総務委員会速記録第三号

平成三十一年三月八日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長小松 大祐君
副委員長藤井  一君
副委員長馬場 信男君
理事鈴木 章浩君
理事両角みのる君
理事木村 基成君
古城まさお君
藤井あきら君
山内れい子君
藤井とものり君
森口つかさ君
増田 一郎君
原 のり子君
中屋 文孝君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長遠藤 雅彦君
次長榎本 雅人君
理事情報通信企画部長事務取扱久原 京子君
理事箕輪 泰夫君
総務部長西山 智之君
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
池上 晶子君
調整担当部長小菅 政治君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
伊東みどり君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務小林 忠雄君
都政改革担当部長小笠原雄一君
都政改革担当部長豊田 義博君
情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務山田 則人君
情報政策担当部長沼田 文彦君
情報政策連携担当部長藤原 知朗君
人事部長栗岡 祥一君
労務担当部長木村 健治君
コンプライアンス推進部長主席監察員
政策法務担当部長訟務担当部長兼務
貫井 彩霧君
行政部長野間 達也君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
高崎 秀之君
都区制度担当部長浦崎 秀行君
総合防災部長有金 浩一君
防災計画担当部長西川 泰永君
防災対策担当部長和田 慎一君
統計部長熊谷 克三君
人権部長仁田山芳範君
水道局局長中嶋 正宏君
総務部長松丸 俊之君
職員部長金子 弘文君
経理部長志村 昌孝君
給水部長尾根田 勝君
経営改革推進担当部長石井 英男君
多摩水道改革推進本部施設部長今井  滋君

本日の会議に付した事件
総務局関係
報告事項(質疑)
・東京水道サービス株式会社に対する特別監察の結果について

○小松委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 小林危機管理監は公務のため、また、大澤物資調整担当部長は所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、所管外理事者の出席について申し上げます。
 本日の報告事項の質疑に関係する所管外の理事者として、水道局の中嶋局長、松丸総務部長、石井経営改革推進担当部長、金子職員部長、志村経理部長、尾根田給水部長及び多摩水道改革推進本部、今井施設部長にもご出席をいただいております。ご了承願います。
 報告事項、東京水道サービス株式会社に対する特別監察の結果についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松丸水道局総務部長 水道局総務部長の松丸でございます。
 三月一日の委員会において要求のございました資料について取りまとめたものをお手元に配布してございます。内容が水道局の所管する事項であるため、私の方から概要の説明をさせていただきます。
 それでは、一ページをお開きください。東京水道サービス株式会社の社員のうち都派遣職員数でございます。
 同社の社員数について、全社員数と都派遣職員数をお示ししております。
 二ページをお開き願います。東京水道サービス株式会社の役員のうち都関係者の一覧でございます。
 同社役員のうち都の退職者及び現役の都職員である者について、役職、氏名及び都との関係をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。緊急資材置き場巡回点検不履行により生じた影響と社員に対する処分でございます。(1)に点検不履行により生じた影響を、(2)に点検不履行にかかわった社員に対する処分をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。東京水道サービス株式会社における主な不適正事案でございます。
 同社における主な不適正事案の発生日、状況及びその後の対応についてお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。東京水道サービス株式会社の役員の待遇でございます。
 同社役員の役職ごとの標準報酬額をお示ししております。なお、標準報酬額は、総務局が作成している東京都監理団体の役員報酬基準に基づき決定しております。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井(あ)委員 東京水道サービス株式会社、TSSに対する特別監察の報告書に関して質疑を行います。
 二月二十二日に発表されたこの報告書を読ませていただきました。民間企業で働いてきた感覚からしても、TSSについて、組織のガバナンス、コンプライアンスはどうなっているんだろうと首をかしげるばかりでした。株式会社を名乗りながら、実質的には民間企業としての経営がなされていないと思わざるを得ない内容でございました。
 今回の特別監察によって、業者との癒着が疑われるような交際費の支出が指摘され、改善されたこと、それ自体も評価されますが、何よりも、過去よりわかっていましたTSSの問題が、本質的な意味で何も解決がされていないという指摘が随所でされておりまして、かなり衝撃的でございました。あわせて、強い危機感を感じた次第でございます。
 国でも、厚生労働省の毎月勤労統計に関する不正の問題というものが取り沙汰されておりまして、そして、その後の対応が大きな問題となっております。
 組織内における不正、その後の対応に対する世間の目というのは大変厳しいものでございます。都民、そして国民の信頼を一度損なってしまいますと、信頼回復にはとても長い時間がかかり、その間、政策、そして改革も進めることはできなくなってしまいます。そういった意味でも、この報告書は非常に重要なものと受けとめております。
 我が会派、都民ファーストの会東京都議団では、本報告書等を受けまして、公営企業等の不適正事案を踏まえた東京大改革検証チームを設置いたしまして、二度と公営企業、そして監理団体における不祥事が起きないための提言をするため、強い決意を持って取り組んでいるところでございます。
 では、報告書に関して質疑をさせていただきます。
 まず、今回の経緯について確認をさせていただきます。
 報告書のはじめにを読みますと、東京水道サービス株式会社において、関係団体や受注工事業者との不適切な関係、書類の改ざんや虚偽報告書の作成指示が行われているとの指摘が寄せられたとありますが、改めまして、今回の特別監察を行ったその経緯についてお伺いをいたします。
 特に、不適正事案があるとして寄せられていた情報の詳細を教えてください。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 職員目安箱に対し、東京水道サービス株式会社、TSSにおける業務執行について不適正事案があるとの指摘が寄せられました。
 具体的には、関係団体や受注工事会社との不適切な関係、書類の改ざん、虚偽報告書の作成指示、一般都民が依頼する水道工事に対する詐欺的な請求を助長するようなことの四点でございました。
 その内容や団体が置かれた状況などを受け、知事の指示に基づき、特別監察を行いました。

○藤井(あ)委員 目安箱に四点寄せられたということで、目安箱が機能したということかと思います。
 職員目安箱の設置要綱を確認させていただきますと、職員が抱いている意見や問題意識を率直に知事に直接伝えることができるものであるとされておりまして、ちょっと報告書からは話題はそれてしまうのですが、目安箱がこれまでどのような効果につながっているのかをお伺いいたします。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 職員目安箱には、建設的な意見や提案が多数寄せられてございます。
 その中からは、柔軟な働き方推進の観点から、昼休みを弾力的に運用する昼休みの分散化、予算編成過程において広く都民、職員の意見を募り、事業構築に生かす事業提案制度の導入、管理職選考Aの択一試験を育児休業中でも受験できるようにする制度改正の実施など、新たな取り組みが実現しております。

○藤井(あ)委員 事業提案制度や制度の改正などにつながっているということがわかりました。
 先ほどの要綱には、目安箱によって、職員の自律性を高めて都政改革につなげていくということが記載されております。今後も、ぜひこの目安箱を積極的に活用して都政改革を進めていただくことを要望いたします。
 次に、報告書に戻りまして、再委託について確認をいたします。
 今回の特別監察結果報告書は四章から成っております。その中、二章において、不適正事案に関する調査の結果をまとめています。二章の二節は関係企業等との関係となっておりまして、そのまとめでは、協力会社との委託における課題、問題というものが指摘をされているところです。
 都の監理団体における委託、つまり都からの再委託についてはなるべく減らして、特に、毎年生じるようなルーチンといわれるような業務に関しては、直接、都が契約をすべきという議論もあるかと思います。
 報告書では、透明性や説明責任を果たすためには、TSSの行う再委託契約について、水道局も一体となって見直す必要があるとしております。
 TSSは、協力会社への再委託について、どのようなルールに基づいて行っているのか、お伺いをさせていただきます。

○尾根田水道局給水部長 東京水道サービス株式会社では、再委託先の選定に先立ちまして、契約を希望する事業者に対して、業務に必要な技術や人員を確保できているかなどを審査し、入札参加資格者として登録する制度を設けております。
 再委託先の選定は、登録した入札参加資格者から契約の希望者を募りまして、再委託業務の作業体制や見積額等を提出していただいた上で、プロポーザル方式による審査を行い、最も優位な事業者を再委託先として決定し、その事業者に向こう五カ年の契約に関する優先的な契約締結交渉の権利を付与しております。
 こうして選定した事業者と毎年度契約を締結しているものでございます。

○藤井(あ)委員 登録された事業者の中から最も優位な業者を選ぶなど、再委託のルールといたしましては、透明性や競争性を目指したものであるということがわかりましたが、プロポーザル方式による選定というのは、結果として四社の土木系協力会社のみが選ばれているのが現状かと思います。
 報告書によりますと、十四社ある協力会社のうち四社の土木系協力会社とのみ、年二回の役員、幹部社員による飲食を伴う会合が開かれており、その支払いにTSSの交際費を使っていたと記載がございます。
 土木系協力会社との関係の深さをこれで印象づけているわけですが、この四社の土木系協力会社とは、TSSにとってどのような位置づけの会社なのか、お伺いをさせていただきます。

○尾根田水道局給水部長 東京水道サービス株式会社は、管路のデータの収集、分析、評価を行い、計画的、効率的な管路更新を行うため、当局が新たに実施することとした管路診断業務の受け皿として、昭和六十二年に設立されております。
 同社は、設立当初から、当局から受託した管路診断業務のうち、現場調査などを協力会社に再委託をして事業を進めてまいりました。
 この管路診断業務の再委託に係る契約方式につきましては、当初の随意契約からプロポーザル方式へと見直し、透明性と競争性の確保を図ってきておりますが、協力会社四社は、豊富な実務経験と高い技術力により、結果として、これまで受注者として選定されてきております。
 また、その四社の水道に精通した社員についても、マンパワーの確保のため、これまで出向社員として受け入れを行ってまいりました。
 このように、東京水道サービス株式会社と協力会社四社は、長期にわたりまして協力関係にございます。

○藤井(あ)委員 各社の持つ豊富な経験や、その高い技術力をもとに、出向社員を受け入れていたり、長年の協力関係があり、都の水道事業に多くの貢献をしていただいているということはわかったのですが、私から見ると、やはり不自然なところがあるなと感じるところです。
 報告書では、役員、幹部社員の飲食を伴う会合や、管路系業務の再委託における参入や競争の機会、透明性の確保が十分といえない状況は、その関係性に疑問を生じさせ得ると指摘されております。飲食に限らず、第三者が見たときに、癒着のような疑念を生じさせない関係に改善することを強く要望させていただきます。
 また、TSSは、事業のほとんどが水道局からの受注でありまして、株式会社としての経営の自由度が残念ながら見られないのではないかと思います。
 TSSを予断を持たずに他の民間会社と同列に置いて公平公正に競争させて、最も適切な事業者に委託をするべきと考えますが、水道局の見解を伺います。

○石井水道局経営改革推進担当部長 水道局では、定型業務を初め、民間に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託するとともに、工事監督業務など水道事業の基幹的業務は、局と監理団体が一体的に担う体制で事業を進めております。
 一方、これまで監理団体に委託してきた貯蔵品管理業務を競争入札方式に移行するとともに、管路診断業務委託の監理団体からの再委託をプロポーザル方式に変更するなど、透明性や競争性の観点から改善をしてきましたが、現状、入札参加者が少ないなど、いまだ競争原理の面で課題があるということも事実でございます。
 そのため、今回の特別監察の指摘も踏まえ、第三者コンプライアンス委員会において、外部の視点から、参入条件の緩和を初め、局と監理団体の契約全般について検証の上、提言をいただき、必要な改善を図ってまいりたいと考えております。

○藤井(あ)委員 次に、東京水道あんしん診断などについて確認をさせていただきます。
 報告書では、第二章の二項、関係企業等との関係に続きまして、三項、受託業務に係る不適正処理事案、そして、四項が一般の水道利用者にかかわるサービスの執行状況と検証を進めております。
 報告書で、直結切りかえ見積もりサービス、東京水道あんしん診断、そして管路維持管理業務委託における巡回調査作業は、不適切な事例は確認されなかったとの記載がございますが、TSSの事業のうち、これらの業務を抽出してこの調査を行った理由は何か、お伺いいたします。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 ご指摘の三つの業務につきましては、TSSが水道局から受託して、一般の水道利用者にかかわるサービスの一部を担っているものでございます。
 職員目安箱に対し、一般都民が依頼する水道工事に対する詐欺的な請求を助長するようなことが行われているとの指摘があったため、これらについても調査を行ったところでございます。

○藤井(あ)委員 目安箱で指摘があった詐欺的な請求を助長するようなことについては、今回は確認できなかったということですが、これらの業務については、コスト面であったり、その必要性の面で、先ほど申し述べました、我が会派で立ち上げました検証チームの中でも検証を進めておりまして、今後、質疑などを通じて確認させていただこうと考えております。
 次に、内部統制、コンプライアンス関係について確認をさせていただきます。
 報告書は、三章、東京水道サービス株式会社の内部統制へと進んでいきます。
 東京水道グループではコンプライアンス推進会議をつくっていますが、それが二〇一八年の十二月まで開催されておりませんでした。仏をつくって魂を入れずという状態になっていて、水道局の怠慢であるといわれてしまっても仕方がない状況ではないかと思います。
 水道局としての見解をお伺いいたします。

○石井水道局経営改革推進担当部長 東京水道グループにおけるコンプライアンスの徹底のため、グループの行動基準の策定や、各団体における年度ごとの行動計画の策定及び進捗管理を行う目的で、当局と当局所管の監理団体、報告団体から成るコンプライアンス推進会議を平成二十八年の八月に設置いたしました。
 設置後、行動計画の策定に必要な各団体の組織、人事、業務プロセス等の詳細なコンサルティング調査を行うとともに、経営管理体制や内部統制体制について検討をしておりましたが、これまで、団体における不適正事案等の発生に対して個別対応を優先してきたという経緯がございます。
 しかし、昨年の当局職員の情報漏えいが発覚した時点で、これらの事案への対処について、グループ全体に早急に情報の共有を図り浸透させる必要から、昨年十二月に開催をいたしました。
 委員ご指摘のとおり、もう少し効率的にいろんなことを早くやればよかったじゃないかというところについては、これは反省点というふうに受けとめております。
 今回の特別監察で、グループとしてのコンプライアンス推進が実態として機能していなかったと指摘されたことにつきましては真摯に受けとめておりまして、今後は、適切な会議運営と各団体の取り組みの進捗管理に努めてまいりたいと思います。

○藤井(あ)委員 今後はしっかりとやっていくということで期待をしておりますので、きちんと進めていただきますようお願いいたします。
 一方、TSSにもコンプライアンス推進会議がありまして、これは、平成二十六年度より、毎年、一年に一度、開かれている状況です。
 しかし、過去、これだけの問題が起きているにもかかわらず、TSSのコンプライアンス推進会議から、社長への是正の提言というのが一度もなされていないのですが、これはなぜでしょうか。見解を求めます。

○石井水道局経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の社内規定では、コンプライアンスに関して不適正な事案があった場合、コンプライアンス推進会議から社長に対して是正を提言することになっております。
 しかし、これまで、同社において不適正事案が発生した際には、コンプライアンスを所管する監査室長が、事案の原因の究明、再発防止の取り組みについて、個別に社長に諮った上で対応してきたという経緯がございます。
 結果として、コンプライアンス推進会議から社長に対する是正の提言がなされていなかったということは事実でございます。
 今後、こうした提言が適切になされるよう、当局としても指導監督を徹底してまいりたいと思います。

○藤井(あ)委員 社内規定であったりとか、形だけをつくっても、コンプライアンスというのはなかなか機能しないものかなと思います。やはり、その運用面をきちんと整えていくことが重要ですし、それをきちんと水道局としても管理監督をしていただきたいなと思います。
 形だけですと、報告書で指摘されているとおり、TSSの内部統制が、本来、株式会社が求められている水準から大きく見劣りする水準であるといわれてしまうのも、これは仕方ないことだと思います。
 コンプライアンスや内部統制に関しましては、この間、民間企業においても大きな進歩を遂げているところです。TSSも株式会社ですので、民間企業の手法というのも積極的に活用すべきであると考えています。
 TSSの内部統制について、多くの株式会社で採用されている外部取締役であったり、外部監査の充実等の措置を導入すべきではないかと考えますが、水道局の見解をお伺いします。

○松丸水道局総務部長 東京水道サービス株式会社では、平成二十一年度から監査法人による外部監査を導入するなど、外部の視点によるチェック機能を導入しておりますが、今回の特別監察での指摘を踏まえ、こうした外部の視点による監査機能をさらに強化していく必要があると認識しております。
 そのため、社外取締役の設置も含めた今後の役員構成について検討を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 外部監査については、平成二十一年に導入していたにもかかわらず、有効に機能していなかったと、これもいわざるを得ないかなと思います。これも先ほどと同じなんですが、形だけ導入してもだめだということではないかと思います。これでは、経営、そして、その経営の手腕に対しての疑問を持たざるを得ないと思います。経営陣の責任であったりとか、その権限というものが明確なのかというのは疑問に思うところです。
 次に、不正事例に対する職員等の処分について確認をさせていただきます。
 報告書にある不適切な事例を受けた従業員の処罰について、特に監督すべき上司へはどのような処罰を行ったのか、お伺いします。その処罰の報告はどこまで上がっているのか、あわせて役員の責任はどうなっているのか、お伺いをさせていただきます。

○石井水道局経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、貯蔵品業務委託における巡回点検業務不履行の不適正事案に対する対応として、巡回点検を行わなかった社員九名に対して譴責処分、また、当該社員の管理監督者に対しても譴責処分を行っております。
 給水管撤去工事における写真改ざんの不適正事案に対する対応といたしましては、写真改ざん指示を行った社員一名に対し、十四日間の停職処分、また、当該社員の管理監督者である三名に対して譴責処分を行っております。
 なお、譴責処分は、同社が就業規則で定める懲戒処分の一つでございまして、始末書を提出させ、将来を戒めるとともに、給与面においても、昇給幅の抑制といったことをするものでございます。
 その他の不適正事案では、事故者の上司に当たる監督者は、口頭で注意を受けているという状況でございます。
 また、これらの処分については社長まで報告されておりまして、今後、経営目標評価及び役員業績評価を通じて、役員の責任については適切に対応していきたいと思います。

○藤井(あ)委員 これまで確認してきたことというのは報告書に書かれていることですけども、完全に経営の問題であって、経営の責任は非常に大きいと私は考えております。
 ここで少し話は変わってしまうのですが、都の監理団体は三十三ありますが、ほかの監理団体は大丈夫なのかというところが、ちょっと心配になるところでございます。
 二月二十二日の知事の定例記者会見で、今後、統合する予定の株式会社PUCを含めて、他の類似する監理団体についても早急に特別監察を実施するなど、総点検をするとの発言があったかと思いますが、今後、総務局としてどのように対応していくのか、お伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今回の東京水道サービス株式会社に対します特別監察の結果を踏まえまして、知事から、他の類似する監理団体についても早急に特別監察を実施するなど、総点検を行うように指示がございました。
 今後、全ての監理団体につきまして、来年度早期に内部統制機能の強化やコンプライアンス徹底などの観点からの点検を実施するよう、早急に点検方法あるいは点検項目等を検討してまいります。
 二〇一九年度中に東京水道サービス株式会社との統合が予定されております株式会社PUCにつきましては、来年度早々に特別監察の手法によりまして点検を実施するよう、準備を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 早急に総点検を実施いたしまして、PUC以外にも、特別監察を必要に応じて実施することを強く要望させていただきます。
 今、答弁の中でお話もありましたが、TSSとPUCは、来年度、統合することとなっております。二〇一九年度に新しい監理団体を設立するということになっております。
 今、お話をさせていただいています、この報告書の中で浮き上がってきた問題を、どのように新しい団体で引き継ぎ、問題の解決を図っていくのか、これは水道局にお伺いをさせていただきます。

○石井水道局経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、今回の特別監察の結果を受け、不適正事案に対する全社的な対応が図られていなかったといった原因につきまして再検証を行った上で、再発防止策の見直しや新たな対策を実施してまいります。
 また、今後、当局に設置する第三者委員会において、外部の視点から、監理団体の構造的な課題やその改善策について必要な提言をいただくとともに、それをもとに、不適正事案の再発防止や業務運営体制の再構築に全力で取り組んでいきたいと考えております。
 こうした取り組みを経て、同社におけるコンプライアンスの推進を図り、その結果を統合後の新団体にも引き継いでまいります。

○藤井(あ)委員 きちんとその問題を分析して、統合後の団体にも引き継ぐということで、そこはぜひやっていただきたいところです。
 少し視点は変わってしまうのですが、統合後にその経営統合がよかったのか悪かったのかというのを判断するためにも、事前に収益等の計画の策定は必須であると考えております。
 統合に係る総コストを上回る利益が見込めないと、統合する意味はないです。そのため、統合すること自体の費用、例えば、それはシステムの統合費用であったりとか、登記の費用、そして、人件費、税金、また、今つくっている印刷物のつくり直し等、さまざまな費用がかかってくると思います。さらには、統合後の収益の計画、どのように売り上げを上げていくのかといったようなお話、そして費用の計画、これは役員の報酬であったりとか人件費等も含めて、あと賃料など、間接費等も含めて、きちんと計画をつくる必要があるかと思います。
 本来であれば、今申し上げたような三つの情報というか計画は、二つの監理団体を統合するかしないか、この意思決定をする前に必要な情報であると考えておりますので、この準備というのは、可能な限り早くしていただきますように強く要望をいたします。
 最後になりますが、水道局長と総務局長にそれぞれお伺いをさせていただきます。
 今回の報告書では、水道局のガバナンスの甘さを厳しく指摘しています。TSSを管理する責任のある水道局長として、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いさせていただきます。

○中嶋水道局長 このたび、都の特別監察におきまして、東京水道サービス株式会社が、コンプライアンスの推進や内部統制体制が不十分であり、改善が必要であるとともに、指導監督する水道局のガバナンスの甘さが指摘されたことにつきまして、局長として大変重く受けとめております。
 この状況は、水道局及び監理団体から成る東京水道グループ全体の構造的な課題に原因があると痛感しております。
 当局としては、直ちに団体に対しまして、再発防止策を含む内部統制体制を見直すよう、改めて指示をいたしますとともに、今後設置いたします第三者委員会におきまして、外部の視点から、監理団体を含む東京水道グループ全体の人事、契約制度など構造的な課題を検証し、必要な提言をいただくことにしております。
 この提言などを踏まえまして、局が責任を持って、来年度の団体統合に向け、組織構造改革などを進め、技術継承や経営基盤の強化、協力会社との関係や人事制度の見直しなどを図りまして、東京水道が抱える構造的な課題を解決してまいります。
 こうした取り組みを通して、東京水道グループ全体のコンプライアンスの強化と都民の信頼回復に、局を挙げて全力で取り組んでまいります。

○藤井(あ)委員 今、ご答弁いただきましたとおり、東京水道グループ全体の体制であったり、構造の問題であるというご認識と、局が責任を持って、それを解決していくということで、大変期待をしているところでございます。ぜひ厳しい態度で臨んでいただきたいと思います。
 監理団体を所管する総務局長にもお伺いをさせていただきます。
 監理団体でこのような不祥事を起こさないために、今後どのように取り組んでいくのか、決意をお伺いさせていただきます。

○遠藤総務局長 今回、水道局が所管する監理団体におきまして発生した事案について、団体自体の内部統制上の問題に加えまして、都としての団体へのガバナンスのあり方なども含め、報告書として取りまとめを行い、公表させていただきました。
 こうした事案の発生を未然に防ぐためには、監理団体みずからが内部統制を検証し、その強化に取り組むことが欠かせません。加えまして、団体を所管する各局が、団体が持つ専門性や技術力を遺憾なく発揮できるよう、これまで以上にガバナンスを働かせていくことが重要でございます。
 そのため、今後、監理団体による自己点検を実施するとともに、常勤監事、監査役への専門人材の登用促進や、コンプライアンスに係る規定類の整備やその運用など、さまざまな取り組みにつきまして重層的に展開をしてまいります。
 都の政策実現に当たって重要な役割を果たす監理団体がみずからの事業運営を律し、また、各局が適切に団体への関与を行うことができますよう、総務局といたしましても、これまで以上に積極的に取り組んでまいります。

○藤井(あ)委員 最初に申し上げましたとおり、この報告書は、非常に重大で重いものだと受けとめております。今、総務局長からありましたとおり、これを契機に積極的に取り組んでいただけるということで、ぜひそこはお願いしたいと思います。
 都民ファーストの会東京都議団では、先ほども申し上げました公営企業等の東京大改革検証チームにおいて、今後も、直近では予算特別委員会、そして、公営企業委員会や、私も所属しております総務委員会の予算の質疑を通して、この東京水道グループ全体の事務事業や組織等についても検証していくと申し上げさせていただきます。
 以上で私からの質疑を終えさせていただきます。ありがとうございます。

○藤井(一)委員 それでは、二番目の藤井が聞かせていただきます。
 ただいま、この特別監察結果報告書について議論がありました。私も見させていただきまして、その中から何点か確認と質問をさせていただきたいと思います。
 この東京水道サービス株式会社の社員数は千五百四十四名、そのうち、常勤の職員は千三百四十四名で、非常勤職員が二百名というふうになっているそうであります。
 そのうち、東京都から派遣されている職員は何名なのか、また、東京都のOBは何名いらっしゃるのか、また、固有社員と民間企業からの派遣職員はそれぞれどのぐらいいるのか、お伺いをいたします。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社の常勤社員千三百四十四名のうち、都から派遣されている職員は四十名、都OB社員は二百二十六名、固有社員八百九十五名、民間企業からの派遣社員は百十二名、他自治体等のOB社員が七十一名でございます。
 また、非常勤社員二百名のうち、都OB社員は百五十六名、固有社員十六名、他自治体等のOB社員が二十八名でございます。

○藤井(一)委員 ただいまご答弁がありましたように、この東京水道サービス株式会社の社員、特に非常勤社員二百名のうち、東京都のOB社員が百五十六名ですから、ほとんどが東京都のOB社員だということでございます。
 それでは、この東京水道サービス株式会社の組織で部長さんが十三名おりますけれども、この部長さん十三名は、先ほどの都のOBなのか、あるいは派遣なのか、どうなっているのか。また、課長さんもおりますし、さらには、七十六の事業所が都内にありますけれども、その所長の出身はどうなっているのか、伺います。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社の各部を統括する部長十三名のうち、都から派遣されている職員は二名、都OB社員が十一名でございます。
 また、各課を統括する課長三十八名のうち、都から派遣されている職員は二名、都OB社員が三十五名、他自治体OB社員は一名でございます。
 七十六事業所の所長のうち、都から派遣されている職員は三名、都OB社員が四十二名、固有社員が二十七名、他自治体OB社員は四名でございます。
 なお、同社におきましては、部長級以上が管理職でございまして、課長級以下は管理職ではございません。

○藤井(一)委員 いわゆる部長十三名のうち、都からの派遣とOBで十三名、課長級の人たちも、ほとんどが都のOBだということでございました。
 そこで、この報告書の中で、東京水道サービス株式会社に監査室長が一名いるというふうに出ていましたので、私は、監査室長は今どうなっていますかと聞きましたら、今はおりませんと。この東京水道サービス株式会社の総務部長が兼任をしているという報告、回答でございましたが、本来、会社の内部監査は、執行部門と独立した、そういう監査室長が実施すべきであって、監査室長と総務部長が同一人ということは、例えば東京都でいうとどういうことかというと、監査事務局長と水道局長を同じ人がやっているということじゃないですか。
 監査する方とされる方が同じというのは、これはちょっとおかしい、こう思うのですが、今後どのように改善していくのでしょうか。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社では、昨年三月の部長級社員の退職に伴いまして、監察業務に知見を有した人材の補充ができなかったため、やむを得ず、総務部長が監査室長を兼任しております。
 当局としましても、内部監査は執行部門から独立して実施すべきものであることから、こうした兼任は早急に解消すべき課題と認識してございます。
 このため、本年四月から、監察業務の経験を有する人材を監査室長として配置する方向で、社と連携しながら、鋭意準備を進めているところでございます。

○藤井(一)委員 一年間もこういう状態が続いていたということ自体、やはり問題だというふうに思います。早急に改善をしていくべきだと、このように訴えたいと思います。
 さて、次に、この結果報告書で使われています、不適正事案とか不適切な関係というのが出てくるんですけども、じゃ、この不適正事案というのは、どういうものが不適正なのか、また、定義は何か。さらに、不適切な関係というのはどういう関係なのか、まず基本的なことで伺います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 不適正事案とは、TSSが水道局から受託した業務について、契約や法令等に違反して処理されたものでございまして、定められた仕様書のとおりに業務を履行しなかったもの、履行に当たり、写真の改ざんを行わせたものなどを挙げております。
 不適切な関係とは、都の監理団体として求められている透明性などに疑問を生じさせるような他者との関係でございまして、土木系協力会社の役員、幹部社員との飲食を伴う会合等は、関係性への疑問を生じさせ得る要因であると考えてございます。

○藤井(一)委員 定義はわかりました。
 そこで、この結果報告書の中に貯蔵品業務委託における巡回点検業務の不履行問題というのがあります。これについてお伺いをしたいと思います。
 内容は、統括資材置き場から都内各地にある無人の資材置き場に行って点検をする業務があるそうですが、仕様書のとおりに巡回点検されていなかった。このされていなかったのが、合計百三十七回というんでしょうか、あったという事案であります。
 この不履行の原因として挙げられているのが、総務局が関係者にヒアリングして分析、再検証した結果、一つは、実際に巡回点検したかどうかを確認することができないので、誰にもわからない。
 二番目は、動機として、わざわざ時間をかけて行くのが面倒である。巡回点検に行ったことにして、そのまま直帰--直帰というのは家に帰るということですよね。直帰したいというふうに出ています。
 三番目には、正当化の理由として、いつ点検しても特に問題がない。頻繁に巡回点検をする必要がないというふうにありますよね。
 ちょっと読んで驚いたんですけど、行って点検する必要がないなら、やらなきゃいいじゃないかと思うんですが、でも、業務ですから、それをやらなかったというのが問題なわけで、この巡回点検業務の不履行について、その原因は何なのか、また、この事実について水道局はどのように考えるのか、伺います。

○志村水道局経理部長 巡回点検業務の不履行につきましては、当局が緊急資材置き場における機械警備の入退場記録を精査したことを契機として発覚したものでございます。
 この不履行は、受託者である東京水道サービス株式会社におきまして、社員に対する指導や教育が不十分であったこと、また、今、副委員長からご指摘がありましたとおり、業務に実際に当たる社員が、その業務に対する重要性を認識していなかったという点がございます。
 また、社内で実際に巡回点検を実施したかどうかを確認する仕組みが設けられていなかったことなどが原因であると考えております。
 また、水道局としても、同社から毎月提出される報告書の確認を行ってはおりましたが、結果として、この確認が不十分であり、不履行の事実に気づかなかったことにつきまして、大変重く受けとめており、現在、速やかに改善に取り組んでいるところでございます。

○藤井(一)委員 要するに、社員に対する指導、教育が不十分だった、あるいは、点検をしたかどうか確認する仕組みが設けられていなかった。こういった、まさにちょっと、一つは、民間会社としての東京水道サービス株式会社として、余りにも無防備といいますか、準備がされていないのかなというふうに感じました。
 この巡回点検業務の不履行を受けまして、じゃ、水道局としてどのように対応したのか、伺います。

○志村水道局経理部長 水道局において、巡回点検業務不履行を発見した後、直ちに東京水道サービス株式会社の責任者を呼びまして、全容の解明と再発防止の取り組みを行うよう指示をいたしました。
 機械警備の解施錠記録と巡回点検業務に係る報告書とを書類が保存されている最長過去七年分について照合させた結果、合計で百三十七回の不履行が明らかになるとともに、点検の都度、現場に設置してある専用電話から確認をさせるなど、不正防止に向けた業務の改善を社において実施することとなりました。
 また、不履行に相当する費用につきまして、経過利息を含め、当局から東京水道サービス株式会社に返還請求を行い、既に納付をさせております。
 さらに、東京水道サービス株式会社が実施、受託をしている局内の他の委託業務の巡回点検についても確認を行い、これについては問題がないということを確認してございます。
 あわせて、水道局として、警備会社から提供される解施錠の記録と巡回点検報告書との照合を随時または抜き打ちで実施することとし、既に現在取り組んでいるところでございます。
 今後とも、二度とこのような不履行が起きないよう、再発防止に万全を期してまいります。

○藤井(一)委員 今の答弁で、いろいろ対応されたということでございます。
 この不履行に相当する費用について、さっき、藤井委員から罰則はどうなったんだというふうな質問もありましたが、ただいまの答弁で、既に水道局から東京水道サービス株式会社に返還請求を行ったということで納付をさせたということですが、およその金額を教えてください。

○志村水道局経理部長 返還をさせた金額は約二百二十万円でございまして、昨年十月に既に納付をさせてございます。

○藤井(一)委員 今後とも、やっぱり、こうした事案が出た場合、きちんと処罰をするところは処罰しませんと、けじめがつかないと思います。どちらかというと公務員体質とよくいわれますよね。ぬるま湯体質で、誰が責任をとるかわからないような中で処分が行われる。それがまさに今の厚生労働省の統計問題もあるわけですけども、そういった意味では、やはりきちっと処罰するべきはすべきだということを訴えておきます。これからも再発防止に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、報告書の中に、問題の一つといたしまして、このようにありました。組織として仕事を進める上での基本的ルールにのっとった処理がずさんであったと。
 その例として述べられているのが点検者ですね。点検者自身が報告書を作成しない習慣があるというふうに書かれてありましたけれども、これはどういうことでしょうか。

○志村水道局経理部長 貯蔵品業務委託における巡回点検業務の履行に当たりまして、受託者である東京水道サービス株式会社が点検結果を巡回点検報告書に記録し、委託者である当局に提出することとしてございます。
 緊急資材置き場を所管する一部の事業所におきまして、巡回点検の結果、特に異常がなければ、点検者が点検結果を口頭で報告し、報告を受けた別の事務担当者が巡回点検報告書を作成し、当局に提出してございました。
 こうしたことが他の事業所でも徐々に広まり、組織的に習慣化してしまったものでございます。

○藤井(一)委員 今のこの問題としては、基本的なルールがあるわけですけども、それをやはり社員がルールを守らない、忘れちゃっているというようなことも往々にしてあると思います。
 そういった意味で、この基本的なルールを社員にわかりやすく徹底することが重要であると考えますが、こういったルールをどのように徹底していたのか、伺います。

○志村水道局経理部長 東京水道サービス株式会社では、勤怠申請などの事務処理手順からコンプライアンスの遵守など、社員として備えるべき基本的なルールにつきましては、職場のOJTなどで日々教育をしてございました。
 一方、巡回点検を担当した社員は都OB社員であり、基本的なルールは当然に理解、遵守しているとの社の認識のもと、当該社員については研修対象としておらず、事業所長会などでの定期的な注意喚起等による再確認にとどまってございました。

○藤井(一)委員 そういう意味では、非常に対応が甘かったといわざるを得ないと思います。
 次に、内部統制上の問題点としまして、東京水道サービス株式会社の社員構成や、あるいは人事システムというのがあります。問題点としてですね。
 それは、課長級の社員のうち、固有社員が七名、割合は三%です。この固有社員のモチベーションを喪失させてしまったことを不正の原因の可能性というふうにしておりますけれども、現状として、この不適正な事案は--この報告書を読むと、不正の原因の可能性だ、固有社員のモチベーションが喪失したから、こういった問題が起きたように受けとめられるわけでございまして、こういった不適正な事案は固有社員に多く見られるのか、それとも、都の職員や都のOBの職員にも不適正事案があるのか、この点を伺います。

○金子水道局職員部長 今回の特別監察で指摘された貯蔵品管理業務委託における巡回点検業務不履行での事故者二十八人及び不適切な設計変更協議対応の事故者一名は、都OB社員でございました。
 また、工事監督における竣工写真の改ざん指示の事故者一名及び契約後の設計違算に対する外部からの指摘の事故者一名は固有社員でございました。

○藤井(一)委員 都のOBも固有社員も、こういった不適正事案をしていたということでございますが、特に、この結果報告書を読みますと、東京水道サービス株式会社では、原因を個人に求め、組織として捉えていなかったというふうに報告書にあります。それはなぜですか。その認識を伺います。

○松丸水道局総務部長 今回の特別監察では、東京水道サービス株式会社は、発生原因を個人に求めるのみで、組織的な課題に関する検証が不十分であり、本件による反省が組織全体にフィードバックされていないと指摘されております。
 再発防止策につきましては、現場実態を熟知している事業執行部署による検討にとどまり、全社的な検討という視点が欠如していたことから、組織として風土、背景にまで原因分析が及んでおりませんでした。

○藤井(一)委員 こういった会社の風土というんでしょうかね、そういうものが今回は不適切な事例でありますけども、やはりこれがさらに拡大をしますと不正の問題、いわゆる職員のそういう綱紀が緩んで会社に損害を与えるような事案も出てくる可能性は私はあると思います。
 そういった意味で、やはり今回を教訓にして、しっかりと組織の改革に取り組んでいただきたいというふうに思っているわけですが、ちなみに、民間企業では内部統制報告制度というのがあるそうです。これが施行されて十一年が経過をいたしました。内部統制とは、不正やごまかしなどを防ぎ、適正な業務を確保するために、社内の管理や点検体制を整えることだそうです。会社で仕事をする社員全員が守らなくてはならないルールや、あるいは仕組みのことをいうそうであります。これは、公認会計士の、後で質問する藤井さんが専門でございますので、よく聞いていただきたいと思います。
 たとえ内部規制が完璧でも、経営者や社員が決められたルールを守らなければ、内部統制は有効に機能しません。実際にルールが守られないケースが多く、その原因は何か、その対応策は何かについて、私は今回、専門家の方に聞いてまいりました。
 この内部統制上の不備が発生する原因は何かということでございますが、一つは、周知が不十分で、法律や規則を知らなかったというのが原因の一つだそうです。
 会社としては、法律や規則の変更を、社内誌や、あるいは掲示板に掲載したからいいだろうと。しかし、読まない社員が多いのが実態だそうです。じゃ、社員の立場からすればどうかというと、膨大な情報をその都度チェックするのは大変だと、そういう不満で、両者に、会社と社員の間に溝ができるのが実態だそうであります。
 二番目に、ルールが多くて複雑なことが原因だそうです。
 社員が把握しておくべきルールは実に多く、複数の文書が作成されておりますが、これらを社員が全て学んでいる、理解しているかどうか。
 ルールはコンパクトでシンプルなものが望ましいわけですが、実際にはルールが細かく膨大なものになっている。そのため、ルールはコンパクトでシンプルにしておくことが重要であるというふうに専門家の方はいっておりました。
 そのために、ルールをよりわかりやすくする、守ってもらいやすくするといった仕組みを施してこそ、不備が起こらない状況を実現できるのだと。この仕組みを考えないで、単にルールが守られていないと指摘するのは、お粗末な内部統制であります。
 実際に運用上の不備が起こると、ルールの遵守を心がけるようにという指摘だけでなくて、なぜ不備が起こったのか、不備を二度と起こさせないためにはどのような施策を講じることができるのかという仕組みをつくることが最も肝要であるということであります。
 この仕組みをしっかりとつくるということがこれからの課題であると思いますので、そこで、不適正事案が発生することを予防するための仕組みは今までなかったのでしょうか。

○松丸水道局総務部長 今回の特別監察におきまして指摘を受けました業務につきましては、報告書の作成や上司による確認等、東京水道サービス株式会社の内部での一定のチェック体制は存在していましたが、十分に機能せず、結果として不適正事案の発生を防ぐことができませんでした。
 これらの不適正事案につきましては、既に個別に再発防止策が講じられておりますが、不正が発生した原因を個人に求めるなど、組織的な課題に関する検証が十分でなかったため、問題の本質を捉えた対応が不足していたと指摘を受けております。
 このような指摘を真摯に受けとめ、今後、同社とともに、組織に内在する構造的な課題分析等に取り組むとともに、二度と同様の事案が発生しないよう、指導監督を徹底してまいります。

○藤井(一)委員 ぜひ組織的な構造にしっかり取り組んでいただいて、二度と発生しないようにしていただきたいと思います。
 そこで、今後、この水道サービス株式会社に対して外部監査を導入したり、あるいは第三者委員会を立ち上げて、二度とこういった問題が再発しないように取り組むべきと考えますが、このことについての見解を求めます。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社では、平成二十一年度から監査法人による会計監査を導入し、外部の視点によるチェックを受けておりますが、今回の特別監察での指摘を踏まえ、こうした外部の視点による監視機能をさらに強化していく必要があると考えてございます。
 そのため、本年四月に当局が設置する第三者コンプライアンス委員会では、同社につきましても検討対象とし、その内部統制のあり方を検証してまいります。
 なお、社内におきましても、コンプライアンス推進会議を年複数回開催するなど、社の内部統制やコンプライアンスにつきまして集中的な議論を進めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、不適正事案の再発防止に向けて内部統制体制を強化してまいります。

○藤井(一)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、今後、東京水道サービス株式会社が、この組織の体質ですね、先ほどいろいろと議論になりました。こういった組織の体質を改善していかなければならないと思いますが、この体質改善をするためにはどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○松丸水道局総務部長 今回の特別監察では、東京水道サービス株式会社には、当局からの指示を前提とする局への依存体質があると指摘されております。この局への依存体質から脱却するためには、同社において、みずから業務を主体的に改善し、PDCAサイクルに基づく運用を行っていく必要がございます。
 このため、当局が設置する第三者委員会におきまして、外部の視点から、監理団体の業務運営のあり方を含めた検証、提言をいただき、その提言を踏まえ、同社における自主的な改善の取り組みを促進してまいります。
 さらに、同社と株式会社PUCとの統合に合わせ、より自律的な経営がなされるよう、抜本的な組織構造改革を進めてまいります。

○藤井(一)委員 抜本的な組織構造改革、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、この結果報告書によりますと、課長ポストの約九割を都の派遣職員と都のOB職員が占めています。そして、課長級職員のうち、固有社員の人数はわずか七名しかおりません。また、四十代以上の固有職員が三百名以上いる中で、その多くが課長に任用されていない実態があるというふうに報告書に出ております。
 これでは、都の職員と都のOBを厚遇というんですか、優遇というんですか、しているといわざるを得ません。また、固有社員のモチベーションをなくしているというふうに考えられるわけでございます。
 そういった意味で、今後、この固有社員を育成し、また、どんどん登用することによって、会社のモチベーションを高めることが重要である、このように考えますが、この固有社員の人材育成にどのように対応していくのか、伺います。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社では、業務移転による当局からの受託業務の拡大に伴い、この十年間で社員数が一千名以上増加しております。特に三十歳未満の若年層が多いことから、こうした若手社員を計画的に今後育成していくことが課題でございます。
 そのため、同社では、社内実務研修の充実や資格取得支援の拡大により、専門性の向上に取り組んでまいります。
 また、同社の幹部候補生の派遣を当局が受け入れまして、企画立案などの経験を積ませることで、東京水道グループ全体として幅広い視野を持つ人材の育成を進めてまいります。

○藤井(一)委員 また、それに関連しまして、仕事の上で成果を上げた社員が正当に、あるいは客観的に評価されて昇任、どんどん上に行ける人事制度が不可欠であると思います。
 先ほどの、悪いことをした社員に対しては、きちっとした罰則を与える、成果を上げた社員をどんどん評価する、こういった会社の雰囲気を醸成しなければ、これはよくならない。
 こうした人事制度を早急に確立すべきと考えますが、水道局長の決意を伺います。

○中嶋水道局長 企業経営の根幹は、いうまでもなく人材でございまして、東京水道サービス株式会社において半数以上を占めます固有社員の育成とモチベーションの向上が喫緊の課題でございます。
 特に今後の東京水道の事業の将来を考えますと、この固有社員の存在というのは、ますます貴重なものになってくると考えております。
 したがいまして、こうした課題の解決に向けましては、同社における人事制度の抜本的な見直しが不可欠でございます。
 具体的には、固有社員の採用の実態も踏まえ、能力と業績に応じた昇任制度など、固有社員の人材育成を第一に考えた人事制度を構築しますとともに、それを実際に運用するための業績評価や、当局への派遣などを含めました配置管理、これを行っていきたいと思います。
 今後、来年度中に行う監理団体二社の統合を視野に、意欲と能力のある社員が適正に処遇される仕組みを早急に構築してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、東京水道グループの一翼を担う東京水道サービス株式会社のマンパワーをさらに強化させてまいります。

○藤井(一)委員 局長の大変力強い決意を聞いて、ぜひ改革に取り組んでいただきたいと思います。
 聞いたところによりますと、水道サービス株式会社の社長は、代々、元水道局長だそうでございますので、中嶋局長が退職したならば、東京水道サービスでぜひ改革をされますよう、ご期待申し上げたいと思います。早く退職しろという意味じゃないですよ。退職したらです。
 次に、総務局長に伺います。総務局長も、答弁したくてうずうずしていると思いますので。
 東京水道サービス株式会社のように、東京都からの受託業務が売り上げのほぼ全てを占め、管理職の約九割を東京都の派遣と都のOB職員が占めている東京都の監理団体は、ほかにもあるのかどうか。あるのであれば、具体的な団体はどこか、伺います。これは局長じゃないですね、部長ね。どうぞ。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体三十三団体のうち、経常収益等に占めます都の委託料の割合及び管理職に占めます都関係者の割合がいずれも九割を超える団体は、東京水道サービス株式会社を含め、東京交通サービス株式会社、そして東京都下水道サービス株式会社の三団体となってございます。

○藤井(一)委員 この三つの団体、全て東京都の公営企業の団体だと思いますけれども、先ほども藤井委員からありましたけども、今後、こういった監理団体に対して早急に緊急調査を実施するなどして、都の監理団体に対する疑念を払拭していくべきと考えますが、見解を伺います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体は、都とともに政策実現を目指す都庁グループの一員でございまして、その事業運営に当たりましては、柔軟性や迅速性のみならず、安定性や透明性が求められます。
 今回の事案を踏まえまして、今後、全ての団体に対しまして、同様の事案が発生することがないよう、職員の綱紀粛正や事故防止の徹底を図るよう指導してまいります。
 あわせまして、全団体が来年度早期に内部統制機能の強化やコンプライアンス徹底などの観点から点検を実施するよう、点検手法や、業務執行が適正に行われているか、また、内部統制の充実に向けました課題や改善といった点検項目について、今後、早急に検討してまいります。
 こうした取り組みによりまして、監理団体全体に対する信頼の回復を図ってまいります。

○藤井(一)委員 来年度早々に、こういった点検を実施するという答弁でございました。ぜひ効果的に進めていただきたいなと思っております。早期に調査をスタートさせまして、監理団体に向けられました疑念の払拭に努めていただくよう、要望したいと思います。
 この監理団体をめぐりましては、私も長年やってきた中で振り返りますと、まさに都政と表裏一体の関係にあったわけであります。私の先輩であります石井幹事長という方がおりまして、監理団体改革に大変熱意を持った方で、私も、その石井さんの後でいろいろと勉強させていただきました。
 東京都が財政危機に直面したときには、その克服に向けました行財政改革を目指して監理団体改革を断行してきたわけでございます。その中で特に印象深いのは、私たち都議会公明党が積極的に都に働きかけて、身を切る改革をすべきだということを何度も訴えまして、東京都は、平成十一年、当時は六十四の監理団体がありましたけども、それを統廃合いたしまして、現在の三十三団体に、約半分にしたわけでございます。
 また、当時は、局長をやめた方が、監理団体の、例えば東京水道サービスもそうでしょう、外郭団体に天下りますと、何年か、三年か五年か勤めると、また退職金をもらう。東京都の局長でやめたときに多額の退職金をもらって、そして、天下った監理団体で数年勤めてやめると、また退職金をもらう。こういったことが長年行われてきた。これは都民感覚からすればおかしいじゃないかということを何度も私どもは訴えまして、役員の退職金も廃止をしたわけでございます。こういった身を切る厳しい改革を断行してきたわけでございます。
 都政は、少子高齢社会を迎えまして、これまで以上に複雑化、多様化しております。そうした中でも、東京都が掲げる三つのシティーを実現していくためには、東京都のみならず、都庁グループと位置づけております監理団体の存在が重要となってまいります。
 そこで、最後に総務局長に伺いますが、今回の事案を総務局としてどのように受けとめるのか、そして、今後、どのような改革を進めながら監理団体を適切に指導監督していくのか、局長の決意を伺います。

○遠藤総務局長 東京二〇二〇大会の成功や、その後の東京の持続的発展に向け、都庁グループの一員である監理団体が担う役割はますます高まっております。都とともにさまざまな改革を進めながら、透明性を高め、効率的、効果的な団体経営を図ることで、都民の信頼を得ていかなければならないというふうに感じております。
 今回の監理団体に対する厳しいご指摘をいただいているそうした点を、監理団体を所管しております総務局の長として、大変重く受けとめております。
 今後、二度とこのような事案が監理団体において発生することがないよう、監理団体への指導を徹底してまいります。
 また、各団体の内部統制の強化に向けまして、コンプライアンス規程や委員会の整備、その適切な運用、また、役員への民間人材等の登用を促すなど、総務局として現在進めております監理団体改革を、確実に前へと進めていきたいと考えております。
 こうした改革を積み重ね、監理団体の事業運営に対して適切に関与してまいりますことで、都民の理解と納得を得ながら、都庁グループとしての機能強化を図ってまいります。

○藤井(一)委員 総務局、水道局に頑張っていただきたいことを、エールを送って質問を終わります。

○鈴木委員 私たち都議会自民党も、これまでに行政改革の一環として、民間でできることは民間に、そしてまた、民間のノウハウを生かして、行政と表裏一体であるこの監理団体に、コスト意識を持って事業を進めていただきたいということを推進させていただいてまいりました。
 しかしながら、先ほど、これまでの答弁にもありました、やりとりの中でもありましたけれども、今、都民、また国民の目というのは、やはり私たち行政だけでなく、この監理団体にも、コンプライアンスのあり方というものに対して大変注目を浴びているという状況の中では、これはしっかりと、今回の事案を通して、もう二度と起こさないという決意を持って改革をしていかなくては、もうもたないというふうに私たちは思っております。
 そうした意味においては、今回のこの特別監察報告に関するこのような質疑ができる機会を持てたということは本当に大事なことだというふうに思っておりますので、ぜひ、私の質疑でもそうですけれども、今回の全ての質疑を通して皆様に肝に銘じていただいて、二度と起こさないためにどうするのかということで議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 先般、総務局から報告されました、東京水道サービス株式会社、TSSに対する特別監察、TSSというのは、水道施設の整備、管理など、東京の水道の技術業務を担う監理団体であります。東京都水道局から、水道管路の維持管理や浄水場等の運転管理、また、給水装置業務などについて受託をしているわけです。
 売上高全体に占める水道局からの受託額の割合は、何と九八%ということで、もうほとんど東京都の水道局の仕事をしている会社、企業であるわけですけれども、平成十八年に監理団体との一体的事業運営体制を順次構築していくという方針が決定された後に、さらにそれが高まり、受託業務の範囲、そして規模の拡大に伴い、人材、財務の両面において、水道局と一体となった運営体制となって今日に至っているわけですけれども、まさに水道局の事業運営上の重要な業務を担うパートナー企業であるというふうにいえます。
 しかし、今般の都による特別監察では、水道局から業務委託を受けていた水道管保管場所の巡回点検について、現地で確認していないのに点検したとする虚偽の報告をしていたことが判明しました。その件数は、資料が残っているものだけでも、この七年間にわたって百三十七回にも上るということでした。
 大変ゆゆしき事態ですけれども、資料が残っているものだけでもということは、残っていない資料もたくさんあるということで、七年以上前から、そして百三十七回では済まないぐらいの、ずっと当たり前のような形で、こういったことが行われていたということだというふうに思います。
 ほかにも、国道事務所に提出する工事写真のデータを改ざんしろというふうに指示をする、委託業者と長年にわたって飲食を伴う会合を開いていて、本当に組織のガバナンスとかコンプライアンスに係る、根本に係る問題というのが発覚をして、そのたび、そのたびに小出しをしながら、じゃ、今度はこういうふうにしようねというようなやり方で今日に来ているんだろうというふうに私は思います。
 この会社は水道局所管の監理団体ですので、一義的には、水道局の指導監督のもと運営がなされているわけですけれども、これだけの不適正な行為が明るみになった以上、都の監理団体を所管する総務局としても、本当に厳しくその姿勢を問わなくてはならないというふうに思っておりまして、私たちは本当に残念なことだというふうに思います。
 そこでまず、都が各団体の指導監督を行っていく一つの仕組みとして、総務局では東京都監理団体経営目標評価制度というのがあります。
 都では、平成十三年度から、監理団体改革の一環として、団体の有効活用の見える化を進めるために、団体みずから経営目標を設定していただく、その達成度を評価する取り組みを実施しているのがこの制度なんですけれども、各団体は目標に沿って事業に取り組んで、その達成度に応じてSからDまでの五段階の評価がなされているわけですけども、こうした達成状況を広く都民に公開することで、都の監理団体として求める公正かつ透明な経営を徹底していくことを狙いとしているはずなんです。
 そこで、過去のこのTSSの評価は一体どういうものだったのかということをまずお伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京都監理団体経営目標評価制度は、団体の経営改善等の促進を目的といたしまして、これまで時代の変化に合わせ、より一層の経営改善に資する目標の設定及び評価がなされるよう、適宜必要な見直しを行ってまいりました。
 それに伴いまして評価の区分も見直してきたため、一概には比較できませんが、直近五カ年におけます東京水道サービス株式会社の評価は、平成二十五年度及び二十六年度が、A、B、C、D四段階のうちのA評価、二十七年度が、S、A、Bの三段階のうちA評価、平成二十八年度につきましては、制度の移行期で目標の設定、評価を実施しておらない関係で、平成二十九年度でございますが、S、A、B、C、Dの五段階のうちB評価となってございます。

○鈴木委員 今の答弁を聞いただけでも、もう七年以上前からいろんなことが繰り返されてきて、コンプライアンスということ自体も、どこまで大切に経営の中に生かされてきたのかということもわからない状況の中で、一般の方、都民の方は、何でそういう状況にもかかわらず、それだけ高い評価をいただいている団体だったんだろうというふうに感じると思います。
 そこで、常に上位の評価を得ているようですけれども、この評価というのはどのように行っているのか、お伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十五年度から二十七年度の評価につきましては、設定した経営目標全てを達成したことなどを踏まえまして評価を行いました。
 平成二十九年度の評価につきましては、外部有識者から意見を聴取する仕組みを導入いたしまして、経営目標の達成状況に対する委員の意見も踏まえながら評価を行ったところでございます。

○鈴木委員 指導監督の仕組みの一つといっても、経営目標の達成度の評価なんですね、ずっと。今回、特別監察で指摘されている会社の実態というのは、これでは一体どこで確認ができるのかというふうに思うわけです。団体の経営改善を促すという評価の役割というのが、これで一体果たされているのかというふうに疑問が生じるのは、私たちだけではないというふうに思います。
 その団体を所管する局が一次評価を行う仕組みとなっていて、その一次評価をもって、外部有識者による意見を踏まえ、評価が行われると。ある意味、身内の中で評価をして、それがこの点数につながっていくという、そういう仕組みなわけですけれども、実際、そもそも経営評価というのは一体何なのでしょうか。それは、そもそもが企業経営は一体何なんだという話につながっていくんだというふうに思います。
 企業経営というのは、利益を出すだけ、株主に配当をふやすだけではないはずなんです。かつてライブドアでいろんなそういった議論がありましたけれども、会社の経営、要するに企業経営というのは、まさに利益を出すことも大事ですけれども、それ以上に、社会にどれだけ奉仕をして、貢献を仕事を通してしていくのかというような、そういった理念があって、私は企業としてなりわいを持って取り組んでいく組織だというふうに思うわけですけども、その部分が全くこの評価ではなされていないということなわけです。
 これまでも、外部有識者などから、この評価制度についてはいろいろ提言はされているんだというふうに私は思います。その外部有識者の提言や意見というのは、一体、今までどんなものがあったのか、お伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 先ほども少しご紹介させていただきましたが、平成二十九年度から、外部有識者で構成されます評価委員会からの意見を聴取いたします仕組みを導入いたしました。
 各団体の経営目標を設定いたしましたが、その際、あわせて各団体の経営課題や経営戦略を見据えた目標を設定すべきことや、五つだけ、当時、指標を設定してございましたが、それだけでは経営目標を示し切れないことなど、翌年度以降の評価制度のあり方について意見をいただいてございます。

○鈴木委員 要するに、今の答弁ですと、そもそも、水道局も団体も、内部統制やコンプライアンスについては自己評価する仕組みになっていない。
 要するに、性善説に立った局の自己評価をベースにして、この制度が運用されていたわけで、本制度が本当にもう限界であるといわざるを得ないんですけれども、その点についての見解をお伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の経営目標評価制度は、これまでも、各団体のより一層の経営改善に資する目標の設定及び評価がなされるよう、必要な見直しを重ねてまいりました。
 評価委員会の仕組みを導入して初めて実施いたしました二十九年度の評価におきましては、各団体の実績及び分析内容について、専門的見地からの委員の意見をいただくことで、評価に対する客観性、妥当性の向上が図られたものと認識してございます。
 団体や所管局によります評価におきましては、経営目標の達成状況だけでははかれない事案につきましても記載することとなってございまして、今後、評価を行う際には、改めて徹底を図るなど、経営目標評価制度の適切な運用に努めてまいります。

○鈴木委員 先ほどの答弁の中でも、有識者の中では、五つの指標だけでは経営目標は示し切れないということで、さまざまな意見をいただいて、次年度以降の評価制度のあり方をいろいろ見直してきたという話があったわけですけれども、基本的に、今の話を聞いても、そういったことも、聞いただけで、じゃ、実際にどういったところに反映されていたかというのは全く感じられない、全く見えない、そういった状況なのかなというふうに思います。
 都のOBが役員などになっていて、経営に多数かかわっていながら、たび重なる汚職事件とかコンプライアンス違反となる事案がたくさん、今までも幾つも発生しているにもかかわらず、十分な改善策がとられていないというのがまさに、総務局がそうしたところにさらにA評価を与えているという現状というのはいかがなものかということは、やはり一度しっかりと見詰め直さなくてはならないというふうに私は思います。
 そこで、一番やはり大事なのは、根本的な意識改革が求められるということだというふうに思います。
 過去の汚職事件に際して、団体運営にかかわる責任は団体自身にあり、総務局というのは指導監督の立場であって、一定の責任は団体自身にあるというような趣旨の発言が総務局からされたことがあるんですけれども、何度も同じ事案が生じるような指導監督責任というのは一体どのようなものかというのをお伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の団体運営にかかわる責任につきましては、団体自身が負うべきものでございますが、都は、団体の指導監督を行う立場から、その運営に一定の責務を負うものと認識してございます。
 そのため、これまでも、都民の信頼を失墜させる事案が監理団体において発生した場合には、所管局を通じまして、当該団体に対して事案の詳細な報告を求め、再発防止策の策定などを指導してまいりました。
 今回の事案発生に対して、さまざまなご指摘をいただいておりまして、監理団体の信頼回復と再発防止に向けて、改めて全ての団体に対し、綱紀粛正を図るよう指導を徹底してまいります。
   〔「根本的に変えなきゃだめなんだよ」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員 本当に、今、話がありましたけど、根本的に変えていかないと、もう信頼は回復できないというふうに思いますし、これは先ほどの質疑にもありましたけれども、TSS、要するに、水道局の所管する監理団体だけでなく、三十三全部の監理団体にも、そういった意識を持って、やはり取り組んでいっていただかなくてはならないというふうに思います。
 また、今回の事案というのは、昨年の十一月に、職員目安箱にTSSにおける不適正事案があるとの内部告発といえるような情報が知事に寄せられて発覚したわけですけども、この職員目安箱、平成二十八年十月十二日に設置をされて以降、これまでに不適正事案というのが寄せられたことがあるのか、どの程度寄せられていたのか、お伺いいたします。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 職員からの幅広い意見等を受け付けるという職員目安箱の設置の趣旨を踏まえますと、事案の詳細を申し上げることはできないところでございますが、職員目安箱に不適正だと指摘する情報が寄せられたことはございます。

○鈴木委員 今ちょっと……。あったのですか、ないのですか。ございませんですか。
   〔「語尾がはっきり聞こえないよ」と呼ぶ者あり〕

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 不適正だと指摘する情報が寄せられたことはございます。

○鈴木委員 ございますということは、今までもそういった話があったということなんですけども、それに対してはどのように対応されているのですか。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 職員目安箱に寄せられた情報につきましては、まず、知事のところに届けられるという制度になってございまして、知事から、必要に応じて調査の指示があるところでございまして、知事の指示に従って調査をしているというところでございます。

○鈴木委員 今の答弁でよくわかったのは、今まで寄せられていた目安箱に対する情報に対しては、知事は適正な改善指導をされていなかったというふうに受け取ってよろしいですね。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 目安箱に寄せられた情報につきましては、指示に従って調査を行い、それについて知事に報告をして適正な対応をしているものと承知しております。

○鈴木委員 不適正な事案に対する情報が目安箱に寄せられていても、知事から適切な指導改善のための取り組みをするようにという指示がなかったこともあったということなんですね。要するに、知事がそれをしっかりと受けとめてどうなったのかというのも全く見えないブラックボックスだという話だというふうに思います。
 その話は、今、知事もいませんので、また別の話なんですけれども、この職員目安箱に情報が寄せられた時期というのは、十月三十日に公正取引委員会から行政調査を受けて、都に水道局所管委託契約に係る談合疑いに関する特別調査チームが設置された時期と重なっているんですけども、総務局は、こうした事案というものは把握していたのですか。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 職員目安箱への意見等につきましては、知事に直接届けられているところでございまして、この情報が寄せられた時期については承知をしていないところでございますが、ご質問の調査特別チームが設置された時点において、総務局としては把握しておりませんでした。

○鈴木委員 こういったところも、やはり私は問題があるんだというふうに思います。
 民間企業においては、やはりそういった情報、特に指導監督する立場の--まあ総務局なんですけども、こうした話を共有できなければ、実際、総務局の方から、その監理団体を指導監督する立場にある私たちがどこまでできるんだという話になるわけです。本当にそういったところを--この結論は、要するに、この情報を、しっかりと水道局で把握して、把握しているその監理団体を指導監督する立場にある総務局に上げなければ、総務局の方も、しっかりとさまざまな情報を得て、それに対する指導監督につながらないという話をしているのであって、当然な話なわけですよ。
 民間企業では、ここの部署は知っているけど、こっちは知らないという話は、今はもうあり得ないということ、やはりそういった部分も見直す一つではあるというふうに私は思います。
 また、十二月三日から、総務局において監理団体へ初めて特別監察が行われ、本年の一月十六日に水道局、TSSへの、提出資料やヒアリング内容に関する事実確認がされたにもかかわらず、このような重大な事案に対する委員会への説明というのが、何で知事の記者会見の後に私たちに説明がされるのかということ自体も、私たちは理解に苦しみます。まさに議会軽視といわざるを得ないじゃないですか。
 監理団体を指導監督する立場として、誠実に、やはりオープンに議会にも報告すべきじゃないかというふうに私たちは思うんですけれども、見解をお伺いいたします。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 今回の特別監察は、監理団体に対する調査の一環として行ったものでございまして、契約書類や団体運営に関する資料等の確認、関係者延べ五十三名に対するヒアリングを行い、その結果を分析して取りまとめた報告書について、二月二十二日に公表したものでございます。
 一般的に、監察の結果について、議会への報告はこれまで行ってきていないところでございますが、当委員会から求めがありましたため、報告を行ったところでございます。
 なお、理事からご指摘のありました本年一月十六日でございますけれども、この時点では、まだ調査が継続中であったところでございます。

○鈴木委員 じゃ、調査は継続中で、最終的に調査結果が出たのはいつなんですか。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 今回の調査に関しましては、総務局職員十名により、先ほど申し上げました資料の確認やヒアリングなどの調査自体を行っていた期間につきましては、十二月一日から一月三十一日まででございます。
 その後、調査報告書を取りまとめる作業などをいたしまして、報告書について決定をいたしましたのは、二月の……。申しわけありません、ちょっと資料を確認してきてもよろしいでしょうか。失念いたしました。

○鈴木委員 今の質問は、私、通告していないので、日付までわからなくてもいいですよ。
 ただ、知事が二月の二十二日に記者会見する以前に上がっているはずなんですけれども、こういったものに対してはしっかりと、記者会見をする前に、少なくとも、きょう、いらっしゃる委員会のメンバーに説明するのが私は必要じゃないかというふうに思いますし、今までそういった前例がないと。今回、そもそも、この目安箱に情報が寄せられて、こういった形で調査するというのも初めてなわけであって、前例とかは何もないわけですよ。今回、初めて特別監察が入っているわけですから、その前例があるとかないとかというのは、前例なんかないに決まっているじゃないですか。
 ほかにいろんな指導があったとして、そういったことに対しては委員会にも報告をしないということは、事の軽重を考えると、やはり一律に扱うものではないというふうに思うんですけど、そういったことはどういうふうに考えているのですか。

○小松委員長 どなたでしょうか。

○遠藤総務局長 ただいまお話がありましたように、今回、初めての事例であるということは、私の記憶にある限りではそのとおりだというふうに思っております。
 監察につきましては、事故監察あるいは予防監察、その他の監察としての特別監察、種類がある中で、今回のような事案について、今後、報告等につきましてどのように行っていくのか、内部でも検討するほか、各会派の皆様とも意見交換等もしながら、今後、取り扱いについて検討していきたいというふうに思います。

○鈴木委員 今、局長からお話しいただきましたけれども、ぜひ委員会にも説明していただきたい。これまで監理団体に関する議会への報告というのは、書面で、事務事業報告と、先ほどの経営目標評価制度だけだったわけですよ。今回のような特別監察を受けるような事案というのは、また、特別調査を行うような件というのは、積極的に私たちにも報告すべきだというふうに思いますし、そういった姿勢が、やはりこういったものを起こさないように、もっと皆さんが緊張感を持った、そういった姿勢につながっていくんだというふうに私は思います。
 また、ほかの監理団体においても、内部統制やコンプライアンスに対する同様な事案がないのかというのは、先ほど質疑の中で、これから来年度に向かって検討するとおっしゃったのですけども、役所の検討というのは、やらないというふうによくいわれがちなんです。
 そうは私たちは受けていないんですけれども、しっかりと、次期、監理団体の報告をするときに、一定の方向性を示していただきたいというふうに思うんですけど、それに対してはいかがですか。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 点検についてでございますけれども、各団体におきまして点検をするに当たりまして、ガイドラインといいますか、目安のようなものも必要かと思ってございます。
 それぞれの団体におけます団体内部のこれまでのさまざまな事例あるいは今回指摘されております事例、そういったものを比較いたしまして、各団体において、まず作業がしやすいようなものを示しながら、来年度に向けて早急に今検討している、そういうことでございます。

○鈴木委員 ぜひ今おっしゃったことをしっかりと結果に残していただいて、次回のご報告を私たちは期待しております。
 今日、どの組織でも、リスク管理というのは本当に不可欠なことであって、都民の信頼なくしては都政を進めることはできないということを、まず肝に銘じていただきたいというふうに思います。
 今後は、指導監督責任も、都民にとっては監理団体の運営責任と同じくらい重いものであるということを忘れずに、ぜひ総務局においても、二度とこういったことが起きないような取り組みに改善していただきたいというふうに思います。
 次に、水道局に伺います。
 来年は、いよいよ二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されます。私は、水道局に今回の話をする以前に、水道局がどれだけ今まで、この東京の発展に貢献されてきたかということも、本当に申し述べさせていただきたいというふうに思うわけですけども、前回の東京オリンピック大会においては、開催間近の昭和三十年代後半、東京は大変な渇水に見舞われていたんですね。都市化の加速によって水源の不足に加えて、毎年のように渇水が起きて、多摩川の長期渇水というのがまさに東京砂漠といわれるように、危機的な状況もありました。
 そうした危機を乗り越えて、安定給水、そして、蛇口をひねれば安全でおいしい水が供給され、現在では本当に胸を張って世界一といえる東京水道をつくり上げたのは、ほかならぬ東京都水道局の皆さんであるというふうに私たちは思っております。そうした誇りを持って、東京水道百年の実績にふさわしい組織に変わっていくことが、何よりも今求められているものというふうに思います。
 今回の特別監察の結果報告は、それ以前に水道局が公正取引委員会の行政調査を受けて、その再発防止策の検討結果の中間報告の矢先だったんです。大変残念なことですよ。本当に信じられないことです。
 このことは、しかしながら、これまで毎年のように報告された職員の汚職、コンプライアンス違反に対する反省、対策が全く生かされていない、起こるべくして起こったことであり、全く他人ごとで、おざなりの調査の繰り返しだったというふうにいわざるを得ないわけです。
 初めに、今までのこうした一連の事件、そして、これらの報告を今どのように受けとめているのか、お伺いいたします。

○松丸水道局総務部長 昨年十月の公正取引委員会の立入検査に端を発しました当局職員の情報漏えいが明らかとなった件がございます。これに加えて、東京水道サービス株式会社に対する特別監察により、同社のコンプライアンスやガバナンスの不備などが指摘されたところでございます。
 局による平成二十四年、平成二十六年の過去二度の不祥事に加えまして、こうした事実が判明したことは、当局のコンプライアンスに根本的な問題があるということのあらわれであり、その重さと厳しさを痛感しているところでございます。

○鈴木委員 この委員会も、過去のいろんな事案を認識されていない方もいらっしゃるので、幾つか触れさせていただきますけれども、本当に毎年のように逮捕者が出ているときがありました。そのたびに汚職等防止策検討結果報告書というのが出されてきました。
 二〇一二年九月、職員が資材置き場の整備工事などの情報を事業者に教示し、飲食、接待等を受けて、収賄容疑で逮捕、起訴されました。この事件を受けて、あのときも水道局内に汚職防止対策本部というものが設置されて報告書が出されました。
 さらに、二〇一四年九月十八日、職員OBの方が、水道局の工事契約に関しまして、公契約関係競売等妨害容疑で逮捕され、これもまた略式起訴されて罰金刑の処分を受けているわけです。
 こうした事件のたびに、さまざまな内規や指針がつくられて改定されております。
 このほかにも、二〇一四年度にはコンプライアンス推進会議が設置されました。二〇一六年度には、グループ経営基本方針も策定されて組織の見直しをしよう、そして、二〇一八年度には、東京水道グループコンプライアンス推進会議によって、さらなるガバナンス体制の強化に向けて検討を開始するというふうに話がありました。
 内部統制システムの構築というのは、この報告書にも書いてありますけれども、会社法第二条第六号に定める大会社でないTSSは適用対象外、体制整備の法的義務はないというふうにあるのですけれども、司法による判例の積み重ねから、取締役の善管注意義務の一つとして内部統制システム構築義務があるというふうにもいわれているというのが、今、司法の現状です。
 また、都政改革本部会議で報告された監理団体改革において、今後、全団体にコンプライアンス規程、委員会を必置するなど、全団体のガバナンスやコンプライアンス強化も示されております。
 TSSでは、平成二十年四月、今から十一年も前にですよ、コンプライアンス推進に関する要綱を策定し、以下の統括責任者、会議体及び対応窓口等を定めてまいりました。しかし、いまだ、内部統制やコンプライアンスに関する全社的な基本方針、また、主体的にリスク管理を行うことが求められるリスク管理行動計画や、事業継続計画、BCPすら策定されていないというのが現実ですよ。十一年もたっているのに。
 そもそも、法令上の不備さえなければよしとするコンプライアンスに関する責任感が全く感じられないというのが、こういったことからもよくわかります。
 特別監察の報告書にも指摘されておりますけれども、今後、こういったことを含めてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いします。

○松丸水道局総務部長 東京水道サービス株式会社ではこれまでも、コンプライアンスの強化のため、監査役を増員するとともに、監査室を執行部門から独立させ、社長直轄の組織にするなど、組織体制の見直しを進めてまいりました。しかし、今回の特別監察で、取締役会や監査室の形骸化などの指摘を受けたことを重く受けとめております。
 そのため、今後は、同社の取締役会において、社の内部統制やコンプライアンスについて集中的な議論を進めるほか、当局としても、会社法上、大会社に求められる水準と同等の体制を整備するよう、同社に対して強く指導を行ってまいります。
 こうした取り組みにより、不適正事案の再発防止に向けて内部統制体制を強化してまいります。

○鈴木委員 先ほどの藤井委員の質疑の中でも、監査室というのが何も機能していないという話もありました。今、部長の答弁の中でも社長直轄とおっしゃっておりましたけども、この形骸化の責任というのは、全て社長にあるということですか。というふうに私たちは受けとめます。それでいいのですか。

○松丸水道局総務部長 会社の経営については、最終的に社長が責任をとるということでございますが、コンプライアンスは、それぞれの会社の仕組みの中で、それぞれの責任を分担しているということだと思います。社長は、もちろんコンプライアンスについても最大の責任を持っているということは十分認識しているものと思います。
 また、局も指導監督する立場がございますので、コンプライアンスについてチェックすべき点があったと思いますが、その点については、今回の特別監察における報告で、局のガバナンスの不足ということで指摘をされているところで、重く受けとめております。

○鈴木委員 今、部長がおっしゃったとおりなんです。要するに、社長直轄といいましても、やはりなれ合いを防ぐためには、そういった外部有識者のいろんな意見とか、そこに監査が入ったりとかするわけであって、それを分散して皆さんが責任を持つという組織にならなきゃいけないんですけども、社長直轄でという話をされていたので、あえてお話を、質問させていただいたんですけれども、やはりそういった各組織をしっかりと、部署部署に、責任感を持って、なれ合いというものに対しての意識改革をしていかなかったら、これは変わりません。
 また、公正取引委員会への情報提供も内部通報の可能性が高いというふうに思われますけども、事件性の高い情報提供以外に、今回、調査結果から、コンプライアンスにかかわる相談も、これまでも幾つもあったんだというふうに私たちは感じます。
 これまで東京水道グループでは、コンプライアンスに関する相談通報窓口、内部通報窓口、ハラスメント相談窓口など、相談窓口というのが幾つも設置されておりますけども、全て同じ局内の上司とか仲間が相談を受ける体制になっていて、気兼ねなく相談できる窓口とはいえなかったのではないかというふうに感じます。
 今後は、社員一丸となって、今のお話のように組織の改善に取り組んでいかれるような外部相談窓口を設置すべきだというふうに思いますけれども、改めて見解をお伺いします。

○松丸水道局総務部長 東京水道サービス株式会社におけるコンプライアンスの推進に当たりましては、同社の社員が気兼ねなく相談できる窓口があることが重要でございます。
 現在設置してある内部通報窓口への相談件数は、過去三年間で合計四件にとどまっておりますが、これは、相談の窓口が会社の社員であることも一因であると推定されます。
 このため、今後は、会社の社員以外の人材を通報窓口に配置するなど、社員がより相談しやすくなるように改善を図ってまいります。

○鈴木委員 相談しやすい窓口をつくることは大事です。しかし、ただ、そこの受ける人だけが会社の人間じゃなければいいというのではなくて、やはり相談した内容を全て、対応も、ある意味、会社の内部以外の方のほうが相談しやすい窓口になるというふうに感じますので、ぜひその辺にも気配りをしていただきたいというふうに思います。
 さらに、私は、これまでも何度も繰り返される不祥事は、組織そのものの問題とガバナンスの問題に起因していると考えております。今のお話にもありました。
 初めに、TSSの取締役は、特に組織規定では、代表取締役社長ほか、常勤の方が二名、非常勤の方が四名の計六名の取締役で構成されております。
 そのうちの社長及び一名の常勤取締役というのは、いずれも東京都のOBで、元水道局長と部長でありました。もう一名の常勤取締役は都派遣職員、部長級の方が行っているということですね。
 また、非常勤取締役の四名のうち三名は、現在、水道局の部長の方が兼務しているんですよ。兼務ですから、ほとんどいない。何か必要があれば行くと。残りの一名は、さらにこれも、監理団体の株式会社PUCへ都から派遣された取締役の方が行っているということで、ほとんど--東京水道グループとして、こうしたメンバーとPUCも入って、毎月、経営会議というものが行われているというふうに伺っておりますけども、元水道局長、要するに先輩ですよ、中嶋局長の。そして元水道局の部長、松丸さんの先輩ですよ。
 そうした方々に、指導監督を担う水道局の皆さんが団体の運営責任をどこまで問うことができたのかということ自体も、組織として本当に疑問を感じますけども、その点においては、見解はいかがお考えなのか、お伺いいたします。

○石井水道局経営改革推進担当部長 当局は、東京水道サービス株式会社と業務運営に関する協定を締結してございます。この中で、同社が事故を起こした場合は当局に報告するよう定めており、今回の特別監察報告書に記載の不適正事案についても、協定に基づき同社から報告を受けるなど、同社の運営に適切に関与をしてまいりました。
 しかし、一方、今、理事の方からも冒頭にお話がありましたけれども、不祥事が連続して起こるということで、ガバナンスのところにも起因することではないかというお話がございましたが、今回の特別監察でも当局によるガバナンスの甘さというものが指摘をされたこと、このことについては真摯に受けとめなければならないことだというふうに考えております。
 今後ですけども、今後は、同社の業務の進捗をより綿密に管理していくなど、緊張感のある関係、こういったものを維持しながら、同社の指導監督に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔「そういう人事を続けるのかどうかと聞いているんだよ」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員 そういうことですよ。緊張感を持ってというのは当たり前の話であって、それを、三百六十五日、常に持ち続けるということは誰でも難しい。そういった部分で、組織も、そういった緊張感を持てるような組織にしていくことが必要なんじゃないかという話をさせていただいているんです。
 特に、非常勤、常勤という方々がいらっしゃる中で、例えばこれから外部登用をするといっても、非常勤取締役に外部登用をして、もともとのOBの方々や都の派遣の方が、常勤、そしてまた社長についていたら、変わらないというふうに私は思いますよ。
 人事の話は私たちがいう話ではないんですけども、今回のことも通して、今、私がお伝えさせていただいていることも含めて、やはり組織を見直していただきたいというふうに思います。
 特に、取締役に外部人材を登用するという話も出ていましたけれども、やはり非常勤、常勤がある中で、しっかりと、そういった組織のなれ合いが起こらないような組織体に改善していただきたいというふうに思います。
 次に、協力会社との関係について伺います。
 TSSは、水道局から受託した業務のうち、小管、弁等の調査等管路の維持にかかわる業務、他企業工事立会作業業務及び貯水槽水道調査等作業業務、また、浄水場等の運転監視業務並びに管路図等図面作成にかかわる業務について、十四社の協力会社と呼ばれる企業に再委託しております。
 そのうち、管路の維持に関する業務、他企業工事立会作業、貯水槽水道調査等作業を行っている、契約金額が約二十五億円の協力会社は四社あって、この四社は土木系協力会社と呼ばれているそうです。そのほか、浄水場運転監視作業等を行う、契約金額約十五億五千万円の協力会社が七社、管路図等図面作成等を行う、契約金額が二億五千万円の協力会社は三社で構成されて、ある意味、会社の契約実態というか、要するに、契約金でその役割が決まっているような、そういったような形になっております。
 注目すべきは、平成三十年四月時点で、TSS全社員千五百四十四名の一割に当たる百十一名を、先ほどいった契約金額二十五億円の土木系協力会社からの出向として受け入れていると。そのうち四名というのはTSS本社に配属されていて、その他は各事業所にちゃんと配属されていると。
 また、TSSと土木系協力会社の役員、幹部職員による飲食を伴う会合が、長年にわたり、年二回行われていた。これは先ほど、今回の調査の一つにもなっておりますけれども、改善をしましたという話がありました。しかし、長年続いていたわけです。
 民間企業においても、贈答や接待など取引先との慣習を見直して、取引の透明性の確保とか社内の経費削減、加えて、取引先にも協力を仰いでコスト削減を図るという動きが、今、当たり前のようにされている中で、まさにこういった関係がずっと続いているということも、緊張感を欠いた関係性に陥っているものといわざるを得ません。
 しかしながら、今、人材がなかなか、人手不足もあって、また、特に技術者不足というものもあって、私たちは、この土木系協力会社というのは、いろんな意味で、東京水道を支える中で、今まで本当に尽力をしていただいたということも理解しておりますけども、そうしたことを踏まえてでも、やはりこれからは、そうしたことのなれ合いということに対して、そういったものをしっかりと見直していくような取り組みをしていかなくてはならないというふうに思います。
 さらに、この四社には、平成二十五年度から平成二十九年度までの五年間を単位として、毎年度、委託契約の見積もりを徴して価格交渉を行う優先交渉権が付与されており、対象契約にはプロポーザル方式が導入されているというふうにいわれています。
 要するに、プロポーザル方式ですから、このプロポーザル方式を使うことによって、ほかの方々が、ある意味、入れないような、参加できないような仕組みにもなっているのかなというふうにも感じるんですけども、しかしながら、特別監察結果報告書でも指摘されているように、どのような理由があっても、五年間の優先交渉権の付与によって、一者からの見積もりによる価格交渉による契約が、参入、競争の機会、また、透明性の確保において不適切なものといわざるを得なくて、都の入札制度では本当にあり得ないことでありまして、土木系協力会社との関係性の深さというものに、本当に今、疑問を感じる要因となっています。
 また何よりも、都の監理団体として、民間業者よりも高い透明性とか責任説明が求められるのが当然なわけですけども、今後、こうした土木系協力会社との関係性をどのように見直していくおつもりなのか、お伺いいたします。

○尾根田水道局給水部長 東京水道サービス株式会社は、管路のデータの収集、分析、評価を行い、計画的、効率的な管路更新を行うため、当局が新たに実施することにした管路診断業務の受け皿として、昭和六十二年に設立されております。
 同社は、設立当初から、当局から受託した管路診断業務のうち、現場調査などを協力会社に再委託をして事業を進めてまいりました。
 この管路診断業務に関する当局と東京水道サービス株式会社の契約につきましては、透明性、公平性の観点から、当局としても課題があると認識しており、平成三十年度の契約から、一部の現場作業を局からの競争入札に切りかえております。
 今後も、より適正な契約の締結に向け、さらなる見直しを行ってまいります。
 また、協力会社からの出向社員の受け入れにつきましては、固有社員の育成状況や、局からの職員の派遣状況などを勘案いたしまして、計画的に所要人員の見直しを図ってまいります。
 なお、協力会社との飲食を伴う会合への交際費の支出につきましては、先ほどお話もございましたとおり、既に廃止をしてございます。

○鈴木委員 昨今、本当に、特に技術系の社員の方々が、担い手が不足しているというふうにいわれていて、これはなかなかすぐには改善できないことだというふうにも思います。
 しかしながら、今、お話しいただいたように、答弁いただいたように、やはりこの部分も、もう見過ごすわけにはいかない状況になってきているということも踏まえて、しっかりと方針を立てて対応していただきたいというふうに思います。
 そしてもう一つ、やはり先ほどの質疑でもありましたけども、固有社員をどうやって育てていくのかということが大事だというふうに思います。土木系協力会社との関係性、業務面や執行面で大変依存関係にあるということがもうわかりました。今後、求められるのは、全社員の大多数を占める固有社員をいかに教育して活用していくかだというふうに思います。
 TSSには、毎年、平均して、固有社員として九十名前後が採用されているというふうにいわれておりますけれども、また、一方、離職率も大変高くて、年間四十名近くが中途退職をしているわけです。要するに、九十名の半分ぐらいがやめてしまう。
 これは、幾つか離職する理由はあるというふうに思いますけれども、やはり、入ってみて、今のTSSが、モチベーションの維持がなかなか難しい。要するに、魅力がない、働きがいがない会社に思えてしまっているというふうなことも離職の理由になっているのではないかなというふうに思います。
 今回のこの離職率が高いということに対して、どのように分析をされて対応しているのか、お伺いいたします。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社の退職者に対する離職理由の聞き取りでは、地元へのUターンや公務員、団体職員への転職が上位となってございます。
 同社では、水道事業に携わる意欲を高めるため、専門研修の充実や資格取得支援の拡大に取り組むとともに、将来の中核人材となり得る社員を当局に派遣し、多様な経験を積ませることで、固有社員のキャリアアップに向けた取り組みを充実させております。
 また、より勤務しやすい環境を整えるため、子育て休暇などの勤務制度の改善や社員寮を整備するなど、福利厚生の充実を図っているところでございます。

○鈴木委員 福利厚生を充実させるということはもちろん大事です。しかしながら、先ほどもお話しさせていただいたように、会社というのは一体何なのか。それは、まさに社会に仕事を通して奉仕していく。その会社の一員であるからこそ、自分も社会に奉仕をしている、貢献しているという、そういったモチベーションにつながっていかなければ、やりがいにつながらない。
 そして、そのやりがいこそが、この仕事を本当にやらせていただいてありがたいというふうなものにつながっていて、それがある意味、会社に対する愛着だとか、会社に対する問題意識、そして、会社に対するさまざまな前向きな姿勢に私は変わっていくものだというふうに思います。
 仕事の選択というのは生き方の選択ともいわれるように、本当に人生の中で大変大切なことであるわけです。退職していく理由というのは、先ほども触れましたけれども、さまざまあるというふうに思いますけれども、ぜひ今後とも、志を持って入社される社員の方々が働きがいのある職場となるように改善していただきたいというふうに思います。
 私はかねてより、このすばらしい東京水道を支えているのは、水道局職員の方々の技術力であり、この技術のノウハウの継承の重要さも訴えてまいりました。
 技術者育成には一定の時間がかかる。そしてまた、ベテラン職員がどんどん退職を迎えている。そのベテラン職員から直接指導を受けることがないまま指導する立場の職員になってしまうことから、TSSが受け皿となって、表裏一体となって今まで取り組んでまいりました。
 近年、水道局からの受託業務の増大に伴って社員数が急激に増加し、技術系職員の年齢別構成が、六十歳以上の都OBに比べて中間層が少ない、そして、三十歳未満の固有社員がやや多いという、いびつな形になっているわけですけども、特別監察の提言においても、不祥事が発生した背景にも、この人材育成や人材戦略の課題があるというふうにいわれている中で、今後、技術やノウハウの継承も含めて、その部分はどのように改善されるのか、お伺いいたします。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社における技術、ノウハウの継承を確実に進めていくためには、同社の半数以上を占める固有社員の育成やモチベーションの向上が喫緊の課題であると考えてございます。
 こうした課題の解決に向けましては、同社における人事制度の抜本的な見直しが不可欠であり、当局の監理団体二社による統合も視野に、意欲と能力のある固有社員が適正に処遇され、昇任することができる仕組みを早急に構築してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、東京水道グループの一翼を担う東京水道サービスのマンパワーをさらに強化させてまいります。

○鈴木委員 今、人事制度の話も出ました。先ほど藤井委員の質疑の中でも、課長級以上は、ほとんど都のOBだとか出向の職員で固められていて、固有職員は、ほとんどそれ以前までしか昇級できない。そういった制度も含めて、やはり皆さんのやりがいにつながっていくような当たり前の、ほかの民間企業と同じような、そういった昇級と昇進制度にしていただきたいというふうに思います。
 ところで、私たちは、技術系職員の現場力こそ重要であると、かねがね述べております。
 現在、TSSの技術系職員は、伺うところによると、デスクワークが中心になっているというふうに聞いております。そういうことを聞くと、何のために技術系職員を派遣しているんだというふうに疑問が生じるわけですよ。
 本来であれば、そういった技術系職員が何で必要なのかというと、持てる力を駆使して、サービス提供とか固有職員への技術継承に充てるべきという、その意義が薄れてしまっているというふうに感じるんですけれども、その部分においてはどのように感じておるのか、見解をお伺いします。

○尾根田水道局給水部長 水道局では、東京水道サービス株式会社との一体的な事業運営体制を推進するため、同社の各部署に職員を派遣いたしまして、計画策定などの社内マネジメント支援に加えまして、給水所施設の点検、保全など、現場作業を通じて技術の継承を行っております。
 具体的には、派遣された職員は、経営や技術分野に係る企画業務を担う部署では、計画策定などの指導を行い、給水所の維持保全業務を担う部署では、点検、保全等、現場作業を通じての指導、そして、給水装置業務を行う各部署では、図面のチェックや現場確認などを行いまして、それぞれ固有職員に技術継承を行っております。
 さらに今後は、現在、派遣を行っていない浄水場の運転管理を行う部署などにも職員の派遣を拡大してまいります。
 こうした取り組みによりまして、当局が持つ技術、ノウハウを監理団体の職員に継承してまいります。

○鈴木委員 今のお話ですと、じゃ、この技術系職員がデスクワークが中心になっているということは、もう改善されたということでよろしいのですか。

○尾根田水道局給水部長 理事がおっしゃいますとおり、現在の状況では、かなりデスクワークが多くなっていることも事実でございまして、そういった現場作業の手足業務といいますか、お手伝い的なところで、協力会社に協力を担っていただいているというのも事実でございます。
 今後、そういったところも、できるところは見直して、理事がおっしゃるとおりに、現場作業をしっかり技術継承していただきたい、そういう体制を築いてまいりたいというふうに考えております。

○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
 それで、先ほど、来年度に向けて、現在、東京水道グループのTSSとPUCの統合が検討されているという話がありました。しかしながら、この統合の検討が、今の改善が十分なされないまま、このまま統合に動くということは、今回の事案が生かされないで、改善がさらに遠ざかってしまうという危惧が生じてもいたし方ないのかなというふうに私たちは思ってしまうんです。
 統合を進める前に、今回の事案をもう一回しっかりと検証した上で再発防止を徹底して、二度と都民の信頼を損なうことがないようにすることが先決だというふうに思います。それに対して見解を伺います。

○石井水道局経営改革推進担当部長 今回指摘された事案については、当局として直ちに、第三者委員会での検証などを通して、コンプライアンス及びガバナンスの強化に向けた抜本的な対策を講じてまいりたいと思っております。
 また、東京水道グループ全体の組織構造改革については、水道事業の経営基盤強化を図る上でも不可欠なものと認識しておりまして、来年度中に監理団体二社の統合に合わせて実現できるよう、早急に準備を進めてまいります。
 こうした取り組みを通して、統合後の新団体において、東京水道グループを支える強固な内部統制体制を実現してまいります。

○鈴木委員 統合することによって、効率的とか、さまざまメリットがあるんだというふうに思います。しかしながら、組織が大きくなればなるほど、チェックしにくくなるということもいえます。
 今回、この経営の人たちが先頭に立って、今いろいろなことを、自分たちの内部も見詰めながら、この統合について、かかわっているんだというふうに思います。そういった方々に対しても、統合する意識、意味、そして、今後、こういったことが二度と起きないような意識をしっかりと持っていただいて、私は、本当にしっかりとけじめをつけて臨んでいただきたいというふうに思います。それ以上のことはいいません、この件は。
 この監理団体を指導監督する立場の総務局についても伺いたいんですけども、現経営陣の処遇とか、このような状況の中での統合の必要性について、総務局としてはどのように感じているのか、お伺いいたします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 水道局所管の二団体、東京水道サービス株式会社と株式会社PUCでございますが、この統合につきましては、監理団体が水道事業を包括的に担うことができる体制を構築して経営基盤の強化を図ることなどを目的として実施するものでございます。
 総務局といたしましては、今回の事案を受けて、統合に当たりまして、水道局と連携しながら組織構造改革に取り組むよう、団体に対し指導し、再発防止を徹底させてまいりたいと考えてございます。

○鈴木委員 統合することによって、さらに、この監理団体の方々が都民の信頼をいただけるような、そうした組織になって、そしてまた、これからも東京水道を支える中核として尽力していただくように期待をしております。
 これまでいろいろ伺ってまいりましたが、水道局とTSSの関係というのは、これまで身内のような形で、この部分においては、しっかりと反省すべきところは反省しなくてはならないというふうに思います。
 また、水道局のOBの影響が強い、そして、固有社員がなかなか伸び伸び仕事ができない、モチベーションの維持が難しい、いろんな問題がありました。さらには、協力会社に頼り切っているということもいえます。
 こうした問題も含めまして、本当に構造的な改革に取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれども、水道局長、最後に、改革に対する決意というものを伺います。

○中嶋水道局長 先般の当局職員の情報漏えいの発覚に続きまして、東京水道サービス株式会社に関する不適正事案への対応が指摘されたことは、当局の水道事業の信頼を根底から揺るがすものでございまして、局長として大変重く受けとめております。
 この状況は、水道局及び監理団体から成る東京水道グループ全体の構造的な課題に原因があると強く認識しております。
 今後、水道局と監理団体の経営陣、職員、社員が一丸となって、コンプライアンス意識を一層強化するとともに、水道事業を担う責任を改めて強く認識し、組織、機構のあり方を含め、抜本的に改革を進めてまいります。
 また、局と監理団体が担うべき役割をしっかりと見据え、技術継承や経営基盤の強化を図る中で、お話にございました協力会社との関係見直しや固有社員の役職への積極的な登用などを図り、会社としての躍動感を発揮し、水道の使命を果たしていくよう努めてまいります。
 今後、東京水道の改革を外部の視点で検証するとともに、監理団体の統合に合わせて組織改革などを進め、東京水道が抱える構造的な課題を解決し、都民の信頼回復に向け、総力を挙げて取り組んでまいります。

○鈴木委員 本当に、いろいろ課題があるというふうに思います。そして、すぐには解決できない問題もあるんだというふうに認識しております。しかしながら、大事なのは、やはり、しっかりと都民の皆様に信頼されるような組織、そして事業にしていくという一点だというふうに思います。
 そういった意味においては、やはり見直すべきものはしっかりと見直して、そして、さらにこれからは、情報もどんどんどんどん皆さんにオープンにしながら、逆に、これだけ変わってすばらしいというふうな評価を多くの方々にいっていただけるような取り組みにしていただきたいなというふうに思います。
 最後に、本事案にかかわる知事の姿勢について一言述べます。
 本件について発表を行った二月二十二日の定例記者会見で、小池知事は、都民に対して、おわびしなければいけない問題がございますと触れただけで、あとは、みずからが設置した職員目安箱が機能したことや、それにより監理団体への特別監察を指示した内容について話されただけで、あれを聞いた方々は、半ば他人ごとのように話されていたというふうに感じたのではないかなというふうに思います。
 先ほど、目安箱に寄せられた事案に対しても、知事が何の指示もしないまま、どうなっているのかわからないという話もあるというふうに伺いました。
 しかし、本来、東京都、そして都庁グループの一員である監理団体を束ねる立場にある都知事がまずもってなすべきことは、記者会見でそういったことを発表するのであれば、冒頭、まず都民に対して真摯に頭を下げて、不祥事に対して謝罪を行うことではないかなというふうに感じます。
 最後に、今回の不祥事について、監理団体を指導監督する立場である総務局長の決意をお伺いいたします。

○遠藤総務局長 今、ご質問をいただきました件の前に一言申し上げたいと思いますが、知事が目安箱にある案件を、不適正なものについて、そのまま取り扱わなかったというご答弁をコンプライアンス推進部長から差し上げたわけではなくて、目安箱にある案件の中で、必要なものについては調査指示が来て、それについて我々が調査をして報告しているということでご理解いただければというふうに考えております。
 それでは、ご質問いただいた私の見解でございますが、東京水道サービス株式会社におきましては、不適正な事案が発生いたしまして、その後、対策や再発防止策が不十分であるなど内部統制上の課題が明らかになったことにつきましては、監理団体を所管している総務局としても大変重く受けとめております。
 東京水道サービス株式会社につきましては、水道局とともに、団体統合に向けまして課題の解消に努めるとともに、今後、全監理団体による自己点検を実施いたしまして、都庁グループの一員である各団体の内部統制に関する検証と強化を図ってまいります。
 また、現在、取り組んでいる役員への民間人材の登用や職員構成の最適化など、監理団体改革を推し進め、都の政策実現を支える監理団体の効率的、効果的な団体運営を通じた都民サービスの向上を実現するとともに、透明性を高め、都民の信頼を築いていきたいと考えております。
 鈴木理事が申されたとおり、最後には非常によかったなと思われるような改革を進められるように努力してまいります。

○鈴木委員 今、局長が知事の話をされました。目安箱の話をされました。それは、そうあっていただきたい、それを願っておりますというような思いが込められているのかなというふうに思います。
 というのも、目安箱にどういう話が寄せられているのかが全くわからない。それは、もう知事を信じるしかないという話だというふうに思いますので、別にそれが、不適正な情報が寄せられて、何もしなかったというわけではないのかもしれない。しかしながら、今回の件に関しては、やはり一番の責任というか、謝罪すべき部分においては、きちっと知事が都民に謝罪をしていくということが絶対に私は必要なことであったというふうに思います。
 今回の特別監察の結果報告書は、何度も繰り返される不祥事の最後通告であるというふうに受け取るべきだというふうに私は思います。東京水道グループの組織の中核として、これ以上、東京水道百年の輝かしい実績を汚すことはもう許されないわけです。そのためにも、組織としてのなれ合い体質を断ち切って、生まれ変わっていかなくてはならないのです。
 水道法の改正を受けて、公共水道に対する都民の関心が従来にも増して高まっている中、TSSが果たすべきコンプライアンスや説明責任は、法令上の問題とは別に、必然的により高度な取り組みが求められてしかるべきです。
 質疑の中でも触れましたけれども、都民の信頼なくしては、都政を前に進めることはできません。二度と都民の信頼を損なうことなく、緊張感を持って、マイナスのことも積極的に公表して、厳しく対応すべきであると思います。
 また、技術継承や人材育成など、すぐには解決できないこともありますが、状況説明を大切にして、社員が働きがいのある組織にしていっていただきたいと強く願って、質疑を終わります。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二十八分休憩

   午後三時四十四分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とくとめ委員 それでは、私も同じテーマで質問させてもらいます。
 東京水道サービス株式会社に対する特別監察において指摘された不適正事案とともに、水道局にかかわる情報漏えい問題を相次いで明らかにされました。
 水道事業運営の基本方針では、東京水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、安全でおいしい高品質な水を安定して提供していきます、また、危機管理に万全を期すとともに、盤石な体制の構築や効率的で健全な経営に努め、信頼される事業運営を実践していきますと、こういうふうに述べられています。全ての都民にとって、命と健康を毎日のように支えている極めて重要な事業だと思います。
 こうした都民から信頼され、安全性が最も問われる都の水道事業の本来のあり方や、都民に対して果たすべき重要な役割から見て、今回の一連の事態を踏まえた東京水道サービス株式会社への特別監察の報告では、ガバナンスの問題、内部統制やコンプライアンスの問題について、厳しい指摘とともに、改革、改善の方向が提案をされています。
 水道局としては、こうした厳しい指摘をどのように受けとめているか、伺いたいと思います。

○松丸水道局総務部長 今回の特別監察におきまして、東京水道サービス株式会社における不適正事案の発生や、内部統制等に関するさまざまな指摘を受けたことに対して、当局として重く受けとめております。
 また、提案されている内部統制体制の改善については、改めて同社に対して見直しを指示しております。
 さらに、当局を含めた東京水道グループとしての構造的な課題に対しましては、今後、当局に設置する第三者委員会において、外部の視点から検証を行い、必要な提言をいただきます。この提言に基づき、不適正事案の再発防止や業務運営体制の再構築に全力で取り組んでまいります。

○とくとめ委員 第三者委員会とは、どういうメンバーで、何人で構成され、いつから検証が開始されることになっているのでしょうか。

○金子水道局職員部長 外部有識者による第三者委員会でございますけれども、本年の四月に設置いたしまして、委員構成としましては、外部委員を四名程度、その構成の内容でございますけれども、法曹関係者、公認会計士、学識経験者などを想定してございます。

○とくとめ委員 知事は記者会見において、東京水道サービス株式会社において、二〇一二年から二〇一八年にかけて、多数の社員がかかわった今回の不適正事案について、もともとは職員目安箱からさまざまな情報が寄せられていたということが、まずはスタートでしたと語っています。
 なぜ今回の不適正事案について、特別体制で監察を始めることになったのでしょうか。特別監察は、どういう体制によって、いつごろから取り組んできたのでしょうか。お答えください。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 職員目安箱に対し、東京水道サービス株式会社における業務執行について、関係団体や受注工事業者との不適切な関係が疑われる書類の改ざんや虚偽報告書の作成指示が行われている等の指摘が寄せられたところでございます。その内容や団体が置かれた状況などを受け、知事の指示に基づき特別監察を行いました。
 今回の特別監察に係る調査は、第三者的な立場から、総務局に所属する職員最大十名が、平成三十年十二月一日から三十一年一月三十一日までの期間において実施したものでございます。この間に、関係者延べ五十三名に対するヒアリングを行ってございます。
 また、先ほど鈴木理事からのご質問に対し、その場でお答えできなくて申しわけございませんでしたが、この調査を踏まえまして、二月にかけて報告書の取りまとめを行ってございまして、二月二十一日に最終的に決定したものでございます。

○とくとめ委員 東京水道サービス株式会社には、水道局の幹部職員が取締役や監査役などとして派遣されていますが、特別監察の報告では、東京水道サービス株式会社における監査報告書の記載内容は例年同じであり、監査役増員の具体的効果は見受けられず、内部統制の強化につながっている部分が具体的にわかりにくいと指摘をされています。
 今回の不適正事案の問題にかかわって、派遣された都職員幹部の取締役や監査役は、どういう役割、どういう責任を果たしていたのでしょうか。お答えください。

○松丸水道局総務部長 当局の幹部職員であります監査役は、不適正事案発生の都度、東京水道サービス株式会社に対しまして、原因調査や再発防止策について報告を求めるとともに、取りまとめられた改善策等について、実効性を確保するための調整を行っております。
 また、派遣された取締役は、社内における原因究明及び再発防止策の取りまとめや、改善策等に関する社員への徹底を担っております。

○とくとめ委員 特別監察の報告では、東京水道サービス株式会社について、内部統制やコンプライアンスに対する意識が低く、団体としての主体性が衰退しているなどと指摘をされていますが、これまで東京水道サービス株式会社内の内部統制やコンプライアンスが問題になったことはなかったのでしょうか。
 この指摘をされている言葉の中で、団体としての主体性が衰退しているというのは、どういうことを指しているのでしょうか。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 東京水道サービス株式会社は、みずからが監理団体であることを過剰に意識する余り、課題を認識している制度についても、みずから提言して改善しようとする意思が希薄であるなどの状況が見受けられたところでございます。

○尾根田水道局給水部長 東京水道サービス株式会社では、今回の特別監察以前におきましても、平成二十六年度の包括外部監査で、中長期的な事業方針の策定やプロジェクト別原価管理の精度向上など、内部統制に関する意見が付されておりまして、既に改善を図っております。
 また、今回の特別監察で指摘を受けた不適正事案のほか、緊急性を要しないメーター引きかえ工事の発注や工事負担金の精算事務の遅延など、コンプライアンスに関する問題がおおむね年一回程度発生しておりますが、その都度、再発防止に関する対応を行っております。

○とくとめ委員 主体性の衰退というのは、どういうことを指しているのでしょうか。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 先ほどお答えしたところでもございますけれども、東京水道サービス株式会社は、みずからが監理団体であることを過剰に意識する余り、課題を認識している制度についても、みずから提言して改善しようとする意思が希薄であるなどの状況が見受けられたところでございます。

○とくとめ委員 しかし、主体性の衰退というのを過剰意識というふうに評価するんですかね。当事者意識が余りにもないというか、他人任せで無責任ともいえる状態が蔓延していたのではないでしょうかね。意識過剰だったために対応できなかったというのは、ちょっと受けとめ切れないですね。
 東京水道サービス株式会社には多くの都職員が派遣され、多数の職員が再就職している状況の中で、内部統制やコンプライアンスに対する意識が低いといわれる中で、都職員OBも不適正事案にかかわっていました。
 こうした東京水道サービス株式会社の社員と水道局の職員との間には、交際費などの扱いをめぐって、ルールの違いはあったのでしょうか。そのことをめぐって、これまで不適正な事案などはなかったのでしょうか。お答えください。

○石井水道局経営改革推進担当部長 まず、ルールの違いでございますが、交際費につきましては、水道局の方では、交際費の支出基準に基づきまして、対象や内容を限定して支出しております。
 これに対しまして、東京水道サービス株式会社では、事業運営上、必要なものということで支出基準を決めております。しかし、同社は、過去の包括外部監査や財政援助団体等監査におきまして、交際費の支出額の大きさについて指摘や意見がなされたため、支出基準の明確化をするなど、その都度、見直しを図り、支出額の抑制を図ってきたところでございます。
 なお、今回の特別監察で指摘されました土木系協力会社との飲食を伴う会合につきましては、今後、取りやめることを決定しております。

○とくとめ委員 不適正事案の中には、一般都民が依頼する水道工事に対する詐欺的な請求を助長するようなことが指摘されていましたけれども、その事実は確認されなかったと報告されています。
 どのような点検をやって、こうした事実は確認できなかったという判断に至ったのでしょうか。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 TSSが一般の水道利用者にかかわるサービスの一部を水道局から受託している直結切りかえ見積もりサービスなど三つの業務につきまして、関係資料の確認や聞き取りなどによる調査を行ったところでございます。
 その結果、TSSは見積金額の是非に関与することはなく、特定の事業者を紹介するといった事例も確認されなかったところでございます。

○とくとめ委員 特別監察の報告で、東京水道サービス株式会社の取締役会の役員十人中、大半の八人が都関係者であり、二〇一六年四月から、現職の都職員の取締役を四人増員したにもかかわらず、二〇一八年九月までの二年以上の取締役会において、内部統制やコンプライアンスに関する議題が取り上げられた形跡はなかったと、報告では指摘をされています。
 こうした事態については、水道局としてはチェックすることはできなかったのでしょうか。

○石井水道局経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、取締役会に重要事項等を付議するための会議体として、取締役等で構成される執行調整会議を設けてございます。この会議では、プロジェクトごとの収支管理のあり方や、固有社員を中長期的に育成するためのキャリアパスの構築など、平成二十六年度の包括外部監査における指摘を踏まえた喫緊の経営課題等を優先的に議論し、改善を図ってきたところでございます。
 当局といたしましても、同社における個々の不適正事案に対しては、原因の究明と再発防止に向けた取り組みを、その都度、徹底して指導してまいりましたが、特別監察では、内部統制の仕組みを会社全体に浸透させていくという面において課題があったということでご指摘を受けたところでございます。
 今後、この執行調整会議で検討を行い、取締役会においても内部統制等が経営課題として議論されるよう、局としても厳しくチェックを行ってまいります。

○とくとめ委員 水道局は、監理団体である東京水道サービス株式会社との間で業務運営に関する協定書を結び、密接な関連を確保するために必要な事項を定めるものとする、そういう関係にあります。指導監督の立場にあったはずだと思います。
 一連の不適正事案について、水道局は厳しく責任を問われるのではないかと思いますが、これまではどのように対応されてきたのでしょうか。

○志村水道局経理部長 局のこれまでの取り組みについてということでございますが、水道局では、東京水道サービス株式会社における個々の不適正事案に対しまして、原因の究明と再発防止に向けた取り組みを、その都度、指導してまいりました。
 また、今回、特別監察報告書の指摘内容になっている緊急資材置き場の巡回点検業務の不履行でございますが、不履行に相当する費用につきまして、経過利息を含め、当局から東京水道サービス株式会社に対して返還請求を行い、既に返還させているところでございます。
 このように、同社の不適正事案の発生につきましては、指導監督する立場で厳正に対処してございます。
 一方、内部統制の仕組みを会社全体に浸透させていくという面におきまして課題があったのは事実でございます。
 今後、局としても、東京水道サービス株式会社に対する指導監督を徹底してまいります。

○とくとめ委員 東京水道株式会社の不適正事案については、この報告の中でも、原因の分析はまだ十分ではない、内部統制体制も十分なものとはいいがたいと報告をされていますが、今後、どのように改革、改善を進めて再発防止の体制を具体化していくことになっているのでしょうか。

○石井水道局経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、今回の特別監察の結果を受け、不適正事案に対する全社的な対応が図られていなかった原因について再検証を行った上で、再発防止策の見直しを行ってまいります。
 また、今後、当局に設置する第三者委員会において、外部の視点から、監理団体の構造的な課題やその改善策について必要な提言をいただくとともに、それをもとに業務運営体制の再構築に取り組んでまいります。
 こうした取り組みを経て、同社におけるコンプライアンスの推進を図ってまいります。

○とくとめ委員 特別監察の報告の中で、不正の温床となり得る危険性を内在した社員構成や人事システムについて触れています。社員同士の一体感醸成の阻害とか、同床異夢の状況とかを指摘しています。
 特にその中で離職率が高いことも指摘されていますが、離職率が高い、この状況、要因はどのように見ていらっしゃるのでしょうか。

○金子水道局職員部長 退職者に対しまする離職理由の聞き取りによりますと、地元へのUターンや公務員、団体職員への転職が上位となってございます。

○とくとめ委員 答弁では、その聞き取りでは、地元へのUターンや公務員、団体職員への転職ということが上位になっているということですけども、しかし、今度の特別監察の報告の中では、東京水道サービス株式会社の現状は、常勤、非常勤を合わせた社員千五百四十四人中、約三割が都関係者、約六割が固有社員、約一割が民間企業からの派遣社員のもとで、課長の約九割を都の派遣と都のOB職員が占めていると。課長級は、社員のうち、固有社員の人数はわずか七人という指摘もあります。
 こうした状況が、これは特別監察を行った報告の文書に書かれていますけれども、第三者の視点から見ても、都職員厚遇とも受け取られかねない状況になり、固有社員のモチベーションを喪失させてしまっている可能性も否定できないと、ここまで指摘をされています。
 社員の一体感の欠如や同床異夢の状況の温床だけでなく、離職率の高さにも、こうした状況は無関係ではないと。
 やっぱり、この職場に誇りを持って頑張ろうという、そういうモチベーションが生まれにくい状況が今の職場にあったんじゃないかと思いますけども、こういう状況を今後どのように改善されていくのでしょうか。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社では、固有社員の育成強化の観点から、専門研修の充実や資格取得支援の拡大に取り組むとともに、将来の中核人材となり得る社員を当局に派遣し、多様な経験を積ませることで、固有社員のモチベーションの向上を図っているところでございます。
 また、定着率を改善するため、昇任選考基準の見直しなど、人事制度の改革についても検討してまいります。

○とくとめ委員 今回の東京水道サービス株式会社の問題は、都の行政への都民の信頼が厳しく問われる事態だと思います。
 今回の不適正事案などを重要な教訓にして、同じような他の監理団体についても、各局の厳しいチェック、自己点検が必要ではないかと思いますけれども、今後、これらを教訓にして、総務局としてはどのように対策を検討されていくのでしょうか。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都はこれまでも、東京都監理団体指導監督要綱等に基づきまして、各団体において適切な運営がなされますよう、所管局による団体の指導監督を行ってまいりました。
 その中で、監理団体において都民の信頼を失墜させる事案が発生した場合には、所管局を通じまして、当該団体に対し再発防止策の策定などを求めるとともに、全団体に対しても、職員の綱紀粛正や事故防止の徹底を指導してまいりました。
 今回の事案につきましては、今後、全ての団体に対する周知はもとより、全団体が内部統制機能の強化などの観点から点検を実施するよう、検討してまいります。

○とくとめ委員 今回の特別監察による報告のはじめにの部分で、調査の実施に当たっては、限られた情報量や時間的制約があったことから、その対象を、主に今回指摘のあった事象並びにそれらを管理する水道局及び東京水道サービス株式会社の内部統制問題に限定して行ったために、調査結果には一定の限界があることをあらかじめご留意いただきたいと結んでいます。
 また、この報告のおわりにの部分では、東京水道サービス株式会社は、水道局と一体になって、水道事業という極めて高度な安全性、継続性を要求されるサービスを提供している公共的な組織であり、果たすべきコンプライアンスや説明責任は、法令上の義務や同種同規模の企業が一般に求められる水準を満たしていることをもってよしとするのではなくて、必然的により高度な取り組みが求められていると指摘をしています。
 それだけに、今後の水道局の再発防止策の具体化、実践が厳しく問われるというふうに考えます。
 特別監察の報告が提案している三つの内部統制体制の改善に向けた取り組みの方向性を水道局が真剣に受けとめて、東京水道サービス株式会社などの監理団体、関連会社と一体になって、改革、改善に取り組むことが求められていると思います。
 水道局長の決意について伺いたいと思います。

○中嶋水道局長 当局が所管いたします監理団体である東京水道サービス株式会社が、今回の特別監察におきまして、過去の不適正事案への対応が不十分であるとともに、内部統制体制に改善が必要との指摘を受けたことにつきまして、当該団体を指導監督する立場として、また、局長として大変重く受けとめております。
 今後、当局と監理団体の関係や、東京水道グループのガバナンスのあり方などにつきましても、当局に設置いたします第三者委員会で検証し、提言をいただきまして、人事制度の見直しを含め、必要な改善を着実に行ってまいります。
 このような取り組みを通しまして、当局、また監理団体が一体となって、東京水道グループ全体のガバナンスとコンプライアンスをより一層強化していくよう、全力を挙げて取り組んでまいります。

○とくとめ委員 今回の不適正事案問題を教訓にして、都庁全体の各局、監理団体などにとっても警鐘乱打となるよう、再発防止の具体化を促進して、都民の信頼をかち取ることを強く求めて、質問を終わります。

○藤井(と)委員 三人目の藤井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、今、他会派さんからもお話がありましたけれども、今回の報告書でございますけれども、調査結果には一定の限界があるというような形で留保した意見をつけられているということでございまして、正直に、時間的制約等からそうだということを述べられたものだと思いますけれども、やっぱり、この際、徹底して調査をすべきではなかったかということを改めて思いますし、今回のことを幕引きにしてしまうということではなくて、今後も、この東京水道サービスに対する調査を徹底的に行っていただきたいということを要望した上で、個別に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、一一ページに書いてあります貯蔵品の巡回点検業務不履行の問題でございます。
 こちら、過去七年間で対象者が二十八名ということでございまして、そのうち退職者が十五名を占めているということでございます。こちらも、聞き取り調査を行ったのは、退職者を除く点検報告者ということでございまして、二十八名中、十五名が退職者ということでございますので、約半数以上の方については調査をしていないのではないかというふうに、調査の不十分さを感じざるを得ないわけでございますけれども、これは、退職者も含めて、しっかり協力を仰ぐなり、きちんと調査をすべきであったのではないかと思うわけでございますけれども、見解を伺いたいと思います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 この特別監察では、事実関係の確認や原因、背景の分析、再発防止策の提案を行うために、必要な範囲で聞き取り調査を実施したものでございます。

○藤井(と)委員 必要な範囲でということでございますけれども、これ、約半数以上の退職者の方が、何か構造的な背景なり問題があって、こういった問題に至ったのではないかということも十分考えられますので、退職したから、もうなかなかつながりがなくなったから調査できないみたいなことではなくて、これはしっかり今後も、この点も含めて調査をしていただきたいなということを要望させていただきたいと思います。
 次に、五ページの職員構成のことについてお伺いをしたいと思います。
 この点も、先ほど来の他会派さん幾つかからご質疑がありましたけれども、管理職のほぼ全てが都の関係者であると。課長級の職員さんに関しまして、これはTSSの場合は管理職ではないということなんですけれども、こちらは七名の固有職員さんの方がいらっしゃるんですけれども、全体に占める割合としては三%にすぎないということでございます。
 この固有職員さんの、いわゆる無気力なりモチベーション低下というものが、内部統制を維持していく上で一番大切だといわれている統制環境、いわば会社でいう社風というものに対して悪影響を与えてしまっているんじゃないかと思われるわけでございますけれども、これは後ほど述べさせていただきます、いわゆる天下りの問題等々、やっぱり会社の構造的な問題だと思うんですけれども、この社員構成についてはどのような改善を図っていかれようとしているのか、見解を伺いたいと思います。

○尾根田水道局給水部長 プロパー社員のモチベーションの問題でございますけども、東京水道サービス株式会社では、経営基盤を強化いたしまして、水道事業の基幹的業務を将来にわたって担う体制を構築していくため、キャリアアップ研修等を通じて幅広い年齢層の固有社員の人材育成を推進しております。
 また、監理団体の将来を担う中核人材の育成のため、若手の固有社員を当局の企画部門などへの研修派遣を行っているところでございます。

○藤井(と)委員 今やっている取り組みについてはわかったのですけれども、固有社員の方が長く勤めて管理職にならないのか、都のOBの方が部長以上を占めていて管理職になれないのか、ちょっと状況がいまいちはっきりしないわけでございますけれども、最初からもう部長になれないんだ、課長になれないんだということを固有社員の方が思うような組織というのは、やっぱりどうしてもやる気を失ってしまうということにもつながってしまうと思いますので、この点はぜひしっかりと、東京都としても問題意識を持って取り組んでいただきたいなと思うわけでございます。
 次に、これは六ページのやつなんですけども、管路維持調査作業という、いわゆる土木系企業といわれる四社への再委託の問題でございます。
 これは、もともと随意契約でやっていたものを競争入札に変えたと。でも、競争入札に変えたといっても、プロポーザル方式ということでございまして、五年間は一年目に契約をした金額でほぼほぼ決まってしまうということでございまして、これは、随契から競争入札、プロポーザルに変わったといっても、なかなか競争性が働いていないという評価をせざるを得ないわけでございます。
 この四社を広げていくと、ほかにこの業務を担える会社というのは必ずあるはずでございまして、これはTSSの判断だというふうに思うわけでございますけども、この四社を広げていく努力というんですかね、これを局として促していくということも大切な視点なのかなと思うわけでございますけれども、この点は、局としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

○志村水道局経理部長 契約の発注に関するご質問と考えておりますが、東京水道サービス株式会社はこれまで、管路診断業務委託の再委託を、透明性や競争性の観点から、平成二十五年度からプロポーザル方式に変更するなど、契約の改善を図ってまいりました。
 また、局におきましても、東京水道サービス株式会社へ委託をしている管路診断業務委託につきまして、一部、契約方法の見直しを行うなどの改善を行ってまいりました。
 今回の特別監察の指摘を踏まえまして、今後、当局が設置する第三者コンプライアンス委員会におきまして、外部の視点から、監理団体の契約全般について検証、提言をいただきまして、東京水道サービス株式会社において改善を図るよう求めてまいります。

○藤井(と)委員 最後に改善を図っていくというお話がございまして、具体的にどう改善を図っていくのかなということで、若干、不思議にというか、問題意識を持ったわけでございますけれども、この四社のみで占められているという状況の中では、どういう制度を導入したとしても、なかなか競争が働かないというのが現実だと思いますので、この点、対象となる業者さんを広げていく努力は必ずやっていただきたいなと思うわけでございます。
 もう一つの事例として指摘をされておりました竣工写真の改ざんの問題についてもお伺いしてまいりたいと思います。
 協力会社さんに写真の改ざんをお願いするというのは、これは相当な話なのかなと思いまして、この調査報告書の中では、ほかの写真も調べたところ、何百でしたか、写真がある中、全部調べたけれども、別に問題はありませんでしたということでございますが、ちょっと言葉は厳しいですが、非常に悪質というか、あってはならないようなことでございまして、これは最初で最後の話なのかなということで、率直に疑問を感じざるを得ないわけでございますけれども、これは本当に一回だけの対応だったのかどうか。
 あるいは、この写真改ざんを指示した社員さんの処分、また、その改ざんに対して、共謀したといったらちょっと厳しい表現かもしれませんけど、協力をした会社さんに対するペナルティーなり処分というのはどのような形で行われたのか、お伺いをしたいと思います。

○尾根田水道局給水部長 給水管撤去工事における写真改ざんの不適正事案に対する対応といたしまして、東京水道サービス株式会社では、写真改ざん指示を行った社員一名に対しまして十四日間の停職処分、また、当該社員の管理監督者である三名に対しまして譴責処分を行いました。
 また、当局では、当該工事の受注者に対しまして、工事標準仕様書に基づく適切な施工を実施しなかったことに対しまして、本事案発覚後、直ちに指示書により是正指示を行っております。あわせて、適正な工事受注者の確保等を目的に実施しております工事の成績評定におきまして、当該工事にかかわる評定点を減点しております。

○藤井(と)委員 処分の内容を伺いましたけれども、こちらも、先ほど来、他会派さんからもお話もありましたけれども、ちょっと身内に甘過ぎるんじゃないかということを率直に感じないわけではありません。
 あと、写真のことについても、これ、過去三年間で九千八百九十三件分の写真を調べたという、これで改ざんがなかったからよかったということなんですけれども、これだけの件数を調べたというのは大変なことだったと思うんです。
 私、役所のこういった、いわゆる不祥事みたいな話を聞くたびによく思うのは、ある意味、役所というのは、人がよ過ぎるというか、性善説的過ぎる内部統制というか、やっぱり、何かおかしなことをやったら、しっかり処分をすることはしていかなきゃいけないし、何かおかしなことをやろうと思ったときには、これはやめておこうというような牽制が働くような、性悪説といってしまうとちょっと厳しいかもしれませんけども、不正をあらかじめ起こすという動機が働きづらいような、そういった内部統制をつくっていく必要があるのかなというふうなことを、この写真を通じても感じたわけであります。
 次に、TSSの取締役の責任についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 こちらは二四ページに載っているんですけれども、TSSは、申し上げるまでもなく株式会社ということでございまして、会社法三百四十八条、三百六十二条において、いわゆる大会社については、内部統制の整備は取締役会の決事項だけれども、それ以外の会社については、これ、各取締役に--大会社については各取締役に委任することはできないということですから、大会社以外について、これ、TSSもそうなんですけど、取締役に委任するということなので、この水道局の三人の取締役が、内部統制システムの整備については一義的に責任を負っていかなければならない立場だというふうに思うわけでございます。
 他会派さんからお話がありました善管注意義務の話もありますし、こういった、何か役員がおかしなことというか、会社に損害を与えるような、役員の義務を果たさないようなことをして会社に損害が起こった場合は、その損害賠償をするという責任の規定なんかもありまして、先ほど来、話がありましたとおり、これは個別の問題じゃないんだと。これは会社全体の話であり、局の管理責任の問題でもあるというような答弁がある中にあって、このTSSの三人の取締役の責任を、ある程度しっかりこれを認めていくということは、再発防止を防いでいくという観点では、一定の責任を認めるというのは大切なことなのかなと思うわけでございますけども、取締役の責任については、どのように認識をされていらっしゃいますでしょうか。

○石井水道局経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社が、特別監察において内部統制上の問題があるとの指摘を受けたことに対します同社の取締役、経営者としての責任に関しては、今まさに再発防止策を講じて取り組みを進めているところでございますので、まずは、この取り組みの効果、そういったものも見ながら、今後、その推移を見ながら、役員業績評価の中で適切に対応していきたいというふうに考えております。
 同時にまた、当局に対しましても、監理団体への指導の不足ということをご指摘されているわけですので、当局としましても、今後、同社の内部統制について、しっかりと強化をしていく責務があるんだろうというふうに考えております。

○藤井(と)委員 会社の内部統制をつくるというこの責任は紛れもなく取締役にあるということは、会社法上にも明記されていることでございますので、役員業績評価制度の中で適切に対応というのは、問題意識としては、ちょっと厳しいかもしれませんが、ちょっと甘過ぎる認識なんじゃないかなと思いますので、この点はしっかり取り組んでいただきたいなということを、改めて、局からも会社に対しておっしゃっていただきたいなと思うわけでございます。
 関連なんですけれども、この取締役会の構成でございます。これは二八ページに載っている話なんですけれども、これ、常勤役員の三人とも東京都の関係者であるということでございまして、二人はOB、そして、一人は都退職派遣ということでございまして、水道局長、経理部長、建設部長ということでございます。
 取締役の構成が水道局関係者ばかりということになりますと、外形的には、これはもうなれ合いが起こってしまっているんじゃないか、緊張感を失ってしまっているんじゃないかというようにも、どうしても映ってしまうわけでございますが、こうした役員構成になっているということに対して、水道局としてどのような問題意識を持たれているのか、見解があれば伺いたいと思います。

○松丸水道局総務部長 現在、そういう配置になっている理由というんですか、状況でございますが、配置されている当局のOB職員は、水道事業に関する豊富な経験や知識を有していることから、局が適材推薦団体の東京水道サービス株式会社に採用を推薦し、同社の常勤取締役に採用されているものでございます。
 また、局と同社が水道事業の基幹的業務を一体的に運営していることから、同社のガバナンスの強化を図るため、局職員を常勤取締役として派遣しているものでございます。
 こうしたことから、同社の常勤取締役は、当局の関係者が多くなっていると認識しております。

○藤井(と)委員 なぜ水道局のOBの方ばかりになっているのかという理由については、今、ご答弁があったとおりでありますけれども、こちらを今後改善していくというような意思は、局として、一定、お持ちになられているのでしょうか。この点、お伺いをしたいと思います。

○松丸水道局総務部長 このような不祥事、特別監察の報告を受けたことを踏まえまして、今後、監理団体の統合に合わせ、第三者委員会からこれから頂戴する提言を踏まえまして、社外の取締役を招聘するなど、検討してまいりたいと思います。
   〔「新しい血を入れなきゃ、だめなんじゃないか」と呼ぶ者あり〕

○藤井(と)委員 外部からの役員さんも含めて、やっぱり新しい血を入れていくということも必要なのかなと思いますので、この点は要望させていただきたいと思います。
 この報告書の中で、TSSの企業としての主体性の衰退が問題視されているというような記述がありまして、これは結構な記述だというふうに思います。
 この報告書を私ずっと拝読させていただいていて、その問題意識というのは私も同じ思いというか、同じ問題意識を持つわけでございまして、水道局としては別の意見をお持ちなのかもしれませんけども、私、今後はやっぱり会社として、一東京水道グループとして保護をしていくというような考え方ではなくて、自立をさせていくというようなことをやっていくことが真のガバナンス改革につながっていくのかなと思います。
 これは、私、一般質問でも指摘をさせていただいたんですけど、特命随意契約の多さとか、一民間企業としてのTSSを自立させるというよりは、いたずらに保護をするような方向で施策を行っているように、どうしても映ってしまうわけでございます。
 これはちょっと乱暴な意見に聞こえてしまうかもしれませんけど、何か問題が起きたときに、ガバナンス改革だとか、外部の視点を入れていきますとか、第三者でチェックしますとかという話をされるんですけど、じゃ、もし、おかしなことをしてしまったら、東京都としての契約を切られてしまうというようなことになれば、多分もう、必然的に本気にならざるを得ないんだと思うんですね。
 なので、やはり特命随契も含めてのTSSと局との関係というのは、根本的に見直していく必要があるのかなと思うわけでございますけれども、この点についてはどのような見解をお持ちになっていらっしゃいますでしょうか。

○石井水道局経営改革推進担当部長 当局では、定型業務を初め、民間に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託をしてまいりました。
 しかし、工事監督業務など水道事業の基幹的業務につきましては、局と監理団体が一体的にその責任を担うというような体制で事業を進めております。
 一方で、これまで監理団体に委託してきた貯蔵品管理業務を競争入札方式に移行するなど、随時、監理団体と局のあり方については見直しを進めてきております。
 できるものはできるということでやっていくのですが、一つの契機として、来年度また、監理団体の統合というところを迎えますので、さらに経営の自主性を高めていくという方策については一緒に考えていきたいというふうに考えております。

○藤井(と)委員 来年度にも監理団体の統合を控えているということでございます。経営の自主性を向上させていくというようなお話でございますけれども、私から見ると、どうしてもやっぱり、水道局として、特命随契、いわゆる天下りの問題を初めとして、団体を安住させてしまっているんじゃないかと。その結果として、いろんな、緊張感を失わせたりだとか、なかなか内部統制、ガバナンスがきかなかったりだとか、そういう社風をつくってしまっているようにも、どうしても感じてしまうわけでございますので、この点は、この監理団体改革はぜひ期待をまずはしたいと思います。
 最後に、水道局長の答弁を求めたいと思うわけでございますけども、今回の特別監察の結果の資料を読みますと、もう本当にさんざんな書かれ方というか、すごく厳しい内容でございまして、でも、一方で、その出口というか、じゃ、何をやっていくかということについては曖昧模糊としているというか、じゃ、こういう改革をしていきますと--指摘されている内容が辛辣な割に、これからやっていく内容というのは、いまいちはっきりしないようなところもあって、これ、水道局としては、東京の水道グループとして、団体として位置づけているわけでありますから、私、より監督の責任があると思っています。
 その意味において、水道局長の今後の決意を最後に伺いたいと思います。

○中嶋水道局長 当局ではこれまで、東京水道サービス株式会社に係る不適正事案につきましては、発生の都度、報告を受けまして、原因調査や再発防止策を講じるよう、その都度、指導を行ってきたところでございます。
 そうした中、このたびの特別監察におきましては、個々の事案における原因分析や再発防止策が全社的に共有されていないなど、社の内部統制やコンプライアンスに対する意識の低さ、あわせて、会社を指導する当局のガバナンスの甘さについて指摘されておりまして、局長としまして、大変重く受けとめているところでございます。
 水道局としての責任というお尋ねでございますが、今後、当局と監理団体の関係や、東京水道グループのガバナンスのあり方などにつきまして、四月に設置いたします第三者委員会で検証し、提言をいただき、必要な改善策を迅速に実施してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、団体と局とが緊張感のある東京水道グループ全体のガバナンスとコンプライアンスの徹底を図っていくことで、局としての責務を果たしていきたいというふうに考えてございます。

○藤井(と)委員 局長の答弁では、局としての関与を強めていくということによって、ガバナンスをしっかり維持させていきたいという旨の答弁であったと思います。
 まずは、その取り組みに私たちの会派としても期待をしたいと思いますけれども、それでも、過去何年か、何度も起きているような不適正事案というようなものが起きるようであれば、究極はやっぱり自立をさせていく。一つの団体として、一つの企業として自立をさせていく意味合いにおいて、随契の見直しとか、そういった東京都が保護していく、安住させるというようなことは、もうやめるしかないというような段階に至ってしまうというふうにも思いますので、まずは緊張感を持ってというか、厳しく、この団体改革に局として指導力を発揮していただきたいということを改めて要望いたしまして、私たちの会派からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○山内委員 さまざまな質疑がございましたけれども、問題を整理するために、私からも質問させていただきたいと思います。
 今回の特別監察は、職員目安箱からの情報によって実施されました。
 監理団体を対象にした特別監察は、これまで行われたことがありますか。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 過去十年間について調査した中におきましては、監理団体を対象とした特別監察は行っておりません。

○山内委員 では、総務局が不適正事案などの情報を受けて、東京都監理団体指導監督要綱等に基づいて監理団体を直接調査したことはこれまでにあるのでしょうか。伺います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京都監理団体指導監督要綱では、総務局長は、局長等及び監理団体に対し、事業、収支、監理団体にかかわる都の予算の要求及び執行等に関して調査を行い、または報告を求めることができると規定しておりまして、指導監督を行う上で必要な調査は、所管局等を通じ、適宜行ってございます。
 一方で、過去十年間を調査いたしましたところ、不適正事案などの情報を受けて、総務局が監理団体に対して直接調査を行った事例はございません。

○山内委員 監理団体の特別監察というのが極めて異例であるということがよくわかりました。
 では、水道局及びTSSの対応について、以下、お伺いしたいと思います。
 東京水道グループのコンプライアンス推進会議の設置や会議の目的及び狙い、また、この会議が二〇一八年の十二月まで開催されなかった理由について質問する予定でございましたけれども、先ほども出て、グループとしてのコンプライアンス推進が実態として機能していなかったと指摘されたことについては真摯に受けとめ、今後は、適切な会議運営と各団体の取り組みの進捗管理に努めていくとの答弁がございましたので、このことは質問しないでおきます。
 今回のこうした問題が起こる背景には、職員が意欲的に仕事に取り組むモチベーションが欠けていることがあるとの指摘が多く出されていたと思います。TSS内で若い職員の意見やアイデアを生かせる体制づくりが必要と考えます。
 そのために、人事や人材育成についてどのように改善をしていくのか、お伺いいたします。

○金子水道局職員部長 東京水道サービス株式会社は、民間事業者への指導も含め、基幹的業務を当局と一体的に担っており、同社の若手社員も含め、東京水道グループ全体として人材育成に取り組んでいくことが重要でございます。
 これまで同社におきましては、役員と若手社員との意見交換や社員提案制度などを導入し、若手社員の意見を吸い上げるなど、働く意欲を向上させる仕組みを構築しております。
 今後は、これらに加えまして、当局との共同研修や相互の人材交流の拡大を図り、若手社員の育成と活躍の場をつくることで、職場の活性を図ってまいります。
 また、固有社員の採用の実態も踏まえ、能力と業績に応じた昇任制度など、固有社員の人材育成を第一に考えた人事制度を構築するとともに、それを実際に運用するための業績評価や、局への派遣を含めた配置管理を行ってまいります。

○山内委員 今回、特別監察が行われた事案は、本来はTSS内部チェックが働くべきものであり、外部から調査が入って指摘されないと解決できないというのでは困るような問題です。もちろん、不祥事はあってはなりませんが、特別監察という手段を用いなければならない事案だったのか、疑問を持ちました。
 生活者ネットワークは、水道事業の民営化には反対です。しかし、このような不祥事がたびたび起こるような組織であっては困ります。いわゆる天下りの多さや、固有職員、プロパー職員の仕事への意欲をそぐような体制では、問題は解決しません。こうした不祥事の積み重ねを理由にして、命にかかわる水道事業を民営化への道に誘導するようなことがあってはなりません。
 もっと緊張感と危機感を持って仕事に当たっていただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十四分散会

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