総務委員会速記録第十六号

平成三十年十二月三日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長小松 大祐君
副委員長馬場 信男君
副委員長藤井  一君
理事増田 一郎君
理事鈴木 章浩君
理事木村 基成君
古城まさお君
藤井あきら君
山内れい子君
藤井とものり君
奥澤 高広君
森口つかさ君
原 のり子君
中屋 文孝君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長遠藤 雅彦君
危機管理監小林  茂君
次長榎本 雅人君
理事情報通信企画部長事務取扱久原 京子君
理事箕輪 泰夫君
総務部長西山 智之君
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
池上 晶子君
調整担当部長小菅 政治君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
伊東みどり君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務小林 忠雄君
都政改革担当部長小笠原雄一君
都政改革担当部長豊田 義博君
情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務山田 則人君
情報政策担当部長沼田 文彦君
情報政策連携担当部長藤原 知朗君
人事部長栗岡 祥一君
労務担当部長木村 健治君
コンプライアンス推進部長主席監察員
政策法務担当部長訟務担当部長兼務
貫井 彩霧君
行政部長野間 達也君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
高崎 秀之君
都区制度担当部長浦崎 秀行君
総合防災部長有金 浩一君
防災計画担当部長西川 泰永君
防災対策担当部長和田 慎一君
物資調整担当部長大澤 洋一君
統計部長熊谷 克三君
人権部長仁田山芳範君
監査事務局局長岡崎 義隆君
監査担当部長池田 美英君

本日の会議に付した事件
総務局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 総務局所管分
・職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
監査事務局関係
事務事業について(質疑)

○小松委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局関係の事務事業に対する質疑及び総務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取を行います。
 なお、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○遠藤総務局長 過日の委員会を欠席させていただきました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 多摩島しょ振興担当部長で大島災害復興対策担当部長及び事業調整担当部長兼務の高崎秀之でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○小松委員長 紹介は終わりました。

○小松委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○遠藤総務局長 今定例会に提出を予定しております総務局所管の予算案一件及び条例案五件の概要についてご説明申し上げます。
 まず、平成三十年度一般会計補正予算案でございます。
 恐れ入りますが、資料第1号、平成三十年度補正予算説明書の一ページをごらんください。
 (2)、歳出の表、補正予算額の欄の下段、歳出合計にございますように、一千四百万円の増額補正を行うものでございます。
 続きまして条例案でございます。
 恐れ入りますが、資料第2号、平成三十年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 ご審議をお願いいたします条例案は、全部で五件でございます。
 一件目は、東京都人事委員会勧告などを踏まえ、今年度の公民較差等に基づく職員の給与の規定改正と給与構造、制度の改革にかかわる規定改正を行う、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 次に、東京都人事委員会勧告を踏まえ、特定任期つき職員及び任期つき研究員の期末手当の支給月数の改定を行う、東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例及び東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 次に、一般職の非常勤職員である会計年度任用職員の任用及び期末手当について新たに規定するとともに所要の改正を行う、非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 次に、育児休業及び部分休業の取得対象となる職員の勤務日数等の要件に係る規定を定める、職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 以上が今定例会に提出を予定しております総務局所管の案件の概要でございます。
 詳細は総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○西山総務部長 総務委員会に付託される予定の予算案一件及び条例案五件についてご説明申し上げます。
 まず、平成三十年度一般会計補正予算案でございます。
 恐れ入りますが、資料第1号、平成三十年度補正予算説明書の二ページをごらんください。
 歳出予算につきまして、上から三段目、科目は、款、総務費、項、防災管理費の目、防災指導費でございます。
 これは、1、区市町村の非常用電源等整備促進として一千四百万円の増額補正を行うものでございます。
 次に、条例案でございます。
 資料第2号、平成三十年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の一ページをごらんください。
 番号1、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、東京都人事委員会勧告などを踏まえ、職員の給与にかかわる規定改正を行うものでございます。
 まず、1、今年度の公民較差等に基づく職員の給与の規定改正についてでございますが、主な内容は二点でございます。
 (1)、給料表の改定でございます。行政職、公安職など六つの給料表を、人事委員会から勧告された給料表等に改めるものでございます。
 (2)、手当の改正でございます。人事委員会勧告に基づき、勤勉手当及び期末手当の支給月数を表のとおり改正するものでございます。
 次に、2、給与構造、制度の改革にかかわる規定改正についてでございますが、公安職給料表について、職務の級を区分する意義、必要性が乏しくなっている状況にあることから、公安職給料表の一級と二級を統合し、級構成を九級制から八級制に改正するものでございます。
 施行日は、それぞれ資料に記載の日を予定してございます。
 その他、条例の改正に関して必要な事項等を附則にて規定してございます。
 二ページをごらんください。番号2、東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例及び番号3、東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これらは、東京都人事委員会勧告を踏まえ、今年度の公民較差を解消するなどのため、特定任期つき職員及び任期つき研究員の期末手当の支給月数を改定するものでございます。
 施行日は、公布の日ほかを予定してございます。
 三ページをごらんください。番号4、非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行による地方公務員法及び地方自治法の改正を受け、一般職の非常勤である会計年度任用職員の任用及び期末手当について新たに規定するとともに、所要の改正を行うものでございます。
 施行日は、平成三十二年四月一日を予定してございます。
 番号5、職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行による地方公務員法の改正を踏まえ、育児休業及び部分休業の取得対象となる非常勤職員について、勤務日数等の要件に係る規定を定めるものでございます。
 施行日は、平成三十二年四月一日を予定してございます。
 以上で、今定例会に提出を予定しております案件につきまして説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○原委員 一点、お願いいたします。
 現時点における会計年度任用職員制度に該当する職員数、各局別にお願いいたします。

○小松委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 ただいま原委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
 以上で総務局関係を終わります。

○小松委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井(あ)委員 三人いる藤井委員のうち、最初に行かせていただきます。よろしくお願いいたします。
 都民ファーストの会を代表いたしまして質疑を行います。
 東京都監査事務局への事務事業の質疑をいたします。
 監査は、都政を公正かつ効率的に運営するため、地方自治法上、監査委員を知事から独立した立場で置き、都の行財政の運営をチェックする重要な役割を担っております。
 東京都監査委員監査基準によると、合規性、経済性、効率性、そして有効性の四つの観点から検証、評価を行っているとのことです。具体的には、合規性は法令等にきちんと従っているか、経済性は無駄な経費をかけていないか、効率性はより成果が上がる方法はないか、有効性は目的達成のために適切かどうか。
 都民から預かっている大事な税金を、適正なルールにのっとり、最小のコストで最大の効果を生み出すことは、都民から当然に期待をされているところでございます。
 四つの観点でされる監査には、定例監査、工事監査、行政監査などさまざまありますが、今回はその中でも、都が出資や補助金等を交付している団体を対象に財政援助の効果などについて行う財政援助団体等監査について詳しくお伺いしてまいります。
 補助金が適正に使われているかどうかは、都民の関心の高いところでございます。先日、ご報告いただきました内容によりますと、財政援助団体は四千九百八十三団体あり、昨年は百四十五団体、二・九%を対象に監査を行ったとのことでございました。全体の二・九%ということで、ぱっと見ると少ないような印象も受けます。
 そこで、財政援助団体等監査の対象団体はどのような基準で選んでいるのか、お伺いいたします。

○池田監査担当部長 財政援助団体等監査の対象団体につきましては、事業規模や都の出資比率、都事業との関連性、補助金交付額の多寡を考慮するとともに、前回監査からの経過期間や前回監査結果等を勘案して選定しております。
 平成二十九年の団体選定では、都が資本金の四分の一以上を出資している団体につきましては、都の関与、都事業との関連の強さ等を考慮し、五十一団体中、三一・四%に当たる十六団体を抽出しております。
 補助金等交付団体のうち私立学校につきましては、これまでの監査結果や交付額の多寡等を考慮し、六百八団体中、一一・五%に当たる七十団体を抽出しております。

○藤井(あ)委員 都の出資比率が四分の一を超える出資団体や補助金等交付団体のうちで、金額の大きい私立学校など重要度の高い団体については優先的に監査を実施しているとのご答弁をいただきました。数ある財政援助団体などの中でも、めり張りをつけて効率的、効果的にチェックできるように取り組んでいることが理解できました。
 監査の対象となる可能性があるということは、各団体の中で、日ごろの業務に注意するなど牽制の機能も働くかと思います。引き続き、効率的、効果的に取り組みながらも、対象を少しでも広げられるよう取り組んでいただきますようお願いいたします。
 平成二十九年の財政援助団体等監査の実績及びその措置状況についてお伺いさせていただきます。

○池田監査担当部長 平成二十九年財政援助団体等監査では、合わせて百四十五団体、また、当該団体を所管する局の指導監督の状況につきましても監査を実施しております。
 監査の結果、補助金の返還や会計経理及び事務処理につきまして、二十三団体及び当該団体を所管する八局に対し、五十二件の指摘、九件の意見、要望を行いました。
 監査事務局では、監査の実効性を確保するため、監査結果に対しては、年二回、適切な措置を講ずるよう報告を求め、是正改善、再発防止の取り組みまで確認をしております。
 平成三十年六月時点では、過大に交付した補助金の返還や、特命随意契約を競争入札に改めたものなど、六二・三%、三十六件の指摘、二件の意見、要望が改善済みとなっております。

○藤井(あ)委員 六月時点で六二・三%が改善済みとのご答弁をいただきました。
 改善状況については、都民からの厳しい目が向けられております。当然、一〇〇%の改善を目指していくものですので、引き続き、監査事務局としましても、厳しい目で改善のために取り組んでいただきたいと思います。特に意見、要望事項は、指摘事項と比べて、対応が難しい内容を含んでおりますので、注視していただきたく要望いたします。
 さて、二〇二〇東京大会の開催まで、本日で六百日をちょうど切りまして五百九十九日となりました。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会へも東京都は出資をしており、監査の対象となっております。
 また、昨年十二月に組織委員会が発表いたしましたV2予算では、大会経費として、東京都は六千億円を負担することとなっております。まだ、次のV3、V4予算の発表もあるやに聞いております。
 そこで、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対する監査の実施状況についてお伺いいたします。

○池田監査担当部長 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対する財政援助団体等監査は、平成二十九年に実施いたしました。
 最終的な組織委員会の資金不足は都が財政保証することとなっており、こうしたリスクを前提に監査を実施しております。
 監査に当たりましては、法人として統制の働いた運営がなされているか、財務統制が適切に機能し、予算管理がなされているか、調達体制の整備はできているか等の観点から内容を確認いたしました。
 監査の結果、調達の履行確認や、都との共催事業の協定手続に関する二件の指摘を行いました。
 また、財政計画について、これまで年度ごとの予算計画や収支実績が示されていなかったため、今後、業務内容や計画が具体化していく段階に応じて明らかにすること、及び予算執行管理について、事業部別、費目別で管理していたが、FA、すなわち部門別の予算執行額が把握されていなかったため、速やかにこれを把握し、一連の予算管理を適切に行うことの二件の意見、要望を行ったところです。

○藤井(あ)委員 ご答弁いただきましたとおり、最終的に組織委員会に資金不足が生じたときは、都が補填することとなっております。そのリスクは大変に大きいものだと認識しています。そういった点も勘案され、昨年、組織委員会の監査を実施したことは大変大きく評価をしております。
 ご答弁にありました、年度ごとの予算計画や収支実績が組織委員会から示されず、また、部門別の予算執行額も把握されていなかったとのことですが、つまりこれは、お金の使い方が具体的に明示されておらず、幾ら使ったかもわからないという状況だということができるのではないかと思います。
 これでは組織としての体をなしていないといわれても仕方がありませんし、今後、組織委員会は、これまで以上に大きなお金を扱ってまいりますので、若干、心配になってくるところでございます。
 また、監査については、指摘に対して改善をして、初めて効果が生まれるものだと考えております。そのため、改善対応が早ければ早いほど望ましいです。特にオリンピック・パラリンピックは、開催まで二年を切っており、早急な対応が望まれているところでございます。
 民間の株式会社における監査であれば、指摘事項は即時対応するものであり、都の監査における指摘事項及び意見、要望についても、可能な限り速やかに対応すべきと考えます。
 そこで、組織委員会に係る監査結果に対する措置状況についてお伺いさせていただきます。

○池田監査担当部長 組織委員会の措置状況でございますけれども、調達の履行確認につきまして、管理職及び担当者が複数で確認するよう仕組みを構築するなど、指摘事項二件が平成三十年六月に改善済みとなっております。
 大会全体に対する財政計画や予算執行管理につきましては、現在、組織委員会において、大会開催に向けてさまざまな準備を加速させているところであり、業務内容や計画が具体化していく段階に応じて、予算計画などの公表や部門別の予算管理に向け、鋭意取り組み中であることを確認しております。
 今後も経過や対応について把握するなど、引き続き的確にフォローを実施してまいります。

○藤井(あ)委員 既に、指摘事項二点に関しては改善がなされたとのご答弁をいただきました。
 指摘事項は、内容を確認させていただきましたが、手続の根拠を明確にするなど、比較的対応しやすい内容だったと思いますので、まずは、その改善の意思を組織委員会が示していただいたということで、意味があると考えております。
 一方、意見、要望事項ですが、先ほどのご答弁でもありましたが、予算計画が組織委員会から明示されていない点、そして、その執行状況を部門別に確認がとれていない点が課題ということで、組織として本質的な問題であると考えております。
 オリンピック・パラリンピック組織委員会は、期間も限定されたプロジェクトであり、かつ、東京都からは、出資金だけでなく、大会経費、先ほどのV2予算での都の負担六千億の予算などを考えても、都財政への影響がとても大きいものであると考えております。
 加えて、何度も先ほどから指摘しておりますが、最終的に組織委員会に資金不足が生じたときには都が補填するリスクもあり、東京二〇二〇大会の準備が円滑に進められる体制の構築は急務であると考えております。
 オリ・パラの経費に関しては、都民からの注目度も高く、期間限定の短期プロジェクトということもありまして、監査事務局は早急に改善を働きかけ、場合によっては、大会までに再度監査することも含めてご検討いただきたく要望させていただきます。
 ここで話題を変えまして、監査事務局の新たな取り組みについて、二点、お伺いをさせていただきます。
 監査事務の効率化を図るとともに、都民への効率的な情報発信は非常に重要であると考えております。
 監査指摘・改善措置検索システムの新設や都民向けパンフレットの見直しを行ったと、先日のご報告でありましたが、詳しい内容をお伺いします。

○池田監査担当部長 情報発信の拡充に向け、本年三月にホームページの全面リニューアルを行い、タブレット端末やスマートフォンにも対応できるようにするとともに、監査指摘・改善措置検索システムを新設し、平成二十五年以降の各種監査の指摘及び知事等が講じた措置をフリーワードや指摘内容等で検索できるよう、利便性を向上させたところでございます。
 本検索システムにつきましては、監査報告書等が公表される都度、当該情報をシステムに取り込み、常に最新情報を検索可能としております。
 また、都民向けに発行しているパンフレット、東京都の監査のあらましにつきましては、図やイラストを充実させるとともに、新たに目の不自由な方にも配慮して音声コードを挿入するなど、より親しみやすいものとなるよう工夫をしたところでございます。
 今後とも、社会動向や都民ニーズを踏まえ、積極的に情報発信してまいります。

○藤井(あ)委員 ホームページの全面リニューアルにより、検索システム、検索性が向上し、東京都の監査のあらましは、親しみやすくなる工夫、そして、音声コードを挿入するなど、新たに目の不自由な方にも配慮されたということで、重要なご答弁をいただいたと思っております。
 私もホームページ等を確認させていただきましたが、若干、ホームページのトップのバナーというか、トップのページがわかりづらいなと思うようなところはあるので、少し直してほしいなと思うところがないわけではないのですが、今回、質疑に当たり、検索機能等を活用させていただき、非常に使いやすく、探したいものをすぐ見つけられるなど、大変助かったということをお伝えさせていただきます。わかりやすかったです。
 こういった見える化という改善を進めることは、都民だけでなく、都庁内での情報共有という観点からも非常に重要であると考えております。指摘を受けた部署以外でも、類似の事務で同じような問題が起きないように取り組むなど、積極的に活用ができると考えています。
 監査の状況を知りたい都民のみならず、そういった、都庁職員が業務遂行をする上でも参考になりますし、監査の事務効率向上に資すると評価をしているところでございます。
 加えて、ツイッターなどSNSも活用して都民に情報を届けるためのご努力をされており、今後も積極的に都民にわかりやすい情報を届けていただきますよう、お願いをいたします。
 効率的な情報発信に加えて、監査事務の効率化も非常に重要であると考えております。
 先ほどの財政援助団体等監査ではありませんが、効率を上げることによって、対処できる件数をふやすこともできるのではないかと考えております。
 監査の効率化のために、ICTの活用についても検討すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○池田監査担当部長 ICTの活用は、監査事務の効率化と監査対象事案の抽出に有効でございます。
 監査事務の効率化につきましては、実地監査業務にモバイル型パソコンを導入し、本庁と現地の即時の情報共有や打ち合わせを実現するとともに、電子データによる資料の収集を推進し、庁内ネットワークを経由して資料閲覧が可能となり、ペーパーレス化にも貢献いたします。
 また、監査対象事案の抽出につきましても、今後は、ICTを活用して電子データを多角的に分析し、監査の端緒とする、いわゆるICTを活用した大量データ分析型監査の活用を検討いたします。
 こうした取り組みにより、監査品質を向上させてまいります。

○藤井(あ)委員 全庁的に進めていますモバイルPCの導入により、テレワークの実現や、これまでの紙作業がペーパーレス化するということで、監査業務の効率化が進むことが理解できました。
 加えて、監査対象事案の抽出について大量データ分析型監査の活用をご検討されているということで、大量データの突合や異常値の検知など、これはまさに機械、コンピューターが最も得意とするところでありますので、積極的な活用を期待するところでございます。
 加えて、現在、大手の監査法人などでは、AIを導入して不正を発見しやすくしたり、業務効率化をして、会計士の不足に対応するといったような取り組みも進んでいるところでございます。
 将来的には、そういったAIの監査への活用なども研究いただきたいことを要望いたしまして、私からの質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○古城委員 私からも、監査事務局が所管をします事務事業について、順次質問をさせていただきます。
 今の藤井委員の質問の中でもございましたけれども、この東京都の監査のあらまし、音声コードがしっかりとされているというところですけれども、一ページ目に、十月五日の本会議で新たに選任された議員選任委員がしっかり差しかわった上に、ここだけの差しかえでなくて、音声コードについてもしっかり差しかえられているというのは大変大事なことだろうと思います。このご努力に、敬意をまず表したいというふうに思います。
 さて、順次質問させていただきますけれども、先日、ご説明の中でお配りをいただきました事業概要に示されています、平成三十年監査基本計画の前文として位置づけられております都政をめぐる状況と監査には、とりわけ、東京二〇二〇大会の競技会場や豊洲市場など、施設を中心に展開する事業に都民の関心が高まっている、このように前文で指摘をされておりますけれども、私は十月十九日に行われました各会計決算特別委員会の第一分科会におきまして、昨年度も継続して事業が行われている都庁舎改修プロジェクトに関連して、まさに質疑の直前に公となりました油圧機器メーカーによる免震、制振装置、いわゆるダンパーの検査データ改ざん問題を取り上げて、不明も含むわけですけれども、不適合として発表した製品と同一の製品が使われている都庁舎を初め都有建築物について、受注者頼みやメーカー頼みということではなく、都の技術力を生かして安全性の確認をすべきと訴えたところでございます。
 これに対して、財務局からは、都民の皆様に安心していただけるよう、都の技術の総力を挙げて、万全を期して取り組む、この旨の答弁がございました。
 一義的には、事業局による対応が求められていることだろうとは思うんですが、定例監査や工事監査などにおいても、監査の視点からチェックしていくことも重要であると考えます。
 この点、平成二十八年の当委員会、総務委員会の事務事業質疑におきまして、我が党の遠藤委員が、豊洲市場の工事監査について、いわゆる盛り土の問題も含まれていることを踏まえて質疑をしましたところ、監査担当部長の答弁は、工事監査においては、局の策定する全体計画は適切であり、それが工事関係書類に反映されているということを前提として書類審査及び実地監査を行っているということでございました。
 ちょっとなかなかわかりにくいなと思って何回も読み返したんですが、いいかえれば、適正であると考えられる執行機関の計画に基づいて事業が執行されているという前提で監査が行われているということであろうかと思います。
 都民視点で見れば、このチェック機能が十分に働かなかったといっても過言ではないかと思うんですが、このような豊洲の件であるとか、都政の重大な案件や事件、事故、先ほど申し上げたダンパーの問題もそうですが、社会的な問題が起きたときには、通常の監査の方法、手法に加えて、より幅広い角度や大局的観点から行っていくべきと考えます。
 そこで、どのような着眼点で、こういう社会問題等を踏まえて監査に反映させているのか、また反映させていくのか、見解を求めます。

○池田監査担当部長 社会的に大きな影響を及ぼす事故等が発生した場合には、その問題点や原因なども考慮し、適宜、定例監査や工事監査での重点監査事項に反映させ、効果的な監査を実施しております。
 これまで、定例監査におきましても、神奈川県の障害者施設で発生した侵入者による事件を踏まえ、都立都民利用施設の警備体制や、博多駅前の道路崩落事故を踏まえ、地下構造物の安全管理、高齢者ドライバーによる自動車重大事故の多発を踏まえ、高齢者ドライバーに係る安全対策などを重点監査事項として設定いたしました。
 今後も、時宜にかなった監査テーマを重点監査事項として設定し、効果的な監査を実施してまいります。

○古城委員 この平成三十年監査基本計画の基本方針の第一には、都の事務事業について、合規性はもとより、その業績や効果等を分析し、経済性、効率性、有効性の観点から、都民目線に立った検証を行うとございます。
 この点についても、先ほど藤井委員が言及をされておられたところですけれども、国の会計検査院の資料をちょっと見てみますと、経済性、それから効率性、有効性、この点は、それぞれの英語、エコノミー、エフィシエンシー、エフェクティブネスの頭文字が全てEであるということから、3E検査と呼ばれているそうでございますけれども、私は、この3Eと呼ばれるそれぞれの視点が、会計検査、また、監査の基本中の基本であるということとともに、都民利益にかなっているかどうかの物差しであるというふうに考えます。
 そこで、どのように都民目線に立っているのか、また、どのように都民ニーズや都民感覚を監査に取り入れているのか、見解を求めます。

○池田監査担当部長 都政を取り巻く状況を踏まえ、都民の関心の高い事項やリスクの高い事項を重点監査事項として設定し、定例監査や工事監査において効果的な監査を実施しております。
 また、都政モニター、五百人の方から意見を募ったところ、監査の重要性を理解したという声がある一方、監査の重点化や質の向上を求める声が多数ございました。
 今後も、都民ニーズや都民感覚を的確に把握し、時期を逸することなく重点監査事項に反映し、監査の充実強化を図ってまいります。

○古城委員 我が党では、新公会計制度を初め、都民の皆様からお預かりをする税金の無駄遣いがなされないように、さまざまな角度から提案、そして推進をさせていただいております。
 私は、第三回定例会までは厚生委員会に所属をしておりました。特に私債権の放棄に関する質疑の際には、定例監査報告に加えて、総務局が所管する包括外部監査報告も含めて、どのような指摘を受けて、そして、それがどのように改善を図られているのか、確認をしてまいりました。
 一例を申し上げますと、病院経営本部において、私債権の放棄とならないよう、未然の防止策として考えられた弁護士委任業務について、平成二十八年度執行分に係る平成二十九年定例監査報告においては、委任業務開始から着手、初回交渉に三カ月もの期間を要しているケースであるとか、また、最終交渉から弁護士の終了報告まで半年以上も要しているケースのほか、委任を受けた弁護士の方からの報告書の内容、中身の妥当性など、迅速かつ有効な回収業務となっていない点も含めて、病院経営本部における契約や進行管理が不適切なのではないかと、こういう指摘がございました。
 これに対して、病院経営本部では、平成二十九年の定例監査報告における指摘事項については、弁護士との委任契約において、業務の開始や報告書の提出等の時期を明記するなど必要な改善を図った、こういう答弁をいただきました。
 私は、この監査委員制度は、監査事務局がしっかりとしていれば、東京都における財政の健全性、財政対応力が充実をして、真に都民の皆様の利益にかなうと考えるところでございます。
 事業概要によれば、監査事務局の陣容は、常勤八十五名、再任用四名の計八十九名の体制でございます。非常に限られた人員で監査をされているということでありますし、都の予算規模については、まさに国家に匹敵するほどでありますけれども、それだけ都の各局、各事業が多岐にわたっているということであるのですが、そうした中で、監査を受けて適切に対応しているか、定期的にフォローアップをすることが監査の実効性を高めていくことにつながると考えます。
 そこで、監査をした後、各局の取り組みについてどのようにフォローをしているのか、見解を求めます。

○池田監査担当部長 監査の結果、指摘等を行った事項につきましては、年二回、期日を定め、早急に是正改善するなど適切な措置を講ずるよう、各局に報告を求め、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直し、再発防止の徹底が図られているか確認しております。
 改善中の場合は、その経過や今後の対応につきまして、各局の状況を詳細に把握するなど、的確にフォローを実施しております。
 また、監査とその結果のフィードバックにつきましては、再発防止の効果を高めることを目的に、過去の指摘とその改善状況を類型化した監査指摘・改善措置事例集を作成し、共通して誤りの起こりやすい事例について各局に周知し、局ホームページで公開しているところでございます。
 さらに、年二回、監査情報連絡会におきまして、各局と情報共有、意見交換を行っております。
 こうした取り組みを通じ、監査の実効性を高め、今後とも公正かつ効率的な都の行財政運営の実現に貢献してまいります。

○古城委員 ありがとうございます。
 平成三十年監査基本計画の基本方針に掲げられている、この(6)と(7)ですけれども、監査結果及び各局等が行う改善措置について、庁内へのフィードバックの内容を充実し、再発防止の徹底を図るとともに、都庁全体の基礎力の底上げに寄与する、そして、七番目として、監査の結果等について、ホームページ等を活用して都民に一層わかりやすく発信することにより、都政に対する都民の信頼確保に寄与する。
 ぜひともこれらの点の着実な取り組みを期待いたしますとともに、ぜひとも頑張っていただきたいと申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○とくとめ委員 監査事務局所管の事務事業について、強く期待をしながら、幾つか質問をいたします。
 監査事務局の重要な役割は、都の巨額の予算を初め行財政が公正かつ効率的に運営されるようになっているのかなど、各局の事務事業を監査することによって、多くの都民の都政への信頼をしっかり確保していくことだと思います。
 まず最初に、監査についての基本的な質問を行います。
 監査委員による監査対象の範囲は、財務に関する事務や経営に係る事業の管理を初め、行財政全般の広範囲にわたっていると聞いています。その監査対象に対して、法令等に従って行われているかという合規性や、経済性、効率性、有効性の観点から検証しているとのことであります。
 このように、監査は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されているかということをチェックする重要な役割を担っていることになっています。
 現在のような監査委員、監査事務局の体制によって、行財政全般の広範囲にわたって十分に監査をし、チェックすることができているのかどうか、この間の監査の現状に対して、どのように評価しておられるのかを伺いたいと思います。

○池田監査担当部長 監査委員は、地方自治法等の法令の規定に基づき、定例監査、工事監査、財政援助団体等監査、行政監査などを実施しております。
 平成三十年の定例監査では、本庁につきましては、全ての部の百三十七カ所で実施いたしましたが、事業所は、七百四十二カ所のうち三百十二カ所、率にして四二%でございます。
 監査に当たりましては、膨大な監査対象件数に対し、限られた人員と日数で的確な監査を実施するため、対象案件を抽出して実施しているところでございます。
 対象案件の具体的な抽出につきましては、過去の指摘等から誤りが多く見られる事項を中心に監査するほか、事務事業におけるリスクの重要度に応じて重点監査事項を設定するなど、効率的、効果的な監査に努めているところでございます。

○とくとめ委員 膨大な監査対象件数に対して、限られた人数と日数で的確な監査を実施するため、過去の指摘等から誤りが多く見られる事項、各事務事業におけるリスクの重要度に応じて重点監査事項など、対象案件を抽出して実施しているという答弁でした。
 事業所の監査率、四二%という答弁がありましたけれども、どうしても、全体を全て監査し切れない状況の中で、見逃す部分も出てくるのではないかと思います。
 そこで質問ですが、監査委員による平成二十五年から平成二十九年、昨年までの過去五年間の監査別実施状況では、特に定例監査による指摘事項の件数が毎年のように増大傾向になっているのは、どういう要因からそういう増大傾向になっているのか。その改善策はどのように具体化されているのでしょうか。伺いたいと思います。

○池田監査担当部長 定例監査では、平成二十五年は八十九件だった指摘等が、平成二十九年は百五十三件となっております。
 その理由といたしましては、監査の実施に当たり、都の事務事業のリスクを事前に十分検討し、重点的、効果的に監査する手法を活用していることなどによるものと認識しております。
 また、改善策といたしましては、監査の実効性を確保するため、年二回、指摘事項に対して適切な措置を講ずるよう報告を求め、是正改善、再発防止の取り組みまで確認しております。
 さらに、監査とその結果のフィードバックにつきましては、再発防止の効果を高めることを目的に、過去の指摘とその改善状況を類型化した監査指摘・改善措置事例集を作成して各局に周知し、局ホームページで公開するとともに、年二回、監査情報連絡会において各局と情報共有、意見交換を行っております。

○とくとめ委員 監査による指摘事項が増大傾向にあるのは、都の事務事業のリスクを事前に十分検討して、重点的、効果的に監査する方法をとっていることによるということでした。
 また、改善策についても、各種の指摘事項に対して、是正や改善、再発防止まで確認しているという答弁でした。
 しかし、指摘事項が増大傾向にあるということは、都の事務事業のリスクを事前に十分に検討して監査していることによるとのことですけれども、増大傾向にあるということは、監査の仕方ということよりも、そうした問題点、改善点の現実が存在をして増大傾向にあるということではないかと思います。私たちも、マスコミの報道によって、驚くような事故とか不正が報道されて、都政のゆがんだ実態を知ることもたびたびあります。決して現在の都政の実態が安心、楽観できる状況ではない事態もあると思います。さらなる監査の強化、そして、体制の強化を要望しておきたいと思います。
 次に、監査結果の指摘事項の内容によって、都財政の執行状況にはどのような影響が生まれているのでしょうか。そのような影響が出た場合には、どのように改善されているのかについて伺いたいと思います。

○池田監査担当部長 平成三十年定例監査におきましては、監査の結果、経費削減が可能なものや収入漏れなどを指摘したものは約五百万円でございましたが、収入や支出に直結しない会計処理や財産、物品管理などの事務手続に関する指摘も数多くございます。
 こうした指摘事項に対して、各局が業務の見直しや新たなチェック体制の構築による再発防止の徹底など適切な措置を講じることにより、効率的な行財政運営を後押ししております。
 監査結果に基づく改善に際し、予算措置などを要するものにつきましては、改善内容等に対する事業評価を経て、迅速かつ的確に予算へ反映しております。

○とくとめ委員 最後の答弁で、監査結果に基づいて、改善に際しては、予算措置などを要するものについては、改善内容等に対する事業評価を経て、迅速かつ的確に予算へ反映しているとのことでした。今が予算編成の重要な時期でもあり、ぜひしっかりと財政の執行に係る問題点が改善されるように強く要望しておきたいと思います。
 二〇一六年、平成二十八年の総務委員会、監査事務局の事務事業質疑で、我が党の曽根議員が、それまで監査対象になっていなかった東京五輪の組織委員会への監査について指摘をしたところ、二〇一七年、平成二十九年に監査を実施したということを聞いておりますけれども、改めて、その監査結果について伺います。

○池田監査担当部長 組織委員会は、設立から三年が経過し、事業が本格化してきたことから、平成二十九年の財政援助団体等監査の対象として選定いたしました。
 最終的に組織委員会において資金不足が生じた場合は、都が財政保証することとなっており、こうしたリスクを前提に監査を実施したところでございます。
 監査の観点といたしましては、法人として統制の働いた運営がなされているか、財務統制が適切に機能し、予算管理がなされているか、調達体制の整備はできているか等により監査を実施いたしました。
 監査の結果、調達の履行確認や、都との共催事業の協定手続に関する二件の指摘がございました。
 また、財政計画について、今後の業務内容や計画が具体化していく段階に応じて、年度ごとの予算計画等を明らかにすること、及び予算執行管理について、部門別の予算執行額を速やかに把握し、一連の予算管理を適切に行うことの二件の意見、要望を行いました。

○とくとめ委員 東京五輪の組織委員会に関する監査において、重要な二件の指摘と二件の意見と要望があったということでした。
 組織委員会の監査については、実は二年前の総務委員会で、我が党の曽根議員が監査事務局の事務事業の質疑でも指摘したように、組織委員会の森会長が、東京都に干渉されたくないというような発言をして、東京都からの出捐金の返還という事態も紹介をされています。しかし、当時の監査事務局の答弁では、出捐金の返還があった場合でも、依然として組織委員会が東京都の監査の対象団体であることが指摘されておりました。
 さらに重大なことは、先ほどからも答弁で出ておりますけども、東京五輪大会で赤字が発生した場合には、IOCに対する報告書でも明記されているように、東京都が第一義的に赤字の補填の義務を負わされていることになっているわけです。
 ぜひ組織委員会への重要な監査委員からの指摘と意見、要望も踏まえて、東京五輪が財政上の側面からも都民の理解と納得が得られるようにしてもらいたい、そのことを強く要望しておきます。
 東京五輪大会の経費については、組織委員会が都及び国等の資金を使用して実施する事業の適切な遂行に資する管理を行うための協議の場として、都、組織委員会、国の三者間により共同実施事業管理委員会が設置されております。この共同実施事業管理委員会の役割は、本来、コスト管理や執行統制等の観点から、三者間において、組織委員会による各種取り組み等について確認の上、必要に応じて指摘を行うこと等により、共同実施事業の適切な遂行に資する管理を行うことを目的とすると、この共同実施事業の管理委員会の設置要綱には明記をされています。
 監査を実施したことによって、この共同実施事業管理委員会が有効に機能、役割を果たしているのかどうか、確認されているのでしょうか。その内容はどうだったのか、お伺いしたいと思います。

○池田監査担当部長 共同実施事業管理委員会につきましては、オリンピック・パラリンピック準備局に対する定例監査におきまして、平成三十年五月から六月にかけて実地監査を実施しております。
 その結果、都や国が負担する資金をもとに組織委員会が実施する事業に関して、共同実施事業管理委員会が、コスト管理や執行統制などの観点からチェック機能を果たしていることを確認いたしました。
 また、平成三十年九月に公表した定例監査報告書におきまして、二十九年度の共同実施事業の負担金として都が組織委員会に交付しているものの中に、組織委員会が負担すべき経費が含まれており、共同実施事業管理委員会の作業部会で精算が必要であることを確認しているとしていますが、今後精算が必要であるにもかかわらず、負担金支払い書類や協定にその旨記載されていない状況となっていることから、オリンピック・パラリンピック準備局に対して、負担金支払い書類等に精算を行うことを明記されたいとの指摘を行いました。

○とくとめ委員 莫大な東京五輪の予算を取り扱い、コスト管理や執行統制などの観点からチェック機能を果たすことが求められている共同実施事業管理委員会の活動について、初歩的な問題点の指摘も含めて重要な指摘がなされ、改善が求められたことは大変重要だと思います。
 東京五輪開催まであと一年半となっているもとで、予算の執行も大きな山場になっています。都民が本当に納得、理解できるように、一層の東京五輪大会の予算、経費の削減、節約に向けて、監査の重要な役割を果たしていただくように求めておきたいと思います。
 最後の質問です。
 これも東京五輪にかかわる問題です。これまでの代表質問や予算特別委員会などでも取り上げてきた問題です。昨年の五月十九日に提出された東京五輪の選手村建設にかかわる住民監査請求についてです。
 昨年の五月十九日に提出された東京五輪の選手村建設にかかわる住民監査請求では、東京都が、東京五輪の選手村敷地、中央区の晴海五丁目西地区にある都有地を、約九割以上も値引きして、総額百二十九億六千万円で選手村を担う大手不動産十一社との間で敷地の譲渡契約を結んだことに対して、一連の行為は、本来必要である公有財産の譲渡について公正な評価を免れるという違法な目的のために都市再開発制度を乱用した違法、不当なものであるとして、一連の行為が適正であるかを調査し、都有地の違法、九割も値引いた不当な低廉価格による売却処分による損害の回復または補填をするために必要な措置を講ずることを都知事に勧告するように求めた内容でした。
 昨年五月十九日のこの住民監査請求に対して、同じく昨年の七月十八日に、監査委員からは、選手村予定地の中央区晴海五丁目西地区の譲渡価格は違法、不当であり、損害の回復など必要な措置を講じることを求める住民監査請求に対して、監査結果は、都市再開発制度を乱用した違法、不当なものであるとする請求人の主張には理由がないとの結論を出しています。
 ところが、一方で、監査委員の意見として、本件事業の今後の実施に際しては、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞くなどの内部牽制体制を強化することや、意思決定過程及び決定内容についてきめ細かな対外説明を行うことなどにより、これまで以上に透明性の確保に努められたいとの意見が付されています。
 こうした意見が監査委員から付されるのは、私は異例のことではないかと思いますが、なぜこうした意見がついたのか、何が問題とされ、どのような改善が求められたのかについて伺います。

○池田監査担当部長 監査委員が付した意見では、本件事業は、都が第一種市街地再開発事業を個人施行で実施することに伴い、地権者、施行者、認可権者の三つの役割をあわせ持つことになったため、本件土地の処分をめぐる一連の手続が、中立的かつ公正な監視や牽制のもとで行われないとの懸念を生む状況が生じたとした上で、都には、内部牽制体制の構築や事業手法決定に関する情報開示などについて通常以上の対応が求められ、本件事業の今後の実施に際しては、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞くなどの内部牽制体制を強化することなど、これまで以上に透明性の確保に努めるよう求めたものでございます。

○とくとめ委員 監査委員の重要な役割として、行財政が公正かつ効率的に運営されるようになっているのかどうかチェックするという立場が強調されています。
 この東京五輪の選手村用地の都有地を、現時点での公示価格、あるいは、今、裁判にもなっていますけれども、原告側の鑑定士が提出した価格と比べて、九割以上の値引きで選手村建設を担う大手不動産十一社に売却したことについての住民監査請求に対して、監査委員から、その結果として、今も紹介があったような、都市再開発制度を乱用した違法、不当なものであるとする請求人の主張には理由がないと結論は出しながら、これまた監査委員の意見として、地権者、施行者、許可権者の三つの役割をあわせ持つこと、すなわち東京都が一人三役を務めるようなやり方にしたために、本件土地の処分をめぐる一連の手続が、中立的かつ公正な監視や牽制のもとで行われないとの懸念を生む状況が生じたと、鋭く指摘をしています。
 そして、監査委員の意見は、本件事業の今後の実施に際しては、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞くなどの内部牽制体制を強化することなど、これまで以上に透明性の確保に努めると意見を述べています。
 しかも、この問題は、その後に住民訴訟に発展して、現在も裁判が係争中であります。
 先日、十月二十六日に開廷された第四回の口頭弁論では、住民訴訟の原告側が、九割以上の減額という、社会通念から見ても異常な、たたき売りのような低価格で売却した土地価格調査報告の提出を求めたものの、被告側の東京都の報告は、不動産鑑定士の名前を含めて、大部分が黒塗りにして隠し続けられている、そういう状況でした。原告側から、なぜ減額根拠を明らかにしないのかと、厳しい批判の声が上がっています。
 監査委員の、これまで以上の透明性の確保を求めるという意見に背を向けるような状況ではないかと思います。見逃せないというふうに思います。
 今後、住民訴訟は続くことになりますけれども、監査委員の意見があったわけですから、ぜひこの指摘をされた監査委員、監査事務局の立場からも、この問題を曖昧にしないで、厳しい監査を継続してほしいということを要望して、質問を終わります。

○藤井(と)委員 私からは、監査委員監査基準等についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 この監査委員監査基準でございますけれども、この事業概要に、十八条から成る条文として定められているところでございます。
 一方においては、平成二十八年度までは監査基準そのものがなかったというふうに聞いているところでありますけれども、これは、どのような経緯なり、どのような問題意識に基づいてつくられたというふうに認識をされているのか、まずお伺いをしたいと思います。

○池田監査担当部長 都では、昭和三十二年以来、監査委員の事務運営に関する大綱を定めることを目的として東京都監査委員事務運営要綱を定め、これを基準として監査を実施してまいりました。
 平成二十九年六月の地方自治法の改正により、地方公共団体に監査基準の策定が義務づけられましたが、都はこれに先立ち、平成二十八年十二月に、監査の適切かつ有効な実施を図るため、従来の運営要綱に、リスクを考慮した監査手法の実施や、指摘と意見、要望の定義を新たに加え、東京都監査委員監査基準に改めたものでございます。

○藤井(と)委員 ただいまの答弁ですと、これまで運営要綱であったものをブラッシュアップして監査基準に変わったというようなご答弁であろうかと思います。これはあくまでも要綱という話でございますので、条例よりは下になる概念になるのかなと思います。
 私、もともと監査法人の会計士もやってきまして、監査基準は、まさに監査の大もとのルール、原則中の原則でありますので、これはしっかりとした、監査をこれからやっていく上での大もとのルールとしてふさわしい、そういったものをぜひつくっていっていただきたい、充実をしていただきたいなと思うわけであります。
 次に、この監査委員の守秘義務についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 監査委員には、守秘義務というものがあろうかと思います。監査基準を拝見しますと、この守秘義務について言及をされている規定がないことに気づいたわけでありますけれども、なぜこれは規定がないのか、設けられていないのか、お伺いをしたいと思います。

○池田監査担当部長 地方自治法第百九十八条の三第二項に、監査委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと定められていることから、東京都監査委員監査基準には規定をしておりません。

○藤井(と)委員 私、これは、この監査基準の中に守秘義務も含めてしっかり、監査委員がどういう義務を負っているのか、責任があるのか、こういうところもぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
 民間の監査の監査基準ですと、監査委員の資格だとか責任、あるいは監査を行う上での実施方法だとか、あとは報告、それぞれ基準がつくられていまして、そういった基準にのっとってしっかり仕事をすれば、それは職業人として正当な注意を払ったというふうに判断されるということでもございますので、ぜひ今後、この守秘義務につきましても、監査基準の中にしっかり盛り込んでいただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 それに関連をいたしまして、いわゆる議選の監査委員さんの守秘義務についてお伺いをしてまいりたいと思いますけれども、監査上知り得た知識を他に漏らしてはならないというのは、議選も含めての監査委員の基本的な義務だというふうに思うわけでありますけれども、例えば、この監査上得た知識をもとに代表質問をするとか、あるいは決算で質問する、予算で質問する、委員会で質問するとか、そういったことというのは守秘義務違反になってしまうのか、それとも、その質疑というのは、そもそも別に、これは何も問題なく可能であるというふうに捉えていいのか、監査事務局のご見解を伺いたいと思います。

○池田監査担当部長 先ほど申し上げましたとおり、監査委員の守秘義務につきましては、地方自治法百九十八条の三第二項において、監査委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないことが規定されております。
 したがいまして、仮に、議選監査委員が監査委員として職務上知り得た秘密に該当する事項について議会で発言することがあれば、守秘義務に抵触する場合もあると考えられます。

○藤井(と)委員 議会で発言することがあれば、守秘義務に抵触する場合もあるということでございまして、その秘密が何を示すのか、具体的な規定がないというような状況だというふうに推察をいたしました。
 この守秘義務につきましては、当然、議選の監査委員をおりた後にもずっとついて回る話でもありますので、じゃ、何をもって守秘義務違反になるのかということについては、ぜひ今後、事務局としても明確にしていっていただきたいということをお願いしたい。我々も監査委員をおりても議員としては続くわけでもありますので、この議員活動を制限するようなことになってしまいますと、これは元も子もない話でありますので、この点はお願いをしたいと思います。
 次に、議選の監査委員さんの独立性についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 よく住民監査請求などで行われるものとして、政務活動費などが挙げられると思います。この政務活動費については、そもそもこれは監査の対象になるのか。本来は監査を受ける立場でありながら、みずから監査を行うことにもなるということでもございまして、これは、やや独立性という観点で疑義が生じかねないというような状況だと思います。
 何かこれ、監査対象として制限するなどの工夫などは行われていらっしゃるのでしょうか。

○池田監査担当部長 政務活動費も含め議会費の執行は、東京都の財務に関する事務の執行に含まれていることから、定例監査や決算審査等において監査の対象としております。
 一方、地方自治法第百九十九条の二におきまして、監査委員は、自己の一身上に関する事件または自己の従事する業務に直接の利害関係のある事件につきましては監査することができないと規定されております。
 したがいまして、監査委員は、こうした事項に該当する場合に限り、監査することはできないこととなっております。

○藤井(と)委員 政務活動費も含めて監査の対象という答弁でありました。
 一方においては、例えば住民監査請求などを受けて、会派に支給された政務活動費のうち、自身が支給をしているようなものについては、これは直接の利害関係があるということで、監査をする監査委員としては外れるというようなことだと思います。
 まさにこれ、例えば所属会派の他の議員が支出をしたものについては監査できてしまうというようなことでもありますので、独立性等々の問題も出てくると思いますので、これはぜひ、これから狭く解釈をしていただくことも必要なのかなと思いますので、ご検討いただきたいと思います。
 最後に、議選の義務づけの緩和についてお伺いをしてまいりたいと思いますけれども、平成二十九年の地方自治法の改正において、自治体の判断で議選の監査委員をなくすということが可能になったところであります。
 これは、基本的には議会が決めることだというふうに思うわけでありますけれども、先行事例としてどういったものがあるのか、あるいは、廃止をした議会においては、どのような考え方、問題意識に基づいてそのような決定をしたというふうに把握されているのか、もし状況がわかればお伺いをしたいと思います。

○池田監査担当部長 平成二十九年六月の地方自治法改正に向けた議論では、監査委員は、より独立性や専門性を発揮した監査を実施し、議会は、議会としての監視機能に特化すべきであるとの考え方もある一方で、議選監査委員がこれまで果たしてきた役割も評価され、改正法では、ただし書きで、各自治体は議選監査委員を選任しないこともできるとされたところでございます。
 法改正を受け、大阪府、滋賀県大津市及び愛知県大府市におきまして、監査委員と議会のチェック機能における役割分担を純化し、監査委員の独立性及び専門性を担保する等の趣旨から、議選監査委員を選任しないこととする条例改正を行ったものと把握しております。
 一方、都におきましては、監査委員の選任は知事が権限を有するものでございますが、議選監査委員は、議会経験等を通じて都の政策や実務に精通しており、また、都民の代表として都民目線でチェックを行うなど、監査委員として執行機関に対する牽制機能を十分に発揮していただいております。

○藤井(と)委員 今のご答弁ですと、三つの自治体で議選の監査委員を設けないということもできるというふうにしたということでございます。
 これは結局、監査委員として独立性や専門性を重視していくのか、それとも、議会経験を生かして監査してもらう、これが監査の充実につながるという点を重視していくのか、どちらを重視していくのかというところの価値判断が最終的には問題になってこようかと思います。
 先ほど他会派さんからもご指摘がありましたけれども、いわゆる豊洲市場の盛り土問題におきましても、結果として、監査事務局としては見抜けなかったというようなこともあって、議会は重要な意思決定機関でありますから、まさに執行の前提となることを決めていると。それを前提としながら、一方では、監査委員になってそれを監査するというようなことでございますので、ある意味、執行にかかわりながら監査もするということで、なかなか難しい問題もあろうかと思います。
 こういったことも、基本的には、これは知事の任命であり、議会が決めることだと思いますけれども、監査事務局としても、それを踏まえてさまざま、他の自治体はどんな事例があるのかということや、これまでやってきた議選の監査委員の有効な点だとか、あるいは問題点だとか、そういったこともしっかり整理をしていただいて準備していただきますようにお願いをしたいと思います。
 私からの質疑は以上でございます。ありがとうございました。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十三分散会

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