総務委員会速記録第十一号

令和三年十月七日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長鈴木あきまさ君
副委員長福島りえこ君
副委員長まつば多美子君
理事あかねがくぼかよ子君
理事川松真一朗君
理事藤井とものり君
森澤 恭子君
平田みつよし君
福手ゆう子君
慶野 信一君
西崎つばさ君
原 のり子君
早坂 義弘君
藤井あきら君

欠席委員 一名

出席説明員
政策企画局局長中嶋 正宏君
国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
次長理事兼務横山 英樹君
次長総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長事務取扱
梅村 拓洋君
理事計画部長事務取扱吉村 恵一君
戦略事業部長樋口 隆之君
特区推進担当部長三浦 逸広君
国際金融都市担当部長宮武 和弘君
総務局局長黒沼  靖君
次長理事兼務山口  真君
理事政策法務担当部長訟務担当部長コンプライアンス推進部長主席監察員事務取扱貫井 彩霧君
総務部長小平 基晴君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
片山 和也君
グループ経営戦略担当部長小野  隆君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
木島 暢夫君
調整担当部長事業調整担当部長兼務小林 弘史君
総合防災部長猪口 太一君
危機管理調整担当部長金久保豊和君
危機管理調整担当部長高田 照之君

本日の会議に付した事件
意見書について
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「二〇二〇年に向けた実行プラン」事業実施状況レビュー結果について
・「国際金融都市・東京」構想改訂(案)について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十八号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第十五号)中、歳出 総務局所管分
・第百六十号議案 東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例
・第百六十一号議案 職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十二号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・令和二年度東京都公立大学法人業務実績評価について
・東京都公立大学法人第三期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績評価について
・令和二年度東京都内部統制評価報告書について
・「新しい多摩の振興プラン」について
・東京都過疎地域持続的発展計画(素案)について

○鈴木委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査並びに政策企画局及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより政策企画局関係に入ります。
 報告事項、二〇二〇年に向けた実行プラン事業実施状況レビュー結果について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梅村次長 去る九月二十二日の当委員会におきまして、要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりください。
 「二〇二〇年に向けた実行プラン」政策目標の状況一覧(抜粋)でございます。実行プランの事業実施状況レビュー結果において、新型コロナウイルスにより事業進捗に影響が出ているもの、計画期間中に大幅な事業進捗があったもの、レビュー公表時点で実績値が確認されていないもの、そして、引き続き未来の東京戦略で取組を推進するものの四つを区分し、一ページから四ページにかけて、それぞれ一覧でお示ししております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 都民ファーストの会の福島りえこです。
 私からは、この二〇二〇年に向けた実行プラン事業実施状況レビュー結果、これについて質疑をさせていただきます。
 今回PDCAが常態したことは大変よいことだと思いますが、このレビュー自体、これは、対象は誰に向けて、何を目的として作成しているのか、それについてまずはお伺いいたします。

○吉村理事 事業実施状況レビューは、二〇二〇年に向けた実行プランで掲げた事業の成果や課題を客観的に把握、検証し、その結果を今後の政策展開につなげていくというPDCAサイクルの一環として実施しておりまして、政策目標や年次計画の進捗状況を都民の皆様に見える化して、お示ししてきたものでございます。

○福島委員 ありがとうございます。東京都が取り組んでいる政策目標や、またその進捗状況、これを都民の皆様に見ていただく目的でつくっていることが分かりました。
 私、今回質疑をするに当たって一生懸命読ませていただいたんですけれども、このレビューに書かれている政策目標、そして進捗状況、例えば九ページに記載されているのが橋梁の予防保全型管理というのがあるんですけれども、二〇一六年度末の累計、六十六橋に着手して、二〇二〇年度末で累計百二十一橋に着手、五十五橋の着手増加とありますが、これを見て、進んでいるか進んでいないか、都民の皆さんは分かるんでしょうか。
 建設局が今年三月に作成した橋梁予防保全計画によれば、都が管理する橋梁千二百二十一橋のうち、架け替え時に多額の予算と周辺への多大な影響が予想される橋梁、これが百二十一橋であるということです。この情報にまで都民の皆様はたどり着けるんでしょうか。
 また、二〇ページには、木造住宅密集地域の不燃化の目標値として、不燃領域率七〇%が掲げられています。この七〇%というのは、平成九年に作成された木造住宅密集地域整備プログラムを読めば、不燃領域率七〇%になれば延焼による焼失がほぼゼロになる数値、この七〇%が載っているっていうのは分かるんですけれども、このレビューを見ただけでは、ちょっと分からないです。
 また、二七ページに記載の防犯ボランティア登録団体数、これも目標値として、累計九百団体となっています。これはお聞きしたところ、計画策定時の登録団体の二倍にする、こういった目標になっているといいますが、これが十分なのかどうか、そもそもこの団体に何名が所属しているのか、これも分かりません。
 見える化というのは、都政の取組を都民の皆様にお伝えし、そしてご意見をいただいて都政に反映するための取組だと思いますが、数字になっていてもその意味が分からなければ、伝わることも伝わりません。
 今後、数値で実績、そして目標、こういったものを示す場合には、その数字の意味も併せて示すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○吉村理事 目標の数値が意味するところにつきましては、実行プランやその後に策定いたしました政策の強化の中でお示ししたところでございます。
 例えば、木造住宅密集地域の不燃化における不燃領域率につきましては、実行プランの中で、不燃領域率が七〇%を超えると、市街地の焼失率がほぼゼロになるということを紹介してございます。
 引き続き、未来の東京戦略のPDCAサイクルの運用におきましても、目標や進捗状況を分かりやすく示すよう努めてまいります。

○福島委員 どこかには書いてあるんだと思うんですけれども、それがやっぱりレビューとして抜き出されているのであれば、分かりやすくする努力を引き続きしていただきたいと思います。
 そして、ちょっとまだ続くんですけれども、実績と目標値の関係にも様々問題があると思いました。
 例えば、一五ページに、国際金融、経済都市への取組の中に、都による外国企業と都内企業の引き合わせ件数が千二百十七社となっていますが、数字にはなっているんですけれども、この数字のインパクト、そして実際に契約締結に結びついたのか、経済効果はあるのか、そういったところまで読んでいる人としては知りたくなる、そういうものだと思います。
 また、四五ページに書かれている理数研究ラボで理数への興味、関心が向上した受講生徒、これは二〇二〇年度実績で一〇〇%、すばらしい数字になっているんですけれども、これは以前から指摘をしているんですが、受講直後、アンケートを取ってよかったかどうかと聞いているんですけれども、やっぱり進路選択への影響など長期的な評価、これが必要だと思います。
 同じく、TOKYO GLOBAL GATEWAY、英語体験ができる施設なんですけれども、ここも利用者の九三%が意欲が向上したとなっているのも、この施設を利用した直後の値であって、例えば英検の取得率や進路選択など、より長期的な評価が望ましい、こういうことを申し上げてきております。
 このように、計画やレビューを取りまとめる政策企画局としては、PDCAのP、計画、そして、その段階で目標値や実績の評価方法がきちんとしたものになっているかどうか、これをアドバイスするべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○吉村理事 実行プランは、東京二〇二〇大会の成功とその先の東京の未来への道筋を示す観点から、四か年の実施計画として策定したものでございます。政策目標につきましては、その実現に向けて、いつまでにどの水準まで到達すべきかについて局と議論を重ねて、目標年次とともに掲げております。

○福島委員 ありがとうございます。局と議論を重ねる中で、その目標値に対して評価方法がこれでいいのか、そういったことも丁寧に議論していただければありがたいです。
 以上のように、読んでなかなか分かりにくい部分、それも書き切ると非常にボリュームが大きくなって見るのが大変な部分については、私は、載っていないところは実はどうしていたかというと、この実施レビューについて関連するところを検索したり、例えば都民ファーストでつくる新しい東京という計画段階ですね、あと実行プランとか、あとは同時に発表された政策目標実績一覧表とか年次計画実績一覧表とか、そういうところを調べました。きっと書いてあるんだろうなと思って探すんですけれども、やっぱりまだ見つからないものに関しては、東京都と事業名でインターネット検索をして、この数字の根拠を探したりもしました。
 これから電子化していくのであれば、ハイパーリンクという方法があります。この数字の意味を説明したサイトに飛んでもらうことができます。全部書き込まなくてもいいというふうになるんですね。
 ところが、この電子ブックに今回この未来の東京戦略、これも実は電子ブックになっているんですけど、この電子ブックをそのままやってしまったせいで、実はQRコードがそのまま電子ブックの中に登載されている状態になっていて、読んで調べようかなと思って、これスマホで撮るのかなみたいな、そういうことが起きるわけです。
 今後、こういった戦略やレビューなど、都民の皆様とのコミュニケーションを目的とした紙媒体を電子化するに当たっては、都民の皆様とのコミュニケーションの強化に資するよう、改めて設計することが必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

○吉村理事 未来の東京戦略のデジタルブックでは、検索機能や付箋機能に加えまして、クリックすることでアクションプラン一覧に遷移する機能など、見ていただく方に便利な仕組みを導入してございます。
 今後におけるPDCAの運用につきましても、より都民に関心を持っていただけるよう、BIツールなどのデジタルツールを活用して、様々なデータを見える化して、取組状況や成果を分かりやすくお示しするよう工夫してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。今ご答弁にあったのは、この未来の東京戦略ビジョンの中でも、全ての三か年のアクションプランはこちらっていう、このQRコードがボタンに変わっていて、ここに載せ切れなかったその三か年計画が見られるというものなんですけれども、私が申し上げたかったのは、やっぱりここに書いてあることがよく分かるというのにも、そういったものは利用できるんじゃないかということと、あと実はここがボタンになっているというのが私、気づいていなかったんです。
 実はハイパーリンクというのは、テキストがあってその下にアンダーバーがついていて、色が変わっていると。これはリンクがありますよということが分かる。それが我々の中で比較的共通認識になっているんですけれども、ここにボタンがあるというのはちょっと見つけにくかったです。そういうことで、ぜひ分かりやすいものをつくっていっていただきたいなと思います。
 あと、私ホームページというか、そういったインターネットを介して情報提供するときに、アクセス解析というものを導入してほしいということをずっと訴えておりまして、東京都でも今導入が進んでいます。
 実は、電子ブック、デジタルブックというのは、アクセス解析でどこを見たかみたいなことを調べるようなサービスも今出てきているんですね。どこをよく読まれたか、そして都民が必要としている情報はどこか、そういったことも分かるようになれば、情報提供じゃなくてコミュニケーション、そういったものにも変わってきますので、電子化をぜひ丁寧に進めていただきたいと思います。
 ちょっとこの、表現じゃなくて中身についてなんですけれども、先ほども取り上げましたこの木造住宅密集地域の不燃化に関しては、やっぱりなかなか進みにくいという面があるようです。
 東京、横浜というのは、よくいわれていることですけれども、スイスの再保険会社、スイス・リーというところで、自然災害のリスクの高い都市ランキングで一位と。世界で最も脆弱な都市ランキングで世界六百十六都市中一位、こういう状況なんですね。どうしてもこれは進めていただきたいし、また、都内のエネルギー消費量や都内の温暖効果ガス排出量、そして幹線道路ネットワークの形成、こういったことも目標に向けて、なかなかちょっと到達が難しい状況になっているように見受けられます。
 どうしても目前の仕事、年度の進捗に追われがちな局では難しい、こういったものに大局的な立場から見られる政策企画局が取りまとめるに当たって、各国や他道府県の先行、良好事例の調査や専門家との意見交換を行って、抜本的なよりよい解決策、こういったことを提案していく、それもできるんじゃないかと思います。
 実行プランで明らかとなった課題について、未来の東京戦略でどのように取り組むのか、見解をお伺いします。

○吉村理事 未来の東京戦略では、実行プランの取組の中で生じた課題も踏まえて、具体的な施策を盛り込んでおります。
 例えば、木造住宅密集地域の不燃化につきましては、実行プランにおいて、生活再建支援などを実施することで、二〇一九年度時点で整備地域全体の六三・六%まで取組を進めてまいりました。一方で、地権者との折衝において課題も生じていたところでございます。
 未来の東京戦略ではこの課題を引き継ぎまして、無接道敷地などでの建て替え検討を支援する施策などを拡充させることで、不燃化をさらに推進していくことにしております。

○福島委員 ありがとうございます。進捗を管理する、これが作業自体を目的にするんじゃなくて、やっぱりできたからには得られること、それに気づいた課題、こういったことを取りまとめて、俯瞰した立場から見られる政策企画局ならではの情報収集と提案に、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 次に、数値目標がなく、実績と目標の関係が不明確な事例として挙げられた事例として、プラスチックごみの3Rのさらなる推進、そして二〇三〇年度までに食品ロス半減を達成するための食品ロス削減東京方式の確立、こういったものに関しては、未来の東京戦略の方では、実は数字が示されるようになっています。二〇三〇年までに廃プラスチック、これを二〇一七年度比四〇%削減ですとか、食品ロス二〇〇〇年比半減、こういったものが掲げられています。
 しかしながら、これらはコロナ禍でテークアウト、デリバリー事業とかが広がって大幅に増えている状況です。また、四〇ページにあるテレワークの導入に関する記載ですね。既に導入しただけではなく、この利用状況もきちんと追っていかないといけない、こういったことがもう社会的に知られております。にもかかわらず、この未来の東京戦略の中では、相変わらず導入率が指標になったりしています。数値であればいいわけでもなく、こういった社会の変化を踏まえて、政策を練り直していく必要があると思います。目標値も練り直す必要があると思います。
 このように目標や政策について、社会環境の変化を踏まえた大胆な再設定は、目標達成に取り組む現場では、しかしながらなかなか難しい。こういったときに、政策企画局から働きかける必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。

○吉村理事 例えば、実行プランにおけますテレワークの取組につきましては、テレワークが当たり前になる社会の実現に向けまして、まずはその第一歩としまして、二〇一七年度に事業員三十人以上の企業で、僅か六・八%であった導入率を二〇二〇年度までに三五%まで引き上げることを目標に取り組んでまいりました。
 サテライトオフィス設置への補助などを進めてきた結果、テレワーク導入率は二〇一九年度には二五・一%に達し、コロナ禍において二〇二〇年度は五七・八%まで上昇いたしました。
 未来の東京戦略におきましては、さらに高い目標を掲げるとともに、テレワーク東京ルール実践企業宣言への参加などを目標に、重層的にテレワークの定着を図ることとしております。
 引き続き、時代や状況の変化に弾力的に対応しまして、目指すべき未来の東京の実現に向かって、政策企画局と事業局が社会の変化で明らかとなった課題も踏まえながら、取組を進めてまいります。

○福島委員 ありがございます。社会動向を踏まえて、ぜひ速やかな対応をお願いいたします。
 次に、政策評価事業と事業評価、これとの関係についてお伺いをいたします。
 これまで目標値の根拠や実績の数値の意味、政策目標と実績の関係、長期的な評価の必要性、そして環境変化を捉えた目標の変更の必要性、こういったことを訴えてまいりました。
 私は、都議会議員になって一年目より、政策立案の精度を上げるためのEBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、これの重要性を訴えてまいりました。
 そして、令和二年の第三回都議会定例会の一般質問で、この政策評価について取り上げまして、今後、複合的な要因から構成される課題への評価策や分析手法を検討し、複雑化している行政課題の解決に寄与する制度にするというふうなご答弁をいただいております。
 また、令和二年第四回都議会定例会の我が会派の代表質問には、成果指標の視点を取り入れた政策評価と、予算編成と密接に連動している事業評価とを一体的な取組として新たに実施し、一つ一つの事業が成果指標の達成に向けてどのような効果を与えているのかを多面的に検証することで、事業内容や仕事の進め方の見直しにつなげる、こういったご答弁をいただいています。
 東京都の課題の多くは、関係者が多く、多方面からのアプローチが必要であり、この一つの政策目標に対して複数の事業が計画されるものが大変多くあります。だからこそ、事業の実績と政策目標との間を丁寧につないでいく必要があります。
 この政策評価と事業評価の一体化において、政策企画局はどういうふうに関わっているのか、見解をお伺いいたします。

○吉村理事 実行プランのPDCAサイクルの運用に当たりましては、政策目標の進捗状況や各事業の予算の執行状況など、財務局と情報を共有して取組を推進してまいりました。
 未来の東京戦略の推進におきましても、政策評価、事業評価を所管する財務局としっかり連携いたしまして、財政的視点からの検証も踏まえながら、政策の実効性を高めてまいります。

○福島委員 ただいまのご答弁で、政策評価と事業評価の一体化について、財務局と連携して取り組んでいくということをお答えいただきましたけれども、今、この政策評価と事業評価の一体化の事例として挙がっているのが、救急車の到着に要する時間の削減ですね。これは複数の事業をくっつけて、一事業で何秒、何分と短くして、全部で何分短くなりますよみたいなところで事例として挙がっているんですけれども、せっかくの取組が、こういったある意味分かりやすい一部のものに限られてしまうのは、大変もったいないなと思っております。
 事業評価というアウトプットを政策評価のアウトカムにつなげる部分も、ぜひぜひ、少しこの事業から離れている政策企画局が研究して、サポートしてあげてほしいと思っています。
 私は、四年前のこの総務委員会で、新しい東京の実行プランのレビューに関する質疑で、八王子のがん検診の受診率のソーシャル・インパクト・ボンドの事例を取り上げまして、積極的にスキームの研究、そして試行に取り組んでいただきたいというふうに述べました。
 ソーシャル・インパクト・ボンドというのは、インパクト、すなわちアウトカムで評価するから、実際に行う事業の評価であるアウトプットと政策評価、アウトカムをつなげるロジックモデルでもちゃんと一緒にできているんです。
 例えば、一〇ページに示された子供を安心して産み育てられる環境、これは大変重要な目的だと思うんですけれども、待機児童解消や保育サービスの利用児童数、これはもちろん事業の進捗を図る指標ではあるんですけれども、子供を産み育てやすいというところに向かっては、例えば高額の学費や若年層の世帯収入減少など、書き切れていないことも様々あるわけですね。こういったことをどの事業にどれだけ配分すればいいか、こういうことをもうそろそろ真剣に考えなきゃいけない時期に来ていると思うんです。
 同じく、後ほど出てきますけれども、金融都市構想、これに対して、例えば金融賞を設けて創設、表彰する、大事なことです。あと金融系外国企業の誘致、これも事業の進捗を図る指標でもありますが、それ以外にも、例えば課税の問題や英語によるアクセスが制限される問題、生活環境、同じく把握はしていても、書き切れていないこともたくさんあるんですね。
 ロジックモデルをつくるというのは、いうはやすし、やるのは大変なんです。だから、あれにもこれにもやるべきだと私も思っていないんですけれども、重要で、かつ、なかなか成果が上がらないもの、これに向かっては、やっぱり確実に成果を上げるためにも、ちょっと大変な作業でも、取り組むべき時期に来ているんじゃないかなと思います。
 各事業が政策目標にどれだけ寄与できているか、その割合によって、もっとアクセルを吹かした方がいいもの、そういうものが見えてくると思うんですよね。
 例えば都立大学、これは私は東京都のシンクタンクになってほしいと思っているんですけれども、ここの子ども・若者貧困研究センターの阿部センター長は、子供宅食事業というものは、子供宅食がどれだけできたかというんじゃなくて、保護者や家庭の心理的ストレスの減少や、可処分所得の向上や食事内容の改善といったアウトカムにどういう効果があるかというのをロジックモデルを使ってちゃんと評価しようとしています。
 ビジョンや政策、戦略を取りまとめて進捗管理をする政策企画局が、政策評価と事業評価の一体化というこの機会を生かして、ロジックモデルの研究と先行事例創出に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○吉村理事 目指すべき姿に向けて、どのような政策を立案していくかということを可能な限り分かりやすく示していくということは、重要なことだというふうに考えております。
 未来の東京戦略におきましては、目指すべき二〇四〇年代の東京の姿をビジョンとして示し、その実現に向け、この十年間で達成すべき政策目標を設定し、その達成のための具体的な施策を積み上げまして、三か年のアクションプランとして示しております。
 引き続き、データなども活用しながら、具体的な数値目標を掲げ、政策の効果も検証しながら、取組を進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。大目標にひもづいた複数の事業ですね、これの関係を丁寧に、できるだけ定量的に扱えるように、研究を進めていただければと思います。
 私は、総合電機メーカーの研究所で二十二年間研究開発をしておりまして、そこは五年から十年先のテーマをやるというふうになっていました。
 実際、私は二十二年間在籍したんですけど、やったテーマはたった三つなんですね。一つは世界初の製品開発につながりましたけれども、現場を預かっている工場に新しいものを持っていくと、生産ラインに迷惑をかけるなみたいな感じで、かなり厳しい洗礼を受けるんですけれども、やっぱり時間がずれているところは、一緒にやるのはなかなか難しいわけです。直近の問題に本当に頑張っているところから少し距離が置けないと、長いテーマとすることができないんですよね。
 私はそういった基礎研究所にいましたけれども、企業によっては、基礎研究所を社内で持つのはやめているところもあります。ベンチャーのいい技術を持ってきて自分のところで膨らませると、基礎研究所は費用対効果が合わないので持たない、そんなことを決めた企業もございます。
 長いスパンでやること、これをどういうふうにやっていくか。都庁内で、もしゆっくり検討でき−−私は一つ、そういった意味ではワークスラボみたいなところが各局の取組で、少し事業部のラボぐらいなところが政策企画局があるとすると、もうちょっと長い時間をかけてでもロジックモデルとかをつくって、現に検証しなきゃいけないみたいなところは、例えばシンクタンクとして、都立大みたいなところを使っていくという方法もあるんじゃないかなと思っています。
 最後に、ちょっとSDGsについて申し上げたいと思います。
 すごい大事な取組であるというのは、皆さんもそうだと思うんですけれども、実は私は、二〇一七年に社内で一番最初にSDGsに関するeラーニングをつくったんですね。そういうこともあって、当時、一生懸命研究したことがあるんですけれども、ミレニアム・ディベロップメント・ゴールズという七つの課題解決、それがなかなかうまくいかないので、その反省からできたのがこのSDGsなんですね。
 問題解決だけを目的としていても、なかなか持続性が保たれないために、経済との両立対策、何とかこの社会課題解決というのと経済的合理性というのを両立させれば持続すると。課題解決が持続的になされるというものです。つまり、東京都がSDGsに関わるのであれば、行政の手助けなく持続的に進むような取組ができて初めてこのマークを掲げる、そういったものです。
 SDGsのカラフルなアイコンを関係がありそうな取組にひもづけること、これはSDGsの本質と狙いを理解せず、本気で取り組むつもりはない事例として挙げられることがありまして、表面的な取組として、例えば欧米では、SDGsウォッシュなんていう表現もあるぐらいです。
 SDGsに関する扱いに関して、今後どうしていくか、見解をお伺いいたします。

○吉村理事 SDGsにつきましては、二〇一九年一月に策定しました実行プランの政策の強化の中で、政策の柱とSDGsの十七のゴールとの関係性を示したところでございます。
 また、今回策定した未来の東京戦略では、東京の発展の原動力である人を中心に据えております。これは、誰一人取り残さないというSDGsの考え方と軌を一にするものでございます。
 二〇三〇年を年限とするSDGsを達成することが、未来の東京戦略の実現につながることを明確にし、都が率先して行うこと、区市町村と共に取り組むこと、多様な主体と連携していくことなどの取組方針を示すとともに、百二十二の推進プロジェクトについて、SDGsの十七のゴールがどのように結びつくかを整理いたしております。
 全てのプロジェクトにつきまして、SDGsのゴールとの関係性を意識しながら、全庁的な政策推進を図ることで、SDGsの取組としての実効性を高めていきたいと考えております。

○福島委員 ちょっとまたインパクト・ボンドの話に戻るんですけど、これは、従来は行政がコストをかけてやっていたことが、民間の知恵と民間の投資によって、行政的コストの削減や投資家への還元につながれば、その社会課題解決の取組が自走すると、持続性が高まったというふうにいえる、そんな取組です。
 今おっしゃいましたけれども、ステークホルダーを広げて解決していく、本当にこういうことができれば、東京都のSDGsの事例として、対外的な発表とかもできると思うんですよね。ぜひそのようなよい事例をつくって、これに堂々とマークをつけて発表していける、そんな取組を期待して、質問を終わります。

○まつば委員 二〇二〇年に向けた実行プラン事業実施状況レビュー結果についてお伺いをいたします。
 この事業実施状況レビューは、二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、都の計画実施のPDCAサイクルに初めて組み込まれたと伺っております。大変重要なものと認識をしておりまして、こうした観点から質問をしてまいります。福島副委員長の質問と重複している部分もありますので、そこは避けて質問をさせていただきます。
 まず、今回の事業実施状況レビュー結果で明らかになりました二〇二〇年度末時点での達成されたもの、未達成のものがありますが、その状況について確認をさせていただきたいと思います。

○吉村理事 実行プランの政策目標の合計六百四十四のうち、二〇二〇年度末までを目標年次とするものが四百四十三ございます。二〇二〇年度は、新型コロナにより様々な事業の進捗に影響がございましたが、新たに百三十六の目標を達成し、四年間の累計で三百十六の政策目標を達成いたしました。
 また、お手元に配布しております要求資料も併せてご覧いただければと思いますが、新型コロナウイルスによる事業の進捗に影響が出ているものが六十九、計画期間中に大幅な事業進捗があったものが三十、公表時点で実績値が確認されていないものが十四、引き続き未来の東京戦略で取組を推進するものが十四ございます。

○まつば委員 実行プランの政策目標数とレビュー結果の状況、これを確認させていただきました。
 政策目標は全体で六百四十四ということでございますが、今回の事業実施状況レビュー結果、この冊子ですね、この冊子に掲載している政策目標は幾つあるのかということと、あわせて、掲載された政策目標を選んだ考え方、そして、この冊子に記載のない政策目標はどのように公表されているのか、併せてお伺いをしたいと思います。

○吉村理事 冊子に掲載しております政策目標数についてですが、八ページ以降に掲載しております四年間の取組の成果及び一八ページ以降で取組状況を紹介した政策目標が合計で百八ございます。
 また、掲載している政策目標を選ぶ考え方についてですが、八ページ以降の四年間の取組の成果は、二〇二〇年度が計画の最終年度に当たりますことから、この四年間の取組で得られた成果を広く都民に紹介したものでございます。
 また、一八ページ以降で、三つのシティとその実現に向けた二十三の政策の柱ごとに、それぞれの柱を具現化する政策目標について、二〇二〇年度における取組と今後の未来の東京戦略における展開を掲載しております。
 また、本体冊子に掲載のない政策目標を含めまして、全ての政策目標につきまして、この四年間の取組の進捗状況や、未来の東京戦略における今後の展開について整理いたしました政策目標一覧及び年次計画一覧を作成し、ホームページに掲載しております。

○まつば委員 この掲載している政策目標以外にも、進捗状況、また、取組の経過を実績一覧で公表しているということを改めてご答弁として確認をさせていただきました。
 PDCAを回していく中においては、目標を達成することも当然ながら大切であります。しかし、未達成となった目標こそ大事だと、このようにも考えているところです。その中には都の支援による若者の就職者数というものもありまして、一層の取組の強化が求められていると、このように思います。
 今回未達成となった政策目標にはどのようなものがあるのか、答弁をお願いしたいと思います。

○吉村理事 お話の都の支援による若者の就職者数につきましては、新型コロナウイルスの影響によりまして、政策目標の三万六千八百人に対しまして、四年間の実績が三万六千五十一人と、政策目標の達成まであと一歩でございました。
 このほかにも、都民参加型の啓発イベントの実施状況を政策目標としたものなどについては、事業が十分に実施できなかったために、掲げた目標に到達しなかったものがございます。

○まつば委員 進捗や結果というものが芳しくないものにつきましては、途中でその原因を分析して、次の政策展開につなげていくことが肝要であると、このように思います。
 特に、コロナ禍ということでございましたので、若者、また学生の皆さんに、様々な面で深刻な影響を与えているという状況があります。この点につきましては、昨日の一般質問で、我が党の慶野信一議員が取り上げさせていただいたところでございます。
 先ほど、未達成の政策目標の例として、都の支援による若者の就職者数のお話もいただいておりますけれども、この実行プランで達成できなかった政策目標について、原因の分析、これはどうされてきたのか、お伺いをいたします。

○吉村理事 この冊子で紹介していない政策目標も含めまして、レビューで進捗状況を把握して、取組を進める上で課題が生じているものにつきましては、原因の分析を行い、次の政策展開につなげております。
 例えば、ご指摘の都の支援による若者の就職者数につきましては、新型コロナの影響によりまして、職業訓練の事業が感染拡大防止のためにやむなく規模縮小を余儀なくされたことに加えまして、企業の採用活動が低調になったことなどが要因であるといった分析をしております。

○まつば委員 コロナの影響を受けた若者の皆様への就職支援、今ご説明いただきました。理事からご説明いただきましたが、このレビューによりまして原因の分析がなされてきたということでございました。
 ここで、分析した原因をどのように次の政策展開に生かしていくのかということであります。事業を行っているのは事業所管局でありますけれども、やはり政策企画局が力を合わせて取り組んでいくことが必要だと考えております。
 実行プランで掲げた政策目標の実現に向けて、各局とはどのようにやり取りをしてきたのか、お伺いをいたします。

○吉村理事 この事業実施状況レビューを通じまして、事業実施で得られた成果、そして課題を客観的に把握、分析、検証しまして、目標達成のための手法の在り方などについて各局と議論を行い、具体的な事業を練り上げて、政策の強化につなげてまいったところでございます。

○まつば委員 レビューの結果を各局と共有をされて、実行プランに取り組んできたということでありました。繰り返し申し上げますが、政策企画局の役割は非常に大事だと、このように思っております。
 この今回のレビューを通じて新たに判明した課題等についても、今取り組んでいる未来の東京戦略のバージョンアップに生かしていくべきと考えますが、その点いかがでしょうか。

○吉村理事 今回のレビューの結果で明らかになりました課題ですが、現在進めておりますが、未来の東京戦略のバージョンアップに向けた各局の議論をしております。そのため、重点政策方針といった分析書も出しておりまして、それを各局と共有して議論を深めているところでございます。その内容をしっかり深めて、効果的な施策としてバージョンアップしまして、政策として盛り込んでいきたいというふうに考えております。

○まつば委員 今後も、PDCAサイクルを徹底していただいて、各事業の所管局と議論を通じて、実効性の高い政策へとつなげて、未来の東京戦略の実現を目指しまして、着実に進めていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○西崎委員 まず初めに、二〇二〇年に向けた実行プラン政策目標のレビュー結果について伺います。
 今回でこれが恐らく最後のレビューとなると思われますけれども、これまでも様々議論がございましたが、こうした計画及び目標については、当然、設定をされて、その達成に向けて努力を重ねる一方で、定期的に妥当性も含めて検証するという必要がありまして、中でも、新型コロナによる影響などはその最たる例だと思っております。それがまさにPDCAサイクルの要諦、見直しの部分だと思います。
 そこで、改めて伺いますけれども、今回も含めたこれまでのレビューにおいて、当初の政策目標を実際に見直してきたというものがあるのか伺います。

○吉村理事 二〇二〇年に向けた実行プランは、PDCAサイクルを適切に実施していく仕組みを計画策定の段階からしっかりと組み込んだものでございます。毎年度、事業実施状況レビューで進捗や成果を検証するとともに、社会情勢の変化や新たな都民ニーズなどを踏まえまして、政策目標の新設や再設定を行いまして、政策全体のブラッシュアップを図ってまいりました。

○西崎委員 ありがとうございます。政策目標の新設や再設定を行って、政策をブラッシュアップしてきたということです。
 そもそも、目標を設定した当初から必要性のないものというのを掲げていることはないと思いますけれども、やはりこうした変化の著しく速い時代だからこそ、絶えず政策目標の妥当性について検証する中で、新設、再設定というものも当然必要になってくるかと思いますが、時には削る、見直すという判断もあってしかるべきだと思っています。
 そこでポイントになってくるのは、そうした削るもの、見直すものを、いかに見える化をしていくかということかと思いますし、それを議会及び都民にきちんと説明をできる、そうした体制を整えておくことかと思います。
 こういうと、我々議会も常々、あれをやれ、ここに予算をつけろということをいいがちでありますけれども、やはり今の時代、生産年齢人口の減少などに伴い、歳入の中長期的な見通しは決して明るくない。一方で、超高齢社会であるとか、ないしは行政ニーズの多様化、そうしたものに伴って歳出は増えていくという要素が多いということを踏まえると、財政の持続性を極めて重く受け止め、施策に優先順位をつけるということを、我々も自覚をしなければならないと思っております。
 現在、こうした計画が未来の東京戦略というものに発展をしているということでありますので、これ以上のそれについての議論は、また改めての機会に議論させていただきたいと思いますけれども、そうした責任を持って何を削るか、何を見直すかという点も含めて、真に効率的な事務事業が遂行できるという、そうした体制の重要性を指摘して、次の質問に移らせていただきます。
 国際金融都市東京構想の改定についてであります。
 これは現構想でも、当然、国際金融都市としての発展を目指してきたものであるかと思いますけれども、当然、これは勝ち負け、優劣のある話でありますから、世界各国の各都市でも同様に、それぞれ戦略を持って取り組んでいるものと思われます。
 そこで伺いますけれども、例えばこの構想改訂案の中でも言及されているシンガポールであるとか香港など、競争相手として想定される都市の特徴や戦略をきちんと把握をした上で、東京都の持つ強みというものを相対化した観点から構想を立てていくということが非常に重要であると思いますけれども、そうした考え方に基づいて改定に至っているものなのか、これまでの検討状況について伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 アジアをはじめとする他都市の動向につきましては、ビジネスコンシェルジュ東京やアクセス・ツー・トウキョウの海外窓口などを通じて最新の情報収集に努めております。
 例えば香港につきましては、国家安全維持法施行が与える影響が注目されている中、中国のゲートウエーとしての性格が強まっているといわれております。また、シンガポールでは、コロナ禍による経済の減速を受けまして、外国人のビザ取得の厳格化が打ち出されるなど、規制強化がビジネス環境に与える影響が懸念されております。
 構想の改定に当たりましては、こうした他都市の動向や東京の強み、課題の分析を踏まえ、具体的な施策を検討しております。

○西崎委員 ありがとうございます。香港なんて本当にどうなっちゃうんだろうというようなところもありますけれども、様々情勢を捉えて練られているということです。
 今回の改訂案の大きな特徴の一つが、TGFIといわれていますグリーンファイナンスの部分であるかと思います。気候変動への対応をはじめ、持続可能な社会を目指すということは、世界の共通課題でありますし、今回の改訂案の中でも考え方として打ち出されているということは、極めて重要であると思いますし、これについては何の異論もなく、ぜひ進めていただきたいと思っています。
 一方で、そうしたものも含めて、近年、どんどん拡大をしているESG投資、ESGですね、この部分のうち、今現在、投資家であるとか、逆に企業側、どちらも最も重視をしているというのが、Gの部分のガバナンスの部分であると、そうした調査結果も耳にしているところであります。一方で、今回の改訂案を見ると、このガバナンスの部分に関する記載が少し物足りないのではないかなというふうに受け止めています。
 そこで、金融都市を目指していく中で、ガバナンスに関する部分のこれまでの取組、そしてまた、今後どのように対応していくおつもりなのか、所見を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 ガバナンスに関しましては、東京証券取引所が本年六月に、上場企業の行動原則でありますコーポレートガバナンスコードの改正を実施しておりまして、投資家からの信頼確保に向けましては、企業はこうした指針を遵守していくことが重要だと認識しております。
 都の取組といたしましては、東京金融賞におきまして、ガバナンスも含め、ESGで優れた取組を行っている企業を表彰しております。また、金融庁などとともに、日本取締役協会が実施するコーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーに後援を行いまして、ESG活動に積極的な企業を表彰する東京都知事賞を設けております。
 今後とも、これらの取組を通じまして、ガバナンスの強化に向けた取組を促してまいります。

○西崎委員 今、指示コードの件についても触れていただいたということでありますけれども、そうした重要性は認識をされているかと思います。
 その中で、今回の改訂案の中で、やはり少し物足りないなという印象がありますので、今後、そうした重要性は認識をされているということでありますし、現に様々取組も今行っているということであります。
 PDCAの話じゃないですけれども、今回、この改訂案の三四ページですね、おわりにの部分にも、今後の世界的な環境変化や金融を取り巻く状況の変化等を踏まえ、取組内容の見直しやレベルアップ、新たな取組の追加など、機動的に対応していくというふうに記載もされているわけでありますから、今申し上げたようなガバナンスの部分、これにつきましても、今後、さらなる取組を進めていただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○森澤委員 私からは、二〇二〇年に向けた実行プランのレビュー結果と、続いて国際金融都市構想についてお伺いをさせていただきます。
 まず、実行プランのレビューについてですが、二〇二〇年に向けた実行プラン、レビューとしては最終年度となりました。都として策定段階から政策のPDCAサイクルを組み込んでいった初の試みと認識しておりますが、これにより事業を行う各局においてどのような意識の変化が生まれ、政策実行の取組方にどのような変化があったと認識しているのか、まず伺います。

○吉村理事 政策を確実に実行して成果を出すことで、初めて意義のあるものとなるということから、二〇二〇年に向けた実行プランでは、施策の実施、進行管理、評価、改善、見直しというPDCAサイクルを策定段階から組み込んでございます。
 計画期間である四年間、事業の進捗状況、事業実施で得られた成果や課題を、事業実施状況レビューにより把握、検証し、政策の強化につなげていくというサイクルを回してきたことによりまして、PDCAの必要性の認識が庁内各局に定着し、政策目標の達成に向けた進捗の管理と見直しの実践が広がってきたと考えております。

○森澤委員 目標達成に向けた管理と見直しの実践が広がってきたということですが、ぜひ、目標を追っているうちに目標達成自体が目的にならないように、その目標を達成することの先にあるもの、どのような東京が実現するかという視点を常に持っていただくよう、各局にぜひ働きかけていただきたいと思います。
 目標についてですが、あまりにも無謀であればモチベーションが湧きにくく、淡々とこなしていけば達成できるのであれば目標の意味がなく、恐らく少しストレッチがあるというところが妥当だとは思うんですが、ただ、どの数字を目標にするかなど、そもそもの立て方は難しいというふうに感じます。
 事業の性質にも関わってきますが、局によって目標の立て方にばらつきというのはあるように感じますが、この辺りについて、この四年間でどのように目線を合わせていったのか、また、進みの悪い取組に対して、政策企画局からはどのように改善を促していったのか、お伺いいたします。

○吉村理事 実行プランにおきましては、短期集中で進めるべきものや、長期的な課題に対して着実に取り組んでいくものなど、様々な施策がございますので、二〇二〇年とその先を見据えた目標を設定して実行してまいりました。
 また、レビューで得られた成果や課題を踏まえまして、関係局と議論を重ねることで、目線を合わせまして、事業の実施方法の見直し、そして新たな取組の実施につなげまして、政策の強化を図ってまいりました。

○森澤委員 実行プランを登山に例えるなら、いつまでにどの山を登るか決める作業がまず第一で、その上で、どのルートを登るのか見直しながら進んでいくことであり、時には大胆に方向を見直す必要があると考えます。
 これは、事業を近くで見過ぎていると気づきにくく、都の全体の方向性を踏まえた上で、少し広い視点から事業を見直す、時に目標自体を見直すということで、政策企画局のご担当の力量がかなり問われるように感じます。次の未来の東京戦略のPDCAプロセスにおいても、関係局との議論を徹底していただきたいと思います。
 一方で、各局同士、政策企画局と事業局で見合っているとはいえ、都庁自身が自分で目標を決めて自分でチェックするとなると、残念ながらチェックが甘くなりがちなのではないかという懸念も拭えません。
 チェックの段階において、外部の視点なども大切であると考えますが、客観性を担保するためにどのように取り組んできたのか、見解を伺います。

○吉村理事 実行プランでは、政策目標を立てるに際しまして、可能な限り数値化、定量化を図ってまいりました。この数値化をするに当たりましては、関係局と政策企画局が、新しい東京をつくるために何をなすべきかという観点から議論を重ねて設定したところでございます。
 また、事業の進捗状況や成果を客観的に把握し、背景や課題を分析しまして、政策を強化することで、各施策の実効性の向上に努めてまいりました。

○森澤委員 可能な限り数値化、定量化し、進捗状況や成果を客観的に把握しているというのは理解をしました。
 一方で、自らの、あるいは自らの仲間の取組を評価し、改善を促すのは非常に難しいことだとも思います。今後、目標時点だけでなく、評価の時点での客観性を担保するための何らかの形で、都庁以外の外部の視点というものを入れていただくことも検討いただきたいと申し述べておきます。
 また、より多くの都民に途中経過、進捗を知ってもらい、都民にチェックをしてもらう、幅広く意見を求めていくということも必要であると考えますが、見解を伺います。

○吉村理事 事業実施状況レビューの結果は、ホームページに掲載し、広く都民に公表するとともに、都民の方からのパブリックコメントや区市町村への意見照会に加え、都立高校生などからのご意見も頂戴しているところでございます。
 ここでいただきました意見につきましては、社会情勢の変化やレビューの結果などとともに、新規施策の構築や既存施策の見直しに活用することで、実行プランの次の政策展開につなげてきたところでございます。

○森澤委員 広く都民に発信し、知っていただくということは、実行プランレビューという取組自体を自律的に行うために必要だと考えます。都民と進める都政の実現のために、より多くの都民に関心を持ってもらえるよう、引き続き工夫をお願いしたいと思います。
 最後の質問は、福島副委員長とかぶりましたので、割愛をさせていただきますが、この実行プランでのPDCAを具体的に次の未来の東京戦略にどう生かすのか、また、今年度一体化される事業評価と政策評価、どのような補完関係を持っていくかというところですが、先ほど連携して取り組むというようなお話がありました。
 描いている未来の東京を着実に実現するために、そして都の政策がよりよい方向に進むための評価としていただくよう、連携をしっかりしていただきたいと思いますし、各局において同じような評価作業を重複して行うような無駄が出ないように、取組自体の改善を重ねていただくようお願いいたします。
 レビューについての質問は終わります。
 次に、国際金融都市東京構想の改定についてお伺いをいたします。
 国際金融都市構想については、過去、東京を世界有数の国際金融都市とするための様々な取組が幾度となく繰り返されてきましたが、残念ながら必ずしも十分な成果が出ていないといわざるを得ません。
 今回の改訂案のおわりにも、今がラストチャンスという危機感を持って取り組むとあります。国際金融都市をめぐっては、先ほどもありましたが、アジアだけでも、香港、シンガポール、上海、北京と熾烈な争いがあると認識しています。
 それではまず、今がラストチャンスの国際金融都市の実現について、何をもって国際金融都市としての地位を確立した、実現したといえるのか、都民と共有していく必要があると考えますが、どのように考えているのか、まず見解を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 今回の構想改訂案では、国内外の資金需要に世界中の資金を結びつける国際金融都市の実現に向けまして、社会的課題の解決に貢献する分厚い金融市場の構築、フィンテックの活用等による金融のデジタライゼーション、資産運用業者をはじめとする多様な金融プレーヤーの集積を施策の柱に据えております。
 それぞれの柱ごとにKPIを設定して、進捗状況をホームページ等で公表するとともに、環境やニーズの変化にアジャイルに対応していくことにより、国際金融都市としての東京のプレゼンス向上を目指してまいります。

○森澤委員 柱ごとにKPIを設定し、達成度を検証しながら、アジャイルに取組を進めていくこと、とても大事だと思います。
 一方で、先ほどの目標ではないですが、国際金融都市を示すのにKPI自体がふさわしいかということも、常に念頭に置いていただければなと思います。KPIは、二〇二五年、二〇三〇年を目標に置かれていますけれども、恐らくそれを待たずして、前倒し前倒しで達成していかないと、世界の金融都市競争に勝つことは難しいと思いますので、ぜひスピード感を持って進めていただきたいと思います。
 国際金融都市東京構想の改定に当たっては、都庁として初めて英語によるパブリックコメントを実施したということでありますが、国際金融都市を目指す上では、参画してもらう対象となる外国人の方々の意見を聞くことも非常に大事でありますし、英語で発信するという取組自体が、東京がどのような国際金融都市を目指しているのかということの海外へのアピールにもつながると考えます。
 また、海外にいる金融関連プレーヤーの意見や、既に金融ビジネスを日本で展開している外国人の方の生活面も含めた意見などもヒアリングし、施策に反映させていく必要があると考えます。
 そこで、今、パブリックコメント自体の意見は集計中であるというふうにお伺いしていますが、英語でのパブリックコメントは、どのように周知をしていったのか伺います。
 また、在日外国人の意見のヒアリング及び施策への反映に関し、どのように取り組んでいくのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 今回のパブリックコメントでは、ツイッター、リンクトイン等のSNSを活用いたしまして、改訂案を英語で発信したほか、東京に所在する外国経済団体等を通じて周知を図ることなどによりまして、外国人からの意見を募集いたしました。
 また、東京で事業展開をしている外資系企業に対して、ビジネス支援、生活支援を行っているビジネスコンシェルジュ東京においても、意見募集の周知を実施しております。
 いただきましたご意見につきましては、構想改定や今後の事業展開に生かしてまいります。

○森澤委員 英語でのパブリックコメント、どれぐらい得られたのかということを期待したいところですけれども、やはり強力にこの金融都市構想を進めていくためには、海外の方のタイムリーな意見を聞かないと始まらないと考えます。世界情勢も刻一刻と変化します。引き続き誘致の対象となる国内外の外国人、外資系金融関連企業の方々の意見、声を聞いて、随時施策に反映いただきたいと思います。
 さて、国際金融都市実現に向けては、グリーンとデジタルを起爆剤にすると知事も表明されています。東京がサステーナブルリカバリーをしていく、都市のグリーン化を図るために、グリーンファイナンスに注力するのは理解できる。一方、あくまでも金融というのは手段であり、東京の都市システムと金融システムのグリーン化を図ることに、国際金融都市となることは必ずしも必須な条件ではないのではないかというような金融関係の意見も聞かれるのですが、改めて、なぜ国際金融都市を目指すのか、東京という都市の徹底的なグリーン化とグリーンファイナンス市場としての活性化だけでは十分ではないと考えているのか、見解を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 経済の血液である金融の活性化は、融資や出資などの形を通じ、様々な産業の発展につながるものであり、国内外から資金、人材、情報が集まる国際金融都市としての地位の確立は、東京の持続的成長を実現していく上で欠かせない取組でございます。
 なお、国際金融都市を目指すことと都市システム、金融システムのグリーン化の関係につきましては、近年、気候危機への関心の高まりから、グリーンファイナンスが世界の潮流となっており、東京が国際金融都市としてのプレゼンスを高めていくためには、この分野に力点を置いて取り組んでいくことが重要であると考えております。
 また、事業活動に伴う環境負荷低減への企業の意識も高まっておりまして、今後、金融関連をはじめまして外国企業の集積を図っていくためには、東京を最先端の持続可能な都市へと進化させて、立地拠点としての競争力を高めていく必要があると認識しております。

○森澤委員 コロナ禍により、世界的に企業の在り方にも変化が起こっています。先ほど集積という話がありましたが、オンラインやリモートが日常となる中で、海外の金融関連プレーヤーがあえて物理的に東京に拠点を置く理由が必要であると考えます。
 そのためには、魅力的な金融市場を構築するとともに、魅力的なインセンティブ、例えばほかの都市にはない税制優遇などが必要であると考えます。せんだっての税制改正では、諸都市と近づいただけであり、金融関連プレーヤーを集積させるためには、東京を選ぶ圧倒的な経済合理性が必要です。
 そこでまず、海外の金融プレーヤーの物理的な集積が必要な理由について伺います。
 また、グリーンを国際金融都市の起爆剤とするのであれば、グリーンファイナンスに特化をした税制優遇などを検討すべきであると考えますが、見解を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 情報の効率的な相互理解や人間関係における信頼感の醸成などの面におきましては、対面のコミュニケーションに利点があるといわれておりまして、新たなイノベーションの創出やビジネス機会の創出には、引き続き一定の物理的な集積が重要であると認識しております。
 金融プレーヤーの集積に向けました税制や規制の課題につきましては、引き続き必要な事項について国に要望を行ってまいります。

○森澤委員 税制や規制だけでなく、英語で不自由なく暮らすことができる生活環境、インターナショナルスクールなどの教育面、英語で受診ができるクリニック、医療体制、ジェンダー、平等をはじめとしたダイバーシティ・アンド・インクルージョンの社会が実現しているか、そういったことも重要になってきます。
 LGBTのパートナーについては、都が平成二十九年から国に対して同性パートナーの在留に係る特例の創設も提案していますが、こういったところも含めて強力に推進していくことが必要です。国とも協調して、スピード感を持って進めていただきたいと思います。
 グリーンファイナンスを推進していくという中で、現状のサステーナブル投資の額やグリーンボンドの発行額などを見ても、圧倒的に欧米との差があるところであります。この圧倒的な差を埋めるには、欧米にキャッチアップするだけでは足りないと考えます。東京にはどのようなポテンシャルがあり、どこを伸ばそうとしているのか、欧米にはない東京ならではの差別化ポイントはどこにあるのか、見解を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 我が国には、優れた環境技術を有する企業が多数存在するほか、気候関連の財務情報開示の国際的な枠組みであるTCFDへの賛同機関数が本年九月時点で約五百社と、世界の約五分の一を占め世界最多であるなど、環境意識の高い企業が多いといわれております。
 他方、我が国には一千九百兆円を超える豊富な家計金融資産が存在しており、その半分が現預金でございます。グリーンファイナンスの活性化に向けましては、こうした資金を環境意識の高い企業や脱炭素化に向けた投資へとつなげていく資金の流れを強化していくことが重要であると考えております。

○森澤委員 日本が持つ多数の環境技術を有する企業、家計金融資産をてこに、日本のグリーンファイナンスを活性化していくということでした。
 ちょっと欧米の話をしましたけど、シンガポールでも昨年、グリーンファイナンスの研究と人材育成を専門とする研究所、シンガポール・グリーン・ファイナンス・センターを設置しています。この中には日本の銀行も設立パートナーとして名を連ねておりまして、今後、アジアへの持続可能な投資のための新しいエコシステムを構築し、気候変動対策に向けた投資を呼び込んでいくということです。
 東京の国際金融都市の成功の鍵の一つであるグリーンファイナンスにまつわるこうした世界の動向も踏まえて、何度も申し上げて申し訳ないんですが、スピード感を持って取り組んでいかなくてはいけないというふうに感じます。
 グリーンファイナンスにおける参加プレーヤーの裾野の拡大には、環境技術やアイデアを持った中小企業やスタートアップの参画や、中小企業のさらなる脱炭素化の取組などが不可欠であると考えます。
 そこで、都として、環境局や産業労働局と目線を合わせ、両局とも連携した横断的な取組が必要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 優れた環境技術を有する企業やESGに積極的に取り組む企業が社会的に評価されて資金調達をしやすくなることが、脱炭素化を進める上でも、東京の成長戦略としても重要であると考えております。
 見本市や展示会を通じて、優れた技術を有する中小企業の情報発信を支援するとともに、スタートアップ企業等に製品やサービスの実証実験の場を提供するなど、金融分野にとどまらず、関係局とも連携協力して取り組んでまいります。

○森澤委員 一昨日の代表質問や昨日の一般質問でも出ていましたけれども、既に環境局や産業労働局では、多数の省エネ対策や環境分野の新しい技術開発などについて、補助金制度が行われていたりしますが、今後、東京のグリーンの市場を盛り上げていくという中で、都の役割は果たして補助金でいいのかどうか、そういった企業と投資家などをマッチングして、大きな投資へつなげていくことなどが必要なのではないか、そういったご検討もいただきながら、民間企業等の巻き込みにおいては、両局との連携は不可欠であると考えます。
 国際金融都市の起爆剤はグリーンとデジタルということで、今回、グリーンの部分を取り上げましたけれども、ぜひ目線を合わせ、施策を進めていただくことを期待したいと思います。
 そして、本当に何度も何度も申し上げますが、世界はどんどん進んでいって、どんどんスピーディーな対策、施策を打っておりますので、東京もそこに負けることなく、そして国内の競争も少し始まっておりますので、スピード感を持って取り組んでいただきたいと期待を申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○あかねがくぼ委員 私の方からも、国際金融都市東京構想改訂案について伺います。
 諸都市との比較を通じまして、東京が目指す国際金融都市の姿として、企業の集積、証券取引所を擁する金融取引の中心地となり、産業への投資、資金提供、そういったものを魅力に投資家が集まってくる都市を目標にしたESG投資、金融のデジタル化、多様なプレーヤーの集積に取り組んでいくと、こういった内容でございました。
 これは、二〇一七年に策定をされた、現在実行中であります構想の中でも、魅力的なビジネス環境や生活環境の整備を通じて、東京市場に参加するプレーヤーの集積、こういったものには既に力点が置かれてきたわけでございます。
 そこで、金融系の外国企業の誘致、この実績について伺います。

○樋口戦略事業部長 現在の構想におきましては、平成二十九年度からの四年間で四十社の金融系外国企業の誘致を目標に掲げまして、インセンティブの付与や規制緩和等に係る様々な取組を実施してまいりました。
 四年計画の途中であります令和元年度には、この誘致目標を五十社に引き上げまして、取組を加速させてきた結果、資産運用業者二十三社、フィンテック企業二十七社、合計五十社の誘致に成功してございます。

○あかねがくぼ委員 目標値が一九九〇年当時の数値に並ぶということで聞いておりますが、上回る実績を上げられたということで、その点、評価したいと思います。
 企業誘致に関しましては、昨年度、香港に相談窓口を開設したと聞いております。開設以降、どのように、どの程度の実績が出てきているのか伺います。

○樋口戦略事業部長 昨年十月に、ビジネスコンシェルジュ東京としては海外で初となる窓口を香港に設置して以降、本年八月末までに、金融、非金融、合わせて百社を超える企業からの相談に対応いたしました。
 こうした中、相談企業の中から実際二社が東京への進出を決定するなど、窓口設置が一定の成果を上げていると考えてございます。

○あかねがくぼ委員 百社の相談で、うち二社が進出を決めたということでございました。機を捉えてやっていただいているかと思います。
 新しい構想の下で、さらに金融関係プレーヤーの集積を図っていくためには、引き続きビジネス環境、生活環境、この整備が大変重要であると考えます。
 ビジネス環境という面では、一番に税制、この課題が上がっております。国への継続的な働きかけなどを行っておりまして、この国では死ねないとまでいわれている外国人の海外資産に関する相続税、この見直しの実現をしております。一定の進捗が見られておりますが、日本進出の検討を誘引するためには、これで十分となかなかいい切れないと思います。
 そこで、さらなる税制見直しに向けまして都としてどのように取り組んでいるか、伺っていきます。

○樋口戦略事業部長 税制改正につきましては、理事お話しのとおり、相続税における国外財産課税の見直しや、法人税におきます役員の業績連動給与の損金算入範囲の拡大などで一定の進展が見られましたものの、海外企業等からは、引き続き法人税率の高さなどが日本進出に当たっての課題との指摘がございます。
 今後とも、関係者のニーズを把握し、必要な税制の見直し等を国へ要望してまいります。

○あかねがくぼ委員 法人税の高さというのが最大の障壁であるということは間違いないと思いますので、継続して働きかけをしていただきたいと思います。
 こういった税制の問題に加えまして、日本に進出をしてくるための障害、その要因の一つとして挙げられているのが言語の壁でございます。
 海外企業の誘致に向けては、先ほど英語でのパブリックコメントが初めてということをご紹介いただきましたけれども、行政手続の英語化、これについても強化をしていくべきと考えます。どのように取り組んでいるのか伺います。

○樋口戦略事業部長 都では、ビジネスコンシェルジュ東京におきまして、英語による金融ライセンス取得手続の相談に対応いたしますとともに、手続に係ります英語解説書を本年四月に最新の情報に改定するなど、きめ細やかな対応を行ってございます。
 また、国に対しましては、ライセンス取得手続等の英語による対応を要望してまいりましたところでございますが、本年一月には、事前相談からライセンス登録後の監督まで、一貫して英語で対応可能な拠点開設サポートオフィスが開設されております。
 今後とも、関係機関と連携しながら、金融系外国企業が英語で円滑に東京への進出を図ることができる環境の整備に取り組んでまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 日本の金融独自の専門用語、こういったものもあると聞いています。翻訳を超えて、英語と金融をハイレベルに理解をしたプロフェッショナル人材の育成というものが大変必要です。後ほども申し上げますけれども、都立大、産技大、そういったところで金融関係者が最新の金融や英語、こういったものも学べる環境をつくっていただきたいと思っています。
 加えまして、国際金融都市としてのプレゼンスを高め、海外企業の誘致を進めていただくためには、誘致したい企業や国に対する対外的プロモーション、これが重要でございます。
 新たな構想の中核でありますTokyo Green Finance Initiativeをはじめ、構想で目指す姿や具体的な取組に関する発信を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。

○樋口戦略事業部長 国際金融都市としての東京の魅力や都の具体的な支援策等を広範かつ戦略的に情報発信することは極めて重要でございます。
 今般の構想改定を踏まえまして、TGFIをはじめとする改定内容を分かりやすく国内外に発信するために、今月開催する東京・サステナブル・ファイナンス・フォーラムをはじめとする様々な行事を活用したPRや、解説プロモーション動画の作成、配信などを実施してまいります。
 また、平成三十一年に我が国初の官民連携の金融プロモーション組織として設立いたしましたフィンシティー・トーキョー、FCTにおきまして、SNSやマスメディアなど多様な媒体を駆使した多面的なプロモーション活動を展開してまいります。
 今後とも、都とFCTとが緊密に連携し、タイムリーで分かりやすい発信を行ってまいります。

○あかねがくぼ委員 情報発信においては、FCTが重要な役割を担っているということでございます。このFCTの設立以降、これまでの実績について伺いたいと思います。
 また、コロナで移動が制限をされている中ではどのような工夫をされてきたか、こちらも併せて伺います。

○樋口戦略事業部長 FCTは、金融系外国企業の誘致に向けまして、東京市場の魅力等を発信するネットワーキングイベントの実施や資産運用業者の育成による市場の活性化、さらには海外の金融プロモーション組織との連携など、様々な取組を展開しております。
 この中で、海外プロモーションに関しましては、コロナ禍前の令和元年度には海外五都市を訪問し、延べ七回にわたって国際金融都市東京の魅力を紹介するイベントを実施してございます。
 コロナ禍にありました昨年度は、海外訪問が困難となる中、オンラインによるセミナーの開催や他団体主催のオンラインイベントへの登壇など、デジタルを駆使して、国内外に向け積極的に金融プロモーション活動を実施してございます。

○あかねがくぼ委員 様々オンラインを駆使していただいたということが分かりました。引き続き、東京都の魅力、目指す姿、こういったものをしっかりと伝えていただきたいと思います。
 また、都は二〇一七年にシティ・オブ・ロンドンと、MOU、合意書を締結をいたしました。これまで英国シティとの連携の実績と今後の取組について伺います。

○樋口戦略事業部長 シティ・オブ・ロンドンとは、平成二十九年度に金融分野の合意書を締結し、これに基づき、グリーンファイナンスの推進に向けたセミナーや資産運用、フィンテック等をテーマとしたセミナーを毎年度開催しているほか、都知事とシティ・オブ・ロンドンのロード・メイヤーとの意見交換等を六回にわたり実施するなど、様々な取組を行ってまいりました。
 また、コロナ禍前におきましては、都職員を派遣し、国際金融に関する施策の立案に携わるとともに情報収集等様々な活動を行ってございます。
 今後とも、こうした取組を着実に実施することを通じて、両都市にとって重要な産業であります金融分野における連携をさらに深めますとともに、これを次の施策展開に生かしていくことで、それぞれの都市の成長と発展につなげてまいります。

○あかねがくぼ委員 そういった先行する都市から学んでいくという姿勢は、大変重要だと思います。
 また、都は、東京金融賞において、ESG投資部門、こちらを設けまして表彰を実施し、今年度は新たに、グリーンファイナンスの取組において優れた事業者を、グリーンファイナンス知事特別賞として表彰する予定と聞いています。金融の発展と都市の持続性を高める大変よい取組であると評価をしております。
 一方で、ESG投資も、昨今は、その姿勢を示すだけでなく、成果やインパクトが求められるようになっています。今後、インパクト投資の重要性が高まるということが確実です。インパクト投資をはじめ、投資対効果がより明確な金融の発展を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。

○樋口戦略事業部長 社会問題や環境問題の解決を目的として投資を行い、社会的成果と経済的利益の両立を目指すインパクト投資の発展は、サステーナブルリカバリーの推進に大きく寄与するものと認識してございます。
 今後、構想改訂案に基づきまして、インパクト投資等の新たな金融手法について、国や民間企業等の動向、自治体に求められる役割などの観点から調査検討をしてまいります。

○あかねがくぼ委員 インパクト投資は英国が発祥の地でございます。今後、シティ・オブ・ロンドンを通じて、インパクト投資についても情報を入手していただけるとよいと思います。
 また、シンガポールでは、IT人材の育成プログラムを大学に依頼して、毎年更新をしているといいます。都のシンクタンクである都立大、また産技大を活用して、インパクト投資に関する研究、また金融人材育成、こういったところを担っていただきたいと思っています。
 我が国の金融デジタライゼーションの遅れが指摘をされています。一方で、先日、日本のフィンテック企業が海外企業に対して巨額の金額で買収されるという報道がございましたが、このようにフィンテック企業が生まれてくるという、そういった素地はあるというところでございます。
 金融のデジタライゼーションに向けまして、フィンテック企業の育成をどのように進めていくのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 フィンテック企業の育成に向けましては、資金面、経営面から支援を実施していくこととしております。
 まず、今年度、新たに都の出資を呼び水とした官民連携ファンドを創設いたしまして、国内フィンテック企業の育成に取り組んでまいります。
 また、フィンテック企業のビジネス機会の創出に向けまして、東京金融賞の金融イノベーション部門の一次審査を通過した企業十五社程度に対しまして、ビジネスプランの作成支援やマッチング等の支援プログラムを実施してまいります。

○あかねがくぼ委員 フィンテックはじめ、ベンチャー、スタートアップですね、こちらの振興には、企業間のネットワークが生まれる環境、エコシステムというものが大変重要でありまして、私は今までも何度か折に触れ、この重要性については訴えてまいりました。
 都が取り組んできたエコシステムの形成については、現在、取組の進捗状況について伺っていきます。

○三浦特区推進担当部長 都はこれまで、イノベーション創出に資する取組を行う五つのエリアを認定し、地域の自律的なエコシステム形成を促進するイノベーションエコシステム形成促進事業などを実施してきたところです。
 昨年一月には、スタートアップ・エコシステム東京コンソーシアムを設立し、企業、経済団体、大学、研究機関、ベンチャーキャピタル、広域連携自治体等の幅広い主体の参画の下、スタートアップの創出、成長を支えるエコシステムの形成を推進しております。
 こうした取組の中で、フィンテックを含む優れた技術やアイデアを有するスタートアップ企業の育成を図ってまいります。

○あかねがくぼ委員 東京都のスタートアップの育成については、大変評価が上がってきております。
 昨日も、我が会派の藤井都議の一般質問に対しまして、知事から、局横断的に連携をしてスタートアップを支援していくと、さらに強化していくと、そのような力強いご答弁をいただきました。こういったことを連携しながら、フィンテックに関するスタートアップも、育成を図っていただきたいと思います。
 次に行きます。令和三年第一回定例会において、知事が条例化を含めた検討を行う旨の答弁をされましたが、その進捗についても伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 本年第一回定例会では、国際金融都市として発展していくため、サステーナブルファイナンスの分野でリーダーシップを発揮していくとともに、条例化の検討を含め、様々な施策を積極的に展開することで東京の持続的な成長につなげていくと答弁申し上げております。
 今般改定いたします新たな構想を基に、国際金融都市としてのプレゼンス向上に向けまして、条例化の検討を含めまして多様な取組を実践してまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。しっかり条例化も含め検討を進めていただきたいと思います。
 ここで改めまして、国際金融都市を目指していく意義についても伺います。
 東京都は、実経済バック型の国際金融都市を目指すということであります。これは、今までアベノミクスなどで金融政策をるる行ってきておりまして、株券、株価が上がったり、大企業としては恩恵を被ってきた、そういう成果がありますけれども、実体経済、特に実質賃金の部分までは至っていないわけでございます。
 こういった実態を踏まえまして、東京都が目指す国際金融都市というものが、どのように実体経済にプラスの効果を出していけるのか、ご説明をいただきたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 世界中から資金、情報、人材が集まる国際金融の拠点都市となることは、東京の主要産業の一つである金融業の発展を通じまして、都内経済の押し上げに寄与いたします。
 また、金融の活性化は、成長分野の企業に対する円滑な資金供給を通じまして、企業のイノベーションや産業構造の変革に貢献するものでございます。
 さらに、資産運用業者やフィンテック企業等の集積は、多様な商品やサービスの提供を通じまして、企業等の資金調達や資産運用の選択肢の拡大につながるものでございます。
 このように、国際金融都市の実現は、金融のみならず、金融資本市場の機能発揮を通じまして、産業全体の発展、ひいては東京の成長に寄与するものと考えております。

○あかねがくぼ委員 国際金融都市を目指した取組が、金融業のみならず都内産業全般にプラスの波及効果があり、我が国の成長や発展に寄与していくということでございました。
 もし実体経済への波及がなくて、金融市場だけが盛り上がっていくと、そういった政策だとすると、都民、都内事業者からの理解はなかなか得られるものではないと思います。
 例えばイノベーションや成長のための事業のために、金融から融資を受ける、こういったことが一般的でございました。そうしようとしても、既存事業よりもリスクが高い成長分野に対する投資ということで、十分な資金調達が実現をしていないという実態がございました。
 このような課題に対して、直接的に市場から資金の調達ができる、こういった環境が整うということは、実体経済にとって非常に有効であります。とりわけ環境産業ビジネス、今後大きな成長が見込まれていますグリーンファイナンス、トランジションファイナンスと、そういったGDPを押し上げるようなドライバーにしていくということで、環境と経済の好循環、こちらを生み出していくということが重要です。
 そこで、Tokyo Green Finance Initiativeの推進について伺います。
 TGFIとは、社会的課題解決に貢献する分厚い金融市場の構築を目指して、グリーンファイナンス市場の発展、その参加プレーヤーの裾野拡大、そして関連情報の発信と人材育成という三つの柱で、そのひもづく九つの施策を掲げているものです。
 まず、グリーンファイナンス市場の発展について伺いますが、グリーンボンドに関して、日本はまだ黎明期でありますので、セカンダリーマーケットよりもプライマリーマーケットの部分、つまり発行市場の拡大に向けた施策を重視すべきと考えます。とりわけ発行側のプレーヤーが充実していないところの市場を形成することができませんが、現時点でまだまだ数は少ないところです。
 グリーンボンド市場の活性化に向けまして、どのように発行体を増やしていくのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 環境省のホームページによりますと、我が国でこれまでにグリーンボンドを発行した企業、自治体等の数は、本年九月時点で約百五十であり、今後、官民ともにさらに発行体の裾野を拡大していく必要がございます。
 民間企業による発行増に向けましては、近日中にグリーンボンドの発行に伴う外部認証等に係る費用の支援事業を開始いたします。
 また、地方自治体によるグリーンボンド発行促進に向けましては、都が蓄積してきたグリーンボンド発行ノウハウを他の自治体等と共有することで、発行体の増加につなげてまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。官民それぞれに対しての取組があるということでして、他の自治体に向けては、都が先行する事例になっていくということで、都自身が果敢に挑戦を続けて、好事例だけでなくて、例えばうまくいかなかった、そんな事例もしっかりと共有していただくようにお願いをします。
 民間企業については、グリーンファイナンスの発行主体になってもらうというのは、自治体、官に比べますと、より難易度が高いと思われます。今回、外部認証の費用支援というところをしていただくということですが、それに限らず、今後、発行の課題、適宜ヒアリングをしていただいて、必要な支援を続けていただくようにご要望いたします。
 次に、人材育成について伺います。
 サステーナブルファイナンスの担い手になる高度な金融人材を東京に集積をさせていくということが必要です。高いスキルと経験を有する高度金融人材を東京に呼び込むための環境整備に取り組むというふうにうたわれております。
 このように、海外から人材を誘致する、こういうものを否定するものではございませんけれども、国内にいないから海外から連れてくればいいじゃないかと、そういう発想は安直でもあります。確かに、育て上げていくよりも連れてきてもらうと、そういう方が時間や手間はかかりませんし、手っ取り早いかもしれません。
 しかし、外から連れてきて、外国から来ていただく、これだけでは、結局は東京に人材が残らないと思います。つまり、高度な金融人材が東京に集積をしたとしても、それが一過性の現象になる、そんな懸念も強くございます。これでは、国際金融都市としてしっかりと根を張っていくということができないと思います。
 ですので、人材育成につきましては、手間暇がかかっても、都としては、国内、都内での人材育成、こういったところにこそ注力をしていただきたいと考えています。
 都立大学をはじめ大学や研究機関と連携をして、金融人材を育成していくということでございますが、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 高度金融人材の育成に向けましては、都立大大学院のビジネススクールに設置されているファイナンスプログラムを活用していくほか、サステーナブルファイナンスなど社会の実勢を捉えたテーマにつきまして、最新の知識、情報を有する専門家等によるセミナー、シンポジウムを開催してまいります。
 また、金融業界において、デジタル化の進展や法令改正等にも対応できる人材のニーズも高まっておりますことから、データサイエンスや法務、コンプライアンス分野に詳しい専門人材の育成に向けまして、都内の大学や研究機関との連携について検討してまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。都内大学、大学院、また研究機関、この連携において人材育成をしっかりと行っていただきたいと思います。
 我が国の金融教育というのは、北米や欧州に比べますと後塵を拝しているといわざるを得ません。より若い世代、例えば中高生からでも、金融、またESG、こういったところに興味を持つような教育を行っていくべきであると考えます。ぜひ都においても、学生向けの講座、金融のプロ向け講座など、それぞれの対象に向けて適した講座など研究し、取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、KPI、重要業績評価指標について伺います。
 KPIによる目標管理、これは施策の進捗、把握、また必要に応じた軌道修正などを行うためにも非常に重要です。TGFIの推進、金融デジタライゼーション、金融プレーヤー集積という三つの大きな柱がありますが、それに沿ったKPIというものが設定をされています。
 さらに、例えば日本の機関投資家等を通じたサステーナブル投資残高の世界全体に占める割合、また、国内で公募されたグリーンボンド発行金額など、それぞれ適切なものであると考えています。
 さらに、東京が国際金融都市として順調に成長、プレゼンスを高めているのか、国際金融センターインデックスのような構想全体の進捗が分かりやすい指標、こういったものがあってもよいのではないかと考えていますが、見解を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 今回の構想改訂案では、金融業の発展とともに、成長産業への円滑な資金供給を通じたイノベーションの創出や産業構造の変革につなげ、東京の持続的成長を実現していくことを目指しております。
 このため、三つの施策の柱に対応するKPIのほかに、構想全体の目標達成度を測定する指標といたしまして、金融の活性化を通じた都内GDP押し上げ効果を数値目標として設定しております。
 なお、お話の国際金融センターインデックスにつきましては、具体的なスコア算定根拠が非公表であること等を勘案いたしまして、国際的な位置づけの傾向について、大きな流れを確認するための情報として活用していくこととしております。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。全体の進捗という意味では、金融の活性化を通じた都内GDP押し上げ効果、こういう項目によって計測をするということでございました。
 これは、先ほどもKPIの目標として掲げているというところなんですが、二〇二五年でプラス五兆円、二〇三〇年プラス十兆円、こういった大変アグレッシブな目標でございます。これを、年間予算二十億円足らずという規模感でGDPをこれだけ押し上げる、こういったことができれば大変すばらしいことでございます。
 当然、金融業は、全体の産業GDPの中の一割程度でありますので、これだけの成果を残していく中では、金融以外の民間企業のGDPの押し上げ効果、こういったものをして、押し上げがあってこそでございます。このような非常に大きな期待のある国際金融都市の取組につきまして、我が会派としてはしっかりと応援をさせていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○慶野委員 社会全体で脱炭素化、気候変動に対応する、こうしたことが重要であります。必要となる莫大な資金調達、これをグリーンファイナンスを発展させていくことが不可欠であると、このように思っております。そうした観点から、国際金融都市構想について何点か確認させていただきたいと思います。
 このグリーンファイナンス、発展させていく中でも、グリーンボンドについて、都が全国の自治体に先駆けて平成二十九年から発行を始めました。市場をリードしてまいりました。今年度は、発行額を前年度から百億円増やして四百億円の発行を予定している。先月の知事の会見によれば、十月中旬に三百億円を機関投資家向けに発行し、調達した資金は、都有施設への太陽光発電の導入などスマートエネルギー都市づくりに資する事業や、河川護岸や防潮堤の整備といった気候変動の適応策に活用するということでございます。
 また、今回、多くの方に投資していただき、早期に完売しているという個人投資家向けのグリーンボンドについては、今年度も百億円分を計画していると聞いております。前回はこの百億円、販売初日で完売しているという状況で、機運が高まってきているのを感じます。これらのグリーンボンドの発行を通じて、都の環境施策がより一層推進され、グリーンファイナンスの発展とESG投資の普及促進が図れることを期待しております。
 一方で、今後、我が国のグリーンボンド市場をさらに拡大していくために、やはり民間におけるボンドの発行が増えていくことが重要であります。
 民間によるグリーンボンドの発行促進に向けてどのような課題があり、都は具体的にどのように取り組んでいくのか、支援をしていくのか、伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 グリーンボンドを発行する際には、調達資金の充当対象プロジェクトの評価や選定プロセスなどに関しまして、外部機関によるレビュー等の取得が推奨されておりまして、このことが発行体にとってのコスト面の負担となっております。
 このため都は、外部レビュー等の取得に係る費用負担の軽減に向けまして、新たに補助制度を創設いたしまして、近日中に募集を開始いたします。具体的には、環境省が実施している補助制度に上乗せをする形で、自己負担を十分の一まで軽減させることとしております。

○慶野委員 我が国のグリーンボンド発行額は急激に伸びておりますけれども、世界の水準にはまだまだ届きません。
 グリーンボンドの発行拡大につなげていくために、今ご答弁いただきました外部レビュー等の取得に係る費用の負担軽減に新たに補助制度を創設し、近日中に募集を開始、環境省の補助制度に上乗せをする形で自己負担は十分の一まで軽減と、こうしたことをしっかりと投資家にも公表していった上で、どんどんと発行額を増やしていけるように、個人投資家向け百億円、一日で終わってしまうわけですから、多くの方が購入、投資の機会を失っていることも考えられます。どうかお願いしたいと思います。
 個人投資家によるESG投資の促進について、我が国では約一千九百兆円の個人金融資産が存在しておりますけれども、その多くが預貯金に滞留しており、投資に向かっていないという課題が指摘されております。とりわけESG投資については、近年、急速に発展してきた分野であるため、先ほど述べた東京都の個人向けグリーンボンドのように、ESG投資に関心の高い都民は多くいる一方で、仮に関心があっても、なかなか実際に投資に踏み出せない人が多いのではないかと思います。
 個人投資家がESG投資を行いやすくするために、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 民間機関が実施した金融リテラシーの調査によりますと、投資を始めない理由として、十分な知識がないとの回答が最も多くなっております。このため、今月開催する都民向け金融セミナーでは、基礎から分かる金融知識とサステーナブルファイナンスと題しまして、ファイナンシャルプランナーや金融関係者による金融の基礎や投資の実践方法に関するプログラムを準備し、個人投資家のESG投資への参入につなげていくこととしております。
 また、専門知識がない投資初心者にとって利用しやすい仕組みとして国が設けた、つみたてNISAにおきまして、現状、ESG指数に連動した商品が存在していないことから、これを対象商品に追加することを国に要望していくこととしております。

○慶野委員 ありがとうございます。ちょっとレベルの低い表現ですけど、つみたてNISAのように印象に残るような、こういう商品が割と効果的、例えば別のものですけれども、iDeCoとか、取っつきやすいというか、なじみやすい、そういうところから、これに投資をするとどのぐらいの効果があるのか、iDeCoなんかだと減税効果があるのか、こうしたことから関心が持たれやすいのではないかというふうに考えております。
 最後になりますけれども、海外金融人材の誘致に向けた課題についてです。
 世界をリードする国際金融都市へと進化を遂げるためには、資産運用事業者やフィンテック企業など、金融系外国企業の集積を図っていくことが重要です。こうした企業を誘致するために、そこで働く外国人が入国しやすい環境の整備が課題となっております。
 国は、資産運用業などの業務に従事する外国人に関し、高度専門職の在留資格を得るために必要なポイントを加算する特例措置を設け、本年七月に施行するなど、一定の改善も見られます。
 一方で、なお残る問題、それは我が党の栗林前都議会議員がずっと取り組み、取り上げてまいりました同性パートナーの在留に係る制度の見直しであります。
 先般公表された未来の東京の実現に向けた重点政策方針二〇二一においても、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンの視点で政策を強化すると打ち出されております。多様性のある社会の実現は重要な課題であります。
 同性パートナーの在留資格創設について、都としてどのように取り組んでいるのかお伺いします。

○宮武国際金融都市担当部長 高度金融人材の受入れ促進に向けまして、都は、平成二十九年九月に開催されました国家戦略特別区域諮問会議におきまして、外国人同性パートナーの在留に係る特例の創設を提案してございます。具体的には、高度金融人材等の同性パートナーにつきまして、同性婚の配偶者と同様に、在留資格特定活動による入国在留を認めることを求めております。
 その後、国との制度の課題等に関する意見交換を経まして、昨年七月の政府の成長戦略フォローアップの中で、外国人同性パートナーの在留資格の在り方について、継続して検討を行う旨が初めて明記されたところでございます。
 引き続き、本件特例の創設に向けまして、国に対して要望を行ってまいります。

○慶野委員 ありがとうございます。国に対してこの制度創設を求めてきたというご答弁でありましたが、今ご答弁いただいた内容を、私どもの参議院議員竹谷とし子が今年五月の消費者問題に関する特別委員会で、東京都のこの提案、要望を後押しすることをしておりますので、若干ご紹介させていただきますが、東京都が高度金融人材の受入れ促進に向けた同性パートナーの在留に係る特例の創設を申請しています云々ということで、これを内閣府、それから法務大臣という方々に要望しております。
 在留資格を所管する法務省が鍵を握っているわけですけれども、この同性パートナーの在留資格、これ、本来であれば全国で、国を挙げて取り組んでいく人権問題でもあるといえます。しかし、これを進めることはなかなか難しい問題でありまして、東京都がこうした国際金融人材の獲得に向けるという観点から、その誘致、特区戦略で取り組んでいるということを、私は評価させていただきたいと思います。
 国際金融都市を目指す中で、海外の様々な課題を抱えている、こういう方々が日本に行こうと、日本で投資しようというように、日本がまさに国際金融都市から、本当の意味での国際都市に東京がなっていくことを切に願っております。
 以上で終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十八号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十五号)中、歳出、総務局所管分及び第百六十号議案から第百六十二号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○川松委員 十月一日から、緊急事態宣言が明けて新たなステージに突入したわけです。当初、全国的に、緊急事態宣言あるいは蔓延防止措置が解除とされる運び、そのような報道も出ていましたけれども、東京都は、一都三県として、いきなりの解除ではなく、何かしら段階を踏むようにすべきだ、そう国に要望され、結果として今、我々が迎えているリバウンド防止の措置の期間ということになりました。
 この中で、認証店あるいは非認証店ということで飲食店に対しての自粛要請の内容が変わるという、また新たな制度設計に入っているわけですけれども、何かをしている東京都、こういう視点においては新しい試みになっているということは分かります。でも、果たして今やっていることが実効性があるんだろうか、どうなんだろうかということで、今日は幾つか質問をしていきたいと思います。
 今、この十月一日から、総務局の皆さん方が、飲食店あるいはまち場の事業者の皆さん方にお願いをされている対策というのは、本質的な点において、感染対策防止という観点で、人流は増えているけれども、感染者は減って緊急事態宣言が明けたという今において、実効性があるのかという声が多々ありますし、私自身もその疑念は拭えません。
 例えば山梨県だとか千葉県は認証システムを入れています。入れていますけれども、東京都が今やっている、最後に飲食店にサインをしてもらうということはあるにせよ、その青いステッカーの認証に比べたら、はるかに厳しいレベルでの認証システムを導入しているんじゃないかと私は考えていますが、そういった自治体に比べて東京のシステムは甘いという声に対して、東京都はどのようにお答えしますか。教えてください。

○金久保危機管理調整担当部長 都の第三者認証制度である徹底点検TOKYOサポートプロジェクトでは、約十二万店の飲食店等に対し、都職員等が直接店舗を訪問し、タブレット端末を用いた効率的で効果的な点検を進めているところでございます。
 具体的な点検項目は、感染拡大防止の要所となる手指消毒、マスクの着用の徹底、座席の間隔やアクリル板等の設置、店内の換気の状況の四項目に加え、都独自の点検項目としまして、店舗における感染対策の旗振り役であるコロナ対策リーダーに関する項目を設置しまして、飲食店、利用者、行政が一体となった取組を推進しております。他県と比較しても遜色のないものとなっております。
 今後は、必要に応じ、都職員等が認証済店を巡回訪問しまして、店内の感染防止対策の状況を確認するほか、デジタルを活用した感染対策のサポートを強化していくことで、飲食店等における感染防止対策の実効性をさらに高めてまいります。

○川松委員 今、点検項目として四項目があり、そしてコロナ対策リーダーの設置ということが話に出ていて、そのことが他県と比べても遜色ないというお話がありました。
 実際に国が都道府県に求めている内容というのを見て、そして他県等の様子を見れば、今の部長のおっしゃるとおりなんですけど、でもですよ、国のつくる制度というのは、北海道から沖縄まで全国一律に当てはまるような基本ルールをつくっているんです。東京は、北海道や沖縄までの四十七都道府県の他県あるいはほかの一都三県と比べたら、他の地域に比べて、明らかに状況が違うと私は思うんですね。状況が違う中で、他県と比べてもそんなに遜色がないという程度の答弁の内容で、果たしていいのかというのが私の疑問点の一つなわけです。
 東京は、東京都という一つの地域の中に、繁華街と呼ばれるエリアが大きく、たくさん存在します。他県は、繁華街といわれても、例えば一つ象徴的な地域があって、そこに対してのチェックをしていくということだと思います。しかも、東京の繁華街の一つに比べたら、その面積はそれほど大きくもないし、そして雑居ビルの中にたくさん入られている店舗という、この状況も含めて様子が違うんじゃないかなと私は思うんですね。
 それならば−−それならばという前提ですよ。皆さん方は遜色ないと考えられているけれども、私は、まち場にいて感じるんだったら、一歩踏み込んだ、他県と遜色ないじゃなくて、より、どんどん踏み込んだ政策展開をしていかなければ本質的な感染拡大防止という策にはならないと私は考えていて、今の答弁で出てきたコロナ対策リーダーというのが、果たしてそこに当たるのかということなんですよ。
 昨年度から今年度にまたぐところに、があっとコロナ対策リーダーという考えが出てきて、総務局の皆さん方もいろんな制度をつくってきて、そして中身を変えていきながら、今日を迎えていることは重々承知しています。重々承知していますけれども、コロナ対策リーダーと東京都は名づけましたが、じゃあ、例えば国家資格だとか、そういった資格を持っている皆さんに比べたら、このコロナ対策リーダーの責務ってどこまであるんですか。
 ほとんどの店舗の皆さん方は、東京都にいわれたからコロナ対策リーダーを置いています、そういう店舗が多いんじゃないですか。コロナ対策リーダーがいなかったら協力金がもらえないから、一応設置しましたっていう人が多いんじゃないですか。店舗によって、コロナ対策リーダーのやっていることの幅というのは全く違うわけですよ。だけれども、コロナ対策リーダーを置いているということを堂々とここでお話しされる総務局の姿勢に、私は疑問があるということなんです。
 例えばコロナ対策リーダーもそうですし、今回の認証店の取組もそうなんですけど、じゃあ、どういうふうに都庁内で、あるいは局内で、部内で議論を積み重ねてきたのかということも、この制度設計のつくり方もよく見えてきません。
 だから、飲食店の皆さんや都民の皆さん方はなかなか、最初のうち、例えばお酒が駄目ですよといわれた四月二十五日の時点では、ある程度の皆さん方は聞いていただきましたけれども、延長されたりとか、まあ、途中で七月十二日の間に区切りはありましたけれども、新たなステージに入ったところで、どんどんどんどん、守っていただけない、自粛要請を聞いていただけない店舗や都民の皆さん方が増えているんだと思います。
 私は、冒頭もいったように、認証という仕組みを徹底していく、そのことで感染拡大防止というものをまち場に広げていくということであるならば、緊急事態宣言による特措法に基づく特定地域が外れる十月一日のタイミングで、何かがらっと変わるようなことをすべきだったと思うんですよ。
 皆さん方がやること、あるいはまち場の皆さん方、新しい認証の仕組みや申請、お酒を出す出さないは別として、根本的に九月の末と十月一日で何か変わったんですか。皆さん方の体制が変わったんですか、まち場の皆さんがやることが変わったんですか。根本的に変わっていないじゃないですか。
 でも、国が最初に緊急事態宣言を解除するといったときには、全面解除するって、がらっと変えようとしたわけです。それを止めたのは一都三県じゃないですか。日曜日に突然、一都三県の知事で国に要請して、でもやってきたことは、今の延長線のだらだらとしてやったことだから、私は本当にこれでいいのかなと思うんです。
 これまで五回、感染の波があるといわれています。その都度その都度、私は、総務局の皆さん方、特に総合防災部の皆さん方にもいってきましたけど、ちょっと思いつきによる政策が多くないですかと、これは本質的な対策なんですか、そういう制度に対して苦言を申してきました。
 結果、最初に設定したレインボーステッカーを貼っていきましょう、感染防止徹底宣言というのを入り口にスタートしたら、その都度いろんな制度が変わっていく。コロナ対策リーダーを置きました、今度は王冠のシールを貼りました、でも今度は違う認証ですといって、どんどんどんどん制度が変わるから、結果、まち場の皆さん方の負担が増えているんですよ。
 そもそも、誰しも、どの店舗、自分の店舗から感染者を出したいなんて思っていないですよ。自分の店舗をクラスターにしたいなんて誰も思っていないのに、どちらかというと今まで東京都がやってきたことは、何かお店の方を抑えよう抑えようと、性善説に立っていないようなやり方をやってきたんじゃないか。それが都民の皆さん、事業者の皆さん、関連業者の皆さん方と、政治や行政との間の距離が、どんどんどんどん溝が深まっていくというか、信頼感がなくなっていく今の現況を生んでいるんじゃないかなと思うんです。
 あれもやってください、これもやってください、どんどん制度が増えていく。でも、これって、現場感って本当にあったんですか。現場の皆さん方の思いや現場の皆さん方の空気を取り入れた制度だったんですか。本当にまち場は今、都庁舎への信頼ないですよ、ほとんど。
 でも一方で、総務局総合防災部の皆さん方を中心に、都庁舎の皆さん方はまち場に行かなきゃいけない。まち場に行っていろんなお店の人と話しして、いろいろと小言をいわれて、でも制度で決まっちゃったから何とかやってくださいといって悶々とされて、でも前にも進めず後ろにも下がれずという苦労をされている職員の皆さん方の気持ちを思ったときに、私は、何か根本的に変えなかったら、都民の皆さんも疲弊するし、総務局の皆さん方も、一体どこに進んでいいんだろうかって葛藤されているんじゃないかなというふうに感じています。
 じゃあ、そこで、今回出てきた補正予算ですけれども、本当に、どのように感染対策の確保を、この今回の補正予算で行われる制度によって図っていこうとされているのか、見解を伺いたいと思います。

○金久保危機管理調整担当部長 東京都は、約九万五千店の認証済店とデジタルなどでつながっておりまして、これまでも適宜、感染対策に関する情報などをきめ細かく発信するなど、認証済店の支援を行ってまいりました。
 このデジタルでのつながりを強化するため、今回の補正予算案では、認証済店が行う感染対策の取組の状況を東京都がオンラインで確認するシステムを構築することとしております。これによりまして、職員等が直接店舗を訪問することと比べ、より多くの認証済店の感染対策を確認しまして、迅速かつ適切なアドバイスを行うことが可能となります。
 また、動画による好事例の紹介であるとか、チャットボットによる質問回答により、感染対策に役立つ情報を展開していくことで、認証済店の対策の実効性を継続的に高めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。いわゆるいろんなシステムを導入することによって、より効率的に効果的に動くという話はよく分かるんです。でも、これまでも総務局が、我々やいろんなところでご説明をされてきたとおり、例えばお酒を出しちゃいけないとか、時間短縮だとか、自粛要請があるわけですけれども、そういう自粛要請は、九六%の飲食店が都内で受け入れていただいているんだというお話を幾度となくされてきました。ということは、いろんな制度が変わって、先ほど私がいったようにみんな負担は増えている、みんな不満はある、不平がある、いろいろいいたいことはあるんだけれども、広い東京都の中で、たくさんある飲食店の中で、九六%の皆さん方に協力していただいているんです。うちの店舗は閉まっている、あるいはお酒は出さないと決めているのに、隣の店舗も前の店舗も、みんなあっちはお酒を出しているとかという、この状況の不公平感をなくさない限り、私は、さっきいった東京のまちが一つになっていくような気持ちが、皆さん、役所とまち場が一つになっていくような空気が生まれないんじゃないかなと思うんです。今回の認証店、簡単にいうと、お酒を出していいですよということの認証店になりますけれども、この認証は増やしていくのがもちろん理想的ではありますが、そもそも聞いてくれていなかったと、四%。皆さん方がまちを歩いて、いろいろと足を運んで話をしても、自粛要請を聞いてくださらなかったところに、どうやって今後取り組んでいくのか、どのようなお考えでもって進めていくのかというのを教えていただきたいと思います。

○金久保危機管理調整担当部長 非認証店につきましては、ホームページ、メール、ポスティングなどによる受検の勧奨や、直接店舗に出向いてお願いするなど、これまで、より多くの店舗に点検を受けてもらえますよう、我々としまして努めてまいりました。
 今回のリバウンド防止措置への移行によりまして、点検を受けていない店舗から多数の申込みが寄せられております。このうち、休業していたため点検が受けられなかった店舗を優先しまして点検を行うとともに、訪問チームを倍増した上で、土日も含めて対応することで、認証済店の拡大を早期に努めてまいりまいります。

○川松委員 結局、ここの非認証店に対しての取組も、実は九月三十日までと十月一日で変わるかというと、そこもさほど変われないわけですね。それは後でお話ししますけど、今の法制度だとか制度設計の中で変われないんですよ。今、もちろん増えているというお話ありますが、それはもうお酒を出さないんだったら、閉めているからいいやと思っていたところが、ここへ来て、少しでもお店を開けるんだったらって、こう来ていますから、当然増えて当たり前だと思うんですが、ただ、残っている四%の皆さん方をどういうふうにしていくかと、私たちで。そもそもこの四%を生み出すきっかけになったのは、いろんな、例えば補償金が足りないとか、お酒に対して科学的、合理的なエビデンスもないのに、一方的に出すなというのはおかしいじゃないかという思いからつながっているわけで、やはりちゃんと向き合ってお話ししていかなきゃいけないと思うんです。
 今回、新たに都の認証制度を進めていく話になりますけど、改めて不公平感、先ほどいったように、真面目な店がばかを見ていて、もし仮に、今は何となく収まっているからそういう雰囲気はないですけど、感染の波がもう一度来たときに、あなたの店は閉めてください、閉めてくださいといっていたのに、突然ばあっと開けた店にお客さんが入っちゃっているような状況を生むのは、もうこれ不公平感が拡大するだけで、本当に東京のまちにとってよくないと思いますけれども、非協力的な店舗に対して、さらに一歩進んでいくにはどうしたらいいか。今想定されているような考え方があれば教えていただきたいと思います。

○高田危機管理調整担当部長 都は、要請に応じていない店舗に対しましては、これまでも特措法に基づき、累計で二千六十七件の個別要請、百九十二件の命令、七十件の個別過料事件通知を実施してまいりました。
 また、主要繁華街におきましては、警視庁、東京消防庁と連携いたしまして、都の幹部職員が約千三百件の店舗を直接訪問いたしまして、感染防止対策を直接訴えながら、要請に応じるよう働きかけてまいりました。
 さらに、緊急事態宣言の解除に併せまして、これまで個別要請を行った飲食店等のうち、全ての非認証店に対しましては、文書やメールにより、改めて酒類提供自粛の要請と徹底点検の勧奨を行ったところでございます。
 今後とも、時短要請等の遵守状況を調査いたしまして、都の要請に応じるよう働きかけるとともに、感染防止の観点から受検を勧奨してまいります。

○川松委員 今の高田部長の話も先ほどの金久保部長の話と同様で、やっぱりどうやって踏み込むのかということにならないわけですね。例えば前段で、これまでの過程の中で、警視庁や消防庁の皆様方と連携してという話がありました。でも、警視庁や消防庁の皆さん方は、その要請を受けているかどうかというところにチェックする、そこに踏み込んで何かするということはできないわけですね。一緒に動いたかもしれません。でも、結果として四%残っちゃったということは、それは効果的じゃないのかなと。
 都がこうやって、高田部長を含め皆さん方が努力しているのは、返す返すも努力しているのは理解するんです。でも、現場の飲食店事業者の皆様あるいは都民の皆様方のコンセンサスを取れているかというと、取れていないから課題が残っているわけです。残っちゃったわけです。つまり、いっているように、不公平感はまだまち中にたくさん残っていますよと。
 私は、今のスタイルというのは、聞いていただいているところも含めて、どちらかというとお上が圧力をかけているかのような、下からいってお願いしますというよりも、突然降ってきたわけです。降ってきたというのは、去年、二〇二〇年の話になりますけれども、この自粛要請というのがかかってきてしまって、なかなか気持ちよく自粛要請を受け入れられていない環境が続いている。
 だから、科学的、合理的説明が必要不可欠なんだということを主張し続けてきているわけですが、今回、一都三県が、リバウンド防止と名づけるならリバウンド防止でいいんですが、こういうことをやろうというときに、全面解除ではなくてリバウンド防止だというふうにしました。そこで引き続きお酒の提供には制限をかけました。
 改めてお聞きしますが、今回皆さん方が動いたこのお酒についてですけれども、お酒が悪いと思っているんですか。つまり、感染拡大防止に皆さん方はお酒が悪いと思っているからこういう制度をつくろうと思ったのか、あるいは分科会や専門家会議がこれまでもいってきたように、人流を止めるためにお酒を止めなきゃいけないというふうな考え方なのか、どういうふうな思いで一都三県として動いているのか教えてください。

○高田危機管理調整担当部長 都は、緊急事態宣言下において、基本的対処方針に基づきまして、感染リスクが高いと指摘されている飲食の場を避ける観点から、酒類を提供する飲食店等に対しまして休業を要請いたしました。また、人の流れを抑制する観点から、他の大規模施設、集客施設と同様に、酒類を提供しない飲食店等に対しましては、営業時間の短縮を要請したものでございます。
 こうした観点を基本といたしまして、緊急事態宣言解除後のリバウンド防止措置におきましては、第三者認証制度による認証済店の増加により、飲食の場での感染防止対策が向上したこと、ワクチン接種率の向上に伴い、人と人との接触による感染リスクが低減したことなどを踏まえまして、対策を段階的に移行することといたしました。
 具体的には、感染リスクの高い夜間人流に留意しつつ、基本的対処方針を踏まえ、感染対策が適切に行われている認証済店につきましては、二十一時までの営業時間の短縮と一定の条件下での酒類提供を可とすることにいたしました。
 なお、こうした措置を近隣三県とも連携して実施することで、首都圏での一体的な感染防止対策につなげております。

○川松委員 私は、酒が悪いのか、あるいは人流を、特に夜間人流を抑制したいのかという点でお聞きしたんですが、結論からいうと、どっちもであるということでした。
 冒頭、他県の話をしましたが、他県で結構厳しい認証システムを導入して、そこをクリアすれば二十四時間お酒も出してもいいよというシステムもあるわけですね。
 今の高田部長の話だと、感染リスクが高いと指摘されている飲食の場というのは、今、人数制限もかかっているように、そこでマスクを外して飲食をして、大きな声を出してということが根本的によくないんじゃないかというのは、様々なシミュレーションなんかや広報もこれまでやってきたわけです。
 少なくとも九月末まで緊急事態宣言でした、十月一日からはそうじゃありませんといったら、一人だったら酒類の提供は時間を延ばしてもいいとか、そういう議論が出てこないところが都民に寄り添っていないといわれちゃうんですよ。仮に議論されているんだったら、そういう議論もしてきたんだけど、いや、何かこうなかなか前に進みませんでした、国が駄目なんだとか、あるいは知事が駄目なんだとかって、そういう話が出てきてもいいと思いますが、今のところ聞こえてきません。こういうことを一つ一つ見直していただきたいなと思うんですね。
 そもそも論なんですけど、酒類提供の自粛要請が突如として四月二十五日から行われてから、東京のまち場から明らかに活気がなくなったわけです。このときから、酒類提供の飲食店だけでなくて、関連の事業者の皆さんがいて、その皆さん方が大変苦しいという声を上げた。そして、都民の皆さん方からもいろんな意見が続いてきたわけです。
 先ほど私が何で聞いたかというと、酒が悪いのかということの科学的、合理的説明があまりにも、まち場にチェックをされている中で、そういう問答になってしまうというケースが多いというふうにも聞いていますけれども、事業者の皆さん方と、本当に酒が悪いのかというやり取りになっちゃったときに、どう答えるべきかということだと思うんです。
 我々だっていろいろいわれていますよ。皆さん方だっていろんなところでいわれていると思います。政府の分科会だとか専門家会議、様々な各専門会議ですね、東京都も含めていろんな専門家会議で、いろいろとずっとチェックをしていれば、それらしい説明というのはちょくちょく出てきます。出てくるんです、分かるんです。だから、今、高田部長がいったような、なぜお酒の場が危ないのかみたいなシミュレーションがたくさん出てくるんですが、ただそれ、都民の皆さんには伝わっていないんです。ここが、まずもって制度設計した設定のスタートがずれていたと、都民の皆さんとずれていたといわざるを得ません。
 だから、担当される総務局はじめ皆さん方が、職員の皆さんがまち場に行っても、素直に受け入れてもらえないんじゃないかなと。みんな飲食店の皆さんも苦しんで、そして、現場に行かれている東京都の皆さん、あるいは委託を受けている皆さん方も、何かもどかしい思いになっているんじゃないのかなと。その結果、自粛要請破りにつながっていっているという話になるんだと思うんですが、釈迦に説法ですけど。今、私が問題だといっている都内飲食店の四%のお店のほとんどは、経営上の観点から開けざるを得ないからお店を開けているんですよ、ほとんどが。今、ほかが閉めているから、開けちゃえばもうかるという悪質なお店もあるかもしれませんけど、基本は協力金じゃ家賃払えません、従業員の人件費を何とかしなきゃいけませんと、そういう思いで開いているお店が多いはずです。
 私自身が聞いたところ、調べたところでは、さっき高田部長の特措法に基づいてというお話もありましたけど、そこの特措法で過料というのができました。いわゆる罰則規定ができたわけです。でも、これが抑止力になっているかというと、この罰則規定を皆さん方使ってきたけれども、結果としてあまり抑止力にならなかった。
 この罰則の過料の金額の問題もあるかもしれません。財産権の問題になるから、いろいろ法解釈の論理はあるにしても、あるお店は、いいよいいよ、過料だろう、罰則金払うんだったら今払うからずっと店を開けるよと、そういわれちゃうわけですよね、現場の皆さんが。この制度設計はやっぱりおかしいんですよ。ここを変えていく、ここを突破していかなければ、四%の壁は変わらない。これは法律の壁だともいわれていますけれども、もう結局、現行制度では無理ですよと、本音では総務局の皆さん方も感じるところはあるかもしれません。
 私たちも、まち場の皆さん方と議論すると、一方で開けているお店には、法律によってあまり営業補償とか経済補償ができなくて申し訳ありませんという、じゃあ、何で向こうは開いているんだと、うちは真面目に守っているんだと、真面目で正直者がばかを見ていいと思っているのか、政治家としてといわれたら、いや法律がといって、みんながその局面局面で苦しい思いをしていることが続いているわけです。
 これは変えなきゃいけないというのは私の思いで、それはもう繰り返し繰り返し、別にこの総務委員会だけじゃなくて、どんな場でもいっています。では、皆さん方は、都民の代表として国との交渉に臨んでいます。基本的対処方針は国と都で協議をしているということを政府も発表しているし、東京都も小池知事をはじめ皆さん方は発表しているわけですね。
 私たち、基本的対処方針、皆さん方がやっている場面に参加させてもらえていませんから、実態のところがよく分かりませんけれども、実際に国との交渉過程において、法律改正してくれと、法律改正しなかったら、もうまち場はもたないんだと。あなたたちは、霞が関や中央で、現場感ないじゃないかというふうに闘ってきたのか。あるとすればどの程度行ったのか。どうしたら立入検査ができるのかという議論をしたのか。先ほどいったように、営業補償を出せるのかという議論をしたのか。どんな対策が必要だったんでしょうか。皆さん方のその交渉過程をぜひ教えていただきたいと思うんですね。
 それは、特措法改正が必要なのか、そのほかの法律改正が必要なのか、皆さん方が現場の思いをここで話をしていただいて、そして我々がまた一つになって法改正を国に求めていくという動きに展開していかなければいけないと思いますけれども、現場ではどんな動きがあったんでしょうか。見解を伺います。

○高田危機管理調整担当部長 都はこれまでも、特措法の改正を含めた国への要望や働きかけを、近隣県や全国知事会とも連携して行ってまいりました。
 本年二月の特措法改正に際しましては、罰則規定の創設などについて国に粘り強く働きかけ、結果として、要請に応じない事業者に対する命令や過料の規定が盛り込まれました。
 また、感染状況等に応じて、事業者等に実効性のある要請ができるよう、緊急事態宣言等の発出や基本的対処方針の変更、財政措置などを国に対して要望しております。
 こうした対応により、現行の特措法におきましても、効果的な取組が行えるようになったと認識をしております。
 一方、特措法に基づく都民や事業者に対する要請は、一定の抑止力はあるものの、原則として協力を求めることが基本となっていることが課題であるというふうに認識しております。

○川松委員 どういうふうに都民を代表して闘ってくださっているのかというは、やっぱり見えないですよね。
 今、最後のところに、この要請というのは、一定の抑止力はあるんだけれども、原則として協力を求めることが基本となっているのが課題だと、多分ここにいろんな思いが詰まっているのは分かるんですが、小池知事は、一都三県ワンボイスだとよくおっしゃっています。この一都三県ワンボイスとして、四知事あるいは四自治体の実務者が一つになって、ここを国と闘おうとか、そういう何か協議をされたことってあるんですか。

○高田危機管理調整担当部長 これまでも、一都三県の実務者間では、基本的対処方針の変更などについて協議や意見交換を行っております。
 今回のリバウンド防止措置の具体的な内容を決定するに当たりましても、都民や飲食店等への要請を首都圏で一体的に行うことができるよう、一都三県の実務者間で十分に協議を行った上で、九月二十六日に一都三県の知事名で基本的対処方針の変更に係る国への要望を行ったところでございます。

○川松委員 一都三県ワンボイスというのは、繰り返しになりますけど、一都三県の知事あるいは実務に当たっている皆さん方は、都民の皆さん方、都内の事業者の皆さん方を代表して協議に当たっている、そういうふうに思ってもらえるような内容を明らかにしてください。
 総務局の皆さん方が現場を回って、昼夜を問わず感染拡大防止に全力で取り組んできたことを私は全く軽視していないんです。むしろ、その皆さん方の思いが都民の皆さん方にもっと届くように、そして四%の壁を乗り越えられるように、今日お話ししてきましたけれども、仮に、次、認証制度が変わるようなタイミング、あるいはリバウンド防止期間と今位置づけているタイミングが切り替わるときが来ます。そして、もし仮に感染拡大が上がっていくとするときもあるかもしれません。そのときにはもう大胆な制度設計をして、悪質な店舗が抜け道を見いだしにくいようなものにしていただいて、本当の意味で東京都が一つになる、ワンボイス一都三県が一つになる。それは住民の皆さん方を交えてということで、ワンボイスになるような実効性のある制度をつくっていただきたいと思います。
 最後に、リバウンド防止措置ということになっていますが、見方を変えれば、私は、リバウンド防止措置って突然出てきた言葉ですけど、九月の後半あたりから既に終息が始まっていますから、九月の後半あたりからこのリバウンド防止という位置づけにしてやっていってもよかったんじゃないのかなと感じているんです。
 ですから、今、一応目途としている期日はありますけれども、各モニタリング項目などをしっかりと見詰めて、当初の予定を早めるという決断、早めるというワンボイスの意見も、これは住民の皆さん、飲食店事業者の皆さんにとっても、大切な判断になるということを強調しておきます。
 これまで様々な葛藤の中で、総務局の皆さん方が苦しんでいるのは重々承知ですが、常に皆さん方には、都民の皆様方に寄り添っていただき、そして都民の皆様の視点で作業に当たっていただきたいと思います。決して為政者の側に立つことなく、常に現場目線でこの局面を打開していただきたいと思います。そのために我々都議会自民党も全力で、共に課題解決のために努力することを決意しまして、決意をお伝えして、私の質問を終わりとします。ありがとうございます。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十五分休憩

   午後三時四十分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○原委員 それでは伺います。
 最初に、地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例について伺います。
 今定例会に、都立、公社病院を独立行政法人化するための定款が提出されました。評価委員会の人数を増やす、この議案はその定款に付随して提出をされています。先日の代表質問でも、各会派から、都立、公社病院がコロナの対応で大きな役割を果たしていることに触れられました。また、独法化について賛成か反対かにかかわらず、このコロナ禍でなぜ独法化を進めるのかということを各会派が質問をされていました。
 コロナは終息していません。感染者が減ってきている今こそ、感染拡大をさせない検査の抜本的な拡充をすべきですし、第六波の備えも十分にしていくことが求められています。都立、公社病院の関係者は、使命感を持って、日々緊張感を持って仕事をされています。そんなときに病院の在り方が変わる、職員の立場も変わるということについて、職員の納得を得る時間もないまま強行していいのか。
 また、多摩北部医療センターでは、改築に向けての基本構想検討委員会が行われていますが、コロナで一旦止まっています。その間に病院の在り方が変わってしまうということは、基本構想にも直接影響が出るのではないかと心配をされています。
 定款では、行政的医療の提供や地域医療への貢献がうたわれていて、知事は、都の財政負担は変えないと発言していますけれども、全く保証がありません。そもそも独法化は、都の財政負担を問題にしてきているのですから、矛盾をしていると思います。
 しかし、あえて定款が出され、それに付随して評価委員会の条例改正も出されました。独法化したときに設置をされる評価委員会がどう機能するのか、どこまで検討されて出されたものなのか確認をしていきたいと思います。
 まず、評価委員会の設置の目的と役割について伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 東京都地方独立行政法人評価委員会は、地方独立行政法人法及び東京都地方独立行政法人評価委員会条例の規定により、法人の中期目標の設定や業務実績評価等について、専門的知見に基づき知事に対して意見を述べ、また、東京都公立大学法人につきましては、評価委員会自らが法人の業務実績を評価するため、知事の附属機関として条例に基づき設置しているものでございます。

○原委員 今回の都立病院機構の場合は、法人の中期目標の設定や、業務実績評価などについて知事に意見を述べ、それを聞いて知事が示すということですね。あくまで知事が評価の主体になります。
 では、具体的な評価の進め方をもう少しお聞かせください。

○小野グループ経営戦略担当部長 地方独立行政法人の各事業年度等に係る業務の実績等の評価は、公立大学法人については地方独立行政法人評価委員会が行い、その他の法人については知事が行います。
 知事が行う評価でございますが、法人の自己評価を含む業務実績等報告書及び関係資料によるヒアリングなどを基に、評価委員会からの意見聴取を通じて、項目別評価及び全体評価により実施するものでございます。

○原委員 今、評価の中に関係資料のヒアリングという言葉もありましたけれども、今回、そういう中で七人増やすというふうになっていますけれども、その根拠、考え方はどういうことですか。

○小野グループ経営戦略担当部長 平成十六年に東京都公立大学法人評価委員会条例を制定し、その際、評価委員会の委員は定数七名以内といたしました。その後は、新たな法人を設立するために複数の法人に関する審議をそれぞれ効率的に行う観点から、法人ごとに専門的事項を所掌する分科会を設置し、各分科会におきまして、法人の事業分野及び法人経営に精通する学識経験者七名を必要とする最大人数として増員してまいりました。
 今回、新たに東京都立病院機構を設立するに当たりましても、所掌する分科会を設置し、七名を上限数として増員を行うこととしたものでございます。

○原委員 今回新たに評価の対象になる施設というのは、十五施設に上ります。定款に全部名前が書いてありまして、その病院一つ一つは、それぞれ全く違う、本当に専門性の高い、そういう機能を持っています。
 これまでの公立大学法人の評価委員会、これは七名で評価委員の方がやられていて、その他、二つは五人ずつということになっています。今回もあくまで上限は七人ということで出されているわけですね。これだけの十五施設という対象で、しかも、先ほどのお話ではヒアリングという言葉も出てきた。そういう評価をしていくというのに、七人で評価できるのか非常に疑問を感じました。
 そもそも自治体の関与を大幅に弱めて、それを評価委員会で補うということは私はできないと思いますが、十分に検討されたのだろうかということを、ここは指摘をしておきたいと思います。
 それで、専門性が非常に求められる評価になるわけですけれども、どういう方々に評価委員を担ってもらうという考えでしょうか。

○小野グループ経営戦略担当部長 評価委員につきましては、地域医療や病院経営に関し、学識経験を有する方々などを新たに選任する予定でございまして、東京都立病院機構を所掌する分科会を適切に運営する観点から、分科会を所管する病院経営本部におきまして人選を進めているところでございます。

○原委員 今回は病院経営本部が人選をしていくということなのですが、この確認をしたいんですけれども、どういう人選になるかということについては、議会の議決事項ではないというふうに認識をしています。人選については議会の議決事項ではないというふうに認識していますが、それはそういう認識でよろしいでしょうか、確認します。

○小野グループ経営戦略担当部長 評価委員の任命につきましては、議会の議決事項にはなってございません。

○原委員 評価委員の人選については、そうだというふうに、これまでもそうですけれども、そういう認識です。そうなりますと議会としては、都民に必要な医療を守るという立場に、万が一そういうふうな立場に立たない方が委員に任命をされるということになっても、議会が止めるということはできない。これが一つ仕組みとしてあるということを指摘したいと思います。
 それで、地方独立行政法人の場合、具体的に、これ以外に議会として関与するものというのは何があるのか教えてください。

○小野グループ経営戦略担当部長 地方独立行政法人への議会の関与といたしましては、設立時における定款策定や関係条例のほか、知事が行います中期目標の設定、公営企業型法人の中期計画の認可、運営費負担金等の財源措置などの重要事項について、議会の議決を必要としております。
 設立後の業務運営に関しましては、毎事業年度及び中期目標期間における業務実績評価を議会に報告することとされておりまして、本委員会におきましても、今回、東京都公立大学法人の業務実績評価についてご説明しているところでございます。

○原委員 評価委員会が行った評価については、中期目標、三年から五年ですよね。これは議決事項ですけれども、毎年度の事業報告や予算全体については議決事項にはなっていないわけですね。そういう仕組みなわけです。
 行政的医療を支えることになる運営費負担金についても、今、これ議決事項というお話だったんですけれども、病院の予算全体が議決の対象にはならない中での判断ということになっていきます。
 昨年度の健康長寿医療センターの業務実績評価書を見ましても、コロナ禍における経営状況を踏まえ、医業収入を確保するための取組やさらなるコスト削減に向けた取組が求められるというふうになっていまして、運営費負担金、まさにその行政的医療をどうするかとか、東京都の責任の部分については特に記述はないわけですよね。
 今回の独法化に当たっては、知事は、これまでと同様に都が財政負担をしていくといいますけれども、独法化の仕組み上、非常にこれは保証がないということを指摘をせざるを得ないと思っています。今ほどのやり取りの中でも、独立行政法人化した場合には、議会の関与はかなり減るということは明らかでして、では、住民はどうなのかということを聞きたいんですけれども、住民がこの独立行政法人に対して関与できる仕組みというのはあるのでしょうか。

○小野グループ経営戦略担当部長 地方独立行政法人は、知事による中期目標の設定や中期計画の認可に際して、都民の代表である議会の議決を経ることとしておりまして、住民の声はそうした中で適切に反映されているものと考えてございます。
 また、地方独立行政法人法上、法人には、業務運営の自主性が認められている一方で、法人自ら適正かつ効率的な業務運営に努め、また、業務内容の公表等を通じて、組織及び運営の状況を住民に明らかにするよう努めなければならないとされています。

○原委員 住民監査請求の仕組みについても明記をされているわけではないですし、また、私は今とても考えているのは、これまで例えば公社病院でも、住民も参加しての運営協議会なども行われてきていますが、例えばそういうことも今後どうなっていくのか。
 また、評価をしていく、評価委員会の皆さんが評価をする上でも、住民の声はどういうふうに聞いていくのかということについては、なかなかちょっと見えないなというふうに思うんです。議会や住民の声をきちんと聞いていくことが大事だという趣旨のお話、今答弁があったんですけれども、実際には、議会が関与できる場面というのは非常に少なくなる中で、それが十分に行われないということを私は指摘をしているんです。
 知事も、議会の意見、都民の声を届けるのが都の役割だというふうに発言をされていたんですけれども、この関与が弱まる中でどうするのかということを十分に検討されて、そして住民や議会の声をどう聞いていくのかという仕組みもつくって、そして評価委員会も七人にしますよというふうに出されているのかというと、そういうことにはなっていないのではないかと今聞いていて私は思っています。
 これは、あしたの厚生委員会で定款自体は議論をされますので、そこで十分な議論をしていくということなのですけれども、今回の独法化の在り方については道理がなく、また、独法化した場合の評価委員会の人数について、今条例改正をするという必要は全くないと指摘をして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、補正予算案の、点検、認証済店舗へのデジタルトランスフォーメーションによる支援強化事業について伺いたいと思います。
 今回の補正予算案では、感染防止対策の点検を受け、認証済みとなっている店舗が感染対策の状況確認を受けるときに、現地でなくても画像を送って確認することができるという、そういう内容が含まれています。
 認証を既に受けているお店にとってはメリットがありますが、現在、認証店、非認証店、それぞれの数はどうなっていますか。

○金久保危機管理調整担当部長 都内飲食店等約十二万店のうち、点検、認証済店舗は現在約九万五千店、認証を受けていない店舗は約二万五千店となっております。

○原委員 分かりました。感染者数が今減っている、そういう状況にあるわけですけれども、こういうときだからこそ感染拡大防止の対策を本当に万全に取っていくということは必要だと思っています。
 そう考えると、点検を受けたいと申請したものの、受けられていない店舗の対策をどうするかということが大事になってきます。そのような店舗はどのぐらいありますか。また、その理由はどういうものでしょうか。

○金久保危機管理調整担当部長 現在の非認証店、約二万五千店のうち、緊急事態宣言が解除される前からの申込み分を含みますけれども、点検日時の調整が済んでいる店舗が約千八百店、点検日時を調整している店舗が約五千四百店、繰り返し連絡を入れているものの日程調整ができない店舗が約二千百店となっております。
 現在、点検日時の調整を速やかに進めるため、日程調整のための電話回線を倍増し、人員を増強して対応しているところでございます。

○原委員 点検日時の調整中の店舗が約五千四百店ということで、大変な数だというふうに思います。今回、リバウンド防止期間の対応で、認証店であればアルコール提供が可能という線引きになったため、認証を希望する店舗が殺到したということも大きいというふうに思います。
 今回のリバウンド防止措置の決定以降申し込んできた店舗に対しては、どのように対応するんでしょうか。

○金久保危機管理調整担当部長 リバウンド防止措置が決定されました九月二十八日から現在までの間、新たに約七千六百店からの申込みがございまして、点検を加速するため、点検日時の調整を行う電話回線を倍増し、人員を増強して対応しているところでございます。
 また、要請に応じて、これまで休業していたため点検を受けられなかった店舗を優先しまして点検に伺うとともに、点検の訪問チームを倍増した上で、土日も含めて対応しているところでございます。
 さらに、点検の翌日には、ウェブ上で徹底点検済証を速やかに交付するなど、早期の認証取得に向けた取組も行っているところでございます。

○原委員 今、体制も強化して対応をされているということですが、それにしても大変な数で、対応している間に、認証を希望しながら認証を認められないで終わってしまう、そういうお店が出ないのかどうかということを大変心配をしています。
 冒頭の質問でいいましたけれど、今回の補正では、認証店について感染状況の確認をする場合、店から画像を都に送って確認できるようにするということで、そういう内容なんですけれども、例えば今回のリバウンド防止期間における点検については、今すぐにでも、今回補正で提起をしているような仕組みを構築して対応するということはできないのでしょうか。できないとしたら、その理由を教えてください。

○金久保危機管理調整担当部長 今回の補正予算案で構築する予定のシステムによりまして、認証済店が行う継続的な感染対策の状況を都がオンラインで確認することが可能となります。このことによりまして、職員等が直接店舗を訪問することに比べ、より多くの認証済店の感染対策を確認することができまして、認証済店の感染対策の実効性を高めることにつながってまいります。
 一方、国からは、第三者認証制度の点検を初めて受ける店舗につきましては、一件一件、個別に直接訪問し、感染対策の遵守状況の確認指導を行うということを求められてございます。都の第三者認証制度である徹底点検TOKYOサポートプロジェクトにおきましても、認証に当たっての初めての点検につきましては、飲食店等における感染防止対策を詳細に把握、確認するため、個別に職員等が訪問する必要があることから、今回構築するシステムで代替することはできないものとなってございます。

○原委員 残念ながら代替措置は、今提案したような内容ではできないということです。そういう仕組みになっているということです。
 しかし、そもそも都の要請に応じて休業していた。そのことによって、今回アルコール提供できるようになりましたよといわれても点検を受けられずにいるという店舗があると。これはやはり不公平なのではないかと私は思うんですね。この点についての認識を伺います。

○金久保危機管理調整担当部長 酒類の提供等につきまして、感染防止対策が適切に行われていることを東京都が確認した認証済店に限定することは、感染のリバウンド防止のために必要なことだと考えてございます。
 本年四月に徹底点検TOKYOサポートプロジェクトを開始して以来、認証済店を早期に拡大するため、飲食店等のコロナ対策リーダーに対しまして受検勧奨のメールや文書を繰り返し送付するとともに、店舗への直接訪問やポスティングなどにより、点検の働きかけにこれまで注力してきたところでございます。
 その上で、現在、点検日時の調整のための回線や人員のほか、訪問チームを増強するなど体制を強化して、これまで長きにわたり都の要請に応じ休業を続けていた店舗に対しては、優先して点検に回って伺っているというところでございます。

○原委員 今、いろいろ工夫して対応しているということは十分に理解をいたします。しかし、お店にとっては一日も早く認証店になって、アルコールの提供をして、営業をできるようにしたいというのは本当に切実だというふうに受け止めています。とても今のスピードでは間に合わないのではないかなというふうに思います。
 私は、この点で大事だと思っているのは、認識論になりますけれど、知事は、会見で、認証してほしいと殺到したことについて、できれば早めに申し込んでいただければよかったがとおっしゃったんですよね。その後に、誠意を持って対応しますという言葉がついていましたが、できれば早めに申し込んでいただければよかったがというのは、私は、ちょっと、休業していたお店に対しては違うのではないかとすごく思って聞いていました。
 やっぱり、もうアルコール提供できなければお店が成り立たないと、営業ができないということが分かっているお店などは、じゃあ、もうここは協力して休業しましょうというふうにしたわけですよ。休業しているから、休業中は職員の方が点検に来ても気づかなかったり、ポスティングされても分からなかったり、そういうことがあるわけで、しかも今回、たとえ都に協力してお店を休業していても、認証を受けておかないと今回のような不利益を受けることがありますよという、そういうアナウンスが特にあるわけでもなかったわけです。
 さらに、しかもその期間が短過ぎたわけですよね。この短い期間、十月五日までというこの短い期間の中で、認証店かどうかでアルコールの提供の線引きをするという、このやり方自体が私は課題があったんじゃないかというふうに思います。
 この線引きについては、確認しますが、東京都独自の考え方ですか。

○金久保危機管理調整担当部長 今回のリバウンド防止期間に当たりましても、基本的な感染防止対策の徹底が不可欠であるということから、今回、こういうような措置でございますけれども、今回の国の基本的対処方針においても、酒類の提供につきましては、重点措置区域で適用されている措置を参考にしながら判断することとされておりまして、都におきまして、認証済店において酒類の提供を認めるものということにしたところでございます。

○原委員 都の判断で検討した結果、そういうふうにしたということですよね。
 神奈川県では、感染対策の認証を受けている場合は、夜九時までの営業でアルコールの提供を夜八時までというふうに今なっていて、認証を申請中の場合も、夜八時までの営業でアルコールは七時半までという線引きをしています。これがいいかどうかというのは、議論がありますけれども、でも、認証申請中でも受けてスタートをさせるという判断をしているんですよね。
 私は、今回東京都でこれだけたくさんの人が、今まで休業していて協力をしてきた方たちが、ここでいよいよ少しずつでも営業を開始して普通の状態を取り戻そうと、頑張ろうと思っているときに認証が受けられないということは、本当にこれは大至急、救済措置が必要だというふうに思うんです。繰り返しになりますが、これまで感染拡大防止に、休業して協力をしてきた人たちですから、この方たちの不利益がこれ以上大きくならないようにしていただきたいと。
 本当に私もいろんな声を聞かせていただいていますが、ネット上でもたくさんの声が出ていて、この方はバーをやっている方ですけれども、都の認証を受けていない飲食店に対しては、東京都は自粛を要請していると。自分のところはずっと営業を自粛していたと。そもそも認証を受けていない。緊急事態宣言が解除をされるということになり、スマホも持っていない僕がそのことに気づいたのは二十八日になってからで、二十九日の朝一番に東京都に電話をかけて、都の認証を受けたいのでお店の点検をお願いしますと伝えたけれども、点検に伺えるのは最速で二週間後というふうにいわれたと。
 それだと営業が再開できないので、もう少し早く来ていただきたいというふうにお願いしたけれども、認証店だけがお酒を提供できるということを職員も知らされていなかったので、今、すごくたくさんのお店から点検に来てくれといわれて対応に困っているという、そういう率直なやり取りもネット上では出ていて、私は本当に、今この声をきちんと受け止めるべきだというふうに思います。
 この中で、やっぱり検査を早くしていただく、あるいは、先ほど私も提案したように、店内の写真を送って仮申請をして認めるとか、そういう何か考えてもらえないかということを訴えておられます。私は、今一生懸命皆さんが点検に出かけて、土日も返上して頑張ろうということでやってくださっているけれども、それでも間に合わないと。リバウンド防止期間が終わってしまうというような事態になりかねないのではないかと思うので、ぜひ救済措置を考えていただきたい、検討していただきたいということについてお答えをいただきたいと思います。

○金久保危機管理調整担当部長 先ほど申しましたように、今回のリバウンド防止期間に当たりましても、基本的な感染防止対策の徹底というのが不可欠であります。
 したがいまして、例えば点検の申込みのみで酒類提供を認めるとかということは、非常に困難であると考えているところでございます。

○原委員 皆さんの声をきっとたくさん聞いておられると思うんですよね。その声をぜひ受け止めていただいて、私は救済措置、大至急検討していただきたいということを改めて強く要望したいと思います。
 最後に、この補正予算案の中で、今回出されているものは、先ほどいったように認証店の皆さんが対象で、ただ心配なのが、デジタル活用ができない環境の店舗の方は恩恵を受けられないのではないかというふうに心配をしました。
 認証店に対する感染状況の確認、また、お店に役立つ感染防止対策を動画で配信するなど検討されているということで説明がありましたけれども、デジタル活用ができない環境の店舗に対する対応はどのように考えていますか。

○金久保危機管理調整担当部長 デジタルの活用が難しい認証済店に関しましては、都の職員等が直接店舗に訪問し、感染対策の確認を行うとか、また、感染防止対策に役立つ動画の内容をまとめました資料を作成しまして、郵送にて配布するといったこととしてございます。

○原委員 ぜひ、どなたも対応がされるように求めておきたいと思います。
 事業者の皆さんは、緊急事態宣言が明けて、ようやく少しずつ普通の状態に戻そうと必死で頑張っていらっしゃいます。そこを応援することこそ求められています。そのためにも、第五波のときのような深刻な事態にならないように、お店の感染対策でも、困っていることにぜひ耳を傾けていただいて、できる限りの対応をしていくということを強く求めて、質問を終わります。

○西崎委員 私の方からは、第百六十号議案、東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例に絞って伺ってまいります。
 このたびの条例改正案は、都の公的な医療体制に様々な議論を呼んでいる都立、公社病院の独法化という動きに対応して、その評価委員会を、厳密にいえば分科会ということになろうかと思いますが、設置をしていくという類いのものかと思います。評価委員会による意見というものは、知事による中期目標の設定ないしは計画の認可に影響を及ぼし得るものでありますから、慎重にその体制を考える必要がございます。
 そこでまず伺いますが、このたびの改正案は、新たな独法に対応する分科会を設置するために三条一項を改正して、委員の定数を増やすというものでありますが、この三条二項の方では、委員の有する学識経験の領域を様々列挙しているところ、今回、これらの学識の領域についての追加であるとか変更というものはなされていません。
 これまでも、健康長寿医療センターについての分科会というものが設置をされておりまして、重複をする部分があるということは理解をできるわけでありますが、合わせて十五施設という多数の施設が移行するという、広域的な医療体制への影響を与えかねない地方独立行政法人の評価を今後していくということに当たって、本当に従来のままでいいのかという疑問がございます。
 そこで伺いますが、三条二項で定める委員の学識経験の領域について、この分野を追加する必要がないのか伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 東京都地方独立行政法人評価委員会の委員は、経営、教育研究、試験研究、医療または高齢者研究に関し、学識経験を有する者のうちから任命することとしております。
 地方独立行政法人東京都立病院機構の設立に当たりましては、地域医療や病院経営に関して学識経験を有する方々から、新たに委員を任命する予定でございまして、現行の規定内容から判断いたしまして、分野を追加する必要はないものと考えております。

○西崎委員 学識の分野の追加は必要ないという認識とのことでございましたけれども、単なる一施設ということじゃなくて、本当に広域な医療体制の影響も含めて実績評価を今後行っていく。ましてや、このコロナ禍のさなかにやっていくということで、本当にそうした評価が適切に行っていけるのか、少し疑問が残るわけでございます。
 そこで、別の観点から伺いますけれども、この三条三項のところでは、特別の事項を調査審議させるために臨時委員を置くことができるとされています。今回の独法化など慎重な判断のためには、こうした臨時委員というものの活用も考えられるのではないかと思いますけれども、そもそも、この規定による臨時委員を任命した実績がこれまであるのか伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 評価委員会及び各分科会におきましては、各法人の中期目標や業務実績の評価に関する意見等を述べるに当たりまして、各分野において学識経験を有する各委員により十分な調査審議をいただいており、臨時委員を任命したことはございません。

○西崎委員 つまり、臨時委員を任命したことはこれまでないと、そもそもの評価委員でしっかり調査審議を行ってきた認識であるということを理解いたしました。
 じゃあ、一体何のためにこの臨時委員の規定があるのかというところでございまして、この三条三項でいっている特別の事項を調査審議させるために必要があるときとは、一体どういう場合を想定しているんでしょうか、伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 条例第三条第三項に規定する特別の事項は、あらかじめ具体的に想定しているものではなく、各法人の中期目標や業務実績の評価に関する意見等を述べるに当たり、各委員が有する学識経験だけではカバーし切れないような、まさに特別な内容が生じた場合に対応するためのものでございます。

○西崎委員 今、ご答弁をいただいたように、まさにそういった特別な例外的なケースがあった場合に対応するための規定であるということでございました。
 そうすると、今回の都立、公社病院の独法化というのは、まさに単純な組織変更というだけではなくて、都の医療体制に与える影響まで念頭に置くという、そうした評価が求められており、これは特別なケースといって差し支えないんじゃないかなと考えます。
 それでは、伺いますけれども、今回の都立、公社病院の地方独立行政法人化に当たって、移行期の影響を判断するために臨時委員を置くということが条例上可能であるのか伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 一般論として、条例上、臨時委員を置くことは可能でございますが、現在設立しているいずれの法人につきましても、都の組織から地方独立行政法人への移行期におきまして臨時委員を任命しておらず、先ほどもご答弁いたしましたとおり、臨時委員設置の趣旨に照らしますと、移行期の影響を判断するといった目的で、条例上、臨時委員を設置することは適切でないと考えるところでございます。
 東京都立病院機構の設立に当たりましては、臨時委員ではなく、評価委員会委員を増員の上、新たに任命する予定でございます。

○西崎委員 ご答弁をいただきました。条例上は、恐らく妨げられないということでありますが、これまでの別の組織の独法化の際にも臨時を置いたということはなく、今回もその予定はないというふうに受け止めさせていただきました。
 すると、やはりどうしても移行期の影響は見極められるのかという不安が残るわけでございます。今回の都立、公社病院の独法化というのは、あらゆる面から慎重に考えなければならないと思っています。
 それでは伺います。先ほどもお聞きをした三条三項における特別の事項を調査審議する必要性、これを判断するのは一体誰なのか伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 評価委員会は、知事の附属機関であり、委員及び臨時委員は知事が任命いたします。特別の事項の有無につきましても、知事が判断するものでございます。

○西崎委員 知事の判断ということでございました。これはやはり極めて重く考えていただきたいと思っています。
 先日の代表質問でも我が会派から指摘したように、都立、公社病院の独法化というものは、経営の効率化という観点からは意義があると思いますけれども、この間、コロナ患者の多くを担ってきた都立、公社病院で働く医療従事者は、まさに都民の命を守るために、身を粉にして懸命の努力を続けていらっしゃいました。そのさなかに、働く方々の身分や待遇にも影響を与えかねない独法化を進めるということは、現場に不要な不安と混乱を招き、ひいては都民サービスの低下につながりかねないと我々は懸念をしています。
 その中で、今回の評価委員会に関する条例が提案をされているわけでありますけれども、これは一昨日の本会議で、病院経営本部長が答弁されていますけれども、新独法がほかの独法病院と単純に比較できるものではないという、こういう見解も実際に示されていたわけであります。やっぱり特別なんですよ。
 ところが、今回の条例の改正、また運用を伺っていくと、やはりどうしてもこの評価委員会の体制というのは既定路線的であり、多くの方が抱えておられる疑問の声に特別の配慮をもって丁寧に応えていこうという、そういう姿勢が少し感じられなく受け止めています。今回の事の重大性に鑑み、極めて慎重な検討をもって評価委員会制度の運用を考えるべきであるということを指摘して、私の質疑を終わらせていただきます。

○藤井(と)委員 私からは、補正予算に関連をいたしまして、いわゆる飲食店の第三者認証制度についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 この補正予算案では、点検、認証済店舗へのDXによる支援強化事業について提案されているわけでありますけれども、この都の徹底点検TOKYOサポートプロジェクトについて、基本的な事項について、まず確認をさせていただきたいと思います。
 これまでも東京都は、飲食店に関する取組を進められてこられましたが、店舗が店頭に貼っている感染対策実施をしているあかしのステッカーとしては、感染防止徹底宣言ステッカーというものと、青い虹のステッカーの徹底点検済証というものがあるわけでありますけれども、それぞれの内容についてお伺いをしたいと思います。

○金久保危機管理調整担当部長 感染防止徹底宣言ステッカーと感染防止徹底点検済証、それぞれ店頭に提示することで、感染防止対策を適切に実施していることを利用客等にお知らせするというものになってございます。
 このうち、感染防止徹底宣言ステッカーは、これは飲食店等に限らず、広く都内の事業者全てを対象といたしまして、業種別ガイドラインに基づく必要な感染防止対策が講じられていることを事業者自らが確認し、取得するものとなってございます。
 感染防止徹底点検済証につきましては、飲食店等に限定いたしまして、都職員等が直接店舗を訪問いたしまして、手指消毒であるとか、マスクの着用の徹底といった店内の感染防止対策を点検しまして、認証基準を満たした店舗につきまして交付するものとなってございます。

○藤井(と)委員 ご答弁をいただきましてありがとうございます。
 今のご答弁ですと、宣言の方は、業界さんの方で自ら宣言をされたというものでありまして、この徹底点検済証の方は、東京都が、ないしは東京都から委託をされた事業者さんがチェックをしているものであるということが分かったわけであります。
 そういうことでいうと、今後飲食店に対してはより厳密な感染対策が必要ということになるわけであります。直接点検、そして確認した店舗を認証済店としているわけでありますから、そういうことでは、この認証済みの飲食店等が行う感染防止の取組が維持されていくことが重要であるわけであります。
 今回、東京都では、補正予算を計上する中で、この感染対策を進めていく上での実効性を上げていくというような趣旨が当然含まれていると思うんですけれども、今後どのような取組をされていかれるのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

○金久保危機管理調整担当部長 今回の補正予算案で構築する予定のシステムによりまして、点検、認証済店舗が行う感染対策の取組の状況を、都がオンラインで確認することで、多くの認証済店に対しまして迅速かつ適切なアドバイスを行うことが可能となります。また、動画による好事例の紹介など、点検、認証済店舗に役立つ情報を提供していく予定でございます。
 これらの取組によりまして、店舗の感染対策の底上げを継続的に行うことで、感染防止対策の実効性をさらに高めてまいります。

○藤井(と)委員 デジタル技術を活用して、実効性を高めていくということであります。そのためには、より多くの飲食店さんが認証済みになるということを目指していくということだと思います。
 これは新聞、ニュースで取り上げられたところでございますけれども、この十月一日からは、徹底点検済証を掲示している店舗が、酒類提供が可能になったというわけであります。この措置が発表されて以来、これまで点検の申込みをしていなかった店舗からの申込みが多く寄せられているということは新聞報道等でも行われているところでございますが、具体的にどの程度の申込みがあり、そしてどのような体制で点検に臨まれているのか、お伺いをしたいと思います。

○金久保危機管理調整担当部長 今回のリバウンド防止措置を発表した九月二十八日から現在までの間で、約七千六百件の点検の申込みをいただいております。
 この申込みに対しまして、迅速に対応するため、日程調整のための電話回線をこれまでの二十回線から五十回線に増やすとともに、点検の人員につきましても、これまでの七十チーム体制から約百五十チーム体制に人員、チームを増強して今対応しているところでございます。

○藤井(と)委員 ご答弁の中で体制を拡充して点検に取り組んでおられるということは理解いたしました。
 その一方で、私、地元練馬なんですけど、歩いていましても飲食店を見ると、まだ点検を受けていない、そして、感染防止徹底点検済証を貼ってないという店舗も多くあるわけであります。
 この現時点で認証取得をしていない店舗に対して点検を受けてもらうというのは、体制の強化ということだけではなくて、その店舗さんにとってもメリットがあると、合理的な理由があって初めて、認証を受けておられるというものであります。
 そう考えると、現時点において受けないという、受けていないという判断をされているお店さんに対し、受けてくださいと、受けますといってもらうためには、そういったこの理由をクリアをしていかなきゃいけないと、合理的な経営判断として受けてもらうという判断をしてもらうように促していかなければいけないということで、なかなか簡単な話でもないのかなと思うわけでありますけれども、今後この確認証を増やしていくための取組について、どのような方針で臨まれていかれるおつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。

○金久保危機管理調整担当部長 多くの飲食店等に点検にご協力をいただきまして、都内約十二万店の飲食店等のうち、現在約九万五千店が点検、認証済みとなっているところでございます。
 一方、例えば、休業等の理由により未点検となっている店舗、また、点検は受けていただいたんですけれども、再度不備があって点検が必要な店舗というのがございまして、メールやポスティングなどによる受検の勧奨、また直接店舗に出向いてお願いするなど、より多くの店舗に点検を受けてもらえるよう、繰り返し働きかけを行ってきたところでございます。
 引き続き、粘り強く受検の勧奨を行い、点検、認証済みの店舗の拡大を図ることで、飲食店等の感染防止対策の実効性を確保してまいりたいと思います。

○藤井(と)委員 これ議案に直接関係のないことなので、最後に、質問ではなくて意見にとどめさせていただきたいと思うんですけれども、このコロナウイルスを、このままどんどん感染者が減って終息に向かっていっていただきたいと、これはもう皆の願いだと思うんですけれども、この第三者認証制度というのを今後どうしていくのかと。終息をした段階で、お役御免でよかったねといって、それで終了という話になるのか。それとも、この間、委託業者さん、十億円でしたっけ、その経費をかけて、それの資源を投入して、地元の業者さん、飲食店さんも含めて関係性をつくる中で、一定の資源をつくり上げてきたと、資産をつくり上げてきたという部分もあると思うので、これは今後の議論になると思うんですけれども、これをどうしていくのかということも、局としてしっかりと今後に向かって検討していただきたいということを申し上げまして、私からの質疑とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○鈴木委員長 次に、報告事項、令和二年度東京都公立大学法人業務実績評価について外四件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小平総務部長 九月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。
 資料は二点ございます。
 一ページをご覧ください。1、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、都立大学等が行った学生への経済支援の取組でございます。
 新型コロナウイルスの影響を受けて、東京都立大学、東京都立産業技術大学院大学及び東京都立産業技術高等専門学校が行った学生への経済支援について、支援事項を記載してございます。
 続いて、二ページをご覧ください。2、都と東京都立大学の連携事業の一覧でございます。
 令和二年度の都と東京都立大学の連携事業の状況を記載してございます。
 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○福島委員 私からは、まず東京都公立大学法人の業務実績評価、今年度と中期のと二件、これに関して質問をさせていただきます。
 コロナ禍以降に大学に入学した学生さんから、授業はほとんどオンラインで、友達がつくれない、何のために大学に授業料を払って通っているのか分からない、計画していた留学やインターンシップに行けなくなったなど、期待していた大学生活が送れていないという声が多く届いています。
 私は、ワクチン接種も進む中で、中でも都立大学において対面授業の意義を再考し、対面が望ましい授業については積極的に対面に取り組むべきという立場に立って、以下、質疑を行います。
 まず、都立大、産技大、高専各校において、どのような授業をオンラインで、どのような授業を対面で行っているのか、その考え方についてお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学、都立産業技術大学院大学、都立産業技術高等専門学校の二大学一高専の各校では、教育内容などの特色や、その時々の感染状況に応じまして、対面やオンラインなど適切な方法により授業を行ってまいりました。
 まず、都立大では、昨年の前期まではほぼ全面的にオンライン授業を実施しておりましたけれども、後期以降は、知識の教授がメインとなる授業はオンライン形式で、そして実験や実習のほか、学生同士などで議論を行うゼミ形式の授業などは感染対策を徹底した上で対面形式によることを基本としております。
 次に、産技大では、緊急事態宣言期間中を除いて対面授業を実施しておりますけれど、社会人向けの夜間講座が多いことから、対面形式に加えて、自宅などからのオンライン参加も可能としております。
 また、産技高専では、感染動向を踏まえて、都立高校に準じて分散登校やオンライン授業などの対応を行うこととしております。座学に加えまして、実践的な科目もありますことから、分散登校の期間中は、学生の登校日に合わせて対面授業を効果的に実施いたしました。

○福島委員 社会人が主に学ぶ産技大ではオンラインを積極的に活用し、後期中等教育段階を包含する高専では都立高校に準じた対応を、そして都立大では昨年後期以降は、実験や実習、ゼミ形式の授業では対面形式で実施するようにしているというご答弁でした。
 では、次に、都立大における令和二年度及び令和三年度の全授業に占める対面授業の割合をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大における講座は、全ての授業を対面で行うもの、また講座の全部をオンライン授業で行うもの、講座の一部をオンラインで実施するものなどがございます。
 このうち、全ての授業を対面形式により行った講座の割合を申し上げますと、昨年度の通期の実績では約一割、今年度の前期の実績では約四割となっております。なお、この中には、対面授業を行いながら、これをオンラインでも並行でライブ配信した講座が含まれております。

○福島委員 ありがとうございます。対面で実施する授業の割合が一割から四割に大きく向上したということをお伺いしました。今年度前期のこの四割という値は、産技大や産技高専と同程度であるというふうに伺っております。
 では、次に、都立大は都の進めるワクチンの大規模接種会場として活用されているんですけれども、高専、大学、大学院大学の各校においてワクチン接種がどの程度進んでいるのか、状況についてお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大学では、地元区が実施する自治体接種に協力して、荒川キャンパス内の施設を接種会場として提供しましたほか、都と連携して、大学生や教職員を対象とした大規模接種を南大沢キャンパスにおいて実施をしております。
 この中に、二大学一高専の学生や教職員の接種枠を確保しておりまして、その実績を申し上げますと、九月末時点の数字になりますが、都立大で約五千七百人、産技大で約六十人、産技高専で約三百人でございます。また、この数字の全体の人数に占める割合は、それぞれ五六%、一九%、三六%となっております。
 なお、この接種枠以外を含めた全体の接種状況を各学校で把握することはできませんけれども、自治体接種などを利用した学生もいると聞いております。

○福島委員 ありがとうございます。産技大の一九%という数字に関しては、職域接種や自治体接種等を利用している学生がいるのではないかと想像できます。また、高専の三六%という数字については、若年層の接種、特に十八歳未満の若者が接種対象に含まれたタイミングが遅かったので、今後の加速が期待できます。都立大では少なくとも五四%の学生が接種できている。自治体も含めれば、これ以上の、まあ、世の中の平均ぐらいは接種できてきているということが分かります。
 そこで、ワクチン接種に加えまして、適切な感染症対策を行えば重症化が防げるということが分かってきた現在、この六割という高いオンライン比率を維持するのであれば、科学的根拠に基づくべきだと考えます。可能な限り対面授業の機会を確保していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大などにおける対面授業の実施の在り方につきましては、ご指摘のありました若者世代のワクチン接種の進捗状況、またリバウンドの可能性も含めた感染動向などを踏まえて、感染防止を徹底する観点から検討していく必要がございます。
 現在、都立大では、オンライン形式では学修効果が得にくい授業などについては既に対面形式で行っており、実施に当たっては、マスクの着用や手指消毒など基本的な感染防止対策の徹底、教室の換気やアクリル板の設置に加えまして、履修者数を教室定員の七割程度に抑えるなどの対応を取っております。
 引き続き、感染状況等を見極めながら、学修効果の高い授業の実施に努めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。学修効果の高い授業の実施に努めるということですけれども、これは都立大の話じゃないんですけど、大学におけるオンライン授業というものは、やっぱり対面と違って問い合わせてもなかなか回答が来ないとか、説明が一方的になされた上で、課題の提出後、成績が通知されただけだったとか、学生と先生のインタラクティブ性が損なわれて、通信教育のようになってしまった授業も中にはあるというふうに聞いています。
 学生の声を踏まえまして、このオンライン授業の質の向上にも継続的に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、授業の特性に応じて、対面授業、オンライン授業を組み合わせて効果的な教育を行う新しい対面授業を展開していくこととしておりまして、オンライン授業の質の確保はご指摘のとおり重要な課題でございます。
 このため、大学では、教員を対象に毎年行っている教育方法に関するセミナーについて、昨年度は、オンライン授業をテーマに開催したところでございます。このセミナーでは、学生アンケートの実施結果の報告ですとか、学生を交えた座談会による意見交換を行ったほか、初めての試みといたしまして、学生自身が発表者となって、オンライン授業に対する分析や提言を行いました。
 引き続き、学生の声を反映させながら、授業内容の改善につなげてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。この授業内容の改善という意味では、都立大では、教学IR、これを活用したデータに基づく教育改善に取り組んでいる、こういった点が評価書で評価をされております。
 この都立大にて、この教学IRシステムを活用したことで実現できた教育改善とは何か。また、高専、産技大への導入についても、併せてお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、平成二十九年度から、教育や学修に関するデータを幅広く蓄積して調査分析を行うことができる教学IRシステムというものを導入いたしまして、教育改善に活用しております。
 これまでに、一般入試や推薦入試といった入試の区分ごとに、学生の入学後の成績推移を分析した結果を基に、入試の募集定員の配分を見直した事例ですとか、各学期における科目別の成績分布に偏りが見られないかを分析した結果を、評価の公平性の担保に活用するなどの取組事例がございます。
 都立大学以外の二校におきましても、産技大では、教学IRの強化に向けて、今年度から専任教員を配置していますほか、産技高専では、ルーブリック評価基準といわれます学生一人一人の学習到達状況をきめ細かく把握するための基準、これを導入いたしまして、個別の指導や授業内容の改善に生かしております。

○福島委員 ありがとうございます。成績の推移を踏まえて、入試や各学期の評価方法を見直して、評価の公平性の担保に活用しているという、そういうご答弁がありました。
 ちょっと先行事例として、対象は小学四年生から中学校三年生の児童生徒になるんですけれども、埼玉県が二〇一五年度より取り組んでいる埼玉県学力・学習状況調査をご紹介したいと思います。
 この取組の特徴は、従来の平均点等による評価とは異なりまして、項目反応理論というのを使って生徒一人一人の学力の伸びを測定する点にあります。これによって、どの教師が、どの授業が一人一人の生徒の成長に寄与したかというものを分析して、授業改善につなげるというものです。
 二〇二一年度からは、GIGAスクール構想による一人一台端末、そして通信環境を活用して、埼玉県では紙媒体での調査からタブレットなどを使った調査へ段階的移行に向けた試行調査も始めています。これによって、児童生徒のキーボード入力の速さや正確性等に関するキーボード入力スキル調査など、より精密なデータを取得、蓄積、分析をするということを目指しています。
 オンライン授業をはじめ、授業の質の向上に、学生アンケートや座談会による意見交換に加え、ぜひこの教学IRシステムを活用し、履修した授業と成績の伸びの相関などから、オンライン授業の質の向上をはじめとする教育改善に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 加えて、都は、この未来の東京戦略の中で、子供たち一人一人の個性、能力に向き合うために、学び方や指導体制を含む教え方などの抜本的な転換を図る、新たな東京型教育モデルを実現する、そして、二〇二三年には全都立高校でエビデンスベースの学習を展開するというふうにしています。
 研究機関でもある都立大における教学IRシステムを用いた教育改善が、このエビデンスベースの学習に有益な示唆を与えられるよう取り組まれることを要望いたします。
 次に、コロナ禍で学生の海外派遣や外国人留学生の受入れなどは大幅に予定を変えざるを得なくなってきていますが、都立大における学生の海外派遣や外国人留学生の受入れ、高専における海外体験プログラムについて、オンラインを活用した取組、これを充実するべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 感染症の影響により海外渡航が難しい状況にございますけれど、その中にあっても、海外の教員から学び、異文化に触れる機会を学生に提供することは、国際感覚豊かな人材を育成する上で重要でございます。
 このため、都立大では、昨年度中止した一か月未満の短期語学留学につきましては、この夏からオンライン方式により再開をしております。同様に、短期の留学生受入れプログラムや、海外の大学と共同で実施をしております相互交流プログラムにつきましても、今年度はオンライン方式で実施したところでございます。
 また、来年度からは、海外大学において専門分野を学ぶ中長期留学につきましても、感染状況などを見極めた上でとなりますが、オンラインの活用を検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。コロナ禍でオンラインが活用されることで、ある意味大学教育を受ける側としては、地域的な距離感が、壁が取り払われたような状態で、そういった意味では本当に大学の魅力同士の競争になってきているんだと思います。
 コロナ禍により、講義の記録を動画、ネットで配信するMOOCっていうのはもともとあったんですけれども、やっぱりモチベーションがないと自分では進めないということで、やっぱりリアルタイムのオンライン授業で他者と学ぶ環境を仮想的ではあるが実現できる、これの質を上げていくことが大事だと思います。
 都立大で学びたい留学生、海外で学びたい日本人学生、海外体験をしたい高専生のためにも、改めてオンラインの活用と質の向上に取り組むことを望みます。
 次に、被引用度トップ一〇%論文や国際共著論文の割合について確実に実績を上げている一方で、都立大の外部資金獲得額、これは低下傾向にあります。その理由及び対策についてお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 競争的研究資金の多くは、国の科学研究費補助金によるものでございますけれど、採択件数は微増傾向にあるものの、複数の大型の長期研究が期間満了となった影響などによりまして、総額が伸びていない状況にあります。
 都立大では、外部の研究機関などとの連携に向けたサポートですとか、研究プロジェクトのマネジメントなどを行う専門人材、研究支援員、URAと申しますが、こちらを配置いたしまして、教員個々のニーズに即したきめ細かい支援を行っており、これにより大型の外部資金の獲得につなげていくこととしております。

○福島委員 では、加えて、大学発ベンチャーデータベース、これを見ますと、経済産業省が出しているものなんですけれども、ベンチャー企業数の一位は東大で累計三百二十三社、一方、都立大は累計十一社で全国五十一位、こういった値になっております。
 未来の東京戦略では、累計四十社を目指すとしていますが、現状の分析と実現のための方策についてお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大における大学発ベンチャーでございますが、例えばリチウムイオン電池やサービス用ロボットなどに関する技術など、大学の研究力を生かした研究開発型の企業が多いという特徴がございます。
 こうした事業は、高度な技術や多額の資金が必要となることが多く、知的財産権の利用や人材の確保、あるいは資金調達など様々な課題がございまして、会社を設立してビジネスを軌道に乗せていくことは容易ではないという状況がございます。
 今後、大学発ベンチャーの創設の実績を増やしていくためには、このような研究開発型ベンチャーをはじめ、都立大の強みを生かした新しいビジネスの立ち上げを一層幅広く促進していく必要がございます。
 大学では今年度、起業に関する知識、情報を提供する講座や、ビジネスアイデアや起業方法などに関する専門家による相談会、これらを新たに実施することとしておりますが、さらなる支援の充実についても検討してまいります。

○福島委員 外部資金獲得のてこ入れとしてURAの配置を、そして大学発ベンチャーの目的達成に向けて起業に関する講座、相談会、こういったものを開くというご答弁をいただきました。
 いずれも大切な取組ですが、加えてやはり都立大ならではの取組、これも必要なのではないでしょうか。
 TMU Vision二〇三〇として、学問の力で東京から世界の未来を開くとありますが、私も都立大の強みは、都内にあり、都の課題解決に都庁と連携して取り組める大学であるという点があると思います。そして課題があるからこそ解決策が求められ、ベンチャーも生まれます。
 今年六月の報道によれば、これは藤井都議が一般質問で取り上げたのと同じなんですけれども、都内にはベンチャーやスタートアップと呼ばれる新興企業の六割が、国内の中の六割が都内に集積しており、その理由として、ベンチャーに出資する投資家、ベンチャーキャピタルなどが圧倒的に多いことが挙げられています。つまり、起業についてのアドバイスがもらいやすく、連携や資金調達もしやすい。加えて、高齢化など課題先進都市でもあり、フィールドワークをやろうと思えばすぐにできる、こういった場所にあります。そして、都と連携すれば生み出したソリューションを実社会に適用することもできます。
 第三期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績評価書には、大都市課題に資する学際的大型プロジェクト創設については順調に実績を上げているとはいい難い、東京都と連携した共同研究やプロジェクトは研究の活性化や都政への貢献につながるため、さらなる取組の強化を望むとの記載がございます。
 私は、四年前の総務委員会で、この都立大学、当時は首都大学東京だったんですけれども、これが東京のシンクタンク、そして東京の将来に資する人材育成機関として、より機能することを求めて質疑を行いました。
 当時の質疑に向けたやり取りの中では、毎年教員が都政と関わる可能性がある研究を説明する施策提案発表会などは実績しているものの、一方、予算と成果を年度で管理する東京都と、研究に数年を要する大学では、マッチングしづらいといったことが思わぬ阻害要因として伺いました。
 これまでに行った対策と今後の改善策についてお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、これまで教員が各局向けに都政の課題解決に資する提案を行う、今、副委員長からもお話のありました施策提案発表会や、東京都各局が教員に向けて施策と課題を紹介する都事業説明懇談会など、研究者と都のマッチングの機会を提供し、研究支援員、URAによる研究のコーディネートも行ってまいりました。
 一方、都との間には、ご指摘のような研究成果を出すまでのスピード感の違い、こういったもののほか、研究の方向性が一致しない、対応できる人材が学内にいないなどの課題がございます。
 都と連携した共同研究を組成するためには、各局が持つ研究ニーズや大学が提供できるリソース、これをより精緻に把握した上で、これらのすり合わせを行っていくことが重要でございまして、今後そのための方策を検討して、プロジェクトの具体化を強力に進めてまいります。

○福島委員 各局のニーズと大学のリソースのすり合わせの方策を今後検討するというご答弁でした。学生のインターンシップで都庁に来てもらうのもいいかもしれません。
 一方、研究期間が異なることについては、それ自体に意味があることを都庁サイドに理解してもらう必要があると思います。この一つ前の政策企画局に対する質疑でも述べたんですけれども、出生率しかり、水害等の災害対策しかり、感染症への対応、そしてカーボンニュートラル、もうこれから東京都が扱う課題というのは複雑かつステークホルダーも多くて、目標達成には複数の事業を組み合わせる必要があり、かつ単年度では解決しないようなものばかりになっています。
 この複数の事業が一つの政策目標にひもづく件に関しては、今年度から東京都は事業評価と政策評価を一体化する取組を始めます。一方、解決に複数年を要するという点については、やっぱり現場を持ち、年度で事業を推進する局や都の職員が取り組むのはなかなか難しいと思います。
 これも一つ前にも同じことを話したんですけれども、私は総合電機メーカーの基礎研究所に二十二年間在籍をしていて、五年から十年先のテーマを扱うのが役割でした。二十二年間いて、やったテーマはたった三つです。製品化にこぎ着けたものは十年かかりました。でもこれを事業所の研究所や、そして直近の課題を扱うワークスラボ、同じ組織でやるのはすごく難しいんです。見ている機関が違うからこそ、これは東京都のシンクタンクとして働ける可能性が私はあると思います。
 例えば、イギリスとかだと、オープンデータとかも今検討されていますけれども、政策に使えるようなきれいなデータを整理する機関というのはもう別につくってあって、そこは例えば教育関係のエビデンスをつくるためのデータ提供とかをやっぱりやっているんですね。さっきも述べたんですけど、例えばシンガポールみたいなところは、IT人材を育成するための最新の技術、これを含めた教育プログラムというのを毎年毎年大学が更新していく、そんな役割を担っているわけです。そういうことで、得意、不得意があるからこそ、組んでできることってあると思うんですよね。
 そこで、都議会では、ちょっと一つ事例として、都議会でこども条例を議員提案条例で制定することができたんですけど、都立大には子ども・若者貧困研究センターというのがあって、まさに子供や若者の貧困対策を検討するために参考にするべきデータが集積しているにもかかわらず、あまり連携できていないというふうな声も聞いています。積極的に連携するべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 お話の研究センターは、子供や若者の貧困研究に体系的、分野横断的に取り組む都立大の研究拠点でございます。
 このセンターでは、国内五大学などと連携したコンソーシアムを立ち上げておりまして、全国各地の自治体から子供の生活実態調査に係るデータを収集するとともに、共同で研究を実施しております。
 このセンターでは、都の担当部局とも連携いたしまして、都内の各種データを基に、地域ごとの貧困の実態の比較などに活用しておりまして、今後、様々な角度からの分析を通じまして、都の政策課題解決のための提言などに結びつけたいとしております。

○福島委員 ありがとうございます。提言をしていただいて、解決策も共に考え、その結果をまたセンターにフィードバックするというサイクルも、この政策の精度向上にセンターが関わる上で大変重要だと思います。引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 そして、都立大を卒業する卒業生は、以前から地方自治体の行政関係に就職する学生が多いとは聞いていますが、やっぱり学生もこの大都市課題に資する学際的大型プロジェクトを、東京都と連携して実施することに意欲がある方が、双方にとってハッピーだといえます。
 都立大学は、都のシンクタンクであり、大都市課題の解決に貢献する人材を育成しているという特徴を、都立大を志望する学生に対して、広く、そしてより強く発信していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大が質の高い教育活動を展開していく上で、大学の教育研究の考え方ですとか特色などを受験生に十分理解してもらい、都立大で学びたいという志を持った学生を確保していくことが重要でございます。
 このため、例えば受験生に配布する大学の案内では、大都市課題研究の推進により、東京都の発展に貢献するといった大学の理念のほか、この理念を体現する先端研究プロジェクトの特集記事、行政などの現場で活躍する卒業生のインタビューなどを掲載しておりまして、都市課題の解決に取り組む都立大の魅力をアピールしております。
 有為な人材の確保に向け、こうした広報の取組を積極的に展開してまいります。

○福島委員 社会貢献意欲は若い世代ほど高いとされています。都の課題解決が世界の課題解決に結びつくことを、より丁寧に発信していただければと思います。
 次に、博士後期課程が理学研究科、そして航空宇宙システム工学域、そして三年前の組織改革で新設した都市環境科学研究科で定員割れを起こしています。原因と対策についてお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 国の教育審議会の報告書などによりますと、博士課程の定員が充足しない状況が常態化している要因としては、学生のキャリアパスに対する不安が進学をちゅうちょさせている点を挙げております。
 このような状況を踏まえまして、都立大では令和元年度から博士課程の学生に対して、修了後のキャリア形成を支援する科目を開講しております。企業で働く際に必要となる知的財産マネジメントなどの知識に関する講義や、就職先で活躍している先輩による講演、あるいは民間研究所へのインターンシップなどを実施しております。
 こうした取組によりまして、平成二十八年度当時七二%であった定員充足率が、昨年度には九〇%に改善しております。

○福島委員 この大学院にある都市環境科学研究科に進む学生のキャリアパスの不安払拭のためには、行政、まずは都庁が専門人材を活用している、そういうところを見せることも大事だと思います。
 繰り返しになりますけれども、行政課題は複雑かつ解決に長期を要するものが増えてきています。都立大が都のシンクタンクとしてより機能することを求めて、都立大に関する質疑を終えたいと思います。
 では、次に、令和二年度東京都内部統制評価報告書、これについてご質問いたします。
 地方自治法に基づく内部統制と監査制度の違いについてお伺いいたします。

○貫井理事 地方自治法に基づく内部統制及び監査制度は、いずれも事務の適正性の確保を目的とするものでございますが、内部統制は、知事がその補助機関である職員を通じて、財務に関する日常の業務執行において自己評価を中心に内部管理として行うものである一方、監査委員による各種の監査は、長から独立した執行機関の立場から行うものでございます。

○福島委員 では、この内部統制の取組によってどのような効果があるか、これをお伺いいたします。

○貫井理事 内部統制の仕組みを整備し運用することで、職員一人一人が、支払いの相手先や金額、情報管理など、財務に関して優先的に防ぐべき事務処理の誤りを発生させることがないよう適正に事務を日々励行するという意識づけが浸透するものでございます。
 また、事務処理の誤りを把握した場合には、組織として速やかに是正を図るとともに、誤りを起こすに至った原因を分析し、再発防止策を講じていくという組織風土が醸成される効果があるものと考えております。

○福島委員 ありがとうございます。事務の誤りの再発防止に向けた対応がなされるとともに、適正管理執行について財務関係の事務に関わる一人一人の意識づけがなされるということです。
 一人一人ということですが、都の職員は大変多いと思います。この内部統制推進体制とは、具体的にどんな体制だったのか、またその体制において、職員一人一人に対して意識づけが浸透に至るまで、どのような仕組みになっているか、お伺いいたします。

○貫井理事 都における内部統制推進体制は、知事を最高責任者とし、総務局長の下でコンプライアンス推進部が具体的な実務を担ってございます。
 また、財務局や会計管理局等の制度所管部門は、契約事務や会計事務等の所管事務について規定の整備、運用の状況を自己評価するとともに、各局においても財務に関する事務の運用状況について自己評価を行い、事務の誤りについては制度所管部門やコンプライアンス推進部も関与して、その再発防止を図っていくという推進体制となってございます。
 こうした体制の下、日々の業務遂行及び自己評価の一連の過程を通して、事務の適正な管理執行を日々励行するという意識づけが職員一人一人に浸透するものと考えてございます。

○福島委員 日々の業務を遂行する中で自己評価も行っていくということで、一定の負担も生じているわけですから、相応の結果を得られることが望ましいと思います。
 具体的な改善事例としてどのようなものがあるか、お伺いいたします。

○貫井理事 具体的な改善事例として、例えば外部にメールを送信する際に、内部の情報が含まれた資料を取り違えて送信してしまったという事例に対して、内部資料と外部送信用のファイルをそれぞれ別のフォルダで管理し、さらにフォルダ等の名称を容易に識別できるよう工夫して設定することが対策として有効であるといった事例がございます。
 こうした誤りの事例は、庁内のいずれの部署でも起こり得ることでございますから、実効性ある対策を講じるよう、全庁的に周知を行いました。

○福島委員 意識づけも大変いいんですけれども、人というのはエラーを起こすものなので、システムでエラーを防げればその方が望ましいと思います。
 この事例では、行政システムにおいて外部に発信をするときに、添付ファイル、問題ありませんかと、そこで確認をするようなアラートを上げるという方法があります。ほかにも、誤った情報が入力されないようにするための入力精度や、入力チェックのためのチェックリストや画面、異常値を入力した場合のアラートなど、内部統制のためにITができることは多いと思います。
 今後、行政手続を電子化することで防げる事象については、最も本件について力を入れて取り組んでいるこの総務局コンプライアンス推進部から、デジタルサービス局や担当局に積極的に働きかけるべきだと考えますが、見解を伺います。

○貫井理事 内部統制の取組を通じて把握した事案につきましては、各制度所管部門とともに、その発生原因や再発防止策の検討を行っているところでございまして、また、事案の内容に応じて関係部署にもこれらの情報を提供しているところでございます。
 引き続き、関係する部署と連携し、事務処理の誤りの発生を抑制することに努めていくものでございます。

○福島委員 今回質疑をつくるに当たり、簡単に調べただけでも、既に複数の事業者が行政手続のシステムに内部統制の仕組みを入れ込むサービスを提供しています。
 システム構築の後工程になればなるほど、この内部統制要件を組み込むためのコストも増えていきますので、早め早めの提案を求めて、この件に関する質疑は終わります。
 次に、新しい多摩の振興プランについてお伺いいたします。
 この本プランは、何を目的として、誰に向けての資料なのか、これについてお伺いいたします。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 多摩の振興につきましては、これまで都の長期的方針や、その時々の社会経済状況等を踏まえ、節目節目でプラン等を策定し振興策を推進してまいりました。
 前回のプランの策定から四年がたち、この間、コロナ禍でデジタルシフトが加速するなど、社会が大きく変化し、令和元年東日本台風をはじめとした自然災害の激甚化なども顕在化しております。
 こうした状況を踏まえまして、多摩にしっかりと目を向け、進捗を適切に管理しながら、多摩振興に取り組んでいくため、本プランを策定いたしました。
 また、本プランでは、広く都民や多摩地域の市町村の皆様にも、今後の都の多摩振興の内容が伝わるよう、事業の担当局名、実施箇所などをできる限り詳しく記載しております。

○福島委員 ご答弁を聞くと、多摩部について独自にプラン、すなわち計画を策定しているようにも聞こえますけれども、今年三月に新たな中期計画として、都は未来の東京戦略をつくりまして、ここに記載した事業、多摩に関して、未来の東京戦略の中に書かれた事業に加え、この多摩関連の全事業を合わせて、そして二つの方向性と六つの区分の下、事業名や、そして担当者名などを分かりやすく整理した内容になっています。
 市町村は、本プランを見て、どのように取り組めばよいのか、また本プランをどう活用できるのか、お伺いいたします。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 本プランの策定に当たりましては、本年一月に、各局部長を構成員といたします多摩島しょ振興推進本部幹事会を開催し、多摩地域の現状や課題、地域ごとのポテンシャルを各局に示した上で、多摩地域の振興に資する事業や市町村のニーズが高い事業の提出を依頼いたしました。その後、各局と調整し、五月にプランの素案として取りまとめております。
 都民に身近な課題に対する施策の効果を高めるには、都と市町村が緊密に連携して、共に取組を進めていく必要があるため、九月の本案策定に当たりまして、市町村への意見照会を行い、その意見も反映させております。
 今後、都は本プランの目指す方向につきまして、市町村と共通認識の醸成を図ってまいります。さらに、プランに掲載されております幅広い分野の支援制度を市町村に活用していただくことで、都と市町村とのさらなる連携につなげてまいります。

○福島委員 私は、この計画等の策定に係る意見公募手続に関わる要綱、これに従って、五月にパブリックコメントをもらって、本定例会で報告された、こういったプロセスから多摩の計画なのかなと最初思ったんですけれども、パブリックコメントをもらった五月には、既に今年度の予算は決まり、事業が走っている、こういったことに矛盾を感じています。
 これはプラン、すなわち計画なのでしょうか。それとも、政策集なんでしょうか。新しい多摩の振興プランという名称だけでは、政策集であるか、事業リストなのかもしれない、そういったことが分かりにくいと思います。副題でいいので、政策集や事業リストであるといったことを記載するべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 都はこれまでも、多摩振興に対する都の基本姿勢や方向性を示し、各局一体となって取り組む羅針盤として、多摩振興に係るプラン等を策定してまいりました。
 新しい多摩の振興プランは、これまでのプラン等の成果を踏まえつつ、未来の東京戦略や各局の計画等に基づき、三か年で都が実施する取組を中心に、その方向性や具体的な取組を多摩に特化した視点で取りまとめたプランでございます。
 本プランでは、コロナ禍で生まれた新しい働き方や暮らし方、デジタル化の進展などの社会の変化を、多摩地域が一層発展するチャンスにしていくことを方向性とし、サステーナブルリカバリー、多摩のさらなる発展に向けてを副題といたしまして掲げております。
 策定に当たりましては、地域の実情に精通した市町村へのアンケート調査や意見照会、都民へのパブリックコメントを実施いたしました。
 今後とも、寄せられた意見を参考に事業を進めていくとともに、本プランで掲げた工程表に基づき、進行管理を行い、各局連携して、多摩振興に係る取組を着実に推進してまいります。

○福島委員 私は、多摩部の計画を特出しして、地域の皆様と議論をして、そしてよい議論を踏まえてできたこの方針をつくっていく、最終決定していく、そういったプロセスには賛成の立場なんです。
 様々なこの中の記載の策定に当たり、事前に多摩エリアの市町村のお声を集めたこと、そして整理してまとめるに当たり、再度市町村に意見照会したことなどをお答えいただきましたけれども、計画策定プロセスであるならば、この新しい多摩の振興プランの素案というのは、未来の東京戦略案と同じく、遅くても今年二月、これも計画に反映するには遅過ぎるんですけれども、その時期にパブリックコメントを実施して、そこでいただいた都民の意見、さらには議会の意見も踏まえて、未来の東京戦略の確定版に入れ込むとともに、この新しい多摩の振興プランが発行されるのが望ましいのではないでしょうか。問題意識を伝えさせていただきました。
 話は変わりまして、紙の方がいい人もいるんですけれども、今回電子化したのであれば、やっぱり事業を使っていただくというのが目的ということなんで、事業名からちゃんとハイパーリンクを貼って、例えばその説明サイトにリンクを飛べるようにしておけば、事業リストとして使い勝手が改善すると思います。目的に照らし合わせて、電子化なりの工夫をしていくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 本プランは、ホームページで広く都民に公表し、各事業につきましては、担当局を明記するとともに、事業実施箇所を数多く記載しております。さらに、多くの都民がスマートフォンやタブレット端末から手軽にプランを閲覧できるよう、デジタルブックを作成してまいります。

○福島委員 紙であれば、担当局の明記や実施箇所の記載ぐらいしかできませんが、デジタルブックにしてハイパーリンクも活用すれば、先ほどのように申請画面に飛ばしたりなどもできます。
 そして、加えて、私は質疑を通じて、ホームページとかにアクセス解析の導入を求めまして、東京都は実際始めているんですね。
 今後、デジタルブック、これにアクセス解析を入れることができれば、書いてある中のどこを読んでもらえているのか、どの事業に興味を持ってもらえているのか、そういった双方向のやり取りが可能になっていきます。ぜひそういった取組もチャレンジしていただきたいと思います。
 最後に、この多摩振興プランもSDGsとの関係がマークで書かれています。私は、これも一つ前の政策企画局でも話したんですけれども、SDGsに関して、二〇一七年に社内教育eラーニングを社内の中で最も早く作ったこともありまして、そのときに結構研究したことがございます。
 SDGsというのは、問題解決だけではなくて、経済との両立策をイノベーションして初めて課題解決が持続的になると。問題解決だけじゃ続かない、やっぱり経済と両立する、そこにすごく力点が置かれているんですね。
 このSDGsのカラフルなアイコンを関係がありそうな取組にひもづけるということは表面的な取組とされていて、SDGsウォッシュという言葉があるぐらいです。
 従来は、行政がコストをかけてやっていたことが、例えば民間の知恵や民間の投資によってコスト削減や投資家への還元、そういった経済合理性が改善するなどする。そういったことで取組が自走していく。そんなイノベーション、発明をすれば、ぜひそこはばんとマークをつけて、東京都は、こんな新しい仕組みをつくりましたって発表していっていただきたいなというふうに思います。
 では、次に、東京都過疎地域持続的発展計画(素案)、これについてお伺いをいたします。
 法律にのっとり作成したというふうに伺いましたが、推進、実行に関して総務局はどういうお立場にあるのでしょうか、伺います。

○小林調整担当部長事業調整担当部長兼務 東京都過疎地域持続的発展計画(素案)は、過疎地域の役割や課題、目指す姿を定めた過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法や、東京都過疎地域持続的発展方針に基づき、過疎地域の町村における都の施策をまとめたものであります。
 総務局は都の過疎対策の取りまとめ役として、各局及び過疎地域の町村と連携し、毎年度計画に位置づけられた事業の進捗管理を行い、達成状況を各局や町村等と共有してまいります。

○福島委員 各局の取りまとめを行う立場だからこそ、気づくこと、できることがあると思います。
 例えば、過疎地域の課題の一つである公共交通の利便性の低下への対策であるMaaS、これに関しては、私は今後の少子高齢化、人口減少社会を迎える日本にとって大変重要で、実用してほしいサービスだと思っておりますが、数々試行はされているんですけれども、ステークホルダーが多いとか、収益化が難しいなどもあり、国内ではなかなかこの実証実験の域を出ない、こういった問題がございます。
 過疎地域における交通施策など、未来の東京戦略の中で描かれていることを、地域の実情を踏まえ、しっかりと実現につなげる必要があると考えます。そのためにも、過疎地域持続発展計画の策定を通じて、気づいたこと、重要性を、改めて各局に働きかけていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○小林調整担当部長事業調整担当部長兼務 東京都過疎地域持続的発展計画は、未来の東京戦略を踏まえ、過疎地域の持続的発展に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とし、過疎地域の町村や各局の意見を聞きながら策定することといたしております。
 また、過疎地域の町村についても、それぞれ過疎地域持続的発展計画を策定することとしており、過疎対策の推進に当たっては、地域の実情を踏まえた取組を行うことが重要であります。
 ただいまお話のありました交通施策について、例を申し上げますと、総務局は、地元関係者が主体となった取組の後押しをすべく、八丈島においてデジタル活用協議会を立ち上げ、検討テーマの一つとして議論をしているところであります。
 過疎地域が抱える課題の解決につながるよう、町村や地元関係者の意見を踏まえ、各局と連携しながら、地域に根づく実効性のある取組を加速してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。今のご答弁すばらしいと思います。地域のこういった行政機関と連携をする、こういったところって、やっぱり総務局ならではだと思うんです。
 ぜひ、ちょっと一つだけ取り上げて何なんですけれども、MaaS、これができたら、日本で実用化するということは本当にインパクトのある取組になると思います。頑張っていただきたいと思います。期待します。
 以上です。

○慶野委員 東京都公立大学法人の業務実績評価に関連して、人づくりに焦点を当てて、幾つかお聞きさせていただきます。
 ものづくりは人づくりです。人がまちをつくり、国を、東京都を支えていきます。
 ものづくりがいかに大切か。私の地元荒川区は、古くから隅田川沿いを中心に町工場が集積し、私の実家も町工場です。ものづくりのまちとして発展してまいりました。
 その荒川区と品川区にキャンパスを構える都立産業技術高等専門学校では、東京の産業を支えるものづくりのスペシャリストを育成、輩出しており、例えば私が昨日の本会議でも取り上げさせていただきました航空技術者育成プログラムでは、修了者全員が進学または関連の就職を決めるなど、優れた成績を上げております。
 一方で、技術の世界は日進月歩であり、企業が学生に求めるスキルも日々変わってまいります。さらに、これから高い成長を遂げていく新しい分野に対応した技術者の育成も必要となってまいります。
 産技高専はこうしたニーズの変化に対応して、教育内容の見直しを図っており、例えば、先ほどの航空技術者のプログラムも平成二十八年度に開始したものでございますが、今年度からは、今後の成長、発展が都民に期待されております医療機器産業に対応した新たなコースを立ち上げたと聞いております。
 本コースの実施に当たっては、これまで高専が培ってきた教育のノウハウや技術力を生かした効果的なプログラムを展開していただきたいと考えておりますが、どのような教育内容なのか、説明を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立産業技術高等専門学校では、今後成長が期待される医療やヘルスケアの分野で活躍できる技術者を育成するため、より高度で実践的な学びを提供する医工連携の分野横断型教育プログラムを今年度から開始いたしました。
 このプログラムでは、身体の構造や生体のメカニズムなどに関する専門知識や、高度な医療機器の開発に必要な画像処理、ロボット、人工知能、AIなどの先端技術を学びますとともに、生体センサーを実際に使用して、体からデータを収集する実習ですとか、製品化のアイデア出しなどの実践的な授業を通じて、現場で役立つ力を身につけてまいります。
 また、この三年間のプログラムの修了後は、さらに二年をかけて研究を深める専攻科、こちらにおいて都立大大学院と連携した共同研究の実施など、技術者としてのさらなるレベルアップを図ることとしております。
 こうした産技高専ならではの実践的な教育プログラムの提供を通じまして、次世代の医療機器の技術開発を担う人材の育成に取り組んでまいります。

○慶野委員 これからの社会のニーズを踏まえた教育プログラムと、産業界からの期待も高まっております。頑張っていただきたいと思います。
 ものづくりに対する産業界のニーズは、時代の変遷によって変化してまいります。例えば、携帯電話がスマートフォンになった。アイフォンが日本で発売されたのは二〇〇八年、せんだって新しい機種が発売されましたけれども、十三年間で携帯電話はスマートフォンへ、時計はスマートウオッチ、血中濃度や心拍数などを測ってウエアラブルで、現在のコロナ禍にも対応できるような機能を持ってまいりました。様々な製品がネットにつながって、集められた膨大な情報を学習したAIが個人個人にマッチした情報を提供するというモデルが常識になりつつあります。
 そして、いうまでもなく、こうした製品やサービスを支えるAIやICTの技術も欠かせないものとなっております。
 産技高専はデジタルなものづくりを支える技術者の育成を、今後どのように強化していけるのか、見解を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、急速に進んでおりますものづくりのデジタル化に対応できる人材の育成を図るために、今年度、二つの本科コースを新設いたしまして、実践的な教育に取り組んでおります。
 そのうちの一つ、AIスマート工学コースでは、人工知能などの最新のデジタル技術を活用したものづくりを担う技術者の養成を目指しまして、プログラミング技術から、AIを組み入れた製品の設計、3Dプリンターによる試作、実証実験による検証、評価に至るまで、製品や技術の社会実装に向けた一連の開発プロセスを学べるカリキュラムとなっております。
 もう一つの情報システム工学コースにおきましても、ものづくりを支えるICT技術について総合的に学べるカリキュラムとなっておりまして、こうした教育を通じて、高度デジタル社会におけるものづくりを牽引する人材の育成に努めてまいります。

○慶野委員 実践的な教育を通じて、医工連携やデジタル人材など、今後に求められる高い専門性を身につけた技術者の育成を進めているという、そういうご答弁でございました。
 これから都立大についてお聞きしたいと思いますが、社会の問題がこれからますます複雑になっていく中、一つの専門領域だけではなかなか柔軟に解決できないということが往々にしてあります。特に専門的な研究を長く続ければ続けるほど、逆に自分の専門領域の枠にはまらない間口の広さが必要となってまいります。こうした視点に立った教育を展開していくべきと考えます。都立大における取組状況をお願いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学では、専攻分野の枠を超えた学際的な領域における先端的な研究を学ぶことを通じて、研究者としての広い視野や応用力を身につけることを目的といたしまして、大学院において分野横断的なプログラムを実施しております。
 プログラムの一例をご紹介申し上げますと、超伝導をテーマとして医学と工学を専攻する学生が、理論と実証の両面から、それぞれの領域の垣根を取り払って研究を進めるカリキュラムなどがございます。
 この課程の中で、学生は所属研究室以外の研究室で実験やゼミなどに参加しまして、自分が学んできたものとは異なる視座やアプローチに触れることになります。履修生からは、自分の研究テーマの理解が深まったであるとか、研究への取組方に新しい発見があったとの声を聞いております。

○慶野委員 ありがとうございます。研究を深めれば深めるほど、どんどんどんどん狭いところに入っていくんですけれども、こうした連携の分野横断のカリキュラム、こうすることで先ほどのスマートウオッチのように、決して医療機器になるとは思わなかったような、そういう研究が意図せぬ方向で発展し、活用されていくことにつながると思います。
 こうした分野横断のカリキュラムを、今年度は高齢化対策をテーマに、理系、文系、医療系の三分野にまたがるプログラムを新たに開始したとお聞きしました。引き続きこうした学際的な取組に積極的にチャレンジしていただきたいと思います。
 シニア層の教育についてお伺いします。
 超高齢社会に入りまして、人生百年時代における都民のクオリティー・オブ・ライフの向上が求められております。
 シニア層の学び直しのニーズは今後一層高まることが予想されます。このような学びのニーズの多様化に、大学として対応していくとともに、社会からのニーズに応える人づくりの重要な取組ではないかと考えます。
 こうした中、都立大では、シニア層向けにプレミアム・カレッジを平成三十一年から開講しておりますけれども、シニア層と一口にいっても、現役時代のキャリアをはじめ、これまで歩んできた人生も様々であり、何をどこまで学びたいのか、こうしたニーズも一つにはくくれません。
 そこで、カレッジではこうしたシニア層の学びのニーズに対応するため、どのような取組を行っているのか、答弁をお願いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、シニア層を対象に大学での新しい学びを提供するプレミアム・カレッジを平成三十一年度から開講しております。
 昨年度は四十九名の方をお迎えいたしまして、専任教員などによる東京の歴史や経済、あるいは文化のほか、美術や宇宙など、非常に多岐にわたる講義を提供いたしますとともに、本人の意欲があれば、意向に応じて学部生向けの授業にも参加をしていただいております。
 また、年度末には学びの集大成といたしまして、研究活動の成果を公開でプレゼンするというオンライン発表会も開催しております。
 また、おととしの本科修了生が引き続き学び続けられる専攻科、こちらを新たに開講いたしまして、三十六名の方は担当教員からもきめ細かいサポートを受けつつ、前年に引き続いてより専門的な研究に取り組みました。
 また、今年度からは、腰を据えて研究を続けたいというカレッジ生からの要望がありますことから、さらに最大二年間の研究生コースというものも開始しております。

○慶野委員 ありがとうございます。学びをどんどん続けていきたくなるという、これ教育のプログラムもいいのでしょうけれども、シニアが生涯学習、ずっと学び続けていくという、こうした中で人間の脳の活性化、健康につながっていくというふうに考えます。
 私の近所の八十を過ぎる方と懇談したときに、ある大学の単科ですけれども、通信教育で学んでいると。年に一回スクーリングがあって、そこで新たな出会いがあったり、学び続けている間は私は青年よと、こんなふうにおっしゃっている姿を見て、本当に意欲を持って生きているというのはすばらしいことだなというふうに思いました。
 東京都の公立大学法人では、時代の変遷を的確に捉えた教育活動を展開してきたことが、今の片山部長のご答弁でよく分かりました。
 東京の持続的な発展を支えるのは、一人一人の持つ知識やスキルであり、まさに国づくりは人づくり、ここから始めなければなりません。これからの時代、社会は目まぐるしく変化を続けていく中で、二大学一高専はその動きをしっかり捉えて人材育成に取り組んでいくことが今まで以上にさらに求められてくる、使命はどんどん大きくなっていくというふうに思います。
 令和五年度から始まる法人の新たな中期目標の策定に向けて検討しているところというふうに伺っております。時代や社会のニーズに応える人づくりを一層強化していくという考え方に立って取り組んでいっていただきたいと、このように思いますけれども、見解を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 近年は、技術革新が急速に進むなどによりまして、産業や社会経済構造そのものが激変しつつありまして、社会の求める人材像もこれに伴い常に変化している状況にございます。
 二大学一高専におきましては、こうした動きを的確に捉えまして、これまで以上に機動的に教育内容の見直しや充実に、不断に取り組んでいく必要がございます。
 次期中期目標の策定に当たりましても、こうした視点を持って、有識者のご意見なども踏まえながら鋭意検討を進めてまいります。

○慶野委員 若い高専生から、しっかりとものづくりを身につけて、そしてそれが、その技術が、東京都、国を支えていく人材となっていく。ものづくり、さらにシニアを対象にしたプレミアム・カレッジ、年配の方まで生涯学んでいける、そうした体制づくり、公立大学法人の使命はますます強いものと思います。こうして学びを中心としながら、東京都をいかに構築していくのか。そうしたことを総務局の皆さんには、これからも私は期待してまいりたいですし、応援させていただきたいと思っております。
 学生、広くシニアまで含めてになりますけれども、広く学びを求める学生に対する様々な状況における経済的な、金銭的な支援も大事。しかし、そこで学ぶことができている人たちを、いかに世の中を支えていける人材に育て上げていくか。それを二大学一高専が見事なまでに、今取り組んでいらっしゃるということに敬意を表しまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十九分休憩

   午後五時五十四分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○福手委員 私からは、東京都公立大学法人の業務実績評価について伺っていきます。
 今回の評価はコロナ禍の業務実績評価であり、今後もまだ終息の見通しがないという状況で行われています。コロナ禍で学生たちの経済的、精神的負担が大変になっている中で、優先すべき課題はやはり学生の生活と学びを支援することと思っています。このことに関して幾つか質問をいたします。
 業務実績を見ますと、令和二年度は都立大では三千万円の寄附を集めて、バイト収入が減少した学生への独自給付金など、様々な経済支援に取り組んできていました。
 そうした中、東京都は学生の状況についてどういった実態を把握していますか、伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学によりますと、大学では学生相談室や学生課、指導教員などが受けた学生生活に関する様々な声を学内関係部署と共有するとともに、相談内容を整理分析することで学生の状況把握に努めていると聞いています。
 相談内容については、友人関係の悩みなど心理面に関することや、学業の悩みなど修学に関することが多く、このほか就職、健康、生活面に関するものなどが寄せられております。
 昨年度は、心理面の相談者が減少した一方で、修学に関する相談が件数、人数ともに増加しているとのことでございます。

○福手委員 学生の状況を関係部署と共有し、把握をしているということでした。
 私も学生から聞いたところ、学生の生活実態は経済的負担増が今も継続をしています。昨年度は、一人五万円の大学独自で取り組んだ給付金は学生から大変喜ばれていました。中には授業料の減免を受けている学生が、バイト収入が五〇%以上減収の要件に当たらず給付を受けられなかったという声もありました。
 今年度は、新たにお米券を九百人を超える学生に配布する取組もありますが、先ほど学生への一人五万円の独自支援金は昨年度で打ち切り、そのほか授業料納付期限の延長や九月卒業、修了予定者で、コロナの影響で単位が取れなかった学生の後期授業料免除も昨年で終了しています。
 学生や教授、OB、OGの有志の方々が、コロナで困窮する都立大生に対して食料無料配布や生活相談のボランティア活動を定期的に行っています。七月には百名を超える学生が食料を求めて参加し、九月も七十名を超える学生が利用していて、ツイッターを見ますと、アルバイトが見つかるまでの生活が大変な人はフードパントリーを遠慮なく利用してと呼びかけられています。
 また、院生の学生が行うフードバンクでは、バイトが休業になってシフトに入れず貯金を切り崩して生活している学生や、一年生はそもそもコロナでバイトを見つけることさえできなくて、フードバンクを利用している学生もいるということでした。
 支援の継続が必要です。一人五万円の緊急支援金の給付を、法人の積立金三十六億円の一部活用などで今年度は全学生に対象を広げるなど、昨年度行ってきた支援で、今年度打ち切られた支援の継続や拡充が必要ではないでしょうか、伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、かねてより経済的に困窮している学生に対する授業料の減免などを実施してきましたほか、感染症拡大の影響を踏まえた支援も行ってまいりました。
 今後も感染の動向や学生の状況を把握しながら、適切に対応してまいります。

○福手委員 コロナ禍が長期化する下で、昨年度にも増した支援が必要です。重ねて要望しておきます。
 学生を取り巻く困難は、経済的負担増と併せて精神的負担も重くなってきています。
 大学では様々な健康支援を行ってきています。学生の居場所づくりを目的に行ったランチタイムカフェには六十三人が参加しています。また、学生相談では学生たちの精神的不調の支援を行っています。
 これらの報告には、コロナの長期化で生活リズムが崩れ、学業への不安を感じる学生が多かったとありました。外に行けなくて籠もってしまい、人と話す機会がなく精神的に疲れたと話していた都立大生は、いつもなら平気なことでもダメージを受けやすくなり、さらに家に引き籠もってしまったと私に話してくれました。そして、早く普通の生活に戻ってほしい、対面授業を望む学生は多いですというふうにも話していました。
 オンライン授業の実施については、その成果の評価だけでなく、対面授業の重要性を学生の健康支援という観点で捉えることが必要ではないでしょうか、認識を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、オンライン授業と対面授業を組み合わせたハイブリッド型の教育を既に実施しておりまして、実験や実習などの授業については対面形式で行っております。
 授業の実施の在り方については、感染拡大の防止や学修効果の確保を図るといった観点から、感染状況等を見極めつつ適宜検討してまいります。

○福手委員 学修効果の観点から、授業の実施の在り方を検討するということでした。
 学生団体FREEが今年前期に行った新型コロナウイルス感染症影響調査では、講義や実習などについて困っていることの質問で、オンライン授業では友達と助け合ったり教え合ったりすることができない、授業で相談できる相手がいないと答える学生が複数いました。授業内容とは別に、対面授業が少ないことによる影響が出ています。
 学生は、多くが学生同士のつながりの中でメンタルヘルスやバランスを保って学生生活を送っています。学生同士のつながりや、つながることができる環境があることは、人間としての生活の土台であり、勉学や研究を支えるものです。
 今回、コロナによってそれが崩れ、学生生活の質が大きく変わってしまった状況の中にいます。健康支援の観点で授業の在り方をぜひ検討していただきたいと思います。
 今年の七月の都立大のコロナの感染者三十三人中二十七人、八月は四十九人中四十七人が自宅療養となっていて、その中の療養中の学生から先ほどの食料無料配布のボランティアに食料配布の要請が来たと、それがツイートで流れていました。それはその後、療養学生の求めにボランティアが対応できていて、本当によかったと思いました。
 また、別の学生は、軽症ではあったけれども、髪の毛が抜けたりして、一人暮らしで精神的にしんどかったという声も聞きました。学生で若くても急変するのがデルタ株の怖さです。
 自宅療養中、特に一人暮らしの学生に対して、都は大学と協力して状況把握と必要な対応を迅速に取ることが必要だったのではないですか。認識を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症により自宅で療養している患者のフォローアップや生活支援は、管轄の都道府県衛生部局や保健所等が実施するものと承知はしておりますが、都立大としても感染拡大の防止や学生に対する学修上の配慮を図る観点から、陽性者となった学生の協力を得て、症状、療養状況、要望事項など、一人一人の状況の把握に努めていると聞いております。

○福手委員 今後も陽性となり自宅で療養となる学生が出るかもしれません。そうしたときに、状況の把握だけではなく、生活や療養に必要な支援も行うよう求めます。
 今回、都立大学の大ホールをワクチンの大規模接種会場として貸出しをしています。大学でのワクチン接種は、学生や職員、警備や清掃などに従事される方々に対象を広げてワクチン接種を進めてきた大学の取組がありました。重要だと思います。
 大ホールがワクチン接種会場になっている関係で、各サークルは小ホールなど、ほかの施設を利用するため競争率が高くなったという声が寄せられました。コロナで練習ができず、さらに冬の大会に向けて練習ができない。学外施設を借りるにも機材の運送にお金がかかるという状況です。
 ワクチン接種会場を提供していることにより学生のサークル活動などに影響が及ぶ場合は、その解消が必要です。対応を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 ワクチン接種会場となっている南大沢キャンパスの講堂大ホールは、大学祭の時期を外すなど、学生に及ぶ影響は最小限で済む日程で利用しておりまして、課外活動団体には使用期間をあらかじめ周知もしております。
 なお、講堂小ホールや学内のスタジオは利用可能でございまして、例年大ホールを使用している音楽系、ダンス系のサークルなどは、こうした施設を利用して活動を継続していると聞いております。

○福手委員 利用可能な施設に予約するサークルが集中して練習場所が確保できないという声でしたので、ぜひ何らかの対応をしていただきたいと思います。
 次は、検査について質問をします。
 私が話を聞きました学生は、バイト先で陽性者が出てPCR検査を自費で受けたといっていました。周りの学生も実家に帰省する前に検査を受けた学生が多くいたようです。状況は様々ですが、学生の間では、PCR検査の費用が高いので、本当に陽性だったらまずいというときに検査を受けるという人が多いといっていました。
 これから第六波を起こさないための対策として、学生が検査をいつでも、何度でも無料で受けられるような手だてを取ることが求められているのではないでしょうか。見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、都と連携いたしまして、学生や教職員を対象に無償でモニタリング検査を実施する取組を進めてきております。
 感染の早期発見、拡大防止につなげていくため、引き続き都と緊密に連携を図りながら効果的な手だてを講じていくこととしております。

○福手委員 ご答弁いただいたように、早期発見、拡大防止につなげるということが重要です。そして、検査は定期的に、頻回に受けられることが必要です。対面での授業の保障にもつながります。ぜひ都で検査の拡充を行う手だてを取るよう要望します。
 次に、都立大学の外部資金研究費の獲得について質問します。
 外部資金獲得は、法人財政の安定性、自立性確保、大学の研究活動の維持向上を図る上で不可欠であり、資金獲得額が令和元年度大きく落ち込んだまま横ばいになっていて、目標達成に向けた取組の強化が指摘されています。
 お聞きしたところでは、都連携の研究の依頼が減ってきたとのことですが、大規模な資金獲得に苦労されている原因は何でしょうか、伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 大型外部資金の多くは、科学研究費補助金など、国の競争的研究資金でございます。
 採択件数は微増傾向にあるものの、複数の大型の長期研究が期間満了となった影響などにより、外部資金獲得額の総額が伸びていない状況にございます。

○福手委員 東京都は、未来の東京戦略で、東京を世界で最もビジネスしやすい都市、稼ぐ東京へと進化させることを目的に、都立大学をノーベル賞クラスの研究推進、世界中から注目される大学へ、こういうニーズに応えた研究への支援だけでは不十分ではないかと思います。基礎研究が必要と思います。基礎研究の重要性について認識を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大学が策定した二〇三〇年の将来像を示したビジョンでは、基礎研究に関する記載として、基礎研究を多彩に展開して、独創的な研究成果を東京から世界に発信することを本学の責務と考え、長期的な視野に立った挑戦的な課題に恐れずに立ち向かうことができる態勢を構築しますとあり、多彩な基礎研究と社会と協創する応用研究をともに推進していくこととしております。

○福手委員 コロナパンデミックを経験し、医療も学問も何でも市場原理に乗せて、もうかるかもうからないかで判断するような在り方では、持続可能な社会はつくれないことが多くの国民の共通の認識となりました。
 今でも、優れた研究を行っている研究者が都立大学にはたくさんいらっしゃいます。自治体などとの共同で実施する研究では、すぐに成果が出ないものも多い中、現場に頻繁に通わなくてはならないなど、大学での講義と両方やりながらは非常に大変という声を聞きました。
 すぐ成果が出ない側面がある基礎研究は、科研費の支援が受けにくい実態があります。パソコンも紙代も全て外部資金の獲得をしなければならない、基礎研究にもっとお金をつけてほしいという声が出ています。そのために、運営費交付金の増額が必要ではないでしょうか、伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 お尋ねの運営費交付金でございますけれども、これは大学における基礎研究のみならず、法人の諸活動の一般財源として交付しているものでございまして、法人の定める中期計画などに基づき、毎年度、予算措置を講じた上で計画的に支出しているものでございます。
 大学の研究については、都の中期目標において、長期的な視点から基礎研究を深化、発展させるとともに、大都市課題の解決に向けた応用研究に分野横断的に取り組むとされておりまして、この考え方に基づき、大学の取組を後押ししてまいります。

○福手委員 基礎研究への支援に力を入れていただくよう求めたいと思います。
 そして、東京都は、都立大学に稼ぐ東京のための研究に力を入れていますが、連携するなら、コロナ禍を経験し、より一層都民の生活向上に寄与する社会問題解決のための事業をぜひ都立大学と連携してやってほしいと思います。
 最後に、産技高専の女子学生支援について伺います。
 今回の年度評価で唯一、一の評価がついたのが産技高専の女子の受験生と入学生が過去最多となったことです。受験生サイトでの反応も大きかったとあり、私もOG訪問や対談を拝見しました。これは女子学生にも意見を聞いてつくったということですが、とてもいいものがつくられていて、すばらしい取組だと思いました。
 私が特にいいなと思ったのは、女性エンジニアとしてキャリアを積んでいく上で性別は関係ない、女性が得意とされていることも生かされる業種だと学生さんに語り、そして長くキャリアを積むためのアドバイスをしていた部分です。本当に自分が理系でやっていけるのかという心配に、ロールモデルとして語りかけるこれらの言葉は、女子学生に勇気を与え、励ますものになったのではないかと思いました。
 エンジニアを目指す女性がさらに増えていくことを目指す上で重要なのは、数を増やすことだけに注目し評価するのではなく、女性が研究の中に存在することが、科学や技術の発展に不可欠であるという目的の位置づけが重要だと思いますが、認識を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 誰もが活躍できる社会の実現という目的に向けて、技術者の分野でも女性の活躍を推進していくことが重要でございます。
 産技高専が優秀な女性技術者の育成を進めていくことは、これに資するものでございます。

○福手委員 科学技術分野での女性活躍推進も求められる理由ですが、それ以外で強調したいのは、多様性が科学技術の向上の重要な要因であるということです。この部分をしっかりと押さえて、その上で、根強く残るジェンダーギャップの解消を目指し、理系選択は男性が得意といった社会環境によるバイアスを取り除き、男女が共に科学技術の分野で活躍できるという事実を伝えていく努力が必要だと思います。ぜひ取組を強めていただきたいと思います。
 東京都は、九月から都立学校の女子トイレに無料の生理用品を置くことにしましたが、都立大学や産技高専などにも、無料の生理用品を配置することが必要ですが、いかがですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大などにおいては、十月からの秋学期の開始に伴い、学生に生理用品を無料で提供する取組を既に順次展開していると聞いております。

○福手委員 順次展開しているというご答弁でした。女子学生が増えたということで、学校評価をしていますから、ぜひ生理用品の設置を全ての法人施設にしていただくことと、その支援を東京都にも求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○西崎委員 私の方からは、大きく二点について伺ってまいります。
 まず初めに、内部統制評価報告書について質問させていただきます。
 こちらですけれども、昨年一月に内部統制基本方針を策定した後、二〇二〇年度、昨年度が初年度となりまして、今回初の評価報告書、これが都議会に提出され、都民に公表されるということに至ったわけでございますけれども、こうした類いのものにつきましては、当然、考え方としては重大な誤りを防いでいくという観点、コンプライアンス上からも非常に重要であるという一方で、業務が煩雑になるというおそれも常について回るものかと思います。
 そこで、まず伺いますけれども、初年度運用をされたということですが、現場に過度の負担がかかっていないのか伺います。

○貫井理事 業務の遂行に当たって、誤りを防止することや是正、再発防止を図ることは、全ての職員において本来的に求められるものでございます。
 内部統制の取組においては過度な統制を避けるため、財務に関する事務について全ての誤りを対象とするのではなく、優先して防ぐべき事務処理の誤りに絞って実施しております。また、各所属において事務処理の誤りを把握した際には、各課が直接コンプライアンス推進部に報告する仕組みとすることで、中間段階での集約業務を省き、事務負担を軽減しております。
 このように、各所属に過度の負担がかからないよう、取組を工夫して推進しております。

○西崎委員 ありがとうございます。様々負担が過度にならないよう工夫して取り組んできたということでございました。
 そうすると、これをまず初年度運用してみて、現時点でこの方針であるとか、ないしは推進要綱、こういったものを見直す必要性があると考えているのかどうか伺います。

○貫井理事 東京都内部統制基本方針は、内部統制の目的、対象事務等の基本的な事項を規定してございます。内部統制推進要綱は基本方針に基づき、規程等の整備、優先して防ぐべき事務処理の誤り等、内部統制の推進に必要な事項を規定しております。
 内部統制の取組においては、職員一人一人に対して優先して防ぐべき事務処理の誤りを発生させないよう留意して、事務の適正な管理、執行を日々励行するという意識づけの浸透を図ってきているところでございまして、引き続き、現行の仕組みの中で取組を着実に推進してまいります。

○西崎委員 現状では見直す必要性がないと。つまり、最初に伺いましたけれども、懸念をしているような過度の負担であるとか、そうしたものがないように、ある意味で順調に運用できている状況であるということを認識させていただきました。
 考え方としては、非常に大事である一方で、やはりまた何か事務が増えるのかみたいな、そういった現場の声も上がってき得ることでありますから、懸念をしていたわけでありますけれども、引き続き、これに関しましては行政の信頼確保と、そしてまた現場の円滑な事務執行のバランスに留意をして、運用をしていただきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 次に、公立大学法人の業務実績評価書について伺ってまいります。
 ここでは、都立大学に焦点を当てて伺ってまいります。
 本日も先ほど来、議論がありますけれども、私もいわゆる都立大学における研究と、そしてまた、都政の連携というものは非常に重要だと思っておりますし、これまでの取組も拝見をさせていただきまして、さらなる期待をするものでありますけれども、ここで伺いたいのは、そうした都政との連携も含めて、都立大学の研究の質をさらに上げていくという観点からすると、やはりさきの委員も指摘をされておりましたけれども、多様性の確保ということが非常に大事であるかと思います。
 中期目標のうち、都立大学の研究実施体制等に関する目標について、これを読みますと、女性研究者や障害のある研究者、外国人研究者等を含め、全ての構成員が、多様性を尊重しながら安心して研究に取り組めるように、ソフト、ハード両面における研究環境を整備するとありますけれども、では、こうした多様性を実現するために、どのような措置を行ってきたのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学では、障害の有無や性別、国籍を問わず、多様な研究者が安心して研究に取り組めるよう、制度面、施設面における環境整備を図っていくこととしております。
 一例を挙げますと、女性研究者に対しては、一時保育施設の運営や育児、介護等の事情のある教員に対する経費支援の仕組みなどを通じまして、研究活動と家庭との両立をサポートいたしますほか、女性研究者のみが参加するメーリングリストを運用しておりまして、情報交換や交流を図っております。
 また、障害のある研究者に向けては、誰でもトイレの整備のほか、バリアフリーマップや言葉の地図などにより、学内移動をサポートしております。
 さらに、外国人研究者に対してでございますが、来日前後の公的機関などへの諸手続のサポートですとか、学内掲示物等の多言語化などの支援を実施しているところでございます。

○西崎委員 ありがとうございます。様々な面の例示をいただきました。ここでは、ジェンダー平等の推進というところについて少し伺ってまいりたいんですが、今のご答弁にも含まれておりましたけれども、ダイバーシティ推進室のページを私も拝見いたしましたけれども、今おっしゃったようなものを含めて、多岐にわたる支援体制というものが備えられていることが分かりました。
 その中に専門相談、特にライフ・ワーク・バランス専門相談というものについて、二〇二〇年度は二件の相談があり、悩み解決につながったということで報告をされているわけでありまして、このこと自体はすばらしい、よいことだと思いますけれども、これに関しては、ライフ・ワーク・バランスについて、そうした課題を発生させる環境そのものを改善していく必要があると考えます。
 こうした事情に鑑みて、個々が抱える課題、実際に相談が寄せられているということでありますけれども、そうしたものを全体の環境見直しにフィードバックをさせていくといった仕組みがあるのかどうか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 相談対応につきましてでございますが、相談者である研究者一人一人の事情に合わせて個別対応を行っております。その内容には、個人の私生活に関わるセンシティブな情報が含まれておりまして、個別の相談案件から全学的な対応に直接つなげていく際には、こうした点を十分に配慮する必要がございます。
 このことから都立大では、全学的な研究環境の改善を進めていくに当たりましては、研究者から寄せられるこうした相談の傾向などのほかに、適宜アンケート調査などを実施し、学内のニーズを幅広く把握することとしております。

○西崎委員 今、配慮の必要性ということもお示しをいただいたところであります。おっしゃるとおり、個人情報に関わるような部分というのも専門相談にはあるでしょうから、取扱いは慎重にしなければならないということは分かりますし、あわせて、今、様々な環境改善のための取組というものもご答弁をいただいたところでございます。
 そうした様々な支援制度に関しまして、引き続き伺ってまいりますけれども、ライフ・ワーク・バランス実現のための研究支援制度、これは最初のご答弁の中に入っているんですかね、ちょっと分かりませんが、この制度は妊娠、出産、育児、介護に関わる研究者に対して、リサーチアシスタントや臨時職員、ティーチングアシスタントの雇用というものを支援する制度でありますけれども、これ二〇一四年度からは性別にかかわらず利用できる制度となっておりまして、非常にすばらしい取組だと思っております。
 実際、この制度がどれぐらい使われてきたのかなというところで、直近三年間の利用実績を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 お話の制度でございますが、これは出産、育児、介護のために、十分な研究時間を確保できない研究者に対して、研究や教育を支援する臨時職員等の雇用経費を措置するものでございます。
 利用実績でございますが、平成三十年度は男性十三名、女性十六名の計二十九名、令和元年度は男性十四名、女性十七名の計三十一名、令和二年度は男性十三名、女性十五名の計二十八名でございます。

○西崎委員 ありがとうございます。想像以上に男性の利用も多いということで、非常に好意的に受け止めさせていただきました。
 こうしたライフ・ワーク・バランスの推進ということにつきましては、ある種時限的な支援だけではなくて、やはり恒常的な環境整備というものが非常に重要であると思います。
 そこで、二〇一八年にダイバーシティ推進室が実施したライフ・ワーク・バランスに関するニーズ調査の結果を見ますと、在宅勤務やテレワークの導入、時短勤務やフレックスタイムの導入、残業の免除や祝日授業の廃止などなど、日常的な働き方の見直しに関するニーズが高いということがうかがえます。
 これらの課題について、これまでどう対応されてきたのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、お話のニーズ調査の結果などを踏まえまして、昨年度から、それまで試行中としていました職員の在宅勤務制度を本格実施に移行しますとともに、勤務時間帯の設定を多様化するなど、職員の柔軟な働き方につなげてまいりました。
 また、法人全体としても、かねてより二大学一高専が参画するプロジェクトチームにおきまして、働き方改革の推進に向けた様々な検討を進めております。例えば、学内会議などにおける積極的なオンライン方式の活用など、業務効率化に向け、全学的に取り組んでいるところでございます。

○西崎委員 様々、今進めてきているということで、特にコロナ禍ということもございましたので、それも一つのきっかけとして、これまでの取組がさらに加速をしているというものと受け止めさせていただきました。
 最後に伺いたいんですけれども、そうした様々な取組を今まで進められている中で、女性教員の比率ですね。女性教員数の割合というものは、既に二〇一八年に、現状目標とされている二〇%を上回っているということでありますけれども、その後は横ばいになっているということでございます。
 確かに、この目標は達成をされているというところでありますが、近年のそうした様々な状況に鑑みても、さらなる推進が必要ではないかと思いますけれども、どのようにお考えになっているか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 女性教員の確保、育成は、大学がダイバーシティを推進し、多様な視点を研究や教育に取り入れていく上で重要でございます。これまでも、先ほど答弁差し上げた一時保育施設の開設、あるいはライフ・ワーク・バランス実現のための研究支援制度の充実のほか、女性教員等のロールモデル集の作成などの取組を進めてきております。
 女性教員のさらなる確保や定着に向けまして、今後とも積極的な情報発信や研究環境の整備に着実に取り組んでまいります。

○西崎委員 ありがとうございます。現状、目標は達成しているということでありますけれども、やはりこれは、まだまだ全体的にいえば、さらに目指すべきところがあると私も考えております。その一方で、これまでの取組は、かなり進められているということも理解をさせていただきました。
 冒頭に申し上げたように、研究の質を高めていくということは、多様な方が多様な背景を持って研究を進めていくという、そうしたことによって質が高まっていく一つの要因であるというふうに考えておりますので、これまでの取組がさらに加速をしていくということを期待いたしまして、質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

○森澤委員 最後の質問になります。よろしくお願いします。
 私からも、令和二年度東京都公立大学法人業務実績評価についてお伺いをいたします。
 まず、都立大学についてお伺いいたします。
 都立大学では、オンライン授業を迅速に開始し、オンライン形式に適した授業を展開するなど工夫をしたというふうにありますけれども、どのような工夫をし、双方向など学生が満足できるような授業内容が展開されたのか。また、先ほど来ありますけれども、コロナ禍においては、オンラインだけでなく、対面による交流などを通じての学びもできるだけ確保することも学生の成長のために重要であると考えますが、これまでどのように取り組み、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 昨年度、東京都立大学では、四月から休講としていました授業を、翌月にはオンライン形式により再開をしております。それぞれの授業では、講義内容をプレゼン資料の形に分かりやすくまとめる、チャットで学生からの質問を受け付けるなど、様々な工夫を行ったと聞いております。
 学生を対象としたアンケートでも、約七割からオンライン授業に満足との回答を得ております。また、後期からは、一部の授業につきましては感染対策を徹底した上で対面で行っておりまして、引き続き効果的に取組を進めてまいります。

○森澤委員 工夫をしたことで、七割の学生がオンライン授業に満足だったということですが、ぜひ今後においても、できる限り、やはり学生の対面、交流による学び、成長の機会の確保も努めていただきたいと思います。
 コロナ禍で、オンライン授業が続く中で、自宅から出ない、友達との交流がないなどの中、鬱や不安、希死念慮などに至るケースが増えたという調査もあります。学生のメンタルヘルス支援が重要だと考えますが、見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、これまでも学生が抱えている様々な不安や悩みを、専門の心理カウンセラーが丁寧に受け止め、助言を行うメンタルヘルスケアを行っております。この相談は、対面や電話、メールといった、これまでの方法に加えまして、自宅にいても詳細なやり取りができるように、昨年度からは新たにオンラインでも行っております。
 また、入学以来、同級生との交流機会が限られていた一年生に関しましては、例えばですが、都立大七不思議といった学生の興味を引くようなテーマのグループワークを開催いたしまして、友人づくりのきっかけを提供したと聞いております。
 こうした学生の状況を踏まえたきめ細かい対応が重要であることから、引き続き適切な支援に努めてまいります。

○森澤委員 一年生、友人ができないというのは、すごく大きな課題だというふうに聞いておりますので、そういうきっかけを大学側からつくっていくことはすごく大事だと思いますし、メンタル不調というのは長引く場合もありますので、引き続ききめ細かい適切な支援を行っていただきたいと思います。
 次に、都立大学のシンクタンク機能の話ですけれども、先ほど来お話ありましたので、割愛をさせていただきますが、やはり各局が持つ研究ニーズと大学が提供できるリソースをきめ細かくマッチングしていくこと、連携強化を期待したいと思います。
 シンクタンク機能の発揮の中で、二〇三〇年までのCO2排出量の半減、カーボンハーフの実現には、ビジネス、市民生活、都市づくりなど、あらゆる分野の社会経済構造を脱炭素化型に移行する再構築、再設計が必要とも示しています。
 そういった中で、やはり都立大学のシンクタンク機能ということを期待したいんですけれども、気候変動に対応するグリーンな都市東京を実現するためには、都立大学の持つ知見を生かしていくことも重要だと思いますが、その見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大学は、都が設立した総合大学として、都政をアカデミズムの立場から支えるシンクタンク機能を果たしていくことが重要でございます。
 気候変動対策分野においても、現在、アジア諸国をリードする気候研究や水素社会の実現に向けた研究などに各研究者が意欲的に取り組んでおり、引き続き、こうした大都市課題の解決につながる研究を重点的に進めてまいります。

○森澤委員 さきのノーベル賞でも気候変動分野の研究ということで受賞がありましたので、ぜひ強化をしていただきたいというふうに思います。また、環境局等の連携も進めていただきたいと思います。
 社会課題の解決や東京の競争力向上のため、都内の企業と連携していくことも重要だと思いますけれども、取組についてお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、産学公連携センターというものを設置いたしまして、企業と研究者との橋渡しを行うコーディネーターが中心となり、民間の技術ニーズの収集ですとか、研究成果の発信などに取り組んでおります。これにより、共同研究の組成などにつなげていくこととしております。
 昨年度は、オンラインの産学連携展示会に出展をいたしましたほか、地域の金融機関と連携して、技術相談会の開催や起業に関する出前講座などに取り組みました。引き続き企業との連携を積極的に図ってまいります。

○森澤委員 コーディネーターが中心となって、そういったことを行っているということで、引き続きうまくマッチングをして、都内企業の競争力向上の後押しをしていただきたいと思います。
 未来の東京戦略には、新生東京都立大学プロジェクトとして、都立大学を高度な人材を育成、輩出し、世界的な課題を解決するための新しい知を生み出す大学へ進化させるとあります。THE世界大学ランキング二〇二二では、日本の大学のうち、公立大学の中では横浜市立大学に次ぐ二番目にランクインしておりました。六百一位から八百位の間ということなんですが、ランキングは指標によって様々な見方があるため、あくまでも参考にするということであってよいと思いますけれども、世界的に大学のポジションや知名度を上げていくことで、より多くの優秀な学生や教員、研究者が集まる循環が生まれると考えます。
 そのためには、どっちが先かというのはあるんですが、国際的に注目されるような研究で名を上げるということに尽きるのだと思いますが、その実現に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、国際的なプレゼンスを高めていくために、研究力のさらなる強化に取り組んでおります。昨年度は、有望な若手研究者を対象とした研究費の支援制度ですとか、海外研究機構等への派遣制度を立ち上げまして、支援対象者等を決定したところでございます。また、あわせて、世界トップレベルの研究者を招聘するための仕組みや研究環境等の整備も進めております。
 今後、こうした取組をさらに進め、研究活動の活性化を図ることを通じて、有為な人材を引きつける大学を目指してまいります。

○森澤委員 ぜひ期待したいと思います。
 さきのノーベル賞の真鍋淑郎さんは、アメリカ国籍を取得し、研究を続けてきたということが注目されまして、これは日本がどういう環境を用意できるのか、そういったことも含めて日本全体が見直さなくてはいけない、都立大学の問題だけではないんですが、考え直さなくてはいけないなというふうに思ったんですが、都はノーベル賞受賞者が出ることを戦略に描いています。
 安定して研究が続けられる研究環境を整備するには、基本的な予算というものも必要なわけでして、引き続き、その資金等をどう得ていくのかも知恵を絞っていただきたいと思います。
 次に、産業技術大学院大学についてお伺いをいたします。
 専門職大学院である東京都立産業技術大学院大学は、PBL、プロジェクト・ベースド・ラーニングという言葉が日本に浸透する前からPBL教育を行っていたり、コロナ前から仕事をしながらでも通いやすいように、ハイブリッド授業、オンラインと対面、実際、私、今回キャンパスを見させていただきましたが、大きな画面を置いて、オンラインでも、対面の、そこに対面の人たちのパソコンも並んでいてということで、ハイブリッド授業がちゃんと定着しているということで、そういった環境が整っていたり、民間のニーズを把握するために、年に数回の民間企業の担当との会議を開き、プロジェクト・ベースド・ラーニングのテーマを開発するなど、様々な先駆的な取組を行ってきたと認識しています。
 今では、文科省において、専門職大学院では必須になったという産業界のニーズや意見を取り込む運営諮問会議というのは、社会のニーズに合わせた実践的な教育を行う上でとても大事な仕組みだと考えますが、具体的にはどのように民間企業のニーズを反映した教育になっているのかお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 運営諮問会議でございますが、こちらは東京都立産業技術大学院大学が産業界のニーズを把握し、教育内容に反映させるとともに、産学の連携や効果的な教育研究を推進するために、現役の企業経営者などを委員として参加していただいています会議でございます。
 これまで産技大は、この会議において頂戴した産業界からの様々な意見やニーズを踏まえまして、大学の運営や教育研究の方針の見直しなどに取り組んでまいりました。
 昨年度新設いたしました事業設計工学コースというカリキュラムも、新規事業の開発や起業、創業を担う人材を育成すべきとのご提言を踏まえて創設したものでございます。

○森澤委員 民間のニーズを踏まえて新たなカリキュラムが実現したということで、今後もそういったニーズを踏まえたカリキュラムであるとか運営を期待したいと思います。
 さて、学校が所在している品川区との連携協力に関する包括協定に基づき、品川区と連携した区内事業者への支援が行われているということですが、令和二年度は一件ということでした。二〇一八年の協定によると、産業振興、教育文化、保健医療、福祉、防災及びまちづくりの政策等で包括的な連携を約し、品川区における地域社会の課題解決及び産業技術大学院大学の教育研究機能の向上を図り、もって地域社会の発展に寄与することを目指すとあります。
 ぜひ産業技術大学院大学が持つ知見について、品川区の課題解決につなげるべく、取組を強化いただきたいと思いますが、見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技大では、地元の品川区と協定を結びまして、大学の有する研究リソース等を活用して地域社会の課題解決に貢献する取組を実施しております。
 昨年度は、本協定に基づく取組といたしまして、コロナ禍の下ではありましたが、お話の技術相談に対する相談員の派遣に加えまして、区役所の若手職員を対象とした企画立案力を高めるための研修や、区との共催による中小企業向けセミナーなどを実施いたしました。今後も地域社会の一員として地元品川区と連携して取組を進めてまいります。

○森澤委員 区役所の職員を対象とした企画立案能力を高める研修とかもとても大事だと思います。品川区側ももっと連携を意識する必要があるのかもしれませんけれども、ぜひ、具体的な社会課題を解決に導くような事例をつくっていただきたいと期待したいと思います。
 大学院大学は、シニア起業のための高度人材養成プログラム、AIITシニアスタートアッププログラムを実施されています。まだ数年ということで、創業につながった事例は少ないということですが、今後、シニアの実際の起業につながるよう、プログラム中、そして、その後もフォローアップをしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 会社を起業するためには、経営に関する知識やスキルを学ぶほかにも、事業プランの練り上げや資金の確保など様々な課題を乗り越えていくことが必要でございます。
 そのため、産技大では、シニアスタートアッププログラムにおいて、東京都中小企業振興公社や品川区の産業振興部門から講師を招きまして、地域における創業支援施策等について学ぶ機会を設けるなどしているほか、受講生や修了生のニーズに応じまして、公社等の担当者への橋渡しなども行っております。
 こうした公的支援策なども効果的に活用しながら、起業、創業を目指せるよう、受講生、修了生を的確にサポートしてまいります。

○森澤委員 人生百年時代において、シニアの起業を推進していくことはとても大事だと思いますし、シニアのニーズを解決する起業というのが、ここから出てくることを期待したいというふうに思います。
 次に、産業技術高等専門学校について伺います。
 進学する方もいますけれども、就職先も名立たるところに就職されているというのも拝見しました。Society五・〇を支える実践的な技術人材を養成しているすばらしい学校だと、こちらもキャンパスを拝見させていただきましたが、感じました。
 一方で、志願者数が令和二年度と比べて大きく減少し、志願倍率が二倍を下回る結果ということで、これはコロナ禍で合同説明会などに参加できなかったことが寄与していて、今年度はまた回復する見込みということですけれども、この時代に合わせた社会的ニーズの高い人材を育てる高専と  いう存在、全国で五十八校で、都内は私立と国立で三校ということだったので、なかなかやっぱり知られていない部分も多いのではないかなと思います。
 進学の意義を知ってもらい、中学生や保護者に幅広く知ってもらう取組がより一層必要だと考えますが、見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立産業技術高等専門学校では、昨年度、例年実施しておりました学校説明会などの開催が困難となる中、都立高校のオンライン合同説明会に参加したほか、受検生向けの特設サイト、こちらを新たに開設いたしまして、本科各コースの学修内容、就職先の紹介、動画によるキャンパスツアーなど、高専に関する様々な情報を発信いたしました。
 また、高専の特色であります実習形式の学びの楽しさを体験する勉強会や、小型ロボットの製作などを実際に行ってみるという、小学生からも参加可能な公開講座を実施したところでございます。
 今後も、高専の魅力をPRするために、実技中心の授業の面白さや、技術が身につき、安定した求人もあるなどのメリットを受験生や保護者に効果的に訴求してまいります。

○森澤委員 引き続き、様々な場面でのアピールをしていただきたいというふうに思います。
 産業界や社会のニーズに応え、AIスマート工学コースや情報システム工学コースに加えて、次世代の医療機器開発を担う技術者を育成する医工連携教育研究プロジェクトの開設をしたということです。
 時代に合わせたコースの再編やプロジェクトの設置においては、通常の学校以上に教員の指導力や技術のアップデートが重要であると考えます。品川キャンパスで見させていただいた実習の場でも、かなり、企業が使っている最新の設備を随時導入していて、先生たちもそこの技術をアップデートしているというようなお話があったのですが、民間企業の最新の動向などを取り入れるための教員の研修等の充実にはどのように取り組んでいるのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、産業界のニーズに応える新しいものづくりを牽引する人材を育成するために、最新の知識や技術のトレンドを押さえつつ、質の高い教育を行うことができる教員の確保や能力向上に取り組んでおります。
 具体的には、昨年度、AI、IoTなどの技術に精通した研究者や、高度な計測機器の開発に携わってきた技術者を新たに採用いたしましたほか、情報セキュリティの関連団体が提供するエンジニア向けの研修プログラムに教員を参加させ、最前線の知識、技術などの習得を図る取組を実施いたしました。

○森澤委員 先ほども言及がありましたけれども、女子学生向けの広報活動に注力した結果、女子の合格者が過去最高になったということです。OECD諸国と比較しても、最も低い日本の理系女性の比率を上げていくことは、ジェンダー平等を踏まえたSociety五・〇の社会を実現するにも大事だと思います。
 今後、さらに入学者の割合を増やしていくために、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、女子学生の受検の促進を図るために、女性の目線に立ったQ&Aなどを盛り込んだ女子学生向けのパンフレットや、女子在校生や卒業生のインタビュー記事などを作成して配信いたしますとともに、SNSも活用して広報を行っております。
 また、学校説明会では、女子受検生の専用ブースを設けまして、女性の教員や在校生が来場者の疑問や不安に丁寧に対応をいたしました。
 今後も女性目線に立った様々な配慮や工夫によりまして、女子受検生に対するPRを行ってまいります。

○森澤委員 日本の理系女性を増やしていく一助となるべく取り組んでいただきたいと思います。産業技術大学院大学、産業技術高等専門学校、ぜひ、より認知度を上げていただいて、本当にこれからの時代、社会のニーズに合った教育をされているというふうに拝見をいたしました。東京のみならず、日本の技術力、産業力を支えていく、飛躍させていく力強い人材を育成いただくことを期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時五十三分散会

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