委員長 | 神林 茂君 |
副委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 藤井あきら君 |
理事 | 白戸 太朗君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 木村 基成君 |
山内れい子君 | |
細田いさむ君 | |
清水やすこ君 | |
米倉 春奈君 | |
木下ふみこ君 | |
原 のり子君 | |
つじの栄作君 | |
中屋 文孝君 | |
中村ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員戦略政策情報推進本部 | 本部長 | 寺崎 久明君 |
次長理事兼務 | 児玉英一郎君 | |
戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 東京テックチーム事業推進担当部長兼務 | 有金 浩一君 | |
事業調整担当部長 | 高橋 葉夏君 | |
特区推進担当部長 | 米津 雅史君 | |
国際金融都市担当部長 | 三浦 知君 | |
ICT推進部長 | 樋口 隆之君 | |
デジタルシフト推進担当部長 | 芹沢 孝明君 | |
情報企画担当部長 | 荻原 聡君 | |
情報基盤担当部長 | 沼田 文彦君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 桃原慎一郎君 |
人事委員会事務局 | 局長 | 武市 玲子君 |
任用公平部長 | 須藤 栄君 | |
審査担当部長 | 柴田 義之君 | |
試験部長 | 神山 智行君 | |
監査事務局 | 局長 | 河内 豊君 |
監査担当部長 | 山田 則人君 |
本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
報告事項(質疑)
・令和二年「職員の給与に関する報告」について
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
戦略政策情報推進本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出 戦略政策情報推進本部所管分
○神林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局、監査事務局及び戦略政策情報推進本部関係の予算の調査並びに人事委員会事務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより人事委員会事務局関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分及び報告事項、令和二年職員の給与に関する報告についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 よろしくお願いします。
先日の予算特別委員会、そして昨日の総務局人事部への私の質疑におきまして、大学生の長期インターンの提案をさせていただきました。
民間企業では、外資系企業やスタートアップ企業を中心に、長期インターンシップにより、学生と企業の相互理解を進め、採用にもつなげるような取り組みが進んでおります。
民間での長期にわたるインターンシップにおいては、アルバイト等と同様に給与が支払われていたり、都で実施するには課題もあるというところを確認しているところであります。
そこで、人事委員会ではインターンシップをどう捉えているのか、見解を伺います。
○須藤任用公平部長 都におけるインターンシップは、就業体験の機会を提供することにより、学生の職業意識の向上や都政に対する理解を深めることを目的として実施しております。
令和元年に人事委員会が行いました人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)においては、若年層人口の減少など、人材確保を取り巻く環境が一層厳しくなっていることを踏まえ、公務における有為な人材の確保に向けて、公平、公正な採用を前提にしつつ、民間等における最新の動向を研究していく必要があるとし、インターンシップの動向などについても注視していく必要があると述べたところでございます。
○藤井委員 ありがとうございます。令和元年時点の人事委員会の意見では、ちょうど採用も売り手市場ということもありまして、人材確保のための環境がかなり厳しくなっていたという状況があるかと思います。民間で活用されているインターンシップの動向などについて、注視していく必要があるとの意見をしたということであります。
このコロナ禍で採用動向というのも変わってきているかとは思いますが、学生に都庁のことを知ってもらう機会としても、また都庁が若者、学生を理解する機会としても、インターンは非常に重要であると思いますので、積極的に活用すべきであると私は考えております。
以上で質問を終わらせていただきます。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
○神林委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○木下委員 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森元会長の女性蔑視発言をきっかけに、ジェンダー平等、男女共同参画の意識がおくれた日本の恥ずかしい実態を全世界に改めて印象づけることになりました。
世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数、最新の発表数字では、日本は百五十三カ国中、百二十一位の下位を低迷しております。前年の百四十九カ国中、百十位から、さらに順位を下げています。
この指数は、経済、政治、教育、健康の四つの指標ではかられますが、日本の順位を殊さら下げている原因が、政治分野への女性の参画の指標です。
社会のルールを決める政治の場に、社会の半分を占める女性の声を届けることは極めて重要です。そのために、政治への女性の参画のハードルを下げることが必要です。
政治家一家に生まれない限り、政治の道を志し全うすることは、男性にとってももちろん大変なことですが、女性にとってはさらに高いハードルがさまざま存在します。お金、資金の問題、夫やパートナー、親族の無理解、出産、子育てとの両立、セクハラ、ストーキング被害などなど、枚挙にいとまがございません。
女性の九六%が婚姻により姓を変えているわけですが、いざ立候補し、選挙戦を戦う際、姓を変えていない場合に比べて、地域での認知度が得られず、不利に働くこと。また、仕事でのキャリアのアピールは、改名によってしにくく、仕事で通していた名前で立候補できない場合があるなど、婚姻により姓を変える場合が圧倒的に多い女性の課題となっていると思います。
また、二〇一八年、平成三十年五月に、政治分野における男女共同参画推進法が可決、成立し、女性の候補者の積極的擁立が求められることになりましたが、実質は各政党の努力義務となっていること、つまり強制力がないことが問題です。
また、最も多くの議員を輩出している歴史ある現政権与党において、選挙区にあきがない実態から、女性の候補者が立てる場所が極めて少ないことなどが原因の一つとなり、国会議員では、衆議院議員に占める女性の割合は八・一%、参議院議員では一六・一%で、世界百九十三カ国中、百六十四位と低い割合になっています。
地方議員での女性の割合は、都議会から市町村議会までありますけれども、平均すると、内閣府のホームページの数字では一一・六%、また一人も女性議員がいない地方議会の割合がまだ二割もあるということです。現職の知事でいえば、山形県の吉村知事と小池都知事のたった二名だけという状況です。
立候補のハードルに関して、昨年六月二十六日に出された第三十二次地方制度調査会の答申の中で、昨今の地方議会議員のなり手不足に対応するには、多様な層の住民がより議会に参画しやすくなるように環境を整備する必要があるとしており、とりわけ女性の議員の割合が低いことが課題として挙げられています。
このような流れを受け、二〇二〇年、昨年の七月及び九月の総務省通知で、立候補のハードルとなっていた点が緩和されることとなりました。
旧姓使用と現住所の告示について、この総務省通知を受け、通知後、最も大きな規模で都内で実施される七月の都議会議員選挙において、どう運用していくのか、東京都選管の見解をお伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 委員ご指摘の令和二年七月十七日付の総務省選挙部長通知は、第三十二次地方制度調査会の答申の趣旨を踏まえまして、選挙制度に関し、プライバシー保護の観点も加味して、立候補届の告示事項等についての取り扱いを見直したものでございます。
都選挙管理委員会では、従来、旧姓使用につきまして、それ以外の通称使用の場合と同様、戸籍簿に記載された氏名である本名にかわり、広く通用していることを確認できる資料の提出を立候補者の方に求めておりました。
今後は、この総務省通知を踏まえまして、戸籍抄本、謄本の提出のみで旧姓の通称認定を行う予定としております。
現住所の告示につきましても、従来住所の全てを告示しておりましたが、この通知を踏まえまして、本年の都議会議員選挙におきましては、住所の町、字までの記載にとどめる予定としております。
○木下委員 ありがとうございます。町、字ということで、例えばこれまで東京都新宿区西新宿二の八の一となっていたところを、これは都庁の住所でございますが、東京都新宿区西新宿までの開示でよくなるというご答弁でございました。
女性の場合、ストーカー行為を含む嫌がらせ、また小さなお子さんへの影響など、住所が正確に開示されることが立候補のハードルの一つになっていたことから、この総務省通知を受けて、運用を改善するというご答弁、評価をさせていただきます。
私は、女性議員をふやすための課題解決を行っている地方議員のグループにも所属しているのですが、そこの所属議員の方々によれば、総務省通知後の都内全域での大きな選挙となります東京都議会議員選挙でどのように運用されるか、地方の選管も注視しているとのことです。よろしくお願いいたします。
次に、通称の使用は、女性、婚姻などで姓を変えた側にとって、大変重要でございます。
当選証書での表記と受け渡しの際の読み上げはどうなっているのかお伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、平成二十四年以降に執行した選挙におきまして、当選人の方の申し出によりまして、戸籍上の氏名に加えまして、旧姓などの通称を付記した当選証書を作成いたしまして、その受け渡しの際の読み上げも通称で行うという取り組みを行っております。
直近の例でございますが、令和二年七月に執行いたしました都議会議員補欠選挙におきまして、当選人の方への当選証書の付与に当たり、通称を使用している当選人に対し、通称のみを読み上げる対応を行っております。
○木下委員 ありがとうございます。都選管では、当選時の当選証書においては、平成二十四年以来、柔軟に対応しているということが確認できました。
そこで、総務省通知を受けての運用の改善について、都内の基礎自治体への周知徹底が重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 立候補届け出時の旧姓使用や現住所告示にかかわる取り扱いの変更、また当選証書への通称付記につきましては、これまでも区市町村に対しまして、選挙管理委員会事務局長会等を通じて情報提供を行ってきたところでございます。
総務省通知の後に、初めて都内全域を通じて行われる選挙となる令和三年都議会議員選挙に向けまして、改めてその徹底を図ることといたしまして、今後行われる都内区市町村の選挙においても、都と同様の取り組みを行うよう、区市町村選管に対し助言をしてまいります。
○木下委員 ありがとうございます。
次に、当選人についてお伺いをしてまいります。
公職選挙法第百一条の三第二項の規定などで、当選人の名前と現住所の告示が義務づけられています。
先ほど、当選証書の表記や受け渡しの際の読み上げについて、通称の取り扱いを伺ってきたところでございますが、この当選人の告示の際の通称については、どのように扱っているのかお伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 公職選挙法で告示が義務づけられております当選人の氏名につきましては、都の選管の行う当選人告示におきまして、通称は記載せず、本名により告示をしてまいりました。
昨年九月十五日に発出された総務省通知では、当選人の告示について、原則として本名を記載すべきものであるが、本名を記載した上であれば、通称または旧姓を付記することもできると示されたところでございます。
今後、都が執行する選挙におきましては、この通知を踏まえまして、当選人の申し出に応じ、通称または旧姓を付記することを予定しております。
○木下委員 ありがとうございます。当選人の告示は、法律に明記されているため、総務省通知により、通称または旧姓を付記する運用となることが確認できました。この点でも一歩前進だと思います。
さて、我が会派で新型コロナ感染症対策に関する議員提案条例を検討していることが報道されると、東京都公報でネットで公開されております当選人告示が反対派の方々により悪用され、SNSなどで拡散され、告示に示されている議員の現住所に手紙が大量に送付されたり、頼んでいない品物が送りつけられたり、また人々が毎日押しかけてきたりなどの嫌がらせ行為がございました。
我が会派の伊藤ゆう議員は、ご家族ともども一時ホテルに避難せざるを得なくなるなど、大変危険な目に遭ったことは記憶に新しい事実でございます。
調べてみると、法律の規定である当選人告示は、現住所まで付記されて実施されるが、都内の区議会議員、市議会議員は、当選人告示は紙で行われていて、一定期間、役所で掲示をされますが、インターネットでの公開はないことがわかりました。
また、比例区選出の国会議員は、官報に記載されておりますが、紙で発行される官報は有料であり、閲覧はできるものの、インターネットでは一部しか無料で公開されておらず、当選人告示については、三十日を過ぎると無料公開されていないことがわかりました。
以上のことから、東京都内の議員で、インターネットで誰でも無料で手に入る形で当選人告示にて現住所が公開されているのは、選挙区選出の国会議員と都議会議員だけであることがわかりました。
ほかの道府県ではどうなっているのかということですが、全ての道府県で当選人告示を公報にて、やはり紙で行っていますけれども、インターネットで公開されている、それも五年もということであると、東京都だけであるというふうに認識しております。
東京都公報のインターネットの公開期間は、一律五年となっておりまして、現住所が明記された当選人告示も五年間公開されるというわけです。
女性議員を初めとする議員の多様性を確保する観点、また、悪用され危険が伴うことが今後も起こり得るという現状を改善していく観点、また、どの自治体の議員かで扱いに差があるという現実を踏まえると、インターネットで誰にでも無料で簡単に手に入る形で、都議会議員の現住所が五年にわたる長期間公開されている現状を改めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○桃原選挙管理委員会事務局長 公職選挙法は、選挙管理委員会が当選人の氏名及び住所を告示することを定めておりまして、都選管の告示においては、東京都告示式に倣い、原則として東京都公報により行うこととしております。
この点を、他の道府県の例を調査いたしましたところ、当選人の告示は、いずれも全て公報により告示されておりますが、これは公職という重責を担うことになる当選人がどこの誰であるか、こうしたことが特定できる情報を広く周知すべきとする公職選挙法の趣旨を踏まえたものとなっております。
一方、東京都公報は、都民への情報公開を推進する観点から、原文のまま五年間、東京都ホームページに掲載されることとなっておりまして、当選人の告示を掲載した東京都公報につきましても同様の措置がとられているところでございます。
当選人告示を掲載した東京都公報のホームページ上での公開につきましては、都民への情報公開の重要性と個人情報保護の要請とを比較衡量した上で、都民の方々の納得が得られるよう取り扱いがなされることが重要であると認識しておりまして、今後、所管局と相談しながら検討を進めてまいります。
○木下委員 ありがとうございます。情報公開ということで、東京都公報を公開していくという流れ自体を否定するものではもちろんございません。
今のご答弁の中では、所管局とご答弁にありましたのは、東京都公報のインターネット公開を所管している総務局のことというふうに認識しておりますが、ぜひともしっかりと検討を行っていただきまして、できれば今度の都議会議員選挙の当選人告示から改善していただきたいと強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○神林委員長 これより監査事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分を議題といたします。
本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○細田委員 それでは、よろしくお願いします。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、監査規模の縮小や一部監査を中止したと聞いております。
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各局事業の多くも休止、または縮小等の対応がとられる中、監査規模の縮小や一部中止はやむを得ないことだったかもしれませんけれども、監査を完全にとめてはなりません。
私も以前、江東区の監査委員を務めさせていただきましたが、監査は健全に自治体が運営されるための重要な構成要素であります。
新型コロナウイルス感染拡大はいまだ予断を許さない状況にありますが、令和三年は監査をどのように進めていくのか質問いたします。
○山田監査担当部長 令和二年監査におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止及び感染症対策に集中的に取り組む全庁的な特別体制がとられたため、四月から六月までの実地監査を休止せざるを得ませんでした。
具体的には、定例監査など法により毎年の実施が義務づけられております監査を優先し、期間の変更や実施規模の一部縮小等の対応を図ることで実施いたしました。
一方で、法で義務づけられていない財政援助団体等監査及び行政監査につきましては、実施を見送ることといたしました。
令和三年監査につきましては、新型コロナウイルスの感染状況を注視し、感染防止対策等を徹底しつつ、デジタル技術の活用などにより、監査の効率を図り、実施していく予定でございます。
○細田委員 ただいま来年度の監査を実施するに当たり、感染防止の対策の徹底や、デジタル技術の活用による効率化を図るなどのご答弁がありましたが、その具体的な内容についていかがでしょうか、答弁を求めます。
○山田監査担当部長 令和三年監査につきましては、新型コロナウイルス感染防止対策として、マスクの着用や会場内の三密回避はもちろんのこと、通常対面で実施している事業概要説明につきましては原則書面で行うなど、監査対象局の負担軽減や監査対応人数の縮減を図っております。
また、監査対象局への連絡、ヒアリング等は、積極的に電話、メール、スカイプ等を活用し、リモートによる対応に努めております。
監査の効率化につきましては、令和三年度予算案では、デジタル技術活用監査の推進に係る経費を計上してございます。
財務会計システムの改修や外部委託等を行い、これまで手作業で行っていた財務諸表上の数値のチェックや突合などを自動で一括処理できるようにすることで、監査の効率化を図ってまいります。
コロナ禍におきましても、感染防止対策や監査の効率化を進めることで、監査の質を落とすことなく、各局の事務事業が正しく効率的に運営されているのか検証し、監査の責務を果たしてまいります。
○細田委員 コロナ禍を乗り越えて、感染の拡大防止対策を行って、そして財務会計システムの改修、それらのことを取り入れて、頑張っていくということでありました。ぜひ進展を期待いたします。
そして、さきのご答弁で、まだ法で義務づけられていない財政援助団体等の監査及び行政監査について実施を見送ったということでありましたが、財政援助団体の主要な団体の中には、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会があります。
令和三年は、いよいよオリンピック・パラリンピックが開催されますが、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に関する監査についてはいかに進めていくのでしょうか、見解を求めます。
○山田監査担当部長 令和三年は、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対する監査を実施し、共同実施事業が目的や協定等に沿って適正かつ効果的に行われているか、また東京二〇二〇大会延期への対応や経費負担は適切かなど、さまざまな観点から、団体の事業運営について検証を行います。
監査に当たりましては、既に実施計画を定めておりまして、東京二〇二〇大会及び大会準備に支障がないようスケジュールを考慮しつつ、大会終了後すぐに撤去される仮設施設等については、昨年十二月から先行して現場での実地監査を実施しております。
また、組織委員会は、大会終了後、速やかに解散に向けた取り組みが進められることから、時期を逸することなく監査できるよう、令和三年から、団体の解散、清算結了までの間、必要に応じて実施してまいります。
さらに、本監査では、事務部門と技術部門が連携を図っていくことで、実効性を高めてまいります。
○細田委員 わかりました。昨年の十二月から先行して実地もしている、このような万全の体制で取り組んでいるということです。まさにオリ・パラ大会の大成功をしなくてはいけないので、閉会後の監査事務局の取り組みも速やかにやっていくということで、大変重要であります。
どうぞしっかりと実施していただきますことを要望いたしまして、またコロナの感染防止対策を徹底していただきますことを求めまして、質問を終わります。
○中村委員 それでは、監査事務局に質問します。
定例会初日の本会議での監査委員からの報告では、新型コロナウイルスの影響で実施を見送ったり、変更、一部縮小など、監査を減らしたとのことでした。
まず、通常の監査と違い、どのくらい減らしたのか伺います。
また、監査を減らすと不正や誤りなどが起こる可能性が高まるとの懸念がありますが、見解を伺います。
○山田監査担当部長 令和二年監査におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、四月から六月までの定例監査及び工事監査の実地監査を休止するとともに、一部の文書等を監査対象から外すなどの対応を行いました。
また、定例監査を延期した影響により、令和二年財政援助団体等監査及び行政監査につきましては、実施を見送りました。
これにより、令和元年監査では六百五十三カ所で実施し、百八十件の指摘及び意見要望を行いましたが、令和二年監査では四百十一カ所で実施し、百三十一件の指摘及び意見要望を行っております。
監査が対象としますのは、前年度の事業でありますため、令和二年監査の規模縮小や中止により、令和元年度に執行された各局事業について、影響は及ばないものと考えております。
○中村委員 昨年、最初の緊急事態宣言が出たころは、まだ新型コロナは未知のウイルスであって、都からも自粛を呼びかけていたので、予定どおり監査ができなかったのは仕方がないと思います。
ただ、監査の件数が減れば、それに比例して指摘や意見要望も減っているようですから、チェック機関としてコロナの感染拡大に注意しながら監査を行っていっていただきたいと思っています。
やはり、監査委員の方々が直接目を光らせて、プレッシャーを与えることで、業務への緊張感が高まり不正や誤りを防ぐことにもなりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
さて、来年度予算案には、デジタル技術活用監査の推進事業費が計上されました。新型コロナで通常の監査を行うのが難しいことに備えての事業だと思いますが、内容を伺います。
あわせて、通常の監査のかわりになるものなのか、形式的には監査ができても不正や誤りが見抜けるようになるのか、見解を伺います。
○山田監査担当部長 令和三年度予算案に計上しておりますデジタル技術活用監査の推進につきましては、これまで手作業で行ってきた財務諸表上の数値のチェックや突合などを、デジタル技術を活用して自動で行うことで、監査の効率化を進めていくものでございます。
また、財務や契約等に関する大量のデータを分析し、不適正な事務処理等を見出す端緒とすることで、監査対象の選定に活用してまいります。
一方で、従来どおり対面によるヒアリングや現場確認なども実施し、監査の実効性を確保してまいります。
○中村委員 新たなデジタル技術の活用で、これまでの監査に加えて行い、効率化するとのことでした。
従来どおり対面での監査も行うとのことで安心しましたが、先ほども述べましたが、監査委員の存在感は重要で、そこに新たなツールが加わったと理解いたします。
さて、冒頭述べた本会議での監査委員からの報告では、令和三年は、新型コロナ感染症関連の事業や、感染症が各局事業に与えた影響などの検証を重点的に行っていくとのことでした。
これは大変重要なことで、本来は事業局が検証すべきであり、たびたび知事には検証を求めてきましたが、残念ながら、いまだしていただいていないようです。検証を行うことで、この後の対策に生かしていただきたいと思いますが、どのような考え方に基づいて行うのか見解を伺います。
○山田監査担当部長 令和三年におきましては、定例監査や行政監査など各種監査を有機的に連携させ、各局が令和二年度中に実施した新型コロナウイルス感染症対策事業やイベント等の延期や中止など、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた各局事業について監査してまいります。
また、監査に当たりましては、法令や要綱等に従い、適切に執行されているかという合規性を中心に、書類の確認や各局ヒアリングなどを行ってまいります。
○中村委員 新型コロナの都政への影響や、行った事業が本当に効果があったのかは、知事や各局には検証していただきたいんですが、監査という観点からも検証していただきたいと思います。
特にさまざまな補助金なども、突然、しかも大規模に行っていますので、国の補助金で報道されることもありましたが、厳しい状況ではあっても、不正受給をするのは絶対にあってはなりません。
迅速な支払いは必要ですが、適切に審査され支給されていたのか、仕組みの問題になるとは思いますが、こうした点からも検証をお願いします。
来年度の監査は、まさに新型コロナで最大の影響を受けた今年度の監査が中心になりますので、将来また未知のウイルスが起きた際に検証していくことは大変重要です。
都政の健全な運営のため、より一層の奮起を期待しまして、質問を終わります。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
○神林委員長 これより戦略政策情報推進本部関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、戦略政策情報推進本部所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 去る二月十五日の委員会におきまして要求のございました資料について、お手元にお配りをしております総務委員会要求資料によりご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、表紙をおめくりください。アジアヘッドクオーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
外国企業発掘、誘致事業等における目標及び実績、これらを含む特区内への外国企業の誘致目標及び実績を記載しております。
以上簡単ではございますが、資料についてご説明させていただきました。よろしくお願い申し上げます。
○神林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 戦略政策情報推進本部の来年度予算に関して質疑をいたします。
特に来年度設立されますデジタルサービス局に関する質疑をさせていただきます。
デジタルサービス局、この設立に向けましては、システムやデータの棚卸しを行いまして、優先順位をつけてシステムを統合し共同調達するなどして、コストを下げる等の取り組みが必要と考えております。
同時に、都のサービスのUI、UX、これを統一しまして、使用できるツールを標準化していく、そういう取り組みが必要であるというふうに考えております。
その実現のためには、最終的にはデジタルサービス局が都庁内の全てのシステムに関する予算を一括して管理する必要があると考えておりまして、これまでも何度か提案をさせていただいてまいりました。
国のデジタル庁では、前身の内閣官房CIO室の時代から、調達予算の一元化というものを進めておりまして、政府のシステム予算、七千億円ほどあるといわれておりますが、この三割の削減を目指しているということもいわれているところであります。
都も同様の観点で、まずそのシステム予算、この調達予算を一元化、一元管理して、さらにコストを削減していくといったような取り組みも必要ではないかと考えております。
今申しました調達予算の一元化に向けましては、まずは都庁内にどのようなシステムがあるのか、台帳の整理をしていくことが必要でありまして、私の総務委員会での質疑などを通じて、台帳の管理をしていくということを確認しております。
都庁全体のシステム経費調整の取り組みにおいて、今年度と来年度にかけて、システム台帳を整備していると聞いておりますが、その現状をお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 現在、情報システムの経費情報の可視化を図り、経費精査の効率化を図っていくため、予算調整において、全てのシステムについて、予算額や機器構成、更新予定時期など、各調整段階における情報をシステム台帳として一元化する仕組みの構築を進めてございます。
これにより、予算執行、改修といった一連の流れを一貫して把握することが可能となり、また得られた情報を他の局のシステム構築等の際の検証などにも活用を図ることにより、適切な各局支援につなげることが可能となります。
こうした取り組みを通じて、今後、台帳上のデータを蓄積し、これに基づき、全庁最適化の観点も踏まえつつ、情報システム関係予算の適正化と全庁横断的な視点でのICTを活用した業務効率化を推進してまいります。
○藤井委員 もともと予定しておりました今年度と来年度にかけて、台帳の整備が順調に進んでいるということを確認させていただきました。さらに、今後しっかりと管理していくということで期待をしているところであります。
このデジタルサービス局の設立に合わせて、しっかりと台帳を整備して、各システムの、ご答弁にありました更新のタイミング、こういったものを見計らいながら、システムを統合する等の計画を立てて実行していくということが重要であると思いますので、来年度以降しっかりと進めていただきたいと思います。
都庁全体のシステムの棚卸しを行いまして、システム経費の最適化のため、同じようなシステムは、統合できるものは統合するなど対応する必要があると考えております。デジタルサービス局として実施すべきですが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 個々の業務システムにつきましては、各業務要件がありますことから、局間で同じ仕様のものを用いることは難しいところでございますが、局間での重複などについては、横断的な観点で調整を行ってございます。
例えば電子調達システムや文書総合管理システムなど、複数局で業務要件に共通性のあるシステムを運用しているものにつきましては、分散利用を改め、システム統合するなど、見直しを進めたところでございます。
システムアセスメントの対象として、大規模システム等について、システムの有効性、適切性、安全性の観点から、より詳細な検証を行い、情報システムのライフサイクル全般にわたる適正化を図っております。
来年度もこうした取り組みを通じまして、全庁最適化の観点も踏まえつつ、情報システム関係予算の適正化と全庁横断的な視点でのICTを活用した業務効率化を推進してまいりますが、これに加えまして、各局のDX推進に向けた取り組みに対し、技術的な支援等を通じ、各局を総合的に支援してまいります。
○藤井委員 個々の業務システムについては、各業務要件があることから、局間での同じ仕様のものを使用するのは難しいというご答弁でありました。
一方で、業務が違うので、上に動くものは違うかもしれませんが、例えばインフラを統一するであったりとか、大きな方向性を出すということはできると思いますし、デジタルサービス局にはそういうことこそ期待されているというふうに思っております。
しっかりと各システムを把握した上で、それをどのように統一していくのか、どういった形が予算最適化、コストを最適化できるのかといった点をしっかりと進めていただきたいと思います。
各局の業務システムを棚卸しして、それを把握、整理して各業務要件を理解してまとめるといったこと、これがデジタルサービス局には求められております。
デジタルサービス局が、今までの戦略政策情報推進本部から局になることの意味というのは、まさにそういった全庁に及ぶ対応をすることだと期待をしているところでございます。
ちょうど最近出た本で、なぜデジタル政府は失敗し続けるのかという本がありまして、これは大変参考になります。過去二十年間、日本政府がデジタル化、ITを進めるといいながら、全然進まなかったことの原因というのを、詳細に詳しく、事例に応じて書いてありますので、ぜひ皆様には見ていただきたいと思います。
その中で、やはり出ているのは、ITガバナンスがきいてない。各省が別々にシステムをつくっていて、しかも要件定義ということをするんですけど、自分たちが要件定義をできないので、パートナーさんというか、ベンダーさん、エスアイヤーさんに要件定義ごと投げてしまって、自分たちが何をつくるかというところをきちんと理解せずに任せてしまっているといったようなことが書かれております。
そういったことを回避するためにも、デジタルサービス局には、しっかりと対応していただきたいと思っております。
繰り返しになりますが、本来はシステム関連予算、システム調達予算の一元化を目指すべきであるということは、また述べさせていただきます。
加えて、もう一点、ちょっと指摘をさせていただきます。
新型コロナウイルス関連で、昨年度から今年度にかけて、さまざまな予算が使われております。産業労働局の協力金のサイト、政策企画局の新型コロナウイルスサイト、生活文化局のアートにエールをなど、こちらはそれぞれ開発をしておりまして、緊急であったということもありますので、緊急対策で立てたサイトでありますので、しっかり中身の棚卸しとレビューというものが必要であると思います。
そういった点でも、デジタルサービス局の果たすべき役割というのは非常に大きいと思っておりますので、引き続きぜひよろしくお願いいたします。
今までのところでは、システムに関する棚卸しというお話でしたが、同様にデータについても棚卸しをした上で、優先順位をつけて、どういったデータから、特に今取り組んでおられるオープンデータにしていくであったりとか、取り扱っていくかといったところの検討が必要かと思っております。
デジタルサービス局では、データに関して、三つの事業がありまして、ダッシュボードの取り組み、オープンデータの取り組み、データプラットフォーム、DPFと呼んでおりますが、その取り組みがありまして、その大前提として、都庁の現状把握をする必要があると思います。
都庁内にどのようなデータがあるか、棚卸しをすべきですが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 都では、都政の構造改革の七つのコアプロジェクトの一つとして、オープンデータ徹底活用プロジェクトを挙げてございます。
このプロジェクトにおきまして、庁内でのデータ利活用を推進するとともに、民間ニーズの高いものから、オープンデータとして公開していくため、各局が保有するデータの棚卸しを実施するものとしてございます。
こうした取り組みを通じて、ダッシュボードなどを使って、行政が保有するデータをわかりやすく公開するとともに、オープンデータ化することにより、シビックテック等がそれらを活用して、新たなサービスを創出していく環境の整備を目指してまいります。
○藤井委員 データの棚卸しから全て始まりますので、こちらしっかりと対応をお願いいたします。その際には、先ほど申し上げた三つの事業がしっかりと連携することが何よりも重要であると考えております。
棚卸しをした後、優先順位をつけて、オープンデータを整備して活用していく必要があります。オープンデータの取り組み、ダッシュボード、官民連携データプラットフォーム、この各事業はしっかりと連携すべきですが、見解を伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 社会のデジタル化の進展に伴いまして、データは、地域課題の解決や新しいサービスにつながる社会的資源となっております。
都ではこれまで、ビジネスインテリジェンスツールを使ったダッシュボードによる庁内のデータの見える化、行政データのオープンデータ化、また行政データと複数領域のデータを掛け合わせ、新たな民間ビジネスの創出につなげるデータプラットフォームの構築に向けた検討を推進してきております。
これらのデータ利活用事業を総合的に展開していくため、来年度、デジタルサービス局では、データ利活用を推進する部署を設置するという形になっております。
新しい組織では、ダッシュボード、オープンデータ、データプラットフォームというデータ利活用に関する施策を俯瞰的に捉え、効率的かつ効果的に取り組んでいくこととしております。
○藤井委員 ありがとうございます。データ利活用を推進する部署を設置するということでありまして、この三つの事業がしっかり連携することを期待しております。
私も何度か説明を受けているんですが、都庁の中のデータを使うという話になると、基本的にはやはり同じ話になってくると思うんですね。
ですので、その三つの事業がきちんと連携をしながらも、それぞれ違うちゃんと価値があるんだというところを出していただきたいなというふうに思っております。
続きまして、データに関連しまして、データにつきましては常に利便性と個人情報、プライバシーとの兼ね合いが問題、課題となるところであります。
官民連携データプラットフォームの構築に向けては、昨年の事務事業質疑の中で、官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会で、データプラットフォームの運営組織が扱うデータの収集や提供、利活用にかかわる基本的な考え方、ポリシーを策定し、都民から信頼を得られるよう事業を推進していくとご答弁をいただきました。
その後の取り組みについて伺います。
○高橋事業調整担当部長 昨年十一月に設置しました官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会では、全四回の委員会を通じまして、安全・安心なデータの利活用を促進するため、さまざまな角度や視点からご意見いただき、議論を深めました。
今回、意見公募の上、取りまとめたポリシー案は、データ流通推進事業で取り扱うデータの範囲として、まずは個人情報を扱わず、個人情報を含まないパーソナルデータまでを対象としておりまして、個人情報を含むパーソナルデータを取り扱う際には、再度、有識者による専門家会議等の検討を経て、慎重に対応することといたしました。
なお、個人情報を含まないパーソナルデータであったとしましても、各種法令にのっとりまして、プライバシーに配慮して取り扱うこととしております。
こうした取り組みを通じまして、都民からの信頼を得られるよう、事業を推進するとともに、都民に向け、わかりやすい発信に努めてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。官民連携データプラットフォームの中では、まずは個人情報を含まないパーソナルデータまでを対象とするというご答弁をいただいたところであります。
この個人情報の取り扱いと、その利便性の兼ね合いというのは、非常にいつも議論になるところでありまして、個人情報は必ずしっかりと守っていただきたいところではあるんですが、一方で、やはりその利便性というところも非常に重要であると思っております。
政府のマイナンバーカードも現在普及していないのも、使い勝手がなかなか悪いというところもありますし、給付金の問題で明らかになったように、マイナンバーカードとひもづけて業務がなかなかしづらいであったりとか、さまざま、やはり利便性にかかわるところの課題がありますので、しっかりと個人情報を守った上で、その利便性をしっかりと担保していただきたいと思っております。
そういったことを実現することによって、やはり都民生活の向上につながるものと思っておりますので、しっかりよろしくお願いいたします。
来年度四月から、都庁のデジタル人材として、新たにICT専門職がついに働き始めるというところであります。その育成計画というのは、将来の都庁のデジタルトランスフォーメーションの根幹に当たる部分でありまして、非常に重要であります。
都のデジタルトランスフォーメーション推進のため、ICT専門職について、私からもこれまで総務委員会質疑等を通して、外部の民間企業への派遣など、最新の技術動向等をきちんと知れるような提案をさせていただいておりましたが、どのように育成をしていくのかお伺いいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 令和三年度から新たにICT職を採用してまいりますけれども、このICT職の職員に対しましては、職層別やデジタルの分野別に体系的に学ぶICT職専門性向上研修を新たに新設し、デジタル専門職としての知識を学ぶことに加えまして、民間講座等の受講を支援するなど、自己啓発についても積極的に支援をしていく予定としております。
また、庁内では習得が難しい日進月歩の最新ICT技術を獲得するため、民間企業等への派遣など外部交流を実施し、最新の技術を常にアップデートする機会を設けるなど、デジタル専門職としての育成を図ってまいります。
○藤井委員 民間企業等への派遣など外部交流により、最新の技術を常にアップデートするということでありまして、定期的に行う等、最新のデジタル技術の習得、これができる環境整備をぜひしていただきたいと思います。
そして、最終的には民間が都庁に学びに来るぐらい、都庁のデジタル環境というのを整えていただきたいと思います。
次に、デジタルサービス局の大切な役割として、都の職員が使いますデジタルツールの標準化があるというふうに考えておりまして、デジタルツールについてちょっと質問をさせていただきます。
行政のデジタル化を進めるに当たっては、スピードとコストの問題を意識しながら取り組む必要があります。現在、ノーコードやローコードという開発手法がありまして、これは従来のプログラミングを書いて、コードを書いてアプリを開発することから、何ですかね、さまざまなツールとか開発環境を使って、コードを書くことなくアプリ等をつくることができるといったものであります。簡単に素早くアプリをつくれるといったものになっております。
民間でもかなり利用が進んでおりまして、シビックテックの関連で、Code for INAGIさんというところが、コロナ禍においてノーコードで開発した稲城市内の持ち帰りができる飲食店のマップをまとめた、いなぎお弁当マップというものをたった三日で開発したそうであります。
そして、人口九万人の稲城市で最大月一万人が利用するアプリになったということでありまして、現場のニーズを把握しながら、素早く開発したということが成功に結びついたのではないかと考えております。
お弁当マップはその後、標準化、標準フォーマットがつくられて、全国にも展開されたというふうに聞いております。
また、東京都でも、Power Appsというローコードの開発ツールを使って、アプリの開発等もしているというふうに聞いております。
ノーコード、ローコードの開発について、都として取り組みを推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 民間のクラウドサービスの一つでありますノーコード、ローコード開発は、一般職員でも専門家の助言等は必要ながら、例えば各種手続の申請画面や内部処理画面を作成し、時間をかけずに都民に提供することができる可能性を有しております。
こうしたクラウドサービスは日進月歩でありますことから、引き続きその開発動向について注視するとともに、来年度、庁内の行政手続にノーコード、ローコード開発を活用したデジタル化の検証を予定してございます。
こうした機会を通しまして、都庁内で検証の共有化を図るとともに、手続の内容に応じた新たな開発手法としての活用について検討してまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。ノーコード、ローコードの開発手法を使うことで、簡単に素早くアプリをつくれるということで、現場の課題を一番よく知っている都庁の職員の皆様が、その解決のためにデジタルツールを使うということでありまして、非常に期待をしているところであります。
ツールは、導入するだけでは活用されませんので、活用のための取り組みというものも必要になってまいります。デジタルサービス局においては、職員等のデジタル環境の整備にとどまらず、活用を促していくということを期待しているところであります。
それに関連して一つなんですが、おとといの政策企画局や昨日の総務局での質疑においても取り扱いましたが、都職員のスカイプのビデオ会議について、約九〇%の職員が使っていないとの調査結果がございました。
ツールを導入するだけではなく、どのように都職員に使ってもらうのか。開発や、何ですかね、整備するという目線だけではなくて、ユーザーが使うという目線、都職員の目線で対応する必要があります。
そこで、ここまで総務委員会で私からも何度か提案をしてきておりますが、ウエブの会議に関しまして、外部とのウエブ会議の導入など、都庁職員のテレワークの推進に向けた庁内システム基盤での取り組みについてお伺いさせていただきます。
○沼田情報基盤担当部長 コロナ禍におきましては、非対面でのコミュニケーションツールに対するニーズが顕在化いたしました。
このことから、昨年一月に新基盤システムで導入した職員同士のウエブ会議に加えまして、セキュリティー面に配慮し、ネットワーク機能等も強化を行った上で、ことしになってから、都庁外とのウエブ会議についても、各職員に配備されている端末で利用可能となる環境の整備を行いました。
これらの環境整備により、在宅勤務時などでも、より一層円滑なコミュニケーションが可能となっておりまして、都庁職員のテレワーク実施促進の後押しをしているものと考えております。
○藤井委員 ありがとうございます。セキュリティー面を考慮した上で、ネットワーク機能等の強化を行い、ことしから外部とのウエブ会議ができるようになったということであります。
他の委員会でも述べましたが、戦略政策情報推進本部とのやりとり、レクに関しても、ウエブ会議でやらせていただきまして、特に問題なく意見交換等できたと思っておりますので、引き続きこういったところ、私ども議員だけに限らず、外部とのやりとりもぜひ進めていただきたいと思います。
これまで総務省の推奨する三層の対策の問題などで、TAIMS端末を活用した外部とのウエブ会議というのはできなかったというふうに認識をしております。これを実現したということで、大いに評価をいたしております。
今出ました外部とのウエブ会議に関しては非常に大きな一歩でありまして、さらに、さらなる前進を期待するところでありまして、次の質問をさせていただきます。
現在のTAIMS環境、皆様の端末環境では、例えば私がグーグルドキュメントを使って作成した文書を送りますとアクセスできないということで、毎回私は書いたものをワードファイルに落として皆様にご連絡するとか、そういったような対応がちょっと必要になってきます。
もしそういったクラウドツールが使えれば、共同編集をするであったりとか、そういったこともできますので、より効率的になるかなと思っております。
さらに、これもまたグーグルの例で申しわけないんですが、グーグルドライブ等のクラウドツールというのは、今アクセスもできない状況だというふうに聞いております。
都政の構造改革を進めるに当たりまして、クラウドの活用というものを進めるべきと考えますが、どのように進めていくのか見解を伺います。
○沼田情報基盤担当部長 クラウドは、サーバーなどの共同化によるコスト削減や最新の技術への対応などのメリットがございまして、今後活用していかなければならない重要な技術だと認識しております。
クラウドを安全に利用するためには、職員が日常業務に利用するシステム基盤の強化が不可欠でございまして、都庁のシステム基盤へのセキュリティー対策を初めとした機能追加を、以下の三段階で進めていく予定で考えております。
まず、第一弾といたしまして、クラウド活用の最初の取り組みといたしまして、先ほどご評価もいただきました外部とのウエブ会議機能については、ことしになってから導入をいたしました。
次に、第二弾といたしまして、二〇二二年度末をめどに、現行のシステム基盤を生かしつつ、職員が日常の業務で使用する文書作成や表計算などの業務アプリケーションのクラウド活用を進めてまいります。
第三弾といたしまして、次期システム基盤においては、適切なセキュリティー技術を使いつつ、システム基盤全体をクラウド化することを目指して進めてまいります。
○藤井委員 シン・トセイの構造改革でも提唱されているように、クラウド活用を進めていただくということであります。
クラウドという言葉が世に出始めたのは、クラウドの衝撃という本が二〇〇九年に出ておりますので、今から十年以上前、ちょうど私もマイクロソフト、IT企業で働いていたところでありまして、民間では、つまり十年以上前からクラウドの活用というのが進んでいたというところであります。
簡単にいえば、議員でも多くの皆さんがさまざまなグーグルドライブであったりとか、ドロップボックスであったりとか、さまざまなツールを使っているかと思います。
これ以上、都の職員の皆様が時代の流れに取り残されないように、最新の環境が使えて、コストメリットも大きいクラウド環境の活用、これをスピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。
一方で、やはりこれまでなかなか都でクラウド活用が少なかった理由の一つとして、セキュリティーの問題があるかと認識をしております。昨年十一月の事務事業質疑の中では、ゼロトラストセキュリティーという、最近のセキュリティーの考え方についても質疑をさせていただきました。
クラウド活用を進めていく際の都のセキュリティーの考え方についてお伺いをさせていただきます。
○沼田情報基盤担当部長 クラウド活用の進展に合わせまして、セキュリティー対策を強化する必要性というのはますます高まっておりまして、またサイバー攻撃というものは日々高度化、多様化していることから、それに対応するためには、サイバーセキュリティー対策も常時更新していくことが重要だと考えております。
例えば先ほど副委員長からもご指摘いただきましたとおり、インターネットと内部ネットワークの接続点で守る従来からのセキュリティーの考え方と異なる、いわゆるゼロトラストというものですが、利用者や端末などを全て疑い、利用の都度、最新の複合的要件で厳格に認証された場合のみ接続を許可し、必要な権限だけを付与するなどの新しいセキュリティーの考え方が提唱されているものでございます。
都といたしましては、このような新たなセキュリティー技術の動静を注視した上で、必要なセキュリティー対策を導入してまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。少しわかりにくいかなと思いますので、簡単にご説明をさせていただきますと、これまでの従来型のセキュリティーというのは、総務省の推奨する三層の対策というものでありまして、これは外部からウイルスが入ってこないようにする、完全に断ってしまうというものです。コロナ対策でいえば水際対策を徹底するということで、中に入れないための対策です。
一方で、このゼロトラストという、私が先ほど述べさせていただいたセキュリティーの考え方というのは、コロナに例えていうのであれば、もう感染者はいるという前提で、その感染者をいかに見つけて対応していくかという考え方になっています。つまり検査等をしっかりと行って、発見をしていくという考え方です。
なので、この水際対策等、発見、検査をするということ、これは両方必要です。どっちかだけではだめでして、これはしっかりとやっていく必要があって、それとあわせて、職員の利便性といったものをあわせて考えていくということが重要であるというふうに思いますので、しっかりとそのバランスを考えて、利便性も上がるように取り組んでいただきたいと思います。
先ほど来出ております東京都のいわゆるパソコン環境、端末環境でありますTAIMS、東京都高度情報化推進システムですかね、こちらに関しましては、ちょうど一年前、新しいものが使われ始めたところであります。
一方で、シン・トセイの構造改革等を見据えて、次期の環境の検討というものも必要になってきていると認識をしております。
次期TAIMSに向けた検討がこれから始まってくると思いますが、都政の構造改革、シン・トセイで進める、先ほど来ありますウエブ会議などの利用やクラウド利用、セキュリティーの新しい考え方を採用して、抜本的に見直して、都庁職員がいつでもどこでも使える環境を実現することが重要と考えますが、次期TAIMSの見直しはどのように進めるのか、また何を検討するのかお伺いいたします。
○沼田情報基盤担当部長 現行のシステム基盤につきましては、昨年一月に本格導入されておりまして、職員が自宅等から庁内ネットワークに接続できるなど、働き方改革に資する機能と、国が自治体に求めるセキュリティー対策である三層の対策への対応が実装されております。
次期システム基盤の検討に当たりましては、シン・トセイで掲げるクラウドの全面的な活用に十分対応できるような環境構築を目指すとともに、国がデジタル庁のもとで今後検討を進めると想定される国と地方の情報システムが接続されている総合行政ネットワーク、いわゆるLGWANの見直しや、新たなセキュリティーに対する考え方への対応も重要だと考えております。
このため、職員の利便性と都民の重要な情報を取り扱っているという安全性のバランスのとれた総合的な視点での検討が今後必要になってくると認識しております。
今後、国の動向を注視しつつ、専門家の助言もいただきながら、次期システム基盤の検討を進めてまいりますが、来年度はシステムに実装すべき機能候補の調査、整理を行う、いわゆる要件定義を実施していく予定でございます。
○藤井委員 ありがとうございます。ぜひしっかりと来年度の要件定義を進めていただきたいと思います。
次期TAIMSの更新、これは多分五年程度かかるのではないかと思うんですが、これからその要件定義をして、いろいろと進めていくということでありまして、検討している間にでき上がったシステムが時代おくれにならないように、こちらはぜひ注意をしていただきたいと思います。
次の質問に移らせていただきます。
都政のデジタル化を進めるに当たりまして、デジタルデバイドの対応というものも非常に重要であります。
我が会派からは、デジタルデバイドの提案というのを何度かさせていただいておりまして、先日の代表質問では、高齢者を対象としたアウトリーチ型の端末活用支援について、宮坂副知事から答弁をいただいたところであります。
さらに、高齢者のデジタルデバイド対策を進めていくためには、自助、共助、公助の共助の視点で、例えばIT企業を退社された方の力をかりたり、スマホ世代の学生たちに協力を求めるなど、多様な主体による取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 デジタルデバイドへの対応については、人的なきめ細かい支援が重要であり、昨年行った区市町村に対するヒアリングにおきましても、NPOや地域団体で活躍するIT企業出身のシルバー人材といった多様な方々による取り組みの重要性を把握いたしました。
また、スマートフォンによるインターネット利用率が九割近くの若者などは、スマートフォンの利便性をよく知っており、また操作にも通じているとされており、今後の施策展開を図る上ではこうした人材も活用することが重要でございます。
こうした状況を踏まえまして、来年度、区市町村と連携した先駆的、効果的なデジタルデバイド対策をモデル的に実施するとともに、高齢者におけるスマートフォンの普及促進に向け、高齢者施設や教育機関等の身近な場所や、地元の学生や専門学校生などの地域資源を活用したアウトリーチ型の相談会を開催いたします。
今後、こうした多様な主体と連携し、地域における共助の取り組みを行政が後押しするとともに、持続可能なデジタルデバイド対策を検討してまいります。
○藤井委員 NPOや地域団体、そして学生の皆様などと連携をしていくということでありまして、その取り組みに非常に期待をしております。
都が直接行う取り組みに加えて、民間の方々のさまざまな力もおかりして、デジタルデバイド対策をしっかりと進めていただきますようにお願いいたします。
続きまして、話ががらりと変わりまして、先端事業普及モデル創出事業、いわゆるキングサーモンプロジェクトについてお伺いをさせていただきます。
都政の現場を活用して、都政課題の解決にスタートアップ等の力、知見を活用して、販路拡大のための支援をするという事業であります。
キングサーモンプロジェクトに関しましては、立ち上げ期から先行する神戸市の事例などを参考に、さまざま意見交換であったり、提案というものをさせていただいてまいりました。これまでも、総務委員会において質疑もさせていただいております。
本年は、キングサーモンプロジェクトの実証実験を含めた二年の最初のサイクルが終了するところでございまして、確認をさせていただきます。
キングサーモンプロジェクトにおける今年度の実績について伺います。
○米津特区推進担当部長 キングサーモンプロジェクトは、二カ年を一サイクルとして取り組んでおりまして、昨年度採択いたしました四社のスタートアップ企業の製品等を、今年度、障害者支援施設や都立病院におきまして、それぞれ実証実験を行うとともに、海外のマーケット調査など、販路拡大の支援等を実施いたしました。
具体的には、障害者支援施設におきまして、腰など身体への負担を軽減するマッスルスーツを職員が着用いたしまして、介助業務における身体への負担軽減効果を検証する実証実験を実施いたしました。
また、都立病院では、CTで撮影した患者の臓器構造を3D化いたしまして、VR空間に投影し、医師が手術内容の共有等を図る実証実験、さらに患者の自立排尿を誘導するため、排せつを事前に検知するウエアラブルデバイスを活用した実証実験をそれぞれ実施いたしました。
なお、今年度実施を予定しておりました東京国際クルーズターミナルにおけます外国人旅行者向けの無料SIMカードを活用した実証実験でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響に伴いまして、外国人旅行者が乗船するクルーズ船の入港が見込めないことなどから、来年度に延期して実施する予定であります。
○藤井委員 今ご答弁いただきました、実施された実証実験でありますが、介護業務におけるマッスルスーツの利用、都立病院ではCT画像を3D化したVRを使って確認をするといったようなことであったり、排せつを検知するウエアラブルデバイスを試してみるといったようなことをしたということであります。
その実証実験の内容、未来を感じる内容でありまして、これまでに都政になかなかない取り組みかなと思っております。非常にわくわくする内容でありまして、結果に期待するところであります。
この四つの実証実験のうち、一つはコロナの影響で実施ができなかったということでありますが、今ご説明いただいた技術自体は興味深いものであると思いますので、コロナの影響もあるので、どう実施していくのか、実施できるのかというところもあるかと思いますが、来年度、しっかりと実施をお願いしたいと思います。
二〇一九年十二月の私の一般質問で、政策目的随意契約を活用して、この実証実験後に調達できる仕組みを検討していくというご答弁をいただいたかと思います。実証実験の成果とあわせて、成果を踏まえた今後の展開についてお伺いをさせていただきます。
○米津特区推進担当部長 実証実験では、スタートアップの製品等を活用いたしまして、職員に対するアンケートや、業務負担の軽減の程度について数値を用いて効果を検証いたしました。
障害者支援施設におけるアンケートにおきましては、介助業務において身体への負担軽減が感じられる、また病院におけるアンケートでは、医師の手術内容の理解向上等、好意的な意見が寄せられました。
さらに、数値実績におきまして、入院患者の自立排尿の改善に資することなどが確認されました。
検証の結果、今回実証を実施いたしました都政現場において抱える課題解決に、当該スタートアップの製品等の一定の有用性を確認したところであります。
このため、来年度、関係局の意向を確認した上で、契約制度の特例であります政策目的随意契約により、都において、スタートアップの製品等の調達を行う予定であります。本プロジェクトの取り組みを通じまして、スタートアップ企業の大きな成長と社会課題解決の両立を図ってまいります。
○藤井委員 実際に活用した職員からの評判もよく、かつ都政課題の解決につながっているというご答弁でありました。
また、私の提案しました政策目的随意契約により、来年度の調達につながるということでありまして、これはぜひしっかりと進めていただきたいと思います。
この政策目的随意契約については、産業労働局の行政課題解決のためのスタートアップ等のピッチコンテスト、UPGRADE with TOKYOでも活用されておりまして、行政とスタートアップ、東京都とスタートアップを結びつける非常に重要なものであると考えておりまして、しっかりとまずその一つ目、始めていただきたいと思っております。
最後になりますが、戦略政策情報推進本部ができてからのこれまでの二年間、国際金融都市の取り組みや、東京のデジタルトランスフォーメーション、DXを強力に進めてきました戦略政策情報推進本部、寺崎本部長の今後の展望と決意をお伺いさせていただきます。
○寺崎戦略政策情報推進本部長 戦略政策情報推進本部では、昨年度、組織発足以来、東京の成長戦略として、先端技術の活用や国際金融都市東京の実現とともに、ICT利活用に向けた取り組みなどを積極的に推進をしてまいりました。
今般、組織改正によりまして、国際金融都市東京の実現と特区事業に関する分野につきましては政策企画局に引き継がれ、国際金融都市分野では、構想の改定や環境との連携など、さらに取り組みを強化してまいります。
一方、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの推進につきましては、これまでTOKYO Data Highway基本戦略やスマート東京実施戦略の策定、新型コロナウイルス対策を含め、都政のデジタル化を推進するため、さまざまな取り組みを実施してきたところでございます。
新たに設置をされますデジタルサービス局では、東京デジタルファースト条例をてこにして、行政手続のデジタル化を強力に推進いたしますとともに、各局のDX推進に向けた取り組みへの支援、また、それを支える人材の確保、育成にも取り組んでまいります。あわせまして、区市町村との連携を強固にし、東京都全体のDX推進に向けても力強く取り組んでまいります。
こうした取り組みを着実に実施していくため、デジタルを活用した都政のQOSを飛躍的に向上させる旗振り役、牽引役として、宮坂副知事のもと、新組織がその中心となり、これまで以上に東京のデジタルトランスフォーメーションを推進し、都民のQOL向上を実現してまいります。
○藤井委員 力強いご答弁ありがとうございます。答弁の最後にありましたとおり、デジタル化、デジタルトランスフォーメーションはあくまで手段でありまして、その先にある都民の豊かな生活が目標、これが達成すべきものであると考えております。これまでリーチできていなかった、手が届かなかった都民の一人一人に寄り添うためにも、このデジタル化というものは急務であると考えております。
今年度、この二〇二〇年度は、スマート東京元年として取り組んできたというふうに認識をしております。二〇二一年度は、デジタルサービス局も立ち上がりまして、これまでの取り組みを一層加速させていく必要があります。
また、政策企画局に移管されるというお話でありますが、国際金融都市、これも非常に重要な取り組みでありまして、コロナ禍で国際金融の状況というのは大きく変化をしております。それを好機と捉えて、我々からは国際金融都市条例の制定も提案しておりますが、国際金融都市東京の実現のためにも、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
最後に、もう一回繰り返させていただきますが、国のデジタル庁でも七千億円の予算の一元化というものを進めているところでありまして、都でも、ぜひ予算の一元化とコストの最適化というものを進めていただきたいと思います。
また、海外、韓国では、地方自治体等の要件定義等をお手伝いするために外部人材の力を使うということのための半官半民の組織もあるということですので、さまざまな手法を用いて、手法を検討しながら、東京都、都だけじゃなく、都内区市町村を含めたデジタルトランスフォーメーションの推進に、皆様の力をぜひ使っていただきたいと思います。推進をしていただきたいと思います。
デジタルサービス局を契機に、皆様が活躍をして、都政が大きな飛躍を果たし、都民生活がさらに豊かになる一年となることを期待いたしまして、私からの質疑とさせていただきます。
○中屋委員 私からも質問させていただきたいと思います。
都は、戦略政策情報推進本部を改組いたしまして、デジタルサービス局を新設する組織条例改正案を本定例会に提出をしております。私は、これまで総務委員会や決算特別委員会の分科会などで、ぜひ、デジタル局をつくるべきだと主張した一人でありまして、大いに私は期待を寄せているところであります。
そこで、デジタル政策の今後の展開について何点か確認したいというふうに思います。
行政手続のデジタル化は、今後のデジタル社会を見据えたときに不可欠でありますし、オンライン通則条例を改正いたしまして、例外としてのデジタル化を、原則デジタル化へと大きく方向転換をいたしまして、ここまで徹底した取り組みを推進する自治体は東京都のみであると聞いております。まずは、事務方のこれまでの努力に敬意を表したいと思います。
一方、このデジタル化を進めていくに当たりまして、技術に触れる機会の年齢格差や身体障害の有無等にかかわらず、誰もがデジタル化の恩恵を享受できることが重要であります。特に、高齢者などへの配慮も必要と考えます。私自身もそうでありますが、行政手続などで年に数回しか行わないものをデジタルに置きかえて定着させていくということは、そう簡単ではないわけでございまして、機器の講習などの募集や実施がオンライン上であれば、そもそもを情報入手することが困難でございます。
そこで、お伺いいたしますが、都として、条例施行に当たって高齢者がデジタル機器を使いこなしていくために、来年度、具体的にどのような取り組みを行うのか伺います。
○樋口ICT推進部長 都は、来月四月の東京デジタルファースト条例の施行を契機に、高齢者等のデジタルデバイドの是正に向けた取り組みを加速いたします。
具体的には、まずは、高齢者等向けにスマートフォンの利便性などを普及啓発するため、日常生活におきますスマートフォンのメリットをわかりやすく示した紙媒体のリーフレットを作成し、身近な老人クラブ等の地域団体と連携して配布してまいります。
また、通信事業者等とも連携の上、スマートフォンの操作方法や高齢者のニーズの高いアプリ等に関する教室の開催や、身近な場所での出張相談を実施する事業を新たに実施し、高齢者がスマートフォン等の情報機器を日常生活の中で活用できるよう支援してまいります。
これらの取り組みを通じまして、都としても、デジタルデバイドの是正を図り、誰もが情報機器を使いこなせる社会の実現を目指してまいります。
○中屋委員 今、ご答弁で、紙媒体のリーフレットを作成して身近な老人クラブなどの地域団体と連携して配布するというご答弁いただきました。
こうしたデジタルデバイドの問題というのは、人のみならず、自治体間にも生じるものでございまして、これは財政面や人材面などさまざまな要因が絡んで起きるものと考えます。
さらに、先ほど質問した高齢者などのデジタルデバイドの課題は、一般的に、人口減少や人手不足に直面する自治体に顕著にあらわれる傾向が強いわけでございます。すなわち、こうした自治体を支援することは、高齢者などを支えていくことにつながってまいります。
このような状況を踏まえて、自治体の行政手続を初めとした行政サービスのデジタル化に向けて、都として区市町村に対してどのような支援を行っていくのか見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 東京デジタルファースト条例は、行政手続のみならず、その先の行政全般のデジタル化をも見据えたものでございますため、都はもとより、都民に身近な区市町村のデジタル化が不可欠でありますことから、区市町村との連携や協力、また、そのための支援に関する規定を新たに設けてございます。
今後、区市町村の身近な行政サービスにおきましてもデジタル化の恩恵を享受できますよう、都、区市町村合同勉強会を引き続き実施するとともに、令和三年度からは、新たに区市町村の窓口業務の中から典型的な手続を選定し、クラウドサービス等を使った業務のデジタル化を実施してまいります。
あわせて、区市町村が行政手続のオンライン化に向けて実施する先駆的、効果的なデジタルデバイド対策をモデル的に実施いたします。これらの事業を通じて得られたノウハウ等を区市町村と共有してまいります。
本条例の施行日であります来月一日は、今般ご審議いただいていますデジタルサービス局の発足の日でもございます。これらを重要な契機の一つといたしまして、都のみならず、区市町村を含めた行政全体のデジタル化の底上げを推進してまいります。
○中屋委員 ぜひ、できない方が多いわけですから、丁寧にお願いをしたいと、こう思います。
次に、5G環境の整備など、TOKYO Data Highwayに関して何点か確認をしたいと思います。
5Gを初めとする高速モバイルインターネット網が整備されると、どこにいようとも、誰もがインターネットを介して家電の遠隔操作や遠隔医療といったさまざまなサービスを身近に享受できる社会、ワイヤレスで身の回りのあらゆる機器がつながる本格的なIoT時代が到来いたしまして、都民一人一人がデジタルによる安全・安心で豊かな生活が実現できる社会になるといわれております。
昨年三月の5Gの商用サービス開始から、はや一年が経過いたしますが、都民への5Gの普及という点でいえば、通信エリアは主要駅周辺に限られている状況であります。さきの我が党の代表質問におきまして、国の計画では、令和五年までに全国で約二十八万局のアンテナ基地局を整備する方針との答弁がございました。5Gの普及に向けては、モバイルインターネット網の基盤となる5Gアンテナ基地局を整備いたしまして、エリア拡充を図っていくことが喫緊の課題であると思います。
今後、都は、都内全域において通信事業者によるアンテナ基地局設置の加速化を後押ししていくことが不可欠であろうと思います。
そこで、都は、通信事業者による5Gアンテナ基地局設置に向けて、アセット開放の加速化を図るために、令和三年度はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 都はこれまで、土地建物等の保有アセットの開放に向けて、申請受け付けを一元化したワンストップ窓口の設置や、都営地下鉄の駅の出入り口などの工作物の追加開放、さらには、こうした事業を通じて得られたノウハウ等の都内区市町村への提供など、さまざまな形で通信事業者を後押ししてまいりました。
こうした事業を実施する中で、アンテナ基地局の設置に必須の現地調査におきまして、耐荷重の検討や光ケーブルの敷設ルートの確保など、関係各局と通信事業者との間で調整に時間を要する課題が明らかとなっております。
来年度は、都保有アセットへのアンテナ設置のさらなる円滑化に向けて、これらの設置工事における技術的な課題を解決するため、専門的知見を有するアドバイザーと契約し、施工調整を加速してまいります。
○中屋委員 ご答弁ありがとうございます。5Gの利便性を都民が享受できるよう、通信事業者のアンテナ基地局設置の促進に向けて全力を挙げてもらいたいと思います。
一方で、多くの都民は、5Gを活用したサービスが日常生活にどのように役立つのか、実感ができていないのではないかというふうに思っています。基盤としての電波の道、いわゆるTOKYO Data Highwayの構築と並行して、都市の中で5Gを使ったサービスが早期に社会実装できるよう、都としても多様な民間の活動を支援していくべきではないかと思いますが、都の見解を伺います。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 通信事業者のアンテナ設置の後押しに加えまして、今年度は、スマートポールの先行試行設置を通じて、都庁舎周辺で5Gの通信エリアが構築されました。
来年度は、さらに、西新宿全体で機能やデザインを統一したスマートポールの面的な整備を進め、5Gエリアのさらなる拡充を図り、新たなサービスのための社会実験の基盤を構築いたします。
その上で、5Gを活用したサービスを新たに公募し、八件程度の実証実験に取り組む予定でございます。この実証では、多くの方々が体験できる企画とするとともに、サービスを利用した都民の声を事業者へフィードバックする仕組みを構築し早期に改善を促すことで、サービスの実装を加速化してまいります。
○中屋委員 TOKYO Data Highwayの構築によって創出される新たなサービスは、コロナ禍によって大きな影響を受けた東京の経済の回復に貢献することが期待できます。ぜひ、スピード感を持って取り組んでもらいたいと思います。
また、5Gエリアが広がりを見せる西新宿では、来年度から自動運転移動サービスの事業を行うと聞いております。
そこで、自動運転について何点か確認をしたいと思います。
昨年四月に、道路交通法と道路運送車両法の改正が施行されまして、高速道路など一定の条件のもとで運転操作の主体が人からシステムへと変わるレベル三を可能とする制度が、海外よりも先行して整備されました。そして、この制度に基づき、今月から世界初のレベル三の車両が国内で発売をされたわけであります。この技術が今後さらに普及することによりまして、高齢ドライバーなどが引き続き安心して車で移動できる社会が実現すると期待をされます。
また、交通不便地域の移動手段として実用化が望まれる自動運転移動サービスについては、昨年の九月に、羽田空港に隣接する羽田イノベーションシティにおいて、常時運行が開始されたところであります。
そこで、羽田のような先行事例をもとに、都は、西新宿における自動運転事業で何を目指していくのか伺います。
○米津特区推進担当部長 羽田イノベーションシティのケースでは、運転者が乗車するとともに、遠隔の監視員を配置した上で低速で走行しておりまして、また、複合施設の無料サービスという形で提供しております。
今後、自動運転移動サービスをさまざまな地域で普及させていくためには、走行エリアのデータを車両へ配信したり、一人の監視員が複数車両を監視、制御するといったオペレーションを行いまして、より一層システムの技術精度の向上や事業性の確保を図っていく必要がございます。このため、5Gエリアを政策的に整備しております西新宿におきまして、自動運転システム事業者や交通事業者などによる実際のサービス展開を見据えたプロジェクトを公募選定いたしまして、これらの課題を検証する事業を新たに実施してまいります。
○中屋委員 この実証実験が国内各地で進む中で、関係者を苦しめているのが高額な人件費でございます。現在は、安全対策のため、運転者、保安要員の乗車や遠隔の監視員の配置が一般的となっておりますが、重くのしかかっている人件費は、本格的な実用化の足かせになっております。ぜひ、早期にモデルケースを構築していただきたいと思います。
このようにモデルケースを構築するため、西新宿のような実証エリアで事業を行っていくことは理解できますが、一方で、肝心の交通不便地域での実用化を見据えた取り組みも、とても重要だと思います。地域公共交通のあり方を検討する区市町村や、タクシー事業者、バス事業者も、まだまだ自動運転については様子見のところが多いのではないかと感じております。
そこで、将来の自動運転移動サービスの導入を見据えて、交通不便地域でサービスを行う主体に検討を働きかけていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
○米津特区推進担当部長 来年度事業では、二件程度のプロジェクトの支援を予定しておりますが、そのノウハウや課題等は、交通事業者や区市町村職員等を対象にした結果報告会の中で共有してまいります。また、あわせて東京自動走行ワンストップセンターで個別の相談に応じるなど、交通不便地域における実用化を見据えながら、きめ細かな対応を実施してまいります。
○中屋委員 交通不便地域では、現在、コミュニティバスや自家用有償旅客輸送など、さまざまな交通手段を用いながら、公共交通網の維持に必死に取り組んでいるところでありますが、こうした地域に早期に自動運転移動サービスが取り入れられるように、実証成果の共有をぜひ図ってもらいたいと、こう思っています。
ここまで、デジタル政策の展開について確認いたしました。交通不便地域においても、必要な移動、配送サービスが受けられる。災害時にも、避難情報や支援物資が提供される。健康、医療サービスが充実して、住みなれた地域で健康に生活し続けられる。未来の東京戦略案で示されたような将来像をデジタルの力で実現を図ってもらいたいと、こう思っています。
次に、国際金融都市東京構想に基づく取り組みについて質問したいと思います。
私は、東京を世界に冠たる国際金融都市とすることの重要性に着目をいたしまして、構想策定後間もない平成三十年の一定の総務委員会以来、構想推進の意義や具体的な取り組みのあり方など、さまざまな観点から質問を行ってまいりました。
都においても、さまざまな施策に取り組んだ結果、企業誘致の面などで一定の成果を上げていることは事実であります。
しかし、構想策定から三年を超えた現在、東京は、ニューヨーク、ロンドンのみならず、香港、上海、シンガポールなどの都市との間で国際金融都市をめぐる激しい競争をしていることに加えて、世界的なESG投資の進展やデジタルシフト、何よりもコロナ禍における世界経済の低迷などによって、国際金融都市東京をめぐる環境は大きく変わりつつあります。まさに今、国際金融都市東京構想の実現に向けた節目の時期にあるといっても過言ではないと思います。
そこで、本日は、金融という、ともすると専門的な話題になりやすいテーマについて、この構想の推進によりメリットを受けるべき都民に理解していただくという視点に立って、来年度予算における主な事業などについて取り組みの意義などを明らかにすることによって、構想の推進に向けた施策の展開に関して主要なポイントを確認していくこととしたいと思います。
初めに、来年度予算における国際金融都市東京構想の推進に向けた取り組みにかかわる基本的な考え方について確認をいたします。
○三浦国際金融都市担当部長 都はこれまで、構想に掲げました魅力的なビジネス面、生活面の環境整備、東京市場に参加するプレーヤーの育成、金融による社会的課題の解決の三本の柱に基づきまして、さまざまな施策を展開してまいりました。
しかし、近時の国際金融都市をめぐる環境は、今、お話にもございました世界的なコロナ禍、ESG投資の進展、デジタルシフトの流れなど、大きく変動しております。都としましては、このような環境変化に対応するべく、中長期的な視点から有識者懇談会を設置いたしまして、来年度に予定している構想の改定に向けた検討を開始しております。
一方で、足元の施策といたしまして、これまでの取り組みに加え、国においても推進しております脱炭素化に向けた動きにつきまして、国際金融の視点から新たな施策に取り組んでまいります。スピード感を持って各施策を展開することにより構想を推進し、都の経済成長、都民の豊かな暮らしの実現につなげてまいります。
○中屋委員 ただいま、令和三年度予算における基本的な考え方を確認いたしました。
次に、来年度予算における具体的な取り組みについて確認したいと思います。
私は、世界の現状に鑑みると、先ほど答弁の中にもありました構想における三本の柱のうち、金融による社会的課題解決という視点が今後ますます重要性を増してくるものと思います。まず、この視点から、令和三年度の都の新たな取り組みでありますTokyo Green Finance Marketの創設に向けた検討について質問したいと思います。
国が二〇五〇年までにカーボンニュートラルの実現を打ち出すなど、経済、社会をグリーンなものにつくりかえる動きが加速しております。多くの資金を要するこうした取り組みを金融面から支えるグリーンファイナンスの役割は、非常に大きいと思います。
この分野については、従来から欧州が先行しているといわれておりますが、アメリカもバイデン新政権発足後、間もなくパリ協定に復帰をいたしました。今後、この分野への取り組みを強めていく可能性が高い上に、アジアにおいても、中国が積極的な取り組みを進めていると聞いております。東京が今後、国際金融都市として成長、発展していくためには、グリーンファイナンスの領域において、欧州を初めとした各国にキャッチアップし、リーダーシップを発揮していくことが必要でございます。
今般、そのグリーンファイナンスの活性化に向けて、Tokyo Green Finance Marketを創設するということでありますが、例えば、これによって都がグリーンファイナンスに係る新たな取引所を創設するつもりかなど、その言葉だけでは施策の内容がわかりづらいのでございます。環境と金融を組み合わせたこの取り組みは重要であると思いますが、取り組みを実効あるものにするには、取り組みの内容について、金融関係者のみならず、都民の理解を得ながら施策を進めることが必要であると思います。
そこで、Tokyo Green Finance Marketの創設に向けた検討を進める意義を確認するとともに、どのような姿を目指しているのか伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 グリーンファイナンスは世界の潮流となっておりまして、東京が国際金融都市としての地位を高めていくためには、こうした成長分野においても主導的な役割を果たしていくことが必要でございます。
今般、環境金融の専門家や市場関係者などで構成される検討組織を立ち上げ、仮称でございますけれども、Tokyo Green Finance Marketの創設に向けた検討を開始いたしました。検討に当たりましては、都がみずから取引所を設立するということではなく、環境を中心とした投資に係る資金を国内外から東京に呼び込む流れをつくり出し、その受け皿となる仕組みを構築することを目的に議論を進めております。
この分野で先行する欧州の状況を分析し、東京における課題を整理することで、既存の枠組みの活用などスピード感も意識しながら、グリーンファイナンスの活性化に向けた具体的な取り組みを検討してまいります。
○中屋委員 大体、目指す方向というのは見えてまいりました。ただ、この分野においては、制度やルールを所管するのは国であって、プレーヤーとしてグリーンファイナンスを行うのは民間事業者であります。答弁にあったスピード感を意識して進めるためにも、都は旗振り役として、国や民間事業者と積極的に連携しながら施策を進めてもらいたいと、こう思います。
さて、国内外から環境を中心とした投資に係る資金を東京に呼び込むには、資金の受け皿となる仕組みを構築することと並行して、東京においての仕組みに参加する事業者を育成することが大事です。
これについては、構想の柱のうち、東京市場に参加するプレーヤーの育成に当たると思いますが、都ではこの分野の取り組みとして、平成三十年度に東京金融賞を創設し、都民生活の向上につながるすぐれた金融サービスの提案を行う事業者や、ESG投資の普及に貢献した事業者を表彰して、国際金融都市東京の成果を国内外にアピールするとしております。グリーンファイナンスに関する取り組みにつきましても、こうした機会を活用することによって、東京がこの分野を積極的に牽引していく姿勢を示していくことが必要と思います。
そこで、東京金融賞におけるグリーンファイナンス活性化に向けた取り組みの可能性について伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 東京金融賞でございますけれども、こちらには、都民及び都内企業のニーズや課題の解決に資する画期的な金融商品、サービスの開発、提供を行う事業者を表彰する金融イノベーション部門と、持続可能な都市づくりに貢献するESG投資の普及活動を実践する金融事業者などを表彰するESG投資部門の二つの部門がございます。
この表彰制度を通じまして、都民の利便性向上と金融の活性化を実現し、同時に、国際金融都市としてのプレゼンスを向上させることを目的としております。また、国内のみならず、海外の事業者も広く表彰対象とすることによりまして、高度外国人材の流入や誘致が促されることも期待しております。
来年度、ESG投資部門におきまして、新たにグリーンファイナンスの分野で特にすぐれた取り組みを行った事業者を表彰する予定でございます。東京金融賞は、国際金融都市としての東京の存在感を国内外に示す重要な取り組みでございます。グリーンファイナンスの普及拡大に貢献した事業者を表彰することで、東京がこの分野でもリーダーシップを発揮していく姿勢を示してまいります。
○中屋委員 ぜひ、東京が環境先進都市として、また、アジアナンバーワンの国際金融都市となるように、グリーンファイナンスの分野でも実効性のある施策を進めていくことを期待いたします。
先ほど申し上げたように、構想の策定から三年を超え、国際金融情勢は激しく変動しています。国も国際金融都市の構築に向けて、税負担軽減などさまざまな取り組みを進めております。
都は、この機会を逃さず、世界に冠たる国際金融都市東京を実現し、都の成長につなげていくために、今回質問したグリーンファイナンス分野のみならず、さまざまな取り組みについて国と緊密に連携して、強力に進めていってもらいたいと思います。また、民間の力を最大限活用するべく、民間との適切な役割分担を図りながら、積極的な連携を図ってもらいたいと、こう思います。
最後に、戦略政策情報推進本部は、来年度からデジタルサービス局と政策企画局に分かれることになりますが、どちらの部局も都民の生活向上のために力を注いでいただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。
○細田委員 よろしくお願いします。
IoTやビッグデータといったデジタルの力で、暮らしを根本から変えるようなスマートシティーの動きが急速に進展しています。その特徴は、エネルギーや交通などの個別分野での取り組み、また、個別技術の実証にとどまるのではなく、生活全般を丸ごとスマート化していくということであります。
都は今年度、このようなスマートシティーを先行し、実現していくためのモデル地域を公募、選定し、豊洲エリア、また大手町、丸の内、有楽町エリア、そして竹芝エリアの三エリアで支援を開始いたしました。
そこでまず、確認の意味で、本事業の内容について質問いたします。
○米津特区推進担当部長 本事業は、データや先端技術が集積するエリアに、さまざまなサービスの連携や地域間の連携を可能にする、いわゆる都市OSを整備することによりまして、地域に密着したリアルタイムデータを活用した複数領域横断型のモデルプロジェクトを支援するものでございます。
具体的には、エリアマネジメント団体など、地域価値の向上を目的とした企業、団体等の共同事業体に対しまして、地域にリアルタイムデータ等を蓄積させるための都市OSやルールの整備、そして、そのリアルタイムデータ等を活用したプロジェクトを三カ年支援いたします。
○細田委員 本事業には、私の地元江東区にあります豊洲も選ばれています。商業施設や住宅、豊洲市場など多様な機能が集積するこの地域は、さまざまな魅力あふれる地域である反面、大規模な事業所も多く、防災面を初めとして、地域がいかにまとまって活動していくかという点で課題を持っている地域でもあります。
今回、この取り組みを契機に、豊洲での多種多様な立場のステークホルダーが一つの方向性を共有して、そして、スマートシティーのモデルを構築していくことは非常に意義があると考えますが、この大・丸・有、竹芝と比べて最も広い豊洲のエリアでは、いかなる取り組みが行われているのか、この点について答弁を求めます。
○米津特区推進担当部長 豊洲エリアでは、昨年度から、地元区であります江東区や東京都、大学研究機関、地元企業等が豊洲スマートシティ連絡会を立ち上げまして、スマートシティーの検討を行ってまいりました。今年度から、連絡会の構成員であります地元企業等が組織いたします豊洲スマートシティ推進協議会が、町会等の地元組織などとも連携しまして、観光、モビリティー、飲食、ヘルスケア、防災など、エリア全体のQOL向上を目指したスマートサービスを実現するプロジェクトを開始しております。
具体的には、LINEを入り口といたしましたサービス連携プラットフォームを構築するとともに、3Dマップ上で、交通量を初めといたしましたリアルタイムデータなどを見える化していくバーチャル豊洲を構築するなど、分野横断型の多様なサービスを実現するための基盤を整備しております。
また、サービス面では、LINE公式アカウントによる安否登録や避難支援、被災情報登録などを行う豊洲スマート防災訓練や、スマートイートの取り組みとして、エリア内の飲食店などにおきます満空情報を提供するなどの取り組みを実施いたしました。
○細田委員 新型コロナウイルス感染症の影響により、就業者や外国人観光客などによる混雑が、この地域でも、また一時的になくなるなど、まちの状況は大きく変化しています。こうした中で、居住者や就業者といった住民の目線と、まちへの来訪者の目線、この双方を見据えていただいて、エリア全体の取り組みが行われるということは大変に有意義だと思っております。
今後も江東区などと連携しながら、地域が現在抱えている課題の解決に取り組んでいっていただきたいと要望をいたします。
そして、今回支援しているこの三つのエリア以外にも、このような取り組みを広げていくべきと考えます。本事業は三カ年事業とのことですが、今後の事業展開について都の見解を求めます。
○米津特区推進担当部長 豊洲エリアにおきましては、リアルタイムデータ等を蓄積、活用したサービスを順次実装していくとともに、人流等のセンシングデータを活用した交通人流シミュレーションなどを進めまして、地域の活性化や課題解決につながるスマートシティーのモデルを構築してまいります。
また、今年度から、区市町村や関係事業者を対象にいたしました東京都スマートシティ連絡会を設置いたしまして、昨年十月に第一回を開催、明後日でございますが、三月十九日に第二回を開催する予定でございます。各モデル地域の先進的な取り組みを共有することで、他地域に同様の取り組みを広げてまいります。
さらに、スマートシティーの取り組みにつきまして都民の理解を得ていくためには、本事業で支援している三エリアのみならず、スマート東京先行実施エリアの各取り組み状況を集約したホームページや、スマートシティーが実現する未来をわかりやすく紹介する動画を作成するなど、PRも実施してまいります。
○細田委員 ありがとうございました。地域のスマートシティー化を通じて、住民、事業者、区市町村などさまざまな主体がつながり、地域の魅力を高めていけると感じます。
こうした取り組みの成功のためには、継続的に新しい取り組みを行い、改善が進められるようなサイクル、仕組みが重要であると考えます。引き続き、住民、都民のモデルを構築いただくことを求めます。
スマート東京先行実施エリア、この世界への先駆けたモデル構築、これが成功することを望みまして、次の質問に移らせていただきます。
島しょ地域の超高速ブロードバンドの環境整備事業について質問いたします。
これまで都議会公明党は、ケーブル故障に伴う通信障害の都度、ケーブルの早期復旧までのきめ細やかな情報提供や支援、ケーブル網のループ化について、都に対して緊急要望を行ってまいりました。
また、昨年十月に、利島の海底ケーブルの現状と課題について、私も含めた視察団を派遣し、現地調査を実施いたしました。そして、昨年十一月の事務事業質疑において、我が党の小磯副委員長が、利島を含め、島しょ海底ケーブルなど通信環境についての継続的な監視とさらなる取り組みを要望させていただきました。
まず、本ケーブルの事業について、今までの経緯及び今年度の取り組みについて答弁を求めます。
○沼田情報基盤担当部長 都では、超高速ブロードバンド環境が未整備の島しょでのインターネット環境改善のため、海底光ファイバーケーブルの整備を進め、令和二年三月、利島及び青ヶ島で超高速ブロードバンドサービスが開始されたことで、全ての島でサービス提供が開始されることになっております。
また、敷設したケーブルの故障により、昨年度まで複数回の通信障害が発生しておりますが、通信事業者と連携し、代替サービス等により緊急措置対応を行うとともに、早期の復旧工事を実施いたしました。
今年度でございますが、五村六島を海底ケーブルでループ状に接続するとともに、利島沖合でバイパスルートの構築を行うことで、一カ所で光ファイバーケーブルの故障が発生しても、別ルートでの通信を可能とし、通信障害の発生を回避することで、より安定した通信環境を実現しております。
○細田委員 今、ご答弁のありました、ケーブルの故障が発生してその対応があったものの、全島でブロードバンドサービスは提供され、島しょの方々がインターネットを利用できて、今年度、障害の発生を抑制して、より安定したブロードバンドサービスが提供できる環境整備が行われたとのことでありました。これが維持継続されることを望みます。
将来にわたって、島しょの超高速ブロードバンドサービスを安定的に提供し続けることが重要であると考えますけれども、都の今後の取り組みについて見解を求めます。
○沼田情報基盤担当部長 超高速ブロードバンドは、島しょ部の生活、経済において欠かすことができない重要なインフラだと認識しております。五村六島は、富士火山帯に属する火山島であり、地形が急峻なため工事の施工が難しく、台風が頻繁に来襲するなど気象条件も厳しいため、海底ケーブルの維持管理に当たっては困難な点も多くございます。
このため、過去の発生事例を検証の上、専門家のご意見を伺いながら、通信障害が発生しないよう具体的な対策の検討を行ってまいります。
都としては、本検討結果を踏まえて、通信事業者とも連携し、島しょ部における安定した通信環境の確保に努めてまいります。
○細田委員 引き続きまして、さらなる対策の検討を行っていただいて、島しょにおいて超高速ブロードバンドを安定的に供給し、島しょの方々に安心を与えることができるよう要望いたしまして、質問を終わります。
○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時四分休憩
午後三時二十分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 それでは質問したいと思います。
デジタルサービス局を立ち上げる上で、都民の願いに応えるものになるのか、どのような検討がされてきているのか、昨日総務局でも質問しました。
きょうは、特に多くの人が心配している個人情報保護について、これまで戦略本部でどのように検討されてきたのかを中心に質問します。
二〇二〇年の情報通信白書によると、企業などが提供するサービスを利用する際に、個人情報を提供することについて、八割が不安を感じると回答し、インターネットを利用する際に感じる不安については、個人情報や利用履歴の漏えいの割合が八八・四%に上っています。こうした不安を受けとめ、必要な対策を進めていくことが重要だと思います。
都は、官民連携データプラットフォームの構築に向けた取り組みを進めていますが、データプラットフォームの運営を検討する立場として、個人情報の取り扱いについて、どのような認識を持っているのか伺います。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会の議論をもとに、今年度策定いたしますポリシー案は、データ流通推進事業で取り扱うデータの範囲としまして、まずは個人情報を扱わないこととしておりまして、個人情報を含むパーソナルデータを取り扱う際には、再度、有識者による専門家会議等の検討を経て、慎重に対応することとしております。
○原委員 先ほどいったように、大変多くの人が心配しているということについての受けとめについては少しわかりませんでしたけれども、ただ、まずは個人情報を扱わずとしているのは、そうした不安を意識しているのかなというふうに推察します。
しかし、パブリックコメントの資料を見ますと、別紙1というので、ポリシー条項素案に関する概要というのが示されて、それでコメントをとられていますけれども、その中では既に、個人情報を含むパーソナルデータの取り扱いは想定しているわけです。
取り扱いデータと書いてあって、徐々にデータの取り扱い範囲を広げていくということや、将来的にセンシティブな個人情報を含むデータの取り扱いも検討していくと明記をされています。
そういう点では、そもそも、このポリシー委員会でどうするかということだけではなくて、官民連携でデータを取り扱うことについて、そこについての都民の意見を聞いているわけではないので、私は都民合意がとられているといえるのかなというふうに大変心配をしています。
さらにもう少し伺います。第三回官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会の議論の中で、GDPRで個人情報とされるようなものであっても、日本は、匿名加工情報は安全だというスタンスがあるので、それは許容されると思うが、そうでないものについて許容されるものを整理しなければ、プライバシーの侵害が起きる可能性があるという、そういう発言等があります。
このポリシー策定委員会では、匿名加工情報の安全性についてどのような議論が行われたのか伺います。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会におきましては、例えば、匿名加工情報であることを確認できれば事業を進めるに当たり問題はないとか、匿名加工情報は物理的にも法的にも安全であるというご意見や、現時点では匿名加工情報と統計情報に限るのがよいのではないかなどのご意見がございました。
○原委員 今、いろいろな意見が出ているということで紹介をしていただきました。
読んでいきますと、本当にたくさん意見が出ていまして、例えば、個人情報を含まないというよりは、もともと個人情報だったけれども、加工した結果、個人情報ではなくなっただけで、加工が不十分であれば個人情報にいつでも戻ってしまうとか、匿名加工情報までしてしまえば大丈夫なのかもしれませんが、そうでない段階のものが本当に個人情報ではないといえるのかどうかという点が最大のリスクではないかという指摘をされている委員もいらっしゃいました。
パブリックコメントのときに、先ほどお話しした資料、概要は、この匿名加工情報はもう使うという前提になっているんですね。このことについては大変よく検討しないといけないのではないかというふうに思います。
個人情報がないとされた情報でも、見方によって変わったり、集まった情報を比較する中で見えてきてしまったりとか、あと、先ほども委員の方の発言にも、そのベースは個人情報だと、もともとは。ですから、そういう点では本当に取り扱いというのは慎重にされるべきだし、ヒューマンエラーも起こり得るということも考慮しなければいけないと思うんですね。
そこで、私は改めてこうした問題を検討していくときの基本の考え方について伺いたいと思うんです。
一つは、先ほども触れたGDPRなんですけれども、EU加盟国などにおける一般データ保護規則です。このGDPRでは、前文において、個人データの取り扱いは、人間に奉仕するために設計されるべきであるとしています。
その上で、情報主体、つまりその情報のもととなる個人によるアクセス権、十五条。訂正の権利、十六条。消去の権利、十七条。取り扱いの制限による権利、十八条。異議を述べる権利、二十一条など、情報主体の権利を定めています。
このように、GDPRは、個人情報の取り扱いは情報主体である個人の保護であるということを前提として、個人情報の利活用を制限しているわけです。
EUでは、個人情報は、情報主体である個人のものであるということを明確にしているわけですが、ポリシー策定委員会ではどのように検討されているのか伺います。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会におきましては、まずは個人情報を扱わず、個人情報を含むパーソナルデータの流通を行う際には、再度、有識者による専門家会議等の検討を経て、慎重に対応することとしております。
○原委員 なかなか、同じような答弁なんですけれども、委員会の議論の中では、匿名加工情報についても、GDPRで個人情報だとされるようなものであっても、匿名加工情報は安全だという立場をとっているというふうにおっしゃっている、そういうご意見などもあります。
また、そういう立場とは違って、先ほどもいいましたけれども、提供者からもらったデータが、見る人によっては個人情報になってしまう。もしくは、重大なプライバシー侵害を起こす可能性があるということをチェックしなくちゃいけないということや、個人情報ではないと思っていたけれども、実はまじっていたというようなことが発覚した場合、どうするか。個人情報は入っていないといわれて提供を受けたデータ利用者の損害について、どういうふうに責任をとっていくのかなど議論をされているんですよね。
こういうことを本当にどう考えていくかということが問われているんですが、今いったように、GDPRではそういうふうに、個人情報は情報主体である個人のものであるとなっているけれども、その立場とは違うかのような、そういうふうにとれる発言もあるので、私は、非常にちょっと心配しているわけです。
そして、もう一つ伺いたいのは憲法の問題なんですが、日本国憲法第十三条に基づいて保障されているプライバシー権では、自分の情報を自分でコントロールできる権利も含まれている。そのため、GDPRで定められているように、訂正の権利、消去の権利、取り扱いの制限の権利、異議を述べる権利などの保障は、憲法で要請されている義務でもあるというふうに思います。
三月四日に行われた第四回官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会で、データ流通推進事業で取り扱うデータの範囲は、当面の間、個人情報を含まないデータまでとするとしています。先ほどご答弁にもありました。
当面は個人情報を扱わないとしていますけれども、将来的には個人情報を含むパーソナルデータを扱うとしています。自分の情報を自分でコントロールできる権利を、官民連携データプラットフォーム運営組織として明確にし、個人情報の取り扱いのルールを厳格に定めるということについて、考えているのかどうか伺います。
○高橋事業調整担当部長 今年度定めます官民連携データプラットフォームポリシー案は、個人情報を含まないパーソナルデータまでを対象としておりまして、繰り返しになりますが、今後、個人情報を含むパーソナルデータを取り扱う際には、再度、有識者による専門家会議等の検討を経て、慎重に対応していくこととしております。
○原委員 ここまで、情報通信白書の話から始まって、八割以上の人が個人情報の問題について、とても心配しているという状況の中で、GDPRや憲法に照らして個人情報保護のことについてはどうなのかということで伺ってきたんですが、基本的なお答えは、当面は個人情報は取り扱わないということなんですよね。
私は今の段階で、それで都民の皆さんが安心できるのかなということを感じているわけです。
そもそも、官民連携でデータを取り扱っていくことそのものについての心配、最初にもいいましたけれども、そうした心配については、スルーされてしまっているといっていいのではないかというふうに思うんです。
このポリシー策定委員会の中でもご意見が出ていまして、第三回の議事録を見ても、いろいろ本当に真剣な議論もされていて、その取りまとめの段階で、東京都が何をしたいかが明確にならないと、メッセージを細かく伝えることができません。都が何をしたいかしっかり決めていただいてから進めていただきたいというご意見や、都がどういう目的で、何を都民の福利として具体的に考え、この事業を進めるのかという、そういうご意見なんかも出ているんですね。
私、ここだけちょっと確認させていただきたいんですけれども、こうしたご意見に対しては、都としてどういう見解を持っているか、どういうふうに対応しているか。その点だけ、ちょっと確認させてください。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットフォームは、個人情報の保護を図りながらデータの利活用を図るものでございまして、今年度データ利活用の実証事業を行いまして、来年度具体的なユースケースを定めるよう、検討を進めているところでございます。
○原委員 ご答弁いただきました。
ただ、今の時点で、こうしたご意見に対して、都としてこういうものをという明確なものというのがなかなか見えてこないかなというふうに私は感じていますが、もう少し、ちょっと伺いたいと思います。
都民にはっきりと見える形で、納得を得ながらルール作成を進めるという、そういう考えはあるでしょうか。いかがですか。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会では、全四回の議論を公開で行うとともに、委員もごらんになっているとおり、議事録も含めて全てホームページで公開しております。
その上、委員会で取りまとめたポリシー素案につきましても、昨年十二月から一カ月間、意見公募、いわゆるパブリックコメントを行いまして、取りまとめて公表してまいります。
今後も都民に透明性の高い情報発信を心がけてまいります。
○原委員 透明性の高い情報発信を心がけていくという点については、私も大変重要なことだというふうに思います。
そのご答弁を受けて、最後に伺いたいんですけれども、今、国のデジタル庁への動きとの連携も強調されているわけですけれども、二〇二〇年十二月二十五日に出された、政府のデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針には、情報主体である個人の権利については、一言も言及がないんです。また、権利という言葉すら出てこないというものになっています。
こうした政府方針に対して、情報主体である個人の権利についてしっかりと位置づけるよう国に求めるべきではないかと、私は考えています。
ポリシー策定委員会では、どのような議論があったか伺います。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会では、繰り返しになりますが、まずは個人情報を取り扱わず、個人情報を含むパーソナルデータの流通を行う際には、再度、有識者による専門家会議等の検討を経まして、慎重に対応していくこととしております。
○原委員 答弁は、同じ内容でされましたけれども、私としては、都庁としても、デジタルサービス局も設置しようという大きな提案をされているときに、どういうふうに考えられているかなということで質問をしてきているわけですけれども、ちょっと残念かなというふうに思っています。
都民一人一人が豊かに生きていけるようにデジタルの力を活用する。また、適切なデータを活用するということになると思うんですけれども、だからこそ情報主体である個人の権利が位置づけられ、また個人情報が保護されるということが不可欠なわけです。
そのことについて、やっぱり東京都が、このポリシー策定委員会という、そこにとどまらず、都庁としてきちんと示していくことが必要だと思っているんです。
例えば、情報漏えいなどで不利益が出た場合に、しっかりと補償や救済がされるように、国に対して制度をつくることを求めるとか、また、都としても、そうした制度をつくることが検討されることが不可欠ではないかというふうに思うんです。
ぜひ、この個人情報保護のことについては、本当に最初にいったように、多くの方が心配しているという中で、それを軽視せずに進めていただきたいということを最後に申し上げて、質問としたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中村委員 それでは、デジタルサービス局の設立について、まず質問します。
四月から、今の戦略政策情報推進本部からデジタルサービス局になるのですが、一部業務の移管はありますが、名称が変わるだけではないと当然思いますが、何が変わるのでしょうか。
技術立国といわれてきた日本が、他国から比べてデジタル化がおくれてしまったのは残念なことです。都としてこの原因をどう分析し、どのように改善していこうと考えるか伺います。
現状を踏まえて、今のおくれをどう逆転するかを真剣に考えなければなりません。国ではデジタル庁設立の議論をしていますが、そことの連携はどうなるのでしょうか、あわせて伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 二〇一八年の民間調査によりますと、例えば、都市全体のデジタル化のランキング、これを見ましても、東京は世界で二十八位であるなど、世界諸都市と比べて、都市全体のデジタル化がおくれている現状でございます。
東京がこの出おくれを挽回し、世界の都市間競争を勝ち抜いていくためには、他都市よりもスピード感を持って、デジタルトランスフォーメーションを加速度的に進めていくことが必要でございます。
そこで、行政サービスの質、いわゆるQOSを飛躍的に向上させ、都政のDX推進の先導役となるデジタルサービス局を新たに設置をし、全庁挙げて取り組んでいくことといたしました。
また、国におきましても、デジタル庁を新たに設置をし、マイナンバーカードの活用促進など、デジタル社会の基盤といえる施策に取り組む方向性などが示されております。
今後、国とも連携して取り組みを進めてまいります。
○中村委員 二十八位ということで、かなりおくれてしまったのかなという印象があります。
この間のどうしておくれてしまったのか等を含めて、しっかりと検証しながら次の施策に生かしていただけるようにしていただきたいと思います。
さて、このデジタルサービス局の設立に伴い、総務局で行っている行政改革が移管されるとのことです。
現時点では所管は総務局なのですが、少なくともデジタルを所管する現在の戦略本部としても、デジタル化に伴う行政改革は今でもしているはずです。どう取り組んでいくのか伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 先般示されましたシン・トセイにおきましては、デジタルトランスフォーメーションの推進をてことして、制度や仕組みの根本までさかのぼった都政の構造改革を推進するとしております。
例えば、構造改革におけますコアプロジェクトの一つでございます、五つのレス徹底推進プロジェクトにおきましては、仕事のベースとなる仕組みや規制を見直すとともに、アナログ環境からデジタル環境へと転換し、都政のDX推進につなげる取り組みを実施していくこととしております。
今後は五つのレスの実現にとどまらず、デジタルを前提とした仕事の仕方に転換するなど、都政の構造改革に向けた取り組みを推進してまいります。
○中村委員 先日、シン・トセイの方を策定した政策企画局にも申し上げたんですが、都政の改革というのは、必ずしもデジタル化だけでないところもあると思います。
皆さんの部隊では、今デジタル化が中心だと思うんですが、いろんな改革がある中で、行政改革という言葉が消えてしまうのは少し残念なところがあるんですけれども、組織が変わっていく中で、デジタル化をうまく生かしながら、いろんな分野で改革が必要なところは、意識改革等を含めてあると思っていますので、ぜひ、都庁のサービスが都民のためによいものになるような改革を今後進めていただければと思っています。
さて、デジタル化の推進については、時代の流れでもあり、必要だと思っています。ただ、それは利用者である都民にとって、利便性が向上するためのものであって、行政の効率化がそれにつながるならよいのですが、行政が都民を管理するのに便利だという観点から、管理社会にならないのかの不安もあります。
新型コロナへの対応の事例で、中国や台湾、韓国は、確かに日本よりも感染を抑えているようですが、個人情報を制限したからできたこともあるようです。これはそれぞれの国の選択になるのでしょうが、少なくとも日本では、デジタル化を推進しても、監視社会にはしてはならないと思っています。
デジタルサービス局となり、どのような社会を目指すのか。それは監視社会につながるような取り組みにならないのか伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 コロナ禍で浮き彫りとなりました行政のデジタル化のおくれを克服し、都庁内外のユーザーに向け、質の高いデジタルサービスを提供できるよう、デジタルを活用した都政のQOSを飛躍的に向上させる旗振り役、牽引役として、デジタルサービス局が新たに新設をされます。
今後、このデジタルサービス局が中心となって、デジタルトランスフォーメーションの推進をてこに、都政のQOSを向上させることで、都民のQOLを高め、誰もが安全・安心で、幸せを享受できる社会を実現することを目指してまいります。
なお、DXの推進に当たりましては、プライバシーに十分配慮するなど、適切に取り組みを進めてまいります。
○中村委員 新たな組織ができてきて、ここから、ある意味ではスタートになるわけですから、今プライバシーに十分配慮するなどというお答えもありましたけれども、今後ずっとこういった組織が続いていくのであれば、このことの原点は忘れずに取り組んでいただきたいというふうに思っています。
そういった点で、このデジタル化で懸念される個人情報保護は十分でしょうか。どれだけセキュリティーを強化しても、さまざまな事例を見ていても、結局はヒューマンエラーによって流出をしてしまうおそれがあります。
今後、デジタル化を推進するに際して、より一層のセキュリティーの強化が必要になりますが、見解を伺います。
○沼田情報基盤担当部長 今後、デジタル化を推進していく中で、都民が安心してサービスを享受できるようにするためには、情報システムへの不正アクセスや、情報漏えいなどにつながるサイバー攻撃などへの対応が重要だと認識しております。
このため、都では、国が示す地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを踏まえ、サイバーセキュリティーポリシーを定め、さまざまなサイバーセキュリティー対策を実施しておるところでございます。
日々高度化、巧妙化するサイバー攻撃に対しては、継続的な取り組みが不可欠であり、引き続き各局とも連携しながら、情報システムのリスク評価等を通じて、しっかり対策に取り組んでまいります。
○中村委員 もともと情報が紙でしかなければそんなに広がらないんですが、デジタル化することによって、流出した場合、本当に広がってしまったら、今度取り返しがつかないことにもなってしまうということもあります。
昨今、報道でも、新型コロナなど、感染者の名前が出てしまったとか、取り返しがつかないことになってしまいますから、今後、本当により一層この扱いというのを注意していただければというふうに思っています。
さて、都庁は大変重要な個人情報を預かっていますので、当然ながら、個人情報の扱いが厳格のため、自宅で仕事をするテレワークに向かないとの見方もあります。仮に情報セキュリティーを強化してクラウド化しても、書類の持ち出しはできません。
今後、都庁のテレワークと情報の扱い方について見解を伺います。
○沼田情報基盤担当部長 都では、特定個人情報、いわゆるマイナンバーを取り扱う業務につきましては、高いセキュリティーが求められていることから、外部からネットワークを分離いたしまして厳密に管理することにしておりますので、テレワークでの業務はできないことにはなっております。
ただ、それ以外の業務につきましては、テレワーク対応端末で庁内業務環境にアクセスできます。その上で、複合的に認証かつ通信経路及び暗号化もし、適切なアクセス管理整備を実施しておりますとともに、行政情報等のデータを端末に保存できないような仕様としておりまして、強固なセキュリティー対策を実施しており、これら技術的対策で、情報漏えい等のセキュリティーインシデントの発生防止に万全を期しているところでございます。
このような対策を行うことにより、テレワークを行う職員は、行政情報等のデータを持ち出すことなく、庁内と同等のシステム環境で業務を行うことが可能となっております。
○中村委員 対策はとっていただいているということなんですけれども、案外漏れるときというのは本当に簡単なことで漏れたりもしてしまったりします。ないとは思うんですが、例えば気晴らしに、家ではなくて喫茶店で仕事をしたりして、後ろから、この画面を写真で撮られてしまうとかということになると、それで漏れてしまうということがあります。そういうことはないとは思うんですが、こういったことのミス等が起きないように、庁内でも研修等をしっかり行っていただきたいと思っています。
さて、デジタルデバイドの是正について伺います。
一般的に年齢を重ねると、新たなことを始めなくなるんですが、一方では、出かけなくても交流を図れるなど、むしろ身体的能力が落ちた場合にそれを補うものとして、最新の技術が有効です。
ただ、スマートフォンにしても、昔の大型コンピューターよりも性能がよく、使わない機能も多くなっています。
都全体でデジタル化を進めるということであれば、使うのが苦手な高齢者に合わせた製品の開発を都からメーカーに求めることも必要だと思います。
総務局から補正予算が提案されているプレミアムつき商品券発行についても、スマートフォンを持っていないと、デジタルで発行された商品券は利用できなくなってしまいます。
誰ひとり取り残さない社会を目指す上で、こうした格差を残したまま、行政のサービスに格差が生じるのは好ましくありません。デジタル化を進めるに際して配慮が必要です。
来年度、高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業が計上されていますが、対象は何歳以上の方の何人が利用することを目標としているのか、どのぐらいの効果を見込む事業なのか伺います。
○樋口ICT推進部長 来月施行の東京デジタルファースト条例が目指します、都民及び事業者があらゆる活動において情報通信技術の便益を享受できる社会を実現するためには、情報通信技術の進展に伴い生じ得るデジタルデバイドを是正することが必要不可欠でございます。
ご指摘の高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業につきましては、昨今のスマートフォンの保有状況に鑑み、高齢者がスマートフォンを活用し、行政サービスを初めとするデジタル化の恩恵を享受できるようにするため、老人クラブに加入できる六十歳以上の高齢者を想定の上、費用を計上してございます。
規模につきましても同様に、老人クラブの加入者数を参考に見積もりを実施し、現時点で二十五万人程度を想定してございます。
来年度、事業を実施する中で、その効果等を検証しつつ、事業手法や規模等の検討を行ってまいります。
○中村委員 使わない人には使わないなりの理由があるので、行政の都合で、一部使わない人がいるから効率が悪いので、全員使わせようというのは少し違う気がします。
もちろん使いたいけれども、ハードルが高いので、使い方の支援、購入費用の支援などがあれば使いたいというニーズがあるなら、高齢者のよりよい生活への施策としてはあり得ると思います。
都としてこの事業の目的をどう捉え、高齢者のニーズをどうつかんでいるのか伺います。
○樋口ICT推進部長 デジタル社会におきまして、年齢や障害の有無にかかわらず、誰もがデジタル化の恩恵を享受できることが重要でございます。
このため、先ほどご答弁申し上げたとおりですが、高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業につきまして、スマートフォンの利便性や使い方をご理解いただけるよう、普及啓発に取り組んでいくこととしておりますが、その際には高齢者の方々のご意見を伺う機会を設けてまいります。
○中村委員 新しくスマートフォンを使うのに何か動機づけもあるんだろうと思います。
例えば、さっきお話ししたような総務局のプレミアムつきの商品券なども、他局の事業ですけれども、連携していて、これを買いたいから、じゃあスマートフォンを使おうかということもあるでしょうから、さまざま、他の組織とも連携しながら取り組みをしていただきたいというふうに思っています。
次に、スマート東京について伺います。
官民連携データプラットフォームの構築について、個人情報保護とデータ活用の両立を目指すものとして進めているようですが、都民や民間事業者等の合意形成を図りながらともあります。
都民のデータを使って展開するのですから、当然、進めるに際しては都民の理解を得ることが必要です。
そもそも都民にとっての利益は何でしょうか、そして、どのように都民の合意形成を得るのでしょうか、伺います。
○高橋事業調整担当部長 都では今年度、民間からの提案により、都民のデータを活用して、混雑回避等のための新たなサービスを提供するデータ利活用実証プロジェクトを実施いたしました。
そのプロジェクトの中で、例えば六本木商店街エリアでの取り組みでは、カメラを活用し、画像を瞬時に個人が特定できない統計情報へ変換した上で、まちの混雑状況について、サイネージ等により、リアルタイムに見える化して注意喚起を行いました。
この取り組みでは、混雑情報を活用することによりまして、都民が混雑を避けて、安心してまちを訪れることが可能となるものでございます。
都民や民間事業者等の合意形成につきましては、データの取り扱いについてルールをしっかり定め、都民の安心を確保するとともに、来年度実施するケーススタディー事業においてさらなる実証を重ねまして、データ利活用の意義について、都民の理解を得ていきたいと考えております。
○中村委員 個人情報が特定されない形での利用だということでございます。
とはいえ、これはもともとは都民の皆さんの情報ですから、そういったところを、どういう利便性が都民にはあるのか、そしてまた、どうやって都民の皆さんがいいといってくれるのか、そういったことも考えながら、ぜひ丁寧に進めていただきたいと思っています。
さて、行政が持っているデータを提供することになりますが、そもそも行政自身が保有するデータをうまく活用して、政策に、施策に反映していたのでしょうか。
デジタル化は仕事の仕組みを変えるだけではなく、それによって収集されるデータを活用した取り組みができるようになります。官民連携データプラットフォームの構築に向け、どのようにするのでしょうか。また逆に、民間が収集したデータを行政も活用できるようになりますが、どのように行政で活用するのか伺います。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットフォーム構築に向けては、民間事業者からのデータ収集とデータ利活用促進が重要でございまして、今年度、データ利活用実証プロジェクトでは、さまざまな民間事業者と行政の保有するデータを掛け合わせまして、都民の利便性向上につながる取り組みを検証いたしました。
例えば、防災をテーマにしたプロジェクトにおきましては、風水害時の人流やSNSなどの民間データに対しまして、冠水情報などの行政データを掛け合わせて、災害発生箇所を迂回したルート情報をシミュレーションし、通行可能性の高い物資搬送や避難のためのルート提示を行ったところでございます。
次年度も、ケーススタディー事業におきまして、民間事業者の発案によりさまざまなデータを収集活用し、行政のオープンデータを掛け合わせるプロジェクト等を実施することで、データ利活用のさらなる促進につなげてまいります。
○中村委員 さまざまなデータがあるので、大変価値のあるものもあるんだろうと思っています。それを使うのも人なんだと思いますので、こういった、いろんな専門の方もいらっしゃると思うんですが、どういうふうにデータを使うのか。どう分析して、どう展開していくのか。そういった人材の育成というのも必要だと思いますので、今後は検討いただきたいと思っています。
さて、この官民連携データプラットフォームの構築について、こうした取り組みにより、行政と民間が持つデータを生かして、さまざまな施策を行うことができるようになることを期待します。
現在の新型コロナウイルスの感染症対策にも生かせないでしょうか、伺いたいと思います。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットフォームの構築に向けて設置しました施設系混雑ワーキンググループの方では、混雑情報を収集、配信する企業等、約四十社が集まりまして、店舗等の疎密データの提供に当たっての共通の運用ルールづくりなどの議論を進めております。
そのうち、一部事業者によりまして、地図上に複数の企業の疎密データをまとめて表示できる取り組みなど、実際にサービスを提供しているところでございます。
来年度以降は、三密回避に加え、発展的な疎密データの利活用など、さらなる拡充を目指し、疎密データ等とそれ以外のデータを掛け合わせて、新たな価値の創出に挑戦し、ポストコロナ時代に資する混雑情報の活用を推進してまいります。
○中村委員 既に新たな取り組みをしていただいているということなんですけれども、まだまだこれからいろんな課題も出てくるわけでしょうから、こういったデータを生かしながら取り組んでいただきたいと思います。
さて、今その新型コロナウイルスについてもお話しさせていただきましたが、この間、コロナで感染者の数値が誤っていたことなどがたびたび起こっていました。
感染状況の把握は対策を行う上で大変重要です。東京都と市区町村、保健所、病院などさまざまな機関をつなぐことの困難さは理解しますが、なぜたびたびこういったことが起こってしまうのでしょうか。
デジタル化の推進で、コロナの対応を強化できないでしょうか。デジタルサービス局が、単に他局の仕事を請け負うのではなく、むしろ積極的にデジタル化を通じて改善を図れないでしょうか。
新型コロナでは、システムの問題やデータの生かし方が十分じゃなかったと思います。むしろ積極的に科学的な分析を行うために、デジタル化によりデータを活用した新たな施策を展開できるのではないかと考えますが、見解を伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 昨年六月、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や行政手続のデジタル化の推進など、各局事業におけるデジタル化の活用について、局横断的に技術面から支援することを目的として、東京テックチーム、こちらを設置したところでございます。
取り組み内容といたしましては、例えばコロナ対策として、東京版新型コロナ見守りサービスや、感染拡大防止徹底宣言の登録店舗マップなどの提供を行ってまいりました。
来年度設置いたしますデジタルサービス局におきましては、東京テックチームの機能を継承しコロナ対策に取り組むとともに、データの活用を含め、各局施策の推進に向け、技術的なサポートを行ってまいります。
○中村委員 それでは次に、市区町村における行政手続デジタル化モデル事業について伺います。
前回の事務事業質疑の際に、市区町村と共同でのシステムづくりが効率的で必要だと述べました。そのことは複数の行政窓口に書類を出す事業者にとっては、書式が統一されれば便利になります。とはいえ、普通の都民にとっては、当然、お住まいの役所にしか行かないことがほとんどです。
一方では、各市区町村の自治があるので、共同のシステムをつくっても、上乗せなど、自治体独自の施策をシステムに組み込む際にどうするかという問題も出てきます。
内部の仕事の効率化の問題なら、システムの共同化はコストを下げることにつながるのでよいのですが、システムの側からの都合で独自の施策が反映されずに自治が制限されてはならないと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 都が実施する行政手続デジタル化モデル事業につきましては、自治体の要望を聞いた上で、窓口業務の中から典型的な手続を選定し、クラウドサービス等を使った業務のデジタル化を試行実施するものでございます。
この事業を通じまして得られたノウハウ等を区市町村とともに共有していくものでございまして、各自治体においてこれを参考に、地域の実情を踏まえたサービス提供を行うことを想定してございます。
また、今回のモデル事業におきましては、書式やデータベースを柔軟に変えることのできるクラウドサービス等を利用することを想定しておりますことから、各自治体の判断によりシステムの仕様を弾力的に変更することが可能となってございます。
○中村委員 自治体の規模も違いますし、取り組み方が違うところもあると思っています。なかなか規模が小さくて難しいところもあるでしょうから、積極的に都が支えていただいて、レベルアップを図っていただければと思っています。
さて、次に、情報通信網の整備について伺います。
Wi-Fi環境の整備がおくれています。無料Wi-Fiがもっと整備され、より気軽に使えるようにすべきではないかと思います。
特に最近では、テレワークによって、自宅近くなどさまざまな場所での利用がふえています。テレワークを促進するためにもさらなる整備が必要です。
都はWi-Fi環境の整備について、どのように取り組んでいるのか、見解を伺います。
○荻原情報企画担当部長 TOKYO Data Highwayは、二十一世紀の基幹的公共インフラであり、都民生活の質の向上のために、都内全域において、5Gを初め、Wi-Fiなど高速インターネットにつながる環境を整備していくことは重要でございます。
本年一月に、都内のインターネット通信環境や都民の利用状況等、都のデジタル化の現状を調査いたしました。その結果、TOKYO FREE Wi-Fiが都心部に集中するとともに、地域や施設によって公衆無線LANの整備状況に乖離があるということを把握しております。
今後、各自治体の公衆無線LANの整備方針等を把握し、必要に応じて各施設のインターネット環境の整備を技術的に支援してまいります。
○中村委員 ぜひ、これも地域的な偏りがあるということもありますので、都として積極的に支援をしていただきたいと思っています。
さて、せんだっての総務局の質疑でも、防災プランについて議論したんですが、そこを見てみると、新たな災害対策の柱として、デジタルトランスフォーメーションが掲げられています。
しかし、東日本大震災の際には、通信網が遮断されて使えなくなり、インフラの被害がなかった東京でさえも通信が混雑し、つながらない状況になりました。
物理的な耐震化と回線の複線化の両面で、災害に強い情報通信網の整備が必要ですが、都はどのように取り組むのか伺います。
○荻原情報企画担当部長 通信事業者は、基地局鉄塔の耐震化を進め、区市町村の役場など、重要エリアにおける無停電化に取り組むとともに、光ファイバー等、通信伝送路のループ化を図っており、災害等でケーブルが切れた場合であっても、別ルートを経由してサービスを提供することとしております。
万一、通信途絶地域が発生した場合でも、伝送路断絶や停電に伴うサービス中断に対応できる移動基地局車、可搬型衛星基地局、移動電源車などの活用により復旧することとしております。
こうしたインフラ整備のもと、引き続き、通信事業者と定期的に行っておりますネットワーク分科会の意見交換の場を通じて、連携をより一層強化してまいります。
○中村委員 災害が起きたときに、こういったデジタルを活用した対策というのがとられるようになってきておりますので、より一層こういった情報通信網の耐震化ということをしっかり進めていただければというふうに思っています。
次に、国際金融について伺います。
都は、国際金融都市の実現を目指していますが、来年度予算には、サステーナブルエネルギーファンドの創設の十億円や、フィンテック支援ファンドの創設の二億円が計上されています。
都がファンドを行う意義について改めて伺います。国とは違い、都のレベルのファンドは社会的なインパクトは小さいのではないでしょうか。これまでに行った再生可能エネルギーの発電所の整備などは、都がファンドに加わらないとできなかったのでしょうか。
都がファンドを行う意義を改めて伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 官民連携ファンドは、インフラ整備など、民間単独では手がけにくい分野におきまして、都が呼び水となる出資を行い、民間の資金とノウハウを最大限活用して事業を推進するものでございます。
また、国が運営するファンドとは異なりまして、出資の過半を民間が占め、ファンドの運営も民間事業者が行うなど、民間主導のスキームとなっており、都がファンドに参画することで、民間の投資を呼び込み、より大規模な事業実施が可能となります。
これまで都では、エネルギー関連で、官民連携インフラファンド、官民連携再生可能エネルギーファンドの二つのファンドに取り組み、合わせて三十二カ所、出力合計七十九万キロワットの発電所に対して投融資を実施してまいりました。
これは大型発電プラント一基分に相当する規模でございまして、電力供給の安定化や再生可能エネルギーの普及促進という観点から、一定の政策効果を生み出してきたものと認識しております。
○中村委員 この限られたところの中で、ファンドをやった中で成果が出たという話ではありましたが、今後まだ国際金融都市を目指すということで、ファンドそれぞれがある中で、どの位置にあって、これをやったことでどういうふうにこの政策につながるのかっていうところを、もう少しわかりやすく都民の皆さんに説明していただいて進めていただくことが大切かと思っています。
そのようなことをお願いいたしまして、質問の方を終わります。
○小松委員 今回公表されたシン・トセイ戦略では、DXの推進をてこにして、都庁の制度や仕組みを根本までさかのぼって構造改革を進めることで、二〇二五年度をめどに、デジタルガバメント都庁の基盤をつくるとし、そのための取り組みの一つに、バーチャル都庁構想を掲げています。
まずは、このバーチャル都庁を目指す意義と、戦略政策情報推進本部における具体的な取り組みについて確認します。
○樋口ICT推進部長 バーチャル都庁構想は、デジタル空間にもう一つの都庁をつくり、職員の働く環境のデジタル空間への引っ越しを行うことで、行政サービスの提供をリアルとバーチャルの二拠点で行い、リアルに集中しているサービスをバーチャルでも提供することを目指すものでございまして、デジタルの力による都政のQOSの飛躍的な向上に向けて、ベースとなる構想でございます。
この実現に向けまして、改革の突破口となります七つのコアプロジェクトを全庁的に推進してございます。
現在、戦略政策情報推進本部は、東京デジタルファースト条例をてことした行政手続のデジタル化の推進や、庁内システム基盤のクラウド化などによる未来型オフィスへの転換、さらにはオープンデータ化といったプロジェクトを担当するほか、デジタル化に係る他のプロジェクトにも積極的に関与してございます。
○小松委員 都が他の道府県よりも率先して都政のデジタルシフトを推し進め、バーチャル都庁を目指していくという姿勢は評価できるものであります。
次に、先ほどの答弁にもありましたが、バーチャル都庁構想の中にある行政手続のデジタル化について確認したいと思います。
今回の予算の中では、都の行政手続のデジタル化を支えている共同電子申請サービスの改修の経費が計上されました。
そこで、共同電子申請サービスの改修内容について確認します。
○沼田情報基盤担当部長 総務省の統計によれば、スマートフォンの世帯保有割合は、既にパソコンを超えておりまして、行政手続のデジタル化推進のためには、スマートフォンで申請できる環境を整備していくことが重要となっております。
共同運営電子申請システムでは、現状でもスマートフォンにおける申請も可能でありますが、一部の機能に制約がございます。
このため、令和三年度におきましては、申請手数料等の電子納付が可能となるペイジーによるキャッシュレス決済について、スマートフォンでも利用できるようにするための開発を実施いたします。
今後も、共同運営電子申請システムの改善を適切に行い、行政手続等のデジタル化による都民のQOS向上を推進してまいります。
○小松委員 行政手続のデジタル化が進み、都民がいつでもどこでも行政サービスを受けられるというデジタル社会の実現というものには期待をするものであります。ぜひ、ユーザー視点に立ったシステムの改善に今後も努めていっていただきたいと要望します。
今、お聞きいたしましたのが、都民や住民との接点にある行政窓口の電子化のことについてでありました。その後ろで動く自治体の業務処理システムについても確認をしたいと思います。
我が党の予算特別委員会代表質疑におきまして、国においては、この自治体の根幹をなす住民記録や、地方税等の基幹業務を支えるシステムの標準化が進められていますとの答弁をいただきました。
自治体の業務の標準化やクラウド利用は、感染症拡大以前から議論されてきたことであります。しかしながら、今般のコロナ危機では、国、自治体と医療機関との間で情報共有が進まない、公開されているデータの体系化や標準化が不十分で、民間事業者がデータを活用した新型コロナウイルス感染症対策関連サービスを提供するということが極めて困難など、迅速かつ的確な対応ができなかった、こうした事実がありました。
この振り返りのもと、マイナンバーの運用や、国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善を行うべく検討が進められていると聞いています。
そこで改めて伺いますが、これまで国が進めてきた自治体クラウドと、今回のこのガブクラウドというものの違いは何でしょうか。
○樋口ICT推進部長 自治体クラウドは、参加する複数の自治体におきまして、一部業務のシステムを標準化し、共同利用を行うもので、システム経費の削減や住民サービス向上等を図ることを目的に、国が推進してきた取り組みでございます。
一方、ガブクラウドにつきましては、国が具体的な検討を開始したところではございますが、自治体の活用方法につきましては、国が、税務等の自治体の基幹的業務の十七業務等につきまして、システムの標準仕様を定め、複数のサービス事業者がその仕様に準拠したシステムをガブクラウド上に構築し、自治体はこれらの中から選定して利用するようになると聞いてございます。
このように、現状では、自治体クラウドが自治体による広域的なシステムの共同利用であるのに対しまして、ガブクラウドは国が用意したシステムを全国の自治体が共同で利用していくものとなってございます。
○小松委員 ただいまいただいた答弁から、これまでにない規模感で、この自治体の事務の標準化やシステムの統一を進めていこうということがわかりました。
今回、都から提示をされた未来の東京戦略においても、都庁、そして国の機関、都内の全区市町村は、完全なこのデジタルガバメントとなって、行政手続は自宅からオンラインで、ワンスオンリー、ワンストップで完了できる東京の姿を目指すということとしています。
これは極端な話をすると、海外からでも必要な手続が行えるということでもありますし、都民の働き方や暮らし方も、このデジタルをきっかけに大きく変化していく中で、自治体のあり方についても、また考え方も、大きく変わってくる可能性があるんじゃないかなというふうに思います。
現在、まさにこの協力金の受給が遅いといった批判もありますし、さまざまな行政手続の今後のQOSは、まさにこのスピードということも大きく求められるものだということを指摘しておきたいと思います。
これまでの自治体の運営手法すらもさま変わりさせて、既成概念ではおさまらないこの社会構造へ発展させていく可能性を秘めているというふうに思います。
新しいこのデジタルサービス局が、急激にデジタル化が進む社会において、我々、再三指摘しておりますが、デジタルデバイドのこともしっかりと意識しつつ、どう対処していくことが望ましいのか、常に考えて、各局を牽引していくような局になっていただきたいということを要望したいと思います。
最後に、きのうの総務局の質疑において、このスマート東京実施戦略の象徴ともいえるデジタルツインについて伺いました。
これは防災の観点から活用について質疑を行ったんですけど、デジタルツインが機能を発揮できるのは、二〇三〇年、十年後とのことでありました。
いうまでもありませんけど、災害はいつ起きてもおかしくないといわれているわけでありまして、首都直下地震や気候変動、温暖化の影響によって、年々激しさを増す台風災害などに対しても、デジタルの力を使って被害を抑制していくためには、このデジタルツインの防災面における活用についての早期実現ということは不可欠であるというふうに思います。
戦略政策情報推進本部がリーダーシップを発揮して、しっかりと総務局など関係各局とタッグを組んで、早期実現に取り組んでいかれることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小磯委員 私からは障害のある方のデジタルデバイド解消について質問いたします。
年齢的な側面から情報技術に触れる機会が少なく、それがゆえにデジタルによる行政サービスに格差が生じてしまっている高齢者の方々に対し、我が党の要望を踏まえまして、都は来年度予算において、スマホ教室の開催経費などを計上したわけでございます。このことに対しては評価いたします。
他方、情報格差、いわゆるデジタルデバイドの問題は、高齢者だけではございません。都内には、さまざまな障害をお持ちでありながら、地域で日常を過ごしている方が大勢いらっしゃるわけでございます。
ことしは、東日本大震災から十年目という節目の年でありますが、東日本大震災では、避難生活が長期化したことで、病気や体調の悪化などが原因で亡くなる震災関連死が相次いだことは記憶に新しいところであります。
このため、国においても、マイナポータルでの被災者支援に力を入れるなど、デジタル化による取り組みを推進しておりますが、障害のある方にとってはより必要な支援であります。
この点からも、情報格差を解消しておかなければならず、今、この課題に取り組まなければ、発災時に必要な行政サービスを受けることができないという事態に陥る、そういうおそれさえあるわけであります。
そこでお伺いいたしますが、今後の情報格差、いわゆるデジタルデバイド解消策として、障害のある方に対してどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 来月施行の東京デジタルファースト条例においては、年齢、身体的な条件、地理的な制約など、さまざまな要因に基づくデジタルデバイドの是正を図るために必要な施策の実施を都に義務づけてございます。
ご指摘の障害者の方に対する取り組みにつきましては、アクセシビリティー技術や、自立した生活を送る上で必要な支援機器等に知見のある有識者等へのヒアリングを行い、障害のある方がみずから行政サービスを受けることができる環境やそのあり方を整理するとともに、来年度、先駆的、効果的なデジタルデバイド対策を区市町村やNPO等とともに、モデル的に実施してまいります。
障害者等のアクセシビリティーの確保や、誰もが使いやすい情報機器の開発や整備は、都のみならず、社会全体の課題でもございます。
今後、関係各局を初め、国や区市町村とも連携を図りながら、誰もが行政手続を初めとする行政サービスのデジタル化の恩恵を享受できる社会を実現させてまいります。
○小磯委員 来年度、先駆的、効果的なデジタルデバイド対策を、区市町村、またNPOとともにモデル的に実施するということ、そして、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる社会を実現させていくということで、しっかりと取り組みをお願いしたいと思います。
私は今回の予算特別委員会で、IT活用の助け合いサービスについて質問をさせていただきました。
都では、スマート東京の実現に向けて、先端技術などを活用した分野横断的なサービスの都市実装を目指しており、都民の健康増進にも資するウエルネスが重点分野の一つとなっております。
このウエルネス分野の社会実装を担う次世代ウエルネスソリューション構築支援事業が今年度より実施されておりますが、事業の概要と、今年度の実施状況を伺います。
○米津特区推進担当部長 ウエルネス分野は、企業、大学、区市町村など、さまざまなステークホルダーが存在しておりまして、都民が求める健康づくりのニーズを満たすためには、各主体間のデータが連携されたサービスが必要でございます。
そのため、都では、企業、大学、区市町村などが連携いたしまして、予防研究や新たなサービス開発を行うモデルプロジェクトを二件、また、将来的なサービス開発につながるデータクレンジングやシステム基盤整備などを行います事業化促進プロジェクトを五件選定いたしまして、それぞれ支援しております。
また、各ステークホルダーのネットワークづくりに向けたTOKYOウエルネス事業ネットワーキングを開催いたしまして、連携の素地づくりを支援いたしました。
○小磯委員 多様な都民ニーズ、多岐にわたるステークホルダーを連携させていくために、複層的な支援を実施していることを評価いたします。
こうした取り組みを都民に実感してもらえるよう、開発実証の段階から、早期に社会実装、横展開につなげていくべきと考えますが、今後の展開について伺います。
○米津特区推進担当部長 今年度採択いたしました豊島区と複数事業者が連携したモデルプロジェクトにおきましては、歩数に応じたインセンティブ付与、健診結果に基づくリスク提示、AI受診相談などを行いますアプリを十一月から提供しておりまして、今後も順次機能が追加されていく予定でございます。
事業化促進プロジェクトにおきましても、母子保健分野で江戸川区と連携した実証実験や、保険者データを活用したデータ解析技術の開発など、次年度以降のサービス提供に向けた取り組みが実施されたところでございます。
また、十一月に開催したネットワーキングでは、約百四十名の参加がございまして、自治体と事業者、事業者同士など多くのつながりが生まれております。
都民ニーズに応じたサービスの社会実装、横展開に向けて、新たなプロジェクトの選定を含め、多面的な支援を引き続き実施してまいります。
○小磯委員 いただいた資料によりますと、豊島区との連携のプロジェクトは、いわゆるデジタル技術を活用した高齢者、現役世代向けの健康増進事業、また、江戸川区と連携したものは、母子手帳アプリを活用したデータ連携基盤整備とデータ活用子育て支援サービスというふうに、資料には載っております。
このプロジェクト名を見ると、こうしたことが、本当に都民のサービスにつながっていくんだというふうに実感いたします。
来年度もこうした成果を積み重ねて、都民のQOL向上につなげていただくことを要望して、質問を終わります。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で戦略政策情報推進本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
午後四時二十二分散会
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