総務委員会速記録第二十一号

令和元年十二月十三日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長早坂 義弘君
副委員長加藤 雅之君
副委員長本橋ひろたか君
理事藤井あきら君
理事鈴木 邦和君
理事清水 孝治君
山内れい子君
宮瀬 英治君
原 のり子君
つじの栄作君
中屋 文孝君
米倉 春奈君
谷村 孝彦君
入江のぶこ君
木村 基成君

欠席委員 なし

出席説明員
都民安全推進本部本部長國枝 治男君
総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務森山 寛司君
治安対策担当部長高野  豪君
若年支援担当部長小菅 秀記君
戦略政策情報推進本部本部長松下 隆弘君
理事小室 一人君
戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松永 竜太君
特区推進担当部長米津 雅史君
戦略事業担当部長小川 祥直君
ICT推進部長戸井崎正巳君
情報企画担当部長荻原  聡君
情報基盤担当部長沼田 文彦君
総務局局長遠藤 雅彦君
危機管理監小林  茂君
次長野間 達也君
理事箕輪 泰夫君
総務部長西山 智之君
企画担当部長首都大学調整担当部長兼務久保田直子君
調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
藤原 知朗君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
伊東みどり君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務小林 忠雄君
都政改革担当部長豊田 義博君
都政改革担当部長勝見 恭子君
人事部長山口  真君
労務担当部長高崎 秀之君
コンプライアンス推進部長主席監察員
政策法務担当部長訟務担当部長兼務
貫井 彩霧君
行政部長佐藤 智秀君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
石橋 浩一君
都区制度担当部長米今 俊信君
総合防災部長有金 浩一君
防災計画担当部長古賀 元浩君
防災対策担当部長榎園  弘君
物資調整担当部長大澤 洋一君
統計部長影山 忠男君
人権部長堀越弥栄子君

本日の会議に付した事件
戦略政策情報推進本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十四号議案 令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 戦略政策情報推進本部所管分
都民安全推進本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十四号議案 令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 都民安全推進本部所管分
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十四号議案 令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 総務局所管分
・第百八十六号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十七号議案 東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十八号議案 東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十九号議案 東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十号議案 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十一号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十二号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・大規模風水害の検証結果について
・小笠原諸島振興開発計画について
・東京都犯罪被害者等支援条例案の概要について

○早坂委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、戦略政策情報推進本部、都民安全推進本部及び総務局関係の付託議案の審査並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより戦略政策情報推進本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十四号議案、令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、戦略政策情報推進本部所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十一月二十八日の委員会におきまして要求のございました資料につきまして、お手元にお配りしてございます資料、総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
 表紙をおめくりください。
 ICTショーケーシング(東京都メディアセンター)でございます。
 まず、1、目的及び位置づけについてでございますが、本事業は、東京大会の機会を通じて、東京都内のメーカーや中小企業が有するICT関連製品や研究内容を国内外に発信することで、東京都のICT施策の展開を促進するために実施するものであり、また、ホストシティTokyoプロジェクトの一環として実施するものでございます。
 次に、2、開催会場、展示内容等についてでございますが、開催会場は東京都メディアセンター、ターゲットといたしましては都民及びメディアセンター利用報道機関となります。
 また、開催期間は、オリンピック及びパラリンピック期間中の各一週間程度で、オリンピック及びパラリンピックに合わせて展示内容を変更することを検討しております。
 3、事業スキームについてでございますが、展示物は、事業者公募により無償調達することとし、会場の運営方法については、実行委員会を設置し、展示事業者と協議の上、決定してまいります。
 4、経費についてでございますが、補正予算案として三千万円を計上しております。
 最後に、5、スケジュールについてでございます。来年二月から展示コンテンツ、展示スペースの企画を実施し、四月から展示コンテンツの作成、展示スペースの準備、展示コーナー設営を行い、七月から九月のオリンピック及びパラリンピック期間中の各一週間程度、展示コーナーの運営を予定しております。
 以上、簡単ではございますが、資料についてご説明させていただきました。よろしくお願い申し上げます。

○早坂委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○入江委員 今のご説明にもありましたけれども、ICT情報通信技術のショーケーシングのこの補正予算について、もう少し詳しく伺います。
 東京二〇二〇大会は、大会のビジョンに掲げた史上最もイノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会を実現するために、さまざまな新しい取り組みを実施しております。
 戦略政策情報推進本部では、テクノロジーショーケーシング事業として、JR品川駅でのAI案内ロボットの実証実験のほか、八月には竹芝エリアの夏フェスと連携して、警備ロボットなど、さまざまなサービスロボットの実証実験を行ってきました。
 この東京ロボットコレクションには私も伺いましたが、大企業の製品のみならず、ベンチャー企業や大学の研究室が開発したロボットも参加していたことが大変よい点でございました。
 今回、補正予算が組まれましたこのICTショーケーシングでは、どのようなことを実施しようとしているのか、改めて伺います。

○戸井崎ICT推進部長 今回補正予算案に計上しましたICTショーケーシングにつきましては、ホストシティTokyoプロジェクトの一環として実施するものでございます。
 有楽町駅前に開設される東京都メディアセンターにおきまして、大会開催期間中、東京都内のメーカーやベンチャー企業など、中小企業が有するICT関連製品や研究内容を展示、PRすることを目的としております。
 また、これまで実施してまいりましたフィールド実験等で培われてきた技術、製品等も展示していくことを想定しております。

○入江委員 この有楽町のスペースというのは、ラグビーワールドカップのときはパブリックビューイングとして非常に多くの方、訪れていただきました。
 そして、今回は東京都メディアセンターということで使われるということなんですけれども、その中に設置される都市情報コーナーでは、大会関連情報だけではなくて、開催都市東京をアピールする情報など、幅広い内容をさまざまなメディアやインバウンドや都民に向けて発信をしていくために設置すると聞いております。
 大会組織委員会が東京ビッグサイト内に設置するメーンプレスセンターというものがございますが、こちらに出入りできるメディア、主に競技の中継等でございますけれども、そこに発行するパスの枚数というのは、これまでの大会と同じく六千枚程度に限られます。
 しかし、この東京都メディアセンターでは、これ以外にも世界中の多くのメディアを受け入れるとのことです。
 また、東京二〇二〇大会の会場やスポンサーエリアやライブサイトでは、大会スポンサーの最先端技術がショーケーシングされますが、そのほかはアンブッシュマーケティングということで、展示ができないということになっております。
 しかし、今回のこの東京都メディアセンターでは、都内のメーカーやベンチャー企業など中小企業が有するICT関連製品を展示することができるので、これは大変大きな意味がございます。
 その展示方法ですが、通常、ビッグサイトなどでは商談目的の展示が行われているわけですけれども、東京二〇二〇大会の期間中に東京都メディアセンターでそのような形で実施しても、訪れる方のニーズとは違ってきてしまうと考えます。
 あらゆるメディアや発信媒体やインバウンドや都民が強い興味や取材意欲を抱くような展示を行っていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○戸井崎ICT推進部長 今回のショーケーシングにおきましては、お話のとおり、メディアセンターを利用するあらゆるメディアを初め、都市情報コーナーを訪れる国内外からの観光客や都民の関心を引く展示とすることが重要であるというふうに考えてございます。
 そこで、オリンピック・パラリンピックの開催期間に合わせた製品や技術を展示することを基本に、展示に当たっての共通のコンセプトを設定いたしまして、それに沿った展示をつくってまいります。
 また、都民や報道機関にとりまして、最先端のICTを身近なものとして感じられるよう、スマートハウス、スマートオフィスといった形の展示を検討してまいります。

○入江委員 今ご答弁に、展示に当たっては共通のコンセプトを設定するということでございました。東京が有するデジタルテクノロジーがどのように使いやすい製品になっているのか、便利なサービスや斬新なエンターテインメントになっているかが体験できるショーケーシングにしていただきたいと思っております。
 例えば、お体が不自由な方でもプレイし楽しむことができるeスポーツ、またはAR、拡張現実によるデジタルアート、VRとロボットを一緒に行うテレイグジスタンス、5G通信を活用したICTサービスが受けられるスマートハウスやスマートオフィスなどがよいのではないかと考えております。
 そして、この今回のICTショーケーシングを実施することによる効果は何なのか、お伺いしたいと思います。

○戸井崎ICT推進部長 二〇二〇大会時には、国内外から多数の人々が東京に訪れます。この絶好の機会を生かしまして、東京都内のメーカーやベンチャー企業など、中小企業が有するすぐれたICT関連製品や研究内容を多くの方に知っていただくことで、ベンチャー企業等の販路拡大に資するとともに、東京の魅力向上にもつながるというふうに考えております。

○入江委員 これはイメージなんですけれども、東京二〇二〇大会で初めて日本に来るそういう方たち、取材のクルー、いらっしゃるわけですけれども、この東京都メディアセンターで東京のまだ小さい企業の最先端のデジタルテクノロジーに出会い、それを自国で報道、放送していただくことによって、ビジネスマッチングにつながるというのが理想の形ではないのかなと考えております。
 ぜひ東京のすぐれたICT関連製品が世界に発信されるように、展示コンテンツや展示スペースの企画、立案をしっかりと行っていただきたいと要望します。
 そして、この企画と立案によって、四月以降、さまざまな実態を企画されるということなので、大変大事だと考えております。よろしくお願い申し上げます。質問を終わります。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で戦略政策情報推進本部関係を終わります。

○早坂委員長 これより都民安全推進本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十四号議案、令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、都民安全推進本部所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○谷村委員 先日公表されました都民生活に関する世論調査、これは大変にいろんな角度から聞かれて、都民の皆様のお声を受けとめるには大変興味深い世論調査ですけれども、この結果によりますと、東京都に対して特に力を入れてほしいという要望事項の中で、治安対策が第二位となるなど、都民の皆様の安全・安心への関心は高どまりとなっております。
 子供や女性、あるいは高齢者が悲惨な犯罪に巻き込まれないように、犯罪の未然防止に取り組んでいくことが大変に重要であると思います。
 二〇〇三年、平成でいいますと十五年になりますが、この年を治安回復元年とした際には、見せる警備への転換も図りました。東京都の職員を警視庁に送り、事務作業をフォローアップすることによって、警察職員は現場に送り出す。
 そして、そういった見せる警備から、現在では、東京都では見守り活動の活性化を図るために、ながら見守り事業等も行っております。
 日常的にまちじゅうをくまなく回る事業者の存在、大変ありがたい存在ですけれども、こうした存在は、刑法犯への大きな抑止効果がありますし、それ以上に社会全体が犯罪を許さないという大きな意思表示をしている効果もあると思います。
 そして、今、最も犯罪の抑止効果がある防犯カメラの設置補助につきまして、都は、市区町村と連携し取り組んでいるところでありますが、防犯カメラの映像が流されて、出頭してくる犯罪者の例も今では少なくありません。
 防犯カメラの設置補助につきましては、地域の要望も受けて、補正予算を組むこととなり、本定例会に予算案が提出されているわけですが、この点について質問をさせていただきます。
 まず、一問目に、都では、町会、自治会、そして商店街、また市区町村を対象とした四つの事業により、この防犯カメラの設置経費を補助しておりますが、各事業におけるこれまでの防犯カメラの補助台数、また学校数、そして、今年度の当初予算ではどのように防犯カメラの台数を積算し、結果として、どのような予算規模となっているのか、お伺いをいたします。

○高野治安対策担当部長 都におきましては、現在、防犯カメラの設置補助につきまして、町会、自治会等を対象といたしました地域における見守り活動支援事業、商店街等を対象といたしました防犯設備の整備に対する区市町村補助事業、区市町村を対象といたしました登下校区域防犯設備整備補助事業及び区市町村立公園防犯設備整備補助事業の四つの事業を実施しております。
 平成三十年度までの各事業の補助台数でございますが、町会、自治会等につきましては一万百三十三台、商店街等につきましては四千百六十九台、通学路につきましては千二百五十四の小学校に対しまして六千二十四台、公園につきましては五百六十二台となっておりまして、累計で二万八百八十八台の防犯カメラの補助を行っております。
 また、今年度の当初予算における防犯カメラ台数の積算についてでございますが、昨年七月に区市町村に対し翌年度の防犯カメラの設置意向に関する調査などを行った上で、予算の要求を行っておりまして、台数の規模といたしましては、町会、自治会等につきましては二千七百七十五台、商店街等につきましては六百二十五台、また、今年度から通学路に限らず、登下校において区市町村が必要と認める箇所への防犯カメラの設置を補助することとしておりますけれども、この登下校区域につきましては六百台、公園につきましては四百台となっておりまして、合計いたしますと四千四百台で、予算額といたしましては約八億六千万円を計上しております。

○谷村委員 当初予算では、市区町村に対し設置需要の調査などを実施した結果をもとに、防犯カメラの台数を積算したとのご答弁がありましたが、今年度に入り、申請を受け付けると、当初予算を上回る要望があったというふうに理解をさせていただきたいと思いますが、防犯カメラの設置補助に対する要望が大きくなり、今回補正予算を組むことになったわけですが、その原因や背景というものについて、東京都としてどのような認識をお持ちか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 今年度に入りまして、五月に川崎市において児童らの大量殺傷事件、七月には京都市におきまして放火殺人事件が発生し、また、東京二〇二〇大会を控える中、都民の安全・安心への不安が高まっており、区市町村から追加要望の相談を受けるなど、防犯カメラを今年度中に設置したいとの要望が強くなっていると考えております。
 こうした状況を受けまして、都民の安全・安心の確保を図るため、緊急的な措置といたしまして、補正予算を編成することとしたところでございます。

○谷村委員 ただいまご答弁がありましたように、社会を震撼させる痛ましい事件は、地域の方々に大きな不安を与えるものであり、この防犯カメラの迅速な設置についての要望につながっているのだろうと思います。
 では、こうした都民の皆様のご要望にお応えするために、今回の補正予算を組むに当たって、どのように防犯カメラ台数の積算を行い、どの程度の規模になったのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 今回の補正予算案につきましては、防犯カメラの設置に係る全ての補助事業について、本年九月から十月にかけまして、市区町村に対し追加申請の意向調査を行っております。
 その結果、町会、自治会等につきましては六百三十八台、商店街等につきましては二十台、登下校区域につきましては百八十三台、公園につきましては六十八台の追加の要望があるということがわかりまして、補正予算案では、こうした要望にしっかりと応えられますように、当初予算案で不足が見込まれます町会、自治会等、登下校区域、公園における防犯カメラの整備事業につきまして、補正が必要な予算額一億七千九百万円を計上しているところでございます。

○谷村委員 商店街等からの二十台の追加要望につきましては、当初予算で対応できるため、今回の補正予算に組み込まれていないということでよろしいですね。
 先ほどのご答弁にもありましたけれども、来年度は東京二〇二〇大会の開催を控えておりまして、国内外から多くの方々が東京都に来られます。
 都は、防犯カメラの設置補助を通じて、地域の安全・安心の向上に取り組んでいくべきと考えますが、今後の防犯カメラ補助事業の展開について、都の方針をお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 防犯カメラは、地域の安全・安心に必要不可欠な公的インフラであると認識をしておりまして、都はこれまでも、より活用しやすく効果的な補助制度となりますよう、区市町村と連携し、取り組んでまいりました。
 今後も、誰もが安全・安心を実感できる東京の実現のため、防犯カメラの設置補助を通じまして、地域の防犯活動などの支援に努めていくとともに、着実に防犯カメラの設置が進みますよう、町会、自治会等の地域の方々の声を丁寧に聞きながら、適切に対応してまいります。

○谷村委員 ただいまのご答弁で、防犯カメラは、地域の安全・安心に必要不可欠な公的インフラと表現されました。これまで社会的認知を受けるまで、共産党は、防犯カメラの設置が普及する前は、監視カメラなどといって、この設置に反対をしてきました。
 これは、ある企業の言葉ですが、防犯カメラは、不快でしょうかという見出しと、防犯カメラの是非が問われた九〇年代後半という見出しを受けて、防犯カメラの設置を最初に進めたのは鉄道会社、特に一九九五年以降は、急速に台数がふやされました、きっかけは、地下鉄サリン事件です、その後、警察が駅前や公園、公道に防犯カメラを設置し始めると、映像が悪用される危険性や、プライバシー保護の観点から問題があるという声が上がりました、社民党や共産党は、カメラ設置に反対していましたし、当初はカメラ設置をめぐって、かなり議論されていましたと、ある会社の話ですけれども、締めくくっております。
 また、地域で防犯カメラの設置が進んだ一つの契機となりましたのは、冒頭申し上げました二〇〇三年、治安回復元年に各自治体で整備された犯罪防止のための条例であります。
 犯罪防止のための条例に防犯カメラ設置が盛り込まれたことを理由に、多くの議会で日本共産党は反対、あるいは抵抗しました。
 例えば、防犯カメラ設置などを推進する東京都の安全安心まちづくり条例案、これは二〇〇三年七月に成立をしておりますけれども、共産党は反対討論で、とりわけ重大なことは、条例が地域社会に防犯カメラを張りめぐらせようとしている問題です。続いて、条例によって一般都民に警察への協力を責務として上から押しつけることは、本末転倒である。二〇〇三年七月九日の吉田信夫議員、都議会本会議での討論で強く反対をされております。
 千代田区でも、共産党は、区議会で唯一この条例に反対と赤旗二〇〇三年九月四日付で宣伝をしているほか、防犯カメラの設置などの問題点を日本共産党議員団が指摘し、条例案から削除したというふうに同六日付の赤旗で取り上げ、防犯カメラ設置に反対をしております。
 また、一九九六年から十六年間、共産党員が市長を務めた狛江市では、地元警察署との地域安全活動の推進に関する覚書の締結を市長が拒否をし、そのため、市内の公道上には防犯カメラが一台も設置されないという異常事態が続いていたという証言もあります。
 本定例会に上程されております防犯カメラの設置補助の補正予算案に対して、日本共産党の皆さんが賛成されるのか、反対されるのか、注視したいと思いますが、東京オリパラ大会以降も都民の安全・安心に対する意識は、高まることはあっても、下がることはないと思います。
 地域の方々や市区町村からのご要望をしっかりと受けとめていただき、防犯カメラの設置要望に十分に応えられる予算が確保されるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○宮瀬委員 では、よろしくお願いいたします。
 私の方からも、防犯カメラの件で質問したいと思うんですが、私の知人から、フランスに行っていました私の大学時代の同級生が日本に帰ってきてびっくりしたと。それは子供の安全が諸外国に比べて大変薄いということでございます。
 それはどういうことですかと聞きましたら、フランスでは全ての学校の校門に警備員が立っていて、子供をしっかりと守っていると。その中で、あんなに誰も--朝の登下校の時間帯は近隣の人がいたりしますけれども、無防備だと。いや、カメラがあるじゃないですかという話をしたら、実はありませんといったことでございました。
 本当かなと思いまして、さきの第三回定例会におきまして、教育長に対し、小学校のカメラの数を確認させていただきました。全都内小学校の、公立でございますが、答弁出ております千二百七十八校中、防犯カメラが設置されているのは千二百七校と。すなわち私も全部の小学校で防犯カメラがあると思っていたら、七十一校、実は防犯カメラが設置されていないといったことでございました。
 実はこれ特定の区、二十三区のうちの一区なんですけれども、その区長の方針だと。区の名前をここでいいますと、治安上の問題もありますので、あえていいませんが、今後、その状況は見直していくといったことでございました。このように、学校そのものに防犯カメラが置いていないといったケースもあるようでございます。
 そこでお伺いいたしますが、今回の補助事業の中で登下校区域防犯設備整備補助事業といったことがございます。何年か続けている事業だと思いますが、全ての公立の小中学校の通学路ですとか、そういった、子供が通るようなところに設置されることになるのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 当本部の通学路防犯設備整備補助事業では、通学路における児童の安全を確保するため、平成三十年度までの五年間で、区市町村を通じて申請のあった公立小学校の通学路に防犯カメラを設置できるよう整備費用の一部を補助しておりまして、平成三十年度末の時点での補助実績は累計千二百五十四校、合計で六千二十四台となっております。
 また、今年度からは、通学路に限らず、登下校において子供の安全対策が必要であると区市町村が認める箇所への防犯カメラの設置経費についても補助を行っているところでございます。

○宮瀬委員 台数が六千二十四台、学校数の方が延べ千二百五十四校と聞いておりますが、全ての小学校が千二百七十八校でありますので、ちょっと計算しますと約九八%の普及率かなと。
 今回の理論上では全ての小学校の周辺は設置できると聞いておりますが、やっぱり理論上ではなくて、一〇〇%設置に向けて動いていただきたいなと。
 実は今回十七校余り、申請といいますか、していないといったことでございます。これも特定の区でありますが、名称は差し控えさせていただきますけれども、要は置かなくても本当に大丈夫かどうか、しっかりと現場で確認をしていただきつつ、補助しないのが真っ当なのかどうかをぜひ皆さんの立場から確認をしていただきたいと思っております。
 次のテーマでありますが、やはり防犯カメラは同時に、ここに防犯カメラがありますよといったことを告知することで、まさに犯罪を防ぐ効果があると。犯罪が起きた後に、誰がやったのかといった検証をするための機能だけではやっぱりもったいないといったことでございます。
 しかし、さきの第三回定例会におきましての教育長に対する質問に対して、教育長は、その表示に関しては、防犯カメラのシステム設置を知らせる表示の有無については把握していないと正式な答弁が出ております。
 やはり、カメラの設置とカメラがありますよといった表示はセットでなければならないと思っております。今回、補助事業四つほど、地域の見守り、登下校、区市町村の公園とありますけれども、その防犯カメラのシステムを知らせる表示を確実にセットにすべきだと思います。セットでなければ、防犯の効果が薄れてしまうと思いますが、見解を伺います。

○高野治安対策担当部長 防犯カメラの運用につきましては、原則として、区市町村が基準を定め、プライバシー等に配慮し、運用することとしており、区市町村の定めがない場合には、都が定めた基準によることとしております。
 当本部の東京都登下校区域防犯設備整備補助金交付要綱などでは、防犯カメラの設置表示について、明確かつ適切な方法で、防犯カメラを設置している旨表示するよう定めております。

○宮瀬委員 これは意見にしますが、実際に防犯カメラがあって、その表示があるかどうか、現場で現物は確認されておらず、実際にどうなっているかはわからないと聞いております。
 でありますので、教育長は、小学校そのものに置いてある防犯カメラの表示を、防犯カメラがありますよという表示を今後一〇〇%にしていくと聞いておりますので、ぜひ皆さんがやっている事業におきましても、実際に防犯カメラが設置してある旨の表示を一〇〇%にしていただくよう今回は要望にしたいと思います。
 東京都は、お金を出して終わりといったことではなく、繰り返しになりますが、現場で現物を見ていただいて、しっかりとそれが子供たちの安全を担う防犯カメラの機能をしっかりと果たしていただくことを要望しまして、質問を終わります。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都民安全推進本部関係を終わります。

○早坂委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百八十四号議案、令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、総務局所管分、第百八十六号議案から第百九十二号議案まで及び報告事項、大規模風水害の検証結果についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○つじの委員 よろしくお願い申し上げます。
 私からは、令和元年度台風第十五号及び第十九号等に伴う防災対策の検証の概要について質問したいと思います。
 質問に先立ち、一連の災害で亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 先日の我が会派、都民ファーストの会の代表質問でも災害対策に関して質問がありました。私からは本委員会で改めて質疑させていただきたいと存じます。
 まず、そもそも今回、従来の防災対策の存在が都にはあるにもかかわらず、改めて防災対策の検証に至った考え方、経緯についてお伺いします。

○有金総合防災部長 都はこれまで、セーフシティ東京防災プランなどに基づき、ハード、ソフト両面にわたった防災対策を着実に進め、各取り組みの進捗状況を毎年レポートとして都民や都議会の皆様に明らかにしてきました。
 昨年は、西日本での豪雨災害などによる大きな被害が発生したため、防災事業の緊急総点検を実施し、マイタイムラインの普及拡大や新たな調節池の整備などに取り組んでいるところでございます。
 こうした中、ことしは、強力な台風が日本を矢継ぎ早に襲い、長期の停電や暴風による家屋損壊、河川の洗掘による道路崩落で、孤立地区が発生するなど、さらなる課題が浮き彫りになりました。
 そこで、改めて全庁を挙げて風水害対策の検証を行い、緊急に取り組むべき三十五の対策を取りまとめ、さらなる防災事業の推進を図ることとしたものでございます。

○つじの委員 こういう資料を拝見しますと、初動体制の整備で被災状況の早期把握のため、補正予算で島しょ地域にドローンを配備するとあります。今後、こういう備えが発災時に役に立てればというふうに存じます。
 一方、同じ資料に、図上訓練に関する項目があります。よりリアリティーの高い図上訓練を実施とあり、直近では来年一月に実施とありますが、今回の風水害対応における教訓と今後の取り組みについてお伺いします。

○有金総合防災部長 都は毎年、国や自衛隊等のほか、一部の区市町村と連携し、さまざまな被害想定のもと、発災時における災害対策本部の活動を模擬的に実施する図上訓練を繰り返し行うことにより、災害対処能力の向上を図っております。
 今回の台風では、被害状況の把握から報告までに時間を要する例が一部で見られるなど、都との間の情報伝達について一定の課題がありました。
 一方、都全域が被害を受ける災害時には、多くの区市町村から支援要請を同時並行的に処理する必要が生じるなど、都としての対処能力の向上も不可欠でございます。
 そのため、検証結果を踏まえ、来年度から新たに、より多くの区市町村が参加し、都と連携するリアリティーの高い図上訓練を実施することとし、来月には試行的に一部の区市町村と共同して訓練を行い、本格実施に向けた課題を抽出してまいります。こうした訓練の実施などを通じまして、都及び区市町村の災害時における対処能力を向上させてまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。図上訓練に関しての今回の風水害を受けての課題の確認と今後の対策を確認できたと思います。
 次の質問にまいります。
 初動体制の整備において、今後新たに取り組むべきこととして、被害状況等の円滑な情報共有、計画運休への対応、九都県市間の迅速な相互支援などが盛り込まれております。
 私は小金井市選出で、多摩地域の防災に関して、当然ですが、多大なる関心があるんですけれども、立川地域防災センターの機能強化について幾つか質問させていただきたいと思います。
 ここにいらっしゃる方々は承知だと思いますけど、まず、立川地域防災センターのそもそもの役割、また、これまで地域で果たしてきた機能についてお伺いします。

○有金総合防災部長 立川地域防災センターは、隣接する多摩広域防災倉庫とともに、発災時には新宿庁舎と連携し、国や市町村等との情報収集や応急対策活動を行う多摩地域の防災拠点でございます。
 また、多摩地域の救助や、区部の支援を目的とした備蓄、輸送機能や、新宿にあります東京都防災センターの補完機能を有しているものでございます。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。本来、従来の立川地域防災センターの役割、機能について確認できたところだと存じます。
 次に、このたびの台風被害を受けて、今後の立川地域防災センターの新たな機能、役割についてお伺いします。
 防災センター自体が既に老朽化しており、施設を更新することに合わせた機能強化を図ることができるのではないかと私は思いますけれども、都の見解をお伺いします。

○有金総合防災部長 今回の台風十九号対応では、初めて、立川地域防災センターを拠点とした多摩地域へのリエゾン派遣や物資支援を実施いたしました。多摩地域にあるこの拠点を活用したことは、スムーズな災害対応に非常に有効であったと考えております。
 一方、同センターは、平成三年の竣工以来、大規模改修を実施していないことから、老朽化に伴う施設改修の検討が必要となっております。
 より効率的に災害対処を行うためのレイアウトや設備機器の更新等に伴う機能性の向上が課題となっております。
 今回の検証に基づきまして、改めて同施設の重要性が確認されたことから、機能強化に必要となる改修や、これは仮称でございますけれども、危機管理副監の設置を含む体制整備に向けた検討を進め、都の危機管理体制の強化に取り組んでまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 次に、防災広報についてお伺いします。
 今後、台風第十五号及び第十九号等に伴う防災対策の検証を踏まえ、防災広報に関して新たに取り組むべき内容についてご説明を願います。

○有金総合防災部長 都は、台風第十五号及び第十九号に伴います防災対策の検証を行う中で、防災広報の視点でも課題の洗い出しと今後の対応策を検討いたしました。
 具体的には、ダウンしないホームページの構築、防災ホームページの改善、ツイッターやユーチューブなどさまざまなツールを用いた情報発信、都民への情報発信と庁内の情報収集、島しょ地域への情報アクセスの向上、この五つの課題について、今後新たに取り組むべきものとして整理をいたしました。
 いずれの課題も、災害に関する情報を都民に対し正確に伝達する上で重要なものと認識をしており、今後、効果的な方策を講じてまいります。

○つじの委員 ご説明ありがとうございます。ただいまご説明にあった中で、台風十九号に関して、ホームページ関連の課題については、我が会派からも既に藤井議員から質問があるところでございます。
 私からは、ご説明いただいたさまざまなツールを用いた情報発信について、さらにお伺いしたいと思います。
 ご説明いただいたツイッター、ユーチューブ、あるいはフェイスブックなどは、全てインターネットを介しての情報取得手段でございます。
 私は、台風第十九号が最接近したことしの十月十二日の夜には、小金井の自宅でインターネット、ラジオ、テレビで災害情報を得ることができました。
 たまたま今回の台風で私の住んでいる地域では停電がなかったわけですけれども、私はその夜、情報をそういう複数のデバイスから得ながら、もし今、停電があったらどうなるんだろうかというふうなことを考えておりました。
 そのときスマートフォンとか、テレビも私も持っておりましたけれども、停電した場合、一番電源が長もちして、避難の際に持ち運びが容易なのは、たまたま部屋にあったんです、準備していたんですけれども、ポータブルラジオではないかというふうに考えました。
 また、そのときラジオの情報ですね、聴取していたラジオ番組は災害時の緊急番組になっておりまして、耳から生の情報を得ることができまして、また、番組内容も適宜最新情報が、臨機応変にというんでしょうか、適宜更新されており、情報を得るのに非常に有用であると私は思いました。
 以前、さきの東日本大震災で被災された医師の講演を聞く機会が、たまたま私も医師でございますので、ありまして、そこの講演の中で、その講演の先生は、スマートフォンなどの端末はすぐに電池が切れて、その災害の際に使用できなくて、余り情報収集の手段としては有用ではなかったとのコメントがありました。
 そこで、先ほど説明あったような現在までインターネットなどの媒体のみならず、非常時に有用と考えられるラジオ放送を用いた災害時における都民の皆様への情報提供がどのようになされてきたのか、その取り組みと今後の課題についてお伺いします。

○有金総合防災部長 区市町村におきましては、防災行政無線を聞くことができるラジオを住民に提供を行うほか、コミュニティFMの事業者と協定を結び、災害に関する情報を優先的に放送する取り組みも行われております。
 都においても、避難所情報を初め、さまざまな災害情報をプレス発表として、ラジオ局を含め、マスコミ各社に情報を提供しております。
 また、「東京防災」などにおきましても、災害発生に備えて準備しておくものとして、充電式などのラジオも推奨しており、都民の災害情報収集手段の多様化を促しております。
 災害時には、正しい情報を速やかに伝達することが重要であり、今後ともラジオを含めた都民への災害情報収集手段の多様化を促してまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 次に、電源確保対策について質問したいと思います。
 災害時には、被災者の安否確認や情報収集のためにスマートフォン等のデバイスの活用がいうまでもなく有用でございます。
 資料によりますと、スマートフォン等の充電環境整備の項目で、都立一時滞在施設において、帰宅困難者が充電できる環境の整備とあります。
 災害時には、自助、共助、公助が必要であるとの考え方は、皆様が共有している考えであると認識しております。自助、自分を助けるですね、自助に関しては、七十二時間は自分自身の身を守る力で過ごしていかなくてはいけないということが求められていると思います。
 そこで、こういったことを織り込んだ上で電源確保対策の理由と意義についてお伺いいたします。

○榎園防災対策担当部長 都立一時滞在施設は、大規模な地震等に伴い、公共交通機関が運行を停止し、当面の間、復旧の見通しがない場合に、行き場のない帰宅困難者が三日間滞在するための条例に定める施設でございます。
 これまで都は、帰宅困難者が安全な場所にとどまる上で家族等との安否確認が重要であることから、都立一時滞在施設に特設公衆電話の設置やWi-Fiなどの通信環境整備を行ってまいりました。
 今回の台風十五号では、千葉県等で長期にわたる停電が発生し、テレビ等が使用できない中で、被災者による情報収集については、スマートフォン等の携帯端末が重要な手段となりましたが、長期の停電により、その携帯端末も使用できなくなり、多くの被災者が不安に陥る事態が発生いたしました。
 そのため、都は、今回の補正予算に、一時滞在施設における蓄電池や多様な端末に対応できる充電器の配備に係る経費を計上いたしました。
 このことにより、滞在者が停電発生時にも自身の携帯端末により確実に安否確認や情報収集などができ、安心してとどまることができる環境整備を進めてまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。非常用電源の整備が進めば、スマートフォン等の端末の使用が円滑にでき、災害時には、いうまでもなく有用であると考えます。
 地震災害はいつ発生するか予測困難でございます。このたびの補正予算で対応できることで、でき得る迅速な対応がなされているというふうに考えております。
 次に、物資調達について質問いたします。
 さきの台風第十五号では、千葉県など首都圏においても多くの屋根が飛ばされ、台風が過ぎた後には、数多くの養生シート、いわゆるブルーシートと土のうが必要とされました。
 次いで、第十九号においては、多くの土のうが必要とされ、また、それらの調達に困難があったということは報道等々で記憶に新しいところでございます。
 そこで、とりわけ被害が甚大であった島しょ地域、多摩地域における養生シート、土のうなどの災害時の物資調達の取り組みについてお伺いします。

○古賀防災計画担当部長 先般の台風では、島しょ地域や多摩地域において、住宅の緊急的な修繕や浸水対策等を行うための大量の養生シートと土のう袋が必要となりました。
 都では、養生シートと土のう袋を協定事業者から調達、確保し、島しょ地域の七町村、多摩地域二十市町等に提供いたしましたが、需要の急増に伴う流通在庫の不足により、必要量の調達に時間を要しました。
 今後は、こうした教訓を踏まえ、養生シートと土のう袋につきまして、あらかじめ一定量都が確保し、多摩広域防災倉庫等に備蓄することで、協定事業者からの調達を待たずに、迅速に多摩地域等の被災自治体に提供する体制を整備するための補正予算案を提案いたしました。
 また、物資の輸送に時間のかかる島しょ地域につきましては、台風等で海上輸送が困難な場合でも、必要な物資の提供を行えるよう、各町村の区域内に養生シートと土のう袋を配備する予算を同時に提案しております。

○つじの委員 最後の質問になります。
 このたびの台風被害を踏まえて、今後取り組むべき都の避難対策について、概要をお知らせいただければというふうに存じます。
 前述のように、私自身、ことしの台風十九号が上陸した際、地元小金井市で一晩過ごしておりました。災害情報を複数の媒体で収集していましたが、各地で避難勧告など、ニュースを見ますと、避難勧告を出されていましたけれども、風雨が強くなった状況で発せられたように思います。
 このとき、この強い雨、風の中で避難せよと指示があっても、暴風雨の中、避難する際にかえって被害に遭うリスクがあるんじゃないかというふうに、そのとき単純に、素朴にそう思いました。これは私の個人的な体験と感想になるんですけれども、多くの都民の皆様が同じように考えられたということは想像できます。
 そこで、今後の災害時における都の避難対策の課題とそれに対する取り組みについてお伺いいたします。

○有金総合防災部長 風水害は、震災と異なりまして、一定の事前予測が可能であり、的確な準備と避難行動により、被害の軽減につなげることができます。
 まず、みずからの命はみずから守る自助、共助の意識高揚と、早目の避難行動につなげるため、マイタイムラインの一層の普及拡大に取り組んでまいります。
 また、風水害時に緊急的に避難できる安全な避難先を確保するため、洪水等のおそれのない場所に立地する都立一時滞在施設を今後活用していくとともに、地震や風水害などの災害の種類に応じた避難先確保が進むよう、指定緊急避難場所の指定手続につきまして、区市町村を支援してまいります。
 さらに、区市町村が気象情報等に応じた避難情報を的確に発令できるよう、ガイドラインを新たに策定をしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、区市町村等の関係機関との連携を一層高め、一人でも多くの命を守る避難対策を推進してまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 本日は、令和元年台風第十五号及び第十九号等に伴う防災対策の検証について質問させていただきました。
 日本では古くから、備えあれば憂いなしとか、天災は忘れたころにやってくるなどの災害に関するいい回しがございます。常に非常時を想定した準備というのはとても大切なことであると重ねて強調して、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○加藤委員 初めに、災害時の物資供給体制について伺います。
 台風第十九号は、大型で強い勢力で東京を通過し、都内の区市町村では激しい雨と風の中で被害状況の把握、避難所運営など、さまざまな災害対応に追われました。
 都は、災害時に区市町村の要請に基づき必要な物資を提供する役割を担っていますが、今回の台風では、都の倉庫まで区市町村が物資をとりにいったケースもあったと聞いています。
 台風が上陸した当日、事前に用意した土のうが足りなくなり、急遽都に要請したところ、とりにきてくださいと、このようにいわれて驚いたということを、ある区がいっておりました。こんな大変な状況なのにどうやってとりにいくんだと。
 区市町村では、災害対応により、人手が足りないことも考えられ、また、暴風雨の中では、倉庫から遠い自治体などでは、物資をとりにいくことが難しいこともあるのではないでしょうか。
 そこで、今般の台風での対応を踏まえ、必要な物資を確実に区市町村に届けるために今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

○古賀防災計画担当部長 東京都災害時受援応援計画では、区市町村から物資の要請があった場合には、都は、都の備蓄倉庫や広域輸送拠点から区市町村が開設する地域内輸送拠点に民間事業者により物資を輸送することになっております。
 台風第十九号では、土のう袋等の緊急的に必要となった物資につきましては、民間事業者による輸送が間に合わないと判断して、迅速に物資を提供するため、立川地域防災センターで区市町村に物資を配布いたしました。
 今後は、台風接近前から区市町村との連携を一層深め、緊急的に必要となる可能性の高い物資を事前に提供することで、災害時の迅速かつ確実な物資提供を図ってまいります。

○加藤委員 災害時に備え、事前の提供体制を整えるということは大変重要であります。
 しかし、想定を超える状況に直面することも考えられます。そうした場合に備えて、緊急時の供給、運搬体制を整えておくことも重要と考えます。いざというときには、職員が自力で運ぶということも想定して、体制を整えていただきたいというふうに要望いたします。
 また、先日の委員会質疑では、都立一時滞在施設の備蓄品について、段ボールベッドの配備も必要ではないでしょうかと聞いたところ、都立の一時滞在施設は、長期の避難所運営を前提としていないことから、段ボールベッドの備蓄は行っていないが、簡易エアマットを配備、一時滞在施設に多くの備蓄品を配備することは困難であるので、避難が長期にわたる際には、ほかに受け入れ可能な避難所等がある場合には、他の避難所等への移動を行ってもらって、避難所等がない場合にあっては、物資の調達により臨機応変に対応と、こういう答弁がありました。
 緊急に垂直避難しなければならず、その後、水に囲まれて、移動ができないこともあると思います。長期化するかもしれないと。そうしたこともあるというふうに思います。
 この物資の調達に関しまして、このたび、国では、災害時の緊急支援物資のうち、受注生産で供給までに一定の時間がかかる段ボールベッドなどを備蓄する方針を固めたとの報道がありました。
 国が支援物資を事前に備蓄するのは初めてのことだそうで、被災自治体の要請を待たずに物資を供給するプッシュ型支援をより迅速に行うことが目的というふうに聞いております。二〇一九年度の補正予算案に関連経費約二千万円を計上するようです。
 都としても、水害時の一時滞在施設の活用を検討している今日、ぜひ前向きに備蓄や調達先からの協定などにより、物資供給が滞りなく行えるよう検討してもらいたいと要望いたします。
 次に、我が党はこれまで、帰宅困難者対策の推進において、多様な備蓄品の配備など、行き場のない帰宅困難者の居場所となる一時滞在施設機能の充実を訴えてまいりました。
 また、災害時には安否確認や情報収集を図ることが重要であり、通信環境の整備を図ることも求めてきております。
 災害が多発し、スマートフォン等の活用による情報収集等が不可欠となっている中、災害時にあってもさまざまな場所で充電環境が整っていることが都民の安心につながると考えております。
 都は、今回の台風十五号及び十九号の防災対策の検証の中で、スマートフォン等の充電環境整備を進めることとしておりますが、そこで、どのような課題認識に基づき、民間一時滞在施設における充電環境整備を進めていくのか、伺います。

○榎園防災対策担当部長 災害時に被災者が必要とする情報はさまざまであることから、個人のニーズに即した情報を得られるスマートフォン等の携帯端末は有効でございます。
 停電時はもとより、停電していない場合でも、情報収集に使用が可能なよう、充電ができる環境を整えておくことが重要であると認識しております。
 台風十五号では、千葉県内で長期にわたり停電状態が続き、スマートフォン等の充電環境が失われたことにより、被災者等が情報収集ができず、不安に陥る事態が発生いたしました。
 お尋ねの民間一時滞在施設における充電環境整備につきましては、現在、一時滞在施設として確保している施設のうち、半数以上が民間施設であることから、これらの施設にも整備を進めることで、より多くの被災者の安心につながることができると考えてございます。
 そのため、都は、来年度からの実施に向け、施設開設に協力する事業者の負担軽減を図りながら、充電環境整備を進めることを検討しております。
 この取り組みにより、大規模災害発生時にも被災者等が必要な情報を収集し、安心して滞在できる環境整備を進めてまいります。

○加藤委員 この検証報告を読んでいて、ちょっと気になったんですけれども、今回の台風被害に伴う検証結果であるにもかかわらず、一時滞在施設の電源確保という点なんですけれども、さきの委員会質疑でも、都は一時滞在施設について、帰宅困難者対策条例上の一時滞在施設は、大規模な地震その他の災害が発生したことに伴い、公共交通機関が運行を停止し、当分の間、復旧の見通しがない場合に、会社や学校など、とどまる場所がない行き場のない帰宅困難者が三日間滞在するための施設として指定と、このように答弁をしております。
 したがって、地震の場合はわかるんですけれども、水害の場合は、あらかじめ帰宅を促しておりますので、民間の一時滞在施設がそもそもあいているのかという問題があります。
 そうした中、今の答弁にあるように、施設開設に協力する事業者の負担軽減を図りながら、充電環境整備を進めることを検討ということでありますので、したがって、電源を確保するので、水害時にも避難所として協力してくださいねということなのかと私は勝手に理解をしました。
 だから、民間の一時滞在施設にも、水害時の避難所として協力を求めていくことが大事だと思うんですけれども、都の見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 今回の台風第十九号では、都は、区市町村の求めに応じ、都立高校や東京武道館などの複数の都立一時滞在施設を避難先として開放いたしました。
 これは、東京都帰宅困難者対策条例における大規模な地震その他の災害が発生したことに伴い、公共交通機関が運行を停止し、当分の間、復旧の見通しがない場合には当たりませんが、都民の安全確保のための緊急的な対応として開設したものでございます。
 こうした帰宅困難者ではない地域住民の都立一時滞在施設受け入れについては、検証時の区市町村ヒアリング等の場でも意見があり、今回、浸水等のおそれがない場所に立地する都立一時滞在施設をあらかじめ避難先として位置づけ、活用することといたしました。
 今後、区市町村との協議を進め、順次協定を締結していくことで、まずは都立一時滞在施設を先行いたしまして、他の都立施設の活用に向けて精査を行っていく考えでございます。
 その上で、区市町村と協力企業との協定に基づき設置されています民間一時滞在施設につきましては、区市町村や協力企業等の意見を聞きながら検討していくことになると考えてございます。

○加藤委員 ぜひ検討していっていただきたいと思います。
 充電設備も実にさまざまなタイプがありまして、最近では水を注ぐだけで発電するタイプもあります。しかも、繰り返し使えるものも出ているようなので、ぜひ研究していただきたいと思います。
 放電や充電容量を使い切って、電気を供給できない事態もあると思いますので、最悪を考えて用意してもらいたいと思います。
 ところで、災害時に人が避難するところは、都立や民間の一時滞在施設だけでなく、区市町村の避難所や、さらには自主防災組織の活動拠点等も考えられます。
 中でも、共助のかなめとなる自主防災組織の活動拠点等では、地域住民等が身近に集まれる場所としての役割は大きいと思います。こうしたところに充電環境を整備することも有効と考えます。
 区市町村が充電環境を整備した場合には、都が新たに支援する仕組みをぜひ構築すべきと要望しておきます。
 次に、今回の台風第十九号においては、連絡要員をあらかじめ多摩地域や島しょ地域に派遣しておりますが、その成果と今後の取り組みについて伺います。

○有金総合防災部長 台風第十九号におきましては、台風の接近に備え、多摩地域の全市町村及び島しょ地域に連絡要員を派遣し、市町村の災害対策本部と情報を共有しながら、被害情報の収集や支援ニーズの把握を迅速に行い、速やかな物資提供などの支援につなげたところでございます。
 また、今回の課題検証に当たり実施した市町村ヒアリングにおきましても、連絡要員の有効性を確認することができました。
 このため、今後大規模な風水害に備えて、全区市町村に連絡員を二名程度派遣する体制を確保するとともに、発災時に派遣先の区市町村で連絡要員が迅速な情報収集などの的確な対応が行えるよう、連絡要員に対する研修等を実施し、養成に取り組んでまいります。

○加藤委員 二十三区も含め、全区市町村に二名程度のリエゾンを派遣することはいい取り組みだと思います。その上で、ふだんからの顔の見える関係にしておくことが重要であるというふうに思います。
 災害時にいきなり知らない人が来て、連携をとってくれるということは、人が足りていないという状況からすると、ありがたいことではありますけれども、来る方にとっても、その地域のことが全くわかっていないということであれば戸惑いますし、だから、そうした意味では、よくわかっていた方が連携がとれる、来られる方にとっても安心だというふうに思うんですね。
 そうしたことから、人事の問題もあるかもしれませんが、可能な限り、ふだんから担当区市町村に出かけていって、顔の見える関係を構築してもらいたいというふうに思います。
 次に、東部低地帯において大規模水害が発生した場合、およそ二百五十五万人の広域避難者が想定されておりますが、現実的に全員が避難先を確保することは極めて難しいというふうに思います。
 今回予定していた避難先も、大規模水害なら災害に巻き込まれているということも新たな課題としてわかりました。
 例えば東部低地帯でも、一軒家より集合住宅の方が多いという状況があります。そうであれば、健常者の方で三階以上に住む人は残留するということも選択肢に入れて、避難人口を減らして、その上で広域避難を考えないと無理ではないかというふうに考えております。
 水が引かなくて、建物に取り残されるということはありますけれども、まずは命が助かれば、備蓄品を活用しながら、落ちついてから、ボート等で移動する方が現実的かと思います。
 私は、そうした意味で、広域避難につきましては、いま一度、より現実的な検討にシフトすべきときだというふうに考えるんですけれども、見解を伺います。

○古賀防災計画担当部長 これまで都は、国と共同で大規模水害時の広域避難の具体化に向け検討会を設置し、検討を進めてまいりました。
 今回の台風第十九号では、都内全域を初め東日本の広い範囲で記録的な大雨となり、広域避難先として想定していた多摩地域や近隣県等においても被害が発生し、また、一部の避難先には避難者が集中するなど、広域避難検討におけるこれまでの想定とは異なる状況となりました。
 このため、今般の台風による災害対策の検証を目的として、都と江東五区を中心とした関係区市によるワーキングを立ち上げ、課題と方向性を検討し、今後の広域避難検討会にフィードバックをしてまいります。
 あわせて、先月取りまとめました大規模風水害の検証結果によりまして、今後、浸水のおそれのない場所に立地する都立一時滞在施設を風水害時の避難先として活用していくため、区市町村と順次協定を締結すること、垂直避難が可能となる建物のデータベース化を図ることなど、実効性のある対策を進めてまいります。

○加藤委員 先ほどもちょっとありましたけど、足立区から要請があって、東京武道館など都立施設を急遽避難先として開放したことを聞きました。
 さきの当委員会質疑でも、都から、今回の台風第十九号の対応では、自治体からの要請により、都立学校二十一校等を避難所として開放し、避難を希望する近隣住民等を受け入れたと。こうしたことから、今後も、地域の安全・安心の確保のため、施設管理者の判断のもと、可能な限り要請に応えていくという答弁がありました。
 さらに、区市町村の避難所が不足し、区市町村から求めがあった場合には、都立の一時滞在施設を緊急的な避難施設として開放する等、極力要請に応えていくとの答弁もありました。
 都議会公明党は、代表質問等でも都立施設の避難所活用を提案し、都としても、今回の検証結果で、先ほど答弁もありましたけれども、浸水等のおそれがない場所に立地する都立一時滞在施設を風水害での避難先として活用していくために、区市町村と随時協定を締結とあり、これは大いに評価することなんですね。
 ただ、今いったように、浸水等のおそれがない場所というふうに前置きがつきますと、江東五区ではほとんど都有施設が対象にならないんじゃないかと、そういう心配をしているんですね、水没地域ですから。
 そこで、ここはひとつ浸水のおそれがあったとしても、三階以上は使えるのですから、地元から要請があれば、避難先とすべきと考えますが、見解を求めます。

○古賀防災計画担当部長 自宅やその周辺が長期間にわたり浸水するおそれがある地域においては、浸水を免れる場所へ避難することが原則でありますが、時間的な猶予がない場合には、高い建物へ緊急的に垂直避難することが必要でございます。
 そのため、上層階が浸水しない都有施設等の公共施設のデータベース化に着手し、区市町村の避難先の拡充に資する情報として、今後提供することを目指します。
 今年度より、東部低地帯を中心とした浸水想定区域より作業に着手し、順次都内に対象を広げてまいります。また、施設の運用の詳細につきましては、今後検討してまいります。

○加藤委員 公共施設のデータベース化で避難先がふえていくわけですけれども、それでも足りないんじゃないかというふうに思っております。
 次なるは、民間施設のデータベース化も必要になってくると思いますので、消防とか、警察とか、地元区市町村、そして民間も巻き込んで、避難先の確保に協力していってもらいたいと要望いたしまして、質問を終わります。

○米倉委員 私からも、台風第十五号及び第十九号等に伴う防災対策の検証結果と、それに伴う補正予算についても伺います。
 さきの事務事業質疑でも、この台風の対応について、さまざま課題があったということで、まず、検証が必要ではないかということを伺いました。今回、都が、この一連の台風について、防災対策の検証を行い、取り組みを強化するとしたことは重要だと思います。
 まず、初動体制について伺います。
 台風の防災対策の検証結果では、今後、災害が想定される際には、あらかじめ全区市町村に連絡要員を二名程度派遣する体制を構築すると示しています。大事なことだと思いますが、これは具体的にはどのように、いつまでに体制を構築されるのか、伺います。

○有金総合防災部長 台風第十九号におきましては、台風の接近に備え、多摩地域の全市町村及び島しょ地域に対しまして、都の職員を派遣し、速やかな情報収集や支援につなげたところでございます。
 今回の検証を踏まえまして、来年度の台風に備えまして、災害対策住宅入居者などの派遣職員に対する研修を実施し、職員の養成に取り組んでまいります。

○米倉委員 連絡要員ですけれども、全区市町村に二名程度ということですが、新島村や小笠原村などの有人離島が二島一村の村についてはどのように派遣するんでしょうか。

○有金総合防災部長 連絡要員は、区市町村の災害対策本部に派遣し、現場での情報収集や連絡調整を行います。必要に応じまして、被災現場にも直接赴き、活動を行います。
 有人離島が二島一村の場合にも同様でございまして、台風第十五号の際には、新島村に派遣された職員は、新島だけではなく、式根島に移動し、被災状況を直接確認しております。

○米倉委員 台風十五号のときには、台風が去った後ですけれども、職員を島しょに派遣されたということです。二島の有人離島がある新島村については、新島だけでなく、式根島にも職員を派遣されたということです。ケースによっては、事前に二つの島にそれぞれ都の職員を派遣するということも必要だと思います。
 ですので、この島しょの場合には、区部や多摩地域のように二名ずつの職員派遣ということに限らず、場合によっては、それ以上の職員も派遣していただきたいと要望しておきます。
 今回の台風によって、水害対応の避難先をふやすことが多くの区市町村で切実な課題であるということが明らかになりました。都は、区市町村と相談をして、都有施設の指定を促進するなど、積極的な取り組みをすべきだと思います。どのような取り組みをされるのか、伺います。

○有金総合防災部長 今回の検証結果を踏まえまして、浸水等のおそれがない場所に立地いたします都立一時滞在施設をあらかじめ避難先として位置づけ、活用を図ってまいります。
 今後、避難先としての活用に向けまして、地元自治体と協議の上、順次協定を締結し、発災時の避難先の確保に努めてまいります。

○米倉委員 この都立一時滞在施設を避難先として活用するという場合に、滞在環境を確保するということは重要だと思いますが、どう認識されていますか。

○榎園防災対策担当部長 都立一時滞在施設は、三日間程度の滞在が可能となってございまして、行き場のない帰宅困難者を滞在させる場所として、水や食料等の備蓄のほか、Wi-Fi環境の整備を行ってございます。

○米倉委員 この一時滞在施設なんですけれども、ほかにも取り組みとして、新たに、都立だけでなく、民間の施設についても、利用者の情報把握のためにスマートフォンの充電などができるように取り組みを新たにしていくということも発表されています。必要な環境整備で、ぜひあわせて進めていただきたいと思います。
 これは避難所にかかわるので、この場では要望にとどめたいと思いますけれども、避難所の質の向上も本当に喫緊の課題だと思います。
 こういうことが災害と防災との関係で一括に議論ができる場がないというのは課題だなと思って、私たちは、特別委員会が必要じゃないかということも今提案をさせていただいていますけれども、やはりここについては、福祉保健局と連携した避難所の質向上ということでの議論をぜひ早期に進めていただきたいと思っています。
 今回、やはり車椅子で体育館などに避難されたという方の中からは、避難をしたんだけれども、入り口にスロープがなくて、まず入るのに苦労されると。入ってもトイレが利用できなくて、バリアだらけで結局過ごせなかったというような声が上がっています。
 ぜひこういう実態を把握されて、どういうふうに改善していくのかということで連携していただきたいと思います。
 災害時の防災広報についてですが、この検証結果では、ダウンしないホームページの構築やホームページを見やすいものに改善すること、また、SNSなどのさまざまな媒体を活用して、新しく取り組んでいきますということが掲げられています。
 先ほど、つじの委員からも話がありまして、私も気になっていたのですが、ここで書いてある取り組みというのが、インターネットを使った取り組みが中心になっていまして、私はインターネットを使わない方への対応について、都はどういうふうに今回考えられたのかということが気になっています。
 高齢者などインターネットを日常的に使っていない方への災害時の情報伝達の強化は重要だと思っていますが、都はどういうふうに考えていらっしゃいますか。また、区市町村に対してどう支援するかも伺います。

○有金総合防災部長 区市町村におきましては、ホームページなどインターネット環境を必要とするもののほか、防災行政無線、コミュニティFM、防災行政無線を受信できる防災ラジオや戸別受信機など、多様な手段で住民への避難勧告等の情報発信を行っております。
 都においても、Lアラートを通じまして、マスコミ各社へ災害情報を迅速に提供する体制を構築しております。
 今後も、こうした区市町村の取り組みを共有しつつ、都民等に対する災害情報の適切な提供に努めてまいります。

○米倉委員 暴風雨の中で防災行政無線が聞こえなかったという声はやはり各地から上がっていますし、防災行政無線の内容を聞ける防災ラジオや戸別受信機というものですとか、また、文字パネルで見ることができる緊急告知ラジオなどがありまして、区市町村によっては、これ新たに取り組んでいらっしゃるということで、取り組みが広がりつつあるところだと思っています。
 今ご答弁の中で、区市町村の取り組みを共有するというふうにありました。ぜひこういう先進的な取り組みを、防災担当者の方が集まる会議の場などで、各自治体の担当者に情報共有するなど取り組んでいただきたいと思います。
 区市町村として、いつ避難情報を発令すべきか、判断に戸惑ったなどの状況も各地で発生しました。都として、専門家とともに災害時の情報伝達について検証を行い、対応を強化する必要があると考えますが、認識を伺います。

○有金総合防災部長 災害発生時には、都民が適切な避難行動をとれるよう、区市町村が気象情報や地域ごとの状況に応じて的確に避難情報を発令することが重要でございます。
 今回の検証を踏まえまして、都は、区市町村が気象情報等に応じた避難情報を的確に発令できるよう、気象庁の意見も聞きながら、ガイドラインを策定してまいります。

○米倉委員 このガイドラインなんですけれども、ぜひ都民にもわかりやすく、この内容について知らせていただきたいと思っています。
 今回の台風で、避難所からは、避難勧告が解除されていないんだけれども、風や雨がおさまったから安全だろうということで、市民の皆さんが帰ろうとしてしまうと。だけれども、職員の皆さんは、それをなかなかとどまってくださいというふうな対応が大変で困ったというお声を聞いています。
 住民の安全を守るために、解除されるまでは避難所にとどまることが大切なんだということですとか、ぜひガイドラインを都民的に周知する中でお知らせしていただきたいと思います。
 次に、災害時の都民の飲料水確保についてです。
 都は、半径二キロメートル以内に一カ所という基準で応急給水所を設置するとしています。
 しかし、高齢者など、片道最大二キロ移動して、重い水を運ぶというのは、実際困難があると思います。また、勾配が多い地域や高層マンションにお住まいの方にとっても、困難が生じる可能性があると思っています。
 この応急給水所ですけれども、半径二キロメートルという基準について、都は、見直しを行う必要があるのではないかと考えますが、いかがですか。

○有金総合防災部長 都は、災害時の飲料水を確保するため、災害時の給水拠点を、都民の居住場所からおおむね半径二キロの距離内に一カ所設置することを目標として、浄水場や給水所等の施設を活用するとともに、応急給水槽の整備を進めてまいりました。
 さらに、区市町村におきましては、災害用の井戸や受水槽を活用するなど、地域の実情に応じて飲料水を確保しております。
 また、被災した住民の方々の当面の生活の場となる避難所におきまして、災害時にも給水が確保できるよう、避難所給水管の耐震化や応急給水栓の設置を推進しております。
 こうした多面的な取り組みを進め、災害時の飲料水の確保に努めてまいります。

○米倉委員 名古屋市ですと、各家庭が一キロ以内の距離で給水が確保できるようにということで、応急給水施設を整備しています。名古屋市に聞きましたら、大体一キロぐらいであれば、多くの方が歩いて来られる距離だろうということで、半径一キロでの整備としているそうです。
 私も、今回断水が長引いた奥多摩町に行きましたけれども、やはり断水の苦労は本当に大変だなというふうに思いました。重い水のタンクを持って、住民の方々があちこちの給水所から運ばれるんですけれども、車で来る方もいらっしゃるし、車で来ていないと、歩いて運んでいるという方もいらっしゃいました。
 坂道が多い地域ですとか、やはりそういう半径二キロではなかなか大変という地域はあると思います。ぜひ、例えばそういう地域からもっと細かく給水ポイントをつくっていくということですとか、検討していただきたいと重ねて求めたいと思います。
 ドローンの活用についても伺います。
 災害時に被災状況を把握するためにドローンを活用するというのは有効だと思っています。台風十九号で被災して、孤立した奥多摩町への支援として、都は、ドローンを使って生活物資を運ぶという活用もされています。
 都は今後、このドローンを使った支援についてはどういった検討を行うのでしょうか。

○有金総合防災部長 台風第十九号では、奥多摩町の孤立地区に対しまして、ドローンの目視外飛行による物資輸送を実施いたしましたが、準備段階での離発着地点の選定に時間がかかることや、機体の輸送能力が十分でないなどの課題が明らかになりました。
 今回の検証結果に基づきまして、複数の地区を選定し、ドローンの目視外飛行に必要な要件等に関する実証実験について検討してまいります。

○米倉委員 わかりました。
 次に、島しょ地域にかかわって伺いたいと思います。
 小笠原村を含めた島しょ地域において、台風の接近などに伴う災害時には、都はどのような人的、物的支援を想定しているんでしょうか。

○有金総合防災部長 台風の通り道であります島しょ地域におきましては、災害の発生に備えまして、事前に準備をしておくことが重要でございます。
 そのため、検証結果を踏まえまして、大規模な風水害等により被害が想定される場合には、必要に応じまして、島しょ地域の町、村にも連絡職員を派遣できる体制を構築することといたしました。
 また、養生シートや土のう袋等を事前に備蓄しておくための補正予算案を提案しております。
 こうした取り組みによりまして、発災時に円滑な支援ができる体制を構築してまいります。

○米倉委員 今の今後の取り組みということなんですけれども、情報連絡員を事前に、場合によっては派遣をするですとか、備蓄もしていきますということです。
 ちょっと時系列は戻るんですけれども、今回、小笠原村は台風二十一号で被害が大きかったということを聞いていまして、これはどういう被害なのかということは把握されているんでしょうか。

○有金総合防災部長 台風第二十一号では、台風の接近段階から小笠原村と連絡体制を構築するとともに、都の職員を連絡要員として派遣し、小笠原村の被害情報を把握いたしました。
 現在におきましても、災害情報システムや電話連絡等によりまして、小笠原村の被害状況を随時把握しているところでございます。

○米倉委員 台風接近段階から情報連携をされて、今も随時把握されているということです。
 私たちもこの小笠原村の関係者の方からお話聞きました。村議会では一般質問でほとんど全員が台風被害について取り上げる状況だということです。やはり被害は大きかったということです。農作物の被害が判明しているだけでも三千三百万円にも上り、パッションフルーツの苗やトマトの苗が枯れて死んでしまったというような被害が出ているそうです。
 小笠原諸島は世界遺産ですけれども、森林が台風で被害を受けているんだけれども、この被害を、具体的にどういう支援を使って復旧の手だてがとれるのかという見込みがなかなか立たないんだということも聞いています。
 小笠原村は、本土から千キロ離れているということで、具体的な状況はなかなかこちらではつかみにくいという困難もあります。都としても、改めてこの被害状況、現地を調査するなどして、必要な支援を検討していただきたいと要望しておきます。
 最後に、もう一点要望なのですが、奥多摩町の都道、日原街道が崩落をして、今、仮設歩道が通った状況と聞いています。
 しかし、今までのように車で行き来ができませんので、住民の方の移動を確保するために、町が車両を確保して、崩落箇所と集落、そして、崩落箇所と町への移動支援を行っています。こういう町の取り組みに交付金などを使っての支援は可能ではないかと考えています。
 ぜひ、補正予算にかかわる話ですが、この交付金などの情報も丁寧に町に伝えていただきたいですし、都道が崩落しての関係する町の取り組みですから、ここはやはり積極的に町に支援をしていただきたいと要望して、質問を終わります。

○宮瀬委員 どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私の方からも、防災に関する質問でございます。
 まず最初、今回の現象に対しまして、都民の皆様に対して調査をかけたと聞いております。私もその内容を拝見させていただきまして、大変迅速で、かつスピーディーに結果がすぐ出たといったことを大変評価したいと思っております。
 今回が初だったのか、また、インターネットによる都民調査を行ったということでありますが、その概要や意義について、まず伺いたいと思います。

○有金総合防災部長 今回の台風第十五号及び第十九号は、近年例のない大規模なものであり、都内各所でも大きな被害が発生をいたしました。
 そのため、これらの台風によって明らかになった課題を検証するため、各局等における検証に合わせまして、実際に都民がどのような行動を行ったのか、実態を把握し、検証結果に反映させることを目的として、初めてこういう調査を行いました。
 調査に関しましては、短期間で実施を行うため、インターネットを活用して実施いたしました。

○宮瀬委員 お伺いしましたら、過去、防災に関しての調査をして、公表したのは、今回が初だと聞いております。
 私、この調査の内容、局に確認をしまして、詳細を確認させていただいたんですが、繰り返しになりますが、大変高く評価をさせていただいております。各局の取り組みが、よく数値をもって、それがどれぐらい影響があるのかというのをよく確認しているんですけれども、今回それが防災に関して可視化できたといったことが、今回の大きな教訓の一つなのかなと。
 前回の事務事業質疑の際に、マイタイムラインは使われないと意味がありませんとその中で質問したところ、今回のアンケート項目の中にマイタイムラインの活用率が入っているといったことで聞いております。
 では、今回マイタイムラインがどのように活用されたかの調査も踏まえまして、見解をお伺いしたいと思います。

○有金総合防災部長 今回の調査は、有効回答数が約八百人でございます。また、都内全域からアトランダムに対象者を選定した前提という調査ではございますけれども、事前にどのような準備をしたのかということについて質問も行っております。
 回答は選択方式といたしまして、例えば、飲料水や食品の購入をした、ハザードマップの確認をした、非常用持ち出し袋の確認をしたなど、十個の選択肢を設けまして、そのうち東京マイ・タイムラインの作成、確認という項目も設けております。
 その結果、今申し上げた飲料水や食品の購入を選択したというのは、台風十五号のときにおきましては全体の三七・三%、台風第十九号につきましては全体の五二・八%、ハザードマップの確認をしたを選択したのは、台風十五号につきましては全体の一九・三%、台風第十九号につきましては全体の二五・七%、非常用持ち出し袋の確認を選択したのは、台風十五号につきましては全体の一二・六%、台風十九号につきましては全体の一八%でございました。
 東京マイ・タイムラインの作成、確認を選択したのは、台風十五号につきましては全体の二%、台風十九号につきましては全体の二・六%でございました。

○宮瀬委員 まだマイタイムライン、始まったばっかりですので、数字が二・六%と。大体十五号、十九号ともに約二%です。まず、その数字を皆さんが把握されたといったことが大事でありまして、その数字が今の段階で低いじゃないかといった指摘を強くするつもりはございません。
 事前に避難を、台風の接近に伴い事前にどのような準備をしてきたかといったことで、そういった項目、今回公表しております中には入っていないんですが、今ご答弁で数字もいっていただきましたので、ぜひそれを一つの基準としていただきたいなと思います。
 アンケートの方を熟読いたしますと、例えば今回配られている資料の中に、避難を開始したきっかけは何ですかといったことで聞いております。八百三十四名の方に聞いているんですが、避難をしなかった方が九一・二%と。これは、自分の住んでいる地域が、全然水害の警報が出ていないといったことであれば、避難は当然する必要はないのであります。
 何がいいたいかといいますと、この分析結果というものは、大変有意義であるんですが、その分析をしっかりとどう進めていくのか。例えば今いった避難勧告や避難指示が出た地域での避難状況というのを私は知りたいと思っております。
 当然板橋区であれば、勧告が出ていまして、板橋区の人は避難どうだったのか。逆に避難勧告が出ていない人は、そのままいていいということです、基本いていいということですので、必要ないわけであります。
 その地域の数字は把握されているのか、お伺いしたいと思います。

○有金総合防災部長 現時点では、地域別の詳細な分析結果はございません。

○宮瀬委員 実はこのアンケートシステム、私が民間企業にいたときに担当させていただいていまして、n数三千ぐらいでやったことがあります。これは技術的な話で恐縮なんですが、クロス集計をすれば、ものの五分で出すことができると思っております。
 例えばちゃんと属性を見るときに、その人が要支援者の家族がいるのか等も項目に入れておくと、要支援者の人が避難をしたのか、しかも要支援者の人で避難勧告が出ている地域に住んでいる人が避難したかどうか、数字もn数三千ぐらいにしますと、しっかりと数字で出ると。
 さきの質疑の際に、要支援者の人がどれぐらいいて、どう避難したんですかといったことを事務事業質疑でさせていただいたんですが、なかなか実数を把握するのは難しいと思いますけれども、今お伝えしたやり方で割合は出るのではないかなといった認識がございます。
 これは要避難者、要介護者、また避難場所等、設問の設計を事前に、今回二十問ぐらいだと思いますが、組んでいただければ、都民が抱える地域別、属性別の課題が数字で把握できると。マイタイムラインが二・六%という数字が出ましたが、それが今後、じゃあ実際に子供がいるおうちは何%なのかということも、クロスをすればわかるわけであります。
 まさに宝の山で、こういった取り組みが始まったことを、繰り返しになりますが、私は大いに評価をさせていただいております。今後は、数年に一回はこういった調査をやるべきだと思っております。
 私も、それから三年後、例えば学校の授業でマイタイムラインの授業をやってくださいとさきの質疑で要望しましたが、三年後、その数字が二・六から一〇%になっているのか、二〇%になっているのか、動かないのか、そういったものを経年でとることで、皆さんの取り組みが可視化されると思っております。
 数年に一度こういった調査はすべきだと、また、n数をふやして、属性をふやして、グレードアップしたアンケート調査をすべきと思いますが、見解を伺います。

○有金総合防災部長 今回の調査につきましては、都全域にわたって行ったものでございます。
 ただし、区市町村別の人口比に応じて調査を行っておりますことから、地域別の分析も可能とはなっております。例えば浸水地域でのマイタイムラインの作成率といった集計も行うことが可能だと思いますので、今後、地域ごとの傾向も分析をしていきたいと思っております。
 また、大きな災害が起きた際の都民行動を把握するには、今回のこういった調査は一定の効果があるというふうに感じております。
 今後も、また大きな災害が起きたとき、あるいは数年ごとに、こういった調査についても検討してまいります。

○宮瀬委員 予算のかかることですので、なかなか明言されにくい中、今後検討していただけるといったことでございます。元データの方をヒアリングさせていただいて、六十二区市町村の中で抽出されていると。
 各委員、各地元の選挙区、地盤等ございますが、ぜひ地域別のデータを集計していただき、私であれば、板橋区の人たちがどうだったのかというのを出していただいて、それを区市町村の防災担当に渡していただきますと、この調査がさらに生きるのではないかなと思っておりますので、これは要望にしたいと思います。
 私、こんなにいうことないんですが、本当にすばらしい調査だと思いますので、ぜひ引き続き続けていっていただきたいと思います。
 次に、ドローンの活用、具体的な内容についての質問でありますが、ドローンでございます。
 今回、配備をふやしていくということでありますが、実は消防庁が二台持っているのを確認していまして、ドローンの実績を消防庁に確認してまいりました。多分配備されて二年ぐらいになりますけれども、林野火災で一件、水難救助で二件、今まで活用したと。
 台風十五号及び十九号では使ったんですかとお伺いしましたら、今回は使いませんでしたと。それはどうしてかと聞きましたら、ヘリコプターを飛ばせば、ドローンを使わなくても確認ができてしまいましたと。また、台風のときは、ドローンが台風で飛んでいっちゃうので、災害の期間中、災害の真っ最中のときは使えませんといった課題が明確になりました。
 今回新たに島しょ地域に配備する予定のドローンは、具体的にどのように活用していくのか。また、ドローンは飛行時間というのが限りがありまして、飛行可能時間、最大飛行距離はどの程度になっているのか、お伺いしたいと思います。

○有金総合防災部長 島しょ地域は、本土から離れているという地域特有の災害リスクがございます。その特性を踏まえた対策を講じることが重要でございます。
 このため、被災情報の面的な把握や立ち入り困難地区の情報収集等を速やかに行うため、今年度末までにカメラつきドローンを有人島全てに配備するとともに、操作技能を有する職員の養成を進める補正予算案を提案しているところでございます。
 配備するドローンの機体につきましては、性能も含め、現在検討中でございます。

○宮瀬委員 検討中ということで、意見を申し上げたいと思いますが、消防庁のドローンは何分間飛行が可能かと確認しましたら、二十四分から二十九分、上空で可能だと。ただし、三十分に満たない時間で電源が切れるといったことでございます。消防庁にさまざまな知見があると思いますので、ぜひ聞いていただきたいと思っております。
 実はドローンにもいろいろ種類があるそうで、有線のコードをそのままつけた形で飛ばすドローンも今あるそうでございます。そうしますと、二十四時間ずっと飛ばすことが可能でありまして、災害の種別によっては、崖崩れの状況をモニタリングする、もしくは火山の状況をずっと見ておくといったときには、三十分でドローンの電源が切れたら使えませんので、有線のドローンもひとつ検討してもいいのではないかなと思っております。
 いずれにせよ、地域や災害の種別によって、今回複数のドローンを買うと聞いておりますので、ぜひいろんな用途に合わせて購入していただき、東京消防庁とも連携していただきたいと思います。
 やはりヘリで済んでしまうといったことがあったという教訓は、ドローンならではの使い方もきっとあると思っております。ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次に、避難所等の電源確保でございます。
 今回、ZEVということで、項目が入っておりますが、区市町村の庁用車に対して、充電ができるようにして、その充電器を実際に活用していただくといった趣旨の提言といいますか、内容が盛り込まれております。
 ここで私は素朴に思うんですけれども、区市町村の車にそういった外部給電器を配備するということなんですが、庁用車なので、その庁用車を使って、どっかへ行っている可能性、大分あるのではないのかなと。
 また、やはり私は、庁用車ではなくて、被災者が集まる避難所等での電源を確保する方が先なのではないかと思いますけれども、見解を伺います。

○古賀防災計画担当部長 ZEVとしての庁有車は、発災時には緊急性の高い現場に急行するなど、機動性を発揮できる利点がございまして、避難所等での活用も含めまして、発災の状況に応じた柔軟な活用が可能と考えております。
 今回の検証結果における電源確保対策の一つといたしまして、自主防災組織の活動拠点である避難所等において、発災時に地域住民がスマートフォン等を充電できる環境を整備してまいります。
 検証結果を踏まえまして、自主防災組織が避難所等で使用可能な可搬式発電機を導入するための区市町村の取り組みに対しまして、新たな助成制度を検討してまいります。

○宮瀬委員 携帯電話、スマホ等の充電環境設備の充実というのは大変重要だと思うんですけれども、各会派の皆さんのご尽力によりまして、避難所となる体育館の冷暖房化の設備がついてきていると。
 しかし、肝心な災害時に停電が今七日間、最大大体想定電力七日間と。七日間電気が使えないわけであります。
 そのときにスマホの連絡手段も大事だと思いますけれども、そもそもせっかく冷暖房が入っているのであれば、避難所の冷暖房を動かすための自主電源装置がやはり優先ではないのかなと、命にかかわるものでありますので、必要だと私は考えております。
 ご答弁で、区市町村の取り組みに新たな助成制度を検討していくとありましたが、今、避難所となっている体育館等で避難所の非常用電源の設備率は何%なのかということは出ているわけであります。
 あえて質問にはいたしませんが、その数字が普及していくことが大事だと思いますので、ぜひこれは要望にしますので、変えていただきたいと思います。
 また、この提言書の中に、庁用車等の活用によって、移動電源車ですね、病院の方に行くと書いてあるんですが、私、病院の方に確認をとりました。病院の電力というのは、莫大な電力を使うので、これが何時間病院の電力を確保するのに役立つのか、ちょっと懐疑的ですといったコメントもいただいております。ぜひここはひとつ声を代弁させていただきますので、検討していただきたいと思います。
 そういったことを踏まえまして、私、かねてより提言しておりますのが、災害拠点病院、災害拠点連携病院の非常用発電用の燃料の備蓄が三日で切れてしまうという大きな課題でございます。
 この問題は、もう私も二、三年取り組んでいるんですが、新たに内閣府が出した調査によりますと、今、内閣府の被害想定では、首都圏で二万三千人の死者が出ると。
 しかし、その中に、地震発生から八日間で治療を受けられずに亡くなる方の想定人数が出てまいりました。未治療死者数が六千五百人もいると。それは二万三千人の死者の中に入っていないということで、このまま病院の機能が維持されないと、三万人近くが亡くなってしまうといったことでございます。
 その中で、備蓄をふやしてほしいといったことをずっといい続けておりましたが、実際にその備蓄に関しての答弁をいただきたいと思います。
 最大の課題認識は、三日分程度ではもたないと。実際に東日本大震災の際には、停電が一週間ぐらい続いて、備蓄の分量も、拠点病院、宮城県では六・二日間にふやしていると。実際に災害を経験した県が備蓄を六日以上にしている中で、停電も七日といわれております。
 このままいくと、停電が起きて、緊急輸送道路も寸断されることが今のところわかっていますので、救急車も来ない、燃料も来ないといったことであります。
 その中で、全ての病院に対し総務局はタンクローリーで燃料を調達すると。そういった業者の皆さんと提携を結んで、タンクローリーを病院に派遣して給油していくんですよといったことがありますが、私は現実的ではないと思っておりますが、見解を伺います。

○古賀防災計画担当部長 災害時に災害拠点病院等の災害対策上重要な施設が、停電により非常用発電機の燃料が必要となった場合には、施設ごとに通常時の取引業者等から、みずから燃料供給を受けることになります。
 取引事業者の被災等により、施設独自の燃料確保が困難になった場合には、都は、優先供給協定を締結しております東京都石油業協同組合や、国を通じた石油連盟に対する要請によって、重要施設への燃料の確保を行います。
 災害拠点病院等の重要施設は最優先で燃料を確保する必要があることから、発災時には、関係機関と連携を密に図りながら、燃料を確実に供給できるよう取り組んでまいります。
 なお、大規模な災害によりまして、東京近郊を含む広域的な被害が発生する場合には、供給できる燃料の量やタンクローリーの数にも限りがありますため、重要施設におけるさらなる燃料備蓄や停電時の電力復旧作業を一層効率化する取り組みを推進することが重要だと認識しております。

○宮瀬委員 最後、大変重要な答弁でありまして、総務局の皆さんみずから、大規模災害の際には供給できる燃料の量やタンクローリーの数に限りがあるとお認めになって、その上で、燃料備蓄や停電時の電力復旧作業を一層効率化していくことが重要ですといったご答弁でございました。
 現実に即したときに、百から二百、三百ぐらいある拠点病院、連携病院に対して、燃料が三日分ぐらいしかないと、最大でも。その中で現実的に届けるのは、数に限りがあるんですよといったことでございます。
 ここから先以降は意見にしますが、災害拠点の基幹病院であります広尾病院が都立にありますが、提言をし続けまして、今まで備蓄の分量が三日間といったことでありましたが、改修の機会を捉えまして、三日以上ということになり、今後ふやすことを検討するといったご答弁を、さきの決算特別委員会でご答弁いただいております。
 何がいいたいかといいますと、病院の改修の機会を捉えて、その備蓄を三日からふやしていくためのお金を、ぜひ福祉保健局と連携をとりながら補助していただきたい。現実的には今すぐ備蓄をふやすには、建物の大きさや費用の問題、そして立地条件等あって、難しいのはよくわかっておりますが、総務局の皆さん自身が大規模の災害のときには難しいんだとお認めになったご答弁をされている以上、広尾病院のように改修の機会を捉えて、備蓄の分量をぜひふやしていただきたいと思います。
 このままでは、発災時に人工透析、入院患者等含めて、千人単位で死者がふえる可能性があることを改めて指摘をさせていただきます。
 次に、避難についてでございます。
 避難に関しましては、さきの事務事業質疑の際に、垂直避難といったものの重要性を述べさせていただきました。
 (パネルを示す)この足立区の綾瀬警察署、命を守るクイック退避建物と、これ民間のビルについているものでありますが、これをぜひ広めていっていただきたいといったことのまず前段階として、こういった建物のデータベース化を今後図っていくという趣旨の対策が練られております。
 ただ、今後どう取り組んでいくのか、そして、民間のビルが入ってくるのかというのが大きなポイントになると思っておりますが、改めて、対象となる建物の範囲やその数、運用についてお伺いしたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 自宅やその周辺が長期間にわたり浸水するおそれがある地域においては、浸水を免れる場所へ避難することが原則でございますが、時間的な猶予がない場合には、高い建物へ緊急的に垂直避難することが必要でございます。
 そのため、検証結果を踏まえまして、上層階が浸水しない都有施設等の公共施設のデータベース化に着手して、区市町村の避難先の拡充に資する情報として今後提供することを目指してまいります。
 また、対象となる施設数は、データベース化を図る中で把握し、運用の詳細については今後検討してまいります。

○宮瀬委員 ご答弁が、現在のところは都有施設等の公共施設のデータベース化と。等って何ですかと確認をさせていただきましたら、国の施設だと。板橋区の中で国の施設ってどこだろうと考えていったときに、税務署かなと。
 多分二、三カ所しか--ごめんなさい、私の知識が多分低いんですけれども、国の施設、板橋区内にわずか数カ所しかないと思っておりまして、その高さも本当に洪水の高さよりもカバーできる高さなのかという、ちょっと記憶が定かでありません。
 ということは、何がいいたいかといいますと、都有施設も国有施設も限りがあるわけでありますから、ぜひ民間のビルを今後このデータベースの中に入れていただきたいと。もちろん相手のあることでありますし、土日は警備の体制、入り口に鍵がかかっている、そういったビジネスタワーもあると思いますけれども、ここの分母をふやしていくには、やはり民間のビルをこのデータベースの中に入れることが重要だと思いますので、そこは要望にしたいと思います。
 次に、今回の報告書の中でタワーマンションという表現がございます。タワーマンションのところでお伺いしたいんですけれども、タワーマンション等の浸水対策といったことで、私が大変要望させていただき、前回質疑させていただきました、不動産業者に、購入者等への浸水リスク情報の周知について改めて協力を要請といった文言が入っております。
 私は、タワーマンションだけなのかなと。私の地元高島平団地なんですけれども、タワーマンション等の等に何がどこまで入るのかと。また、購入者等というのは、高島平でいいますと賃貸の人が多いわけでありますけれども、この等というのをはっきり確認をさせていただきたいと思っております。
 タワーマンション等の浸水対策、購入者等へのリスク情報の周知といったことでありますが、等の中に賃貸マンションですとか、賃借人というのは入っているのか、お伺いしたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 住宅政策推進本部によりますと、いずれも含まれていると聞いております。

○宮瀬委員 含まれていると。そうでありましたら、最初からそういうふうに書いていただければよかったなと思いますけれども、これで今の質疑で、普通の集合住宅、また、持っている人だけじゃなくて、借り手の人にもしっかりと周知していくといったことになりますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 あと、これ水害のことなので、火災の件は余りいいませんが、ぜひ先日お伝えした火事の際の耐震の告知義務、不動産会社が賃貸物件を貸し出す際に重要告知義務がありますけれども、その際にぜひ水害の項目を入れていただきたい。
 あわせて、阪神・淡路の際には、大学生が賃貸アパートで大分圧死していますので、ぜひこのありなしではなくて、どれぐらいの耐震状況なのかを明確化していただきたい、これも要望にしたいと思います。
 なので、水害地域でありますよではなくて、どれぐらいの程度なのかをしっかりと告知義務の中に入れていただくよう要望したいと思います。
 そろそろ時間ですので、はしょりたいと思いますが、例えばですね、質問しませんけれども、地下鉄の浸水対策も今回触れられております。交通局が管理する地下鉄の出入り口での止水対応を強化していくと。
 ただ、これは盲点がありまして、交通局が管理していない民間ビルは、その対象になっていないと。例えば池袋駅とか、大きな地下道があって、その遠くの出入り口は管理していないと聞いております。
 地下鉄はメトロ、大江戸線、三田線、都営地下鉄、全部地下でつながっていますので、交通局の管理している出入り口の対応だけでは意味がないと思いますので、そこはあわせて申し上げておきます。
 複合災害というリスクに最後触れて終えたいと思いますが、実際に地震が来た後に護岸が崩れて、土のうが崩れて、その後、大雨が降って、洪水といった複合災害も今後考えられると思います。
 複合災害に対する対応もぜひ認識、今後入れていただきたいと思うんですが、首都直下地震が三十年以内に七割の確率で来ると、至るところで私もよく聞いているんですけれども、それっていわれたのがいつからなのかなと、ちょっと改めて確認しておきたいと思いまして、三十年以内に来るってずっといわれているんですが、それはもう何年たって、何年いわれたのかっていうのを最後確認したいと思います。

○古賀防災計画担当部長 平成十六年八月に出されました国の地震調査研究推進本部による相模トラフ沿いの地震活動の長期評価についての中で、南関東地域でマグニチュード七程度の地震が今後三十年以内に発生する確率が七〇%程度とされているということに基づいております。

○宮瀬委員 確認のためにいいました。平成十六年八月に、地震の三十年以内に発生する確率は七割といったコメントが出て、それからちょうど十五年たっていますので、あと十五年で発災する確率は七割と。
 単純にそうもいえないというのは知っているんですけれども、ただ基本的には、いい始めて、それから十五年たっていますので、あと十五年以内に七割の確率で来るのではないかなというふうに思っております。
 何がいいたいかと思いますと、紋切り型のように三十年以内に七割というのを何年もいい続けるのではなくて、表現も変えていけば、改めて都民の危機意識というのは高まると思います。ここは要望にいたしますが、以上で質問を終わります。

○山内委員 大規模風水害の検証結果について質問いたします。
 貴重な検証だと思っております。ただ、その一方で、具体的な検証や課題を伺おうとすると、それは建設局です、福祉保健局なんです、交通局ですなどなど所管が異なるとのことでした。
 甚大な被害をもたらす災害に対し、防災、減災をどう進めるのか、全体が見える防災計画づくりを所管、携わる総務局はぜひオールマイティーであってほしいと思っております。そのことをまずいわせていただきたいと思います。
 情報の提供について伺いたいと思います。
 昨年五月の総務委員会の熊本地震関係の視察の際、熊本県庁、南阿蘇村、益城町に災害対策現地情報連絡員、リエゾンの受け入れ状況や教訓、今後の課題を伺いました。リエゾンの体制が整っておらず、うまく活用できなかった。教訓として、全国の自治体へのリエゾン業務の周知や基本的業務のマニュアル化をすることだという回答をいただきました。
 また、各省庁から、都道府県からリエゾンの派遣を受けて、発災当初はさまざまな情報が錯綜し、各所属が混乱していたために、配置先の決定判断や指揮命令などについて必ずしも明確ではなかった、リエゾンの役割や業務内容が明確ではなく、派遣職員もみずからの役割を理解していなかったという課題も見えたとお伺いいたしました。
 そこで、リエゾンの役割や業務内容はどういうものなのか、熊本地震の実績を踏まえて、そこで得た教訓等から東京都はどのように取り組んできたのか、伺いたいと思います。

○有金総合防災部長 リエゾンの役割は、被災自治体の現況調査や災害対策本部の情報収集等を能動的に行うとともに、応援ニーズを把握、調整するなど、被災自治体と応援自治体との橋渡しを担うものでございます。
 都は、熊本地震におきまして、被災県市に対してリエゾンを派遣した経験をもとに、派遣するに当たって必要となる手順や対応等を整理するマニュアルを定め、迅速かつ効果的に派遣する仕組みを整備いたしました。
 また、都内で発災した場合に備え、東京都災害時受援応援計画を策定し、都外の機関、自治体からの応援を円滑に受け入れるためのルールや体制も整備をしております。

○山内委員 地震と台風等の水害の場合は取り組みが異なるんでしょうか。
 今回、台風十九号で派遣した東京都のリエゾンはどのように活動したのか。その課題から、今後リエゾンをどのようにしていくのか、お伺いいたします。

○有金総合防災部長 地震や風水害などの災害種別に関係なく、被害の状況を迅速に収集し、速やかな支援を実施することが重要でございます。
 台風十九号では、非常に勢力の強い台風が東京を通過することが見込まれたことから、島しょ地域や多摩の市町村に対し台風接近前からリエゾンを派遣しております。各市町村にリエゾンを派遣したことにより、市町村の行う災害対策や被害状況、支援ニーズ等を迅速に把握することができました。
 今回の検証を踏まえ、今後大規模な風水害により被害が想定される場合には、あらかじめ全区市町村にリエゾンを派遣できる体制を構築してまいります。

○山内委員 台風十九号では、各交通機関が計画運休を行いました。都民向けインターネットアンケートによりますと、通勤通学日ではなかったので、電車に乗る必要がなかったと回答している人が約七割もいらっしゃいました。
 計画運休や運転再開、利用者への情報提供など、鉄道事業者等と災害対策本部が連携した対応が必要になってまいります。
 台風十九号における鉄道事業者と連携した対応についてお伺いいたします。

○有金総合防災部長 台風や豪雨などによる計画運休の際には、鉄道事業者から東京都に対しまして適切なタイミングで情報提供を行う体制が構築をされております。
 台風第十九号の際にも、JR東日本を初めとする鉄道事業者から計画運休に関する情報を速やかに入手し、防災ホームページやツイッター等を用いまして、都民に対して情報発信を行っております。

○山内委員 台風十九号が首都圏を通過したのは連休中であったために、計画運休による大きな混乱は発生しなかったといわれております。
 しかし、平日であった場合には状況が異なり、多くの通勤利用者が駅にあふれる懸念もあります。
 今後、計画運休に対して、都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○有金総合防災部長 鉄道事業者による計画運休の実施が見込まれる場合には、テレワークを活用する業務の拡大や、運休も想定したBCPの策定など、災害発生を見込んだ対応をより一層進めていくことが重要でございます。
 そのため、計画運休時の出勤のあり方につきまして、経営者団体、労働者団体と連携して、今月中に実務者会議を立ち上げ、新たなルール化に関する検討を開始し、来年度の出水期を目途として一定の取りまとめを行ってまいります。

○山内委員 台風十九号の際に都内の一部の避難所で、一時的に避難者が集中して満員になったと聞いております。一方、区市町村からの要請を受けて、複数の都の施設を開設し、避難者の受け入れを行ったとも聞いております。
 そこで、都が把握している状況に加え、開設した都立施設の数と備蓄品の提供の有無、また、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○有金総合防災部長 台風第十九号では、都内で約十八万六千人の方が避難をされ、一部の区市町村におきまして、避難所に多くの住民が集中したことで、別の避難所に移動する対応が必要となった事例があったことは、検証作業の中で把握をしております。
 避難先が不足する状況に対しまして、都は、区市町村の求めに応じまして、都立高校や東京武道館などの都立施設二十五カ所を開放し、七カ所では備蓄品を提供するなどの対応を行いました。
 今回の検証を踏まえまして、浸水等のおそれがない場所に立地いたします都立一時滞在施設をあらかじめ避難先として位置づけ、活用を図っていくことといたしました。
 今後、風水害時の避難先として活用していくため、地元自治体と協議の上、順次、協定締結を進めてまいります。

○山内委員 台風十九号において生じた広域避難にかかわる課題、そして、今後、都がどのように対応していくのか、伺いたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 これまで都は、国との検討会で広域避難の具体化に向け検討を進めてまいりましたが、今回の台風十九号では、広域避難先として想定していた多摩地域や近隣県等におきましても記録的な大雨となり、一部の避難先には避難者が集中するなど、広域避難検討におけるこれまでの想定とは異なる状況となりました。
 このため、都と江東五区を中心とした関係区市によるワーキングを立ち上げ、課題と方向性を検討し、今後の広域避難検討会にフィードバックしてまいります。
 あわせて、今回の検証結果によりまして、今後浸水のおそれのない場所に立地する都立一時滞在施設を風水害時の避難先として活用していくなど、実効性のある対策を進めてまいります。

○山内委員 報道等で、東京、神奈川など初の大雨特別警報、台風十九号で記録的大雨、命を守る行動をと報道されました。特別警報、避難勧告等、防災情報を、ふだん聞きなれない言葉であるために、受け取る側に混乱を来さないよう、丁寧に配慮して発信する必要があると考えます。
 テレビ放送を見ていて、もう一工夫あればと思ったことがございました。気象庁の発表のニュースがあったときに、手話通訳があったにもかかわらず、テレビ画面に手話が映らないというようなことがありました。字幕も項目だけで、ニュースは音声のみ、ニュース報道が同時に文字になって画面で読めるようになればいいのにななど、さまざまなアイデアが私にも浮かびました。
 情報提供のあり方をぜひ障害者、子供、高齢者に聞いて、ニーズに合わせた方法にしていただきたいと思っております。
 そこで、避難してきた人の中には障害者もいたのではないでしょうか。文字情報など、避難情報の発信に関してどのような課題があったのか、お伺いいたします。

○有金総合防災部長 東京都のホームページでは、音声読み上げ機能の搭載、文字の大きさや色などアクセシビリティーに配慮し、障害者も避難情報等の災害に関する情報を得られやすいものとしております。
 また一方で、今回の台風に伴う検証では、台風接近時に東京都防災ホームページ及び東京都防災アプリの閲覧数は上昇したものの、都民等が避難行動を開始する際の参考に活用された割合は低いということがわかりました。
 そのため、今後、都民の意識調査のモニターアンケート等などを活用いたしまして、障害者も含めました都民の意見を聞きまして、避難行動につながる、より見やすいホームページに改善してまいります。

○山内委員 外国人観光客のために台東区は都に緊急滞在施設開設要請を出し、東京文化会館を開設したと聞いております。この前も質問させていただきました。
 こうした情報も含めて、今回外国人への対応をどのように行ったのか、お伺いいたします。

○有金総合防災部長 都では、今回、外国人に対する情報発信といたしまして、防災ホームページや東京都防災ツイッターで避難情報などを多言語で発信するとともに、都民からの相談を英語で受け付ける電話窓口を臨時に開設いたしました。
 また、東京文化会館では、災害時に英語等で外国人に対応できる職員を派遣し、きめ細かく対応できる体制をとりました。
 今後は、これらの取り組みに合わせまして、風水害時についてもデジタルサイネージを活用し、多言語や「やさしい日本語」での発信にも取り組んでまいります。

○山内委員 大雨と洪水発生にはタイムラグがあると専門家が指摘しています。浸水ハザードマップは時間による変化を反映しないため、今降っている雨からどのくらい後にどこで浸水するおそれがあるのか、住民に情報提供する体制を整える必要があるといわれております。都の見解をお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 風水害時に都民が適切に避難を行うためには、その判断に必要となる防災情報を早期に提供することが重要でございます。
 現在、東京都が管理する洪水予報河川におきましては、おおむね一時間先までの雨量と水位を予測し、気象庁と都が共同で河川の氾濫に関する情報を発表し、住民に対して周知を図っております。また、東京都防災アプリやツイッターなどを通じて、これらの情報提供を行っております。
 今後も引き続き、さまざまな媒体を活用し、都民の避難行動等を支援する防災情報を発信してまいります。

○山内委員 COP25で、気象災害で二〇一八年の最大の被害国は日本だと環境NGOが公表いたしました。
 台風などによる甚大な被害は、自然の力の圧倒的な強さ、災害を引き起こしている要因として、人間が環境をないがしろにしてきたことなど、改めて考えさせられます。
 便利さや効率を優先する私たちの生活のあり方を考え直さなければ、気象変動はストップできないと考えます。環境、エネルギー、まちづくりなど、大きなくくりで防災、減災に取り組まなければならないと思います。
 発災時、または発災に備えて、いかに早く適切に情報を提供するか。今回の台風十九号では、警戒レベル、避難勧告、避難指示、高齢者等避難開始など、さまざまな防災用語が流れ、混乱を招きました。
 また、計画運休の情報発信のタイミングも、今後検討が必要になってくるかと思います。特に、子供や高齢者、障害者など、社会的弱者となり得る人を支援する施策が求められております。
 情報の発信では、東京都も、「やさしい日本語」、カラーユニバーサルデザイン、ユニバーサルデザインフォントなどが進められておりますが、そうした積み重ねが重要だと考えております。当事者や当事者団体との意見、要望をさらに聞き取り、反映していくことを求めていきたいと思います。
 そして、今回、江東五区等と東京が関係区市によるワーキングを立ち上げて、課題と方向性を検討し、今後広域避難検討会にフィードバックしていくとか、あるいは浸水のおそれのない場所に立地する都立一時滞在施設を風水害の避難所として活用していくなど、実効性のある対策を推進するというご答弁をいただきました。
 ぜひとも、そうした点、今回の台風十九号の教訓を生かして、つなげていっていただきたいと強く要望いたしまして、質問を終わります。

○早坂委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十五分休憩

   午後三時三十九分開議

○早坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○谷村委員 質問に先立ちまして、このたびの台風十五号、十九号を初め、豪雨災害でお亡くなりになられた方に深くお悔やみ申し上げますとともに、被災された方皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 それでは、令和元年台風第十五号及び第十九号等に伴う防災対策の検証結果について質問をさせていただきます。
 この検証経過では、副知事をトップとして大規模風水害検証会議を設置し、都の風水害対策について検証をしたと。期間は令和元年十一月六日から約三週間、方法としては、各局等における課題の抽出、検証、各区市町村に対するヒアリング、都民向けインターネットアンケート調査、そして自衛隊等の関係機関からの意見集約、このようになっておりますが、まずは、この大規模風水害検証会議のメンバーはどのようになっておりますでしょうか。

○有金総合防災部長 検証会議のメンバーでございますけれども、知事を除く副知事及び全局長でございます。

○谷村委員 この大規模風水害検証会議のメンバーの多くが入っておられる災害対策本部会議が構成されていると思いますが、これにどういったメンバーが加わっておりますでしょうか。

○有金総合防災部長 災害対策本部会議のメンバーでございますが、災害対策本部長は知事でございます。知事がメンバーになっております。そのほかに関係機関といたしまして、庁内では外務長、報道担当理事、庁外では自衛隊、海上保安庁、気象庁などの方々がいらっしゃいます。

○谷村委員 よく都庁見学なんかでは災害対策本部のセンターを、今工事中ですけれども、そういうのを拝見いたしますと、民間事業者もその籍にあるのではないかと思うんですが、今回の災害対策本部会議には、いわゆるライフラインをつかさどる民間のメンバーというのはいなかったのでしょうか。

○有金総合防災部長 今回の災害対策本部会議には入っておりません。

○谷村委員 ということは、ライフラインの根幹である、例えば東京電力とか東京ガスというのは、この災害対策本部のメンバーではない形で、この台風十五号、あるいは十九号、二十一号にもおりますけれども、その会議の中には入っていなかったということでよろしいですか。

○有金総合防災部長 失礼しました。言葉が足らずに申しわけございませんでした。
 災害対策本部員ではございませんけれども、オブザーバーとして本部会議には出席しております。

○谷村委員 その場合、東京電力とか東京ガスというのは、どういう立場の方がこのメンバーに入っているんでしょうか。

○有金総合防災部長 各組織の災害対策の部署に所属する方ということでございまして、役職までは今のところ、ちょっと把握はしておりません。

○谷村委員 今回、大変大きな災害で、災害対策本部を設置したのも十何年ぶりというふうに知事もおっしゃっていると思いますが、これ何年ぶりですか、災害対策本部設置されたのが。

○有金総合防災部長 十九年ぶりでございます。

○谷村委員 十九年ぶりに災害対策本部を設置するというほどの災害を、ある意味で迎え撃つ体制を組まれたわけですけれども、そこにライフラインの一つ、二つである東京電力、あるいは東京ガスの代表者がどんな人かというのはお答えになれないでしょうか。

○小林危機管理監 この場で正確な役職と氏名については申し上げることはできませんけれども、東京電力等の災害対応にかかわる部署のそれなりの立場の方に来ていただいています。
 その方を通じることによって、それぞれの会社の状況というのは正確に把握できるという体制はとっておりました。

○谷村委員 ということであれば、日常的に、こういう災害が起こるときに、東京電力、あるいは東京ガスというのはどういう方を窓口にしてお願いをしたり、連携したり、情報交換したりされているでしょうか。当日そこにいるとかいないとかは別に、窓口というのはどうなるんでしょうか。

○有金総合防災部長 今回の災害対応の中でも、東京電力の方にはリエゾンという形で九階のところに来ていただいておりましたけれども、まずは、東京電力の防災担当の職員の方に来ていただきまして、その方を通じて、東京電力の関係する各局とつないでいただいて情報共有をしたという形で進めております。

○谷村委員 この災害対策本部という都民の皆様の生命と財産を守るため、東京都がどういう対応を打つか、あるいはどう関係機関と連携をとるか、大変重要な会議だと私は思っておりますけれども、そこに東京電力、あるいは東京ガスがリエゾン程度の方しか来ていないということとして理解してよろしいんでしょうか。
 本来であれば、東京電力のしかるべき方がきちんと日ごろから連携がされていて--リエゾンというのは連絡要員ですから、時には東京、この災害対策本部に入ってきた情報を聞いて、すぐに指示、あるいは命令、あるいは連絡をする立場の方ぐらいがこの災害対策本部の会議に出ているという認識でおりましたけれども、これは間違いなんでしょうか、こうした認識は。

○小林危機管理監 日ごろから連絡をとらせていただいている方というのは、会社の中では部長クラスの、それなりに災害対応に関してしっかり識見のある方と対応をとらせていただいています。
 実際に災害が起きますと、その役職の方というのは、会社の中で初動対応と申しますか、いわゆる停電対策等に当たるということが一番の任務になっておりますので、こちらの方にその方が直接来ていただくというのは難しい状況にございます。
 そのかわり、その方のすぐ下で働いている、いわゆる勤務をされている方にはこちらに来ていただきまして、こちらの状況をつぶさに向こうに連絡していただくと同時に、また、向こうの状況についてもこちらには入れていただくということで、それなりに判断ができる方に来ていただいて、実際に災害対応を進めております。

○谷村委員 要するに、基準はないということですね。
 それなりの方であって、東京都の災害対策本部でライフラインを守るための、あるいはライフラインの情報を入れるためのきちんとした一定の方が--リエゾンなんて呼ばれる人ではなくて、いわゆる連絡要員とかじゃなくて、一定の判断ができる人、場合によってはもう直接、災害対策本部の本部長である知事に対してきちんと説明できる人、そういう一定の基準というものがあってしかるべきだと思いますが、それが現在ないということでよろしいですか。

○小林危機管理監 ただいまご指摘のとおり、具体的に一定の基準というのは設けてはおりません。
 その時点で東京電力の側が、いわゆるその災害対応に関して適任と思われる方をこちらに送っていただいています。
 また、二十四時間対応で対応することになりますので、それぞれの時間を区切りまして、ローテーションを組んで来ていただくという形をとっております。

○谷村委員 二十四時間とおっしゃるんだったら、全部の局長が二十四時間いたというわけではありませんよね。
 これは、大変重要なライフラインをつかさどる災害対策本部の会議にはきちんとした、事前にどういう立場の、どういう指揮系統の、どういう権限を持っている人というのをきちんと確定しておく必要があると思いますが、それはちょっと危機管理監とお話ししてもしようがない。局長、どうですか。

○遠藤総務局長 今、災害対策本部に参加する東京電力、あるいは東京ガス、そのほかにも国の関係機関等ございますけれども、メンバーについてお話がありました。
 お話をお聞きになっていて、我々としては適切な人間をというふうに考えておりましたけれども、今回の教訓の一つとして、ご指摘のように、どのような能力を備えている人、あるいはどのような役職がある人ということを我々としてももっと検討して、しっかりと団体、団体というか会社等と協議をして、疑義がないように、適切な人を送られるように検討してまいりたいと思います。

○谷村委員 ぜひとも、そういう方がいらっしゃるから東京都の災害対策本部と東京電力、あるいは東京ガスとの連携というのは、きちんと太いパイプで対応させているんだということを発信していただきたいと思います。
 そのメンバーから知事が抜け、そして、外務長とか報道官とか自衛隊、海上保安庁、気象庁を除いた方が今回の大規模風水害検証会議のメンバーでされたということで事前に伺っておりますけれども、この大規模風水災害検証会議というのは何回開催されたんでしょうか。

○有金総合防災部長 さきのメンバーが集まりまして会議を行ったのは、十一月六日の一回でございます。

○谷村委員 副知事をトップに大規模風水害検証会議を設置し、都の風水害対策について検証したという、これが今回の報告事項の根本ですけれども、開催されたのは一回だけということですね、ちょっと驚きですが。
 この出席者の状況ですけれども、一回しか行われていないのであれば、副知事四人、あるいは警視総監、あるいは消防総監、教育長、各局長というのは、これはもう全員ご本人が出席されているということでよろしいですか。

○有金総合防災部長 警視庁の方につきましては、代理の方が出席をしております。

○谷村委員 わかりました。
 当然、全庁で副知事トップだったわけですから、各局からの検証というものがあったかと思うんですけれども、この検証結果の資料を拝見すると、各局からの検証というものが出ているのか出ていないのか、ちょっと不明なもので、お尋ねいたしますけれども、教育庁と生活文化局の、いわゆる公立、あるいは私立の学校関係というのは、今回の検証の中でどういうふうに位置づけられているでしょうか。

○有金総合防災部長 教育庁及び生活文化局からも検証結果は出ておりまして、その結果、生活文化局からは九個の課題、教育庁からは六つの課題が提出されております。

○谷村委員 それがこれに記載されていないですか。課題は出されてはいるけれども、この報告書には入っていない、入っている。

○有金総合防災部長 防災広報という形の情報発信とか、そういったところにつきましては、生活文化局は東京都のホームページを所管しておりますので、そういった情報が入っておりますし、あと都立一時滞在施設の関係であれば、学校自体が既に避難所になっているというところもありますので、そういった避難所としての活用みたいな形では、それぞれ各局からも課題として出ておるところでございます。

○谷村委員 済みません、お尋ねしますが、学校関係で、じゃあ避難所としてどうだったのか、あるいは児童生徒の課題はどうだったのかという検証がされていて、その検証というのは、これ各局、全庁を挙げてやっているものですから、この報告書にあって当然のことだと思うんですが、その六つと九つですか、これが挙がっていないんですね。
 挙がっていないんだとしたら、なぜ挙がっていないんでしょうか。

○有金総合防災部長 例えば生活文化局でいうと、東京都のホームページがダウンしないような形で進めていくというようなことであれば、生活文化局だけではなくて、例えば建設局におきましても水防災のホームページは持っております。また、我々も防災ホームページは持っております。
 ということで、そういったものはホームページ、ダウンしないようなホームページをつくっていくというような項目で一つのくくりにしておりますので、それぞれのものが個別に一つ一つ出ているという形ではなくて、各局で同じようなものがあれば、それを一つの課題という形で集約をして載せているところでございます。

○谷村委員 生活文化局の予算の八割以上は私学に対する支援、補助金だったりします。だから、東京、広報をやっているからというので、ホームページのことで挙げているということをおっしゃっていますけど、私がお尋ねしたのは、教育庁や、あるいは生活文化局が所管する私立学校、こうした学校のさまざまな災害状況における検証というのはなぜ出ていないんですかとお尋ねしている。

○有金総合防災部長 各局から提出されました検証結果につきましては、それぞれ一つ一つ項目として出すという形ではなくて、先ほど申し上げました防災広報でありますとか初動体制の強化、七つの分野に分けまして、その中で取りまとめや公表をしているという形で集計をしておるものでございます。

○谷村委員 そうすると、十九年ぶりに立ち上げられた防災対策本部の検証の中で、何でこの議会に--これ議会だけじゃなくて、都民の皆様にもこの検証結果をご報告されていると思うんですけど、検証されたものと、検証しているけど出しているものと出していないものがあるということですか。

○有金総合防災部長 全てのものを網羅的に記載はしておりませんけれども、出てきた内容につきましては、先ほど申し上げた七つの視点に分けまして、基本的にはそれぞれ記述をしているという趣旨でつくっているところでございます。

○谷村委員 ちょっと今のご答弁には納得いきませんけれども、では、学校関係の検証というのは、この報告書に入っていなくてもどのようなものがあったのか、検証会議でのお話はどうなっているのかお尋ねいたします。

○有金総合防災部長 時間がかかり、申しわけございませんでした。
 教育庁から出てきている内容といたしましては、先ほど申し上げたように、一時滞在施設としての開設、こういったものはしていきますよということ。それと、避難所の指定について、今既に指定されているところもありますので、そういったところをしっかりと逆に周知をしていくと。知られていなかったというところがありますので、それを周知していくということ。
 あと、教育庁の所管施設におきまして、倒木によって隣接する家屋へ被害を及ぼしたというようなものもございますので、そういった風水害のときにそういった被害を及ぼさないように、施設管理者の方にしっかりと周知をしていくということ、そういった内容のものが全部で出てきておるところでございます。

○谷村委員 ということは、これ検証結果としてまとめやすいところだけはまとめて、その他のことはちょっと集約されていないということかと思うんですけれども、ちょっとしつこくて申しわけないですが、病院経営本部、この病院という角度では今回、どういう形で検証されていますでしょうか。

○有金総合防災部長 病院経営本部からは、都立病院の浸水対策という形で事項は出ております。

○谷村委員 では、オリ・パラ準備局もこの災害検証会議に入っていると思いますが、こうした状況がオリンピック・パラリンピックの期間中に開催された場合どうなるかというような、そういう検証とかは出ていますでしょうか。

○有金総合防災部長 オリンピック・パラリンピック準備局からは、今回は検証の結果の報告はございませんでした。

○谷村委員 だから、そういう検証結果といって、これ発表してよろしいんですか。
 これ読むと、副知事をトップとして設置された会議であるので、先ほどメンバーも確認させていただきました。各局の局長クラスがずらっと出て、警視総監は代理だったけれども、あと全部局長がお出になっているわけですよね。
 それで、今回の台風被害、あるいは豪雨被害については検証していない局もあるということだと、この検証そのものが、何というんですか、レベルが疑われると思うんですが、オリ・パラ準備局としては一切検証を出していないということは、じゃあほかに出ていない局というのはどういう局があるんでしょうか。

○有金総合防災部長 今回の検証につきましては、十五号、十九号、二十一号におきましてさまざまな被害が発生したと。その被害に関して、関係する局で対応しなければいけないということを中心に検証していただいたということでございます。
 そういった形で、直接影響はなかった局からは出てこなかったという局もございます。
 今申し上げたとおり、事業を持っていない政策企画局でありますとか、あと会計管理局、選挙管理委員会、人事委員会事務局、監査事務局、あと共済組合、議会局といったところは、今回、特に台風で大きな何か業務自体に課題があったということはなかったということで、上がってきてはおりません。

○谷村委員 その他の都市整備局、住宅政策本部、環境局、産業労働局、中央卸売市場、建設局、港湾局等は出ているという認識でよろしいですか。

○有金総合防災部長 はい、検証結果としていただいております。

○谷村委員 ということであれば、検証した局もあります、しない局もあります、した局としてはこういう内容で検証しましたというものがないと、十九年ぶりに災害対策本部を立ち上げるような、この災害対策を検証するに当たって、極めてこの報告書は不備なものと申し上げるしかないんですが、しかも、一回しか開かれていないと。
 一回開いて、じゃ、出してくださいっていって、出たところは出ました、出てこないところは出てこない、それをまとめましたというのがこの検証報告になるということになりますけれども、そういう認識でよろしいですか。

○有金総合防災部長 局長級の会議は一回しか開いておりませんけれども、その後、各局から調査票が上がってきた段階で、我々の段階でその中身についてヒアリングをしたり、意見交換をしたりと。それのフィードバックにつきましては、各局局長まで上げた上で、また総合防災部に返していただくというやりとりをした上で今回決めたということですので、確かに会議は一回しか開いておりませんけれども、局内ではトップまで上げて、課題として固めていったということだったと思います。

○谷村委員 ちょっとそういうご答弁で私、納得していいのかどうか、私自身迷いますけれども、例えば、水道局の断水対策というのはどんな形で上がっていますでしょうか。

○有金総合防災部長 水道局につきましては、今回、奥多摩町で川の洗掘により道路が不通になったということがありましたので給水車を派遣したということで、今後、その給水車の台数についてはふやしていくということで、三十台まで増加するということを今回、この検証会議の報告の中にも記載をしているところでございます。

○谷村委員 それは断水した後の対応のお話ですよね。そもそも断水させないというのが、この検証結果を踏まえてやるべきことだと思うんですね。
 なぜ断水したのか、断水してどう給水したかという報告で出ていることじゃなくて、なぜ断水したのか、今後どうやって断水を防ぐのかというのが、本来検証した結果として上がってくるべきお話じゃないでしょうか。もう一回お願いします。

○有金総合防災部長 今回の断水の原因といたしましては、河川による道路の洗掘によって道路が崩落をして、それとともに、地下に埋まっていた水道管が壊れて断水してしまったということでございますので、そういったことが起きたときには、いわゆる仮設の水道管を布設するでありますとか、そういった対応をとるという形の検証結果になっておりまして、特にほかの部分、全般的に何か新たな対策をするとか、そういったところまでは今回出てきていないところでございます。

○谷村委員 だから、それは検証会議を一回しか開催していないから、こういうことになるんじゃないでしょうかね。
 例えば、千葉の台風十五号のとき、長期間停電が続きました。その結果として断水もありました。さまざまな報道を見ておりますと、停電よりも断水の方がきついというふうにおっしゃっているのが多いのかなというふうに私は思ったわけですけれども、ああいう千葉でも大きな断水があったわけで、都内でも断水があったわけで、その断水をもう今後は絶対起こさないようにこういう取り組みをしますと。原因は、今まで、長年のものであったり、あるいは奥多摩町はずっと独自で水道源やっておられたというさまざまあるかもしれませんけど、そういう経過があったので、奥多摩町のこういう独特な、断水しやすい状況があったと。
 それ以外の東京都が早く見ているところについては、こういう取り組みをしているから断水は大丈夫だというような、どうして断水になったのか、そして、今後どうやって断水を起こさないようにするのかが検証であり、今後の主な対策内容として出てくるべき話じゃないかと思うんですけど、そういうのはされていないということでよろしいですか。

○有金総合防災部長 今回の検証は、先ほど申し上げたとおり、十五号、十九号、二十一号でどのような被害が起きたのか、それに基づいてどう対応するのかということをやっておりまして、例えば断水であれば、日ごろから継ぎ手、地震が起きたときに栓がずれないような継ぎ手をどんどんふやしていくだとか、そういう日常的な対策はこれまでも行っておりますので、それは当然やっていくといった中で、今回の対処の方法といたしましては、断水したら速やかに給水できるような給水車をふやしていくと。また、断水した場合には仮設のポンプをしっかりと早急に配備すると。
 あとは、建設局の方からは、道路自体が崩落しないように、さまざまなハード対策をしてまいりますというようなことが出てきておるところでございます。

○谷村委員 今の前段部分は有金部長のご本人の見解ですか、それとも何かきちんと出ているんですか、そういう継ぎ手、継ぎ手でやっているというお話は。今ご本人の見解ですか、それとも水道局として、それが上にきちんと上がってきているというお話ですか。

○有金総合防災部長 水道局の耐震対策の取り組みとして、水道管の耐震継ぎ手をしていくということは出ておるところでございます。

○谷村委員 それは今回の検証で出ているという認識でよろしいですね。
 もしよろしかったら、各局から検討--検証会議が一回しか開かれていなくて、各局がそれ戻って、総務局に上がってきて、これをまとめていくという各局の検証というものを、もし本当にあるのであれば、それはちょっと明らかにしていただくことはできますか、この場じゃなくて結構ですので。何か本当に検証されたのか、していないのかという、ちょっと不安に陥ってしまうので、それはできますか。

○有金総合防災部長 失礼しました。先ほどの耐震継ぎ手の話は、今回の検証結果ということではなくて、これまでの震災対策という中で取り組んでいるという内容でございます。
 今回、各局で出てきたものにつきましては、様式として我々の方も聴取しておるところでございますので、その中身については出すことは可能だと思っております。

○谷村委員 じゃ、ぜひお願いします。
 この七つの視点だけで、今回のこれだけの災害で検証しましたというのでは、ちょっと私も拝見しましたけど、これで東京都が今回の台風十五号、十九号等の防災で検証したっていわれると、すごく腑に落ちないことがいっぱいありますので、そういったものもできればオープンにしていただくことが、何でしょうか、東京都として--ああ、これだけ取り組んでいただいたから、次はこういうふうに変えていくことができるんだ、そうすると来年の台風の時期は安心するんだなというふうにできれば見せていっていただきたいと思います。
 もう本当は、これがオリンピック・パラリンピック開催時期にぶつかった場合どうするんですかというのが、これはもう都民を超えての課題になるんだと思うんですが、それに対してオリンピック・パラリンピック準備局は一切何にも出していないと。今出すこと--忙しいのでそんな時間ないのかもしれませんが、なければないで、防災を関係するところの部署が、オリンピック、あるいはパラリンピックの開催時期に重なったときにはこういう対応をしていくことを検討するべきだということを申し上げていただくことだと思いますので、これ、ここちょっと時間とっちゃって、もう先へ進みます。
 ということで、もう一言確認いたしますが、今回の検証会議には会議録というのは残っていないんですよね、残っていますかと質問しようと思っていたんですが、検証会議の、あるいはこの結果をまとめるまでの会議録、あるいは議事録でもいいんですけど、そういうものは残っていないということでよろしいですか。

○有金総合防災部長 一回開きました検証会議につきましては会議録は残っておりますけれども、その後は調査票をいただきまして、我々事務レベルでやりとりをしてるということですので、特段議事録というものはございません。
 あと、先ほどオリンピック・パラリンピック本部のお話がございましたけれども、こちらにつきましては、現在、安全、安心推進会議というものを全庁的に立ち上げておりまして、その中で災害対策分科会というのがございます。
 そこは、我々総務局の総合防災部が分科会のメンバーという形になっておりますので、来年オリンピックがあるときに、例えば台風が来た、今回のラグビーのような形で来たらどうするんだだとか、そういったものも含めて図上訓練でありますとか実地訓練、あるいは対処要領というものを作成して、万全な体制で備えていくように準備をしているところでございます。

○谷村委員 それでは、七つの視点の、まず、初動体制の整備をお伺いしたいと思います。
 この連絡要員、先ほど来出ておりますリエゾンの派遣についてですが、今回は、多摩・島しょ地域に派遣をされ、次は、二十三区を加えて二名程度派遣しようということになっているようですが、このリエゾンを--ちょっと前の方の質問と重なるかもしれませんが、どういう方をリエゾンとして派遣しているのかというのを確認させていただきたいと思います。

○有金総合防災部長 リエゾンにつきましては、今回、連絡要員という形で都との情報共有をするという形で送っております。
 基本的には総務局の職員、あるいは災害対策住宅に入っている職員、そういった方々を今回ペアという形にして送っているところでございます。

○谷村委員 そのリエゾンに対して、各区市町村ヒアリングからは、防災業務に精通した職員を送ってほしいということが出ておりますけれども、総務局の職員の方であれば、あるいは災害対策職員住宅に入っていらっしゃる方であれば、じゃ、そういう声が出るのが不思議なくらいちゃんとした人を出していたのかというのはどういう検証がなされていますでしょうか。

○有金総合防災部長 区市町村アンケートによりますと、今回派遣した職員につきましては、連絡要員として都との情報共有に非常に役立ったということをおっしゃっていただいております。
 さらにということで、区市町村職員にアドバイスができるような、防災業務に精通した実務能力のある職員を送っていただきたいという、さらなる要望という形で受け取っておるところでございます。
 こうした要望も受けまして、今後職員を派遣する際には、防災実務の向上を目指して、研修でありますとか訓練、こういったものもした上で送るような体制をつくっていきたいと思っております。

○谷村委員 先ほど宮瀬委員の方でしたか、リエゾンとして来られたときに地理がわかる人--どこでどうなったという、区、あるいは市町村でどこどこがこうだという話で、それを都に上げるとかっていっても、地理的な認識がないと、防災業務を認識してもなかなかそうはうまくいかないと思うんですが、そういうご質問でしたね、さっき。違いましたか。

○早坂委員長 宮瀬委員に質問ですか。

○谷村委員 いやいやいやいや。
 済みません、そういう質疑があったかと思うんですけれども、例えば、災害対策職員住宅に入る要件が、災害があったときに出動しなさいよというふうになっているとは伺っているんですけれども、災害対策職員住宅に入ってしまったら、いつでも出なきゃいけないんだよというふうに受けとめている方もいらっしゃって、どっちが先なのか、きちんと災害対応のできる、またリエゾンでは二十三区二十六市三町一村、島しょ部の地理的関係もわかる、そういう方が災害用職員住宅に入られるのか、それとも入っていたから何かのときはとにかく出ていけというのがちょっと現状のようにも思えるんです。
 この災害対策職員住宅に入られる方に対する認識、あるいは基準みたいなものがあればちょっと教えていただきたいと思います。

○有金総合防災部長 災害対策職員住宅に入るに当たりましては、一定の入居要件を定めております。
 本来は、能力のある方が入っていただければ望ましいところではありますけれども、当然、休日、夜間も含めまして待機をしていただくというような、そういうような制限があるということを認識してもらうということ、あと災害時には、本来業務もありますけれども、災害業務に従事できるというような形で上司の承認もとってもらう、そういった条件のもと入ってもらっております。
 したがいまして、意欲はありますけど、知識がまだまだ足りないという方もいらっしゃいますので、そういった方は、先ほど申し上げましたように定期的な訓練、そういったものを通じて実務能力を上げるように取り組んでいるところでございます。

○谷村委員 その災害対策職員住宅に入られている方が、今回、リエゾンなり何なりに災害対策職員として稼働したというのは、どのぐらいの割合でいらっしゃるんでしょうか。

○有金総合防災部長 今回、二名ずつ市町村に送りましたけれども、半分は総務局職員、半分はその住宅職員という形で送っております。

○谷村委員 ありがとうございます。
 ちょっともう少し続きまして、九都県市間の迅速な相互支援で、要請がなくても状況に応じて迅速に被災県及び市町村への支援が行えるよう、九都県市首脳会議で現協定の見直しを実施というふうに記載されているわけですが、災害時というのは、情報を集中して指揮系統を明確にして動くというのが基本じゃないかと思うんですけれども、要請がなくても状況に応じて支援をするという、この点については一定のリスクを負うと思うんですが、これはいかがなものですか。
 例えば、プッシュ型の支援で自衛隊が行くとか、そういう避難の専門的な人がプッシュ型で行くというのはわかりますけれども、ただ消防庁でも救急車をこっちで出したり、要請がなくても出したりってなると、もうこれは指揮系統がめちゃくちゃになってしまうと思うんですが、そういうことを東京都から九都県市の首脳会議に提案されるというのは、これ本当ですか、確認したいんですけれども。

○有金総合防災部長 台風十五号が通過したときでございますけれども、千葉県が災害対応に追われまして、県内の被災市町の情報把握に手が回らないという状況がございました。
 その一方で、千葉県内の市町が甚大な被害を受けているという報道も我々は耳にしたところでございます。また、一部の市町からは、都に直接支援を求めるという声も届いているところでございます。
 しかしながら、都が支援を行うに当たりましては、被災県であります千葉県からの要請が必要であり、県との調整に時間を要するということが実際ございました。
 今回、こういった経験を踏まえて必要な見直しを行おうということで、九都県市の中で協議を進めるということになりました。
 ただ、しかしながら、当然、都内で被害が大きいという場合などは、都が他の自治体を支援することが困難であろうということでございますので、そういった場合には、我々は都内の被災地への支援に全力を注入するということになりまして、逆に、九都県市と協定を結んでおります関西広域連合でありますとか全国知事会、そういったところに要請をした上で、被災県の支援をしていくという形で取り組んでいくことになります。

○谷村委員 ぜひこの組織立った基本的なルールというのは、維持していかないと大変なことになるかと思うんですが、なぜこういう質問をするかといいますと、奥多摩で、あるいは西多摩で孤立集落が発生しておりました。
 しかし、東京消防庁は既に東北の、何というんですか、救援に向かっておりました。西多摩、奥多摩の人からしてみれば、東京からの援助というのは随分遅いのに、東北へはもう早々に行っていたという、非常に、何というんですか、納得のいかない思いでいらっしゃる方が多くおられます。
 そこで、確認させていただきたいんですが、奥多摩、あるいは西多摩で孤立集落が出たということを災害対策本部で認識されたのはいつなのかを教えていただければと思います。

○有金総合防災部長 奥多摩地区の孤立集落が発生した、いわゆる道路が崩落したということにつきましては、十二日土曜日の二十三時〇七分、派遣しているLOの方から都道二〇四号線崩落により孤立地域が発生したという連絡を受けております。

○谷村委員 この奥多摩町、あるいは西多摩の各地域に孤立集落があるということ、情報が入って、災害対策本部としてどういう手を具体的に打たれたのでしょうか。

○有金総合防災部長 十二日の夜の二十三時七分に受けた後、情報の内容を確認いたしまして、その後、午前三時五十分に陥没箇所の先の集落の状況が懸念をされるという状況の中、支援のために自衛隊等の災害派遣の必要の可能性がありということで、自衛隊の派遣も含めた検討を開始したということでございます。

○谷村委員 実際に東京消防庁、あるいは自衛隊が動いたのはどのタイミングなんでしょうか。

○小林危機管理監 東京消防庁につきましては、発災前に既に日原地区に八名の隊員を送り込んでいたということで、その隊員がまず真っ先に対応したという状況になります。
 自衛隊につきましては、十四日の朝から現地にLOが入りまして、偵察部隊が入っていったという状況にはございます。

○谷村委員 その段階で、当然、入られた段階で断水が起こっているということはご認識されたと思うんですけれども、奥多摩町に対する給水車というのが大変遅かったというか、数が少なかったというか、私どもそういうふうな認識でいるんですけれども、これは水道局で対応しなきゃいけないのか、水道局から災害対策本部に話が上がって、さらに何か応援ができないかというふうにするのか、どっちがルートとしてあるべき姿だったでしょうか。

○小林危機管理監 奥多摩町につきましては、二カ所の分かれた地域で断水がありました。一つは日原地区という孤立した地域、もう一つはまちの中心部でも断水が起きていたという状況にございます。
 日原地区につきましては、道路が実際に崩落をしておりましたので、給水車を運び込めるという状況にはございませんでした。そこには自衛隊のヘリコプターを使いまして、実際にペットボトルの形で水を給水したということになります。
 下の方のまちの地域ですけれども、ここは給水車が行けるという状況でございました。そのところに関しましては、水道局の方で判断をしまして、何台送り込むかというのは検討して実施したという状況にございます。

○谷村委員 わかりました。明快にお答えいただき、ありがとうございます。
 事実上、奥多摩町全世帯が断水に陥っているわけですね。その際に、水道局が持っている給水車全てが稼働しなかったという事実がありまして、十四あるうちの一つは新島に待機していたので、これは十五号のときの対応で、これはもう動かせない話ですけれども、もう一台が他県要請に控えていたという、だから十二台だけで、あと一台は他県から要請があった場合に備えて給水車を動かさなかったという例がありました。
 東京都の判断として、こういう時期に、早い時期に孤立集落が存在する、あるいは断水地域があるという情報が入っているのであれば、もう少し給水車の対応というのは迅速であってよかったのではないかと思います。
 その後、十七日以降から十三台全部稼働しましたけれども、その後、他県からの給水車も、実際私、奥多摩町で見ましたけれども、来ておりました。そのときに見たのがさいたま市の給水車と、それから千葉市の給水車で、何で神奈川はないんですかと聞いたら、神奈川は他県に行っているということだったんです。
 この三県の中で比較的一番近いのは、多分奥多摩町に近いのは、神奈川県の方が近いのかなと思うんですが、でもそれはほかに行っていて、遠いさいたま市、遠い千葉市の給水車が奥多摩町に来ていたということでいけば、もう少しこの断水対策は厚目に、またもっと早くできたのではないかと感じておりますので、一言申し上げておきたいと思います。
 続きまして、立川地域防災センターの機能強化というふうにありますが、立川地域防災センターというのは、基本的に地域防災センターという名称がついているので、災害対応のセンターとして情報を収集し、一元化し、あるいは多摩だけでも一元化し、そして何らかの指揮が発する存在というふうに思っていたんですが、これは必ずしもそういう状況にないというふうにお伺いをいたしました。
 そういう常駐の職員もいらっしゃらないというふうに伺いましたけれども、でもこれ立川地域防災センターで--先ほど三十年に一度、七割の確率で起こるという地震の際に、都心で起こった場合は立川の防災センターで、多摩がやられた場合は都庁の災害対策本部でということで私ども受けてきたわけですけれども、この立川地域防災センターというのは、そういう機能は持っていないということが今回明らかになったということでよろしいですか、ちょっと確認の上で。

○有金総合防災部長 立川地域防災センターにつきましては、この都庁は、新宿にあります都庁の九階の防災センターの補完機能を担うということでございまして、通常は新宿の方で全て災害対策業務を行っているということでございます。
 もし、何らか新宿の方で業務に支障が出るといった場合は立川の方で活用するということでございますので、通常はそちらの方に職員は常駐しておりません。
 そういった中で、今の立川防災センターは、今回のリエゾンの派遣の出発点でありますとか物資の供給拠点として活用したという状況でございます。

○谷村委員 常駐の職員の方が、あるいはそれなりの知識を持った方がいらっしゃらなくて、二十三区で震災が起こったときに、そのバックボーンとしての防災センターの機能を果たせるとは、私、とても思えないんですが、これは今回、私どももいろいろやりとりする中で初めて知って驚いているんですけど、そういう体制ではバックアップ体制にはならないと思うんです。
 しっかりとした知識と、そして、常勤の職員を置いてこそ、これ複合的な体制が組めると思うんですが、この点どうでしょうか。

○遠藤総務局長 問題意識は、全く委員の問題意識と私ども同じだと思います。
 私も、実は、総務局長になって初めて立川の防災センターへ行きまして、もっと活用できるようにした方がいいんじゃないかというような問題意識を持っておった矢先に、この災害があったということでございます。
 隣に災害対策住宅がありまして、そちらの要員がすぐに駆けつけられる状況にはなっておりますけれども、デュアル化されたセンターとしての機能を果たせるかどうかについては、ご指摘のような懸念も同じように持っておりました。
 このため、ちょっと常勤の職員を置けるかどうかについては、いろいろと体制のことについては検討しなければいけないとは思ってますけれども、危機管理副監については、そういう機能をあわせ持った形で指揮がとれるような、もちろん現在いらっしゃる危機管理監と指揮系統の統一みたいなことは意識しなければいけませんけれども、名実ともに多摩の心(しん)となる防災センターとして活用したいというのが検証結果の趣旨でございます。
 またさまざまなご指摘もいただきながら検討を進めていきたいというふうに思います。

○谷村委員 明快にありがとうございます。
 ぜひともそうあっていただきたいですし、そのように進めていただきたいと思いますし、今回、危機管理副監を置くということにつきましても、そういう立川地域防災センターの位置づけとして副監がいて、危機管理監と同じ、時に同じような権限を持たないとバックアップ体制にもならないと思います。
 ただ、ちょっと心配なのは、これ中長期の二番というふうになっているんです。中長期的対応となっておりますけど、これはぜひ短期に対応をお願いをしておきたいと思います。
 それから、電源確保対策についての視点でお尋ねしたいと思いますが、今回、事実上ブラックアウトに近い状況が今回の台風十五号、あるいは十九号でありました。国内初といわれるブラックアウトは昨年の九月六日、北海道で二百九十五万戸が停電し、これが四十五時間にわたって続いたというブラックアウトでした。
 今回の十五号、十九号の停電状況を指してブラックアウトという表現を余り使われていないかもしれませんけれども、こちらは関東地方だけで九十三万軒の停電になっておりますし、千葉の十五号の方でいきますと九月九日から六十四万軒。これ東京電力がおおむね復旧したというのが二十四日ですので、十五日間、二週間以上、この停電が広範囲にわたって続いたことになると思います。
 今回の検証結果の中に、このブラックアウトという言葉は出ておりません。いわゆる停電時の非常用電源だったり、スマートフォンに対するそういう充電機能だったりというお話は出ていますけれども、このブラックアウトというのは東京で起こる可能性はないとはいい切れないと思うんですが、このブラックアウトに対する認識というのはここに記載されていませんけれども、本来記載されるべきじゃないかと思うんですが、どんな状況でしょうか。

○有金総合防災部長 ブラックアウトにつきましては、昨年の北海道の胆振東部地震で発生した内容でございまして、昨年もこうした災害に備えまして、防災事業の緊急総点検というのを行いました。
 そのときに、東京でブラックアウトが起こるのかということにつきまして、東京電力からもいろいろと話を聞いたところ、都内に供給される電源につきましては、複数の発電所で発電をしているということですので、北海道のように一つのところで何か集中的にやっているわけではないので、他の発電所や送電線の、送電網の活用により電力の供給は可能であるということで、いわゆるブラックアウトが発生するリスクは低いという形で昨年回答をいただいているところでございます。
 今回の停電につきましては、やはり強風により電柱が倒れた、あるいは倒木によって電線が切断したということがメーンだということが、今回の検証の結果で我々判断しておりましたので、そういったときに倒木を処理するに当たっては、これまで東電の職員が基本的には倒木の処理をしなきゃいけないということになっておりましたので、そうなると時間がかかるということですから、東京電力なりと協定を結んで、例えば、東京都の道路管理者が東電の職員立ち会いのもと倒木を処理するだとかという形で速やかに処理して送電を復旧させると、そういった取り組みで進むということで今回取りまとめたところでございます。

○谷村委員 今のご答弁をまとめると、東京電力がブラックアウトは起こらないからブラックアウトは起こらないということをおっしゃっているんだと思うんですけれども、それをそのままうのみにした今回の検証にしてよろしいんでしょうか。
 東日本大震災のときも、原発を、直接海面から冷却水をとっているところも、大丈夫ですって東京電力がいっていたわけですよね。いや、きちんと主張していた方もいらっしゃったかもしれませんけど、東京電力の説明として、津波が起こるという想定ではなかったわけですね。だけど、想定外のことが起こって、大変な状況になって、もう日本の災害史上最悪の事態を招いたわけであります。
 だから、北海道胆振のブラックアウトも、北海道内のあそこに全てがあったわけじゃないわけですね。ある程度のバックアップができるものがあったやに伺っていますけれども、でも、北海道胆振の震度七で全域がブラックアウトをしたわけであります。
 東京都として、こういう配線状況になっているので、今、私どもなんかの認識でいくと、柏崎刈羽、あるいは福島からの原発のラインは完全にとまっております。
 じゃあ石油、火力発電所については、ある程度集中をしているような認識でいるわけですけれども、何がどういうことだからブラックアウトは起こらないというふうに、東京都として都民の皆様にご説明をされるのかという、ちょっと東京電力がそういっているからそうだといわれて、私も、はい、そうですかとはちょっといえない立場なもので、ちょっとご答弁いただけると。

○有金総合防災部長 北海道で発生いたしました大規模停電につきましては、北海道電力の最大の火力発電所が地震で停止をし、その時点で電力の供給力の半分以上を失ったという状況でございます。その中で、電力需給のバランスが崩れたために、ほかの発電所に対しても停止状態になって、全道的にとまったということでございます。
 これは、需給バランスが急激に崩れた場合に、システム異常等を避けるために電力の供給を自動的に遮断する仕組みが作動したということでございます。
 一方で、東京電力におきましては、極端に供給力の大きい発電所はないということ、また、一部の発電所が停止した場合でも需給バランスが崩れて大規模停電につながる可能性は極めて低いということを考えた上での判断でございます。

○谷村委員 火力発電所が集中しているこの東京湾に高潮等が入ってきて、そこで複数の、あるいは多くの火力発電所に影響が出た場合、それでもブラックアウトは起こらないということで東京都は考えておられるという認識でよろしいですか。これは、ちょっと議事録に残りますので、正確にお答えいただきたいと思います。

○有金総合防災部長 北海道の場合は、本州からの電力の供給というものが細いということで、余り多くなかったということでございますけれども、例えば首都圏でそういうことが起きた場合には、例えば他の地域からの融通だとか、そういったものを含めて対応するということも可能だと思っておりますので、そういった形で対応していけるというふうに認識しております。

○谷村委員 具体的に他の地域というのは、どこを指されているんですか。そのブラックアウト、もう起こらないと思い込まれている話なのか、それだけしか情報がないということなのか。
 前回の東日本大震災のときに、多摩地域では計画停電というのを行いました。信号機もとまり、ほとんど全ての電気がとまる中で、それが何回か、何日か行われて、電力がとまるということについては、東京都民の皆様というのは敏感に感じていらっしゃいます。
 千葉県の今回の長引く停電の姿も見ていて、これに対して東京都は大丈夫なんですかということをやっぱり答えていかなければいけない。
 そのための検証の報告だと思うんですが、他の地域というのはどこを指すのか、埼玉県とか神奈川県とか千葉県を指すのか、それとも関東、北関東地域を指すのか、もう少し正確にお答えいただけますでしょうか。

○有金総合防災部長 東京電力の場合は、北でいいますと東北電力、また北陸の方でいえば北陸電力、また中部電力、あるいは関西の電力と送電線が一応つながっているという形になっておりますので、そちらからの融通という形、連系線ですね、連系線を使って供給を行っていただくということは可能ですので、全体的なブラックアウトということは起きないというふうに認識しております。

○谷村委員 危機管理監、そういう認識でよろしいですか。

○小林危機管理監 まず、北海道のところから説明をいたしますと、当時は北海道と本州の間の電力の融通量に限界がございました。したがいまして、北海道で火力発電所が停止した場合に、本州から十分な電力が融通できないということでブラックアウトということを起こしました。
 一方、東京のエリアにつきましては、本州の中で東北電力、あるいは北陸等のそれぞれの電力会社との間で融通が十分にできるような体制が整っております。
 したがいまして、ブラックアウトということに関してはほぼ起きないというように考えてよろしいと思います。

○谷村委員 ブラックアウトは東京で起こらないというのが東京都の認識であるというご説明ということで受けとめましたけれども、ただ、千葉で起こった長期間にわたる、あるいは広範囲にわたる停電というものは、発電所そのものの問題というよりは送電線の課題もあります。
 先ほどのお話の各電力会社からのものというのは、原則的に送電線で送られてきているものでありますので、ただ、それで、東京都としては、現段階ではブラックアウトは心配ないとおっしゃっているということで確認をさせていただきたいと思います。
 次に、物資の調達についてなんですが、西多摩地域に、地域の特性に応じた物資輸送というのをドローンで展開をしていくということで、今回検討してやられておりますけれども、このドローンを使う必要がないときの物資輸送というのは、どういう体制で組まれているんでしょう。

○有金総合防災部長 道路が切断されていないという状況であれば、今回のイオンでありますとかセブンイレブン・ジャパンだとか、そういった民間業者と協定を結んでおりますので、そういった協定業者から必要な物資を必要な場所に送っていただきたいという形の協定に基づいて物を運んでいただくというような仕組みができております。

○谷村委員 その食品を販売されているところからの協定で、本来、交通、道路等が遮断される前の段階では、問題がない場合はされているという、その協定に基づいて行われている。
 今回、その協定で動いてくださったところというのはあるんでしょうか。

○有金総合防災部長 今回、ブルーシートをいろんな--千葉県にも送りましたけれども、送った際にはコメリという事業者の方が協定業者にもなっておりますので、その方を通じて物資搬送をいたしました。

○谷村委員 ありがとうございます。
 続きまして、避難対策のところでお尋ねもしたいんですけれども、現在の都立一時滞在施設というのが先ほど来の質疑で出ておりましたけれども、これはどういう意味かというと、帰宅難民に応えるものとしての位置づけということで、まさに地震に備えた滞在施設ということになっているわけですけれども、それを今回、風水害時の避難先として活用していけるように区市町村と順次協定を締結していくと。これは、各学校単位と区市町村で進めて協定を結んでいくお話ということでよろしいんですよね。なおかつ、地元町会等との協議の場を設定し、平時から開閉手順について確認をしてということになっています。
 これは中長期というふうになっていますが、地震は三十年に起こるのが七〇%とありますけど、この風水害というのはもう毎年、あるいは年に複数回来る可能性もあるわけですけど、これもう少し迅速に対応をしていただくということはできないんでしょうか。

○有金総合防災部長 都立一時滞在施設につきましては、学校だけではなくて、今回、東京文化会館も開設しましたとおり、教育施設でありますとか、都民の活動施設、そういったものもございますので、それぞれの施設管理者とそれぞれの地域で結べるような形で、我々の方でサポートしていこうというふうに考えております。
 実際、あけるに当たりましては、当然、職員なりそういう者がいないと、多分鍵が閉まっているとあかないということもございますので、そういった管理マニュアルみたいなものをしっかりつくっていくということだったと思います。
 既に都立一時滞在施設になっている施設につきましては、震災時に都立一時滞在施設を開設するようなマニュアルというものがありますので、できる限り準用できるところは準用する形にして、早期にマニュアルをつくって、早く区市町村の協定を結んだところから順次開設できるように努めてまいりたいと思っております。

○谷村委員 ありがとうございます。ぜひ可能な限り対応を早く進めていただければと思います。
 十月三十一日の総務委員会で私どもが指摘させていただきました適切な避難情報の発信については、都がガイドラインを新たに策定していただくということで、明確に書き込んでいただきました。
 また、風水害に対応した避難先、これまで地震災害に対応した避難先の確保でしたけれども、それを風水害に対応した避難先の確保ということで、これも、都が市区町村の取り組みを支援すると明確に位置づけていただいておりまして、かなり踏み込んで報告書としてまとめていただいているものとは思いますけれども、ちょっと前半、さまざまお尋ねをいたしましたが、今回のこの検証結果、都内でも、また近隣県でも、大きな被害を出したことへの検証というものはなかなかいえないところがあるのではないかと思います。
 よりきめ細かな検証をしていただいて、そこからきめ細かな対応策をもう一歩踏み込んで策定していただきますように要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に関する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。

○早坂委員長 次に、報告事項、小笠原諸島振興開発計画について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○つじの委員 よろしくお願いします。
 私からは、まず、小笠原諸島振興開発計画についてお伺いしたいと思います。
 本計画は、十一月に公表されましたけれども、そもそもこの振興開発が計画された理由だとか意義、そういったもの、今回に至る経緯について、改めてお伺いしたいと思います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原諸島振興開発計画は、小笠原諸島振興開発特別措置法に基づき、今後の振興開発の基本的方針と施策の方向を明確化し、振興開発事業を積極的に推進するため都が定める法定計画でございます。
 これまで都は、数次にわたり、計画に基づきさまざまな施策を講じてきたところでございますが、本年三月、特別措置法の五年間の時限延長が可決されたことを受けて、国が定める基本方針に基づき、新たに、令和元年度から令和五年度までを期間とする本計画を策定いたしました。
 本計画の策定に当たりましては、小笠原村から提出された計画案をできる限り反映させて、都として計画素案を取りまとめ、パブリックコメントを実施するとともに、第三回都議会定例会で総務委員会への報告を行っております。その上で、計画素案にパブリックコメントの結果を反映させ、国への協議を行い、策定に至ったものでございます。

○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。本計画についてのご説明をいただきました。
 振興開発のこれまでの成果として、平成二十八年七月から就航している「おがさわら丸」、「ははじま丸」の新船建造があり、総論として、生活、交通、産業基盤の整備は相応の成果があるようです。
 また、今後の課題として、産業振興に関しては、本土から遠隔性等があり産業発展にとって不利であり、自然環境に関しては、外来種の侵入などが希少な自然環境に影響する懸念、交通アクセスについては、片道所要時間が約二十四時間で、かつ約六日に一便の航路に限定ということが挙げられますと。航空路開設についても課題の整理、検討が必要な状況でございます。生活環境に関しては、保健、医療、福祉の充実、施設の老朽化、ライフラインの安定維持、防災対策などが挙げられます。
 さらに、基本方針に関しては、概要の資料から、特措法に基づき、国から示された小笠原諸島振興開発基本方針における施策の方向のもと振興開発事業を進め、住民生活の安定、福祉の向上、定住の促進を図り、自立的発展を目指すことが確認できます。
 また、同じく施策の方向として、生活環境の整備、産業の振興による定住の促進、小笠原諸島内外の交通アクセス整備による利便性の確保、世界自然遺産登録を踏まえた自然環境の保全、再生が確認できます。
 分野別振興開発事業計画に関しては、1、土地の利用、2、道路や港湾等の交通施設の整備、人の往来等に要する費用の低廉化、3、農林水産業、商工業等の産業の振興開発など十七項目が挙げられております。
 どの項目も大変重要な課題であり、最大限の努力を、都として、また、私たちの立場の都議会議員として全力で取り組まなくてはならないことはいうまでもありません。
 十七項目の分野別振興開発事業計画の中でも、とりわけ私自身が--自分の経歴を少し紹介しますと、都心近くで精神科診療所を十年余り経営してきた精神科医でございます。区部における地域医療の現場で貢献してきた経験と私の自負を持つ立場から、また、私は出身大学が北海道にありまして、北海道は医療過疎の地域を広く抱えており、私自身の北海道の病院勤務の経験から、当時、外科の研修医としての立場でしたけれども、いわゆる僻地の医療の確保、高齢者福祉に関して関心が高く、幾つか小笠原諸島での医療体制についてお伺いしたいと存じます。
 現在、小笠原村で一般住民が居住しているのは父島、母島のみであり、総人口は約二千六百人となっております。
 私は、さきの総務委員会で政策企画局に対して質疑しましたが、その中で、長期戦略を練る中、東京都においても、急激な少子高齢化、人口減少社会を迎えることを織り込んでいくことを指摘しました。
 島しょ地域全体では既に人口減少があるとされ、多摩地域でも来年二〇二〇年には人口減少が始まると予測されております。
 そこで、小笠原諸島においては、直近の高齢化率の推移はどのような状況であるのか、お伺いしたいと思います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原村において、総人口に占める六十五歳以上の人口の割合をあらわす高齢化率は、毎年一月一日時点で、平成二十九年が一五・二七%、平成三十年が一五・一一%、平成三十一年が一五・六二%となっております。
 なお、平成三十一年の高齢化率は、全国が二七・六一%、東京都が二二・五九%であり、小笠原村は全国等と比べ低い水準となっております。

○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。小笠原村の高齢化率が東京都や全国等と比較して低く、ご高齢の方々が比較的少ないことが確認できました。
 しかしながら、人は必ず一年に一歳年を重ねますし、年齢を重ねると、生老病死という言葉がございますように病気になりやすくなります。
 小笠原村在住の高齢者の皆様におかれましては、享受することのできる福祉サービスが、さきに述べたような課題があるものの、方向性として、区部、多摩地域と遜色ない質であることを望みます。
 都民生活に関する調査において、毎回、都民の皆様の今後の生活の不安の上位に、自分や家族の健康、病気、あるいは老後の生活ということが挙げられます。
 そこで、現状で、小笠原諸島での平時、緊急を要しない場合の医療供給体制を確認させていただきたいと存じます。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 現在、小笠原諸島においては、村立の診療所が父島及び母島に一カ所ずつ設置されており、医師、歯科医師を合わせて六名の体制で、診療科を問わず全ての患者を受け入れております。
 診療に関しては、島しょ医療の基幹病院である都立広尾病院と各診療所に画像伝送システムを設置しており、小笠原で撮影したCT画像等について広尾病院の医師から適宜助言を受けられる体制を構築しております。
 また、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科等、一部の診療科については、年数回、本土の医療機関から専門医師を招聘し、専門医療の受診機会を提供しております。
 なお、平成三十年度の父島及び母島の診療所における年間外来患者数は、延べ一万四千人程度でございました。

○つじの委員 ご答弁ありがとうございます。村立の医療機関が、島民の皆様の健康を支えていることが確認できました。
 繰り返しますけれども、私は研修医のころ、医療過疎の地域を抱える北海道で過ごしました。地域の住民の皆様が安心・安全に暮らせますよう、地域の医療機関を中心とした医療体制の構築、維持は必要不可欠と考えます。
 また、地域住民の健康と命を守るため、最前線で汗を流していただいている小笠原村立の医療機関の医師、看護師、医療スタッフ、病院関係者の不断の努力に、心より敬意を表します。
 平時の医療体制については確認できたところでございます。
 それでは、次に、村立の診療所では、対応困難な救急患者さんが発生した場合、どのような体制を構築し、取り組んでいらっしゃるのか、お伺いします。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 島内の診療所で対応できない救急患者が発生した場合には、自衛隊や海上保安庁の航空機等により、二十四時間体制で、広尾病院を中心とした高度医療機関への搬送が行われております。
 具体的には、救急患者が発生した場合、診療所の医師等の判断に基づき、自衛隊等に緊急搬送のための出動要請を行い、本土の医療機関まで患者を搬送する仕組みを構築しており、平成三十年度の搬送実績は二十八人でありました。

○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。重症患者さんは、広尾病院に自衛隊機等により病院搬送されることが確認できたと思います。
 私は今期、都議会の一年目に厚生委員会に所属しておりましたが、広尾病院に、都民ファーストの会厚生部会の会派の一員として視察に行かせていただきました。島しょ地域の受け入れ体制について、都立広尾病院では専用の病床を常に準備しているなど、病院側より説明を受けたところでございます。
 今後も、患者さんの命や健康を守るため、小笠原諸島を含む島しょ地域と都立広尾病院とのスムーズな連携の強化を図っていただきたいと強く要望いたします。
 次に、小笠原諸島の観光開発についてお伺いします。
 事業計画では、関係機関と連携し、小笠原諸島の魅力を継続的に発信、観光施設整備事業を継続的に支援、産業振興促進計画認定制度の活用を検討とあります。
 小笠原諸島は、平成二十三年に世界自然遺産に登録されて、日本国内のみならず、海外にも広くその魅力を知られるようになりました。
 そこで、世界自然遺産登録前後での小笠原諸島を訪れる入り込み客数の推移についてお伺いします。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原村の調べによれば、年間来島者数について、平成二十三年六月の世界自然遺産登録前は二万人前後で推移していましたが、登録後の平成二十四年度には約四万人に増加しております。その後、平成二十七年度には約二万五千人まで減少しましたが、平成二十八年七月の新「おがさわら丸」の就航等により再び増加に転じ、直近の平成三十年度は約三万二千人となっております。

○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。世界自然遺産登録後、一旦入り込み客数は急増し、その後減少。この数年は、年間入り込み客数が三万人程度と落ちついている状況が確認できました。
 小笠原では、観光と自然環境の保護を両立させるため、厳格な外来種対策の実施など、さまざまな対策に努めているとお聞きしております。
 そこで、小笠原諸島の貴重な自然環境の保護と利用の両立を図る視点から、都の取り組みについてお伺いします。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 世界遺産である小笠原諸島における自然環境の保護と利用の両立は、極めて重要でございます。
 小笠原諸島には、貴重な自然を体験することを目的に多くの観光客が訪れることから、都は、将来にわたり継承すべき貴重な自然の保護と適正な利用を図るため、東京都版エコツーリズムを導入しており、例えば、南島においては、一日当たり最大利用者数を百名、最大利用時間を二時間とするなどのルールを定めております。

○つじの委員 小笠原におきまして貴重な自然環境の保護と利用を両立させるために、しっかりとした取り組みがなされていることが確認できました。
 その上で、小笠原村の人口は今後三千人ほど、五年後の入り込み客数は三万四千五百人を目標としており、小笠原村には積極的な魅力を発信していただき、外国人の方々も含む多くの皆様に来島していただく努力を継続していただきたいと要望いたします。
 また、小笠原での大きな課題である航空路については、現在、洲崎地区に絞って集中的に検討がなされているとお聞きしています。自然環境への影響がより少ない、実現可能な航空路の開設に向けて精力的に検討を進め、島民生活の安定のために一日も早い開設を果たしていただきたいと考えます。
 最後に、小笠原諸島に帰島を希望する旧島民の皆様の帰島の促進についてお伺いいたします。
 とりわけ、硫黄島に関して質問させていただきます。
 我々日本人にとって硫黄島は、我が国の近代史の中で特別な存在であることはいうまでもありません。さきの大戦から七十年余りが経過した硫黄島の現状及び都が実施している取り組みについてお伺いいたします。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 硫黄島の現状についてでありますが、昭和四十三年に小笠原諸島が返還された後、昭和五十九年に火山活動や産業の成立条件の厳しさを理由として一般住民の定住は困難という政府決定がなされて今日に至っており、現在は自衛隊基地等が設置され、関係者以外の立ち入りが規制されております。
 このような状況のもと、都は、ふるさとである硫黄島に帰島できない旧島民の方々のため、硫黄島への墓参事業を昭和五十四年度から実施しているほか、父島、母島への定住促進事業を行っております。
 引き続き、硫黄島の歴史を風化させることのないよう、旧島民の方々の心情に寄り添って事業に取り組んでまいります。

○つじの委員 ご答弁ありがとうございます。現在の硫黄島の状況を知るとともに、東京都が墓参事業などでその役割を果たされていることが確認できました。
 硫黄島の元島民の皆様も戦後七十数年を経て、長い間、望郷の念に駆られてこられたと存じます。現状で硫黄島の元島民の皆様の帰島は実現することが困難な状況ですが、東京都としては、ご答弁にありましたとおり、元島民の皆様のお気持ちに寄り添う事業を今後も継続することを強く望み、この件に関して質疑を終わります。
 次に、東京都犯罪被害者等支援条例案の概要についてお伺いしていきます。
 本年第一回定例会にて小池知事は、我が会派都民ファーストの会の提案を受け、犯罪被害者等支援条例の制定を表明いたしました。以降これまでの間、討論や総務委員会の質疑等で、我が会派は継続して本条例案について言及しております。
 本条例案が都民の皆様にとって、また犯罪被害に遭われた方々に寄り添う、必要な条例となることと認識しております。
 そもそも既に犯罪被害者支援に関する支援計画などは存在していたのにもかかわらず今回条例化する意義については、さきの総務委員会で我が会派から質問があり、都は三期にわたり東京都犯罪被害者等支援計画を策定し、東京都総合相談窓口の機能強化を初めとして被害者支援を幅広く実施してきた、一方、犯罪認知件数は減少傾向にあるものの都内の認知件数は依然として全国の約一割を占め、高い数字にあることから、被害者支援のさらなる充実が必要であり、このため、今般、都の被害者支援の姿勢を明確に記し、社会全体での取り組みをより一層推進するため条例の制定に取り組むこととした旨の答弁をいただいております。
 また、今回の条例案の概要には、我が会派の主張を受け、被害者の方々が多数に上る事件等が発生した場合における緊急支援の実施を新たに盛り込まれた点は大いに評価したいと存じます。
 改めまして、都は、本年十一月二十九日に、東京都犯罪被害者等支援条例の制定に向け、条例案の概要を公表しました。今年度に入り、前述のとおり、条例の制定に向けて検討を進めてきたところですが、今回の条例案の概要が取りまとめられた過程をお伺いいたします。

○堀越人権部長 条例案の検討に当たりましては、他道府県の条例を検証するとともに、有識者や被害者のご遺族からご意見をいただくため、犯罪被害者等の支援に関する有識者懇談会を本年五月に設置し、これまでに四回開催してきたところでございます。
 この有識者懇談会における議論などを踏まえた条例の構成に関する基本的考え方を本年八月に公表し、パブリックコメントを実施いたしました。
 その後、パブリックコメントに寄せられた意見や都議会や有識者懇談会における議論を踏まえ、さらに検討を進め、条例案の概要を取りまとめたところでございます。

○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございました。このたびの条例案の概要を取りまとめる過程の説明を受けました。有識者や都民の皆様のご意見を十分に反映させた条例案が策定されたものと存じます。
 条例案の概要についての資料を拝見しますと、内容は、大きく、目的、定義、基本理念、都及びその他の関係者の責務等、推進体制等、基本的な施策に分類されております。
 先ほども私ちょっと自己紹介というか、自分の経歴をお話ししましたけど、私は病院勤務を経て都心近くで開業して十年ほどになる精神科医ですが、とりわけ、条例案の中の基本的な施策で、2にあります心身に受けた影響からの回復の項目に、私の専門家としての経験から、強い関心がございます。犯罪に遭われた方々を精神的に支えていくことは最大の重要事項だと認識しております。
 そこで、この施策の具体的な内容についてお伺いします。

○堀越人権部長 都では、被害者支援都民センターと協働して、平成二十年度から東京都総合相談窓口を設置し、犯罪被害者等の状況に応じた支援を行っています。
 具体的には、専門相談員による電話相談、面接相談に加えて、より専門的なケアが必要な場合には、精神科医や臨床心理士等によるカウンセリングを実施しています。
 また、性犯罪、性暴力等の被害者に対しては、総合相談窓口とは別に、平成二十七年度から専用窓口を設け、二十四時間三百六十五日の体制で相談を受けており、必要に応じて精神科など医療機関の紹介、病院等への付き添い、カウンセリング費用の助成などを行っております。

○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。犯罪被害者になられた方々の精神的なサポート、また必要な場合には精神科などの専門科の診療、治療を受ける必要があることは、私自身の臨床経験の中でも了解できるところでございます。
 また、性犯罪の被害者の方々のサポート、治療に当たっては、さらに専門性が求められると思います。
 第四回定例会の代表質問において我が会派は、性犯罪の場面など、被害者自身が自覚していない等で受診がおくれると、精神的回復のおくれにつながるケースがあるとの指摘を受け、被害者の置かれた状況を踏まえ、早期の具体的な支援策の実施の必要性に言及しております。
 都は、被害者の方に寄り添い、適切な治療につなげられるよう、引き続き医療機関等との連携の強化を図っていただきたいと強く要望いたします。
 最後に、来年早々には条例案の提出を目指すところだと思いますが、本条例が制定された場合、その後、被害者支援策の充実に向けてどのように取り組むのか、お伺いします。

○堀越人権部長 これまでの有識者懇談会や条例制定に向けて実施したパブリックコメント等においては、条例に関するご意見に加え、法律相談の実施や性犯罪被害者への精神的ケアの充実など、個別の支援策についての要望も寄せられています。
 これらの要望も踏まえ、今後、条例の制定に合わせ支援策を実施できるよう具体的な検討を進めるとともに、来年度に改定を行う支援計画に盛り込んでまいります。
 こうした取り組みを着実に進め、犯罪被害者支援策の充実強化を図ってまいります。

○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。
 今回、東京都犯罪被害者等支援条例の概要が公表されました。繰り返しになりますが、我が会派の主張を受け、被害者の方々が多数に上る事件等が発生した場合において、緊急支援の実施が盛り込まれたことは高く評価いたします。また、引き続き実効的な支援として、見舞金や一時金、一時的な貸付金など、被害者の方々に対する経済的支援等の積極的な検討を強く求めます。
 思いもかけぬ犯罪被害に遭い、さまざまな苦しみと痛みに耐えていらっしゃる犯罪被害者の方々にとって、本条例の存在は、都の被害者支援の姿勢を明確に示し、社会全体での取り組みをより一層推進するための御旗となるもので、大いに勇気づけられ、そして心の支えになるものと期待して、私の質疑を終わります。

○早坂委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十七分休憩

   午後五時三十四分開議

○早坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○加藤委員 私からは、犯罪被害者等支援条例案の概要について質問をいたします。
 都は現在、犯罪被害者等支援条例の検討を進めているところであり、ことしの九月に開催された総務委員会では、同条例の構成に関する基本的考え方の案が示され、質疑が行われました。また、本年八月から九月にかけては、同条例に関するパブリックコメントが実施されたとのことであります。
 そこで、このパブリックコメントの実施結果として、主にどういった回答が寄せられ、そして、今回公表された条例案の概要にはどのような項目が反映されているのか、伺います。

○堀越人権部長 条例の構成に関する基本的考え方についてのパブリックコメントには、二次的被害の深刻さを訴えるご意見が多く寄せられたことから、二次的被害が生じないよう十分配慮することを基本理念に明記いたしました。
 また、同じ被害者がさらなる危害を加えられる再被害を防止するため、安全の確保や居住の安定に関する施策を講じることや、犯罪被害者等支援を総合的に推進するために必要な財政上の措置に努めることなどについてもご意見が寄せられており、条例案の概要に反映いたしました。

○加藤委員 テレビなどに見られる過剰取材や、誰もがインターネットを手軽に利用して情報発信できる時代であり、二次的被害が深刻なことがうかがえます。また、支援においては、財政上の措置を求める声が多いことは当然のことと思います。
 次に、前回の委員会質疑では、我が党の求めに応じ、被害者や家族、相談員等を含む支援者団体等に実態調査を行って、さまざまな声を把握するとのことでありました。
 そこで、都は、条例の制定の検討を進めるに当たっての実態調査を実施したと思いますが、その結果の概要について伺います。

○堀越人権部長 被害者の置かれている状況や支援に係るニーズ等を的確に把握するため、被害者や被害者支援団体等を対象に実態調査を行いました。
 調査の中間のまとめとして、被害者の被害後における状況の変化等を取りまとめ、第四回有識者懇談会に報告をいたしました。
 主な内容としては、被害者の被害後の状況の変化として、深刻な精神的ダメージを受けたケースや医療費等の負担増を挙げる人が多く、また、二次的被害については、加害者及び加害者の関係者や友人などから被害を受けるケースが多いことがわかりました。

○加藤委員 被害者にとっては、肉体的にも精神的にも深刻なダメージを受けていることがうかがえます。当然、治療費も増加することが想像できます。
 だからこそ、都議会公明党は、以前から各地の先進事例を調査して、見舞金制度などの経済的な支援策の実施について要望してきたところであります。
 そこで、現在の経済的な支援策の検討状況について伺います。

○堀越人権部長 有識者懇談会や条例制定に向けて実施したパブリックコメント等においては、被害者の経済的な負担を軽減するための支援の実施についての要望も寄せられております。
 これらの要望や本委員会でいただいたご意見を踏まえ、今後、都が実施すべき犯罪被害者等支援策について具体的な検討を進めてまいります。

○加藤委員 来年の第一回定例会で条例案の提出を目指していると聞いておりますが、条例案の提出に当たっては、見舞金などの経済的支援策の実施を改めて強く求めておきます。
 条例案概要では、具体的な施策として経済的負担の軽減があり、女性に関する情報提供、助言だけでなく、その他の必要な施策を講ずるとあるわけですから、理念だけでなく、より実効性あるものにしていただきたいと念を押させていただきまして、質問を終わります。

○清水委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、小笠原諸島振興開発計画についてお伺いをしたいと思います。
 今からさかのぼりますと約三十年ぐらい前の話なんですけど、私はサラリーマンをしていたんですが、家業である農業を継ぐために、地元の立川にあります、当時、農業試験場といったんですけど、今は農林総合研究センターというそうですが、そこの研修生として二年間学ばせていただきました。
 そこの研究員の方は、小笠原にあります亜熱帯農業センターに転勤することがございまして、転勤先から帰ってきますと、どれだけ小笠原がすばらしいところなのかと、自然は豊かだし、フルーツもおいしいし、ホエールウオッチングもできるんだと、まるでこの世の楽園のようだと、自然の楽園のようだなんておっしゃっていまして、その当時は、よし、じゃあ新婚旅行はここにしようなんていっていたことを、今この質問をするに当たりまして思い出したところでございます。
 小笠原は、ご案内のとおり、本土と約一千キロ離れているところでありまして、それゆえ自然がそのままの形で残っているのかなというふうな部分もありますが、しかしながら、その一千キロってどのぐらいあるかというと、調べてみたら東京から長崎ぐらいまでの、そんな距離だそうなんですね。だからこそ、交通アクセスの重要性というのが、この小笠原の発展にはすごく重要なのかなというふうなことを思いました。
 そこで、今回は、関係者の方にもちょっとヒアリングを行いながら質問をさせていただくわけでございますが、まず初めに、これは振興開発計画の中にも入っております「おがさわら丸」の代替船のことについてであります。
 本土と小笠原諸島を結ぶ唯一の定期船でありますこの「おがさわら丸」は、年に一回、約二週間ドック入りするそうであります。その期間は、運航ダイヤの関係上、これは約二十日間にわたるわけでありまして、小笠原と本土の人員や物資の輸送が途絶えてしまうという課題があります。
 そして、この二十日間というのは、いつも大体一月だそうでございまして、まさに受験シーズンの真っただ中であります。したがって、中には一カ月ほど東京の方に滞在する受験生もいるというふうなことで、非常に大きな課題になっているそうでございます。
 こうした課題を解消するために、都は、伊豆諸島で就航する予定で今建造が進んでいるそうでありますが、新船であります「さるびあ丸」、これは運航事業者であります東海汽船株式会社さんがつくっているそうなんですが、それに対して補助を行っているというふうなことを聞いております。
 本計画にもその大まかなスケジュールが書いてありますが、この新船であります「さるびあ丸」につきまして、「おがさわら丸」の代替船として、いつ具体的にこの小笠原航路に就航するのか、今後のスケジュールについて具体的にお示しをいただければと思います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 「おがさわら丸」のドック期間中の代替船については、伊豆諸島での就航に向けて建造中である新「さるびあ丸」を活用することとしており、平成三十年度から小笠原諸島までの就航を可能とするための整備費補助を行っております。
 新「さるびあ丸」は、令和二年六月から伊豆諸島航路に就航する予定であり、「おがさわら丸」のドック期間中の代替船としては、令和三年五月に小笠原航路に初めて就航する予定となっております。
 これにより、「おがさわら丸」のドック期間中に、人員や物資が輸送できない状況が改善する見込みであります。

○清水委員 ありがとうございました。令和三年の五月に初めて就航する予定だということでございます。
 今ご答弁を聞きまして思ったんですが、なぜいつも「おがさわら丸」のドック期間が一月なのかというのを聞きますと、オフシーズンだったからというふうなことでありますが、この「さるびあ丸」が代替船として就航するに当たりましては、今度、一月から五月に変更するわけでございますけど、その理由をちょっとお聞かせをいただければなと思います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 新「さるびあ丸」を「おがさわら丸」のドック期間中の代替船として活用するに当たっては、新「さるびあ丸」が通常就航している伊豆諸島航路の運航ダイヤへの影響を最小限にする必要がございます。
 現在、「おがさわら丸」がドック入りしている一月は、海が荒れており、伊豆諸島航路においてジェット船の就航率が低いため、大型船である新「さるびあ丸」も含めて運航体制を確保する必要がございます。
 一方、五月は比較的海が穏やかでジェット船の就航率が高いため、新「さるびあ丸」を小笠原航路で活用することが可能であることなどから、これに合わせて、「おがさわら丸」のドックの時期を五月中下旬に変更する予定となっております。

○清水委員 ありがとうございました。平たくいえば、代替船となる新「さるびあ丸」の都合に合わせて五月にしたというふうなことでございまして、就航が待ち遠しい限りでございます。
 あわせまして、この代替船の確保という観点では、父島と母島を結ぶ「ははじま丸」というものもございます。そこにもちょっと課題がありまして、現在この「ははじま丸」のドック期間中の代替船である「ゆり丸」というのがあるそうなんですが、これは非常に老朽化が進行しているというふうに聞いております。
 老朽化が進むこの「ゆり丸」について、都として今後どのような支援を行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 「ははじま丸」の代替船である「ゆり丸」は、竣工から二十一年を迎え、老朽化が進行しております。
 父島と母島を結ぶ航路の事業者である伊豆諸島開発株式会社からは、次回の定期検査を迎える令和三年十月をめどに新船の建造を目指していくと聞いており、都としても、関係各機関と協議しながら、老朽化対策に向けた支援策を引き続き検討してまいります。

○清水委員 「ゆり丸」の老朽化対策につきましても、ぜひとも進めていただければなと思います。
 続きまして、ちょっと話題を変えまして、きょうは自然災害の検証結果の報告などがありまして、災害対応というのはすごく重要なんだなと思っております。
 本計画の頭であります小笠原諸島の自立的発展のためには、定住の促進ですとか交通アクセスの整備ですとか自然環境の保全、再生なんていうのが挙げられておりますけど、一番初めの定住の促進ということに関しては、やっぱり安全で住みやすいところというのが、これは非常に重要だと思うわけでございます。
 そういった中におきまして、本計画の中、六二ページに、南海トラフ地震による津波の危険性のことが示されているわけであります。それで、南海トラフ地震で、津波でどんなことが起こるのかというふうなことを自分なりにちょっと考えてみたんですが、またあるいは、関係者の方に聞いたんですが、実は父島の電源施設である東京電力の火力発電所は島の沿岸部に立地しているそうでありまして、もし今いったような津波が起こったら、これは電源が落ちてしまうのではないかというふうな心配がされているそうです。片方の母島の方は高台に電源施設があるそうなんですが、やっぱり電線網が途絶えてしまう心配が非常に大きいというふうなことです。
 そういった意味におきましては、やっぱり電源が喪失される、その想定をどうするのかというところが重要だと思いますので、父島、母島における発電所が大きな被害を受け、電源を喪失した場合、島内の電源はどのように確保していくのか、お伺いをしたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 父島、母島の発電所等が南海トラフ地震に伴う津波被害により機能喪失した場合には、電力復旧まで一定の期間を要すると想定されます。
 復旧までの間、国や石油連盟、東京都石油業協同組合と連携し、島内の非常用発電設備や移動電源車のための燃料を輸送するとともに、必要に応じて発電機等を協定事業者等から調達し、提供してまいります。
 輸送に当たり島内の港が利用できない場合には、自衛隊と緊密な連携を図り、あらゆる手段を講じてまいります。

○清水委員 ありがとうございました。
 非常用発電ですとか移動電源車ですとか発電機なんていうふうなご答弁がございましたが、これはあくまでも一時的なものみたいな感じであるんですが、例えば父島は二千百四十名、千二百十三世帯の方がお暮らしになっているというふうなことでありますが、今ご答弁いただいたような内容で、電力の量として、今賄えるような状況にあるのかないのかだけ、ちょっとお聞かせをいただければなと思います。

○古賀防災計画担当部長 委員から今ご指摘がございましたように、あくまでも一時的な対応策ということで、あらゆる手段を講じて対応していくということでございますので、復旧までの間、繰り返しの答弁になりますけれども、国や石油連盟、東京都石油業協同組合と連携いたしまして、必要に応じて協定事業者からも発電機等を調達して、対応してまいりたいというふうに考えております。

○清水委員 ありがとうございました。復旧までの間は非常に厳しい状況が、電力の関係でも続くんだというふうな認識だと思います。
 ぜひとも、やはり人が生きるのには、当然ですけど空気と水と電気、これは今やもう必要不可欠なものになっているのは、これまでの災害を例に見てもわかるわけでございますので、もう少し踏み込んだ検討をしていただいた方がいいんじゃないかなと思います。
 別立てで、これは南海トラフ地震に関連する対策推進計画というのもあるようでございますが、繰り返しになりますけど、安心して暮らすことができるということが定住の確保につながるんじゃないかなというふうな視点を私は持っていますので、もう一歩踏み込んで検討していただけますよう要望したいと思います。
 やはり、本土から千キロ離れているから、非常に風光明媚といいますか、自然豊富なところなのかもしれませんけど、だからこそ厳しくなる場面も出てくるのかなと思います。災害復旧なんかもやはりなかなか思うように、陸続きとは違った形で困難性が高いのかなと思うわけでございますが、これは逆の発想なんですが、今、小笠原諸島の生活物資というのは、東京の竹芝桟橋から二見港というところまでに、このルートで、「おがさわら丸」は大体約六日で一便ぐらいだそうでございます。あわせて、貨物船であります「共勝丸」が定期的に行っている。この二つの手段で生活物資並びに燃料等を運んでいるそうでございますが、これは仮にですよ--先ほどのやりとりで仮といえなくなりまして、首都直下地震が東京を襲った場合、十五年で七〇%というふうな確率になってきたというふうなやりとりがございましたが、そうした場合、「おがさわら丸」が停泊している竹芝桟橋に大きな被害が起こる場合があろうかと思います。そういったときに、小笠原諸島への生活物資等の輸送は途絶えてしまいまして、水や食料等の必需品が不足するというふうな想定もできなくはないというふうなことでございます。
 冒頭申し上げましたとおり、本土と小笠原諸島をつなぐ交通アクセスの重要性というふうなことを考えますと、何らかの対応をしなきゃならないかと思うんですが、ご見解をお伺いしたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 首都直下地震により、長期にわたり東京港から小笠原諸島への輸送ルートが寸断された場合、生活を維持する上で最低限必要となる飲料水や食料、生活必需品などの物資が不足することが考えられます。
 こうした中、小笠原村から支援の要請があった場合、島内にある都の備蓄物資を提供するとともに、協定事業者から必要な物資を調達し、東京港にかわる他の港の活用等により、物資を輸送することとなります。
 首都直下地震により東京港が被害を受けた場合でも、協定事業者と緊密に連携を図りながら、小笠原諸島への輸送ルートを確保し、島民の生活に必要な物資を提供してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 さきの台風十九号被害で奥多摩が孤立したということで、対策としてはやっぱり、二番目のルート、ダブルルートの建設というふうなことがいわれております。まさに、この場合でも同じなんじゃないかなというふうに思うわけでございまして、今ご答弁で、東京港にかわる他の港の活用というふうな発言がございましたが、これは今現在想定されているんでしょうか。それだけちょっとお伺いしたいと思います。

○古賀防災計画担当部長 都は、日本船主協会等と災害時における船舶による輸送等に関する協定、これを締結しておりまして、この協定に基づき、民間船舶を活用して物資の輸送を行います。
 実際には、被害の状況等を勘案しまして、港の選定や利用調整を行いまして、利用可能な港から海上輸送を行うこととなります。

○清水委員 ぜひともそれは進めていただければなと思うわけでございますし、具体的な選定、これはすごく重要だと思うんですね。私も今回の質疑のやりとりでわかったんですが、どの船も、どこの港でも停泊ができるとは限らないそうなんですね。水深だとか形状だとかいろいろと相性というものがあるので、どの船がどこの港に停泊できるのかというのは、事前にしっかりと確認をしていかなければならないことだと思いますので、その辺も含めまして、具体的な取り組みを期待するわけでございます。
 あと、要望といたしまして、先ほども硫黄島への帰還事業のご質問がございました。
 ぜひとも範囲の拡大、これは宿泊墓参を拡充すべきというご意見をいただいているかと思うんです。硫黄島民の一世の方のみならず、もう二世、三世と世代がかわっている中で、なかなか、この制度をもう少し拡充してほしいというふうな要望が届いているかと思いますので、それは我が党からもお願いをしたいと思います。
 以上で小笠原の振興開発計画につきましては終わりとさせていただきまして、続きまして、犯罪被害者等支援条例案の概要につきましてお伺いしたいと思います。
 この件につきましては、三定、あるいはこの前の委員会、委員の皆様方でもいろんな形でご質疑、あるいはやりとりがされているかと思いますけど、私も今回はこのことについては初めてでございますので、ちょっと以前の質問と重なる部分がありましたらご容赦をいただきたいと思いますが、まずは計画策定の経緯について伺いたいと思うんですね。
 ご案内のように、この犯罪被害者等基本法は平成十六年に制定されまして、その後、東京都では犯罪被害者等支援推進計画を平成二十年に、二十三年には犯罪被害者等支援計画を制定されました。そして、二十七年には具体的にワンストップ支援事業という、これは性犯罪被害者のための支援事業だと思うんですが、具体的な支援事業も開始をしているわけなんですね。なぜこのタイミングで改めて条例をおつくりになるのかというふうなところでございます。
 多分いろいろとさまざまな経緯があろうかと思いますが、本来だったら、法律ができて、条例ができて、計画ができて、具体的な支援策があって、それで予算がつくという、こういう流れかと思うんですが、ちょっとイレギュラーな感じがいたしましたもので、その経緯についてご説明をいただければと思います。

○堀越人権部長 都はこれまでも、三期にわたる支援計画に基づき、被害者の方々に寄り添った支援を幅広く行ってまいりました。
 一方、刑法犯の認知件数は減少傾向にあるものの、都内での認知件数は依然として全国の約一割を占めており、被害者や家族の方々への支援の一層の推進が必要でございます。
 また、平成三十一年都議会第一回定例会におきまして条例の制定に関する陳情が趣旨採択された経過等も踏まえ、都の被害者支援の姿勢を明確に示し、社会全体での取り組みをより一層進めていくため、条例を制定することといたしました。
 本年五月に有識者懇談会を設置の上、検討を開始し、このたび条例案の概要を取りまとめたところでございます。

○清水委員 詳しくご説明していただきまして、ありがとうございました。
 この条例制定に関する陳情の趣旨採択というのは、聞けば全会一致だったというふうなことだと思いますので、ということは我が党のご意見も聞いていただいたということになるのかななんて思っているんですが、今回それで改めてこの三期の新計画を拝見いたしました。非常にしっかりと、わかりやすく書かれている計画でございます。
 しかしながら、これ逆さまになっちゃうような気がしてならないんですが、今回、概要として出ております支援条例につきましては、あくまでも支援計画に沿ったというか、支援計画と整合がとれるような条文になっているというふうな理解でよろしいのか、ちょっとお聞かせいただければと思います。

○堀越人権部長 犯罪被害者等支援条例案の概要では、犯罪被害者支援は、犯罪被害者等が犯罪等により受けた被害の特性及び原因、二次的被害の有無等の犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じ適切に行われるなどの基本理念や、相談及び情報の提供等や、心身に受けた影響からの回復などの基本的な施策を示しております。
 犯罪被害者等支援計画は、こうした理念等を踏まえた各種の施策を総合的かつ計画的に推進していくためのものとして、条例案の概要に位置づけております。

○清水委員 ありがとうございます。
 計画との関係もよくわかりましたので、次にお伺いしたいと思いますが、次は、具体的に条文の中身についてちょっとお伺いしたいと思います。
 まず初めに、この一ページにあります2の定義というところであります。二次的被害というふうなことの定義についてでありますが、我が党は以前、第三回の定例会でも、二次的被害の中の代表的な例といたしまして、関係した職員からの情報漏えいというふうなことを一番懸念しているわけでございますが、この条例案の概要を拝見しますと、なぜかその文言がないんですね。逆に、職員その他関係者による偏見に基づいた、または理解もしくは配慮に欠ける言動というふうないい方でありまして、どちらかというと配慮に欠けた言動だとか対応というのは、その被害者等の方の受けとめ方のいろいろとさまざまなところがあってすぐには判断できないような感じだと思うんですが、逆に情報漏えいというのは、漏えいした時点でもうこれは完全なる二次的被害が生じるんじゃないかなと私は思います。
 したがって、この定義の中に情報漏えいというのが入っていない、ほかのところに--条文に入っているのはよく知っているんですが、二次的被害という定義の中に情報漏えいが入っていないのはいかがなものなのかなと思いますが、ちょっとご見解をお聞かせいただければなと思います。

○堀越人権部長 二次的被害の原因や態様はさまざまであることから、条例案の概要では定義規定を設けております。
 行政機関等の職員による情報漏えいに起因して精神的な苦痛等を受けた場合には二次的被害に該当いたしますが、条例案の概要の定義には、代表的な事例を記載させていただいているところでございます。

○清水委員 ご説明はいただいたわけでございますが、情報漏えいに起因して精神的な苦痛等を受けた場合。じゃあ、情報は漏えいされても精神的な苦痛を受けなければ、これは二次的被害にならないのかなというふうに聞こえてしまうんですが、むしろ私は、冒頭申し上げたとおり、情報が本来行政の手から漏れた時点で、そこでもう二次的被害というものが完成するんじゃないかなと思うんですが、もう一度だけ、ちょっとお考えを聞かせていただければと思います。

○堀越人権部長 先ほどのご答弁でも申し上げたとおり、二次的被害の原因やどのような状態にあるかというのはさまざまでございます。
 委員ご指摘のように、情報漏えいが起こった場合に、その結果いろいろなことが起こり得るかと思います。私が先ほど答弁した精神的苦痛を受けるというのもあると思いますが、いろいろな場合があると思いますので、そのあたりは多様な結果に対応できるように考えてまいりたいと思っております。

○清水委員 こんにゃく問答になっても仕方がないので、五ページの12に、個人情報の適切な管理という形で、別立てで、特出しで記載されているというふうなことなのかなと思ったんですが、私は、定義というからにはやっぱり情報漏えいも入れてほしかったななんて個人的には思っている次第でございますので、これは要望として申し上げておきたいと思います。
 続きまして、この条例案の概要の中にあります居住の安定という、四ページの4に書いてあるところがあるんですが、都は、犯罪被害者等の居住の安定を図るために、一時的な利用ができる住居の提供その他の必要な施策を講じますというふうな条文案が書かれておりますが、これはどのような感じでイメージをすればよろしいんでしょうか。例えばDV被害者などを一時的に、都営住宅か何かに住んでいただくとかいうイメージなのか。ちょっと具体的な、もう既に行っているのかもしれませんけど、施策の内容を教えていただければなと思います。

○堀越人権部長 条例案の概要にございます一時的な利用のための住居の提供とは、自宅などで事件に遭うことにより従前の住居に居住することが困難となる犯罪被害者等に対し、宿泊施設を提供するものでございます。
 現在行っている具体的な取り組みといたしましては、被害後、一時的に居住するために宿泊施設を利用した際の宿泊費につきまして、警視庁の制度と合わせ原則九泊を上限として助成をしております。

○清水委員 わかりました。原則九泊を上限として、その宿泊料を支援すると理解させていただきました。
 そこでなんですが、最後にちょっと条例の実効性についてお伺いしたいと思います。
 私どもは、知事が条例をたくさんおつくりになることに対して、条例をつくることに対しては何もいっていないんですが、果たして実効性のある条例になっているんですかということをたびたび申し上げさせていただいておるわけでございまして、今回のこの条例案の概要の説明は、冒頭申し上げたとおり、条例ができる前にもう施策が展開されているということですので、それはもう各項実効性はあると私は信じておるわけでございます。
 しかしながら、最後に出てきたこの条例の書きっぷりで、あれっと思うところがございました。それは何かと申しますと、三ページの3、財政上の措置というところなんですね。短いので全部読ませてもらいますと、都は、犯罪被害者等支援を総合的かつ計画的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めますと書いてあるんですね。講じますじゃなくて努めますというと、何か私の感覚では努力義務みたいで、場合によっては努めないときもあるのかななんて思ったりなんかするんですけど、やっぱり条例の実効性があるというふうなニュアンスが伝わるようにするためには、ちょっとこの努めますという表現はどうなのかなって率直に思いました。
 この条例のたてつけ上いろいろと理由があるのかどうか、お聞かせをいただければなと思います。

○堀越人権部長 財政上の措置につきましては、具体的な予算措置は個別の施策に係る予算編成過程において決定するものであるため、条例では、必要な措置を講ずるよう努めるとしているものでございます。
 条例の制定を契機に、必要な財源の確保には取り組んでまいりたいと考えております。

○清水委員 済みません、ありがとうございました。
 他の条例、ちょっと今回済みません、時間がなくて比較することはできなかったので、条例の財政的な措置の部分の表現がみんなこうなっているのかというのはちょっとわからないので、きょうはこの辺にしたいと思いますが、いずれにしても、なかなか犯罪被害者等の支援というのはデリケートなところもありますし、必要な取り組みだというのは、もう重々、何年も前からわかっていることでございますので、しっかりと実効性のある、実のある施策につながるような条例にしていただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。
 以上です。

○原委員 それでは、初めに、小笠原諸島振興開発計画について伺います。
 まず、振興開発計画をつくるに当たり、村の意見はどのように反映しているのか、伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 振興開発計画を策定するに当たっては、小笠原諸島振興開発特別措置法に基づき、あらかじめ小笠原村から計画案が提出されており、都は、村の計画案の内容をできる限り反映させ、今回の計画を作成しております。

○原委員 村の計画案が出されているということですが、村の基本構想、基本計画については踏まえられているでしょうか。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 本年七月に小笠原村から提出された小笠原諸島振興開発計画の案は、本年三月に村が策定した中期五カ年の基本構想、基本計画を踏まえて作成したと聞いており、都は、提出された村の案をもとに今回の計画を策定したところでございます。

○原委員 わかりました。基本構想、基本計画も含まれて検討されたということです。
 前計画からの変更点があったら教えてください。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 今回の計画と前回の計画との主な違いでありますが、国が定める小笠原諸島振興開発基本方針において、小笠原諸島内外の交通アクセスの整備による利便性の確保が、振興開発施策の方向の一つとして位置づけられました。
 そのほか、施設老朽化への対応やゼロエミッションアイランドの実現に向けた取り組みなどについて、今回の計画に明示しております。

○原委員 村の基本計画では、全国的に少子化が進む一方で、小笠原村では出生率が高い水準で推移しているというふうに書かれています。保育園園舎の建てかえや地域の実情に合った子育て支援の拠点となる施設の整備を、父島、母島とも進めていくと基本計画の中で述べられています。また、振興開発計画の方でも、父島の小中学校では、児童生徒数の増加により教室が不足しており、校舎を建てかえていく必要性を指摘しています。
 こうした課題に村としては取り組んでいるということですが、このような状況の中で、都の支援が強く求められていると考えていますけれども、いかがでしょうか。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 現在、区市町村が地域の実情に応じ、主体的に実施する子育て支援等に係る事業に対し、福祉保健局において、子供家庭支援区市町村包括補助事業を活用し、事業内容に応じた支援を行っております。

○原委員 包括補助を活用しての支援を実施されているということですけれども、しかし、先ほども述べたように、今回その計画全体を見ても、施設老朽化への対応などが振興開発計画の前計画と比べても新しい変更点だとおっしゃっていましたが、特にその一つとして、学校の校舎や保育園の建てかえを進めなければいけないと、これはこれであるということですね。
 あわせて、子供たちがふえてきていることによって、新たな子育て支援のニーズに応えていくことが求められているというふうに、村の計画では載っているんですね。ですので、包括補助での支援、これも重要ですが、都が従来の延長線上ではない支援をしていくということも求められているということを指摘したいと思います。
 子供さんの人数がふえていると、これが定住につながっていくかどうかというのは今後の課題ですけれども、ただ、とても希望が感じられる状況なのではないかと私は思いました。小笠原村は、人口三千人を目標に、環境を守りながら緩やかに前進をするということを目標にしていますので、非常にいい傾向なのではないかというふうに思います。
 同時に、村の基本計画策定に当たって村民アンケートが実施をされているんですけれども、この中で、事情が許される範囲で小笠原村に住み続けたいという方が六七%、小笠原村への愛着、誇りを感じているという方が七三・七%、これは別々の設問での回答です。小笠原の魅力度は何点かというので、七二・七点という結果になっていて、今後、まだ定住していくかどうかわからない人も含めて、小笠原村に非常に魅力を感じて住んでいらっしゃるんだなということがわかります。こうした意向を踏まえて振興を進めていくということが重要なのではないかと、意見を述べておきたいと思います。
 それで、この振興開発計画は、今後五年間の取り組みが示されているわけですけれども、項目ごとに、五年間どういうことに取り組むかという課題が書いてあって、国がやるべきものは国、都がやるべきものは都、村がやるべきものは村というふうに役割分担が書かれているんですね。例えば四九ページに、医療機関にかかるための負担軽減などは、村が担当となっています。これは現状と課題のところでも非常に、本土の病院に行かなければいけないというような状況なども出るわけですので、こうしたときの負担が大変なんだと。この負担軽減を今、村が実施をしているわけですけれども、これは今後も、この五年間の取り組みにも、また村と書いてあるんですけれども、これは今後も村だけが担うということなのでしょうか、教えてください。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 村民が本土の医療機関を受診した際の交通費等の負担軽減に資する事業は、引き続き小笠原村が取り組んでいくこととなっております。

○原委員 私は、本当にその答弁でいいのでしょうかというふうにいいたいと思います。本土から離れているために、医療機関等にかかるときに負担が大きいということをどう考えるかというのは、小笠原村を振興していくという点で非常に重要な問題だと私は思います。
 島しょ地域全体から、小笠原だけではなくて、全体から、医療機関にかかるときなどの交通費の負担軽減策は、都として本当に考えてほしいというのはずっと希望が出されていて、これは悲願だというふうに表現をされている島の方たちもいます。
 私も、こういう村や町の皆さんの東京都への予算要望の席などにも出させていただいたこともあるんですけれども、本当に切実で、同じ都民でありながら格差があることについて都はどう考えているのかという声が出されています。宝島というならもっと大事にしてほしいという声もありました。
 そして、本当に一旦、例えばこれは新島村の方の例ですけれども、五十八歳の身体障害の方が、急遽、本土の病院に行かなければいけない、まさに都立の広尾病院、そのときに八十代の親が付き添うという状況になって、一回行ったら四日間いなければいけない、急に行かなければならなくなったから本当にお金もかかるわけですよね。泊まるところもあいていなくて、結局八万円もかかってしまったという、これは、もし小笠原村だったらどうなんだろうということも改めて感じたんですけれども、やっぱり安心して--命にかかわる問題ですので、医療の問題は。そこへ支援をしていく、遠く離れているために不利益を受けているという方たちを支援するのは、これは福祉保健局の課題というのではなくて、東京都の全体の課題なんだと。しかも、この振興開発計画をつくっている、この総務局としても、真剣に考えていかなければならないというふうに私は思っています。
 総務局として検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 個別事業における都の支援は、事業所管局が法令等に基づき実施しております。
 総務局が所管する市町村に対する総合的な財政支援制度としては、市町村総合交付金がございますが、この交付金は、各市町村が交付額の範囲内で充当先を判断する市町村の一般財源を補完するものでございます。

○原委員 市町村総合交付金についても、これは重要だと思っていますし、村がやりたいと考えた事業に充てるということが可能なわけですから、そうであれば、さらなる増額が必要なんだということがいえると私は思っています。
 でも、同時に今回求めたいのは、総合交付金だけではなくて、交通費の格差の問題は、それはそれとして制度化していくという、そういう必要があるんじゃないかということを今回提起をしています。ぜひここを考えてほしいと思っています。
 特措法の第三十一条では、こういうふうに書いてあります。国及び地方公共団体は、小笠原諸島と他の地域との間の保健医療サービス、介護サービス及び保育サービスを受けるための条件の格差の是正を図るため、小笠原諸島における住民がこれらのサービスを受けるための住民の負担の軽減について適切な配慮をするものとすると位置づけられています。
 法に照らせば、村だけじゃなくて都としても、もっと積極的に検討し、支援をすべきではないかというふうに思いますが、この点について見解を伺いたいのと、もう一つ伺いたいんですが、沖縄では離島患者等支援事業というのをやっていて、三十七の有人離島を有する十八市町村を対象にして補助をしているんですけれども、年間一千四百四十八万円の交通費の補助なんですが、これで病気の方とかそういうだけではなくて、不妊治療を受けるご夫婦にもこうした支援ができるというふうになっているんですね。空路の運賃ですとか宿泊費の軽減に要する経費だということで、そうしたことを実際にやっています。
 私は、これは沖縄がどういう経過でこういうことを実施しているのかということや、こういう他の道府県の例からも、ぜひ知っていただき検討していただいて、東京都としてやれることはないかということを、検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 地方公共団体である小笠原村が、村外の医療機関を受診しなければならない場合の交通費等に対して、制度を設けて一部助成を実施しております。
 繰り返しになりますが、個別事業における都の支援は、事業所管局が法令等に基づき実施してございます。
 総務局としては、市町村の一般財源を補完する市町村総合交付金による財政支援を実施しております。

○原委員 他の道府県の事例などを研究してみていただけないかと、情報収集等をして検討してみていただけないかということについて、もう一度答弁お願いしたいのと、あと、この振興開発計画の五二ページ、児童福祉というページですけれども、島内で出産ができないこと等に伴い、園児が一時的に本土の保育園に入らざるを得ない場合の住民の経済的負担が課題であるというふうに載せていまして、そして、これについても、本土で保育サービスを受けざるを得ない住民への交通費等の負担軽減を検討するとなっているんですが、これも村となっているんですね。
 私は、やっぱりこれは、東京都が乗り出してきちんと検討すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、地方公共団体である小笠原村が、村外の医療機関を受診しなければならない場合の交通費等に対して、制度を設けて一部助成を実施してございます。
 また、個別事業における都の支援は、事業所管局が法令等に基づき実施してございます。
 総務局といたしましては、市町村の一般財源を補完する市町村総合交付金による財政支援を実施してございます。

○原委員 何で他の道府県のそういうものも、情報収集して検討するということにはお答えがないんでしょうか。そこだけお願いします。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 繰り返しになり恐縮ですが、個別事業における都の支援につきましては、事業所管局等が法令等に基づき実施してございます。

○原委員 申しわけないですけれども、とても私は残念に思います。
 やっぱり島を持っている、しかも、先ほどもいいましたけれども、宝島だというふうに呼んで、島の皆さんも、もちろん東京都民であって、本当にみんなで支援もしていくと、振興していくことが大事だということがテーマになっているわけで、そこで今、実際に不便を感じている、経済的負担も含めて、医療機関にかかるだけでも大変な負担をしている、そういう状況について、東京都がもっと乗り出して支援をして考えていくことが、この計画もつくった、策定をした直後ですので、そういうことを検討していただきたいというふうに思って質問しているんですが、他の自治体の情報等も収集して検討するというお答えがないのは、本当に残念だといわざるを得ません。
 ただ、私は今ご答弁を聞いていて、総合交付金のことなども出されていましたけれども、基本的にこういう格差、本土とは格差があるという状況について、支援をしていく必要性は当然東京都は認めているということですので、実際に総合交付金などについては、そういうご答弁もありましたので、私は、そうであれば、村の皆さんの実情等を改めてよく把握していただいて、来年度に向けて、できる限りの支援をしていただくということを、この場では強く求めておきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、東京都犯罪被害者等支援条例案の概要について伺います。
 パブリックコメントや議会での質疑の機会も多く保障をして、条例制定へのプロセスを今踏んでいるということについては、とても重要だと私は思っています。何点か伺います。
 まず、有識者会議のこれまでの実施状況と内容、今後の開催予定、そして、これを確認したいんですが、条例案をまとめるところまでで有識者会議は役割を終えるのか、その点について伺います。

○堀越人権部長 本年五月に設置した有識者懇談会は、条例案の検討を目的としており、これまでに四回実施し、条例の目的や基本理念など条例を構成する基本的事項に加え、都が行うべき支援策のあり方などについても議論をしていただきました。
 次回の懇談会では、条例案についてご意見をいただく予定でおります。

○原委員 今のご答弁ですと、有識者会議は、条例案をまとめるところまでの役割というふうに私は今聞きました。
 そうすると、次期の支援計画の検討体制はどのように考えていらっしゃいますか。また、計画の進捗状況を定期的に点検するなどの進行管理についてはどのように考えていくのか、伺います。

○堀越人権部長 現行の支援計画の計画期間は、令和二年度までとなっております。
 次期支援計画の策定に当たりましては、あらかじめ都民等の意見を聞くこととなっており、意見聴取の方法につきましては、今後検討していきます。
 また、次期支援計画の進行管理の方法につきましても、今後検討してまいります。

○原委員 五年間の計画を定期的に進捗状況を確認して、その内容を都民に公表するということを、私はぜひ行っていただきたいなと思っているんですね。今ご答弁で、次期支援計画の進行管理の方法について今後検討ということですので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 条例案の概要では、支援計画を定めたときと、それから大きな変更を行ったときは、知事がこれを公表しなければならないというふうに位置づけていますよね。同時に、私は、定期的な進捗状況の公表、これも位置づけることを、この場では要望をしておきたいと思います。
 それで、次に伺いたいんですが、東京都としては今回条例を制定した後、区市町村に条例制定を広げていくという考えでしょうか。

○堀越人権部長 条例案の概要では、都の責務として区市町村への支援を掲げており、区市町村が総合的に犯罪被害者等支援を推進することができるよう、必要な情報の提供、助言等を実施することとしています。
 この規定に基づき、都としては、引き続き区市町村に必要な支援を行っていきますが、条例の制定は各区市町村の判断によるものと考えております。

○原委員 他の自治体の例ですと、県がつくって、それを区市町村に広げていくということでやっている自治体もあります。私は、そういう他の例も把握をしていただいて、どういうふうに進めていくのか、東京都がつくった条例を、その内容の、それをちゃんと市区町村にまで伝えていくということについてどのようにやっていくかというのは、これは非常に重要な課題ではないかと思っています。
 ただ、現時点では、区市町村が条例を制定していくか否かにかかわらず支援をしていきますということだったと思います、今のご答弁では。それで、その場合に、国と東京都と区市町村の役割分担というのは、どのように考えていらっしゃいますか。

○堀越人権部長 犯罪被害者等基本法では、国は、犯罪被害者等のための施策を総合的に策定すること、地方公共団体は、地域の実情に応じた施策を実施することとされております。
 区市町村は、住民にとって最も身近な存在として日々の生活に密接に関連する支援を行い、都は、広域自治体として、区市町村単位では対応が難しい取り組みを重点的に実施しております。

○原委員 今のご答弁は、現時点でもそれは進めていますということだと思うんですね。ですので、これをさらに強力に進めていくために、今回、都として条例をつくる、そして、その条例を区市町村に伝えながら、それを本当に生かして、現場で、区市町村でも条例をつくっていくという流れになるのが基本かなというふうに思います。この点についてはよく検討していただきたいと思いますし、また、次の条例案が出た段階でも議論をしっかりしていきたいなと思います。
 同時に、区市町村の相談窓口が非常に重要になってくると思います。どこも一応窓口は持っているということになっていますが、実は余り知られていない、わからなかった、こういう声は大変多くあります。改めて明確にして、関係機関の連携を強めていくということを要望したいと思います。
 それで、次に伺いたいんですけれども、今回の概要では、犯罪被害者への具体的な支援策は今後検討していくとなっています。いつ、どこで検討するのでしょうか。

○堀越人権部長 これまで、条例制定に向けて実施したパブリックコメント等におきましては、具体的な支援策についての要望も寄せられております。
 引き続き、都が実施すべき被害者等への支援策について検討していきます。

○原委員 今回のパブリックコメントの結果を見ても、先ほど、ほかの委員の方からもお話にありましたが、経済的負担の軽減を求める声が非常に多く寄せられています。
 それを一つ一つ、ちょっと表になっているのを見ていくと、本当に切実だなと思いました。子供の学費、それからローンを抱えているケース、犯罪被害者給付金がすぐ出ない、引っ越しをしなければならないときの経済的負担、損害賠償金が支払われない場合の支援など、改めて犯罪被害者やその家族の困難な状況を実感させられる、そういう内容になっていると思います。
 パブリックコメントを受けて、経済的助成に関する情報の提供及び助言という項目に、その他必要な施策を講ずるものとするという、この一文を加えるというふうに東京都が回答していまして、これは非常に重要だというふうに思いました。また、住まい、住居についても、一時的な利用のためとあるが具体性が必要だという意見も載っていました。
 それから、安全確保のための一時保護などの必要性、こういうことも意見として出されていたり、それから、相談窓口についてもはっきりと明示して、つらい体験を何度も話さなければならないことのないようにワンストップサービスを充実してほしいなど、本当に大事な指摘だというふうに思います。
 こうした切実な声が反映されるように、条例を、これから案が提案をされるということになりますが、具体的な支援策、この条例ができることによって、こういう支援を強化するという、その具体的な支援策が示されるように強く求めておきたいと思います。
 それで、次に質問したいんですが、今回大きな特徴になっているのが二次的被害を位置づけたことだと思っています。二次的被害が定義も含めて位置づけられたことは、重要だと思っています。そうなんですけれども、この二次的被害防止というのが、都の責務の中には出てこないんですね、言葉として。それはなぜなのか、伺います。

○堀越人権部長 条例案の概要では、犯罪被害者等の支援は、二次的被害が生じることのないよう十分配慮して推進されなければならないことを基本理念に掲げており、これらの基本理念にのっとって、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的に推進することを都の責務としております。

○原委員 基本理念の中に位置づけられているので、基本理念を都の責務としてそこを踏まえていくということだから、二次的被害についても当然含まれているということだと思います。その点については理解しました。
 では、二次的被害について、今回具体的に載せていますよね。インターネットを通じての誹謗中傷、過剰な取材などについて、具体的に定義の中に示されていますけれども、こうしたことに対して、都としてはどういうことができるのか、伺います。

○堀越人権部長 東京都総合相談窓口やワンストップ支援センターで受けている相談の中に、インターネット上で誹謗中傷等を受けたケースがあった場合には、専門機関に紹介するなど関係機関が連携して対応しております。また、過剰な取材に対しては、総合相談窓口等での対応のほか、警視庁と連携する制度により、弁護士会等が被害者支援に精通した弁護士を紹介しています。
 さらに、犯罪被害者等が置かれている状況等について、都民や事業者の理解を深めるための広報、啓発を実施しております。例えば、被害者や被害者遺族の講演を通じて、過剰な取材やインターネット上の誹謗中傷による二次的被害の実態を広く都民に伝えております。

○原委員 わかりました。今お話にあったような他の機関との連携とか、また、研修や啓発等も、私はこれを都民の皆さんにわかるようにしていくということが非常に重要かなというふうに思いました。
 それで、二次的被害の問題でとても深刻だと思っているのは、性被害の問題なんですけれども、性被害について、直後の場合はワンストップ支援センターで対応されて、カウンセリングも含めて今年度から対応されるようになったんですね。これは本当によかったと思っているんですが、時間が経過してからの二次的被害についても、ワンストップ支援センターに相談があった場合、対応されていると以前に質問したときにご答弁がありました。
 改めて、今回条例にも、これだけ二次的被害の問題を位置づけるということになりますので確認をしたいんですけれども、二次的被害でカウンセリングなどの支援が必要になった場合の相談先や都の役割について伺います。

○堀越人権部長 東京都は、ワンストップ支援センターを設置し、性犯罪、性暴力等の被害に関する相談を二十四時間三百六十五日受け付けており、被害者の状況に応じて面接相談、精神科等への紹介、病院等への付き添いを行っています。
 二次的被害で支援が必要になった場合も、この相談窓口で対応しています。

○原委員 今ご答弁を聞いてちょっと安心しましたが、ぜひそのことを周知していただきたいと思います。
 改めて、それだけワンストップ支援センターの役割が非常に重いということも、今感じました。大変なお仕事をしていただいているというふうに思います。ですので、その役割の重さに鑑みて、十分な相談や同行支援の体制がとれるように、これは予算措置が必要だというふうに思います。
 今回、二次的被害について、これだけ条例の中でも強調するわけですので、そこを頼りに相談してくる方も私はふえるんじゃないかと思うんです。そのためにやるわけですけれども、そういうところで対応できるように、しっかりワンストップ支援センターを支援するということを、この場では強く求めておきたいと思います。
 最後になりますが、この二次的被害のことについては、広く都民に啓発を進める必要があると思っています。そのためのパンフレットや学習会など、どのように進める考えか、伺います。

○堀越人権部長 二次的被害について都民の理解を深めるため、都は、被害者や被害者遺族の講演会を実施するとともに、犯罪被害者等の人権というリーフレットを作成し、二次的被害についても記載し、ヒューマンライツ・フェスタなどの各種イベントや研修で配布しています。
 引き続き、こうした取り組みを実施してまいります。

○原委員 私もリーフレットを読ませていただきました。相談先もきちんと明記をされていて、二次的被害についても確かに書かれていて、基本的に被害に遭った方の立場に立ってつくられているものだというふうに思いました。
 さらに普及していただくとともに、私が今重要だと思っているのは、広く都民の皆さんに二次的被害について説明することだと思っているんです。知らず知らずのうちに加害の側に立っているということが起こりかねないわけですよね。
 特に、今回定義の中にもインターネットなどを入れてくださっていますけれども、不確かな情報をSNSでどんどん拡散してしまったり、間違っている情報なのに、それにいいねとサインを送ったり、あるいはコメントをしてしまう、それがどんどん広がって被害に遭っている人を傷つけるということが、実は本当にたくさん起きているんですよね。
 だから、このことを、東京都が二次的被害を受けないようにということだけじゃなくて、二次的被害を起こしてしまう、加害の側に立たないようにしましょうということをぜひ啓発していただきたいと。そのためのパンフレットですとか、あるいはホームページなどで工夫をしていただくとか、そういうことをぜひとも検討していただきたいということをこの場では求めて、質問を終わります。よろしくお願いします。

○山内委員 私からも、犯罪被害者等支援条例案の概要についてお伺いしたいと思います。
 東京都犯罪被害者等支援計画において、支援の基本的考え方として、個人としての人権尊重、それにふさわしい処遇を保護、犯罪被害者等が置かれている状況や事情に応じた適切な施策を実施、必要な支援等を途切れることなく受けられるよう施策を実施すると挙げられております。条例には、特にこの人権尊重というのをしっかりと挙げることが必要だと考えております。
 この基本的な考え方は条例にどのように反映されているのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 都の支援計画における基本的考え方は、犯罪被害者等基本法で示されている支援の基本理念に基づいて定めたものでございます。
 条例案の概要では、その基本理念において、全て犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する等と掲げ、支援計画における基本的考え方を反映しております。

○山内委員 次に、定義についてお伺いしていきたいと思います。
 二次的被害に行政機関の職員を入れた理由についてお伺いいたします。

○堀越人権部長 二次的被害は、周囲の者による理解や配慮に欠ける言動等によるものだけでなく、支援者である行政機関の職員から受ける場合もあることが、各種実態調査の結果などからも明らかとなっています。
 そのような状況を踏まえ、有識者懇談会における議論でも、二次的被害の定義に含めるべきとのご意見があり、行政機関の職員によるものも定義に明記したところでございます。

○山内委員 再被害を定義したのはなぜか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 パブリックコメントや有識者懇談会における議論の中で、性犯罪等の被害者は、加害者から再び被害を受けるのではないかという不安を抱えている、再被害を防止するという考え方は条例に含めるべきとのご意見があり、定義の中に再被害の項目を設けたものでございます。

○山内委員 民間支援団体の一つとして定義されている犯罪被害者等早期援助団体とは何か、お伺いいたします。

○堀越人権部長 犯罪被害者等早期援助団体とは、犯罪被害者支援法において、犯罪被害等を早期に軽減するとともに、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援するための事業を適切かつ確実に行うことができると認められる非営利法人であると定められた団体で、都道府県公安委員会が指定するものでございます。
 東京都では、公益社団法人被害者支援都民センターが、東京都公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けております。

○山内委員 都内における犯罪等の現状として、性犯罪の認知件数、ストーカー行為や配偶者からの暴力、デートDV等の相談が増加しているといわれております。
 こうした犯罪や被害に対する支援について、条例案の概要ではどのように考えるのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 条例案の概要における犯罪等の対象は、犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為であり、性犯罪、性暴力等に対する支援も条例案の対象でございます。

○山内委員 総合的な相談窓口として、東京都総合相談窓口における取り組みの充実が求められております。
 条例案の概要ではどのように位置づけられているのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 条例案の概要では、基本的な施策の一つとして、相談及び情報の提供等を挙げており、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な施策を講じることとしています。
 この施策の中心的な取り組みが、東京都総合相談窓口における相談及び情報の提供等でございます。

○山内委員 他県の条例を見ますと、基礎自治体の責務や役割を明記しているところもあります。身近な窓口である区市町村における総合窓口の充実が重要です。区市町村からは、財源や人材の支援が求められております。
 都は、区市町村にどのような支援を行っているのか、また、今後どのような支援を行っていくのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 都は、支援計画に基づき、区市町村の窓口対応機能強化を支援するために、区市町村連絡会の開催による情報提供、窓口担当者のスキルアップを目的とした研修会の実施などを行ってきました。
 条例の制定を契機に都内全域で支援が着実に進むよう、各区市町村のニーズに応じた研修や窓口対応事例の検討会等を実施していきます。

○山内委員 都は、支援計画を定めようとしたとき、または支援計画を変更しようとするときは、あらかじめ都民等の意見を聞くとありますが、調査等や犯罪被害者等、犯罪被害者支援団体等の意見も協議会などを開催して聞くことを示しているのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 これまでの支援計画の策定に当たりましては、パブリックコメントを実施するとともに、被害者本人やそのご家族、被害者支援団体等を対象とした実態調査や民間支援団体への個別のヒアリングなどを行いました。
 次期支援計画の策定に当たりましても、被害者や民間支援団体等から意見聴取を行うこととしており、その方法については今後検討していきます。

○山内委員 経済的負担の軽減では、情報提供や助言だけでなく、具体的な支援を実施するべきと考えますが、どのようになるのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 これまで、条例制定に向けて実施したパブリックコメント等においては、被害者の経済的な負担の軽減や情報提供等についての要望も寄せられております。
 引き続き、都が実施すべき被害者等への支援策について検討してまいります。

○山内委員 緊急支援の実施の具体的な内容はどのようになるのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 条例案の概要では、都内において、犯罪等により死傷者が多数に上る事案や、その他の重大な事案が発生した場合において、必要な緊急支援を実施することとしています。
 緊急支援を行うに当たっては、全ての被害者や家族等に対し、病院への付き添いやその後の精神的ケアなど、きめ細かな支援を関係機関が連携して速やかに実施することが必要です。
 今後、警視庁や民間支援団体等との具体的な連携のあり方について検討してまいります。

○山内委員 民間支援団体に対する支援については、財政的支援、人材確保への支援が求められております。条例案の概要には、民間支援団体の役割が明確にされ、早期援助、犯罪被害者等支援を適切、効果的に行えるようにすると明記されておりますけれども、そこには財源的支援や人材確保が重要ではないかと考えます。
 都は、民間支援団体に対する支援について今後どのように支援を行っていくのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 これまでも都は、支援計画に基づき、東京都総合相談窓口の設置やワンストップ支援事業の実施等、民間支援団体と連携した取り組みを行ってきました。
 引き続き、こうした取り組みを進めるとともに、民間支援団体等との連携の推進について検討してまいります。

○山内委員 東京都は、犯罪被害者等基本法を受けて、東京都犯罪被害者等支援計画を策定しており、現在、第四期の計画を策定しているところです。
 一方、残念ながら計画と認知度は、低い、残念ながら低いかと思います。
 生活者ネットワークは、この条例の制定をずっと要望してまいりました。条例を制定することで認知度も上がり、必要な支援が行き届くことは重要であり、期待するところです。
 しかし、被害者への経済的支援や区市町村、被害者団体や被害者等支援団体への財源や人材確保などが明確にならないことは残念です。また、この条例案は、犯罪等の対象として、性犯罪、性暴力等に対する支援も対象としているということでしたけれども、性犯罪、性暴力被害者支援の条例を求める声はあります。
 なかなか届け出ることができない性被害、狙われる子供の性被害をなくし、被害を受けた人が少しでも癒やされる、支えられる支援を実現するために、法の整備が進まない中、東京都が先んじて条例化を進めることも、ぜひ検討していただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後六時五十九分休憩

   午後七時五十二分開議

○早坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 この際、理事会の協議結果について申し上げます。
 総務局に対し、汚職等防止策検討結果報告書(最終報告)について、委員会への報告を求め、十二月十六日の委員会で説明、質疑を行うことで協議が調いました。ご了承願います。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時五十三分散会

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