総務委員会速記録第五号

平成三十一年三月十八日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長小松 大祐君
副委員長藤井  一君
副委員長馬場 信男君
理事鈴木 章浩君
理事両角みのる君
理事木村 基成君
古城まさお君
藤井あきら君
山内れい子君
藤井とものり君
森口つかさ君
増田 一郎君
原 のり子君
中屋 文孝君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長遠藤 雅彦君
危機管理監小林  茂君
次長榎本 雅人君
理事情報通信企画部長事務取扱久原 京子君
理事箕輪 泰夫君
総務部長西山 智之君
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
池上 晶子君
調整担当部長小菅 政治君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
伊東みどり君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務小林 忠雄君
都政改革担当部長小笠原雄一君
都政改革担当部長豊田 義博君
情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務山田 則人君
情報政策担当部長沼田 文彦君
情報政策連携担当部長藤原 知朗君
人事部長栗岡 祥一君
労務担当部長木村 健治君
コンプライアンス推進部長主席監察員
政策法務担当部長訟務担当部長兼務
貫井 彩霧君
行政部長野間 達也君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
高崎 秀之君
都区制度担当部長浦崎 秀行君
総合防災部長有金 浩一君
防災計画担当部長西川 泰永君
防災対策担当部長和田 慎一君
物資調整担当部長大澤 洋一君
統計部長熊谷 克三君
人権部長仁田山芳範君
人事委員会事務局局長砥出 欣典君
任用公平部長矢岡 俊樹君
審査担当部長神山 智行君
試験部長田中 宏治君

本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 平成三十一年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 平成三十一年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第二十九号議案 行政不服審査法施行条例の一部を改正する条例
・第三十号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十五号議案 住民基本台帳法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第三十六号議案 住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの都道府県知事保存本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
・第三十七号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
・第三十九号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第四十号議案 東京都防災会議条例の一部を改正する条例
・第四十一号議案 東京都国民保護協議会条例の一部を改正する条例
・第八十五号議案 公立大学法人首都大学東京定款の変更について
・第八十六号議案 公立大学法人首都大学東京中期目標の変更について
・第八十七号議案 包括外部監査契約の締結について
報告事項(質疑)
・二〇二〇改革プラン<(改定)版>(素案)について
・平成三十一年度都区財政調整の概要について
・東京都地域防災計画(火山編)の修正について

○小松委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局及び総務局関係の予算の調査並びに総務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○原委員 それでは、少し伺いたいと思います。
 十一月十五日の総務委員会での質問を前提に伺います。
 障害者を対象にした東京都職員Ⅲ類採用選考についてですが、実際に精神障害や知的障害の方にも対象を広げて実施されていることは本当に重要なことだと思っていますが、残念ながら知的障害の方で合格した方がいらっしゃらないということで、やりとりを前回させていただきました。
 条件が高校卒業程度ということなので、実際にはかなり厳しいということもあり、そうであれば、知的障害の方の障害特性を十分踏まえた形で正規職員として採用できるように工夫をしていくことが必要ではないかという意見を述べて、愛知県の事例なども紹介をしました。また、その後、実際に愛知県に伺って、直接、取り組みを学んできたりしています。
 また、これは所管が違いますけれども、総務局の人事部ではオフィスサポートセンターを開設して、現在、二人の知的障害の方が非常勤職員として仕事をされていたり、また、教育庁でも、サポートオフィス、パレットを設置して、二十二名の障害者の方が非常勤職員として仕事をされています。
 両方とも視察をさせていただきましたけれども、大変大事な取り組みが広がっているということは実感しています。同時に、知的障害の方にも正規雇用の道を開いていく、これをどうするかということが課題だというふうに思っています。そういう中で、改めて今回伺いたいと思います。
 現在の東京都職員Ⅲ類採用選考でも、できるだけの合理的配慮を行って、より多くの障害者の方に、まず受験をしていただくということが重要だと考えています。
 どのように周知に取り組んでいるのか、まず現状を伺います。

○田中試験部長 障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考の実施に当たりましては、選考案内を職員採用専用のホームページを設けて掲示しているほか、都内の高等部を有する盲・ろう・特別支援学校、都内各区市町村、社会福祉協議会、東京障害者職業能力開発校などの関係機関に送付し、周知に努めております。

○原委員 いろいろきめ細かくやられていることというふうに思います。同時に、この職員採用については、東京都としては、さまざまな形でセミナーをやってみたり、フォーラムをやってみたり、いろいろな形でやっていると思っています。例えば、そういう中に、障害者の方々の選考をしているということについても含めて説明するとか、お知らせするとか、そういうことも今後検討したらいいのではないかということをこの場では提案し、要望したいと思います。
 それで、いざ障害者の方が試験を受けるというふうになったときに安心して挑戦できるように、さまざまな合理的配慮をしていくことが重要だと思っています。その点では、障害者の皆さんや関係者の方々のご意見をよく聞いて進めていってほしいと思っています。
 その中で、私は、前回の質問で聴覚障害の方への配慮について質問をしました。この点について、今、進捗状況がどうなのかということを伺いたいと思います。
 グループ討論をするというのが、この試験の中で位置づけられています。このグループ討議をするときに、ヒアリングループが設置をされていることや、また、要約筆記を実施することなどをぜひ取り入れてほしいと思っています。
 前回も要約筆記について聞いていますけれども、その後の検討状況を伺いたいと思います。

○田中試験部長 障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考では、現状でも合理的配慮指針にのっとり、聴覚障害の方への配慮としては、必要に応じて手話、筆談などを導入しております。これまでも聴覚障害の方の合格実績があり、適切に対応していると認識をしております。
 要約筆記やヒアリングループにつきましては、試験の正確性、客観性、公平性等について課題があるため、慎重に判断することが必要であり、今後も国や他団体の動向を注視してまいります。
 要約筆記、ヒアリングループについて、東京都の障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考と要件が類似する、事務職の障害者採用の最近の国、特別区、関東近県などの募集事例を調べましたけれども、要約筆記やヒアリングループを明記して募集している事例はございませんでした。
 また、東京都と同様に手話、筆談が記載されている事例や、知的障害、精神障害のある方を対象にしている事例は少なく、東京都は、障害者採用に対し、先進的、積極的に取り組んでいるというふうに考えてございます。

○原委員 今、直近の状況を調べていただいている中での状況をお話しされました。東京都が先進的にやっている部分もあるということについては、とても評価できる点だと思います。
 同時に、要約筆記やヒアリングループ等について明記をして募集を、試験を行っているというところは、調べた中ではまだないということだというふうに思います。
 これは、明記をして実施していないということですけれども、例えば、試験を受けた方から要望があって、要約筆記をやってほしいというようなことがあった場合に対応されているかどうかということは、今のところ、わかる事例はあるでしょうか。

○田中試験部長 東京都に限らず、各自治体で障害者の方の採用のときに、個別のご相談にいろいろ応じながら対応しているということはあります。
 その詳細につきましては、なかなか個々にわからないところがございます。

○原委員 今後とも国や他団体の動向も注視をしていくということですので、もしできましたら、明記をして要約筆記をやっている例だけではなくて、要望があって要約筆記等を実施しているという、そういう団体があるかどうかも調査をしていただきたいということを、これは要望しておきたいと思います。
 それで、私、どうしても確認しておきたいことがありまして、前回の答弁でも、あと今回の答弁でも同じなんですけど、要約筆記等をやることが試験の正確性、客観性、公平性等に課題があるというふうにおっしゃっているんですね。これはどういう意味なのか、教えてください。

○田中試験部長 現在、グループ討議におきましては、各受験者本人がみずから表現する討議の参加の様子を通して、総合的、多面的に人物を見ております。
 そうした中において、要約筆記につきましては、各受験者の発言を第三者が要約した場合、発言者本人の意図とずれてしまうおそれがあります。また、ヒアリングループにつきましては、万が一、試験中に機器のふぐあいが発生した場合、受験生の公平性を担保できるかなどの懸念がございます。
 試験においては、評価の正確性、客観性、公平性等の確実な確保が重要でありまして、疑義を生じることがないよう、慎重に検討して判断する必要があるということでございます。

○原委員 ヒアリングループについては、機器の故障等でという話もあったんですけれども、大学の試験でも、ヒアリングの試験で機械を使ってやったりしていますので、私はそれはちょっといかがかなと思います。
 ヒアリングループがある部屋を選んで、そこで試験をやるということもできるわけですし、これはぜひ検討していただきたいということと、要約筆記については、要約筆記の意味としては、要約されたものをみんなで見ることも可能ですし、いろいろやり方は工夫できますので、グループで討議をしていくために、誰ひとり取り残されるということがないようにしていかなければいけないということで、ぜひこういうものを取り入れていただきたいと、私は強く希望しています。
 ぜひ関係者や障害のある人たちの声を聞いて、よりよい合理的配慮の行き届いた試験になるようにご努力をお願いしまして、質問は終わりたいと思います。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○小松委員長 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第二十九号議案から第三十七号議案まで、第三十九号議案から第四十一号議案まで、第八十五号議案から第八十七号議案まで及び報告事項、二〇二〇改革プランバージョンアップ改定版(素案)について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○西山総務部長 二月十五日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 資料は五点ございます。
 一ページをごらんください。1、防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度の防災対策予算の執行状況を主な事業別に記載してございます。
 二ページをごらんください。2、都及び監理団体における非常勤職員等数の状況でございます。
 非常勤職員等の人数について、局別、団体別に平成三十年の状況を記載してございます。
 三ページをごらんください。3、都における常勤職員、一般職非常勤職員の主な勤務条件比較でございます。
 都の常勤職員と一般職非常勤職員における任用や給与、報酬、休暇、休業など主な勤務条件の比較を記載してございます。
 四ページをごらんください。4、感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
 感震ブレーカー、すなわち揺れを感知して電気をとめる器具の都内の設置率や、平成三十一年一月一日現在、設置支援制度がある区市町村数を記載しております。
 五ページをごらんください。5、公立大学法人首都大学東京に対する運営費交付金及び施設費補助金当初予算額の推移でございます。
 運営費交付金及び施設費補助金の予算額について、平成二十二年度から三十一年度予算案までの十年間の推移を、運営費交付金につきましては、標準運営費交付金と特定運営費交付金とに分けて記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○森口委員 私からは、総務局所管の平成三十一年度の防災関連の取り組みについて伺ってまいります。
 ことし一月、政府の地震調査委員会によりますと、南海トラフ巨大地震の発生確率が引き上げられ、今後二十年以内に五〇%から最大で六〇%の確率で発生すると発表がされております。首都東京を含めた人的、物的被害想定は、阪神・淡路大震災の十八倍、東日本大震災の約十倍とされておりまして、首都直下地震も含めた大規模自然災害の脅威に対して、日本の政治、経済、行政の中枢でありますこの首都東京が、過去の阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓を生かすとともに、昨今の激甚化している風水害もしっかりと踏まえた防災対策の見直しとその対策の強化を不断に進めていくことは、都民の命を守る最も優先度の高い取り組みの一つであると考えております。
 都は、昨年三月にセーフシティ東京防災プランを新たに策定しております。この計画は、二〇二〇年度を到達目標として、地震や風水害、火山などの自然災害を対象にスピード感ある都の防災対策の取り組みを一層推進し、都民の理解と共感に基づく自助、共助のさらなる進展を目的といたしております。また、年度ごとに進捗管理を行うとしており、今月末には今年度の進捗レポートが報告されるんだろうと認識をいたしております。
 そこでまずは、二〇二〇年度の到達目標に向けた防災対策の進捗状況と、それに対する都の見解を伺います。あわせて、来年度の防災対策の都の方針についても伺ってまいります。

○西川防災計画担当部長 セーフシティ東京防災プランは、都による公助の取り組み等を明らかにするとともに、都民の防災への関心や理解をより深め、実際の行動につなげ、都民と共有することによりまして、都の防災対策を一層加速させるために策定したものでございます。
 都の防災対策の二〇一七年度末の進捗状況といたしましては、公助の分野につきましては、防災拠点となる公共施設の耐震化率が九九%、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率が八四・六%、無電柱化率が四〇%に達するなど、取り組みが着実に進んでおります。
 一方、自助、共助につきましては、三日以上の食料を備蓄している人は六九%に達しておりますけれども、避難場所への経路を確認している人は二一・三%にとどまっております。
 そのため、「東京くらし防災」や東京都防災アプリの作成など、防災知識の普及啓発に一層力を入れて取り組むことが必要となっております。
 来年度の防災対策につきましては、このような状況を踏まえるとともに、昨年九月に実施した防災事業の緊急総点検の結果、特に重点的に推進することといたしましたタイムラインの普及拡大や調節池の加速的な整備、外国人への情報発信強化などの十二分野を中心といたしまして取り組みの充実強化を図ることとしております。

○森口委員 昨年十一月に取りまとめられました都の防災・災害応急対策の見える化改革報告書によりますと、災害の被害を最小限に抑えるには、自助、共助、公助の各主体が平時から災害対応力を高めていくことが必要であるが、行政があらかじめ備えるべき公助については、それぞれの対策ごとに一定の進捗を見せており、ご答弁いただきましたように、取り組みが着実に進んでいるとのことであります。
 一方、自助、共助につきましては、意識啓発の取り組みを継続的に行ってきたが、普及は十分ではなく、緊急総点検の中でも、災害の脅威に対する理解不足から逃げおくれ等の問題が発生をしており、都において自助、共助の一層の推進が必要であると報告がされております。
 都民の防災意識の向上、災害に対する備えなど自助、共助の推進には、昨年三月に都が作成をした東京都防災アプリの普及も有効な取り組みと考えます。アプリということで、これまで防災に関心の低い若い世代も含め、広く都民にリーチができるようになったとともに、都の新たな防災対策や災害情報を迅速に、そして、効率的に都民に直接届けることができるようになったわけでありまして、今後は、本アプリのさらなる普及や、より有効なアプリへと改善し、内容を充実していくことが必要と考えます。
 ダウンロード数は現時点で二十一万件と伺っておりまして、着実に伸びているとのことでありますが、一方で、このアプリが、ダウンロードされた方々に実際にどのように活用されているのか、利用者の声を集めることが重要と考えます。
 災害時に必要な情報を得ることが実際にできたのか、災害への備えとしてこのアプリをどのように活用しているのかなど、利用者の声を集め、より有用なアプリへと改善をしていくことが大変重要と考えますが、都民一人一人の災害対応力の向上に向けて、防災アプリをどのように充実しているのか、来年度の取り組みを伺います。

○有金総合防災部長 東京都防災アプリにつきましては、アプリ自体に登載をしております問い合わせ機能、そういったものや、年一回実施をいたしております都民の防災意識に関するアンケート調査を用いまして、利用者のご意見、ご質問を収集し、その声をアプリの改善に生かす取り組みを行っております。
 来年度は、寄せられたご意見等を踏まえまして、災害情報の多言語による提供、また、発災時にオフラインでも避難ルートが確認できるようにするなど防災マップの拡充、災害モードに限定した容量を軽量化したアプリの作成などコンテンツの充実を図るとともに、洪水、高潮による浸水リスクなどを視覚的に表示できる機能を新たに盛り込み、充実を図ることとしております。
 今後も、都民から寄せられるご意見やご提案を生かし、防災アプリの機能改善に努めてまいります。

○森口委員 ご答弁のように、アプリの操作性の改善とともに、緊急総点検なども踏まえ、風水害の対策の機能を加える、また、外国人向けに多言語機能を強化するなど、スピード感を持って防災アプリの充実に努めていることに大変評価をしたいと思います。
 利用者の声を集め、改善につなげるといった点についてですが、一般的に、アプリの改善で用いられている手法としましては、ユーザーテスト、ABテスト、インタビュー調査などがあるようです。
 今後、アプリの問い合わせ機能や、都民の防災アンケートの一項目として利用者の声を収集するだけではなく、世代ごとにグループインタビューを行うなど、さまざまな手法を検討いただき、利用者の声を一定数量集め、事業評価や予算執行の一つの根拠にすることが必要ではないかというふうに考えております。来年度の要望とさせていただきます。
 防災アプリは、今後も、都としての方針と都民の声の両面が生かされていくことで、さらにすばらしいアプリとして活用されていくことを期待いたしております。
 次の質問に移ります。
 都の防災対策の大きな課題であります都民の自助、共助の推進について、今後、これまでのように、一様に都民に対して防災意識の普及啓発を行うだけではなく、女性、子供、お年寄り、外国人などターゲットを絞った形で普及啓発を行うことが効果的であります。一様に都民に向けた施策とともに、属性で細分化をし、セグメントした施策を打っていくことが重要なのだと思われます。
 都は、自助、共助の推進として、昨年三月に作成をした防災ブックである「東京くらし防災」の活用を推進するため、来年度は、子育て世帯向け、高齢者向け、ペットのいる世帯向けなど、新たに「東京くらし防災」を対象別に一部編集、アレンジし、普及啓発を強化するとのことであります。
 自助、共助の推進には、世代やライフスタイルなど、さまざまな切り口で対象を細分化し、よりきめ細やかな普及啓発の取り組みが必要であります。
 新宿区の取り組みになりますが、来年度新たに、マンション世帯を対象とした区民の自助、共助の推進施策として、それぞれの自主防災組織に対して二十万円までの防災備品の支給を行うとのことであります。
 新宿区は、共同住宅の割合が増加を続けておりまして、区内の住宅の約八割が共同住宅であります。また、二十階建て以上のタワーマンションが現在四十棟ほどありまして、今後も大型マンションの建設が数多く計画がされているなど、防災面においても、戸建てとは異なる対策が必要となっております。
 新宿区は、マンション世帯に対する新たな防災施策により、これまで希薄な住民同士の結束を促し、自助、共助の推進につなげるとのことであります。これは都においても同様で、住宅ストックにおける共同住宅の割合は年々増加を続けていると認識いたしております。
 そこで、都としても、女性、子育て世帯、高齢者、ペットのいる世帯などとともに、マンション世帯を対象とした普及啓発の取り組みも重要と考えるが、都の見解を伺います。

○和田防災対策担当部長 都内の分譲マンションの総戸数は、総世帯の約四分の一に達していることから、集合住宅の特性を踏まえた災害への備えが進むよう、集合住宅の居住者や自主防災組織に対する情報提供は重要であります。
 都はこれまで、防災ブックなどで、高層住宅における救助用資材の分散配置や、管理組合による防災マニュアル作成の必要性につきまして記載するとともに、集合住宅の管理組合などを対象に、マンションの防災対策をテーマといたしまして防災の専門家を派遣するセミナーを実施しており、本年度は六十六団体を対象に実施いたしました。
 セミナーでは、集合住宅の特性を踏まえ、例えば、共用部の配水管の損傷に備えた非常用トイレの備蓄や、エレベーターの停止に備えた食料品等の日常備蓄の重要性、さらに、防災マニュアル作成のポイントや配備すべき防災資機材の例などを説明しております。
 今後、こうしたセミナーに加えまして、東京都防災アプリに新たに集合住宅を対象としたコンテンツを追加するなど、さまざまな手法を用いてマンションの防災対策を対象とした情報を提供し、集合住宅の居住者や自主防災組織による自助、共助の取り組みを支援してまいります。

○森口委員 都として、自主防災組織に対して、マンションの防災対策に関する専門家を派遣し、防災セミナーを開催していくとともに、集合住宅向けの防災対策の情報を、先ほどの東京都防災アプリに新たなコンテンツとして加え、マンション居住者への普及啓発に努めるとのことであります。取り組みに期待をいたしたいと思います。
 次に、外国人や高齢者、障害者など災害時の要配慮者に対する取り組みについて伺ってまいります。
 巨大地震が発生した際には、新宿駅など巨大ターミナル駅周辺において大きな混乱が想定がされております。首都直下地震の際には、都内で九十二万人の行き場ない帰宅困難者が発生するなど、引き続き一時滞在施設の確保が大きな課題であるとともに、鉄道事業者や駅周辺事業者と連携をし、外国人や高齢者、障害者など要配慮者を想定した、より現実に即した形で帰宅困難者対策の訓練を重ねることが大変重要であります。
 そこで、本年一月に実施をしました都と町田市の合同帰宅困難者対策訓練の実績と、今後の帰宅困難者対策の取り組みについて伺います。

○和田防災対策担当部長 都は毎年度、区市との合同による帰宅困難者対策訓練を実施しており、本年度は一月に、多摩地域で初めて、JR、小田急町田駅周辺を会場として実施いたしました。
 今回の訓練では、町田市を初め鉄道事業者や周辺事業者などで構成される町田駅周辺帰宅困難者対策協議会などの関係機関との連携のもと、営業時間中の大規模集客施設における利用者保護、電車の入線時に合わせた駅員による外国人の誘導など、より現実的なシナリオによる訓練を実施いたしました。
 加えて、翻訳機能つきの拡声機や、デジタルサイネージを活用した多言語での情報発信の実証実験などにも取り組んでおります。
 また、地域特性を踏まえた訓練として、町田市と隣接する相模原市と連携し、タクシーを活用した要配慮者の搬送や、都県境と市の区域を越えた民間一時滞在施設への誘導や受け入れ訓練も初めて実施をいたしました。
 今回の訓練で得られた成果や課題を整理し、今後の帰宅困難者対策に結びつけていくことが重要であります。
 そのため、来年度、広く都民や事業者向けに配布をしております東京都帰宅困難者対策ハンドブックを改定し、訓練で活用した「やさしい日本語」の使用例や、要配慮者への支援時の配慮事項などを盛り込み、広く普及させてまいります。
 また、区市町村や駅前滞留者対策協議会構成員向けに開催をしております帰宅困難者対策フォーラムにおきまして、英語、中国語、韓国語など多言語による外国人の誘導方法を具体的に紹介することで、他の地域における取り組みの強化につなげてまいります。

○森口委員 隣接している神奈川県の相模原市と連携をし、要配慮者の搬送や一時滞在施設の誘導、受け入れを行うなど、現実的なシナリオのもと訓練が行われ、今回得られた成果や課題は、ほかの地域における今後の対策強化につなげていくとのことであります。
 こういった訓練も踏まえ、来年度、現在、事業者向けに配布をしている東京都帰宅困難者対策ハンドブックの改定を行い、要配慮者支援の視点が盛り込まれることになります。災害時における外国人、高齢者、障害者など要配慮者に対する支援体制が広がるとともに、一時滞在施設の確保についても、さまざまな取り組みを通じ、しっかりと進めていただきたい旨を要望し、次の質問に移ります。
 都は、災害時における新たな視点として、外国人、女性、そしてオリンピック・パラリンピックをテーマとした防災に関する都民シンポジウムを今年度開催しております。私も外国人のシンポジウムに参加をしましたが、当日の様子やパネルディスカッションで話し合われた内容については東京動画で現在配信をしており、シンポジウムを開催して終わりではなく、開催後も、広く都民に対して貴重なシンポジウムの内容を公開している点もすばらしい取り組みだと感じております。
 来年度も都民参加型の防災シンポジウムを開催することになっておりますが、どのような取り組みになるのか、伺います。

○和田防災対策担当部長 東京二〇二〇大会開催時には、国内外から東京を訪れる方が多数見込まれることから、都内の防災力の強化に向けて都民の防災意識を高める取り組みは重要であります。中でも、防災への取り組みが弱いといわれております子育て世代や外国人に対する普及啓発を進める必要があります。
 そこで、来年度は、区部と多摩のそれぞれで開催するとともに、子育て世代や外国人に対象を広げ、防災の普及啓発を図る都民参加型の防災シンポジウムを実施いたします。
 具体的には、有識者によるシンポジウムや、親子で楽しみながら防災について体験できる取り組み、さらには、外国人がわかりやすく発災時の適切な行動などを学ぶことができる取り組みなどを工夫しながら、子育て世代や外国人も参加しやすい内容のイベントをあわせて実施いたします。
 また、シンポジウムやイベントの内容はホームページに掲載し、都民の防災意識の向上に努めてまいります。

○森口委員 来年度の防災シンポジウムにつきましては、防災への取り組みが比較的弱い子育て世代、外国人を対象とし、座学だけではなく、体験型のブースやイベントもあわせて開催するとのことであります。開催後、ホームページに内容を掲載するとのことでありますが、今年度同様に、動画についても広く都民に公開をいただければと思います。
 都は来年度、この都民参加型の防災シンポジウムに加え、防災に関する国際会議の開催を計画しているとのことであります。
 東京二〇二〇大会のホストシティーとして、東京の防災力、災害対応力を世界に発信するとともに、世界の都市型災害への取り組みとその課題に関する知見を共有する大変重要な機会と考えますが、都市の防災フォーラムTokyoについて、どのような内容になるのか、伺います。あわせて、この国際会議でさまざま話し合われる防災に関する知見を広く都民に還元することが重要と考えるが、見解を伺います。

○小菅調整担当部長 都市の防災フォーラムTokyoは、五月二十日から二十二日に、都市マネジメントにおける災害対策の重要性をテーマとして開催いたします。
 五月二十一日には、国連事務総長特別代表防災担当の水鳥真美氏をモデレーターとして、防災対策に取り組む世界の都市の首長が議論するラウンドテーブルを行います。翌二十二日には、都内の防災に係る施設等の視察を予定しております。
 都民への還元につきましては、本フォーラムの議論の様子を都民の方にも見ていただけるよう、インターネットを通じてライブで映像配信するとともに、後日、東京動画にも掲載いたします。また、会議終了後には、参加都市の首長等の発言内容や議論の概要をまとめた上で東京都のホームページにも掲載し、都民の方々にもごらんいただけるようにいたします。

○森口委員 オリンピック・パラリンピックを一年後に控え、世界有数の災害大国である日本の首都東京における開催であり、世界からの関心や注目が非常に高い会議になると感じております。皆様、総務局の手がける東京のきめ細やかで先進的な防災対策や災害対応力を世界にアピールし、国際社会に貢献をする貴重な機会にしていただきたいと思います。
 最後に、会議の開催を五月に控える中、総務局長の決意を伺い、私からの質問を終わります。

○遠藤総務局長 さまざまな自然災害のリスクに直面し、セーフシティーの実現に向けて取り組んでいる東京において、この都市の防災フォーラムTokyoを開催することは意義のあることと考えております。
 本会議は、U20メイヤーズ・サミットとの同時開催としておりまして、U20招待都市からも参加への問い合わせが寄せられるなど、防災に対する世界の都市の関心の高さを実感しているところでございます。
 会議開催期間中を通じて東京の防災施設をアピールするとともに、日本の先端技術を生かしたロボットの展示など、東京二〇二〇大会を一年後に控えた東京の魅力を多面的に紹介してまいります。
 過去に災害を被った都市や自然災害の脅威を抱える都市がレジリエンスの強化に向けた施策を披瀝し合い、互いに学び合える有意義な機会とし、防災や減災の取り組みと知見を参加都市共通の財産としてまいりたいと思っております。
 私自身も、これまで外務部長などで国際会議を何度か経験しておりますが、やはり、直接、首長あるいはそれに準ずる人たちがフェース・ツー・フェースで意見を交換するという機会は非常に重要なものだというふうに考えておりますし、また、お互いの理解も深まります。中には、議題以外のことについても意見交換ができたりというような副次的な効果もあったりいたします。
 今回の会議をぜひとも成功させまして、都民にとって開催してよかったと思われるような会議にしてまいりたいというふうに考えております。

○藤井(一)委員 私からは、まず、小笠原の航空路について伺います。
 ご承知のとおり、小笠原は東京から千キロ離れている、まさに隔絶した離島でありまして、この小笠原にとって、航空路を初めとする交通アクセスの改善が生命線である、このようにいえると思います。
 昨年の事務事業におきまして、私はこの問題を取り上げました。この検討はしてきたけれども、二十数年、なかなか進んでいないということを指摘させていただきました。特に、平成七年に兄島案になり、その後、時雨山案になり、そして、その後、硫黄島や洲崎案や、あるいは水上飛行艇案、聟島案など、いろんな案が検討されてきたわけでございますが、なかなか一本に絞れなかったというのが現状だと思います。
 そういった中で、我が党も、この問題については二十数年前から、現地に行き、地元の声を聞き、そしてまた議会で取り上げながら、一日も早い航空路の整備を訴えてきたところでございます。
 今回の第一回定例会の本会議で、小池知事はこの小笠原空港について述べられました。どういうことをいったかというと、小笠原諸島への交通アクセスについては、来年度予算案において、洲崎地区での飛行場建設に関する地質や気象、環境への影響等の調査経費を計上しており、検討を前へと進めてまいりますという発言があったわけでございます。
 私はそれを聞いて、ようやく洲崎地区に一本化して東京都も取り組むようになったということを、大変感慨深い気持ちで聞かせていただいたところでございます。
 そういう中、平成三十一年度の小笠原航空路調査についての予算案が出ましたが、今年度予算額を大きく上回りまして、来年度は五億円近い規模になっておりますが、その調査内容について伺います。

○多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整事業調整担当部長兼務 都は、昨年、これまで検討してきた洲崎地区活用案、硫黄島活用案、水上航空機案の三案のうち、より実現性の高い洲崎地区を活用する案に絞って集中的に検討することとしました。
 一方、世界自然遺産に登録され、本土から約一千キロ離れた小笠原諸島の航空路開設に当たっては、就航可能な機材の確保や自然環境との調和、飛行場の構造など、さまざまな課題がございます。
 これらの課題の解決のためには、現在実施している機材や自然環境への影響を初めとする調査に加え、洲崎地区における飛行場の建設に関して、基本構造や工法の実現性を確認するための調査も必要です。
 このため、平成三十一年度予算案では、航空路に関する調査費を今年度予算の約四倍となる四億九千万円に増額し、現地の地質調査や、陸域及び水域における測量、気象や波浪の観測など、詳細な調査を実施してまいります。

○藤井(一)委員 ただいま答弁にありましたように、来年度は、地質調査、陸、水域の測量、気象、波浪観測というような具体的な調査を行うということでございましたが、昨年の事務事業で、私は、水上飛行艇案を出した東京都を、ある意味では否定しました。水上飛行艇案は無理だ、早く洲崎に絞るべきだということを訴えたわけでございますが、ようやくこういった具体的な調査に入ることになったということを実感しております。
 そこで、平成三十一年度は、予算額を大幅に増額いたしまして、洲崎地区活用案について新たな観点から調査を行っていくということですが、それぞれの調査結果を早く取りまとめまして検討に生かしていただきたい、このように思います。
 都は、現在、洲崎地区活用案に絞って集中的に検討する方向性を打ち出しておりますが、現在検討を進めている洲崎地区活用案にはどのような課題があるのか、この点をお伺いいたします。

○多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整事業調整担当部長兼務 平成二十九年度には、今後開発予定のプロペラ機が就航することを想定し、これまで検討を行ってきた千二百メートルの滑走路より短い千メートルの滑走路を洲崎地区に設置する案について調査分析を行いました。
 調査結果では、航空法に基づく安全な飛行空間を確保するため、周辺地形の一部について切り土が必要となるほか、海域においては、洲崎地区の南北にある小港湾、二見湾の両側で滑走路が突出する見込みとなっており、自然環境との調和に最大限配慮することが重要であります。
 また、機材についても、開発動向や技術開発の進展にも注視しつつ、千メートル以下の滑走路の長さで運用可能な機材の調査を引き続き進めていく必要がございます。

○藤井(一)委員 この洲崎地区活用案について、いろいろな課題があるという答弁がありましたけれども、この航空路を早く実現してもらいたいという、そういった村民の方々からは、先ほどありましたように、山を削ったりしなきゃいけない、あるいは海を埋め立てなきゃいけない、いろんな天然記念物を守らなきゃいけない、さまざまな課題があって、また時間がかかるんじゃないか、今まで二十数年かかってきたのに、これからまた二十数年かかるのか、だったらば、身近にある硫黄島案を活用したらどうだという声も私のところに届いております。
 硫黄島案は、ご承知のとおり、現在あります硫黄島を活用するということで、本土からジェット機で硫黄島に行きまして、向こうには滑走路がありますから、この硫黄島から父島までヘリコプターで運ぶという案でございます。ここには自衛隊基地がありまして、こういった硫黄島を活用したらどうかという案でございますけれども、小笠原航空路の検討において、この硫黄島活用案について、具体的にどのような課題があるのか、お伺いをいたします。

○多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整事業調整担当部長兼務 硫黄島活用案は、硫黄島の自衛隊基地を中継点として活用し、本土と硫黄島をジェット機で結ぶとともに、父島にヘリポートを整備し、硫黄島との間をヘリコプターで結ぶ案でございます。
 一方、硫黄島は、現在、火山活動や産業の成立条件の厳しさを理由に、一般住民の定住は困難という政府決定がなされております。
 また、中継点として活用するためには、乗客、事業者の滞在施設の整備や生活用水、電力等の確保、資材運搬のための港湾施設の整備を行う必要がございます。
 さらに、現在、基地は、防衛省のほか、一部は米軍も使用していることから、民間施設の整備に向けた両者との調整も必要となってまいります。
 このように、硫黄島活用案は、短期的に解決することが困難な課題を多く抱えていることから、検討における優先度合いを低め、中長期的課題として整理することを、平成二十九年七月に開催した第六回航空路協議会において、村と確認しております。

○藤井(一)委員 硫黄島案も課題があるということでございますので、ならばこそ、村民の長年の悲願であります小笠原航空路を早く開設するように、今後、洲崎地区活用案についてしっかりと、早急に調査、研究、そして、一日も早い実現に向けて取り組んでいただきたい、このように思います。
 そこで、これからの小笠原航空路の検討に向けて、遠藤局長のときに小笠原空港が完成するように、ぜひ決意を伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 小笠原諸島への交通アクセスの確保は、島民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要であると認識をしております。
 都はこれまでも、自然環境への影響や、就航可能な機材などの調査を行ってきたところでございます。今後さらに、飛行場の構造などに関する詳細な調査を実施するとともに、国土交通省や環境省などから技術面や環境面での助言も得て、緊密かつ丁寧に調整を行ってまいりたいと考えております。
 また、調査結果を踏まえまして、航空路協議会の場などを活用して、協議会会長でもあります私自身も汗をかきながら、航空路の開設に向けた議論を円滑に進めてまいります。
 なかなか私の在任中に完成までこぎつけるのは難しいとは思いますが、このような過程を通じまして、世界自然遺産である小笠原で実現可能な航行路案が早期に取りまとめられるよう調査を加速いたしまして、精力的に検討を進めてまいりたいと考えております。

○藤井(一)委員 ぜひよろしくお願いします。完成するまで総務局長でいていただきたい、このように思っております。
 次に、マイタイムラインについてお伺いいたします。
 我が党はかねてより、都民が水害から適切に避難できるように、マイタイムラインの普及を促進するべきであると訴えてまいりました。マイタイムラインは、洪水などの水害が発生するまでに、一人一人がいざというときの避難行動に向けて、それまでに行うべき準備行動を時系列的に整理したものであります。
 先日の本会議代表質問において、我が党はマイタイムラインについてただしまして、これに対して、本年六月までに、都内の全ての児童、全ての生徒に東京都独自のマイタイムライン作成セットを配布するという答弁がありました。しかし、児童生徒が学校でマイタイムラインの作成セットを配られただけでは、中身の重要性が子供や保護者に十分に伝わらないという可能性があります。
 そこで、この作成セットの配布とあわせまして、児童生徒や保護者の方がマイタイムラインを作成することの必要性というものを理解できるようにする取り組みを進めるべき、このように考えますが、見解を伺います。

○西川防災計画担当部長 副委員長のご指摘のとおり、児童生徒及び保護者にマイタイムラインの重要性を理解してもらうことは欠かせません。
 そこで、教員への講習会等の場を活用いたしまして、学校関係者に対し、マイタイムラインの必要性や作成をする上での要点などを丁寧に説明いたしますとともに、児童生徒や保護者に対しましてマイタイムラインの作成を促すよう依頼してまいります。
 また、小学生向けの作成セットには、児童が風水害や避難について楽しみながら簡単に学べる冊子を同封することで、保護者とともにマイタイムラインを作成することへと結びつけてまいります。
 こうした取り組みを進めることにより、児童生徒及び保護者のマイタイムラインに対する理解を促進するとともに、防災意識の向上を図ってまいります。

○藤井(一)委員 マイタイムライン作成セットには、ガイドブックも同封するということでありました。
 水害に関する気象情報や避難情報というものは、専門的でわかりにくい面もあると思います。
 そこで、この作成セットを配布するだけではなくて、実際に作成した児童生徒の感想を求めるということをやったり、その後のフォローアップを行うべきだ、このように考えますが、見解を伺います。

○西川防災計画担当部長 今回、初めて東京都独自のマイタイムライン作成セットを配布いたしますことから、配布後のフォローは欠かせないものと考えております。
 そこで、水害リスクが特に高い地域に位置する学校などの児童生徒に対しまして、作成したマイタイムラインと、作成を通じてのコメントを提出するよう依頼いたします。
 この取り組みを通じまして、マイタイムラインの作成状況を把握するとともに、セットに同封するガイドブックのわかりやすさなどについて検証を進めることで、より効果的なタイムラインを一層容易に作成できるよう、作成セットの改善を図ってまいります。

○藤井(一)委員 マイタイムラインは、個人あるいはその家族が適切に避難するという点で大変効果を発揮するというふうに思います。マイタイムラインに地域の視点を取り入れれば、地域住民全体が適切に避難できるようになるわけでございます。
 例えば、避難準備をするときに近隣の高齢者などへ声をかけるといった、そういう行動をとったり、マイタイムラインに落とし込むことによって、地域全体の安全・安心を向上させることができると思います。
 そこで、東京都は、地域住民が相談しながらマイタイムラインを作成することで、住民がお互いに連携して、いざというときに避難できるように、この取り組みを進めるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

○西川防災計画担当部長 水害からの逃げおくれをなくすためには、地域の住民同士が協力して避難することが重要でありまして、タイムラインは、そのためにも効果的でございます。このことから、タイムライン作成セットに同封するガイドブックは、近隣の要配慮者とも相談しながらマイタイムラインを作成できるものとなっております。
 また、区市町村と共催で実施する住民参加型のワークショップにおきまして、住民が連携してマイタイムラインを作成することの重要性を説明するとともに、マイタイムラインの作成を地域住民に指導していく人材を育成することで、地域住民の連携に基づくマイタイムラインの作成を支援してまいります。
 さらに、自主防災組織のリーダーを対象とした人材育成研修におきましてマイタイムラインの考え方を紹介し、作成を促すとともに、自主防災組織を対象とした東京防災学習セミナーを活用して、具体的なマイタイムラインの作成方法を紹介してまいります。
 都といたしましては、要配慮者を含め、住民が一体となって適切に避難できるよう、こうした取り組みを進めてまいります。

○藤井(一)委員 近年、以前よりも豪雨が激しくなっております。都内においても、豪雨発生率は、この三十年で約三倍になっているといわれております。地球温暖化によって、今後、さらに激しい豪雨に襲われる可能性があるといわれておりますが、こうした状況を踏まえまして、施設では防ぎ切れない水害は発生するという、そういう認識のもとに適切な避難の準備を進めていく必要があると考えます。
 そのためには、都民一人一人が水害を我が事として捉え、備えを着実に進めていく、こういう防災意識社会を実現していく必要があります。マイタイムラインはそのための有効なツールであり、都においては、引き続き水害からの避難対策を積極的に推進するよう、要望しておきます。
 次に、防災対策として何点か伺います。
 東日本大震災あるいは熊本地震の教訓に加えまして、昨年の大阪北部地震、西日本の豪雨災害、こういった災害が続いております。いつ発生するかわからない首都直下地震への備えを万全にしていかなければなりません。
 東京都は、平成二十六年四月に首都直下地震等対処要領というのを作成しました。これは、首都直下地震等が発生した場合、都が各防災関係機関と連携をしまして円滑な応急対策活動ができるよう、基本的な連携の内容と手順について明確にしたものであります。
 そこで、都と各機関との連携内容と運営について、まず伺います。

○有金総合防災部長 首都直下地震等の大規模災害が発生した場合、特に発災から七十二時間におきましては、各機関連携のもとで救出救助活動等が迅速に行えるよう、主要道路の早期の啓開、ライフラインの応急復旧、また、避難者に対する支援、帰宅困難者の大量発生による混乱防止などの対策を重層的に実施する必要がございます。
 このため、首都直下地震等対処要領では、都が各機関との効果的、効率的な連携のもと円滑な応急対策が展開できるよう、発災後七十二時間を中心に、救出救助活動や被災者に対する物資的支援等の受け入れなど、連携して実施する主な応急対策活動につきまして、基本的な内容と手順をタイムラインとしてお示しするとともに、都災害対策本部におけます情報収集活動などに必要な初動の体制について明記をしておるところでございます。

○藤井(一)委員 総務局の事業概要を読みますと、順次、マニュアル等を整備するというふうにうたわれておりますが、来年度、このマニュアルを見直すのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

○有金総合防災部長 平成二十六年に策定をいたしました対処要領につきましては、その後の総合防災訓練や図上訓練、区市町村や防災機関との協議などを通じまして、連携内容や手順等を検証し、平成二十八年に要領の一部改定を行っております。
 また、発災時における緊急輸送ルート確保に向けた基本方針、また、都災害対策本部内に設置をされます部門等の対応マニュアルなど、対処要領に関連するマニュアル等につきましても、不断の見直しを行ってきておるところでございます。
 来年度におきましても、大阪府北部地震等の状況を踏まえた総合防災訓練や図上訓練等の実施を予定しており、これらの訓練から得られました成果を踏まえ、随時、マニュアル等の必要な見直しを行っていくこととしてまいります。

○藤井(一)委員 次に、災害対策基本法というのがありますけれども、これが改正されまして、円滑な相互応援ですね、お互いに応援する、こういった相互応援の実施に向けて、地域防災計画などに応援受援計画というのを位置づけるようになりました。
 また、熊本地震の教訓から、全国の自治体や関係機関からの応援を円滑に受け入れて、区市町村と連携して早期の被災地支援につなげるために、都における具体的な手順やルール等を定めました東京都災害時受援応援計画というのを作成しているわけでございます。
 この東京都災害時受援応援計画において、もし東京都が地震災害に遭った場合、避難所への応援物資、こういった応援物資をどのように確保するのか、伺います。

○西川防災計画担当部長 大規模災害発生時における支援物資につきましては、必要となる量が膨大に上りますことから、多様な手段を用いて調達をすることとしております。
 具体的には、災害発生直後からおおむね三日間につきましては、都及び区市町村が備蓄している食料、毛布、小児用おむつなどを避難所に供給いたします。次いで、おおむね四日目から七日目につきましては、国が調達する物資を受け入れて対応いたします。さらに、八日目以降については、避難所においても多様な品目が必要とされる時期を迎えますことから、区市町村からの要請に応じまして、協定を締結している民間事業者に対して物資調達の要請を行います。
 こうした物資の調達を基本といたしまして、必要に応じて、全国知事会や九都県市などの広域応援協定団体に対しましても、物資の支援を要請することも想定しております。

○藤井(一)委員 災害発生からおおむね三日間は、東京都と区市町村が避難所に物資を供給し、四日目から七日目は国が調達する物資、八日目以降は民間事業者というふうに決められているということでございますが、この支援物資を輸送する際に、民間事業者や他県のヘリコプターを活用して救援物資等を被災地に運ぶことを協定で結んでいるのかどうか、また、協定を結んでいる場合は協定先はどこかを伺います。

○西川防災計画担当部長 都は、調布空港協議会及び東京ヘリポート協議会との間で、災害時における緊急輸送業務に関する協定を締結しております。具体的には、緊急災害が発生した際に、医薬品、食料品などの物資や医療従事者などの緊急輸送業務を要請することが可能でございます。
 また、災害発生時に他県市の応援が必要な場合に備えまして、九都県市及び全国知事会関東地方ブロックの自治体等と、災害時の相互応援協定を締結しております。この協定には、物資の提供や必要な人員の派遣のほか、救援救助活動に必要な車両やヘリコプター等の提供及びあっせんも含まれております。

○藤井(一)委員 物資はヘリコプターで運ばれるという答弁でしたが、では、もし東京に地震災害が発生して大きな被害が出た場合、道路は塞がれて、物資を車等で、トラック等で運ぼう、輸送しようとしても、車両が走行できない事態は想定されるわけでございますが、東京都は、災害協定で、このような場合はどのように対処するのか、伺います。

○西川防災計画担当部長 首都直下地震などの大規模災害が発生し、道路が寸断されるなどの孤立化した地域に対しましては、ヘリコプターを活用した物資輸送も有効な手段と考えております。実際に、平成二十六年の多摩地域の大雪の際には、自衛隊へ派遣要請を行い、多摩広域防災倉庫の近隣にある立川飛行場から、ヘリコプターにより支援物資の輸送を行った事例もございます。
 ヘリコプターを保有、運用する各機関との連携をさらに強化するため、各機関との訓練を通じまして、ヘリコプターを活用した物資輸送の手順の確認や検証を行い、各機関への要請や物資の輸送が円滑に行われるよう取り組んでまいります。

○藤井(一)委員 ヘリコプターを活用していくということでございますので、こういった、まさに物資もそうですけれども、特に首都直下地震等大きな災害が来た場合、大変多くの、被災して、けが人とかが発生をすることが予想されるわけでございます。
 東京都におきましては、我が党が提案をいたしました東京版ドクターヘリが、たしか平成十九年から、消防庁のヘリを使って医師を乗せて現地に行って、そして、患者を診ながら病院に運ぶという、東京型ドクターヘリを実施しているわけでございますが、それ以外にも、国は、ドクターヘリというのを、今、各都道府県単位で飛ばしております。これは、国が積極的にドクターヘリを各県に配置いたしまして、特に交通が不便、あるいは、いざ災害のときには、交通が渋滞をして、一刻も早く病院に連れて行かなきゃいけない患者を、ドクターヘリが多くの患者を救っております。
 東京が被災した場合、例えば東京の周辺なり、他県からドクターヘリの支援が必要な場合も出てくると思いますが、こういった他県からのドクターヘリ--実は東京はドクターヘリはないんですね、東京型ドクターヘリがあるからということもあるかもしれませんけれども。
 もし、東京がそういう多くの患者さんを運ぶために他県からのドクターヘリが必要な場合、どのように要請をするのか、伺います。

○有金総合防災部長 首都直下地震等の大規模災害発生時におけますドクターヘリの運用につきましては、厚生労働省が運用体制の構築に係る指針を示しております。
 本指針では、原則、ドクターヘリの派遣要請は被災都道府県が行うものとし、必要と判断された場合は、災害対策基本法に基づき、他の都道府県に応援を求めることができるものとされております。
 都におきましても、この指針に基づきまして、都災害対策本部がドクターヘリのニーズの把握に努めまして、運航上の安全確保等の調整を行った上で派遣要請を行うこととなります。

○藤井(一)委員 他県がドクターヘリを都に派遣する協定があるわけです。しかし、東京都には、東京型ドクターヘリはありますけれども、国が進めているドクターヘリというのは導入しておりません。
 他県から応援でドクターヘリが都に入る場合、その受け入れ、あるいは、どこの県のヘリコプターをどこに配置するかといったような、こういうことを指令する拠点はどこにあるのか、伺います。

○有金総合防災部長 国の指針では、大規模災害時には、被災地域の医療提供体制の確保とともに、複数のドクターヘリのみならず、警察や消防、自衛隊等の多数のヘリコプターが協調して安全かつ効果的に活動する必要があることから、全国からの参集方法や参集後の活動方法等を含むドクターヘリ運用体制が明記をされております。
 都におきましても、ドクターヘリの受け入れに関しましては、都災害対策本部におきまして、他の救出救助機関と協議をし、配置場所等の調整を行うこととしております。
 また、ドクターヘリを含めました警察や消防、自衛隊等が運航する全航空機の安全、円滑な運用を図るため、都災害対策本部内では、各機関の活動エリアや任務に関しまして、関係機関の間で情報共有を行うこととしております。

○藤井(一)委員 万が一、東京都とドクターヘリを協定している他県に地震や災害が起きた場合、当然、他県から、例えば神奈川だ、埼玉だ、あるいは千葉から、東京都に対して救助用のヘリコプターの要請が逆にあった場合、東京都はどのように対応するのか、伺います。

○有金総合防災部長 他県からの航空機による応援要請への対応につきましては、都では、総務省消防庁が定めます大規模特殊災害時における広域航空消防応援実施要綱に基づきまして対応することとしております。
 本要綱では、首都直下地震のような大規模災害発生時において、他の道府県に対しまして、ヘリコプター等の航空機による人命救助活動や負傷者の救急搬送活動などの応援要請を行う際の必要な手順等が定められております。
 都では、他県からの応援要請があった場合には、ヘリコプターを保有する東京消防庁と連携の上、要請県に対しまして航空機の派遣を行い、その後のヘリコプターの運用調整につきましては、被災県災害対策本部が実施するものとしております。

○藤井(一)委員 先日の本会議の代表質問でも、我が党は、このドクターヘリについて言及いたしました。知事に質問をし、知事の答弁の中で、大規模災害発生時に他の自治体からの医療チームを円滑に受け入れられるよう、広域応援や相互応援に関する協定を締結しています、今後、東京は二〇二〇東京大会の開催を見据えて、災害の発生時や、あるいは平時においても、近隣県とのドクターヘリの受け入れを含めた具体的な連携について検討すると答弁がありました。
 まさに、来年の東京オリンピックや、また、いざという災害のときに、他県からはドクターヘリで東京に応援に来てくれるけれども、じゃあ、東京はドクターヘリがないわけだから、どうやって応援するのかということが大変大きな課題だと思います。
 そういった意味では、ぜひ、一千三百万東京都民の命を預かる、そういった総務局は、いざ災害のときに多くの被害者が発生することが予想されるわけですので、そのために、この東京型ドクターヘリとあわせまして、ドクターヘリを積極的に活用すべき、このように考えますが、これも局長の決意をお伺いいたしたいと思います。

○遠藤総務局長 首都直下地震の発生時には、多数の負傷者が発生するだけではなく、病院の被災や交通網の遮断等によりまして、医療機能が低下する可能性が非常に高くなっております。被災地域内の病院等だけでは対応し切れないことも当然想定されます。このような中で、ドクターヘリを含めた航空機による傷病者の被災地外への搬送は、効果的な医療救護活動に資するものだと考えております。
 このため、都では、国の指針に基づきドクターヘリの受け入れ体制の構築を進め、これまでにも、首都直下地震を想定した防災訓練等において、他県のドクターヘリの受け入れ訓練等を実施してまいりました。
 今後とも、訓練などを通じまして、発災時におけるドクターヘリの受け入れ体制の強化を図ってまいります。

○藤井(一)委員 以上です。

○鈴木委員 私からは、東京都の障害者の雇用について、まずお伺いをいたします。
 障害者雇用促進法の改正によりまして、障害者雇用率の算定基礎として、これまで身体障害者の方と知的障害者の方を対象にしていたわけですけれども、平成三十年から精神障害者の方も新たに対象に加わりました。
 あわせて法定雇用率が引き上げられたわけですけれども、地方公共団体では二・五%、民間企業では二・二%となっており、さらに、平成三十三年四月までに〇・一%ずつ引き上げられることとなっております。
 こうした中、残念なことに、国では各省庁の雇用率の水増し問題があったり、今年度から、初めての障害者を対象とした国家公務員採用試験を実施しているところであります。
 都では、国のこのような状況とは異なりまして、以前から障害者枠の職員採用を実施していると聞いておりますけれども、都における障害者雇用の状況について、まずお伺いいたします。

○栗岡人事部長 誰もが生き生きと活躍できる社会の実現に向け、障害者の方々がその能力や適性に応じて働くことができるよう、都が率先して取り組むことが重要であると考えてございます。
 都におきましては、昭和五十六年度より身体障害者を対象とした常勤職員の採用選考を実施してございまして、昨年度選考からは精神障害者、知的障害者にも対象を拡大し、障害者雇用の門戸をさらに広げてございます。
 また、今年度から知的障害者を対象に、総務局におきまして、非常勤職員であるオフィスサポーターの採用を開始し、雇用の拡大に努めているところでございます。
 これらの取り組みの結果、昨年六月の知事部局の障害者雇用率は、法定雇用率を上回る二・七五%となってございます。
 引き続き、都における障害者雇用のさらなる促進に努めてまいります。

○鈴木委員 今の答弁にありました法定雇用率二・七五%といわれても、二・七五%というのは一体どんな規模なんだろうというふうに思うわけですけれども、具体的に人数はどれくらいふえているのかということをまず聞きたいということと、障害者の状況に応じてカウントの仕方も違ってきているというふうに伺っておりますけれども、直近の障害者雇用の人数についてもお伺いいたします。

○栗岡人事部長 昨年六月の知事部局の障害者雇用率算定における障害者の数は、身体障害者、精神障害者、知的障害者を合わせまして七百二十五・五人でございまして、昨年の七百十二人と比べ十三・五人増加してございます。これは、勤務時間に応じて〇・五人カウントになったりですとか、あと、障害の重さによって二倍になったりとかというのがありまして、こういった端数の数字になってございます。
 障害者雇用率の分母となる職員数につきましては、二万六千九十・五人から二万六千三百三十五・五人に二百四十五人増加してございます。
 これらの結果として、障害者雇用率は二・七三%から二・七五%に増加してございます。

○鈴木委員 今ご答弁がありましたけれども、職員数が約二万六千人と増加している中で、雇用率を〇・一%引き上げるためには二十六人の雇用が必要という計算になるわけですけれども、これは一度に大量に採用すればいいというのではなくて、やはり毎年着実に取り組むことが重要であるというふうに思っておりますので、そうしたことも考慮して、これからも取り組んでいただきたいというふうに思います。
 いずれにしても、特に、今年度から都庁の中で障害者の精神障害者の方、また知的障害者の方が働き始めたということは大変意義深いことであるというふうに思います。
 一般的に身体障害者の方の場合は、例えば車椅子でも働きやすい職場環境の整備など、ハードの面の配慮が必要なのに対しまして、精神障害者や知的障害者の方の場合は、その障害特性からソフトの面の配慮が必要となり、障害が目に見えにくく、一人一人の障害の状況も異なることから、配慮が難しいといった話もありました。
 こうした場合、精神障害者や知的障害者の障害特性をしっかりと理解した上で専門的に指導を行うジョブコーチのような役割が必要であるというふうに思うわけですけれども、精神障害者や知的障害者が都で働くに当たりまして、ジョブコーチによる相談支援など、適切なサポート体制を構築することが大変重要であるというふうに考えますけれども、都の見解をお伺いいたします。

○栗岡人事部長 精神障害者の雇用に当たりましては、個々の障害特性等を把握した上で配属先を決定するほか、受け入れ職場の職員が障害者一人一人に対し適切な支援を行えるよう職員研修等を実施し、障害特性や必要な配慮について理解を深めてございます。
 また、知的障害者の雇用に当たりましては、職場であるオフィスサポートセンターに専門的な知識、経験を有する障害者雇用支援員を配置しまして、知的障害者が日々の業務に従事する現場で、その都度、きめ細やかな指導、助言を行ってございます。
 今後とも、障害の方々が働きやすい職場環境の整備に努めてまいります。

○鈴木委員 今のご答弁で、都における取り組み状況というのは理解できたわけですけれども、特に精神障害者の方の雇用においては、職員研修等によって受け入れ職場の職員をまず教育する、そして、障害者一人一人に対して適切な支援を行えるようにして雇用を拡大していくということであるわけですけれども、平成三十年からの法改正によって、民間企業にも精神障害者、これは発達障害者も含まれるわけですけれども、対象に加えられて取り組みが始まってまいりました。
 私は、この精神障害者の皆様方の雇用においては、やはりサポートできるジョブコーチのような支援員の方が必要だということで、実際、このジョブコーチというのは何なんだろうという話なんですけれども、障害者自立支援法において、障害者就労移行支援事業所に勤務する職員とか、また、独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構の職場適応援助者養成研修を修了した者、これは厚生労働省にもあるわけですけれども、そうした修了した方々が各職場においてサポートをしていく、そういった状況になっているんだろうというふうに思いますけれども、これは民間もそうですけれども、まだ法的義務がない中で、なかなかまだ不十分だというふうにもいわれております。
 こうした状況の中で、多様な障害特性を抱えて年間を通じて安定的に能力を発揮することが難しいといわれている精神障害者の雇用については、このジョブコーチ制度などの公的支援がまだまだ十分確保できていないということが、企業現場で職場定着が進まないという状況にあるわけです。
 また、先ほどお話しいただきました知的障害者の雇用においても、まだまだ解決すべき課題が山積しております。
 私は、都におけるこうした精神障害者、また知的障害者の雇用というのはまだ緒についたばかりで、今後も障害者雇用を促進して、これはいずれ都庁が世の中へモデルケースをぜひ発信していただいて、そのような役割を担っていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひ福祉保健局や産業労働局と連携して、これからもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに要望させていただきます。
 次に、特別区都市計画交付金について、確認を含めてお伺いさせていただきます。
 この特別区都市計画交付金というのは、各区の都市計画事業の円滑な促進を図ること、いいかえれば東京のまちづくりを着実に進めていくことがその大きな目的であるわけです。
 そこでまず、制度概要として、対象事業、対象経費及び交付率についてお伺いをいたします。

○野間行政部長 特別区都市計画交付金の交付対象事業は、都市計画道路整備、公園整備、鉄道連続立体交差、市街地再開発、土地区画整理、防災街区整備及び火葬場整備となってございます。
 また、交付対象経費は、用地取得費や整備費、組合施行の市街地再開発への負担金でございます。
 交付率は、交付対象経費から国や都の補助金など特定財源を控除した額の二五%でございますが、事業の実施状況に応じて前後一〇%の弾力的運用が可能となってございます。

○鈴木委員 次に、過去十年の予算額及び執行率の推移についてもお伺いいたします。

○野間行政部長 過去十年の予算額は、平成二十一年度から二十四年度までが約百九十億円、平成二十五年度から二十八年度までが百九十五億円、平成二十九年度から今年度までが二百億円となってございます。来年度の予算案においても二百億円を計上してございます。
 また、執行率は、昨年度までの九年間のうち、平成二十一年度、二十三年度、二十四年度及び二十六年度の四年間が一〇〇%でございまして、その他の五年間は八五%から九九%の範囲で推移してございます。

○鈴木委員 今のご答弁なんですけれども、私もこの話を伺いまして、この十年間、予算額は百九十億、百九十五億、そして二百億と、ある意味ほとんど変わっていない。そのために、執行率も四年間一〇〇%という話でして、この一〇〇%というのは、本当にどういう意味があるんだろうというふうに私も思ったわけですけれども、逆を考えれば、この予算枠をオーバーしてしまった場合、あなたの区はカットしますよということにならないのかということを素朴に思ったわけですけれども、そうした状況についてお伺いいたします。

○野間行政部長 執行率が一〇〇%でございました年度は、原則の交付率二五%では一定の不用額が生じてしまうところを、各区の事業推進を支援する観点から交付率の弾力的運用を行いまして、予算の限度額に達するまで交付率を上乗せしたものでございます。
 なお、執行率が一〇〇%でない年度は、用地買収の不調などによります事業量の落ち込みによりまして、交付率を上限の三五%まで引き上げてもなお各区の交付額の合計が予算額に達しなかったものでございます。

○鈴木委員 なるほど、そうやって説明いただきますと、その年度の事業の進捗状況によって、事業推進を弾力的に支援しているということが理解できました。
 しかしながら、年度によって交付率に幅があるということは、この交付金の毎年度の予算見積もりというのがどうなっているのかなというふうにも疑問を感じるわけですけれども、その点において理由をお伺いいたします。

○野間行政部長 都市計画事業は、長いものでは数十年単位の長期にわたること、また、多くは用地買収を伴うため、各区におきまして、事業開始当初に年度別の執行見通しを立てることが難しいという実態がございます。
 このため、都は毎年、各区における翌年度の事業計画につきまして、夏ごろですが、ヒアリングを実施いたしまして、各区の事業費や内示された国庫補助の動向などを把握した上で都市計画交付金の予算見積もりを行ってございます。

○鈴木委員 要するに、事業全体の中で調整して事業推進を支援していることだというふうに思います。
 しかしながら、私、今回、これをなぜ質問したかといいますと、昨今、特別区においては--これまで、どちらかというとこの都市計画事業というのは、道路整備とか公園整備というのが中心であったのかなというふうにも思うわけです、この都市計画交付金の扱いというのは。昨今は、駅前の市街地再開発事業も大変ふえてきておりますし、防災街区整備事業など比較的新たな事業がふえているということも今いえるというふうに思います。
 そうした状況において、特別区の今後のこの都市計画事業について、都はどのように捉えているのかということが何よりも大切だというふうに思います。
 また、それに対して、この都市計画交付金を、今後、特別区の状況においてどのようにしていくつもりなのかも含めてお伺いをいたします。

○野間行政部長 過去十年間を見ましても、区ごとの増減はございますが、二十三区全体の普通建設事業費の推移を見ますと、リーマンショック直後の平成二十二年度から二十五年度を除きまして、おおむね四千億円台で推移してきてございます。
 一方、この間、今お話がありましたような防災街区整備ですとか、不燃化特区内の公園整備、あるいは区が行います鉄道連続立体交差化事業など、従来の道路整備や公園整備とは異なります新しい都市計画事業も見られるようになってきております。
 今後、都市計画事業が急激に増大することは現時点では想定してございませんが、市街地再開発事業などは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会後も、引き続き各地域で計画されてございます。
 こうした事業動向を的確に把握いたしまして、それらの事業が円滑に推進されますよう、引き続き、各区ともよく調整を図りながら、必要な予算額を措置していくよう努めてまいります。

○鈴木委員 この扱いというのは、基本的に、今、部長がおっしゃったように、事業計画自体が長いスパンの中で取り組まれているわけですから、一気にどんという話ではないので、比較的対応しやすい、そしてまた計算もしやすい、そういった話になっているんだというふうに思いますけれども、区においては、やはり東京都のこの扱いがどうなるのかによっても、大分、事業の進め方というのも変わってくるという状況があるというふうに思いますので、ぜひ今後とも、特別区と連携を密にして各区の事業推進をしっかりと支援していく、そのような思いで取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、職員の海外研修について伺います。
 先日の我が党の予算特別委員会においても知事が言及されておりましたけれども、都は、平成三十一年度から新たな海外研修メニューとして国際競争力強化プロジェクトを立ち上げまして、五百人を海外に送り出すとお話をされておりました。
 私はこれまでも、組織を支える人材育成の重要性というのは取り上げておりますし、とりわけ民間や海外等の知見の取り入れやネットワークの構築にも積極的に取り組んでいくように指摘を再三してまいりました。そのために、私は、かつての舛添知事の海外出張時の多数の職員随行も、明確な目的があればということで反対はしておりませんでした。
 しかしながら、今回のこの研修については、まだ小池知事の思いつきによる唐突なトップダウンなのかなというふうな感が否めないんですけれども、これまでと桁の違う規模であること、そしてまた、その目的とか規模の考え方、投資に見合う効果というのをどのように考えられているのかというのが、本当にこれから問われてくるというふうに思いますけれども、まず、国際競争力強化プロジェクトを立ち上げる目的は一体何なのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 国際的な都市間競争が激化してございまして、東京二〇二〇大会後の東京のさらなる発展に向けて、政策全般の道筋を示すことが都政の喫緊の課題となってございます。こうした中、都政を支える職員がベストプラクティスなど世界の潮流をつかみ、新たな発想で政策立案をしていくことは重要だと考えてございます。
 このため、より多くの職員が現地に赴きまして先進事例の調査研究を行う機会を設けることで、職員の国際感覚の醸成に加え、その成果を新規事業の立案や既存事業の見直しに反映し、都庁組織の一層の国際競争力を強化していくことを狙いとしてございます。

○鈴木委員 今、答弁いただきましたけれども、より多くの職員の方が現地に赴いて先進事例の調査研究を行う機会を設けること、それに対しては文句はないのですけれども、職員の国際感覚の醸成に加えて、その成果を新規事業の立案や既存事業の見直しに反映し、都庁組織の一層の国際競争力を強化していくことが狙いというふうに答弁されましたけれども、本当にその狙いがこのような視察研修で果たされるのか。これはある意味、この文章、今の答弁というのは、かつて視察の必要性が問われた時代に説明されたものと全く変わらないのではないかなというふうに思います。
 そして、海外の調査研究をベースとした研修ということですけれども、そうであるならば、これまで、都が平成二十年度から政策課題プログラムとして年間約二十名程度の規模で海外の事例調査、研修を実施しているというふうに認識しているのですけれども、この政策課題プログラムとの違いというのは一体何なのか。
 そして、今回なぜ、そのプログラムがあるにもかかわらず、新たに五百人もの規模が必要なのか、その見解をお伺いいたします。

○栗岡人事部長 政策課題プログラムは、みずからの職務にかかわらず、職員自身が選択、設定したテーマにつきまして訪問先を開拓し、アポイントメントの取りつけも行うため、一定程度の語学力を要件とした上で国際舞台で活躍できる人材の育成を重視してございます。
 一方で、本研修は、語学要件を付さずに対象を広げまして、みずからの政策分野の課題解決を重視することで、職員の国際感覚の醸成と事業の国際競争力向上を両立させていくことを狙いとしてございます。
 研修規模は、新たな発想で政策立案できる職員を幅広い政策分野で育成していく観点から、本庁等に設置されている部の数が約百程度ございますけれども、百部からそれぞれ五名の職員が海外渡航できる規模を確保してございます。
 ちなみに、平成三十一年度予算案では四百十一件の新規事業を構築してございまして、来年度策定を予定しています長期計画も見据えつつ、新規事業の構築、既存事業の見直しを進めていく上で適切な規模だと考えてございます。

○鈴木委員 今、答弁をいただきましたけれども、これまでの政策課題プログラムというのは、まず目的が明確であって、特に主体性がある、そして、既に一定程度の語学力が要件になっているわけですから、この目的に対する成果が評価しやすい取り組みだというふうに私は思うんですけれども、本研修というのは、目的も明確ではない、そして職員の幅広い育成という、実に曖昧な目的でありまして、評価が実に困難なものになっていくというふうに私は思います。
 そして、そのために職員を海外に派遣して、ある意味、いろんな見聞を広げるみたいな、そういう答弁をいただいたわけですけれども、情報技術がこれほど進化している今日において、その部分の目的を果たすために、この事業が本当に必要なのかというのが全く感じられないというのが率直な思いです。
 特に、この五百人規模という話が、本庁に設置されている約百部からそれぞれ五名の職員が海外渡航できる規模。別に海外渡航しなくても事業の進展に全く関係ないところも含めて、百部から五名の職員が海外渡航ができるという、その考え方というのは何なんだろうというふうに感じざるを得ません。
 幅広い政策分野での人材育成等が必要とはいっても、各局各部の事業で本当に海外の知見を得ることが必要なのか、また、新規事業の規模からの妥当性も、これは後づけの理由にすぎないというふうに感じております。
 今、規模の設定の仕方についても疑問が残るといわざるを得ないという話をしましたけれども、私は、本来、課題があって、解決に資する先進事例がどこかの国にあって、また都市にあって、調査研究に必要な規模は、じゃ、何名必要なのか、調査に必要な期間は、だからこそどの程度必要なのかといった、各局の現場のニーズをしっかりと踏まえて適正な規模を積み上げられていくことが大切ではないかなというふうに思います。
 規模は設定したはいいけれども、ほとんど実績が上がらない、予算消化のための必要でない渡航も、これは想定されるというふうに感じるわけです。
 ところで、今回の取り組みというのは、一体、いつ知事から指示をされて調査検討して予算が策定されたのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 海外研修等につきましては、もともと予算等で持っておったところでございますけれども、今回の規模につきましては、知事査定の過程の中で、五百名というふうな規模の考え方をもとに考えるようにというような話があったというふうに伺っております。

○鈴木委員 今、知事査定のときというお話がありましたので、じゃ、規模が決まったのは一月の中旬過ぎというふうな認識でよろしいのでしょうか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 詳しくは、ちょっと今、手元に資料がございませんけれども、おおむねそのころですね、一月……。
 もともとこの事業というのは想定はしておったのですけれども、規模については、やりとりの結果、五百名程度ということで決まってまいりました。

○鈴木委員 もともとあったという話で、百部から五名の職員が海外渡航できる規模の事業なわけですけれども、これ、各局にまたがる事業である以上、各局の意向も反映されていかなきゃいけないわけですけれども、この予算に対して、各局は今どのように取り組んでいるというか、受けとめているのか、どのようにそれに対して認識されているのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 これは基本的な事業のつくりとして、当然、新規事業をつくっていくときに、海外出張して調査研究していくということでございますので、人事部は、当然、サポートはしていく予定ではございますけれども、各局の方で、おのおのの新規事業を策定していくときに行っていただくという形で、局研修の中で位置づけていきたいというふうに考えてございまして、そのことについて、これから各局の方に、年度末と年度明けに合わせて企画部門等に詳しい説明をしてまいる予定でございます。

○鈴木委員 たびたび悪いのですけれども、ということは、この事業について、各局に対してまだ説明されていない局もたくさんあるということでよろしいですか。

○栗岡人事部長 詳細につきましては、これから各局の担当者を呼んで、三月中に説明する予定で今準備を進めているところでございます。
 四月になりましても、担当者はいろいろかわっていくものですから、三月と四月に合わせて二回程度、詳細の説明をさせていただいて、年度当初から取り組みができるような形でやっていきたいなと考えております。

○鈴木委員 今の話を伺いますと、各局に対しては、ある意味、寝耳に水の話であって、えっ、今度こういう事業が行われるのという話の中で、じゃ、担当部に、これに対してどういうふうな取り組みができるのか検討しろみたいな話が、部でこれから始まっていくという話だというふうに思いますけれども、そういう状況にもかかわらず、何で五百人規模というものがもう既に出ているのかということ自体が、私が再三指摘しているこの予算編成の仕組みというのが、全く今までと違うというか、本当に根拠もないし、説明を受けても全くわからないというのが現実だというふうに、これは私だけじゃないというふうに思いますよ。
 この事業は、今年度は五百人という話をされましたけれども、じゃ、今後、毎年五百人規模で取り組んでいくのでしょうか。よく知事が、こういった事業は終期設定していくという話をされて、五年スパンだ、三年スパンだという話がありますけれども、三年、五年で、この五百人規模の海外研修を進めていくのですか、こういう状況で。お伺いします。

○栗岡人事部長 新規事業でございますので、これから丁寧に各局に説明させていただいた上で、各局の方で研修に取り組んでいただくことになるかと思いますけれども、その実績をつぶさに、年に数回とることによりまして進行管理をしっかりさせていただいて、その実績に応じて、今後、その事業の取り扱いについては考えていくことになると思います。

○鈴木委員 今、部長がご答弁いただいた中で一番大事なのは、個々の研修先の選定の必要性というのを、どこでどのように見きわめるかという話なんだというふうに思います。
 それについて、総務局としてはどのように考えているのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 本研修は、今後新たに策定を予定しています長期計画を見据えつつ、新規事業の企画立案や既存事業の見直しといった毎年の予算要求へ反映させていく、いわゆる政策立案サイクルへの組み込みを強く意識してございます。
 このため、本研修は、各局における主体的な研修計画の策定を前提としてございまして、その策定に当たっては、研修を所管する人事部門だけではなくて、事業所管や企画、計理など政策を支える各局の各部門が課題解決に向けて連携して取り組む体制を構築しまして、各局事業に真に必要なテーマ設定や研修先の選定などを行ってまいります。

○鈴木委員 これからの新規事業なので、余り今ここで、これ以上の話はなかなかできない、しませんけれども、これは政策へ反映していくための海外研修という話がありましたので、今後、どの部分が海外に研修に行って政策に反映されたのかということは、間違いなく問われてくるというふうに思いますし、現地の通訳を伴って--今までの政策課題プログラムの方々は、もう語学の、要するに要件を満たしている人たちですから、別に通訳がいなくても行けるんだと思うんですけれども、今回の研修というのは、現地の通訳を伴って、ただ--要するにこの額というのは、いろいろあるんですけれども、視察するだけの研修で、本当にこれ、政策に反映できるのかということがまず第一だというふうに思います。
 そして、次に、この費用。当然ながら、海外研修というのは費用も高額になるわけですけれども、これだけの規模の海外研修となると、その使途についても、やはり厳しく今後精査する必要があるというふうに思います。特に、今、財政難を理由に海外研修を取りやめているというようなところも大変多い中で、あえてこういったことをしていくという状況においては、今後の説明責任というのは十分果たさなければいけないというふうに思います。
 またあわせて、地方法人課税の偏在是正措置で今後減収される都財政においても、なぜこの時期に、新たにこうした予算が急遽策定されるのかということも、しっかりと説明責任を果たしていただきたいというふうに思います。
 平成三十一年度は、この海外研修費用として二億五千万円が計上されておりますけれども、この予算の積算根拠というのはどのような使途を見込んでいるのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 政策課題プログラムの旅費や各局の海外出張の際の通訳料などの実績をもとに積算させていただいてございます。
 研修期間は一週間程度で、一人当たり五十万円程度を見込んでございまして、五百人分を計上してございます。
 また、使途は、宿泊費や航空運賃など旅費が大半でございまして、その他は通訳料でございます。

○鈴木委員 旅費という、航空運賃とか、そういった部分も含めた旅費が大半ということで、かつてのいろんなところで勉強してこられたりとか、そういった部分というのが、この五十万円という予算規模でどこまで果たされるのかなというような疑問も生じます。
 先ほども述べましたけれども、これだけ情報技術というのが格段に進歩して、例えばヨーロッパのあそこの部分を勉強したいと思えば、ある程度のことは行く前に調べることができていく状況の中で、現地へ行って調査する理由というのも、これは明確になっていかなくてはならないというふうに思います。
 今、旅費がほとんどというふうにいわれておりましたけれども、例えば、この旅費においてチケット、これ、エコノミーとかビジネスとか、そういった部分に対してもルールがあるのでしょうか。ちょっと確認させていただきます。

○栗岡人事部長 基本的にはエコノミーを使ってございますけれども、過去の、先ほど申し上げた政策課題プログラムなどで行っている実績をもとに積算させていただいてございます。

○鈴木委員 これまでの答弁で、研修事業は、各局各部の事業に基づいて、渡航先の都市や訪問する機関、必要人数などを決定していくということで、かなりの部分を各局の責任のもとで実施していくスキームだということがわかりました。
 しかしながら、今現在、各局にはまだそういった説明もされていないということで、予算はできているけれども、これから皆さん方がそういった部分でかかわって説明をして、実際に計画をしていく、そういう話なんだというふうに思いますけれども、適切な運用、そして、しっかりと成果に結びつけていくためには、当然、ベースとなる考え方、そしてルールが不可欠だというふうに思います。
 総務局として、これから適切な研修実施を支援していくという話をされておりましたけれども、具体的には、今後どのようなスケジュールで、どのように支援をしていくつもりなのか、お伺いをいたします。

○栗岡人事部長 繰り返しになりますが、本研修は、これまで以上に政策への還元を重視していますことから、各局において、研修計画の策定、訪問先との調整や航空チケットの手配といった渡航に必要な諸手続を実施するスキームとしてございます。
 このため、総務局人事部としましては、各局の主体的な取り組みを後押しするとともに、適正な事業執行管理のために、本研修の考え方や費用の節減、プロトコル--いわゆる国際儀礼ですけれども--等に関するガイドライン案を作成しまして、各局に周知を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、定期的に各局から実績及び計画を総務局人事部が取りまとめるなど、適切な進捗管理にも努めてまいりたいと考えてございます。

○鈴木委員 最後に、先日の予算特別委員会での知事答弁で、全ての事業に終期設定して事業評価を実施していくというふうにありました。
 そのためには、目標をどこに設定するかによって、達成度も大きく当然異なってくるわけです。そのためにも、これから各局各部から研修計画に対する十分な説明というのが求められるわけですけれども、このたびの国際競争力強化プロジェクト事業に対する、今後--これから始まる事業なので、まだ先の話なんですけれども、この事業に対する事業評価についての考え方についてお伺いをいたします。

○栗岡人事部長 事業評価そのものにつきましては財務局の主計部の方でやってございますけれども、先ほど申し上げましたように、私どもとしましては、本研修のもともとの目的、語学力の向上だけではなくて、政策にいかに還元していくか、新規事業をつくっていくときに国際競争力をどう高めていくかといったこの研修の目的があるわけでございますけれども、そういった観点から、事業の中身についてしっかりと評価してまいりたいと考えてございます。

○鈴木委員 いろいろとご答弁いただきまして、ありがとうございます。
 冒頭にも言及しましたけれども、海外研修自体というのは否定いたしません。大事だというふうに思います。むしろ職員の皆様に主体的に海外で学ぶ機会をつくっていくことというのも、本当に必要だというふうに思います。しかしながら、やはり求められるのは、投資した以上、それに対する成果がどうだったのかということだというふうに思います。都として、今後、政策への反映、職員の資質の向上によって着実に成果を見出していかなければ、都民の理解は得られないというふうにも思っております。
 きょうは、これから始まる新規事業でございますので、今後のこの事業の取り組みを今後もしっかりと私たちは注視していきたいというふうにも思っておりますので、ぜひこれからも、この説明責任が果たされるような事業になりますように、お取り組みをしていただきたいというふうに思います。
 次に、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例についてお伺いいたします。
 私は、昨年十月に、多様な性の理解の推進を目指して、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るとの趣旨のもと、この条例が設置したこの部分について、幾つか質疑をさせていただきました。
 この条例には、都の責務として、差別解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等を推進するための基本計画を定めるというふうなことになっておりますけれども、こうしたことから、現在、来年度策定される基本計画に向けては、各局とのヒアリングを通し、取りまとめを聞いているというふうに伺っております。
 現在、この基本計画はいつまでに取りまとめられるのか、また、どのような課題があって、どのように計画策定に向けて具体化するのか、あわせてお伺いいたします。

○仁田山人権部長 いわゆる人権尊重条例におきましては、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るため、基本計画を定めることとしております。
 現在、有識者等による研究成果、当事者ニーズや、他自治体や企業における施策実施状況など、計画策定のための調査を行いつつ、都庁各局の施策現場において、当事者に対してどのような配慮が必要かという視点で政策を検討しているところでございます。
 八月には素案を策定いたしまして、その素案をもとにパブリックコメントを募集し、これらを踏まえまして、年内に計画を公表する予定でございます。

○鈴木委員 いや、部長、あわせて、現在、各局と意見交換をしているという話だと伺っておりますけれども、その出てきた課題について、この計画策定に向けてどのように具体化していくのかというのもご答弁願います。

○仁田山人権部長 現在、各局に対しまして、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図る上で課題の抽出を依頼しておりまして、他自治体における取り組みなどを情報提供しながら、都としての施策の実現可能性について各局と議論しているところでございます。
 今後は、計画策定に向けて、相談窓口に寄せられる声、都民等や区市町村の意見、都議会での議論を踏まえながら、有識者、当事者等の方々の意見も伺いながら、施策の方向性を示していくところでございます。

○鈴木委員 今、各局からいろいろヒアリングしながら課題抽出という話をされておりましたけれども、この条例というのは、普及啓発だけでなく、具体的な差別解消を目指したものであって、そしてさらに、都民や事業者の責務まで規定して推進していくという以上、まず、条例制定者である都が率先して目に見える取り組みにしていかなくては、私はいけないというふうに思っておりますけれども、その点について見解をお伺いいたします。

○仁田山人権部長 条例三条に規定しております性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るという趣旨を実現するため、条例第四条におきまして、都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならないと規定したものでございまして、都、都民、事業者が、それぞれ性自認及び性的指向について理解を深めることを目的としているものでございます。
 基本計画策定におきましても、これらの条例の規定を踏まえまして、個々の施策の方向性を示していくというものでございます。

○鈴木委員 普及啓発というだけでは、なかなか目に見える取り組みになっていない。その中で、前のときの質疑でも、私はお話しさせていただいたんですけれども、今、既にこうした悩みを抱えていらっしゃる方に、しっかりと目に見える取り組みとして、していくことが何よりも大事ではないかという話をさせていただいた中で、先ほどのご答弁の中で、八月に素案を策定してパブリックコメントを募集して、年内に計画を公表するという予定で取り組んでいくという話だったわけですけれども、昨年の質疑の中でも、必要な取り組みの一つとして、例えば誰でもトイレの設置について答弁されておりました。
 この誰でもトイレの設置というのは、実際にどのようなスケジュールで、誰がどのような規模で設置していくのか、見解をお伺いいたします。

○仁田山人権部長 多様な性の理解の推進のためには、効果的な啓発のみならず、差別の解消に向けた取り組みをあわせて進めていくことが不可欠であり、ハード面での整備も重要でございます。
 誰でもトイレにつきましては、設置される都の施設の規模や態様、利用状況や改修のタイミングなど、施設によりさまざまでございますので、それぞれの施設管理者が整備を進めているところでございます。
 条例の趣旨を踏まえ、誰もが円滑に利用できる誰でもトイレの整備を進めることは、当事者の方々にとっての障壁を取り除いていくということに資するものでございまして、総務局といたしましては、庁内横断の会議も活用し、各局と情報共有を進めるなど、全庁を挙げた施策展開につなげてまいります。

○鈴木委員 各部署部署の責任のもとに取り組んでいただきたいという話であったわけですけれども、例えば東京都のさまざまな施設の中で、都立病院とか都立高校、また大学なども含めて、これからいろいろ検討をされるんだというふうに思いますけれども、やはり目に見える取り組みにしていくためには、予算的にも大変大きなものと考えられるわけですけれども、その費用対効果も必ず問われてまいります。また、こうした悩みを抱えている方々に対して、力強く勇気づけられるような取り組みにもしていかなくてはいけないということで、これから基本計画を策定するということですので、きょうはこういったことをしっかりと確認させていただいて、ぜひ皆さんがこの条例をつくって本当に実効性がある、皆さんに、この悩みを抱えている方々に力強い勇気づけができるような形で取り組んでいただきたいというふうに要望して、次の質問に入らせていただきます。
 次に、水害対策について伺います。
 先ほどの質疑でもありましたけれども、重複しないように質問させていただきますけれども、近年、全国において、毎年のように台風や豪雨による大規模な水害が発生しております。とりわけ昨年の平成三十年七月豪雨は、西日本を中心に甚大な被害をもたらしました。この豪雨では、約七割の自治体では避難勧告を発令したものの、実際に避難した住民は、わずか数%だったといわれております。
 また、河川が氾濫した後に避難指示を出すなど、住民への避難情報の出し方が適切ではなかった自治体も見受けられました。
 こうした状況からいえることは、自治体と住民の双方がしっかりと対応していかなければ、水害は防げないということでありました。
 そこで、避難情報の出し手となる区市町村がタイミングを逃さずに必要な情報を発信し、その上で、その受け手となる住民が、その情報に基づき確実に避難できるよう、自治体と都民の両方を支援することが重要であるというふうに考えられますけれども、見解をお伺いいたします。

○西川防災計画担当部長 都民が水害発生時に逃げおくれないようにするためには、区市町村が避難に必要となる情報を的確なタイミングで発信するとともに、都民がその情報を正確に理解し、適切な避難行動を起こすことが重要でございます。
 そのためには、区市町村におきましては、水害の発生が迫っているときに、みずからがとるべき行動を時系列で整理したタイムラインをあらかじめ整備しておく必要がございます。
 そこで、都は、都内全区市町村を対象に、タイムラインやマニュアル等の作成や運用の状況について分析を行っておりまして、来年度は、その結果を踏まえて、全国の自治体の事例も参考にしながら、当該区市町村の規模や抱えている水害リスクの内容に対応したタイムラインが作成できるよう、参考となるひな形を提示するなど、技術的な支援を実施してまいります。
 また、住民の避難につきましては、来年度、都が区市町村と合同で実施する風水害対策訓練におきまして、自治体が発信する避難情報が示す危険性などについて改めて周知した上で、防災行政無線等から提供される避難情報の内容をみずから判断し、時期を逃すことなく避難行動を開始していただく、そうした訓練を行います。
 こうした取り組みを進めますことにより、都民及び区市町村の双方につきまして、水害への対応力を向上させてまいります。

○鈴木委員 タイムラインの作成、運用、今後、本当にしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますし、これは本当に大事な話なんですけれども、この避難情報が示す危険性をしっかりとみずからが判断して、時期を逃すことなく避難行動を開始してもらう、こういったことも本当に大事だというふうに思います。
 国が昨年末、平成三十年七月豪雨を踏まえた避難のあり方について報告書を取りまとめました。この中で、住民は、みずからの命はみずからが守る意識を持つとともに、住民が適切な避難行動がとれるよう、行政は全力で支援することとしておりますけれども、このみずからの命をみずからが守る、これは当たり前のように思われますけれども、実際には情報バリアといわれるような、情報と行動にそごが生まれて、自分は平気、また、ここは大丈夫といった思い込みによって被害拡大が問題となっております。東日本大震災から既に八年が過ぎて、改めて自主防災意識の啓発を忘れずに、常にこうしたことを防災訓練などで確認していくことが大切であるというふうに思います。
 まさに行政と住民が両輪となって、来るべき水害に備えることが重要であり、都においては、引き続き、都民の命を水害から守るための不断の努力を続けていただきたいというふうに要望いたします。
 最後に、帰宅困難者対策について伺います。
 十一月の事務事業においても質疑を行ったところでありますけれども、来年度の予算を踏まえて、改めて帰宅困難者対策について幾つかお伺いします。
 いつ起こるかわからない首都直下地震への備えとして、行き場のない帰宅困難者のための一時滞在施設の確保を進めていくことが大変重要でありますけれども、その確保が、現実、頭打ちになっているのではないかと大変懸念をしております。
 公共施設の指定では限界もある中で、今後は、より一層、民間一時滞在施設の確保が重要であり、民間事業者の協力を得ていくためには、地元自治体との連携が不可欠であるというふうに思います。
 そこで、どのように区市町村と連携して、この一時滞在施設を確保していくか、お伺いをいたします。

○和田防災対策担当部長 都では、都立施設を指定することはもとより、区市町村、民間事業者の協力を得ながら一時滞在施設の確保を進めてまいりました。
 一時滞在施設確保のため、日常的に区市町村との情報共有を図り、協力を得られそうな事業者に対しましては、一時滞在施設確保推進員を初めとする職員が直接現地に赴くなど、一時滞在施設になっていただくよう、共同で働きかけを行っております。
 引き続き、区市町村と連携を密にして一時滞在施設確保を推進してまいります。

○鈴木委員 ほかの事業ではありますけれども、例えば木密地域の解消に向けて、都の職員と区市町村職員が一緒に汗をかきながら地域に足を運ぶことによって、着実に、今、成果を上げております。
 この一時滞在施設の確保についても、担当職員が積極的にやはり現場に足を運んで、区市町村と相互に協力しながら一丸となって取り組んでいかなくては、なかなか進まないというふうに思います。
 一方で、民間一時滞在施設の確保に向けては、民間事業者への支援が必要不可欠であります。
 そこで、民間事業者に対してどのように支援策を行っていくのか、お伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 民間一時滞在施設の確保を進めていくためには、事業者が協力しやすい環境を整備することが重要であります。
 都では、協力する事業者の経費的な負担を軽減するため、帰宅困難者用の備蓄品購入経費や、受け入れに必要となる備蓄倉庫、非常用発電機等の整備費用について補助を実施しております。
 また、一時滞在施設運営の懸念を払拭するため、民間アドバイザーを派遣し助言を行うなどの支援を行っております。

○鈴木委員 一時滞在施設への協力というのは企業の社会貢献でもありますけれども、やっぱり、今後、さまざまな形で支援策を講じていくということが何よりも必要であります。
 都内には数多くの企業が存在しておりますけれども、その中でも、一定規模の施設を有する企業に対しアプローチをしていくことが、一時滞在施設の確保のためには重要でありますけれども、民間一時滞在施設の確保に向けて、どのようなターゲットに対して働きをかけていくのか、お伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 民間一時滞在施設への受け入れ人数を拡大していくためには、大規模な施設や多数の施設を保有しております団体、事業者に協力を求めていくことが効果的であります。
 そのため、都内に多数の店舗を展開する自動車販売会社へのアプローチに加え、都心部に大規模な施設を持つ大学に対する取り組みを進めております。
 今後は、さらに、都内で進む再開発により建設されたビルを含め、多くのビルを所有する不動産開発会社などにも積極的に働きかけを行い、一時滞在施設の確保に取り組んでまいります。

○鈴木委員 そのように対象企業をまず明確にして積極的な働きかけを行って、実効性が上がるような取り組みを進めていくことは本当に大事だというふうに思います。
 都内には、しかしながら、大規模施設や複数の施設を有する企業だけではなく、特に多くの中小事業者も存在しているわけです。その中では、少しでも行き場のない帰宅困難者の安全確保に協力したいとする企業もあるというふうに聞いております。
 そこで、大規模な事業者だけでなく、より多くの事業者が協力しやすい仕組みを検討していくことが私は大切だというふうに思いますけれども、今後の方策をお伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 現行制度では、一時滞在施設は、一つの施設で帰宅困難者の滞在スペース、備蓄品保管場所、施設運営要員の三つの要素を確保する必要がございます。
 昨年、都が事業者を対象にした調査を行いましたが、それによりますと、全ての要素は確保できないものの、滞在スペースのみや備蓄倉庫の提供など、部分的であれば協力できるとする事業者が一定程度存在することが明らかになっております。
 そこで、来年度は、複数の事業者が連携して一時滞在施設になっていただくためのモデル事業を実施いたします。モデル事業の実施で得られた結果を踏まえまして、複数の事業者が連携した形での一時滞在施設の確保に努め、受け入れ人数の拡大につなげてまいります。

○鈴木委員 これは本当に大きな話でありまして、例えば、倉庫はないけれども、近くに倉庫を貸してくれるところがあれば、一緒に連携して中小企業の方々が一時滞在施設を運営することが可能になってくるということで、これを本当にしっかりと進めていただいて、受け入れ人数の拡大につなげていっていただきたいというふうに思います。
 私は、今回、一時滞在施設の点に絞って質疑をさせていただきましたけれども、やはり東京を訪れるさまざまな人々が大規模災害発生時に安心してとどまることができるこの一時滞在施設の確保というのは、本当に大事だというふうに思います。特にこれから国際化ということで海外の方もふえてくるというふうに思いますし、やはり昼間人口が多いこの東京においては、これは本当に災害対策として重要な課題だというふうに思います。
 しかしながら、この確保がまだ目標の半分に届いていない状況もあるわけですけれども、今後の取り組みについて、局長、しっかりと取り組んでいくという、そういった決意をぜひお示しいただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤総務局長 都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現するためには、大都市特有の課題である帰宅困難者対策を着実に進めていくことが重要でございます。
 都では、東日本大震災の教訓を踏まえ、平成二十五年に全国に先駆けて帰宅困難者対策条例を施行し、対策を推進しているものではございますが、現時点で、行き場のない帰宅困難者の発生数に対し、一時滞在施設の確保数は十分とはいえない状況にあるのもまた事実でございます。
 今後も、区市町村と連携しつつ、活用可能な施設等を保有している団体、事業者に積極的にアプローチをしていくとともに、事業者のニーズを把握いたしまして、支援策の拡充や、より協力しやすい仕組みを整備してまいります。
 こうした取り組みを進め、民間一時滞在施設を確保し、行き場のない帰宅困難者の安全確保を実現してまいります。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十五分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とくとめ委員 それでは、タイムラインの問題を中心に質問させていただきます。
 都の重要な防災事業になっています事前防災行動計画と呼ばれているタイムライン、さらに、個人、家庭単位のマイタイムラインなどの本格的な普及、具体化、有効性の発揮に向けた取り組みが重要になっています。
 これまで、私はこのテーマで何回も質問してまいりました。何としても、この五億円の予算を活用してマイタイムラインの本格的な徹底と実効性発揮まで進むように、私もそういう立場から質問させてもらいます。
 六月から十月のことしの出水期を目前にして、先手先手の事前の災害対応の具体化を提起しているタイムライン、マイタイムラインなどの具体化がどうなっているのか、どう具体化していくのか、この実効性が発揮できるかどうかというのは、都民の命と安全がかかった大変大事な取り組みになると思います。
 昨年の十一月二十二日の総務委員会でも質問しましたが、現在までの取り組みの到達点、問題点について確認しながら、さらに突っ込んで質問したいと思います。
 改正水防法を具体化した東京都の減災協議会の方針でも、自然災害からの逃げおくれゼロ、犠牲者ゼロ、さらに社会的、経済的な被害の最小化にとって、自然災害の発生前に、先手先手で事前対応の防災対応の計画を具体化して、事前に機敏に防災行動を行うことが、この間の甚大な被害、避難の逃げおくれの実態からも不可欠になっていることを強調しています。それがタイムラインの普及と具体化につながっていると思います。日本の災害事後の対策を事前対応に変えていくという点では、大変大きな変化をもたらす方向だと思います。しかし、決してこれまでの災害対策、防災対策を否定しているものではなくて、いわばレベルアップ、ブラッシュアップをする内容だと私は受けとめています。
 まず最初に、ことしの出水期の六月から十月が迫っているもとで、都内六十二自治体の事前災害対応計画としてのタイムラインの最新の具体化の到達はどうなっているでしょうか。

○西川防災計画担当部長 国管理河川または都管理河川につきまして、水害対応のタイムラインを作成している区市町村は、平成三十年六月時点で三十一団体でございます。

○とくとめ委員 最新のタイムライン具体化の到達は、三十一自治体ということでした。十六区、それから十五市の合計三十一自治体が具体化したとなっていますが、これらの自治体は、全てが昨年六月二十七日以前の具体化ではないでしょうか。具体化されていない自治体には、過去に大きな内水氾濫が発生した自治体や、大きな都管理河川のある自治体も含まれています。
 しかし、この現状は、昨年六月の東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会で提起された取り組み方針から約九カ月近くの期間が経過しているにもかかわらず、新たにタイムラインが具体化された自治体は一つも進んでいないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○西川防災計画担当部長 現在、都管理河川におきましては浸水想定区域図の改定作業が順次進められておりまして、区市町村におけるタイムラインは、こういったことも踏まえて作成する必要がございます。
 また、区市町村は、タイムラインを策定する際に、内閣府の避難勧告等に関するガイドラインを参考といたしますけれども、これは、平成三十年七月豪雨を受けまして、現在、見直しが行われているところでございます。
 区市町村におきましてタイムラインを策定しているところは三十一団体でございますが、残りの団体につきましても、こういった動向を踏まえてタイムラインを策定していくものというふうに認識しております。

○とくとめ委員 都内六十二自治体でのタイムラインの具体化という現状も、一つは、昨年六月の減災協議会開催以前の国交省資料、二〇一七年六月の国交省ホームページのタイムラインの策定状況、もう一つは、二〇一八年六月二十七日の国交省報道発表資料が、この三十一自治体でタイムラインができているという大もとだと聞いています。都の総合防災部として、独自に各自治体を調査、聞き取りするなどして実態を掌握した到達ではないのではないかと思います。
 要するに、法律が改正され、昨年六月末の減災協議会で取り組み方針を提起しても、それから九カ月たって、一つも具体化できていないという状況が今の到達ではないかと思いますが、その認識はいかがでしょうか。

○西川防災計画担当部長 まず、東京都におきましては、現在、各区市町村のタイムラインの策定状況について調査をしております。具体的には、策定している団体については、そのタイムラインの内容、策定していない団体については、その策定していない理由等々、あるいは水害に関する各区市町村のマニュアルについても調査をしております。
 調査の結果を踏まえまして、都としては、区市町村のタイムラインの作成を支援していくところではございます。
 現在、策定している団体数については、先ほどご答弁申し上げましたとおり、三十一団体というふうに認識しております。

○とくとめ委員 なぜ総合防災部として--昨年十一月の総務委員会での私の質問に対して、支援を行うと繰り返し答弁をされました。都内六十二自治体のタイムラインの具体的な状況は、先ほど来あるように、それ以前に到達した状況から変わっていないと。
 実際の全自治体の具体化に向けた独自の支援というものは、どういうことをやっていらっしゃるのでしょうか。

○西川防災計画担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、各区市町村のタイムラインの策定状況について、今、調べておるところでございます。
 そして、そういった分析を踏まえて、今後、ひな形を示すなどの策定を支援していきたいと考えておりまして、現在行っている調査分析等も、その支援の一環というふうに捉えております。

○とくとめ委員 国の改正水防法に基づく具体化が、今、取り組んでいる課題だと思います。昨年の六月二十八日の都の河川氾濫に関する減災協議会が提起した方針でもあります。都民の命と安全にかかわる取り組みであるにもかかわらず、みずからタイムラインの具体化の実態をつかみながら促進するというのでなければ、東京都としての本気度が問われるのではないかという気がします。結果としては、これは都民の命と安全にかかわる大問題だという認識が私は必要だと思います。
 次に、台風や集中豪雨の発生が頻発することしの六月から十月の出水期を目前にしてタイムラインの実効性を発揮するために、都は、都内六十二全自治体のタイムラインの具体化をいつまでに完了させようという計画を持っていらっしゃいますか。

○西川防災計画担当部長 都といたしましては、各区市町村それぞれご事情もございますので、時期を明示した計画は策定してございませんけれども、全ての区市町村がタイムラインを作成する必要があるというふうに認識をしてございます。
 そのため、タイムラインの作成に当たりましては、東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会とも連携をしながら支援を進めてまいります。

○とくとめ委員 昨年の暮れも同じ質問をしました。今の答弁では、時期を明示した計画は策定していないとの答弁でした。昨年十一月の答弁で触れたときも、そういう答弁ではなかったかと思うんです。
 ただ、改正水防法でも、昨年六月の減災協議会の取り組み方針でも、時期は明確に示しているのではないでしょうか。どうでしょうか。
 さらに、作成に当たっては減災協議会と連携しながらとの答弁でしたけども、減災協議会と抽象的にいわれても、実際はイニシアチブを発揮するのは、総合防災部の主体的な役割、責任が問われているのではないかと思いますけども、いかがでしょうか。

○西川防災計画担当部長 先ほどのご答弁と若干ダブるところもございますけれども、私どもとしましては、今現在、各区市町村のタイムラインの策定状況の調査分析を進めておるところでございます。
 それを踏まえまして、来年度、例えばひな形を示すなど、あるいは各区市町村ごとに抱える災害リスクも異なりますので、あるいは団体の規模も違いますので、そういった特徴に合わせて支援をしていく予定でございます。

○とくとめ委員 しかし、自然災害への対応が求められているわけですから、時期が明確でない取り組みというのはあり得るのかなと。東京都の取り組みのPDCAをよく強調されますけれども、まさに時間との勝負だという気がします。
 タイムラインの具体化が全六十二自治体で完了していない、三十一自治体にとどまっているというのは、皆さんの実態掌握ではどういうことが要因になっているのか、何が障害になっているのか、そして、都は、そういうことをどのように認識されているのですか。

○西川防災計画担当部長 先ほどのご答弁と重なりますけれども、例えば浸水想定区域図の策定を踏まえて作成する必要があることとか、内閣府の避難勧告等に関するガイドラインを参考としますので、そういったことを踏まえて対応しようとしている自治体もあろうかと思います。
 あるいは、タイムラインというものが、外国から紹介されてまだ月日が浅いということもございまして、なかなか取り組みづらいといったような技術的な面もあろうかと思います。
 そういったことに対して、先ほど申し上げましたとおり、各区市町村の取り巻く災害であるとか、そういった実態を踏まえたご支援をしていきたいというふうに考えております。

○とくとめ委員 私は、昨年の十一月の質問で--外国から、ある意味、先進的な経験として輸入したといいますか、取り込んだ考え方だから、いろんな戸惑いがあると思うんです。だから、減災協議会としても、必要な専門家、学者を呼んで学習会といいますか、研修をやって、その誤解を解くべきではないかという提案をしましたけども、今、計画はないということでした。
 今、浸水想定区域図の改定作業を踏まえて、あるいは内閣府の避難勧告等に関するガイドラインを参考にしてとかといわれました。でも、浸水想定区域図の改定作業は、去年、二〇一八年三月三十日に作成が公表されているんじゃないですか。それから、ガイドラインは二〇一七年一月三十一日改定というふうに、私は調べて公表をされているというふうに見ました。
 浸水想定区域図の改定作業、あるいは避難勧告等に関するガイドラインなどは、実際、いつ見直し、いつ改定がされたのですか。

○西川防災計画担当部長 都管理河川の浸水想定区域図につきましては、今現在、十四流域中、四流域が改定がされております。
 そして、内閣府の避難勧告のガイドラインにつきましては、ちょっと記憶があれですが、一昨年改定され、そして、今現在も、昨年の七月豪雨を踏まえて改定作業を続けているというふうに聞いております。

○とくとめ委員 今、答弁されたのは事実かもしれませんけど、その理屈でいくと、三十一具体化ができないところは、ずっとその理屈で先送りでいくんじゃないですか。そして、三十一具体化しているところの有効性も、そうすると垂れてくると。
 もともとタイムラインというのは、一旦決めたらそれでいいというんじゃなくて、自然現象とか災害とか、いろんな状況で見直しながらレベルアップするという考え方に立っていると思うんです。だから、いろんな見直しとか、ガイドラインが決まってから足を出すというのでは、実際の災害対応に出おくれが出るというふうに思うんですね。
 だから、具体化しながら必要なことを補強していく、そういう取り組みに切りかえないと、タイムラインそのものの考え方からも、私は立ちおくれてくるというふうに思います。
 そこで、都内六十二自治体でタイムラインの具体化が完了してこそ、広域自治体の都と一体になって事前防災対策の実効性が発揮できるようになると思いますけれども、これまで都は、どのようなタイムライン独自に対策や支援を具体化されてきたのでしょうか。タイムラインについてお答えください。

○西川防災計画担当部長 区市町村のタイムラインにつきましては、先ほどのご答弁と重なってしまいますけれども、現在、実態を調査中でございまして、支援に向けて、その分析等を行っているところでございます。
 また、国管理河川になりますけれども、荒川のタイムラインについては運用に参画をして、タイムラインの実施に協力しているというような状況でございます。
 いずれにいたしましても、区市町村のタイムラインについては、今、分析中でございまして、そういったことも含めて、来年度から、ひな形を示すなどの支援をしっかりやっていくというふうに考えております。

○とくとめ委員 具体化したところと、今、具体化しつつあって、いろいろ悩みを持っているところがあると思いますけども、広域自治体の東京都として、そういう自治体がいざ自然災害が接近したときに、先手先手で対応できるような情報とか、そういうものをどんどん流してやることが、既に足を踏み出しているところにとってプラスになるし、これからやるところにも、それは後押しになっていくというふうに思うんです。
 だから、まだ足を出していない、具体化できないところがあるということで、そのための支援を尽くしているというだけではなくて、異常な自然災害は待ってくれないわけですから、やっぱり今の局面でどうこれに対応していくのか、おくれたところはおくれたところなりの支援が私は必要なのではないかというふうに思います。
 そこで、次の質問ですけれども、タイムラインの具体化が半数の自治体にとどまっている現状を早急に打開するためにも、都として、毎年開催が求められており、既に前回から九カ月が経過している東京都の減災協議会を早急に開催して打開策を明確にすべきではないかと思います。
 多数の課題、取り組みの中でも、タイムラインの具体化というのは優先課題に位置づけられているんですね。改正水防法でも二番目か三番目、東京都の減災協議会でも二番目か三番目に位置づけられています。
 この具体化を本当に本気になって促進するためにも、私は、専門家や学者などの力をかりて、都内六十二自治体でタイムラインの具体化を早急に完成させ、ことしの出水期から実効性が発揮できるようにすることが今の局面で重要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○西川防災計画担当部長 平成三十年七月豪雨を踏まえまして、昨年八月に臨時の減災協議会が開催されまして、区市町村など関係機関と防災に対する共通認識を新たにして、避難対策を初めとした減災の取り組みを連携を図りながら進めることとしたところでございます。
 現在、その検討が進められているわけですけれども、今後は、実務的な検討を踏まえまして、年一回、減災協議会を開催するというふうに所管局から聞いておるところでございます。

○とくとめ委員 出水期を目前にして、全自治体でのタイムラインの具体化とともに、今後、大量のマイタイムラインセットの配布、作成の大仕事を促進するためにも、学校や保護者だけに任せていては、百四十万枚以上のマイタイムラインセットを児童や生徒を通じて各家庭で具体化させることは、それこそ、自治体ですらできないという状況の中で、本当に具体化ができるのかという不安を感じます。
 減災協議会に参加する各自治体の力など、防災関係者の力を真剣に結集すべきではないかと。そうでなければ、大事な大事なこの五億円のお金と百四十万のセット、そして、事前災害対応の大事なこの具体化は進まないと思うんです。
 私は、いろんなところの研究所に聞きに行ったりすると、いろんな自治体が来ています、防災関係者とか危機管理関係者。そこの責任者に聞くと、いろんなところに呼ばれている、教えてほしいと。やっぱり本気になったところは、そうやって、よくタイムラインの考え方を学んで、どうしたらいいかという、そういう意欲的な取り組みも始まっているわけですから、ぜひそこは東京都として、そういう現場の自治体の関係者の皆さんが意欲的に取り組むような働きかけ、イニシアチブを発揮していただきたいと思います。
 そこで、六月からの出水期を前にして、五億円の予算をかけて、小中高の児童生徒を通じてマイタイムラインのセット一式を届けて具体化を促進することが重要になっていますが、セットはいつまでに完成して、いつから配布、普及、具体化が始まるのでしょうか。

○西川防災計画担当部長 出水期を迎える本年六月までに完成をさせまして、速やかに学校を通じて配布し、作成を促してまいります。

○とくとめ委員 出水期までに完成させることは不可欠だと思いますけど、それで出水期に対応できるわけじゃないと思うんですね。マイタイムラインのセットを一人一人の児童生徒に届けて、家庭を中心に作成を促すということが大事だと思うんです。
 しかし、完成させてこそ実効性を発揮することになると思いますが、それぞれの家庭ごとに完成させた確認などについては、まさに確認する手だてというのは何か考えていらっしゃるのでしょうか。

○西川防災計画担当部長 今、確認というお話でございますけれども、東京都といたしましては、とりわけ水害リスクの高い地域の学校の児童生徒の方に、実際に作成をしたタイムラインと、その作成に当たっての感想といいますか、コメントの提出を依頼する予定でございます。
 そういうふうに、配布するだけではなくて、その後のフォローもきちんとしていくことで作成を促していきたいというふうに考えております。

○とくとめ委員 静岡県では、先日、視察に行きましたら、学校教育を通じて、教育長と話し合って、毎年十二月の第一日曜日に、全県下で学校の子供たちの自主防災の一斉行動をやっているんだそうです。そこに、休日にやるから子供たちにも参加してほしいと。
 だけども、その参加した結果がどうだったかというのは、ラジオ体操の判こと同じで、判こをもらって学校に戻して、教育委員会で集約して、子供たちの自主防災訓練参加の実態をつかんでいるんだそうですけども、六割くらいの中高生が、ちゃんと地域からわざわざ参加していると。
 それは一過性じゃなくて、将来、必ず静岡県にとって、子供たちが成長して自主防災活動のリーダーになっていく。消防団の団員になったり、地域や職場でそういうふうになっていくと思うんですね。
 だから、私は、今度のこの問題も、おろしました、あとは頑張ってくださいというんじゃなくて、何らかの形で激励をして、具体化して、本当にいざというときに役に立つようなところまで目を向ける必要があるんじゃないかなと。
 そこで、マイタイムラインのセットには、その具体化を促進して実効性を発揮できるような材料一式、セットが配布されることになっていますけれども、どういう内容の材料が配布されることになっているのでしょうか。

○西川防災計画担当部長 マイタイムラインの作成セットには、避難の準備から完了に至るまでのみずからの行動を時系列に沿って整理するためのマイタイムラインシート、そして、マイタイムラインを作成するためのガイドブックなどが同封されております。

○とくとめ委員 マイタイムラインのシートというのは、インターネットで引けば、もう先進的なところは幾つも出ていますからわかると思うんですけど、やっぱり、それがなぜ大事かということを理解して親子で話し合って、そして、実際に具体化まで行き着くような、いわゆるガイドブックというのは非常に大事だと思うんですね。
 実は、これも静岡に行ったときに、静大の防災センター長で、昔、静岡県の危機管理監、責任者をやっていた方なんですけども、今、静岡では、家庭内のDIGという、いわばディザスターという災害、それから、イマジネーションという想像力、ゲーム、この文字をくっつけたDIGという、こういうものをやっていて、いわば地域で子供たちが危険な場所はどこか、どうやったら安全に避難できるかということを、親子でゲーム感覚で遊んでもらって、それが一人一人の認識、自覚の高まりや、親子の、あるいは家庭の皆さんの防災意識を高めている、そういう話も聞きました。
 ですから、私は、そういう取り組みに発展するような内容を盛り込んでいただきたいなというふうに思います。
 次に、児童や生徒がいない世帯、ひとり暮らしや高齢者世帯、家庭などには、マイタイムラインのセットの普及、具体化については、どれくらいのセットをつくって--今つくって渡そうという百五十万以外に八百万世帯ぐらいあるんだそうですけども、どのように配布して活用できるようにしようと考えているのか、伺います。

○西川防災計画担当部長 マイタイムラインの作成セットにつきましては、今、委員の方からもお話がございましたけれども、百五十五万部を作成しまして、百四十万部を児童生徒に配布するといったふうに予定をしております。
 それ以外に、都や区市町村の防災イベントを通じて、都民に広く提供していくというふうに考えております。
 こちらの作成セットにつきましては、高齢者等を意識しまして、文字の大きさや色覚の個人差にも配慮するとともに、誰でもが一人でも容易にマイタイムラインを作成できるガイドブックを同封するというふうに考えております。

○とくとめ委員 学校の協力で配布できる以外の個人、家庭、どのようにそれを届けていくのか、どのぐらいつくるのかということもあると思うんですけども、私はやっぱり、実際は限られた少数の都民にしか配布できない、届かない可能性が強いという気がします。
 届かない人たちには要配慮者などがたくさんいらっしゃる。しかし、そういう人たちは、自分で逃げおくれゼロあるいは犠牲者ゼロをつくるというのは容易じゃないと思います。だからこそ、もっと町会、自治会、民生委員などのルートで多様な手段で配布をしたり、助けるという、そういう活動も必要なのではないかなと、これは意見として述べておきます。
 次に、質問ですけれども、マイタイムラインのセットを配布して内容の実効性を発揮するところまで具体化してもらうためには、マイタイムラインのセットを届けるだけでは、実効性を発揮できるところまでは容易ではないと私は思います。
 それだけに、教育庁、教育委員会、学校関係者、消防関係者、地域の町会、自治会の自主防災組織などの関係者の多様な協力、連携は不可欠ではないかと思いますけれども、具体的にどのような体制や手だてをとって、この現場で具体化をさせるような手だてといいますか、支援をしようと考えているのですか。

○西川防災計画担当部長 マイタイムラインの普及に当たりましては、関係者の連携を促進するため、児童生徒に作成セットを配布する学校関係者の方々に対しては、教員への講習会等において、マイタイムラインの必要性や作成上の要点を説明してまいります。
 また、町会、自治会など地域につきましては、地域の状況を踏まえたマイタイムラインを作成することができるよう、区市町村と連携したイベントなどの機会を捉えて普及に努めてまいります。

○とくとめ委員 都内の児童生徒のいない世帯数を考慮すると、セットが届かない人、地域のイベントでも集まらない人、こういう人のことも考えた対策をぜひ具体化していただきたいということを要望しておきます。
 自治体レベルのタイムラインの具体化、家庭や個人中心のマイタイムラインの具体化とともに、災害時に地域の中心的役割を発揮する自治会、町会中心の自主防災組織、これは、地域によっては既にコミュニティタイムラインというのをつくっているところがあります。
 足立の中川地域には、幾つもの町会が連携をとってコミュニティタイムライン、要するに、タイムラインの考え方を地域に具体化したというだけの話といっては失礼ですけど、いろんな形で工夫をされています。こういう具体化も大事だと思います。
 こうした地域の規模、地域の特性に応じたタイムラインが自治体、東京、そして自治会、町会を中心にしたコミュニティタイムライン、さらには個人、家庭を中心にしたマイタイムラインなど、三位一体で協力、連携できるようにしておくことが、いざというときに私は大事ではないかと思うんです。
 教育庁がつくったパンフレットの一番表紙に、自分の命は自分で守るというスローガンが入っているんですけど、これはちょっと冷たいなという、そういう努力をするのは大事なんだけれども、やっぱり公助、共助の役割とこの自助の役割が連携してこそ、想像を超えるような自然災害の中で、逃げおくれをゼロにして、犠牲をゼロにしていくことができるのではないかと思います。
 都の認識としては、タイムラインの三位一体の役割という点については、どういう認識を持っていらっしゃいますか。

○西川防災計画担当部長 風水害のおそれがある場合、住民が適切な避難行動に移れるようにするためには、区市町村及び都民一人一人が、時間軸に沿ってみずからの行動を整理したタイムラインを作成し、活用することが有効でございます。
 そのため、都は、区市町村が住民の避難に必要となる情報を的確に発信できるよう、区市町村に対してタイムラインの作成を支援してまいります。
 また、都民一人一人が、地域や区市町村などからの情報を踏まえ、適切なタイミングで避難できるよう、マイタイムラインの作成を支援してまいります。
 このように、自治体と地域が連携した取り組みを進めていくことが、水害から適切に避難できることにつながるものと認識をしております。

○とくとめ委員 今の答弁、非常に重要な内容だと思います。タイムラインの考え方、防災行動は、風水害などの自然災害から逃げおくれゼロ、犠牲ゼロ、社会的、経済的被害の最小化のために、まさに俗っぽくいえば先手必勝じゃありませんけど、先手先手の事前対応の防災行動を行うものなんです。
 日本のそういう災害対策や防災対策の歴史の中では、新しい挑戦だと私は思います。新しい挑戦の前には、物すごい被害が数年前から全国で広がっているわけですね。逃げおくれがあちこちで起きて、去年の岡山県の真備町では、五十一人が、ハザードマップで五メートルまで来るとわかっていても、みんな逃げなかったために犠牲になりました。
 そういうことを考えれば、このマイタイムラインの考え方、すなわち、災害事前対策の防災対策というのは非常に大事だというふうに思っています。そのために、事前の防災行動の計画を自治体単位、地域単位、家庭、個人単位で具体化していくものだと思います。このことが、改正水防法が強調している逃げおくれゼロ、犠牲者ゼロ、社会的、経済的被害の最小化につながるものだと思います。
 それだけに、最も重要な司令塔になる自治体ごとのタイムラインが半分しか具体化できていなければ、その司令塔としての役割を果たせない、致命的なことになるのではないかという気がします。
 答弁の内容から見ても、都として、早急な全自治体でのタイムラインの具体化への支援が求められていると思います。タイムラインの具体化、有効性にかかわる大問題として取り組んでいただきたいと思います。
 質問ですけれども、全自治体でのタイムラインの具体化を基礎にして、地域中心のコミュニティタイムライン、家庭、個人中心のマイタイムラインの連携、協力を発揮する上でも、高齢化が進むもとで、地域の地域防災組織の拡大、強化と、その核となる防災リーダーの育成、タイムラインの考え方の普及が重要になっていると思いますけれども、都の認識はいかがですか。

○和田防災対策担当部長 水害からの逃げおくれをなくすためには、地域の住民同士が協力して避難することが重要であり、こうしたマイタイムラインの考え方を自主防災組織や地域の防災リーダーに普及していくことが必要であると認識しております。

○とくとめ委員 ぜひ地域防災リーダーの育成に本気になって力を入れていただきたいと思います。
 消防庁に聞きましたら、毎年、消防庁が小中高と連携して総合防災教育をやっておりますけど、毎年、約二千数百人が参加をしているんですね。だけども、ここにはタイムラインの考え方がまだ届いていないというか、そういう中身は普及されていません。そこにもちゃんと普及してほしいと思います。
 高校では、防災士の養成が、毎年、数は少ないですけども、平成二十八年、二十九、三〇年、約百人ぐらいずつ教育をされて、将来、地域や職場で防災リーダーになっていくというふうに思います。
 そこで、来年度予算で計画されている都の防災リーダーの育成研修や防災学習セミナーについて、その計画の全体像と主な内容はどういうものかについて伺います。

○和田防災対策担当部長 都では、地域防災力の向上を図るため、区市町村と連携して、自主防災組織のリーダーを育成する研修や、自主防災組織を対象とした防災セミナーを実施しております。
 リーダー育成研修は、組織運営や避難所運営など、リーダーに必要な能力を学ぶプログラムでございます。
 また、東京防災学習セミナーは、防災の専門家を自主防災組織に派遣してセミナーを行うもので、避難所対策や地震、風水害の備えなど、地域特性も踏まえて実施をしております。

○とくとめ委員 先ほども紹介したように、小中学校の単位で防災訓練、防災教育がずっと実施をされています。そこに消防庁も協力をしております。学校教育の中でもそういう努力はやられていて、これは、将来、いざ大きな災害が襲ったときに、必ず大きな力になると思います。
 皆さんもご存じのとおり、岩手県の釜石の奇跡といわれる津波てんでんこは、八年間--三千人の子供たちが、片田さんという、当時は群馬大の教授で、今は東大の教授で、東部の大浸水地帯の援助をする顧問で活動されておりますけど、そういう教育があって、東日本大震災のときには、逃げおくれを乗り越えて九九・八%の人が生き延びたと。
 一方、すぐ近くの宮城県の大川小学校では、ほとんどの人が亡くなるという事態になった。
 だから、教育を通じて、そういう意識、自覚が広がる。これは自己責任ではなくて、本当に自分の命を守るために積極的な行動をすることになるのではないかと思います。
 この間の東京都が発行している防災関係のパンフ、冊子には、タイムラインについては記載がされていません。それだけに、こうした防災研修、学習セミナーの場において、タイムラインの重要な考え方、具体化のやり方について、系統的に普及、啓発することが重要だと考えますけれども、都の認識はいかがでしょうか。

○和田防災対策担当部長 マイタイムラインの考え方や作成について、都民に広めていくことは重要であります。
 そこで、来年度は、リーダー育成研修でマイタイムラインの考え方を紹介するとともに、東京防災学習セミナーで作成方法を紹介してまいります。

○とくとめ委員 最後の質問になります。
 学校や地域、場合によっては企業などの単位による防災教育、研修、防災訓練の中でも、タイムラインの普及、具体化が重要になっていると思います。これはもう、災害の瞬間、局面だけの問題じゃなくて、将来に物すごい大きなレガシー、財産を残して、子供たちが大きくなったときに災害活動の先頭に立つ、そういう財産をつくることになると思います。
 そこで、こうした訓練、教育の中での普及啓発については、このタイムライン、どういうふうに考えて、どういうふうに普及しようというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

○西川防災計画担当部長 水害において都民が適切に避難行動に移れるようにするためには、さまざまな機会を捉えてタイムラインの普及を進めることが重要でございます。
 このため、児童生徒にマイタイムライン作成セットを配布するとともに、区市町村などと連携したイベントや防災訓練等におきましてタイムラインを活用することで、都民の水害からの避難に関する実効性を高めてまいります。

○とくとめ委員 以上で質問を終わりますけれども、来年度の予算で五億円を使う、ソフト対策で。これは大変なことだと思うんです。一人当たり約三百円ぐらいになるんですけども、これが無駄にならずに本当に生きてくるかどうかは、学校を通じて、その百四、五十万の、児童生徒にこのセットが渡ればそれで終わりということじゃないんですね。一番大事なのは、それが生きる形で具体化してもらう。家族と話し合って具体化してもらう。そこまでいけば、必ずそれは財産になって、さらに周りに広がっていくというふうに思います。
 そういう意味では、実際のタイムライン、六十二自治体全部具体化し切ることと、そういうものを力にして、やはり東京でマイタイムラインが画期的な普及を実現したという方にぜひ頑張っていただきたいということを述べて、質問を終わります。

○藤井(と)委員 では、本日、二人目の藤井でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 今般の組織再編についてお伺いをしたいと思います。
 今回、戦略政策情報推進本部、住宅政策本部、都民安全推進本部という三つの本部がつくられるということでございます。今回の質疑では、住宅政策本部と都民安全推進本部の二つについてお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、住宅政策本部についてでありますけれども、かつて住宅政策を専ら担う住宅局というものがあったわけでありますけれども、これは、まちづくりとの連携を強めるという目的のもとで、二〇〇四年に都市計画局と統合して都市整備局を設置したという経緯があるわけでございます。
 今回の組織再編は、あたかも十五年前に時を戻してしまうのではないだろうかと、そういった懸念の声もあるわけでございますけれども、改めて、今回、この住宅政策本部を立ち上げていくということに対する目的と趣旨について伺いたいと思います。見解をお願いいたします。

○栗岡人事部長 組織の見直しに当たりましては、本格的な人口減少社会の到来など、東京の未来の姿を見据えまして、中長期的な視点から検討していくことが重要でございます。
 一方で、喫緊の課題については、機を逸することなく、機動的に執行体制を整備していく必要もございます。
 都市整備局は、現場の感覚を反映した迅速な都市づくりを目指しまして、都市計画局、住宅局及び建設局市街地整備部門を再編統合しまして、平成十六年四月に設置されたものでございます。これまでの間、木密不燃化などを初めとする地域のまちづくりを展開してまいりました。
 しかしながら、都市整備局を設置して約十五年が経過しまして、世帯の高齢単身化、住宅ストックの老朽化や空き家の増加など、近年、東京の住宅行政を取り巻く環境は大きく変化してございます。
 このため、老朽マンションや空き家への対策、セーフティーネットの構築など、住宅政策をまちづくりとの一体性を確保しながら一層加速していくため、住宅政策本部を設置することといたしました。

○藤井(と)委員 ありがとうございます。今、ご答弁にありましたとおり、空き家が増加をしている、住宅ストックが老朽化をしている、おっしゃるとおりだと思うわけでございます。
 住宅政策を強化したいという思いがあるということも、答弁の中で承知をしたわけでありますけれども、では、今回、住宅政策本部として独立をさせたということによって、具体的に何がどのように変わるのか、何が強化をされていくのか、今の答弁では、ちょっと、いまいちわからない部分があるわけでございます。
 例えば、組織の意思決定を迅速化させられるだとか、この独立をさせることの意味というか意義についてどのように整理をされているのか、改めてお伺いをしたいと思います。

○栗岡人事部長 老朽マンションや空き家の増加による地域社会の衰退、住宅確保要配慮者の居住安定など、近年、住宅行政を取り巻く環境は深刻化してございます。
 このような状況下で、平成二十六年には区市町村への技術、財政支援を定めた空き家対策特別措置法が制定され、また、平成二十九年には住宅確保要配慮者に対する支援を定めた住宅セーフティーネット法が改正され、さらに、本定例会におきまして東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例を上程してございまして、これらに対応するため、住宅施策を強力に推進する必要がございます。
 このため、住宅政策に特化し、機動的な対応が可能な本部組織である住宅政策本部を設置することで、組織力を強化するとともに、迅速な意思決定が可能になるものと考えてございます。
 また、この組織改正に合わせまして、老朽マンションや空き家対策等を担う管理職を設置するなど、執行体制を強化し、住宅施策を一層加速してまいります。

○藤井(と)委員 ただいまのご答弁ですと、住宅政策を強化し、機動的な対応を図るためというようなことでございました。
 これまでの都市整備局の中に住宅政策部門を持っていたという趣旨は、まちづくり、他部門との連携ということがあったと思います。他部門との連携を重視するということも大切だけれども、それ以上に機動的な対応を図る、住宅政策に特化をするというのが、もし今回の組織再編の目的であるとするならば、これは私は考え方が違うんですけれども、本部じゃなくて局を設置する、住宅局を設置するという方が、今のご答弁の趣旨であれば、かなうのかなと思うわけでございますけれども、今回、局の設置ではなくて本部の設置というふうな形を選ばれたというのはどのような趣旨なのか、お伺いをしたいと思います。

○栗岡人事部長 東京の住宅行政を取り巻く環境変化を踏まえまして、老朽マンションや空き家への対策、セーフティーネットの構築など、喫緊の課題に迅速に対応していくためには、住宅政策を専管する組織を設置し、これまで以上に施策を加速させていく必要があると考えてございます。
 一方で、今後の本格的な人口減少の中にあっても、都営住宅建てかえにより創出された用地の活用や、空き家を活用した地域の活性化など、まちづくりと住宅政策を一体的に進めていくことも重要でございます。
 こうしたことから、喫緊の課題に迅速に対応しつつ、まちづくりとの一体性を確保できる組織として、都市整備局に本部組織である住宅政策本部を設置することといたしました。

○藤井(と)委員 ご答弁ありがとうございます。これまで何回かやりとりをして、同じようなやりとりをしているようにも思えるわけでございます。
 ちょっと角度を変えて質問させていただきたいと思うんですけれども、今回の住宅政策本部の設置に関して、この人員については、組織再編以前、以後ではどう変わるのか。強化になるのか、どうなのか。もし、この点がわかっておられましたら、お伺いをしたいと思います。

○栗岡人事部長 住宅政策本部は、都市整備局の住宅政策推進部、都営住宅経営部及び総務部の技術管理部門を集約し、設置した組織でございます。
 本部の定数につきましては、十八名を増員しまして三百八十九名となってございますけども、組織改正に当たりましては、事業実施部門を強化しつつ、庶務や人事といった内部管理部門の定数措置を厳しく抑制したところでございます。

○藤井(と)委員 ありがとうございます。十八名の増員ということでございまして、体制としては強化をしていくというようなことでございます。これはさまざま見解はあろうかと思いますけれども、東京都としては、都営住宅の新設は基本的にはやらないというようなことを決めた経緯を考えると、むしろ組織を拡大していく方向ではなくてスリムにしていくというあり方の方が、私は必要だったのかなと思うわけでございます。
 住宅政策本部が担う事業の大きな部分は、やはり都営住宅であるわけでございますけれども、都営住宅にまつわる課題というのは、居住されている方の高齢化の問題だったりだとか都営住宅の建物の老朽化、住まわれている方の高齢化等々の問題ということでございまして、やはり、まちづくり施策全体の中でしっかり都営住宅を追い続けて、さまざまな諸課題を解決していくということが重要だったのではないのかなと思うわけでございます。
 私は、この点、今回の組織再編については、議会の議決を経るということが必要のない形での簡易での意思決定のものでございます。この本部の設置というのは、あくまでも緊急の課題、臨時的な課題に対応していくというのが趣旨であるそうでございますので、これは裏返して考えれば、そのときそのときの状況で柔軟に見直していくということを意図した制度なのかなと思いますので、今般の組織再編を踏まえて事業を執行されると思いますので、その執行状況を踏まえた上で、柔軟に見直しを考えていただきたいなと思うわけでございます。
 次に、都民安全推進本部についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 都民安全推進本部なんですけれども、これまで青少年・治安対策本部が担ってきた事業のうち、いわゆるひきこもり対策についてを、福祉保健局、そして生活文化局に移すということになるわけでございます。
 そのため、青少年のネット対策、外国人不法就労、防犯カメラ、交通安全対策などの事業がそのまま残るということになるわけでございます。
 この本部でございますけれども、組織再編の以前と以後においては、人員という観点では、これはふえる形になるのか減る形になるのか、どうなのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

○栗岡人事部長 都民安全推進本部につきましては、青少年を取り巻く環境変化を捉え、青少年施策のうち、ひきこもり支援など他の組織で展開することが効果的な事業は他局へ移管し、東京の安全推進に注力した組織として改正することといたしました。
 新たな本部の組織体制につきましては、ひきこもり支援施策など青少年施策の一部を移管することにより九名の減としている一方で、外国人の滞在支援や再犯防止を一層推進するため、課長級ポスト二名を措置するなど、執行体制の強化も図ってございますけども、定数的には、現在の四十四名から三十七名となってございます。

○藤井(と)委員 人員としては、九名、本部としては減ったけれども、一方では、課長職をふやしていくなどの対応を図ったというご答弁であろうかと思います。
 私、こちらのこれまでの青少年・治安対策本部が担ってきた事業というものがどういった部で行われているのかという、他の自治体の事情をちょっと調べてみたんですけども、例えば、防犯カメラなんかですと総務部がやっている。あるいは、青少年のネット対策であれば教育長であったりだとか、あるいは福祉部門が担う。自転車の交通安全なんかでいうと、都市整備局というようなまちづくり部門が担っているというような事業が多いわけでございまして、青少年・治安対策本部がこれまでやってきた事業の大部分が、他の部門と重複をしている。これを他の部門に移すということが絶対できないというものは、私が見る限りにおいてはないようにも思えるわけでございます。
 今回、都民安全推進本部に名前を変えて残すというようなことをやられるということでございますけれども、これが正しい意思決定だったのかということに対しては、一定、疑問の声も聞かれるところでございます。
 石原知事の時代に、前身の緊急治安対策本部を立ち上げて、そして青少年対策の機能が付加されて現在に至っているわけでございますけれども、私、今回の組織再編において、スクラップ・アンド・ビルドという言葉もございますけれども、この青少年・治安対策本部については、一定、この廃止も含めての検討をやっぱり考えるべきだったんじゃないかなということを率直に思うわけでございます。
 確かに、二〇二〇年のオリンピックを控えていますので、じゃ、二〇二〇年度までになくすのかといったら、なかなかそれは、私もやるべきではないと思うわけでございますけれども、オリンピック後ということを一つの契機として、この部をなくしていく、役割を終えさせるということも、一定、考えていくべきだったのではないかなと思うわけでございますけれども、この点はいかがお考えになるでしょうか。

○栗岡人事部長 青少年・治安対策本部ではこれまで、庁内各局や関係機関の結び目として多岐にわたる施策を展開してまいりました。
 今回の組織改正につきましては、廃止等も含めまして、さまざまな検討をしてまいりましたけども、近年の青少年を取り巻く環境変化を捉え、ひきこもり支援施策など、青少年施策のうち他の組織で展開することが効果的な一部の事業を移管するものでございます。
 新たな本部では、不健全図書の指定等の事業を初め、性被害防止対策やインターネットリテラシーを高める取り組み、少年非行の抑止や再犯防止、自立支援に加え、外国人の滞在支援の強化など、都民の安全・安心につながる施策を積極的に展開してまいります。
 今後とも、都民安全推進本部が中心となって、関係局と連携しながら青少年施策を展開するとともに、時期を捉えて、事業動向に即した執行体制を整備してまいります。

○藤井(と)委員 ただいまの答弁の中で、廃止も含めて検討した結果として存続させるというか、名前を変えて存続されるという結論に至ったということでございますので、廃止も含めて検討されたということなので、この点は、まずは受けとめさせていただきたいなと思うわけでございます。
 私、今回の組織再編を拝見していましても、やっぱり行政の肥大化というのは、行政の抱えているさがともいえる問題なのかなということを率直に感じるわけでございまして、本部がふえる一方で、既存の部だとか局を減らすというのは、なかなか判断には至らないということでございまして、何かをふやしていくというのは賛同が得られやすい一方で、何かを減らすというのは、非常に批判というか、反発も生じやすいなということを率直に感じるわけでございます。
 私、知事の初めての、知事就任後の所信表明を見てみたんですけども、東京は肥満都市になっていると。私も都議になる前だったので、知らなかった。それぐらい厳しく、東京という都市は行政が大きくなり過ぎているというような問題意識を表明して、まさにそうしたことを喝破されたぐらいでございまして、私は今回の組織再編というのは、見え方によっては、行政のスリム化という、本来の東京都が進めていかなければいけないものと逆行してしまっているような側面も、どうしても見えてしまうと感じております。
 私は先ほども申し上げましたけども、本部は本部ですから、議会の議決を要しない、あくまでも簡易的な意思決定でなされるもの、臨時的な対応であるというふうに私も理解しておりますので、状況状況によって、ぜひこの点、三つでき上がります本部については柔軟な対応を求めたいということを申し上げまして、私からの質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○山内委員 十一月の総務委員会での質疑において、災害が起きた際に、外国人観光客へどのように情報発信するかについて問題提起をさせていただきました。
 外国人を含めた防災訓練を実施したと聞いておりますが、防災訓練の状況についてお伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 都は、平成二十六年度以降、毎年、区市との合同による帰宅困難者対策訓練を実施してきております。
 今年度の訓練では、外国人観光客などが電車での移動中に被災したとの想定のもと、駅ホームからの多言語による誘導、一時滞在施設における「やさしい日本語」を活用した受け入れ訓練などに取り組んでおります。
 また、多言語化が図られております東京都防災アプリを活用し、参加していただきました外国人の方々に、災害時における避難行動や安否確認方法などを体験していただきました。

○山内委員 多くの外国人観光客が経由する空港、ターミナル駅、ホテルなどにおける情報発信、情報提供の充実を求めましたが、その後、どのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 大規模災害発生時には、外国人観光客に対しても、迅速かつ正確に情報提供を行うことは重要であり、平時から備えを行うことが必要でございます。
 そのため、帰宅困難者となった際にとるべき行動などをわかりやすく学ぶことができる外国人観光客向けの動画を、本年度新たに作成いたしました。
 この動画を外国人観光客が多く利用する空港アクセス鉄道路線の車内デジタルサイネージにおいて放映するほか、今後、動画の活用について、在京大使館やホテルなどにも働きかけを行い、外国人観光客の防災意識の向上に取り組んでまいります。

○山内委員 生活文化局との連携はどのように行われているのでしょうか、お伺いいたします。

○有金総合防災部長 首都直下地震等の大規模災害発生時、生活文化局では東京都防災語学ボランティアの派遣準備等を行うこととなっております。
 生活文化局では、防災語学ボランティアも参加した外国人のための防災訓練を毎年実施しております。
 総務局もこの訓練に参加をし、防災ブック等の多言語版を使った防災に関する知識の普及啓発等を実施しております。
 また、総務局が中心となって実施をいたします総合防災訓練では、展示ブースで防災語学ボランティアの活動を紹介するなど、連携して取り組みを行っております。

○山内委員 外国人に安心して観光に来ていただくには、災害支援として、情報を「やさしい日本語」化、多言語化に取り組むことが重要であると、生活者ネットワークは長年指摘してまいりました。
 外国人居住者に防災訓練に参加してもらうことで、多岐にわたる外国人への支援を充実させ、留意すべき点を明らかにすることができます。
 また、外国人居住者が防災訓練に参加することは、災害弱者の対象としてではなく、むしろ外国人観光客への支援の担い手として活躍してもらえると考えます。
 外国人の防災訓練を拡充すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○有金総合防災部長 防災訓練の実施に当たりましては、会場となる自治体の外国人居住者のみならず、生活文化局が大使館等を通じまして、都内在住、在勤、在学の外国人に対しましても幅広く参加を呼びかけております。
 また、訓練には防災語学ボランティアにも参加をいただき、応急救護等の取り組みとして実施をいたします自助、共助訓練に外国人が参加しやすいものとしております。
 都では、訓練に外国人が参加をいただくことにより、外国人居住者への防災に関する知識の普及啓発を図っており、こうした取り組みが発災時には外国人観光客への支援にも寄与するものと考えております。
 今後とも、区市町村や各局とも連携の上、訓練などへの外国人居住者への参加を呼びかけるとともに、外国人観光客の安全確保を図ってまいります。

○山内委員 外国人観光客が情報収集するために、スマートフォンは必須となっております。そうした中で、充電場所の提供を求める声は大きくなっています。東京都の情報センター等を初めとして、充電場所の提供をすべきと考えます。
 スマートフォンの充電場所の提供について、都の取り組みについてお伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 大規模災害発生時における情報収集や発信、家族との安否確認のために、スマートフォンを初めとする携帯端末は有益なツールであります。
 都はこれまでに、災害時にも電源を確保できるよう、外出時にモバイルバッテリーを持ち歩くなどの自助としての取り組みを、防災ブックや東京都防災アプリなどを通じて外国人に多言語で呼びかけてきております。
 また、都立一時滞在施設においては、災害時伝言サービスが利用可能な特設公衆電話の配備を行っており、災害時の家族との安否確認手段の確保を図っております。
 都庁舎など都立一時滞在施設におきましては、大規模災害時に停電が発生した場合には、非常発電設備は施設機能を維持することを優先する必要があり、また、設備には一定の限界もあることから、都立一時滞在施設における携帯端末のバッテリー切れ対策につきましては、電力供給の優先度を踏まえながら今後検討してまいります。

○山内委員 昨年の台風や地震等発生時のマスコミ報道でショックを受けましたのは、関西国際空港や新千歳空港で、日本人は何らかの情報を得て避難を始めたのに対して、外国人観光客は取り残されたまま、通路や路上で一夜を過ごしたという映像があったことです。日本人であれ、外国人であれ、その地域、その場に適切な避難情報の提供がなされるべきであると思います。
 外国人への災害対策は、総務局を初め、さまざまな部署で取り組んでいますが、発災時の避難誘導の情報の多言語化が進んでいるとはいうものの、英語、中国語、韓国語にとどまっているのが現状です。
 先ほど、今年度、駅ホームからの多言語による誘導訓練を実施したということでございましたが、その際も英語だけだったということです。ぜひ多言語対応をお願いしたいと思います。
 また、災害用語や避難用語など、日本語は非常に難しくて、翻訳するのに苦労するとの指摘もあることから、生活者ネットワークは、「やさしい日本語」にする取り組みを長年求めてきました。ようやく取り組みが始まっています。
 地震のない国、少ない国もあり、防災訓練そのものの認識がない、あるいは知らないという国もあります。そのときに、災害や避難に関する知識や経験が不足していることで適切な避難ができなかったり、文化や習慣の違いから食事や生活面での配慮が必要だったりすることから、防災訓練への参加を進めていただきたいと思います。
 外国人向けの防災対策には、在住外国人を対象としたものに加えて、観光客へのケアも重要です。
 東京には、百五十八の国、地域の在京大使館等があります。所管は政策企画局でございますけれども、連携して、在住外国人、観光で東京に訪れる外国人の災害対策に関して、どのような情報をどのように提供することを求めているのか、当事者ニーズを把握するためにアンケート調査等を行うよう要望いたします。
 都は、こうした情報を収集して災害時の外国人支援を充実させることが重要であり、在住外国人の方々に外国人観光客への支援の担い手となっていただける仕組みをつくることが必要と考えます。在京大使館等との情報共有の拡充と、他局の施策との連携を求めるものです。
 次に、多様な性の理解の促進についてお伺いしたいと思います。
 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が、昨年十月十五日に公布されました。
 多様な性の理解の促進についてお伺いいたしますが、相談窓口が設置されましたが、その広報はどのように行われているのか、また、寄せられている相談の状況についてお伺いいたします。

○仁田山人権部長 東京都性自認及び性的指向に関する専門電話相談は、性自認及び性的指向に係るさまざまな問題につきまして、当事者のみならず、その保護者の方々なども含めまして相談をお受けしております。昨年十月の事業開始以降、ことし一月までの実績件数は、合計五十件でございました。
 相談窓口につきましては、人権部のホームページのほか、「広報東京都」十二月号や人権啓発冊子「みんなの人権」、リーフレットによる広報を実施しており、今後も、各種広報媒体を適切に活用して効果的に周知を図ってまいります。

○山内委員 全庁横断会議が、昨年、二〇一八年十月三十日に行われました。
 部長級の会合と課長級の会合を設けたのはなぜか、また、どのような議論が行われたのか、お伺いいたします。

○仁田山人権部長 いわゆる人権尊重条例に基づきまして、全庁を挙げて必要な施策を実施するため、都庁全局の人権所管局などの部長級をメンバーとする東京都性自認及び性的指向に関する施策推進会議を設置したところでございます。
 また、この会議を補佐し、各分野における実務的な検討を進めるため、都庁各局の人権所管局の課長級をメンバーとする施策推進担当課長会も設置いたしました。
 十月三十日に行われた第一回の施策推進会議においては、条例の趣旨を共有し、基本計画の策定に向けて、全庁を挙げた協力を要請したところでございます。

○山内委員 その会議で、専門家や当事者団体等の意見を聞いたり、議論したりすることはあったのでしょうか、お伺いいたします。

○仁田山人権部長 十月三十日の施策推進会議では、専門家や当事者団体などの意見を聞いてはおりませんが、施策の推進の検討に当たりまして、必要に応じて、性自認及び性的指向に関し知見を有する学識経験者などの専門家や当事者等の意見も伺っていくこととしております。

○山内委員 私たちのことを私たち抜きに決めないでという、障害者条約の制定過程において当事者が訴えた重要なスローガンがあります。障害者に限らず、当事者の意見を聞くことは重要です。
 こうしたスローガンも踏まえて、都として性的指向及び性自認にかかわる問題において、当事者の声をどのように聞いていくのか、お伺いいたします。

○仁田山人権部長 性自認及び性的指向に関する困り事はさまざまでございまして、声を上げることができずに悩んでいる方々も含め、当事者に寄り添い、それぞれの声を聞いていく配慮が大切であると認識しております。
 引き続き、相談窓口で寄せられる声を初め、先ほどの施策推進会議など、さまざまな機会を通じ、当事者の方々の意見を伺ってまいりたいと思います。

○山内委員 基本計画は、ことし、二〇一九年八月に素案を出して、年末までに策定の予定であると聞いています。
 策定までのスケジュール、策定過程での専門家や当事者等の意見交換等はどのように行う予定なのか、お伺いいたします。

○仁田山人権部長 人権尊重条例におきましては、基本計画の策定に当たって、都民等からの意見を聞くものと定められております。
 現在、都庁各局の施策現場において、どのような配慮が必要かなど、個別、具体的に課題の抽出を進めるとともに、有識者等による研究成果、当事者のニーズや、他自治体や企業における施策実施状況など、計画策定のための調査を行っており、年内に策定いたします。
 引き続き、計画の策定に当たりましては、さまざまな機会を通じ、専門家や当事者などの意見を伺ってまいります。

○山内委員 素案の際のパブコメとはまた別に、専門家や当事者等の意見を伺っていくということだと理解させていただきます。
 昨年行われた東京レインボープライド二〇一八の際には、主催者側から、東京都の後援、都知事のメッセージ、都民広場からのスタートなどの要望がありました。小池知事からのメッセージが届いたと聞いております。
 東京レインボープライド二〇一九の日程が決定し、プライドフェスティバルが四月二十八日、二十九日に実施される予定と聞いております。主催者側から東京都への要望があった場合には、ぜひ対応していただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○藤井(あ)委員 三人目、最後の藤井です。よろしくお願いいたします。
 平成三十一年度の総務局所管分の予算調査、審議に当たりまして、二〇二〇改革に記載のあります組織、特に戦略政策情報推進本部について、次いで二〇二〇改革そのもの、最後に、統計について、それぞれ質疑をさせていただきます。
 最初に、戦略政策情報推進本部についてです。
 先週の金曜日、三月十五日に、国では、行政手続を原則として電子申請に統一する、いわゆるデジタルファースト法案、最近はデジタル手続法案ともいわれていますが、閣議決定をされました。
 この法案には、大きく三つの原則があります。一つ目はデジタルファースト、これは行政手続を原則として電子申請にするということです。二つ目はワンスオンリー、一度提出した情報を何度も提出しなくても済むようにするということです。三つ目が、民間サービス等を含めて複数の手続を一度で済ますコネクテッドワンストップ、この三つでございます。
 政府は、まず二〇一九年度、引っ越しの際にインターネット経由で住民票を移転すれば、その情報、データが電気やガス、水道の契約にも転用されるというようなことをされるそうでございます。
 これまで、引っ越しの際には、住民票は市役所、電気は電気の会社、ガスはガス、水道は水道と、それぞれ連絡をとる必要がありましたが、その手間が省けるというのは、都民、国民にとって、手続の時間を削減するとともに、サービスの向上に資する、すばらしいものではないかなと考えております。
 これらを実現するためにはマイナンバーも積極的に活用していくということで、今回、質疑はしませんが、都として、マイナンバーの活用も、しっかりと検討が必要じゃないかなと思っているところでございます。
 国を挙げて取り組んでおりますこのデジタルガバメント、デジタルファーストを実現いたしまして都民サービスを向上するための視点から、来年度から新設されます戦略政策情報推進本部について期待をしているところでございます。
 二〇二〇改革プランバージョンアップの改定版を確認いたしますと、組織、人材マネジメントの強化の項目として、喫緊の課題への対応を図るため、戦略政策情報推進本部、及び先ほどお話のありました、ほかの委員から質問のありました住宅政策本部を設置し、青少年・治安対策本部を都民安全推進本部に改組し、また、今後、東京二〇二〇大会後の都を取り巻く状況等を踏まえて、組織全体のあり方について検討するという記載がございます。
 最初に、改めまして、この戦略政策情報推進本部を設置する狙いについてお伺いいたします。

○栗岡人事部長 本格的な人口減少社会が到来する中で国際的な都市間競争を勝ち抜くためには、急速に進展する最先端技術の革新など、環境変化に対応した東京の成長戦略を進めることが重要でございます。
 そこで、政策企画局が担っている国際金融都市東京の実現に向けた取り組みや、最先端技術を活用した新事業の創出と総務局が担っている都政のICT利活用などを一体的に推進しまして東京の成長戦略を加速するため、新たに戦略政策情報推進本部を設置することといたしました。

○藤井(あ)委員 人口減少や国際競争の激化という喫緊の課題に対応するために東京の成長戦略を加速するためということでございますが、国際金融、最先端事業担当部署とICT利活用担当部署を一体的な専管する組織にすることで、具体的にどのような効果があるのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 これまで、成長戦略については政策企画局、ICT利活用については総務局と、別組織で連携しながら取り組んでまいりましたが、専管組織として一体的に推進することで迅速な対応が可能となります。
 例えば、都民サービスの向上や新たなビジネスチャンスの創出につながるビッグデータを活用した官民連携によるデータプラットホームの構築などについて、導入に向けた検討を加速することができます。
 これらの政策を集中的かつ機能的に担う本部を設置することで、今後、東京の持続的成長を実現する取り組みを、より一層、推し進めてまいります。

○藤井(あ)委員 先週金曜日の政策企画局への質疑でも述べさせていただきましたが、東京の稼ぐ力、つまり東京の成長戦略の一つのポイントは、まさに先端技術をいかに生かすか、そして、それを都政にどう取り入れるかということだと認識をしております。両部署が協調して、さらに局横断的に動いていくということを期待しているところでございます。
 一方、若干心配のあるところといたしまして、今回、本部の設置ということで、総務局、政策企画局という、条例で定められている局のくくりから外れてしまうことになるかと思います。
 総務局から戦略政策情報推進本部となることで、ICT分野について、庁内における役割や局横断的な機能の低下が懸念されるところでございますが、見解を伺います。

○栗岡人事部長 戦略政策情報推進本部は、知事のトップマネジメントを補佐し、重要な政策の総合調整を担う政策企画局の本部として設置するものでございまして、東京の持続的成長の実現に向け、その果たす役割は重要でございます。
 現在、総務局情報通信企画部が所掌する、全庁における情報システム経費の統制機能や、その妥当性を評価するアセスメント機能等を新本部において継続して担うことで、全庁調整機能を引き続き発揮してまいります。
 また、本部設置とあわせまして、先端事業普及モデル創出事業やICTの利活用による事業構築、さらに、AIやRPAを活用した効率的な業務運営への転換などについて、人員増をするなど体制強化を図ってございまして、全庁的な調整機能の強化につながるものと考えてございます。

○藤井(あ)委員 本部となっても、機能低下を生じさせることなく、都の直面する喫緊の課題を解決できるように進めていただくようお願いいたします。
 そのための一つの案として提案をさせていただきます。
 国では、各省庁が個別に行っている情報システムの経費を、政府全体の統合調整機能を持つ内閣官房が中心となって、その調達の予算の要求から執行までを一元的に管理することを検討しているというような報道がございました。一元化することで、約年間五千億円かかっている政府の調達予算を三割削減することを目指すというようなお話でした。
 そこで、都でも、全局にまたがって存在するシステムの関連予算の管理を戦略政策情報推進本部に集中させ、管理するということも検討をしていただきたいと思います。
 加えて、デジタルファーストを進めようとしますと、区市町村等、他の自治体や民間企業との連携というのも必要になってまいりますので、その点も注意していただきたいと思います。
 続きまして、組織に関連いたしまして、採用であったり、特に民間からの人材採用について確認をさせていただきます。
 デジタル化やICTの利活用を進めるには、行政と比べてICT化が進んでいる民間の知見を活用するのは極めて有効であると考えております。都では、二〇一七年十一月一日に、政策におけるICTの利活用を積極的に進め、都民サービスを向上させることを目的に、民間から二年間の特定任期つきの職員を八人採用しております。
 その採用案内を見させていただきましたが、ICTの利活用推進の取り組みに、管理者の立場で企画や助言、指導をする高度な専門性と豊富な経験を有する人材であるとございました。
 この民間から採用されました八人の情報通信技術担当課長の成果がどうだったのか、お伺いをいたします。

○山田情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務 情報通信技術担当課長の職務内容は、ICT利活用事業の企画立案と実施の助言、指導でございます。
 具体的な成果例といたしましては、受動喫煙防止対策AIチャットボットの導入がございます。局と綿密な打ち合わせをしながら企画立案し、アジャイル開発から本格導入まで、技術面から助言を継続して行い、平成三十一年一月、サービス開始に至ったものでございます。
 この導入経過や技術は、一局にとどまるものではなく、今後、都の共通仕様となり得るものであり、局横断的な取り組みでございます。
 このほか、住民協働による道路の維持管理を含むICTを活用した公共インフラ維持管理の検討、ビッグデータの利用可能性を実際に示して見せた熱中症予測や、大規模イベント・都市動態シミュレーション実証実験の実施、各局等でのビークデータ活用に際しての助言などを行っております。
 いずれも、局横断を念頭に、ICT導入による効率的、効果的な施策実現を目指したものでございます。

○藤井(あ)委員 先ほどの採用案内によりますと、二年間の特定任期つき職員とのことですが、最長五年まで延長できる場合があると記載をされております。今後、さらに国際的な都市間競争が激しくなる中で競争力を確保するためにも、こういった人材を、より一層、積極的にご活用いただきたいと思います。
 体制の強化の一つだと思いますが、戦略政策情報推進本部に情報企画担当部長のポストが新設され、公募により民間からの採用を想定しているとのことである。採用案内を見ると、三月中に選考して、四月一日から採用するということが記載をされておりました。
 この情報企画担当部長の役割は何であるか、お伺いいたします。特に、これまでの情報通信技術担当課長との役割の違いは何なのかというところについてお伺いをいたします。

○山田情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務 情報企画担当部長の職務内容につきましては、都におけるICT利活用の企画調整、官民連携によるICT利活用事業の企画調整などでございます。
 情報通信技術担当課長の上司に当たり、同課長が東京都ICT戦略の推進のため、各局のICT利活用事業の企画立案や実施の助言、指導を行うことについてマネジメントしていくこととなります。
 さらに、都は、デジタルガバメントを目指すとともに、行政のみならずビジネス領域をも巻き込んで、東京においてソサエティー五・〇を実現していくという方向性を明らかにしております。ICT施策をその方向へ確実に束ねて強力に推進していく必要があり、情報企画担当部長はその職責を担うものでございます。

○藤井(あ)委員 今後、より一層、デジタル化を進めるに当たっては、専門人材であるエンジニアを職員として雇うなど、内製化も進めるべきであると考えております。
 民間では、これまで外部のシステム会社にシステムの構築や運用というものを全て任せていたところでございますが、そういった体制から、内製化して自社にエンジニアを抱えるというような体制に変わってきております。
 自社でエンジニアを抱えて内製化することで、自分たちの業務を深く理解した上で、デジタル化、ICTの利活用を進めることができるという利点がございます。ぜひそういった人材の採用、またはその育成というものを進めていただきたいと思います。
 もう一歩、お話を進めますと、イギリスのデジタル化を担う組織でありますGDS、UK Government Digital Serviceというところでは、イギリス政府のホームページをつくったソースコードというものを公開しておりまして、GitHubというソフトウエア開発のプラットホームがあるんですが、世界中に公開をして共有しております。
 アメリカや韓国、ニュージーランドでも、そのGDSを参考にした組織ができておりまして、そのイギリス政府のソースコードを使ってデジタル化を進めているといったような事例が出てきております。
 今後、東京二〇二〇大会後の都を取り巻く環境の状況変化を踏まえて組織全体のあり方について検討する際には、GDSなど各国政府のデジタル化の取り組みや、国の政府CIOの仕組み等も参考にしていただきながら、縦割りを超えて局横断的に権限を持つチーフデジタルオフィサー、CDOやCIOを局長級のポジションとして設置するなどご検討いただいて、いわゆるCIO室、CDO室のような組織をつくるなども、ぜひ体制面で整備を進めていただきたいと思います。
 一点、ちょっと追加したいのが、私、昨年の九月の一般質問で、エストニアの電子政府だったり、中国の深?のキャッシュレス経済など、テクノロジーという視点で先進都市への視察に行くべきというご提案をさせていただきました。今回、予算がついたということで、要望を聞いていただきまして、ありがとうございます。百聞は一見にしかずではないかというふうに考えております。ぜひ積極的に視察に行って、得た知見を新しい施策に生かしていっていただきたいと思います。
 ちなみに、私、オンラインのミーティングのツールであったりとか、情報共有のツールというのを販売しておりました。そのときも、必ずフェース・ツー・フェースが一番であるという大原則をまずお話しさせていただいておりました。そういうツールを余り使ったことがないお客様というのは過度に期待をするものですが、大体、そういった形で進めるプロジェクトというものは失敗をしてしまいます。百聞は一見にしかずというところで、ぜひ、フェース・ツー・フェースを補完するものとして、そういうツールは使っていただければと思います。
 ぜひ海外視察を通じて大きな成果というものを持って帰ってきてくれることを期待する次第でございます。
 続きまして、二〇二〇改革について確認をさせていただきます。
 まず、デジタル仕事改革(仮称)ですが、これについて確認をさせていただきます。
 これまで都では、都民サービスの向上を目指し、行政手続のオンライン化を進めてまいりました。
 我が会派の森村都議の予特での質疑に対して、今年度末には新たに百を超える手続をオンライン化する見込みで、来年度はさらにそのオンライン化を進めていくという答弁がございました。
 平成三十一年度からは、さらなる利便性の向上を目指しまして、バックオフィス業務のデジタル化を進める、先ほどのデジタル仕事改革(仮称)を進めると聞いております。
 デジタル仕事改革は、まさに先ほどお話をしました政府の進めるデジタルファースト法案にも関連したもので、行政サービスにおけるデジタルファースト、そしてワンスオンリー、先ほど申し上げました、一度提出した情報というものを何度も同じ人が出さなくてもいいようにするといった実現に向けた取り組みでございます。
 デジタルファースト、ワンスオンリーの実現に向けまして、どのような取り組みをするのか、お伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ICT技術が目覚ましく進展し、社会全体のデジタル化が要請される中、都民サービスと都庁の生産性を向上させていくためには、行政においても、最新のICT技術の活用と、デジタル化を前提とした業務プロセスの見直しを行い、業務の効率化、省力化を徹底していくことが重要でございます。
 こうした認識のもと、都はこれまで、都庁BPRとして、都庁内部の事務であります総務事務を中心とした業務プロセスの再構築に取り組むとともに、行政手続などの原則オンライン化など、都民サービスのデジタル化に取り組んでまいりました。
 今後は、こうした業務改革の取り組みを一歩進めまして、同じ情報を申請者に再び求めないワンスオンリーの実現を目指して庁内で情報の連携を行いますよう、バックオフィス領域のデジタル化に取り組んでまいります。
 来年度は、行政手続と補助金の一部の申請を対象といたしまして、添付書類の削減、簡素化や、提出されたデータの庁内連携を行うモデル事業を実施し、検証してまいります。

○藤井(あ)委員 行政手続、そして補助金と伺いましたが、平成三十一年度、都民が提出する情報を一度にするワンスオンリーを具体的にどのように進めていくのか、お伺いをいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 来年度のモデル事業につきましては、都におけます行政手続が事業者を対象とするものが多く、提出書類や情報が多岐にわたるという特徴を踏まえまして、行政手続に加えて、連携ニーズが高いと考えられます補助金もあわせて対象とすることを考えてございます。
 行政手続におけるワンスオンリー化につきましては、来年度、複数の窓口での手続が必要な場合や、同一の窓口に複数回来庁する場合など、類型を整理した上でモデルケースを選定し、検証を行ってまいります。
 また、補助金におきましても、国が現在進めております補助金申請システムの試行事業を活用いたしまして、複数の補助金を対象とすることを想定し、現在、国と調整を図っているところでございます。

○藤井(あ)委員 冒頭に述べましたとおり、行政手続を、国のデジタルファースト法案では、デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッドワンストップの三つの原則があるとしております。今回の議論の対象からは、三つ目の、民間サービスを含めての手続を一度で済ますことを目指すコネクテッドワンストップが外れているものかと思います。
 政府は、引っ越し、移転や相続で、まずはコネクテッドワンストップを実現しようとしておりまして、総務局が所管する都の手続の関係業務では、対象がなかなか難しいということも認識をしております。
 しかし、水道局や下水道局など事業を持っているところもございますので、今挙げましたデジタルファースト、ワンスオンリーに加えて、このコネクテッドワンストップも実現すれば、都民の利便性の向上というのは、はかり知れないものかと思いますので、こちらの検討も、東京都として、ぜひ前向きに進めていただければと思います。
 続きまして、私の昨年九月の一般質問でも取り扱いましたRPAの進捗について確認をさせていただきます。
 都では、昨年十月からRPAの実証実験を行ってまいりました。三月末で実験が終わり、報告書がまとめられると聞いております。
 このRPAの実証実験に取り組んできまして、現時点で見えてきた都での活用の成果、そして課題についてお伺いをさせていただきます。あわせて、来年度への展望もお伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 RPAの実証実験につきましては、民間事業者の協力を得て、都庁の職場をフィールドとして行っております。現在、報告書を取りまとめるところでございます。
 主な成果といたしまして、作業の自動化によります処理時間の縮減がございまして、業務によりましては処理時間が半減するなど、効果を得られたケースもございます。また、あらかじめ処理手順を設定いたしますことで、ヒューマンエラーを未然に防止できるという効果もございました。
 一方で、RPAの適用に向けまして、業務フローの分析やRPAソフトウエアの操作の習得には一定の支援が必要であるなどの課題も明らかとなってございます。
 来年度は、こうした成果や課題を踏まえまして、RPAに適した業務の掘り起こしや、技術的なサポートなど、きめ細かな支援を展開していくことでRPAの活用機運を高め、都庁BPR、業務改革を推進してまいります。

○藤井(あ)委員 次に、二〇二〇改革の中でも見える化改革について確認をさせていただきます。
 平成二十九年度に十五ユニット、そして、今年度、三十年度に四十三ユニットの棚卸しと点検と評価を行う見える化分析の報告が完了をいたしました。見える化改革の報告書は、改革のスタート地点になるものだと思います。本当に意味のある、意義のある改革とするためには、PDCAサイクルを着実に回し、改革をバージョンアップさせていく必要がございます。
 今後、各局が報告書のPDCAサイクルをどのように回していくのか、お伺いをさせていただきます。

○小笠原都政改革担当部長 見える化改革は、各局による局事業の自律的かつ継続的な見直しを進めていくことを目的としております。
 報告書のPDCAサイクルにつきましても、一義的には各局が自律的に進捗管理を実施していくこととしております。そして、その取り組み状況につきましては、都政改革本部会議において、毎年度確認を行いますとともに、二〇二〇改革プランのバージョンアップにつなげてまいります。
 また、来年度から新たに導入する政策評価では、見える化改革の取り組みを制度的に継続させる観点から、見える化改革で用いた事業ユニットをベースに、可能な限り定量的な成果指標を設定し、施策の進捗状況を把握していくこととしております。
 さらに、政策評価に関しましては、都政改革アドバイザリー会議に政策評価分科会を設置いたしまして、成果指標や評価の妥当性について、外部の有識者からご意見をいただくこととしております。
 これらの取り組みを通じまして、各局のPDCAサイクルの一層の徹底に努めてまいります。

○藤井(あ)委員 報告書を一通り、全部読ませていただきました。その中で、PDCAをどのように行うかが明確でないものも若干あるかなと思いまして、多少、物足りないような気がしたところもございます。なので、今ご答弁いただきましたような、実行していく中でバージョンアップをするということが非常に重要であるというふうに考えております。自律的な改革の中でどこまでできるのか、今後も、注視をさせていただきたいと思います。
 加えて、我が会派の鈴木都議の先日の一般質問で、財務局が行う事業評価と総務局の政策評価、そして政策企画局の実行プランのレビューと連携を深めるというようなご答弁がありました。こちらを進めていただきたいというところと、あわせて、来年度、政策企画局では長期計画を立てるということですので、総務局としましても、そういった長期的な目標とリンクした改革というのを進めていただきますことを要望させていただきます。
 続きまして、統計不正についてお伺いをさせていただきます。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正問題が注目を集めているところでございます。毎月勤労統計調査は、国からの法定受託事務として、都道府県が実際の調査を行っています。
 今回の不正問題は、五百人以上の規模の事業所について、統計法に基づき全数調査が必要であるところ、東京都に限っては、平成十六年から現在まで、一部に調査を絞る抽出調査を行っていたというものです。
 例えば、平成三十年十月分では、全千四百六十四事業所のうち四百九十一事業所のみを調査対象としていたというものでございます。加えて、抽出調査であれば統計的な復元処理が必要なところを、国はその作業を行っていなかったため、長年、統計上の賃金額が低くなっているということが起きております。
 国は、この不正を受けまして、全部で五十六個ある基幹統計の総点検を行いました。その結果、二十三の統計で手続の誤りや不正が見つかっておりまして、日本の統計に対する信頼というものを落としたものであるというふうに考えております。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正に関して、都は独自の調査を行い、二月六日に中間まとめを発表しております。一部報道では、都が事務負担軽減のために調査対象を減らすように要望したかのように報じるものがございました。
 改めて、国の毎月勤労統計調査の不正問題について、都のかかわりをお伺いいたします。

○熊谷統計部長 毎月勤労統計調査に関し、今回問題となった平成十六年からの調査方法の変更に東京都のかかわりがあったかどうかについて、統計部に保存されている書類等を調べるとともに、当時の職員への聞き取り調査を行い、その結果を中間のまとめとして公表しましたが、都から厚生労働省に調査方法の変更を要望した事実は確認できておりません。
 法定受託事務である統計調査の実施機関として、都道府県が違法、不適切な取り扱いを国に求めることはあり得ないことであると考えております。

○藤井(あ)委員 改めて、統計調査における法定受託事務とはどういうものか、伺います。
 特に、法定受託事務は国からの指示を受けて都が実行するものであると思いますが、その指示は具体的にどのようなものであるか、そして、その指示を無視して仕事量をふやすなどした場合はどうなるか、お伺いいたします。

○熊谷統計部長 地方公共団体は、統計法第十六条及び同法施行令第四条などの規定に基づき、国からの委託を受けて基幹統計調査の事務の一部を実施しております。
 受託している事務の主な内容は、調査票の配布、取集、審査など、実地調査に係る事務となっています。
 調査に当たっては、各統計調査の規則や事務処理基準などにより、調査事項や調査手法、調査区や標本数などの具体的事項を国から指示されますが、地方公共団体は、これを無視して独自に調査を行うことはございません。

○藤井(あ)委員 国だけでなく、実際に調査をする地方自治体でも、調査員による不正などが明らかになっております。滋賀県では、基幹統計の一つであります家計調査で、一つの家計簿を複数の世帯に転記するなどの不正が見つかっています。大阪でも、基幹統計の一つであります小売物価統計で、過去の価格をそのまま報告するという不正が見つかっています。国の問題だけでなく、法定受託事務を受けている自治体側の問題も出てきているということです。
 一方、予算の制約などもあり、現場の調査員の疲弊が限界に来ているという声も聞こえてまいります。現場の調査員と接する機会の多い都としては、その現場の声をしっかりと国にも届けてほしいと思います。
 都においても、チェック体制の強化など、調査員の不正を防ぐ取り組み、仕組みが必要だと考えます。
 小売物価統計等の統計調査で、都としてどのような取り組みをしているのか、見解を伺います。

○熊谷統計部長 統計調査の信頼性を確保するためには、統計調査員の不正を防ぐための実効性ある取り組みが重要でございます。
 このため、例えば小売物価統計調査では、毎月一回の調査員来庁日を設け、各調査員と個別に面談し、状況に応じた指導を行うほか、年二回の調査員説明会において調査上の決まりや留意点等を説明し、調査員の意識やスキルの向上を図っております。
 加えて、他の道府県にはない都独自の取り組みとして、調査員が調査対象の店舗を訪問した際に、店の名前が入ったスタンプを押印表に押してもらうことをルール化し、調査の履行確認と不正防止のための対策としております。
 また、家計調査におきましては、調査が終了した世帯に往復はがきによるアンケートを実施し、いただいた意見を今後の調査に役立てるとともに、調査員の活動状況の確認にも活用するなど、不正を防ぐための取り組みを進めているところでございます。

○藤井(あ)委員 統計調査員の教育やチェックの体制については、ぜひ、国やほかの自治体とも積極的に意見交換するなど、都の持つ知見を共有していただきたいと思います。
 今後の調査等についてお伺いをさせていただきます。
 今回の調査は毎月勤労統計にかかわるものでありましたが、これまで述べてきましたとおり、国や他の自治体では、基幹統計を初めとした、そのほかの統計調査でも問題が明らかになっています。
 今後、都が行っている統計法に基づく調査手続等に問題がないか調査すべきと考えますが、見解を伺います。加えて、都の各局が独自で行っている統計調査も、同様な不正がないか確認をすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○熊谷統計部長 統計の信頼性への関心が高まる中、都は、国の動きと十分に連携しながら、統計調査に関する点検を実施するべく準備を進めております。
 今後、法定受託している基幹統計調査等について、国の調査計画に定められた調査手法を遵守しているかなどの点検を実施するとともに、都独自の統計調査についても、新たに設置した統計調査に関する庁内会議などを通じて各局による自主点検を促し、それらの結果を、本年夏を目途に取りまとめてまいります。
 こうした取り組みを通して、各種政策決定の根拠となる統計の精度の向上を目指していく所存です。

○藤井(あ)委員 都としましても、国の基幹統計等につきましては、国と協力しながら、独断ではなく、よくよく協議をしながら、統計の信頼回復に努めていただきますように要望させていただきます。
 最後になりますが、本日は、二〇二〇改革を中心として、東京のデジタル化をどのように進めるかという課題意識を持って質疑させていただき、また、政策効果を図るのに重要な統計の不正問題に関しても質疑をさせていただきました。
 総務局、そして、来年度できます戦略政策情報推進本部の幅広い範囲での活動に、都のデジタル化や改革の進展はかかっていると大きな期待をしていることを申し添えまして、私からの質疑を終えさせていただきます。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後五時十九分休憩

   午後五時三十四分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○古城委員 私からは、平成三十一年度一般会計予算案の総務局所管分及び付託議案、報告事項に関連して、復興支援、被災地支援、防災、首都大学東京、都区財政調整、人権施策などについて質問をいたします。
 先週三月十一日、東日本大震災の発災から八年を迎えました。犠牲になられた方々に哀悼の意をささげますとともに、被災された皆様に改めてお見舞いを申し上げます。
 道路や防潮堤、災害公営住宅など、復興に向けた公共インフラの整備は着実に進んでいます。一方、いまだ約五万二千人が各地で避難生活を送り、プレハブ仮設住宅で約三千四百人の方が東北の厳しい冬を過ごさなければなりません。
 国が被災地を重点支援する復興・創生期間の終了となる二〇二一年三月末まであと二年、公明党は、復興の総仕上げとの決意で山積する課題に挑むとともに、風化と風評被害の払拭という二つの風と闘い続けることを改めてお誓い申し上げます。
 また、時間の経過とともに、健康問題に加え、孤立や心のケアといった課題も浮き彫りになっています。私たち公明党は、誰ひとりとして置き去りにしないとの決意も新たに、被災者お一人お一人が心の復興、人間の復興を果たすその日まで、寄り添い続ける覚悟です。
 都議会公明党は、被災直後から東北の被災地を幾度も訪問し、住民の皆様の声に耳を傾け、災害廃棄物処理、観光業の支援、行政職員の派遣推進などに取り組んできました。
 その上で、我が党は、昨年四月から六月にかけて、当時、発災後七年を迎えた岩手、宮城、福島の三県を訪問し、県や団体など関係者と意見交換するとともに、復興への取り組み状況を視察しました。
 被災地では、大津波に流されたまちがかさ上げされ、新しく生まれ変わってきました。また、全国からのボランティアや自治体の派遣職員など、官と民の支援でコミュニティの再生も進められています。
 私も、東村幹事長とともに福島県を訪問し、福島県庁での鈴木副知事との意見交換のほか、産業振興、再生可能エネルギー、動物愛護、観光振興などの観点から県内各地を視察しました。
 鈴木副知事から、震災後の都や都議会などの支援に対し謝意が表明されましたが、中でも、被災三県の各自治体において、都から派遣されている職員の活躍が復興の大きな力になっていることを改めて実感いたしました。都の派遣職員は、復興事業の進展に伴い膨大化する事務処理においても、また、区画整理事業などで欠かせない土木の技術職においても、優秀な即戦力として活躍されています。被災地からは、都の職員派遣を継続し、復興の総仕上げに力をかしてほしいとの強い要望も寄せられました。
 昨年の第二回都議会定例会で、我が党は、引き続き被災地への職員派遣を継続すべきと訴え、知事からは、東京二〇二〇大会に向け、復興した被災地の姿を世界に届けられるように、総仕上げに取り組む被災地への職員派遣を今後も継続していくとの答弁がありました。
 そこで、都としても、大事な総仕上げの時期を迎える被災地での復興事業により貢献するべく、来年度も被災地への職員派遣を継続していくべきと考えますが、見解を求めます。

○伊東復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務 都はこれまで、延べ三万人を超える職員を東日本大震災の被災地に派遣するなど、総力を挙げて被災地支援に取り組んでまいりました。
 今年度は、被災地に対し、岩手県に十七名、宮城県に十八名、福島県に二十一名、合計五十六名の職員を派遣してございます。
 被災自治体では、今なお復興の途上であり、復興を担う職員の確保が重要な課題となっております。都は、来年度においても、被災自治体からの応援要請に基づき、被災地のニーズに応じた職員派遣を実施してまいります。

○古城委員 ありがとうございます。
 都議会公明党は発災当初から、被災地支援を積極的に行うべきであり、また、震災記憶を風化させてはならず、被災地の現状等を広く都民に伝え、支援の必要性を呼びかけるとともに、民間団体や区市町村とも連携し、風評被害対策など多様な取り組みを一貫して主張してきました。
 先週十二日の予算特別委員会の代表総括質疑では、ラグビーワールドカップ終了後のことしの秋ごろ、都が東北の被災三県へ声をかけ、東北被災地によるにぎわいイベントの開催を提案いたしました。これに対しまして、遠藤局長より、ラグビーワールドカップの終了後に、復興に向け取り組んでいる姿を被災地と連携して発信していくために、県産品や郷土料理の販売を通じて販路回復や消費拡大にもつながるようなイベントを、豊洲市場の千客万来施設事業用地で開催する方針が示されました。
 都はこれまでも、都民に対して風化防止イベントや産直市を開催しています。福島県においては、風評被害もいまだ残っており、特に農林水産業分野では、震災前の水準を今なお回復できずにいると聞きます。
 こうしたイベントを繰り返し開催し、継続していくことが重要であると考えますが、都の来年度の取り組みについて見解を求めます。

○伊東復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務 都はこれまで、風化を防ぐ取り組みとして、ホームページやツイッターなどを通じて、被災地の状況や復興に向けた取り組み等を情報発信するとともに、今年度は、被災地の復興に向けた姿を発信する海外向け動画を制作、公開いたしました。
 また、東北被災県とともに、震災の風化防止と支援の継続を呼びかけるイベントを開催しており、今年度は二月に開催してございます。
 被災県産品に対する風評被害払拭の支援については、都営地下鉄駅構内での産直市を年二回実施しております。
 こうした取り組みを継続し、都民の理解と協力を得ることが被災地の一日も早い復興につながることから、都は、来年度においても、被災県と連携して、豊洲市場でのイベントを初め、被災地の情報発信や風化防止イベントの開催、産直市の実施など、震災の風化防止や被災県産品の風評被害払拭の支援に継続して取り組んでまいります。

○古城委員 災害に対しては、防災、減災という備えが必要であるとともに、被災地に寄り添い、被災地を支援し続けることが都民の防災意識の向上にもつながると考えます。
 原子力災害との闘いを続ける福島の復興には、長期的な支援が不可欠です。風化と風評という二つの風と闘っている被災地を、引き続き粘り強く支援していただきたいと要望いたします。
 いうまでもなく、東日本大震災後も全国各地で大規模自然災害が相次いでおります。二〇一六年に発災した熊本地震では、みなし仮設住宅やプレハブ仮設住宅に、今も一万九千人超の方が暮らしておられます。防災意識を高める教育も含めて、一人の命を守る防災、減災、復興の取り組みを着実に進めていかなければなりません。
 この観点から、次に、我が党が一貫して訴えてきた大規模災害時の帰宅困難者対策の推進について質問をいたします。
 東日本大震災では、都内でもさまざまな被害が発生をいたしました。そして、この都内でも計画停電が行われ、さらには鉄道の運行抑制、そして、これらに起因する混乱など、私たちにさまざまな課題を突きつけてきました。その一つが帰宅困難者対策であります。
 私の地元である新宿区でも、新宿駅を初めとする複数の駅で多くの帰宅困難者が発生し、都庁などでの滞在を余儀なくされました。
 昨年六月に発生した大阪府北部を震源とする地震では、長時間にわたり鉄道が運行を見合わせたことなどから、改めて帰宅困難者対策の重要性が浮き彫りになっております。
 首都直下地震の被害想定によりますと、帰宅困難者は約五百二十万人とされています。そして、そのうち九十二万人が行き場のない帰宅困難者と想定がされています。企業ですとか官公庁、さらには商店、事業者、こういったところにお勤めの方は一時的に滞在する場所があると考えられるわけですけれども、一方で、たまたま買い物に来ていた、そして、例えばどこどこに遊びに行っていた、そういうような、さまざまな用事で出てこられて行き場のなくなった帰宅困難者がいらっしゃるように想定がされています。
 こうした方々を三日間受け入れるのが一時滞在施設であります。この一時滞在施設については、確保が大変重要であると考えております。
 そこで、これまでの一時滞在施設の確保状況、最新の状況について見解を求めます。

○和田防災対策担当部長 都は、平成二十五年度に帰宅困難者対策条例を施行し、都や区市町村の公共施設の活用を初め、民間企業の協力を得て一時滞在施設の確保を進めてきております。
 ことし一月時点で、九百九十六施設、約三十六万三千人分の一時滞在施設を確保している状況です。

○古城委員 一時滞在施設の確保が着実に進んでいるということはわかりますけれども、一方で、実際に行き場がないといわれている九十二万人に対しては、四割弱の確保にとどまっている現状であります。今後、確保を進めていく上では、やはり民間企業の協力が不可欠であると考えます。
 新宿区内の事業所においても、都、また区から、こういう形で協力をしてほしい、そういうような要望があったと、そういう幾つもの声を私も聞いております。これは、都と区が連携をされて、しっかりとこの確保に向けた取り組みが進んでいることをあらわすことであると思います。
 我が党は、昨年の予算特別委員会代表総括質疑の中で、この一時滞在施設の確保が進まない理由として、受け入れるスペースがないことを挙げる事業者の声とともに、備蓄費用の負担の問題があることを指摘し、この備蓄品の更新費用について、新規購入と同様に都が補助を行うべきであると、制度の充実を訴えました。
 協力する一時滞在施設が備蓄品を購入する場合は、六分の五を東京都が補助し、事業所の負担が六分の一でありますけれども、受け入れる人数が多くなれば多くなるほど、この六分の一という重みが大変な負担になってくる、こういう課題がございます。
 そこで、民間事業者の協力をさらに得ていくためにも、さらなる制度の充実によって事業者の軽減策を図る必要があると考えますが、見解を求めます。

○和田防災対策担当部長 都はこれまで、民間一時滞在施設備蓄品購入費用補助事業を設け、協力企業に対し、水や食料、毛布などの備蓄品の購入費用について六分の五補助を実施してまいりました。
 しかし、企業から六分の一が負担であるとの声もあることから、これまでの取り組みに加え、来年度、都が直接購入した備蓄品を民間一時滞在施設に配備し、企業の負担をなくすモデル事業を新たに実施いたします。
 協力企業や協定締結を行っております区市町村と連携しながらモデル事業を実施し、得られた課題を把握し、検証した上で、備蓄品配備の仕組みを構築し、民間一時滞在施設の確保につなげてまいります。

○古城委員 都が直接購入した備蓄品を民間一時滞在施設に提供していくということで、大変大きな意義がある事業であると考えてございます。東京の防災力を高めていくために、一時滞在施設の確保を初めとする帰宅困難者対策のさらなる推進を求めて、次の質問に移ります。
 次に、首都大学東京について質問をいたします。
 地球を取り巻くあらゆる課題の解決を目指し、国連が掲げる持続可能な開発目標、このSDGsについては、総務委員会で私も常々申し上げてきている点でございますが、このSDGsが画期的なのは、途上国だけではなく、先進国を含めた国際社会共通の目標として定めているところにあります。日本国内でも、格差の拡大や子供の貧困などの課題が深刻化しております。
 従来の国連の開発目標、MDGsは、主に途上国が目標達成の責任を負うものでしたけれども、SDGsは先進国も責任を担う、この点が大きく違います。
 国連広報センターの所長は、次のように述べています。多くの方々にSDGsの周知を目指す国連にとって、特に次の世代を担う若者に知ってもらいたい、このように述べておられます。
 国連は、国連アカデミックインパクト、UNAIという枠組みで、世界の大学と連携し、授業の中でSDGsを取り入れてもらうなどの試みを始めています。
 国連広報局でこのアカデミックインパクトの責任者を務める方によれば、学問は他者を利し、学生は何かを生み出す、SDGsに取り組んでいる大学ほど、この組み合わせが効果的で劇的に作用している場所はないと強調しています。
 このアカデミックインパクト、若い人たちにSDGsに目を向けてもらう機会となることが期待されます。そして、このアカデミックインパクトは二〇一〇年に発足をし、今、加盟大学は、約百四十カ国、千三百校に広がっています。日本からは、国公立、私立を問わず、五十八大学が参画しています。公立大学では、統合の議論も起こっておりましたけれども、大阪府立大学、大阪市立大学などがあります。
 そして、昨年の十月、アカデミックインパクトは、SDGsの十七の目標について、各分野で模範となる活動をしている世界の十七大学を選び、中心拠点、ハブの役割を担う世界ハブ大学に任命しました。日本の大学では、目標九の産業と技術革新の分野で長岡技術科学大学が任命されています。
 大学には、知恵を集積し、それを社会の希望となる道しるべとして発揮していく、また還元していく意義があると思います。都立の大学である首都大学東京においても、アカデミックインパクトへの加盟や、力点を置くSDGsの目標を表明することを提案、また要望したいと思います。
 そして、その第一歩として、SDGsを視野に入れて研究に取り組んでいくことが必要だと考えますが、現在の取り組み状況について見解を求めます。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、多彩な基礎研究を展開する一方、都立の大学として、都市の課題に焦点を当てた課題解決型の研究を推進しております。
 特に大都市の課題解決に資する特色ある研究を行うグループなどを研究センターとして指定しており、その中では、貧困、水、エネルギー、持続可能な都市、気候変動など、SDGsに掲げられている十七の目標と関連する分野の研究も行っております。
 例えば、子ども・若者貧困研究センターでは、SDGsの目標に掲げられている、あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせるということに関連して、都内における子供の生活実態調査の分析などの研究に取り組んでおります。
 同センターの阿部彩センター長は、ユニセフが平成二十九年に発行した「先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)」という報告書の日本語版の巻頭において、日本の子供の状況について解説を行っております。

○古城委員 首都大学東京の子ども・若者貧困研究センターでのこの取り組みについても、大変興味深く、そしてまた、大いに期待をさせていただきたいと思います。
 先日の政策企画局との質疑の中でも、政策の強化版において、三つのシティーの各政策と、このSDGsの十七の目標の関係性が示されたことについて、質問、また質疑をさせていただきました。
 首都大学東京は、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を掲げ、都市の課題解決に資する人材の育成に取り組んでおります。今後は、さらにSDGsの担い手を育てるという視点もぜひ持っていただきたいと考えます。
 また、これらの課題に取り組んでいくには、都の施策との連携をさらに推進していく必要があると考えますが、今定例会に提案されている中期目標の変更の中では、都との連携をどのように強化していくこととしているのか、見解を求めます。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京は、開学以来、東京の課題解決に貢献するため、都の各局との共同研究や人材育成の面での協力など、さまざまな連携を推進してまいりました。
 先ほどご答弁しました子ども・若者貧困研究センターも、昨年度まで、福祉保健局と連携して独自の視点から生活実態調査を行っており、その成果から都の新たな施策も生まれております。
 今後、都政課題は、ますます高度化、複雑化、多様化し、大学の専門的知見を生かした課題解決に向けた政策提言などが一層求められております。
 そこで、このたびご提案している中期目標の変更では、教育研究成果の都政への還元を初め、都との連携等をこれまで以上に深化させるという項目を追加しております。
 これを受けて、公立大学法人首都大学東京では、都の各局との緊密なコミュニケーションにより行政ニーズをきめ細かく把握し、それを大学の持つ研究シーズと的確に結びつけるマッチング機能を強化するため、組織改編を行うとともに、専門人材のスキルアップにも取り組むこととしております。
 都といたしましても、こうした取り組みを支援してまいりたいと考えております。

○古城委員 SDGsの推進のためにも力を注ぎ、また、首都大学東京においてこれまで積み上げてきた経験を、都とも、また国内外の各大学とも共有しながら、誰ひとり置き去りにしない社会、また、持続可能な都市東京を築くための拠点、東京都立大学となることを期待いたします。
 次に、特別区財政調整交付金について質問をいたします。
 都と区は、地方交付税の算定において一体として扱われ、各区は、都とともに不交付団体になっています。財調交付金は、いわば地方交付税にかわる二十三区全体の共有財源として、大きな役割を果たしているといえます。
 そして、この財調交付金の算定は、毎年、都区協議を行い、合意しています。今回の合意内容を見ると、新規算定項目、改善項目など多くの事項がありますけれども、これらの事項は、都と区のどちらが提案したものか、見解を求めます。

○野間行政部長 今年度の財調協議では、新規算定十七項目、見直し四項目、その他算定方法の変更等二十六項目の計四十七項目について、都区で合意いたしました。
 財調交付金につきましては、算定項目の状況等によりまして、各区の交付額に影響いたします。例年、特に新規算定項目につきましては区側からの提案であることが多く、今年度も、都区で合意したもののうち、都から提案したものは見直しの三項目でございまして、それ以外は全て区側からの提案となってございます。

○古城委員 新規算定項目を見ますと、例えば職員昇任選考費や空き家対策等事業費など、既に各区が実施している事業が多くあるようですけれども、現時点で各区が実施していない、これから実施する新規事業はあるのか、見解を求めます。

○野間行政部長 今年度、都区合意した新規十七項目のうち、現時点で実施している区が一つもない全くの新規事業は、先天性の聴覚障害の発見を目的とした新生児聴覚検査費のみでございます。
 財調交付金では、標準的な事業の中で一般財源を充てるべき部分を基準財政需要額とすることから、通常は、既に各区で実施され、具体的な経費が発生している事業を算定してございます。
 しかし、この新生児聴覚検査につきましては、国から積極的な取り組みを求められる中、都、区市町村及び都医師会のいわゆる五者協におきまして、本年四月から都内全ての区市町村が統一のスキームで公費負担を実施することとなりましたことから、各区の事業内容や実績等を精査する必要なしに、事業の開始時から算定することで合意したものでございます。

○古城委員 私は厚生委員会などで、全ての新生児が都内全域でこの新生児聴覚検査を受けられるための体制整備と、早期療育に向けた取り組みの充実を訴えてきました。本定例会の代表質問では、知事からも、これまで都議会公明党の皆様方からもさまざまなご提案をいただき、都といたしましても、検査体制の整備に向けて準備を進めてきたところでございますと答弁がありました。
 全ての新生児が安心して聴覚検査を受けられる体制が整備されること、そして、今、答弁いただきましたけれども、都区財政調整においても算定されたことは大変意義深いと考えます。
 そこで、新生児聴覚検査の算定の単価について確認をいたします。また、都民の出生では、いわゆる里帰り出産も多く、都外の医療機関で新生児聴覚検査が行われる場合もあることから、財調の算定上、里帰り出産の扱いはどうなっているのか、あわせて見解を求めます。

○野間行政部長 新生児聴覚検査は、一件当たりの公費負担額、すなわち各区の一般財源充当額が三千円でございまして、財調の算定単価も三千円としてございます。
 また、この公費負担制度におきましては、他県の医療機関での里帰り出産等についても対象としておりますことから、財調におきましても、同様に算定対象としてございます。

○古城委員 国やほかの自治体からは、都も区も財政的に余裕があると見られているような状況もあるように感じますけれども、九百万人を超える都民、区民に行政サービスを提供する責任を負っており、今申し上げた新生児聴覚検査など、福祉、医療、教育など膨大な行政需要があります。
 財調交付金は各区にとって一般財源でありますけれども、新規事業や各区がこれまで自主財源で実施してきたものが算定されることは、最初の質問で確認したとおり、新規項目が区側提案であることも踏まえますと、一定の意味があると考えます。都民生活、区民生活を守るのに資する事業が、その重要性を確認される場でもあるのではないでしょうか。
 財調交付金に算定するということを判断する基準はどのようなものなのか、見解を求めます。

○野間行政部長 財調交付金は、調整三税という都区共有の財源の一定割合をその原資といたしまして、今お話がございましたとおり、各区の一般財源となるものでございます。
 一方、地方自治法では、この財調交付金につきまして、特別区がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように交付するものと規定されておりまして、この考え方は、国の地方交付税と同様のものとなってございます。
 財調交付金の算定項目は、財政面から見たあるべき標準的なモデルについて、都と区が合意したものであると考えております。
 したがいまして、財調交付金の算定対象とすべきかどうかということにつきましては、特別区がひとしく行うべき事務であるかという点と、あるべき標準的モデルとして合理的かつ妥当な水準かという点が大きな判断ポイントとなってございます。

○古城委員 ここ数年は、好調な経済情勢を反映して、財調交付金の総額もふえてきているわけですけれども、今の本質疑のように、新規算定項目について議論ができるわけでございます。
 一方で、一たび経済が落ち込めば、財調交付金の額も大幅に縮小し、今度は何を削っていくのかという都区の協議しかできなくなるおそれもあります。
 急速に進展する少子高齢化への対応、頻発かつ激甚化する大規模災害への備えなど、都民の命を守る施策を着実に展開するためにも、引き続き、都と区が緊密に連携し、適切な財調制度の運営を通じて各区の安定的な財政運営を確保するよう要望いたしまして、次のテーマに移ります。
 最後のテーマとなります。インターネットと人権について質問をいたします。
 インターネットの普及に伴い、その特徴である発信の容易さ、手軽さ、さらには匿名性から、個人の名誉を侵害したり、差別を助長する表現など、インターネット上での差別的な書き込みが後を絶ちません。
 二〇一六年に施行された国のヘイトスピーチ解消法成立時の附帯決議では、ネット上でのヘイトスピーチに対する施策の必要性が指摘されています。
 法務省によれば、ネット上で起きた人権侵犯の事件数は、二〇一七年には二千二百十七件となり、二〇一三年から連続して増加しています。
 都も、「じんけんのとびら」のホームページにおいて、インターネット掲示板への個人情報の掲載などによるプライバシー侵害云々ということで認識を示しているところであります。
 また、この都の「じんけんのとびら」の認識の中では、特定の個人を対象とした誹謗中傷や同和問題、外国人、障害者等ということで、具体的なことも触れられているわけでございます。
 そうした中で、都の人権窓口においては、インターネット上の差別書き込みなどの人権侵害について相談を受けているかと思いますが、どのような相談をどのくらい受けているのか、見解を求めます。

○仁田山人権部長 都では、東京都人権プラザで人権相談を実施しておりまして、インターネット上で誹謗中傷を受けたなどとの相談を、平成二十九年度は十七件受けております。
 また、インターネット上の書き込みなどにより被害を受けたと悩んでいる方が、面接により弁護士から法律上の助言を受けることができる相談窓口を昨年十月に開設したところでありまして、インターネット上の書き込みを削除することが可能かなどとの相談に対応してございます。

○古城委員 人権プラザにおける人権相談で、やはり、このインターネットに関する相談というものがしっかりと数字としてあらわれてきていることだと思いますし、また、新たな事業として、法律相談になりますけれども、これを立ち上げているということは大変大事なことであると思います。
 また、都の「じんけんのとびら」では、インターネットにおける人権侵害の事例として、次のようなことが紹介をされています。インターネット上の掲示板などのサイトに、同和地区などと称して具体的な地域名が書き込まれる事例があります、--少し飛ばしますけれども--その情報が誤った認識を植えつけ、差別意識を助長するだけでなく、就職や結婚の際の身元調査等に利用されるおそれがあるなど、重大な人権問題ですとあります。
 このように、インターネットの書き込みの中でも、同和問題に関する書き込みは非常に深刻なものがあります。同和問題などに関するインターネット上の差別の拡散に対応するため、行政がインターネット上の書き込みを監視する、いわゆるモニタリング事業に取り組んでいる地方自治体が幾つかあり、成果を上げていると聞いています。
 兵庫県の尼崎市では、平成二十二年から、インターネット掲示板に書き込まれている書き込みに対しモニタリングを開始し、悪質な差別書き込みの早期発見に努めるとともに、重大な人権侵害に当たる書き込みや差別を助長するような書き込みについては、関係機関と連携を図りながら、プロバイダー等に対し削除要請を行っています。
 また、兵庫県では、昨年七月からモニタリング事業を開始しています。監視は、表現がヘイトスピーチに該当するか、また、個人の名誉を著しく傷つけていないかを専用のシステムで検索するものです。そして、必要に応じて、掲示板などの運営管理者に削除要請も実施しているそうであります。さらには、随時、県下の各市町の担当職員向けに研修も行っているということでございます。
 これらの自治体の取り組みについてどのように考えるか、見解を求めます。

○仁田山人権部長 お話のいわゆるモニタリング事業につきましては、幾つかの他県等で実施していることは把握してございます。
 インターネット上の表現活動につきましては、憲法に掲げる基本的人権である表現の自由にかかわることでありまして、インターネット上の書き込みを対象としたモニタリング事業の実施につきましては慎重に対応していく課題であると認識しております。
 現在、モニタリング事業の現状や課題について把握するため、モニタリング事業を実施している団体に対してヒアリングを実施しているほか、学識経験者や弁護士などからも専門的な意見を聞いてございます。

○古城委員 同和問題に関するインターネット上の人権侵害については、複数の区市町村にまたがるケースもあることから、例えば県であれば、県が市町村と連携して取り組む事例があるとも聞いております。
 兵庫県では、例えば、人権に係る全般的内容や喫緊の人権課題について理解を深め、県内の各市町の人権啓発行政に携わる人権啓発担当職員等を対象に、人権啓発の充実及び深化を図るなどとしております。
 複数の区市町村にまたがるような場合、都は、関係する自治体とどのように連携しているのか、見解を求めます。

○仁田山人権部長 複数の区市町村にまたがる人権侵害に関する事案が発生した場合、都と関係区市町村とが連携して取り組んでいくことが重要でございます。
 同和問題に関する悪質な書き込みが生じた場合には、都と関係する区市町村との間で、事実関係の確認や、その後の対応策について協議しているところでございます。
 なお、都と区市町村との連絡会議を定期的に実施しておりまして、同和問題に関する悪質な書き込みについての情報の共有化を図っているところでございます。

○古城委員 二〇一六年の十二月に議員立法で成立、施行されました、国や地方自治体に教育、啓発などを求める部落差別解消推進法でございますけれども、この同じ年の二月に、関東圏内のある出版社が、戦前の書籍の復刻版をネット通販サイトで販売しようとしました。その後、この出版社には、復刻版の出版を禁止する仮処分決定が地方裁判所から出されましたけれども、この書籍の情報の一部はネット上に出回ったままであります。
 そして、関係者からは、ネットの特性上、一旦、拡散した情報は半永久的に閲覧できてしまう、こういう危惧する声も上がっております。
 そこで、先ほど申し上げました解消法、この法律では、こうした差別が生まれないよう、国民の理解を深める施策の実施を国や自治体の責務として明記しています。具体的な施策の柱として、一、相談体制の充実、二、教育、啓発、三、実態調査の三つが掲げられています。
 解消法、法律としては、罰則のない、いわゆる理念法になりますけれども、部落差別は許されないとの国会の意思を示したもので、国や自治体による実効性ある施策の実施が求められていると考えます。
 その上で、インターネット上の差別の拡散防止などの必要性についてどのように認識しているか、見解を求めます。

○仁田山人権部長 インターネット上の掲示板などにおける差別的な書き込みなどは、インターネットの特性により、瞬時かつ広範囲に広がることから、その拡散を防止していくことが重要であると認識しております。
 このため、都では、さまざまな機会を捉えまして、インターネットによる人権侵害を防止するための啓発活動を行うとともに、悪質な差別書き込みについては、表現の自由にも十分配慮しながら、国の人権擁護機関である東京法務局に対し、プロバイダーへ削除要請を行うよう依頼してございます。
 さらに、所管である法務省及び総務省などへ、法整備を含めた実効性のある対策を求める要望活動を行っております。
 今後とも引き続き、適切に拡散防止に向けた取り組みを行ってまいります。

○古城委員 いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透した都市へと成熟をしていく中で、例えばですが、モニタリングを実施する民間団体との連携や、また、民間団体への支援を検討していただきたいと最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 それでは、質問したいと思います。
 まず最初に、組織改正について伺います。
 四月一日からの組織改正について、いつからどういった検討が行われ、どの程度、知事が参加をしたのか、伺います。

○栗岡人事部長 都では、その時々の行政課題や社会情勢等に応じまして、適宜適切に組織の見直しを図ってございます。効果的かつ効率的な執行体制の確保に向け、常に検討してございます。
 今回の組織改正につきましては、議会でのご議論や予算要求の内容などを踏まえまして、昨年十一月から、従前からの検討内容を土台として具体的な検討を開始いたしました。その後、約五回にわたり知事への説明を行いながら検討を進め、一月末に組織改正案を公表したところでございます。

○原委員 昨年十一月から約五回にわたりということで、非常にタイトなスケジュールでやられているということをまず感じました。
 今回の組織改正の中で、特に青少年・治安対策本部が都民安全推進本部に改組されることについて、私はここでは質問していきたいと思いますが、その概要を伺おうと思ったのですが、ほかの委員の方からも質疑がありましたので、そこは省略させていただきたいと思います。
 その上で、青少年施策が分離をされたように見えます、今回の組織改正では。どのような理由からそれぞれの事業を移管するのか、伺います。

○栗岡人事部長 今回の組織改正は、近年の青少年を取り巻く環境変化を捉えまして、青少年施策のうち他の組織で展開することが効果的な事業を他局へ移管するものでございます。
 青少年施策の一環として開始したひきこもり支援につきましては、ひきこもり状態の長期化という切迫した課題に対応するため、切れ目のない、より効果的な支援が可能となるよう、福祉保健局へ移管し、執行体制を強化してまいります。
 また、地域における青少年の健全育成事業は、地域での講演会や交流体験により青少年のダイバーシティーの意識等を育む取り組みでございまして、地域活動の推進や地域力の向上等を所管する生活文化局へ移管し、より効果的、効率的な事業展開を図ってまいります。

○原委員 ひきこもり支援事業については、これまでも、年齢を区切らずに一貫した支援が必要ではないかということは、議会の中でもずっと議論がありましたし、課題になってきたことです。ですので、今後、福祉保健局に移管をされて、事業がこの後どのように展開をしていくのか、そこはしっかり見守っていきたいなというふうに思います。
 ただ、例えば生活文化局の方に青少年の健全育成が行きますが、青少協は都民安全推進本部ということになるんだと思うんですね。こういうことについても、施策のいろんな連携の課題とかはどうなるのかなというのは、正直いって心配をしています。
 では、今後、青少年施策全体はどこが責任を持つのでしょうか。

○栗岡人事部長 青少年・治安対策本部では、平成十七年の設置以降、青少年健全育成条例の改正や、若者の自立支援施策など、さまざまな施策を展開することで青少年の健全な育成等を支援してまいりました。
 今回の組織改正は、近年の環境変化を捉え、ひきこもり支援施策など、青少年施策のうち他の組織で展開することが効果的な一部の事業を他局へ移管するものでございます。
 新たな本部では、引き続き、不健全図書の指定等の事業を初めまして、性被害防止対策やインターネットリテラシーを高める取り組み、少年非行の抑止や再犯防止、自立支援など、青少年の安全・安心につながる施策を積極的に展開してまいります。
 今後とも、都民安全推進本部が中心となって青少年施策を展開し、関係局と連携しながら青少年の健やかな成長を支援してまいります。

○原委員 青少年施策の中でも、治安対策と密接に関係のあるところが残っているというふうにいえるのかなと、今のご答弁を聞いていて思ったのですけれども、青少年施策、青少年や若者を支援する、そうした政策を進めていくというのは、本当にもっと幅広く、また深い問題でもあります。これを十分に検討されたといえるのか、私は疑問を感じています。
 青少年・治安対策本部の質疑のときにもいいましたけれども、青少年と治安対策を並べた名前については、ここで変わるということについては歓迎できると思うんですね。ただ、実態は、今までよりも治安対策--都民安全推進本部の中で幾つかの青少年施策が残る、だから、治安対策が中心になるということなんじゃないかなというふうに私は思って受けとめているんです。
 五回にわたって知事も参加をして意見交換をしたということですが、この中では、青少年・治安対策本部については、移管や廃止などの影響を幅広く精査するということで、それがやられてきたというふうに、いろいろお伺いすると聞いていますけれども、どのような検討をされたのでしょうか。

○栗岡人事部長 今回の青少年・治安対策本部の組織改正に当たりましては、東京二〇二〇大会等を控える中で、都民の安全・安心に係る治安対策の後退感など、組織廃止に伴うさまざまな影響を踏まえて検討してまいりました。
 また、ひきこもり支援施策を初めとした青少年施策の一部移管に当たっては、他の組織で展開することが効果的な施策について、関係局と調整しながら、その具体的業務内容や執行体制を精査してまいったところでございます。
 あわせて、性被害の防止やインターネットリテラシーを高める取り組みなど、安全・安心につながる施策を積極的に展開するための執行体制等についても検討し、今回の組織改正を行ったところでございます。

○原委員 まあ、同じ答弁だったかなと思うんですが、知事は施政方針の中でこういうふうにいっているんですね、今回、組織改正について。成長戦略、住宅政策、青少年問題について新たな本部を設置する、執行体制を強化いたしますというふうに話をされて、私、これを聞いたときに、えっと驚いたんです。成長戦略と住宅政策は、それぞれ新しい本部ができるわけですけれども、青少年問題についてというふうに知事はおっしゃっているんですね。
 これは、ちょっと確認しますけれど、知事がいっている新たな本部というのは都民安全推進本部ということでよろしいのでしょうか。

○栗岡人事部長 先ほど申し上げましたように、今後、青少年施策についても、引き続き都民安全推進本部が中心となって展開していくということでございまして、都民安全推進本部が知事がいった組織でございます。

○原委員 知事は、青少年問題について新たな本部を設置したといっているんですね。
 一方で、総務局人事部調査課、これは問い合わせ先ですが、総務局の職員定数等の概要のこの資料の中では、青少年・治安対策本部について、ひきこもり支援施策など青少年施策の一部を福祉保健局及び生活文化局に移管し、東京の安全推進にさらに注力するため、都民安全推進本部に改組しますといっていて、青少年問題のために都民安全推進本部に改組しますということは一言も書いていないんです。
 私は、知事の施政方針だけを聞いていると、新たな青少年の部署が、本部ができたのかなというふうに受けとめられる、これは非常に誤解を招くんじゃないかと、率直にいって思ったんです。
 それで、今回、私は、この問題を通しても、青少年問題をどうするかという議論は十分にされていないんじゃないかなというふうに思いますが、見解を求めたいと思います。

○栗岡人事部長 繰り返しになって恐縮でございますけども、今回の組織改正につきましては、ひきこもりですとか、あと、地域で行っている青少年の健全育成につきまして、関係している局でやった方が効果的だと思われるものについては、そちらに移管して事業を推進するということで整理したところでございます。

○原委員 知事がいらっしゃらない場なので、実際に、本当のところはどうかというのはわからないわけですけれども、ただ、私は明らかに、青少年施策、若者施策をどこが中心になって進めていこうかということがはっきりしない、そういう改正になってしまっているのではないかというふうに思います。
 全国の二十代、三十代の若者の七人から八人に一人は東京都民なんですよね。もっと青少年、若者支援を強化していくことが本当に重要だというふうに思います。東京の未来を考えても、もっと力を入れるべきだと思います。
 また、全国の都道府県を見ても、治安対策の部署が若者を担当しているというのは東京だけなんですね。ですので、本当は組織改正のときに見直して、青少年、若者施策を専管する組織を新たに設置するということが求められていたのではないかというふうに思います。
 専管組織を青少年の支援でつくった方がいいというような、そういう検討はされなかったのかということと、また、今後についてはそうした検討、組織改正はこれで別に終わりではなくて、いろいろ様子を見ながらやっていかなければいけないものですので、今後についてはどのように考えているのか、見解を伺います。

○栗岡人事部長 都ではこれまでも、その時々の行政課題に応じまして適宜適切な組織の見直しを行い、常に効果的、効率的な執行体制を確保してまいりました。
 今回の組織改正は、喫緊の課題への対応として、ひきこもり支援施策等の青少年施策の一部を他局に移管するものでございまして、事業執行に必要な人員、各組織については、全体として拡充してございます。
 また、青少年健全育成条例を初め青少年、若者施策を所管する組織は、引き続き都民安全推進本部でございまして、性被害防止やインターネットリテラシー向上など新本部で行う事業を、その他の都民の安全・安心の推進に係る事業と分離して実施することは、効果的、効率的ではないと今回判断したものでございます。
 今後も、都政を取り巻く環境変化を踏まえつつ、さまざまな都政の課題に着実に対応できる執行体制を構築してまいります。

○原委員 今後も、環境変化を踏まえつつ、都政の課題に対応できる執行体制を構築するという言葉が最後にありましたので、私は、改めて青少年、若者対策について、本当に検討していただきたいというふうに思います。
 特に、先日の総務委員会でもいいましたけれども、若年支援課が中心になると思うんですね、担当が。この若年支援課という言葉が、青少年、若者に、正直いってフィットしないというふうに思います。誰が見ても、特に若い人たちが見たときに、あ、ここが自分の関係する、自分の声を聞いてくれるところなんだというふうにわかるようにする、そういう組織改正を今後検討していただきたいと、この場では求めておきます。
 次に、市町村消防団のことで質問をしたいと思います。
 市町村の消防団への支援については、我が会派の清水議員の代表質問で質問させていただきました。この上に立って、具体的に質問をしたいと思っています。
 市町村消防団と二十三区の消防団は、全く仕組みが違います。財政の仕組みなども違っていますし、また、多摩は多摩で、同じ多摩でも、山間地域や丘陵地帯や、それぞれ地域によって特性があります。その特性を踏まえて具体的な支援を求めたいということなんですが、総合交付金が今回も増額をされた。これは、消防団に限らず、市町村の大きな支援になると思って、もちろん重要だと思いますし、評価できるのですが、消防団そのものに使える予算補助の充実が私は必要だと思っています。
 そこで、地域防災力の向上という予算がありますけれども、その中で消防団への支援も含んでいるわけですけれども、その内訳と内容について伺いたいと思います。

○有金総合防災部長 地域防災力の向上の事業名の中に含まれているものでございますけれども、大きく二つございまして、地域防災力の向上支援、それと市町村消防の指導助成、この二項目となっております。
 主な内容でございますが、まず地域防災力の向上支援につきましては、地域の自主防災組織の活動支援や女性防災人材育成などとなっております。
 また、市町村消防の指導助成につきましては、消防訓練所におけます団員の教育訓練や、すぐれた消防団及び団員に対する表彰、市町村消防団への補助事業などでございます。

○原委員 わかりました。
 それで、その市町村消防団への補助事業の部分ですけれども、補助対象や補助率はどのようになっていますか。

○有金総合防災部長 市町村消防団用防火衣整備費補助金の補助要綱を定めまして、防火衣を補助の対象とし、市町村消防団団員定数の三分の一を上限に、その費用の二分の一を補助するという形になっております。

○原委員 防火衣が補助対象ということですけれども、ほかに使うことはできないのでしょうか。
 多摩地域は、先ほどいったように地域特性がかなり違います。あわせて、先ほどいったように財政力にも違いがあります。地域特性に応じた資機材をそろえる場合や、また、地域特性に応じた、例えば山の方だったら、どの消防団もチェーンソーを用意しているとか、いろいろ違いがあります。そういうものを更新しなければいけないというようなときにも、非常にお金がかかる。そういうときに補助を活用できないのかとか、また、各消防団独自の取り組みも、いろいろ工夫をされて今やっています。
 そういった地域特性に応じた使い方、補助を支出していただくということは可能なのかどうか、伺います。

○有金総合防災部長 都はこれまでも、各市町村にヒアリングなどを行い、多摩地域全体の実情を踏まえて、必要となる消防団の装備の補助を対象としてやってまいりました。
 引き続き、市町村と連携をし、多摩地域の特性に応じた補助を実施してまいります。

○原委員 つまり、多摩地域の実情に応じて支援をしていくということは可能なんだというふうに思うんですね。より積極的な支援をお願いしたいと思いますが、例えば、今、三多摩消防団連絡協議会などでも、それぞれの地域の違いを、特性を、意識的に交流し合って、課題は何かということを議論されているというのを先日伺いました。そういうような中で、こういうところに支援が必要だという、そういう要望等があったら、より積極的な支援をこの場ではお願いしておきたいというふうに思います。
 それで、ちょっと戻ってしまうのですが、防火衣の補助についてですけれども、防火衣の補助として実施をする場合、上限数を定数の三分の一としているということでした。そのため、防火衣を例えば更新するというときに、お金がなかなか厳しいというふうになると、数年かけて更新をしていくということにどうしてもなっていくと思うんです。
 定数の三分の一ではなくて、必要な分を対象にできるように改善はできないでしょうか。見解を伺います。

○有金総合防災部長 市町村の消防団につきましては、基本的には、管理運営を担う市町村がみずから必要な装備の配備を行うということとなっております。
 しかしながら、消防団は、発災時の初期消火や救出救助活動等、地域におけます防災活動の中核となる重要な役割を担っており、都はこのことを踏まえて、現在、市町村消防団用防火衣整備費補助事業を実施しております。
 今後とも、この制度を活用いたしまして、市町村消防団の充実強化を支援してまいります。

○原委員 わかりました。さらに制度の改善等も含めて、強く求めておきたいと思います。
 それでは、最後に、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業について質問をしたいと思います。
 来年度の予算案においては、性犯罪、性暴力被害者支援事業のワンストップ支援センターへの負担金が増額になっています。この充実した内容について伺いたいと思います。

○仁田山人権部長 都は、民間支援団体と協働いたしまして、性犯罪、性被害ワンストップ支援センターを運営し、性被害者の相談支援を行っているところでございます。
 三十一年度予算におきまして負担金が増額となった主な理由は、センターの支援員の資質向上及びセルフケアのための研修の充実や、センターが行っている広報の強化などが挙げられます。

○原委員 私自身も、十一月二十二日の総務委員会で、支援センターに行ってお話を伺ったことを踏まえて質問させていただいて、同行支援にかかわる経費とか、また、支援員の方のメンタルケア、年休の保障なども課題ではないかと指摘をさせていただきました。また、広報の内容の充実も具体的に求めました。
 今回、研修、そして、広報が充実強化されるという方向については、非常に重要だと受けとめています。あわせて、被害者に寄り添って病院などに付き添う支援員の方の交通費などの確保も、相談支援活動を支える点で非常に重要です。
 今回、そういう充実の中で、非常勤報酬については現状維持ということになったというふうに思っています。性被害者への支援をより充実させていくためには、相談体制の一層の強化が必要だと思いますが、都の見解を求めます。

○仁田山人権部長 ワンストップ支援センターでは、二十四時間三百六十五日、常時二名体制で電話相談を受け付け、相談内容に応じて必要な支援につないでおります。
 相談内容が緊急対応を要する場合、例えば医療機関での診療を急ぐ場合などには、速やかに支援員が出向いて相談者の診療に付き添うなど、状況により柔軟な対応を行っているところでございます。
 今後も、相談や支援の状況を見ながら、適切な相談対応ができるよう、必要な体制の確保に努めてまいります。

○原委員 前回質問したときに、被害に遭ってから時間がたって苦しんでいるという場合でも相談を受け、適切な機関につないでいるという、そういう答弁もありました。寄せられている相談内容は、本当にさまざまだというふうに思います。そういうことから考えても、相談体制をより強化できるようにしていくことは非常に重要で、今、ご答弁の最後の方に、相談支援の状況を見ながら必要な体制の確保に努めるというお話もありましたので、ぜひとも今後も検討を進めていただきたいということはお願いしておきたいと思います。
 それで、寄せられている相談の中にいろいろなものがあると思います。いわゆるデートDVなどのケースもあるでしょうか。また、そういう場合、どのように対応しているか、伺います。

○仁田山人権部長 都のワンストップ支援センターにも、いわゆるデートDVと思われる相談が含まれていることは承知してございます。
 デートDVと思われる相談を受けた場合には、他の相談者と同様、医療機関等に付き添ったり、他の専門機関につなぐなど、必要に応じて適切な支援を行っているところでございます。

○原委員 必要に応じて適切な支援ということで、関係機関にもつないでいただいていると。これは非常に重要だというふうに思いますが、デートDVについては、未然防止のための教育と啓発が非常に重要になってきます。そうすると、また担当する部署は違ってくるのだというふうに思いますが、特に、その暴力を生み出さないための人権教育が重要になってくると思います。そういう点では、東京都の人権条例に基づいて、デートDV防止教育を進めるということが必要になってくるのではないかというふうに思います。
 今後、人権条例に基づいて、基本計画も含め、さまざまな検討がされていきますが、ぜひ、こうした未然防止の教育というのを重視してもらいたいというふうに思います。
 この中で、六年前の東京都の調査でも、デートDVの被害経験があるという方が三七・四%、加害経験があるが二九・〇%。これは二十代の方に聞いているというふうに聞いていますが、こういう調査結果も出ています。
 ところが、デートDVについては認知度がまだまだ低くて、デートの最中の話でしょうという認識の方も、本当にまだまだいらっしゃるのが現実です。
 そういう中で、暴力というのは目に見えるものだけではなくて、人を力で支配することはだめなんだということがわかるような、そういう教育や啓発が非常に重要だというふうに思っています。
 そういうところも含めて、人権条例をもとに推進していただきたいということを最後に要望しまして、質問は終わります。

○馬場委員 会議がスタートしまして六時間にならんとするころになりましたので、苦労して原稿をたくさん書いてきましたけども、大幅に割愛して、そして、人権について質問しようと思ったのですが、古城委員と重なりましたので、こちらの方も大幅に進行に貢献したいなというふうに思っております。
 国民的関心の高い人権問題といいますと、北朝鮮の拉致問題であるというふうに思いますが、過日、二度目の米朝首脳会談がベトナムのハノイで開かれましたが、残念な結果でありました。同時に期待していた日本の拉致問題の進展もなかったわけでございます。
 東京都としては、現在の取り組みとしては、北朝鮮人権侵害問題啓発週間を中心に、写真パネル展、講演会など啓発事業、ポスター、チラシ作成など情報発信を行っていると聞いております。
 また、別の人権課題といたしましては、先月の総務委員会におきまして議題となりました犯罪被害者等への支援に関する取り組みがあります。ふえ続ける犯罪被害者等に対処するため、二月二十六日の我が党の代表質問を受けて、小池知事は、条例の制定に向けて具体的な調整、検討を進めていきたいと、かなり踏み込んだ答弁をいただいたところでありまして、大いに期待したいと思っております。
 さて、我々に配られています所管事務概要の中に、人権部の取り組みとして、都民一人一人の人権が尊重される社会の実現のために、人権施策の企画立案や調整、人権尊重の理念等の普及啓発、研修、人権相談機関との連携を行い云々とありますが、これに続いて、我が国固有の人権問題である同和問題の早期解決に向け、関係機関、関係団体との連絡調整を行っているというふうにあります。
 ということで、同和問題についてお伺いしたいと思いますが、その前段としまして、まずは人権施策推進指針についてお伺いしたいと思います。
 東京二〇二〇大会の開会を控えまして、人権尊重の理念のさらなる浸透に向け、人権施策を推進していく必要があります。
 これまで都は、東京都人権施策推進指針に基づいて、さまざまな人権課題に取り組んできましたが、改めて、この人権施策推進指針はどのような指針であったのか、お伺いいたします。

○仁田山人権部長 都は、平成二十七年八月に策定いたしました東京都人権施策推進指針において、東京都における人権施策の基本理念や、施策展開に当たっての基本的考え方を明らかにするとともに、十七の人権課題を掲げ、それぞれの現状と施策の方向性を示してございます。
 この指針に基づきまして、これまで、女性や子供、高齢者、障害者、同和問題等の人権課題を解決するために、各課題が抱える固有の経過と状況を踏まえて、所管局がそれぞれの施策体系のもとで必要な取り組みを実施してきたところであります。

○馬場委員 ありがとうございます。
 昨年十月には、あらゆる差別を許さないという人権尊重の理念を広く都民に浸透させることを目的とする、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定しました。この条例では、性的マイノリティーの方々への人権とヘイトスピーチの問題の二課題に光を当てていることから、それ以外の人権課題についても、重要な人権課題として取り組むべきとの声が上がっていました。
 そこで、確認のため、お伺いいたします。この条例と人権施策推進指針の関係についてお伺いをいたします。

○仁田山人権部長 都はこれまでも、東京都人権施策推進指針に基づいて、それぞれの人権課題に対しまして取り組んできたところでございます。
 昨年制定していただきました条例では、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念を東京の隅々にまで浸透させ、多様性を尊重する都市をつくり上げていくため、必要な取り組みを推進することを都の責務として規定してございます。
 都は、条例制定の趣旨を踏まえ、具体的な施策推進に当たりましては、指針に掲げる十七の課題それぞれにおける取り組みの方向性に基づき、人権施策をより積極的に推進してまいります。

○馬場委員 十七の人権課題について取り組んでいくということでありますけれども、そのうちの一つであります、我が国固有の人権問題である同和問題に関しては、平成二十八年十二月に、部落差別のない社会を実現することを目的とする部落差別の解消の推進に関する法律が制定されたところであります。
 この法律の第一条においては、情報化の進展に伴って、部落差別に関する状況の変化が生じていることについて触れています。その背景には、インターネット上における同和問題に関する差別につながる書き込みが発生していることがあるといわれています。インターネットの普及に伴い、その匿名性、情報発信の容易さから、個人の名誉を侵害したり、差別を助長する表現など、人権にかかわるさまざまな問題が発生しておりまして、このことは重大な問題であると考えられます。
 そこで、同和問題に関してインターネット上で差別が行われていることについて、都の認識をお伺いいたします。

○仁田山人権部長 インターネットには、情報が瞬時に広範囲に広がり、一度公開された情報は完全に消すことはできないといった特性があることから、差別書き込みや同和地区に関する情報などがインターネットにおいて拡散する状況は、同和問題の解決の妨げになるものであり、その拡散を防止していくことが重要であると認識しております。

○馬場委員 インターネット上での差別書き込みの監視を行うモニタリング事業を実施しているところもありますが、これに関しましては、表現の自由にかかわることであり、モニタリング事業の実施については慎重に対応していくと、先ほど答弁がありました。
 また、実際にインターネット上の差別書き込みの被害に遭った方々に対して、都はどのような対応をしているのかということに関しましても、東京都人権プラザにおいて人権相談窓口を設置して、インターネット上の人権侵害について相談を受け付けている、また、昨年十月から弁護士の面接による法律相談を新たに開始して、相談者の救済に向けて法的アドバイスを実施しているとありました。
 同和問題に関して以外にも、インターネット上の人権侵害は存在しております。冒頭でお伺いした指針でも、インターネット上の人権侵害を十七の人権課題のうちの一つと掲げています。
 そこで、インターネット上の人権侵害を防止するため、都はどのような対策を実施しているのか、最後にお伺いして、質問を終わります。

○仁田山人権部長 インターネットの利用に当たりましては、利便性を享受するだけでなく、他者への人権への配慮を心がけること、ルールやマナーを守ることなどについて啓発していくことが重要でございます。
 このため、都では、リーフレットを作成し、都や区市町村などの窓口や各種人権啓発イベントで配布しているところでございます。
 また、東京都ホームページにおいては、インターネット上の人権侵害を防止するための啓発動画を掲載するとともに、東京都人権プラザでは、SNSの適切な利用方法を体験できる展示を行っております。
 さらに、法整備を含め、国の取り組みが極めて重要であるため、都は国に対し、実効性のある対策を講じるよう要望しております。
 インターネット上の人権侵害の解消に向け、今後も粘り強く取り組んでまいります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了をいたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時五十一分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る