総務委員会速記録第四号

令和三年三月十六日(火曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長神林  茂君
副委員長小磯 善彦君
副委員長藤井あきら君
理事白戸 太朗君
理事小松 大祐君
理事木村 基成君
山内れい子君
細田いさむ君
清水やすこ君
米倉 春奈君
木下ふみこ君
原 のり子君
つじの栄作君
中屋 文孝君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長山手  斉君
次長理事兼務西山 智之君
総務部長小平 基晴君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
久保田直子君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務緑川 武博君
人事部長山口  真君
労務担当部長高崎 秀之君
行政部長小笠原雄一君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
石橋 浩一君
小笠原・国境離島担当部長若林 和彦君
総合防災部長猪口 太一君
防災計画担当部長古賀 元浩君
防災対策担当部長榎園  弘君
危機管理調整担当部長高島 慶太君
人権部長堀越弥栄子君

本日の会議に付した事件
総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 令和三年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 令和三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
・第百一号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 総務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第二十九号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第三十号議案 東京都組織条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
・第八十八号議案 包括外部監査契約の締結について
・第百三号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・令和三年度都区財政調整の概要について
・東京防災プラン二〇二一(素案)について
・東京都地域防災計画等の修正について
・第四期東京都犯罪被害者等支援計画について

○神林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第百一号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、総務局所管分、第二十九号議案から第三十四号議案まで、第八十八号議案、第百三号議案及び報告事項、令和三年度都区財政調整の概要について外三件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小平総務部長 二月十五日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 大変恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は九点ございます。
 まず、一ページをごらんください。1、防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度の防災対策予算の執行状況を主な事業別に記載してございます。
 続いて、二ページをごらんください。2、都及び政策連携団体における非常勤職員等数の状況でございます。
 非常勤職員等の人数について、局別、団体別に、令和二年の状況を記載してございます。
 続きまして、三ページをごらんください。3、感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
 感震ブレーカー、すなわち揺れを感知して電気をとめる器具の都内の設置率や、令和三年一月一日現在、設置支援制度がある区市町村数を記載しております。
 四ページをごらんください。4、区市町村における戸別受信機等の普及制度の状況でございます。
 防災行政無線を受信して、放送内容を建物の中で聞けるようにした戸別受信機などの装置について、令和三年一月三十一日現在、普及制度がある区市町村数を記載しております。
 続いて、五ページをごらんください。5、令和二年度国際競争力強化プロジェクトの実施状況でございます。
 令和二年度国際競争力強化プロジェクトにつきまして、令和三年一月末時点における各局別の実施状況を記載してございます。
 続いて、六ページをごらんください。6、東京都公立大学法人に対する運営費交付金及び施設費補助金当初予算額の推移でございます。
 運営費交付金及び施設費補助金の予算額につきましては過去五年間の推移を、運営費交付金につきましては標準運営費交付金と特定運営費交付金とに分けて記載してございます。
 続いて、七ページをごらんください。7、東京都立大学の授業料、入学料減免の実績でございます。
 東京都立大学における授業料及び入学料の減免者数につきまして、平成二十八年度から令和二年度までの五年分の実績を記載してございます。
 続いて、八ページをごらんください。8、オフィスサポーターの取り組み状況でございます。
 オフィスサポーターの任用状況、勤務条件等や合理的配慮の主な事例を記載してございます。
 最後に、九ページをごらんください。9、令和二年度団体向け新型コロナウイルス感染防止対策自主点検等支援事業(総合支援事業)の取り組み状況でございます。
 令和三年二月十九日現在の業種、自主点検及び普及啓発の取り組み状況を補助事業者別に記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○神林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○木下委員 私からは、新型コロナウイルス感染症への対応についてお伺いをしてまいります。
 一月八日に発令されました緊急事態宣言は、三月五日に再延長が決定され、二十一日まで延長されることとなりましたが、延長後の緊急事態宣言が残り一週間を切りました。
 本定例会では、先週、本会議における補正予算の追加質疑、また予算特別委員会においても、都の新型コロナウイルス対策についてさまざまな観点から議論がなされましたが、各局の皆様の必死の取り組みにもかかわらず、目下のところ、残念ながら新規陽性者数は下げどまりの傾向となっています。
 一方、コロナ禍にあっても、感染終息後を見据えながら、都民が新しい日常を定着させていくための支援も着実に実施していくことも必要です。新型コロナウイルスの感染状況は日々刻々と変わっており、時期に応じた対応にスピード感を持って取り組まなければならないと思います。
 そこで、まず初めに、感染の再拡大防止に向けた取り組みの方針を初め、総務局の取り組みについて、局長の決意も交えて改めてお伺いしたいと思います。

○山手総務局長 これまで、都民、事業者、行政が一体となりまして、感染防止対策に取り組んでおりますが、都内の感染状況は依然として非常に厳しい状況にございます。
 現在、都民の皆様方に対しましては、不要不急の外出や会食の自粛などを、また、事業者の皆様に対しては、営業時間の短縮、テレワークの徹底などを呼びかけさせていただいているとともに、変異株の監視体制の強化、また、高齢者施設等における検査拡大など、全庁挙げまして集中的に取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みによりまして、国の指標のステージツーの水準を目指しまして、日々の状況について、都民、事業者に対して、さまざまな媒体を活用して継続的に発信をしているところでございます。
 緊急事態宣言の期限まで残り一週間を切りましたが、感染の再拡大を招かないよう、新規陽性者数をしっかりと減少させ、感染を徹底的に抑え込むとともに、医療提供体制の逼迫を緩和してまいります。
 一刻も早い感染終息に向けまして、知事を本部長とする感染症対策本部を中心に、総務局が関係各局の総合調整を図りますとともに、各局が相互に連携し、全庁一丸となって取り組んでまいります。
 あわせて、感染終息後も見据え、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に取り組む区市町村を支援する東京都生活応援事業につきましても、取り組みを着実に進めてまいります。

○木下委員 引き続き都庁の総合力が問われる局面が続くことになります。その意味で、感染症対策本部を運営し、各局のかなめとなる総務局の果たす役割は大変大きいものと認識しております。ぜひとも再拡大の阻止のため、引き続きのご尽力を心よりお願いを申し上げます。
 新型コロナ感染症対策については、本会議、予算審議の場において、先ほども申し上げましたとおり、さまざまな議論がなされてきていると思いますので、本日、私からは、まず、そうした対策を担う職員を支える取り組みの一つとして、付託議案となっております特殊勤務手当の条例改正を取り上げたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の国内での発生から一年が経過し、対応は長期化しています。こうした中、医療従事者を初めとする都の職員も、警察官や消防士も含め、都政の幅広いフィールドで、エッセンシャルワーカーとして尽力されていると認識をしております。
 特殊勤務手当については、さきの本会議の一般質問において、都民ファーストの会東京都議団の緊急要望を踏まえ、医療従事者への手当を引き上げるとともに、警視庁、東京消防庁の職員についても同様に対応していく方向性を確認させていただきました。
 また、三月四日の中途議決により、民間の医療従事者への特殊勤務手当の引き上げを含む追加補正予算が成立をいたしました。
 こうした状況を踏まえつつ、この場では、条例改正に係る詳細について何点かお伺いをいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症に係る特殊勤務手当は、現在どのような業種に携わる職員が対象で、金額はどうなっているのか、改めてお伺いをいたします。

○山口人事部長 現行の新型コロナウイルス感染症に係る特殊勤務手当につきましては、知事部局では、都立病院や保健所等におきまして、感染症患者の治療、看護等に従事した医療従事者に対して日額三千円を支給しております。
 また、軽症者を受け入れる宿泊療養施設等におきまして、汚染区域への立ち入り等を行う業務に従事した職員に対して、感染の危険性の程度を踏まえまして日額二千円を支給しております。
 警視庁、東京消防庁につきましても、取り調べや変死事案の対応、救急活動や医療機関への搬送など、感染した者と直接接触する業務等に従事した職員に対しまして日額三千円を、感染した者に接近し、一定時間行う業務等に従事した職員に対して日額二千円を支給しております。

○木下委員 ありがとうございます。
 思い返せば昨年の四月、医療従事者の方々や、感染拡大に伴う業務の増大を踏まえて、この特殊勤務手当を全国でいち早く都が支給することを決めたことは、大変すばらしかったというふうに思っております。
 そして、今のご答弁にありましたが、医療現場はもちろんのこと、留置場でのクラスターの発生や、緊急搬送が困難なケースの増加なども、報道など見ておりますと出ておりまして、警察や消防の現場でも感染の危険性と向き合っていると認識しております。
 そうした中、それぞれの部局、組織において統一的な考え方に立ち、感染リスクに応じた手当額を設定していることがわかりました。
 次に、これまでの感染症に係る特殊勤務手当の支給実績についてお伺いをしたいと思います。

○山口人事部長 感染症に係る特殊勤務手当につきましては、昨年一月にさかのぼって支給されておりまして、本年二月までの常勤職員の支給実績につきましては、都立病院や保健所等の医療従事者には約十八万件、約五億四千万円、宿泊療養施設等で勤務する職員には約二万七千件、約五千四百万円を支給しております。
 また、警視庁職員には約五千件、約一千四百万円、東京消防庁職員には約二万一千件、約五千九百万円を支給していると聞いております。

○木下委員 ありがとうございます。
 医療従事者への支給実績が十八万件、約五億四千万円と大変大きいことがわかりました。苛酷な医療現場の最前線で患者と向き合っていることのあらわれでもあると思います。
 さて、今回の条例改正では、手当額の上限額を引き上げることとしていますが、手当額引き上げの理由や内容についてお伺いをしたいと思います。

○山口人事部長 都内の新規陽性者数は下げどまりが継続し、依然として非常に厳しい状況にあるとともに、医療提供体制の逼迫が長期化するなど、感染症に係る業務の困難性、特殊性が増大しております。
 こうした状況を踏まえまして、都立病院と保健所等の医療従事者について、民間の医療従事者に対する支援策と同様に、手当額を三千円から五千円に引き上げることといたしました。
 また、宿泊療養施設等の職員につきましても、感染の危険性の程度を踏まえまして、手当額を二千円から三千円に引き上げる予定でございます。
 警視庁、東京消防庁の職員につきましても、条例改正に合わせまして、知事部局と同様に対応してまいります。

○木下委員 現在、十四カ所に開設している宿泊療養施設等の職員も含めて、民間医療従事者への手当額の引き上げをベースにしているということを確認させていただきました。
 官民を問わず、医療従事者には長期にわたり大きな負担がかかっているため、手当額の引き上げによりサポートしていくことは大変重要です。また、警察や消防の該当職員の手当についても同様に引き上げていくことが確認できました。
 さらに、医療現場では、逼迫する医療提供体制のもと、感染症患者の対応を夜通しで行っている、いわゆる夜勤の実態に対して、特殊勤務手当の支給方法を特例的に見直す予定というふうに伺っています。
 そこで、医療従事者が夜勤を行った場合の手当の支給方法をどのように見直す予定なのかお伺いしたいと思います。

○山口人事部長 現行では、都立病院の医師や看護師が、夜勤として二暦日にわたり継続して勤務した場合、国の通知に基づきまして、始業時刻の属する日の労働とし、一つの勤務として取り扱っております。
 この取り扱いにつきまして、現下の医療現場の実情を踏まえて、手当額の引き上げとあわせて、二暦日にわたり継続して勤務した場合、特例として勤務時間七時間四十五分につき一勤務分を支給する予定でございます。
 例えば、二交代制勤務の看護師が夜勤帯におきまして新型コロナウイルス感染症患者の対応を行った場合、従来は三千円でありましたところ、改正後は一万円の支給が行われます。

○木下委員 ありがとうございます。
 手当額を引き上げるだけでなく、手当の支給方法も実情に合わせた形で見直す予定との答弁であり、大変な改善と受けとめております。
 コロナ禍が長期化する中、現場の最前線で感染症患者に当たる医療従事者を初めとする都職員の皆様へのさらなる支援は必要であるというふうに思います。
 今なお厳しい状況が続いており、今後の先行きを見通すことも難しいですが、都民の命や暮らしを守るために、職員の力を結集して、引き続きしっかりと取り組んでいただくことをお願いし、次の質問に移ります。
 東京都生活応援事業−コロナに負けない!−についてお伺いをいたします。
 本事業の目的、概要について改めて確認をいたします。

○小笠原行政部長 東京都生活応援事業は、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレス決済によるポイント還元などの取り組みを行う区市町村の支援を目的として実施する事業でございます。
 概要についてでございますが、区市町村がデジタル技術を活用したキャッシュレス決済によるポイント還元事業などを行う場合、都は、区市町村に対して、還元率、プレミアム率の上限は三〇%、都補助率は四分の三として財政支援をいたします。
 地域の実情等により、デジタルのみでの実施が困難である場合には、区市町村と事前協議を行い、デジタルと紙の併用についても、デジタル実施分の占める割合が二分の一を超えることを条件として認めていくこととしております。併用の場合には、デジタル実施分の還元率、プレミアム率の上限は三〇%で都補助率は三分の二、紙実施分のプレミアム率の上限は二五%で都補助率は二分の一としております。

○木下委員 地域経済の活性化にデジタルの力が役立つとの観点から、都市のデジタル化の一つであるキャッシュレス決済の普及を目的に当事業を企画したことが確認できました。
 我が会派の今定例会での代表質問、予算特別委員会での代表質問においては、さまざまなデータが収集でき、行政で活用できる旨のご答弁がございました。
 具体的には、どのようなデータが収集でき、どのようにそのデータを活用していくのかお伺いしたいと思います。

○小笠原行政部長 本事業の実施過程では、利用者の属性や事業実施前後におけるキャッシュレス決済比率の動向、実施期間中の消費の推移などのデータが蓄積されることになります。
 こうしたデータについて、事業の実施主体である区市町村と連携いたしまして、決済事業者等に提供していただけるよう、協力を求めてまいります。
 また、提供されたデータについては、四月に設置されるデジタルサービス局と連携し、データ分析を専門とする民間事業者も活用して効果検証を行い、今後の施策の立案に役立ててまいります。
 今後、区市町村や決済事業者等と意見交換を重ねながら、効果検証に向けて必要となるデータの範囲や、収集、分析方法等の詳細について検討してまいります。

○木下委員 デジタル化によって執行状況を行政が把握できる点では、事業の効果検証を行う上で、この情報、データは役立つことが想定できます。
 一方で、地域経済の活性化に結びつけるという大目的に対して、事業者からどのような情報を提供してもらい、地域の個店や商店街を初めとする経済団体がマーケティングにどのように活用できるか、そこを見据えたデータでなければ意味が半減するというふうに思います。データを集めた後どう活用するかがかなめでございます。業者との窓口となっていく区市町村においては、さらに情報不足で、うまく活用されないという事態が想定できます。
 そこで、特に区市町村がデータを十分に活用し、地域経済の活性化に役立てるよう、都が支援していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○小笠原行政部長 本事業においては、決済事業者等から提供されたデータを活用し、事業の効果をしっかりと数値で検証していく予定でございます。
 今後、今年度にキャッシュレス決済によるポイント還元などの取り組みを実施した区市における効果検証の事例を収集し、他の区市町村に情報提供いたしますとともに、四月に設置されるデジタルサービス局と緊密に連携し、きめ細かい支援を行っていくことで、区市町村独自の効果検証が行えるよう支援してまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 改めて申し上げさせていただきます。データを集めた後どう活用するかがかなめでございます。コンビニ業界におけるPOSデータの活用一つをとっても、莫大な顧客情報を何に役立て、来店や購買に結びつけ、利益に結びつけるか、大手チェーンが多くの多大なマーケティング費をこの分析にかけております。ただデータがあっても何の意味もございません。
 今回の事業費は百二十五億円が計上されており、大きな金額です。この点、しっかりと認識をしていただき、地域経済の活性化に資するキャッシュレス化によるデータの利活用を行っていただけるよう、しっかりと事業を進めていただきたい旨を強く申し上げ、私の質問を終わります。

○小松委員 きょうは自民党を代表して質問させていただくので、少し長丁場でございますが、よろしくお願いいたします。
 初めに、コロナの関連の質問からさせていただきたいと思います。
 今月の五日に、国は、一都三県の緊急事態宣言を二週間延長することを決定いたしました。国が延長を決定するまでの過程には、一都三県が国に対して二週間の延長を要請する等の動きもあったと報じられました。実際には、三日の一都三県知事会議において本件が議論されたと伺っております。そして、知事は、その後の菅総理大臣の延長方針発言に対して、宣言の延長は東京都の考え方と一致するとの発言がございました。
 緊急事態宣言の延長は、都民や事業者にとっての影響も大きいことから、要請の検討に当たっては、延長の必要性についての科学的根拠に基づく検証や、延長後の都としての効果的な対策を十分検討されているものと推察をいたします。
 そこで、延長要請の検討に至った経緯と根拠、特に、なぜこの延長期間を二週間とされたのか。宣言延長の要請検討に至るまでの経緯と考え方について確認したいと思います。

○猪口総合防災部長 三月上旬の都内の新規陽性者数は減少傾向にあったものの、下げどまりが継続し、依然として厳しい状況にございました。この状況が継続した場合には、三月七日に宣言を解除されても、感染再拡大の懸念があったことから、都としましては、宣言の延長やその期間も含めて、さまざまな事態を想定して検討していたところでございます。
 宣言の延長につきましては、都内の感染状況の推移や医療提供体制の状況等を踏まえまして、複数の選択肢の中から、二週間の延長を要請の一つの案として検討していたところでございます。

○小松委員 都は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、人流の抑制を最優先に、一月八日から、都民に対する日中も含めた不要不急の外出自粛や事業者に対する営業時間の短縮、イベント等の開催制限を要請しました。
 その後、緊急事態措置の延長、再延長に伴い、都は現在もこの要請を継続しているわけですが、人流の抑制を最優先としている以上、実際に効果があらわれている必要がございます。
 そこで、緊急事態宣言における外出自粛要請等の緊急事態措置等の取り組みを踏まえ、現在と、昨年のいわゆる第一波の前や今般の緊急事態宣言の発出前後を比較して、都内の人流がどの程度抑制されたのか伺います。

○猪口総合防災部長 都内における滞在人口の増減状況につきまして、三月上旬と昨年の同時期三月を比較いたしますと、昼間のターミナル駅ではばらつきがございまして、例えば東京ではおおむね三割程度減、品川ではおおむね五割程度減少してございます。一方、夜間の銀座や歌舞伎町などの繁華街におきましては、約四割程度の減少となってございます。
 また、三月上旬と今般の緊急事態宣言前の昨年十二月との比較では、昼間のターミナル駅、夜間の繁華街において、ともにおおむね一割から二割程度減少となってございます。

○小松委員 今のご答弁の中でいきますと、一定の効果は出ているようですが、地域ごとにばらつきがあるようでございますし、どの程度を抑制する必要があったのかということは、やはりこの人流抑制は、大前提としては感染者の拡大を防止するということでございますので、この辺のこととの比較もしっかりと見きわめながら、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 そして、二カ月以上にも及ぶ、ある意味で実際には一年近く、多くの都民、国民の方々に外出自粛や時短要請で、もはや皆さん疲弊をしているわけであります。都として、やはり都民に明確なゴールを示していただきたいと思うものであります。
 今後どのような取り組みや対策を講じていくのか伺います。

○猪口総合防災部長 感染の再拡大を招かないよう、現在、国の分科会提言のステージツーを目指しまして、徹底した対策や取り組みを進めております。
 具体的には、不要不急の外出や会食の自粛等を都民に呼びかけるとともに、都立公園等の利用制限の強化などの対策を実施しているところでございます。
 また、事業者に対しましては、テレワークの徹底や営業時間の短縮要請等を行っております。
 さらに、飲食店等の店舗ごとに、従業員の中から仮称コロナ対策リーダーを選任いたしまして、ガイドラインに基づく対策や、マスクの着用や小声での会話など、会食時のマナーの普及を進める仕組みを検討しております。

○小松委員 ありがとうございます。
 メディアなんかを見ると、延長、再延長のことも初め、ゴールが動いているというような批判もあるわけであります。やっぱりゴールが見えないと、なかなか、マラソンも苦行と一緒でございますので、しっかりとこの辺のところも見きわめながら、示していただきたいと思いますし、もはや、いろんな方々にお話を伺いますと、おのおのの独自ルールがあって、こういう行動は控えよう、だけどこれは問題ないでしょうというようなことをおっしゃられる方もふえてきたように思います。
 なので、しっかりとこの一年間の取り組みの中で、引き続き、また、なお一層制限をしていかなければいけない行動と、ある程度健康のことを考えながら緩和もできるような行動等々を、エビデンスを示しながら都民の方に理解と協力を得られるように、引き続き努力をしていただきたいというふうに思います。
 続きまして、防災関連について幾つか伺ってまいりたいと思います。
 まずは、防災対策の効果について伺いたいと思います。
 東京都は、首都直下地震、南海トラフ地震、さらには富士山の噴火による大規模な降灰、そして大規模風水害等、さまざまな災害リスクを抱えているわけであります。
 都は、こうした大規模災害時にも被害を最小限とすべく、さまざまな防災対策を実施してまいりました。これまでの対策でどれだけ東京が災害に強いまちとなってきたのか、一方では、都民の方にはわかりにくい面もあろうかと思います。
 来るべき大災害に備えて、今後も防災対策の強化を図ることは必要だと考えますが、そうした対策が都民の安全・安心にどのようにつながっていくのかということを示す観点から、質問を重ねたいと思います。
 初めに、首都直下地震と南海トラフ地震では、それぞれどのような人的、また経済的被害が発生することが想定されているのか。加えて、都内における被害想定はどのようになっているのか確認したいと思います。

○古賀防災計画担当部長 国の中央防災会議による被害想定では、首都直下地震について、被害が最大となる場合で、死者は約一万六千人から約二万三千人、負傷者は約十一万二千人から約十二万三千人とされております。
 南海トラフ巨大地震につきましては、東海地方が大きく被災するケースの場合で、死者は約十五万一千人から約二十六万六千人、負傷者は約三十一万八千人から約三十三万四千人とされております。
 また、経済的な被害は、首都直下地震では九十五兆三千億円、南海トラフ巨大地震では百兆五千億円の被害額と推計されております。
 一方、都が行いました都内の被害想定では、首都直下地震については、被害が最大となる場合で死者約九千七百人、負傷者約十四万七千六百人、南海トラフ巨大地震では、被害が最大となる場合で死者数千七百七十四人となってございます。
 なお、都では、経済的被害につきまして、都外からの通勤者の存在等を考慮いたしますと、都内に限定した定量的な評価が困難なことから、実施はしてございません。

○小松委員 どちらも甚大な被害が発生することが想定されているということが確認されました。
 また、以前、私が質問した話で、新島なんかだと、南海トラフのときは、わずか十五分で三十メートル近い津波に襲われるということもありまして、こうした防災対策がしっかりと着実に進むことが期待されるわけであります。
 こうした甚大な被害が防災対策によってどの程度減っていくのか、その効果について、都としての計画などにはどのように反映されているのか確認します。

○古賀防災計画担当部長 都は、被害想定を踏まえ、その被害を抑制し、都民の生命、身体及び財産を保護するとともに、首都東京の機能を維持するためのさまざまな防災対策に取り組んでございます。
 東京都地域防災計画では、防災対策による減災目標を定めておりまして、その中で、それぞれの対策による減災効果を算定しております。
 具体的な減災効果といたしまして、例えば建築物の耐震化では、死者数は約三千九百人の減、避難者数約百四万人の減、建物の全壊、焼失棟数約八万二千棟の減としておりまして、また、建築物の不燃化や延焼遮断帯の整備等では、死者二千人の減、避難者数三十七万人の減、全壊、焼失棟数約九万二千棟の減としてございます。

○小松委員 防災対策の効果について伺ってまいりましたが、今後、このコロナのこともありましたし、まさに東京都の財政というのは、冬の時代というか、大変厳しい状況が今後想定されるわけであります。
 そうした中でも、防災対策のような社会資本整備への投資というのは、引き続き行っていく必要があると思いまして、この投資効果についても、財政的な裏づけ等々も重ねることで、都民の理解も得られるものと期待するわけであります。引き続き、こうしたこともしっかりとお示しいただけるように取り組んでいただければありがたいなと思います。
 続きまして、デジタルツインについても少し重ねて伺いたいと思います。
 東京防災プラン二〇二一の素案に掲載されているデジタルツイン実現プロジェクトについて、防災分野について、これまで代表質問等々でも我が会派で取り上げさせていただいたところであります。
 昨年の第四回定例会では、私が一般質問で登壇させていただいた際、宮坂副知事から、都市のデジタルツインが実現すれば、まちづくりへの活用はもとより、少子高齢化や人口減少、交通渋滞など、都が抱える課題解決に向け、より実態に即した効果の高い施策や計画をつくり上げることが可能となるというご答弁をいただきました。そして早速、都市整備局さんの方では3Dデジタルマップの実装などの取り組みがスタートされていると伺っています。
 事前防災という言葉がございます。来るべき大災害に備えるために、あらかじめ被害や経済損失を想定しようにも、現実社会において巨大地震や大規模水害などを再現するということで確認することは不可能なわけであります。
 しかし、仮想空間においてこうした大災害を再現しておけば、現実社会の人命や財産を、実際には一つも失うことなく、さまざまに想定される被害を精緻にシミュレーションし、効果的な予防策を事前に講じることもできますし、多くの人命や財産を救うこともできるようになるのではないかなと期待するものであります。
 十年前の東日本大震災では、福島第一原子力発電所が津波等の影響によってメルトダウンを起こし、現在もなお多くの帰還困難区域を抱えるとともに、早くても二〇四〇年代まではかかるとされる廃炉に向けた作業が続いています。
 たらればの話をしても、三・一一に失われた多くの貴重な命が戻ることはありませんが、仮にデジタルツイン技術が実装され、仮想空間でこの災害が再現さえできていれば、多くの命や財産を救うこともできたのかもしれません。少なくとも、今後発生するであろう、先ほど確認した都を襲うさまざまな大災害にしっかりと備えておくためにも、防災分野においてこそ、都市のデジタルツイン化というのは喫緊の課題であるものと思います。
 そこで、デジタルツインの防災分野における活用について、どのような活用が想定されているのか確認します。

○猪口総合防災部長 未来の東京戦略では、二〇三〇年までに完全なデジタルツインの実現を図ることとしております。
 デジタルツインの防災分野の活用に当たりましては、今年度、都が設置した産学官ワーキンググループによる検討の動向を見きわめつつ、将来実用化された際には、有効に活用していく必要があると認識してございます。
 具体的には、大規模な地震や水害等が発生した場合における避難者や帰宅困難者等の具体的な避難行動や、火山噴火の際の降灰やそれに伴う物流、公共交通機関への影響の分析などへの活用が想定されてございます。

○小松委員 有効に活用していく必要があるとの認識が確認できましたので、引き続き期待をしながら注視したいと思いますが、一方で、完全なデジタルツインの実現は二〇三〇年を予定しているということで、これから十年かかるというわけであります。
 本格的なデジタルツインを実現するためには、それなりのローデータ含め準備が必要であるということは理解しますが、一方で、首都直下地震は、今後三十年の間に七〇%の確率で発生するとまでいわれており、本格実装まで十年待っていては、実際に東京に大規模災害が発生してしまうかもしれないわけであります。まさに三・一一からもう十年たったわけであります。
 ぜひ総務局からも、デジタルツインを実際に所管されていらっしゃる戦略政策情報推進本部に強く働きかけていただくとともに、デジタルツインが本格実装された暁には、ぜひ積極的に活用していただき、多くの都民の人命、財産を守っていただきたいと思います。
 そして、先ほどの経済的損失だったりも、都民の方にしっかりと見きわめてほしいと思ってお話ししましたが、都民の方にまず具体的なイメージを持っていただき、自分はどうする、家族はどうすると、行動プランを持っていただくことが、やはり防災の第一歩なんだと思いますので、引き続きこの取り組みについても、十年とはいわず、少しでも早く実現を期待するものであります。
 とはいえ、一人で避難が困難な方々もいらっしゃいます。災害時に誰も取り残さず命を守ることは大変重要なことであります。
 要配慮者の避難に関する都の各組織の役割分担について伺います。

○古賀防災計画担当部長 地域防災計画震災編では、区市町村が要配慮者の把握や避難行動要支援者名簿の作成、防災や要配慮者支援に係る実践事例等を学ぶ講習会の実施などを行うこととなっております。
 都では、福祉保健局が区市町村に対して、避難行動要支援者の把握や名簿の整備、避難支援プランの作成を働きかけるなど、要配慮者対策の強化を支援しております。
 また、東京消防庁は、パンフレットを通じた意識啓発や、要配慮者宅を中心に防火防災診断を行うほか、要配慮者の防災行動力を高めるための訓練の推進を行うこととなってございます。

○小松委員 区市町村の要配慮者対策について、都としてどのように把握、認識をされているのか、あわせて伺います。

○古賀防災計画担当部長 要配慮者のうち、特に支援を必要とする避難行動要支援者の名簿は、災害対策基本法上作成が義務づけられておりまして、令和二年十月一日現在で、都内でほぼ全ての区市町村が作成済みとなっております。
 一方、避難行動要支援者ごとの避難支援プランの作成は、内閣府の示す取組指針では任意となっておりますが、都内の半数以上の区市町村が全部策定済みまたは一部策定済みとなってございます。
 今後とも、災害から命を守る取り組みの推進に向けまして、区市町村や関係局と連携して取り組んでまいります。

○小松委員 要配慮者の避難誘導など、区市町村の災害対応力について、都としてはどのように評価をし、また支援されているのか確認したいと思います。

○神林委員長 どなたですか。

○古賀防災計画担当部長 要配慮者のうち、特に支援を必要とする避難行動要支援者の名簿は、災害対策基本法上作成が義務づけられておりまして、令和二年十月一日時点で、都内のほぼ全ての区市町村が作成済みとなっております。
 一方、避難行動要支援者ごとの避難支援プランの作成は、内閣府の示す取組指針では任意となってございますが、都内の半数以上の区市町村が全部策定済みまたは一部策定済みとなってございます。
 今後とも、災害から命を守る取り組みの推進に向けまして、区市町村や関係局と連携して取り組んでまいりたいと思います。

○小松委員 これ、ちょっと重ねて確認したのは、先日というか、一昨年になりますが、台風十九号の際に、世田谷区の視覚障害の方が避難所に行ったら、定員がオーバーしているので別のところに行ってくださいというふうな形で、いわゆるどしゃ降りの中、視覚障害の方が別の避難所に行かされたと。そして、福祉避難所についても指導がなかったというような事件がありました。
 確かに福祉避難所のことについては、区市町村マターではあるんですけれども、さまざま区市町村も、災害対策に加え、このコロナ禍における災害対策の準備なども、今追われているわけでありまして、都がこうした誰ひとり取り残さない社会の実現には、まだまだやるべきことがあるのではないかなと。きめの細かい、区市町村ではどうしても目の行き届かないところについて、しっかり横串として情報共有や連携を図っていただいて、この要配慮者の避難に対する東京都の取り組みとしてのクオリティーを上げていただきたいというふうに思います。
 続きまして、組織関連について幾つか伺ってまいりたいと思います。
 デジタルサービス局が来月から立ち上がるわけであります。このデジタルサービス局の組織体制は、一体何名体制で発足され、また、外部人材の登用についてどうなっているのか伺います。

○山口人事部長 デジタルサービス局でございますが、四部九課で構成しておりまして、常勤職員の定数は百八十名の体制となります。
 具体的には、局全体の総括や情報セキュリティーなどを所管する総務部、国、区市町村との連携、調整等を所管する戦略部、各局のデジタルトランスフォーメーションの推進を技術面から支援等を行うデジタルサービス推進部、システム基盤の運用等を所管するデジタル基盤整備部で構成いたします。
 このうち、民間企業等からの高度な専門性と豊富な経験を有する外部人材の登用を想定した特定任期つき職員の部課長級ポストには、今年度より五名増員した二十四名のICT職を配置する予定でございます。
 また、令和三年度より新たに採用するICT職の新規採用職員十名を配置しますとともに、庁内でICTの素養を持つ事務職等からのICT職への転職者十二名を配置いたします。
 こうした外部からの専門人材の活用と、都庁の内部での育成によるICT系職員と行政系職員の組み合わせによりまして、都政のデジタルトランスフォーメーション化を推進していく体制を構築してまいります。

○小松委員 都庁に民間企業からの出向者の方がふえていくということは、刺激を得る意味でも大変いいことかなと思うんですが、例えばデジタル庁をつくられる、国なんかによってでは、人事院なんかのデータによると、百名規模で採用されたり、職務によっては週三日の勤務やリモートワークが認められたり、年収については最大一千数百万円だったり、また、局長級や課長級の権限を与えられる方もいらっしゃるということで、これまでの前例にとらわれない大変大胆な人材登用を、このデジタル庁ができることによってされているわけであります。
 ここで何がいいたいかというと、いわゆるICTの人材獲得競争が激化するという中で、しっかり都庁としても、地方公務員法の縛りがあるわけではございますけれども、そこに負けないで知恵を凝らしていただいて、この獲得競争に勝ち抜いていただきながら、都内の人材不足で悩む区市町村の支援をしっかりとバックアップしていただきたいと思います。
 報酬の面や雇用形態等、課題は多いかと思いますが、この辺のところの取り組みについては、前例にないことが今続いている時期でもありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、デジタルサービス局を設置されるわけですが、そもそも都において、組織というのがどのように設置されているのか、そのプロセスや考え方についても確認したいと思います。
 まず、部や課の組織というのは、どのようなプロセスで決定し、設置されていくのか伺います。

○山口人事部長 地方自治法第百五十八条第一項では、知事は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができるとしており、組織の編成権を有しております。
 組織の編成は、予算編成業務と連動して行っておりまして、原則として毎年度一回行っております。
 具体的には、各局が翌年度の組織改正計画を策定しまして、総務局が精査、調整、取りまとめを行っております。その後、知事に報告の上、局の設置、廃止、分掌の変更がある場合は、東京都組織条例の改正案を議会に上程し、ご審議いただき、本会議での議決を経ることとなります。
 また、知事部局の部及び課の設置や廃止、分掌事務等の変更がある場合は、東京都組織規程の改正を行います。
 成立した条例、規程につきましては、都民が広く知ることのできる状態とするため、公報への登載等により公布することとなります。

○小松委員 今、プロセスのところを確認させていただきましたが、あわせて、部や課の名称についてはどのように決定をしていくのか確認します。

○山口人事部長 都では、事業目的を達成するための組織単位として、局、部及び課を原則としております。
 局は、例えば福祉、産業など一定の行政分野を総括的に担う組織単位として設置するものでございまして、行政目的を遂行するための経営単位でございます。
 部は、局事業を系統的かつ効果的に運営するため、例えば総務、高齢社会対策など、主として機能別、政策分野別に設置する組織単位でございます。
 課は、事務事業を円滑かつ能率的に執行するため、例えば在宅支援、施設支援など、主として対象別、施策別に区分して設置する経常的な事務処理の基本的な組織単位でございます。
 各機構の名称につきましては、都民にとってわかりやすく、また、事業内容や担う役割にふさわしい組織名称となることを基本としておりまして、組織の編成過程において、あわせて決定をしております。

○小松委員 ただいまのご答弁で、組織編成は原則として年一回ということは理解いたしました。
 ただ、例外というものがあるのか、あるとしたらどのような場合なのか確認したいと思います。

○山口人事部長 新たな行政需要が生じたことなどによりまして、既存の機構編成では対処ができない、または効果的でないなどと判断される場合に、例外的に年度途中に新たな組織を設ける場合がございます。
 例えば局の設置は、平成二十六年一月、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定を受け、大会準備等を円滑に進めるため、オリンピック・パラリンピック準備局を設置した事例がございます。
 また、部の設置は、昨年七月、新型コロナウイルス感染症への検査、医療体制の構築など、組織対応力を強化するため、福祉保健局に感染症対策部を設置した事例がございます。
 なお、年度途中の組織改正につきましても、先ほどご答弁申し上げました内容と同様の手続を経て行っていくこととなります。

○小松委員 今度は、組織から職員の方についての話に移りたいと思いますが、デジタルサービス局によって都庁の生産性がしっかりと向上していくということが目標となっているかと思います。
 そこで、職員の生産性について確認したいんですが、都はこれまで、さまざまな改革において、少子高齢、人口減少社会に対応していくため、職員の生産性向上に取り組むことを明言されてきました。職員の生産性を向上させるということに対して反対される方はいないと思いますが、職員の労働生産性の向上という言葉が意味することや目指すことが何かが判然といたしません。
 民間企業において、労働生産性といえば、売り上げや利益に対してどれだけのマンパワーを投下したかである一方、利潤を追求されない公務職場での労働生産性というのは、民間企業と同様には扱えないものと思います。
 都は、都民の生命、財産を守るということが使命であります。例えば、今般のコロナ禍のような非常事態に対応されるため、職員の総労働時間がふえたという数値だけをもって、職員の生産性が低くなったということを評価することはできません。
 そこで、都が目指す職員の生産性の向上とは一体何を意味するのかを明らかにしておきたいと思います。
 今後、二〇三〇年や二〇四〇年という長期を見据えた中で、職員の生産性が向上した都庁とは具体的にはどのような姿を目指しているのか、見解を伺います。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 公務職場におきましても、限られたマンパワーで最大の効果を実現することは不可欠でございます。
 都はこれまでも、業務プロセスの抜本的な再構築を目指しまして、総務事務改革や五つのレスの推進などにより、職員の業務を、定型的な事務から、政策立案や都民サービスにシフトするよう取り組んでまいりました。
 また、テレワークやフレックスタイム制など職員の柔軟な働き方を推進し、育児、介護等、事情を抱える職員など多様な人材の活躍推進や、有為な人材の確保につなげてまいりました。
 今後は、異業種交流研修の推進など外部との交流の機会を拡大し、職員の知見等を絶えずアップデートすることにより、都政を取り巻く環境変化や課題への対応力を強化してまいります。
 こうした取り組みを積み重ねつつ、都民の満足度や職員の意識などを定点観測しながら、最小限のコストでより充実した質の高い行政サービスを提供する生産性の高い都庁を実現してまいります。

○小松委員 今、東京都からは、オリンピック・パラリンピックの組織委員会にもたくさんの職員の方が出向されているわけでありますし、また、このコロナ禍を契機として、都庁の中の働き方についても、かなり大胆に変わってくるんだろうというふうに思います。
 そうした意味で、職員の生産性という目標を踏まえつつ、何よりも都の職員の方が自信を持って、明るい気持ちで都政に取り組めるような組織にもつながる意味での生産性向上につなげていただきたいということを申し上げまして、次の質問に移ります。
 犯罪被害者支援について三点ほど確認したいと思います。
 先般、都は、第四期の犯罪被害者等支援計画を策定いたしました。本計画では、関係機関の連携強化による支援の充実をビジョンに掲げています。これが実現できるかどうかは、ひとえに、犯罪被害者やそのご家族に対し血の通った支援を提供できるかにかかっています。とりわけ、被害者が初めに接することになる警察での適切なサポートや生活再建に向けた区市町村による継続的な支援は極めて重要です。都は、これらのかなめとなって、全体の目配りや差配を行っていくべきであります。
 都は、新年度から被害者等支援専門員を配置いたしますが、一人一人の実情に即したオーダーメードの、かつ切れ目や空白のない支援を行うため、どのように取り組むのか伺います。

○堀越人権部長 犯罪被害者等は、複数の機関にまたがる支援を必要としていることが多いため、切れ目なく支援を提供できるよう、被害者等支援専門員が一人一人の状況に応じた支援プランを策定する取り組みを新年度から開始いたします。
 具体的には、精神的に不安である、仕事が続けられないなどの被害者の心身や生活の状況を総合的に把握し、利用できる制度とそのスケジュールを示したプランを策定いたします。また、それぞれの関係機関が支援を提供するに当たっては、支援専門員が調整、つなぎ役となって、プランの推進をサポートしてまいります。

○小松委員 被害者の方一人一人の実情に応じた支援プランを策定することは、とても意義のあることだと思います。策定に当たっては、被害者の方との信頼関係を構築し、真に回復につながる支援プランを策定していただきたいと思います。
 次に、被害者の方々からは、被害直後から精神的な苦痛や経済面の困難のほか、多くの行政手続への対応など、さまざまな問題や不安を抱えているため、複数の支援機関がかかわってくることが想定をされます。
 そこで、これらの関係機関を巻き込んだ連携の仕掛けが必要であると考えますが、どのような取り組みを行っていくのか伺います。

○堀越人権部長 警視庁や弁護士会、区市町村等の全ての関係機関で構成する総合支援会議を新たに設置し、支援を行ったケースの検証や課題を把握し、より効果的な支援を提供するよう検討していきます。
 また、この会議においては、多くの支援機関がかかわる複雑なケースについて、各機関が提供する支援策を効果的に組み合わせた実施計画を策定いたします。
 こうした取り組みにより、関係機関の連携を強化し、切れ目のない支援を提供してまいります。

○小松委員 次に、さきの定例会で我が党が指摘したとおり、今後は区市町村における取り組みや支援スキルの強化が不可欠となります。被害者支援専門窓口も徐々にふえてはいますが、まだまだ少数であります。
 そこで、区市町村の体制の充実に向け、都の着実なサポートが必要ですが、どのように取り組むのか伺います。

○堀越人権部長 中長期にわたる被害者支援においては、各種保健医療、福祉サービスなどを提供する区市町村の役割が重要ですが、実際に支援の経験がある自治体は少ないのが現状でございます。
 そこで、区市町村の支援を必要とする被害者については、被害者等支援専門員がプランを示して、区市町村窓口と共通理解を図るとともに、対応に際しての配慮や留意点について、アドバイスしながら連携して支援を行います。また、事例検討会やロールプレーイング方式など実践的な研修を実施することにより、区市町村職員の対応力の向上を図ります。これらにより、区市町村の取り組みを後押ししてまいります。

○小松委員 犯罪被害者支援に取り組む関係機関は複数ありますが、それぞれをつなぐ機能として、被害者等支援専門員を都が配置し、被害直後から中長期にわたって、途切れることのない支援を提供するということは、大変重要と考えます。
 また、区市町村における取り組みや支援スキルの向上についても、新たに配置する被害者等支援専門員が、区市町村への助言や研修等の人材育成を担うとのことでございますので、都のサポートにより区市町村の相談体制が充実することを強く望みます。
 続いて、学校関係の質問に移りたいと思います。
 都立大学は、東京都の支援のもと、これまでも教育研究において高い成果を上げるとともに、さまざまな都政課題の解決にも貢献をしてきたものと認識をしています。
 ところで、先月発表された未来の東京戦略には、都立大学を世界の課題解決に貢献する最高峰の大学に進化させるとうたわれており、ノーベル賞クラスの研究を実現するとも書かれております。
 近年、技術革新が急速に進み、世界経済が目まぐるしく変化するとともに、感染症対策や環境問題など、都政を取り巻く環境が厳しさを増す中で、都立大への期待が大きくなることは、ある意味自然なことだとは思うんですが、ノーベル賞という今までにない大きな目標を本気で達成するつもりであれば、しっかりと時間をかけ、人、物、金をこれまで以上に投入をしていかなければならないことはいうまでもありません。
 都立大学が世界トップレベルを目指していくためには、世界をリードする研究を推進していく必要があると考えますが、取り組みを伺います。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学が、気候変動やエネルギー問題など世界共通の都市課題の解決に向けてこれまで以上に貢献するには、大学が持つ研究力をより一層向上させる必要がございます。
 このため、来年度、物性物理、材料化学、触媒化学など、大学が強みを有する分野で世界的に顕著な実績のある研究者を招聘し、研究を進めてまいります。
 推進に当たりましては、研究費の支援に加え、研究をサポートするマネジメント人材を専属で配置し、最先端の研究機器を備えた研究室を用意して、研究環境を整備してまいります。
 こうしたトップレベルの研究者の招聘を通じまして、学内のほかの研究者との交流など、シナジー効果も発揮させながら、大学全体の研究力を向上させてまいります。

○小松委員 さまざま具体的にトップレベルに向けた取り組みについて伺うことができましたが、東京大学もスタンフォード大学からトップレベルの日本人の研究者を、もう一回リクルーティングをしてくるなどの取り組みもあるわけでありまして、そうした大学と比較しても、世界最高峰のトップレベルの大学を目指すわけでありますから、まだ人事のことなので、そうした具体の話はここではできないと思いますけれども、そうしたことも視野にぜひ努力を重ねていただくことを、応援団の一人として期待申し上げたいと思います。
 次に、高専についても伺いたいと思います。
 東京都立産業技術高等専門学校、以前、総務委員長をやらせていただいたときには伺ったこともありますが、この産技高専は、首都東京の産業振興や課題解決に貢献するものづくりのスペシャリストを育成する公立高専として、平成十八年に品川の都立工業高専と荒川の都立航空工業高専を統合再編して開校した学校であります。そのため、今でも、品川キャンパス、荒川キャンパスと分かれて学生が学ばれています。
 高校の学習指導要領とは異なり、独自のカリキュラムを組めるということが特徴の一つであり、産技高専では、授業全体の三割を実験、実習に充てるなど、産業界のニーズも踏まえた教育内容や、ものづくりの基礎から応用まで徹底的に学べる環境を用意されています。
 このような教育が企業から非常に評価をされており、令和元年度の学生一人当たりの求人企業数は十・八社、卒業生の就職率は九九%と大変高い実績を上げていると伺っております。まさに産業界のニーズを捉えた教育が行われていることの一つの証拠になるんだろうと思います。
 一方で、近年の産業界を取り巻く環境は、技術革新によって大きく変化をされており、このままでは、世界の流れからおくれをとることになることも危惧されます。
 そこで、ソサエティー五・〇社会の到来を見据え、最先端技術を活用できる能力を身につける教育を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立産業技術高等専門学校は、五年間の一貫したものづくり教育によりまして、機械、情報工学分野などの実践的な技術を身につけた人材を輩出し、東京の産業を支えてまいりました。
 今後も、持続的に東京を成長させていくためには、デジタル化の進展に伴う産業構造の変化に対応できるものづくり人材が求められております。
 そのため、最先端技術を駆使し、付加価値を生み出す人材の育成に向けまして、令和四年度から教育カリキュラムを開始できるように見直しに着手いたします。
 具体的には、AIなどを活用したデジタルなものづくりを学ぶコースと、ビッグデータの収集、分析に必要なコンピューティング技術などを学ぶコースを新設するなどいたしまして、高度デジタル社会を牽引する人材の育成に努めてまいります。

○小松委員 ただいまのご答弁、わくわくして聞いたんですが、最先端技術を活用したものづくりを学べるコースの新設や、具体的には品川キャンパスに設置されると聞いていますが、次の時代を見据えた、ニーズにマッチした、重要で、また特色のある取り組みであることを期待しているものであります。
 一方、荒川キャンパスについてですが、一昨年になるんですか、昨年度ですか、視察させていただいた際、航空宇宙工学、またロボット工学、医療福祉工学など、さまざまなコースがあり、ものづくりの観点から、社会生活をより便利で快適にしていく特色ある魅力的な教育が実施されていることが確認できました。
 今後、ソサエティー五・〇社会が到来する中、医療現場では、AIやロボット技術を用いた遠隔医療機器など、最先端技術等を活用する取り組みも進められており、荒川キャンパスでの教育の重要性は一層増していくものと考えます。
 こうした機器の開発には、さまざまな知識や技術が活用されており、それを担う人材を育成することは、今後の社会生活をより便利で快適にしていくことにつながると思います。
 産技高専のこれまで培ってきたロボット工学や情報通信工学などの専門性を医療分野のものづくりに活用するなど、時代に合わせた人材の育成を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 超高齢社会の到来によりまして、医療系の機器開発に携わる医学と工学分野の知識、技術をあわせ持つ人材の育成も欠かせません。
 そこで、情報通信など各分野のスペシャリストの育成に加えまして、本年四月から、専門外の知識やAIなどの最先端技術を学ぶ医学と工学が連携したプログラムを開始いたします。
 具体的には、選抜された学生が医療機関などと連携し、現場の課題に対して実際に医療機器を開発することなどを通じて解決策を提案できるよう、三年間をかけて学んでまいります。
 この取り組みを通じまして、次世代の機器開発に必要な技術力と課題解決力を兼ね備えた人材を育成してまいります。

○小松委員 我が会派の政調会長は三宅正彦議員でございまして、島しょ部選出であります。この遠隔医療というのは、島しょ部の方の大変期待が大きいものというお話を伺っておりまして、産技高専での研究開発が、やがてそうした東京の島民の方々の生活にも役立てる日が来ることを大きく期待するものであります。
 そこで、最後に、島について伺いたいと思います。
 国境離島について確認します。
 都は昨年十月、新たに人員を配置し、沖ノ鳥島や南鳥島の維持保全に向けた取り組みを進めていくことといたしました。
 取り組みを進める理由を含め、国境離島の意義や役割に対する基本的な認識を確認します。

○山手総務局長 我が国は、陸地面積では世界で第六十一番目ながら、領海と排他的経済水域の面積では世界第六位の広さとなる、世界有数の海洋国家でございます。
 その四割を占めているのが東京の島々でありまして、我が国最南端、最東端の国境離島であります小笠原諸島の沖ノ鳥島、南鳥島は、それぞれが日本の国土面積を上回る広大な排他的経済水域の根拠となってございます。
 両島は、我が国の海洋権益を守り、国益を維持する上でも重要な役割を担っておりまして、その維持保全や利活用によりもたらされる海の恵みは、都民生活や東京の都市力の維持発展に欠かせないものであります。
 このため昨年十月、国に対して、沖ノ鳥島、南鳥島についての緊密な情報共有やネットワーク構築など、都と国との連携協力を要望いたしますとともに、総務局に新たに人員を配置いたしまして、執行体制を強化したところでございます。
 今後とも、国、小笠原村、関係機関などと緊密に連携しながら、沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全や利活用に取り組んでまいります。

○小松委員 令和三年度予算案では、国境離島の維持保全に向けた取り組みのため、新たに五千万円が計上されています。
 都として今後どのような取り組みを進めるのか伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 国境離島である沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全や利活用を進めるためには、両島について、都民の関心、理解を得ていく必要がございます。
 このため、来年度は、両島が果たしている役割や実態などについて、新たなホームページの開設やシンポジウムの開催等を通じた情報発信を行ってまいります。
 また、両島の維持保全や利活用に向けた情報の収集、整理、分析等を行うとともに、国境離島をフィールドとする海洋研究のシーズを見出すための基礎調査も実施していく予定でございます。

○小松委員 平成二十六年の秋、小笠原諸島に中国船がサンゴ密漁目的に大挙してあらわれました。島民はその多さに恐怖を覚えたと伺っております。十二月には去ったわけですが、その後も海上保安庁の拡充を求めました。
 我が党は、村長、村議会、漁協などと、国へ対して、海上保安庁の船舶の大型化や増員を求めてまいりました。その結果、ことし、大型化が実現したところであります。
 我が国周辺の海域では、外国船による領海侵入や、我が国の事前同意を得ていない海洋調査活動、違法操業等が後を絶ちません。
 小笠原諸島周辺海域における外国船の活動等に対してどのように対応していくのか伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 島しょ地域に暮らす住民の生命と財産は、本土に住む国民と同様にひとしく守られるべきものであり、島しょ地域の方々が不安を抱きながら生活するようなことがあってはなりません。
 都は、都の漁業調査指導船による監視活動を行うとともに、海上保安庁や小笠原村を初めとする関係機関との連絡会議を通じて情報を共有化するなど、連携の強化を図ってまいりました。
 今後も、海上保安庁を初め、幅広く関係機関と連携をし、情報共有を行いながら、都民の安全・安心の確保に的確に対応してまいります。

○小松委員 沖ノ鳥島周辺海域での漁業の操業支援や漁場造成など、永続的経済活動を目指した都の取り組みは久しく途絶えています。
 我が国の排他的経済水域を維持する観点から、沖ノ鳥島や南鳥島周辺海域での経済活動を推進すべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 我が国の排他的経済水域の実効性を高める上で、沖ノ鳥島や南鳥島を初めとする国境離島において、さまざまな活動を継続して実施することは重要でございます。
 南鳥島の周辺海域では、レアアース泥を含む海洋鉱物資源が確認されており、これまで都は、国に対して資源開発の推進などを要請してまいりました。
 また、国や研究機関により構成される関係者会議に参加し、資源開発の諸課題の把握に努めております。
 来年度実施する基礎調査におきましても、今後の国境離島の利活用などにつなげる手がかりが得られるよう、持続可能な具体の取り組みについて検討を深めてまいります。

○小松委員 今答弁いただきましたけれども、積極性が感じられません。具体的な経済活動をしっかりと明確にするよう強く求めたいと思います。
 最後に、領海や排他的経済水域の保全を図るためには、伊豆諸島についてもしっかりと取り組んでいく必要があります。同じ伊豆諸島にありながら、有人国境離島法の恩恵を受けられない北部地域と南部地域との間には格差が生じています。
 どのように支援していくのか都の見解を伺って、私からの質問を終わります。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 都はこれまで、離島振興計画に基づき、定住促進や持続的発展に向けて、伊豆諸島全体の振興を図ってまいりました。
 平成二十九年四月に施行された有人国境離島法により、特定有人国境離島地域として、伊豆諸島南部地域である三宅島、御蔵島、八丈島及び青ヶ島が指定を受けました。これに伴い、伊豆諸島南部地域に国の交付金制度による航空路の島民運賃割引を導入した際、都は、対象外となっている伊豆諸島北部地域においても、独自の補助制度により同様に運賃を引き下げております。
 また、国に対して、運賃割引や雇用機会拡充等の支援策を含めた一体的な維持、振興を図れるよう、北部地域を特定有人国境離島地域に加えることを要望しております。
 こうした取り組みを通じて、今後とも、伊豆諸島地域全体の一体的な振興に取り組んでまいります。

○小磯委員 私からは、新型コロナ対策について伺います。
 都はこれまで、緊急事態宣言期間中において、さまざまな感染防止の取り組みを実施し、三月二十一日まで緊急事態宣言が延長されているわけでございます。残り五日間ということでございますが、この緊急事態宣言期間を終わらせるためには、この期間中の取り組みが大変重要でございます。
 そこで、この五日間の緊急事態宣言延長期間中の都の具体的な取り組みについて伺います。

○高島危機管理調整担当部長 感染拡大を徹底的に抑え込んでいくためには、集中的に人流を抑制し、新規陽性者数をしっかりと減少させることが重要でございます。
 都はこれまで、警察や消防などと連携し、手洗いやマスクの着用などの基本的な感染防止策の徹底や外出自粛への協力の呼びかけなどを行ってまいりました。
 宣言の延長期間中、不要不急の外出や外食の自粛、営業時間の短縮、テレワークの徹底を呼びかけるとともに、警察や消防、地元自治体との連携を一層強化しまして、主要駅周辺での重点的な働きかけやホームページなどでの積極的な発信を行ってまいります。

○小磯委員 あと残り五日間、都民に対して効果的な発信をしっかりと心がけていただきたいと思います。
 直近の七日間の一日当たりの感染者の平均は二百七十九・一人ということで、前週比ですね、一週間で比べたときに一〇九・八%ということで、ここのところ下げどまり感が強くなっているというわけでございます。
 三月、四月は、卒業、また入学、そしてまた歓送迎会など会食の機会がふえてきます。そういった意味では、一つには、会食における感染防止を徹底していくこと、そしてもう一つは、とにかくめり張りをつけた対策というのが重要になってくるんだというふうに思います。
 現在も、飲食店等には営業時間短縮要請がかかっておりますが、今後の緊急事態宣言の解除を見据えて、各店舗には、アクリル板の設置など、ガイドラインに沿った適切な感染防止策を改めて徹底していくべきと考えます。
 とことんテレワークとありますけれども、私は、とことんアクリル板をやっていくべきだというふうに思っております。都の見解をお伺いいたします。

○高島危機管理調整担当部長 都はこれまで、飲食店等の事業者に対し、ガイドラインの遵守をした上での基本的な感染防止対策の実施と、感染防止徹底宣言ステッカーの掲示の徹底を繰り返し促してまいりました。
 さらに、職員によるステッカー掲示店舗の確認の際に、アクリル板の設置などの遮蔽物の設置や換気の有効性を説明し、これらのチェックをさらに徹底するとともに、中小企業による感染防止ガイドラインに基づく取り組みへの助成制度などを、リーフレットを配布して案内して、この制度を活用しまして対策を実施するよう事業者に強力に促しております。
 また、小まめなマスクの着用など、会食時の注意事項の利用客への周知も促してまいります。

○小磯委員 各店舗が都民の安心を確保していくためにも、ぜひ積極的に取り組みを進めていただきたいと思います。
 現在の緊急事態宣言の期限が三月二十一日となっておりますが、三月五日の会見におきまして、小池知事は、今般の宣言延長に伴い、都は三月二十一日まで緊急事態宣言を延長し、その後、緊急事態宣言が解除された場合には、段階的緩和期間を設ける予定であるという発言がありました。
 緊急事態宣言の解除は、まだ先行きが不透明ではありますけれども、仮に段階的緩和期間を設ける場合においては、その期間の取り組みは、飲食店への営業時間短縮の要請について、営業時間は二十一時まで、協力金は四万円ということ以外は、今のところ発表されておりません。
 三月八日の本会議において、我が会派の質問に対して、具体策の決定については、宣言解除の国の方針が示された後、速やかに行う予定との答弁があったわけでございます。
 都民には、段階的緩和期間における取り組み内容をできる限り早く示すべきと考えておりますが、現在の状況についてお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 緊急事態宣言が解除された後の取り組みにつきましては、国の基本的対処方針におきまして、都道府県が講ずべき内容の方向性が定められてございます。
 そのため、この期間における都の取り組みにつきましては、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において、宣言の解除及びその後の対応方針等が示された後、速やかに東京都新型コロナウイルス感染症対策本部において決定する予定でございます。

○小磯委員 報道等によりますと、政府は、緊急事態宣言の解除の可否については十八日に決定するという報道もされておりますし、また、その後の感染再拡大防止に向けた対策としては、ワクチン接種の推進、変異したウイルス対策の強化、監視のための検査拡充、医療提供体制の充実などを打ち出すというふうに報道もされております。この四つはとにかくそのとおりだろうなとは思います。
 段階的緩和期間における取り組みというのも、また大変大事になってきますが、具体的にどのような内容を検討していくこととしているのかお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 段階的緩和期間における取り組みは、三月五日に開催いたしました都の対策本部におきまして、飲食店等に対する営業時間の短縮要請の実施を予定してございまして、その内容につきましては、営業時間は五時から二十一時まで、また、協力金は一日四万円としてございます。
 今後、この営業時間の短縮の要請に係る対象地域や、酒類を提供する時間帯のほか、現在実施しております飲食店等以外の施設への協力の依頼、不要不急の外出自粛の要請、イベントの開催制限の人数上限や収容率等の扱いにつきまして検討する必要がございます。
 都としましては、国の基本的対処方針や都内の感染状況等を踏まえまして、一都三県で連携し、専門家の意見を聞きながら決定してまいります。

○小磯委員 先ほども申し上げましたけれども、めり張りのきいた、そういう対策をしっかりとお願いしたいというふうに思います。
 まだまだ、対象地域とか、そういったものも決めていくということで、決めるべき項目が大変多うございます。くれぐれも、感染拡大による医療現場の逼迫によって、これから始まりますコロナワクチンの接種、ここに支障が出ないように、感染の抑え込みの取り組みをしっかりと要望して、質問を終わらせていただきます。

○原委員 それでは、質問させていただきます。
 最初に、人権に関する都民の意識調査について伺います。
 調査結果は、二〇一三年度、二〇一九年度、そして今回、二〇二〇年度の比較をしています。
 注目されるのは、関心ある人権問題を全て選ぶという設問に対し、一位が女性の人権五五%、次いで子供の人権五四・四%となっています。女性に対する性暴力や子供に対する虐待問題など、大きな社会問題になっていることが背景にあるのではないかと推察します。
 そして、二〇二〇年度は、無回答の人が一・三%と非常に少なくなっています。二〇一三年度では、関心ある人権問題が特にないとする人が二一・七%だったことからすると、変化が大きいといってもいいのではないかと思っています。
 しかし、今回の調査では、人権尊重条例の認知度が一五・六%と、残念ながら低くなっています。このことについてどのように分析し、取り組みを進めていくのか伺います。

○堀越人権部長 都は、条例に定める人権尊重の理念を広く都民に浸透させるため、各種の啓発冊子を作成するとともに、首都圏の主な二十の駅のデジタルサイネージに、ヘイトスピーチの解消や多様な性の理解を推進することを訴える画像を流すなど、さまざまな啓発を実施しており、引き続き認知度を向上させるための取り組みを進めてまいります。

○原委員 人権尊重条例の理念の具体化が進んでいき、その中で、人権問題について、自分に引き寄せて考えられていくことが大切だと思います。
 来年度、何をしていくのか、取り組みについて伺います。

○堀越人権部長 都はこれまでも、人権尊重条例や人権施策推進指針に基づいて、人権課題ごとに必要な施策を実施してまいりました。
 来年度は、これまでの取り組みに加え、新型コロナウイルス感染症に係る人権専門相談や、被害者等支援専門員による犯罪被害者支援などを実施することとしております。

○原委員 人権尊重条例の具体化を本当に進めていくということで、理念が浸透していくと思うんですが、例えばパートナーシップ制度などを実現すれば、本当にわかりやすい具体化だというふうに思います。残念ながら知事が踏み出さないということで、これは大変疑問に思っていますけれども、この場では、実施に向けての検討を強く求めておきたいと思います。
 その上で、今回の調査結果で考えさせられたのは、ヘイトスピーチについてです。不愉快で許せない、あるいは不愉快だという答えが四七・三%で一番多いのですが、いろいろな考え方、受けとめ方があり得るので特段問題ないと思ったが二五・八%、自分には関係ないが八・七%となっています。
 ヘイトスピーチについて、人権尊重条例に立って啓発を強めていくことが必要だと思いますが、どのように強化をしていくのか伺います。

○堀越人権部長 都は、いわゆるヘイトスピーチは許されないことを発信するため、外部の専門家から成る審査会の意見を踏まえて、ヘイトスピーチに該当する事案の公表を行っています。
 また、チラシを約二万部作成し、都内区市町村等に配布するとともに、ポスターを都営地下鉄の駅に掲示し、都民への啓発を行っています。
 今後も、さまざまな方法により、ヘイトスピーチの解消に向けた啓発に取り組んでまいります。

○原委員 審査会で、不当な差別的言動、表現活動について議論をされ、公表しているということは、とても重要だと思っています。
 直近で公表された内容も本当にひどいものです。例えば、韓国人は日本で生まれるな、日本へ来るな、韓国へ帰れ、ごみ、ゴキブリなど、こういうような、とてもちょっと全部は読み上げられないような非常にひどい言葉を発しています。これを知って、特段問題ないというふうにいえる人は、ほとんどいないのではないかというような内容です。
 今年度、何件、差別的言動に当たるものと判断をして公表したでしょうか。また、都民の方からの情報提供はどのぐらいありましたか。

○堀越人権部長 今年度の件数は、二月末時点で、都民等からの不当な差別的言動に関する申し出は六十九件、概要等の公表は六件でございます。

○原委員 ヘイトスピーチの根絶に向けて、さらに取り組みを強めていっていただきたいのですが、今、都民の方々からも、ヘイトスピーチをする団体名の公表も必要なのではないか、あるいは、ネット上などでヘイトスピーチを拡散しているような、そういうことについては削除要請なども行っていくべきではないかなど、さまざま意見が上がっています。
 人権尊重条例には、条例の見直しをしていくという、そういう条項が特にないんですけれども、私たち共産党の都議団としては、条例の議論のときに修正案で見直しの提起を、三年たったら見直しをしようという、そういうふうに条例に書き込むという提起もしましたが、残念ながら通らなかったんですが、ただ、人権尊重条例も今まで三年になるという、こういう時期に、これまでの検証をしていくべきではないかと私は思っています。
 特に、ヘイトスピーチの問題で、必要な改善等も取り組みについて議論をしていく、そういう機会を持つことが必要ではないかと思っています。このことは強く求めておきたいと思います。
 今回、この調査で、コロナ感染症について設問を設けたことは非常に重要だと思いました。この結果を見ると、多くの人が自分に引き寄せて考えているということがわかりました。
 コロナ差別を許さないために、今後どういう取り組みをしていくか伺います。

○堀越人権部長 都はこれまでも、ポスターや動画等でSTOP!コロナ差別を呼びかけ、人権に配慮した冷静な行動を促してきました。
 また、感染症の差別解消に向けたアニメーション動画を作成し、電車内広告等で都民に働きかけています。
 引き続き、さまざまな手法により、新型コロナウイルス感染症に対する都民の正しい理解を促進してまいります。

○原委員 私は、今後の取り組みを強化していくに当たって、ぜひ検討してもらいたいと思っていることがあります。
 それは、どういう言葉でメッセージを発信するかということなんですけれども、例えば、闘うべき本当の相手は人ではなくウイルスですというメッセージがありますけれども、そもそも闘うという表現がどうなのか。また、本当の相手は人ではないという表現は、人が問題である側面もあるかのような誤解が生まれないかなど、いろいろ考えさせられます。
 差別をなくすために重要なのは、ウイルスに対する正しい知識、そして、このウイルスは気をつけていても誰もがかかる場合があると、感染した人が悪いのではないという、そういうメッセージこそ必要ではないかというふうに思いますが、見解を伺います。

○堀越人権部長 新型コロナウイルスに感染された方や、医療従事者の方々等への誹謗中傷や不当な差別的取り扱いは、決して許されるものではありません。
 そのため、正しい情報に基づいた冷静な行動が重要であることを、「広報東京都」やホームページで呼びかけています。

○原委員 私の質問に直接答えていただけていないかなというふうに思いましたが、ぜひ検討していただければというふうに思います。
 私は、これまで知事の発信の仕方が、感染しない、させない、皆さんのご協力をということが中心でした。今もそうだと思います。現在、感染状況は、下げどまりの状況から増加の方向に転じているという見方もできる、そういう状況だと思います。
 しかし、変異株スクリーニングも減少という状況で、本当に今、検査の抜本的な拡充を打ち出すことと一体に、コロナ差別を許さない、感染した人が悪いのではないというメッセージを出すことが必要だというふうに思っています。
 自己責任ではコロナは終息しないということは、これまでの状況で既にはっきりしていますので、そうした認識のもと、取り組みを強化されることを求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 東京都は、飲食店等百十三店舗に対し、特措法四十五条に基づき時間短縮要請を行いました。要請に応えない場合は命令を出し、その後、罰則を科すことが可能になります。
 飲食店等に対する営業時間短縮要請は、これまでに何人の職員が何件訪問しているのか、その方法はどういうものか、一つの店舗に対して何度も働きかけているのか伺います。

○高島危機管理調整担当部長 都は、時短要請への協力状況の確認を行いまして、二十時以降の開店が確認された店舗につきましては、警視庁及び東京消防庁と連携して、職員二名一組が個別に訪問し、時短への協力依頼を行い、その後も電話や文書等で改めて依頼を行っております。
 これまで個別店舗訪問の業務に従事した都職員は、延べ約二百三十人でございまして、店舗数は約千百六十件でございます。

○原委員 今の数字、店舗数約千百六十件というのは、飲食店は大体推計で都内八万件といわれていて、そのうち目視で確認しているのは四万五千件ほどだというふうに聞いています。そのうち協力いただいていない三%程度のところに回って、働きかけをしているということだというふうに思います。
 今ご答弁の中で、警視庁及び消防庁と連携して、職員が二名一組で個別に訪問しているということがいわれていましたが、これはどういうことでしょうか。職員の方だけで訪問しているのではないということなんでしょうか。ちょっと確認させてください。
 警視庁や消防庁がどういう根拠で一緒に回っているのか。何人で回っているのか、教えてください。

○高島危機管理調整担当部長 その時々によって体制は異なりますが、おおむね警視庁、消防庁の職員が複数名で対応してございます。一緒に連携して都職員二名と回ってございます。
 都は、国から、警察や消防を初めとした関係機関と連携するなどして、まち中の見回りなどの取り組みを推進するよう働きかけを受けていることも踏まえまして、警視庁及び東京消防庁と連携して、時短への協力要請を行っております。

○原委員 警視庁や消防庁の方たちはコロナ対策として回っているんですか。まちの見回りというのはどういうことなのか教えていただきたいと思います。
 どういう根拠で一緒に回っているのか、そこは大事なところですので明確にしてください。

○高島危機管理調整担当部長 警視庁、消防庁は事業者に向けた防犯や防火上の必要な普及啓発を見回り時に行っております。
 都は、国から、警察や消防を初めとした関係機関と連携するなどして、まち中の見回りの取り組みを推進するよう働きかけていることもございまして、警視庁及び消防庁と連携して、時短への依頼を一緒に同行して行っているところでございます。

○原委員 私が思うには、コロナ対策で回る職員の役割と、消防と警察の役割がそれぞれ違うんだと思うんですね。それが、それぞれ目的は違う人たちが一緒になって、これでいくと四、五人になるんでしょうね、二人の職員と警視庁とか消防庁となれば。それだけ大挙して各お店に行っているのかなというふうに思って、大変驚きました。
 要請に協力をしてほしいということで呼びかけて回っているんですけれども、そういう形で回っているということが、これが果たして適切だといえるのかということを私は疑問に感じます。
 ほかの質問もあるので、先に少し聞いていきたいと思うんですけれども、四十五条の適用にする判断というのは、いつ、誰が行いましたか。

○高島危機管理調整担当部長 たび重なる要請に応じていただけない事業者に対しましては、定められた手続にのっとりまして、二月十九日に、医療、経済、法律の専門家で構成する東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会から適当であるとのご意見をいただいた上、二月二十六日、三月三日、三月五日に、特措法第四十五条第二項の要請を局長決定により行いました。

○原委員 この二月十九日のコロナ対策審議会なんですが、この審議会の議事録はまだ出ていませんし、また、審議会の意見を受けたという話も特にどこにも出てこないので、今、聞いて、そういうことだったんだというふうに思いました。
 四十五条の適用にしないという判断もあり得るわけですけれども、最終的に四十五条適用にしようというふうに決めた理由は何ですか。

○高島危機管理調整担当部長 たび重なる時短の要請に応じていただけない事業者に対しまして、新型コロナウイルス感染症蔓延防止のため、特措法第四十五条第二項の要請を行いました。

○原委員 以前、パチンコ店に対して四十五条適用にしたときがありました。このときも、私は、そのとき店名公表等も行われたと思うんですけれども、やり方に問題があるんじゃないかということを指摘しましたけれども、今回は、法改正により罰則まで設けられているということですから、大変慎重な検討が必要になっているということだと思うんですよね。
 それで、百十三店舗をピックアップした、その基準はどういうものでしょうか。公平性は担保されていると考えているのか伺います。

○高島危機管理調整担当部長 都は、協力状況の確認により、開店が確認された店舗に職員が訪問し、協力依頼を行っております。その後、電話や文書等で改めて協力依頼を行い、それでも協力が得られなかった店舗を対象に、順次、特措法第四十五条第二項の要請を行っております。
 協力状況の確認に当たりましては、職員が直接行うだけでなく、民間委託も活用するとともに、区市町村からのさまざまな情報提供を受けるなどして、広範囲に実施いたしまして、可能な限り公平性を確保しております。

○原委員 先ほどいったように、飲食店全体で見れば八万件ある中で、その中で百十三件ということになっているんですけれども、公平性は可能な限り確保しているというお話ですが、私は大変疑問に感じるんですけれども、今のご答弁では、協力状況の確認は職員が直接行うだけではなく、民間委託も活用していたり、区市町村からのさまざまな情報提供も受けているということなんですが、これはどういう意味ですか。

○高島危機管理調整担当部長 民間委託につきましては、都は現在、二十時以降の営業状況を確認するために、都内の繁華街におきまして、職員と民間委託会社で目視で店舗が営業しているかの確認を行っておるということでございます。(原委員「区市町村」と呼ぶ)済みません。申しわけございません。区市町村につきましては、区市町村で把握している店舗が二十時以降開店している情報につきまして、東京都の方に情報提供があった場合につきまして、時短に対する協力依頼を行っているということでございます。

○原委員 民間委託も活用しながら確認をしているということや、また、区市町村からも情報提供をもらっていると。あそこのお店は八時以降やっていますよとか、そういう話を市民の方から聞いて、それを区市町村の人が情報提供するということなんでしょうか。私は、そういうやり方は不適切ではないかというふうに思うんです。こうしたやり方をしていくことは、地域に分断を生みかねないというふうにも思います。
 今回、この問題というのは、協力しない人が、単にだめだとか悪いとか、やっぱり決めつけにくい問題だと思うんですよね。どういう事情がそこにあるのかということをよく聞き取って取り組みをしていかないと、間違ったことになってしまうのではないかと思うんです。
 そういうことで、巡回する中で飲食店の話も聞いていると思うんですね。そういう中でどういう事情を把握していますか。どういう声があるか、そしてまたその声を庁内で共有しているのか、そしてそれに対して必要な対策をとられているのか伺います。

○高島危機管理調整担当部長 店舗を個別に訪問する機会を通じまして、事業者からは、現行の協力金の額では足りないという意見や、近隣の店舗でも営業しているので自分も営業している、都からの要請があったので協力するなどのご意見をいただいており、庁内関係部署と共有することで、コロナ対策に連携して取り組んでおります。

○原委員 今、特徴的な声も挙げていただいて、そういう声を把握していらっしゃるということです。
 コロナの感染が拡大をして、事業者はたび重なる緊急事態宣言で、これ以上自粛すると、時間短縮などをすると、営業がもう成り立たなくなっているという悲鳴も上がっているわけですよね。もう閉じてしまったお店もあります。感染拡大防止に協力したいけれどもできないという、そうした声にどういうふうに応えるかが大事だと思うんです。おどしや精神論では、ここはもう乗り切れませんので、そこが私は本当に検討しなきゃいけないと思っています。
 これは、悪いことをする人たちを取り締まるという発想ではだめだと思うんです。例えばスピード違反の車を取り締まるということとはわけが違うわけです。協力できるように、どういう支援や補償をしていくかということを考えていくことが大事だというふうに思います。
 さまざまな声を把握して、共有して、庁内で連携して取り組んでいるということですが、その中で、協力しましょうと、さっきお話でも、都からの要請があったので協力するという方もいらしたということですけれども、例えば、協力をしていただけるというふうになったときから協力金を出せるようにしますよとか、日割りにしようとか、そういうような検討は庁内で全くされていないんでしょうか。

○高島危機管理調整担当部長 先ほどの答弁の繰り返しになりますが、庁内関係部署と共有することで、対策に連携して取り組んでおります。

○原委員 協力金という話になれば、ここで議論できることではありません。
 ただ、先ほど庁内で連携して共有しているというお話もあったので、私は、この巡回の中で、悲鳴のような声が上がっている、それに対してどう対応するのかということを、本当に真剣に考えていただきたいというふうに思います。
 全ての対象店舗が安心して協力できるようにする環境整備ができていない中で、ピックアップした事業者に罰則を科すということは、やめるべきだということを強くこの場ではいっておきたいというふうに思います。
 そして、緊急事態宣言後の対応についても大変心配をしています。
 東京都の感染状況は、下げどまりというか、増加の傾向ということもいえる、そういう状況になっていて、国会の予算委員会で尾身会長が、変異株は感染拡大のスピードを加速させる最悪の状態を考えなければならないと話している、そういう状況なわけです。
 そういう状況で緊急事態宣言を解除するという理由はあるのかなと私は思いますけれども、今、政府は解除する方向で検討しているということもいわれています。
 これに対して、都としてはどういう見解を持っていらっしゃるんでしょうか。

○猪口総合防災部長 緊急事態宣言の扱いについてでございますが、緊急事態宣言につきましては、感染状況及び医療提供体制等の逼迫状況につきまして、国の分科会提言におけるステージスリー相当の対策が必要な地域になっているか等を踏まえまして、専門家の意見も聞きながら国が総合的に判断するものというふうに考えてございます。

○原委員 国が総合的に判断をするということですが、ただ、やっぱり東京の今の傾向を本当にきちんと捉えて、私は、国に対しても意見をいっていくということは必要だというふうに思います。
 それで、先ほども段階的緩和期間のお話が質疑をされていました。これについては、もし緊急事態宣言が解除されたというふうになれば、段階的緩和期間、二十二日から三十一日までというふうにするということや、営業時間を夜九時までにするということなどがいわれていますが、私が聞きたいのは、段階的緩和期間を設けた根拠ですね。それを三十一日までにした根拠、それから九時までにするという根拠、これについてどうなのかということを教えていただきたいということと、それから、段階的緩和期間の要請対象地域などについても、いつ明らかにするのか、そのことをご答弁お願いします。

○猪口総合防災部長 緊急事態宣言が解除された場合には、国の基本的対処方針を踏まえまして、解除後も感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込むため、三月末まで段階的緩和期間を設けまして、感染防止対策を着実に実施していく予定でございます。
 この期間における飲食店等への営業時間の要請につきましては、国の方針を踏まえまして、段階的緩和の観点から、二十一時までの時間短縮とする予定でございます。
 また、段階的緩和期間における都の取り組みにつきましては、宣言解除の国の方針が仮に示された後、速やかに決定する予定でございます。

○原委員 根拠を聞いたわけですが、そこにストレートな答えはなかったなというふうに思いますが、私は、今大事なのは、本当に科学的な根拠を持った対策をどうとるかだと思います。緊急事態宣言をただただ延長すればいいわけでもないし、また、これが解除されたとしても、そこで終わりではもちろんなくて、その後の対策をどういうふうにやるかというのはとても大事です。
 そのときに、本当に検査を抜本的に拡充をしていくということや、ワクチンの問題もそうですけれども、そして、それだけじゃなくて、先ほどの協力金の話のように、本当にしっかり補償していくということを、今までにない対策をしっかりとらないと、コロナの終息は見込めないということを、本当に肝に銘じてやっていくべきだということを、ここでは強調したいと思います。
 それで、コロナ対策の中で次に伺いたいのは、業界団体の自主点検事業、普及啓発事業の実施状況についてです。
 これは現在どのようになっているか伺います。

○高島危機管理調整担当部長 自主点検等支援事業における今年度の補助金の交付決定団体数は、点検指導が十団体、普及啓発が十六団体でございます。
 なお、点検指導の対象となる店舗等の件数は、十団体の事業計画ベースで約一万八千九百件を見込んでおります。

○原委員 緊急事態宣言が長引き、困難を強いられている事業者に対して、せめて普及啓発事業を拡充できないかというふうに思っています。
 特に、小さな団体でも使えるように工夫できないのか伺います。

○高島危機管理調整担当部長 自主点検等支援事業は、業界団体が自主的に行う会員事業者等への点検指導及び普及啓発の取り組みに要する経費の補助を行うものであり、予算の範囲内で来年度も本事業を継続的に実施してまいります。
 補助金の交付対象につきましては、複数の加盟事業者で組織された営利を目的としない法人である業界団体であり、その規模は問わないものでございます。

○原委員 資料も出していただいて、この普及啓発事業についても、さまざま工夫してやられているなというふうに思います。先ほど、団体の規模は問わないというご答弁もありましたので、ぜひ対応していっていただきたいということを改めてお願いをしたいと思います。
 ただ、やっぱり根本的には、こういうことを総務局の方では努力をしてメニューをつくっているわけですけれども、今こそ、飲食店やそれ以外の事業者も含めて、本当に困難を強いられていますので、抜本的な支援、補償が必要だということだと思います。そのことをぜひ庁内で共有していただいて、そうした改善、協力金も含めて改善に向けて取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それで、最後に、デジタルサービス局の設置について質問いたします。
 デジタルサービス局設置については、誰がどのぐらいの期間、回数を検討してきたのでしょうか。その間の検討状況について、わかる会議録やメモなどはないのでしょうか伺います。

○山口人事部長 昨年九月に、都政の構造改革のコアプロジェクトの一つとしまして、デジタルトランスフォーメーション推進体制構築プロジェクトを立ち上げ、デジタルガバメントを実現するための効果的な推進体制について検討を行ってきました。
 そのうち、局の設置につきましては、事務的な検討を重ねた上で、特別職以上への説明としまして、令和二年十月上旬から同年十一月下旬の新局設置方針の表明までの間に、知事及び各副知事に二回ずつ報告及び検討を行いました。
 議論の経過につきましては、公文書管理条例のガイドラインにおきまして、説明資料とともに説明の際の議事要旨を作成することが定められておりまして、各回の検討について適切に記録をしております。

○原委員 知事や副知事に説明をしているということで、その議事要旨もあるということで、見ましたけれども、しかし、本当にわずかな時間、報告をして了承しているというのがほとんどという状況です。
 これだけの大きな局を立ち上げるということですから、さまざま庁内で議論をされていると思うんです。本来であれば、そうした検討の状況などが、メモなども含めて出てくるものではないかというふうに思いますが、残念ながらそういうことが見えないということです。
 一つの局を立ち上げるというのは、本当に大きなことですので、検討状況を明らかにしていただきたいというふうに思っているんですが、それで、デジタルサービス局は四部門で構成されるとしています。
 デジタル化に関して、都民が懸念をしているのは、個人情報保護にかかわる問題ですが、これにかかわる業務はどこが担当するのでしょうか。

○山口人事部長 都におけます情報資産の適正管理など、サイバーセキュリティーポリシー対策の総合調整は総務部が所管することとしております。
 現在は、戦略政策情報推進本部のICT推進部におきまして、都のICT利活用を推進し、また、基幹システムの運用を所掌し、かつ同一の部で情報セキュリティーを所掌しておりますが、四部体制に拡大することに伴いまして、事業部門ではない総務部が所掌することで、独立した形でチェックが実施できる体制といたします。

○原委員 所掌は総務部だということです。
 それで、今回、民間からの特定任期つき課長を二十名配置するということで伺っていますけれども、四部門ありますけれども、どこに位置づけられ、任期はどのぐらいか、どういう仕事を担当するのか伺います。

○山口人事部長 高度な専門性と豊富な経験を有するデジタルシフト推進担当の課長でございますが、企画や総合調整を所管する戦略部に所属をいたします。
 任期でございますが、各人によって異なりますが、一年から二年が当初の任期で、五年までの更新が可能でございます。
 職務内容は、都政におけるデジタルシフトの実現に向けた技術面からの各種企画及び調整でございます。

○原委員 今お話しいただいた民間からの特任課長については、公務員としての仕事をしていただくということになりますので、研修について非常に重要だと思っています。
 この研修については、現在の内容と来年度以降の実施内容についてどのようになっているか伺います。

○山口人事部長 特定任期つき職員に対しましては、他の全ての職員と同様に、公務員に求められる基礎的な素養を身につけるための研修を毎年度実施しております。具体的には、個人情報保護、東京のさまざまな人権課題、コンプライアンス推進科などといった七つの科目をeラーニングで実施をしております。
 一方、デジタルトランスフォーメーションに関する職員の育成におきましては、デジタル系の職員とその他の職員がそれぞれの能力をバランスよく向上させ、都庁組織全体のレベルアップを実現していくことが必要と認識しておりまして、引き続き適切に取り組んでまいります。

○原委員 自治体で仕事をするということについて、その重みについてはきちんと研修が必要だと思っていまして、従来どおりではなく強化をすべきだというふうに私は思っています。
 今、国においても、例えば総務省の接待問題など、本当に大変な状況になっていますが、企業との癒着で行政がゆがめられるということが大きな社会問題になっています。
 国のIT室がありますが、この、国のIT室でも七十六人の民間出身の非常勤職員が仕事をしています。政策決定や予算配分にまでかかわっているんですね。一部の大企業ではIT特需だといっているような、そういう状況もあります。
 今回、東京都の場合、戦略部門に特任課長が配置をされるということなんですが、この戦略部門、説明にあるとおり、国や区市町村との連携を強化をしていくということが大事な役割になっていて、デジタル関連経費の把握、分析、こういうところにまでかかわる、そういう部署になります。まさに政策やデジタル経費にかかわるというところに配置をするということになっているんですね、この図を見ますと。
 また、先日公表されましたけれども、政策企画局の職員と戦略政策情報推進本部職員の業務処理不適正事故のようなことも起きていまして、これはどういう立場の方がそういう事故を起こしたかということまではもちろんわかりませんけれども、しかし、こういうことは防いでいかなければならないというふうに思うんです。
 これは、不用額を使って、ほかの事業もやってくれないかというふうに持ちかけてしまうということがやられたというふうに伺っていますけれども、こういうことが起きないように、本当に研修を徹底していくということが必要だと思いますけれども、見解を伺います。

○山口人事部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、デジタル系の職員とその他の職員が、それぞれの能力をバランスよく向上させ、都庁組織全体のレベルアップを実現していくことが必要と考えておりまして、この観点に基づき、引き続き適切に取り組んでまいります。

○原委員 私は、本当にこの点は重要だということを指摘しておきたいと思います。
 自治体の仕事をきちんとやっていただくということ、そして、デジタルの力を活用するということは本当に重要なことですので、だからこそ、今話したようなことについては、徹底をしていくということが必要だと思っています。
 知事は会見で、デジタルサービス局について、都民の利便性の向上をメリットとして挙げていました。具体的にどういうことなのか、局にしなければできないことは何なのか伺います。

○山口人事部長 行政のデジタル化を進めることで、時間や距離の制約を超え、誰もが、いつでも、どこからでも、行政サービスにアクセスできるようになり、都民の利便性を向上させ、生活の質を高めていくことが可能となります。
 また、都政におけるデジタルトランスフォーメーションの推進は、先端技術の社会実装、防災対策、行政手続、行政相談など、都民サービスの利便性向上といった各局事業のサービスの提供のあり方を変革していくものでございます。
 そのためには、各局の多様な行政サービスの質の向上をサポートする技術力や、全庁を統括する中核機能の一層の強化が不可欠でございまして、そうした機能を担うデジタルサービス局を設置することといたしました。

○原委員 都民の利便性をいうのであれば、いろいろ都民のための仕組みをつくっていくということが非常に重要になってきます。
 例えば、先ほども触れましたけれども、個人情報保護について、あるいは救済制度について、それから5Gなどについても健康被害を心配する声などもあります。こういうことについて都民の方に対応する仕組みなどは非常に重要になってくると思います。これは、組織を検討する上で何か考えられていますか。

○山口人事部長 情報セキュリティーや個人情報などを含む情報資産の漏えい事故の対策及び局所管事業に係る都民等への安全性の確保に関しましては、現在の所管であります戦略政策情報推進本部が、国等関係機関の対応も確認しつつ適切に対応しております。
 デジタルサービス局におきましても、引き続き適切に対応してまいります。

○原委員 一つの局を立ち上げて都民サービスを向上させるということなんですけれども、今のご答弁でも、まだまだその辺は具体的ではないということで、私は、こういうふうに都民のためにプラスになるんだということが明確にされる必要が本来あるんじゃないかというふうに思います。
 補正予算をつけたマイナンバー関連の検討も、今まだやられている途中だと思うんですね。結果が出ているわけではありません。一方で、国はデジタル庁に向けて加速をしているという状況で、行政と企業に個人情報を蓄積して、マイナンバーでひもづけするなどの方法も明らかになっています。
 東京都の計画でも、国との連携を強化していくということもいわれる中での、今回、デジタルサービス局の設置になっているわけですね。私は、ここは十分な説明も必要ですし、そして、本当に十分に検討していくということが求められているというふうに思います。
 デジタル化は、それ自体が目的というよりも、都民のために本当に必要な活用をしていくということに目的があるわけですから、十分な検討が必要だということを指摘しておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十五分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、新型コロナウイルス対策について質問いたします。
 新型コロナウイルスの対応として、現在、緊急事態宣言がさらに延長されています。再延長から一週間がたちましたが、感染者は下げどまっているとの表現はもはや適切ではなく、増加傾向に転じました。感染者が減れば二十一日に解除なのでしょうが、この状況で、政府も週の後半には判断すると報道されています。
 近隣の知事は、解除すべき、すべきでないと述べている報道がありますが、小池知事は現在、どちらとも述べていません。科学的な根拠をもとに専門家の意見を踏まえて判断していただきたいと思います。
 仮に、当初の予定どおり二十一日に解除となると、急に緩んでしまうため、都では、段階的緩和期間を設けて、飲食店の時間短縮要請を夜八時から九時に繰り下げると発表しています。ただ、その期間は十日間と短く、三月三十一日としています。二週間の延長の後、十日間で本当に大丈夫なのでしょうか。
 私は、都議会の災害対策連絡調整本部の会議で三月三十一日までの根拠を質問したら、総務局長からは、年度末だからと答弁がありました。ウイルスには人間のカレンダーは関係ありません。本当にそういう判断でよいのでしょうか。
 お花見や歓送迎会の自粛を要請していますが、これらの行事は最初から四月にかかるものだとわかっています。昨年の緊急事態宣言のときには、結果的には前倒しをしましたが、段階的な緩和として、四段階での緩和措置を定めるなど慎重でした。
 改めて、段階的緩和期間を三月三十一日に定めた根拠と、四月一日以降の対策はどのようにするのか、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 三月二十一日に緊急事態宣言が解除された場合には、国の基本的対処方針を踏まえまして、解除後も、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込むため、三月末まで段階的緩和期間を設け、営業時間の短縮要請などの感染防止対策を着実に実施していく予定でございます。
 なお、四月一日以降の対策につきましては、感染状況や医療提供体制の状況を踏まえまして、適切に対応してまいります。

○中村委員 その都度、状況を踏まえて適切に対応するのは当然ですが、飲食店も仕入れがあるので、余り小刻みにされても対応が難しくなります。危機管理は大きく構えて小さくおさめるのがよいとされています。緊急事態宣言を二週間延長し、段階的緩和措置を十日、これで終わりならばいいんですけれども、もしさらに十日とかいわれても、効果がなくなってしまいます。
 もちろん自粛疲れもあり、経済への影響もあるのですから、だからこそ、ある程度の期間を徹底して対策をし、それが終わればもとに戻れるという姿を示すことが重要と考えます。
 いずれにせよ、都民の皆様がいかに納得して協力していただけるかが、感染拡大を防ぐことになりますので、そうしたことを決めた根拠やその過程も含めて、丁寧な説明を求めます。
 さて、今の緊急事態宣言の延長の前には、知事はギアを上げるといっていました。しかし、二週間の延期では、飲食店への時間短縮の継続、高齢者施設のPCR検査拡大やテレワークの拡大ぐらいで、新しい施策が余りありませんでした。これで都民はどう動いていいのか戸惑っています。ある意味で、この状況になれてしまい、知事の言葉も都民を動かすものにはならなくなっています。
 より実効性のある施策や知事からのより強いメッセージが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 現在の都内の感染状況等を踏まえまして、今ここで、新規陽性者数をしっかりと減少させ、感染を徹底的に抑え込むことが重要でございまして、引き続き、不要不急の外出の自粛、営業時間短縮の要請、テレワークの徹底に加えまして、感染の監視体制、検査体制を強化し、万全の対策を講じてまいります。
 また、都民への呼びかけを行うに当たりましては、都民や事業者が適切な感染防止対策をとれるよう、引き続き、世代や活動場面に応じまして具体例を示しながら、行動変容につながる明確なメッセージを発信してまいります。

○中村委員 都民には、いつまで我慢して、いつ終わるのかの見通しが立たず戸惑っています。知事は、感染状況を週ごとに七割削減して百四十人以下にするといっていましたが、目標ではないとのことでした。私は、トップが目標を定め、責任を持って取り組むことが重要であり、これが都民に届いてこそ、行動変容につながります。
 さて、新型コロナの対応をした事業者はステッカーの掲示をしていただいています。掲示をしていただいた飲食店の感染防止策が実際に行われているかどうかの確認のため、都の職員が訪問をした件数は約一万四千件とのことです。さらに、二十時までの時間短縮要請に応じていただいているかを把握するため、都の職員で七万三千件見回ったとのことです。
 国で特別措置法が改正され、要請に応じない店舗には罰則が科される規定が設けられました。しかし、都内には数多くの店舗があり、全ての店舗を公平に見回れているわけではないのに、仮に見回ることができた店舗だけに罰則を適用するのはいかがかと思います。
 そもそも、国でも補償の議論が十分されたわけではなく、営業だけ制限をして、補償ではなく協力金にとどまっています。その状況で罰則を科すのは問題があり、十分な補償をすることが先だと考えますが、見解を伺います。

○高島危機管理調整担当部長 都は、時短要請への協力状況の確認を、現時点で都内の繁華街を初め百四十カ所以上の地域で行っておりまして、二十時以降の開店が確認された店舗につきましては、職員が個別に訪問し、時短への協力依頼を行っております。
 個別訪問を実施した後、電話や文書等で改めて依頼を行い、協力が得られなかった店舗を対象に、職員が現地確認を行った上で、順次、特措法第四十五条第二項の要請を行うなど、適切な対策を実施しております。
 協力状況の確認に当たりましては、職員が直接行うだけでなく、民間委託も活用するとともに、区市町村からのさまざまな情報提供を受けるなどして、広範囲に実施し、可能な限り公平性を担保しております。

○中村委員 法による要請や命令、罰則という段階があるんですが、今の答弁では、命令、罰則については述べられていませんでした。罰則の適用はしてほしくないのですが、もちろん公平性の観点からも、要請を守っていただきたいと思いますが、まずは行政の方が、そうした状況にならなくてよいような施策をしていただくことをお願いします。
 今の飲食店自粛は、十一月下旬から始まり、時間は夜十時から八時に繰り上がり、期間としては四カ月になります。一律の協力金なので、一定規模以上のお店にとっては十分ではなく、大変厳しい状況になっています。
 しかし、当初、知事は、ステッカーを掲示したお店に行くことを推奨していました。飲食店への対応は本当に時間で区切るのが適切なのでしょうか。科学的に分析して、真に効果のある対策を求めることが必要です。
 一都三県から、マスク飲食、黙食、個食、静美食をお願いしています。これは重要ですが、夜だけお願いする内容ではなく、昼でも有効であり、時間には関係のない取り組みです。アクリル板の設置など、対策としてまだ店舗でできることはありますし、それを都が支援することも重要です。
 改めて、施策を科学的に検証して適切な施策を行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○高島危機管理調整担当部長 国の分科会では、飲食店の時短の要請を含め、会食、飲食による感染拡大リスクを徹底的に抑えることが必要との提言がなされております。
 このため、最大の感染経路である家庭内にウイルスを持ち込ませないため、飲酒、飲食につながる飲食店等への時短を要請いたしました。
 さらに、ステッカー掲示店舗の確認の際に、アクリル板の設置などの有効性を説明し、中小企業による感染防止ガイドラインに基づく取り組みへの助成制度を案内するとともに、小まめなマスクの着用など、会食時の注意事項の利用客への周知を促しております。

○中村委員 本当にどこが原因で感染が広がっているのかをきちんと検証して、効果があることをより積極的に取り組んでいただくことが重要です。お店の側の対応も必要ですが、お客さんである都民の皆様の行動が変わるよう求めていただきたいと思います。
 さて、さきの特別措置法の改正により、蔓延防止等重点措置が定められました。緊急事態宣言後に蔓延防止等重点措置を適用することはあるのでしょうか。現状、緊急事態宣言解除後に都が予定している段階的緩和期間との違いは何か伺います。

○猪口総合防災部長 蔓延防止等重点措置の実施につきましては、感染が都道府県の一部区域から全域に拡大するおそれがあるなどの事態が発生していることを踏まえ、国が総合的に判断するものでございます。そのため、国から措置を実施すべき都道府県として指定された場合、実施期間や区域を指定しまして、営業時間短縮の要請等を実施することとなります。
 段階的緩和は、都として、緊急事態宣言解除後も、感染の再拡大を防ぐため、三月末までの予定で、時短要請を初めとした感染防止対策を実施するものでございます。

○中村委員 考えたくはないんですが、今の波がおさまった後に、もし第四波となるような兆しが見えてきたら、蔓延防止措置ということも視野に入れて、拡大を防いでいかなければなりません。再度宣言にならないようにすることが重要です。新たな制度でもありますので、ぜひ研究していただきたいと思っています。
 さて、次に新型コロナに対応する人事政策について伺います。
 国の新型コロナの担当の残業が長時間に及んでいるということが明らかになり、問題になりました。
 それでは、都はどうなっているのでしょうか。
 まず、福祉保健局の感染症対策部の残業の実態がどのようになっているのか伺います。

○高崎労務担当部長 直近で把握しております令和二年十二月の福祉保健局感染症対策部の常勤職員における一人当たりの月平均超過勤務時間数は、約四十九・二時間となっております。

○中村委員 報道によれば、国の数字はもう三百時間超えていたということで、異常な状況でしたが、とはいえ、都の数字も決して少ないとはいえないわけですから、本当に都の職員がこの危機に対応するには、健康であることがまず大切でありますし、体が弱ってしまうと感染するリスクも高まってしまいますから、人事の担当としては、常に実態を把握して、異常な状態にならないように見続けて、注視していただきたいというふうに思っています。
 さて、新型コロナウイルスの対策に最前線で取り組んでいただいている感染症対策部は大変だと思いますので、事務事業質疑のときにも、当該部門の人員を増加させること、さらには、一時的な応援ではなく人事異動による人員をふやすことを求めました。
 来年度の職員定数をふやすとの発表がありましたが、先ほど残業の状況を伺ったのですが、基本的には定時での仕事がおさまる人員配置が必要です。
 福祉保健局の感染症対策部に係る定数増がどうなっているのか伺います。

○山口人事部長 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、全庁挙げた職員の応援体制に加えまして、令和二年七月には福祉保健局に感染症対策部を新設しました。
 令和三年度には、感染症対策部の職員定数をさらに増員し、部の新設時と合わせて計百二十一増の百五十名に体制強化を図る予定でございまして、応援職員中心の体制から、本務職員中心の執行体制へと強化する予定でございます。

○中村委員 さきの事務事業のときにもお話をしたんですが、応援職員中心体制から本務職員体制へというふうに変わっていくのはよかったと思っています。やはり、一定程度の期間でまた戻ってしまったりすると、引き継ぎが大変だったりとか、落ちつかなくなってしまいますから、そういった点では、こういった増加というのはよかったと思っています。
 ただ、ワクチン接種がおくれていることもあって、コロナの対策は長期化していくと捉えざるを得ません。
 ただ、大変な激務でもあることから、長期の配属となると疲弊をしてしまいます。新型コロナ対策が長期化することを前提に、人員増と人員ローテーションをうまく組み合わせた人員配置が必要と考えますが、見解を伺います。

○山口人事部長 福祉保健局の感染症対策部につきましては、令和三年度は、定数増に加えまして非常勤職員も大きく増員する予定でございます。これにより、感染症対策部は、三月現在と比較しまして、他局の応援職員はおおむね九十人程度減少しますが、福祉保健局職員と非常勤職員を合わせて約百二十名増員し、差し引き約三十増の三百六十人程度の体制となる予定でございます。
 本務の職員による継続的、安定的な事業執行に加えまして、感染症の状況や業務の性質等に応じた中期、短期の各局の応援職員も引き続き活用し、職員の人事異動のサイクルにも配慮しつつ、感染症対策に係る柔軟で継続的な体制を確保してまいります。

○中村委員 感染の状況によっては、仕事の量もふえたり減ったりするところはあるんですが、当面、長丁場だとするならば、多いときの対応に合わせていかざるを得ないんだろうと思っています。
 この新型コロナというのがまさに異常な事態ですから、都庁挙げての対応ということをお願いしたいと思っていますので、もちろん福祉保健局の中で見ていく部分もあるんだろうと思うんですけれども、都庁全体の人事をつかさどる総務局としても、状況についてはしっかり把握をしておいて、局だけで対応できないような異常な状況であれば、総務局としても対応していただきたいと思っています。
 また、こういった残業等、一般の職員だけではなくて、管理職も同じことはあるわけでしょうから、健康が守れるように、適切な働き方ができるような対応をとっていただくようお願いをいたします。
 さて、このコロナの関連で、次には、プレミアム商品券の発行の支援について伺います。
 今回、補正予算として、東京都生活応援事業−コロナに負けない!−が百二十五億円計上されました。デジタルを活用して商品券を発行する市区町村への支援をするとのことですが、本会議での質疑でも、紙の商品券を発行する場合にも、二分の一をデジタル分が超えれば認めるとのことでしたけれども、紙の分の補助率は下がるようです。
 この事業の名称、また、そもそもコロナ禍において厳しい状況にある方のためだからこそ、厳しい財政状況でも行うのですから、デジタル化も、必要なこととはいえ、果たして優先順位として適切なのかというふうに思わざるを得ません。
 まず、この事業を活用して市区町村がプレミアムつき商品券を発行する場合、デジタルのみ発行した場合と、デジタルと紙を併用した場合の補助について説明をお願いします。

○小笠原行政部長 本事業は、デジタルのみで実施する場合は、還元率、プレミアム率の上限は三〇%で、都補助率は四分の三としております。デジタルと紙を併用する場合は、デジタル実施分の還元率、プレミアム率の上限は三〇%で、都補助率は三分の二、紙実施分のプレミアム率の上限は二五%で、都補助率は二分の一としております。

○中村委員 プレミアム率の上限を見ても、補助の率を見ても、デジタルを誘導していくということになっているわけです。
 ただ、本当にこれから大きく時代が変わり、コロナ禍においてデジタル化を進める、また、この事業そのものがデジタル化をした方が早くできることは承知はしています。しかし、デジタル化に対応できない方も、高齢者や低所得者などいますし、そうした厳しい状況にある方を取り残すわけにはいきません。補助率の違いから、市区町村では、デジタルの割合をふやす可能性があります。
 一方、どのように本人を確認するのか課題もあり、紙は本人確認ができても、ネットではそれが確認できず、その自治体に住んでいない人が何回も買うことも想定されます。
 制度そのものは市区町村が運営することになりますが、制度の設計をきちんとしないと、誰のための制度なのか、公平性が担保されるかなど、多くの論点はあると思います。
 大きなプレミアムがつくだけに、地域の商店の活性化は重要ですが、都民生活、とりわけ低所得者の生活を支えることは大切だと思います。
 市区町村がプレミアム商品券を発行する際に、デジタル化に対応していない低所得者や高齢者なども購入でき、生活の支援ができるよう、公平性を確保することが重要ですが、見解を伺います。

○小笠原行政部長 本事業は、地域経済の活性化とあわせて、東京都の新しい日常や国の新しい生活様式で推奨している非接触型のキャッシュレス決済の普及を目的の一つとしております。
 都では、新年度から新たに、デジタル機器にふなれな方々に対し、地域でのサポートや通信事業者と連携した普及啓発などの取り組みを実施することとしております。
 今後、これらの事業を実施する関係各局とも連携し、より多くの都民に本事業を利用していただけるよう取り組んでまいります。

○中村委員 税を使う事業ですから、ぜひ公平性の確保というのをお願いしたいというふうに思っています。また、一方、こうした直接的な利益になるということがあると、都民の方にも、デジタルを使おうということにはなると思っています。
 先ほど、関係各局との協力ということがあったんですが、来年度予算の中にも、デジタルサービス局では、高齢者向けのスマートフォン利用普及啓発事業もありますから、こういったところと連携して、公平性が近づけることにもなると思っていますから、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 次に、東京防災プランについて伺います。
 コロナ禍において地震や水害が起こる、いわゆる複合災害については、我が会派としても何度も質問してきましたので、防災プランで大きく取り上げていただいたことは評価します。
 先日は、東日本大震災の余震ということで、東京でも震度四の地震が起きましたが、けさも五時前ごろに震度三の地震が起き、複合災害は決して希有ではないというふうに思います。
 複合災害の最大の課題は、避難場所への感染症対策です。ただ、今この瞬間、地震が起きてもおかしくないため、対応を急ぐ必要があります。
 避難場所が密にならないようにするため、ソーシャルディスタンスをとると、収容人数が、施設ごとに異なるとは思いますが、通常の三分の二から半分程度に減るという想定にもなります。
 また、近年は毎年猛暑になるので、真夏だとエアコンのない体育館は熱中症のおそれもあり、避難場所になり得ません。ある意味では、感染症や地震と猛暑と三重の災害ともいえます。避難所ともなる学校の体育館にエアコンが備えられていなければ、猛暑日に避難可能な避難所は限られます。
 こうした状況において、都として、少しでも避難可能な人数をふやすため、どのように取り組みを進めるのか伺います。

○古賀防災計画担当部長 コロナ禍における自然災害時におきましては、避難所が過密にならないよう、避難者の分散化を図る必要がございます。
 そのため、都は、昨年五月に、避難所として指定されている学校の体育館以外にも、教室や公民館のほか、ホテル、旅館などの民間施設も活用して、より多くの避難先を確保するよう、区市町村に周知いたしました。
 また、六月には、体育館など避難所における感染防止や暑さ対策にも有効な大型扇風機やスポットクーラー等の調達が可能となるよう、業界団体と協定を締結しております。
 こうした取り組みを通じまして、コロナ禍におけるより多くの避難先確保に向けまして、区市町村と連携して取り組んでまいります。

○中村委員 災害の多い国ですから、私は、この避難についての取り組みは、日本は進んでいるんだと思っていたんですが、考えてみれば、都市部は特に人口密度が高いわけですから、決して避難生活の質が確保できているというわけではなかったんじゃないかと思っています。
 改めて、こうしたコロナのことによって、密になってはいけないんだという状況になったところで、この避難生活の質の向上ということを含めて、改善する契機にしていただければというふうに思っています。
 また、そうした避難される方の中で、高齢者や障害者など、災害時の要配慮者の方々については、新型コロナウイルスに感染すると重症化するおそれが高い方々です。
 そうした方は、避難所などにおいては、感染症対策をより徹底して行う必要がありますが、対応について伺います。

○古賀防災計画担当部長 高齢者や障害者などの要配慮者につきましては、都が昨年六月に作成した避難所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインの中で、本人や家族から丁寧に話を聞き、健康状態等を的確に把握して、感染拡大防止を図りつつ、適切な支援につなげていくよう、お示ししております。

○中村委員 通常でもコロナで重症化しやすい方々ですから、日常的には外出を控えていらっしゃる方も多いんだと思っています。災害が起これば避難せざるを得なくなるわけでしょうけれども、避難場所は通常より良好な衛生環境の確保が難しいわけですが、そこでクラスターが発生してしまうことがないように、こういったことも含めて事前の準備ということが必要だと思っていますので、対応をお願いいたします。
 今回の防災プランのもう一つの柱として、防災分野におけるデジタルトランスフォーメーションの推進があります。新たな技術を活用して、災害情報の把握や情報収集、発信ができるなど有効だと思います。
 ただ、一方、東日本大震災のときには全く携帯電話がつながらなくなりました。また、昨今では、携帯電話に依存すると、親しい人の電話番号さえ覚えておらず、メモもありません。最新技術に依存すると、災害時にその技術が利用できれば効果は発揮できますが、利用できない状況になると何もできなくなってしまいます。東日本大震災でも、避難所に紙で張り出した掲示板が一番有効だったともいわれています。
 都においても、市区町村や関係機関との災害時の通信手段として、防災行政無線を整備していると聞いていますが、無線局が損壊するなど、災害時にこの設備が利用できなくなることも想定されます。
 そこで、こうした不測の事態が発生した場合にも対応できる通信手段や体制を確保していく必要性がありますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 都では、大規模災害発生時に通信事業者が提供する回線が使用できない場合にも、区市町村や関係機関との情報連絡が途絶することがないよう、衛星携帯回線や独自の防災行政無線網などを確保しております。
 また、一部の基地局等が損壊し、局地的にこれらの通信手段が使用できなくなった場合は、移動無線車や移動衛星通信車を現地に出動させ、災害対応に必要な通信環境を確保することとしております。
 さらに、災害現場においても、現地に派遣された都職員等が災害対策本部と連絡がとれるよう、職員の参集拠点にMCA無線等を配備し、携帯電話が使用できない場合においても、必要な報告等を行える手段を確保しております。

○中村委員 備えられることはできるだけ備えていただければと思うんですが、どうしてもこういう災害のときにも想定外のことが起きます。どれだけ想定しようと思っても想定外は起きてしまいますから、きちんと決めたことはやるんですけれども、いざというときに備えた応用動作というのが大事になってくると思いますから、こういう想定外が起きたときに緊急にどういうことができるかといったような訓練もしていただければというふうに思っています。
 さて、今後、コロナがおさまっていくと国内外から多くの観光客が東京を訪れることが期待されますが、訪問時に発災した場合、その安全をどうするかは大きな課題です。
 とりわけ、外国人観光客は言葉も通じず、航空機が欠航すれば、しばらく都内に滞在せざるを得ません。都内に宿泊先がある観光客であればまだよいのですが、一時的に滞在して被災した観光客などへの対策は必要であり、都として、行き場のない外国人観光客などの帰宅困難者の安全確保のための取り組みを強化する必要があると考えますが、見解を伺います。

○榎園防災対策担当部長 都では、空港への鉄道路線や都営地下鉄の車内デジタルサイネージにおいて、大規模地震の発生時にとるべき行動などを外国人にもわかりやすくまとめた動画を放映しています。
 また、発災時には、災害情報や一時滞在施設の開設情報等を、東京都防災ツイッターや防災マップなどにより英語等で発信することで、外国人への迅速な情報提供を行うこととしています。
 引き続き、こうした取り組みにより、外国人観光客等の帰宅困難者の安全確保を図っていきます。

○中村委員 特に観光地には多くの観光客もいます。言葉もいろんな言語もありますし、また、地震を経験したことのない国の方々もいますから、具体的な避難誘導の想定や準備、訓練等もしていただければというふうに思っています。
 また、コロナにおいてテレワークが進み、地域に若い人が戻ってきたということも現象として見られます。若い人は、職場にいれば帰宅困難者となり、助けられる側になりますが、地域に残れば助ける側にもなります。地域では、町会も自治会も消防団も高齢化が進み、新規加入者の獲得に苦労しています。地域の防災訓練にも高齢者が多く、若い人は余り参加していません。
 地域の防災組織や防災活動への参加の働きかけは、基本的に市区町村が行うものではありますが、都としても、テレワークで地域にいる若い人材を、地域の防災組織や災害活動に参加するよう働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。

○榎園防災対策担当部長 働く世代が地域の防災活動に参加することは、地域防災力の向上につながります。
 このため、町会等に防災の専門家を派遣する講座では、働く世代の参加を促し、活用するノウハウを加えています。また、都民向けの防災に関するセミナー等をオンラインで実施し、働く世代がテレワーク期間中でも学びやすいようにしているところです。
 こうした取り組みを引き続き実施してまいります。

○中村委員 世の中、コロナでいろんなことが変わっていきますけれども、ある意味で、働いている世代の人が地域に戻ってくるというのが、一つ大きな転換だというふうに思っています。
 なかなかまだ、今まで地域にいなかったので、すぐ地域と結びつくということが当然ありませんので、何らかの仕掛けをすることで地域との結びつきがあれば、そういったことが長い目で見て地域の担い手になっていくんだと思っています。ぜひ、地元の市区町村が中心だと思いますが、都も連携して対応していただければと思っています。
 さて、地震のことも話してきましたが、地震と違い水害については、その地形などからハザードマップを作成して、かなり被害状況がわかるともいわれています。今、個別の避難への取り組みとしてマイタイムラインの取り組みもありますが、そもそも被害状況からして個別の状況がわかるのですから、そうであれば、住んでいる場所ごとに最初から危険な状況がわかっているはずです。
 ハザードマップをつくっているんですから、一律の避難体制ではなくて、個別の避難を伝え対応することも必要と考えますが、見解を伺います。

○古賀防災計画担当部長 都では、区市町村が作成しておりますハザードマップの確認に加えて、調べたい地点の浸水の深さが視覚的にわかりやすく表示される水害リスクマップを、東京都防災アプリで公開しております。また、そのアプリに登録したお住まいの地域の避難情報や気象情報を通知することで、発災時の適切な避難行動を支援しております。
 今後とも、区市町村と連携しながら、地域の実情に合った避難行動の普及啓発を進めてまいります。

○中村委員 風水害が起きているときは、なかなか防災無線が聞こえないこともあります。これからだんだんいろいろとICTの技術も進んでいくことになると、個別の地域ごとに情報を出していくことができるようになっていくかと思っていますので、これはぜひ、本当に住んでいる地形によって災害の状況が変わっていきますし、逆にわかるので、きめ細かな情報提供ができて、安全が確保できるような取り組みを検討していただきたいというふうに思っています。
 さて、災害対策の一つとして、来年度予算のところを見ると、立川地域防災センターを改修するというものが計上されています。
 都心で大地震が起きた場合に、新宿の都庁だけでなくて立川を本部として活用することに備えていると考えます。東京都といっても広いので、東京全土が均一に被災するわけではありません。
 そこで、実際、立川を活用した災害への支援体制を構築する必要があり、立川を本部とした訓練も行う必要がありますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 立川地域防災センターは、開設から約三十年が経過し、建設設備などの老朽化が著しいことから、今後、大規模改修に向けた検討に着手することにいたしました。改修の検討に当たりましては、指令室の機能性向上など、防災センターの機能強化の視点も踏まえてまいります。
 また、さまざまな災害事象にも対応できるよう、多摩直下地震を想定した訓練なども実施し、センターの機能性の検証を行ってまいります。

○中村委員 いろんな地震の類型もあると思っていますので、首都直下型、また多摩直下型と、いろんな訓練等を想定等していただいて、備えていただければというふうに思っています。
 また、立川のこの防災施設の近くの農林水産省の食糧倉庫を、都が買い取って防災倉庫にしています。
 立川は、電車では交通の要所ですが、道路交通では必ずしも交通の要所でもありません。実際に災害が来たときに、誰がどのように各市町村に配布するのか想定しておく必要がありますが、見解を伺います。

○古賀防災計画担当部長 大規模災害時には、都は、多摩広域防災倉庫におきまして、国や民間事業者等からの支援物資を受け入れ、区市町村に対して提供することとしております。
 区市町村に対して円滑に物資を提供するため、災害時の倉庫運営につきまして、大手物流事業者や業界団体と協定を締結しておりまして、事業者と連携して実施することで、民間事業者のノウハウを活用した効率的な倉庫運営と物資輸送を行うこととしております。

○中村委員 倉庫を含めて、その近辺の交通状況の改善というのも、これは総務局だけじゃないんだと思いますが、他局とも連携しながら、いざというときに備えていただければというふうに思っています。
 次に、人権課題について伺います。
 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が制定されました。条文上は、全ての人権を網羅的にカバーしているようにはなっていますが、詳細に対応を定めたのはLGBTとヘイトスピーチの二つになっています。条例制定時から、他の人権についても詳細に盛り込むよう求めましたが、内容は現状のとおりです。
 しかし、オリンピック・パラリンピック組織委員会の森前会長の女性蔑視発言がありましたが、具体的に対応する条例はありません。また、障害者の人権については、国で法律が制定されたのを受けて、都でも障害者差別解消条例が制定され、合理的配慮については、国の努力義務よりも強めて義務化するなど進んでいるものもあります。もちろん、制定されたとはいえ、障害者の人権が守られているかといえば、そうではない場面もあり、実効性については今後の課題となっています。
 今定例会では、子供の人権についての条例も提案されています。もちろん、それぞれの人権課題について詳細な施策は必要ですが、さまざまな人権課題や、また新型コロナのように新たな人権課題もあるなど、網羅的に対応できないため、やはり基本となる条例で、人権全般についてのより詳細な取り組みを明文化し、分野についても盛り込めるものは盛り込むのが望ましいと考えます。
 改めて、人権尊重条例を見直し、さまざまな人権問題に対応できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○堀越人権部長 人権尊重条例は、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念を実現することを目的としており、これに基づき、必要な取り組みを推進してまいりました。
 引き続き、さまざまな人権課題に総合的に取り組み、効果的な施策を展開してまいります。

○中村委員 理念については、書いてあるのはわかるんですけれども、今、人権課題があったときに、取り組みをするときに、例えば訴訟であったりとか、例えば法務局であったり、いろんな対応はできるんですが、都として、じゃあこの二つ以外に何か対応できるかというと、そういうことを盛り込んでいないということもありますので、やはりいろんな人権課題というのは出てくると思いますので、そういったことに対応できるような条例へと見直しをしていただければというふうに思っています。
 さて、ヘイトスピーチについてですが、人権尊重条例の第十二条第一項に基づいて、表現活動の概要等を公表しています。ただ、現状、ヘイトスピーチと認定された言動だけが公表されていて、どの団体が発言したかもわからず、本人に対する指導も何もなく、抑止力がないのではないかともいわれています。
 表現の自由との関係もあり、大変難しい問題であることは承知していますが、ヘイトスピーチによる人権侵害の解消につながるためにも、より実効性を高めていくよう制度を見直す必要がありますが、見解を伺います。

○堀越人権部長 人権尊重条例の規定は、発言者に対する制裁ではなく、概要等の公表により、不当な差別的言動の実態を広く都民に伝え、いわゆるヘイトスピーチは許されない旨、啓発していくことを目的としています。
 公表に当たっては、ヘイトスピーチを受けた相手の方々の人権に配慮しつつ、表現の自由を不当に侵害することのないよう、外部の専門家から成る審査会の意見を踏まえて、慎重に検討しています。

○中村委員 表現の自由は当然大切ですけれども、一方、こういった言葉、表現によって傷つけられる人の人権も大切だと思っています。より踏み込んだ他の自治体の条例もあるので、改めて、この制度の見直し、不断の検証を進めていただき、必要があれば制度そのものを見直していくということも検討していただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○山内委員 質問させていただきます。
 東日本大震災から十年。災害対策に、子供や若者、高齢者、障害者、LGBTなど多様な視点を反映させるために、女性の視点の必要性が指摘されてきました。しかし、自治体の防災部門における女性の割合は極めて低いのが実情です。
 生活者ネットワークは、阪神・淡路大震災以降、防災、復興などに女性の視点、子供の視点を盛り込むよう訴えてきました。そして、地域防災計画に女性の視点を反映するために、東京都防災会議の女性委員をふやすよう求めてきましたが、災害対策基本法の改正や災害の教訓、二〇一九年の防災会議条例の改正を経てもなお、女性委員は定員七十三名中七名、九・六%にとどまっています。
 知事は、審議会等の女性任用率を二〇二二年度末までに四〇%以上に高めていくとしました。東京都防災会議における女性任用率を高めるために、都はどのように取り組んでいくのでしょうかお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 都はこれまで、東京都防災会議条例を改正し、自主防災組織構成員、学識経験者の枠を設け、女性委員四名を任用してまいりました。
 今後は、防災会議全体に占める女性委員の割合を高めるため、人事異動など改選の機会を捉え、男女平等参画の観点も踏まえた人選が進むよう、関係機関等と連携を図ってまいります。

○山内委員 東京都防災会議は、防災計画の策定に当たって開催される、年に約一、二回程度の大所帯の会議体です。そのため、女性の任用率が進まないことを危惧しています。
 内閣府男女共同参画局が昨年、二〇二〇年五月に策定した、災害対応力を強化する女性の視点、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインには、女性委員の割合を三割以上とすることを目指し、女性人材の育成、登用を進める、庁内職員を任命する際には、女性職員を積極的に登用する、充て職による制約のない下部組織、部会等や実質的な事務を担う幹事に女性を登用する、女性の視点を取り入れるための下部組織を設ける等、明記されています。
 女性比率が高い地方公共団体は、さまざまな工夫をしています。女性委員の割合を高め、全委員に男女平等、ジェンダー平等の認識を高めていくよう、ぜひ積極的な取り組みを要望いたします。
 男女共同参画のガイドラインは、災害対策本部や復興対策本部についても言及しています。災害対策本部の構成員に女性職員を配置する、災害対策本部の下にチームなどの下部組織を構成する場合には、必ず男女共同参画担当部局等の職員を配置する、復興対策本部の構成員に女性を配置する、復興対策本部の事務局に女性職員を配置するとあります。
 そこで、東京都の災害対策本部や震災復興本部について、それらの本部がどういった人たちによって構成されるのかについてお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 東京都災害対策本部や東京都震災復興本部の本部員は、本部を構成する関係局の局長や危機管理監等で構成されております。
 また、知事が必要であると認めた場合には、都職員の中から本部員に指名することができます。

○山内委員 災害対策本部、復興対策本部は、大規模災害が発生してから設置されるものではありますが、仕組みとしては、女性職員の参画もできるということだと思います。今ご答弁いただきました。
 初動段階においても女性の視点を反映させることが重要であるので、あらかじめ構成員の女性の割合を決めておく、三割以上とか四割以上と決めておいたり、あるいは男女平等参画担当職員を入れるなど、迅速かつ的確に対応ができるようしていただきたいと要望しておきます。
 それでは、これまでの東京都における女性の視点の反映について、都はどのように取り組んだのかお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 都は、「東京くらし防災」や女性防災人材を育成する研修のカリキュラムの策定に当たりまして、防災会議の女性委員にもご助言、ご協力いただくなど、防災対策に女性の視点を取り入れてまいりました。
 また、今月策定予定の東京防災プラン二〇二一に、避難所における乳児用液体ミルクの活用や、日常備蓄に生理用品を加えることなど、女性の視点に基づいた取り組みを盛り込んでおります。

○山内委員 今、備蓄においても女性の視点ということをご答弁いただきました。
 都は、災害発生時、七十二時間、三日間は安全な場所にとどまり、一斉帰宅しないよう求めており、移動中など屋外で被災して帰宅できない帰宅困難者は約九十二万人となると想定しています。
 都は、都立施設のほか民間企業にも、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の設置を進めていますが、九十二万人の対象者に対して、現在、四十三万人分、約四七%を確保するにとどまっているとのことです。
 施設の確保を進めることも重要です。そして、それとともに女性の視点での備蓄品の配備を進めることも重要です。
 一時滞在施設は、発災時に三日間滞在が可能な水、食料、簡易トイレ、毛布またはブランケットなどの備蓄品のほか、女性用品、乳幼児用品等についても配備を進めていますが、どのような考え方により配備を行っているのかお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 都立の一時滞在施設では、帰宅困難者の受け入れに必要な水、食料、毛布、ブランケット、簡易トイレ等に加え、生理用品や粉ミルクについても配備しています。これらの品目については、都内の人口構成比等をもとに、品目ごとの支給対象者数を割り出し、その三日分の数量を備蓄してございます。
 また、民間の一時滞在施設に対しましても、同様の考えのもと、事業者の申請により補助を実施しているところでございます。

○山内委員 阪神・淡路大震災以降、特に東日本大震災以降に、女性の防災リーダーの必要性が求められてきました。
 都の調査では、女性の防災意識は高く、防災用品や水、食料を備蓄している一方、防災訓練や防災研修会などへの参加は約一割にとどまっているということです。
 都は、女性の防災人材育成を二〇一七年度から開始しています。これまでに約九百人が受講したということです。ちょうど今も、二月十九日から三月十九日まで、防災ウーマンセミナーを動画配信で開催しているということです。
 育成した女性防災人材の見識を地域や職場に生かせるよう周知したり、地域や職場での課題を都にフィードバックしたりできる仕組みをつくって、女性の参画を進めることが重要であると考えますが、都の見解についてお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 都では、女性の視点が防災分野にも反映されるとともに、地域や職場等で活躍している女性の力が災害時にも発揮されるよう、防災ウーマンセミナーや防災コーディネーター研修の実施など、女性防災人材の育成を進めてまいりました。
 これらの研修をホームページに掲載することや、区市町村の防災担当者の会議等を通じて周知するほか、受講者からの意見等を研修実施の際の参考としてございます。
 引き続き、女性防災人材の育成を進めてまいります。

○山内委員 女性防災リーダーを育成しても、地域の男性リーダーの理解が進まないと女性リーダーたちは活躍できないとの指摘があります。女性防災リーダーを育成する目的、意義を明らかにして、リーダーとして活躍できる女性をふやしていくこと、そしてさらには、一歩進めて、男女平等の視点が、性別にかかわらず取り組める実働型の研修メニューなどを進めていただきたいと要望しておきます。
 次に、子供の視点についてお伺いいたします。
 東日本大震災では、多くの子供たちが親や家を失いました。子供本人の心身の健康に加え、住宅の崩壊、保護者や家族のけが、病気、失業、離散など、それぞれが置かれた状況にふさわしい取り組みが十分になされず、大人の生活と復旧や復興が優先され、子供の生活全般への目配りが行き届かなかったという課題が浮き彫りにされました。
 被災した子供、若者への支援、学ぶ場、遊ぶ場、安心できる居場所を確保し、子供自身が声を上げ、安心して意見表明をし、エンパワーメントできるよう、子供の視点が重要だと指摘されてきました。
 災害時における子供の視点の重要性について、見解をお伺いします。

○猪口総合防災部長 災害時には、乳幼児、児童、生徒等の子供を含めた要配慮者に対しまして、その特性や実情に即したきめ細かな対応が必要でございます。
 そのため、子供や女性など、地域におけるさまざまな視点を防災対策に反映するため、自主防災組織の構成員を防災会議の委員として選任しているところでございます。
 また、都が区市町村の避難所運営を支援するために策定しました避難所管理運営の指針においては、子供や女性の支援ニーズを把握することの重要性や、子供の心のケアについての留意事項を示してございます。
 さらに、「東京くらし防災」では、避難所生活での子供とのスキンシップの重要性や、子供の遊べる時間や場所の確保の必要性など、子供の心身のケアの重要性を示しているところでございます。

○山内委員 災害時には、性暴力、DV、児童虐待などが起こりやすく、被害を訴えるのは平常時でも難しい上に、非常事態だからということで、さらに声を上げにくい環境になることが、東日本大震災、災害・復興時における女性と子どもへの暴力に関する調査報告でも明らかになっています。国際的なスフィア基準にも、女性や子供への暴力への対処が挙げられています。
 災害時における性暴力、DV、児童虐待等暴力の防止、安全確保に関する東京都の見解をお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 災害時におきましては、避難所での窃盗や、女性や子供を狙った性犯罪や暴力など、さまざまな犯罪が発生するおそれがあり、防犯対策が重要でございます。
 このため、「東京くらし防災」では、災害時の犯罪の危険を減らすため、単独での行動は避けることや、死角になる場所には一人では近づかないなどの対策を示してございます。
 また、都が実施している女性防災人材を育成するためのセミナーでは、こうした犯罪等に対する未然の防止策や、専門相談窓口などについて学ぶことになってございます。
 さらに、避難所管理運営の指針では、防犯班を設置しまして、受付での身分確認や避難所内外の巡回等を行うとともに、警察との連携を通じた警備強化等の取り組みが示されてございます。

○山内委員 人権を尊重し、多様なニーズに応えるために、女性の視点が必要です。災害時には、経済的に困窮する高齢女性やシングルマザーなど、都市部に多い社会的弱者が苛酷な目に遭い、置き去りにされる懸念があります。そうした災害リスクを減らすために、今後とも、女性の視点を防災に生かすよう求めておきます。
 避難先の確保についてお伺いしたいと思います。
 都は、新型コロナウイルス感染症拡大防止等の観点から、避難所避難だけではなく、ホテル等への避難、垂直避難等、防災避難を推進しています。
 昨年五月、避難所における新型コロナウイルス感染症対応に関する留意事項についてを、各区市町村の防災主管に出しました。より多くの避難先を確保できるように、都立高校等の活用として、体育館以外の教室や諸教室等の活用、ホテル、旅館等の確保、マンションの上層階等を挙げていました。
 さらに、六月二十六日には、災害時の避難所としてのホテル、旅館等の活用のための協定等についても公表いたしました。避難所としてのホテルの活用は、これまで生活者ネットワークが要望してきたことです。ところが、ホテル等への避難は、その基礎自治体内にはホテルがない、あっても少ないため確保できない、あるいは考えていないなど、災害時には全く使えていないのが現状です。
 都が行う区市町村への支援について、また、感染症が終息した場合にはどのような扱いになっていくのか、この都立施設の避難所としての活用についてお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 都は、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、避難所が過密になることで感染リスクが高まることがないよう、より多くの避難先確保に向けた取り組みを留意事項として区市町村に示しました。
 感染症が終息した後におきましても、災害の種別や状況に応じた安全な避難先確保に向けまして、区市町村と連携して取り組んでまいります。

○山内委員 都は、災害時の避難所として協定を締結したホテル等の所在地、連絡先を定期的に区市町村に提供しているとのことですが、一方的な情報提供では区市町村と各ホテル間の協定締結は進みません。
 広域連携は東京都の役割です。都が調整して、その調整のかなめとなって、実質的な区市町村の避難所等確保につなげるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○つじの委員 私からは、第四期東京都犯罪被害者等支援計画について質疑させていただきます。
 都は、東京都犯罪被害者等支援条例の制定を契機に、これまでに、第四期東京都犯罪被害者等支援計画の策定を待たずに、見舞金や法律相談費用等の被害者等の方々にとって大切な支援となる経済的支援を始めました。同時に、精神的支援の充実など、被害に遭われた方々等のさまざまな困り事の解決を支援する取り組みを前進させてきております。令和三年二月に公表された第四期東京都犯罪被害者等支援計画は、このような取り組みを盛り込み、さらに施策の充実強化を図ったものと存じます。
 そこでまず、今回、パブリックコメントや議会での議論も踏まえて、計画において施策の充実を図るため、新たにどのような内容が具体化したのかお伺いします。

○堀越人権部長 第四期支援計画においては、取り組みの進捗を把握するため、支援計画の最終年度である令和七年度末までに達成すべき五つの数値目標を新たに掲げました。
 具体的には、東京都総合相談窓口の認知度を令和元年度の九・七%から三〇%とすることや、産婦人科協力医療機関数を六十五カ所から百三十カ所にすることなどでございます。
 また、令和三年度の新たな取り組みとして、被害者等支援専門員による支援、多摩地域での相談の実施、被害者参加制度における弁護士費用の助成を計画に盛り込みました。

○つじの委員 我が会派が要望しておりました弁護士費用の支援については、令和三年度より開始することとなり、犯罪被害に遭われた方々の困っていらっしゃる状況に、より寄り添う内容であり、評価するところでございます。
 また、いただきましたご答弁の中に、東京都総合相談窓口の認知度と産婦人科の協力医療機関数についての数値目標を掲げたとあります。
 私の方で補足いたしますと、本計画による数値目標は、それらの認知度のほか、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの認知度、犯罪被害者等がさまざまな問題を抱えていることを知っているとした都民の割合、区市町村を対象とした研修参加数があります。
 この中で、令和二年第四回定例会での総務委員会で藤井副委員長が、一〇%前後の認知度であると指摘した、東京都総合相談窓口と東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの認知度について取り上げたいと存じます。
 本計画では、令和七年度末には認知度をそれぞれ三〇%に高めるとしていますが、東京都の犯罪被害者等の支援の取り組みの認知度を高め、犯罪被害に遭われた方等が速やかに相談できる体制を都民の皆様に知っていただくことは大変重要であり、今回、本計画において相談窓口の認知度の数値目標を掲げたことは高く評価いたします。都は、この目標の実現に向けて努力をしていただき、相談窓口が現実的に機能するよう努めることを望みます。
 そこで、都は、相談窓口の認知度を向上するために具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○堀越人権部長 都はこれまで、犯罪被害に遭った際の相談先の周知を図るため、リーフレットやカードを、区市町村等関係機関のほか、一般都民向けの各種啓発イベント等で配布するとともに、ホームページにより情報発信してきました。
 今年度は、これらに加え、若年層に、より一層働きかけるため、ツイッターを活用したSNS広告を実施したほか、電車内のデジタルサイネージなどにおいてPRを行い、広く都民に周知しました。
 今後とも、相談窓口のさらなる認知度向上に向け、動画の活用など、さまざまな媒体を通じた効果的な広報を積極的に展開してまいります。

○つじの委員 このたび、相談窓口の認知度を高めるための都の取り組みについてご答弁をいただきました。
 今後は、ご答弁の中にありました情報発信のみならず、その費用対効果を検証し、より効果の高い媒体を通して、より認知度を高めることを要望いたします。
 都の犯罪被害者等支援体制についてお伺いします。
 さきの予算特別委員会でも我が会派の質問に対して、都は、新たな取り組みとして、コーディネーターと呼ばれるものですけれども被害者等支援専門員や、従来、区部のみにありました総合相談窓口を、多摩地域でも立川市に設置するとの答弁がございました。
 私は小金井市在住なんですけれども、改めて、多摩地域である立川市に東京都総合相談窓口を設置した意義をお伺いいたします。
 また、都はこれまで、警視庁、区市町村、弁護士会等の関係機関と連携して、犯罪被害者等に寄り添う支援を行ってまいりました。
 新たな取り組みである被害者等支援専門員の役割に期待したいところですが、被害者等支援専門員はどのような方々、具体的にはどのような経歴や資格をお持ちの方々が担当されるのでしょうか。
 また、被害者等支援専門員について、都はどのような体制で関係機関と連携するのかお伺いいたします。

○堀越人権部長 初めに、立川市に総合相談窓口を設置した意義についてでございますが、多摩地域に居住する被害者等の利便性を向上させるため、現在区部のみである総合相談窓口を、本年四月一日に立川市内にも設置し、カウンセリングや裁判所への付き添いなどの各種支援を実施することといたしました。
 これにより、これまで遠いなどの理由で来所をあきらめていた被害者が相談を受けやすくなり、支援の拡大につながるものと考えております。
 また、犯罪被害者支援にかかわる関係機関職員向けの研修や事例検討会を実施するなど、多摩地域の市町村や警察署との顔の見える関係づくりを進め、各機関が連携した質の高い支援を目指してまいります。
 次に、被害者等支援専門員の資格要件等でございますが、新たに設置する被害者等支援専門員の資格要件は、被害者支援の経験が三年以上あり、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師の資格を有することなどとなっております。本年四月に二名を採用する予定でございます。
 この支援専門員が、区市町村、警察、弁護士会など支援を担う関係機関のつなぎ役となり、被害者の心身や生活の状況を総合的に把握した上で、ニーズに即した複数の施策を組み合わせ、途切れない支援を提供していきます。

○つじの委員 犯罪被害に遭われた方々等には、その後の相談なども、例えば公共の交通機関などを利用して遠距離を長い時間をかけて移動することは、このこと自体が負担であります。このたび多摩地域の立川市で新たに総合相談窓口が設置されるということは、都内の広範囲のより多くの被害者等の方々に寄り添う事業であり高く評価いたします。
 被害に遭われた方々等の支援に関しては、被害に遭うことでこうむる状況に応じたさまざまな社会的な支援の窓口と適切に対応できなければならず、被害者等支援専門員は専門的な経験と資格を持たれる方が担当することが適切であると考えます。
 都が、犯罪に遭われた方々等に、行政等の担当窓口、弁護士会等への連携など、その求めにお応えできる取り組みを行っていることが確認できました。
 次に、犯罪被害等に遭われた方々への精神的支援についてお伺いいたします。
 私は現役の精神科医ですが、厳密には医師による医療行為と心理士によるカウンセリングは異なるものと認識しております。
 都の総合相談窓口や性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターでも、精神科医、公認心理師による治療や、カウンセリング等の精神的ケアに取り組んでいるとお伺いしております。
 そこで、都の総合相談窓口やワンストップ支援センターでの被害等に遭われた方々に対する支援の一環としてのカウンセリング等は、具体的にどのような流れや体制で行われているのかお伺いいたします。

○堀越人権部長 精神的支援に当たっては、相談窓口において被害後の心理状況を把握し、それに応じて、精神科医の助言指導のもと公認心理師がカウンセリングを継続して実施するなどの対応を行っています。
 また、不眠等で投薬治療が必要な場合は、精神科の医療機関を紹介しています。

○つじの委員 都の総合相談窓口やワンストップ支援センターにおいて、犯罪被害者等の状況に応じた専門家によるカウンセリングを、複数回にわたり継続的に行っていることが確認できました。
 このことは、支援を必要とする方々の立場に立てば、相談担当者と信頼関係を築き安心して相談を継続できることとなり、極めて重要な取り組みであると指摘しておきます。
 また、次の質問にもかかわることですが、被害に遭われた方々の状況やお気持ちを最大限配慮し、都は、支援に係る適切な担当者、治療者の選択に努めなくてはならないと考えております。
 第四期東京都犯罪被害者等支援計画では、都の相談窓口やワンストップ支援センターから紹介等を行う精神科の協力確保に努めるというふうにしておりますが、具体的にはどのような取り組みであるのかお伺いいたします。

○堀越人権部長 被害者等への精神的支援においては、都の提供する専門的なケアだけでなく、身近な地域で安心して受けられる精神科による治療も重要でございます。
 そこで、都は、犯罪被害者等への支援に理解があり、都の窓口と連携協力しながら医療を提供できる精神科医療機関の登録制度を、新たに設けることといたしました。この医療機関の確保に向け、東京精神神経科診療所協会との連携により、精神科医等を対象とした研修を実施し、犯罪被害者等への支援の重要性や診療上の留意点、都の取り組みの内容等について説明し、理解や協力を求めてまいります。

○つじの委員 都が令和二年一月に実施した実態調査では、性犯罪、性暴力被害者等において、心身の状況の変化については不眠が八五・七%と最も高く、次いで七七・一%の方々が心的外傷後ストレス障害、いわゆるPTSDといわれる症状、七四・三%の方が疲労、五〇%以上の方々が鬱状態、頭痛、食欲不振、感情麻痺など、そういったものがあるというふうにしております。
 この中で、PTSDの理解と治療に関しては重要と考えますので、詳しくお伺いしていきます。
 PTSDの症状として、ふとしたきっかけなどでつらい体験を思い出し、不安定になる再体験症状、また、自分がいけなかったのではないかと極度の自責的な考えにとらわれ、いつまた再度被害に遭うかもしれないという考えにとらわれる否定的な認知などにさいなまれるなど指摘されております。このような症状を抱えた、被害に遭われた方々を適切に専門家の治療等につなげていく必要があると考えます。
 治療法については、厚生労働省のホームページによると、薬物療法のほか、心的外傷、いわゆるトラウマに焦点を当てた認知行動療法が有効とされ、その中でも持続エクスポージャー療法は、米国において、薬物を含めたあらゆる治療法の中で唯一、十分な効果があると認めているとしております。
 私は、PTSDの症状を訴える被害者等の方々には、このような専門的な治療を行う医療機関等への適切な紹介が必要であると考えますが、これら専門治療に関する都の取り組みについてお伺いいたします。

○堀越人権部長 総合相談窓口やワンストップ支援センターでは、PTSDの症状からの回復に向けて、委員ご指摘の持続エクスポージャー療法に基づく手法などを取り入れた専門的なケアを実施しています。
 また、より高度な治療が必要な場合には、PTSD治療が可能な専門外来を備える医療機関を紹介しています。

○つじの委員 さきの質問のご答弁に関して、都の取り組みの精神科への協力を求める手段として、東京精神神経科診療所協会等を通じて都内の精神科診療所へ働きがあるということが確認できました。
 また、より専門的なPTSDの治療に関しては、都の相談窓口においても実施されていることが確認できました。
 都内には、大学病院等でPTSDを治療する外来もございます。相談者の状況やお気持ちに沿うよう、専門的治療を行う医療機関ともしっかりと連携して被害に遭われた方々の精神的支援に取り組む必要があると考えます。
 第四期東京都犯罪被害者等支援計画のもと、令和三年度も、被害に遭われた方々等に寄り添ったきめ細やかな対応など、より一層の犯罪被害者等支援の取り組みとその充実と強化を図り、また計画を確実に前に進めていただきたいと強く要望し、私の質疑を終わります。

○細田委員 それでは、質問させていただきます。
 まず、アプリ版の東京マイ・タイムラインの作成についてです。
 都民が、台風の接近など、いざというときに適切に避難を行うためには、日ごろから風水害を我が事として捉えておくことが重要でして、河川の氾濫、高潮、土砂災害などを疑似体験できるVR動画など、風水害の脅威を実感すること、それをマイタイムラインの作成につなげていくことはとても重要であります。
 先日の本会議における都議会公明党の伊藤議員の質問に対して、東京マイ・タイムライン、また水害リスクマップ、VR動画などを活用した普及啓発の取り組み状況について答弁いただきましたが、風水害の減災に向けて、今後もこれらのツールを活用して、積極的に普及啓発を進めてもらいたいと思います。
 とりわけ、東京マイ・タイムラインは、それぞれの具体的な避難行動の検討を促すものであることから、都が作成したさまざまなツールの中でも大変に重要なものでありまして、より多くの都民がこれを利用して、地域や自身の状況に合った防災行動を整理していただきたいと考えています。
 現在、東京マイ・タイムラインは、主に印刷物として都内の学校や区市町村などに配布されていますが、より広めていくためには、デジタルでの展開も効果的であります。
 来年度の予算案に計上されていますアプリ版マイタイムラインは、まさにデジタルの技術を活用したものとなりますが、いかなる点を工夫しながら作成をしていくのか、都の見解を求めます。

○古賀防災計画担当部長 アプリ版東京マイ・タイムラインは、アプリならではの特性を生かして、操作性や機能性などにも配慮しながら、スマートフォン上で簡便に作成でき、いざというときに役立てることができる仕様といたします。
 具体的には、現在公開しております東京都防災アプリとの相乗効果が得られるよう、例えば防災アプリから気象情報が通知されると、あらかじめマイタイムラインで作成した避難行動が確認できる機能などを盛り込んでまいります。
 今後、マイタイムラインの作成支援セミナーの実施などに加えまして、アプリ版も作成することで、都民によるマイタイムラインの作成がより一層広まるよう、普及啓発の取り組みを進めてまいります。

○細田委員 マイタイムラインの拡大を期待しております。
 東京都防災アプリでは、リアルタイムに避難所の開設等の把握が可能になる機能も強化をすると伺っていますが、広域避難先としての都立施設の活用について質問をいたします。
 荒川の氾濫など大規模な水害が発生した場合、江東五区では甚大な浸水が想定されており、自治体を越えた広域避難が想定されます。大規模水害が発生した場合の広域避難者数は、江東五区で二百五十万人といわれ分散避難の検討が必要です。
 しかし、拠点避難所の収容人数には限界があります。この広域避難について、都は、検討の方向性を先月見直し、広域避難だけでなく、早期の自主避難や建物上層階への垂直避難など、現実的な複数の避難行動を組み合わせた分散避難を、今後の検討の方向にすることを確認したとのことでありました。
 また、広域避難先についても災害リスクが想定されておらず、荒川流域から比較的近距離に位置している公共施設及び民間施設のうち、収容人数がある程度見込める施設などを想定するとしています。
 江東五区の中では、浸水想定区域となっていないエリアは限られていますが、この区域外である臨海部エリア、この臨海部エリアには東京ビッグサイトなど大規模な施設が多く集積しており、その多くは震災時の帰宅困難者を受け入れる都立一時滞在施設として活用が見込まれております。
 このような大規模施設を、水害時においても広域避難先として活用できるよう検討すべきと考えますが、都の答弁を求めます。

○古賀防災計画担当部長 大規模水害時における広域避難先といたしましては、スポーツやイベントが行われる屋内施設や、体育館、ホール等を有する学校などの規模の大きな施設を想定しておりまして、臨海部の都立施設などについても対象に含めて、施設の利用状況等や施設管理者の意向なども踏まえて検討してまいります。
 今後とも、地元自治体などと緊密に連携いたしまして、広域避難先の確保に取り組んでまいります。

○細田委員 今答弁では具体名はございませんでしたが、帰宅困難者の一時滞在施設となっている東京ビッグサイト、それからテレコムセンターなどの大規模施設を指す、それを指すご答弁でありました。このことを確認しておきます。ぜひともお願いいたします。
 加えまして、実は今、地元自治体などと緊密に連携する、そのようなご答弁もいただきましたが、三月三日、江東区議会におきましては、区議会公明党の小嶋議員が、災害時の避難所の対応として、区内にある東京ビッグサイトなどやオリ・パラ会場を活用してはいかがでしょうかと、検討状況と課題を伺うということを江東区に求めました。
 江東区は、東京ビッグサイトやオリ・パラ会場は浸水想定区域外にあり、水害時には有用な施設として考えている、東京ビッグサイトは帰宅困難者一時滞留施設となっている、オリ・パラ会場は大会組織委員会との調整が必要となっている、引き続き、都と協議を進めていく。引き続きという、こういう表現もありますから、どうぞ地元自治体などと緊密に連携、この東京都の活動に大いに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、帰宅困難者対策について伺います。
 十年前の東日本大震災では、初めて帰宅困難者の問題が大きくクローズアップされました。行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設では、帰宅困難者をスムーズに受け入れられるよう企業の従業員の方などが施設管理者として運営するために、避難されてきた帰宅困難者と施設の管理者側の従業員が、対面して対応する場面もあると聞いています。こうした施設の管理者側となる方々が感染しないような対策も重要です。
 昨年十一月の総務委員会において、都議会公明党の小磯副委員長の施設側の感染対策に関する認識を問う質問に対して、都は、今後、運営者側への配慮の観点も含め、一時滞在施設におけるより一層の感染防止対策の推進に努めると答弁されました。
 そこで、改めてお聞きしたいと思います。
 発災時に一時滞在施設を運営するスタッフの皆さんの感染防止対策に取り組むべきですが、その後の進捗状況について、都の答弁を求めます。

○榎園防災対策担当部長 都はこれまで、一時滞在施設に対して、滞在者の感染防止に必要なマスクやアルコール消毒液等の備蓄品の配備等を実施してまいりました。
 発災時に、一時滞在施設で適切に帰宅困難者を受け入れるためには、訪れた帰宅困難者の感染防止対策とともに、受け入れ側の職員の感染対策にも万全を期すことが重要でございます。
 そのため、来年度は、新たにフェースシールドや非接触型体温計等の施設の運営者側の感染防止対策に必要な備蓄品について、都立の一時滞在施設への配備を行うとともに、民間一時滞在施設がこれらの備蓄品を購入した場合の費用補助を開始いたします。
 こうした取り組みにより、一時滞在施設のより一層の感染防止対策を推進してまいります。

○細田委員 新たにフェースシールドや非接触型体温計など、管理者側の感染防止対策に必要な備品の配備や補助に取り組んでいかれるとのことでした。新型コロナウイルス感染症の終息が見えない状況が続いております。こうした都の取り組みを通じて、一時滞在施設の感染防止対策をより一層強化していただきたいと思います。
 一時滞在施設は、現在、千百三十二施設、約四十三万人分が確保されています。対象となる行き場のない帰宅困難者の想定が九十二万人ですから、まだ道半ばといった状態ではあります。引き続き、民間一時滞在施設との協定締結をする区市町村の取り組みとも連携を図り、確保を進めていただくようお願いいたします。
 一方、帰宅困難者対策は、広域的視点に立った対策を進めていく必要があることから、やはり都のリーダーシップが重要です。都は、密集に伴う群衆雪崩などの二次災害防止や、一時滞在施設の収容状況などのリアルタイムの把握を行うため、来年度から帰宅困難者対策オペレーションシステムの構築に着手するとしております。こうしたデジタルトランスフォーメーションの取り組みは、今後も、都が積極的に帰宅困難者対策を推進していくための実効性のある取り組みとして、私も大変に期待をしているところです。
 さて、この新システムですが、来年度予算に新たに二億円を計上しております。来年度は構築に着手ということで、まだ完成までには少し時間がかかると推察しております。
 そこで、帰宅困難者対策オペレーションシステムの構築に際して、来年度、いかなる取り組みを行う予定なのか、また、完成までのスケジュールはどうなっているのか、質問いたします。

○榎園防災対策担当部長 帰宅困難者対策のDXを円滑に進めていくためには、まずは現状の分析をしっかり行った上で課題を把握し、検討を進めていくことが重要です。
 そのため、都は、来年度の業務委託の中で、区市町村、駅前滞留者対策協議会、鉄道事業者などの関係者に対するヒアリングやアンケート調査により、現状の課題を把握することとしています。
 さらに、調査結果をもとに、委託事業者からシステム構築に向けた複数の提案を受け、実証実験を実施した上で選定作業を進め、デジタル技術の活用やスケジュール等に関する基本構想をまとめてまいります。
 このようにして、新システムの円滑な構築を進め、帰宅困難者の安全確保に取り組んでまいります。

○細田委員 来年度は、民間事業者から開発スケジュールも含めた複数の提案を受け、実証実験などを行っていかれるとのことです。帰宅困難者の安全確保に資するシステムの完成に向けて、引き続き取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、罹災証明のデジタル化について質問します。
 昨年七月、熊本県などでは、豪雨により土砂災害や浸水被害が多数発生し、自治体の職員は、建築士などの専門家の応援も得ながら、被災した家屋の調査に当たっていたと理解しています。
 都で進めようとしています防災デジタルトランスフォーメーションの一つに、罹災証明のデジタル化があります。被害の調査にドローンを飛ばすことで被害状況を早く把握することが可能であり、タブレット端末を使用しながら調査を行うということで調査が円滑に進み、結果的に罹災証明書の交付の迅速化が図れるという意味で効果が期待できます。
 実際に行うのは区市町村です。今後、開発に当たっては区市町村の意見を聞きながら開発を進めていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 都は、防災DXの中で、住家被害認定調査へのデジタル技術導入を検討することとしています。
 そのため、来年度都は、国や区市町村の防災担当者、AI等デジタル技術の専門家等で構成する研究会を設置しまして、デジタル端末の操作性等を含めましたシステムの開発を行うこととしてございます。
 今後、システム開発に当たりましては実証実験を行う予定ですが、実験に際して罹災証明の事務を行う区市町村の参加も得て、実際の被害認定調査の現場において使いやすいシステムとなるよう取り組んでまいります。

○細田委員 住家被害認定調査の際、最前線の区市町村の職員は速やかに現場に駆けつけます。ある自治体では、速やかにざっくりとした調査、被災状況の調査を行って、またその後のさらなる調査につなげていく、罹災証明の準備を進めていくという、こんな取り組みをしています。罹災証明のデジタル化に向けた取り組みに大いに期待しております。
 続きまして、犯罪被害者支援についてお尋ねします。
 都議会公明党は、犯罪被害者等支援条例の制定に当たりまして条例が先進的なものとなるよう、被害者やご家族からの意見に基づき、寄り添った支援を行うべきであるという考えのもと、他県への調査にも行ってまいりました。
 犯罪被害者等の実態を踏まえた支援策についても提案を行って、特に犯罪被害に伴う治療や療養、失職、主体たる生計者の喪失などで深刻な経済的困窮に陥っていることも指摘した上で、被害者等が日常生活や社会生活を早く回復できるよう、見舞金制度をつくるべきであると訴えてまいりました。この提案を受けて、令和二年度より見舞金制度を開始したことを評価しています。
 そこで、今年度から開始した見舞金の実績と効果について質問いたします。

○堀越人権部長 昨年十月に見舞金制度を開始して以来、二月末時点で十四件の申し出がございました。内訳は、遺族見舞金が一件、重傷病見舞金が十三件となっております。
 見舞金の給付に当たっては、東京都総合相談窓口の相談員が犯罪被害者等との面接を実施しており、見舞金に関する手続だけでなく、心身の問題や日常生活における不安などの相談にも応じています。
 こうして把握した被害者等の状況に応じて、精神科医等によるカウンセリングや転居費用の助成などを行うほか、居住する区市町村での生活支援につなげるなど、見舞金制度をきっかけとし、経済面にとどまらず幅広い支援を提供しております。

○細田委員 被害に遭われた方は、日常生活においてさまざまな困り事をお持ちかと思いますので、見舞金を契機に、さらなる支援につなげていただきたいと思います。
 その際ですが、支援を求めるために、被害に遭われたときの状況など、繰り返し同じ話をするのはとても酷なことだと思います。
 都議会公明党が視察した大分県では、被害者の方や遺族の方が何度も同じ話をしなくても済むように、被害の状況や支援の対話等を整理記録する支援ノート、絆を作成し、被害者に寄り添った支援を実施していました。
 さきの令和二年第四回定例会での総務委員会でも、都議会公明党が関係機関との連携について質問しましたが、その際、都からは、関係機関相互の連携強化を図っていくとともに、被害者が同じ説明を繰り返す心理的負担を軽減するための方法を検討するという答弁があり、大分県の絆ノートのような取り組みを実施していくよう要望しておりました。
 そこで、答弁にありました支援に必要な情報等を記録し引き継ぐ方法、これについて検討状況はいかがでしょうか。答弁を求めます。

○堀越人権部長 犯罪被害者等支援に当たっては、被害者等がその都度説明を繰り返す心理的な負担なく、関係機関が円滑に情報共有し、状況に応じた適切な支援を提供していく必要がございます。
 そこで、都は、被害状況等の情報や支援の経過を一元的に記録できる被害者等支援ノートを新たに作成し、警察や区市町村等関係機関と連携して、被害者等に交付する取り組みを開始いたします。
 ノートの活用に当たっては、被害者等の意見を十分に聞くことが重要であるため、被害者、民間団体の支援員、警察等で構成するプロジェクトチームを立ち上げ、その内容や運用方法について検討してまいります。

○細田委員 ノートの作成に当たって、被害当事者、関係機関などを巻き込んだ検討が行われているとのことですが、ぜひ、ただノートをつくるだけでなく、被害者に寄り添った支援につながるためのノートとして活用がなされますよう、具体的な検討が進んでいくことを期待いたします。
 犯罪被害者等支援計画も改定され、今回、質疑でも取り上げました見舞金や被害者等支援ノートを初めとするさまざまな支援策が盛り込まれました。今後は、これらの取り組みをしっかりと行い、被害者の声を聞きながら、真に求める支援を着実に進めていくことを要望いたします。
 続きまして、若手研究者の育成についてです。
 都立大学は、東京都が設立した公立大学として、基礎研究から大都市の課題解決に向けた応用研究まで幅広い分野の研究を行っています。研究の国際性を示す指標については、国内の主要な大学を大きく上回るなど、研究力の高さには定評があります。私も昨年度、実際に都立大学の研究室を視察させていただき、研究のレベルの高さを目の当たりにいたしました。
 一方で、日本全体で見ると、海外と比べて相対的な研究力の地盤低下が叫ばれて久しいところです。今後の挽回の鍵を握るのは、若手研究者であり、育成が欠かせません。
 研究者が若いうちから研究に打ち込める環境を整えていくことが重要だと考えますが、都の見解を求めます。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大学の研究力を維持し、向上させていくためには、若手の研究者を重点的に支援していくことが重要でございます。
 このため、都立大学におきましては、四十四歳以下の教授、准教授等を対象に、国際的にもすぐれた研究を複数年にわたり支援する仕組みを導入しており、来年度、四件の研究を採択してまいります。
 また、海外の研究者とともに研究することを通じまして、人脈づくりのみならず、みずからの研究力を高めることも目的といたしました海外派遣制度を拡充いたしまして、来年度から支援を開始いたします。
 こうした取り組みを通じて、将来、世界で活躍できる研究者の育成と輩出に努めてまいります。

○細田委員 それでは、東京都生活応援事業について伺います。
 都議会公明党が予算要望や代表質問などで提案し、生活応援商品券が予算案に盛り込まれました。
 デジタルをいまだ活用できない方もおりますので、紙の商品券の発行にも柔軟に対応すべきであることを都議会公明党は強く主張し、求めてまいりました。これに対して小池知事は、応じていくと答えられました。
 現在の事業スキームはどうなったのか、都の答弁を求めます。

○小笠原行政部長 東京都生活応援事業では、キャッシュレス決済によるポイント還元などの取り組みを行う区市町村に対して補助を実施いたします。
 原則として、デジタル技術を活用した取り組みに対して支援を行うものでございまして、デジタルのみで実施する場合は、還元率、プレミアム率の上限は三〇%で、都補助率は四分の三としております。
 地域の実情等によりデジタルのみでの実施が困難である場合には、区市町村と事前協議を行い、デジタルと紙の併用についても、デジタル実施分の占める割合が二分の一を超えることを条件として認めていくこととしております。
 併用の場合、デジタル実施分の還元率、プレミアム率の上限は三〇%で、都補助率は三分の二、紙実施分のプレミアム率の上限は二五%で、都補助率は二分の一としております。

○細田委員 今のご答弁で確認したいんですが、地域の実情によりデジタルでの実施が困難である場合にはという、こういう言葉がありました。この地域ってどこを指すんでしょうかね。
 私は、地域は六十二区市町村全てを指すというふうに理解していますが、しかし、ある自治体が最近相談すると、地域とは島しょ部を限定したことだというような都からの説明を受けたというふうに聞いておりますが、私の六十二区市町村全てという理解でよろしいのか、答弁を求めます。

○小笠原行政部長 地域の実情についてでございますけれども、地域の実情につきましては、都内の各地域の実情ということでございますので、特に限定はしておりませんので、そういう意味では、六十二区市町村のそれぞれの地域の実情を伺ってまいりたいと、そういう趣旨でございます。

○細田委員 六十二区市町村それぞれにしっかりと対応されていく、このようなご答弁でありました。
 それでは、次に、この事業なんですけれども、実は昨日、総務委員会で、政策企画局の委員会でありましたけれども、都は今回、未来の東京で、デジタル化での世界からのおくれを乗り越えて、国際競争力に打ち勝つ方針、これを高らかに表明しています。
 そして、私、ちょっとここは指摘させていただいた中で、都からは、デジタルデバイドで取り残される人を生まない社会をつくる、このように明言していただきました。都がデジタル化の爆速に際して、デジタルデバイドで取り残される人々を生まない取り組みを進めていく、このことを確認させていただいたんですけれども、この東京都生活応援事業は誰を対象に支援する事業なんでしょうか。また、あわせて、目的と効果についてもお伺いいたします。

○小笠原行政部長 本事業は、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレス決済によるポイント還元などの取り組みを行う区市町村を支援することを目的として実施する事業でございます。
 コロナ禍において、新しい日常を定着させていく上で、非接触型の衛生的な決済手段であるキャッシュレスの普及は、最優先で取り組むべき課題であり、本事業を通じて、都民のキャッシュレス利用の促進と家計の支援を図ってまいります。
 また、キャッシュレス決済によるポイント還元やプレミアムを付与したデジタル商品券等の取り組みにより、地域の小売店や飲食店等における消費を喚起し、地域経済の活性化を図ってまいります。

○細田委員 今のご答弁で、区市町村を支援することが目的だと。また、都民のキャッシュレス利用の促進と家計の支援を図るということで、まさに生活に困窮をされている方、また、高齢でキャッシュレスが難しい方、こういう方々には支援は紙でないと行き届かないわけで、ぜひ、その支援も漏れる方が出る可能性があるということを認識しておいていただいて、また、今、デジタル商品券等のといいましたけど、この等というのは紙のことですよね、多分ね。デジタル二分の一以上と、紙が二分の一未満ということでありましたから、この等というのは紙のことだと思うんですけど、両方答弁してほしいと思います、両方やるってことになったんだから。
 また、地域の小売店、飲食店、これはデジタルだけで、デジタルを求められているところもありますけれども、デジタルが使えないというところがまだあるわけなので、消費の喚起、これは使えないところには喚起がされないわけで、全体的に地域経済の活性化にはつながる、この取り組みは評価はいたしますけれども、デジタルデバイドを生まないという、このことに関しては、制度設計を行って進めている都がしっかりやっていかなくちゃいけないんだということを改めて申し上げたいと思います。
 続きまして、現在、区市町村が紙で実施しているプレミアム商品券事業については、どのような目的で実施されるのでしょうか。都の認識を伺います。

○小笠原行政部長 昨年実施した調査では、都内三十四の区市町村がプレミアムつき商品券事業を実施しております。
 これらの取り組みは、基本的には、商店街振興など地域経済の活性化や家計の支援を目的とした取り組みと認識をしております。

○細田委員 商店街振興、また地域経済の活性化。この商店街振興というのは、この言葉の中には、さっき伺いました生活応援事業についての中には、商店街振興という言葉自体は、テーマとしては入られていないので、入らない、また反対しているところが多いので、恩恵が受けられないところがあることが課題だと思っています。そのために、紙もしっかりと支援をしていただきたい、このように思います。
 さて、続きまして、事業実施に当たった課題については、東京都はどのように認識されているんでしょうか。見解を求めます。

○小笠原行政部長 今年度、都内十七の区市が、デジタル技術を活用して地域経済の活性化を図る事業を実施しておりますが、多くの区市町村では今回初めて実施をすることになります。
 都としては、より多くの区市町村にデジタル技術を活用した事業に取り組んでいただけるよう、後押ししていくことが課題であると認識をしております。
 そのため、事業の実施に当たっては、区市町村のニーズに応じたきめ細かな助言等を行ってまいります。

○細田委員 私ども、今回の予特の代表で、局長に、まつば議員が質問させていただいたときに、きめ細かい支援を行い、区市町村の取り組みを後押ししていくと、こういう答弁がございました。ぜひ手を差し伸べていっていただきたいと思います。
 今のご答弁にも、デジタルを活用した事業、これは大事なんですけれども、これに、取り組んでいただけるよう、にでしたけれども、これ、にもということをいっていただきたいなと思うんです。紙の事業にもデジタルの事業にも、大事なことは東京都の生活の応援なんだから、都民も大事、都内の店舗も大事、そして地域の経済も大事。デジタル応援事業じゃないんだから、生活応援事業なんだから、そのようにご答弁いただきたいなと、今伺っていて思いました。
 続きまして、この東京都生活応援事業について、現在、どのくらいの区市町村が活用することを検討しているのか、質問します。

○小笠原行政部長 今月、意向調査を実施したところ、六十二のうちの約七割に当たる四十五の区市町村から、本事業の活用に向けて検討中との回答をいただいております。
 引き続き、問い合わせなどに対してきめ細かに対応していくことで、より多くの区市町村にご活用いただけるよう取り組んでまいります。

○細田委員 四十五、七割ってね、大変に皆さん期待が大きいと思います。
 ちょっと伺いますと、デジタルだけ、また紙との併用、そして決めていないって、それぞれの区市町村によって違いがあるようですけど、総じていうと、今理解しているのは、どうしようか考えている自治体が多いようです。この事業の百二十五億円の執行率が高いことを私は望みます。コロナ禍で四十五が検討中であるにもかかわらず、これが使われなかった、執行率が低かったということで、がっかりしないようにしていきたいなと願っています。
 先ほども申し上げましたけど、紙を反対する商店街もあります。こういう方々もいらっしゃるそうです。自治体の担当者が商店街の方々と話すと、どうしてもその日の売り上げを現金で確認したいというふうになれてきていますと、そういうことをしたいんですって。それが喜びですという方もいらっしゃいます。こういう方々を説得するのはとっても難しいというふうに聞いています。
 さっきの答弁でも、区市町村を支援することを目的にするということを明言していらっしゃいますから、きめ細やかに支援の手を差し伸べていただけるんだと思うんですが、ある自治体では、紙の補助率がまだ決まっていないという、最近の話で、そういうふうな説明がありましたという、そういう自治体もありました。また、百二十五億円は、自治体の配分が決まっていないと説明を受けたというところもありました。
 仄聞しますと、この百二十五億円は、都内の七百三十万世帯で、その七五%が使ったときの金額を想定して予算を組んでいると。そして、プレミアム率三〇%、これマックスで、その四分の三がデジタル利用、掛ける自治体の世帯数の七五%、こういうことだというふうに理解しますけれども、だとすると、例えば二十万世帯の自治体が七五%掛けて、そして三千円の四分の三、これデジタルやる場合ね、二千二百五十円を掛けると、二十万世帯で三・四億円ほどの上限でできますよねという説明はしてあげるべきなんじゃないかと思うんですよ、区市町村に対して。
 今、やるっていわれたので、これからやっていただけるんだと理解しますので、ぜひその点、明確にわかるように、区市町村も、補正予算をやりたいといっているところが、どうしたらいいんだって悩んでいるところがあるんですよ。そういうところに早く声を届けていただけるよう、このことを強く求めておきます。
 それから、次ですね。デジタル方式で実施した場合、例えば大型店ね、大型店舗など、自治体が政策的に差し控える対象店舗を選択することはできるんでしょうか。また、利用者による住所地以外の実施自治体での重複利用に際限がないこと、こういうことがあります。また、地域の中小零細事業者、例えば生鮮三品などで恩恵が行き渡らない、こういうふうなことを危惧したりいたします。
 これ、住所地のみならず、先ほどもちょっとご質問ありましたけれども、実施自治体以外の幾つもやっているよというところがあったら回ることができて、回って、先に登録しなくていいですから、そうすると、仮に一万円の場合、一万円を使ったときに、後から三千円バックする。それをいろんな自治体に行って、それがわかって使うことができる都民は、使いやすいかもしれないけれども、それができない人、また、さっきいいましたように、大きな意味では地域の経済に落ちるかもしれませんけれども、参加しない中小の商店街、そういうところには、地域経済は興るけれども、商店街支援という、今まで区市町村がやってきた地域振興券の紙の媒体での援助は行き渡らないという、こういう仕組みになるわけで、こういうことを聞きますけれども、都はどのような見解を持っているのか、この点についてお尋ねします。

○小笠原行政部長 区市町村は、キャッシュレス決済によるポイント還元の取り組みを実施するに当たりまして、地域の実情に応じて、利用可能店舗を限定して実施することができるかどうかという点を、事業者の選定における判断材料としているところが多いと聞いております。今年度に取り組みを実施した区市でも、大半が利用店舗を限定しておりました。
 また、住所地以外の区市町村での利用についてでございますが、デジタル商品券を発行する事業形態では、事前申し込みの段階で住民かどうかを確認した上で発行し、利用を地域内に限定している事例がございました。
 キャッシュレス決済によるポイント還元の事業形態におきましては、地域内でのポイント利用を呼びかけるなどの工夫を行っているところがありました。
 地域の中小小売店の参加についてでございますが、決済事業者による説明会の開催などを通じて、中小小売店の参加を促し、キャッシュレス決済の導入につなげることができたとの声も聞いているところでございます。
 デジタル技術を活用した事業においては、その技術的特性は事業者ごとにさまざまでありますことから、引き続き、事業者ごとの状況や先行事例のさまざまな工夫の把握に努め、区市町村への助言等を行ってまいります。

○細田委員 さまざまな事例がありましたということで、こういう事例、求められたときに、ぜひできるようにしてあげてください。
 どういう見解ですかというときに、こういうことがありましたよということを、部長ご説明いただきましたけれども、都が制度をつくったんだから、例を挙げるんじゃなくて、今、助言とおっしゃいましたけれども、これを取り入れたらどうですか、一緒にやりましょうよと手を差し伸べて、働きかけていくべきだと思います。
 当然、そうやっていただけるんだと思うけれども、そうじゃないと、先ほど申し上げましたように、東京都生活応援じゃなくて東京都デジタル応援になっちゃうから、そうじゃなくて、行き渡るんですよというね、ぜひ、そういう取り組みを実施していただくことを強く求めておきます。
 続きまして、さきの予算委員会の我が党の代表質問において、局長から、デジタルと紙を併用する場合、デジタル実施分の実施率が二分の一以下にならないよう、区市町村を支援していくとの答弁をいただきました。
 具体的にはどのような支援を行っていくのでしょうか。見解を求めます。

○小笠原行政部長 本事業の実施に当たっては、財政的な支援だけではなく、各区市町村の取り組みに応じたサポートを行っていくことが重要でございます。
 そのため、今月、区市町村ごとの状況を把握することを目的として、事業の実施主体となる区市町村への意向調査を実施したところでございます。三月中には事前相談も開始をする予定でございます。
 また、デジタルと紙とを併用することを希望する区市町村に対しては、事業計画の内容について十分に意見交換を行ってまいりますとともに、実施段階においても随時状況などを共有し、計画どおり進捗するよう助言を行ってまいります。

○細田委員 最後に、都より自治体に情報提供等の支援は行いましたけれども、取り組んだ自治体が二分の一に届かなかったために、東京都からの助成が受けられませんでしたという事態が生じないように、また、二分の一未満の規定があったために、どうしようかと悩んでいる自治体はたくさんいらっしゃると思いますし、私が直接伺ったところでも、そういうようなところが幾つもありましたし、それから、紙は自分たちの単費でやってデジタルだけ応募するといわれていた自治体もあります。
 自治体が、怖くて紙に手が出せなかったということにならないように、都が責任を持って、自分のこととして対応していくべきと考えますが、局長の見解を求めます。

○山手総務局長 東京都生活応援事業は、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向けた取り組みを行う区市町村を支援するものでございます。
 多くの都民や事業者にキャッシュレス決済を実際に利用していただき、デジタルの利便性を実感してもらうためには、より多くの区市町村に本事業を活用していただく必要がございます。
 そのため、区市町村に対する意向調査や問い合わせの対応、導入事例の紹介などにより、本事業のさらなる普及、浸透に努めてまいります。
 さらに、事業の実施に当たっては、都として区市町村の取り組みを丁寧に支援していく考えでございまして、事前相談、事業実施の各段階に応じまして、区市町村の個別の事情をお聞きしながら、きめ細かく助言等を行ってまいります。

○細田委員 局長、わかりました。よろしくお願いします。
 丁寧に支援をしていくお考えだという大切なお言葉をいただきまして、ぜひ、区市町村担当者、またお声を、丁寧に支援していただくこと、これを信用し、期待いたしまして、また、きめ細かい助言が功を奏して、この事業がちゃんと都民に、生活者に、商店に、また地域経済に貢献できることを願いまして、質問を終わります。

○米倉委員 それでは、質問させていただきます。
 まず、第四期東京都犯罪被害者等支援計画の案についてです。
 前回、素案の段階の計画が報告された際に、この計画の二章に都内の犯罪の状況が書いてありますが、性犯罪についてもここに状況が記載されています。そこについて、痴漢被害については記載が素案の段階でありませんでして、やはりこれは東京の性犯罪として大問題だということで、痴漢の被害も実態を示していただきたいと要望しました。
 今回、最終の案に、都内の痴漢被害の中で、迷惑防止条例で検挙件数が上がっている分について、ここ数年、おおむね千八百件前後だということが盛り込まれました。これは大事なことだと思います。
 今回、素案のときには盛り込まれなかった次の計画期間の五年間で達成する目標が示されました。相談窓口の認知度を引き上げるという目標については、東京都総合相談窓口の現在の認知度九・七%を三〇%に引き上げる、ワンストップ支援センターの認知度は一一%から三〇%に引き上げるというものです。これも大事だと思います。
 この目標の実現にどう取り組んでいくんですか。

○堀越人権部長 これまで、相談窓口を記載したリーフレットやカードを、一般都民向けの各種啓発イベント等で配布するとともに、ホームページにより窓口を周知してきました。
 今年度は、ツイッターを活用したSNS広告や電車内のデジタルサイネージなどにより、広く都民に周知したところであり、引き続き、さまざまな媒体を活用した効果的な広報を展開してまいります。

○米倉委員 性犯罪被害者の場合は、医療機関との連携が重要になります。小児科、泌尿器科との連携は今どうなっているのか伺いたいと思います。
 パブリックコメントでも、この二つのこと、小児科、泌尿器科ですね、連携をと意見がありますが、どう連携を強めていくのかも教えてください。

○堀越人権部長 都では、協力医療機関に対し、小児科や泌尿器科での対応も可能か調査しており、子供や男性といった被害者の状況に応じて対応可能な医療機関を紹介しています。

○米倉委員 わかりました。
 精神科との連携についても、PTSDなどに理解のある精神科の医療機関確保が必要だと、これも意見も出ていますが、現在の状況はどうなっていますか。

○堀越人権部長 総合相談窓口やワンストップ支援センターでは、被害者等の状況に応じて、PTSD治療が可能な精神科の医療機関を紹介しています。

○米倉委員 では、今後の取り組み、医療機関の確保についてはどう考えていますか。

○堀越人権部長 犯罪被害者等への支援に理解があり、都の窓口と連携協力しながら医療を提供できる精神科の医療機関にも登録制度を設け、東京精神神経科診療所協会と連携して実施する研修等で協力を呼びかけるなど、協力医療機関の確保に努めてまいります。

○米倉委員 精神科についても、産婦人科のように協力医療機関の登録制度を始めて、協力を呼びかけていくということです。とても大切な取り組みだと思います。
 産婦人科の協力医療機関については、現在の六十五カ所から百三十カ所にふやすという目標を計画案では掲げています。これも大事なことです。
 産婦人科協力医療機関をふやすためにどのように取り組んでいくのか伺います。

○堀越人権部長 都はこれまで、主に病院協会に所属する産婦人科に対し、協力医療機関への参加を依頼してきましたが、今後は、呼びかける範囲を拡大してまいります。

○米倉委員 これまでは比較的大きい病院を対象に協力を呼びかけてきたということですが、今後は、クリニックも含めて協力する産婦人科を募っていくと聞いています。協力医療機関となる産婦人科をふやすということは、本当に大事なことだと思います。
 同時に、複数の産婦人科と今まで以上の連携をしていくことも大事だと思います。そこについてはどう考えていますか。
 また、証拠採取も対応できる医療機関をふやす必要がありますが、どう取り組んでいきますか。

○堀越人権部長 産婦人科医会と連携した研修を実施することにより、引き続き、性犯罪等被害者支援の重要性や都の取り組み内容について、理解のある産婦人科の増加に努めてまいります。
 なお、この研修では、証拠採取の方法についても説明しております。

○米倉委員 わかりました。
 性犯罪の問題は、まず初めには加害そのものをなくすという取り組みが求められてはいますが、被害に遭ったときに必要な医療やケアが受けられるということは、本当に喫緊の課題だと思っています。今回の計画の中でそこが拡充されるということは、非常に大事だと思っていますので、取り組みの強化を改めて求めたいと思います。
 次に、都立大学についてです。
 この一年、学生は、経済的な困窮や、対面授業がなく孤立したりするなどの中で、精神的にも追い詰められ、深刻な状況が広がっています。日本共産党もこの一年、特に何度も学生の話を聞いてきました。その都度、東京都へ支援も求めてきました。
 いよいよあと二週間と少しで四月になります。これまで都立大学でも対面授業をふやす努力をしていますが、来年度の都立大学の授業方針について伺います。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学では、感染防止対策を徹底した上で、動画教材等による自宅学習も組み入れるなど、新しい形の対面授業を可能な限り多くの科目で実施することとしております。

○米倉委員 可能な限り多くの科目で新しい形の対面授業、同じ授業でも、全期の間、ずっとオンラインということではなく、授業の内容によって対面授業を組み合わせる形をとるということです。都立大の学生からも、来年度は対面授業がふえるらしいということで期待の声を聞いています。これは大事だと思います。
 あわせて、通信環境の強化をしなければ、大幅に対面授業をふやすことはできないと聞いています。対面授業をふやすほど、キャンパスで、その前後でオンラインの授業を受ける学生が出てくるからです。この取り組みなんですが、都としても、この通信環境の強化は早期に進められるように、支援を強めていただきたいと要望しておきます。
 この一年、コロナによる困窮のもと、学生自身が学生の窮状を調査し、例えば五人に一人が退学を検討しているなど、こうした実態を明らかにして、学生への公的支援を求めてきました。こうした取り組みが社会的な議論を起こし、国は、不十分ですけれども、学生への給付支援に踏み出しました。とても、こうした取り組みは大事なことだと思います。こうした学生の声を、私たちは真剣に受けとめなければならないと思っています。
 同時に、国や自治体としても、学生の置かれる状況を把握し、支援を検討していくことが本当に求められていると思います。都立大学はその点で、二年に一度、都立大学に在籍する全ての学部生、院生を対象として学生生活実態調査を行っています。貴重な取り組みだと思っています。
 都立大学の学生実態調査報告書、これはどういう目的で行われているものなんでしょうか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学の学生生活実態調査は、学生の生活実態を継続的に把握することで、より充実した学生支援を検討し、改善に役立てることを目的といたしまして、二年ごとに実施しているものでございます。

○米倉委員 より充実した学生支援を検討すると。支援の改善に役立てることを目的としているということです。
 実態調査は来年度実施予定だと思います。コロナ禍の影響ですとか生理の貧困も、今課題になっています。こうした学生を取り巻く課題も明らかになるような調査となる必要があると思いますが、どうですか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 実態調査につきましては、これまでも適宜、調査項目の見直しを行いまして、学生の生活実態の把握に努めてきたところでございまして、来年度実施予定の調査も適切に実施されるものと考えております。

○米倉委員 二度目の緊急事態宣言が出され、また延長された影響もあり、生活に困窮する方々を支援する相談支援活動を利用する方は、減るどころか、今ふえ続け、長く支援活動をされている団体のところには、過去最多の方が相談に来るというような状況があります。女性や若い世代の割合が増加しているのも特徴です。そうした中で、学生の困窮が深刻化することや、今後、学費や生活費が払えなくなる学生が出てくる懸念があると思っています。
 学生の実態を把握する努力と、それを踏まえた支援も大学と連携して検討していただきたいと思っていますが、いかがですか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学におきましては、これまでも学生の生活実態等を踏まえて、運動施設の改修やオンライン授業に伴う機器の貸与など、支援の充実につなげてまいりました。
 都といたしましては、今後とも、必要に応じ、大学の取り組みを支援してまいります。

○米倉委員 この間、都立大学も学生の実態を踏まえた学生支援に取り組んでこられたというふうに思っています。
 ただ、今後、学生を取り巻く経済状況はさらに悪化すると。既に悪化しているということもあるんじゃないかなと思っています。積極的に学生の状況をつかんでいただきたいと思っています。
 都立大学では、教員の皆さんなどで、学生向けに無料で食料を配布するフードパントリーを、今やっていらっしゃいます。都や大学も、そこに来る学生の実態を、ぜひ話を聞きに行っていただきたいと。それが学生のリアルな困窮している実態だと思うんです、そこに来られる方というのが。やっぱりそこを踏まえた支援を考えていただきたいと要望します。
 次に、防災事業についてです。
 この数年でも、大島の土砂災害や、おととしには連続した大型台風によって、島しょ地域、そして、都内全域にわたり大きな被害がもたらされました。私も現地に行き、被災した皆さんの話を伺って対応を求めてきましたが、こうした災害時に的確な支援が迅速に、また一人一人なかなか情報も伝わらないという状況もやっぱりあって、そこに支援や情報が伝わるということの重要性をとても痛感してきました。
 同じ災害でも、それによる困難は人それぞれで、自宅が損壊した方もいらっしゃれば、自宅は無事でも店舗や田畑の被害が大きいですとか、自分や家族がけがをしたり亡くなったり、また精神的なダメージを受けて鬱病だとか、それに近い状況になって動けなくなるということもあります。また、生活手段がなくなり金銭的に困窮する方もいらっしゃいます。ですから、こうしたいろんな困難へ丁寧に寄り添った支援があることは、とても必要なものだと思っています。
 今、災害で受けた被害によって、一人一人が何に困っているか、どういうサポートが求められているかを把握し、適切な支援につなげていく取り組み、いわゆる災害ケースマネジメントが注目されています。
 都は現在、どのような取り組みをされていますか。

○榎園防災対策担当部長 都は、区市町村と連携し、個々の被災や支援の状況等を管理する機能を備えた被災者生活再建支援システムを導入し、事務の標準化を図っています。
 また、本システムの活用により、各自治体の罹災証明書交付窓口でお聞きした被災者のニーズ等を部署間で共有し、支援につなげることとしております。

○米倉委員 罹災証明書を交付する窓口で支援のニーズを聞き、支援につなげるシステムがあるということです。大切なシステムだと思います。
 ただ、これですと罹災証明書の交付時に聞き取りをするということですから、家が被災していない住民の方へのフォローはできないんだと思います。
 罹災証明の申請にかかわらない被災した方への支援については、都はどのような対応をするのでしょうか。

○榎園防災対策担当部長 被災者への生活再建支援の窓口は、一義的には区市町村になりますが、都においても、総合相談所を設置し、都民からの相談内容を必要に応じ区市町村等につなげることとしてございます。
 また、都と協定を締結する弁護士会等の二十の専門士業団体による各窓口においても相談を受けることとしております。

○米倉委員 都として、今ご答弁にあった総合相談所を設けたのは、最近では二〇一三年の大島の土砂災害のときだと聞いています。専門士業団体による相談ということも大事なことだと思っています。
 ただ、これだけですと、やはり相談を求める方に限られるのかなと思います。発災時のさまざまな状況により、罹災証明など必要な書類などを申請しないとか、できないという方もやっぱりいます。そういう方々にアウトリーチをして丁寧に状況をつかみ、専門家なども交えたチームで、その人の支援、復興の検討を行い実践をしていくと。こうした体制、取り組みが災害ケースマネジメントの重要な柱となっています。
 これまでの取り組みも重要だと思います。加えて、今後ですが、被災者への支援について、アウトリーチを行いながら、一人一人の被災者を取りこぼさない支援をすべきと考えますが、いかがですか。

○榎園防災対策担当部長 東京都地域防災計画では、被災者の生活再建支援に関する都や区市町村の役割を定め、適切に対応することとしてございます。
 被災者との窓口は区市町村でございますが、都としても、専門士業団体等と連携して、区市町村を支援することとしてございます。

○米倉委員 鳥取県では、災害からの生活復興支援として、災害ケースマネジメントの考え方、取り組みを条例で定めていまして、実際に二〇一六年に起きた鳥取中部地震で、これで取り組んでいらっしゃいます。
 都としても、条例化や今後の地域防災計画などに位置づけるなど、制度化をしていただきたいなと思っています。区市町村や関係団体、専門家と連携して、災害ケースマネジメントを積極的に行える体制を整備することが必要だと思っています。ぜひ、条例化など含め、今後検討していただきたいと要望します。
 来年度の予算で、区市町村が行う避難所の感染症対策物資購入に対し支援を行う予算が計上されたということは重要だと思います。これは自治体から歓迎されています。同時に、テントや非接触型の体温瞬間測定器など、単価の高いものがありまして、二分の一補助でもなかなか大変という声も上がっています。
 避難所の感染症対策物資購入支援について、単価の高いものについては補助率を引き上げてほしいと要望があります。検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

○古賀防災計画担当部長 国の防災基本計画及び東京都地域防災計画においては、避難所運営に必要な物資の備蓄は区市町村が行うこととなっておりまして、補助率については、区市町村との役割分担を踏まえて設定したものでございます。

○米倉委員 都内各地の避難所に一気に導入するという上でも、ぜひ、補助率について要望も出ていますので、対応を検討していただきたいと思います。
 消耗品については定期的な買いかえが必要になり、更新の際にも支援をという声が出ています。今回限りの取り組みとせず、今後も支援を継続するということを検討していただきたいのですが、いかがですか。

○古賀防災計画担当部長 本事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大がいまだ終息しない中において、避難所でのさらなる感染防止対策を緊急的に行う必要から実施するものでございます。
 このため、区市町村が、在庫の入れかえではなく、新たに感染症対策物資を充実させる取り組みに対しまして、短期間に集中的に支援することで、区市町村の備蓄の推進を促すものでございます。

○米倉委員 コロナ対策として、短期間で集中的に支援ということです。それは大事だと思っています。
 ただ、コロナ対策も、真剣に抑え込むということで、今、私たちも提案していますし、早く抑え込みたいところでありますが、どれほど長くなるかわからないということですとか、消毒液やマスクは使用すればなくなりますし、消毒液については有効期限もあります。ウエットティッシュなんかは結構早く乾いてしまうということもあり、長期に保存は難しいということもあります。感染症対策について今回限りにしないでほしいというのが自治体の要望ですので、ぜひ区市町村の意見も聞きながら、さらに充実していただきたいと要望します。
 最後ですが、総合防災部の職員、管理職の皆さんのジェンダーバランスについてです。
 都庁全体の行政系職員と管理職、また、総合防災部の職員と管理職のジェンダーバランスについて、まず伺いたいと思います。
 それぞれ女性の割合を示してください。

○山口人事部長 令和二年四月一日現在の行政系職員に占める女性職員の割合は三九・九%でございまして、行政系の管理職に占める女性管理職の割合は二〇・二%でございます。
 また、令和二年四月一日現在、総合防災部に在籍する職員に占める女性職員の割合は二二・八%でございまして、女性管理職は在籍をしておりません。

○米倉委員 やっぱり伺ってみて、全庁的な男女の比率と総合防災部の男女の比率はかなり差があるんだなと思いました。
 初動の対応に当たる方は、災害対策職員住宅に入る、もしくは都庁近くに住んでいなければならないですとか、あと体力的な緊急時の対応ということを考えての配置という部分もあるのかもしれませんが、災害時には、最も支援を必要とする方々、最も弱い立場にある方々に支援が行き届きにくくなります。
 スフィア基準でも、さまざまな不平等や差別がある社会の仕組みを意識しないで支援が行われるならば、意図せずして特定の被災者がさらに被害を受けることにもなりかねないとして、ジェンダーや多様性への配慮は、スフィア基準の中で、どんな人道支援活動にも必要な分野横断的な課題として位置づけています。
 減災と男女共同参画研修推進センターの共同代表の浅野幸子さんは、首都直下地震などでは、経済的に困窮する高齢女性やシングルマザーなど、都市部に多い弱者が最も苛酷な目に遭い、置き去りにされる懸念がある、ジェンダー不平等は災害リスクを広げる社会構造になる、平常時から、あらゆる場面にジェンダー平等の視点を入れていくことが、災害リスクを減らすことにつながるはずだと話しておられます。
 私も去年、災害時の性暴力の問題を取り上げまして、事前の対応を検討する必要があると問題提起をしましたが、子供や女性、マイノリティーの方など、こうしたニーズを対策に反映していくためにも、やはり総合防災部の職員や管理職の配置には、ジェンダーバランスなども考慮して考えていただきたいと思います。このことは要望して、質問は終わらせていただきたいと思います。

○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十九分休憩

   午後六時二十分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○清水委員 よろしくお願いいたします。では、私からは、東京防災プラン二〇二一の素案に関連して、何点か質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 都民ファーストの会ではこれまで、災害に強い安全な都市東京の実現に向けて取り組んでまいりました。特に近年は、大阪府北部地震や北海道胆振東部地震といった大規模地震や、東京を含む東日本に甚大な被害を及ぼした昨年の台風第十九号など、激甚化する風水害の経験を踏まえ、都の防災対策の充実、強化を継続して求めてまいりました。
 これに対して、都は、災害の都度、速やかに防災事業の総点検や検証を行い、都民ファーストの会の提案なども踏まえながら、防災対策の見直しを着実に進め、今回報告事項になっている地域防災計画風水害編の修正など、防災対策の強化に取り組んできたものと認識しています。
 こうした中、このたび都は、東京防災プラン二〇二一を策定するとしておりますが、本プランの策定の目的についてお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 都は、首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模地震、台風や豪雨災害、伊豆諸島における火山噴火など、さまざまな脅威に対して適切に備えていく必要がございます。
 また、防災対策の推進には、自助、共助の担い手である都民や地域、企業等と公助を担う都が一体となった取り組みが求められております。
 そのため、東京防災プラン二〇二一では、地域や災害種別ごとに取り組むべき自助、共助、公助の取り組みと、二〇二三年度までの都の工程表を明示し、計画的な進捗管理を実施することで、安全・安心な都市東京の実現を目指すことを目的としてございます。

○清水委員 防災対策を実効性あるものとするためには、過去の災害から得た教訓や知見などを十分に踏まえる必要があります。
 このプランは、防災対策に関する各局の事業を取りまとめた事業計画ですが、このプランに過去の災害の経験や教訓を積極的に取り入れ、都の防災対策を確実に前進させようとする姿勢が極めて重要だというふうに思います。
 また、今まさに感染症との闘いのさなかにある中で、大規模災害が発生することも想定し、可能な限りの対策を進め、備えておく必要があります。
 そこで、新たな防災プランには、過去の災害からの教訓やコロナ禍における自然災害に対する取り組みがどのように反映されているのか伺います。

○古賀防災計画担当部長 本プランには、平成三十年七月豪雨や大阪府北部地震を受けて実施いたしました防災事業の緊急総点検や、令和元年東日本台風等を踏まえた大規模風水害の検証などによるさまざまな取り組みを事業計画として反映するよう努めております。
 具体的には、無電柱化の推進、河川監視カメラの設置拡大、一時滞在施設、避難所等での充電環境整備など、ハード、ソフトにわたるさまざまな対策をこのプランに位置づけ、今後も計画的に進捗を図ることとしております。
 さらに、新型コロナウイルス感染症と自然災害の複合災害対策といたしまして、在宅避難や縁故避難等による分散避難の推進や、より多くの避難先の確保、避難所での感染症対策の強化などの新たな取り組みを計画に反映しております。

○清水委員 今ご答弁がありましたが、コロナ禍を踏まえた避難対策として、今後は、避難所だけでなく、在宅避難も含めた分散避難を推進していくとのことです。防災ブックなどでも、自宅が安全で避難生活を継続できる場合は環境変化が少ない在宅避難が推奨されています。
 先月十三日、福島県を中心に大きな地震がございました。停電が周辺の埼玉で約三万五千、千葉で四万一千戸、神奈川では十九万七千戸、合計二十七万三千戸に及び発生したとの報道がありました。
 幸い東京は大事に至らなかったものの、改めて日ごろの備えの重要性を実感いたしました。
 また、コロナ禍において分散避難等が叫ばれる中、今、三密によるコロナへの感染のおそれや、エコノミークラス症候群の心配のない在宅避難は有効です。
 安心して在宅避難を続けるには、家庭における備蓄が重要であり、都議会第一回定例会での我が会派の代表質問において、日常備蓄の推進を含めた防災分野における推進と事業の加速について質問をし、都からは、都民の備蓄を促すウエブサイトを三月にも公開するとの答弁があったところです。
 それを受け、都では先日、日常備蓄などを支援するウエブサイトを公開しましたが、その導入の狙いと今後の活用についてお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 都の直近の調査における都民の備蓄率は七割程度でございまして、さらなる日常備蓄の定着に向けた取り組みが必要でございます。
 そこで、誰でも簡単に備蓄に取り組めるよう、個々の家族構成や、戸建てか集合住宅かなどの情報を入力するだけで、必要な備蓄品目や数量がわかる東京備蓄ナビを三月五日に公開いたしました。
 このサイトは、なじみやすいデザインを採用するとともに、連携するショッピングサイトから直接購入できることで具体的な備蓄につながるよう工夫いたしました。また、備蓄への意識を継続してもらうため、ハザードマップ表示機能も備えてございます。
 今後は利用者からの声も取り入れながら改善し、継続して利用してもらえるようにすることで、都民の日常備蓄への取り組みを後押ししてまいります。

○清水委員 多くの都民が防災備蓄ウエブを活用し、日常備蓄を進めていただくことを期待いたします。
 大きな災害時には、自宅が倒壊するなど在宅避難が困難となり、避難所での生活を余儀なくされる方も大勢発生すると考えられています。
 そのため、避難所における感染症対策も万全にしておく必要があり、特に屋内テントなどの、飛沫を防ぐための物資を準備しておくことは欠かせません。
 都では、都民ファーストの会の要望を踏まえ、来年度から新たに、避難所を運営する区市町村に対して、感染症対策物資を購入する際の補助制度を開始することにしており、これにより、区市町村による備蓄が進むことを期待するものです。
 さらに対策を万全にするために、都としても、災害時に区市町村を速やかに支援できるよう必要な物資を備蓄すべきと考えますが、見解を伺います。

○古賀防災計画担当部長 区市町村が避難所の開設当初から迅速に対応できるよう、都は来年度から、区市町村に対して、マスクや消毒液などの感染拡大防止のために必要な物資の購入経費を補助する新たな制度を開始いたします。
 一方で、区市町村によっては、十分な備蓄が困難な場合も考えられるため、災害時に区市町村から物資の要請があった場合には、都は、速やかに要請に応えることが求められます。
 こうした事態に備えまして、都では、段ボール製の簡易ベッドを備蓄するほか、民間事業者等と物資調達に関する協定を締結し、災害時に必要な物資を区市町村に提供する体制を整備しております。
 さらに、来年度は、飛沫を防ぐための屋内テントを新たに備蓄いたしまして、区市町村の避難所の感染防止対策を一層推進してまいります。

○清水委員 次に、災害時における通信環境の確保についてお伺いいたします。
 災害時に被害の状況や避難生活に必要となる情報を確実に得るために、スマートフォン等の通信環境の確保がされていることが重要です。
 特に私の住む西多摩地域は山間部が多く、地形的にも携帯電話のエリアが限定されており、日ごろから通信エリアの圏外となっている箇所も多くあります。
 そういった山間部など、全ての地域に必要な通信環境を確保することも本来必要であるとは思いますが、民間の通信会社によって通信可能エリアが異なるなど、一律の対応は難しいのかなと感じています。
 しかし、災害時には、住民が自宅や避難所などで通信が途切れないよう安定した通信環境を確保することは、観光客にとっても、また必要だと思っています。
 そこで、東京都では、災害時の通信環境の確保に向け、どのように取り組むのかお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 災害時に必要な情報や連絡を行うため、自宅や避難所での通信環境を確保することは重要でございます。
 地域防災計画におきましては、通信事業者は、災害時における通信の確保と設備の復旧に関する役割を担っていることから、災害に備えた設備の耐震化や防水対策、発災時における重要通信の確保など、さまざまな対策を講じて、通信環境を確保することとしております。
 また、都は、災害時におきまして、通信事業者から派遣される情報連絡員と情報共有を図りまして、アンテナ等の損傷によって通信不能になった地域に速やかに移動基地局車等の派遣を要請いたしまして、通信サービスの復旧が可能となるよう、緊密に連携して取り組むこととしております。

○清水委員 災害時の通信環境の確保も重要ですが、住民がスマートフォンなどの通信機器を使用するためには、そもそも電源が必要であり、そのためには、避難所などの防災拠点において充電環境が確保されている必要があります。
 都は、我が会派の提案に応えて、災害時における自主防災組織の活動拠点での充電環境整備に向け、今年度より新たに、地域コミュニティ防災活動拠点電源確保事業補助制度を開始しています。
 昨年十一月の事務事業質疑の中で、我が会派からの質問に対し、申請主体である区市町村が活用しやすいよう、要綱の制定に加えて、手引を作成したことなどにより、自主防災組織約五百団体分の交付申請を受け付けているとご答弁いただきました。これは、制度を立ち上げた初年度の実績としては十分成果が上がっていると受けとめています。
 一方で、さらにより多くの自治体、六千から七千といわれていますが、この自治体にこの制度を活用してもらえるよう取り組みを進めるべきであると考えますが、見解を伺います。

○古賀防災計画担当部長 本制度の一層の活用促進に向けまして、都は、自主防災組織等と具体的にどのように調整を図り、申請に至ったかなどにつきまして、制度を活用した区市町村にヒアリングを実施いたします。
 また、それ以外の区市町村には、来年度以降の制度の活用意向や活用上の課題などにつきまして調査を実施した上で、個別団体ごとに活用に向けて働きかけを行います。
 さらに、来年度の出水期前に自主防災組織に電源配備が可能となるよう、第一回目の交付決定の時期を今年度より二カ月程度前倒すことを予定してございます。
 来年度も、本制度の活用促進を通じまして、共助の担い手として期待される自主防災組織の活動を促進していく予定でございます。

○清水委員 大規模な災害であればあるほど、自助、共助の力が重要であると思います。そういった共助の担い手ともなる自主防災組織にとって活用しやすい制度となるよう、今後とも取り組みをぜひよろしくお願いいたします。
 次に、多摩地域の女性消防団員について伺います。
 今般改定される防災プランでは、女性消防団員の増加や定着を目指していくとされています。消防団の皆様は、日ごろほかの仕事に従事しながら、いざというときには真っ先に現場に駆けつけ、最前線で活動される地域防災力のかなめであります。
 とりわけ、近年は、火災はもとより、激甚化する風水害や土砂災害への対応など、地域の防災力を支える消防団への期待はより一層高まっています。
 最近でも、先月発生した青梅市での大規模な林野火災においては、青梅市消防団から二日間で延べ二百三十六名の団員の方が現場に急行し、消火活動に当たったと聞いています。
 このように、消防団員は地域防災力の維持向上を図る上で不可欠な存在でありますが、団員数は全国的に減少傾向にあります。
 総務省消防庁の調査によると、前回オリンピックが開催された一九六四年には、全国で約百四十万人いた団員が、現在は約八十万人程度に落ち込んでおり、地域防災力の低下が懸念されています。
 そこでまず、多摩地域の消防団について、団員数と、そのうち女性団員数の推移をお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 令和二年四月一日現在、多摩地域の消防団員数は七千七百十一名でございまして、うち女性団員は二百七名でございます。
 全国的な傾向と同様、多摩地域の消防団員数は、長期的に一貫して減少してございます。
 一方、女性消防団員数は、団員数全体に占める割合は低いものの、近年増加傾向にございます。

○清水委員 多摩地域でも消防団員が減少傾向にある中で、女性消防団員数は近年増加していますが、多摩地域においては、女性消防団員の割合は二・七%とまだまだ少数であるため、その背景や課題を分析し、女性団員の確保に向けた取り組みを促進する必要があると考えています。
 そこで、女性消防団員が活動する上での課題や、女性が消防団への加入をちゅうちょする理由にはどのようなものがあるかお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 令和元年度に都が都内の消防団員に対して実施した調査において、女性団員が活動する上での課題について聞いたところ、女性用トイレや更衣室の確保、男性団員との体力差などを理由とする回答が多くなってございます。
 また、女性消防団員セミナーの参加者に対して実施した調査において、女性団員が入団して大変なことや困ったことについて聞いたところ、活動に参加できる日が限られているなどが課題として挙げられてございます。

○清水委員 ありがとうございます。都が女性団員の確保、定着にかかわる課題をしっかり聞き取っている点をまず評価したいと思います。そして、女性消防団員の活動や加入に当たっての課題について理解いたしました。
 一方で、女性の被災者への対応など、被災者の方々に寄り添った行動を行う上では、女性団員の視点が不可欠であり、今後の消防団の新たな担い手としても、女性消防団員の定着、確保は重要な課題であります。
 そこで、女性消防団員の定着及び新規加入の促進のため、都はどのような取り組みをしていくのでしょうかお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 女性消防団員は、消防団活動におきまして大変重要な役割を担っておりまして、多摩地域の消防団員が減少傾向にある中、その定着はもとより、新規女性団員の確保は喫緊の課題でございます。
 都はこれまで、多摩・島しょ地域を中心に、中づり広告やポスターによる団員募集のPR活動を継続的に実施するとともに、今年度は、ポスター作成に女性団員の意見を取り入れるなど、女性団員の新規確保のためのさまざまな工夫を行ってまいりました。
 また、女性消防団員の定着等を図るため、平成三十年度から女性消防団員セミナーを実施いたしまして、他の消防団の女性団員との相互交流の機会を設け、女性団員間の交流の活性化による定着を図っております。
 さらに、今後は、ウエブ広告を活用し、若者世代にターゲットを絞ったPR活動を行うとともに、二十四時間入団申請を可能とする取り組みを新たに実施するなど、多摩地域を含む市町村消防団の女性団員の定着と加入促進を図ってまいります。

○清水委員 都として、女性消防団員の定着や新規加入促進に向け、しっかりと取り組んでいることがわかりました。
 一方で、高齢化や地域コミュニティの希薄化が進む中で、女性や若い人たちを消防団に取り込んでいくには、今後は新しい仕掛けも必要になってくるのではないかと思います。
 消防団員は、市町村の非常勤職員であり、都と区市町村の役割分担や、消防組織法による制約もあるのかもしれませんが、例えば一日体験入団や一カ月間だけの任期つき消防団員など、気軽に消防団体験ができる機会を設け、入団への動機づけとするような工夫ができないものでしょうか。
 いずれにせよ、女性や若い世代の方々が、なぜ消防団への入団をちゅうちょするのか、原因や課題をより詳細に分析し、対策に生かしていくことが重要です。
 ことしは、先日十一日で東日本大震災から十年、そして二年後の二〇二三年には関東大震災から百年を迎えます。こうした節目の年に向けて、今後、女性消防団員の定着や新規加入促進に向けた取り組みを一層強化していくことを期待して、次の質問に移ります。
 東京都生活応援事業についてお伺いいたします。
 この事業については、先日の令和三年度補正予算案で追加提案されたものであり、所管部署においては、事業の詳細を早急に詰めているようでございますが、区市町村においては、事業の準備や予算の手当てを含め、スケジュールは切迫しています。
 まず、本事業の今後のスケジュールについてお伺いいたします。

○小笠原行政部長 東京都生活応援事業については、新型コロナウイルスの感染状況や区市町村の予算編成のスケジュールなどを考慮し、令和三年度の適切な時期に開始できるよう、現在、来年度早期の要綱策定に向けて作業を進めております。
 本事業を区市町村にとって活用しやすいものとしていくために、今月、実施主体となる区市町村への意向調査を実施したところでございまして、三月中には事前相談も開始する予定でございます。
 区市町村の意見を丁寧に伺いながら、事業を着実に実施していけるよう準備を進めてまいります。

○清水委員 多くの区市町村がこの事業を有効活用し、地域のデジタル化やキャッシュレス化を推進するためにも、早急に本事業の詳細とスケジュールについて、区市町村に示していただくようお願いいたします。
 さて、このデジタル化の活用については、スマートフォンやタブレット端末などの利用が必須のようですが、西多摩地区には携帯電話の電波の弱いエリアも散在しています。特にWi-Fiが利用可能なエリアが限定的で、今後ご考慮いただくことを強く要望いたします。
 次に、確認したところ、私の地元の西多摩地区の、七市町村ありますが、各市町村に確認したところ、この事業の活用について、まだ決めていないところが多くございます。
 その理由については、デジタルの活用について、どのように導入し運用していけばよいのか、まだ情報が十分でなく、判断できないためなどと伺いました。
 各区市町村が独自に情報収集をするにしても、特に町村などでは人材の面からも限界があり、都は、地域のデジタル化を本気で推進していくならば、導入事例を含めて、区市町村に積極的に情報提供を行っていくべきであります。
 そこで、デジタル導入を検討している区市町村に対し、都は、今後、具体的にどのような支援を行っていくのかお伺いいたします。

○小笠原行政部長 本事業の実施に当たっては、財政的な支援だけではなく、各区市町村の取り組みに応じたサポートを行っていくことが重要でございます。
 そのため、今年度に実施をいたしました区市の代表的な取り組みをまとめた事例集を、サポートニュースとして、全区市町村に情報発信をしたところでございます。
 また、現在は、意向調査や取り組み事例に対する区市町村からの問い合わせに対応しております。
 今後、四月に設置されるデジタルサービス局を初め、関係各局と連携しながら、区市町村の取り組み状況に応じ、検討段階から事業実施後の検証の段階まで、事業実施期間を通じて、きめ細かな助言等を行い、取り組みを後押ししてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 一方、現実の問題として、シニア世代、西多摩地区は五〇%を超える市町村もありますが、スマートフォンなどデジタル機器にふなれな方々もいます。
 都は、地域のデジタル化を推進していくのであれば、このような方々を取り残すことなく、全ての人々がデジタル化の価値を享受できる社会をつくっていかなければならないと思います。
 最後の質問です。
 この生活応援事業を実施するに当たって、デジタル機器にふなれな方々に対しどのように対応していくのか、改めて所見を伺います。

○小笠原行政部長 都では、新年度から新たに、デジタル機器にふなれな方々に対し、地域でのサポートや通信事業者と連携した普及啓発などの取り組みを実施してまいります。
 今後、関係各局と連携し、これらの事業をサポートニュースを通じて紹介するなど、区市町村に活用を促してまいります。
 また、今年度に実施した区市では、事業開始前に、デジタル機器にふなれな方々に対し、事業者がキャッシュレス体験会などを開催している事例もあることから、こうした事例も情報提供してまいります。

○藤井委員 最初に、ペーパーレスとファクスレスについてお伺いをいたします。
 デジタルの力をてこに、新たな都政を目指すシン・トセイ構造改革の戦略でありますが、デジタルを前提とした仕事の進め方への転換に欠かせないのが、七つのコアプロジェクトの一つ、五つのレス徹底推進プロジェクトであります。
 ペーパーレス、ファクスレスについては、二〇二二年度までの主な達成目標を掲げて取り組んでいるところです。
 まず改めて、構造改革におけるペーパーレス、ファクスレスの取り組みの意義についてお伺いをいたします。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ペーパーレス、ファクスレスは、紙の購入コストの削減につながることに加えまして、印刷や資料配布に要する時間、書類を探す時間などを削減することで、日常業務の効率化を図っていくことを目的に取り組んでおります。
 例えば会議や打ち合わせの都度、資料を印刷することで紙の使用量はもとより準備に相応の時間を要しておりますが、執務席や会議室にモニターを設置するなど、デジタルツールを導入することで、会議用資料の印刷や差しかえ等の作業そのものが不要となります。
 また、都庁全体で年間五十万件を超えるファクスの受送信は、仕分けやファイリングなどで職員の負担となっている面もございますが、電子メールを積極的に活用することで、ファクスの利用を極力抑えることが可能となります。
 こうした、紙を使用せず、あらゆる情報をデジタル上で共有することが、職員の日々の業務効率化を実現し、都政のクオリティー・オブ・サービスの向上につながるものと認識しております。

○藤井委員 ありがとうございます。今ご答弁に具体的にありましたが、資料の印刷等の準備にかかっている時間、無駄な時間であったりとか、ファクスに関しては仕分けやファイリングなどで大きな負担となっている、負担を軽減するというところであります。
 ペーパーレス、ファクスレスの推進は、職員の業務の効率化につながるとともに、テレワークや手続のオンライン化を進めることにもつながるので、ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。
 都庁のペーパーレス、ファクスレスの取り組み状況について、全庁で共有して、改善につなげていくことが重要であると考えますが、今年度の取り組みについて伺います。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ペーパーレス、ファクスレスの取り組みを着実に進めていくためには、目標を数値化し、進捗状況をしっかり把握するなど、取り組み状況の現在地を確認していくことが重要でございます。
 そこで、今年度、ペーパーレスにつきましては二〇一六年度比三割削減、ファクスレスにつきましては前年同月実績六割削減という具体的数値目標を定めまして、毎月、本庁の部ごとに紙の使用量やファクスの利用件数を集計しております。
 集計結果は、データ分析ツールによりグラフ化し、庁内で共有を図るなど、ペーパーレス、ファクスレス状況の見える化を進めております。
 この取り組みによりまして、各部がみずからの実績を確認するだけでなく、他部と比較することが可能となり、部署間で削減に向けた知恵やノウハウの共有が進展するとともに、切磋琢磨を促すことにつながっております。
 この結果、紙の使用量は、本年一月末時点で二〇一六年度全体の約六割、ファクスの利用件数は、本年二月末時点で前年同月比八割削減となってございます。

○藤井委員 データ分析ツールによってグラフ化して、見える化をしているということでありました。
 各部で比較もできるということでありまして、そういったことも通じて、紙については、今年度は十カ月間の実績で六割程度の使用量まで抑えられており、ファクスについては、八割削減をしているということでありまして、大きな成果が出ているかなと思います。
 一方で、ペーパーレスやファクスレスについては、各局ごとの事務の性質もあり、各局ごとに進捗状況が異なるとも聞いているところであります。
 そこで、ペーパーレスの局別の取り組み状況について伺います。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 紙の使用量につきましては、本年一月末時点の累計で、二局がおおむね昨年度と同水準となっており、ほか七局が都庁全体の削減平均を下回っている状況にございます。
 削減が進んでいない主な要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症対策に伴います業務の急増が考えられます。
 来年度は、削減が進んでいない部署につきまして、紙の使用量の用途分析を行うなど、より詳細な使用実態を把握した上で、個別具体的な解決策の提案を行い、削減の取り組みを進めてまいります。

○藤井委員 ちょっとわかりにくかったかなと思いますので、今、進捗していないところが二局あったというようなご答弁だったと思います。
 私も、見える化ツールで確認をさせていただきましたが、福祉保健局と産業労働局、この二局が昨年と同様水準で、減っていないということでありました。
 福祉保健局については、先日の予算特別委員会でもやりとりをしましたが、事業者の指定のやりとり等、かなり対面で数百枚を超える資料のやりとりをしているということでありまして、改善の余地は非常に大きいのではないかと思います。
 紙の使用量自体が多い局でもありまして、先ほどのご答弁にありましたとおり、会議室のモニター設置なども進んでおりますので、局ごとの使用実態を把握していただいて、先ほどの答弁の中にも、実際の使用実態を把握した上で個別具体的な解決策を提案するということでありますので、しっかりとペーパーレスを進めていただきたいと思います。
 次に、ファクスレスについて伺います。
 昨年七月に国と経済団体が、書面、押印、対面を原則とした制度、慣行、意識の抜本的見直しに向けた共同宣言というものを発表しております。
 その中でも、郵送、ファクス等の電子メール等への代替を進めるとしておりまして、東京都がファクスレスの取り組みを進めていくことは、社会的にも大きな意義があると認識をしております。
 先ほどのご答弁で、ファクスレスについては約八割の削減を達成したとのことであります。今年度から始めた取り組みとして、非常に大きな成果を上げているのではないかと思います。
 今年度実施しましたファクスレスに向けた取り組み内容、各局別の目標達成状況、また、取り組んだ結果として生まれたメリットなどをお伺いいたします。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ファクスレスに向けましては、まず初めに、昨年五月、各局でファクスをどのような業務に利用しているかの洗い出しに取り組みまして、それをもとに九月には、局ごとに削減計画を策定いたしました。
 十月には、各職場から、都民や事業者の方にファクスからメールなどへ移行していただくようご協力をお願いし、ご理解をいただきました都民や事業者の方にはメールアドレスの利用状況を確認した上で、速やかにメールへの移行を進めております。
 また、電子メールがないなどの理由から、従来どおりファクスで送りたいという要望も存在することから、都庁のファクス複合機を、受信時に電子ファイルで保存する設定に変更することで、ファクスによる紙使用の抑制に努めております。
 各局別の目標達成状況は、本年二月末時点で、一局を除いて、目標として定めました前年同月実績六割削減を達成しております。
 なお、ファクス受信内容を電子ファイルで保存する設定にしたことで、テレワークの際にもファクスの受信状況が確認できるようになるなど、業務効率の改善にもつながっております。

○藤井委員 一局おくれているとのご答弁でありましたが、こちらもリースの関係で機器の切りかえがまだできていないということが理由であるというふうにも聞いております。
 都がさまざまな工夫を図って、全庁的にファクスレスの取り組みが順調に進んでいるということの確認ができました。
 また、副次的な効果として、ファクスレスの取り組みが、テレワーク時の利便性向上にもつながっているということであります。しっかりとこちらも進めていただきたいと思います。
 続きまして、このペーパーレス、ファクスレスの最後の質問ですが、ペーパーレスにつきましては、二〇二二年度までに七〇%の削減、そして、ファクスレスについては、二〇二一年度に九八%削減という、かなり高い目標を掲げております。
 こうした非常に高い目標達成のためには、来年度についてはさらに踏み込んだ取り組みが必要と考えますが、都はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ペーパーレスにつきましては、来年度から新たに、調達できる紙の量に制限を設けます総量規制の取り組みを進めてまいります。
 総量規制という制約のもとで、紙の使用量の見える化と、庁内の知恵の共有を通じ、これまで以上に各部署の創意工夫と切磋琢磨を促していくとともに、紙を使う仕事の構造そのものの変革を進めてまいります。
 ファクスレスにつきましては、引き続き、都民、事業者の方にファクスから電子メール等への代替につきましてご理解、ご協力をお願いしていくとともに、送信の際にも紙を使用しないよう、複合機の設定変更等の取り組みを行ってまいります。
 いずれの取り組みも期限を設定した上で、進捗状況を把握、分析することで、目標達成への実効性を高めてまいります。

○藤井委員 来年度から、ペーパーレスに関しましては、総量規制によって、さらに進めていくということであります。使える紙の量をそもそも減らしてしまうという取り組みでありまして、その効果は非常に大きいのではないかと思います。
 ペーパーレス、ファクスレスの取り組みは、都庁のデジタルトランスフォーメーションの基礎であり、大前提であります。引き続き強力に推進していただくことを期待しております。
 また、先ほどの目標、ペーパーレスの七〇%、そしてファクスの九八%削減に向けましては、それぞれの局、それぞれが積極的に取り組んでいただくことが不可欠であります。
 都庁全体のペーパーレス、ファクスレス、五つのレスのこの取り組み自体は、公表、公開をされて、都民の目にさらされているというか、都民の皆さんが確認できる状況でありますが、先ほど来ご答弁にあります都庁内で確認できる各部や各局ごとの進捗状況というのは、公開されていない状況かと思います。
 そういった各局の進捗状況を公開していくことは、先ほどのご答弁にありましたが、進んでいる局のよい事例を共有したりとか、各局がみずから改革を進めることにもつながると思いますので、ぜひ公開の検討をお願いいたします。
 続きまして、テレワークに関してお伺いをいたします。
 昨日の政策企画局への質疑でも取り扱わせていただきましたが、シン・トセイ都政の構造改革の中で、昨年、二〇二〇年十一月六日から十九日に、二万九十六人の都庁職員が回答いたしましたデジタル環境についての意識調査において、スカイプのビデオ会議が九〇%が使っていなくて、チャットに関しても七二%が使用していないということでありまして、都庁ではテレワークが進んでいるという認識をしておりましたので、少し驚いたところであります。
 前回の緊急事態宣言、ちょうど一年前になりますが、補正予算で、外づけのカメラやマイクを緊急購入する等、職員同士がウエブ会議ができる環境というのは整えてきたものだというふうに記憶をしております。
 この結果を踏まえて、ビデオ会議が利用されていない理由や利用促進策については、戦略政策情報推進本部にも確認をさせていただこうと思っております。
 まさに、環境がそろったところであり、これからの活用になるとは思うところではあるんですが、活用を促進するという観点で、総務局にも確認をさせていただきます。
 スカイプによるオンラインビデオ会議やチャットの活用を通じて、在宅勤務を実施しやすくすべきと考えますが、総務局としてどのように対応していくのかお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 都では昨年十一月に、職員が不安や疑問を解消しながらテレワークを実施することができるよう、職員向けガイドブックを作成し配布しております。
 本ガイドブックでは、テレワーク実施時でも職場と同程度のコミュニケーションを確保することができるよう、スカイプ機能の活用例などを紹介しております。
 また、同月のテレワーク月間におきましては、各局等がみずからの課題を踏まえて、自主的にチャレンジメニューを実施しております。この中には、本庁と出先事業所との間の会議をウエブで実施したり、チャットを使って、職員同士が気軽に情報共有や連絡を行ったりするなど、スカイプ機能を活用した事例も含まれております。
 今後は、このガイドブックを改定いたしまして、ウエブ会議やコミュニケーションの工夫例に関する紹介をより充実させて周知するとともに、職層ごとの研修でも活用することなどを通じまして、テレワークのさらなる定着を図ってまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。ガイドブックを改定して、さまざまな事例、職員同士が使っているような事例も充実させていくということでありまして、やはり隣の人、近くの人がどういうふうに使っているかというのが一番参考にしやすいものかなと思いますので、そういった事例をぜひガイドブックに載せて周知するとともに、ご答弁にありました研修等でもしっかりと伝えていって、皆さんに一回使ってもらうと、非常に便利なものでありますので、ぜひ使うきっかけをつくっていただきたいと思います。
 ビデオ会議だけじゃなくて、チャットも、電話するより簡単にいろんなものを確認できたりしますので、ぜひご活用をお願いいたします。
 あわせて、スカイプであったりとか、そういうツールに関しての使い方のチップスというか、こう使うとうまくいくよというような事例というのは、民間企業にもたくさんあるかと思います。
 例えばスカイプ等のプロフィールには写真を載せた方が話しかけやすいとか、コミュニケーションが円滑になるとか、そういったちょっとしたこともありますので、ぜひそういった事例なども積極的に共有をしていただきたいと思います。
 続きまして、職員の研修についてお伺いいたします。
 デジタルトランスフォーメーションを進めるのは都職員の皆様でありまして、デジタルトランスフォーメーションの基本的な考え方を皆様に習得していただくことが必要だと思っております。
 私の昨年十一月の事務事業質疑では、オンラインやeラーニングなども活用して、令和三年度に向けて、全職員のさらなるICT能力の向上を図るため、デジタルトランスフォーメーション推進の視点、考え方の醸成や、デジタルトランスフォーメーションに関する知識付与、職員に応じた育成メニューの整備といった視点から、研修の拡充を検討するとのご答弁をいただきました。
 先日の予算特別委員会では、我が会派の滝田都議からの質問に対して、小池知事から、都民のQOS向上に向けた職員の育成についても答弁があったところであります。
 そこで、都政のDX推進に関する職員育成の具体的な取り組みについてお伺いさせていただきます。

○山口人事部長 都政のデジタルトランスフォーメーション、DX推進を支える職員の育成を強化することを目的としまして、さまざまな研修を実施しております。
 具体的には、各局の企画担当の一般職員を主な対象として、ICTを活用した課題解決能力を向上させる都庁デジタルシフト推進リーダー養成研修や、外部講師から最新の取り組み等を学ぶ都庁デジタルセミナーを初めとした複数の研修を今年度より実施しております。
 これに加えまして、来年度は、課長級昇任者全員を対象とした研修に、DXに関する新たな科目を追加しますほか、一般職員を対象としたアイデア創出型の研修を新たに実施するなど、全ての職員のICT能力の底上げを図り、都政の構造改革の担い手となる職員の育成を強化してまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。ご答弁にありました一般職員を対象としたアイデア創出型の研修を新たに実施するということであります。
 デジタルツール、ICT化、これ全部ツールでありますので、やっぱり現場を知っている職員の皆様が、自分たちの効率を上げるだったりとか、生産性を高めるといった視点が非常に重要だと思っておりますので、こういったアイデア創出型の研修というのは非常に意味のあるものかなと思っております。
 こういったものを通じて、しっかりとデジタルツールを使いこなす、デジタルトランスフォーメーションを進めていただきたいと思います。
 続きまして、最後の質問になりますが、予算特別委員会でも少し触れました都におけるインターンシップについてお伺いをさせていただきます。
 そこでも述べましたが、若者の視点を都政に生かしていくという観点で、大学生等の長期のインターンを考えるべきではないかと思っているところであります。
 民間企業におきましては、採用の早期化、多様化の観点や、学生においては、仕事の内容と自身の適性をより深く知るために、インターンシップが広く活用をされております。
 私が就職活動をしていたのは、今から十五年ほど前でありますが、そのころから外資系企業やベンチャー企業等を中心にインターンが広がってきたかと思います。
 私も夏休み等を活用して、一カ月とか、二カ月とか、ITや金融のベンチャー企業に、アルバイトがてらというか、インターンという名のアルバイトのような形で、調査資料の作成など、実業務に近いようなことの作業をさせていただきました。その中で、こんな感じで働くんだなという実感を持ったということを覚えております。
 都においても、そういった経験を学生の皆さんにしてもらうために、インターンシップの取り組みがあるかと思います。都におけるインターンシップの取り組みについて、これまでの実施状況をお伺いさせていただきます。

○山口人事部長 都では、都庁における就業体験の機会を通して、職業意識の向上や、学生が都政に対する理解を深めることを目的としまして、インターンシップを平成十三年度に開始しまして、昨年度は二千百六十八名の学生が申し込み、二百五十名を受け入れました。
 実施を行いましたのは百十七部署に上っておりまして、実施期間は二日間から二週間程度の期間で実施しました。
 なお、今年度は、当初、東京二〇二〇大会が予定されており、大会期間中の混雑緩和の要請がありましたほか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑制を図るため開催を見送りましたが、その代替としまして、オンラインの活用により、例年よりも多数の学生が参加するウエブセミナーを実施いたしました。

○藤井委員 コロナ前においては、東京都でも就業体験を目的とした二日から二週間程度の短期のインターンシップを積極的に実施をしていたということであります。百十七部署、実施をしていたということであります。
 一方で、民間では、数カ月を超える長期間のインターンシップの例というのもふえてきております。長期間の場合、参加する学生には、相応の給料が支払われることが多く、長期間働くことによって、企業、学生双方にとって、就職のミスマッチの解消につながるなどしております。さらに、採用に直結するようなインターンシップも増加しているところであります。
 都におきましては、民間と同様の、長期で報酬を支払ったり、採用に直結するインターンシップを実施するというのは、さまざまな課題があるのではないかと思いますが、具体的にどのような課題があるのかお伺いをさせていただきます。

○山口人事部長 地方公務員の採用は、法に定める平等取り扱いの原則や成績主義の原則に基づいて、公平、公正に行われる必要がございますことから、民間のように採用に直結する形でインターンシップを実施することはできない状況でございます。
 また、インターンシップは、あくまで就業体験の機会の提供の観点からのみ実施していることを踏まえますと、参加者に対して給与や報酬を支払うことは困難な状況でございます。
 このように、地方公共団体につきましては、民間と同様の長期間のインターンシップを実施するには、さまざまな課題があるものと認識をしております。

○藤井委員 ありがとうございます。今の議論を整理しますと、採用と直結するインターンは、公平、公正な観点から採用は、試験で行わなければならないということで、だめですということで、かつ報酬を支払うのも、目的と違うということで、なかなか難しいんではないかという議論だったかと思います。
 逆に考えると、採用試験と切り離して、報酬を払うという目的を何らかの形で加えれば、実施の可能性もあるというのも、逆にいえば考えられるのかなというふうに受けとめました。
 都では、本年度、新型コロナウイルス感染症の影響により、アルバイト収入を失うなど経済的に困難な状況にある大学生等を対象に、緊急雇用対策として、非常勤職員を採用したところであります。政策企画局や総務局、戦略本部、財務局等で募集があったと認識をしております。
 また、戦略政策情報推進本部では、非常勤のデジタルシフト推進専門員として、高校生や大学生が活躍しているとも聞いております。
 こういった会計年度任用職員の制度であったりとか、さまざまな方法が考えられるかと考えております。
 民間企業の長期インターンシップは、必ずしも採用だけを目的としているものではありません。相互の理解であったりとか、大学生の方に直接活躍をしていただくということも目的にしているかと思います。
 昨年度、人事委員会からの意見で、このインターンシップについても注視していくようにという意見が出ていたかと思いますので、ぜひ引き続き、調査検討をお願いしたいと思います。
 以上で終わります。

○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後七時十五分散会

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