委員長 | 鈴木あきまさ君 |
副委員長 | 福島りえこ君 |
副委員長 | まつば多美子君 |
理事 | あかねがくぼかよ子君 |
理事 | 川松真一朗君 |
理事 | 藤井とものり君 |
森澤 恭子君 | |
平田みつよし君 | |
福手ゆう子君 | |
慶野 信一君 | |
西崎つばさ君 | |
原 のり子君 | |
早坂 義弘君 | |
藤井あきら君 |
欠席委員 一名
出席説明員デジタルサービス局 | 局長 | 寺崎 久明君 |
次長 | 久我 英男君 | |
総務部長 | 有金 浩一君 | |
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 斎藤 圭司君 | |
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 | 水落 祐二君 | |
戦略部長 | 深井 稔君 | |
サービス開発担当部長 | 荻原 聡君 | |
デジタル改革担当部長 | 巻嶋 國雄君 | |
デジタルサービス推進部長 | 土村 武史君 | |
データ利活用担当部長 | 高橋 葉夏君 | |
ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 | 芹沢 孝明君 | |
ネットワーク整備担当部長 | 澤井 正明君 | |
デジタル基盤整備部長 | 新田見慎一君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 桃原慎一郎君 |
本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
デジタルサービス局関係
事務事業について(質疑)
○鈴木委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局及びデジタルサービス局の関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○桃原選挙管理委員会事務局長 去る九月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元の資料第1号、選挙出前授業・模擬選挙実施状況をお開きください。
1、学校でございますが、東京都選挙管理委員会及び区市町村選挙管理委員会が平成二十八年度から令和二年度までに実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実施校数及び参加人数を小学校、中学校、特別支援学校、高等学校の別にお示ししてございます。
2、施設でございますが、東京都選挙管理委員会が平成二十九年度及び令和元年度に実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実施数及び参加人数をお示ししてございます。
次に、お手元の資料第2号、当選証書への通称付記の状況をお開きください。
当選証書への通称付記につきまして、区市町村選挙管理委員会及び東京都選挙管理委員会の状況をお示ししてございます。
よろしくお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○藤井(あ)委員 選挙管理委員会への事務事業質疑を行わせていただきます。
最初に、投票率の向上に向けた取組についてお伺いをいたします。
コロナ禍で政治に対する関心というのは、これまで以上に高まっていることと思います。一方で、先般、我々が当選をさせていただきました七月五日の東京都議会議員選挙、こちら投票率が四二・三九%ということで、過去二番目の低さであったところでありまして、国政選挙でも大体毎回五〇%を超えるか超えないか程度でありまして、半数の国民が投票していないという状況で、この投票率を上げるということは非常に重要だというふうに考えております。
何がこの投票率に影響を与えるのかということに関しましては、様々議論がありまして、都選管の方でもしっかりと議論を深めていただきたいと思うところであります。
一方で、今回の都議選においても、これまでの選挙同様、若年層の投票率が低いという傾向が明らかになっているところであります。SNSやインターネットメディア等を活用して、選挙時に集中的に投票の呼びかけをしていくということ自体、これは重要であると考えますが、日頃から若年層に対して、政治や選挙への関心を醸成するということが重要だと考えます。
そこでまず、今回の都議選の結果を踏まえて、若年層の低投票率について、どう分析しているのかお伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 本年七月に執行した都議選におきましては、十八歳の投票率は全年代平均とほぼ同様でございましたが、十九歳以降投票率が低下をいたしまして、二十歳代前半が最低となっております。ほかの直近の選挙におきましても十九歳以降、投票率が低下する傾向は同様でございます。
このような傾向となる主な要因は、総務省の主権者教育の推進に関する有識者会議の中でも指摘をされておりますが、高校卒業後に主権者教育や投票の呼びかけの機会が減少することであるとか、住民票を移動していないため、現住所で投票できないなどが挙げられております。
特に、高校卒業後の若年層に対しまして、いかに幅広く主権者教育を行うかが課題であると認識をしております。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。今のご答弁の中で、十八歳の投票率というのは全年代の平均とほぼ同じで、それが十九歳になると急激に下がってしまって、二十歳前半というのが最低になって、また時間がたつにつれてちょっとずつ上がっていって、四十代とか五十代とかになると、上がるというような傾向があるということをご答弁いただきました。今ご答弁いただきましたように、これは多分十八歳のときというのは、学校に在籍をしていて、そこで投票の機会であったりとか教育であったりとか、様々なものがあるのに比べて、卒業してしまうと大学等の新入生のガイダンスで一部案内が配られるぐらいで、政治学などを専攻する一部の学生以外というのは、あまり投票であったりとか政治といったことに触れる機会がなくなってしまうというのが実情ではないかと思います。
また、都選管の事業を確認させていただきましても、様々若者向けの常時の啓発等を行っていただいているところではありますが、それがどこまで届いているのかといったところは、なかなか分かりにくいのが今の現状かと思っております。
そして、先ほどありましたこの都議選の中で、十八歳と十九歳の投票の差というものを見ますと、約一〇ポイントも差があるということであります。この高校までの啓発の充実に加えて、卒業後の啓発をどうしていくのかというのは、考えていく必要があると考えております。
そこで、高校卒業後の啓発について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 高校を卒業した大学生や専門学校生に対しまして、どのような取組が考えられるか、若者を中心として投票の啓発などを行っている団体や有識者、専門学校等の関連団体等にヒアリングを実施いたしました。
例えば、若者向けの啓発団体からは、政治や投票に関心を持ってもらうためには、同世代からの呼びかけが有効であるとか、関心のある社会問題、自分なりの争点を持つことが重要であるなどのご意見をいただいております。
また、有識者からは、一般的に年齢を重ね、社会との接点を持つにつれまして、政治関心や政治意識が高まり投票率が上がることから、いかに若者に社会や行政との接点を実感してもらうかまで遡った対策が必要であるとか、関心のない学生等が受講するきっかけとなるフックが必要であるなど、意見をいただいております。
このようなヒアリング結果から、現在、自分の関心のある政策テーマなどを検討するプログラムであるとか、投開票実務の舞台裏など、選挙に関する雑学を動画配信するなどの取組を検討しております。
○藤井(あ)委員 今ご答弁の中にありました各関連団体のヒアリングの中で、同世代からの呼びかけが重要であるとか、自分なりの争点をどう持つかということがこの投票につながるんではないかという、大変貴重なご意見をいただいているかと思います。
このコロナ禍で、政治であったり行政の動きというものが、生活に影響を与えているんだということを痛感した方が大変多いと思います。その思いをこの投票行動にどうつなげていただくかというところ、今後非常に大きな課題になってくると思います。
今まさに衆議院議員選挙中でありますが、この中では、様々な若者に向けた啓発の動きというものが見えてきております。
例えばボイスアクションという、若者に認知の高い芸能人などの方々が投票向上のためのユーチューブの動画等を使って、私たち投票に行きますといったような呼びかけをしていたり、NO YOUTH NO JAPANさんという団体のインスタグラム等を使って、若者にもすごく分かりやすく、投票をそもそもどういうふうにするんだであったりとか、どういったところにポイントがあるんだとか、そういったことが分かりやすいイラストなどでまとまっていて、呼びかけが大分前よりも増えてきたなというのを感じております。
また、これ各種メディアでも、今、政策を十個とか二十個とか選ぶと、自分の傾向と各政党であったりとか候補者との政策の一致具合を見てくれるようなものが各メディアで出ておりまして、大分そういったものも増えてきたかなと思っております。
ちょっと蛇足ですが、こういった取組、我々の仲間でありました前都議の鈴木邦和都議が日本で初めてそういったマッチングの、政策と候補者、政党とのマッチングのサイトというのをつくったのが多分今から十年とか前だと思うんですけれども、それが今広がっているという状況であるというふうに認識をしております。
今ご答弁にありました啓発団体など、こういった若い人たちのアイデアを取り込むということは、若者の投票率向上という長年の課題を解決する糸口になるものだと期待をしております。ぜひ今後も意見交換を続けていただき、取組の検討をしていただきたいと思います。
一方で、政治や選挙への関心度を上げるという効果がどれだけあったかを定量的に把握して、改善していくということが非常に重要であります。この点について、どのような工夫を検討しているのか伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 より効果的な啓発を行っていくためには、事業の対象となる若年層の意識や反応を捉え、次の事業展開に反映させるなど、PDCAサイクルを適切に運営していくことが重要であると考えております。
このため、啓発プログラムに、効果検証に必要なデータの収集や分析を容易にする仕組みを取り入れられないか、デジタルサービス局等と連携しながら検討を進めております。
○藤井(あ)委員 今ご答弁の中で、効果検証に必要なデータ収集や分析を容易にする仕組みをご検討されるということでありまして、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、EBPMともいいますが、そういったデータをしっかりと集めてエビデンス、証拠に基づいて政策をつくっていくということは、非常に重要だと考えております。
今、経済学ではそういった効果検証であったりとか、また因果関係、何が政策の要因となったかみたいなところを分析するのがかなり進んでおりまして、今年のノーベル経済学賞は自然実験ということで、例えば地域によって条件が自然に分かれたものの中で、どういった要因がいろんな施策に影響を与えたかというようなことを分析していたり、二〇一九年にはランダム化比較試験というRCTといわれている実験環境をつくって、その中で行動がどう変容したかというところを見ていく、そういったような仕組みも出てきております。
こういった経済的な知見を生かす各様々な組織や企業というものが出てきておりまして、例えば慶應大学の先生などが中心となっている株式会社エコノミクスデザインであったり、東京大学のエコノミックコンサルティング株式会社や、また同じく、これも東京大学のマーケットデザイン研究所等というものが出てきておりまして、そういったデータを、特に因果関係、どういう効果があったかといったところを分析するのに活用するということも増えてきておりますので、ぜひそういったところに相談してみたりとか、データを取り始める前から、そういった仕組みというか仕掛けを考えていくことが重要だと思いますので、ぜひそういったことも相談して、効果検証することも検討いただきたいと思います。
これまでも高校などに出向いて、出前授業や模擬選挙等に取り組んできたかと思いますが、これらの取組に加えて、高校を卒業した若年層をターゲットにした新たな取組の可能性に期待をしております。
次に、インターネット投票についてお伺いをさせていただきます。
インターネット投票は、日頃からスマートフォンになれ親しんでいる若年層の投票、参加を促す有効な手段になる可能性があると考えております。
現在、総務省では、海外に住む日本人の投票環境を向上させるため、在外選挙への導入を見据えて実証実験を行うなどの制度設計を検討しております。
制度設計は、総務省の仕事でありまして、また実際に導入するに当たっては、国会での議論が必要であるということは理解をしておりますが、都選管としても、若年層の投票率アップや投票弱者の環境整備等につながるインターネット投票について、導入に向けた課題等を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 インターネット投票につきましては、お話のございました総務省の実証実験に都選管といたしましても参加をしておりまして、プロトタイプの投票システムによりまして投票、本人確認、開票集計などのそれぞれのオペレーションについての確認をいたしております。
インターネット投票を本格的に導入するに当たりましては、一般的なシステムの安定性、セキュリティの確保に加えまして、なりすましや二重投票を防ぐ確実な本人確認、区市町村選管が管理をしている名簿システムとの連携、投票内容の秘密の保持、そして、不正集計を防止するための検証可能性の確保など、選挙管理独自の課題を克服する必要がございます。
このため、海外の動向であるとか導入の効果、課題等につきまして知見を高めるため、関東甲信越にございます選挙管理委員会との合同で、研修を今年度行う予定としております。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ご答弁、やはり国の法律の改正であったりとかが必要ということで、なかなか都選管だけでできることというのも限られているとは思うんですが、様々準備をしていただいている、いろいろ備えていただいて、海外の事例も含めて見ているということでありまして、ぜひ、法律が変わればすぐ動けるであったりとか、何か実証実験的に取り組んでみるであったりとか、そういったことができればいいかなと思っております。できるように期待をしております。
加えて、現在オール都庁でデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいるところでありまして、都選管としても、積極的にこのデジタル技術を活用していただきまして、都政のQOS、そして都民の生活の質を高める。そして、例えば今お話のありましたインターネット投票といったようなものをすることによって、投票率の向上につなげて取り組んでいただきたいと申し上げまして、私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○慶野委員 先般行われました私たちの都議会議員選挙の投票率は、前回四年前の九ポイント低下した四二・三九%という投票率でありました。
立候補する、公職の候補者になろうとする私たちの、都民、有権者への、都政への関心が高まる、そうした訴えが行き届かなかった面も多分にあると思います。この四年間の私たちの取組がある意味評価をされた、もしくは評価をされなかったために低下したという要因も、少なからずあると思います。
一方で、都選管におきましては、選挙を執行するという立場から、投票率の向上に向けた様々な取組を行ってきていると思いますけれども、選管として今回の都議選の投票率について、結果について、どのように分析をされたのか見解を求めます。
○桃原選挙管理委員会事務局長 年代別の推定投票率を見ますと、前回、平成二十九年に執行した都議選に比較いたしまして、三十歳代以上において、年齢が高いほど投票率が下がる傾向がございまして、七十歳代では一六・〇六ポイントの低下が見られております。今回の投票率を押し下げた大きな要因となっております。
昨年の都知事選後に行った世論調査におきましては、年齢層が高くなるほど新型コロナウイルス感染症の感染を懸念して投票を見送られた割合が高くなっておりまして、今回の都議選におきましても同様の要因と考えております。
また、若年層の投票率は、前回の都議選に比べまして大きな変化はございませんでしたが、依然として他の年齢層に比べて低い状態でございまして、このことも全体の投票率が低かった要因と受け止めてございます。
○慶野委員 ありがとうございます。今、大変重要なご答弁いただきまして、年代ごとの投票率の傾向というのは、押しなべてそれぞれの選挙でも同じような傾向に出るわけですけれども、今、分析結果をお示しいただきましたように、七十歳代で一六・〇六ポイント低下したことが全体としての投票率、低投票率になった大きな要因。そして、その要因の原因は何かといえば、いわずもがな、これはコロナ禍の選挙であったと。ご高齢の方であればあるほど、投票所に足を運ぶのがためらいがあった、そういうことになるかと思います。
選挙の投票日、最終日というか投票日というのは、やはり天候の要因もありますし、今回でいえばこうしたコロナ禍で行われた選挙ですから、都選管はもとより、私たち議員がこうした中で選挙を行うに当たって、ご高齢者への配慮を、どういうふうに手を尽くした上で選挙当日を迎えるべきだったのかというのは、やはり議員の側としても課題が残ると思います。
なぜかといえば、様々なデータを見れば、最も投票率が高いだろうこのご高齢者の世代が、一六%もある意味減少する、棄権するというような状況になったわけで、これは、世論を正確に示し出した選挙結果にならなかったのではないかという懸念すら持たれても仕方ありません。こうしたご高齢の方々が皆、本来であれば、投票所に行っていれば当然議会構成は大きく変わっていた可能性もありますし、つまりそれは、都民サービスや防災、減災対策といった経済対策も含めて都民生活に大きな影響を及ぼすことになってしまいます。
ですから、選管におかれましても、また我々議会側といたしましても、選挙は議員が、公職の候補者が、いいたいことだけをいって投票にお願いするというよりは、しっかりとその環境を固めた上で、どういう状況にあっても、天候やご本人の体調、もしくは居住地の移動、それから今回のようなコロナの状況、こういうこと何があっても、やはり民意を正確に反映させるという仕組みが、構築が待たれているのかもしれません。
これ以上の確認は一旦やめて次に進みますけれども、こうした中で、外的要因によって投票率が年代によって乱高下があって、そして、議会構成が変わることで、都民サービスが低下するようなことは避けなければいけないと締めくくらせていただきます。
そして、こうしたコロナの中で、もちろん皆さんは手をこまねいていたわけではないと思います。感染防止対策について都議選での取組、そして既に公示されております衆議院選での現在の取組を確認させてください。
○桃原選挙管理委員会事務局長 都選管におきましては、昨年度から区市町村の選管に対しまして、選挙ごとに投票所、開票所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを策定いたしまして周知を図っているほか、必要な物品の購入に伴う経費、混雑緩和につながる期日前投票所の設置に係る経費を支援しております。
また、都議選におきましては、アルコール消毒液や飛沫防止シートの設置、記載台や鉛筆等の消毒など、投票所で行っております感染防止対策を動画で配信するなど、PRを強化いたしております。
今月末に行われる衆院選におきましては、これらの対策に加えまして、投票所、期日前投票所の混雑状況の発信にも重点的に取り組むよう区市町村選管に働きかけをしております。
これらの取組を通じまして、有権者の方々の不安解消に努めてまいります。
○慶野委員 ありがとうございます。投票を呼びかける啓発の車が各区市で盛んに走っていたりしますけれども、投票所は感染拡大防止にしっかり取り組んでいるということも、もう少し積極的に周知をして、お一人お一人の一票一票が、まして今回は衆議院選挙が行われておりますので、世の中を変えていく重大な権利であるということを、棄権をしないようなそういう啓発をお願いしたいと思います。
時間の関係で質問だけ。若年層に向けた投票、この啓発について都議選でどのような取組があったのか。また衆議院選、併せてどのような取組を行っているのか確認します。
○桃原選挙管理委員会事務局長 投票率の低い傾向にございます若年層に向けた啓発につきましては、若年層が利用するメディアと受け入れやすいコンテンツの活用が重要と考えております。
今回の都議選におきましては、若年層に人気のある女優である浜辺美波さんをイメージキャラクターに据え、スマートフォンのゲームアプリ、SNS、ウェブなどで動画等配信をいたしております。
このほか、人気ユーチューバーのねおさん、デーブ・スペクターさんによる対談の動画配信であるとか、ノンノ、メンズノンノの専属モデルと有識者による対談のウェブ配信といった新たな取組も実施をしております。
衆院選におきましては、国が啓発事業の中心ではございますが、都選管におきましても、国の作成したコンテンツを活用した広告配信を行うほか、都独自の動画広告、ウェブ上での記事広告など、若年層に向けた啓発に力を入れてまいります。
○慶野委員 若者の投票を促していくというのは、これは繰り返しになりますが、当然、公職の候補者となる私たちの責任が最も大きいということは変わりないわけですけれども、一方で、情報発信をしていただいているということですが、若者は各種SNS、インターネット、様々な媒体を用いて、情報というのは真実なのかフェイクなのかは別として、情報はある意味あふれ返っている。情報はあるけれども、投票することになかなかつながらない。この原因はいろんなことがあると思います。ここでは追及し切れませんけれども。
制度の面でいえば、社会学者の西田亮介さんがこんなふうにいっております。日本の若者の低投票率、これを考えたときに、国際比較の際には制度の違いに目を向けるべきだと。オーストラリアやシンガポールなど、選挙の義務的性質が強い国がある。投票率が高い国はこういうことだと。これらの国では、投票に行かなければ罰金や公民権停止などの罰則がある。それに対して、アメリカやイギリス、フランスなど、こうした義務的な選挙制度になっていない国では、日本よりも決して高い投票率になっていない。つまりこれは、日本における若者の低投票率というより、日本だけの問題ではなくて、今挙げたようなアメリカ、イギリス、フランスも同じように、自由を重んじる国はこういうふうになりがちだと。日本は権利的な性質、極めて強い。一人一人の権利を尊重するあまりに、投票に行かないことすらそれも権利であると。罪悪感を抱きにくく、投票に行かないことが既成事実化していることも考えられる。
そして、引用が長くなると申し訳ないので、一つだけ、もう一点ご紹介すると、被選挙権年齢の引下げも必要ではないだろうかと、こんな提案もしております。選挙権が十八歳からというふうになっているのに、被選挙権は選挙によって違いますが、それよりも高い年齢でしか被選挙権はない。この地方議会にあっては、行政とその干渉する我々議会とやっているわけですけれども、もちろん行政の側、皆さんの側は、高卒、大卒、ある意味では十八歳でも二十歳でも二十二歳でも、いろんな職員の方がいるにもかかわらず、それを監視するのは、十九歳や二十歳では監視する議員にはなれないというような、この西田亮介社会学者の提案です。
要は、私たちにはまだ関係のない世界なんだという発想が生まれているのかもしれないという提案です。選挙権と同じ年齢の十八歳に下げるようなそうした議論も、若者を含めて行っていくべきではないかと、こんな提案をされている先生もいらっしゃいました。
最後になりますけれども、公明、適正な選挙について、様々事実の確認をさせていただきたいと思います。
今この場での発言が正しいかどうかちょっと分からないんですが、今、衆議院選挙の真っ最中で、私も地元、いろんな形で歩いております。
昨日たまたま私どもの、重ねて申し訳ない、私たちの話で申し訳ないんですが、私たちが法律にのっとった表記の下で法定のビラ、マニフェストをある場所で配っておりました。そうしたら、某党の運動員の方々がそうした準備が何もなく、看板を掲げた上でビラをまいておりました。お声がけして、何を配っているんですかといったら、機関紙の宣伝活動ですとおっしゃったので、それを見せてもらいました。今日持ってきたわけではありませんけれども、機関紙の宣伝をしているといってそのビラを見たら、比例は共産党へというビラをまいているんですね。旗もないし腕章もつけていないし、この選挙期間中に、新聞の宣伝だといっているのに比例投票を呼びかけるような、もう公然と選挙違反を堂々とやっている。違反じゃないといい張るので、警察呼びますよといって通報したら、警察の到着までの数分すら待たずにそそくさと逃げ帰ったという、こういう事例がありましたけれども、これ事実確認をさせてください。
これは、東京の北区議会での出来事ですけれども、六月六日、JR赤羽駅前で、当時都議会議員選挙が目前と迫った六月六日です。共産党予定候補者といえば正しいでしょうか、当時はまだ選挙の前ですから。予定候補者がたすき、ご自身のお名前の入ったたすきをかけて、選挙運動とおぼしき活動をされておりました。この点を北区議会で、我が党の議員が問いただしたところ、日本共産党議員団と書かれた赤いたすきをしていたのであり、全区で、全ての区で展開していると強弁されたそうです。そこで私たちは、ある証拠を提出いたしました。それはご自身が得意げに自分の名前が入ったたすき、名前入りのたすきを着用して街頭演説をする様子がツイッターに残っておりましたので、それを見せたところ、釈明をしたいということで、公党としてのルールはきちんと守った活動をしなくてはいけないと、反省の弁を述べたそうであります。
事実確認ですが、東京都選挙管理委員会では、昨年十二月二十三日、令和三年任期満了による都議会議員選挙に係る公職の候補者等の政治活動用ポスター等の取扱いについてという文書を各政党に向けて配布したそうであります。注意喚起を行ったとのことですが、平常時における政治活動用文書図画掲示の規制について、どのような内容を記載していたものなのか確認させてください。
○桃原選挙管理委員会事務局長 現職の方を含みます公職の候補者等またはその後援団体の政治活動用文書図画の掲示につきましては、平常時におきましても、公職選挙法の規定で掲示できる文書図画を除いて掲示できないものと規制されていることから、お話の文書におきまして、改めて注意喚起を実施いたしました。
本文書には、公職の候補者等が個人の政治活動のために、公職の候補者等の氏名等を記載したたすきの着用や、街頭演説の際に公職の候補者等の氏名等を記載した看板やのぼり等を掲示することはできない旨を記載しております。
○慶野委員 明確なご答弁、ご紹介でした。公職の候補者などの氏名を記載したたすきの着用、氏名などを記載した看板やのぼりの掲示をすることはできない。私、何度もこれ見ておりました。今日ご出席の委員の皆様も目にされたことがあると思います。
今日の質疑は、投票率、どのようにしっかりと都民の皆様に私たち議員を選んでいただくのか。そうした選挙の投票率、都民の気持ちをどのように正確に反映していくか。そのためには、ルールにのっとった公平、公正、公明な選挙が求められているという、この点がない状況で投票率、投票率といっても、私たち公職の候補となる人たちがいいかげんな違法行為を堂々と行う、開き直る、こういうことがあってはいけないんだと思います。
ところが、陳謝をしたこの北区議会において、九月十九日には、衆議院選小選挙区の東京十二区に今、正式に立候補された方ですけど、当時、予定候補者が選挙期間外にもかかわらず、名前入りのたすきを街頭演説で着用している様子が某党の機関紙に堂々と掲載されておりました。もはや法律違反、選挙違反なんていうそんなことすら関係なく、新聞にも掲載して、選挙運動、事前運動と捉えられる活動をしている。これは決して、ごめんなさいね、憎くていっているわけではありません。あくまで都民の民意を、国民の民意を正確に反映していかなければならないこの公職の選挙におきまして、やはり、今名前をずっと挙げてしまった某党にかかわらず、私たちはしっかりとルールを守って、その上で政策論争をする。都民、区民の声に耳を傾ける。課題解決に走っていく。そして、しっかりと議会の中で行政を監視していくチェック機能を果たしていく。こうしたことを我々が清潔に、公正、公平、公明な取組をしない限りは、やはり都民の関心は投票活動に向かないのではないかという気持ちを表しまして、質疑を終えさせていただきます。ありがとうございます。
○福手委員 よろしくお願いします。
十九日から総選挙が始まっています。有権者は、コロナ禍で政治と自分の暮らしが直結していると感じている方が増えていると私も実感しています。また、芸能人の方が今回の選挙に向けて、若者に投票を呼びかける動画が大きな反響を呼んでいます。
こういう若い人の間で起きている動き、とても重要だと思います。同時に、誰もが自分の思いや願いを実現するため、公正で誰もが平等にその意思表示ができる環境整備を行うことは重要だと思います。
このことを前提に、今回は特に障害者、高齢者の参政権の保障について質問をしていきます。
障害者や高齢者の参政権を保障することは必要であり、どんな状況にあっても主権者として、政治に自分の意思表示をすることは大切だと思います。このことについて都の認識を伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 障害者や高齢者の方々の参政権の保障のために、選挙におきましても、各種の制度が整備されているものと認識をいたしております。
○福手委員 参政権を保障するための制度が整備されているということでした。障害の違いや年齢、個人差などで、要望や困っていることはそれぞれ違います。また、高齢化によって、選挙や投票に関わる困難を抱える方は多くいらっしゃいます。一人一人の困難に応えて、それを取り除いていくことで参政権を保障していくことが国や都、市区町村に求められています。
これから具体的な質問をしていきます。
都選管が行ってきた出前授業や模擬投票は、過去五年で、昨年度はコロナの影響で実績減っていますけれども、小学校、中学校、高校、特別支援学校と、学校を中心に実績を増やしてきています。学校での取り組み方と同じスタンスで、社会福祉法人などの施設での実施を増やしていくことは大切だと思っています。社会福祉施設、例えばグループホームや作業所などでも要望があれば都選管でも対応できるのでしょうか。
また、市区町村で受けて実施しているところがあると思いますけれども、こういった実績を都が把握することは必要と思いますが、いかがですか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 出前授業や模擬投票は、社会福祉施設からの申込みにも対応しておりまして、都選管では令和元年度に一施設で実施をしたところでございます。
区市町村における社会福祉施設での実施状況につきましては、今後とも動向の把握に取り組んでまいります。
○福手委員 作業所やグループホームなどの施設から申込みがあれば、都選管でも出前授業や模擬投票などを対応しているということでした。市区町村選管の取組も把握していくということで、都も市区町村と連携して、福祉施設でもできるということをぜひ、ホームページなどでもアナウンスしていただいて、要望があれば積極的に受けて、取組を進めていただきたいと思います。
次に、特別支援学校などでの選挙に関する教育を行う中で、障害があることによる課題や、当事者から出される要望などあると思いますが、それをどのように把握をしているか。また、その把握した内容やその解決をどうやってやっているのか、取組を伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 特別支援学校などから申込みを受けた際には、障害や理解度などにつきまして、先方と事前に十分な意見交換を行い、授業内容や教材などを決定しております。
○福手委員 選管の方に事前に伺ったところでは、申込みを受けたとき、学校との意見交換で生徒の特性に合わせて、通常の授業時間だと長いので、短縮して三十分の授業を組み立てて行ったと、こういう取組はすごくいいと思うんですけれども、こういう具体的な取組をぜひ広く紹介しながら、申込みをする施設が一つでも増えるといいと思います。
次に、この間要望で上げています選挙公報など、選挙のお知らせの大活字版の個別配布について、これ検討をされてきたんでしょうか。
また、障害のある方が点字版と音声版、そして大活字版のどれがいいのか、有権者の一人一人のニーズを把握して、選挙のたびに要望しなくても、毎回の選挙で準備して送るというような対応ができるようにするべきと思いますが、いかがですか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 大活字版につきましては、より多くの障害者の方々にご覧いただけますよう、都内の区市町村選管や図書館、公共福祉施設などに配布を行っております。
なお、平成二十四年執行衆議院議員選挙、都知事選挙から、選挙公報のPDFデータを特設のサイトに掲載をしておりまして、そちらを拡大してご覧いただくことも可能となってございます。
点字版及び音声版につきましては、都内の区市町村選管や図書館、公共福祉施設などのほか、障害者団体や区市町村選管によりましては、希望する個人の方々にも配布をしております。さらに、音声版につきましては、都選管の特設ホームページに掲載をいたしております。
○福手委員 音声版や点字版は、個人のニーズに応えて個別配布をされるようになっていて、大活字版もやはり同じように必要だと、求められたときには対応できるようにする、これぜひやっていただきたいと思います。
大活字版が置いてあるところに行かないと、それを見られないというふうでは、やっぱり後から見返したいというときに、また出かけなくてはならないわけですし、時間的な余裕が持てなくなるということになるので、希望されたときに個別の対応できるように再度求めておきます。
また、市区町村選管が大活字版のPDFデータをどのように活用しているのか、これをぜひ把握していただきたいと思います。そして、今図書館などに置いてある大活字版を利用されている方に使い勝手など、ぜひ意見を聞いていただいたり、さらなる改善のための取組を求めておきます。必要とする方を把握したリストは、ぜひ次の選挙でも活用できるように、そういった検討も併せてお願いしたいと思います。
次に、視覚障害のある方から、特に体育館などの広い投票所は、会場の照明だけでは暗いということで、記載台に明るさを調整できる照明を置いてほしいという要望が出ています。これ改善をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 視覚障害を有する有権者の方から、投票所の記載台に明るさを調整できる照明器具を置いてほしいという要望が出ていることにつきましては、承知をしております。
今般の衆議院選挙におきましては、選挙前に開催をいたしました区市町村選管職員向け事務説明会におきまして、本件要望がある旨を伝え、対応を行うよう依頼をしたところでございます。
○福手委員 ありがとうございます。具体的に要望が出ていなくても、その他の会場で同様のケースがあると思うので、明るさ調整できる照明へ対応できるようにぜひ準備しておいてください。これ全体に進めていただきたいと思っています。
次に、視覚障害がある人が利用するガイドヘルパーは、利用できる時間と利用目的が制限されていて、投票のときに自由に利用できるガイドヘルパーの保障を求めています。
明石市や八尾市では、障害者の投票に行く際の移動支援を行っており、さらに明石市では、その利用料は全額免除としています。参政権を保障するために、都としても投票の移動支援をやるべきだと思いますが、いかがですか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 他県の市町村の事例につきましては承知をしておりませんが、同行支援につきましては、障害者総合支援法に定められた同行支援の制度の枠組みの中で検討されるべきものと考えてございます。
○福手委員 先ほど紹介をしました明石市では、二〇一九年七月から障害者の社会参加を一層促進するため、社会生活上必要不可欠な外出や余暇活動など、社会参加のための外出支援を行う移動支援事業に、選挙の投票を目的とした移動の支援でも利用できるよう、対象者の拡大、利用者負担の免除とした取扱いの変更を行っています。こういった取組を東京都でも、全ての自治体で取り組むことが望まれています。
答弁されましたように、障害者総合支援法の制度の枠内でとなると、実施自治体である市区町村間で支援するところと、またそうでないところとの格差が生じて、結果として参政権が保障されないことになるのは、やっぱり避けなければならないと思います。
また、月単位で制限されている利用時間も、投票に行く月は、その他で利用できる時間が減ってしまうという問題も出てしまいます。
参政権を保障するためには、都としても選挙の移動支援をどうするのかという検討が必要だと思います。求めておきます。
次に、最高裁判所裁判官国民審査法第十六条では、点字投票での裁判官の国民審査は、不信任の場合、その裁判官名を全て点字で書かねばならないというふうになっています。これは障害者のプライバシー権の侵害、また不自由なものであると考えますが、認識を伺います。
また、都として、国に法改正を求めることを要望しますが、伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 最高裁裁判官の国民審査におけます点字投票につきましては、他の道府県や政令指定都市の中にも改善が必要であると認識を持つ選管は多くございまして、これまでも、国会や総務省に法改正要望を行ってまいりました。
都選管といたしましても、昨年十二月に都道府県選挙管理委員会連合会を通じまして、国及び総務省に対して要望を提出すべく、関東甲信越静地区の選挙管理委員会と連携をして取り組んだところでございます。
○福手委員 障害者差別解消法に照らしても、この最高裁判所裁判官国民審査法十六条は、障害者に対して不当な差別的扱いをしているものだと思います。
先ほど答弁にあったように、都選管も昨年十二月から法改正の要望を提出する方向で取りまとめているということでした。今月十九日から始まった選挙でも、国民審査の投票が差別的な扱いのまま行われています。
今回の国民審査には間に合いませんでしたが、次の国民審査では改善しているよう、法改正の要望を最優先課題として早急に取り上げてもらうことを求めておきます。
次に、知的障害者や発達障害のある人が必要とする選挙における合理的配慮、投票するときの障害への対応が必要と考えますが、認識を伺います。
また、分かりやすい表現、漢字に振り仮名を振る、視覚による情報伝達支援などの具体的な支援が必要と考えますが、いかがですか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 知的障害や発達障害をお持ちの有権者の方々への投票機会の保障のため、合理的な配慮が必要であることは認識をしております。
都選管では、区市町村選管職員を対象といたしまして、東京都心身障害者福祉センターの協力を得まして、投票所での障害を有する方々への接遇研修を行い、様々な障害の特性や接遇のポイントなどについて説明を行ってございます。
また、話し言葉による意思の伝達が難しい有権者の方々の投票の際には、コミュニケーションボードを使用するなど、情報伝達の支援を実施いたしております。
○福手委員 知的障害や発達障害がある方は、慣れない場所や知らない人の前では緊張してしまいます。障害の特性などを含めて接遇研修を受けているということですが、投票所の係員や代理投票を担当する選管が、障害を持つ人の状況の認識を深めること、家族からその方の意思表示の仕方を聞き取るなど柔軟な対応が求められています。また、投票所での対応だけでなく、選挙に関わる様々な場面での情報の伝え方、支援の在り方をさらに検討することを求めます。
次に、特に高齢化により、投票に行きたくても行けない方への同行支援は、ボランティアで今行われていることが多いです。期日前投票の手続も支援が必要だと思います。積極的な周知や公的な直接的支援が必要と考えますが、いかがですか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 期日前投票の手順等の周知に当たりましては、特設ホームページにおきまして、分かりやすいQ&Aを掲載しているほか、区市町村の広報、投票所入場券への記載など連携をしながら取り組んで進めております。
○福手委員 総務省の管轄で行われている投票環境の向上方策等に関する研究会の平成二十八年九月の報告では、投票所に行けない人のために、郵便等投票の対象者拡大の検討を進める必要があるとあり、同時に投票所への移動支援の実施など、地域における創意工夫を行うことで、投票機会の確保を図ることは可能と報告しています。
自治体によっては、無料でバスやタクシーで送迎するところや、地方では期日前投票の期間中に投票できる車が地域を巡回する取組も既に行われています。投票所に行けないという理由で、有権者の権利を行使できないという問題について、都として検討することが必要だと思います。
次に、入院や介護施設などへの入所中の方で、投票に行きたくても行けないで諦める方がいらっしゃいます。施設利用者の期日前投票を取りまとめてできるように、指定施設に積極的に登録をするなど、医療機関や介護施設等に周知をして、投票への意識を高めてもらうための取組が必要と考えますが、いかがですか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 現行の法制下では、当日、投票所での投票が原則とされておりますが、不在者投票施設として指定を受けるためには、適正な管理執行ができる運営能力が必要とされておりまして、おおむね五十人以上とする施設の収容人員に関する要件のほか、投票場所や人員体制の確保なども求められてございます。
都選管といたしましては、これまでも各区市町村選管と緊密な連携を取りながら、不在者投票施設の指定を進めてきておりまして、引き続き指定事務に適切に取り組んでまいります。
○福手委員 自治体の指定施設であれば、施設内で投票ができるということを、ぜひ広く知らせていただきたいと思います。今、お話しされたように進めているということで、毎年指定施設は増加しているということでした。
ただ、実態では、意外と施設側がこういう制度があるということを知らない現状もあります。患者さんや施設利用者の方も、自分が入っている施設が投票できる施設かどうかということを知らなかったり、意識して自分から聞かないと、知らないまま過ごしてしまうという声も聞いています。
施設によって、先ほど答弁にあったように、例えば入院患者さんをおおむね五十人以上有する施設などといった要件が、選挙執行規程の十六条に書かれているということを教えていただきましたが、こういう要件、要綱、こういったことをやはり医療機関や施設に対して、こういう制度がそもそもあるよということと同時に、要件も併せてお知らせすることが必要だと私は思います。ぜひ、やっていただきたいと思います。
最後に、既に足立区や杉並区では、セクシャルマイノリティーの方に対する配慮として、投票所で有権者の本人確認をする際に、氏名読み上げを行わないことを決めて実施しています。個人の尊厳を保障するための大切な取組と考えますが、認識を伺います。
また、人権尊重条例を持つ都の選管として、この取組、全ての市区町村選管にやってもらうような通達を出したり、実施することを求めますが、いかがですか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 投票する際の本人の確認は、二重投票を防止する上で必要な手続ではございますが、その際に有権者の方々の人権に配慮した対応が必要なものと認識をしております。
都選管では、令和二年執行都知事選挙以降の選挙におきまして、区市町村選管向けの事務処理の手引で、投票所での本人確認におきまして、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の趣旨を踏まえ、有権者の方々の人権に配慮した対応を行うよう明記をいたしております。
○福手委員 日常生活の中で、自認する性別に基づく通称を使用されている方がいらっしゃいます。そういった方で、戸籍名で呼ばれることが心理的な抵抗があるという声もあります。プライバシーや人権を守るためには、やはりこういったところに丁寧に応えていくことが必要だと思います。
答弁では、人権に配慮した対応が必要という認識でしたので、既に期日前投票は始まっていますけれども、ぜひ全ての市区町村選管で氏名の読み上げでない方法を、ぜひ今回の選挙から実施していく、そういう検討をやっていただきたいと要望をしておきます。
今回は、特に障害者や高齢者の人たちについての質問をしましたが、やはり投票率を上げる、参政権を保障するという上では、今求められているのは、一人一人の困難な状況に応えながら投票権を保障し、願いが政治に反映される、そういった選管の取組を進めてもらうことが本当に重要だと思って、今日は質問をしました。ありがとうございました。
○西崎委員 では、よろしくお願いいたします。
これまでも公正な選挙の実施であるとか、投票率の向上等、非常に重要な議論があったところでありますけれども、私からは選挙啓発に関連をして、明るい選挙ポスターコンクールについて、まず伺います。
改めていうまでもありませんけれども、小中高の児童生徒に選挙への関心を高めてもらうため、明るい選挙推進のためのポスターを募集するというコンクールであります。私の地元の目黒区におきましては、予選みたいな扱いなんですかね、区内での入賞作品というものをカレンダーにして、公共施設の多くの場所で掲示をしておりまして、区民にとってもよく目にする、非常に身近な催しとなっております。
そもそも高校生だと投票権がある方もいらっしゃいますが、多くはまだ投票権のない、将来の有権者を対象にした取組ということで、非常に意義深いものであると思いますけれども、まず初めに伺いたいのは、このコンクールのテーマ、これは誰がどのように決めているのかを伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 明るい選挙ポスターコンクールは、公益財団法人明るい選挙推進協会、都道府県選挙管理委員会、区市町村選挙管理委員会などが主催をしております。テーマは明るい選挙推進協会が応募規定に定めておりまして、明るい選挙を呼びかけることを内容として、自由に表現するとされております。
都選管としては、この趣旨に投票率の向上を図る観点から投票参加の呼びかけを加え、投票参加を求めるもの、明るい選挙に関することを自由に描いてくださいとしていただいております。
○西崎委員 明るい選挙推進協会、これは全国的な組織の方だと思いますけれども、そこが定めた規定に、都選管として投票参加の呼びかけを加えて、テーマ設定をしているということであります。特段、別にこの立てつけに何か文句があるということではありません。
ただ、先ほども目黒区内、様々公共施設にカレンダーとして作品が並んでいるというものを目にしていて、毎年、入賞作品は当然変わりますので、様々な作品を見ていて思うんですけれども、あまりにも多くの作品に投票であるとか、一票というワードがですね、言葉があたかも必須項目のように載っているというのが少し気になる点でございます。
当然、選挙に関するポスターである以上、票という言葉を使うという、これが多くなるというのは避けられないし、それを別に悪いというつもりはありませんけれども、あまりにもテーマが投票行為に偏り過ぎているのではないかと感じるんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 テーマは投票だけでなく、明るい選挙を呼びかけることを自由に表現することといたしておりまして、投票、選挙及び政治参加を含めた自由で幅広い内容とさせていただいております。
将来の有権者でございます児童生徒に選挙への参加意識を高めるとともに、作品の制作に当たって、有権者に伝えたいキャッチコピーやイラスト、構図などを考えることを通じ、選挙やその背後にある民主主義について考える契機となることを意図しております。
○西崎委員 ありがとうございます。まさに今、後半部分でおっしゃっていただいたことが私の問題意識でありまして、選挙に行って投票するということは、民主主義のプロセスにおける一部分でしかないというふうに思っています。
今、その背後にある民主主義について考えるというようなお答えもいただきましたけれども、逆にいうと、あまりに一票を投じるということばかりが強調されると、裏を返すと、とにかく投票に行けばそれでいいんだということにもなりかねないという懸念があります。しかも、テーマに投票参加の呼びかけというのを加えているのは都選管だと、先ほどお答えをいただいたところでございます。
繰り返しになりますが、これは私見も交じった話でございますけれども、選挙というのは、いわゆる投票行為のみならず、そこに至るまでの過程であるとか、もしくはその後の関わりというのも非常に重要であると思っておりますが、少し大きな話になりますけれども、皆さんの方で選挙の本質というのをどう捉えて、こうしたコンクールにテーマ設定をされているのか、その部分について伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 投票参加することだけではなく、選挙に関することを幅広くテーマとすることによりまして、選挙とは、有権者が自らの意思を政治に反映させるための重要かつ基本的な機会であることを考えるきっかけとする、そうしたことを意図したものでございます。
○西崎委員 投票参加だけではなく、その意思を政治に反映させる基本的な機会であると。それを考える機会として、このコンクールを意図しているという答えでございました。
とはいえ、これは主観的な話なので、それぞれどうお感じになられるかは分かりませんけれども、目黒区の入賞作品のみならず、東京都で発表されている昨年の優秀作品等々も見ていると、やはりどうしても選挙に、投票であるとか、一票であるとか、投票箱が書いてあるとか、そういう作品がどうしても目につくというのが私の印象です。あくまで印象です。そうすると、現実には選挙イコール投票だという認識を多くの子供たちが持っちゃっているんじゃないかという、そういう懸念をしているところでございます。
これは、そのコンクールのみならず、選挙啓発全般にいえることだと思いますけれども、応募する生徒それぞれが選挙も含めて政治との関わり、自らの周りの様々な課題、それは学校であり、地域であり、そうした物事を考えて、そしてそれを解決する手段の一つとして、選挙に行くんだというような、先ほどおっしゃっていただいたような選挙の本質をしっかりと捉えていただくような、そうしたテーマ設定を柔軟にできるよう検討をしていただきたいなと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
○桃原選挙管理委員会事務局長 投票参加の呼びかけにとどまらず、選挙に関することを幅広くテーマとすることで、多種多様な作品の応募がございます。応募作品を見ますと、学年が上がるにつれて、投票そのものをイメージする投票箱から、政治参加の大切さを呼びかける内容など、作品の制作を通じて社会や政治への意識の広がりも見受けられるところでございます。
今後とも、作品の制作を通じて選挙の大切さ、政治等との関わりを考えるきっかけとなりますよう、工夫を凝らして応募を幅広く呼びかけてまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。今お答えにあったように、学年が上がるにつれ、意識の広がりが見られるというようなお答えもありまして、私もあまりそういった美術的といいますか、センスが不足をしておりますので、そういった目で、また入賞作品を見せていただきたいと思いますけれども、それはさておき、当然、選管事務局にとりましては、投票率の向上というのは、非常に大事なミッションであると思います。
一方でやはり、これまで申し上げてまいりましたような、投票先を決めるまでの学びであるとか、ないしは調査、調べ物であるとか、場合によっては周りの方と議論、ディスカッションを行うであるとか、今後、児童生徒それぞれが身近なものとして選挙を捉えられるような、ポスターコンクールだけに限った話ではありませんけれども、そうした工夫を持って、啓発に努めていただくということを期待しまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、衆院選、今ちょうど行われているところでありますけれども、今回の衆院選の話ではなくて、衆院選の小選挙区の区割りの見直しについて、少し伺ってまいりたいと思います。
いわゆる一票の格差の問題を受けて、小選挙区の区割りが大きく見直されようとしています。この間、国会及び政府では、二〇一六年関連法整備に伴いまして、昨年二〇二〇年に行われた国勢調査の結果に基づいて、都道府県別の定数配分を定めるということになっております。
昨年行われました国勢調査の結果、これが今年の六月二十五日に速報値が告示をされたということでありまして、法によると、一年以内に選挙区画定審議会による勧告が行われることになっているということです。来年の六月二十五日までに勧告が出ると、そんなスケジュール感になっています。
ちなみに、この速報値に基づくと、東京都においては定数が五増える見込みとなっていると。これは広く報道もされているところなので、皆様ご存じのことかと思います。
こうしたルートによって、現在、国の方の画定審議会における検討が進められているところでありますけれども、衆議院選挙区画定審議会設置法第八条には、審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができるとあります。
そこで伺いますけれども、同法の八条に基づきまして、これまで何らかの協力が求められたということはあるのでしょうか。また、あるとすれば、ここに意見の開陳とありますけれども、何らかの意見を開陳したということはあるのでしょうか、伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 現時点では、特に協力を求められるということはございません。
○西崎委員 今のところ、協力を求められているところはないと、今後のお話になるのかなというところでございます。
考えてみると、一票の格差の問題というのは、やはり特に、ここ東京でこの一票の重さが軽いということが問題になっておりまして、これについては、きちんとした改善策を取られるということを期待するものでございます。
一方で、暫定措置といいますか、取られました二〇一七年の変更においては、これは私の地元であります目黒区も、小選挙区で行政区が分割をされるということになりまして、およそ三分の一が東京七区になったというようなことがございました。
この東京七区というのは、合計で五つの行政区にまたがるというような現象が起きておりまして、これはまさに小選挙区の区割りによって、選挙事務を実施する東京都はもちろんのこと、現場に当たる区市町村、ひいては、そもそもの有権者の皆様に必要以上の混乱を招きかねないという懸念もあります。
これがまさに来年勧告が出され、今後改定に向かっていくということでありますが、それに当たって今後見込まれる勧告及び改定で、大きな変更が予想される東京都だからこそ、同法八条に基づく協力が、今後あるのかないのか分かりませんが、今回の見直しに当たりましては、できる限り混乱の少ない画定を求めていくべきだと思いますが、所見を伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 平成二十八年に成立いたしました衆院選挙制度改革法におきましては、令和二年度国勢調査に基づいた人口比で定数を増減させるアダムズ方式で定数配分を行うこととされてございます。
本年六月二十五日に令和二年国勢調査人口速報値が官報告示をされまして、その後、政府の衆議院議員選挙区画定審議会での議論を経て、一年以内に内閣総理大臣に勧告が出され、勧告を基に新たな議席の配分や区割りを確定する法改正がなされる見込みとなってございます。
そのような過程におきまして、法律の所管官庁たる総務省から、関係自治体へのヒアリング等が行われることも想定されておりまして、都選管といたしましては、区市町村選管と緊密な連携を図ってまいります。
○西崎委員 今後、ヒアリング等が行われることも想定をされるというようなお答えもございました。本当に、先ほど申し上げた、さきの区割りの見直しについても、相当地元も含め、自治体側も混乱といいますか、かなり大変な思いを、この過渡期というさなかでありますからしています。
ぜひ、そうした区市町村等の意見を丁寧に聞いていただいて、国に意見をしっかりとお伝えいただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○森澤委員 私からはまず、選挙における旧姓の通称使用についてお伺いをいたします。
昨年七月、総務省からの通知により、選挙において告示における住所は市区町村まで、旧姓の通称申請があった場合には、戸籍の謄本または抄本を確認すれば本名に代わるものとして広く通用しているものであることの証明書類を求めることなく、通称認定していいことになったということは重要です。
二〇一七年の選挙では、私も旧姓を使用していますので、旧姓で書いたはがき、宛先があるはがき、メディアの掲載、資格の証書を出して、そしてその上、面談をした上で旧姓が認定されたという経緯がありますので、今回戸籍の謄本、抄本だけでよかったというのは、すごく女性の政治参画を進めていく上でも大きな通知だったというふうに認識をしております。
一方で、当選証書については戸籍名が大きく表記されることとなり、また住所の記載もあります。今後、当選証書についても通称のみの記載とすること、あるいは住所の記載についても告示に倣うなどの検討をすべきと考えますが、見解を伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 令和二年九月十五日付の総務省通知におきましては、当選証書は当選人としての身分を公証するものであるため、本名を記載することとされており、当選人から申出があった場合には、追加情報として通称を付記することもできるという趣旨でございました。
当選証書が当選人の身分を公証する公文書としての性格を有することからも、本名を記載することを原則とする現在の取扱いを変更することは難しいものと考えておりまして、住所の記載につきましても、同様と考えております。
○森澤委員 公文書としての性格を有することから、現在の取扱いを変更することは難しいという認識は分かりました。通称を付記できるということは大事なのでありますが、以前も申し上げたんですが、せめて旧姓である通称を主とすることを検討いただきたいというふうに思います。
そして、本日提出されている要求書類を見ましても、通称付記自体が当面予定がないということが二十区市町村あるということでして、これも働きかけて、しっかりと通称が付記されるということも進めていただきたいというふうに思います。
この通称の問題というのは、結局は選択的夫婦別姓制度が実現するということが一番の解決策であるというふうに感じますので、引き続き選択的夫婦別姓の実現に向けて、私も声を大にして訴えていきたいというふうに考えております。
次に、投票済証による投票率向上の取組についてお伺いをいたします。
投票済証を見せると、割引などサービスが受けられる選挙割があります。民間の団体を中心に商店街や飲食店などが独自に取り組んでいます。もちろん、投票率向上に対する根本的な解決策ではないものの、若者をはじめ、これまで選挙に行っていなかった層が投票に行くきっかけになるのであれば、それ自体は有意義な取組なのだと思います。
そこでまず、この根拠となる都内では、何自治体が投票済証を発行しているのか、お伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 令和元年九月に行いました調査によりますと、都内では五十六の自治体が投票済証を発行してございます。
○森澤委員 都内では九割の自治体が投票済証を発行しているということが分かりました。
一方で、投票済証の発行については、公職選挙法では規定がないということですが、都としての見解をお伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 ご指摘のとおり、公職選挙法上では投票済証の発行に関する明文の規定はございません。ただ、特段禁止する規定も存在しないことから、区市町村が地域の実情に応じまして発行することが可能であるものと考えてございます。
○森澤委員 区市町村が地域の実情に応じて発行することは可能ということでした。都は、若者のワクチン接種促進のため、接種済証を活用して、今度LINEを使ってクーポン券やポイントを付与するという取組を始めますが、接種率を上げていくということと投票率を上げていくこと、若干違うといえば違うんですが、同じように若者の投票率向上のために、民間を巻き込んだ取組がもっともっと行われてもよいのではないかと考えます。
主体的に都が何かをするということは難しいかもしれませんが、今後、投票済証を活用した投票率向上の取組が、都内全域で広がるよう後押しをしていただきたいと思います。
次に、多様な人たちの声を反映していく政治参画を進めていく中で、LGBTQ、性的マイノリティーの方々が投票しやすい環境づくりをしていくことも重要です。
そういった中で、一つ、投票所入場券の性別記載の有無は大きな要素です。性的マイノリティーの方々の中には記載があること自体や、先ほどもありましたけれども、投票所での本人確認で嫌な思いをするケースがあると聞きます。そういったことを恐れ、投票に足を運ぶことをちゅうちょしてしまうといったような声もあります。
まず、都内自治体において、投票所入場券について、性別の記載がある自治体とない自治体はそれぞれ幾つあるのか、お伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 投票所入場券への性別の記載につきましては、現在、性別の記載がある自治体は五団体、ない自治体が五十七団体となってございます。
○森澤委員 まだ記載がある自治体が五団体あるということでした。五十七団体はなくしているということであれば、必要ないと理解します。性的マイノリティーの皆さんへの配慮、人権尊重という観点からも、残りの五団体についても、ぜひ東京都から性別記載をなくす方向で声をかけていただきたいと要望いたします。
先ほど申し上げましたとおり、性的マイノリティーの方々にとって、投票所での本人確認がアウティングになるおそれがあり、投票に行くことをちゅうちょするという声があります。そういった性的マイノリティーの方々への投票所における配慮について周知をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 投票所の運営を担います区市町村選管の多くが、投票所入場券につきまして、そもそも性別欄を設けないようにすることや、性別欄を設けるといたしましても、性別を明示せずにアスタリスクであるとか数字などで性別を識別するような工夫を行っているところでございます。
○森澤委員 ちょっと、多分、質問と答弁がかみ合っていなかったように感じるんですが、周知についてお伺いをしております。
○桃原選挙管理委員会事務局長 失礼いたしました。
ただいま申し上げたように、区市町村の選管の中でも多くの取組がございますので、そうしたことについて都選管としても周知を図ってまいりたいと存じます。
○森澤委員 まさに今、衆議院議員選挙が行われていますが、ただ投票事務としてこなすのではなくて、投票所にいるスタッフ一人一人の理解であるとか配慮、そして態度というものが重要になってきます。
性的マイノリティーの方々の人権に配慮した対応が各投票所の隅々まで行き渡るよう、周知、そして徹底をしていただきたいと要望し、私の質問を終わります。
○あかねがくぼ委員 私の方からは、選挙関連の書類、こちらのペーパーレス化について伺ってまいります。
今年は都議会議員選挙の年でありました。その際、改めて書類提出などで行政の手続の要るところ、本当に電子化が遅れているなと実感をしていたところでございます。インターネットが世の中に存在しなかったときとあまり変わっていないんじゃないかと思われるような、昭和時代のまま時が止まってしまっている、そのような状態ではないのかなと考えております。
デジタルファースト条例に基づきまして、東京都は行政手続を原則全てペーパーレス化を目指すという方針が掲げられました。
そこで、選挙管理委員会における手続もペーパーレス化を徹底して推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 今年七月に策定をされました東京デジタルファースト推進計画におきまして、都選管におきましては三百四十五の行政手続が対象となってございまして、第一期計画期間でございます令和三年度から五年度までの三か年でオンライン化に取り組む予定としてございます。
今年度におきましては、投票所の借料承認申請など、主に区市町村選管からの申請等に対する取組、来年度からは、選挙事務所の設置届や選挙運動用自動車公営費の請求など、主に公職の候補者の方々からの申請等に着手をしてまいります。
本計画を基に着実にオンライン化を推進いたしまして、申請者の方々の利便性向上や行政運営の簡素化、効率化につなげてまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。選挙に関する行政手続につきましても、デジタルファースト条例の例外ではないということで安心をいたしました。申請者の利便性が今後格段に上がっていくということになるかと思いますので、期待をしていきたいと思います。
次に、東京デジタルファースト推進計画を確認しますと、都選管の行政手続は、約八割が来年度までにオンライン化することになっておりますが、それ以外の行政手続の主な課題について伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 本計画におきまして、開始予定時期を令和五年度以降といたしております手続は十四、また、今年度に開始予定時期を設定する手続が五十六ございますけれども、これらは、立候補の届出や区市町村からの開票結果の報告などの関係機関や団体などとの調整が必要なものとなってございます。
引き続き関係機関や団体等と調整を進めまして、オンライン化を推進してまいります。
○あかねがくぼ委員 立候補の届出や区市町村からの開票結果報告など、都選管で完結をしないので、直ちにデジタル化をするという対象にはなっていないということでございました。相手方がいることなので、そちらのデジタル化が必要になるということで、しっかりと連携をしていっていただきたいと思います。
一刻も早い、先ほど藤井都議からもありましたけれども、インターネット投票まで見据えたデジタル化に向けて、東京都が他の自治体をしっかりとリードする役割を担っていただいて、推進をしていただくことをお願いしまして、私の質問は終わります。
○福島委員 私からは、選挙運動費用の収支報告書について質疑をしたいと思います。
この選挙運動費用の収支報告書には、報酬を支払った事務員や車両運動員等の住所、氏名が記載されています。この収支報告書の公開自体は、選挙運動費用の適正利用のために大事な制度であると考えていますが、一方、住所や氏名などのパーソナルデータの扱いについては、年々厳しくなってきています。
まず最初に、収支報告書の公開の目的についてお伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 限定された目的に係る規定は直接はございませんけれども、選挙運動費用の収支を常に明確ならしめまして、これを国民の前に公開することにより、選挙の公正を確保しようとするというのが、公職選挙法の規定の趣旨と理解しております。
○福島委員 収支報告書から得た連絡先の情報を使って、新聞記者より、収支報告の内容確認とは関係のない取材申込みを受けたことがございました。閲覧を請求する者は、氏名、住所に加え、閲覧内容について様式に従って記入するというふうになっておりますけれども、目的外使用の未然防止のため、収支報告書の公開の目的が、選挙運動費用の収支を常に明確ならしめ、これを国民の前に公開することによって選挙の公正を確保することであることを改めて周知をするとともに、目的外使用を控えることを求める書面を作成、説明するなど、この目的外使用の未然防止の取組をするべきと考えますが、見解を伺います。
○桃原選挙管理委員会事務局長 収支報告書の閲覧制度につきましては、先ほどご答弁申し上げました法の趣旨によりまして、政治家の政治運動に関する収支の流れを誰もが自由に見られるようにするものでございます。
しかしながら、この法の趣旨が逸脱されないように、閲覧者に対して注意喚起等の対応につきまして検討を進めてまいります。
○福島委員 注意喚起等の対応を検討していただけるというご答弁でした。
目的外使用を控えることは、適正利用のチェックというそもそもの趣旨を損ねることにはならないと考えます。社会情勢を踏まえた適切な対応をご検討いただくことを要望しまして、質問を終えます。ありがとうございました。
○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○鈴木委員長 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○平田委員 よろしくお願いいたします。
私からは、東京都、国、また区市町村の連携についてお伺いさせていただきたいと思います。
東京都におきましては、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOS向上のために、今年四月にデジタルサービス局が発足しました。過日の事務事業説明でも、全庁を挙げてDXの取組を推進しているとのご説明をいただいたところでございます。
国においては、昨年十二月に自治体DX推進計画を発表し、行政手続のオンライン化への対応など、DXの取組を推し進めていると認識しております。そして、今年九月にはデジタル庁が発足し、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会の実現を掲げ、国民サービスの利便性向上を図るために、区市町村の基幹業務システムの標準化を推進するなど、国全体でDXの取組を加速化させております。
一方で、実際に住民登録などの基幹系業務を担っているのは区市町村であります。住民に身近なサービスを担う区市町村におけるDXの推進こそ重要であると私は考えております。
そこで、区市町村がDX推進を進める上では、自治体同士の情報交換や先進的な取組事例の共有を進めることが欠かせないと考えますが、東京都は、どのように取り組んでいるのかについてお伺いいたします。
○深井戦略部長 都ではこれまでにも、自治体同士の情報交換を促進する取組といたしまして、都と区市町村の情報担当職員で構成するIT推進協議会を設置し、都や各区市町村の取組事例の相互共有を図ってまいりました。この取組をさらに強化し、区市町村を総合的に支援するため、本年四月には専管組織を立ち上げ、五月には都のCIOである宮坂副知事と区市町村CIOなどが一堂に会する都・区市町村CIOフォーラムを設置し、トップクラスでの意見交換を行いました。
その後も、副知事と区市町村CIOなどによる個別の座談会を開催し、これまでに十二区市が参加され、窓口手続のオンライン化や人材確保などをテーマに活発な意見交換を行っております。
また、先般、デジタルの日に合わせた企画といたしまして、都内区市町村の職員向けに、全国の先進自治体から行政手続のデジタル化の取組を紹介いただくプレゼンイベントをフォーラムによる取組の一つとして実施し、三十三団体の職員に参加をいただいております。
今後も、こうした取組を通して、CIOなどトップ層から実務担当者に至るまで、相互に情報共有や意見交換ができる関係を構築し、区市町村のDX推進を支援してまいります。
○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
DXの推進の取組に関しましては、今ご答弁にあったトップ層、いわゆる経営層というか、区市町村でいえば首長さんとか副区長、副市長さんといったところから、現場を担う実務担当者まで、それぞれ職層ごとに共通の課題を多く抱えていると聞いております。ただいま答弁にあったような、自治体間で相互に情報共有や対話を行えるような機会、環境づくりに、東京都として引き続き取り組んでいただくように要望いたしたいと思います。
一方で、基礎自治体はマンパワーも限られております。DX推進に取り組む区市町村からは、技術的なノウハウ、また専門人材の不足といった課題を抱えている状況を聞いております。こうした状況を踏まえて、東京都が行ってきた区市町村への支援の取組、併せて今後の展開についてお伺いさせていただきます。
○深井戦略部長 区市町村におけるICT人材の育成を目的といたしまして、令和元年度より職員向けの勉強会を開催してまいりました。
本年九月から開催した第三期勉強会では、三十自治体が参加し、自治体DX推進計画に掲げられている実践的なテーマについて、ワーキンググループ等により継続的に取り組んでございます。
また、区市町村がDXを進めるに当たり、人材やICTノウハウの不足といった個別具体的な課題に対しまして、民間経験を有する都の専門人材が技術相談を行う事業を展開し、昨年十一月の事業開始から九月末まで延べ三十一団体の相談に対応してございます。
さらに、本年十月からは、これまで区市町村から相談を受けてきた行政手続のオンライン化やデジタルツールの活用に関しまして、例えば妊婦の相談受付や保健所関連手続等の業務プロセス全体の見直し、いわゆるBPRを含めまして取り組んでいくモデル事業を、五つの区市町村と連携を図りながら実施し、その結果を他区市町村にも共有してまいります。
引き続き、各区市町村における取組が着実に進むよう、区市町村のニーズを踏まえた支援を実施してまいります。
○平田委員 ありがとうございます。
ただいまご答弁の中で、五つの区市町村の中に妊婦の相談受付というお話があったんですが、これは私の地元である葛飾区がその五つのうちに入れさせていただいていると聞いております。妊婦さんを対象とするゆりかご面接という電話受付業務を今後フォーム化するというモデル事業と聞いております。来週、都と区の第一回の打合せがあると聞いておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、区市町村が基幹業務システムの標準化の取組を進めていくに当たりましては、国から提供される様々な情報を踏まえて、適切に対応していく必要があることから、国と基礎自治体である区市町村との連携が欠かせません。
そこで、区市町村を包括する広域自治体としての東京都として、国のデジタル庁と連携を図るためにどのような取組を進めていくのか、お伺いいたします。
○深井戦略部長 国が進めております自治体システムの標準化につきましては、広域的な観点から取り組んでいく必要があり、デジタル庁と歩調を合わせ、区市町村支援に取り組んでまいります。
具体的には、本年五月に開催しました都・区市町村CIOフォーラムにおきまして、当時の内閣官房IT総合戦略室、現在はデジタル庁となっておりますが、こちらの企画官に、自治体システムの標準化の最新動向について説明していただいており、今後も継続的に情報共有の場を設けてまいります。
今後、デジタル庁とは、実務的な課題をテーマとした日常的な情報交換の場を設けるなど、国との連携をさらに強化し、DXの取組を加速化してまいります。
○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
繰り返しになりますが、自治体DX推進の取組は、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会の実現に大きく寄与するものと考えております。
区市町村が、おのおの自律的に取組を進めることが求められている一方で、先ほど来申し上げてきたとおり、様々な課題を抱えている区市町村に対しましては、東京都として、きめ細やかな支援をお願いしたいと思います。
今後とも、国との連携をしっかり図りつつ、情報システムの標準化、共通化、行政手続のオンライン化などに取り組む区市町村に対しまして、東京都が、積極的な支援を行っていただくよう改めて要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○藤井(あ)委員 今年の四月にデジタルサービス局が立ち上がりまして、こちら、DXによって、都政のクオリティー・オブ・サービス、QOSを向上させるということでありまして、昨年の小池知事の公約の中にもあるDXによる都庁の構造改革、まさにこれを担うものでありまして、非常に期待をしているところであります。
思い出してみますと、四年前ですが、私、初当選をさせていただきまして、デジタルのことを様々質問しようと思っても、なかなか質問することもできなかった。当時ですと、オリンピックに向けてテレワークの推進等をしていましたので、そういったところであったりとか、本当に一部だったなと思うところであります。そこから考えると、今回のこの質問をつくるに当たっても、聞きたいことがあれもこれもあって、絞る方が大変だというような状況になっておりまして、隔世の感を感じているところであります。
この四年間、我々都民ファーストの会東京都議団は、様々要望、提案をしてまいりました。一つは、民間からのCIO、CDO、これを登用するべきだということで、ヤフーの会長、社長でありました宮坂副知事が副知事となりまして、TOKYO Data Highwayであったりとか、スマート東京等、様々な施策を今まさに爆速で進めていただいているところであります。
そして、我々のこれも提案ですが、IT、デジタルの視点で、各局横串を刺してしっかりと見ていく組織が必要だということで、二〇一九年には戦略政策情報推進本部、そして今このデジタルサービス局へと進化を遂げてきたところでありまして、非常にその活躍に期待をしているところであります。
そして、期待も込めて、都政のクオリティー・オブ・サービス、これを高めるために、各局の事業の中にもう一歩深く入っていくべきだと考えておりまして、そういった視点から質疑をさせていただきたいと思います。
最初に、都庁全体のシステムの全体最適、これをどう進めるかという観点で質疑をさせていただきます。
ITやシステムというのは、当然、全体を把握してまとめていくことでボリュームが増える、そのことによって価格の交渉力であったりとか、コストのメリットが大きくなっていくものであります。
さらに、例えば東京都であれば、各局が別々の仕組み、システムを使っているということであっては、生産性であったりとか効率性というものが高まっていかないわけでありまして、そういった基準を統一していくということが非常に重要であります。
現在の都庁内のシステム、デジタルサービス局が見ている部分もありますが、個別個別のシステムや、例えば協力金のサイトみたいなものというのは、それぞれの各局の事業が判断をして、どういうふうに進めるかということを決めているかと思いまして、あくまで各局ごとの個別最適となっていて、都庁全体での全体最適が、やはりどうしてもまだなされていない状況だというふうに認識をしております。
さきの定例会における我々の代表質問、会派の代表質問に対しまして、宮坂副知事から、質の高いサービスの提供に向けて、サービス開発に関わる都職員が守るべき行動指針や技術ガイドラインを策定していくというご答弁をいただいたところでありますが、デジタルサービス局は、都庁のシステム、ソフトウエア全体の構造、アーキテクチャーといっておりますが、そういったものをしっかりと考えた上で、全体最適化を図っていくべきと考えます。見解を伺います。
○深井戦略部長 都では、都政のQOSの向上に向け、新しい技術を活用した質の高いデジタルサービスを提供していくことを目的に、システム開発、運用に携わる職員などが遵守すべき行動指針や技術ガイドラインを策定していくことといたしました。
この行動指針を策定し、民間から登用したデジタルシフト推進担当課長など、様々なバックグラウンドを持つ職員が共通の価値観の下にデジタルサービスの開発に従事してまいります。
また、技術ガイドラインでは、ハード、ソフト両面から、開発や運用に当たって遵守すべき技術基準を定め、外部の開発事業者とも共有することで品質の均一化を図ってまいります。
システムの構造、いわゆるアーキテクチャーにつきましては、この技術ガイドラインの中で、開発環境や開発ツール、運用基盤などの標準化、共通化につきましても検討を進め、順次公開してまいります。
この行動指針等を、デジタルサービス局が中心となり庁内に浸透させることで、局ごとやサービスごとに顧客が触れるサービスの品質のばらつきを抑え、質の高いサービスを提供できるようにしてまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
今ご答弁の中で、行動指針であったりガイドラインの中で、アーキテクチャーも含めてご検討をしていくということでありました。非常に重要な答弁であると思っております。
その上で、指針だったりガイドラインといったものをつくるということも大事なんですが、やはり都庁としての全体のシステムをどうしていくかという、今ばらばらとなっているものをどう一体化していくか、していかないのか、どこまでしていくのかといったことというのは、しっかりと検討していく必要があると考えております。これをどう統合していくか、使い勝手を上げていくかということを検討していくべきと考えています。民間企業では、こういったとき、戦略コンサルであったりとかITコンサル、そういったところを使って絵を描くということをしますので、そういったことも含めてぜひご検討いただきたいと思います。
続いて、全体を把握するという意味でのシステム台帳についてお伺いをさせていただきます。
これは私、これまでも何度か質疑、提案をさせていただいておりまして、システム台帳の整備を進めるべきだということで提案をしてまいりましたので、その状況についてお伺いをいたします。
○深井戦略部長 情報システムの経費情報の可視化を図り、経費精査の効率化を図っていくため、全てのシステムについて予算額や機器構成、更新予定時期など、基本情報をシステム台帳として一元化する仕組みについて、昨年度までに構築しております。
今年度は、保有する全システムのID番号の振り直しなど、システムの管理体系を整備し、令和四年度予算要求の事務を通じて収集した情報の精査を行い、システム台帳への登録を進めているところでございます。
今後、契約の情報につきましても登録を行っていくことにより、予算要求から予算の執行まで一連の流れを一貫して把握してまいります。さらに、得られた情報を各局の相談対応などにも活用し、適切な各局支援につなげてまいります。
こうした取組を通じて、台帳上のデータを蓄積し、これに基づき、全庁最適化の観点も踏まえつつ、情報システム関係予算の適正化と全庁横断的な視点でのICTを活用した業務効率化を推進してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。今後は契約に関する情報も登録していくという重要なことをご答弁いただきました。
これまでも何度かご提案をさせていただいておりますが、やはり各局の調達の部分であったりとか予算の部分、ここをしっかりとデジタルサービス局が見ていくべきだと考えております。やはり全体最適化をしていかないと、今の都庁全体のコストも減らすことはなかなか難しいですし、ここにしっかりと横串を刺して入っていく、これが重要だと思っておりまして、このシステム台帳を使って、まず少しずつ予算のところの支援であったりとか、様々していくということで期待をしております。
ここで、全庁のシステムの課題として一つ、ベンダーロックインの問題についてお伺いをさせていただきます。
今年の五月に、国の会計検査院が公表しました政府情報システムに関する会計検査の結果についてによりますと、平成三十年度に各省庁が行ったシステム改修の競争入札のうち、参加した業者が一つだけだった一者応札が九四%だったという報告がございました。特定の会社、ベンダーさんしかシステム開発ができず、コストが高止まりしてしまうというベンダーロックインの問題が、ここでは指摘をされているところであります。
現在、こういった報告も受けて、公正取引委員会が全国の千八百の自治体に向けて、同様なことが起きていないか調査を進めているということであります。
専門家も多く、都庁内のシステムに責任を持つデジタルサービス局が、このベンダーロックインが起こらないよう積極的に取り組むべきと考えておりますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 デジタルサービス局では、システム調達における留意事項を記した国のガイドラインなどを基に、各局に対しまして、複数の事業者が応札可能になるよう調達仕様の作成を支援してございます。
また、システムアセスメント、予算編成、契約の各段階において、複数事業者の意見徴収状況や調達の単位、製品の指定などの有無を確認いたしまして、問題がある場合は改善するよう指導してございます。
なお、公正取引委員会からの情報システム調達に関する実態調査につきましては、都におきましても、財務局を窓口として六月にアンケート調査が行われました。今後、公正取引委員会では、有識者を交えた意見交換会を実施し、ここでの意見を参考に報告書を取りまとめる予定と聞いておりますので、その動向を注視してまいります。
○藤井(あ)委員 ご答弁の中で、調達の仕様の工夫であったりとか様々することによって、そういったベンダーロックインがかからないように工夫をされているということでありました。
多分これ、国もやっていると思うんですよね。やっていても、実際、九十何%だったりとか八十何%が一者応札になってしまっているという状況がありますので、都としてもこれはしっかりと、まず現状把握をすべきではないかと思っております。
私も幾つか、今、各局のシステムを確認しておりますが、特にやはり大きいシステム、独自につくったようなものに関しては、なかなか新しいベンダーさんが入ってこないというか、一者応札に実際なってしまっているような状況というのはあるかと思いますので、ぜひその辺、ご確認を、まず調査をしていただきたいと思います。(「いい指摘だ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
次に、ちょっと別の、まとめるという観点から、デジタルサービス局が全庁に提供しております東京都高度情報化システム、いわゆるTAIMSについてお伺いをいたします。
このTAIMSにつきましては、私たちの提案で、外部とズームやチームスを使ってウェブ会議ができるようになるなど、今、クラウドの活用を進めているところでありまして、次期のTAIMSということで、クラウド活用を今進めているところと、さらに進めるというふうに認識をしております。セキュリティを担保しつつ、今後さらにこの使い勝手が向上するということで、その向上に期待をしているところです。
そして、現在のTAIMS端末、都庁の約四万人、四万台がご利用されているということで、都庁、そして教育庁、学校の先生たちも使っているということではありますが、公営企業局では利用がされていないということであります。定数ベースで約一万三千人いる公営企業局では利用されていないということでありまして、次期TAIMS、さらにその先のTAIMSにおいては、都庁の全体最適の観点から、水道局や下水道局、交通局などの公営企業においてもTAIMSの利用を広げるべきと考えております。公営企業局のTAIMS利用の現状をお伺いいたします。
○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 公営企業局におきましては、企業管理者の下、独立採算で事業を行っており、会計も異なることから、業務に合わせて局内のネットワーク及び職員の端末を独自に調達してまいりました。
TAIMS環境につきましては、当局が公営企業三局の本庁の課ごとに配備した組織端末により、メールやウェブ会議などの機能が利用可能となっております。あわせて、交通局、下水道局につきましては、局独自のネットワークとも接続しており、個人端末でもメールや庁内ポータルなどのソフトウエアの利用が可能となっております。水道局は、個人端末ではTAIMSを利用しておりません。
○藤井(あ)委員 ちょっと分かりにくいので、解説をさせていただきますと、TAIMSと呼ばれている端末と、あとネットワークですね、それとあとソフトウエア、いわゆるメールだったりとか予定表だったりとか、グループウエアといわれているものがありまして、今ご答弁いただきました交通局、下水道局については、そのソフトウエアの部分、メールのサービスであったりとか、そういったところについてはご利用いただいているということでありまして、端末は別途調達をしていると。水道局については両方とも使っていないということであります。
公営企業、定数ベースで一万三千人おりまして、組織端末を置いているということですが、課ごとということですので、多分、数十から百程度の数であると思っております。
なので、この環境が違うということでどういった問題が起きるかというと、分かりやすくいえば、例えば水道局からデジタルサービス局に異動をされるときに、端末の調達をして、そしてアカウントをつくり直してなど、結構時間がかかってしまうであったりとか、先ほど申し上げました外部とウェブ会議をするためのチームスだったりとかズームといったものを、こちらは、TAIMSの環境下のところは整備をしたけど、その後、公営企業局はどうなっているかというのは、彼ら任せになってしまうので分からないといったような状況になってしまっていると思っております。
これからそういったクラウド環境等を整えていく中で、公営企業の皆さんにも同じ課の中に入っていただく、そして、一万三千人全員が使うとは限らないと思いますが、そういったコストのメリット、増えることによるコストのメリット等も出てくると思いますので、公営企業が希望した場合にはTAIMSに乗れるように、しっかりとデジタルサービス局としても準備をしていただきたいと要望させていただきます。
続きまして、つながる東京の実現に向けた取組についてお伺いいたします。
皆様ご存じのとおり、このコロナ禍で、小中学校における一人一台の端末の環境整備が進んでおりまして、インターネット環境があるということは、もう今や社会的なインフラとなっているものであります。
我々都民ファーストの会は、今年二月に小池知事に、会派のデジタル推進プロジェクトチームにて、デジタルデバイドの解消に向けた提案というものを行わせていただきました。
その中では、デジタルデバイドというのは、高齢者だけではなくて、様々な年齢、若い方であったりとか、あと年収であったり、様々な障害、そういった原因で生じていて、その現状の把握と、そして多くの方々が利用するであろう公民館であったり図書館、そういった公共施設でのインターネット整備、この要望をさせていただいております。
つながる東京やスマート東京の実現を目指す上では、まず現在地、現時点の把握をすることが重要です。
今年二月に公表された都の調査では、主に5Gや光ファイバーなどの通信ネットワークの整備状況と、あと世帯や年齢、収入といったもので、属性別の利用状況について、都内のデータが統計的に示されているものになっておりまして、この調査結果から具体的にどのような傾向や実態が見えたのか、お伺いさせていただきます。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 昨年度、デジタル化の現状や課題を明らかにし、構造改革におけるコアプロジェクト等の推進の参考とするため、昨年十二月から本年一月にかけて、都内のインターネット通信環境や利用状況を調査いたしました。
この調査において都内の通信環境は、携帯電話の3Gと4G回線及び光ファイバーネットワークは島しょ地域を含む都内全域でほぼ整備されていた一方、5G回線はいまだ整備途上にあり、通信エリアは都内の一部地域かつ都心部に偏在していることが分かりました。
また、都民のインターネット利用時の使用機器について、年齢別に見ると、七十代以上ではパソコンが九七%、スマートフォンは六九%と、パソコンを使ってインターネットを利用する割合が高い一方、十代ではパソコンが七〇%、スマートフォンが九四%と、スマートフォンの方がより使われていることなどが分かりました。
○藤井(あ)委員 この調査結果、私も拝見させていただきました。やはりちょっとまだ、年収だったりとか障害の有無だったりとかといったところに関しての調査が、まだ薄いかなというふうに感じております。
そこで、昨年度の調査結果を踏まえて、特に年収など様々な要因でのデジタルデバイドの実態把握というのが必要だと考えますが、見解を伺います。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 今年度の調査では、継続性の観点から主たる調査項目は維持しつつ、年齢層や世帯の収入状況といった様々な切り口からの分析をよりきめ細かく行うよう、質と量の両面から内容を充実する予定でございます。
具体的には、ウェブによる調査に加え、インターネットをふだん使用しない方向けに郵送による調査を組み込むほか、調査の一部に直接ヒアリングする手法も導入を予定しております。また、都内のインターネット環境をより的確に把握するため、区市町村の公共施設の通信環境について、対象を拡大して調査を予定しております。
こうして得られたデータの分析を行い、各種の施策に反映できるよう、各局と共有してまいります。
○藤井(あ)委員 各局とその結果を共有して取り組んでいかれるということでありまして、これしっかりとお願いいたします。
要望書にも載せましたが、様々ある障害の有無によっても、デジタルデバイドというのは生じていると認識をしておりますので、そういったところ、ちょっと寄り添って確認をいただきたいと思います。
次に、高齢者向けのスマートフォン普及事業について伺います。
昨年十二月の我々の会派の要望、予算要望であったり、また、先ほどの知事へのデジタル推進PTでの要望で、エストニアの例をもって、大学生がバスで高齢者施設を訪問して出張授業を行ったという、こういった事例等を持ち出しまして、アウトリーチ型の支援というものを提案させていただきました。
そういった提案も受けまして、今年の十月十日と十一日、デジタルの日の二日間でスマホ相談会を実施したということであります。今後、年度末にかけて、相談会やスマホ教室、都内全域で展開されると聞いておりますが、この二日間においてどのような相談があり、相談結果を今後の事業展開にどのように生かしていくのか、お伺いいたします。
○深井戦略部長 デジタルの日である十月十日、十一日の両日に区市町村のご協力を得て、都内延べ三十四か所においてアウトリーチ型のスマホ相談会を開催し、五百四十名の高齢者の方の相談に対応いたしました。
この相談にお越しいただいた方の相談内容としては、主にアプリケーションの利用に関することが多く、スマホに不慣れな方が興味を持ちながらも十分に利用できていないという課題が見えてきました。このデータを分析し高齢者が陥りやすい課題などについて、これから開催するスマホ教室の講習プログラムに反映するなど、今後の事業展開に生かしてまいります。
○藤井(あ)委員 今後の事業展開に生かしていくということで、しっかりとお願いをいたします。
最後になりますが、都庁サービスのアクセシビリティーの向上について、お伺いさせていただきます。
障害のある方から、都庁のサービスについて様々ご指摘をいただく機会がございます。障害者と一言でいっても一人一人事情は違いますが、例えば視覚障害のある方からは、音声読み取り機能がないPDFがホームページに張りつけられているだけだと理解することができないと、情報を取得できないというところでご指摘をいただくところであります。
先ほどの知事への要望の中でも、都庁サービスのアクセシビリティーの向上のための専門家の登用、これは私たちからも提案させていただきました。
そして、私からは、今年の予算特別委員会で、アクセシビリティーの観点から、PDFの使い方等、局横断的に見直すなど、都民目線に立ったデジタルサービスの向上を進めるべきと質疑をいたしまして、宮坂副知事からは検討していくというご答弁をいただきました。
都のアクセシビリティー改善の取組について、現在の状況をお伺いいたします。
○深井戦略部長 アクセシビリティーの改善の取組につきましては、本年四月に、障害のある方や支援団体等に所属するUI、UX等の専門的知識を持つ外部の六名の有識者に事前ヒアリングを行い、都が取り組むべきデジタルデバイド是正策の方向性や、PDFや画像などを使ったウェブサービスの提供に当たっての注意点を伺いました。
これらを踏まえまして、デジタルサービス局において、各局の取組を技術面からサポートしていくに当たり、技術ガイドラインの一つとしてアクセシビリティーに関するガイドラインを策定してまいります。
策定に当たっては、外部の有識者の方にも参加いただくワーキンググループを設置し、利用者視点に立ったデジタルサービスの提供に向けて検討を進めてまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。外部有識者によるワーキンググループを設置し、対応していくとのことであります。
これ、いろんな障害の当事者の方がいらっしゃると思いますので、外部の有識者の方のご意見だけじゃなく、そういった方々に、実際に都庁のそういうデジタルサービスであったりとかホームページを常にふだんからチェックしてもらって、改善していくという体制も必要かなと思いますので、併せてご検討をお願いいたします。
国では、九月にデジタル庁が発足しまして、行政、社会のデジタル化というのは待ったなしでありまして、このデジタルサービス局、四月からできたところでありますが、しっかりと都庁のデジタルトランスフォーメーションをてこにした都政の構造改革、この中心となってご活躍いただくことをお願いいたしまして、私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございます。
○まつば委員 本会議代表質問や一般質問、また、本委員会での質疑などで度々取り上げてまいりましたデジタルデバイドの対応を中心に質問をさせていただきます。
都議会公明党は、デジタル化の流れに高齢者が取り残されないよう、これまで一貫して対策を求めてまいりました。これに対し都は、本年度予算において高齢者向けのスマートフォン普及啓発事業の費用を計上いたしました。そして、今月から事業を開始したと聞いております。
そこで、本事業の具体的な実施内容について改めてお伺いをいたします。
○深井戦略部長 本事業は、高齢者の方にスマートフォンの利便性を知っていただくために、紙媒体による広報、体験会方式によるスマホ教室、身近な場所での相談会の三つの柱で実施してまいります。
広報につきましては、「広報東京都」を活用するとともに、高齢者が読みやすく分かりやすい工夫をしたリーフレットを二十五万部作成し、自治会や老人クラブを通じて配布してまいります。
スマホ教室につきましては、通信事業者等と連携し作成した講習プログラムにより、操作方法などを体験していただくため、日頃から高齢者の方が利用されている公民館等の施設において、年度末までに約七百五十回教室を開講いたします。また、教室に参加し、スマートフォン利用の意欲が湧いた高齢者の方には、スマートフォンを一か月程度貸し出すこととし、年度末までに延べ千五百台を貸し出していくこととしております。
さらに、相談会につきましては、既にスマートフォンをお持ちの方を含め、日常の困り事に対して、公共施設や商業施設など身近な場所で、年度末までに約二百回開催してまいります。
こうした取組を重層的に展開し、コロナ禍で急速に進むデジタル化に対して、スマホに不慣れな高齢者が取り残されることのないよう、しっかりと支援してまいります。
○まつば委員 東京都が区市町村と連携をして、スマホ教室や相談会などを通じて、参加者一人一人に寄り添いながらスマートフォンの利用を支援していくという、こういう事業でございまして、大変大事であると私も考えております。
先日、小金井市で行った相談会の模様を市議会議員の方にも伺いましたが、参加者が六十人以上お集まりになったと聞いておりまして、関心の高さがうかがわれたと思っております。デジタルサービス局におかれましては、そうした際に充実した体制で対応していただけるように、取組の強化をお願いをしたいと思います。
また、既に相談会を実施されていらっしゃる区市町があるわけでございますが、周知についてなんですけど、積極的に行っていただいたところと、そうでないところというのもあったというふうにも伺っております。ですので、高齢者の方に対しまして、こうした相談会やスマホ教室につきまして、情報がお手元まできちっと届くように、広報に力を入れていただきたいということを改めて要望させていただきます。
第二回定例会の本委員会では、我が党の小磯都議から、情報格差の問題について、高齢者だけではなく、障害がある方への支援について質問もさせていただきました。その際、高齢者向けのスマホ普及啓発に限らず、年齢や障害の有無等により生ずる情報格差を埋めていくため、区市町村と連携したモデル事業を実施していくとの答弁をいただいております。
まずは事業の進捗状況についてお伺いをいたします。
○深井戦略部長 情報格差是正に向けた区市町村と連携したモデル事業の実施に当たり、自治体に事業の募集をしたところ、八団体から提案がございました。
具体的には、小金井市などの五団体から、コロナ禍において、地域包括支援センターや自治会などで対面でのコミュニケーションが困難になってきているなどの課題があり、これをデジタルの力で解決していきたいとの提案でございました。
また、江戸川区などの三団体からは、視覚や聴覚に障害のある方に向けた自治体のホームページをユーザー視点から改善していく取組についての提案がございました。
現在、具体的な事業開始に向けて、それぞれの団体と鋭意準備を進めているところでございます。
○まつば委員 このモデル事業につきまして八区市から提案があったとのことで、今、ご説明を伺いました。
小金井市などの五団体から、コロナ禍において、地域包括支援センターや自治会などで対面でのコミュニケーションが困難になっているなどの課題があり、これをデジタルの力で解決していきたいという提案。また、江戸川区などの三団体からは、視覚や聴覚に障害のある方に向けた自治体のホームページをユーザー視点から改善していく取組についての提案があったということでございました。
まず、このうち地域包括支援センターなどをモデルに展開する事業内容について、具体的にはどのような支援を行っていくのか、お伺いをいたします。
○深井戦略部長 地域包括支援センターなどで実施しているモデル事業では、デジタルツールを活用して市民活動の活性化を図るとともに、参加されている高齢者などの皆様がデジタルに慣れていただくための支援を行ってまいります。
具体的には、センターを利用されている方を対象にスマホ教室を開催し、ウェブミーティングやSNSなどのコミュニケーションツールの使い方など、ニーズに応じた支援を行ってまいります。あわせて、スマートフォンを使った非対面での交流会を企画、開催することなども予定してございます。
さらに、こうした取組を持続できるよう、オンライン交流会の開催手順等をマニュアル化し、地域モデルの成果として残していくとともに、他の自治体にも共有してまいります。
○まつば委員 地域包括支援センターは、高齢者の方々にとりまして、日常生活の困り事を相談できる総合相談窓口であります。高齢者を支える貴重な場所ということであります。また、行政からの情報を地域の高齢者の方に伝えていくための拠点でもあるわけであります。その活動をデジタルの力でより充実させていくということは、非常に重要な取組であると考えております。今回のモデル事業にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
もう一つ、障害のある方に対する行政サービスの改善についてもお伺いをいたします。
障害のある方向けのウェブサービスの提供については、これまでにもホームページの改善等に努めてこられたことと思っております。障害の有無にかかわらず、ウェブサイトに来る全ての方々が情報を得られる、利用しやすいウェブサイトが必要だと考えますが、今回の取組について、これまでの取組との違い、またその意義についてお伺いをいたします。
○深井戦略部長 今回のモデル事業では、サービスを提供する区市町村とサービスを受ける障害のある方の両者に対して都が直接支援を行ってまいります。
サービスを提供する区市町村に対しましては、例えば広報紙など紙媒体で提供している情報をデジタル化し、音声読み上げソフトを使って、視覚に障害のある方にその内容が正しく提供できる仕組みの構築を支援してまいります。さらに、障害のある方に対しましては、音声読み上げソフトなどを使えるようスマートフォン教室を開催するなど、利用者に寄り添った支援を実施してまいります。
取組に当たりましては、実際に障害のある方にご参加いただき、検証いただくユーザーテストを行い、改善していく、ユーザー視点での新たな仕組みを導入してまいります。
こうした障害のあるユーザーが直接参加したデジタルサービスの開発ノウハウを他の区市町村へと展開することで、障害のある方がスマートフォンを通じて、必要な情報をいつでも得ることのできる環境の整備に努めてまいります。
○まつば委員 今回の取組は、コロナ禍で急速にデジタル化が進む中で、都民に身近な存在である区市町村とも連携をして、障害のある方などの声もしっかりと聞いていただいて、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる社会の実現へ向けて、大変重要な事業であるということを確認させていただきました。
八区市との連携によるモデル事業ということでございますけれども、モデル事業の成果を全区市町村に共有していただくことも含め、今後、取組を着実に進めていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十五分休憩
午後三時二十九分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 それでは、伺いたいと思います。
デジタル技術の発展と普及によって、行政等の業務や手続を効率化し、都民の生活の利便性を向上させていくことは大切なことだと思っています。
しかし、それは行政機関が保有する膨大な個人情報の利活用を都民自らが監視、監督できることをきちんと保障されなければならないという問題意識で質問いたします。
最初に、デジタルファースト条例に関して伺います。
昨年の第三回定例会で改正されたデジタルファースト条例ですが、共産党としては、条例改正によって対象の手続がどのぐらいになるのかが、まだその時点で不明だったことや、また、デジタル化の適用除外になる手続の考え方も今後の検討ということでした。条例に関わる基本的な事項を示すべきと指摘をして、継続審査の動議を提出しました。それが否決をされた下で、拙速に進めるべきではないとして反対をいたしました。
その後、今年七月にデジタルファースト推進計画が立てられましたが、私たちがこのとき指摘した懸念事項はその後どのように検討されたのか、確認していきたいと思います。
現時点で、デジタル化の対象手続はどのぐらいか、デジタル化適用除外の手続はどのぐらいか、デジタル化のみにする手続はどのぐらいあるのか伺います。
○深井戦略部長 デジタル化の対象手続といたしましては、条例施行に当たり、令和二年九月末時点で棚卸し調査を実施した結果、全庁で約三万五千手続があり、うち内部手続を除く都民や事業者と接点のある都の手続、約二万八千手続を推進計画の対象手続としております。
このうち、適用除外になる手続につきましては、昨年度末までに各局と協議の上、その有無を精査した結果、該当する手続はございません。
また、条例は全ての手続についてオンライン申請を可能とするものでございまして、従来行われていたデジタル以外の手続を制限するものではございません。
○原委員 従来行われていたデジタル以外での手続を制限するものではないということですけれども、ちょっと確認しますけれども、二万八千手続全てがオンライン申請を可能にできるが、同時にその全てがデジタル以外の手続もできるという理解でよろしいんでしょうか。
○深井戦略部長 条例では、新たに新設した基本原則の条項において、情報通信技術の利用のための能力または知識経験が十分でない者に対する適正な配慮がされることを確保しつつというふうに明記しておりまして、オンライン等による手続が困難な都民等に対しまして、デジタル化を強制させないものとしてございます。
個々の手続は、それぞれの個別の現状を踏まえつつ、基本原則に基づき対応していくこととなりますが、従来行われていたデジタル以外での手続を制限するものではございません。
○原委員 制限するものではないということで、今後とも必要な手続はきちんと継続できるようにしていかなければいけないというふうに思います。
条例改正時にはパブリックコメントも実施をされていませんでした。都民が便利になるようにといいながら、直接都民の意見を聞かずに進めていいのかということを私たちは問いました。
私たちの会派からは、障害者団体等からの聞き取りも必要なのではないかということで求めましたが、様々な手段で行うと答弁がありました。その後、それは実施をされたんでしょうか。そして、それを推進計画に反映させましたか。
○深井戦略部長 条例施行後、四月に、障害のある方や支援団体等に所属するUI、UX等の専門知識を持つ外部の有識者に事前ヒアリングを行い、都が取り組むべきデジタルデバイド是正の方向性等や、ウェブサービスの提供に当たっての注意点等を伺いました。
その上で、多角的な視点でデジタルデバイドの是正に取り組んでいく必要があることを推進計画に明記するとともに、パブリックコメントを実施した上で、七月に計画を公表してございます。
○原委員 推進計画を読みますと、具体的な記述というのはないんですね。もちろん、デジタルデバイドの是正に取り組んでいくということは書かれているんですけれども、どういう障害を対象に聞き取りを行ったのかとか、あるいは実際に改善しなければならないことはどういうことがあるのかというのは、まだ計画では読み取れないというふうに思いました。
推進計画にそうしたものも具体的に反映をさせていくという考えはあるのでしょうか。推進計画は三年となっていますが、途中での見直しや改定についてどのように考えているか、伺いたいと思います。
○深井戦略部長 繰り返しにはなりますが、条例施行後に、障害のある方、支援団体等に所属する有識者の方からヒアリングを行っております。また、パブリックコメントを実施した上で、七月に、多角的な視点でデジタルデバイドの是正に取り組んでいくというふうなことを明記した上で公表しているということでございます。現時点でのことです。
○原委員 では、要望しておきたいと思います。
推進計画三年となっていますけれども、具体的にいろいろな声を聞いて、改善すべきところは改善するということで、見直しや改定が必要なのではないかと思いますので、そこは求めておきたいと思います。
コロナの下で、例えば飲食店などへの協力金も、今、オンラインだけではなくて、紙ベースの申請もあって、非常にこれが多いというふうに聞いています。誰もが行政の手続で取り残されるということのないようにすべきだということを強く求めておきたいと思います。よろしくお願いします。
次に、デジタルサービス局に関して伺います。
四月に設置されましたが、共産党としては、個人情報の保護や組織の在り方について、課題や問題点を指摘して反対をいたしました。
今年の第一回定例会の議論で、個人情報保護に関わるやり取りをさせていただきました。個人情報保護に関わる業務はどこが担当するのかと聞いたところ、サイバーセキュリティポリシー対策の統合調整は総務部というご答弁でした。
都民の安心のためには、個人情報などの重要なデータは、情報漏えいなどの事故を起こさないようにすることが重要です。情報セキュリティの対策の取組状況はどのようになっているか伺います。
○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 デジタルサービス局では、国が示すガイドラインを踏まえて定められた東京都サイバーセキュリティポリシーに従いまして、各局に対し、不正アクセスであるとかコンピューターウイルスの感染を防止するための技術的情報の助言や、情報の機密性に応じたセキュリティ対策への評価など、様々なサイバーセキュリティ対策を実施しております。
なお、サイバーセキュリティインシデントの発生時には、事象の把握に努め、指示、指導を行い、被害拡大の防止に取り組んでいるところでございます。
○原委員 一点確認させてもらいたいんですけれども、以前から私、質問で述べてきているんですけれども、もともとこのデジタルサービス局をつくるときに、知事の会見でもおっしゃっていましたけれども、都民の生活の質や利便性を向上させるということを一番にうたっているんですよね。そのことが目的であれば、デジタルサービス局としてワンストップの相談窓口をつくるなど、都民の権利を守っていく、そういう仕組みをつくるということが必要なんじゃないかといってきましたが、そういう検討というのは今されているのかどうか、そういうお考えはあるのか伺いたいんですけれども、お願いします。
○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 デジタルサービス局はサイバーセキュリティ対策を所掌しておりまして、個人情報保護の取組に関しては生活文化局の所管でございます。また、個々の個人情報の管理につきましては、情報システムを所管する各局が行っております。そのため、ご指摘のような相談窓口等は、当局では今まだ設置をしておりません。
○原委員 個人情報保護は生活文化局でというのは、それはそういう仕組みになっているというのは分かっているんですけれども、デジタルサービス局を、こういう局を立ち上げようという、これだけの大きな仕事なわけで、その中で、やっぱりどこに相談したらいいか分からないということも含めて、相談できる窓口をデジタルサービス局自身も持っておくと、そこから生活文化局なり各局とも連携するという、そういう役割を果たしてもいいんじゃないかなというふうに思うんですね。
多くの方は、やはりデジタル化に伴って便利になると同時に、個人情報についてどうかという心配もされていますので、そこに局として応えていくという姿勢があってしかるべきではないかというふうに思います。今は検討されていないということですけれども、検討すべきではないかということを要望しておきたいというふうに思います。
そして、都民のための局として役割を果たすという点では、組織の在り方というのも大事になってきます。民間からの特定任期付課長についてですけれども、今、何名で、どういう企業から来ていて、どういう仕事をしているのでしょうか。
○深井戦略部長 課長級の特定任期付職員であるデジタルシフト推進担当課長は、現在、十九名が在籍しており、その前職は様々でございますが、おおむねIT関係の民間企業となってございます。
これらの職員の職務内容は、都政におけるデジタルシフトの実現に向けた技術面からの各種企画及び調整であり、デジタル分野における高度な専門性と豊富な経験を活用し、各局におけるDX推進の取組について、技術的な観点から支援等を実施しています。
○原委員 技術面からの企画、調整ということですけれども、戦略部のデジタル推進課の仕事の第一は、事業概要にも書いてありますけれども、デジタル関連経費の把握及び分析となっています。民間からの課長がこれに携わっているのでしょうか。
○深井戦略部長 デジタル推進課の事務分掌は、東京都組織規程におきまして、デジタル関連経費の把握及び分析に関することのほか、ICT人材の育成及び総合調整に関することと規定されております。
デジタルシフト推進担当課長につきましては、高度な専門性と豊富な経験を効果的かつ柔軟に活用するため、ICT人材の総合調整を行うデジタル推進課に集中的に配置しております。その職務内容は、各局支援など技術面からの企画、調整を行うことであり、デジタル関連経費の把握、分析には携わっておりません。
○原委員 デジタル関連経費の把握、分析には携わっていないんだということで確認をしました。
デジタルシフト推進担当課長は、任期が大体二年で、最長でも在籍五年と聞いています。前職は退職した上で公務員として仕事をされているわけです。研修の強化も必要だということをこれまで提起をしてきましたが、これまでより強化して実施をしているのかどうか、その内容はどういうものか伺います。
○有金総務部長 民間人材につきましては、採用時に公務員としての必要な基本的な研修を行うとともに、局独自の取組としてコンプライアンスに関する研修も実施をしております。
その研修におきましては、総務局コンプライアンス推進部の職員も講師となりまして、ただ単に制度の説明を行うだけではなくて、具体的な事例を示しながら、公務員として職務を行っていく上での注意すべき点などを強調するなど、理解を高めるための工夫の下、実施をしております。
さらに、採用後におきましても定期的に研修を実施することで、公務員としての認識の定着を図っております。
○原委員 今、国は、デジタル庁の職員の六百人中二百人が民間人材で、しかも企業に在籍したままの兼業を認められているということで、非常に露骨な官民癒着の状態ではないかと私は思っているんですけれども、東京都はデジタルシフト推進担当課長は兼業にはなってはいないものの、ただ、あくまでも短期間の在籍なんですよね。
今、研修は強化する、努力をされてきていると思うんですけれども、ここで新たにICT職の採用もスタートされていますよね。こういう段階では、デジタルシフト推進課長の在り方は、抜本的に見直しが必要ではないかということを提起しておきたいというふうに思います。
最後に、官民連携データプラットフォームポリシー案について伺います。
官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会で検討したポリシー案は、データの範囲を拡大していくことを前提に書かれています。拡大するときには、プライバシーステートメントの改正やパブリックコメントなどを実施するんでしょうか。
○高橋データ利活用担当部長 官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会にて、昨年度検討いただいたポリシー案は、最終的には東京データプラットフォーム、いわゆるTDPFの運営組織にて、ポリシーとして定めるものでございまして、プライバシーステートメントの改正等につきましては、運営組織が判断するものと考えております。
○原委員 それでは、匿名加工情報については、最初から活用が前提になっているというふうに読めますけれども、これについて、官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会で様々な意見が出ています。このことについてもそういうふうに答弁をされてきましたが、その問題、その様々な意見をどのように整理をされたんでしょうか。
○高橋データ利活用担当部長 官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会におきましては、匿名加工情報につきまして、匿名加工情報であるということが確認できれば、事業を進めるに当たり問題はないとか、匿名加工情報は物理的にも法的にも安全であるというご意見や、現時点では統計情報と匿名加工情報に限るのがよいのではないかなどのご意見がございました。
○原委員 いろいろな意見がありますよという答弁で、前に質問したときと変わっていないのかなというふうに思いました。
匿名加工情報の基は個人情報です。行政が提供する匿名加工情報を流通するという考えなんでしょうか。それは区市町村にも適用されるのか、見解を伺います。
○高橋データ利活用担当部長 地方自治体が提供する情報は、各自治体が判断するものでございまして、官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会では、TDPFの運営組織におけるデータの取扱いについて議論しております。
○原委員 それでは、東京データプラットフォームのポリシー案の中には、問合せ先、ステートメントに関するご意見、ご質問、苦情の申出などについてのお問合せというのが、窓口をつくるというふうに書いてあるんですけれども、この窓口を設けるように書かれていますが、これはどこになるんでしょうか。
○高橋データ利活用担当部長 東京データプラットフォームのポリシーは、その運営組織にて定めるものでございまして、運営組織にて窓口を設置するものと考えております。
○原委員 重ねて、すみません。官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会の議論の中では、自己情報コントロール権についてはどういうふうに議論され、認識をされているんでしょうか。そのことをこのポリシー案の中に盛り込んでいますか。
○高橋データ利活用担当部長 昨年度作成いたしましたポリシー案におきましては、東京データプラットフォームデータ流通推進事業で取り扱うデータの範囲として、まずは個人情報を取り扱わない方針としております。
○原委員 今、一つ一つ聞かせていただいたんですけれども、全て答弁は、運営組織で検討、議論するということなんですよね。私は、その運営組織を設置するに当たって、都としての考えを示すべきではないかということを以前からいっているんですけれども、やっぱりそこはお示しいただけないんだなということが、今回の質問をして分かったんですね。それでいいのかというふうに今思っています。
今、最後のご答弁でも、取り扱うデータの範囲は、まずは個人情報を扱わないというふうにおっしゃるんですよね。
まずはということですから、あくまで入り口の問題であって、ポリシー案では拡大を前提に書かれているんですよね。本サービスを継続的に提供する中で取り扱う対象となるデータの範囲を拡大していく予定だというふうに明確に書かれているから、東京都としての認識をここで聞いているわけですけれども、とにかく最初は、まずは個人情報を扱わないというふうにいって、運営組織をスタートさせてしまって、あとは運営組織でやっていけばいいという考えに聞こえてしまうんですね。
一般社団法人などをつくっていくというふうにも、うたわれていますから、そのときに、東京都としての自治体の責任、主体性というのは、どう考えていらっしゃるのかなということをぜひお聞きしたいんですね。
都としては、データの取扱いの範囲を拡大していくということについて、そこに都としてはこういう情報は提供しないとか、ここは歯止めをかけるんだとか、そういう線引きは持っていらっしゃらないんでしょうか。
どなたかこの点について責任ある立場でお答えいただきたいと思うんですけれども、いかがですか。運営組織ができたらそこで検討するではなくて、都としてどう考えているのかということをご答弁お願いします。
○高橋データ利活用担当部長 昨年度検討いたしました官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会の議論の下に、ポリシー案は策定されたわけでございますが、データ流通推進事業で取り扱うデータの範囲としましては、まず個人情報を取り扱わないこととしておりまして、個人情報を含むパーソナルデータを取り扱う際にも、再度、有識者による専門家会議等の検討を経て、慎重に対応することとしております。
○原委員 では、まず個人情報を扱いませんよというふうにいって、その後、拡大していくということは、東京都としてもそういう方針を持っていて、その上で運営組織に検討していただくという理解でよろしいですか。
○高橋データ利活用担当部長 官民連携データプラットフォームのポリシー案におきましては、まずは個人情報を取り扱わないこととしておりまして、個人情報を含むパーソナルデータを取り扱う際でも、再度、有識者による専門家会議等の検討を経て、慎重に対応することとしております。
○原委員 私はやっぱり、担当部長がお答えいただいているんですけれども、本来であれば、デジタルサービス局全体がどういう方針で臨むのかということでお答えがあってしかるべきだと思います。
自治体としての主体性を持って、個人情報の問題は取り組んでいかないと、結局、行政の持っている情報もどんどん提供していくというふうになれば、利するのは誰なのかと、それははっきりしているんですよね。利するのは民間大企業になってしまうんですよ。こういう中で、都としてこういう情報は提供しませんとか、何かあったらちゃんと局で心配に応えますと、救済措置もありますということを打ち出さないでいて、とにかく運営組織をつくってそこで検討してもらうというのは、私はこれはとても信頼できないというふうに思ってしまうんですね。
今、国は、行政機関が持つ個人データを匿名加工情報にすれば、本人の同意なしに第三者に提供できるという仕組みをもう導入をしていて、また、個人情報保護法制も、個人情報保護の法制ですね、これも行政や民間などで別建てだったものを一元化していくと。公的部門の個人情報の範囲を狭めていくという方向なんですよね。
ですから、私は、こういう中で、都として都民の個人情報、自己情報コントロール権を保障する立場に立つべきだというふうに強く指摘をしたいと思います。
改めて最後に、自治体として個人情報の提供についてお考えがあるのかないのか、ちょっとそこは最後、ご答弁いただきたいと思います。全部運営組織で検討しますではなくて、デジタルサービス局としての考えはないのか伺います。
○高橋データ利活用担当部長 デジタルサービス局では、東京データプラットフォームなどデータ利活用の事業を所管しておりまして、個人情報保護制度は生活文化局が所管しているところでございます。
○原委員 残念です。私は、デジタルサービス局を立ち上げるというその責任において、個人情報保護について局としてどういうふうに取り組んでいくのか、さらに、今、既にもう、個人情報を扱わないというのは、まずは扱わないというふうに明記をされている中で、じゃあ、どうやってこれを歯止めをかけていくのか、取扱いをどうしていくのかというのを、東京都自身が示さないと駄目なんだということを改めて指摘をしたいと思います。
ずっと担当部長がお答えいただいたんですけれども、私は、デジタルサービス局全体でこの問題をしっかり受け止めて、個人情報の問題をないがしろにして進めるわけにはいかないということを指摘しておきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○西崎委員 これまでデジタル活用推進、サイバーセキュリティ、個人情報保護、そしてまた様々、正面からの議論というものがなされてきたわけでありますけれども、私の方から少し周辺的な細かい部分も含めて伺ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
まずは、デジタルの力を活用した行政の総合的推進というところから、各局支援のうち、RPAの導入支援について伺います。
RPAの大きな効果というのは、ここでいうまでもなく、各局での導入を支援していくという役割は非常に重要なものであると思っております。
実は私も三年前に、目黒区議会のときにRPAの導入を提言し、実現に至ったという経緯がありまして、それなりの思い入れを持っていると同時に、導入に至るまでの様々な課題というものも目の当たりにしてまいりました。
そこで、まず伺いますが、各局のRPAの導入について、具体的にはどのような支援を行っているのでしょうか。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 RPA、ロボティック・プロセス・オートメーションは、パソコン等での入力業務や集計作業をプログラムによって自動で処理する技術であり、各局の業務効率化に有効なものでございます。
デジタルサービス局では、このRPAのライセンス、利用権を一括して調達するとともに、RPA活用ガイドラインを作成するなど、各局が導入しやすい環境づくりを行っております。
また、各局への実際のRPAの導入に当たりましては、操作方法の説明にとどまらず、自動化処理をプログラミングする際の作業工程の作成への助言など、実情に応じてきめ細かいサポートを行っております。
○西崎委員 はい、ありがとうございます。ライセンスの一括調達であるとか、具体的な工程作成への助言など、できる限り導入のハードルを低くして積極的に取り組んでいるということがうかがえます。
一方で、RPAも含めたデジタル活用においては、いわゆるツールを導入するということだけではなくて、既存の業務そのものを見直して再構築をしていくということが必要になってまいります。
つまり、これまでの業務のどの部分にRPAなどを取り入れていくかという判断だけではなくて、デジタル技術を活用して効率的かつ効果的な事務事業を実施するためには、従来の仕事のやり方のどの部分を変えるかという、そういう判断も求められてまいります。いわゆるBPRというところかと思いますけれども、それと膨大な都の様々な事務事業、業務量に鑑みると、やっぱりデジタルサービス局だけでは限界があると思います。
そうした限界を突破していくには、やはり各局の職員レベルでDXを推進するという体制が必要であるかと思いますけれども、そのための知識や意識の改革について、どのような取組を行っているのでしょうか。
○巻嶋デジタル改革担当部長 都は、政策企画局、デジタルサービス局などから構成する構造改革推進チームを中心に、DXをてことして、制度や仕組みの根本まで遡った都政の構造改革を全庁挙げて推進しております。
改革の突破口となる七つのコアプロジェクトに加えまして、各局事業につきましては、サービス提供の在り方や仕事の進め方の改革を進める先導役として、リーディングプロジェクトを実践しております。この実施に当たりましては、デジタルサービス局のICT職員などが各局の職員に対しテクニカルサポートを行いますとともに、デジタルセミナーなどを通じまして、職員の知識の底上げや意識変革を図っております。
○西崎委員 ありがとうございます。恐らくデジタルサービス局の皆様は、これを本気で進めていこうというものかと思いますし、アップグレード戦略においても、二〇二五年度の到達目標を示して、様々構造改革、これは全庁的にであろうかと思いますが、進めているところかと思いますが、そうはいっても、やはり人が介在をするという仕事でありますので、期間だけではなくて、いろいろと長い道のりになってくるのかなと思いますが、引き続きここについては、鋭意取り組んでいただきたいと期待をいたします。
次に、少し細かい点に入りますけれども、調達指標に関しまして、その一類型でありますサブスクリプション方式、いわゆるサブスクについて伺います。
最近は、食品や衣服、化粧品や車など、いわゆるアナログ系サブスクというものも大分消費者に浸透しておりまして、元来、そもそものデジタル系サブスクというものは、もはや一般的なものになっているかと思います。
これはそもそも、OSやソフトウエアについても、サブスク方式で提供する事業者というものが非常に多くなっておりまして、企業や自治体にとっても、初期投資の軽減であるとか管理のしやすさ、また更新の手間がかからないとか、様々メリットが挙げられるかと思います。
そこで伺いますが、都でこうしたサブスクリプション方式への切替えというのは進んでいるのか、いかがでしょうか。
○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 都庁職員が通常業務に使用している基盤システムであるTAIMSにつきまして、以前は職員が使用する端末と併せてソフトウエアを調達してきましたが、平成三十年度より、端末にインストールする文書作成や表計算に使用するソフトウエアを一定期間の利用料による契約、いわゆるサブスクリプション方式による調達に順次切り替えております。
○西崎委員 もう既に二〇一八年度から、TAIMSのソフトウエアが順次サブスク方式に切り替わっているとのことでございました。もうとっくにやっているよということで、大変失礼をいたしました。
様々、恐らく当時、状況を把握した上での判断であったかと思いますけれども、これはどういう経緯で切替えに至ったのか、そしてまた切り替えたことによる成果というものがあるのであれば、それについて伺いますが、いかがでしょうか。
○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 平成三十年度より、TAIMSのソフトウエアの調達をサブスクリプション方式に切り替えたのは、総務省のガイドラインに基づくネットワーク分離の実施に伴い、職員が業務で扱う機器の数が増え、従来方式で調達するとコストが大幅に増加することが見込まれたためでございます。
切替えの結果、例えば複数の端末に必要なライセンスが一つになるなど、サブスクリプション方式の導入により経費削減が図られたところでございます。
○西崎委員 はい、そうすると、成果としてコストの削減効果が出ているということをお答えいただきました。これについては評価をすべき点になろうかと思いますけれども、一方で、サブスク方式のデメリットとして、長期間利用した際のトータルコストの問題であるとか、はたまた事業者によるサービス停止のリスクなども、一般的に挙げられているところでございます。
こうしたところに鑑みて、今後、いわゆるこうしたサブスクリプション方式による調達、東京都としてどのように考えていくのか、方向性について伺います。
○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 調達するソフトウエアにつきましては、その種類や数量、利用方法、金額等により、調達方法は様々でございますので、今後とも、メリット、デメリットを十分に勘案しながら、サブスクリプション方式も含め最適な方法を検討してまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。今、もうそういう時代なんだなと思いながら聞かせていただきました。
次の質問に参ります。
次に、また少しニッチな角度からの質問で恐縮ですけれども、いわゆるRSSの提供について伺ってまいります。
RSSは、ホームページなどの更新情報を提供することで、受け手がスピーディーに各種の情報を受け取ることができるというものでありまして、既に東京都のトップページ等でも提供をされているものでございます。
ところが、各局のサイトを拝見いたしますと、RSSを提供している局としていない局というのが、かなりばらばらである状況です。例えば産業労働局や教育委員会ではRSSを提供しているということでありますが、デジタルサービス局では提供していないという、そういう具合でございます。これは別にこの場で責めているわけではございませんで、RSSの栄枯盛衰の部分によるものだと思っています。
かつて、そもそもこのRSS自体が情報収集の方法として多く利用されていたところでありますけれども、時代の変遷とともに、SNSの普及など、そういったものに伴って大手のサービスが次々と終了していって、リーダーのサービスですね、そういったものが終了していって、利用者が減っていった、廃れていったというのは、これは事実でございます。
しかし、一方で、SNSのようないわゆるフロー型の情報収集というものが一般化をしてきたということとは別に、行政の情報、東京都なり行政の情報を必要としている方は、特定の分野の情報を継続的に求めている場合というものも多いと思われます。
例えば教育の情報を欲しかったら教育委員会のものですし、それから環境であるとか建設であるとか様々、それぞれの例えば事業であるとか生活に携わっているという方にとりましては、そういう情報が定期的に届くというサービスは、一定利便性があると思われます。そうすると、いわゆるストック型ともいわれるRSSの提供と行政情報というのは、親和性が高いのではないかと思います。
そこに、これは最近の話でありますけれども、国内最大シェアを誇るブラウザーがRSSリーダーとしての機能を復活させるという、そんな情報も耳に入っているところでございまして、RSS提供というのが再び注目をされる可能性があると思っています。
そこで、各局を支援するデジタルサービス局としても、こうしたRSS対応に関する助言を行っていくべきではないかと考えますが、所見を伺います。
○荻原サービス開発担当部長 ウェブサイト内の新着ページや更新ページのタイトルやURL更新日時、要約などを一覧形式で表記したRSSフィードを定期的に呼び込むためのRSSリーダーの機能については、ユーザーが更新情報を効率的に取得することのできるサービスでございます。このRSSリーダーについて、ウェブサイトを閲覧するために使うソフトである、いわゆるブラウザーの一部において、六月から試行的にサービスを開始しております。
しかしながら、現時点で正式のリリースとなっておらず、また、スマートフォンなどを動かしているオペレーションシステム全てに対応していないなど課題があることから、今後のRSSリーダーの技術動向等を注視してまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。二〇二一年にこんな質疑をするとは、私も思っておりませんでしたけれども、これについては私も正直、今後の動向が分からないというところでありますけれども、実は私自身もRSSリーダーをいまだに愛用しておりまして、東京都のフィード撤去していない各局のフィードも勝手につくって、情報をいただいているところでございますので、今後も都政の情報が効果的に発信できるように、引き続き注視をしていただきたいと思います。
次に、東京都のデジタルガバメント化全体を考えていくに当たって、さきの委員からも少し言及のありましたPDFの取扱いについての考え方を確認してまいります。
各種のデータ管理であるとか情報発信について、PDFファイルが使われるという場面は多々あろうかと思いますけれども、先ほども指摘がありましたように、この規格には課題も様々ございます。
有名なところでは、イギリス政府のサイトにおきましては、情報の閲覧や利用を可能な限り容易にするという観点から、PDF形式を名指しして極力使わないようにするという方針を公表しているところでございます。
例えば二〇一八年七月の英政府による記事によりますと、PDFについて、レスポンシブに非対応、つまりタブレットやスマホなど様々閲覧端末が多様化する時代に、ユーザビリティー的にも致命的であるということであるとか、あと、アクセス解析をしようにも、ダウンロードされちゃったらもう追跡のしようがないということであるとか、あとは、サイト閲覧をしていた流れをPDFが介在することで断ち切ってしまうというようなデメリット、また、さっきも指摘をされたようなアクセシビリティーの課題、さらにはPDFとして掲載をした情報の更新が困難であるということであるとか、逆に今度は、その情報の受け手にとって再利用するのが難しいということなど、問題点が次々と指摘をされているところでございます。
こうしたPDFファイル形式の抱える様々な問題に対する指摘について、東京都としてどのように捉えているか、所見を伺います。
○深井戦略部長 PDFなどを使ったウェブページなどのアクセシビリティーの改善の取組につきましては、四月にUI、UX等の専門的知識を持つ外部有識者の方にヒアリングを行い、都が取り組むべきデジタルデバイド是正の方策の方向性や、PDFなどを使ったウェブサービスの提供に当たっての注意点を伺ったところでございます。
これらを踏まえまして、デジタルサービス局では、各局の取組を技術面からサポートしていくに当たって、アクセシビリティーに関するガイドラインを策定してまいります。
策定に当たりましては、外部の有識者にも参加いただくワーキンググループを設置し、利用者の視点に立ったデジタルサービスの提供に向けて検討を進めてまいります。
○西崎委員 はい、ありがとうございます。PDFの持つ、主にアクセシビリティーの観点からお答えをいただいたものかと思いますけれども、もちろんそれは、実際に利用者の不都合が様々声が出ている中で対応をされていることかと思いますが、先ほど申し上げましたように、アクセシビリティー以外にも、様々なPDFの問題点というものが実際に指摘をされているというところですので、まさにここは利用者視点に立ったデジタルサービスを提供していくというところがポイントになろうかと思いますし、事実、イギリス政府が指摘をしているようなPDFの問題点というのは、確かにそのとおりだなと私も受け止めているところでございますので、それについては、今後ぜひ調査研究を進めていただきたいと思います。
一方で、じゃあ、そういっているイギリス政府がPDFと完全に決別できたかというと、全くそんなことはありませんで、実はいまだに使われ続けているということでございます。これもイギリス政府自身が語っておりまして、いわゆる再利用性であるとかアクセシビリティーを考慮しなければ、極めて、デザインであったり作成が容易であるということ、はたまたダウンロードであるとか印刷がしやすいということ、そういうかつてメリットと思われていたけれども今はどうなんだろうという、そうしたつくる側にとっての利点というものも実際にあるということで、いまだに使われ続けているということでございます。
そう考えていくと、このPDFというのは、これまで非常に便利だということで使われてきたし、今も使われているものでありますけれども、こう考えると、かつてといいますか、今もそうでありますが、紙媒体の、紙文化からペーパーレスの時代に移っていく、その過渡期の産物なんじゃないかというふうに私は捉えております。
例えば、東京都のアップグレード戦略も、電子書籍、またPDF形式等でも提供しておりますけれども、やはり紙媒体で見られることも意識をして、どうしてもつくられているかと思います。
そうすると、そうしたものも含めて、今後、東京都が様々なペーパーレス化を進めていくということは間違いないと思いますけれども、こうしたPDFの規格に関しまして、そうした問題点があるという観点からも、今後、東京都のペーパーレス化について検討を進めていくべきではないかと思いますけれども、これについて所見を伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 ペーパーレスは、これまでの紙と鉛筆での仕事から転換し、デジタルベースで仕事ができる環境を整えて、デジタルガバメントを実現するための前提となる取組でございます。
ペーパーレスの推進に当たりましては、単に紙をPDF化するということではなく、データを有効活用する観点から、都民の方からの申請や内部事務の処理におきまして、クラウドサービスや申請フォームの活用などを進めております。こうした取組を広げていくことで、ペーパーレス化を徹底し、都民の利便性の向上と都政の業務の効率化を図ってまいります。
○西崎委員 非常にお答えしづらい質問にお答えいただきまして、ありがとうございます。
これ、そもそも東京都だけで完結できるような話でもありませんし、デジタル社会に向かっていく中で、まして今、こうやって紙の原稿を持ちながら質問するようなお話でもないのかもしれませんけれども、デジタルサービス局の皆様は、まさにその大きな時代の転換点でお仕事をなさっているものだと思っております。
引き続き、これまでの常識であるとか前例にとらわれず、大胆にデジタル社会を引っ張っていただくということを期待いたしまして、私の質疑を終了いたします。ありがとうございました。
○森澤委員 私からは、まず業務のデジタル化による都庁の生産性向上についてお伺いをいたします。
シン・トセイには、業務改善とそのデジタル化により、職員がイノベーティブな政策立案やきめ細かな都民対応に注力できる環境を整えるとあります。
その中で、先ほど出ましたけれども、都庁における仕事の生産性の向上を図るため、RPAを活用した業務の効率化に取り組んでいるということでありますが、どのように取り組み、具体的にどの程度の成果が出ているのか、お伺いをいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 RPAでございますが、デジタルサービス局は、このRPAのライセンスを一括して調達するとともに、ガイドラインを作成しまして、それから操作説明会の開催や自動化処理をプログラミングする際の作業工程の作成への助言などを行っております。
RPAの導入の成果でございますが、現在、福祉保健局の新型コロナウイルス感染症の重症者報告や教育庁の障害者雇用状況調査の集計など、四十四の業務でRPAを活用され、作業時間の短縮など効率化が図られてきたところでございます。
作業の自動化によって、処理時間の短縮だけでなく、入力や転記など手作業に伴うミスの防止、また、職員が企画、検討など創造的な業務に時間を充てられるといった成果が出ております。
○森澤委員 作業時間の短縮、ミスの防止、そして企画や折衝など創造的な業務に時間を使うことができる成果が出ているということでした。
業務の効率化による生産性向上した先に何があるのか。企業であればより多くの利益を上げていくことですが、都庁であればシン・トセイで示されているように、職員が時代や都民ニーズに即した政策立案を行い、都民の幸せの向上に資する取組をより多く行う時間と労力を捻出していくことだということです。そういったことを常に念頭に、引き続き進めていただきたいと思います。
また、そもそもICT活用の前提となる業務改善については、もともと総務局が主体となって進めていて、現在、デジタルサービス局に移管されていると認識しています。そういった業務改善についての推進も併せて力を入れて取り組んでいただきたいということも申し述べておきます。
次に、各局の支援についてお伺いいたします。
特に、コロナ関連では、福祉保健局によるアプリを活用した若者の接種促進や、オンライン診療のシステム活用、産業労働局の協力金のオンライン申請など、挙げれば切りがありませんけれども、新規の施策にデジタルが絡んでくるということは本当に増えています。
また、これまで各局が制作した都民向けのポータルサイトなど、それなりの予算をかけて作ったものの、使い勝手がよくなく、改善、リニューアルが必要だと思われるものも見受けられます。そういったところに積極的にデジタルサービス局が関与していくことが、都庁全体のデジタル化の質を上げることにつながると考えるわけですが、改めて、デジタルサービス局が、各局が進めるデジタル化、IT関連事業においてどのような役割を担っているのか、お伺いしたいと思います。
各局のDX化を推進するためには、デジタルサービス局の各局への関わり方は非常に重要だと考えますが、各局への支援について、どのような取組を対象として、どのように支援を行っているのか、お伺いいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 現在、都では、幅広い分野においてデジタル化の取組が進められており、デジタルサービス局では、分野を限らず、各局の様々なDX化の取組を技術的にサポートしております。
具体的には、各局から支援の依頼を受けた後、その取組内容に応じ、民間経験を持ったデジタルシフト推進担当課長やICT職員等を支援担当に割り当て、適切なデジタルツールの選定や仕様書の確認など、専門的見地から技術的にアドバイスしております。
また、DX化の取組効果を一層高める観点で、ダッシュボードなどの各局で共通利用できるツールを整備し、その活用を促すとともに、利用方法についてもきめ細かくサポートしております。
今後とも、各局との連携を一層強化し、都政のDX化の推進役としての役割を果たしてまいります。
○森澤委員 今ご答弁で、各局の支援の依頼を受けた後に様々なアドバイス等、そして確認等を行っているということでした。
各局におけるIT関連事業において、そもそもシステムの構築が必要なのか、アプリ開発が必要なのか、民間アプリを活用するかなど、予算の段階から関わっていくからこそ、デジタルサービス局の価値が発揮できるものだと考えます。ぜひ、各局からの依頼を待つのではなく積極的に関与し、各局のデジタル化の最適化に取り組んでいく姿を期待したいところです。
一方で、そこまで踏み込むには権限の課題もあるということは認識をしております。デジタルサービス局がその価値を発揮し、都のデジタル化の一定水準を保つこと、あるいはデジタル化する際に都として適切に予算を使っていくことを考えると、各局がIT、デジタル関連事業を行う際は、必ずデジタルサービス局を経由しなければならないといった立てつけやルールづくりも行う必要があるのではないかということも感じるわけでして、都庁全体でこのあたりもぜひ検討していただきたいと申し述べておきます。
次に、各区市町村の支援についてお伺いをいたします。
練馬区では先日、全国初の取組として、LINEで保育指数を自動計算する仕組みを構築したとニュースになっていました。これは、保育所の入所申込みをする保護者であれば、どの自治体でも使いたいと思うような仕組みでもあります。各区市町村でこういった好事例を横展開できるよう、情報共有していくことが必要だと考えます。
保育所の入所申請書類のオンライン化など、全都的にデジタル化が望まれるものがあります。そういった各区市町で共通となるような課題については、都としてモデルプロジェクトなどで取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 都では、区市町村のDX推進による住民サービスや職員のノウハウの向上を図るため、窓口手続等のデジタル化に関して、伴走型の支援を行うモデル事業を区市町村と連携の上、実施しております。
このモデル事業の対象とする業務については、あらかじめ区市町村へ募集、選定を行い、保育所関連の手続や妊婦の相談受付等、五つの区市における業務について、業務プロセス全体の見直しに取り組んでおります。
例えば認証保育所の保育料助成や保育事業者が行う給付金の申請等、現状、紙ベースで行われている手続について、RPAやローコードツールなどを活用し、デジタル化を図るとともに業務の改善につなげてまいります。
事業の実施後は、取組内容の分析、評価を行い、得られた成果やノウハウについて他の区市町村へも横展開をしてまいります。
○森澤委員 モデル事業実施後は、内容の評価を行って成果やノウハウを他の区市町村へ横展開していくということで、こういったモデル事業によって、区市町村のデジタル化がより一層推進されることを期待したいと思います。
一方で、同じようなサービスを提供していても、区市町村ごとにシステムが違うケースが多いというのは、これまで度々指摘されています。区市町村におけるシステムの標準化、共通化に向けてはどのように対応しているのか、お伺いいたします。
○深井戦略部長 現在、国は、区市町村が行っている住民記録等の基幹業務に関する仕様の標準化を進めており、民間事業者がこの標準仕様に準拠したシステムなどを、いわゆるガバメントクラウド上に構築し、これらを区市町村が活用することとされております。
区市町村におきましては、標準仕様に準拠したシステムを活用することにより、サーバーなどの共同化によるコスト削減や最新技術への対応など、都民サービスの向上にも資するメリットが得られることから、目標時期である令和七年度に向けて、現行の基幹業務システムなどをガバメントクラウドに円滑に移行していく必要がございます。
そのため、都といたしましては、都・区市町村CIOフォーラムなどにおいて、情報システムの標準化、共通化に関する国の動向の共有を図るとともに、技術的課題を抱える区市町村に対しては、都の専門人材による技術相談を個別に行うなど、支援してまいります。
○森澤委員 四年後に向けて、スピード感を持って区市町村と緊密に連携して進めていただきたいと思います。
次に、先端的な事業の推進、スタートアップとの協働促進についてお伺いいたします。
社会課題の解決と経済活動の両立を図る企業のことをゼブラ型企業と呼びます。これは世界のビジネスの潮流を形成しつつありますけれども、社会課題の集積する東京だからこそ、ゼブラ型企業の集積地にもなり得ますし、社会課題解決の先進都市になり得ると常々考え、その鍵となるのが官民協業であると捉えています。
一方で、オンリーワンの技術やノウハウを有しながらも、その活躍の場を見いだせずにいるようなベンチャーも数多く存在しています。
そういった中で、行政の課題を民間の視点で捉え直し、企業的手法で解決するキングサーモンプロジェクトのポイントは、スタートアップを支援して終わりではなく、新たに生まれた経済的価値、課題解決のノウハウなどの果実を評価し、横展開していくものだということで期待し、予算段階の二年前の一般質問で質疑をさせていただきました。
当初の狙いどおりの事業となったのか、二年にわたる第一期の事業は完了したと認識しておりますが、具体的にどのような成果があったのか、お伺いをいたします。
○土村デジタルサービス推進部長 第一期では、昨年までの二年間で、医療、福祉や観光、インバウンド関連において四件の選定をいたしまして、このうち、コロナ禍の影響で本年度に実施を順延いたしましたインバウンド関連を除いた三件の実証を完了いたしました。
この三件のスタートアップの製品は、課題の解決に資するものとして、昨年度末に、地方自治法に基づき、政策目的随意契約の対象製品として認定いたしました。
これを受けまして、三つの製品につきましては、本年度、都が率先して公共調達を行い、当初、実証を行った職場以外でも広く導入されることとなりました。
また、本件はメディアにおいても導入事例が取り上げられるなどしており、スタートアップの成長に向けた順調な成果を上げているところでございます。
今年度は、令和四年度の実証に向け、新たに第二期の公募を予定しておりまして、こうした成果を着実に積み重ねていけるよう、事業を進めてまいります。
○森澤委員 新しいものを広く普及させるには、アーリーアダプター、つまり初期採用者が重要だといわれています。このアーリーアダプターが発信した情報から安全性や利便性を確認し、安心感を得たアーリーマジョリティー、多数によって一気に市場に普及していくということです。そういった意味で、実際に都で調達し、今ご答弁にありますように、メディアにおいて導入事例が取り上げられているというところで、アーリーアダプターとしての役割を都が果たしていることが分かりました。
二期目以降も、より一層そういった成果を上げられるよう進めていただきたいと思います。
次に、創薬系オープンイノベーション事業について伺います。
日本は諸外国と比べ、創薬や医療に対して投資の少ない国といわれており、研究を続ける環境が得られないということです。コロナ禍でも明らかになりました。そのような意味で、こうした取組を行政が下支えすることの意義は非常に大きいというふうに捉え、昨年も取り上げさせいただきました。
創薬系オープンイノベーション事業の取組、中でもブロックバスタートーキョーの今年度の状況と、その目指すところについてお伺いをいたします。
○土村デジタルサービス推進部長 創薬系オープンイノベーション事業においては、創薬、医療系ベンチャー育成支援プログラム、いわゆるブロックバスタートーキョーの実施や、都内ウエットラボへの入居補助を行っているほか、東京医科歯科大学との連携により、大学の保有する試験機器をベンチャー、スタートアップ等に開放する取組及び人材育成講座を実施しております。
中でも、ブロックバスタートーキョーでは、創薬、医療分野における起業に向けた機運醸成のためのセミナーと、有望な起業希望者等々を対象とする選抜プログラムを実施しております。選抜プログラムにおきましては、起業や資金獲得等に向けて、専門家による指導助言やマッチング支援等を行っており、今年度は十四チームを選抜して支援を開始してございます。
ブロックバスタートーキョーでは、二〇一八年の制度開始以来、今回の十四者を含めまして、七十三者に対して支援を行い、起業、事業化が難しいとされるこの分野におきまして、高い起業率を達成するなどの成果を上げてございます。
今後も、創薬、医療分野におけます起業の活性化や新事業創出の後押しを通じて、この分野におけますイノベーションの活性化に向け、着実に事業を推進してまいります。
○森澤委員 今ご答弁にありました高い起業率を誇っているということですが、高い起業率というのは具体的にどの程度なのか、また、創薬分野は起業後、長期スパンの開発となるため、安定的に資金が得られることが必要だと考えますが、その点についてはどのように支援しているのか、お伺いをいたします。
○土村デジタルサービス推進部長 これまで、ブロックバスタートーキョーに起業を目指して参加した者の起業率は三割を超える状況でございます。
ブロックバスタートーキョーでは、長期間安定的に資金調達を行っていくためには、ビジネスプランの完成度がその成否に直結するという考えの下、選抜プログラムの中において、専門家によるビジネスプランの磨き上げの支援や資金調達に向けたメンタリング、国内外の有力なベンチャーキャピタル等との引き合わせなどの支援を行っているところでございます。
○森澤委員 プランの磨き上げやメンタリング、そしてVC等との引き合わせなど、資金調達に向けた素地、資金調達を得られやすい環境を整えていく役割を果たしていることを理解しました。そういった強力な後方支援により安定的な資金が得られるよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
最後に、自動運転についてお伺いいたします。
これまで数年にわたり、都は自動運転の実証実験を様々な場所で取り組んできています。私も、大手町、六本木の自動運転のタクシーによる公道での営業の実証実験をはじめ、多摩ニュータウンでの都内公道初の自動運転バス、自動運転タクシーと自動運転モビリティーを活用した羽田空港から丸の内の店舗までのMaaSの実証実験など、様々な自動運転の実証実験に参加をさせていただきました。
都では、未来の東京戦略において、二〇二五年の無人自動運転による移動サービスの実現を政策目標として掲げ、スマート東京先行実施エリアにおける自動運転の早期事業化、二〇二三年度を目指しているということですが、都はこれまで、数々の実証実験で得られてきた知見をどのように生かし、どのようなケース、場面において自動運転の活用が有効であると考え、それを実装していこうと考えているのか、また、その取組についてお伺いをいたします。
○土村デジタルサービス推進部長 自動運転技術につきましては、平成三十年度から令和二年度において、地域の拠点と居住地とを結ぶ高齢者等の移動手段としての活用や、空港と観光拠点等のアクセス性の向上など、様々なケースで実証実験を実施してまいりました。
実証実験におきましては、利用者からはおおむね肯定的な反応が得られた一方、交差点でのスムーズな右左折や運賃設定の難しさが課題として確認されました。これらの知見につきましては、成果発表会で公表し、官民を含めた関係者に広く共有したところでございます。
今年度は、こうした課題への対応も踏まえ、先行的に5Gネットワークを整備しております西新宿エリアを活用し、二件の実証実験を行う予定でございます。具体的には、信号機や路肩に設置したセンサーとの通信などによる円滑な右折左折や加減速などの運行制御、歩行者、駐車車両の探知など、より実際の走行に近い形のものとしていく予定でございます。
こうした取組によります知見を重ね、二〇二三年度の社会実装を目指して取組を進めてまいります。
○森澤委員 高齢者の移動手段としての活用のほか、空港と観光拠点のアクセス向上など、様々な実証実験をしてきたということでした。
自動運転を単純に実装するということだけでなくて、やはりどういった活用が都における課題解決に資するのかということを見極めながら、そこに注力してぜひ取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○川松委員 先ほど我が党の平田委員から質問のありました、国、特にデジタル庁との連携は、都民のQOSを高めていくためにも、とても重要なポイントだというのは明らかであります。
これまで、誰もが必要だと感じていながら、日本の行政の場でデジタル化がなかなか進まなかった背景には、国と地方の連携が不十分であったのではないかというのは私の考えです。
政府では、経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇、いわゆる骨太の方針におきまして、新たな日常の実現に向けた具体的施策の一つに、国、地方を通じたデジタル基盤の標準化の加速を掲げて、そしてこの九月にはデジタル庁が発足したということで、今後の具体的な国と地方との連携が期待されているところだと思っています。
そこで、国と区市町村それぞれとの連携については、平田委員の質問からも明らかになったわけですが、忘れてはいけないのは、国と区市町村、そして東京都が一体となってこの取組を進めていくということだと思います。
その意味で、東京都は国と区市町村をつなぐキーパーソンでありまして、日本社会、日本の行政システムのデジタル化を実現するためには、東京が果たすべき役割は非常に重いんだというふうな立場だと考えています。
例えば、これまでもITベンダーの課題もありましたけれども、マイナンバー推進の議論の中でも、行政側の手続をスマートにできるんだとしていましたが、本質的には、特に総務省と東京都あるいは区市町村とでシステムの互換性がない。結局手間が増えちゃうということで、消極的な姿勢の方がおられたのも、その議論の中で認識をしております。
では改めて、ここで伺いますけれども、各自治体あるいは国など、おのおのとの連携はもとより、いろんな人たちが一体となって取り組んで進めていかなければいけない課題だと思っていますけれども、局として、東京都はどういった役割を果たしていくのか、考えておられるのかをまずお聞きします。
○深井戦略部長 政府が示した骨太の方針に従って、自治体が重点的に取り組むべき事項を具体化するとともに、関係省庁の支援策を取りまとめた自治体DX推進計画が昨年十二月に示されております。
この計画では、区市町村のシステム標準化などが中心に記載されておりますが、都道府県が果たすべき役割として、人材ニーズの把握、調整や、AI、RPAなどのデジタル技術の導入支援のほか、データの共有化や経費節減の観点からの共同導入、共同利用の推進などの具体的な支援策についても言及されております。
都といたしましても、この計画が目指す社会全体のデジタルトランスフォーメーションの実現に向け、都内区市町村が足並みをそろえながら取り組んでいけるよう、必要な支援を行ってまいります。
○川松委員 今お話ありましたように、東京都の役割がかなり大きいんだということの中で、東京都は、都でもということでしょうけれども、国同様に、デジタルトランスフォーメーションをてこにして、都政のQOSを高めることを政策目標に掲げました。
このため、オンライン通則条例の全面改正を行って、行政手続のデジタル化を強力に推進していくための推進計画を公表したわけでありますが、この条例と推進計画の目的と意義というのを改めてここでお聞きしたいと思います。
○深井戦略部長 行政サービスの根幹ともいうべき行政手続のデジタル化を推し進めるため、従前のオンライン通則条例を抜本的に見直し、原則デジタルで手続を行うことを定めた東京デジタルファースト条例を本年四月に施行いたしました。
本条例に基づく推進計画は、対象となる手続を明確にし、デジタル化に向けた取組の基本的な方針を定めるとともに、デジタルデバイドの是正や区市町村との連携、協働などを明記し、計画的にデジタル化を進めていくために策定したものでございます。
また、この計画の策定過程でパブリックコメントを実施し、都民等から六十六件のご意見をいただき、計画に反映してございます。
今後、この推進計画の下で、全庁挙げて行政手続のデジタル化を確実に進め、都政のクオリティー・オブ・サービスの向上に寄与してまいります。
○川松委員 これまでもいろんな議論、出ていましたけれども、このDX、それはどこまでやっていくかということだと思うんですね。言葉では勇ましくて高い目標を掲げることはできますが、今、全庁挙げてこれからDX化を進めていくんだということでありますけれども、本当に一〇〇%ということを考えると、現実的には一年、二年の話ではなくて、長い年月をかけて築かれてきた今の都政の在り方を変えていくということですから、相当なパワーが必要となります。でも、それでもそこをスピード感を上げて本当に実現していかなければ、世界の中で東京が取り残されてしまうんじゃないかなという心配もしているわけです。
今、答弁にございましたけれども、推進計画については、四月の条例施行後の計画案を策定して、パブコメを経て七月に公表するということで、これは第二回定例会でも報告があったことです。
この計画では、二万八千もの手続のデジタル化を進めていくということで、今までも議論してきたわけですけれども、一体じゃあどうやってこれを進めていくのかというのが、都民の皆さん方が疑問に感じている重要な点だと思うんですね。
そこで、推進計画公表後の取組状況と、これからどういうふうに局として取組を考えていくのか、そのあたりの考え方を教えてください。
○深井戦略部長 推進計画策定に当たっては、要綱等に基づく手続を含め棚卸し調査を実施し、年間件数が一万件を超える手続及びそれに関連する手続を優先的に取り組む重点手続として位置づけたところでございます。
本計画では、この重点手続を中心に、各局とも連携して利用者中心のデジタル化などを進め、おおむね三年間、令和五年度末までで、約七割の手続のデジタル化を目指していくこととしております。
このため、現在、重点手続を所管する各局とのヒアリングなどを実施し、具体的なデジタル化の方法や実施時期等を整理しており、年内を目途に、各手続の実施状況を都民に分かりやすく伝えられるよう見える化し、都民との間での進捗状況を共有してまいります。
今後、計画的、戦略的なデジタル化を強力に推し進め、都政のQOSを迅速かつ効率的に向上させてまいります。
○川松委員 全ての手続を原則デジタル化すべく、申請件数の多いものから重点的にデジタル化に取り組んでいくということは分かりましたが、現行の行政手続を単にデジタル化するだけでは、都政のQOSは向上しないのではないかと思います。
この後、おおむね三か年で約七割の手続のデジタル化を目指すということですが、システムをデジタル化を進めると同時に、局の皆さん方がやることは、都庁舎の職員の皆さん方の考え方とか、今、頭の中にある固定概念もデジタル化していくというのは、システムを変えれば、そこで三か年で七割というのは達成できるかもしれませんが、今まで当たり前のようにやってきた仕事をがらっと変えていくということになります。これは議員一人一人もそうかもしれませんし、都政に関わる一人一人の頭の中も変えていくということは、相当な大変な作業なんじゃないかなと思うんですね。
今ここでいうのも釈迦に説法なんですが、DX化で何が変わるのかという議論の中で、例えば時間の短縮が進みますとか、距離がぐんと近くなります、あるいは紙の保管場所がなくなります、いろんな効率のよさとかメリット、様々な変化がいろいろと議論されてきたわけです。私は、行政サービスの質の向上というのは、今挙げたような、いわゆるDX化のメリットというのを都民お一人お一人が感じられる、実感できるということこそが、まさに真のデジタル化になっていくこととして必要だと考えています。デジタル化によって、そうすると、例えば窓口の開庁時間や、あるいはちょっと役所まで行くのに遠いなというふうに思われているところにいらっしゃるとかお仕事されている方たち、そういう人たちが今現実的にいるわけですね、開庁時間に行くのが大変だとか、そういう人たちは距離とかにかかわらず、いつでもどこでも手続を行えるようになるのは、将来的には当たり前の世界なんだろうと思っています。マイナンバーカードを使った本人認証を新たに導入し、煩雑な手続の簡素化を図るなど、さらなるサービスアップが必要であります。
そこで、重点手続などのデジタル化に向けては、都は具体的にどう取り組んでいくのか、お伺いします。
○深井戦略部長 行政手続のデジタル化は、時間的、地理的制約を解消するとともに、手続の煩雑さなどを改善することによる都民の利便性の向上が重要でございますことから、行政手続そのものの見直しも行ってまいります。
そのため、東京デジタルファースト条例では、一度提出した情報は二度提出することを不要とするワンスオンリーの考えや、関連する複数の手続が、サービスが一か所で実現するワンストップの考えを基本的理念に位置づけるとともに、添付書類等の省略に関する条項を設けまして、必要な情報を入手、参照できる場合には、住民票の写し等の添付書類の提出を省略できるものといたしました。
また、推進計画におきましても、デジタル化に伴う手続の抜本的な見直しを明記し、業務フローを利用者視点で見直すことや、手続の性質に応じてオンラインや対面でのコミュニケーションを組み合わせるなど、単にデジタル化することが目的とならないよう、サービス設計を行っていくこととしました。
今後は、推進計画等に基づき、関係各局とも連携の上、全庁挙げて行政手続のデジタル化を進め、都民のQOLの向上に努めてまいります。
○川松委員 ただいまの答弁で、今ある行政手続を単にデジタル化することが目的とならないよう、手続そのものの抜本的な見直しなどにも踏み込んでいくということが分かりました。
まさに今、皆さん、戦略部長を中心とした目標設定をとにかく高く持って、さらにそれを常に更新していくという段階を踏んでいかなきゃいけないと思うんですけど、デジタル化によって、先ほど答弁にも出たし、私もいいましたが、少なくとも距離的な制約はなくなります。時間的な制約もなくなります。そういう社会がデジタルの力で実現されれば、都民の皆様お一人お一人もデジタル化の効果を実感するわけですが、東京都は、僕らが今議論している、目に見えているところのデジタル化じゃなくて、恐らくやっていけばいろんな課題が見えてくるので、その段階で、目標が見えてきたからもういいやって甘んずることなく、利便性の向上に向けて、推進計画に書いたことのさらに先に先に進んでいく、そういう局の動き方を強く要望しておきます。
こうした取組を推進するなど、デジタルによる都民のQOL向上を支える上で、通信環境の整備は大前提となるわけですね。
TOKYO Data Highwayを進める東京都では、つながる東京を目指すとしていますが、例えば遠隔医療やリモート学習の推進など、その必要性が高い島しょの地域の皆様にとって、その効果は大きく、特に重要なものだと思っています。まさにこの時間の制約、距離の制約がなくなるわけです。
最初に、東京都が島しょ地域において実施してきた超高速ブロードバンド化に向けた取組について伺います。
○澤井ネットワーク整備担当部長 超高速ブロードバンド環境は、都民生活にとってあまねく必要不可欠なものでありますが、伊豆諸島のうち、大島、三宅島、八丈島を除く五村六島では、人口規模が小さく、採算面から民間事業者による整備が進んできませんでした。
そこで都は、五村六島を結ぶ海底光ファイバーケーブルを整備することとしまして、国の補助を受け、平成二十八年度から、全体を四つの区間に分け、段階的に整備に着手しました。
平成二十九年七月には、御蔵島、神津島でサービスの提供を開始しました。令和元年度末には、利島、青ヶ島でもサービス提供を開始し、五村六島全島のブロードバンド化を完了しました。現在は、これらの島々を結ぶ海底ケーブルの保守管理を継続して実施しております。
○川松委員 都自らが海底光ケーブルを整備し、超高速ブロードバンド環境を整えたことは、大変多くの、島の皆さん方に喜ばれていることでありますし、いろんな様々な方面から評価をいただいているところであります。
海底ケーブルの保守管理に取り組んでいるということでありましたが、これまで過去には、海底ケーブルの損傷事故でインターネットが使えないなど、島民の皆様方の生活に多大な影響を及ぼしたことがあるわけですね。島民の生活への影響が、まさに今の通信環境、いつでもどこでもといっておきながら、同じ東京都でもこういう差ができてしまうということは心配なんです。
そこで、東京都がこれまでに実施してきた通信の安定化に向けた取組について教えてください。
○澤井ネットワーク整備担当部長 全島で超高速ブロードバンド化を終えた後、令和二年度には、海底ケーブルで各島々を大きなリング状のネットワークでつなぐループ化を完了いたしました。このループ化により、仮に一つの方向のケーブルが損傷したとしても、残るもう一つの方向に通信が自動で切り替わり、通信環境の確保が可能となっております。
さらに、島しょ地域における通信環境の安全性を高めるため、利島の沖で海底ケーブルのバイパスルートを整備するなど、より一層の通信環境の強化を図っております。
今月、台風十六号の影響により、御蔵島で海底ケーブルの切断故障が発生しましたが、ループ化を行ったことにより、ブロードバンドサービスが確保されております。来月下旬にケーブルの復旧を着手する予定であり、速やかにループ機能の回復を図り、安定した通信環境を維持してまいります。
○川松委員 まさに今の台風の話、御蔵島の話は、ちょうど話題になっていたところでありますし、ケーブルの切断故障があったにもかかわらず、ループ化によって通信障害の発生を抑えられたことは理解しましたが、切断故障が発生した島では、これ、もう一本ありますよといっても、もう一本のケーブルが切断故障に遭うと、そこで通信が孤立化することが心配だという声も上がっています。
そのためには、ケーブル故障そのものをなくすような抜本的な対策が重要であると考えますが、海底光ケーブルのさらなる安定化、強靱化に向けた都の考え方についてお伺いします。
○澤井ネットワーク整備担当部長 島しょ部は、台風の接近や冬の荒れた海といった厳しい気象環境に加え、火山島特有の特殊な地盤等により施工条件を制約され、海底ケーブルの維持管理には困難な点も多くございます。
このため、専門家による検証委員会を本年三月に立ち上げ、過去の障害事例を検証し、荒れた海への対処をするため、波の影響を受けない対策方法や、地盤条件の制約を受ける中での対策法を現地調査を実施した上で検討中であります。
今後、島しょの超高速ブロードバンドのさらなる安定化、強靱化に向け検討を進め、効果的な対策を取りまとめてまいります。
○川松委員 これから検討されていくということですけれども、海底ケーブルが潮の流れや海中生物の影響等をどうしても受けてしまうというのは、誰もが納得するところでありますが、例えば今、環境を整備しているということですけど、海底のさらに奥深くにトンネルを掘って検討するとか、いろんなことがこれから議論されていくし、その中には時間もお金もかかる話ですけれども、島民の皆さん方、一つの東京という意味において大切な作業だと思いますので、力を入れていただきたいと思います。まさにDXを全庁挙げて取り組むということは、島しょ部の皆さん方も含めてくまなく配備するということはいうまでもありません。
改めて、繰り返しになりますが、DX化によるメリットというのは、いつでもどこでも誰でもがというのが基本姿勢になるんだと私は考えていますので、庁内のソフト面、今、いろいろ戦略部長に聞いてきましたけれども、ソフト面の充実はもとより、こういったハード面の整備もとても大切なんだと、そのためにはお金もかかるんだということをいろんな人たちに理解を広げていかなきゃいけないと思います。
宮坂副知事がちょうど就任された頃は、5Gという言葉も、都政の場で、とにかくどこへ行っても5Gという言葉が飛び交っていました。これは行政の課題というよりも、実際問題進めていくと、キャリアがアンテナをどれだけ立てていくのかというような課題も側面で、側面というか、両方、二本立てであるわけですね。いずれにしても、5Gアンテナを立てることも場所とお金がとても大きな課題なわけです。
ですから、デジタルサービス局として、今までもやってきているのは十分に理解するんですが、さらに加速するためには、場所とお金の確保のために、各局あるいは各機関、あるいは民間の皆さん方にも積極的にお声がけをして、動いていっていただきたいということを強く要望します。
今日は、都政のQOS向上の観点から、平田委員から国、区市町村との連携について、そして私からは、行政手続のオンライン化を起点とした真のデジタル化とは何か、あるいは島しょ地域を支える環境整備とは何かということについて、取組について確認させていただきました。それぞれ重要な取組であって、都民がその効果を身近なものとして実感するためにも、しっかりと取組を進めていくことが必要です。
宮坂副知事が就任されて以来、様々な場面で、デジタルの力で都政のQOSを向上するとして、目指すべき東京の姿として示してきたものは大変大きなものであって、レベルの高いものだというふうに誰もが認識しています。そういう社会を実現するために、都政のデジタル化の旗振り役、牽引役としての取組を期待され、設置されたのがこのデジタルサービス局であり、そこに今お集まりの皆さん方がその使命を担われていることだろうと思っています。
都民がデジタル化による効果を実感できるよう、国、区市町村と共に十分に連携を図りながら、スピード感を持ってしっかりと取組を進めていただくことを強く要望しまして、質問を終わります。
○あかねがくぼ委員 私の方からは、まず最初にデジタル人材の確保や育成について伺います。
我が国は、デジタルの領域の人材というものが官民ともに大幅に不足しているといわれています。また、人材の確保におきましては、民間の方が必要な人材に対しては柔軟に投資をすることができる。そのため、即戦力となるデジタル人材の給与水準、これが公務員よりも比較的高くなるケースも多いのではないかと考えます。
都においても、民間で活躍をした専門人材であるデジタルシフト推進担当課長の採用を行っていますが、こうした高度な専門性を有するデジタル人材の確保について、様々な困難が見込まれる中、採用に向けた取組には一層の工夫が必要であると考えます。見解を伺います。
○深井戦略部長 デジタルシフト推進担当課長など、高度な専門性を有するデジタル人材の採用に当たっては、これまでも局が運営しているウェブサイト上で広く公募するなどにより、有為な人材の確保に努めてまいりました。
しかし、デジタル人材については、現在、国や他自治体において様々な募集が行われており、都としても人材確保に一層力を入れて取り組んでいくことが必要でございます。
有為な人材の確保に向けては、都のDXの取組の認知を向上させていくことが重要でございまして、都では、noteやツイッターなどのSNSを活用した情報発信を積極的に行っております。
さらに、都の人材募集の情報について、局が運営するウェブサイトに加えて、デジタル分野の求職者が多数登録している外部求人媒体にも掲載することで、民間デジタル人材に対する訴求力の向上を図ってまいります。
今後とも、多様な手法を組み合わせ、効果的な採用活動を展開し、有為な人材の確保に努めてまいります。
○あかねがくぼ委員 外部の求人媒体などにも求人をしているという、そういった形で訴求力を上げていくという取組をされているということを伺いました。大変よい取組だと思います。
優秀なデジタル人材の確保において、民間との競争もありますし、国や他の自治体との競争もあります。東京都のデジタル化に貢献をしていただける人材、こういう方は大変貴重でありますので、確保して、そして定着を、そのための取組をぜひともお願いしたいと思います。
給与などの処遇面だけでなくて、やりがいや達成感、価値のある経験を積める機会にしていくということも大事だと考えます。
特に、即戦力となる、既に民間などで実績がある人材については、任期付の採用、こういったケースが多いと思いますので、その期間の中で有意義なプロジェクトの経験が積める、そしてそれが次のキャリアにもつながる、成果も出せると、そういうことであれば、多少の処遇面で民間には及ばなくても、やろうと、参加しようという方が増えるのではないかと思います。
また、この業界特有の傾向としては、転職、転社、こういうことをされる方が多いです。横のつながりが強いところも特徴でございますので、その職場がどうだったか、評判というのは実は非常につながっていきます。その評判が口コミとして、よしあしというのは伝わっていきます。そういった業界ですので、都庁で働くということは、やはり給与以上のやりがいがあるんだと、また次のキャリアにもつながるんだと、そういったよい評判になっていけば、おのずとよい人材に来ていただける、そんな職場になっていくのではないかというふうに思いますので、処遇面だけではなくて、文化、風土といったところも含めて、ぜひとも工夫をしていただきたい、期待をしていきたいと思います。
DXの推進に当たりましては、専門性を有する人材確保だけではなくて、職員全体を対象とした人材育成、底上げの取組が必要だと考えます。特に、組織運営の要であります上位職の層の職員において、デジタルに関する理解不足、こういったものがありますとDXの推進が滞ってしまいますので、そのようなことがあってはならないと思います。
そこで、職員全体のデジタルリテラシーの底上げ、中でも上位の職員である管理職層のリテラシーの底上げに向けましては、どのような取組を展開していくのか、見解を伺います。
○深井戦略部長 職員全体のデジタルリテラシー向上を図るため、全ての職層の職員を対象に、DXに関するセミナーや研修など、様々な育成策を展開しているところでございます。
具体的には、民間企業や海外等における先進的なDXの取組を学ぶ都庁デジタルセミナーを全職員が聴講可能な形で、これまで九回開催しているほか、職層別研修におきましてもDXに関する科目を設けてございます。
特に、課長級職員を対象とした取組につきましては、外部講師を招いて、今年度はデジタル改革、データ活用、デザイン思考などをテーマとし、DXを推進するために必要となる基礎的な知識の習得や意識改革につなげる研修を実施しております。
こうした取組を総務局とも連携しながら継続的に実施していくことで、職員全体のデジタルリテラシーの底上げを着実に図ってまいります。
○あかねがくぼ委員 まず、デジタルの専門家を集めるだけではなく、都庁職員全体がデジタルリテラシーを高めていけるか、これが成功を握っていると考えますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、都内の基礎自治体のデジタル化支援に対する取組についても伺います。
都では、区市町村の人材育成を支援する取組としまして、令和元年度から区市町村職員向けの勉強会を実施しているということですが、これまでの実施状況と受講者の反応について伺います。
○深井戦略部長 区市町村職員向けの勉強会につきましては、半年間で全六回をワンクールとして、これまで二期にわたり開催し、延べ五十六団体の職員の方に参加していただいております。
具体的には、各回で、作業の自動化により業務の効率化を図るRPAやデータ利活用などの個別テーマを選定し、民間事業者による最新動向を踏まえた講義に加え、受講者自らがワークショップやハンズオン実習などを行う形式により実施してまいりました。
受講者からのアンケートでは、他自治体におけるRPAの活用事例などを聞くことができて参考になった、業務フロー可視化の意義や記述ルールを実際の体験を通じて理解できたなどの感想をいただきました。一方で、一つのテーマをじっくりと学ぶ機会とはなりづらかった、受講者同士の関係をより深める機会が欲しいなどの意見もございました。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。今、ご答弁で受講者のアンケートについても紹介をいただきましたけれども、こういった勉強会は継続的かつ有意義な内容で実施していただく、そのために受講者のニーズとか内容のマッチングというのは非常に重要でありますので、その都度、フィードバックをいただいたら、改善や見直し、工夫を行っていただくようにお願いしたいと思います。
そこで、今年度も勉強会を実施すると伺っていますけれども、これまでの実施状況や受講生からの声を踏まえて、どのように取り組んでいくのかを伺います。
○深井戦略部長 本年九月より開催している第三期の勉強会では、各回で単発の個別テーマを扱うのではなく、昨年国が公表した自治体DX推進計画に掲げられている業務プロセスの見直し、BPRの推進に即した実践的な内容について、全六回を通してグループワークを中心に行っていくことといたしました。
また、遠方の自治体でも参加しやすくするため、オンラインを前提に実施するとともに、オンラインによるグループワーク等を円滑に進めるため、メインの講師に加え、サポート役を配置することで、受講者の支援体制の構築も図りました。
こうした内容を周知の上、希望者を募集したところ、三十団体の区市町村職員より参加いただいており、今月、二回目のグループワークを実施したところでございます。
都としては、各自治体のICTを牽引する職員の育成につながる有意義な内容となるよう、様々な工夫や改善を図りながら取り組んでまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。しっかりと工夫、改善をしながら、自治体のIT人材についても育成を、募集しているということが分かりました。ぜひ引き続き、東京都がまず率先してやっていただくのは当然なんですけれども、基礎自治体の職員の皆様と一体となってやっていただいて初めて都民益につながるかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
次に、東京デジタルファースト条例について伺います。
都では本年の四月に、条例施行を受けて行政手続のデジタル化を推し進め、都政のQOSを高めるために東京デジタルファースト推進計画を策定し、本年の七月に公表しました。
そこで伺いますが、行政手続のデジタル化の現状と今後の目標についてお伺いします。
○深井戦略部長 条例に基づき策定いたしました推進計画では、全ての手続を対象に棚卸し調査を実施し、庁内内部の手続を除く手続について、デジタル化の時期や実施方法等を定めてございます。今後は、本計画に基づき、約二万八千の手続のデジタル化を目指してまいります。
オンライン化した手続の割合につきましては、昨年九月末時点で五%であったものを、第一期計画期間の終期である令和五年度末までに七〇%まで引き上げていくことを目標に取り組んでいくこととしております。
今後、計画的、戦略的なデジタル化を強力に推し進め、都政のQOSを迅速かつ効率的に向上させてまいります。
○あかねがくぼ委員 令和五年度末までに、庁内内部の手続を除く手続についての七〇%までをデジタル化すると、こういった目標だということでございました。
また、条例の本文には、第十条で適用除外の規定が明記をされてはおりますけれども、こういった実際には除外になる手続は精査したところ見当たらないということでございました。そういう意味で、その目標達成に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
一方で、庁内の内部手続は除かれているということでございます。これは、例えばこの前にありました選挙管理委員会に関する、例えば公費の支払いなど、そういうプロセスに関していうと、途中の書類がデジタル化されても、最後の支払いのところになったら紙にしなきゃいけないと、こういう事態になってしまうということでございましたので、ぜひとも庁内の内部の手続についてもしっかりと、最終的には都民サービスに直結をするところでありますので、現在の七〇%という達成の目標の中には入っていないプロセスになりますけれども、しっかり早期にデジタル化をするべきところも多いかと思いますので、そこは取り入れていただきたいと思います。
また、それ以外にも、職員の皆様の業務の効率化に対しては、影響が大きいような庁内手続もあると思います。それについては、働き方改革の一環というところで早期のデジタル化、それについても要望しておきます。その際は、当然、必要のないようなプロセスは省いていくなどのBPRは、同時に行っていただくようにお願いしたいと思います。
次に、ペーパーレスの取組について伺います。
三月に公表しましたシン・トセイ戦略では、コピー用紙の削減件数について、二〇一六年度比で、昨年度は三〇%削減、今年度は五〇%の削減を目標としています。昨年度の目標は達成したということですが、今年度目標である五〇%の削減は意欲的な目標であります。その実現に向けては、都庁内、内部における業務自体の見直しが欠かせないと考えます。
そこで、ペーパーレスの目標達成に向けまして、自律的な改革という観点から、具体的にはどのような取組を進めているかをお伺いします。
○巻嶋デジタル改革担当部長 二〇一六年度比五〇%減という今年度の目標達成に向けましては、まずはペーパーレスで仕事ができる環境を整備するため、各局の本庁部門において、会議用モニターやディスプレーなどデジタルツールの導入を進めております。
これに加えまして、業務自体の見直しにもしっかり取り組んでおりまして、例えば予算、人事、計画の三つの全庁共通業務につきまして、今年度からクラウドサービスや部門サーバーの局横断での利用などにより、紙での資料提出を廃止し、最新版の資料の共有や計数などのデータ集計の効率化を図っております。
また、ダッシュボードを活用し、部局別削減状況をグラフで示し、見える化を図るなど、各局の自律的な削減を促しております。
今後、こうした改革を積極的に実施することで、目標達成に向け、精力的に取り組んでまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。デジタルツールを積極的に活用して、仕事の進め方の見直しを行い、ペーパーレスの取組を進めていただいているということが分かりました。
引き続き、全庁一丸となって仕事の効率化を高める、その結果、都政のQOS、都民のQOL向上を図っていただきたいとお願いしておきます。
最後に、スマートシティについてお伺いをします。
デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができるスマート東京の実現を東京都は目指しております。
スマートシティを進めていく上で、都市OSの構築や活用が重要であるとされています。どのようにプロジェクトが進められているのでしょうか。また、実装による効果や具体的な活用方法についてもお伺いします。
○土村デジタルサービス推進部長 スマート東京先行実施エリアの一つであります都心部の三地域では、各地域の民間事業者の連携体でありますエリアマネジメント団体が都市OSの構築、活用を軸とした取組を進めております。
この都市OSの活用例としまして、例えば災害対応に資するデータの地元区との共有や、エリアの人流や気象情報に合わせた移動経路の検索サービス、複数のデータを一つの3D都市モデル上で掛け合わせて可視化するツールの公開などがございます。
都市OSの構築、活用を進めることによりまして、分野横断的なスマートサービスの社会実装を促進し、地域住民や観光客、通勤通学の方々など、その地域で過ごす人々のQOLの向上につなげてまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。災害ですとか気象、そういったゲリラ豪雨など、毎年被害を受けますけれども、そういったいろいろな行政課題に対応し得るような都市OSになる可能性を非常に秘めている取組であると思います。
このように、先行実施のエリアに限らず、また、都内でスマートシティ化を進めていく上では横展開というのが重要だと思いますけれども、その取組を伺います。その際、例えば杉並区のような、私の地元でありますけれども、住宅地におけるスマートシティ化についても進めるべきであると考えますが、都の取組を伺います。
○土村デジタルサービス推進部長 都では、スマート東京先行実施エリアの取組の成果を発信、共有していくため、昨年度、都内区市町村や関係協力企業間での情報共有を目的として、スマートシティ連絡会を二回開催いたしました。今年度も引き続き実施していくことで、スマートシティの横展開をさらに図ってまいります。
スマートシティ化に当たりましては、産学官などが連携して地域の実情に即した取組を進めていくことが重要でございます。そのため、スマートシティ化を新たに取り組もうとしている地域との間で課題や知見の共有を図るため、意見交換を行うなど、地域の実情に応じた取組を都として後押ししてまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。このスマートシティという取組は、一年、二年というスパンではなく、もっと長い、中期、長期の視点での取組になろうかと思います。都として都心部で先行していると思いますけれども、今後、住宅地においても、様々な行政課題がございますので、その解決に資するようなスマートシティ化について、私としてもしっかりと推進していきたいと思いますので、都としても後押し、意見交換などを通じてご協力をしていただきたいなと思っております。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。
○慶野委員 都議会公明党といたしまして、デジタル、本当の意味で暮らしと命を守っていくために、あえてお話しさせていただきたいのは、こうした技術を推進する、今日の質疑も全体としましては、これをどうやって進めていくか、こういう議論でございましたけれども、進めると同時に、やはりアクセルを備えると同時に、暮らしと命を守るためにブレーキも装着した上で、こうした事業を進めていただきたいと、こういうふうに思います。
具体例を挙げれば、例えば歴史をひもとけば、川のそばに人々は居を構えて暮らし始めました。生きるためにそこに住んだわけですけれども、自然災害によっていざというときに命が失われるという、こういう事態も起きております。そして、現在では、後から追いかけて、川があるときには氾濫に備えて堤防を造ろう、高台にしよう、こういうふうになるわけですけれども、さらに技術が進んで石油製品がぐっと広まっていく。いざ石油がなくなる、オイルショック、こうしたときには社会生活が大混乱になったということも、一度や二度ではなかったと思います。
さらに電気、これも停電が一たび起きれば、今、電気に依存するこの社会の中で、ブラックアウトしたときの大変さ、電車が止まる、全ての通信が途絶える、こうしたときにどうやって生活を守っていくのかということも併せて進めていかなければならないし、高まる電力需要によって原発が造られました。そして、十年前の惨事のようなことも起こり得るという、そういう前提でリスクをマネジメントしていくという作業も、併せて科学技術の進歩と同時に備えていくのが、やはり行政の責任だと思います。
通信技術が発達すればするほど、いろんな分野で様々な私たちの生活、利便性の向上や命を守ることも増えていくかもしれません。例えば遠隔地での手術、海外にいるドクターや、本当に手が足りない忙しい中で、優秀なドクターが遠隔手術をするなんていうときも、先般あったドコモの通信障害のように、ぶつっと突然通信が途絶えた瞬間、手術中のその方の命がその瞬間で終わってしまうというようなことがあってはならないわけです。ですから、こういう最先端の技術を進めていけばいくほど、一歩下がって、もしくは俯瞰的に物事を眺めながら、いざというときの対応策もずっと備えていかなければいけない。
東京都が世界に名立たる世界の先進都市としてまちづくりを行っていく中で、今ずっといってきたような、水害対策はどうすればいいのか、今日も知事からプレスがあったそうですけれども、首都直下地震に対応した東京の在り方はどうすればいいのか、こういうことを、もう後追いでやっていくんじゃなくて、こうした先進のデジタル局さんの皆さんは、これを進めていくと同時に、リスクを想定しながら併せて進めますよ、課題もあります、危険もあります、だけどそれに備えてありますという、こういう施策推進をしていただきたいなと思います。
今いったドコモの通信障害で、今の時点で、例えばスマートフォンの中にSuicaが入っていて、通信が途絶えたからもう改札が通れない、連絡が取れない、こうしたことが現実起こっております。実は私の息子が帰ってこられなくなって、わっというふうに、どういうふうに連絡したらいいか分からない、公衆電話なんか使ったことがない、お金も持ち歩いていません。もう全部スマートフォン一個で暮らしを行っていて、それが止まった瞬間全てが破綻するような、これが万々が一にも、先進に先進を重ねて、命に及ぶようなこと、先ほどどなたか委員がおっしゃっていましたけれども、自動運転技術、通信がばっと途絶えたら全部暴走して大事故で、命が失われるなんていうことがあってはなりません。
ですから、皆様の使命というのは、本当の意味で、世界の先端を走ると同時に、都民、国民を守っていく深い深い使命があるんだというふうに、私は主張させていただきたいと思います。
ちょっと駄弁が過ぎましたので、駆け足で行わせていただきますけれども、先日、建設業の方々からお話を伺いました。東京都はDXが進んでいるといっても、いまだに紙の書類に、ここに判こを押してください、署名してください、こういうお話で、また、デジタルでせっかくやり取りしたのに、結局それを出力して会社で保管してください、後で監査が入ったときにそれを見せなきゃいけないので、紙で持っていないと心証が悪いんです、こういうご相談をいただきました。
三月に策定されたシン・トセイ戦略、契約などの内部管理事務の抜本見直しを図り、業務のBPRとデジタル化を進めるということでございますが、事業者の利便性向上の観点から、契約事務のデジタル化にどのように取り組んでいるのか、見解を求めます。
○巻嶋デジタル改革担当部長 都の契約、支出関連事務につきましては、入札など一部はシステム化されているものの、システム間の連携が十分ではなく、また、契約に関する書類はデジタル化されておらず、紙ベースでの事務となっておりまして、決裁や書類の提出等のために、事業者、職員ともに来庁や出勤が必要となっております。
その解決のため、都は、契約書や請求書など事業者との間でやり取りする書類をデジタル化するとともに、それらのデータを連携させる新しいシステムの構築に向けて取り組んでおります。
今年度につきましては、その実現に向けて、関係各局と連携して業務フローの見直しを行っておりまして、手続の最適化、いわゆるBPRを図っております。新しいシステムに必要とされる性能や実装すべき機能などの検討を進めているところでございます。
来年度以降、設計、開発を進め、二〇二四年度をめどに、都と事業者間の書類のやり取りをデジタル化する機能構築を行いまして、二〇二六年度を目途に、職員側の一連の業務プロセスをデータ連携する機能を構築してまいります。これらの取組を着実に進め、契約、支出関連事務の手続に要する事業者の負担を軽減し、利便性を向上させてまいります。
○慶野委員 ありがとうございます。契約に関する書類はデジタル化されておりませんと、現状のご答弁でございました。来年度以降、速やかに進むことを望みます。
万々が一にも、デジタル局さんにはないと思いますけれども、せっかく手続のデジタル化が進んでいて、申請を受けて、それを上席の方に報告すると、紙にして持ってきてといわれて、結局紙になるようなことがないように、局内でしっかりとお願いしたいと思います。
契約手続以外にも、建設業許可をはじめとして、都民や事業者が都に対して申請を行う手続は多く残っております。こちらもデジタル化を加速していくことで都民の利便性を高めることが重要です。我が党もこれまで重要なテーマとして、本委員会を含めてずっと取組状況を確認してまいりました。
許認可などで申請件数の多い百六十九の行政手続のうち、都の権限でデジタル化が可能な百十九の手続について、シン・トセイ戦略の中では、デジタル化に向けたスケジュールが示されましたが、現在の進捗状況、今後の展開をお願いいたします。
○巻嶋デジタル改革担当部長 三月に策定しましたシン・トセイ戦略では、都の権限でデジタル化ができる百十九手続のうち、今年度末までに百二手続をデジタル化することとしております。
本年九月末時点においては、労政会館の使用承認、狩猟免許の更新など六十七手続がデジタル化済みとなっております。また、今年度デジタル化予定であります道路占用許可申請書の提出など三十五の手続につきましても、現在、所管局とデジタルサービス局が連携して取組を進めているところでございます。
今後、政策連携団体を経由している手続などのデジタル化に必要となるシステムを今年度中に整備いたしますとともに、来年度実施予定の十手続など残る手続につきまして、所管局と丁寧な調整を重ねるなど、行政手続のデジタル化による都民の利便性向上に向けて精力的に取り組んでまいります。
○慶野委員 着実な推進をお願いします。
先ほども質疑ございましたが、各局のデジタル化に向けた取組を、デジタル局さんは支援されているという状況です。各局からどのような依頼が何件ぐらい来て、それに対してデジタルサービス局さんの支援の内容はどのように行ってきたのか、お願いいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 デジタルサービス局では、各局のデジタルシフトを幅広く後押ししております。
昨年度の支援依頼は四十九件でございましたが、本年度は、九月末までの半年間で百六十一件に上り、各局のDX化の取組が、一つ一つではありますが着実に進んでおります。
各局への支援内容は、行政手続のデジタル化のほか、新型コロナウイルス対策へのデジタル技術の活用やウェブサイトの構築、見直し、各種業務システムの構築など、多岐にわたっております。
例えば感染防止対策を目的とした飲食店の点検業務では、タブレット端末を活用して、点検結果の入力やデータ管理を行うアプリを制作し、業務の大幅な効率化を実現しました。その後も、日々の点検業務から寄せられる意見などを踏まえまして、随時改善を重ねております。
また、ウェブサイトや各種システムの構築、見直しでは、利用者の視点で情報が分かりやすく読み取れるデザインへの助言や、簡単に入力ができるよう操作性を改善することに加え、個人情報の取扱いやセキュリティの確保について、技術的に助言をしております。
今後とも、各局の実情に合わせたきめ細かいサポートを行いまして、都政のデジタル化を加速させ、全庁一丸となって都政のクオリティー・オブ・サービスと都民のクオリティー・オブ・ライフの向上に努めてまいります。
○慶野委員 去年四十九件だった依頼が、今年は半期だけで百六十一件というふうに激増しておりまして、各局のデジタル化に向けた機運がいよいよ高まってきているという、数字だけ見ても明らかであります。そして、こうした各局の支援に対応するために、デジタルの人材確保、そして育成ということが重要になってまいります。
都ではこれまでも、民間から高度な専門性や豊富な経験を持った人材を任期付職員として採用してまいりました。人材確保のこうした取組は、今年度からは新たにICT職という職種が設置され、採用が始まっております。
新たに採用を開始したICT職、人材像を、どのような人を、どういうキャリアで、どういう資格がある人をICT職と定義しているのか、また、実際にどういった人材を採用したのか、お尋ねします。
○深井戦略部長 今年四月に新設されたICT職には、デジタル分野に関する専門性を有する技術系の職種として、都政のDX推進を牽引することを期待しており、求める人材像を、都政とICTをつなぎ、課題解決を図る人材としてございます。
採用に当たりましては、大学卒業程度を対象とするⅠ類B採用試験に加え、民間企業等経験者を対象とするキャリア活用採用選考が人事委員会によって実施されており、様々なバックグラウンドを持った有為な人材の確保に努めております。
昨年度実施された採用試験では、全体で百七十八名が受験し、今年度は、情報系の学部の卒業生やIT関連企業での勤務経験者、情報処理に関する様々な資格保有者など、デジタル分野に関する一定の専門性を有する多様な人材を合計三十名採用したところでございます。
○慶野委員 合計三十名の採用とのことでした。
ICT職として採用されたこの三十名、現在、庁内でどのような部署に配置され、DXにどういうふうに携わっているのでしょうか。
○深井戦略部長 ICT職につきましては、今年四月に三十名を新たに採用したほか、事務職など他職種からICT職への転職者が二十九名おり、合わせて五十九名の職員が庁内でデジタル関連の職務に従事しております。
具体的には、デジタルサービス局において、各局の運営するウェブサイトの改修や業務システムの再構築等に関する技術的支援、職員が日常業務に利用するシステム基盤の運用管理のほか、各局において、それぞれの局が所管する業務システムの運用保守などの業務に従事しております。
こうした職務を通して、ICT職として専門性を生かし、それぞれの配属先において、都のDX推進に取り組んでいるところでございます。
○慶野委員 ありがとうございました。いよいよこの三十名をどのように育成していくのかということが課題になってまいります。また、庁内からICT職への転職、二十九名いたということで、これも、まだ潜在的にICTに携わる、DXに身を投じたいという職員がいたということで、これも併せて期待をしております。五十九名の職員が庁内でしっかりとデジタル、各局におきまして皆様と連携を取りながら、それぞれの配属先と連携でDX推進に取り組んでいただきたいというふうに思います。
一方で、このICT職、新たに登用した三十名、民間から登用している任期付職員とは異なります。都庁において、そのキャリアをこれから積み上げて、重ねていかなければなりません。
それぞれの職員が持つデジタルスキル、今は最先端の技術を学んできたり、そうしたキャリアで転職してきたり、今時点では先端にいる方々も、行政マンとして都庁内で働く中で、そのデジタルスキルが陳腐化してしまうようなことがあっては、全く意味がありません。彼らの能力の維持、また、向上に力を注ぐことが重要となってくるのではないでしょうか。
ICT職が都政のDX推進に継続的に力を発揮していけるように、デジタル分野に関する専門性の維持向上に計画的に取り組んでいくべきです。具体的な育成策、どのように検討されているのかお伺いします。
○深井戦略部長 ICT職の専門性の維持向上を図るため、今年度から、主事や主任などそれぞれの職層を対象として、デジタルスキルを体系的に学ぶ研修を新規に立ち上げ、計画的な育成に取り組んでおります。
具体的には、主事級職員を対象とした研修では、ネットワークやサーバーインフラなどの基礎知識を学ぶほか、主任級職員を対象とした研修では、データ分析やプロジェクトマネジメントなどを学ぶこととしております。また、課長代理級職員に対しましては、より高度な専門スキルを身につけるため、外部の研修機関が実施する専門研修の受講支援を実施してございます。
さらに、デジタルテクノロジーの変化のスピードは極めて速いことから、ICT職が持つデジタルスキルの陳腐化を防ぐため、最新のデジタルテクノロジーをオンラインで学ぶことのできる民間の学習サービスを導入するなど、複数の育成策を重層的に展開してまいります。
○慶野委員 今、様々な計画があって、ずっと充実させていく作戦、方策を取っているという状況ですけれども、世界のIT、ICT技術というのは、我々の想像を絶する速さで日進月歩の成長、進んでおります。ちょっと前だったら考えられないような技術が、どんどん製品化されたり実用化されていくわけですから、都庁内で激務に追われていく中で、時代から取り残されるようなことがないようにしていかなければなりません。
こうした研修、着実に、研修するということは教える方がいるということですから、既にその時点で一歩遅れているわけで、本来であれば、行政の中で、いいのか悪いのかはここでは分かりませんけれども、研究機関とも連携するような最新技術の開発にも、本来であれば携わっていく超最先端人材が必要になってくるのかもしれません。
ICT職が都政のDX推進に力を発揮していくために、デジタル分野の専門性向上をさらに図ることに加えて、様々な行政課題に精通した人材に育成することが不可欠です。
これは、ただの技術職じゃなくて、その技術をどういうふうに活用していけるかというのは、皆さんの後輩として、行政マンとして、都政の課題をしっかり認識した上で、そしてそこにデジタルをどう活用することが都民サービス向上につながるのかということを分かる、感じることができる行政マンに育てていかなければなりません。こうした観点でどのように取り組んでいくか、見解を求めます。
○深井戦略部長 ICT職は、現在、デジタルサービス局のほか、各局にも配置されており、それぞれの局が所管する行政分野で担当職務に従事しております。
デジタルサービス局におきましては、区市町村や各局に対する支援業務において、それぞれの現場でデジタルを活用した行政課題の解決に取り組んでおり、実務を通じた経験を重ねているところでございます。
今後、様々な部署における実務経験を積みながら、行政課題に関する知識、経験を身につけることで、行政課題とICTの双方に精通し、これまでの行政サービスを抜本的に見直していく一翼を担う職員として育成を図ってまいります。
○慶野委員 行政サービスを抜本的に見直していく一翼を担う職員として育てていくという決意でございました。
先ほど他の委員からの質疑の中で、国では六百名中二百名が兼業で民間から採っているよというお話がありました。私、今の時点では、民間企業の情報漏えい、また都庁内での、お話しされていた方が懸念していた個人情報の漏えいも含めまして、今の時点では、兼業で行政の中に入ってきて、そして、これからまさに開拓していかなければいけないDXの推進という作業を兼業でやるのは、まだ時期尚早なんじゃないかと。
まして、技術だけを東京都に借り入れるというか、譲り受けるというか、そういう作業ではなくて、しっかりと、今期三十名採用した新たな人材、そしてICT職に転職した二十九名のチャレンジャーともいえる、そうした行政マンをしっかりと、デジタルを活用しながら都政課題を解決させていける、そういう人材に、この闘いの中で、行政との奮闘の中で、育て上げていきながら、デジタルサービス局さんで東京のDX推進をしっかり進めていただきたいと期待しまして、質問を終わります。
○福島委員 ご質問させていただきます。
二〇一七年の九月、私、都議会議員になって最初の総務委員会で、東京都がプラットフォームを検討するに当たり、区市町村や国との連携も考慮するべきと問いまして、当時、多羅尾総務局長より、国や他の自治体との連携にも留意していくという答弁をいただきました。
データの利活用を推進していく上では、民間や国、そして区市町村など多様な主体とつながることが重要です。
そこで、都では現在、官民による東京データプラットフォームやデジタルツインの構築、オープンデータの推進に取り組んでいますが、それぞれどのような役割を担い、国や区市町村と連携しながら推進をしていくのか、伺います。
○高橋データ利活用担当部長 都では、データ利活用を促進するため、庁内で保有するデータをオープンデータ化することにより、シビックテック等がそれらを活用して、新たなサービスの創出につなげる取組を推進しております。
また、こうした庁内データのうち、地図系データを中心に集約、可視化していくデジタルツイン構築に向けた取組では、都民への理解や庁内各局における業務の活用を促進していきます。
さらに、東京データプラットフォームでは、様々な主体とコミュニティを形成する協議の場を設けるとともに、データ整備を支援する取組を進め、官と民が持つデータを連携し、活用を図っていくこととしております。
これらの取組に当たりましては、都だけではなく、国や区市町村のデータと連携させる必要があることから、より一層利活用を進めていくためのルールづくりの検討など、国や区市町村と一体となって推進してまいります。
○福島委員 様々な主体との協議を目的としたコミュニティ形成に加え、データ整備を支援する東京データプラットフォーム、そして様々な主体がデータを利活用するためのオープンデータ、また、地図上に集約、可視化することでデータの価値を高めるデジタルツインと、このデータ利活用のためのプラットフォーム構築を多角的に進めていること、それも区市町村や国と連携して進めていることを確認いたしました。
では、まず最初に、このオープンデータについてお伺いいたします。
オープンデータというのは、行政課題の解決に民間の力を生かす重要な取組であり、これも都議会議員の一年目からその推進を求めてまいりました。また、東京都の様々な情報をホームページ等で情報提供することが増えていますけれども、ここに情報提供するだけではなくて、アクセス解析を導入する重要性を訴えまして、令和二年度より予算化、導入が今進んでいる状況です。
そこで、このオープンデータの利用状況を把握する指標として、アクセス解析によるページビュー数や、また、そのページからデータにアクセスするリンクのクリックをカウントするイベントトラッキング、加えて機械的なアクセスをカウントするファイルサーバーのアクセスログ、こういった複数の方法があるというふうに担当者より伺っております。
私がここで確認したいのは、民間をはじめとする都民の参加状況、すなわちオープンデータに興味を示している人の数です。
そこで、データへのアクセス状況を意味するイベントトラッキング数が九月に多かったデータとその実数についてお伺いいたします。
○高橋データ利活用担当部長 都が導入するアクセス解析ツールを利用しますと、九月にアクセス数が多かったデータは、新型コロナウイルス陽性者数、陽性率などの新型コロナウイルス関連情報が最も多く、次いで都立施設などにおけるバリアフリー対応トイレ情報、東京都防災マップの避難所一覧データ、公衆無線LANの設置情報などの情報でございまして、ダウンロード総数は約二万六千件となっております。
○福島委員 新型コロナ関連の情報へのアクセスが多かったということで、時宜を得たデータ提供が重要であることが分かります。また、これに続くバリアフリー対応のトイレや避難所、そして公衆無線LANの情報についても、一定のアクセスがあるというご答弁でした。
アクセスした都民や民間事業者が、これらのデータを自ら使うことに加え、このデータを使ったサービス提供が進めば、都自らが発信する以上に都民の皆様に情報が届き、そしてこれらの施設を必要な方に使っていただく、こういったことが期待できます。
オープンデータの利活用には、データとのユーザーのコミュニケーションが大切です。そこで、今年度、オープンデータのカタログサイトの改修を行うということですが、現時点でどのようなサイトにしていくのかをお伺いいたします。
○高橋データ利活用担当部長 現行のオープンデータカタログサイトにつきましては、サイトが見づらいとか、重要な情報にたどり着かないといった様々なご意見をいただいております。こうしたご意見を踏まえまして、今年度の改修では、データをグラフや図などで分かりやすく表示するなど、見やすいサイトに改善するとともに、検索機能の精度を向上させていきたいと考えております。
また、利用しやすいリクエストボックスへの改善や、ダウンロードランキングの掲載などによりまして、ユーザー目線に立った使いやすいサイトを目指していきます。
○福島委員 データを利活用していただくことで、行政課題解決に参画してもらうということで、このユーザー目線の改善、とても大切だと思います。
ただ、現状の、改善する前のオープンデータのカタログサイトは、私も拝見させていただきましたけれども、ここでユーザーと東京都のやり取りがされているコミュニケーションですね、その感じが大変薄いなと思っています。
私は、都議会の質疑の傾向を分析する際に、フリーのテキストマイニングツールを使ったり、また、自身のホームページをつくるのに、やはりフリーのコンテンツ管理システムを使ったりするんですけれども、これらのツールには、例えば掲示板が設けられていて、そこで開発者とユーザー、そしてユーザー同士が活発な質疑応答、こういうことを行っています。活発な議論がされているコミュニティというのは、そこで扱われるツールのブラッシュアップも進む、そしてユーザーも増える、こういったことになっています。
今年度の改修で、リクエストボックスを改善するというご答弁でしたけれども、オープンデータを取り巻くコミュニティを形成するためには、このリクエストボックスへのお問合せや回答を公開すること、これを提案したいと思います。回答内容を他のユーザーも参考にすることができますし、また、東京都がどれぐらい早くこのレスポンスを丁寧にしているかということも、お一人に返すだけじゃなくてみんなに見える、これはコミュニティの活性化にはとても重要です。
また、犯罪の発生状況のデータを使って犯罪発生を予測する、こういった事業を行っている事業者がいるんですけれども、青少年・治安対策本部がこのデータを使っているんですが、犯罪発生の住所は何丁目という丁目まで、そして件数は月単位の集計結果のみの公表になっています。
予測精度の向上には、より詳しい情報が必要ということなんですけれども、これをもっと詳しい情報、時間とか場所について公開をしてしまうと、やっぱり犯罪被害者が特定されるおそれがあるから、ここまでしか公開できていないというふうに伺っております。これは大切なことだと思うんですけれども、公開に後ろ向きなのではなくて、そういった理由があってここまでの公開になっていますよという理由も付することによって、コミュニケーションがまたできる、そういうふうに考えています。
そこで、東京都は、ユーザーの声を直接聞く取組としてラウンドテーブルを行ったというふうに聞きました。これについて、提案内容のオープンデータ化状況についてお伺いいたします。
○高橋データ利活用担当部長 本年二月に開催いたしましたオープンデータラウンドテーブルでは、シビックテック等から三つの提案をいただきました。
具体的には、駅のエレベーターの点検情報、観光分野における統計情報、そして、中央卸売市場日報を機械判読可能な形式で公開してほしいとのご要望でございました。
ご要望のありました三つの提案につきましては、各局に働きかけをしまして、本年四月にオープンデータとして公開することができました。公開に当たりましては、オープンデータカタログサイトのトップページの新着情報として掲載するとともに、noteやツイッター等を活用いたしまして、幅広く情報発信に努めてまいりました。
○福島委員 大変大事な取組だと思います。そして、この先は、会議を設定せずとも要望がどんどん届く、そういうふうになっていけばいいなと思います。
先ほどの質問へのご回答の中で、新型コロナ関連のデータへのアクセス数が多かったというご答弁がありましたけれども、この四万件を超えるオープンデータの中でも、非常にアクセス数の多い情報とそうでない情報があるというふうに聞いています。機械判読性があるデータの形式にするとか、都民が利用できる形でデータを公開するといったことには、データをクレンジングしたりなど多くのコストもかかります。
そこで、民間ニーズの高いデータからオープンデータ化していくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○高橋データ利活用担当部長 都は今年度、オープンデータ化を進めるため、各局が保有するデータの棚卸しを実施いたしまして、準備ができたものから順次、オープンデータカタログサイトで公開していく予定となっております。
公開に当たりましては、シビックテックや民間企業へのヒアリング等を通じまして、オープンデータ化の要望や活用方法のアイデアを収集しまして、民間ニーズの高いデータから優先して取り組んでまいります。
○福島委員 ありがとうございます。
各局が保有するデータの棚卸しを行うということですけど、ここで提案なんですが、この棚卸ししたデータ、どんなデータを持っているかというリストを、クレンジングする前にまずは公開するのはいかがでしょうか。
都民から使いたいという声が多く寄せられたデータについて、コストをかけてクレンジングして、そして公開していくということになれば、データを介した、都民をはじめとする、より多くのリソースへの社会課題の解決への参加、こういったものが促されると思います。インタラクティブ性を大切に進めていただきたいと思います。加えて、将来的には、東京都のデータを活用してサービスを提供する民間企業等から得られた情報をフィードバックしてもらう、こういうことについても検討していただきたいと思います。
多く閲覧されているデータとして、都立施設などにおけるバリアフリー対応のトイレ情報とか、東京都防災マップの避難所一覧データ、そして公衆無線LANの設置場所の情報、こういったことがありました。必要とする都民にこれらの施設をご利用いただくことももちろん大事ですけれども、今後、これらの施設をさらに新設しようとしたときにどこに設ければいいのか。サービスによっては、ユーザーの意見や、また各施設の利用状況などを収集しているケースもあると思います。都民の声を今後の施策に反映できて、初めて本当の意味での都民参加型になると思っています。
オープンデータは、都民と共に社会課題を解決するための入り口にすぎません。展望を持った取組を要望いたします。加えて、オープンデータ化の流れを止めないためには、都職員にオープンデータの意義を感じてもらうことも大切です。せっかく頑張って出しても使われないということがあると残念ですよね。
そのためには、取り組むべき課題を明らかにした上で能動的な連携、これも重要だと考えます。例えば埼玉県で、ちょっと古い情報なんですけれども、交通事故削減という明確な目標の下、ホンダと連携して、ホンダは県から道路開通情報や観光情報の提供を受けて、カーナビユーザーのサービス向上に努めると。県は、ホンダからの通過時間データや急ブレーキ発生箇所データ、これの提供を受けると。そして、道路交通の安全性、利便性向上のための施策につなげるという事例がございます。
平成二十三年度までに百六十か所の場所を対象にこれを実施した結果、対策以前に比べて一か月間の急ブレーキ総数が約七割減少して、一年間の人身事故件数が約二割減少したという大きな成果が出た事例がございます。
こういった他道府県の好事例も参考に、能動的、戦略的なデータ連携にも取り組んでいただきたいと思います。
では次に、デジタルツインについてお伺いいたします。
このデジタルツインの実現に向けて、どのように事業を進めていくのか、今年度の取組についてお伺いいたします。
○高橋データ利活用担当部長 デジタルツインの実現につきましては、昨年度は、都民にデジタルツインを分かりやすく説明するため、まちの混雑状況や地下のインフラ整備状況など、3Dイメージ動画を公開するなどの取組を進めてきました。
本年六月には、有識者等で構成する検討会を立ち上げまして、デジタルツインの有用性の検証や今後目指すべき姿など、幅広い議論を展開しております。
また、技術的、法的課題の解決につなげるため、特定のエリアにおいて、災害時の安全な避難経路を3Dビューアで案内する実証など、三つのプロジェクトを実施しております。
七月には、デジタルツインの情報発信サイトを立ち上げ、各局が管理する様々なデータを重ね合わせまして、3Dビューアで表現することで、都民が実際にデジタルツインを見て体感できるサイトとして、発信を始めたところでございます。
○福島委員 現実世界に実存しているものをデジタル空間に再現するという構想は、長期的には正しい方向、この方向に進むのは正しいと思う一方で、短期的には、データを時間的、空間的にどれぐらいのメッシュで取得していくのか、そしてそのデータの有効数字はどうするのかなど、結構泥くさい話もございます。
メッシュが細かく、そして有効数字の桁数が多い、すなわちデータの精度を高めれば高めるほど、計算リソースやデータ転送、そしてメモリー、ストレージが多く必要になって、それに伴って必要なコストも消費電力も増えていきます。漫然とデータを集めてしまうと、帯に短したすきに長しになりかねません。
そこで、デジタルツインにおけるシステム構築に向け、バスロケーションのようなリアルタイムデータも多く取り込んでいくと聞いています。このサーバーの容量やアクセス耐性、さらに運営コストについてどのように考えているのか、現状の想定についてお伺いいたします。
○高橋データ利活用担当部長 デジタルツインの構築に当たりましては、今後、様々なデータを取り込むことから、サーバーの容量や運営コストなどについて、十分な検討が必要であると考えております。
今後、有識者のご意見をいただきながら、庁内各局のユースケースを検討するとともに、運営コストについて十分考慮しつつ、状況に応じてサーバー容量を段階的に見直すなど、柔軟なシステム運営を目指していきます。
○福島委員 データが増大したとしても柔軟に拡張できること、そして画像データや3Dモデルなど多様なデータを扱えること、こういった拡張性や柔軟性、これを重視したシステム構築を求めます。
次に、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備、オープンデータ化プロジェクトであるプラトーとのすみ分けはどのように考えているのか、お伺いいたします。
○高橋データ利活用担当部長 国土交通省のプラトーも都のデジタルツインも、いずれも都市空間を3D都市モデルと呼ばれるデータによって再現し、これを活用して、まちづくりに新たな価値をもたらすことを目的としております。
国のプラトーの役割は、3D建物データを中心とした都市モデルの整備及びその利活用を促進することにあります。一方、都のデジタルツインは、プラトーのデータや、今後、都市整備局が整備する3D都市モデルを活用して、各局の業務で活用できるようなデータ連携基盤を構築し、庁内システムと連携するようなシステムの整備を目指しております。
引き続き、庁内各局によるデジタルツインの活用促進に向け、有用なユースケースを紹介し、活用を促すなど、積極的に働きかけていきます。
○福島委員 都の取り組むデジタルツインに関しては、各局の業務で活用することを目的にしているというご答弁でした。とはいえ、この取組を持続的にするためには、やっぱり都職員がこの仕組みを大事だと思ってもらう、こういった理解が重要です。
そのためにも、ある程度の段階で成功事例があることは重要なのではないでしょうか。明確なニーズがあり、投資に見合う効果が出る事例を創出することが重要であると考えますが、見解をお伺いします。
○高橋データ利活用担当部長 本年立ち上げた検討会におきましては、防災、まちづくり、モビリティーなど、スマート東京実施戦略で掲げる九つの分野の中でも、近年、激甚化、頻発化している大規模災害、水害への備え等の防災分野から取り組むことが重要との議論がございました。
今年度は、発災時に必要な情報を視覚的に分かりやすく発信することを目指し、災害時の安全な避難経路を3Dビューアで案内する実証に加え、高潮ハザードマップや河川ライブカメラなどを3Dビューア上で重ね合わせて表示することなどの取組を始めております。
年度内に策定するロードマップ初版では、防災分野をはじめ、他の分野においても、どのようなものが有用であるかなどにつきまして、関係各局の議論を深めまして、最大限の効果が発揮できるよう、事例の創出に取り組んでまいります。
○福島委員 ベータ版を拝見させていただきました。現状はハザードマップや避難経路は静的データであるが、浸水エリアの動的な情報ですね。今は、最終的にここまで行きます、何メーターの水深になりますという最終結果しかないんですけれども、そこの動的な情報や、さらに交通機関の運用状況やキャパシティーなんかも考慮して、避難シミュレーションを行うとともに、これを可視化できれば、このタイミングで逃げればこういう状況になる、ここで判断すればこうなりますみたいなことができれば、もちろん東京都の災害対策の精度を高めるとともに、都民の皆様にも、避難開始のタイミングの重要性など、よりリアリティーをもって考えていただき、備えをしていただける、こんな可能性もあると思いました。
発生頻度の低い災害への備えは、どうしても手薄になりがちです。こういった仮想空間とか、こういったバーチャル、仮想体験みたいなことは、実はこの手薄になりがちなことに関して、意識を高めていただくために有効であるということは、様々な論文とかでもいわれているんですけれども、例えば都民の皆様に防災に対する備えを進めていただく、ここにこういったバーチャルツインを使ってもらうというのは、非常によい観点なのではないかと思いました。
シミュレーションとなると、専門家や大学との連携も必要になってきますが、私としては応援していきたいと思います。
オープンデータやデジタルツインについて取り上げてまいりました。データ提供や可視化により、都民や専門家が都の課題を共に解決したり理解したり、そういった参画できる取組であるということを確認させていただきました。
加えて、将来的には、先ほど選挙管理委員会の質疑でも藤井都議が取り上げていましたけれども、EBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、データに基づく政策立案にもつながる、そんな取組だというふうに考えています。
このEBPMは、昨年、本年とノーベル賞の受賞対象にもなっていることなんですけれども、少子高齢化が進む日本、そして東京においては、生産年齢人口の減少に伴い、収税額が減少する一方で、社会保障費が増大する可能性が高く、これまで以上に政策の精度を高める必要があります。
既に東京都では、PDCAは常態化しているんですけれども、これからは、事業の方向が正しければよいというレベルのプランや、執行率をはじめとするアウトプットによるチェックでは十分ではありません。今後は、各事業が政策目標に対してどれだけ寄与したのかというアウトカムでの視点の評価や、一つの政策にひもづく複数の事業の中で、どの事業が最もこのアウトカムの達成に寄与したかといった事業間の比較も重要になってまいります。
オープンデータやデジタルツインといったデータ流通のプラットフォームともいえるこの取組は、事業の実施前後の比較や、また、事業に参加したグループとしなかったグループの間での比較といった政策評価、そして、その結果を踏まえた政策立案にも活用するべきものであると考えます。ぜひEBPMという観点も視野に入れて、これらの事業を進めていただきたいと思います。
これまでの質疑にも取り上げられましたけれども、デジタルサービス局の業務にはICTの利活用に係る支援があります。これについてお伺いいたします。
さきの第三回定例会で可決された補正予算の中に、総務局の点検、認証済店舗へのデジタルフォーメーションによる支援強化事業がございます。
この中で、感染症対策ができた店舗に認証を与え、酒類提供の許可をするに当たり、感染症対策が維持されているかどうか、これまで都から職員が行って確認していたものを、今後は店舗が写真を撮影し、これを送ってもらって確認するシステムをつくる、このように伺っております。
私は、以下の点でこのシステムには課題があると思っています。
まず、写真を撮影した状態がそのまま維持されるとは限りません。また、第三者が感染症対策の状況を写真で判別するとしても、手指の消毒の徹底やマスク着用の徹底、そして間隔がどうなのか、換気がなされているのか、そしてコロナ対策リーダーを中心とした取組がどうなのか、こういった認証店に求められていることを写真で確認するというのは、なかなか難しいと思います。
また、都内の店舗数は約十二万店あって、写真で確認するにしても人手のかかる作業になります。
この点検、認証済店舗へのデジタルフォーメーションによる支援強化事業を検討する過程で、デジタルサービス局はどう関わっていたのかをお伺いいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 デジタルサービス局は、都政のDX化の推進役として、各局が進める様々なデジタル化の取組の実現に向け、技術面からの支援を行う役割を担っております。
副委員長お話しの点検、認証済店舗へのデジタルフォーメーションによる支援強化事業につきましては、検討段階の事業案の説明を受けております。その際、より効果的な手法などにつきまして、技術的な側面から幅広く意見交換を行っております。
現在、具体的な事業構築に向け検討を進めているところと聞いておりまして、引き続き事業の開始に向け、技術的なアドバイスをはじめ必要なサポートを行ってまいります。
○福島委員 引き続き技術的なアドバイスをはじめ必要なサポートを行っていただけるということで、どうぞよろしくお願いいたします。
一方、私は一年前より、都が人を派遣して店舗の感染防止策の点検を行うと、これに当たって、都民の皆様から三密の状況に関する情報を個別の店舗を特定しない方法で集約し、このエリアはそういったお声が多いな、少ないなという、そのエリアの優先順位に基づいて店舗の確認に行くという、こういった仕組みを提案してきたんですけれども、一年間全然進んでいないんですね。
これは、建設局が道路補修に試行導入しているマイシティレポートと基本的に仕組みは同じでありまして、するかしないかという判断のみであるという理解でいます。
一般的な技術のことに関して確認をさせてください。都民の皆様からスマートフォンで入力された情報を集約し、そこで得た地域ごとの情報の量をマップ上に色分けして表示するという仕組みについては、技術的に実現が可能か、デジタルサービス局としての見解をお伺いいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 民間が提供するサービスでは、災害状況を知らせる一定数のユーザー投稿において、所定の条件の下に異常が発生すると判定された場合に、それをマップ上に表示し、プッシュ通知で知らせるといった例があり、一般論でいえば技術的には可能であると考えております。
○福島委員 技術的に可能である、すなわち、するかしないかの判断のみであるという見解を確認いたしました。
この点検、認証済店舗へのデジタルフォーメーションによる支援強化事業の中身については、総務局の事務事業質疑で取り上げたいと思います。
次に、教育庁のエビデンスベースの教育についてもお伺いいたします。
都立高校における生徒一人一台のパソコンの導入に関し、教育庁が用意するECサイトを通じて生徒が購入できる端末に求められる仕様において、国が示した仕様に都独自の項目を追加したなどにより、特定の、しかも最新のОSではない機種に誘導しかねない内容になっているという問題が発生しました。生徒や保護者に不利益をもたらしかねない状況であり、大変問題であるというふうに考えています。
この仕様の決定に対して、デジタルサービス局はアドバイスを行わなかったのかどうか、これをお伺いいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 パソコンの仕様につきましては、教育庁において、教育分野やデジタル分野などの有識者や学校長を含む委員会で、主要な内容を検討したと聞いております。
○福島委員 デジタルサービス局は関わらなかったということかと思います。
相談がなければ関われないということですが、さきの第三回定例会の一般質問で、そこにいる我が会派の藤井都議が取り上げたように、町田市の小学校でパスワードの管理が不適切であるという問題が発生するなど、教育庁の情報リテラシーは現時点ではまだ十分とはいえないと思います。ということで、デジタルサービス局から教育庁のICT利活用のサポートをぜひ働きかけていただきたいというふうに考えています。
先ほどから述べているように、私はEBPMを推進してきたんですけれども、特に教育分野というのは、様々データ収集がしやすい領域であることもあり、先行する英国では、ナショナル・ピューピル・データベース、NPDというところが学校教育に関するデータベースを管理するなどしています。
未来の東京戦略によれば、今後、都立高校においてエビデンスベースの学習を実現するというふうにしています。
教育データは、クラウドで提供される学習サービスや、学校の外、例えば塾などの学習データなど、TG-VANの外に集まるデータも少なくありません。加えて、GIGAスクール構想で先行した小中学校の学習データが、区市町村が採用したOSにひもづいたクラウド上に集まっているんですけれども、代表的なОSは三種類あって、それぞれ個別のIDにひもづけられた状態になっています。
エビデンスベースの教育を実現するためには、小中学校でのIDと高校のIDをひもづけるとともに、どのようなデータを集めてどう分析し、どうフィードバックするのか、いわゆるプラットフォームの設計が必要になります。
しかしながら、先ほど述べましたように、パソコン購入用ECサイトで扱う端末の仕様、そしてアカウントのパスワード問題、こういったところを見ていますと、加えて、都立高校で取得しているアカウントというのは、現状、一OSに限られているんですね。ということで、特に拡張性、汎用性の面で不安があるのも事実です。
今後、都立校においてエビデンスベースの教育を進めるに当たり、教育庁が構築する教育データの収集、活用のためのプラットフォームの仕様について、区市町村連携で、経験のあるデジタルサービス局が関わることで、手戻りのない実用的なプラットフォームを構築するべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 デジタルサービス局は、各局の目指す取組が実現できるよう、技術的なサポートを行う役割を担っております。
支援に当たりましては、事業の効果が最大限発揮されるよう、デジタルサービス局が有するデータ利活用のノウハウなども活用しながら、きめ細やかにサポートしてまいります。
○福島委員 きめ細やかにサポートしていただけるということで、安心いたしました。
他局が主体的に進める案件について、答弁できることが限定的にならざるを得ないことは認識をしているんですが、やっぱり都民の代弁者として、気づいた懸念事項をどうしても伝えたいと思いまして、質疑させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上でデジタルサービス局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時十三分散会
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