総務委員会速記録第十二号

令和元年九月十二日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長小松 大祐君
副委員長藤井  一君
副委員長馬場 信男君
理事両角みのる君
理事木村 基成君
理事鈴木 章浩君
古城まさお君
山内れい子君
藤井とものり君
藤井あきら君
増田 一郎君
原 のり子君
森口つかさ君
中屋 文孝君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長遠藤 雅彦君
危機管理監小林  茂君
次長野間 達也君
理事箕輪 泰夫君
総務部長西山 智之君
企画担当部長首都大学調整担当部長兼務久保田直子君
調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
藤原 知朗君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
伊東みどり君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務小林 忠雄君
都政改革担当部長豊田 義博君
都政改革担当部長勝見 恭子君
人事部長山口  真君
労務担当部長高崎 秀之君
コンプライアンス推進部長主席監察員
政策法務担当部長訟務担当部長兼務
貫井 彩霧君
行政部長佐藤 智秀君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
石橋 浩一君
都区制度担当部長米今 俊信君
総合防災部長有金 浩一君
防災計画担当部長古賀 元浩君
防災対策担当部長榎園  弘君
物資調整担当部長大澤 洋一君
統計部長影山 忠男君
人権部長堀越弥栄子君

本日の会議に付した事件
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百四十号議案  東京都公文書の管理に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十一号議案 東京都公文書館条例
・第百四十二号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十三号議案 職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十四号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十五号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第百四十六号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十七号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成三十年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について
・二〇一八年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況について
・東京都政策連携団体における不適正事案及び内部統制に係る自己点検結果について
・小笠原諸島振興開発計画(素案)について
・東京都国民保護計画の一部変更について
・東京都地域防災計画(震災編)の修正について
・東京都石油コンビナート等防災計画(素案)について
・東京都犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方(案)について
・東京都性自認及び性的指向に関する基本計画(素案)について

○小松委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百四十号議案から第百四十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○西山総務部長 八月三十日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は一点でございます。
 一ページをごらんください。現在の東京都文書管理規則における公文書の保存期間、廃棄等の取り扱いについてでございます。
 公文書の保存期間、廃棄等に関する現在の東京都文書管理規則の規定について記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○両角委員 昨年、大きな社会問題となりました森友、加計問題を通じ、公文書の管理や情報公開のあり方が注目を集めました。同時に、この問題は、改めて公文書が民主主義を支える基本的なインフラであるというコンセンサスを社会に広めることにもなったと思います。
 現在、都道府県の中でも、公文書館を有しない自治体が相当数あります。総務省の二十九年十月現在の調査ですと、公文書館を設置していない団体というのも、都道府県で十四団体あるということであります。
 このたび、東京都が公文書館法第四条の一項に基づく公文書館を建てかえして整備し、公の施設として条例設置をするということに対して、まず評価をしたいと思います。これを契機に、都の文書の適正管理と活用が一層進み、都政に資することを期待する視点から質問いたしたいと思います。
 まず、新公文書館について伺います。
 新公文書館は、二〇一四年三月の改築基本計画に基づき整備をされているわけでありますが、ハード、ソフトを通じたキーコンセプトと特徴を伺います。

○西山総務部長 新公文書館は、公文書等を適切に保存、公開し、歴史公文書等の研究に資する役割を担うとともに、より多くの都民に利用しやすい施設となるよう、新たに公の施設として設置するものでございます。
 ハード面の特徴としては、外壁の二重化や太陽光発電設備など、最新の省エネ、再エネ技術を導入し、最適な温湿度管理の中で公文書等を適切に管理していくとともに、エントランスホールなどに多摩産材を使用してございます。
 ソフト面の特徴としては、都民の利便性向上を目的として、グラフィック、タブレット等を活用した展示施設で所蔵する重要文化財等を公開するとともに、インターネットで貴重な歴史資料の画像データを見られるデジタルアーカイブを整備することなど、情報発信の強化に取り組んでまいります。

○両角委員 実は、きょう午前中に、西国分寺の新公文書館、建設中のところを見に行ってきたんですけれど、つい最近、工事囲いが外されたということで、全容が姿をあらわしています。いや、本当すばらしいですね。日本が誇る公文書館という感じの施設であります。
 その公文書館は、このパネル、これはちょっと古い……。見えないかもしれないですけど、ここは都立の多摩図書館がございまして、その隣の空き地、今はもう建ち上がっていますが、公文書館が今整備をされているというところであります。この図書館と新公文書館の間というのは、もう数メートルしかない。ここが都立武蔵国分寺公園という、非常に広い、広域の総合公園、東京都の公園になっている。そのすぐ、図書館の隣には総務省の情報通信政策研究所という研修所がある。ここら辺一帯は非常に雰囲気がいい。文教ゾーンというか、そんな感じで、都の公園、そして、図書館、公文書館が一体整備をされている。
 そして、きょう、見てきて感じたのですけれど、図書館と公文書館というのは、ほぼ同じような面積、同じような高さ、双子の施設だと、そういうふうに総合的に最初から考えて建てたのかなというふうに思って、東京都の公文書館として本当にすばらしい、このように改めて感じた次第でございます。
 今、コンセプト等があったのですけれど、いただいている資料や現場やパースを拝見しますと、開放的なエントランスホールが設けられる、ガラス張りの広々とした一般の閲覧室が設けられる、レファレンス機能が大幅に向上するということであります。
 また、先ほどお話がございましたように、デジタルアーカイブを推進し、インターネット上で、古文書等、館が保有する資料を広く都民に提供し、活用してもらうということが予定をされているようであります。
 さらに、今までの都の公文書館にない常設展や企画展などの展開に力を入れるということで、これまでの行政関係者や研究者のニーズに応えるだけではなくて、一般都民の公文書へのアクセスを意識した開かれた公文書館が構想されているんだなというふうに私は理解をいたしまして、大変よい方向であるなと感じております。
 しかも、立地が、自然、広域の総合公園がすぐ裏にあり、散策ができ、そして、JR西国分寺駅からも約十分に満たない、そんなアクセスという好立地ということであります。
 そこで、これだけすばらしいハードが整備をされるわけでありますが、新たな公文書館は、機能強化が図られていく中で、その運営体制がどうなるのかということが気になるところでありまして、運営形態については直営ということで聞いているわけでありますが、なぜ直営なのか。そして、館長さんは重要な役割を果たすと思います。館長さんの人選の基準、職員スタッフ体制について伺います。

○西山総務部長 歴史公文書等の移管、収集、整理、保存等を着実に遂行していくためには、都の組織や業務に熟知していることが必要です。また、都民などが利用請求する特定歴史公文書等については、職員が個人情報の有無等を適正に判断し、利用させるか否かの行政処分を行うこととなります。こうした業務を着実に遂行するため、新公文書館は都職員で運営を行うこととしてございます。
 職員の体制につきましては、現在、十六名の常勤職員と十三名の非常勤職員を配置しておりますが、開館に向けて必要な体制を整備していくとともに、館長については、行政系の課長級職員の中から有為な人材を引き続き配置してまいります。

○両角委員 直営の理由をお話しいただきました。それなりに理解はするところであります。
 館長については、今までのジョブローテーションの中で、行政系職員の中で有為な人材を配置するということでありますが、多分これは、今、設置をされている都道府県の三十三の公文書館の中で一番すばらしいものだろうと私は思いますし、それに見合った中身の運営をしていただきたいと思いますし、最終的には、十年ぐらいたった暁には、この東京都の公文書館に行って、文書管理、文書の保存あるいは文書の公開、そういうノウハウを身につける、そんな全国のセンターのような、リーダーとしての立ち位置になっていただきたい、そんなことも期待をするわけでございます。
 そこで、公文書館法では、公文書館には専門職員、その他必要な職員を置くものとされているわけでありますが、新公文書館の専門職の活用方針と配置計画について伺います。

○西山総務部長 現在、公文書館においては、一般の行政職員以外に、専門職種である史料編さん職の職員や、資料保存やレファレンスなどの専門知識を有する非常勤職員を配置し、歴史公文書等についての調査研究のほか、収集、修復、保存、公開等の業務に当たっております。
 今後は、こうした職員を国立公文書館が主催する専門研修に派遣し、専門性の一層の向上を図るとともに、非常勤職員の積極的な活用など、計画的な配置に努めてまいります。

○両角委員 専門性を持った非常勤職員の積極的な活用というご答弁をいただきました。
 今の時代で都の組織、人員を拡充するというのはなかなか難しいかもしれませんが、しかし、本当に必要なところには人をつけるべきだと思います。そして、この公文書館が機能を充実することを考えれば、しっかりと充実をした、人を要求していっていいんだろう、そんなふうに思っていますので、総務局としてしっかり、総務局内の要求かもしれませんが、本当に必要な人材を要求してほしいと思いますし、先ほどの館長についても、場合によっては外部人材を持ってきてもいいんじゃないかと私は思っております。
 ただジョブローテーションで課長職を持ってくるというよりも、これをやってみたい、この館を、今まで公文書館行政にも、あるいは文書管理行政にも携わってきたけれど、さらにこういうすばらしい施設を新しく動かしていくことをリーダーシップを持ってやっていきたいという職員に手を挙げてもらうとか、そういうことも考えていただきたい、こんなふうに思います。
 ところで、新公文書館の開館の時間について伺いたいのですが、新公文書館の開館日及び開館時間については、別途、規則で定めるということになっているわけでございまして、現段階では、日曜、祝日を休館日として、月曜日から金曜日、さらに土曜日、月曜日から土曜日の九時-五時を開館する方向で調整しているというふうに聞いているわけでございます。
 一方で、先ほど来の施設、今、空き地になっていますけれど、ここに新公文書館ができる。ここが都立図書館である。
 都立多摩図書館については、やはり公の施設として直営で運営をされております。内部は業務を切り分けて委託しているところもありますが、都立多摩図書館は、同じように並列して並んでいる東京都の施設。そして、ちょっと性質は違いますけれど、多くの都民あるいは国民を相手にする施設であって、どんな運営がなされているかというと、開館は、月-金が十時から二十一時、夜の九時までオープンをしています。土曜、日曜、祝日もオープンをしております。土曜、日曜、祝日については十時から十七時半と、基本的に通年開館なんですね。九月は、二日、木曜日と金曜日、飛び飛びでお休みの日が設定されていました。十月も、木曜日と金曜日、飛び飛びで休みが設定されていました。年末年始は、二十八日から一月四日とか、それが休みで、もう一月五日とか、暦どおりに、官庁と同じようにオープンをするということでございます。
 今、公文書館の担当の所管からいただいた事前の資料では、隣接する東京都立多摩図書館との連携をしていくということをうたってあるわけであります。あるいは、今まで以上にデジタルアーカイブとか企画展を開いて利用者の裾野を広げる、そういうことも想定をされているわけであります。こういった新しいコンセプトに立つのであれば、今、規則で月-金の九時-五時ですよ、土曜もあけますけれどという、それでは不十分じゃないかなというふうに私は強く感じます。
 多摩図書館との連携や利用者層の拡大を図るといった新公文書館の趣旨からすれば、より多くの一般都民等が利用しやすい開館日、開館時間として、新公文書館のコンセプトを具現化するということが必要だと思いますけれど、開館日と開館時間について所見を伺います。

○西山総務部長 新公文書館につきましては、都民に広く利用していただけるようにする一方、行政による利用にも対応していく必要がございます。
 開館日につきましては、都民の利便性向上のために、新たに土曜日に開館をするとともに、現在、日々の行政執行に必要な自治体関係者による閲覧が多いことを踏まえまして、引き続き平日も開館する方向とし、開館時間につきましては、午前九時から午後五時までを予定してございます。
 これに加えまして、企画展については、週末の開館時間の延長及び一部日曜日の開館を検討しております。

○両角委員 きょう、図書館の館長さんとか、いろいろお話もしてまいりました。夜間帯の利用も、学生さんを中心に非常に多いということでありましたし、後ろがこれもすばらしい公園なんですよ。歩いてみると、池があり、噴水があり、その噴水から見ると、多摩図書館と新公文書館が並んで、新公文書館の方がやや重厚感がある、そんな建物でありますけれど、そういう並びになっている。
 ですから、図書館については、お散歩をした家族連れが、土曜日とか日曜日とか、よく来るそうです。その流れで、すぐ横にある立派な同じような都立施設に行こうと思ったら、そこは休みであったと。企画展や通常の展示をやっているというふうにうたっても、それは休みなんだというと、ちょっとがっかりしてしまうのではないかということもありますので、この面については、条例が成立したのと同時に、公布と同時に、規則も一体で出していかなきゃいけないから、もう事務手続的にこれが精いっぱいですよという、そういうお役所の発想に陥らないで、しっかりこのすばらしい、多分、日本でも一番、二番の公文書館です。こんなことをいってはあれですけど、建物自体は国立の公文書館なんかよりも全然いいと思いますよ。
 ですから、そういったものを、中身の運営まで含めてすばらしいんだというふうにしていただきたいと思いますので、規則をつくるときに、ぜひともこれは柔軟な対応を、まさに今、やわらかい心で、そういう総合的な見地に立って考えていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。
 次に、東京都公文書の管理に関する条例の一部を改正する条例について伺います。
 一昨年、東京都におきましては、東京都公文書の管理に関する条例が制定をされたわけであります。
 今般の条例一部改正は、新公文書館の設置を受けてということでありますが、主な改正点を伺います。

○西山総務部長 主な改正点は三点ございます。
 一点目は、保存期間満了後の措置として、公文書館への移管または廃棄をあらかじめ決定し、移管の決定をした公文書については公文書館において適切に保存すること。
 二点目は、公文書館で保存している歴史公文書等について、利用請求を新たに制度化すること。
 三点目は、学識経験者など第三者から公文書管理制度にご意見をいただくために、東京都公文書管理委員会を新設することでございます。

○両角委員 利用請求の権利であったり、東京都公文書管理委員会が新たに設置をされるということでございました。
 そこで、今回の条例一部改正で、知事の附属機関として設置をされます東京都公文書管理委員会について、その目的と機能を伺います。また、委員会構成メンバーを現時点でどのように考えているのか、伺います。

○西山総務部長 東京都公文書管理委員会は、公文書管理制度の円滑かつ適正な運用のために新たに設置するものでございます。
 委員会は、保存期間満了後の公文書の移管または廃棄を定める際の指針となる移管基準ガイドラインの制定や改正など、重要事項についての審議や、利用請求に対する処分等に係る審査請求についての審議を行います。
 委員については、公文書等の管理に関してすぐれた識見を有する者の中から選任することとし、文書管理、アーカイブズ学に精通した学識経験者のほか、弁護士などを予定してございます。

○両角委員 現在、都の公文書は、東京都文書管理規則により、資料請求でも出てきておりますが、文書保存期間が一年未満から長期--これは永年ということのようでありますが--まで六種類が定められております。作成された公文書が具体的に上記のどの保存期間に該当するかということについては、都の文書管理規則で、分類や区分に応じて、概括的に基準が別表に定められているということであります。実務の上では、この基準別表に照らして、文書ごとにそれぞれが何年保存であるかを各局が局ごとに決めているのが実態ということであります。
 今、情報公開におきましても、文書そのものが不存在ということになれば、そもそも、一般の都民、市民が情報を知るすべがなくなってしまうということでありまして、その意味で、公文書の保存年限の決定というのは大変重要な意味を持つんだと私は理解しているところでございます。
 今後、より適正な公文書の管理を進めていくためには、局ごとに決定をされる保存年限の適用のばらつきをなくして、標準化をしていくことが必要ではないかと考えます。
 そのためには、文書所管の担当局である総務局が、各局が局ごとに定めている文書保存期間表を全庁的に統一する視点から、一回、チェックをして見直す作業が必要だと思いますが、見解を伺います。

○西山総務部長 公文書の保存期間は、お話にございましたように、文書管理規則でその基準を定め、各局はこの基準に基づき保存期間表を定めております。
 さらに、各局に共通する事項に関しては、総務局が具体的な保存期間を明示し、局ごとの取り扱いに差異が生じない仕組みとしてございます。
 また、総務局では、平成三十年度から、文書課の職員が各局に赴いて、公文書の管理状況を実地にチェックする取り組みを行っております。
 今後は、こうした機会も活用して、保存期間の設定状況について計画的に確認してまいります。

○両角委員 ご答弁いただきましたように、各局の共通事項については差異がないんだということであります。
 一方で、各局の共通事項以外の局独自の文書というのがあると思います。事業局であったり、政策企画局であったり、性格の違う仕事をしているわけでありますから、そこで、じゃあ、何かの決定については、保存期間は、うちの局は何年だねというのは、それは基準を参照しながらオリジナルに決めているというのが実態であろうと思いますので、今ご答弁にありましたように、今後は、この保存期間の設定状況について計画的に確認をしていただけるということで、文書担当所管局がしっかりと、そのばらつきというかな、これは何年期間というので間違いないでしょう、正しいでしょうということを、一回、棚卸しというか、総チェックをしていただけるように改めて要望をさせていただきたいと思います。
 ところで、国立公文書館長の加藤丈夫さんは、公文書に関する我が国が取り組むべき課題を二点挙げているわけでございます。
 一つは、しっかりした研修が実施をされていない、だから、しっかりした研修がこれから大切なんですよということをいっている。もう一つは、専門家が決定的に不足しているということを挙げています。専門家であるアーキビストの育成が必要だと、このように国立公文書館長さんはおっしゃっているわけであります。
 これは、東京都においても、全庁の文書管理をこの際レベルアップしていくためにも、総務局の担当セクションには外部から専門家を配置することも検討していいのではないか、このように思いますけれど、見解を伺います。
 また、研修につきましても、各局文書担当には、より専門性の高い研修を実施するとともに、一般の職員の方々に対しても、質、量ともにその内容を充実させていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○西山総務部長 専門家の配置については、今回の条例改正では、専門的見地から調査審議いただくため、学識経験者などから成る東京都公文書管理委員会を置くこととしております。
 また、これまで文書課や各局で行っている研修に加え、今後は、専門性を有する公文書館職員による新たな研修を行うこととしてございます。
 今後とも、外部の専門家の意見を取り入れることや研修内容の見直しを行うなど、公文書の適正な管理を一層推進してまいります。

○両角委員 ここで条例改正もありますし、あるいは公文書館もあれだけ立派なものがここででき上がってくるということで、ハード、ソフトともに環境が整備をされてくるということであります。ぜひとも、今いったように、中身の人材のレベルアップも図っていただくと同時に、先ほどもお話ししましたが、東京都の公文書館が、そもそも、全国の県の公文書館から学びに行こう、あそこに研修に行けばといわれるように十年後を目指していただきたい、このように思います。
 ところで、公文書の適切な管理と情報公開というのは、当然、表裏の関係にあります。この表裏の関係にあるわけでありますが、私、前から感じているんですけれど、公文書を所管するのは総務局、一方で、情報公開を所管するのは生活文化局と、違う局が表裏のことをやっているというのが今の東京都の体制なわけでありますけれど、今、情報公開の推進ということを政策の大きな柱に据えて取り組んでいるのが小池都政です。
 こういう小池都政にあって、透明性と信頼度をより高めた文書管理と情報公開を進めていくためには、この所管組織を一体化して総合的な政策推進を図っていくべきではないかと思いますけれど、見解を伺います。

○西山総務部長 情報公開を進めていくためには、その土台となる公文書の適正な管理が重要でございます。こうしたことから、実務においては、文書総合管理システムと情報公開システムを連動させ、円滑な情報公開に努めております。
 文書課では、公文書管理制度の運用のほか、条例の立案、法令解釈等、広範な業務を行ってございます。
 今後も、適正な公文書管理に努め、情報公開担当とも緊密に連携してまいります。

○両角委員 検討はしていただきたいんですよね。
 例えば、今回、この定例会に出されている第百四十八号議案、これは何かというと、東京都情報公開条例の一部を改正する条例であります。この条例は文教委員会に付託をされているんですね。
 本来であれば、この公文書館条例や、あるいは文書管理の問題と一体で、同じ局で審議をされるべきではないかと、私はそう思っています。総務局でやるべきじゃないかと。両方の面から、きちっと同じ委員会で審議がなされるべきではないか。同じように取り扱う業務を二局にまたがることによるそごというのがあるのではないかと思いますので、今、実務上は連携をして進めていただいているということは理解いたしますけれど、しかし、今後、小池都政というのは、しっかりした文書管理、そして、片方にしっかりとした情報公開を進めるという立場で進んでいるわけでありますから、その部分もぜひとも前向きに考えていただきたい、このように要望させていただきたいと思います。
 文書管理の最後の方になるんですが、電子決裁について伺いたいと思います。
 東京都では、今、判こレスということを掲げまして、行政文書の電子決裁化を進めているところでありますけれど、電子決裁のメリットとしては、ペーパーレスによる、当然、紙の使用の削減、あるいは、一番大きいところは文書の改ざんの防止ではないかと思いますし、あるいは決裁時間の短縮、意思決定にも影響を与えてくるのではないかなと、そんなふうにも思います。
 そこで、都庁内の電子決裁導入実施状況を伺いますとともに、今後の公文書のデジタル化推進について伺います。

○西山総務部長 都では、総務事務改革の一環として公文書の電子決定を推進しており、令和二年度末には八〇%を目標に、年度ごとに電子決定率の目標を設定し、全庁を挙げて取り組みを行っております。
 平成三十年度は、特に総起案数の過半数を占める課長決定事案における電子決定の徹底に取り組んだ結果、三十年度末は、三〇%の目標に対し三八・二%の実績となりました。
 今年度は、書面決定理由の最も大きな割合を占める契約、支出関係の起案文書の電子化に重点的に取り組んでございます。
 今後も、目標の達成に向け、公文書の電子化を進めてまいります。

○両角委員 今、公文書館あるいは公文書管理条例の一部を改正する条例等々について伺ってまいりましたが、今回、一つの節目であると思います、東京都のこの文書管理等々について。ですので、この機に、都の公文書管理と情報公開を、より一層、都民から信頼される、全国に誇れるものとしていくべきではないかと思いますが、局長の決意を伺います。

○遠藤総務局長 都政の透明化、見える化を進めていくためには、情報公開の基盤である公文書の適正な管理が何よりも重要でございます。
 平成二十九年度に公文書の管理に関する条例を制定いたしまして、公文書管理の理念と文書による事案決定の徹底や、政策の形成過程を明らかにする文書の作成義務を規定するなど、全庁的なルールを確立し、さまざまな機会を捉え、制度の定着に取り組んできたところでございます。
 今回の改正では、来年四月の新公文書館の開館に合わせ、後世に残すべき公文書を確実に移管し、都民が利用できる制度を導入するとともに、学識経験者など第三者により構成される東京都公文書管理委員会を新たに設け、適正な公文書管理についてご意見をいただくなど、透明性の向上を図ってまいります。
 委員からお話がありましたように、将来振り返ってみたときに、今回の公文書館の開設が極めて重要なエポックになった、そのように評価されるよう、局一丸となって適正な公文書の管理に取り組むことで、より一層、都民に開かれた都政を実現してまいります。

○両角委員 期待したいと思います。
 引き続きまして、事務処理特例を活用した事務移譲について伺いたいと思います。
 二〇〇〇年の地方分権一括法の施行によりまして機関委任事務制度が廃止をされ、そして、条例で都道府県事務権限の一部を市町村に移譲できる事務処理特例制度が創設をされたわけであります。
 そこで伺いますけれど、この制度創設以来、二十年近くがたっているわけでありますが、都の市区町村への事務移譲の現状を伺います。これまで、どのような事務がどれほど移譲されているのか、また、事務移譲に係る具体的な都と市区町村の協議について伺います。

○佐藤行政部長 都はこれまで、事務処理特例制度によりまして、屋外広告物の規制に関する事務や、心身障害者の医療費の助成に関する事務など、特別区に八十四項目、市に七十七項目、町村に三十項目の事務を移譲してまいりました。
 事務の移譲に当たりましては、地方自治法の定めによりまして、市区町村と協議を行う必要がございます。
 そのため、都におきましては、特別区長会、東京都市長会、東京都町村会を通じまして市区町村に協議を申し入れまして、実務担当者レベルでも協議を行いまして、合意を得た上で事務移譲を実施しております。

○両角委員 これまで、特別区には八十四項目、市に七十七、町村三十というお話でございました。どうも都からのアクションで事務移譲というのが動き出している、市区町村に対してですね。そんなふうに理解をさせていただきました。
 東京都の事務が区や市や町村の事務に移譲される、そうすると、当然、受けた自治体は、人、マンパワーを割かなきゃいけない、お金を使うということになるわけであります。
 そこで、移譲された事務に係る財源措置について伺いますが、財源措置については、事務処理特例交付金によりなされているわけでありますが、具体的な交付金の算定方法について伺います。

○佐藤行政部長 事務処理特例制度により移譲された事務の経費につきましては、地方財政法の定めにより、都道府県が必要な財源の措置を講じることとされております。市区町村に対して事務処理特例交付金を交付しております。
 具体的な交付金の算定方法につきましては、移譲対象となる事務ごとに処理時間や人件費を勘案した単価を設定いたしまして、その上で、その単価に処理件数の実績を乗じて各市区町村の交付額を算定しております。

○両角委員 具体的な方法を教えていただきました。単価設定をし、そして、実績に応じてお金を払うということで、合理的なやり方をされているというふうに思います。
 ただ、市区町村のサイドから見ると、その単価が合理的で適正なのか--単価設定ですね--という点がちょっと疑問として……。わからないですよ、実際には。私としてはあると。だから、現実に市区町村に超過負担が生じていないのかということが問題だと思います。
 今回の条例改正に当たっても、例えば受動喫煙防止条例の事務は、保健所を持っている政令市や区に行くわけでありますけれど、これはどのぐらいの事務量があって、どのぐらいがふさわしいんですよということをきちっと、実際の事務を執行してくれる市区町村の意見を聞いて、適切に実施すべきだと思います。
 以前、私は選挙の費用--選挙の費用も同じ構造にあるんですね。選挙の費用は、東京都の選挙だったり、国の選挙だったり、単価が決まって、その費用は、国政選挙だったら国が出す、都の選挙だったら都が出す、そういうシステムですけれど、超過負担が生じているんですね、実際は。一生懸命、投票率を上げようと思えば思うほど、そういう努力をすればするほど超過負担が出ているという実績を示して、ちょっとそこは努力してくださいねといったことがあるんですけれど、こういった事務移譲についても、やはり事務を受ける方が嫌になっちゃうよということがないように、そこはしっかりと区市町村と意見の交換を密にして実施していただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 次に、事務移譲が行われるということは、基本というか、東京都の事務が、区や、あるいは市や町村に移るということですから、そのように考えれば、理論的には、都でこれまでその当該の事務を担当していた部署の事務量というのは減るんだということになりますよね。
 こうした事務量の変化に柔軟に対応して、東京都の体制を速やかにシフトしていくべきだ、これが筋だと考えるんですけれど、事務移譲した後の都組織の対応について伺います。

○佐藤行政部長 近年、事務処理特例制度により移譲される事務は、法改正などによりまして新たに発生した事務となっております。
 今回、本定例会におきまして議案としてご提案し、移譲を予定しております受動喫煙防止条例に基づく事務や、マンションの適正な管理の促進に関する条例に基づく事務は、条例の制定によりまして新たに発生する事務を区市に移譲するものとなっております。
 今、両角理事からお話がございましたとおり、原則といたしまして、事務の移譲や新たな事務の発生など、事務量の増減が生じた場合には、それぞれの事務量に応じまして、効率性の観点などから、人員配置をシフトするなど適切に対応することが必要であるというふうに考えております。

○両角委員 ありがとうございます。その事務量に応じて適切に対応することが必要であるというご答弁をいただきました。
 先ほど来お話がございました、七十七とか三十とか、東京都から基礎自治体に事務移譲した事務について、それが新たな事務なのか、あるいは東京都が今まで持っていた事務が行って、東京都が身軽になったのかというのを、実は、所管の担当課長さんとお話をやりとりしている中では明らかになりませんでした。把握を十分されていないんじゃないかというところもありましたので、しっかりと事務移譲の原点というか、それは事務量がふえればふえるということもあるでしょう。しかしながら、事務を渡して区市町村がやっているのに、東京都が減ったのに、その体制が何ら変わらないとか、そういうこともあってはならないと思いますので、ちょっとそこら辺をしっかり調査もし、対処をしていただきたい、このように思います。
 事務処理特例と同様に、元来、東京都に属する事務を住民に身近な基礎自治体で処理できるようにした仕組みとして中核市制度がございます。私の地元の八王子市は、二〇一五年に中核市の指定を受けました。その結果、まちづくりを初めとした多くの事務をみずからの権限で行うようになりました。こうした権限の中には、都の重要な施策に関連するものも含まれているわけでございます。
 東京都は、国の基準以上の、例えば上乗せをし、あるいは横出しをし、都独自の政策メニューを用意して、そして課題解決に取り組んできた。象徴的なのが、小池知事が就任をされてから三年で待機児童が五千人減ったということでありますけれど、これも、例えば保育士さんの家賃を補助するという、都が新規に補助メニューをつくったり、そういうメニューをいっぱい出しているわけであります。
 そういったことによって政策効果が出てきているということなんですが、都内で唯一の中核市である八王子市というのは、実はこうした補助を活用することはできません。これは、みずから中核市として名乗りを上げたからなんですけど、必要に応じて市単費で対応しているというのが実態なわけであります。
 基本的に単独費対応をせざるを得ない八王子市にとって、しかし、東京都の予算の発表があって、隣の日野市では使える新規の補助ができましたとかいうと、八王子市は困っちゃうんですね。ですから、新規の補助創設の事前の段階で、情報提供や都との意見交換があれば、その後の対応も八王子市もやりやすいだろう、このように考えるのですが、見解を伺います。

○佐藤行政部長 中核市は、身近な市町村でできるだけ行政を行うことができるようにするため、政令指定都市に次ぐような規模、能力を有する都市の事務権限を充実するために設けられた制度でございます。
 中核市の指定を受けることによりまして、法定移譲事務に関連する都単独事務や補助金は、原則といたしまして、その市がみずからの責任と判断のもとに実施すべきものではございますが、八王子市からの要望を受けまして、昨年度から、中核市が対象外となる都単独事務、都補助金を調査いたしまして情報提供を行っているところでございます。
 今後とも、適切な機会を捉えまして情報提供を行っていく考えでございます。

○両角委員 適切な機会を捉えて情報提供していただけるということでございます。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 最後になります。この事務処理特例による事務の移譲は、メリットがあるから実施をするんだというふうに理解いたします。東京都は、事務を身近な区市町村にやってもらって身軽になって、その分、広域的な視点からの行政に注力をできるとか、あるいは区市町村は、戦略的に事務移譲を受ければ、ひょっとしたら自分のまちづくりがやりやすくなるという使い方もできるのではないかと思います。
 都と市区町村が、この制度の意義、メリット、そういうことも十分に理解をし、東京都は積極的に市区町村への事務移譲をサポートすることが重要ではないかなと私は考えます。
 そこで、事務処理特例を活用した事務移譲について、都の考え方と今後の取り組みを伺います。

○佐藤行政部長 住民に身近な行政は、基礎的自治体である市区町村の判断と責任のもとですることが地方分権の理念であると考えております。
 こうした考えに基づきまして、都はこれまでも、事務処理特例制度などを活用しながら、個別の事務につきましては市区町村と協議を行いまして、身近な事務権限を移譲してまいりました。
 今後とも、都は、市区町村がその規模や能力に応じまして、主体的な判断によりまして地域の実情を踏まえたサービスを行えるよう、適切に対応してまいります。

○古城委員 私からは、付託議案のうち、第百四十号議案、東京都公文書の管理に関する条例の一部を改正する条例及び第百四十一号議案、東京都公文書館条例に関連して質問をいたします。
 都議会は当然といたしまして、一人の都民であっても、都政を厳しく監視することができます。さまざまな方法がありますが、行政文書など公文書の分析、研究を通して問題点を白日のもとにさらすことは、とりわけ強力な手段であると考えます。
 しかし、日常業務の中で公文書が適正に管理されているかどうかを外部からチェックすることは難しく、都庁の職員の皆様の自覚にかかっていると考えます。その自覚は、東京都情報公開条例の理念の深い理解なしには生まれないと思います。
 都の情報公開条例は、公文書のうち、都庁職員が職務に関してつくり、組織的に用いる行政文書を開示することで、都の都民に対する説明責任を全うし、公正で民主的な行政の推進に役立てることを目的としています。まさに公文書は、都民と都政をつなぐ接点であります。
 また、都庁の職員の皆様にとりましては、政策実務の正確な経緯を公文書として残すことは歴史的使命でもあります。
 各局の取り組みに加え、第三者的な立場からチェックを行うことにより、公文書が適切に取り扱われる仕組みを構築すべきです。
 以上を踏まえまして、歴史公文書等を後世に残す意義は何か、また、その意義を踏まえ、どのように取り組んでいくのか、あわせて見解を求めます。

○西山総務部長 公文書は、都の政策決定過程を明らかにする都民共有の財産でございまして、特に必要なものは後世に残さなければなりません。
 こうしたことから、都は、文書による事案決定を徹底するとともに、重要な事案の決定に当たっては、その経過等を明らかにする文書の作成を義務づけてございます。
 今回の条例改正により、学識経験者など第三者により構成される東京都公文書管理委員会を新たに設け、歴史公文書等として公文書館に移管する指針を定めることなどについて、専門的な見地からご意見をいただくこととしてございます。

○古城委員 公文書に関連しまして、一点、申し上げさせていただきたいと思います。
 昨年の予算特別委員会において、都の公文書が、開示請求前に共産党にだけ流れていたという流出疑惑が浮上いたしました。故意であれ、過失であれ、流出したということ自体が問題であり、我が党が指摘したとおり、都民の財産ともいうべき公文書を恣意的に扱ったのではないかとの疑念を抱かざるを得ません。このようなことが今後二度と起こらないよう、重く受けとめる必要があります。
 そこで、公文書管理の骨格をつかさどる総務局においては、新公文書館の開設を契機に、公文書管理の厳格化に向けた取り組みを強化するべきと考えますが、見解を求めます。

○西山総務部長 各局で管理、保存されている公文書の管理が適正に行われますよう、管理状況を点検し、公表する仕組みを導入するとともに、平成三十年度からは、文書課の職員が各局に赴いて管理状況を実地にチェックする取り組みも行ってございます。
 新たな公文書館において移管された公文書は、適切な利用を確保するために、セキュリティー対策、劣化防止対策等が講じられた場所に原則として永久に保存し、利用請求があった場合には、個人情報の有無等の利用制限を適正に判断した上で利用に供するなど、公文書を厳格に管理してまいります。

○古城委員 別の話題に参りたいと思います。
 先ほど両角理事からは、新しい公文書館の件、実際に赴かれて、さまざまなご提案等もございましたけれども、私も、実は、きょうの午前中、現公文書館にお邪魔をして、一点、資料の開示を受けてきたところでございます。
 どういう資料、公文書を閲覧、また複写してきたかといいますと、明治三十五年ですけれども、当時の私立学校令に基づく各種学校の設立の届け出が東京府に出されまして、これを東京府が認可し、当時の文部省に報告をした、この経緯がわかる文書でございます。
 この文書には、単なる願い、また、その認可の書面のみならず、その学校の規則も添付をされておりまして、その規則の中には、授業時間であるとか、また学生の入学、卒業に関すること、さらには試験に関すること、そして学校の敷地図等も描かれてございます。
 なぜこれを閲覧、複写しようと思ったかと申し上げますと、これは、当時の牛込区、現在の私の地元の新宿区にこの学校があったからであるわけですけれども、資料を閲覧いたしまして、当時は全て墨、筆であろうかと思いますので、なかなかの達筆で、少し私も解読できない部分もありましたけれども、しかしながら、今申し上げた、大変有名な、具体的に申し上げると、NHKの大河ドラマにも、今、「いだてん」の中で重要な人物として登場している嘉納治五郎氏の設立でございますけれども、そういった歴史上の偉人、著名人の活躍、活動を、この閲覧、複写した公文書の中からイメージすることができる、そういったこともありましたし、また、私自身としても、大変個人的な歴史ロマンを駆り立てられる、こういったところが、まさにきょうの午前中からこの委員会開会前までの出来事でございました。
 私個人のことを申し上げましたけれども、広く都民の皆様に、この公文書館の意義を感じていただくという意味でも、このような、かつての東京府、また東京市、当時の資料も含めて、都民としての誇りであるとかアイデンティティー、また、東京都の成り立ち、そういったものも確認をしていただける、そういう場であるということを改めて認識いたしました。
 そして、きょう、行ってまいりました公文書館では、今から二年前の十月に、「東京府・東京市行政文書の世界 明治前期を中心に」という展示があったそうでございますけれども、このパンフレットによりますと、今、東京都の公文書館においては、東京府、東京市の基本政策や行政機構のあり方、鉄道や水道などの都市インフラ整備、学校や会社の設立申請書等、幅広い領域にわたる豊かな内容を有しており、東京の都市形成過程を知る上で貴重な資料ですと、こういうふうに記述がございます。まさにこのとおりであると実感したということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 したがいまして、歴史的検証や都民の知的欲求にかなう取り組みを引き続き積極的に行っていただきたいと要望いたします。そのためにも、新たな新公文書館における施設の充実というものは大変に重要であると思います。
 来年の四月にいよいよ新たな公文書館が開館をするわけですけれども、新施設は、都民の皆様にとって利便性向上にどのようにつながっていくのか、見解を求めます。

○西山総務部長 新公文書館は、これまでの役割に加えまして、多くの都民に利用しやすい施設となるよう、新たに公の施設として設置をいたします。
 具体的には、環境やユニバーサルデザインに配慮した最新の施設であり、グラフィック、タブレット等を活用して、江戸から東京への歴史の展開をわかりやすく展示し、新たに設ける研修室においては、都民向けの古文書講座等も開催をいたします。また、研修室は都民に貸し出し、有効に活用していただきます。
 あわせて、来館することなく、いつでもインターネットで貴重な歴史資料の画像データを見られるよう、デジタルアーカイブの整備などにも取り組んでまいります。
 こうした取り組みにより、都民の利便性を向上し、多くの都民に親しまれる施設としていくよう努めてまいります。

○古城委員 二つの視点から今回質問させていただきましたけれども、都民共有の財産であるとお示しをいただきましたが、この公文書の管理が適正に行われるとともに、都民の皆様にとって親しみある新公文書館となることを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員 私からも、公文書管理条例についてお伺いいたします。
 これまでの質疑の中で、新しくできる新公文書館が本当にすばらしい公文書館だという話がありました。それは歓迎することなんですけども、やはり一番大事なのは中身なんです。このすばらしい公文書館を通して、公文書の管理、そして情報公開というものが、何よりも民主主義を支える重要な制度であるということをしっかりと踏まえて取り組んでいただきたいなというふうに思うわけでございます。
 本条例というのは、豊洲市場の問題で、意思決定の過程が文書できちんと残っていなかったという問題をきっかけに、平成二十九年度に、公文書の管理をしっかりしなきゃいけないということで制定されたんだと記憶しております。
 現行の条例を読みますと、公文書の作成や保存、廃棄等々の規定があるわけですけれども、例えば作成であれば、事案を決定するに当たっては、極めて簡易な事案を除き、文書によりこれを行わなければならないとなっているわけです。
 今回、歴史公文書の移管などの規定が加わりまして、東京都の公文書管理の仕組みの中身も、今回の改正によって一応完成するという説明だったわけですけれども、しかしながら、現実として、急にこの条例ができたから、重要課題の意思決定に関する事務文書がつくられていないというようなことがないような、そういったことが起きないようになるとは、私たちはなかなか、まだ実感として湧かないのが現実です。
 そこで、改めて確認するわけですけども、そもそも公文書とは一体何なんだと。また、今回の条例改正で歴史公文書等が新たに定義されるわけですけども、このことによって公文書の定義はどう変わるのか、お伺いいたします。

○西山総務部長 東京都公文書管理条例におきまして、公文書とは、実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいいます。
 今回の改正は、公文書の定義自体は変更せず、歴史資料として重要な公文書その他の文書を歴史公文書等として定義づけるものでございます。

○鈴木委員 今回の条例改正というのは、ある意味、内容は変わっていないと。そもそも公文書というものは、本条例によりますと、事案を決定するに当たっては、文書によりこれを行わなければならないという、意思決定に当たっての公文書の作成が必須だったということは変わりがないということを確認させていただいたわけですけれども、これまでの小池都政の中で、この東京大混乱を引き起こしている現実の中で、今、築地の再開発の話があるわけでございますけれども、この意思決定が、どうしても私たちにとっては、どこでどのようにされているのかというのが、いまだに説明されていないのが現実であり、きちっとその部分においては、この条例がしっかりとできたわけでございますので、これから、ある意味、検証していくためにも、しっかりと運用していただきたいなというふうに思うわけです。
 特に、平成二十九年の築地再整備の基本方針の市場のあり方戦略本部の、築地は守る、そして豊洲は生かすというような、そういった方針が出てくるわけでございますけれども、このときの市場のあり方戦略本部が上げてきた案は、小池知事の発言によると、A案、B案、C案、D案、いろいろな案がありました、そして、その案の中で、私がいろんな見地、それは日本一の世界に誇るブランド、築地のブランドというのは、長い間、汗水流して、必死の思いで育て、そして守ってきた市場の方々に対して真に向き合っていく必要があるからこそ、今回、両方を生かすというような決定をしました、そして、日本が育ててきた築地の伝統やブランドを、私はこれからもこれを守っていくんだという信念と、豊洲の累積のいろんな負の遺産を残してはいけない、そして、次の世代への思いと、これから日本一の世界に誇る築地ブランドからの食に魂を込めまして、この築地を再開発するという基本方針の判断に至ったところでございますというような話があるわけです。
 記者会見の中で、最終的に、四案がある中で、さまざまな案があった中で、意思決定をしたのはどなたなのかという話が出たわけですけども、知事みずから一人で決めて、AIだからというようなわけがわからない話になったわけでございますけれども、この文書、本条例に照らし合わせると、事案を決定するに当たっては、文書によりこれを行わなければならないとなっているわけですけども、そもそもこのようなことが起きているということ自体が、公文書の管理について、どこまで厳格化がされていくのかというような、そういった疑念になっていくわけでございます。
 同時に、この政策の意思決定が、事後検証のためにも、これから公文書をちゃんと作成していくことが重要であるというふうにいわれて、今回の条例改正になるわけですけども、公文書管理を厳格に行うには、今回、どのような制度改正が具体的に行われるのか、お伺いいたします。

○西山総務部長 今回の条例改正におきましては、外部の専門家から成る東京都公文書管理委員会を新設し、公文書館へ移管すべき公文書の基準を示したガイドラインの策定や、運用状況についてご意見をいただくことといたしました。
 このガイドラインを参考に各実施機関で移管基準を策定し、移管すべき公文書を確実に公文書館へ移管します。
 また、公文書の所管部署でない公文書館の専門的な職員も、ガイドラインに基づく公文書の廃棄に関与し、厳格な公文書管理を行ってまいります。

○鈴木委員 今お答えのように、公文書管理に専門的な第三者の視点を取り入れることで、公文書の適正な管理を進めていくということであるわけですけども、総務局がきれいにこの制度を整えたとしても、一番大事なのは運用、都政の現場をそれぞれ持つ各局なわけです。
 先ほど、公文書館へ移管すべき公文書の基準を示したガイドラインを委員会で審議するとの答弁がありましたけれども、これも、ガイドラインをつくったところで、これを守らなければ何の意味もないわけです。ガイドラインに反して、残すべき文書を廃棄してしまえば、そこに書かれた内容というのは、当然、永久に失われてしまう。
 せっかく整備した公文書管理制度が骨抜きにならないような厳格な運用に向けて、しっかりと本当に取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれども、見解をお伺いいたします。

○西山総務部長 公文書の管理が確実に行われますよう、公文書の管理状況を各実施機関が点検して、その結果を公表する仕組みを平成二十九年の条例制定時に導入するとともに、昨年度からは、所管局以外の部署の視点から、総務局が公文書の管理状況をチェックする取り組みを始めてございます。
 また、公文書の管理を適正かつ効果的に行うために必要な知識、技能を習得させるための研修を文書課及び各局において行っており、条例改正後は、専門性を有する公文書館職員による新たな研修も行うこととしております。
 今後とも、こうした取り組みにより、公文書の管理を厳格に進めてまいります。

○鈴木委員 この件、これまでも質疑されましたので、重なるところはもう質問いたしませんけれども、やはり条例の第一条、目的には、都政運営に関する公文書が、都民による都政への参加を進めるために不可欠な都民共有の財産だと規定してあるわけです。これが看板倒れにならないようにすることが何よりも大切なわけで、今回、公文書館へ移管すべき公文書の基準を示したガイドラインをしっかりとつくる、そして、委員会で審議するというような話もありましたけれども、一番大事なのは、今もお話をさせていただいたように、現場を預かる職員一人一人の意識だというふうに思っておりますので、このことを肝に銘じて、しっかりと取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○とくとめ委員 それでは、付託議案の百四十号議案、東京都公文書の管理に関する条例の一部を改正する条例案について、賛成する立場から、できるだけよりよい内容にする、そういう観点から質問をさせていただきます。
 今回の公文書の管理に関する条例の改定は、来年の四月に世田谷区の玉川から国分寺市に移転するという新しい公文書館に合わせて、公文書の管理に関する条例を改定するものだということであります。
 公文書といえば、この間、都政の中では、築地市場から豊洲新市場への移転のときに、都政における大問題となりました。土壌汚染対策としての盛り土がやられていなかったということが大問題になりました。その経過を示す公文書としての会議の議事録が残っていなかったということが、大きな驚きと注目を集めて、今回の公文書の管理強化の大きな契機になったものであります。
 また、同じように、国会においても、公文書の改ざん、偽造、隠蔽が国政の大きなゆがみの象徴として、注目や関心、怒りの的にもなってまいりました。
 今回の条例案の第一条の目的にあるように、まさに都政運営に関する公文書が、都民の都政への参加を進めるために不可欠の共有の財産であり、都政における透明化は、都政のゆがみを正して、都民に開かれた都政、都民が主役の都政にしていく上で極めて重要な条例案だということを痛感しております。
 最初の質問でありますけれども、東京都では、毎年、どの程度の公文書が作成をされているのかについて、おおよその数を伺いたいと思います。

○西山総務部長 公文書管理条例の実施機関が平成三十年度中に新規に作成または取得し、文書総合管理システムに登録した件数は約百二十万件でございます。

○とくとめ委員 登録した件数は約百二十万件ということでありました。
 都の執行機関で作成される公文書のうち、既に公文書館に引き継がれている文書は、現在、おおよそどのくらいが管理をされているのかについて伺います。

○西山総務部長 昭和十八年の東京都制施行から平成三十年度末時点までに、公文書館に引き継がれた公文書は約九十五万件でございます。

○とくとめ委員 七十六年間の都政の歴史を語る公文書が、約九十五万件、公文書館に引き継がれて管理されているということでした。
 都の公文書館のうち、とりわけ知事がかかわる都政運営の計画や、これにかかわる策定経過の公文書は、どのくらい公文書館で保存される仕組みになっているのかについて伺います。

○西山総務部長 都政の運営に関する一般方針の確定に関する起案文書は、文書管理規則により長期に保存すべきものとされており、全て公文書館に引き継がれ、保存されております。
 また、重要な事案の決定に当たっては、その経過等を明らかにする文書を作成することとなっておりまして、こうした意思決定の根拠や経過がわかる資料も起案文書に添付され、公文書館で保存されます。

○とくとめ委員 この条例の目的規定に、知る権利を明記すべきとの意見がパブコメで寄せられております。東京都の情報公開条例の前文にも知る権利が明記をされているように、都民が知ろうとする東京都の保有する情報が得られるよう、情報の公開を一層進めていかなければならないと明記されています。
 知る権利をこの条例の目的規定にも明記すべきではないかと思いますけれども、いかがですか。

○西山総務部長 知る権利は、最高裁判例において、情報開示請求権という意味で用いられていないことや、学説上も、知る権利の範囲について見解が分かれることから、都としては、法令用語としては用いておりません。
 このため、今回の条例改正では、知る権利の趣旨を実質的に取り入れることから、目的規定に、都民が主体的に公文書等を利用し得ることに鑑みという文言を追加したものでございます。

○とくとめ委員 目的規定に、都民が主体的に公文書等を利用し得ることに鑑みという文言を追加したということですが、このことにより、知る権利の趣旨について、実質的に趣旨は反映されているというような答弁でした。
 しかし、この精神を知る権利として明記することこそ、知る権利本来の実質的な効果、役割を発揮できるのではないかと思います。
 この知る権利については、東京都の情報公開条例の前文に書かれていることは先ほど紹介しました。そこには、都民の知る権利が情報公開の制度化に大きな役割を果たしていることを認識すべきということも書かれてあり、都民の知ろうとする東京都の保有する情報を得られるよう、情報の公開を一層進めていかなければならない、こういうことも書かれて、この知る権利の大事な意味、公文書館にもこの精神で役割を果たしていくように明記すべきだ、このことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、庁舎において、公文書はどのような媒体で保存されているのかについて伺いたいと思います。
 また、条例の第八条では、適切な記録媒体で保存しなければならないとありますけれども、公文書の電子化が進む中において、その記録の保存について、どのような取り組みがなされているのでしょうか。お伺いします。

○西山総務部長 庁舎における保存については、紙やフィルム、電磁的記録などの媒体で行われております。
 電磁的記録の保存は、セキュリティー対策等が講じられたファイルサーバー等で適切に行われております。

○とくとめ委員 電磁的な記録に、さらにセキュリティー対策が施されたファイルサーバーで厳重に管理をされているということでした。
 新設される公文書館での特定歴史公文書等は、具体的にどのような記録媒体において保存されていくのでしょうか。また、その記録媒体の使用割合はどのくらいを想定されているのか、伺います。

○西山総務部長 公文書館における保存につきましても、同様に、紙やフィルム、電磁的記録などの媒体で行われることになります。
 記録媒体ごとの使用割合を現時点で想定することは困難ですが、都では電子決定を推進していることから、今後、電磁的記録による保存の割合が増加することが見込まれます。

○とくとめ委員 条例の第一条の現在及び将来の都民に対する説明責任を果たすことを目的とすることを実行するならば、公文書は、原則、全てを保存し、一定期間後は全て公開すべきだと考えますが、都の認識を伺います。

○西山総務部長 都民のために後世に残すべき公文書を確実に保存していく一方、公文書の効力や重要度に応じた保存期間を設定し、適切に管理することも必要でございます。
 また、公文書館で保存する公文書のうち、個人情報や法令による秘密情報に当たるものなどについては、適切に利用を制限するとともに、それ以外の文書については、積極的に一般の利用に供してまいります。

○とくとめ委員 豊洲新市場の移転の際に起きた、都にとって都合の悪い文書を恣意的に判断して廃棄されることがないように、このことを防ぐためには、どういう対策を具体化していくのでしょうか。そのことについて伺います。

○西山総務部長 都は、平成二十九年に新たに公文書管理条例を制定し、重要な公文書を廃棄する場合には、所管局でダブルチェックを行う仕組みを導入し、手続の厳格化を図っております。
 また、今回の条例改正では、学識経験者など第三者により構成される東京都公文書管理委員会を新たに設け、公文書の管理等に関する重要事項についてご意見をいただくこととしております。

○とくとめ委員 移転で新設をされることになる東京都公文書管理委員会の役割は、極めて重要な役割を果たすことになると思います。
 今回の公文書の管理条例の改定案において、後世に残すべき都の公文書の管理の仕組み、あり方を、都議会の議論を通じて知恵を集め、また、都民の意見も集めて整えながら、外部の専門家らによる第三者委員会の設置などを盛り込んだ透明性のある条例の改正案にすることが、多くの都民の期待と注目に応えていく道だと思います。
 最後に、冒頭でも述べましたけれども、この条例案に賛成する立場から、よりよいものにしたい、この思いを込めて修正案を提案することを述べて、質問を終わります。

○藤井(と)委員 私たちの会派からも、公文書管理条例についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 先ほど来、国における森友学園の問題等々、お話が出ていたと思います。東京都において、都そのものではありませんけれども、監理団体であるTSSにおいて、工事の監督における竣工写真が改ざんをされてしまったということでございまして、これは、定義でいえば、公文書そのものには当たらないというふうには思うわけでございますけども、これがもし都の実施機関の中で起こっていれば、公文書の改ざんだということでございます。
 今回の条例においての最大のポイントは、こういった改ざんなり、本来保存されるべき文書が恣意的に破棄されてしまったりだとか、そういった不正を起こさせないということが最大のポイントなのかなというふうに思っているわけでございますけれども、過去、東京都において、先ほどTSSの例を申し上げましたけども、公文書を破棄してしまったり、あるいは改ざんをしてしまったりだとか、そういった非違事例というのはどの程度あるのか、ないしは、過去の担当の職員さんなり、課に対しての処分の事例があれば、お伺いをしたいと思います。

○山口人事部長 公文書の不正な事故に係る過去の処分例といたしましては、工事を行う業者との間や他の自治体との間で取り交わす協定あるいは契約につきまして、正当な内部の意思決定を経ることなく公文書を作成し、締結したという理由によりまして、担当の職員及びその上司が懲戒処分となった例がございます。

○藤井(と)委員 今ご答弁をいただいたとおりだと思いますけれども、なかなか、何をもって公文書とするのか--先ほど話がありました市場移転をめぐっては、東ガスとの交渉過程が、東ガスの方はメモとして残っていたんだけども、東京都としては残っていなかったということでございまして、でも、それが公文書に当たるかどうかというのは、なかなかそれも線引きが難しいという議論があったと思います。
 この公文書の、そもそも定義というのは何なのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
 また、文書の保存期間においては、重要性に鑑みて、一年、三年、五年、十年、長期と、それぞれ保存期間を振り分けされておられると思うんですが、じゃ、これ、何をもってその重要性を判断されているのかという基準についても、正直いって、ちょっと曖昧に感じてしまうものでもございます。
 担当者なり、局が恣意的な判断で、本来、重要性があるにもかかわらず、ないものとして扱ってしまう、こういったものもかなり大きな問題だなと思うんですけども、これ、やっぱり局の中で判断をするということではなくて、第三者的な立場で、公平性なり、あるいは適正な運用というものを担保していくということがこれから大切なのかなというふうに思うわけでございますけども、その点についても答弁を求めたいと思います。

○西山総務部長 公文書管理条例において、公文書は、実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、フィルム等であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものと定義をしてございます。
 その保存期間は、文書管理規則でその基準を定め、各局はこの基準に基づいて保存期間表を定めております。
 総務局では、平成三十年度から、文書課の職員が各局に赴いて、所管部以外の視点から公文書の管理状況を実地にチェックする取り組みを行っております。

○藤井(と)委員 文書課の職員さんがその都度赴いてチェックをされているということなんですけれども、それでは東京都の役所の中のチェックになるということでございまして、やっぱり第三者性という意味合いにおいては、ちょっと弱いのかなというふうに思ったわけでございます。
 先ほど来の議論にも出ていたと思いますけども、東京都にとって都合の悪い文書というものが恣意的な判断で廃棄をされてしまうということをいかに防ぐかということがやっぱり大切なのかなと思っております。
 今回の決定ですと、都の第三者委員会が廃棄の判断に関して直接かかわるということを想定していないということでございまして、その点から一定の限界を感じざるを得ないわけでございます。
 全ての公文書を一々全部チェックするというのは、現実問題、なかなか難しい点もあろうかとは思うわけでございますけれども、保存期間を超えた文書につきましては、第三者委員会のチェックを経てから廃棄するということを義務づけていくなどの、一定の強制力じゃないですけども、こういったものを担保していく仕組みを導入しなければ、なかなかこう、恣意的に運用されてしまう、廃棄されてしまうということは防ぎ得ないのかなというふうに思うわけでございます。
 その点について、今回の条例等の改正によってどうやって変わるのかについて、最後にお伺いをしたいと思います。

○西山総務部長 都は、平成二十九年の条例制定を機に、重要な公文書を廃棄する場合には、所管局でダブルチェックを行う仕組みを導入して、手続の厳格化を図ってまいりました。
 今回の改正では、学識経験者など第三者により構成される東京都公文書管理委員会を新たに設け、移管または廃棄のガイドラインの策定や運用状況などについて、専門的な見地からご意見をいただくことといたしました。
 今後とも、改正条例に基づき、適切な公文書管理に努めてまいります。

○藤井(と)委員 ただいまの答弁では、第三者により構成される東京都公文書管理委員会において、移管または廃棄のガイドラインの策定、運用状況について意見をいただくというようなお話だったと思います。
 ガイドラインの策定、運用状況のチェックということだけではなかなか、先ほども申し上げましたけれども、公文書が恣意的に捨てられてしまうとか、重要性を恣意的に判断されてしまうということは防ぎ得ないというふうに思います。
 他の自治体の事例なんかですと、その第三者の委員会が、これはサンプル調査も含めて、できるだけ文書については直接チェックをする、見るというような仕組みを導入しているところもあるようでございますので、これは、今回の条例のある程度の強制力というんですかね、この点は担保する、条例の実効性を担保するという方法は、一歩踏み込んで考えていただきたいなということを最後に要望いたしまして、私たちの会派からの質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○山内委員 質問します。
 公文書管理条例の施行から二年、現在の実施状況及び改善点について、また、来年開館する公文書館について質問いたします。
 二〇一八年度の文書総合管理システムにおける保有件数は五百四十二万件、そして、作成、取得件数は百二十一万件となっています。このシステムに登録された文書を公文書件名の検索ページから探し出し、情報公開制度を使って公開請求することができます。
 しかし、ここに載っているタイトルは単独の文書ごとになっており、一つのテーマをファイルにまとめているものではありません。国の管理はファイルで行っています。
 文書管理は、関連した案件のファイルごとに整理、保存し、廃棄、移管する場合もファイルごとに行われるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○西山総務部長 都では、事案の重要度に応じてきめ細かく保存期間を設定し、管理することが可能になることから、公文書一件ごとに整理、保存しており、廃棄、移管の手続についても同様としております。
 なお、重要な事案の決定に当たりましては、その経過等を明らかにする文書を作成することとなっておりまして、こうした意思決定過程の根拠や経過がわかる資料も、一件の起案文書の中に一連の公文書として添付されることになります。

○山内委員 条例の第九条では、文書検索目録を一般の利用に供するものとして作成することになっていますが、実際には、目録はホームページの奥の方にあって、内容も文書名でないため、市民にとっては非常にわかりにくく、一般の利用に供するものとはいえないと思います。一般の人がわかるような目録をつくって、文書管理の流れがわかるようにしてほしいと思います。
 例えば、公文書管理条例をつくるまでの過程は、条例案の内部検討や専門家からの意見聴取、パブリックコメントなどがありましたが、それらの記録はどのように文書として保存されているのか、また保存期間はどうなのか、お伺いいたします。

○西山総務部長 公文書管理条例の立案に際し、総務局が作成した起案文書には、内部検討に関する資料、外部有識者に対する意見聴取、パブリックコメントに関する資料等が含まれ、全体として一件の公文書として管理しております。
 保存期間につきましては、長期の保存期間を設定しています。

○山内委員 つまり、今のお話でいくと、公文書管理条例の制定過程については、まとめて一つのファイル、ファイルと呼ぶのかどうかは別にしても、一つのファイルとしてまとめて、保存期間を最も長い長期に全てを合わせるということだと思います。今のご答弁でいいますと。その形式はわかりやすく、実際にはこうした管理がされていると思います。中身については、内部検討に関しても経過がわかるように、できるだけそこの中に入れておくよう要望いたします。
 次に、公文書の廃棄についてお伺いしたいと思います。
 文書廃棄に当たっては、廃棄目録を作成、公表し、パブリックコメントの実施を提案いたしますが、見解をお伺いいたします。

○西山総務部長 公文書の廃棄については、学識経験者などにより構成される東京都公文書管理委員会を新たに設け、公文書館への移管や廃棄を適切に行うためのガイドラインの策定等について、専門的見地から第三者の意見をいただく仕組みとしてございます。

○山内委員 廃棄する文書の数は膨大でありますが、ファイルにまとめて整理してあれば、かなり数は減ると思われます。
 パブリックコメントで意見はなかなか来ないかもしれませんけれども、透明性を確保することになると考えます。
 また、ガイドラインを策定するとのことですが、保存期間ごとの文書数を見ると、一年のものが非常に多く、保有件数の二二・七%を占めます。新規作成、取得件数に対しては三九・八%になっています。三年までの新規文書で見ると約七割に上ります。保存期間が短いものが非常に多いので、期間の妥当性について検討していただきたいと思います。
 さらに、文書廃棄決定文書の保存期間が五年ですが、国は廃棄目録を永久保存しております。都も同様の扱いにすべきと考えます。
 今回の条例改正案では、保存期間満了後の公文書を移管するか廃棄するかをあらかじめ決定することにしています。国の行政文書ファイル管理簿では、満了時の措置についても書かれています。
 公文書を移管するか廃棄するかの選別を実施した結果を明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。

○西山総務部長 今回の条例改正により、実施機関は、公文書について、保存期間の満了前のできる限り早い時期に移管または廃棄の措置を定めることといたしました。
 実施機関が定めた移管または廃棄の措置の状況につきましては、都民が閲覧できるよう、公文書の件名、保存期間等とあわせてインターネットで公開していくことなどを検討しております。

○山内委員 改正案十六条、十七条で、都が出資等をしている法人及び指定管理者に対して文書の適正管理を求めることになっていますが、情報公開条例との関係はどうなっているのでしょうか。
 また、オリンピック・パラリンピック組織委員会は、都から資金も職員も拠出している組織であり、事業協力団体です。組織委員会の文書を後に検証できるようにするために、豊洲の二の舞とならないように、交渉記録も含めて保存する必要があります。
 組織委員会の公文書管理はどうなっているのか、この条例改正によって、適正管理を求める対象とすべきと考えますが、見解を伺います。

○西山総務部長 今回の条例改正で、出資等法人及び指定管理者に対して、文書の適正な管理を行うため必要な措置を講ずる努力義務を設けましたが、情報公開条例も同様の趣旨を規定しております。
 また、本条例で規定する出資等法人の範囲は、情報公開条例と同様に、政策連携団体を対象とする予定でございます。
 このため、政策連携団体ではない公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会については本条例は適用されないこととなりますが、組織委員会では、大会運営の情報発信などの情報公開の取り組みを進めるとともに、大会後を見据えて、文書の保管について検討していると聞いてございます。

○山内委員 東京二〇二〇大会に関するさまざまな情報は、都だけではなく、組織委員会についても意思決定過程がわかるように記録を残し、きちんと整理、保管すべきです。
 代表質問への答弁で、知事も、組織委員会に対して、大会後、文書の保存、公開を促していくと述べております。
 これまでのオリンピック・パラリンピックについては、闇の部分が多くつきまとい、文書が残っていないために経過が明らかにされなかったことが幾つも報道されています。同じ轍を踏まないように、歴史的イベントだからこそ、当事者である都が組織委員会の文書をも含めて取得し、保存、管理すべきであることを重ねて申し上げておきます。
 新たに設置される公文書管理委員会についてお伺いいたします。
 公文書管理委員会は、公文書館への移管する基準や移管された文書の利用について審議することになっていますが、せっかく専門家が委員となるので、実施機関の公文書について、廃棄も含めて管理状況を評価、検証する役割も担うべきと考えますが、見解を伺います。

○西山総務部長 移管や廃棄を含めた公文書の管理全般の状況につきましては、公文書管理委員会に対し報告し、専門的見地からご意見をいただくこととなってございます。

○山内委員 文書の保管についてお伺いしたいと思います。
 電子文書は、これまでの紙文書と違って場所をとらないので、多くの文書が保存可能になります。電子文書での保存が基本となると考えます。
 紙の保存とともに、電子文書の保管について、リスクへの備えはどうなっているのか。実施機関及び公文書館、それぞれの対策をお伺いいたします。

○西山総務部長 実施機関及び公文書館で管理する電子起案文書は、庁舎内の外部と切断された専用のサーバー内で保存、管理をしております。
 このデータは、毎日、磁気テープにバックアップし、大規模地震等により庁舎と同時に被災することのないよう、遠隔地で保存をしております。

○山内委員 公文書館が公文書館法に基づき公の施設として条例設置となったことは、かねてから求めてきたので、よかったと思っています。
 公文書館がしっかり機能していくために、職員のスキルは重要です。アーキビストの育成やスキルアップを図るため、どのような取り組みを実施しているのか、お伺いいたします。

○西山総務部長 公文書館においては、専門的知識の向上や業務の継続性を維持するためにOJTを行うとともに、国立公文書館を初めとした外部機関と、資料保存やレファレンスなど公文書に関する課題について情報交換等を行っております。
 今後は、こうした取り組みに加えまして、職員を国立公文書館が主催する専門研修に派遣するなど、一層のスキルアップを図ってまいります。

○山内委員 今回の公文書管理条例の改正で、歴史公文書の位置づけや公文書館での利用、公文書管理委員会の設置などが加わり、条例のバージョンアップが図られました。
 運用に当たっては、第一条の、都政の透明化を推進し、現在及び将来の都民に対する説明責任を果たすという目的に照らして、市民にわかりやすく、アクセスしやすい仕組みをつくることが重要です。
 質問で述べてきた課題について取り組むことを改めて求め、私の質問を終わります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○小松委員長 次に、報告事項、平成三十年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について外八件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○森口委員 まずは、報告事項、犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方(案)について質問をいたします。
 都における刑法犯の犯罪認知件数は、昨年、十一万四千四百九十二件と全国で最も多く、長期にわたり身体的苦痛、経済的困窮、精神的苦悩に苦しめられている被害者やその家族に対して、穏やかな日常を取り戻すための支援を継続的に進めていくことが強く求められています。
 これまでも都におきましては、犯罪被害者等支援計画のもと、区市町村や関係機関と連携をし、犯罪被害者への支援を進めてまいりました。
 そして、さきの第一回定例会にて、小池知事は、私たち都民ファーストの会の提案を受け、犯罪被害者等支援条例の制定を表明されました。知事のこの決断を大いに評価したいと思います。
 条例は、被害者への支援に永続的に取り組むという都の姿勢を明らかにするものであり、予期せぬ犯罪被害に遭い、困難に直面をし、苦しむこととなる被害者の方々にとって、大いに勇気づけられ、そして心の支えになるものであります。今回、条例化することで、都における犯罪被害者への支援がさらに拡充することが望まれます。
 そこで、都として、これまでの支援の取り組みに加え、このたび条例化することの意義について見解を伺います。

○堀越人権部長 都はこれまでも、三期にわたり東京都犯罪被害者等支援計画を策定し、東京都総合相談窓口の機能強化を初めとして、被害者支援を幅広く実施してきました。
 一方、犯罪認知件数は減少傾向にあるものの、都内の認知件数は、依然として全国の約一割を占め、高い水準にあることから、被害者支援のさらなる充実が必要でございます。
 このため、今般、都の被害者支援の姿勢を明確に示し、社会全体での取り組みをより一層推進するため、条例の制定に取り組むことといたしました。
 このたび、都の責務や推進体制、基本的施策等について、東京都犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方(案)でお示ししたところでございます。

○森口委員 このたびの条例化により、都の犯罪被害者支援に対する積極的な姿勢を内外に示すとともに、都における支援の体制整備や支援の継続性が明確になるものであると考えております。本条例化により支援体制が強化され、支援がさらに拡充するよう要望いたします。
 次の質問です。
 犯罪被害者支援に関しては、既に十八の道府県にて条例を施行しているわけでありますが、このたび策定した都の条例の構成に関する基本的考え方案には、先行している他道府県の条例と比べ、特にどのような特徴があるのか、伺います。

○堀越人権部長 条例案の検討に当たりましては、既に施行されている他道府県の条例を検証するとともに、有識者懇談会における議論を踏まえ、条例の構成に関する基本的考え方を策定いたしました。
 特徴的な項目としましては、外国の方々を含む多くの人が住み、訪れる国際都市である東京の特徴に鑑みて、目的及び基本理念において、世界に開かれた成熟都市という表現を用い、基本的な施策において、都内に住所を有しない被害者への支援を掲げています。

○森口委員 外国人や都内に住所を有しない被害者への支援は、他の道府県にはない、都独自の規定であり、条例化に向けた積極的な姿勢であり、大変評価をしたいと思います。
 都は本年度、条例化に向けて有識者懇談会を設置し、検討を続けておりますが、他の道府県で先行している条例を参考にするとともに、都の犯罪被害者の状況についても調査を進めるなど、さまざま議論がされ、今回の基本的考え方案に至っているのだと思われます。
 そこで、この有識者懇談会におきまして、これまでどのような点が議論のテーマとなったのか、伺います。

○堀越人権部長 本年五月に設置した有識者懇談会におきましては、条例の目的や基本理念、都や関係者の責務など、条例を構成する基本的事項に加え、都が行うべき支援策や推進体制のあり方についても議論をしていただきました。
 主な意見としましては、外国人に対する支援を行うべきである、各機関の連携を強化する必要がある、都が区市町村をバックアップすべきである、窓口機能を高めるための人材の育成が重要である、被害者が相談しやすい環境づくりをすべきであるなどがございました。

○森口委員 有識者懇談会におきまして有意義な議論があり、各委員からのさまざまな意見を踏まえ、条例の構成に関する基本的考え方案が策定されたことがわかりました。
 また、有識者懇談会では条例の名称が議論されたと伺っております。
 都において、犯罪被害者は、東京都人権施策推進指針に規定がされているように人権課題でありまして、犯罪被害者の基本的な権利を保障することが求められております。
 国の犯罪被害者等基本法におきましても、前文及び第一条、第三条におきまして、被害者の権利と利益が明記をされ、さらに第五条では、それを守るべき地方公共団体の責務がうたわれております。
 そのような観点からも、今回、都が検討を進めている条例の名称は、支援条例ではなく、権利条例もしくは基本条例とすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○堀越人権部長 有識者懇談会における条例の名称に関する議論の中では、委員ご指摘のように、基本法には被害者の権利が認められ、犯罪被害者の権利に着目する立場から、権利条例が望ましいという意見もありましたが、その一方で、都の被害者支援の基本的事項を内容としていることから、名称は支援条例がふさわしい、条例は、国との役割分担を踏まえ、被害者支援に関し都として実施すべき施策を規定するものであるから、内容を踏まえると支援条例であると思うとのご意見もいただいたところでございます。
 有識者懇談会のこのような意見を踏まえ、今回の基本的考え方における名称は支援条例となっております。

○森口委員 有識者懇談会の意見を尊重し、都としては、条例の名称は支援条例がふさわしいと考えたとのことでありますが、権利条例もしくは基本条例が適切であるという意見もありまして、再度、この場で意見をしておきたいと思います。
 次に、都内の犯罪被害者が、区市町村や民間支援団体などいずれの機関に支援を求めた場合においても、必要とする支援がしっかりと受けられることが重要であります。
 一方で、犯罪被害者支援の一翼を担う区市町村の支援には差があります。犯罪被害者の専門相談窓口の有無、緊急で必要な資金の貸し付けの有無、区市町村における犯罪被害者等支援条例の有無など、支援の内容や支援体制が異なるわけであります。
 そこで、本条例の制定により、区市町村によって犯罪被害者が受けられる支援に差がある現状をよりよくしていく必要があると思われますが、支援にかかわる区市町村との連携について、都の見解を伺います。

○堀越人権部長 区市町村は、住民に最も身近な自治体として、日常生活に関連する多様な施策を実施しており、被害者支援を効果的に進める上で重要な役割を担う存在でございます。
 そこで、区市町村の支援業務の機能強化に向け、窓口対応の準備マニュアルの配布、区市町村連絡会における情報交換や区市町村窓口訪問による助言などをこれまで行ってきました。
 ご指摘のとおり、どの窓口に相談しても、被害者の方が安心して支援を受けられることは重要であり、都としては、条例の制定を契機に、個別の対応事例の検討会や専門人材の育成のための研修を実施するなど、それぞれの区市町村と緊密に連携し、ニーズに応じたきめ細かいサポートを行ってまいります。

○森口委員 区市町村連絡会により支援が進んでいる事例の紹介や、懸念事項のヒアリング、相談などを積極的に進め、都内のどこで犯罪被害者となった場合においても、必要とする支援がしっかりと受けられるよう、取り組みを一層推進していただきたいと思います。
 また、都は、区市町村や関係機関と連携をし、犯罪被害者の支援を進めていくには、支援に携わる職員の人材育成が大変重要であります。今回の基本的考え方案には人材の育成が規定されており、評価をいたします。
 そこで、都としてどのような人材育成の取り組みを実施していくのか、伺います。

○堀越人権部長 都は現在、犯罪被害者支援に従事する各機関の職員のスキルの向上等を目的として、講義のほかに、グループ討議などを取り入れた実践的な研修を幅広く企画、実施しています。
 具体的には、都職員や区市町村、企業及び被害者支援関連団体等の担当者、医療従事者などを対象に、ケーススタディーや当事者による講演などを実施しています。
 今後は、窓口における対応事例の検討会の実施や、受講生のレベルに応じた研修内容の工夫などにより、人材育成のさらなる充実を図ってまいります。

○森口委員 都の職員だけでなく、区市町村職員向け、企業向け、医療従事者向けにも研修を行っているとのことであり、すばらしい取り組みだと思います。今後、本条例の制定により支援が拡充をすることで、逆に人材不足が発生をしないよう、さらなる研修の充実を要望いたします。
 都における犯罪被害者支援の条例化へ向けた争点の一つとして、見舞金や一時的な貸付金など、被害者に対する経済的支援を行うか否かといった点も大変重要であります。
 そこで、犯罪被害者に寄り添った支援を着実に進めていくため、支援策について、今後どのような検討を進めていくのか、伺います。

○堀越人権部長 支援策の検討に当たりましては、被害者や被害者支援団体等を対象にした実態調査を実施し、被害後に直面した状況や支援に係るニーズ等を的確に把握していきます。
 実態調査等の結果も踏まえ、有識者懇談会において幅広く議論した上で、支援の実施体制や支援策の充実に向け、検討を進めてまいります。

○森口委員 都内の犯罪被害に関する実態調査を進めており、年内に取りまとめると伺っております。具体的な支援についても、今後、その実態を踏まえ、検討していくことがわかりました。
 犯罪被害者というのは、被害直後の直接的な被害だけでなく、七月に発生した京都の事件のように世間の注目を集める事件におきましては、マスコミの過度な取材や報道による精神的苦痛といった二次被害に苦しめられることが懸念されております。事件発生後、マスコミや社会との間に立ち、被害者の意思を代弁するなど、二次被害から被害者を守る取り組みが大変重要です。
 今後、都として、弁護士会と連携をし、必要と考える事件については、都の予算で犯罪被害者に弁護士をつけるなど、他道府県に先駆けた都独自の支援策なども積極的に検討いただきたいと要望いたします。
 最後に、本条例の制定と第三期支援計画の改定に向けた今後のスケジュールについて伺います。

○堀越人権部長 現在実施しているパブリックコメントや都議会でのご意見等を踏まえ、今後、条例の概要案を策定し、年内には概要案に対するパブリックコメントを実施する予定です。このパブリックコメントの結果や有識者懇談会での議論も踏まえて条例案を取りまとめ、令和二年第一回定例会へ提出する予定です。
 また、現在の第三期支援計画につきましては、来年度に改定を予定しております。

○森口委員 都における新たなこの条例と第四期の支援計画のもと、社会全体で、より一層、犯罪被害者に寄り添った支援が進むよう切に要望し、次の質問に移ります。
 次は、報告事項、東京都地域防災計画震災編の修正について質問をいたします。
 質問に先立ち、今月八日から九日にかけて伊豆諸島や関東地方を襲った台風十五号により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 今なお停電や断水、物流の停止が続いている地域もありまして、一刻も早い復旧をお祈りいたします。私も、会派の島しょ振興政策研究会の一員として島民の皆様と交流を重ねており、大変心の痛む思いであります。
 都としても、発災直後より、千葉県に給水車やDMATを派遣する、島しょ地域に救急物資や職員の派遣を行う、また、本日も、新島への救急物資の提供として冷凍コンテナと発電機を輸送するなど、総務局の皆様が中心となり、さまざまな応急支援対応に昼夜を問わず当たられていることに感謝を申し上げるとともに、引き続き、区市町村や関係機関と連携をし、復旧に向け取り組んでいただきたいと心よりお願いを申し上げます。
 私たち都民ファーストの会は、十日に小池都知事に対しまして、特に被害の大きい島しょ地域の対応に対し、支援を求める要望を行いましたが、改めて、台風や地震による電柱の倒壊や電線の断線が、長期のブラックアウトという都民の生活基盤を脅かす事態につながりかねないことを強く認識いたしました。
 都に対しましては、島民生活の早期の安定はもちろんのこと、引き続き、電源喪失防止に資する無電柱化の取り組み、非常用電源の整備などの取り組みを一層進めていかれるよう要望いたします。
 今回、修正がされました地域防災計画震災編は、都における防災対策の根幹であります。近年、全国各地で発生をしているさまざまな災害から得られた教訓をスピード感を持って都の防災対策に反映させるとともに、東京二〇二〇大会を見据え、震災対策の実効性をより一層向上させるべく、五年ぶりに修正がされました。
 また、本計画には、私たち都民ファーストの会としてこれまで進めてきました区市町村庁舎の非常用電源の整備、外国人、シニア、障害者など要配慮者への対応、乳児用液体ミルクの普及、防災アプリなどITの活用といった点が新たな取り組みとして加えられており、都の防災力の向上につながるものであると大変評価をいたしております。
 今回、計画素案の公表後、パブリックコメントを受けまして、発災時の水上バスの活用に関して素案の一部が修正されておりますが、どのような考えのもと加筆修正されたのか、伺います。

○古賀防災計画担当部長 首都直下地震が発生し、道路が寸断され、陸路による物資等の輸送が困難となる場合には、船舶を活用した手段の確保も必要であるため、水上バスについても、今回のパブリックコメントを受け、計画上、明確に記載することといたしました。
 発災時における水上バス活用の意義といたしましては、平時は公共交通として運航される船舶を、被災者及び医療スタッフ等の救援者の搬送や救援物資等の貨物輸送に活用することで、効率的な応急対策に寄与するものと考えております。
 今後も、防災訓練等の機会を通じ、関連機関との連携を深め、発災時の体制の充実強化に取り組んでまいります。

○森口委員 一九九五年、阪神・淡路大震災の際には、陸路が寸断される中、救援物資や復旧要員の輸送、鉄道の代替手段としての人員輸送など、さまざまな船舶が活用されるなど、発災時の水上交通の活用は非常に重要な視点であります。
 都の建設局が所有をする「さくら」、「あじさい」、「こすもす」、その三隻の水上バスにつきましても、災害時に防災船として、医療スタッフの搬送や物資の輸送で重要な役割を担うわけであり、そういった都民の方からのご指摘、意見もしっかりと反映され、本計画が改定されたわけであります。
 次に、都民一人一人の防災意識の向上に向けた普及啓発事業について伺ってまいります。
 都は、これまでのように、一様に都民に対して防災意識の普及啓発を行うだけでなく、女性や外国人、若者、子育て世帯など、対象別にきめ細やかな取り組みを進めてきているものと理解をいたしております。
 今年度、子育て世帯、親子を対象とした新たな普及啓発の取り組みとして、「とうきょうぼうさいえほん」を作成し、都内全ての幼稚園、保育園に配布をすると伺っておりますが、作成の経緯と、今後どのように展開するのかについて伺います。

○有金総合防災部長 大規模災害への備えを強化するためには、幼い子供がいる家庭での日常の防災対策や災害時の避難行動など、平素から防災意識を高めていく必要がございます。
 そのため、子育て世帯に向け、子供、親ともに親しめるキャラクターを用い、親と子がともに防災を学べる「とうきょうぼうさいえほん」を作成することといたしました。
 作成に当たりましては、さまざまな意見を取り入れ、よりよいものにするため、子供を持つ親、「東京くらし防災」の編集・検討委員、また、保育所の職員などから幅広く意見を聴取しておるところでございます。
 今後、この冊子を都内の保育所等を通じまして子育て世帯へ配布を行うとともに、親子を対象とした読み聞かせイベントなど、さまざまな企画で活用することで、子育て世帯の防災意識のさらなる普及を図ってまいります。

○森口委員 親子で防災を学ぶきっかけとなる、すばらしい事業だと思います。子供にとって魅力的な内容やイラストになることを期待いたしております。
 「とうきょうぼうさいえほん」事業の目的は、配布をして終わり、親子で読んで終わりではなく、絵本をきっかけに防災に関心を持った子育て世帯の方々に、災害に対する備えや取り組みを実践してもらうことにあります。都の行う防災イベントやその他の普及啓発事業にもつなげていくことが効果的であると考えます。
 そこで、「とうきょうぼうさいえほん」やさまざまな都の普及啓発の取り組みにより防災に関心を持った子育て世帯の方々が、さらなる防災の知識を学び、そして体験できる機会として、親子で参加しやすい防災イベントや防災訓練の実施等も有効であると考えますが、見解を伺います。

○有金総合防災部長 先日、九月一日に実施をいたしました今年度の総合防災訓練におきましては、各防災機関が連携をした救出救助訓練のほか、VR防災体験車や初期消火訓練など、親子で体験できる訓練も数多く実施をいたしました。
 今年度は、これらの取り組みに加え、新たに警視庁や東京消防庁などのマスコットとともに家庭の防災の備えを紹介するトークセッションや、各防災機関の音楽隊による防災パレードを実施するなど、家族で参加できるイベントも実施をいたしました。
 また、九月十六日には、家族や地域という切り口から、災害時に身を守るため、今できる備えについて、知事とパネリストが意見交換を行い、親子世代を中心とした都民にわかりやすく伝えるシンポジウムを実施する予定でございます。
 今後とも、さまざまな機会を捉えて、親子や家庭の防災意識の向上につながる取り組みを進めてまいります。

○森口委員 また、このたび都は、新たに子育て世帯を対象にしたパパママ東京ぼうさい出前教室を来月末より行うとのことでありますが、期待する効果について伺います。

○榎園防災対策担当部長 今回新たに開始するパパママ東京ぼうさい出前教室は、ゼロ歳児から小学生までの子供の保護者のグループを対象として、家具や家電の固定、ベビー用品の備蓄など、子供がいるからこそ知っておくべき防災知識や備えについて学んでいただくものでございます。
 子育てサークルやママ友、パパ友、PTAなど、保護者の方に自由にグループを組んでいただいて実施することで、これまで子育て等に忙しく、既存のセミナーには参加しづらかった方々に防災を学ぶ機会を提供いたします。
 こうした取り組みにより、防災への備えが進むこと、さらに、受講した保護者のグループ内外で、ふだんのつながりやネットワークを生かして、防災の知識や取り組みが広く浸透していくことを期待しているところでございます。

○森口委員 絵本で防災について関心を持ってもらう、防災アプリや「東京くらし防災」などで防災についてさらに学んでもらう、そして、パパママ東京ぼうさい出前教室や防災イベント、防災訓練などで防災について体験をしてもらう、この一連の普及啓発を通じて、子育て世帯の方々が家庭で災害に対する備えを実践することにしっかりとつながるよう、さまざまな工夫や仕掛けが必要と考えます。ばらばらの事業ではなく、一連の関連した事業として工夫をしていただきたいと要望いたします。
 子育て世帯や若者への防災意識の啓発は、東京都防災アプリの活用も有効と考えます。子育て世帯や若者が防災に関心を持つようなコンテンツの工夫も必要と考えるが、取り組みを伺います。

○有金総合防災部長 東京都防災アプリにつきましては、平成三十年三月に配信を開始して以来、さまざまなコンテンツの充実を図ってまいりました。
 今年度は、出水期前の六月に、東京マイ・タイムラインの公表に合わせ、洪水、高潮による浸水リスクを視覚的に表示できる水害リスクマップを追加いたしました。
 また、八月には、夏休みに親子で防災への備えを考えるきっかけとなる、こども防災シミュレーションを追加しております。これは、東京都教育委員会が配布をしております防災ノートを、親子でゲーム感覚で楽しく学べるものであり、今後も、学校の休みの時期に合わせ、内容の追加を行ってまいります。
 さらに、九月には、主として若者世代を対象として、BOUSAI MANGAを追加いたしております。これは、災害時の防災に関する知識について、漫画形式のエッセーで紹介するものであり、今後も、十一月十九日の備蓄の日など、防災意識が高まる時期を捉えて、順次公開をしていく予定でございます。
 今後も、幅広い世代を対象とした魅力あるコンテンツを充実させ、都民の防災意識の向上を図ってまいります。

○森口委員 都が配信をしている東京都防災アプリは、既に二十六万ダウンロードを超えているとのことでありますが、アプリをリリースして終わりではなく、アプリを実際に日々活用してもらい、都民が防災知識を身につけ、災害に対する備えを実践していけるよう、継続的なコンテンツの追加や情報配信が必要であります。こども防災シミュレーションやBOUSAI MANGAなど、さまざまユニークなチャレンジをしており、すばらしい取り組みであると思います。
 都のさまざまな普及啓発の取り組みにより、都民一人一人が防災に関する知識を身につけ、防災意識が高まることが期待される一方で、実際の災害に対する備えとして、一週間分の備蓄品を備える、防災リュックを用意する、家具の転倒防止対策を行う、避難経路を確認する、ガラスの飛散防止フィルムを張るなど、家庭で実際の行動につなげていくには、さらに高いハードルがあるのだと思います。引き続きの普及啓発の取り組みや、さまざまな工夫に期待をしたいと思います。
 最後に、帰宅困難者対策について伺います。
 都は今年度、民間一時滞在施設の整備に向けたモデル事業として、これまでの備蓄品購入費に対する六分の五の補助を、六分の六、全額補助することで、新たな一時滞在施設の整備を進めておりますが、本事業の進捗と今後の取り組みについて伺います。

○榎園防災対策担当部長 都は、今年度より二カ年の予定で、民間一時滞在施設に配備する備蓄品を都が一括購入することで、スケールメリットを図りつつ、協力企業の負担をなくすモデル事業を開始いたしました。
 五月下旬から七月末まで募集を行い、十八社からの応募がございました。
 現在、年度末までの納品に向け、購入手続を進めているところでございます。
 企業からは、自己負担なしで一時滞在施設への協力が可能となることから、一定の評価を受けてございます。また、協定締結を担う区市町村からは、企業への働きかけの選択肢がふえたとの声が聞かれてございます。
 一方、募集期間が短期間であったと考え、九月三日から十月四日までの追加募集を開始いたしました。
 今後も、寄せられた意見や課題を把握し、検証した上で、企業や区市町村が活用しやすい事業となるよう工夫してまいります。

○森口委員 この備蓄品配備のモデル事業のほかにも、複数事業者の連携型一時滞在施設の整備もモデル事業として検討を進めており、こういったさまざまな取り組みやチャレンジを通じて、いまだ道半ばである一時滞在施設の確保をしっかりと進めていただきたい旨要望し、私からの質問を終わります。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十五分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤井(一)委員 質問に入る前に、過日、台風十五号が参りまして、特に伊豆諸島、大島、新島、三宅等々、大変被害がありました。突風によって屋根が飛ばされたり、あるいは断水、停電、いまだに大島の泉津開拓地区あるいは差木地地区の一部は、電気や水が通っておりません。
 そういう中で、過日、東京都は、大島に職員を三名派遣されまして、そして、水に困っていた地域にしっかりと水が供給されるようになったということで、地元が大変喜んでおりました。
 また、過日、我が党は、有金部長に対しまして、こういった被害に対する緊急対応をするよう強く要望したところでございます。東京都の対応に感謝を申し上げたいと思います。
 また、きょう、新島にも職員が派遣されたと聞いております。新島も大変な被害があるそうでございまして、我が党としても、しっかり対応してまいりたいと思います。
 私は、本日、報告事項の三点について質問をさせていただきます。
 まず初めに、東京都石油コンビナート等防災計画(素案)について質問をいたします。
 私の地元であります羽田空港に、航空機に燃料を供給いたします三愛石油が、航空需要の拡大に対応するために、ことし末までにタンクをふやすということになったそうであります。そのタンクの貯蔵、取扱量が十万キロリットルを超えるために、昨年、東京都石油コンビナート等防災本部を設置したとのことであります。
 そこで、何点か伺います。
 今までのこのタンクの貯蔵、取扱量、そしてタンクの数、また、今後拡大した貯蔵、取扱量、タンクの数についてお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 東京国際空港におきまして、航空機に燃料を供給する三愛石油株式会社が屋外貯蔵タンクを増設する見込みとなったことから、昨年八月に、国が東京国際空港地区を石油コンビナート等特別防災区域に指定いたしました。
 その特別防災区域の指定前におきまして、三愛石油株式会社が保有している屋外貯蔵タンクの数は八基でございまして、貯蔵、取扱量としては約九万七千キロリットルでございました。
 今回、航空需要の増大に伴いまして、タンクを二基増設いたしまして計十基となり、貯蔵、取扱量は約十二万八千キロリットルとなる見込みでございます。

○藤井(一)委員 タンクが二基増設され、取扱量が十二万八千キロということでございますが、この三愛石油のタンクは、ちょうど多摩川の出口、東京湾に接するところ、そして、東京湾にまさに面した地域にこのタンクが設置されております。
 羽田空港に対する多摩川や東京湾の津波あるいは高潮は、最高どのぐらいになると予想しているのか、伺います。

○古賀防災計画担当部長 都は、平成二十五年に行いました南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定におきまして、東京国際空港が所在する大田区における最大津波高を二・三七メートルと想定いたしました。
 また、都は、昨年三月に公表いたしました高潮浸水想定区域図の中では、東京国際空港付近の多摩川河口で約三・六メートルと想定をされております。

○藤井(一)委員 津波が二・三七メーター、高潮が三・六メーターという予想でございますが、首都直下地震がいつ来るかわからないといわれておりますが、もし東京にこういった首都直下地震が発生した場合、津波や高潮が発生をすると予想されますが、このタンクでどのような災害が発生すると想定しているのか、お伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 特定事業者が設置する屋外貯蔵タンクにつきましては、施設の供用期間中に発生する確率が高い地震の揺れに対しまして、耐震対策を実施するなど、消防法等で定める基準は満たしております。その上で、東京都石油コンビナート等防災計画の策定に当たりまして、特別防災区域で発生する可能性のある災害の種類や規模、影響等を把握するため、災害想定を実施しております。
 対象となる災害につきましては、国の指針にあります平常時の事故、地震、津波に加えまして、昨年九月の台風二十一号に伴う関西国際空港の浸水を受けて、高潮についても対象といたしました。
 その結果として、首都直下地震等が発生した場合において、燃料がタンクから漏えいするケースや、その燃料に着火し、火災が発生するケースなどが考えられると想定をいたしました。
 また、都で想定する津波、高潮に対しては、屋外貯蔵タンク周辺が十分な高さを有していることから、浸水はしないと想定しております。

○藤井(一)委員 ただいまの答弁で、津波、高潮に対して、貯蔵タンクの高さがあるから浸水はしないという、そういう想定をされているということでございます。
 タンクというと思い出すのは、東日本大震災があったときに気仙沼のタンクが炎上した、あの映像が今も私の脳裏に残っておりますけれども、気仙沼では、百キロリットル以上の屋外タンクが二十三基あったそうですが、そのうちの二十二基が津波により流失をしたという事故がありました。津波で流される過程においてタンクの中の危険物が流失したと考えられまして、広範囲に火が、延焼拡大した火災の一因になったといわれてもおります。津波によってポンプ車や消防施設が被害を受け、冠水や瓦れきに邪魔されて消火活動もままならなかったと。そして、緊急消防援助隊の応援があったにもかかわらず、タンクの鎮火までにすごい長時間がかかったという、こういった事故がありました。
 今回の東京都の計画では、津波によるタンクの被害は想定されていないということが、今、答弁でありましたが、不測の事態に備えて万全の体制を構築することが重要だ、このように思います。
 そこで、この計画のポイントの一つとして、特定事業者あるいは防災関係機関が行うべき業務の役割分担を明確化するというふうに計画でうたわれておりますが、もし災害が発生した場合、各機関の業務の役割分担はどうなっているのか、伺います。

○古賀防災計画担当部長 東京都石油コンビナート等防災計画におきましては、災害の予防、応急、復旧の各フェーズに応じた対策について、関係各機関が実施すべき事務及び業務を規定しております。
 平常時の火災、爆発などの事故災害や、地震、津波、高潮の自然災害など、状況に応じて各主体が実施する応急対策を活動要領として取りまとめております。
 この中で、特定事業者は、災害が発生した場合、直ちに東京消防庁に通報するとともに、発災事業所の責任において、その保有する資機材、人員を最大限に活用し、初期消火活動等を優先して実施することとしております。
 また、被害の拡大防止に向けまして、東京都石油コンビナート等防災本部のもと、東京消防庁、海上保安庁、東京空港事務所などの関係各機関が緊密な協力体制のもと、応急活動を実施することとしております。

○藤井(一)委員 タンク火災が発生した場合、これに備えまして、特別な消防車を配置したりするなどの万全の対策を講ずるべき、このように考えます。
 また、タンク火災が発生した場合、発災時の応急活動というのが非常に大事ですけども、これを具体的に、発災時の応急活動としてどのような対応をするのか、伺います。

○古賀防災計画担当部長 特定事業者が二十四時間体制の自衛防災組織を設置するとともに、消火用屋外給水施設等の特定防災施設や、化学消防車や高所放水車などの防災資機材等を整備することとしております。
 また、東京消防庁におきましても、大規模な災害に備えまして、大型化学消防車、大型高所放水車等を既に整備しているところでございます。
 屋外貯蔵タンクにおいて火災が発生した場合は、特定事業者は、速やかに発災箇所の確認を行い、装置の緊急停止及び消火設備の活用により、災害の拡大防止を図ります。
 また、東京消防庁を初め、関係機関が緊密な連携のもと消火活動を実施してまいります。

○藤井(一)委員 発災時の応急活動として、具体的に取り組んでいくということを確認したわけですが、最近の例でいいますと、つい八月に九州北部を襲いました記録的な大雨で、佐賀県大町町というところで、鉄工所から油が流出をして、その後処理に大変な作業が必要だったというふうに出ておりました。国土交通省、自衛隊などから六百六十人が参加して油の除去作業をして、ついおととい、その作業が終わったということですが、この大雨の影響で、佐賀鉄工所大町工場から約五万リットルの油が流出をして、八十三万平方メートルに広がったそうでございます。この油の処理に使った吸着マットは約二十一万枚だそうでございますが、そういった事故が羽田であってはならない、このように思います。
 そこで、タンクからオイルが流出した場合、どのように拡大を防ぎ、また、オイルを回収するのか、そのための具体的な手段は何か、この点についてお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 特定事業者が、消防法に基づき屋外貯蔵タンクの周囲に防油堤を整備しております。また、土のうや吸着材等の資材を確保するとともに、バキュームカーを配備しております。さらに、海上への流出の備えといたしまして、特定事業者は、オイルフェンスを増強するとともに、二十四時間体制でオイルフェンスを設置できる船舶を確保しております。
 油が流出した場合は、特定事業者は、流出の拡大を防止するとともに、油の回収処理を実施することとなっております。海上流出の被害が拡大した場合などには、海上保安庁が主体となって、排出油等防除協議会等を活用いたしまして、流出油の拡大防止や回収作業を行うこととしております。

○藤井(一)委員 しっかり対応ができるように、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、この計画では、今後のスケジュールとして、パブリックコメントを実施するというふうになっております。
 この実施計画と内容について、特に地元であります羽田地域と糀谷地域への地元説明会をどのように行うのか、この点をお伺いいたします。

○古賀防災計画担当部長 これまで、条例の策定時や災害想定を公表する際など、東京国際空港を広域避難場所とする糀谷地区と羽田地区の住民の方に対しまして、町会長会議の場を活用して説明を行ってまいりました。また、今回の計画素案につきましても、地元への説明を開始しております。
 今後も、計画の策定時や災害想定の見直し、計画の改定を行う際など、必要に応じまして、引き続き、区と連携を図りながら事業説明を行うなど、地元の理解が得られるよう取り組んでまいります。

○藤井(一)委員 聞くところによりますと、九月十九日に羽田地域での説明会、二日に糀谷地域での説明会を行うというふうに聞いておりますが、ぜひ、今、部長が答弁されたように、津波にも高潮にも地震にもしっかり対応できるんだということを、しっかり地元の方に説明していただきまして、住民が安心できるように説明会でやっていただきたい、このことを要望したいと思います。
 次に、小笠原諸島振興開発計画(素案)について何点か伺います。
 ご存じのとおり、小笠原諸島と本土を結びます交通アクセスは船だけであります。現在、唯一の定期航路であります「おがさわら丸」は、約六日に一便運航いたしまして、片道約二十四時間、一日を要しております。また、父島から母島への交通手段は、おおむね週に五便、片道に約二時間がかかる「ははじま丸」に限られております。そのため、多様化する利用者ニーズへの対応、住民生活の利便性向上に資する船の中の環境や運航形態への対応が求められていると、この計画では指摘されております。
 そこでまず、平成二十八年七月から就航しております定期船であります「おがさわら丸」」と「ははじま丸」について、今までの古い船と比較して、どういうふうに船内の環境が変わったのか、どういうふうに運航形態が改善されたのか、伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 平成二十八年七月に就航した「新おがさわら丸」は、プライバシーを重視した二等寝台の新設、エレベーターの設置によるバリアフリーの充実、電子マネー決済導入など、旧船と比べ、乗船客の快適性や利便性が向上いたしました。また、大型化による旅客定員数及び貨物搭載量が拡大したほか、高速化により、本土から父島までの所要時間が片道約一時間半短縮され、二十四時間となっております。
 同様に、「新ははじま丸」につきましても、旅客用冷蔵庫の新設や、二等客船をワンフロアに集約し、バリアフリーを充実させることなど、快適性が向上いたしました。加えて、高速化による父島から母島までの所要時間の短縮や、大型化による旅客定員数及び貨物搭載量の拡大とともに、運航ダイヤの見直しにより、母島の観光客の方がより長く滞在できるよう改善を図ったところでございます。

○藤井(一)委員 我が党は、今月十九日から小笠原調査団を派遣いたしまして、私も古城委員も参加、行くわけですが、この「おがさわら丸」が変わったと今、部長からあったように、非常に快適になったということを、実際、自分の目で見てきたいと思います。
 さて、「おがさわら丸」と「ははじま丸」についてですが、代替船ですね、これにかわる船の確保という問題があります。
 なぜならば、年に一回、「おがさわら丸」は、約二週間、ドックに入るわけでして、このドックの期間中は、運航ダイヤの関係上、二十日間にわたって「おがさわら丸」と本土との輸送が途絶えてしまうという問題があります。また、「ははじま丸」についても、ドックに入っている期間中のかわりの船であります「ゆり丸」という船が老朽化をしております。
 そこで、今回の計画の中で、今後五年間の取り組みとして、「ははじま丸」、「おがさわら丸」の代替の船をどうするのか、これが大事であると考えます。
 そこで、今後、「おがさわら丸」と「ははじま丸」のドック期間中の代替船のための対策について伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 「おがさわら丸」のドック期間中の代替船につきましては、今後、伊豆諸島で就航する予定である「新さるびあ丸」を活用することとなっており、都といたしましては、小笠原諸島までの航行を可能とするための整備費補助を平成三十年度から行っております。
 「新さるびあ丸」は、令和二年度から就航する予定でありまして、これにより、「おがさわら丸」のドック期間中の人員や物資が輸送できない状況が改善する見込みとなっております。
 また、「ははじま丸」の代替船である「ゆり丸」につきましては、平成十年の竣工以来、二十一年を迎えていることから、老朽化対策に向けた支援を検討してまいります。

○藤井(一)委員 次に、小笠原の長年の課題であります航空路の整備について質問いたします。
 この航空路については、平成二十年に小笠原航空路協議会を設置して種々検討を行ってきたということでありますが、今までにこの協議会で検討してきた結果、一つは自然環境への影響、二つ目は費用対効果、三つ目は運航採算性が大きな課題でありますが、それぞれの課題の検討状況を伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 自然環境への影響についてですが、航空路を開設した場合、一定規模の自然改変が必要となるほか、生物生態系に対しても影響が及ぶことが想定されることから、これまでも陸上の動植物や海域の水生生物、サンゴなど調査を実施してまいりました。
 また、費用対効果、運航採算性につきましては、それぞれ飛行場建設費、機材費等の前提条件を設定することが必要であり、これまでもさまざまな飛行場案のパターンを想定し、試算を行ってきたところでございます。
 今後は、洲崎地区を活用する案に絞って集中的に検討することとしており、今年度は、飛行場建設に関して、基本構造や工法の実現性を確認するための調査や自然環境調査を行うとともに、費用対効果、運航採算性の試算に最新の状況を反映させるなど、航空路開設に向けた検討を加速してまいります。

○藤井(一)委員 ただいま答弁で、航空路開設に向けた検討を加速すると部長から答弁がありましたが、もう加速ではなく、三倍、五倍、十倍のスピードで対応していただきますよう、一日も早い航空路開設を実現できるよう要望したいと思います。
 この航空路については、昨年より、洲崎地区活用案に絞って集中的に都は検討しているということが述べられております。
 今年度は、洲崎地区における飛行場建設に関して、基本構造や工法の実現性を確認するための調査を行っていくということでございますが、具体的にどのような調査を行い、また、今後検討を進めていくのか、伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 飛行場の構造、工法を検討するに当たり、今年度は、洲崎地区における基礎的な情報やデータの調査及び分析を実施することとしております。
 具体的には、陸上部及び海上部の計二十三カ所でボーリング調査を行い、飛行場を建設する上での地盤強度を確認するとともに、航空測量及び測量船を用いた調査によりまして、精緻な地形データの把握等を実施してまいります。
 これらの基礎情報の収集、分析をもとに、埋立方式や桟橋方式など、具体の飛行場構造や実現可能性について検討を行うとともに、引き続き、航空路を開設する上で必要な手続となるパブリックインボルブメントの円滑な実施に向けた調査を行ってまいります。

○藤井(一)委員 ぜひ積極的に今後とも取り組んでいただきたい、このように要望したいと思います。
 最後に、小笠原の生活環境における今後の課題といたしまして、昭和四十三年ですか、復帰した当初に建設されました数々の施設が、今、老朽化しております。また、ライフラインの安定維持や、大規模津波、土砂災害等への対策など、こういったことが急務であります。このことが計画で述べられております。
 確かに小笠原へ行きますと、都営住宅ももう老朽化している、小中学校もそうだ、保育園もそうだ。そういう中で、施設の老朽化について、現状及び今後の対応について伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原諸島の返還当初に建設された施設のうち、村が所管するものといたしましては、父島の小笠原小学校及び中学校、母島の保育施設及び村民会館が挙げられます。
 これらの施設は、いずれも昭和四十七年度から昭和四十九年度に建設されまして、老朽化が進行しているため、令和元年度から工事設計等を行い、令和四年度から建てかえ工事を実施していく予定でございます。
 また、都が所管する小笠原住宅につきましては、全三百九十三戸のうち、昭和四十四年度から昭和五十三年度に建設されたものが三百戸、平成三年度から平成十八年度に建設されたものが九十三戸となっております。
 このうち、老朽化が進行した住宅につきましては、計画素案において、居住環境の向上及び自然環境に配慮した住まいづくりを目指しまして、建てかえの早期着工に向けて計画的に推進することとしております。

○藤井(一)委員 この建てかえをぜひ早期に進めていただけるよう要望したいと思います。
 最後に、東京都犯罪被害者等支援条例の基本的考え方案について何点か質問いたします。
 先ほど森口委員から、数々、質問がありました。冒頭申し上げましたように、今後のスケジュールについては、出ましたので割愛いたします。
 次に、有識者懇談会でどのような議論をしてきたのか、これについても質問しようと思いましたが、先ほど出ましたので割愛いたします。
 また、基本的な考え方はどのような特徴があるのか、これについてもお聞きしようと思いましたが、先ほど森口委員からありましたので割愛いたします。
 私が一番最初に質問文を出したにもかかわらず、ダブっているということでございますので……。
 それでは、私から何点か質問いたします。
 最初に、先ほど答弁でありましたように、有識者懇談会で種々議論があったということの中で、見舞金の制度のことがありました。
 見舞金を初めとした経済的支援について、有識者懇談会では、これまでどのような議論をしてきたのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 有識者懇談会におきましては、さまざまな支援策について検討する中で、経済的支援についても議論がございました。
 その中で、見舞金につきましては、国の犯罪被害者等給付金は支給までに時間がかかるため、迅速に支給できる自治体の制度が必要という意見がある一方、申請者が支給の要件に該当しているかどうかを事件の情報を持たない自治体が迅速に審査することが難しいというご意見もございました。

○藤井(一)委員 第一回の有識者懇談会で見舞金制度についての議論がなされたということが報告書にあります。
 そこで出された意見の一つは、ただいま部長から答弁がありましたように、犯罪被害者給付金や遺族年金は支給まで時間がかかるので、犯罪被害者は被害に遭った直後は当座の資金がないので、自治体による経済的支援が必要であるという意見が出た。
 もう片方の意見は、他の自治体で実施している見舞金制度については、見舞金という名称はふさわしくない、だから、支援金や生活再建補助金など、名称に配慮が必要ではないかという議論がなされたという報告書が出ております。
 また、今回の定例会の代表質問におきまして、我が党の代表質問の中で、犯罪被害者見舞金の検討について、知事に、どう進んでいるのかという質問をいたしました。その際、知事からは次のような答弁があったわけです。
 今後、被害者や被害者団体等を対象にした実態調査を実施した結果やパブリックコメントで寄せられた意見等を踏まえ、条例の制定や効果的な支援策について幅広く検討を進めるという答弁が知事からありました。
 先ほども部長からも一部ありましたけども、まさにこういった、今後、実態調査あるいはパブリックコメントで寄せられた意見をもとに支援策について検討するということですので、私は、犯罪被害者条例の中に見舞金制度はぜひ入れるべきだということを強く申し上げたいと思います。
 私どもも、私と古城委員は、この犯罪被害者条例の制定について、各先進自治体を調査してまいりました。大分県にも参りました。佐賀県にも参りました。そして、ついことしできた三重県にも行ってまいりました。
 それぞれの県の特徴がありますが、やはり何といっても犯罪被害者に寄り添う。そういった人たちに寄り添って東京都が何ができるか、それが大事だと。そういうことも検討されているということですけども、犯罪被害者に対してしっかりと支援ができる見舞金制度、経済的な給付は、ぜひ東京都はやるべきだと思います。
 現在、県でやっているのは三重県だけでございますが、私どもも、三重県に行ってさまざま勉強してまいりました。
 その中で、今、部長から答弁がありましたね。見舞金制度について、事件の情報を持たない自治体が審査することが難しいという意見があったというふうに答弁がありました。
 私、三重県の担当者に聞きました。こういう意見があるんだけど、どうだろうかと。三重県の担当者はこういいました。三重県の場合は、見舞金の申請書の中に、犯罪被害に遭ったことを認める書類を提出してもらえれば、これは見舞金制度で出しますと。じゃ、どういう書類なんですかと聞いたら、例えば盗難に遭った、そういった盗難等被害届証明書というものが発行されますし、交通事故で亡くなった場合の交通事故証明書、あるいは重病とか、けがをしたとか、亡くなった場合は医師の診断書あるいは死体検案書、こういったものがあれば、県は、見舞金制度の申請者であるということが戸籍票でわかりますから、十分わかるわけですね。ですから、先ほどの情報を持たない自治体が審査することが難しいというのは、私は違うのではないか、このように思っております。
 次に、条例の制定に当たりまして、犯罪被害者やその家族だけでなく、被害者の相談に応じている相談員さん、非常にいろんな声を聞いていますし、また、本当に生の、被害者のためにいろいろと対応している相談員さんの声を聞くべきだ、このように思いますが、これについてはどのように対応されるのか、伺います。

○堀越人権部長 条例案の検討や支援計画に関する有識者懇談会には、被害者のご遺族にも委員として就任いただき、当事者の立場からさまざまなご意見をいただいています。
 また、今年度、被害後に置かれている状況や支援に係るニーズ等を的確に把握するため、実態調査を開始したところでございます。調査の対象は、被害者本人やそのご家族に加え、相談員等を含む被害者支援団体等であり、この調査を通じて、相談員の声も把握してまいります。

○藤井(一)委員 三重県では、条例制定に当たってどのように取り組んだかということをお聞きしましたら、私は大変感動したんですけど、条例を制定する前に犯罪被害者から多くの声を聞いたというのが一つです。二つ目には、実際に被害者の相談に応じている相談員が感じたこと、あるいは心情的な内容を条例の中に盛り込んだということ。また、検討会を運営するに当たって、条例の内容については、事務局が主導で提案をしましたといっていました。事務局があちこちに行って先進事例を学んで、これはいいなというものを検討会で提案して、そして、一つ一つこれを決定してきた。まさにすばらしい内容をつくったわけです。
 また、三重県の条例にあります見舞金制度、これは、全国の都道府県で見舞金制度があるのは三重県だけです。私はぜひ東京都が二番目に続くべきだと思いますけども、これは、大変、三重県の知事の思いが込められている。
 なぜならば、中学三年の女性が、お祭りの日に十八歳の少年に殺された。その殺された、父親が切々と手紙を書いて知事に渡した。それを読んだ知事がぜひお会いしたいということで、その父親と面談をして、その父親から話を聞いた知事が、こういったものは早くつくれということで犯罪被害者条例をつくった経過があるし、また、そういった何の罪もない被害者に対して県が何かできないかということで、知事が見舞金制度をつくったらどうだと提案して、それを推進したわけでございます。まさに経済的支援をスピーディーにやるよう、知事が指示してできた制度でございます。
 そういった意味で、まさにこういった条例の魂といいますか、仏をつくって魂を入れなかったら条例をつくった意味がない、このことを訴えておきます。
 この条例制定に当たりまして、先行事例の積極的な導入を図るべきだと私どもは提案してまいりましたが、今回の基本的考え方を策定するに当たりまして、事務局として、今までどの自治体を実際に現地調査したのか、伺います。

○堀越人権部長 被害者支援の一層の充実を図っていくためには、他の自治体における取り組みを参考にすることが重要でございます。
 そこで、条例を制定し、特色のある取り組みを行っている自治体を中心に、八府県二市について現地調査をいたしました。具体的には、埼玉県、神奈川県、三重県、滋賀県、大阪府、福岡県、佐賀県、大分県、横浜市及び京都市でございます。

○藤井(一)委員 いろんなところに行っているじゃないですか。偉いじゃないですか。担当課長二人、偉いですよ、若いけど。
 部長は視察に行かれましたか、現地に。--行っていないの。行かなきゃだめだよ。行かなきゃわからないですよ。やっぱり現地に行って話を聞いて、それをしっかり受けとめて、いいものを条例の中に盛り込もうという、そういうものがなければ、机上ではわかりません。ぜひそういった先進地に行っていただきたいと思います。
 ほかにもありますけど、時間の関係ではしょりまして、三重県では、先ほどいいましたように、都道府県で初めて見舞金制度を設けました。この見舞金制度、遺族に対して経済的な支援をスピーディーにやるよう、知事から事務局に指示があったと。
 森口委員から先ほどありましたように、今回も、この条例をつくるに当たって、知事が条例をつくったらどうだということを提案したんじゃないですか。
 実は、私と馬場委員が、たしかこの委員会で質問しましたよ、前の部長のときに。犯罪被害者条例をつくったらどうだといったら、条例はつくる必要はありませんといったんですよ。それが急遽変わったのは何ですか。それは知事がやれといったからでしょう。やはり必要なものは、きちんと早くやるべきです。
 今までは、屋上屋を重ねるから、そんな条例は要らないんだといってきた。それが今回、条例をつくるようになった。だったら、つくるんだったら、世界都市東京、日本の首都東京が一番いいものをつくらなければ、おくれてつくる意味がないじゃないですか。ほかはもう十四県もできているんだから。
 ですから、そういった意味で、先ほど申しましたように、つくるならいいものをつくる、そのために、一生懸命、やっぱりいいところを学んで、東京都独自の政策も盛り込んだものを私はぜひつくっていただきたいと思います。
 大分県でも、県内の全ての市町村で見舞金制度を導入しているということを、私どもも行って見てきました。
 都は、国際都市であるとともに、世界一安全な都市といわれていますけども、しかし、犯罪被害者が毎年たくさん出ているわけです。この都が制定する条例は、日本の首都にふさわしい、被害者に寄り添った条例でなければならない、このように思います。
 被害者のそういった心の痛みを癒やし、回復に向けて踏み出すことができるような、二次的な被害を防止する、これも大事です。見舞金制度を創設する、これも大事。東京都らしい、先進的な支援策の内容を盛り込むべきであるということを強く訴えたいと思います。
 もう一つは、今、海外でも、犯罪被害を受けた人への支援、あるいは日本国内で被害を受けた外国人に対する支援体制というものができています。
 昨今では、海外に出かける都民も非常に多くなってまいりました。海外でその人たちが被害を受ける事件も発生しています。また反対に、東京都を訪れる海外からの旅行者も非常に多くなっています。来年は四千万になるといわれています。そのため、被害は国境を越えて発生し、かつ、支援も国境を越えて行わなければならない時代になっているわけです。
 今後、都は、被害者支援団体の国際的連携組織として、被害者支援、ヨーロッパとか国際被害者援助機構など、国際的な組織とも連携を行うべきと考えます。もうこんな狭いところで考えていたんじゃ、いいものができない。
 そういった意味で、ぜひとも、今後とも局長を中心にすばらしい犯罪被害者条例をつくって、東京は、さすが、すばらしい条例をつくったなと、こういわれるようにしていただきたいということで、最後に局長の決意を伺います。

○遠藤総務局長 都はこれまで、三期にわたりまして支援計画を策定し、総合相談窓口の機能強化や性犯罪被害者等に対する支援など、幅広い取り組みを進めてまいりました。
 先般、本委員会での、たしか陳情審査だったと思いますけども、全会派での採択をいただいた経過なども踏まえながら、都の被害者支援の姿勢を明確に示し、社会全体での取り組みをより一層推進するために、条例の制定に着手することといたしたところでございます。
 内容については、現在、鋭意検討を進めているところでありまして、藤井副委員長からもいろいろご指摘がありましたように、検討課題は非常に多岐にわたっているというふうには考えております。
 条例案の検討に当たりましては、他の自治体における取り組みを、これまでも職員が行ってまいりましたけども、さらに必要があれば、部長も含めて、先頭に立って調査をさせていただきまして、被害者や被害者団体等を対象にした実態調査も加えながら、被害者の置かれている状況や支援に係るニーズ等を的確に把握してまいりたいというふうに考えております。
 引き続き、有識者懇談会での議論や、当事者、相談員等の意見なども十分に踏まえながら、条例案の策定や、より効果的な支援策などについて幅広く検討を進めてまいりたいと思います。
 条例制定を契機といたしまして、より一層、被害者に寄り添った支援ができますよう、制度の構築に向けて積極的に進めてまいりたいと思います。

○藤井(一)委員 よろしくお願いします。以上です。

○鈴木委員 冒頭、台風十五号に対する対応について触れている会派、私たちも触れさせていただきたいのですけれども、委員会として要請しなくても、総合防災部長から、都の取り組みというものも説明があってもよかったのかなというふうにも思っております。
 冒頭、台風十五号による島しょ地域の被害への対応について、私たちも要望させていただきます。
 九日未明に首都圏に上陸した台風十五号が、暴風域を伴い、勢力を維持しながら小笠原諸島、伊豆諸島近海を通過し、島しょ地域においても、住宅被害や停電の影響による断水被害、倒木による道路閉鎖など、甚大な被害が発生しました。被災された島民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 都では、早速、大島に情報収集を行う職員を派遣し、新島村からの要請に基づいて、飲料水やブルーシート、土のう袋等の物資支援を実施したと聞いております。また、本日、冷凍コンテナ一台、発電機一台を搬送するということで、迅速な対応に、心からその対応を評価しております。
 島しょ地域は、一たび災害に見舞われれば、離島ゆえの厳しい自然的、社会的諸条件によって、行政からの支援が行き届きにくいというような懸念が持たれております。
 我が会派も、急遽、三宅正彦議員を利島村に派遣するとともに、昨日、知事宛てに、被害への対応について要望させていただきました。
 私たち都議会自由民主党も、これまでも島しょ町村に寄り添って、その振興のため、都に対して必要な対応を求めてまいりましたが、このたびの台風十五号による被害に対しても、早期の復旧に向け、被災島民の支援に万全を期すことを要望させていただきます。
 それでは、まず、政策連携団体についてお伺いをいたします。
 まず、政策連携団体の経営目標評価制度と内部統制等に関する自己点検の結果について、何点かお尋ねいたします。
 月曜日の代表質問でも私も取り上げさせていただきましたけれども、今回、位置づけを変更したといわれておりますけれども、実際に、かつての監理団体から今現在は政策連携団体になったわけですけども、名称の変更の前から、現実に都政の現場の最前線を担っているわけです。
 一方で、今回、東京水道サービスで不適正な事案が明らかになるなど、団体に対するガバナンスが不十分であったことは、紛れもない事実であります。
 一番大事なのは、看板のかけかえに終わらせずに、しっかりと見直していくということが求められるわけです。
 特に、今回、報告事項となっております経営目標評価制度というのは、これまでも当委員会で質疑がなされてきておりますけれども、団体の自律的な改革を促していくための手段だというふうにいわれているわけですけれども、だからこそ、都民にわかりやすく、また、理解と納得が得られる内容になっていなければならないわけです。
 そこで、最初に確認させていただきますけれども、今回、政策連携団体の経営目標評価の結果として、東京水道サービスはDとして評価されたわけです。
 この東京水道サービスは、これまでDの評価を受けてこなかったわけですけれども、今回、何でD評価としたか、その理由についてお伺いをいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京水道サービスの昨年、二〇一八年度経営改革プランの達成状況につきましては、他の水道事業体からの新規受託を進め、自主事業の収益を拡大させていくなど、二〇二〇年度の目標達成に向けまして着実な取り組みを進めていたものといえます。
 一方で、昨年度の特別監察にて発覚いたしました一連の不適正事案につきまして、都民の信頼を失墜させた重大な事案であることを踏まえまして、最下位のD評価といたしました。

○鈴木委員 今回のD評価というのは、あの事案が、都政に対する都民の信頼を失いかねない、本当に大きな問題だったということで、妥当なことだというふうに思うわけですけれども、外部からの指摘を踏まえて、今回、総務局が特別監察を実施して不祥事が発覚した。本来は、外部からの指摘でなく、総務局が団体の状況をちゃんと把握して、制度の所管として、きちんと指導していく必要があったのではないかなというふうにも思っております。
 団体や所管局が不祥事を隠してしまえば、総務局は事態を把握できないような状況になるわけですけれども、二定の総務委員会でも私も指摘させていただきましたけれども、団体や所管局が、みずからの評価に不都合となるような事案を報告してくるとはなかなか思えないんですね。
 そこで、今回、総務局として、団体の事故等の状況を把握するためにどのような見直しを行ったのか、お伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今回行いました内部統制等に関する自己点検の結果を踏まえまして、団体で事故等が発生した場合、速やかに団体から所管局へ、また、所管局から総務局に報告がなされるよう、改めて報告基準を定め、先月、各局の政策連携団体担当者に周知を図りました。
 今後、団体の事故等の状況を随時把握し、総務局、所管局による団体への指導監督の強化につなげてまいります。

○鈴木委員 今の答弁の中で、団体から所管局、そして、さらに総務局という報告ルートの基準というのが明確になったということは、一つ改善ということで評価できるというふうに思いますけれども、今回の見直しを団体に対するガバナンスに実際に生かしていくことが何よりも必要だというふうに思います。
 いうまでもなく、政策連携団体は一般の民間団体とは違うわけです。都政の一翼を担うという社会的な使命を帯びている団体なわけですので、こうした特別な位置づけを踏まえたものにしていく必要があるというふうに思います。
 政策連携団体の自律的な改革を促進させていく意味からも、コンプライアンスの取り組み状況も、今後、経営目標評価の中にしっかりと組み込んでいかなければならないというふうに思うんですけれども、そのことに対する見解をお伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 経営目標評価制度におきましては、これまでも、都民の信頼を失墜させる事案が団体において発生した場合、社会的な影響などを考慮いたしまして、評価に反映させてまいりました。
 今般、団体の事故などについて、総務局に対する報告基準を明確化したことによりまして、団体の経営状況を随時把握し、適切な評価を実施してまいります。

○鈴木委員 これまでの総務委員会の質疑の中で--きょう、答弁いただきましたけれども、報告ルートの基準が明確になった、そして、コンプライアンスの取り組み状況も、経営目標評価の中にしっかりと組み入れていく、これは本当に前進だというふうに思います。
 事故等について総務局に対する報告基準も明確にして、そして、今後、経営状況を随時把握して適切な評価を実施していくという答弁だったわけですけれども、総務局には、政策連携団体の制度を運用する立場として厳格な評価に努めてもらうのは当然なわけですけれども、都民から見れば、それでもまだ、政策連携団体も総務局も、私たちも何度も触れさせていただきましたけれども、いわゆる身内という意識というのは、やはりあるんだというふうに思いますよ。だからこそ、しっかりと信頼を失わないような取り組みをしていくことが必要であるというふうに思うわけです。
 団体を真の意味で律していくためには、私たちは、第三者の立場からのチェックも必要だということを再三述べさせていただいているんですけれども、現状において、団体にどのようなチェックが入っているのか、改めてお伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 政策連携団体に対します第三者の立場からのチェックといたしまして、現在、三種類実施してございます。
 一つ目に、各団体における会社法や公益財団法人の認定等に関する法律の規定などに基づきまして、独立した会計監査人が実施する財務等に関する外部監査、二つ目に、監査委員が補助金交付団体や出資団体等に対して実施いたします財政援助団体等監査、三つ目に、外部監査人が、毎会計年度、都の事業執行や関係する政策連携団体等の経営管理について実施いたします包括外部監査でございます。
 これらの監査の効果として、団体内で問題点の改善、再発防止が進み、事務の適正化や業務の効率化が進んでいくものと認識してございます。

○鈴木委員 今の三つの取り組みの中で、会計監査人が実施する、そしてもう一つは財政援助団体等の監査、これらはどちらかというと--そしてもう一つの包括外部監査もそうなんですけれども、基本的には、事業と、そして、予算がきちっと的確に執行されているのかということを主に監査しているというふうに思うんですけれども、やはり一番大事な部分というのは、外部から見て、もっとさらに透明性に寄与するような、そうした取り組みが何よりも求められると思っております。
 包括外部監査をしているという話なんですけれども、これ、調べてみると、包括外部監査というのは、毎年テーマを決めて実施されるために、団体によっては、監査が入るのが十年ぶりということもあるらしいという、要するに、全体に政策連携団体を、毎年とか、ある程度、三年とかというスパンではなく、テーマを決めて監査していくということで、団体によっては、監査が入るのが十年ぶりに監査が入ったということにもなっているというふうに、私は、この間、聞いてびっくりしたのですけれども、監査が入ることにより、団体の事務負担への配慮というのはもちろんあるんだというふうに思いますけれども、今求められているのは、信頼をしっかりと回復していくような取り組みをしていくためにも、適切な間隔にしていくことが不可欠だというふうに私は思います。
 そして、そのためにも、事業規模に応じて--やはり政策連携団体にも事業規模というのがあるわけですので、グループ分けして、このグループごとに外部監査の頻度を高めていく必要が、そういった取り組みをしていくことが大切ではないかなというふうに思います。
 これから、監理団体が政策連携団体と名称変更したことに伴って、団体の位置づけが変わったというのであれば、都政の一翼を担う責任ある立場として、今まで以上に、内と外から団体の活動を律していくことが必要であります。
 総務局には、この制度所管局としてしっかりと、見せかけに終わらないような改革に努めていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。
 次に、犯罪被害者等支援条例の構成案についてお伺いいたします。
 これも重ならないようにさせていただきたいのですけれども、まず、さきの第一回定例会で、従来の方針を転換して、犯罪被害者支援に関する条例を制定するという話だったのですけれども、ほかの会派の方も触れているのは、区市町村、要するに、実際は区市町村にどうかかわっていくのかという話になっていくんだというふうに思います。区市町村にしっかりと実効性を持たせていくには、連携をして、ある意味、教育、そして研修ということも、ともにやっていく必要があるんだというふうに思います。
 最終的には、区市町村自体にも実効性を担保していただけるような条例制定につながっていくような、そういった緊密な連携というものも必要だというふうに思うわけですけれども、都は、区市町村の連携や支援について、これからどうやって取り組んでいくのか、改めてこの部分をお伺いさせていただきます。

○堀越人権部長 基本的考え方では、区市町村が行う支援に対しまして、都が必要な情報提供や助言等を行うことを都の責務とし、国や都、区市町村、民間支援団体等が連携協力をしながら、総合的に支援を行うことを掲げております。
 条例の制定を契機に、個別の対応事例の検討会や、各区市町村のニーズに応じた専門人材の育成のための研修の実施を通じて区市町村の施策の充実等を図ることにより、より被害者の方に寄り添った支援を行うよう、取り組んでまいります。

○鈴木委員 今ご答弁いただいたのですけれども、本当にそのような取り組みだけで、実際に犯罪被害者に対してしっかりと寄り添った対応というのができるのかなというふうにも思うわけであります。
 先ほどの質疑でもありましたけれども、さまざまこれまでも経緯があって、東京都は屋上屋を重ねないというような取り組みの中で進めてきた中、そして、今回、急遽、条例を制定するという、その意味合いというのは、やはり私は、しっかりと皆さんが心構えとして持っていかなければ、これを実際に区市町村に、どういったかかわりになっていくのかということも、余り信頼が持てないような状況になっていくというふうにも感じるわけでございますので、この部分をしっかりと、本当に区市町村に実効性を持っていただけるような取り組みと教育、研修に努めていただきたいなというふうに思います。
 犯罪被害者に寄り添うという考え方というのは、もちろん重要なわけですけれども、やはり一番大事な部分というのは、個人情報に対してどのようにかかわっていくのかということがあるんだというふうに思います。
 これまでも、例えばDV被害者に対して、市の職員が情報を漏えいしてしまったとか、さまざまな部分で二次被害につながっている部分があるわけですけれども、万が一にも被害者に係る個人情報が漏れるということがないように、個人情報の管理に努めていかなきゃいけないのですけれども、まず、東京都の考え方としてどのような見解をお持ちか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 被害者の個人情報は、とりわけ慎重な取り扱いが求められることから、より厳格な管理が必要でございます。
 このため、現在、都の総合相談窓口では、書類の鍵つきキャビネットへの保管や、パソコンをスタンドアローンにすることなど、支援時に把握した被害者に係る個人情報が流出しないように、支援担当者による情報管理を徹底しております。
 今後、関係機関相互の連携が進むことに伴い、機関同士の情報のやりとりの増加が想定されますが、その際にも情報管理が適切になされるよう、対応策を講じてまいります。

○鈴木委員 東京都の取り組みとあわせて、今も話が出ました区市町村にも、しっかりとそういった部分を意識づけできるような、そういったかかわりをしっかりと持っていかなければ、条例をつくっても、実際にパフォーマンスで終わってしまうというような懸念が持たれるわけでございます。
 被害者の真にためになるような今回の取り組みになるように、しっかりとこの部分、取り組んでいただきたいことを強く要望して、重なる部分は質問しないで、次の質問に移らせていただきます。
 次に、LGBTに関する基本計画素案についてお伺いいたします。
 性的マイノリティーの方々が直面している問題の解決を図っていくために、まず、周囲の理解を促進することが先決であるということを、繰り返し私も主張させていただいてまいりました。正しい理解なくして、社会全体が性のあり方をめぐる多様な考え方を受容することも、偏見をなくすことも、私は実現できないという話をさせていただいたわけですけども、今回、都が基本計画の素案を取りまとめて、行政として進めていく取り組みを明らかにしたわけですけれども、計画をつくって、それをしっかりと地道に取り組んでいくということが何よりも求められるわけです。
 この計画で基本方針の第一として挙げられたのが、声を上げられない当事者に寄り添うということを掲げているわけですけれども、声を上げられない当事者に寄り添うということは、しっかりとアンテナを張って、そして、都みずからがこの部分に、本当に差別が生じないような理解促進に努めていくという、やはり、つくった気概というものもなければ、私は、これは本当に、計画をつくってそれで終わってしまうということにもなりかねないというふうに思います。
 無関心とか無理解、偏見という問題が現実に今ある中で、支援する側から寄り添っていくということで、方針の第一になったわけですけれども、実際にこの計画の中に、施策の柱の一つとして相談支援体制の充実ということが掲げられております。
 昨年十月に開始した専門電話相談の実績、相談者や相談内容というのは、実際にどのような状況になっているのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 昨年十月から開始した専門電話相談の実績は、事業開始以降、本年七月までの十カ月間の相談件数は百四十二件となっています。
 相談者については、三十代から四十代の方が多く、十代から二十代の若年層からの相談が相対的に少ない傾向が見られます。
 相談の内容といたしましては、生きづらさを打ち明ける相談や、周囲の無理解に関する相談など、当事者やそのご家族等から多様な相談が寄せられております。

○鈴木委員 淡々とお答えになっておりますけれども、十カ月で百四十二件というのが、本当に物足りないというふうに、皆さん、多分、感じているのではないかなというふうに思います。若者の実績が少ないということは、やはり相談や周知の方法に課題があるとしかいいようがないというふうに私は思います。
 今回の計画の第一にも、声を上げられない当事者に寄り添うなんていうことが書いてありますけども、実際に、声を上げられない当事者に寄り添うということはどのように考えているのか、改めてお伺いいたします。

○堀越人権部長 声を上げられない当事者に寄り添うということで、やはり、相談窓口になるべくつながっていただきたいというふうに考えております。
 相談窓口の周知につきましては、ホームページでの発信の充実や、チラシやカードの配布先の拡大などを実施していきます。
 また、先ほど若年層の相談が少ないというふうにご答弁しましたが、若年層がアクセスしやすいように、身近な手段として、SNSを活用した専門相談の試行を検討しています。
 さらに、都政におけるさまざまな窓口に寄せられる相談の中に、性自認及び性的指向に関する悩みが含まれる場合も想定されるため、講習会等を通じて相談機関の職員の理解を深め、相談内容に応じて専門相談窓口につなげてもらえるよう働きかけてまいります。

○鈴木委員 あえて、今、質問の内容を変えたのは、要するに、本気度が全然伝わってこない。ある意味、手段、方策だけ答えているだけであって、目標の第一に、声を上げられない当事者に寄り添うというのであれば、どういう意味でこれを基本方針の第一にしたのかということをしっかりと答えていただきたかったなというふうに思っておりますし、今、本当にこの問題で悩んでいる方は、そこを一番語っていただきたかったのではないかなというふうに思います。
 今、話の中で、相談機関の職員の理解を求める中で、講習会を通じてとありましたけれども、どんな講習会を開かれるのか、お伺いいたします。

○小松委員長 どなたがお答えになりますでしょうか。

○堀越人権部長 これから検討していく部分もございますが、性自認及び性的指向に関して、さまざまな機関の方がかかわっていらっしゃいますので、都の職員だけでなく、区市町村、民間の相談機関などの職員も対象にどのような連携、研修ができるか、これから検討してまいりたいと思います。

○鈴木委員 これは素案ですけれども、計画をこうやって発表するのに、基本的に、答弁書を見ないと答えられないような状況ということ自体が、本気度がまず伝わってこないというふうに私は思いますよ。
 これは本当に、私、この条例制定のときもお話をさせていただいたけれども、一番大事なのは、まだ理解が進んでいない現状の中で、東京都がオリンピック憲章に掲げられているからということで今回やるということを示されたわけですけれども、やるのであればしっかりとやっていただきたいということは、もういうまでもない話なんだけれども、結局、何も、これから決めますとか、そういう話だったら、いつまでたっても、これは絶対進まないというふうに私は思います。
 もともと、今回、皆さん方が、私たちは、もっと寄り添って、実際にお悩みになっている方の理解を進めていくことが何よりも大切ではないかなという話を何度もさせていただいたのですけども、いや、差別を解消するためにこの条例を制定するんだといいながらやっていて、実際、条例をつくっても、何も取り組んでいないというのが現実だということが、今の答弁で、私ははっきり、今、明快になったというふうにも思っておりますよ。
 しかしながら、今回、計画がもうつくられるわけですので、パフォーマンスにならないように取り組んでいただきたいなということを思います。
 そして、次に、人権プラザについてお伺いするわけでありますけれども、これは政策連携団体の一つである公益財団法人の東京都人権啓発センターが運営しているわけでありまして、人権施策推進指針に基づく十七の人権課題について、まさに啓発の拠点である。今回、報告事項である政策連携団体の経営目標評価においても、プラザでの啓発活動などが目標として設定されているのを確認しました。
 総務委員会でも、ことし六月に視察に行って、私も実際のところを見てまいりましたけれども、パラリンピック競技用の車椅子やボッチャなどの競技用のボール、さまざまな人権課題について展示があり、わかりやすく展示されているなというふうに思うわけですけども、実際に、この人権プラザ、できたばかりなんですけれども、どういった方々が利用されているのか伺いましたら、基本的には、都外の修学旅行の一環で来られる方が多いみたいな話だったわけです。
 これだけのものをつくられているのであれば、都内の子供たちに、人権ということに対してもっと認識をしていただいて、考えを深めていただけるような施設にしていかなくてはならないというふうに思うんですけども、そうした観点で、より多くの都民に利用してもらえるような工夫というのをどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 人権プラザは、都の人権啓発の拠点として、人権に関する展示や資料の収集、提供、一般相談、法律相談などを実施しております。
 これまで、企業や行政の研修を受け入れるとともに、新進の写真家による写真展や、タイムリーなテーマを扱った都民向けの公開講座など、都民に人権について幅広く考えてもらえる事業を実施し、利用者の増加に努めてまいりました。
 また、昨年度は、最寄りの三つの駅に看板広告を掲出し、認知度の向上を図りました。
 さらに、都内の子供たちの受け入れ拡大に向け、区市町村教育委員会に対し、人権プラザにおける児童生徒のグループ学習や体験学習での利用についてPRを行ったところでございます。
 今後も、展示や都民講座の内容に工夫を凝らすなど、事業の充実はもとより、ホームページやイベントなど、さまざまな機会を通じましてPRを強化し、都民のさらなる利用を促進してまいります。

○鈴木委員 ぜひ、せっかくすばらしい施設をつくられているわけですから、多くの方に学んでいただけるような、本当に価値ある施設にしていただきたいというふうに思います。
 今、東京都は、さまざま条例だとか、総務局もいろいろ取り組みをされていますけれども、なぜその取り組みをされているのかという認識が必要なんだというふうに私は思います。条例をつくる、何か施策をする、それのハウツーじゃなく、やり方じゃなく、一番大事なのは、皆さんがなぜこのことをやっているのかということをしっかりと示していただけるような取り組みにしていただきたいなというふうに思います。
 次に、首都大学東京についてお伺いいたします。
 首都大学東京の業務実績評価について伺います。
 首都大は、来年四月に東京都立大学へと名称を変更するわけでありますけども、長期戦略の策定に向けた発表、昨日も議論しましたけども、未来の東京への論点で、二〇三〇年には世界最高峰の大学へと進化させるとした上で、グローバルな課題解決に資するノーベル賞クラスの研究を推進すると、非常に野心的な目標を掲げております。
 私は、こういった意味では、バックキャストというのも、こういうふうに皆さんに目標を持たせて、さらに高い目標を持たせるという意味では、ケース・バイ・ケースで、これこそまさに大事だというふうに思うんですけれども、これを夢物語で終わらせるのだったら意味がない。掲げた以上、その実現に向けてしっかりと取り組んでいくことが必要なわけですけれども、今の首都大学東京の現状を正しく認識して、目標との間にある課題をしっかりと理解して解決していくような取り組みにしていっていただきたいなというふうに思います。
 このような観点で、初めに教育についてお伺いするわけですけども、大学が果たすべき役割は、教育と研究だというふうに私は思います。
 そして、大学の主役といえば学生なんです。その学生の教育に対して、首都大学東京はどのような人材育成を目指して学生教育を行っているのか、まずお伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、学び続ける力を有し、協働して新たな価値を創造できる人材の育成を目指して、本物の考える力と誰とでも協働できる能力を学生が身につけられる教育を実践することとしております。
 具体的には、学生が主体的、能動的に学ぶアクティブラーニングや、演習式の少人数授業である基礎ゼミナールなどを積極的に推進するとともに、自治体と連携した地域交流事業や学外学習、現場体験型のインターンシップの実施などを通じまして、大学の目指す人材の育成に努めておるところでございます。

○鈴木委員 ただいまの答弁から、首都大学東京というのは、単に技能や知識の修得とか、資格を取るだけということを目標にしているわけではない、新たな価値を創造できる人材を育てようという、そういった目標で取り組んでいるという話なんですけれども、そのためにも、学生の学ぶ意欲をしっかりと後押ししていただきたいなというふうに思います。
 昨今、私たちを取り巻く多くの環境が地球規模での対応が求められている中で、いわゆるグローバル化が進んでいる中で、学問の分野には、もちろん国境があるわけではないので、卒業後もグローバルに活躍できるような人材を育ていただきたいなというふうに思うわけですけれども、積極的に学生を海外に派遣する、そうした中で、今後、首都大学東京はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、国籍や文化の違いを超えて、グローバル社会で活躍できる人材を育成するために、第三期中期計画最終年度の令和四年度までに千三百五十名を派遣することを目標に、学生の海外派遣の促進に取り組んでおります。
 具体的には、海外派遣に興味のある学生と経験者の交流イベントや、英語講座などを通じまして、海外の大学や大学院への派遣拡大に向けた取り組みを実施するとともに、期間や派遣先などに応じまして、渡航費や奨学金などを支給する経済支援も行っております。
 その結果、昨年度は二百五十九名を海外に派遣いたしまして、中期計画の初年度からの累計は五百四名となりました。

○鈴木委員 大学の目標で、グローバルに活躍できる人材の育成ということがあるわけで、今お話がありましたけれども、千三百五十名を派遣。しかしながら、全学生の人数というのは九千人ということを考えると、まだまだ割合として高い数字じゃないなというふうに思います。
 しかしながら、奨学金だとかいろんな部分で応援しているということは、私はすばらしいことだというふうに思いますし、家庭の事情で、いろんな部分で、海外で研修したいと思っても、勉強したいと思っても、できない方というのはたくさんいるというふうに思うんですけれども、そういった方こそ、首都大学東京で本当にしっかりと勉強するという意欲のある子は、もっともっと後押しをしていただいて、もっと海外との交流をしながら、グローバルに活躍できる人材育成に努めていただきたいなというふうに思います。
 大学というのは、教育もそうですけれども、やはり研究にもっと力を入れていっていただく。それが未来の東京への論点に示されているノーベル賞クラスの研究という話につながっていくんだというふうに私は思うんですけれども、昨年の事務事業質疑でも、首都大の研究について取り上げさせていただきました。
 首都大がグローバル化を進め、今後、世界で認められるような大学になるには、研究力の高さが首都大学の特徴なわけですので、やはりその研究力をもっともっと伸ばしていくような取り組みにしていかなくてはならないのですけれども、初めに、研究力向上に向けて、今現在、どのなような取り組みをしているのか、お伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、研究力の維持強化を図るために、すぐれた研究に対して重点的に研究費を配分する制度や、大学の研究活動を支援する専門人材であるURA、University Research Administratorによります研究支援体制を整えております。
 昨年度は、求める研究成果の水準をより明確に示した上で、研究費を傾斜的に配分する仕組みに見直すとともに、外部資金などの獲得に向けまして、URAを中心としたプロジェクトチームを設置するなど、支援体制を強化したところでございます。
 また、海外の有力な研究者との共同研究を推進するために、ロシアのトムスク大学とイギリスのレスター大学との間で共同シンポジウムを開催いたしまして、それぞれが強みを持つ研究分野について議論を行うなどの取り組みを行いました。
 その結果、今年度は、国の科学技術振興機構の新規課題として、トムスク大学との国際共同研究が採択されました。

○鈴木委員 私たちの時代には都立大という名称で、首都大学はなかったわけですけども、都立大を卒業した私の友人なんかは多くいるのですけれども、今の首都大学を見て、本当に充実していて、うらやましいなという話をよく聞きます。それだけ、毎年、皆さんが頑張って、今、首都大学というのが発展しているんだなというふうに思うんです。
 やはり未来の東京への論点で高い目標を掲げているのであれば、しっかりとそれにふさわしいような結果を出していくことが大事だというふうに思います。やはり目標があって、そして目標がある以上は、それについても、多分、知事は予算を出してくれるというふうに思っておりますので、予算を気にせず、世界最高峰の大学にするために皆さんは取り組んでいくべきだというふうに思いますので、その部分で、また予算がどうのこうのという話になれば、この長期戦略はどうなんだという話になってまいりますから、ぜひ皆さんは世界最高峰の教育機関となるように頑張っていただきたいなというふうに思います。
 ただいま、グローバル化に資する取り組みの一つとして、海外の大学との交流についての紹介がありました。今年度、国際共同研究をスタートさせるなど、成果も出ているという話ですけれども、先ほどいった世界最高峰の大学を目指すならば、このような大学同士の交流も重要ですけれども、研究者や個人レベルの能力アップも欠かせないわけであります。
 今まで以上に、首都大学の研究者を海外の大学に送り、育てることや、あるいは逆に、海外の優秀な研究者を首都大に呼び込んでいくことも必要なわけでありますけれども、首都大の研究者の海外派遣や海外の研究者の受け入れについて、昨年はどのような状況だったのか、お伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、将来を担う研究者の養成や国際的な研究ネットワークの構築などを促進するために、若手研究者の海外派遣支援を行っております。
 昨年度は、ハーバード大学の法科大学院やアメリカ大気研究センターなどの五つの大学と二つの研究機関に七名の若手研究者を派遣いたしまして、法学、流体力学などの分野で各機関の研究者との交流を実施いたしました。
 また、国外の研究者との連携や国際共同研究などを促進する観点から、生命情報科学など、首都大学東京が強みを持つ研究を行う研究センターに外国人研究者の受け入れを進めております。
 昨年度は、十の研究センターにおいて、海外から著名な研究者を招聘いたしまして国際シンポジウムを開催するなどいたしました結果、研究センターに所属する外国人研究者も、前年度に比べまして十一名増加いたしまして、総数で四十四名となりました。

○鈴木委員 私は、本当に世界で認められるような大学にしていただきたいと。そして、来年は、新しくまた都立大学という、名称が変わっていく中で、名称が変わるということも含めて、新たに大きな目標に向けてチャレンジしていただきたいなというふうに思います。
 私は、研究をしっかりと充実させていくためには、大学の四年間というのでは、研究という時間的なことを考えると、なかなか難しいのではないかなということも感じております。
 やはり大学四年間、最初の一年間というのは、必須科目とかいろいろある中で、自分が志す研究がなかなかできないと。そして、四年制であれば、大学三年から四年になれば就職活動とか、そういったこともあって、本当に研究したいということを考えれば、大学から大学院というような、そういったコースに行く人がふえていくような大学にしていくことも必要なのかなというふうにも思っておりますけれども、今後、本当に世界最高峰の研究機関としての大学になるように頑張っていただきたいなというふうに楽しみにしております。
 今後、若者の人口がますます減少していく中で、大学間競争というのは、また一層厳しくもなっていくというふうに思いますけれども、ほかの国立大学や私立の大学も、今、血のにじむような努力をしているわけであります。
 こうした中で、首都大が研究で世界最高峰の大学を目指す以上、ましてや先の将来といえば、ノーベル賞をとるといっているのでありますので、相当の覚悟を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。これまでの質疑で、大学としてさまざま努力していることは承知しておりますけれども、本当にスピード感を持った取り組みにしていただきたいというふうに思います。
 最後に、今後の首都大学東京の研究力のさらなる強化に向けて、局長に質問したことが余りなかったのですけども、局長の意気込みを伺って、私の質疑を終わります。

○遠藤総務局長 首都大学東京につきまして、さまざまなご意見、ご質問をいただきました。
 首都大学東京は、都が設置している唯一の総合大学として、開学以来、海外の大学、研究機関との連携強化を図りながら、多彩な基礎研究と大都市問題の解決に貢献する課題解決型の応用研究に取り組んでまいりました。
 その結果、研究の国際性を示す指標につきましては、国内の主要な大学を大きく上回るほど、その研究力について一定の評価を得ております。
 一方で、そうした研究力についての認識がなかなか都民の間に広まっていないというような弱みもございますし、気候変動や資源エネルギー問題など、都市を取り巻く世界共通の新しい課題についても、対応しなければいけないというような課題も持っております。
 同時に、日本が強みとする基礎的な研究につきましては、これは首都大学東京についてもしっかりと取り組んでいるところでございますけども、なかなか成果が出るまでに時間がかかるといったような問題も抱えています。
 そうしたさまざまな課題を抱えつつも、その課題を理事がおっしゃるようにスピーディーに解決をしながら、高い目標に向けて、これまで以上に首都大学東京の地位を高めるよう、そして、その動きを加速化していけるよう、都としても強力に支援をしてまいりたいと思います。

○原委員 それでは、私も、質問の前に一言述べたいと思います。
 今回の台風で大変な被害に見舞われた島しょ地域の皆様に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 私たち共産党都議団としても、十日に申し入れも行いましたが、担当部としても迅速な対応をされていることに感謝を申し上げつつ、引き続き対応を求めたいと思います。特に、例えばビニールハウスが倒壊したとか、そういうような声もたくさんあって、被害はいっときのものではなくて、今後の暮らしをどう支えていくのかという長い目で見て行う必要もあるのかというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、質問をしたいと思います。
 最初に、首都大学東京について質問いたします。
 二〇一八年度は、第三期中期目標期間の二年目として業務実績評価が行われて、着実な業務の進捗状況にあるとされています。
 業務実績評価に当たり、学生の声を聞く機会は持たれたのか、伺いたいと思います。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 公立大学法人首都大学東京の業務実績評価は、地方独立行政法人法第七十八条の二第一項の規定に基づきまして、評価委員会が評価の基本方針及び方法を定めた上で評価することとなっております。
 具体的には、法人が提出する業務実績等報告書及び法人からのヒアリングを通じて行うこととなっておりまして、仕組み上、学生の声を聞くことにはなっておりません。

○原委員 評価委員会が学生の声を聞く必要があるというふうに考えて評価方法の中に入れていけば実施されるのかと思いますが、今回はいかがでしたでしょうか。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 今回の評価に当たりましては、行っておりません。

○原委員 今回は行っていないということですが、私は、学校の評価については、主人公である学生がどう感じているのかが重要だというふうに思っています。評価委員会の考えは考えとして、その線で評価をきちんとされているということ、これは当然理解をしているんですが、基本的な考え方として、学生の声をいかに聞いて評価をしていくかというのが大事だと私自身は思っています。
 先日も学生の方が、首都大学東京は学費がほかよりも低いので、入ることができたというふうにいっていました。でも、それでも負担が大きいという話をしていました。学生の声や生活の状況を踏まえて、経済的支援について検証していくことが重要だと今思っています。
 経済的支援については、法人の三つの学校、首都大学東京、産業技術大学院大学、それから都立産業技術高等専門学校の三つの学校で、経済的支援を希望しても受けられないという学生は出ていないのかどうか、伺います。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京、産業技術大学院大学、都立産業技術高等専門学校の経済的な困窮を理由とする授業料の減免、高等学校等就学支援金などの経済支援につきましては、学生からの申請があり、基準を満たしていれば、支援を実施しております。
 なお、選考が必要な経済支援につきましては、当然のことながら、希望者全員が支援を受けられるものではございません。

○原委員 二〇一六年度ごろからだったと思いますが、学生の方々からも本当にたくさんの声があって、授業料減免については、予算の枠を超えたら打ち切るということではなくて、そこを改善されたというふうに思っています。このことは本当にとても重要だったと思っています。
 ただ、その対象になるぎりぎりのところで受けられないという学生さんの話も聞きました。私は、今後、支援のさらなる拡充を検討していくことが必要ではないかと、このことを指摘しておきたいと思います。
 そして、今回の評価の中で特に評価が高いものが、首都大学東京から都立大への名称変更です。これが高く評価をされています。
 名称変更については、学生や教職員への意見聴取や説明はどのように行われたのでしょうか。また、名称が変わることによる学生の不利益はどのようなことが想定され、対策をどうとるのか、伺います。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 名称変更検討の過程では、二大学一高専の教職員に対し、学長などが意見を聴取し、首都大学東京では、学長が学生団体からも意見を聴取したと聞いております。
 名称変更の決定後は、学生や教職員向けの学内説明会を行いましたほか、大学のホームページに特設のページを開設いたしまして、理事長、そして学長のメッセージや説明会資料を掲載しております。
 名称変更に伴い、入学時と卒業時の大学名が異なるということになるため、履歴書の記入方法の指導や記入例を作成するとともに、ガイダンスを行うなど、丁寧に対応しております。

○原委員 わかりました。
 本来は、学内での名称変更に向けての議論にもっと時間をかけられるように配慮する必要があったのではないかと私は意見を持っています。
 現場では、いろいろお話を聞いていきますと、突然、知事の所信表明で明らかになって対応することになったというふうに認識をされている方々も多いのが実態です。自分の学校がどういう名前になっていくのかということを、本当に時間をかけて主体的に議論していくということが、本来、重要だったというふうに思います。
 でも、今伺ったところ、今もその不利益が出ないように対応しているとか、きめ細かく対応していただいていると思いますので、引き続きお願いをしたいと思います。
 都立大に名称変更することは歓迎だという声もたくさんあって、しかし、歓迎であっても、そのプロセスは、学校現場の教職員や学生たちを主役にするということが大事だというふうに私は考えて質問いたしました。今後とも、学校の自律性を尊重していくということを求めておきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 政策連携団体の関連で伺います。
 第二回定例会において、知事が政策連携団体のトップとの会談を行うという表明をされたことを受けて、総務委員会において、そのことについても質疑をさせていただきました。その知事とトップの会談というのは、公開で行われるべきだということで質問をしました。しかし、知事に諮った上で非公開だということになったとわかって、大変、私は驚きました。
 監理団体の位置づけを高めて政策連携団体にしている、東京都との連携も強めるとしながら、なぜ非公開なのかと、やりとりをさせていただきましたけれども、このとき確認をしたのは、少なくとも記録はとるということは求めて、それは確認をされたというふうに私は認識しています。
 その後、このトップ会談は行われたのでしょうか。また、記録はとられていますか。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 知事と政策連携団体代表者との意見交換につきましては、七月以降、これまでに二十七団体分を実施してございます。残りの団体については、今後実施する予定でございます。
 また、会談の記録につきましても、もとより公表していくことを前提として議事概要を作成中でございます。

○原委員 わかりました。残りの団体も幾つかありますし、今後、議事概要がまとめられると思いますので、それを受けて、また議論をさせていただきたいと思います。
 このたび、不適正事案及び内部統制に係る自己点検が行われました。これを受けての都の所見を伺います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今回の自己点検では、団体の不適正事案にかかわる点検、受託事業者など他者との不適切な関係にかかわる点検、団体の内部統制にかかわる点検、そして、所管局の団体に対する統制にかかわる点検という四つの視点から点検を実施いたしました。
 全団体、おおむね適切な対応がなされておりますけれども、団体のコンプライアンスの推進体制や、所管局によるガバナンスについて強化すべき点も見られました。かように認識してございます。

○原委員 私は、この結果を見て、具体的に急ぐ必要があると思った一つが、ハラスメントの相談窓口未設置団体、また、要綱のない団体についての働きかけではないかというふうに思いました。
 今後どのように対応するお考えでしょうか。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ハラスメントの相談窓口が設置されていない団体につきましては、その設置を促すとともに、団体の規模などから、内部窓口では職員が相談しづらい状況なども考慮いたしまして、総務局として、各団体が共用可能なハラスメントの外部相談窓口の設置を検討してございます。
 また、ハラスメント相談に当たりまして、組織として統一的な判断を行うための基準を整備していない一部の団体につきましては、都や他団体の例を参考に速やかに整備するよう指導を行っているところでございます。

○原委員 わかりました。
 今お話の中にあった、総務局として、共用可能なハラスメントの外部相談窓口の設置を検討しているというのは、これはとても重要だと受けとめました。確かに、小さい団体だと、中で相談しにくい、これは本当にあることです。そこに目を向けて、共用可能な窓口をつくっていこうということで取り組まれていることについては、本当に重要な動きだと思いました。ぜひ進めていただきたいと思います。
 私は、政策連携団体の今後のさらに重要なことの一つとして、前回も伺いましたけれども、情報公開の強化だというふうに思っています。
 今後、都としてどのように働きかけていくのか、伺います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 これまでも各政策連携団体におきましては、役職員や契約情報、職員給与の状況などの情報公開に加えまして、経営改革プランにおいて、主要事業の分析や収支の構造を公開するなど、経営情報の見える化を推進してまいりました。
 今後も、団体が自律的に情報公開を進めることを基本といたしまして、都民への説明責任を果たしていけますよう、適切に指導してまいります。

○原委員 私は、少なくとも評議員会の公開というのは実施すべきではないかと思っています。公開にしている団体も一つありますので、基本的に原則公開にしておくというのが大事ではないかと思います。実際に傍聴者がたくさん来るかどうかというのは、それはまた別の話で、オープンにしていますよということを示していくことが重要だと思いますので、これは引き続き、要望もし、検討を求めておきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、次に、性自認、性的指向にかかわる基本計画素案について伺います。
 私は、まず、人権条例ができたことで、どれだけセクシュアルマイノリティーの方、特に、声を上げたいと思っても声を上げられないという人たちが救われる思いになったのかということがとても大事だと思うんです。
 私は、この条例で一番大事だと思っているのは、一部の人のためにつくったという条例ではなくて、全ての人にとって、性自認、性的指向にかかわる差別はだめなんだということを規定した、だから、セクシュアルマイノリティーの人たちも、本当にうれしいといってくださる方が多いんだと思います。
 ですので、この人権条例に沿って、今度は基本計画を具体的につくって前に進めようというときですので、そういう前向きな議論を都民の皆さんと一緒にしていきたいというふうに思っています。
 それで、まず最初に伺いたいのですけれども、素案の段階で質疑やパブリックコメントが行われるということで、これは非常に重要だと思っています。
 今回出されている素案にまとめていく過程で、セクシュアルマイノリティー当事者の方の声をどのぐらい聞いたのか、教えてください。

○堀越人権部長 基本計画素案の策定に当たりまして、当事者の方々のニーズや要望等を把握するため、本年一月から三月にかけて、性自認及び性的指向に関する施策の実施状況等調査を実施し、四十二名の当事者の方々から寄せられた声をもとに課題分析を進めました。
 あわせて、計画の構成や基本方針等を検討するに当たって、八名の当事者の方々に個別にご意見を伺いました。
 このほか、八つの当事者等団体からも、調査を通じてご意見を伺っております。

○原委員 調査の中で、サンプル数が少ないのではないかというご指摘もあります。サンプル数をふやした追加調査が必要ではないかということについては、私は、これは大事なご意見だと思うので、検討を求めておきたいと思います。
 ただ、私は、今回、この素案を見て注目できるのは、意見聴取はかなり丁寧に行われているのではないかというふうに思いました。とてもリアルな声が届けられているというふうに思っています。
 ですので、私は、今後を考えると重要だなと思っているのは、計画策定のときに声を聞くだけではなくて、恒常的に声を聞く、皆さんが意見をいえる、そういう仕組みづくりじゃないかと考えています。
 セクシュアルマイノリティー当事者の方はもちろん、マイノリティーではないという方も本当に参加できる、そういう会議体をつくっていくということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関する基本計画におきましては、声なき声に配慮する相談体制の充実を重点課題としており、専門相談で寄せられる声を初め、昨年度設置した全庁横断の施策推進会議においても、必要に応じて当事者等を講師としてお招きするなど、さまざまな機会を通じて意見を伺ってまいります。

○原委員 今ご答弁いただいた、それはそれでとても大事なことだと思います。
 ただ、一方で、必要に応じてと今おっしゃっていて、行政の必要に応じてではない仕組みづくりが必要なのではないかというふうに私は意見を持っています。そうした意見についても、今後検討していただきたいと要望をしたいと思います。
 それで、先ほど相談の状況についてはご質疑がありましたので、ここは省略をしたいと思いますが、私は、ご答弁を聞いていて重要だと思ったのは、今後、SNSの活用もして、若年層の相談を受けられる、そういう努力をしていきたいというお話だったんです。これはとても重要だと思って聞いていました。とにかく、自分の苦しさを、誰にもいえない苦しさを何かの形で言葉にするということがとても重要なので、新たにSNSを試行してみるということはとてもいいことだと思います。また試行しながら、いい方法を新たに考えていけばいいわけですので、まず、このことについては、ぜひ進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それで、次に質問をしたいのですが、この基本計画は性自認及び性的指向にかかわるものですから、冒頭にいったように、全都民にかかわる計画だということが大事なんですよね。ですから、本当に都民の皆さんが知るということがすごく重要です。
 基本計画づくりをしていく上では、鍵は、人権条例の趣旨をどう広げていくのかということになると思います。これをどのように進める考えなのか、伺います。

○堀越人権部長 多様な性の理解の推進のためには、条例の趣旨を周知し、都民一人一人の理解を深めることが重要であると認識しています。
 今般の基本計画におきましては、啓発、教育の推進を施策の柱の一つとしており、さまざまな媒体や企画等を通じた啓発等に積極的に取り組んでまいります。

○原委員 啓発、教育を施策の柱の一つとしている、また、読んでいきますと、教職員の研修なども位置づけてきているということは、とても重要だと受けとめています。
 これ、教職員とかというふうになりますと、教育という分野になれば、また局は変わるわけですので、ぜひ連携を強めて進めていっていただきたいというふうに思いますが、その基本計画なんですけれども、私はこれを読みながら、人権施策推進指針の見直しも必要になってきているというふうに思っています。
 というのは、例えばですけれども、素案の一二ページの一番下のところには、ことしの五月に、WHOで性同一性障害が精神疾患から除外された、仮訳で性別不合というふうになったという記述があります。これをちゃんと明記していることはとても重要だと思っていますが、しかし、資料でついている五七ページには、これは指針なんですよね。この指針は、性同一性障害、五七ページの14というところに書いてあります。
 基本計画の素案の最初のところには、今の到達点がきちんと反映されているんですけれども、指針にはまだ反映をされていないということで、私は、計画をつくっていくと同時に、この人権施策推進指針についても、この機会に今の到達点に見直していく、改善していくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○堀越人権部長 東京都人権施策推進指針は、十七の人権課題を掲げ、課題それぞれにおける取り組みの方向性を示しており、性自認及び性的指向に関する基本計画も、指針で示された方向性を踏まえたものでございます。
 指針の見直しにつきましては、社会経済状況の変化等を踏まえ、慎重に検討してまいります。

○原委員 慎重に検討していくということですが、急いで検討して、なるべく早く見直しをしていただきたいというふうに述べておきたいと思います。
 次に、幾つか伺いたいのですけれども、今回の基本計画の検討の中で、パートナーシップ制度をどういうふうに今後検討していくのか、これも非常に重要な課題だというふうに思っています。
 この点についての検討について、考え方をお聞かせください。

○堀越人権部長 同性パートナーシップ制度は、婚姻関係のあり方そのものにかかわるものであり、戸籍制度や住民基本台帳制度との整合などの課題もあることから、広範な国民的議論が必要であると認識しています。
 都としては、人権尊重条例に基づき、多様な性の理解を推進し、多様性を尊重する都市の実現に向け、引き続き、必要な施策を展開してまいります。

○原委員 きょうは、ちょっと時間の関係もあるので、要望しておきたいと思いますけれども、やっぱり検討は必要な事項だということははっきりしていると思います。ぜひこの基本計画の中にも検討していく方向で盛り込んでいくことが必要ではないかということを、私は意見として述べておきたいと思います。
 そしてもう一つは、私も総務委員会で何回か取り上げさせてもらっていますけれども、都庁の職員、東京都の職員の同性カップルの方の均等待遇についての検討はいかがでしょうか。

○高崎労務担当部長 休暇や福利厚生制度など職員の勤務条件は、地方公務員法に基づき、国や他団体との均衡を踏まえることが原則となっております。
 今後策定される東京都性自認及び性的指向に関する基本計画に基づき、国や他団体の状況、さらには法令の整備状況等を注視するとともに、現行制度の目的や趣旨、法令等との整合性、制度の適用に当たっての客観的な確認方法など、制度上、実務上、両面から課題を研究していきます。

○原委員 現在、二人の同性パートナーのいらっしゃる職員の方が措置要求も出されていて、それはそれで検討をされる、調査をされていくということだと思いますが、ただ、私は、基本的な考え方として、異性カップルの方でも事実婚の方でも待遇は同じなわけで、やっぱり同性カップルも均等にしていくというのは当然なんじゃないかというふうに思います。この議論は、ぜひ前に進める議論をしていきたいというふうに思います。人権条例を制定した東京都が、まず、都の職員の皆さんの均等待遇をしっかりと前に進めていくということが求められているということを指摘しておきたいと思います。
 それで、最後に、犯罪被害者等支援条例について、意見だけ、一言、述べさせていただきたいと思います。
 今回、まず、考え方を示してパブリックコメントを行う、そして、案を示して、またパブリックコメントを行うということで、これは、都民にとっても意見を述べる機会が多い、また、議会としても議論ができる機会が保障されるということで、私はよいことだと思っています。
 二〇一四年に犯罪被害者の実態調査を東京都は行っていて、分析も、犯罪被害者と性犯罪被害者を分けてきちんと分析をされていて、非常に重要な中身でした。今も新たに調査も進めているということですので、大変注目しています。
 犯罪被害も、その犯罪の種類によって大きく違いが出てきます。それらにきめ細かく対応できるような条例に整えていくことが重要なんじゃないかと私は思っています。
 それで、最後にちょっと一言だけ述べたいと思ったのは、この考え方の中で、二次的被害を防止するということが強調されています。これはとても重要なことで、二次的被害に注目をされているということは、私は大変評価できると思います。
 ただ、二次的被害への配慮に努めるというのが二つ書いてあるんですけど、あとは二次的被害を防止するというふうになっているんですね。
 私は、この二次的被害というのは防止だけではなくて、被害というのは、長く続いたり、また、広がったり、何度も起きたりということになる、そこで苦しめられるというのが被害者だと思います。さらに、二次的被害を広げる加害の側に立ってしまう、そういう人も出てくるというケースもあります。こうしたことも含めて、被害を受けた方々の気持ちに十分に寄り添って検討を進めていくことが大事ではないかということを指摘もし、また、ぜひそういうことを検討することを要望して、質問を終わりたいと思います。

○藤井(と)委員 私からも、性自認及び性的指向に関する基本計画についてお伺いをしたいと思います。
 今の質疑とかなり重複をしておりますが、できるだけ重ならないというか、別の視点も含めまして質疑をさせていただきたいなというふうに思います。
 まず、都の同性パートナーがいる職員さんが、いわゆる法律婚のカップルの方と同等の福利厚生にしてほしいということで、人事委員会に対して改善要求を出したということでございます。
 これは、人事委員会の判断をまずは待つということだと思いますけれども、こちら、当事者の方から寄せられる大きな声の一つでありますし、この条例をつくった以上は、東京都が率先して、まずは取り組んでいくということが必要なのかなと思いますけれども、改めて都の見解についてお伺いをしたいと思います。

○高崎労務担当部長 休暇や福利厚生制度など職員の勤務条件は、地方公務員法に基づき、国や他団体との均衡を踏まえることが原則となっています。
 今後作成される東京都性自認及び性的指向に関する基本計画に基づき、国や他団体の状況、さらには法令の整備状況等を注視するとともに、現行制度の目的や趣旨、法令等との整合性、制度の適用に当たっての客観的な確認方法など、制度上、実務上、両面から課題を研究していきます。

○藤井(と)委員 制度の適用に当たって、客観的な確認方法をというお話でございました。
 確かに、同性カップルであるのかどうかということを客観的に確認するという点では、当然、一定の課題があるということは承知をしておりますけれども、こちら、人事委員会の方から改善勧告が出れば、都としては具体的に対応していくということに迫られるわけでございますので、先ほど来の答弁がちょっと消極的な姿勢もうかがえましたので、この点、ぜひ、あらゆるケースというか、改善要求がちゃんと認められるというケースも含めて、しっかり対応していただきたいなということを改めて申し上げたいと思います。
 次に、相談窓口のことなんですけども、こちら、専用の相談窓口をつくられたということについては、私たちの会派も高く評価をさせていただきたいと思います。
 こちらも当事者の団体の方々からお伺いをしているのですが、苦情も含めて、専用窓口にいった意見というものがちゃんと施策に反映されているのかと。
 具体的には、今回の性自認、性的指向に関する人権にかかわる課題というのは、多岐に、さまざまな局にかかわっている課題でございまして、他の相談窓口との連携という話も、先ほどお話がありましたけども、こちらもやっぱり重要なのかなと思うんです。
 こちらの連携強化をぜひ図っていただきたいなというふうに思うわけでございますけれども、その点について見解をお伺いしたいと思います。

○堀越人権部長 専門電話相談に寄せられた相談は、その内容に応じて、区市町村やさまざまな団体とも連携しながら、必要な社会資源へとつなげていきます。
 相談の中でご意見や苦情等があった場合には、その内容を人権部と各局が共有することで、各現場において適切な対応を図ってまいります。

○藤井(と)委員 そのような答弁になろうかと思うんですけども、それが各局に、その意向、苦情も含めてのご意見がしっかりつながっていっていない、伝わっていないというようなことをご意見として賜っていますので、ぜひこの点、前向きに取り組んでいただきたいなと思います。
 一番いただくご意見の一つは、やはり住宅の問題でございまして、民間住宅における契約の問題はさることながら、東京都として取り組める公社住宅の問題であり、都営住宅の問題であり、さらに、市区町村を交える中で、市区町村ごとに持っている公営住宅に関する施策が、今回の条例なり計画ができることによってどう変わるのかということに対して、最大の関心事の一つなのかなというふうに思っているわけでございますが、その点についてどのように取り組んでいくのか。
 そして、その問題も含めて、各局にまたがる課題というのを、今後の年内に作成する基本計画に反映をしていくという方針だと思うんですけれども、こちら、人権部としてどのような形で進めていこうとされているのか、お伺いをしたいと思います。

○堀越人権部長 基本計画素案の策定に当たりましては、社会情勢や法制度との関係、それぞれの現場の実態等も踏まえ、各局、各現場で、個別具体的に必要な取り組みを検討してきました。
 引き続き、各現場での検討を続け、人権部としては、性自認及び性的指向に関する困り事に対応するために必要な配慮など、今後も、各局と課題を共有しながら基本計画の策定を進めてまいります。

○藤井(と)委員 都営住宅の問題を例示させていただきましたけれども、住宅政策本部は住宅政策本部の方で、高抽せん倍率の問題だとか、課題を抱えていると思います。条例をつくった趣旨を、一番、主導権を発揮して反映できる立場であるのが人権部さんだと思っていますので、当事者の方々の悩み、課題に寄り添う形で、ぜひ一生懸命、取り組んでいただきたいなということを改めて申し上げたいと思います。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。
 政策連携団体の経営目標の達成状況についてお伺いをしたいと思います。
 社会福祉事業団が評価がC、東京水道サービスについて評価がDということになっております。これは、不祥事が発生をしたために評価が下がったということでございますけれども、これは都民感情に照らせば、そういった評価をするということは妥当な判断とも思えますけれども、一方、これはあくまでも経営の目標の達成状況の評価でございますので、その不祥事による影響を評価に混入させてしまうということが果たして妥当なことなのかどうかということについては、一定、疑念が残るところでございます。
 具体的にお伺いをしたいと思いますが、それぞれの団体、社会福祉事業団、C、東京水道サービス、Dということでございますけれども、こちら、不祥事を加味する前の評価はどのようなものであったのか、お伺いをしたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 政策連携団体の経営目標評価制度は、各団体が設定いたしました経営目標の達成状況等について都が評価をいたしまして、その公表を通じて都民への説明責任を果たし、団体の経営改革を促すものでございます。
 目標の達成状況につきましては、東京都社会福祉事業団は、障害児者の地域移行支援など、総じて大きく取り組みが進捗している状況、東京水道サービスは、自主事業の収益拡大など、総じて着実に取り組みが進捗している状況でございます。
 経営目標評価制度の趣旨を踏まえ、都民の視点に立ち、目標達成状況だけでなく、不適正事案等についても考慮し、評価を行っているところでございます。

○藤井(と)委員 そういったことで、今回、不祥事の部分を加味して評価を下げたということだと思いますけども、私、今回の評価結果を見て、そもそも評価のあり方として、今のあり方が正しいのかなという点をかなり不安を持っていまして、昨年の評価についても拝見したのですが、大部分がA、B評価でございまして、昨年については、Cが二団体で、Dが一団体で、Sが一団体ということでございまして、CとDの団体の数は入れかわりましたけれども、ほぼ同じような構成であります。
 こちら、そもそも相対評価なのか絶対評価なのかも、ちょっとよくわかりませんし、じゃ、仮に、ことし不祥事があって評価が下がって、C、Dにそれぞれなったことによって、ほかの団体が本来C、Dに入るはずだったものがそうじゃなくなったというふうにも、これ、ちょっとうがった見方かもしれませんけども、相対評価であったとするならば、そういう見方もできてしまうわけでございます。
 これは他会派さんからのお話もあったのですけども、評価のための評価になってしまっていないのかということを、ちょっと不安を感じるわけでございますけれども、ぜひ今後というか、私は、お手盛りの評価とまでは申し上げませんけれども、かなり厳格な評価をしていただきたいなと思いますし、ややもすれば、政策連携団体が説明していることを、うのみにしているとはいいませんけども、やっぱり監督者としての総務局の厳しい評価というものをぜひお願いしたいなと思うんです。
 今後のあり方も含めて、局の見解をお伺いしたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 各団体は、外部有識者により構成されます評価委員会が民間の経営的な視点から述べた客観的な意見を参考に、経営目標とすべき指標やその水準を設定しているところでございます。
 目標達成状況の評価に際しましては、実績値のみならず、実績に至った要因について、団体による自助努力の貢献度を分析するなど多角的に意見をいただき、それらを踏まえ、評価を実施しているところでございます。
 こうしたプロセスを通じまして、目標の設定及び評価のいずれにおきましても、客観性や妥当性を高め、本制度の適切な運用を図っていると認識してございます。

○藤井(と)委員 ぜひ前向きにというか、しっかり厳格に取り組んでいただきたいと思います。
 この評価、達成状況を見ていましても、いろいろ記述を見て、その記述の結果と、最後のBだとかCだとかDという評価というのがリンクしないわけでございまして、最後だけを見て、ああ、Dだったんだな、Cだったんだなとわかるんですけど、それがBと書いてあっても、Cと書いてあっても、正直よくわからない。ちょっと失礼ないい方になっちゃうかもしれませんけど、そういった面もやっぱり感じてしまいますので、ぜひこの点は改善方をお願いできればと思います。
 次に、内部統制のことについてお伺いをしたいと思います。
 不適正事案及び内部統制に係る自己点検結果についてお伺いしたいと思います。
 こちら、点検の結果、おおむね適正な対応がなされていたけどガバナンスの強化が必要だというような、概要の、局としての意見を表明されているかと思います。こちら、私、正直いって、余り危機感を感じないような、そういった評価だなというふうに、失礼ながら感じてしまったわけでございます。
 先ほどまで申し上げてまいりました目標達成の話と一緒で、身内に対する身内による評価というようなことをどうしても感じざるを得ないわけでございまして、今後は、団体みずからが評価する、ないしは総務局が評価する、それはいいことだと思うし、しっかりやっていただきたいと思うんですけども、やはり外部の目を入れていくということも大切なのかなというふうに思っています。
 上場企業においては、会社が内部統制に関する評価をみずから行って、そして、監査人が、監査法人なり会計士が監査報告を出すということが法定化をされているわけでございます。
 この政策連携団体については、その収入の大部分に税金を使われているということでございますし、かつ、JKKのように、かなり利害関係者が特に多い団体も含まれておりますので、これは社会的な存在ともいえるのではないかと思いますが、今後、ぜひ外部監査と内部統制に関する--会計監査を受けているという話は伺いましたけれども、内部統制に関しても監査を受けていくというようなことも考えていく必要があるのかなと思うんですけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ご紹介のありました内部統制監査というのは、金融商品取引法に基づき、上場企業に義務づけられております内部統制監査報告書の作成ですとか、その報告書に対する公認会計士または監査法人による監査のことかと存じます。
 これにつきまして、現在、政策連携団体で実施している団体はございません。
 一方で、今回、ご報告いたしましたけども、この自己点検の結果を踏まえ、政策連携団体においても、内部統制にかかわる体制のさらなる強化が必要でございまして、監事、監査役によるチェック機能の強化など、団体の自律的な改革を促進していくことを考えてございます。
 加えて、団体の経営層と局の幹部によります情報共有体制の強化や、総務局への事故報告基準の明確化など、所管局、総務局によります団体へのガバナンス強化にも取り組んでいく考えでございます。

○藤井(と)委員 いろんな形で監査、チェックをやっているというご紹介があったと思いますけども、監査事務局による監査も含めて、これはもう広い意味で内部監査の域、域というか内部監査でありますから、どこまでいっても、自分たちがやってきたことをみずから評価するというような域を出ない話でございますので、ぜひこの外部監査ということも、一つ、検討材料に入れていただければなというふうに思っています。
 今後とも、東京水道サービスのような、あのような事件が起きないようにぜひしていただきたいと思いますし、コンプライアンス、内部統制、これは本当に大切なことだと思いますので、厳しい外部の目も含めてのチェック体制をぜひつくっていただきますようにお願いいたしまして、質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後五時三十六分休憩

   午後六時十分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 質問させていただきます。
 二〇一八年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価の報告に基づき、来年の四月、二〇二〇年の四月に都立大学と名称を変更する首都大学東京についてお伺いしたいと思います。
 障害のある学生やさまざまな学生の悩みや不安にどのように対応しているのか、お伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、ダイバーシティ推進室及び学生相談室におきまして、学生生活にかかわるさまざまな悩みに加え、男女共同参画、障害、性自認及び性的指向などに関する相談に対しまして、専門知識を有するスタッフが対応しております。
 相談件数は年々増加し、内容も複雑化しておりまして、その解決に向けては、全学組織が連携して、よりきめ細やかに対処していく必要があることから、今年度、ダイバーシティ推進室の取りまとめ機能を強化して、どこに相談が入っても支援できる体制を整えました。

○山内委員 SOGI、性的指向及び性自認を理由にした差別の禁止、解消のために相談窓口を設置したり、今もご答弁いただきました、学生相談を充実させていくということでしたが、ガイドラインを作成した大学や、SOGIの多様性に関する学長共同宣言を行った大学もあります。大学が理解を示していくことは重要です。
 昨年の委員会質問で、SOGIにかかわる悩みやハラスメント等の相談については、ダイバーシティ推進室で行っているとのことですが、どのように行っているのか、お伺いいたします。また、差別の解消に関して取り組んだことがあればお伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、教職員や学生向けにリーフレットを作成、配布しておりますほか、講演会などを通じまして、ハラスメントの防止や性自認及び性的指向に関する意識啓発に取り組んでおり、昨年度、学長や副学長などの幹部教職員向けのダイバーシティー講習会も実施いたしました。
 また、ハラスメントの相談窓口となる相談員を、南大沢、日野、荒川、晴海の各キャンパスに設置するとともに、性自認及び性的指向に関することなどを専門とする教員をダイバーシティ推進室に配置いたしまして、教職員や学生からの相談に対応しておるところでございます。

○山内委員 願書や受験票における性別記載の削除、学校が発行する書類等での性別記載の削除、通称名の使用について、在校生だけでなく、卒業生等が求めた場合にも対応するように求めたところですが、昨年の委員会のその後の取り組みについてお伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 願書や受験票、各種証明書への性別記載につきましては、国の学校基本調査への回答などが必要な願書を除きまして、基本的には性別の記載は行わないよう、大学として取り組んでいると聞いております。
 通称名の使用につきましては、平成二十九年度の制度の導入によりまして、承認されました学生は、学生証や各種証明書などが通称名で表記されるとともに、在学中に申請をいたしますことで、卒業などした後も通称名で各種証明書が発行されます。

○山内委員 在学中に申請した場合ということだったんですが、卒業後、新たに通称名の証明書等の発行を相談されたりする場合もあるかと思います。そのときには検討をお願いしたいと思います。
 学ぶ環境を整えるための一つとして、ユニバーサルデザインの普及があります。
 色覚特性の人のためのカラーユニバーサルデザインや、発達障害の人に限らず、わかりやすい書体のユニバーサルデザインフォントの活用などについてお伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、障害のある学生に対しまして、多様なニーズや個性を踏まえた合理的支援の実施が重要であるとの認識のもとで、ダイバーシティ推進室を中心に関連部署が連携いたしまして、個々の状況に応じたきめ細やかな支援を実施しております。
 カラーユニバーサルデザインやユニバーサルデザインフォントにつきましても、各学生のニーズに応じて必要な対応を行っていくこととしております。

○山内委員 学生支援スタッフについてお伺いしたいと思います。
 一昨年前の状況と比較して、現在、どのような状況となっているのか、お伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、障害のある人とない人がともに学べるように、パソコンによるノートテイクなどの支援を行う障害者支援スタッフ制度を設けております。
 本制度に登録している学生は、平成二十八年度末時点では五十六名のところ、現在は約百十名まで増加しておりまして、南大沢に加えて、日野、そして荒川キャンパスでも活動を行っております。

○山内委員 教職員に限らず、妊娠、出産しても学業を続けたい、子育て中に学び直したいという人のために、保育施設があることは重要です。学業や研究と子育てを両立できるように、ニーズの調査、他大学の状況等の調査などを求めたところでした。
 首都大学東京の保育施設の状況についてお伺いいたします。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 首都大学東京では、学内の構成員の子育て支援を目的といたしまして、一時保育施設を南大沢キャンパスの近くに開設しております。
 年に一回、教職員と学生向けに、施設見学会と子育て情報交換会を開催いたしまして、一時保育施設の認知度の向上による利用者の増加や、子育てに対する悩みや疑問の共有による参加者の不安解消につなげております。
 利用実績を踏まえながら運営の改善も進めておりまして、今年度は新たに、希望者が体験入園を実施できる制度を導入するなど、利用者の視点に立った環境整備を実施しております。

○山内委員 ご報告ありがとうございます。充実に向けて、さらに進めていってほしいと思います。
 続きまして、次の質問に移ります。
 突然、思いもかけず犯罪に遭遇いたします。残念ながら、誰にでも起こり得ます。そして、犯罪被害者は、一旦被害に遭うと、身体的、精神的苦痛を受け、さらに、経済的な負担や、回復とまでいえるのかわかりませんけれども、長期にわたって、被害者やその家族を苦しめます。だからこそ、少しでも軽減するために支援が必要です。
 中でも、生活者ネットワークはこれまで、都における総合相談でも最も数の多い性犯罪被害者支援について求めてまいりました。
 今回の東京都犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方(案)についてお伺いしていきたいと思います。
 先ほど来、質問が重なっておりますので、割愛させていただきます。
 犯罪被害者等の支援を充実するには、実態を把握し、課題や要望にきめ細やかに対応することが重要です。そのために調査が必要と考えます。
 今年度の第一回インターネット都政モニターアンケートを実施したということでございますが、その趣旨についてお伺いいたします。
 また、四年前の二〇一五年にもモニターアンケートを実施しておりますけれども、同じ設問もあれば、新しく加えた設問もあります。その項目と趣旨についてお伺いいたします。

○堀越人権部長 今回の都政モニターアンケートは、犯罪被害者等支援計画の改定と条例制定の参考とするため、犯罪被害者等支援についてをテーマに実施したもので、調査項目は十三項目にわたっています。性犯罪等の被害者支援のさらなる充実を図るため、二次的被害に対する取り組み、性犯罪に関する刑法の改正の認知度、ワンストップ支援センターの支援内容等の項目を新たにつけ加えております。

○山内委員 二〇一四年には、犯罪被害者等の実態に関する調査を実施しています。この調査は、どのような対象、項目で調査をしたのか。
 今回も、性犯罪等も含めた犯罪被害者等の実態調査は行うのか、その内容やスケジュールについてお伺いいたします。

○堀越人権部長 二〇一四年の犯罪被害者等の実態に関する調査は、被害者本人やそのご家族、被害者支援団体等を対象とするとともに、性犯罪等被害者やその支援団体等を対象とした調査も行いました。調査項目は、被害後の心身の状況の変化、生活上の変化、二次的被害等、被害後の状況全般のほか、性犯罪等に特化した項目も設けています。
 今年度も、条例の制定や来年度の支援計画改定の参考とするため、実態調査を開始したところです。調査対象や項目は前回同様であり、性犯罪等に特化した項目も設けております。

○山内委員 性犯罪、性暴力等による被害者への支援は、今回の対象になるのでしょうか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 条例の対象は、全ての犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為であり、性犯罪、性暴力もこれに含まれています。
 性犯罪等被害者に対する具体的な支援は、引き続き、支援計画に基づき実施してまいります。

○山内委員 条例制定と制定後のスケジュールについてお伺いする予定でしたけど、これも割愛させていただきたいと思います。
 これまでの調査でも明らかなように、犯罪被害者やそのご家族、ご遺族からは、東京都に望むこととして、これまでの調査の中で、経済的支援が一番に挙がっていました。被害者支援団体からは、団体の財源確保や専門人材の確保が求められております。条例に対する期待は非常に大きいと思います。ぜひそれに応えていただけるように調査を充実させていただきたいと思います。
 生活者ネットワークは、先ほどもお話しさせていただきましたが、性犯罪、性暴力に対する被害者の支援が特に重要だと思っております。今回、先ほどのご答弁で、この条例の対象としては特別に抜き出すということはないということでしたけれども、計画の方には盛り込むということだったので、ぜひこれを充実させていただきたいと思っております。
 調査項目の中にもありましたが、二〇一七年の七月の、刑法の性犯罪に関する規定が百十年ぶりに改定されたことへの認知度も非常に低いということがあります。この条例の制度や計画の改定の中で、性犯罪、性暴力の被害者の支援センター、SARC東京も充実をすることが求められているかと思います。ぜひとも、この性犯罪、性暴力の被害者が泣き寝入りをしなくてもよいように支援につなげることを求めておきます。
 次に、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画(素案)についてお伺いしたいと思います。
 この計画素案の策定の経緯について、改めてお伺いさせていただきます。

○堀越人権部長 人権尊重条例第三条において、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図ることを明記しており、さらに、この目的を達成するため、同条例第五条第一項に基づき基本計画を定めるとともに、必要な取り組みを推進することとしています。
 素案策定に当たり、他自治体や企業における施策実施状況や当事者ニーズ等に関する調査結果を踏まえ、有識者等の意見も伺いながら課題を分析した上で、それぞれの施策現場においてどのような配慮が必要かなどについて、全庁的に検討を行いました。

○山内委員 他自治体や企業における状況を把握していらっしゃるということはよくわかってはいるんですが、まだまだ、やはり実態把握というのは努めていただきたいと思っておりまして、この計画素案には企業等によるLGBTに関する調査が記載されていますが、これはあくまでも他の民間独自の調査だったりすると思うんです。やはり、総務局委託調査の結果も掲載されていますが、充実させていくためにも、ぜひもっと頑張っていただきたいと思っております。
 今回、計画の中に出ております、総務局委託調査の結果が記載されておりますけど、この調査はどのように実施されたのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 総務局委託調査につきましては、基本計画素案の策定に当たり、他自治体、企業の施策実施状況、当事者支援団体の啓発活動の状況、当事者個人の意見やニーズ、都民意識等を把握するために実施いたしました。

○山内委員 同じ総務局人権部の東京都犯罪被害者等支援計画策定の際には、インターネット都政モニターアンケートや、被害者団体、支援団体等に犯罪被害者等の実態に関する調査を実施しています。
 残念ながら、申しわけないのですけれども、一方で、このSOGIやLGBT等に関する調査は、二〇一三年に行った人権に関する世論調査の中の質問、個別の人権問題の回答項目の一つにあるだけで、調査項目や方法等を工夫して、さらなる調査が必要だとどうしても感じてしまいます。
 性自認及び性的指向に関する基本計画についても、当事者支援団体等の団体などに対して、都が調査し、現状や課題など実態を把握する必要があると考えますが、見解を伺います。

○堀越人権部長 今般の調査におきましても、当事者団体及び支援団体等に対して同団体に関する調査票を、また、当事者個人に対しては同団体経由で調査票をそれぞれ送付し、個人については無記名での回答にご協力をいただきました。
 この調査によりまして、当事者個人それぞれの実態、ニーズ、要望等について、自由記述欄の回答も含め現状を把握し、計画素案策定に向けての課題分析に活用をいたしました。

○山内委員 SOGIに関する合理的配慮の好事例も調査をし、対応を研究することが重要ですが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 基本計画素案の策定に当たっては、総務局委託調査や有識者等からの意見聴取を通じて、他自治体や企業における性自認及び性的指向に関する施策、事例の把握に努めてきました。
 引き続き、さまざまな事例を収集、分析し、都庁各局の現場の事業実態に即した取り組みにつなげてまいります。

○山内委員 次に、相談体制についてお伺いしたいと思います。
 条例自体がまだ周知されていないということがあるばかりか、条例ができたことは知っていても、何が差別に当たるのか、どんなことを相談窓口に相談できるのかが知られていません。
 相談窓口を広く周知することが重要ですが、どのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 昨年十月に事業を開始した性自認及び性的指向に関する専門電話相談につきましては、ホームページのほか、「広報東京都」や人権啓発冊子「みんなの人権」、リーフレットによる広報に加え、チラシやカードの配布等により周知を行っております。

○山内委員 SOGI、性自認及び性的指向にかかわる相談窓口の周知のカードを作成して配布しているとのことですが、今後どのように配布をしていくのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関する困難を抱える当事者は、多くのケースでは、学生時代に自分の性のあり方、生き方等について悩み、戸惑う状況に直面すると考えられます。
 こうしたことから、若年層に対して相談窓口の周知を進めていくため、教育庁等とも連携を図り、都内の学校等に対して窓口周知カードを送付していくなどにより、カードの配布先を拡大してまいります。

○山内委員 若年層とおっしゃられたと思うんです。若年層とはいっても、小学生、中学生、高校生など、対象年齢によって、言葉や表現、デザイン等、さまざまな工夫が必要かと思われますが、配布先の拡大、充実を求めておきます。ぜひ工夫をしていただければと思います。
 相談窓口につながったとしても、SOGIハラスメントを解決する場がないというご相談をいただいております。支援団体や弁護士団体等と連携するなど、ハラスメントを解消する機関が必要です。
 今後、苦情処理にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 SOGIハラスメントに関する相談が寄せられた場合、内容に応じて適切な機関等を紹介するほか、人権侵犯事件の調査、救済が必要となるケース等については、東京法務局を初めとする救済機関につなげていくなど、適切に対応していきます。
 苦情の内容が都の現場での対応に関するものである場合には、その内容を総務局人権部と各局が共有することで、各現場における適切な対応を図ってまいります。

○山内委員 庁内における取り組みをお伺いしたいと思います。
 二〇一八年九月、昨年の九月です。ダイバーシティー時代のハラスメントに関するアンケートを行ったと書いてございました。
 この調査はどのように実施されたのか、また、その結果を踏まえた取り組み、SOGIハラスメントについて知るBOOKはどのようなものか、お伺いいたします。

○高崎労務担当部長 このアンケートは、設問に答えることでSOGIハラスメントに対する気づきを促すことなどを目的とし、昨年九月に、警察、消防を除く職員等を対象に実施しました。
 アンケートの結果を踏まえ、啓発資料として、本年三月に、SOGIハラスメントについて知るBOOKを作成しました。この啓発資料では、職場でどのようなことに困難を感じたかというアンケートの問いに対し、LGBT等を自認している職員から、LGBT等に対する認知度が低く、傷つくような言動をされるという回答があったことから、SOGIハラになり得る言動の典型例等をわかりやすく解説しております。
 この啓発資料を全庁ポータルサイトに常時掲載するなどにより、職員に対してハラスメント防止の周知啓発に努めております。

○山内委員 新たに作成する性自認及び性的指向に関する職員向けのマニュアルの作成と活用についてお伺いいたします。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関して理解を浸透させていくため、正しい知識や当事者の方々への配慮、窓口等での接遇、職場の同僚等への配慮等について記載する都職員向けのマニュアルを今年度末に作成する予定です。
 このマニュアルを職員研修や各局のハラスメント相談員対象の説明会等で配布、活用していくことで、職員の理解を推進してまいります。

○山内委員 相談窓口に寄せられた相談で解決を求められた場合は、どのように対応するのか。支援団体や弁護士団体等と連携などが必要になることもあります。
 今後、苦情処理にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○高崎労務担当部長 都はこれまで、職場のハラスメントに関する全庁及び各局窓口を設置するとともに、東京都人材支援事業団においても相談に対応することで、職員が相談しやすい環境を整備してきました。
 平成二十九年二月からは、相談者が客観的、専門的な助言を受けることができる外部弁護士による電話相談窓口を設置しております。
 また、相談者が問題解決に向けた対応を希望する場合は、各局の相談窓口が、相談者の意向を踏まえながら関係者への聞き取りによる事実確認を行うなど、必要な措置を講じております。
 さらに、必要に応じて、各局等から外部弁護士へ意見照会できる体制も整えております。
 引き続き、職員が安心して相談や苦情の申し出ができるよう、適切に対応してまいります。

○山内委員 庁内外の取り組みの推進として、東京都性自認及び性的指向に関する施策推進会議を設置し、計画策定後も継続的に開催していくということですが、どのように進めていくのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 都は、人権尊重条例制定後、全庁を挙げて必要な施策を推進するため、都庁全局の人権所管等の部長級をメンバーとする東京都性自認及び性的指向に関する施策推進会議を設置しました。
 本計画策定後も、人権部が当該会議を継続的に開催し、本計画に掲げる基本的な考え方に基づいて、課題解決に資する取り組みを推進していきます。
 具体的には、都庁各局の施策の進捗管理を行うとともに、有識者や当事者等の方々を講師としてお招きして意見を聞くなど、事例を共有することを想定しております。

○山内委員 東京都と区市町村間で性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会を新たに設置するとのことですが、どのように進めていくのか、お伺いいたします。

○堀越人権部長 都と区市町村が連携して、性自認及び性的指向に関する施策を東京全体で着実に推進していくため、今般、連絡会を新たに設置いたしました。
 区市町村は住民に身近な基礎自治体であり、性自認及び性的指向に関する啓発、教育等の取り組みにおいて重要な役割を担っていることから、この連絡会においては、各区市町村が実施する事業に関する情報提供や課題共有を行ってまいります。

○山内委員 庁内での施策推進や、都が区市町村におけるハブの役割を果たしていくならば、まず、都が率先して当事者の悩みや困り事を把握し、共有することが重要です。
 そのためには、当事者、支援団体、有識者も含めて構成する会議体が必要ですが、見解をお伺いいたします。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関する当事者の悩みや困り事はさまざまであり、多様な当事者の声を聞いていくことは重要でございます。
 専門相談で寄せられる声を初め、全庁横断の施策推進会議においても、必要に応じて当事者、支援団体、有識者等を講師としてお招きするなど、さまざまな機会を通じて多様な意見を伺ってまいります。

○山内委員 先ほど、首都大学東京についても報告を伺いましたけれども、首都大学東京、都立大学ですけれども、入試における受験票には性別欄が削除されております。
 一方、公立高校の入学願書の性別欄は、大阪府と福岡県が二〇一九年春の入試から廃止を決めたほか、神奈川県や熊本県など十四道府県が、二〇年春以降、廃止すると聞いております。残念ながら、東京都はまだ進んでいないということがございます。
 教育の場こそ、SOGIについて理解をし、自己肯定感を持てるようにすることが必要です。
 そのために、小学生、中学生、高校生等が、ほかの当事者やロールモデルとなる当事者に出会う機会をつくることが重要です。特定の職業ではなく、さまざまな職業の人がいることを知ることは有意義です。先輩を学校に呼んでみようというような、当事者が学校等に出向いて話す機会を、支援団体等と連携をしながら派遣事業という形で実施するなど、方法はあるかと思います。
 ロールモデルの発見の支援についてお伺いいたします。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関して悩みを抱える当事者にとって、多感な未成年期や学生時代において、同じ悩みを持つ当事者の存在を知ることやロールモデルを発見することが自己肯定感を持つことにつながり、以後の生き方の糧になるといわれています。
 そこで、とりわけ、ほかの当事者に出会う機会が限られる若年層を中心に、当事者同士が安心して集える場を提供し、ロールモデルの発見を支援していく取り組みの試行実施を検討していくことといたしました。

○山内委員 先ほどもほかの議員から出ましたけれども、性同一性障害という言葉が計画の中に散見されます。それを目にしたときに、一旦、後退したのかなというふうに心配になりました。ただ、これをよく読んでみますと、東京都人権施策推進指針に基づいた研修や資料のことだったりとか、厚生労働省や文部科学省の通知等にその名称が示されているための表記だったりいたしました。そのために残っているというふうに理解をいたしました。
 しかし、今回の計画の中には、二〇一九年五月の、世界保健機関、WHOのICDの改訂も記載しているんです。これは評価したいと思いますが、その改訂に--残っている性同一性障害という言葉が、参照だとか、アスタリスクだとか、米印かわかりませんけれども、そのWHOの改訂のところにつながって、改訂しているんだなということがわかるような、何か連動策はないのかというふうに考えます。
 表記上の変更だけにしかなりませんけれども、まず、人権施策推進指針の変更には時間がかかる場合には、せめてそういうことを検討していただきたいと思います。工夫をお願いいたします。
 また、今後は、そういう表記が必要な場合には、性同一性障害ではなく、性別不合を使うよう検討していただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○藤井(あ)委員 都民ファーストの会の藤井あきらでございます。
 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の制定を強力に推進してきました都民ファーストの会東京都議団を代表して、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画(素案)に対する質疑を行います。
 本基本計画素案につきましては、限られた時間の中で、当事者一人一人の生の声を可能な限りまとめて、拾って反映させているもの、そして、関係者、ほかの自治体、企業等の取り組みもまとめておられること、これは非常によくまとまっているなと思いまして、評価をするところでございます。
 ただ、時間が限られた中ですので、足りないと感じるような部分も若干あります。そういった点を指摘させていただければと思います。
 加えまして、要所要所に、都民ファーストの会東京都議団がこれまで一丸となって提案をしてまいりました内容が反映されていることを高く評価したいと思います。
 特に、昨年の十月二十二日の決算特別委員会で我が会派の龍円都議が福祉保健局に要望いたしました、最も周りに相談しにくく、悩む性的マイノリティーの若者たち向けのSNSの相談を開始することは大変意義深いと考えております。
 また、教育庁の取り組みで、こちらも質疑ですが、昨年十月三十日の文教委員会で、同じく、龍円都議が要望いたしました配慮事例集の活用について言及している点も高く評価をいたします。
 性的マイノリティーのニーズは非常に見えにくいものでありますため、学校の先生方だけの判断ではなかなか対応し切れないというところがございますので、ぜひ有効活用をしていただきたいと思います。
 よりよい計画とするために、提案も含めた形で質疑をさせていただきます。
 本基本計画素案ですが、二〇一八年の十月に制定されました東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例第二章、多様な性の理解の推進に基づき策定をされております。
 この東京都性自認及び性的指向に関する基本計画(素案)の目的、狙いを改めて確認いたします。

○堀越人権部長 昨年制定した人権尊重条例は、第三条において、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図ることを明記しており、さらに、この目的を達成するため、同条例第五条第一項に基づき基本計画を定めるとともに、必要な取り組みを推進することとしています。
 この計画は、性自認及び性的指向に関して、基本的な考え方、これまで取り組んできた施策、今後の方向性等を明らかにするために策定するものでございます。
 本計画におきましては、声を上げられない当事者にアプローチする声なき声に配慮する相談体制の充実を重点課題として取り組んでいくこととしております。
 本計画に示す取り組みを着実に進めることで、多様な性への理解を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 こちらは計画でございますが、一般的にPDCAサイクルといわれておりますが、プラン、つまり、計画したものを実行して、それを見直して、さらに改善をしていく必要があるかと思います。本基本計画は人権尊重条例に基づく計画でございますから、実行して、当然に、その目的が達成されているかどうか、その進捗を確認する必要があります。
 つまり、条例で定める性自認、性的指向を理由とする不当な差別の解消が進んでいるか、啓発等が推進されているかという点で、進捗しているかどうか、常に見直す必要があると考えています。
 本基本計画の進捗管理は、誰が主体となって、どのように行うのか、確認をいたします。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関する施策を展開し、多様な性への理解の推進を図るためには、庁内全ての部局が緊密に連携していくことが必要でございます。
 都は、人権尊重条例制定後、全庁を挙げて必要な施策を推進するため、都庁全局の人権所管等の部長級をメンバーとする東京都性自認及び性的指向に関する施策推進会議を設置いたしました。
 本計画策定後も、人権部が当該会議を継続的に開催し、庁内各局との総合調整を行うとともに、各局における取り組みの進捗管理を行いながら、全庁一丸となって施策を推進してまいります。

○藤井(あ)委員 都庁全局の人権所管などの部長級をメンバーとする東京都性自認及び性的指向に関する施策推進会議が、計画策定後も各局と連携をしながら進捗管理を行うということを理解いたしました。
 進捗管理には、当事者であったり、有識者による外部の目が必要と考えますが、都の見解をお伺いします。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関する困り事はさまざまであり、当事者の方々に寄り添い、その声を聞いていくことは重要でございます。
 基本計画に基づく取り組みを進めていく上でも、全庁横断の東京都性自認及び性的指向に関する施策推進会議を含めて、さまざまな機会を通じ、必要に応じて当事者や有識者の方々を講師としてお招きするなどして意見を伺ってまいります。

○藤井(あ)委員 都庁内での視野の狭い計画、そして、その管理になっているような誤解を与えてしまう可能性もあると思いますので、そういった進捗管理にならないように、外部の目が必要であると考えております。
 特に、この条例の達成ぐあい、性自認、性的指向を理由とする不当な差別の解消が進んでいるか、啓発等が推進されているかの進捗というのは非常に見えにくいもので、難しいものであると思いますので、都庁内の視点だけではなく、そして、必要に応じてだけではなくて、常に、当事者など外部からの視点を取り入れることを要望させていただきます。
 LGBT当事者の方や当事者団体の方々と本計画素案について意見交換をいたしましたが、やはり、ほかの委員の皆様からもございましたが、当事者の声が反映できる会議体の設置など、当事者の声を反映させることが非常に重要であると感じました。
 他の自治体も、こういったプランをつくるときとかは、例えば世田谷区では、世田谷区第二次男女共同参画プラン作成時には当事者の方が入っていたりとか、渋谷区とかも、たしか入っていたと思うんですが、そういった当事者の視点を入れておりますので、そういうところもぜひ参考にしていただきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 先ほども述べましたが、去年、二〇一八年十月二十二日の各会計決算の龍円都議の提案などを受けて、SNSの相談窓口が新設されることになりました。
 新設されるSNSを使った専門相談について、狙いとその運営体制についてお伺いします。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関し、一人で悩みを抱えている当事者は、誰にも相談できずに孤立しがちでございます。相談窓口が社会との接点の一つになり得ることから、一人でも多くの当事者から相談をいただくために、より相談しやすい環境を整備することが重要です。
 そこで、若年層にとってはSNSが大きなコミュニケーションツールとなっている現状を踏まえ、SNSを活用した専門相談を、来年度、新たに試行的に実施していくことを検討しております。
 実施に当たっての具体的な運営体制等につきましては、相談事業を行っている事業者等の意見も聞きながら、今後検討してまいります。

○藤井(あ)委員 今回の計画の基本方針であります、声を上げられない当事者に寄り添うというところに沿った施策でありますし、ぜひ進めていただきたいと思いますが、まずは、悩んでいる若者に相談窓口があるということに気がついてもらうということが第一歩であると思います。まだ自分の性のあり方がどういったものかわからずに揺れ動いているような若者はなかなか、例えばネット検索とかでLINE相談に結びつかないのではないかと思います。だからこそ、若者たちが目にするようなところに、そのLINE相談のお知らせをしてほしいと思います。
 そして、若者がその情報を得るときに気をつけていただきたいのが、性自認、性的指向を暴露してしまうアウティングにならないように配慮することが必要であると考えております。
 例えば、学校で配布する人権関連のテキストに相談先を記すであったりとか、学校の保健室のベッドの脇の壁、もしくは、例えばトイレの個室内など、ほかの人から見られないところにポスターを張るといったようなことも有効ではないかと思います。あとは、市販製品のパッケージに印刷する。例えば女性用の生理用品であったりとか、そういった対応も考えられるのではないかと思います。こちらもご検討をお願いいたします。
 他の委員と一部重なるかもしれませんが、続けて質問をさせていただきます。
 本計画素案では、二八ページの図などによって、相談体制というものは明記がされております。苦情処理のプロセスに関しましては、明確になっていないようにも見えるところです。
 そこで、苦情があった場合のプロセスをわかりやすくご説明をお願いいたします。

○堀越人権部長 専門相談に寄せられる相談の内容は多種多様ですが、まずはしっかりと悩みに向き合い、傾聴し、寄り添っていくことが何よりも重要でございます。こうしたコミュニケーションを通じて、必要に応じ、一人一人のニーズに即し、適切な社会資源へとつなげていきます。
 苦情があった場合には、その内容を総務局人権部と各局が共有することで、各現場における適切な対応を図ってまいります。
 また、人権侵犯事件の調査、救済が必要となるケース等につきましては、東京法務局を初めとするさまざまな機関を紹介するなど、適切に対応してまいります。

○藤井(あ)委員 ご説明いただいた内容は、この二八ページの二パラグラフ目、三パラグラフ目の部分かと思います。この計画素案の全体、第四章の東京都の施策の中の相談、支援体制の充実という中の一パラグラフでしかなくて、苦情処理について対応が薄いといわれてしまっても仕方がないように思います。
 本計画の中で、今ご説明いただいた内容を図示するであったりとか、プロセスをわかりやすく明確に記載していただければと要望させていただきます。
 次の質問に移らせていただきます。
 我が会派の代表質問では、若年層を中心に、当事者が安心して集い交流できる場、機会や、ロールモデルの発見を支援する新たな施策を実施するとのご答弁がございました。
 他自治体での取り組みなど、具体的な例があれば教えてください。

○堀越人権部長 自身の性のあり方や生き方について一人で悩みを抱えている当事者にとって、ほかにも同じ悩みを抱える者がいることを知り、今後の生き方をイメージできる存在と出会えることは重要でございます。
 お尋ねの他自治体の取り組みといたしましては、十代、二十代の当事者同士が飲食しながら会話ができる交流会や、講師を招いた講座の受講に続いて参加者同士が会話する場などの実例を把握しております。

○藤井(あ)委員 ロールモデルであったり、仲間を見つけられる機会、その場を提供することは、大変よい取り組みであると思います。
 しかしながら、少し考えてみればわかるかもしれませんが、若い当事者にとって、リアルな場に出てくるというのは非常にハードルが高いと思います。だからこそ、今回設置するSNSであったりとか、電話での相談の際に、同じ仲間がいるということを丁寧に説明して伝えていただきまして、信頼できる当事者団体のホームページを伝えるなど、信頼関係をしっかりと築いた上で、ほかの当事者と知り合える場につなげていただきたいと思います。
 計画の素案の中で、記載で気になる部分がありましたので、指摘をさせていただきます。
 二ページの2、LGBTとはという項目の中に、SOGIの説明が含まれております。性的マイノリティーの総称であるLGBTと、性的指向、性自認を意味するSOGIとでは、若干、その定義が違うのではないかと思いまして、若干、違和感がございます。
 ですので、例えばですけど、SOGIの部分を別に囲ってコラムにするなど、別の概念であることがわかるような工夫があった方がいいのではないかと思います。これは、意見交換をした当事者であったりとか、専門家の方からもご指摘をいただいております。
 次に、本計画で使用されております委託調査についてお伺いをさせていただきます。
 本計画では、委託調査の自由記述欄等を参考にして本計画をつくったということですが、サンプル数が少ないという声もありますが、都の見解を伺います。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関する困り事は多種多様であり、それぞれの悩みを解消していくための施策を進めていく上では、当事者の声を聞いていくことが重要でございます。
 当事者一人一人の多様な意見を把握するため、今回の調査では、自由記述欄を多く設けることといたしました。そこに記載された声を踏まえて課題を分析し、計画素案を策定いたしました。
 今後も、試行を検討中のSNS相談や電話相談窓口に寄せられる声のほか、さまざまな機会を通じ、当事者の意見を伺いながら施策を推進してまいります。

○藤井(あ)委員 一人一人の生の声を聞くために、自由記述欄を多目に活用したということを評価いたします。二四ページにあります課題意識として、身近な人にロールモデルがいてほしかったという記載がありますが、当事者団体や当事者の方から聞いても、まさに生々しい当事者の声だというような評価をいただいております。
 ただ、一方、委託調査の報告書も確認をさせていただきましたが、予算と時間が限られた中であるということは理解をするところではあるのですが、回収できたのが、企業六社、当事者四十二名、一般個人百三十七名というのは、やはりサンプル数としてはちょっと少ないのではないかなと思います。
 といいながら、企業のマーケティングなどにおいては、ロールモデルというか、ある当事者の声を拾っていって施策をつくるということはありますので、この計画自体を否定するものではないですが、今後、大阪市であったり、名古屋市など、他の自治体で統計的に有意な調査というのを行っておりますので、ぜひそういったところも検討していただければと思います。
 続いて、企業、事業者向けの取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 本計画素案では、三三ページから、事業者等を対象とした取り組み、総務局、産業労働局関係というものがございますが、これもちょっと、見ていただくとわかるのですが、内容が余りないというか、ちょっと薄いように感じております。
 事業者向けの取り組みが少ないと感じておりますが、どのように進めていくのか、お伺いします。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関する困り事を解消するためには、職場において、当事者が働きやすいよう、配慮や対応を行っていく必要があるため、性自認及び性的指向に関する問題について理解が促進されるよう、事業者等に向けた啓発を行ってまいりました。
 今後は、都民向けの性自認及び性的指向に関する啓発冊子を新たに約八万部作成する予定であり、イベント会場内や企業団体を通じて配布することなどにより、事業者等に対する啓発の取り組みをより一層充実してまいります。

○藤井(あ)委員 本条例の第二章第四条の、事業者についても差別的取り扱いが禁止されているという旨を周知徹底していただきたいと思います。先ほどご答弁いただきました啓発冊子であったり、イベントでお伝えすることに加えて、専用のウエブサイトであったり、SNSを開設するなど、ご検討いただければと思います。
 本計画の実行に当たりましては、住民との接点が多い区市町村との連携は欠かせないものだと思います。本計画素案四八ページには、東京都と区市町村間、区市町村間相互の連携を図るために、東京都区市町村性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会を新たに設置し、連携を強化するとあります。
 区市町村との連絡会について、開催の背景についてお伺いします。これまでどのような経緯で開催をしたのか、お伺いします。

○堀越人権部長 人権尊重条例では、市区町村が実施する差別解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の取り組みについて、都が協力するものとしています。
 施策の推進に当たっては、都と市区町村間及び市区町村相互の円滑な連携を図るため、今般、新たに、都と市区町村の担当者から成る連絡会を設置したところでございます。

○藤井(あ)委員 この分野では、先ほど申し上げました世田谷区であったり、文京区、渋谷区など、先進的な取り組みをしている自治体もございます。
 都からの条例に関する一方的な情報提供だけではなく、区市町村担当者同士が意見交換を行える場が必要だと考えますが、都の見解をお伺いします。

○堀越人権部長 新たに設置した連絡会は、都からの情報提供のみならず、各市区町村が実施する取り組みに関する情報提供や課題共有を積極的に行うことにより、市区町村みずからの取り組みの充実に資することを目的としています。
 本連絡会を市区町村の担当者同士が活発に意見交換を行える場として積極的に活用することで、性自認及び性的指向に関する施策を着実に推進してまいります。

○藤井(あ)委員 区市町村との連携は非常に重要であると考えております。加えて、先ほど述べましたとおり、渋谷区であったりとか、世田谷、文京区などは、都よりも先んじて先進的な取り組みをしておりますので、そういった先行事例、取り組みは、都としても参考にすべきだと思います。しっかりと区市町村、そして、その担当者の声を聞きながら、本条例の掲げる理念を実現するために、オール東京で取り組んでいただきたいと、これも要望させていただきます。
 私の地元の府中でもパートナーシップ制度が成立いたしまして、都内区市町村では、今、六つのパートナーシップ制度があるというふうに聞いております。私の地元の府中も四月に成立しまして、三件ほど申し込みがあったと聞いておりますので、社会の理解というのは、少しずつではありますが、進んできているものだというふうに思います。
 一方、社会の理解が進んでいないという方もいらっしゃいますので、そういった方々には丁寧なご説明など、普及啓発に努めていただきたいと思います。
 東京の魅力であり、東京の価値を高めるものというのは、間違いなく多様性であると思います。さまざまな人がいて交流する、その中からこそ、新しい価値観であったりとか、新しいものというものは生まれてくるものだと考えております。
 オリンピック憲章にうたわれる、いかなる種類の差別も許さないというこの理念の実現のために、東京に集う多様な人々が誰ひとり取り残されることなく尊重されて、LGBTの方も、高齢者であったり、障害者、犯罪被害者、そして、刑を終えて出てきたような人も、誰もが認め合う共生社会を実現するために、引き続き全力を尽くすことをお約束しまして、私の質疑を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。

○古城委員 私からは、政策連携団体、公立大学法人首都大学東京、防災、そして人権について質問をいたします。
 初めに、二〇一八年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況及び東京都政策連携団体における不適正事案及び内部統制に係る自己点検結果に関連して質問します。
 政策連携団体は、都の施策実現に向けて、その現場を担う大事なパートナーであり、各団体の事業や取り組みについて、都民の皆様の理解と納得を高めることが重要です。そのためにも、各団体が都民サービスの質を高めていくことが求められており、東京都政策連携団体経営目標評価制度は、これらの取り組みや改革を促進するツールです。
 そこで、今回の評価は、これまでの評価からどのように改善が図られたのか、見解を求めます。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今回評価いたしました経営改革プランでは、各団体が将来を見据えて経営課題を抽出し、その解決に向けた戦略、二〇二〇年度の到達目標及び三カ年の取り組み事項を定めてございます。
 従来の単年度の経営目標に対しまして、今回からは、二〇二〇年度の到達目標を見据え、二〇一八年度の取り組みの進捗やその内容、団体の自助努力が適切であったかなど、中期的な目標に照らして取り組みを評価いたしますことで、団体が目標に向けた取り組みをより戦略的に進めていけるようになったものと認識してございます。

○古城委員 その上で、今回の評価を各政策連携団体における改革促進に生かしていくべきと考えますが、見解を求めます。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 外部有識者による評価委員会からは、経営目標の達成状況に関する意見とともに、各団体のさらなる改革推進に向けまして、急速に変化する外部環境に対応した経営戦略の展開や、付加価値を生み出すことができる分野への経営資源の集中など、さまざまな意見をいただいております。
 そうした意見を今後の団体経営や目標設定にフィードバックいたしますことにより、PDCAサイクルをより効果的に運用し、各団体が提供する都民サービスの質をさらに高めていけますよう、改革の取り組みを促進してまいります。

○古城委員 政策連携団体が都民の皆様から信頼を得るためには、各団体の内部統制がしっかりとしていなければなりません。
 今回の自己点検を踏まえた今後の取り組みについて、どのような工夫をして内部統制の充実を図っていくのか、見解を求めます。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今般の自己点検結果を踏まえました今後の取り組みにつきましては、団体の内部統制体制の確立のみならず、その適正な運用や、有効に機能させるための仕組みが重要と認識してございます。
 そのため、団体が内部統制やコンプライアンス強化に向け、自律的な改革を推進することはもとより、所管局によるガバナンスの強化や、総務局によるコンプライアンス強化に向けた支援を行うことで、団体の内部統制を有効に機能させてまいります。
 具体的には、団体の経営層と所管局幹部によります情報共有体制を強化することで、しっかりとコンプライアンス確保に向けた意識の浸透を図り、また、コンプライアンスに関するモデル要綱や運用事例の展開を総務局が行うことで、実効性の確保に努めてまいります。

○古城委員 次に、平成三十年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価に関連して質問を行います。
 教学IRを研究する先生の論文研究発表によれば、教学IRにおいては、次の二つを区別する重要性が挙げられています。一点は、未知のデータに対する予測を与えること、二点目は、これまでの結果や現象を分析して説明、解釈を与えることです。教学IRは、これまでの説明だけではなく、予測にも活用されると考えます。
 改めて申し上げますと、データの活用は、従来、見える化に力点が置かれていましたが、今や予測や自動検出、自動制御へと深化しています。昨日の委員会で質疑を行った5Gやソサエティー五・〇にも関連するところです。教育分野においても、予測の果たす役割は大きいといわれています。
 では、何を予測するのかということですが、学生の成功、学習成果、ある教育方法による教育成果などであり、あらゆるものが予測対象となり得ると指摘されています。
 そこで、首都大学東京の教学IRシステムを活用した取り組みについて見解を求めます。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 大学運営において、適切なガバナンスを働かせ、教育改革を推進するためには、学長が各学部の事情を十分に把握した上で方針を策定することが重要でございまして、学長の判断を支援する目的で、教育や学習に関するデータを調査分析する教学IRが欠かせません。
 首都大学東京では、IR専任教員を配置するとともに、平成二十九年度には、教学IR推進室を設置いたしまして、入試結果や成績、学生アンケートの結果といったデータを一元的に管理、分析する環境を整えてまいりました。
 昨年度は、一般入試及びAO入試などの区分別に入学後の成績分布を分析することで、令和三年度入試の募集定員配分の見直しに生かすなど、学長の意思決定に活用してまいりました。
 今後は、卒業生の進路や就職後の状況を追跡するなど、分析の対象データをふやすことで在学生の就職支援に生かすことも検討するなど、教学IRの充実を図ってまいります。

○古城委員 先ほど、説明から予測へということを申し上げましたけれども、国内では、最近、就職情報サイトの運営会社が、学生に利用目的を十分に知らせず個人データを販売、全面的に謝罪するという事態も起こりました。
 教学IRの活用に当たっては、リスクにも十分関心を持っていただいて、そして、情報を活用する知識や技能向上にしっかりと取り組んでいただきたい、この点、十分に留意をしていただきたいということを要望させていただきます。
 次に、グローバル人材の育成には、教育面の改革も重要であります。教育現場は、社会的ニーズへの対応を迫られつつも、学生個人の資質向上を土台とした人材の育成の取り組みを進めています。
 将来の進路を学生みずからが積極的に選択できる就業力を育成することも、文部科学省により推進をされております。
 そこで、産業技術大学院大学のグローバル化の取り組みについて見解を求めます。

○藤原調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、アジアを中心に国際競争が激化する中、グローバルに活躍できる実践的な人材が産業界から求められております。
 そのため、産業技術大学院大学では、実社会で即戦力として活躍できる人材の育成手法の一つであるPBL、プロジェクト・ベースド・ラーニングを海外の大学と連携して行うことで、グローバルな高度専門職人材の育成に努めております。
 昨年度は、ベトナム及びインドネシアでSDGs達成のための政策提言発表を行うとともに、ヨーロッパの大学として初めて、イギリスのグラスゴー美術大学とPBLを実施したほか、エジプトの技術系大学とも、PBL型教育の実装化のための具体的な協力の検討を開始したところでございます。
 今後とも、海外との大学ネットワークも活用し、連携先の拡充を図りながら、グローバルに活躍できる人材育成の取り組みを一層促進してまいります。

○古城委員 次に、都立産業技術高等専門学校についてお伺いしたいと思いますが、こちらもいろいろ用意をしておりましたが、委員会で視察をしたところでもありますので割愛させていただきまして、端的に伺いたいと思います。
 都立産業技術高等専門学校荒川キャンパスの航空技術者育成プログラムの取り組みについて見解を求めます。

○藤原調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 産業界から技術、知識レベルの高度化に対応できる航空技術者の養成が求められる中、都立産業技術高等専門学校では、平成二十八年度より、本科の二年生から五年生までを対象に、より高度な航空機の製造技術や整備技術等を身につけた技術者の輩出を目的に航空技術者育成プログラムを開始したところでございます。
 昨年度は、企業の協力を得て主要航空会社等のインターンシップに参加をするなど、産業界とも連携した育成プログラムを実施し、今年度は、いよいよ一期生が修了する予定でございます。

○古城委員 先日の本会議一般質問におきまして、都議会公明党は、都立産業技術高等専門学校の学生等の利用者の安全を守るためにも、また、防災の観点からも、体育館に空調を設置するべきと提案いたしました。
 そこでまず、品川、荒川の両キャンパスは、災害時にどのように活用される予定なのか、見解を求めます。

○藤原調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立産業技術高等専門学校品川キャンパスは、東京都帰宅困難者対策条例に基づく一時滞在施設に指定をされ、大規模災害の発生時には、帰宅困難者を校舎内の中央ホールで受け入れることとなっております。また、体育館は、品川区との協定によりまして、区民避難所の収容力に不足が生じた場合の補完避難所とされております。
 一方、荒川キャンパスでは、荒川区との協定によりまして、災害時、区の要請に基づき、他自治体からの応援職員や救助部隊等の宿舎、災害ボランティアセンターの開設場所として体育館を提供することとなっております。

○古城委員 都議会公明党の提案に対しまして、総務局長から、体育館の安全・安心な利用に向け、調査結果を踏まえた整備が着実に進むよう、都としても支援していくとの答弁がありました。
 そこで、今年度実施する空調設備設置に関する調査のスケジュールについて見解を求めます。

○藤原調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、高専の品川、荒川両キャンパスの体育館への空調設備設置に関する調査委託に向けた準備を進めており、本年十一月を目途に契約を締結する予定と聞いております。
 契約締結後は、年内に現地調査を行い、施設の構造を踏まえた適切な空調方式や設備の設置場所、電源の確保や供給方法、空調の効果を高めるための断熱措置等の技術的な課題を整理した上で概算工事費の検討を行うこととしており、来年の二月中には調査結果を取りまとめるスケジュールとなっております。
 調査結果を踏まえた整備が着実に進むよう、都としても支援をしてまいります。

○古城委員 私は、第二回定例会の一般質問で、首都大学東京、東京都立大学において国連アカデミックインパクト、UNAIへの加盟を提案したところでございます。長期戦略ビジョンの策定を機に、首都大学東京、東京都立大学でのSDGsの取り組みを後押ししていただきたいと改めて要望させていただきます。
 次に、東京都地域防災計画震災編の修正に関連して質問します。
 台風十五号による被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、緊急対応に当たられている都職員のご奮闘にも感謝申し上げます。
 また、この点も申し上げたいのですが、一昨日、十日に、私の地元、新宿区内で行われた、新宿消防署自衛消防活動審査会に出場された東京都庁自衛消防隊の選手の皆様、審査会に向けた訓練に協力された皆様に心から敬意を表します。
 この審査会は、明年、東京消防庁、また、各事業者も東京二〇二〇大会に万全を期して臨むことから開催せず、次回は再来年になるとのことです。ぜひとも二〇二一年の優勝を目指していただきたいと要望させていただきます。
 さて、大規模災害時の情報伝達手段として、電話やメールよりSNSがすぐれていることは、東日本大震災などで多くの国民が経験をしました。救命、救援活動の最前線を担う自治体がSNSを積極的に活用する意義は大きいといえます。
 一方、SNSの利用で注意したいのが、にせ情報です。実際に東日本大震災の被災地では、外国人犯罪が横行との流言を八割以上が信じたといいます。また、熊本地震では、ライオンが逃げたとの悪質なデマが拡散し、行政の災害対応を妨げました。
 さて、都では、国の研究所が開発したSNS情報を収集するD-SUMMというシステムを使用しているとのことですが、D-SUMMに関する現在の都の取り組みについて見解を求めます。

○有金総合防災部長 大規模災害時は区市町村等からの被害情報の収集が基本となりますが、都民がツイッター等で発信する情報も生かしていくことが重要であります。
 こうした情報を収集するツールとして、国立研究開発法人情報通信研究機構が開発した災害状況要約システム、これは通称D-SUMMと申しますけれども、これらを活用しております。
 これは、AIを用いて災害関係のツイートを抽出、集約し、発信内容の真偽を即座に判断できる機能を有していることから、災害状況の早期把握やデマ情報の発見などについて、都では、防災訓練などを通じてシステムの習熟を図っているところでございます。
 今後は、再構築を進めている東京都災害情報システムと直接連携させることにより、収集したツイッター情報を、火災や道路の通行どめなど他の情報と同様に地図上に重ね合わせて表示させることができるようにするなど、災害時の迅速な対応に生かしてまいります。

○古城委員 都は、災害時における応急復旧業務を円滑に進めるため、多くの団体と応援協定等を締結し、災害時における協力を依頼しています。
 まず、協定を締結する意義について見解を求めます。

○古賀防災計画担当部長 発災時には、道路上の障害物の除去、救済物資の調達や輸送、上下水道の復旧、仮設住宅の建設など、多岐にわたる業務が発生いたします。こうした応急復旧対応を円滑に行うためには、関係の業界団体や民間事業者との連携協力が不可欠でございます。
 都では、ライフラインの復旧、救出救助、医療、福祉、物資調達、輸送などのさまざまな分野におきまして、民間の団体や企業と災害時の支援、協力に関する協定を締結しております。
 協定の締結によりまして、平常時から官民の連携強化が図られ、発災時に、業界団体等の専門性やノウハウを活用した迅速かつ的確な災害対応が可能となるものでございます。

○古城委員 都議会公明党は、災害時のバイク活用を強力に訴えてまいりました。
 都は、二〇一六年三月、災害時にオフロードバイクを活用した情報収集活動を強化するため、災害ボランティアバイクネットワーク関東と協定を結びました。大規模災害時に、災害ボランティアバイクネットワーク関東は、協定に基づき、道路損壊による悪路をオートバイで走り抜け、被害状況を把握し、都に報告します。
 一方、都側は、応急復旧対策を円滑に実施するため、交通規制された道路での通行や燃料補給などの面で活動を後押しします。
 また、災害ボランティアバイクネットワーク関東は、都の総合防災訓練にもブースを出展しています。
 発災時に災害協定が有効に機能するよう、ふだんからどのような取り組みを行っているのか、見解を求めます。

○古賀防災計画担当部長 発災時に民間事業者等との協定に基づく各業務が効率的、効果的に実施されるため、平常時から情報交換や訓練を行っております。
 例えば、物資調達に関しまして、協定事業者との間で情報交換や協議を行うための定例的な連絡会議の開催や、発災時を想定した実働訓練を行い、関係者間の情報共有や要請手順の習熟等に取り組んでおります。
 また、発災時の情報連絡手段を確保するため、協定事業者に無線機を配備し、定期的に通信訓練を実施することで、発災時に確実に連絡がとれる体制を整備しております。
 今後も、協定事業者と緊密に連携しながら、協定に基づく災害時の応急復旧業務に係る体制を、より有効に機能するものとしてまいります。

○古城委員 地区防災計画は、災害が起きたときに、いつ、どう動くのか、事前に何を準備するかなど、地域住民が自発的に立てる計画のことです。二〇一三年に成立した改正災害対策基本法に基づき、二〇一四年四月に制度がスタートしました。
 二〇一九年版防災白書によると、地区防災計画の策定に取り組んでいる地域が、二〇一八年四月現在で全国三千二百六カ所に上っています。
 地区防災計画による災害対応の事例としては、昨年七月の西日本豪雨における愛媛県大洲市三善地区がありますけれども、今後発生が危惧されている首都直下地震などの大規模災害に備え、特に、自助と公助をつなぐ共助を強化する手だてが欠かせません。地区防災計画を整備する意義はここにあると考えます。
 しかし、地域防災計画震災編の修正版においても、住民等から地区防災計画の提案があった場合、必要があると認められれば、区市町村防災計画の中に位置づけるとされていますが、なかなか進んでいないのが実態です。
 そこで、自主防災組織が地域の実情に合わせた地区防災計画を作成できるよう促す必要があると考えますが、都はどのような取り組みを行っているのか、見解を求めます。

○古賀防災計画担当部長 いつ発生するとも知れない災害から被害を軽減するためには、行政による公助と連携し、都民一人一人や地域における自助、共助の対応力を高める取り組みが極めて重要でございます。
 このため、都は、防災ブックの活用促進や専門家派遣を通じた自主防災組織の活動支援、マイタイムラインの作成を指導できる人材を育成するためのワークショップ開催など、地域の防災力の向上を図る取り組みを行っております。
 こうした取り組みにより地区防災計画作成の機運醸成にもつながるよう、区市町村と連携した地域防災力向上のための施策を推進してまいります。

○古城委員 次に、東京都国民保護計画の一部変更に関連して質問します。
 いわゆる有事の際、国民の生命、身体、財産を守るためには、自然災害への対策とは異なる対処が求められます。誰がどのようにして住民を守るかについて、事前の計画が重要だと考えます。
 まず、国民保護計画の意義について見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 国は、国民の安全を確保するため、あらかじめ国民の保護に関する基本指針を定め、みずから国民保護措置を迅速、的確に実施し、国全体で万全の体制を整備する責務を有しています。
 また、都や区市町村は、国の基本指針に基づき、関係機関と連携を図りながら、法定受託事務として国民保護措置を的確かつ迅速に実施し、総合的な推進を図ることとされております。
 東京都国民保護計画は、こうした役割の分担のもと、東京都の区域について、武力攻撃事態や大規模テロ等から都民の生命、身体及び財産を保護し、都民生活や都民経済への影響が最小となるよう、住民の避難、避難住民等の救援、武力攻撃災害への対処などの国民保護措置を的確かつ迅速に実施することにございます。

○古城委員 国民保護計画は、二〇〇六年、平成十八年三月の策定以降、今回で二度目の変更となりますが、この間の国や都を取り巻く状況の変化について見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 平成十八年三月の策定以降、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を踏まえたテロ対策の充実や、国の基本指針の変更内容を反映するため、平成二十七年三月に国民保護計画を変更いたしました。
 また、近年、弾道ミサイルの発射等が繰り返されるなどして国の基本指針が変更となったことや、今般の都の組織改正を踏まえ、東京都国民保護計画を変更するものでございます。

○古城委員 国民保護事案が発生した際、迅速かつ的確に住民避難を実現するため、区市町村は複数の避難実施要領のパターンをあらかじめ作成することとされていますが、現在の作成状況について見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 国の基本指針においては、区市町村は、都から避難の指示があったとき、速やかに住民等に伝達し、武力攻撃事態や大規模テロ等、緊急対処事態発生時に避難誘導を行うための避難実施要領のパターンをあらかじめ作成しておくよう努めるものとされております。
 本年八月時点で、都内区市町村六十二団体のうち、作成済みは二十五団体でございます。

○古城委員 努めることということでありますけれども、積極的に、都は区市町村に対して、この作成を促していった方がいいのではないかと考えております。
 そこで、避難実施要領のパターン作成に当たり、区市町村に対してどのような作成支援を行っているのか、見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 都はこれまで、国の避難実施要領パターン作成の手引きを各区市町村に周知するとともに、作成の支援を行ってまいりました。
 また、平成三十年度からは、ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会の競技会場が所在する区市町村及び希望する区市町村を対象に、国が研修会を開催しています。
 これに加え、平成三十一年からは新たに、競技会場が所在する区市町村を対象に、国の避難実施要領パターン作成サポート事業が開始され、国と都が連携し、区市町村に対して技術的支援を行うなど、作成を円滑に進めるための取り組みを進めております。

○古城委員 あらかじめ作成することに努めるとされている複数の避難実施要領パターンの点からも、やはり東京二〇二〇大会というのは一つの大きな防災対策、また、テロ対策等の国民保護計画についても、大きなエポックメーキングになっているということが今わかりました。
 さて、私はこれまで、本委員会において小林危機管理監への期待を申し上げてまいりましたけれども、国民保護措置を実施するに当たっては、都と区市町村との連携のほか、自衛隊を初めとする各関係機関との連携が重要であります。
 そこで、都と自衛隊との平素からの連携について見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 都内で大規模な武力攻撃災害等が起こった際には、区市町村、警察、消防、自衛隊など、さまざまな関係機関と迅速かつ緊密に連携を図り、国民保護措置を実施する必要がございます。
 東京都では、平素から、防災訓練など自衛隊を含む関係機関との実践的な訓練を積み重ね、災害対応力の強化を図っております。
 また、自衛隊からも現職職員を派遣してもらうとともに、平成二十四年からは、知事のトップマネジメントを補佐する危機管理監には陸上自衛隊幹部経験者が着任するなど、緊急、応急時の自衛隊との連携が円滑に行われるよう努めてございます。

○古城委員 国民保護計画では、武力攻撃事態等として八類型を想定し、緊急対処事態、大規模なテロ等への対処を重視していますが、なぜ大規模なテロ等を重視するのか、見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 平成十三年の米国同時多発テロ事件以降、テロでは、観光地や公共交通機関、イベント会場など不特定多数の一般市民、いわゆるソフトターゲットが巻き込まれる事件が多数発生しており、日本においても、ソフトターゲットを対象としたテロの可能性は否定できません。
 世界の首都や大都市で大規模なテロが多く発生している状況や、国内外の注目が集まる東京二〇二〇大会への危機管理の視点を踏まえ、緊急対処事態への対処を重視するものでございます。

○古城委員 それでは、緊急対処事態として想定する事態について、どのようなテロを想定しているのか、見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 東京都国民保護計画におきましては、大規模テロ等への対処として、想定する事態類型を四つ設けてございます。
 具体的には、可燃性ガス貯蔵施設等の爆破など危険物質を有する施設への攻撃、ターミナル駅の爆破など大規模集客施設等への攻撃、炭疽菌、サリン等の大量散布やダーティーボム等の爆発による放射性物質の拡散など大量殺傷物質による攻撃、航空機による多数の死傷者を伴う自爆テロなど交通機関を破壊手段とした攻撃でございます。

○古城委員 東京二〇二〇大会の開催を一年後に控え、テロ対策にはしっかりと取り組む必要がありますが、取り組み状況について見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 東京二〇二〇大会期間中におけるアスリートや大会関係者、観客等の安心・安全の確保、安定的な大会運営を脅かす事案に対応するため、オリンピック・パラリンピック準備局が東京二〇二〇大会の安全・安心の確保のための対処要領を作成しました。
 テロ事案が発生した場合には、速やかに災害対策本部等を設置し、必要な体制を構築するとともに、国や、来年度、都が設置いたします都市オペレーションセンターと緊密に連携し、庁内各局の役割分担のもと、治安事象に対処することとしております。

○古城委員 私は、本委員会において、都庁舎もソフトターゲットとなるリスクを示し、危機感を持ってテロ防止対策に取り組んでいただきたいと訴えてまいりました。今般発表されたTOKYO Data Highway基本戦略では、西新宿都庁エリアが5G重点整備エリアに設定されるとのことです。そこで、この5Gも活用しましたテロ対策等の危機管理を行っていただきたいと要望させていただきます。
 次に、国民保護計画に関しまして最後の質問となりますけれども、本計画の変更では、国民保護訓練を実践的な訓練にしていくため、さまざまな場所や想定のもと訓練を行うこととされていますが、具体的にはどのように実施するのか。また、国民保護に関する国と自治体による着実な住民への啓発活動が期待されます。あわせて見解を求めます。

○榎園防災対策担当部長 大規模テロ災害への対処をテーマとした、大規模集客施設や交通機関における化学剤や爆発物を使用したテロ等が発生した場合の訓練、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練など、計画に基づき、さまざまな形態の訓練を実施しています。
 また、国民保護に関する普及啓発につきましては、テロ災害等への危機管理や初動対処等をテーマとした危機管理に関する事業者セミナーを毎年開催するとともに、東京都防災ホームページ、「東京防災」及び「東京くらし防災」において、国民保護事案発生時の避難行動等の周知に努めています。
 さらに、平成三十年度には、国民保護措置の仕組みや各種テロからの避難行動に関する動画を作成いたしまして、ホームページやデジタルサイネージで公開するなど、普及啓発に力を入れてございます。

○古城委員 次に、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画(素案)について質問します。
 ことし五月に成立した、企業でのハラスメント防止策を義務づける改正労働施策総合推進法の附帯決議に、SOGIハラスメントも対象になり得ることが明記されました。好きになる人の性別や、自分がどの性別かという認識で差別的扱いを受けるSOGIハラスメントをなくしていくことが重要です。
 都庁内においても、同様に、SOGIハラスメントをなくしていくことが必要であると考えますが、都職員のSOGIハラスメント防止の取り組みについて見解を求めます。

○高崎労務担当部長 都では、平成二十九年一月に、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針に性的指向及び性自認に関する規定を追加し、毎年十二月のセクシュアルハラスメント防止月間では、ハラスメント理解度チェックを実施するなど、ハラスメントに関する周知啓発に努めております。
 また、人権課題に関するeラーニングや管理、監督者向けの研修を通じて、LGBT等に関する理解促進に向けた取り組みを行っております。
 加えて、本年三月には、イラストを活用し、SOGIハラについてわかりやすく伝える、SOGIハラスメントについて知るBOOKを新たに作成し、全庁ポータルサイトへの掲載や研修での活用を図っております。
 さらに、今後作成予定の性自認及び性的指向に関する職員向けのマニュアルを研修等で活用することも考えております。
 今後も、これらの取り組みを着実に実施し、ハラスメントのない職場づくりに向けて、職員の理解を促進してまいります。

○古城委員 性的少数者の方々が生活しやすい環境をつくることも欠かせません。
 例えば、性差が浮き彫りになるトイレの問題があります。NPOなどの調査では、性的少数者の半数が、トイレを利用する際、常に困る、また、時々困ると回答しています。
 日常的にトイレを我慢するなどして、心と体の性別が異なる人の四人に一人は、排せつ障害を経験しています。性的少数者の方々が安心して使えるトイレのあり方は、検討課題の一つです。
 そこで、都の施設における整備の考え方などについて見解を求めます。

○堀越人権部長 いわゆる誰でもトイレは、設置される都の施設の規模や態様、利用状況や改修のタイミングなど、施設の実情に合わせ、それぞれの施設管理者が整備を進めています。
 誰でもトイレは、性別にかかわりなく利用可能で、当事者の方々の困り事の解消に資するものと認識しており、引き続き適切に整備を進めてまいります。

○古城委員 私はこれまでも、SNSを活用した相談につきまして、本会議や委員会等で提案をし、また都においても、昨年度の試行、試しの実施から今年度の本格実施へと、相談窓口においてSNS、LINEが活用をされているわけでございます。
 今回のこの素案にも盛り込まれておりますSNSを活用した専門相談については、わかりやすく相談しやすい特徴があり、当事者に寄り添う取り組みとして評価をいたします。その上で、先行する都のSNS相談の事例を参考にして、当事者が安心して相談できる体制を整備していただきたいと要望します。
 そして、相談者が相談を通じて全般的なサポートを受けやすくするよう、SNS相談から支援機関へ適切に橋渡しを行うべきと考えますが、見解を求めます。

○堀越人権部長 性自認及び性的指向に関して、誰にも相談できずに一人で悩みを抱えている当事者に勇気を出して相談してもらうため、若年層になじみのあるSNSを活用した専門相談の試行を検討することといたしました。
 気軽に相談しやすいSNSでの相談対応をきっかけとして、例えば、より深く相談者の悩みを聞くことができる電話による専門相談を紹介するなど、相談内容及び相談者の要望に応じて専門の支援機関などにつなげてまいります。

○古城委員 最後に、東京都犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方(案)に関連して、要望を申し上げます。
 都議会公明党は、都の犯罪被害者等支援条例が先進的な条例となることを願い、被害者や支援団体からご要望、ご意見を伺ったほか、既に条例が施行されている佐賀県、大分県、大分市、三重県を調査するなど、精力的に取り組んでいます。
 我が党の代表質問に対し、知事は、被害者や被害者団体等を対象にした実態調査を実施することを明らかにしました。この点は、藤井副委員長や私が三重県において聴取した先行事例の具体的な取り組みを即時に反映しており、高く評価いたします。
 そして、先ほどの藤井副委員長の質疑の中で提案したとおり、相談員が犯罪被害者から相談された際に感じ取ったところを調査すべきであり、実態調査で酌み取れなかった、ないし酌み取りにくかったところを把握できることを期待します。
 これらから、生の声、被害者、被害者家族から直接声を聞き、また、声なき声にも耳を傾けていくことを要望します。
 知事は、条例の策定や効果的な支援策について、幅広く検討を進める方針を示しています。三重県が行った実態調査では、生活支援、中でも経済的な支援が必要であることが明らかになっています。
 未来の東京への論点の論点05、課題11には、犯罪被害者やその家族に対する総合的な支援が盛り込まれました。ここに示される総合的な支援には、経済的支援の充実、特に見舞金による支援が必須であり、条例制定とともに、見舞金制度により支援を行うべきであると強く求めます。
 あわせて、都として被害者の尊厳に向き合うこと、二次被害の防止と再被害の防止の責務を都も負うべきこと、被害者支援の各機関の連携協力のコーディネーター的役割を都みずから担うこと、学校において被害者理解教育を行うこと、海外で被害を受けた人、日本国内で被害を受けた外国人に対する支援体制について国際的な組織と連携すること、これらの点についても、条例に盛り込む、ないし具体的支援策として取り組むことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○木村委員 平成三十年に小笠原諸島が返還五十周年を迎え、小池知事も出席し、現地で式典が行われました。私たち都民ファーストの会では、昨年の五月、島しょ振興政策研究会で訪問をさせていただきました。
 昭和四十三年の返還以来、小笠原諸島は、住宅、港や水道を初めとする各種インフラの整備が行われてきたわけであります。返還の翌年、昭和四十四年に、国によって特別措置法が設けられ、以後、数度の延長が行われ、各種の支援策が行われてきました。
 平成二十三年に世界遺産に登録されて以降は観光客が大幅に増加し、近年、落ちつきを見せてはいるものの、それでも年間三十万人近くの人々が小笠原諸島を訪れております。
 とはいえ、交通アクセスを初め、産業振興や自然環境の保全あるいは再生などの課題がまだあります。小笠原諸島振興開発計画(素案)が出ておりますが、これは、特別措置法に基づき、都が作成して実施していく計画ですが、今後、小笠原諸島がさらなる発展を目指す上で極めて重要なものとなります。
 そこで、今回の計画策定に当たっての基本的な考え方を伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原諸島につきましては、昭和四十三年の返還以来、さまざまな施策を講じてきましたが、今お話にありましたように、産業の振興や、本土との交通アクセス及び医療、福祉等の改善のほか、返還当初に建設された公共施設の老朽化への対応など、依然としてさまざまな課題が存在しております。
 小笠原諸島振興開発計画(素案)においては、こうした認識のもと、引き続き振興開発に取り組むことで、住民生活の安定、福祉の向上及び定住の促進を図り、小笠原諸島の自立的発展を目指すこととしております。

○木村委員 計画のポイントとして、生活環境や産業基盤を初め、六項目が記載をされております。その中の航空路案について、実は伺う予定でありましたけれども、先ほど藤井副委員長から、協議会の検討結果を初めとしまして、要点を網羅した質問がございましたので、私の方では、割愛しまして要望のみとさせていただきたいと思います。
 航空路の開設は村の悲願であることは、これまでも関係者の方から何度も伺ってまいりました。また、昨年、小笠原村を訪問した際には、船の中で出会った人たち、あるいは父島や母島で出会った人たちからも直接お話を伺ってきたところであります。
 また、私の古くからの友人であり、先日まで村会議員を務めていた人は、急患になった自分のお嬢さんを救急搬送することができなくて亡くしてしまったという非常につらい経験をしており、また、そういった意味からも、急患が発生しても、すぐに思うように搬送ができないという現状を、ぜひとも早急に改善してほしいと思っております。
 都民ファーストの会として、小笠原の早期航空路開設を引き続き要望させていただきます。
 次に、港湾について伺います。
 離島では、港湾が住民生活や産業振興に不可欠でありますが、とりわけ小笠原にとっては、交通のみならず、漁業や観光などの拠点であり、重要性が極めて高いと思います。
 同じ港を定期船、クルーズ船、漁船、観光用の船舶などが利用する光景を通じて、小笠原の産業構造というのをかいま見ることができます。
 本計画中の取り組みとして、泊地しゅんせつを初め、港湾機能の維持、整備に関する記載はありますが、港湾、漁港施設に関して、産業振興や観光振興に向けて整備した施設をどのように活用していくのか、伺います。

○石橋多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 都は、小笠原諸島の返還以来、港湾、漁港施設の整備に取り組んできており、引き続き整備を継続していく必要性に加え、近年では、これらの施設の老朽化対策も課題となっております。
 このため、本計画期間内においては、施設の機能強化や改修整備を着実に進めるとともに、機能保全のための維持管理を計画的に行ってまいります。
 また、船客待合所におけるイベント開催や物販の使用許可、係留浮標の整備による大型客船の誘致等、産業振興や観光振興等の観点から港湾、漁港施設の活用を図っているところであり、引き続き、関係機関と連携しながら取り組みを行ってまいります。

○木村委員 施設の整備がゴールではなくて、どのように活用し、どのように島の利益につなげていくか、それが重要だと思っております。
 私は、予算特別委員会の締めくくり総括質疑の中で、島しょ地域の漁港の使い方について質問をさせていただきました。漁港施設にプレジャーボートなどの係留を可能にして、島外から多くの人を呼び込みたいという声を、島の方々から何度も伺いました。
 また、民間の団体からも、そうした要望というものを伺っております。
 使い方を拡大して地域経済を活性化できるよう、ぜひ取り組んでいただきたいと要望させていただきます。
 さて、先日の台風十五号では、都内でも被害が発生をいたしました。千葉県内では停電等が続いておりますが、都内でも、発災直後は、新島、式根島では全戸断水、一部では停電も発生しました。非常用電源の整備というのは喫緊の課題であることが、これで改めてわかったと思います。
 私たち都民ファーストの会では、災害時等のブラックアウトなどに備えて、市区町村の災害対策本部が設置される庁舎への非常用電源の配備というものを提言してまいりました。都民ファーストの会の提案を受けた形で、都では非常用電源の整備に乗り出したことを高く評価しており、また、感謝しています。
 今後、島しょ地域を初めとした災害対策、非常用電源の整備に関する局長のかたい決意を伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 西は多摩地域から、太平洋に連なる島しょ地域を擁します東京都では、地震や噴火、津波など災害の種類も多く、災害が起きた場合、地域ごとの特性に応じた対応が必要となります。
 特に島しょ地域において大きな災害が発生した場合には、陸路による支援は不可能なことから、船舶や航空機を活用した支援を行うことになりますが、その実施には相応の時間を要することを余儀なくされます。とりわけ小笠原諸島については、その時間が長くなるという厳しい状況に置かれることになります。
 今回のように、台風等の被害により停電が発生した場合には、町村の災害対策本部となる庁舎の電源を確保し、応急復旧対応を行う体制を速やかに整えることが死活的に重要な問題だと考えております。
 そのため、昨年度から市区町村庁舎の非常用電源設置等の支援を開始し、七十二時間継続稼働に向けた支援を進めており、島しょ地域では、今年度中に五団体がこの制度を活用し、整備に向けた検討を行うことになっております。
 今回の台風十五号による災害を教訓といたしまして、なるべく早期に都内市区町村で七十二時間の継続稼働を確保できるよう、これまで以上に危機感を持って、都として対応を進めてまいります。

○木村委員 よろしくお願いいたします。

○増田委員 ラストバッターでございます。よろしくお願いします。
 私の方からは、首都大学東京が行っている、いわゆる百歳大学の取り組みについてのところ、そして、それに続いて、政策連携団体の評価についての質問をさせていただきたいと思います。
 まず、首都大学東京が行っている百歳大学の取り組みでありますけれども、人生百年時代ということがもう普通にいわれている昨今、豊富な知識と経験を持ち、意欲あふれるシニアの方々が、いつまでも生きがいを持って活躍し続ける社会をつくること、これは極めて重要なことであります。
 生涯現役をキーワードに、何歳になっても学び続けることができる環境づくり、そして起業に向けて学べる環境づくり、それが百歳大学の取り組みの趣旨であり、具体的には、首都大学東京のプレミアム・カレッジ、そして、産業技術大学院大学のシニアスタートアッププログラムのこの二つがあるものと認識しております。
 私の地元の立川市でもいろいろな、敬老会ですとか、それから老人クラブ連合会の会合のご挨拶などで、こんなものがあるんですよということをトピックとして申し上げることがあるんですけれども、非常にやはり関心が高いです。そういうものがあるんですかとか、どこに行くと案内があるんですかというような、そういう反応を非常にいただくことが多いです。
 そのうち、このプレミアム・カレッジにつきましては、本年四月に開講をしたわけでありまして、平成三十年度はその準備期間だったわけでありますけれども、昨年行った募集は、非常に大きな反響があったと伺っております。
 他の国公立大学にも余り、まだ同じようなものがない新しい試みでありまして、実際に募集、開講してみて、やはり当初予想していた内容と違ったことであるとか、予想外であったことであるとか、よい面、悪い面も含めていろんなことがあったと思うんですけれども、それをどのように認識していらっしゃるか、まず伺いたいと思います。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 プレミアム・カレッジは、さまざまな経験を積んだ五十歳以上の方々がより豊かで充実した生活を送ることができるよう、新たな学びと交流の場を提供することを目的として開講いたしました。
 昨年度行われた入学選考では、募集人員五十名程度に対しまして、出願者数が三百二十九名でございまして、倍率は六倍を超えるとともに、入学者の最高齢は八十代と、シニア世代の学びに対する高いニーズと受講者の幅広い年齢層は予想以上でございました。
 入学者の学習参加意欲も極めて高く、ゼミナールを通じた交流も積極的に行うなど、目的に沿ったカレッジ運営がなされている一方で、コンピュータースキルには個人差もございまして、レベルアップを図る講座を追加するなどのきめ細かいフォローを行う必要がございました。

○増田委員 まずは、非常に多くの反響といいましょうか、募集があったこと、そして、当初の狙いどおり、幅広い年齢層の方々からの応募があったということ、これは素直に評価できるのではないかと思います。
 また、やってみてのこととして非常に興味深いですけれども、やはり今、七十代、八十代の方というのは、ご自身が学生時代にはパソコンももちろんなかったわけで、一方で、今もう大学は、レポートの提出にしても、いろんな連絡にしても、全てパソコンを通じてやるという、そこのギャップといいましょうか、そういうような新たにわかった課題なんかもあるわけで、それは順次、いろいろと改善していけばいいのかなというところで、今後の展開には、非常に大きな可能性を感じるわけであります。
 今後も、さらなる学びの提供に向けてプログラムの充実を図っていくべきと考えますけれども、その点についてのご見解を伺います。

○久保田企画担当部長首都大学調整担当部長兼務 来年度、意欲のあるカレッジ生に対しまして、引き続き学べる場である専攻科(仮称)でございますが、これを設置する予定にしてございます。
 設置に当たりましては、二年目の学びにふさわしいゼミナールや、専攻生を講師とした講演会の実施など、学習者の経験と意欲を生かしたプログラムの開発に向けまして、現在検討を重ねております。
 今後も、経験豊富でさまざまなバックグラウンドを持つカレッジ生の意見も伺いながら、シニアの学びの意欲に応える百歳大学の趣旨を踏まえた取り組みとなりますよう、プログラムの一層の充実に努めてまいります。

○増田委員 やはりこれからの時代、こういったシニアカレッジのニーズというのは確実に高まっていくと思いますので、今後もプログラムの充実を図っていただき、また、より門戸を広げて、新たな学びのモデルとして、その取り組みを積極的に発信していただきたいと思います。
 次に、産業技術大学院大学のシニアスタートアッププログラムについてお伺いします。
 産業技術大学院大学では、特に起業に挑戦するシニア層、そのための学びの場として、昨年度、シニアスタートアッププログラムを開講したわけです。先ほどのプレミアム・カレッジに比べますと、起業という、より具体的な目標を持った方々が集い、受講され、目標が具体的な分、プログラムに求められるものもまた違って、大きくなるものだと思います。
 そこで、シニアスタートアッププログラムの平成三十年度の取り組みとその成果について伺います。

○藤原調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 産業技術大学院大学のシニアスタートアッププログラムは、起業に挑戦するシニア層を後押しし、高レベルの知識、スキルの修得を目的に、昨年八月に開講したものでございます。
 経営戦略要論などの基礎科目を履修した上で、事例研究型科目や、実際の事業開発に近いプロジェクトに取り組むPBL型科目を学ぶ体系的なプログラムとなっております。
 昨年度は二十六名の方が修了し、その中には、実際に起業に至った方や大学院へ進学した方もいらっしゃるなど、初年度から成果も出ておりまして、今後とも、関係機関と連携協力をしながらプログラムの充実を図ってまいります。

○増田委員 今のご答弁で、起業の目標を持った修了生の方々が、それぞれの経験に加えて、体系的に学んだ成果を生かして、そして、みずから起業することで、その学びを再び社会に還元していけるよう、そのようなプログラムの一層の充実を図っていただきたいと思います。
 ご質問させていただきました、百歳大学の一環であるプレミアム・カレッジとシニアスタートアッププログラム、いずれも、意欲あるシニアが今後生き生きと輝き続けることができるように、都立の高等教育機関として、充実した学びの環境づくりに一層励んでいただくことを強くお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 政策連携団体の評価についてでございます。
 経営改革プランの中で、今般、団体の評価方法が変わりまして、評価期間が従来の単年度から三カ年になったということで、今回、実施した評価は、三カ年の経営目標を掲げる経営改革プランの初年度の評価ということになります。
 そこで、これまでの単年度の経営目標を対象とした評価と比べて、評価の視点がどのように変わったのかを伺います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 従来の単年度の経営目標に対しまして、今回評価いたしました経営改革プランでは、各団体が将来を見据えて経営課題を抽出し、その解決に向けた戦略、二〇二〇年度の到達目標及び三カ年の取り組み事項を定めてございます。
 これによりまして、団体の中期的な経営改革に向けた視点からの取り組みを評価することが可能となり、加えて、外部有識者によります評価委員会からのさらなる改革推進に向けた意見を、今後の事業運営や目標設定にフィードバックすることで、PDCAサイクルをより効果的に運用することも可能となってございます。

○増田委員 その評価の対象期間を単年度とするか三年とするかというのはなかなか、どちらがいいかというのは一概にいいにくいもので、一長一短あると思いますし、例えば民間の企業なんかでも、短い評価期間になると、どうしても目先の成果を追いがちになるというか、近視眼的になってしまうというところがあります。
 それを長くすることによって、より時間をかけて問題解決ができるというか、より一つの問題を深く掘り下げて抜本的に解決することができるというメリットもあると思います。
 一方で、やはり時間的な切迫感というか、プレッシャーが薄れてしまうというところでは、そこが一つ、経営側からすると、何といいましょうか、早く成果が欲しい経営側からすると、一つのデメリットということになるんだと思うんですけれども、このように変えたわけですので、ぜひとも、より問題を深く捉えて、それを時間をかけて抜本的に解決するという、そういうことにぜひ生かしていただきたいというふうに思います。
 次に予定しておりました質問は、東京水道サービスの不適正事案がどのように今回の評価に反映されていたかというところなんですが、これも既に質問が出ましたし、また、そもそもこういった不祥事をこういう評価に入れるべきかどうかという問題提起もされまして、私の方から申し上げておきたいのは、やはりこの評価というのは、都民目線で、都民がわかりやすく納得できるものでなければならないということであります。
 当然、都民の負託といいましょうか、期待を受けての、そして税金を使っての仕事でございますので、それを、もしそういうのに欺くようなことがなされたのであるとすれば、それはやはり厳しく、厳正に評価されなければならないというふうに思います。
 そして、そういうことによって、不祥事は、結局、起こした人のキャリアにとっても、そして、起きたその組織にとっても大きなダメージになって、誰の得にもならないんだということを、関連する人にとことんわかってもらうということではないかと思います。
 妥当な評価というのは、これは本当に永遠のテーマみたいなところがあるわけですけれども、そういった問題意識を常に持ち続けて、よりよい評価方法を探す努力をしていただきたいと思います。
 そして、今回のTSSの事案が示しますように、コンプライアンスの問題は本当に重要になってきておりまして、これはもう、公企業であれ、民間企業であれ、あらゆる企業体にとって、コンプライアンスが守れない、そういう会社は、社会から、あるいはそのマーケットから退場を余儀なくされる、それはもう世界的な共通の潮流であります。
 コンプライアンスについては、徹底し過ぎることはないというふうに申し上げられますし、それを怠ると、結局、大変なコストを払わされるというところではないかと思います。
 そこで、改めて、団体における内部統制やコンプライアンスの強化に向けての取り組み、どのような取り組みを実施するのか、伺います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 自己点検の結果では、各団体とも、内部統制に関する規程の整備状況についてはおおむね良好でありましたが、それ以外のコンプライアンスの推進体制の整備などに課題がございまして、改善を図っていくことといたしました。
 具体的には、まず、全団体にコンプライアンスを所掌する委員会を設置することを改めて指導していくとともに、監事、監査役をこの委員会に関与させ、団体内のチェック機能を向上させてまいります。
 また、総務局において、各団体のコンプライアンス推進に向けた事例を収集し、全団体で共有してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、コンプライアンス強化に向けた団体の自律的な改革を促進してまいります。

○増田委員 参考になるかどうかわからないのですけれども、私が以前おりました民間企業、いわゆるメガバンクグループといわれているところでありますけれども、やはり、毎月毎月、テーマを変えたコンプライアンスについての教育的な動画が全職員に送られてきまして、例えば、金融ですので、インサイダー取引のことですとか、マネーロンダリングのことですとか、職場のいろんなハラスメント、あるいは反社会的勢力からの不当要求にどう対応するかとか、いろんなその時々のテーマの動画を、個人でも見れますし、係とか課で集まって見るということもできて、そして、月に一回、必ずネットで確認テストというのが行われまして、五十問中四十五点をとらないと、何回でも繰り返し受けなきゃいけないというような、そんなことが本当にしつこいぐらい行われまして、しかもそれが、本社とか関連会社とかそういうことではなく、全てなんですね。グループ会社全て、全員に対してということで、本当にくどいぐらいに行われているということで、いろんなドラマ仕立ての動画を見るうちに、これは、やっても見つかるし、結局、何の得にもならないなということがだんだんわかってくるというか、そういうようなことをしつこいぐらいに徹底的にやるということが--もう既に行われているのかもしれません。そこはちょっとわからないのですけれども、重要なのではないかなというふうに思う次第であります。
 そして、最後に、政策連携団体のあり方そのものについてなんですけれども、政策連携団体のあり方については、我々の会派の中でも、いろいろな意見があるところです。特定の団体や特定の事業について、非常に厳しい見方をしているところも正直ございます。
 一方で、そういった団体を含めた東京都全体の総合的な行政執行能力を高めるということは、これは都民の利益にかなうものだと、このように思っております。
 そこで、今回、政策連携団体が、都とともに政策実現を目指す団体として位置づけられたということで、改めて、都庁グループの機能強化に向けた局長の決意を伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 東京の持続的な発展に向けまして、今年度、政策連携団体を、都とともに政策実現を目指す団体として位置づけたことに合わせ、新たに東京都政策連携団体活用戦略を策定いたしたところでございます。
 活用戦略に基づき、都と団体が経営戦略を共有した上で、都庁グループとしての事業展開を強化していくためには、団体の経営課題や今後のあり方等について共通認識を醸成していくことが重要でございます。
 また、委員ご指摘のコンプライアンスの強化等につきましては、団体が都民の信頼を得られるように、しっかりと体制を確立していく必要があると考えております。
 このため、今般、所管局の主要幹部と団体の経営層が定期的に意見交換を実施していくことといたしました。
 これらの取り組みを通じまして、所管局と団体の経営レベルで認識を一にしていくことで、都と団体が有機的な一つの経営体となって、総力を結集して都の政策実現に向けて取り組んでまいります。

○増田委員 ありがとうございます。
 各団体がやはり、今回、位置づけが変わったということで、受け身ではなくて、積極的にみずから提言をし、みずからアクションをとる、働きかけをできる団体となる、そういう方向性が不可欠だと思います。
 そしてまた、所管局と各団体のいろんなレベルでの密なコミュニケーションを積み重ねることで、そういう不祥事をなくすことにもつながっていくと思いますし、やはり進む方向をきちんと共有する、そういうコミュニケーションというのは、非常にこれは重要だと思います。ぜひとも実践していただきたいと思います。
 その上で、今回の東京都政策連携団体活用戦略、少しでも実りの多いものにしていただくよう、ぜひとも全力で遂行していただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時十六分散会

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