総務委員会速記録第十一号

令和元年九月十一日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長小松 大祐君
副委員長藤井  一君
副委員長馬場 信男君
理事両角みのる君
理事木村 基成君
理事鈴木 章浩君
古城まさお君
山内れい子君
藤井とものり君
藤井あきら君
増田 一郎君
原 のり子君
森口つかさ君
中屋 文孝君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長山手  斉君
外務長山元  毅君
次長理事兼務栗岡 祥一君
技監福田  至君
理事報道担当部長事務取扱河内  豊君
理事横山 英樹君
理事寺崎 久明君
理事関  雅広君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小沼 博靖君
渉外担当部長村上  章君
政策調整部長小笠原雄一君
政策調整担当部長松崎伸一郎君
政策調整担当部長都市施設政策担当部長兼務小泉 雅裕君
技術政策調整担当部長三木  健君
戦略広報担当部長浅井奈穂子君
海外広報担当部長梅田 弘美君
ホストシティプロジェクト推進担当部長政策調整担当部長兼務小野 由紀君
大学連携担当部長政策調整担当部長成長戦略担当部長兼務蜂谷 典子君
計画部長吉村 恵一君
外務部長加藤 英典君
外務担当部長丹羽恵玲奈君
都民安全推進本部本部長國枝 治男君
総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務森山 寛司君
治安対策担当部長高野  豪君
若年支援担当部長小菅 秀記君
戦略政策情報推進本部本部長松下 隆弘君
理事小室 一人君
戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松永 竜太君
特区推進担当部長米津 雅史君
戦略事業担当部長小川 祥直君
ICT推進部長戸井崎正巳君
情報企画担当部長荻原  聡君
情報基盤担当部長沼田 文彦君

本日の会議に付した事件
戦略政策情報推進本部関係
報告事項(質疑)
・TOKYO Data Highway基本戦略について
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「重点政策方針二〇一九 未来への投資 人が輝く東京に向けて 」について
・「『未来の東京』への論点 今、なすべき未来への投資とは」について
・「二〇二〇年に向けた実行プラン」事業実施状況レビュー結果について
都民安全推進本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十九号議案 東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業について
・「東京都再犯防止推進計画」について

○小松委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都民安全推進本部関係の付託議案の審査並びに戦略政策情報推進本部、政策企画局及び都民安全推進本部関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより戦略政策情報推進本部関係に入ります。
 報告事項、TOKYO Data Highway基本戦略についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る八月三十日の委員会におきまして要求のございました資料一点につきまして、お手元にお配りしております総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
 初めに、一ページをお開きください。TOKYO Data Highway基本戦略策定経過等でございます。
 1のTOKYO Data Highway基本戦略特別チームメンバーでございますが、表に記載のとおりでございます。
 次に、2の知事への報告過程でございますが、七月十九日、八月九日、八月二十九日の計三回、知事に報告をしております。
 七月十九日に報告した内容を別添1として、八月九日に報告した内容を別添2として資料添付してございます。
 以上、簡単ではございますが、総務委員会要求資料につきましてご説明させていただきました。よろしくお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井(あ)委員 都民ファーストの会、藤井あきらでございます。
 東京、都政のデジタル化を推進してきました都民ファーストの会東京都議団を代表いたしまして、TOKYO Data Highway基本戦略について質疑をいたします。
 先日、八月二十九日に発表された5G基盤整備のTOKYO Data Highway基本戦略、私、戦略政策情報推進本部ICT推進部のSNS経由で、動画配信を通じてリアルタイムで記者会見を見ておりました。新しい東京が生まれるという期待感で、かなりわくわくとしたことを覚えております。都の政策発表を見てわくわくしたことはなかなかないので、非常に鮮明に覚えているところでございます。多くの都民が大きな期待感を持ったのではないでしょうか。
 私が都議になりました問題意識、そのときの課題意識の一つは、国際社会における東京、日本の地位の低下といったところでございます。特に、ジャパンパッシングといわれるような状況に対する危機感を感じておりました。私は外資系企業に勤めておりましたが、かつては東京にあったアジアの本部、ヘッドクオーターは、今や、香港やシンガポールにその地位を奪われてしまっております。言葉の壁や税金が高いということが一つの理由だといわれておりますが、何よりも、平成三十年間を通して日本の低成長、そして、これから直面してくる人口減少、高齢化の影響で、急成長する海外と比べて、東京、日本の魅力が失われてしまっているということが一番の問題であると考えております。
 この基本戦略を着実に実行に移し、世界最速のモバイルインターネット網を構築し、激化する都市間競争の中で、人、物、金が集まる魅力と活力のあふれる都市東京、日本となることを期待いたしまして、質疑をさせていただきます。
 その前に、質疑の本筋からずれますが、独自の動画配信の手段を持つことというのは、自分たちの伝えたいことを余すところなく直接伝えることができる、とてもすばらしい取り組みだと思います。今後も、ぜひとも続けていただきたいと思います。
 この質疑に当たって、ホームページ等を何度か確認させていただいたのですが、戦略政策情報推進本部のホームページを確認しても、この基本戦略の資料等を発表したというのは残っているんですが、記者会見の様子等を探すことができなかったので、そういったリンクを張るなど、そういうところもきちんと共有して都民にわかりやすくしていただきたいということは、一点、ご要望させていただきます。
 最初に、基本戦略がどのようにつくられたか、確認をさせていただきます。
 このタイミングで5G整備に関する基本戦略を策定し、公表いたしました。その背景についてお伺いをいたします。

○戸井崎ICT推進部長 ビジネスや観光がグローバル化する中で、5Gによるモバイルネットワーク網の整備が都市間競争を制するといっても過言ではありません。
 米国、それから中国、欧州で5Gネットワークの整備は既に始まっており、先日、知事は中国を訪問し、先端技術を積極的に取り入れた都市づくりを視察しました。
 そこで、日本がこうした世界の潮流に乗りおくれないよう、我が国は先端技術開発に全力を挙げて取り組む必要があるとの認識のもと、今回、このTOKYO Data Highway基本戦略を発表することになりました。

○藤井(あ)委員 背景について、ありがとうございます。
 宮坂氏が七月一日に参与に就任してから、八月二十九日には、この基本戦略が発表されています。唐突、急だという印象を持つ方もいるかもしれません。
 その検討過程、検討経過についてお伺いいたします。

○戸井崎ICT推進部長 知事より指示を受け、庁内で特別チームを編成し、宮坂参与に具体的な助言をいただきながら、令和の時代、ソサエティー五・〇の社会にふさわしい基幹インフラは何か、それをどのように構築すべきかという検討を進めました。
 知事には適時ご報告をしてご確認いただきまして、最終的には八月二十九日の発表に至りました。

○藤井(あ)委員 資料要求にもあったとおり、知事への報告として三回されていたりとか、どういった体制でされていたかというところも含めて、資料要求も含めて理解することができました。知事のトップダウンの指示のもと、特別チームを組んで、スピード感を持って短期集中的に取り組んでいたということは評価をしたいと思っております。
 拙速だという批判をする方もいらっしゃるかもしれませんが、ビジネスの世界は、時は金なり、スピードが勝負であります。ゆっくり考えている間に、世界の5Gの整備は進んでいってしまいまして、東京が世界一のモバイルインターネット網を築くことが難しくなるという可能性もあるかと思います。
 また、5Gが唐突だという印象を持たれる方もいるかもしれませんが、これまで都で社会実装を検討しているソサエティー五・〇の基盤となるものでございますので、その実現のためにも必須のものである、このように理解をしております。
 この基本戦略の大きな特徴として、東京都、行政として単独ではなく、官民が連携をしていくことが挙げられております。従来、こういった移動通信網の整備というのは、民間の役割でございました。今回、民間アンド東京都で最強タッグを組んで進めていくと、この基本戦略の中ではされております。
 都と民間の役割についてお伺いいたします。

○戸井崎ICT推進部長 今、先生、お話しいただいたとおり、移動通信ネットワーク網の整備につきましては、これまで民間が行ってまいりました。しかしながら、5Gネットワークなどの高速モバイルインターネット網は二十一世紀の基幹インフラでございまして、今後の東京の未来を支える重要な公共インフラとなっていくというふうに認識しております。この認識のもと、都としても、民間の方々と強力にタッグを組んで、その整備を促進していくことといたしました。
 まずは、都のアセットを開放し、通信キャリアによる基地局設置を強力に後押しし、さらに、5G重点整備エリアの指定、都みずからの5G施策を展開していくことによって、5Gの普及、利用拡大につなげてまいります。

○藤井(あ)委員 小池知事は、おとといの我が会派の代表質問に対しまして、迅速さを重視するという意味でのアジャイルな発想を持って、都政の大改革に取り組んでいくという答弁をされておりました。これは都政の改革についての答弁だったかとは思いますが、ぜひこの民間との取り組みも、スピード感を持ってアジャイルに、常に改善をしながら取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、基本戦略の中身を確認させていただきます。
 5Gの整備に当たっては、インフラとしての5Gの整備、つまり基地局やアンテナを整備していくという視点、そして、整備された5Gのネットワークの活用、つまり5Gの特性を生かしてどのようなサービスを提供、活用していくかという二点が重要であると理解しております。
 基本戦略では、この二点を三つのアクションとして整理しております。
 一点目が、インフラ整備の面では、都の保有するアセットを開放して、特に重点エリアとして、五輪会場や都庁のある西新宿、そして都立大学を活用していくとしております。
 二つ目の活用の面では、都がみずから5G施策を展開すると記載がされております。
 その上記の先ほどの五輪会場や西新宿の重点整備エリアでは、さまざまな社会実装や実証実験が行われるのだろうと考えられます。
 5Gの整備は、これも繰り返しになりますが、現在進められておりますソサエティー五・〇の社会実装にも大きく関係するものでございます。
 そこで、三つのアクションについて確認をさせていただきます。
 一つ目は、都の保有するアセットの開放です。
 これは、都有地であったり都有施設など、都の保有するアセットを開放して、通信キャリアによる基地局設置を後押しするものでありますが、アンテナ基地局設置への都のアセット開放とその利用手続の簡素化について、どのような効果が期待できるのか、お伺いをいたします。

○戸井崎ICT推進部長 現在、移動通信ネットワーク網の基地局の設置につきましては、通信キャリアが独自に設置可能な場所の調査を行い、候補施設が見つかった時点で、施設所管部署に個別に設置協議、申請を行っております。
 このため、通信キャリアにとっては時間と手間がかかるものとなっておりまして、一方で、施設所管部署においても、通信キャリアから個々に設置協議の申し入れがなされる状況にあるというふうに思っております。
 このような状況を改善するためにも、ワンストップ窓口を創設して協議を常時受け付けるとともに、基地局設置可能な都有施設をデータベース化し、通信キャリアに提供してまいります。
 これらの取り組みにより、通信キャリアからの申請に対してスピード対応していくことで5G基地局の整備を促進し、モバイルネットワーク網の早期の構築を推進してまいります。

○藤井(あ)委員 ワンストップ窓口を設けることで、さまざまな対応をそこの窓口ですることで、キャリアにとっても、都庁側にとっても、わかりやすくスピード感を持って対応できるということが理解できました。自動運転の方でもワンストップの窓口等はありますが、そういったような形で活用できるものだというふうに理解しております。
 話は少し変わりますが、5Gというのは国際的な規格でございます。そして、もう商用面、ビジネス面でも、アメリカや韓国など、既にサービスを提供しているところもございます。既に先行している国があるということは、その動向を参考にすることができますし、国際規格がきちんと設定された後に開始をすれば、その手戻りというのは生じないものだと思いますので、その進捗を正確に把握していく必要があるかと思います。
 5Gの技術標準化の状況と通信キャリアのサービス開始時期について、都の認識をお伺いいたします。

○戸井崎ICT推進部長 5Gに関する国際標準化、いわゆる3GPPといわれているものですが、この動きとしましては、本年夏に5Gの主要機能に関する標準仕様や標準規格が示されました。これに基づき、国際的な標準規格について、国際機関で検討が進められております。
 通信キャリアのプレスリリースによれば、国内でのサービス開始時期は、年内中にプレサービスを行って、来年春から本格サービスを開始する予定としております。

○藤井(あ)委員 来年春ごろからの本格サービス開始予定とのことでございますが、国内の、今、四つのキャリアがございますが、それぞれ5Gへの準備の状況が大分違うという話も聞こえてくるところでございます。
 四つ目のキャリアであります、携帯キャリアに新規参入する楽天が、4Gのサービス開始が当初よりもおくれるというような報道も先日ございました。キャリアの足並みをそろえて進めようとすると時間がかかってしまう、なかなか物事が進まない懸念もございます。もちろん、キャリアの皆様とお話をした上でのことにはなるとは思いますが、スピード感を優先して取り組んでいただきたいと思います。
 少し話は変わりますが、5Gに関しましては、健康被害が出るという懸念を持っている方もいらっしゃるようでございます。
 安全面、安全性はどのようになっているか、都の見解をお伺いいたします。

○戸井崎ICT推進部長 5Gが使用する電波につきましては、国が人体に対する安全性を確保するための電波防護指針を策定しております。電波防護指針では、総務省が、五十年以上の研究の中で、熱作用を及ぼす電波の強さを計測、評価し、人体に有害な影響が及ぶ可能性のある電波の吸収量に約五十倍の安全率を考慮の上、基準値を定めております。
 また、本指針は、国際的なガイドラインと同等でございまして、世界保健機関もこの指針を支持しております。
 既存の携帯電話基地局等は、この指針に沿って規制基準値を満たしていることを確認した上で設置されており、今後設置される5Gの基地局なども、これらに基づき設置されることから、安全性は確保されております。

○藤井(あ)委員 基本戦略の三つのアクションの二つ目は、5G重点整備エリアの設定でございます。五輪会場周辺、都庁を中心とした西新宿等、そして東京都立大学が重点エリアとされています。
 一方、TOKYO Data Highway基本戦略には、自動運転やxRといったサービスの例示もあり、このようなサービスを活用するには、地域のニーズを踏まえることが重要だと考えます。
 今後のサービス展開に、新宿区やエリアマネジメント団体等の意向をどのように反映させていくのか、お伺いさせていただきます。

○米津特区推進担当部長 5Gを活用したサービスが地域に根づくためには、委員ご指摘のとおり、サービス事業者の実証ニーズだけではなく、新宿区やエリアマネジメント団体など、地域のニーズを捉えることが重要であるというふうに考えてございます。
 都は今年度から、先ほどご指摘にもございましたけれども、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会を設置いたしまして、今後の施策展開の方向性を議論しておりますけれども、その検討状況をもとに、例えば、西新宿のいわゆるスマートシティー化につきましても、新宿区やエリアマネジメント団体などと意見交換を実施しているところでございます。
 今後、5Gの普及と利用拡大につきましても、ご指摘の新宿区やエリアマネジメント団体などと意見交換を重ねまして、地域のニーズをサービスにつなげるように支援してまいりたい、このように考えております。

○藤井(あ)委員 ぜひ、そういった地元の、地域のニーズもきちんと踏まえた上で進めていただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、5Gは、ソサエティー五・〇のインフラ基盤であります。ソサエティー五・〇の実現において欠かせない構成要素となっております。
 5Gネットワークを構築することで、さまざまなサービス領域において、ビッグデータ、AIによるスマート化が加速すると考えられます。
 「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会においても、5G活用の議論を深めていくべきでありますが、都の見解をお伺いします。

○松永戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は現在、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会の中で、モビリティー、ウエルネスなど幅広いサービス領域について、ソサエティー五・〇実現に向けた議論を行っております。
 高速大容量、超低遅延、多数同時接続を特徴とする5Gネットワークの構築により、自動運転における路車間通信等の性能向上や、高精細画像による被災状況等の伝送など、従来にも増して精度が上がるとともに、サービスの質の向上にもつながります。
 このように、5Gネットワークの構築は、ソサエティー五・〇の実現に大きく寄与することから、都といたしましては、検討会において、5Gを活用したサービス領域のあり方についても検討してまいります。

○藤井(あ)委員 最後に、二点、要望を申し上げさせていただきます。
 一つは、TOKYO Data Highway基本戦略や5Gについて、わかりやすい説明をして、都民への理解を求めていただきたいと思います。
 こんなことをいうのは甚だ僣越ではございますが、都議会ですら、今定例会の代表質問等を見ていて、基本戦略や5Gについて、余り理解がされていないのではないかというような質問もございました。
 特に、5Gがインフラであるというところ、そして、そのインフラの上で活用するサービスといったところの切り分けが曖昧であったりとか、幾つか例を挙げますと、例えば、5Gの活用に必要な区市町村とのデータベースの連携であったりというのもわかりませんでしたし、あと、5Gのインフラ環境の整備には、現時点で必要とされている法整備というものは特にはないのではないかと認識をしております。加えて、データベースネットワークという単語も、余り5Gには関係ないのではないかというふうに感じました。まずは、都議会へも丁寧なご説明をお願いしたいところでございます。
 同様に、都民も、新しい概念でもございますし、なかなか理解がし切れないところであると思いますので、丁寧な説明を求めたいと思います。
 そういったときに、冒頭申し上げたような、動画での積極的な配信などを活用していただければと思います。
 二つ目は、移動通信システムの革新、この5Gの前にも1G、2G等々ございますが、この革新というのは、これまで大体十年ごとに起きてきていることを忘れずに、次にもう備える体制で進めていただきたいということでございます。
 既にアメリカでは、6Gのデファクトスタンダードを目指して、いろいろ調査、研究が進んでいるという話もございますし、東京都では、二〇四〇年からのバックキャストで二〇三〇年に向けた長期戦略をつくっている最中でございまして、今回の知見、世界一の高速モバイルインターネット網を構築するという知見を生かして、今後も、その移動通信の分野で世界をリードできるような東京をつくっていただきたいと思います。
 TOKYO Data Highway基本戦略のサブタイトルは、UPDATE TOKYO、常にアップデートをし続けるということですので、ぜひそこは意識をしていただきたいと思います。
 加えてもう一点だけ、済みません。
 まずは何よりも、TOKYO Data Highway基本戦略を推進するために体制がないと、キャリアとのやりとりであったりとか、民間事業者とのやりとりということもできませんので、まずはその体制づくりというものを進めていただきたいと思います。
 その点、すぐに体制をつくるよう、5G施策を強力に推進する都民ファーストの会東京都議団として要望いたしまして、私からの質疑を終えさせていただきます。

○中屋委員 私からも、先月発表されましたTOKYO Data Highway基本戦略について何点か伺います。
 この基本戦略では、第五世代移動通信システム、いわゆる5Gが導入されますと、ネットワークは劇的に進化し、インターネットを介して、どこにいようとも医療や教育などのさまざまなサービスが受けられる夢のある社会の実現が可能であるということになっております。
 また、テレビや雑誌などのマスメディアにおいても、5Gがもたらす未来を描く記事がとても多く掲載されておりまして、多くの都民がどのような変化が起こるのか注目をしているところであります。
 そこで、改めて、次世代通信、5Gの特徴について伺います。

○戸井崎ICT推進部長 次世代移動通信、5Gは、高速大容量、超低遅延、多数同時接続といった特徴を持っております。
 高速大容量とは、従来よりも百倍の通信速度によりデータの送受信が可能となり、これにより、4K、それから8Kなどの動画がスマートフォン等で楽しめるようになります。
 また、超低遅延とは、通信ネットワークにおけるタイムラグを極めて小さく抑え、危険な工事現場などにおいて、重機等を遠隔操作することによって作業員の安全性が向上いたします。
 さらに、多数同時接続とは、一キロメートルメッシュ当たり、同時に接続できる端末数が、従来、十万台であったものが百万台となりまして、大規模な劇場や競技場など多くの人々が集まる場所であっても、ストレスを感ずることなくスマートフォン等を利用できるようになります。
 5Gは、これらの特徴を生かし、さまざまなサービスを生み出す可能性を有しておる技術でございます。

○中屋委員 この5Gが、これまでの4Gに比べて通信技術が格段に向上するというのはわかりました。まだ、これだけじゃ、ちょっとわかりませんけれども、伝わりました。
 一方で、一般都民からしますと、何が変わるのか、わかりづらいということもあります。この戦略の中でも幾つかの活用事例が挙げられておりますけれども、抽象的なものがとても多くて、5Gがもたらす効果を身近なものとして感じている都民は少ないというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、三つの特徴を持った5Gを普及させることで、都民生活がどのように変わっていくのか。都民一人一人が感じることができる効果というのは、具体的にどういうことなのでしょうか。伺います。

○戸井崎ICT推進部長 4Gまでが、基本的に人と人とのコミュニケーションを行うための通信インフラとして発展してきたのに対しまして、5Gは、ありとあらゆる物や人がインターネットを介してつながるIoT時代を支える重要な情報インフラとなります。
 例えば、5Gを使うことで、家の中の全ての家電をインターネットでつなげ、それらを外出先から遠隔操作することにより、生活の利便性が上がることになります。具体的には、ことしの夏のように熱帯夜が連日続くような日に、スマートフォンを使って帰宅前に冷房を入れることができるなど、日常生活に密接する部分での活用が期待されております。
 また、外出が困難な高齢者等が、自宅にいながらテレビ画面を通じて医師の診療を受けられることも可能となります。
 さらには、高精細な画像データの送受信がリアルタイムで行えるようになることで、防犯カメラを通じて不審者をいち早く発見することもできるようになります。
 このように、5Gによるモバイルインターネット網が整備されると、どこにいようとも、誰もがインターネットを介して、さまざまなサービスを身近に享受できるようになります。

○中屋委員 5Gが我々都民の日常生活を豊かにするというのは少しわかったような気がいたしますけれども、さらに、安全な都市づくりに資するものであるということは私にもわかりました。
 今回示された基本戦略は、その計画をいち早く得るために、都の保有する道路、公園などの施設を民間に開放して、通信キャリアの基地局設置を強力に後押ししようということであります。
 しかしながら、このように都の保有する施設を使いながら民間サービスの普及を後押ししていくということであるならば、都庁近辺のような、さまざまな民間サービスが集中する都心での普及も必要でありましょうが、むしろ行政の役割としては、山間部や島しょ部などでの5Gの普及が最も重要なのかなというふうに思います。
 思い出してください。平成二十六年、大雪によって奥多摩町や檜原村の一部集落が孤立化をして、自衛隊による食料などの輸送が行われたことがありました。5Gネットワーク網ができれば、ドローンを使った状況把握や食料、衣料品の緊急物資輸送など迅速な対応ができるということも期待ができます。
 そこで、山間部や島しょ部などでの5Gの普及について、都の見解を伺います。

○戸井崎ICT推進部長 モバイルインターネット網が生み出すさまざまなサービスにつきましては、どこにいても、誰しもがそのサービスを受けられるようにしなければなりません。
 そのためには、都心部以外においても、5Gを初めモバイルネットワーク網を整備していくことは重要なことでございます。
 今後、都としても、通信キャリアなどの民間事業者と連携し、都内全域においてモバイルネットワーク網の整備を促進してまいります。

○中屋委員 この基本戦略では、通信キャリアのアンテナ設置を促進していくこと以外、具体的な施策や実施体制、さらには、情報化がもたらす情報格差、地域格差のみならず、情報機器にふなれな高齢者への対応など、多くのことがまだ示されておりません。
 我が自由民主党としては、5Gの普及促進のその理念を否定するものではありませんけれども、都が行う今後の具体的な施策展開につきましては、引き続きの議論が必要であるということを申し上げて、質問を終わります。

○古城委員 私からも、TOKYO Data Highway基本戦略について質問をさせていただきます。
 この基本戦略は、八月二十九日に行われた政策発表におきまして、小池知事と宮坂参与によって行われたわけでございますけれども、この発表の際に、小池知事は次のように述べておられます。
 概要でございます。5Gについては、基本的に事業者が申請するということになっている、都庁の5Gであるとか都の施設などは、都はある意味、事業者そのものであるので、そこでローカル5Gの申請をするということになる、こういうふうに、こういう趣旨で述べておられます。
 新聞報道でも、ローカル5Gに都が参入といったような趣旨の記事が即日掲載をされているわけでございますけれども、私自身も、この点を聞きまして、都庁や都有施設で、都が事業者として、いわゆるローカル5Gを展開していくことも想定しているのだと、このように理解したところであります。
 一方で、お示しをいただいているこの基本戦略の中には、単語としてはローカル5Gという記述はございません。
 先ほど委員会要求資料で出てまいりましたところも精査をさせていただきましたけれども、二回目の知事ブリーフィングの際に、ローカル5Gということが想定されている、こういう記述があったわけでございますが、この点、少し質疑をさせていただきたいと思っております。
 まず、ローカル5Gとは何かについて見解を求めます。

○戸井崎ICT推進部長 いわゆるローカル5Gとは、地域や産業の個別のニーズに応じて、通信事業者のネットワークサービスに委ねることなく、地域の企業や自治体などのさまざまな主体が導入目的に応じて独自かつ柔軟に構築できる5Gシステムのことをいいます。
 通信キャリアが構築する公衆回線網とは別に独自のネットワークを構築するがゆえに、専用線として利用ができまして、また、セキュリティーの面からもすぐれているという特徴を持っております。
 本年六月、総務省所管の情報通信審議会では、ローカル5Gについては、当面の間は、自己の建物内または自己の土地内での利用が基本とされております。
 今後、こうした国の検討状況等を注視しながら、ローカル5Gの活用について検討を進めてまいります。

○古城委員 今、部長から答弁をしていただいた中に、公衆回線網とは別の独自ネットワークである、専用線であるという点、さらには、その特徴である、恐らく最たる特徴であろうかなと私自身は理解をしているんですが、非常にセキュリティーの面からもすぐれている。こういう特徴がある上で、現時点においては、自己の建物内または自己の土地内での利用を総務省は想定をしている、こういうことであります。
 それでは、こういう特徴、また、現時点においての、もしかしたら制約という観点になるかもしれませんが、そういったことも踏まえた、このローカル5Gの特徴を踏まえた活用イメージについて見解を求めます。

○戸井崎ICT推進部長 総務省内においてローカル5Gの認可基準等の検討を進めるに当たって、昨年度、通信事業者や通信機器メーカーなどから活用方法のヒアリングを実施しておりまして、その中では幾つかの事例が提案されております。
 具体的には、5Gが有する多数同時接続という特徴を生かし、工場内の生産ラインにある多数の機器を同時に5Gでコントロールすることで、生産工程の管理やモニタリング、機器の故障の早期発見などを目指すスマート工場や、また、コンサート、スポーツイベント会場において、観客が好きなときにスマートフォンでさまざまな角度からそのシーンを見直せるようなオンデマンドサービスなど、ローカル5Gの特性を生かしたさまざまな事例が示されております。

○古城委員 今、具体的な事例として、これは総務省の見解であろうかと思いますけれども、多数同時接続の特徴を生かして、まずはスマート工場、それから、コンサートやスポーツイベント会場でのオンデマンドサービスという例を今ご答弁いただいたところですが、じゃあ、このローカル5Gの特徴を踏まえた活用イメージとしてのスマート工場を果たしてどこにつくるのであるかとか、もしくは、その工場を誘致していく、既存の工場に設置をしていく、こういったことが考えられるわけですが、それから、オンデマンドサービス、コンサートやスポーツイベントということですので、大規模集客が見込める場所においてということになろうかと思いますけれども、実際にこのローカル5Gについては、基本戦略の中では具体的な事業案、事業展開案というのは示されていない、このように理解をしております。
 一方で、ローカル5G、るる今ご答弁の中で特徴を挙げていただきましたけれども、まさにローカルという意味においては、独自かつ柔軟に構築をできる、こういう特性があるということであろうかと思います。
 先ほども申し上げましたが、委員会要求資料の四〇ページに、首都大学東京にローカル5Gを整備しということで記述がございました。しかしながら、今申し上げたとおり、基本戦略においては、この都立大学、首都大学東京においては、イメージはできなくはないけれども、単語としてのローカル5Gという記述はございません。
 そうした中で、これからの都のさまざまな施策の中で、どのようにこのローカル5Gを展開していくのか、この点、見解を求めます。

○戸井崎ICT推進部長 ローカル5Gを使った施策を展開するに当たっては、ローカル5Gが持つ特徴をいかに活用していくかが重要な視点でございます。
 基本戦略では、都みずからが5G施策を展開していく分野として、教育、医療、防災、こうした分野のものを幾つか挙げておりますが、こういった分野において、ローカル5Gの特徴を十分に生かせるものについては検討を進めてまいりたいと思っています。

○古城委員 なかなか、具体的なところはこれからというのが、私、率直な印象でございます。先ほどローカル5Gの特徴として、専用線でセキュリティーも高い、ただ、当面の間は自己の建物内または自己の土地内でという、今、総務省の方針が示されている中において、じゃあ、どういう展開ができるのかというところでいうと、今ご答弁の中では、教育、医療、防災、こういう分野が挙げられておりましたけれども、じゃあ、何ができるのかなということを、繰り返しになりますが、正直に申し上げると、戦略本部の皆さん、また、今回のチームである政策企画局や産業労働局、都庁の英知を結集して、これは展開を考えていただかなきゃいけないんだろうなというふうに思っているところでございます。
 そうした中で、ちょっと気になる、記者発表、政策発表での発言がございました。注目をしているわけですけれども、宮坂参与の方から、このローカル5Gだけではなく、5G全般についてスタートアップの方と一緒に議論もしやすい、こういう見解がありました。またさらには、新宿にもどんどんスタートアップが集まるような、こういうイメージ像を描いておられるということをおっしゃっておられたわけでございます。
 基本戦略においては、ここ西新宿都庁近辺を5G重点整備エリアに設定し、アンテナの重点整備を促進して、5Gを活用したサービスをより多くの都民が体験できるエリアをつくるというふうにしております。
 では、今、示されている基本戦略の中で、西新宿都庁近辺、このエリアにおいてローカル5Gを使うことはあるのか、この点、見解を求めます。

○戸井崎ICT推進部長 西新宿都庁近辺は、超高層ビルの業務機能を中心としながら、商業、それから宿泊など多様な用途が集積しておりまして、通勤通学者や国内外からの観光客など多くの方々が訪れる地域でございます。
 こうした地域では、ローカル5Gのような特定のユーザーに対する専用サービスよりも、通信キャリアの一般公衆網によるサービスの方が、より広く、多くの方々が気軽に5Gサービスを体感できるということでございます。そこで、このエリアでは一般公衆網による5Gサービスの提供を考えております。
 具体的なアンテナ設置等については、通信キャリアのニーズもヒアリングした上で、地下鉄や道路など、こうした都のアセットの活用を検討してまいります。
 これによって、西新宿都庁近辺での5Gネットワーク網の整備を面的に促進し、5Gを使った新たなサービスの提供へとつなげてまいります。

○古城委員 今、部長にご答弁いただいた内容をお聞きいたしますと、西新宿、この都庁エリアの5Gの構築については、かなり積極的に、精力的に行われる、民間キャリアの5G網の構築についてはアセットを積極的に開放して行っていく、こういうご趣旨であろうかと思うんですが、一方で、今、私の質疑の中で確認をしてまいりましたローカル5Gについては、むしろ、ローカル5Gを展開するということよりも、キャリアの5Gを活用してもらう方が、来街者のそういう興味、関心に資するのではないか、こう私は理解をしたところでございます。
 ただ、一方で、都庁においても、この都庁舎を含め都有施設においてローカル5Gを積極的に展開するかどうかという点については、先ほどの答弁の中で、これからの検討材料であるという理解もさせていただきましたので、必ずしも否定的に捉えるのではなく、可能性については積極的に検討していただきたいというふうに思います。
 あわせて、先ほどの質疑でもございましたけれども、私も地元の都議会議員として、新宿区やエリアマネジメント団体など、地域の要望、意向にも十分配慮していただきたい、この点も要望させていただきたいというふうに思います。
 いよいよの東京二〇二〇大会に向けた盛り上がり、地域の盛り上がりも含めたこの機運と連動して、5Gによる新たな体験が、ここ東京を訪れる人々にとって、大会時の東京のいい印象とともに、忘れられない思い出となるよう、ぜひとも都庁一丸となって、この5Gの基本戦略の推進に取り組んでいただきたい、このことを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 それでは、質問させていただきたいと思います。
 まず、資料をありがとうございました。
 今回は、資料の中身に入る前に、率直にいって、突然出てきて突然報告というふうに私は思っています。それに伴って、また、人事の方も突然という展開になっていて、改めて議会としても、今後、きちんとチェックをしていくということが必要だというふうに思っています。
 いろいろご質疑の中にも、スピードが大事だというお話がありましたけれども、でも、やっぱり都民の理解を得ながら、自治体としての役割をどうやって果たしていくのかということを確認しながら進めていくことが重要だと思っていますので、そういう観点から、まず聞いていきたいと思います。
 最初に、特別チームを設置しているわけですけれども、この経過については資料の中にも出されています。八月二十九日の知事報告までに、この資料では、三回、知事に報告されたというふうになっていますけれども、特別チーム自体は何回会議が行われたのか、また、その会議録などはあるのか、伺います。

○戸井崎ICT推進部長 知事より指示を受けて、七月に庁内で特別チームを編成して、宮坂参与より具体的な助言をいただきながら検討を進めてまいりました。
 検討を進める中で、知事には適時ご報告をして、ご確認をいただき、最終的には八月二十九日の発表に至りました。
 特別チームにおいては、知事報告資料等の作成に向け、随時、ディスカッションを行っておりまして、それに関しての会議録は作成しておりません。

○原委員 随時、議論しながら進めてきているので、会議録は特にないということですけれども、かなり大きな問題なので、私は、今後、そのチームがどうなっていくのかというのは後で聞きますが、必要なときには会議録をしっかりとられるということが必要だというふうに思います。
 そのことはまず指摘をしたいのですが、チームから知事へ報告をしたときに、知事からのコメントや、また、チームに対する指示というものはあったのでしょうか。

○戸井崎ICT推進部長 知事からは、特別チームの報告に対して了承をいただきまして、しっかりと前に進めていくようにとの指示がございました。

○原委員 しっかりと前に進めていくようにということですけれども、具体的に、例えば、もっと詳しい指示といったら変ですけれども、そういうものはないのでしょうか。
 この基本戦略を進めていくに当たって、三回報告しているわけですから、この点は重点的に、ここを発展させてくれとか、ここに気をつけてくれとか、そういう知事の指示というのは特にないものでしょうか。確認していいですか。

○戸井崎ICT推進部長 知事からは、しっかりと前に進めていくようにという指示をいただいたという状況でございます。

○原委員 わかりました。
 そうしますと、それぞれ、当然、三回報告をされている中身というのは違うので、それで私は、その都度、知事から指示が出ているのかなというふうに思ったのですけれども、しっかりと前に進めていくようにということですね。
 それで、いただいた資料を見ますと、一番最初の別添1という資料は、宮坂参与の提案をそのまま出していただいていますよね。宮坂参与の私案といいますか、その提案が出されて、それで議論をされているんだというふうに思います。
 それで、一回目、宮坂参与の出している提案と、それから次の資料とは、やっぱり違いもあるんですね。別添2の未定稿、知事プレゼン用の基本戦略、これはそれぞれ違いがあります。
 これ、ちょっと後で聞きますけれども、ただ、共通して強調されている一つが経済の波及効果だというふうに受けとめています。
 非常に経済の波及効果が大きいんだということがこの中で説明をされているんですけれども、実際に基本戦略を進めていく上で、この経済の効果ということだけではなくて、東京都としての財政支出はどのぐらいと見ているのかとか、その辺の考え方というのは、この中では読み取れないのですけれども、そこはどのようになっているでしょうか。

○戸井崎ICT推進部長 戦略でお示ししました経済波及効果は、総務省の電波政策二〇二〇懇談会におきまして示されたものでありまして、全国ベースで約四十七兆円の経済波及効果というふうになっております。
 また、この基本戦略に示す三つのアクションにつきましては、今後、具体的な事業内容や予算等を検討してまいります。

○原委員 これからどういう事業が必要かということが絞られていって、それに伴って東京都の財政支出はどうかというのは、もちろん、これから検討されていくんだというふうに思いますが、ただ、私は、この5Gの取り組みについては、必要なものであっても、そこでどのぐらい東京都として予算をかけなければいけないのかというのは、本当に、その都度その都度、きちんと気にかけながらやっていく必要があると思うんです。いいことだからどんどんやろう、どんどんお金をどこまでもかけていいということではもちろんないので、やっぱりその辺の考え方をしっかりしていかないといけないのではないかということをまずは指摘したいと思います。
 それで、宮坂参与の提案では、かなり具体的に踏み込んで書いてあるところもありまして、幾つかありますが、ちょっと基本的なところで確認をしたいのが、具体的に、宮坂参与のこの提案では携帯キャリア四社というふうにはっきり書かれています。最初から携帯キャリア四社と進めていくということが、話が決まっているというように読み取れるのですけれども、その辺がどうなのかということと、それから、例えば具体的には、この資料でいきますと、電柱を地中化した後にスマートポールを建てたいという話も出てきていて、それから、公衆電話ボックスをWi-Fiステーションになどのいろいろな例、また提案なども書かれているんですよね。
 それで、それが知事の報告にまとまっていくときには、そういうものは特に記述はないのかなというふうに思うんです。
 そういう具体的なもの、提案をされているものは、検討した結果、採用しなかったということなのか、その辺のことを教えてください。

○戸井崎ICT推進部長 総務省が5Gに係る使用電波帯の割り振りを行っているのは、通信キャリアの四社でございまして、都の連携先としては、この四社が中心になるという認識でございます。
 また、スマートポールの活用につきましては、アンテナ設置等に関する一例でございまして、今回の基本戦略の中でも、西新宿のケースにおいて例示として挙げております。

○原委員 そうしますと、最初のときに参与から提案をされて、具体的なことも含めて検討しているけれども、別に固まっているわけではなく、今後の検討の中で進めていくということなのかというふうに思いました。
 それで、今後の進め方なんですけれども、予定はどうなっているのでしょうか。都民の声を聞く考えはあるのか、また、特別チームの会議の持ち方や、そして、今度、参与が副知事になられるということで、そのかかわり方というのはどういうふうになっていくのか、教えてください。

○戸井崎ICT推進部長 まずは、通信キャリア等と都が連携する仕組みを構築するとともに、さまざまな機会を捉えて情報発信していくなど、5Gの取り組みの加速化を図ってまいります。
 また、特別チームの今後についてでございますが、こちらについては、まだ決まっておりません。引き続き、宮坂参与から具体的な助言をいただきながら必要な検討をしてまいります。

○原委員 済みません、ちょっと確認したいんですけれども、特別チームについて今後どうしていくかということは、知事から、特にまだ指示はないということでいいのでしょうか。

○戸井崎ICT推進部長 先生がおっしゃっているとおりでございまして、まだ具体的な指示はございません。

○原委員 そうなんですね。やっぱりここからがすごく重要なところで、チームをどういうふうに持つかというのが、私は鍵だというふうに思っているんです。
 特に、例えば、きょうお配りしていただいた資料の中でも、三三ページというところにも、5Gの活用により東京をアップデートするということがこのときにも検討されていて、教育の面では遠隔教育とか、これは特別支援学校などでも--先日、私も小平の武蔵分教室にもお訪ねしたりしたのですけれども、遠隔教育は、ずっと生まれてから病院に入っている、出られないお子さんのためにも、もっと効果的な教育はできないかとか、そういうことをいろいろ検討されていたり、また、医療の面でも、遠隔診療なども、島しょ部においても、今、非常にまだまだ課題がある中で、さまざま検討していくべき内容だというふうに思うんですね。
 ですから、こういうことを考えると、今の特別チームの体制だけでは、私は足りないんじゃないかと。もっと他の局も、教育も、それから福祉保健の分野もかかわりながら、都民のためにどういうふうに活用していくかという議論が必要になってくるんじゃないかというふうに思うんですね。
 ですので、私は、きちんと都庁の体制、そのチームの体制も、この機会にしっかり見直すというか、改善、強化していただきたいと思いますが、その点についてどうお考えかということと、あわせて、自治体としての--最初にもいったのですけれども、やっぱり心配の一つは、自治体の中に、企業で活躍をされていた方が、そこで最先端の取り組みをされてきた、そのことを、今、学びながら取り入れていくということです。そういう中で、大事なのは自治体の主体性だと私は思っています。
 そこをきちんと担保できる、そういう体制をとって進めていくということが必要だと思いますが、この点について見解を伺いたいと思います。

○松永戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 TOKYO Data Highway基本戦略に掲げられました施策を実現するためには、全庁を挙げての取り組みが必要でございます。
 全体調整を図る観点、さらには、個々の事業を着実に進めていく観点から、新たな体制の構築を急ぐ必要がございます。
 今後、庁内の関係部署と連携して、早急に事業実施体制の構築を図ってまいります。

○原委員 ぜひ、その体制の面と、また、自治体としての役割という関係で、しっかり議論をしながら進めていっていただきたいと思います。
 やっぱり、都民の生活に本当にどういうふうにプラスになっていくかということを、私はこういう分野に詳しいとか詳しくないとか、そういうことは別として、都民が今何を大事に、もっとこういうところを充実してほしいと思っているかということを共有しながら、都民の声を聞きながら進めていっていただきたいということを最後に申し上げて、質問は終わります。

○藤井(と)委員 私どもの会派からも、TOKYO Data Highway基本戦略についてお伺いをしたいと思います。
 基本戦略と銘打っているわけでございますけれども、具体的な中身については余り決まっていないように、ちょっと言葉は厳しいですけど、生煮えのままに戦略だけを出してしまったような感じも受けなくもないわけでございます。
 5Gの環境をつくっていく、投資をしていくということは、多分、みんな賛成だし、それはもうやらなきゃいけないことなんだろうと思うわけでございますけれども、それは民が基本的にはやっていく話だろうと思いますし、そのことについて東京都がどうやって関与していくかというのは、多分、かなり難しいというか、じゃ、行政の役割だとして、国と都の役割分担をどうしていくのかだとか、そういったことを厳密に考えていくと、東京都でやれることというのは何だろうなと考えたときに、余りないような気もしますし、じゃ、だからといって、どんどん東京都が前面に立って、みずからがキャリアになって何百億、何千億を投資するみたいな話になってくると、それはそれで、かなり違和感を覚えざるを得ないような話だと思います。
 東京都として、この5Gへの投資というものについて、どうやってこのスタンスに臨むのかということについて、改めて見解を伺いたいと思います。

○戸井崎ICT推進部長 移動通信ネットワーク網の整備につきましては、これまで民間が行ってまいりました。
 5Gのネットワークは、二十一世紀の重要な公共インフラとして認識しておるところでございます。
 この認識のもと、都としても、民間の方々と強力にタッグを組んで、その整備を促進していくということにいたしました。

○藤井(と)委員 そのお話として、民間の方々と強力にタッグという話でございますが、じゃ、そのタッグというのは、東京都がどんどん前に出ていく話なのか、あるいは、行政として、四つのキャリアの話が先ほど来出ていましたけれども、民の民間会社が頑張っているのをあくまでもサポートするという立場に徹するのかというのが、今の答弁ではちょっと判然としなかったのですけれども、これはあくまでも民の投資をサポートするということで認識していいのか、その点について改めて見解を伺いたいと思います。

○戸井崎ICT推進部長 民間の取り組みを支援するとともに、都としても、みずから5Gの事業を展開していく予定でございます。

○藤井(と)委員 民をサポートしつつ、それで行政としても5Gをやっていくということでございました。
 じゃ、ちょっと具体的にお伺いをしていきたいと思いますけれども、東京都のアセットを開放して四つのキャリアさんに活用してもらうという点について、この計画でも触れられていたと思うわけでございますけれども、東京都のアセット、都営地下鉄にしても、道路にしても、橋にしても、さまざまあると思うんですけれども、現実は、キャリアさんに利用されているケースというのは、多分、ほとんどないのかなというふうに思っていまして、民間会社さんからいえば、メリットがあればもう既に使っているはずのものを、東京都が幾ら開放して使ってくださいといったところで、会社の方が別にそれは必要ないよといわれればそれまでの話でございますけれども、具体的に、どの程度、アセットを利用してもらいたいというふうに考えているのか。
 実際にキャリアさんの話も聞いておられると思うんですけれども、どのような形で利用したいという引き合い等をもらっているのかだとか、ちょっともう少し詳しい内容についてお伺いできればというふうに思います。

○戸井崎ICT推進部長 通信キャリア各社などから、事務レベルで5Gアンテナの開発状況、それから、今後のアンテナの設置動向等についてお話を伺っております。
 その中で、5G環境の整備にはアンテナの増設が必要でありまして、都のアセットを使った、そうしたアンテナの設置についても有効な手段であるというお話が出ておりました。

○藤井(と)委員 キャリアさんのお話、意見をヒアリングされていると思うんですけれども、都のアセットを使ったアンテナ設置について有効だという話をされているそうでございますので、ぜひそういった方向で頑張っていただきたいと思うんですけれども、もっと、他会派さんからもお話がありましたけれども、ぜひこの点を具体化していただいて、どういった活用をしようとしているのか、会社さんもそう思われているのか、それを東京都としてどう支援していくのかということについては、ぜひもう少し、この計画の中身を明確にしていただきたいというふうに思います。
 次に、これは多分、東京都が前面に立って投資をしていくという話になると思うんですけど、先ほど来、西新宿の話が出ていたかと思います。その西新宿は、都庁があって政策誘導が可能と書いてあるんですけれども、じゃ、この政策誘導というのは、何をどう誘導しようとしているのか、ないしは青写真としてどういったものを描いているのか、ないしは事業なり予算の規模感みたいなものも何か全然わからないですし、どういった青写真みたいなものを描いておられるのかについて、現状の認識で構いませんので、お伺いをできればと思います。

○戸井崎ICT推進部長 西新宿都庁近辺は、超高層ビルの業務機能を中心としながら、商業や宿泊など多様な用途が集積し、外国人観光客を含め多くの人々が来訪しまして、また、地下鉄や地下街路など、東京都が所有、管理する施設が多数ございます。
 このため、政策的に都有施設を開放することで、通信キャリアによる5Gアンテナの設置をまず誘導し、その5Gを活用したサービスをより多くの都民が体験できる環境を整備いたします。
 また、具体的な事業内容や予算等につきましては、今後検討していくことになります。

○藤井(と)委員 具体的にはこれからということだというふうに思いますけれども、イメージとしては、5Gのクラスターみたいなものをつくっていこうとされているのかなと思いますけれども、これ、一歩間違えると、かなり投資額も大きくなって、もう大失敗みたいな話にもなりかねないような話だと思いますので、あくまでも行政は民のサポート役なわけですから、そこのやっぱり限界点というか、本来あるべき役割というのを強く認識した上で、事業というのは進めていただきたいなということは、まだ具体的ではありませんけれども、そんな状況じゃないと思いますけど、その点はぜひ気をつけてはいただきたいなということを強く要望したいと思います。
 スマートシティーの推進についても、この戦略の中で触れられているかと思います。例示として、遠隔教育、救急、遠隔診療、自動運転、渋滞予測、交通制御、災害対策等々が挙げられています。
 私、この例示を見ていて感じたのは、例えば遠隔医療の話なんかは、もう本当に十年前からずっと、当時、ソフトバンクの株主総会とかでも、孫さんが遠隔医療がこれからはできるんですみたいなことを、十年前の株主総会と同じようなことをいっている。まさにこれは、それと同じようなことをいっているわけでございまして、ただ、現実は余り進んでいないのかなというふうにも感じているわけでございますし、そもそも、都には意思決定権限はないようにも思えるわけでございます。
 このスマートシティーの例示として幾つか、今、私も紹介というか、例示についてそのまま申し上げたわけでございますが、都として、この部分だけはぜひ進めていきたいとか、そういったものがあればお伺いをしたいと思います。

○戸井崎ICT推進部長 5Gが導入されることで、その特徴である高速大容量、超低遅延、多数同時接続を生かしまして、これまでの通信技術では実現できなかった新たなサービスの提供が可能となります。
 例えば、5Gの技術によって、8K動画などが遅滞なく同時多数の人々に送受信ができるようになりまして、エンターテインメントの活用などの可能性が広がります。
 具体的な事業の展開については、通信キャリアなどと意見交換の上、今後検討していくことになります。

○藤井(と)委員 議論していて、余りにも全然かみ合わないので、話も余りあれなのかもしれないですけど、今回、民間のヤフーの会長さんまで務めた方が副知事を務められるということでございまして、ずっと民間の立場から働いてこられた方ですから、役所の、都の役割分担ですかね、そういったものは、もうよくよく認識されている方だと思いますので、私たちの会派から、何か老婆心的にどうのこうのというべきことじゃないのかもしれませんけれども、行政の本来あるべき守備範囲を大きく超えて、何かどんどん投資するみたいな話にはならないように、ぜひ気をつけていただきたいなと思います。
 スマートシティーの推進に関しまして、遠隔医療、自動運転、ドローンだとか、そういったものに触れているわけでございますけれども、これ、仮に5Gの環境がどんどん整備されたとしても、結局、この規制緩和みたいな話が伴ってこないと、幾ら通信環境だけ整備されても、じゃ、法律がそれはだめよといったら、もう全然進まないと思うんですね。
 例えば自動運転だったら、自動運転って、人が運転しないと何か怖いよねとか、ドローンは飛ばしてくれるなとか、必ずそういった批判的な声も出てくるわけでございまして、こういった、本気でスマートシティーみたいなもので推進していこうとするのであれば、その規制の撤廃、規制の緩和、岩盤規制の見直し、こうしたものにもやっぱり本気で取り組んでいくということをセットでやっていかないと、この5Gの議論、スマートシティーの議論だけ、こうあればいいなみたいなことだけをやっていても、余り意味のない議論なのかなと思うわけでございます。
 今後、スマートシティーを推進していく上で、この規制緩和的なものを、こういったことをやれるんじゃないかなとか、これまでこんなことをやってきたとか、そういったものがあれば、ちょっとお伺いをできればと思います。

○米津特区推進担当部長 TOKYO Data Highway基本戦略でございますけれども、今ほど委員からもご指摘がございましたように、自動運転や、ドローンを活用した防災対策などをイメージとしてこちらに掲載してございます。
 これまでも議論がございましたように、5Gを活用したサービスというのは、今後、民間の自由な発想ですとか、有望な技術シーズなどによって、さまざまな可能性が考えられるというふうに考えてございます。
 そういう意味では、今後、こうした基本戦略に基づきまして、私どもといたしましても、さまざまな技術等を有するサービス事業者等と意見交換を行いまして、仮にサービス展開のネックとなるような、委員ご指摘の規制のようなものがあれば、国家戦略特区も含めまして、その活用を検討してまいりたいというふうに思っております。

○藤井(と)委員 規制の緩和についてもぜひ積極的に、既存の業界の意向だとか、そういったものがさまざまおありだと思いますし、ご批判的な、そういった声も出てくると思いますけれども、これらの成長戦略の新しい技術をどんどんやっていくということになりましたら、そういった規制の見直し、撤廃、こういったものもやっぱり欠かせないのかなと思いますので、その点、都でできることは都でやってもらいたいと思いますし、国家戦略特区等を活用して、国にそういった働きかけをして実現しなきゃいけないものは、もう特区申請をしてどんどんやっていただきたいと思いますので、その点を申し上げまして、私からの質疑は終えたいと思います。ありがとうございました。

○山内委員 私からも質問させていただきます。
 4Gと5Gの違い、私たちの生活はどう変わるのか、まず教えていただきたいと思います。

○戸井崎ICT推進部長 1Gから今使われている4Gまでは、モバイル端末を使った通信の高速化と大容量化を目指して発展してきた通信技術でございます。
 一方、5Gでは、自動車、それから、住宅内の電気製品、交通インフラなど、既存のさまざまな機器や設備がインターネットと結ばれることになります。これによって都民生活に身近な新たなサービスが創出され、さまざまな面で生活が変わっていくというふうに考えております。

○山内委員 さまざまなアイデアで生活というのが変わっていくんだろう、劇的に変わっていくんだろうということは予測されます。
 では、産業はどのように変わっていくのか、伺います。

○戸井崎ICT推進部長 5Gが有する多数同時接続という特徴を生かし、工場内の生産ラインにある多数の機器を同時に無線でコントロールすることができるようになります。
 また、センサーを通して、生産工程の管理やモニタリング、機器の故障の早期発見などが可能となる、いわゆるスマート工場が実現いたします。
 さらには、5Gが持つ特徴である超低遅延を生かし、通信ネットワークにおけるタイムラグを極めて小さく抑えまして、危険な工事現場などにおいて、重機等を遠隔操作することによって作業員の安全性が向上いたします。
 このように5Gは、4Gまでの通信手段から、産業への広範な応用が期待されている技術でございます。

○山内委員 ソサエティー五・〇との関係はどうなっていますでしょうか。

○戸井崎ICT推進部長 5Gネットワークは、ソサエティー五・〇を支える基盤でございまして、AIやビッグデータなどの第四次産業革命技術を最大限活用するためには必要不可欠なものでございます。

○山内委員 ソサエティー五・〇と5Gというのは連動しているということだと思うんです。
 5G整備のためには、新たなアンテナ基地局というのを設置しなくてはならないのでしょうか。

○戸井崎ICT推進部長 使用する電波の特性によりまして、基地局の設置数はふやす必要があるというふうに聞いております。
 総務省が本年一月から二月にかけて実施した基地局設置申請受け付けでは、5Gモバイルインターネット網を整備するために、通信キャリア各社が、二〇二四年度末までに関東管内で約五千五百件の基地局を新設するというふうにしております。

○山内委員 済みません、私、さっき、アンテナ基地局といいましたが、新たな基地局の質問でお答えいただいたかと思うので……。ありがとうございます。関東管内で約五千五百件の基地局を新設するということでございました。
 基地局なんですけど、このTOKYO Data Highway基本戦略の中で、アンテナ基地局設置への都施設のアセットについてということで、具体的に、今、都が保有しているアセットが書いてあったかと思います。
 ビッグサイトや国際フォーラム、さらには、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の競技施設だとか、そういったこと、建物も含め、道路や地下鉄、街灯、東京都の都有施設が数多くある中で、積極的に要望に応じて開いていく、開放していくということになるのかというふうに思っているところでございます。
 東京都が5Gの構築に向けて三つのアクションを展開するということですが、その予算について、私からも改めて伺わせていただきたいと思います。

○戸井崎ICT推進部長 都の保有するアセットの開放と利用手続の簡素化を含めた三つのアクションにつきましては、今後、具体的な事業内容や予算等を検討していくこととなります。

○山内委員 既にアメリカや中国では5Gの利用が始まっているということですけれども、他の都市でも通信キャリアの支援を行っているということは事例としてあるのでしょうか、伺います。

○戸井崎ICT推進部長 本年四月に5Gサービスを開始しているアメリカ、米国内では、基地局設置の許可審査期間のスピードアップ化や、公共アセットの活用などの支援を実施しているというふうに聞いております。

○山内委員 5Gを使うと、カメラ画像を使って個人が特定される危惧があるとの指摘というものがあるのですが、そこに映る一般市民の個人情報というのはどうなるのでしょうか、伺います。

○戸井崎ICT推進部長 5Gのモバイルインターネット網は情報インフラでございまして、送受信される情報の管理は、インフラを利用する側の責務となります。
 カメラにつきましても、本人を判別可能な画像や、そこから得られた顔認証データなどを5Gのネットワークを使って送受信するような場合におきましては、個人情報保護法等に基づいて適切な取り扱いが求められることになります。

○山内委員 5Gになりますと、劇的に情報社会が変化するといわれています。これまで、通信事業者、キャリアがそれぞれ競争の中で独自に進めてきたことを、都有地を使って、自治体である東京都がキャリアとタッグを組んで積極的に進めていくということにするためには、やはり都民の理解を得るために、説明に十分な時間を割いていただきたい、かけていただきたい、このように要望しておきます。
 消費者にとっては、4Gよりさらに5Gに進むことは、多様なサービスが認証によってひもづいて、購買行動や好みや生活動線などの個人の情報がサービス提供者に集約されていく情報インフラの強化になるわけです。物事には、メリットとともにデメリットもあります。便利さだけではなく、個人情報の保護では流出などの問題もきちんと説明をするように、そして取り組んでいただきたいと要望して、質問を終わります。

○鈴木委員 この5Gの件に関しては、るる質疑があったわけですけれども、私たちも、重なる部分を削除しながらお聞きさせていただきたいなというふうに思います。
 第五世代の移動通信システムといわれている5G、これができることによってよくいわれるのが、スマートフォンが速くなったりとか、映画が数秒でダウンロードできる。そのような、4Gよりもさらに高速通信が行われるということの認識があるわけですけれども、これらというのは5Gの技術革新の一部であって、5Gは、スマートフォンやタブレットに限らず、いろんな部分で、生活を取り巻くさまざまな部分でこれから活用されていくわけだというふうに思います。
 そうした中で、ある意味、第四次産業革命をこれによって起こすのではないかというふうにもいわれているわけですけれども、これまで、人工知能やロボットがビジネスを変えるという話はよくあったわけですけども、しかしながら、なかなか進んでいない。このボトルネックになっていたのが、よくいわれる、デバイスに装備されるセンサーとクラウドサーバーとの遠隔通信の速度の違いだというふうにいわれているわけです。
 現状、スマートフォンで使われている4Gが最速回線といわれているわけですけれども、しかしながら、送受信するデータの制約で、ある意味、人間の分身となるような作業をまだ任せることはできない。それが、二〇二〇年から実用化が計画されている5Gで、これまでの4Gよりも百倍近く高速性が確保できるという話なんですけれども、この百倍近くといわれる高速性、十ギガビットパーセカンドという表示をされるわけですけれども、大体、一文字で三バイトということで計算しますと、一ギガビットパーセカンドで百七億三千七百四十一万八千二百四十バイトという、こういった想像できないような高速性がこれから確保されていくわけです。
 よくアメリカ、韓国がもう一部スタートして先に進んでいるのではないかというような表現もされるのですけれども、現実問題は、アメリカのベライゾンなんかもそうなんですけれども、二十ギガビットパーセカンドにはまだ届いていない、今、やっと十ギガビットパーセカンドに届きそうだと、そのような話なわけですけども、実はもう、ドコモも、この十ギガビットパーセカンドの実証実験には成功しているという話がある中で、やはりこの技術というのはこれからなんだと思うんです。
 これをどのようにミリ波帯の周波数を使ってサービスにつなげていくかというのがまさに求められている中で、この二〇二〇年というのは、東京も今この立ち上げをして、そして、実はもう、総務省の方ではICTインフラ地域展開マスタープランというのが既に発表されておりまして、これはまず、圏外のエリアの、そういった通信のいろんな不手際、通信がなかなか格差がある中で、圏外のエリアの解消、そしてまた、五年間で七万の基地を設置していこうと。そして、さらに、それを設置していく企業に対して、5Gに更新するための費用の補助も、もう国の方ではやっているんです。
 こうした中で私が思うのは、東京がこれから取り組むというのが、東京二〇二〇大会のレガシーというよりは、国を挙げてやっているわけなので、オリンピックとは別な、関係ないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、しかしながら、そういう気概で東京都もやっていくということに対しては、別に私たちは異を唱えることはないんですけれども、実際、じゃ、何をやるか。
 これは先日の代表質問でも、私、触れましたけれども、この5Gネットワークの構築に向けて、東京都の三つのアクションプラン、先ほどもありましたけれども、アセットという東京の財産みたいな資産の開放、利用手続の簡素化、これは大事だというふうに思うんですよ。5G重点整備エリアの設定、東京都みずからの5G施策の展開を掲げているんですけれども、現実、先ほどのお話の中でも、今後、東京都みずからの5G施策の展開というのは、具体的に何というのもこれから決めていくという話であって、何か、本当に大丈夫なのかなという思いに至ってしまうのは、多分、私だけではないのかなというふうにも思います。
 しかしながら、これから東京も、そういったスタートアップを支援していくような取り組みをやるということは大切なことだなというふうに思うのですけれども、この基本戦略を掲げて方針を示すだけじゃなく、それを具体化して、都民のためになる施策というものを実現することが大事だと、先ほど触れさせていただきましたけど、現状、どう考えているのかということを聞きたいんです。
 東京都は、TOKYO Data Highway基本構想策定に当たって、何を認識してこういった構想につながっているのか、まずお聞きいたします。

○戸井崎ICT推進部長 すぐれたインフラというものは、都市の繁栄を支えて都市間の競争の決め手となります。
 二十世紀の基幹インフラは、いわゆる道路とか鉄道、港湾、空港、上下水道など、目に見えるハードの道でございました。
 二十一世紀の基幹となる公共インフラは電波の道でありまして、今般、このTOKYO Data Highwayとして、高速モバイルインターネット網である5Gネットワークの構築に着手するということにいたしました。
 少子高齢、人口減少社会が到来する東京が今後も持続的な成長を続けるために、TOKYO Data Highwayを構築し、ソサエティー五・〇社会を実現し、スタートアップ等を育成して新たな産業を創出するなど、都市力の強化を進めてまいります。
 さらに、5Gネットワークの整備によって、さまざまな分野でサービスを創出して、都民の生活の質の向上を図ってまいります。

○鈴木委員 いろいろとご丁寧にご説明していただいたわけですけれども、この電波の道の重要性というのをご理解されているのであれば、都庁内のWi-Fiが今どうなっているのかという話は、もういろんな、巷間、いわれていることだというふうに思うんですけれども、実際に取り組みが遅いなという感じがするんですよ。
 そしてまた、東京二〇二〇大会のレガシーというのも先ほど触れさせてもらいましたけれども、やっぱり自分たちの今の立ち位置をしっかりと見詰めながら、これから堅実に、方向性は間違っていないというふうに思っていますので、頑張っていただきたいなというふうに思うんです。
 じゃ、これ、二十一世紀の基幹インフラとして、このTOKYO Data Highwayを建設するという話なんですけども、先ほどもありましたよ、事業執行体制はどうなっているんだと。所管する組織というのは今後立ち上げるという話なんですけども、それすら遅いというふうに私は思いますよ。
 一体、これを発表するまでにどれくらいの時間がたったのかというのは、先ほどの質疑にもありましたけれども、やはりそういった部分を、しっかりと聞いて、そういった意識を持ってこれからやっていかなかったら話にならないというふうに思うんですけれども、実際に事業実施体制を構築するべきだというふうに思っておりますけども、どのようにしていくのか、お伺いいたします。

○松永戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 TOKYO Data Highway基本戦略に掲げられました施策を実現するためには、全庁を挙げての取り組みが重要でございます。
 全体調整を図る観点、さらに、個々の事業を着実に進めていく観点から、新たな体制の構築を急ぐ必要がございます。
 今後、庁内関係部署と連携し、スピード感を持って、早急に事業実施体制の構築を図ってまいります。

○鈴木委員 これが、今、皆さんがおっしゃっている二十一世紀の基幹インフラをこれから整備するんだという気概でやるのであれば、今おっしゃったように、これから事業実施体制をしっかりと構築するという話なんですけれども、ふと誰もが思うのは、今の状況下の中で、Wi-Fiもまだ完璧に整備されていない都庁の中で、都の職員のみで、この事業というのはできるんですかという素朴な疑問が浮かぶわけですよ、私たち。
 それで、今回、この基本戦略に掲げられた施策実現に向けては、やっぱり外部の人たち、今回、副知事になった宮坂さん一人じゃ何もできないんですけれども、外部のそういったプロを連れてこられないと、これというのは進められないというふうに思いますし、宮坂副知事だけではどうしようもないというふうに思うんですけれども、その件に関しては、皆さん、一体どういうふうに思っているのか、お伺いいたします。

○松永戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 基本戦略に掲げられました施策を時代に合った形で実現するためには、最新の技術動向を的確に把握することが必要でございます。
 そのため、施策の実現に向け、技術動向に詳しい外部の有識者の意見を伺ったり、民間事業者などと積極的に連携してまいります。
 このように、外部の知見を活用し、時代に合った施策実現のために尽力してまいります。

○鈴木委員 民間事業者などと積極的に連携と書いてあるんですけれども、基本的に東京都がやっていく、そして、基本戦略に東京都みずから5G施策の展開と書いてある中で、民間事業者が中心となってこれを進めていかなきゃいけないんですけども、この民間事業者と連携する前に、じゃ、東京都がしっかりそういった人材を確保しなかったら、できないですよということを改めていっておきますよ。聞いてもしようがないので、これは。
 これから東京都が5Gネットワークを整備していく。スタートアップなどの民間事業者を活用していかなくてはならない。これは先ほどの質疑にもありましたけれども、基本的にはもう大手がやっている中で、これからというのは、携帯大手の電波とは別枠で、企業自社の敷地内でやれるローカル5Gという、これがある意味、東京都がしっかりと応援していく部分の一つの方向性なのかなと私は思うんですけれども、この5Gネットワークをもとに、斬新なアイデアや先端技術を有するスタートアップ等がビジネスにチャレンジできる支援を行うことが重要だというふうに思うんですけれども、具体的にどのように考えているのか、お伺いいたします。

○米津特区推進担当部長 5Gの導入によりまして、都民の生活をより豊かなものとするためには、インフラの整備に加えまして、先ほど委員のご指摘がございましたけれども、サービスの拡充が不可欠であるというふうに考えてございます。
 そういう意味では、ご指摘のとおり、国内外のスタートアップなどが、その技術などを存分に活用して実証実験やサービス展開、こうしたものにチャレンジできるような環境の整備が重要だというふうに考えてございます。
 こうした観点から、私ども、これまでも産官学のさまざまなプレーヤーの集積、連携を促すようなエコシステムの形成に向けた支援といったことのほか、先ほどもご議論がございましたけれども、自動運転システムとかロボットの実証実験など、支援を行ってきたところでございます。
 また、今後、こうした事業や、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会、これも、今、議論されているわけですけれども、こうした検討結果を踏まえまして、私どもとして構築する施策を通じまして、ご指摘の5Gを活用したスタートアップなどのビジネス拡大というのをしっかり支援してまいりたいというふうに考えております。

○鈴木委員 ぜひ強力に頑張っていただきたいのですけれども、5Gネットワークの整備によって新たな民間事業者が進出してくるというふうには、もちろん思います。その事業者が都民にさまざまなサービスを提供することによって、東京都の生活の便利性というのがどのように向上するのかというのが大切だというふうに思います。
 東京都は、基本戦略に基づいて5Gネットワークの整備をこれから進めるだけでなく、整備したエリアに民間事業者を呼び込んでくるための方策もあわせて推進していかなくてはいけないというふうに思います。
 今、東京全体を見て、新宿の位置というのは、渋谷やほかの地域から、大分、私は落ちているのではないかなというふうに思います。東京が進めていくためには、この西新宿と都立大の地域というふうにいわれていますけども、そういった地域に民間事業者に来ていただけるような取り組みを皆さんがやっていくということが、何よりも5G推進には欠かせないというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 この5Gの活用に当たっては、民間事業者との連携のみならず、行政サービスへの展開という視点で区市町村との連携も重要だということは、先日の代表質問でも触れさせていただきました。
 この点について私がお話しさせていただいたのは、都は、データの重要性について認識した上で、区市町村と密接に連携していくという答弁があったのですけれども、具体的に、じゃ、区市町村とデータ面でどのような連携を進めていこうというふうに思っているのか、お伺いいたします。

○戸井崎ICT推進部長 理事の代表質問でもご答弁させていただいたとおり、5Gネットワークはインフラであり、そこに乗せるデータが何よりも大切でございます。
 都は、行政サービス向上の鍵となる自治体情報のオープンデータ化の取り組みを進めておりますが、住民サービスの担い手である区市町村と密接に連携することが重要でございます。
 そこで、区市町村と連携して、行政サービスの向上や地域協働による新たなサービスの創出に向け、行政データを使用した地域課題の解決に向けたアイデアを都民の皆様から募るイベントを開催してまいります。
 また、行政みずからもデータの重要性を改めて認識する必要があることから、データを使った政策立案ができる職員の育成を目指し、区市町村との合同によるICT人材育成研修も実施してまいります。
 このような取り組みを通じて、区市町村とともにデータ利活用を進め、行政サービスの向上に努めてまいります。

○鈴木委員 この5Gによって、双方向のリアルタイムな通信が、これから送受信が可能になっていくということにおいては、オープンデータ化することによって、やはり行政の住民サービスも随分変わっていくんだろうというふうに私は思っております。
 これを東京で進めていくというふうになれば、東京都と一緒に頑張っている区市町村には、いろんな意味で大変影響が出てくるわけです。もちろんサービスも向上するわけですけども、そこには必要な費用もかかってくるという観点も必要なんだろうというふうに私は思います。
 この区市町村との連携の具体的な内容というのはこれからですし、ぜひ早急に具体化してほしいのですけれども、データ面で連携を進めるに当たって、区市町村が同じレベルで都と連携していけるかというと、そこにはやはり、先ほどいった費用のほかに、いろんな部分の疑問符、課題があるんだというふうに思います。
 TOKYO Data Highway基本戦略について、先日の政策発表によると、宮坂さんがこれから助言していかれるという話なんですけれども、まさに皆さん方が区市町村のこの状況をしっかりと把握して、そして、実際に区市町村との意見交換も密にしながら、実際に東京都がどれぐらい費用負担する必要があるのかということも、これからしっかりと私たちに報告していただきたいなというふうに思います。この件に関しては、質問いたしません。
 今般、副知事に就任する宮坂さんにこれから助言をしていただくわけですけども、ただ宮坂副知事がいろいろかかわっただけでは絵に描いた餅になるわけですけども、実際に宮坂副知事というのはどんな業務を行っていくのかなというのは、素朴な疑問なんですよ。七月から参与で二カ月間やっていて、アドバイスも、もう知事には十分できる立場であったにもかかわらず、今回、突如、副知事になる。
 きのう、知事が同意のご挨拶に来られたとき、担任事項というのはいつ決まるんですかと、私、お話しさせていただいたら、知事はきょとんとして、担任事項の意味がわかっていないような感じだったのですけれども、現実問題、これがわかっていなくて、どういう立場かということを私たちにしっかりと説明をしない前に同意してくれというのは、ちょっと同意のあり方としてもおかしいのかなというふうには、私も素朴に思います。
 しかしながら、専権事項ですので、もちろん、昨日は同意させていただきましたけれども、これからどういう業務を担っていくのかということは大切なことだというふうに思っておりますので、その考え方について教えてください。どうなっているのか。

○松永戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 宮坂副知事の担任事項等は、今後発表されると聞いております。
 宮坂氏は、参与としてソサエティー五・〇社会実装モデルの検討に関することを委嘱されており、検討会に構成員として参画されております。また、TOKYO Data Highway基本戦略の策定に関しても助言を行っております。
 今後は、副知事としての宮坂氏から具体的な指示等を受けながら、これらの施策について展開していくことになると考えております。

○鈴木委員 これから所管局はどこになるのかというと、多分、私はICT業務を所管する戦略政策情報推進本部になるのかなというふうにも思うんですけれども、しっかりとこれは、体制構築をされる中で、早く明らかにしていただきたいなというふうに思います。
 もう一つ心配なのは、宮坂氏というのはヤフーの会長だったわけですね。ヤフーの親会社は、ご存じのようにソフトバンクです。小池知事はアリババのジャック・マーさんとは仲がいいという話を、前に何かでされていたのですけれども、基本的にアリババというのはファーウェイと連携しているという話になって、ソフトバンクもファーウェイといろんな関係がある中で、これからどういう話になるのかなというふうにも思うんですけれども、やはり都が今後、宮坂氏が副知事になられて施策展開していく中では、特定企業の関係が疑われるような行動というのは、当然なんですけど、あってはならないというふうに思っております。
 宮坂氏が副知事に就任するとなれば、その行動に公平性とか透明性が求められるわけです。今まで行政経験の薄い宮坂氏ですので、意外と行政の置かれている、自分が置かれている立場というものがわかっていらっしゃらないというのは当然だと思うので、この部分、私たちはちょっと心配があります。
 都がTOKYO Data Highway基本戦略やソサエティー五・〇社会の実現に関する施策を進めるに当たって、一層の公平性と透明性が求められるわけですけども、このことも含めて、どのような認識をお持ちなのか、お伺いいたします。

○松永戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の施策を進めるに当たりましては、理事お話しのとおり、公平性、透明性の観点が大変重要と認識しております。
 その上で、さまざまな民間事業者と緊密に連携を図り、TOKYO Data Highway基本戦略や東京におけるソサエティー五・〇社会の実現に向けた取り組みを、スピード感を持って推進してまいります。

○鈴木委員 本当に、この委員会の質疑をさせていただくに当たって、今後どうするのかという具体策、具体案も、なかなか私たちにお示しいただいていません。実施部隊も、どうなっているかわかりません。とにかくやりますと。
 でも、やる以上は、国も挙げてこれからやっていかなきゃいけない、第四次産業革命につながっていく、その日本の首都、東京がやるということに対して、私たちは応援します。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っているのですけれども、いろいろ重複する質問があるので、質問はもうしませんけれども、これからこれをしっかりと進めていくためには、まず、いろんな部分で疑念が浮かばないような、脇をしっかりと締めて取り組んでいただきたいということが一つです。
 TOKYO Data Highway基本戦略に描かれた施策や、ソサエティー五・〇社会の実現に向けた施策をスピード感を持って進めるということも大事ですけれども、例えば、ソサエティー五・〇社会の実現に向けた施策として、デジタル通貨、今回、モデル実施という話があったのですけれども、私、いろいろ調べてみたら、これはアクションという、こういう本、あれがありまして、東京都と全くやっていることは一緒です。SDGsの社会を応援するに当たってインセンティブを与えようということ、まさに東京都がやっていることと同じなんですけれども、同じことを東京都が何でやるのかなという疑問もあります。
 しかしながら、大事なのは、税金を投入してやる以上は、効果が得られるのかということが大事だというふうに思いますので、この部分も、これからしっかりとご説明いただきたいなというふうに思います。
 都が施策を進めていく際には、都の職員だけじゃ、当然、なかなか難しい。事業も拙速に描いていくのではなくて、事業実施に当たり、宮坂氏のような本当に専門知識を有する人材、そして、専門性を有する民間事業者と連携するに当たって、しっかりとそういったことを認識しながら実施体制を構築していかなくてはならないというふうに思っておりますけれども、これからも、この話というのは始まったばかりで、どうなっていくのか全くわからないという、そういう思いなんですけれども、ただ、期待感を持って応援させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

○小松委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で戦略政策情報推進本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時開議

○小松委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 報告事項、重点政策方針二〇一九「未来への投資 人が輝く東京に向けて」について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○木村委員 私からは、先月、都が発表しました、未来の東京への論点を中心に質問いたしたいと思います。
 この中で、都知事の言葉として、長期戦略の策定にかける考え方が述べられております。これまでの延長線上の発想では、東京と日本の明るい未来は到底望めませんとあります。
 加えて、今回策定する長期戦略では、二〇四〇年までも想定して策定するということです。これまでの長期計画は十年先を見据えて策定するものでしたが、二十年先を見据えるということは、現状では必ずしも道筋が見えていないようなことでも、恐れずにチャレンジしていくという意味だと理解いたしました。
 そこで、まず初めに、今回の長期戦略は、実際にそうした考えがベースになっているのかを伺います。
 その上で、今回、素案や中間まとめという位置づけではなく、東京の未来を議論する際の出発点となる問題提起としていますが、なぜ未来の東京への論点をこのような位置づけにしたのか、その意図もあわせて伺います。

○吉村計画部長 世の中の動きが極めて速く、予測不可能な時代を迎えている今日、東京が直面する諸課題が克服された明るい未来を積極的に描き、それを実現するための未来への投資として何をなすべきか、示していく必要がございます。
 こうした考え方のもと、長期戦略は、東京二〇二〇大会後を見据え、東京の新たな将来像を実現するための長期的な羅針盤として策定するものでございまして、多くの方々からご意見を頂戴してつくり上げていくことを考えております。
 今回公表いたしました未来の東京への論点は、これまでの東京の取り組みや、今後起こり得る社会の大きな変化、変革の様相、それを踏まえて、東京は将来どのような姿を目指すかなど、議論すべき内容を論点として整理したものでございます。
 これを多くの方々にごらんいただきまして、さまざまなご意見を頂戴して、長期戦略の策定に生かしていきたいと考えております。

○木村委員 今ご答弁にありましたけれども、東京の未来については、多くの方々とともにつくり上げていくべきだと思います。
 ここからは、東京の未来への論点で示されているそれぞれの論点に沿って質問をしていきます。
 まず、論点01では、幅広い分野にわたって、平成の三十年間の変化について分析しています。その中で、冒頭に経済に関するパートがありますが、東京だけでなく、日本経済の存在感の低下について取り上げています。
 都の長期戦略を策定するのに、なぜ日本経済に関する分析を行ったのか、伺います。

○吉村計画部長 平成の日本が、バブル経済の崩壊やリーマンショックなど多くの試練に直面し、それらの後処理に追われ続けましたが、その間に、国際社会では、グローバル化、デジタル化が急速に進展いたしました。
 こうした変化への対応がおくれたこともあり、例えばスイスのビジネススクールであるIMDの世界競争力ランキングにおいて、日本は、平成元年から四年連続でトップでしたが、現在は三十位にまで後退するなど、存在感が大きく低下しております。
 これを大きな教訓といたしまして、東京、日本が直面している状況について危機感を共有し、今後、骨太の議論を進めていくため、日本経済の存在感の低下を冒頭に位置づけたところでございます。

○木村委員 東京や日本の立ち位置をエビデンスに基づいて認識することは、極めて大切だと思います。この分析結果を見ると、危機感というものを抱くわけですが、今までの延長線上にある思考パターンやロジックの限界というものを痛切に感じます。
 次に、論点02ですが、今、進行しつつある大きな変化や変革について、七項目を整理しています。
 AIやロボット、IoTといった最先端技術は、生活や社会構造を大きく変えるといわれています。
 先日、都知事が5Gネットワークの早期構築に向けた戦略であるTOKYO Data Highwayを発表しました。このたび、ヤフーの元会長である宮坂学参与を副知事として提案するなど、ソサエティー五・〇の実現に向けた取り組みが加速していると感じます。
 そこで、未来の東京への論点では、第四次産業革命やソサエティー五・〇について、どのように取り上げていくのかを伺います。

○吉村計画部長 現在、AI、IoT、ビッグデータなど、第四次産業革命のコアとなる新たな技術の社会実装が世界中で進んでおりますが、キャッシュレス化やスマートシティーへの取り組みなどにおきまして、東京、日本は世界から大きくおくれをとっております。
 ソサエティー五・〇の実現は、我が国が世界のモデルになる二度とないチャンスであることから、東京は危機感を持ち、先頭に立って取り組みを進める必要がございます。
 こうした観点から、今回の論点では、第四次産業革命やソサエティー五・〇を重要な視点として取り上げ、ソサエティー五・〇の実現により都民生活が豊かになるイメージをお示しするとともに、その実現には5Gネットワークの早期構築が不可欠であることをお示ししております。

○木村委員 ソサエティー五・〇については、長期戦略の中で大きく位置づけ、東京が世界をリードするように取り組んでいただきたいと思います。
 次に、論点03では、東京の強みと弱みを、一つの章を立てて、さまざまな分野から整理しています。
 東京の未来やこれからの政策展開を考えていく上では、まずは、東京みずからの立ち位置や特徴を客観的に見詰め直すことは極めて重要だと思います。
 この東京の強みと弱みの整理を、今後、長期戦略の策定にどのように生かしていくのか、伺います。

○吉村計画部長 今回の論点では、経済、ビジネス、安全・安心、都市インフラ、人と地域社会といった分野を対象に、さまざまなデータや有識者の意見などを参考にしながら、将来を見据えた場合の東京の強みと弱みについて整理を行いました。
 例えば経済、ビジネスの面では、東京は、日本経済の牽引役としての役割を果たしている一方で、国際競争を勝ち抜くビジネス環境が整っていないとしております。
 今後、この整理を踏まえながら、東京が持つ強みをさらに伸ばし、弱みに対処していくことで、さらなる高みを目指し、東京の明るい未来につながる政策を構築してまいります。

○木村委員 東京の強みと弱みについて分析に入る前段階として、東京独特の価値観についても整理するべきだと思います。
 江戸、そして東京は、災害とともに成り立ってきた都市であります。江戸の大火、震災、空襲と、災害の中で、多様な価値観や多様な出身の人が住み、質素に、そして簡素に暮らしていく基礎ができ上がりました。
 今や東京には、日本全体の十分の一の人口が集まっています。今までできなかったことでも、東京ならできるという強みがあります。その反面、かわりは幾らでもあるという希薄な意識があると指摘されることもあります。
 東京は日本全体を背負っているのですから、東京が目指すところが変われば、日本が目指すところが変わってくると思います。現に、東京都がeスポーツフェスタを実施すると発表して以来、他都市は東京都の動向に非常に注目をしています。また、受動喫煙対策についても、しかりでありました。だからこそ、東京は、常に進化するために戦っていかなければならないと思っています。
 こうした東京ならではの価値観についても認識した上で、長期戦略の策定にぜひ当たっていただきたい、そのことは要望させていただきます。
 論点04では、東京が目指すイメージが二十例、目指す都庁のイメージ例も提示されております。
 小池都知事は、今回策定する長期戦略については、まず、理想的な未来を創造し、その実現のため、何が足りないかを明らかにしながら道筋を定める、いわゆるバックキャストの視点を取り入れ、二〇四〇年代を念頭に東京の姿を議論していくと述べられております。
 そこで、改めて、二〇四〇年代を想定した東京のイメージを示した意図を伺います。

○吉村計画部長 今回策定する長期戦略では、さらなる少子高齢化や気候変動などの諸課題を克服し、成長と成熟が両立する東京二〇二〇大会後の明るい東京の未来を明らかにしていくこととしております。
 そのためには、より長期的な視点を持ち、想像力を働かせた大胆な発想で考える必要があることから、おおむね四半世紀先の二〇四〇年代を想定した東京のイメージをお示ししたところでございます。

○木村委員 目指す東京のイメージの例示には、合計特殊出生率二・〇七など、一見、ハードルが高いように感じるものもあります。
 しかし、二十年後の社会を論じるときに、今の状況の延長線だけで考えていくことが正しいとは思いません。この先、何が起こるかわからないし、また、現状では難しいと思うことでも、実現することを前提に組み立てていかないと、世の中の発展はないと感じております。
 したがって、合計特殊出生率二・〇七などのイメージを示すことは大いに賛成でありますし、その方策をみんなで考えていくということが必要なんだろうと思います。
 都民も、国民も、都議会も、揚げ足取りなどは望んでいないと思います。建設的に現実を見詰めて乗り越えていくことが、こうした長期戦略をつくっていく上で必要だと感じます。
 今回、二〇四〇年までも想定するのですから、最初に申し上げたように、現状では必ずしも道筋が見えていないようなことでも、恐れずにチャレンジしていく内容がもっと必要だと思います。
 例えば、10の世界最高の交通ネットワークが構築された便利で快適な東京の項目、ここでありますが、世界最高の道路と鉄道のネットワーク構築とあります。
 道路も鉄道も必要であり、重要な社会資本ですが、建設費用が莫大であります。
 その点、水上交通は、既存の運河や河川、あるいは港湾という水の道が既にあるので、メリットがたくさんあります。加えて、舟運はインバウンドにも有効です。
 また、羽田空港の機能拡張についても記載がありますが、ビジネスジェットの発着枠が十分確保されているという将来の姿の記載がありますけれども、先日、都民ファーストの会モビリティー政策研究会では、羽田空港のビジネスジェット専用搭乗口などを視察してまいりました。発着料は、一回、二十五万円と、非常に高額です。そこを使う人たちの価値観というのは、時間あるいはプライバシーというものが優先となっています。
 個人で船を貸し切って、プライバシーが確保された状態で羽田空港から都心内陸部まで移動する、こういったニーズもあるというふうに伺っています。
 我が党がかねてより提案している、羽田空港から築地を初めとする都心部までの舟運の航路が実現すれば、東京湾内の航路で、所要時間は二十分から二十五分であります。これは、ビジネスジェットの利用者に限らず、観光客を初め、一般に羽田空港を使う方々のニーズがあるというふうに理解をしております。
 都民ファーストの会モビリティー政策研究会では、これまで何度も船を仕立てて、さまざまな専門家にともに乗船をしていただいて舟運の研究を行ってきた結果の結論であります。さまざまな団体や、あるいは市民グループ、企業からもお話を伺ってまいりました。
 何がいいたいかというと、世界最高の交通ネットワークというのであれば、少なくとも舟運を含めた陸海空の交通手段を想定して、交通結節点を構築する、交通の多様化を進めるなどの記載があってしかるべきだと思います。
 そこで、東京の将来像については、今は難しくても、実現すれば、都民のみならず、さまざまな人々にとって夢と希望がある内容がふさわしいと思いますが、都の見解を伺います。

○吉村計画部長 今回の論点におけます二〇四〇年代を想定した二十のイメージは、今後起こり得るさまざまな変化を捉え、課題を克服した理想的な東京の姿について、個別のシーンやキーワードを例示したものでございます。
 この中には、現時点では実現を見通すことが容易ではない内容も含まれておりますが、高いレベルの理想的な東京の姿を描き、その実現に向けてさまざまな政策を総動員して、全力で取り組んでいくことが重要でございます。
 このイメージをもとに幅広い方々からご意見を伺いまして、年末を目途に策定いたします長期戦略ビジョンの中で、東京の将来像について、より具体的でわかりやすくお示ししていきたいと考えております。

○木村委員 今、世の中は、情報透明化、情報共有化社会に向かっていると思います。
 明治維新以来、日本は、中央集権で国づくりや地域づくりを進めてきました。当時、日本を取り巻く状況を考えると、中央集権で進めないと、とても間に合わなかったということは十分理解ができます。
 しかし、明治維新から百五十年以上が経過し、社会資本は充実し、民主主義も発展してきました。こうなると、今までの古い価値観、ロジックといったものが、世の中が求めている情報透明化あるいは情報共有化の社会に適応できるのか、疑問を感じるところです。
 加えて、明治維新のころは、意思疎通の手段がなかった時代であり、さまざまな情報戦を勝ち抜いた一部の集団による専制的な体制ができ上がり、そのロジックが今日まで至っていると指摘する研究者もいます。
 都民あるいは国民の価値観は多様化してきました。多様化した価値観を反映した長期戦略を策定せず、古いロジックで一部だけで作成した場合、都民や国民の総力を発揮できないのではないか、そのように思います。
 現在、本定例会を通じて都議会と議論を行っている最中でありますが、小池都知事が信条とする都民ファーストの長期戦略にするためには、多くの都民からの意見を直接吸い上げていくことが重要だと思います。特に、次世代を担う若者の意見を積極的に取り入れて反映するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○吉村計画部長 この論点の公表と同時に、広く都民から夢やアイデアを募ります都民意見大募集を開始しているところでございますが、このほかに、東京の未来を担う子供たちや若者からの意見やアイデアを生かしていくために、まず、小学校、中学校を対象といたしました、わたしが大人になった時の東京をテーマとした絵画コンクールを開催しております。
 また、今後、都内の大学の協力を得まして、将来を担う若者によるワークショップを開催するほか、都立高校生へのアンケート調査などを実施する予定でございまして、こうした内容につきまして、戦略ビジョンの方に反映させていきたいと考えております。

○木村委員 論点の05では、三十九に及ぶ二〇三〇年に向けた課題を提示しています。
 政策が有効に機能するためには、分野ごとあるいは局ごとの取り組みが有機的に結びついていく必要があります。
 例えば、新たな産業、成長分野として期待が高まる5Gとeスポーツ。オンラインが中心のeスポーツは、通信環境次第で劇的な進化を遂げます。
 5Gと漁業。定置網というのは、潮の向きに合わせて微妙な角度調整が必要となってまいりますが、5Gによって潮流を詳細に予測したり、または計測したりして対応が可能になるといわれています。実際に、ドコモなどは、こうした分野の研究を行って、それを今、実際に応用している漁協もあるというふうに伺っています。
 このように、ほかの分野との連携があって、初めて本当の効果があらわれてくると思います。
 そして、単なるスローガンで終わらせるのではなく、地に足がついた施策をしっかりと進めていかなければなりません。
 以上、二点のことを踏まえて、年末に策定する長期戦略ビジョンでは、各施策について、どの程度具体化していくのか、伺います。

○吉村計画部長 論点05でお示ししました課題は、二〇四〇年代を想定する目指すべき未来の東京のイメージを踏まえ、その実現に向けて、十年後の二〇三〇年までになすべきことについて整理したものでございます。
 お話がありました5Gのように、幅広い分野に関係する政策につきましては、局の垣根を越えた検討を促しまして、関係局と密に連携しながら具体化を図ってまいります。
 今後、さらに議論を進めまして、長期戦略ビジョンでは、将来に向けた目標と取り組むべき政策の柱を提示するとともに、これらを実現するための核となる主要な事業を盛り込んでいくこととしております。

○木村委員 今回示された未来の東京への論点は、この先の十年ではなく二十年先を想定し、論点を整理して、バックキャストの視点を取り入れるなど、練りに練ったという印象を受けております。
 だからこそ、本日はこのような質疑をさせていただきましたが、本日、申し上げた要望につきまして、都として確実に対応していただきたいと思います。
 最後に、長期戦略策定の責任者である政策企画局長の決意を伺って、質問を終えたいと思います。

○山手政策企画局長 未来の東京への論点は、未来の東京に関する議論の素材とするために、さまざまなデータやグラフ、イメージ図を効果的に織り込むなど、論点をわかりやすくお示しする工夫を凝らしてございます。
 これをもとに議論を重ね、年内に策定する長期戦略ビジョンでは、時代の変化を先読みし、東京が先頭に立って、とるべき戦略を主体的に構築し、この論点の副題にもなってございます未来への投資を果敢に推し進めるための政策を盛り込んでまいります。
 また、こうしたさまざまな政策を大胆に進めていくため、民間企業との協働、東京二〇二〇大会後の効率的な都庁の執行体制、デジタル化や、人事、財務の仕組み改革を初め、都庁みずからが大きく変貌を遂げていくための取り組みも強力に進めていくこととしてございます。
 長期戦略ビジョンが都民の共感を得られ、さらには世界中から注目されるものになるよう、効果的なまとめ方や打ち出し方につきましても、今後、さらに知恵を絞ってまいります。
 東京二〇二〇大会の成功を跳躍台とし、成長と成熟が両立する明るい東京を実現するための長期戦略の策定に向けて、政策企画局が各局をしっかりとリードし、全庁を挙げて取り組んでまいります。

○中屋委員 私からも、未来の東京への論点について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 都は、現在、長期の行政計画となります長期戦略の策定に向けた検討を進めております。この長期戦略は、行政として、東京の将来像を示し、その実現に向けた政策目標や取り組みを明らかにするものと理解しております。その内容や達成状況は、東京に働き、暮らす都民に大きな影響を与えるものであります。
 八月末に、我々にとっては突如公表されました、この未来の東京への論点は、長期戦略の議論の出発点となる問題提起の書という位置づけになっておりまして、この論点をもとに、今後、都民の皆さんなどから幅広く意見を伺っていくと聞いております。
 論点のポイントを確認しながら、都民にわかりやすく伝える観点から質疑を行います。
 まず初めに、今後策定を予定している長期戦略について確認します。
 過去にも、例えば石原知事のときであれば「十年後の東京」や「二〇二〇年の東京」、舛添知事のときであれば東京都長期ビジョンといったように、歴代の知事のもとで、比較的早い時期に長期計画というものが示されてまいりました。
 その時代背景や知事の考えなどで、さまざまな特色があると思いますけれども、今回策定する長期戦略は、過去の計画とどう違いを出そうとしているのか、伺います。

○吉村計画部長 一般的に策定される長期計画は、計画期間を約十年間としているものが多くございまして、十年後に到達する目標と、それまでの間の取り組みが盛り込まれるものでございます。
 一方、今回の長期戦略の策定に当たりましては、より長期的な視点を持ち、想像力を働かせた大胆な発想で考えることとし、おおむね四半世紀先である二〇四〇年代を念頭に、東京に起こり得る変化、変革を想定し、課題を克服した目指すべき東京の姿をバックキャストの視点で描いております。
 その上で、その実現に向けて、おおむね十年後の二〇三〇年までに到達すべき目標や具体的な政策を明らかにするという手法を用いることとしてございます。

○中屋委員 今ご答弁いただきました。東京を取り巻く環境が今後大きく変化、変革することを想定して、より長期的な視点から大胆な発想で考えていくという、そういう点が今回の長期戦略の特徴とのご答弁を今いただきました。こうした特徴を念頭に置きまして、今回の論点の内容について確認したいと思います。
 まず、論点01についてです。
 先ほど触れたように、都はこれまでも、歴代の知事のもとで長期計画を策定し、取り組みを進めてまいりました。新たに長期戦略をつくるに当たっては、これまでの取り組みや時代の変化などを振り返り、どういう成果が上がり、何がまだ課題として残っているのかを整理することが重要であります。
 そこで、この点に関し、論点整理においてどのように検討しているのか、伺います。

○吉村計画部長 未来の東京への論点では、まず最初に、論点01として、我々はどこにいるのかというテーマのもと、平成の三十年間に生じた東京の変化について、産業、雇用、まちづくり、環境など、さまざまな分野にわたって取りまとめております。
 例えば産業分野では、観光客数の伸びに比べて経済全体のパイは拡大していないこと、また、まちづくりの分野では、効率的で安全・安心なまちづくりは実を結びつつあるものの、その取り組みは道半ばであること、環境分野では、エネルギー消費量の削減や環境保全の取り組みが進められているが、気候変動の影響は顕著であることなど、各分野におけるこれまでの取り組みの到達状況や残された課題について整理しております。

○中屋委員 要するに、いわゆる過去の振り返りであるということを確認しました。
 この論点の中には、中央環状線と外環道、圏央道のいわゆる三環状道路について、平成元年時点でわずか七%程度の開通状況だったものが、平成三十年六月の時点では八二%程度まで開通していることが示されております。このように先人たちの取り組みが着実に実を結んでいることも含めて、しっかりと総括した上で新たな計画を策定することが重要であります。しっかりと行っていただきたい、こう思います。
 次に、論点02について確認します。
 論点02は将来の見通しの章だと理解しておりますが、今後の変化を見通すことは非常に困難だと思いますけれども、そうした中でも、都民生活に大きな影響を与えるような要素を可能な限り整理することが必要です。
 そこで、将来の東京に大きな影響を与える変化、変革をどう整理しているのか、伺います。

○吉村計画部長 中長期的な視点で東京の未来の姿を描くためには、東京に今後起こり得る変化、変革を可能な限り具体的に想定した上で、そうした課題を克服した理想の姿を考えていく必要がございます。
 そこで、今回の未来の東京への論点では、少子高齢化、人口減少のインパクト、世界の政治経済情勢、第四次産業革命のうねり、人の流れや物流の変化、気候変動による影響、首都直下地震などの脅威、そして、大幅に増加する外国人居住者という七つの分野を取り上げて、今後どのような変化、また変革が起こり得るか、そして、それによる影響や課題がどのようなものであるかについて整理しております。
 例えば、少子高齢化や人口減少が継続した場合、生産年齢人口が減少し、老年人口の増加による社会保障費が増大することなどにより、生産力や都市の活力に大きな影響を与えることを整理しているところでございます。

○中屋委員 全体を通して、世界的な規模で起こり得る大きな変化、変革に、東京と日本がこれまで以上に巻き込まれ、大きな影響を受けることがわかりました。
 次に、論点03を確認したいと思います。
 ここまで、過去と未来について確認をしてまいりました。こうした内容をしっかり分析して、東京の今後の政策に生かしていくことが重要であると思います。
 今回の論点整理において、強みと弱みを分析した意図をまず伺います。

○吉村計画部長 東京の将来を活力あるものとしていくためには、東京の持つ強みをさらに伸ばしていくとともに、弱み、すなわち課題の克服を同時に進めていく必要があります。
 そこで、論点03では、経済やビジネス、安全・安心、都市インフラ、芸術・文化、観光、それから都市環境、教育や人・地域社会などの分野について、論点01や論点02で整理したさまざまなデータや資料、それから有識者の意見などを参考にしながら、将来を見据えた東京の強みと弱みについて整理を行いました。

○中屋委員 今ご答弁がありました強みと弱みの内容を見ますと、国際的な目線が随所に入っているように思います。
 具体的にどういう視点で強みと弱みを整理したのか、伺います。

○吉村計画部長 今回の東京の強みと弱みの分析につきましては、東京が国際的な都市間競争の中でどのような立ち位置にあるかといったグローバルな目線を含めて行っております。
 例えば、芸術・文化、観光の面から見た場合、江戸時代から続く伝統文化に加えまして、クールジャパンに代表される新たな文化やファッションなど、多様な芸術文化資源が存在しており、古き伝統と新しい文化の双方が楽しめる魅力的な都市であることが強みとして挙げられます。
 一方で、インバウンドの視点から見た場合に、こうした資源の外国語による発信が十分でなく、その魅力がうまく伝わっていないことや、ナイトタイムエコノミーなどのコンテンツやハイクラスホテルが十分に提供されていないことなどが弱みとして挙げられます。
 これらの整理に基づき、強みをさらに伸ばし、弱みを克服する政策を推し進めることにより、国際都市としての魅力をさらに高めていくことが重要であると認識しております。

○中屋委員 この強みと弱みを客観的に分析しております。この部分が、私は論点整理で大変重要な部分だというふうに思います。手法やパフォーマンスではなくて、着実な取り組みとして、どういう特色ある政策を打ち出すのか。
 例えば、先ほど申し上げましたように、過去の知事、鈴木知事といえば、財政再建や臨海部などを初めとした副都心開発の功績があります。また、石原知事といえば、中小企業支援やディーゼル車規制、羽田空港の機能強化といった功績があります。舛添知事は、非常に短い間でありましたけれども、元厚生労働大臣としての経験を、雇用や福祉の充実に取り組んだという実績があります。
 今回、やはり小池知事が何をしたいのか、どういう考えなのかということを都民にわかりやすく示すことが、私は大変重要なことだというふうに思います。この間、当選して、来年、選挙がありますけれども、具体的に聞いたことはありませんので、ぜひ、こういう計画に自分がしたいこと、そういう東京のプランというものをわかりやすく示してもらいたい、こう思います。
 さて、この強みと弱みを踏まえまして具体的な政策につながっていく部分の論点として、二〇四〇年代を想定したイメージと二〇三〇年に向けた課題を示していると私は理解しておりますけれども、この両者の関係は、都民の方にはわかりづらいんじゃないかというふうに思うのですが、そこで、どういう考えで二段階に分けたのか、示したのか、伺います。

○吉村計画部長 大きな変化、変革の中にある東京の将来を考えるに当たりましては、今の取り組みの延長線上で考えるのではなくて、バックキャストの視点から二〇四〇年代の理想的な未来像を示すことといたしました。その上で、その姿を踏まえて、実現に向けて今後取り組むべき十年間の目標を示すこととしております。
 理想的な未来像は直ちに実現できるものではありませんが、目指すべき理想の姿を掲げることにより、今後十年間で取り組んでいく施策についても、未来の東京の実現に向けて取り組みを加速させることができるものと考えております。

○中屋委員 今後の大きな変化や変革を踏まえて、より長期的な視点から大胆な発想で考えていく観点から取り入れた手法なのだというふうに思いますけれども、都民の皆さんが混乱しないように、その意図を丁寧に説明すべきだということを指摘いたします。
 二〇四〇年代の姿などは、非常に夢のある話も書いてありますけれども、実現されなければ、ただの絵に描いた餅であります。一方で、限られた財源の中で優先順位をつけてやっていくことも必要です。ここは非常に重要だと思いますよ。
 そこで、こうした点を踏まえて、局長の責任というのは非常に重大だと思いますので、決意のほどをお伺いしたいと思います。

○山手政策企画局長 未来の東京への論点は、これまでの政策の成果や課題を洗い出し、議論すべき内容を取りまとめたものでありまして、いわば長期戦略の議論の出発点となる問題提起でございます。
 今後、これをベースに、東京の将来像や、それに向けて克服すべき課題等につきまして、都民、都議会の皆様、そして、住民に最も身近な行政である区市町村から幅広くご意見を伺ってまいります。さらには、各分野の有識者や産業界、労働界の方々からもご意見をいただきながら検討を重ねてまいります。
 本年末に取りまとめます長期戦略ビジョンでは、目指す東京の姿を可能な限りわかりやすく示すとともに、今後十年間で取り組むべき政策について十分に吟味を重ねまして、また、その際には、財政面からの検証も踏まえた上で、政策の柱や核となる主要な事業を盛り込んでまいります。
 その上で、来年の東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを反映させ、明るい未来の東京に向けた羅針盤としての長期戦略を取りまとめてまいります。

○中屋委員 局長、この長期戦略というのは行政計画でありまして、都民のためにこれはつくるものですから、都民の日々の生活や将来に関する心配や不安を払拭して、将来に希望を持てる内容になるように引き続き検討してもらいたいと思いますし、我々も努力、協力をしていきたいと思います。
 以上です。

○古城委員 都議会公明党は、人間の安全保障の理念をベースに、貧困や格差の是正、教育やジェンダー、さらには気候変動対策など、持続可能な社会の発展に向け、国連が二〇三〇年末までへの達成目標として掲げているSDGsの視点を都政の基礎に位置づけ、施策との関連性を明らかにすることが重要だと訴えてまいりました。
 第二回定例会の代表質問においても、新たな長期計画は、SDGsの視点に立って山積する課題の解決に全力で取り組み、誰ひとり取り残さない持続可能な都市東京を構築することに直結する内容とするべきと強く求めました。
 以下、この観点から、重点政策方針二〇一九「未来への投資 人が輝く東京に向けて」及び「未来の東京への論点 今、なすべき未来への投資とは」について具体的に質問します。
 二年前の平成二十九年九月一日に、まちづくり、都市づくりに軸足を置いた都市づくりのグランドデザインが公表されています。このグランドデザインも、今般の未来の東京への論点と同じ時期、二〇四〇年代を念頭に置いていますが、どのような関係性にあるのか、また、この二年間に変化した状況についてどのように認識しているか、あわせて見解を求めます。

○吉村計画部長 平成二十九年に策定されました都市づくりのグランドデザインは、主にハード面から、目指すべき東京の都市の姿とその実現に向けた都市づくりの基本的な方針及び具体的な方策を示した行政計画でございます。
 一方、長期戦略は、こうした都市づくりも含めまして、ハード、ソフト両面にわたる東京の目指す姿を明らかにするとともに、都としての政策目標やその実現に向けた主要な取り組みを掲げます総合的な行政計画に当たるものでございます。
 その策定に向けまして今回お示ししました未来の東京への論点では、今まさに起こりつつある変化、変革の様相として、AI、IoT、ビッグデータ、ロボットなど第四次産業革命のコアとなる新技術の社会実装が、今、世界中で進行していることを取り上げております。

○古城委員 続いて、各論点ごとに質問をしてまいりたいと思いますが、特に論点01から03については、先ほど木村理事、また中屋委員から質疑がございましたので、私は、論点04、また05を中心に質問してまいりたいと思います。
 未来の東京への論点における論点04に示された二〇四〇年代のイメージですけれども、この発表後の新聞報道によりますと、例えば、合計特殊出生率二・〇七、さらには待機児童は死語に、そして空飛ぶ車--これは注釈がついておりまして、表記としては車は片仮名でありますけれども--さらには、外堀では蛍が舞う、こういった点について、東京都が大変意欲的な目標、イメージを掲げている、このような論評がされていたところであります。
 さらに、私から加えて申し上げますと、世界をリードする東京のチャプターでは、世界一という言葉が四つ並んでおります。この世界一について、絶対的に捉えるのか、または相対的に捉えるか、この捉え方は、人さまざま、それぞれであろうかと思いますけれども、いずれにしても、世界一という大変意欲的なイメージが描かれております。
 そこで、この論点04に示された二〇四〇年代のイメージは、都としての目標と捉えてよいのか、また、ここで示されたイメージの実現を都庁各局にどこまで求めていくのか、あわせて見解を求めます。

○吉村計画部長 未来の東京への論点では、時代の変化を先取りし、政策を戦略的に展開するため、今の取り組みの延長線上で考えるのではなく、より長期的な視点を持って大胆な発想で考えることとし、いわゆるバックキャストの視点を取り入れまして、おおむね四半世紀先の二〇四〇年代を想定した、未来の目指すべき東京の姿をイメージとして示しております。直ちに実現することが難しいイメージも含まれておりますが、目指すべき未来の東京の姿を都民と共有し、その実現に向けた大胆な取り組みを進めることが重要だと考えております。
 こうした考えのもと、今後、幅広い方からさまざまなご意見をいただきながら丁寧に議論を重ねまして、目指すべき未来の東京の姿を可能な限りわかりやすく示すとともに、その実現に向けて十年間で取り組むべき具体的な政策を、各局とも議論しながらしっかりと練り上げてまいります。

○古城委員 続いて、論点04に示された各イメージについて、これを実現するために、十年後となる二〇三〇年に向けて、都はどのような課題に対応していくのか、私自身の問題意識や課題認識も示させていただきながら、順次質問をしてまいります。
 持続可能な都市の根幹は、人づくりであると考えております。さきの都議会公明党の代表質問に対して、小池知事からも、輝かしい未来の東京をつくり上げていくためには、その活力の源泉である人に寄り添い、東京で働き、暮らす一人一人が安全・安心で健やかに暮らせる社会を実現していくことが必要との認識が示されたところです。
 特に、二〇四〇年代を見据えたとき、命を守り、未来を育むという視点が非常に重要であると考えます。各論になりますが、私は、昨年の第一回定例会、また、本年の第二回定例会の一般質問において、ネットトラブルや自殺防止の相談、いじめなどの教育に関する悩みに対応するため、都の相談窓口においても、多くの若者が利用するSNSを活用すべきと訴えるとともに、わかりやすく相談しやすい体制を提案したところでございます。
 そして、論点04には、先ほども申し上げた、大変意欲的な目標となるわけですけれども、待機児童は死語に、こういう点であるとか、また、女性活躍の単語が使われなくなっている、こういう表記も、イメージも描かれております。このような表現、イメージがなされるのであれば、ぜひとも次のようなイメージも加えていただきたいと思う点があります。
 それは食の観点であります。食については、論点04においては、いわゆる訪日外国人、インバウンド対応を含めた食の魅力というところが描かれております。また一方で、論点05には、子供食堂という視点で描かれておりますけれども、特に後者の子供食堂に関する点が非常に強くなるかと思いますが、我が党も、竹谷とし子参議院議員が主体的な立場を担い、そして、国会における超党派で実現をいたしました食品ロスの防止に関するこの法律も、昨今、成立をしたところでございます。そういう意味においては、今申し上げたようなイメージに加えて、食品ロス防止が当たり前になっている時代である、こういうイメージもぜひとも検討をいただきたいと要望させていただきます。
 今、るる申し上げてまいりましたが、これらの視点に関連する二〇四〇年代のイメージとして、論点04には、01、子供を産み、育てたいと思う人であふれ、少子化からの脱却に成功している東京、02、全ての子供、若者が将来への希望を持って、みずから伸び、育つ東京、07、誰もが集い、支え合う居場所、コミュニティが至るところに存在する東京が示されています。
 これらのイメージを実現するために、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくのか、見解を求めます。

○吉村計画部長 未来を担う子供についてでございますが、まず、子供を産み、育てたくなる社会をつくるためのアプローチとしまして、経済的、精神的負担の解消、未婚化、晩婚化からの転換などの課題を示しております。
 また、個人の能力を最大限に伸ばす教育システムへの抜本的な転換に向けまして、AI、ICT等の活用による個別最適化された質の高い教育プログラムの展開などの課題を示しております。
 さらに、子供や若者が悩みを共有し、社会から孤立することなく過ごせる居場所づくり、SNSを活用した相談体制の整備といった課題を示しております。

○古城委員 私は、昨年十一月の事務事業質疑におきまして、ある生命保険会社による人生百年時代に関する調査での、人生百年時代における老後の生活をどのように捉えているかという設問で、楽観的と答えた割合が一番高いのは、半数近かった二十代である一方で、三十代、四十代は、それぞれ五十代、六十代よりも低く、約三人に一人にとどまっており、三十代、四十代が五十代、六十代よりも人生百年時代を悲観的に捉えている、こういう傾向にあることを紹介いたしました。
 また、リンダ・グラットン氏の著書、ライフシフトで示された人生百年時代というキーワードから、今後、高齢化がますます進んでいく中、誰もが高齢者になっても生き生きとした人生を歩むことが重要であり、そのためには、我が国、そして東京を支えてこられた先輩方、高齢者の方々のみならず、三十代、四十代をもターゲットにした政策を重視していくべきと訴えました。
 さらに、本年第二回定例会の一般質問では、都の新たな長期計画の策定に当たっては、就職氷河期世代を初め、誰もが明るい未来に向けて活躍できるような施策を積極的に検討していくことを提案させていただきました。
 これらを受けて、今回の論点において、就職氷河期世代について言及されたことを評価したいと思います。
 さて、論点04には、04、高齢者が人生百年時代を元気に活躍できる東京がイメージとして示されています。都民の皆様に、将来不安の解消という枠を超えて、人生百年時代というキーワードから、長生きを楽しむ前向きな響きを感じ取っていただくことが重要だと考えます。
 就職氷河期世代も含め、誰もが明るい未来をイメージできるように、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくか、見解を求めます。

○吉村計画部長 まず、就職氷河期世代の方々が二十年後に高齢者となることを見据えまして、将来不安を解消するため、正規雇用に向けた多面的な支援、低所得者、離職者等の生活の安定に向けた支援などの課題を示しております。
 さらに、高齢者が元気で安心して暮らせる社会に向けましては、学び直し環境の充実、認知症対策、地域包括ケアの充実などを取り組むべき課題として示しております。

○古城委員 総務省が七月に発表した、ことし一月一日時点の住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、私の地元、新宿区の外国人住民比率が一二・四%と、全国の区市町村の中で最も高くなっています。
 メディアで真っ先に日本人と外国人の共生の象徴として取り上げられるのは、JR新大久保駅周辺地域です。コリアンタウンのイメージが強い方もいらっしゃると思いますが、さまざまな国から人々が集う、インターナショナル、多国籍のまちでもあります。
 新大久保駅のホームでは、階段や通路は右側を歩いてくださいと呼びかける放送が、そして、地元商店街の街頭では、ようこそというメッセージが、それぞれ二十を超える言語で流されています。これには、商店街にある日本語学校の学生さんが協力をしています。
 ここ新大久保商店街振興組合は、みんなが天使のように、優しい気持ちを忘れずに、人と人として接していこう、誰の心にも住んでいる天使を一人一人が大事にしよう、清潔で歩きやすく楽しく安心して買い物ができる大久保通りにしよう、このような願いを込めて、愛称を天使のすむ街としています。
 次にご紹介したいと思いますが、「広報しんじゅく」平成三十一年二月十五日号のトップに、地域のきずなをつなぐ町会、自治会の代表として紹介されたのは上落合東部町会です。防災、防犯活動や地域の催しなどの親睦活動、交通安全運動など、よりよい地域社会の実現に向けて活発に活動しています。
 特に注目すべきは、青壮年部、婦人部のすみれ会、高齢者クラブの長寿会とともに、消防団も加わって、町会の皆様が重層的に、かつ多面的に活動されていることだと思います。その中でも、特に、季節の行事を通じて、住民同士の交流や顔の見える関係づくりを大切にしています。
 今月二十二日には、地域内にある下水道局落合水再生センターにおいて、東京消防庁のVR防災体験車も来る防災体験会が行われます。また、二〇一六年からは、山梨県韮崎市穴山町との地域間交流を定期的に行っています。
 次に、ご紹介をいたします。
 生活文化局事業で、企業の社員等の業務経験やスキルを生かしたボランティア活動、いわゆるプロボノの仕組みを取り入れた地域の課題解決プロボノプロジェクトで平成二十九年度のモデル地域に選ばれたのは、北新宿二丁目町会です。この町会では、季節ごとのお祭り等のイベント、防犯パトロール、防災教室などの活動を積極的に行っています。
 そこで、北新宿二丁目柏木地域をたくさんの人に知ってもらいたい、もっと地域や町会活動を盛り上げていきたいとの思いでフェイスブックページを立ち上げました。マンションの新住民や若い世代を初めとする幅広い住民に関心を持ってもらい、町会主催のイベント、防災教室に足を運んでもらうことを目的に、町会とプロボノワーカーが協力して、投稿する記事の内容を練り上げながら運用を始めました。このプロジェクトで対象となった防災教室の集客も成功し、フェイスブックページの運用が、餅つきなどの行事、清掃活動、火災予防活動などの広報宣伝につながっています。
 以上、三つの町会、また商店会を紹介させていただきましたけれども、いずれにしても、コミュニティを活性化していくことは大変重要であると考えます。
 それに関連する二〇四〇年代のイメージとして、06、さまざまな人がともに暮らし、多様性に富んだ東京、07、誰もが集い、支え合う居場所、コミュニティが至るところに存在する東京が示されています。これらのイメージを実現するために、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくか、見解を求めます。

○吉村計画部長 東京に暮らすさまざまな方がともに支え合える地域づくりに向けまして、まず、外国人との共生の観点から、生活、医療、福祉などのワンストップ相談機能の強化、日本人と外国人の子供がともに学ぶ環境の整備などの課題を示してございます。
 また、さまざまな人が集い、交わり、悩みを分かち合える居場所の創出に向けまして、公営住宅や空き家の活用などの課題を示してございます。
 さらに、地域コミュニティの活性化に向けましては、消防団など地域の防災活動を通じた担い手の育成や、学生や若者との連携促進などを課題として示しております。

○古城委員 ここまでは、人が輝く東京のチャプター、人に関連する二〇四〇年代のイメージについて質問してまいりました。
 七月に発表されました重点政策方針二〇一九の中で、人と人をつなぐイメージ図が示されています。九ページに当たります。
 今回の未来の東京への論点で見据える二〇三〇年、そして二〇四〇年代に、この図はどうなっていると想定しているのか、見解を求めます。

○吉村計画部長 重点政策方針二〇一九で示しております、人と人をつなぐ政策の全体像のイメージ図でございますけれども、まず、結婚、出産、子育てまでの切れ目のない支援、そして、子供が伸びる、育つを社会全体でサポートしていく、さらに、社会人になった後の生活を応援、サポートする、その後、高齢者となった後に安心して暮らせる社会といった、生まれてから高齢者になるまでのライフステージを通じた幅広い支援の形を示しており、あわせまして、社会からの孤立に対するサポートも示しているところでございます。
 加えて、女性の活躍、それから共生社会も含めまして、まさに人が輝く東京の実現に向けた多面的な政策のイメージとしてお示ししたものでございます。
 長期戦略の策定に当たりましては、こうしたイメージ図も念頭に置きながら、人に焦点を当てた政策を検討してまいりたいと考えております。

○古城委員 昨今、激甚化する自然災害から都民の命と暮らしを守るために、今こそ防災、減災、復興という最重要のテーマを政治の主流に位置づけ、防災意識を高める教育を含めて、社会の主流へと押し上げなければなりません。
 都議会公明党は、第一回定例会の代表質問で、都民が日常的に災害を意識する防災意識社会への転換を訴え、小池知事は、マイタイムラインの作成セットを将来の防災の担い手となる児童生徒に配布し、家族とともに考えながら作成するなどの答弁を行いました。改めて、避難行動を我が事として意識する社会への精力的な推進を強く求めます。
 また、道路や橋、上下水道、学校施設など社会インフラの整備は、安全・安心の東京をつくり、都民の命と生活、財産を守る防災、減災対策に直結しています。
 藤井聡京都大学大学院教授も、我が国の防災対策は着実に進められてきたものの、近年の頻発する豪雨災害などを踏まえ、治水事業が重要で、さらなる対策加速を、防災、減災事業を進めることが国民の命を守り、経済成長にもつながると指摘されておられます。
 二〇四〇年代のイメージとして、08、災害の脅威から都民を守る強靱で美しい東京が示されています。このイメージを実現するために、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくか、見解を求めます。

○吉村計画部長 防災対策についてでございますが、首都直下地震等に耐えられる強靱な東京をいかにつくり、台風、豪雨による水害への備えをいかに固めるかという観点から、無電柱化の面的な展開や木密不燃化プロジェクトの強化のほか、集中豪雨に対応した調節池や下水道の貯留施設などのハード対策の推進、大規模水害の際の避難方策の展開として、マイタイムラインの浸透などの課題を示しております。

○古城委員 続けてまいりたいと思います。
 私は、昨年の第一回定例会及び本年の第二回定例会の一般質問で、新宿駅周辺全体を再編する新宿グランドターミナル事業を踏まえて、障害者や高齢者、ベビーカーを利用する親子を初め、誰もが安心して心軽やかに移動できるよう、そして、わかりやすく利用しやすい都市空間を整備すべきと訴えました。誰もが円滑に移動でき、人に優しいまちづくりも重要であります。
 先ほど申し上げました都市づくりのグランドデザインにおいて中枢広域拠点域の一つに示されている四谷地域では、四谷駅前地区第一種市街地再開発事業が、毎年春、竣工する予定です。
 大型オフィスを中心に、商業施設、住宅、教育施設、公益施設で構成され、四谷のランドマークとなる駅前大規模、多機能開発です。都心の中心で憩いとにぎわいを提供する約五千平方メートルに及ぶ緑豊かな空間も広がり、施設利用者、地域に配慮した防災性の向上及び帰宅困難者対策も施されると仄聞します。コンパクトシティーの形成に寄与するものとして大いに期待しています。
 東京は、さまざまなコンパクトシティーが連続したまちであると感じますが、それぞれのコンパクトシティーをつなぐネットワークも重要です。
 北陸の富山市では、公共交通を充実させ、市内の複数の拠点を結ぶ多極的なコンパクトシティーを形成しています。各拠点の利便性が向上し、人口集約などにより、民間投資も活発化していると聞きます。
 将来にわたって住み続けたいと思える地域づくりこそが、東京の持続的な発展のかなめです。
 そして、今後、ますます増加する外国人観光客に対応するために、首都圏第三空港として、富士山静岡空港の活用を積極的に議論すべきであると考えます。
 この富士山静岡空港は、真下の地下トンネルを東海道新幹線が走っており、リニア中央新幹線開業後の新幹線新駅設置によって、災害時などに首都圏や中部、東海圏の空港を補完すると、川勝平太静岡県知事は述べています。
 二〇四〇年代のイメージとして、10、世界最高の交通ネットワークが構築された便利で快適な東京、11、高度な都市機能の維持更新により進化を続ける東京を示していますが、これらのイメージを実現するために、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくか、見解を求めます。

○吉村計画部長 世界最高の交通ネットワークの構築に向けまして、三環状道路等の整備促進、AIを活用した交通マネジメント、都営交通を初めとします公共交通のさらなる利便性の向上、首都圏空港機能の強化など、幅広い課題を示しております。
 また、都市機能につきましては、インフラの長寿命化や更新、都心部における再開発プロジェクトの推進、空き家の利活用などを課題として示しております。
 このほか、ハード、ソフト両面にわたります質の高いバリアフリー都市の実現に向けまして取り組むべき課題として示しております。

○古城委員 日本は今、世界に類のないスピードで少子高齢化が進むなど、課題先進国です。東京で暮らす全ての人たちが技術革新の恩恵を享受して、今まで築き上げてきた幸福な社会を維持していくために、国際社会に先駆けて、東京が最適な解決策を提示する必要があります。
 さきの都議会公明党の代表質問では、5GやAI、IoTやロボットといった技術革新の取り組みを通じて、都民一人一人が生活の中で実感できる利便性や豊かさを形として整えていくことが重要と訴えました。
 小池知事は、今後とも私が先頭に立って、5G等の活用により都民生活を豊かにする取り組みを進めることでソサエティー五・〇を実現し、誰ひとり取り残すことのない都市東京をつくる方針を表明しました。
 それに関連する二〇四〇年代のイメージとして、12、ソサエティー五・〇が実現した世界一のデジタル都市東京が示されています。このイメージを実現するために、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくか、見解を求めます。

○吉村計画部長 世界一のデジタル都市東京の実現に向けましては、国と連携した規制緩和等による5G通信網の整備促進、自動運転、MaaS、ヘルスケア、キャッシュレスなど、さまざまな分野における最先端技術の社会実装の推進、行政サービスのデジタル化の推進に加えまして、必要な政策を進めるための大胆な規制緩和などの課題を提示しております。

○古城委員 公明党は、一九六七年、昭和四十二年、東京の未来構想、緑の森と噴水の中にそびえる高層都市大東京を発表しました。都民に健康と潤いと憩いを与える大森林地帯、森林公園の整備や、モノレール、高速道路が縦横に走る立体交通網の構築、公害の根絶などが盛り込まれた先見性豊かな政策提言です。
 五十二年前にこのビジョンを発表したときは、公害問題や住宅不足、交通渋滞などが深刻で、現実離れしたユートピア構想のように受けとめられました。しかし、構想実現に向けた公明党の取り組みで、当時は十一万戸ほどだった都営住宅が、今では約二十六万戸に拡大、また、多摩都市モノレールや日暮里・舎人ライナーなどが走り出し、首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路、首都高中央環状線の三環状道路計画が進行しています。都市公園等の整備も着実に進み、当時は一・一二平方メートルだった都民一人当たりの公園面積が、平成三十年四月現在で五・六九平方メートルにまで拡大しています。
 この構想に描かれた水と緑の回廊、快適な水環境の創出の実現に向けて、都議会公明党はこれまで、議会質問等を通じて、玉川上水を活用した外堀の浄化、日本橋川の水質改善を提言してきました。
 今般の論点04は、玉川上水などの清流復活、外堀に蛍が舞うイメージが示されており、この点について高く評価をいたします。
 さらに、この外堀の地元ともなる神楽坂通り商店会や神楽坂商店街振興組合を初め、外堀周辺地域の皆様からも大きな期待が寄せられています。
 実現に向けて、着実に取り組みを進めるべきです。
 私は先日、元東京大学総長でプラチナ社会の提唱者、小宮山宏先生から、二〇二〇年大会のレガシーは持続社会、それがSDGsに対する日本の答えだ等々の講演を拝聴する機会に恵まれました。
 その講演の中で言及された三島市源兵衛川を訪れ、NPOグラウンドワーク三島の事務局の方にもお話を伺いました。
 かつては湧水が豊富で、美しい水辺空間が保たれていた源兵衛川は、一九六〇年代から、都市化、工業化の進展や生活環境の変化に伴う湧水の減少とともに、家庭雑排水の垂れ流しやごみの放置により水辺環境が悪化し、汚れた川のシンボルになってしまったそうです。
 しかし、一人の元県庁職員によるどぶさらいから始まった、ふるさとの原風景、原体験を取り戻そうとする市民による地道な活動にNPOと社会が追随し、企業も応えた結果、ホトケドジョウ、ミシマバイカモ、ゲンジボタル、カワセミ等が自生するようになりました。
 また、二十五年間で観光客が四倍にふえ、今の三島の商店街にはシャッター街はなく、空き店舗が消えたという状況が続いています。
 悪化した河川環境の豊かな水辺自然空間への再生と水の都復活から、自然共生が経済再生につながるということを学びました。
 そこで、16、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京の二〇四〇年代のイメージを実現するために、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくか、見解を求めます。

○吉村計画部長 東京の都市としての魅力をさらに高めていくために、品格ある都市景観の形成や、歴史、文化、水辺を生かした都市づくりなどを進める観点から、首都高速道路の老朽化対策とあわせた日本橋周辺のまちづくり、玉川上水や河川の清流復活、外堀の水質浄化、公園や河川等の公共空間の有効活用、水辺に顔を向けたまち並みの形成などの課題を提示してございます。

○古城委員 新宿区内の神田川と妙正寺川の流域には、日本の伝統工芸である染物の文化が根づき、今でも染物工房が点在しており、その文化を守り続けています。東京二〇二〇大会のエンブレム、組市松紋の鮮やかな藍色が目を引き、小池知事も首に巻いてアピールした東京染小紋風呂敷クロスは、新宿の染め、染色から生まれました。
 この八月に行われた、神田川親水テラスの開放にあわせて、昭和三十年代まで神田川で実際に行われていた染色の工程、水元の再現とともに、絞り染や友禅染などの染色体験が実施されました。
 インバウンドでは、訪日外国人の爆買いがかつて話題になりましたが、最近では、体験型観光の人気が高まっています。外国人観光客が二度目以降の訪日時に行いたいこととして、観光庁の調査でも、この物消費から事消費へともいえる傾向が明らかになっています。
 また、東京を訪れる観光客の満足度をさらに高め、インバウンド市場の拡大も期待できるナイトライフ観光を充実させるべきです。例えば、レストランで夜景を見ながら食事をし、夜の九時、二十一時開演のミュージカルの半額券をスマートフォンで手軽に購入して鑑賞し、二十四時間運行の地下鉄でホテルに帰るといったものです。
 二〇四〇年代のイメージとして、18、文化やエンターテインメントで世界を引きつける東京が示されています。このイメージを実現するために、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくか、見解を求めます。

○吉村計画部長 文化やエンターテインメントを楽しめます世界一の観光都市の実現に向けまして、ナイトタイムエコノミーの充実、東京にありますさまざまな魅力的なコンテンツをつなぎ、発信していく仕組みづくり、オールジャパンでの観光振興などといった課題を提示してございます。

○古城委員 私は、パラスポーツについて、昨年十月の平成二十九年度各会計決算特別委員会第一分科会において、私自身が実感をしましたボッチャとアイススレッジホッケーを紹介、その魅力を紹介させていただきました。
 日本協会が区内にあり、常日ごろから応援しているブラインドサッカーは、視覚に障害がありながら音を頼りにボールを追う選手たちが、ドリブルで華麗に敵選手の間をすり抜け、パスやシュートが次々と正確に決まります。超人わざと思えるほど、実際の競技レベルの高さに驚かされます。
 東京二〇二〇大会組織委員会が作成した、五人制サッカー、ブラインドサッカーを題材にしたスペシャル動画に出演した、サッカー元スペイン代表で、Jリーグ、ヴィッセル神戸に所属するアンドレス・イニエスタ選手は、ゴールを決めた選手にインクレディブルと驚嘆の声を上げています。
 二〇四〇年代のイメージとして、19、スポーツが日常に溶け込んでいるスポーツフィールド東京が示されています。このイメージを実現するために、二〇三〇年に向けてどのような課題に対応していくか、見解を求めます。

○吉村計画部長 スポーツフィールド東京の実現に向けまして、東京二〇二〇大会のレガシーを継承、発展し、年齢、性別、障害の有無を問わず、スポーツを楽しめる環境整備を進める観点から、世界的なスポーツ大会の開催による競技施設の有効活用や、パラスポーツの人気コンテンツ化、地域におけるパラスポーツの実施などの課題を提示しております。

○古城委員 これまで、論点04に示されたイメージと論点05に掲げられた各課題の関連性について確認をする質問をさせていただきましたけれども、論点05に掲げられた多くの各課題は、SDGsとの関連性が非常に高いといえると考えております。
 論点04が描く二〇四〇年代は、二〇三〇年を目指したSDGsが達成され、その精神、哲理が確立された姿であるべきです。
 実行プランの政策の強化二〇一九においては、都議会公明党の提案を受けて、政策の柱とSDGsの関係性は示されましたが、長期戦略ビジョンにおける将来に向けた目標と取り組むべき政策の柱や、これらを実現するための核となる主要な事業について、SDGsとひもづけるべきです。
 長期戦略ビジョンにおいてどのように対応するのか、見解を求めます。

○吉村計画部長 現在検討を進めております長期戦略は、今後想定される大きな変化を見据え、持続可能な社会を実現するためになすべき政策を示していくものでございまして、国連が採択した持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの理念と軌を一にしております。
 したがいまして、長期戦略が見据えております二〇四〇年代の姿は、SDGsの理念が実現した姿ということができると考えております。
 また、十年後の二〇三〇年までに取り組むべき課題として、SDGsの視点から施策をチェックし、ブラッシュアップを図ること、課題が残る分野への対応を強化すること、さらには、都の取り組みを国内外に発信することを提示しております。
 こうした課題への対応につきまして検討を進めて、年末を目途に策定いたします長期戦略ビジョンにおきまして、都の取り組みをSDGsの目線からわかりやすく示してまいります。

○古城委員 論点04に示された二〇四〇年代のイメージを、都民の皆様に我が事、自分事として捉えていただくためにも、みずからが住み、暮らす地域がどのようなまちになるかをわかりやすく示すべきです。長期戦略ビジョンでどのように対応するか。
 また、各区市町村では総合計画などが策定され、地域の将来イメージが示されています。地域ごとのニーズも把握する必要があると考えますが、どのように異なるニーズを吸い上げていくか、あわせて見解を求めます。

○吉村計画部長 東京は、高度に機能が集積した都心部、新たな価値を生み出し未来を創造するベイエリア、生活、居住の場である多摩地域、自然環境豊かな島しょ地域など、さまざまな特徴を有する多様な地域で構成されております。
 今後、こうした地域の特性やニーズを踏まえながら、まちの姿や取り組むべき政策について検討を進めまして、年末を目途に策定いたします長期戦略ビジョンの中で、都民の皆様が東京の未来の姿をより身近なものとして捉えていただけるよう、わかりやすく示してまいります。
 そのため、今回お示しした論点をもとに、さまざまな方から幅広いご意見をお聞きすることといたしておりますが、とりわけ、都民に最も身近な行政であります区市町村から丁寧にご意見を伺ってまいります。

○古城委員 今、東京二〇二〇大会が都民の皆様にとって大きなモチベーションになっています。長期戦略ビジョンで示される成長と成熟が両立した目指すべき東京の姿、さらには、その後に取りまとめられる長期戦略が、東京二〇二〇大会後の未来を歩む都民にとって、希望、そして、道しるべとなるよう努めるべきと考えます。
 最後に、長期戦略ビジョンと長期戦略の策定に向けた政策企画局長の決意を伺い、私の質問を終わります。

○山手政策企画局長 現在、都は、東京二〇二〇大会の成功に向けまして、総力を挙げて準備を進めてございます。大会まで一年を切りまして、都民の皆様の期待の高まりを日増しに感じているところでございます。
 この期待の高まりを一過性のものとするのではなく、都民の誰もが未来の東京に希望を持ち、それぞれの将来をポジティブに捉えていただくことが重要であると考えております。
 今回の論点整理では、今後起こり得る大きな変化、変革を展望し、さまざまな課題を想定した上で、それを克服した先にある輝かしい東京の未来の姿を二〇四〇年代のイメージとしてお示しをしております。
 年末を目途に策定いたします長期戦略ビジョンでは、東京の未来の姿を都民がより身近なものとして感じていただけるように、課題への具体的な対応として、将来の目標や政策の柱、核となる主要な事業を盛り込んでまいります。
 東京二〇二〇大会後を見据え、東京の新たな将来像を実現するための長期的な羅針盤として策定する長期戦略が、都民の皆さんに希望や道しるべとして受けとめていただけるように、都民のニーズをしっかりと把握しながら、政策企画局が都庁各局の先頭に立ちまして、各局と綿密に連携を図り、全力で策定に取り組んでまいります。

○古城委員 政策企画局の皆様、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○山内委員 少子超高齢社会で、生活の質をいかに確保していくのかが今まさに問われています。子供、高齢者、障害者など多様な人々が、水と緑と風に囲まれ、地域で安心して暮らすまちづくりを進めるために質問をしていきたいと思います。
 重点政策方針二〇一九では、戦略的視点として、7C、七つのCの視点が示されました。その中で、人を中心とした視点として、Community、Children、Chojuの三つのCが挙げられました。
 まず、人を中心とした視点として三つのCを挙げた趣旨をお伺いいたします。

○吉村計画部長 今回の重点政策方針でお示しいたしました「7C TOKYO」のうち、三つのCにつきましては、みんなが集い、暮らすCommunityの視点、未来を担う子供を育むChildrenの視点、人生百年時代を元気にというChojuという視点でございまして、それぞれ人を中心とした政策面からの視点として示しております。
 子供を産み育てる環境を整えることや、高齢者が生き生きと活躍できること、そしてさらには、さまざまな人が集える居場所づくりなどを重要な要素として、幅広く検討していくことを念頭に置いております。

○山内委員 人を中心とした視点は、長期戦略の策定においても、当然に重視すべきです。
 先日、未来の東京への論点が公表されたところですが、人に焦点を当てていくという方針であると考えますが、改めて確認をいたします。

○吉村計画部長 未来の東京への論点におきましては、我々が目指す将来の姿として、人が輝く東京を中心に据えております。
 その上で、二〇四〇年代の東京の姿として、都民一人一人が自分らしく生き生きと活躍する七つのイメージをお示ししております。
 さらに、その実現に向けて今後十年間になすべきことにつきまして、人が輝く東京の観点から、合わせて十四の課題を提示しております。
 今回お示しした内容をベースに、今後、さまざまな方々のご意見を伺いまして、人を基軸にしながら長期戦略ビジョンの策定を進めてまいります。

○山内委員 東京二〇二〇大会のレガシーについても、共生社会の実現など、人の視点で発展させていくことが重要です。
 そこで、東京二〇二〇大会のレガシーの活用について、長期戦略でどのように位置づけていくのか、都の見解をお伺いいたします。

○吉村計画部長 未来の東京への論点におきましては、オリンピック・パラリンピックのレガシーについて、人が輝く東京の実現の視点に立ちまして、障害者スポーツの環境の充実や質の高いバリアフリーの実現、ボランティア活動の定着による支え合うまちの実現などを二〇三〇年に向けた課題として示しております。
 今後、こうしたハード、ソフトのさまざまな取り組みをレガシーとして引き継ぎ、都市のレガシーにどのように発展させていくかといった観点から検討を進め、東京二〇二〇大会後の状況を踏まえた上で長期戦略に盛り込んでいくこととしております。

○山内委員 八月二十九日に公表されたTOKYO Data Highway基本戦略では、二〇二〇年大会のレガシーとして電波の道を整備するとし、5Gネットワークの建設に着手することが示されました。
 あくまでも5Gは都民の豊かな生活を下支えするインフラであり、人が主眼であるべきです。
 長期戦略を今後どのようにまとめていくのかお伺いいたしまして、私の質問といたします。

○吉村計画部長 我が国が実現を目指しておりますソサエティー五・〇は、経済発展と社会的課題の解決を両立した人間中心の社会を想定したものでございまして、その実現は人々の生活を豊かにするものでございます。
 こうした観点から、未来の東京への論点では、5GネットワークやAIの活用により、情報やエネルギー、モビリティー、ヘルスケアなどが最適に運用されている超スマート社会のイメージを示しております。
 先ほど申し上げましたとおり、未来の東京において人が輝くことを中心に据えて議論をしているところでございまして、そうした視点から取り組むべき政策を練り上げてまいります。

○増田委員 それでは、私の方からは、重点政策方針二〇一九及び二〇二〇年に向けた実行プランについて、このあたりに関しまして質問させていただきます。
 今現在、都は、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げる各政策の実現に向けた取り組みを進めているところであります。
 事業計画を進めるに当たりましては、当然、まず長期計画というか、大きな方向性、方向づけがあって、そして、その中に三年ないし五年程度の中期計画があり、その中で一年ごとにやるべきことが決められていて、そして、毎年、その達成状況をチェックしていく、このような進め方が通常であるというふうに思います。
 今回提出されている事業実施状況レビュー、これも、そうした計画実行プロセスの一環として組み込まれているものと理解しているところでありますが、そこでまず初めに、政策を実現していくためのそのような一連のプロセスについて、確認の意味でお伺いいたします。

○吉村計画部長 現在取り組んでおります二〇二〇年に向けた実行プランでは、政策の効果を高めるため、毎年度、事業ごとの進捗や成果を把握しまして、その結果を次の政策展開につなげていくPDCAサイクルを組み込んで実践しております。
 今回の事業実施状況レビューは、PDCAサイクルのC、チェックの一環でございまして、昨年度末までの事業の進捗状況や課題を取りまとめて庁内各局と共有するとともに、都民への説明責任を果たすべく広く公表しております。
 今後、レビューで明らかになりました課題などを踏まえまして、関係各局と議論を重ねながら、重点政策方針に基づき、さらなる政策の強化を図ってまいります。

○増田委員 今、PDCAの一環というお話だったわけでありますけれども、申すまでもなくPDCAは、プラン、ドゥー、チェック、アクションということで、計画をつくり、実行してみて、そして振り返って、もし何か必要な対応があれば、それに対してのアクションをとる、あるいは微修正を加える、そういったサイクルの連続であると思います。
 私も民間企業に三十年近くおりましたけれども、やはり非常になれ親しんだ経営手法でございまして、もともと私も、行政の世界にも、これは非常になじむ有用なものなのではないかなというふうに思っておりましたので、それをこのように実践されているということで、非常にいいことではないかと思う次第であります。
 そして、今回の事業実施状況レビューにつきましても、PDCAサイクルのまさにCの部分、チェックの部分であるということを確認させていただいたところです。
 そして、そのように政策を進める中におきまして、小池知事ご就任以来、重点政策方針というものを、毎年、この時期に策定しているわけであります。
 最初が二〇一七年、そして、今回が二〇一九年ですので、三回目の重点政策方針の策定ということになるわけですが、そこで、一連の政策実行プロセスの中で、この重点政策方針というのがどういう役割を果たしているのか、お伺いいたします。

○吉村計画部長 重点政策方針は、現在取り組んでおります実行プランに掲げる政策のブラッシュアップや、次年度の予算編成を進めるに当たりまして、政策展開の基本となる大きな方向性や、その実現に向けて重点的に検討すべき事項を毎年度示しているものでございます。
 社会情勢が刻々と変化する中、特に重点的に取り組むべきテーマを明らかにすることで、検討の方向性の全庁的な共有を図り、既存施策の見直し、拡充や新規施策の構築につなげていく役割を果たすものと認識してございます。

○増田委員 今のご答弁の中にもありました、刻々と変化していく社会情勢に合わせてという部分があったわけですけれども、そのような周囲の状況に合わせて、計画に対して微修正を加えていくプロセス、これがまさにPDCAのアクション、最後のAに相当する部分だと思うわけであります。
 先ほどのCに相当する事業実施状況レビュー、そして、このAに相当する重点政策方針、それぞれの役割につきまして、PDCAサイクルに位置づけて、それぞれ確認させていただいたところであります。
 今後も、恐らく東京を取り巻く国際社会の情勢は非常に激しく変化をする中で、やはり長期計画の軸をきちんと保ちながらも、そういった変化に、しなやかに、柔軟に対応していくという、そういうところも非常に重要なのではないかと思います。そして、それを広く公にしてオープンな議論を誘発していく、議論を重ねていく、そういったプロセスを地道に積み重ねていくことが大切だろうと思います。
 次に、重点政策方針の具体的な中身について確認をさせていただきたいと思います。
 今回、一番、目を引きましたのが、何といいましても、戦略的な視点として七つのC、「7C TOKYO」を掲げたところではないかと思うんですけれども、この視点を掲げた狙いにつきましてお伺いいたします。

○吉村計画部長 今回の重点政策方針では、来年の東京二〇二〇大会の成功とその先の東京を明るいものとする未来への投資を効果的に進めるため、七つのCから成る戦略的視点「7C TOKYO」をお示しいたしました。
 このうち、Chance、Change、Challenge、Checkという四つのCは、都政運営に係る姿勢や理念を示したものでございます。また、Community、Children、Chojuの三つのCにつきましては、人を中心とした政策面からの視点でございます。
 この七つのCの視点から施策を見詰め直し、これまでにない発想や切り口で新たな施策を生み出すことを狙いとしてございます。

○増田委員 私、今回、率直に思いましたのは、例えば、三つの何々とか、五つの何々、こういうスローガン的なものというのは、新しい計画をスタートするときによく定めるものだと思うんですけれども、今回、三回目の重点政策方針という中で、ここで七つのCというのを打ち出してきたというところが非常におもしろいなと思ったのですけれども、これは計画をまとめにかかるというよりも、むしろ次のステップを見据えて新たな戦略的視点を定めた、そういう非常に意欲的なものなんじゃないかなというふうに思ったわけであります。二〇二〇大会という大きな節目もありますので、それをゴールとせずに、それを超えて、むしろ出発点とするぐらいの、そういった発想がここにあらわれているのではないのかなというふうに受けとめたところであります。
 そしてまた、七つのうちの三つですね、Community、Children、Choju、これにつきましては、知事がかねてより強調しております、人に着目したという、その考え方が非常によくわかるメッセージだと思いますので、そういった意味では、ぜひこの七つの視点を据えて、今後の政策に生かしていただきたいと思うわけであります。
 そして、次の特徴として、三つの柱を挙げている点が挙げられると思います。
 そこで、今回、三つの柱を挙げた理由と、それぞれの主要な内容につきまして、お伺いいたします。

○吉村計画部長 今回掲げました、二〇二〇年に向けて重点的に検討すべき三つの柱でございますが、何といっても、来年は東京二〇二〇大会の年でございますから、大会を成功に導き、レガシーをつくり上げることを一つ目の柱に掲げまして、スポーツを楽しめる都市の実現やボランティア文化の定着などを示しております。
 二つ目の柱といたしましては、第四次産業革命が我々の社会に大きな変革をもたらすことから、これに乗りおくれることなく、むしろ先んじて取り組んでいくため、最先端技術を活用し、ソサエティー五・〇の実現に向けた施策を具体化することを掲げておりまして、キャッシュレス、MaaSの社会実装に向けた取り組みなどを示しております。
 三つ目の柱といたしましては、東京が直面しております喫緊の課題に対しまして、スピード感を持って政策を展開していくという考えのもと、都市力の強化、人と人をつなぐ、稼ぐ東京の観点から施策を検討することとしておりまして、災害への体制強化、子供の伸びる、育つを社会全体でサポートすること、国際金融都市としての地位向上など、幅広い取り組みを示しております。

○増田委員 三つにつきまして、それぞれご説明いただいたわけですけれども、二〇二〇大会後のレガシー、特にソフト面でのレガシーづくりが重要であることは論をまたないわけであります。
 そして、ソサエティー五・〇につきましても、これは日本よりも進んでいる国はもう既に多くあるわけでして、これは本当に、東京のみならず、日本の今後を大きく左右することとして、乗りおくれないように全力で取り組んでいただきたいと思います。
 そして、稼ぐ力というくだりで出ました、国際金融都市としての地位を向上させる点、これは私も最大の関心を持って取り組んでいるところでありますけれども、今、ロンドンも、ブレグジットの混乱で非常に今、金融機関も、とどまるか、出て行くかというところでありますし、また、香港も、報道されているように、政治的な混乱で大きな岐路を迎えているというところで、ある意味、東京は、こういっては何なんですけど、チャンスなわけですね。東京のこの安定感というのは、非常に今、際立って見えるところだと思いますので、これはぜひ、そういった視点からもチャンスと捉えて、大いに進めていただきたいと思っております。
 そして、今、一年ごとに重点政策方針を策定している一方で、もう一つ、タイムリーなトピックとしましては、先ほど来議論されていますように、今、都では、長期戦略の策定に向けた検討を行っているというところがあるわけです。
 もちろん、それぞれ策定の目的や位置づけは異なると思うんですけれども、重点政策方針の中にも、ソサエティー五・〇など、先般公表した長期戦略の論点整理に記載されている内容と重なっている部分も幾つか見受けられるわけであります。
 そこで、重点政策方針と長期戦略の関係性についてお伺いいたします。

○吉村計画部長 今回の重点政策方針は、来年度に向けた検討事項を示すとともに、未来への投資という長期的視点に立ったタイトルを掲げまして、東京の未来を切り開く長期戦略の策定に向けた取り組み方針についてもあわせて示しております。
 具体的には、先月、未来の東京への論点を公表いたしましたが、これをベースといたしまして、年内を目途に長期戦略ビジョンを策定し、さらに、東京二〇二〇大会のレガシーなどを反映させて長期戦略を取りまとめることとしておりまして、この方針が重点政策方針のもとで示されており、現在、これに基づいて、全庁を挙げた検討を進めているところでございます。
 また、重点政策方針で示しましたコンセプトや、戦略的視点であります「7C TOKYO」に基づく検討の成果などにつきましても、長期戦略に反映させていくこととしております。

○増田委員 何といいましても、東京は二〇二〇大会の開催という節目を迎えるということ、そして、今、いろんな議論をされてきましたが、5GですとかAIですとか、テクノロジー的にも、世の中、非常に大きな転換点にあるわけで、東京は、恐らく歴史的に見ても大きな、今そういった転換点にあるんだと思います。
 これから将来を考えていく上では、これまでの数年間で経験したことを、しっかりとこのPDCAサイクルにのせて整理をして、そして、それを今後に生かしていく、これは非常に重要なことだと思います。
 変化に対しては、常に柔軟であるべきだと思いますし、また、グローバルな視点を失わないということも重要だと思います。また、今後、少子高齢化が進んで財源も制約的になっていくという中で、何でもかんでも総花的にやるということばかりではなくて、何をやめるのか、何をやらないのか、そういった視点というのも非常に大事になってくるのではないかと思います。
 そういった意味で、今後の東京の将来を大きく左右する重要な長期戦略であることを強く意識して、そして、その策定に臨んでいただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○鈴木委員 私からも、この未来の東京への論点について伺います。
 まず、今回のこの長期戦略の策定の進め方、八月二十二日に長期戦略策定会議において未来の東京への論点が整理をされ、その日のうちに都のホームページに掲載され、ネット上で意見募集も開始されました。
 しかし、二十三日の知事の記者会見でも、知事からは、この件について何の発言もなく、その後も、知事がこの論点について発言することはなかったのですけれども、九月三日の所信表明で初めて、論点を整理した、今後広く意見を聞き、年末を目途にビジョンを公表すると簡単に触れただけであったわけです。
 東京都は、平成二十九年一月、未来ビジョン懇談会を設置して、ことしの四月二十七日には第八回が開催されているはずです。
 一方、この長期戦略策定会議は、四月十九日に第一回を開催して、八月二十二日の会議で未来の論点を発表したわけですけれども、単純な確認なんですけれども、未来ビジョン懇談会での意見や発言というのは、今回の論点整理に反映されているんですか。これ、質問通告していないのですけれども、ちょっと教えていただきたいなというふうに思うんですけれども。

○吉村計画部長 未来ビジョン懇談会の中で、さまざまなご意見をいただいております。それは一定の取りまとめをしておりますけれども、そうした中身も含めて、我々の中で、長期戦略策定会議の中で検討して取りまとめております。
 これまでのさまざまなご意見も踏まえた上で、今の論点を取りまとめているところでございます。

○鈴木委員 ということは反映されていると。
 その中で、この長期戦略策定会議は二回しか開催されていないんです。一回目は、これから開始しますとアナウンスして、二回目の会では、でき上がった論点整理の案が報告され、先ほどいったように、ホームページで公開し、パブコメを開始すると。
 議事録を読ませていただくと、内容について、各局長は一言も発言していなかったのかなと。それぞれ十分、十五分で、合計二十五分ぐらいで終了していたような気がするんですけれども、この会議は論点整理に関してどのような役割を果たしていたのか、もう一回、確認させていただきたいんですけれども。

○吉村計画部長 長期戦略の検討に当たりましては、知事及び副知事並びに関係局長から成る庁内検討組織として長期戦略策定会議を、そのもとに部長級の職員から成る幹事会を設置し、具体的な検討を行っております。
 今、お話がありましたとおり、これまで策定会議を二回、幹事会を三回開催しまして、今回の未来の東京への論点を取りまとめたところでございます。
 なお、長期戦略策定会議に有識者は入っておりません。庁内会議でございます。

○鈴木委員 有識者の話はこれから聞こうと思ったんですけど、先にお話をいただいちゃいました。
 要するに、局長のこの策定会議以前に、幹事会で十分話し合いがされたんだろうというふうに思うようにします。
 今、質問する以前に、有識者は一人も入っていないという話を伺いましたけれども、有識者から意見を伺うということは、よく知事がおっしゃっている、高い知見からアドバイスをいただくんだろうというふうにも思うわけですけども、やはりそういうところで一番皆さん方が注意していただかなきゃいけないのは、地域の実情や行政そのものを全て把握していないという有識者がいろんな広い範囲で意見をいっていくことを、どういうふうにこれからの都政に反映していくのかということが何よりも求められるんだろうというふうに思います。
 そうした中で、長期戦略の検討に当たって、会議の場で、知事から、何かこのように検討するように指示があったのか、お伺いいたします。

○吉村計画部長 先ほどのお話ですが、策定会議に有識者は入っておりませんけれども、論点整理の段階で、職員が有識者からもご意見を伺いまして、参考にさせていただいております。
 また、長期計画の策定に当たりまして、知事からは、策定会議の場で、今後、都政を取り巻く厳しい環境が見込まれる中、東京二〇二〇大会を跳躍台として、東京の発展の原動力である人に焦点を当てて、未来を見据えた長期的な視点に立って、東京の進むべき道のりを示す長期戦略を策定するよう指示がございました。
 その検討に当たりましては、バックキャストの視点を取り入れ、二〇四〇年代を念頭に東京の姿を議論し、二〇三〇年の東京の将来像と、それに向けた具体的な政策目標などを設定すること、都民や区市町村、外部有識者など、さまざまな方から幅広く意見を聴取し、政策目標などに反映させることで、東京の総力を結集した計画とするといった基本的な考え方が示されておりまして、本年八月を目途に論点整理を行うことも、この場で指示がございました。

○鈴木委員 今の指示のお話の中で、東京の発展の原動力である人に焦点を当ててと。よく知事がおっしゃっておりますけども、この人に焦点を当てるというのは当たり前の話であって、これをどういうふうに具体的に長期計画に結びつけていくのかという話というのは、なかなか難しい話だろうなというふうに思うんですけれども、最終的にいろんな方々の意見を聞いてということで、八月を目途に論点整理を行う、そういうことだというふうに思います。
 都の事業を所管するいわゆる事業局は、現場の実態とか、区市町村の動向とか、他県との連携など、都の事業を取り巻く状況全般を把握しているというふうに思うんですけれども、都事業の課題、方向性に関して一定の知見を有している事業局、今回の未来の東京への論点の整理に当たり、この事業局との調整というのが大変重要だろうというふうに思うんです。
 これ、またちょっと教えていただきたいのですけれども、政策企画局は、この論点整理に当たって、各局と実際どのような調整を行って、今回の発表になったのか、お伺いいたします。

○吉村計画部長 先ほどご答弁させていただきましたが、長期計画の策定会議につきましては、関係局長は全て入っております。また、そのもとにある幹事会につきましても、各局の部長級の職員、課長級の職員も参加いただいて幹事会を開催しております。
 こうした会議の開催を通じまして計画策定を進めておりますし、また、実際の実務的には、各局とさまざまな意見交換をしながら、内容を現在練り上げているところでございまして、論点整理に当たりましても、こうしたやりとりをさせていただいております。

○鈴木委員 会議の内容の中で--事務局が実際に施策を遂行する際には、都の単独事業でやる場合もあれば、区市町村補助事業というのもあって、その取り組みをどういうふうに後押しするのかということがあるわけですけれども、区市町村補助事業などは、都が直接事業を行うわけではないので、都が施策をコントロールすることはできないんじゃないかなというふうに私たちは思うんですけれども、この長期戦略策定会議の場では、こうした都の単独事業や区市町村補助事業などがあることについて、どのような意見が出ていたのか、お伺いします。

○吉村計画部長 策定会議では、論点整理に向けました検討を行いまして、八月下旬に未来の東京への論点を取りまとめたところでございます。
 この論点では、長期戦略の策定に向けて、これまでの成果や課題を洗い出すとともに、今後起こり得る社会の変化を想定、整理しまして、そうした中でも活力ある東京をつくり上げるために、我々は何をなすべきなのか、議論すべき内容を論点としてお示ししたところでございます。
 今後、この論点をもとに、各局と連携しながら具体的な政策を検討することとしております。

○鈴木委員 先ほどの幹事会という中で、そういった話があるんだと思うんですけれども、事業局では、多分、その局によって、施策のやり方というのが全く違うという部分が私はあるんだというふうに思います。
 と申しますのも、どちらかというと福祉保健局なんかは、区市町村の事業に対して、包括的にどういうふうにやっていったらいいのか。例えば、保育だとか、障害者に対するものとか、高齢者とか、いろいろあるというふうに思います。実際に、建設局とか都市整備局とか、そういった現場がある局というのは、またそれなりに進め方も違う中で、それをこれからバックキャストという--どちらかというと、今まで、よくいう思考法の中で演繹法と帰納法がありますけれども、帰納法みたいな形で、目標を持って、こちらに計画設定をしていくやり方という部分で、なじまないところもあるのかなというふうにも思うんです。
 この未来の東京への論点の取りまとめの手法について、知事から、バックキャストの視点も取り入れて将来の姿を議論するようにと、先ほど、指示があったという話がありました。
 よくいわれるバックキャストの視点というのは、例えばSDGsや地球温暖化のように、ある意味、地球規模の課題解決のために目標設定をしていかないと地球そのものがもうなくなってしまう、そのような危機感の中で、よくバックキャストというものを国際会議の場で手法として取り上げて目標設定するというのがあるんですけれども、全ての分野にこのバックキャストの視点をとるという意味というのは、政策企画局はどのように感じているのか、お伺いいたします。

○吉村計画部長 中長期的な視点で東京の未来の姿を描くためには、今後起こり得ます変化、変革を可能な限り想定した上で、課題を克服した理想の姿を考えていく必要がございます。
 このため、バックキャストの視点から二〇四〇年代の理想的な未来像を提示し、その姿の実現に向けて今後取り組むべき十年間の政策目標や施策を検討することとしております。
 これまで行ってきております施策の到達点や課題を整理しまして、さらに展開していくという観点からも検討してまいりますけれども、目指すべき理想の姿を掲げることによりまして、こうした十年間の施策につきましても、取り組みを加速させることができると認識してございます。

○鈴木委員 繰り返しになるんですけれども、バックキャストでやった方がいいものと、フォアキャストの方がいいものというのは、ケース・バイ・ケースで考えていく必要があるんだというふうに私は思います。
 この未来の東京への論点で、都は二〇四〇年のイメージを幾つか示しております。子育て対策だけで、合計特殊出生率が二・〇七%になってしまうとか、待機児童という言葉は死語になっているとか、先ほどもこの話はありましたけれども、車は空を飛び、出社は週に一回になっているとか、災害対応についても、これだけ、今、地球温暖化で災害が甚大化している中にもかかわらず、一千三百万を超える方々が暮らす大都市では、災害という言葉自体、もうニュースに挙がらなくなるとか、いろんなイメージが書かれているんですけれども、国内はもとより、これだけ地球温暖化が深刻化している状況の中で、都民にこれがどのように伝わるのかということの発信、このようなイメージがどのように伝わるのかということも、やっぱり慎重に私は考えていく必要があるのではないかなというふうに思います。
 もう一つは、そもそも、地方公共団体である都の長期戦略にバックキャストというのが本当になじむのかというのが、やはりこれから問われてくるのではないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○吉村計画部長 バックキャストとは、過去からの延長線上で対応策を議論するのではなく、将来の危機とその危機を克服する姿を想定した上で、現時点から取り組むべき課題を整理するということでございます。
 大きな変革の時代におきまして、これまでの延長線上の発想では課題の解決は難しいことから、長期的なスパンで議論する場合には、バックキャストは有効な手法だと考えております。

○鈴木委員 有効な手法だと今おっしゃっておりましたけれども、有効か有効じゃないかというのは、これから長期戦略にどのように結びつけられて、実際にその内容をどのように都民の皆様にご理解いただくような形で発信していけるのかということだというふうに私は思っております。
 今回、私が思うには、このバックキャストの視点でまとめたものの中で、やはり現実から乖離した論点というのが幾つかあるというのは、今もこの委員会の中で挙げられていたのですけれども、今後どのように二十年でイメージに追いつけるのかということが大事だというふうに思いますけれども、長期戦略の中で、これをどのように計画として落としていくのか、お伺いいたします。

○吉村計画部長 二〇四〇年代を想定しました東京の姿、これは直ちに実現することが難しいと思われるイメージも含まれておりますが、目指すべき東京の姿を都民と共有し、その実現に向けた大胆な取り組みを進めることが重要だと考えております。
 今後、幅広い方からさまざまなご意見をいただきながら議論を重ねまして、目指すべき未来の東京の姿を可能な限りわかりやすく示すとともに、その実現に向けて十年間で取り組むべき政策を関係局と練り上げ、長期戦略を取りまとめてまいります。

○鈴木委員 どういうイメージを持ってやるかというのは自由なので、ぜひ今おっしゃったことをしっかりと都民にご理解いただけるような形にしていかなくてはいけないということを指摘しておきますけれども、もう一つは、大事な部分というのは、大都市行政の立ち位置、役割、責任について言及がないので、こうした立ち位置を無視した議論というのが、ある意味、混乱をさせてしまうんじゃないかなというふうに私は思います。
 これまで、地方自治法の改正とか、そしてまた都区制度改革においても、どれだけの時間と議論、そして取り組みがあって今日に来たのかというのは、多分、きょう、いらっしゃる職員の皆様はよくご理解いただいているのではないかなというふうに思うんですけれども、この部分というのがしっかりと把握されていなければ、区市町村に対して、東京都は何をいっているんだというような、私は、そういった間違った発信につながっていく危険性があるんだろうというふうに思います。
 現在、いうまでもないんですけれども、平成十一年の地方分権一括法の話の中で、国と地方自治体というのは、上下主従から対等協力になって、機関委任事務という国の既得権に対しても大きく踏み込んで、今どちらかというと、住民主義の行政システムに変わってきているというふうに思います。
 平成二十六年五月の第四次一括法においては、さらに踏み込んで、委員会勧告という方式から、地域の実情や課題で提案募集方式に変えていこうというように、さらに住民に対しての権限を認めて、それを行政が補完していくような、そういった立場にしていくことが理想だろうという形で今取り組みをされているわけですけれども、広域自治体と基礎的自治体に関する地方自治の原則というものを、もう一度、改めて確認させていただきたいというふうに思います。

○吉村計画部長 地方自治の基本といたしまして、住民に身近な行政は、できる限り身近な自治体が担うという近接性の原則と、基礎自治体で処理が困難な場合には、広域自治体や国が補完するという補完性の原則があるというふうに認識してございます。

○鈴木委員 今のお話のように、基礎的自治体優先の原則というのがある中で、こういった原則があるわけですけれども、広域自治体と基礎的自治体というのは対等な立場であるんです。区市町村補助というのは、都がコントロールすることはできません。
 今回の--この都区制度の話もそうですけれども、しかしながら、大都市の一体性というものがまだ残っている中で、清掃移管一つをとっても、二十三区との間では、今でも財調の問題とか、いろんな問題があるわけですけれども、そうしたことを鑑みますと、東京都がやるのは自由ですけれども、全て東京都で完結することができない中で、余りにも現実離れした計画になってしまうと、実際に行う自治体に対して、本当に間違った発信に私はつながってしまわないようにしていかなくてはいけないというふうに思います。
 特に小池知事の場合は、偏在是正措置の問題も、もともと、消費税なんか要らないんだと選挙公約で挙げてみて、消費税の清算基準の見直しで一千億円ぐらい減収につながったとか、いろいろあるわけですけれども、今回のことも、東京都と区市町村との関係の中で、さまざまな不信感につながらないようにしていかなくては私はいけないというふうに思っております。
 都区制度の改革の中で、さまざま歴史があったわけですけれども、実際に、政策企画局が取りまとめる中で、今回の論点というのは違和感がなかったのか、お伺いいたします。

○吉村計画部長 都と区市町村は、対等、また協力する関係にございまして、それぞれの役割と権限に基づきまして、必要な事業を実施しているところでございます。
 住民に身近なサービスの多くは区市町村が実施しておりますが、都は、広域自治体として区市町村の取り組みを後押しするため、補助事業など、さまざまな形の支援をしております。
 いずれにいたしましても、都民サービス向上の観点からも、区市町村と連携して取り組みを進めていくことが重要であると認識しております。

○鈴木委員 今の話ですと、じゃ、今後、都単独事業はいいですけれども、区市町村補助事業というのは、東京都はどういう立ち位置の施策の具体化というものをこの長期計画の中に盛り込んでいくのか、お伺いいたします。

○吉村計画部長 さまざまな政策を展開するに当たりましては、都がみずから行う事業以外にも、区市町村に対する補助事業や、民間の力を活用して実施する事業など、さまざまな事業を組み合わせて取り組んでいるところでございます。
 引き続き、こうした考え方のもとで、各局と連携しながら効果的な政策を練り上げていきたいと考えております。

○鈴木委員 吉村さんにいってもしようがないんですけど、答えになっていないんですよ。
 要するに、やりたくてもやれない自治体、それは財政力だとかさまざまある中で、例えば、今、待機児童対策もそうですよ。待機児童対策というのは、どこの自治体だって、やらなきゃいけないというふうに喫緊の課題として考えている中で、やはり適切な場所がないとか、財政的に、新たに担い手の保育士さんを確保するために困難な状況に陥っているとか、障害者施策に対しても、もっともっと手厚くやりたいと思っても、なかなかできないという状況があるんですけれども、そうしたところに、やはりもっときちっと現実を理解しながら、東京都が寄り添うというのであれば、そこの距離感というものをしっかりと寄り添う方向に持っていくというのが、私は一番やるべきことではないかなというふうに思います。
 計画をつくって、東京都は、こういった大きな計画の中で、みんなついてこいよという話になりかねないのではないかなというふうにも思っているんですけれども、都はどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○吉村計画部長 例えば、今、お話がございました待機児童に関しましては、都の緊急対策によりまして、保育の実施主体であります区市町村におきまして、さまざまな保育サービスの拡充が図られるなど、都と区市町村、そして保育事業者などが協力して取り組みを進めてきた結果、本年四月の待機児童数が四半世紀ぶりの水準まで減少するなどの効果が出ております。
 今後、未来の東京への論点をもとに、幅広い方からさまざまなご意見をお聞きするに当たりましては、都民に、そして住民に最も身近な行政サービスを提供します区市町村からも丁寧にご意見を伺い、政策を練り上げてまいります。

○鈴木委員 現実問題、世田谷区なんかは、積極的に待機児童対策に取り組んでいるというふうな状況が発信されていたわけですけれども、今回は、保育園をつくる場所も大変厳しい中で、待機児童がまた少しふえてしまったというか、そういった状況も今聞かれているわけですけれども、今答えられていることというのは、全く答えになっていないということをぜひ認識していただきたいなというふうに思います。
 ここまで、いろいろ質問させていただいたのですけれども、そもそも、なぜ小池知事がおつくりになる長期戦略というのがこのタイミングで出されるのかということも、やはり腑に落ちない方も大変いらっしゃるのではないかなというふうに思うんですけれども、舛添知事がつくられた長期ビジョン、これが二〇二〇年度で終了すると。要するに、ことし、この論点をまとめて、来年にきちっとした形で長期戦略として発表するわけですけれども、この長期戦略の、残りの期間でどうやって進めていくのかということを改めてお伺いいたします。

○吉村計画部長 今回お示しいたしました未来の東京への論点をもとにいたしまして、都民や都議会の皆様、区市町村、有識者などから幅広くご意見を伺い、目指す東京の姿や、今後十年間で取り組むべき政策の柱、核となる主要な事業を示した長期戦略ビジョンを、年末を目途に策定いたします。
 そして、その長期戦略ビジョンをもとに、来年開催されます東京二〇二〇大会を通じて生み出されるハード、ソフト両面のレガシーなどを反映し、政策目標や具体的な政策をさらに高めた上で長期戦略を取りまとめて、具体的な政策として進めてまいります。

○鈴木委員 もうこの議論をしていても、時間がたつだけで、全く生産性がない話なんですけれども、一番大事な部分というのは、やはり皆さんが都民に対して、公僕として何をするかという中では、ハウツーじゃなくホワイ、要するに、なぜという観点で取り組んでいくことが必要なのではないかなというふうに思います。
 例えば、方針的に、皆さん方が本当にこれでいいのかというふうに思うことも多々あるんだというふうに思うんですけれども、そういったものもしっかりと発信していくということが、やっぱりいい行政をつくっていく一番大きな要素ではないかなというふうに思います。
 今の話を聞いていると、全く説得力もないし、一般の聞いている方は、きっとかみ合っていないというふうに思いますけれども、一番大事な部分というのは、大都市行政というのが何なのかということを、そこの立ち位置、そして、役割、責任をしっかりと踏まえていないと、区市町村の方々がこういったものを見たときに、東京都は一体何をやっているんだという話になるというふうに思います。
 今の都区財調の話も、区市町村、特に特別区の人たちは、もっともっと財源を特別区によこせよという声が大変多いんですよ。それだけ、要するに、住民サービスに対して喫緊の課題がたくさんある中で、その部分に全く手を触れずに、東京都がこれから実際そういったことをやるのに、俺たちのことを考えてくれているのかというような、そうしたことを本当に間違えないように取り組んでいただくことが大事であって、丁寧に進めていただきたいなというふうに私は思います。
 これは一定の方向がまとまったら--よく小池知事が、このパブコメをして記者会見して、いきなり議会に説明ということにならないように、ある程度の方向性がまとまったら、きちっと説明をしていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後五時八分休憩

   午後五時四十分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより都民安全推進本部関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百三十九号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○森山総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の委員会において要求がございました付託議案に対する資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいと思います。
 このうちの1が付託議案に対する要求資料でございます。
 一ページをお開きください。東京都における自転車事故の状況でございます。
 平成二十六年から平成三十年までの自転車事故の発生件数等を掲載してございます。
 以上、ご要求いただきました付託議案に対する要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井(あ)委員 都民ファーストの会、藤井あきらでございます。会派を代表しまして、自転車損害賠償保険の加入義務化を内容とする自転車安全利用条例の改正案について質疑をいたします。
 我が会派はこれまでも、ことしの第一定例会では白戸都議が、第二定例会、そして、今定例会でも代表質問など、さまざまな場面で自転車保険の加入義務化の積極的な検討を求めてまいりました。前回の私の総務委員会の質疑でも、義務化に向けた要望をさせていただいております。
 今回、都が義務化に向けて条例改正案を提出したことを評価いたします。本定例会の我が会派の代表質問では、実効性のある制度改正となるように質問したところでございます。この総務委員会では、代表質問を受けて、今回の改正がより効果のあるものとなるよう、幾つかの点で確認をさせていただきます。
 最初に、改めまして、都は、今回、なぜ自転車損害賠償保険加入を義務化することとしたのか、改正の背景をお伺いします。

○高野治安対策担当部長 都は、平成二十五年に東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を新設し、自転車損害賠償保険については加入を努力義務とし、これに基づき、これまで加入の促進を行ってまいりました。
 一方、十年以上にわたり減少を続けてまいりました都内の自転車関連事故件数が、昨年、一昨年と増加に転じております。
 また、国から、本年二月、都道府県、政令市に対し、技術的助言として、加入義務化の内容を含む加入促進に向けた標準条例が示されました。
 こうした状況を踏まえまして、都におきましても、本年五月に専門家会議を設置し、加入義務化に関する議論を行っております。
 この有識者会議の報告や第二回都議会定例会での議論も踏まえまして、このたび自転車損害賠償保険の加入義務化に向けた条例案を提出したところでございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
 ちょうど、いただいた資料を見ても、確かに平成二十九年、そして平成三十年と発生件数がふえていて、さらに、いずれも一万件を超えているということで、やはりその数は非常に多いものがあるなと、背景的な部分を理解することができました。
 先ほど専門家会議というご答弁がございましたが、その会議では、保険加入の義務化についてどのような意見が出たのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 専門家会議では、保険加入の義務化につきまして、自転車事故の被害者は加害者を選ぶことはできない、自転車損害賠償保険等への加入を義務づけることにより安定した賠償の確保が図られる、また、自転車利用に伴う損害賠償保険は、自転車専用の保険以外にも、自動車保険、火災保険などの特約で附帯した保険などに含まれているケースが少なくなく、どのような保険が自転車事故に伴う損害をカバーしているのかを都民に伝えることが大切であるなどの意見が出されたところでございます。

○藤井(あ)委員 保険加入の義務化と聞きますと、自転車専用の保険として販売されている保険に加入しなくてはいけないと、都民が勘違いをしてしまうこともあり得るかと思います。
 先ほどご答弁がありましたとおり、自転車保険の場合、車と違い、対象者の把握が難しく、また、経済的に余力の乏しい人でも負担なく加入できる保険商品を幅広くそろえる必要があるなど、普及に向けたさまざまな課題がございます。
 そして、ちょうど目前にも消費税増税がふえた中で、都民生活の負担にはなるべくならないようにすべきであると考えております。
 現在販売されております自転車損害賠償保険にはどのような種類があり、保険内容や保険料がどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○高野治安対策担当部長 今回の条例改正案で義務化となる保険は、自転車事故で相手方を負傷等させた場合の損害を賠償するための保険でございます。
 自転車損害賠償保険には、自転車専用の保険や、自動車保険、火災保険、傷害保険などの特約で附帯した保険、また、自転車安全整備士が自転車の点検整備を行うことでTSマークというシールが張られますが、このTSマークにも保険が附帯をしております。
 なお、都は昨年度から、自転車の点検整備とあわせまして、TSマークが張られた保険が附帯する自転車安全利用区市町村補助制度を開始しております。
 保険料についてでございますが、月額百円程度のものから年額五千円程度といったもの、また、給付内容につきましても、賠償額約一千万円から約三億円といったものがございます。さらに、弁護士による訴訟費用が給付対象となるものなど、多種多様でございます。
 今後、条例改正の内容や保険に関する情報を広く都民に発信いたしまして加入の促進を図るとともに、保険に入っているかどうかを判別できるチェックシートを作成し、二重加入の防止にも努めてまいります。

○藤井(あ)委員 今ご説明いただきましたところで、自動車保険であったり火災保険などの賠償特約に附帯するものや、TSマークというものに附帯するもの、そういった附帯するものもそれなりにあるというお話、そして、金額については、月額百円程度のものから年額五千円といったようなもの、幅広くあるということがわかりました。
 特に、保険への二重加入を防ぐという意味でも、どういった保険に入ればよいかを都民に対して明らかにしていく、明示していくことが重要かと思います。二重加入で過度な負担となってはいけませんし、クレジットカードの附帯保険などで月数百円ほどで加入できるものも、調べたところ、あったのは見ております。
 条例制定とともに、情報発信に努めていただきますよう要望をいたします。
 一方、保険の種類や内容は多様なので、行政サイドだけでは情報に苦慮する面もあるのではないかと考えます。
 今回の我が会派の代表質問では、高齢者の自転車保険の加入に関するところにおいて、小池知事は、官民の連携により、保険の補償内容や保険料など、さまざまな保険情報の提供を行い、あわせて、高齢者が加入しやすい内容の保険商品の開発を民間に要請していくというようなご答弁をされておりました。
 これは高齢者向けの保険商品についての答弁でございましたが、条例改正が効果あるものとなっていくには、民間企業と連携した普及啓発なども大切であると考えます。
 この点も踏まえまして、都は、今後どのように加入促進を進めていくのか、お伺いをさせていただきます。

○高野治安対策担当部長 都はこれまで、自転車の安全利用に取り組む民間事業者等と、自転車安全利用サポーターとして協定を締結し、官民の連携により、自転車安全利用に向けた普及啓発などを実施してまいりました。
 今後、今回の条例改正の内容等を都民に広く情報発信し、加入に向けた効果的な普及啓発を図っていくためには、官民連携の取り組みを拡大し、より広い範囲に保険加入の必要性を訴えていく必要がございます。
 このため、自転車安全利用サポーターとなる保険会社を拡大し、官民連携により、保険の補償内容や保険料など、さまざまな保険情報の提供を行ってまいります。
 また、普及啓発イベントや自転車の安全教室の実施に当たっても、民間事業者等と連携し、都民がそれぞれのニーズに合った保険を選択できるよう、情報を幅広く提供してまいります。
 こうした取り組みによりまして、保険加入の促進を図ってまいります。

○藤井(あ)委員 若干繰り返しにはなりますが、先ほどのご答弁の中でも、補償内容であったり金額であったり、幅広くあるということでしたので、どれが自分にとって一番適したものなのかというのをわかりやすく伝えていただければと思います。
 加えて、官民一体となって、都民ニーズに合った保険を選択できるような取り組みを進めて、実効性のある制度改正となるように取り組んでいただきたいと思います。
 こちらを要望させていただきまして、私の質疑を終えさせていただきます。

○古城委員 私からも、第百三十九号議案、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例について質問をいたします。
 まず、これまで都議会公明党が訴えてまいりました自転車損害賠償保険加入の義務化について、都が今回、この義務化に向けた条例の改正案を提出したことについて評価させていただきます。
 本定例会の代表質問では、都条例改正による義務化について、加入促進策を積極的に行うことを求めたところであります。
 この委員会での質疑においては、都から話がありました加入促進策が効果を上げ、保険加入が順調に進むべきである、この観点から質問をさせていただきます。
 まず、本条例改正では、どのような方々を対象に、そして、どのような義務や努力義務が課せられるのか、見解を求めます。

○高野治安対策担当部長 今回の改正では、まず、自転車利用者、保護者、自転車使用事業者、自転車貸付業者について、自転車損害賠償保険への加入を義務といたします。
 また、主な努力義務といたしましては、まず、自転車小売事業者は自転車購入者に、通勤で自転車を使用する従業員のいる事業者は通勤で自転車を使用する従業員に、保険加入の有無について確認する努力義務を定めます。
 また、学校等の設置者に対しましては、自転車を利用する児童生徒及び学生並びにその保護者に、自転車損害賠償保険等に関する情報提供を行う努力義務などを定めております。

○古城委員 義務と努力義務、それぞれ今答弁をしていただいたところですが、義務の対象となるところでいいますと、自転車利用者、それから、保護者、自転車使用事業者、自転車貸付業者が、条例上、義務の対象者として四つ規定をされるわけですけれども、これら四つの対象者で都内の全ての自転車利用者が義務の対象となるのか、見解を求めます。

○高野治安対策担当部長 義務化の対象となります自転車利用者、保護者、自転車使用事業者、自転車貸付業者の四つの対象で、都内での自転車利用者の全てが義務化の対象となります。
 保護者につきましては、未成年者が契約の主体になれないこと、自転車使用事業者につきましては、個人の保険が業務中の自転車事故をカバーしないこと、自転車貸付業者は、借り受け者が保険に入っていない場合でも保険加入を担保する必要があること、こうしたことから四つの対象者を定めております。

○古城委員 今、義務化の対象となる保護者、それから、自転車使用事業者、自転車貸付業者についても、なぜこれらが規定されるかという点、しっかりカバーをしていく点においては大変意味があるということについて、今、確認をさせていただいたところですけれども、今ご答弁いただいた対象者については、一つは、自転車利用者、保護者という個人を対象とするもの、一方で、自転車使用事業者、それから自転車貸付業者ということで、基本的には法人となるであろう対象者ということに区分ができるわけでございます。
 改正前の条例の規定におきましては、この条例の対象者について、自転車利用者への加入努力義務という言葉に、原則、保護者等も含めて解釈をされています。
 今回、この条例案に示される改正の後は、自転車利用者以外の保護者、そして、自転車使用事業者、自転車貸付業者が明記をされるわけですけれども、これを機に、保険の義務化の周知啓発も、今申し上げた個人である対象者、また、法人である対象者等に区分するなど、効果的な手法で行っていくべきと考えます。
 先ほどの質疑でも保険商品の紹介がありましたけれども、自転車損害賠償保険には、自転車専用のものですとか、また、私も加入しておりますが、自動車保険の賠償特約など、さまざまな種類がございます。どの保険を選ぶべきか、どの保険に入るべきか、この選択に必要となる情報は、個人を対象に周知される内容だと理解をいたします。したがって、今回の義務化の対象ごとの啓発が大変に有効であると考えます。
 そこで、都は今後、この保険の加入をふやし、また、自転車安全利用を一層進めていくためにどのような取り組みを行っていくのか、見解を求めます。

○高野治安対策担当部長 都はこれまで、業界団体や小売業者との連携、民間企業との協定に基づく取り組みなどにより、自転車は車両であるとの認識や保険加入の必要性など、自転車安全利用に向けた普及啓発に努めてまいりました。
 今後、条例改正の内容等を周知するに当たりましては、個人の自転車利用者、法人の自転車利用者など、ご指摘の対象を区分する考え方を踏まえまして、効果の高い普及啓発を行ってまいります。
 まず、個人向けには、都のホームページから保険各社のページへのリンクを設定し、個人が保険情報に接するアクセスルートを拡充いたします。また、交通安全教室での講義内容に、保険加入の必要性や保険料、補償の範囲について情報を盛り込み、加入促進に向け、意識向上を図るなどの普及啓発を行ってまいります。
 また、自転車損害賠償保険には、委員お話しのとおり、自転車専用の保険だけではなく、自動車保険、火災保険、傷害保険などの特約で附帯した保険もございまして、こうした特約も義務の要件を満たすということも周知してまいります。
 法人向けにつきましては、都が企業向けに実施をしております自転車安全利用TOKYOセミナーの講義に保険の必要性を啓発する内容を盛り込むなど、対象者ごとに効果を勘案した普及啓発を実施してまいります。
 こうした取り組みによりまして、積極的に加入促進に努めるとともに、自転車の安全利用を推進してまいります。

○古城委員 自転車は、いうまでもなく、経済性にすぐれ、また環境にも優しく、健康増進にも役立つすぐれた移動手段であります。交通手段としての自転車の活用の促進を図るためには、何よりも安全性への配慮が重要です。
 しかし、依然として交通ルールを守らない危険な自転車運転が後を絶たず、自転車利用者の増加とともに、事故数も、先ほどの要求資料にもありましたけれども、増加傾向も見てとれる状況でございます。
 そうした中で、今般の自転車損害賠償保険の義務化が、交通ルールの遵守と安全な運転の徹底とともに、事故発生の低減に資することを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○とくとめ委員 それでは、発言を、質問させてもらいます。
 要求資料をありがとうございました。
 付託議案の百三十九号議案、自転車損害賠償保険の加入義務化を内容とする自転車安全利用条例の改正案については、都内における自転車事故の増加傾向、これは資料にあるとおりですけれども、こういうもとで発生した重大事故によって、多額の損害賠償の支払いを求める事故が全国で発生しており、東京でも、こうした事故の発生は、あってはいけないけれども、決して例外ではないと思われるだけに重要だと思います。
 私も、二十年以上、自転車愛好者として、通勤を初め、仕事の移動手段として自転車を活用しており、もしものときのために損害賠償保険に加入しております。
 こうした体験からも、今回の自転車損害賠償保険への加入義務化は重要であり、我が党としても賛成の立場であります。このことを明確にした上で、この改正案の内容とその具体化にかかわって、より自転車の活用拡大、安心・安全の利用を促進、徹底させる立場から、幾つかの質問とともに、要望と意見について発言いたします。
 まず、自転車利用者などの損害賠償保険への加入促進に向けた宣伝、普及啓発は、都としてはどのようなことをやって、全都民的な自転車利用者に保険加入を広げていくことになるのでしょうか。

○高野治安対策担当部長 都はこれまで、業界団体や自転車販売店との連携、民間企業との協定に基づく取り組みなどにより、保険加入の必要性や自転車安全利用に向けた普及啓発などを実施してまいりました。
 今後、改正の趣旨や内容を記しましたリーフレットを作成、配布するとともに、ホームページや広報紙を活用して周知を図ってまいります。

○とくとめ委員 さまざまな団体、組織、業界、民間企業との連携の中で普及啓発を行うということでした。
 従来、連携してきた都立学校などのつながりは、どのような協力を得ることになるのでしょうか。保険加入の促進だけでなくて、自転車の利用促進、安心・安全の促進にとっては不可欠な連携の関係をこれまでも築いてこられたのではないかと思うんですけども、今度の保険加入の促進については、どのような協力を求めておられるのか、お聞きしたいと思います。

○高野治安対策担当部長 都立学校との連携のお話でございますけれども、これまでも連携をいたしまして、自転車の安全利用につきましては、さまざまな取り組みをしてきたところでございますが、今回の自転車保険の加入につきましても、学校等を通じて改正の趣旨、目的等を情報提供しながら啓発をしていきたいなというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

○とくとめ委員 大事な連携のパートナーではないかというふうに思っております。
 それで、損害賠償保険の種類には多様な選択肢があるということは、今もご答弁で幾つか紹介がありました。
 さまざまな経済的な事情のある方々にとって大きな負担になる方がいる中で、自転車保険の加入義務について、都はどのように理解を求めて、どのように普及啓発を行う計画になっているのでしょうか。

○高野治安対策担当部長 自転車損害賠償保険には、自転車専用の保険や、自動車保険、火災保険などの特約で附帯した保険、また、自転車整備士が自転車の点検整備を行うことでTSマークというシールが張られますけれども、このTSマークにも保険が附帯をしております。
 保険料につきましては、月額百円程度のものからございます。
 また、給付内容につきましても、賠償額はさまざま、多種多様でございます。
 今後、民間事業者等とも連携をいたしまして、保険の補償内容や保険料といった情報を幅広く提供いたしまして、都民がそれぞれのニーズに合った保険を選択できるように努めてまいります。

○とくとめ委員 保険加入を自転車利用者の全体に義務づけるというからには、さまざまな経済的な実情があるもとで、過度の負担にならないよう、一人一人の実情やニーズに合った内容で、保険加入の持つメリットなどもよくわかってもらって、丁寧な宣伝、啓発が不可欠だと思います。
 今、答弁でありましたTSマーク、これですけども……(資料を示す)、自転車業者は、これはこれで有効だけれども、これが継続できるかどうかを大変心配しておられました。一回もらって、それでもう大丈夫だと思って保険が継続しない、そういうことがあり得るので、これは一つ問題だというようなこともいっておられました。
 そこでまた、自治体としてこれを促進されるわけで、間違っても、保険加入の促進が保険の勧誘活動、利益誘導ではないかと誤解されるようなことがないよう、保険加入を促進する本来の目的の周知徹底とともに、自転車の本来の安全利用そのものについても、セットで一体になって普及啓発を進めていくことが不可欠ではないかということを強く要望しておきたいと思います。
 質問ですけれども、大手の保険業界などと東京都が連携した自転車の安全・安心の促進に係る取り組みの中に、保険加入の促進をセットでチラシで紹介されておりますけれども、その取り組みの実態というのはどのようになっておるのでしょうか。

○高野治安対策担当部長 都におきましては、これまでも、先ほど申し上げました自転車サポーター制度の中で保険会社とも協定を結び、自転車のルール、マナーの向上に向けた啓発用の確認書などを自転車の小売店を通じまして配布させていただいているところでございまして、委員のご指摘のような保険の販売といったようなことではなく、あくまで自転車の安全利用に企業としてご協力をいただいているものと考えております。

○とくとめ委員 民間業者の社会的な貢献として、東京都という自治体と連携して、いろんな自転車の安心・安全の確保のために努力をされていることはよくわかっているんですけども、実は、これは東京都が出している自転車にかかわるチラシなんですね。
 ところが、これは、ここにau損保というのが入っているんですよね。聞きましたら、三十万ぐらいつくってもらっているというのですけども、うがった見方をしないで、そのまま見ればそうなんですけども、今度の条例の改定に伴って損害賠償保険の促進ということが強調される中で、東京都がこれと一体になっているんじゃないかというふうに誤解されないような、そこはしっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
 去年の平成三十年一月二十九日に、損保大手の損害保険ジャパン日本興亜株式会社と一般財団法人の全安協という全日本交通安全協会の提携で、自転車の安全通行のためにいろんな取り組みをするということで協定をされているんですが、この中身の(3)番目に、都民の保険加入促進につながる保険商品の提供というのがあるんですね。
 決してこれが何か不正だとか、そういうふうにうがった見方をする方がおかしいかもしれませんけれども、いろんな団体や組合でそういう共済組合などをやっている方々からすると、東京都が応援しているのではないかという、そういう心配の声も寄せられておりますので、ぜひそういうことがないように、今後とも同様に、大小にかかわりなく、民間企業と連携していくということでした。
 そういう点では、実際に誤解を招くような連携の仕方や活動の仕方がないように、ぜひ気をつけていただきたいと思います。やっぱり、自転車の安心・安全の促進の活動と保険の加入促進、勧誘活動が誤解が生まれないようにしていくことも大事ではないかというふうに思います。
 質問としては、大中小の保険業界、共済団体が、自転車の安全利用だけでなくて、加入促進を目指して取り組みが強まる中で、やはり特定の大手保険業界を特別扱いにするような動きというのは戒めるべきだし、保険業界の大中小にかかわらず、東京都が公平公正に、平等に対応していただくということをぜひ貫いていただきたいと思います。
 質問では、宣伝物への大手損保等、保険会社の登場、先ほど紹介したものがあるんですけども、特に小さい団体、組合などの共済保険に取り組んでいるところからは、自治体である東京と一体になった大手の取り組みのあり方についても心配の声が上がっておりますので、今後、本格的な取り組みを進める上で、どのように対応されていくのかについてお尋ねいたします。

○高野治安対策担当部長 都はこれまでも、大小にかかわらず、民間企業と連携をいたしまして、自転車の安全利用を推進してまいりました。
 今後とも、同様に連携をいたしまして、加入の促進に努めてまいります。

○とくとめ委員 これまで同様に、大小にかかわらず民間企業等と、企業だけではなくて等という言葉が入っておりましたので、連携して自転車の安全利用促進をしていただけるということでした。ぜひ連携を強めると同時に、内容のあり方についても、要望したような方向で取り組みを強めていただきたいと思います。
 中小の団体、組織の共済組合、多くの中小自転車の販売業者といえども、自転車利用者全員の保険加入の取り組みの促進だけではなくて、やっぱり自転車の安全利用の促進にとっても、なくてはならない東京都の連携パートナーだと思います。
 保険加入の取り組みに当たっては、自治体としての東京都の取り組みが公平に、公正に促進されることを強く求めておきたいと思います。
 最後に、自転車利用者の保険加入義務化の促進は、自転車事故の最悪の場合の事後対策としては極めて重要ですけれども、本来、最も重要なことは、自転車の利用者、愛好者が事故を起こさないような、予防対策の抜本的な強化で事故を最小限にすることが重要ではないかというふうに思います。
 自転車事故の増加傾向のもとで、事故の予防、根絶に向けた対策強化とともに、損害賠償保険への加入促進を一体にして強化することが重要だと思いますけれども、どのように位置づけて対応されていくのでしょうか、お答えください。

○高野治安対策担当部長 都はこれまでも、自転車の安全利用に向けまして、リーフレットの配布や自転車月間におけるイベントなどにより普及啓発を行うとともに、シミュレーターを活用した自転車安全利用教室などにおきましても、ルール、マナーの向上を働きかけてまいりました。
 今後、保険加入の促進に向けた情報を発信する中でも、自転車に安全に乗る意識を高める取り組みなどを行いまして、条例の趣旨でございます、社会全体での自転車安全利用を実現してまいりたいと考えております。

○とくとめ委員 最後に、意見、要望を発言させていただきます。
 今回の条例の一部改定は、あくまでも、自転車事故発生の状況を踏まえると、事故が起きてしまった場合の事後対策としての損害賠償保険への加入促進だと思います。しかし、自転車の安全利用、交通安全の確保は、これだけでは十分ではありません。
 実際に、東京の自転車の損害賠償保険加入者は、モニター調査によれば、既に五割を超えています。にもかかわらず、自転車の事故が増加傾向にあるという事態をリアルに見ておく必要があるんじゃないかと思います。
 損害賠償保険への加入促進と一体に、事故の発生を最小限にする予防対策である、自転車の安全利用に向けた普及啓発による利用者の意識改革ですね、ソフト面だと思いますけども、同時に、自転車の安全利用のための自転車の走行空間の安全性、快適性に向けた環境改善は、絶対に不可欠だと思います。
 私も何十年もやって、年間一万キロぐらい自転車で走っていますけども、車道の左側を走れといわれるのはよくわかりますけども、ほとんど走っていません。勇気が要ります、リスクがあります。やっぱり自転車が安全に走れる空間がないんですね、ルールだけでいわれても。ですから、やっぱりソフト分野とハードの分野の両面からの対策が不可欠であるということを強調したいと思います。
 そういう点では、今回の改定の大もとになっている条例そのものの全体の具体化実践と、もう一つは、ここに持ってまいりましたけど、ことし三月の東京都自転車活用推進計画、よく読むと、本当にこれはすばらしいなと。こういうことをしっかり、東京都でも、都民安全推進本部を中心にして警視庁や建設局や都市整備局などが局横断的に取り組みをやっていただければ、本当にすばらしい事態になるのではないかというふうに思います。
 そういう意味では、今回の保険の加入義務を一面的に進めるのではなくて、これをきっかけにして利用者の自覚が高まり、そして、ソフトの分野でも意識を改革する。同時に、皆さん方、担当者の方々のハードの分野での本気になった改定をしていかなければ、これは事故はなくならないと、私は自分で実感をします。本当に自転車が安全に走れる空間が必ずしも確保されていない。それは実際に走ってみるとわかると思います。
 そういう意味では、東京都の方は、担当者の方は、ことし三月の自転車活用推進計画は三年後に見直すといっておられますけど、三年後まで事故があってもしょうがないというわけにはいかないわけで、今度の取り組みと並行して、この計画されている中身を実践しながら、三年後にはもっといい中身に変わっていくようにしていただいて、事故そのものがこの取り組みを通じて減っていった、自転車の利用者の自覚も、ソフトでも、それから、ハードの分野でも、皆さん方の取り組みが前進をしたというふうになるように、ぜひ力を入れていただきたいということを強く要望して、質問を終わります。

○藤井(と)委員 まず、そもそも東京都における自転車保険の加入率について把握されていらっしゃいましたら、お答えをいただきたいと思います。

○高野治安対策担当部長 都が昨年実施をいたしました都政モニターアンケートによりますと、都における自転車損害賠償保険の加入率は五三・五%となっております。

○藤井(と)委員 ありがとうございます。約半数の方が加入されているということでございますが、先ほど来、ご議論がございましたとおり、そもそも対象となる自転車が何台あって、そして、それはどういった状況にあるのかということを把握するのもなかなか厳しいというか、難しいという話でございます。
 今回、義務化をするということでございますので、義務化をする以上は一〇〇%を目指していかなきゃいけないという性質のものだと思いますので、そういったデータ面のことについても、今後とも、しっかり研究というか検討して、把握する方法をしっかり考えていただければなというふうに思います。
 今回の条例改正で義務化をうたうということでございます。自転車と自動車でよく比較されると思うんですが、自動車は、自賠責保険で紛れもなく義務でございまして、加入をしていなければ罰則はありますし、加入していないと、そもそも車を持てないという制度でございます。車検制度ともリンクしていますので、保険加入を担保するという仕組みもあるわけでございます。
 自転車に関しては、加入を義務といっても、加入していないからということで罰則があるわけでもないですし、保険に入らないから買えないという性質でもないと思います。
 今回、義務化を標榜されているわけでございまして、この義務化を標榜する以上は、自動車の自賠責に近い形を目指していくということなのか、これはあくまでも啓発というか、お願いベースの話にならざるを得ないのか、ちょっと曖昧な点もあるのかなというふうに思うわけでございますけれども、この点については、都の今回の趣旨というか、その点についての見解を伺いたいと思います。

○高野治安対策担当部長 都における自転車事故の現状や専門家会議の意見、都議会での議論、国の動向などを踏まえまして、自転車損害賠償保険の加入を義務化する条例の改正案を本定例会に提出したところでございます。
 今後は、改正の趣旨や内容を周知するリーフレットを作成し、保険加入の重要性を啓発するとともに、ホームページの発信、広報紙への掲載など、広くさまざまな広報媒体を活用し、積極的に周知を図ってまいります。
 また、民間事業者等とも連携をいたしまして、都民がそれぞれのニーズに合った保険を選択し、加入できるよう、保険情報の提供を進めてまいります。
 まずは、こうした取り組みによりまして、加入率の向上を図ってまいります。

○藤井(と)委員 今回の条例で義務ということをうたっていますけれども、答弁の内容は、どちらかというと周知、啓発という話であったと思います。
 そもそもの国の制度設計が曖昧ですから、都の担当者というか、部として、なかなか悩ましい点もあろうかと思いますので、こういった答弁にならざるを得ない側面があることは承知をしております。この点は、一定、理解をしたいと思います。
 今後、この加入率を向上させるためにどのように取り組んでいくのかという点について質疑を、質問させていただきたいと思うんですけども、これはやはり、特別区なり市町村と連携をしていくということが大切なのかなというふうに思っています。
 具体的に、例えば、私、地元は練馬区なんですけど、練馬区の自転車駐輪場というのは、借りるのはすごい大変でございまして、その自転車駐輪場を契約する際に、保険に必ず入っていただいているということを条件にしてもらえるように、都から区ないしは市町村に働きかけていくというようなことも、かなり有効な手なのかなというふうに思ったりしたのですけども、今後、そういった私の提案も含めて、市区町村に対する働きかけをどのような形で考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

○高野治安対策担当部長 都といたしましては、保険加入の促進に当たり、区市町村との連携は重要であると考えております。
 これまでも、都が作成をいたしましたリーフレットにつきまして、区市町村を通じて配布するなど、区市町村と連携をしながら保険加入を促進してきておりまして、今後とも、区市町村と密接に連携をしながら保険加入の促進を図ってまいります。

○藤井(と)委員 現場、現場で動いておられるのは、やっぱり直接的に住民と接しておられるのは市区町村だと思っていますので、積極的に連携をしていただきたいなというふうに思っています。
 これは最後の質問なんですけども、今回の保険義務化にかかわる効果なり、目指すべき目標についてお伺いしたいと思います。
 東京都が今回義務化するということで、その以前に、他の道府県において義務化を図っている道府県が幾つかあるというふうに仄聞しているわけでございます。
 これはどの程度の効果があったのかについて、把握をされていればお伺いしたいのと、今後、東京都において、保険加入率について、目標なりをしっかり定めて、それに向かって努力をしていく、一定程度の段階で検証していくというプロセスも必要なのかなと思うんですが、この二点についてお伺いをしたいと思います。

○高野治安対策担当部長 自転車損害賠償保険を義務化いたしました府県の加入率の推移につきましては、国が本年一月から三月に開催をいたしました検討会の資料として公表されております。
 先行府県の中でも初期に義務化を行いました京都府は、二〇一八年の調査で加入率が七〇%を超えております。兵庫県も、ほぼ七〇%まで加入率が向上しております。
 今後、都といたしましても、加入の促進に努めまして、加入率の向上を目指してまいります。

○藤井(と)委員 前向きなご答弁をいただいたと思っていますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 先ほど来申し上げました、国の制度設計自体がちょっと曖昧な点があるので、都としても、なかなか対応は難しい点もあろうかと思いますが、加入義務をうたう以上は、やっぱり加入率一〇〇%を目指して取り組んでいただくということが当然の話だと思いますので、ぜひ一生懸命取り組んでいただきたいと思いますし、私たちの会派としても、しっかりと応援したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○山内委員 私からも、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の改正についてお伺いいたします。
 今回の保険の義務化の経過については、先ほど質疑もございましたけれども、私は重要な点だと思いますので、重複いたしますが、質問させていただきます。
 東京都は、今回、自転車損害賠償保険の加入を義務化する条例改正案を提案しておりますが、なぜ今、義務化に向けた条例改正を行うのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 都は、平成二十五年に東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を新設し、自転車損害賠償保険につきましては加入を努力義務とし、これに基づきまして加入の促進を行ってまいりました。
 一方、十年以上にわたり減少を続けてまいりました都内の自転車関連事故件数が、昨年、一昨年と増加に転じております。
 また、国から、本年二月、都道府県、政令市に対し、技術的助言として、加入義務化の内容を含む加入促進に向けた標準条例が示されております。
 こうした状況を踏まえまして、都におきましても、本年五月に専門家会議を設置し、加入義務化に関する議論を行っております。
 この有識者会議の報告や第二回都議会定例会での議論も踏まえまして、このたび自転車損害賠償保険の加入義務化に向けた条例案を提出したところでございます。

○山内委員 五月に設置した専門家会議のことについてお伺いする予定でしたが、重複いたしますので、ここは割愛いたします。
 若い人や生活困窮している人の中には、保険に入っていない人もいます。耳なれない言葉で慌てたり、負担にさせたりしないことが重要だと思います。
 ちょっとくどいようではございますけれども、言葉の解説をさせていただきたいのですが、自転車保険には、自分が自転車で他人を傷つけたときの補償である個人賠償責任補償と、自分が自転車でけがや後遺障害を負ったり、亡くなったりしたときの補償である傷害保険があります。そういうことも知らない人もいらっしゃると思うんですね。だから、本当にこのあたりは丁寧にやっていく必要があるかと思います。
 しかも、日常生活でのさまざまなトラブルで発生した傷害に備える個人賠償責任保険や、自動車保険や火災保険等の特約、学校で加入するPTA保険、傷害保険に附帯するものに既に加入していて、自転車の事故で発生した相手方に対する補償ができる場合は、今回義務化したとしても、改めて自転車損害保険等に加入する必要はないわけです。
 また、自転車を購入するときに、自転車屋さん、自転車安全整備士に自転車の点検整備をしてもらうとついてくる、TSというシールが張られますが、このTSマークにも保険が附帯しています。
 義務化といっても、どんな保険に入ればいいのか、改めて入る必要はないのか、高額なものに加入しなくてはならないのか、戸惑うこともたくさんあるかと思うんです。
 そこで、どのような保険商品があって、どの保険であれば義務化の要件を満たすのかなど、しっかり都民に周知をすべきであると思います。都の見解を伺います。

○高野治安対策担当部長 義務化に向けた条例改正案で義務化となる保険は、自転車事故で相手方を負傷等させた場合の損害を賠償するための保険でございます。
 自転車損害賠償保険は、ご指摘のとおり、自転車専用の保険や、自動車保険、火災保険あるいは傷害保険などの特約で附帯した保険、また、自転車点検整備に附帯するTSマークなど、多様なものがございます。
 保険料も、月額百円程度のものから、年額五千円程度といったものまで多様でございます。
 今後、都は、リーフレット、ホームページ、広報紙だけでなく、自転車安全利用教室や各種の主催イベントなどの場も活用し、改正の趣旨や内容の周知を図ってまいります。
 また、民間事業者等とも連携し、保険の補償内容や保険料といった情報を幅広く提供し、都民がそれぞれのニーズに合った保険を選択できるよう努めてまいります。
 またさらに、都は昨年度から、自転車の点検整備とあわせ、TSマークが貼付され、保険が附帯をいたします自転車安全利用区市町村補助制度を開始しておりまして、その普及も図ってまいります。
 また、繰り返しになりますけれども、チェックシートも作成をいたしまして、二重加入といったことも防いでいきたいというふうに考えております。

○山内委員 TSマークに附帯する自転車損害賠償保険と一般の保険の違いについて教えていただけますでしょうか。

○高野治安対策担当部長 一般に自転車損害賠償保険は、保険に加入した人に対して保険がつくため、加入者の乗る自転車が変わっても、保険金の給付は加入者に基づいて行われます。
 一方で、TSマークに附帯する自転車損害賠償保険は、点検整備を行い、TSマークが張られた自転車に対して保険がつくものでございます。このため、TSマークのついた自転車の所有者であっても、TSマークのついた自転車以外の自転車に乗る場合は保険の対象とはなりません。
 このように、保険加入の面から、TSマークの附帯保険は自転車につくもので、一般の自転車損害賠償保険は加入した人につく保険であるという点が異なっております。

○山内委員 ブレーキやサドルの位置やタイヤやチェーンなど、自転車の定期的な点検というのは、安全に乗るためには重要です。少なくとも一年ごとに自転車の点検整備をすることで附帯する自転車損害賠償保険、いわゆるTSマークを推奨していくことは望ましいのだろうと思っています。
 そこで、TSマークはどういったものなのか、また、TSマークに附帯する保険は条例の義務化の要件を満たすものか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 TSマークとは、自転車安全整備技能検定に合格をした自転車安全整備士が行う自転車点検整備を受けた自転車に貼付されるもので、損害賠償保険と傷害保険が附帯をいたします。
 点検整備を受ける料金でございますが、千円から二千円程度で、附帯保険の有効期間は、点検日から一年間でございます。
 附帯保険は、貼付された自転車につくもので、自転車利用者が誰であっても、貼付された自転車での事故に保険が適用されます。
 また、TSマークに附帯をいたします保険は、今回提案をしております条例改正案の義務化の要件を満たすものでございます。

○山内委員 自転車による事故で相手に負傷等を負わせた場合に、被害に遭った人の救済を確保することは重要です。その一方で、保険の加入義務が、誤解によって、高齢者や生活困窮者等の過度な負担にならないように周知していただきたいと思います。
 また、自転車は、身近で環境や健康にもよい、楽しい乗り物なんです。自転車損害賠償保険の加入義務が自転車活用の妨げになるといったことがないようにするべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○高野治安対策担当部長 自転車損害賠償保険の加入を義務化するに当たりまして、都民に保険内容や加入の窓口などの情報をしっかり周知し、都民が円滑に保険に加入できるようにすることは大切であると考えております。
 今後、都は、都民がニーズに合った保険に加入できるよう、民間事業者等とも協力をして、わかりやすく情報を発信してまいります。
 また、さまざまな年代の方が日ごろから情報収集に使う手段も踏まえまして、情報発信に用いる媒体を選択するなど、都民に正確な情報が伝わるよう努めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、都民の方が保険加入の煩わしさなどから自転車利用を遠ざけることのないように義務化を進めてまいります。

○山内委員 自転車の事故が起こらないように、本来ならば、自転車走行空間の整備やルール、マナーの啓発によって、自転車の安全走行を確保することが何よりだと思います。
 そこで、今回の義務化の提案とあわせて、ルール、マナーの啓発が重要と考えますが、都の見解をお伺いいたしまして、私の質問といたします。

○高野治安対策担当部長 都といたしましても、都民が主体的に保険の必要性を理解し、保険の加入が進んでいくことが望ましい姿であると考えております。
 都はこれまで、小学校等におけるシミュレーターを活用した自転車安全教室や、免許返納者を中心とした高齢者向けの自転車安全教室など、さまざまな年代に向け、ルール、マナーの向上に向けた普及啓発に努めてまいりました。
 今後は、こうした場で、これまで以上に、自転車は法律上の軽車両であることなどの啓発を図り、保険加入も安全利用の一環であるということの理解を促し、保険加入への意識を高め、都民の主体的な保険加入につなげてまいります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○小松委員長 次に、報告事項、東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○森山総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 報告事項に対する要求資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の総務委員会要求資料の目次をごらんください。目次の2が報告事項に対する要求資料でございます。
 二ページをお開きください。東京都再犯防止推進計画パブリックコメントの実施についてでございます。
 計画策定に当たって、庁内関係部署への説明に用いた資料でございます。
 以上で、要求いただきました報告事項に対する要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料も含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井(あ)委員 都民ファーストの会、藤井あきらでございます。会派を代表いたしまして、二件の報告案件について質疑を行います。
 まず最初に、高齢運転者の安全運転支援装置設置の補助制度についてお伺いをいたします。
 高齢運転者による悲惨な事故がたびたび報道されております。謹んで事故に遭われた方々に哀悼の意を表するとともに、お見舞いを申し上げます。
 ことしの四月十九日、豊島区でも、高齢運転者による、二人が死亡、そして六人が重軽傷を負う痛ましい事故が発生いたしました。
 この事故を受けて、我が会派は、四月二十六日、都知事宛てに高齢運転者の交通事故防止対策に関する要望書を提出し、こうした悲惨な事故を二度と起こさないために、関係機関による一層の対策強化を求めてまいりました。
 第二回定例会では、私たちの代表質問に対し、知事から、安全運転支援装置の取りつけ費用に対して九割の補助を実施するとの答弁があり、この制度が開始されることとなりました。
 九割補助という踏み込んだ内容でございますが、まず最初に、この制度の構築に当たっての考え方と今後の展開についてお伺いをいたします。

○高野治安対策担当部長 都は、高齢運転者による交通事故を一件でも減らすため、緊急対策として、安全運転支援装置の購入、設置に対する補助制度を七月に開始いたしました。
 具体的には、都内在住の七十歳以上の高齢運転者が来年の八月三十一日までに装置を設置した場合に、都民の負担が装置の購入、設置に要する経費の一割程度となるよう、制度を構築しております。
 緊急対策といたしまして、予備費を活用し、事業規模といたしましては、都内の自動車保有車両数や七十歳以上の免許保有率、免許返納者の割合、さらに、市場に広く普及をしております装置の価格と設置費用などを考慮し、予算額八・五億円、対象約二万台を見込んでおるところでございます。
 来年八月末以降の展開につきましては、制度の利用の実績状況等も見ながら、今後検討してまいります。
 本制度は、高齢者が自動車を運転する際の、より高い安全性を担保するための施策として始めたものでございまして、運転免許の自主返納の促進ともあわせ、高齢者の交通安全対策を着実に推進してまいります。

○藤井(あ)委員 高齢運転者による悲惨な事故を減らすため、高齢者の交通安全対策を着実に推進するために必要な数字を計算して、効果のある数字、金額を出しているということがわかりました。少しチャレンジングな数字であるとは思いますが、効果を出すという点に重きを置いているということが理解できました。
 補助制度の実施に当たりましては、多くの高齢者にこの補助金を知っていただき、制度の活用につなげていくことが必要になります。
 おとといの私どもの会派の代表質問では、装置の取りつけ推進のために、さまざまな媒体を活用して広報に努めるべきとの質問に対して、さまざまな機会を活用し、継続的に制度の普及啓発に取り組むとのご答弁をいただきました。
 そこで、都としてどのように広報活動を実施しているのか、具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 一人でも多くの都民に本制度を知っていただき、ご利用いただくためには、さまざまな媒体を利用した広報が不可欠でございます。
 このため、都は、制度の概要を記しましたポスター、チラシを作成し、装置の販売、設置を行う取扱事業者の店舗にて配布しております。
 また、相談受け付けの開始に合わせまして、東京都公式ホームページのトップページへのバナーを掲載したほか、SNSでの情報発信、都政広報テレビ番組での職員による制度PRなどを実施しております。
 今後は、高齢者ご本人だけでなく、身近なご家族に制度を知っていただき、利用につなげていくことも重要であると考えております。
 引き続き、多様な機会を通じまして、都民に対し、わかりやすい広報を実施してまいります。

○藤井(あ)委員 本制度の実施に当たりましては、都民に対して装置設置の相談から販売、設置までを一貫して行います取扱事業者の協力が必要不可欠でございます。
 本助成金の発表後、私を含めまして、多くの我が会派の議員の方にも地元事業者等から問い合わせがありました。
 こうした事業者については、制度開始時点では大手の事業者が中心ではございましたが、現在は、地元の地域の整備工場も含めて、さらに対象店舗がふえていると聞いております。
 また、制度開始当初におきましては、装置の需要が急に高まったということもありまして、装置が入手できないというようなお話もございました。
 このため、事業者には、都の制度の趣旨をしっかりとご理解いただいて、都民のニーズに対応して、着実に装置の設置を進めていただくことが欠かせないものと考えております。
 取扱事業者との協力、連携について、都はどのように進めていくのか、見解をお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 取扱事業者は、装置の販売、設置はもとより、装置の機能や適切な使用方法等について高齢者に直接説明を行うなど、本制度において重要な役割を担っております。
 装置につきましては、取扱事業者により種類や在庫状況が異なることから、これらの点も含め、店舗にご相談いただくよう、都民の方々に丁寧にご案内をしております。
 また、都といたしましても、制度の利用の周知に加え、事業者の設置実績を定期的に把握するなど、取扱事業者と密接な連携を図ってまいります。
 今後も、制度の円滑な運営を図り、一件でも痛ましい事故を減らし、都民の安全・安心を確保してまいります。

○藤井(あ)委員 繰り返しになりますが、予算の規模、八・五億円、そして二万台という数字を見ると、かなりチャレンジングなものに見えます。
 継続した家族を含めた都民への広報を通じた助成金の認知の向上、そして事業者との協力を通じて、悲惨な事故を一つでもなくすために取り組んでいただきたいと要望いたします。
 次に、東京都再犯防止計画について質疑をさせていただきます。
 前回の総務委員会では計画案が提示されまして、ここにいらっしゃる各委員の皆様からも、さまざま意見が出されたところでございます。今回の計画は、そういった質疑やパブリックコメントを経て、案がとれて計画となったものと理解をしております。
 この間、私も、当事者の方であったり、当事者を支援している団体の方々から話を聞くことができました。
 当事者の方からご指摘をいただいたのは、本計画に当事者の視点が足りないのではないかといったことでした。これは、パブリックコメントの方にも、一番最初のところに、しっかりと当事者の声を聞き、支援の内容を考えるべきであるという指摘があるかと思います。
 計画策定後、実効性のある施策推進のためには、施策の立案の段階で当事者の意見を反映させることが必要ではないかと思います。都は今後、協議会を立ち上げて関係者の意見を聞いていくとのことでございますが、この協議会にはさまざまな立場の方を呼び、意見を聞くべきであると考えております。
 関係者からの意見の施策への反映について、都の認識をお伺いします。

○高野治安対策担当部長 犯罪をした者等が地域社会の一員として円滑に社会復帰をするためには、その本人が抱える問題や犯罪に至った背景等を踏まえ、その支援策を丁寧に検討することが必要でございます。
 計画に基づき設置をいたします協議会に関しましては、委員構成や任期などについて、現在検討中でございますが、設置後の議論の中で、さまざまな方からのご意見をお聞きすることを考えております。

○藤井(あ)委員 これも当事者の方からお伺いしたお話ですが、知的障害や精神疾患を抱えるがゆえに犯罪を繰り返す方も多いとのことでございます。
 そういった方々は、福祉とつながる機会がなかなか持てず、社会から孤立することで再び犯罪を繰り返してしまう、そういった悪循環に陥っていて、再犯を食いとめるためには、早い段階で福祉につなげることが有効であると考えております。
 再犯防止施策の推進に当たり、福祉との連携をどのように行っていくのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 お話のとおり、犯罪をした者等の中には、刑務所などの出所後、福祉等の支援がないために再び入所してしまうケースも少なくございません。
 このため、計画に基づき設置をする協議会などの場を活用し、福祉との連携のあり方等について関係者のご意見をお聞きし、効果的な施策を検討してまいります。

○藤井(あ)委員 質問は以上になります。
 再犯防止計画について、二点、お伺いさせていただきました。今のご答弁をいただいた中で、今後に関しまして、今後の実施に当たっては、計画に基づき設置する協議会が非常に重要な役割を果たすということがわかりました。
 この協議会に関しまして、当事者や当事者団体を含めたさまざまな方々から意見を聞けるように、都民安全推進本部として、しっかりと予算の確保をしていただきますように要望いたしまして、私からの質疑を終えさせていただきます。どうもありがとうございます。

○中屋委員 私からも、安全運転支援装置設置補助制度について伺いたいと思います。
 都は、機能低下に対応した高齢者の交通安全対策として、運転免許証を自主的に返納いただくように推進してきたところであります。
 この点では、今回の補助制度は、これまでの自主返納に向けた取り組みとは逆行するように見えるわけですが、そこで、これまで進めてきた自主返納と今般開始した補助制度との関連性も含めて、高齢者の交通安全施策の考え方について伺います。

○高野治安対策担当部長 都はこれまで、加齢等により運転に少しでも不安を覚える高齢者に対し、運転免許証の自主返納の周知や呼びかけ、また、返納者等向けの自転車教室の開催などの取り組みを行ってまいりました。
 一方、四月の豊島区における事故など、高齢運転者によるアクセルとブレーキの踏み間違いの事故の発生を受け、日常の足として自動車を利用する高齢者の事故防止に向けた速やかな対策が必要と判断いたしまして、緊急対策として、本年七月、高齢者に対し、踏み間違い等による急加速を抑制することで事故を防止する装置の設置費用を事業者を通じ補助する制度を開始することといたしました。
 これは、高齢者が自動車を運転する際の、より高い安全性を担保するための施策として始めたものでございまして、自主返納など、これまでの取り組みと同様に、高齢者の交通安全の推進に資するものと考えております。
 今後とも、運転をやめる方、続ける方、双方に対応した施策を着実に推進してまいります。

○中屋委員 高齢者交通安全施策の考え方について、今ご答弁いただきました。
 四月の豊島区における高齢者ドライバーによる事故の発生、大変悲しい事故が起きました。これから補助制度が始まった七月までに、わずか三カ月でありました。随分、短期間であったと思いますが、対応いたしました。このスピード感を、短いからと否定するものではないのですけれども、制度の中身自体がしっかりしたものでなければ、私は意味がないというふうに思っています。その視点に立って、制度の詳細について、引き続き伺ってまいりたいというふうに思います。
 今回の対象となるのは、ペダルの踏み間違いによる急加速を抑制する安全運転支援装置とのことであります。対象となる高齢者には、このような装置に今までなじみがなく、装置の仕組みがよくわからないといった方も大変多くおられると思います。
 本制度の運営に当たりまして、補助対象となる事業者をどのように決定しているのか、また、東京都及び高齢者本人が安全運転支援装置の機能をどのように把握、確認する仕組みとなっているのか、伺います。

○高野治安対策担当部長 今回の制度では、補助事業者について、装置の販売、設置を行うことができる設備及び体制を有する店舗を都内で運営していることなどを要件とし、事業者からの申請に基づき、審査、決定をしております。
 その上で、補助事業者になろうとする事業者に、補助の対象として予定する安全運転支援装置について、都に機能や安全性を示す書類を添え、交付申請することを求めております。
 都は、事業者から装置の特徴を詳細に聴取するとともに、装置を設置した車両での実地調査も行い、装置の作動状況を確認するなど、慎重に審査を行っております。
 さらに、今回設置をした装置を適切に利用いただくためには、高齢者ご自身が安全運転支援装置の機能を正確に理解することが必要でございます。
 このため、装置設置に当たっては、高齢者ご本人の来店、申し込みを求め、設置後には、店舗の担当者より、装置の機能と適切な使用方法の説明を直接受けていただくこととしております。

○中屋委員 この補助制度の欠点というか不安というのは何かというと、安全運転装置の国の基準がないということだろうと思うんですね。やはり早期に所管庁へ東京都から働きかけまして安全基準をつくるべきだと、こう思います。
 次に、本制度の開始に当たりまして、都民が一割負担で設置できる期間を、都は来年の八月三十一日までと案内をしております。なぜ八月までとしているのか、その考え方について伺いたい。あわせて、その先の事業継続の見通しについても伺いたいと思います。

○高野治安対策担当部長 本補助制度は、緊急対策という点から、来年の八月三十一日までに装置を設置した者について、都民負担が装置の購入、設置に要する経費の一割程度となるよう構築したものでございます。
 これは、早急に制度を活用していただき、一件でも事故を防いでいきたいという考えと、七月末の相談受け付け開始後、制度を広く都民の方に周知する期間も考慮し、設定したものでございます。
 開始以降、都民の方から多くの相談が装置の販売、設置を行う取扱事業者に寄せられているとの報告を受けておりますが、今後の事業継続につきましては、制度の利用の実績状況等も見ながら検討してまいります。

○中屋委員 これは、補助制度を開始しても、一部の方の利用にとどまっているようでは、制度として実効性に疑問が残ります。運転を続けられる高齢者の方に広く補助金を利用して装置を設置していただかないことには、都民の安全・安心は確保できないというふうに思います。何よりまず、多くの都民に制度を知っていただくことが必要であります。
 そのために、住民と直接接する機会を多く有する区市町村に制度内容を理解していただいて、適宜、住民への情報提供に活用していただくことが重要だと思っています。
 どのように区市町村に対して制度の周知を展開していくのか、伺います。

○高野治安対策担当部長 本制度の推進に当たっては、区市町村と連携し、都民への情報提供を行っていくことが重要でございます。
 このため、都は、制度開始に合わせ、区市町村に対し、本制度の概要を周知するとともに、住民からの問い合わせに活用できますよう、店舗用のチラシのデータの提供を行ったところでございます。
 区市町村におきましても、本制度に関し、広報紙での紹介やホームページのリンクを新たに設けるなど、それぞれ独自の広報につなげていただいているところでございます。
 引き続き、区市町村と連携をし、制度周知に取り組むことで、多くの高齢者に本制度の活用を促していきたいと考えております。

○中屋委員 ここまで、安全運転支援装置の補助制度について答弁をいただいてきたところであります。
 先ほど申し上げましたように、国の安全基準がないということは大変欠点なところだというふうに思いますので、ぜひ働きかけていただきたいというふうに思っております。
 そしてまた、九割補助ということでありますから、これに対して文句をいう人はいないと思うんですよ。ですから、内容をしっかり周知して、そして、それによって安全運転していただいて、高齢者ドライバーの事故が起きないように、そういう周知を徹底していただきたい、こう思っています。
 最後に、このたび都民安全推進本部長に着任されました國枝本部長に対して、この補助制度の意義と今後に向けた決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○國枝都民安全推進本部長 東京には大都市ならではの課題があり、情勢の変化を的確に捉え、迅速かつ機動的に対策を講じていくことが重要と認識しております。
 高齢運転者対策も、時代の変遷とともに発生した新たな難しい課題の一つと考えております。このたび緊急対策として開始した補助制度を多くの方にご利用いただき、都内における高齢運転者による悲しい事故を一件でも少なくしていきたいと考えております。
 こうした新たな取り組みに、これまで進めてきた免許返納の促進などともあわせ、社会全体の安全・安心の一層の確保に向け、全力を尽くしてまいる所存であります。

○古城委員 私からは、東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業について及び東京都再犯防止推進計画について、この順番で質問をさせていただきます。
 まず初めに、東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業について質問をいたします。
 相次ぐ高齢ドライバー事故が社会問題となっていることを踏まえ、都議会公明党は、六月二十七日に、知事に対して、高齢者の自動車運転の安全を確保するための急発進防止装置の装着に関する緊急要望を行いました。
 この中で、生活上、自動車が必須の移動手段となっている高齢者の方々が安心して運転ができるよう、車の急発進防止装置の装着に対する都の補助事業を迅速に実施すること、補助対象年齢をシルバーパスの受給年齢と同様に七十歳以上とすることなどを求めたところです。
 これを受けて、七月に制度の開始が公表されるに至りましたが、制度開始に当たって、対象年齢や開始時期など、都としてどのように検討したのか、見解を求めます。

○高野治安対策担当部長 本制度は、各地で発生をしております高齢ドライバーによる事故を受け、自動車の安全運転を確保するための緊急対策として実施をするものでございます。
 対象年齢は、過去五年の七十歳以上の高齢運転者による踏み間違い事故の死亡、重傷事故の傾向や、免許更新時に高齢者講習の受講が義務づけられていることなどを考慮し、設定をしております。
 また、事故の発生を受け、運転を続けられる高齢者ができるだけ早期に装置を設置できるよう、本年七月から制度を開始したところでございます。
 本制度を通じ、痛ましい事故を一件でも減らし、都民の安全・安心を確保してまいります。

○古城委員 さきの都議会公明党の要望におきましても、装置の装着に当たっては、身近なところでスピーディーに対応できるようにすることを求めていたところであります。
 さて、現在、この装置の販売、設置を取り扱う、設置促進事業に協力をいただいている事業者として、十の事業者が制度の対象となっているとのことであります。
 この対象となる多くの都民の皆様が、それぞれお住まいの居住地の近くで設置できるよう、事業者の拡大の状況について見解を求めます。

○高野治安対策担当部長 七月時点では、小売販売チェーン事業者や自動車メーカー系列のディーラー事業者からの申請を受け、事業者として決定し、公表したところでございます。
 八月には、都内の自動車整備工場を取りまとめております団体等も事業者として追加し、現在、制度の対象となる店舗は、合計約七百店舗となっております。
 また、取扱事業者になるための申請を随時受け付けておりまして、事業者を追加した場合は、当本部のホームページ等でお知らせすることとしております。
 今後とも、対象となる都民の方が利用しやすい補助制度の運営に向けて取り組んでまいります。

○古城委員 ありがとうございます。
 ちょっと済みません、事前にお話をしていなかった点なんですが、もしお答えいただけるのであればと思うんですけれども、今、新たな取り扱っていただく事業者について、追加された際にもホームページで公表されていくという点ですが、私も都民安全推進本部のホームページを拝見して、この事業者がどのように表示をされているか、住所や連絡先などが事業者ごとにまとめられているというのを拝見したところなんですけれども、先ほど、ほかの委員の皆さんからのお話にもあったとおり、都庁のトップページ、また、都民安全推進本部のトップページからわかるということであるのですが、対象となる七十歳以上の高齢者の方が果たしてわかりやすいのかというと、少しわかりにくいのかなというのが正直なところでございます。
 ちょっと確認をしましたところ、取扱事業者の住所や連絡先は、PDFの形式で表示をされているということになると思います。十事業者ごとに、これがクリックをすると表示されるという仕掛け、PDFが開く仕掛けになっているんですが、このPDF、都合で二十一枚あります。七百件が二十一枚に記されています。
 自分の近くにどこかあるかなと調べるときに、なかなか、十回クリックして二十一枚めくって見ていく、PCだとかスマホだとかを見ていくということについては、かなりの労力が、また高齢者の方々にとってはご負担なのかなと思うわけですけれども、よりわかりやすい事業者の周知の仕方、できることならPDFではないやり方等をご検討いただけるでしょうか。この点、もしお答えいただければと思います。

○高野治安対策担当部長 なかなかご案内が、必ずしもわかりやすい形になっておらず、大変申しわけございません。
 ホームページ上といいましょうか、そういったところ、その他の媒体も含めまして、どういった工夫ができるのか、検討してまいりたいと思います。

○古城委員 今申し上げた点も含めまして、今回、制度の対象となる高齢者の方々の多くといっていいのかもしれませんが、新車ではなくて、既に運転されている車に後づけで安全運転支援装置を取りつけるという方が多くいらっしゃるかと思います。
 そこで、今回の制度を最大限都民の安全に資するものとするためにも、高齢者がスムーズにこの制度を利用できることが重要であると考えます。
 制度の利用手続について、都はどのように定めているのか、見解を求めます。

○高野治安対策担当部長 制度の利用の手続方法といたしましては、希望する高齢者の方には、取扱事業者の店舗に直接ご相談をいただくようご案内しておりまして、相談を通じ、装置の機能等をご理解いただいた上で、設置を希望する場合には、予約日に高齢者ご本人が来店をし、申込書等をご提出の上、本人確認を受けていただいております。
 その上で、装置の使用方法の説明を受けていただき、個人負担分の金額を店舗で支払うという流れとなっております。
 この中でも特に、設置に先立って、車に装置が設置可能かどうか、また、要件に合致するかどうかなどの確認が重要なため、まずは店舗にご相談をいただきたいというふうに考えております。

○古城委員 ありがとうございます。居住地の近くに事業者があるかどうかの確認ですとか、また、実際に車に装置が設置可能であるのかどうか、こういった事前の確認、相談も含めて、制度の利用手続が高齢者の皆様にとって過度な負担とならないこととともに、この制度によって痛ましい事故がなくなり、都民の安心・安全がさらに確保されていくことを期待いたします。
 次に、東京都再犯防止推進計画について質問をいたします。
 私は、再犯防止推進計画について、犯罪被害者等の支援とともに、都として全庁一丸でしっかり取り組むべき課題であると考えております。
 こうした考えのもと、第一回、また第二回定例会の総務委員会に続いて、都民安全推進本部のリーダーシップへの期待を込めた三度目の質疑となります。
 私、この三度の委員会質疑に至るまで、昨年以来、都の担当者の皆様と幾度となく意見交換をさせていただきましたけれども、この計画の策定に当たっては大変ご苦労されているということを十分承知しているところでございます。
 さて、七月に起きました京都アニメーション第一スタジオの放火事件の第一報に接し、ショックとともに、心からの憤りを感じました。お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。また、負傷された方々にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い回復をお祈りいたします。
 この事件の被疑者は、犯行の三日前から京都入りし、周到に準備したといいます。被疑者は、家族との交流もなく、コンビニ強盗事件での服役後に、福祉につなぐ国の特別調整の対象になり、約半年間入所した埼玉県内の民間の更生保護施設を出所した後は、住居を転々としていたとの報道がなされています。犯行の四日前には、近隣とのトラブルで、こっちは失うものがないんだとすごむなど、社会から孤立していたと見られます。施設を離れた後に、誰かが彼の状況を理解し、少しでも話を聞いてあげることができなかっただろうかと思いをめぐらせました。
 アメリカの社会学者、トラビス・ハーシの社会的きずな理論では、人は社会とのきずながあることで犯罪を思いとどまり、きずなが弱まると犯罪を犯しやすくなる、このようにいわれております。
 さて、障害者、高齢者が司法と福祉のはざまでなかなか福祉的な支援につながることができない課題については、これまでも本委員会で議論させていただいております。
 福祉の支援がなければ生活をすることができない高齢者、障害者が、福祉支援体制の不備のゆえに福祉の支援が及ばないとするならば、犯罪を繰り返す状況が引き続き続いてしまうということになり、この点については、憲法の理念、またSDGsの視点からも、これらをしっかりと具現化していく必要があると考えております。
 特に刑務所等の矯正施設からの出所時に関する支援として、出口支援がいわれております。一方で、出口支援だけでは不十分で、裁判段階から福祉がかかわっていなければ十分な支援は困難であるという考えから、裁判段階での支援が入り口支援と呼ばれているわけですけれども、この点については、先般も申し上げましたとおり、長崎県の社会福祉法人が大変先駆的な取り組みを行っておられるところでございます。
 しかしながら、例えばですが、検察において入り口支援の対象とならない人や、そもそも警察の段階で微罪処分となる人、また、出口支援の方においても、満期出所者に加えて、仮釈放で保護観察の対象となったけれども、その期間が切れて施設を出なければならない人など、刑事司法の枠組みの外側で、結果的に支援に結びついていない方がまだまだおられるのではないかと思います。
 そこで、これら刑事司法手続の枠組みの外側の人々への支援について、都としてどのように考えているのか、見解を求めます。

○高野治安対策担当部長 犯罪をした者等の社会復帰に当たっては、それらの者が社会において、まずは孤立することのないよう支援することが重要でございます。
 お話の刑事司法手続の枠組みの外側の者につきましては、福祉等の支援が必要な場合にあっても、実際には適切な専門機関等につながっていない方もいると考えられます。
 このため、都は現在、高齢者を対象といたしました高齢者よろず犯罪相談窓口を設置するなどしており、これらを通じまして、入り口や出口等のどの段階においても、相談等を受けとめ、適切な支援につなげることの必要性を認識しております。
 このような取り組みをより幅広く行うことで、犯罪をした者等の地域への円滑な定着も期待できることから、今後、そのあり方を検討してまいります。

○古城委員 福祉などの支援につながることができないゆえに犯罪が繰り返される状況を解消するために、都における取り組みの一層の進展を強く求めます。
 さて、本計画では、少年、若年者に対する対応の一つとして、東京都若者総合相談センター、若ナビαにおいて、非行少年等の社会的自立の後押しを行っていくとされています。
 若ナビαでは、非行少年などが抱えるさまざまな不安や悩みに寄り添い、就労や就学、医療など、適切な支援機関等につないでおり、非常に有効な取り組みとして期待をしているところです。
 あわせて申し上げますと、本委員会でも私が繰り返し提案をしております、若ナビαにおけるSNSを活用した相談も、もし実現したならば、非行少年やその保護者の支援にも資するのではないでしょうか、あえて今回の質疑でも要望させていただきます。
 さて、非行少年等の社会的自立に当たっては、幅広い分野において、それぞれの専門的な知見が必要であり、少年はもとより、その更生に尽力をされておられる保護司の先生など、周囲の方々からの相談も若ナビαで受けとめることで、立ち直り支援の取り組みが一層強化、推進されるものと考えます。
 そこで、非行少年の立ち直り支援の充実に向けた若ナビαの活用について見解を求めます。

○小菅若年支援担当部長 非行少年の立ち直りのためには、さまざまな主体が連携いたしまして、本人の状況に応じた幅広い分野の支援を切れ目なく実施していくことが重要でございます。
 委員お話しのとおり、東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、非行専門の相談員を配置し、非行少年や非行歴を有する若者の相談対応を実施しておりまして、非行少年本人やそのご家族はもとより、その周囲で本人を支えている立場の方々に若ナビαをより一層ご活用いただけるよう、保護司の皆様に対する広報活動に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、東京都の職員と若ナビαの相談員が各地域の更生保護サポートセンターを訪問したり、保護司会の研修や勉強会の講師を務めるなどの機会を通じ、若ナビαの機能の説明や、非行少年に関する意見交換を実施しております。
 こうした地域の支援者の方々との連携強化により、個々の事例にきめ細かく対応することで、就労や就学など、非行少年等の適切な支援に結びつけてまいります。

○古城委員 ただいま、再犯防止につきまして、二点、質問をさせていただきました。
 この計画の目的である、罪を犯した者、人について、地域社会での円滑な社会復帰を支援し、再犯を防止することが、令和の時代、この計画は令和の時代にできましたけれども、この時代だからこそ、麗しい人のきずながさらに強く、さらに広がることによって達せられることを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 再犯防止推進計画について質問します。
 再犯防止推進計画の検討会が行われました。第二回定例会での総務委員会での質疑やパブリックコメントの内容を踏まえての議論をいつ行ったのか、その上で計画がまとめられたのか、確認をします。

○高野治安対策担当部長 東京都再犯防止推進計画の策定に当たりましては、まず、昨年の七月に、関係局や国の機関等で構成する東京都再犯防止推進計画検討会を設置し、四回にわたる開催を通じ議論を行っております。
 ここで作成をされました計画案について、第二回都議会定例会での質疑や、並行して実施をいたしましたパブリックコメントの結果を反映させ、計画として取りまとめ、本年七月に公表したものでございます。

○原委員 つまり、第二回定例会での総務委員会の質疑と、それからパブリックコメントの結果を踏まえての議論というのは、検討会ではやられていないということだと思います。計画案をつくるまでが検討会の仕事だったということなんだと思います。
 これ、間違っていたら訂正していただきたいのですけれども、私は、前回議論したときにも、これからパブリックコメントをやって、そして、それを反映させていくというお話だったので、本来は検討会を--案を取りまとめるだけではなくて、その後も、パブリックコメントの結果も受けて議論して計画にしていくというところまで検討会で行われるのが本来だったのではないかと、私は意見を持っています。
 例えば神奈川県では、再犯防止推進会議で計画を策定して、その後の進行管理も行うということになっているんですね。ですので、私は、今回、パブリックコメントの意見などを踏まえて検討会で議論することがなかったというのは、非常に残念だなと思っています。
 検討会でパブリックコメントの結果の議論をしていないということについては、間違いではないですよね。一応、確認します。

○高野治安対策担当部長 都議会第二回定例会での議論やパブリックコメントでいただいたご意見等につきましては、随時、検討会の委員に意見照会をしておりまして、その上で必要な修正を加え、計画を取りまとめたものでございます。

○原委員 済みません、検討会の任期はいつまでだったのでしょうか。

○高野治安対策担当部長 検討会につきましては、確かに、検討会の案、検討会といいましょうか、推進計画の案をつくるということで検討会を開いておりましたが、パブリックコメントや二定の議論につきましては、当然ながら、検討会の委員には照会をすべきと考えておりましたので、委員に、一応といいましょうか、照会はしておりまして、その上で必要な修正は加え、計画は取りまとめております。
 ですので、あくまで検討会の案をつくるという段階から、その後にはなっているかと思いますけれども、意見照会などはしております。

○原委員 本来は、私の考えでは、検討会がせっかくやられているから、パブリックコメントが終わったら、そのパブコメも受けて検討会でもんで、そして計画にするのがいいのではないかというのが私の意見だということなんですね。
 ただ、ここでやりとりするつもりはなかったのですけれども、確認をしたかったのは、今回は、東京都の検討会の場合は、案をつくるまでが仕事と位置づけていたのではないかというふうに認識していたので、そこを確認したかったんですね。それで、私としては、本来は、そこは残念だったというふうに思っているということは述べておきたいと思います。
 それで、この検討会でパブリックコメントの意見を踏まえて集団的に議論をされていれば、もっと違う取りまとめもあったのではないかという気持ちもありますので、これは意見として伝えておきたいと思います。
 ただ、今後、先ほどお話も出ているように、協議会をつくっていくということになりますから、そこではぜひ、メンバーも改めて検討していただいて、いい形にしていただきたいなというのを最初に述べておきたいと思います。
 それで、再犯防止の一つの鍵は、福祉との連携ということだと私も思っています。
 それで伺いたいのですけれども、検討会では地域生活定着支援センターの聞き取りはしているでしょうか。

○高野治安対策担当部長 東京都再犯防止推進計画検討会には、お話の東京都地域生活定着支援センターを所管しております福祉保健局が参加をしておりまして、計画策定に当たっては、その意見を反映させております。

○原委員 福祉保健局からは出席があって、意見は出ているということなんですが、私は、これも本来はなんですけれども、地域生活定着支援センターのセンター長なり、責任ある方に出ていただく、その方に聞き取りをするというのが、計画をつくる上では大事だったのではないかと意見を持っています。
 福祉保健局のホームページを開いても、ちゃんと地域生活定着支援センターについて説明をしていて、こういうふうに書いてあります。
 高齢または障害のために福祉的な支援を必要とする矯正施設退所予定者及び退所者等に対し、関係機関等と連携、協働しながら、入所中から退所後まで一貫した相談支援を実施することによって、その方の社会復帰及び地域での生活への定着を支援する東京都地域生活定着支援センターを設置していますとあります。
 コーディネート業務やフォローアップ業務、相談支援業務などをやっていて、本当に福祉と連携をするということなどを考えると、ここが一つの鍵を握っていると思うんですね。これは国会でも議論があって、センターへの支援を強めていくということは課題になっていると思います。
 ですので、今回、東京都の計画をつくるに当たって、検討会にもメンバーには特になっていないです。福祉保健局はなっているけれども、センターはなっていなくて、そういう点では、今後やはり--聞き取りのメンバーにもなかったと思います。
 会議録を見せていただいたのですけれども、保護司さんとかいろんな、弁護士さんとかを呼んで話を聞かれていますよね。これ自身はとても重要な取り組みで、内容も充実をしていると私は思って読みましたけれども、しかし、地域生活定着支援センターには聞き取りはしていないんだなと思いました。
 それで、弁護士さんが何度も地域生活定着支援センターについて指摘をしているんですね。厚労省の予算で活動しているこのセンターが、いろいろご苦労があると聞いているというお話や、フォローアップ事業を充実させていくために、国がもっと予算を出すのがベストだけれども、例えば、都の福祉にフォローアップを引き継いでいくシステムがうまくできないか、こういうような提案もされていて、私はやはり、直接ご意見を聞いて、今後--計画は今つくられましたけれども、より具体的な施策を進めていくときには、ぜひ地域生活定着支援センターの意見を聞き取るということは要望しておきたいというふうに思います。
 私もこの間、いろいろな方にお話を伺ってきていて、ある弁護士さんから聞いたのは、やっぱり福祉と結びつかなかったために犯罪を繰り返している、そういう方もいて、本人も、それから周りの人も、障害があるということに気づいていなくて繰り返してしまっているという方のお話を聞きました。
 ある弁護士さんは、まず生活保護を受けましょうということをいったときに、生活保護自体も知らなかったということだったんですね。
 今回の計画は、就労と住居というのが一番最初に項目として上がっていますけれども、まず生活を安定させるということについても、やはりいろんなアドバイス、福祉的なアドバイスが必要なんだというふうに思います。
 それで、次の質問ですけれども、今回、計画にまとめる上で、案の段階から変更した主な点とその理由はどういうものか、教えてください。

○高野治安対策担当部長 計画の策定に当たりましては、本年五月三十一日から六月三十日までの約一カ月間にわたるパブリックコメントを実施しております。
 主に、都民に伝わりにくい表現となっていたものを中心に修正を行っておりますが、例えば薬物依存症に関して、案においては、回復に向けた治療、支援を継続的に受けさせることが必要との記載がございましたが、治療や支援を強制的に受けさせるような表現は不適切であるとの意見をいただきました。
 このため、薬物依存症からの回復には継続的な治療、支援を受けることが重要と修正をしております。

○原委員 今伺ったような、読む人、受け取る方の受けとめ方にも配慮しながら文言等も修正していくというのは、それはそれで私は大事なことだというふうに思います。ただ、大きく変更したところは、恐らくないのかなというふうに思いました。
 それで、私は、この点で二定のときにも指摘をしましたけれども、また、パブリックコメントの意見でもあるのですが、再犯防止を進めるためには、被害者の心情や視点を踏まえることも欠かせないわけです。この点については、どのような工夫がされましたか。

○高野治安対策担当部長 再犯防止施策の推進に当たって、生命を奪われる、身体的、精神的苦痛を負わされる等といった被害にさいなまれる犯罪被害者等が存在することを十分に認識する必要があることはいうまでもございません。
 東京都再犯防止推進計画検討会には、被害者支援を所管する総務局が参加しておりまして、計画策定に当たっては、その意見を反映させております。

○原委員 そういう被害者の気持ちにもきちんと配慮するというか、そのことを受けとめるということはいうまでもないということでしたが、私は、今回の計画で、残念ながら、そこが十分ではないのではないかと意見を持っています。
 再犯防止推進計画に何でも入れ込むということをいっているという意味ではなくて、被害者の方が見たときでも、こういう計画なんだと受けとめられるようなことを私は配慮する必要があると思いますし、国の方針でも、そのことは位置づけられているというふうに思います。
 それで、特に性犯罪については認識が甘いのではないかというふうに思っていまして、国の計画では、性犯罪の問題について、きちんと明記をされています。ところが、東京都の場合には、その部分は、子供に対してのというのはあるのですが、性犯罪全体については、この記述はないというふうに思います。
 ですから、私は、なぜこれを外したのかということをまず伺いたいと思います。

○高野治安対策担当部長 本計画は、罪名にかかわらず、再犯防止に資する取り組みを推進するために策定したものでございまして、ご指摘の犯罪も含め、さまざまな犯罪について再犯を防ぐべく、関係機関等と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

○原委員 もちろん、全てを書き込めるわけでもなく、また、だからといって、書いていないからといって対象でなくはないと。それはもちろんわかるのですが、国の計画では、きちんと性犯罪者に対する専門的処遇ということで位置づけられているんですね。
 だから、私は、やはりこれに倣って、東京都の計画でもしっかりのせて、そういう犯罪を繰り返す人については必要な治療をしなければいけないんだという認識をきちんと東京都が示す。そのことによって、被害者の方も、やはり安心できるというふうに思うんですね。そういう工夫が必要ではないかというふうに思っています。
 犯罪の特性に応じて対応していくというふうに記述をしているわけですので、私は、そのことは今後改善をしていくべきではないかと思います。
 今後、そういうことも含めて鍵になるのが、再犯防止のための協議会ということになると思います。そこで、改めていろんな方からご意見を出していただくということが必要だと思っています。
 継続的に設置をしていくと計画に示されていますけれども、委員構成や任期などはどのように考えていらっしゃいますか。

○高野治安対策担当部長 再犯防止のための協議会につきましては、現在、委員構成や任期などを検討しているところでございまして、設置に向け、引き続き調整を進めてまいります。

○原委員 ぜひよろしくお願いします。
 これもちょっと、神奈川県のを先ほどいいましたけれども、再犯防止推進会議のメンバーを見ましたら、座長は大学の教授になっています。そして、弁護士さんも入っていて、それから、先ほどお話しした地域生活定着支援センターなども入っている。そして、公募市民も入っています。
 私は、このことは、きょうは時間も来ますので要望だけにしますけれども、できるだけ幅広い人たちに参加をしてもらって、先ほどの性犯罪のことなどについても、詳しい弁護士さんなり、そういう方もちゃんと入って、また、子供の問題となれば、やはり教育分野から適切な人が入るなど、人選を本当に十分考えていただいて、よりよい協議会にしていただきたい、このことを要望しまして、質問を終わります。

○山内委員 私からも質問いたします。
 まず、東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業についてお伺いしたいと思います。
 まず、近年の高齢運転者による事故の状況についてお伺いいたします。
 また、今回の補助制度の対象は、今年度中に七十歳以上になる方としていますが、その考え方についてお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 ここ十年の都内の交通事故の発生件数全体を見ますと減少傾向にあり、平成三十年は約三万二千件程度となっております。
 高齢者が運転をする自動車等が原因となる事故の件数も、同様に減少傾向でございますが、その減少割合は、交通事故の発生件数全体に比べ、緩やかとなっております。
 その結果、都内の交通事故に占める高齢運転者の事故割合は増加傾向にございまして、対策の強化が求められているところでございます。
 また、本制度の対象年齢につきましては、七十歳以上の方に対し、免許更新時に高齢者講習の受講が義務づけられていることなどを考慮し、設定しております。

○山内委員 今ご答弁いただきました、高齢者が運転する自動車等が原因になる事故の件数なんですが、警視庁に問い合わせたところ、これは六十五歳以上の高齢者なんですよね、数値としては。だから、そこで、私が七十歳にした理由というのを聞かせていただきました。
 高齢者が運転する自動車事故への対策として、都は今回、踏み間違いによる急加速を抑制する装置を設置する際に、その費用の九割を都が負担する制度を開始いたしました。
 この装置を取りつけることができる車種や設置の費用はどのようになっているのか、改めてお伺いさせていただきます。

○高野治安対策担当部長 対象車種でございますが、現在、国内乗用車メーカー二社が、自社の車に対応した後づけの安全運転支援装置を純正品として製造しているところでございます。
 本制度におきまして補助対象としております取扱事業者には、こうした純正品を取扱事業者と、さまざまな国内乗用車メーカーの車種に対応した汎用品を取扱事業者それぞれがございます。
 このため、都民の方には、設置をする自動車の車種に応じ、事業者を選択していただいております。
 また、装置の購入、設置費用は、事業者や装置の種類により異なりますが、おおむね四万円から十万円程度と把握をしておりまして、ご本人は四千円から一万円程度の負担で取りつけることが可能でございます。

○山内委員 国内乗用車メーカー二社が、現在、自社の車に対応した後づけの安全運転支援装置を純正品として製造しているという話でした。
 今後、他の乗用車メーカーも、同様の装置を開発して販売を開始することが想定されます。報道でも、来年の夏以降、商品化を見込むメーカーがあるとされているところです。
 これも踏まえて、都として制度の継続性、先ほどいろんな質問の中で来年の八月三十一日とありましたけれども、他の乗用車メーカーは来年の夏以降ということがありますので、そごが出てくるかと思います。
 それをメーカーがもっと早くする場合もあるかもしれませんけども、こういったことも踏まえて、都として制度の継続、見直しをどのように考えていくのか、伺います。

○高野治安対策担当部長 早急に制度を活用していただきたいという考えと、七月の相談受け付け開始後、制度を広く都民の方に周知をする期間も考慮いたしまして、来年の八月三十一日までに装置を設置したものについては、都民負担が約一割としているところでございます。
 お話の二社以外の国内乗用車メーカーについては、装置の開発状況を都としても注視してまいりたいと考えております。
 その上で、今後の事業継続については、制度の利用状況などを考慮し、検討してまいりたいと考えております。

○山内委員 七十歳以上の高齢者が対象であることを考えますと、先ほど来、わかりやすいようにというお話がございましたが、高齢者にとって理解しやすい広報であることも重要です。
 そして、対象となる親を持つ子供への広報等も工夫が求められるところです。
 そこで、都はどのように広報に取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 広報に当たりましては、東京都公式ホームページのほか、チラシやポスター等を活用し、制度の周知に当たっております。
 また、インターネットを利用していない方からの電話でのお問い合わせに対しましては、制度の概要をお伝えした上で、必要に応じ、お近くの取扱事業者の店舗をご案内するなどしております。
 今後とも、高齢者ご本人だけでなく、身近なご家族に制度を知っていただき、利用につながるよう、さまざまな機会を通じまして、工夫をいたしまして、わかりやすい広報を実施してまいりたいと考えております。

○山内委員 ちょっとこれも重複する質問で申しわけないのですが、改めて伺わせていただきますが、今回、この補助制度の事業規模としてどう見込んでいるのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 本制度は、高齢運転者による交通事故を一件でも減らし、都民の安全・安心を確保するため、緊急対策として予備費を活用するということとしております。
 事業規模といたしましては、予算額八・五億円、台数約二万台を見込んでいるところでございます。
 予算額の積算に当たりましては、市場に広く普及をしております装置の価格と設置費用を踏まえております。

○山内委員 加齢とともに身体能力とか動体視力が低下して、瞬時に複数の情報を得るのが難しくなるなどして適切な判断や対応ができなくなることは、当然といえば当然で、自然なことです。
 今回の補助制度は、ブレーキとアクセルの踏み間違え事故の対処にはなると思います。その一方で、東京は公共交通が便利であることから、免許を自主返納したり、返納した方にシルバーパスを紹介して公共交通の利用を促していくことで、高齢者の移動の権利というものを確保していくことが重要だと申し述べておきます。
 次に、東京都再犯防止推進計画についてお伺いしたいと思います。
 東京都再犯防止推進計画には、計画案にはなかったコラムが加えられており、被疑者、被告人への入り口支援、刑務所内での出口支援や、支援団体等の活動が掲載されています。
 住居の確保や、就労や就学の支援、保健医療や福祉につなぐことや、弁護士等の専門家の支援など、さまざまな当事者、支援団体等の連携の重要性を改めて認識したところでございます。
 司法福祉分野における弁護士の活動や刑事司法ソーシャルワーカーの活動等について、都はどのように認識し、今後、課題解決していくのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 犯罪者の中には、高齢、障害、生活困窮等の事情により、社会復帰に向けた支援を必要とする者が多く存在しており、都としても課題だと認識をしております。
 弁護士や社会福祉士などの民間の協力者の方々は、相互に連携協力の上、それらの対象者に、それぞれに応じた更生支援計画の策定などを通じ、具体的な支援に取り組んでいるものと承知しております。
 今後設置をいたします協議会等でも、お話を聞きながら進めてまいりたいというふうに考えております。

○山内委員 犯罪や非行をした人の中で、特に女性に、被虐待経験や摂食障害、自傷行動など、みずからを傷つけてしまう行動をとるなど、心も体も傷ついている人が多いとの報告もありました。
 依存症や摂食障害、被虐待経験を有するなど、さまざまな問題を抱えた女性たちに対する支援について、都はどのように認識し、課題解決していくのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 再犯防止のための指導、支援等を効果的に行うためには、関係機関と連携の上、犯罪や非行の内容はもとより、性別等を初めとした対象者それぞれの特性を把握した上で、適切な指導等を選択することが重要でございます。
 お話のさまざまな問題を抱えた女性の立ち直り支援については、計画に基づき設置をいたします協議会等において、都と支援機関等との連携を強化し、必要な取り組みを推進してまいります。

○山内委員 このコラムによりますと、支援団体からは活動費の補助というのが求められております。都の見解をお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 都内では、長きにわたり、各地域の民間支援団体が、犯罪をした者等の支援などに取り組んでくださっており、地域において息の長い支援を行っていく上でも、そうした活動のさらなる推進が望まれます。
 都では、社会を明るくする運動などを通じまして、民間支援団体の活動の促進や広報啓発活動の推進等に取り組んでおりますが、より一層、関係団体や関係機関との連携を強化し、取り組みを進めてまいります。

○山内委員 活動費、運営費など、支援団体からの要望というのは強くあるのですが、予算にかかわることなので、私からは要望とさせていただきます。
 対象者の中には、アルコール、薬物、ギャンブル等依存症回復施設へつながり、回復者と出会って、ピアサポートを知る機会を持つことで回復が信じられるようになったという人も少しずつふえてきたということもございました。
 自分がどのように回復していけるのか描けるピアサポーターという存在は大きいと思います。都のピアサポーターに対する認識について伺います。

○高野治安対策担当部長 お話のとおり、更生保護施設におきましては、依存症から回復し、退所した方が再び施設を訪れ、現に入所している人たちに身近な存在として、プログラムに参加し、立ち直り支援の一助となっている例があると聞いており、再犯防止に当たって重要な存在だと認識をしております。

○山内委員 犯罪は多くの不幸を生み出します。被害者とその家族の苦しみはもちろんですが、加害者の家族もまた困難を強いられます。バッシングや自責の念、仕事をやめざるを得なかったり、引っ越しせざるを得なかったり、経済的、心理的、社会的な困難に直面します。
 不安定な環境に置かれる加害者家族、特に子供。子供には親の犯した罪の責任はありません。加害者の家族を支援することは重要だと思います。
 加害者が出所後、家族のもとに帰る場合には、再犯防止を家族だけに担わせずに、総合的に地域や社会で支援していくことも必要になってまいります。
 そこで、加害者の家族への支援についてお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 犯罪をした者等のご家族は、本人の生活や将来に不安や悩みを感じていても、相談できる相手がいなかったり、相談すること自体がはばかられたりするなどし、社会から孤立してしまうこともあると聞いております。
 都は今年度、高齢者よろず犯罪相談窓口を設置し、犯罪をしてしまう高齢者だけでなく、そのご家族からの電話相談も受け付けております。
 現在、ご家族からも複数の相談をいただいており、専門機関を紹介するなどして、個々の事例に対応しております。
 こうした取り組みを通じまして、ご家族への支援も行ってまいります。

○山内委員 さまざまな支援団体等の活動が、制度や支援についてわからない人を支えています。
 孤立していたり、生活困窮であったり、家族の支援を受けられない人たちが、退所のその日から福祉などのさまざまな支援につながることが重要です。そのためには、どのような支援団体があるのか、情報を得られるようにすることが必要です。
 支援団体等の情報について、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 都内では、多くの民間協力者が安全・安心なまちづくりや再犯防止のために地道に活動しており、犯罪をした者等が地域社会の一員として円滑に社会復帰するためには、これらの情報を効果的に提供していく必要がございます。
 このため、都は現在、東京都若者支援ポータルサイトにおいて、若者が抱えるさまざまな悩み等に対する都内の支援機関、相談窓口を周知しております。
 また、犯罪をした者等の指導、支援内容に応じた専門機関や制度等の情報を整理し、刑事司法機関等に配布することによって、刑務所を出所等した者に対し支援をしてまいります。
 これらにより、出所後、速やかに犯罪をした者等を適切な支援団体等につなぎ、再犯防止を図ってまいります。

○山内委員 退所する方がちゃんと適切な支援団体につながるように、今後とも工夫していただきたいというふうに要望しておきます。
 出所した人への支援の仕組みや支援団体は、まだまだ少ないというふうに聞いております。出所後に支援団体につながることは重要で、今ご答弁がありましたが、今後、専門機関や制度等の情報を整理して支援団体等につなぐということがございました。ぜひ支援団体等のリストアップ等、情報提供を充実させていただきたいと思います。
 さらに、加害者家族の支援ですが、ご答弁の中に、高齢者よろず犯罪相談窓口を設置ということがございました。その設置だけでは、さまざまな家族支援にはつながりません。期間も限られていたかと思います。
 加害者家族は、隠された被害者とされて、海外では支援団体が多い一方で、日本では全国で二団体にとどまるとの指摘があります。こうした団体からも実態を伺うことが重要です。
 今後、区市町村や当事者、支援団体等の協議会を設置するとのことです。実態把握や課題解決に向けて、調査や意見、要望を反映して具体的な再犯防止に取り組んでいただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○とくとめ委員 最後に、報告事項の一つである高齢ドライバーの自動車踏み間違い安全装置への補助制度について、一言、発言をさせていただきます。
 この間の高齢ドライバーによる重大事故に鑑み、この制度が始まったことは大変重要だと考えております。この制度を必要とする多くの人が受けられるよう、啓発を行うことと相談体制を充実させることが重要だと思います。
 多くの人という観点では、来年の八月末までの制度になっているとのことですが、来年八月の段階で七十歳に満たない方は受けられません。また、高齢ドライバーの方がいる事業所なども対象になっておりません。この制度が始まる前に、池袋の事故を見て、自発的に安全装置を取りつけた方へのさかのぼっての対応などを含めて、制度の柔軟な対応を要望しておきます。
 高齢者ドライバーの事故で最も大事なことは、事故そのものをどう減らしていくかということだと思います。
 我が党も、さきの代表質問で提案しましたが、高齢ドライバーの安全運転診断の活用、本人や家族の相談窓口の充実、それから、免許を返納した方への移動支援や移動権の保障など、課題はたくさんありますが、都として、やれることを検討し、実行に移していただくことを強く要望して、意見の表明といたします。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都民安全推進本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時五十八分散会

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