委員長 | 早坂 義弘君 |
副委員長 | 加藤 雅之君 |
副委員長 | 本橋ひろたか君 |
理事 | 藤井あきら君 |
理事 | 清水 孝治君 |
理事 | 鈴木 邦和君 |
山内れい子君 | |
宮瀬 英治君 | |
米倉 春奈君 | |
原 のり子君 | |
のがみ純子君 | |
つじの栄作君 | |
中屋 文孝君 | |
入江のぶこ君 | |
木村 基成君 |
欠席委員 なし
出席説明員政策企画局 | 局長 | 中嶋 正宏君 |
次長理事兼務 | 横山 英樹君 | |
次長理事兼務 | 福崎 宏志君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 梅村 拓洋君 | |
政策調整部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 | 豊田 義博君 | |
計画部長構造改革統括担当部長兼務 | 吉村 恵一君 | |
長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長兼務 | 宮武 和弘君 | |
長期戦略プロジェクト推進担当部長 | 山本 公彦君 | |
構造改革担当部長 | 神永 貴志君 | |
戦略政策情報推進本部 | 本部長 | 寺崎 久明君 |
次長理事兼務 | 児玉英一郎君 | |
戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 東京テックチーム事業推進担当部長兼務 | 有金 浩一君 | |
ICT推進部長 | 樋口 隆之君 | |
デジタルシフト推進担当部長 | 芹沢 孝明君 | |
情報企画担当部長 | 荻原 聡君 | |
情報基盤担当部長 | 沼田 文彦君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「未来の東京」を見据えた都政の新たな展開について-構造改革を梃子として-
・「二〇二〇年に向けた実行プラン」事業実施状況レビュー結果について
戦略政策情報推進本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十四号議案 東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部を改正する条例
○早坂委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○早坂委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、戦略政策情報推進本部関係の付託議案の審査及び政策企画局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより政策企画局関係に入ります。
報告事項、「未来の東京」を見据えた都政の新たな展開について-構造改革を梃子として-外一件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○梅村総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る九月十五日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりください。長期戦略策定の進め方でございます。
長期戦略の策定につきまして、昨年八月に公表いたしました未来の東京への論点から時系列でお示しをしております。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○早坂委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 報告事項、「未来の東京」を見据えた都政の新たな展開について-構造改革を梃子として-について質疑をさせていただきます。
今回の構造改革は、小池知事が都知事選挙の際に掲げた公約です。本報告事項を確認いたしますと、社会と都政の構造を課題の根源まで踏み込んで改革をするとのことで、大いに期待をするところであります。
新型コロナウイルスの被害というものは大変甚大なものでして、昨日発表されました大企業製造業の景気判断を示す日銀短観では、過去二番目の落ち込みとなった前回よりは落ち込みは落ちついたものの、依然として厳しい状況を見てとることができます。
来年度以降、企業の法人二税に依存する東京都の収入が厳しいということはほぼ確実でありまして、さらに、コロナ対策を初めとして都の支出は多く必要となってくる状況であります。知事が選挙公約に掲げました都民ファーストの視点での行財政改革、構造改革が待ったなしの状況だというふうに考えております。
これまでもさまざまな計画や戦略、改革がありましたが、最終的に各局の既存の取り組みをほぼ並べただけになってしまって、何も変わらず、括弧つきの改革に終わってしまうように見えるようなことが往々にしてございました。コロナ禍で東京や社会全体が甚大な被害をこうむる中、何としてでも変化を生み出さなければならない、そういった状況は避けなければならないと考えております。
そのような視点から、発表されました構造改革のコアプロジェクトなどを中心に、どのように実効的に進めていくのか確認をさせていただきます。
最初に、未来の東京を見据えた都政の新たな展開についてにおけるコアプロジェクトの選定の考え方についてお伺いをいたします。
○神永構造改革担当部長 新たに編成した構造改革推進チームでは、都政の構造改革の実現に向け、最優先でなすべき取り組みを七つのコアプロジェクトとして立ち上げたところでございます。
各プロジェクトの選定の考え方でございますが、DX、デジタルトランスフォーメーションをてこに、バーチャル都庁構想の実現を先導する取り組みであること、全庁での展開に向けた具体的なモデルとなり得ること、制度や仕組みの抜本的な見直しを進めるものであることという、三つの視点から選定したところでございます。
○藤井委員 バーチャル都庁を実現するために、制度や仕組みの根本までを見直して、全庁のモデルとなる七つのコアプロジェクトを選定したということです。特に、制度や仕組みを根本から踏み込んで見直すという点がこれまでの改革と大きく違っていて、重要な点であるというふうに認識をしております。
七つのコアプロジェクトを実行するに当たりましては、目標が何かを具体的にした上で、誰がいつまでに何をするかということを明確にする必要があると思います。
各プロジェクトの責任者は誰か、何を目標にするかを決めておくべきですが、どのような体制で進めるのか伺います。
○神永構造改革担当部長 都政の構造改革を先導するコアプロジェクトは、制度を所管する政策企画局、総務局、財務局、戦略政策情報推進本部の四局を中心に、現場を持つ関係各局も含めた推進チームをプロジェクトごとに編成し、取り組みを進めていくこととしてございます。
それぞれのプロジェクトにつきましては、その内容に応じて推進責任者を定め、期間ごとの到達目標を定めながら取り組んでまいります。
○藤井委員 七つのコアプロジェクトでは、これまでと違い、各局の取り組みに任せるだけではなくて、政策企画局を中心に、制度や技術を所管する四局と現場を所管する各局が連携するとのことでありました。
加えて、目標を明確に定めて、プロジェクトごとに責任者、誰がいつまでにやるかということを明確にしたということは、これまでになかったことだと認識をしております。
目標がなければ、達成できずに失敗をするというリスクはないものだとは思いますが、目標を具体的に持つということは、逆にいうと、その目標が達成できないリスクがあるということです。
一点申し上げておきたいのは、達成できないこと自体は失敗ではないというふうに私は考えております。試行錯誤をしながら、失敗をして、そこから新たな学びを得ていくということが非常に重要だと思っています。何よりも大事なのは、小さく分けた目標をたくさんつくって、さまざまに素早く試していくということです。
最近、都庁でもアジャイルという言葉が使われていますが、そういった視点での取り組みが必要だと思っております。現在地点と目標のギャップ、この乖離を明らかにして、その差を埋めるために何をしていくのか、さまざまに試していただきたいと思います。
どんなに頑張っても、達成不可能な目標というのは出てきてしまいますが、その達成不可能だということがわかること自体が非常に重要であって、それ自体は失敗ではありませんので、一度に完璧にやろうとして結局何もできないのではなくて、少しずつでもいいからどんどん試していただきたいと思います。結局何もしないことが失敗になってしまいますので、よろしくお願いいたします。
次に、私がこれまで都のデジタル化の最大の課題と感じていたのは、既存のやり方をそのまま残したままデジタル化をしようとしていたことであると思っております。
例えば、現在紙で行っていた承認業務、承認作業をそのまま同じ形で押印するようなスタイル、何人もの人たちに押印してもらってデジタル化をスタートしても、それはむしろ使い勝手が悪くて、業務効率が落ちてしまって、使われなくなってしまう、デジタル化は使いづらいものだという印象になってしまうものだと思います。
効果を最大化するためには、業務プロセスを見直し、いわゆるBPRとかいわれるビジネス・プロセス・リエンジニアリングという言葉の略ですが、デジタル化もしくはオンライン化の視点から、作業、事業を再構築、見直しするということが重要になります。
その際、例えば現在行っている判こでの承認、いろんな上長の方が判こを押されると思うんですけれども、それが本当に全部必要なのかとか、そういったことを見直す必要があるんじゃないかなと考えております。
この未来の東京を見据えた都政の新たな展開では、構造改革は制度や仕組みの根本にさかのぼった改革だと記載があります。
こうした観点から、今申し上げましたBPRなどによって、デジタル化やオンライン化に合わせた事業の再構築をすべきですが、構造改革推進チームとしてどのように進めるのか、見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 都政の構造改革を進めるためには、従来の発想を転換し、仕事の進め方や仕組みを抜本的に見直すことが必要でございます。
例えば、契約や支出に係る事務をデジタルで行うに当たりましては、これまでの一連の仕事のやり方について改めて見直しを行い、最適化した上で、システムに乗せていく必要がございます。
こうした取り組みの中で、BPRは有用と考えられることから、関係局と連携しながら検討を進めてまいります。
○藤井委員 都政の構造改革では、デジタルトランスフォーメーションをてこにすると記載があります。そのためには、都庁のデジタル化の全体の把握をした上で、全体最適、各局ごとの部分最適ではなくて、全体で最適化を図っていくということが重要であります。
国の方では今、政権もかわりまして、デジタル庁の検討などがされていますが、その前から、政府全体の情報システムの予算四千八百億円のうちの七百億円を、もともとありました内閣官房のIT戦略室に一括計上、各省ではなくて、IT戦略室の方で一括計上して取りまとめるという方針が決まっておりました。さらに、三年以内に、システム基盤をITの戦略室で一括調達する方法に移行する方針であるというふうに聞いております。
このように、国においては、省庁の縦割りではなくて、政府全体のデジタル化の取り組みを総合的に把握して取り組もうという動きがありまして、都も参考にすべきだと考えております。
構造改革推進チームは、各局のデジタル化の取り組み状況をどのように把握していくのか、見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 都政のデジタルトランスフォーメーションを効果的に推進するためには、各局のデジタル化の取り組みの進捗を適切に把握することが重要であり、今後、構造改革推進チームにおきまして、各局のデジタル関係経費の全体像の把握などに向けて、検討を進めてまいります。
○藤井委員 第一歩として、全庁の各局のデジタル化の関係経費を把握するということは非常に重要でありまして、さらに、その後に、国と同じような、まあ、一括でやるのか、いろんな方法があると思うんですけれども、都庁としての最適化というものを検討いただきたいと要望をさせていただきます。
一方で、七つのコアプロジェクト、今回出されているものがありますが、これを実行するだけでは、バーチャル都庁の実現というのは私は難しいと考えております。
コアプロジェクトというのは、あくまでやはり一個一個のプロジェクトでありますので、それぞれで得た知見というものを都庁全体で最適化するという、また逆の学びを得ていくことが大事じゃないかなと思っております。
これまで各局ばらばらで運用していたシステムを、全庁横串で整えていく必要がありまして、これは全庁的なITのアーキテクチャー、構造っていうんですかね、アーキテクチャーであったりとか、インフラの見直しというものが必要になってきまして、結構長い時間がかかるものだというふうに認識をしております。
先日の我が会派の代表質問で、東京都ICT戦略を見直して、東京都のICTのグランドデザインとしてまとめることをご答弁いただきました。
これは私、おととしの事務事業質疑でも、東京都ICT戦略を見直すべきだというご提案をさせていただきまして、二年かかってやっと方向性が出てきたなということで、非常に重要な答弁であるというふうに考えております。
ちょっと話があれですけれども参考になるなと思ったのが、昨日、東京証券取引所さんが一日とまってしまうということがありまして、その対応、私、きのう記者会見を見ていたんですけれども、非常に参考になるなと思いました。
システム障害によって、ほぼ丸一日、取引所が閉鎖してしまったということなんですけれども、これ自体は、金融センターとしての東京だったり、日本であったりというところのダメージは非常に大きくて、課題は多いところではあるんですが、システム面での対応というのは非常にすばらしかったなというふうに感じております。
昨日の夕方の記者会見では、東証の社長を初め、CIOの方、あと情報部長の方、各担当の方が皆さんいらっしゃっていて、このシステムに何が起きたのかということを明確に社長を含めてお話をされておりまして、トップも含めて、ITのシステムがどう動いていて、どう課題があるかということを把握されていることが強く伝わってくる内容でした。
システムの障害の責任というのを、システムのハードウエアを納品しているのは富士通さんなんですけれども、富士通さんのせいではなくて、これはもう明確に東証の自分たちの責任であるということをおっしゃっていたことに私は非常に驚きました。なかなか企業がそこまで自分たちの責任だということまでいい切れる、これまで幾つかそういう会見も見てきましたけど、なかなかなくて、自分事として本当に考えているんだなということがよくわかりました。
自分たちの持っているシステムの構成であったりとか、実際にそのシステムがどう動いていて、どこに問題があったのかといったことを、非常によく理解しているんだなというのがわかりました。
翻って、都を見てみますと、これは東京都だけではないんですが、どうしてもベンダー、いわゆるエスアイヤーといわれるような企業の皆様に任せてしまっている面がかなり大きいのではないかなと思っておりまして、やはりそこを、実際に動くのはそういった方であっても、都庁の側がきちんと主導権を持って、全体で何が起きているかも含めて把握するということが非常に重要であると思います。
これは意識を多分根本的に変えなきゃいけない話なので、非常に難しいところではあるんですが、そこにぜひ挑戦していただきたいなと思います。
続きまして、構造改革の大きな柱の一つというのは人でありまして、特に民間人材の活用については重要です。デジタルトランスフォーメーションを一気に進めるためには、外部のICT人材を積極的に活用する必要があります。
外部人材の登用、活用については、ICT職種の採用などが進んでおりますが、その知見を十分に活用できるよう、都の一般の職員の皆様の資質向上など、体制強化も必要だと考えております。
コアプロジェクトの一つであるDX推進体制構築プロジェクトにおいてどのように取り組むのか、都の見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 都政のデジタルトランスフォーメーションを徹底していくためには、それを活用する職員のICTに係る能力の向上が重要であるため、DX推進体制構築プロジェクトにおきましては、外部人材の活用に加え、内部職員向けに、デジタルトランスフォーメーションの意義や具体的な手法等を学ぶ研修の拡充について検討してまいります。
○藤井委員 研修等で職員の皆様の知見を高めつつ、採用した民間からの職員であったり、外部の方々と協力をして事業を進めていただくということ、先ほど申し上げたとおり、主体性を持って進めていただくことを期待しております。
都庁にはITエンジニアが圧倒的に不足しておりますので、外部人材を積極的に活用する必要があります。場合によっては、外国人のエンジニアの方というのも採用する必要があるんじゃないかなというふうに考えております。
これまでも戦略政策情報推進本部や総務局人事部とやりとりをしてきましたが、法律の壁もありまして、パートタイムで外部人材を採用する場合というのは、あくまで監督者がいて作業してもらうというか、意思決定ができないというような課題がありました。これは法的な課題だというふうに認識をしております。
構造改革推進チームには、そういった壁も積極的に超えていただくことを期待しているところであります。
既存の制度を十分に活用していただくことに加えて、現在の法律の枠組みを超えてしまうようなことに関しても、民間人材がシステム面において意思決定できる仕組みを国に提案するなど、しっかりと連携をしてやっていただきたいと思います。
今回の資料の中では、行政のデジタルシフトに対するおくれへの強い危機感というものが示されております。
東京の行政のデジタルトランスフォーメーションを実現するためには、都だけではなくて、多くの窓口業務を持ちます区市町村との連携、デジタル化というのが重要であります。
都は、行政手続のオンライン化を進めておりまして、こうした取り組みは区市町村への波及効果も視野に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 都が行っている行政手続には、区市町村を経由するサービスが多いことから、デジタル化に当たりましては、業務の実態や課題などを具体的に検証するなど、区市町村と精力的に調整を行いながら進めてまいります。
また、都におけるデジタル化の事例や具体的な手法を区市町村に提供するなど、専門的な情報を含めて共有を図ることで、区市町村におけるデジタル化を促してまいります。
○藤井委員 これまでも、宮坂副知事であったり、戦略政策情報推進本部が中心となって、区市町村との勉強会を開いて、連携していることは聞いております。
さらに、現在の国のデジタル庁の動きであったりとか、総務省の自治体システムの標準化、そして自治体クラウドを見据えた動きというのも出てきていると聞いておりますので、さらに密に連携をしていただくことを要望させていただきます。
次に、構造改革の一つの例として、ちょっとご提案をさせていただきたいと思います。
先日、都庁のホームページの上に、新型コロナウイルス関連の各局横串のAⅠチャットボットというものができまして、ホームページの上から各局への質問をすることができるといったものができ上がっております。
これも二年前の私の一般質問で提案した各局横串のものをつくってほしいという提案が、今回コロナという形で実現したものだというふうに認識をしております。
構造改革においては、AI等の新しい技術を活用して、都民からの問い合わせなど定型業務を減らしながら、都民サービスを向上させるということに努めることが重要だと考えております。
都政の構造改革は、都民のクオリティー・オブ・サービス、QOSの飛躍的な向上を目指すと掲げられておりますので、例えば、今のAIチャットボットに加えて、民間企業さんでは今、ホームページに行くとチャットが開いて、そこでこういうものが欲しいんですというやりとりをすると、何か提案をしてくれる。パソコンの会社のHPさん、デルさんとかというところだと、そういったものをやったりとか、さまざまなところがそういうものを用意しておりまして、これは何がいいかというと、お客さんがホームページに訪れたときに、その場ですぐ問題解決できる。電話をするという一つ別のアクションをすることなく、そのまま問題を解決できるということで、顧客の満足度にもつながりますし、企業としては販売につなげることができるというもので、顧客サービスを向上するとともに、さらにはコールセンターで今まで受けていた電話での対応というのを減らすことができますので、生産性を上げることができるというのが一つあると思います。
同じように、都庁におきましても今後、オンラインチャットを活用して、全庁のコールセンター業務を統一して、効率化、生産性向上を検討することも考えられるのではないでしょうか。
これまでの取り組みを、全庁に横串を刺して一歩踏み込んだ取り組みに進化させていくことが重要な視点と考えますが、都民サービス向上のための構造改革推進チームとして、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 お話の自動応答での相談や、複数の行政分野をまとめた相談対応などは、まさにICTやAIなど、デジタルの力によって初めて実現の可能性が出てくるサービスであり、仕事の仕方そのものが大きく変わってくるものと考えております。
こうしたICTを活用する中で生まれてくる新しいサービスのありようについて、先行事例を参考に、関係局と連携しながら全庁的な展開について検討してまいります。
○藤井委員 加えてもう一点なんですが、ぜひ議会とのやりとりもデジタル化してほしいなと思っております。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言下でも、やはり都庁の皆様とのやりとりは、どうしても都議会の方に来てやりとりをする必要があって、ズームなどのウエブ会議をすることはできなかったというところがあります。
今後の、第二波なのか第三波なのかわかりませんが、そういったものに備えて、まずは試行的にでも、例えば構造改革推進チームとのやりとりをウエブ会議などでできればいいなと思っております。
特別なものを用意していただく必要はなくて、これから多分民間の方々とやりとりしようとしているもの等あると思いますので、そういったもので構いませんので、ぜひ検討というか、まあ、あれでしたら、私がモデルとしてやらせていただければなと思いますので、ぜひ試させていただければと考えております。(「いいよ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
都政の構造改革は、これまでの都政改革の歩みを発展、継承させていくという記載がこちらの資料にはございました。
コアプロジェクトをよく見てみますと、これまでの二〇二〇改革であったりとか、新たな都政改革と同じテーマに見えるものがありまして、その違いがちょっとわからないなと思うところがございましたので、確認をさせてください。
二〇二〇改革の取り組みの中でも、三つのレスについて進めてきたかと思います。
今回の構造改革では、ファクスレス、タッチレスというものを加えて、五つのレスとなっておりますが、これまで都政改革を進めてきた総務局さんとのやりとり等で、三つのレスについては、これまで最大限のスピードでやっていて、これ以上前倒しは厳しいという話も聞いておりました。
構造改革として取り組む以上は、項目をふやしただけではなくて、これまでの取り組みをさらに進化させていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 これまでの都政改革では、業務改革の取り組みとして、判こレス、ペーパーレス、キャッシュレスの三つのレスに取り組み、一〇%台だった電子決定率が六五%になるなどの成果を上げてまいりました。
今回の都政の構造改革では、これに新型コロナウイルス対応で明らかになったファクスレス、タッチレスの二つの課題も加え、五つのレスとして取り組んでいくこととしております。
取り組みに当たりましては、新たな視点として、仕事の仕方やさまざまな制度の抜本的な見直しを進めるとともに、デジタルツールの活用を徹底することなどにより、各種手続の簡素化につなげ、都民サービスの向上を図ってまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
続きまして、行政手続のデジタル化、これもコアプロジェクトにあるんですが、これまでもずっと取り組んできた内容だと思っております。
コアプロジェクトに選定したことから、これまで以上にどう加速して取り組むのか伺います。
〔委員長退席、本橋副委員長着席〕
○神永構造改革担当部長 行政手続のデジタル化につきましては、構造改革推進チームが各局と連携し、都民、事業者から申請の多い百六十九の手続のうち、都の権限で実施可能な百十九の手続について、年度内にデジタル化に着手していくことといたしました。
また、法令等に基づき、国が定める手続などについても、デジタル化に向けて、関係機関と精力的に調整を進めてまいります。
○藤井委員 百十九個の手続を、年度内に前倒ししてデジタル化に着手するということで、さらに、これまで対象外だった法令等に基づき国が定める手続についてもデジタル化の対象にするということで、こちらはすごく期待をしております。
もう一点、済みません、同じような話なんですが、内部管理事務抜本見直しプロジェクト、これも総務事務改革として取り組んできた内容なのかなと、総務事務センターを設置するなど進めてきた内容かと思うんですが、これまでの取り組みとの違いをお伺いします。
○神永構造改革担当部長 内部管理事務抜本見直しプロジェクトは、いわゆる総務事務のみならず、契約、支出、文書など、都庁の内部事務全般を対象として、デジタル化を前提とした制度の抜本的な見直しを進めるものでございます。
見直しに当たっては、デジタル化により事務がスムーズに流れていくよう、プロジェクト推進チームにおいて、関係局と連携しながら検討を進めてまいります。
○藤井委員 これまでの総務事務に加えて、契約、支出、文書などの内部事務全部を対象として、制度の抜本的な見直しを図っていくという点が新しい点だというふうに理解をさせていただきました。
続きまして、オープンデータについてお伺いいたします。
オープンデータ徹底活用プロジェクトというのがありますが、これも、二〇一七年に制定しました東京都ICT戦略でも大きく取り上げられておりまして、東京都のオープンデータのカタログサイトというのもありますし、これまで、数を決めて着実に進めてきた内容だというふうに認識をしております。
これまでの取り組みとの違い、お伺いいたします。
○神永構造改革担当部長 コアプロジェクトの一つであるオープンデータ徹底活用プロジェクトは、都が保有する多岐にわたる行政データを公開することで、民間のアイデアを生かした新たなサービスを生み出し、都民サービスの向上につなげていくものでございます。
このため、さまざまな民間企業等と意見交換し、活用ニーズを把握しながら、有用なデータを提供していくことで、その効果を高めていくことを考えております。
○藤井委員 おとといの水曜日、感染防止徹底宣言ステッカー、いわゆる虹色のステッカーでありますが、これを張り出している事業所のオープンデータというものが公開をされました。
約二十万件ほど登録があるとのことですが、公開されたのは、その全体のうちの三分の一です。三分の一の七万件のみでした。
これは当初オープンデータ化するということを想定しておらず、登録者から第三者提供をするということの許諾を得ていなかったということで、後から始めた七万件だけが公開できたというような状況になっております。
いろんな事業者さんに地図のデータを渡すことで、今ある例えば食べログさんみたいなサイトであったりとか、そういったサイトにデータを反映させることができるんですが、そういった事業者の皆様から、やっぱり全てのデータがそろっていないと説明がつかないし、なかなかちょっと使いにくいというようなお話も聞いているところであります。
今後、東京都が取得するさまざまなデータについては、オープンデータ化を大原則、前提とするといったような入り口での対応というのを強く要望をさせていただきます。
そして、さらに、既存のデータ、今皆様が持っているデータについても、各局にあるデータをオープンデータ化するんだといって単に集めるだけでは、本当に使えないものになってしまいます。
データをきれいにして、使える形、一般的にクレンジングとかっていわれますけれども、そういうことをする必要がありまして、それには結構、人手、多くの手間と時間が必要になります。
オープンデータ化には専門の部隊が必要であると考えますが、どのような体制で取り組んでいくのかお伺いいたします。
○神永構造改革担当部長 理事ご指摘のとおり、オープンデータの効果的な推進に当たっては、専門的な知見を活用しつつ、有用なデータを公開していくことが重要でございます。
オープンデータ徹底活用プロジェクトを効果的に推進するため、民間から登用したICT専門人材を含めたチームを編成し、一体となって検討を進めてまいります。
○藤井委員 全てを自前で、中にいる職員でやろうとすると、幾ら手があっても足りない状況になると思います。外部の事業者の活用も考えるべきと要望させていただきます。
データは二十一世紀の石油といわれておりまして、石油と同じく精製をすることで価値を生み出していくものであります。稼ぐ東京を実現するためには、そういったデータをつくり出す企業を都が育てるという観点も必要だと指摘をさせていただきます。
スタートアップ、シビックテックとの協働推進のコアプロジェクトについて、ことしの予算特別委員会の質問で私も提案させていただきました。コアプロジェクトの一つになったことを大変評価をしております。
スタートアップやシビックテックとの協業は、全てのコアプロジェクトへの共通項として捉えることができるのではないかと考えておりまして、構造改革を推進するためのスタートアップやシビックテックの積極的な活用について見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 スタートアップやシビックテックは、今後、都がさまざまな行政課題を解決していく上で重要なパートナーになると考えております。
今回報告させていただいた未来の東京を見据えた都政の新たな展開についてにおいても、スタートアップなどのアイデアを生かし、社会の課題解決や行政サービス向上につなげていくことを、東京の発展に向けた視点に掲げております。
今後、スタートアップ、シビックテックとの協働推進プロジェクトで得られた成果を全庁的に展開するとともに、他のコアプロジェクトにおいても、民間の力を生かしてまいります。
○藤井委員 シビックテックの活用に関しましては、都庁で唯一、政策企画局の戦略広報の方で、新型コロナウイルス感染症対策サイトの中で、コード・フォー・ジャパンさんと取り組んでいるところだと認識をしております。
改善を繰り返したデザインを評価されまして、ちょうどきのうですか、グッドデザイン賞ベスト百を受賞したという話も聞いております。
一方で、費用面であったりとか、契約面など、都として今後検討すべき課題も出てきているのではないかと思いますので、そういった学びをまず参考にしながら進めていただきますようにお願いをいたします。
また、スタートアップ企業の方からは、都の現行の入札制度では、大企業しか受注ができないのではないかというようなお話をよく伺います。新しいテクノロジーを持ったスタートアップやシビックテックの力を活用して、彼らの機動性を十分に発揮するためにも、柔軟な契約制度を導入する必要があります。
制度をゼロベースから見直していくのが構造改革の大前提だと思いますが、これらの課題をどのように解決していくのか、見解を伺います。
○神永構造改革担当部長 都政の構造改革の推進に当たっては、従来の発想を転換し、仕事の進め方や制度、仕組みなどを抜本的に見直すこととしております。
制度を所管している政策企画局、戦略政策情報推進本部、総務局、財務局が一体となって、都政の構造改革推進チームを構成しており、ご指摘の契約制度につきましても、課題の洗い出しとその解決に向けた方策をともに検討していくこととしているところでございます。
○藤井委員 これまでの大企業を優先した契約制度から、スタートアップを優先に切りかえるぐらいの思い切った方針転換を考えていただきたいと思います。
コアプロジェクトを初めとしました都政の構造改革、これの今後の展開についてお伺いさせていただきます。
○神永構造改革担当部長 先日、構造改革全体を先導し、強力に推進するため最優先で取り組む七つのコアプロジェクトを選定したところであり、今後、各局におきましても事業に応じたプロジェクトを立ち上げ、積極的に展開していく予定でございます。
構造改革推進チームを軸にスピード感を持って取り組みを推進していくとともに、都庁全体での具体的な展開に向けた都政の構造改革実行プラン、仮称でございますが、こちらを年度内に取りまとめてまいります。
○藤井委員 都政の構造改革に続きまして、社会の構造改革についてお伺いをさせていただきます。
社会を変えるというのは、東京都にとってもすごく挑戦的で、本当に難しい内容だなというふうに考えております。
九月九日に有識者会議が開かれまして、委員の皆様からさまざまな東京に対する厳しいご意見、すばらしい意見が出ておりました。
単に意見を聞いて終わりにするのではなくて、これらの意見をどのように都政運営に生かしていくのかということが重要だと考えております。
今後の有識者会議、有識者の意見の取り扱いについてお伺いいたします。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長兼務 九月の会議では、我が国のデジタルトランスフォーメーションが決定的におくれているという厳しいご指摘や、海外からすぐれた人材、企業を呼び込む上での課題など、社会システムの大きな変革につながる貴重なご意見を頂戴いたしました。
これら有識者からの意見については、十月九日の第二回会議での議論の内容も踏まえ、今月末を目途に取りまとめる予定でございます。
こうした意見を庁内で共有し、世界に視野を広げた議論を重ねることで、都政運営の変革につなげるとともに、長期戦略の策定に最大限生かしてまいります。
○藤井委員 これまでも、さまざまデジタル化にかかわる有識者会議が幾つも開催されてきました。
その中で有識者の皆様は、今回と同じように、幅広い視点からすばらしいご提案、ご提言をされていたように認識をしておりますが、それを受けとめる都庁の方で、実際の計画になるタイミングだったり、戦略になるタイミングで、やはり既存の事業を単に並べただけに見える戦略や計画を公表することが結構あって、私は非常に残念に思っておりました。構造改革においてはそうならないようにしていただきたいと思います。
話はちょっと横道にそれてしまいますが、今回の有識者会議では、議事録作成にAIを活用して、議事録の作成時間を大幅に短縮しているとのことであります。
これまでの会議だと、議事録が公開されるまでに多くの時間を要していましたので、そのことを考えますと、すごく大きな進歩かなと思っておりまして、全庁での利用が広がることを期待しているものです。
今回、議事録作成にAIを活用した狙いとその効果についてお伺いをさせていただきます。
○宮武長期戦略プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長兼務 構造改革を議論する会議であるからこそ、率先して先端技術を活用することが重要と考え、今回の会議では、全ての委員にオンライン形式でご参加いただくとともに、試行的にAIを活用して、スピーディーに議事録を作成することとし、会議翌日にはホームページに速報版として議事録を掲載いたしました。
AIを活用した議事録作成については、現状、再現率などに課題は残るものの、会議結果を速やかに広く都民等と共有するという観点から、効果があったものと考えております。
○藤井委員 まだ課題もあるということでした。
私も音声認識の文字起こしのツールというものを使ったことはありますが、やはり結構、認識を間違えてしまって、手で直したりとかすることが必要にはなるんですが、聴覚障害で音が聞こえない方であったりとかには、やっぱり多少不正確であっても、すぐに文字を確認できるということは、非常に価値が大きいことだと思っております。
例えばですけれども、知事の記者会見の速記録など、積極的に活用することを期待しております。
最後になりますが、コロナ禍にあって、デジタル化にとどまらない構造改革は待ったなしであります。構造改革の推進と都政の新しい羅針盤となります長期戦略の策定に当たっての政策企画局長の決意を伺います。
○中嶋政策企画局長 新型コロナウイルスとの厳しい闘いを通じまして、デジタル化のおくれなど、我が国が抱える構造的な課題が改めて浮き彫りとなりました。国難ともいえる危機に直面している今を変革の契機と捉え、理事ご指摘のように、スピード感を持って制度の根本にまでさかのぼって、社会と都政の両面から構造改革を進めていくことといたしました。
社会の構造改革につきましては、ポストコロナを見据えた東京と日本の新たな成長の原動力につながる社会システムの変革を促すため、デジタル化の加速や産業構造の変化への対応など、大胆な発想と視点に立って、有識者と議論を重ねてまいります。
また、都政の構造改革につきましては、クオリティー・オブ・サービス、すなわち都民サービスの質を飛躍的に向上させるため、最先端技術の活用等により、我々職員一人一人の生産性を高め、都民のために都庁の仕事をよりクリエーティブなものに向上させてまいります。
この二つの構造改革をてこといたしまして、新しい日常にふさわしい戦略を練り上げることで、未来の東京戦略ビジョンをバージョンアップし、今後の都政の羅針盤となる長期戦略を年度内に策定してまいります。
新型コロナウイルスを乗り越え、東京の未来を力強く切り開いていくため、都庁の総合調整機能を担う私ども政策企画局みずからが汗をかきまして、先頭に立って取り組んでまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
コロナの危機的な状況を受けて、小池知事が選挙公約に掲げた行財政改革、構造改革というのは、待ったなしの状況であります。
知事選では三百六十六万一千三百七十一票という圧倒的な都民の皆様のご支持で当選をさせていただいておりました。都民の皆様の期待の高さが伺えるところです。
構造改革は、これまでの二〇二〇改革、都政改革等を踏まえつつも、その延長線上ではなくて、都庁のマインドを根本から変えていく必要があるというふうに考えております。
知事が掲げました構造改革は、単なるデジタル化だけではなかったはずでありまして、いまだデジタル化以上のものが具体的には見えていないところに少し心配をしておりますが、先日の我が会派の代表質問で、危機に即応した迅速な人員配置や都庁組織の再編、外郭団体の統廃合による業務の効率化などに取り組んで、あらゆる取り組みを加速化していくというご答弁と、本日の質疑で明らかになったことで、大いに期待をしているところです。
都庁の総合調整機能を担います政策企画局の皆様が、みずから汗をかいて先頭に立つという今の局長のご答弁に大きな期待を寄せまして、質問を終えさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○清水委員 私からも、未来の東京を見据えた都政の新たな展開についてお伺いしたいと思います。
ただいま藤井理事さんの方から大変詳しく内容の方のご質疑がございました。
私はどうも横文字の方が余り得意じゃないんですが、今までいろいろな思いを持ちながら、こういったさまざまな計画づくりについて取り組んでまいりましたので、そういったことを生かして、ちょっと概略的な質問をさせていただければなと思っております。
常々、私はこの仕事をやっていて、都庁の職員の皆様からさまざまな政策ですとか事業のご説明を受けるときに、いつも心がけていることがあるんですが、さて、じゃあこの事業や政策を都民の皆さんから私が質問を受けたときに、しっかりとわかりやすく答えることができるだろうかと、そういうことを念頭に置きながら皆さんとやりとりをさせていただいているつもりでおります。
したがって、大分初歩的なことも改めてお聞きすることがあったかと思いますが、これからもご容赦をいただければなと思うわけでありますが、そういったことを念頭に置きますと、今回ご報告がありました都政の新たな展開についてですとか、この冊子ですよね、それとか昨年発表になりました未来の東京戦略ビジョン、そしてこれから策定されます東京都の長期戦略、この三つの冊子の関係というのが、果たして都民の皆さんにぴたっと説明ができるか、あるいは理解していただくことができるのかなと思うと、ちょっと心配が頭の中をよぎるわけでございます。
そこで、改めてちょっと最初で恐縮なんですが、この三つの冊子について、それぞれどのような関係性があるのかご説明いただければなと思います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 昨年十二月に未来の東京戦略ビジョンを策定し、目指すべき未来を想定して、現在からそこに至る道筋を逆算して定めますバックキャストの視点を用いて、我々が目指す二〇四〇年代の東京の姿や、その実現のための二〇三〇年に向けた戦略と実行のためのプロジェクトをお示しいたしました。
現在、この戦略ビジョンをもとに内容のバージョンアップを図り、東京の未来を切り開く羅針盤となる長期戦略を策定する予定としております。
八月に策定した未来の東京を見据えた都政の新たな展開については、新型コロナウイルスとの闘いで浮き彫りとなった社会の大きな変化や課題を踏まえ、新たな都政展開の方針を指し示すとともに、長期戦略の策定に向けた検討の方向性を整理したものでございます。
○清水委員 ありがとうございました。部長の方から丁寧に説明を受けたわけでございますけど、確かに今おっしゃったようなことを文字で起こしていただければ、理解できないことはないのかなと思うんですけど、なかなか口で説明して、その関係性をぴたっと都民の皆さんにわかっていただけるのかななんて、率直な感想で済みません、思ってしまいました。
例えばなんですが、今回の都政の展開の方針を示すといわれている新たな展開についてというこの冊子でございます。このタイトルの前に未来の東京を見据えたというのが入っております。そしてまた、昨年発表になりました戦略ビジョンも未来の東京というのが入っておりまして、そういったこと、タイトル一つとっても、タイトルから一目瞭然にその冊子の中身がわかるようなこととはちょっと違っているのかなというふうな思いがしてなりません。
例えば、今回この委員会に報告されております新たな展開についてということでございますが、これも、私も一応、一通り目を通させていただきました。
さまざまな新しい用語、あるいは戦略ビジョンから引き継いでいるものの抜粋とかも書いてありまして、調べれば非常になるほどと合点がいくようなことが多いかと思いますが、これは果たしてどなた様向けにこの冊子は皆様方おつくりになったのかというところをお聞きしたいと思います、あえて。
これは職員の皆様向けの内部資料なのか、それとも我々議会に説明するための資料なのか、それとも都民の皆様に発している、作成した資料なのかというところでございます。よろしくお願いします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 新型コロナウイルスとの闘いを乗り越え、未来の東京を切り開くための都政を展開していくに当たりまして、都の方針を都民の皆様にお知らせするとともに、長期戦略策定に向けて都庁内に方針を示すものでございます。
○清水委員 おっしゃるとおり、やっぱりこれは都民の皆様に向けて作成をしたというふうなことだと思います。確かにこれからの行政計画をつくるというのは大変な作業なのかなと思いました。
私もこの仕事をもう二十年前からやっているんですが、当時は十年、少なくとも三年ぐらい前は、何となく世の中がどうなっていくのかなというのを皆様方も予想がついたのかもしれませんが、こういったまさに先行きが全く不透明な中で、これからのこれだけの大東京の計画をお立てになるというのは大変なことなのかなと、これは本当に思っている次第でございます。
しかしながら、新しい都政をしっかりと進めていくためには、やはり都民の皆さんに納得していただいて、そして共感を得なければ、これは全く目標が達成できるはずもございませんので、ぜひとも今後策定されます長期戦略の策定に当たっては、都民の皆さんにわかりやすく伝えるという視点も持っていただいて、つくっていただければなと、検討を進めていただければなと思う次第でございます。
それと、皆様方、そして私たちがただいま検討しております行政内のいわゆるさまざまな総合計画的なものにつきましては、一般的にはこれまでは自治法で基本構想というものが定められておりました。その規定もなくなりましたが、しかしながら、一定の基本構想があったり、あるいは基本計画であったり実施計画があったりと。それに基づいて予算が編成されたというふうな、そういった一つの何か政策ツリーみたいなものが存在していたのかなと思います。
確認も込めてなんですが、今話題になっております未来の東京を見据えた都政の新たな展開について、この冊子なんですけど、これは、そういったさまざまないわゆる行政の基本的な計画の中のどういうふうなものになるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 今回ご報告させていただきました未来の東京を見据えた都政の新たな展開についてでございますが、今後長期戦略の策定を進めるに当たりまして、新型コロナウイルス感染症がもたらした変化や課題を踏まえた検討の方向性や視点などを整理したものでございます。
○清水委員 ありがとうございます。そういった意味では、先ほど来、藤井理事からも、質疑のやりとりの中で出てまいりました。いろいろと、アジャイルって新しい言葉も勉強させてもらいましたが、そういった意味で、計画を策定している間にさまざまな、今回はコロナというふうなことでございましたが、新しい計画を策定するに当たっての影響が出てきてしまうということに向かって、これからの方向性等をこういった冊子等でお示しをいただいたのかなと思います。
繰り返しになりますけど、五年先、わかりませんよね、どうなるか。その中で、やっぱりこういった形で皆様方がお知恵を絞って、真摯に新しい東京をつくるんだということで計画に向き合っているということは、非常に私は評価しているつもりでおりまして、ちょっと言葉が足りないかもしれませんが、加えて、やはりアジャイルという考え方についても一定の理解は示しているものでございますので、ぜひともご安心いただいて、策定を進めていただければなと思う次第でございます。
次に、ちょっとお伺いしたいんですが、今後策定するいわゆる長期戦略につきましては、どのような内容を盛り込む予定なのか伺いたいと思います。
特に、こういった形で新しい一定の方向性を確認する上で、新たな展開というふうなこの冊子をお出しになりました。これを出したことによって、未来の東京戦略ビジョンからダイレクトで長期戦略を立てるということではなくなったわけでございますけど、これが入ったことによって、どのような戦略になっていくのかというのを、異なる部分についてはちょっとお示しをいただければなと思います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 現在策定を進めております長期戦略につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響なども踏まえまして、戦略ビジョンで示した政策のバージョンアップを図るとともに、戦略やプロジェクトを具体的に推進するための三カ年のアクションプランを盛り込むこととしております。
○清水委員 重ねてお伺いしたいんですけど、今、部長の方からバージョンアップというふうなご答弁がありましたけど、具体的にどのような観点でバージョンアップをしていかれるのかお伺いしたいと思います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 新型コロナウイルスとの闘いの中で生じた社会の変化や課題を踏まえまして、まず、行政の徹底したデジタルトランスフォーメーションの推進や教育のICT化、新しい働き方の定着といった取り組みをさらに加速、定着させるべきもの、次に、子供や子育て世帯へのサポートや第二の就職氷河期世代を生み出さないための雇用対策といった内容を深化、展開させていくべきもの、そして、感染症対策の強化や複合災害への備えなど新たに生じた課題への取り組みを進めるべきもの、これら三つの方向性を持ちまして、戦略ビジョンの内容をさらに高めてまいります。
○清水委員 部長の方から明確に三つの方向性のバージョンアップのご答弁を頂戴いたしましたので、よく理解をさせていただきました。
今回の都政の新たな展開では、長期戦略策定に向けた検討の方向性ですとか、あるいは視点を示されておるわけでございますけど、これは当然お示しいただいただけでは意味がないわけでございまして、先ほど来お話が出ているとおり、その所管の事業を取り組む各局としっかりとコミュニケーション、意思疎通を図って、具体的な検討を進めていっていただければなと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
次に、新たな展開の中に、サステーナブルリカバリー、持続可能な回復というふうな文言がございましたので、その点をお伺いしたいと思います。
このサステーナブルリカバリーの視点を取り入れることによりまして、今後策定する予定の長期戦略にどのような影響が出てくるのかなということをまずはお伺いしたいと思います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 今回お示しいたしましたサステーナブルリカバリーの視点を横軸といたしまして、都政全般にわたって各局が検討を行うことで、持続可能な都市東京の姿やそのための具体的な取り組みについてバージョンアップを図ることができまして、長期戦略に盛り込んでいくことができると考えております。
○清水委員 今、部長の方からご答弁いただきました。確かに答弁となると、そのような言葉になってしまうのかなと思いますが、私、持続可能な回復ってどういう意味なのかということをちょっとかみしめてみたわけでございまして、多分、持続可能な、そして回復ということになると、これは単なる新型コロナウイルスによる影響からの回復ということにとどまらないんじゃないかと。
都政のその進む先には、あるべき姿というのを小池知事以下、皆さん、何というんですかね、理想郷というんですかね、そういったものをお持ちになっているのかなというふうにおぼろげに考えているんですね。
私なんかも、ちょっと余談になりますけど、私は三多摩地域の立川に住んでいるわけでございますけど、先輩諸氏から三多摩格差の解消をどう進めるんだという話もよくある一方で、いや、もう三多摩格差という言葉は古いんじゃないかと。二十三区には二十三区のよさ、そして三多摩地域には三多摩地域のよさがあるんじゃないかというふうなことなのかなと思っています。
ポストコロナの時代は、都心から、あるいはそういった自然豊かなところに移り住む方も出てくるんじゃないかななんていわれている中で、やっぱり三多摩には、ある意味私にとっての、ここで説明すると長くなりそうだから申し上げませんが、理想郷があるような気がしてなりません。
そういった意味につきましては、こういった持続可能な回復という言葉だけではなく、ぜひともそういったその先にどんなものがあるのか、それがまさに長期戦略の中に示されてくるのかなと思いますけど、期待しておりますので、ぜひとも皆さんで頑張っておつくりいただければなと思うわけでございます。
そして、サステーナブルリカバリーの中の、七ページなんですけど、取り組みのイメージというふうなタイトルで六項目示されているわけでございます。
一つ一つ読ませてもらいましても、これに書かれていることを正面から否定される方は、どなたもいらっしゃらないのかなと思います。
私どもの選挙公約みたいな文言が載っているわけでございまして、多分あくまでもサステーナブルリカバリーというふうなことに対して、一つの例示、たくさんある中の六つだけここにピックアップして、お示しいただいたのかななんて思っております。
議論の出発点として、この冊子に示されたのかなと思うわけでございますが、今後どのように具体化していくのか、非常に気になるわけでございます。そういった意味で、各局との調整なども含めて、推進方についてご説明いただければなと思います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 今回の都政の新たな展開でお示しいたしましたのは、サステーナブルリカバリーの視点からの取り組みイメージでございまして、例示したものでございます。
今後、この内容を踏まえまして、各局と精力的に議論を行いまして、今、理事からお話がございました二〇四〇年代の目指す東京の姿であるとか、二〇三〇年に向けて取り組む政策を具体化し、長期戦略に盛り込んでまいります。
○清水委員 ありがとうございました。
きょうは他の委員からの資料の中で、今後、長期戦略の策定の進め方について、令和二年度内に長期戦略が公表されるというふうなことも示されておりました。
ぜひ関係各位ともよく連絡調整をとりながら、ぜひともすばらしい戦略ができますことを期待申し上げます。
以上でございます。
○のがみ委員 私の方からも、未来の東京を見据えた都政の新たな展開について質問をしていきたいと思っております。
今回理事者から報告があった未来の東京を見据えた都政の新たな展開については、今後の都政の大きな方向性を指し示したものとの説明がございました。
ちょっと振り返ってみます。
昨年の九月二十日、日本対ロシアのラグビーがございました。私も会場に駆けつけておりまして、三十対十で日本が勝ち、すごく盛り上がって、その後、私は釜石の鵜住居にも行きました。本当にラグビー漬けの楽しい毎日を送っていました。
ラグビーワールドカップが大成功に終わり、次はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックに向けて、夢と希望がありました。破竹の勢いでした、都政も。未来の東京戦略ビジョンが作成されたのは昨年十二月、そのころでございます。
ところが、ことしに入り、新型コロナウイルスとの闘いが続く中で、私たちはさまざまなことを経験してきました。
私の立場からいうと、議員をやっているので、新年会やそれぞれの団体の総会や町会の総会、さまざまなイベントが中止になる。それから、いつも行っていた卒業式や入学式も参加を控えてくださいということで、行かなくなる。いつも忙しい三月、四月が自粛になりました。
電車の中は、大体一両当たり八人ぐらいしかいないんですよ。みんな端っこに座っていて、何か満員電車ではないなというイメージでした。
それから、LINEやズームの会議が本当にふえて、どこにいても、車の中でも、また、ほかの地域にいても、会議ができる状況になりまして、逃れられないなという感じになりました。
会社関係では、行政の手続がおくれて、大変困難な状況に追い込まれている会社があり、苦境に今でもあえいでいます。
また、私はずっとDVに対していろいろ今までやってきた経験がありまして、相談が大変多くなって、暴力から逃れるために、私の住んでいる葛飾の地から他の区市、あるいは他県に逃がしたり、それなりに大変な時期を経験いたしました。
また、飲食店の経営危機、感染拡大防止協力金の手続を含めて、いろんな飲食店に行って周知をしたりとか、そういうことがずっとございました。
これらのよいことも悪いことも、経験から得たものを都の政策展開に生かしていくものだと認識しております。こうした点から、何点か掘り下げて伺います。
まず最初に、この変化と課題についての問題意識についてお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 新型コロナウイルスは、老若男女を問わず、東京で働き暮らす全ての人の生活に大きな影響をもたらしました。
そのため、今後の都政の羅針盤となる長期戦略の策定に当たりましては、現在も闘いのさなかである新型コロナウイルスの影響を考察する必要がございます。
特に顕著な影響が見られた働き方を初め、経済、雇用面における変化や課題に加え、大きな影響を受けた、人に着目しまして、子供や子育て世帯、高齢者、障害者、外国人などへの影響を取り上げました。
作成に当たりましては、官民のデータなど数値的な根拠を図表等で示しながら、できる限り客観的でわかりやすい内容となるよう努めたところでございます。
○のがみ委員 私も、未来の東京を見据えた都政の新たな展開についてをよく隅から隅まで見ましたけれども、新型コロナウイルスがもたらしたさまざまな変化や課題が非常にわかりやすく表現されていると感じました。
その中でも特に、二〇ページ、二一ページの子供への影響、これについて着目していきたいと思っております。
三月上旬から一斉に休校措置となり、保育園への登園、これも区によって対応がまちまちでした。私の住んでいる葛飾区は、保育園をずっとやっておりました。受け入れておりました。しかし、ほとんど休園の区市もあったと聞いております。自粛要請が多く見られた中で、未就学のお子さんから小中高生まで、子供の生活への影響は本当に大きいものがあったのではないかと憂慮していたところでございます。
そこで、コロナ禍において、都は、子供に与えた影響をどう捉えているのか確認しておきたいと思っております。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 コロナ禍におきましては、ご指摘のとおり、三月上旬から小中高の学校が一斉に休校となるとともに、ほとんどの保育園などにおいて登園自粛の要請がなされたことで、子供たちが長期間自宅で過ごすことを余儀なくされました。
小学生から高校生までを対象としたアンケートによりますと、友達と会えない、学校に行けない、外で遊べない、勉強が心配などの困り事が挙げられております。また、コロナへの不安、集中力の低下、すぐにいらいらするなど、心への影響を訴える子供の割合も高かったところでございます。
こうしたデータから、コロナ禍において、多くの子供がストレスや不安を感じていたと認識しております。
○のがみ委員 ふだん友達と一緒に遊んだり、学んだりする場である学校が、急に休校となったわけですから、子供たちも、まあ、初めは喜んでいた子もいますけれども、ショックな気持ちは非常によくわかります。
卒業式は保護者の人数を限定して行ったり、新入生に教科書を配ることもできなかったり、日常生活が大変に変化している中での休校でございました。こうした状況がこの資料からも見てとれます。
さらに、私は、特に子供の学習面への影響を憂慮しております。勉強が心配という困り事を挙げる子供も相当数いたとのことでございますが、コロナ禍にあっての教育、学習面での変化や課題について確認したいと思っております。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 コロナ禍における休校措置を受けまして、対面での学びの場を喪失し、子供たちは家庭での学習を余儀なくされました。
教育用端末の配備状況ですが、OECD平均で一・二五人につき一台であるところ、都立学校では四・二人につき一台、都内公立学校では五・二人につき一台など、国際的に低い水準となっております。
また、東京二十三区においては、学校の先生からオンライン授業を受けている割合が三割を下回っております。
こうした状況を踏まえ、都は、教育のICT化を強力に推進するTOKYOスマート・スクール・プロジェクトを大幅に前倒しして進めております。
○のがみ委員 教育のICT化は必要性が叫ばれて久しいですけれども、これまでなかなか進んでこなかったという実感がございます。
今回、私の選挙区である葛飾区の幾つかの小学校に直接訪問して、コロナ禍における教育の状況をヒアリングしてまいりました。
ICTを活用したオンライン授業を行っている学校はありませんでした。少なくとも私が伺ったところは全くありませんでした。
先生たちは何をしていたかというと、子供が家庭で学習するためのプリントを刷って、刷って、刷りまくって、教師が一軒一軒、家庭に配っている学校もありました。家庭訪問して、ポストに入れたりして。
また、教師が配らない学校は、その子の靴箱にそのプリントを置いておくので、学校にとりにいらっしゃいと。時間もずらして、とりに来るようにという、そういう指示をしていたところもあります。先生たちも本当に対応にさまざま追われておりました。
タブレットを活用したり、自宅のパソコンで授業をしているところは、本当に残念ながらないなと感じました。ほかの区はもっと全然違った対応をしていたかもしれませんけれども、私が伺ったところはそうでした。
一方で、以前視察した佐賀県の武雄市、これは児童一人一人にタブレットを渡して、ICTを活用したこれまでにない教育が進められておりまして、大変に感動を受けました。
いかなる時代にあっても、子供たちの学びをとめないことが重要であり、教育のICT化を強力に推進していってもらいたいと思っております。
ここまで、コロナ禍において子供の生活や学びの面でどのような変化や課題が生じたのかを確認してまいりましたけれども、課題は認識するだけにとどまらず、その対策を講じる必要がございます。
折しも先般、こども未来会議が開催され、コロナがもたらした変化と課題、それから今後の子供の子育ての課題、子供の笑顔のために求められるものの必要となる視点、アプローチ等について議論が交わされていました。
そこで、こうした取り組みも踏まえ、今後、子供の生活や教育における対策を充実強化し、取りまとめていくべきと考えますけれども、見解を伺います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 昨年末に策定いたしました未来の東京戦略ビジョンでは、政策面からの視点であるチルドレンを戦略の核の一つに据えまして、戦略1に子供の笑顔のための戦略、戦略2に子供の伸びる、育つ応援戦略を掲げ、子供分野を重要な戦略と位置づけたところでございます。
今後、今回取りまとめました新型コロナウイルスがもたらした子供たちへの変化や課題などを踏まえまして、お話の先般立ち上げたこども未来会議における議論も参考にしながら、子供のための政策を検討し、戦略ビジョンをバージョンアップして、長期戦略に反映させてまいります。
○のがみ委員 私も、こども未来会議を拝見いたしましたけれども、子供にかかわる有識者がそれぞれのその人自身の立場でいろんな知見を生かして、多様な意見を交わしているのが印象的でございました。
例えば、ある方は、長い休みが続くと、子供の筆圧が落ちていると。多分、鉛筆を持って、いろんな書いたり、そういうのが少なくなっているからだと思います。それから、時計が読めないことがわかったと。大体時計ってデジタルが多いので、普通の時計が読めないと。
東京都に子供用のホームページがあってもよいのではないかという提案をしている方もいらっしゃいました。それから、言葉は、子供向けの易しい言葉を使う必要性があるということもおっしゃっておりました。
それから、体力の低下が目立つということ--これは運動の機会が減ったからだと思います。それから、オンラインでの保護者会、子供がサッカーができる場所をつくってくださいと子供自身が陳情してサッカーができる場所をつくってもらった例などが話されておりました。
こども未来会議の議論も十分に生かしながら、長期戦略に子供の希望あふれる未来を描き、しっかりとした政策を盛り込んでいただきたいと思っております。
それと、その次のページになるんですけど、高齢者や障害者、外国人など、東京で暮らす人がコロナ禍で影響を受けているのではないかということも懸念をしております。
今回の報告などによると、オンラインでのコミュニケーションが徐々に進む一方で、六十五歳以上の高齢者の二七・六%は、一年間に一度もインターネットを利用していない状況であると。
また、障害のある方は、もともとコミュニケーションに配慮が必要な方が多いんですけれども、コロナ禍においては、外出先で声をかけ、手助けしてくれる人が少なかったという話も聞いております。
さらに、今まで取得した技能をコロナ禍の中で仕事に生かすことができずに、経済的にも困っている外国の方もいると聞いております。
このようにコロナ禍で顕在化した課題を含め、東京に暮らす方が安心してずっと暮らしていくことができる環境を整えていくべきと考えますが、今後の対応についてお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 ご指摘のように、コロナ禍におきましては、高齢者のデジタルディバイドによる孤立化の懸念や、マスクの着用が障害者にとってコミュニケーションを阻害する要因となるなどの状況が生じております。
在住外国人からは、生活困窮などの相談が都の窓口に寄せられるなど、東京で暮らすさまざまな人の生活に影響が及んでおります。
こうしたコロナ禍で顕在化した課題も踏まえつつ、高齢者、障害者、外国人など、誰もが安心して暮らせる東京の実現に向け、各局と連携して政策を検討し、長期戦略に反映させてまいります。
○のがみ委員 最後に、感染症が歴史を変えてきたということで、十四世紀にはペスト、顔が真っ黒になって死んでいくということで黒死病とかといわれていましたけれども、一三四八年から一三五〇年、約二年間ですけれども、ヨーロッパを中心に広がったと。致死率が五〇%から七〇%で、亡くなった方は三千万人といわれております。
十六世紀には天然痘ですね。これは、大体一五〇〇年の前半から、スペイン人によって中南米のインカ帝国等に持ち込まれて、やはり中南米の死者が三千万人といわれております。このことがきっかけで、インカ帝国が滅亡したということもいわれております。
十九世紀から二十世紀では、コレラがはやりました。一八一七年から一九二三年、これは六回、流行期が繰り返したわけですね。約三百五十万人が亡くなっております。この結果として、公衆衛生が改善され、パリでは下水道が整い、部屋に外気や光を取り込みやすくする窓の大きい住宅が建設されたと。
二十世紀になると、一九一八年から一九一九年はスペイン風邪、これは四千万人の方が亡くなっております。特に、九九%、六十五歳以下の若い世代が死亡しておりまして、十五歳から三十五歳の本当に若い人が多く亡くなっているということです。結果的には、このことで第一次世界大戦の終結が早くなったということもいわれております。
このように、今回の新型コロナウイルスが顕在化して、これからどうなっていくのかということもしっかりと課題の中に入れながら、誰もが安心して暮らせるような施策を長期戦略に盛り込んでいっていただきたいと思っております。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○米倉委員 私からも、「未来の東京」を見据えた都政の新たな展開について質問します。
まず、この新たな展開ですが、どういう経過で取りまとめることになったのか伺います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 本年に入りまして、新型コロナウイルスとの闘いにより、生活や社会にさまざまな影響が生じたところでございまして、これらの影響を踏まえた上で、今後の都政の方向性を指し示すために、未来の東京を見据えた都政の新たな展開を策定したものでございます。
○米倉委員 この間、未来の東京への論点ですとか戦略ビジョン、今回、新たな展開とつくっているわけなんですけれども、長期戦略は何を土台に策定をしていくのかと。これまで発表というか、公表されたもの全てを踏まえて、戦略のベースになるんでしょうか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 都は、昨年十二月に未来の東京戦略ビジョンを策定し、その中で、我々が目指す二〇四〇年代の東京の姿や、その実現のための二〇三〇年に向けた戦略と実行のためのプロジェクトを掲げたところでございます。
そのプロジェクトを推進するとともに、新型コロナウイルスで生じた変化や課題を踏まえた検討を進め、長期戦略を策定していくこととしております。
○米倉委員 コロナの影響が都民生活や社会に出たことを受けて、今回の新たな展開をまとめていらっしゃると。
これまでも位置づけてきたデジタル化などは、改めて今回強調されていまして、全部踏まえて戦略はつくっていかれるということなんですけれど、やっぱり今回の新たな展開なんかを見ていますと、デジタル化の推進の強調に比べて、都民の暮らしの困難に対しては、都として何を位置づけていくのかということが非常に弱いなというふうに感じています。
コロナの影響によって、都民の困窮や事業者が困窮に陥っていることなどは、どういうふうに認識されていますか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の拡大は、都民生活や都内経済に大きな影響を及ぼしておりまして、こうした状況につきまして、今回報告した都政の新たな展開の中でも分析しているところでございます。
○米倉委員 都民生活ですとか都内の経済に、大きな影響を及ぼしているということです。本当にそう思います。
全国ではコロナ禍で解雇者数が約六万人になっていると。ひとり親の方は、NPOの調査ですと、一三%が収入がなくなり、収入が減った世帯を合わせると七割にもなると。そういう状況の中で、約二割の世帯が一日の食事回数を減らしているという事態です。
学生の困窮も非常に深刻で、国は学生支援緊急給付金を行いましたけれど、要件も厳し過ぎて、学生団体の調査では、この給付金を受けられなかった方の六割が経済的な理由で大学をやめることを考えているということを答えるような事態だと思います。
今、都内では、全国でもなんですけれども、若者がフードバンク等、無料で食料を配布するということの取り組みも広がっていますが、ここに今の時点でも学生や若い親子が食料をとりに来ると。ベビーカーを押して、お母さんが来るというような事態があります。
そういう事態が広がっている中で、今回の新たな展開を見るときに、そういう困難に対して、東京都はどう責任を持った対策をするのかということを、ちょっと危機感を感じています。
長期戦略を策定するに当たって、都として、こういう実態にどう向き合うのか。人々の安心を支えるセーフティーネットを充実していく視点ということは、視点としては書いていますが、これは新しい施策を検討していくということなんですか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 今回の都政の新たな展開では、戦略のバージョンアップに向けた視点として、社会経済構造の変化、変革に対して、人々の安心を支えるセーフティーネットの視点を示しておりまして、これを含め、さまざまな観点から戦略や施策のバージョンアップを図り、長期戦略を策定していくこととしております。
○米倉委員 セーフティーネットの視点を含めて、長期戦略を策定していくということです。
今、都として、どう都民の生活を守るために役割を果たすのかと本当に問われていると思っています。どうセーフティーネットを拡充していくのか、都民の暮らしは今どうなっているのかとよく把握して、抜本的な検討をしていただきたいと強く求めておきます。
構造改革についても伺います。
都政の新たな展開では、新たに構造改革実行プランをつくると書いています。この構造改革実行プランをつくることは、どういう経過でつくることになったのか、総務局の新たな都政改革ビジョンとの関係も説明してください。
〔本橋副委員長退席、委員長着席〕
○神永構造改革担当部長 今回のコロナ禍において、デジタル化のおくれなど、構造的な課題が改めて浮き彫りとなりました。
このため、新たな都政改革ビジョンを初めとしたこれまでの都政改革を継承、発展させ、制度や仕組みの根本にまでさかのぼった改革に取り組むこととし、その具体的な展開に向け、都政の構造改革実行プラン、仮称でございますが、策定することとしたものでございます。
○米倉委員 構造改革とは、具体的にどういうものを考えていますか。
○神永構造改革担当部長 都政の構造改革は、さまざまな行政サービスや仕事の進め方について、制度の根本にまでさかのぼって見直しを進めるものでございます。
最優先で取り組むべき七つのコアプロジェクトとして、行政手続のデジタル化やオープンデータの活用などを進めることとしております。コアプロジェクトを先導役として、全庁へと展開し、都政のクオリティー・オブ・サービスの向上を図ってまいります。
○米倉委員 この構造改革の対象なんですが、都立病院、公社病院の独法化も入ると考えていいんでしょうか。
○神永構造改革担当部長 都立、公社病院の地方独立行政法人化につきましては、病院経営本部が本年三月に策定した新たな病院運営改革ビジョンに基づいて進められているところでございます。
○米倉委員 では、構造改革の考え方としては、この独法化というのも含まれるんでしょうか。
○神永構造改革担当部長 繰り返しでございますが、公社病院等の独法化につきましては、病院本部が定める運営改革ビジョンに基づいて進められているところでございます。
○米倉委員 ちゃんとこれ、答えていただきたいと思います。
コロナを受けて、これまで経済だとか経営効率優先で、病院の法人化だとか、違う知事の時代から進めてきたわけです。保健所なども減らしてきたわけです。そういう中で今、病院や保健所の疲弊にもやっぱりつながっています。
今、コロナを受けて、こういうことをこれからも続けるのか、都政はどう向き合っていくのかということが問われていると思うんですね。やはり都民に対して、構造改革という中にこういうことも含まれるのかというのは、はっきり示すことが求められていると思います。
内容も伺いたいと思います。
都政の新たな展開ですが、教育について、ICT教育の推進など位置づけています。
コロナ禍で子供が不自由を強いられたり、また権利侵害も起きているということがありますけれども、それは都としてどう認識されているのか、また、実態を踏まえた長期計画にしていくべきだと思いますが、いかがですか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 都政の新たな展開の、新型コロナウイルスがもたらした変化と課題でまとめたように、新型コロナウイルス感染症によりまして、多くの子供がストレスや不安を感じるなど、子供たちにさまざまな影響が生じており、こうした分析を踏まえて、不安を抱える子供へのサポートなどの検討を進め、長期戦略を策定していくこととしております。
○米倉委員 子供のサポート、非常に重要だと思います。やっぱり今回長期の東京都としての計画をつくるということなので、やはり構えたというか、抜本的にどう向き合っていくのかということを検討していただきたいと思います。
知事は、我が党共産党の質問に対して、子供はあらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある、また、子供の年齢及び発達の程度に応じてその意見を尊重するとともに、子供の最善の利益が最優先されなければならないというふうに答弁しています。これは非常に重要な認識だと思っています。
長期戦略をつくるに当たって、どうこの立場で子供の意見を聞いていくんでしょうか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 昨年十二月に策定いたしました未来の東京戦略ビジョンにおきましては、小中学生を対象とした絵画コンクール、高校生を対象とした高校生意見大募集など、子供の意見を積極的に集める取り組みを行ったところでございまして、長期戦略の策定に向けても、子供を含めて、さまざまな都民の意見を踏まえていくこととしております。
○米倉委員 これまで子供の声を聞くための取り組みをされてきたということは、大事だと思います。
私ここで、子供の意見を聞くときに非常に大事だと思っているんですが、聞いて、そのままにするというのはよくないと思うんです。やっぱり集めて聞いた声に対して、どういうふうに都政が応えているのかというところまで示すのが、本当に子供を権利の主体として尊重していく、参加してもらうということだと思います。今、新しく、これまでそういう取り組みをされてきたということは大事だと思っています。
そういう中で、先日こども未来会議が開催されましたよね。これなんですが、子供を位置づけた会議ということは大事だと思うんですが、どうして大人だけの参加の会議にしたのかなというのはちょっと疑問として感じています。
この会議の目的、設置要綱を見ますと、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会の実現に向けて、海外等の先進事例も踏まえ、従来の枠組みにとらわれない幅広い視点で議論を行うと書いています。
知事の答弁ですとか、あと世界水準からいっても、子供のことは子供の意見を聞いて、その意見を子供の発達の程度に応じて尊重していくというのが基本だと思うんです。
先日、スウェーデンの子供と若者政策について話を伺ったんですが、やっぱりその政策の前提というのは、政府や自治体、学校、あらゆる場面で子供が意見をいえる場があって、それを意見がちゃんとしかるべきところに届くし、正当に反映されると。子供が影響力を持てるようにするのが基本だということなんです。
こども未来会議の議論は、長期戦略にも生かされていくということだと思います。子供の意見を募集するのはもちろん大事なんですが、せっかく子供のことについて議論する場がつくられたということですから、やはり子供参加というのはぜひしていただきたいと思います。これは検討を求めたいと思います。
こういう子供のことについて戦略をつくるというときに、子供の参加がないということは、私は--そもそもの戦略1で、子供の笑顔のための戦略ということを掲げていますが、ここを見ますと、子供の目線に立ったまちづくり、政策を進めると大事なことは書いているんですが、一方で、この戦略ビジョンに掲げているプロジェクトというのは、基本的にどれも子供を産んでほしいというものになっているんです。
やっぱり、本当に子供の権利ですとか子供の思いをどう都政で大事にしていくのかという目標としては、据わっていないんじゃないかなというふうに思います。やっぱりそういうことがあるから、こういうことがあるのかなというふうに感じます。
長期戦略をつくるに当たって、子供の目線を大事にしたまちづくりとか政策ということを掲げていらっしゃいますので、そこはやっぱり別で位置づけていただきたいと、目標も立てていただきたいと要望します。
次に、教育についてなんですが、新たな展開で、ICT教育の推進を強調していますが、教育環境の改善、また子供への丁寧な対応をするために、特に少人数学級の実現や教員をふやすということが大事だと思いますが、これは検討があるんでしょうか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 コロナ禍における長期にわたる休校など、学びの保障が課題となったことから、教育のICT化など、いかなる状況でも学び続けられる環境整備について検討を進めていくこととしております。
○米倉委員 この間、コロナの感染が広がる中で、子供たちにとっても本当にストレスがかかったり、苦労が多いと。この資料の後ろの方でも、そういうことも載っています。
そういう中で、やっぱりICT教育を進めるということだけでなくて、どう今の学校の環境をよくしていくかというのは非常に重要だなと思っています。
実際、分散登校をやっていた時期にはクラスの人数も通常の半分ぐらいになって、そういう中で、不登校になりかけていたお子さんが、先生がじっくり話を聞いてくれた、それで安心して学校に通うようになったりですとか、先生からも、子供をじっくり見られて本当にいいというような声がたくさん上がりました。
その一方で、今はどうかといいますと、長期で休校して学習がおくれていますから、それを取り返すために、かなり授業数もふやされたり、宿題も今までよりもたくさん出されていて、しかもクラスの人数はもとに戻っていると。三十五人だったり、四十人だったりするわけです。
そういう中で、本当に学校がつらいということで、ある小学校では、夏休み明けにはクラスの半分が遅刻だとか、宿題を持ってこれないというような状況になったと聞いています。
不登校に今までぎりぎりならないで通っていたという子が行けなくなったりとか、今まで普通に学校に通っていた子が学校に通えなくなったということを保護者からも聞いています。
毎日何でこんな宿題が多いんだと小学生が家でため息をつくというような事態もあります。今、複数の自治体から、都内でも少人数学級をという意見も上がっています。
東京都の長期の戦略というときに、やはりこういう、時間がかかるけれど子供にとって大事な問題、そういうことに、やはりどう東京都として向き合っていくのかと。先生をふやすとか、少人数の学級をつくっていくとか、やっぱりそういうことこそ検討していただきたいし、進めていただきたいと思います。
あと、長期戦略の進め方についても伺いたいと思うのですが、ここの新たな展開の中にも、具体的に施策を検討するに当たって、これまで以上に都民目線、現場目線を徹底していく視点ということが書いてあります。これはどういうふうに取り組んで、長期の戦略に盛り込んでいくんでしょうか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 今回の都政の新たな展開につきまして、戦略のバージョンアップに向けた視点として、これまで以上に都民の目線を大切にすることや、現場の状況を踏まえた施策を展開していくことが重要であることを示しておりまして、各局において、実情に応じた検討を進めていくこととしております。
○米倉委員 各局で実情に応じた検討を進めるということです。都民や現場の目線を徹底して入れていくということなので、ぜひ各局と連携して、やってほしいと思います。
この委員会にきょう作成していただいた資料なんですが、これを見ますと、今後の長期戦略をつくるに当たってのスケジュールとして、秋冬ごろに都民意見の募集を予定しているというふうに書いています。
これを見ると、パブリックコメントは予定されているかどうかわからないのですが、それはどうなっていますか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 長期戦略の策定に向けましての都民の意見聴取につきましては検討中でございます。
○米倉委員 パブリックコメントは検討中ということなんです。
やはり、長期戦略をつくるに当たっての都民意見募集というものと、計画そのものの案ができて、それに対する都民の意見を求めるというのは、別のことだと思います。
やはりこれは、東京都の計画の案に対して都民が意見を出せる場は必要だと思いますので、ぜひ実施していただきたいと求めまして、質問を終わります。
○宮瀬委員 それでは、よろしくお願いいたします。
私からも、まず最初に、二〇二〇年に向けた実行プラン事業実施状況レビューと、未来の東京を見据えた都政の新たな展開についてというところで質問させていただきます。
まず、先ほど清水理事もおっしゃっていましたが、都民ファーストでつくる「新しい東京」、「三つのシティ」の実現に向けた政策の強化二〇一九、三十とかですね、未来に向けた論点整理と。さまざま毎回説明を聞くんですけれども、ちょっとどういう関係性なのかというのがわからないと。
調べましたら、知事就任後、この五年で十一本、こういった報告を受けています。この十一本、もちろん日付は違うんですけれども、タイトルを見ただけだと、どういう順番でどうなっているのかというのがわからないと。
今回いただいた資料の実施状況レビューの一枚めくったところに図解があるんですけれども、実はよく見ると、この本のタイトルと、二〇二〇年に向けた実行プランと書いてあるんですが、こちらの冊子だと、都民ファーストでつくる「新しい東京」の方は、サブタイトルで二〇二〇年に向けた実行プランとなっていて、タイトルもばらばらで、ちょっと普通、当事者というか、質疑する人間も毎回よくわからなくなっているので、先ほど清水理事の方は現状どうなっているのかという質問で終わっていましたので、私はダイレクトにそのままずばり、わかりやすくした方がいいと思いますけれども、見解を伺います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 関係性でございますが、二〇一七年度から二〇二〇年度までを計画期間としております二〇二〇年に向けた実行プランにつきましては、プラン本体を策定した後に、毎年度、事業実施状況レビューを行いまして、その点検結果を踏まえまして、「三つのシティ」の実現に向けた政策の強化というものを取りまとめてきたところでございます。
昨年に入りまして、新たな長期戦略策定に向けた取り組みを開始しております。昨年十二月に未来の東京戦略ビジョンを策定し、我々が目指す二〇四〇年代の東京の姿や、その実現のための二〇三〇年に向けた戦略と実行のためのプロジェクトをお示しいたしました。
現在、この戦略ビジョンをもとに、内容のバージョンアップを図り、東京の未来を切り開く羅針盤となる長期戦略を策定する予定としております。
この中で、八月末に策定しました未来の東京を見据えた都政の新たな展開につきましては、新型コロナウイルスとの闘いで浮き彫りとなった社会の大きな変化や課題を踏まえ、新たな都政運営の方針を指し示すとともに、長期戦略の策定に向けた検討の方向性を整理したものでございます。
こうした取り組みの経過やそれぞれの関係性につきまして、都民に対してわかりやすく伝えられるよう努めてまいります。
○宮瀬委員 説明もちょっと、多分、先ほど清水理事がおっしゃっていたようにわかりにくいので、私は、表紙に並べてくだされば--表紙に並べると、今どこにいて、これはプラン・ドゥー・シーのドゥーのところなんですよとか、これは並べていただくとわかりやすいので、各資料を今後出していくと思うんですけれども、ちょっとこういうものを一枚目に入れていただくと大変わかりやすいんじゃないのかなと、提案でございます。
今回、質疑に当たりまして、各事業計画をばあっと見ていったときに、DX、デジタルトランスフォーメーションと。それって何のことだろうと。うちの母は七十代なんですけども、DXって何かわかるかと。そうすると、DXって何と。さっき控室の同僚にも聞いたら、わからないと。QOSって何だかわかりますかと。わからないと。
先ほどご答弁を注意深く聞いていますと、皆さんの口からも、QOS、いわゆる行政サービスの向上と、いい直しているんですよね。また、サステーナブルリカバリー。専門家ボードというのはどういう意味かなと最初思ったんですけど、普通に専門家会議のことですよね。
このように説明が二回、三回必要な単語を計画書に入れておくと、本当に子供から高齢者の方々まで見る計画にすべきだと思ったときに、一回一回調べなきゃいけないものというのはどうなのかなと思って、あえて誰の発案ですかとかはいいませんけれども、ぜひ表現はわかりやすい表現の方がいいんじゃないのかなと思います。
次に、広報の諸課題についてお伺いしようと思いましたが、諸事情ありまして、取り下げさせていただきます。
次に、二〇二〇年に向けた実行プランの事業実施状況レビューについてですけれども、実際にどれぐらい政策目標が達成できて、その達成率について伺います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 実行プランの政策目標の合計六百四十四に対して、二〇一九年度中に新たに百二の目標を達成し、累計で百八十の政策目標を達成いたしました。
また、二〇二〇年度末の達成見込みを含めますと、達成数は累計で三百十となる見込みでございます。
このほか、二〇二〇年度末までを目標年次としている政策目標は、新型コロナウイルス感染症により事業進捗に影響が出ているものは七十六、取り組み推進中のものが五十でございます。
今年度末までの達成見込み三百十が占める割合を申し上げますと、実行プランの全体、全政策目標に対しては約五割、二〇二〇年度末目標ベースの政策目標に対しては約七割となりますが、新型コロナウイルスにより事業進捗に影響が生じている七十六を除いて考えますと八六%でございます。
○宮瀬委員 実行プランの全政策目標に対して結果は、これは表にあるとおり三百十達成して、六百四十四が分母ですので大体五割と。コロナを除いて云々かんぬんというのはあると思います。
先ほど私も藤井理事のお話を聞かせていただいて、できなかったことはしょうがないと思っています。それは目標設定が高過ぎちゃったのか、ほかに阻害要因があるのか。
ただ、ここの明らかに達成できていない五十のところは、そこにどうしてできなかったのかという見解とか、対応とか、対策を明らかにするために、今回こういったプランを組んでいるところもあると思いますけれども、その五十のところはどうしていくのかお伺いします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 取り組み推進中としております政策目標五十の中には、目標には届かないもののかなり進捗が見られるものや、達成に向けて課題があるものなどが含まれております。
これらにつきましては、事業実施状況レビューの中で進捗状況を把握して、それぞれ必要な対応をとることとしております。
○宮瀬委員 必要な対応をとるということですけれども、人が足りないのか、目標設定自体がちょっと高目過ぎたのか、やり方に問題があったのか、いろいろあると思いますので、大事な六百四十四事業だと思いますので、ぜひ対応していっていただきたいと思います。
もう一つちょっと気になったのが、六百四十四の中のうち二百八が取り組み推進中と書いてありまして、取り組み推進中というのはどういうことなのかなと。
つまり、二〇二〇年という区切りをつけて、二〇二〇年に向けたものでの達成状況を聞いていて、この状況では、普通だったら未達になったりすると思うんですけれども、二〇二〇年というものを区切りにやっぱりちゃんとしていかないといけないと思います。
例えば二〇二五年に道路が完成するものがあったとして、それでも二〇二〇年の目標数値というのはあって、そこで縦のラインで期限を決めないといけないと思うんですけれども、二百八の政策目標について、二〇二〇年を区切りとした場合、どれだけ目標を達成しているのか、逆に達成しているものは全て二〇二〇年で完了する予定だったものでしょうか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 政策目標につきましては、それぞれ目標年次を定めて、そこで目標を設定しているものでございまして、目標年次の中には二〇二一年度以降としているものもございます。
こうした政策目標につきましては、二〇二〇年度時点での政策目標は設定しておりませんが、事業実施状況レビューの中で各事業の進捗管理を行っております。
なお、達成済みの百八十のうち目標年次が二〇二一年度以降のものだったものは三つ含まれております。
○宮瀬委員 やっぱり民間企業ですと、中間目標達成とか、中間事業評価という考え方があって、この書き方ですと、その事業がちゃんと進捗どおりに進んでいるかどうかがわからないと。ぜひ二〇二〇年の時点でどうだったのかといったことで、達成率はもっと上がると思いますけれども、正確な数字を今後知りたいと思います。
ちょっと代表質問でも少し触れたんですけれども、未来の東京を見据えた都政の新たな展開の方ですが、小池都知事が新たに四年前ですか、就任されて、そのときに七つのゼロの公約というものを掲げられて、大勝された。私も満員電車、三田線に乗っていましたので、大変期待したと。それが今までの計画にどう反映されてきたのか、まず、過去の話ですが教えてください。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 いわゆる七つのゼロにつきましては、二〇一六年に策定した二〇二〇年に向けた実行プラン及び昨年十二月に策定しました未来の東京戦略ビジョンに具体的な施策などを盛り込んでございます。
○宮瀬委員 盛り込まれているよと。知事とはよく予算特別委員会で、ゼロ数値を目指すのか、ゼロへとして方向性を目指すのかとやりとりさせていただいているんですけれども、どっちにせよ、以前のものは反映されてきたと。
再選後に新たな計画が上がってきたと思うんですけれども、各局の現場を持っている皆さんからいわれるのは、あの公約って再選後どうなったんでしたっけと私が聞くと、皆さん首をちょっとかしげられて、ちょっとわからないと。
実際にそこにコミットが続いているのか、なしになっているのか、現場の皆さんが実際ちょっと困っている話も聞きますし、都民の皆さんからもあの話どうなったんだろうねといったことも伺います。
その辺は知事でないとなかなかお答えできないのは十分わかっているので、逆に知事サイドの方から、再選後、一期目の七つのゼロ公約の扱いについて、都庁全体の計画部門である政策企画局に何か打診とか、そういったものがあったのか、なかったのか教えてください。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 いわゆる七つのゼロにつきましては、待機児童の解消や都道の無電柱化など、これまでも各局において施策の具体化を図る取り組みを進めてきたところでございます。
昨年末に策定しました未来の東京戦略ビジョンにも反映しておりまして、この戦略ビジョンをベースに長期戦略を策定し、引き続き取り組みを進めていくものと理解してございます。
○宮瀬委員 打診があったかないか聞いたんですけれども、打診はあったという認識で、進めていく旨のお話、打診はあったということでいいんですか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 いわゆる七つのゼロにつきましては、実行プランや未来の東京戦略ビジョンの中に反映するなど、既に具体化された施策として、行政の施策体系の中に組み込まれてございます。
○宮瀬委員 多分ずっと同じ答弁になっちゃいますので、もう聞きませんけれども、じゃあ今ご答弁ありましたが、一期目の七つのゼロ公約は、再選後の今後の方針や計画に反映されているということと、今後の長期戦略にも反映されていくという認識でよろしいでしょうか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 繰り返しになりますが、いわゆる七つのゼロにつきましては、昨年末に策定した未来の東京戦略ビジョンに反映しており、具体化された施策として、引き続き取り組みを進めてまいります。
○宮瀬委員 政策企画局としては、七つのゼロ公約は継続というふうに私は認識させていただきました。ぜひ、これは意地悪でいっているわけではなくて、やっぱり進めてきたことで、都民の皆さんも、私も含めてですけれども、期待している公約でした。
ですので、ぜひ二期目につきましても、引き続きやっていただきたいなと。方向性なのか、ゼロ数値を目指すのかは、いろいろ考え方も違いますけれども、ぜひお願いしたいと思います。
次なんですけれども、コロナ対策で今まで費やした予算が、約一兆六千億円という莫大な金額を費やしております。その中で総務局さんといろいろ打ち合わせをしてきた中で、実際に数値による検証とか、実際に効果があったのかという検証は今までとっているんですかと。
協力金が例えば三十万円でしたけれども、それが都民の実感として四十万ならよかったのか、二十万ならよかったのか、ステッカーの効果ってどれぐらいあって、それを受けてこういうふうな取り組みをしていきましょうという当然PDCAサイクルを回すべきだと思うんですけれども、当然非常時ですのでPはなくとも、少なくともDとCのところはやっぱりやっていかないと、次のPにつながっていかないと思っております。
これが一、二カ月ぐらい前であればあれですけれども、もう八カ月たっていて、総務局に聞きますと、データをとったのは営業時間短縮の件、あとはもう一つぐらい、あとは正直とっていませんと。また、一兆六千億円の施策の全体像をまとめているものも今はないそうです。
我が会派は検証を終わったらすべきだというのをいっていますけれども、やっぱりこの辺で中間検証して、各施策がどういう効果があったのかという、患者や陽性者の発生ベースのデータを見ていますけれども、各取り組みの効果検証をして、次の打ち手に生かしていかなきゃいけないのかなと思います。
そんな中で、皆さんの新たな展開についてという冊子を見たときに、一一ページ、新型コロナウイルスがもたらした変化と課題というのがあるんですけれども、これはちょっといい方は失礼ですけれども、全てインターネット等で調べれば出てくる情報とか、出典が書いてありますように、これは、東京都の取り巻く環境であって、コロナ対策がどうだったのか、今何が課題なのかをまとめているものではないと思っています。
長期計画の策定に当たりましては、感染対策、コロナの対策として、都がこれまで大規模な施策をやってきたと思います、一・六兆円。
効果をしっかり数字とデータで検証して、課題の全体像をしっかり把握して、長期戦略に生かすべきと考えますけれども、見解を伺います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症対策につきましても、取り組みが長期にわたることも想定されることから、これまでに得た教訓や各局での取り組みの効果、課題などを踏まえまして、戦略をバージョンアップさせ、長期戦略に盛り込んでいく方針でございます。
○宮瀬委員 取り組み効果、課題を踏まえ、戦略をバージョンアップさせていくということを長期戦略に盛り込んでいくという明確な答弁をいただきました。
ぜひ、まず一・六兆円を何に使ったのか、ファクトが出ると思いますけれども、実際何をやったのか、それに対する効果検証ですね、ステッカーを張って、どういう課題が出て、じゃあこうと。それを僕らも見まして、次はもっとこうした方がいいんじゃないかと。そういった分析がほぼほぼ今されていないという現状ですので、ぜひもう八カ月たっていますから、この秋冬に備えて、一度数値やデータに基づく調査をしていただきたいなと。
どうやってとるんですかとよくいわれるんですけれども、例えば、生活文化局で行っております都民アンケートというウエブでとっている調査もあって、その中に、ステッカーどうですかとちゃんと聞いたりとか、都のコロナ対策の具体的なこれはどうですかと。あと、お医者様にはそのまま聞けばいいですし、また、協力金を支払っている会社様、店舗に対しては、既にオンラインで申請をいただいているわけですから、そこに対してアンケートのお願いを送付すれば、n数--数万単位でお金を差し上げているわけですから、それに対してアンケートを答えるのは嫌だよという人はあんまり、時間的な余裕がなくてできないという人はいるかもしれないですが、そこでデータを集計していただいて、次の協力金をやる場合どうしようか、本当に十五万でいいのかなと、そういった検証をしていただきたい。
それを全体で取りまとめて、課題というところに本来であれば落としていただければ、よかったかなと。それを受けて、長期戦略の方に今後盛り込んでいただきたいと思います。
次に、各局の細かい質疑というのはしなきゃいけないと思うんですけれども、どうしても気になっている、筆頭に上がっています東京版CDCの部分であります。ここなんですけれども、個別の深い話は福祉保健局を初め各局のほかの局の皆さんとさせていただきます。
なので、ちょっと浅く聞きたいんですけれども、私のところに届いている声が、東京版のiCDCですか、単なるスローガンとか会議体なんじゃないのといった声を聞いています。
専門家ボードというのは専門家会議のことですし、それは、多分今までコロナ対策でいろんな会議を開いていますけれども、今までと何が違うのかなと。箱物をつくるわけでもないというのを聞いていますので、そうなってしまうと、単なる名称とかフレームを整備するだけではやっぱり意味がないんじゃないのかなと。
本業の職員が籍を抜かずに兼務するような形とか、専門家を交えた単なる会議のことをiCDCといったことになっちゃうと、知事の当初の意図とも違うんじゃないのかなと思いますけれども、見解を伺います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 未来の東京を見据えた都政の新たな展開についてにおきまして、一つ目の大きな取り組みとして、コロナウイルスとの闘いに打ちかつために、東京版CDCを設置することをお示しいたしました。
これにつきましては、所管局で検討を深め、昨日、東京感染症対策センター、東京iCDCが立ち上げられたところでございます。
本庁と調査研究部門から成る都庁組織と外部の研究機関などが有機的に連携をするとともに、専門家ボードと一体的に運営することにより、保健所支援、入院調整、検査体制確保などの機能をより強化し、効果的な感染症対策を推進することとしております。
東京iCDCに携わる本庁職員につきましては、他局からの兼務職員も元局の業務に従事するのではなく、東京iCDCの業務に専念しております。
○宮瀬委員 東京iCDCの業務に専念していくということなんですけれども、これは専業のことなんでしょうか。それとも、専念と専業、私はちゃんと籍も抜いて、そこで専業としてやっていくのかなと思っているんですけれども、部長は専念とおっしゃいましたが、それは違いがあるんでしょうか。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 特段の違いはございません。兼務職員ではございますけれども、いわゆる一〇〇%兼務といいまして、兼務先の業務に専念しているということでございます。
○宮瀬委員 兼務ということで、籍は両方あるけれども、iCDCの方で一〇〇%やるということですね。
済みません、ちょっと細かい確認ですが、いいたかったのは、大事なのはやっぱり人で、コロナ対策で職員の皆さんも大分疲弊されていて、こっちの業務もあるのにこっちの方もやるというのだと大変だろうなと思いまして、そこだけ確認させていただきました。
ちょっと細かい話になりますのでもう控えますけれども、さきの代表質問でもお伝えさせていただいたんですけれども、事業評価が三つ走っていると。財務の事業評価、皆さんの実施状況レビュー、そして総務の政策評価と三つそれぞれあって、局としては毎回同じようなことが三局から来て大変だというお話も聞きますし、仕様も内容もばらばらで、五年で十一本計画をつくっているということは、それは相当な大変な作業だと思う、皆さんも大変だと思います。
そこで、次おつくりになります長期計画に関しては、もう事前に財務と、また総務局と連携をして、長期計画だけが浮いているのではなくて、ぜひ三局連携した形の仕様とか内容とか、そこからプルダウンされて事業評価、政策評価に落ちてくるような、そのたびにまたつくるというのは大変ですし、いいものをきちっとつくっていただきたいなと思います。
代表質問の方でも連携していくという答弁もありましたので、今後、長期戦略につきましても連携していただきたいことを要望しまして、質問を終わります。
○山内委員 「未来の東京」を見据えた都政の新たな展開について-構造改革を梃子として-について、私も質問いたします。
まず、新たな都政の展開の〔1〕について、新型コロナウイルスとの闘いに打ちかつ体制を築き上げるを最初に取り上げた理由についてお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 今回ご報告した都政の新たな展開につきましては、今後の都政運営に関する全体方針を示したものでございます。
中でも喫緊の課題は新型コロナウイルス感染症への対応でございまして、この難局に立ち向かうため、新たな都政の展開の第一として、新型コロナウイルスとの闘いに打ちかつ体制の構築を掲げたところでございます。
感染症に対する政策立案、危機管理、調査分析、情報収集、発信など、さまざまな対策を一体的に担う常設の司令塔となる東京版CDCを設置するとともに、防災対策に感染症対策の観点を取り入れるなど、複合災害などへの備えも強化することとしております。
○山内委員 では次に、新たな都政の展開〔2〕に挙げられたコロナによって浮き彫りになった構造的な課題というのは一体何なのかお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 新型コロナウイルスとの闘いは、私たちの生活に大きな変化をもたらしたと同時に、我が国が世界のデジタル化の潮流に取り残されていることや、書類への押印が推進の障壁となっていることなど、さまざまな構造的な問題を改めて浮き彫りにいたしました。
とりわけ都政のデジタル化のおくれは、都民サービスの質や都庁自身の業務効率化の点からも重要な課題でございます。
こうした課題に対しまして、制度の根本までさかのぼった構造改革を強力に推進していくこととしております。
○山内委員 こうした構造的問題を解決する構造改革と、これまでも都政改革としてテレワークやペーパーレスなどを進めてきた都政改革がございました。その違いについてお伺いいたします。
○神永構造改革担当部長 二〇一七年度から開始いたしました二〇二〇改革は、それまでの職員定数や歳出の削減から、局、職員主体の改革へ転換し、都庁の生産性の向上、機能強化に取り組んできたところでございます。
今回取り組む構造改革では、判こ、ペーパー、キャッシュの三つのレスの推進など、これまでの都政改革の歩みを発展、継承させるとともに、デジタルトランスフォーメーションを軸に、制度や仕組みの根本にまでさかのぼった改革へと進化をさせていくものでございます。
○山内委員 都政のデジタルトランスフォーメーションの推進によって、都民の生活はどう変わるんでしょうか、お伺いいたします。
○神永構造改革担当部長 例えば行政手続や補助金の申請などをデジタル化することによりまして、役所に出向かなくても自宅で手続ができるようになる、本人確認や書類の提出が一回で済み、申請から交付までが早くなる。
また、例えばさまざまなデータを公開することによりまして、電車やバスの時刻表をリアルタイムで提供するアプリが開発されるなど、民間企業との新たなサービスの創出も期待される。
こうした取り組みによりまして、都民サービスの向上が図られるものと考えております。
○山内委員 今までの質疑の中でも、コアプロジェクトというのが出てまいりました。コアプロジェクトは今後どのように進めていくのかお伺いいたします。
○神永構造改革担当部長 都政の構造改革の先導役となる七つのコアプロジェクトにつきましては、構造改革推進チーム事務局が中心となりまして、政策企画局、戦略政策情報推進本部、総務局、財務局を核といたしまして、それぞれのプロジェクトに局横断的なチームを組んで進めてまいります。
各プロジェクトにつきましては、ステップごとに明確な目標を定めながら、各局と一体になりまして取り組みを展開してまいります。
○山内委員 都政の構造改革と今年度内に策定予定の長期戦略との関係性についてお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 長期戦略は、新型コロナウイルスとの闘いの中で生じたさまざまな変化や浮き彫りとなった新たな課題を踏まえまして、戦略ビジョンをバージョンアップし、東京の将来を切り開く羅針盤として策定していくものでございます。
この過程の中で、都政の構造改革は、仕事の仕方の見直しや徹底したデジタルトランスフォーメーションを通じて、新たな政策を生み出していくとともに、その政策展開を支える都庁組織そのものを強靭なものへと変化させていくことを目指しております。
こうした都政の構造改革の成果を反映して、長期戦略を策定していくものでございます。
○山内委員 新型コロナウイルスとの闘いの中で生じたさまざまな変化や、そして新たな課題というのは一体、具体的にどのようなことなのかお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 新型コロナウイルスとの闘いの中で生じた変化や課題としましては、先ほど申し上げましたデジタル化のおくれのほか、テレワークや快適通勤が飛躍的に進んだこと、長期間に及ぶ外出自粛などにより経済活動が落ち込み、雇用に影響が広がっていることなどをお示しいたしました。
また、学校の休業等に伴う子供たちへの影響を初めとしまして、高齢者、障害者、外国人など、東京に暮らすさまざまな人の生活に影響が及んでおります。
さらには、観光、文化、エンターテインメントにつきましては、新しい日常における再興に向けた戦略が問われているところでございます。
○山内委員 コロナ禍でテレワークが飛躍的に進んだ一方で、家では仕事ができない、女性にさらに育児や家事の負担がかかる、仕事とプライベートの線引きができない、コミュニケーション不足になって精神的につらくなるなど、さまざまな課題も見えてきました。
テレワークを進めるのであれば、こうした課題の解決も必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 国の調査では、多くの人がテレワークを経験し、経験者の約九割が今後もテレワークを継続利用したいと回答しております。
一方で、自宅のテレワーク環境の整備や仕事のオン、オフの切り分け、家事、育児の負担の軽減など、テレワークを円滑に行う上での課題も見えてきたところでございます。
このようなさまざまな課題を踏まえた上で、テレワークのさらなる定着を核として、ライフワークバランスの実現や企業の生産性の向上といった社会構造の変革を図っていくことが重要であると考えております。
○山内委員 ことし五月七日に気候変動対策に先進的に取り組む世界の都市の連合、C40は、COVID-19のパンデミックからの健全で公平かつ継続可能な経済回復を求めるとの声明をプレスリリースしました。
声明では、世界中の主要都市のリーダーとして、新型コロナウイルスからの再生が、三度以上の気温上昇をもたらす通常どおりのビジネスへの回復であってはならないということを明確に認識していると明記しています。
私は、この声明の対応について文書質問したところ、都としても、C40等、国際環境ネットワークとも連携して、社会経済の回復とともに、その投資や活動を気候変動対策に貢献するものとすべく、ゼロエミッション東京に向けた施策をバージョンアップしながら、持続可能な都市を構築していきますと環境局は答えております。
新型コロナウイルスと気候変動問題は、人の命、生存にかかわり、国際社会が協調して取り組まなくてはならない重要問題です。
高い危機意識と実効性のある措置が必要です。世界中で気候危機に対処する中、日本でも、また東京でも、若者からも声が上がり、気候危機に率先して取り組むよう求められています。
そこで、今回、政策展開の新たな視点として、サステーナブルリカバリーが掲げられました。今後、気候変動対策を含めて、持続可能な社会の構築に向けて、どのようなことを進めていくのかお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 今回のコロナ禍におきましては、社会経済活動が大きな制約を受ける中、人々のつながりが分断される状況が生じました。同時に、我々は地球規模での気候変動の危機にも直面しております。
コロナ後の東京をよりよいものとするため、環境、経済、人々や企業の意識、行動様式など社会全体に係るさまざまな面で、持続可能な復興、サステーナブルリカバリーを目指していく必要がございます。
気候変動対策としましては、都は、昨年末に気候危機行動宣言を行い、具体的な行動を開始しておりますが、今後、世界の諸都市とも連携しながら、環境投資の促進などさまざまな環境施策を進めることとしております。
また、デジタルの力で人々がつながりを取り戻し、新たなコミュニケーションを育みつつ、心豊かな生活を続けられる社会を目指して、人と人とがつながる場の創出や、いかなる状況でも子供たちの学びをとめない環境づくりなどの検討を進めてまいります。
○山内委員 先日、こども未来会議の第一回会議が開催され、今後の子供の政策について、多岐にわたり議論がなされました。
都政の新たな展開でも、新型コロナウイルスが子供たちにもたらした変化と課題を分析していますが、これらを踏まえて、子供の政策については今後どのように進めていくのかお伺いいたします。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 今回ご報告いたしましたように、長期間の臨時休校などによりまして、子供たちのストレスや保護者の子育て負担が増大し、子供の居場所が社会的課題となりました。
また、学習面では、教育のICT化のおくれによる学びの保障が問題となったところでございます。
こうした課題につきまして、先般のこども未来会議でもご議論いただいたところでございまして、今後、さまざまな検討を重ねて、戦略をバージョンアップし、長期戦略に盛り込んでまいります。
○山内委員 少子高齢、人口減少時代へと向かう中、新型コロナウイルス感染症の蔓延は、社会が抱えている問題を浮き彫りにしました。
非正規雇用の不安定な生活と、雇いどめや解雇によってさらに住む場所を失う状況や、子育てや介護に根強い役割分担が残り、ジェンダー平等が進んでいない現状、子供や高齢者、障害者、外国人など社会的に弱い立場にある人にしわ寄せが行くということが露呈をいたしました。
都政の構造改革は目的ではありません。デジタル化を加速しないと世界から大きく取り残されてしまうから、構造改革をするというのではないと思います。未来への、都市東京として目指すべき姿を描いて、それを実現するための手段ではないでしょうか。
生活者ネットワークは、コロナ禍で明らかになった課題に着目をして、東京を心豊かな生活のまちにするために、気候変動対策と子供の最善の利益の視点に立った子供政策を最重要政策とするよう要望いたしまして、質問を終わります。
○加藤委員 それでは、未来の東京を見据えた都政の新たな展開について質問いたします。
冒頭の新たな都政の展開の〔1〕として、東京版CDCの設置が掲げられており、専門家や外部の研究機関等とも連携して、平時はもとより、危機発生時の迅速な対応ができる体制として整備を進めるとあります。
まさに昨日、東京iCDCとして発足したわけでありますが、その機能を存分に発揮するためにも、民間のすぐれた検査機器の利用を図るなど、都独自の取り組みや支援を行いながら、都が先駆的な役割を発揮して、感染症対策の効果的な推進を図っていただきたいと思います。
民間のすぐれた検査機器と申し上げましたが、日本のメーカーが製造した検査機器、優秀な機器が、国内では使われず、海外で効果が上がっているというのはいかがなものかと思ってしまいます。
そこで、新たな都政の展開の中で東京版CDCを強く打ち出した意義について伺います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 これまで、新型コロナウイルスとの闘いに人的資源を重点的に投入するなど、都庁の総力を挙げて取り組む中で、多くの教訓や知見を得てまいりました。
いまだ感染拡大の終息が見通せない中、この難局に立ち向かうためには、その教訓や知見を生かし、より強固な執行体制を早急に整えなければならないとの問題意識から、今般の新たな都政の展開の中で、東京版CDCの設置を取り上げたところでございます。
さまざまな感染症対策を一体的に担う常設の司令塔機能と、危機発生時には迅速かつ効果的に対応を図る緊急時オペレーション機能を有し、国や保健所に加え、外部の研究機関などとも有機的に連携していくこととしております。
○加藤委員 やっぱりふだんから外部の研究機関の連携というものをしっかりとやっておけば、いざというときに効果が発揮できるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、新たな都政の展開〔2〕について、構造改革として、社会の構造改革と都政の構造改革が掲げられております。
特に都政の構造改革においては、制度や仕組みの根本にまでさかのぼった改革へと進化させ、都政のデジタルトランスフォーメーション推進をてこに、都政のクオリティー・オブ・サービスを飛躍的に向上させ、都民の期待を上回る価値を提供していく必要があるとしております。この実現には、これまでの都庁の慣習や先例など、仕事の進め方を見直す必要があると考えております。
そこで、都政の構造改革を進める中で、今後、都庁の仕事をどのように変えようとしているのか伺います。
○神永構造改革担当部長 都政の構造改革では、デジタルトランスフォーメーションを徹底することにより、これまでの仕事の進め方を抜本的に変えることを目指しております。
その実現に向け、都政の構造改革を先導する七つのコアプロジェクトに取り組み、制度や仕組みの根本にさかのぼった改革をスピード感を持って進める中で、職員の改革マインドを醸成し、組織風土や仕事の進め方の変革につなげてまいります。
○加藤委員 やっぱり制度や仕組みの根本にさかのぼった改革ということが大事だというふうに思っております。菅総理が縦割り行政の打破を表明しておりましたけれども、都政の構造改革にも通じる視点だというふうに思います。
例えば、公有財産なんですけれども、各局が所管する土地や建物などがありますけれども、こうしたものの民間使用が規則に縛られて、何年も塩漬けや有効に使われていないというところがあります。
規則が邪魔しているのであれば、改正すればいいというふうに思うんですけれども、なかなかこれができない、やらない。こうした点も、一度点検してもらいたいというふうに思います。結構あるというふうに私は認識をしております。よろしくお願いしたいと思います。
次に、同じく新たな都政の展開〔2〕では、我が国のDXのおくれが顕在化したことを示しております。その課題の克服の一つとして、ICT人材の育成が欠かせないと考えております。
世界トップレベルの高度なICT能力を持つ人材を育成するとともに、我が国全体のICTの能力の底上げを図るためには、高齢者等に対して、地域と大学との連携などによるICTに関するリカレント教育が必要と考えます。
東京には幸いなことに多くの大学が立地しておりまして、二十三区で大学のない区は墨田区だけというふうに実はいわれてきたんですね。ことしの四月にやっと墨田区にも大学が誕生しまして、これで全部になったんじゃないかと思っているんですけれども、その大学は情報経営イノベーション専門職大学、通称iUというんですけれども、これが来ました。来年には千葉大学の一部も移転をしてきます。
この大学がある地域は比較的高齢者が多いんですけれども、若者が来るということで、まちは活気づくというふうに期待していたんですけれども、残念ながらコロナの影響で、ちょっと今寂しい状況なんですね。大学と地域が連携して、情報格差をなくしていく取り組みが大切だというふうに考えます、都立大学も一部行っているというふうに思うんですけれども。
また、行政のデジタルシフトのおくれが深刻であることも浮き彫りにしております。
都政においてもデジタルシフトのおくれが指摘されている中、職員のICTの能力をいかに高めていくかを考えることも必要であります。
そこで、都政の構造改革のコアプロジェクトにおけるデジタルトランスフォーメーション推進の方策について伺います。
○神永構造改革担当部長 都政の構造改革コアプロジェクトにおきましては、DX推進体制構築プロジェクトを位置づけているところでございます。
このプロジェクトにおきましては、高度な知識を有するICT人材の獲得や外部人材の活用、ICTに関する職員研修の拡充など、都庁のデジタルガバメント化の実現を支える強固な推進体制の構築に向けて取り組みを進めるところとしております。
○加藤委員 報告資料後半の新型コロナウイルスがもたらした変化と課題では、コロナ禍におけるさまざまな影響や課題が詳しく分析されております。
東京で暮らすさまざまな人の生活への影響も取り上げており、その中には、在住外国人からの相談内容や外国人人口の減少など、都が進めるダイバーシティー、共生社会の実現に向けた課題も書かれております。
私は、東京で暮らす外国人を一時的な労働者として捉えるのではなく、特に子供がいる外国人世帯は、永住して東京や日本を支える人材と捉えるなど、外国人との共生を進めていくべきと考えます。
今回都が行ったこの分析の意図と、今後どのように対応していくかについて伺います。
○吉村計画部長構造改革統括担当部長兼務 コロナ禍におきましては、東京に暮らす全ての人が当事者であると捉えまして、外国人や高齢者、障害者、子供など、さまざまな人の生活に及んだ影響や課題につきまして、客観的なデータに基づき分析を行いました。
お話の都内に在住する外国人につきましては、令和二年三月には前年同月比で約七千四百人もの急減となるとともに、都が設置した外国人新型コロナ生活相談センターには、経済困窮や企業経営面での相談が多く寄せられました。
こうしたコロナ禍における変化や課題を踏まえまして、日本人と外国人がともに快適に暮らせるまちの実現に向けた検討を進め、長期戦略に反映してまいります。
○加藤委員 少子化が続く限り、今後の人口減少は避けられないというふうに思います。日本、東京が長期にわたって繁栄していくには、共生社会の実現が不可欠と考えます。しっかりと長期戦略に反映していただくことを要望しまして、質問を終わります。
○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十四分休憩
午後三時五十一分開議
○早坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより戦略政策情報推進本部関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百六十四号議案を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 去る九月十五日の委員会におきまして要求のございました資料一点につきまして、お手元にお配りしております総務委員会要求資料によりご説明を申し上げます。
初めに、一ページ目をお開きください。オンライン通則条例の改正に係る検討資料でございます。
知事への報告過程でございますが、五月二十五日、八月五日、九月一日の計三回、知事に報告をしております。五月二十五日に報告した内容を別紙1、八月五日に報告した内容を別紙2、九月一日に報告した内容を別紙3として資料添付をしてございます。
以上、簡単ではございますが、総務委員会要求資料につきましてご説明をさせていただきました。よろしくお願いをいたします。
○早坂委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 それでは私から、東京デジタルファースト条例について質疑をさせていただきます。
初めに、私も、行政手続のデジタル化というのに非常に熱心に関心を持って取り組んでまいりました。今回の条例というのは極めて有意義なものであり、私としては高く評価をしております。
ただ、これは東京都の話ではなくて日本全体の話なんですけれども、これまで行政手続のデジタル化というのは、我が国においては失敗の歴史だったと私としては思っております。
一番古くは二〇〇一年のe-Japan戦略、この中で、行政手続のデジタル化というものが重点項目に位置づけられました。そして、その後、二〇〇六年のIT新改革戦略、この中でも、ワンストップのデジタル手続を実現するということが明確に目標として掲げられております。その後も幾度となく行政手続のデジタル化というのは方針に入って、一生懸命掲げているんですが、二〇〇〇年から、振り返ると二十年間、残念ながらほとんど進んでこなかったと、そういう歴史があります。
私は、今回、東京都は東京都の方でデジタルファースト条例を議案として出していただいて、これは本当に重要だと思うんですけれども、この条例がしっかりと、この条例をてこにデジタル化が進むように、そのためにはやっぱり、過去にどういうところで課題があって進まなかったのか、それをどうやったらクリアできるのかというところをしっかりと検証して、明らかにして、その上で解決策を練っていくということが大事だというふうに思っております。
今回の条例の一番のポイントは、これまでオンライン通則条例では、手続のデジタル化をしてもいいですよ、各局さんから申請があればそれを認めますよというものだったのが、今回の改正によって、原則デジタル化にしてください、もしどうしても紙ベースなものを続けなければいけないときに限ってだけ申告をしてください、それ以外はもう全部、原則デジタルでお願いしますよと、そういう法的な位置づけがしっかりと示されたということ、これがやっぱり非常に大きな意義があると思います。
ただ、私としては、これでも少しやっぱり懸念しているところがあります。それは、この条例の適用除外です。昨年五月制定されました国のデジタルファースト法にも、東京都のデジタルファースト条例と同じような趣旨のものですけれども、国の法律でも、例えば対面により本人確認をするべき事情がある、あるいは書面の原本を確認する必要がある、こういった理由があれば、デジタル化の原則を適用しなくてもいい、除外してもいいということが国の法律では定められています。
そして、その結果、昨年の七月、これは内閣官房の方で公表された資料ですけれども、現行の国の手続の適用除外というのは、二百三十にも上る手続があります。これは、デジタル化は事実上、政府としてはなかなか難しいですよというふうに認めている手続の数です。私としては、結構多いなというふうに率直に思っております。
今回、都のデジタルファースト条例でも同じように適用除外というものを定めておりますけれども、適用除外とする手続をどう厳密に選定していくかということは、これは私、極めて重要だと思っております。正直に申し上げて、各局のリクエストのままに適用除外を設定してしまうと、なかなかやっぱりいろんなものを除外してしまって進まなくなってしまう、そういう懸念を持っております。
そこで、まず、本条例において、デジタル原則の適用を除外する手続については、戦略政策情報推進本部が主体となって厳密に選定をしていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 本条例案では、適用除外の事由の例示として、申請等に係る事項に虚偽がないかどうかを対面により確認する必要があること、許可証その他の処分通知等に係る書面等を事業所に備えつける必要があることを、具体的に挙げてございます。
これは、国のデジタル手続法の考え方に準拠し、行政側の視点でデジタル化が困難な手続を例外とするのではなく、国の例で申し上げますとパスポートの交付等が相当いたしますが、デジタルそのものが社会通念上意味をなさず、オンライン等で行うことが不適当と判断される手続を、例外としていくことを想定してございます。
このような想定のもと、今後、推進計画を策定していく中で、戦略政策情報推進本部が政策企画局や総務局とも連携して、全庁一律の横串を通した考え方を示し、関係各局と協議の上、選定していくことを想定してございます。
○鈴木委員 今のご答弁の中で、私は個人的に重要だなと思うのは、やっぱり行政側の視点でデジタル化が困難な手続を例外としないという、はっきりとお話がありました。これは私、すごく重要だと思っております。
きょう、ちょっとこの審議に当たって、少し私の地元の武蔵野市の現状もご紹介をしたいと思いますけれども、それはなぜご紹介するかというと、この間なぜ進まなかったかというものがより具体的に見えてくるかなと思うので、少しご紹介をします。
武蔵野市でも、情報化基本計画というものがございまして、今、六期に入っております。これは三カ年の計画なので、もう多分二〇〇〇年台から始まっている計画です。その中でも当然、行政手続のデジタル化というものは、一つのまあ、弾として入っております。残念ながらしかし、計画に基づいて、これまで武蔵野市で行政手続のデジタル化が進められてきた年間の件数、これは一件から三件しかありません。しかも、その一件から三件を進めて、その後、住民からのニーズがないとやめてしまうというケースが結構たくさんあります。事実上、ほとんど進んでいないんです。これは国のデジタルファースト法ができても、状況は変わっておりません。
なぜこういうことが起きてしまうかということなんですけれども、幾つも問題があるんですが、一つは、行政手続をやっぱり選定するに当たっては、各部局が本当にやりたいと思ったものだけを挙げているので、もうその段階で相当数絞られてしまって、全然数として上がってこない、これが先ほどのまさに適用除外の問題に近い問題だと思います。
そしてもう一つは、やっぱり、現場にとって物すごい重い負担となるという認識があるんですね。これは、今回の条例でも、デジタル原則にはしつつも紙ベースの手続は残すということになっております。そうすると、各部局からすると、一つの手続について二つプロセスが存在をする。それがしばらく継続するという形になる。しかも、その新しいプロセスをもう一つ、通常の業務をしながらつくっていかなきゃいけないということで、正直、各部局からするとやりたくないというのが、非常に本音のところなんだと思います。正直に申し上げて、私としてはそういう認識を持っています。
今回、このデジタルファースト条例において、紙ベースの手続を残すと。これは、例えばデジタルになれ親しんでいない方々への配慮という観点では非常に重要だと思うんですけれども、やっぱり行政の効率性とかいろんなものを考えたときに、行く行くはデジタルに少しずつ一本化をしていくということが望ましいんだと思います。
その中で、例えばなんですけれども、フランスなんかですと、確定申告なんかは紙ベースだと五月までですが、デジタルベースだと六月まで待ちますよというような形で、少しインセンティブを設けたりしております。
そういう意味で、将来的なデジタル化へのやっぱり一本化を見据えて、デジタル化への誘導の方法をぜひ検討していただきたいと思いますけれども、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 情報通信技術の利用のための能力または利用の機会の格差、いわゆるデジタルディバイドにつきまして、具体的な格差の実態は手続の性質により異なりますが、本条例案は、従来行われていた手続を制限することは想定してございません。
このため、それぞれの手続におきまして、デジタルディバイドの解消状況等を踏まえつつ、書面による手続が並行するものと考えてございます。
一方で、今回の改正は、デジタルファーストを旨に行政手続のデジタル化を進めていくことを基本原則として定めてございます。このことから、これに基づき、デジタル化への誘導施策につきましては、都民の不利益にならないことを前提に、国の動向や今後の技術革新の進展等を踏まえて検討してまいります。
○鈴木委員 この分野でよく先行事例としていわれるエストニアなんかだと、現在、電子政府サービスを八四%の高齢者、高齢者のうち八四%が利用していると。高齢世代の方が実は高い利用率のサービスというものも、結構出てきているみたいです。私は、もちろんデジタルディバイドを考えたとき、高齢世代のケアということがかなり重要になってくると思うんですけれども、エストニアの例を見ていると、そういうものをしっかりとやった上で取り組みを進めていくと、実は高齢世代にとっても役所に行くのはおっくうだと、これは実際エストニアの方がおっしゃっているみたいなんですが、というような声も結構やっぱり聞こえております。
そういう意味で、私は、実はこのデジタル化というのは全世代的に、非常に本当はニーズと意義があるんじゃないかなというふうに思っておりますので、もちろんデジタルディバイドへのしっかりとした配慮はしつつも、都民全体の利益に資する取り組みとして、ぜひ自信を持って取り組んでいただきたいと思います。
続いて、今回の条例が対象としている手続の範囲について確認をしたいと思います。
このデジタルファースト条例では、これまでの条例とか規則に基づく手続だけではなくて、要綱であるとか、それから指定管理団体ですかね、そのあたりが所管している手続も、対象にしていると。
ちょっと質問を、最初、確認をしたいと思いますけれども、本条例では、指定管理者が行う手続にも対象を拡大したことに加えまして、政策連携団体が行う手続も、本条例を踏まえてデジタル化を推進するよう求めております。こうした都以外の実施機関や団体を本条例に位置づける意義について確認をさせてください。
○樋口ICT推進部長 行政手続は、法令や条例等に基づき、公権力を持って、都民、事業者に対して申請や届け出等を行わせるものでございまして、このため、行政のデジタル化が進まないと、これにまつわる民間のデジタル化、ひいては社会全体のデジタル化の阻害要因になり得ます。
また、社会全体のデジタル化に向けては、むしろ行政から率先してデジタル化を推進して、先導役を果たすことが重要でございます。
これらのことから、条例案では、都民により身近な手続を行うことが想定されます指定管理者による公の施設の管理に係る手続や、都政の一翼を担います政策連携団体が行う手続も、本条例の対象に位置づけることで、それぞれのデジタル化を促進していくものとしたところでございます。
○鈴木委員 今ご答弁いただきましたけれども、ここまで広く対象を設けているというのは、恐らく全国でも前例がないというか、今回、東京都が初めてだと思います。そういう意味で私としては、非常に意欲的でよいなと思っております。
行政のデジタル化を進めていく上では、ちょっと繰り返しになりますけれども、指定管理者と政策連携団体を対象に加えることを評価するんですが、それであるならば、政策連携団体が行う手続についても、現状の条例案だとデジタル化を努力義務としていますけれども、努力義務とするのではなくて、指定管理者が行う手続と同様に、都の実施機関に加えて、デジタル化の徹底を図るべきじゃないかと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 政策連携団体が行う手続につきましては、独立した法人としての自主性、自立性のもとに行われるべきであることから、本条例の趣旨にのっとり、デジタル化を促進することに努めることといたしました。
今後、指定管理者を含めた都の行政手続のデジタル化を強力に推し進めるとともに、都と政策連携団体とが強力に連携し、都庁グループ全体で行政のデジタル化を加速し、ひいては社会全体のデジタル化に波及させてまいります。
○鈴木委員 政策連携団体は、努力義務に今はとどまっているんですけれども、政策連携団体が所管する手続でも重要なものはあります。
それで、私としては、これは要望にさせていただきますが、やっぱり政策連携団体がまずやっている手続の全数はしっかりと把握をしていただきたいと思います。
その上で、特にやっぱり都民の利用者の多い手続については、これは東京都からも積極的にコミュニケーションをとっていただいて、サポートをして、デジタル化をしていただくと。なかなか全部は確かに難しいと思いますけれども、そういう努力はぜひ行っていただきたいと思います。
次に、条例に基づく計画についてです。
東京都、私が現時点で把握しているだけでも三千種類ぐらいの手続がありまして、これをスピーディーにデジタル化していくためには、相当なやっぱり予算と人員の体制と、そして計画、これが重要だと思っております。
先ほどの武蔵野市の例ですと、情報化基本計画はあるんですけれども、残念ながら毎年の数値目標は設定されておりません。そして、これは武蔵野市に限らずです。
基礎自治体の中には、ICTの専門人材というような者はほとんどいらっしゃらない。ほぼいないと、ゼロだと思っていただいて構わないというふうに、私としては認識しております。
そういう意味だと、計画はあっても、そこに全然実効性がないわけです。人員も予算もないというのが現状です。東京都は、私はそうなってはいけないと思っております。
そういう意味で、今回、ただ東京都は本条例に先立ちまして都政改革本部の方で、利用件数の多い百六十九手続について、この見直しを先立って進めております。これは、私は、非常にこれからの推進計画策定の指針となる価値のある取り組みだと思います。
そこで、本条例の制定後に策定する計画では、先行する都政改革本部の取り組みを踏まえた上で、デジタル化を行う手続の数について明確な数値目標を設けるとともに、計画を推進するためには政策企画局や総務局と戦略政策情報推進本部が連携した形で強力な体制を確保すべきだと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 条例施行後に策定いたします推進計画では、デジタル化の対象となる手続を明確にし、数値化するとともに、計画策定に当たっては都民等の意見を聞き、策定後に公表することで、手続のデジタル化の進捗状況の見える化を徹底してまいります。
本条例の施行後、推進計画に基づき、政策企画局や総務局を初め関係各局ともしっかりと連携し、先行する百六十九の手続を含め、対象となる行政手続のデジタル化を着実に進めていくことで、都政のクオリティー・オブ・サービス向上に寄与してまいります。
○鈴木委員 今ご答弁ありましたように、ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。
次に、システムのことについてちょっと触れたいと思いますけれども、今、国でもまさにデジタル庁の設立であるとか、それから自治体共通のシステム構築について議論が始まっております。現時点で示されている内容としては、二〇二五年度を目標に自治体システムを統一化していくと、そういう話が出ております。やっぱり先行する都としては、システムの二重投資にならないように配慮をしつつ、しっかりとできることを進めていかなければならないと思っております。
そこで、こうした国の動向を踏まえて、都として今後五年間のシステム投資はどのような方針で行っていくのか、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 行政手続のデジタル化に当たっては、現行の書面や対面を前提とした事務処理フローの見直しや電子申請を行うためのシステム構築など、技術的な課題がございます。このうち電子申請システム構築に関しては、戦略政策情報推進本部におきまして、区市町村と共同で東京共同電子申請・届出サービスを整備、運営しており、本サービスにより手続のオンライン化を推進してございます。
また、手続によっては、各局が所管する既存のシステムや国のシステムを活用して、手続のオンライン化が進められてございます。
行政手続のデジタル化に当たりましては、こうしたオンライン等を可能とする現行のシステムを最大限に活用するなど、国の動向も見定めながら、来年度に策定する推進計画で方針を定めてまいります。
○鈴木委員 続いて、基礎自治体への支援についてです。
昨年の五月に国のデジタルファースト法が制定をされましたけれども、その前後で、やっぱり自治体に関しては努力義務にとどまったことを受けて、私、当時、都独自のデジタルファースト条例の制定を知事に提案をしました。やっぱり地元自治体の現状を見ていた私としては、このままでは法律ができても全く進まないだろうと、正直そういう危機感がございました。
何でこのお話を東京都に申し上げているかというと、やっぱり市民の方々がふだん利用する手続というのは、圧倒的に基礎自治体が所管する手続が多いと思っております。そこがデジタル化するかどうかという、この点は、極めて大事なんだと思います。そういったお話もどこまで酌んでいただいたのかわからないですけれども、今回、本条例に区市町村への支援の条文が入っているということは、私は高く評価をしたいと思います。
ただ、現状は、先ほど申し上げたとおり、区市町村にはICTの専門人材はほぼおりません。
しかし、残念ながら、残念ながらというか、国の方でシステムの統一が仮にできたとしても、私としては、やっぱり自治体独自の取り組みというのは必ずあると思います。全てのシステムが一元化できるとは思っておりません。
そういう意味で、やっぱりICTの専門人材というのは、各自治体のサービスを設計する上で、あるいはその予算査定の段階でも極めて大事だと思っております。なので、私としては、やっぱり各自治体にICTの専門人材をしっかりと置いて、育てていってほしいなと、そういう願いを持っております。
そこで、これはなかなか自治体の現状からすると難しいと思うんですけれども、ここは東京都の出番だと思っております。今後、東京都として、区市町村に対する専門人材の派遣や受け入れなど、都内自治体への新たな支援策を具体的に検討すべきだと考えますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 本条例案は、行政手続のみならず、その先の行政全般のデジタル化をも見据えたものでございます。このため、都のみならず、都民により身近な区市町村のデジタル化が不可欠でございます。このことから、条例案では、都の行政手続におけます区市町村との連携や支援に関する規定を新たに設けてございます。
一方で、デジタル化をさらに前に進めていくためには、それを支える専門人材の確保も極めて重要な課題でございます。
今回の条例改正を踏まえ、行政手続のデジタル化を初めとした区市町村のデジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みに対し、専門人材によるアウトリーチ支援など、人的支援を含め、早期に必要な支援策について検討をしてまいります。
○鈴木委員 今、お話ありました。東京都としても、なかなか地方自治体の自治という考え方があるので、どうしても強制的にできるものでは当然ないと思います。けれども、その中で、人材面でサポートをしていただくというのは、私は大変重要な取り組みだと思っております。これはやっぱり、今後五年間、国の方でどういうシステムの構築が議論されて、最終的に入れることになったとしても、人材の育成というのは絶対に無駄にならないだろうというふうに思います。なので、ぜひここはしっかりと進めていただきたいと思います。
そして、最後に、今、行政手続のデジタル化というところがデジタルファースト条例の大きなテーマですけれども、私自身は、これはやっぱり都庁のDXの大きなプロジェクトの一つだというふうに認識をしております。きょうも、さきの政策企画局さんへの構造改革の質疑の中で、ほかにもさまざまなやっぱりDXのプロジェクトがあり、テーマがございました。
私としては、もちろん行政手続のデジタル化は重要です。でも、それ以外のやっぱり都庁全体のDXの中でさまざまなプロジェクトを進めていくこと、これももちろん大事です。ただ、やっぱり皆さんの本当の役割というのは、私は、都政のDXではなくて、東京全体のDXにあるんだというふうに思っております。
もともと国のデジタルファースト法というのも、当初はデジタルソサエティーをつくるという非常に広い理念がありました。それで、さきの代表質問でも、知事のご答弁の中で、ICT戦略を見直しして、グランドデザインを早急にまとめていくという、そういうお話がございました。
そこで、この条例改正によって、都における行政手続のデジタル化が推進され、都庁全体のDXを進めるてことなると思います。この取り組みを、さらに都庁のみならず東京全体のDXへとつなげていくという視点を持って、グランドデザインを策定していくべきだと考えますが、本部長の見解を伺います。
○寺崎戦略政策情報推進本部長 今般のコロナ禍におきまして我が国のデジタル化のおくれは浮き彫りとなり、日本社会全体が、データやデジタル技術を最大限に活用し、従来の組織やビジネスモデルを変革させ、サービスの提供方法などを抜本的に変えていくべき局面を迎えております。
こうした中で、社会全体のデジタル化に向け、行政が率先してデジタル化を推進することで、先導的な役割を果たすことが重要でございます。
このため、都におきましても、行政サービスの根幹ともいうべき行政手続のデジタル化を推し進めるため、書面で行うことを前提としてきた行政手続を大きく転換し、いつでもどこでもデジタルで手続を完了できる環境の整備に向けまして、東京デジタルファースト条例を今般上程いたしました。
あわせまして、今回の条例改正をてこに都庁のデジタル化を強力に推し進めていくため、東京都ICT戦略などを見直し、新たに東京都のICTのグランドデザインとしてまとめていくこととしたところでございます。グランドデザインを描くに当たりましては、都みずからの改革を促していくための都庁のDX、国や区市町村とともに推し進めていく行政のDX、さらには民間とともに目指していく社会全体のDXという三つの視点のもと、検討を進めてまいります。
今後、都が目指すべき方向性を庁内各局とも連携の上、早期にお示しし、まずは都庁のDXを推し進め、ひいては東京全体のデジタル化に取り組んでまいる決意でございます。
○鈴木委員 今、本部長の方から、社会全体のDXという視点も持って検討を進めていくという、非常に大事なご答弁ございました。
私も今定例会に当たって、改めて二〇一七年に策定をされた東京都ICT戦略を読み返してみました。これはいい意味で、かなり都政の現状とかけ離れてきたなと思っております。これはいい意味だと思います。というのも、振り返ってみると二〇一七年当時から、都政改革本部の方で三つのレスを中心に少しずつ都庁の中での改革が進み、そして戦略政策情報推進本部が誕生し、宮坂副知事もいらっしゃいまして、そして昨年度の末はスマート東京がまとまって、そして今回、このデジタルファースト条例というものが条例案として出されてきたと。
私はやっぱり、都政においてデジタル化というのは非常に大事な、この三年間で進んだ部分があるかなと思っております。ほかの分野と比較しても、やっぱりこのデジタル化は非常に、これまでの都政から少しずつ転換をしていただいて、組織もできて、本当に進んできたなという実感を持っております。ちょっと感慨深い思いも持っております。
さきの委員会でも申し上げたんですけれども、私、これから今後十年間の都政、そして東京において、やっぱりこのデジタル化というのは極めて重要な、私自身は一番重要なテーマになると思っております。その中心を担う戦略政策情報推進本部の皆さんというのは、まさに改革の台風の目だと思いますので、このデジタルファースト条例も、一つ一つの手続を変えていくのは非常に大変だと思いますけれども、ぜひその気概を持ってしっかりと取り組んでいただきたいと思います。そのことを申し上げて、私の質疑を終わります。
○清水委員 どうぞよろしくお願いいたします。私からも、同じく東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部を改正する条例について伺いたいと思います。確かに長いですよね。東京デジタルファースト条例という名称に変えたくなるのも、何かわからぬわけでもないわけでございます。
さて、先月の二十四日ですか、小池知事は、新内閣発足後初めて首相官邸で菅首相と会談されまして、新型コロナウイルス対策ですとか、あるいは延期されたオリンピック・パラリンピックの開催に向けて政府と東京の連携強化を確認したというふうな新聞記事を目にしました。
その際、小池知事と菅首相は笑顔でグータッチを交わしましたというふうなことが載っておりました。良好な関係をアピールしたんだというふうなことでございますが、私も、まさに政治というのは移ろいやすいなとしみじみ思っているわけでございます。あわせてそのとき、菅総理がデジタル庁を新設して推進しようとしている、行政サービスのデジタル化についても、同じく政府と東京都が連携協力をすると確認されたというふうなことでございまして、これはもうもちろん、都民だけでなく国民の利益のためにもぜひ皆様にもご協力を願いたい、まずはそのように申し上げていきたいと思うわけでございます。
ところで、本案につきましては、手続のデジタル化を強力に推し進めるため、既存条例を改正するということでございますが、これは第一定例会の本会議場で我が党の小松議員がご指摘させていただいたとおり、行政手続の現場でございます区市町村のICT組織体制は脆弱であるというふうなことでございます。それに類する発言が鈴木理事からたった今あったばかりでございますので、皆さんもう、とうにおわかりかと思います。
私もちょっと調べてみましたら、都内の自治体でも、いまだに多摩地域の六つの市町村、島しょにおきましては神津島以外全ての町村が、情報を専門とする部署を持っていないそうなんですね。そういったところでは、企画ですとか総務部門にそういった情報推進の部門が内包されてしまっているというふうなことでございます。
鈴木理事は武蔵野市でございましたが、私も多摩地域では武蔵野市と並んで多摩地域のリーディングシティーを自負している立川市でございますので、立川市はどのような状況なのかなと思って、改めて私もちょっと確認をしてみました。そうしたら、立川市の場合、情報推進課と称する課が設けてございます。そこに課長以下九名のスタッフがいらっしゃるということで、担当課長さんにお伺いしたら、これはなかなか多い方ですよと、体制的にはしっかりしている方ですよというふうなご意見、ご感想をいただきました。
しかしながら、その方たちが担っているお仕事、どういったお仕事を担っていらっしゃるかといいますと、情報関係の会議の対応ですとか、あるいは庁内LANだとか、基幹系システムですとか、あるいは情報セキュリティーですとか、いわゆるこれまでにあった情報の推進の維持のための、ちょっと守りの情報推進というか、そういった役割がほとんどでありまして、これから皆様方がなさろうとしているデジタルの手続を進めるですとか、あるいは5Gですとか、光ファイバーの敷設ですとか、もちろんキャッシュレスですとか、テレワークだとか、そういったこれから攻めの情報化ということに対応し切れていないというのが、リーディングシティーを自負しております立川市でもそのような状況に置かれております。
それで、立川の担当の課長さんにも聞いてみましたら、一生懸命やっているんだけど、人、物、金がちょっと足りないというのが現状ですというふうなことでありますので、やっぱりお金の方はちょっといかんともしがたいところはあるのかもしれませんが、せめて、先ほど来、鈴木理事もおっしゃっているような人材育成ということについては、東京都のお力をおかりしたいなというふうに私からも申し上げておきたいと思います。
そして、そのことに若干重なるかもしれませんけど、お伺いをさせていただければなと思っておりますので、よろしくお願いします。
先ほど申し上げましたことしの第一回定例会の本会議で、我が党の小松議員の質問に対しまして、宮坂副知事はこのようにおっしゃったんですね。副知事就任直後、私自身が全ての区市町村のICTの担当職員とお会いしました、そして、ICTの利活用に向けた説明や意見交換を行った、このような答弁を本会議場で頂戴したわけでございます。もう早速全ての区市町村のICTの担当の方と意見交換されたという宮坂副知事、やっぱり民間出身の副知事らしいなと、フットワークがいいなというふうに、まずは感心したわけでございますが、加えて、いずれの場でもICT人材の確保に関する意見がたくさん寄せられた、これは都と区市町村の共通の課題であるというふうに答弁を結んでいるわけでございます。
そこで、まずお伺いしたいと思うんですが、宮坂副知事が各区市町村を回った際、ICT人材の確保に関する意見として具体的にどのようなものがあったのか、お聞かせをいただければなと思います。
○樋口ICT推進部長 人材確保に当たりましては、自治体共通の課題を解決していくとともに、各地域特有の課題の解決につながっていく人材が必要であります。
昨年度、宮坂副知事が就任時に各自治体へご挨拶にお伺いし、ご意見を伺った中では、例えば、課題としては行政の効率化があり、AI、RPAの活用に関する意見があったほか、教育現場へのICT導入も課題とお話をいただいたと聞いてございます。これらの課題に対応できる専門人材が求められているものと認識をしてございます。
また、土砂災害警戒区域を抱える西多摩地域では、ドローンなどの活用に力を入れており、通信や画像解析などに通じている人材が必要とのお話もいただいたとのことでございます。
○清水委員 ありがとうございました。具体的にお示しをいただきました。確かに、どうしてもこの議論をしていると行政手続のデジタル化、電子化に集中してしまうんですが、ドローンというふうな技術もあったなと思いまして、デジタル化と一言にいっても幅広いなというふうに思ったわけでございます。
一方で、東京都におきましては、ICTに関する専門性を有した人材を採用しているというふうなことでございまして、特に宮坂副知事がみずから、これまでのキャリアを生かされたんでしょうか、人材確保にご尽力されまして、デジタルシフトを担当される民間出身の専門人材を採用しているというふうなことになっております。
そこでお伺いしたいんですが、こうした民間出身の方々は、どのような経歴をお持ち合わせでありまして、また、任用方や役職名についてもお示しをいただければなと思います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 民間での経験を有する人材といたしまして昨年度公募いたしましたけれども、受験資格に、インターネットサービスなど情報システムの構築、管理に従事した実務経験を十年以上有していることなどの要件を示した上で、IT関連企業等での職務経験を有する方を公募により選考の上、採用しております。
任用の形態につきましては二年間の任期つきとして、また、役職名はデジタルシフト推進担当課長でございます。
○清水委員 事細かにご説明いただきまして、ありがとうございました。
それでは、ちょっと重ねてお伺いしたいんですが、このデジタルシフト推進担当課長さんは、戦略政策情報推進本部でどのような役割を果たされているのか、また、その取り組みですとか、その成果についてお聞かせをいただければと思います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 技術革新のスピードに対応して都政のデジタルトランスフォーメーションを推進していくためには、民間人材の登用が必要だと考えております。現在、この方々につきましては、官民連携データプラットホームの整備に先立ちまして先駆的に取り組んでいる実証実験、この中で、三密回避、混雑回避などのテーマごとに担当課長が適宜適切な助言指導を行うなど、プロジェクトをマネジメントする役割を担い、着実に事業を推進しているところでございます。
また、本年六月には、各局業務におけますICTの活用について支援をいたします東京テックチーム、これを新設いたしまして、局横断的に活用できる東京版新型コロナ見守りサービスの提供や、ステッカー登録店舗マップの掲載、協力金サイト、家賃支援サイトの構築など各局の取り組みを支援しております。
こうした取り組みを通じまして、デジタルシフト推進担当課長の知見を生かしながら各局におけますICTの活用を進めるとともに、都庁全体のデジタルトランスフォーメーションの推進を図っているところでございます。
○清水委員 ありがとうございました。デジタルシフト推進担当課長さんのご活躍というのがよくわかりまして、多分これは、基礎自治体からしてみれば、うらやましいなというふうな限りなのかなと思います。本当に非常に高度な専門性をお持ち合わせの方が東京都政に加わっていただいたというふうなことで、頼もしい限りでございます。
また、職員の採用区分に新たにICTというふうなカテゴリーも加えていただいたというふうなことでございまして、この果敢な東京都の取り組みというのも、本当に私は評価をしたいと思います。随分募集が、二十名の募集に対して百六十名を超えるような方が申し込んでいただいたというふうなことで、まずはすごく皆さんが関心を持っていただいているということにも、すごくICTというふうな区分をつくったことがうまくいったのかななんていうふうに思っている次第でございます。
しかしながら、こういった人材は、あくまでも世界に冠たる東京都だからできるようなことであるというのも、これは疑いようのない事実なのかなと思います。まして、世界的なデジタル化のうねりの中で、ICT人材の逼迫が進むというふうにされております。今議会の宮坂副知事のご答弁でも、二〇三〇年には八十万人のデジタル人材の不足が予測されるというふうなご答弁もあったわけでございます。
こうした状況におきまして、区市町村レベルでは、ICT人材を都のように手厚く配置することは、現実的には極めて困難であるといわざるを得ません。これについては、私は鈴木理事と全く考えは一緒でございます。
また、ICT人材に限らず専門職のことについては、かねてから自治体経営の課題として、技術系の職員の採用、育成がなかなか大きな課題になっていることを私も聞かされておりました。例えば、民間における土木ですとか建築といった技術も日進月歩でありまして、土木や建築を担当されている都庁の職員の皆さん、あるいは基礎自治体の皆さんも、最新の専門技術の習得に大変苦慮されているんじゃないかなというふうに思っております。
ましてや、あわせまして、最近はコンプライアンスということに随分厳しくなってまいりました。したがって、非常にそういったことも相まってか、公共調達に支障が出てきてしまっているということも散見されているというのも認識をしているわけでありまして、これからICT人材だけでなくて、こういった専門的な技術と向き合わなきゃならない職員の皆さんというのは相当ご努力をしていただく、あるいは採用、育成について、これは組織的に何かお考えにならなきゃいけないのかなというふうな時代になってきたのかなというふうに思ったわけでございます。
そういった状況もありましてか、実は先般、九月二十五日だと思いましたが、東京都の市長会から正式に小池知事宛てに多摩地域における行政のデジタル化への取組に関する要望という要望書が提出をされたわけであります。その要望の中で、やはりICT人材の活用、育成等といたしまして、一つは、都で雇用した専門人材を各自治体に派遣することですとか、二番目に、自治体と民間企業における人事交流派遣制度を創設することですとか、あるいは自治体における人材バンク等のICT人材を確保、育成するための取り組みについて支援してくださいというふうな、まさにこれまで私どもが申し上げたようなことが、市長会という正式な組織から小池知事に要望があったと思います。
これは、もちろんまずは自助努力じゃありませんけど、基礎自治体の方で頑張っていただいて、そこでも何とかならないようであったら、これは東京都にお願いしたいというふうな気持ちも含まれているんだと私は思うわけでございますが、ぜひともそういった、先ほども推進計画の中でのお話もございましたが、これは国との連携協力とあわせまして、ただいま申し上げたような要望も含めまして、区市町村への連携、あるいは支援も、重要な推進計画の中の柱と思うわけでございますが、現時点でのご所見をちょっと改めていただければなと思います。
○樋口ICT推進部長 今回の条例改正は、行政手続のみならず、その先の行政全般のデジタル化をも見据えたものでございますため、都のみならず、都民により身近な区市町村のデジタル化が不可欠でございます。
このことから、改正条例案では、都の行政手続における区市町村との連携や、そのための支援に関する規定を新たに設けてございます。この認識のもと、これまでも、区市町村のデジタル化を支えるICT人材の育成につきまして、自治体職員の研修会等を行ってまいりましたが、今回の市長会からのご要望や各自治体の首長からのご意見も踏まえつつ、今後、さらに区市町村がICTを導入し、積極的に活用できますよう、専門人材の育成や交流等の必要な支援に努めてまいります。
本条例改正をてこに、今後、東京都ICT戦略などを見直し、新たに東京都のICTのグランドデザインとしてまとめていくこととしてございます。この中で、区市町村とともに改革を推し進めていく行政のデジタルトランスフォーメーションにつきまして、実現性等を踏まえつつ検討してまいります。
○清水委員 ありがとうございます。重ねてのご答弁になったのかもしれませんが、ありがとうございました。
ぜひとも頑張っていただければなと思うわけでございますし、もう既に国の方も、デジタルガバメントの方はいうまでもなく菅首相の肝いりの政策として進めているわけでございまして、早速もう自治体を管轄する総務省の方では、これは仮称ではございますが、自治体DX推進計画を策定するんだというふうな発表があったやに聞いております。
それとあわせて、これも鈴木理事と本当に全く同じなんですが、ほとんどの手続の現場は区市町村にございますので、そうなりますと、これは国だけじゃなくて東京都の働きというのがすごく重要になってくるかと思いますので、ぜひとも頑張っていただければと思います。
以上です。
○加藤委員 菅政権が発足し、デジタル庁の設置に向けて準備が進められております。日本のデジタル競争力は低く、世界から取り残されていると指摘されており、この課題解決に向けた取り組みは、国民からも好意的に受けとめられているというふうに感じております。今後の取り組みに大いに期待をしております。
都としても、このたび東京デジタルファースト条例を制定し、都民生活の向上と都民経済の健全な発展に寄与していくとしております。
そこで、まず、国のデジタル手続法と比較して、この条例はどういう関係にあるのか、違いやすぐれた点について伺います。
○樋口ICT推進部長 デジタル手続法は、国を初め、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術の便益を享受できる社会の実現を目指し、行政のデジタル化に向けた基本原則や手続のオンライン化に係る通則等を定めております。
同法におきまして、基本的には同法の対象外とされている条例または規則に基づく手続につきましても、同法に準じまして、オンライン等により行うようにするための制度的手当てを講ずるなどの努力義務を地方公共団体に課してございます。
今回提案した条例案は、こうした地方公共団体に課された努力義務をより積極的に受けとめ、都のデジタル化を推進していくことを目的に、デジタル手続法の条文も参照しつつ、条項を整備したものでございます。例えば、同法が求める条例または規則に基づく手続のみならず、都民により身近な要綱等に基づく手続にも対象を拡大するなど、さまざまな点において、都独自の観点を盛り込んだ内容としてございます。
○加藤委員 次に、二〇一八年第三回定例会一般質問や昨年の事務事業質疑でも、電子申請のオンライン化について質問をいたしました。オンライン化の推進については、申請件数ゼロを除く約千の手続のオンライン化に着手をしておりますけれども、現在どこまで進んだかについて伺います。
○樋口ICT推進部長 行政手続のデジタル化につきましては、平成二十九年度に行った行政手続の棚卸し結果をもとに、全行政手続二千七百八十一手続のうち、優先順位が相対的に低い申請件数がゼロ件の手続等を除いた約一千手続を対象に、平成三十年度から令和三年度までの四年間で約七百三十の手続を目標とし、オンライン化を進めてまいりました。
昨年度末時点の二年間で、新たに三百三十六手続をオンライン化し、平成二十九年度末時点で、既にオンライン化済みの九十五手続を加えました四百三十一手続をオンライン化してございます。
今後、本条例の改正をてことし、行政手続のデジタル化の取り組みを一層加速させてまいります。
○加藤委員 今年度と来年度の二年間で、目標である七百三十手続まであと約三百ということで、本条例をもって一層の推進に期待したいというふうに思います。
ところで、世の中のデジタル化に伴い、デジタルディバイド、いわゆる情報格差の課題が出てきます。特に高齢者は、先進技術についていけないという声を聞いております。調査でも、情報通信機器について必要性を感じないと答える方が多くおります。
条例が想定するICTの利用のための能力等が十分でない者に対する適正な配慮の確保に、どう取り組んでいくのか伺います。
○樋口ICT推進部長 条例案では、利用のための能力等が十分でない方に対する適正な配慮の確保のための例示といたしまして、能力等が十分でない方に対し、身近に相談、助言その他の援助を求めることができるようにするための施策、及び当該援助を行う者の確保及び資質の向上のための施策を挙げてございます。
例えば、前者の例としては、デジタルサービス相談窓口の設置など、後者の例としては、デジタル機器の使い方を高齢者、障害者等に教える者の確保、育成などが想定されます。
また、幅広い是正施策例としては、デジタル技術に関する特別な知識や複雑な操作を要しない、利用しやすい工夫をするなどした行政サービスの提供や、実際にオンラインで行うための具体的な方策等についての専門的、技術的な用語に頼らないわかりやすい広報、外国語対応なども含まれると考えてございます。
本条例に基づく具体的な施策につきましては、来年度の予算も見据えながら早急に検討を進めてまいります。
○加藤委員 この点は非常に大事なことで、来年度予算も見据えということなので、公明党としてもしっかり応援をしていきたいと思いますので、頑張っていただきたいというふうに思います。
また、本人確認なんですけど、今マイナンバーカードの普及が必須だというふうに思うんですけれども、ここがまだネックとなっております。菅総理が免許証のデジタル化についてもコメントをされておりましたけれども、シンガポールはスマホの中に免許証が入っていました。本人確認の手段が進むことが、これを進めていくにはやっぱり大事だというふうに思っております。
そして、次に、条例案では推進計画を定めるとありますけれども、東京都官民データ活用推進計画との違いは何か、また、推進計画の策定はいつまでに行うのかについて伺います。
○樋口ICT推進部長 官民データ活用推進基本法に定めます都道府県データ活用推進計画は、法に基づき国が定める基本計画に即して、都道府県が定めることとされてございます。
計画の内容といたしましては、法に定められた基本的施策を踏まえ、行政手続のオンライン化原則や、利用の機会等の格差の是正に係る取り組みを初め、オープンデータの推進、個人番号カードの普及及び活用に係る取り組みなど、情報技術の活用に関する取り組みを記載するものとされており、都では、東京都ICT戦略をデータ活用推進計画として位置づけてございます。
一方、本条例案におきます推進計画は、デジタル化に必要な施策を総合的かつ計画的に推進するために、データ活用推進計画におけます行政手続のオンライン化等に関する部分につきまして、対象となる手続等の範囲や、より具体的な手続のオンライン化に向けた施策等を定めるものとしてございます。また、推進計画策定に当たりましては、都民等の意見を聞くとともに、その策定後に公表することで、手続のデジタル化の進捗状況の見える化の徹底を図ることとしてございます。
このように、本条例に基づく推進計画と東京都官民データ活用推進計画は、いわば車の両輪の関係で、都のデジタル施策を推し進めるものでございます。
推進計画につきましては、条例施行後、計画素案を公表し、都民の意見も反映させた上で公表していく予定となってございます。
○加藤委員 来年の四月一日施行ということでありますので、来年の二定か三定あたりで、推進計画については質疑するということが想定されると思いますので、また議論をしていきたいというふうに思います。
次に、行政手続には手数料納付などの金融決済も伴うため、情報システムの整備に当たっては、セキュリティー対策が重要であります。セキュリティー対策の専門チーム、民間委託なども含めて設置することが重要と考えますが、どのように安全性を確保していくのかについて伺います。
○沼田情報基盤担当部長 都では、副知事を最高情報セキュリティー責任者、いわゆるCISOとする全庁的なセキュリティー体制を構築し、東京都CSIRTが主導して、サイバーセキュリティポリシーの徹底や重大サイバー攻撃事案への対処等を実施しております。
具体的には、都が整備、運用するシステムのうち、都職員が日常的に使用する東京都高度情報化推進システム、いわゆるTAIMSについては、国が全国の自治体に求めておりますセキュリティー対策であるネットワーク分離等を実現するため、インターネット利用のための物理端末、内部事務システムを利用するための仮想端末の二つの機能をあわせ持つ特別な仕様の端末を整備し、これにより情報漏えい等の防止を図っております。
また、各局が所管しているシステムにつきましては、東京都サイバーセキュリティポリシーに基づき、各局においてセキュリティー対策を実施しておりますが、戦略政策情報推進本部におきましても、全庁を統括する立場から、セキュリティー専門事業者と技術支援委託の契約を結びまして、その専門家の意見も聞きつつ、職員の教育、全庁ルールの策定、各システムのリスク評価など、サイバーセキュリティー対策を実施しているところでございます。
○加藤委員 昨日の東京証券取引所のシステムダウンや、サイバーテロによるハッキングなどで都民に被害が生じることは、絶対に防がなければなりません。心して対応をお願いしたいというふうに思います。
次に、指定管理者にも行政手続のデジタル化を求めておりますけれども、実効性を高めるための取り組みはどのように行っていくのかについて伺います。
○樋口ICT推進部長 指定管理者制度は、公の施設の管理を広く民間の団体に行わせるものとして、都民のニーズにより効果的、効率的に対応し、都民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的とするものでございます。
条例案では、都民により身近な手続を行うことが想定される指定管理者による当該公の施設の管理に係る手続を、本条例の対象範囲に追加し、都の手続と同様にオンライン化を促進していくものとして位置づけてございます。
これに伴いまして、指定管理者が行う都の手続につきましては、都が行う取り組みに準じて、手続のオンライン化のために必要な情報システムの整備やその他必要な措置を実施することを努力義務とするとともに、手続のデジタル化の進捗状況を公表することとしてございます。
今後、総務局や関係各局と連携を図りながら、指定管理者が行う当該公の施設の管理に係る手続につきましても積極的にデジタル化を促すことで、都民の利便性向上を図ってまいります。
○加藤委員 最後に、都民にとって身近な手続を行う区市町村のデジタル化が急がれます。先ほど、お二人からもお話がありました。
都は、区市町村と東京電子自治体共同運営協議会を設置し、共同で電子申請システムを調達、運用しております。私もそのホームページを見ましたが、全ての区市町村が入っているわけではありませんでした。また、例えば住民票の写しを申請するにしても、申請できる自治体とそうでない自治体とがあり、統一されておりません。自治体それぞれの考えがあるかもしれませんけれども、都民としては非常に不便に感じると思います。ぜひ都として、共通項がふえていくように働きかけをお願いしたいというふうに思います。
そこで、区市町村との連携協力、必要な支援に努めるとありますが、今後どのような支援を行っていくのか、例えば、区市町村のデジタルファースト条例制定に向けて取り組みを支援ということも考えられると思いますが、見解を伺います。
○樋口ICT推進部長 本条例案は、行政手続はもとより、その先の行政全般のデジタル化をも見据えたものでございますため、都のみならず、都民により身近な区市町村のデジタル化が不可欠でございます。
このことから、改正条例案では、都の行政手続におきます区市町村との連携や、そのための支援に関する規定を新たに設けました。例えば、区市町村のデジタル化を支えるICT人材の育成につきまして、自治体職員の研修会等に加え、今後さらに区市町村がデジタルの力を最大限に発揮できますよう、専門人材の育成や交流等の必要な支援に努めてまいります。
また、条例制定後の都における取り組みやノウハウ等を区市町村との間で共有するとともに、区市町村が条例改正を行う際には積極的に支援をしてまいります。
○加藤委員 さきの代表質問では、都民に身近な都営住宅のオンライン募集を提案しましたけれども、シルバーパスの申請や各種障害者手帳の申請も、早期にオンラインで行えるようになるよう要望して、質問を終わります。
○米倉委員 私からも、東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部を改正する条例について伺います。
技術進歩に合わせて、手続のデジタル化をしていくことは大事だと思います。今回提出されている改正後の条例案の名前はデジタルファースト条例ということですが、これまでの条例から、行政手続を書面から原則デジタル化すると。デジタル化を進めるために推進計画をつくって推進していくというものです。
大きく中身を変える条例改正ですが、どういう経過で改正することになりましたか。
○樋口ICT推進部長 今般の条例改正は、コロナ禍で浮かび上がった課題を受けとめ、都民、事業者の利便性の向上などにより、都民生活の向上を図ることなどを目的に、行政のデジタル化の根幹ともいえる行政手続のデジタル化を強力に推し進めるためのてことして、抜本的に実施するものでございます。
○米倉委員 条例にかかわる手続の内容についても伺います。
東京都の手続を原則デジタル化するということですが、対象となる手続はどのくらいあるのか、また、デジタル化を適用除外とする手続はどういう考え方で除外するのか、適用除外となる手続はどのくらいになると想定していますか。
○樋口ICT推進部長 平成二十九年度に行った行政手続の棚卸しでは、二千七百八十一手続をオンライン化の対象として整理いたしましたが、対象範囲の拡大等、本条例案において対象手続を改めて定めましたことから、今後、本条例に基づく手続について庁内で調査し、把握してまいります。
適用除外の手続につきましては、今後、推進計画を策定していく中で、戦略政策情報推進本部が政策企画局や総務局とも連携し、全庁一律の横串を通した考え方を示し、関係各局と協議の上、選定していくことを想定してございます。
○米倉委員 対象となる手続が幾つあるかは、今の段階では都は把握していないということです。適用除外となる手続がどういうものかということも今後の検討ということで、今の段階では、基本的な考え方も示されなかったということです。
条例の基本的なことにかかわることが今後の調査だということなんですけれど、普通というか、一般的に、もう少しそういうところを整理して説明されながら条例提案する、改正するというふうになるんじゃないかなと思うんですが、どうしてこのタイミングなのかお答えいただければと思います。
○樋口ICT推進部長 まず、前段のお話でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、平成二十九年度に行政手続の棚卸しをしてございます二千七百八十一手続がございます。それをまずベースにしておるというところです。その一方で、今回、本条例で対象拡大をしたというところで、今後しっかりと精査をしてまいるというところを答弁申し上げたところでございます。
もう一つ、そのタイミングですが、先ほどこれもご答弁申し上げたとおりでございます。コロナ禍で浮かび上がった課題を受けとめ、都民、事業者の利便性の向上などにより、都民生活の向上を図ることなどを目的に、行政のデジタル化の根幹ともいえる行政手続のデジタル化を強力に推し進めるためのてことして、抜本的に実施するというものでございます。
○米倉委員 コロナを受けてということなんですが、そもそもコロナ禍の状況を受けて、四月の臨時議会で、申請など窓口に来ないといけないということを解消するために、都民サービスの提供手法について検討するための予算を二千万通しています、議会として。それは、今年度のうちに報告されるということで聞いています。
やっぱり、既にコロナを受けて動いていらっしゃるということを受けて、その報告もないのに、今回、その基本的な考えだとか、議会に示されていないんですが、そういう中で改正されるというのは、ちょっと進め方として疑問を感じます。
条例の内容も聞きたいと思うのですが、デジタル化によって、身分証明の際にマイナンバーカードしか手段がないということにはすべきでないと思いますが、どう対応するつもりですか。その他都の規則で定めるものでかえることができるということも条例案に書いていますが、これは具体的な手段、どういうものになりますか。
○樋口ICT推進部長 まず、冒頭になりますけれども、基本的な考え方につきましては先ほど来ご答弁申し上げましたとおりでございます。都民により身近な要綱等に基づく手続にも対象を拡大するなど、さまざまな点において都独自の観点を盛り込んだ内容とする、そういった内容の条例を今回提案させていただいておるというところでございます。それについてはご認識を賜ろうというところでございます。
もう一つ、マイナンバー等につきましてご答弁申し上げます。
マイナンバーカードを利用した公的個人認証サービスは、オンライン申請等におけます本人確認のための公的サービスであり、成り済ましや改ざんの防止等の高い情報セキュリティーを有してございます。こうしたことから、国によるデジタル手続法において署名等の代替措置として例示されており、本条例においても同様の規定としてございます。
また、条例案にありますその他都の規則で定めるものの具体的な手段につきましては、例えば今後の技術革新等により変わることも想定されますので、その手段については、別途東京都規則で定めることとしてございます。
○米倉委員 私、その基本的な考えって、条例の基本な考え方ではなくて、適用除外ってどういうものかということで伺ったんですよね。やっぱりそこは示されていないわけです。
マイナンバーカード以外の手段なんですが、別途定めるということです。これも現段階でどういう手段があるかということを示していただきたくて聞いているんですが、今後、別途定めるということです。
改めて確認したいのですが、マイナンバーカード以外の手段は、今後新たに出てくる手続についても、ほかの手段が確保されるということでいいでしょうか。
○樋口ICT推進部長 大変恐縮でございます。重要なことですので、ご答弁をさせていただければと思います。
先ほど、適用除外の関係がございました。これについては、先ほど鈴木理事の方にご答弁申し上げたとおりですけれども、我々の方で適用除外というのを設けていると。その規定を設けている。その上で、今後、各局とも話し合いながら、条例に定めている推進計画、こちらの方で、しっかりと精査をしてまいるということで考えてございます。その中で、適用除外というのが出てくるかもしれないというところでございます。
もう一つ、マイナンバーカード以外の手段についてでございます。
申請等の性質に応じまして、個別具体的な検討となりますけれども、マイナンバーカード以外の他の手段を排する制度とはしてございません。
そのため、先ほども答弁申し上げましたけれども、条例において、その他規則で定めるものとして、マイナンバーカード以外の措置をお示ししたものでございます。
○米倉委員 デジタル化自体否定しているわけではなくて、やっぱりそういうことを詳しくといいますか、細部の部分を各局で詰めるというのは当然だと思うんですが、基本的な考え方を国は一定示しているわけですが、そういうことは報告されて当然だと思うんです。
続きます。マイナンバーカード以外のほかの手段を排する制度とはしていないということで、それは確認をしました。必ずほかの手段も確保されるということにしてください。
セキュリティーのことも聞きたいと思います。
総務省が二〇二〇年度版情報通信白書を出していまして、ここで、サービスなどの利用に当たって、パーソナルデータを提供することへの不安は八割だと。他国と比べて非常に不安が強いということを示しています。これだけ不安があるのは、そもそもやはり政府への信頼の問題もあると思いますが、個人情報がどう扱われるのか、また、情報漏えいなどに心配があるということだと思います。
個人情報の漏えい等へのリスクの心配に都はどう応えていくのか、都民にはどう説明していくのか伺います。
○沼田情報基盤担当部長 自治体におきましては、国が平成十三年に、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを定めて以降、情報セキュリティー対策に一貫して取り組んできております。このガイドラインにつきましては、新たなサイバーセキュリティー脅威に合わせて、毎度更新されているものでございます。
東京都におきましては、個人情報を含む情報資産をサイバー攻撃等の脅威から守るため、このガイドラインに基づきセキュリティポリシーを定めておりまして、具体的な対策としては、個人情報を取り扱う情報システムとインターネットを分離することを含め、いわゆる三層の対策などを実施しております。
また、このようなサイバーセキュリティー対策の基本的な考え方を示す基本方針につきまして、ホームページで広く公開をしているところでございます。
○米倉委員 都民に対し、やっぱり、何が心配に感じているかということも聞きながら、それに応える情報も提供して進めていただきたいと思います。
手続のデジタル化は、高齢者や障害者など、インターネットや端末を利用しない方の状況を把握して対応していかなければ、そういう方が手続に困ったり、サービスを受けられないという心配があります。都民の意見を聞きながら進めていただきたいと思っています。そういう点では、今回の条例改正も、本来は都民の意見を聞いてから示すべきだったというふうに思います。
なぜ、今回、条例内容としては大きく変わるのですが、パブリックコメントはしなかったんでしょうか。
○樋口ICT推進部長 今回提案した条例案は、コロナ禍で浮かび上がりました課題にスピード感を持って対応し、また、国のデジタル手続法の条文を参照しつつ条項を整備したものであり、パブリックコメントの実施はしてございません。
○米倉委員 スピード感を重視されたということです。ただ、新型コロナウイルス感染症対策条例の改正は、短いけれど行っているわけですよね。都民生活にかかわる条例改正ですので、やはりやっていただきたかったと思います。
特に高齢者や障害者にとって、デジタル手続に対応することに困難がある方は、やはりかなりの割合いらっしゃいます。支援も必要なことがあると思います。どう実態や要望をつかみ、対応していくのか伺います。
○樋口ICT推進部長 本条例案では、高齢者を初めとするデジタル技術に触れる機会の年齢格差や身体障害の有無等、さまざまな要因があることを想定しております。
そのため、全ての都民及び事業者が情報通信技術の便益を享受できる社会が実現されるよう、情報通信技術の利用のための能力等における格差、いわゆるデジタルディバイドの是正に関する条項を新設してございます。
○米倉委員 手続はほぼ全ての局にかかわることだと思うんですが、そういう各局と連携して、高齢者、障害者の実態を把握していくべきだと思うのですが、そういうことでよろしいんでしょうか。
○樋口ICT推進部長 繰り返しになります。本条例案では、高齢者を初めとするデジタル技術に触れる機会の年齢格差や身体障害の有無等、さまざまな要因があることを想定してございます。
この想定のもと、全ての都民及び事業者が情報通信技術の便益を享受できる社会が実現されるよう、情報通信技術の利用のための能力等における格差、いわゆるこのデジタルディバイド是正に関する条項を新設し、今後しっかりと把握をした上で、もろもろの施策というところを検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○米倉委員 今後、実態把握されていくということだと受けとめました。ぜひ実態把握に当たって、特に障害者の皆さんなんかはさまざまニーズが、同じ障害でもいろんな状況があります。障害者団体などからも聞き取りをすることも必要だと思っていますが、いかがですか。
○樋口ICT推進部長 今後、デジタルディバイドの是正に関する条項、この条項に基づいて、私どもはさまざまな手段で検討をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○米倉委員 ぜひ障害者の分野は、当事者の話を聞いて進めていただきたいと思います。
私もこの間、視覚障害者の皆さんからは直接話を伺ってきましたが、やっぱり、例えばアートにエールをとか、この間、東京都ですとか国の手続がデジタル化でやってくださいというものなんかでとても苦労されたという話も伺っています。
これは一方でなんですが、パソコンを使いなれている視覚障害者の方だと、デジタル化されると自力で申請できるようになるから、手段が広がっていいなということも伺っています。
やはり都の手続のデジタル化というものは、デジタル対応が難しい方を取り残さないようにしていただきたい。やはりなかなか自力でデジタル対応は難しいという方には、別の手段を確保することが大事だと思っています。
デジタルディバイドの是正だけでなく、やはり、オンライン化が原則だよというふうになった後も、必要な方は従来どおりの対応が受けられるかどうか、大事だと思っています。これはどうなるのか、また、行政の窓口は確保されるのかと伺います。
○樋口ICT推進部長 今回の改正は、行政手続について、デジタルディバイドへの配慮を確保しつつ、デジタルファーストを旨として行うことを基本原則として定めてございます。
したがいまして、個々の手続は、それぞれの個別の現況を踏まえつつ、この基本原則に基づいて対応していくこととしてございます。
なお、先ほどもご答弁申し上げましたが、今回の改正の目的の一つに、都民、事業者の利便性の向上による都民生活の向上を掲げているところでございまして、従来行われていた手続を制限することはそもそも想定をしてございません。
○米倉委員 今回の条例改正は、都民の利便性の向上を掲げていて、行政へのアクセスを制限することは想定していないということです。
それでしたらなんですけれども、ぜひ必要な方は、やっぱり必要な方はいらっしゃると思っています、今の段階で。そういう方はこれまでと同じ対応ができることを、これは条例に明記すべきだと思っています。いかがですか。
○樋口ICT推進部長 先ほど答弁申し上げましたとおり、今回の改正は、行政手続について、デジタルディバイドへの配慮を確保しつつ、デジタルファーストを旨として行うことを基本原則として定めてございます。
したがって、個々の手続は、それぞれの個別の現況を踏まえつつ、この基本原則に基づいて対応していくこととなります。
なお、繰り返しになりますけれども、今回の改正の目的の一つに、都民、事業者の利便性の向上による都民生活の向上を掲げているところでございまして、従来行われていた手続を制限することはそもそも想定をしてございません。
○米倉委員 従来行われていた手続を制限することは想定していないと。これは大事な認識だと思っています。何でわざわざ条例に明記すべきじゃないかと申し上げているかというと、実際問題になっているからなんですよね。
デジタル化を進めることは大事ですけど、必要な方がいるのに、その行く先がないというふうになると、本当に困るわけです。やっぱりそういうことに対応できない方こそ声を上げにくいというか、都庁まで声を届けにくい環境にある方は多いと思うんですね。だから、やっぱりそこは確保される必要があるなと思っています。
従来行われていた手続を制限することは考えていないということなので、必要とする方がいるのに窓口を減らすですとか閉鎖するということはないように改めて求めて、質問は終わります。
○宮瀬委員 四名の方の質疑を聞かせていただいて、大分重複--効率化がメーンとなるテーマですので、効率化した部分は質問しないで進めさせていただきます。意見表明はちょっとさせていただきます。
先ほど、前委員の方の質疑をちゃんと聞いていたんですけれども、やはり今どれぐらいオンライン化ができているのかなというお話で、先ほどご答弁があったんですが、私が追加で聞きたかったのは、オンライン化率がどう推移しているのかを聞かせていただいてよろしいでしょうか。
○樋口ICT推進部長 平成二十九年度に行いました行政手続の棚卸し結果では、全行政手続二千七百八十一手続のうち、優先順位が相対的に低い申請件数がゼロ件の手続を除いた約一千手続を対象に、平成三十年度から令和三年度までの四年間で約七百三十手続を目標として、オンライン化を推進してございます。
オンライン化の対象手続の約一千手続を分母としたオンライン化率は、平成二十九年度末で〇・四%、翌平成三十年度末で一三・一%、翌令和元年度で三二・九%でございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。ここ数年で急速に、二十九年が〇・四%から令和元年度までに三二・九まで進んでいるということで、率直に素直に評価させていただきたいと思います。
先ほど質疑の中で、条例改正で対象を拡大していくということで、件数がどうなっていくのかということは、まだ把握されていないということなので、この質問は割愛させていただきます。
また、確認なんですけれども、分母が確定していない中で、今後どこまでデジタル化を進めるのかということであります。要は、分母が決まっていないと、分子が幾ら動いても、割合がどうなっていくのかがわからないということなんですが、分母が確定しましたら、件数が確定したら、それはもうきっちり一〇〇%やっていくという認識でよろしいんでしょうか。
○樋口ICT推進部長 行政手続は、行政サービスの根幹ともいうべきものでございまして、そのデジタル化が進まないと、行政全体のデジタル化の阻害要因になり得ます。
このため、本条例は手続のみならず、その先の行政全般のデジタル化をも見据え、利用実績がある手続については原則デジタル化を目指してまいります。
○宮瀬委員 原則デジタル化というか、原則一〇〇%ということでよろしいんでしょうか。
○樋口ICT推進部長 例えば、期間の問題もあろうかと思います。どの時点でゼロになる、原則一〇〇%になるかというところはあると思います。
例えば、先ほどご答弁申し上げました手続がゼロの、そういったものの対応でございます。優先順位は相対的に低いであろうと。及び費用対効果というものを見定めつつ、推進計画策定時に所管する局と調整をしていく、そういう形で、原則デジタル化ということでやってまいりたいというふうに考えてございます。
○宮瀬委員 なかなか一〇〇とはいいづらい状況もあるのかなと思いますが、デジタル化を目指すということは、原則一〇〇を目指していただきたいなと思います。
都民の皆さんが気になるのは、やはり、コロナ禍の中で、都庁に行くと。つまり、知事はステイホームだっていっているのに、行政の手続で来なきゃいけないというのは矛盾する、だったら早く何とかしてほしいという声もよく--特に高齢者の方は、もう電車も乗りたくないと。
それで、先ほど加藤副委員長がおっしゃっていた推進計画のスケジュールは、ご答弁されているのは聞いたんですけれども、じゃあ実際にデジタル化がいつできるのかというのが、都民の皆さんの関心事だと思います。今の時点で、あれば教えていただきたいなと思います。鈴木理事の先ほどの話もありましたけど、二十年たってもできないと、もう二〇四〇年とかですか、やっぱり時代の流れとそぐわないと思います。なので、そのスケジュール感、もしあれば教えてください。
○樋口ICT推進部長 先ほど若干触れましたが、新たに対象に加えた手続を含めました手続の全体数を改めて把握するため、今後、推進計画を策定していく中で調査を実施してまいります。
このうち、デジタル化に当たりまして特に課題等のない手続については、速やかにデジタル化に着手するとともに、情報システムの整備が必要な手続など直ちにデジタル化が困難な手続につきましては、条例施行後に策定する推進計画におきまして、都民の利用件数やシステム整備の期間等を踏まえまして、計画的にデジタル化を推進してまいります。
○宮瀬委員 なかなかどれぐらいでというのは今の段階ではいえないと思いますが、なるべく早く、急いでいただければと思います。
原則オンラインというかデジタル化する中で、郵送や非オンラインの手続が今後どうなっていくのかというのは、なくなっていくとやはり困る方も多いと思いますので、併用していくべきだと思います。先ほど質疑がありましたのでそこは質問しませんが、やっぱり併用といっても課題があるような気がしておりまして、飲食店の方から協力金の申請の仕方がわからないという相談をよく受けたんですけれども、パソコンは使えないんだ、誰も使えないといったときに、郵送でもできますよということをお伝えしていても、サイトの中に郵送の手続とかができることがほぼ見当たらないと。担当の総務局の方に聞いても、すぐ見つかってこないような状況なので、やっぱりオンラインのデジタルで申請する場合と非デジタルの方へのそういったわかりやすさの配慮も必要なんじゃないのかなと思います。
次が、いろいろ個人情報の保護では漏えい対策も聞いていましたので、うちの会派からもお願いいたします。
次、唯一出なかったのが成り済まし対策、要は振り込め詐欺が社会問題になっている中で、成り済まし対策をどうしていくのかと。私ちょっと危惧しているのが、いろいろやるとは思うんですけれども、例えば成り済ましも、全くの他人もいれば、身内が成り済ましちゃうケースもあると思うんですよ。
例えば、夫婦げんかをしていて、奥さんがすごい怒って、デジタルで、オンラインでもう離婚届出しちゃったとかなると、やっぱり本人は知らないところでパスワードとIDを使われちゃって離婚したことになっているとか、そういったことというのは、便利になったがゆえに、手軽にというわけではないと思いますけれども、できてしまうような気もしています。振り込め詐欺なんかは、もうわかりやすい例だと思いますけれども、こういった成り済まし対策はどうでしょうか。
○樋口ICT推進部長 国においては、成り済まし等の防止対策として、行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドラインを策定し、本人確認の必要性の検討の実施から、手続の性質上必要となる本人確認レベルに合わせたオンラインでの具体的な認証方法、例えば、厳密な本人確認なしから、ID、パスワードの活用、ICカードの活用といった手法を示しております。
都の手続におきましても、厳密な本人確認が求められないイベント等の参加申請から、対面での本人確認を求めている申請までさまざまあり、手続のオンライン化に当たりましては、こうした国のガイドライン等を踏まえて、各手続にとって適切なデジタルでの認証手法を採用し、安心してオンライン等による手続を行えるように努めてまいります。
○宮瀬委員 IDとかパスワードの活用、ICカードってありましたけれども、家族でしたら、それを共有されているか、郵便で先に取得しちゃって勝手にやっちゃうというケースもあると思いますし、逆に、郵便受けから誰かがとって、そのIDとパスワードで申請しちゃうとか、いろんなことが想定されますので、ぜひ知らないところで行政手続が行われたといったことがないように、どうチェックしていくかはこれからの課題ですが、よろしくお願いしたいと思います。
パソコンができない人とか、障害者、高齢者の方への情報弱者対策も質問に出ておりましたし、一説には、具体的にはどうやるのかというところで意見交換させていただいたときに、申請するための講習会を開くみたいなお話も聞いたやに思いますが、ぜひやめていただきたいなと。役所に行くのが大変なのでオンラインでやるのに、講習会をやるために役所に来てもらうというのは本末転倒ですので、ぜひ善処していただきたいと思います。
その他もろもろ質問もありますが、重複なので割愛させていただきますが、最後に、やはりデジタル化を進めていくためには、それを進めるための都庁の職員が、デジタル化していないといけないんじゃないのかなと思います。
昨年度と今年度で五千万円の予算で通りました全職員の一万人分のウエブカメラなどのヘッドセット、これは大体五千万円ですね。各局の皆さんと今いろんな案件で相談していますけれども、ほぼほぼ支給されたという声が聞かないんですが、あれから七、八カ月たちまして、全職員に行き渡っているんでしょうか。
○沼田情報基盤担当部長 ウエブカメラとヘッドセットの調達状況でございますが、ウエブカメラが新型コロナ感染症の影響で輸入が制限されるとともに、テレワーク実施のための需要の高まりから市場での流通量が少なく、大量入手することが困難な状況でございました。
このため、ヘッドセットについては既に必要数の整備を終えておりますが、ウエブカメラについては供給量を見据えながら可能な数を調達しているところでございまして、九月末現在の調達台数は、速報値でございますが、約二千五百台でございまして、必要数の約九千七百台に対し、配備率は約二六%となっているところです。
なお、現在、音声と資料共有によるウエブ会議の環境は、整備できている状況でございます。
○宮瀬委員 やっぱりコロナが猛威を振るっているときに、ウエブカメラとヘッドセットが必要なわけでありまして、職員の皆さんも大変だったと思いますよ。四、五、六月、いまだに四人に一人しか配布されていないとなると、やっぱりちょっと遅いんじゃないのかなと。
また、ご答弁にありました音声と資料共有によるウエブ会議等の環境は整備できているということになると、じゃあもうウエブ会議はそもそも必要だったのかと。業務、これで回っていますよということであれば、本当に五千万、全員分のヘッドセット代は必要だったのかという議論にもなりかねませんので、ぜひ必要なものか必要でないものか見きわめながら、調達が厳しいのであれば、じゃあどうしていくのか、本当に一万台要らないんじゃないかとか、柔軟に考え方を見直していっていただければと思います。
いずれにせよ欲しい方はたくさんいると思いますので、ぜひ、私たち議員も意見交換する際に、やっぱり変な話、ズーム会議やりましょうといってもできませんとよくいわれますので、お願いしたいと思います。
以上で終わります。
○山内委員 私からも、東京デジタルファースト条例案についてお伺いしていきたいと思います。
二〇〇四年に、オンライン通則条例が制定されました。行政手続のデジタル化はどこまで進んでいるのか、また、行政のデジタル化を進める意義と改正に至る経緯についてお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 行政手続のデジタル化につきましては、平成二十九年度に行った行政手続の棚卸しの結果をもとに、都民ニーズのある約一千手続を対象に、令和三年度まで約七百三十手続のデジタル化を目標とし、これまでにも各局が個々の手続ごとにデジタル化の必要性を判断して取り組みを進め、昨年度末現在で四百三十一手続のオンライン化を行ってまいりました。
今回の新型コロナウイルス感染症の拡大により外出抑制が求められる中、改めて社会的に非接触、非対面での手続に対するニーズが高まる一方で、申請等の行政手続を初めとする行政のデジタル化のおくれが課題として浮かび上がってまいりました。
今般のオンライン通則条例の改正は、この課題を真摯に受けとめ、行政のデジタル化の根幹ともいえる行政手続のデジタル化を強力に推し進め、都民サービスの向上を図っていくため、抜本的な改正を実施するものでございます。
○山内委員 国の通称デジタル手続法では、行政の業務効率を向上するために原則オンライン化するとしていますが、地方自治体は努力義務とされています。
今回の条例改正に当たっての都の姿勢についてお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 今回の改正では、デジタル手続法に基づく地方公共団体に対しての努力義務をより積極的に受けとめ、デジタル手続法の条文も参照の上、必要な条項を整備したものでございます。この中で、行政手続の原則デジタル化に向けた基本原則を示すとともに、これを第一に行政のデジタル化を進めていくという、デジタルファーストを旨とする条項も新設してございます。
今後は、この基本原則等を念頭に置き、行政のデジタル化を推進していくため、行政手続のデジタル化に、各局と連携し、着実かつ迅速に取り組んでまいります。
○山内委員 行政手続といっても、都民と東京都の手続、事業者と東京都の手続、都庁内の手続など幅広いと思います。
今後、行政手続のデジタル化をさらに推し進めるに当たっては、どのような行政手続を対象に進めていくかについて、わかりやすく都民に説明する必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 本条例案では、都民や事業者からの申請や届け出、行政が行う処分通知などで、東京都に係る手続全般を対象とし、また、都民に身近な手続のデジタル化をより推進するため、新たに指定管理者に係る手続や要綱等に基づく手続も追加してございます。
今後は、条例案に定めましたデジタル化に必要な施策を総合的かつ計画的に推進するための推進計画におきまして、対象となる手続等の範囲や、より具体的な手続のオンライン化に向けた施策等を定めるものとしてございます。
また、本計画につきましては、条例施行後、計画素案を公表し、都民の意見も反映させた上で公表していく予定としてございます。
○山内委員 情報通信技術について知識や能力、環境が不十分であっても、デジタル申請をしなければならないのでしょうか。
これまでの紙媒体の申請はできなくなるのかについて、都の見解をお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 条例案では、身体障害の有無や高齢者を初めとするデジタル技術に触れる機会の年齢格差等、さまざまな要因があることを想定してございます。新設した情報通信技術を活用した行政の推進に当たっての基本原則の条項において、情報通信技術の利用のための能力または知識、経験が十分でない者に対する適正な配慮がされることを確保しつつと明記し、オンライン等による手続が困難な都民等について、従来行われていた手続を制限することを想定してございません。そういうものにしてございます。
一方、本条例の目的である手続等に係る関係者の利便性の向上や行政運営の簡素化及び効率化を図るためには、行政のデジタル化が不可欠であり、オンライン等による手続が困難な都民等に対する格差の是正に関する規定を新たに設けたところでございます。
○山内委員 行政のデジタル化は、個人情報を取り扱うことが多いことから、セキュリティーを同時に進めなくてはならないと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○沼田情報基盤担当部長 行政手続に限らず、ICT施策を推進する中で、都民が安心してサービスを享受できるようにするためには、個人情報の漏えいや情報システムへの不正アクセスなどにつながるサイバー攻撃等への対応が重要でございます。
このため、都では、国が示す地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを踏まえ、サイバーセキュリティポリシーを定め、サイバーセキュリティー対策に取り組んでいるところでございます。
日々高度化、巧妙化するサイバー攻撃に対しては継続的な取り組みが不可欠であり、引き続き、各局と連携し、情報システムのリスク評価等を通じ、しっかりと対策に取り組んでまいります。
○山内委員 都では、情報漏えいが発生した場合、どのように対応するのかお伺いいたします。
○沼田情報基盤担当部長 都では、副知事を最高情報セキュリティー責任者、いわゆるCISOとする統括体制を整備しており、全庁的統括体制である東京都CSIRTと、個人情報等を含む情報資産を管理する各局のCSIRTが、連携して対応してまいります。
○山内委員 申請時にオンラインで個人情報をやりとりされることになるので、その取り扱いについて個人情報保護審議会に諮るべきと考えますが、いかがでしょうか。
○樋口ICT推進部長 デジタル施策を推進していくに当たり、個人情報保護の観点も必要であることは認識してございます。都では、個人情報保護条例を定め、デジタル技術の活用とは独立して、その必要性を定めているところでございます。
今回提案申し上げました条例案は、行政全体のデジタル化の推進に当たり、行政手続のオンライン化や添付書面の省略等、手続に主な焦点を当てた内容としてございます。個別手続の情報やデータそのものの取り扱いを定めているものではございません。
こうしたことから、個人情報保護条例第二十六条に規定します個人情報保護制度に関する重要な事項には当たらず、東京都情報公開・個人情報保護審議会に諮問するものではございません。
○山内委員 基本原則において、手続等にかかわる情報を共有して、当該、同一の内容の情報提供を要しないものとすると明記されています。
一度提出した情報は二度要求しないこととしていますけれども、個人情報の保護をどのように担保していくのかお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 本条例案の目的であります都民等の利便性向上に寄与するものとして、時間的、地理的な制約なくオンラインで手続を行えるようにするだけでなく、申請に必要な添付書類の入手、提出コストをかけることなく行政手続を行えるようになることも重要でございます。
そのため、本条例案では、デジタル手続法と同様に、一度提出した情報は二度提出することを不要とするワンスオンリーを、デジタルファーストを旨として行う原則の一つとしてございます。
具体的には、デジタル手続法及び同法施行令に準拠し、添付書面等の省略に関する条項を設け、必要な情報を入手、参照できる場合には、住民票の写し等の添付書面の提出を省略できることとしてございます。手続に係る情報の共有に当たりましては、個人情報保護条例等を遵守しながら行うこととしてございます。
○山内委員 近年、行政のIT化が進められており、IT産業が新たな公共事業といわれています。住基ネットの失敗を見ても、システムをつくり、動かすたびに使われた多額の税金が果たして妥当だったのか、さまざまな問題が噴出しています。
デジタル化するためのシステムを構築するに当たっては、スペックや金額について、その妥当性を判断することが重要であり、調達に関する経過における経費の精査も必要です。都は、どのように進めていくのでしょうか。お伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 都では、情報システムの改修や新規構築を行う場合、設計や開発段階における予算見積もり時のヒアリングの実施等を通じて、システム開発、運用管理、ICTを活用した業務改善への取り組みなどの観点から、機器の調達等に関して適正な運用形態及び経費となるよう、各局調整や指導を行っております。
また、公共調達におきましては、競争性、公平性、透明性を確保して、品質の高いものを適正な価格で調達することが必要でありますことから、各システムの契約段階におきましても、各局と協議し、予定価格の適切化を図っております。
さらに、大規模なシステム開発に当たっての企画及び要件定義の段階と、開発後の運用段階におきまして、システムアセスメント制度に基づき、そのシステムの有効性、適切性、安全性の確保等に関する評価を行い、システムのライフサイクルに応じて評価を行っております。
○山内委員 本条例の施行に当たっては、デジタル化に必要な経費が相当程度見込まれると考えますが、行政手続のデジタル化にかかわる自治体との連携、支援について、どのようなことを想定しているのかお伺いいたします。
○樋口ICT推進部長 本条例案は、都の行政手続のみならず、その先の行政全般のデジタル化をも見据えたものであるため、都はもとより、都民により身近な区市町村のデジタル化が不可欠でございます。
都の手続のデジタル化を推進するに当たりまして、技術的または財政的な理由からデジタル化の対応が困難な自治体に対して、先行した取り組みについての情報やノウハウ共有のほか、情報システム整備に係る技術的な助言、情報提供など、必要な支援を検討してまいります。
○山内委員 今回の条例案は行政手続に関するものだけで、個別の情報やデータそのものの取り扱いを定めているものではないというお話でございますが、デジタルファースト条例という条例名や第一条の目的に照らして考えれば、民間の企業活動も含めて情報通信技術をいかに広く利用していけるか、言葉は悪いですけど、狙っているというふうに見える、そう見えるという声があることも当然だと思います。
この条例改正は、都が現在積極的に進めている5Gや官民連携データプラットホームの動きへのステップとなっており、どうしてもデータを利活用する側の論理しか見えてこないと私は感じます。
情報通信技術の進歩は光と影の両面があり、最近はさまざまな弊害が指摘されています。国を越えて情報が飛び交う世界では、個人情報、データを誰がどのように使ったのか本人にもわからない。
EUでは、個人データの保護を基本的人権とする一般データ保護規則を施行しました。個人情報保護については、自己情報のコントロール権が議論になりますが、本来、個人データは本人のものです。情報を取り扱う主体が民間であれ、行政であれ、個人データ保護の理念をどこかで位置づける必要があると考えます。
政府を初め、世界からおくれた情報通信技術の利用を前のめりに進めているように見えますけれども、理念なき技術となりかねないので、今回の条例改正を発端として、個人データの取り扱いについてぜひ議論を進めていただきたい、このことを要望して、質問を終わります。
○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で戦略政策情報推進本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時四十五分散会
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