委員長 | 神林 茂君 |
副委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 藤井あきら君 |
理事 | 白戸 太朗君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 木村 基成君 |
山内れい子君 | |
細田いさむ君 | |
清水やすこ君 | |
米倉 春奈君 | |
木下ふみこ君 | |
原 のり子君 | |
つじの栄作君 | |
中屋 文孝君 | |
中村ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員政策企画局 | 局長 | 中嶋 正宏君 |
次長理事兼務 | 横山 英樹君 | |
理事 | 吉村 恵一君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 梅村 拓洋君 | |
渉外担当部長 | 巻嶋 國雄君 | |
政策調整担当部長構造改革担当部長兼務 | 松崎伸一郎君 | |
長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 | 宮武 和弘君 | |
長期戦略プロジェクト推進担当部長 | 山本 公彦君 | |
構造改革担当部長 | 神永 貴志君 | |
構造改革担当部長 | 佐久間巧成君 | |
都民安全推進本部 | 本部長 | 國枝 治男君 |
総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 加藤 英典君 | |
治安対策担当部長 | 斎田ゆう子君 | |
若年支援担当部長 | 小菅 秀記君 |
本日の会議に付した事件
都民安全推進本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出 都民安全推進本部所管分
報告事項(質疑)
・第十一次東京都交通安全計画(中間案)について
・改定東京都自転車安全利用推進計画(中間案)について
・第三十二期東京都青少年問題協議会の答申について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 東京都青少年問題協議会条例の一部を改正する条例
政策企画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出 政策企画局所管分
報告事項(質疑)
・「未来の東京」戦略(案)について
・東京ベイeSGプロジェクト(ドラフト)について
・シン・トセイ都政の構造改革QOSアップグレード戦略(案)について
○神林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、委員の所属変更について申し上げます。
去る三月四日の本会議におきまして、まつば多美子議員が本委員会から厚生委員会に変更になり、新たに細田いさむ議員が厚生委員会から本委員会に変更になりました。
この際、新任の細田いさむ委員をご紹介いたします。
○細田委員 細田です。よろしくお願いいたします。
○神林委員長 紹介は終わりました。
なお、議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。
○神林委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
令和三年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和三年三月十二日
東京都議会議長 石川 良一
総務委員長 神林 茂殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十二日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十八日(木)午後五時
(別紙1)
総務委員会
第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 総務委員会所管分
第二号議案 令和三年度東京都特別区財政調整会計予算
第四号議案 令和三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第百一号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中 歳出 総務委員会所管分
(別紙2省略)
○神林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都民安全推進本部及び政策企画局関係の予算の調査、都民安全推進本部関係の付託議案の審査並びに都民安全推進本部及び政策企画局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより都民安全推進本部関係に入ります。
初めに、予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、都民安全推進本部所管分及び報告事項、第十一次東京都交通安全計画(中間案)について外二件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○加藤総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の委員会において要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしております総務委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は二点でございます。
一ページをごらんください。区市町村の子供・若者支援地域協議会の設置状況及び子供・若者計画の策定状況でございます。
(1)で、子供・若者支援地域協議会の設置状況、(2)で、子供・若者計画の策定状況について掲載してございます。
二ページをごらんください。ハイパースムーズ東京ボトルネック交差点対策箇所でございます。
上段には、平成二十八年度から令和二年度の対策箇所数及び累積箇所数を掲載してございます。
また、二ページから六ページまで、各年度の実績を掲載しております。
以上、ご要求いただきました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○神林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○白戸委員 デジタル社会が今後ますます進展していく中、子供たちがインターネットを活用する力を伸ばすとともに、不適切な使い方により生じるリスクから子供たちを守っていかなければいけません。
しかし、リスクがあるからといって、ただ子供たちを遠ざけてしまえば、インターネットのすばらしさや恩恵を十分に享受することができなくなってしまいます。むしろ、つき合い方を学ぶ機運や機会をつくっていくことこそ重要であると考えます。
先日の代表質問では、当会派から知事に対して、ゲーム時間規制に関して、都としての考え方を質問させていただきました。条例で時間を一律に規制する考えはなく、啓発講座や相談窓口により、子供や保護者の自主性を尊重していく旨の答弁をいただき、高く評価しております。
こうした考え方に基づき、教育庁等の関係部局とも共通認識を持って、子供たちのインターネット適正利用に関する施策を講じていくことが重要だと考えます。
そこで、子供たちによるインターネットの適正利用について、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 東京都青少年の健全な育成に関する条例におきましては、青少年をインターネットの適正な利用に導くよう、保護者等に対して責務を定めております。
これを踏まえ、都では、インターネットの適正な利用についての講座、ファミリeルールにおいて、青少年を対象とした啓発に加え、保護者等を対象に家庭でのルールづくりを支援する講座を開催しております。
また、インターネットに関するトラブル相談窓口、こたエールにおきましては、トラブルを抱えた青少年やその保護者等を対象として、電話、メール、LINEにより相談を受け付けております。
今後も、より一層啓発や相談対応を通じ、青少年やそれを導く立場である保護者等に対して、インターネットの適正利用に必要な支援を行ってまいります。
○白戸委員 青少年の判断能力は未成熟であり、健全育成のためには、その自主性を尊重しつつも、誰かがきちんと導いていかなければなりません。
家庭ごとに事情や考え方の違いがある中、保護者が青少年のインターネット利用に責任を持ち、行政は、画一的な規制ではなく、啓発講座や相談窓口により、青少年や保護者への支援を行うのは理にかなっていると思います。
今、相談対応にもLINEを活用しているというお話がありましたが、現在、青少年の間にも、LINEやツイッターを初めとするSNSが普及しており、それらの不適切な利用が原因で、性被害を初めとするさまざまなトラブルが発生しています。昨年一年間にSNSの利用をきっかけに犯罪に巻き込まれた十八歳未満の子供は、全国で千八百十九人いると聞いております。
SNSは、実空間で面識のない方々と交流できる非常に便利なツールでもあるんですが、それを裏を返すと、犯罪者にとっても簡単に青少年との接点を持つチャンスがつくれてしまうということでもあります。
東京都では、第三十二期東京都青少年問題協議会において、こうした現状への対策について議論がなされ、答申が取りまとめられたと聞いております。
そこで、第三十二期東京都青少年問題協議会答申を踏まえ、青少年によるSNSの不適切な利用に起因する性被害への対策について、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 素性を偽ってアカウントを作成できるSNSにつきましては、犯罪目的に悪用することも可能でありまして、適切に利用しなければ、青少年にとって性被害等につながる大きなリスクをはらむものであります。
都では、ファミリeルールによる啓発や、こたエールによる相談対応に加え、令和元年度からSNS利用によるさまざまなトラブルに関する意識啓発のため、若者が作成したSNSトラブル防止を啓発する動画等を募集するSNSトラブル防止動画コンテストを開催しております。
令和二年度は、昨年度比で一・二倍を超える応募があり、多くの若者の意識を高めております。令和三年度は、新たに、ハイリスクなSNS利用を行う青少年が、不用意に面識のない者と出会ってしまうことを思いとどまらせるため、ターゲティング広告による重点的な啓発を行うなどの取り組みを進めてまいります。
○白戸委員 このSNSトラブル防止動画コンテスト、私も拝見させていただきましたけど、非常にクリエーティブで完成度の高い作品がたくさん出ているというふうにお見受けしました。ぜひターゲットにこのように合わせた啓発活動を、今後もぜひ進めていただきたいと思います。
続きまして、策定中の第十一次東京都交通安全計画について伺います。
第十一次東京都交通安全計画においては、道路交通事故に関しては、死亡者数百十人及び死傷者二万七千人と具体的な目標を挙げています。
計画の目標を確実に達成するために、社会情勢に応じた施策を行うことが重要であり、今回の計画で私はこの二つの項目を懸念して注視しています。
一つは、死者数の約四分の一を占める自動二輪車の安全対策の推進。自動二輪は、一時、愛好者人口に陰りが見えましたが、昨今では中高年を中心に人気を盛り返し、久しぶりに乗り出す方もふえているようです。また、コロナ禍により、他者と交わらない移動であり、趣味であることも追い風になっているようです。
そして、もう一つは、昨年六月に改正された道路交通法により罰則が創設された妨害運転、いわゆるあおり運転への対策です。毎日のように、このあおり運転、報道されるようになりまして罰則化されたものの、依然後を絶たないのが実情でございます。
都としても、関係機関と連携し、二輪車の安全対策やあおり運転への対策の一環として、普及啓発に取り組むことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 都はこれまで、春、秋の全国交通安全運動等において、関係機関と連携し、二輪車の事故防止対策や、あおり運転の禁止に関する普及啓発を展開してまいりました。
とりわけ二輪車につきましては、第十一次東京都交通安全計画の中間案において、二輪車の安全対策の推進を重視すべき視点として定めておりまして、胸部、腹部等を守るプロテクターの着用を促す啓発を実施するなど、さらなる安全対策に向けて取り組んでまいります。
また、あおり運転につきましては、あおり運転の禁止について、法律が昨年六月に改正されたことを踏まえまして、法改正の内容がより浸透するよう、関係機関と密接に連携しながら、普及啓発を推進してまいります。
○白戸委員 二輪車に関しては、絶対数がふえているわけですから、事故が起きる可能性が高まるのは当然です。しかし、それを抑えるために、正しい知識と行動が必要です。引き続き啓蒙活動をよろしくお願いします。
また、このあおり運転に関しては、誰もが突然被害者になるのはもちろんですが、コロナ禍によるストレスから加害者となることもあるようです。
しかし、これは重大な事故を引き起こすことにもつながる大変に危険な行為であるという認識を多くの方に持っていただくことが重要です。警視庁などと連携しつつ、しっかりと進めていただけるようお願いします。
続きまして、改定東京都自転車安全利用推進計画について伺います。
現在、第十一次東京都交通安全計画策定とあわせて、東京都自転車安全利用推進計画を改定中です。
コロナ禍で自転車に新たに乗る人がふえています。自転車業界関係者の方にお伺いしますと、一般的な実用車、いわゆるママチャリですけれども、よりも少し高いクロスバイクと呼ばれるようなスポーツ寄りの自転車が売れているようで、まち中でも本当によく見るようになりました。
ただ、残念ながら、乗り始めた方の中には、歩行者の感覚で車両である自転車に乗っておられる様子も見受けられます。中でも、まち中で歩道を走り抜ける自転車が少なくなく、歩行者に脅威を与えている例も見られます。また、実際に歩行者と自転車の接触事故もふえているのが実情です。
一昔前は傘差し運転、こういうのがありましたけど、こういうのが減っているようですが、近年は、こういったこと、それから、ながらスマホなどの運転も目立っているようです。
対車として見ますと弱者である自転車も、対歩行者となると強者となります。弱者保護が交通マナーの基本でありますが、このようにマナーやルールをよく理解しないまま乗っている方がいらっしゃるようです。
まず、この自転車のルール、マナーの普及啓発についてどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 自転車は、高い利便性を有した乗り物でありまして、環境負荷低減や健康増進に寄与するだけでなく、都民生活や事業活動に重要な役割を果たしております。
一方で、自転車事故の多発や道路への放置等の問題もあります。そのため、自転車を安全に利用するに当たり、自転車のルール、マナーの普及啓発は重要です。
都は、自転車が歩道を通行する場合のルールや、スマートフォンの画面を見ながらの運転など、やってはいけないチェックポイント等を年代別にわかりやすくまとめたリーフレットを作成し、保育施設や学校、区市町村、警視庁などの関係機関約八千カ所、延べ約二百七十万枚を配布しまして、幅広く普及啓発してまいりました。
また、学校や区市町村と連携し、自転車のルール、マナーを習得できる自転車シミュレーター交通安全教室を開催しておりますが、来年度は、自転車の歩道走行や、ながらスマホの危険を疑似体験できるVRゴーグルを用いたプログラムを追加しまして、より実態に即した効果的な講習を実施いたします。
今後とも、さまざまな手法により、新しい日常に対応した自転車の交通ルール、マナーの普及啓発を強化してまいります。
○白戸委員 このVRゴーグルを用いたプログラム、ちょうど先週、私も体験することがありまして、やってきたんですけどかなり難しかったです。実際に乗るよりも難しかったと思いますけど、こういったリアルな講習ができるということは非常にすばらしいと思います。
いずれにしても、自転車は大変便利で、環境にも体にもいい、さらには渋滞対策、駐車対策としてもすばらしいもので、今後の都市交通の中心的な役割を果たしていくものだと考えます。
しかし、正しく乗らないと危険な道具となってしまいます。老若男女、さまざまな方が気軽に乗る自転車であるからこそ、こうしたマナー、ルールの啓蒙は大切だと思います。ぜひ世界の大都市に負けない、自転車に優しいまちをつくるためにもよろしくお願いします。
個々の課題について、安全利用の普及啓発についてお伺いします。
一つ目は、電動アシスト自転車の安全利用についてです。
電動アシスト自転車の売上台数は、五十CCの原付バイクの売り上げの台数を既に超えているということで、まち中でもたくさん見るようになりました。
坂道や重い荷物を乗せているときは本当に便利なもので、自転車に乗るのが仕事だった僕でさえ、便利な乗り物だなということは認めざるを得ません。
ただ、電動自転車は、発進時に予想以上にスピードが出たり、車体が重く、子供を乗せているとかなりの重量になります。普通の自転車とは異なった特徴があるのも事実です。そのリスクを理解しないまま乗っていると、本人はもちろんですが、他者に対しても非常に危険な乗り物となってしまうのが実情です。
そこで、この電動アシスト自転車の安全利用普及啓発について伺います。
○斎田治安対策担当部長 電動アシスト自転車は、発進時の加速や重量など、その特性を踏まえた安全な乗り方などの啓発が必要であることから、今回の改定東京都自転車安全利用推進計画に電動アシスト自転車の利用者に対する教育として、新たな項目として追加しました。
都はこれまで、自転車安全利用リーフレットに電動アシスト自転車に関する欄を設け、電源を操作する際の注意事項や安全な発進の仕方など、具体的な注意喚起に努めてまいりました。
さらに来年度は、区市町村と連携して開催する自転車安全利用教室において、自転車メーカーの協力を得て電動アシスト自転車の乗車体験を実施するなど、より実践的な学習の機会を提供してまいります。
○白戸委員 先日も歩道をかなりのスピードで駆け抜けていく、後ろにお子さんを乗せたお母さんがいらっしゃいました。歩行者の方は怖がっているんですが、本人はなかなか気づかれなかった様子です。
しかし、もし一旦ぶつかってしまえば、どちらにも不幸で悲しい思いをしますし、ましてや、お子さんが振り落とされたりしたら取り返しがつきません。便利で幸せにしてくれる自転車が不幸の道具にならぬよう、注意喚起を強く要望しておきます。
新しい日常において注目されているのが、事業や通勤における自転車利用です。私は以前から一般質問などで、自転車保険の重要性、加入義務化を訴えかけてきました。
その呼びかけに応え、現在は義務化されていますが、自転車利用者個人が加入する、いわゆる個人賠償責任保険では、業務で自転車を利用した場合の事故については適用外として補償されません。そのため、事業で自転車を利用する事業者は、事業用の賠償責任保険などに加入する必要があることや、従業員に自転車通勤を認める場合は、個人賠償責任保険などに加入しているか確認するなど、注意すべきことは多くあります。
そこで、事業や通勤における自転車保険について、事業者に対する普及啓発の取り組みを伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は事業者に対して、保険加入義務化を周知するリーフレットを配布するとともに、自転車安全利用TOKYOセミナーを開催し、専門の講師による講義において、保険加入の義務化や自転車事故の賠償事例、また従業員に対する保険加入の確認の必要性などについて情報提供を行い、普及啓発しております。
さらに来年度は、セミナーの開催方法を、これまでの会場で受講する方式に加えまして、オンラインによる受講も可能な日程を設定するなど、事業者の参加機会を多様化してまいります。
○白戸委員 近年、自転車と歩行者の事故がふえています。その場合は、自転車に求められる賠償責任が非常に重く、事業者が保険加入を怠り、事故が起きてしまうと取り返しのつかないことになります。ただ、保険のルールや仕組みはわかりづらいことが多いのも実情です。ぜひわかりやすく普及啓発を進めていただけるようお願いいたします。
警視庁の統計によりますと、令和二年は一万四百七件の自転車が関係した交通事故が発生し、三十四人の方が自転車乗車中に亡くなっています。そして、この亡くなられた方の約半数に当たります四七・一%の方が高齢者でした。これは自転車活用される方に高齢者の方がふえているというのが一因でもあると思われます。
こうした状況を踏まえまして、高齢者の自転車安全利用の促進や、交通事故の被害を軽減することが重要と考えますが、取り組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 高齢者の自転車安全利用を促進するため、都では自転車の交通ルール等を記載した高齢者向けリーフレットの配布に加えまして、事故情報、交通ルールに関する講義と電動アシスト自転車体験など、実技を組み合わせた講習会を開催しております。
今後は、これらの取り組みに加え、自転車乗用中死者数のうち約七割が、頭部損傷が主な原因となっていることを踏まえまして、自転車乗用中のヘルメット着用を促すリーフレットを高齢者が集まる老人クラブ等に重点的に配布するなど、高齢者の事故防止及び被害軽減に向けた取り組みを強化してまいります。
○白戸委員 高齢者の自動車運転免許返納などにより、移動の手段確保として自転車に乗り始められている方もふえています。また、健康増進の一環として選ばれる方もいらっしゃいます。それ自体は非常にすばらしいことなんですが、けがをしてしまっては本末転倒です。
さらに、バランス能力の欠如などもあり、啓蒙だけでなく実技講習会など、安全に乗れるようなスキル向上にも、ぜひ努めていただきたいと思います。
次に、自転車シェアリングについてお伺いします。
自転車シェアリングは、コロナ禍の前から需要が増大し、さらにこの一年で大きく伸びています。
私の地元江東区でも、平成二十四年に都内で初めてシェアサイクルを導入したんですが、当初はさまざまな問題があったものの、今では利用者も大幅にふえまして、工夫ももちろん重ねまして、経営的にも黒字化されております。もう欠かすことのできない、まち中の交通インフラといってもいいかもしれません。
さらに、今後のインバウンドが復活すれば、外国人による自転車シェアリングの利用の増加も見込まれると思われます。
シェアリングは、気軽に利用し、短い時間でも使いやすいシステムが便利です。そのため、ふだん自転車に乗っていない人でも気軽に利用することができます。その結果、自転車の安全利用にかかわる意識が低い人も、自転車を利用してしまうということにもなりトラブルもあるようです。
自転車シェアリング利用者に対する安全利用の啓発については、事業者が行うように努めなければいけないと東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例に定められております。
まずは、事業者が安全利用の啓発を実施するものではありますけれども、近年の自転車シェアリングの利用拡大を踏まえまして、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 事業者は、みずからのホームページや利用時に使用するアプリ等を使って、安全利用の啓発を実施しています。
また、都としても、リーフレットやホームページ等により、自転車シェアリング利用者に対する交通ルール、マナーの啓発を実施しております。
外国人に対する啓発につきましても、多言語の外国人向け交通安全啓発動画をホームページに掲載するとともに、事業者団体を通じて各事業者に周知するなど、事業者の啓発を支援しております。
○白戸委員 事業者に努力を促すのはもちろんなんですが、もはやこれだけ普及した公共インフラとなっているわけで、東京都としても積極的に関与していくべきと考えます。
ぜひ都民だけではなくて、東京に訪れる方々にも安全に楽しんでいただけるよう進めていただきたいと思います。
自転車の車道通行においては、自転車は車道の左側を通行することなど、自転車利用者への普及活動は当然ですが、一緒に走っている自動車運転者、つまりドライバーに対して、車道を走行する自転車の安全に配慮した運転を心がける教育をするのも重要です。
私も都内で自転車走行中に、ナビラインを走っていても車に進路を塞がれてしまったり、駐車車両がとまっていて迂回のために車道に出て怖い思いをすることがあります。
これは、ドライバーの皆様に認識をしていただかなければ状況は変わりません。ぜひドライバーへの認知拡大を進めていただきたいんですが、自動車の運転者に対しては、都だけではなく、運転免許を所管する警視庁などの関係機関が連携し取り組んでいく必要があるでしょう。
そこで、自転車の車道通行に対する自動車運転者の理解促進について伺います。
○斎田治安対策担当部長 現在改定中の自転車安全利用推進計画におきましては、警視庁は、自動車運転免許の更新時講習や処分者講習、安全運転管理者講習会の機会を捉えまして、自動車運転者が車道を走行する自転車の安全に配慮した運転を心がけるよう運転者が遵守すべき事項について、教育を行うこととしております。
○白戸委員 幾ら自転車が注意をしていても、道路を一緒に走る車がそれを認識していなければ状況は変わりません。道路は、歩行者、自転車、車、皆のものであるという意識を全員が持たなければなりません。
また、走行空間の整備など物理的な措置は、道路用地が狭い都内にとってハードルが高いことが多いのですが、人間の意識変革は十分に可能です。つまり東京都にとって、意識改革こそ一番有効な自転車の安全対策ともいえるでしょう。
サイクリストが注意するのはもちろんですが、ドライバーに対する啓蒙も同様に重要で、警視庁と連携をし、しっかりと進めていただけるよう要望しておきます。
最後に、一言申し上げます。
自転車は、字のごとく、みずから回転させて進む乗り物です。簡単な構造の割には、みずからの力だけで行動範囲が広げられるすばらしいモビリティーであることは、皆さんもご存じのとおりです。また、その自由度の高さも魅力で、だからこそ、子供から高齢者まで広く愛用されています。
その自由な乗り物である自転車が、より安全に楽しめる道具であり続けるためには、最低限のルールやマナーがあるのは当然ですが、規制だけが前面に立つようなことを望んでいるわけでもありません。やはりどうしたらそのものの魅力を引き出せるのか、皆がそのためにどうしなければいけないのか、そんな前向きな議論や思考にこそ、真の安全や快適はあるのかと考えます。
例えるならば、北風と太陽、規則、取り締まりという風で拘束するだけではなく、乗る人自身が考えて行動できるようなアドバイスという太陽を照らす、そんな自転車安全教育が進められないか、考えていくべきではないかと考えます。
さきの予算特別委員会で我が会派の質疑は、現在懸念されているデリバリー自転車の安全対策を講じるものです。それについても、事業者がきちんと講習を行い、意識の高い配達員を育て、そのあかしとして、承認ナンバーを発行する、そんな前向きな取り組みが進むことを期待しております。
ぜひ未来へ可能性のある自転車という乗り物を、東京都として適切な指導を行い、さらに都民の生活を豊かにできるよう、引き続き努力をお願いし、我々もそのお手伝いをさせていただきたいと思います。
以上で私の質疑を終わらせていただきます。
○中屋委員 私の方からも何点か質問させていただきたいと思います。
まず、第十一次の交通安全計画について、一つ聞きたいと思います。
前回、五輪が開催をされました昭和三十九年、都内の交通事故による犠牲者数は年間千人を超え、交通戦争とまでいわれた事態となりました。
その後、交通安全教育、指導、取り締まりなどの対策に都や警視庁、民間事業者、そして百二の地域交通安全協会を初めとするボランティア等の皆さんが官民一体で取り組んでいただいて、交通事故死者数は大幅に減少し、世界一ともいわれるような水準にまで達しました。
しかし、昨年来、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、学校の休校やテレワークの普及、不要不急の外出自粛等によって、公共交通機関から二輪車などへの乗りかえや、また、依然減らないあおり運転や自転車などによる幅寄せ等、交通を取り巻く環境に大きな変化があらわれております。
都は現在、新たな交通安全計画の策定に取り組んでおりますけれども、その計画においては、これまでの課題に加えて、こうした新たな状況の変化にも対応した実効性の高い交通安全対策も示すべきと考えますが、所見を伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、コロナ禍を踏まえた今後の交通安全施策に関して、これまでの高齢者の安全対策や自転車の安全利用の推進などに加え、子供の交通安全の確保や、コロナ禍での新しい日常への対応などが必要と認識しております。
このため、策定中の第十一次交通安全計画では、悲惨な事故から次世代を担う子供の命を守れるよう、子供の交通安全の確保を重点的な課題としまして、事故発生率の高い横断歩行時の安全教育の強化などに取り組みます。
また、新しい日常に対応するため、オンラインでの講習や動画の活用など、対面によらない交通安全教育や広報啓発活動の推進を盛り込んでおります。
こうした取り組みを通じて、警視庁や区市町村等と緊密に連携し、交通安全がより一層確保された社会の実現を目指してまいります。
○中屋委員 ぜひ事故が減るよう、地域と連携をして進めてもらいたいと思います。
次に、地域の防犯力について質問いたします。
東京都の治安については、近年、刑法犯認知件数が減少しておりまして、改善傾向にあると思います。その背景には、防犯団体の方々による防犯パトロールや、子供見守り活動等の地道な活動によって、地域の防犯力の向上が見られます。
このような地域の自主的な防犯活動を支援することが今後も非常に重要だと思います。
そこで、都が実施する防犯団体への支援策について伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、地域の防犯力を支えている防犯団体の活動を支援するため、防犯ポータルサイト、大東京防犯ネットワークを運用しまして、防犯に関する情報を発信するほか、毎年、防犯団体相互間の情報共有、意見交換等を目的とした防犯ボランティアの集いや青パトセミナーを開催しております。
また、日夜、地域の安全・安心のために活動している防犯団体の方々に対し、都として感謝の意を表する都民安全推進本部長表彰を実施することで、防犯団体における活動の活性化を図っております。
○中屋委員 今出ました都民安全推進本部長表彰というのは、國枝本部長の前の前の前の前ぐらいの河合本部長のときに始めたわけであります。
この本部長表彰について、令和二年度より、私が提案いたしまして、青色防犯パトロールを主として実施している防犯団体の功績をたたえる、いわゆる青パト部門の表彰を新設していただきましたが、都には引き続き、青パト活動をしている防犯団体にスポットが当たるように後押しをいただきたいと思います。
青パトは、地域にはそれぞれまた特色がありますけれども、独自で自主的にやっている地域や、また企業に委託しているところもあるようですが、今まちに出ても防犯パトロールの車を見ないときはございませんので、非常に浸透して、私はいい効果を上げていると思いますので、ぜひスポットが当たるようにまた後押しをいただきたいと思います。
また、昨年の事務事業質疑では、新たな支援策として、先ほどご説明いただいた大東京防犯ネットワークに、新たに防犯団体による投稿機能の追加を予定している旨の答弁をいただいたところであります。
そこで、実際に追加される新たな機能の内容と、それをどのように活用して防犯団体の支援を行っていくのかを伺います。
○斎田治安対策担当部長 現在、大東京防犯ネットワークのマップ機能の追加を進めておりまして、三月中に情報投稿マップとして運用を開始する予定です。
情報投稿マップとは、大東京防犯ネットワークに登録した防犯団体が、スマホ等により、その活動等を写真つきで投稿し、マップ上で公開する機能でありまして、近隣団体等の活動状況を把握しやすくなるほか、他団体のすぐれた取り組みを参照しやすくなるなどの効果が期待できます。
この機能を活用していただくことで、防犯団体相互の連携強化と防犯活動の活性化を図ってまいります。
○中屋委員 ご答弁ありました、直接顔を合わせての交流の場も私は大切だと思いますけれども、現下の情勢を踏まえますと、こうしたオンラインによる防犯団体同士のお互いの情報発信、情報共有のツールを提供する取り組みは、非常に評価してまいりたいと思います。
これまで既存の防犯団体に対する支援を中心にご説明いただきましたが、他方、私が繰り返し申し上げてきましたように、地域の防犯を長年にわたって支えてこられた方々というのは、高齢者が非常に多くなってきました。七十歳以上の方が非常に多く見られます。非常にこれは深刻な問題であると思いますし、治安や災害、また町会の活動なんかは、大体同じ顔の方々がやっておられるケースが非常に多い。
それも何とかしていかなければいけない大きな課題だと思いますが、地域の安全・安心の将来にわたる継続的な確保のためには、既存のボランティアの活躍だけではなくて、幅広い世代の参画を促していく必要があると思います。これまで防犯にかかわりのなかった方を、無理のない形で活動に参加いただきながら、少しずつ裾野を広げていくべきだと思います。
都では、これまで防犯人材ソフトパワーの発掘事業、また市民ランナーなどに、個人、団体を問わず、防犯活動への参加を広く呼びかけてきたと認識をしておりますが、今後は参加していただいた方々に、いかに活動を継続していくかが課題だと思いますが、そこで都の見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 都では、ランニングや犬の散歩といった日常生活の中で地域の安全を見守っていただく活動の普及に取り組んでおりまして、着実に見守りを行う都民の方々が増加してきております。
一方、その活動が個人的に行われるものにとどまる場合には、さまざまな事情で継続が難しくなる場合もあり、地域の防犯力を安定的に高めていくためには、防犯活動に新たに取り組まれる方々の組織化を促し、それらの団体の活動が地域に根づくことが重要であります。
こうしたことから、都は、令和三年度から、地域の見守り活動に協力していただけるランナーや犬の飼い主等に対して、防犯団体を結成したり既存の団体の活動目的に防犯を加えたりするなどした上で、大東京防犯ネットワークに登録していただく取り組みを新たに開始いたします。
○中屋委員 根づくというのは非常に大切だと思いますので、そこで新たな団体結成の促進や、結成された団体の活動の活性化のために具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 ランナーや犬の飼い主等に対して、ランニングステーションや動物病院等でのチラシ配布やポスターの掲示によって、地域の見守り活動への参加を広く呼びかけております。
そうした方々の活動が組織化され、大東京防犯ネットワークへ登録いただいた後には、パトロールに役立つグッズを配布するほか、地域の犯罪情勢と見守り活動の参考となる情報発信を積極的に行うことを通じて、それらの団体が積極的かつ継続的に活動していけるよう支援してまいります。
○中屋委員 今ありましたように、防犯団体となることで、都からの情報提供がしやすくなる。より効果的な活動が行われるという点でも、非常にいい取り組みだというふうに思います。
新たな防犯団体が多数結成されまして、また先ほどご説明いただいた情報投稿マップが活用されることによって、都内の防犯ボランティア活動が活性化されるということを期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○神林委員長 引き続きお願いいたします。
○細田委員 よろしくお願いします。私からも、さきの委員の方々と重ならないように簡潔に質問をさせていただきます。
まず、青少年等のインターネットのリテラシーについてお尋ねします。
平成三十一年の四月一日から、東京都の都民安全推進本部、福祉保健局、そして教育庁、この三局では、これまで電話やメール及びSNS等でそれぞれ対応してきた相談窓口を、都議会公明党の申し入れによって、都民の利便性を向上させる目的でSNSアカウントを統合したと聞いております。
そして、令和二年の六月には、都民安全推進本部の若ナビαについてもSNSアカウントを統合することにより、青少年が日常的に使用し、トラブルを抱えた青少年世代が気軽にアプローチできる、都民目線に立った相談窓口になると考えています。
特にLINEを利用した相談窓口については、都議会公明党の古城まさお議員が強く求め続けてきたものであります。
一方、インターネットのトラブル相談窓口であるこたエールは、コロナ禍において、令和元年度と比べて、相談件数の増加率が五〇%以上となる、このぐらいな状況になっていて、青少年やその保護者のほか、学校関係者から、各種インターネットトラブルに関する多くの相談を受け付けていらっしゃいます。
コロナ禍におけるインターネットトラブルの状況を鑑みますと、ますますインターネットリテラシーの向上について、まさに学生だけではなく、大人も含めて向上させていくことが必要である、このように考えます。
今後、青少年が各種ネットトラブルに遭わないよう、周囲の大人を含めて、いかにインターネットリテラシーの向上を図っていくつもりなのか、東京都の見解を求めます。
○斎田治安対策担当部長 コロナ禍におきまして、増加するネットトラブルから青少年を守るには、青少年だけでなく、周囲の大人も含めて、ネットを正しく使いこなす能力を持つことが重要と認識しております。
そのため都は、ネットの適正利用講座、ファミリeルールにおける家庭でのネット利用ルールづくりへの保護者の参加などを通じて、青少年に加え大人への啓発を展開しております。
来年度は、ネットの知識やトラブルの最新状況を題材とする大人向けシンポジウムをオンライン開催することにより、保護者や学校関係者、地域支援者等、青少年を取り巻くより多くの大人のリテラシー向上への機会を提供いたします。こうした取り組みを通じて、青少年をネットトラブルから守る対策を強化してまいります。
○細田委員 私も江東区の青少年対策の砂町地区委員というものをやらせていただいています。まさに今ご答弁にありました学校評議員、またPTA、そして地域の支援者の方々などに広げていくという取り組みは大変重要だと思っています。
また、大人への啓発、これを展開して、青少年を守っていく、この取り組みが連動していくことが、大きな効果が、力が発揮されていて、形になっていくものだと、このように思っています。
どうぞ、今のこのコロナ禍で活動もなかなかしにくい状況でありますけれども、来年度、大人向けのシンポジウム、これをオンラインでやっていただけるということなので、大いに期待しておりますし、広げていっていただくよう、また効果を検証していっていただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
シェアサイクルのバイクシェア、安全利用についてお尋ねします。
私は、東京臨海部で始まったこのバイクシェア、シェアサイクル、当初のころより多く利用するヘビーユーザーなんですけれども、この自転車シェアリングの利用に対しては、地元の江東区でも、また関連の四区、それからさらに広がって、今、新宿の方もつながってきている。
こんな大きな展開をする一方、利用者もふえる一方、さまざまな問題、これも課題になってきています。その中で、まさに多くが利用される、この自転車シェアリングの利用者に対しては、事業者が自転車に関する交通ルールやマナーを周知していく、このことが重要であります。
自転車シェアリングの利用者の安全性を促進するための現状の取り組みについてどうなっているのか、都に答弁を求めます。
○斎田治安対策担当部長 自転車シェアリングは、日常的に自転車を利用していない人も気軽に利用することができるため、利用者への安全利用の啓発が必要であります。
東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例では、事業者は、自転車シェアリング利用者が安全に利用するための啓発に努めるよう定めておりまして、利用時に使用するアプリ等を使って、安全利用を周知しています。
都におきましても、自転車シェアリング利用時等に配布される安全利用リーフレット等により、利用者に交通ルール、マナーを啓発しております。
○細田委員 このシェアサイクルの保険等についてお尋ねします。
シェアサイクルにおいても、自転車の安全利用教育が行き届き、事故に遭わないことがもちろん一番大事なことなんですけれども、万が一自転車の事故の場合は、被害者が確実に経済的な補償を得られることが大変重要になってきます。
東京都では、自転車損害賠償保険などへの加入が義務化されていて、自転車シェアリングの利用者も加入する義務があります。
この加入している保険の具体的な補償内容、この例について説明を求めますとともに、都が事業者に対して行っている保険加入の啓発、この取り組みについて答弁を求めます。
○斎田治安対策担当部長 昨年四月に施行した改正東京都自転車安全利用条例では、自転車シェアリング事業者に対して、自転車損害賠償保険等への加入を義務づけ、その内容を利用者に対して情報提供するよう定めています。
そこで、都では、事業者や業界団体等に対して、条例内容の周知徹底を図り、自転車損害賠償保険等への加入を促すとともに、利用者への確実な情報提供を求めております。
また、具体的な補償内容の例としては、利用者が事故を起こした場合も、相手への賠償に加えて利用者自身の補償を含むものがございます。
○細田委員 保険の賠償の金額ですけれども、相手の賠償に加えて、利用者の補償を含むものがあるということですけれども、金額も多額な金額、億近い、そういう事案も発生しておりますし、また、まさに含むものがあるということじゃなくて、ぜひ事業者がそういう責任感を持って、万全な体制で入っていっていただくよう、また改めて都が注視し、求めていっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○原委員 それでは、質問させていただきたいと思います。
初めに、交通渋滞対策について伺います。
まず、今年度までの五カ年間進められてきたハイパースムーズ東京の目的はどういうことだったか、改めて伺います。
○斎田治安対策担当部長 渋滞対策には、新たな道路整備などハードの取り組みが欠かせませんが、既存道路空間を活用した即効性のある対策も重要であります。
このため都は、警視庁や関係各局等と連携し、ITS技術等を活用した交通対策として、ハイパースムーズ東京を平成二十八年度から令和二年度までの五カ年にわたり展開してまいりました。具体的には、多摩地域を含む都内全域の主要渋滞箇所から五カ年で百カ所程度を目標に対策を実施しているところであります。
○原委員 ハイパースムーズ東京について、詳しい資料も出していただきました。
主要渋滞箇所及びハイパースムーズ東京全体の、この間の取り組みについての実績と評価を伺います。
○斎田治安対策担当部長 ハイパースムーズ東京では、交通量を予測し、最適な信号制御を行う需要予測信号制御などの信号制御の高度化、最適化のほか、目的地までのルート別混雑状況や所要時間等を表示する交通情報板の整備や、交差点付近の駐停車禁止場所を明示する赤系カラー舗装などに取り組んできたところであります。
これらの渋滞箇所について、直接対策を行った主要渋滞箇所、またその対策が渋滞緩和に寄与すると見込まれる他の主要渋滞箇所、それぞれの数を合わせ、五カ年で百二カ所を予定しておりまして、目標の百カ所を達成する見込みです。
これを踏まえ、来年度、ハイパースムーズ東京としての事業効果の検証に取り組むこととしております。
○原委員 目標箇所の達成が見込まれるということで、着実に推進されてきたことがわかりました。
その上で、都内の交差点等でさらに対応すべき主要渋滞箇所は現時点でどのぐらいありますか。
○斎田治安対策担当部長 都内の主要渋滞箇所のうち、これまでの対策箇所及び他事業の対象交差点や踏切等を除いた数は、残り百二十七カ所となっております。
○原委員 現時点でも百二十七カ所残っているということです。それ以外にも、まだ対策が必要な箇所も多くあるのではないかと思われます。
今後もさらに事業を進めていくことが必要だと思いますが、来年度以降の計画はどのようにしていくのでしょうか。
○斎田治安対策担当部長 来年度、これまでの五カ年の取り組みの効果検証を行うとともに、これまで対策を行っていない主要渋滞箇所への調査を行い、次期事業を検討してまいります。
○原委員 効果検証を来年度行うということですが、検証しつつ、必要なところは来年度も手を打っていただけないかというふうに思います。
次期事業を検討するということですけれども、事業の継続が必要不可欠であるということは、現時点でも明確ではないかと。先ほどの百二十七カ所、今の時点でも残っているということでは、本当に今後も推進していくことが必要だというふうに思いますけれども、改めてこの事業についての推進をしていくという方向での見解を伺いたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 来年度、事業効果の検証をしっかりと行った上で、今後の予定を検討してまいりたいと思っております。
○原委員 効果検証は非常に重要だと思いますので、それはきちんと行っていっていただくということだというふうに思いますけれども、先ほどもご答弁にあったとおり、百二十七カ所あるんだということをしっかり捉えて、推進をしていっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
それで、冒頭の部長のご答弁では、渋滞対策には新たな道路整備などハードの取り組みが欠かせないが、既存道路空間を活用した即効性のある対策も重要だというふうに述べられました。
それで、私の地元の清瀬市、東久留米市でも、ちょうど市をまたがるところなんですが、新たな道路建設がありまして、その中で複雑な交差点になって深刻な渋滞が続くようになりました。
そのため、通学路でもある住宅街の細い道路が、抜け道として使われて大型車も入ってきて、大変危険な状態となって、それでまさにハイパースムーズ東京、この渋滞解消対策の対象になって対応されて、かなり改善をされたということがありました。
私はこのときに、必要な道路であっても新しい道路ができると、逆にそのことで渋滞や交通安全に課題が出てしまう場合もあるということも非常に感じたんですね。
そういうときに、この渋滞解消の対策をしっかりとっていくというのは非常に重要だなということを一つ思ったのと、あと都内の自動車総保有台数は、二〇一五年の五百六万台から、二〇二〇年度は四百九十七万台に減少しているということもいわれていまして、そういう中では、道路建設についても不要不急のものはしっかり見直しながら、ハイパースムーズ東京のような事業を進めていくということで、そのことこそ環境にも財政的にもプラスであるんではないかというふうに感じています。
その点を指摘して、次の質問に移りたいと思います。
次に、区市町村における子供・若者計画の策定について伺います。
都内区市町村において、子供・若者計画の策定状況はどのようになっていますか。
○小菅若年支援担当部長 令和二年十二月現在、都内十九自治体におきまして、子供・若者計画が策定されております。
○原委員 この子供・若者計画を策定していくというときに、内閣府では、子供・若者計画として認められる計画か否かを確認する要素を示していると思いますが、それはどういう内容か、ご説明いただけますか。
○小菅若年支援担当部長 市区町村の子供・若者計画につきましては、子ども・若者育成支援推進法第九条に基づきまして、子供・若者育成支援推進大綱及び都道府県子供・若者計画を勘案して作成する子供、若者育成支援についての計画でございます。
なお、次の三点のいずれかに該当する場合を除くこととされております。
一点目として、平成二十二年七月の子供・若者育成支援推進大綱以前に作成され、その後改定されていないもの、二点目として、計画内や計画を掲載するホームページで、子ども・若者育成支援推進法に基づく計画であるとの位置づけが明確にされていないもの、三点目として、主たる対象がゼロ歳から二十九歳までの青少年でないものでございます。
○原委員 今ご説明いただいた三つの要素といいますか、そうしたことを踏まえて策定をしていくということになるわけですが、その要素を踏まえた子供・若者計画を新たに策定している自治体が何団体で、どういう経緯で策定をされたのか特徴を伺います。
○小菅若年支援担当部長 令和元年十二月から令和二年十二月までの間に、新たに七自治体が子供・若者計画を策定しております。
策定した自治体からは、社会状況の変化により、子供、若者施策の重要性が高まったことや、講習会など都の働きかけがきっかけとなり、子供・若者計画策定に取り組んだ旨の話を聞いております。
○原委員 今回新たに策定したのは、いただいた資料でもわかるように、台東区、荒川区、八王子市、三鷹市、東大和市、多摩市、羽村市の七自治体ということだと思います。
社会状況の変化により、子供、若者施策の重要性が高まったという認識のもと、策定されている自治体もあるというお話がありましたが、これはとても重要なことだというふうに思っています。
八王子市のホームページを見ますと、計画策定の趣旨に書いてあるんですけれども、これ、とても重要だと思ったんですが、子供、若者を取り巻く環境は、いじめや不登校、児童虐待、貧困、ひきこもりなど、さまざまな問題が生じているとともに、複雑化しています。また、社会が目まぐるしく変化する中で、働くことや自分の進路に悩みを抱え、孤立してしまう若者が多くいることもわかってきました。今後、さまざまな課題に対応するとともに、全ての子供、若者が社会的自立に向けて自分らしく歩んでいくためには、年齢や分野を問わず切れ目なく支援していくことが求められています。また、子供、若者がそれぞれの今を充実させていけるよう、さまざまな体験や活動機会を創出していくなど、社会全体でその活躍を応援することが大切ですというふうに書かれていて、今までは子供施策をずっと子供育成計画に基づいてやってきたけれども、これを発展させて、妊娠期から若者期までの切れ目ない支援施策を推進するため、これまでの子供施策に加え、若者施策を合わせ、子供・若者育成支援計画として策定するという説明があって、非常にわかりやすいですし、先ほどのご答弁にあったように、社会状況の変化等により、子供、若者施策の重要性が高まったということを捉えて、切れ目のない支援をしていくということが書かれていました。
私は、そういう意味では、最初にご説明いただきました内閣府の示している基準、計画の主たる対象者をゼロ歳から二十九歳までとして、切れ目のない支援を行うということが非常に重要になってきているというふうに思います。
そうした視点で、都として、一層区市町村の計画策定に向けた働きかけをすべきだというふうに考えていますが、いかがですか。
○小菅若年支援担当部長 子ども・若者育成支援推進法に基づき、市区町村は子供・若者計画を作成するよう努める旨、定められておりまして、都はこれまでも地域の実情に応じた計画策定が進むよう、情報提供を行ってまいりました。
具体的には、東京都子供・若者支援協議会や、市区町村との情報交換会などを活用し、自治体における計画策定のノウハウや取り組み等の紹介を行うとともに、国が実施する研修等への参加の積極的な呼びかけを行うなど、働きかけを行っております。
○原委員 働きかけを行ってきているということですが、ちょっと確認だけさせてください。働きかけを行っているという答弁で締めくくられているんですけれども、今後も働きかけは継続をされるということで確認してよろしいですか。
○小菅若年支援担当部長 引き続き行ってまいります。
○原委員 わかりました。ぜひお願いしたいと思います。
それで、計画策定については、動きが出てきていると、新たに七団体策定をするなどの動きも出てきているわけですけれども、なかなか区市町村の子供・若者支援地域協議会については広がっていないのかなというふうに思います。
計画の具体化を進める上で、支援地域協議会は非常に重要です。
都は、設置が広がらないことについて、どのように分析をされているでしょうか。また、子供・若者支援地域協議会の設置促進に向けてどのような働きかけを行っているか伺います。
○小菅若年支援担当部長 令和二年十二月現在、八自治体において、子供・若者支援地域協議会を設置しております。
協議会の設置につきましては、各市区町村において、地域のさまざまな実情等を踏まえて判断していると認識しております。市区町村での協議会の設置を推進していくため、引き続き情報提供に努めてまいります。
○原委員 切れ目のない支援を進めていく上で、ネットワークの構築は非常に重要であって、協議会はその柱になります。ぜひ働きかけをさらに進めていただきたいというふうに思います。
協議会を設置していない自治体が、ネットワーク構築にどのような取り組みをしているかなどもぜひ把握をしていただきながら、協議会設置へ進んでいけるように働きかけをお願いしたいと思います。
東京都の協議会を私も傍聴させていただいたときに、ちょうどひきこもり支援について、福祉保健局に所管が変わるということが話題になったときだったんですが、年齢で区切ることなく、ひきこもり支援を進めていくことの重要性について、皆さん踏まえられながらも、青少年期の支援の重要性が薄まらないようにしないといけないというふうに真剣に意見を交わされていました。
生きづらさを感じている子供、若者の支援に当たっている人たちが意見交換していくことで、連携をしていく場になっているんだというふうに思いました。
こういう場が各地域にあることが、今ほど大事になっているときはないと思いますので、ぜひ引き続きの努力をお願いいたしまして、質問は終わりたいと思います。
○中村委員 それでは、改定東京都自転車安全利用推進計画について質問いたします。
自転車は、道路交通法上の車両ですが、利用に当たって免許証の取得が必要なく、いわゆる原付のように免許証取得を通じて利用ルールを学ぶ機会がありません。この面からも、自転車利用者はルールに対する意識が必ずしも十分とはいえません。
ルールに対する意識が低いことが、スマートフォンを見ながらなどの危険な運転などにつながっており、依然として高校生などを中心に改善されたようには感じられません。
解決には、自転車利用のルール、マナーを、交通安全教育を通じ普及啓発することが欠かせません。
まず、自転車のルール、マナーの普及啓発についてどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、学校等における自転車シミュレーターを活用した交通安全教室の開催や、インターネットを通じた自転車安全利用に係る啓発動画の配信、ながらスマホなどの禁止行為等をまとめたリーフレットの作成、配布などを実施しております。
また、自転車購入時の機会を利用し、自転車安全利用のルール等を確認できるルール、マナー確認書を自転車販売店を通じて配布するなど、他の主体との連携を通じた普及啓発にも取り組んでおります。今後もさまざまな機会を通じて、自転車の交通ルール、マナーを普及啓発してまいります。
○中村委員 普及啓発をしていただいているとのことですが、まだまだ十分とはいえません。その原因は、自転車は車両ですが、そういう認識がない方がまだまだいることが問題です。
実際に原則歩行者しか通行できない歩道を自転車で走ることができるのは、通行可の標識があるからですし、一方通行を逆走できるのは、自転車は除くとなっているからです。自動車と違う動きができるのは例外だとの認識が必要です。
手軽に乗れ、環境にもよい便利な乗り物である反面、歩行者に対しては加害者になるものですから、より一層の普及啓発をお願いします。
とりわけ、さきの事務事業質疑でも対応を要請しましたが、新型コロナ禍におけるデリバリーサービスを行う自転車の走行が社会問題になっています。より一層のルールとマナーの徹底を求めます。
さて、自転車の事故を減らすために自転車の交通ルールなどを普及啓発することが重要ですが、特に高齢者については、自動車の運転免許を返納すれば自転車に乗ることが考えられますが、自転車はバランスをとって乗る必要があり転倒しないか心配です。転倒しないようにするには、三輪の自転車など安定性の高い自転車を利用するということも考えられます。
一方で、三輪自転車は、通常の自転車に比べて重量があるなど、二輪の自転車とは異なる乗り方が必要になります。
そこで、高齢者の方に三輪自転車の安全な乗り方を普及啓発していく必要性があると考えますが、取り組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、運転免許を返納された高齢者などを対象に、地元自治体や警察署などと連携して自転車安全利用の講習会を開催しており、そこでは三輪自転車の実技指導も実施しております。
改定自転車安全利用推進計画の中間案におきましても、自転車製造業者に対して高齢者向けの三輪自転車など、安定性が高く転倒しにくい自転車の開発や普及を図ることを求めております。
○中村委員 ご高齢の方の事故を何とかして減らしたいので、できれば免許を返納された方には、自転車は無理をしないでいただきたいというのが本音です。
ただ、交通事情がよくない場合に自転車は便利ですから、それであれば、より倒れにくい三輪自転車はどうかと考え質問しました。
これからますます高齢社会が進んでいきます。自動車の運転免許証の返納を進めるためには、コミュニティバスやオンデマンドバスなどの高齢者の移動が便利にできる社会を目指すのがよいのですが、そこに至るまでの間にどうしても自転車がないと不便な場合は、三輪自転車であったりヘルメットの着用を求めたりと、広い範囲での対応をお願いします。とにかく一件でも事故が減らせるよう、よろしくお願いします。
次に、第三十二期の東京都青少年問題協議会の答申について質問します。
警察庁の統計では、SNSに起因する青少年の性被害などは年々増加しているとのことです。今回、改めて知事から協議会に諮問がされました。これまでも携帯電話端末等の推奨制度やフィルタリングの推奨など、さまざまな施策を行ってきましたが、十分ではありませんでした。
なぜ被害を抑えられなかったと分析しているのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 インターネットや、特に近年急速に普及しているSNSを利用することにより、世代や地域を容易に超え、個人が情報を自由に発信することが可能となっている一方、青少年の間で面識のない者と実空間で面会することに対する警戒感が希薄となってきております。
こうしたことを背景として、青少年によるSNSの不適切な利用に起因する性被害等が多発しているものと認識しております。
○中村委員 SNSの急速な普及が原因とのことですが、便利な道具は、悪いことをしようとする人にも便利な道具になってしまいます。今回は、そうした状況から諮問したんだと思いますが、犯罪に巻き込まれる青少年を一人でも減らすために、より迅速な対応を求めます。
答申により、さらなる対策が示されました。既に高校生で九二%、中学生でも七五%がスマートフォンを利用していて、全体の五五・四%を大きく上回っています。
だからこそ、答申には、危険性を強調しつつも、SNSを初めとするインターネットの利活用を控えさせるのではなく、適切な利用に導いていく必要があるとあります。
これだけ普及しているので、利用を遠ざける方法には限界があり、むしろ普及を前提にして、より情報について学ぶこと、インターネットリテラシーを学ぶことが大切だと思いますが、見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 スマートフォンやSNSの普及に伴い、青少年がインターネットリテラシーを学ぶことがますます重要になっております。
都では、子供たち自身が当事者としてインターネットに関する意識を高めるための講座や、家庭におけるルールづくりなどについて学ぶファミリeルールを運営しております。
今後とも、青少年がインターネットの安全な利用方法等を身につけることができるよう、啓発活動を推進してまいります。
○中村委員 インターネットリテラシーを学ぶのは、必ずしも学校だけではなく、家庭教育、社会教育も重要です。大人よりも子供の方が使いこなし、親や地域が教えられなくなってしまいます。施策として、親や地域にも理解していただくことが重要です。
先ほども述べましたが、インターネットの利用を遠ざければよいという時代でもなくなっているわけですから、むしろそれを使いこなし、犯罪に対抗する知識をつけることが必要です。
また、青少年が悩み苦しむ場合があり、答申にもあるように寄り添った対応が必要です。新型コロナで青少年が悩む心のすきに犯罪者がつけ込んでくるのは、何もSNSだけではなく、現実の世界でも同じことです。
だからこそ、青少年の居場所が必要であり、犯罪者が入り込んでくるような心のすき間を地域こそが埋めることが被害の防止につながります。
青少年の支援という点で、居場所づくりが重要です。中学までは地元にいても、高校に入ると地域を離れます。私立だと中学から地域を離れてしまいます。市区町村で児童館などはあるんですが、なかなか青少年の居場所がありません。
都は、市区町村と連携して、青少年の地域の居場所づくりを推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○小菅若年支援担当部長 青少年の地域の居場所づくりにつきましては、住民に身近な地域において対応することが重要と考えております。
都は、地域のニーズに応じて、市区町村が子供、若者の育成支援施策を円滑に実施できるよう、地域における子供、若者の自立等支援体制の整備を促進しております。
具体的には、社会的自立に困難を有する子供、若者の支援事業等の新設、拡充を行う市区町村に対して費用の一部を補助しており、そのメニューに居場所事業も加えております。
今後とも、補助事業の積極的な活用を促すとともに、市区町村との情報交換の場などを活用し、自治体における居場所づくりの好事例を紹介することなどにより、地域における取り組みを後押ししてまいります。
○中村委員 青少年の居場所づくりは、地域が重要なので、市区町村に対して支援を行っているとのことでした。
地域から離れた青少年は、通常であれば学校や職場に居場所があるんですが、今では新型コロナのため、そうした場所がなくなってしまっています。コロナ後も、テレワークなどが進めば、こうした状況は続くかもしれません。
青少年の居場所づくりが、長い目で見れば地域との接点にもなり、今度は地域の担い手にもなっていける存在でもあります。
人間関係が希薄な現代の社会において、SNSだけではなく、あらゆる犯罪から青少年を守るためにも地域における居場所づくりの促進を要望して、質問を終わります。
○山内委員 私からは、SNSの不適切な利用に起因する青少年の性被害等が深刻化する中での健全育成、第三十二期青少年問題協議会答申についてお伺いしたいと思います。
子供への性被害は、子供の人権を著しく侵害する極めて悪質な行為です。
ユニセフは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界各国で休校措置や外出自粛が続く中、子供たちはインターネットを使う時間が長くなっていることで、危険にさらされるリスク、性犯罪に巻き込まれる危険性が高まっていると警鐘を鳴らしています。
子供、若者のスマートフォンやSNSの利用状況について、都民安全推進本部は現状を把握するために調査を行ったとのことですが、どのような調査でどのようなことがわかったのかお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 都は、家庭における青少年の携帯電話、スマートフォン等の利用等に関する調査としまして、都内在住の小中高校生の保護者二千名を対象とした調査を行い、その結果を令和二年四月に公表いたしました。
調査結果によれば、スマートフォンの所有状況については、小学生からスマートフォンを持ち始める子供の割合が前年度に比べ増加するとともに、スマートフォンを所有する小学生の約三割がSNSを通じ知らない人とやりとりをしたことがあるとの結果が明らかとなりました。
○山内委員 ネット、スマホのトラブル相談窓口、こたエールへの相談が、新型コロナ対策によって増加しているとのことです。その変化と、それに対する見解についてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 青少年やその保護者等を対象としたネットやスマホに関する相談窓口、こたエールでは、トラブルを抱えた青少年やその保護者等が気軽に相談できるよう、電話、メール、LINEにより相談を受け付けております。
昨年二月から本年二月までの相談件数は、前年同期比で五割以上増加し、内容としては、個人情報関連、交友関係、ネット依存に関する相談が多くなっております。
○山内委員 答申を受けて、都は、SNSでの出会いに関する危険性についての普及啓発を強化いたします。
その一つとして、ターゲティング広告をするとのこと。危険性を自分事として捉えてもらうように工夫するとのことですが、被害に遭ったときに自分の責任だと思って、相談をちゅうちょするようなことがあってはなりません。
子供、若者が被害者だということを十分理解して、慎重に丁寧に、わかりやすくすることが重要だと考えますが、見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 SNSの不適切な利用に起因する性被害の増加の背景には、青少年が性に関する判断能力が発展途上であることにつけ込む大人の存在があると認識しております。
そこで、第三十二期東京都青少年問題協議会では、青少年の要保護性に留意しつつ検討が行われ、現下の状況に対する緊急の対応として、青少年に対するSNSでの出会いに関する危険性についての普及啓発の強化が答申されました。
都としては、これを踏まえ青少年に対して、そうした危険を自分事として捉えてもらうための工夫を凝らし、ターゲティング広告等により普及啓発を推進してまいります。
○山内委員 加害者となり得る者、大人に対してこそ啓発が重要です。見解をお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 SNSの不適切な利用に起因する青少年の性被害等については、社会全体で取り組むべき問題でありまして、大人も含めて理解を深めていかなければなりません。
第三十二期東京都青少年問題協議会の答申では、関係する大人を含め、ターゲティング広告などのオンラインを活用した普及啓発を行うことについて提言がなされており、都としては、これを踏まえ、青少年をSNSの不適切な利用に起因する性被害等から守る取り組みを推進してまいります。
○山内委員 深刻な悩みを抱える子供、若者への対応として、さまざまな相談窓口につないでいくことが重要です。
公的機関や民間団体等の相談窓口にどのようにつないでいくのでしょうか。
情報リテラシー、インターネットリテラシーなどの重要性など、他局、福祉や教育等との連携が重要ですが、今後どのように情報共有をしていくのかお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 第三十二期東京都青少年問題協議会の答申では、ターゲティング広告を活用して、インターネット上でハイリスクな行動を行ってしまう青少年に適切な相談窓口を教示することについて提言がなされておりまして、都としては、これを踏まえ、青少年に寄り添った対応を行ってまいります。
また、これまでSNSを含む青少年のインターネットトラブルについて、関係機関が参画する情報連絡会等の場で共有しておりまして、引き続き青少年を守るため関係機関と連携してまいります。
○山内委員 保護者を対象に調査を行ったというご答弁がありました。子供、若者がSNS等でどんな困難に遭っているのか、どんな不安を感じているのか、危険な目に遭ったかなど、当事者である子供、若者自身に意見を聞くことが重要だと私は考えております。
日本ユニセフ協会は昨年、ユニセフの子供スマホサミットを開催しました。約百八十人の中高生が参加して、ネット依存、ネットでの出会い、ネットいじめ、ネットの信頼性をテーマに、安全なデジタル世界をつくるために大人は何をすべきか、子供には何ができるか、熱心に話し合ったそうです。それを提言としてまとめて、国連子どもの権利委員会に提出したということです。
ぜひ当事者である子供、若者の声を聞いて、安全・安心なデジタル環境をつくり、性被害に遭わない社会を求めて、私の質問を終わります。
○小磯委員 策定中の第十一次東京都交通安全計画についてお伺いをいたします。
六十五歳以上の高齢者は、他の年代と比較して致死率が高く、また道路交通事故の死者の四割近くを占めているわけであります。
高齢者の中には、自動車の運転免許証を保有したことがない、また交通安全教育を受ける機会が少なかった、そういった方も存在すると考えます。
私は、高齢者の安全といいますか、それについて最近すごく感じているのは、横断歩道のないところで道路を横断する高齢者が本当にふえております。しかも、堂々とゆっくり歩いているんですね。そんなことで、こうした高齢者の方の安全というのを、どうしたらいいのかなというのを常々考えております。
また、高齢運転者による事故も後を絶たず、高齢運転者の安全運転や免許返納を目的とした啓発活動も重要であります。
そこで、高齢者への交通安全教育、普及啓発についてお伺いします。
○斎田治安対策担当部長 高齢者の交通安全を確保するに当たり、交通安全教育や交通ルール、運転免許自主返納の普及啓発は重要と認識しております。
高齢者は、加齢に伴い、身体認知機能が低下する場合があることを踏まえ、都は、高齢者みずからが道路横断等の体験をする歩行者シミュレーターを活用した参加体験型の交通安全教室を推進し、高齢者の歩行中の交通事故防止を図っております。
また、高齢運転者による事故の特徴や、運転免許自主返納制度の周知等を取り入れた高齢ドライバー交通安全セミナーを実施し、高齢運転者の交通事故防止に取り組んでおります。
今後とも、さまざまな手法により、高齢者に対する交通安全教育や普及啓発の充実に取り組んでまいります。
○小磯委員 ただいまの交通安全教室は大変大事だと思いますけれども、恐らく回数だとか、人数だとか、限界があるんじゃないかなと思います。
そういった中で、例えば老人クラブでありますとか、サークル活動でありますとか、またデイサービスだとか、そういった高齢者の皆さんが集まる機会をぜひ捉えて、こういった普及啓発に取り組んでいただきたいと思います。
それから、高齢者だけでなく、きのうそうだったんですけど、小学校高学年の女の子二人が歩道の縁石に座って、足は車道にあるんですね。余りにも危なくて、私は注意しましたけれども、やっぱり子供たちへの交通安全の普及啓発、これも大事です。
いわゆる子供たちは自動車とか自転車とか、思っている以上に信用しているんじゃないかなと。決して信用できるものじゃないということを普及啓発していただきたいなというふうに思います。
それから次に、あおり運転についてお伺いをします。
あおり運転とは、後方から車間距離を詰めて、威嚇をしたり、また前に割り込んで急ブレーキを踏んだりするなどの悪質かつ危険な行為であります。
都も関係機関と連携し、あおり運転への対策の一環として、普及啓発に取り組むことが必要と考えます。
そこで、あおり運転防止に向けた普及啓発についてお伺いします。
○斎田治安対策担当部長 都はこれまで、全国交通安全運動やTOKYO交通安全キャンペーン等を通じまして、関係機関と連携し、あおり運転の禁止に関する普及啓発を実施してまいりました。
あおり運転の禁止に関する道路交通法が改正されたことを踏まえ、新たに罰則の内容や妨害行為の対応について、具体的に記載したリーフレットを作成、配布しております。今後も関係機関と連携し、あおり運転の禁止の普及啓発を実施してまいります。
○小磯委員 あおり運転に遭ったときのドライバーの対処の仕方、これも大変大事になってくると思います。あおり運転をどんどんあおるような、そういった対処ではだめだというふうに思います。
それから、リーフレットにつきましては、ちょっと聞くところによると、二万部弱ぐらいのリーフレットの作成だと聞いていますけど、先ほどの自転車のリーフレットは相当の数を作成するようですので、運転免許の書きかえのときなんかには、そうしたあおり運転については、このような危険な行為で、また対処はこうなんですよといった、そういった、全員に渡せるぐらいの思い切った数を作成してもらいたいなと要望しておきたいと思います。
次に、東京都自転車安全利用推進計画の改定版について伺います。
現在、第十一次東京都交通安全計画策定とあわせて、東京都自転車安全利用推進計画の改定中でありますが、高校生の危険な運転など、ルール、マナーを守らない自転車を少なからず目にしているところでございます。ルール、マナーの普及啓発が自転車の安全利用には欠かせません。
毎年五月は、自転車基本法に定める自転車月間であり、普及啓発の絶好の機会でございます。昨年は、コロナ禍の影響で、本来実施すべき各種の普及啓発事業が実施できなかったと思います。
来る自転車月間において、自転車のルール、マナーの普及啓発の取り組みについて、都の見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 自転車死亡事故の過半数は、自転車側に何らかの違反があったとされておりまして、自転車安全利用のためには、自転車のルール、マナーの遵守が不可欠と認識しております。
都は、ことし五月を自転車安全利用TOKYOキャンペーン期間として、市区町村や警視庁、東京都交通安全協会などの関係団体と連携して、自転車利用者の多い繁華街や交差点等において、自転車安全利用街頭啓発隊による呼びかけを実施いたします。
本キャンペーンにおいて、スタントマンが交通事故を再現するスケアードストレート交通安全教室を市区町村等とのイベントと連携して開催するなど、効果的に啓発を図ってまいります。今後とも、本キャンペーンを自転車安全利用促進の好機と捉え、さらなる普及啓発に努めてまいります。
○小磯委員 今、自転車安全利用街頭啓発隊を結成して呼びかけるということでございますので、ぜひ効果が発揮できるよう、強調するところをしっかり啓発隊に啓蒙していただきたいというふうに思います。
それから、これは一つご検討いただきたいんですけれども、自転車のいわゆるベルですね、今回出した自転車安全利用推進計画、これの二五ページで、日常的な点検整備のポイントってあるんですね。その中に、警音器はよく鳴りますかという点検の項目があるんです。でも、このベルについては、ベルを鳴らすことは完全には違法じゃないけれども、危険性のないときは違法だというふうに伺いました。
狭い歩道でも、自転車がオーケーという歩道がありますよね。そういったところで、歩行者が歩いていて、その横を自転車が通るとかいうとき、人間ってそんな真っすぐに、いつも真っすぐに歩けるわけじゃなくて、右行ったり、左行ったり、右行ったときに後ろからの自転車に、思わずこう来て、わあ、びっくりしたみたいな、そういうことが皆さん経験あるんだと思うんです。
やっぱりそういったとき、自転車をおりて横を通るのかもしれませんけど、なかなかそうはいっても、自転車ですうっと行きたい人にとって難しい面もあるんで、この自転車のベル、これについては、ある程度許容していただくような、そういうことも大事じゃないかなと。これは私の意見ですけど、ご検討いただいて、私の質問を終わります。
以上です。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○神林委員長 次に、付託議案の審査を行います。
議員提出議案第一号を議題といたします。
本案について提出者の説明を求めます。
○米倉委員 東京都青少年問題協議会条例の改正案について説明いたします。
この条例改正は、若者のことは若者と決めるために、都の青少年施策を議論する大事な場となっている青少年問題協議会に、若者の参加枠を設けるための改正です。
青少年問題協議会は、地方青少年問題協議会法第一条に基づいて、全国の都道府県及び市町村に附属機関として設置されており、青少年に関する総合的施策の重要事項の調査審議など、青少年施策にかかわる中心的な役割を担っています。
東京都青少年問題協議会においても、東京都子供・若者計画改定についての答申、SNSを通じた性被害から青少年を守る方策について答申、生きづらさを抱える若者の社会的自立に向けた支援についての意見具申など、重要な役割を果たしてきました。
しかし、協議会の委員は、条例で、都議会議員六人、学識経験者十六人以内、関係行政庁の職員五人以内、東京都の職員八人以内となっており、当事者である青少年は入っていません。
今回の条例改正で、協議会委員の構成を定める第二条三項に青少年六人を追加し、総定員を三十五人から四十一人にふやします。
青少年の委員が入ることは、何よりも当事者の意見、実態を踏まえた調査、審議を行うために不可欠だと思います。子どもの権利条約でも意見表明権が保障されており、青少年が参加し、その意見を重視することが求められています。
私たちは、条例改正を検討するに当たって、全国の都道府県の状況も調査しました。
神奈川県青少年問題協議会には、条例の規定はありませんが、十八歳以上三十歳未満の方を対象にした公募委員を募集しており、実際に公募委員が協議会に入っています。静岡県や山梨県の青少年問題協議会にも、同様に青少年の委員がいます。しかし、条例に当事者である青少年の委員の参加を明記する県はありませんでした。
今回の改正内容は、青少年の委員の参加を保障する都道府県条例では初めてのものです。青少年が審議会に参加し、その意見を述べ、都政に反映するための条例改正として皆様のご賛同をお願いし、提案説明といたします。
○神林委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。−−よろしいですか。
ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で都民安全推進本部関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後二時四十一分休憩
午後三時開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより政策企画局関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、政策企画局所管分及び報告事項、未来の東京戦略案について外二件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○梅村総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る二月十五日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をごらんください。
初めに、一ページをお開き願います。チーム二・〇七プロジェクトについてでございます。
チーム二・〇七プロジェクトにつきまして、一昨年八月の未来の東京への論点の公表から時系列でお示ししております。
次に、二ページをお開き願います。東京ベイeSGプロジェクトについてでございます。
東京ベイeSGプロジェクトにつきまして、昨年五月のポスト・コロナにおける東京の構造改革検討チームの設置から時系列でお示ししております。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○神林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○木下委員 私からは、先月公表されました未来の東京戦略案についてご質問をさせていただきます。
未来の東京戦略案は、一昨年の十二月に策定された未来の東京戦略ビジョンを、新型コロナウイルス感染症との闘いを通じて浮き彫りとなった課題や社会の変化を踏まえて、バージョンアップしたと聞いております。
先日の都議会本会議における我が会派の代表質問に対し、この未来の東京戦略を推進し、成長と成熟が両立した明るい未来の東京を切り開いていくという、小池知事の強い思いをお伺いいたしました。コロナ禍に苦しむ都民にとって、コロナ禍を乗り越えた先の切り開くべき東京の未来をしっかり共有し、都政を推し進めていくことは大変重要です。
そこで初めに、未来の東京戦略案の基本的な事項について確認をいたします。まず、未来の東京戦略は、都においてどのような位置づけになるのかお伺いをいたします。
○吉村理事 未来の東京戦略が目指す二〇四〇年代の東京の姿でありますビジョンを提示し、ビジョン実現への二〇三〇年に向けた戦略と戦略実行のための推進プロジェクト、さらには、具体的な施策であります三カ年のアクションプランを定め、都の行政分野の全般にわたって施策、政策の方向性を示した都政の新たな羅針盤となるものでございます。
今後、各局のさまざまな事業が、この未来の東京戦略に基づいて進められることになります。
○木下委員 ありがとうございます。ただいまのご答弁から、未来の東京戦略は、各局が策定する計画や、都の事業の最上位に位置づけられるものと理解をいたしました。
羅針盤というご説明ございました。羅針盤というと、進むべき方角を示すものとイメージされますが、未来の東京戦略では、各戦略に推進プロジェクトが定められ、そして、プロジェクトごとに取り組み内容やスキームと三カ年のアクションプラン、いわゆる工程表として記載がされております。
工程表というのは、目標の実現に向けた具体的なプロセスを示すものです。現時点の案では、プロジェクトによって、この工程表部分の具体性には差があるというふうに私は感じました。取り組みの実行に当たって重要なのは、やはり実効性の確保でございます。そのためには、まず、プロジェクトの目標を明確に定め、そのための取り組みをしっかり描き切ることが重要です。その意味で、工程表となる三カ年のアクションプランを、どのプロジェクトにおいても具体的にしていただくよう、まずはお願い申し上げます。
そして、次は実行です。そして、一旦実行した後は、やりっ放しではなく、取り組みがもたらした成果や課題点を把握、検証し、取り組みの加速化や見直しにつなげていくPDCAサイクルをしっかりと回していく必要がございます。
私は、先般の政策企画局の事務事業質疑においても、二〇二〇年に向けた実行プランの事業実施レビューについて取り上げさせていただき、未来の東京戦略においても、引き続きPDCAの取り組みを行い、都民生活の向上と持続可能性を担保する都政運営に当たっていただきたいとご要望させていただきました。
そこで、未来の東京戦略の実効性を確保するため、戦略で掲げた目標や取り組みをどのように進捗管理していくのかお伺いをいたします。
○吉村理事 未来の東京戦略で掲げた政策目標や三カ年のアクションプランにつきましては、これまでの二〇二〇年に向けた実行プランと同様に、進捗状況を把握し、成果や課題を検証するPDCAサイクルの徹底を図り、取り組みの実効性を高めてまいります。
その際、政策ダッシュボードによる取り組み状況の見える化に加えまして、政策立案アプリによる情報の一元管理や事業ステータス、つまり進捗状況の随時把握など、デジタルツールを活用することで、目標実現に向けて戦略を機能的にバージョンアップするための工夫を凝らしてまいります。
○木下委員 ありがとうございます。政策ダッシュボードとか、政策立案アプリという新たな言葉が今語られておりました。デジタルによる正確な目標管理への新たな取り組みを、都政運営に取り入れていくことというふうに理解いたしておりまして、大変期待をいたしているところでございます。
デジタルツールを活用して、都の職員が効率的に計画のPDCAサイクルを回していくことは、シン・トセイで掲げられた都政の構造改革の取り組みとも軌を一にするものだと思います。適時的確に掲げた戦略と取り組みをバージョンアップし、取り組みの進捗状況をダッシュボードなどを通じてタイムリーにわかりやすく都民に伝えることで、都民生活の質の向上、いわゆるQOL、クオリティー・オブ・ライフの向上につなげていっていただきたいというふうに考えます。
ぜひ、計画全体の実効性を高めるための効果的な進捗管理の手法の確立に向けて、チャレンジを形にしていっていただきたいと要望いたします。
次に、各戦略に関する具体的な質問に入ります。
まずは、戦略の核として位置づけられているChildren、Choju、Communityの三つのCについてお伺いをしていきたいと思います。
最初に、Childrenの観点から、チーム二・〇七プロジェクトについてお伺いをいたします。
合計特殊出生率二・〇七、これは人口置換水準といわれます、我が国の人口を長期的に維持するために必要となる水準の数値です。先日公表されました未来の東京戦略案では、二〇四〇年代に目指す東京の姿として、この合計特殊出生率二・〇七を堅持しています。
一方で、コロナ禍の影響によりまして、昨年四月から十月にかけての都内の妊娠届け出件数は、前年同期比でマイナス九・一%と大きく減少しております。東京の合計特殊出生率は、直近の二〇一九年の数値である一・一五からさらなる落ち込みが懸念されており、二・〇七という目標達成のハードルは一層高くなっている、そのように感じます。
コロナ禍で、経済、雇用情勢が不透明な中、都は、チーム二・〇七プロジェクトを立ち上げていくわけでございます。国がエンゼルプランを打ち出した一九九四年以来、二十五年以上にわたり、少子化対策を掲げながらも成果を上げることができませんでした。多くの出産適齢期の女性たちを引き寄せているにもかかわらず、合計特殊出生率が全国最下位の東京でこそ、望めば産み育てやすい東京となるべく、実効性ある取り組みが求められています。
現在は、まさに、少子化対策のポイントオブノーリターンと捉えるべき転換点でありましょう。出生率を取り巻く状況が厳しさを増す今だからこそ、そして、最も出産子育てのハードルが高く、多くの若い方々が暮らす首都東京でこそ、チーム二・〇七プロジェクトを打ち出していく意味があるのだと私は思います。
さて、チーム二・〇七プロジェクトの中身を拝見しますと、社会のさまざまな主体が連携し、子供の笑顔につながるこどもスマイルムーブメントを展開していくこととされています。ここでの内容が、望めば子供を産み育てやすい東京の実現にどうつながっていくのか、質問をしていきたいと思います。
チーム二・〇七プロジェクトにおいて、子供の笑顔という要素を重視し、こどもスマイルムーブメントとして展開する理由や背景について明らかにすべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 未来の東京戦略では、子供を持ちたいという個々人の願いをかなえるとともに、人口減少に歯どめをかける決意をあらわすものとして、人口維持に必要な水準である合計特殊出生率二・〇七を、目指す二〇四〇年代の姿として掲げております。
もとより、子供を生み育てることは、個々人の自由な意思決定に基づくものでございます。これを前提とした上で、個々人の願いがかなえられ、子供が笑顔で、子育てが楽しいと思える社会を実現させていくことが何より重要であり、その先に、少子化からの脱却があるものと認識しております。
このため、チーム二・〇七プロジェクトにおいては、社会全体で子供の笑顔を育む観点から、産官学民の多様な主体が連携いたしまして、現在と未来の子供の笑顔につながる、こどもスマイルムーブメントを推進していくこととしております。
○木下委員 ありがとうございます。少子化が進んでしまう背景には、子育てに要する経済的な負担や、仕事と子育ての両立の難しさや、また子供や子育てに対する社会の寛容性など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。コロナ禍で経済的困窮を救うための雇用対策や、非正規雇用から正規雇用への転換の推進、平均して十万円高いといわれる東京での出産費用格差を是正することなど、当事者の立場に立って具体的な対策を講じることは、行政の基本的な責任です。
我が会派の強い要望を受け、令和三年度の予算案の中で、大規模な雇用対策、東京版ニューディール事業や、出産家庭に育児用品を十万円分贈る出産応援事業、コロナに負けないなどを具体化していただいたことを高く評価したいと思います。
しかし、ここで重要なこと、大切なことは、当事者目線に立ったきめ細かな子供、子育て支援策だけではなく、社会全体で子供を育む機運の醸成、この二つをいわば車の両輪として取り組んでいくことであり、これこそが少子化からの脱却の鍵なのだと思います。子供の笑顔を社会全体で育むことはもちろん大切なことですが、それのみで少子化が解消されるわけではありません。そういう意味で、チーム二・〇七プロジェクトで掲げているこどもスマイルムーブメントを、少子化対策の観点から、実効性あるものとしていかなければなりません。
来年度予算の案には、チーム二・〇七プロジェクトの推進経費として三億円が計上されております。このこどもスマイルムーブメントにおいては、従来の行政的手法にとどまることなく、民間や若手の力を活用するなど、効果的な手法を取り入れながら推進すべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 こどもスマイルムーブメントの実効性を高め、戦略的に推進していくため、まずは、ムーブメントの象徴となる、社会の幅広い主体が連携した発信力の高い取り組みをコアアクションとして打ち出してまいります。
具体的には、若者や子育て世代等で構成する官民の推進チームを立ち上げまして、スタートアップやネットメディアなど、民間の多様なノウハウを活用しながら、斬新なアイデアの具体化を図り、子育てに優しい働き方の促進や、多様な遊び、学び、自然体験等の機会の創出など、ムーブメントの核となる魅力的なアクションにつなげてまいります。
こうしたコアアクションの取り組みに加えまして、幅広い企業、団体の参加を募り、それぞれの特性や強みを生かした多様なアクションを創出してまいります。子育てしやすい住宅や公共交通等の環境整備、子供が楽しめる社会体験活動など、多彩な取り組みを展開、発信することで、ムーブメントの場を広げてまいります。
○木下委員 子育ては楽しめるんだという社会認識を育て、社会全体で子供や子育てを支えていくのは当たり前という風潮につなげる。こうした取り組みを、質、量ともに充実させていくことが大変重要だと思います。
加えて、当ムーブメントの成否を握っているのは、情報発信のあり方だと思います。これから子供を持つかもしれない若い方々、子育て家庭はもとより、いかにして多くの都民からこのムーブメントに対する共感が得られるか。コアメッセージのあり方が重要であり、この視点を持ってコアムーブメントを推進していく必要がございます。
子供や子育て家庭のニーズを捉えながら、効果的に情報発信することで、こどもスマイルムーブメントの訴求力を高めていくべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 社会全体に広く共感が醸成されるよう、コアアクションの取り組み事例や、参画企業による多彩なアクションにつきまして、官民推進チームが斬新なアイデアを踏まえながら、ネットメディアやSNS等を活用し、子供や子育て世代等に戦略的に情報発信してまいります。
さらに、子供や子育て世代等のニーズを取り入れるための双方向の仕組みについても検討し、把握したニーズをコアアクションや参画企業、団体によるアクションに反映させることで、事業実施段階におきましても不断にレベルアップを図り、ムーブメントの実効性を高めてまいります。
こうした取り組みを広げていくことで、子供を大切にし、子育てを社会全体で支えることを当たり前とする機運を醸成し、子育ての安心感や楽しさへとつなげてまいります。
○木下委員 ぜひ、子供や子育て世代の視点を取り入れながら、さらにはその周りにいる都民がせめてほほ笑ましく見守るような意識改革につながるような、社会全体で子供を育む機運の醸成につながる効果的な情報発信に取り組んでいただきたいと思います。
保育園を建設しようとしたら、子供の声がうるさいから反対という意見が出たというニュースがありました。大変悲しく感じました。子連れで地下鉄に乗った際、子供が泣いたら、静かにさせろとどなられたというお話も耳に入りました。若いお母さん、お父さんにとって、気持ちが下がる現実がございます。こういった意識が積もり積もって、子育てしにくい東京のイメージが固定化してきているのではないかと懸念をいたします。
東京都交通局が都営地下鉄大江戸線に、女性議員、子育て中の議員の多い我が会派の強い要望を受け、子育て応援スペースを導入したことを高く評価いたします。きかんしゃトーマスという子供たちにも人気のキャラクターに彩られたスペースができたことで、安心してベビーカーを開いて子供と一緒に乗ることができるようになったとの喜びの声をいただいています。ほかの乗客にも、子供連れで乗ることが歓迎されていると印象づけることは、大きな効果を生んでいます。
この間、私の地元、板橋区を走る都営三田線にも、八両編成の新車両導入時に子育て応援スペースの設置をと要望してまいりまして、令和四年度から導入することとなりましたこと、改めまして感謝を申し上げます。
チーム二・〇七プロジェクトに関する質問の最後に、事業費と効果測定の観点から質問いたします。
これまで、子供の笑顔を育むというムーブメントの背景や民間の力を活用する手法、訴求力を高めるための情報発信のあり方を中心に質疑し、明らかにしてまいりましたこどもスマイルムーブメントですが、これを展開するためのプロジェクトの経費として三億円が計上されています。コロナ禍で、事業の効果的な執行にこれまで以上に厳しい視線が注がれる中、三億円という事業規模は決して少なくない金額だと思います。
そこで、チーム二・〇七プロジェクトの事業費の内訳を明らかにするとともに、その経費が効果的に活用されているかをしっかり捕捉する効果測定の視点を取り入れるべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 来年度のチーム二・〇七プロジェクトの事業経費については、若者や子育て世代等で構成する官民の推進チームの運営経費や、こどもスマイルムーブメントの象徴となるコアアクションの実施経費、さらには、戦略的な情報発信を行うための情報プラットフォームの構築経費などをその内訳としております。
また、本プロジェクトの事業の実施に当たりましては、このムーブメントの認知度や参画企業数等の指標を活用するなど、効果測定の手法も取り入れ、把握したニーズや課題については、その後のムーブメントの企画立案に反映させることにより、実効性の向上を図ってまいります。
○木下委員 ぜひ、こどもスマイルムーブメントが単なるイベント実施や一時的な広報など、一過性の取り組みにならないよう留意をしていただきたいと思います。
地球温暖化防止国民運動、チーム・マイナス六%、クールビズは、小池都知事が環境大臣時代に取り組まれ、社会意識を変えたキャンペーンとなりました。私は、前職の広告会社時代にこのキャンペーンを担当いたしておりました。
この際、核となったのは、個人にとっては環境を考えることが格好いい、当たり前とのメッセージ、企業にとっては環境は企業が取り組む当然のことという点に加えて、消費者の好感度を上げる点で意味がある、もうかるんだというメッセージ、これをより多くの方々に知らせるために、著名人、企業や組織のトップを巻き込み、ネクタイを外すというわかりやすく簡単なアクションを示し、無料で活用できるチーム・マイナス六%ロゴを提供しました。結果、至るところでこのマークを見かけるという現実につながりました。この、行政から無料ロゴ提供というスタイルは、今では当たり前となっていますが、当時、初めて発案された発明でした。
望めば誰でも子供を産み育てやすい東京、それを社会で支えるのは当たり前へと社会の認識を変えるために、産まないから関係ない、産めないから関係ない、子育て終わったから関係ないという人々をつくらず、一人でも多くの方々に、自分事とし、共感される核となるメッセージをどんなコアアクションで伝えていくのか、発信する側の力量が問われています。この点に留意して取り組まれることを強く要望いたします。
あわせて、子供を産み育てることは、個人の価値観や人生観にかかわるものであるため、この点にも十分な配慮が必要であることを申し上げておきます。子供を大切にするという考え方を最優先とする社会へのマインドチェンジは、一朝一夕には実現しないと思います。来年度を重要な一歩とし、短期と中長期の視点を持ち合わせながら実効性のあるムーブメントとして着実に推進していただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、長寿の観点から、自分らしく暮らせる長寿東京プロジェクトについてお伺いをいたします。
人生百年時代において、高齢者がいかなる状況でも心豊かに暮らせる地域づくりを進めることは、人が輝く東京の根幹をなすものであり、誰もがいつかは高齢者となることを考えれば、全ての都民にとって大変重要なことでございます。
しかしながら、現在長期化するコロナ禍における外出自粛により、とりわけ高齢世代の身体的機能や認知機能への影響などが懸念されています。こうした中、高齢者が元気に暮らし、活躍できる地域づくりを進める上でも、デジタルの力が注目されており、我が会派はシニアの健康増進とデジタルデバイド対応を令和三年度予算要望の最重要項目として掲げたところでございます。
全ての高齢者が、デジタル化のメリットを享受できるようにしていくことは極めて重要です。一方で、高齢者の中には、デジタルツールになれ親しんでいない方も多くおられ、いわゆるデジタルデバイド、デジタル格差という課題が顕在化しています。誰ひとり取り残さないSDGsの観点からも、高齢者一人一人にきめ細かく目を配り、全ての高齢者の心豊かで自分らしい暮らしと人生を守っていかなければなりません。
同時に、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすためには、住まい、福祉施設、公園など、さまざまな地域資源を活用しながら高齢者をサポートしていく視点も必要だと考えます。
そこで、自分らしく暮らせる長寿東京プロジェクトの推進に当たっては、従来の福祉施策の領域にとどまることなく、デジタルデバイド対策、デジタル格差対策を施しながら、幅広い行政分野に横串を通して進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 誰もが心豊かに自分らしく暮らせる長寿社会の実現に向けて、来年度予算案には、区市町村の先駆的、分野横断的取り組みをソフト、ハードの両面から支援するための新たな包括的補助メニューが盛り込まれたところでございます。新たな補助メニューを通じて、産官学民の多様な主体と連携し、地域のさまざまな資源とデジタルを組み合わせた施策により、高齢者のQOL向上に取り組む区市町村を支援してまいります。
具体的には、オンラインでの社会参加や運動により、高齢者が日常生活の中でデジタルを活用してQOLの向上を体感できる取り組みや、アプリを活用した健康増進に向けたまちづくりなど、デジタルデバイド対策を通じた幅広い事例を想定しております。
今後、区市町村の実情に応じたさまざまな取り組みを、庁内の組織横断の推進チームが中心となって、各局と緊密に連携しながら強力に支援してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。
次に、コミュニティの観点から、みんなの居場所創出プロジェクトについてお伺いをしてまいりたいと思います。
コロナ禍においては、長期にわたる外出自粛や人とのつながりの制限、休校などの要因により、不安や悩みを抱える人が増加しており、さまざまな人が集い、交わり、悩みを分かち合える居場所の重要性が高まっています。とりわけ外国人を初め、さまざまなバックグラウンドを持った人々が暮らす多様性に富んだ東京においては、さまざまな形の居場所の創出が必要であると考えます。
こうしたリアルの居場所に加え、オンラインの手法を活用することも、コロナ禍を経た私たちの新しい生活の中で極めて重要な視点だと思います。オンライン上の居場所は、距離を超えてつながることができるだけでなく、ひきこもりの方や重度障害者の方など、外出が難しく、これまでリアルの居場所につながることが難しかった方にとっても、新たなつながりの機会となる可能性があると考えます。
そこで、みんなの居場所創出プロジェクトを推進するに当たっては、誰もがそれぞれの実情に応じた居場所につながることができるよう、これまで行政が支援してきた取り組みにとどまらず、民間企業や地域団体等の多様な主体とも連携しながら、リアルとバーチャルの両面からさまざまな形の居場所を創出していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 誰もが社会とのつながりを保ち、支え合える環境をつくり出していくため、みんなの居場所創出プロジェクトにおいては、都営住宅を活用した東京みんなでサロンや、区市町村が実施する地域サロンなどの居場所に加えまして、例えば学校を核とした多世代交流拠点や、地域の交流機能を有する集いの場など、地域の幅広い主体と連携した多様な居場所を創出する区市町村を強力に支援してまいります。
また、デジタルツールを活用したオンラインでの交流促進などを通じて、オンラインによる新たなつながりを創出するなど、新しい日常にも対応した居場所づくりに取り組む区市町村についても幅広く後押ししてまいります。
こうした取り組みを通じて、リアルとオンラインの双方の強みを生かしたさまざまな形の居場所を地域の至るところに創出してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。
二〇三〇年への展開というところで、このプロジェクトですが千カ所創出というふうに明記されております。二〇二一年度の目標としては、二自治体で実施をすると。それぞれどれだけの箇所で始められるかわかりませんけれども、そこから九年で千カ所までふやすためには、やはりこの補助の制度、使いやすさが重要ではないかと思います。税金ですから、無駄遣いにならないように審査をすることも重要ですが、一方で、まちの居場所づくりという課題は、地域の個人や小さな事業体、NPOなどにかかわっていただかなければ解決に至りません。そういう意味で、世田谷まちづくりファンドのような、住民、NPOなどを信頼して任せる補助、財政的支援のスキームなどの検討が必要であることを申し述べておきたいと思います。
続いて、コミュニティ、居場所に深く関連するものとして、現在大きな社会課題となっております孤独、孤立に対する支援対策について伺います。
コロナ禍においては、例えば平均年収二百万円近くともいわれ、ただでさえ低いひとり親の家庭の多くがさらに減収となっている。また、解雇や雇いどめにより離職を余儀なくされるなど、生活に困窮する人が大きく増加しております。
二〇二〇年度のDV、ドメスティックバイオレンスの相談件数が昨年十一月までで全国で十三万二千三百五十五件の過去最多、また、児童虐待として全国の児童相談所が対応した件数が二〇一九年度の速報値で十九万三千七百八十件で、前年度比二一・二%の増、また、二〇二〇年の自殺件数が前年比三・七%増の二万九百十九人、速報値でございますが、この数字は、リーマンショック直後の二〇〇九年以来初の増加に転じ、中でも女性、若者の自殺が激増しているなど、看過できない状況です。コロナ禍で不安や悩みを抱える人が孤独、孤立に陥らないようにするためにも、セーフティーネットの充実強化など、人々に寄り添った対策が喫緊の課題だと考えます。
そこで、誰ひとり取り残さない相談サポートプロジェクトを未来の東京戦略に掲げていますが、まずはその狙いについてお伺いをしたいと思います。
○吉村理事 誰ひとり取り残さない相談サポートプロジェクトは、新型コロナが東京に暮らす人々の生活に大きな影響を及ぼす中、さまざまな悩みや不安を抱えた方が、社会から孤立することなく自分らしく過ごせるよう、相談支援体制の充実や、横断的な対策の推進などにより、誰ひとり取り残さない強固なセーフティーネットが整備されたまちの実現を目指していくものでございます。
○木下委員 プロジェクトの目指すところは、誰ひとり取り残さないセーフティーネットの整備だということを確認いたしました。
重要なのは、誰もが身近な地域で相談ができ、支援を受けることができる環境を整えていくことだと思います。支援が必要な方々のところに支援の情報や支援の手が届かないというのは、このような相談事業において、これまでも大きな課題でございました。そうした意味で、このプロジェクトにおいて未来の東京戦略に掲げられている全区市町村、全ての区市町村で総合的な相談支援体制を整備するという政策目標は、極めて重要だと考えます。
そこで、具体的にどのような取り組みを行い、区市町村に相談支援体制を広げていくのかお伺いをしたいと思います。
○吉村理事 今、委員からお話がありましたように、誰ひとり取り残さない相談サポートプロジェクトに関します二〇三〇年に向けた政策目標として、全区市町村に総合的な相談支援体制を整備していくことを掲げております。子供、若者、ひとり親、生活困窮者、障害者、高齢者、ひきこもりの方など、対象に応じた相談、就労、経済的支援などの各方面からの支援を講じていくとともに、自殺防止に向けました相談支援、属性や世代を問わない包括的な相談支援など、分野横断的な対策に取り組んでまいります。
今後、政策目標の実現に向けまして、地域の相談支援体制の現状や先進事例等を調査し、福祉、教育、住宅などが連携した身近な地域における総合的な相談支援体制の整備につなげるなど、区市町村の実態に応じた的確な支援を行っていくこととしております。
○木下委員 まずは、現状、先進事例等の調査から始めるということでございました。このプロジェクトは、コロナ禍という状況にあって、改めて非常に重要だと申し述べさせていただきます。実態に応じた的確な支援につながるよう、調査を生かしていただきたいと思います。
国が二〇二〇年六月に定めた社会福祉法の改正に伴い、新たな福祉包括支援制度の導入で、福祉の縦割りを排除し、ワンストップで相談対応し、その後の個別支援につなげていく取り組みを進めていくことを基礎自治体に求めていく流れがございます。この動きともうまく連携し、区市町村への支援を含め、具体的な取り組みを進めるのは各局になるとは思いますけれども、政策企画局として、プロジェクトの実効性が高まるよう、しっかりと進捗を確認していっていただきたいと思います。
続いて、女性活躍についてお伺いをいたします。
女性活躍の課題は、昨今社会で大きく取り上げられていますが、私は女性と子供たちの生きづらさをなくすことをテーマに政治の道を志し、昨年の第三定例会の一般質問では、コロナ禍における女性を取り巻く環境の悪化を踏まえ、女性活躍の一層の促進を長期戦略に位置づけるよう求めるなど、議員就任以来一貫して強い問題意識を持ってこの課題に取り組んでまいりました。
未来の東京戦略案には女性活躍推進戦略を掲げられ、さまざまなプロジェクトが示されてございます。さきの東京二〇二〇大会組織委員会の森会長による女性蔑視発言にもあらわれてしまっているように、社会の人々の意識を変えていく、マインドチェンジを図っていくことが非常に重要です。
そこで、女性活躍に向けた社会のマインドチェンジプロジェクトを効果的に進めていく必要があると考えますが、その方策についてお伺いをしたいと思います。
○吉村理事 女性活躍に向けた社会のマインドチェンジプロジェクトは、男は仕事、女は家庭、仕事かプライベートかという固定観念を打破し、女性がみずからの希望に応じて仕事や家庭で活躍できるよう、普及啓発や広報を戦略的に展開していくものでございます。
コロナ禍でのテレワークの実施により、男性の家事、育児の参画が進みましたが、これをさらに発展させ社会のマインドを醸成していくために、来年度、新たに男性の家事、育児参画に向けたマインドチェンジキャンペーンを立ち上げ、キャンペーンサイトの開設や動画によるSNS広告など、戦略的な普及啓発を展開してまいります。
このプロジェクトを含めまして、女性の活躍推進戦略につきましては、副知事のもと、関係局による推進チームを組成しておりまして、各局が有機的に連携し、スピード感を持って取り組みを展開してまいります。
○木下委員 人々の意識が女性活躍の課題に向いている今こそ、まさにプロジェクト名にあるマインドチェンジを図るチャンスだと思います。男性が家事、育児に取り組むこと、また、女性が仕事と育児を両立させていくことを特別視しない、全ての世代からの理解が得られることは、女性活躍推進において極めて重要でございます。各局が連携して取り組みを進め、プロジェクトの効果を高めていくためにも、政策企画局がしっかりと各局の後押しをしてもらいたいと思います。そして、プロジェクトを効果的に進めていくためには、推進体制も重要ですが、何を目指していくのか具体的な目標が重要です。
そこで、女性活躍に向けたマインドチェンジプロジェクトの目標設定についてお伺いをいたします。
○吉村理事 男性も女性も、ともに仕事と家庭を両立できるよう、男性の育休取得率を九〇%台まで向上、家事、育児関連時間の男女差を半減という政策目標を掲げております。
また、都庁みずからが率先して女性活躍を推進する目標として、審議会などの女性委員任用率について、男女それぞれが構成員の四〇%以上、都の管理職に占める女性の割合を三〇%まで向上とする政策目標を掲げております。
なお、審議会などの女性委員任用率につきましては、今回お示しした案では、達成目標年次を二〇三〇年度までとしておりますが、これを二〇二二年度末に大幅に前倒しいたします。こうした政策目標を関係局で共有するとともに、その達成に向けて各局連携のもと、プロジェクトを効果的に推進してまいります。
○木下委員 審議会などの女性委員の任用率は徐々に上がってきていますが、ここで一気に目標年次を前倒ししたことは大変評価に値すると考えております。達成に向け、スピード感を持って進めるとともに、これも含めて政策目標をしっかりと見据えて、効果的な取り組みを進め、女性活躍をより一層推進していってもらいたいと思います。
本日は、未来の東京戦略について、都における位置づけや進捗管理といった基本的な事項、さらには三つのC、そして女性活躍といった人に関する戦略をどのように進めていくのか、具体的にお伺いしてまいりました。
私たちは、今、いつ終息するかわからない新型コロナウイルス感染症の脅威にさらされ、将来の希望を見出しにくい時代を生きています。この危機的な状況を乗り越えるためにも、ぜひ、未来の東京戦略で掲げた明るい未来の東京の実現に向けた取り組みを、全力で進めていってほしいと思います。
最後に、未来の東京戦略の推進に向けた政策企画局長の決意をお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
○中嶋政策企画局長 都といたしましては、新型コロナとの長い闘いに打ちかつため、引き続き全力を挙げて取り組みますと同時に、この目の前に困難が立ちはだかる今だからこそ、理想の未来の東京の姿についても展望していくことが必要であると考えております。
こうした考えのもと、今般公表しました未来の東京戦略では、東京、日本が直面しております構造的な課題に正面から向き合い、目指すべきビジョンとその実現に向けた戦略を明らかにいたしました。本日、委員からご指摘ございましたChildren、Choju、Communityの三つのCや女性活躍につきましては、成長と成熟が両立した持続可能な未来の東京をつくり上げるための大変重要な視点であると認識しております。
今後、都議会での議論や、都民の皆様からいただきましたご意見を踏まえ、今月中に成案として取りまとめますとともに、新年度から直ちにそれぞれのプロジェクトを推進していきますよう、政策企画局が先頭に立ちまして各局の強固な連携を促進してまいります。
そして、PDCAサイクルを徹底することで、常に施策のバージョンアップを図り、時代や状況の変化を機敏に捉えた実効性のある取り組みを、都庁の総力を挙げまして推進してまいります。
○中屋委員 私からも何点か質問をさせていただきたいと思います。
私は、平成十三年、二〇〇一年に当選して以来、都政にかかわってまいりました。本日は、総務委員会に長らく在籍する一人といたしまして、これまで都が策定してまいりました長期計画を振り返りつつ、今回策定した未来の東京戦略案について確認をしたいと思います。
都は、歴代の知事のもとでさまざまな計画を策定しました。特色ある政策を打ち出したのでありますが、四期十六年続いた鈴木都政下における、三次にわたる東京都長期計画を初め、青島知事時代の生活都市東京構想、石原知事時代には東京構想二〇〇〇や「十年後の東京」、東日本大震災後を受けて策定をいたしました「二〇二〇年の東京」がある。その後、舛添知事時代の東京都長期ビジョンに続き、そして今回、小池知事のもとで、未来の東京戦略の策定という流れにつながってまいりました。
そこでまず、過去約二十年間に策定した都の長期計画の主な特徴を確認したいと思います。
○吉村理事 石原知事のもとで二〇〇〇年度に策定いたしました東京構想二〇〇〇では、東京の望ましい将来像を描き、ディーゼル車規制などの大気汚染対策、都市の骨格をなす道路ネットワークの整備、空港、港湾機能の充実などの政策を盛り込みました。
その後、二〇〇六年度に策定いたしました「十年後の東京」では、水と緑に囲まれた都市空間の再生や三環状道路の整備、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造することなどをお示しいたしました。
さらに、二〇一一年度に策定しました「二〇二〇年の東京」では、東日本大震災を乗り越え、日本の再生を牽引するために、防災対策、エネルギー政策を大きな柱に据えつつ、幅広い分野において先進的な取り組みを展開しております。
舛添知事のもとで二〇一四年度に策定いたしました東京都長期ビジョンでは、東京二〇二〇大会に向けたハード、ソフトの取り組みや、福祉先進都市東京の実現に向けた取り組みなどを盛り込んでおります。
○中屋委員 石原知事時代のディーゼル車規制など、大気汚染の対策などは、もう非常に強く私の中にもございます。国がやらなければ東京都がやるという強いリーダーシップでやったわけですが、その中に少子高齢社会や、また社会経済構造の大きな変化、また東日本大震災などの大きな危機を契機に、そのときそのときの状況が色濃く反映されたこと、よく伝わってまいりました。
一方で、うがった見方をすれば、知事がかわるたびに新たな計画がつくられてきたともいえます。当然、大事なことに取り組んでいるとは思いますが、各計画の総括をきちんとして次の計画をつくってきたのか、気になるところであります。
そこで、今から約十五年ぐらい前の話になりますが、当時の石原知事のもとで策定をいたしました「十年後の東京」において掲げた主な目標とその進捗状況が現在どうなっているのか確認をいたします。
○吉村理事 「十年後の東京」では、八つの大きな柱を掲げ、その柱の中の主要な政策につきまして目標を設けております。例えば、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させるという柱の中には、都内の街路樹を百万本に倍増させるという目標があり、当時四十八万本だったものが、二〇一九年四月の数値では百一万本と倍増しております。
また、三環状道路の整備率約九〇%という目標につきましては、当時約三五%だったものが直近では八二%に、東京港の外貿コンテナ貨物量四百六十万TEUという目標につきましては、現在四百五十一万TEUとなっておりまして、着実に取り組みが進んでおります。
一方で、CO2などのいわゆる温室効果ガスの排出削減目標を二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%削減という目標につきましては、東日本大震災による火力発電事業の増加などによりまして二・八%増となっております。
○中屋委員 今、お聞きいたしまして、達成できたものもあれば、まだできていないものもあるという状況がわかりました。新しい政策に調整をする、知事がかわっても行政として都民のためになすべき政策を、継続的に着実に取り組んでいくと。そのような歩みを進めていくということが大変重要だというふうに指摘をしておきたいと思います。
さて、過去の計画の大きな流れを押さえた上で、今回の未来の東京戦略案について確認をしたいと思います。
まず、今回の未来の東京戦略において、どのような視点から重要政策を掲げているのか伺います。
○吉村理事 未来の東京戦略では、感染症の脅威と気候危機を人類が直面する二つの大きな危機と位置づけ、新型コロナによって浮き彫りとなった課題の根源まで踏み込んで、構造改革を強力に推進すること、そして、気候危機への行動の加速を含めた強靱で持続可能な社会でありますサステーナブルリカバリーを実現することをスタンスとして掲げております。
これに基づきまして、5Gと先端技術を活用した取り組みを加速するTOKYO Data Highwayプロジェクトや国際金融都市東京を実現するプロジェクト、ゼロエミッション東京の実現に向けたプロジェクトなどを未来の東京の創出をリードする主要プロジェクトに位置づけております。
○中屋委員 私は、一昨年の八月、都が長期戦略の策定に向けた論点整理を公表した際、本委員会の質疑において、東京の強みと弱みの分析内容と、その中に国際的な目線が随所に入っていることを確認いたしました。
今回の未来の東京戦略案では、国際的な目線からどのような取り組みを盛り込んでいるのか伺います。
○吉村理事 未来の東京戦略では、未来の東京をつくり上げるため、デジタル化の徹底などにより、世界からのおくれを乗り越え国際競争に打ち勝つことを示しております。
具体的には、先ほど述べましたTOKYO Data Highwayプロジェクトや、国際金融都市の実現に向けた取り組みのほかに、外国人が暮らしやすい生活環境の整備や、高度人材や外国企業の積極的な誘致、中小企業の海外展開支援、グローバルに活躍する人材の育成など、さまざまなプロジェクトを盛り込んでおります。
○中屋委員 今後、一層厳しさを増す国際都市間の競争力に、必ず勝つと幅広い分野で取り組みを加速していくことは非常に重要であり、積極的に取り組みを期待したいと、こう思います。
今回の未来の東京戦略案の策定は、まさに新型コロナが感染拡大している中での作業でもありました。各局との調整含め、取りまとめには平時と異なる苦労も多かったと推察いたします。
コロナ禍において長期戦略の取りまとめ作業をどのように進めてきたのかを伺います。
○吉村理事 新型コロナの感染拡大が続く中、都庁におきましても、テレワーク勤務など、特別体制下での業務遂行が求められました。対面でのやりとりが困難な中では、計画部内での検討におきましても、オンライン会議やチャットを積極的に活用するとともに、テレビモニターに資料を映しながら議論を重ねるなどの工夫を重ねてまいりました。
また、関係局との調整をオンライン会議やデータでのやりとりで行うとともに、都民アンケートにつきましてもウエブで実施するなどデジタルの力を活用しまして、新しい日常を実践しながら内容を練り上げて取りまとめたものでございます。
○中屋委員 非常に、今回の新型コロナの感染拡大防止に取り組む中で、創意工夫を凝らしてこの計画に当たったというのは、皆さんの努力を改めて見た思いであります。この努力を決して無駄にしてはいけないと、こう思っています。
計画は、つくって終わりではありませんから、盛り込んだ事業がしっかり進んでいるのか進捗状況を把握して、積み残しがあった場合はそれを次の計画にどうつなげていくのかということが必要であります。
そこで、都は策定した計画をどのように進行を管理し、今回の未来の東京戦略案に反映するのか伺います。
○吉村理事 都は、二〇一六年度に策定いたしました、いわゆる実施計画でございます二〇二〇年に向けた実行プランにつきまして、事業の成果や課題を客観的に把握検証し、その結果、今後の政策展開につなげますPDCAサイクルを運用しております。この中で毎年度、事業実施状況レビューを実施し、取り組み状況の見える化を行っております。
昨年八月に公表した最新のレビューでは、政策目標の合計六百四十四に対しまして、二〇二〇年度までの達成は三百十と見込んでおりまして、引き続き、取り組みが必要な政策につきましては、各局と課題を共有し、政策のバージョンアップを図った上で、未来の東京戦略の各プロジェクトに盛り込んでおります。
○中屋委員 これまで過去の長期計画等々振り返って、未来の東京戦略案の内容を確認しましたが、大事なところは、知事がかわっても都民の負託に応えて、行政として果たすべき役割をしっかり遂行する。政策企画局というのは都庁の総合監督、プロデューサーと私は思っています。
今回、この未来の東京戦略案を責任者として何としてでもやり遂げるという思いを、最後に局長からお伺いし、質問を終わりたいと思います。
○中嶋政策企画局長 東京都は、社会構造の変化や都民ニーズを踏まえながら、都政の進むべき方向性を指し示す長期計画を策定し、都民の暮らしや東京の成長を支える政策をこれまで推進してまいりました。その中には、先ほどご答弁にございましたように、着実に進んでいるものもありますが、道半ばのものもあります。これらの進捗状況と事業実施上の課題を把握し、その課題を乗り越える方策を各局と調整しながら政策の強化につなげていくことが、総合調整機能を担う政策企画局の役割であると考えております。
今般策定しました未来の東京戦略では、二〇三〇年に向けた二十プラス一の戦略を掲げ、戦略ごとに合わせて百二十二の推進プロジェクトと具体的な取り組みを、三カ年のアクションプランとして盛り込んでおります。本日、過去二十年間の東京都の計画行政、振り返らせていただきましたけれども、重要な視点だと思っております。やはり過去の経験と経緯をしっかりと学びまして、また、将来に大きな目標を立て、そして、現実を冷静に見詰めて、その目標に向けての具体的なプロセスを描いていくと。これは、やはり行政における事業の基本であるというふうに考えております。
そうした観点から、この未来の東京戦略につきましては、実践、実装していくことが何より重要でございます。今回盛り込みましたプロジェクトをしっかりと推進していくため、デジタルツールを積極的に活用しながら取り組みの見える化を一層推進しますとともに、必要に応じて組織横断の推進チームを創設するなど、各局の事業推進をサポートし、未来の東京の実現に向けて、政策企画局が先頭に立って取り組んでまいります。
○細田委員 それでは、私からも質問をさせていただきます。
東京都は、デジタル化での世界からのおくれを乗り越えて、国際競争力に打ち勝つ、この方針を表明しています。都として、デジタルトランスフォーメーションを推進していくという大きな方向性を打ち出しています。
一方で、情報通信技術、ICTの活用がふなれであったり苦手だという方々など、デジタル化に取り残される人を生んではなりません。
未来の東京戦略で、この問題に対していかなる方向性を打ち出しているのか、まず確認をいたします。
○吉村理事 コロナ後の社会は、デジタルが基幹インフラになるとの認識のもとで、環境による格差を生まないため、誰もがデジタルを使えるようにしていくことが重要でございます。
そのため、未来の東京戦略では、高齢者、障害者など、オンラインで情報を得ることが難しい人へのきめ細かいサポートなどを通じて、デジタルデバイドで取り残される人を生まない社会をつくることを示しております。
高齢者のスマートフォン利用支援のほか、区市町村や町会自治会における取り組みへの支援などにより、誰もがデジタルがもたらす利便性やQOLの向上を享受できる東京の実現に向けまして取り組んでまいります。
○細田委員 デジタル化の爆速に際して、東京都は、デジタルデバイドで取り残されない、取り残される人々を生まない取り組みを進めていくということを確認いたしました。
まさに高齢者、そして障害者、また、高齢者のスマートフォンの利用の支援、区市町村や町会、自治会における取り組み等の支援、こういうことを確実に進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
さて、未来の東京戦略の基軸となる考え方に、先ほども議論がありますけれども、Children、Choju、Communityの三つのCが掲げられています。
私からは、日本語である長寿、このChojuのC、こうした形で取り上げられている意図について、東京都の見解を求めます。
○吉村理事 未来の東京戦略では、高齢者が人生百年時代に元気に活躍し、心豊かに暮らす東京を実現するため、目指す二〇四〇年代の東京の姿の一つとして、お話のChojuが世界共通語になっていることを掲げております。これは、高齢者が輝く健康長寿社会東京モデルの象徴として、日本語である長寿をローマ字であらわし、世界の諸都市の模範として示していくことを意図したものでございます。
○細田委員 Cで始まるChojuという単語、ChildrenやCommunityと並ぶ言葉へ、世界の中で引き上げていくということでございました。
WHOが発表した二〇二〇年版の世界保健統計によりますと、日本は、平均寿命が八十四・二歳という最も寿命が長い国です。超高齢社会の中で、高齢者が輝く健康長寿社会モデルをつくっていくことは、世界一の長寿国を持続可能に牽引していくということであり、大変に重要なことであると思います。長寿が本来意味することは、元気で長生きすることです。さきの一般質問でも申し上げましたが、持続可能性を希求して、東京、日本の礎を築きました渋沢栄一は、四十、五十ははな垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら百まで待てと追い返せと、こういう人生百年時代を予見するがごとき言葉を残されました。
さて、東京都は、健康寿命についてどのような目標を打ち立てているのでしょうか。答弁を求めます。
○吉村理事 未来の東京戦略では、二〇四〇年代の目指す東京の姿の一つとして、平均寿命、健康寿命がともに九十歳を超えることを示しております。この目指す姿の実現を見据えまして、二〇三〇年に向けた政策目標として、直近で男性は八十二・八二歳、女性は八十五・九二歳となっております都民の健康寿命につきまして、男女ともに、さらに延伸することを掲げております。
政策目標の達成に向けて、デジタル技術を駆使し、高齢者が元気に暮らし、活躍できる地域づくりを進めるとともに、みずからの希望に応じた仕事や学び、趣味、地域活動ができる環境を整えるなど、健康長寿社会の実現に向けた取り組みを展開してまいります。
○細田委員 大変力強いご答弁でした。今でも日本は世界で一番なのにもかかわらず、二〇四〇年、この目標では、平均寿命、健康寿命ともに九十歳を超えるということであります。ぜひ実現していきたい、このように願います。
それならば、この二〇四〇年までに目指す東京の姿の一つとして、健康長寿日本一の東京都、これを加えるべき、目指していくべきと考えます。
今後の都の方向性に、健康寿命日本一の東京都にしていくということを掲げていくことを強く求めておきます。
次に、安全・安心なまちづくりについてです。大変重要なことです。
二〇四〇年代の目指す姿に、犠牲者を伝える災害ニュースが流れないとありますが、これはとてもわかりやすく、また、安心を広げる、大変によい方向性、方針であると思います。災害が発生しても、犠牲者を出すことのない安全・安心な東京を目指す姿の実現に向けて、都は、いかなる取り組みを実施していくつもりなのか見解を求めます。
○吉村理事 都はこれまで、河川の護岸や調節池の整備、道路の無電柱化などに取り組んでまいりましたが、激甚化する豪雨災害や首都直下地震などのさまざまな災害から都民を守るため、防災に強い都市づくりをさらに加速させてまいります。
同時に、発災時の被害を最小限にとどめるため、今回新たに問題となった感染症との複合災害にも配慮しながら、都民一人一人の備えや地域の防災活動などのソフト対策も充実させてまいります。加えて、こうした防災対策につきまして、ドローンやAIなどによるDXを進めることで、より一層安全で安心な東京を実現してまいります。
○細田委員 まさに気候変動により、過去の規模の風水害というものが参考にならない時代が到来しています。二〇三〇年に向けた戦略の一つとして、台風、豪雨へのハード、ソフトの備えをさらに高めるとありますが、これは具体的にいかなる取り組みを進めていくのでしょうか。都の答弁を求めます。
○吉村理事 戦略8、安全・安心なまちづくり戦略におきまして、激甚化、頻発化する豪雨災害の対策を推進プロジェクトとして掲げております。
水害から命と暮らしを守るハード整備などの推進として、河川の護岸や調節池、下水道の貯留施設、海岸保全施設の整備などを推進するとともに、最先端技術を活用した水門操作などを進めてまいります。また、国などと連携した広域的な対策の展開として、さまざまなツールによる情報収集や発信、マイタイムラインの活用、在宅避難、自主避難などの分散避難の推進、高規格堤防による高台まちづくりなどを盛り込んでおりまして、道路の高架部などの避難先としての活用につきましても検討を進めることとしています。
○細田委員 大事な施策を一つ一つ、我が党が求めてきたものを、今、挙げていただきました。ぜひ、この計画を確実に着実に推し進めていただくとともに、また、この計画を策定している局として、今あるもの、すぐにできること、この進捗状況を確認しながら工夫をして、また、まだ時期があるものに対して、今何を心配してやらなくちゃいけないのかということに対しても工夫をしていくという視点も忘れないで、ぜひ具体的な計画実行を注視していっていただきたい、このように要望させていただきます。
さて、二〇三〇年に向けました戦略の一つとして、首都直下地震などに備えた、燃えない、倒れないまちづくりをさらに進める、このことも明記されています。具体的にいかなる取り組みを進めていくのか、都の見解を求めます。
○吉村理事 首都直下地震などへの備えをさらに進めるため、燃え広がらないまちづくり推進プロジェクトでは、これまでの木密地域不燃化十年プロジェクトの成果も踏まえまして、特定整備路線の整備による延焼遮断帯の形成を引き続き推進するとともに、建てかえ困難な街区への施策の充実拡充などによりまして、不燃化をさらに進めてまいります。
また、耐震化徹底プロジェクトでは、発災時の輸送ルート確保のための特定緊急輸送道路沿道建築物などの耐震化を推進するとともに、防潮堤や水門、内部護岸などの整備や、物流拠点となる耐震強化岸壁の整備などを進めてまいります。
○細田委員 これもなかなかプロジェクトとしては、日々、本当に少しずつでも積み重ねていって、安心を築き上げていくという大事な政策であります。ぜひ、これを着実に前進させていくという視点で注視していただくのとともに、前倒しができるもの、その目標をさらに早く超えていくことができるものに関しましては、ぜひ実現できるように計画を注視していただいて、前に進めていっていただきたいと思います。
また、まち、命を守る、この地域相互の支援力を高めていく施策、これを確実にしていかなくちゃいけないと思います。地域の安全・安心を実現するための取り組みとして、二〇三〇年に向けた戦略としては、いかなる取り組みを進めていくのか、東京都の見解を求めます。
○吉村理事 東京の地域における安全・安心の確保に向けまして、みずからのまちをみずからで守る地域活動活性化プロジェクトでは、地域を守る消防団の活動を強化するためのデジタル環境を含めた資器材の整備や、活動しやすい消防団員制度の導入を進めてまいります。
また、地域の企業の見守り活動への協力や、防犯ボランティア団体の結成促進など、地域における新たな主体の参画を促してまいります。
○細田委員 さて、私は、以前在籍していました財政委員会で、環境問題の解決に貢献するグリーンボンドについて、その意義をしっかりと実現できるようにしてもらいたいという観点から質疑、提案を行ってまいりました。持続可能な都市をつくり上げていくために、グリーンボンドを含めましたESG投資は、今後非常に重要な取り組みだと考えています。
そこで、未来の東京戦略案において、ESG投資の取り扱いについて、どうなっているのか答弁を求めます。
○吉村理事 稼ぐ東京をイノベーション戦略に位置づけた国際金融都市東京プロジェクトにおきまして、仮称ですが、Tokyo Green Finance Marketの創設を掲げ、再生可能エネルギーの普及など、環境を中心とするESG投資に係る資金を東京に呼び込む仕組みを構築していくこととしております。
また、東京金融賞にESG投資部門を設け、東京のすぐれた金融サービスを国内外に広くPRしていくこととしております。
○細田委員 東京グリーンファイナンスで世界をリードしていくためには、ESG投資の受け皿となる持続可能性に関するさまざまな技術を持った企業をしっかりと支援していく必要があります。
今回、一般質問でも取り上げました東京ベイeSGプロジェクトでは、グリーンファイナンスを活用したプロジェクトの展開を柱の一つとして盛り込んでいます。ESG投資を活用しながら実施していく政策について、これからの展開を目指した現在の検討状況について答弁を求めます。
○佐久間構造改革担当部長 先般公表した東京ベイeSGプロジェクトのドラフトにおきましては、グリーンファイナンスの活用などにより、世界中のグリーンテック企業の集積を図り、グリーンやサステーナブルをキーワードにしたさまざまな取り組みを展開していくことをお示ししております。
今後、有識者などから幅広く意見を伺い、民間事業者や地元区など、多様な主体と連携しながらプロジェクトを展開してまいります。
○細田委員 プロジェクトの実現には、今の答弁にもありましたとおり、地元区などの幅広い関係者との協力が大変に重要になります。このドラフト公表後、地元区、地域等に対してはどのように対応しているのか、その状況について答弁を求めます。
○佐久間構造改革担当部長 プロジェクトを具体化し、実現していくに当たりましては、委員お話しのとおり、地元区など多様な主体との連携を図ることは重要でございます。そのため、ドラフト公表後、江東区や大田区など関連する五区に直接伺い、プロジェクトの内容を丁寧に説明し、意見を伺っております。
○細田委員 それでは、今ございました関係する五区、この地元区から出ている声、意見について、またそれを受けて今後行っていく都の取り組みについてどうなっているか、どういうつもりか、この点について都の見解を求めます。
○佐久間構造改革担当部長 地元区からは、ベイエリアの重要性に関する認識や、持続可能な都市づくりの必要性などにつきまして、共通の理解が示されております。また、プロジェクトの具体化を進めていく中では、区とよく連携をとってほしいといった意見も伺っております。
引き続き、区ともコミュニケーションを図りながら、プロジェクトの具体化を進めてまいりたいと考えています。
○細田委員 共通の理解が示されているということで、同じ方向に向いて、今、発進している、スタートできたという、こういうことだと思います。どうぞ今ご答弁にありましたように、関連区とのコミュニケーションも図りながら、プロジェクトを確実に具体化するように取り組んでいっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○原委員 それでは、質問したいと思います。
未来の東京戦略案について伺います。
最初に、二〇三〇年に向けた戦略1、子供の笑顔のための戦略の中に位置づけられているチーム二・〇七プロジェクトについて伺います。
二・〇七というのは、合計特殊出生率二・〇七ということです。一人の女性が出産する子供の人数が二・〇七人以上であれば人口を維持できるというものです。このプロジェクトの目的はどういうことでしょうか、伺います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 チーム二・〇七プロジェクトでは、子供、子育てを社会のトッププライオリティーとしてチルドレンファーストの社会を創出することを目的として、産官学民の幅広い主体が連携し、現在と未来の子供の笑顔につながる、こどもスマイルムーブメントを展開することとしております。
○原委員 チルドレンファーストの社会を創出することを目的にするということだと思いますが、来年度の予算案ではチーム二・〇七プロジェクトに三億円の予算がついていますが、具体的に何をするのでしょうか。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 来年度、チーム二・〇七プロジェクトでは、こどもスマイルムーブメントを展開し、社会の幅広い主体が連携した発信力の高い象徴的な取り組みをコアアクションとして打ち出していくとともに、幅広い企業、団体の参加を募り、それぞれの特性や強みを生かした多様なアクションを創出していくこととしております。
また、こうしたコアアクションの取り組み事例や、参画企業による多様なアクションについて、子供や子育て世代等に戦略的に情報発信してまいります。
○原委員 私は、率直にいって、よくわかりません。具体的に何をするのでしょうかというふうに聞いたんですけれども、一二二ページの図を見ますと、こども未来会議、それからチーム二・〇七、こどもスマイルムーブメントというふうに左から並んでいまして、この図を見ますと、真ん中のチーム二・〇七、若者や子育て世代の人たちによる新たな会議体なのか協議会なのか、そういうようなものをつくるというように見えますが、そういうことなんでしょうか。
一二二ページのその下のアクションプランでは、二〇二一年度にチーム創設というふうに書いてありますから、これはチーム二・〇七のことをいっているのかなというふうに思うんですね。もし、そういうふうに進めていくということであれば、どのように委員を決めていくのか、何をやっていくのか、あわせて具体的に教えていただきたいと思います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 チーム二・〇七プロジェクトにおきましては、先ほど申し上げましたチルドレンファーストの社会を創出することを目的として、来年度、こどもスマイルムーブメントを展開してまいります。
この目的を達成するために、未来の東京戦略のチーム二・〇七のページにございます若者や子育て世代等で構成される官民の推進チーム、こちらを新たに立ち上げまして、そのアイデアを具体化させていく中で取り組みを進めてまいります。
ムーブメントの取り組みにつきましては、先ほど申し上げました、社会の幅広い主体が連携した発信力の高い象徴的な取り組みをコアアクションとして打ち出していくということで、この資料にございます学びや遊び、働き方、暮らし、こういった取り組みを進めることで、多様なアクションにつなげていくということでございます。
○原委員 チーム二・〇七で、こういう丸く、いろんな団体が協力し合ってやっていく、チームをつくっていくということなんですが、まだ今のご答弁の中では、どんなふうに委員を選出するのかとか、そういうことはまだこれからなのかなというふうに思って聞きましたが、実際にこども未来会議もやられている中で、どういうふうにそれぞれが、有機的連携とも書いてありますけれども、動いていくのかというのは、ちょっとなかなかイメージがつかみにくいなというふうに思います。
ただ、チーム二・〇七に三億円つけて推進しますよということで、かなり私の印象では、力を入れてやっていくんだというふうに位置づけられているのではないかと思いますので、これは具体的にきちんと示していただけるようにしてもらいたいというふうに思います。
それで、このチーム二・〇七に、一番下に東京都があって、東京都からずっと線を引っ張って、子供が意見を表明する子供シンポジウムの開催というふうに書かれています。
これについてなんですけれども、今年度、福祉保健局が実施をした子供シンポジウムのことをいっているのか、それとも、二・〇七プロジェクトとして新たに行うものなのか伺います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 チーム二・〇七プロジェクトの資料に記載しております子供シンポジウムは、今年度、福祉保健局において開始した事業でございます。
○原委員 今年度取り組まれた福祉保健局の子供シンポジウムを載せているということでした。私は、この福祉保健局で取り組まれた子供シンポジウムに参加をして、高校生、中学生たちのシンポジウムを見させていただいたんですけれども、これは十二月十三日に行われた子育て応援とうきょう会議主催の子育て共同フォーラムが開催をされて、この中で、メーン企画として中高生によるシンポジウムが行われたという内容だったというふうに思います。
公募によって中高生が選ばれて発表するという内容で、これ自体はとても一生懸命子供たちが取り組んでいて、大学生なんかも支援をしていて、非常に学ぶことがたくさんありました。
例えば家庭と仕事を両立できる社会についてをテーマにしたグループなんかもいて、そのグループは、子育ての悩みを親が相談機関に相談しにくい現状をアンケートをとって明らかにしたり、また、子供自身が発信できることが大事だという主張をされていたり、非常にやっぱり子供たちの発想は大事だというふうに思ったんですね。
それで、このシンポジウム自体は、来年度も継続するという方向になっているようなので、これはこれで大事だと思っているんですが、今回、このチーム二・〇七の中にずっと引っ張って、子供シンポジウムというふうに書いてあるので、また別の形かと思ったんですが、そうではないということが今のでわかりました。
今、福保でやられているシンポジウムをチーム二・〇七プロジェクトに位置づけるということでよいのかどうか、私は疑問に感じているんですが、見解を伺います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 未来の東京戦略の戦略1、子供の笑顔のための戦略では、子供を大切にする視点から、都が率先して子供の声に耳を傾け、子供の目線に立った政策を展開することを基本的な考え方として位置づけております。
子供シンポジウムは、子供の声に耳を傾けるための重要な取り組みであり、チーム二・〇七プロジェクトを展開するこどもスマイルムーブメントにおいても、都が率先して行う取り組みの一例として記載しているものでございます。
○原委員 一例として記載をしているということで、それで、先ほどいったように福祉保健局のこのシンポジウム自体は、大事な取り組みだというふうに思うんですけれども、それでまた、私、この件について先日文書質問をして、ここで子供たちが発表した内容や提案について、子供たちにちゃんと返していくことが必要だし、行政として何ができるのか、できないのかなど、きちんと明らかにしていくことが必要だということを質問したんですけれども、それに対しては、東京都としては、子供シンポジウムで発表された子供たちの意見は、東京都子供・子育て会議等で庁内関係部署や関係機関に情報提供しており、その結果等は参加した子供たちに報告するというふうになっています。
これ自体は大事なことだと思うんです。ただ、今回ここに、戦略の中に子供シンポジウムを載せたということでは、やっぱり子供の意見を表明するというふうにはっきり書いていますので、これを福祉保健局の範囲だけではなくて、全庁的にきちんと捉えて取り組んでいくということが求められるのではないかなというふうに思います。この点は指摘をしておきたいと思いますし、検討していただきたいというふうに思うんです。
子供の意見表明というふうに書かれたわけですけれども、意見表明は、本当に制約なく自由に行われるべきですし、大人はそれに正面から向き合う必要があると思います。それで、意見表明権の保障というのは、ただ耳を傾ければいいということではないので、ぜひそこは十分検討されるべきだということを指摘しておきたいと思います。
本来であれば、やっぱり私たちは子供議会の必要性も含めて今までずっといってきていますけれども、長期計画を進めるに当たっては、都全体として子供たちの意見表明を保障する仕組みをつくるべきだということを指摘しておきたいと思います。
それで、長期戦略全体のことを伺いたいんですけれども、戦略ビジョンをバージョンアップしたものが長期戦略だという位置づけですけれども、特にどういう点がバージョンアップをされているのか伺います。
○吉村理事 戦略ビジョンで示した戦略につきまして、新型コロナとの闘いの中で生じた社会の変化や、浮き彫りになった新たな課題を踏まえた検討を進めまして、新しい日常にふさわしい政策を練り上げるなどのバージョンアップを行いました。
バージョンアップの主な方向性や具体例につきましては、持続可能な都市づくりや、デジタル化の加速、安全・安心な新しい暮らしなどとして、未来の東京戦略に整理して記載しております。
○原委員 整理して記載しているから、それを見てくださいということなのかなというふうに思いましたが、それでは、全体がバージョンアップされたこの戦略の中で、戦略1に二・〇七プロジェクトと並んで位置づけられている結婚支援プロジェクトについて伺います。
少子化対策に結婚支援プロジェクトを位置づけることは、子供を産んでもらうための結婚支援と受けとめられかねない。見直すべきではないかとずっと提起をしてきましたが、今回、どのような検討がされて、結果どうなったのか伺います。
○吉村理事 結婚支援プロジェクトでございますが、個人の価値観や人生観が異なることに十分配慮しながら、結婚を希望しながら一歩を踏み出せない人を後押しし、結婚に向けた機運醸成を推進するものでございます。
一方で、未婚化、晩婚化が少子化の要因の一つとなっていることは事実でございまして、このプロジェクトの推進が、子供の笑顔のための戦略が目指す少子化からの脱却に寄与するものと考えられることから、未来の東京戦略におきましても、戦略1に位置づけたものでございます。
○原委員 結局、変わっていないということだと受けとめました。前回と同じ答弁だなというふうに思います。私は、SDGsでも位置づけられているジェンダー平等の観点からしても、問題だというふうに思っています。一人一人の生き方が尊重されないといけないのに、なぜ少子化対策の中に位置づけるのか。
改めて伺いますが、これは、産めよふやせよということなのかというふうに思われてもおかしくない内容だと思いますが、見解を伺います。
○吉村理事 持続可能社会を実現していくためには、少子化の進行は非常に大きな課題でありまして、これに歯どめをかけなければならない。そのためには、人々が子供を産み育てたいと思える環境をつくっていくことが重要だということを考えております。
少子化の進行する原因につきましては、未婚化、晩婚化であるとされておりまして、背景にはさまざまなものがありますけれども、若者、特に男女が結婚を希望する平均年齢が含まれます二十五歳から三十四歳の年齢層が結婚しない理由として、国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、半数の人が、適当な相手にめぐり会わないということを示しております。こうした結婚を希望する人たちに対して支援することが、結婚支援プロジェクトの意義でございます。ということで、このように結婚支援プロジェクトは、少子化の中に寄与するものであることから、戦略1に位置づけております。
また、申すまでもなく、結婚や出産は個人の自由意思だと考えております。結婚支援プロジェクトについては、結婚を希望する方を後押しするものであるということでございますので、我々として、戦略1に位置づけることについて特段問題はないと考えております。
○原委員 問題はないんだということですが、少子化対策で大事なのは、いろいろな調査も、私、前回の議論でも紹介しましたので、きょうはそこはいいませんけれども、子供を産みたいと思っている人が安心して産めるような支援がなかなか弱いということ、環境整備がまだ整っていないということが大きな問題だということは明らかになっていまして、そこに力を入れていくことが本当に重要だと思っています。
それで、結婚支援プロジェクトについては、SDGsの位置づけ、このプロジェクトの上の横のところに、SDGsでは何に当たるかというのが書いてありますけれども、この結婚支援プロジェクトについては、健康と福祉という位置づけになっているんですね。
今、部長もおっしゃったように、一人一人の生き方の尊重はされるということなんですけれども、生き方の問題なのに、健康と福祉という位置づけであるということについても、私はやはり違和感を感じるわけです。もともとSDGsで誰ひとり取り残さないという、そういう観点からすれば、多様な生き方を否定しないということが非常に重要ですので、そういう点でもこの結婚支援プロジェクトをこの中に位置づける、戦略1に位置づけるのでは、やはりおかしいのではないかというふうに思います。
この戦略自体、全体の未来の東京戦略は、今の段階では案ですので、私は、改めて検討し直していただけるように強く求めて、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○中村委員 それでは、未来の東京戦略、東京ベイeSGプロジェクトについて質問します。
最初に、戦略ゼロの感染症に打ちかつ戦略について伺います。
今の都政の最大の課題は、新型コロナウイルス対策です。今回の戦略は東京都の長期計画ですが、内容は、今現在進行形で取り組んでいる内容をまとめたものにとどまっている感があります。私は、長期計画であればコロナが終息する前提で、未来の東京が未知のウイルスに備えるための施策を盛り込むのが、この戦略に適合していると考えます。
都が未知のウイルスに対応するため、ワクチンや特効薬の開発、保健所の配置の見直し、医療体制の強化など、長期的な課題解決への施策を書き込むことが必要と考えますが、見解を伺います。
○吉村理事 現在直面する大きな危機を乗り越え、明るい未来の東京を切り開くために、新たに戦略ゼロとして、感染症に打ちかつ戦略を位置づけております。
この戦略の大きな方向性として、新型コロナの経験を生かし、未知なる感染症にも対応できる感染症に強い都市をつくり上げることを掲げております。東京iCDCを核として、現下の新型コロナ対応に加えまして、公衆衛生人材の育成や、国内外の自治体研究機関などのネットワークの構築を進め、調査分析機能や情報発信機能を強化するなど、未知なる感染症への備えを講じていくこととしております。
さらに、予防ワクチンの研究推進など、先を見据えた対策についても盛り込んでおります。現在、医療機関や保健所などを含め、東京の総力を挙げた対策を進めているところでございます。これらの経験を生かしまして、将来の未知の感染症の発生にも有効な対策につなげてまいります。
○中村委員 医学が進んだ日本社会で、まさか感染症がここまで社会を大きく変えるとは、コロナの前には誰も思っていませんでした。近隣のアジアの国ではSARSやMERSなどの感染が広がっていても、日本では広がらず、高い公衆衛生と医学のおかげだと思っていました。
ところが、国の政策は、病院のベッド数を減らし、保健所を統廃合し、訴訟を受け製薬メーカーがワクチンの開発を迅速にできない状況になっていました。今はコロナの克服が最重要課題ですし、先のことを想定するのは難しいのですが、一たび発生すれば、都政を大きく揺るがす事態になることを鑑みると、この長期計画を策定する際に、より踏み込んだ施策を盛り込むことが必要と考えます。大きな資源を使うことになる施策だけに、より先を見通した施策を入れることを求めます。
さて、十一月の総務委員会の事務事業質疑で、格差の拡大など、コロナ禍の影響も踏まえてセーフティーネットの記載を求めました。今回の戦略には、セーフティーネットについても記載が入ったことはよかったと思います。
ただ、最初の総括的な記載のところには掲載されていますが、それぞれの政策の中に具体的な施策が十分盛り込まれているとはいえません。東京のすばらしい未来ばかりではなく、むしろそこにつなげるために、困難な状況にある方を救うことは何より重要です。この戦略は都の基本計画ですから、詳細は各局任せというのではなく、都全体を見ても、こうした格差や貧困の問題への取り組みについて具体的に記載すべきと考えますが、見解を伺います。
○吉村理事 コロナ禍において、さまざまな人々の生活に大きな影響が広がっていることを踏まえまして、未来の東京戦略では、安全・安心な新しい暮らしを追求し、誰ひとり取り残さない包摂的な社会の実現を目指すことを政策の大きな方向性として示し、子供の貧困対策、ひとり親家庭への支援、離職者向けの雇用対策などの取り組みを盛り込んでおります。
戦略7の住まいと地域を大切にする戦略では、強固なセーフティーネットの構築を柱の一つとしまして、誰ひとり取り残さない相談サポートプロジェクトにおきまして、生活困窮者、障害者、高齢者、ひきこもりの方など、さまざまな悩みや不安を抱えた方が社会から孤立することなく、自分らしく過ごせるよう、セーフティーネットを強化することとし、相談、就労、生活など各方面からの支援に加えまして、属性や世代を問わない包括的な相談支援体制の整備など、分野横断的な取り組みを講じていくこととしております。
○中村委員 ご答弁いただいた項目も各箇所に分散して書いてはありますが、例えば子供の貧困や生活困窮者の対策など、どういう数値目標を掲げて現実に取り組むのかというところは示されていません。
華々しい成果だけではなく、マイナスの項目もその解消を図ることは重要です。今、厳しい状況にある方々だけではなく、少子高齢化が進んだり、景気の低迷が長引くと、誰ひとり取り残されないどころか、取り残される人がふえてしまう可能性もあります。決して甘くない現状を踏まえて、そうした方々の暮らしを押し上げる政策を盛り込んでいただくことを求めます。
さて、知事は、施政方針などでも東京市長の後藤新平の言葉をよく引用されます。この戦略では、大河ドラマのブームに乗り、新たに渋沢栄一も登場しました。もちろん偉大な先人であり、学ぶものは大きいと思っています。ただ、時代は大きく変わっているので、未来を見据えた取り組みが必要であり、戦略のサブタイトルにするほどのことかと思います。
だからこそ、ここで問題なのは、後藤新平の台湾総督府民政局長としての取り組みです。東京市長としての取り組みはともかく、植民地政策を肯定するかのような記載はすべきでないと考えます。国際都市戦略プロジェクトも掲載した東京都の計画に、なぜこうした記載があるのか理解できません。私は、戦前の植民地政策についての記載を都の基本計画に掲載すべきでないと考えますが、見解を伺います。
○吉村理事 今回の記述は、渋沢、後藤両氏が、持続可能性や人間中心の都市思想の観点からどのような取り組みをなしてきたかということを整理したものでございます。とりわけ、新型コロナとの戦いが続いている中において、かつて後藤氏が、人の命を守るため、公衆衛生面で尽力した事実について記載したものでございます。
○中村委員 東京市長としての功績は、東京市での取り組みを書けばいいのであり、公衆衛生における功績を書きたいのであれば、日清戦争時の検疫事業があれば十分です。台湾でも後藤新平を評価する声もあるようですが、だからといって、他の民族を支配する植民地政策を肯定することはあってはなりません。都の基本計画という、都の基本的な考え方を示す計画ですから、それに適した記載ではないため、再考を求めます。
さて、各プロジェクトの詳細は、各局が詳しいことは承知していますが、とはいえ、各局の政策を束ねたものではなく、都の基本計画ですから、むしろこの計画で方針を定め、必要があれば各局の取り組みをこれに合わせていくものだと思っています。
例えば、外堀浄化プロジェクトを見ると、これまでビジョンの記載にはなかった荒川の河川水を活用とのように内容が変わったものもあります。改めて、これまでのビジョンから内容が変わったものがあるのでしょうか。そうしたものがあるなら、どこが変わったかを丁寧に説明する必要がありますが、見解を伺います。
○吉村理事 未来の東京戦略は、都政の新たな羅針盤として、都が目指すべきビジョンとその実現に向けた戦略を明らかにしたものでございまして、各局はこの戦略に基づき、さまざまな政策を展開していくことになります。新型コロナとの闘いを通じて浮き彫りとなった課題を踏まえまして、一昨年十二月の未来の東京戦略ビジョンからバージョンアップを図っております。
お話の外堀浄化プロジェクトにつきましては、戦略ビジョンで示した方向性のもとで、関係局と議論を重ね、未来の東京戦略では、荒川の河川水の活用など、外堀への導水までの具体的なステップを盛り込んだところでございます。
ほかのプロジェクトにつきましても同様に検討を深め、より詳細で具体的な政策を記載しており、戦略ビジョンの内容から発展させております。
なお、新型コロナによる変化、変革を踏まえた大きな方針や戦略のバージョンアップの内容につきましては、本戦略の冒頭部分で詳しく示しております。
○中村委員 先ほども述べましたが、都の基本計画ですから、この策定を通じてこれまでの政策を大きく転換してもむしろ好ましいと思いますし、基本計画はそれだけ重要なものです。
ただ、これだけ膨大な分量の計画ですから、作成している担当者でなければ全ての政策について、これを見るだけではわかりません。特に都民から意見を募集するのであれば、大きく変わった部分に注目していただいて、それについて意見をもらうことも重要です。この戦略が確定すれば、それが具体的に各局の計画に落ちていくわけですから、ぜひ丁寧な説明をお願いします。
事務事業報告への質疑では、パブリックコメントをすべきと質問しましたが、今回の戦略で実施されたことは評価します。都民の意見を聞いてつくる基本計画ですから、これを大きく変えるなら、再びパブリックコメントが必要ともなります。今回の戦略にも、また、東京ベイeSGプロジェクトにも、カジノの記載は全くありません。これは都の長期計画ですから、都はカジノを行わないと理解したいと思いますが、見解を伺います。
○吉村理事 IRにつきましては、所管局において、メリット、デメリットの両面から、引き続き総合的に検討を行っていくこととされております。
○中村委員 二〇四〇年までの長期計画に何の記載もないわけですから、検討する時期は、もう終わったわけです。自信を持ってこの戦略を立てたのであればカジノがなくても、稼ぐ東京イノベーション戦略として十分な経済政策が盛り込まれていると受けとめます。
さて、ビジョンにあるチーム二・〇七プロジェクトについては、来年度予算にも計上されています。福祉保健局の担当ではなくて政策企画局が担当しています。コロナ禍の影響で、妊娠された方の届け出が減ったという統計もあるようですから、出生率の低下が心配されます。この現状を踏まえず、二・〇七を目指すのでしょうか。
出生率を上げるために出産するのでもありません。出産については、経済的支援、子育ての支援などの環境整備こそが必要だと思います。このプロジェクトの狙いや取り組みは何か、その取り組みが出生率の向上につながるのか、見解を伺います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 チーム二・〇七プロジェクトは、子供、子育てを社会のトッププライオリティーとし、チルドレンファーストの社会を創出することを目的として、産官学民の幅広い主体が連携し、現在と未来の子供の笑顔につながるこどもスマイルムーブメントを展開することとしております。
ムーブメントでは、子育てに優しい働き方の促進や、多様な遊び、学びの機会の創出など、発信力の高い象徴的な取り組みをコアアクションとして打ち出すとともに、幅広い企業、団体それぞれの特性を生かした多様な取り組みを展開、発信してまいります。
こうした社会全体で子供を育むムーブメントと、子供や子育て世代に寄り添ったきめ細かな施策の両面から総合的に子供政策を推進することで、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会を実現する、そのことが少子化からの脱却にもつながるものと認識しております。
○中村委員 出産したいと思っても、経済的支援、子育てへの支援など、環境が整っていなければ産み育てることができないのですから、都庁を挙げて取り組んでいただきたいと思います。予算書の説明でも、社会のマインドチェンジを促すとありますが、行政、事業者、社会の方が考えを変えることが重要なので、そうした取り組みに期待します。
次に、シン・トセイについて伺います。
今回、シン・トセイが発表され、構造改革はデジタルサービス局で担当することになりました。私は、都民が求める都政の改革は、都民サービスの向上につながるための改革であり、そもそも日常的に都に届け出をすることがそれほどあるわけではありません。一般的に都民が考える都庁の改革は、いわゆるお役所仕事とか縦割り行政、融通がきかないなどであり、デジタル化によるものではなく、仕事の仕方、意識の改革、役所の文化によるものだと思います。
行政改革が総務局からデジタルサービス局に移り、行政改革の言葉が消えてしまいます。名は体をあらわしますので、改革が後退しかねません。デジタルサービス局にはなりますが、デジタル化は手段であり、改革の本質を見失わず取り組まなければなりませんが、見解を伺います。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 都政のミッションは、都民へのサービスを高めていくこと、すなわちQOSをいかに向上していくかであると認識しております。このため、今回のシン・トセイ戦略では、DX推進をてこ、すなわち手段といたしまして、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスを向上させることで、都民のQOLを高めることを掲げております。
こうした趣旨から、このたび新設するデジタルサービス局についても、サービスという言葉を局名につけております。今後、戦略に基づき改革を先導する七つのコアプロジェクトを強力に推進し、フリーアドレスの導入やクラウドサービスの利用促進などにより、これまでの仕事の進め方、職員の意識、働き方を変革していくこととしております。こうした実践を積み重ねる中で、課題を見出し、柔軟な発想とアプローチで制度や仕組みの抜本的な見直しにつなげてまいります。
○中村委員 デジタル化は時代の流れであり、そのことを否定するつもりはありません。ただ、改革の本質を見失ってしまうと、誰のための何のための改革かわからなくなってしまいます。都民は、一人一人命があり、数値やデータではありませんので、都民の顔を見て話を聞く姿勢は決して忘れず、改革という名前は組織から消えてしまいますが、常に都民のためになる改革を進めていただきたいと要望いたします。
次に、国や他の自治体との連携について伺います。
都と国や他自治体との関係は、いうまでもなく大変重要です。とりわけ、新型コロナウイルスについては、国、他の道府県、市区町村などとの協力が必要です。報道でも、都から国へ、また、一都三県の知事から政府に要望書を出したとかを見ることがあります。国でいえば条約は他国との約束ですから、批准をすれば法律以上の効力があります。他の自治体との合意事項や、都を代表しての国への発言や要請等は、都政にとっても大変重いものがあります。
都は、毎日多くの事業について報道発表し、ホームページでは都民にも公開をしています。一都三県の国への要望や合意文書なども都民に説明する必要がありますが、どのように取り組んでいるのか伺います。
○巻嶋渉外担当部長 一都三県は、生活圏、経済圏を一体としておりまして、人々の往来も多いため、感染拡大防止に向けて連携して取り組んでいくことが重要でございます。この間、一都三県は、時機を捉えて、水際対策の徹底や財政支援の充実など国に対して要望を実施するとともに、共同メッセージや共同宣言を発出するなど、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
都は、これらの要望書やメッセージなどについて、プレス発表に加えまして、ホームページに新型コロナに関する近隣自治体との取り組みを紹介するページを設けたほか、デジタルサイネージなど、さまざまな媒体を活用して呼びかけを行うなど、都民の方々に広く発信しております。
○中村委員 新型コロナ禍において、近隣自治体や国との関係についての情報がふえました。また、都政についても重要性を増したということですから、私からも情報発信を求めさせていただきました。また、そういうお答えをいただき、ホームページに掲載していただいたことは評価いたします。引き続きの取り組みをお願いします。
新型コロナの対応については、国や他の自治体との連携が重要と述べましたが、総理と都知事との調整不足、一都三県の知事の足並みがそろわないなど報道されています。コロナ対策は協力して行うものであり、実際に足並みがそろっていないかはわかりませんが、少なくともそういう報道がされたのは事実であり、我慢を強いられている住民からすれば、政治に対する不信感が高まり、自粛をお願いしている重要な時期においてはよいことではありません。
突然の発表は、報道的にはインパクトはありますが、時には不信感も招きかねません。話し合いは丁寧に積み重ね、発表は当事者がそろって行うのが望ましいと思います。こうした事態に直面している今こそ、他自治体との連携を深め、協力してコロナ対策に取り組んでいくことが重要です。
そこで、都は、今後他の自治体とどのように連携を図っていくのか伺います。
○巻嶋渉外担当部長 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、現場で課題に向き合っております自治体が情報やノウハウを共有し、連携して対策を講じていくことが重要でございます。
都はこれまでも、一都三県の知事会議や九都県市首脳会議などを通じて近隣自治体と意見交換を積み重ね、共同取り組みの展開やメッセージの発信など、広域的な対応を図ってまいりました。
また、全国知事会のワクチン接種特別対策チームなどに参加するとともに、国への緊急提言に現場の実態に即した必要な意見を提出するなど、他の道府県と一体となって対処しております。
今後も引き続き、各局と協力しながら、近隣三県を初め、他の自治体と緊密に情報共有や調整を図ることで連携を深めてまいります。
○中村委員 新型コロナウイルスの緊急事態宣言について、今まさに二十一日に解除できるのかどうかが最大の関心事になっています。一月七日からの緊急事態宣言は、一都三県からの要請で国が渋々発出したように報道され、三月八日以降の延長については、一都三県、とりわけ都知事の動きを察して国が先行して発出したのではないかと報道されていました。
こうした報道を見ると、本当に科学的知見に基づいて、専門家の意見を尊重して決められたのか疑問に思われ、政治的な思惑の中で決まっているのではないかと国民、都民の間に不信感が高まっています。
間もなく二十一日に終了か延長か、大変重要な判断が迫られているので、誰がいい出したからとか、誰の手柄とかではなく、国と一都三県が真摯に協議をし、なぜそうした結論に決めたのかの考え方を丁寧に説明することを求めます。
なお、交渉事は、情報が漏れないようにメンバーを絞って会議をすることはありますが、先ほども述べましたように、国や自治体との合意をしても、国の条約ではないので批准という手続はありませんが、予算を伴うものは議会の議決が必要になります。こうした点では、これまでの緊急事態宣言についての合意において、飲食店への時短要請の協力金のように予算を伴うものは議会の議決が必要です。
コロナ対策では迅速さを求められますが、専決処分をすればよいと軽く考えるのであれば、大きな間違いです。国や他自治体との協議を進める際には、とりわけ予算を伴う内容については、並行して議会にも丁寧な説明が必要と考えます。もちろん議会だけではなく、都民に対しても丁寧に説明をすることが大切です。そのことを求めまして、質問を終わります。
○山内委員 私からも質問します。
未来の東京戦略案について伺いたいと思います。
二〇一九年十二月に、未来の東京戦略ビジョンが策定され、目指す二〇四〇年代のビジョンとその実現のため、二〇三〇年に向けた戦略である未来の東京戦略案が示されました。
その中で、新型コロナウイルスの感染拡大を受け浮き彫りになった課題が、失業や休業等により生活に困窮する人が増加して、ひとり親家庭や子供たちの生活環境への影響、高齢者、障害者、外国人など、東京に暮らす社会的に弱い立場の人へのしわ寄せをどう解決していくかという問題です。
新型コロナ感染拡大によって浮き彫りになった貧困、格差の問題について、都は、どのように取り組んでいくのか伺います。
○吉村理事 新型コロナは、休業などによる生活困窮者の増加や、ひとり親家庭の収入や生活へのしわ寄せ、高齢者や障害者の心身の健康不安など、人々の生活に大きな影響を及ぼしました。
こうしたコロナ禍により明らかとなった課題を踏まえまして、未来の東京戦略では、政策の大きな方向性として、安全・安心な新しい暮らしを追求して、包摂的な社会の実現を目指すこととしております。例えば、誰ひとり取り残さない相談サポートプロジェクトにおきましては、それぞれの状況に応じた相談支援体制の充実に加え、就労支援や経済的支援を含めた強固なセーフティーネットの整備を掲げております。
また、人や地域に注目した住生活充実プロジェクトでは、東京ささエール住宅の拡充など、住宅のセーフティーネットの強化を図ることとしております。
○山内委員 感染症拡大によって、命が大事であるということを改めて痛感をいたしました。感染症や気候変動による自然災害が、人口密集の巨大都市東京に及ぼす影響は脅威です。今こそ、持続可能なまちづくりに転換する必要があります。経済発展の場として東京を見るのではなく、自然を守り、命を育む都市環境をつくることが、災害にも強く、人に優しい、持続可能なまちをつくるという発想が重要ではないでしょうか。
東京は、経済発展、繁栄だけでなく、気候変動への取り組みを早急に進めていく必要があると考えますが、今回の未来の東京戦略でどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○吉村理事 今回、戦略14、ゼロエミッション東京戦略では、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比で五〇%削減するなどの意欲的な目標を掲げ、新たに水素社会実現プロジェクトを立ち上げたほか、再生可能エネルギーの利用拡大や環境関連技術の開発支援など、気候変動対策に係る行動の加速化を図っております。
また、戦略13、水と緑あふれる東京戦略では、生産緑地、農地等の保全活用、保全地域の指定促進、生物多様性の保全を支える環境整備など、あらゆる方策で都内全体の緑をふやし、気候変動の影響の抑制に努めることとしております。
○山内委員 一般質問で子供政策について取り上げたところ、知事は、一丁目一番地と述べ、子供の目線に立った政策を総合的に推進すると答えました。子供に関する政策は、一つの局だけで解決できるものではありません。福祉や教育、公園や道路、自然環境、さらにはおもちゃや食べ物など、子供の生活全般にわたって目配りが必要です。こども未来会議は、まさに子供政策を総合的に推進し、幾つもの局を横串で貫く視点によるものと理解していますが、見解を伺います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 未来の東京戦略で掲げている、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会の実現に向けて、これまでの延長線上ではなく、海外等の先進事例も踏まえ、福祉、教育等の従来の枠組みにとらわれない幅広い視点から議論を行うことを目的として、今年度新たにこども未来会議を立ち上げたところでございます。
子供の笑顔や子供との対話などの視点を重視しながら、学び、遊び、居場所、働き方など、さまざまな行政分野にまたがる子供政策について、いわば横串を刺して多角的に議論を展開、発信していくこととしております。
○山内委員 こども未来会議のこれからの予定についてお伺いしたいと思います。
また、この会議で議論されたことは、都の施策にどのように生かされるのか、見解を伺います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 こども未来会議においては、引き続き、さまざまな分野の有識者等を幅広くプレゼンターとして招聘し、専門的見地から多角的に議論を展開していくとともに、今後、子供との対話の機会を設け、子供の意見を議論に反映させるなど、子供の目線に立った視点からの議論をより深めてまいります。議論を通じて浮き彫りとなった課題につきましては、庁内各局で共有してまいります。
○山内委員 今後、子供施策を進めていくためには、子供の権利条約に基づいて、権利擁護専門相談事業のような権利救済とともに、子供自身の参加と意見表明の保障が重要です。こども未来会議でも、子供の意見反映とその手法について議論されているところです。子供自身が発する意見を都政に反映させるために、どのような場をつくっていくのか見解をお伺いいたします。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 未来の東京戦略の戦略1、子供の笑顔のための戦略では、子供を大切にする視点から、都が率先して子供の声に耳を傾け、子供の目線に立って政策を展開することを基本的な考え方として位置づけております。
来年度、新たに立ち上げる子供向けホームページを作成するに当たっては、掲載するコンテンツやホームページの名称などについて子供の意見を取り入れるなど、子供との双方向コミュニケーションを図りながら進めてまいります。さらには、未来の東京戦略の推進に向けて、未来を担う子供たちから幅広く意見を聞くなど、さまざまな形で子供との対話を創出してまいります。
○山内委員 昨年三月の国による突然の一斉休校、そして四月の緊急事態宣言により、子供の貧困、格差が大きな社会的な問題となりました。子供の権利救済とともに重要なのが、繰り返しになりますが、子供自身の参加と意見表明の保障です。昨年の緊急事態宣言で外出自粛が呼びかけられる中で、公園の遊具には使用禁止のテープがぐるぐる巻きにされていました。驚愕いたしました。子供たちは、大好きな遊具に突然拒絶された、そう感じたに違いないと思います。そのときの子供の気持ちを想像し、いいようのない物悲しさと怒りを感じました。
その一方で、海外の女性首相たちの、子供に寄り添い、子供にわかりやすい言葉で説明し、子供の質問に優しく答え、脚光を浴びました。子供は、未来を担うとともに、今をともに生きる社会の一員です。政策決定の過程、政策の周知等、子供の参加、意見の表明、意見の反映など、ぜひ進めていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。
○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後五時三分休憩
午後五時二十五分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○藤井委員 都政の構造改革、シン・トセイについて伺います。
シン・トセイの二〇二五年度達成目標として、デジタルシフト、オープンガバメント、デジタルトランスフォーメーション推進体制の構築等を通じて、デジタルガバメント都庁を実現するとあります。
二〇二五年度までにデジタルガバメント都庁の基盤をつくるとなっておりますが、そもそもこのデジタルガバメント都庁とは、どのようなものを想定しているのかお伺いいたします。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 デジタルガバメント都庁とは、デジタル技術を活用した行政のデジタルシフト、官民が協働したオープンガバメントの推進、それらを支えるDX推進体制の構築を軸として、制度や仕組みの改革につなげ、あらゆるサービスがデジタルで提供されることにより、都政のQOSが飛躍的に向上した姿を想定してございます。
○藤井委員 二〇二五年度までに都庁の全てのサービスをデジタルで提供するというご答弁でありました。
今までの、都庁に来てさまざまな申請や手続をしなきゃいけないという、この現状を考えますと、都民にとってのメリットは非常に大きく、その未来には、非常にわくわくとするもので、期待をしているものであります。
もちろん来庁する必要がある人には対面での対応も残ると思いますが、それぞれが独自に自分たちの判断で選択できるということが重要でありまして、その実現にとても期待をしています。
一点、注意が必要なのは、これまでも何度かお伝えをしておりますが、都政のQOSの向上は、都民のQOLの向上、このためでありまして、それ自体は目的にはならないと思いますので、ご注意をお願いいたします。
QOSの向上の先の都民、都政にかかわる一人一人の皆様に思いを寄せて、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
今回のシン・トセイ戦略をまとめるに当たり、都は、海外都市と比較した調査を行っています。デジタル化に関する都民の実態調査結果について、海外の都市と比べてどのような特徴があったのか伺います。
○神永構造改革担当部長 今回の調査では、東京とニューヨーク、パリ、ロンドンの平均とを比較しておりますが、デジタル化された行政手続の利用率やその満足度について、東京の数値は海外三都市の平均と比べて低くなってございます。
また、行政サービスへのアクセス手段につきましては、海外三都市は東京に比べて検索サイトや行政が提供するアプリ等のデジタル媒体の利用率が高くなっております。
こうしたことから、東京の行政サービスにおけるデジタル利用の推進をさらに進める必要があることが浮かび上がってまいりました。
○藤井委員 結果から、海外三都市より低いということがわかってきているということであります。裏返すと伸び代がたくさんあると、伸び代しかないということだと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
さらに、シン・トセイには、都民からの意見や都庁内からの提案等、さまざまな視点が取り入れられております。
都民等からのnoteへの意見やコメントと、職員からのデジタル提案箱への意見がどのような成果に結びついたのか。その検討経過や結果等も、都民にわかりやすく伝えるべきと考えますが、見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 都民等からSNSのnoteに寄せられたご意見につきましては、全て庁内で検討を行い、その結果を構造改革の取り組みに反映するとともに、シン・トセイ戦略において、主な採用状況をわかりやすく公表してございます。
このうち、行政手続を自宅で済むようにしてほしいとの意見に対しましては、昨年十一月、行政手続のデジタル化に係る取り組み方針を全庁に発出いたしまして、ユーザー目線に立ち、スマートフォン申請を推進していくこととしております。
また、デジタル提案箱に寄せられました職員からの提案につきましても、一つ一つ検討を行いまして、対応状況を整理し、職員全体に周知を図っております。
このうち、職員の個人端末で外部とのウエブ会議ができるようにしてほしいとの提案に対しまして、当初の整備予定を前倒しし、本年一月末にウエブ会議が行える環境を整えてございます。
○藤井委員 ありがとうございます。都民や職員のさまざまな提案が一歩一歩実現しているということが確認がとれました。
国のデジタル庁をつくるに当たって、デジタル改革アイデアボックスというものを設置しておりまして、ここは国民、あと行政の職員等からの全てのコメント、提案であったりとか、コメントを見える化しておりまして、ユーザーが、見ている人たちが投票をして、これいいねというのを可視化するというような工夫が行われております。
都でも、そういった経緯や経過などが見えるように取り組んでいくというご検討もあわせてお願いをいたします。
シン・トセイでは、都庁のデジタル環境について、職員の意識調査も行っております。
都庁のデジタル環境について、職員の意識調査はどのような結果だったのかお伺いいたします。
○神永構造改革担当部長 この調査は、都庁のデジタル化の推進に向けて、職員が感じている課題を捉えるため、庁内の通信環境やTAIMS端末、基幹的なシステムに関する満足度を調査するとともに、職員のデジタルツールの利用状況などについて調査をしたものでございます。
都庁のデジタル環境に対する総合評価は、大いに満足、やや満足が合わせて一〇%だったのに対しまして、大いに不満、やや不満を合計すると五四%との結果になっております。
また、TAIMS端末で利用できるスカイプのビデオ通話につきましては、全く使用していない、余り使用していないの合計が九〇%との結果が出ております。
こうした調査で明らかになった状況を改善に生かしてデジタル環境の満足度向上を図るとともに、今後も調査を定期的に実施いたしまして、都政のQOSの向上のメルクマールとしてまいります。
○藤井委員 総合評価で、満足が一〇%、そして不満足が五四%という結果なんですが、早急に抜本的な改革が必要かなと思います。
また、スカイプ、TAIMS端末で利用できるスカイプなんですが、ビデオ通話、チャットもほとんど使われていないという結果でありました。
都は、テレワークを進めておりますが、この十一月の時点ではまだウエブ会議などは行われていないということを意味しているのではないかと思いまして、正直少し驚いているところであります。
十一月の調査ということなので、現時点では、少しずつ改善してきているということを期待するものでありますが、それまでのテレワークが資料作成などが中心で、ウエブ会議とか、面談であったりとか、打ち合わせとかというのはしていなかったのではないかというところでありまして、テレワークのやり方についても、しっかりと見直しをしながら改善していく必要があるのではないかと思います。
加えて、ビジネスチャットツール、スカイプのチャットも、これを使いこなすことで、意思決定を迅速にしますし、日々の業務の改善効果は非常に大きいものだと思います。
私も、民間企業等では日常的に使っておりましたが、その使い方のコツなどもありますので、ぜひ積極的な活用をお願いしたいと思います。
調査では、このスカイプの使用率が極めて低い結果となっていますが、今後、このスカイプに限らず、どのようにこのウエブ会議の活用を促していくのかお伺いいたします。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 構造改革推進チームでは、シン・トセイ戦略を練り上げるに当たりまして、テレワークを行っている職員との打ち合わせや、外部有識者との会議に、ウエブ会議システムも積極的に活用してまいりました。
さらに、各局担当者が参加する構造改革担当部長会や、スマート東京・TOKYO Data Highway戦略推進チーム会議など、全庁的な会議体での活用により、その取り組みを広げてきております。
また、今月末に予定しておりますデジタルセミナーでは、他自治体職員との間にも活用を広げていく予定でございます。
個人のTAIMS端末での外部とのウエブ会議に関しましては、本年一月にズームとウェブエックスが、そして今月には、マイクロソフトチームズが活用できる環境が整えられました。
こうした新たなツールも活用しながら、今後とも実践を積み重ねることで、多くの職員にウエブ会議システムの利便性を実感してもらい、さらなる活用促進につなげてまいります。
○藤井委員 さまざまな会議体でウエブ会議をもうだんだんと使っているというところのご答弁をいただきました。
宮坂副知事が、自分の打ち合わせはウエブ会議でやってくれとかというお話をしているのもお見かけしましたし、少しずつ活用が進んできているものと期待をしております。
今出てきたようなウエブ会議を中心としまして、これまでの対面での打ち合わせを中心とした考えをぜひ根本から変えていただきたいと思います。
私自身も先日予算特別委員会に向けてのレク等で、皆様と事前のレク、意見交換、政策企画局の皆様とのやりとりを、ズームを使ってウエブ会議で実施させていただきました。
私、家から入ったんですが、特に問題なく、内容の確認、いろんな意見交換もできましたので、ぜひ職員の間でも、そういった意見交換、上司への報告であったりとかしていただきたいと思います。
資料共有もできますし、あと課題として、以前、人事部の行ったアンケートで出ていたのが、上司の理解が必要との声も大きかったですので、ぜひ管理職の皆様から積極的に使っていただきたいと思います。働き方の意識を根本から変えていただきたいと思います。
こういった、先ほどの実態調査を継続的に行っていただきまして、不断の改善をお願いしたいと思います。
十一月に公表しました都政の構造改革レポート、バージョンゼロ、このシン・トセイの前のものですが、今回のシン・トセイでは、私が昨年十二月の第四回定例会で質疑で指摘をしたところが、改善をされているかと思います。
コアプロジェクトなどの名称が変わっていますが、この変更した理由をお伺いいたします。
○神永構造改革担当部長 昨年八月に開始いたしました都政の構造改革は、DX、デジタルトランスフォーメーションの推進をてことして進めていくものであったことから、九月に改革を先導するコアプロジェクトを立ち上げる際には、最優先事項であるDX推進体制の構築をコアプロジェクトの一つと位置づけたところでございます。
その後、スピード感を持って検討を進め、十一月に、先ほど副委員長がおっしゃいました都政の構造改革レポートにおきまして、都政のデジタル化を牽引する新組織の設置や、デジタル人材の確保、育成の方向を明らかにいたしました。
シン・トセイ戦略では、こうしたDX推進の取り組みをさらに発展させるとともに、多様な人材が活躍し、都庁内外の多様な主体と協働して課題解決に取り組んでいくための組織、人材マネジメントの変革をも盛り込んだ内容としたところでございます。
○藤井委員 デジタルトランスフォーメーション、DXの推進のためには、人事、組織の変革というのも非常に重要ですので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
続いて、少し話は中身に入りまして、保健所のデジタル化の取り組みは、このコロナ禍において最重要の取り組みであると思います。
都内のほかの保健所にも展開していくことが重要であると考えますが、区市の保健所に活用が広がった事例などありましたらお伺いいたします。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 感染症対策の最前線に立つ保健所職員の業務負担の軽減を図るため、ディスプレーやヘッドセットの導入、ファクスで届く発生届の電子化などのデジタル化を進めており、こうした都の取り組みにつきましては、保健所長会などを通じて、区市の保健所と共有を図っていくこととしております。
このうち、自宅療養者フォローアップセンターによるLINEを活用した健康観察などのサービスにつきましては、二月末時点で都内に設置されております三十一の保健所のうち、二十八の保健所で導入が決定しております。
○藤井委員 LINEを活用した自宅療養者のフォローアップのシステムが、二十八の区市で導入を決定しているということでありまして、そういったところ、ぜひサポートを引き続きしていただきたいと思います。
加えて、やはりその保健所の事務の効率化というものに、デジタルツールというのを活用すべきではないかと考えております。
保健所では、各種確認など、電話で聞いた内容を紙にメモしている様子というのがテレビの放送などでいろいろ見るところなんですが、つまり、そのメモでとったものというのは紙に書いて、そこにまとめて置いておいて、あわせて、その後パソコンに打ち込んだりとかっていう作業が出ているものだと思います。結構、それでそのメモがなくなったりとか、転記をするということ自体も大変だと思いますので、こうしたこの事務作業こそが一番効率化されるべきものではないかと思います。そうすることによって、保健所の生産性を上げて、より重要な患者の皆さんに寄り添うようなことということができていくのではないかと思います。
なかなか難しいところもあると思いますし、大変忙しい中で業務自体を変えていくというのは、なかなか難しいところではあるとは思うんですが、ぜひ、こちらもあわせて検討をお願いいたします。
続きまして、都の構造改革の取り組みは、五つのレスなどを初めまして、都内の区市町村を初め、他の自治体の参考になるものだと期待をしていますし、実際参考になるものだと思っています。
ぜひ、このときに失敗した経験も、ほかの自治体に積極的に共有をお願いしたいと考えております。
構造改革の実践で得られた経験、ノウハウについては、うまくいった事例、うまくいかなかった事例ともに、他の自治体と共有していくことが重要と考えますが、見解を伺います。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 行政のデジタル化を初めとするデジタルガバメントの実現は、都のみならず、自治体共通の課題であると認識しております。
シン・トセイ戦略では、区市町村など多様な主体との連携を、改革実践の進め方として掲げております。
都の実践を通じて得られた成果や明らかとなった課題等につきましては、区市町村のDX支援に関する研修での紹介や、SNS、noteを活用した発信を行うことなどにより、他の自治体と共有を図ってまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
私の経験ですけれども、神戸市さんが、アーバンイノベーション神戸という行政課題解決型のスタートアップとの協業の施策をされておりまして、さまざまなカンファレンスでの発表であったりとか、インタビュー等の記事で、失敗した事例も含めて発信をされていました。
都でも同じように行政課題の解決型のスタートアップ支援、産業労働局だったりとか戦略本部でやっておりますが、その際に、私も参考にさせていただきながら提案ということをしてまいりました。そういった失敗事例、先行自治体の失敗事例こそが、ほかの自治体の参考になると思いますので、積極的に発信をお願いしたいと思います。
シン・トセイには、改革の五つのキーワード、その一つとしまして、デザイン思考というものを挙げております。ユーザー目線に基づく政策、サービスを創出すると記載がありました。
デジタル化に利用者の意見を反映するために、ユーザーレビューを実施するということも記載があります。ユーザーレビューのほかにも、デジタルの力により都民意見やニーズを把握する仕組みの構築を模索していくべきと考えますが、来年度以降、検討を考えているものがあればお伺いいたします。
○神永構造改革担当部長 都民との双方向コミュニケーションを図りながら改革を進めていくため、インターネット都政モニターやネットリサーチの活用など、これまでの広聴手段に加えまして、来年度、オープンかつアジャイルに都民の意見を酌み取ることのできるデジタルプラットフォームの検討に向けた検討を進めてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
シン・トセイのこの資料を確認しておりますと、スペインのバルセロナのディシディムという、市民のプラットフォームを参考例としております。日本では、兵庫県加古川市が、コード・フォー・ジャパンさんと協働で、市民の皆様の意見をいただいて議論して政策に結びつけていくための市民参加型合意形成プラットフォーム加古川版のディシディムを運用しております。
コード・フォー・ジャパンさんは、都ともかなりつながりがあると思いますので、ぜひそういった意見であったりとか、参考にしていただきながら取り組んでいただきたいと思います。結構難しい取り組みだなと思っておりますので、しっかりとこちらは進めていただきたいと思います。
続きまして、デジタルトランスフォーメーション、DXを進めるに当たりまして、デジタル人材の確保が何よりも重要であります。今回、デジタルサービス局が設立されますが、DX人材を集めた外部団体の設立など、さらなるDXの推進に向けた体制について、引き続き検討を行うことが重要と考えますが、見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 今後さらにDXを推進していくためには、一般的なIT業界との給与制度の相違や、民間企業との連携推進に向けた契約制度のあり方など、さまざまな課題を克服していく必要があると考えております。
このため、DXが進んでいるエストニアなど、海外の先進事例なども参考にしながら、さらなるDX推進に向けた効果的な体制につきまして、検討してまいります。
○藤井委員 DX、さまざまな検討をしていく、体制について検討していくということでありまして、これまでも何度も話に出てきておりますが、やはり区市町村のデジタル化の支援だったりとか、各局もそうですが区市町村の支援等もありますので、ぜひ外部の団体も含めてご検討をいただきたいと思います。
最後の質問になりますが、都政の構造改革の秘訣というのは、何よりも都庁職員の皆様の意識、行動の変革、変容にかかっていると思います。
シン・トセイ戦略には、目指す都政の姿として、意識改革により、新たな挑戦を生み出すであったり、人事交流等により、プロ職員へ成長するなど、職員自身の変革についての記載がありますが、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 シン・トセイ戦略で示した目指す姿の実現に向けまして、スピード、オープン、デザイン思考、アジャイル、見える化の五つのキーワードを、都政の新しいスタンダードとして定着させるべく、SNSのnoteやポータルサイトを活用して、職員への浸透を図ってまいります。
また、フリーアドレスやSaaS等のデジタルツールの導入により、職員の働く環境を大きく転換することで、仕事の進め方そのものを抜本的に変えてまいります。
さらには、民間との人事交流の活性化や、スタートアップとの協働推進などにより、都庁外からの最新の知見を得て、政策立案に生かしてまいります。
こうした実践を積み重ねることで、職員の意識変革や都職員としての成長につなげてまいります。
○藤井委員 さまざまな取り組みでありまして、期待をするところであります。
行動の変容のためには、仕組みづくりというのが何よりも大事ではないかと思います。
先日、洋菓子の製造をしているスタートアップの経営者の人とちょっとお話をしました。洋菓子製造ですので職人を大変多く雇っておりまして、なかなかアジャイルな思考だったりとかというところからは遠いように思えるんですが、そこにアジャイルな思考をどうやって浸透させたかというお話をお伺いいたしました。
一言でいいますと、まずやってみて小さな成功を重ねることで、組織内に自然と横展開が広がっていった。そして、アジャイルの考え方が組織に浸透していったということでありました。
具体的には、それまで年一回だった商品開発を、集中的に毎月行うキャンペーン期間として、半年間、毎月一個新しい商品開発をするということをしたそうです。そのときに、いきなり商品開発をしようといってもなかなかわからないので、このお菓子はどういうお客様を想定している、ターゲットはどんなものかであったりとか、そういった商品開発のためのプロセスを整理し、何をしたらいいかという、具体的にわかりやすく整理をしていったそうであります。
そういった取り組みをしていったところ、開発で始めていたものが、何か開発の方ではこんなことをしているらしいよっていう話が店舗の方にも行って、店舗から、実際に出たその商品を、お客様の声を拾って、お客様がこんなことをいっていますと、おいしかったといっていますとか、そういうフィードバックをくれるようになったと、自然と変わってきたというふうになってきました。
それがさらに商品開発に生きるということで、そういったアジャイルな思考、都みたいな大きな組織とまた違うところではあるとは思うんですが、最もアナログと思われる、そういった職人さんの世界でもこういったアジャイルな思考というのは定着しますので、しっかり都でも、そういった小さな成功を積み重ねるための仕組みと仕掛け、これをつくっていただきまして、ぜひシン・トセイ構造改革を進めていただきますようにお願いをいたします。
以上で、私の質問を終わらせていただきます。
○小松委員 私からは、シン・トセイ都政の構造改革QOSアップグレード戦略について伺いたいと思います。
シン・トセイ戦略には、デジタルトランスフォーメーションの推進をてことして、制度や仕組みの根幹にまでさかのぼった都政の構造改革を強力に推進していくとの記載がございます。
デジタル化自体は大いに推進するべきものと考えるわけですが、なぜ改革が必要なのか、デジタル化によりどのようなメリットが生じるのか。その目的や効果について、都民に向けてはっきりと示していくことも必要だと思います。
新型コロナウイルスとの闘いが長期化し、ふえ続ける業務に対して、各局から応援職員を相当数出されて対応をされてきました。今、都職員の置かれた状況というのは大変厳しいものがあるものと認識をしています。
こうした状況にあればこそ、行政のデジタル化を進めることで、業務の効率化や職員の負担軽減を図り、限られたマンパワーを有効に活用してこの危機を乗り切っていく、こうしたことが必要だと思います。
そうした意味で、時にお役所仕事と批判されることもある煩雑な手続や膨大な書類の見直しを進めていかなければならないのではないでしょうか。
こうした視点でシン・トセイ戦略を見ますと、コアプロジェクトの一つに、内部管理事務抜本見直しプロジェクトというものが掲げられています。
そこで、このプロジェクトの取り組み内容を伺います。
○神永構造改革担当部長 内部管理事務抜本見直しプロジェクトは、手続が煩雑で、紙ベースでの処理が中心である給与や旅費、契約などの事務に要する職員のマンパワーをイノベーティブな業務へとシフトさせていくため、業務プロセスの最適化、BPRとデジタル化を推進していくものでございます。
具体的には、契約の起案から契約書の締結、代金の支払いまでの一連の手続につきまして、手続の最適化を図った上で、デジタル化を進めてまいります。
また、今月一日に開設いたしました総務事務センターにおきまして、職員の給与や旅費などの定型的な事務を集約し、効率的に処理してまいります。
こうした取り組みによりまして、内部管理事務の処理に要する職員などの負担軽減を図ってまいります。
○小松委員 職員の皆さんのマンパワーは、内部管理事務ではなく、都民サービスの向上に、より注がれるべきであり、多くの職員の方もそれを望んでいるのではないでしょうか。このプロジェクトにより、職員の負担軽減が図られるよう、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
さて、ただいまの答弁の中で、イノベーティブな業務にマンパワーをシフトさせていくというお話がございました。シン・トセイ戦略と同日に公表された未来の東京戦略にも、目指す二〇四〇年代のビジョンとして、都庁みずからがイノベーティブな存在になるとの記述がございます。
そこで、行政におけるイノベーションとは、どのようなものを想定しているのか伺います。
○神永構造改革担当部長 行政におけるイノベーションとは、多様な主体と連携を図りながら、最新の知見や技術を駆使して、サービスのあり方の抜本的な見直しや新たな政策、サービスの創出を実現し、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスを飛躍的に向上させていくことであると考えます。
スタートアップと連携して、革新的なサービスをともに開発することや、国や区市町村で連携して、行政手続のワンストップ化を図ることで、AIやICTの活用により、大幅な業務効率化とサービス水準の向上を実現することなどが想定されます。
○小松委員 私がいうまでもないことでありますけれども、デジタル分野の技術革新のスピードというのは大変速いわけであります。行政も、閉鎖的な組織風土から脱却し、それこそ、社会をつくるいろいろなプレーヤーと連携をし、都民にとって価値ある行政サービスをつくり上げていくことを期待いたします。
答弁では、連携の相手先として区市町村との言及がございました。区市町村は住民にとって最も身近な行政サービスの提供者でございます。行政サービスの質を高め、都民の利便性を向上させていくためには、都のみならず、都内の区市町村におけるデジタル化を加速させていくことが不可欠です。
一方、区市町村のデジタル化には、これ再三、これまでのやりとりでも確認してきたんですが、やはりデジタル人材の確保、こうしたことが大きな課題となっているほか、さまざま課題があるものと認識をしています。
以前も本会議の質問もさせていただきましたが、こうしたシステム分野の部門がそもそも存在していなかったりですとか、やはりシステムとまたデジタル、行政サービス、またそれぞれ求められてくるそうした知見、能力も変わるわけであります。
こうした、都として、区市町村のデジタル化に向けた推進を支援していくべきと考えるわけですが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○神永構造改革担当部長 区市町村のDX推進に向けまして、都は、人材育成や行政手続のデジタル化の実践などにおきまして、支援を行っていくこととしております。
四月に設置予定のデジタルサービス局におきまして、区市町村職員を対象としたDXに係る研修を実施いたしまして、デジタル人材の育成を図ってまいります。
また、クラウドサービスを活用した行政手続等のデジタル化に向けたモデル事業を、区市町村と連携して実施してまいります。
○小松委員 国も、ことしの九月にはこのデジタル庁を立ち上げ、デジタル化を強力に進めていくこととしております。国、地方問わず、行政のデジタル化はもはや必然の取り組みとなりました。
一方で、このデジタル化、行政のデジタル化が進めば、将来的には、行政に求められる役割ですとか、組織体制も変化してくるものと思います。また、都や区市町村、国など、それぞれの役割分担にも大きな影響が出てくるものと考えています。
都も、この未来の東京戦略、二〇四〇年をイメージされているわけですが、きょう、中屋委員の方からも質問させていただいたとおり、やはり十年の長期計画、あれは実際には二〇〇六年ぐらいにつくられた計画だったと思うんですけれども、十四年で、大分進んだものと、まだまだのものとそれぞれあるんですけど、やっぱり、この十数年前と今の都政が行われているこの形というのは大きく変貌するんだなということを、改めて確認をさせていただくことができました。
そうした意味で、シン・トセイを進めていく中で、二〇三〇年、二〇四〇年の最適な、そのときの行政、都庁のあり方というものがどういうものなのか、そうしたことをしっかりと目指すべき姿についてもイメージを持っていただきながら、この改革を推進していくことを求めまして、私からの質問を終わります。
○小磯委員 先般公表されましたシン・トセイ戦略は、十一月の進捗レポートから、質、量ともに充実したものとなっております。
改革の突破口として最優先で取り組んでいる七つのコアプロジェクトについても、具体的な目標やその達成に向けた取り組みが示されております。
このうち、私からは、職員の働く環境を変えていく未来型オフィス実現プロジェクトについて、質問したいと思います。
まず、未来型オフィスでは、どのような姿を目指し、また、どのような環境整備を進めていくのかお伺いします。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 未来型オフィス実現プロジェクトでは、デスク、固定電話、紙などに縛られた従来の働き方を抜本から見直し、リアルとバーチャル、両面での環境整備を進めることによりまして、組織の壁を超えたイノベーションの創出や、職員の生産性向上につなげていくことを目指した取り組みでございます。
リアルな環境整備といたしましては、柔軟にレイアウト変更が可能となるフリーアドレスを導入するとともに、固定電話からスマートフォンへの切りかえを進めてまいります。
また、バーチャルな環境整備といたしましては、職員同士や民間とのコミュニケーションを活性化するため、SaaSなど、クラウド利用の拡大やウエブ会議の環境整備などを進めてまいります。
こうした取り組みを通じまして、リアルとバーチャルのハイブリッドで新しい都政を生み出すバーチャル都庁構想を実現してまいります。
○小磯委員 現在の都庁舎が完成してから三十年が経過しております。竣工当時は最先端のビルとして話題になりましたが、年月の経過で老朽化も進んでおります。
庁舎と同様、都庁職員の働き方もデジタル化時代に適合しない、古いものとなっている部分もあると思いますので、新しい働き方を実践する未来型オフィスの取り組みは大胆に進めていただきたいと思います。
その際には、ただいま答弁にありました目指す姿をオフィスのユーザーである職員と共有していくことが重要であります。
シン・トセイ戦略に記載のある未来型オフィスのコンセプトが、職員に広く共有されるよう工夫して取り組んでいただきたいと思います。
また、都庁にはさまざまな部署があるので、画一的に整備を進めるのではなく、それぞれの職場の業務実態に応じて必要となるオフィス機能を十分に検討しながら取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、今後未来型オフィスをどのように展開していくのかお伺いいたします。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長兼務 都政の構造改革を先導する例として、今月中に、第一本庁舎の二十四階に、未来型オフィスのプロトタイプを整備し、戦略政策情報推進本部と総務局が活用していくこととしております。
このプロトタイプにおきまして、職員の使い勝手やテレワーク回数など定量的な効果検証を実施した上で、二〇二一年度は五部門、二〇二二年度は、各局の総務部門等を中心に、十五部門に展開をしてまいります。
その後、二〇二五年度までにデジタル環境がクラウド利用をメーンへと移行することを見据えまして、それぞれの職場における新たなオフィスイメージをブラッシュアップしながら、適合する全職場に展開を図ってまいります。
○小磯委員 来年度、再来年度で大きく展開していくということだと思います。
このプロジェクトを進めていく際には、未来型オフィスの整備や、職員の働き方や、仕事の進め方の変革につながっているのかという点が重要だと考えます。そのためには、定量的な評価が欠かせません。
答弁にありましたように、しっかりと検証を行いながら、職員にとってよりよいオフィス環境をつくり上げ、都民のサービス向上につなげていってほしいと思います。
ただ一つ、私、忘れているところがあるんじゃないかなと。それは議会局も、未来型オフィスの整備をやっぱり進めていかなきゃいけないんじゃないかと。
議会局って、どの委員会にも所属していないんですね。決算委員会しか所属しないということで、そんなことで、議会局も、例えばこのシン・トセイの中に七五ページから各局リーディングプロジェクトとあるんですけど、ここで唯一ないのが議会局なんですよ。
だから、そういった意味で、忘れないでくださいねということで、委員長から議長にいっておいていただくか、書記から議長にいってもらうか、しっかり議会局も未来型のそういうオフィスの実現を、また、それによって職員の方も我々議会人も、しっかりそういうデジタルの時代に対応していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
続きまして、象牙の取引規制についてお伺いいたします。
先日、今後の都政の長期的行政計画、未来の東京戦略の案が発表されました。強靱で持続可能な社会へ、サステーナブルリカバリーを実現するなど、これまで我が党が求めてきたSDGs推進とも軌を一にするものでございます。
第四章では、地球規模の課題解決を先頭に立って進め、持続可能な都市東京を実現すると明記されました。
そうした地球規模での持続可能性に関して、世界が取り組んでいる課題に、象牙合法市場への規制強化というのがございます。象牙や象牙を使った製品は、絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図ることを目的としたワシントン条約により、原則として国際取引が禁止をされておりますが、日本国内においては、条約締結前に輸入された象牙等の販売が認められております。
しかし、近年、アメリカや中国では国内の商業取引を原則として禁止し、一昨年のワシントン条約締約国会議でも、日本を含む国内象牙市場を閉鎖していない国の扱いが議題になるなど、象牙取引規制の強化について、国際的な関心が高まっております。
また、国際取引が禁止されていることを知らないインバウンド観光客が、日本で購入した象牙を自国に持ち帰ってしまい、結果、違法取引に関与してしまうリスクも指摘されているところであります。
こうした中、都は、象牙取引規制に関する有識者会議を設置して、対策を検討していると聞いておりますが、会議を設置した目的、また検討内容についてお伺いします。
○松崎政策調整担当部長構造改革担当部長兼務 都は、象牙取引に関する国際的な関心の高まりを受け、国際都市である東京がなすべき対策を検討することを目的に、昨年の一月に、象牙取引規制に関する有識者会議を設置したところでございます。
会議の委員には、グローバルな環境対策、国際経済、法規制などの学識経験者、あるいは環境分野に詳しいジャーナリスト、野生生物の保全に取り組むNGOなど、さまざまな立場の方にご就任いただいております。
会議では、都内の象牙取引の実態把握及び国内の象牙取引規制の検証に関すること、象牙取引の適正化等に向けた都の対策に関することなどについて検討することとしております。
○小磯委員 検討に当たっては、世界の情勢や、国内の象牙取引の実態を踏まえた上で、オープンに議論を進めることが大切でありますが、これまでどのような形で議論を進めてきたのかお伺いいたします。
○松崎政策調整担当部長構造改革担当部長兼務 有識者会議は、昨年の一月から十二月までの間に三回開催し、その様子はインターネット中継により広く発信しております。
象牙取引の是非については、種々の意見がございますことから、有識者委員に加え、象牙を使用している芸術家、象牙の業界団体、あるいは象が生息するアフリカ現地の問題の専門家などから、幅広い声を聞きながら議論を展開しておるところでございます。
これまでに、都内の象牙事業者へのアンケート調査を実施するなど、象牙取引をめぐる現状と課題の分析を行うとともに、都の対策の方向性を検討してきたところでございます。
○小磯委員 そうした検討を生かして、国際社会の期待に応える成果を上げるためには、日本を代表する国際都市であり、また象牙を含む物やサービスの一大消費地であるこの東京が、ワシントン条約締約国が求める規制強化をリードすることが求められていると思います。
世界の注目が東京に集まる東京二〇二〇大会の開催を目前に控え、今後、都として、象牙取引規制にどのように取り組んでいくのか、局長にお伺いいたします。
○中嶋政策企画局長 象牙取引の適正化につきましては、東京都の取り組みはもとより、水際対策など、国による取り組みが重要でございます。
そのため、知事からも、国に対し、象牙取引についての対策の強化と、都への協力を要請し、有識者会議への環境省などの関係省庁の参加を得るなど、国とも協力しながら検討を推進してございます。この点が非常に大きな前進だというふうに考えております。
今後、有識者会議の議論を踏まえまして、まずは東京二〇二〇大会に向け、象牙製品の海外持ち出し防止について、国とも連携を図りながら対策を講じてまいります。
また、引き続き会議におきまして、多様な観点からの議論を深め、象牙取引の適正化に向けた取り組みにつなげていくことで、地球規模での持続可能性に関する課題の解決に寄与してまいります。
○小磯委員 ただいま局長から力強い答弁があったと思います。
今回のオリ・パラ自体は、海外の観客を呼ばない方向の報道がなされております。
しかし、海外の選手、また大会関係者は、来日をするわけでございますので、そうした海外持ち出し防止というのはしっかりと必要な取り組みだと思いますので、お願いをして、私の質問を終わります。
○米倉委員 私からは、まず東京ベイeSGプロジェクトについて伺います。
都はこれまで、ベイエリアの将来図を描くためとして、東京ベイエリアビジョン官民連携チームの提案も検討されてこられました。発表もしています。そういう中にもかかわらず、今回新しく東京ベイeSGプロジェクトが発表されました。
まず、この東京ベイeSGプロジェクトと、二〇一九年十月に発表されたベイエリアビジョンの検討に係る官民連携チームの提案との関係はどうなっているか伺います。
○佐久間構造改革担当部長 都では、これまでおおむね四半世紀先である二〇四〇年代を見据え、東京、日本の今後の成長を牽引するベイエリアの将来図を示すため、ベイエリアビジョンの検討を行ってきており、その中で、官民連携チームから提案をいただいております。
一方、本プロジェクトは、新型コロナで浮き彫りとなった社会の構造的な課題を克服し、持続可能な都市を実現するため、ベイエリアを舞台に、五十年、百年先までを見据えたまちづくりを構想するものでございます。
今後、ベイエリアビジョンとの関係を整理しつつ、その検討成果も踏まえながら、本プロジェクトについて取りまとめてまいります。
○米倉委員 ベイエリアビジョンとの関係は整理をされているということです。
ちょっとこれは理解できないなと思っています。普通は、関係を整理してから新しいプロジェクトを立ち上げるというふうになるんじゃないかなと思います。この進め方には疑問を感じています。
このeSGプロジェクトですが、誰が検討してきたものなのか。また、誰の意見を聞いて作成したものなんでしょうか。
○佐久間構造改革担当部長 ポストコロナにおける東京の構造改革につきましては、各界の三十二人の有識者の方々のご議論をいただき、提言をいただきました。
その提言を踏まえ、庁内関係局から成る社会の構造改革の実装に向けたタスクフォースを設置して検討を行い、今回ドラフトとして公表したものでございます。
○米倉委員 ドラフトを作成するに当たって、条例で設置されている東京都港湾審議会の意見は聞いているんでしょうか。
○佐久間構造改革担当部長 ただいま答弁しましたとおり、ドラフトの作成に当たりましては、庁内にタスクフォースを設置して検討を行っており、港湾審議会の意見は聞いてございません。
○米倉委員 では、今後聞くという予定はあるんでしょうか。
○佐久間構造改革担当部長 港湾審議会の意見でございますが、現在東京eSGプロジェクトにつきましては、ドラフトとして考え方を示したところでございます。
今後、プロジェクトを進めるに当たりましては、関係各局と連携を図りながら、調整を進めていきたいというふうに考えてございます。
○米倉委員 このドラフトで書かれている地域というのは、青海や新海面ふ頭など、コンテナふ頭や倉庫、輸送道路がありまして、港湾事業者、労働者の仕事の場となっています。関係者や審議会の頭越しに議論を進めるというのはまずいんじゃないかと思っています。ぜひ意見は聞くべきだというふうに申し上げます。
それで、地元の自治体が複数かかわる地域ですが、この自治体のまちづくりビジョンとの関係はどうなっていますか。
○佐久間構造改革担当部長 まちづくりにつきましては、広域的な視点で都がつくる計画と、地域的な視点で区がつくる計画とがありまして、互いに調整し連絡を図りながら進めていくものでございます。
本プロジェクトにおきましても、相互にコミュニケーションを図り連携しながら取り組んでまいります。
○米倉委員 互いに連携だということなんですが、地元区の意見はドラフトを発表されてから意見を聞くということだと聞いています。本来は、やはりドラフトをつくる段階で連携を始めることなんじゃないかなというふうに思います。
関係者として最も大切な関係者になるのは、やはり都民だと思います。都民の意見は聞いているんでしょうか。
○佐久間構造改革担当部長 未来の東京戦略の一プロジェクトとして、パブリックコメントを行ってございます。
○米倉委員 かなり大がかりに、この臨海地域のまちづくりを示しているのが今回のドラフトだと思います。やはり未来の東京戦略の一プロジェクトとして、パブコメで意見を集めるからいいというふうにはやっぱりならないと思うんです。
やはりこれからでも、地域の皆さん、特に住民の皆さん、近隣になると思いますが、そうした方々に説明をして意見を聞くべきだと思いますが、そこはどう考えていますか。
○佐久間構造改革担当部長 地元の住民や地域のことをよく知る地元区と十分連携を図り、プロジェクトを具体化し進めていくこととしております。
引き続き、今後、プロジェクトを進める中で、地元区とよく連携を図りながら進めてまいります。
○米倉委員 地元区の意見を聞くと、それはそれで大事なんですが、区と住民もまた違うんですよね。実際、今それで、特定整備路線なんか物すごく反対が起きている。ここに新しく道路をつくってほしくないというようなことを、区と都は進めるというようなことも起きているわけですが、やっぱり住んでいる方の声を聞くということは大事だと思います。
このドラフトなんですが、世界中の人々を魅了する遊び場というものも構想に入っています。東京ベイエリアビジョン(仮称)の官民連携チームの提案でも、台場や青海などの地域は、MICE、IRを展開、トランジットツアーなどで、人を呼び込む拠点として構想されています。
今回のドラフトでもIR、つまりカジノについてですが、誘致も構想に入っているんでしょうか。
○佐久間構造改革担当部長 本プロジェクトは、コロナを乗り越えた先にある未来の東京の都市の姿を構想し、その実現に向けて具体的な社会の構造改革を速やかに実装しようとするものでございます。
なお、IRにつきましては、所管局において、メリット、デメリットの両面から、引き続き総合的に検討を行っていくこととされております。
○米倉委員 ちょっと改めて確認しますが、つまり今のご答弁というのは、このプロジェクトにはカジノは入らないということでよろしいですか。
○佐久間構造改革担当部長 ただいま答弁しましたとおり、IRにつきましては、所管局において、メリット、デメリット両面から引き続き総合的に検討を行っていくこととしております。
本プロジェクトは、コロナを乗り越えた先にある未来の東京の都市の姿を構想し、その実現に向けて具体的な社会の構造改革を速やかに実装しようとするものであり、今回のドラフトでは、将来目指す姿のイメージやその実現に向けた戦略などをたたき台として示してございます。
○米倉委員 ちょっと、計画の趣旨の部長のお話をそのままそこだけ聞きますと、カジノはそもそも考え方として入らないというふうに聞こえるんですが、余りはっきりこちらのプロジェクトにはカジノは入りませんというふうな答えがなかったので、ちょっとそこはよくわからなかったなというふうに思います。
もともとこの地域というのは、都有地が多くて、都は、売却をしてもうけのために使おうという方針も持ってきました。そのもとで、今回の計画も都民参加がないまま、まちづくりを進めようとされています。
貴重な都有地が多くて、せっかく建物も今建っていないところがあるということなんです。例えば、これ、大きな公園にして、都民が憩える地域にして、災害時にも役立つようにするですとか、環境都市東京ということでしたら、緑化計画を立てるということだってあると思っているんです。
やはりこの地域をどういうまちにするかということは、都民参加で議論が必要ですし、とりわけ近隣の地域の住民の方の声というはしっかり聞く必要があるというふうに思います。やっぱりそういうふうに都民の声を聞いて、議論をし直すべきだというふうに求めておきます。
次に、未来の東京戦略についてです。
この計画の中で、子供にかかわるのは、二〇四〇年代の東京の姿として掲げる二十のビジョンの一番目、子供が掲げられています。また、二〇三〇年に向けて取り組むべき戦略としては、戦略1、子供の笑顔のための戦略と、戦略2の子供の伸びる、育つ応援戦略となっています。
この間、私たち日本共産党は、理不尽な学校の校則の改善や、虐待などで家に帰れず大人に搾取される女の子などを、きちんと都が支援する仕組みをつくるべきだいうことで、何度も議論をして、提案をしてきました。
その中で痛感するのは、大人が子供たちの思っていることや意見をほとんど聞いていないと。大人が子供に説明できないようなルールを押しつけたりですとか、子供のための支援のはずなのに、そのもとで子供が追い詰められているということを見聞きしてきました。ですから、子供をおまけではなく、中心にして話を聞いて、真剣に施策に反映することがとても大事だなと思っています。
その点で、この戦略1が子供の権利の保障や子供を取り巻く困難を取り除くことというものが中心にはなっておらず、子育てについてが中心になっていると。
実際、戦略1の各プロジェクトを見ますと、全て子育てについてのプロジェクトとなっています。こういう計画の立て方自体が、考える必要があるんじゃないかなと思っております。
子育てと、少子化と、子供の施策というものは別にすべきだと思います。このことは、前回、去年十月にも、質疑で私は申し上げたんですが、変更はないんですね。
都は、ここのところを真剣に受けとめて議論されているのか、どうなのかと正直思っています。改めて計画の立て方は考えていただきたいと求めます。
それで、具体的な話になるんですが、この戦略1に紹介されているこども未来会議についてですが、以前も指摘しましたが、ここには子供は入っていないんです。子供の意見表明については、都はどう考えていますか。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 未来の東京戦略の戦略1、子供の笑顔のための戦略では、子供を大切にする視点から都が率先して子供の声に耳を傾け、子供の目線に立った政策を展開することを基本的な考え方として位置づけております。
こども未来会議におきましても、子供との対話の機会を設けるなど、子供の目線に立った視点からの議論を深め、議論を通じて浮き彫りになった課題につきましては、庁内各局で共有してまいります。
○米倉委員 こども未来会議について、この一二二ページに図でも示されていますが、子供との対話、ニーズの把握ということが書いています。
これはどういうものなのか伺います。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 こども未来会議は、子供が笑顔で、子育てが楽しいと思える社会の実現に向けて、有識者等が参画し、幅広い視点から議論を展開、発信することとしておりまして、子供との対話を通じた子供の目線に立った議論を柱の一つとしております。
今後、子供との対話の機会を設けるなど、子供の目線に立った視点からの議論を深めていくこととしております。
○米倉委員 具体的には、今後検討としていくということだと思います。
柱として子供との対話を位置づけているということは前進だと思っていますが、やはり議論の主役は大人だということです。子供のための会議体というならば、せめて分科会の一つは、子供や若者で、思っていることや、要望や意見を出し合える場にできたらいいのではないかと思います、子供のための会議体というならですね。
そういう点では、こども未来会議の方に要望はしたいと思うんですが、今行われている子供シンポジウムの取り組み自体は大事だと思っています。この子供シンポジウムですが、こども未来会議との連携はあるんでしょうか。
○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 今年度福祉保健局において新たに立ち上げました子供シンポジウムの開催状況については、こども未来会議において報告しております。
○米倉委員 子供シンポジウムは、今は福祉保健局のみの取り組みとなっています。ぜひこれ全庁的な取り組みにしていただきたいと思っていますし、そこでの意見を、都庁全体、またこども未来会議もありますから、そうした子供にかかわる会議体にも内容を反映していくことも考えていただきたいと要望します。
私自身は、この五年、虐待などで家に帰れない、家にいられない子供への支援について、東京都に求めてきました。その中で、若年被害女性モデル事業が今行われ、来年度から本格事業となったことは大事だと思っています。
ただ、現実は、それだけでは子供たち、特に性搾取のターゲットになりやすい女の子への支援は足りていないというのが実態です。
未来の東京戦略という長期計画を都としてつくるというならば、本来はこうした東京の子供たちにとっての大きな困難や問題がメーンプロジェクトに入らないといけないんじゃないかと思っています。それは、やっぱり入っていないんですね。今からでも計画の位置づけは引き上げていただきたいと要望します。
子供への支援ですが、今の支援では、先ほど申し上げたような、足りないものですとか、拡充が求められるものもありますが、これはどう改善していくかという検討はされているんでしょうか。
○吉村理事 未来の東京戦略の策定に当たりましては、コロナで生じたさまざまな課題を踏まえて、政策全般にわたって、戦略のバージョンアップを図るべく検討を行いました。
子供政策につきましては、出産する方への支援の強化を盛り込んだほか、ひとり親家庭への支援、子供の貧困対策など、子供を大切にする視点からの取り組みを盛り込んでおります。
○米倉委員 居場所のない子供への支援など、都政の取り組みも抜本的な拡充が必要ですが、そうした取り組みは入るんでしょうか。
○吉村理事 戦略1の子供の笑顔のための戦略におきまして、子供家庭支援センターと、都児童相談所との連携による虐待防止対策の強化などを盛り込んでおります。
○米倉委員 今、コロナのもとで、立場の弱い子供へのしわ寄せが行っている状況があります。十代の少女を支援するColaboという団体がありますが、ここが取り組む夜の新宿や渋谷で、女の子の居場所をつくるためのバスカフェへ、私は二週連続で様子を見に行きました。
そこで見たのは、新宿駅東口を一歩出ると、キャバ嬢にならないかだとか、ホストに行かないかと、次々に搾取目的で大人が女の子に声をかけると。駅から出てくる女の子を何組も待ち構えていて、声をかけてくるという状況があります。買春目的の大人もいます。百メートル歩くだけで、四、五回、別の大人から声がかかるという、本当にそういう実態があって、そういうところを、家に帰れなくて居場所がない女の子が夜通し行く先もなく、何度も同じところを歩き回っていると。もしくは道端に、同じような境遇の友達と座っているという状況があります。まちには女の子を搾取する大人はたくさんいるのに、支援する大人は圧倒的に少ないという状況です。
女の子の居場所のためのカフェ、これも毎日できるわけじゃないんですよね、定期的にやってはいるものの。本当に都政として問われていると思います。
この開かれた女の子の居場所のためのバスカフェですが、ここには親の虐待で家にいられずにいる女子高生が来ていました。小学生のころに児相の一時保護所に入ったことがありますが、入所の際に下着までチェックされるなど、人権侵害の扱いを受けた経験から、あんなところには行きたくないと。行政に相談することもなく、夜のまちに来るしかないという状況で、そういう人が一人ではないと、複数いるという状況でした。
都は、来年度から民間団体との連携を本格的に行います。これは大事ですが、実態はこれでカバーし切れるというものではありません。行政が、こうした子供たちの置かれる状況に責任を持ち、対応しないとどうにもならないという状況です。
本来は、今回の長期計画で、大きく都政をどう変えていくのかという計画ですから、都と区市が連携して、アウトリーチ支援を始めるですとか、シェルターをつくるだとか、本格的で抜本的な取り組みの強化が示される必要があると思っています。
こうしたことを、今からでも内容の強化をしていただきたいということで、求めておきます。
次に、ジェンダー平等についてです。
この戦略ですが、SDGsの目線で政策を展開とありますが、ジェンダー平等という言葉はないんですね。森喜朗氏の発言が問題になり、性暴力をなくすことも社会的な大きな課題になっている中で、ジェンダー平等の東京を長期計画で位置づけるべきだと思いますが、いかがですか。
○吉村理事 未来の東京戦略では、戦略3に、女性の活躍推進戦略を掲げておりまして、全ての都民が性別にかかわりなく、個人として尊重される社会の実現に向けて、社会の意識や行動の変革に取り組んでいくこととしております。
○米倉委員 今、コロナの影響で、女性の貧困化や暴力の被害がふえています。これまで社会で問題になってきたことが、コロナのもとで、より悪い形であらわれているなと思います。
生活に困窮する方々を支援する団体には、女性や若い世代の相談の割合がふえています。
内閣府の調査でも、昨年四月から十二月のDV相談件数は前年同時期の約一・五倍とふえています。自殺も男女ともにふえていますが、特に女性の自殺は昨年の六月から九カ月連続で、前の年を上回ると。二三%もふえています。
そうした実態を踏まえた根本的な対策が位置づけられる必要があると思います。
掲げている政策目標はそれぞれ大事だと思います。ただ、困窮している女性たちの根本にある社会の問題を解決していくという内容にはなっていないんじゃないかと思っています。
女性の就業率を、二〇三〇年までに六五%に向上させるという目標もあります。でも、これは大事なんですが、これ非正規を含めたものだと思います。今、女性の半分は非正規で、働く女性が貧困から抜け出せないという実態があります。
やっぱりここをどう変えていくのかと。男女の賃金格差をなくしていく、均等待遇を実現する、最低賃金を時給千五百円にするですとか、やはり改善のために着手しなきゃいけない課題があると思います。都としてやれることを打ち出す必要があると思います。
性暴力やDVなど、女性への暴力の根本にある男尊女卑の概念をなくす取り組み、支援の抜本的な拡充も必要だと思います。
ジェンダー平等を実現する視点で、戦略3、女性活躍は、抜本的に取り組み強化が必要だと申し上げておきます。
次に、計画の副題についてです。
今回の未来の東京戦略案ですが、副題に渋沢栄一、後藤新平個人を掲げています。あと、東京ベイeSGプロジェクトもタイトルのS、Gは二人の名前もかかっているというふうにいわれています。
この未来の東京戦略案の方ですが、人物を計画の副題に掲げるということは、これまでの都の計画であるんですか。
○吉村理事 これまで都が策定した長期計画で、人物が副題に掲げられたものはございません。
○米倉委員 ないということです。
渋沢、後藤、この両氏を偉大な先人として、その精神を受け継ぐということは書いてありますけど、それは誰の発案なんでしょうか。
○吉村理事 未来の東京戦略の策定に向けた検討を進める中で、遠い未来を展望し、持続可能な社会を築き上げていくことが必要だという議論を重ねまして、こうした取り組みを進めてこられた先人たちの精神を受け継いでいくといった趣旨で、計画部で案を考えたものでございます。
○米倉委員 人物の評価はさまざまあるにもかかわらず、自治体の計画で位置づけられるということは違和感を感じています。
渋沢氏は、朝鮮半島において民間経済人として植民地支配にかかわったという、そういうこともあります。
後藤氏については、内務官僚としてかかわっていて、その責任は重いものもあります。
そうした側面があるということは、計画に載せるに当たって検討したんでしょうか。
とりわけ、この後藤氏の功績として、台湾で公衆衛生の礎を築いたとあるんですが、過去の植民地支配の一環として行われたものを、都が功績としてわざわざ選び出して、都の計画に掲載するということは不適切なんじゃないかと思いますが、どうですか。
○吉村理事 今回の記述は、渋沢、後藤両氏が持続可能性や人間中心の都市思想の観点から、どのような取り組みをなしてきたかということを整理したものでございます。
とりわけ新型コロナとの闘いが続いている中におきまして、かつて後藤氏が、人の命を守るため、公衆衛生面で尽力した事実について記載したものでございます。
○米倉委員 命を守るために尽力したことを書いたといいますが、そもそも台湾の人たちの激しい抵抗があったのに、日本は侵攻して、台湾の文民合わせて、約一万四千人が犠牲になったと推定されています。そしてその後の台湾の抵抗運動も弾圧してきたという歴史があります。
そのことについては、後藤自身も、当時の台湾総督府が現地の住民を一万人以上殺りくしていたということを講演で語っています。
台湾の植民地支配の実態がこうしたものであったにもかかわらず、東京都が後藤新平の功績として、筆頭の一つに挙げるということは疑問を感じます。国際的にも、植民地支配が起きたところは、どこであれ、いつであれ、非難され、その再発は防止されなければならないと。つまり植民地支配は過去にさかのぼって非難されなければならないと、二〇一一年にダーバン宣言がうたわれています。支配する中で、いいこともしたんだという議論は成り立たないと思います。
そこのところを東京都は真剣に考えるべきだと思います。こういうことを、都の計画に記載するというのはやっぱり不適切だと思います。削除すべきだと求めて、質問を終わります。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
午後六時四十一分散会
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