委員長 | 神林 茂君 |
副委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 藤井あきら君 |
理事 | 白戸 太朗君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 木村 基成君 |
山内れい子君 | |
清水やすこ君 | |
木下ふみこ君 | |
米倉 春奈君 | |
原 のり子君 | |
まつば多美子君 | |
岡本こうき君 | |
中屋 文孝君 | |
中村ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員都民安全推進本部 | 本部長 | 國枝 治男君 |
総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 加藤 英典君 | |
治安対策担当部長 | 斎田ゆう子君 | |
若年支援担当部長 | 小菅 秀記君 | |
戦略政策情報推進本部 | 本部長 | 寺崎 久明君 |
次長理事兼務 | 児玉英一郎君 | |
戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 東京テックチーム事業推進担当部長兼務 | 有金 浩一君 | |
事業調整担当部長 | 高橋 葉夏君 | |
特区推進担当部長 | 米津 雅史君 | |
国際金融都市担当部長 | 三浦 知君 | |
ICT推進部長 | 樋口 隆之君 | |
デジタルシフト推進担当部長 | 芹沢 孝明君 | |
情報企画担当部長 | 荻原 聡君 | |
情報基盤担当部長 | 沼田 文彦君 | |
人事委員会事務局 | 局長 | 武市 玲子君 |
任用公平部長 | 須藤 栄君 | |
審査担当部長 | 柴田 義之君 | |
試験部長 | 神山 智行君 | |
監査事務局 | 局長 | 河内 豊君 |
監査担当部長 | 山田 則人君 |
本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
報告事項(説明・質疑)
・令和二年「職員の特別給に関する報告と勧告」について
事務事業について(質疑)
監査事務局関係
事務事業について(質疑)
都民安全推進本部関係
事務事業について(質疑)
戦略政策情報推進本部関係
事務事業について(質疑)
○神林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、監査事務局、都民安全推進本部及び戦略政策情報推進本部関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項の聴取を行います。
これより人事委員会事務局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○須藤任用公平部長 東京都人事委員会は、去る十月三十日に、都議会及び知事に対しまして、地方公務員法の規定に基づき、職員の特別給についての報告及び勧告を行いました。
本日は、お手元に資料第1号、令和二年職員の特別給に関する人事委員会勧告の概要及び資料第2号、職員の特別給に関する報告と勧告を配布させていただいております。
ご説明は、資料第1号、勧告の概要により行わせていただきます。
恐れ入りますが、勧告の概要をごらんください。本年の勧告のポイントでございます。
特別給は十年ぶりの引き下げで、年間支給月数を四・六五月分から四・五五月分に〇・一〇月分引き下げることとしており、期末手当で実施としております。
なお、今回の勧告は特別給のみの勧告となっておりますので、それ以外の給与等については別途必要な報告、勧告を予定しております。
2の職員と民間従業員の比較ですが、(1)、比較の方法にございますように、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の民間事業所を対象に調査を行ったところ、(2)、比較の結果のとおり、特別給について民間の支給割合が年間四・五七月となっており、都職員を〇・〇八月分下回っておりました。
実施時期でございますが、令和二年十二月支給分から実施することとしております。
以上、令和二年職員の特別給に関する報告と勧告についてのご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○神林委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、事務事業に対する質疑とあわせて行いますので、ご了承願います。
なお、事務事業については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○須藤任用公平部長 十月二十二日の当委員会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考実施状況の一覧でございます。
障害の種別ごとに、過去三年分を掲載してございます。
以上、簡単ではございますが、資料についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○神林委員長 説明は終わりました。
これより、ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○藤井委員 有為な人材を確保することは、質の高い都民サービスの提供のために非常に重要でありまして、都庁にとって取り組むべき最重要な課題の一つであります。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、都も採用に苦労したものだと思うところであります。これまでどのように新型コロナウイルスに対応して、今後どのように採用に取り組んでいくのかお伺いをいたします。
今年度実施をしました都職員の採用試験においては、新型コロナ感染症の対策が必要だったと考えますが、どのような工夫をされたのか、取り組みをしてきたのか確認いたします。
○神山試験部長 採用試験における新型コロナウイルス感染症の感染防止策についてでございますが、飛沫感染を防止する観点から、受験者にマスクの着用や休憩時等の私語の自粛をお願いするとともに、全ての試験係員がフェースガードを着用いたしました。また、受験室では、受験者の席の間隔をあけ、適宜換気を行いました。
接触感染を防止する観点からは、受験者に手洗いを励行してもらうとともに、受験室に消毒液を設置し、手指の消毒を促しました。
さらに、試験会場においては、密を回避するため、受験者の集合や解散の時間をずらすとともに、サーモグラフィーによる受験者の体温の確認を行い、体調不良者には別室での受験を促すなど、万全な感染防止策を行いました。
○藤井委員 受験者の対応、そして試験官、会場の対策に取り組んでいただきまして、感染症対策を万全にして実施をしていただいたということであります。
採用は、これまで皆様のノウハウがありますフェース・ツー・フェースで、顔と顔を合わせてするのが一番わかりやすいですし、ノウハウもあるところだとは思います。しかし、このコロナ禍にあっては、顔を合わせるということが一番のリスクになってしまっているところがあります。
現在、全国では新型コロナウイルスが再拡大しているところでありまして、常に最悪の状態、もしかしたらまた試験ができないとか、そういったような状況も想定して備える必要が大事だと思います。ことしの緊急事態宣言下では、外出自粛なども求められておりました。試験会場や面接会場に行けないということも想定しておくことが必要であります。
新型コロナウイルスの影響を鑑み、都の採用試験会場における感染症対策を徹底するという先ほどのご答弁のところとともに、オンラインによる採用試験や面接なども検討すべきと考えますが、見解を伺います。
○神山試験部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、多くの民間企業がオンライン面接の導入に踏み切ったと承知しております。
オンラインによる面接は、受験者と面接委員が一堂に会することがないことから、感染防止の徹底に資するとともに、面接会場までの移動が不要となり、遠方からも受験しやすくなります。
一方で、面接時に通信障害が発生するおそれや、画面越しでは受験者の表情を把握しにくいなどの懸念がございます。
こうしたメリットやデメリットを踏まえた上で、オンライン面接の導入について検討してまいります。
○藤井委員 ご答弁をいただきましたとおり、民間では既に、オンラインの採用面接等がかなり進んでおります。
私も外資系の証券会社で働く友人から、オンライン面接をしているということで話を聞いたんですが、外資系の証券会社ということもあって、海外からの応募もふえて、これまで以上にさまざまな方がご応募いただいているということであったりとか、あとは外資系企業は結構継続的な在宅勤務をしているので、かなり効率的になってきて、むしろ生産性は上がっているという話を聞いております。
さらに、先ほどご答弁にあったご心配の点で、オンライン面接でどれぐらいわかるのかという話もあるかと思ったんですが、意外とそこの会社ではうまくいっていて、オンラインでも人となりは結構わかるものだというようなことをおっしゃっていました。それは中途の採用のやり方みたいなんですけれども、加えて、新卒の採用におかれましては、事前に新卒者の方が動画を撮ってもらって、それを提出してもらうとか、そういったようなことも取り組んでいるそうであります。
ちょっと採用とは話が変わってしまいますけど、新卒の育成に関しては、やっぱりオンラインではなかなか厳しいところがあるという話も伺っております。
そうしました民間の動向や実例もたくさん出てきていますので、確認、研究をしながら、オンライン面接の実現に向けて検討、取り組みを進めていただきますよう要望をいたします。
新型コロナも、まだどこまで続くのか不透明なところがあります。その他の感染症や災害なども考えられますので、常に備えていただきますようお願いいたします。将来的には試験自体も、オンラインで実施できるような検討が必要だと思います。
採用活動という点におきましては、試験だけではなく、セミナー等、PR活動もありますが、コロナにおける影響を受けて中止したものもあったと聞いています。今後はこれもまた、オンラインでの実施も検討すべきだと考えますが、見解を伺います。
○神山試験部長 有為な人材を確保するためには、より多くの方々に都庁を知っていただき、受験してもらうことが大切でありまして、採用セミナーや相談会などのPR活動は重要でございます。
令和元年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、集合型の職員採用セミナーや採用相談会などについては、副委員長ご指摘のとおり、中止を余儀なくされました。
今年度は感染防止の観点から、オンラインにより開催するPR活動を拡充し、年度末にかけて実施する予定の職員採用セミナー等についても、オンラインで開催するよう準備を進めております。
また、各大学等がオンラインで実施する就職説明会についても、積極的に参加してまいります。
○藤井委員 オンラインでセミナー等を準備されているというところでありますので、着実にPRをして、都庁に有為な人材が集まるようにしていただきたいと思います。
採用は、次世代、次の五十年の都庁の礎を築く大事な作業でありますので、オンラインなどを活用しまして、コロナ禍でも継続的にさまざまな手段でPRや採用活動を続けていただきまして、すばらしい人材を採用して、すばらしい都庁のサービスにつなげていただけますようにお願いを申し上げまして、私の質疑を終わります。
○原委員 それでは質問したいと思います。人事委員会で実施をしている都職員の苦情相談について伺います。
決算特別委員会に提出をされた資料によると、年々相談が増加していることがわかります。二〇一五年度は百七十七件、二〇一六年度が二百二十九件、二〇一七年度が二百四十一件、二〇一八年度が二百五十五件、二〇一九年度が二百七十九件とのことです。
昨年度二百七十九件というのは、今までで一番多いのでしょうか。そして、なぜ増加しているのか、どのように分析をしているか伺います。
○柴田審査担当部長 統計をとり始めた平成十七年度以降、昨年度の相談件数が一番多くなっております。
相談内容は相談者によりまちまちでございますので、増加した明確な原因につきましては不明でございます。
○原委員 二〇〇五年度以降、平成十七年度以降、相談件数は昨年度が過去最高ということです。
そもそも人事委員会の苦情相談は地方公務員法の第八条によって位置づけられているとのことですけれども、苦情相談の目的はどういうものでしょうか。
○柴田審査担当部長 苦情相談は、勤務条件その他の人事管理に関する職員の苦情に迅速かつ適切に対応するために行っているものでございます。
○原委員 先ほどいいましたように、昨年度が相談が最も多かったと。しかし、増加の理由は人それぞれなので不明だということでした。
相談の内訳については、事業概要に、任用に関するものが三十件、給与に関するものが十二件、福利厚生に関するものが五十四件、人事異動に関するものが四十件、そのほか百四十三件というふうにありますが、確かに、毎年の事業概要と比べても、何かが突出してふえているというわけではないというふうに見てとれました。
ただ、決算特別委員会の資料には、相談の主な内容として、ハラスメントに関する相談ということが明記をされています。このハラスメントに関する相談はどのぐらいあるのでしょうか。
○柴田審査担当部長 相談者がハラスメントとしている相談であっても、実際には職場の人間関係に関する悩みも多く、一概に割合をお示しすることは誤解を招くため、控えさせていただきたいと存じます。
○原委員 ハラスメントの相談については、総務局の方でも、さまざまな形で相談を受ける形をとっていますので、またそちらでも状況等は詳しく聞いていきたいと思いますが、ただ、提出をされた資料の中でハラスメントに関する相談というふうに記述をされているということは、それなりにやはり相談があるんだなということが今回よくわかりました。
このハラスメントなどの深刻な相談にどのように対応しているのか、また、相談を受ける際にどのような配慮をしているのか、この点についてお聞かせください。
○柴田審査担当部長 ハラスメントなどの相談に対しましては、相談者の相談内容を十分把握することに努め、その上で、相談者の意向を踏まえ助言を行うなど、必要に応じた対応を行っております。
相談に当たりましては、専用の相談室を設け、相談者のプライバシーに十分配慮するほか、必要があれば女性職員のみで対応するなど、相談内容や相談者の要望にできる限り対応するよう努めております。
○原委員 相談者の意向によって対応しているということです。とても大事なことだと思っています。
同時に、その相談を受ける中で、現在の制度の枠では解決できない問題などもやはり出てくるんだと思います。
例えば、同性パートナーの職員の方たちが、異性カップルには認められている福利厚生を適用してほしいという措置要求がありました。これは苦情相談ではありませんが、措置要求がありましたけれども、こういう問題についても、東京都は人権尊重条例を持っているわけですので、これまでの制度の枠では対応されなかったことも、条例に照らして実施していくなどのことも求められてきていると思いますし、また、現在コロナの状況が深刻な中で、職員の方々の中にもさまざまな不安もふえているのではないかというふうに思います。
引き続き相談事業を充実させてほしいというふうに思いますし、どういう不安や問題を抱えているのか傾向をつかみ、分析をすることも必要ではないかと私は考えます。そうした意見を述べて、その点について要望をしておきたいと思います。
また、この相談事業は、職員の方を挙げて電話相談も受けているということを聞いています。相談件数がふえていく中で、人員体制の強化も必要なのではないかというふうに私は感じています。その点についても意見を述べておきたいと思います。
続いて、障害者のⅢ類採用選考について伺います。
コロナのもとでの試験について、通常の試験に加えて、この障害者Ⅲ類採用選考試験についてどのような配慮を行っているのか伺います。
○神山試験部長 障害者Ⅲ類採用選考における新型コロナウイルス感染症の感染防止策についてでございますが、他の採用試験における感染防止策に加えまして、グループ討議においては、障害によりマスクを着用できない受験者がいることから、各受験者の間に大型のアクリル板を設置し、飛沫感染を防止いたしました。
また、個別面接では、聴覚障害を持った受験者への配慮として、面接委員が透明な口元の見えるマスクを着用いたしました。
○原委員 障害を持っている方が、誰もが試験を受けやすくなるように配慮を充実していくということが、本当に重要だというふうに思って聞きました。コロナ禍でますます重要性が明らかになっているのではないでしょうか。
これまでも繰り返し、要約筆記の実施やヒアリングループの実施なども提案してきていますけれども、障害のある方たちの意見をさらに聞いて、できるものを実現していっていただきたいということをこの場では要望しておきたいと思います。
それで、受験の申し込みに際して、昨年度から、自力による通勤可能な人、また、通常の勤務時間に対応できる人との文言がこの受験資格から削除をされました。改めて、その目的は何だったのか伺います。
○神山試験部長 まず、自力により通勤が可能な人という受験資格につきましては、これは、通勤に介助者が同行してもよいが、その費用などは被介助者の負担とするという趣旨でございました。しかし、自力によりという表現が誤解を招くおそれがあることから削除したものでございます。
次に、通常の勤務時間に対応できる人についてでございますが、他の試験等で採用された職員も勤務時間は同じであることから、障害者Ⅲ類採用選考のみに受験資格として記載しているのは適切ではないと判断し、削除をいたしました。
○原委員 つまり、他の障害のない方たちと同じにしたということだと思うんですね。この点については必要なことであったというふうにもちろん思っているんですけれども、同時に、先ほど資料も提出をしていただきましたが、残念ながら今年度も、知的障害者の合格者の方はいないという状況です。試験がは受けられるようになったけれども、やはりことしも合格された方はいないと。
広く試験は受けられるようにしているけれども合格できないということについて、私はやっぱり考えていく必要があると思っています。特性に応じた試験のあり方というのが問われているのではないかというふうに考えています。
正規職員として障害者の方が採用されるための試験というのは、今はこのⅢ類しかないですので、このままの状態で、これをずっと知的障害の方だけは合格できないという形で推移をしていくと、障害のある方を傷つけることになりかねないなというふうに私は思っています。
それで、愛の手帳四度の知的障害の方の保護者の方が、都知事宛てに手紙を出されています。こういうものを出しましたということでお知らせいただいて、私も改めて、そのお手紙を読んで考えさせられました。ご本人の了解を得て紹介して、質問をしたいと思います。
私の娘は三十八歳で、愛の手帳四度の知的障害者です。このたびのコロナ禍のもとで、ある企業の社員食堂の食器洗浄の職を解雇されました。職探しをしているところ、東京都障害者採用試験Ⅲ類があることがわかり、申し込みました。しかし、過去の障害者試験を調べたところ、グループ討議テーマ、都民からの期待に応える職場をつくっていく上で大切なことは何だと思いますかというテーマ、また作文問題、東京都職員になって生かしたい私の経験、それから教養問題四十問がありました。
娘に問題を見てもらったところ、難しくてわからないとのことでした。娘は特別支援学校を卒業しており、東京都のⅢ類の試験は、知的障害者には全く不適切の問題であるといわざるを得ません。過去の知的障害者の採用者数はゼロです。以上のことから、もし本人に試験を受けさせたら、何もわからない中、苦痛の試験であり、拷問に行かせることとなります。よって、令和二年九月十三日の試験場に行かないことにしました。
東京都障害者試験Ⅲ類は、知的障害者の採用試験をうたっています。試験を受ける門戸を開いていますが、合法的に知的障害者を排除する問題で、知的障害者差別です。特別支援学校の現状をよく理解し、その卒業者に合った採用試験の実施をお願いしたいと思います。今後、このような問題を出し続けるのかどうか教えてくださいというお手紙でした。
そのお手紙を読んで、本当にこれはしっかり受けとめて検討していかなければいけないと私自身、改めて思ったのですが、今お手紙の中にもあったように、難しくてわからない、あるいは、東京のⅢ類の試験は知的障害者には全く不適切、それから、合法的に知的障害者を排除する問題で知的障害者差別というふうにこのお父さんは指摘していますけれども、これをどのように考えるのか。
知的障害者を対象にしたときに、どのぐらいの障害の程度の方が合格できると想定していたのか教えてください。
○神山試験部長 職員の採用に当たりましては、地方公務員法に定める成績主義に基づき、採用後に従事する職務内容に応じた能力実証を行う必要がございます。
そのため、障害者Ⅲ類採用選考におきましても、筆記試験では、障害種別にかかわらず、Ⅲ類採用試験と同様に、高等学校卒業程度の出題を課しており、グループ討議と個別面接の成績を合わせた総合成績により合格者を決定することとしております。
○原委員 Ⅲ類の試験についてはそういう考えだということでお話を今いただいたわけですけれども、合理的配慮をどう考えるのかというのがとても重要になっているかなと私は思っています。
改めてちょっと認識を伺いますが、障害者差別解消法、また、東京都の条例で位置づけられている合理的配慮とはどういうことなのか伺います。
○神山試験部長 障害者差別解消法や条例における合理的配慮とは、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に、負担が過重でないときは、当該障害者の性別、年齢、障害の状態等に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的な対応をすることをいいます。
○原委員 今、合理的配慮について簡潔にお答えいただいたんだというふうに思いますが、この合理的配慮というのは、障害者が意思を−−障害者がいわなければ合理的配慮を実施しないのかといったら、そうではないわけですよね、当然のことながら。
東京都の条例の前文には、こういうふうに書いてあります。多様性こそが都市としての発展の原動力であるとの認識のもと、東京都は、障害及び障害者への都民の理解を深めるとともに、障害を理由とする不当な差別的取り扱いをなくし、建設的な対話と合理的配慮の提供を通じ、社会的障壁の除去の取り組みを進めていかなければならないと前文にあって、さらに、第七条がやっぱり重要で、この第七条のところには、先ほどご説明にあったとおり、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に合理的配慮をしていくという、そういうふうになっているんですけれど、ここに括弧がついていて、この意思の表明をする人は、本人がそのまま言葉で表現できない場合も当然あって、その障害を持っている方をサポートしている方などがその障害者本人の意思を補佐して伝えるということも含めて意思の表明であるということになっていて、それに対して対応しなければいけないというのが、この障害者差別解消条例の中で非常に重要な部分だというふうに私は思うんですね。
ですから今回のことでいうと、試験を受けられるようにしたというだけでは合理的配慮というふうにはならなくて、やっぱり知的障害者の方の特性に応じてどういう対応ができるのかということを考えていくことが、本当に重要なんだというふうに思うんです。
Ⅲ類の試験を実施されている、その中で、知的障害者の方の合格者が出ないということは、もう毎年試験をやってきてはっきりしてきているわけですから、これを受けて、東京都として、じゃあ特性に応じた試験をどうしていくのかということになると思うんです。
ですから、Ⅲ類の試験とは別に、知的障害者の特性に応じてどういう対応ができるのかということが非常に重要だと。今、オフィスサポーターなどもやられていますけれども、オフィスサポーターの場合は、非常勤でお仕事をしながらステップアップをしていくという、そういう方向も含めてやられていますが、これがフィットする方ばかりではないので、本当に知的障害者の特性をよく検討していくということが必要だと私は思います。
これまでも、愛知県のように知的障害者の特性に応じた正規採用の試験の実施なども提案してきましたけれども、こういうことが求められているのではないかというふうに思っています。
ただ、それが、議論がまだ進まない中にあっても、現状では、試験を受ける知的障害の方に、今ある制度、先ほどいったオフィスサポーターの制度なども含めてご案内をする、東京都としてはこういう試験をやっていますよということをいろんな形で案内をしていくということは、情報提供としては非常に重要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○神山試験部長 非常勤職でございますオフィスサポーターの制度の案内につきましては、人事委員会としてどのような対応が適切であるのか、慎重な検討が必要であると考えております。
○原委員 慎重な検討が必要ということで、それはそれで私も理解するところです、人事委員会、また総務局の人事部、それぞれ役割がありますので。
ただ、大事なのは、人事委員会が今実施をしている試験で今年度も知的障害者の方の採用がなかったという事実のもとで、本当に全庁的に議論をして、障害者の採用をどうやって進めるのかという検討をしていくことだというふうに思います。
合理的配慮のある障害者の試験のあり方、働き方について議論していくことが必要だと思っています。総務局の事務事業質疑でもまた議論をしたいと思っていますが、人事委員会でも、ぜひこの間の試験の結果などを分析していただいて、また、局、委員会を超えて共有していただいて、障害者が採用される、また働きやすい職場を目指していっていただきたいというふうに思います。
以上で質問を終わります。
○中村委員 それでは、私からは、障害者の採用について伺います。
障害は多様で、主なもので知的、身体、精神の三障害があります。本委員会の要求資料である障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考実施状況によれば、令和二年度は、申込者三百五十一人に対して合格者が四十六人、その内訳を見ると、精神障害者は三十二人、身体障害者は十四人、知的障害者はゼロ人となっています。
人事委員会は採用選考を行っていますが、そもそも採用の計画をつくる総務局からは、障害者の採用人数についてどのような依頼が来ているのか、そこには障害種別ごとの採用数は示されていないのか伺います。
○神山試験部長 毎年度、総務局からは、任命権者として計画をした障害者採用の総数が示されておりまして、知的、身体、精神といった障害種別ごとの人数は示されておりません。
○中村委員 先ほど、都の資料で採用人数を述べましたが、当事者団体の方からお話を伺うと、採用が身体に偏っているといわれます。数では精神障害の方は多いのですが、受験している人数からするとかなり狭き門であるし、知的障害者についてはゼロ人と全く採用していません。
先ほどのご答弁でも、総務局からは障害者採用の総数だけが示され、障害種別ごとの採用数は示されていないとのことですが、法的には法定雇用率を満たせばいいというものの、公的な役割として、雇用が厳しい方々を採用することは必要です。
そこで、多様な障害者を採用するために、どのように取り組んでいるのか伺います。
○神山試験部長 障害者Ⅲ類採用選考の実施に当たりましては、精神障害者等に対する合理的配慮としまして、筆記試験時間中の服薬を認めております。
個別面接では、受験者が登録等をしている就労支援機関の職員の同席を合理的配慮として認めております。
今後も引き続き、さまざまな障害を持った方に対する合理的配慮を行いながら、選考を実施してまいります。
○中村委員 選考のときには合理的配慮をしているということですけれども、結果としては、やはり偏りがあるということなので、抜本的な見直しを求めたいと思います。
とはいえ新たな取り組みが始まっているとも聞きます。総務局では、知的障害者を非常勤として採用するオフィスサポートセンターを運営しており、そこで働く非常勤職員を後に正規雇用として採用すると聞いています。障害者に正規雇用の道を開くことは重要であり、健常者と違い、最初に非常勤として働いてみて仕事になれることで、ご本人にも自信を持ってもらうという点では意味があると思います。
しかし、種別ごとの障害者の雇用、とりわけ知的障害者の雇用を促進することは重要ですが、局において非常勤職員を正規に転換するとなると、公平な採用が行えているか不安に思います。
公平で公正な採用試験を実施する人事委員会として、公平性をどのように担保するのか伺います。
○須藤任用公平部長 非常勤職員として一定期間勤務している障害者を常勤職員として採用することについて、選考前に任命権者から協議を受けるなど、公平で公正な選考となるよう、既に検討を進めているところでございます。
○中村委員 知的障害者に常勤職員への道が開かれることは、歓迎すべきことだと思いますので、ぜひ進めていただきたいのですが、前提として公平性の担保が必要になります。政策的に必要であっても、公平性の担保は人事委員会制度の存在意義として重要なので、協議を受けるということにとどまらず、新たな選考方法の構築に向けて、積極的にかかわることが大切と考えます。その上で、多様な障害種別の方が常勤の職員として採用されることへの道を開いていただくよう要望します。
次に、就職氷河期世代の採用について伺います。
バブル崩壊後に就職の門が著しく狭まり、他の年代であれば正規雇用として就職できたであろう方々が非正規雇用となり、その後長期間にわたって非正規の状況が続いてきた方々が多くいます。
今年度は、就職氷河期世代を対象とした採用試験を行ったとのことでした。改めて、対象年齢、募集人数と、実際に何人申し込みがあったのか伺います。
○神山試験部長 就職氷河期世代を対象とした東京都職員採用試験は、出題レベルが大卒程度のⅠ類Bと高卒程度のⅢ類の二種類ございます。
受験資格については、Ⅰ類B、Ⅲ類のいずれの種類も、三十五歳から五十歳までを対象年齢としており、採用予定者数はそれぞれ十人として、申し込みの受け付けを行いました。
申込者数につきましては、Ⅰ類Bが千七百二十九人、Ⅲ類が千二百九十七人でございました。
○中村委員 二つの類型で二十人の枠に約三千人が応募しているので、倍率では百五十倍という狭き門になっています。新卒の採用の倍率が約六倍と聞いていますので、それと比べてもはるかに厳しい状況です。
他の自治体などの動向を報道で見てみても、就職氷河期世代の試験には多くの方が殺到しています。厳しい状況に長年置かれてきた方々には、正規雇用への道を切望している方が多くいます。これは、毎年人事委員会勧告とあわせて人事制度及び勤務環境等に関する報告として提出をされていますが、採用試験が高倍率で多くの方が職を希望しているという状況を、積極的に都に対しても提案していただくよう要望いたしまして、私からの質問を終わります。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
○神林委員長 これより監査事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 移動時間の短縮のため、今回、自席で質疑をさせていただきます。
監査は、都におきまして、都庁みずからが行う政策評価や都政改革レビュー、事業評価と並びまして、小池知事の掲げるワイズスペンディングの一角を担う、非常に重要な役割を果たしております。
また、昨年の行政監査においては、都における情報システムの内部統制のあり方についてとして、デジタル化を進める都にとって必要な点を国内の事例などを参考にまとめ、そして指摘をしておりまして、私もとても参考になりましたし、とても有益な行政監査であったと評価をしております。こういった点でも、監査というのは非常に重要なものだというふうに認識をしております。
ことしは新型コロナの感染拡大によりまして、都の事業の多くが休止、縮小などの影響を受けているということであります。監査についても、新型コロナウイルス感染症の対策に伴いまして、一部実施を見合わせるなど、対応を行ったということでありますが、令和二年監査の実施状況についてお伺いいたします。
○山田監査担当部長 令和二年監査につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止及び新型コロナウイルス感染症対策の集中的、重点的に進める全庁的な執行体制を確保するため、四月から六月に予定していました定例監査及び工事監査の実地監査を九月以降に延期いたしました。
その上で、島しょや新型コロナウイルス感染症対策で多忙をきわめている部署については監査対象から外すなど、一部規模を縮小するなどして監査を実施しております。
また、法律で実施が義務づけられている定例監査とは異なり、必要がある場合に実施することができるとされている財政援助団体等監査や行政監査につきましては、九月以降に延期をした定例監査と実施時期が重なることとなるため、実施を見送ることといたしました。
なお、法律で毎年または毎月の実施が義務づけられております決算審査や例月出納検査などにつきましては、新型コロナウイルスの感染防止に努めた上で、例年どおり実施をしております。
○藤井委員 監査を延期したり、一部規模を縮小したり、そして実施を見送るというところで、ことしは法律で義務となっているものに注力をして実施をされているということであります。
昨日全局質疑のありました決算でも監査委員会の報告がありまして、私個人的には参考にさせていただきまして、質疑をさせていただきました。監査によるチェックは効率的な都政運営にとって非常に重要でありますので、手を緩めることなく、来年以降、しっかりと実施することを要望させていただきます。
令和二年の監査では、規模の縮小や実施の見送りなども余儀なくされたということでありまして、東京二〇二〇大会後に予定をされていました、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対する財政援助団体等監査などの重要な監査も、できていない状況であります。
東京二〇二〇大会は一年延期となりましたが、来年の監査はどのように対応していくのかお伺いいたします。
○山田監査担当部長 令和三年監査につきましては、引き続き新型コロナウイルスの感染状況を注視し、また、感染防止対策を図りつつ、定例及び工事監査はもちろんのこと、財政援助団体等監査及び行政監査等につきましても例年どおり実施をし、監査の責務を果たしていきたいと考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響により、東京二〇二〇大会の開催は来年に延期となりましたが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対する監査につきましては、延期後の大会スケジュールを踏まえ、既に準備に着手しておりまして、今後も着実に実施をしていく予定でございます。
○藤井委員 大会組織委員会への監査につきましてはこれまでも我が会派が要望しておりまして、今のご答弁の中で準備に着手をしているということでありますので、着実に進めていただきますように引き続きお願いをいたします。
財援監査は、出資団体等が費用対効果を初めとして経営的な視点も留意しながら実施する監査でありまして、義務ではありませんが、非常に重要であると思いますので、来年以降、しっかりと進めていただきますようにお願いをいたします。
我が会派の公認会計士でもある成清都議−−監査委員も務めたかと思いますが、に少し話を聞きましたところ、民間の監査では、監査でやることというのは、資料を分析したり、関係者からのヒアリングがメーンということでありまして、エクセルやPDF等の資料データやオンラインの会議システムがあれば、遠隔でも仕事はしやすいのではないかということでありました。
コロナの影響で、いつまた社会活動の制限が生じるかわかりません。今度また同じようなことが起きても、この大事な監査を継続できるような環境整備を進めていただくということを強く要望させていただきます。備えよ常にの精神で取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、監査におけるデジタルトランスフォーメーションやデータ利活用についてお伺いいたします。
大量のデータを処理する監査においては、IT、テクノロジーを活用して、効率性、生産性が大幅に上昇する可能性があると考えています。昨年の私の事務事業質疑でも、監査事務のペーパーレス化と、監査対象事案抽出のためのICTを活用した大量データ分析型監査について確認をしたところであります。
この委員会での質疑で、令和二年、ことしから導入予定と聞いておりました、ICTを活用した監査の実施状況について伺います。
○山田監査担当部長 ICTを活用しました大量データ処理、分析型監査手法につきましては、昨年度実施した調査委託によりまして、現在手作業で行っている財務諸表上の数値のチェックや突合などをICTを活用して自動で行うことにより、監査効率を大幅に向上することができること、また、財務や契約に関する大量のデータを分析することで、監査対象の選定に活用できることがわかり、今年度から実際の監査の場で活用していくことを予定しておりました。
しかしながら、今年度は新型コロナウイルス感染症対策を集中的、重点的に進めるため、未着手、未発注、一時停止が可能な事業につきましては原則延期または中止するという対応を全庁的に進めていること、また、新型コロナウイルス感染症の影響により、当初実施予定であった監査を中止したことで、大量データ処理、分析型監査手法の活用が十分に見込めないことなどから、導入を見送ることといたしました。
ICTを活用しました大量データ処理、分析型監査手法の導入につきましては、改めて、来年実施する各種監査において活用を図り、監査の効率性や質の向上につなげていきたいと考えてございます。
○藤井委員 今ご答弁いただきましたICTを活用した監査を実施することで、監査の効率化、生産性の向上ということと質の向上を図っていくということでありまして、とても期待をしているところでありますので、来年度こそ、ぜひ実行していただきたいと要望させていただきます。
新型コロナ対策での増大する都の支出とコロナ禍での税収減を考えると、事業の効率性を高めていくという観点から、監査をより一層強化すべきであると考えております。定例監査、行政監査、決算審査、それぞれの中で、事業の効率性も見ているところでありますが、外部有識者の包括外部監査の知見も参考にしつつ、さらに積極的にテクノロジー等も活用して、より一層取り組んでいただくことを要望しまして、私の質疑を終えさせていただきます。
○中村委員 それでは、住民監査請求について質問します。
住民監査請求は、都民が損害を受けた場合の補償を求めるものではなく、住民が自治体に信託している財産の管理の適正化のため、住民に認められた特殊な制度です。請求者本人は、たとえ主張が認められても直接的に金銭をかち取るものでもありません。
最初に、住民監査請求の過去十年間の実績はどうなっているのか伺います。
○山田監査担当部長 住民監査請求は、地方自治法第二百四十二条に基づき、普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の執行機関または職員について、違法または不当な財務会計上の行為があると認めるときに、監査委員に対して監査を求め、損害の補填など必要な措置を請求できる制度でございます。
平成二十二年度から令和元年度までの十年間の住民監査請求は百六十二件であり、そのうち監査を実施したものは十四件、却下したものは百四十六件、取り下げられたものが二件でございます。監査を実施した十四件のうち、勧告を行ったものが一件、請求を棄却したものが十三件でございます。
○中村委員 十年間で百六十二件が提出され、そのうち監査が実施されたものは十四件とのことでした。
案件はケース・バイ・ケースでありますが、全国的な傾向としても、監査を実施しない却下が多く、事案そのものが判断に及んでいません。もちろん請求を受けて判断した結果として棄却の場合もありますが、そもそも事案そのものの判断ができるような積極的な姿勢が必要と考えます。
監査の対象となる具体的な財務会計上の行為とは、どのようなものですか。そして、監査は支出行為の適法性だけではなくて、先行する行為の適法性も問われるべきではないでしょうか。見解を伺います。
○山田監査担当部長 住民監査請求の対象としましては、財務会計上の六つの行為が規定されております。具体的には、公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担、公金の賦課徴収を怠る事実、財産の管理を怠る事実でございます。これらの財務会計上の行為自体に違法、不当があるか否かが監査の対象となります。
財務会計行為の原因となる先行行為の違法、不当につきましては、その行為が著しく合理性を欠き、そのために予算執行の適正確保の観点から看過し得ない瑕疵が存在し、その原因行為を前提にしてなされた財務会計上の行為自体が法規上の義務に違反する場合に限定されるものでございます。
○中村委員 監査に及ばずに却下となる案件が多いのですが、先行する原因行為と支出行為が一体的な関係であれば、監査の対象として認められるべき事案はもっとあるのではないかと思います。監査をして、勧告するか棄却するかは案件にもよりますが、多くの案件が内容についての審査にたどり着いていません。制度の趣旨に基づき、住民自治の発展につながることを望みます。
さて、本制度は、住民訴訟の前置主義になっていますが、訴訟が提起されたときに、都の監査委員に対して裁判所から何らかの確認があるのでしょうか。また、監査委員は、自身が監査した案件についてその後訴訟が提起されたのか、提起された場合にその判決をどのようにして知ることができるのか伺います。
○山田監査担当部長 普通地方公共団体の住民は、地方自治法第二百四十二条に基づきまして、監査委員の監査の結果や勧告等に不服があるときに、訴訟を提起することができます。
住民監査請求を経て訴訟が提起された案件について、裁判所から監査委員に対して確認が来ることはございません。住民監査請求に対する訴訟が提起された場合には、監査委員は当該案件の都の対象部局から情報を得ることができます。
○中村委員 前置主義であるにもかかわらず裁判所から連絡が来ないとのことですので、請求を受けた部門からすれば、監査事務局も準司法機関として、緊張感を持って接するのでしょうが、当該部門から情報を得るのが最も確実だと思います。情報を得ていただいた上で、判決をもとに監査結果を検証することも必要です。
住民訴訟が結審し、判決が確定した場合で、仮に監査の結果と判決の結果が違った場合には、司法が最終的に判断するのですから、監査の判断が間違っていたことになります。今後、同様のケースがあれば、当然監査の際の判断も変わることになります。
そこで、監査委員は、みずからの住民監査請求に対する監査結果の事後検証を行うのでしょうか、伺います。
○山田監査担当部長 監査委員は、公正かつ公平な立場で監査を行う必要があるため、住民監査請求がなされた場合には、請求内容が類似した過去の住民監査請求案件も含め、裁判判例なども検証し、監査結果に適切に反映させております。
○中村委員 最終判断は司法なので、過去の判例を反映させるのは必要なことだと思います。ただ、それは一般論や類似事例としてではなくて、実際に監査を行った判断について司法がどう判断したかを検証することが重要ですので、取り組んでいただきたいと思います。
さて、過去の住民監査請求について都民が知ることができる機会を設けることも重要です。住民監査請求の実績について情報公開をどのようになされているのか伺います。
○山田監査担当部長 監査事務局では、情報発信の拡充に向け、平成三十年三月にホームページの全面リニューアルを実施し、タブレット端末やスマートフォンにも対応しております。
また、住民監査請求検索システムを新設し、平成十一年から現在までの住民監査請求の結果を公表しております。監査結果の公表につきましては地方自治法第二百四十二条第五項に規定されており、都では、都民サービス向上のため、平成二十八年以降については監査を行わなかった案件も情報として公開しております。
○中村委員 検索システムの導入などを取り組んでいただいていることはわかりました。今後はさらにその内容の充実が必要ですので、監査を行わなかった案件は、平成二十八年以降については公開しているとのことですが、それ以前の分についても公開していただきたいと思います。
さて、住民監査請求制度について具体的な案件がなくても、こうした制度があることが周知され、都民がみずからも都政をただしていくことを念頭に都政を見るようになれば、具体的な請求がなくても都政の緊張感が高まり、そのことは、ひいては都民の利益になります。もちろん、必要があれば都民が積極的に活用できることも重要です。
住民監査請求制度を広くPRすべきと考えますが、所見を伺います。
○山田監査担当部長 住民監査請求は、普通地方公共団体の住民が、当該団体の執行機関や職員等について違法または不当な公金の支出や財産の取得、管理、処分等があると認めるとき、必要な措置を講ずるよう請求するもので、住民の発意によるものであり、その活用は住民に委ねられております。
都民への住民監査請求制度の周知に関しましては、都民に向けて発行しているパンフレット、監査のあらましにおいて事務手続をわかりやすくまとめ、手続の流れを図解しております。この監査のあらましは、多くの方々に閲覧していただけるよう、局のホームページにも掲載しております。
また、住民監査請求を行いたいとする都民へのサポートに関しましては、来所や電話等により個別の相談にも応じておりまして、引き続き、適切に対応をしてまいります。
○中村委員 近年、住民監査請求は、財政支出に関連させながら公金の支出の前提となった非財産的行為に関する間接統制機能との見方もあります。最近のこうした動きを踏まえ、住民監査請求に対してどのような姿勢で臨んでいるのか伺います。
○山田監査担当部長 住民監査請求は、住民の発意により、当該団体の執行機関または職員について違法または不当な財務会計上の行為があると認めるときに、監査委員に対して監査を求め、損害の補填など必要な措置を請求できる制度でございます。
このような制度の趣旨に鑑み、引き続き、公平かつ公正な立場から客観的かつ合理的に監査を実施し、都民の信頼に応えてまいります。
○中村委員 都政が適正に行われることは、まずは都みずからが律していくものであり、さらに、行政のチェックを行うのは議会の役割でもあります。その上で、住民がみずから住む自治体を監視するのですから、住民監査請求の制度は、改めて行政も議会も緊張感を持って取り組むことにつながります。制度の趣旨が生かされ、住民自治の発展につながるよう求めて、質問を終わります。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
○神林委員長 これより都民安全推進本部関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○加藤総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の委員会において要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしております総務委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は四点でございます。
一ページをごらんください。1、区市町村道における自転車走行空間の整備状況の五年間の推移でございます。
平成二十七年度から令和元年度までの区道と市町村道における自転車走行空間の整備状況を記載してございます。
二ページをごらんください。2、東京都における自転車損害賠償保険等の加入率でございます。
都内における自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等に関する加入状況調査の結果を記載してございます。
三ページをごらんください。3、東京都における自転車事故の状況でございます。
平成二十七年から令和元年までの発生件数、死者数、負傷者数を記載してございます。
四ページをごらんください。4、東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業補助金実績でございます。
令和元年度と令和二年度の台数、執行額を記載してございます。
以上、ご要求いただきました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○神林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○白戸委員 私からは、まず、都民一人一人が行う防犯活動の推進について伺います。
都内の犯罪認知件数は減少傾向が続いており、これはひとえに町会、自治会の防犯ボランティアの方々が行ってきたさまざまな防犯活動のたまものであると認識しております。やはり防犯は、地域の力、警察や行政などももちろん重要ではありますが、まずはその地域に住む皆様の力であり、私はそれを高く評価しています。
来年は東京二〇二〇大会、その後は訪都人口を伸ばしていくために、さらに、まちの防犯力向上が重要となってきます。そんな中で、都においては、防犯団体の活動推進に加え、都民一人一人が行うまちの安全見守り事業に取り組んでいると聞いております。
まず、まちの安全見守りの事業内容と目的について伺います。
○斎田治安対策担当部長 まちの安全見守りとは、都民一人一人が暮らしている地域、通勤や通学の経路など、いつもの見なれたまちの様子に、ふだんと違う点がないかをよく気にかけ、よく見ることを通じて、まち全体の防犯意識を高めるとともに、犯罪抑止につなげていく取り組みです。
都民一人一人が、いつもと違う、変だなと思ったら、ためらわず警察に通報してもらうことで、地域の安全性が向上いたします。小さな気づきを行動に移していただけるよう、まちの安全見守りの機運を幅広く都民に醸成していくことがこの事業の目的であります。
○白戸委員 まちの安全見守りを浸透させていくためには、都民に対してさまざまな方法で働きかけ、そして意識を高めていただくことが必要があると思います。
そこで、まちの安全見守りを広く都民に浸透させるための取り組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 広く都民に受け入れてもらえるよう、親しみやすいデザインであるマスコットキャラクター、みまもりぃぬをモチーフとしたシールやバッジ、ポスター、チラシなどを製作いたしました。
多くの人が集まる街頭やショッピングモールなどで広報イベントを開催しているほか、企業や自治会などを対象に、まちの様子を気にかける際の着眼点や、安全な環境づくりのアドバイスを行う出前講話を実施しております。
また、警視庁や区市町村のほか、公共交通機関、郵便局やスーパーマーケットなど百社以上の事業者と連携いたしまして、ポスター掲示やチラシ配布を初めとする広報活動を展開しております。
○白戸委員 防犯意識を高めるために、イベントや出前講話などで取り組んでいられるということではありますが、現在、このコロナ禍において、イベント開催や密になりがちな講話などは困難が伴うというふうに思われます。
こうした制約がある中で、まちの安全見守りを広めるためには、今までにない工夫が必要だと思われます。今後、このウイズコロナの中で、まちの安全見守りの活動をどのように拡充、展開していくか、具体的な取り組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 理事ご指摘のとおり、今後のまちの安全見守りの普及啓発には、感染拡大防止の視点は欠かせません。そのため、出前講話は、DVDなどの映像資料やオンラインでの対応を予定しています。
また、広報イベントにつきましては、より多くの人に働きかけるため、街頭での実施にかわる新たな取り組みといたしまして、来年一月から三月に、参加者十万人を目標とするオンラインイベントを開催いたします。このオンラインイベントでは、イベント会場を想定した特設サイトを開設し、地域の安全に関心が集まる小さな子供を持つ親をターゲットにいたしまして、親子で楽しめる歌や体操、誰もが楽しみながら参加できるクイズなどの企画を実施いたします。
さらに、多くの人を特設サイトに誘導するため、SNSを活用し、参加者自身が口コミで企画内容を発信できる仕組みを設けるほか、インフルエンサーを活用した発信も行うなど、オンラインならではの広報を展開いたします。
今後も、多くの人がまちの様子にいつもと違う点がないか気にかけることを習慣にしてもらうよう働きかけまして、地域の安全が一層高まるよう努めてまいります。
○白戸委員 自分のまちは自分たちで見守るというのが防犯の基本であります。この原則をより多くの方にいま一度意識していただけますよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
続いて、在住外国人の言語や文化の違いに配慮した取り組みについて伺います。
東京の安全な環境について考えるときは、在住外国人についても注目する必要があるでしょう。都内の在住外国人は、本年一月には約五十八万人と、新型コロナ以前まで年々増加しており、都が昨年の十二月に公表しました未来の東京戦略ビジョンでも、二〇四〇年には都民の十人に一人が在住外国人になることが見込まれております。
一方、これらの外国人が日本で暮らすときに、言語や言葉や文化の違いがハードルとなっています。都はこれまでも、安全・安心に関する普及啓発を実施してきましたが、在住外国人には言葉の壁もあり、十分に浸透していないケースも見受けられます。
新型コロナウイルスに関して、「やさしい日本語」で情報発信されているのが非常に好評だと聞いております。私も、海外で生活したときの苦労した経験から、わかりやすい言葉で発信していただけるというありがたさが本当によく理解できますし、今は逆の立場として、このような配慮が大変重要になってくると思われます。
東京に住む日本語の得意でない外国人の皆様にも理解できるように、きめ細かく施策を展開して、日本での安全・安心な暮らしを支援する必要があると考えます。
そこで、都における在住外国人の言語や文化の違いに配慮した安全・安心に関する取り組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 在住外国人等へ安全・安心の普及啓発を進めるためには、外国人の使用する言語や文化に配慮した施策の展開が必要です。
都では、新規に都民安全推進本部のホームページに、安全・安心に関する施策を紹介する「やさしい日本語」のページを作成し、英語ができない外国人への情報発信にも取り組んでおります。
また、在住外国人等の子供を対象に、拾った落とし物は警察に届けるなどのような文化の違いも踏まえまして、犯罪トラブルに巻き込まれないための安全啓発を実施しております。防犯や非行防止に関する基本的な安全啓発について、七つの言語で冊子を作成するとともに、英語も活用した講座を開始しました。
これらの施策の展開により、在住外国人が日本の生活になじんで安全・安心に暮らせるように支援してまいります。
○白戸委員 他意はなくとも、理解できていないから起きてしまうようなトラブルは少なくないと思います。ぜひ、世界に開かれた都市である東京都、日本の東京ではなくて、世界の東京として、これら取り組みを進めていただきたいと思います。
また、先日は、在住外国人が主体となるお祭りなどによる集団感染のお話も聞いております。十一月には、ネパール人対象ではティハール、ブラジルやフィリピン、キリスト教系のカトリックでは諸聖人の日、そしてインド人はディワリなど、祭事が続きます。
ぜひ、こうした際のリスクなども伝わる言語でしっかりとインフォメーションしていくことが、感染拡大防止にも、そしてまちの安全にもつながるものになると思いますので、取り組みを要望しておきます。
さらに、私たちも外国人が日本で安全に暮らせるように支援するとともに、外国人にも地域の安全に協力してもらう必要があるとも考えます。しかしながら、在住外国人が増加する一方で、防犯活動などの地域活動への参加はなかなか進んでいない状況があるようです。地域の自治会などでも、どのようにして在住外国人に活動に参加してもらえるかどうか、苦労していると聞いております。
そこで、在住外国人などの地域における防犯活動への参加を促進するための都の取り組みを伺います。
○斎田治安対策担当部長 地域の安全を維持するためには、増加する在住外国人にも協力していただく必要がございます。
都では、在住外国人が参加する子供の見守り活動を展開し、昨年度は、江戸川区に多く住むインド人から参加者を募り、アームバンドを提供して、買い物や通勤をしながら見守る活動に参加してもらっています。これにより、子供の安全を確保するとともに、参加した外国人の防犯意識も高めていただきまして、地域の防犯力を底上げしていきます。
今後は、別の地域にも活動を広げるとともに、在住外国人が地元の区市町村や自治会等とも連携できるように、活動を支援してまいります。
○白戸委員 新型コロナウイルスの終息に伴いまして、また再び在住外国人はふえていくことになるでしょう。人口減少、そして高齢化の進む中で、この在住外国人の存在はますます大きくなるということは間違いありません。
そして、この在住外国人は、もうお客様ではなくて、我々の地域の仲間という存在でもあります。引き続き、自治会や自治体と十分に連携をして、在住外国人の地域参加を支援していただけるようお願いしておきます。
次に、近年問題となっている特殊詐欺の受け子対策について伺います。
都の刑法犯認知件数が減少している中で、高齢者を狙ったオレオレ詐欺などの特殊詐欺被害はいまだ膨大な被害が発生しており、深刻な社会問題となっています。一方で、コロナ禍の影響で、経済的に厳しい状況にある若者が犯人グループに裏バイトなどと称した受け子、出し子として利用されているとも聞いております。
警視庁の統計によりますと、令和二年度上半期の特殊詐欺事件の被疑者の七割が十代、二十代で占められており、どちらかというとアルバイト感覚で引き受けて加害者になってしまうというケースが少なくないため、加害者にさせないための取り組みも大変重要と考えております。
特殊詐欺の加害者にさせないための取り組みについて、都の取り組みを伺います。
○斎田治安対策担当部長 特殊詐欺につきましては、被害の防止とともに、若者を犯罪に加担させない対策もまた、非常に重要です。
十代や二十代の若い世代が受け子や出し子として特殊詐欺に加担してしまう傾向があることから、ツイッター等のSNSを活用した情報発信や、安易な気持ちで特殊詐欺に加担してしまった受け子の末路を盛り込んだプロの劇団による公演を高校等で行い、犯罪の重大性や一旦加担してしまうと抜け出せない怖さを認識させる対策を実施しております。さらに、少年院においても同様の公演を行うことにより、再犯の防止にも努めています。
また、裏バイトの募集には安易に応募しないよう呼びかけるポスターを作成し、コロナ禍でも多くの人が目にするよう、駅頭での掲示を予定しております。
○白戸委員 犯罪は、加害者がいなければ被害者も生まれません。だから、当然ですが、被害者防止対策だけではなくて、加害者をふやさない対策も欠かせません。
今後も、安易な言葉にだまされたり、コロナ禍につけ込まれたりする若者が出ないように、取り組みを進めることを要望しておきます。
続いて、交通安全施策について伺います。
まず、安全運転支援装置設置補助事業の実績について伺います。
昨年四月、高齢ドライバーが運転する車が暴走し、子供を含めた命が犠牲となりました。その後、他県でも高齢ドライバーによる事故が発生し、多くの国民が胸を痛めることとなりました。
加齢による機能低下は避けられないことですが、一方で、年を重ねても日常生活の中で運転が必要だという方もいらっしゃるのも事実です。行政としてこの問題にどう取り組むか、喫緊の課題であるところです。
池袋の事故発生が四月十九日、そしてその約三カ月後の七月十二日に、東京都は、踏み間違いによる急加速を制御する装置に対し補助をするという事業を開始すると公表しました。九割という高い補助率により、装置を取りつける動きを加速したという意気込み、また、国に先駆けて補助制度を開始したということを評価します。
今年度も、昨年度に引き続きこの事業を実施していますが、ここまでの実績について伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、運転を続けられる高齢者ができるだけ早期に装置を設置できるよう、予備費を活用しまして、緊急対策として、後づけの安全運転支援装置の購入、設置に対する補助制度を昨年七月に開始いたしました。
令和元年度、設置を支援した台数は約一万六千台であり、決算額は十億五千七百万円でございます。今年度四月から八月までの実績は約四千百台、執行見込み額は二億九千四百万円となっております。
なお、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下にあった四月、五月の設置件数が大幅に減少したことを踏まえまして、当初八月末までとしていた九割補助期間を二カ月間延長いたしまして、十月末までとしたところでございます。
○白戸委員 都民に資する制度を創設したとしても、制度があることを知っていただけないようでは、利用にもつながっていかないと思います。
そこで、都として、どのようにこの事業の周知に取り組んでいるのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、高齢運転者やそのご家族に本制度を周知するため、ポスターやリーフレットを作成し、区市町村窓口や警察署などで配布しております。
また、対象となる高齢運転者に対し、制度の案内を店舗からも行っていただくなど、取扱事業者と連携しております。
さらに、令和二年七月から九割補助期間が終了する十月にかけましては、高齢者がふだん接することの多いメディアとして、ラジオCMや新聞広告を展開したほか、事業を紹介するPR動画をまち中の大型ビジョンで放映するなど、さまざまな媒体を通じまして集中的に広報を実施いたしました。
○白戸委員 都として、さまざまなツールを通じて周知に取り組んでいることがわかりました。知られていなければ、どんなにすばらしい制度も、ないのと同じことになります。ぜひ、引き続きこの周知拡大に努めていただきたいと思います。
そして、今回の補助制度はあくまでも、高齢者による事故を防止する装置の取りつけを支援するという、手段でございます。大事なのは、都内における高齢者の事故を防止し、一人一人の都民の安全・安心確保につなげていくという、目的であることを忘れてはいけません。
昨年起きました各地での高齢者ドライバーの事故を受けて、都民の間でもこの問題への意識が高まっています。都内の六十五歳以上について見ると、昨年一年間の免許返納数は一昨年の約一・五倍、およそ六万件にも及んでいます。
都内の高齢者には、装置補助制度の対象となるような日常の足として車を利用されている方以外にも、こうして免許を返納された方、今後免許を返納しようかと考えている方など、さまざまな方がいらっしゃいます。
このようなことも踏まえまして、都内における高齢者の交通安全をどのように推進していくのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、全交通事故に占める高齢運転者による事故の割合が増加している中、高齢者の運転に対するかかわり方がさまざまであることを踏まえた上で、交通安全の普及啓発に努めているところでございます。
まず、運転を続けられる高齢者の方に対しては、高齢ドライバー交通安全セミナーを実施し、安全運転について考える機会を提供しています。セミナーでは、高齢者がモニターとなった、AIつきドライブレコーダーにより収集したデータから得られた、高齢運転者の運転特性を講義に活用していくなど、実践的な内容としております。
次に、免許返納を検討している方に対しましては、休日に家族相談会を実施し、認知機能の衰えに関する相談事などを通じて、運転する際に気をつけるべきことなどについてアドバイスするとともに、運転免許の返納についても周知啓発しております。
さらに、免許を返納された方が、その後の移動手段として自転車を多く用いることを踏まえまして、こうした方向けに、自転車の乗り方といった実技を含めた講習会を実施することで、自転車の安全利用を促進しています。
また、歩行者シミュレーターを活用した参加体験型の交通安全教育を実施し、歩行中の交通事故防止についてきめ細かく指導しております。
今後も、運転を続けられる方、やめられる方、やめた方、それぞれに対応した施策を総合的かつ着実に推進して、高齢者の交通安全を実現してまいります。
○白戸委員 高齢者の交通安全に関しまして、都として、さまざまなアプローチによる対策を行っていることがわかりました。
ただいまの答弁にもありましたが、免許を返納した後の移動手段をどう確保するか、これは、ご本人やご家族にとっても非常に切実な問題です。人は、自分の意思で移動できる手段が減ったり、行動範囲が狭くなってしまいますと、当然のことながら活動量が落ち、心身ともに老化を進めることにもつながります。移動手段の確保は、人間らしく生き続ける大切な一つの要素であるという認識を忘れてはいけません。
一方で、今後、自動運転技術の発展などにより、新しいタイプの移動手段の実用化も期待されるところであります。こうした技術の進展、それによる移動手段の選択肢の拡大も視野に入れながら、引き続き、高齢者の交通安全の実現という目的に向けて取り組んでいただくよう要望いたします。
続きまして、自転車保険について伺います。
私はこれまで何度も、一般質問で、自転車の賠償保険義務化について取り上げてきました。そして、私たち都民ファーストの会においても、さまざまな場面で加入義務化の積極的な検討を求めてきており、この四月についに義務化が実施されたことを高く評価いたします。
自転車の場合、子供からお年寄りまで幅広い年齢層の方々が日常的に利用する乗り物であり、また、近年は電動アシストつき自転車もふえ、さらに利用者人口は広がっています。
自転車保険の加入についても、未成年の場合は保護者の保険に附帯させる必要があるなど、さまざまな形態がございます。今後、自転車保険の加入促進を図るためには、まず、加入者の状況などを正確に把握することが不可欠であります。
そこで、都は、どのように自転車保険の加入状況を把握しているのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 都では、自転車保険等への加入が義務化される直前のことし三月に、都内在住の二十歳以上の自転車利用者を対象に、自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等に関する加入状況調査を実施いたしました。
結果は、自転車を利用する都民の四六・六%が対人賠償事故に備える保険等に加入していることや、加入している保険の種類や、世代による加入状況の差など、今後の加入促進につながる情報を把握することができました。
今後も、都としては、今回の調査結果を踏まえまして、自転車保険の加入促進に取り組むとともに、定期的に加入状況を調査して、それまでの取り組みの効果を検証し、さらなる加入の促進につなげてまいります。
○白戸委員 都民の保険に対する意識を高めることは、単に被害者や、そして加害者の救済だけではなくて、安全利用の意識の向上にもつながるので、加入促進に向けた取り組みの強化が必要だと思います。そのためにも、これまで行ってきたこの取り組みを振り返り、検証、それを新しい取り組みにつなげていくことも大切です。
さらに、加入促進のためには、都のみならず、実際の窓口となる損害保険会社などとも連携をして取り組むことが効果的だと考えております。
そこで、都は、どのようにこの自転車保険加入促進に取り組んでいくのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、昨年九月の東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の改正以来、自転車保険等への加入促進のため、改正内容を周知徹底しております。
主なものでは、まず、「広報東京都」に令和二年四月から自転車保険等への加入が義務化になることを掲載しまして、幅広く周知しました。
また、自転車保険等の加入状況がフローチャートでチェックできるリーフレットや、義務化を周知するポスターを作成し、区市町村、警察署、学校、交通安全教室等で配布、掲示しておりまして、令和二年十月より、増刷した二百万枚を超えるリーフレットを都内全ての幼稚園、小中高校や保育施設などを通じ、各家庭に配布いたしました。
さらには、自転車販売店を通じて自転車購入者に交付するルール・マナー確認書を、民間企業の協力を得て約百万部作成するほか、保険選びに苦慮される方々に向けて、自転車保険等取扱事業者の情報を当本部ホームページに掲載するなど、保険会社や、自転車販売店が組織する自転車商協同組合と連携した周知活動にも取り組んでおります。
○白戸委員 損保会社などとの連携を深めて、都がさまざまな手段を用いて自転車保険の加入促進に努めていることは評価できます。交通事故のない社会を目指し、交通事故を減少させていくためには、自転車保険の加入義務化というインパクトのある施策を契機として、交通安全意識を高揚させる社会全体としての取り組みにしていくことが重要でしょう。
そこで、社会全体で幅広く自転車の安全利用に向けた取り組みを進めるために、電動アシストつき自転車への対応も含め、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、平成二十五年七月に施行された自転車安全利用条例に基づいて、東京都自転車安全利用推進計画を策定しました。
この計画では、条例の自転車の安全利用に関する規定等を踏まえ、安全教育、放置自転車対策、利用環境整備等の各分野におきまして、自転車損害保険への加入など、行政、自転車利用者、事業者等がそれぞれ果たすべき具体的な取り組みを提示し、社会全体で自転車の安全利用を促進しております。
一方で、計画策定時には想定していなかった新型コロナウイルス感染症の影響で、自転車利用への関心が高まっております。さらに、シェアサイクリングや電動アシストつき自転車など、自転車の利用形態等も多様化しております。
今後とも、計画や社会情勢の変化を踏まえ、それぞれの主体が役割に応じた取り組みを行うよう周知啓発に努めて、社会全体で自転車の安全利用に関する機運を高めてまいります。
○白戸委員 コロナ禍によりまして、自転車を取り巻く状況が変化し、関心が高まっていることは、交通安全意識を高揚させるためには絶好の機会です。
都には、自転車保険の加入促進などの機会を生かしまして、自転車の安全利用の普及啓発の充実にも積極的に取り組んでいただきたいと考えます。都民ファーストの会としても、今後の東京都自転車安全利用推進計画の改定に向けて充実した議論を行うことで、自転車の安全利用をさらに推進していくことをお約束します。
最後に、ウイズコロナ時代を踏まえた今後の交通安全施策の推進に関する都民安全推進本部の取り組みについて、本部長の決意を伺います。
○國枝都民安全推進本部長 新型コロナウイルスの感染拡大により、人や物の移動を取り巻く環境は大きく変化しております。
人の移動に関しては、緊急事態宣言などに端を発するテレワークの急速な導入、感染拡大防止も目的とするオフピーク通勤の拡大など、これまでその必要性が叫ばれつつも、ややもすれば活用がおくれていた取り組みが、新型コロナウイルスの感染拡大後、急激に進展いたしました。
また、物の移動についても、いわゆる巣ごもり需要を背景とするデリバリー業者の活況、通信販売の急拡大など、都民の消費動向にもさまざまな変化を生じさせております。
こうした人や物の移動はいうまでもなく、通勤や物流など、交通により成り立っております。都はこれまでも、各種施策の実現を通じて交通安全の向上に努めてまいりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大は、交通を取り巻く環境に劇的な変化をもたらし、都の交通安全に向けた施策展開に大きな影響を与えております。
都としては、高齢ドライバー向け安全運転支援装置設置補助などの自動車安全対策、自転車保険等加入の義務化などの自転車安全利用の推進といった、さまざまな年代、交通手段に応じた各種交通安全施策に引き続き着実に取り組むとともに、オンラインを活用した普及啓発など、新型コロナウイルスに伴う環境変化やその時々の情勢を踏まえた効果的な対策を機動的かつ柔軟に講じてまいります。
こうした施策を幾重にも重ねて展開することを通じて、都民安全推進本部として、ウイズコロナの時代を踏まえた今後の東京の交通安全の実現に、全力で取り組んでまいる所存であります。
○中屋委員 私の方からは、特殊詐欺対策における区市町村との連携について、まず申し上げたいと思います。
今お話ありましたように、都内の刑法犯認知件数は減少を続けております。それは今お話ありましたように、地元の防犯ボランティアの皆様の力や、また警察当局、行政当局のお力のたまものであるというふうに思っております。
一方で、オレオレ詐欺を初めとする特殊詐欺は、被害総額、認知件数ともに高どまりの状況にあります。我が文京区も例外ではありません。昨年は八十六件、ことしも九月までで五十四件に達しています。
特殊詐欺被害の防止に向けては、高齢者の状況を一番よく把握している住民にとって、身近な区市町村と連携した取り組みがとても重要であると思います。
そこで、特殊詐欺対策に向けて、都と区市町村の連携した取り組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 高齢者を特殊詐欺被害から守るためには、高齢者の状況を把握する区市町村や警察署と連携した取り組みが重要でございます。
都は、区市町村等を通じて、都が製作したポスターやリーフレットを自治会や町会等へ配布しています。また、プロの劇団員による特殊詐欺被害防止公演を区市町村などが主催の防犯イベント等で実施しております。
引き続き、住民にとって身近な区市町村とともに、高齢者の特殊詐欺被害防止に向け、取り組んでまいります。
○中屋委員 斎田部長、また続けて質問しますから、ご無理なされないように何かあったらいってくださいね。
ひとり暮らしをしている高齢者の方々が安心して生活できるように、都と区市町村の効果的な連携を今後とも希望いたします。
続いて、外国人犯罪対策についてお伺いいたします。
東京都の外国人人口が年々増加しておりますが、平成二十五年以降、毎年四千人以上の外国人が検挙されております。とりわけ、来日間もない外国人の中には、法律をよく知らずに犯罪に及んだり、日本のルールやマナーを知らずにトラブルになることがあると聞いております。
都は、こうした来日外国人が犯罪に手を染めないよう、どのような施策に取り組んでいるかお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 来日外国人が法の誤った解釈や知識不足から意図せずに法を犯さないようにするには、日本の法律や、日本で生活するためのルールとマナーの正しい理解が重要でございます。
都では、外国人が犯しがちな日本の法律を初め、ルールとマナーを理解してもらうためのマニュアルを独自に十六カ国語で作成いたしまして、特に需要の多い八カ国語を冊子にしております。
これらの冊子は、出入国在留管理局や警視庁、区市町村、外国人在留支援センター等の協力のもと、各窓口において配布しているほか、日本語学校や外国人技能実習機構を通じて、直接留学生や技能実習生の手元に届くようにしております。
ほかにも、法律やルール、マナーをまとめた啓発動画を制作しまして、インターネット上で視聴を可能にしているほか、東京出入国在留管理局で外国人向けに上映しております。
○中屋委員 いろいろな外国人が犯罪によって検挙されておりますけれども、その中でも身近な、我々が生活する中で代表的な違反というのが、よく見受けられるんです。それは、外国人の自転車のルール違反、これは日本であれば原動機付自転車、原付ですね、オートバイ、これは二段階右折というのは大体わかっているんですけれども、それを知らずに、右折ラインで車と同じように右折する自転車がよく見受けられます。ほとんど恐らく外国人の方だと思いますので、そうした場面を子供が見るとまねしてしまいますから、非常に危険だと思いますので、ぜひ、引き続き啓発活動に取り組むようにお願いをしたいと思います。
続いて、暴力団排除について伺います。
記憶に新しいところで、ことし六月に発生いたしました歌舞伎町での暴力団といわゆる夜のまちの店舗従業員スカウトとの間での暴力事件では、改めて暴力団の恐ろしさを認識することになりました。
暴力団につきましては、平成二十三年、石原都政のときに暴力団排除条例を施行いたしたわけであります。そのときに、当時、広島県警本部長でありました竹花さんも既に副知事にご就任していただいたときだと思いますけれども、条例ができました。昨年十月に改正暴力団排除条例が施行されまして、改正条例では、都内の主な繁華街を暴力団排除特別強化地域と指定いたしまして、同地域において、暴力団の側から用心棒代やいわゆるみかじめ料を要求することが禁止されるとともに、都民の側からも暴力団に用心棒を依頼したり報酬を支払ったりしないよう定められたわけです。
改正条例では、暴力団だけでなくて、都民の側にも守るべきことがあると思いますが、都民個々で暴力団排除に向けた活動を行うには困難も伴うと思います。
都として、暴力団排除に向けて、多様な判断に基づいて連携して取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
○斎田治安対策担当部長 暴力団排除に向けましては、地域の実態を把握している区市町村や地元の自治会等と連携して取り組みを進めることが重要です。
そこで、都は、暴力団排除に取り組む都民を後押しするために、暴力団排除イベントである安全・安心明るいまちづくり運動を警察署や区市町村、商店会などとともに実施してまいりました。
昨年度は主要繁華街である歌舞伎町と浅草で実施し、今年度は来月、巣鴨、大塚地区で実施する予定でございます。
○中屋委員 暴力団排除に向けて、警察の取り締まりだけでなくて、今後も都は地元と一体となって取り組むことを要望いたします。
次に、防犯カメラの設置促進について伺います。
都は、地域の防犯力向上のために、地域団体に対して、平成十五年から防犯カメラの整備費等について補助を行っています。ちなみに、都の補助で設置いたしました現在までの台数は約二万五千台となります。
防犯カメラは、地域における犯罪未然防止や安全・安心の確保に向けて有益であります。引き続き、防犯カメラの設置を推し進めていくべきだと思います。
そこで、地域団体への防犯カメラの設置促進に向けた支援強化について、都の見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 都におきましては、地域の見守り活動の促進及び犯罪発生の未然防止を目的としまして、町会、自治会、商店街等の地域団体が設置する防犯カメラの設置費用について補助を実施しております。
防犯カメラの設置促進については、都はこれまでも、各区市町村の担当部署等へ補助制度を周知するとともに、区市町村からの相談、意見等を丁寧に聞きながら取り組みを展開してまいりました。設置補助に加えまして、昨年度から開始した保守点検、修繕に対する補助や、今年度から新たに実施しております電気料金等への補助制度を周知するなどによりまして、防犯カメラの設置促進や継続利用に資する支援を実施しております。
○中屋委員 ただいまご答弁いただきました修繕や電気料金等の補助制度も、積極的に活用を広げていただきたいと、頑張っていただきたいと、こう思っておりますが、設置補助率が今年度から変わってしまいました。現在も設置促進の考えであれば、もとに、やはりその地域の負担を軽減すべきだと、私はこう思っています。
都の財務局がうるさいことをいっているようでありますけれども、この事業は都が始めた事業でありまして、都の治安に対する代表的な政策であると私は思っておりますので、そこのところを忘れないようにお願いをしたいと、こう思っています。
次に、防犯ボランティアについて伺います。
地域の安全・安心は、その地域の町会、自治会、商店街や防犯ボランティアの方たちが支えてきました。高齢化や後継者不足が深刻でありまして、若い世代にもいかに地域の防犯を担っていただくかが喫緊の課題だと思います。
ランニングや犬の散歩をしながら地域の安全も見守っていただく方たちをふやす防犯人材ソフトパワー発掘事業は、若い人たちが受け入れやすい取り組みだと思いますけれども、気軽に参加できる反面、活動が一時的、表面的なもので終わってしまうのではないかと心配しています。
この取り組みに若い世代の方たちがせっかく参加を申し出ても、その後のフォローを行っていかないと、防犯活動として地域にしっかり定着しないのではないか。そうなると本来の目的を達したことにはならない、こう思います。
そこで、防犯人材ソフトパワー発掘事業への参加を申し出た方たちの活動をどのように地域に定着させるのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、地域の防犯活動を若い世代にも担っていただくため、ランナーや犬の飼い主を対象に、ランニングや犬の散歩をしながらの見守り活動の普及を図っております。
さらに、こうした方たちの見守り活動が地域に定着し、継続して行われるように、ボランティア同士の交流を図る防犯ボランティアの集い等への参加を呼びかけたり、地域に密着し、他の模範となる防犯団体の活動事例を紹介するなど、都と防犯団体、また防犯団体同士の連携促進を図っております。
また、今年度、当本部で運用しているポータルサイト、大東京防犯ネットワークにおいて、防犯団体がみずからその活動状況を投稿し、サイト上で閲覧できる機能を追加する予定でありまして、こうした機能も活用していただくなど、見守り活動の定着を図ってまいります。
○中屋委員 やはりこうした防犯ボランティアの皆様というのを本当に大切にしていくということが、大切になってくるというふうに思います。平成二十八年、河合本部長のときに、私、提案いたしまして、こういうボランティア団体を顕彰すべきだということで、現在も本部長からそういう団体に対して感謝の意を伝える顕彰をしていただいております。ぜひ、今後も続けていただきたい、こう思います。
次に、自転車の交通安全教育について伺います。
コロナ禍において、公共交通機関の密を避ける自転車通勤通学や自転車シェアリングの利用増加など、自転車の一層の利用が見込まれております。
一方で、一部の自転車による危険な運転など、交通ルール、マナー違反した自転車利用がよく見受けられます。自転車の安全利用を促進するためには、子供たちが自転車の乗り方などについて、実際の利用状況に即した教育の機会を身近な場所で受けられることが効果的であると、こう思います。
そこで、子供たちを対象とした自転車の交通安全教育について所見を伺います。
○斎田治安対策担当部長 自転車の安全利用のためには、利用者自身が自転車は車両であるとの意識を持ち、ルール、マナーを習得することが不可欠でございます。
このため、都では、子供たちが実際に自転車を利用する状況を想定し、ヘルメットの装着や一時停止や安全確認の重要性、歩道を走行する際のルールなど、注意すべきポイントを記載した、子供、保護者向けの自転車安全利用リーフレットを作成、配布しております。
さらに、自転車乗車中の事故を疑似体験できるシミュレーターを活用し、危険箇所の判別や回避行動について講習を行う交通安全教室を小学校において開催するなど、自転車安全利用の普及啓発に取り組んでおります。
○中屋委員 自転車利用者が交通ルール、マナーを守るためには、交通ルール、マナーをきちんと知り、守ることを子供のころから習慣づけていくことが欠かせないと、こう思います。
都が子供たちに向けて実際の交通環境に即した交通安全教育に取り組んでいくことを高く評価するとともに、今後さらに交通安全教育を強化することを期待しています。都民安全施策の推進には、行政自身の取り組みはもちろんのこと、都民、関係団体などと連携し、一体となって取り組んでいくことが欠かせません。
そこで、最後に、安全・安心に向けた連携について、東京の安全確保に向けて都民安全推進本部としてさまざまな主体と連携してどのように取り組むのか、本部長の決意をお伺いいたします。
○國枝都民安全推進本部長 近年、都内の刑法犯認知件数は減少を続けるなど、東京の治安は改善傾向にあります。一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会混乱、また、続発する子供や高齢者など弱者が被害者となる痛ましい事件や事故など、東京の安全・安心の確保は引き続き重要課題であります。
都民の安全・安心の確保には、都として、時宜に応じた実効性ある対策に着実に取り組んでいくことが必要であります。しかしながら、こうした対策の推進には、ご指摘のとおり、行政の力のみならず、都民や町会、自治会等、地域団体の理解、また警察や各種防犯組織など関係機関との連携が欠かせません。
そこで、都として引き続き、ご自身の住まうまちの変化への気づきから防犯意識の醸成を促進する、まちの安全見守り事業、防犯ボランティア団体の活動支援を目的とするポータルサイトである大東京防犯ネットワーク、また、人の目を補完する機械の目の設置促進を図る、防犯カメラ設置等への各種補助など、さまざまな施策に取り組むとともに、こうした施策に関する都民への周知、理解促進のための普及啓発にも丁寧に取り組んでまいります。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、その時々の状況に応じた効果的な施策を企画、実施するとともに、対面接触型が主流であった普及啓発にも、オンライン活用など新たな手法を導入するなど、コロナ禍にあっても実効性の高い感染防止と啓発効果を両立させてまいります。
こうしたさまざまな取り組みや、すぐれた活動を行われる皆様への顕彰などを通じ、都民や各種関係機関との緊密な連携を踏まえつつ、今後の東京の安全・安心の確保に都民安全推進本部として全力で取り組んでまいる所存であります。
○小磯委員 初めに、東京都若者総合相談センター、若ナビαについてお伺いをいたします。
都議会公明党の要望を受け、東京都は平成二十九年度より、東京都若者総合相談センター、若ナビαを運営しておられます。昨年の四定の代表質問で、我が党は、相談に当たっての心理的ハードルを下げて、若者が気軽に若ナビαを利用できるようにとの趣旨から、SNS相談を実施すべきと提案し、これを受け、都は、本年六月からLINE相談を実施しています。
そこで、ことしから開始したLINE相談の実施状況、また若ナビα全体の相談状況についてお伺いいたします。
○小菅若年支援担当部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、若者がより気軽に相談できるよう、これまでの電話やメール、来所による相談に加えまして、副委員長お話しのとおり、ことし六月からLINE相談を開始しております。LINE相談開始に合わせ、ワンタッチで若ナビαのホームページを閲覧できるウエブ広告により、周知を図ったところでございます。
LINE相談開始の六月から九月までの四カ月間におきまして、LINE相談を含めた若ナビα全体の相談件数は三千七十九件となっておりまして、前年の同時期と比べ六百五十四件増加しております。
また、LINEの相談件数につきましては、六月開始時から九月までの四カ月間で七百四十二件となっておりまして、十代及び二十代の利用が多くなっております。
○小磯委員 LINEを導入したこと、そして開始に合わせ周知を図ったことで、多くの若者に若ナビαをご利用いただいている状況が理解できたわけでございます。電話では悩みを話しにくいけれども、LINEであれば悩みを打ち明けられるという若者も多いと思います。より多くの若者の悩みをすくい上げ、適切な支援につなげていくため、LINE相談を含め、若ナビαをより一層周知していただきたいと思います。
さて、子供や若者の悩みは、その時々の社会情勢を色濃く反映するものであり、特に、新型コロナウイルス感染症に関しては、若者の生活にさまざまな影響を与えていると思われます。
コロナ禍を背景とした悩みなど、若ナビαにはどのような相談が寄せられているのかお伺いいたします。
○小菅若年支援担当部長 ことし四月以降、若ナビαへの相談受理件数に新型コロナウイルス感染症による影響は余り見られないものの、将来への漠然とした不安、今後の就職活動への不安、オンライン授業への戸惑いなど、新型コロナウイルス感染症に関連した悩みは寄せられております。
若ナビαでは、これらの悩みを丁寧に受けとめまして、一人一人の状況に寄り添った対応をしております。
○小磯委員 報道によりますと、このコロナの中で、自粛で友達と会えずに不安であるとか、また、コロナで収入が減っていらいらする親にたたかれたとか、また、家庭内で親と口論になるとか、そういったやはりコロナの中で不安の声が次々と寄せられているという報道もありました。
今後の社会情勢は、新型コロナウイルス感染症の終息が見えない中、依然として先行きが不透明であると。一人でも多くの若者を支援できるよう、引き続き丁寧な対応を心がけていただきたいと思います。
最近では、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、あらゆる分野で急速にオンライン化が進んでおります。私も、このコロナ禍をきっかけに、オンラインを活用した相談なども行っておりますが、対面が難しい場合でも気軽に利用できるツールであると認識をしております。
今回の新型コロナウイルス感染症への対応をきっかけに、さらなる相談体制の工夫や改善する余地があるのではないかと思います。若ナビαにおいても、対面相談などでのオンラインによる相談が有効と考えますが、見解をお伺いします。
○小菅若年支援担当部長 若ナビαでは、電話やメール、LINEで相談を受けた後に、相談者本人、家族からの申し出や相談員の判断により、来所による対面での相談を実施しております。
この対面相談でのオンラインの活用は、外出による不要な接触を避ける方法として有効であるなどの利点があると考えております。都庁全体といたしましてもデジタルトランスフォーメーションの推進が図られているところであり、こうした動きを踏まえ検討してまいります。
○小磯委員 こうした動きを踏まえ検討していきますということでございます。どうかよろしくお願いいたします。相談利用者のニーズ、また社会情勢の変化を柔軟に捉えて、ぜひ積極的に検討していただくことを、またさらに要望しておきたいと思います。
続きまして、交通安全の観点から、自転車政策について質問いたします。
自転車は、経済性にすぐれ、また環境にも優しい。町田も坂が多くて自転車に乗る人はあんまりいなかったんですけど、最近は電動自転車で活発に自転車に乗る人がふえてきていると思うんですけど、自転車には免許制度がないということで、ルール、マナーを遵守する意識が低くなりがちで、交通安全協会の方が横断歩道のところで、そういう運動期間、ボランティアでされているわけですけど、そのときに、高校生がスマホを見ながら自転車を運転していたりとか、また、イヤホンで音楽を聞きながら運転しているということで、何とか高校生のそういうスマホとかイヤホンなどをもうやめてもらいたいと、何とか高校生にルール、マナーを守ってもらいたいという、そういう声が結構強く要請されたわけでございます。
そんなことでなかなか、事故につながりかねない危険な行為であるにもかかわらず、依然として、高校生などを中心に、改善されたようには感じられません。解決には、自転車利用における交通ルール、マナーを、交通安全教育を通じ普及啓発することが欠かせないと思います。
自転車利用者の交通ルール、マナー向上をしっかり図るべきであります。どのように普及啓発に取り組んできたのかお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 都はこれまで、各学校等におけるシミュレーターを活用した自転車安全教室から、免許返納者を中心とした高齢者向けの自転車安全教室、インターネットを通じた動画の配信、高校生を含め各年代に応じたリーフレットの配布など、さまざまな年代に向け、多様な手法を活用して普及啓発を実施してまいりました。
また、自転車販売時には、自転車安全利用のルール等を確認できるルール・マナー確認書を自転車販売店を通じて配布いたしまして、自転車の安全利用を促進しております。
○小磯委員 自転車の安全利用を促進するために、都が多様な普及啓発に取り組んでいることが確認できたと思います。
自転車の安全利用の普及啓発にとり、学校における交通安全教育は重要な要素であります。そんなことで、やはり都立高校とか、私立高校も含めて、高校生への安全教育、これをしっかりやってもらいたいなというふうに思います。
ところが、ことしは新入学の時期に新型コロナウイルス感染症の影響で長期間の休校が発生するなど、交通安全教育も大きな影響を受けたと思います。こうした中で、都ではことし七月に、都立町田工業高校において、民間企業とも連携した交通安全教育を実施したと伺っております。
都立町田工業高校において、どのような交通安全教育が行われたのかお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 都では、新型コロナウイルス感染症の影響等により、学校における交通安全教育の機会が限られる中、七月二十九日に、自転車安全運転指導推進校である東京都立町田工業高校におきまして、自転車シミュレーターを活用した自転車安全利用講習会を開催しました。
講習会では、自転車安全利用サポーターである民間損害保険会社の協力によりまして、VRゴーグルを活用した自転車シミュレーターの紹介、さらには、自転車乗車時のヘルメットの着用を促進するため、町田工業高校の生徒に対し二百個を超える自転車用ヘルメットが寄贈されるなど、貴重な交通安全教育の機会を生かし、これまでは個別に実施してきた取り組みを統合して、一日で実施いたしました。
今後とも、都では、市区町村、警察、民間企業等と連携した普及啓発活動を強化して、社会全体での自転車安全利用をより一層推進してまいります。
○小磯委員 コロナ禍で教育機会が限られている中でも、さまざまな手法を組み合わせるなど、着実に交通安全教育に取り組んでいることを高く評価いたします。どんどんやっていただきたいと思います。
ヘルメットにつきましては、自転車事故で亡くなった方の約七割が頭部損傷を主因としているわけでございまして、このヘルメットの寄贈は大変ありがたいし、また重要なことだなと思います。
これまで自転車の交通安全教育についてお伺いしてまいりましたが、自転車を適宜適切に整備していくことも重要であります。都は、自転車点検整備等を対象にした市区町村の補助金を平成三十年から実施しております。
そこで、この市区町村の補助金の概要と、都の整備促進の取り組みについてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 自転車安全利用促進事業に対する市区町村補助金は、住民等が自転車点検整備を受ける際に負担する費用や、自転車交通安全教室などの経費について、一市区町村当たり四百万円を上限に、市区町村が支出した額の二分の一以内を補助するものでございます。
都では、市区町村の自転車安全利用担当者の会議に出席して事業説明を行うなど、当該事業の周知に取り組んでまいりました。その結果、令和元年度は六自治体増の十七自治体が利用いたしました。
今後とも、事業を実施する市区町村の拡大を図り、都民が点検整備を受けやすい環境を整えてまいります。
○小磯委員 この制度は、都民がおおむね千円程度の負担で、自転車店でプロによる点検整備が受けられるだけでなく、整備後一年間は損害賠償保険がついてくるなど、すぐれたものでございます。私の地元町田市では、現時点でこの補助金が未活用であります。私も地元で活用を訴えますが、都も普及啓発をさらに強化していただきたいと思います。
続いて、ハイパースムーズ東京についてお伺いいたします。
渋滞対策であります。生活の足として車を運転する都民、また観光の方、また業務ドライバーの方など、いわゆる渋滞というのは大変ストレスにつながるというふうに思います。かつてに比べると、都内の渋滞は緩和されてきたといわれているものの、渋滞による経済損失も考慮すると、やはり依然として大都市東京の大きな課題であります。
渋滞緩和に向けては、新たな道路整備などの大規模なハード対策が欠かせません。しかし、これには相当の時間やコストを要することも事実であります。少しでも今生じている渋滞を緩和させるため、大規模なハード対策によらず、即効性のある手だてを打っていくことも重要であります。
都は、渋滞対策事業としてハイパースムーズ東京を実施しておりますが、この事業の今年度の取り組み状況についてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 ハイパースムーズ東京は、警視庁や関係各局等と連携し、平成二十八年度から令和二年度までの五カ年で、多摩地域を含む都内全域の主要渋滞箇所から、百カ所程度に対策を実施しております。対策に当たっては、国土交通省の首都圏渋滞ボトルネック対策協議会に基づく主要渋滞箇所のうち、既に対策を講じた箇所や他事業の対象になっている箇所を除くなどして選定をいたしました。
令和二年度は、交通量を予測し最適な信号制御を行う需要予測信号制御など、信号制御の高度化を、立川市の高松町二丁目交差点など計三地点で実施しております。
また、目的地までのルート別混雑状況や所要時間等を表示する交通情報板を杉並区下高井戸など計二地点で整備するほか、交差点付近の駐停車禁止場所を明示する赤系カラー舗装などを行う予定でございます。
○小磯委員 平成二十八年度から今年度まで五カ年にわたり、このハイパースムーズ東京を通じて、都内各地の交差点、また道路での整備が着実に進んできたと思います。
私の地元の町田市でも、平成二十八年度に、旭町交差点を初めとする六カ所の主要渋滞箇所に対し、信号制御の高度化等による渋滞緩和策が講じられたとのことであります。
一方で、町田市内の主要渋滞箇所の中で、対策実績がない交差点が三カ所あり、都内のほかの地域にも同様の箇所があると考えられます。
ハイパースムーズ東京について、これまでの実績と、また、対策を行っていない箇所もしっかりと対応すべきであります。所見をお伺いします。
○斎田治安対策担当部長 ハイパースムーズ東京は、今年度、事業最終年度でありまして、五カ年の対策箇所数合計としては、目標である百カ所に達する見込みでございます。
主要渋滞箇所のうち、ハイパースムーズ東京としての対策を行っておらず、かつ現時点で他事業の対象となっていない箇所への今後の対応につきましては、警視庁や関係各局等と検討を進めてまいりたいと考えております。
○小磯委員 今の答弁は、しっかり前向きな答弁と捉えさせていただきたいと思います。
ただいまの答弁で、五カ年にわたり百カ所に対策を行ってきたということでございますが、実施した後の振り返りというか、検証というのが大事であります。多摩地域も含めた都内各地で対策を行い、それが渋滞の緩和にどうつながったのか、行政としてしっかりと見きわめていく作業が不可欠と考えます。
そこで、ハイパースムーズ東京の効果検証についてしっかりやるべきですが、所見をお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 ハイパースムーズ東京の前身事業であるハイパースムーズ作戦は、平成二十年度から二十七年度にわたり、渋滞の著しい区部三十路線区間を対象に対策を行いまして、二十八年度、事業の検証を実施しました。事業開始前と比較したところ、ピーク時旅行時間について、早稲田通り上りで五七・四%削減、靖国通り、京葉道路上りで四一%削減などの効果が見られております。
ハイパースムーズ東京につきましても、五カ年にわたる対策の結果の事後検証が必要と認識しております。
○小磯委員 事業期間を終えて効果検証を行い、それを次の施策展開に活用していくことが重要ということで、効果検証にとどまらず、次の施策展開に活用していただきたいと思います。引き続き、都内の渋滞対策に着実に取り組んでいただきたいと思います。
特殊詐欺対策の広報啓発ということで、一問ちょっと質問させてもらいます。
町田市では、オレオレ詐欺を初めとする特殊詐欺が数多く発生をしているわけであります。最近では、言葉巧みにキャッシュカードをだまし取ったり、カードが使えなくなったと思わせて持ち去ったりする手口が発生していると聞いております。
つい最近、テレビでもこの手口の解説と、それから注意喚起を放映しておりました。ああいうふうにキャッシュカードをだまし取るんだなというのがよくわかりましたけれども、新たな手口への対応も求められる中、都は、どのような対策を推進しているのかお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 特殊詐欺につきましては、コロナ禍など社会情勢の変化に乗じて手口が日々変化しておりまして、これをいかに早く対応していくかが重要であります。
都は、給付金を装った詐欺への注意喚起ポスターやキャッシュカード詐欺盗の手口を盛り込んだリーフレットを作成し、市区町村や警察署と連携して配布を行ったほか、ホームページやSNSを活用して情報を発信しております。
また、プロの劇団員による特殊詐欺被害防止公演でも、タイムリーな内容を取り入れて実施しています。コロナ禍でも情報が届くように、特殊詐欺被害防止公演の様子を複数の地元ケーブルテレビで放送するよう依頼したところでもございます。
○小磯委員 新たな手口に対応した多岐にわたる情報発信を行っていることは、承知をいたしました。コロナ禍で人を集めることが難しい中、今後もより多くの都民に届く啓発運動に取り組んでいただきたいと思います。
きょうの質疑で、冒頭、我が会派が要望して本年の六月から都が開始した若ナビαにおけるLINE相談について、先ほど都の見解を伺いました。LINEは、今や若者にとって必須のコミュニケーションツールであり、若者にとってなじみ深いものであります。今後とも、都には、こうした若者に寄り添った対応を続けていっていただきたい。
その若者ということでございますが、昨年度以来の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、若者を取り巻く環境が大きく変化をしております。次代を担う若者をどのように支援していくのか、最後に本部長の決意を伺いたいと思います。
○國枝都民安全推進本部長 新型コロナウイルス感染拡大により、自分自身の将来に関する悩み、経済環境の悪化に伴う就労、就職への悩みなど、若者が日々の生活を営む上でのさまざまな場面において、若者たちに不安と戸惑いが生じております。
当本部が運営する相談機関である総合窓口、若ナビαや、ネットトラブルに関するこたエールにおいても、従来からの相談内容に加えて、新型コロナウイルスに関連した相談が寄せられております。
若者への支援について、当本部としては、引き続き若ナビαやこたエールの的確な運用を通じて、市区町村や各種支援機関などと連携し、若者の悩みにより一層丁寧に寄り添い、不安解消に向けた適切な支援につなげていくとともに、今年度は新たに若者チャレンジ応援事業を実施し、社会的自立に困難を抱える若者やその家族等への支援を強化してまいります。
また、このような若者への直接的な支援に加えて、市区町村の若者支援施策の充実に資する情報提供ポータルサイトである若ぽたの運営を初め、若者の被害防止の観点から、社会の混乱に乗じて若者へつけ込もうとする者への注意喚起や、若者が加害者とならないよう、例えば特殊詐欺の受け子、出し子とならないための若者自身への普及啓発など、多面的な取り組みを展開してまいります。
こうしたさまざまな観点からの対策を、市区町村や支援機関等と連携しながら重層的に講じていくとともに、各種相談機関を持つ各局とも緊密に情報共有しつつ、都民安全推進本部として、東京の将来を担う若者の健やかな育成を目指し、全力で取り組んでまいる所存であります。
○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後三時十九分休憩
午後三時三十五分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○米倉委員 まず初めに、自転車保険について伺います。
ことしの四月一日から、自転車利用者や使用する業者、貸し付ける業者などに、自転車損害賠償保険等の加入が義務づけられました。
低所得者や生活保護受給者に対して、自転車保険加入に当たっての支援は何かあるのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 都はこれまでも、民間事業者等と連携して、さまざまな自転車保険等の情報を幅広く提供し、都民がそれぞれのニーズに合った保険を選択できるように支援しております。
自転車保険は、賠償額等の補償内容も多種多様でありまして、保険料等につきましては、月額百円程度のものから存在しております。
○米倉委員 都としては、保険の周知だということです。
都は、自転車安全利用を区市町村でも取り組みを促進するために、二〇一八年度からは区市町村補助事業を行っています。その内容と二〇一八年度、一九年度の補助実績がある自治体数をそれぞれ示してください。
○斎田治安対策担当部長 自転車安全利用促進事業に対する区市町村補助金は、住民等が自転車点検整備を受ける際に負担する費用や、自転車交通安全教室などの経費につきまして、一区市町村当たり四百万円を上限に、区市町村が支出した額の二分の一以内を補助しております。
補助実績のある区市町村数は、平成三十年度は十一自治体、令和元年度は十七自治体でございます。
○米倉委員 区市町村が、住民などが自転車点検整備を受ける際の費用負担の支援をする場合に、都もその費用の半分を負担するということです。この補助を使い、各区市町村は、住民の皆さんが自転車安全整備店で点検整備をすれば、TSマーク自転車向け保険を取得する際の費用負担が補助できるとのことです。
では、具体的には、都が支援する自転車点検整備の促進事業で利用者負担軽減はどのようなものがあるのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 利用者が自転車整備業者により自転車の点検整備を受ける際に負担する経費につきまして、区市町村が負担する額の二分の一を、一台千円を限度額として都が補助しまして、利用者の負担を軽減しています。利用者の具体的な負担につきましては、各区市町村により定めております。
○米倉委員 都としては、上限千円の補助をしているということです。ということは、最大で二千円補助が受けられるということです。
調べてみますと、葛飾区では二千円の補助をしています。賠償内容も、自転車に乗っている人が事故に遭った際の傷害補償もより充実している、赤色の方のTSマークの取得が、実質負担ゼロになるということです。自転車の整備がセットのこのTSマークですと、自転車の安全利用も促進され、都がここについて補助しているということは大事なことだと思っています。
ただ、この支援というのは、さっきのご答弁にもありましたが、東京都の支援で行っているというところは十七自治体とそういう状況でして、住んでいる地域によっては、こうした支援がないということです。都内全体に広げるように、ぜひ都からの働きかけなど求めたいと思います。
都の調査でも、保険などに加入していない理由として保険料が高いからという方が二二・六%で、多くなっています。都は先ほど、月額百円程度のものからあると答弁したんですけれども、やはりコロナ禍で今、都民の暮らし、大変厳しくなっています。
今、コロナのもとで失業し、貯金も尽きて、家賃も払えなくなって、ホームレスになる方もいらっしゃいますし、その一歩手前で何とか踏ん張っているという人がふえています。生活困窮者の支援団体には、相談がこれまでの三倍にふえているという状況です。
生保もこの間、削減が続き、ぎりぎりの生活を強いられています。今、さらに感染防止のためのマスクや消毒液などの出費が、そういう方に重くのしかかっております。
ことしの猛暑でも、電気代がふえないようにエアコン使用を我慢したり、水道代節約のためにシャワーや入浴の回数を減らすという方が数多く生まれているというのが今の実態だと思います。
安価な保険があるということなんですけれども、やはりこういう困窮状態の方は、自転車保険が義務化されても入れないと思うんです。やっぱりそこは周知だけでなくて、東京都として、皆さんに対して義務化というときにどうしていくのかと、みんなが入れるように、そこをぜひ考えていただきたいと思います。
私たちのところには、生活保護を受給している方から、東京都は加入の義務化を求めているのに、どうして低所得者や生保受給者への助成がないのかと、自己負担を求めるなら都として支援を制度化してほしいという声も来ています。私は、この声は大事ですし、当然の話だと思います。
都は自転車保険の加入を義務化し、保険は、自転車を持っていれば毎年費用負担して更新するということになります。都として、区市町村支援を通してTSマークの取得費用の負担軽減を行っていくということは、引き続き進めていただきたいと思いますが、あわせて、やはりどの自治体に住んでいても生活困窮している方は、この保険に入る際に支援が受けられるという検討をしていただきたいと思います。
自転車保険の加入率を上げて、条例の趣旨を実現するというためにも、これは大事な話だと思いますので、検討を求めておきます。
次に、子供や若者の支援について伺います。
東京都の若者総合相談センター、若ナビαについてです。
これまで都は、若者、保護者などを対象に、電話やメール、来所での相談を行ってきました。
ことし六月から始めたLINE相談は、どういう相談が寄せられているのか、傾向や年齢層についてもまず示してください。
○小菅若年支援担当部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、これまでの電話やメール、来所相談に加えて、ことし六月からLINE相談を開始しております。
この間のLINE相談に寄せられた主な相談内容は、自分自身の悩みや不安、仕事関係、対人関係などであり、これまでの電話、メールによる相談と同様の傾向でございます。
また、LINE相談は、十代及び二十代の利用が多くなっております。
○米倉委員 LINEの傾向というのは、十代、二十代の方が多いということです。
では、LINEに限らず、相談全体について伺いたいのですが、コロナの影響は、相談内容にどういった変化としてあらわれているのか伺います。
○小菅若年支援担当部長 ことし四月以降、若ナビαへの相談受理件数に新型コロナウイルス感染症による影響は余り見られないものの、将来への漠然とした不安、今後の就職活動への不安、オンライン授業への戸惑いなど、新型コロナウイルス感染症に関連した悩みは寄せられております。
○米倉委員 私たち日本共産党都議団は、この間、学生や若い方から、コロナでどう暮らしに困難や課題があるのか聞いてきました。
例えば、学生団体FREEという団体がありますが、全国の学生を対象にアンケート調査をしています。話を聞きますと、大学などの前期と後期で別に調査しているんですが、前期の調査結果の傾向というのは、多くの人の問題はお金がないことだったと。学費の納入期限が迫る中、学費が払えない。アルバイトができず、バイトで支えてきた生活が維持できないということが悩みとして多くあったということです。
一方、後期のアンケートの結果の傾向というのは、精神的なものが多いと。それはお金の問題が解決したからということではなく、その上に精神的な不安が上積みされて、降り積もっていく感じだと話してくれました。
授業のほとんどが、大学、特に関東圏はオンラインだと。朝からずっとワンルームの部屋で授業を受け続けて、授業が終われば課題に取り組むと。パソコンの画面を見続けて目がつらい、視力が落ちたんじゃないかですとか、対面の授業は週に私の周りではゼロこま、もしくは運がいい方は三こまだと。対面や双方向の授業が本当に少なく、ディスカッションもない。課題だけ出されて、これが学びといえるのかという声。
家に閉じこもって、体調を崩しているという方も多いと。精神的に不安定になることが多くなった、夜中に涙が出る、鬱症状に似たものが出ているという声が寄せられていると。友達ともキャンパスで会えれば、たわいもない話も、その中で悩みも話せるけれど、オンラインではなかなかそうもいかないと。
こういう声を受けてこの団体は、国などに、学費の負担軽減だとか、それだけでなく、今、学生のメンタルや生活相談の支援を強めることが必要だと求めています。
新型コロナの感染拡大の影響が若者に多くあらわれていることについて、どう実態を都は認識しているのか、状況把握はしているのか伺います。
○小菅若年支援担当部長 当本部では、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供、若者に対する支援を効果的かつ円滑に実施することを目的として、東京都子供・若者支援協議会を設置しております。
ことし十月には、本協議会の実務者会議である連絡調整部会を開催し、新型コロナウイルス感染症の影響など、若者の状況について、関係機関の情報を共有したところでございます。
○米倉委員 関係機関で十月に集まって、若者の状況を情報共有したということです。それは具体的にどういった内容だったんでしょうか。
○小菅若年支援担当部長 若者の状況につきましては、関係機関から、先の見通しが立たないことによる不安、就労関係の不安などを抱えていることがうかがえる旨の報告がございました。
○米倉委員 都として、コロナで若者にどのような影響が出ているのか調査する必要があると思うんですが、いかがですか。
○小菅若年支援担当部長 若者支援に係る施策は、教育や福祉、雇用など幅広い分野に及ぶものでございまして、所管する関係各局等において、それぞれの分野の事業が推進されております。若者の状況につきましても、それぞれの分野で必要な調査が実施されているものと認識しております。
○米倉委員 それぞれの分野で必要な調査が実施される認識ということなんですが、今どういう調査をされているか把握されているんですか。
○小菅若年支援担当部長 各種のさまざまな調査は、雇用や福祉、教育など各施策分野において、それぞれの目的、必要性からその内容や対象時期などを定め、実施されているものと認識してございます。
当本部では、子供、若者のさまざまな実態等を見聞きしている各分野の多様な機関で構成されております東京都子供・若者支援協議会の運営を通じまして、各機関が把握している若者の状況などについて、情報の共有を図っております。
○米倉委員 それぞれが必要なタイミングでやるということで、つかんでいないということだと思うんです、今のご答弁。
各機関が集まって情報共有するというのは大事だと思うんですが、今、私、若者の置かれている状況が大きく変わっているということで、学生に絞って紹介させていただきましたが、かなり大きく変わっていて、それはやっぱり困難に追い込まれる方向で変わっているという方が多いんですよね。
やっぱり本当に今、東京都として、こういう若者の困難をどう支えていくのかということを考えないといけない時期だと思います。やっぱりそこを各局、調査というのならそこを把握していただきたいですし、それで本当に実態がじゃあつかめるのかと。つかめないんだったら、都民安全推進本部としてどうするのかというのを考える必要があると思います。東京都として青年政策に取り組むのはここなわけで、やっぱりそういう取り組みというか、役割を発揮していただきたいと思います。
東京都の子供・若者計画でも、基本方針の一番目が、全ての子供、若者の社会的自立を支援することとなっています。
今、経済困窮の中で、大学を退学する人も実際出ています。内定取り消しも問題になっています。十月の自殺者数が、警察庁が発表しましたが、去年の同じ月と比べて四割増だったという報道もありました。
話を私が聞いた大学生も、今この大学を退学とか、そういう問題が、これはやめるやめないでなく、人生を諦めることにつながりかねないというふうに、やっぱりたくさんの人から寄せられた声を聞いて、実感を持っていらっしゃいます。やっぱりそういう事態だということを踏まえた役割を果たしていただきたいと思います。
コロナに限らず、東京都の若者の実態をやっぱり政策的に位置づける必要があると思っていますが、いかがですか。
○小菅若年支援担当部長 若者の育成支援に係る施策は、教育や福祉、雇用など幅広い分野に及ぶものでございまして、所管する関係各局等におきまして、それぞれの分野で実態を把握し、必要な調査が実施されているものと認識してございます。
○米倉委員 東京の子供や若者の実態を、やっぱり地方とは傾向が違うと思います、やっぱりそこをきちんと把握して、どういう支援ニーズがあるのかという、やっぱりそこは本当に都民安全のやる仕事だと思います。そういうことをつかむこと抜きに、かみ合う支援はできないと思います。検討していただきたいと要望します。
困難を抱えている方に、相談できる場所があると周知していくことが、とりわけ今、大切になっていると思います。相談場所がある、東京都は若ナビαを運営しています、こういうことについて、若年層への周知はどう取り組んでいるのか。特に、コロナの影響が若者にも深刻になっている中で、相談に乗り、必要な支援につながれる窓口があることを知らせることは大事だと思います。
今の状況を受けた周知の強化は重要だと思っていますが、具体的にどう取り組んでいるんですか。
○小菅若年支援担当部長 若ナビαの周知につきましては、都内の高校、大学、短大、専門学校や、若者支援等を行っている関係行政機関、民間団体など、全体として約千八百カ所にポスター等を配布したほか、SNS等による情報発信を行っております。
また、ことし六月には、ワンタッチで若ナビαのホームページを閲覧できるウエブ広告を実施いたしました。
○米倉委員 若い方たちの話を聞いていて、やっぱり周知が足りないなというふうに思っています。特に東京はやっぱりオンライン授業が多いんですよね。だから、キャンパスにそもそも行く機会がかなり減っています。ウエブ広告は本当に大事だと思っていて、さらに位置づけていただきたいと思っています。
都として、若者の総合支援を行う相談窓口、若ナビαが面談で相談を受けられるという場所は新宿一カ所となっています。先日、原都議と一緒に視察で見せていただきました。ここは、電話やLINE、メールで相談の対応をしている事務スペースと面談の部屋が別にあるというふうになっています。面談の場所はあるんですが、若い方が立ち寄れるような場所とはなっていないです。そういう部屋はありません。
面談するというふうになった方は、面談が必要だと判断された方になるわけですが、時間の約束をとって、ビルの一階で待ち合わせをして、上のオフィスに案内するという形になっていまして、気軽に立ち寄れるという場所にはなっていません。
そもそも、相談するということは若者にとってハードルが高いというふうに思います。困っている人は相談窓口に相談してくださいという今の相談窓口のスタイルは、若い人との接点を狭くするんじゃないかと思っています。
まだ何が課題かもわからないけれど困っている、もやもやしているですとか、もっとグレーな状況があると思うんですね、特に若い方は。ですから、若い方への支援というときに、そういうことを踏まえて支援していくことが大事だと思っています。
若者の相談や支援をしていくときに、これまで相談した方も立ち寄れるようなフリースペースや居場所のような場所を設けることは必要だと思いますが、都は居場所の大切さをどう考えていますか。
○小菅若年支援担当部長 若者が立ち寄れる居場所などにつきましては、住民に身近な地域におきまして、そうした支援を受けられる環境づくりが必要と考えております。
○米倉委員 若ナビαの相談室についても、フリースペースや若者が気軽に立ち寄れる場所を併設した相談窓口にしていくことが必要だと考えますが、いかがですか。
○小菅若年支援担当部長 若ナビαは、さまざまな若者の悩みや不安を受けとめ、若者の状況に応じて、就労や保健、医療など適切な支援につなぎ、若者の社会的自立を後押しするため運営しております。
若者が利用できるスペースや居場所などにつきましては、身近な地域において、そうした場の提供を受けられる環境づくりが必要と考えております。
○米倉委員 若者の悩みや不安を受けとめるというときに、居場所だとか、相談場所、相談する機関とセットであるということは、若者の悩みや困難の特徴からして大事だと思います。
八王子市が今月、若者総合相談センターをオープンしています。おおむね三十九歳までの方を対象に居場所やプログラムも行っているセンターです。私も市にお話を伺ったんですけれど、センターを、こうしたものをつくったというのは、中学校を卒業すると、市とのつながりが終わってしまうということで、こういった年齢対象のセンターをつくったと。
高校生以上の人たちが、何かあっても、雇用だとか専門分野の相談だったらどこに相談していいかわかるんだけれども、どこに相談したらいいのか、何を考えたらいいのかわからないと。やっぱりグレーなゾーンにいる方たちに着目して、悩みを深めないうちにつながれたらということでつくったそうです。
八王子市に居場所をどうして設けたのかということを聞きましたら、ここには、読書したり、パソコンを使ったり、ぼうっとする空間もあると。相談支援が必要な人をキャッチして、相談につなげるという場にもなるんですと。また、ご本人からしても、話したいタイミングが誰しもあると思うと。施設を利用する中でこの場所に安心感を持ってもらい、こういう人たちだったら本音を話せるかも、実はと、ぽそぽそと話してもらえたらいいなということで、こういう居場所をつくりましたということです。やっぱりこういう観点、大事だと思います。
東京都の福祉保健局ですけれども、子供の生活実態調査、以前取り組んでおりまして、これは小学校五年生、中学校二年生、十六から十七歳、高校二年生の年齢の方を対象にして、さまざま調査しています。
この中で、孤独感について調査をしています。一番高いのは十六歳から十七歳となっています。この年齢層の方たちにどういう場所を使ってみたいかということも聞いているんですが、この中で平日の放課後に夜までいることができる場所を、使ってみたい、興味があると答えている方が、やっぱりこの年齢層が最も高くて、六割近くに上っています。これは困窮層ですとかその周辺層では、七割近くの方がこういう場所を使ってみたいと答えています。
先ほどのご答弁で、身近な地域で居場所の提供などの環境づくりをと都は答えたんですが、義務教育が終わると、区市町村のつながりは終わってしまいます。やっぱりそういうつながる場もなかなかないという実態もあります。
一方、東京都ですと、都立高校や私立高校とも連携もできます。広域自治体としての役割がやっぱりこういう年齢層以上になると求められているなと思います。八王子市のようにそういうことを着目して支援を拡充させるという自治体には、都としても支援していただきたいですが、やはり東京都として、若者向けの支援の拠点をつくっていただきたいと思います。
高校生になれば、一気に行動範囲も広がります。居場所スペースや、それだけでなく自由な活動に使えるような部屋なども、本来は東京都としての若者支援というときに、そういう施設があっていいと思うんですよね。そういうことを考えていただきたいと思います。
あわせてなんですが、視察をして、若ナビαの相談スペースは改善が必要だなと思っています。オフィス全体が狭いなと思います。
電話相談している方は別の部屋ですとか、区切られたスペースで落ち着いて相談に乗れるようにしていただきたいですし、面談で来られると、事務をされている皆さんのそばを通って面接室に入るということになっていて、やっぱり仕事のスペースを通って部屋に入るという感じだと、ちょっとどうかなと思います。
もう少しゆとりのある施設に移転をするですとか、せめて面談の部屋は別のところに借りるですとか、対応が必要だと思っています。検討していただきたいと要望します。
あわせて、若ナビの相談場所ですが、多摩地域にも必要だと思います。検討すべきだと思いますが、いかがですか。
○小菅若年支援担当部長 若ナビαでは、電話やメールで相談を受けた後に、相談者本人、家族からの申し出や相談員の判断により、来所相談を実施しております。
来所相談が必要であるにもかかわらず、相談者の事情により若ナビαに来所できない場合には、相談者が訪問可能な公的機関等に若ナビαの相談員が出向き、相談を実施しております。
今後とも、相談者の実情を踏まえまして、適切な相談対応を行ってまいります。
○米倉委員 相談、面談の場所だけではなくて、居場所だとか、そういう若い人の活動できるスペースを伴った支援の拠点を−−新宿もそうはなっていません。ぜひそういうふうに発展させていただきたいですし、同じように多摩地域にも設置していただきたいと求めておきます。
次に、子供・若者計画で、全ての子供、若者の社会的自立を支援するということを基本方針の一番目に位置づけています。その方針からしてですが、若者の自発的な活動を東京都として応援したり支えることが若者政策として大切だと考えますが、東京都はどう考えていますか。
○小菅若年支援担当部長 全ての若者が社会的に自立し、活躍できるように取り組むことは、将来の東京の発展の礎をなすものであると考えております。
このため、若ナビαにおきましては、若者のさまざまな悩みや不安を受けとめ、若者の状況に応じた適切な支援機関につなぎ、若者の社会的自立を後押ししております。
また、都は、区市町村において子供、若者への支援体制整備や支援活動が推進されるよう、社会生活を営む上での困難を有する子供、若者を対象とした自立等支援体制整備事業に対し、補助を実施しております。
○米倉委員 以前は、東京都としても青年の家などを持って、都として、子供や若者が活動できる場をつくり、支援をしてきました。
こうした活動ができる場を確保したり、活動費用の支援をするなど、若者の自発的な活動の応援を東京都としても検討していく必要があるのではないかと考えますが、いかがですか。
○小菅若年支援担当部長 子供、若者育成支援に係る施策は、教育や福祉、雇用など幅広い分野に及ぶものでございまして、所管する関係各局等において、それぞれの分野の事業が推進されております。
当本部では、東京都子供・若者支援協議会などを通じ、社会生活を営む上での困難を有する子供、若者に対する支援を効果的かつ円滑に実施できますよう、関係機関等との連携を図っております。
○米倉委員 東京都として、計画でも、社会的自立、位置づけているわけです。子供や若者が自主的に活動できる場を支援していくということは、そういう観点からして、かなり基本的な話だと思います。
子供だとか若者は、さまざまな経験の中で成長していくという側面があります。やっぱりそういう場をどう確保していくのかと。それは各局がそれぞれやりますっておっしゃるんですけれども、各局、福祉の側面だとか教育的側面でやっているわけで、じゃあここの部署は何するんですかと、済みませんけど今のご答弁を聞いて、私、感じました。本当に若者の発達、成長を支援していくという観点で考えていただきたいと思いました。
やっぱり今コロナのもとで、本当に子供も若者も、今までにない困難な状況も生まれています。ぜひそういったところを把握していただいて、いろいろきょう求めさせていただきましたが、東京都としての支援、新しく検討していただきたいということも求めて、質問とします。
○中村委員 最初に、若者支援施策について質問します。
新型コロナは、多くの都民の生活や事業に大きな影響を与えています。
中でも若い世代については、仕事が不安定だったり、地域で孤立しがちです。とりわけ地方から出てきた学生は、学校にも行けず、バイトもなくなり、地域に知り合いもいない状況で、精神的に不安定になり、最悪の場合、自殺してしまうというおそれもあります。
都は、若者総合相談支援事業として若ナビαの運営をしていますが、コロナ禍における相談の状況と、相談を受けてどのように支援をしているのか伺います。
○小菅若年支援担当部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαにおけることし四月以降の相談件数につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響は余り見られないものの、新型コロナウイルス感染症に関連した悩みとして、将来への漠然とした不安、今後の就職活動への不安、オンライン授業への戸惑いなどが寄せられております。
若ナビαでは、これらの悩みを丁寧に受けとめまして、一人一人の状況に寄り添った対応をしております。
○中村委員 相談件数については影響は余りないとの答えでしたが、若い世代の不安がなく、相談が少ないのでしたらよいのですが、本当にそういえるのかわからないため、他局とも協力して実態を調べる必要があると思いますので、これはぜひお願いしたいと思っています。
また、多様な相談があり、本当に悩んでいる人は窓口を探す余裕がない場合もあるので、他局の相談窓口も含めて、どこかにはたどり着けるようにすることが必要です。
若ナビαも、電話やメール、来所に加えて、新たにLINE相談を始めたことはよいと思っていますが、ただ相談時間が十一時から二十時までということですので、この若い世代の時間帯からすると、もう少し時間の幅を広げた方がよいかとも思います。
今後、コロナ禍がいつまで続くかわからず、先行きが不透明な中で、若い世代により一層寄り添い、相談に応じられるよう対応を求めて、次の質問に移りたいと思います。
次は、交通安全対策について伺います。
コロナ禍において、交通量が減少したため、交通事故件数は減っているとのことです。一方、交通量が減ったため、猛スピードでの自動車の走行により重大事故がふえているとのこともあるようです。
コロナ禍で交通安全運動なども十分に行えなかったとはいえ、今後、都民のストレスもさらにたまると、運転が荒くなってしまう恐れもあります。
そこで、コロナ禍において交通安全施策にどのように取り組んでいるのか、現状と対策を伺います。
○斎田治安対策担当部長 都では、自転車、歩行者シミュレーターを利用した交通安全教室や事業者主催のセミナーへの講師派遣に取り組んでおりまして、派遣に当たり、換気、消毒、社会的距離の確保等の対策を実施しております。
さらに、緊急事態宣言後、六月の登校再開に合わせ、交通安全啓発コンテンツのリンク集を作成し、各学校に配布するなど、動画等による周知、啓発にも取り組んできました。
今後とも、新型コロナウイルス感染症等の状況に応じまして必要な対策を講じた上で、交通安全施策を徹底してまいります。
○中村委員 ぜひ徹底していただきたいと思います。
さて、コロナ禍で問題になっているのは、いわゆる自転車によるフードデリバリー事業者などの交通マナーです。コロナ禍でも、飲食店からいわゆる出前をとり、自転車で自宅に運ぶ手法が好調のようです。しかし、インターネットを巧みに利用した仕組みですが、配達する方の運転の荒さや、それに伴う事故が社会問題になっています。
そこで、フードデリバリーなど、事業で自転車を利用する場合の交通マナーの改善について伺います。
○斎田治安対策担当部長 事業で自転車を利用する場合の交通マナーについては、事業者による従業者に対する自転車の安全教育の強化が必要です。
このため、都は、事業者に対して自転車の安全利用に関する定期的な情報提供を行うとともに、交通安全教育等に取り組む事業所内リーダーを育成するため、自転車安全利用TOKYOセミナーを開催し、事故の現状や事業所における研修の実施方法、保険の必要性などを周知し、事業者の取り組みを支援しております。
○中村委員 もともと交通事故に占める多くの割合に自転車が関連していることから、自転車の対策が大きな問題になっていました。コロナ禍でフードデリバリー事業者の危険な運転が社会問題化しています。
今回、安全教育の強化に向けて取り組むとのことでしたが、コロナ禍が続くと新規に始める方も出てきますから、継続的に取り組むよう求めます。
さて、自転車の事故ということで、今年度から、都は、自転車の利用者の損害賠償責任保険への加入を義務づけました。
そこで、保険の加入状況及び加入促進の取り組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 都では、自転車保険等への加入が義務化される直前のことし三月に、都内在住の二十歳以上の自転車利用者を対象に調査を実施しました。結果は、自転車を利用する都民の四六・六%が保険等に加入していることがわかりました。
また、リーフレットの配布や、自転車保険等の取扱事業者の情報を当本部ホームページに掲載するなどの周知活動にも取り組んでおります。
○中村委員 まだ初年度が終わっていないので、現時点での加入状況はわかりませんが、少なくとも開始直前の四六・六%という高い割合は、恐らく自転車保険や火災保険に付随するものであることが多いと思います。
それゆえに、この数値を一〇〇%に近づけていくのは大変なことですが、被害者が泣き寝入りにならないようにということはもとより、保険への加入が交通安全への意識づけになることが最も重要なことですから、引き続き普及啓発をお願いします。
最後に、横断歩道における交通安全対策について伺います。
交通安全に関して最近報道でも問題になっているのが、横断歩道を渡る歩行者がいるときに自動車がとまらないことです。
オリンピックは延期になりましたが、多くの海外からの観光客が来日すると見込まれた際に、海外の方が横断歩道を渡る際に車がとまらないと危険だということが懸念されていました。
確かに、自分がとまっても対向車がとまらずに事故に遭ってはと考えると、とまることをちゅうちょしてしまいます。改めて、普及啓発をしないと状況は変わらないと思います。
そこで、横断歩道における交通安全対策について所見を伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、交通安全運動等を通じ、交通ルールを守り、安全な運転を行うよう、幅広く啓発を実施しています。
横断歩道における交通安全についても、令和二年の春、秋の全国交通安全運動において、横断歩道は歩行者優先であることは道路交通法に定められたルールであることを繰り返し周知しているところです。
○中村委員 ルールの繰り返し周知というご答弁でした。もちろん法律上、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいれば自動車は停止しなければなりません。信号無視をしてはいけないのと同じですが、信号無視する自動車を見かけることはほとんどありませんが、横断歩道でとまらない自動車は頻繁に見かけます。
違反だから取り締まれば済むということ以前に、とまらなければならないという意識を十分に広めていくことが必要と思います。これまでの交通安全運動などでも、交通ルールを守るようさまざま広報されてきたと思いますが、このことは少し取り出して、より強調して広報啓発することが必要と考えます。
とりわけ超高齢社会を迎える中で、ご高齢の方が安心して道路を横断できるようにして、事故を減らすことが重要です。さらなる安全への取り組みを求めて、質問を終わります。
○神林委員長 引き続きお願いいたします。
○山内委員 私からも質問をいたします。
東京都子供・若者計画の第二期が策定されました。二〇一五年に計画策定された後、五年間、子供、若者を取り巻く環境はどのように変化したと捉えているのでしょうか。この点も含めて、第二期計画の目指すところ、計画の策定目的についてお伺いいたします。
○小菅若年支援担当部長 子供、若者を取り巻く社会状況は、同世代人口の減少、情報通信技術の普及発展、国際化の進展など、目まぐるしく変化しております。
また、困難を有する子供、若者は、さまざまな問題を複合的に抱え、非常に複雑で多様な状況になっていることが指摘されております。
本計画は、未来の東京戦略ビジョンを推進する観点から、こうした状況などを踏まえ、子供、若者育成支援施策の一層の推進を図るため、策定いたしました。
○山内委員 第二期の計画では、各分野のさまざまな施策を推進していく上での三つの視点について、新たな記載が追記されています。それぞれどのような趣旨で追記しているのか、お伺いいたします。
○小菅若年支援担当部長 視点1の一人一人の子供、若者の最善の利益を尊重する視点では、子供、若者の目線に立って意見を聞き、支援に反映させていく姿勢が重要との趣旨から、その旨の記載を盛り込んでおります。
視点2の子供、若者の状況に応じて支援する視点では、子供、若者のライフステージを見通した切れ目のない支援、本人だけでなく家族も含めた支援が必要との趣旨から、その旨の記載を盛り込んでおります。
視点3の子供、若者の支援に社会全体で重層的に取り組む視点では、複数の支援機関等の密接な連携、いわゆるスクラム連携が重要との趣旨から、その旨の記載を盛り込んでおります。
○山内委員 第三十一期東京都青少年問題協議会で、生きづらさを抱える若者の社会的自立に向けた支援についての意見具申が出ました。第二期計画に反映されていることについてお伺いいたします。
○小菅若年支援担当部長 第三十一期東京都青少年問題協議会の意見具申である生きづらさを抱える若者の社会的自立に向けた支援についてや、第三十二期青少年問題協議会での審議を踏まえまして、第二期計画におきましては、複数の支援機関等の密接な連携、いわゆるスクラム連携の重要性や、東京都若者総合相談センター、若ナビαにおける地域で若者を支えている支援者に対する支援の実施などについて盛り込んでおります。
○山内委員 子ども・若者育成支援推進法での子供・若者総合相談センターに位置づけられている若ナビαの取り組みの内容、そして相談状況についてお伺いいたします。
○小菅若年支援担当部長 若ナビαは、幅広い分野にまたがる若者の悩みの一次的受け皿として、若者やその家族等から相談を受け、適切な支援機関につなぐことで、若者の社会的自立を後押ししております。
令和元年度に若ナビαが受けました相談実績は八千三十九件でございます。
○山内委員 各部局や区市町村等との連携が重要ですが、子供・若者支援地域協議会等の設置状況について教えていただきたいと思います。
○小菅若年支援担当部長 令和二年一月現在、都内区市町村において子供・若者支援地域協議会を設置しているのは八自治体でございます。
○山内委員 六月の総務委員会の質疑で、子供・若者計画の各施策における新型コロナウイルス感染症対策の影響、その対応についてお伺いいたしました。
東京都子供・若者支援協議会を通じて情報共有や意見交換を行うなど、各機関、団体等との連携を強化して、子供、若者支援策を推進していくということだったと思います。
協議会では、子供、若者への新型コロナウイルス感染症の影響に関して、どのような報告があったのでしょうか。コロナ禍において、子供、若者を支援につなげていくための対策や対応について、どのような情報共有や意見交換が行われたのか伺います。
○小菅若年支援担当部長 東京都子供・若者支援協議会の実務者会議である連絡調整部会を十月に開催いたしまして、新型コロナウイルス感染症の影響などについて、関係機関の情報を共有するとともに、意見交換を行いました。
子供、若者の状況につきましては、先の見通しが立たないことによる不安や、就労関係の不安などを抱えていることがうかがえる旨の報告がございました。
関係機関の状況につきましては、外出自粛期間中、対面支援やセミナーの実施が困難であったこと、現在でも規模を縮小して実施しているなどの報告がございました。
このため、感染拡大防止に配慮した上で円滑に支援が進むよう、オンラインを活用した支援や少人数でのグループワークの実施など、各機関の好事例を中心に情報共有、意見交換を行いました。
子供・若者支援協議会といたしましては、引き続き、子供、若者や関係機関の状況を確認しつつ、問題意識を共有しながら、連携強化に努めてまいります。
○山内委員 六月、東京都青少年問題協議会で諮問されました、SNSの不適切な利用に起因する青少年の性被害等が深刻化する中での健全育成についてお伺いしたいと思います。
インターネット利用にかかわるトラブル等については、これまでも協議が行われてまいりました。今回はどのような視点で諮問されているのか、また、スケジュール、現時点での協議についてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 警察庁によりますと、SNSをきっかけとして性被害等に遭った青少年の数は令和元年に二千八十二人と最多となり、また、新型コロナウイルス感染症拡大の防止に伴い在宅時間がふえたことで、インターネット利用に起因するトラブルに関する青少年からの相談が増加するなど、被害の拡大も懸念されたことなどを踏まえまして、青少年問題協議会に諮問された次第です。
これまで児童健全育成部会において、四回にわたり、大学教授、SNS事業者、若者支援を行うNPO等を招聘し、被害の状況、青少年によるSNSの不適切な利用の状況、現在行われている各種対策等を確認の上、議論を実施しました。
十一月十六日には、拡大専門部会において、答申案の審議を予定しております。
○山内委員 二月二十七日の夕方、突如、安倍首相、当時ですね、三月二日から全国一斉休校を要請し、根拠も示されず突然の要請に、自治体も学校も保護者も大混乱を起こしました。休校の判断は、それぞれ自治体の判断に任されるべきでした。
四月七日の緊急事態宣言で、東京都は、休校措置を五月末まで延期、区市町村教育委員会もそれに倣い、子供たちは何の説明もされないままに、学ぶ場も遊びの場も失いました。
学校にも行けない、友達とも会えない、外にも出られない状態が三カ月も続けば、子供たちにさまざまな影響が出ないわけはありません。学校に行けないことで、給食が食べられずに、給食が唯一の食事という子供の貧困問題もあらわになりました。
若者についても同様です。長期にわたった休校やオンライン授業による、まあ、巣ごもり化と呼ばれているようですが、また、アルバイトの失業による生活苦や、高い授業料を払えなくてやめざるを得ないとか、思い詰めていく中で、コロナ鬱になってしまう若者もいるということです。
また、コロナ禍が続く中で、若い女性、特に女子高校生の自殺や妊娠がふえていると調査結果も出ています。ステイホームで家族と過ごす時間が長くなって、虐待のリスクが一気にふえ、深刻化した例もあります。
子供たちが学校にも行けず、居場所もなく、逃げ場を失っています。貧困や虐待、いわゆるJKビジネスや児童買春などで性被害に遭った少女たちを支えている団体からは、緊急ステイ先を確保するための支援が要望されているところです。
一九九四年、国連の子どもの権利条約に日本が批准して、二十六年がたちました。しかし、まだまだ子供の声を聞き、権利を守るという視点が欠落しています。
生活者ネットワークは東京都に子供の権利条例の策定を求めているところですが、子供、若者が抱える問題や課題については、当事者である子供、若者に聞く、あるいはそれに加えて支援団体にも聞いていく、そういったことが重要です。
子供たちを応援するこの子供・若者計画の施策が、子供たちを応援する一翼を担うことを求め、私の質問を終わります。
○小松委員 それでは、私の方から質問をさせていただきたいと思います。
初めに、防犯環境の整備について質問をさせていただきたいと思います。
私の地元の世田谷区では、やはり細くて見通しの悪い道路が非常に多いということもありまして、防犯環境の整備というのが、まちのニーズとしても非常に多いわけであります。
以前ですとプライバシーのこととかもありまして、町会さんがカメラをつけようとすると嫌がる方もいらっしゃったんですけど、今だとPTAさん、また町会の会合に呼ばれて、こういうところにもつけられないだろうかみたいな要望もふえてまいりました。
実際、子供たちが犯罪や怖い目に遭わないで済むように、安心して学校に子供たちを送れるように、そうしたまちをつくっていくために安全対策を講じていくのは、我々の責務だというふうに思っています。
こうした環境の整備を進める上で、防犯カメラの設置というのは、今や有効な手段の一つといえます。
都は、登下校時の子供の安全・安心を確保するために、通学路等の防犯カメラの設置補助に取り組んでいるわけですが、この整備を進めていく中で、都の通学路における防犯カメラ設置補助の取り組み状況と実績について伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、平成二十六年度から三十年度までの五年間、通学路における子供の安全を確保するため、公立小学校の通学路に一校当たり五台程度の防犯カメラを設置できるよう、区市町村に対し整備費用の一部を補助してまいりました。この取り組みにより、累計で公立小学校一千二百五十四校の通学路に六千二十四台が設置されました。
また、令和元年度から令和三年度の間は、通学路に限らず、学校から放課後児童クラブへの経路等に設置する防犯カメラについて補助を行うこととしておりまして、令和元年度の補助実績は二百九十九校、五百三十四台となっております。
○小松委員 これまで、通学路において多くの防犯カメラの設置が進んできたことがわかりました。
昨今、防犯カメラの画質も大分技術革新で鮮明になるなど、性能が向上しておりますし、より防犯効果は高くなると思います。例えば、自動販売機のメーカーさんなんかも、大分小型化で、しかも高性能で容量も撮れるということで、自動販売機に取りつけて、地域に貢献できないだろうかみたいな、そんなお話もいただくこともありましたので、今後ますますこういったニーズもふえてくるのかなと思います。
防犯カメラを活用して、子供たちに良好な生活環境が引き継がれることを都議会自民党として要望したいと思います。
あわせて、カメラの耐用年数が約五年から六年程度だというふうに伺っています。そう考えますと、この事業をスタートしたころから考えると、もう五、六年たってきているカメラも出てくるんだろうと思いますので、今後、またこういった更新への支援ということも考えていく時期にあるのかなということを指摘しておきたいと思います。
続きまして、高齢者の万引きについて伺いたいと思います。
万引きの一年間の被害額というのが約四千六百億というふうに報道があったのが数年前の新聞であったような記憶があります。一日当たりだと十二億円を超える被害額だということで、振り込め詐欺だと四百億から五百億円が一年間の被害だということを考えますと、その十倍、日本全国でさまざまなお店がそういった万引きの被害に遭っているという大変大きな問題であろうと思います。
この中で今回、高齢者を考えているのは、高齢者の方の万引きというのが非常に多い、社会問題化しているということであります。警視庁に伺ったんですけど、令和元年度の都内万引き事案の検挙の人員は七千八百五十八名だったそうですが、そのうち六十五歳以上の高齢者の方が何と二千三百六十三人、三割を占めているということがわかりました。
高齢者の万引きというのは、何度も繰り返してしまうという再犯、いわゆる常習性が非常に高いという特徴があるということも、報道や警視庁からも伺っています。
繰り返しの背景には、高齢者特有の事情などもあると思うんですが、高齢者による常習的な万引きについての原因と都の対応について伺います。
○斎田治安対策担当部長 都では、万引き等に関する悩みを抱える高齢者やその家族等を対象に、相談を受け付けてまいりました。
寄せられた相談のうち、高齢者による万引き等の原因としましては、認知機能の低下や依存症等の精神疾患があると思われる場合が多かったため、社会福祉士や精神保健福祉士から話を聞き取り、本人の状況に応じた適切な支援機関を紹介するなどの対応をいたしました。
一例としては、七十代の母親が万引きを繰り返してしまうことに悩む方からのご相談に対し、窃盗癖など依存症への対応を行う精神保健福祉センターや、治療を行う専門医療機関などをご紹介するなどしております。
○小松委員 こういった丁寧な対応を引き続きとっていただきたいなと思います。
高齢者の方の中には、弁済すれば済むだろうというふうに安易に考えている方も数多くいらっしゃると伺っています。こうしたケースが九割ぐらいあるということであります。
何らかの精神疾患等を何らかケアをしていただかなきゃいけない方については、都の取り組みが非常に効果的かなというふうに思いますので、あわせてしっかりと加害者を生まないようなまちづくりを一緒に取り組めればなというふうに思っているところであります。
最後に、私の方から、渋滞対策について、ハイパースムーズ作戦について、既に小磯副委員長の方からも取り上げていただいておりますが、あわせて少し確認をさせていただきたいなというふうに思っています。
都議会に来て一番初めに質問したのが、このハイパースムーズ作戦で、渋滞対策でありました、もう七年くらい前なんですけど。そのときにやはり取り上げたものは、経済的な損失が、交通渋滞によって一年間で東京都でも一兆二千億円ぐらいあるんじゃないかというような、大きなテーマなんだろうなというふうに思ったことが一つであります。あわせて、世界で一番の東京を目指そうよといっている以上、海外の主要都市と比べて旅行速度がまだまだ十分じゃないという課題もあったことも、取り上げたことの一つでありました。
そうしたやりとりの中でご答弁いただいたのを繰り返して読みますと、平成二十年度から二十七年度までやっていただく中で、例えば私が住んでいる東京世田谷区、杉並区を通る環八も二〇%を超える緩和に貢献できたとか、そのような話も伺ったと思います。ピーク時の旅行時間を三・八%削減と、こうした具体的な成果にもつながったということを記憶しているわけであります。
都のハイパースムーズ作戦、また平成二十八年度から再開をしていただいたわけでありますが、この間、どのように渋滞対策事業に取り組まれてきたのか、あわせて伺っておきたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 都はこれまで、警視庁等とも連携し、既存の道路空間を活用した即効性のある渋滞対策事業を展開してまいりました。
平成二十年度から二十七年度までは、先生のご質問にもございましたように、ハイパースムーズ作戦としまして、二十三区内の渋滞の著しい三十路線区間を対象に、需要予測信号の導入等の信号制御の高度化、最適化や、目的地までのルート別混雑状況や所要時間等を表示する交通情報板の整備などに取り組んでまいりました。
平成二十八年度から令和二年度にかけて実施しているハイパースムーズ東京では、多摩地域を含む都内全域の主要渋滞箇所から百カ所程度を対象に、対策を講じているところでございます。
○小松委員 ハイパースムーズ東京は今年度最終年度ということなんですが、この五カ年を通じまして、信号制御等の整備をどの程度行ってきたのか、実績を伺います。
○斎田治安対策担当部長 平成二十八年度から今年度にかけての実績見込みとしましては、信号制御の高度化、最適化が計三十七地点、交通情報板の整備が計十六地点、交差点付近の駐停車禁止場所を明示する赤系カラー舗装などが計十二地点となっております。
これらの地点について直接対策を講じた主要渋滞箇所、またその対策が渋滞緩和に寄与すると見込まれる他の主要渋滞箇所、それぞれの数を合わせまして、五カ年の対策箇所数合計としては、目標である百カ所に達する見込みでございます。
○小松委員 しっかりと取り組んでいただいていることは確認ができました。
小磯先生の方からもお話がありましたけど、しっかり事後検証を、また前回同様に丁寧にしていただきたいなというふうに思っています。
と申しますのは、国交省の道路交通センサスなんかを見ると、二〇一〇年までは割と改善していたんですけど、二〇一五年のものについて見ると、東京に限らず大阪もそうだったようなんですが、旅行速度等が下がっていたりするわけですね。ということは、まだまだ改善の余地はあるんじゃないかなというふうに思っています。
あわせて、このハイパースムーズ作戦の話を海外の主要都市の議員さんとか行政の方にお話しすると、すごい興味を持たれていたんですが、それが五、六年前の話だったと記憶しています。ただ、昨今、海外、やっぱり技術革新等が進む中、またMaaSも変化していく中で、東京のレベルというのが相対的に五年前、十年前、ハイパースムーズ作戦がスタートしたころに比べるとどうなんだろうかということも、努力していないということではないけれども、相対的に比べるともっともっと取り込んでいける余地があるのかもしれないなということも真摯に受けとめていただきながら、一緒に知恵を出して改善に取り組めればなというふうに思っています。
以上で質問を終わります。
○まつば委員 子供たちにとって優しい社会は、全ての人にとって優しい社会になるとのチルドレンファースト社会の実現を目指して、私は議員活動を進めさせていただいてまいりました。
そこで、特に子供たちの安全対策について何点か質問をさせていただきます。
子供たちの安全は、町会、自治会を初めとした地域の方々の地道な見守り活動など、地域の防犯力によって守られております。関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
また、都がこれまで設置促進を図ってきた防犯カメラも、必要な取り組みであり、今後も取り組みをお願いいたします。
一方で、子供たちの安全対策については、子供たち自身がみずからの身を守る力を高めることも大切であると考えております。声かけ事案など、一人で行動する中で危険に遭遇することもあります。
そうしたことからも、特に一人で行動することが多くなる小学校に入学する時点で、何に気をつけ、危険に遭遇したときにどうするのかといった知識を身につけることが非常に大切なことであると思います。
そこで、子供たちみずからが身を守る防犯力を身につける取り組みについて、都民安全推進本部の取り組みについて質問いたします。
○斎田治安対策担当部長 当本部では、事件、事故に巻き込まれる危険性が高まる新一年生及びその保護者を主たる対象といたしまして、ご家庭で手軽に交通安全と防犯を学べる動画を制作し、東京動画で公開するとともに、この動画を広く知っていただくため、リーフレットを都内全ての新一年生の保護者に学校を通じて配布するなどして周知に努めております。
また、今年度から、小学校入学を控えた子供とその保護者を対象にした防犯教室を開催いたします。防犯教室では、座学に加え、すぐ逃げるなどの実践的訓練も行うほか、防犯教室の内容を子供が楽しみながら復習できるドリルを作成しまして、これを参加者に配布いたします。
こうした取り組みを通じて、子供たちが防犯に役立つ知識を習得できるものと考えております。
○まつば委員 私も、東京動画に公開されております「おしえて、みまもりぃぬ!」の子供用動画と、保護者と子供用動画を拝見いたしました。
交通安全についてとイカのおすし、ついて行かない、車に乗らない、大声を出す、すぐ逃げる、知らせるについて、わかりやすくクイズ形式で構成されております。また、大声を出すのところでは、防犯ブザーについての解説もありまして、保護者や子供たちにとって大変参考になるものと感じた次第です。
その上で、実践の中で見つけることは大切であり、今年度から開始をした防犯教室での実践的訓練は、さらに進んだ取り組みとして期待するものであります。
その上で、提案したいことがあります。
保護者向けには、チャイルドビジョン、幼児視界体験眼鏡を活用することも有効であると思っております、これでありますけれども。これは、二〇〇七年に都議会公明党の伊藤こういち議員が質問で取り上げまして、現在、福祉保健局のホームページで普及啓発をしているものです。
これは何かといいますと、六歳ぐらいの子供の視野を体験できるものであります。水平方向におきましては、大人の視野が百五十度なのに対して、子供は九十度、垂直方向は、大人が百二十度のところ、子供は七十度といわれておりまして、これをつけて子供の背の高さにしゃがんで見てみますと、横から車が来るのもよく見えないというようなこともあります。
こうした体験を保護者がすることで、子供の安全対策に生かす取り組みも、今後ぜひ検討していただきたいと思っております。このことを申し上げて、次の質問に移ります。
次に、在住外国人の子供たちの安全・安心のための施策について質問いたします。
都内在住の外国人は、二〇二〇年一月現在、約五十七万七千人で増加傾向にあり、家族で暮らす在住外国人もふえていることから、その子供も多くなっています。
子供たちの中には、言葉や文化の違いによる孤立や情報不足により、犯罪被害に遭ったり、非行に走るケースもあると聞いております。安全に関する具体的な知識や情報を教育し、伝えることで、在住外国人の子供たちが日本で安全に生活するための支援をする必要があると考えます。
都は新たに、在住外国人などの子供たちを対象に、安全に関する講座を開始しています。コロナ禍でありますが、講座の開催の仕方などの工夫をしながら実施をしていただきたいと思います。
在住外国人などの子供たちを対象にした安全啓発講座について、取り組み状況についてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 在住外国人等の子供が日本で安全に暮らすために、直接教育ができる講座を実施することで、効果的な啓発が可能であると考えております。
都では本年十一月から、在住外国人等の子供が多く集まるインターナショナルスクールなどに講師を派遣して、安全教育を行う出前講座を開始しております。
講座の実施に当たっては、日本語のほかに英語も活用し、具体的なトラブル事例や他国との文化の違いなども踏まえて、防犯や非行防止などの安全に関する知識を啓発いたします。
また、新型コロナウイルス感染対策として、オンラインでのリモート授業や複数教室での実施など、会場となる学校の状況に合わせて、密にならない方法で実施してまいります。
○まつば委員 一方で、在住外国人には、学校に通っていない子供もいることから、今ご説明があった講座だけではカバーできない状況もあります。講座の実施に加えて、より広く安全啓発の取り組みを進めていく必要があると考えます。
都は、在住外国人の子供たちに広く普及するため、安全安心攻略ブックを新たに作成いたしましたが、その内容と今後の安全啓発について伺い、質問を終わります。
○斎田治安対策担当部長 在住外国人等の子供へ安全・安心の普及啓発を進めるためには、広く普及できる手段で、言語も多言語化するなど配慮した施策の展開が必要です。
都は新たに、在住外国人等の子供を対象にして、まちで身を守る方法や万引きの禁止など、防犯や非行防止に関する基本的知識を掲載した冊子を作成いたしました。
この冊子は、区市町村の多文化共生窓口やインターナショナルスクールのほか、在住外国人を支援するNPOや外国人が通う飲食店なども対象に配布を開始しており、都のホームページからもダウンロードすることができます。
冊子は「やさしい日本語」版のほかに、近年在住者が増加しているベトナム語版やネパール語版などを含む六カ国語で記載したものを作成しまして、日本語が十分理解できない子供も内容が理解できるようにしております。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で都民安全推進本部関係を終わります。お疲れさまでございました。
○神林委員長 これより戦略政策情報推進本部関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 去る十月二十二日の委員会におきまして要求のございました資料四点につきまして、お手元にお配りしております総務委員会要求資料によりご説明を申し上げます。
初めに、一ページ目をごらんください。1、国際金融都市東京構想に係る経緯及び費用でございます。
平成二十九年十一月に策定いたしました国際金融都市東京構想について、経緯及び年度別の費用等を記載しております。
次に、二ページ目をごらんください。2、東京、シンガポール、香港の国際金融都市としての比較でございます。
国際金融都市としての東京の現状について、世界的な地位を示す指標である国際金融センターインデックス、法人実効税率、株式時価総額等により、シンガポール及び香港と比較して示してございます。
次に、三ページをごらんください。3、東京都における国家戦略特区の取り組み状況でございます。
令和二年九月三十日現在の取り組み状況を、七ページにかけまして分野別で記載をしてございます。
次に、八ページをごらんください。4、アジアヘッドクオーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
外国企業発掘・誘致事業等における目標及び実績、これらを含む特区内の外国企業の誘致目標及び実績を記載しております。
以上、簡単ではございますが、資料についてご説明をさせていただきました。よろしくお願い申し上げます。
○神林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 都のデジタル化の取り組みについてお伺いをさせていただきます。
戦略政策情報推進本部のこちらの事業概要を読みまして、昨年度と比べましても、その内容が充実し、深みが増しているということでありまして、非常に感慨深い思いであります。そのため、質疑もちょっと多くなっているんですが、よろしくお願いをいたします。
デジタルを初めテクノロジーというのは、全ての人々の可能性を広げるというのが私の信念であります。
デジタル化、デジタルトランスフォーメーションといわれますが、なぜそれを進めるのかといえば、もちろん効率を上げる、そして生産性を上げる、それは都が取り組んでいるテレワークであったりとか行政手続のオンライン化、そういったものを通じて、都民の生活の質、そして都民へのサービスを向上させるということがあると思います。
さらに、デジタル化が進まないことで取り残されてしまっている人たち、例えば視覚障害があって、音が出ればわかるんだけど目ではわからないという方であったりとか、聴覚障害の方もそうですし、分身ロボットカフェという、肢体不自由の方がロボットを使ってカフェを給仕するといったようなものもございました。
こういった形で、デジタルテクノロジーを含めて全ての人々の可能性を広げると、そういった点で、戦略政策情報推進本部のデジタル化、デジタルトランスフォーメーションの取り組みに大きな期待をしているところでございます。
そして、デジタル化を進めるためには、都庁内でいえば局横断的な横串を刺した対応が必要であると、我々都民ファーストの会東京都議団は継続的に提案をしてまいりましたし、昨年三月の総務委員会での私のCIO室を設置するという提案などを経まして昨年設置されましたのが、戦略政策情報推進本部であると認識をしております。
我が会派は、ことしの五月五日には、小池知事に対しまして、新型コロナの経済対策の一環として、戦略政策情報推進本部をさらに強化して、デジタル局を設置してデジタル人材をさらに雇用するなど、提案をしたところでもございます。
昨日の私の各会計決算全局質疑で、宮坂副知事は、デジタル人材のチームを都庁のレガシーにすることがご自身の使命だと述べ、都では、デジタル人材の採用を強力に進めているところであります。
一方で、先月、小池知事は、国の平井卓也デジタル改革大臣へ要望を行いました。国におきましては、官民人事交流法があり、民間企業の人材を、もとの会社の籍を残したまま省庁へ交流させることができるが、地方公共団体にはそういった制度がないため、同様の法制度の整備を要望したものだというふうに聞いております。
国と同様の制度を整備することによって、どのような効果を期待しているのかお伺いいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、行政のデジタルトランスフォーメーションのおくれなど、都のみならず行政全体が抱える構造的な課題が浮き彫りとなりました。
しかしながら、地方公共団体におきましては、DⅩ推進を支える高度な専門性を有するICT人材が大きく不足している状況にございます。
現在、地方公共団体には、国の官民人事交流法と同様の制度がなく、これまで都が実施してきた任期つき職員の採用におきましては、民間企業の退職が前提となるなど、人材の確保に当たり、国とは異なる高いハードルがございます。
今後、DXを強力に推進していくに当たり、地方版の官民人事交流制度により国と同様の方法による人材確保を可能とすることで、これまで以上に民間からの有為なICT人材を円滑に確保できるようになることを期待しております。
○藤井委員 これまでの任期つきの職員、退職をして都庁に来てくださっている方々に加えて、さらにデジタル人材をふやすといった狙いであるということがわかりました。
都庁のデジタルトランスフォーメーションの推進のためには、国のCIO補佐官の取り組みが参考になります。たしか内閣官房に今あったと思うんですが、今後デジタル局にもなるというふうには聞いておりますが、CIO室の配下のもとに、各省庁に民間のCIO補佐官を配置して、デジタル化を進めるというような仕組みになっています。
一方で、都庁内でも今、水道局や教育庁など各局で、独自にデジタル人材の採用が一部進んでいるというような話も聞いております。
今後も戦略政策情報推進本部は全庁のデジタル化の方向性を確保しつつ、デジタル人材の採用を拡大していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 戦略政策情報推進本部ではこれまでも、高度な専門性や豊富な経験を有する人材をデジタルシフト推進担当課長として採用するとともに、ICTの専門家をフェローとして選任し、DXの推進に向けて高度な知見に基づく助言を得るなど、ICT人材の確保に向けた取り組みを着実に進めてまいりました。
さらには、令和三年度からの採用に向け、専門職としてのICT職設置などを打ち出しております。
デジタルシフト推進担当課長につきましては、コロナ禍における各局のICT活用を技術面から支援するとともに、新型コロナ見守りサービスをスピード感を持って立ち上げるなど、都庁全体のデジタル化に向け貢献をしております。
現在、デジタルシフト推進担当課長の募集とともに、今回新たに、週一日、二日での勤務を可能とする会計年度職員の募集を始めるなど、さまざまな方法により人材確保を進めているところでございます。
引き続き、DX推進体制の強化に向け、必要な人材確保を行ってまいります。
○藤井委員 今ご答弁にありましたデジタルシフト推進担当課長、各局の支援などをして活躍をされていることを私も拝見しておりましたし、ちょうどきょうの東京新聞ですかね、ICT人材、都庁にということで、デジタルシフト推進担当課長、お二人、注目をされているということで、私も皆さんの活躍に期待しておりますし、それによって都庁がよりデジタルトランスフォーメーション、デジタル化を進めていくということを期待するものでございます。
また、ご答弁にありました新卒、既卒での採用を予定しているICT職に関しましては、今後やっぱり教育、育成というのが非常に重要ではないかと考えております。
これは総務局の人事部の所管事項だとは思いますが、先端のデジタル技術や動向を身につけるため、民間企業への派遣も含めて検討するように、総務局と調整をしていただきたいと思います。
我が会派は、デジタル局の設置やデジタル関連予算、調達の一元化の提案をこれまでしてきております。その前提となるのが、全庁の主要なシステムの更新時期等がいつ起こるのかということをきちんと把握しておくということであります。
昨年は、監査からも行政監査報告書の中で、情報システムの内部統制というところの提案がございました。現在その前段として、構造改革チームでは、全局のデジタル関連予算の把握を進めているということも聞いております。
このような動きがある中で、戦略政策情報推進本部は、全庁最適化の観点から、庁内のシステムを監督、管理できる台帳を持つべき、必要であると考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 都では戦略政策情報推進本部が、システムアセスを通じて予算調整や契約仕様書の精査等を行うなど、ICT関連投資の費用対効果を最大化させていくための取り組みを実施しております。
本年度さらに、情報システムの経費情報の可視化を図り、経費精査の効率化を図っていくため、評価の対象となる全システムにつきまして、予算額や機器構成、更新予定時期のほか、システム開発時から現在に至る受託者予算額情報管理台帳を作成してございます。
今後は、この台帳を有効に活用し、全庁最適化の観点からもシステムアセスを行い、情報システム関係予算の適正化と、全庁横断的な視点でのICTを活用した業務効率化を推進してまいります。
○藤井委員 今年度中に台帳管理を着実に進めるということで、まず全庁に何があるのかということを把握することが何よりもこの第一歩だと思いますので、着実に進めていただきますようお願いいたします。
デジタル局をつくる目的にもつながりますが、システムを正確に把握して、全庁横断的な視点で最適化というものを進めていただきますようお願いいたします。
東京のデジタル化を進めるためには、住民に近い行政サービスを担う区市町村のデジタル化が必須であります。
ちょうど一年前になりますが、昨年の十一月二十八日の事務事業質疑で、区市町村との連携の具体策として勉強会を開始するということをご答弁いただいたと思いますが、その後の状況を確認のためお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 都ではこれまでにも、研修会等によりICTの利活用に向けたノウハウの共有等を行ってまいりましたが、昨年度、ICTの利活用に関する市区町村向けのアンケートを実施した結果、ICT人材の育成に関する意見が多くございました。
このため、昨年十二月から、自治体内でICT利活用を進めていく人材の育成に向けて勉強会を開始し、各自治体の首長から推薦された市区町村職員を対象に、これまでにRPAやデータ利活用など四つのテーマについてワークショップ等を行ってまいりました。
引き続き、これまでの成果を踏まえ、対象となる職員を交代しつつ継続的に実施し、自治体内でICTの利活用を牽引する人材の育成に努めてまいります。
○藤井委員 都内の区市町村においてICTに精通した職員を育成していくこと、その支援をしていくというご答弁でありまして、その意義は非常に大きいものだと思っております。
一方で、育成にはやはり時間がどうしてもかかってしまいますので、変化の激しいICTの状況、今の現状を踏まえて、スピード感を持って住民サービスを向上させていくことができるのかというところは、ちょっと不安の残るところであります。
新型コロナ感染症対策など、今、目の前に迫っている課題に対応するためには、もっと直接的な支援が必要ではないかと考えております。区市町村の課題に即効性を持って対応できるような支援策も必要であると考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 住民と身近に接している市区町村におきまして、デジタルシフトを加速させ、行政サービス水準の向上を図ることは極めて重要な取り組みであり、各自治体のICT人材を育成していくためには、持続的な支援が必要でございます。
このため、先ほどご答弁申し上げました勉強会の開催と並行いたしまして、市長会等とも連携の上、都が採用したICT専門人材を地域に派遣し、市区町村が抱えるICTの課題解決に向けて専門相談を行うというアウトリーチ型の支援に、モデル的に着手いたします。
本支援を通じまして、自治体が抱えるICT関連の身近な課題等の共有化を図りつつ、都内全体への展開へと広げてまいります。
○藤井委員 区市町村、市町村への−−市ですかね、アウトリーチということで、課題を聞きながら解決していくお手伝いをするということで、今、募集をしているところと聞いておりますので、着実に進めて成功事例をつくっていってほしいと思います。
その際は、先ほどご答弁のありましたデジタルシフト推進担当課長など、都のデジタル人材の皆様の力もおかりして、積極的に区市町村のデジタル化の支援をしていただくようにお願いをいたします。
続きまして、そういったデジタル人材の庁内での活用についてお伺いをいたします。
都民ファーストの会の代表質問での提案によりまして、ことしの六月、宮坂副知事の直下に局横断的に、戦略政策情報推進本部、政策企画局、総務局の三局をもとに、東京テックチームというものがつくられました。これは非常に重要な取り組みでありまして、成果と今後の展開を確認させていただきたいと思います。
テックチームとして、これまでどのような活動実績があるのか、そして各局とどのように連携して仕事をしてきているのかお伺いいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 東京テックチームは、今おっしゃったとおり、六月に立ち上がってございますけれども、東京テックチームが立ち上がる前、設立する前におきましても、新型コロナ対策サイトの立ち上げの支援など、各局の相談に個別に対応しておりました。
その後、今申し上げたとおり六月に、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や行政手続のデジタル化の推進など、各局事業におけますICT活用について局横断的に技術面から支援することを目的として、新たに設置をしたものでございます。
現在は、各局の要請に基づきまして、東京テックチームとして、新型コロナ見守りサービスや協力金サイトの改善など、その事業特性に適したスキルを持ったデジタルシフト推進担当課長が、事業ごとに対応をしております。
○藤井委員 ありがとうございます。たしかコロナの軽症、無症状者の宿泊療養施設での健康観察のチームも、テックチームだったのではないかと思うんですが、今の新聞記事の方にもありましたが、そういったところの取り組みであったり、仕事の進め方としては、各局からの要請に基づいてサービスごとに支援をしているということであります。
要請に基づいて成功体験を積み重ねるということは非常に重要でありまして、横展開にもつながるものであると思いますが、そのやり方だと、どうしても各局の業務に深く入っていくことができず、今何が起きているかというのを主体的に解決していくことができないんじゃないかなと思っております。
もう一歩踏み込んで、積極的に本部の方から、特に都政の重要課題に関しては、デジタルの力で解決するために取り組んでいただきたいと要望をさせていただきます。
都政の重要課題といえば、例えば五月にありました保健所と都庁の間でのコロナ患者の情報連携、情報共有のミスというものがありました。当時、ファクスでやりとりをしていたことで、問題が起きたものと認識をしております。
その後、戦略本部が支援をしたというふうに先ほど答弁にもありましたが、データベースを構築していると聞いておりますので、その新型コロナ感染症患者情報データベースの取り組みについて、国の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システムでありますHER−SYSとの連携も含めて、現在の課題について伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の患者情報を管理するデータベースは、陽性者数、入院者数、自宅療養者数、宿泊療養者数などの情報を一覧で確認し、情報共有ができるものとして、本年四月に構築をしております。
データベースの稼働後も、陽性者の増加に対応し、集計を迅速かつ正確に行えるよう、自動集計結果や入力エラーを表示するダッシュボードを追加するなど、繰り返し機能改善を行っております。
陽性者が三万人を超え、検索の処理時間が長くなるなどの課題があり、円滑な運用を維持するため、データベース性能の改善が必要と認識をしております。
また、本年五月から国が導入を開始いたしましたHER−SYSについては、都におきましても九月から全ての都内保健所での本格的な導入を開始し、HER−SYSから陽性患者の基本情報を患者情報管理データベースに日々直接的にデータ移行するなどの連携を図っております。
今後とも、新型コロナ感染症の患者情報の迅速かつ正確なデータの把握につきまして、HER−SYSとのさらなる連携を踏まえつつ、患者情報管理データベースの改善に係る技術支援を行ってまいります。
○藤井委員 ご答弁の中で、データベース等は日々改善をしていて、ダッシュボードを設けるなど見た目もよくなってきていて、ただ、性能的に今結構いっぱいになってきているので、それは改善していくというお話であったというふうに理解をしております。
一方で、ご答弁を聞いていて、ちょっとわかりづらかったんですが、HER−SYSとの連携は進んではいるものの、多分、今、データベースからHER−SYSにデータを反映させることができていない状況だというふうに理解をいたしました。
まだ課題が残っているということでありまして、厚生労働省や福祉保健局の範囲になるかと思いますが、さらなる課題解決が必要であると考えておりまして、それが進展するようにご支援をいただきたいと思います。
新型コロナ見守りサービスも、テックチームの取り組みの一環でございました。こちらの一層の利用を進めるべきと考えておりますが、現在の利用状況と運用を含めた課題をお伺いいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 東京版新型コロナ見守りサービスは、当初二十七の都立施設で導入され、現在では百六十七施設まで拡大しており、利用者の累計登録数も五万件を超えております。
また、店舗型東京版新型コロナ見守りサービスは、民間店舗を対象としたサービスであり、当初、キャッシュレスサービスや事前予約システムなどを行うテックパートナー企業五社の協力のもと運用を開始し、サービス提供可能店舗が二十三万、登録者数も二十一万件まで拡大をしております。
さらに、都民や都内民間店舗等の利用拡大を図るため、追加選定したテックパートナー企業一社につきましても、間もなくサービスを開始する見込みでございます。
引き続き、都民の理解が高まるようサービスの有用性や安全性を啓発するとともに、都立施設やテックパートナー企業と連携し、見守りサービスの利用者拡大につなげてまいります。
○藤井委員 この見守りサービス、これは、クラスターが発生したときに、そのユーザー、使った方々に連絡が行く、通知が行くというものでありまして、今まだ実際に実行されたことはないというふうに認識をしているんですが、ご答弁にありますとおり、店舗型に関しては二十三万件の店舗がご利用されているということで、非常に大きな数であると思う一方で、都内の店舗数を考えるとまだ足りないのではないかなと思うところであります。
テックパートナーを拡大して、順次広げているところと認識をしておりますが、さらにふやすなど面的な取り組みをお願いしたいと思います。
続きまして、都の感染拡大協力金等のサイトに関して質問をさせていただきます。
そのサイトですが、簡単にオンラインで申し込める点で前向きな声もあったところでございますが、改善も必要であったと認識をしております。
我が会派では、私や鈴木邦和都議などが、サイトがオープンしたときにちょっとそのサイトの使い勝手であったりとか、さまざま課題を感じたもので、出せる改善要望をまとめて、産業労働局に修正をしてもらったところであります。
気になったところがやはりデザインでありまして、ガイドがすごくわかりづらくて、どういうふうに操作したらいいのかとか、どこから申し込んだらいいのか、どこに必要な書類があるのかとかがなかなかわからないというところがございました。
加えて、進めていっても、エラーがどこで出ているのか、何がエラーなのかわからないといったような話で、オンラインで申し込むのをやめてしまったというご連絡を私もいただいたところであります。
ファイルが画像ファイルしかアップできなくて、PDFはアップできないとか、さまざま問題があったというふうに認識をしております。少し使いにくいところもあったかなという認識でございます。
その後、テックチームが支援をしまして、サイトの改善を進めたと聞いております。どのような点に留意して取り組みを進めたのか、あわせてその成果を伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 産業労働局が実施をいたしました感染拡大協力金サイトにつきましては、わかりやすく使い勝手のよいサイトにしていくため、公開前のテスト版の段階で、利用者からの意見を聞き、そこでの意見を反映したものを正式版として公開するとともに、また、公開後も評価や改善提案を受け付けるフォームをサイト上に設置し、利便性を高めるため、繰り返し改善を行っております。
その結果、細かい修正も含め三百回を超える改善を行い、主な改善事例をサイト上で公開するなど、きめ細かく取り組むことにより、当初は郵送での申請が過半数を超えておりましたが、サイトによる申請比率が六割程度まで向上したと産業労働局の方からも聞いております。
こうした取り組みをテックチームとして技術面からサポートすることにより、都民が利用しやすいサイトへと改善され、成果があったものと認識をしております。
○藤井委員 ご答弁にございました三百以上の改善を行ったということ、そしてその改善したところをサイト上で公開をしたというところで、改善状況が見えるようになれば、利用者としても、よくなっているんだなということを、安心してそのサイトを使うことができるのではないかと思います。
そういったことを通じてやはり利用者がサイトなり、都を信頼してくれるんだなということで、これは非常に大きな取り組みでありますし、これまでの都のそういうウエブサイトではなかなかなかった画期的な取り組みだったんじゃないかなと思っております。
実際に私にも、協力金の二回目以降の申し込みが非常に簡単だったというお話も届いております、声が届いています。産業労働局とも連携をしまして、このサイトの改善、どういったことをしたのか、あと、今、産業労働局側なのでお話にはありませんでしたが、裏側の書類処理のオペレーションをどう改善したかであったりとか、そういったようなことを都庁内に積極的にこのノウハウを共有していただきたいと思います。今後も同じようなことがあるかもしれませんので、ぜひお願いしたいところであります。
こういったテックチームの取り組みから得られる知見やノウハウといったものは、都内の区市町村を初めとして、他の自治体でも非常に参考になるものであると考えております。
都は、スマート東京実施戦略の中での全国への展開、共存共栄の実現として、先進的な取り組み事例、ノウハウを共有していくとしておりまして、より積極的に情報共有すべきだと考えますが、見解を伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 都が進めますスマート東京の先駆的な取り組みによる成果や課題、またそこで培った知見やノウハウにつきましては、都から他自治体に、広く積極的な情報発信に取り組んでおります。
具体的には、都内区市町村向けには、令和元年度から合同勉強会を開始し、ICTの先進事例を共有するなど、都と区市町村とのさらなる連携強化に取り組んでおります。
広域連携の面では、埼玉県や山梨県の近隣自治体、大阪府や大阪市との連携会議を通じまして、都における5GやICTの先駆的な取り組みについて情報連携を行うとともに、全国知事会の先進政策バンクを介しまして、全国の自治体に広く情報を発信しております。
さらには、簡易に情報発信ができるウエブサイト、noteを活用した情報発信を新たに開始したところでもございます。
このような取り組みを通じまして、都内のみならず、全国との情報連携を高めていくことで、他自治体のスマート化を支援するとともに、日本の持続的成長につなげてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。今、noteで新たに情報発信を始めたというところでありまして、協力金サイトの改善の件も、noteに二つほど記事が書かれていたかなと思っております。私も、非常に楽しくというか、参考にさせていただきながら読ませていただいているところであります。ぜひさらなる情報発信に努めて、他の自治体のスマート化、デジタル化を支援していただきたいと思います。
続きまして、スマート東京、東京版のソサエティー五・〇についてお伺いをしてまいります。
東京の稼ぐ力の中核となる第四次産業革命技術の社会実装を通じて、経済発展と社会課題の解決を両立させるスマート東京の実現に向けて、都は取り組んでいるところであります。
その内容は、一つ目は、官民連携データプラットホームというものを構築するというところ。二つ目が、都民向けのスマートサービスの社会実装支援となっておりまして、この二つ目のところに関しては、MaaSであったり、キャッシュレス、ウエルネス、ソリューション、電力システム、そしてスマート東京の先行エリアの取り組みを三エリア進めているところであると認識をしております。
先日の決算質疑でも取り上げましたが、二つ目の方のそれぞれの取り組み自体は、それぞれ成果を上げているということは認識をしているんですが、そういったもの、この前半と後半がどう連携してスマート東京が実現されるのかというところが、なかなかやはり見えてこないなと思っていて、課題を感じているところでございます。
スマート東京を実現するための二つの大きな取り組み、都市のデジタルツインを含む官民連携データプラットホームの構築と、都民向けのスマートサービスの社会実装支援、これはどのように連携をするのか。例えばそれぞれの社会実装で取り扱われるデータがデータプラットホームと連携をするというべきであるのではないかと考えますが、その点、どのように考えているか見解を伺います。
○高橋事業調整担当部長 都は昨年度、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会で議論を重ね、官民連携データプラットホームの構築を目指し、基本方針を取りまとめました。
この基本方針の中では、将来的なスマートサービス実装に向けて、スマートサービス提供に伴って生じたデータ等につきまして、可能なものから順次、官民連携データプラットホームと連携させ、領域をまたいだサービスでの活用を促していくとしております。
官民連携データプラットホームに関しましては、事業内容や、対象とする分野、取り扱うデータの範囲や、国や先行する他の自治体の取り組みなども参考にしながら、他の分野、組織、エリアなどとの連携を可能とするアーキテクチャー設計等に関して、官民連携データプラットフォーム運営に向けた準備会におきまして、現在進行形で議論を進めているところでございます。
今後、都民向けスマートサービスを実施する関係部署との連携を図りながら、それぞれの社会実装で取り扱われるデータが具体的にどのような手順でデータプラットホームと連携を進めていけるか、全体像を示せるように検討してまいりたいと思っております。
○藤井委員 ありがとうございます。今後、関係部署と連携を図って進めていくということであります。
ご答弁をいただきましたところでありますが、私が一番懸念しているのは、このままでは、それぞれ各プロジェクトごとにばらばらな、スマートシティーであったりとか都市OSみたいなものができてしまって、東京都として大きな方向性を持てなくなってしまうんじゃないかということを一番懸念をしているところであります。
それぞれになってしまうこと自体、一個一個は別にうまくいっていればいいとは思うんですが、やはりこれは都として取り組んでいることですので、都としての大きな方向性を持っていただきたいと思います。
ぜひ戦略政策情報推進本部内でも、その統一をきちんと図っていただいて、都庁内、そして都庁外に広げていっていただきたいと思います。
加えて、我々議会側がきちんと理解できるようなものを示していただけると、議論も非常にしやすいんじゃないかと思いますので、加えてお願いをさせていただきます。
データの利活用についてお伺いいたします。
利便性と個人情報、プライバシーの兼ね合いというのが常に課題となっておりまして、現在、国でもさまざまな議論がされているところと認識をしております。
都の官民連携データプラットホームについて、利便性と個人情報、プライバシーの兼ね合いについてどのように考えているのかお伺いいたします。
○高橋事業調整担当部長 データの利活用に関しましては、法令を守っていたとしても、都民への不利益や不安を与えるという点から批判を避け切れず、企業の存続にかかわるような問題として報道されるケースも見受けられるところでございます。
官民連携データプラットホームの構築、そして関連するスマートサービスの実施に当たっては、セキュリティーの確保や個人情報の適切な保護を図りながらデータの利活用を進めることが重要であり、これを相反する価値観と捉えるのではなく、都民の意向を反映した形でバランスをとることが大切でございます。
こうした考え方を具現化するため、弁護士や学識経験者、業界団体の代表など外部の専門家を委員とし、今月第一回目を開催した官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会では、データ取得、利用時の本人同意などの対応やデータ利用者への制限の適用などについて議論が交わされました。
こうした取り組みを踏まえまして、今後、パブリックコメントの実施も検討しておりまして、データプラットホームの運営組織が扱うデータの収集や提供、利活用に係る基本的な考え方、ポリシー、こちらに民意を吹き込み、都民から信頼を得られるよう、事業を推進してまいります。
○藤井委員 ご答弁にもございましたが、日本でデータの利活用が進まない大きな理由の一つは、やはり行政などがデータを扱うこと、企業もそうですが、データを扱うことに対する信頼が低いということであると思います。
先ほどパブリックコメントもするということでありましたので、信頼を築き上げるために都が果たすべき役割というのは非常に大きいのではないかなと思っております。
個人情報、プライバシーを確保して信頼を得るということが、結果としてデータの利活用の推進につながってまいりますので、しっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。
続いて、スマート東京の先行の取り組みについて伺います。
西新宿のスマートポールの実証実験が行われております。その成果と実績をお伺いしたいと思います。あわせて、ニューヨークの方で、スマートポールは屋外広告収入で事業運営を行っておりまして、住民や観光客が無料でWi-Fiサービスを使えるなどしているところでありますが、都は、屋外広告の活用についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
○荻原情報企画担当部長 今年度実施しているスマートポールの先行、試行設置では、西新宿エリアで十基のスマートポールを設置する計画でございまして、現在四基が運用中でございます。
これらのスマートポールでは、5GやWi-Fiなどの通信機能を加えまして、搭載しているデジタルサイネージを用いた行政広告の掲出や環境センサーを用いたデータ取得等も開始しており、年度末に向けて、検証結果を取りまとめていく予定でございます。
既に設置を終えた事業者からの報告では、通信機能については問題なく運用できておりますけれども、ポールの設置のコストが当初の見込みよりも高額となっており、課題として挙げられております。
今後は道路空間の公共性を踏まえつつ、サイネージ型のスマートポールにおきまして、来年度から商業広告の掲出を実証する予定でございます。
この実証結果やニューヨーク市のリンクNYCの状況などを参考にいたしまして、関係者と協議を進めながら、本事業の持続可能性を検討してまいります。
○藤井委員 現在のスマートポールですが……
○神林委員長 ちょっと、藤井副委員長、よろしいですか。
○藤井委員 はい、いいです。
○神林委員長 じゃあ、引き続き荻原部長、どうぞ。
○荻原情報企画担当部長 失礼いたしました。
今後は道路空間の公共性も踏まえつつ、サイネージ型のスマートポールにおきまして、来月から、商業広告の掲出、実証をする予定でございます。
○藤井委員 ありがとうございます。来月、十二月から、商業広告も掲出していくということでありまして、今、通信機能について、これは5Gも含めてだと思うんですが、問題がないというところで、ただ一方で、課題も見えてきているというお話でありました。
今後、実証実験を通じて課題となっているコスト面等の検証を進めていただくとともに、法的、制度的な課題を明らかにすることを期待しております。
商業広告の掲出に当たりましては、公共空間である道路の活用の方向性について議論が必要であるというふうに理解をしております。今後、関係者との協議を進めてもらいたいと思います。
法律や制度の問題にぶつかる場合は、例えば特区の制度を活用する等、さまざまな手段を使って実現方法をご検討いただきたいと思います。
戦略政策情報推進本部では、ICTの施策を推進しておりまして、AIチャットボットやダッシュボードなど、局横断的に活用可能な共通基盤の導入にも取り組んでおります。都庁のDXを進めていく上でも非常に重要な取り組みでありまして、お伺いをさせていただきます。
都庁のチャットボットにつきましては、これまで主税局や水道局が先行実施をしておりましたが、私も質問等を通じて、全庁で横串のチャットボットをつくるべきだというご提案をさせていただいておりまして、今年度からさまざまな取り組みが始まる予定であると聞いていたところであります。
今回のコロナを受けて運用を開始しました新型コロナのチャットボット、これは利用者が各局の違いを意識せず質問ができたりするものでして、これまでの提案が実現したというふうに認識をしておりますが、今後、このチャットボット、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○樋口ICT推進部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けまして、各種対策や支援事業など、各局の取り組みについて全庁横断的に情報提供するため、本年九月より、東京都新型コロナチャットボットサービスの運用を開始いたしました。
これまで一日平均で一千件程度の問い合わせがございまして、その内容は症状に関するものから社会経済支援事業など幅広い分野にわたってございます。
利用者のニーズを踏まえ、チャットボットが的確に回答できるよう質問内容を分析するとともに、各局と連携し、充実したコンテンツをタイムリーに提供しております。
今後とも、感染対策のみならず、各局のさまざまな事業を幅広く情報提供するため、チャットボットの総合窓口化についても取り組んでまいります。
○藤井委員 このコロナのチャットボットですが、都庁のホームページのトップページに行くと右下の方にあったり、あと新型コロナの対策サイトの方でもチャットボットがあって、そこからお問い合わせをして、症状であったりとか、あと経済支援であったりとかといったものにつなげるものであると思っております。
そして、一日千件程度の問い合わせがあるということで、かなり都庁のサービスとしては活発に使われているものではないのかなと思っております。
都民の数を考えれば、まだまだあってもおかしくないのかもしれませんが、より一層進めていただきたいと思いますし、一日千件もいろんな問い合わせが来ていれば、そこで得た知見というものがどんどん蓄積しているところだと思いますので、チャットボットを全庁の総合窓口化する取り組みを進めていただきたいと思います。
続いて、ダッシュボードについてお伺いをいたします。
昨年八月から、二〇二〇年に向けた実行プランの事業実施状況レビューをダッシュボード化して、都民に公開をしているところであります。さまざまなデータを可視化して経営や意思決定に役立てるダッシュボードに期待をしています。
昨年の事務事業質疑において、都のデータのみならず、民間の持つデータも含め、さまざまなデータを都庁全体で有機的に活用していく方策を検討しておりますというご答弁がありました。
各局での利用を推進するには、うまくいった事例というものをつくっていく、成功事例をつくることが必要でありまして、それを横展開していくことが重要だと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 さまざまなデータの集計や可視化により、政策立案にも役立てることができますダッシュボードにつきまして、来年三月を目途とし、都庁の全ての職場で利用できるよう準備を進めているところでございます。
蓄積されましたデータを分析し、レポートを作成するツールを初め、これと組み合わせ、地理情報を収集、分析し、マップに表示するツール、また、全庁横断的に利用できる共通サーバーもあわせて設け、環境整備を推進しているところでございます。
今年度の取り組みの中で、新型コロナウイルス感染症におけます患者情報をダッシュボード化し、一目でわかる集計画面により、効率的な情報の管理を実現してございます。
これらの事例を踏まえまして、来年度からは、各局においてダッシュボードを使って事業立案にも役立てるなど、本格的な運用の開始に向け、操作やデータ分析などの技術面に加え、代表的な導入事例の紹介といったソフト面の、両面からの研修開催や、各事業に活用するための個別相談など、各局を支援していくことを検討しております。
○藤井委員 各局でこれから展開をしていくということでありまして、非常に期待をしているものであります。ダッシュボードですので、これは一目で見て意思決定ができたり、事業運営に生かせるものでなければならないと考えております。そういった使いやすいものとなるように、取り組みを進めていただきたいと思います。
昨年、こういったデータ活用とかで先進自治体となっております渋谷区を訪問してまいりました。そのときに、こういったデータ活用、渋谷区さんは自分たちでやっているんですけど、やっぱり自分の自治体だけのデータではなかなか対応し切れないところがあって、都にも、こういったものを各区市町村に勧めて一緒に連携できると、よりいいものができるというお話もお伺いしておりますので、そういった区市町村との連携といったところも含めて進めていただきたいと思います。
先ほどありました官民連携データプラットホーム、こういったものとも場合によっては連携ができるんじゃないかと、そこからデータを引き出してくるであったりとか、そういったことも考えられるのではないかと思いますので、ご検討をお願いいたします。
最後に、セキュリティーについて二問お伺いさせていただきます。
最近、テクノロジーの情勢というものも、技術の情勢というのもいろいろと変わっておりまして、セキュリティーの分野ではゼロトラストという考え方が注目をされています。都政でも活用をすることで、職員の生産性向上やさらなるセキュリティーの強化につながるのではないかと期待をしております。
都庁外でのウエブ会議などのテレワークの急激な普及など、働き方の変化を考えると、都のセキュリティーもゼロトラストの考え方を導入すべきと考えますが、現状と見解を伺います。
○沼田情報基盤担当部長 クラウド利用やテレワークなどネットワーク接続を前提としたICTの利活用の進展に伴い、従来からの境界で守るセキュリティーの考え方ではない、利用者や端末などの全てを疑い、利用の都度、最新の複合的要素で厳格に認証された場合のみ接続を許可し、必要な権限だけを付与するなどの、新しいセキュリティーの考え方が提唱されていることは承知いたしております。
こうした考え方は、ゼロトラストとして、米国の政府調達における技術仕様を定めている政府機関、米国国立標準技術研究所、いわゆるNISTで、本年八月に規格化されているところでございまして、関心が高まっているものと認識しております。
サイバー攻撃が日々高度化、多様化しておりまして、それらに伍していくためにも、サイバーセキュリティー対策も常時更新していくことが重要であると考えております。
都といたしましても、このような新たなセキュリティー技術の動静を注視した上で、必要なセキュリティー対策に取り組んでまいります。
○藤井委員 ちょっと、ゼロトラストをご説明いただきましたが、補足をいたしますと、今のご説明で、これまでの従来のセキュリティーの考え方というのは、中に入ってこないように守るということをしていたのを、もう今では、中に入られてしまうのは仕方ないので、中に入るたびに、この人は正しい人なのかどうかというのをちゃんと確認して、いろんなものが使えるか使えないかといったことを判断するといったようなものであると思っていただければいいかなと思います。
ご答弁にありましたとおり、アメリカのNISTでも規格化されているというところでありますので、よくよくご研究いただきまして、都政への適用を前向きに考えていただきたいと思います。これからテレワークもよりふえていくものだと考えておりますので、ぜひお願いをいたします。
セキュリティーについて、最後の質問になります。
ことし三月に二〇二〇東京大会を標的としたロシアからのハッキングがあったとの一部の報道がありました。
都は、大会に向けて、サイバーテロなどに対しての対応を準備してきたものだと考えておりますが、都のサイバーセキュリティーの基本的な考え方について伺います。
○沼田情報基盤担当部長 サイバー攻撃は、大会開催はもとより、都民生活や事業活動に影響を及ぼす大変重大な問題だと捉えております。
都は、東京都CSIRTを核とした統括的なセキュリティー体制を構築し、これまでも、国や警視庁など関連機関と連携を図りながら、サイバー攻撃対策に取り組んでまいりました。
これに加えて、東京二〇二〇大会時には、オリ・パラ局が策定しました東京二〇二〇大会の安全・安心の確保のための対処要領にのっとり、国が設置するサイバーセキュリティ対処調整センターや、都が設置する都市オペレーションセンターとも連携を行い、対応を強化することとしております。
日々高度化、多様化するサイバー攻撃の脅威に対応していくため、引き続き、関係機関と緊密に連携し、最新のサイバー攻撃技術や事例等の情報収集を行い、的確かつ迅速に対応を講じてまいります。
○藤井委員 オリ・パラ準備局、そして組織委員会等、関係各所としっかりと連携をいたしまして、安全・安心な東京二〇二〇大会に向けて、取り組みを進めていただきたいとお願いをいたします。
デジタルトランスフォーメーションを進めるために、戦略政策情報推進本部の担う役割というのは、今さまざま質問させていただきましたが、都庁内では、局横断的にみずから動いて、そして外部に対しても、連携を深めるという非常に重要な役割を担っているものだと認識をしておりますし、その動きに期待をしているところであります。
デジタルトランスフォーメーションの観点でいえば、戦略政策情報推進本部が進んだ分だけ都政が前に進んで、東京も前に進んでいくものだと私は考えておりますし、ぜひそういった覚悟と気概を持って、今後とも事務事業に取り組んでいただきたいと要望をしまして、そして期待をいたしまして、私の質疑を終わります。
○中屋委員 初めに、国際金融都市東京構想について、何点か質問させていただきます。
私は、平成二十九年秋に現在の構想が策定されて間もない平成三十年の一定の総務委員会で、国際金融都市構想の意義や代表的な施策について質問を行いました。その構想策定から三年が経過いたしまして、都では今般、構想改定に向けた有識者懇談会の設置などの動きを始めております。
今回、国際金融都市構想を進める意義や施策の進め方などについて、このタイミングで確認することにより、わかりやすく都民に説明することとしていきたいと思います。
初めに、国際金融都市東京構想を進め、金融業を振興することが、都民や都内中小企業にとってどのようなメリットがあるのか、改めて確認いたします。
○三浦国際金融都市担当部長 金融は経済の血液といわれておりまして、金融業の振興を図ることは、融資や出資などの形を通じまして、さまざまな産業の発展につながるものでございます。
都は、国際金融都市東京構想におきまして、資産運用業及びフィンテック企業の誘致、育成を掲げております。
資産運用業者の誘致、育成は、都内中小企業にとっては、出資などの形による資金調達手段の増加、都民にとりましては、新たな運用商品の組成による将来の資産形成に向けた選択肢が広がることが期待されます。
また、フィンテック企業につきましては、この誘致、育成を進めることで、スマートフォンを利用した決済サービスなど、都民の生活利便性の向上が期待されるところでございます。
○中屋委員 ただいまメリットを確認させていただきました。
今の答弁にあった資産運用業やフィンテック企業に焦点を当てたさまざまな施策をこれまで実施してきたことによって、国際金融センターランキングで、構想策定前の世界五位から六位の状況から、この三月には世界三位、アジア一位まで順位を上げたわけであります。
しかし、最新の九月のランキングでは、東京は上海に抜かれまして、四位に順位を下げています。
私としては、都がこれまで進めてきた施策を今後も同じように進めていくだけで、果たして今のランキングを維持できるのか、都内経済の成長につながるのかという思いがあります。
そこで、構想策定後、これまでの国際金融都市ランキングにおける東京の順位の推移についてどう受けとめ、都が構想推進のため今後どのように施策を進めていくべきと考えているのか、見解を伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 国際金融をめぐる都市間競争が厳しさを増す中、東京とアジアのライバル都市である上海、香港、シンガポールとの差は、三月、九月のランキングともわずかでございまして、アジアにおける金融ハブとしての東京の地位を盤石にするためには、施策展開の手を緩めることは許されないと考えております。国際金融を取り巻くさまざまな環境の変化に、一層的確かつ迅速に対応することが求められていると考えております。
そのため、都では最近、ビジネスコンシェルジュ東京では、海外初となる香港窓口の設置、東京に進出する事業者に対する一時的なオフィス提供事業など、短期的な視点による新たな施策に取り組む一方、前回の構想策定時からの環境変化を踏まえまして、中長期的な視点から、国際金融都市東京構想の改定に着手いたします。
今後も短期的視点による施策と中長期的視点による施策を組み合わせて進めることによりまして、東京がアジアナンバーワンの国際金融都市となり続け、金融業の振興を通じ、都内経済、ひいては日本経済の成長につながるよう尽力してまいります。
○中屋委員 一生懸命取り組んでいる様子が伝わってまいりました。この地位に安住しないで、東京がアジアナンバーワンの国際金融都市になり続けるように、さまざまな施策を実行してほしいと、こう思います。
ただし、国際金融都市構想推進に向けて施策を進めていくためには、例えば資産運用業者の免許は金融庁、海外からの人材の入国管理は法務省、税制の所管は財務省など、関係制度を所管する国との連携が不可欠であります。
この点は、三年前の構想策定後、都議会自民党が一貫して申し上げてきた点でありまして、過日の三定の代表質問においても、我が党の方から、この件については強く申し述べたところであります。
そこで、都が今後、国際金融都市構想推進に向けたさまざまな施策を進めていく上で、その実効性を高めるため国とどう連携していくのか、見解を伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 国際金融都市構想に係る施策をより効果的に進めていくためには、関係制度を所管する国との連携が不可欠でございます。
これまでも都は、資産運用業者のライセンス登録手続等に関する英語解説書を金融庁とともに作成したり、内閣府を通じて高度金融人材の入国に関する規制緩和を国に働きかけるなど、構想推進のために国と連携してまいりました。
今後とも、都が金融庁を初めとする国と密接に連携していくことで、構想実現に向けたさまざまな施策を推進してまいります。
○中屋委員 現在の香港の情勢、イギリスの欧州連合離脱によるEUの交渉難航や、国際的な政治経済状況は大きく動いています。加えて、新型コロナウイルスの蔓延によって国際的な人の移動の制限など、国際金融都市をめぐる環境は、三年前に構想を策定したときと比べて大きく変化しています。
都は先ほど、短期的、中期的視点から施策を進める旨を答弁いただきました。この展開に当たっては、今申し上げたような国際情勢の変動に的確に対応する必要があります。
また、国も国際金融都市の構築に向けてさまざまな取り組みを進めていることから、都としても、東京を世界、アジアの金融ハブとすべく、この機会を逃さず、国とともに集中的に取り組んでいく必要があります。その際には、都は、民間の動きとくれぐれも重複しないように、民間と適切な役割分担を図りながら、効果的に取り組みを進めてほしいと思います。
次に、スマート東京の実現に向けた事業展開について、何点か質問いたします。
まず、島しょ地域における超高速ブロードバンドについてでありますが、昨年度のケーブル切断事故では、一時的ながらも、超高速ブロードバンド回線による各サービスは途絶しました。
ADSLへの切りかえだとか臨時の無料Wi-Fiの設置などによって、大きな混乱はなかったものの、島しょ地域における超高速回線の重要性を改めて認識させられたわけであります。
そこで、島しょ地域における安定的な通信環境の確保に向けた都の取り組み状況について伺います。
○沼田情報基盤担当部長 島しょ地域における超高速ブロードバンド環境は、島民生活や行政サービスの質向上及び産業振興等の観点から、重要な社会インフラであると認識いたしております。
このため、都では、通信事業者が整備を行っていない五村六島において、平成二十八年度から超高速ブロードバンド環境の整備を始め、昨年度末、整備を完了いたしました。
また、ご指摘いただきましたとおり、海底ケーブルの切断によるサービス停止は、島民の生活に甚大な影響を与えることから、本年度は、島しょ間の海底ケーブルをループ状に接続したり、バイパスルートの整備などをすることで、一カ所でケーブル故障が発生しても別ルートでの通信を可能とし、より安定した通信環境の実現に取り組んでいるところでございます。
○中屋委員 島しょ地域において、通信環境の確保というのは、内地以上に生活上不可欠なものとなっています。このことを念頭に置いて、安定した通信環境の維持に努めてほしいと、こう思います。
次に、サイバーセキュリティーについてでありますが、東京二〇二〇大会を控えている都にとりまして、引き続き重要な課題であることはいうまでもありません。
また、今後のデジタル社会を見据えたセキュリティー対策の持つ意味は、より一層大きくなっております。
そこで、都のセキュリティー対策について答弁をいただきたいと思います。
○沼田情報基盤担当部長 都は、個人情報等、重要な情報を守るため、情報システムを所管する部局や職員が遵守すべき規範である東京都サイバーセキュリティポリシーを定め、全庁的なサイバーセキュリティー対策を実施しております。
本ポリシーにおいては、技術的な対策に加え、ポリシーの徹底や情報漏えい等を防止するための研修、訓練等の人的対策の実施も求めています。
また、セキュリティーインシデントが発生した際に適切に対応するため、副知事を最高情報セキュリティー責任者、いわゆるCISOとする全庁的な体制を構築いたしまして、東京都CSIRT及び各局等のCSIRTが連携して、サイバーセキュリティー対策に包括的に取り組んでいるところでございます。
○中屋委員 ただいまご答弁ありました個人情報の保護は、行政の絶対的使命であります。都民の都政に対する信頼を裏切ることのないように、しっかりと取り組んでいってほしいと、こう思います。
次に、区市町村連携についてお伺いしたいと思います。
スマート東京の実現のために、区市町村との連携は不可欠であります。
私の地元の文京区においては、例えばICT教育において、学習コンテンツの提供など、積極的にICT授業を推進しております。
一方で、ICTに関して、さまざまな要因からおくれのある区市町村があることも事実であります。
こうした自治体を決して取り残すことなく、東京全体でデジタル化を進めていくために、きめ細かな支援が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 スマート東京の実現に向けた取り組みをさらに発展させ、都民のQOL、生活の質の向上につなげていくためには、都民に身近な行政サービスを提供している区市町村との連携が不可欠でございます。
このため、令和二年度の組織改正におきまして、ICT推進部に自治体支援担当を新たに設置し、区市町村職員を対象としたICT活用に関する勉強会を開催するとともに、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出抑制時には、都と区市町村間でウエブ会議ができるようシステム環境を整備するなど、区市町村支援に取り組んでおります。
今後は、このような取り組みをさらに充実させることで、区市町村との連携強化に努め、スマート東京の実現を目指してまいります。
○中屋委員 これまでの答弁を聞いておりますと、我が会派の意見を踏まえた取り組みを進めておりますので、今後もぜひ進めてもらいたい、取り組んでもらいたいと、こう思います。
関連いたしまして、先端技術の活用等についても確認していきたいと思います。
AIやビッグデータ、5G、ロボティクスといった第四次産業革命の原動力となる新しい技術は、社会、経済、産業に大きな変化をもたらせると期待されております。
そのためには、先端技術やデータの活用などについて、都民の賛同を得ていく地道な努力が必要であると私は思っています。
先端技術やデータを活用することによって、自分たちの暮らしが具体的にどう変わるのか。目に見える成功事例を積み重ねて、多くの都民にデジタル化の重要性を理解してもらうことが、スマート東京実現の近道と考えております。
スマート東京の実現に向けたサービス領域というのは多岐にわたりますが、世界に例を見ない速度で高齢化が進む東京において大きな課題となっている、交通不便地域対策とか健康長寿の推進について、今回は確認していきたいと思っています。
まず、交通不便地域対策でありますが、いつでもどこでも必要な移動サービス、配送サービスが受けられる、このような社会を目指していく必要があります。
特にドローン物流については、国において令和四年度に有人地帯における目視外飛行の実現を目指すとしておりまして、東京での速やかな社会実装を目指すべきであると私は思います。
そこで、都は、ドローン物流の実現に向けてどのような支援を行っているのかお伺いいたします。
○米津特区推進担当部長 国の制度整備を見据えまして、都内でドローン物流を実現させるため、都は、空の産業革命に対応する次世代ビジネスモデルの検討事業におきまして、本年八月、二件のプロジェクトを選定いたしまして、ドローン物流のビジネスモデル構築に向けた支援を実施しているところでございます。
選定プロジェクトのうち、多摩地域で行われるものにつきましては、食料品等の日常の買い物が困難な状況を解消するためのドローン配送ネットワーク構築を見据えまして、小売店舗から一軒家や集合住宅、公共施設など複数の目的地への商品配送などのサービスを検討しているところでございます。
今年度は、選定されました各プロジェクトにおけるビジネスモデルの具体化や事業性の検証などの活動を支援いたしまして、来年度、実際のサービスインを見据えたパイロット実施を行う予定としてございます。
○中屋委員 よろしくお願いします。山間部だとか離島などにおける荷物配送というのは、買い物弱者にとって大きなメリットがあります。
継続的なサービスとしていくためには、特に事業性の確保が重要です。本プロジェクトを確実に社会実装につなげるとともに、その他の事業者の検討に資するよう、広く検証結果を発信してほしいと思います。
次に、健康長寿の推進について伺います。
日本の平均寿命は、女性が約八十七歳、男性が約八十一歳と世界有数の長寿国でありますが、平均寿命と健康寿命には十年ほどの差があります。健康寿命を延ばし、平均寿命との差をいかに小さくするかが重要でありまして、健康管理サービスや予防研究の活性化が求められています。
一方、新たなサービスや研究については、これが有効だという証明が難しいことがネックとなっておりまして、都が旗振り役となって、都民や民間事業者、大学などを巻き込んで、データの利活用を促進していくべきと考えています。
そこで、都は、健康医療分野のデータ利活用の促進に向けてどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
○米津特区推進担当部長 健康医療分野の取り組みを具体化、加速するため、都は、次世代ウエルネスソリューション構築支援事業におきまして、住民に身近な区市町村や民間事業者、大学等を対象にした情報共有ネットワーキングの場を設けるほか、本年八月、当該分野のデータを活用いたしました新たなサービス開発、予防研究の推進につながるモデルプロジェクトを二件選定いたしまして、支援を実施しているところでございます。
選定したモデルプロジェクトでございますが、いずれも区や複数の民間事業者、大学等が連携したものでございます。
例えば豊島区では、区が行うICTを活用した健康づくり事業への支援といたしまして、一つのアプリを通じて、歩数に応じたインセンティブ付与や、健診結果に基づくリスクの提示などを行う事業を実施しました。
また、大田区では、インソールセンサーなどのモニタリングデータを活用した整形外科患者の社会復帰と再発予防を促すリハビリサービスを提供する事業などを実施しているところでございます。
○中屋委員 健康医療分野には、健康診断や検査結果、薬の服用など、さまざまな貴重データが存在しています。
住民に身近な区市町村などと連携しながら、データの利活用促進に向けたモデルを構築してもらい、多くの地域で同様の取り組みが進むように支援していってほしいと、こう思います。
ここまでスマート東京関連施策について質問してまいりました。繰り返し要望しておりますが、これらの施策の展開に当たっては、国や区市町村とも十分に連携して、都民一人一人がその効果を実感できる真に効果的な施策を展開していくことが求められております。
くれぐれも申し上げたいのは、東京都は、税金を投入して民間企業と競争することではなくて、あくまでも都民一人一人の行政サービス向上が目的であって、安全・安心の東京を実現することを目的にしているわけでありますので、さらにいえば、国もデジタル庁を立ち上げるわけですから、東京としてもぜひデジタル局を目指して頑張ってもらいたい。
かつて観光庁という話があって、東京都も観光局というようなことを目指したときもありましたけれども、なかなか各局のやはり賛同を得られずに、観光局というのは実現できませんでしたけれども、ぜひ負けずに頑張って、都民の生活向上のために力を注いでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○まつば委員 新型コロナウイルス感染症対策として、東京テックチームが設置をされております。まず、この東京テックチームがどのような目的で立ち上げられたのかお伺いをいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 東京テックチームでございますけれども、東京テックチームは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や行政手続のデジタル化の推進など、各局事業におけますICT活用について、局横断的に支援することを目的として、本年六月に新たに設置をしたものでございます。
支援体制といたしましては、政策企画局、総務局、戦略政策情報推進本部の三局から成る事業推進チーム、こちらを編成いたしまして、外部の専門人材として登用しておりますDXフェローの方々の意見も反映をしつつ、戦略政策情報推進本部に在籍をいたしますデジタルシフト推進担当課長を中心に、各局の支援を行っているところでございます。
○まつば委員 次に、東京テックチームとして、これまでどのような取り組みを行ってきたのかお伺いをいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 これまで、新型コロナウイルス感染症対策への対応に重点的に取り組んでおりまして、全局横断的に活用できるシステムといたしまして、東京版新型コロナ見守りサービスを構築いたしました。
これは、文化施設や動物園など都有施設で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した場合に、施設の訪問履歴に基づき、利用者に迅速に感染情報を通知するものでございまして、現在、都立の百六十七施設で展開をしております。
また、感染防止徹底宣言ステッカーの登録店舗マップの掲載や、協力金サイト、家賃等支援給付金サイトの構築など、各局個別事業についても積極的にサポートしております。
また、そのほかにも、コロナ対策以外の支援といたしまして、各局で行っております補助金申請フォームの構築など、さまざまな手続への対応も行っております。
○まつば委員 それでは、各局からの要請に基づき、どのような取り組みを行ったのか、具体的な事例についてご説明をいただきたいと思います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 都内の店舗におけます新型コロナウイルスの感染防止対策として、先ほど申し上げましたけれども、感染防止徹底宣言ステッカー、これを発行したことに伴いまして、都民に安心してステッカーを掲示した店舗、こちらをご利用していただけるよう、登録店舗をウエブ上のマップに掲載するため協力してほしいということで、総務局から要請を受けまして、対応をいたしました。
本年八月にリリースをいたしました試行版を踏まえまして、九月には、スマートフォンでの操作性が高く、地理情報を収集、解析し、マップに表示をするツール、こういったものを活用いたしまして、本格的に稼働をいたしました。本マップへの掲載店舗数は、累計で約十九万件を超えたところでございます。
さらに、オープンデータとして公表されております感染防止徹底宣言ステッカーを掲出しております店舗の情報につきまして、総務局と連携をいたしまして、都民が利用いたしますウエブ上のさまざまなマップでも簡単に店舗を探せるような、民間のマップについての活用も促進をしているところでございます。
○まつば委員 具体的な事例について確認をさせていただきました。
細かい話ですけれども、この各局の技術支援にはどのような方々が対応されているのかお伺いをいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 戦略政策情報推進本部に在籍をいたします民間のIT関連企業等での職務経験を有する特定任期つき職員でありますデジタルシフト推進担当課長を中心に、技術面から支援をしております。
このデジタルシフト推進担当課長は、DXサービス等の企画立案などプロジェクトマネジャーとしての経歴でございますとか、システム設計などのエンジニアとしての実績を持つ者など、専門性の高い職員を採用しているものでございます。
現在、全体で十四名在籍をしており、各局からの要請を一元的に受け付け、システムの開発、サイトの作成など、プロジェクト案件ごとにおのおのこれまでのスキルを生かしながら対応しております。
○まつば委員 今までお伺いをさせていただいてまいりましたけれども、やはり専門性の高い職員の皆様方が、若干少人数かなとも思っておりますが、その少人数の中で、新型コロナ対策について大変大きな役割を果たしてこられたということを改めて確認をさせていただきました。ご尽力にも感謝申し上げたいと思います。
このような取り組みでございますが、コロナ対策に限定されることなく、都のさまざまなサイト構築などでも力を発揮していただきたいと、このように思うところです。
例えば、私は妊娠支援ポータルサイトの開設を議会質問で行いまして、福祉保健局で立ち上げていただきました。情報をきちんと網羅をして、都民の皆様にお届けをするという意味では、内容は充実したものになっていると思っています。
その上で、都民の皆様が必要な情報をスピーディーに得るために、検索する機能の追加など、工夫、また改善をする点もあるのではないかと思っております。
こうした各局のさまざまなサイトにテックチームが参画する機会がふえれば、さらなる都民の皆様へのサービス向上が期待できると思っております。
そこで、東京テックチームのような各局のICT化を技術面から支援するような取り組みを強化し、対象を都庁の全事業に広げていく必要があると考えておりますが、見解をお伺いいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 今回の新型コロナウイルス感染症への対策、こういったものの対応を契機といたしまして、行政全般の事業につきまして、これまで以上のデジタル化の推進の取り組み、これが求められるというふうに認識をしております。
こうした取り組みをスピーディーかつ着実に進めていくためには、デジタルの専門知識を有した人材の一層の活用が必要でございます。そのため、現在、デジタルシフト推進担当課長につきましては、五名の追加の公募を行っております。より一層のデジタル化を進めるため、専門人材を確保し、さらなる体制強化を図っていきたいと思っております。
今後とも、新型コロナウイルス対策のICT活用を進めるということとともに、これまでの取り組みを生かしまして、都庁全体のデジタルトランスフォーメーションの推進に向けまして、各局のICT活用を技術面からサポートするよう取り組んでまいります。
○まつば委員 今ご答弁いただきましたが、やはりまずは専門人材の確保をしていただいて、体制を強化すると。そういうことが今非常に重要なんだということであると思います。
そういったことをしっかりとしていただいて、さらに取り組みを進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
午後六時十三分休憩
午後六時三十五分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 それでは、質問したいと思います。
まず、東京の成長に資する戦略的な事業の推進について伺います。
ことし五月五日、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた当面の都政の運営についてと題する依命通達が出されました。これに基づいて速やかに既存事業の分類を行い、優先度の低い事業は休止、縮小または延期させ、最小限の人員で執行できる体制を構築するとされました。
この依命通達を受けて、コロナの状況のもとでの対応はどのように検討し、中止や延期にした事業はどういうものがあり、効果額はどのぐらいなのか伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けまして、依命通達に示された人と人との接触による感染リスクが高いと考えられる事業などについて見直しを行いました。
具体的には、次世代モビリティーイベント等の都主催イベントを見合わせたほか、東京開業ワンストップセンターやビジネスコンシェルジュ東京におけます事業者との対面窓口を一時休止し、ウエブ等に代替するなどの対応を行っております。
これらの事業につきましては、現下のコロナ禍の状況に引き続き注意しながら、実施時期や実施方法等について継続して検討してまいりたいと思っております。
○原委員 特に効果額のお答えはなかったので、これからなのかと思いますけれども、恐らく、今伺っていると、対面のものをウエブなどに変えたりという、そういう範囲であって、大きく変更はないのかなというふうに思って聞きました。具体的にどうなのかというのをちょっと幾つか伺っていきたいと思います。
「国際金融都市・東京構想」に関する有識者懇談会は、今後何回実施し、いつまでにまとまるのでしょうか。
○三浦国際金融都市担当部長 「国際金融都市・東京構想」に関する有識者懇談会につきましては、まだ(仮称)でございますけれども、十月に準備会を開催いたしました。十一月中を目途に第一回を、以降四、五回開催いたしまして、令和三年六月に構想改定に関する素案を取りまとめる予定でございます。
○原委員 予定どおり進めていくという感じなのかなと思って聞いたんですけれども、この前にやられていたそのあり方懇談会、きょう資料も出していただいていますが、平成二十九年度だけを見ても、このあり方懇談会自体が五百七十七万円ということで経費がかかっていますという資料も出ていますが、今の回数等を聞くと、少なくともこのぐらい支出していく、あるいはもっとかかるのか、そういう感じなのではないかというふうに思います。
また、この後、この構想ができた段階で、その後どういうふうな会議体を持っていくのかというのはこれからだと思いますので、今後とも、これには当然お金もかけていくということだというふうに思うんですね。
それで、もう一つ伺いたいんですけれども、今年度、金融賞についてはどうでしょうか。今年度も予定どおり実施をしていく考えなんでしょうか。改めて、予算は幾らで、また変更はないのか伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 先ほどの懇談会の話にも通じますけれども、金融というのは経済の血液といわれておりまして、ポストコロナにおける東京の成長戦略を進める上でも、国際金融都市構想の推進は必要不可欠でございます。
今ご質問のございました東京金融賞につきましては、今年度も参加事業者の募集を行うなど予定どおり進めております。今年度の予算額は約一億三千五百八十四万円でございまして、変更はございません。
○原委員 これも特に変更はないということで、それで、ちょっと確認だけしたいんですけれども、予算は全体で一億三千五百八十四万円ということで変更なしということですが、賞金として企業に出す、一千八百万円だったかと思うんですが、そこは変わらない、そこも変わらずに実行していくということで、この範囲の中に入っているということで、確認してよろしいですか。
○三浦国際金融都市担当部長 今年度につきましても、賞金の一千八百万円に変更はございません。
○原委員 特に見直しはないということなんですが、私は、コロナ危機という状況の中で、少なくとも、いろいろ考え、意見ありますけれども、今年度は中止するなどの対応があってもよいのではないかというふうに感じています。それは意見です。
では、外国企業誘致のためのビジネスコンシェルジュ東京の取り組みについてですが、二〇一二年、平成二十四年からスタートしていますが、どのように運営されているのでしょうか。そして、この九年間の委託先や委託料について伺います。
○米津特区推進担当部長 ビジネスコンシェルジュ東京でございますけれども、外国企業誘致の促進を目的といたしまして、外国企業、外国人の方々のビジネスから生活面にわたる多様な支援ニーズにワンストップかつ英語で対応いたしまして、東京進出をサポートする窓口でございます。当該支援に関するノウハウを有する民間事業者に委託して運営しているところでございます。
委託事業者についてでございますけれども、平成二十四年度及び平成二十五年度は三菱地所株式会社、平成二十六年度は株式会社メディカルアソシア、平成二十七年度以降は株式会社パソナとなってございます。
また、令和二年度の委託料につきましては、赤坂、丸の内の東京窓口分といたしまして七千百万円余、新たに設置いたしました香港窓口分として二千二百万円余の契約額となっております。この前年度までは東京窓口のみとなりまして、直近では令和元年度が五千六百万円余、平成三十年度が四千九百万円余の契約額となっております。
○原委員 平成三十年度は五千万円を切っていた委託料が、今年度は約二倍の一億円近くまでになるということで、香港の窓口もパソナが受託することになっているということですよね。ここも費用的にはふえているということです。
この香港の窓口について、コロナの状況が深刻なもとでも新たに設置をしようということになっているわけですが、香港に設置をするということは年度当初にはまだ決まっていなかったというふうに思います。もし違っていたら訂正してください。依命通達を受けての見直し作業でなぜ休止という対応にはならなかったのか、また、改めて、なぜ香港に決めたのか、その点について伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 ビジネスコンシェルジュ東京の海外窓口につきましては、成長著しいアジアからの金融系外国企業、人材の誘致をさらに加速するため、アジアの有力な国際金融都市の一つである香港に設置したところでございます。
○原委員 それで、この香港の窓口については今年度のみの事業なのでしょうか。また、委託事業者はどのように決めて、どういう内容を委託したのでしょうか。
○三浦国際金融都市担当部長 ビジネスコンシェルジュ東京の海外窓口についてでございますけれども、赤坂、丸の内及び香港の各窓口における相談実績や外国企業から寄せられたニーズなどを勘案しつつ検討してまいります。
また、受託者の関係でございますけれども、赤坂、丸の内、香港窓口、いずれの委託契約につきましても、毎年度、契約手続にのっとり受託事業所を決定しているものでございます。
○原委員 今のご答弁ではちょっとなかったかもしれないので確認したいんですけれども、今年度のみの事業なのでしょうかということについてはいかがですか。
○三浦国際金融都市担当部長 次年度以降につきましては、今年度の相談実績や外国企業から寄せられたニーズなどを勘案しつつ検討してまいります。
○原委員 わかりました。ですから、今後、香港の窓口についてもどういう展開になっていくか、いつまで継続するか、その点についてはまだわからないわけですよね。今後の状況を見ながらということです。
私は、コロナのもとでも、相談などをウエブに切りかえたりとか、そういうことを工夫していますよというお話はあったんだけれども、基本的には、大きな事業、どの事業も変わらず動かしていて、むしろ強化をしているという状況なのではないかというふうに思うんですね。
今、ここ数日、もう本当にコロナの状況が深刻化していると。東京ももちろんですし、世界的にも非常に深刻化している中で、コロナの感染をいかに食いとめていくかということが本当に最大の課題だと思いますし、依命通達でも、そこを踏まえて各事業を、コロナの状況を踏まえて休止をする、延期をする、縮小する、こういうことを検討しようということだったわけですけれども、実際には私はそれが十分やられていないんじゃないかなというふうに感想としては持ちます。
来年度の予算を今いろいろ検討されているところだと思いますが、私は今この深刻なコロナの状況をしっかり踏まえた、そういう検討をしていただきたいということをこの場では要望しておきたいというふうに思います。
それで次に、ICT施策等の推進について伺います。
5Gアンテナの基地局の設置について、アセット開放や活用の状況について伺います。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 5G通信環境の構築に向けて、都では、保有する約一万五千件のアセットをデータベースにして公開しております。通信事業者からは既に約百五十件の申し込みがございまして、その一部では現地調査が開始されるなど、基地局の設置へ向けた取り組みを進めておるところでございます。
○原委員 わかりました。
今、これは東京が開放したアセットではないんですけれども、各地でアンテナ基地局について、事業者から近隣に説明がないなどの理由で問題が起きているケースがあるんですね。東京都はそういう状況について認識を持っていますか。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 アンテナ基地局の設置に当たりまして都のアセットを使うものにおきましては、通信事業者は近隣にお住まいの方などへ適切に説明しているものと認識しております。
○原委員 都が実施することについては適切に説明しているものと認識しているというお話なのですけれども、東京都としては、そのように今アセットを開放してどんどん活用をということでやっているんですけれども、その際の事業者が行う近隣住民への説明などについて、都の責任ということについてはどう考えていらっしゃいますか。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 都の保有する土地建物などのアセットは、所管する各局が施設管理者としての責務を有しております。
このため、施設管理者からアンテナ基地局の設置者である通信事業者に対しまして、必要に応じて説明会を開催するなど、近隣へお住まいの方などへの説明を行うよう求めております。
○原委員 先ほどの質問の答弁では、通信事業者は近隣住民などに対して適切に説明しているものと認識しているというふうにおっしゃっていました。それで、今、東京都の責任について伺ったら、必要に応じて説明会を開催するなど、近隣住民などへ説明を行うよう求めていますということでした。
この必要に応じてというのはどういうことでしょうか。やらない場合も、都としてはよしとしているのか伺います。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 近隣にお住まいの方から施設管理者に対して説明会開催の依頼があった場合、通信事業者へ説明会の開催を助言いたします。
なお、現時点での開催事例はございません。
○原委員 これは東京都の保有する土地や建物などではないんですけれども、実は私の地元でもアンテナ基地局設置の問題が起きていて、その地域では結構大きな問題になったんですね。企業から半径三十メートル以内の住宅にチラシが配られていました。配られただけで、もう設置をされようとしていて、それで、住民の方々が説明会をやってほしいといったんだけれども、企業の方が説明会は必要ないという姿勢だったんですね。
それで、市に相談したり、企業にも何度も電話したりして、とにかく説明会をと働きかけ続けて、結局、そうしている間に、土地の所有者の方がやっぱりお断りしますというふうになって設置はされなかったんですけれども、このときに住民の方たちがおっしゃっていたのが、健康被害の心配をされている方も大変多いんですけれども、そのこととともに、説明会さえされないということが本当に怖い、心配だと思いましたというふうに話していました。
ですから、東京都がアセットを公開してどんどん進めていくという中で、説明するかどうかも企業にお願いしているだけというのはやはり困るのではないかと私は思うんですね。やっぱり都の姿勢としては基本的に、きちんと説明会をする、説明を十分にするという姿勢で臨んでいただきたいというふうに思うんです。この件についてはいかがですか。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 アンテナの設置工事にかかわらず、都の施設につきまして工作物を工事する、例えばペンキを塗りかえるとか、何か新しく建物を追加するとか、そういったところにつきまして、各近隣の住民の方へ、例えば騒音があるとか、においの問題があるとか、そういったケースにつきましては、そのケース・バイ・ケースに応じまして、工事を施工する会社に近隣の方々への説明をお願いしているところでございます。
アンテナ基地局につきましても、そのケース・バイ・ケースでございまして、都の敷地が広くて近くに家がまだ建っていないところでありますとか、密接に近接しているところとかございますと思いますので、ケース・バイ・ケースで判断させていただきたいと考えております。
○原委員 私としては、必ず説明会をやるというふうに進めていただきたいなと思いますが、今、丁寧にご答弁いただいたように、本当に住民の方々の声に立って適切な対応がされるように、東京都としても企業任せではなくて、アセットを公開したという責任において取り組んでいってほしいということは求めておきたいというふうに思います。
それで、健康への影響を心配する声というのは実は少なくないということも理解をしていただきたいというふうに思います。
都として、推進に当たって安全性について保証できると考えているのか、基本的な見解を伺いたいと思います。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 電波につきましては、人体に対する安全性を確保するため、国が電波防護指針を策定しております。この指針は、ICNIRPと呼ばれておりますものですが、国際非電離放射線防護委員会の定めた国際的なガイドラインと同等でありまして、世界保健機構、WHOもこのガイドラインを支持しております。
5Gアンテナ基地局につきましては、国が定めた指針に基づき設置されておりますことから、安全性は確保されていると認識しております。
○原委員 安全性は確保されているものと認識ということで、おっしゃっていることについては理解できないわけではもちろんないんですけれども、ただ、やっぱり海外に目を向ければ、実際には5Gの導入に一旦立ちどまっている、そういう国もあったり、また、実際に電磁波の過敏症の方もいらっしゃったり、そういうことが事実としてある中で、やっぱり慎重な対応というのは求められるし、私が今一番心配しているのは、前もいったんですけれども、そういう心配をしている、心配をされる声について、気にし過ぎだとか過敏なんだというふうに決めつけてきちんと受けとめないというのは、これは本当によくないと思っていて、そういうことがないようにしていただきたいというふうに、東京都に求めているんですね。
5Gについては、新たな可能性が開かれる、そういう面ももちろんあって、だけれども、同時にそうした健康被害を心配する声も少なくないんだということを受けとめて事業を進めていく必要があるのではないかというふうに思います。その点について、例えば東京都にもご意見なども来る場合もあると思いますので、やっぱり丁寧に対応していただきたいし、都独自にもやっぱり調査研究をして、その健康被害についてはきちんと受けとめて進めていっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上で私の質問を終わります。
○中村委員 それでは、まず最初に、ICT戦略について伺います。
技術の進歩があり、さらにコロナ禍もあり、ICT化が促進されています。都全体でのICT関連予算は膨大なものになるのではないでしょうか。
さまざまな業務でシステムが使われており、その予算の具体をあらわすのは難しいかもしれませんが、例えば職員の皆さんが使われている都庁の業務遂行に係るシステム基盤の予算はどれくらいになるでしょうか。
各局では、専門知識がないと事業者のいい値になったりしかねません。戦略本部は情報システム等に係る企画、調整及び指導等を行っているとのことですが、各局に積極的に関与し、よりよいシステムを安価で使いやすいものにしたり、場合によっては他局でのシステムを活用もできるかと思いますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 都の職員が利用する情報基盤でありますいわゆるTAIMSの関連経費は、令和二年度予算では約百六億円でございます。
各局の予算要求におきましては、要求前の検討段階におきます相談、要求時におきますシステム構成や調達方法についての検証などを通じまして指導助言を行ってございます。また、調達時におきましては、仕様内容の確認、助言を行うなど、要求から調達までの各段階におきまして、より安価な、よりよいシステムの導入に向けて調整を行ってございます。
なお、個々の業務システムにつきましては、各業務要件がありますことから、局間で同じ仕様のものを使うことは難しくはございますが、局間での重複などについて横断的な観点で調整を行ってございます。
こうしたさまざまなタイミングや視点からの調整を図ることによりまして、都庁全体の効率的、効果的なシステムの導入及び運用に寄与してございます。
○中村委員 このTAIMS、大きなシステムだとは思いますが、とはいえ一年間の運用だけで百六億円というのは大変なことです。今後、予算に占めるこのICTの関連の割合というのはますます高くなってくると思われますので、このICT関連予算の全体像をどのように見える化して都民に説明できるのかということが求められると思いますので、その点、工夫していただきたいというふうに思っています。
さて、各自治体がそれぞれシステムを構築すると、同じような業務でもそれぞれに開発費がかかってしまいます。これまで、都と市区町村とは、入札システムに関して東京電子自治体共同運営システムを構築しています。
今後は、自治ではありますが、共通できる仕組みは統一することで、システムの開発、運用費用は低減できますが、今後の展開について見解を伺います。
○沼田情報基盤担当部長 都内の自治体では、ご指摘の東京電子自治体共同運営システムのほか、全自治体で協力して運用しています自治体情報セキュリティークラウドや、住民情報等の基幹システムを複数の自治体で共同運営する自治体クラウドを西多摩の四町村で導入しております。さらに、同様のシステム共同運営の導入に向けた検討が他自治体でもなされているところでございます。
また、国においては、自治体の基幹系業務システムの標準化の検討も現在進められているところでございます。
都は、都と区市町村が参加する都区市町村IT推進協議会などを通じて、これらの動向について区市町村に情報提供するとともに、必要に応じて技術的支援等を行ってまいります。
○中村委員 それぞれの自治体のシステムなので、全部同じということではないんだと思うんですが、同じところであれば共同でやることもできるでしょうし、その上で各自治体の独自の部分というのは選択できるようなシステムの組み方というのもあると思っています。
特に、こういったことをすると何よりも、入札でもそうだったんでしょうけれども、複数の自治体に申請するような事業者というのは大変助かると思っていますので、こういった動きを今後とも進めていただきたいと思っています。
さて、役所に提出する書類を電子化することで、都民の利便性が向上します。一方では、顔と顔を合わせるある意味では手間が、届け出や許認可申請の不正をなくしてきた部分もあります。
今後、マイナンバーカードや本人認証の仕組みなども出てきますが、一定程度、監督官庁の姿が見えることは、監督業務そのものにも意味があると思っています。電子化と同時に、監督官庁としての役割をどう両立するか、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 国におきましては、申請時の成り済まし等の防止対策といたしまして、行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドラインを策定し、本人確認の必要性の検討の実施から、手続の性質上必要となる本人確認レベルに合わせたオンラインでの具体的な認証方法、例えばですが、厳密な本人確認なしから、ID、パスワードの活用、ICカードの活用といった手法を示しています。
都の手続におきましても、厳密な本人確認が求められていないイベント等の参加申請から対面での本人確認を求めている申請までさまざまございまして、手続のオンライン化に当たりましては、こうした国のガイドライン等を踏まえて、各手続にとって適切なデジタルでの認証手法を採用し、成り済ましによる申請を防いでまいります。
また、申請内容の真偽に関しましては添付書類等により確認していくことになりますが、申請者の利便性とのバランスとなりますことから、個々の手続においての判断となるものと認識をしてございます。
○中村委員 この添付書類の関係でいうと、通常の紙の手続でもそうなんですけれども、余り多ければ大変になってしまいますので、最後おっしゃったように利便性とのバランスということで、しっかりこのことは検証していただきたいというふうに思っています。
さて、ICT化に関して、民間が都に期待するのは、実証実験する機会が得られることとかということが大きいようですが、例えば、都は技術を持っていないわけですが、技術的には民間がリードするわけです。内容によっては、事業者の利益と一般の都民の意見が相反する場合もあります。都も専門のICT人材を活用しますが、基本的にはそれだけの技術を身につけるには民間企業での経験があるからでもあります。
最終的に都として、事業者だけではなく、一般都民の利益にも資するようにするためには、外部からの人材を進めるだけではなくて、都自身がしっかりと方向性を持たなければなりません。
ICT化に際して、都として方向性を持って、民間の力をうまく活用しながら取り組むことが必要ですが、見解を伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 都では、都政のDXの推進に向けまして、民間企業において高度な専門性や豊富な経験を有する人材の採用などを進めております。
本年二月に公表いたしましたスマート東京実施戦略におきましては、都庁の行政系職員とICT系職員、さらには外部の専門人材の三者でスクラムを組んで取り組むこととしております。
例えば、今年度立ち上げました東京テックチームでは、戦略事業部長、私が、東京テックチーム事業推進担当部長、こちらを兼務しております。これのリーダーといたしまして、全局からの問い合わせの窓口を一元化するとともに、行政系職員と民間から採用したICT系職員を配置し、それぞれが連携しながら取り組みを進めております。事業ごとに行政系職員と民間から採用したICT系職員がタッグを組みまして、両者の強みを生かし、相乗効果を発揮しながら業務を進めているところでございます。
○中村委員 方向性としては、ICTの技術がどんどん進んでいけば便利になっていくと思うんですけれども、利便性だけ追求するのであれば、徹底的に管理する方向に向いてしまうということのおそれもありますので、そのあたりは本当に技術だけではなくて、全般的な、総合的な判断をすることによって、このバランスというか、利便性の向上につなげながらも、その都民の皆様の思いもしっかりと酌んでいただけるような取り組みをしていただければというふうに思っています。
さて、次に、新型コロナウイルス対策について伺います。
対策として、使用料や申請等の手数料の非対面納付、キャッシュレス納付の推進が必要です。状況として、対応が必要な手続はどのくらいあるでしょうか。いつまでに実現するのか伺います。
○樋口ICT推進部長 平成二十九年度に行いました行政手続の棚卸しにおきまして、その時点での全行政手続、二千七百八十一手続のうち、有償の手続は三百四十九手続でございました。
これを踏まえ、都は、区市町村と共同で調達しております東京共同電子申請・届出サービスにおきまして、今年度よりペイジーによる手数料のキャッシュレス納付を可能としてございます。
今後、東京デジタルファースト条例施行後に策定いたします情報通信技術を活用した行政の推進に関する計画、これはいわゆる推進計画と申しておりますけれども、こちらにおきまして、現在着手しております手続の現状把握を踏まえて、デジタル化の対象となる手続を明確にするとともに、有償の手続も含め、原則デジタル化を目指してまいります。
○中村委員 新型コロナの対策として、都の新型コロナ見守りサービスが都立の施設に導入をされましたが、その活用状況について、サービス提供のための予算として、初期費用、運用、メンテナンス費はどのくらいか伺います。また、利用件数は何件ほどあったのか伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 東京版新型コロナ見守りサービスは、百六十七の都立施設で導入され、利用者累計登録数も五万件を超えております。初期費用といたしまして約二十万円、令和二年度の運用、メンテナンス費用として約百万円でございます。
また、民間店舗を対象といたしました店舗型東京版新型コロナ見守りサービスは、決済事業者などテックパートナー六社が参加をしており、サービス提供可能店舗が二十三万、登録者数も二十一万件でございます。テックパートナーのシステムを活用しているため、初期費用、運用、メンテナンス費用の負担はございません。
○中村委員 さて、この都のシステムとは別に、厚生労働省のアプリのCOCOAがあるわけですけれども、接触の確認者に対して、保健所が一時期この対応でかなり多忙だったということも報道されておりました。
都のこの新型コロナ見守りサービスについては、問い合わせの状況はいかがでしょうか。仮にクラスターなどが発生しない場合であっても、どのような対応をしているのでしょうか、伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 新型コロナ見守りサービスの対象となります都立施設や民間店舗において、これまでクラスターは発生していないため、本件に関連した問い合わせはございません。
対象施設でクラスターが発生した場合、福祉保健局と連携し、メール等で利用者に通知をする際、発熱等の症状に応じまして東京都発熱相談センターもしくは新型コロナコールセンターを案内するとともに、対象施設などにも周知をするなどきめ細かな対応を行っております。
○中村委員 当初、COCOAの場合には、感染者と接触したということがあったとしても、その次じゃあどうすればいいんだというのがなかったりとか、PCR検査を受けられるわけじゃなかったとか、いろんなところで課題になったようです。
今回、とりあえず都の方ではいろいろ情報の周知ということはしていただいているようなんですが、まだ今後こういったシステムをいろいろつくったりすることがあるかもしれませんが、そういう場合、最後まできちんと、そういった通知を受け取った都民はどうすればいいのかというところがわかるようなシステムのつくり方をしていただければというふうに思っています。
さて、今、新型コロナウイルスへの対応は、オール都庁で最優先課題として取り組むべき課題だと思っています。いろいろとこちらの部門としても判こレスもペーパーレスも大事だと思うんですが、まずはそういったいろんなリソースがあれば、コロナ対策に投入すべきだと思っています。
厚生労働省が開発した新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システムであるいわゆるHER−SYSは、なかなか導入が進まず、戦略本部も支援をしたのですが、最前線で活動する福祉保健局では対応するのに時間がかかってしまいました。
福祉保健局は今でも余裕のない状況の中、今後、コロナ対策に必要なシステム導入などに取り組んでいく必要性があると考えますが、見解を伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 新型コロナ対策につきましては、福祉保健局とも連携をし、本年三月に立ち上げました新型コロナ感染症対策サイトを初め、ICTの活用に向けた技術的支援を行ってきております。
具体的には、四月に新型コロナ感染症の患者情報を管理するデータベースを構築するとともに、五月に厚生労働者が導入いたしましたHER−SYSとのデータ連携を行ってまいりました。
今後とも、新型コロナ感染防止に向けまして、HER−SYSへの対応を含め、福祉保健局との連携を密にしながら、さらなるICTの活用についても積極的に取り組んでまいります。
○中村委員 大分このHER−SYSを導入するのにも時間がかかったんじゃないかと思っています。もちろん、福祉保健局の方はかなり多忙だということだとは思っていますので、連携ということではあったんですけれども、積極的にどういった必要性があるのかとかニーズとかを聞き出してもらって、これから冬の感染者がふえる可能性もありますから、そういったことへの対応ということにも努めていただきたいというふうに思っています。
さて、コロナの対応として、都庁の各局の連携、役割分担について、民間データを含むデータ活用は、戦略本部が率先して取り組むべきではないかと思います。ビッグデータの収集や活用と対策、予防策への還元の取り組みを戦略本部が行うことで、より積極的な展開をすべきと考えますが、見解を伺います。
○高橋事業調整担当部長 新型コロナウイルス感染症拡大防止と社会経済活動の両立を図るためのデータ活用の取り組みとして、まず、現在実施しているデータ利活用実証プロジェクトは、三密回避、混雑回避や交通上の混雑などをテーマに実施しております。
また、多くの混雑データの収集、活用を図り、一元的な混雑情報の発信に向け、施設系混雑ワーキンググループを立ち上げまして、データ利活用に向けたニーズや課題出し、混雑の表示方法やデータ形式などについて運用ガイドラインづくりに着手いたしました。
現在、店舗等の疎密情報を都民に幅広く届ける取り組みに参画していただける協力事業者を募っておりまして、審査した上で公表を予定しております。
このような戦略政策情報推進本部での取り組みを、さまざまな機会を通じて関係各局に周知するとともに、積極的にその成果の横展開を図ってまいります。
○中村委員 ぜひ積極的にデータの方の活用もしていただいて、コロナの感染拡大の防止に努めていただきたいというふうに思っています。
さて、リモートやキャッシュレス、デリバリーなど飛躍的に進んでいますが、情報技術に疎いご高齢の方には厳しいコロナ禍ともいえます。エイジテックといわれる高齢者対応のIT活用の市場も急激に拡大するといわれていますが、デジタル化を推進する上で、高齢者にわかりやすい、使いやすいことは不可欠ですが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 高齢者等が使いやすい情報機器の開発につきましては、都のみならず社会全体の課題でございます。
このため、国では、平成三十年に、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律を制定し、高齢者等が円滑に必要な情報を取得し及び利用することができるよう各施策を進めており、都も、国と連携し、引き続き適切に対応してまいります。
○中村委員 なかなかコロナの状況でご高齢の方、外出できない方もいらっしゃいますので、ぜひ、むしろ高齢者の方の方が、こういったいろんなデジタル機器等を活用しながら情報が得られたりとか通信ができるようにしていただければというふうに思っております。
さて、次に、ファンドについて伺います。
ファンドは、以前は会計管理局の所管でしたが、戦略本部に移管されました。官民連携ファンドについて運営状況を監視するとのことです。以前、会計管理局が所管していたころ、福祉貢献型建物の整備促進などを目的に掲げ、東京版CCRCなど、先進的な売り出しをしてはいたんですが、結局は保育園等をつくっただけになってしまったのではないでしょうか。投資としては損はなかったようなんですが、何のためにやっていたのかというところで疑問を感じます。電力供給についても、国内電力設備をつくるとしながら、海外設備へ投資をしたと報道されたこともありました。
これまでのファンドについてどう総括するのか、まず伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 戦略政策情報推進本部は、現在、会計管理局から移管されました三つの官民連携ファンド事業を所管しております。この事業は、行政と民間の連携による新たな政策手法として実施しているものでございます。
一つ目の官民連携インフラファンドでございますが、東日本大震災後の喫緊の課題でありました電力の安定供給などのために平成二十四年度に組成したもので、これまでに十九件、出力約六十二万キロワットの発電所への投融資を実施し、発電所の整備を通じて東日本大震災後の電力供給の安定化に寄与しております。ファンドへの出資額三十億円に対しまして、令和元年度末までの累積回収額は約三十四億八千六百万円となっております。
二つ目の官民連携再生可能エネルギーファンドは、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進等のために、東日本大震災の被災地を含む東北電力管内及び東京電力管内を対象に平成二十六年度に組成したもので、これまでに十三件、出力約十七万キロワットの発電所への投融資を実施し、発電所の整備を通じて再生可能エネルギー発電の普及促進及び東日本大震災の被災地復興にも貢献しております。こちらのファンドにつきましては、出資額十二億円に対して、令和元年度末までの累積回収額は約七億七千万円となっております。
三つ目の官民連携福祉貢献インフラファンドでございますが、都内における子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備促進等のために平成二十七年度に組成したもので、これまでに三件、保育所の定員で計二百名分の福祉貢献型建物への投融資を実施しており、認可保育所を含む福祉貢献型建物の整備を通じ、待機児童数の削減に貢献しております。出資額三十七億五千万円に対しまして、令和元年度末までの累積回収額は約二十五億一千万円となっております。
三つの事業ともに出資金の回収フェーズに入っておりまして、それぞれ電力供給の安定化、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大、福祉貢献型建物の整備などといった政策目的の達成促進に一定の成果が得られているものと認識しております。
○中村委員 これまでの取り組み成果ということはお話しいただいたんですけれども、では、今後はどのようにこのファンドというのを考えているのか、今後もどう展開するのか伺いたいと思います。
○三浦国際金融都市担当部長 官民連携ファンドは、政策目的の達成促進のため、直轄事業や補助事業といった政策手法とは別に、行政と民間の連携による新たな政策手法としてパイロット的に実施しているものでございます。
先ほど答弁いたしました三つの官民連携ファンド事業を着実に推進することによりまして、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大や福祉貢献型建物の整備などといった政策領域におきまして、官民連携ファンドという新たな政策手法は有効に機能することを明らかにしていくことが大切であると考えております。
この手法の他の政策領域への展開につきましては、本ファンド事業のパイロット的な取り組みの実績を踏まえながら、政策課題に対しまして、直轄事業や補助事業に加えて官民連携によるファンドの手法をとるのが適切であるかどうかを判断していくことになるものと認識しております。
○中村委員 このファンドの方も、都が税金を使ってやるわけですから、当然投資ということになるんですけど、回収できなきゃいけないとは思っているんですが、ただ、これをやる際において、目的をどう明確化して、その中身をどう公開していくかということは大切なことだと思っていますので、ぜひ、今後もまた検討されることもあるのかもしれませんが、その目的の明確化や情報公開の徹底ということをきちんと考えてやっていただければというふうに思っています。
以上で質問を終わります。
○山内委員 質問させていただきます。
まず、スマート東京について伺いたいと思います。
スマート東京とは、どのようなまち、東京を築こうとしている構想なのか、市民にはなかなか伝わりません。ことしの新型コロナ感染症の蔓延で生活様式等が大きく変わったことなど、現状に即して都がどんな東京を目指すのか関心のあるところです。
都は二月に、スマート東京実施戦略を策定し、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送る将来像というのを描いていますが、都民の生活がどのように変わっていくのかお伺いいたします。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 都は、スマート東京の実現に向けまして、つながる東京、まちのDX、都庁のDXの三つの柱を主軸といたしまして、デジタルテクノロジーの活用による都民のQOLの向上、都政のQOSの向上に取り組んでおります。
スマート東京の基幹インフラでございます5Gは、高速大容量、超低遅延、同時多数接続を特徴としております。こうした特徴と最先端技術を活用することで、例えば教育面では、場所にとらわれずスムーズにオンライン授業を受けることが可能となります。また、医療面では、島しょ等の遠隔地におきましても高精細な映像や検査画像等を送信できるようになり、専門医から適切な助言等を受けられるようになることや、また、防災面では、河川水位や雨量等のさまざまな防災情報をワンストップでリアルタイム配信することにより、適切な防災行動情報を提供することなどが可能となります。
こうしたデジタルを活用した最先端のサービスを都民に広く浸透させていくことにより、生活の利便性を高めてまいります。
○山内委員 5G基地局についてなんですが、東京版ソサエティー五・〇の実現に向けてで、都は、いつでも、誰でも、どこでも、何でも、何があっても電波の道でつながる東京を構築すると示しておりました。
スマート東京の実現に向けて、民間と都で電波の道、TOKYO Data Highwayを構築するとのことです。5Gネットワークを構築していくということで、そのために、東京都は保有するアセットをアンテナ基地局に開放しています。調査段階でも場所を公表することが重要と思っておりますけれども、先ほど答弁の中に、約一万五千件のアセットをデータベースで公開していて、通信事業者から既に約百五十件の申し込みがあって、現地調査が開始されているというご答弁がありました。これは割愛いたします。
調査の件数だけは公表されていると思ってはいるんですが、場所についても、私は情報公開していただきたいと思っています。この事務処理状況というのはホームページで公表していますけど、今後、5Gアンテナの基地局等を設置した場合、設置場所の公表について、ことし三月十八日の総務委員会で、鋭意検討していくというご答弁がありました。
設置した場合には、場所を公表していくのかお伺いしたいと思います。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 アンテナ基地局の設置場所は、総務省においては、危機管理上の観点や事業者の営業情報に該当するおそれがあるため、一部分の公表にとどめております。通信事業者もこれに倣い、各社の経営戦略上の観点で公表範囲を判断しております。
都の現在の検討状況でございますが、こうした総務省や通信事業者の対応を踏まえまして、現時点では公表しておりません。
○山内委員 スマート東京の先行実施エリアとして西新宿や南大沢などが挙げられています。西新宿エリアではスマートポールの設置が進んでいるようです。
スマートポールとはどのようなもので、これについても設置場所を公表するのか。また、西新宿以外でもスマートポールの設置が進んでいるようですけど、5Gの基地局を搭載可能なスマート街路灯などというようなものもあるようです。どのようなもので、東京都はどのように関係しているのかお伺いいたします。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 一般的に、道路や歩道上に通信機器やセンサー類、街路灯等を一体として整備したものが、スマートポールと呼ばれております。
都が現在先行、試行設置しているスマートポールでは、5GやWi-Fiの通信機能を必須機能としつつ、サイネージや気象センサーなどを搭載しております。
また、一部のポールにつきましては、複数の通信事業者の基地局をまとめることができるシェアリング機能を有しております。このスマートポールは、設置エリアを指定した上で、都の事業として公募によって事業者を選定するという事業フレームになっていることから、その場所をプレスリリースなどで公表しております。
なお、スマート東京先行実施エリアにおきましては、都がスマートポールの設置を誘導しておりますが、その他の地域では、商店街などの団体が独自に設置しているものもございます。
○山内委員 スマートポールについては設置場所をプレス等において公表しているということだったかと思うんです。スマートポールは公表している、ただ、5Gの基地局、アンテナ基地局についてはまだ公表していないということなんですけれども、5Gの基地局についても、都民の財産である都有地に設置するのだから、ぜひ公表するよう要望しておきます。
十一月七日に行われました新しい生活様式なるほど博というのが開かれました。宮坂副知事が、それぞれの土地に応じたまちづくりをボトムアップしながら、合意しながらやっていく、行政、事業者、市民も巻き込んで双方向のコミュニケーションで進めていくと話していました。
南大沢エリアやその他のエリアではどのように進めていくのかお伺いいたします。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 スマート東京先行実施エリアの一つであります西新宿では、地元の企業などから成る一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会、新宿区及び通信事業者等と、本年五月に西新宿スマートシティ協議会を立ち上げまして、合意形成を図りつつ取り組みを進めております。
また、南大沢エリアでも同様に、都市整備局を事務局としまして、地元の大学の教授や八王子市、地域団体などから成る南大沢スマートシティ協議会が先月設立されまして、取り組みを始めたところでございます。
○山内委員 地元市民からは、情報が共有されていないという声が上がっています。ぜひともこの南大沢や−−進めていく場合には合意形成を図っていくよう求めておきます。
次に、官民連携DPFについてお伺いしたいと思いますが、スマート東京の実現に向けて、官民連携データプラットホームを構築していくとのことでした。
この官民連携データプラットホームとはどのようなもので、なぜ東京都がこうした事業を行うのかお伺いいたします。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットホームとは、行政データと民間データを集約、連携し、こうしたデータを活用することで、例えばコロナ禍において三密回避に資するサービス等に結びつける仕組みでございます。都がこのデータプラットホームを構築するのは、データ利活用への期待が高まっている、その一方で、民間企業にデータを提供することに抵抗感を持つ方々からのデータ収集の難しさなどがありまして、都が関与することこそ重要と考え、本事業を実施しております。
○山内委員 この官民連携データプラットホームでは、個人情報を含むデータも取り扱うのかお伺いいたします。
○高橋事業調整担当部長 都では、有識者等で構成する官民連携データプラットフォーム運営に向けた準備会を設置しまして、データプラットホームの事業内容や取り扱うデータの範囲など、横断的な議論を進めております。
その中で、取り扱うデータは、まずは個人情報にかかわらないデータから着手し、その後、データホルダーや利用者の要望に応じまして、匿名加工されていることを確認の上で取り扱い、将来的には、データプラットホームの適切な体制等の整備の上で、本人からの同意を前提として個人情報を取り扱うことも検討していることとしております。
○山内委員 都民の貴重なデータを収集、提供、利活用していくならば、データの収集や提供、利活用、運用について、個人情報の保護、セキュリティーやコンプライアンスなど、きちんと基本的な考え方などを決めておく必要があると考えます。
官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会を設置したと聞いていますが、どのように進められているのかお伺いいたします。
○高橋事業調整担当部長 都は今月、データ収集や提供、利活用に係る基本的な考え方であるポリシーの策定に向け、官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会を立ち上げ、プライバシーポリシーや規約などの議論を開始しました。
今後、この委員会との議論を重ね、都民の意見を聞く機会を設けながら、安心してデータ提供、サービス利用ができる官民連携データプラットホーム運営組織のポリシー原案の策定を進めてまいります。
○山内委員 次に、都民向けスマートサービスの社会実装支援についてお伺いしたいと思います。
スマート東京の実現に向けた検討の中で、都民向けスマートサービスの社会実装支援を行っているということですが、MaaSやウエルネスなどの分野を選定した理由についてお伺いいたします。
○米津特区推進担当部長 都では、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出すスマート東京の実現に向けまして、先端技術等を活用いたしました分野横断的なサービスの都市実装を目指しております。
現在、都民生活に密接にかかわるとともに、個人データの活用が想定されるMaaS、キャッシュレス、ウエルネス、電力の各分野で実証実験を行うとともに、地域に密着したリアルタイムデータを活用していくエリアの取り組みを支援しているところでございます。
○山内委員 具体的にどのようなデータ活用を実施しているのかお伺いいたします。
○米津特区推進担当部長 例えば、MaaSについてでございますけれども、鉄道やバスなど個別事業者の中に閉じておりました移動データを連携することによりまして、公共交通の利用促進による渋滞解消でございますとか地域の回遊性の向上、交通不便地域の解消などの効果を期待しているところでございます。
また、ウエルネス分野につきましては、区市町村や民間事業者、大学等が連携いたしまして、ウエルネスデータを活用した新たなサービス開発、予防研究などを実施しているところでございます。
○山内委員 非常にセンシティブなデータというのが活用されるんだなと思います。それらのデータの中で、個人情報はどのように扱われているのかお伺いいたします。
○米津特区推進担当部長 個人情報の活用に当たりましては、提供者の理解を促進することや、特定の個人を識別することができないように加工する必要があるなど、多くの課題が存在いたします。
そのため、各実証プロジェクトにおきましては、各自治体の個人情報保護審議会や参画機関に設置されます倫理審査委員会での審査など、法令等に基づいた対応はもとよりでございますけれども、事業実施に当たりましては、必要に応じましてデータの匿名加工やデータ取得に際しての同意の取得など、都民への丁寧な説明、対応を行ってまいります。
このように、個人情報の取り扱いにも十分配慮しつつデータ活用を推進していくことで、都民のQOLの向上につなげてまいりたいと考えております。
○山内委員 次に、行政のデジタル化についてお伺いしたいと思います。
東京デジタルファースト条例で、都の手続を原則デジタル化するとされました。一挙に進めることとなった要因について、また、これまでの進捗状況と今後の進め方についてお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により外出抑制が求められる中、改めて社会的に非接触、非対面での手続に関するニーズが高まる一方で、申請等の行政手続を初めとする行政のデジタル化のおくれが課題として浮かび上がってまいりました。
第三回定例会で成立いたしました東京デジタルファースト条例は、こうした課題を真摯に受けとめ、行政サービスの根幹ともいえる行政手続のデジタル化を強力に推し進め、都民サービスの向上を図っていくため、デジタルファーストを旨とする抜本的な改正を実施したところでございます。
これまで、行政手続のデジタル化につきましては、平成二十九年度に行った行政手続の棚卸しの結果をもとに、都民ニーズのある約一千手続を対象に、令和三年度までに約七百三十手続のデジタル化を目標とし、これまでにも各局が個々の手続ごとにデジタル化の必要性を判断して取り組みを進め、昨年度末時点までに四百三十一手続をオンライン化してまいりました。
今後は、現在着手しております手続の現状把握を踏まえまして、デジタル化の除外となる手続の選定を進めるとともに、本条例施行後、いわゆる推進計画の素案を公表し、都民の意見も反映させた上で策定、公表していくこととしてございます。
○山内委員 デジタル化の対象となる手続については今後の計画で明らかにしていくとのことですが、都の支援事業などで窓口が区市町村等であったりする場合にはどのように進めていくのでしょうか。また、市民が日ごろ利用する行政手続の多くは区市町村が所管していますが、区市町村の行政のデジタル化とどのように連動していくのかお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 本条例は、行政手続のみならず、その先の行政全般のデジタル化をも見据えたものでございますため、都のみならず、都民により身近な区市町村のデジタル化が不可欠でありますことから、都の行政手続における区市町村との連携や協力、またそのための支援に関する規定を新たに設けたところでございます。
この認識のもと、都の手続のうち、区市町村が関係する手続のデジタル化を推進するに当たりましては、自治体と連携してデジタル化を進めるとともに、デジタル化が困難な場合には、先行事例やノウハウの共有などを実施してまいります。
また、区市町村独自の行政のデジタル化につきましても、都のICT専門人材によるアウトリーチ支援など、側面からの支援を実施してまいります。
○山内委員 最後に、マイシティーレポート、MCRについてお伺いしたいと思います。
千葉市では、地域の課題、例えば道路が傷んでいる、公園の遊具が壊れているなど、地域の課題をICTを使って市民がレポートをし、行政が課題を共有して解決していくマイシティーレポート、MCR、ちばレポに取り組んでいると聞いています。
東京都も道路の損傷やふぐあいを市民が投稿する道路通報システム、My City Report for citizens、MCR市民投稿アプリを試行しているとのことです。
まず、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 財務局が平成三十年度に行いました大学研究者による事業提案制度の中で、東京大学が提案いたしましたインフラ運営の透明化に向けたICT、AIを活用した市民協働システムが、都民による投票により採択されました。
これを踏まえ、建設局が令和元年度から三カ年にわたり、都民協働による道路管理の実現に向けた道路通報システムの試行を戦略政策情報推進本部と連携して実施してございます。東京大学が中心となって開発したスマートフォンアプリによるサービスを活用し、都民が道路のふぐあいを発見した際に、スマートフォンのカメラとGPSを利用して道路管理者に投稿する仕組みでございます。
初年度は、品川区内、葛飾区内の都道及び葛飾区道を対象に開始し、本年十月より、十一自治体エリア内の都道及び国立市道、福生市道へ拡大をしてございます。
○山内委員 区市がこの試行に参加する場合のセキュリティー、プライバシー保護などへの課題はどのようなものがあるのかお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 本サービスのセキュリティーは、運営事務局が定める情報セキュリティー方針に基づいており、本試行に参加する場合、各自治体が定めるセキュリティーポリシーがこの方針に適合するかを個別に確認し、判断する必要がございます。
また、運営事務局が定めます利用規約のもと、氏名、電話番号、メールアドレスなどの個人情報につきましては、各自治体がみずからのセキュリティー規定に基づき適正に管理をする形になります。
こうしたことを踏まえまして、各自治体におきまして本試行事業への参加を判断するため、戦略政策情報推進本部は、建設局と連携し、自治体へのきめ細かな情報提供を図りながら相談対応を行うなど、積極的に支援をしてまいります。
○山内委員 個人情報ということに焦点を当てて事務事業の質問をさせていただいてまいりました。
個人データをどう考えるのかは、人権の捉え方にあらわれてくるかと思います。例えば、よく例えられるのが、至るところにある防犯カメラ、この防犯カメラを、日々の行動を監視されるのは嫌だという捉え方もあれば、犯罪やテロを抑止するためにはくまなく見張ってほしいという考え方もあります。また、なれてしまう、ならされてしまうという問題もあるかと思います。本来、個人データは本人のものです。個人データ保護の理念や取り扱いなどについて、改めてしっかり議論する必要があるのではないでしょうか。
データの利活用については、匿名加工されて利活用するというふうな、それで個人を特定されないということから進めていくことだったとさまざまな答弁の中から推測されているところです。コロナ禍で明らかになった不便だとか非効率だとかを軽減するためとか、あるいは世界からのおくれを取り戻そうと焦るために、個人情報の保護をおろそかにすることはあってはなりません。
AIや横断的な利活用が進むと、たとえそれぞればらばらに提供されたデータであっても、そのデータを収集、分析するとどういう人物かが浮かび上がってくるともいわれています。情報提供する際の本人同意は当然ですが、同意までの文書が長過ぎたりわかりにくかったりすることが多く、また、同意しないと先に進めないので、残念ながら多くの人が理解や納得をしているとはいいがたいというところがあります。また、どこまで同意したのか、範囲というんでしょうか、わからないですが、同意の不透明なところという問題も出てきているかと思っています。
私たち一人一人が個人情報をしっかり考えるということが重要なことはもちろんですが、合意したからといって自己責任にしないで、東京都という名のもとに、その信頼のもとにデータを収集し、提供し、利活用されていくことに対して、東京都は責任を持って細心の注意と誠意と理念を持つことが必要だと思います。
今後、事業が具体化する中でしっかりとチェックしていきたいということを申し述べて、質問を終わります。
○清水委員 私からは、官民連携データプラットホームと国際金融都市についてお伺いいたします。
まずは、官民連携データプラットホーム構築について伺います。
都が昨年度策定したスマート東京実施戦略によれば、今年度は東京のデジタルトランスフォーメーションという挑戦に着手するスマート東京元年と位置づけています。このスマート東京を実現するためには、都庁自身の持つデータに加えて、都内区市町村、関係機関、民間企業等から得た公共データや民間データなどを集約するデータプラットホームの構築は大切です。
そこで、まず、官民連携データプラットホームの構築に向け、現在、データ利活用実証プロジェクトを進めていますが、取り組み状況についてお伺いします。
○高橋事業調整担当部長 都では現在、官民連携データプラットホームの整備に先立ちまして、社会的な課題の解決や都民の生活の質の向上に資するサービスを提供するデータ利活用実証プロジェクトを実施しております。
例えば、バリアフリーの分野では、バリアフリー対応の施設情報等を加えた地図の上で新宿駅から新宿中央公園までの三つのルートを設定し、道の段差や勾配、道幅などに関して実際に車椅子利用者からのフィードバックを行って、その通行可能性を検証するプロジェクトとなっております。
また、防災の分野では、災害情報や人の流れ、さらにはSNSの情報等を活用しまして、強風、大雨、洪水など風水害発生時に、災害発生箇所を迂回したルート情報をシミュレーションし、通行可能性の高い物資搬送ルートや避難ルートを提示するプロジェクトに取り組んでおります。
これらのプロジェクトの結果を有識者等で構成する官民連携データプラットフォーム運営に向けた準備会に報告するとともに、準備会の中でデータプラットホームの全体構造や運用ルールなどの議論を深めて、進めてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。ただいまの答弁にありましたバリアフリー分野に関しては、段差やスロープなどの高さ、位置、幅について確認を行うなどにより、車椅子利用者ばかりではなく、高齢者やベビーカー利用者の方など多様な方が通行する際にも活用できる大変有意義な取り組みだと思います。
実は先日、車椅子の方と都営地下鉄線をチェックさせていただきました。そのときに、電車でも何両目が車椅子が使えるのかまちまちで、情報公開がされていませんでした。また、ホームと電車の開きぐあいもさまざまで、電車とホームの段差も二センチ以上の違いなどがあり、この二センチの違いは車椅子の方にとって非常に大きなものであると思いました。こういうことが民間と利活用されるということは大変有意義だと私は思います。ぜひスピーディーにお願いします。
また、防災分野についても、昨年十月の台風十九号による被害は甚大でしたが、実は私の地元西多摩地区ではまだ工事などが進められていて、十九号が終わりを迎えてはいない状況です。
今後、このコロナの終息が見えない中で地震や風水害が重なれば、複合災害の状況にもなります。ぜひ今回の実証プロジェクトで得た成果を横展開していただき、多摩地区などでもこうした取り組みが加速されるよう周知していっていただきたいと思います。
次に、こうしたデータ利活用の取り組みは、都民に豊かさをもたらし、生産性の向上をもたらす一方で、現代の社会は、必ずしも個人情報保護法に違反していなくても、利用されていること自体気持ちが悪い、どのように利用されているか不明であるという理由で、SNS上などで炎上しているケースも散見されます。
目指すべき二〇四〇年代の東京の姿である都民が質の高い生活を送るスマート東京の実現に向け、官民連携データプラットホームの構築や関連するスマートサービスの実施などに当たっては、個人情報を含むデータを取り扱うことになってこようかと思います。
そこで、官民連携データプラットホームに適用するデータガバナンス、ポリシーについてお伺いいたします。
○高橋事業調整担当部長 官民連携データプラットホームの構築、そして関連するスマートサービスの実施に当たっては、データの適切な取り扱いと利活用促進を両立させることが重要でございます。
そのため、データ収集や提供、利活用に係る基本的な考え方、ポリシーの策定に向けまして、今月、ポリシー策定委員会を開催し、プライバシーポリシーや規約などの議論を開始いたしました。
今後、この委員会との議論を重ね、都民の意見を聞く機会を設けながら、安心してデータ提供、サービス利用ができる官民連携データプラットホーム運営組織のポリシー原案を作成してまいります。
○清水委員 プライバシーや個人情報を保護していてはデータ利活用が進まないという考え方もあるようですが、むしろデータ利活用を進めていくためにも、プライバシーや個人情報の保護も進めなければならないと考えます。ぜひしっかりと取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
国際金融都市についてお伺いします。
先日の決算特別委員会第一分科会において、私は、国際金融都市東京構想に基づく取り組みの意義や効果について質問を行いましたが、その際、東京都が国際金融都市に関する施策のうち、金融系外国企業の誘致が最も優先順位が高いと考えていることを確認いたしました。
本日は、総務委員会の場において、金融系外国企業の誘致について実績や今後の取り組み方針を確認していくことで、この事業が東京をアジアナンバーワンの国際金融都市として輝かせるために必要不可欠な取り組みであることを都民の皆様にご理解いただく機会としたいと思います。
初めに、金融系外国企業の誘致の重要性を議論する前提として、東京都が国際金融都市関連施策の中で最も優先順位が高いと位置づけている金融系外国企業の誘致について、改めて、これまでの取り組みと成果についてお伺いいたします。
○三浦国際金融都市担当部長 都は、国際金融都市東京構想に基づきまして、東京の金融市場を活性化する主要な担い手と位置づけられる資産運用業とフィンテック企業に焦点を当てて、平成二十九年度から金融系外国企業の誘致に取り組んできております。
具体的には、平成二十九年度からの四年間の誘致目標を四十社から五十社へ引き上げて、誘致活動を加速化し、令和元年度末時点では、過去三年間の誘致目標である三十五社の誘致を達成しております。その中には、未上場で企業価値十億ドル以上のいわゆるユニコーン企業や、世界有数の資産規模を有する資産運用会社などが含まれております。
その結果、AI、人工知能など第四次産業革命関連分野に係る企業の誘致と合わせますと、直近の調査では、平成二十四年度から平成三十年度までの累計事業費約二十五億円に対しまして、誘致外国企業の人件費等を含む直接的な投資額が三百八十五億円余りと試算しておりまして、約十五倍の経済効果を上げたことを確認しているところでございます。
○清水委員 平成二十九年度から開始した金融系外国企業の誘致につきまして、これまで着実に目標件数を達成していて、誘致企業の中には、海外で既に高い実績を上げている企業が複数含まれていることを確認いたしました。
その一方で、前職の私の感触から申し上げますと、東京は、同じアジアの国際金融都市であるシンガポールや香港と比べて金融系の企業の数はまだまだ少なく、資産運用業者を例に挙げますと、東京にはシンガポールの三分の一以下、香港の六分の一しか存在していません。
こうした現状に加えて、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延、ブレグジットやアジア情勢の変化が続く中において、国際金融都市東京構想が目指すアジアナンバーワンの国際金融都市の地位を確固たるものとするためには、引き続き、金融系外国企業の誘致を推進していく必要があると考えます。
そこで、国際金融をめぐる情勢が緊迫化する中、都として、香港、シンガポールなどアジアのほかの国際金融都市との競争に打ち勝つため、どのような誘致施策を実施しているのかお伺いいたします。
○三浦国際金融都市担当部長 東京都ではこれまで、最新の国際金融をめぐるトレンドや昨年以来のアジア情勢の変化などを念頭に、臨機応変に誘致施策を展開しております。
例えば、金融系外国企業の発掘誘致事業におきましては、外国企業が日本の巨大な保険市場を魅力と捉えていることを受けまして、インシュアテック、すなわち保険分野における業務効率化や新たなサービスの提供を専門とするフィンテック企業の誘致を重点的に推進しております。
また、先月には、海外で初となるビジネスコンシェルジュ東京の香港窓口を開設し、アジア地域における金融系外国企業の誘致活動を強化しておりまして、今後も時期を捉えた取り組みをスピード感を持って実施してまいります。
○清水委員 ただいまの答弁で、都がインシュアテックの誘致に新たに取り組んでいること、そして十月には香港に海外初となるビジネスコンシェルジュ東京の窓口を設置したことがわかりました。今後も世界情勢の変化に臨機応変に対応した誘致活動を展開することで、コロナ禍の中でも東京の経済を減速させることなく、将来の成長に寄与することを期待したいと思います。
加えて、先ほど、日本の巨大な保険市場、インシュアテック誘致について言及がありましたが、こうした香港やシンガポールなどアジアのほかの国際金融都市にはない東京の強みを的確に捉え、誘致施策に生かしていくことは非常に重要と考えます。
そこで最後に、東京がアジアナンバーワンの国際金融都市としての地位を盤石なものとするため、今後、アジアの諸都市と比較してどのような強みを生かしつつ、誘致施策を展開していくのかについてお伺いいたします。
○三浦国際金融都市担当部長 東京の国際金融都市としての強みといたしまして、国内に一千九百兆円近い個人金融資産と多様な産業集積を有する日本経済の中心として、世界から資金、人材、情報などが集まる国際金融センターとなり得る経済的な背景を有する点があると考えております。
都といたしましては、東京のこうした強みを生かしまして、都民や都内企業の利便性の向上や新たなビジネスサービスの創出に資する金融系外国企業をスピーディーかつ集中的に誘致することで、資金、人材、情報などの集積を高め、もって国際金融都市としての魅力を高めてまいります。
○清水委員 私が前職において国際課税に携わっていたころは、皆様の税金を使って有利な税制度を適用し、本国に利益を流し、日本では納税しない法人があったり、また、東京から香港やシンガポールに企業の本社や本店が移転する流れを目の当たりにし、大きな危機感を抱いており、それは今でも変わりません。
だからこそ、小池知事が就任以来、アジアナンバーワンの国際金融都市東京の実現に力を入れていることは、私も都議会議員としてだけでなく、一人の都民として強く賛同し、この場で質疑をさせていただいた次第です。
私としては、今後も、金融系外国企業の誘致を初めとする国際金融都市東京構想に基づく取り組みに注目し、応援してまいりたいと考えておりますので、戦略政策情報推進本部の皆様も全力で取り組んでいただきたいと思います。終わります。
○小松委員 私の方から幾つか質問させていただきます。
既に触れられている委員の方々もいらっしゃいましたが、ICT人材について伺いたいと思います。
今回、ニュースにもなりましたけれど、外部の方からの専門人材の採用など、さまざまな仕掛けを持って取り組まれるというふうな報道もありました。
この採用の計画について、具体的にどのようなものまで策定されているのか伺いたいと思います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 本年二月に策定いたしましたスマート東京実施戦略におきましてもお示ししておるところでございますが、世界の主要都市のICT部門の職員数が千人を超える規模であるのに対しまして、東京は百名程度という形になっております。
現在、都におきましては、ICTを活用してさまざまな取り組みを進めております。これらの取り組みを支えるため、特定任期つき職員として、これまでも採用してきてございますが、今回デジタルシフト推進担当課長を追加で五名程度募集をするとともに、今回新たな取り組みといたしまして、非常勤職員につきましても五名程度の募集をしているところでございます。
今後、構造改革のコアプロジェクトの一つとして進めております強固なDX推進体制の構築の中で検討を深めつつ、中長期的な視点を持った計画的な人材確保のための方策、こちらを検討していきたいと考えております。
○小松委員 ありがとうございます。
二〇三〇年までにいわゆるIT人材が八十数万人、世の中から不足するというような報道が昨今いわれているわけで、そういった危機感の中からも、宮坂副知事のツイッターなんかを読むと、本当に積極的にさまざま呼びかけられたり、アイデアをもらったりと非常に意欲的なことはよく伝わっているわけでありますが、ただいまの答弁でいくと、まだまだ都庁におけるICT人材のHRMというか、全体的な人材の確保の計画というのは、これからまだ具体的に詰めていくところなのかなというふうに思うわけであります。
先ほどの答弁の中にも、テックチームがいろいろ活躍していただくことについては、私も応援したいなというふうには思うわけでありますが、そのテックチームだけでさまざま−−現在のテックチームの規模だけで、これから置かれる都庁のデジタル化というところを担い切れるわけでもないでしょうし、具体的にどんな人たちを、どの程度、いつまでにしっかりと確保していく必要があるのか。また、育成と調達とどっちの方が有効なのかとか、そんなこともいろいろあるんでしょうというふうに思っているところであります。
ご答弁の中にも体制強化というふうにあったんですけど、全体像としてどのくらいの戦力が必要なのかもう少し具体的になってこないと、強化というのはもちろん今取り組んでいただいていること自体が強化なんだと思うんですが、どのレベルを目指して強化していくのかということこそが非常に大事になってくるのかなというふうに思っておりますので、そういったところをこれからもまたさまざまな形で詰めさせていただければ大変ありがたいなというふうに思っておりますし、これは期待するからこそ、また、都庁のこれからの大きな柱であるからこそ、一緒に取り組ませていただきたいというふうに思っているわけであります。
さて、コロナ禍の中でテレワークが進んできたわけであります。都庁の職員の皆様方も、このテレワークの環境の中で取り組みがまさに具体的に進んだのがこの一年だったんだろうというふうに思いますが、都庁職員の方のテレワークの環境実現に向けて、これまでの取り組みと課題について伺いたいと思います。
○沼田情報基盤担当部長 都では昨年度、情報システム基盤の刷新を行うとともに、本庁に配備する端末約一万台をテレワーク対応端末に更新いたしまして、本庁勤務職員のテレワーク環境を先行整備いたしました。
一方で、庁外事業所の端末はテレワーク対応ではなかったものですが、コロナ禍でのテレワーク需要に迅速かつ的確に対応するため、テレワーク対応端末と比較して一部機能の制約がございますが、従来型の端末をテレワーク可能なものとするため、安全な通信ソフトウエアの追加などの改修を行いました。
これら制約がある庁外事業所の端末についても、今年度末までにはテレワーク対応端末に更新いたしまして、本庁、庁外事業所問わず、テレワーク環境を実現してまいります。
整備されたテレワーク環境の職員による利活用が促進され、職員のより柔軟な働き方につながるよう、都庁システム基盤ネットワークの機能強化による外部とのウエブ会議環境整備の具体的検討等、必要な改善に引き続き取り組んでまいります。
○小松委員 いろいろと進んだということが確認できました。
そこでやっぱり気になるのが、セキュリティーの問題だと思います。
よく都庁の職員の方ではそんなニュース出てこなかったですけど、例えば学校の先生とかも、持ち帰っていく中でいろいろ情報が抜き取られてしまったりしたというような報道があったりとかもしましたが、テレワーク化を進める中で、都庁としてどのように職員の方のセキュリティー対策を行っていらっしゃるのか伺います。
○沼田情報基盤担当部長 先ほど説明させていただきましたテレワーク対応端末につきましては、行政情報等データが端末に保存できないような仕様になっているとともに、庁内業務環境にアクセスする際には複合的に認証を行うなど、強固なセキュリティー対策を施しており、これらの技術的対策で、情報漏えい等のセキュリティーインシデントの発生防止に万全を期しているところでございます。
さらに、利用面においても、総務局において定めている東京都職員在宅勤務型テレワーク実施要綱にて、テレワークの実施場所は原則自宅で、業務の内容が他者の目に触れないようにしなければならないとされており、テレワーク時のセキュリティー確保を職員に徹底しておるところでございます。
○小松委員 現在とり得るセキュリティー対策をさまざま講じていただいているということが確認できました。
何らかの事故があったりしますと、都庁のテレワーク化というものの推進がどうしてもとまってしまう可能性もありますし、やはり、どの自治体も東京都に注目しているわけでありますので、どうかこういった事故が起こらないように集中して取り組んでいただきたいなというふうに期待するものであります。
ただ、一言いいたいのは、やっぱり行政の方々の仕事としては、なかなかテレワークがしにくい部分もあるというふうな声を、区市町村の職員の方から多く聞いておりますので、どうか区市町村連携、これからまた質問させていただきますけど、そういった意味でも、いろいろなノウハウとかを都から積極的に共有していただければありがたいなというふうに思うわけであります。
続きまして、通信環境のことについて少し伺いたいと思います。
第三回定例会でも、自民党の代表質問の方でも少し触れさせていただきました、災害時の通信環境について伺いたいと思います。
そのときのご答弁は、宮坂副知事に非常に強い意欲を持ってご答弁をいただいたわけであります。
我が国では、いつ大規模な地震であったり、地球温暖化の進行に伴って災害の激甚化などが今後も増加するおそれがあります。防災力の確保ということは、都庁挙げて重要課題として取り組んでいただいているところであります。
南海トラフ地震とか首都直下地震が今後三十年間に発生する可能性があることに加えて、このコロナ禍の中で生じる自然災害とかの重なる、いわゆる複合災害といったことも懸念をするものであります。
一方で、二〇一一年の東日本大震災のときにも、なかなか家族に安否の確認の連絡がとれないということで、久しぶりに公衆電話に人だかりがあったことは記憶に新しいところでありますけど、その当時よりも一層このデジタル化が進展しているわけでありまして、我が国のデータの流通量というのは圧倒的なスピードで増加の一途をたどっておりまして、スマートフォンの普及とともに、移動通信システムというのは都民生活や経済活動にも大変大きな影響を及ぼす存在、もういわゆる生活インフラというふうなところになっていると思います。
都は、平時から災害に備えておくべきというふうに思うわけでありますが、大規模災害時における通信環境の確保については現在どのような準備、検討を行っているのか、所管局としてのご回答をいただきたいと思います。
○荻原情報企画担当部長 大規模災害時には、都民の方々へ必要な災害情報をお伝えできるよう、強固な通信環境の確保が重要でございます。
通信事業者は、アンテナ基地局等の設置に当たり、耐震対策、風水害防護対策ほか、区市町村の役場など重要エリアにおける基地局の無停電化等を推進しております。また、電送路断線や停電に伴う通信途絶地域が発生した場合においても、サービス中断に対応できる移動基地局車、可搬型衛星基地局、移動電源車などの活用により復旧することとしております。
こうしたインフラ整備のもとで、通信事業者との連携をより一層強化していくとともに、新技術の動向なども視野に入れ、通信環境の強靱化に取り組んでまいります。
○小松委員 安心しました。宮坂副知事と答弁の内容が−−当然かもしれませんが、何があってもしっかりと通信環境を強靱化していくということと、新技術の動向を踏まえながら積極的に取り入れていくというようなご答弁をいただいたので、安心をしたところであります。
大学を初め、さまざまな研究機関が、通信環境、例えば動画の圧縮技術などを用いて、しっかりと災害時でも動画を送っていけるようなサービスであったりとか、そういったものを今、非常にさまざまなベンチャー企業も研究をされているようでございますので、そうした最新の動向を踏まえながら、都に取り入れることができるものについては取り入れていただいて、安否確認のときに元気な姿をちゃんと家族に送ってあげることができたり、必要な行政のアナウンスが必要な人たちにしっかりといつも届くように、今から準備をしていただければ大変ありがたいなというふうに思っております。
続きまして、スマート東京を推進される中で、都市のデジタルツインの実現を掲げていらっしゃるわけであります。
この東京都の考える都市のデジタルツインというのは、具体的にどのようなもので、どのようなことに使うことを今考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○高橋事業調整担当部長 デジタルツインとは、センサーなどから取得したデータをもとに、建物や道路などのインフラ、経済活動、人の流れなどさまざまな現実空間の要素を、コンピューターネットワーク上の仮想空間であるサイバー空間上に双子のように再現するものでございます。
デジタルツインにより現実空間であるフィジカル空間の都市の状況が、サイバー空間上でリアルタイムに把握可能となり、分析シミュレーションやその結果をフィジカル空間にフィードバックすることによりまして、データ利活用者にとってわかりやすく、透明性のある形でデータが活用されることになると期待しております。
具体的には、都市のデジタルツイン実現により、例えば電車の車両ごとの混雑状況の把握や工事等に伴う交通状況の影響、来街者の消費行動など、さまざまなシミュレーションを実施し、その結果を現実空間に還元することで、社会的課題の解決につなげることが可能となると考えております。
今後、実際に取り扱う具体的なユースケースにつきまして、庁内各局で構成する都市の3Dデジタルマップに関する検討チームでの議論や、今年度実施している実証実験における成果等を踏まえまして、優先順位をつけながら効果的に取り組みを推進してまいります。
○小松委員 まさにこれからその具体的な優先順位がついていくということが確認できました。大変大いに期待するものであります。
例えば、首都直下地震などの災害の状況のシミュレーションというのは、より精度を持って取り組むこともできるのかもしれませんし、また、東京もこれから人口減少が進んでいったり、人口の構造の変化の中で、世帯によって高齢者がふえる、また子供たちがまだまだ多くいる、そんな中で、都市計画道路などのまちづくりのところでも、どういうふうな優先順位をつけていけばいいのか、こんなことにも使えるんじゃないかなと思うわけであります。
都市計画道路とかは、やっぱり四十年、五十年前の計画を今なお進めていく中で、このモビリティーの変化で二〇四〇年になったらどんなまちになっていくのか、そんな時間差がかなり大きく乖離していく中で、仕上がったときには、四十年前、五十年前に考えていた理想のそのときのまちと、人口の構造が変わってしまっていて追いつかなかった、こんなことがないように、やっぱりさまざまなシミュレーションを見据えながら、都市計画の方にもしっかりと連動できたら、とても可能性が出てくるのかなというふうに期待をするものであります。
続きまして、こうしたさまざま都政の中でデジタル化の取り組みを進めていただいているわけですが、代表質問やきょうの委員会の質問のやりとりの中でもやっぱりありますけど、懸念されることは、やはり、今後、区市町村との連携の観点から質問させていただきたいと思います。
デジタル庁ができましたという中で、国は、あるべき姿の中でさまざまな今提言を投げていらっしゃいますが、実際に住民サービスの現場にいる区市町村だったり、また東京都、そしてそのデータを国と共有化したりとか、この標準化のところでも非常に区市町村との連携を担う東京都の役割というのは大変大きなものだと思います。
長きにわたって、都区市町村IT推進協議会というのを東京都は設置をされているわけですが、その構成、そして取り組みについて確認したいと思います。
○沼田情報基盤担当部長 都は、区市町村とともに地域情報化施策等に関する情報交換、連絡調整等を行う目的で、各自治体の情報主管課長を構成員とする都区市町村IT推進協議会を平成十五年に設置しております。
当協議会は、年五回程度、総会を開催し、国や都の情報化施策に関する情報提供、都内外の自治体の情報化施策の取り組み事例などの紹介を行い、区市町村の情報化政策を後押ししているところでございます。
取り上げられるテーマは時代とともに変遷しておりますが、近年では、国が進めているデジタルガバメント施策や、都の東京デジタルファースト条例に関する情報提供、また、サイバーセキュリティーに対する意識の高まりなどを受け、セキュリティーに関する情報共有などを行っております。
○小松委員 平成十五年ということなので、十七年ぐらい前から取り組まれているということでありまして、年に数回会議もされているということでありますが、当時も、e−Japanだったり、そんな形で国を挙げていろいろ取り組もうと思っていたものの、非常に中途半端だったんじゃないかなというふうに思います。
以前も資料を準備していただいて、お調べいただいたんですけど、この通信化の取り組みって、都庁も多分昭和四十年ぐらいから何だかんだといろいろ取り組まれているんですけど、恐らく、我が国挙げて本当にこのデジタル化が進むのは、この数カ月が本格的な始動の時期に入ったのかなというふうに思うわけであります。
そうした中で、これまでどおりのこの推進協議会だけではないとは思いますけど、そこだけで十分なのかなということは今疑問に思うわけであります。
冒頭で、ICTの人材の確保、調達についても触れたわけでありますが、ある意味で、国のデジタル庁よりも都庁が担う役割とか責務というのは、非常にこの分野、重たいなというふうに思っているわけであります。
なぜなら、以前調べた中で、やはり各区市町村の自治体の組織図なんかを見ると、やっぱり自治体によっては、こういったICTをつかさどる部も課もそうした担当も、なかなか十分に置いていないというところが非常に多かったわけです、この都下においても。それが、この都庁が目指していくデジタル化の戦略実現のボトルネックになるんじゃないかなということは大変危惧しています。
これは宮坂副知事ともやりとりをさせていただいた中で、やはり首長さんとやりとりをすると、そこが人材のところがまさにネックになるだろうというようなことはご答弁をいただいたところであります。
これをどうやって都庁が引っ張り上げていくのか、リードしていくのかということを考えましたときに、ここの今質問とやりとりをさせていただいたところというのは、もっともっと具体的で実効性、効果の高いものを、これからやっぱり考えていく必要があるのかなと。今までの取り組みの延長線上ではもういけない段階にあるのかもしれないなと、そのようなことを思っておりますので、ぜひまた、この辺のところも意見交換を続けさせていただければありがたいなというふうに思っております。
最後に、もう一つ危惧するところは、情報システムの活用を進めていくに当たって、その投資の適正化などを図っていくことが今後重要になってくるわけであります。
都庁のたくさんの局で、たくさんの部門で、いろんなシステムを運用されています。以前、一般質問で取り上げさせていただいたんですけど、戦略政策情報推進本部さんに調べていただいたら、都庁のシステムのいわゆる保守だったりの維持管理コストというのが、年間で約三百六十八億円だと。それもある程度の規模、一定の規模を超えたシステムに限っていってもそれぐらいあるというようなことでありました。
今はいわゆるデジタル化していない、書面でやりとりしている、そういったものも、今後デジタルに置きかえていったりとかしてくると、なかなかここについては大きな影響、インパクトがあるなというふうに思うわけであります。
戦略政策情報推進本部において、全庁の情報システム等に係る企画、そして調整及び指導を行っていますというようなことが、この事業概要にも書かれてありましたが、そのことを具体的に、何人体制でどのように実施されているのかを確認したいと思います。また、対象となるシステムというのはどのようなものなのかをあわせて確認したいと思います。
○樋口ICT推進部長 全庁の情報システム等に係る企画調整及び指導の実施に当たりましては、情報処理専門課長一名を含む現員六名の体制により、各局の要求内容のヒアリングを実施し、開発、運用における見積内訳やスケジュールなどの計画、機器構成等の検証を行い、調整、指導を行ってございます。
システムアセスの対象といたしまして、原則見積経費が一億円を超える大規模システム等につきまして、システムの有効性、適切性、安全性の観点から、より詳細な検証を行い、情報システムのライフサイクル全般にわたる適正化を図っております。
また、見積内容の精査を進める上では、委託による事業者を活用することにより、技術情報の提供等の支援を含め、第三者の視点から客観的な確認を行うなど、システム投資効果の向上を図っております。
こうした取り組みを通して、全庁最適化の観点も踏まえつつ、情報システム関係予算の適正化と全庁横断的な視点でのICTを活用した業務効率化を推進してまいります。
○小松委員 少し、ただいまのご答弁の感想を踏まえてまとめさせていただきますと、国では自治体システムの標準化に向けて、仕様の統一とか標準化などに集中的にこれから取り組んで、年内には対象事務のいわゆる特定とか工程化を行うとされているわけであります。これ、東京都は、都のことだけではなく、区市町村にも目配りをする必要が出てくるわけであります。
そこで、冒頭に触れさせていただきましたけれども、まさに都庁のICTの人材をどうするのかといったところが全てその集約されてくる部分だというふうに思うわけですが、非常に優秀な人たちをどうやって調達してくるのかということを考えますと、やはり既存の人事制度であったり、評価制度だったりということについてもあわせて、これまでの、いわゆる積み上げてきたものとは違った発想がまた求められてくるんじゃないかなというふうなことも思うわけであります。
そんなことも含めて、これから非常に大きな転換期の中で、戦略本部さんの役割に大変期待するものでありますので、これからもまたいろいろと知恵を出し合わせていただきたいというふうに思います。
質問を終わります。
○小磯委員 東京デジタルファースト条例についてお伺いをいたします。
デジタル化を進めていく中で、いかに都民サービスを向上させていくのかという視点を持って取り組んでいくことが重要であります。
申請者の氏名、住所、電話番号などを電子化するならば、二度も三度も入力させないようにするとか関連するほかの申請にも活用するなど、いわゆるワンスオンリーを進めるとか、一度の申請で民間手続なども含めて一元化していくコネクテッドワンストップを進めていくべきであります。
そこで、行政手続の電子化を進める中で、都民サービスの向上に向けて、今後具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 行政手続の電子化は、時間的、地理的制約をなくすだけのものではなく、都民等の利便性向上に資するものとして、申請に必要な情報の省略や添付資料の見直しなど、行政手続そのものを見直す必要がございます。
そのため、本条例ではデジタル手続法と同様に、先ほど副委員長からお話あったとおり、一度提出した情報は二度提出することを不要とするワンスオンリーの考え方や、関連する複数の手続やサービスが一カ所で実現するコネクテッドワンストップの考え方を、デジタル化に当たっての理念に位置づけてございます。
具体的には、デジタル手続法や同法施行令に準拠し、添付書面等の省略に関する条項を設け、必要な情報を入手、参照できる場合には、住民票の写し等の添付書面の提出を省略できるものとしてございます。
また、本条例の施行に先立ち、構造改革推進チームと連携し、ワンストップオンライン手続プロジェクトの中で、行政手続のデジタル化、ワンストップ化を進めるとともに、今後、本条例に基づき策定いたします、いわゆる推進計画の中でもこうした理念を位置づけてまいります。
○小磯委員 年末調整、きょう出したんですけど、あれも名前と住所二回書いたりとか、こんなこと、ぜひともワンスオンリーをお願いしたいと思います。
そういう中で、年齢による格差が生じているということもございまして、デジタルディバイドへの対応というのは大変大事だというふうに私は思っております。
東京デジタルファースト条例では、いわゆるデジタルディバイドへの是正についても記載しているわけでございますが、パソコンを使っておられない高齢者、また、キャッシュレスサービスなどでもスマートフォンにアプリを入れて利用者登録してなどと、いろいろと操作しなければならず、途中で諦めてしまう方が多くいるのも現実でございます。
きょうの新聞に、町田市で、来月、また一月、ペイペイで買い物をすると、二〇%のプレミアムがつくという、そういう事業が開始をされますけれども、これにしてもやっぱりペイペイを使える方でないと、この恩恵が受けられないということでございます。
このような現実を踏まえて、ご高齢の方が多く住む団地の集会室などに無料のWi-Fi環境を整備し、そこで電子申請の操作方法などの講習会を開くことや、また、住民に身近な地域の行政機関で申請をサポートするなど、一人一人に寄り添った対策を講ずべきと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 高齢者を初めとする年齢格差や身体障害の有無等、さまざまな要因でデジタル技術に触れる機会が少なく、オンライン等による手続が困難な方が困ることのないよう、本条例ではデジタルファーストを旨として行うとともに、デジタルディバイドの是正にも取り組むことを義務づけてございます。
デジタルディバイドの是正に当たりましては、利用のための能力等が十分でない方に対する適正な配慮の確保のための例示として、能力等が十分でない方に対し、身近に相談、助言、その他の援助を求めることができるようにするための施策、及び当該援助を行う者の確保及び資質の向上のための施策を挙げるなど、具体的施策を示してございます。
ご指摘の高齢者を対象にした電子申請の講習会などにつきましても、本条例に基づくデジタルディバイドの是正の一つと認識しており、具体的な施策につきましては、関係局や区市町村とも連携しながら、来年度の予算も見据えながら検討を進めているところでございます。
○小磯委員 やはり関係局との連携とか、また区市町村との連携というのは本当に大事になってくると思いますので、しっかりよろしくお願いいたします。
戦略政策情報推進本部では、平成二十九年度に策定した国際金融都市東京構想の中で、金融による社会的課題の解決への貢献を掲げ、取り組みの一環として、ESG投資の普及促進を推進しているものと認識をしております。
持続可能な経済活動や社会づくりに貢献するESG投資は世界的に大きな潮流となっており、二〇一六年時点で約二十三兆ドルだったESG投資残高は、二〇一八年には約三十一兆ドルと、約三割も増加をしているわけであります。
このようにグローバルな流れとなっているESG投資を国内でも広く普及させていくことは極めて重要であり、本日はその旗振り役ともなるべき都の取り組みについて質問したいと思います。
今回は、中でもESGのSの示す、いわば社会の抱える課題解決に着目した新たな取り組みであるソーシャル・エンジェル・ファンドについて伺いたいと思います。
まず、このソーシャル・エンジェル・ファンド事業に都が取り組む意義についてお伺いいたします。
○三浦国際金融都市担当部長 ESG投資は、持続的な経済活動、社会の構築に貢献するものでございまして、今副委員長のお話にございましたとおり、世界規模で大きな広がりを見せております。また、国内においても環境分野を中心に、認知度、関心度が高まってきているところでございます。
ただ一方で、社会的課題の解決につながる取り組みに対しては、民間からの資金が十分に集まりにくいという側面もございます。
そこで、今回、これまでの行政による補助や助成と異なる形で、官民が連携した金融的な手法を用いて社会貢献性の高い事業などを資金面で支援していく、新たな仕組みを導入することといたしました。
具体的には、本年二月に創設いたしました国内の再生可能エネルギー発電施設に投資する東京版ESGファンドの管理報酬の一部を活用いたしまして、ソーシャル・エンジェル・ファンドを立ち上げ、その原資を、出資や融資などの金融的な手法を通じて、社会的な課題解決に資する事業などに充ててまいります。この二つのファンドを通じまして、ESGでいうところのEが示す環境、Sの指す社会の両分野への貢献を行ってまいります。
本ファンドの運営事業者を通じ、社会貢献性の高い事業などに対して、資金面から継続的に支援を行い、社会の抱える課題の解決に寄与するとともに、ESG投資に関する認知度向上を図ってまいります。また、この新たな取り組みを通じまして、国際金融都市東京の魅力をPRしていくことも目指してまいります。
○小磯委員 ソーシャル・エンジェル・ファンドの意義を確認することができました。
次に、ソーシャル・エンジェル・ファンドの規模と、そのファンド組成に向けた進捗状況についてお伺いいたします。
○三浦国際金融都市担当部長 当ファンドは、具体的には、東京版ESGファンドの運営事業者が管理報酬の一部を寄附して拠出した資金に加えて、今年度創設するソーシャル・エンジェル・ファンドの運営事業者自身が調達した資金を合わせて、ファンドの運営原資とする形となっております。東京版ESGファンドからは、このファンドが存続する間、毎年数百万円から一千万円程度がソーシャル・エンジェル・ファンドに寄附される予定となっております。
都は、このソーシャル・エンジェル・ファンドを運営する事業者を本年八月に募集を開始いたしまして、現在募集要項に基づき、運営事業者の審査、選定を進めているところでございます。
本年中に運営事業者の選定を完了し、来年二月以降、本ファンドから社会貢献性の高い事業などへの実際の支援を行っていく予定でございます。
○小磯委員 社会貢献性の高い事業などに対して、今後どの程度の規模の支援がなされていくかが確認できたと思います。
支援を効果的なものとしていくためには、社会の抱える課題を的確に捉えた上で、支援対象を選定していく必要があります。あわせて、本ファンドの運営事業者が安定した財務基盤、また社会的課題解決の取り組み実績などの運営力を有していることが重要であります。
そこで、ソーシャル・エンジェル・ファンドの運営事業者は、どのような視点、また基準に基づいて選定がなされ、どのような事業等が支援対象となるのかお伺いします。
○三浦国際金融都市担当部長 本ファンドの運営事業者の選定に当たりましては、公募手続を通じて事業者から提出された企画提案書や決算書などに基づいて行うこととなっております。
具体的には、支援対象、財務的基盤、これまでの支援実績、出資や融資などの支援手法及び支援事業の実現可能性などを審査対象とし、外部の専門家の意見などを踏まえて選定してまいります。
支援対象につきましては応募事業者が各自提案することとしております。都といたしましては、提案された支援のスキームも含めまして、総合的な観点から事業者を選定してまいります。
なお、募集要項には、支援対象の例として、ひとり親支援、女性活躍推進、子供、子育て支援、障害者雇用促進を掲げております。
今回の手法によりまして、従来、行政と民間がそれぞれ支援を行ってきた方々に対する官民連携による新たな支援の流れにつなげていきたいと考えております。
○小磯委員 このファンドが、従来の行政による補助事業とは違った形で、社会貢献性の高い事業に対して民間からのお金の流れをつくり出す意欲的な取り組みとして注目されております。
今後、このファンドの創設をきっかけとして、民間による同様の仕組みを持つファンドが新たに立ち上がり、ESG投資の流れがますます拡大していくことを期待します。
続きまして、MaaSについて伺います。
私のこの町田市の山崎団地周辺で実施予定の、MaaSの実証プロジェクトの内容についてお伺いしたいと思います。
○米津特区推進担当部長 町田市山崎団地周辺でございますが、バス停から一定以上の距離があるエリアが存在するなど、高齢者を含む域内居住者の移動利便性の向上が課題となっております。
今回の実証プロジェクトにおきましては、ラストワンマイルの課題解決を目指しまして、域内の医療、福祉施設などとも連携したオンデマンド交通を、利用者のリクエストに合わせて運行します。また、オンデマンド交通と既存バス、商業施設が連携した来店者向けの交通サービスも提供いたします。さらに、複数の鉄道事業者とバス事業者のリアルタイムデータを用いまして、おくれなどのリアルタイム情報を考慮した経路案内サービスを実施いたします。
こうした取り組みによりまして、公共交通を含む移動の利便性向上及び地域の活性化を目指してまいりたいと考えております。
○小磯委員 いろんな方とお話をしていますと、やはり交通の便といいますか、交通不便地域がそれぞれのところにあったりして、そういったところでオンデマンド交通の要望というのは大変大きいわけでございます。地域の課題に寄り添った多岐にわたる事業が、この山崎団地周辺で行われるということで、非常に期待をしております。
実証実験ということですが、これらのサービスを社会実装していくことが重要であります。
そこで、今後の展開についてを伺います。
○米津特区推進担当部長 MaaSの社会実装に当たりましては、交通サービスにとどまらない新たな付加価値を生み出し、事業性を高めていくことが重要であると考えております。
今回の実証プロジェクトにおきましては、複数の鉄道事業者、バス事業者によるモビリティー面での連携が図られていることにとどまらず、商業施設や医療、福祉施設など多様な事業者が参画しておりまして、社会実装に向けた検証をしていく上で好事例となり得るものであるというふうに考えております。
来年一月中旬から二カ月程度の期間で行われる実証プロジェクトの結果をもとにいたしまして、利用者のニーズや利便性の向上度合いなど、利用者側の視点を踏まえまして、さらなる周辺サービスとの連携の可能性を探るなど、事業性の向上に向けた検証を事業者とともに行ってまいりたいと考えております。
こうした検討を通しまして、今後の社会実装に向けた持続可能な事業モデルの構築を図ってまいります。
○小磯委員 やはり利用する方が大変多いとかというところが大変ポイントだと思いますので、ぜひ効果的なアピールをしていただきたいと思います。
都民の交通利便性を向上させていけるよう、地元である町田市とも連携して、こうした取り組みをしっかりと進めていただきたいと思います。
続きまして、第五世代移動通信システム、いわゆる5Gの整備促進についてお伺いいたします。
5Gは高速大容量、超低遅延、多数同時接続といった三つの特徴を有し、デジタルトランスフォーメーションを進める上での基盤になるものといわれております。
世界に蔓延したコロナ禍は、都民の安全や経済活動に影響を与え、また日本のデジタルトランスフォーメーションのおくれといった課題を浮き彫りにしたと思います。
都がこうした課題を捉え、デジタルテクノロジーを活用した社会への深化を進めていく上で、5Gの整備促進を図っていくことは大変重要であります。
5Gはこれまでの4Gに比べて、より多くのアンテナ基地局が必要になると聞いております。
都は現在、アンテナ基地局設置に関する通信事業者のためのワンストップ窓口の設置やアセット開放を行っておりますが、これらの意義とアセット開放の状況、特に私の地元である町田市におけるアセット開放状況についてもお伺いしたいと思います。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 5G通信では、電波の直進性が高い5Gの特性から、より多くのアンテナ基地局が必要でございます。
このため、5G通信環境の構築に向けて、都は、所有するアセットを開放するとともに、ワンストップ窓口による利用の手続の簡素化などにより、通信事業者の基地局設置を後押ししております。
現在、東京都全体で約一万五千件のアセットを開放しておりまして、そのうち町田市内には、都営住宅や都立高校の土地建物など六百三十七件のアセットがございます。
○小磯委員 都の取り組み状況はわかりました。
ところで、5G通信はことしの三月から商用サービスが開始されているわけでありますが、通信事業者各社のエリアマップを見ても、5Gが使えるのは主要ターミナル駅や大規模スポーツ施設等の拠点ごとの整備に現在はまだとどまっているわけであります。このような状況を踏まえると、全国の5G通信網が構築されるまでに一定の時間を要すると考えられます。
今後、これらの通信環境の構築を加速し、より広いエリアで都民、ひいては国民が5Gを使えるようにしていくためには、このアセット開放やワンストップ窓口といった都の取り組みを全国へ広めるべきではないかと思います。
そこで、アセット開放やワンストップ窓口に関する全国への展開についてお伺いいたします。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 アセットの開放やワンストップ窓口の取り組みにつきましては、都道府県の先進的な施策を共有するために設置されました全国知事会先進政策バンクへ登録を行い、情報発信を行いました。
また、既に六つの自治体におきまして、この取り組みの導入が広がっております。山梨県、埼玉県、大阪府、大阪市などとも、現在個別に意見交換を行っておりまして、ノウハウの共有化に向けて具体的な調整を行っております。
今後、これまで都の取り組みで得られた知見やノウハウをマニュアル化し、5Gに関する知識や経験が少ない職員でも円滑に事務処理ができるようにしていくことで、全国の自治体の普及に寄与してまいります。
○小磯委員 この東京都の取り組みが全国に波及していくということで、しっかり取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
先ほど、島の方の海底ケーブルの強化対策、質問がございましたけれども、利島には、東京本土と海底ケーブルが接続されていますが、平成三十年九月に光ケーブルが切断されて大変な事態になりました。
まず、このときに利島の光ケーブルが切断された原因は何だったのかお伺いいたします。
○沼田情報基盤担当部長 ご指摘の障害は、平成三十年の九月に台風二十四号が接近した際、転石により、ケーブルを海底から陸揚げしている区間の防護管が損傷し、ケーブル切断が発生したものでございます。
○小磯委員 利島村は、村の情報インフラとして、光ファイバーが令和二年三月に開通をいたしました。しかし、利島の住民からも、ケーブル故障による通信障害の不安を訴える人が多く、光ファイバーを使った超高速ブロードバンドへの加入が伸び悩んでいると聞き及んでおります。
そこで、現在の利島での超高速ブロードバンドの加入状況について伺います。
○沼田情報基盤担当部長 利島村におきましては、令和二年三月二十五日に超高速ブロードバンドの提供を開始しており、九月末現在、約百八十世帯中、約百世帯が加入しておりまして、加入率は五四%となっております。
○小磯委員 我が党は、利島の海底ケーブルの現状と課題について調査をするために、十月中旬に視察団を派遣いたしました。現地で調査したところ、利島の海域は潮の流れが速く、波により破壊された消波ブロック、テトラポッドが波打ち際にごろごろと転がっておりました。
この消波ブロックの破片や岩で海底ケーブルの線が切断しないように、光ケーブルの線を海底に埋設するか、また、ケーブル線に厚いゴムで防護するなどの対策を講ずべきであります。見解を伺います。
○沼田情報基盤担当部長 利島におきましては、先ほどご指摘ございました平成三十年度のケーブル切断を受け、令和元年度に海底地下部を通す工法へと変更して施工したものの、陸側の地盤の状況が悪く、施工不能となりました。このため、再度工法を変更し、強靱化対策を行った上で工事を完了しております。
この際、具体的には、転石などによるケーブル故障が発生しないよう、波打ち際では二メートル程度の掘削をした上でケーブルを埋設するとともに、弾力性の高いポリウレタン製の防護管を二重にかぶせ、海底ケーブルを防護しております。
また、五村六島の海底ケーブルをループ状に接続するとともに、利島の沖合でバイパスルートの構築を行うことで、一カ所でケーブル故障が発生しても別のルートで通信可能とすることで、より安定した通信環境の実現に取り組んでいるところでもございます。
引き続き、通信事業者と連携し保守を行い、安定した通信環境の実現に向け、努めてまいります。
○小磯委員 さまざまな技術的な制約がある中で対応していただいていると思います。
引き続いて利島の光ケーブルなど通信環境についての継続的な監視と、また、さらなる取り組みをお願いして、私の質問を終わります。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で戦略政策情報推進本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
午後八時四十六分散会
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