総務委員会速記録第二十二号

令和二年十一月二十七日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長神林  茂君
副委員長小磯 善彦君
副委員長藤井あきら君
理事白戸 太朗君
理事小松 大祐君
理事木村 基成君
山内れい子君
清水やすこ君
木下ふみこ君
米倉 春奈君
原 のり子君
まつば多美子君
岡本こうき君
中屋 文孝君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長山手  斉君
次長理事兼務西山 智之君
総務部長小平 基晴君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
久保田直子君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務藤原 知朗君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務緑川 武博君
人事部長山口  真君
労務担当部長高崎 秀之君
行政部長小笠原雄一君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
石橋 浩一君
小笠原・国境離島担当部長若林 和彦君
都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務米今 俊信君
総合防災部長猪口 太一君
防災計画担当部長古賀 元浩君
防災対策担当部長榎園  弘君
危機管理調整担当部長高島 慶太君
統計部長櫻井 和博君
人権部長堀越弥栄子君

本日の会議に付した事件
総務局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
・職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
・東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
報告事項
・二〇一九年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況について(説明)
・東京都地域防災計画(風水害編)等の修正素案について(説明)
・第四期東京都犯罪被害者等支援計画(素案)について(説明)
・職員の給与に関する条例の一部を改正する条例について(説明・質疑)
・東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例について(説明・質疑)
・東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例について(説明・質疑)
陳情の審査
(1)二第七三号の二 児童の権利に関する条約等を遵守するための法整備と支援に関する陳情

○神林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の事務事業に対する質疑、第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、報告事項の聴取及び陳情の審査を行います。
 なお、本日は、事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで、給与関係の報告事項については、説明を聴取した後、質疑を一括して終了まで、また、提出予定案件及びその他の報告事項につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小平総務部長 十月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 大変恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は十七点ございます。
 一ページをごらんください。1、防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの防災対策予算の執行状況を主な事業別に記載してございます。
 二ページをごらんください。2、タイムラインの区市町村の最新の具体化状況でございます。
 水害対応タイムラインを策定している区市町村数を記載してございます。
 三ページをごらんください。3、感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
 感震ブレーカーの都内の設置率や、設置支援制度を実施している区市町村数を記載してございます。
 続きまして、四ページをごらんください。4、長時間労働面接対象者数でございます。
 長時間労働の面接対象者数について、平成二十七年度から令和元年度までの五年分の実績を局別に分けて記載してございます。
 五ページをごらんください。5、知事部局の障害者雇用率の推移でございます。
 知事部局の障害者雇用率について、平成二十七年から令和元年までの五カ年の状況を記載してございます。
 六ページをごらんください。6、政策連携団体における障害者雇用率の推移でございます。
 政策連携団体のうち、障害者の雇用の促進等に関する法律による雇用義務制度の適用団体の障害者雇用率について、平成二十七年から令和元年までの五カ年の状況を記載してございます。
 続きまして、七ページをごらんください。7、人権に関する相談件数の推移でございます。
 相談分野別に、平成二十七年度から令和元年度までの五年分の状況を記載してございます。
 八ページをごらんください。8、職員対象の人権に関する講演会及び研修会のテーマと講師の一覧でございます。
 令和元年度分の状況を記載してございます。
 九ページをごらんください。9、同和対策事業の終了に伴い一般対策で実施している事業の一覧でございます。
 一〇ページをごらんください。10、同和問題に関する専門相談窓口の相談件数でございます。
 一一ページをごらんください。11、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の相談件数の推移でございます。
 平成二十七年七月から開始した本事業につきまして、平成二十七年度から令和元年度までの五年分の実績を記載してございます。
 続きまして、一二ページをごらんください。12、東京都立大学の授業料、入学料減免の実績でございます。
 東京都立大学における授業料及び入学料の減免者数につきまして、平成二十八年度から令和二年度までの五年分の実績を記載してございます。
 一三ページをごらんください。13、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて都立大学等が行った学生への経済支援の取り組みでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて東京都立大学、東京都立産業技術大学院大学及び東京都立産業技術高等専門学校が行った学生への経済支援について、支援事項を記載してございます。
 続きまして、一四ページをごらんください。14、都及び政策連携団体における非常勤職員等数の状況でございます。
 都及び政策連携団体における非常勤職員等の人数について、平成二十八年から令和二年までの状況を記載してございます。
 一五ページをごらんください。15、都における非常勤職員等数の状況でございます。
 非常勤職員等の人数について、局別に令和二年の状況を記載してございます。
 一六ページをごらんください。16、附属機関等の会議及び議事録、議事要旨の公開状況でございます。
 会議及び議事録、議事要旨の公開について、平成三十一年四月及び令和二年四月の状況を記載してございます。
 最後に、一七ページをごらんください。17、政策連携団体評議員会の状況でございます。
 政策連携団体が設置している評議員会の状況を記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○神林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○木村委員 まず初めに、伊豆諸島の島々を結ぶヘリコミューターについて伺います。
 島しょ地域の重要な交通手段となっているヘリコミューターについては、東京都による支援が行われていることは承知をしております。
 私自身はプライベートも含めて何度も利用しておりますが、先日、御蔵島、青ヶ島、利島の村長から、機体更新についてのお話を伺ったところであり、老朽化した機体の更新は重要な課題だと考えております。
 そこで、都としてどのように考えているのかを伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 伊豆諸島地域のヘリコミューターについてですが、厳しい自然条件により定期船の運航が不安定な小離島においては、経済活性化及び島民の生活基盤の安定を図るため、重要な交通手段であります。
 このヘリコミューター路線は、民間の運航事業者が運航していますが、採算面で民間による経営が困難であることから、公益財団法人島しょ振興公社が支援を行うことで成り立っており、都は、公社が行う支援に必要な経費について補助を行っております。
 現在運航している二機のヘリコミューターのうち一機については、運航開始から十九年が経過しており、都としても機体更新への支援は喫緊の課題と考えております。

○木村委員 機体の更新については、東京都島嶼町村会から都に要望書が出されております。
 機体の選定に当たっては、関係町村の意向を踏まえて決定する必要があると思いますが、現在の調整状況を伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 都は、更新機体選定と運航体制について、これまで、島しょ振興公社及び運航事業者と調整を行ってまいりました。
 その結果、都が、二機体制での運航に要する費用を補助対象としながら、東京都島嶼町村会の意向に基づいた更新機体を運航事業者が選定する方向で調整中です。
 また、運航事業者に経営努力を求めることで、機体更新後も安定した運航体制を構築する方向で進めております。

○木村委員 気象や地形が厳しい小離島にとって、安定した交通手段の確保は、島民生活、島の振興や発展にとって不可欠です。機体更新で少しでも島民の利便性が向上することを期待しております。都においては、引き続きのヘリコミューターの支援をお願いいたします。
 次に、島しょ地域の救急搬送について伺います。
 島しょ地域の救急搬送は、東京消防庁の管轄ではなく、福祉保健局が担っています。急患を輸送する場合は、福祉保健局と東京消防庁との協定に基づいて、消防庁のヘリが対応。一方、小笠原諸島では、海上自衛隊や海上保安庁がその任を担っています。
 現在、小笠原における急患輸送において、東京消防庁のヘリを利用していないその理由を伺います。

○猪口総合防災部長 小笠原諸島は、東京の本土から約一千キロメートル離れておりまして、東京消防庁が現在所有しているヘリコプターでは航続距離等の問題があるとのことでございます。

○木村委員 航続距離の問題があるということでありました。
 仮に父島で緊急搬送が必要な患者を搬送する場合、硫黄島から父島まで二百七十キロの距離がありますが、これをヘリでまず父島まで迎えに行きます。父島で患者を乗せて、再び硫黄島まで二百七十キロを飛行し、そこから今度は飛行機に乗せかえて、東京まで約一千二百キロ飛んでくるわけです。その後、病院へ搬送します。ぐあいが悪い状態で、約千七百キロを超える移動距離が必要になってくると。
 伊豆諸島で常備消防を配備しているのは、大島、八丈島、三宅島のみ。広域消防応援は整備されているということですが、救急搬送だけでなく、台風などの災害においても不安があります。小笠原については、小笠原独自の防災対策に頼らざるを得ないのが現状だと思います。
 東京消防庁では、AW189というヘリコプターを所有しており、その航続距離は千二百キロ、そのように表示されております。東京から小笠原、父島までの距離とほぼ同じ距離になるわけでありますが、機体の性能だけ見れば、八丈島と父島の間、約九百三十キロの運航というのは可能であり、島しょ地域全体の消防、救急搬送をカバーできるのではないか、そのように考えます。また、八丈島は、二次医療圏としての町立八丈病院があります。現在、重篤な患者などをそこで対応できない場合は、東京消防庁のヘリで広尾病院に搬送しています。
 何がいいたいかというと、八丈島に東京消防庁のヘリを配備できないだろうかということです。さらに、八丈島に三次救急機関が設置できたら、南北に千二百キロある島しょ地区の医療というのは、島しょ地区内だけでも対応できる、そういった体制ができるのではないか、このように考えるわけです。
 きょうは、もうこれ以上質問はこのことについてはせず、提案、要望だけにとどめますが、ぜひこの問題について、課題については検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、神津島の星空保護区について伺います。
 私は神津島に行くと、島の友人だとか知人とお店に行って、通常であれば宴会をしたり家に訪問して、大変楽しく過ごし、交流を深めております。
 都民ファーストの会都議団は三年前に神津島を訪問して以来、島の方々との交流が一気に深まり、その結果、星空保護区申請へのお手伝いというものを続けてまいりました。神津島が認定を目指す星空保護区については、本年七月に知事から東京都としての賛同書を村長に手渡し、八月末に神津島が認定機関に申請を行いました。
 認定までは三カ月から半年程度かかると聞きますが、現在の状況を伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 星空保護区は、光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護するすぐれた取り組みを行う地域を認定する、国際的な制度であります。
 神津島村では八月二十四日に、星空保護区の認定機関である国際ダークスカイ協会という米国のNPO団体に申請を行っており、今月上旬には、認定機関から神津島村に対し、申請内容の審査が終了した旨連絡があったと聞いております。
 神津島村によると、夜空の暗さや、光が上向きに漏れないなどの基準を満たした屋外照明の設置など、認定に当たっての条件は全て満たしているとのことであり、現時点において、認定に際して特段の支障はないと聞いております。
 今後は、認定機関における手続を経た上で、認定機関から審査結果について連絡がある見込みであります。

○木村委員 星空保護区の認定を島の産業振興につなげて活性化を図っていくためには、まずは国内での積極的なPRが必要だと思います。
 都による強力な支援が必要だと思いますが、東京都は、東京宝島事業を通じて、島しょ地域のブランド化を目指していますが、今後どのようなPR活動を行うのか伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 星空保護区に認定された際には、神津島の星空を撮影した映像コンテンツを活用することにより、島の魅力を広く発信いたします。
 具体的には、主要ターミナル駅を含む都内及び近隣三県の百五十余りの駅構内に設置されたデジタルサイネージで映像を放映するとともに、都庁舎等の都の関連施設やSNSを活用した広報を行ってまいります。
 また、美しい夜空を有する神津島の魅力を日本国内在住の外国人の方々にも知ってもらうため、ウエブメディアによる英語での情報発信も行う予定です。
 今後とも、神津島の取り組みが東京の島しょ地域におけるブランド化の成功事例となるよう、積極的に後押ししてまいります。

○木村委員 星空保護の取り組みは、島しょ地域のほかの島からの関心も高く、閑散期の誘客も期待できます。引き続き、都と村で連携して、島しょ地域の振興に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、犯罪被害者への支援について伺います。
 都民ファーストの会では、かねてより、支援者の団体や有識者と犯罪被害者への支援に関する勉強会を繰り返し行ってまいりました。
 平成三十一年二月十五日の総務委員会で、都民ファーストの会は、犯罪被害者を支援する条例の制定を求め、総務委員会での趣旨採択、その後、本会議での都民ファーストの会の代表質問で小池知事が条例制定を表明し、成立をいたしました。
 また、今後の第四回定例会には、犯罪被害者支援の素案も報告される予定であります。
 我が会派からの要望を受けて実施した区市町村支援体制の強化や、新たに開始した支援策の状況について伺います。

○堀越人権部長 都は、区市町村の支援体制を強化するため、専門人材の育成のための研修を実施したほか、具体的な事例を用いた検討会を新たに実施するなど、区市町村と緊密に連携し、それぞれのニーズに応じたきめ細かなサポートを行いました。
 また、令和二年度より、被害者からのニーズが高い見舞金の給付や法律相談費用の助成などを、警視庁、弁護士会等との連携のもと、新たに開始いたしました。

○木村委員 東京都は条例の制定を契機として、第四期支援計画の策定を待つことなく、見舞金や法律相談費用などの経済的支援、被害者のさまざまな困り事の解決をサポートする取り組みを充実させてきました。
 この中の法律相談についてですが、弁護士会と連携しているということですが、法律相談費用の助成の意義について伺います。

○堀越人権部長 犯罪被害者等は、被害後、身体的、精神的に苛酷な状況に置かれている中、ふなれな裁判への準備や示談への対応などを迫られる状況にございます。
 そこで、法律上のさまざまな問題について、弁護士から適切なアドバイスを得られるよう、相談費用を都が負担することとしたものでございます。

○木村委員 犯罪被害に遭われた方は、被害後の悲しみで事件に向き合うことができない状況でも、加害者側との対応、多くは弁護士だと思いますが、その対応に直面するのだと思います。
 加害者が逮捕された場合、これから刑事手続等でどんなことが待ち受けているかは不安だと思うし、また、障害を負って仕事を休んだ、あるいは医療費がかかった場合など、訴訟を起こして損害を回復したいと思っても、訴訟費用や報復に対する不安や恐怖があり、ちゅうちょすることもあると思います。
 そうした被害者が専門家に相談してアドバイスを受けられる法律相談費用の助成というものを東京都が開始したことは、大変意義があることだと思っております。
 そこで、法律相談の主な相談内容と弁護士によるアドバイスの内容、相談実績を伺います。

○堀越人権部長 主な相談内容は、今後の刑事手続の流れを教えてほしい、損害賠償請求や加害者との示談に当たってどのような点を注意すべきか教えてほしいというものでございます。
 弁護士は、裁判に向けて証人尋問がある場合の対応や被害者参加制度等各種制度の説明のほか、報復の不安には警察と連携して対応できることなどについて、被害者の心情も踏まえて適切にアドバイスしております。
 令和二年度は、十月末までの七カ月間で二十四件の実績となっております。

○木村委員 弁護士から被害者に対して適切なアドバイスを受けられていることもわかり、安心をいたしました。
 法律相談後も刑事手続は続き、裁判等への対応も求められると思います。被害直後で心身が傷ついている中、被害者だけで対応することは難しく、専門家のサポートが必要です。
 都民ファーストの会のPTで被害者の会から聞いた話では、裁判に参加したことは不安でつらかったけれども、亡くなった家族のために意見を述べることができてよかった、参加せずにいたら後悔したと思う、裁判過程で担当の弁護士を初めたくさんの関係者に励まされ、助けられた、これからは事件に区切りをつけたいと思う、こういった趣旨の声をいただきました。
 このように、裁判に参加することは被害からの回復の一歩として大きな意義があり、被害者支援の一環として重要です。引き続き、経済的な支援、特に弁護士費用を支援することも積極的に検討し、都が被害者に寄り添った支援を着実に進めてくださることを強く要望いたします。
 次に、新型コロナ関係で何問か伺いたいと思います。
 七月二十日の総務委員会で私は、都に対して、感染防止徹底宣言ステッカーの実効性を高め、ステッカーのあるお店とガイドラインを守っているお店がイコールになるようにしていただきたい、そうした要望をいたしました。
 それに対して山手局長からは、都が先頭に立って、さまざまな業界団体と連携し、事業者のガイドライン遵守に対する効果的な支援のあり方を検討し、ガイドラインの徹底とステッカーの実効性がともに高まるよう、推進に取り組むと答弁をいただいたわけです。
 その後、三定で、都民ファーストの会代表質問におきまして、ステッカーの上にシールを張るなどの取り組みや、店舗や利用客に対する普及啓発のための動画やポスターを制作することなど、取り組みを支援するべきだと提案し、今日に至っております。
 そこで、団体向け新型コロナウイルス感染防止対策自主点検等支援事業における補助金の交付状況など、現在の進捗について伺います。

○高島危機管理調整担当部長 自主点検支援事業は、業界団体が自主的に行う会員事業所等への点検、指導及び事業者等への普及啓発の取り組みに要する経費の補助を行うものです。
 十一月二十六日現在の補助金の交付決定件数は五件です。内訳は、点検、指導及び普及啓発が三件、点検、指導のみ、普及啓発のみがそれぞれ一件でございます。また、現在、普及啓発を予定する二つの団体から交付申請を受け付けております。
 事前相談につきましては、現在、五つの団体から、今後の交付申請に向けて、申請書類の記載内容や事業の実施方法等に関する問い合わせ等に対応しているところでございます。
 本事業による点検、指導の対象となる店舗等の件数は、現時点で交付決定済みの四団体と事前相談の五団体を合わせまして、約一万七千件を見込んでおります。

○木村委員 グルメサイトなどでは、消費者側からの評価をする覆面調査というものがあります。そうした調査を手がける民間企業が、店舗の新型コロナ対策が消費者にどのような影響を与えるのか、そうした調査をしています。
 ことしの五月と六月の調査ですが、感染症対策への安心感は消費者のリピートにつながると結論づけられています。
 設問では、お店の感染症対策について、非常に安心、問題なし、不安という三つの基準で聞いたところ、非常に安心と感じる店には全体の六一・五%の人が必ずまた来たいと回答し、問題なしという評価の店には三二・一%の人が必ずまた来たいと回答しました。そして、不安という評価の店にまた来たいと答えた割合は一四・四%でした。
 ほかの設問では、日ごろから利用する店舗がどのような対策を行っているか、意識することがあるかという問いです。とても意識するが三四・五%、意識するが五五・三%であり、意識する人の比率は八九・八%に達します。
 もう一つ、ふだんは利用しないが対策が明確な店舗と、そしてもう一つ、ふだんから利用しているけれども対策が不明確な店舗、そのどちらを利用するかという質問では、ふだんは利用しないが対策が明確な店舗の方を利用すると答えた人は八一・七%、ふだんから利用しているけれども対策が不明確な店舗の場合は一八・三%しか利用しないと、そうした回答が出ております。
 ここで何がいいたいかというと、私たちが提案した感染拡大防止ステッカーの実効性を高めるための点検事業というのは、点検済みの店舗にはステッカーの上にシールを張って消費者にわかりやすくするというものですが、これはまさに消費者の心理とも合致しているのではないかと、このように感じます。この点検事業は、店舗側にも消費者にもメリットがある。
 さらに多くの業界団体が自主点検等支援事業を活用するように、どのように取り組んでいくのか伺います。

○高島危機管理調整担当部長 自主点検等支援事業は、業界団体が事業者に対し自主的に感染防止対策を維持、継続することを促し、対策の徹底と都民の安心を確保するものでございます。
 より多くの業界団体に本事業を活用していただけるよう、これまでに、さまざまな団体に対し、本事業を積極的に周知するとともに、防災ホームページのトップページにバナーを配置し、募集要項等の必要な情報に容易にアクセスできるよう工夫を行っています。
 また、業界団体からの本事業の活用に向けたさまざまな問い合わせなどに対してきめ細かく助言を行うなど、円滑な事業の実施に向けた支援に努めております。
 今後も本事業の活用を業界団体に強く働きかけるとともに、取り組みを行う団体の公表や、点検済みの標章のPR、団体が自主点検に取り組む様子などを広く発信することで、自主点検の取り組みを普及拡大し、都民の安心感につなげ、ステッカーの実効性を確保してまいります。

○木村委員 申請件数は今後もふえると思いますが、先ほどご紹介した消費者の動向など、そうした情報も提供するなどして、多くの団体が参加してくださるよう、引き続き頑張っていただきたいと思います。
 今後ですが、団体に属していない店舗への対応を考える必要があると思っています。この点はぜひ検討をしていただきますようお願いをいたします。
 また、ウイズコロナ、アフターコロナでは、感染防止のステッカーや点検事業は必須になってくると思います。次年度以降も継続していただけるように改めて要望いたします。
 この点検事業の提案を行った時期というのは、今もそうだと思いますけれども、総合防災部初め、皆様大変多忙をきわめていたころだと記憶しております。にもかかわらず、一生懸命対応していただいたことを私も記憶しており、心から感謝をいたします。
 次に、「おがさわら丸」の水際対策について伺います。
 小笠原村の位置関係は、先ほどの急患搬送で触れましたけれども、東京本土から千二百キロほど離れた遠隔地であります。交通手段は、約六日に一便の「おがさわら丸」に限定されます。
 村の医療体制や本土の医療機関への移動時間を考慮すると、新型コロナウイルス感染症から村民や来島者の命と健康を守るためには、水際対策が重要になります。
 こうした実情を踏まえ、小笠原村、小笠原航路を所管する総務局、そして「おがさわら丸」の運航事業者である小笠原海運、国立国際医療研究センター、民間検査機関の新型コロナウイルス検査センターの共同研究という形で、「おがさわら丸」の乗船客を対象とした感染拡大防止対策として、唾液PCR検査を開始したということです。
 そこで、「おがさわら丸」の乗船客に対する水際対策についてですが、八月から実施した検査の仕組みと位置づけについて伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 八月から開始した検査は、乗船当日に竹芝客船ターミナルで唾液を採取した後、民間の検査機関に検体を搬送して実施し、出航後、検査結果が判明次第、船内に結果を通知する仕組みとしていました。
 この検査は、小笠原諸島で新型コロナウイルス感染症を発生させないため、来島者に対する水際対策として行う、いわゆる社会的検査であり、感染症法に基づく検査とは異なります。
 また、本検査は医師の診断を伴わないため、陽性反応が出ても新型コロナウイルス感染症への罹患は未確定であることから、改めて医師による行政検査を行う必要があり、その検査で陽性の場合に、保健所へ届けることになります。

○木村委員 感染症法に基づく検査ではない社会的検査だということがわかりました。
 九月には実施方法を見直したと聞きましたが、その経緯と見直し後の仕組みについて伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 当初の仕組みでは、乗船中に検査結果が通知されることへの乗船客の不安の声や、船内での陽性反応者対応にかかわる船員の負担が大きいといった課題がありました。
 そこで、出航前日の夕方までに検査結果が出るよう、九月一日発便以降は、乗船予約者へ事前に検体採取キットを郵送して、自宅等で唾液を採取してもらい、出航日の前々日または前日に、竹芝客船ターミナルで検体を提出していただくことにしました。
 また、陽性反応が出た方には、感染拡大防止のため、都内在住者の場合は受け入れ医療機関の調整や公共交通機関以外の移動手段の確保、都外在住者の場合はお住まいの地域の相談窓口、保健所の案内など、個々のケースに応じたきめ細やかな対応を行っています。

○木村委員 都民ファーストの会ではこれまでに何度も、大学だとか製薬会社の新型コロナウイルス感染症の陽性判定試験を見せていただき、研究者からもお話を伺ってきました。一度に大量の検査が可能になり、検体採取後数分で確かな結果がわかるなど、検査技術の発達によって検査の所要時間が大幅に短縮が進んでいます。また、検体を検査機器にセットする方法も非常に簡便で、検査コストも安価に抑えられるなどの改良が進んでおります。
 こうした状況下においては、本来だったら乗船客が竹芝客船ターミナルに集まる出航当日、現地で乗船前に検体の受け付けを行って、検査をし、結果の通知に至るまで全てを完結できれば、利便性が高まり、検査率も向上し、水際対策の強化につながるのではないか、そう考えます。
 そこで、出航当日に竹芝客船ターミナル内で全乗船客を対象とするスクリーニングを目的としたPCR検査や抗原検査などを実施する上での課題について伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 この取り組みは利用者の声などを聞いて改善を図ってきましたが、出航当日に竹芝客船ターミナル内で検査を実行するに当たっては、さまざまな課題があります。
 具体的には、客船ターミナル内における検体採取や検査を行う場所、検査結果が判明するまでの待機場所の確保や、出航前の限られた時間で四百名近い乗客の検査を行うための検査技師や受付などの人員体制の整備が必要であります。
 また、陽性反応が出た方について、医師による行政検査を受けていただくため、医療機関との調整や移動手段の確保も不可欠です。
 なお、検査により陽性が確定した場合には、濃厚接触者の特定、隔離を初め、入院や宿泊療養施設への収容など、保健所としての対応も生じます。

○木村委員 乗船場所である竹芝客船ターミナルで「おがさわら丸」の全乗船客を対象とするPCR検査などの実施に際しては、さまざまな課題があることをあえて伺ったわけであります。調整に当たった職員の方々におかれては、関係機関との調整や法律などの縛りで思うようにできず、苦労したことは承知をしております。
 私はかねてから、社会経済活動と感染拡大防止の両立を図るためには、スクリーニングを目的とした予防的調査、社会的検査を拡大していく必要があると考えてきました。今回のご答弁にあった課題というのは、予防的検査などを進めていく上での課題と重なると思っています。
 そこで、改めて確認をいたしますが、医師の判断を伴わないスクリーニング検査において陽性反応が出た方については、行政検査を受けていただくために医療機関との調整や移動手段の確保も不可欠とのことですけれども、こうした場合の行政検査の受診等について、法的な義務はあるのか伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 医師が必要と判断した場合に行われる行政検査の対象は、感染症法において、症状のある方や濃厚接触者等とされており、医師の診断を伴わないスクリーニング検査の結果、陽性反応が出た方には、行政検査を受ける法的義務は課されておりません。
 また、医師の診断を伴わないスクリーニング検査の結果で陽性反応が出た方がいても、検査機関が保健所に届ける義務はありません。

○木村委員 今の答弁では、義務はないということでした。つまり、国の法で感染拡大防止の責務があるとされた自治体としては、国がルールをつくってくれない現状では、過大な対応をとらざるを得ない。国のルールがないために、自治体の業務量は増す一方だ、そのように私は理解しております。
 十月二十日、厚生労働大臣会見で田村大臣は、民間によるPCR検査を受けた人については行政が把握していない事例があり、今後ルールづくりが必要だと発言しています。大臣は、ルールがない実態を把握しています。
 また、東京都には、さまざまな地域からの往来があります。都内の民間機関で検査を受けて陽性の可能性が高いとなった場合、ルールがないために、都内の保健所が対応するということであれば、その負担ははかり知れないものがあります。
 しかし、社会経済活動と感染拡大防止の観点から、無症状の感染者をいち早く見つけ治療することは、非常に大切です。今後、ますます民間の検査を必要とする人はふえてくると思います。
 例えば、冠婚葬祭で出席する、その相手方を初め、ほかの方々への配慮のために必要だ、あるいはビジネスで海外渡航をするための陰性証明、レコード会社や放送局ではイベント開催の前に実施したい意向を持っているとも伺っています。大学の授業でも応用ができるかもしれません。コロナ禍でシニアが孤立してしまうなどの課題もあります。世の中にさまざまなニーズがあることは確かです。
 国の責務として、保健所や医療提供体制とのバランスをとり、医師の診断を伴わない社会的検査におけるルールを早急につくる必要があると思います。東京都として、国に要望していただきますよう、ここで強くお願いをいたします。
 また、乗船客に対する都の水際対策が、先進事例として、新型コロナウイルス感染症に関する今後の取り組みに寄与すると確信をしております。
 局の皆様におかれましては大変だと思いますが、引き続きご尽力いただきますよう、あわせてお願いいたします。
 最後に、組織改編について伺います。
 都民ファーストの会では、東京二〇二〇大会後の組織再編を大胆に実施していくべきとの見地から、本年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑で質疑を行いました。それを受けて、二〇二一年度の組織再編に向けた検討を一層深めて、戦略的な政策展開を支える都庁組織を構築していくとの知事答弁がありました。
 新型コロナウイルス感染症の流行により大会が延期となり、組織再編スケジュールがずれることは理解をしておりますが、コロナ禍を踏まえた喫緊の課題解決は必要です。
 そこで、全庁の組織再編に関して、現時点でのスケジュールを伺います。

○山口人事部長 都庁全体の組織再編に関しましては、東京二〇二〇大会後の令和三年度の実施に向け検討していましたが、大会の延期に伴い、今年度末に策定予定の長期戦略を踏まえまして、令和四年度以降の実施に変更いたしました。
 第三回定例会におきまして、知事より、長期戦略のてことなる構造改革は、年度内に構造改革実行プラン、仮称でございますが、これを公表する予定であり、関連の執行体制の整備は時期を逸することなく進めるとの答弁がございました。都政へのDX、すなわちデジタルトランスフォーメーションの浸透を牽引するデジタル部門の強化は、令和三年四月を念頭に、全体の再編に先行して行う喫緊の課題と認識をしております。

○木村委員 今の答弁では、全庁の組織再編は、大会終了後の人員体制を見据えて行う、そして、デジタルトランスフォーメーションの推進など構造改革に関することは、先行して実施すると、そのように理解をいたしました。
 都民ファーストの会は、IT関連業界の出身議員が複数いることもあり、これまでにさまざまな場面で研究活動や提言を行っております。行政のデジタル化を進めるための体制強化、組織改正の必要性、核になるデジタル局の早期設置を訴えてきました。
 そこで、組織再編の中で先行して検討を進めるべきデジタル部門の強化に当たって、都における検討状況や課題認識について、局長に伺います。

○山手総務局長 これまで都におきましては、IT、ICTの活用に関して、平成十三年度のIT推進室の設置以降、部組織の改編や外部人材の起用など、執行体制を強化してまいりました。
 一方、現在求められているデジタルトランスフォーメーションは、かつてないレベルで、かつ短期間で都政全体を変貌させていくスケールのものでございます。
 したがって、デジタルトランスフォーメーションの推進に当たりましては、各局の多様な行政サービスの質の向上をサポートする技術力や、全庁を統括する中核機能の一層の強化が不可欠でございます。
 デジタルトランスフォーメーションの旗振り役かつ牽引者となる、デジタルを所管する局相当組織の確立に向けまして、今後、関係局と連携して鋭意検討してまいります。

○木村委員 非常にすばらしい答弁をいただいたと思っております。都民ファーストの会が求めてきたデジタル局、これがまさに立ち上がる、そのように私は理解をいたしました。大いに歓迎し、評価をさせていただきます。
 外部人材の大胆な起用など、準備に向けて戦略本部と連携し、都政のデジタルトランスフォーメーションを牽引する局が順調にスタートできるように、検討を加速していただきますようお願いをいたします。
 そして、最後に一言、局の皆様に申し上げます。
 コロナ禍の対応に全世界が追われている中、日本国内においては、東京都の対応がまさに手本になっているのだと思います。テレワークの推進、協力金、テークアウトやデリバリーの支援、感染防止のステッカー、アートにエール、さまざまな対策を行っています。
 総務局におかれましては、本来の範囲を超えた案件も処理せざるを得ない状況ですが、案件がふえるのは確実な仕事ぶりへの評価であり、信頼が厚いあかしだと思います。皆様のご尽力に感謝を申し上げ、私の質問を終わります。

○中屋委員 私の方からは、国民保護に関することで何点か質問させていただきたいと思います。
 第三回定例会の本委員会において、私の方から、大規模風水害や首都直下型地震などの自然災害に対する都の対応について質疑をいたしました。
 風水害時において、区市町村に都の職員を情報連絡要員として派遣する体制や、地震発生時の区市町村との情報連絡体制の早期構築に向けた訓練など、東京全体の災害対応力の向上に向けた取り組み状況を確認させていただきました。
 本日は、自然災害とは異なる対処が求められております外国からの武力攻撃や大規模テロ等の国民保護事案から、都民の生命、財産を保護するための都の対応について質疑を行います。
 まず、都における国民保護に関する取り組みの内容についてお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 平成十六年施行の国民保護法により、武力攻撃や大規模テロ等を受けた場合には、国の方針に基づき、国、地方公共団体等の関係機関が連携協力し、国民の生命、身体及び財産を保護し、被害の最小化を図ることになってございます。
 都では、東京都国民保護計画に基づき、緊急時に避難や救援などの国民保護措置を的確かつ迅速に実施するため、必要な組織、体制の整備を行うとともに、毎年度国民保護訓練を行うこととしてございます。
 さらに、都民や事業者への普及啓発として、危機管理に関する事業者セミナーの開催、東京都防災ホームページやデジタルサイネージ等のさまざまな広報媒体を活用して、国民保護措置の仕組みや避難行動に関する情報発信に取り組んでございます。

○中屋委員 テロ災害への対処のみならず、自然災害への対応などの防災対策全般においては、救出、救助などの公助を担う国、都、区市町村を中心とした行政機関がそれぞれの役割を踏まえて、迅速かつ緊密に連携を図ることが極めて重要であると思います。
 私の地元の文京区も、平成二十九年度に、都が国と共同で実施した弾道ミサイルを想定しました住民避難の実動訓練に参画いたしまして、防災行政無線による住民等への情報伝達や地下鉄駅への避難誘導などに取り組んだわけであります。
 そこで、国民保護訓練ではどのような取り組みをしているのか、その概要についてお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 国民保護訓練は、国や警察、消防、自衛隊等の関係機関及び区市町村の機能確認及び相互連携強化を図るとともに、国民保護措置に対する都民の理解促進を目的とし、実動訓練と図上訓練を隔年で行ってございます。
 主に大規模テロ災害への対処をテーマとして、大規模集客施設や交通機関におけます化学剤や爆発物を使用したテロ等が発生した場合を想定して実施しているところでございます。
 具体的には、サリンなどの化学剤、天然痘などの生物剤、放射性物質、爆弾によるテロ等を想定し、原因物質の特定や警戒区域の設定、専門医療の確保、避難誘導など、初動対処を中心に実施しているところでございます。

○中屋委員 今いただいた答弁、こうした訓練を通じて、自衛隊などの関係機関を含む行政機関の各プレーヤーが毎年継続的に対処の手順などを一つ一つ確認することは、地道な取り組みであるものの、平素からの備えとして、東京の災害対応力の強化につながってくるものだと思います。
 そこで、訓練の過去三カ年の実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 大規模テロ災害への対処について、平成二十九年度に新宿区、渋谷区及び千代田区と共同で図上訓練を、平成三十年度に江東区と共同で実動訓練を実施いたしました。このほかに、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を平成二十九年度に文京区と共同で実施したところでございます。
 令和元年度は、大田区及び品川区と共同で大規模テロ災害を想定した図上訓練を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止し、今年度も、現在のところ同様に開催が困難な状況にございます。
 現在、来年度の図上訓練の実施に向けまして、国や関係機関と連携しながら、事案想定やシナリオ等の検討を進めているところでございます。

○中屋委員 テロなどの特殊な災害は、その発生の予測が非常に困難であります。ぜひとも継続的な訓練の実施をお願いしたいと思います。
 先週、IOCのバッハ会長が東京二〇二〇大会の延期決定後初めて、来日をされました。その際、菅総理大臣や小池知事、組織委員会の森会長など大会のキーパーソンと相次いで会談をしたわけです。
 東京二〇二〇大会の開催に向けては、組織委員会やオリンピック・パラリンピック準備局を中心に取り組んでおりますが、新型コロナウイルスに打ちかった大会となるように、ソフト、ハード両面のさまざまな課題を克服して、ぜひとも成功に導いていただきたいと思います。
 過去には、国際的に注目を集める大規模イベントでテロなどが発生する事例がございました。不特定多数の一般市民が集まる民間施設や繁華街、公共交通機関などのソフトターゲットが集積する都市部だからこそ、こうしたテロなどの未然防止や厳重な警戒が必要となってまいります。
 そこで、東京二〇二〇大会に向けた総務局におけるテロ対策の取り組みについてお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 東京二〇二〇大会開催時には、国内外から多くのアスリートや要人などが来日する見込みであり、総務局では、大会開催前に警視庁との共催で、テロ対策東京会議の開催を予定してございます。
 会議では、知事出席のもと、国や区市町村、警察、消防、自衛隊等の関係機関のほか、大規模集客施設や交通機関等を運営する民間事業者にも参加いただき、それぞれの組織全体においてテロの未然防止に向けた体制を確保するなど、警戒の強化を働きかけてまいります。
 今後も、東京二〇二〇大会に向けた東京都安全・安心推進会議と連携し、テロ対策東京会議も活用しながら、官民が一体となって、オール東京でテロ対策を推進してまいります。

○中屋委員 公助を担う国や区市町村に加えて、自助、共助の取り組みの主体である民間事業者とも幅広く連携をしていただいて、東京、日本の総力を挙げて、都民、国民の安全・安心を守っていただきたいと思います。
 さらには、東京二〇二〇大会を契機として、国内外に東京のまちの安全・安心をアピールできるよう万全の備えをしてほしいということを申し上げて、質問を終わります。

○小磯委員 私の方からは、防災対策についてお伺いをしていきたいと思います。
 昨年の台風第十五号、第十九号では、家屋の被害や多摩川沿いの浸水、河川の護岸損壊など、都内においても各地で被害が発生をしたわけでございます。
 これを受け、東京都は、副知事をトップとする大規模風水害検証会議を設置し、さらなる強化を進めていく三十五の取り組みを取りまとめられました。その中で、被災状況を早期に把握するため、ドローンの配備をすることが示されております。
 まず、このドローンを配備した目的についてお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 発災時に被害状況を確認する際、職員の目視による点検や撮影では収集できる情報が限られまして、また、職員が災害現場に近づくことにより二次災害の危険が伴います。
 ドローンは、人が立ち入ることが危険な現場におきましても上空からの映像を取得できることから、被害の全容を安全に確認する上でも非常に有効でございます。
 都では、昨年の相次ぐ台風被害により、被災状況の早期かつ安全な把握が重要であると改めて認識したところでございまして、ドローンを配備することといたしました。

○小磯委員 我々も十五号、十九号、いわゆる三多摩地域、奥多摩地域とか、そういったところで大変な被害がありまして、現地視察をいたしましたけれども、確かにこうした上からの映像を取得して全容をしっかりと確認するというのは、大変大事なことだというふうに思っております。
 全国各地でドローンの活用が始まっており、都として配備したということは重要でございます。
 そこで、現在のドローンの配備状況についてお伺いしたいと思います。

○猪口総合防災部長 地震や風水害などに伴います家屋倒壊や土砂災害など、さまざまな被害が想定される中におきまして、職員が発災初期より直接被災現場の情報を収集できるようにするため、総合防災部にドローンを二台配備いたしました。
 また、本土と距離が離れた島しょ地域におきましても、山間部を多く有し、被害の全容を把握することが容易ではないことから、全ての有人島に各一台ずつ、計十一台を配備いたしました。

○小磯委員 本土のみならず、島しょ部においても、有人島において全て配備したということは評価できると思います。
 一方で、被害状況の映像を正しく伝送するためには、ただ機材を配備するだけではなく、ドローンを正確に操縦できる職員をしっかりと育てることも重要であります。
 そこで、ドローンを操縦する職員の育成状況についてお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 発災時に、ドローンを活用して迅速かつ的確に情報収集を行うためには、被災現場において情報収集に当たる職員がその操作方法を習熟していることが必要でございます。
 このため、昨年度は、総合防災部の職員十名が、国に登録した団体が実施する実技講習と座学講習を受講し、目視外飛行等に必要となる操縦資格を取得いたしました。
 今年度は、島しょの支庁職員を加えました計十八名が同様の資格を取得する予定でございます。
 また、ドローンで撮影した映像を都の本部に送る伝送訓練を実施するとともに、先日、北区で実施いたしました総合防災訓練におきましても、操縦訓練を実施したところでございます。

○小磯委員 昨年度が十名、今年度が十八名ということで、計二十八名の職員の方が資格を取得する予定であるということでございます。職員の資格取得や訓練の実施など、さまざまな機会を捉えて育成の充実を図っていることが確認できました。
 近年、全国各地で毎年のように大規模災害が発生しておりますが、こうした災害が東京でいつ起きてもおかしくない状況であります。災害が発生した場合においては、特に情報空白期である発災直後は、さまざまな情報をいかに迅速に収集し、必要なところに共有を図っていくか、これが極めて重要であります。
 そこで、ドローンを活用した情報収集体制を一層充実強化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 大規模災害発生時は、都の災害対策本部が収集できる情報が限られるため、ドローンなどの新たな手段を活用し、被災情報等をより一層迅速に収集できるようにしておくことが重要でございます。
 このため、ドローンを正確に操縦できる職員の育成を進めるとともに、さまざまな災害の状況を想定した情報収集訓練を繰り返し実施することで、職員個々の習熟度を高めてまいります。
 さらに、ドローンで収集した情報を市区町村や警察、消防などの関係機関とも共有いたしまして、速やかな初動対応につなげるなど、東京全体の災害対応力をさらに向上させてまいります。

○小磯委員 ぜひ発災時の迅速な情報収集のための仕組みづくりを進めてほしいと思います。先ほどの答弁では、本土でも二台配備ということで、まだまだ数は少ないということで、ドローンの配備拡大もぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、現地機動班について確認いたします。
 災害が発生した際に、市区町村の庁舎などあらかじめ指定された拠点において応急対策業務を行う都職員を、現地機動班要員と呼びます。この現地機動班要員については、これまでもたびたび予算特別委員会を初め、取り上げてきたところでございます。
 まず、現地機動班の役割と現在の規模、活動場所についてお伺いしたいと思います。

○猪口総合防災部長 現地機動班は、大規模地震の発生時に、あらかじめ指定された拠点に参集した職員が災害対策本部の指揮のもと、発災時からおおむね七十二時間、主に人命救助のための応急対策業務に従事する制度でございます。
 具体的には、市区町村の災害対策本部や自衛隊や警察の活動拠点等となる大規模公園や清掃工場などで、災害情報の収集、各部隊の活動場所の確保などを行いまして、都の災害対策本部との情報連絡を行います。
 規模につきましては、都内の市区町村庁舎五十三カ所、自衛隊等の活動拠点等となる公園や清掃工場など六十一カ所、計百十四カ所を活動拠点とし、発災時の応急対策業務を持たない職員等を対象に約二千七百名を指定してございます。

○小磯委員 いわゆる現地機動班というのは、東京都の職員の方で、町田に住居のある東京都の職員の人が町田の市役所に集まって、そうした市と、また都の間に入って、しっかりと情報連携をとったりとか、そういったいろいろなことをする方々を現地機動班ということで指定をして、また訓練をしているということでございます。
 二千七百名もの職員が市区町村の庁舎や都立公園、清掃工場などで活動するとのことであります。この現地機動班の市区町村での被害情報の収集、救助部隊の活動状況の把握などが、応急対策業務を進める上で重要であると考えます。
 そこで、現地機動班の体制強化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 都では、現地機動班が各現場におきまして効果的に活動し、その任務を果たせるよう、参集拠点に、災害対策本部との通信手段となる防災行政無線やヘルメット、カセットボンベ型発電機などの資機材をあらかじめ配備してございます。
 また、参集拠点や活動拠点ごとに、現地機動班の役割などを記した活動マニュアルを作成してございます。
 さらに、現地機動班の役割、業務内容等の習得を目的としたeラーニング研修等を、全員を対象に実施しております。
 こうした取り組みを通じ、毎年の人事異動等により現地機動班要員が入れかわる中にあっても、災害時に有効に機能する体制の確保を図ってまいります。

○小磯委員 こうした現地機動班要員の環境整備や研修の実施は大変重要であります。
 一方で、先ほどの答弁でも、この仕組みが主に大規模地震を想定しているとのことでありますが、近年は全国各地で毎年のように大規模風水害が発生をしております。一つの災害を想定するのではなく、さまざまな災害が起こり得るという想定のもと、備えていくことが重要であります。
 そこで、現地機動班要員を大規模風水害時にも活用すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 都では、昨年の台風における対応を踏まえまして、大型台風接近時には、必要に応じ全ての市区町村に情報連絡要員を派遣する体制を構築いたしました。
 現地機動班制度は、風水害時においても有効に機能すると考えられることから、各市区町村の近隣に居住するなど、できる限り地域の事情に詳しい現地機動班要員を、この情報連絡要員としても活用することといたしました。
 今年度、対象となる職員に、大規模風水害に関する研修も実施したところでございます。
 今後は、都内で想定される土砂災害や河川の氾濫など、さまざまな大規模風水害にも対応できるよう、訓練や研修の内容等につきまして、一層の充実強化を図ってまいります。

○小磯委員 いざというときに、研修を受けた都の職員が現地機動班要員として市区町村に配備されることは、市区町村にとっても安心感を与えると考えます。引き続き、体制の継続的な充実強化をお願いしたいと思います。
 続いて、帰宅困難者対策についてお伺いいたします。
 都は、東日本大震災を教訓に、全国に先駆けて帰宅困難者対策条例を施行し、これまで、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保等を進めてきております。
 一時滞在施設は、主に地元住民を受け入れる避難所とともに、発災時には帰宅困難者の安全を確保する重要な施設でありますが、多くの帰宅困難者が集まるということは、密になる可能性も高いということであり、感染症対策の徹底が求められます。ウイズコロナの時代においては、コロナ禍との複合災害を防ぐ観点も踏まえた対策が必要であります。
 避難所については、新型コロナウイルス感染症対策として必要な対策をまとめたガイドラインが福祉保健局から示されております。
 一時滞在施設においても同様のガイドラインなどが必要と考えますが、これまでの新型コロナウイルス感染症に関する一時滞在施設への都の支援などの取り組みについて、状況をお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 一時滞在施設は、大規模地震等の発生時に不特定多数の行き場のない帰宅困難者を受け入れることから、感染症対策を確実に行うことが重要であり、都としても迅速に対応してまいりました。
 具体的には、本年四月に新型コロナウイルス感染症を踏まえた留意事項を作成し、都立一時滞在施設に通知するとともに、民間の一時滞在施設と協定を締結する区市町村に周知いたしました。
 留意事項は、一時滞在施設の管理者が運営する際の参考となるよう、感染症対策に必要と考えられる事項をまとめたもので、マスクや手指消毒などの基本的な感染予防策のほか、適切な受け入れスペースの確保、受け入れ時の体温測定、発熱、せき等の症状がある方への対応などについても記載してございます。
 また、マスクやアルコール消毒液等の感染防止に必要な備蓄品について、都立の一時滞在施設へ配備を進めるとともに、本年九月からは、民間の一時滞在施設がこれらの備蓄品を購入した場合に費用の一部を補助するなどの取り組みを始めたところでございます。

○小磯委員 緊急事態宣言中であった本年四月には、留意事項をまとめた通知を出したとのことでございます。避難所のガイドラインが示されたのが六月なので、かなり素早く対応を示したんだというふうに思います。
 また、その後の九月には、マスクやアルコール消毒液などの補助事業なども始めたとのことであり、新型コロナウイルス感染症の混乱の中で、可能な限り迅速に対策を実施してきたことは評価したいと思います。
 都が通知した留意事項の中では、適切な受け入れスペースの確保にも言及しておりますが、大規模地震の発生時に多くの帰宅困難者が訪れ、密になる可能性の高い一時滞在施設においては、滞在者同士の適切な距離を保つことが重要であります。
 一方、限られたスペースで滞在者同士の適切な距離を保った場合、これまでの基準で見込んだ人数を受け入れられない場合も想定をされます。
 いざというときに混乱しないためには、滞在者同士の適切な距離を保った上で、どの程度の帰宅困難者を受け入れ可能なのか、各一時滞在施設において事前に検証しておくことが重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 コロナ禍において、一時滞在施設における感染症対策を着実に実施するためには、受け入れ手順や受け入れ可能な人数の把握などの取り組みが重要です。
 都では、本年四月に通知した新型コロナウイルス感染症を踏まえた留意事項とともに、先日実施しました帰宅困難者対策フォーラムや戦略アドバイザー支援事業などにより、発災時における適切なスペースの確保や受け入れ人数の検討など、事前の準備を呼びかけてございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて、事前の検証を促してまいります。

○小磯委員 現在、都内の主要駅等への人の流れは、昨年の同時期と比べまして、三割、四割程度減少という数字もございます。そういった意味で、帰宅困難者の発生自体が抑制されている可能性もございます。
 しかし、災害対策は常に最悪の事態を想定しておくことが重要であり、引き続き、都には発災時を想定した事前の検討をさまざまな手段により呼びかけ、いざというときに混乱しないよう備えていただきたいと思います。
 また、行政側でコロナ禍での各施設の受け入れ可能数を把握することも重要であると、このように思っております。区市町村と連携して取り組んでいっていただきたいと思います。どれぐらいの帰宅困難者の方を一時滞在施設で受け入れることができるのか、そうしたことも、改めてコロナ禍の中でのいわゆる可能数をしっかり把握をしていただきたいと思います。
 そのほか、留意事項では、マスクの着用や、手や指などの消毒の徹底などについても触れています。先ほどの答弁にもありましたとおり、都は、本年九月から民間の一時滞在施設で使用するマスクやアルコール消毒液に対する補助などの支援事業を開始したということであります。
 マスクやアルコール消毒液は、一時滞在施設での感染症対策に大切な備蓄品でありますが、それだけで万全かというと、そうではないと思います。
 一時滞在施設では、帰宅困難者をスムーズに受け入れられるよう、企業の従業員の方などが施設管理者として運営することになっております。コロナ禍においては、先ほどの留意事項に示されているとおり、入所時の検温、また健康状態チェックなどが必要でありますが、当然、避難してきた帰宅困難者と施設の管理者側の従業員が対面して対応する場面も多くなります。
 発災時には多数の帰宅困難者が一時滞在施設を訪れることが想定されることから、中には感染が疑われる方も訪れる可能性もあります。施設運営に協力している企業の従業員の皆さんは、大きな不安を抱えているのではないでしょうか。一時滞在施設を適切に運営するためには、こうした不安を少しでも解消していくことが重要であると思います。
 そこで、管理者側の感染対策として、帰宅困難者の発熱を確認する非接触型の体温計や従業員用フェースシールドなどの使用が有効と考えますが、都の認識をお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 発災時に一時滞在施設で適切に帰宅困難者を受け入れるためには、訪れた帰宅困難者の健康状態の確認を行うとともに、受け入れ側の職員の感染対策に万全を期すことが重要でございます。
 具体的には、お話の非接触型体温計やフェースシールドのほか、使い捨てゴム手袋やガウン等の使用も有効でございます。
 今後、運営者側への配慮の観点も含め、一時滞在施設におけるより一層の感染防止対策の推進に努めてまいります。

○小磯委員 今おっしゃった体温計、またフェースシールドなどを、いわゆる補助等の支援事業の対象にも入れていただきたいというふうに思います。
 新型コロナウイルス感染症の終息が見えない状況の中で、一時滞在施設に協力している企業の皆さんと一層の連携が必要と思います。現場の声も聞いてしっかりと対応していただくことを要望して、私の質問を終わります。

○米倉委員 私からは、まず、都立大学について質問します。
 コロナが学生にどういう影響を与えているのか、また学生支援についても伺っていきたいと思います。
 まず初めに、この間、都立大学で退学や休学した学生の数について、昨年度と今年度の状況を示していただきたいと思います。コロナによる影響はどのくらい出ているのかもお答えください。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学において、今年度の四月から十月までの間に退学した学生は三十三名、休学した学生は三百名でございます。昨年度の同じ時期に退学した学生は四十四名、休学した学生は三百十六名でございます。いずれも減少しております。
 なお、今年度の退学及び休学のうち、新型コロナウイルス感染症の影響によるものと判明している人数は、退学が二名、休学が十七名でございます。

○米倉委員 ありがとうございます。作成していただいた資料を見ますと、授業料の全額、あと半額免除というものを東京都立大学は取り組んでいます。今のご答弁で、休学、退学については例年より人数が少ないということでした。ただ、コロナによる影響は何人かいらっしゃるということです。
 一方で、この作成していただいた資料を見ますと、授業料の全額免除、半額免除を受けた学生数を出していただきまして、これを見ますと、全額免除は、去年の前期三百六十人のところが、ことしの前期は六百十五人ということで、つまり一・七倍にふえています。
 半額免除はどうかといいますと、去年の前期が三百七十六人で、ことしが四百三十一人ということで、一・一倍ということです。
 全額授業料免除となる方が、ここ数年の実績と比べてみても大幅にふえていまして、やはり新型コロナによる学生への影響は大きいのだなということを実感しています。
 この授業料減免の制度なんですが、都立大は国立大と異なって、この制度を維持していますので、これだけ学生を支援できているんだなというふうに思っています。これは大事なことだなと思います。
 都立大としては、授業料の減免を受ける学生がふえていますが、一方で、さっきのご答弁にもありましたが、今の段階では退学や休学をする学生数に大きな変化が出ていないという状況で、これはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学では、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、家計が急変した学生に対する授業料の減免申請の期間延長や、独自の緊急支援金の給付などの経済支援策を実施しております。
 こうした取り組みなどによりまして、コロナ禍においても退学及び休学の学生数に大きな影響がなかったものと認識しております。

○米倉委員 作成していただいた資料を見ても、今のご答弁ありましたが、独自の給付の支援、五万円の給付を八百人の方に行ったと聞いています。
 また、パソコンやWi-Fiの貸し出しも取り組んでいらっしゃるということで、大学として学生支援に努力されているなというふうに思っています。
 授業料減免の申請期間を延長したということは、これは学生が大学生活を続ける上で大事な取り組みだと思いますので、幾つか確認をしたいと思います。
 まず、前期の授業料の納付期限は延長したというふうに資料にもありまして、これは期限はいつからいつに延ばしたのかということとあわせて、前期、後期の減免制度の申し込みも期限をいつからいつまで延ばしたのか伺います。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 前期授業料の納付期限につきましては、四月末から七月末に延長いたしました。
 また、新型コロナウイルス感染症に伴う家計急変による授業料減免の申請期限につきましては、前期は四月二十四日から七月二十二日に、後期は十月二十三日から十一月三十日にそれぞれ延長しております。

○米倉委員 後期の授業が始まったころに減免申請についてなんですが、一度問い合わせしたときには、前期と同じように減免申請の期間を延長ということが決まっていなかったので心配していたんですが、申請期間が延ばされたということで、これは本当によかったと思います。
 後期については、授業料の納付期限よりも減免申請の期限の方が後ろになっています。これは、授業料を引き落とされた後に学生が減免申請をした場合は、どう対応されますか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 後期授業料につきましては、口座引き落とし後に減免が承認された場合、支払われた授業料のうち減免された額を還付することとしております。

○米倉委員 特例的な対応なんだと思いますが、これは大事な対応だと思います。
 都立大学でも、これまでのところは、大学の退学者数などが大幅にふえるということにはなっていませんが、今さまざま学生の皆さんが独自に学生実態調査をやっていまして、こういうことに取り組んでいらっしゃる学生の皆さんからは、これまでは目立って退学者数がふえてこなかったけれど、今後ふえてくるのではないかというふうに指摘をしています。
 厳しい経済状況が続いている中、貯金などで耐えてきた方が耐えられなくなるですとか、授業料の減免の対象とならない学生でもアルバイトで生活費を用意しなければならないという学生も、たくさんいます。今、やはりバイトも減っています。そういうことを受けて、危惧しているということなんです。
 今月なんですが、都立大の学生自身が学生向けに無料で食料を配布するフードバンクという事業に取り組んだそうです。話を聞きましたら、都立大生が二十人来られたそうです。
 そこでもやはり共通してバイトが見つからないという声が多くて、中にはバイトに入れる日数も減り、親からの支援も減ったという声ですとか、あとは経済面での苦労として食事を挙げる人、食費がかかるという話が寄せられるという事態だそうです。
 必要なだけ食料を持っていってくださいという形で食料支援を行ったらしいんですが、そうしましたら、リュックをぱんぱんにして食料を持って帰るという方もいらして、学生の困窮状況は、四月、五月も大変だということがありましたけれど、やはり引き続いて深刻だというふうな状況だと思います。
 困窮している学生全てに支援が届くというためには、やはり学費の一律半額化が大事で、実現してほしいという声が、都立大含めてですが、今、全国の大学に急速に広がっていまして、学生の強い要求になっています。
 日本共産党都議団もこれまで何度も、都立大の学費の半額化をと求めてきましたが、改めてその検討を強く求めたいと思います。
 今、文科大臣が大学に対して、コロナの影響で学生が退学した場合、再入学できる仕組みをつくる旨の要望を大学に対して行っています。これは都立大で検討があるのか、どう対応されるのか伺います。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学では、大学を退学した者が退学の日から三年以内に再び退学前に所属していた学部、学科に入学を申請した場合、選考の上、再入学を許可することができる制度を設けております。
 このため、新型コロナウイルス感染症の影響で退学した学生につきましても、退学後三年以内であれば、再入学を出願し、学びを再開することが可能でございます。

○米倉委員 よくわかりました。この再入学という仕組み、余り知られていないと思うんです。当てはまりそうな方にはぜひ知らせていただきたいと思います。
 私たち日本共産党都議団は、この間、学生や若い皆さんからコロナでどう暮らしに困難や課題があるのかということを聞いてきました。
 例えば学生団体FREEという団体がありますが、全国の学生を対象にアンケート調査を行っています。お話を聞きましたら、前期、後期に分かれて大学などの学生調査をやっているんですが、この前期の調査結果の傾向は、多くの学生にとっての問題は経済困窮だったということだそうです。
 一方で、後期の回答結果というのは、精神的な悩みが多いということだそうです。ただ、これはお金の問題が解決したからではなくて、それが解決せず、その上に精神的な不安が上積みされて、降り積もっていく感じなんだということだそうです。
 さらに、授業のほとんどがオンラインという状況で、朝からずっとワンルームの部屋で授業を受け続け、終わるとまたその部屋で課題に取り組むと。パソコンの画面を見続けて目がつらい、視力が落ちたという声ですとか、家に閉じこもって体調を崩しているという方も多いと。精神的に不安定になることが多くなった、夜中に涙が出る、鬱症状に似たものが出ているという声が多く寄せられています。
 友達とも、キャンパスで会えればもやもやしている気持ちや悩みも話せるけれど、わざわざオンラインで何時から話そうと約束をして、そういうことまでして、じゃあもやもやしている気持ちが話せるかというと、やはりそうはならないと。それで、ますます一人でしんどくなっていくんだということを話してくれました。
 やっぱりこういう声を受けて、学生の調査をされた皆さんも、学生のメンタルや生活相談の支援を強めることが必要だと求めています。
 都立大について伺いたいのですが、学生相談には今、相談がふえているのか、相談内容の傾向はどうなっているのか教えてくだい。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学では、学生相談室に専門スタッフを配置いたしまして、学生生活のさまざまな悩みの相談を受けております。
 今年度の四月から十月までの相談者数は三百五十七名、延べ相談件数は二千三百六件でございまして、過去三年間の同時期における平均値に比べ、いずれも減少はしております。
 なお、今年度の相談内容につきましては、過去三年間と比べ、心理面の相談割合が減少し、修学に関する相談割合が増加しております。

○米倉委員 修学の相談割合が上がるということは、社会情勢からしてもわかる部分はあるんですが、やはりいろんな学生の皆さんだとか団体から話を聞いていて、相談が減るという状況ではないなと思っています。
 恐らくほかに相談されているだとか、もしくは誰にも相談できていないという方が多いのではないかと思います。困ったことがあったりつらいことがあれば相談をという、積極的な周知をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学生相談室では、ホームページやSNSでの発信、チラシの配布に加えまして、新入生に対しては入学手続書類に案内を同封するなど、学生生活で困ったときには気軽に相談するよう積極的に周知をしております。

○米倉委員 新入生に案内を送られているというのは大事だと思います。
 ほかの大学の相談室を見てみますと、例えば、定期的に学生に対して、オンラインのシステムを使ってだと思うんですが、役立つテーマを定期的に情報提供を行ったりして、相談室の雰囲気も伝わりながら学生の役にも立つということで、こういう形の周知もとてもいいなというふうに思っています。ぜひいろいろな工夫もして、周知をしていただきたいと思います。
 今後も、コロナによる学生生活への影響は長引くと想定されます。学生の状況がこの間もコロナによる影響の長期化で変化をしたり、また深刻化している部分も出てきている中、今後、学生の状況についてどう把握していきますか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 コロナ禍におきまして、都立大学では、学生相談室や学生課、指導教員などが受けた学生生活に関するさまざまな声を学内関係部署と共有するとともに、相談内容を体系的に整理、分析することで、学生の状況把握に努めてまいりました。
 また、全ての学生及び教員を対象にオンライン授業に関するアンケートを実施し、コロナ禍における修学に関する課題を把握した上で、オンライン授業の改善など、満足度の向上にも取り組んでおります。
 引き続き、学生相談やアンケートなどを活用し、学生の状況把握に努めてまいります。

○米倉委員 さまざまな角度から学生の状況を把握していくということで、お願いします。特に学生生活を続けられるかどうかというところが大事だと思いますので、その点で状況把握に努力していただきたいと思います。
 都立大でのオンライン授業と対面授業の割合について伺いたいのですが、今の段階でどのくらいの割合で行っていますか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 後期における対面授業の割合は、実験や実習機会の多い理系学部で約二割、実験や実習機会の少ない文系の学部で約一割となっております。

○米倉委員 実習や実験が多い理系の学部が比較的対面授業が多いということだと思います。
 ある文系の一年生は、キャンパスに今もほとんど行ったことがなくて、友達ができていないと。サークルの新歓の情報もつかめず、誰がいつサークルに入っているかわからないと。周りの様子もわからないということを聞いています。
 二年生以上の文系の学生さんも、授業は十こまのうち、対面授業がほぼゼロだと。一つの授業がたまに対面授業をやる状況だそうで、四月以降、友達に会っていないというふうにやっぱり話しています。
 やはり通常の学生生活に戻していくためにも、対面授業は、感染拡大を防ぎながらも、ふやしていく必要があると思っています。そういう場合に、対面授業とオンライン授業が、一限でオンライン授業でも、二限目で対面授業というふうになりますと、移動の時間がありますから、学内でオンライン授業を受けるというふうになると思います。
 そうなりますと、対面授業をふやすというときに、オンライン授業を学内で受けられる環境整備が必要になってきます。
 そこで伺いたいのですが、対面授業をふやす上でも、学内の環境が整っていることが必要ですが、現状がどうなっているのか、また、これまで対応してきたことと、今後の整備状況についても伺いたいと思います。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 対面授業の再開に合わせまして、Wi-Fiルーターの設置など、学内の通信環境を整備してきており、今後とも、ハイブリッド型教育の推進に向けて、適切に対応してまいります。

○米倉委員 さらに環境を強化しないと、対面授業をふやすということも厳しいと聞いています。通常の学生生活に戻していくためにも、ここについてはできるだけ早期に学内の環境整備というのは進めていただきたいと思います。
 あわせてなんですが、学生生活というときに、授業だけではなく、図書館などの施設を利用したり、サークルやキャンパスで友達と会って話をしたりですとか、こういうことがどれも大事になると思います。こうした学生生活をどう支援してきたのか伺います。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学では、六月下旬の対面授業の再開に合わせまして、学生の入構制限を一部解除し、図書館等の利用を段階的に再開してまいりました。
 また、十月からは、学生の入構制限の全面的解除に加え、課外活動についてもガイドラインに基づく感染防止対策を徹底した上で実施を認めるとともに、主に学部一年生を対象とした対面による交流会の実施など、コロナ禍における学生生活を支援しております。

○米倉委員 わかりました。
 あと数点、具体的な支援がどうなっているかも伺います。
 学部によっては、病院や福祉施設などに実習に行かなければならないということがあります。そうした実習に行く際にPCR検査を求められるケースがあると思っています。検査を受ける場合の費用負担はどう対応していますか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国家資格取得に向けた実習に学生が参加する際、実習先からPCR検査を求められるケースがございまして、その場合には、PCR検査に係る費用を含め、全て大学が負担しております。

○米倉委員 これは大事な対応だと思います。
 次に、就職活動をする学生に対する支援の強化はどうしていますか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学では、コロナ禍でも学生の就職活動に支障が生じないよう、企業合同説明会やOB、OG交流会などをオンラインで行うとともに、企業が導入し始めたオンライン面接への対策などの支援策も実施しております。

○米倉委員 今、やはりキャンパスに学生たちがいられないので、情報交換もなかなかできないということで、就職活動に対しての不安が本当に高いなというふうに思っています。
 新しいオンライン面接などの対応もされているというのは大事だと思います。引き続き、そういう学生の声に応えた対応をしていただきたいと思います。
 大学生協や学内に食堂が幾つかありますが、やはりことしはコロナの影響でキャンパスに立入禁止の期間もありましたし、さらに今、オンライン授業がメーンですから、キャンパスに来る学生がかなり少ない状況が続いています。
 生協や食堂の経営状況は把握されているのか、学生生活を支える大事な存在で、支援が必要なのではないかと検討も求めたいと思っていますが、いかがですか。

○久保田企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立大学では、購買書籍店や学生食堂の運営事業者と定期的に意見交換を行うとともに、学生が安心して施設を利用できるよう、感染拡大防止の観点から、アクリル板や消毒液の提供などを行っております。

○米倉委員 定期的に意見交換をされているということです。
 私も話を聞きまして、経営状況はかなり大変だと聞いています。キャンパス内にある食堂は、緊急事態宣言時は売り上げが九割減ったと。今でも通常の五、六割という状況だそうです。そういう中でも、学生にとって食は大事だということで、また、お店をあけないと学生が大変になるということで、学生支援という観点でお店を続けていると聞いています。
 この間も、困窮した学生に支援をするために、食堂で、おかずは有料ですが、ご飯については学生は無料という対応をしたりですとか、今、学生だと五十円引きで対応ということもされています。本当に頑張っておられるなと思います。
 こういう取り組み、特に費用の負担の部分というのは、本当は東京都だとか大学が担えるといいのではないかと思っています。ぜひ事業者と連携をして、学生を支援していただきたいと思いますし、都としても状況を聞いて、学生生活を支える上でも支援を検討していただきたいと要望します。
 次に、性犯罪、性暴力について伺います。
 コロナの影響で、ワンストップ支援センターへの相談数は昨年と比べてどう変化しているのか、相談内容の特徴も示してください。

○堀越人権部長 性犯罪等被害者ワンストップ支援センターが受けた相談件数は、令和二年一月から九カ月間で三千九百三十件で、昨年同時期の約一・四倍となっています。
 相談内容は、これまでと同様に、強制性交等に関する内容が最も多い傾向ですが、ことしの特徴として、過去に受けた性被害に関する訴えが増加しています。

○米倉委員 今年度、ワンストップ支援センターの体制を強化しました。
 支援の体制を拡充したことは大事だったと思いますが、それにより支援現場の状況はどうなっていますか。

○堀越人権部長 令和二年度より、ワンストップ支援センターの日中の支援員を二名から三名に増加し、支援体制を拡充いたしました。
 これまで、付き添い支援等で外出するなどにより電話対応が一名体制となる時間帯がありましたが、増員により、常に複数名で電話対応できることとなりました。

○米倉委員 ことし、コロナのもとで相談数もふえるという前に体制強化がされて、よかったなというふうに思います。かなり対応の面でも、相談に乗れる件数も、この拡充によってふえたのではないかと思います。
 今、政府の方では、ことしの四月に性犯罪、性暴力の問題に関してはかなり大きく前に進めるということで動いています。ことし四月には、男女共同参画担当の内閣府の特命担当大臣を議長にして、内閣府、警察庁、法務省、文部科学省及び厚生労働省の局長級を構成員として、性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議というものを開催して、性犯罪・性暴力対策の強化の方針というものを六月に決定しています。
 この方針では、ことしからの三年間を性犯罪、性暴力対策の集中強化期間として、刑事法のあり方の検討、被害者支援の充実、加害者対策とともに、教育、啓発の強化に取り組むこととしています。
 国のこの方針を受けて、都は、性犯罪や性暴力の被害者支援や加害者対策、教育、啓発についてどう取り組みの強化を行っているのか、また、今後の検討についても示してください。

○堀越人権部長 国の方針に示された被害者が相談しやすい環境の整備につきましては、性犯罪、性暴力被害者のための全国共通短縮番号をホームページやリーフレット等により周知いたしました。
 また、加害者対策を含む教育、啓発につきましては、悪いのは加害者であるとのメッセージを電車広告に掲出し、広く都民に周知いたしました。
 引き続き、国の施策と連携し、さまざまな方法により教育、啓発に努めてまいります。

○米倉委員 ワンストップ支援センターの周知の徹底についてはどう取り組んでいきますか。
 国の方針では、被害者がワンストップ支援センターにつながれるように、中学生、高校生に対してワンストップ支援センターの存在を周知するため、教育委員会や知事部局と連携して、広報資料の配布を推進する、地域の多様な機関への周知を徹底していくとしていますが、都はどう取り組んでいきますか。

○堀越人権部長 都は、被害者が被害の相談をしやすくなるよう、身近にいる学校の先生、友人などが相談を受けた際に適切に対処するためのガイドブックである性暴力被害者支援ガイドを作成しています。
 ガイドは、高校、区市町村、都の医療福祉関係事業所など多様な機関に配布しているほか、都のワンストップ窓口であるSARC東京のホームページにも掲載し、広く都民がダウンロードできるようにしています。

○米倉委員 被害相談を受けた際に適切に対処できるように、ガイドブックを高校など関係機関に配布しているということです。
 学校については高校に配布ということなんですが、これは今後の要望なんですが、ぜひ小学生から学生までがこの問題の当事者でして、都内の教育機関は基本的に全て対象として資料を送るというふうな対応をしていただきたいと思います。
 私も、最近なんですが、小学生同士の性被害の問題が起きて、学校の先生はどう対応したらいいのかというので本当に苦労をされた、情報もなくて、自分で勉強して対応したということなんかも聞いていまして、ぜひ対象を広げていただきたいと思います。
 若年者に向けての周知の強化というときに、内閣府の調査が、若者の特徴として指摘しているのが、何が被害かわからない、相談していいことと思えないということを指摘していて、このことを踏まえた対応が必要だと思っています。
 石川県では、小学生向けにカードを、中学生、高校生向けにはリーフレットを配っています。小学生向けのカードには、こういうことが書いています。知らない人から、子供同士でよく知っている人からも、抱きつかれた、キスをされた、服を脱がされた、プライベートゾーンをさわられたなど例示をしていて、あなたが嫌と感じたら、それは性暴力です、誰にもいったらだめだよ、秘密だよといわれても、おかしいな、嫌だなと思ったら、一人で悩まずに、信頼できる大人に話してみよう、誰かに話しにくいときは、パープルサポートいしかわに電話してください、あなたは何も悪くありませんと。こういう内容のメッセージを伝えて、相談先の電話番号を小学生に対して伝えています。
 こうした呼びかけが子供に対してされることはとても大事だと思います。全ての小中高校生に、発達に応じた内容で、性暴力のことや、被害に遭ったら相談していいんだということと、ワンストップ支援センターを知らせるリーフレットなどを配布するなどの周知の強化が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○堀越人権部長 児童生徒にワンストップ支援センターを周知する取り組みとしては、中学生向けに相談窓口を記載した文房具を学校で配布したほか、インターネットを活用した広告も実施いたしました。
 また、今後、都教育委員会と連携し、区市町村教育委員会の担当者連絡会や校長連絡会を通して、各学校に対しワンストップ支援センターを掲載したリーフレットを紹介していきます。

○米倉委員 今後、都教育委員会と連携をして、学校現場へリーフレットを紹介するということです。具体的にどう取り組むかは今後の検討なんだと思いますが、これはぜひ教員だけでなく、子供たちにどう必要な情報を届けるかということも相談していただきたいと要望します。
 大学などとの連携によるワンストップ支援センターの周知はどう取り組んでいるのか、取り組みの強化が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○堀越人権部長 今年度は、都内の大学にワンストップ支援センターの相談窓口を記載したカードを配布するほか、性暴力被害者支援ガイドを送付し、大学生への周知を図る予定でございます。

○米倉委員 都内の大学にカードを配布ということは大事だと思います。
 国も方針として、高校や大学等の入学時オリエンテーションなどで、レイプドラッグの危険性や、相手の酩酊状態に乗じた性的行為の問題、セクハラなどを周知すると。また、被害に遭った場合の対応、通報や証拠保全などを伝えるですとか、相談窓口の周知も行うとしています。こういうことが今位置づけられていまして、この内容は本当に若い方の実態からしても大事な内容だと思います。
 特に、入学段階で一度は全ての学生に情報が知らされるということが大事だと思いますので、学生についても、そうした検討をしていただきたいと思います。
 国は来年度から、四月を若年層の性暴力被害予防のための月間として、啓発を徹底するとしています。十一月には毎年、女性に対する暴力をなくす運動を行っています。こうした機会に合わせた都としての啓発強化が必要ではないかと思います。
 特にシンポジウムなど、都民参加ができて、性暴力、性犯罪について学べる、普及啓発になるような企画を打っていくことが必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○堀越人権部長 都は、女性に対する暴力をなくす運動の期間に合わせて、関係機関にリーフレットやポスターを配布するなど、ワンストップ支援センターの周知を行っています。
 また、十一月の犯罪被害者週間において性犯罪等をテーマとして取り上げ、性被害の深刻さや、被害者に対する偏見や誤解の解消等について都民に啓発する講演会等を実施しています。

○米倉委員 犯罪被害者週間で性犯罪がテーマの講演会などを行ったということは大事だと思います。
 あわせて、国は今年度からの三年間を集中強化期間として、性犯罪と性暴力対策、位置づけていますから、それにふさわしく、都としての取り組みも強化していただきたいと要望します。
 各都道府県の実情に応じたワンストップ支援センター等の増設について検討を進め、施策を講じるということも今回の国の方針です。都はどう受けとめていますか。

○堀越人権部長 都のワンストップ支援センターは、都内全域の被害者に対して、二十四時間三百六十五日相談を受けており、状況に応じて、都が協力を依頼している約六十の医療機関と連携を行っています。
 引き続き、ワンストップ支援センターを通じて、適切に対応できる体制を整備してまいります。

○米倉委員 ワンストップ支援センターの増設について検討を始めるべきじゃありませんか。

○堀越人権部長 性犯罪、性暴力被害者については、被害者に身近な地域で支援が受けられるよう、ワンストップ支援センターが中心となり、約六十の協力医療機関や区市町村と連携して対応しています。
 今後もこうした体制により、性犯罪等被害者への支援を行ってまいります。

○米倉委員 今、ワンストップ支援センター、都内でどういう状況かといいますと、一カ所しかありません。二十三区に一カ所です。既にほかの県では、二カ所、三カ所、拠点を設けて対応したり、実情に応じたことをやっているんですね。
 内閣府の調査では、無理やり性交などをされた経験がある方は、成人女性の十三人に一人でして、東京の成人女性の人口は約六百万人ですから、被害に遭っている方は約四十六万人という規模なんです。これは無理やり性交ということだけのカウントで、実際、性被害というのはこれ以外にもたくさんありますので、物すごい規模なんですよね。国もワンストップ支援センターの増設を掲げていますが、東京の人口規模からして、支援センターが一カ所でいいというふうにはやっぱりならないです。
 しかも、今、性犯罪、性暴力の根絶を求める社会的機運は非常に高まっていまして、それを受けて、国もこれだけ今動いているという状況があります。そうなりますと、被害者の方の多くがこれまで声を上げられないと、相談できないという状況がありましたが、こういうことも変わってくると思うんですね。
 そうしたときにやはり一カ所で対応というのは無理がありますし、やはり都内でしたら複数、二カ所でも足りないと思っています。本当に先を見据えた検討をしていただきたいと思います。
 区市町村と連携して、センターが遠い方には公共施設を借りて相談対応しているということなんですが、それはやっぱり専用の施設で対応というふうにはならないですよね。
 他県の支援センターを見ましても、相談者が人目につかないように出入りできるような配慮があったりですとか、疲弊している方が休めるようなスペースを、ソファーだとか設けたりしていて、やっぱり被害相談に対応するための場だからこその配慮があるなと思います。
 性被害の場合、医療機関との連携は特に重要で、協力医療機関が六十あるということは大事なんですが、やはり拠点的な役割を果たせる医療機関がない状況は改善が必要だと思います。検討が求められると思います。
 ワンストップ支援センターを病院に設けているところでは、二十四時間、電話だけでなくて、医療支援もできるんですね。名古屋の病院に伺いまして、一般質問でも取り上げましたが、病院の中で支援センターがあると、新規の来所の半分が、病院の時間外に来られて、要は被害に遭って来られるということなんです、時間外に。人目に触れず診察室に入り、治療や証拠採取、緊急避妊、性感染症の検査も受けられると。二十四時間、本人の負担を少なくして、総合的な支援が受けられるということができています。
 やはり東京都として、こういう事例も参考にしながら、今後の検討が必要だと思います。このワンストップ支援センターの増設については改めて検討を求めまして、質問を終わります。

○神林委員長 よろしいですか。−−はい。

○中村委員 それでは最初に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 現在、感染者の急増により、十一月十九日、都は、四段階で示す感染状況を最高レベルの感染が拡大しているに引き上げました。今、何としても感染拡大をとめることが重要です。
 新型コロナ対策についての対応は、新型インフルエンザ特別措置法に基づいて行います。
 そこで、まず改めて、法に定められた都の権限は何か伺います。また、都として現行の法律では十分に対応できない部分があるため、国に改正を求めるのか伺います。

○猪口総合防災部長 新型インフルエンザ等対策特別措置法における都道府県知事の権限の主なものとしまして、法第二十四条第九項に基づく団体または個人への要請、第四十五条第一項に基づく外出自粛の要請、第二項に基づく施設の使用制限等がございます。
 知事の権限を拡充するためには特別措置法を改正する必要がございまして、これまでも、知事から大臣に対しまして、また全国知事会を通じて、休業要請に伴う経済的な支援措置、要請に応じない事業者への罰則の規定などにつきましての要望を行ってまいりました。

○中村委員 感染拡大防止に向けて対応するためには、法律の改正が必要であるということであり、罰則の規定などについては国会でしっかりと議論していただくことが重要だということだと思います。
 さて、新型コロナのこれまでの取り組みを検証する必要があります。
 国の施策については、新型コロナ対応・民間臨時調査会が政府から独立した立場で検証し、十月に報告書を公表しました。
 報告書は、さまざまな制約の中で、場当たり的な判断の積み重ねであったとして、今後の流行への備えを訴えています。国の施策では、アベノマスクや学校の突然の一斉休校などの問題もありました。残念ながら小池知事は時間が合わないと取材を受けなかったようですが、受けるべきだったのではないかと思います。知事のロックダウンという言葉なども影響を与えたとのことです。
 もちろんこれは民間の取り組みですが、都としても、新型コロナの対応を検証し、今後の施策に生かすべきですが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部を中心に、検査、医療体制を初め、感染拡大防止対策の徹底、経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットなどにつきまして、各局において課題を検証しながら、施策の充実強化を図ってまいりました。
 引き続き、感染状況や社会経済状況等も勘案し、常に課題の検証を行いながら、今後懸念される感染拡大への備えに万全を期してまいります。

○中村委員 今の課題をどうするかという検証もあるんですが、終わったことを客観的に検証するということも別に必要だと思います。
 まだコロナ対応そのものは進行中ですけれども、第一波、第二波は、過去のものとして客観的に検証すべきです。そのための資料を残して公開することが前提になりますが、今後、コロナだけではなくて、さらに未知のウイルスの対応ということでも、今の人のこともあるんですが、後世の人々の命を守るというためにも重要なものになりますから、検証はしっかりとしていただきたいと思います。
 さて、感染拡大の防止と経済活動の両立ということが必要ですが、その時々の感染状況を的確に判断し、重みづけを行うことは重要です。
 とはいえ、感染拡大防止が何よりも今は大切で、感染が拡大する今は、ともかく拡大防止ということに力を入れるべきときです。
 先日、都議会立憲民主党から小池知事に要請書を提出して、飲食店の営業時間の短縮要請に踏み切る場合には、感染拡大防止に必要な要請の範囲など、対象を的確に設定できるよう早急に検討することや、十分な協力金を支給すること、これまで実施をしてきた自粛要請の検証をした上で、その効果について科学的な根拠を示し、都民、事業者が納得のできる説明をすることを求めました。
 感染拡大防止は福祉保健局が、経済活動は産業労働局がとなるんですが、その両者の上に知事が判断する際に、事務局は総務局となります。
 夏には飲食店への時間短縮を要請しましたが、今回の時間短縮要請についての理由はいかがでしょうか、伺います。

○猪口総合防災部長 都内の感染状況につきましては、要請を行った二十五日に重症者数が五十四人に急増するなど、予断を許さない状況が続いております。
 危機的な感染状況を抑えるためには、長時間の飲酒、飲食を行う店舗の営業時間を短縮することが効果的であると考えまして、今般、酒類の提供を行う飲食店、カラオケ店に対しまして、営業時間の短縮の要請を行ったものでございます。

○中村委員 先ほど検証ということも述べましたけれども、時間短縮要請は今回三回目になります。これまでの二回が本当に効果があったのかも検証して、事業者に適切に説明する必要があります。
 三回目ということですけれども、お店にとっては死活問題なので、本当に他の手をやり尽くしてもう手段がほかにないということなのか。まさにこれは最後の切り札のはずです。もちろん都が安易にやっているとは思いませんけれども、本当に重い判断をしているということを改めて認識、検討していただいて、十分な説明と、そして補償をお願いしたいというふうに思っております。
 さて、今回の営業時間の短縮要請についてですが、その対象地域は二十三区及び多摩地域の各市町村となっています。多摩地域からも多くの方が都心に通うので、影響は全市町村に及びますが、短縮要請は店舗の経営に大きな影響を与えることから、的確な対応が必要だと今も述べさせていただきました。
 多摩地域といっても社会経済活動状況や感染状況はさまざまであり、多摩地域と一くくりにせずに、きめ細かに区域を設定すべきと考えますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 多摩地域については、都内の二十三区及び多摩地域が交通網の発達により連担しており、感染拡大を未然に防止する観点から、多摩地域全体を含めて営業時間短縮の要請の対象としたところでございます。

○中村委員 多摩地域が一つの固まりということであれば、二十三区か多摩地域かということになるんですが、細かく対応する必要があるのではないかという思いもあります。先ほど述べたように、やはり営業の短縮というのは大変重たいことですから、できればきめ細かく対応する必要性があったのではないかというふうに思います。
 なかなかお客さんが行くときに、どの自治体がやっているとかやっていないとかというのは、わかりにくいかもしれないんですけれども、むしろそちらよりも、お店の方はもう明確にそれによって全然経営状態が違ってきてしまいますから、今後こういったことは、できればきめ細かな対応をしていただきたいというふうに思います。
 さて、一方では、営業時間の短縮の要請に当たっては、首都圏としては、一体として取り組む必要がある部分があります。埼玉県、神奈川県、千葉県の近隣県と連携をとって対応を進めることが大切です。
 しかし、報道によれば、都が先行して時間短縮要請をしたことに、連携不足を述べる他の県の知事もいました。都内に多くの方が通勤される近隣県と連携して取り組まなければ、施策の効果を得ることはできません。
 今回の要請についてどのような連携をしたのか伺います。

○猪口総合防災部長 これまでも、一都三県におきましては、情報の共有を図るとともに、新型コロナウイルス感染症対策に関する共同メッセージの発出、命を守るステイホーム週間の共同キャンペーンの実施、水際対策の強化に関する国への要望など、連携を図りながら対応を進めてまいりました。
 今般の営業時間の短縮の要請につきましても、一都三県で連携して情報の共有化を図っており、今後ともしっかりと連携し、新型コロナウイルス感染症対策に関する取り組みを実施してまいります。

○中村委員 一都三県で連携をしてきたというようなご答弁ではあったんですが、報道を見る限りでは、知事同士のトップの連携というのが十分ではなかったようです。もちろん知事が考えるべきなんでしょうけれども、事務局として総務局もそのサポートをぜひともお願いし、一都三県連携しながらの対応をしていただくようお願いいたします。
 さて、今回のこの状況を第三波といわれていますが、それでは、そもそも第一波、第二波、第三波というのはいつから始まったのでしょうか、明確な定義はしたのでしょうか。
 感染者の推移のグラフを見て、後から波だったとしているようでは、対応がおくれてしまいます。感染拡大の兆しを早目に捉えて、早目に対応する必要がありますが、感染拡大が始まったころに、波が来ることを認めてはいませんでした。
 経済活動との両立が必要とはいえ、拡大の兆しを見逃すことで、対応が後手になってはいなかったのでしょうか、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 第一波、第二波、第三波につきましては、都として定義はしてございませんが、都内の感染状況につきましては、毎週モニタリング会議を開催するなど、常に把握、分析しているところでございます。
 この分析の結果や専門家の意見を踏まえまして、営業時間の短縮や外出の自粛要請など、都内の感染拡大防止につながる対応を適宜適切に実施してきたところでございます。

○中村委員 これまで何度も波があったわけですけれども、どうしても、これまで例えば欧米が先に先行して広がったりとか、また気温が低い北海道で感染が広がったりと、そういったことがあると、その後で東京が広がっているというところも、経験的にわかるようになってきました。
 経済も大事なんですが、早目に対応しないと、結果的には感染が広がってしまって、結局経済を冷え込ませてしまうことにつながってまいります。
 一時期、知事もハンマー・アンド・ダンスという言葉も使っていたことがありました。そういった兆しが出てきたら早目にたたいていこうということだったわけですけれども、最近この言葉もいわなくなってきたんですが、こういう感染の広がりという兆しを早目に捉えて、そして対応していくことが必要だと思っています。ぜひ今後しっかりと、まあ、この第三波をまずおさめなきゃいけないんですけれども、次また波が来るかもしれませんので、景気の冷え込みということはどうしても心配になるんでしょうけれども、早目の対応をしていった方が効果的になるところもありますので、ぜひそういった早目早目の対応をお願いしたいというふうに思っています。
 次に、感染防止徹底宣言ステッカーについて伺います。
 都は、業種ごとに作成されたガイドラインを遵守する店舗等にステッカーの張りつけを求めてきました。しかし、一度張ったらそのままになってしまい、その後、十分な対応がとられていない店舗もあります。
 都は、業界団体に点検するよう取り組んでいますが、団体に入っていないところもあります。そうした店舗の点検はどうするのでしょうか。
 そこで、例えば店舗ごとにステッカーのデザインを定期的に変更して、その都度ガイドラインを改めてチェックする機会を設けることで、店舗の意識も高まりますし、改めて対策、防止への取り組みが行われることになります。
 ステッカーを定期的に更新するシステムの導入が効果があると考えますが、見解を伺います。

○高島危機管理調整担当部長 都は、ガイドラインに沿った感染防止策が確実に実施されるよう、事業者に定期的な感染防止策の点検を呼びかけております。
 さらに、今般、業界団体による自主点検支援事業を開始したところであり、一部の業界団体では、非加盟の店舗についても確認を実施する予定であります。
 また、業界団体への加盟状況にかかわらず、都職員が直接ステッカー掲示店を訪問し、感染防止策が実際に講じられているかどうかの確認も行っております。
 こうした取り組みを通じまして、事業者による継続的な点検の実施を促し、都民が安心してステッカーのある店舗を利用できるよう、感染防止対策の徹底を図ってまいります。

○中村委員 感染防止の対策には、お店が自覚を持って防止に取り組むということが大切かというふうに思っています。団体としての取り組みも大事なんですが、そして都の職員が行くというのも限界がありますので、個々のお店にいかに取り組んでもらうかというところが大切になってくると思っています。
 今回、時間短縮要請に踏み切りはしましたけれども、まだまだやれるべきことはあったのではないかと思いますし、そのことはまだまだ続けていかなければなりませんので、やはり大事な基本のところを徹底していただくようお願いしたいと思います。そうした点で、今回、時間短縮要請しましたが、お店も、またお客さんにも、できる対応はあると思っています。
 知事は、コロナ対策について、五つの小を発表しました。都民への普及啓発は大変重要です。
 この中でも特にマスク着用をもっと強調すべきではないかとも思います。屋内でのマスクの推奨をより進めるべきであり、飲食の際にも、不便ではあるんですが、食べるとき以外は原則着用するよう、できることを徹底する必要があります。見解を伺います。

○高島危機管理調整担当部長 都は、暮らしや働く場での感染拡大を防止する習慣として、手洗いの徹底やマスクの着用など、新しい日常の実践を呼びかけてきました。
 また、食事中以外はマスクの着用を徹底するよう呼びかけるポスターを作成し、ホームページに掲載するなど、マスク着用の重要性について普及啓発を行っております。
 さらに、最大の感染経路は家庭内にあるとの分析を踏まえ、家庭内にウイルスを持ち込まないため、会食の機会が多くなるこの時期に、会食時の注意として、会話をするときは小まめにマスクを着用するなどの、五つの小というキーワードを呼びかけたところでございます。

○中村委員 感染拡大を防ぐためには、まずマスクとか、手洗い、三密を避けるなど、本当に基本の徹底が重要だと思っています。確かに会食する際にアクリル板があると聞こえにくかったりしますし、マスクをとったりつけたりするというのは大変面倒なことではあります。
 ただ、それをすれば会食もできるということで、逆に、しないと会食そのものという機会も持てなくなってしまいます。こういったことをもう少し周知すべきなんだろうと思っています。
 昨今では、お店のドアがあいている店が多いので、いろんなところを通るとよく中をのぞき込むんですけれども、そこまでやっぱり、アクリル板がまだないところもあれば、お客さんが食べたり飲んだりするときマスクをしているというところを見受けるところは余りありません。お酒を飲んでいると、最初はしていたのかもしれないんですけれども、恐らくいつの間にか外れてしまうんだろうというふうに思っています。
 ぜひこういったマスクの効果も、最初はいろいろ疑問はあったんですが、やっぱりこれは効果があるということなので、本当にこの徹底ということはさらにしていただきたいというふうに思っています。
 最近いろんなアイデアもネット上で出てきていますから、例えばお店なんかにコップや箸が並んでいるわけですけれども、しゃもじ形みたいな紙のマスクみたいなものを少し置いておいて、扇子を口に当てるなんていう人もいますけど、そういう紙でできたようなものも、例えばこう、しゃべるときに口に当てられるようにお店も配慮して置いておくとか、いろんなアイデアはあるんだろうと思います。ともかくいろんな工夫をしながら、飛沫の拡散を防いでいって、基本の徹底を行っていくように、都の方でも広報の方をさらに工夫していただきたいというふうに思っています。
 さて、今、日本での感染の状況は、欧米に比べて感染者が少なくて、亡くなる方も少ないということですが、原因はいろいろあるようですけど、はっきりしたものがわかりません。
 欧米のような契約社会では、法律や罰則で規制するのでしょうし、アジアで感染を抑えている国は、強力な管理統制があるから抑えられているともいわれています。
 日本ではこの間、罰則がなくても、規範意識の高さから、マスクや手洗いを徹底してきて、より徹底していく必要はまだあるんですけれども、それでも他の国に比べればしていただいているということが、ある程度抑えられている要因ともいわれています。
 むしろ社会的な同調圧力で動くところもあり、強制でなくても政府や行政の方針が与える影響が大きくて、ゴー・ツー・トラベルでも、お金の補助ということも要素としてはあるんですが、政府がお墨つきを与えるということで、安心して旅行に出かけるということにもなります。
 逆にいうと、だからこそ、都としてどういう方針で対策を立てるのかで、都民がどう行動すべきかしっかりと方針を示すべきだと考えますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 都では、都内で感染拡大が始まった四月に、東京都新型コロナウイルス感染症対策条例を制定しまして、都、都民及び事業者の責務を規定するとともに、感染拡大防止のためにさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 感染拡大防止のためには都民一人一人のご協力が必要不可欠でございまして、都民に対しましては、新しい日常を定着させるため、基本的な感染対策である手洗い、マスク着用、三密を避けるに加えまして、小まめな消毒や換気の徹底などの具体的な対策を発信するとともに、その時々の感染状況に応じまして、高齢者向けや若者向けのメッセージを繰り返し発信してまいりました。
 今後も、毎週開催しておりますモニタリング会議の場などにおきまして、感染者の年齢や感染経路などを分析の上、都民に対して感染拡大防止に係るメッセージをわかりやすく発信してまいります。

○中村委員 先ほどの五つの小など、基本の徹底ということは大事だという話はしたんですけれども、反面、連休前に知事が述べたのは、ある意味そこだけになってしまった感があって、本当にマスコミの方からも、トップとして方針として示すのはそれだけなのかというところで、厳しいご意見もあったわけです。
 例えば、連休後には重症患者が急増して、今、時間短縮要請等もしているわけですけれども、もっと今、都民がどうすべきなのかとか、どう今の状況、危機を克服するかとか、どんな未来があるのかということを、もっとメッセージを持って都知事から語ってもらって、都民の行動変容につながるように、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。
 さて、次に、コロナ対策のための都庁の体制強化についても質問します。
 人事部において、都庁全体がコロナへの対策の体制をとれるように、職員の配置をしているわけですが、もっと強化すべきではないでしょうか。
 長期間のコロナ対策で、現場である福祉保健局の職員は大変疲弊もしています。福祉保健局の人員体制について、短期間の職員応援ではなくて、人事異動によって行うべきと考えますが、見解を伺います。

○山口人事部長 都では、効率的に事業を執行するため、毎年度、人員や組織を精査し、必要に応じて、第一回定例会で東京都職員定数条例等の改正を行いまして、各事業の基本的な執行体制を整備しております。
 また、年度内に不測の事態が生じた場合、事案の性質や緊急度、恒久的措置の必要性等を考慮しまして、一時的な職員応援対応、人事異動または組織設置などによりまして、適切な対応を図っております。
 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、職員の応援体制に加えまして、令和二年七月には福祉保健局に感染症対策部を新設し、執行体制を大幅に強化しました。
 応援職員につきましても、保健所への派遣など業務内容に応じて、同一職員の中長期間の派遣を実施しております。
 引き続き、柔軟な応援体制も活用しつつ、感染症対策等に係る万全な体制を確保してまいります。

○中村委員 通常に比べてかなり異例な体制をとっていただいているというのはわかるんですけれども、本当にこのコロナについては、今までかつてなかったような都政の危機でもあり、本当に先例のない中、大胆な人員配置が必要なのではないかというふうに思います。
 極端な話をすれば、都庁の職員が全員もうコロナの担当であるというぐらいの意識を持って行うことが必要だというふうに思っています。
 短期間の応援を出していただいているということなんですが、なかなかそれでは、常時対応している職員が来た方への説明をして、またいなくなって、また説明をしてということの繰り返しになってしまって、大変な部分というところも出てきます。
 短期の応援があるのももちろん助かるとは思うんですが、恒常的な体制強化ということも必要だと思いますので、より万全な人事体制の方をお願いしたいというふうに思います。
 さて、こういった体制の方は強化をしていただいているんですが、やはりコロナ禍が長期化をしてきますと、新型コロナウイルス感染症の対応を行っている担当職員のメンタルヘルスについての心配が出てきますが、状況はどうなっているんでしょうか。また、担当職員に対して行っているメンタルヘルス対策について伺います。

○高崎労務担当部長 新型コロナウイルス感染症対策関連業務については、これまでに前例がなく、困難な状況下での対応が続いていることから、職員自身もストレスを感じ、精神的な疲労が蓄積していると考えられます。
 そこで、新型コロナウイルス感染症対応に当たる職員への支援として、ストレスの蓄積や疲労に気づくための、心の健康度チェックやセルフケアについてまとめた資料を作成し、配布しております。
 また、管理監督者に対しては、当該職員に対して配慮すべき事項をまとめた資料や心の不調サインリストを活用するなどして、職員の変化の把握に努め、職員の状況に応じて早期に対応するよう周知しております。
 さらに、職員自身が心の不調を感じる場合や、管理監督者が職員の不調を確認した場合には、精神保健相談員による心の健康に関する相談窓口や一般財団法人東京都人材支援事業団の相談室を利用するよう改めて案内しております。
 今後も、新型コロナウイルス感染症の対応に当たる職員の負担を踏まえ、職員の心の健康の保持増進のため、必要な対応を図ってまいります。

○中村委員 最前線で取り組む職員の皆さんは本当に大変だと思います。私たちも無理をいうところはあるんですけれども、本当に心から感謝をするものでございます。
 なかなか制度上、そこに対して給与として報いることができないどころか、人事院勧告もあって、なかなか逆に厳しい状況にあるというところがあります。
 十分メンタルヘルスの対応をしていただきたいというところはあるんですが、さらには、モチベーションを高めていただく、トップ等含めてねぎらい、激励など含め、また、都民の健康を守っているんだという使命感を持っていただいて、何とかモチベーションを持って健康に推進していただければというふうに思っています。
 さて、次に、災害対策について伺います。
 災害はいつ起こるかわからず、コロナ禍においても風水害、地震は起こり得ます。実際、ここ数日、小さな地震ではありましたけど、発生しております。
 現時点では、既に新型コロナという災害が起きているものだと思います。今何か起これば複合災害ということになります。一つでも大変なので、複合すれば被害が拡大するおそれがあります。
 そこで、複合災害への対策をどのように考えているのか伺います。

○古賀防災計画担当部長 新型コロナウイルスの感染が続いている中、地震や風水害等の自然災害が発生した際には、住民が多く集まる避難所での感染症対策が重要でございます。
 これまで都は、避難所が三密にならないよう、在宅避難や縁故避難など、避難所以外の適切な避難行動を促す住民周知や、都立施設やホテル等の活用、避難所内での感染症対策など、留意事項をまとめた対処方針を策定し、区市町村に周知しております。
 また、ことし六月には、福祉保健局と連携して、避難所運営を担う区市町村の職員や地域の方向けに、避難所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを作成いたしました。

○中村委員 新型コロナのような感染症と他の災害との複合災害を考えると、深刻なのは避難場所の確保です。
 昨年の台風の際にはまだコロナはなかったのですが、当時の避難所は、今の言葉でいえば三密状態だったわけです。避難所は市区町村の役割とはいえ、いつ災害が起こるかわからないので、未曽有のコロナ禍においては迅速な対応が必要であり、都も積極的に支援することが求められます。
 避難所の物資の確保のための補助を都がすべきと考えます。また、避難所をふやすことも都が協力すべきです。
 都は、避難所については福祉保健局が担当していますが、対策を強化する必要があるため、日常的に防災を担当する総務局が対応する必要があると考えますが、見解を伺います。

○古賀防災計画担当部長 都の地域防災計画風水害編では、必要な避難所を確保する区市町村を支援することは、総務局の役割とされております。
 そのため、総務局では、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえまして、本計画に基づいて、都立施設の活用や、ホテルや商業施設団体との避難先の提供に関する包括協定を今年度新たに締結するなど、区市町村の取り組みを支援しております。
 さらに、避難所の生活環境改善や感染防止対策にも有効な段ボールベッドやパーティションにつきまして、都による備蓄に加えまして、業界団体と発災時の調達に関する新たな協定を締結しております。

○中村委員 本当に今災害が起きたらどうするのかというところもあるので、区市町村の役割だというところでもあるんですが、都も積極的な支援をお願いしたいと思っています。
 例えば、体育館に避難するとしても、ことしの夏、本当に猛暑であって、暑い夏で、エアコンがなければ、そこに避難もできないわけです。
 また、やっぱりどうしても密になることができないので、普通の状態だとすき間をあけざるを得ないんですけれども、パーティションのようなものを購入して用意することができれば、多少はもう少し多く入れるということも聞いておりますので、ぜひ、これはどこの役割だというところのあるべき論というのもあるんですけれども、早急な対応をしなければならないので、都庁を挙げて、市区町村の方の支援をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 さて、今もし災害が起これば、新型コロナに感染した方も当然避難することになります。都は、感染者には自宅療養ではなくて、ホテル療養を勧めてはいますが、さまざまな状況で自宅にいる方もおります。
 しかし、二十三区と八王子市、町田市以外の保健所のない市町村には、新型コロナウイルスの感染者の個人情報がありません。個人情報保護はもちろん必要ですが、例えば震度六以上の地震が起きた際には、市町村に情報提供するなどの対応も必要ではないでしょうか。
 新型コロナ禍において感染者が地域にいるという状況下において、今、地震が起きたらどう対応するのか伺います。

○古賀防災計画担当部長 本年六月に作成いたしました避難所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインによりますと、自宅療養者や濃厚接触者、せき、発熱症状を訴える感染の疑いのある人を避難所に受け入れる際には、受け付け時の検温や専用の避難スペースを確保するとともに、あらかじめ保健所も含めた関係部署間での情報共有の手順を整理しておくこと等が示されております。

○中村委員 体制を整えるということなんでしょうけれども、ある意味で感染者による自己申告だということになるんだろうと思っています。もちろん善意で捉えたいというふうに思うんですけれども、混乱してしまったときに、それが本当にスムーズに行くのかどうかというところもあります。
 明確にこの方が感染者だということは、都の方はわかっているわけで、市町村はわかっていないということです。こういったときどうするのかということをきちんと整理しておく必要があると思いますので、これは早急な対応を求めておきたいというふうに思っています。
 さて、次には、多摩格差の是正について伺います。
 多摩格差は、長年にわたる都の課題です。自治体間の財政力の差は歴然としており格差は明白ですが、都は、社会インフラの整備が進むとともに、多摩格差の存在を認めようとはしていません。
 しかし、知事は多摩格差ゼロを目指すと公約していたのですから、格差を認識はしていることになります。ただ、何が格差で、どのようにするとゼロになるのかは示していません。
 実際、先ほど述べたような保健所の配置等を見てみても、区ごとに設置された二十三区との差というのは明らかな差があると思いますし、コロナ対策でも、財政が豊かな自治体は独自の給付金を配るなどができています。
 そこで、改めて多摩格差についての認識を伺うとともに、多摩格差ゼロとはどうすることなのか伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 従来からの公共下水道や道路などの課題については、これまで都と市町村が連携し、解決に努めてきました。その結果、いわゆる三多摩格差八課題は、かなりの部分で解消していると認識しております。
 一方で、多摩地域は、人口減少、少子高齢化への対応、道路、交通インフラの整備、防災対策、産業振興など、地域それぞれの課題を依然として抱えております。
 こうした地域の実情を的確に把握し、課題に一つ一つ丁寧に対応していくことが、都における基本認識であります。

○中村委員 今、使っている物差しがハード偏重のものになっているのではないでしょうか。時代に合わせてくるべきだと思っています。課題があるということは認識しているわけですから、やっぱりそれは格差なんだろうと思います。
 今後いろいろと都民の暮らしの問題の中で、サービス等を含めていろいろあると思っていますので、ぜひここを、物差しを見直して、その上で対応していただきたいというふうに思っています。
 そうした点でも、対応はしていただいている部分はあると思っています。多摩格差是正に大きな効果を発揮するのが市町村総合交付金です。毎年、市長会、町村会からもその拡充が要請されています。市町村総合交付金の総額は年々増加していますが、補助金は、ひもつきでない方がよいわけです。
 特定の経費のみを対象とする政策連携枠は、ひものついていない総合交付金の別枠にして、市町村総合交付金の総額をさらに増額すべきと考えますが、見解を伺います。

○小笠原行政部長 市町村総合交付金は、地域の振興を図り、もって市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進を図るため、市町村が行う各種施策に要する一般財源の不足を補完するものでございまして、制度創設以降、その充実に努めてきております。
 平成三十年度には、東京が抱える喫緊の行政課題を市町村と連携して解決していくため、市町村総合交付金の新たな配分項目として政策連携枠を導入いたしまして、待機児童対策や電気自動車の導入、消防団活動の支援に取り組む市町村を支援することといたしました。
 政策連携枠導入後の市町村総合交付金の予算額を見ますと、政策連携枠は据え置かれたままですが、総額といたしましては、平成三十一年度に十億円、令和二年度に二十億円の増額を行っております。
 今後も、政策連携枠を含めて市町村総合交付金を有効に活用していただけるよう、市町村の意見も踏まえて適切な支援に努めてまいります。

○中村委員 いろいろと政策連携枠もつくったりしていることは一定の評価はしていきますけれども、そういったところの拡充や、またそれ以外のところの、やっぱり自由に使える自由度の高いところの市町村総合交付金をさらに拡充していただければというふうに思います。よろしくお願いします。
 さて、次に、人権施策について伺います。
 都は、人権尊重条例を制定して、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消を定め、いわゆるLGBTの方々への差別をなくすよう取り組むことになりました。
 そこで、まずは実態把握をする必要があると思います。
 LGBTの方々の実態調査として、国勢調査の方法はどうあるべきでしょうか。現在の国勢調査の集計方法では、同居する同性パートナーが、調査票の世帯主との続き柄の欄について世帯主あるいは世帯主の配偶者とした上で、配偶者の有無の欄について配偶者ありと回答しても、他の親族に含められてしまいます。
 令和二年の国勢調査有識者会議の第三回の資料を見ると、総務省が各府省及び地方公共団体に対し、次回の国勢調査に向けて調査事項の要望の把握を行ったことがわかります。
 そこで、この要望で、東京都は少なくとも、婚姻関係にない同性であっても修正せず、LGBTの実態把握に努めることなどの要望が出せるはずでした。団体からも改善を求める要望が出されていたこともあり、さきの定例会では意見書を出すことを提案したのですが、残念ながらまとまりませんでした。
 国の方法とはいえ、自治体が事前に相談されているはずです。都として国に意見を出すべきだと考えますが、見解を伺います。

○櫻井統計部長 国勢調査は法定受託事務であり、調査の企画、設計は国が全国一律に行っております。
 調査実施機関である総務省統計局によれば、同性パートナーに関する法制度が整備されていない我が国においては、法制度に先んじて国勢調査に同性パートナーに関する選択肢を設けることは、直ちには困難であり、また、既存の選択肢を活用して集計を行う方法も、同性パートナーについて国としての一律の定義がない現状では、回答者に対し適切な説明を行うことが難しいとの見解であると聞いております。
 都としては、LGBTについての人権上の配慮は重要と認識しておりますが、国勢調査に関しては、国の見解を踏まえ、要望することは差し控えるべきと考えているところでございます。
 ただし、区市町村から要望が出された場合は、都道府県の立場として、国に対しその要望を伝えてまいります。

○中村委員 当事者の方々の人権上の配慮は重要だということは認識していただいているということですから、だからこそ意見を出してもというふうに思います。
 特に、市区町村から要望が出されれば都としては伝えていくということではあるようですので、ぜひ機会があれば、都からいっていただきたいというふうに思っています。
 さて、人権尊重条例に基づいて基本計画が定められ、さまざまな施策が盛り込まれるわけですが、民間の住宅についてLGBTの方の円滑な入居等が行えるよう、施策が盛り込まれました。
 しかし、都みずからが運営する都営住宅には、LGBTなどの同性パートナーの方は入居できません。私が都市整備委員会にいるときに質問したんですが、都営住宅を所管する住宅政策本部は、同性パートナーについては親族関係の記載がないため、入居資格が確認できませんと答弁しています。
 条例の趣旨に鑑み、むしろ都が率先して取り組むためにも、LGBTの方も都営住宅に入居できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○堀越人権部長 住宅政策本部では、東京都営住宅条例で定める都営住宅の使用者の資格のうち、同居親族要件について、住民票により確認していますが、同性パートナーについては親族関係の記載がないため、入居資格を確認できないと聞いております。
 こうした取り扱いにつきましては引き続き検討していくと聞いており、総務局としては今後も、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画に基づき、庁内の推進会議等で施策の進捗管理を行うとともに、各局からの相談に対し助言するなどの総合調整を行い、施策を推進してまいります。

○中村委員 総務局が所管する条例として、こういったLGBTの方々への差別をしないという条例をつくって、また施策も定めているわけです。民間にはお願いしているけれども肝心の都がやっていないということになってしまうわけですから、総務局の方からぜひ、私は住宅政策本部の方に強くいっていただいて、改善するように求めていただきたいというふうに思っています。
 多様性を尊重する時代でもありますから、排除ではなく、共生の社会へと進んでいくためにも、こういった制度の促進ということをぜひ進めていただくことを要望します。
 さて、新型コロナの感染者への差別や偏見が問題になっています。医療関係者や、またさらにその家族への差別もあるとの報道もされています。誰でも感染するおそれもあり、感染者が悪いわけではありません。
 都ではコロナの感染者への差別と偏見がないようにすべきですが、都の取り組みを伺います。

○堀越人権部長 都は、コロナウイルス感染症に感染された方や医療関係者などへの差別等の解消に向け、ホームページや「広報東京都」、さらには知事が都民に直接呼びかける動画により、人権に配慮して行動することを都民に働きかけています。
 また、ストップコロナ差別を訴えるチラシを作成し、都の事業所や区市町村の窓口で配布するとともに、ホームページからもダウンロードできるようにして、店舗での掲出等に使えるようにしています。
 今後もさまざまな手段を活用した啓発を行ってまいります。

○中村委員 感染された方々は、療養に入るわけですし、不安もあるんだと思います。また、一般の都民の方々も、こういったコロナ禍が続いてくるとストレスもたまり、いろんないらいらするところもあるんでしょうけれども、社会全体の中でコロナ禍を何とか乗り切っていかなきゃいけないということでもありますから、知事含めて、都の方からも積極的に普及、広報していただいて、コロナに感染された方への差別、偏見がないよう、また、みんなで支え合ってこれを何とか乗り越えていくという空気を醸成していただければということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十七分休憩

   午後三時五十五分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 では、都職員の働き方についてからお伺いしていきたいと思います。
 法や政策の立案、決定、評価に必ずジェンダー視点を入れるジェンダー主流化は、一九九五年に国連が開催した第四回世界女性会議で提唱され、あらゆるレベルの意思決定への女性の積極的な参加及び女性の視点を組み入れなければ、平等、開発、平和という目標は達成されないと位置づけられました。
 日本政府は二〇〇三年に、二〇二〇年までに社会のあらゆる分野で指導的地位を占める女性の割合を三〇%にするという目標、二〇二〇三〇あるいは二〇三〇といわれますが、これを掲げましたが、ことし六月、先送りするというていたらくです。
 なぜ三〇%なのかというと、構成人員の三〇%を少数派が占めると意思決定に影響力を持つようになるとされ、構成のための措置です。三〇%という目標は最終ではなくスタートラインなんです。
 東京都の女性平等参画を推進する立場にある東京都として、庁内職員の現状について伺っていきたいと思います。
 まず、女性管理職についてです。
 都職員における女性管理職の割合と目標、目標に向けての取り組みについてお伺いいたします。

○山口人事部長 都の行政系管理職に占めます女性の割合ですが、平成三十一年四月一日現在、二〇・〇%でございまして、東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランに掲げました二〇二〇年までに二〇%とする目標を既に達成しております。
 さらに、女性管理職比率の向上につきましては、二〇二〇改革プランにおきまして、二〇二五年に二五%への向上を目指すこととしておりまして、昨年末発表しました新たな都政改革ビジョンでは、二〇三〇年に向けた取り組みとしまして、三〇%に向上することを掲げております。
 目標達成に向けまして、今年度から、職員がキャリア形成等を相談できるキャリアメンター制度を全庁に展開しておりますほか、キャリアステージに応じたキャリア形成支援研修を新設し、取り組みをさらに強化しております。
 引き続き、意欲や能力のある職員が一層活躍できるよう、これらの取り組みを推進してまいります。

○山内委員 三〇%のスタートラインに立つのはまだ十年かかるということだったと思います。三〇%の枠を実現するために女性管理職をふやせといっているわけではありません。意思決定に女性の視点を入れることが、多様な意見等を取り込む、そして公正な決定をする条件なんです。本会議場で答弁する副知事や局長などに女性がふえることを期待しております。
 次に、育児、介護休暇、休業に関してお伺いしたいと思います。
 育児・介護休業法について、二〇一七年度に改正法等が施行され、二〇二一年一月一日に改正省令等が施行されます。それぞれの改正法等の施行の内容、また、それに伴う都職員の働き方への影響等についてお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 育児・介護休業法は、平成二十九年度には、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対して事業主が育児目的の休暇制度を設けることを、努力義務とする改正等が施行されました。都職員については、法改正等の内容は適用除外でありますが、既に出産支援休暇や育児参加休暇を設けて対応しておりました。
 また、令和三年一月一日には、子の看護休暇及び短期の介護休暇について時間単位での取得を可能とする改正省令等が施行される予定であります。都の常勤職員及び一部の会計年度任用職員については、省令等の改正前から対応しており、一日の勤務時間が四時間以下の会計年度任用職員については、今回、時間単位での取得を認める制度見直しを行っております。

○山内委員 職員の休暇制度に関しては既に対応し、充実していた部分があるようですが、どのように定められるのかお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 職員の休暇制度については、根拠となる法令等との整合性や、地方公務員法に定める国や他団体との均衡の原則を踏まえ、条例や規則等で定めるものでございます。
 なお、先ほど答弁いたしました出産支援休暇や育児参加休暇については、国の制度を踏まえ、都として整備したものでございます。

○山内委員 では、出産、育児に関する休暇等の取得についてお伺いしたいと思います。
 二〇一八年の事務事業質疑の際に、私、お伺いいたしました。そのときに、男性職員の育児に関する有給休暇には出産支援休暇と育児参加休暇があって、その取得実績は、出産支援休暇が八六・一%、育児参加休暇は七三・二%と伺いました。
 その後の出産支援休暇、育児参加休暇の取得率と取得日数の実績についてお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 平成三十年の教育庁を除く知事部局等及び公営企業局の職員における出産支援休暇及び育児参加休暇の取得率については、出産支援休暇は八六・二%、育児参加休暇は七八・六%となっております。
 また、令和元年の取得率については、出産支援休暇は七七・〇%、育児参加休暇は七一・六%となっております。
 両休暇の合計取得日数については、今年度から女性活躍推進法の改正により把握が義務づけられ、公表しております。令和元年の合計取得日数は最大七日のところ、五日から七日の取得率が六二・一%となっております。

○山内委員 育児休業取得率は、二〇一七年度、女性職員が九〇・五%、男性職員七・〇%とのことでした。
 その後の育児休業取得率についてお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 平成三十年度の教育庁を除く知事部局等及び公営企業局の育児休業取得率については、国と同様な算出方法で計算しますと、女性職員は一二〇・一%、男性職員は一四・六%となっております。
 また、令和元年度の取得率については、女性職員は一〇四・二%、男性職員は一八・三%となっております。

○山内委員 育児休業取得率は、二〇一七年度九〇・五%、二〇一八年度は一二〇・一%、二〇二〇年度は一〇四・二%、男性職員の方は、二〇一七年度が七・〇%、二〇一八年度は一四・六%、二〇一九年度は一八・三%と推移したとのことです。女性は一〇〇%を超えていたり、男性は倍増したり、数字がおかしくないかなと思います。答弁に、国と同様の算出方法で計算するとありましたが、混乱をいたします。
 育児休業取得率について、都のこれまでの算出方法と国と同様の算出方法では違いがありますが、どのような考え方のもと、国の算出方法でも計算しているのかお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 都のこれまでの算出方法は、育児休業の取得が可能となった当該年度中の新規取得者の割合を計算しております。一方、育児休業は子が三歳に達する日まで取得可能であり、取得する時期は職員の事情等によってさまざまであるため、前年度に出産したが、配偶者と交代で翌年度に取得する場合もございます。
 こうしたことから、取得実態をより的確に把握するため、当該年度以前に取得可能となった者も含めて新規取得者の割合を計算する国と同様の算出方法でも計算することといたしました。

○山内委員 二〇一八年の総務委員会の際に、育児休業取得期間についても質問いたしました。当時、六カ月単位の集計しかありませんでした。例えば、男性職員が一週間しか取得していなくても、六カ月以下と一くくりにカウントされて、実態把握ができない。そこで、育児休業の実際の取得日数を把握するよう要望いたしました。
 その後、育児休業取得期間についてはどのように把握するようになったのか、また、実数を含めた実績、都はどのように捉えているのかお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 都では、育児休業取得期間について、令和元年度の実績から、九つの区分に細分化して実態を把握しております。
 これによると、男性職員の育児休業取得者約百四十人の中で、一カ月を超えて三カ月以下の期間で取得する者が最も多く、二六・四%となっております。また、女性職員の育児休業取得者約五百人の中では、三カ月を超えて六カ月以下の期間で取得する者が最も多く、二一・五%となっております。

○山内委員 先日発表された労働組合の中央組織、連合の、男性の育児等家庭的責任に関する意識調査二〇二〇によると、男性、女性にかかわらず育児休業が取得できなかった背景には、取得したかったが取得できなかった、理由には、代替要員がいない、収入が減る、取得できる雰囲気が職場にないが多く、取得した人の中でも、希望した日数どおり育児休業を取得ができなかったというふうに報告されました。
 都は、男性職員の育児休業取得に当たっての課題をどのように捉えているのでしょうか。また、その解決のためにどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 都は、平成三十年度からパパ職員育児参加応援プロジェクトを実施し、育児休業に関する男性職員の意識向上や、職場の理解、協力の促進を図っております。
 昨年九月に実施した実態調査等では、育児休業を取得、計画しない理由は、業務多忙により取得困難という回答が最も多いものでございました。
 これを踏まえまして、業務の見直しや効率化にもつながるよう、休業期間中の業務計画を所属長が職員と相談した上で策定し、職員の意向等を考慮した休暇、休業を合計一カ月以上を目途として取得することを勧奨するなど、今年度から取り組みをさらに強化しております。
 今後もこうした取り組みを着実に実施し、男性職員の育児休業取得を促進してまいります。

○山内委員 ぜひとも育児休業がとりやすい環境、そしてそういう条件を整えていっていただきたいと思います。
 ケアが必要な子供を家庭で養育することは重要なことです。
 民間企業の中には五年ほど前から、就業規則を改定して、里親や特別養子縁組の監護期間、すなわち六カ月の試験養育期間についても育児休業を認める企業もあると聞いております。
 里親や特別養子縁組の六カ月の試験養育期間の場合も、育児休業の取得は可能なのでしょうか、お伺いいたします。また、不可能である場合、何をどのように変えれば可能となるのか、あわせてお伺いできればと思います。

○高崎労務担当部長 平成二十九年一月一日から、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子などを養育する場合も、育児休業の取得を可能としております。

○山内委員 養育里親の場合には、育児休業の取得が今のところ認められないということだと思うんです。ぜひともそのあたりも検討を重ねていき、議論をしていきたいと思っております。
 次に、介護休暇の取得についてお伺いしたいと思います。
 都職員の介護休暇、休業の制度と取得状況について、また、どのような課題があると認識しているのかお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 都においては、育児・介護休業法に基づく介護休暇、短期の介護休暇、介護時間の制度を整備しております。
 知事部局等の職員における各休暇の取得人数は、令和元年度において、介護休暇が四十一人、介護時間が十二人となっており、令和元年における短期の介護休暇が千五十三人となっております。
 管理監督者等職場の中核を担う職員が突然直面することになりかねない介護と仕事の両立の問題は、職員個人の問題としてだけでなく、職場の危機管理の観点から捉える必要がある課題であると認識しております。

○山内委員 次に、同性パートナーに関する育児、介護休暇等についてお伺いしたいと思います。
 昨年八月、パートナーが同性である東京都職員が、慶弔や介護、育児に関する休暇など、職員向け福利厚生制度を受けられないのは不当な差別だとして、都人事委員会に改善を求めました。
 しかし、ことし八月、措置要求が却下され、都の人権尊重条例に反するのではないかとの声が上がっております。措置要求が却下された理由は、実際に休暇制度などの利用が申請されておらず、規則等の改正を伴う立法的な措置は、措置要求の制度上予定されていないためと聞いております。ぜひ、これを機に、規則等の改正など進めていただきたいと思います。
 パートナーが同性である職員にも休暇や給付制度を適用する自治体は、千葉市を皮切りに渋谷区、豊島区等に広がっており、東京都は遅いといわれています。
 他の自治体の状況、また、なぜそれらの自治体では職員に休暇や給付制度を適用できるのか、立法的措置がなくても運用で認められる自治の範疇ではないか、それならば東京都でも可能ではないか、お伺いいたします。

○高崎労務担当部長 令和二年九月一日時点において、同性パートナーを対象とする休暇制度を有する道府県は三団体あり、いずれも事実婚と同様に休暇制度を適用していると聞いております。
 都において、福利厚生制度に関して同性パートナーも事実婚と同様に取り扱うことについては、婚姻関係のあり方、国や他団体との均衡、制度の根拠となる法令との整合性など、総合的に検討していく必要があると認識しております。
 引き続き、課題の研究や、国、他団体の状況調査を進めてまいります。

○山内委員 九月二十九日の都議会定例会で、小池知事は、性自認及び性的指向、育児や介護等の事情にかかわらず、これまで以上に生き生きと活躍できるような休暇等福利厚生制度の見直しを検討していくと述べました。
 現在の状況をお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 都ではこれまでも、さまざまな事情にかかわらず、職員一人一人が生き生きと活躍できるよう、福利厚生制度等の整備を行ってまいりました。
 例えば子供の看護休暇の拡充、SOGIハラスメントの防止など、さまざまな事情を抱える職員が持てる力を存分に発揮できるような取り組みを進めてまいりました。
 引き続き、必要な対応を図ってまいります。

○山内委員 同性パートナーも事実婚同様、介護や育児休暇、育児休業等の取得が可能となるよう要望をいたします。
 世田谷区は、職員規則を改正し、四月から、出産支援休暇も含め休暇制度を完全に異性婚と平等にしたと聞いております。
 都では、同性パートナーの出産支援休暇はどうなっているのでしょうか。また、子供と一緒に暮らす同性パートナーが子供の行事に参加するための休暇等をとることは可能なのか、お伺いいたします。

○高崎労務担当部長 出産支援休暇については、男性職員がその配偶者の出産支援を行う場合に取得できる休暇であるため、同性パートナーは対象外となっております。
 一方、今、子供の行事等とおっしゃっていますけど、例えば子供さんが病気になって、子供の看護休暇につきましては、パートナーの子と養子縁組を行うことにより、取得が可能となっております。

○山内委員 里親認定から同性パートナーを除外していた東京都も、ようやく二〇一八年十月から里親認定基準を改正し、養育里親として認められることといたしました。同性パートナーにとってだけではなく、子供にとっても朗報だと思います。
 そこで、同性パートナーの養育里親も育児休業を取得できるのかお伺いいたします。

○高崎労務担当部長 養育里親は、一定期間、子供を預かり育てる者であるため、地方公務員の育児休業等に関する法律において、同性パートナーに限らず、原則、育児休業の取得対象外となっております。

○山内委員 出産支援休暇、育児参加休暇は男性職員と規定をしているために、戸籍上の女性は取得することができないということだと思いますが、ぜひ改正に向けて検討していただきたいと思います。
 都は、昨年策定した性自認及び性的指向に関する基本計画で、窓口担当職員らへの講習会の実施など、普及啓発を盛り込みました。その一方、当事者の職員のための取り組みは、採用試験時の性別記載欄の廃止にとどまり、休暇や福利厚生に関することは盛り込まれておりません。他の道府県や政令市の事例の調査研究を早急に進め、ぜひ具体的な検討、実現を要望いたします。
 都庁におけます障害者雇用についてお伺いしたいと思います。
 現在の障害者雇用について、障害別の状況をお伺いいたします。あわせて、都庁における障害者活躍推進計画で、障害者雇用率三%を目標にしましたが、その考え方について改めてお伺いいたします。

○山口人事部長 障害者Ⅲ類選考につきましては、平成二十九年度選考から、従来の身体障害者に加え、精神障害者及び知的障害者にも対象を拡大しておりまして、今年度選考では、合格者数が全体で四十六名であり、そのうち精神障害者が三十二名、身体障害者が十四名となっております。
 知事部局の障害者雇用率につきましては、昨年六月現在、二・八一%となっておりまして、障害者活躍推進計画における目標としましては、従前から目標としてきた三%に設定をしております。

○山内委員 障害別の状況は、障害者Ⅲ類の選考による数が示されるだけだと思います。全体の障害別の状況というのは、個人情報の保護を保ちつつも、合理的配慮のためにも、ともに働くためにも、重要なデータであると生活者ネットワークは考えております。
 障害者活躍推進計画において、障害者職業生活相談員などの庁内相談体制を整備するとのことで、二〇一九年度十二月時点では百七十九名選任されていると聞いております。
 障害のある職員から相談を受けた場合やトラブルが生じた場合、その改善や解決のために、この相談体制はどのように機能するのかお伺いいたします。

○山口人事部長 庁内相談体制につきましては、これまで、各所属の管理職等による相談体制を整備していますとともに、本人や各所属が直接、精神保健の専門家のアドバイスを受けられる体制も整備しております。
 さらに、今年度より、既存の相談体制に加えまして、障害者雇用促進法の改正を踏まえ、各所属の管理職等の中から障害者職業生活相談員を選任しておりまして、職業生活に関する相談や指導を行っております。
 相談等に対しましては、職場において支障となっている事情等に関して、各所属の管理職等が適切に対応しますほか、必要に応じて、各部、事業所の人事担当者が相談に応じるとともに、各部、事業所における対応について、各局の人事担当者が指導的助言等を行うこととしております。

○山内委員 障害者活躍推進計画の策定には、外部人材、障害者がかかわってきたと聞いております。実施状況の見直し等においても外部の視点が重要と考えます。
 そこで、障害者活躍推進会議を設置したとのことですが、計画の実施状況の把握や見直しのスケジュール、また、見直し等には外部人材の視点も重要と考えますが、どのように検討、設置していくのかお伺いいたします。

○山口人事部長 障害者活躍推進計画の推進体制としまして、知事部局等や公営企業の管理職、障害を有する職員により構成する都庁障害者活躍推進会議を設置しておりまして、本会議におきまして、計画に掲げる取り組みの実施状況について定期的に点検する予定でございます。
 こうした取り組みなどを通じて、PDCAサイクルを確立し、障害者雇用の促進に努めてまいります。

○山内委員 次に、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画等に関してお伺いしたいと思います。
 東京都の人権尊重条例は、SOGIにかかわる差別禁止をうたう都道府県初の条例で、昨年は、全国初のSOGI単独基本計画である東京都性自認及び性的指向に関する基本計画も策定され、期待されているところです。その一方で、性的指向、性自認に関する差別や困難の解消に向けた支援は十分に行われているといえず、実効性が乏しいと、当事者や専門家から指摘されているところです。
 ことし六月、改正労働施策総合推進法が施行となり、法に基づく指針によって、性的指向、性自認に関するハラスメント、SOGIハラや、性的指向、性自認の望まぬ暴露である、いわゆるアウティングも含めたパワーハラスメント防止措置が、大企業と地方自治体に義務づけられました。中小企業等は二〇二二年ということです。
 SOGIハラやアウティングについては、どのような言動が該当するのか、どのように対策を講じることができるのか、周知はいまだ十分ではなく、性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会、LGBT法連合会等からは、実効性のある対策が強く求められています。
 さらに、新型コロナウイルス感染拡大によって、アウティングを初めとするハラスメント被害が起こりやすいという指摘もあります。感染すると、自治体の発表によっては職場などでアウティングされる可能性があるためです。アウティングされる不安から、体調が悪くても受診をためらう声が多く寄せられており、同意がない個人情報の暴露を防ぐよう求められています。
 そこで、都は、SOGIに関する相談窓口の充実と、そこで把握した新型コロナウイルス感染拡大に伴うアウティングを初めとするハラスメント被害への対応について、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○堀越人権部長 都は、平成三十年度から、性自認及び性的指向に関するさまざまな悩みや不安についての専門電話相談を行っており、ことし七月には、新たにSNSを活用した専門LINE相談を開始いたしました。
 これまで、新型コロナウイルス感染拡大に伴うハラスメント被害の相談については寄せられていませんが、寄せられた場合は、相談員がしっかりと話を聞き、悩みに寄り添った上で、内容に応じて適切な機関等を紹介してまいります。

○山内委員 一昨日、一橋大学アウティング事件について高裁判決が出ました。一橋大学の安全配慮義務違反は問えないと遺族側の請求は却下されましたが、アウティングが人格権ないしプライバシー権等を著しく侵害する許されない行為であるのは明らかと言及されたと聞いております。
 アウティングというハラスメントを受けた被害者の精神状況を改めて重く受けとめ、二度と起きないようにしなくてはなりません。現実に向き合って、しっかり取り組むよう要望いたします。
 次に、パートナーシップ制度についてお伺いいたします。
 パートナーシップ制度を導入する自治体は急速にふえています。国分寺市ではことし十一月十五日から、国立市では来年四月から導入されます。
 現時点で導入または導入予定の自治体数と、東京都の検討状況についてお伺いいたします。

○堀越人権部長 同性パートナーシップ制度につきましては、令和二年十月一日時点で、全国で六十の自治体が導入していると聞いております。
 パートナーシップ制度につきましては、婚姻関係のあり方そのものにかかわるものであり、広範な国民的議論が必要な課題でございます。
 都としては、人権尊重条例に基づき、性自認及び性的指向に関する啓発等を推進するとともに、都庁各局の施策現場において、性的マイノリティー当事者の方々に対してどのような配慮が必要か検討し、施策を展開していくこととしております。

○山内委員 パートナーシップ制度の導入とともに、ぜひ東京都から国にSOGI差別を禁止する法整備を求めるよう要望しておきます。
 新型コロナウイルス感染症にかかわる特別人権相談についてお伺いいたします。
 五月に実施された新型コロナウイルス感染症にかかわる特別人権相談の実施方法と相談実績についてお伺いいたします。

○堀越人権部長 新型コロナウイルス感染症に係る特別人権相談は、緊急事態宣言の延長を受け、弁護士の資格を有する法律相談員が、新型コロナウイルス感染症に関連した職場や学校などにおける人権侵害に関する相談を受けるため、通常行っている相談に加え、実施したものでございます。
 ことしの五月七日及び八日の二日間実施し、五件の相談がございました。

○山内委員 周知は行き届いていたのでしょうか。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、感染した人やその家族、治療に当たっている医療従事者やその家族、子供、外国人等に対して、不当な差別、偏見、いじめ、SNS等での誹謗中傷、DV被害や望まない妊娠など、重大な人権侵害があり、いかなる状況にあっても決して許されるものではありません。コロナはより弱い立場の人たちにより大きくのしかかっています。相談の強化を改めて要望しておきます。
 最後に、公文書管理と移管ルールについてお伺いいたします。
 都は先月、新型コロナウイルス対策のうち、重要な情報を記録した公文書について、公文書館に移管することをまとめた新型コロナウイルス感染症対策に関する公文書の移管方針を公表いたしました。
 今回の感染症に対する施策について、意思決定過程をまとめて公文書に残すことは、説明責任を果たすと同時に、将来の教訓にするために重要です。
 移管方針は十月十九日の公文書管理委員会で審議したと聞いております。委員会ではどのような議論が行われたのかお伺いいたします。

○小平総務部長 公文書管理委員会の委員からは、議事要旨の作成に当たりまして、引き続き政策の形成過程が理解できるように運用してほしいとの意見がございました。
 また、移管対象となる公文書の定義についても質問がございました。公文書の定義には、作成した文書だけではなく取得した文書も含まれますので、重要な取得文書についても移管方針の適用を受ける旨回答しております。
 このような議論を経まして、原案の内容で了解いただきました。

○山内委員 国においても、新型コロナウイルス感染症にかかわる事態を歴史的緊急事態として、行政文書を管理することにしていますが、専門家会議の議事録が作成されていないことが問題になっています。
 都の移管方針には、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議の議事録は移管することとなっておりますが、議事要旨となっている会議もあります。
 議事録でなく要旨としている会議は、具体的にどのような会議を想定しているのかお伺いいたします。

○小平総務部長 公文書管理条例の運用におきまして、議事要旨など経過等を明らかにする文書の作成を要する場合の一例に、会議で事業の方針に係る重要な判断が行われた場合とございます。移管方針はこの考え方と整合を図っているものでございまして、具体的な会議名を想定するものではございません。
 なお、移管方針に該当する会議で議事録を作成している場合には、当該議事録についても移管されるものと考えております。

○山内委員 コロナ対策の会議は、新型コロナウイルス感染症対策審議会、新型コロナウイルス感染症対策本部会議、新型コロナウイルス感染症モニタリング会議があり、この三つは議事録がつくられております。
 しかし、そのほかにも庁内で職員、実務者の会議などがあり、会議を通して意思決定されていくプロセスがわかるようにしておく必要があります。議事要旨だけ作成する場合でも、議論の経過を記録するよう留意するべきだと思います。
 コロナ感染症の終息がいまだ見えないため、実際に移管できる時期も見通せません。議事録以外にも、内部の報告、レクチャー用資料など、さまざまな文書があります。移管方針には、現在及び将来の都民に対する説明責任を果たすもの並びに将来の都の感染症対策の教訓となるものとして、移管することが適切であると判断されるものとありますが、毎年の廃棄文書の中にコロナ関連のものがある場合、方針に沿って誰が判断をするのかお伺いいたします。

○小平総務部長 条例に基づき、実施機関は、公文書の保存期間満了前のできる限り早い時期に、保存期間が満了したときの措置として、移管または廃棄の措置を定めることとしております。これにより、実施機関は、当該廃棄の措置を定めた公文書の保存期間の満了後、廃棄を決定いたします。
 なお、実施機関が廃棄の措置を定めた公文書であっても、公文書館が保存する必要があると認めるものにつきましては、当該実施機関に移管を求める仕組みを設けております。

○山内委員 新型コロナウイルス感染症対策に関する公文書は、公文書の保存期間満了時の措置に関する指針、いわゆる移管基準ガイドラインの別表にある、将来歴史的な価値を有することが見込まれる行事、事件等に関するものの中の、社会的事件への対応施策、感染症対策、テロ対策、大規模災害対策等に当たります。
 公文書管理条例ができて初めての事例と思われますが、過去にこうした例はあるのでしょうか。また、現在の規定が適用される前の話ではありますが、例えば一九六四年の東京オリンピックに関して、誘致から開催後までどのような公文書が保存されているのかお伺いいたします。

○小平総務部長 移管基準ガイドラインが施行された令和二年四月以後、今回のように全庁的に政策単位の分類が適用されるような事例は初めてとなっております。
 また、一九六四年の東京オリンピックに関する文書につきましては、IOCに招致の意向を表明した文書や準備組織の設置などに関する文書等、都が実施した招致活動や開催準備に関する文書が公文書館に保存されております。

○山内委員 今回のコロナ対策に関する文書は、今後のパンデミック対策の教訓となります。実施した対策を総括、検証し、次につなげていくために、文書の保存及び公文書館への移管は非常に重要です。
 これと同様に、政策単位で移管する重要なものとして、オリンピックに関する公文書があります。先ほどの答弁では、取得した文書も移管するということでした。二〇二〇東京大会に関しても、招致から大会実施、さらに後始末まで、組織委員会や国の文書も含め、金の使い道や決定プロセスがわかるよう文書を保管し、公文書館に移管するよう要望いたしまして、質問を終わります。

○神林委員長 引き続きお願いいたします。

○藤井委員 先ほどの木村理事への山手局長のご答弁の中で、デジタル局を設置、検討するというすばらしいご答弁がありました。私を初め都民ファーストの会がこれまで求めてきたことでありまして、昨年については、民間から専門家である宮坂副知事が就任して、これも我が会派が要望してきたことが実現したことであると思っております。これらは非常に大きく評価をしておりますし、大いに期待をしているものであります。
 ただ、一方で、デジタル局という箱をつくればいいのかというと、そうではないと思っておりまして、その中身の充実というのが非常に重要であると考えています。
 そこで、まず、構造改革のてことなるDX、デジタルトランスフォーメーションを都庁に定着させるための人事や研修等の制度について確認をさせていただきます。
 改めてなんですが、デジタルトランスフォーメーションという言葉、今、都政の中でさまざま使われていますが、これが何かということであります。
 単にペーパーレス化をするであったりとか、判こをなくすといったもの、それをデジタル化すること自体は、DX、デジタルトランスフォーメーションではないわけであります。デジタルトランスフォーメーションは、民間などでは、顧客体験を向上させる視点が非常に重要で、そういったことを通じて、企業では収益を上げていくといったような形で考えられております。
 では、都にとって顧客体験とは何なのかという点が非常に重要であると考えています。
 そこで、昨年の十二月に策定されました新たな都政改革ビジョンというのを見てみますと、ここには、CS、顧客満足と、ES、職員満足の相乗的な向上により、都民の幸せを実現していくと記載がされております。まさにこれが、先ほどのDXでいうところの顧客体験を向上していくという点であるというふうに考えております。
 デジタル化は目的ではなくて、都民の幸せを向上させる、例えば都の手続を単にオンライン化するだけではなくて、そのことによって処理のスピードが上がるであったり、待ち時間が少なくなるであったりとか、そういった都民の満足度を上げていって、さらには職員の負担も減らすということが、まさにDXを進めるということであるというふうに考えています。
 この新たな都政改革ビジョンは、現在、構造改革に発展的に継承されたということでありますので、しっかりと継承していただきたいと思います。
 その都政改革ビジョンの中でも、民間とのスクラムで政策イノベーションを生み出す都庁へとして、民間人材の登用を拡大し、人材の専門性、多様性を向上、デジタル分野の先端人材を確保して強力なチームをつくっていくというような記載がありまして、これは構造改革にとっても非常に重要であると考えております。
 そこで、都におきまして、民間企業等との人事交流はどのように実施されているのか伺います。
 あわせて、来年度からICT職として新規採用される職員などについては、最先端のICTの知見やノウハウを持つ民間企業等への派遣を進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○山口人事部長 行政課題の高度化、複雑化が急速に進む中、幅広い行政分野、職務分野に強みを持つ人材を育成するため、若手を初め、より多くの職員を都庁外へ派遣することは重要でございます。
 こうした考え方のもと、平成三十年七月、都庁組織外で得られる知識や経験を今後の都職員の人材育成の重要な要素として位置づけまして、人事交流のさらなる拡大を図るため、東京都人事交流指針を策定し、交流の拡大に向けて取り組んでまいりました。
 来年度から採用する予定のICT職につきましては、今後のキャリア形成におきまして、民間企業に積極的に派遣し、派遣先における実務の中で専門性を磨き、絶えず外部の最新の知見を獲得し、都に還元してまいります。
 今後とも、民間企業等との人事交流の拡大に努め、新たな視点からの業務改善を進めますとともに、組織間のネットワークを構築し、高度化、複雑化する行政課題への対応力の向上を図ってまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。ICT職に関しては、民間企業と絶えず交流をして、最新の知見を都に還元するということですので、期待しておりますので、ぜひお願いいたします。
 新型コロナ禍によりまして、行政のデジタル化という大きな課題が顕在化した中で、都庁外へ職員の派遣に加えて、中で働いている職員の一人一人が、DX、デジタルトランスフォーメーションについての知識や考え方を身につけることが大事だと思います。それらを業務の中で実践できるように根づかせていく必要があると考えております。
 加えて、新型コロナ感染症の感染拡大防止対策を十分にとることが必須でありまして、ウイズコロナの時代における研修、人材育成等のあり方も考えていく必要があります。
 都は、コロナ禍において、オンラインでの研修やeラーニングを拡充しつつ、都職員のDXに関する研修などを拡充していくべきですが、見解を伺います。

○山口人事部長 今年度から、各局の企画担当等の一般職員を対象としました都庁デジタルシフト推進リーダー養成研修、管理職を対象としましたデジタルシフト推進セミナーなどを新たに実施しました。
 これに加えまして、デジタルサービスの仕組みなど、都政のデジタルトランスフォーメーションの推進に必要な基礎知識を習得することを目的として、都庁デジタルセミナーを、オンライン形式も活用しながら来月より開始する予定でございます。
 令和三年度に向けまして、全職員のさらなるICT能力の向上を図るため、デジタルトランスフォーメーション推進の視点、考え方の醸成や、デジタルトランスフォーメーションに関する知識付与、職員に応じた育成メニューの整備という視点から、研修の拡充を検討してまいります。
 都庁のデジタルガバメントの実現に向けまして、従来型の集合形式の研修にとどまらず、オンラインやeラーニングによる研修を積極的に導入し、ICTを活用した施策展開を推進する全ての職員の能力向上を図ってまいります。

○藤井委員 さらにデジタルトランスフォーメーションの考え方を職員に定着させていくためには、今ご答弁にありました研修であったりとかというものに加えて、人事評価にDXの視点というのを盛り込むことが必要だと考えております。
 デジタルトランスフォーメーション、DXをてこにしました構造改革も踏まえて、都庁にデジタルトランスフォーメーションを定着させるため、職員のそういった新たなチャレンジを評価、表彰して、モチベーションを高めることが重要と考えますが、見解を伺います。

○山口人事部長 都では、職責、能力、業績主義に基づき、公正な人事制度の根幹として業績評価制度を運用するとともに、職員表彰制度により、模範とすべき職員を表彰しております。
 業績評価制度におきましては、職員の取り組み姿勢として、チャレンジ精神を評価の着眼点としておりまして、安易に前例を踏襲するのではなく、挑戦する意欲を持って職務に取り組む姿勢を評価しております。
 また、職員表彰制度におきましては、都政課題の解決に当たり他に類を見ない顕著な功績のあったときや、都民サービスに関する改善または公務能率の向上に関して著しい貢献があったときなどに、職員等を表彰しております。
 都政の構造改革を推進していく観点から両制度を適切に活用し、新たな課題へのチャレンジを喚起してまいります。

○藤井委員 昨年度から今年度にかけて、都におきましても、さまざま新しいデジタルトランスフォーメーション、シビックテックの活用であったり、スタートアップの新しい事業であったり、さまざまチャレンジがあったと思います。そのよい取り組み事例というのは、評価したり、ご答弁にありましたように表彰したりすることで、ベストプラクティスという形で多くの職員の知るところになりますし、共有していくことが非常に重要だと思いますので、ぜひ積極的に、ご答弁にありました人事評価、表彰にDXの観点を入れて取り組んでいただきますように要望をいたします。
 続きまして、政策連携団体のDX、デジタルトランスフォーメーションについて確認をいたします。
 先般、東京デジタルファースト条例が成立しまして、政策連携団体についても手続の原則デジタル化、これが努力目標とされたところであります。しかし、努力目標でありますので、必ずしも進められるかというと、なかなか難しいんじゃないかなと思うところがあります。都としても、政策連携団体がデジタルトランスフォーメーションを推進する環境や制度の整備というのが必要ではないかと考えております。
 さらに、政策連携団体は、コロナの影響により厳しい経営環境がこれから想定されているところでありまして、都民サービスを持続可能なものにしていくためにも、事業のデジタル化、デジタルトランスフォーメーションは急務だと考えております。
 都は、今後の政策連携団体におけるデジタルトランスフォーメーションの推進をどのように進めるのか、見解を伺います。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 政策連携団体が行います事業の多くは、都民サービスの最前線を担っておりまして、新しい日常への対応やさらなる業務の効率化はもちろんのこと、ポストコロナ時代を見据え、デジタルトランスフォーメーションを推進することで、都民によりよいサービスを提供していく必要がございます。
 とりわけ、各種申請手続や相談窓口のオンライン化、キャッシュレスなどの取り組みは、今後の政策連携団体におけます事業運営に欠かせない要素でございまして、デジタルトランスフォーメーションを推進するための環境や体制整備が急務であると認識してございます。
 このため、都は、今年度中に各団体が策定いたします次期経営改革プランにおきまして、都政の構造改革の取り組みを踏まえまして、五つのレスの徹底やデジタルトランスフォーメーションに関する具体的な目標を設定させ、進行管理をすることとしてございます。
 こうした取り組みによりまして、民間との連携も視野に入れた迅速なDX化を強く促し、政策連携団体の業務改善と都政のクオリティー・オブ・サービス向上につなげてまいります。

○藤井委員 都は、コロナ禍において、さまざまな施策を通じて都民、事業者を支援してきたところでありまして、ご答弁にありますとおり、政策連携団体は都民サービスの前線に立って対応していたところであります。
 都は、協力金のサイトなどを改善したということを、先日の戦略政策情報推進本部等の質疑等でも明らかにしてきたところで、認識をしているんですが、一方で、政策連携団体が行う補助などについては、郵送でのみの受け付けだったりとか、あと、処理までに結構時間がかかってしまうというようなケースも聞いているところでありまして、このデジタルトランスフォーメーションを進めるのは非常に重要でありますし、総務局の皆様にもぜひここは意識をしていただきたいところだと思っております。
 一方で、政策連携団体のDXを進めるに当たって、団体によってはノウハウに乏しいところもあり、都の専門家などの視点も加えた支援が必要であると考えますが、総務局としてどのように対応をするのか伺います。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 政策連携団体の中には、既にDX化に向けて積極的に取り組んでいる団体がある一方、どのように取り組んでいくか対応に苦慮している団体も存在してございます。
 こうした状況を踏まえまして、都では、政策連携団体に対して、東京テックチームによりますデジタルトランスフォーメーションに係る技術支援を行っておりまして、例えば、東京都環境公社では補助金申請の早期オンライン化を実現いたしました。
 今後は、こうした好事例を政策連携団体に横展開するとともに、民間の専門家を講師に迎え、団体の経営層等を対象とした勉強会を開催することとしてございます。勉強会では、デジタル化の最新状況、推進体制や業務フローの見直しの考え方、民間事業者における課題解決事例など、各団体がデジタルトランスフォーメーションを推進するために必要なノウハウを学ぶカリキュラムを予定してございます。
 今後とも、専門家からの助言、意見をいただきながら、政策連携団体の積極的なDX化の取り組みを支援してまいります。

○藤井委員 ご答弁にありますとおり、政策連携団体においてもDXの好事例が出てきているということでありますし、引き続きこれは、進めていただきたいと思います。
 一方で、政策連携団体だけではないんですが、都民へのサービス、顧客満足度でもいいんですけれども、これをしっかりと図っていくということは非常に重要じゃないかなと思っておりまして、そういったことも含めて検討をぜひいただきたいなと思います。
 一つ、デジタルトランスフォーメーションの推進という点で参考になるのが、戦略政策情報推進本部が行っている区市町村への支援ではないかなと思っておりまして、専門家でありますデジタルシフト担当課長が、区市町村のデジタルトランスフォーメーションのお悩みを直接聞いて相談して、解決をしていくというような取り組みもしておりますので、ぜひ戦略政策情報推進本部等とも連携をしながら、政策連携団体のデジタルトランスフォーメーションの推進を進めていっていただきたいと思います。
 続きまして、話は変わりまして、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例、いわゆる人権尊重条例について伺ってまいります。
 デジタル化もそうですが、多様な人々が活躍する社会をつくるということが私は非常に重要であると考えておりまして、たまたまちょっと読んでいた本で、台湾のIT大臣のオードリー・タンさんの本で、彼女はトランスジェンダーであるということを公表しているんですが、そういった環境の中でも活躍できた一つの要因が、そういうインターネットの世界であったりとかデジタルの世界というのがあったのかなというところを思ったところであります。ちょっと直接関係ない話ではあるんですが、そういうところもございます。
 特にこの中でも、LGBT等への不当な差別の禁止について伺っていきたいと思います。
 都は、この条例によりまして、性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るとともに、不当な差別を禁止するとしているところであります。
 都民ファーストの会はこの条例の制定に尽力、そして提案を重ねてきましたし、その後の計画においても、都立病院での対応であったり学校教員のマニュアルなど、さらには先ほどご答弁にもありましたが、LINE相談など相談窓口の拡充なども提案して、実現をしてきたところであります。
 そして、私の昨年の事務事業質疑では、ラグビーワールドカップのプライドハウスへの支援や、区市の発行する同性パートナーシップの証明書を都営住宅や都立病院などで都として積極的に活用できないかといったような提案をさせていただきましたので、状況を確認させていただきたいと思います。
 まず、性自認、性的指向に関する現状についてちょっと述べさせていただきたいと思います。
 OECDが先日、六月に出した報告書によりますと、日本のLGBT等に関する法律面の整備状況というのは、加盟国三十五カ国中三十四位、下から二番目という大変低い状況であります。これは、日本は性的指向、性自認、性に基づく差別を明確に禁止していないと見られていて、同性カップルを異性カップルと同様に扱っていない、いわば異性愛者以外に基本的人権がない国だというふうにされております。
 大変残念なことでありましたが、最近も、足立区の区議会議員のLGBT等に対する無理解な発言というのが報道され、後ほど撤回されましたが、その内容に私も大変驚いたものであります。
 そう考えますと、都の制定した条例、普及啓発を目的としておりますが、まだまだ足りていないのではないかと思うところであります。より力を入れていく必要があると考えております。
 条例制定時の我が会派からの質疑に対しまして、性自認及び性的指向を理由とする差別の解消並びに啓発の促進等を図るために、拡散力を有するNPOあるいは民間団体等の方々など多様な主体の方々と連携を図りながら、これまで以上に積極的に人権施策を総合的に実施していくというご答弁がございました。
 条例制定後、NPOや民間団体とどのように連携をしてきたのかお伺いいたします。あわせて、ことしの十月には、LGBTQ等の情報拠点でありますプライドハウス東京レガシーが、十月十一日の国際カミングアウトデーにオープンいたしましたが、今後、都としてどのように連携をしていくのかお伺いいたします。

○堀越人権部長 昨年十二月に公表いたしました東京都性自認及び性的指向に関する基本計画を策定する際には、構成や基本方針等の検討に当たり、当事者の方々や当事者団体から個別にご意見を伺いました。
 また、性自認、性的指向に関する相談や普及啓発事業を推進するに当たっても、当事者団体等を通じて意見を聞き、事業内容を構築しております。
 民間団体との連携につきましては、性的マイノリティー当事者の働きやすさを考えるイベントなどの取り組みに対し、これまでも、東京都のメッセージの発信、都の後援名義の承認を行っています。
 ご質問にありましたプライドハウス東京レガシーに関しましては、それらに加え、都民向けの啓発冊子の提供など、さまざまな形で連携を図っています。

○藤井委員 ぜひ、より積極的に連携をしていっていただきたいと思います。LGBT等への差別解消の普及啓発には、民間団体との連携、民間団体の力というのが欠かせないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。先ほども申し上げましたが、新たな都政改革ビジョンにも、民間とスクラムを組んでいくとありますので、ぜひお願いいたします。
 この間、都内の区市でのLGBT等のパートナーシップ制度の制定も進んできているところであります。
 先ほど全国についてご答弁ありましたが、都内区市町村のパートナーシップ条例の状況に関してと、あわせて証明書等の発行状況について伺います。

○堀越人権部長 令和二年十一月現在、都内区市町村で、いわゆる同性パートナーシップ制度を制定しているのは十区市でございます。
 制度の内容は区市により異なりますが、これらの制度に基づき発行された証明書等の実績は、令和二年九月末時点で合計三百十件と聞いております。

○藤井委員 昨年質問した時点では六区市での制定でしたので、倍近くふえているということで、さらに今も検討している市もあるというふうにさまざま聞いておりますので、こういった都内でも先行している自治体との、区市町村との連携というのは非常に重要であると考えております。
 これも私の昨年の事務事業質疑で、より活用していくべきとご提案をさせていただきましたが、都が実施しております区市町村との連絡会の実施状況について伺います。どれぐらいの自治体が参加して、どのようなテーマが議題になったのか、具体的にお伺いします。

○堀越人権部長 都と区市町村間及び区市町村相互間の円滑な連携を図るための東京都区市町村性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会につきましては、これまで二回開催し、ことし一月には、四十四自治体の参加のもと、都の基本計画の報告や先進的な区市町村の取り組みについての意見交換等を行ったところでございます。
 今年度は、都が新たに開始したSNSによる相談事業などに関する報告を行うとともに、区市町村から取り組み状況を報告していただき、必要な情報交換を行うことを予定しております。

○藤井委員 コロナ禍で厳しいところとかもあるのではないかとは思うんですが、ぜひもう少し開いていただけるようにお願いをしたいと思います。先行している区市の取り組みというのは、都としても学ぶことが非常に多いと思いますので、積極的にお願いをいたします。
 一方で、パートナーシップ制度に関しましては、基礎自治体が制定すべきで、都道府県などの広域自治体にはなじまないのではないかという声もあるところであります。私はその意義は大きいと思うところではあるんですが、そういった声もあるのが事実かと思います。
 現在、広域自治体では大阪府と茨城県がパートナーシップ条例を制定しておりますが、広域自治体のパートナーシップ制度について、都の把握している状況とその意義について確認をさせてください。

○堀越人権部長 大阪府及び茨城県においては、性の多様性を尊重する観点から、性的マイノリティー当事者を対象として、要綱等に基づき、いわゆる同性パートナーシップ制度を設けており、県営住宅等の入居申し込み、病院での手術同意、面会等で利用されているものと聞いております。

○藤井委員 今後、三重県も同性パートナーシップの制度を導入する予定とのことであります。先ほど申し上げましたOECD三十四位、下から二番目の人権に理解のない国という不名誉な状況を打破する必要があると思いますので、既に全国で普及しつつある同性パートナーシップ制度、都としても研究、検討をしていただきたいと思います。
 さらに、かねてより我が会派が要望しております都営住宅における同性パートナーの居住についても検討を深めるように、お願いをいたします。
 続いて私も、アウティングについて質疑をさせていただきたいと思います。
 山内委員からもございましたが、国立市にある一橋大学での学生間で起きた高裁判決というのが十一月二十五日に出たところで、アウティングそのものが人格権やプライバシー権を著しく侵害するものであって、許されない行為であるという判例が示された画期的なものでありました。
 性的指向や性自認を本人の同意なく第三者に暴露するアウティングを防ぐための自治体の動きとしては、一橋大学のあります国立市が禁止を明記する条例を制定しておりますし、先ほどの三重県も、都道府県で初めてアウティングの禁止を明記した条例制定に動いているということであります。
 都は、アウティングに対してどのような対応をするのか伺います。

○堀越人権部長 都は、人権尊重条例第四条で性自認及び性的指向に関する不当な差別の禁止を規定しており、いわゆるアウティングは許されないものと認識しています。
 本年三月に作成しました都民向けの多様な性について知るBOOKにおいてもアウティングを取り上げ、誰かの性のあり方を第三者に伝えることは重大な人権侵害であることを明記しています。
 また、性自認及び性的指向に関する専門相談において、アウティングに関する悩みについて相談があった場合には、しっかりと話を聞き、悩みに寄り添った上で、必要に応じて適切な機関を紹介するなど、一人一人のニーズに即した対応を図ってまいります。

○藤井委員 先ほどの高裁判決のご遺族、ご家族の方々が強く望んでいたことは、アウティングが不法行為であるとちゃんと認めてもらいたいということでありました。判決自体はそういった内容になっていると思います。
 都も条例がありますので、都民への啓発の効果を考えても、条例に明記することも検討が必要ではないかと思います。ご検討をお願いいたします。
 続きまして、同性パートナーを犯罪被害によって失った男性が、国の制度である犯罪被害者給付金の支給を求めたものの拒否されたために、その処分の取り消しを求めた訴訟において、請求棄却の判決がなされたということであります。
 同性パートナーは法律婚ではないものの、事実上法律婚と同じような生活を営んでいる場合というのも多くあるものでありまして、遺族の支援という観点からは一定の配慮が必要であると考えております。
 都の犯罪被害者見舞金制度による見舞金給付は、同性パートナーも対象となるのかお伺いいたします。

○堀越人権部長 都がことし十月から開始した犯罪被害者等見舞金給付は、国による犯罪被害者等給付金の支給までの間、当面必要となる経費に充てるものであり、遺族見舞金と重傷病見舞金とがございます。
 遺族見舞金の給付対象になる遺族としては法律婚、事実婚のほか、同性パートナーについても生計を同一にするなどの生活実態がある場合は、対象とすることとしております。

○藤井委員 ご答弁ありがとうございます。
 都の人権条例や計画に基づいて、まさに着実に取り組んでいただいたすばらしい事例であると考えております。この遺族見舞金に限らず、やはり今後の都庁でのさまざまな施策取り組みの際も、同様の観点で組み立てをしていただけますように、この事例を含めて各局へ共有をしていただいて、積極的な働きかけを総務局にはお願いしたいと思います。
 そして、性的指向等に関するところですが、やはりまず、実態を把握できていなければ、施策等の正確な手を打つということはできないのではないかと思います。
 これまで、我々会派の要望、予算要望であったりとか、私も、これもまた昨年の事務事業質疑でも要望しましたが、性自認、性的指向に関する大規模調査の実施に関する検討、この状況についてお伺いいたします。

○堀越人権部長 基本計画では、必要に応じて施策の見直しを行うこととしており、見直しに当たりましては、広く都民に意見を伺いつつ、当事者のニーズを把握していくことが重要であると認識しています。
 令和四年度の計画改定に向け、より多くの当事者を含む都民の意見を聞くため、大規模調査を含め、現在その手法を検討しているところでございます。

○藤井委員 令和四年度の計画の改定に向けてということでありますので、ということは、その調査はその前にやらなきゃいけないということで、来年度には必須ではないかと考えておりますので、引き続き検討を進めていただきますよう要望いたします。
 特に、こういった個人の内心を聞く調査というのは、それこそアウティングにならないようにだったりとか、さまざま配慮するべきことがあると思いますので、海外の事例であったりとか、専門家の手をかりながら、着実に進めていただきますようにお願いをいたします。
 先日の第三回定例会、我が会派の、LGBT等の方々を初めとして全ての職員が安心して働くことができるよう、都職員の福利厚生の制度を一層整えていくべきとの代表質問に対しまして、知事からは、今後、職員一人一人の不安を解消し、性自認及び性的指向、育児や介護等の事情にかかわらず、これまで以上に生き生きと活躍できるような休暇等福利厚生制度の見直しを検討していくというご答弁がございました。
 LGBT等の方々を初めまして、多様な都民、職員が活躍できる社会とするためには、特に多くの職員にとって重要な問題であります介護と仕事の両立というのを支援していく必要があると考えますが、その見解を伺います。

○高崎労務担当部長 都ではこれまで、介護休暇等の拡充、介護と仕事の両立ガイドブックの作成、配布のほか、テレワークの推進や柔軟な勤務時間制度を導入するなど、職員が介護と仕事を両立しながら力を発揮できるような取り組みを進めてまいりました。
 一方、平成二十六年度以降の勧奨退職者については、転職等を除き、介護を理由に退職した職員が最も多い状況であり、介護と仕事との両立は、職員個人の問題としてだけでなく、職場の危機管理の観点からも支援していく必要があると思います。
 今後も、職員一人一人の不安を解消し、介護の事情にかかわらず、生き生きと活躍できるような休暇等福利厚生制度の検討を進めてまいります。

○藤井委員 職員の福利厚生に関する部分は、ちょうどこれからご説明もいただけるということで、条例の改正案等も出てくるということでありますので、引き続き第四回定例会で議論を深めていきたいと思います。介護に限らず、同性パートナーのいる職員と事実婚の職員が同等の福利厚生を利用できるよう、対応を強く要望させていただきます。
 続きまして、防災に関して何点か確認をさせていただきます。
 我が会派のことし二月の第一回定例会の代表質問で、子育て世代向けの出前教室と町会、自治会向けのセミナーの規模を大幅に拡大するとご答弁をいただきましたが、コロナ禍もあり、状況はなかなか厳しかったんじゃないかなと思うところであります。
 子育て世代向けの出前教室と町会、自治会等向けのセミナーの規模の拡大について、現在の実績とコロナ禍におけるこれらの事業の今後の取り組みについて伺います。

○榎園防災対策担当部長 都はこれまで、共助のかなめである町会等に対し、東京防災学習セミナーを実施するとともに、セミナー等への参加の機会が少ない子育て世代が気軽に防災知識を学べるパパママ東京ぼうさい出前教室を昨年度に開始いたしました。
 昨年度は、両事業とも当初の募集枠を超える応募があり、募集枠を拡大しましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、二月の末に実施を見合わせ、推移を見守ってまいりました。
 昨年度実施ができなかった団体や新規の団体からの受講希望があったことや、コロナ禍における実施方法について事業者との協議が調ったことから、今年度はオンラインで実施することといたしました。
 パパママ東京ぼうさい出前教室については、今年度は、昨年度当初の三倍の規模になる九十グループに枠を拡大して九月から募集しまして、現在、三十六グループからの申し込みがございます。
 なお、学習セミナーにつきましては、受講者に高齢の方が多いことから、今年度は、昨年度未実施団体のみ実施することといたしました。
 今後のこれらセミナーの実施の方向性につきましては、オンラインを基本としながらも、より扱いやすいコミュニケーションツールの活用や、オンラインに適した教授方法の検討を進めまして、よりわかりやすく効果的に学ぶことができる改善を進め、コロナ禍であっても着実に地域防災力の向上が図られるよう取り組んでまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。コロナ禍で大変ご苦労をされているという状況が見えてきたところであります。
 そして、オンラインでの実施ということで、どうしてもデジタルが苦手な方もいらっしゃいますので、そういうデジタルディバイドの対策として、ズーム等のオンライン会議システムの丁寧な説明、解説であったりとか、あと、Wi-Fiルーターの貸し出し等もされているというふうに聞いていますので、これからもより一層積極的に取り組んでいただきたいと思います。災害は待ってくれませんので、備えよ常にの精神で取り組みを進めていただきますようにお願いをいたします。
 デジタル版の東京マイ・タイムラインについて伺います。
 英語版のほか、新たに八つの言語に対応させるとともに、東京都防災アプリに新たにマンション特有の課題をわかりやすく解説するコンテンツを追加して、内容の充実を図ってまいるというご答弁を我が会派の代表質問でいただいたところでございますので、これについてお伺いさせていただきたいと思います。
 防災情報の多言語化や内容の充実など、防災に関する情報の強化を図っていくことは、非常に重要な観点であると考えておるところでありまして、東京都防災ホームページや防災アプリにおける情報提供の強化のこれまでの取り組みと今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○猪口総合防災部長 防災ホームページは、現在、八カ国語に対応しておりまして、デジタル版の東京マイ・タイムラインにつきましても、昨年度末より八カ国語で閲覧可能となっております。
 また、防災アプリにつきましても、三カ国語に対応するとともに、エレベーター内の閉じ込めなどマンション特有の課題をわかりやすく解説するコンテンツを初め、水害リスクマップや避難場所マップを追加するなど、これまで内容の充実を図ってまいりました。
 今後、防災ホームページに緊急メッセージやバナー欄等を追加するとともに、防災アプリのホーム画面の構成変更を行うなど、利用者の目線に立ち、必要な情報へのアクセスを容易にすることにより、防災に関する情報提供をさらに強化してまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。ぜひ今後、着実に進めていただきたいと思います。
 続きまして、電源の確保についてお伺いをさせていただきます。
 災害の発生時にやはり何よりも大事になるのは電源であるというふうに、電源の確保が重要であると考えております。
 我が会派のかねてからの要望によりまして、区市町村庁舎に対する非常用電源確保支援が進んでおりますが、その現状についてお伺いをいたします。

○古賀防災計画担当部長 都は、区市町村に対して庁舎の非常用電源の確保を働きかけておりまして、これまで十四団体が、都の補助制度を活用して非常用電源の七十二時間化や水害対策に着手または着手する見込みとなってございます。
 また、三十一団体に対しまして専門家を派遣して、電気設備の改修方法など、庁舎の実情に応じた非常用電源の整備プランを提示してまいりました。今年度、さらに一団体に専門家を派遣する予定でございまして、非常用電源の七十二時間化に未着手の全ての団体が、専門家のサポートを受けることとなります。
 今後も、区市町村庁舎の非常用電源確保に向けまして、区市町村への働きかけを行うなど、事業を着実に推進してまいります。

○藤井委員 今年度で未着手の全ての団体が専門家のサポートを受けることになるということでありまして、この調子で非常用電源の整備の支援というのを着実に進めていただきたいと思います。
 ことしの予特、これも我が会派の質問を受けまして、都は、共助の中核を担う町会、自治会等の自主防災組織に、スマートフォン等の電源を確保する際の支援を行う区市町村に対して補助する制度というものを設置したところであります、その際に、町会、自治会等から、一時的にとはいえ費用を負担するのが難しいという話もありまして、自治体が購入してそういった組織に提供することも可能になるというご答弁をいただいたところであります。
 町会、自治会等への電源確保の状況、進捗についてお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 地域コミュニティ防災活動拠点電源確保事業補助制度は、本年七月に交付申請の受け付けを開始しまして、十月末時点で既に約五百団体分の申請を受け付けております。申請の受け付けに当たりましては、制度に関するQアンドAや、交付までの手続をわかりやすく解説した手引を作成しまして、区市町村に配布するなどの工夫を行っております。
 申請の内訳を見てみますと、町会や自治会等の負担を軽減するために、自治体が非常用電源を購入して自主防災組織に供与する事例も多く含まれてございます。
 今後も、地域における共助の担い手として期待されている自主防災組織の活動が円滑に行われるよう、区市町村を通じて支援してまいります。

○藤井委員 五百の団体分の申請を受け付けているということでありまして、しかもその中でも、我々からご提案をさせていただきました、自治体が購入して町会、自治会へ供与するケースというのは、かなり多いということであります。
 一方で、まだ、ご利用いただいている自治体自体がそこまで実は多くないんじゃないかと思っておりまして、今後、より多くの自治体が参加できるように、着実に取り組みを進めていただきますようにお願いをいたします。
 災害による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなければならないとしますスフィア基準の基本理念を念頭に、我が会派は、段ボールベッドの備蓄を提案してまいりましたが、都の備蓄状況と、発災時にどのように避難所に受け渡すのか、具体的にお伺いをさせていただきます。

○古賀防災計画担当部長 都は、昨年の台風第十九号等による被害や新型コロナウイルス感染症の蔓延を受けまして、避難所における生活環境の改善と感染症対策に有効な段ボールベッド二千五百台の備蓄を今年度から新たに開始いたしまして、民間事業者の倉庫に保管をしております。
 発災時に区市町村から提供の要請があった場合には、都は速やかに保管事業者に対しまして物資輸送を依頼して、区市町村の地域内輸送拠点等に届けることになっておりまして、その後、提供を受けた区市町村により、必要な避難所へ輸送されるということになります。
 また、台風等の接近によりまして大きな被害が発生することが予見される場合には、事前に区市町村に提供するなど、災害の状況に応じて適切に対応をしてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。今後、しっかりと受け渡しができるように、訓練等をしていただきたいなと思うところであります。
 我が会派は、コロナの対応で屋内テントの備蓄というものも提案しておりますので、こちらもご検討をお願い申し上げます。
 昨年の、島しょへの台風十五号を受けまして、我が会派議員団で各島の被害状況というのを視察に行ってまいりました。そのときに、現場の状況がなかなか都の方に伝わっていないというところを目の当たりにしたところでありまして、そういったところも受けて、昨年十月の我が会派の木村都議の事務事業質疑であったりとか、その後、十二月の代表質問において、島しょ部や多摩地域を中心にドローンを活用した物資搬送を進めるとともに、発災時における迅速な情報収集に向けてのドローンの活用というものを提案させていただきまして、それを進めるというご答弁をいただいたところであります。
 ドローンの活用に当たりましては、最新のデジタル技術や5G等も駆使して、さらに取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 ドローンの活用に当たりましては、自動運転技術を活用した物資の搬送や高速のデジタル通信技術を用いた遠隔地の被災状況の分析など、さまざまな応用が考えられます。
 都は現在、目視外飛行技術を取り入れまして、指定場所まで自動的にドローンで搬送する技術の検証を進めております。また、風水害時の土砂崩れや浸水の範囲を特定する技術を活用し、ドローンで撮影した映像を高速な5G通信により、遠方のデータセンターで解析する等の実証実験にも取り組んでおります。
 今後、こうした検証や実験の結果及び最新の技術動向などを踏まえつつ、無人自動飛行による被災状況調査への活用など、効率的な防災活動の推進に向け、デジタル技術を積極的に活用してまいります。

○藤井委員 先日の東京都と北区との合同の総合防災訓練で、実際、ドローンを職員の皆さんが飛ばしているところを確認させていただきました。情報収集等に着実に操作できる職員もふえているとのことでありますので、デジタル技術を積極的に活用して、取り組みを進めていただきますようにお願いを申し上げます。
 最後の質問項目としまして、統計関連についてお伺いをいたします。
 これまでの質疑の中でも、都民満足度をどのようにはかるかであったりとか、性的指向、性自認等の大規模調査についての指摘をしてきたところでありまして、都の政策においても統計やデータの持つ意味というのが非常に重要になってきているのではないかなと思うところであります。
 都の統計部は、国からの法定受託事務としてさまざまな事業をしているところでありまして、その統計についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 毎月勤労統計についてお伺いをしていきたいと思います。
 ことしの十月一日に、以前、不正や破棄があって正しいデータが欠けていたとされておりました毎月勤労統計について、二〇〇四年分から一一年に関して、推計値の算出がおおむね完了したという報道がございました。
 毎月勤労統計の不正の問題に関しまして、これまでどのような問題があって、どのような影響があったのかお伺いさせていただきます。あわせて、今回の修正による影響が何かあるのかお伺いさせていただきます。

○櫻井統計部長 厚生労働省の毎月勤労統計調査におきましては、五百人以上規模の事業所について全数調査をすることになっております。
 しかしながら、平成十六年から東京都分についてこれが行われていないことなどにより、雇用保険、労災保険等の給付額の算定の基準となる賃金が低く算出され、厚生労働省が遡及して追加給付を行うことになりました。
 また、全国的に調査対象事業所数が調査計画よりもおおむね一割程度少なくなっておりました。このため、令和三年から二年間をかけて、段階的に事業所数を増加させる予定としているところでございます。
 こうした取り扱いの結果、毎月勤労統計のデータ連続性が欠けてしまったため、欠落している期間については、厚生労働省がさまざまなデータで補完し、遡及して推計値の算出を行い、利活用に支障のないよう図ったと聞いております。
 なお、今回の推計値の算出による影響は特段ございません。

○藤井委員 雇用保険や労災保険等の給付額の算定の基準となる賃金が、この不正の問題によって低く算出されていたということでありますが、それらの影響は別途解決済みで、今回の推計値の算出に関して何か変更がさらにあったかということは、特にはなかったということが確認できました。
 この毎月勤労統計に関しましてですが、回収率に課題があるともいわれております。統計委員会で二〇一七年のものが報告されているんですが、産業規模別に見ました提出率ですか、この数字が全体の提出率では八三・四%で、つまり対象事業者の一五%が調査票を提出していないという、情報が欠落してしまっているという情報であります。
 都の回収率、提出率の現状とその向上のための取り組みを伺います。

○櫻井統計部長 毎月勤労統計調査には、常用労働者三十人以上の第一種事業所と五人から二十九人の第二種事業所がございます。第一種事業所は郵送またはオンライン、第二種事業所は調査員またはオンラインにより毎月調査を実施しております。
 都における提出率、すなわち回収率は、平成二十九年度平均で七二・三%となっております。
 第一種事業所については、未提出の事業所に対し定期的に督促状を送るとともに、適宜電話による督促を行っております。
 また、第二種事業所については、調査員が訪問、電話、手紙等の方法により督促し、調査への理解を求め、回答を得られるよう努めております。さらに、必要に応じて職員も電話による督促に努めているところでございます。

○藤井委員 先日、決算の特別委員会で国勢調査について質疑した際も、東京都の回収率というのが低いというご答弁があったかと思います。そして、その一方で、統計調査員の確保というのが今非常に難しい状況で、高齢化やコロナ禍で難しくなっているという状況であります。
 毎月勤労統計に関しても、都はなかなか回収率が全国の平均よりも低いという状況でありまして、やはり構造的な東京の抱える課題というのもあるのではないかなと思っております。人や会社が集中しているというところでありまして、そういった点も踏まえて、改善に向けて、国も巻き込んで主体的に、ぜひ取り組んでいただきたいなと思います。
 先ほども申し上げましたが、データ、統計の重要性というのは非常に今上がってきておりまして、民間企業でも、統計の専門家、経済学者であったりとか、データエンジニアみたいなところのニーズというのは非常に高まっております。
 今後、やはり都の事業を効率的に実行していくという観点でも、非常に統計の専門の視点というのは重要であると思いますので、統計部の皆様に期待をするところであるというところと、やはり政策の実行や効果測定等を行うに当たっては専門家がぜひ必要だと思いますので、人事部を所管します総務局の皆様には、統計の専門家の採用についてもちょっと研究をしていただきたいなと思うところであります。
 以上で私の質疑を終えさせていただきます。

○小松委員 それでは初めに、国際競争力強化プロジェクトについて伺いたいと思います。
 都の職員の方がみずから海外に赴き、世界の潮流をつかみ、それを政策立案につなげるために、五百人の職員を海外に派遣する国際競争力強化プロジェクトは、昨年度より新たな研修メニューとして立ち上がったものであります。これは、東京を世界で一番の都市にするために必要な投資の一つだというふうに認識をしております。
 ただ、投資をする以上、着実に成果を出していくということが、都民の納得を得る上で重要であると考えますが、本プロジェクトの実績、そして都政にどのように生かしていくのか、また、都民への公表の状況について伺いたいと思います。

○山口人事部長 昨年度の国際競争力強化プロジェクトにおきましては、総渡航件数百三十三件、三十二の国、地域に四百七十四名の職員が渡航いたしました。
 これらの渡航ですが、昨年十二月に公表された未来の東京戦略ビジョンの各戦略に関連するものが百三件ございまして、研修の成果が各局におけます事業化に向けた検討に活用されております。
 また、全ての案件について報告書をまとめまして、ことしの五月にホームページで公開いたしました。

○小松委員 ホームページ全てを拝読したわけではありませんが、ただいまのご答弁も含めて、着実に対応されているということが確認されました。
 しかし、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響によって海外への渡航が難しいと、そうした状況が続いています。
 その一方で、コロナ禍の中で世界の変化のスピードというのは大きく加速している状況にありますし、やはり、コロナ対策のことも含めて世界各都市の先進事例等もしっかり把握をして、スピーディーに都政に生かしていただきたいなという期待もあるわけであります。
 このようなときにこそ、海外の先進的な取り組みや知見を積極的に取り入れる必要があると考えますが、見解を伺います。

○山口人事部長 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が広がる中、職員が海外に渡航することは原則としてできない状況となっております。しかし、職員の国際感覚の醸成と都庁組織の一層の国際競争力向上という本事業の目的は、引き続き重要性が高いものと認識しております。
 今後、海外渡航という従前の実施方法のほか、オンライン形式の活用など新たな方法も含めまして、職員の育成に資する実施方法を柔軟に検討してまいります。

○小松委員 ありがとうございます。報告書等を読みますと、やはり現場をよく知る職員の方が探されるテーマで、さすがだなというふうに期待もしておりますので、引き続き、都民の方から評価をされる事業に育てていただければというふうに思います。
 続きまして、まさにデジタルのところの人材について、総務局さんの方にも幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 デジタル分野においては、国におけるデジタル庁の創設の動きもあり、官民を問わず人材の獲得競争が激化している状況にあります。こうした中、都においても都政のDX、デジタルトランスフォーメーションを強力に推進していくためには、デジタル人材の確保が急務であるということは、再三確認がされているところであります。
 そこで、デジタル人材の確保について何点か伺いたいわけですが、優秀なデジタル人材を確保するために、現在どのように取り組んでいるのか、取り組みについて改めて確認したいと思います。

○山口人事部長 都におきましては、高度な専門性と豊富な経験を有するICT人材を管理職として任期を定めて採用しておりまして、現在十九名が活躍しているとともに、追加採用に向けて選考手続を行っているところでございます。
 また、昨年度、ICT人材に関する職種を新設いたしまして、今年度より、大学卒業生程度のI類B採用試験、経験者を対象とするキャリア活用採用選考におきまして、採用選考を実施いたしました。
 多面的な採用戦略を展開し、有為なICT人材の確保に努めてまいります。

○小松委員 専門人材の任期つき採用の活用のほか、ICT職を新設し、新卒を含めた大卒程度と民間経験者を対象としたキャリア活用という採用の間口を複数設けているということがわかりました。
 これ、戦略さんの方にもいいましたけど、やっぱりデジタルの中で、東京都政のデジタルというものの全体の枠組みを捉まえながら、どういうような人材が必要なのか、いつまでに何名ぐらい必要なのか、こうしたことの計画を、ぜひしっかりと連携をとりながら、早急にプランを立てていただきたいなと期待するものであります。
 新卒採用を行い育成をしていくという方法と、即戦力として経験者を採用していくということと、両方あるわけですが、どちらに重点を置いているのか、都の見解を伺いたいと思います。

○山口人事部長 今年度の採用選考におけますICT職の採用予定者数でございますが、I類B採用試験で十名、キャリア活用採用選考で二十名でございます。
 行政のデジタル化のおくれに対応していく上で、スピーディーにデジタル施策を展開する必要がありますことから、即戦力である経験者採用の割合を大きく設定しております。
 一方で、将来を見据え、新卒者等を確保、育成していくことも重要でございます。
 さらに、これらとは別に、先ほどご答弁申し上げました高度な専門性と豊富な経験を有する人材を任期を定めて管理職として採用しております。
 それぞれをバランスよく組み合わせ、重層的な人員構成を形成することによりまして、スマート東京の実現に向けた執行体制を確立してまいります。

○小松委員 東京都のデジタル化というのがどの程度おくれているのかという評価は、さまざまあろうかと思いますが、都のご認識のとおり、やはり行政分野のデジタル化がまだおくれている部分があるとするならば、そのおくれを取り戻すために、新卒採用も経験者採用も、多様な人材をしっかりと確保していくということが必要だということは、いうまでもないと思います。
 一方、変化のスピードが著しいデジタル分野においては、人材確保の観点から、これまでの東京都の人事制度に当てはめるということだけでは、任用や給与などで難しい課題があるのではないかなというふうに考えるわけです。
 フレキシブルな制度設計が民間企業だと可能なわけですが、公務員の世界では法制度上の制約もあるわけであります。
 人材確保の観点から、法改正も含め、現行制度の見直しが必要ではないかなと考えますが、都の見解を伺います。

○山口人事部長 ICT人材の確保に向けましては、理事ご指摘のとおり、法制度などさまざまな課題が存在しております。
 そこで、先月、国に対しまして、地方公共団体におけるデジタルトランスフォーメーション推進に関して、ICT人材の確保に向けた要望を実施いたしました。
 具体的には、地方にも国の官民人事交流制度と同様の法制度を整備することや、民間水準を重視した地方公務員の給与設定を可能とすること、地方公務員法の柔軟な運用について研究を進めることを挙げております。
 引き続き、国の動向を注視しつつ、法整備等に係る要望を行ってまいります。

○小松委員 優秀なデジタル人材を確実に確保して、都政のデジタル化が飛躍的に進むということを期待したいところでありますが、民間企業はもとより国や区市町村ともこういった人材の獲得競争については採用競合するわけでありまして、各基礎自治体の首長さんや幹部職員の方からもよくいわれるのは、我々も必要だけれど、国や東京都にとっていかれてしまって、なかなか区市町村としては厳しいんじゃないかというお声も聞きます。東京都は、国と基礎自治体とのブリッジとして、東京都のデジタル人材をしっかり確保するということとあわせて、二律背反するかもしれませんけど、区市町村の人材確保をどのようにやることで、そうしたことの応援もできるのかということも、多面的に協力をしていっていただきたいなということを期待申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 デジタルで来たのでデジタルで続けたいと思いますが、公文書のデジタル化について幾つか確認したいと思います。
 文書のデジタル化は、都民の利便性向上や職員の働き方を新しい時代にシフトしていくという観点からも、重要な取り組みと考えています。しかし、現在、国においても、例えば国立国会図書館では所蔵資料のデジタル化に取り組まれていますが、現実にはなかなか進展しないといった状況もあるというふうに伺っています。
 文書のデジタル化を進めていくに当たっては、所蔵資料をデジタル化することに加え、作成段階からデジタル化を意識して取り組んでいくことも必要だと考えます。
 そこで、まず、都の文書のデジタル化の進捗について伺います。

○小平総務部長 都では、意思決定に当たり、公文書の透明性、公平性を確保するとともに、業務の効率化を図るため、電子決定を推進しております。
 令和元年度末の電子決定率は、目標の六〇%に対し六五%の実績であり、今年度末には八〇%、来年度末には原則一〇〇%とすることを目標としております。
 また、公文書館では、利用者サービス向上等の観点から、都民の利用頻度の高い文書や原本による閲覧が困難な資料を中心に、所蔵資料のデジタル化に取り組んでおります。これまで、国指定重要文化財の東京府、東京市文書については全てデジタル化しており、このほか、江戸明治期の史料、絵図等についてもデジタル化を進めております。

○小松委員 都の公文書館、以前は二子玉川にありましたけど、令和二年の四月に多摩の方に移転されて、新たにデジタルアーカイブの提供を開始したというふうに伺っています。
 このデジタルアーカイブのメリットや今後の取り組みについて確認します。

○小平総務部長 公文書館では、令和二年四月一日から、所蔵資料の画像データをインターネット上で提供するデジタルアーカイブのサービスを開始いたしました。
 デジタルアーカイブでは、公文書館が所蔵する貴重な資料の画像等を自宅のパソコンなどで、いつでもどこでも閲覧が可能となっております。大型の絵図、地図などは高精細画像を提供しており、拡大しても鮮明な画像が閲覧できるとともに、画像の保存や印刷を行うことも可能となっております。
 今後も、デジタル化した資料につきまして、順次、デジタルアーカイブに掲載することにより、サービス内容を拡充させ、都民の利便性向上や情報発信の強化に取り組んでまいります。

○小松委員 私、まだ見れていないんですけど、大変、現物では見れないようなことも、デジタル化で拡大して見る楽しみもあるというふうに伺っておりますので、期待して拝見していきたいなというふうに思います。
 あと二点ほど大きな質問をさせていただきますが、先日、大阪都構想で大変盛り上がりを見せたわけでありますけど、東京都も都区制度については、長年にわたって大変重要課題としているわけであります。
 都区制度の大きな課題は、将来のあるべき姿についての議論が近年行われていないということにもあろうかと思います。平成十八年に設置された都区のあり方検討委員会は、平成二十三年十二月にストップしたまま再開をされておりません。
 そこで、改めて確認しますが、どのような理由でこのあり方検討委員会がストップしているのか、また、九年間にわたりストップしたままのこの検討委員会をどのようにされるのか、都の考えを伺いたいと思います。

○米今都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務 都区のあり方検討委員会におきましては、都区間で、都区の事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度について、セットで検討することになっております。
 都区の事務配分につきましては、大都市の一体性を確保しつつ、住民サービスをより充実させていく観点から、四百四十四の事務事業につきまして、今後の役割分担の整理がなされました。
 しかしながら、特別区の区域のあり方について、都と特別区の意見に大きな隔たりがあったことから、特別区の区域のあり方と税財政制度については具体的な議論が行われるに至らず、平成二十三年十二月以降、議論を中断しております。現時点においても検討の前提が整っておりませんで、すぐに再開することは難しい状況でございます。
 こうした中、現在の都区制度のもと、今後とも都と特別区がそれぞれの役割を果たしつつ、ともに力を合わせながら東京の発展に向けて取り組んでいくことが重要だと考えております。

○小松委員 東京では都と区の検討というのがストップしている間に、大阪では大阪都構想の住民投票という、地域の将来を問う大きな動きが二回にわたってあったわけであります。
 住民投票の結果は、前回に続き僅差で否決となりましたが、あの都構想の肝は、大阪市を廃止し、二十四の行政区を、人口や面積、財政状況なども考慮した四つの特別区に再編するところにあったと考えます。
 都の検討委員会は、この区域のあり方で議論がストップしておりますが、そもそも特別地方公共団体である特別区の合併、再編について、法的根拠がどのようになっているのか確認します。

○小笠原行政部長 普通地方公共団体の廃置分合または境界変更については、地方自治法第七条に規定されておりますが、特別地方公共団体である特別区においては当該規定は適用されず、同法第二百八十一条の四の各項で規定されております。
 具体的には、第一項で、市町村の廃置分合または境界変更を伴わない特別区の廃置分合または境界変更について、第三項で、都と道府県との境界にわたる特別区の境界変更について、第八項で、都内市町村の全部または一部の区域による特別区の設置について、第十項で、都内の市町村の廃置分合または境界変更を伴う特別区の境界変更で市町村の設置を伴わないものについてといった、四つの類型が規定されております。

○小松委員 特別区の廃置分合は、一般の市町村とは異なる特別な規定によるとのことでありますが、昭和二十二年に板橋区から練馬区が分離して以来、長らく実例がないため、法的にどのような廃置分合が可能で、どのようなことが不可能なのか、改めて具体的に例を伺いたいと思います。

○小笠原行政部長 先ほど申し上げた法的根拠によりまして、特別区の廃置分合または境界変更については、次の四つの類型に制限されているところでございます。
 一つ目は、現行の特別区の区域内で、区の合併や分割を行うものでございます。
 二つ目は、特別区と隣接する県に属する市の全部または一部を、既存の特別区に編入するものでございます。
 三つ目は、都内において特別区に隣接する市の全部または一部の区域をもって、新しい区を設置するものでございます。
 四つ目は、特別区と隣接する都内の市の全部または一部を、既存の特別区に編入するものでございます。
 以上のとおり、特別区の廃置分合または境界変更は、一般の市町村とは異なり、地方自治法上、特別区の区域を拡大することはできますが、その区域を縮小することは許容されておりません。

○小松委員 私は世田谷で生まれ育って、世田谷しかよくわからないんですが、世田谷でも大分以前から、市になりたい、独立したい、そんな声があったわけですけど、ただいまの小笠原部長のご答弁を確認しますと、具体的な地名は出てこなかったですけど、例えば世田谷が市になるということがNG、地方自治法上難しいということがわかったので、こういったことも含めて、区議会で真面目に議論されているケースもありまして、しっかりと区議会の方にも理解を深めていきたいなというふうに思っております。区議の方、また区の職員の方と都区制度の話をすると、本当に前提条件としてかみ合わないケースが間々ありますので、引き続き、検討委員会とはまた別の形で、さまざま、しっかりと歩み寄る努力を深めていただければありがたいなと思います。
 最後に、富士山の噴火、火山対策について確認をさせていただきたいと思います。
 ことしの三月に中央防災会議の方が開かれた中で、富士山の噴火のことについても言及がありました。
 富士山は三百年ぐらい噴火していないわけですけど、万が一、富士山が噴火した場合、都内にも多くの降灰があって、それによる影響が出てくるというふうにいわれているわけでありますが、どのような影響があるのか伺いたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 国の中央防災会議に設置されたワーキンググループが本年四月に公表した報告では、富士山の降灰により社会的な影響が大きい交通、ライフライン、建物等への具体的な影響を示しております。
 それによりますと、降灰によって、鉄道の運行停止、停電や通信障害、上水道の原水の水質悪化、下水管路の閉塞、住民の健康被害などが発生し、社会経済活動に長期間影響を及ぼす可能性が高いとしております。

○小松委員 今のご答弁で確認できましたけれども、大変、都民生活において多大なる影響がさまざまな方面で出てくることが確認をされたわけであります。
 そこで伺いますが、こうした想定される被害をいかに軽減させて、迅速な復旧に移れるのか等といった準備も必要だと考えますけれども、都は、今のところどのような検討をされているのか伺います。

○古賀防災計画担当部長 都はこれまで、地域防災計画火山編に富士山降灰対策の項目を設けまして、区市町村や道路管理者、ライフライン事業者等の役割を明確にするとともに、国に対して、火山灰の処理方法等の指針策定や降灰による影響への具体的な対策の検討を求めてまいりました。
 現在、国では、ワーキンググループによる報告をもとに、関係省庁で構成する検討会を立ち上げ、各省庁や関係機関の具体的な対策について検討を行っていると聞いております。
 都といたしましては、今後、国が示す降灰対策の方針を踏まえまして、必要な対策について検討してまいります。

○小松委員 国の方からの報告を受けてというふうなお話もありました。実際、そうやって連携していかなきゃいけない部分もあろうかと思います。
 ただ、東京都の地域防災計画の火山編には、聞くところによると、前回のですか、平成二十一年ないし二十二年の計画の段階から、富士山降灰の対策についての項目も設けられているというふうに伺っておりまして、やはり都で準備できることについてはしっかりとさまざまな検討は行っていただいて、この五年、十年というのは、これまでなかなかないだろうといわれていた災害が大きな形で出てきておりますので、こうしたことも取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私からの質問を終わります。

○まつば委員 まず初めに、復興支援について質問をいたします。
 東日本大震災から来年三月で十年を迎えます。震災から十年を前にいたしまして、被災地に思いをはせ、多くの苦難を乗り越えて復興に取り組んでこられた日々を振り返ってみたいと思っております。
 被災地の復興は、まずは被災地の皆様のご努力、そしてさまざまな分野で復興を支援してこられた方々の努力のたまものであると思っております。まさにたくさんの方々の尽力があってこそ、被災地の復興の歩みはあったと思っております。
 人の力という意味では、東京都では、発災直後から被災地に現地事務所を設置されまして、また、都職員を被災地に派遣をし、復興を支援してこられました。
 そこで、東日本大震災の被災地への人的な支援の取り組みについて、幾つか質問をさせていただきます。
 まず、東日本大震災の被災地への現地事務所の設置の経緯とこれまでの活動状況についてお伺いいたします。

○藤原復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務 都は、迅速かつ効果的な支援活動を行うため、発災直後の平成二十三年三月に、岩手、宮城、福島の三県に現地事務所を設置し、都職員が現地に常駐して支援を行う体制を構築いたしました。現地事務所では、被災地から情報収集を行うことにより、支援ニーズを的確に把握し、本庁と調整を行いながら、物資の搬送や職員の派遣など、具体的な支援の実施につなげてまいりました。
 復興の進展に伴い、岩手及び宮城の両事務所機能を本庁に統合し、現在は、福島県事務所と本庁が連携をして、県からの情報収集や派遣職員のサポート等の業務を行っております。

○まつば委員 いち早く三県に現地事務所を設置されまして、被災地と都庁を結ぶパイプ役の機能を果たしてきたということであります。
 当時は国を経由して都道府県にさまざまな支援の依頼が来るという状況だったと思いますけれども、そうしたことでは時間がかかるということから、現地においてすぐに要望をキャッチしていただいて、東京都が支援をする、こういう形ができたのだと思っております。
 私も何度も現地を訪れておりまして、特に福島県の事務所にもお伺いをさせていただいてまいりました。派遣職員の方々が懸命にお仕事をされていらっしゃる姿というのが、今も目に焼きついているわけであります。
 この現地事務所と並びまして被災地の復興支援に重要な役割を果たしてこられたのが、被災地に派遣された都の職員であります。発災直後からこれまで、被災地の復旧、復興を支援するために、多くの都職員が被災地に派遣されてきました。現在も被災地では、志のある都の職員が復興に向けて力を尽くしていると思っております。
 そこで、現在の被災地への都職員の派遣の状況についてお伺いをいたします。

○藤原復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務 今年度でございますが、東日本大震災の復興支援のために、岩手県に十三名、宮城県に十四名、石巻市に四名、福島県に十七名の計四十八名の職員を派遣しており、道路、河川、港湾施設の復旧、市町村が実施する水道、下水道施設の復旧や区画整理事業の支援のほか、被災者支援や産業の復興、雇用の支援など、幅広い復興業務に従事しております。

○まつば委員 今もなお四十八名の職員を派遣されているということでありまして、発災直後から現在に至るまで、被災自治体のニーズを踏まえて職員派遣を継続してきたということが、改めて確認できたところであります。
 東京都におきましても、さまざまな、東日本台風での被害があったり、また今はコロナ対策ということもありまして、決してマンパワーに余裕があったというわけではないと思いますけれども、十年という長きにわたって人的な支援を続けてきたということは、大変これは評価ができることであると思っておりますし、心から敬意を表させていただきます。
 また、一方ですけれども、職員派遣というのは、派遣をしている側の都にとっても、職員の方々がさまざまな分野で災害復興の業務を経験することができる、大事な経験も積めたということであるのではないかと思っております。
 都職員の方々が派遣先での業務経験を通じて得た知識や教訓、これは、今後の都の災害対策などに生かしていくべきであると考えるわけですが、見解を伺いたいと思います。

○藤原復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務 東日本大震災において、発災直後の混乱期における応急的な支援から被災者支援、インフラ整備や産業復興など、被災地の復興の進捗に応じて、多くの都職員が幅広い分野で被災地の復旧、復興にかかわってまいりました。
 被災地の経験は大変貴重なものであり、都では毎年度、派遣職員が担当した業務や派遣先との交流などの経験を活動報告として記録に残し、庁内でも共有しております。
 今後とも、都の災害対策等に活用できるよう、派遣職員の経験や業務を通じて得た知識、教訓などの継承に努めてまいります。

○まつば委員 今、ご答弁でさまざま確認をさせていただきました。そうしたご経験というものをぜひ都の災害対策にしっかり生かしていただきたいというふうに思っております。
 今後の支援についてお伺いしたいと思いますが、先ほどのご答弁でも、四十八名という職員の方が被災地に派遣をされているということでありました。
 そこで、東日本大震災の被災地への職員派遣について、今後、都としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたしたいと思います。

○藤原復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務 この十年間で被災地の復興は大きく前進をいたしましたが、なお復興の途上であり、依然として応援職員を必要としていると認識をしております。
 発災後十年が経過をしております。かつ、近年、全国各地で台風や豪雨等の大規模災害が頻発しており、応援職員の確保が懸念される中、東日本大震災の被災県からは、職員派遣の継続に関して強い要望をいただいているところでございます。
 都といたしましては、被災県の具体的なニーズをお聞きしながら、関係部局とも調整をし、できる限り要望に応えられるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

○まつば委員 今ご答弁で、東日本大震災の被災県からは職員派遣の継続に関して強い要望があると、こういうご答弁でした。こうしたご要望があるのであれば、今後も都として支援を継続していくべきではないかと私は思っております。ぜひ、引き続き被災地の声をよく聞いていただいて、支援に取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、防災対策について質問をさせていただきます。
 まず最初に、女性視点の防災対策について質問いたします。
 東日本大震災の際には、避難所で、衛生用品がなかったり、また、女性用のスペースが確保されず授乳や着がえができなかったり、また、女性だからという理由で食事の用意や片づけを割り振られて、朝五時から夜十時まで調理室から出られずに、子供や両親の面倒を見ることができないなどの問題も生じたというふうに聞いております。
 そうしたような状況もあり、女性の視点に立った具体的な防災対策というのをしっかり進めるべきではないかということを、私もずっと提案をさせていただいてきたところであります。
 そこで、この間、具体的に女性視点を取り入れた防災対策、どのようなことを進めてきたのかということを、まず確認をさせていただきたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 防災会議の委員の定数につきましては……
   〔まつば委員「委員長、済みません。ちょっとご答弁が違いますので。」と呼ぶ〕

○まつば委員 今私が申し上げたのは、女性の視点を取り入れた防災対策の取り組みについてです。多分ご答弁が防災対策担当部長ではないかと思われるんですが。

○神林委員長 それでは、榎園防災対策担当部長でよろしいですか、まつば委員。

○まつば委員 はい、お願いします。失礼いたしました。

○神林委員長 それではお願いいたします。

○榎園防災対策担当部長 過去の災害では、避難所運営等に女性の声が反映されにくく、着がえや授乳など、さまざまな場面で女性の視点への配慮が十分になされていない状況がございました。
 災害時にも女性のさまざまなニーズが反映されるためには、女性の視点を防災活動に反映できる女性防災リーダーの存在が必要不可欠と考えてございます。
 このため、都では、平成二十九年度から防災ウーマンセミナー、翌三十年度から防災コーディネーター研修を実施し、女性人材の育成に取り組んでまいりました。
 令和元年度には、新型コロナウイルスの流行により事業の中止を余儀なくされましたが、これまで合計で八百七十二人の女性人材を育成してまいりました。
 今年度は、オンラインの活用のほか、コロナ禍における避難所運営など、内容の充実も図りながら、より多くの女性人材の育成に向け、事業を推進してまいります。

○まつば委員 今ご答弁いただきました。八百七十二人の女性人材が育成をされたということでありましたけれど、防災コーディネーター研修の修了者に対するステップアップ講座も、ことしはコロナの影響で開けなかったと聞いております。あわせて、オンラインの活用なども含めて進めていただきたいと思います。
 最初に、ちょっと済みません、女性視点の防災対策から質問させていただいておりますので、よろしくお願いします。
 二〇一六年に、女性視点の防災ブックを作成していただいて、東京都として普及啓発をしていただきたい、こういう提案を小池知事にさせていただきました。それを受けまして、「東京くらし防災」が作成されたわけでございますけれども、この「東京くらし防災」の活用状況についてお伺いをいたします。

○猪口総合防災部長 都は、女性の視点を生かしまして、一層きめ細やかな災害への備えを促進するため、平成三十年三月に「東京くらし防災」を作成いたしました。
 これまで約百九十万部を配布するとともに、パパママ東京ぼうさい出前教室や、防災活動の核となる女性人材を育成するためのセミナー等でも有効に活用しているところでございます。
 さらに、東京都防災アプリへのコンテンツ搭載や電子書店における電子版の無料配布も行っております。
 今後とも、さまざまな場面で活用を進めることで、「東京くらし防災」の一層の活用を図り、都民の防災意識の向上に努めてまいります。

○まつば委員 さまざま活用していただいているということでありますけれども、改定もしていただいているかというふうに思います。
 液体ミルク等の表記につきまして、当初、日本においてまだ発売がされていなかったという中で、普及啓発といったページであったわけですけれども、その後、厚労省が規格基準を定めて国内販売が開始されるといったこともあって、改定もされたということであると思います。そういった意味では、当然ながら、今後も内容が改定をされるということも必要な場面も出てくるかというふうに思います。
 今、東京防災のアプリの方にも展開をしていただいていますので、まずはそうしたところから、改定が必要だということについては改定をしていただいて、普及をしていただく、こういうことも大事ではないかなと思っておりまして、きょうは質問いたしませんけれども、ぜひご確認をしていただきたいというふうに思います。
 もう一方、やはり大事なのが、防災対策における意思決定機関に女性が参画をするということが大変重要であるというふうに思ってまいりました。そうしたことから東京都防災会議委員の構成について強い関心を持ちまして、議会でも提案をしてきたわけであります。
 そこで、この防災会議の構成員について定めています東京都防災会議条例について、これまで平成二十五年と平成三十一年に改正を行っているわけでありますけれども、まず、この主な改正内容についてお伺いをいたします。

○古賀防災計画担当部長 まず、平成二十五年の改正は、災害対策基本法の改正に伴いまして、防災会議の委員に自主防災組織を構成する者または学識経験者の任命が可能となったことを受けまして、委員数の上限を引き上げたものでございます。
 また、平成三十一年の改正は、地域住民の連携や要配慮者への健康管理等の課題に的確に対応するべく、こうした課題への知見を有する自主防災組織等の構成員を新たに二名加えまして、知事が指名または任命する委員数の上限を五十四人に引き上げたものでございます。
 なお、東京都防災会議の委員でございますけれども、副知事、局長である都の職員や、区市町村長など、先ほど申し上げました知事が指名または任命する委員五十四名のほかに、国の行政機関の長や警視総監など、災害対策基本法の規定に基づいて選任される十九名と合わせまして、全体七十三名で構成されてございます。

○まつば委員 まず、平成二十五年の段階でですけれども、特に知事が指名、任命する委員、当時たしか四十五名だったと思いますが、そこに一人も女性がいない、ゼロ人ということでありまして、その他国の機関が、指定地方行政機関の中で充て職でお一人女性はいらっしゃいましたが、そういう状況であったという中でした。
 都道府県の防災会議については、災害対策基本法による委員構成になっておりましたので、全国の公明党の女性議員及び国会議員と連携しながら進めてまいりまして、災害対策基本法が改正をされ、そしてそれに合わせて私も提案させていただいて、東京都において市民防災組織や学識経験者の枠をつくっていただいたということだったと思います。
 また、その後やはりそれでも人数が少ないということもあって、さらにそこの枠の人数をふやしていただいたということが、この間の流れであったというふうに思っています。
 こういう中でなんですけれども、現在の東京都防災会議の女性委員の任用の状況についてお伺いをいたします。

○古賀防災計画担当部長 先ほどご答弁いたしました東京都防災会議の委員七十三名のうち、女性委員は七名でございまして、その割合は九・六%でございます。このうち、これまでの条例改正で任命が可能となりました自主防災組織の構成員や学識経験者の方々につきましては、四名全てが女性委員でございます。

○まつば委員 今ご答弁をいただきました。
 そこで、ちょっと申し上げておきたいことがあります。この東京都防災会議の委員の名簿というのが、総務局の総合防災部のホームページからダウンロードができるわけでありますけれども、更新が遅いのではないかというふうに感じております。そこの対応についてはどのようにされているのでしょうか。

○古賀防災計画担当部長 ただいまの委員からのご指摘を踏まえまして−−ホームページが最新のものでなく、大変、本当に失礼をいたしました。本日午前中にはホームページの情報を更新いたしました。
 東京都のホームページは、都民が必要とする最新の情報を速やかに提供できる重要な役割を担っておりまして、常に正確かつ最新の内容を保持しておく必要がございます。
 改めて、防災ホームページにつきまして、更新漏れやリンク切れがないか点検を実施するとともに、今後こうした事態がないよう、ホームページの内容は適切に更新いたしまして、都民の皆様に広く情報発信を進めることで、都民サービスの向上につなげてまいります。

○まつば委員 今ご答弁、丁寧にいただきました。
 コロナ対策ということもありまして、総務局の皆様におかれては大変業務もふえて、大変だということは理解をしているところです。ただ、都民の皆様に最新情報、これはやっぱりしっかりと提供していくということは大事なことですので、今ご答弁いただきましたが、しっかり取り組んでいただきたいということを改めて申し上げておきます。
 この防災会議の委員なんですけれども、例えばなんですが、私がホームページから手元に出した委員名簿、令和元年の九月二十日現在と令和二年の十月十六日現在、一年なんですけれど、この一年の間に、七十三名の委員のうち三十八名がかわっていらっしゃいます。名前で、私、見させていただきました。
 やはり都の職員、局長を初めとしたところも、二十六名中十三名かわっていらっしゃいますし、指定地方行政機関も十六名中十二名かわっていらっしゃいますし、指定公共機関、指定地方公共機関も十九名中十一名かわっていらっしゃるなど、一年間で大変変化があるということでありまして、これはこれで、その機関の代表者ということであるので、こういうことがあるのだろうなということは思っていますが、その中にあって、今ご答弁いただいた市民防災組織や学識経験者の枠の四名という方は、継続してついていらっしゃると。こういう方々も非常に大事ではないかなということを改めて思ったところであります。
 そういった意味では、東京都防災会議の委員として四名の女性の方、学識経験者、市民防災組織の方々、いらっしゃる。これは大変意味のあることであるというふうに思っております。
 地域防災計画の改定に際して、女性や要配慮者など多様な視点が反映されることが大事だと、こう思っておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 地域防災計画の改定に当たりましては、災害対策基本法に基づきまして、東京都防災会議において審議、決定されることになってございます。(「声がちっちゃくて聞こえないよ」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。(「もっと大きい声で」と呼ぶ者あり)はい。
 審議に当たりましては、防災会議の下部組織でございます防災会議幹事会においてまとめた計画の改定素案をもとに、各分野の専門的な知見からご意見をいただいた上で、防災会議において決定することとなってございます。
 この防災会議の委員には、国や都、区市町村など関係機関のほか、防災分野における女性や要配慮者の視点に関する知見を有する学識経験者や、自主防災組織の構成員の方にも就任していただいておりまして、これまでも「東京くらし防災」や女性防災人材の育成カリキュラムの策定など、さまざまな機会においてご助言、ご協力をいただいてございます。
 引き続き、こうした取り組みを通じまして、防災対策に多様な視点を反映できるよう取り組んでまいります。

○まつば委員 しっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。
 それで、「東京くらし防災」など、普及啓発、さまざまやっていただいているんですけれど、今回、東京都防災模試というのが、十一月二十二日だと思いますが開始されたと思います。防災アプリのプッシュ配信で私も知ったのですけれども、この防災模試、私もそれでさせていただきました。二十五問だと思いますけれど、もう一回振り返るといった意味でも非常に大事だなというふうに思いながら、私もこの模試を受けさせていただきました。
 そういった意味から、ぜひこの防災模試については、より多くの方に受験していただきたいな、受験というか、取り組んでいただきたいなと思うわけですけれども、その取り組みについてお伺いをいたします。

○猪口総合防災部長 東京都防災模試は、都民が気軽に参加でき、防災知識を学べることをコンセプトとしまして、知識の確認を通じて都民一人一人の防災力を高め、自助の取り組みを促進することを目的としております。
 この模試をより多くの都民に知ってもらうため、キックオフイベントを行うとともに、「広報東京都」での開催告知や東京都ホームページ等でのバナー表示、東京都防災アプリでのプッシュ配信、防災ツイッターでの配信等を行ってまいりました。
 さらに、東京駅等でのサイネージ表示や、東京都で約四百万人の利用を持つヤフーの防災アプリでのプッシュ配信等も行うなど、より多くの方の受験につなげてまいります。
 今後、正答率の結果を参考に普及啓発の取り組みに生かしていくなど、都民一人一人の防災意識や災害対応力のさらなる向上を図ってまいります。

○まつば委員 正答率の結果を参考にという話もありましたので、今後もさらに取り組んでいただきたいというふうに思います。
 最後に、新型コロナウイルス感染症対策について確認をさせていただきます。先ほど小磯副委員長からもお話ありましたので、私は一点です。
 我が会派ではかねてより、コロナ禍における防災対策といたしまして、避難所での感染防止対策のガイドラインを作成するほか、ホテル等も新たな避難先として活用すべきではないか、そのようなことを主張してまいりました。
 そこで、コロナ禍における避難所運営に関する区市町村への支援の実施状況についてお伺いをいたします。

○古賀防災計画担当部長 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、より多くの避難先を確保するため、都は今年度、ホテルや商業施設等の業界団体と避難先の提供に関する包括協定を締結いたしました。
 また、本年六月には、感染症対策に配慮した避難所のレイアウトや、感染防止対策に必要な物資等を例示した避難所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを福祉保健局と連携して作成をいたしまして、区市町村に周知したところでございます。
 区市町村は現在、こうした都の取り組み等を踏まえまして、避難所の段ボールベッドやパーティション等の物資の配備等や避難先の確保を進めておりまして、現時点で把握しているところでは、これまでの間、十の自治体がホテルや商業施設等と新たな協定を締結したところでございます。
 今後とも、災害時における避難所の感染防止対策に取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。

○まつば委員 区市町村の取り組みに対する支援をしっかりと進めていただきたいと思います。
 きょうは、復興支援ということと、また防災対策ということで質問させていただきました。本当にこの防災対策につきましても、都民の皆様の安全・安心のためには非常に重要なことでございます。そうした意味では、私もまた次回も質問させていただきたいと思っておりますけれども、ぜひ総務局におかれては、真摯な取り組みを今後も進めていただくようにお願いいたしまして、質問を終わります。

○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後六時二十三分休憩

   午後六時四十五分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 それでは、質問させていただきます。
 最初に、都庁における障害者雇用についてです。
 先日、人事委員会の質疑でも述べましたが、ことしも知的障害の方は、障害者のⅢ類採用選考で合格者がいませんでした。試験を受けられるようにしたものの合格できない、このことについてどう受けとめて対応していくのか、都に求められていると思っています。
 人事委員会の質疑でも紹介しましたが、知的障害のある三十八歳の女性のお父さんが知事に宛てて書いた手紙について、きょうの質疑でも触れたいと思います。
 愛の手帳四度のこの女性は、ある企業の社員食堂の食器洗浄の職を解雇されました。コロナのもとで会社自体がテレワーク中心になって、仕事がなくなったということでした。今度は安定した職場につこうと思って、東京都が障害者雇用をしていることを知って、Ⅲ類採用選考を受けてみようと思った。けれども、内容が高度でとても受けられない。試験を受けること自体が大変な苦痛になってしまうと断念したそうです。試験を受けられるようにはしたが、合法的に知的障害者を排除する問題で、差別をしている、このような問題を出し続けるのかという抗議の内容の手紙でした。
 こうした訴えは総務局でも共有をしているのかどうか、どう受けとめているか伺います。

○山口人事部長 委員ご指摘のお手紙につきましては、人事委員会事務局からも共有をされておりまして、障害者Ⅲ類選考におきまして、平成二十九年度選考から、身体障害者に加え、精神障害者、知的障害者に対象を拡大して以降、知的障害者の合格が出ていない状況は、承知しております。
 一方、障害者Ⅲ類選考の対象拡大に合わせまして、知的障害者の障害特性に適した職務の内容や勤務条件を検証していく取り組みとしまして、知的障害者を対象とした非常勤職員でありますオフィスサポーターの雇用を開始いたしました。
 都における知的障害者の雇用促進に向けまして、引き続き、必要な検証と改善を積み重ねてまいります。

○原委員 これまでも提案をしてきましたけれども、障害者の特性に応じた正規職員の採用を進めていくということが求められていると思います。知的障害者については検討をしていますか。

○山口人事部長 これまでの取り組みを踏まえまして、一定の勤務実績のあるオフィスサポーターを対象に、非常勤職員としての勤務実績を考慮した上で、常勤職員へステップアップすることを可能とする新たな雇用の枠組みの創設に向けまして、検討を進めております。

○原委員 非常勤職員からのステップアップの道を開いたことは重要ですけれども、どうやったら正規職員になれるのか、改めて採用手続について伺います。

○山口人事部長 新たな雇用の枠組みにつきましては現在検討中でございますが、採用手続としましては、地方公務員法に定める成績主義に基づき、フルタイム勤務が可能かなどの能力実証を経て採用選考に合格した場合に、常勤職員として任用する予定でございます。

○原委員 今のご答弁で成績主義という言葉が出てきましたけれども、Ⅲ類選考試験では高校卒業程度というふうになっていますけれども、それと同じ基準ということではないと思いますが、確認をしたいと思います。

○山口人事部長 障害者Ⅲ類選考につきましては、第一次選考として教養試験及び作文、第二次選考として口述試験を行っておりまして、第一次選考の教養試験及び作文の問題の程度は高等学校卒業程度となっております。
 一方、今回検討しております新たな雇用の枠組みでございますが、知的障害者を対象としたオフィスサポーターのうち一定の勤務実績のある者について、その勤務実績を考慮した上で、常勤職員として採用することが可能か選考を行うものでございます。
 採用後に従事する職務につきましては、障害者Ⅲ類選考による採用者につきましては一般行政事務であるのに対しまして、新たな雇用の枠組みにより採用される常勤職員は事務等の補助の業務を検討しておりますことから、職務内容に応じた能力実証を行うものでございます。

○原委員 職務内容に応じたということで、わかりました。Ⅲ類選考試験とはその点で基準は違うということです。
 やはり一人一人の特性に応じた試験のあり方、採用の仕方というのが本当に求められていると思いますので、ぜひ十分検討していただいて、進めていただきたいと要望しておきたいと思います。
 また、視覚障害者の方からも毎年、資格や特性を生かせる就労の場をつくってほしいということが要請をされています。団体の要請でも毎年、東京都としても宿題になっているけれども進展がないと指摘をされています。
 資格や特性を生かせる、そういう就労の場をつくることについて検討はされているんでしょうか。

○山口人事部長 都におきましては、障害者Ⅲ類選考のほか、Ⅰ類B採用試験の福祉Cの区分がございまして、点字による出題に対応できる方を受験資格としておりまして、実際に採用の実績もございます。
 今後も、障害者の方々がその種別によらず、能力や適性に応じて働くことができるよう努めてまいります。

○原委員 視覚障害者の方が毎年要望しているというのにはやっぱり理由があって、例えば、あんま、はり、きゅう師の方が以前は都立病院、特養ホームなどで活躍されてきているけれども、そういう場がどんどんなくなっていると。民間のホームなどでも視覚障害のマッサージ師の方が活躍されてきているんですけれども、都が加算をしていたわけですけれど、その方が退職をされたらもうその次はないということで、特養ホームなどでも本当に、視覚障害のマッサージ師の方が一生懸命やってくれてうれしいけれども、その方がやめられた後は、もうそういう支援が東京都からないから非常に残念だということもいわれています。
 そういう本当に持っている資格や技術を生かせる場をつくりながら、障害者雇用を拡大してほしいということを改めて強く求めておきたいと思います。
 そして、やっぱりこれを考えていく上で大事だと思うのは、合理的配慮の考え方だと思います。
 改めて、障害者差別解消法、また東京都の条例で位置づけられている合理的配慮についての認識を伺います。

○山口人事部長 障害者差別解消法や条例におけます合理的配慮とは、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に、負担が過重でないときは、当該障害者の性別、年齢、障害の状態等に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的な対応をすることをいうものでございます。

○原委員 その点に立って考えますと、先ほど紹介しました知的障害者の方のお父さんのお手紙や、また視覚障害者の皆さんの要望、これを紹介しましたけれども、まさに法と条例に基づけば、この声に応えていくということが求められている、合理的配慮として求められているということだと思います。
 また、当然のことですけれども、障害者がみずから主張しなければ配慮をしないというわけではなくて、言葉でうまく伝えられない、または不自由だと思っていてもそれが障壁だと気づかない場合でも、配慮をしていくというのは当然であって、そういう姿勢で行政は望んでいくことが大切だと指摘をしておきたいと思います。
 それで、今できることとしてぜひ検討していただきたいのが、都として障害者雇用の全体を都民に向けてわかりやすく発信をしていただきたいということなんです。各局ばらばらではなくて、ホームページのここを見れば東京都がやっている障害者雇用全体がわかる、知ることができるというページをつくるべきではないかと思いますが、検討を求めますが、いかがですか。

○山口人事部長 障害者Ⅲ類選考につきましては人事委員会、会計年度任用職員につきましては各局におきまして、個々の実情に応じて募集を行っております。
 総務局におけるオフィスサポーターの採用に当たりましては、これまで局ホームページに募集案内を掲載しますとともに、都内の就労支援機関や特別支援学校に募集案内を送付してきました。
 加えまして、既に実施した今年度の採用選考に当たりましては、職場であるオフィスサポートセンターの紹介や、採用選考の概要を総務局ホームページに掲載するとともに、採用選考の実施についてSNSを活用して周知をいたしました。
 引き続き、より多くの方に採用選考に申し込んでいただくよう周知に努めてまいります。

○原委員 今ご答弁にあったように、それぞれの部署ではそれぞれ発信をして頑張っていらっしゃると思うんですが、その情報にたどり着くのになかなか困難がある。また、全体として障害者雇用をどういうふうに東京都はやっているのかというのはわからないんですね、なかなか。そこをまさに合理的配慮として、障害者の方がここを見ればわかるという、そういう発信の仕方、これを検討していただくように、ここでは強く求めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、続いて、多摩地域への支援について伺います。
 多摩格差の是正に欠くことのできない市町村総合交付金についてです。
 今年度、五百八十億円となっています。二〇一六年度に五百億円になり、五百八十億円までふえてきました。そのうち政策連携枠は二十億円です。
 政策連携枠の保育園待機児、電気自動車、消防団、それぞれどのぐらいの自治体が活用しているのか、実績を伺います。

○小笠原行政部長 令和元年度の実績では、都内に三十九ある全ての市町村が政策連携枠を活用しております。
 項目別に見ると、待機児童解消に活用している市町村が三十七、電気自動車等の導入に活用している市町村が二十七、消防団活動の充実に活用している市町村が三十七となっております。

○原委員 それでは、その政策連携枠、三項目でやってきたわけですけれども、どのように検証していますか。

○小笠原行政部長 例えば、都内市町村の消防団の装備品について、特別区を基準とした充足率を見ますと、政策連携枠導入後の二年間で七三・九%から八五・三%まで、一一・四ポイント改善しております。
 また、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車については、この二年間で百二十台が新たに導入をされております。
 さらに、都内市町村の待機児童数については、これは他のさまざまな事業もございますが、その相乗効果により、この二年間で約七百人減少しております。
 このように、政策連携枠による効果は着実にあらわれているものと考えております。

○原委員 今ご答弁にありました、効果は着実にあらわれているということなんですけれども、ただ、政策連携枠は二十億円ですから、市町村三十九自治体で三項目で活用するとなれば、決して大きな金額とはいえない。また、ご答弁にもあったように、他のさまざまな事業との相乗効果により、一定の成果が生まれているということです。もともと、今三項目になっていますけれども、これらは三項目でずっといくと決まっているわけではなくて、検証していくというお話だったというふうに導入時点で思っています。
 それで、総合交付金の本来の目的からすれば、特定の枠を設けず、市町村の実情に応じて市町村の裁量で使えるようにすべきだと私は考えていますが、先ほど同じ質問、中村委員からもありましたので、この点は省略をしまして、一応、一点確認をしたいと思います。
 市長会の来年度の予算要望ではこういうふうに書いてあります。市町村総合交付金は、市町村の行政の向上と、また住民福祉の増進を図るために創設された交付金であり、市財政にとって重要な財政補完制度であることから、交付額の総額を増額するとともに、配分に当たっては各市の自主性、特殊性を尊重し、個別事情がより的確に反映できるよう十分協議されたいというふうに要望されているのを読みました。総額での増額と各市の自主性の尊重、これを強調されているというふうに思います。
 こうした声を踏まえて、政策連携枠のあり方の検証、必要な見直しを進めていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○小笠原行政部長 政策連携枠の導入に当たりましては、市町村と意見交換を行って、いただいた意見を反映させて使い勝手のよいものとなるよう制度設計を行っておりまして、市町村に効果的に活用されてきたものと認識しております。
 今後も、政策連携枠を含めて市町村総合交付金を有効に活用していただけるように、市町村の意見も踏まえて適切な支援に努めてまいります。

○原委員 十分意見を聞いて進めていただきたいというふうに思いますが、先ほどもいいましたけれども、政策連携枠そのもののあり方を検証していくというのは、導入時点では確認をされていることだと思います。ぜひその点も含めて検証していっていただきたいというふうに思います。
 それで、総合交付金の増額とともに求めたいのは、コロナの感染が広がる深刻な状況の中での支援の強化です。市町村の判断で市民にとって必要な対策を機敏にとれるように、都としての支援をしていくことが必要ではないかと思っています。
 ことし四月に東京都が実施をした市町村新型コロナウイルス感染症緊急対策特別交付金は、百億円のコロナ対策の交付金でしたけれども、これは非常に歓迎の声が上がったというふうに認識をしています。各市町村で独自の家賃補助や、協力金などの対象外になった事業者への支援とか、また児童育成手当の上乗せなど、都民生活や地域経済を支える取り組みに活用されていると認識をしています。
 こうした支援を、今コロナがさらに深刻になっているということから考えて、改めて実施をするということが必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○小笠原行政部長 都では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止等に取り組む市町村を支援するため、本年四月に、各市町村に対し総額百億円の特別交付金を交付いたしました。
 本交付金は、新型コロナウイルス感染症による影響が拡大し、対策に伴う財政需要が見込まれる中、市町村が地域の実情に応じたきめ細かな対策を速やかに講じられるよう、緊急対策として実施をしたものでございます。
 その後、都としては、市町村に対する支援策のさまざまなメニューの拡充を図ってまいりましたことから、今後は、こうした支援策を市町村に効果的に活用していただけるよう、適切な支援に努めてまいります。

○原委員 この特別交付金は非常に使い勝手がいいということも市町村などでお話を聞くとおっしゃっていました。
 改めて、この特別交付金の対象経費を伺いたいと思います。

○小笠原行政部長 市町村新型コロナウイルス感染症緊急対策特別交付金につきましては、新型コロナウイルス感染症対策に係る幅広い財政需要に対応可能な制度としておりますけれども、一般職員の人件費、地方債の償還、損害賠償金、寄附金など、性質上、本来市町村自身が支払うべき経費は対象外としております。
 ただし、このうち人件費については、本交付金の趣旨に鑑みて、医療関係者の増員や相談窓口の設置に伴う時間外勤務手当など、感染症対策に直接要する経費に限り、充当を認めております。

○原委員 人件費は対象外としつつも、感染症対策に直接要する経費であれば対象になるという点についても本当に重要だと改めて思っています。
 福祉などの現場の皆さんの声を聞くと、コロナ感染が広がってずっとその感染が続いている中、皆さん、感染者が出ないように本当に一生懸命頑張っていらっしゃいます。消毒すること一つとっても本当に人手が足りないということもおっしゃっていて、それが長く続いている分、より切実になっているというのが今の実態だというふうに思っています。
 今年度この交付金を使い切らない場合に、基金をつくって来年度に繰り越しもできるということですから、改めて有効に使っていただけるように、引き続き市町村に情報提供をお願いしたいというふうに思います。
 そして、先ほどのご答弁ですと、今は、コロナ対策に関する市町村の支援策の拡充を図られてきた、それを有効に使ってほしいというお話でした。もちろんそれは大事だと思います。
 ただ、これだけコロナ禍の状態が長く続いていて、さらに今感染が広がっているという本当に重大な局面になっている中で、それだけではカバーできないのではないかと私は思っています。ぜひ特別交付金の第二弾も検討してほしいとこの場で強く要望しておきたいと思います。
 それでは続いて、コロナの関連文書の保管について伺います。
 先日、米倉都議と一緒に公文書館に伺いました。丁寧に説明もしていただき、歴史的な公文書を保管し、歴史も学べる、また研究できる、そして都政を検証していく上でかけがえのない役割を持っているということを実感してきました。
 このたび、都は、コロナの関連文書の保管について、公文書管理委員会においてルールを審議し、決定をしました。新型コロナウイルス感染症対策に関する公文書の移管方針には、現在及び将来の都民に対する説明責任を果たすため、また将来の都の感染症対策の教訓として生かすため、公文書館へ確実に移管する必要があると記されていて、大変重要です。
 どのような文書を移管するのかということを質問しようと思っていましたけれども、先ほど山内委員からも詳しくご質問、ご答弁ありましたので、ここは省略をさせていただきたいというふうに思います。
 文書をどういうふうに保管していくかということで、具体的に総務委員会にかかわることで、こういうことはどうなのかなというものを、ちょっと例として示して確認をしたいと思います。
 例えば知事会見の記録、またそこで配布、掲示した資料、それからステッカーTシャツの起案、決裁にかかわる資料、警視庁との巡回の起案や決裁にかかわる資料などは、移管すべき文書というものに入るのでしょうか。

○小平総務部長 先月策定いたしました移管方針に定める目的や考え方も参考にしながら、当該公文書の所管部署におきまして、移管または廃棄の措置を決定いたします。

○原委員 そうなりますと、鍵は、各部署の職員の皆さんが公文書についての理解を深めて、適切な判断ができるかどうかということになると思います。
 どのような研修をしているのか、また、この研修を今後強化する考えはあるのか伺います。

○小平総務部長 公文書管理条例に基づき、公文書の管理を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させるための研修を文書課及び各局で実施しております。
 また、本年四月の条例改正後は、歴史公文書等の適切な保存及び移管を確保するために必要な知識及び技能を習得させるための研修を新たに実施しております。

○原委員 ぜひ研修はさらに強化をしていただきたいというふうに思いますが、同時に、必要な文書をきちんとつくるということも必要になっていると思います。
 途中経過も含めて文書を出すとなっていても、肝心の文書自体をつくっていなければ保管はできません。その必要な文書をきちんと作成するということについての徹底はどうなっていますか。

○小平総務部長 先ほどご答弁いたしました研修におきまして、条例で規定する重要な事案の決定に当たりましては、その経過等を明らかにする文書の作成が必要であることを周知徹底いたしますとともに、先月策定いたしました移管方針とあわせまして、各局等に改めて適切に事務処理を行うよう通知を行っております。

○原委員 ぜひ徹底をしていっていただきたいんですが、私はこの点で−−私たちは開示請求をかけたものがありまして、コロナのことなんですけれども、七月二十七日に開示請求をしたんですが、PCR検査についての開示請求なんですね。その検査を一日一万件とする積算根拠、検討内容及び検討経過、十月までに行うという根拠やロードマップ、効果の検討、ブリーフィング資料及び決裁文書など関連文書全て、メモ、メールも含むというふうに請求をしました。ところが、これが八月十三日に一旦延長をされて、九月二十八日に不存在、作成していないということで来たんですね。
 私は、この一日一万件のPCR検査をやるということを決めた経過も、またその決裁等も全くない、つくっていないとしたら、本当に大問題だというふうに思ったんです。今まさにその感染が広がっている中で、検査をどうやって拡充するかということが大きなテーマになっているのに、基本的な文書も出てこないという状況なんですね。
 ですので、私は今、先ほどのご答弁で、移管方針とあわせて各局に必要な文書をつくっていくということも含めて通知をしているということでしたけれども、これはもう再度徹底をしていただきたいということをこの場では強く要望しておきたいというふうに思います。
 それから、あわせて、例えば知事会見の記録というのは、動画と文書は異なっている部分がある。これは、これまでも総務委員会で議論にもなっていますけれども、これがきちんと知事の発言どおりに記録されるようにするなど、正確な文書をきちんと保管していくということも大事だと思うんですね。こういう点についても徹底をすることを改めてきょうは要望をしておきたいと思います。
 それで、各部署が文書移管の必要、不必要を判断するわけですけれども、その判断が適切かどうか、これは公文書館ではどのようにチェックしていくのか伺います。

○小平総務部長 公文書館の職員が各局等の公文書の分類、件名、保存期間が満了したときの措置等が記載された資料を確認いたしまして、公文書の廃棄に関与してまいります。

○原委員 私は、最終的には管理委員会に諮るべきだと考えますが、いかがですか。

○小平総務部長 公文書管理条例に基づきまして、実施機関が適切に移管または廃棄の措置を行ってまいります。

○原委員 この点については、条例改正時に提案した修正案でも私たちが指摘をした点です。第三者の目を入れていくという点で、実施をしていただきたいということを改めて求めておきたいと思います。
 同時に、大事なのは都民への公表です。文書の移管、廃棄についてどのように公表していくのか伺います。

○小平総務部長 実施機関は、公文書につきまして、保存期間の満了前のできる限り早い時期に、移管または廃棄の措置を定めることとしております。
 実施機関が定めました移管または廃棄の措置の状況につきましては、都民が閲覧できますよう、公文書の件名、保存期間等とあわせて順次インターネットを通じて公開してまいります。

○原委員 公開していくということについては重要だというふうに思います。
 それで、公文書にかかわる最後の質問で、移管方針の附則があります。
 この移管方針の附則で、感染症対策の推移により必要に応じて見直すというふうに書かれています。これはどのような場合を想定しているのか、また、見直す場合は管理委員会を開いて見直すということでしょうか。

○小平総務部長 必要に応じて見直すことができるよう、確認の意味で規定したものでございまして、現時点において具体的な場面を想定しているわけではございません。
 移管方針を見直す場合におきましては、制定時と同様、公文書管理委員会に審議いただくことを予定しております。

○原委員 管理委員会で審議をするということは重要です。そうであれば、文書の移管と廃棄の最終チェックも管理委員会に諮ることがよいのではないかというふうに思います。ぜひ検討されるよう求めておきたいと思います。
 最後に、新型コロナウイルス感染症対策条例について伺います。
 コロナの感染拡大が一層深刻になっている中、改めて条例について確認をしたいと思います。
 共産党都議団としては、さきに行われた条例改正が手続上も内容の面でも問題があるということを指摘してきましたけれども、この条例改正のときに、事業者のガイドライン遵守について、なぜ義務ではなくて努力義務としたのか、まずその点を伺います。

○猪口総合防災部長 各事業者は、ガイドラインを活用いたしまして感染防止策を実施することとなっております。このガイドラインの遵守は各事業者の自主的な取り組みを促すものでございまして、ガイドライン遵守につきましては努力義務としております。

○原委員 ガイドラインの遵守は各事業者の自主的な取り組みを促すものだという点が重要だというふうに思います。
 それでは、条例で位置づけているガイドライン遵守は、事業者においては業界それぞれのガイドラインを遵守するということでいいのでしょうか。

○高島危機管理調整担当部長 条例ではガイドラインを、都、国、特別区、市町村及び事業者が加入している団体等が定めた新型コロナウイルス感染症の蔓延の防止のための指針と定義しており、事業者にはこうしたガイドラインの遵守をお願いしております。

○原委員 ガイドラインには、東京都のガイドラインと事業者がつくっているガイドラインと、違いもある場合もあるんですね。大変微妙な違いでもあるんですけれども、例えば十月三十日付で出されているガイドラインを見ましても、ソーシャルディスタンスもできるだけ二メートルというふうに書いてあるものと、最低でも一メートルはとると書いてあったり、いろいろ違いがあります。ただ、十月三十日付の東京都の出しているガイドラインの最初の、はじめにというところを読みますと、本ガイドラインは、新型コロナウイルス感染予防対策を行う際の基本的な取り組みについて整理したものであり、各業界団体作成のガイドラインとともに参考にしていただき、事業者の皆様方が創意工夫を図り感染予防に向けた対策に取り組むようお願いしますという、そういう位置づけになっているということを私も改めて読んで確認をしました。
 それで、今、業界ごとのガイドラインというのは何種類ありますか。

○高島危機管理調整担当部長 内閣官房ホームページに掲載されております業種別ガイドラインは、令和二年十一月五日時点で百八十九種類であります。

○原委員 ということなんですけれども、ことしの十月三十日付の東京都の事業者向け東京都感染拡大防止ガイドラインには、私がこれまで繰り返し質問してきた理美容店についてはここには掲載をされていないんですね。これはなぜなのか教えてください。

○高島危機管理調整担当部長 都のガイドラインは、緊急事態宣言下で休業要請及び営業時間の短縮要請の対象となっていた業種について、施設を再開するに当たり必要となる感染防止策の例をまとめたものでございます。
 理美容店については休業要請等の対象となっていなかったため、掲載しておりません。
 なお、掲載されていない業種につきましては、業界団体が作成しているガイドラインに沿って感染防止対策を実施していただくようお願いしております。

○原委員 確かに理美容店は休業要請の対象にはなっていなかったけれども、ただ、自主的に協力をしていただいたときにはそこに東京都から応援するという形もとっていたので、私は載せていてもいいのではないかと思いましたが、そういう理由だということがわかりました。
 それで、ご答弁の最後の部分をちょっと確認しますけれども、都のガイドラインに掲載されていない理美容店の場合、遵守すべきガイドラインというのは何になりますか。

○高島危機管理調整担当部長 先ほどご説明を差し上げましたが、掲載されていない業種については、業界団体が作成しているガイドラインに沿って感染防止対策を実施していただくようお願いしてございます。

○原委員 ちょっと聞き方が、私の方が悪かったかなと思うんですけれども、都のガイドラインに掲載されていない理美容店の場合、遵守すべきガイドラインは都が作成した共通版を使うということになるのか、それとも違うのか、そこをちょっとご答弁お願いします。

○高島危機管理調整担当部長 都のガイドラインに掲載のない業種である理美容店は、全業種共通編のチェックシートを参照するか、当該業界団体が作成したガイドラインに沿って感染防止策を実施していただくようお願いしております。

○原委員 済みませんでした。わかりました。
 そうすると、都の作成した共通版のガイドラインを使った場合に、そのガイドラインが実態に合っていない場合はどうするのでしょうか。

○高島危機管理調整担当部長 全業種共通編のチェックシートが理美容の店舗の実態と合っていない場合には、当該業界団体が作成したガイドラインに沿って感染防止策を実施していただくようお願いしております。

○原委員 そうしますと、感染防止徹底宣言ステッカーの発行はどのように行われているのか、改めて確認します。

○高島危機管理調整担当部長 ステッカーにつきましては、原則として、事業者がウエブ上で必要な情報を入力することで発行することができます。
 ステッカー発行に当たりましては、都のガイドラインに沿ってチェックし発行する方法と、業界ガイドライン等に沿って感染防止策を実施し発行する方法がございます。

○原委員 つまり、都のガイドラインに沿ってチェックをして発行する方法と、業界ガイドラインの方に沿って発行する方法と二つあるということですから、それぞれの実情を踏まえながら自主性を尊重して対応しているということなんだと思うんですね。だから、今やっているそのガイドライン遵守、そしてステッカー掲示というのは、こういう実情を踏まえながら自主性を尊重してやっているものということをこの場で確認をいたしました。
 それで、今、私は感染が広がる中で非常に大事なのは、検査を拡充もして、無症状の感染者の方を早く保護して感染拡大を食いとめていくということだと思うんですけれども、その際に重要なのが、人権を守りながら進めるということだと思っています。コロナ対策条例の第十四条は基本的人権の尊重を位置づけていて、いつでもこれは貫かれなければならないと思います。
 国のワーキンググループの中山ひとみ座長が、どんなに気をつけていてもウイルスの感染を一〇〇%免れることはできず、感染したことの責任は問うべきではない、感染者への差別は社会にとって有害だというふうに述べて、差別で感染防止対策に弊害が出るということを指摘しているんですね。
 私は改めて、そうした点でこのコロナ条例の第十四条の遵守というのは非常に重要になっていると思いますが、これについての東京都の見解を伺います。

○高島危機管理調整担当部長 新型コロナウイルス感染症対策を実施するに当たりましては、都民の基本的な人権が尊重されることに鑑みて、自由と権利の制限につながることについては最小限となるよう留意し、感染症対策の効果とその影響等を考慮して、必要な対策にしっかりと取り組んでまいります。

○原委員 まさにその今おっしゃっていた都民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、それは必要最小限のものでなければならないということを、ここで十四条では規定をしていて、だからこそ、私たちはさきに行われた条例改正、努力義務化をするということについて、それが最小限のものなのかどうかということをしっかり議会で議論する必要があったということを指摘してきたわけですけれども、この規定は非常にやっぱり今も重要だというふうに思います。
 人権を守りながら科学的にしっかり手を打っていくということを考えると、これまで知事も繰り返しおっしゃっていますし、東京都自身も発信をしていますが、感染しない、させないというスローガンなんですけれども、これが適切なのかどうかというのを私は疑問を持っているんですね。
 この感染しない、させないというスローガン、これは変えた方がいいのではないかと思いますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 感染しない、させないというメッセージは、令和二年五月五日の知事会見から、都民一人一人の新しい習慣の積み重ねがこの難局を乗り越える大きな力になるという趣旨で用いているものでございます。

○原委員 私は、当初そういうふうに考えて−−ということだとしても、今コロナがこれだけ広がってきていて、本当に気をつけていても感染したということがたくさん例として生まれていますよね。ですのでやっぱり、先ほどの中山ひとみ座長じゃないですけれども、誰でもどんなに気をつけていても感染を一〇〇%免れることはできないんだというその点が、そういう発信をしていくことこそ重要なんじゃないかというふうに思うんです。
 この間、福祉現場の皆さんとも懇談をしてきましたけれども、先ほどもいいましたけど、皆さん本当に感染者が出ないようにとても神経を使って仕事をされてきています。もし自分が感染していたら迷惑をかけてしまうとか、自分の施設が感染者を出したと誹謗中傷されたら困る、そう心配をされている方たちも多くいらっしゃいます。
 感染しない、させないというフレーズというのは、何となく当たり前に聞こえるんですけれども、でも、そこにはやっぱり自己責任を強調されている中身が私はあると思うんですね。こういうやり方ではなくて、先ほどもいいましたが、誰でも気をつけていても感染する場合がある、だから検査を積極的にやろうという、そういう発信を東京都として行うべきではないかというふうに思っています。
 この条例の基本的人権の尊重について、しっかり踏まえることが非常に重要なんだということを指摘して、質問を終わります。

○岡本委員 都民ファーストの会、岡本こうきです。総務委員会で初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 私はこれまで、厚生委員会に三年間所属してまいりました。ここ最近は、新型コロナ対策について厚生委員会で特に議論してまいりました。引き続き、その知識と経験を生かして、この総務委員会においてもまず、新型コロナ対策について質疑したいと思います。
 都は、新型コロナ対策に関して、総務局、福祉保健局、産業労働局、政策企画局など、全庁挙げて取り組んでいるところでありますが、まず、総務局が所管している業務内容はどのようなものか確認をいたします。

○猪口総合防災部長 総務局は、新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして総合調整を担っており、具体的な所管事務といたしましては、休業要請、営業時間の短縮など、事業者に対する施設の使用制限等に関する協力の要請、都民に対する外出自粛の要請、感染防止徹底宣言ステッカーの普及啓発、事業者へのガイドラインの徹底など、感染拡大防止に関する取り組みなどでございます。

○岡本委員 それでは、これまでの新型コロナ対策を時系列順に振り返りつつ、質問したいと思います。
 二月二十七日に安倍首相が学校の一斉休校を要請しました。これに関しては私は、科学的妥当性を欠き、むしろ弊害の方が大きいので反対であるということを、三月十八日の厚生委員会でも表明しましたし、先日十月二十六日の決算委員会で、教育庁への質疑でも詳しく述べたところであります。
 次に、小池知事による三月二十三日の、オーバーシュート、ロックダウンの会見、それから三月二十五日の感染爆発、重大局面との注意喚起、そしてその後の自粛要請、さらには四月七日に国の緊急事態宣言、四月十一日から緊急事態措置として都の休業要請と続きました。
 七月二十日の厚生委員会でも詳しく述べましたが、知事のロックダウン、オーバーシュートの会見は、都民への注意を喚起する強い効果があったと評価をしております。また、先日出版されたこの本、新型コロナ対応・民間臨時調査会調査・検証報告書においても、三月の花見シーズンと重なった三連休に見られた自粛ムードの後退から一転して、緊張感を高める効果を持ったと評されています。
 緊急事態宣言当時の重大な問題は、六月五日の厚生委員会でも明らかにしましたが、国の通知のおくれによって、ホテル療養の受け入れ時期が四月七日からと遅くなってしまい、病床がいっぱいになって医療体制が逼迫してしまったということだと考えております。
 当時の状況では、緊急事態宣言や休業要請はやむを得なかったと考えますが、同時に経済へのダメージも非常に大きく、この経済的な悪影響が現在の景気の状況や自殺者の増加にもつながっていると考えております。
 厚生委員会でも述べましたが、緊急事態宣言の延長に関しては、解除の時期が遅過ぎたとして政府専門家を痛烈に批判する学者もおり、私もそのように考えています。この点についても、この民間臨時調査会の調査・検証報告書には、経済のダメージに危機感を抱いて解除を進めようとする官邸と、経済のことは考えず緊急事態を永遠に続けかねない専門家との攻防について明らかにされているところです。
 さて、このフリップ、東京都の飲食店等への要請や協力金を一覧に整理をいたしました。
 まず、ここのピンク色の部分が第一波のところで、四月十一日から五月六日の要請をし、協力金を五十万円、五十万円出したというところです。
 その後、五月二十五日に政府の緊急事態宣言が解除され、東京都は、五月二十二日に公表したロードマップに基づいて、ステップを踏んで段階的に休業要請、営業時間短縮を緩和していき、イベント以外の施設への要請は、六月十八日をもって終了しました。このロードマップには、アラートや再要請の目安となる指標項目や数値が示されていました。
 そこでお伺いしますが、その後の営業時間の短縮などの要請を行う際に、五月に策定したロードマップに基づいて再要請を行っているのか否か伺います。

○猪口総合防災部長 一昨日の対策本部会議におきまして、酒類の提供を行う飲食店及びカラオケ店を対象に、営業時間の短縮を十一月二十八日午前零時より要請することとなりました。
 今回の要請に当たりましては、八月に要請した際と同様、委員ご指摘のロードマップに基づく再要請ではなく、現在の都内の感染状況などを踏まえて行ったものでございます。

○岡本委員 このロードマップの再要請は使われていないということを確認させていただきました。
 七月二十日の総務委員会の議事録を拝見しました。ロードマップに対して批判的な意見も見られました。私としても、当初からこのロードマップには疑問に感じる点もありました。
 総務局のロードマップに先行して、我が会派は五月十二日に、都民ファースト版ロードマップを知事に提言しました。我が会派のロードマップの特徴は、都民が経済活動の停滞による生活の危機、命の危機に直面しており、経済でも都民の命を失うことがあってはならないという認識とともに、医療崩壊を回避する視点に力点を置いています。
 我が会派の提言が都のロードマップに十分に反映されなかったのではないかという点は遺憾に感じますが、実際の運用面では、我が会派の提言も考慮されていたということを評価いたします。
 例えば、都のロードマップでは、休業要請の緩和については二週間単位をベースとしており、これでは全ステップの緩和に六週間以上もかかって長過ぎると我が会派は危惧していたところでありますが、実際には五月二十六日のステップワンから、六月一日にはステップツーへ、六月十二日にステップスリーへ、六月十九日に休業要請終了に至り、比較的早期にステップアップし、感染対策と経済活動の再開が両立していったということを評価しております。
 その後、六月三十日に開催した対策本部会議で新たなモニタリングの項目等を決定し、七月一日からは、新たな項目によるモニタリングを開始したということです。
 現行のモニタリング会議は、新規陽性者数のみならず、入院患者数や重症患者数などの医療提供体制も重視しており、これも我が会派のロードマップが提言していた考え方と通ずるものです。
 次の質問に行きます。このパネルの中で黄色の部分、第二波の要請についてです。
 本年八月三日から九月十五日までの間に、酒類の提供を行う飲食店、カラオケ店に対して営業時間の短縮の要請を行いましたが、要請した理由について伺います。

○猪口総合防災部長 七月三十日開催のモニタリング会議におきまして、新規陽性者のうち感染経路が会食である人の割合が増加していること、飲み会や宴会など会食の環境を避けることが新規陽性者数の減少につながることにつきましてご指摘がございました。
 また、国の専門家会議におきましても、感染拡大防止に向けて、いわゆる三つの密や大声を上げる環境の回避、接待、会食での感染防止などが求められておりました。
 これらを踏まえまして、会食の場となる酒類の提供を行う飲食店及び歌唱を行う際に声を上げることで感染のリスクがあるカラオケ店に対象を限定いたしまして、八月には都内全域に営業時間の短縮を要請したところでございます。
 また、九月には、感染状況が比較的落ちついてきた多摩・島しょ地域を除き、二十三区を対象に引き続き営業時間の短縮を要請することとしたところでございます。

○岡本委員 そして、現在が第三波というふうにいわれています。一番下のオレンジ色の部分です。
 小池知事は、一昨日十一月二十五日に改めて酒類の提供を行う飲食店、カラオケ店に対して営業時間の短縮の要請を行うということを表明するとともに、都民に、できれば、できるだけ不要不急の外出は控えてほしいという外出自粛も要請しました。
 先ほど中村委員の質問にもありましたが、重要な点ですので、改めてお伺いをいたします。これらを要請した理由について伺います。

○猪口総合防災部長 現在、都におきましては非常に厳しい感染状況が続いておりまして、要請を行った今月二十五日には重症者数が五十四人に急増するなど、予断を許さない状況が続いております。
 さらなる感染拡大を短期間で集中的に食いとめるため、都民に対し外出の自粛をお願いするとともに、最大の感染経路である家庭内にウイルスを持ち込ませないためには、長時間の飲酒、飲食を行う店舗の営業時間を短縮することが効果的であると考えまして、酒類の提供を行う飲食店、カラオケ店に対して営業時間短縮の要請を行ったものでございます。

○岡本委員 私のもとには、地元の都民の方から、九月のように多摩地域は除外してほしいという声も寄せられました。けれど、今回は多摩地域も含めて都は要請の対象にしたと判断をしたということであります。
 この今回の要請に関して、私としては、時短要請や不要不急の外出自粛の要請は経済活動に打撃を与えることや、また協力金の財源について危惧をするところであります。
 今回の協力金は七割の百四十億円が国からということですが、経済への影響についてはやはり懸念がないわけではありません。
 新聞報道によれば、十一月十九日ごろまでは知事も都の幹部も時短要請に慎重な姿勢で、前向きではなかったということです。やはり経済への打撃が大きく、他方、今回の第三波は第二波に比べて飲食店や会食での感染の割合が相対的に低く、家庭内感染が四割以上と比較的多いために効果が見通せないからという理由があったようです。
 しかしながら、今月十九日に新規陽性者が五百人を初めて超え、また先ほどご答弁にもありました二十五日に重症患者が五十四人に上ったということで、重症患者がこのままふえ続ければ医療崩壊につながるとして方針を転換したということで、苦渋の判断があったものと推察をいたします。
 テレビ報道や新聞報道などによれば、今回の要請に応じないという飲食店も見られますし、都民も以前のような緊張感は薄い人々もふえているように思われます。
 都として苦渋の判断があり、都民としても困惑が見られますが、とはいえ、都として方針転換をして、短期集中で感染拡大を食いとめていく方針だということで、今回は協力金も比較的高目にしたということですので、決まった以上は我々としても実効性を上げられる方法を考えたいというふうに思います。
 時系列では少し前後しますが、小池知事は、この時短要請の前の先週十一月十九日に記者会見で五つの小を呼びかけました。小人数、小一時間、小声、小皿料理、小まめなマスク、換気、消毒、このような呼びかけを行った趣旨を伺います。また、この五つの小を今後どのように呼びかけていくのか伺います。

○猪口総合防災部長 十一月十九日開催のモニタリング会議におきまして、感染状況は約二カ月ぶりに最高レベルとなり、また、専門家によりますと、会食の場などで感染しウイルスを家庭に持ち込んだと思われる事例が報告されるなど、八月以降、最大の感染経路は家庭内であると分析されております。
 このため、今後、忘年会やクリスマスシーズンを迎えまして会食の機会が多くなり、感染拡大のリスクが高まることが懸念されることから、都民、事業者、行政が一体となり、気を緩めることなく感染防止対策を改めて徹底するため、会食時の注意として、会話をするときは小まめにマスクの着用をするなどの五つの小というキーワードを呼びかけたところでございます。
 今後、知事の会見やホームページ等を通じ、都民への周知を図ってまいります。

○岡本委員 今から思いますと、この時短要請を避けるためにも、より経済的な打撃の少ない五つの小を呼びかけて感染拡大防止を図ろうとしていたものだろうというふうに思われます。
 現在は、短期集中の、できるだけの不要不急の外出自粛要請があくまで優先事項と思われますが、もし外出自粛が守られない場合や、夜十時以前の必要不可欠の会食においては、やはり少なくともこの五つの小に沿って感染対策を講じていくべきものだと考えます。
 この中でも私は、小まめなマスクという点に特に着目をしております。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、十一月九日にやり方を実演してマスク会食を呼びかけました。小池知事も、十九日の臨時記者会見で小まめなマスクの着用を掲げております。
 世間の反応は、マスク会食には批判的なコメントも見られます。例えば、最初の十分は守れると思いますが、やはりお酒が入ってくるとなかなか難しいというような意見が見られます。しかし、他方で、なれれば問題ないという意見や、マスクをして食事をするのはそんなに苦に感じないという意見も見られます。
 私自身は、尾身会長が呼びかける随分以前から実際にこれを実施してきました。もともと会食中の飛沫が感染リスクが高いといわれている以上、会食中にしゃべるときはマスクをすべきです。
 最もリスクが高いときにマスクをしないというのは本末転倒だと思います。例えば、感染リスクの低い屋外で、人と距離があるのに人目を気にしてマスクをするということよりも、感染リスクの高い会食でこそマスクをする方がよほど重要だというふうに考えます。マスク会食が守れないのなら会食はすべきではない、それくらい強いメッセージを発していくべきだというふうに考えます。
 マスク会食は経済と感染防止の両立を目指すもの、会食の自粛は経済に打撃を与えつつ感染防止を図るものだというふうにいえます。この三週間はまず会食自粛ということだというふうに思いますが、長期的な視点に立って、私はマスク会食に賛同し、実践をしてまいります。
 繰り返しになりますので省略しますが、では、次の質問に参ります。
 マスクの不着用によるお客さんと事業者とのトラブルが起きております。例えば、航空機やギョーザ店などで問題の事例が報道されています。
 マスクの不着用については、何らかの健康上の理由や身体上の理由からマスクを着用できない、そういう理由がある方もいらっしゃると思いますので、そういう方にはもちろん配慮が必要だと思います。一方で、意図的に感染症対策に反対をして、マスク不着用の運動をしている活動家もいます。コロナはただの風邪というふうにいって、マスクを外して密になろうといって国会前で集会をしたり、新型コロナは実在しない、陰謀論だというようなことをいって、ノーマスク表彰状、ノーマスク感謝状などというものをビラやSNSで拡散している、そういう人たちも見受けられるわけです。
 そこで、伺います。
 東京都新型コロナウイルス感染症対策条例の八条では、事業者はガイドラインを遵守する努力義務が規定されていますが、その一方で、都民、お客さんの側にはガイドラインに基づく事業者からの要請を守る努力義務の規定がありません。これについてどう考えているのか伺います。

○猪口総合防災部長 業種別のガイドラインは、各業界団体が策定し、各事業者が遵守するものとされており、新型コロナウイルス感染症対策条例においては、事業者にガイドライン遵守の努力義務を課しているところでございます。
 都民に対しましては、同条例第四条第一項で、新型コロナウイルス感染症の予防に努めることや都の感染症対策に協力するよう努めることを規定しており、都民に対しても、ガイドラインに基づく事業者からの要請を守っていただきたいと考えております。

○岡本委員 都民、お客さんの側も、四条第一項を根拠に、事業者からの要請を守るべきだという解釈ができる可能性もあり得るということで理解をしました。
 ただ、私は、より明確に、この八条においてもガイドラインに基づく事業者からの要請に従うべき努力義務を明記すべきだというふうに考えます。
 さらにいえば、マスクを着用しないお客さんと事業者とのトラブル、あるいはもっと広めに、ガイドラインをめぐるトラブルに関して、都が事業者からの相談に応じて事業者に助言や支援をしたり、お客さんの側に指導したりといったこともすべきではないかというふうに思います。これは、現在提案している我が会派の議員提案条例とはまた別途に、今後の条例改正、あるいは相談窓口の創設として検討していただきたいということで提言を述べておきます。
 おおむね時系列に沿ってこれまでの都の新型コロナ対策を振り返りつつ、私の評価を述べさせていただきました。総務局においても、過去の対応を振り返り、各対策の効果をぜひとも検証していただきたいと思います。
 知事の都民への外出自粛の要請やさまざまな呼びかけ、緊急事態宣言、事業者への休業要請、時短要請、ガイドラインや感染防止宣言のステッカーなど、効果測定が難しいものもあるとは思いますが、できるだけ効果検証や評価やまとめをしておくことが、次の対策を打つ上でも重要な判断材料になると考えます。時短要請についても一回目、二回目、三回目で、それぞれ費用対効果が変動しているというふうに予想されます。ぜひ、こうした検証、まとめをしていただきたいということを述べさせていただきます。
 先ほど木村理事からもありましたように、都のコロナ対策が全国をリードしているということについてはまさにそのとおりであり、私からも都の職員の方々皆様に感謝を申し上げます。それとともに、我々議員においても、最大限できることはないか、すべきことは何かということを積極的、能動的に考えて、コロナ対策に尽力してまいる所存であります。
 他会派の議員の方々におかれましても、全国が注目し、全国のコロナ対策をリードすべき東京都の議員であるという使命感を持って、ぜひとも議員提案条例の検討をよろしくお願いいたします。
 次に、これまで防災部に質問してまいりましたが、次は人権部にコロナ関連で質問いたします。
 九月三十日の一般質問で、条例の四条三項に基づく不当な差別的取り扱いの禁止に関して、都の差別解消に向けた取り組みについて質問いたしました。また、先ほど中村委員の質疑でもご答弁をいただきました。
 これは都庁側の取り組みの目線での質問でしたが、本日は改めて都民の目線から、新型コロナウイルス感染症対策条例にかかわる差別について相談をしたいと思った場合は、どこに相談をすればよいのか伺います。また、そうした窓口を都民に案内する仕組みはあるのか伺います。

○堀越人権部長 東京都人権プラザでは、新型コロナウイルス感染症に関するものも含め、人権問題にかかわる全般的な相談に対応する一般相談及び弁護士による法律相談を受け付けており、必要に応じて適切な相談機関を紹介するなどの対応を行っています。
 また、総務局人権部のホームページ「じんけんのとびら」では、新型コロナウイルス感染症に関連して、不当な差別やいじめ等について相談を受け付ける窓口として、人権プラザ以外にも、子供のいじめ等に関しては東京都教育相談センター、職場での問題に関しては東京都労働相談情報センターも紹介しています。
 なお、こうした相談窓口は、東京都公式サイトのトップページの東京都新型コロナチャットボットサービスや東京都新型コロナウイルス感染症支援情報ナビなどを通じても案内をしております。

○岡本委員 ありがとうございます。ぜひ、都民にわかりやすい案内をしていただきたいと思います。
 都民にとっては、通常の生活を送っていると、人権という言葉は必ずしもなじみがあるものではないというふうに思います。差別が人権というキーワードに結びつかないということも考えられます。コロナ差別はこちらという誘導を、しっかりとやってほしいというふうに思います。
 先ほどご答弁いただいたチャットボットを私もこのたび試してみました。相談窓口のカテゴリーを選択におきまして、1・1・5、その他の相談窓口、妊産婦、心、人権、ペットなどというのがあります。ここに人権という言葉があるんですけれど、ぱっと見て、これが差別の相談のカテゴリーだというふうにはわからない都民の方もいらっしゃるのではないかというふうに思います。自由記入欄にコロナ差別と入力をしてみると、人権に関する相談というふうに出てきて、アクセスすることは可能でした。ただ、コロナ差別が人権というキーワードの問題だということが一目でわかるように、一層工夫をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 次のテーマにいきます。
 九月三十日の一般質問で、オリンピック憲章人権尊重条例に基づくヘイトスピーチの公表について、集会名、主催団体名、特に重要な意味のある場所、言動がなされた状況などは、もう少し詳しく公表すべきではないかという質問をいたしました。これについて、少し例を挙げて補足をしたいというふうに思います。
 例年九月一日に、都立横網町公園で朝鮮人犠牲者追悼式典が開催されています。ことし九月一日の式典は、コロナ対策で参加制限がなされていましたが、私自身、災害時の差別やデマを防止すべきだという決意のもと、追悼のため、また追悼参加者に寄り添うべきという考えで現地に参りました。
 他方、その追悼式典の横で、二〇一七年から、同じ公園内、同時刻に、そよ風という団体ほかが別の慰霊祭を開催しています。報道等によれば、二〇一九年、昨年の九月一日のこの慰霊祭の集会参加者の発言が、都の人権尊重条例に基づいてヘイトスピーチに該当すると判断されたとのことです。もともとある犠牲者の追悼式典に対する妨害的な、そういう集会がなされているということです。
 これを都のホームページで確認いたしますと、確かに一致する日付、九月一日、そして墨田区内の集会、ヘイトスピーチに該当する言動、別の集会に対して挑発的意図を持って発せられたなどの認定が確認できます。もっとも、集会名や団体名、横網町公園といった重要な情報は公表されていません。
 これでは、具体的な事例と結びつけて考えることが困難です。私自身、都のホームページを見ても、これが横網町公園の集会だということは最初思い浮かびませんでした。後で別の報道記事を読んで、気づきました。
 以前と同じ質問になりますので質問は割愛しますが、再度、ヘイトスピーチの公表について、より詳しい、読んでわかる公表を要望いたします。
 さて、都は、オリンピック憲章人権尊重条例に基づき、ヘイトスピーチ解消に向けた各種の取り組みを推進しているわけですが、その効果についてどのように把握していくのか伺います。

○堀越人権部長 都は、人権尊重条例施行後、令和元年六月に行った都民生活に関する世論調査において、条例の認知度やヘイトスピーチに対する意識を調査いたしました。
 さらに、今年度新たに、都民一万人を対象に、スマートフォンを使った人権に関する意識調査を実施し、条例の認知度やヘイトスピーチに対する意識を調査することとしております。
 人権に関する啓発の具体的な効果について、定量的に測定することは難しい面もございますが、こうした調査を活用して、啓発の効果の把握に努めてまいります。

○岡本委員 都民一般の意識調査を行うということも意義のあることだと思いますので、ぜひお願いをいたします。
 ヘイトスピーチに関しては、その対象とされ、被害を受けている人々が現にいます。そうした被害を受けている当事者の意識についても調査をすべきだということを提言いたします。被害当事者やその支援者、また団体などに、ヘイトスピーチは実際に減ったのか、解消に向かっているのか、そうした声を丁寧に聞き取っていくべきだというふうに思います。
 なお、私が関係者から伺った話では、あからさまなヘイト表現は減ったものの、直截的でない、少し遠回しな表現に変わっただけとか、より巧妙化しているとか、集会自体はさほど減っていないといった話も聞いております。引き続き、都の取り組みによる効果を検証すべきです。
 また、もともと条例制定以前から、ヘイトスピーチに対して罰則を設けるべきという意見もあります。今も、そうした意見が私のもとには寄せられております。制定した条例の効果を検証するとともに、さらに、罰則が必要か否かについても検討いただきたいと考えております。
 では、次のテーマに移ります。
 市町村総合交付金は、都独自の制度であって、多摩・島しょ地域の市町村財政にとって重要な財源の一つです。この市町村総合交付金の制度や趣旨について確認をしようというふうに思っておりましたが、既に質問と重複いたしますので、まず、一つ目の質問については省略をさせていただきます。
 この市町村総合交付金は、市町村に対する包括的な財源の補完制度として、非常に重要な意義があるということで認識をしております。
 私の選挙区であります国分寺市、国立市も含め、多摩地域は二十三区との財政力の違いが大きくあり、課題を抱えています。市町村総合交付金について、私も日ごろより、市長初め、市議会議員の方々から、さらなる増額の要望を受けているところであります。そして、我が会派の予算要望においても、市町村総合交付金のさらなる充実を要望してきたところであります。
 そこで、小池都政の直前の市町村総合交付金の決算額と、小池都政以後の決算額の推移について伺います。

○小笠原行政部長 小池都知事就任前の平成二十七年度におきましては、市町村総合交付金の決算額は四百八十三億円となっておりました。
 一方、小池都知事就任後の市町村総合交付金の決算額は、平成二十八年度及び平成二十九年度が五百億円、平成三十年度が五百五十億円、令和元年度が五百六十億円となっております。

○岡本委員 多摩格差の解消に向けて、知事の決断により年々増加されたことを大いに評価いたします。地元からも評価されていると思います。また、小池知事になって、各市町村への具体的な配分額が公開されるようになったということも評価をいたします。
 この市町村総合交付金は、予算額が各市町村に配分されるものであって、全体の予算額がふえれば全市町村の交付総額がふえるという理解でよいのかお伺いします。それから、政策連携枠については、配分されずに余るということがあるのか、それとも予算額が全て配分されるのか伺います。

○小笠原行政部長 市町村総合交付金につきましては、予算額の全額を市町村に交付をしております。したがいまして、予算額がふえれば交付の総額もふえることになります。
 政策連携枠につきましても、待機児童対策や電気自動車の導入、消防団の装備品の充足に係るそれぞれの財政需要に応じまして、予算額の全額を交付しております。

○岡本委員 市町村総合交付金の配分項目は、財政状況割三〇%、経営努力割一五%、振興支援割五五%、それから別枠で政策連携枠となっておりまして、振興支援割は、各自治体の各年度における公共施設等への予算額に連動して比較的変動しやすい旨、伺っております。年度によって自治体間の配分額は変動いたしますが、今ご答弁もいただきましたように、全体のパイがふえれば、全体の総額がふえれば、基本的に全自治体がその恩恵を受けるということで理解をいたしました。
 さて、今後、コロナ禍、経済不況により都財政が厳しくなることが想定されますが、多摩地域の市町村についても、不況により財政が厳しくなるものと思われます。市町村総合交付金は、二十三区に比べて財政力が弱い市町村にとってますます重要な財源というべきであり、引き続きの増額を要望いたします。都の見解を伺います。

○小笠原行政部長 市町村総合交付金は、市町村の安定的な行財政運営に寄与するだけでなく、各市町村の課題解決に向けた自立的、主体的な取り組みを後押しし、多摩・島しょ地域のさらなる振興にも役立てられているものと認識をしております。
 今後も、都財政の状況を踏まえつつ、地域の課題に即した効果的な支援に努めてまいります。

○岡本委員 市長会、町村会や大半の市町村長が市町村総合交付金の充実、増額を要望しております。ぜひともお願いをいたします。
 では、次の質問に参ります。
 一昨年の二〇一八年七月の西日本豪雨−−気象庁によれば平成三十年七月豪雨という名称で名づけられているということです、それから昨年九月の台風十五号、気象庁の名づけによると令和元年房総半島台風におきましては、都は、消防や警察による救出救助活動に加えて、膨大な業務が生じる応急対策業務のために、多くの職員を被災地に派遣し、さまざまな内容の支援を行ったということで伺っております。その支援内容と各局の役割について伺います。

○猪口総合防災部長 都は、西日本豪雨におきまして、百六十九人を岡山県倉敷市に派遣し、避難所運営や罹災証明書発行等の支援を行うとともに、広島県や県内の市町に保健師の派遣や災害廃棄物処理業務の支援を行うなど、延べ二百十五人を派遣いたしました。
 また、令和元年房総半島台風におきましては、百三十一人を千葉県君津市に派遣し、避難所運営や罹災証明書発行等の支援を行うとともに、県内自治体に対して給水車による応急給水支援を行うなど、延べ百六十五人を派遣いたしました。
 避難所運営や罹災証明書発行等の支援につきましては、総務省が運営する被災市区町村応援職員確保システムに基づきまして、総務局が庁内各局の総合調整を行った上で各局職員を派遣しており、応急給水や災害廃棄物処理の支援、保健師の派遣等につきましては、水道局や環境局、福祉保健局等の各局がそれぞれの仕組みに基づき派遣しております。

○岡本委員 平成三十一年三月十八日の厚生委員会でも述べましたが、私も、二〇一八年の八月上旬に、岡山県倉敷市の真備町の状況を現地に赴いて拝見いたしました。岡山県倉敷市の避難所運営も拝見し、都の職員の方々にもお会いをして、仕事に支障のない範囲でお話を伺いました。また、避難所運営を終えて都に帰ってこられた職員の方々からも、いろいろとお話を聞かせていただきました。
 百六十九人が派遣をされたということで、先ほど伺いました。また、発災直後は、消防庁、水道局、警視庁、環境局、都市整備局、福祉保健局、さまざまな局から派遣をされたということで、大変な猛暑の中、なれない土地で大変な苦労を伴う業務に尽力されたということで、職員の方々に心から感謝を申し上げたいと思います。都議会議員として感謝を申し上げると同時に、私、岡山県、広島県の出身の者としてもお礼を申し上げたいと存じます。
 今ご答弁をいただきました被災地を支援するための仕組みは、支援内容によってさまざまあるということでありましたが、その中で、総務省が運営をする被災市区町村応援職員確保システムというこのシステムは、近年構築された全国的な支援の枠組みであると聞いております。その内容について伺います。

○猪口総合防災部長 被災市区町村応援職員確保システムは、大規模災害発生時に被災市区町村を支援する全国一元的な応援職員派遣の仕組みでありまして、平成三十年三月より運営が始まっております。応援職員の派遣に当たっては、総務省を事務局に、全国知事会、全国市長会、全国町村会などで構成される被災市区町村応援職員確保調整本部が、被災した市区町村ごとに支援を行う都道府県等を決定いたします。
 都は、平成三十年の西日本豪雨と令和元年房総半島台風におきまして、それぞれ支援先として割り当てられた倉敷市や君津市に職員を派遣し、避難所運営や罹災証明書発行等の支援を行ったところでございます。

○岡本委員 ありがとうございます。このシステムは、広域的な災害が起きた場合に、各市にどこの都や県が支援をするかということをカウンターで決めて、特に東京都の場合は、比較的被害が甚大な市に割り当てられることがこれまでの経験だというふうに伺っております。倉敷市や君津市が東京都のカウンターとなり、支援の対象となったということで伺っております。
 全国的に地震や風水害などの災害が頻発している中で、今後、都においても大規模な災害が発生する可能性があります。これまでのこうした派遣によって得られた貴重な経験や教訓をぜひ今後の東京都の災害対策にも生かしていただければというふうに思います。
 都が職員を被災地に派遣する意義について伺います。

○猪口総合防災部長 大規模災害が発生した際、被災自治体のみでは膨大な災害対応業務の全てに対応することは困難でありまして、都が国や他の自治体等と連携して、被災地を支援していくことが重要でございます。
 あわせて、都におきましても、被災地に職員を派遣することを通じまして、平時より初動体制の手順等を明確にしておくなど、現場から得られた経験等を都の災害対応にも生かしていくことが大切でございます。
 今後も、国や他自治体と連携して効果的に相互応援を行うとともに、都の防災対策の充実につなげてまいります。

○岡本委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 先ほども述べましたが、私も岡山県倉敷市の真備町の状況を現地で拝見しました。家屋の倒壊の状況、道路に高く積み上がった倒壊した家屋の破片や、また家具類、それから川の決壊状況、道路が寸断されている状況、そして小学校の体育館で避難所の生活をされている方々、言葉にいいあらわせないような大変な状況、光景を目の当たりにいたしました。
 また、避難所では、外づけのエアコンは効果が弱く、猛暑の中での対応には非常に難点があったということも拝見しましたし、輸送物資として東京都から送られた液体ミルクが現場に行き渡らず十分活用されなかったということも、当時、状況を見聞したところであります。また、段ボールベッドの使用なども、私も実際に確認をさせていただきました。そのような、そこで見聞きをした内容について、引き続き私としても、今後、都政にしっかりと生かしてまいりたいと考えております。
 最後のテーマに入ります。
 都の職員の任用についてお伺いをいたします。
 まず、弁護士や検察官、裁判官など、そうした司法試験に合格をした法曹有資格者について伺います。
 都における法曹有資格者の採用者数と、その職務内容、採用手続について伺います。

○山口人事部長 都では、令和二年四月一日現在、法曹資格を有する五名の常勤職員を任用しておりまして、訴訟関係業務や政策課題に対する法律的助言などに従事をしております。
 このほか、法曹有資格者としての高度な専門性と豊富な経験を有する人材を任期を定めた管理職として四名採用しておりまして、総務局の訴訟業務や労働委員会事務局の審査業務等に従事しております。
 また、非常勤職員としましては、弁護士資格を要する職に四十七名任用しておりまして、各局において、児童相談所での相談業務や交通事故相談など、専門的な見地から助言や指導を実施しております。
 これらの法曹有資格者の採用につきましては、常勤職員は、人事委員会が公募によらず選考を実施してきたところでございまして、任期つき職員及び非常勤職員は、総務局の協議等を経まして、各局において公募等により任用手続を実施しております。

○岡本委員 ありがとうございます。私としては、都庁の規模からすると、常勤職員の法曹有資格者が五名、また任期つきの管理職が四名というのは、比較的少ないのではないか、都庁の規模に比べれば少ないのではないかというふうに感じるところです。
 法曹有資格者が訴訟に関する業務を行うのは当たり前ですが、訴訟以外の分野でも、法律の知識を活用して都政に積極的に関与することによって、より都政が充実したものになるのではないかというふうに思っております。
 手前みそですが、都民ファーストの会には法曹有資格者が三名おります。私と山田ひろし議員と、また政調会に一名おります。弁護士が一人で考えるということも意味があるんですけれど、これは法曹有資格者が複数で議論をするということで、より議論が深まり、さらに建設的な、より具体的な政策がつくっていける、そのようにも実感をしているところであります。ぜひ、法曹有資格者が議論をして、より政策をブラッシュアップできる、そうした採用に力を入れていただければなというふうに思います。
 常勤職員の数を一足飛びにふやすというのは難しいと思いますので、まずは任期つき職員や非常勤職員として法曹有資格者の数をふやすということが、都政にとっても、また都民にとっても有益になるのではないかというふうに考えておりますので、検討を要望いたします。
 最後に、都における知的障害者雇用についてお伺いをしようというふうに思っておりましたが、既に原委員の質問と重複をいたしますので、質問については省略をして、意見だけ述べておきたいと思います。
 都庁においては現在、知的障害者を対象とした非常勤職員として、オフィスサポーターを八名雇用しているということで伺っております。こうしたオフィスサポーターの取り組みをぜひ引き続き、一層進めていただければというふうに思います。
 そして、このオフィスサポーターは非常勤ということで、任期が一年で再度任用を繰り返す非常勤職員というだけではなくて、さらに常勤職員としての採用も必要だというふうに思います。都庁において、まだ常勤職員として採用されたことのない知的障害者の雇用促進に、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 先ほどもご答弁にありましたように、オフィスサポーターの非常勤職員としての勤務実績を考慮して、常勤職員へのステップアップをするという新たな枠組みを検討されているということですので、ぜひ、ステップアップの新たな枠組みについて期待をしております。ぜひともよろしくお願いいたします。
 以上で私の質問を全て終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○神林委員長 引き続きお願いいたします。

○白戸委員 本委員会もかなり長時間になりまして、委員の皆さんも理事者の皆さんもお疲れですから、ここからは元気よく、テンポよくいきたいと思います。
 それでは私から、東日本大震災の復興支援について伺います。
 来年の三月で、震災から十年。復興五輪の開催も含め、被災地にとっても、復興を支援する都にとっても大きな節目のときを迎えております。私自身、震災前から東北にはご縁もありまして、よく足を運んでおりました。そして、震災後も被災地を何度か訪れ、壊滅的な被害から見事によみがえるまち並みも見てきました。十年を迎えるこの三月まで、これからさまざまな場所、さまざまなシーンで震災や復興について語られることが多くなると思います。
 先ほど、まつば委員からも復興支援に関しては職員派遣などの質疑がありましたけれども、ここからは私も、私なりの思いから、被災地の復興やその支援について議論させていただきます。
 現在、被災地を訪れますと、震災後に整備されたと思われるまち並みや、きれいに区画整理された土地が目に入ります。誤解を恐れずにいいますと、そこがもう被災地であることがわからないぐらい、もうハード面での復興はほとんど終わったようにも見受けられます。
 しかし一方で、被災地の方々から聞こえてくる声は、威勢のいいものではありません。復興道半ばという報道も目にします。復興をなし遂げるには、まだまだ課題があるのではないかとも考えております。
 そこで、被災地は今どのような状況に置かれていると考えるのか、都の認識を伺います。

○藤原復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務 岩手県、宮城県を中心に、地震、津波被災地域におきましては、住まいの再建、復興まちづくりはおおむね完了し、産業、なりわいの再生も順調に進展しているなど、復興の総仕上げの段階に入っております。
 しかしながら、産業の回復も業種でばらつきがあるほか、人口減少や産業空洞化といった全国の地域に共通する中長期的な課題が先鋭的にあらわれております。
 これに加えまして、原子力災害被災地域におきましては、避難指示の解除が進み、復興再生が本格的に始まってはいるものの、なお残る帰還困難区域の解除、風評の払拭など、原子力災害特有の課題を抱えており、引き続き、国を中心として、中長期的な取り組みが必要であると認識をしております。

○白戸委員 被災三県とよくいいますけれども、岩手県、宮城県と福島県では状況が大きく異なっているようです。岩手県や宮城県が直面する人口減少などの課題は、我が国の多くの地域における共通の課題ともいえまして、都としても人ごとでは済まされません。地方連携を進める観点からも、被災地の課題解決に向けて、都としても何らかの対応が必要ではないのかと考えます。
 一方、福島は、いまだ避難者が帰還できない地域も存在しまして、震災から時がとまっているまちがあるとも聞いております。人口減少なども大きく進んでいるそうです。復興に向けては、これからまだまだ長い道のりを歩んでいかなければいけないでしょう。今のご答弁を聞いていますと、やはり被災地はまだまだ支援を必要としているというふうに感じました。
 しかしながら、震災から十年が経過しまして、この被災地の現状や思いとは裏腹に、支援の機運が急速に下火になっていくことが懸念されます。被災地の状況を踏まえ、国は、復興庁の設置を十年間延長いたしました。
 そして、これに対して都はどうしていくのか。東京は、東北から多くの恵みをいただいております。私は、感謝の気持ちを決して忘れることなく、被災地の復興を引き続き支援すべきだと考えております。
 都は、今後の復興支援、どのように行っていくのか考えを伺います。

○藤原復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務 都は、東日本大震災発災直後から、岩手、宮城、福島の三県に現地事務所を設置し、被災地と東京をつなぎながら、幅広い分野で被災地の復興を支援してまいりました。この十年間で、被災地の復興は大きく前進をいたしましたが、なお復興の途上であり、国も、令和三年度からの五年間を第二期復興・創生期間と位置づけ、さらなる取り組みを進めるとしております。
 風評被害や震災の記憶の風化との闘いなど、被災地の復興への課題はなお残っており、都といたしましても、引き続き、被災地のニーズを踏まえつつ、復興の実現に向けて全力で支援をしてまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。非常に力強いご答弁をいただきました。私も、この私なりの支援をしっかりと続けていきたいと思います。都も、被災地とよくコミュニケーションをとりながら、都としてもできることをしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 今やりとりさせていただいたように、被災地の状況を正確に理解している都民は、それほど多くはないのではないかなとも思います。震災から時が流れまして、被災地への関心の低下や被災地の記憶の風化など、都内にいますと肌で感じておりまして、これはゆゆしき状況であると考えます。復興支援や風化防止を進めるに当たり、震災の記憶、復興に懸命に取り組む被災地の姿、観光地や名産など、東北の魅力を効果的に発信し、一人でも多く都民の目を被災地に向けてもらうことが、まだ非常に重要でしょう。
 そこで、この被災地の現状や都の復興支援の取り組みを都民に知ってもらうために、どのように取り組んでいくのか伺います。

○藤原復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務 都はこれまでも、被災県知事と都知事が直接都民に呼びかける復興応援のイベントですとか、地下鉄駅構内での産直市の開催、被災地の今を発信する動画の作成、ツイッターの活用などに取り組んでまいりました。
 来年三月で発災から十年という節目を迎える中、風化防止の観点からも、都民の皆様に震災の記憶を引き継いでもらうことはますます重要となってまいります。
 今後とも、被災地と連携をしながら、被災地の現状や魅力、これまでの都の復興支援の取り組みなどの情報発信に努めてまいります。

○白戸委員 前向きな姿勢、そして取り組み、よくわかりました。少し調べると、被災地に関する多くの情報が手に入ったり、さまざまな方や団体が復興支援に取り組んでいることは理解できます。ただ、残念ながら、多くの方がそこまでたどり着いていないというのが現状だと思います。
 都は魅力的なコンテンツを多くつくられていると思いますが、残念ながら、せっかくよいものをつくっても、都民に届いていなければその意義は薄れてしまいます。それが一つ大きな課題であるかなというふうにも思います。非常に難しい課題ではあると思いますけれども、引き続き、あらゆる創意工夫を重ねて、一人でも多くの都民に一つでも多くの情報を届けて、支援に向けた行動につなげていくべく努力をしていただきたいと思います。
 最後に、復興五輪についてお尋ねします。
 復興支援の議論において、この話は避けては通れません。東京二〇二〇大会は、いまや被災地の支援の感謝を世界中に発信する最大の機会と考えます。大会そのものは組織委員会が所轄しており、オリ・パラ局を含めまして、復興支援の観点からもさまざまな取り組みを行っていることは承知しておりますが、総務局もしっかりと対応していただきたいと考えております。
 そこで、復興五輪に向けた総務局の取り組みについて伺います。

○藤原復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長調整担当部長兼務 都では、東京二〇二〇大会に向けたホストシティTokyoプロジェクトとして、被災地支援、復興の発信に取り組んでおり、先ほど答弁をいたしました復興応援イベントですとか、情報発信等々を行っております。
 大会期間中も、あらゆる機会を通じて、被災地が復興に向けて歩む姿を感謝とともに世界に発信していきたいと考えております。先日もその一環といたしまして、オリンピック・パラリンピック準備局と共同で作成した動画を知事から復興大臣に披露したところでございまして、今後、活用していくこととしております。
 復興五輪に対する被災地の期待は大きく、復興支援やさまざまな交流の中で培われた国内外のつながり、人と人とのきずなを若い世代へと継承し大会のレガシーとすべく、関係機関と連携しながら取り組んでまいります。

○白戸委員 今ご答弁いただきましたように、現地からの期待も非常に大きいものがあります。そして、繰り返しになりますが、これはある意味、絶好の機会でもあると考えます。総務局としてできることを積極的に取り組んでいただくことをお願いしまして、質疑を終わります。

○木下委員 私からは、全庁的な広報力アップに資する人事制度、人事評価についてお伺いをしたいと思います。
 私は、都議に就任以来、全庁的な広報力アップについて、予算特別委員会、また一般質問など、機会を捉えて要望させていただいてまいりました。結果、民間人材を戦略広報担当の管理職として迎え入れ、最新の広報ノウハウの共有と推進に当たっていただいたり、また、デジタルの時代にふさわしい、動画やSNSも含めたメディアミックスでの広報展開に取り組んでいただいたり、また、コロナ禍の今におきましては、新型コロナ感染症対策サイトではオープンソースでのサイトの構築に取り組み、即時性、また正確性に応える情報発信をしたり、知事のトップ広報を強化したり、聴覚障害者、視覚障害者を初めとする障害者の皆様への配慮、また外国語を母国語とする多くの方々への情報提供など、さまざまな取り組みで成果があったと認識しており、高く評価するところでございます。
 しかしながら、このような目に見える評価につきましては、主に広報を主管する戦略広報、報道、また生活文化局などを中心とした取り組みの結果が多いのではないかというふうに思っているところでございます。
 職員の皆様は、日々大変多くの事務事業の遂行のために力を尽くされておられます。都民生活の向上に向けて意味のある事業を予算化し、実行するために、多くの時間を割かれているわけですが、事業がやりっ放しになっているケースを目にすることも間々あると感じております。チラシやパンフレットなどの啓発ツールを作成し、区市町村などの関係機関に配布し、ホームページで告知する。これは基本的な動作だと思うんですけれども、それで広報をしたよというケース、まだまだ多くはないでしょうか。
 事業を必要とする方にきちんと届けて利用していただくこと、また、事業の意義をしっかりと都民に伝えること、すなわち広報での成果に向けての都の取り組みは、まだまだ十分ではないというふうに考えております。
 都庁での多くの事業が、各局において、広報活動及びそれを通じた都民の意識改革、行動変容につながるところまでしっかりと設計されることが求められているわけです。どのような組織であっても、組織の目標設定とそれに対する一人一人の貢献度を評価する人事評価で、構成員のモチベーション、行動原理が規定されます。
 都庁において、広報の重要性により多くの職員が気づき、コミットしていくためには、人事制度における広報の位置づけがどうなっているのかが重要であると考えるわけでございます。
 そこで、各局の事業広報において、都民の行動変容につながる広報活動が重視され、実行されるよう人事評価を行うべきと考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○山口人事部長 都の人事考課制度では、業績のみならず、職務遂行の過程で発揮された能力や取り組み姿勢についてもプロセス評定として評価対象としておりまして、具体的かつ実現性の高い解決策を企画したかなども評価しております。
 また、目標管理手法や上司との面接等を通じまして、職務目標の設定やその成果に関して共通認識を醸成することで、職務の効果的な遂行や人材育成を図っております。
 委員ご指摘の事業広報も含めまして、日々の職務遂行について厳正な評価を行い、評価を通じて職務の改善と能力向上につなげてまいります。

○木下委員 ありがとうございます。事業広報などについても、人事評価を通じて職務の改善と能力向上につなげるというご答弁でありました。つまり、今の人事制度の中で、広報も含めた評価をしているということのご答弁でございましたけれども、先ほど来、私も指摘させていただいているとおり、実際多くの事業の広報では、残念ながら都民の行動変容まで促す結果を出しているとはいいがたい現状であるというふうに認識をしております。
 結果、成果を得るために、職員の皆さんの一層の意識改革、広報へのマインドセットをつくっていくべきであると考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○山口人事部長 評価に当たりましては、より適切な評価の実施と人材育成への活用を目的としまして、評定要素ごとに着眼点を設定するとともに、職員の望ましい行動を例示しております。
 今後、広報活動に関する行動例をさらに充実させまして、行動規範として職員へ周知しますとともに、全管理職に毎年度実施しております評価訓練におきましても共有を図り、職員の意識改革を積極的に推進してまいります。

○木下委員 ありがとうございます。全庁的な広報力アップは大変重要な課題です。そこに人事評価、そして人事制度が果たす役割は大変大きいと考えます。
 ただいま広報活動に関する行動例の充実、周知、きちんと図ると。また、全管理職への評価訓練での共有なども、来年度から新たに早速行っていただくとの、新たにといいますか、強化していくというご答弁をいただきました。広報力アップの取り組みの重要性が全職員に徹底されるよう、しっかりと進めていただきたいと要望いたします。
 また、総務局だけではこの問題は解決しないわけでございますけれども、何度も繰り返しになりますが、人事の中でどう評価されていくかということが、都庁で働く皆様の、いうまでもないことですがモチベーション、それに大きく影響いたしますので、この点、総務局の人事のご担当の担う役割が大きいということを改めて意識をしていただくようご要望いたしまして、短いですが私の質問を終わります。ありがとうございました。

○清水委員 では、最後になりましたけれども、私から質問をさせていただきます。
 まずその前に、日ごろ、コロナ禍での現実のご対応に心から敬意を表したいと思います。
 私からは、防災対策と人材支援事業団について伺います。
 まず、防災対策についてです。
 昨年の台風十五号、十九号では、西多摩地域でも道路の崩落や家屋の浸水など、多くの被害を受けました。ことしは幸い、都内では人的被害を伴う大規模な風水害は発生しませんでしたが、熊本を中心とした豪雨災害の発生など、自然災害が頻発化、激甚化する中で、今後も災害への備えを万全にしておくことが重要であります。
 そこで、昨年の台風被害を振り返り、防災対策について、対応状況等を何点か確認します。
 私の地元の西多摩地域は、山間部も多く、倒木による電柱の倒壊などで停電が発生する可能性がございます。昨年の台風十五号による千葉県内での停電では、倒木や土砂崩れなどが復旧作業の障害となり、停電が長期化いたしました。これは、地元自治会との連携がうまくとれなかったことも原因の一つと聞いています。
 そこで、東京都では、こうした課題等を踏まえ、今年度東京電力やNTTと災害時相互連携に関する基本協定を締結したと伺っておりますが、協定の内容について伺います。

○古賀防災計画担当部長 災害時の停電や通信遮断の復旧を迅速に行うため、都は、本年六月に、東京電力ホールディングス株式会社及び東日本電信電話株式会社との間で、災害時における相互連携に関する基本協定を締結いたしました。本協定では、都と各事業者が災害時に必要な情報を相互に提供するとともに、電力、通信の復旧に支障となる障害物等の除去や応急措置について、相互に協力して実施することなどを定めております。
 具体的には、電力会社が停電復旧作業を行うに当たりまして、土砂崩れや倒木等により復旧現場に入れない場合などに、都が障害物等の除去を行うことで、早期の停電復旧を図ることが可能となっております。
 また、倒壊した電柱や電線が都道の道路啓開の支障となっている場合には、都は、電力事業者の安全確認のもと、除去作業を行うことが可能となっております。

○清水委員 ありがとうございます。協定締結により、迅速に電力、通信の普及が図られるようになった点を評価したいと思います。災害時に協定が十分に機能するよう、日ごろから東京電力やNTTとの連携を深めていくようお願いいたします。
 さて、昨年の台風十九号では、奥多摩町の日原街道が崩落し、車両の通行ができなくなりました。東京都では、道路の寸断により孤立した地域に対して、ドローンを活用して物資搬送を行いましたが、幾つか課題が浮き彫りになったと聞いています。
 そこで、今年度新たにドローンによる物資搬送の実証実験を行うということですが、その内容についてお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 昨年の台風第十九号の際に、奥多摩町日原地区で実施したドローンによる物資搬送では、離発着地点の設定や電波状況等の調査に時間を要したことや、機体の積載能力が十分でないことが課題として明らかになりました。
 そこで、今年度は、日の出町、檜原村、奥多摩町において、災害時に孤立する可能性のある地域を選定いたしまして、目視外飛行に必要な電波状況や事前のルート設定のための調査を実施するとともに、大型の機体を使用して物資を搬送する実証実験の準備を進めてまいりました。
 今月の十九日には、総合防災訓練の一環といたしまして、奥多摩町の峰谷地区で最初の実証実験を実施いたしまして、片道約三キロの距離で約八キロの物資の搬送を行ったところでございます。
 今後、他の地域でも実証実験を進めまして、災害時に円滑に孤立地域に物資を搬送できるよう取り組んでまいります。

○清水委員 ありがとうございます。山間部で孤立するリスクの高い西多摩地域において、私もこの一年、何回か頻繁に足を運んでいるんですけれども、先端技術を活用して、救援物資を届けるための実証実験を行ってくださっている点を評価したいと思います。引き続き、地元自治体とも連携して取り組みを進めてください。
 さて、災害時には、物資だけでなく人的な支援も重要であります。特に西多摩地域の市町村は、広範の山間地域を抱え、土砂災害のリスクも高く、発災時には東京都の支援が不可欠でございます。
 東京都では、昨年の風水害の教訓を踏まえ、区市町村に都の職員を派遣したことを聞いております。
 まず、昨年からことしにかけての情報連絡要員の派遣状況についてお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 昨年の台風第十九号では、大型の台風が東京に接近することが見込まれたため、多摩地域の全ての市町村にあらかじめ情報連絡要員を派遣し、都との情報共有を図りました。その後、道路の崩落に伴う孤立化など大きな被害が発生した日の出町と奥多摩町には、引き続き交代要員を派遣し、応急復旧対応の支援を行ったところでございます。
 また、ことしの台風第十二号、第十四号では、島しょ地域に接近することが見込まれたため、台風の接近前に、大島、三宅島、八丈島に職員を派遣したところであり、台風第十四号では、大雨特別警報等が発表される中で、避難状況や被害状況等の情報収集に当たりました。

○清水委員 台風第十九号では、多摩地域の全ての市町村に情報連絡要員を派遣したとのことでありますが、派遣された市町村からは、どのような評価を受けていたのか伺います。

○猪口総合防災部長 市町村に派遣された情報連絡要員は、被害が発生した地域への救援物資の支援要請など、都の災害対策本部との連絡調整役を担い、市町村からは、今後も引き続き職員を派遣してほしいとの評価をいただいております。
 また、派遣する情報連絡要員につきましては、派遣される自治体の状況をできるだけ把握している職員を派遣してほしいとの声も聞かれております。

○清水委員 今後は、特別区を含む全ての区市町村に情報連絡要員を派遣するとのことでありますが、派遣された職員が発災時に円滑かつ迅速に業務を行うためには、情報連絡要員が事前に地域の状況や自身の役割を把握していくことが重要です。
 そこで、今後、情報連絡要員となる人材をどのように育てていくのか、育成していくのか、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 発災時には、派遣された情報連絡要員が市区町村の被害状況や支援のニーズ等を的確に把握し、都に情報を提供することが重要でございます。
 このため、派遣される情報連絡要員には、あらかじめ派遣先の自治体を割り当て、その地域の災害リスクを事前に確認できるようにしております。
 さらに、連絡要員の役割等を整理したマニュアルを作成し、研修を実施するとともに、実際に派遣される自治体が実施する防災訓練等にも参加し、情報連絡要員が行う業務の確認等を行っております。
 こうした取り組みを通じまして、情報連絡要員の育成を一層進めてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。情報連絡要員について、実際の災害時に派遣するだけでなく、日ごろから充実強化に向けた取り組みを進めていることが確認できました。大規模災害の発生時は、災害現場の第一線で災害対応に当たる区市町村との情報共有が何より大事であると考えます。ぜひこうした取り組みを積み重ねていただき、東京全体の災害対応力を高めていただきたいと思います。
 これまで、人、物と質問したので、次は情報について質問をいたします。
 大規模災害発生時に都民が命を守る行動をとる際に必要な情報として、避難情報が挙げられます。大規模災害発生時に都民が命を守る行動をとる際に必要な情報として、この避難情報の発令は、災害対策基本法によれば、区市町村の責務となっています。区市町村が避難情報を発令するための判断ともなる防災情報については、東京都からも情報を提供する必要があると考えます。
 そこで、東京都と区市町村が情報をやりとりする際に、どのような手段があるのか伺います。

○猪口総合防災部長 発災時においては、通信網の遮断など不測の事態を防ぎ、確実に情報伝達を行うため、独自の通信網である東京都防災行政無線を用いた東京都災害情報システムを使いまして、区市町村や関係機関との情報の収集、共有を図っております。

○清水委員 私もせんだって、北区での総合防災訓練で行政無線を詳しくお伺いし、見ることができました。ありがとうございました。
 東京都と区市町村の間で情報のやりとりを行うツールがあることは確認できました。一方で、昨年の十九号のときに、東京都と市町村の災害対策本部とのやりとりは、各役場で数十人、多くて百人単位でございました。
 区市町村が保有していない都民からのSNS等の情報が、都民の避難行動につながることも考えられます。私の住んでいる西多摩地区でも、二十万人の方の目が、そしてSNSの情報が行き交う、そういう状態があります。
 そこで、都民からのSNS等の情報も災害時に活用する取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 都は、さらなる情報共有の迅速化や効率化を目的としまして、現在、東京都災害情報システムの再構築を進めております。
 この中で、特に情報が不足する発災初期における情報の充実を図るため、SNSから有益な災害情報を自動的に収集する機能を盛り込む予定でございます。
 さらに、デジタル技術を活用しまして、収集した動画や画像を解析することにより、迅速かつ正確な災害情報の把握に努め、一層の災害対応力の強化を推進してまいります。

○清水委員 大規模災害の発生時は、さまざまな情報を活用することが重要であると考えます。再度申し上げますが、都と役場の対応の人数は五十人から数百人の目で行っています。一方で、都民の目は一千四百万人あります。ぜひ、地図上、場所を特定し、投稿者を特定し、そして情報を積み上げていけば、災害本部への重要な資料となり得ます。都民にとって適切かつ行動につながる有益な情報が提供されるよう、取り組みを進めてください。
 最後に、人材支援事業団の事業について伺います。
 職員の福利厚生に関連して質問です。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、都内企業の事業収入が減少することになれば、都税収入の減少も危惧されます。財政環境の先行きを見通すことが難しい中にあっても、感染症対策を初めとした都政課題に対応していくことが求められます。
 そうした状況においては、さまざまな課題に対応する職員を支える福利厚生についても、ワイズスペンディングの観点も含め、事業を実施していく必要があります。
 そこで、まず、コロナ禍における福利厚生事業の必要性や事業実施に当たっての工夫と、そして今後の対応について伺います。

○高崎労務担当部長 職員の福利厚生については、地方公務員法で、地方公共団体が計画を樹立し、これを実施しなければならないと定められております。
 都では、一般財団法人東京都人材支援事業団が、任命権者共通の互助組合として事業の実施を主に担っており、スケールメリットを生かした運営を行っております。
 事業の実施に必要な財源は、原則、職員が負担する会費としており、育児支援や介護支援といった公務能率の維持向上に直接寄与する人材支援型の事業に限って公費を充当しております。
 また、職員ニーズや社会動向等を踏まえ、例えば宿泊助成の見直しを行うとともに、職員の利便性向上や業務の効率化を進めるため、保険事業におけるウエブ申し込みの導入など、工夫を行っております。
 コロナ禍にあっては、今年度新たに、都庁来庁者及び職員の感染症対策として、職員食堂における混雑状況配信システムを導入するなどの取り組みを行っております。
 今後は、ハラスメント等の相談に応じる相談事業について、今年度中にオンライン相談を導入するなど、感染症対策を強化しつつ職員の利便性向上を図るとともに、社会環境や職員ニーズの変化を的確に捉えながら、適切に対応してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。ハラスメントの相談など、より一層の工夫を行っていることで、今後の対応について確認いたしました。
 都税収入の減少が見込まれる中にあって、人材支援事業団の経費については、外部の事例を比較研究するなど、より主体的に抑えていくことが必要と、重要と考えます。
 そこで、最後の質問ですが、事務処理を行うためのシステム経費について、特に多額な費用がかかっていると私は感じておりますが、うまくスリム化できないか、チェック体制について伺います。

○高崎労務担当部長 人材支援事業団の電算経費は、主に約十六万人の会員情報等を集積した総合情報処理システムに係る経費であり、本システムは、事業団が行う各種福利厚生事業の基盤となるものでございます。
 これまで、予算見積もり時のシステムの仕様を精査することにより無駄を省き、真に必要な機能を見きわめた上で、既存システムの構築、運用を行ってまいりました。
 これに加え、今後は、人材支援事業団におけるシステムの構築、運用に当たり、新たに外部の専門家の意見を参考にするなど、コスト削減に向けた不断の見直しを行うよう促してまいります。

○清水委員 ノウハウを蓄積し、ぜひそれを横展開していただきたいと要望し、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○神林委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○山手総務局長 今定例会に提出を予定しております総務局所管の案件は、条例案七件でございまして、このうち、総務委員会に付託される予定のものは、条例案四件でございます。
 それでは、付託予定案件の概要についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、資料第1号、令和二年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 ご審議をお願いいたします条例案は全部で四件となります。
 一件目は、番号1、都政の構造改革の推進を踏まえ、押印に係る規定を改める、職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 二件目は、番号5、社会情勢の変化等に伴い旅費制度の見直しを行うため、所要の規定整備を行う、職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 三件目は、番号6、新型コロナウイルス感染症に係る業務に従事した場合における職員の特殊勤務手当に関する特例措置の期限を延長するほか、所要の規定整備を行う、東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 四件目は、番号7、介護休暇等の対象となる要介護者の範囲を拡大するため、所要の規定整備を行う、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 以上が付託予定案件の概要でございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小平総務部長 総務委員会に付託される予定の条例案四件についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、同じく資料第1号、令和二年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の一ページをごらんください。番号1、職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、都政の構造改革の推進を踏まえ、服務の宣誓に関する様式の押印に係る規定を改めるものでございます。
 施行日は、公布の日を予定しております。
 二ページをごらんください。番号5、職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、社会情勢の変化に伴い、事務の簡素化を図る観点から、旅行雑費の見直しや、口頭による旅行命令の範囲の拡大を行うほか、所要の改正を行うものでございます。
 施行日は、令和三年四月一日を予定しております。
 番号6、東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、防疫等業務手当に関する特例措置の期限を令和三年三月三十一日まで延長するほか、規定を改めるものでございます。
 施行日は、公布の日を予定しております。
 続きまして、三ページをごらんください。番号7、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、職員の介護と仕事との両立を支援する観点から、介護休暇等の対象となる要介護者として、同一の世帯に属する者を新たに規定し、要介護者の範囲を拡大するものでございます。
 施行日は、令和三年一月一日ほかを予定しております。
 以上、簡単ではございますが、付託予定案件につきまして説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○神林委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 よろしいですか。−−なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○神林委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、二〇一九年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況について外二件の報告を聴取いたします。

○緑川行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 二〇一九年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況につきましてご報告を申し上げます。
 お手元に配布してございます資料第3号及び資料第4号によりご説明をさせていただきます。
 まず、資料第3号、二〇一九年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況の概要をごらんください。
 本件につきましては、例年六月から八月までを目途に、前年の経営目標の達成状況について確認し、それに基づき評価を行っておりますが、本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大によります影響を考慮し、七月から十月にかけて二〇一九年度の達成状況を確認し、評価を実施したものでございます。
 まず、1、制度概要でございます。
 都では、政策連携団体が二〇一八年度からの三カ年で進める改革の取り組みを定めた経営改革プランを東京都政策連携団体経営目標評価制度の評価対象と位置づけ、毎年度の達成状況等を評価することとしてございます。
 また、評価した各団体の経営目標の達成状況等につきまして公表することにより、都民への説明責任を果たすとともに、団体の経営改革の促進を図っていくこととしてございます。
 加えまして、二〇一七年度から、より一層の経営改革に資する目標設定及び評価がなされるよう、外部有識者で構成されます評価委員会を設置し、評価に当たって意見を聴取しております。
 次に、2、経営目標の達成状況でございます。
 まず、評価の仕組みについてでございます。評価に当たり、各団体から経営プランに掲げた戦略及び二〇二〇年度の到達目標並びに個別取り組み事項により構成される経営目標に対する二〇一九年度の取り組み実績の提出を受け、所管局が目標達成状況及び定性面を踏まえ、一次評価を実施いたしました。
 その上で、各団体の経営目標の達成状況について、評価委員会から意見を聴取し、その意見を踏まえ、三十三団体ある政策連携団体を五段階で評価いたしました。
 次に、各団体におけます二〇一九年度評価結果でございます。資料下段の表に記載のとおり、上位から、S評価が二団体、A評価が四団体、B評価が二十四団体、C評価が二団体、D評価は一団体となってございます。
 なお、理事長等の業績評価につきましては、団体評価と同一とし、下位評価の団体は、理事長等の役員報酬の減額を行うこととしてございます。
 詳細につきましては、大変恐縮ではございますが、資料第4号、二〇一九年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況をごらんいただければと存じます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○古賀防災計画担当部長 東京都地域防災計画風水害編、大規模事故編、原子力災害編及び東京都南海トラフ地震防災対策推進計画の四つの計画の修正素案についてご説明をいたします。
 各計画の修正素案に関する資料は、お手元配布の資料第5号から第11号まででございます。本日は、各計画の素案の概要資料に基づきご説明をいたします。
 まず、資料第5号の風水害編の素案の概要についてでございます。
 今回の修正に当たっての経緯でございますが、前回修正を行いました平成二十六年七月以降の法改正等や、昨年の台風第十九号等によって明らかになりました課題を検証した大規模風水害検証会議の結果等を反映いたしまして、防災対策を一層推進させることとしております。
 主な修正内容でございますが、重点的に取り組む施策について、左欄の三つの視点を挙げてございます。
 一つ目の視点の水防法改正、防災基本計画修正等への対応についてでございますが、新たな取り組みといたしまして、減災協議会の設置、活用による多様な関係者間での密接な連携体制の構築や、避難所における新型コロナウイルス感染症対策を反映しているほか、右欄のさらなる充実強化を図る取り組みといたしまして、想定し得る最大規模の降雨、高潮を前提とした浸水想定区域図等の作成などを反映してございます。
 二つ目の視点の大規模風水害検証会議を踏まえた取り組みについてでございますが、新たな取り組みといたしまして、気象情報等に応じた避難情報の的確な発令等に関する区市町村の避難対策の支援や、スマートフォン等を充電できる環境整備、支援等の電源確保対策を実施するほか、さらなる充実強化を図る取り組みといたしまして、各区市町村への情報連絡要員の派遣等の初動体制の整備、樋門の開閉状況などの操作情報の共有等、施設の整備、適切な維持管理、応急復旧等に必要な物資調達の充実を図ることとしております。
 三つ目の視点の多様な連携体制の構築についてでございますが、新たな取り組みといたしまして、自治体と住民の連携を見据えた区市町村タイムライン及び東京マイ・タイムラインの普及拡大や、さらなる充実強化を図る取り組みといたしまして、国や関係機関等と連携した大規模水害時における避難対策の検討を引き続き実施することとしております。
 詳細は、資料第6号の東京都地域防災計画風水害編の素案の本冊をごらんいただきたいと存じます。
 次に、資料第7号の大規模事故編及び原子力災害編の素案の概要についてでございます。
 今回の修正に当たっての経緯でございますが、近年の災害対策基本法などの関係法令等の改正内容、国の最新の動向等を反映いたしまして、防災対策を一層推進させることとしております。
 主な修正内容でございますが、大規模事故編に関しましては、近年発生した災害等を踏まえた体制等の構築への対応といたしまして、近年の大規模な事故の教訓等を踏まえた各機関の役割や体制等の見直しを反映しております。
 また、関係法令等改正への対応といたしまして、罹災証明書の交付に係る規定の整備等の対策の充実強化や、東京都石油コンビナート等防災計画等との関係の整理、明確化を行っております。
 原子力災害編に関しましては、都に隣接する原子炉施設における原子力災害対策重点区域の範囲設定の見直しを反映しております。
 また、原子力災害時における緊急事態での防護措置を判断するための基準値等を明確化するとともに、屋内退避など防護措置の内容を具体的に明記してございます。
 詳細は、資料第8号の東京都地域防災計画大規模事故編及び資料第9号の東京都地域防災計画原子力災害編の素案の本冊をごらんいただきたいと存じます。
 次に、資料第10号の東京都南海トラフ地震防災対策推進計画素案の概要についてでございます。
 今回の修正に当たっての経緯でございますが、昨年五月に国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画が変更されまして、南海トラフ地震臨時情報の発表や事前避難対象地域の指定等に関する規定が盛り込まれたことに伴いまして、都の計画を修正するものでございます。
 主な修正内容でございますが、予防対策に関しては、島しょ町村による後発地震に備えた事前避難対象地域の指定について反映してございます。
 南海トラフ地震に関連する情報を受けた対策では、一つ目といたしまして、情報の収集、伝達に関しては、都から区市町村、防災機関への情報伝達と都民に対する情報発信を行うこととしております。
 二つ目といたしまして、住民等の事前避難の実施に関しましては、島しょ町村において、住民等への避難勧告等の発令と指定避難所等への誘導を行うこととしております。
 三つ目といたしまして、後発地震発生に備えた対策に関しましては、各防災機関や島しょ町村における必要な対策について反映してございます。
 詳細は、資料第11号の東京都南海トラフ地震防災対策推進計画の素案の本冊をごらんいただきたいと存じます。
 最後に、各計画のスケジュールにつきましては、パブリックコメントによる都民の皆様のご意見や都議会でのご審議を踏まえまして、来年の二月下旬に東京都防災会議を開催いたしまして、修正案の承認をいただく予定でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○堀越人権部長 第四期東京都犯罪被害者等支援計画素案につきまして、お手元配布の資料第12号及び第13号によりご説明させていただきます。
 資料第12号が計画の概要になっておりますので、そちらをごらんください。
 第1章は、計画の基本的な考え方でございます。
 本計画は、これまでの三期にわたる支援計画を引き継ぐとともに、本年三月に制定いたしました東京都犯罪被害者等支援条例第八条に基づき、犯罪被害者等支援に関する総合的かつ計画的な推進を図るための計画として策定するものでございます。
 次に、支援の基本的な考え方ですが、条例第三条に掲げる四つの基本理念を挙げております。
 なお、計画期間は、令和三年度から令和七年度までの五カ年としております。
 第2章は、都内の犯罪被害者等を取り巻く現状でございます。
 まず、都内における犯罪等の現状ですが、都内の刑法犯認知件数は減少傾向にありますが、全国に占める割合は依然として高く、性犯罪の認知件数も高い水準で推移しております。
 次に、都内における犯罪被害者等の現状ですが、昨年度実施した実態調査では、精神的ダメージによる心身に与える影響の大きさや、多くの方々が周囲の無神経な言動による精神的苦痛、いわゆる二次的被害を受けた経験があることなどが明らかになっております。
 続きまして、第3章は、施策の基本的な考え方でございます。
 本計画における目指すビジョンとして、関係機関の連携強化による支援の充実を掲げております。
 このビジョンを庁内各局、区市町村、関係団体等で共有し、二つの基本的な方向、犯罪被害者等が安心して暮らすことができる支援の提供と、犯罪被害者等を支える社会の形成により、各施策を推進してまいります。
 なお、本計画の進捗状況につきましては、毎年度取りまとめて公表してまいります。
 第4章では、総合支援体制の整備を初め、五つの施策の柱を据え、その柱ごとに具体的な施策を掲げております。
 施策の柱の1、総合支援体制の整備に関する施策でございますが、主な取り組みとして、警察、区市町村などの関係機関との連携を強化し、途切れることなく支援を提供するための体制整備を、都が主体となって進めていくことなどを挙げております。
 柱の2、相談体制、情報提供の充実に関する施策でございますが、主な取り組みとして、被害者等支援のための総合相談窓口において、来所が困難な方にウエブ方式による非接触型のカウンセリングの実施や、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの体制強化に向けた検討などを挙げております。
 柱の3、早期回復、生活再建に向けた支援に関する施策でございますが、主な取り組みとして、今年度から新たに開始した見舞金給付を初めとした各種経済的支援策の実施や、二次的被害、再被害の防止に向けた取り組みなどを挙げております。
 柱の4、都民の理解の増進に関する施策でございますが、主な取り組みとして、被害者の置かれている状況や支援の重要性について、都民や事業者の理解を深めるため、リーフレット、ポスター、SNSなどのさまざまな媒体の活用や、学校現場での取り組みなどを挙げております。
 最後に、柱の5、人材の育成と民間支援団体への支援に関する施策でございますが、主な取り組みとして、都職員、区市町村職員、学校の教員等への研修の実施、関係機関との連携協力に当たって、被害者等の個人情報を適切に管理するためのマニュアル整備などを挙げております。
 詳細につきましては、資料第13号をごらんいただければと存じます。
 この計画の素案につきましては、現在パブリックコメントを実施しており、議会でのご議論も含め、さまざまなご意見を踏まえながら、来年二月上旬の策定を予定しております。
 第四期東京都犯罪被害者等支援計画素案に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○神林委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○神林委員長 次に、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例について外二件の報告を聴取いたします。

○小平総務部長 今定例会に提出を予定しております条例案のうち、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例など三件についてご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、再度、資料第1号、令和二年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の一ページ及び二ページをごらんください。
 番号2、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例、番号3、東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例及び番号4、東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これらは、特別給に関する東京都人事委員会勧告等を踏まえ、職員、特定任期付職員及び任期付研究員の期末手当の支給月数を表のとおり改定するものでございます。
 施行日は、公布の日ほかを予定しております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○神林委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○神林委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情二第七三号の二を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○堀越人権部長 陳情二第七三号の二、児童の権利に関する条約等を遵守するための法整備と支援に関する陳情についてご説明申し上げます。
 資料第14号、陳情審査説明表をごらんください。
 この陳情は、新宿区金本秀一さん外一人から出されたものでございます。
 陳情の要旨は、外国人の人口が五十六万人を超える東京都として、国際結婚をして幸せに暮らす日本人が、子供の連れ去り親と同一視されることなく、幸せな都民生活を送ることができる社会づくりを行うことでございます。
 現在の状況ですが、外国で暮らす日本人が、子供を連れて出国する際に、子の連れ去りを疑われ、もう一方の親からの渡航許可証明書が求められるといった事例については、それぞれの国が出入国管理制度に基づき対応しているものと認識しております。
 子の連れ去りについて、都では、啓発冊子「みんなの人権」において、さまざまな人権課題の一つとして取り上げ、都民に対し啓発を行っております。
 具体的には、国際結婚が破綻した際、一方の親がもう一方の親の同意を得ることなく、子を自分の母国に連れ出し、もう一方の親に面会させないといったことが問題視され、これを不法とするハーグ条約が採択されており、我が国においても平成二十六年四月に発効されたといった内容でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願いいたします。

○神林委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二第七三号の二は、不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後九時二十六分散会

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