がこれまで求めてまいりました都民や当事者を対象とした実態調査を行うとの答弁もございました。
私は、当事者団体との意見交換を経て要望をいただきまして、二〇一九年九月十二日の総務委員会での東京都性自認及び性的指向に関する基本計画、この素案に対する質疑におきまして、大阪や名古屋市等の先行する統計的に有意な大規模調査を例に、こういったことも検討していくべきだという提案をさせていただきました。その後の会派の予算要望や、代表質問等でもこれを提案してきたところであります。
実態調査のこの実施状況について、都民や当事者の方々に対し、どのような目的を持ち、どのような項目で調査を行っているのか、お伺いいたします。
○上野人権企画調整担当部長 実態調査については、性的マイノリティー当事者を含む都民から、性的指向や性自認など多様な性に関する認識などを幅広く把握するため、十月中旬から調査を開始しております。
都民に対しては、性自認や性的指向、LGBTといった言葉の認知度や、性的マイノリティーの方に対する支援として必要と考える施策について質問をしております。
また、当事者の方々に対しては、生活上の困りごとや行政に求める支援策など、当事者の立場からの具体的な意見が把握できるよう、質問項目を設定して調査を実施しております。
今後は、調査結果を早期に取りまとめ、都としての同性パートナーシップ制度の在り方を検討する際の一助として活用してまいります。
○藤井(あ)委員 実態調査としまして、当事者への実態調査と都民への認知度等を確認をしているということであります。この調査結果を早期に取りまとめまして、充実したパートナーシップ制度の構築につなげていただきたいと要望させていただきます。
また、先日の第三回定例会の私たちの代表質問では、ファミリーシップ制度の提案もさせていただきました。
ファミリーシップ制度というのは、今、議論になっているこのパートナーシップ制度、こちらは二人の間でのお話ですが、そのほかに家族として暮らしている子供、未成年等がいるときに、子供も含む家族の関係を届け出てもらった場合に併せて証明する制度になっておりまして、明石市など先行事例がありまして、都もそういったところにヒアリングをしているという話も聞いているところです。
ファミリーシップ制度について、先行自治体の事例など情報収集することが必要と考えますが、見解を伺います。
○上野人権企画調整担当部長 都では現在、同性パートナーシップ制度の在り方を検討していく中で、ファミリーシップ制度の課題などについても把握、整理を行っており、先行して実施している自治体の事例について情報収集を実施しております。
具体的には、本年一月に全国で最初に導入した明石市に話を伺い、制度の趣旨や活用が想定される場面のほか、実際に制度を利用した件数の実績などについて聞いております。
本制度を導入する自治体はまだ限られておりますが、今後も他自治体の事例について情報収集を行ってまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。先行自治体等、様々なところも研究、情報収集をしていただいて、このファミリーシップ制度についてもしっかりとご検討をお願いいたします。
また、先日の第三回定例会で、私の一般質問では、Famieeさんという民間のパートナーシップ証明書を発行している団体のアプリも紹介をさせていただきました。アプリやシステムについても聞き取りというか、ヒアリングをしているというふうに聞いております。
その第三回、一般質問の中でも、アウティングの懸念等もあり、窓口に行かなくても証明書の発行ができるアプリやシステムの構築なども併せて検討するように求めてきましたが、都の見解をお伺いいたします。
○上野人権企画調整担当部長 同性パートナーシップ制度を導入している自治体におきまして、当事者同士が窓口に赴くことで性的マイノリティーのパートナーであることが周囲に伝わり、そこから本人の意思と関係なく第三者に伝わってしまう、いわゆるアウティングに当事者の方が不安になるという声があることを聞いており、当事者のそうした不安に寄り添い、配慮を行うことは必要と考えております。
システムの活用については、当事者の方のアウティング防止策になるなど利点がある一方、情報セキュリティの観点など課題もあると認識しており、今後、同性パートナーシップ制度の在り方の中で総合的に検討してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。システムのご検討もされている、アウティング防止等の利点がある一方で、情報セキュリティ等、また多分個人情報等の取扱い等もだと思うんですが、検討しなきゃいけない課題があるということもご答弁をいただきました。これはしっかりと前向きにご検討をお願いしたいと思います。
私、そのFamieeさんから話をお伺いしているんですが、こういったアプリ化、システム化するメリットというのは、もちろんアウティングの対応というのもあるんですが、様々な面でメリットがあるという話を聞いております。
一方で、やはりその現行の様々な自治体にあるこのパートナーシップ制度の課題として一つあるのが、例えば、企業でこのパートナーシップ制度を使って何か福利厚生を認めるとかのときに、自治体ごとにフォーマットが全然違うため、企業としてどれがどこまで対応しているのか、どこまで証明しているものなのかというのが分かりにくいといったようなお話であったり、また、今のパートナーシップ制度では基本的には自治体、そこに住んでいる人が対象となっておりますので、ほかに引っ越してしまったりとか、引っ越してこなきゃいけないとか、そういった課題があり、当事者からすると、住んでいるところにあまり関係なく、別々に住んでいるようなケース、別々の自治体に住んでいるようなケースもありますので、そういったところを解決する仕組みとしても、このシステム、アプリを使うということはメリットがあるというふうに聞いております。
たしか国立市だったと思うんですが、通勤通学者のこういったパートナーシップ制度のようなことも検討しているというふうに認識をしておりまして、東京都がこのパートナーシップ制度を導入する意義というのは非常に大きい、全国的にもインパクトのあるものだと思っております。これはぜひ急いで導入してもらいたいと思う一方で、さらにその内容を充実させていただきたいと思います。
都としても、様々、今挙げたような課題を踏まえた上で、しっかりと制度をご検討いただきまして、当事者の方に寄り添った、そして他の自治体の参考となる、国の議論もリードするような、そういった取組を進めていただきたいと要望させていただきます。
続きまして、犯罪被害者支援についてお伺いいたします。
東京都犯罪被害者支援条例は、二〇一九年二月のこの総務委員会での趣旨採択されました陳情を受けて、その後、私たちの代表質問で小池知事がこの犯罪被害者等支援条例の制定を表明されたことを受けてつくられたものというふうに認識をしております。
この間、この条例の制定と同時に、被害者等からのニーズが高かった経済的支援策であります法律相談費用助成、そして転居費用助成、見舞金給付、これは私たちも提案をしてまいりましたが、犯罪被害者等支援を都は充実させてきたところだと認識をしております。
この法律相談費用助成、そして転居費用助成、見舞金の令和二年度の実績と、令和三年度から開始しました弁護士費用助成の実績を確認させてください。あわせて、制度を利用した方からどのような声が寄せられているのかお伺いいたします。
○吉村人権部長 都は、都民が犯罪被害に遭ったことで生じる経済的負担を軽減するため、弁護士による法律相談費用や被害者が転居する場合の費用に対する助成のほか、重傷病を負った被害者等に対する見舞金などの支援を実施しております。
令和二年度の実績は、四月から開始した法律相談費用助成については九十六件、転居費用助成は十五件、十月から開始した見舞金給付は十五件となりました。令和三年度はさらに制度の周知が進み、二年度を大幅に上回る実績を上げる見込みでございます。
制度を利用した被害者等からは、犯罪被害に遭ってつらい思いをしたが、行政の支援があり、ありがたい、転居費用助成があったので転居について前向きに考えることができたなどの声をいただいております。
本年七月からは、刑事裁判に被害者が参加する際の弁護士費用を対象とした助成制度を都道府県として初めて開始いたしました。犯罪発生から裁判の開始まで時間がかかることから、現時点での支援の実績はまだありませんが、弁護士会や検察等の関係機関と連携し、制度の周知を図ってまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。各種支援策について着実に実績を増やしている、令和二年度と比べても、現時点でその数字を上回っていて、大幅に上回る実績を上げるというところであります。
また、当事者の方々からも様々お声をいただいていて、転居費用助成があったので転居について考えることができたであったりとかというところでありまして、これは非常にやっぱり、こういうものがあるということを知ってもらうことが多分利用にさらにつながっていくのかなと思いますので、先ほどご答弁にありましたとおり、関係機関等とさらに連携して、こういった支援策の周知、しっかりと進めていただきたいと思います。
また、犯罪被害者支援等に関連をしまして、ちょっと幾つか要望させていただきます。
性犯罪被害者へのサポートは非常に重要でありまして、東京都もこれまで取り組んできているところと認識をしております。
先日公表されました来年度の予算要求を見ると、ワンストップ支援センターにおける性犯罪被害者支援コーディネーターを配置するなど、体制の強化を検討しているということですが、さらなる充実を求めさせていただきます。
また、この分野というか、犯罪被害者の支援の団体等、様々ございまして、行政よりも活発に活動していると思います。こういったところへの支援をしっかりしていっていただきたいと思います。このコロナ禍で、行政もですが、こういった団体も少しやはり活動ができていないというふうに思いますので、アフターコロナを見据えて、犯罪被害者支援団体との連携を進めていただきますように要望させていただきます。
また、人権施策に関連して一つだけ付け加えさせていただきます。こちらの事業概要をもらっています人権啓発センター、この昨年度など、コロナ禍で様々なセミナー等をオンラインでライブ配信しているということでありまして、中身を拝見させていただきました。基本的にはアーカイブを残しているところではあるようですが、講師等の希望があって残せないものもあるということですが、こういったセミナー等、人権の啓発という意味では非常に重要だと思いますので、ぜひできる限りこういったアーカイブ等を残せるような対応を進めていただきたいと思います。
続きまして、話は変わりまして、政策連携団体についてお伺いをいたします。政策連携団体のデジタル化、デジタルトランスフォーメーションについてお伺いさせていただきます。
今年四月にデジタルファースト条例が施行されまして、政策連携団体においても、条例の趣旨にのっとり、申請、届出、その他の手続に関してデジタル化を推進するための必要な措置を講ずるよう努めるものとされております。
こうした中、五月に策定されました経営改革プランでは、団体のデジタルトランスフォーメーションの推進を図っていくということであると認識をしておりますが、団体間の取組に大きな差異が生じない必要があると考えております。総務局の対応を伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 都民サービスの最前線を担う政策連携団体のデジタルトランスフォーメーション、DX推進は、都民の利便性向上につながる重要な取組と認識しております。
そのため、本年五月の東京都政策連携団体経営改革プラン、二〇二一年度から二〇二三年度の策定に当たりましては、各団体に対し、DX推進に向けた戦略の重点的な検討を促し、その結果、団体の経営目標として、先端技術活用によるコンテンツの配信など先進的な取組が掲げられております。
加えて、全団体における今年度末までの共通戦略といたしまして、いわゆる五つのレスにつきましては、おおむね都と同水準の取組となるよう目標設定を行うこととし、申請等の電子化など、手続のデジタル化につきましても団体へ求めております。
同プランに掲げたこれらのDX推進に向けた取組につきまして、各局及び外部有識者とも連携の上、適切な進捗管理や助言等を行ってまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ご答弁の中で、手続等のデジタル化については、このプラン、五つのレスと手続のデジタル化については共通戦略としてしっかりと対応するように求めているということであります。
さらに、デジタル化に関してはプランに入れ込んで着実に実行しているというところと、あとは先端的な事例というものも取り扱っているというところで、デジタルトランスフォーメーションというからには、単なるデジタル化ではなくて、そこを活用して自分たちの事業をさらにブラッシュアップして、都民の皆様にきちんと利益を感じていただくということは非常に重要だと思っておりますので、しっかりと政策連携団体のこの事業のデジタルトランスフォーメーション、各局と一緒になって、総務局としてもご支援をいただきますようにお願いをいたします。
昨年度の私の事務事業質疑におきまして、政策連携団体のデジタルトランスフォーメーションに向けた取組状況について質疑をしたところ、様々であり、対応に苦慮する団体を支援するための民間の専門家を講師とした勉強会を実施する等の答弁がございました。
継続的なノウハウの向上というのが不可欠と考えておりますが、総務局の支援状況についてお伺いいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 昨年度十二月に実施いたしました団体の経営層等を対象としたウェブ形式による勉強会では、DXに関する最新の状況のほか、民間事業者における課題解決事例等を紹介し、団体及び所管局から計百名を超える職員の参加がございました。
今年度は、都が実施する都庁デジタルセミナーへ、新たに九月から政策連携団体の全ての職員を参加可能とし、これまで三回のセミナーに対し延べ約百十名の団体職員からの参加申込みがございました。
都庁デジタルセミナーへの参加希望者を引き続き募ることに加えまして、DX研修をはじめとした都の取組につきまして、今後、その内容を団体職員に広く共有するなど積極的に支援してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。勉強会等を実施していただいて、多くの方にご参加いただいているということでありました。
加えて、都庁の中でもここ数年というか、ここ一、二年だと思うんですが、こういったデジタルトランスフォーメーション、DXに関する教材、オンラインの教材等も増えてきているというふうに思いますので、そういったものもぜひ積極的に人事部だったりとかデジタルサービス局と連携をしていただきまして、積極的に政策連携団体が使えるようにご共有いただければと思います。ぜひこちらもご検討をお願いいたします。
続いて、政策連携団体の今後の在り方についてお伺いをいたします。
基本的には、やはり民間にできることについては民間に任せていくのがいいと考えておりまして、見直しをするものに関しては見直しをしていくという方向が重要であると考えております。
ここ数年の都の政策連携団体の増減等を見ても、数としては一定になっておりますが、その中で統廃合を含め取り組んでいるということが分かります。
一方で、デジタルトランスフォーメーション、このデジタルの分野においては、そういったところを推進するための政策連携団体を設立して、都庁を中心に区市町村やほかの団体等を支援させるということも考えられるのではないかと思っておりますが、団体のこの新設や統廃合など、その在り方に関する都の見解についてお伺いをさせていただきます。
○小野グループ経営戦略担当部長 都庁グループの一員である政策連携団体は、都が掲げる政策実現の担い手として不可欠な存在でございます。
都が直面する課題に的確に対応していくためには、都の施策の在り方や社会情勢の変化に応じて、各政策連携団体が担うべき役割や機能等について常に見直しを行っていくことが必要であり、都はこれまでも、団体の統廃合、新設、機能強化を実施してまいりました。
今後も、社会情勢の変化を踏まえながら、継続的に政策連携団体の在り方を見直してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。今後も社会情勢の変化を踏まえて、また各局からの提案なども踏まえてだと思うんですが、団体の在り方を継続的に見直していくというご答弁をいただきました。引き続きのご検討をお願いいたします。
最後になりますが、伊豆諸島で確認をされております軽石の対応について伺おうと思っていたんですが、質問としては同じになってしまいますので、ちょっと要望等だけ述べさせていただきます。
この八月に小笠原諸島付近で噴火をして、そして十月に奄美、沖縄でその軽石が発見をされまして、沖縄県では全庁的なその対策会議の設置も準備されているということであります。
ここ数日は、伊豆諸島五島、伊豆大島、神津島、三宅島、御蔵島、式根島にこの軽石の流入が確認されていると報道もされておりまして、先手を打った一刻も早い対応が必要であるというところであります。
ご答弁の中で、様々ご対応されているということでありますので、しっかりと進めていただきたいということと、また様々な予測によりますと、今週末であったりとか、十一月下旬にはまた大量のものが届くんじゃないかということがありますので、しっかりと関係機関とも連携しまして、島民の皆様の経済や生活への不安を払拭できるように先手、先手で取り組んでいただきたいと要望させていただきます。
以上で私の事務事業質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時五十六分散会
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