総務委員会速記録第十五号

平成三十年十一月二十二日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長小松 大祐君
副委員長馬場 信男君
副委員長藤井  一君
理事増田 一郎君
理事鈴木 章浩君
理事木村 基成君
古城まさお君
藤井あきら君
山内れい子君
藤井とものり君
奥澤 高広君
森口つかさ君
原 のり子君
中屋 文孝君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長遠藤 雅彦君
危機管理監小林  茂君
次長榎本 雅人君
理事情報通信企画部長事務取扱久原 京子君
理事箕輪 泰夫君
総務部長西山 智之君
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
池上 晶子君
調整担当部長小菅 政治君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
伊東みどり君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務小林 忠雄君
都政改革担当部長小笠原雄一君
都政改革担当部長豊田 義博君
情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務山田 則人君
情報政策担当部長沼田 文彦君
情報政策連携担当部長藤原 知朗君
人事部長栗岡 祥一君
労務担当部長木村 健治君
コンプライアンス推進部長主席監察員
政策法務担当部長訟務担当部長兼務
貫井 彩霧君
行政部長野間 達也君
都区制度担当部長浦崎 秀行君
総合防災部長有金 浩一君
防災計画担当部長西川 泰永君
防災対策担当部長和田 慎一君
物資調整担当部長大澤 洋一君
統計部長熊谷 克三君
人権部長仁田山芳範君

本日の会議に付した事件
総務局関係
事務事業について(質疑)

○小松委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした遠藤総務局長を紹介いたします。

○遠藤総務局長 総務局長の遠藤雅彦でございます。
 去る十月十六日の当委員会を、けがの療養のため欠席いたしました。大変ご迷惑をおかけしました。この場をおかりいたしまして、冒頭、おわびを申し上げます。
 それでは、一言ご挨拶を申し上げます。
 小松委員長を初め委員の皆様方には、日ごろから総務局の事務事業につきまして特段のご指導を賜り、まことにありがとうございます。
 当局の事務事業の適切かつ円滑な執行に当たりましては、今後とも、総務局職員一同、全力を挙げて取り組んでまいりますので、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、当局の理事者のうち、多摩島しょ振興担当部長で大島災害復興対策担当部長及び事業調整担当部長兼務の高崎秀之は、所用のため、本日の委員会を欠席させていただいております。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小松委員長 挨拶は終わりました。

○小松委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○西山総務部長 十月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は十七点ございます。
 一ページをごらんください。1、防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
 平成二十四年度から二十八年度の防災対策予算の執行状況を、主な事業別に掲げてございます。
 二ページをごらんください。2、都内区市町村における水害対応タイムラインの策定状況でございます。
 国管理河川または都管理河川について水害対応タイムラインを策定している区市町村数を記載してございます。
 三ページをごらんください。3、感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
 感震ブレーカーの都内の設置率や、設置支援制度を実施している区市町村数を掲げてございます。
 四ページをごらんください。4、平成二十九年度長時間労働面接対象者数でございます。
 長時間労働の面接対象者数について、平成二十九年度の実績を局別に分けて掲げてございます。
 五ページをごらんください。5、知事部局の障害者雇用率の推移でございます。
 知事部局の障害者雇用率について、平成二十五年から二十九年までの五年分の状況を掲げてございます。
 六ページをごらんください。6、監理団体における障害者雇用率の推移でございます。
 監理団体のうち、障害者の雇用の促進等に関する法律による雇用義務制度の適用団体の障害者雇用率について、平成二十五年から二十九年までの五年分の状況を記載してございます。
 七ページをごらんください。7、人権に関する相談件数の推移でございます。
 相談分野別に、平成二十五年度から二十九年度までの五年分の状況を記載してございます。
 八ページをごらんください。8、平成二十九年度に行った職員対象の人権に関する講演会のテーマ及び講師の一覧でございます。
 九ページをごらんください。9、同和対策事業の終了に伴い一般対策で実施している事業の一覧でございます。
 一〇ページをごらんください。10、同和問題に関する専門相談窓口の運営委託契約における入札経過調書及び仕様書でございます。
 一〇ページに入札情報サービスによる入札経過調書を、一一ページから二三ページにかけまして仕様書を記載してございます。
 二四ページをごらんください。11、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の相談件数の推移でございます。
 平成二十七年七月から開始した本事業の平成二十七年度から二十九年度までの三年分の実績を記載してございます。
 二五ページをごらんください。12、首都大学東京における授業料減免実績でございます。
 首都大学東京における授業料減免者数につきまして、平成二十六年度から三十年度までの五年分の実績を掲げてございます。
 二六ページをごらんください。13、都及び監理団体における非常勤職員等数の状況でございます。
 都及び監理団体における非常勤職員等数について、平成二十六年から三十年までの状況を掲げてございます。
 二七ページをごらんください。14、附属機関等の会議の公開状況でございます。
 附属機関等の会議の公開について、平成二十九年四月及び三十年四月の状況を掲げてございます。
 二八ページをごらんください。15、監理団体評議員会の状況でございます。
 二八ページから三六ページにかけまして、監理団体が設置している評議員会の状況を記載してございます。
 三七ページをごらんください。16、全庁横断の会議体や検討会の設置及び開催状況でございます。
 三七ページから三九ページにかけまして、当局が事務局となっております全庁横断の会議体や検討会につきまして、名称、開催目的、開催実績及び構成局を記載してございます。
 四〇ページをごらんください。17、専門家会議の設置及び開催状況でございます。
 専門家会議について、平成三十年四月一日現在の設置状況及び平成二十九年度の開催実績を掲げてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○奥澤委員 私からは、二〇二〇改革プランを初めとする行政改革の取り組みと人権啓発について質問させていただきます。
 まずは、二〇二〇改革プランについての質問です。
 二〇二〇改革プランの冒頭には、ダイバーシティー、セーフシティー、スマートシティーの三つのシティーから成る新しい東京を実現するためには、これまでの都の仕事のあり方を見直して、生産性を向上させるとともに、都庁の機能強化を図る必要がある旨の記載があります。
 少子高齢化を背景とするマンパワー不足という社会課題と、AIやロボットなどのテクノロジーの進化という社会の変化が組み合わさることで、ピンチをチャンスに変えていこうという意思を感じ取ることができています。
 国では、税の偏在是正措置についての議論がなされていまして、東京都の財政にゆとりがあるかのような論調を目にすることがあります。そのような論調に対抗するためにも、東京都がこれまで以上に無駄を排して、そして、全国的な社会課題の解決に資する施策を積み重ねていくんだという姿勢をしっかりと見せていく必要があると考えています。
 本プランをかけ声で終わらせずに着実に実現していくために重要なこと、それを一言でいえば、ワイズスペンディングと都民ファースト、この徹底によりまして、東京が日本の課題解決のトップランナーになるということをより具体的にイメージすること、そして、都庁全体が共有し、適切な目標設定に従って実行していくことであるというふうに考えております。
 本プランは、昨年の課題の抽出や解決策の検討を経て、現在は具体的に実行していく段階を迎えております。本プランをつくったことで満足することなく、スピード感を持って自律的に取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、そこで重要になるのが情報公開です。
 そこでお伺いします。二〇二〇改革プランの実行に当たっては、取り組み状況を情報公開しながら実効性を高めていくことが必要だと考えますが、取り組みについてお伺いしたいと思います。

○小笠原都政改革担当部長 昨年度から取り組みを開始した二〇二〇改革は、自律改革を柱としておりまして、各局が主体となって取り組みを進める手法をとっております。
 具体的には、改革の三原則である都民ファースト、情報公開、賢い支出に基づきまして、各局が所管する事業や制度を自律的に点検、評価いたしますとともに、改革の方向性を示し、実行していくこととしております。
 PDCAサイクルの運用に当たりましても、毎年度、各局が取り組み状況や目標の達成状況を自己点検した上で、公開の場である都政改革本部会議において進捗状況を検証してまいります。
 また、同じく公開の場である都政改革アドバイザリー会議におきましても、各分野の専門家から客観的な意見や助言をいただくこととしております。
 こうした取り組みを通じまして、二〇二〇改革のPDCAサイクルを有効に機能させ、実効性を高めてまいります。

○奥澤委員 さまざまな視点からチェックを行って、PDCAサイクルを回していくということであったかと思います。
 行政改革といいますと、削減目標などを設定して、量的な改善を図ろうという方向性に目が行きがちですけれども、本プランは、量の達成のみに主眼を置いていないということを私は評価しています。
 行政改革には時間がかかりますけれども、最も大切なのは、都庁で働く皆様の意識改革であります。二十年、三十年先を見据えた本質的な改革に向けて、一丸となって取り組まれますよう、お願いをしておきます。
 続いて、二〇二〇改革における仕事改革についてお伺いしたいと思います。
 都庁の仕事を見詰め直すことにより、意識改革、働き方改革、業務改革に取り組んで、都庁の生産性の向上と職員のライフワークバランスの実現を目指すというふうに書いてあります。
 この目標に対しては共感するところではありますが、当然ながら、都民サービスの質を低下させないということを前提にしなければなりませんし、その肝となるのはテクノロジーの活用であるというふうに考えております。
 例えばですが、つくば市では、昨年、RPA、ロボティック・プロセス・オートメーションを活用した定型的で膨大な業務プロセスの自動化について研究を行い、対象業務については八割の時間短縮という結果を得ているそうです。
 また、さいたま市では、認可保育施設の入所希望者を市内約三百施設に割り振る業務があって、AIを活用する実験を行ったところ、職員の手作業だと約五十時間かかっていた作業がわずか数秒で終わったということです。
 東京都においても、業務効率化に向けたRPAやAIの活用を進めるべきというふうに考えておりますが、取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都におきましては、従来より、外部委託等によりまして業務の効率化を図ってまいりましたが、さらなる効率化の推進、都民サービスの向上のため、昨年度末に取りまとめた総務事務改革の工程表において、RPAやAIを活用していくこととしてございます。
 特にRPAにつきましては、定型的、反復的な業務について活用の余地があり、現在、都庁の職場をフィールドとして、公募により選定いたしました民間事業者の協力を得て実証実験を進めてございます。
 今後、実証実験の成果報告などを踏まえて、業務プロセスの改善や費用対効果などを検証してまいります。
 都庁BPR、業務の改革の推進に向けまして、積極的にRPAやAIなど最新のテクノロジーの活用を図ってまいります。

○奥澤委員 工程表を見させていただきました。本年度中に検証を行い、来年度から順次活用を拡大するということですので、エビデンスに基づいた積極的な活用を進められることを期待しております。
 この分野に関しては、また後ほど、藤井あきら議員の方からもかなり深掘りもあるのかなと思いますので、そちらにも期待したいなと思っています。
 意識改革、働き方改革、業務改革ということで三位一体での改革が求められている、そんな状況かなと思うんですけれども、何といっても職員の皆様の意識改革、これがまず最重要なところだというふうに私は考えております。
 これまで事務処理に追われていた時間を都民と向き合う時間、つまり創造的で挑戦をしていくような、そういった取り組みへと変えていっていただきたいというふうに期待をしています。
 テクノロジーの活用とあわせて、業務効率化に資するものとして総務事務センターの設置にも期待をしています。
 民間企業では当たり前といえば当たり前なんですけれども、各部各課の事務担当者が行っている書類の確認あるいはシステム入力、そういった事務的な処理を集約することで、業務負担の実質的な軽減を図る狙いがあるというふうに聞いております。
 まずは給与・旅費、人事、共済、福利厚生の四カテゴリーを対象に進めるというふうに伺っておりますけれども、導入に当たっては、短期的な視点に偏ることなく、資金面、コストと、庁内の業務改善あるいは職員の皆様の意識変化という、なかなか目に見えにくい成果をてんびんにかける、そういったことが出てくるということになると思います。なかなか難しい比較になりますけれども、都民目線、これを忘れずに、都民の皆様からご理解、ご納得いただけるような方法をとっていただきたいというふうに思います。
 そこで、お伺いをしたいと思います。総務事務センターの設置に向けた検討状況、それとあわせて、その目指す方向性、改革の意義について見解をお伺いしたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今後、社会全体の人手不足により、都におきましても人材の確保がより困難になると予想される中、将来にわたりまして安定的に都民サービスを提供していくためには、内部管理的業務であります総務事務をダウンサイズし、そのマンパワーを都民向けのサービスや事業の企画立案等に振り向けていくことが不可欠でございます。
 そのため、総務事務改革に取り組んでおりまして、その中核として、新たに、仮称でございますが、総務事務センターという集中処理組織の設置を検討してございます。
 現在、二〇二〇年度中の設置を目指して、集約する事務や設置運営コストを初めといたします諸課題の整理を進めてございます。
 このセンターの効果として、ICT技術の導入効果を含めた集約処理によりますスケールメリットのほか、定型的な事務を解消することを通じた生産性の向上、長時間労働の解消によります職員の安全衛生の改善などを見込んでございます。
 センター設置により創出いたしました時間を、都政の各現場に立つ職員が都民や事業者へのサービスの充実などに活用できますよう、鋭意検討を行ってまいります。

○奥澤委員 業務効率化によって創出された時間を都民のために充てていくという決意を感じ取ることができました。
 行政改革といいますと、職員の数を減らしたり、あるいは給与を下げたりといった、コストカット的な側面に目が行きがちです。これは政治家にも同じことがいえるのかもしれませんけれども、要は、都民からの不信感のあらわれなんだというふうに私は思っています。
 二〇二〇改革を皮切りに不断の改善を続けまして、都民の皆様から信頼される都政へと歩みを進めていただきますよう要望しておきます。
 ここで、去る十一月十九日に開催されました都政改革本部会議の議題の一つになっておりました政策評価の導入について、一点、触れておきたいと思います。
 二〇二〇改革プランでは、各局の取り組みを見える化するところから、その取り組みが始まっておりますけれども、見える化、情報公開のレベルも三段階書かれております。
 その最上位のレベル三におきましては、情報を広く発信し、多方面から比較、評価されることにより、PDCAサイクルに基づいた政策や事業の自律的、継続的な改善を図るとあります。政策や事業の自律的、継続的な改善、これはスクラップ・アンド・ビルドの必要性を説いているのだというふうに理解しています。
 昨年度の事業評価においては、エビデンスベースによる評価を実施して、六百七十六件の見直し、再構築、約八百七十億円の財源確保へとつなげ、四百七件の新規事業立ち上げが実現をしました。
 政策評価を導入し、成果目標に対する政策の有効性、効率性を評価していくとのことですから、より具体的で客観的な指標を用いていただきまして、エピソードベースからエビデンスベースへと転換していただきますことを要望しておきます。
 また、国においては、EBPMの取り組みを強化する方針が示されています。EBPMとは、エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、証拠に基づく政策立案のことで、その場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化した上で合理的根拠に基づく政策を企画することです。
 政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用したEBPMの推進は、政策の有効性を高め、行政に対する都民の信頼を高めることにつながります。各局が政策立案段階から政策評価を強く意識することを、統計と行政改革を担っている総務局がイニシアチブをとっていただきたいというふうに私からは要望しておきます。
 質問に戻らせていただきます。
 繰り返しになりますけれども、何より重要なのは意識改革、つまり人の力です。
 人が成長する三要素として、意識、行動、環境が挙げられますが、特に環境という面で、人事交流は大切にすべきものだというふうに考えております。
 特に若手職員の皆様には、行政の中ではなかなか得にくい多様な経験を積んでほしいというふうに考えておりまして、とりわけ、NPO等の民間団体において社会課題の解決に取り組む現場との交流をすべきではないかというふうに考えております。
 今年度の民間への職員派遣実績と課題についてお伺いをします。

○栗岡人事部長 民間企業への職員派遣の実績でございますが、本年七月一日現在で十五名の職員を派遣してございます。これは、職員一万人当たりに換算しますと四名でございまして、他の道府県平均の十八名に比べますと、約二割と低い水準にとどまってございます。
 都はこれまで、国や民間団体と伍して政策論争でき、都庁内外に影響力のある幹部職員を育成するため、民間企業への職員派遣は、早期に選抜された若手管理職候補を中心に行ってまいりました。
 一方で、都市課題の高度化や急速な技術革新は加速度を増してございまして、各行政分野、職務分野に強みを持つ人材の育成にも、より力を入れていくことが必要だと考えてございます。
 こうした考えのもと、今後、最先端の知見や技術、庁外とのネットワークを都政の課題解決に結びつけていくため、若手を初め多くの職員に派遣機会を付与していく必要があるというふうに認識してございます。

○奥澤委員 まず、冒頭のところのご答弁で、民間への職員派遣の機会が、他と比較した場合に低調であるという認識、それから、今後は、若手を含め、より多くの職員に機会を用意していこうというようなお話があったかと思います。
 一昔前といういい方でいいのかわからないんですけれども、政治とか行政がつくり出した枠組み、ルールとか、その中で民間企業や団体が活動していくという流れがこれまでの日本の流れだったと思うんですけれども、今は、民間や企業の方が、むしろ社会をリードしている。その中で生まれてきた困り事なんかを見ながら、行政、政治がルールをつくっていくというような、そういった流れに少しずつ変わってきているんじゃないかなというふうに私は思っています。
 高度な都市課題という話がありましたけれども、それとじかに接して、解決のための多様な手法を学ぶ機会を得ること、これは必要不可欠だというふうに思っています。ぜひ民間との積極的な人事交流を図っていただきたいと思っております。
 そのような中、本年七月、二〇二〇改革プランに基づく人事交流指針を新たに策定したところでございますが、戦略的な人材育成に向けた明確な意図を持って、対象となる職員や派遣先を選定いただきたいというふうに考えております。
 先ほどのご答弁いただいた課題も踏まえまして、今後の人事交流に関する方向性についてお伺いしたいと思います。

○栗岡人事部長 本年七月に策定しました東京都人事交流指針は、民間企業を初めとする他団体への派遣等を通じて得られる知見や経験を今後の都職員の人材育成の重要な要素として位置づけまして、人事交流を推進していく基本的な方向性を指し示すものでございます。
 今後、多くの職員に派遣機会を付与することで、若手職員の育成や各局の事業を担う中堅職員の専門性の向上を図るとともに、国内のみならず海外の機関も含め、多種多様な団体と交流することで、都庁組織全体の活性化を促進してまいります。
 職員派遣を行うに当たりましては、施策の課題や展望を踏まえた上で、事業遂行に資する能力、知見、人脈が獲得できるよう、派遣する団体、対象となる職員を選定していくことが重要でございまして、毎年度、各局が主体となって人事交流計画を策定し、計画的な人材育成を推進してまいります。

○奥澤委員 若手職員や中堅職員の皆様など多種多様な方々が、多種多様な団体との交流の機会を図っていく、そういった前向きなご答弁があったのかなというふうに私は捉えました。
 ここで、経営手法の一つであるナレッジマネジメントについて触れておきたいと思います。
 ナレッジマネジメントとは、個人の持つナレッジ、データ、情報、知識、知恵を組織全体で共有し、活用することで組織全体の業績を上げようというものですけれども、ナレッジには、主に文章や図表、数式などによって説明、表現のしやすい形式知と、経験や勘に基づく知識、言葉などで表現が難しい暗黙知があります。特に日本は暗黙知がすごく強い企業文化というか、あるなというふうに感じておるんですけれども、職人の技術のようなものですね、伝承が困難だというふうにいわれています。
 これは私の聞くところですけれども、行政という職場においても、暗黙知、つまり先輩の背中を見て覚えなさいというような仕事の仕方がある、風潮があるということを聞いています。行政というのは、人ではなくて、システムが継続してつくられていかないといけない、そういった仕事だというふうにも認識しておりまして、この暗黙知、人の知恵や経験、こういったものをいかにして組織として積み上げていくのかということを大事にしなければいけないというふうにも考えています。
 人事交流において、個人の体験を組織の経験へとつなげていただいて、個人の成長が組織の成長に直結していくこと、そういったことを目指したマネジメントに取り組まれますことも要望しておきます。
 続いて、もう一つ、人の成長に視点を当てた取り組みを伺いたいと思います。
 人は、取り組みを評価されることで意欲を高める生き物であるというふうに私は思います。信賞必罰、正当な評価による喜びもあれば悔しさもありますが、それが次の行動意欲をかき立てるものだというふうに捉えています。
 もちろん、抜本的な人事評価の改革、そういったことも必要な時期かもしれませんけれども、今できることを考えますと、職員表彰制度というのは、実は上手に活用すべきものなんじゃないかなというふうに思っています。
 通常の業務における創意工夫、あるいは、ひたむきな姿が評価されるということは、これは素直にうれしいことですし、どのような姿勢が求められているのかということを全体に知ってもらうという意味でも、有意義なものだというふうに考えています。
 そこでお伺いします。昨年度の職員表彰、とりわけ業務改革部門ではどのような取り組みがあったのか、お伺いしたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都におきましては、以前より、職員の自主的な改革、改善への取り組みや提案を酌み上げまして都政に生かしていくさまざまな仕組みがございます。
 その中で、代表的な制度であります東京都職員表彰は、他の模範とすることができると認められる職員を毎年知事が表彰する制度でございます。そのうち、特に都民サービスに関する改善または公務能率の向上に関して著しい貢献のあったものを業務改革部門として表彰してございます。
 例年、数百件に及びます応募がございまして、昨年度は六百十六件の応募の中から、QRコードを使いました地下鉄の車両ドアとホームドアの連動開閉システムの開発や、外国人納税者に対応するための英語指さし会話シートの開発など、現場の実務に根差した取り組みを八件表彰いたしました。
 今後も、こうした現場からの発想を大切にいたしまして、職員の改革意欲を醸成してまいりたいと考えてございます。

○奥澤委員 今のQRコードを使った車両ドアとホームドアの連動開閉システムの開発なんていうのは、本当にすばらしいものだなというふうに思います。それをやろうと思ったから出てきたんじゃなくて、本当にふだんの実務を一生懸命やった結果、出てきたもの、それが評価されるというのは、皆さんのモチベーションの向上にもつながるんじゃないかなというふうに推察します。
 また、昨年からは職員による事業提案制度も始まりました。職員の皆様ならではの気づきを政策として形にできること、こういった個々の知識とかアイデアでよりよい都政が築かれていく、そういった機運を高めていっていただきたい、風土をつくっていただきたいというふうに思っております。
 続いて、監理団体の戦略的活用についてお伺いします。
 二〇二〇改革プランの中で、私は正直驚きました。一部の報道なんかですと、天下りの温床とまでいわれていた監理団体を戦略的に活用しようという記載があったというところに驚いたわけですけれども、例えば大阪市では、橋下徹元市長が始めたというか、強く進めたというふうに私は認識しているんですけれども、その改革で、外郭団体を削減する方向というのが強く示されていて、昨年度末時点で二十七存在する外郭団体のうち、今後も活用していく団体はわずか九団体しかないという、そのほかは何らかの見直しを図るという見通しが示されているところです。
 東京都においては、外郭団体の一つである監理団体を活用する方針とのことですから、そういった、都民の皆様からいったら、少し悪いイメージがあるような監理団体なわけですから、都民の皆様にしっかりと改革の成果を伝えていかなければいけないというふうに思います。
 監理団体の常勤役員に占める都の関係者の割合など、具体的な数値目標を上げているものもありますし、先ほど提出された資料の中でも、障害者雇用率の推移を見ると、なかなか厳しい数字も出ているなというところもあります。
 今後も注視をしていかなければいけないということを、改めて私の方でも確認した次第ですけれども、監理団体の戦略的活用に向けて、総務局の取り組みと、これまでの取り組みによる成果について伺っておきたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体は、都が掲げます政策実現の担い手として不可欠な存在でございまして、さらなる施策の推進に当たりましては、監理団体を含めた都庁グループ全体の機能強化が必要でございます。
 こうした認識のもと、監理団体、所管局、総務局の三者が今後進めていくべき十の取り組みについて改革の実施方針として取りまとめ、達成目標とともに、二〇二〇改革プランに反映いたしたところでございます。
 具体的には、この方針に基づきまして、監理団体経営改革プランを初め、団体に派遣されます都職員の派遣方針の策定を行うとともに、現在、団体活用のあり方や団体常勤役員に占めます都関係者の割合、指導監督事項の見直しなどに向け、精力的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、都庁グループ全体の生産性と都民サービスのさらなる向上を目指しまして、同方針で掲げます取り組みを着実かつスピード感を持って推進してまいります。

○奥澤委員 二〇二〇改革プランに基づいて具体的な取り組みを推進している最中であるということであるかと思います。
 今後、監理団体活用戦略の策定に向けて、鋭意検討を進めているということも伺っておりますので、そういった、都民の皆様からどういうふうに見られているかということもしっかりと意識した上で進めていただきたいというふうに思います。
 改革というと、これはゴールがないものですから、自律的に、継続的に進めていかなければなりません。そのためには情報公開、つまり成果の見える化が必要です。都民の皆様の信頼を得るとともに、民間のノウハウを組み入れることができる、そんな情報公開のあり方を模索していただきたいというふうに考えています。
 そこでお伺いします。今後も改革を続けていくためには、内外からのチェックは必要であるというふうに考えておりますけれども、見解をお伺いします。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体改革を推し進めていくためには、団体の経営改革、局による団体活用の将来戦略、そして、都による最適なガバナンスのあり方など、改革の実施方針に掲げます取り組みの進捗を適切に管理し、都民にもお示ししていくことが重要でございます。
 そのため、昨年度から、改革の一環といたしまして、団体による経営目標の設定や、都が団体評価を行うに当たりまして、外部有識者から意見聴取する仕組みを導入いたしました。各委員からいただきました幅広い視点からの改革に向けた貴重な意見は、適宜、情報公開を行いますとともに、さらなる改革に生かすなど、PDCAサイクルの充実などを図ってございます。
 今後ともこうした仕組みを活用いたしますとともに、毎年度、都政改革本部会議を通じて都民に進捗状況をお示ししながら改革を積極的に推し進め、都庁グループの機能強化を図ってまいります。

○奥澤委員 外部有識者からの意見聴取ということですから、厳しい意見も出てくることと思います。こういった意見を、内側の論理、我々は頑張っているからいいじゃないかと、そういったようなことで絶対片づけてはいけなくて、どうしたら解決できるのかと、常に前向きで真摯な改善を図っていただきますようお願いしておきます。
 ここで、私から一点、指摘といいますか、要望しておきます。
 監理団体の一つになるかと思いますけれども、人権啓発センターは東京都人権プラザを運営しておるわけですけれども、東京都人権プラザは昨年から港区に場所を移して、東京都人権施策推進指針に基づいた、あらゆる種類の差別解消を目指す人権啓発の拠点となっています。
 私も足を運ばせていただきましたけれども、車椅子の体験やクイズ、パネル展示、あるいは当事者の声を聞くコーナーなど、さまざまな工夫がなされておりました。また、受付のテーブルが、車椅子の方向けに低いテーブルになっていたりして、配慮も見受けられました。
 しかし、残念なことは、人権プラザを運営するに当たって、障害者雇用を行っていないというふうに聞いています。団体の要件が、人数要件とか、法定雇用の枠に入らないということで聞いてはいるんですけれども、人権啓発の拠点として、障害のある方もない方も一緒に働く職場であってほしいというふうに感じました。
 特に、先日の第三定例会でも、知事の方から、代表質問で、ソーシャルファームの考えに基づいたということで、今、就労に困難を抱える方々が一緒に活躍できる場をつくろうじゃないかと、そういうような意思も示されたところでありますので、この人権プラザというのは、働く場所としても誰もが働きやすい職場、その発信をできるような、そんな場所になってほしいというふうに思っている次第です。
 障害のある方ならではの視点からの啓発あるいは配慮というのが特に有益で、これはかけがえのないものであるということをぜひ理解していただきたいなと思います。
 人権プラザが、そもそもどんな場所で、何を目指しているのかということを捉え直していただいて、戦略的な採用、職場づくりを心がけていただくことを強く要望しておきます。ソーシャルインクルージョンを体現する場所となることを願っております。
 最後に、人権啓発の取り組みについて質問したいと思います。
 第三回定例会では、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が成立して、二〇二〇東京大会のレガシーの一つとして、人権尊重都市東京を目指していく方向性が示されたものと理解をしています。
 しかしながら、人権啓発は、何がどのように都民の皆様の心に響いたのかを定量的にはかることが難しく、職員の皆様が常に工夫を重ねなければいけない、そんな分野だというふうに思います。
 人権啓発に関して、去る十一月六日、ヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一八の新宿会場に足を運びました。トークショーやパネル展示、義足体験あるいはボッチャ体験が行われておりましたので、私も参加をさせていただきました。
 特に義足体験においては、障害者スポーツから人権を考えるという切り口であったかとは思いますけれども、パラアスリートの皆さんのすごさがわかりました。二、三分体験しただけですけれども、次の日、腰とお尻と太ももあたりが痛くて、こんな中で四百メートルを走ったりだとか、あんなスピードでやっているんだということ、もうそれだけで、ますますパラリンピックを見たいなというふうに思いました。こういった機会をぜひどんどんつくってほしいなというふうに思っています。
 また、パラリンピックチップスなるものが配布をされていまして、私はハートをがっちりつかまれてしまいました。ポイントは、パラリンピアンカードというのが二枚入っているんですけど、私は世代的に、プロ野球チップスとかビックリマンチョコとか、カードを集めてこう、そういう世代だったので、これはほかにどんな種類のものがあるんだろう、全部で何種類あって、コンプリートするとどんな楽しいのが待っているんだろうとか、ちょっと勝手に想像を膨らませてしまいました。そういった切り口、いろんな切り口から取り組むことが重要なんじゃないかなというふうに思います。
 また、先日、みみカレッジという、聴覚障害のある方々と、あるいは、その支援者団体の方々が主催するイベントに参加したんですけれども、ここでは、首都大学東京の学生が登壇して、聴覚障害の方々のノートをとったりする支援員というのをやっている方なんですけれども、なぜ支援員を始めたのかというような体験談を話してくれました。
 もともとは有償ボランティアで、学校の空き時間を使えるから、特に有償であるということに引かれたそうなんですね。その方は、髪の毛もピンクの髪の毛で、なかなか普通のバイトができなかったそうなんですね。だけど、学校の生活の一部を使って人の役に立って、しかもお金までもらえるなんていうことで、こんないいのはないじゃないかと手を挙げたそうです。
 有償であるということに引かれたということをいうと、人によっては、不純な動機じゃないかというふうに考える人がいるそうなんですね。要は、お金をもらってボランティアはするものじゃないというようにいう人がいるそうです。
 私は全くそういうふうに思わなくて、その学生さんもおっしゃっているんですけど、最初は障害に対する理解というのは全くなかったそうです。障害者といっても、自分の近くにはいなかったし、私の知らない遠くにいる人たちと思っていたそうなんですね。でも、今、支援員を始めてみて、その隣で支援している聴覚障害の方と本当にすごく大事な友人になったし、一緒にいることが当たり前になりましたと。この支援員としての時間は、大学生活を彩る本当に大切な要素になっているんだなということを感じた次第です。
 何がいいたいかというと、とにかく、人権というふうにいうと、難しいというか、取っつきにくいようなところがどうしてもあるんですね、皆さん。ただ、切り口とか入り口というのは無限に存在するわけですから、そこをとにかく広げていただきたいというふうに思っています。
 来月の十二月八、九、二日間、有楽町の東京国際フォーラム会場において、ヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一八が、第二弾という形ですかね、メーン会場といったらいいですかね、開催されるというふうに伺っております。より多くの都民の皆様に興味を持っていただけるように、多種多様な内容も用意していると伺っております。
 本イベントは、ことしが四回目ということですけれども、関係者だけが集まったりだとか、あるいは毎年同じ人が来るようなイベントにしてはいけないということも一ついえると思います。
 そのために、多様な主体と連携した取り組みが大変重要だというふうに考えますけれども、ヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一八においてはどのような連携の工夫をしているのか、見解を伺います。

○仁田山人権部長 ヒューマンライツ・フェスタ東京は、若い世代から高齢者まで、幅広い層の都民の方々が人権の大切さについて考え、理解を深める場として、人権課題の当事者やその支援団体など多様な主体と連携を図りながら、事業内容を工夫していくことが重要であると考えております。
 今回のヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一八では、パラリンピアンをお招きした講演の開催、大学のゼミと企業との協働による多文化共生プレゼンコンテストや、当事者による歌やダンスなどのパフォーマンスである、みんなをつなぐコンサートを実施いたします。
 また、支援団体の協力により、パラリンピック競技の体験会や、車椅子に乗ったまま着物が着られる体験会など、多彩な事業を展開してまいります。
 今後も、多様な主体とのさらなる連携を進め、効果的な事業の実施に努めてまいります。

○奥澤委員 多様な主体とのさらなる連携という言葉がありました。ことしのイベントでは、大学と企業のコラボレーションがあるということで大変期待をしています。
 ダイバーシティーとは、多様な主体がまざり合って、お互いを理解し、認め合い、そして支え合う社会であるというふうに私は考えています。大学と企業という異なる主体が交わることで生まれる社会の変化、人々の変化を大切にしていただきたいですし、来年度以降に生かしていただきたいというふうに考えております。
 まずは、十二月のヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一八を成功に導いていただきますよう、期待と願いを込めまして、質問を終わりたいと思います。

○古城委員 我が党の呼びかけに対しまして、知事も軌を一にしていると応じているとおり、国連が掲げる持続可能な開発目標、SDGsの理念のもと、誰ひとり取り残さない持続可能な社会を目指し、世界をリードする持続可能な都市東京を構築するために、より一層取り組みを強化していくべきと考えております。
 遠藤局長におかれましては、政策企画局長時代に、我が党の谷村議員、また、斉藤やすひろ議員と、このSDGsについて大変議論を深めてこられたかと思います。ぜひともこういう視点を踏まえまして、きょうは総務局の皆さんと、総務局関係の事務事業に関連して、防災対策、危機管理、人権施策、障害者雇用、島しょ振興などについて質問をしてまいります。
 初めに、防災対策について質問します。
 我が党は、議会での議論を通じ、防災、減災対策として、災害からの社会の回復力、レジリエンスの重要性を強調してまいりました。
 SDGsでは、包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現することとともに、気候関連災害や自然災害に対する強靭性及び適応の能力を強化することが示されています。
 地球温暖化に伴う影響が懸念される昨今、想定を超える自然災害に備えるためには、ハード対策だけでは限界があり、ソフト対策も強化する必要があります。
 ことしの夏は、全国各地で大雨、洪水、高潮などが相次いで発生し、甚大な被害をもたらしましたが、中でも七月の西日本豪雨は、十一の府県が広範囲にわたって災害救助法が適用されるという、近年まれに見る甚大な被害をもたらしました。
 この災害では、ハザードマップで想定されていた地域で浸水が発生したにもかかわらず、避難行動を起こした住民は少なく、多くは自宅に残ったまま被災をされております。住民にハザードマップが知らされていないことや、避難指示、警報の伝達方法に課題があったことも指摘されています。
 平時から自治体によりハザードマップが公表され、かつ避難指示等が出されていたにもかかわらず、実際には避難できなかった住民の方も多いということは、行政が広報活動を行うだけでは不十分であり、住民みずからの意思で適切なタイミングで避難を開始することが重要であることがわかります。
 そのため、国は、我が党の要請に応えて、いわゆるマイタイムラインの呼びかけを始めています。これは、住民一人一人が自分自身の生活環境や家族構成に合った、みずからの行動計画を時系列で定めるオリジナルのタイムラインづくりを進めようというもので、都議会公明党は、第三回定例会の代表質問で、この取り組みの推進を訴えたところでございます。
 都は、都民の皆様の適切かつ迅速な避難行動に有効である、このマイタイムラインの作成支援を進めることを明らかにしています。
 そこで、子供たちも興味を持ち、家族と一緒に作成できるような工夫を加えるなど、都民に広く普及するような取り組みを進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○西川防災計画担当部長 水害の発生時におきまして逃げおくれることのないようにするためには、都民の一人一人が、今お話もありましたように、家族構成や地域が抱える防災上のリスクなど、みずからを取り巻く環境を踏まえまして、避難の準備を皮切りとして、適切な避難タイミングで正しく行動していくことが不可欠でございます。
 そのためには、一人一人が災害発生までの防災行動を時系列に沿って整理するマイタイムラインをみずからの手で作成しておくことが有効でございます。このため、防災事業の緊急総点検におきまして、マイタイムラインを普及させるためのツールづくりを進めることといたしました。
 今後、避難行動や防災教育などの専門家の意見も反映させまして、幅広い世代、中でも、とりわけ子供が水害リスクを学びつつ、みずから考え、さらには家族と話し合いながらマイタイムラインを作成できるような都独自のツールを開発いたしまして、区市町村や関係機関とも連携を図りつつ、広く都民に提供してまいります。

○古城委員 次に、これまで我が党が一貫して推進してきた災害時の帰宅困難者対策について質問します。
 本年六月に発生した大阪府北部地震は、発災時刻が朝の通勤時間帯であったことから、多くの通勤者が出勤の判断に苦慮し、混乱が発生しました。
 第三回定例会の我が党の代表質問に対して、榎本次長から、大規模地震がどのような時間帯に発生しても、行政、企業や都民が一体となって帰宅困難者対策を進めていくことが重要との見解が示されております。
 この帰宅困難者対策の中でも、首都直下地震など東京が被災地域となる災害が発生した際に、多くの人が滞留することが想定されるターミナル駅における混乱防止対策をより一層進めるべきと考えます。
 そこで、都はどのように対策を進めているのか、見解を求めます。

○和田防災対策担当部長 大地震が発生した場合、交通機関の停止により、ターミナル駅周辺は多くの帰宅困難者で混乱するおそれがございます。
 都は、区市と共同して、駅周辺の鉄道事業者や大規模集客施設などを構成員とする駅前滞留者対策協議会を設立し、地域が一体となって混乱防止対策に臨む体制づくりの取り組みを進めてまいりました。
 これまでに、都内に四十六の協議会が設立され、駅ごとの混乱防止のためのルールを策定し、地域に応じた対策を実施しております。

○古城委員 ターミナル駅周辺地域が一体となって駅前滞留者対策協議会の活動に取り組み、混乱防止対策を図ることは、帰宅困難者対策を進める上で大変重要であると考えます。都は、地元自治体と緊密に連携を図りながら、協議会の運営支援など、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、都内には多くのターミナル駅が存在しており、その地域特性は多種多様です。各駅前滞留者対策協議会では、地域特性に応じた対策を講じていくべきであります。
 私の地元である新宿区の中心駅、新宿駅は、JRを初め地下鉄や私鉄など複数の路線が乗り入れる、世界でも類を見ない大規模ターミナル駅であり、周辺エリアは都内最大の事業所数を誇り、訪都外国人の約六割が訪問する、大変来街者が多いまちでもございます。
 西口だけでも、駅直近の地区は、多くの飲食店、小売店が立地をする場所、多くの来街者でにぎわっています。また、この都庁を含む超高層ビル群においては、三十棟以上のビル群が林立をしておりまして、朝夕のラッシュ時には多くの在勤者、在学者が通行しています。
 一方で、東口側は、歌舞伎町や新宿三丁目を中心として、飲食店、小売店、百貨店、映画館、こういった大規模な集客施設が立地している。
 こういう状況の中で、もし仮に大規模地震が発生をした際には、西口の駅直近地区と、それから東口においては、特定の組織、会社や大学等に属さない来街者が、行き場のない滞留者、帰宅困難者になることが想定をされています。また、この西口、都庁を含むビジネス街においては、組織に属する在勤者、在学者が、これらの拠点にとどまることが期待、また想定をされているところでございます。
 そこで、こうした特性を踏まえて新宿駅周辺の混乱防止対策を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○和田防災対策担当部長 新宿駅周辺防災対策協議会は、鉄道事業者を初め、周辺の大型商業施設やホテル、また、周辺の複数の商店街振興組合や超高層ビルを所有する企業や大学など、百を超える団体などにより構成されております。
 協議会では、従業員などが発災時に安全にとどまるために必要な備蓄品の確保や帰宅困難者の誘導など、事業者みずからがとるべき行動を新宿ルールとして定め、取り組みを推進しております。特に、新宿ならでは防災というキャッチフレーズのもと、協議会として避難行動のルール化を図り、ポスターや動画などを通じて、広く来街者や関係者にわかりやすい普及啓発活動を展開しております。
 これらの取り組みは、地域全体で帰宅困難者対策に取り組む上で大変有意義であると考えておりまして、引き続き、地元区と連携しながら、協議会の運営の支援を推進してまいります。

○古城委員 関連して、地域の防災活動について質問をいたします。
 今の答弁の中でも、組織としての自助、組織としての共助、これは個々人ではなく、組織としての自助、共助についてお示しをいただいたと私は理解しておりますけれども、東日本大震災では、自治体組織が甚大な被害を受け、公助が十分に機能しなかった中で、地域住民による自助、共助の大きな活躍がクローズアップされました。
 阪神・淡路大震災でも、倒壊した家屋の瓦れきの下から救出された人のうち、約八割が家族や近所の方々による救出であったとの報告からも、発災時における自助、共助の重要性はいうまでもありません。
 例えば、平日の昼間に災害が発生した場合は、その場にいる人同士が助け合わなければならないことから、町会だけでなく、地域のさまざまな団体が連携して災害に備えることが、地域住民、そして来街者一人一人の防災力を高め、地域全体の防災力を強化することにつながると考えます。
 私の地元新宿区において、東京二〇二〇大会のメーン会場となる新国立競技場、オリンピックスタジアムの玄関口である信濃町駅周辺地域では、災害時に地域で相互応援を行えるよう、町会を中心に商店振興会や地域内の事業所、鉄道駅、災害拠点病院が、四谷消防署、四谷消防団、そして防災区民組織と連携、協力し実施する防火防災訓練、信濃町防災コミュニティを実施しています。ことしで十九回を数え、事業所、駅、病院が持ち回りで会場を提供し、毎年、会場に応じた訓練を行っています。私も先日参加してきましたが、地域が一体となって、防災意識、共助意識を発揮された臨場感あふれる訓練を拝見し、大変心強く感じました。
 しかしながら、こうした防災の取り組みは、必ずしも都内全域で活発に行われているとはいえません。
 そこで、今ご紹介した信濃町防災コミュニティのように、地域住民や地域のさまざまな団体が連携して行う地域防災の取り組みを広く都民の皆様に周知していくべきと考えますが、見解を求めます。

○和田防災対策担当部長 地域の防災力を高めるためには、地域住民に加え、地域に所在する事業所や学校など、さまざまな主体が連携して行う共助の取り組みの推進が欠かせません。
 都では、昨年度、社会福祉法人と自治会による災害時応援協定の締結や安否確認訓練への中学生の参加など、町会、自治会が他の地域団体と連携して取り組んだ成功事例を掲載したサポートガイドを作成し、区市町村などへ配布するとともに、ホームページに掲載をしております。
 今後とも、ホームページを通じた周知や都民向けセミナーなどの機会を通じて、さまざまな主体が連携して行う、すぐれた防災活動の取り組みを広く紹介することで、地域の防災力向上につなげてまいります。

○古城委員 信濃町防災コミュニティにおいて一日消防署長を務めた地元の町会長さんは、ピンク色の冊子を手にとり、参加者に示しながら、この「東京くらし防災」を活用して、日ごろから防災意識を高めてほしい旨の講評を最後に述べられました。
 この我が党の提案を受けて作成されました「東京くらし防災」は、日々の暮らしの中でできる防災という発想でつくられており、女性の防災への参画を進め、都民の皆様の一層きめ細かな災害への備えを促進するものとして非常に有効なものであることから、多くの都民の皆様に幅広く周知をしていくことが重要であると考えます。
 また、都民の皆様お一人お一人に、自分のこと、我が事として実践していただくことはもちろん、地域のさまざまな団体においても共有し、活用していただきたいと思います。
 そこで、都民が身近に防災を考えることができる「東京くらし防災」について、都民一人一人の取り組みや、さらには地域の中でどのように活用していくのか、見解を求めます。

○有金総合防災部長 「東京くらし防災」は、多くの方に手にとっていただきますよう、当初、百十万部を作成し、都立施設のほか、民間事業者などの協力を得て配布するとともに、総合防災訓練や防災イベントなどで、冊子に記載された具体的な取り組みを実際に体験してもらうなど、都民の防災意識を高めていくことに活用しております。
 町会や自治会等が実施する防災訓練や研修におきましても、「東京くらし防災」を生かした内容とするなど、幅広く活用いただいております。
 また、都が主催いたします防災ウーマンセミナーやシンポジウムなどで「東京くらし防災」を配布し、防災知識の普及を図っているところでございます。
 引き続き、「東京くらし防災」を活用いたしまして、都民の防災意識を啓発し、地域における災害対応力の向上を図ってまいります。

○古城委員 次に、危機管理について質問いたします。
 あらゆる種類のテロリズムに対抗する重要な要素の一つは、持続可能な開発目標、SDGsの完全履行であるといわれております。
 グテーレス国連事務総長によれば、これらの目標を達成することで社会経済的要因の多くに対処し、世界中で若者は、暴力的過激主義の予防と対策、そして平和の促進に向けた取り組みを先頭に立って進めることができる、このように示唆されております。
 さて、最新のテロ情勢を踏まえ、従来の取り組みを一層強化するべく昨年決定された政府のテロ対策推進要綱は、要人を含む来場者が大会会場を中心に大勢訪れる東京二〇二〇大会などを見据えたものでございますけれども、この中においてとりわけ注目すべきは、駅や空港、イベント会場など、不特定多数が集まる、いわゆるソフトターゲットへの警戒強化です。
 都庁舎の展望室の年間入場者数は、この間、各決の第一分科会で確認をさせていただいたんですが、二十一年ぶりに二百万人台を回復した平成二十七年度以降、ここ数年、増加傾向にあります。こうした不特定多数の来庁者が訪れる都庁舎は、ソフトターゲットとしてテロの標的にされる可能性があります。
 レストランやサッカー場などが狙われ、多くの死傷者を出した二〇一五年のパリ同時多発テロは記憶に新しく、ソフトターゲットがテロの標的となることは世界的な傾向といえます。国内対策の急所も、この点にあることはいうまでもありません。
 そこで、東京二〇二〇大会を目前に控え、危機管理の重要性が増す都庁舎のセキュリティーの現状について見解を求めます。

○西山総務部長 都庁舎は、日々、一万人以上の都職員や委託会社の社員等が勤務するとともに、都民に開かれたシティーホールとして、年間約三百三十万人の来庁者がございます。
 また、近年、外国人旅行者の増加に伴い、お話にございました展望室を初め、都庁を訪れる外国人観光客も増加しております。
 一方で、都庁舎は、災害時やテロなどの緊急事態が生じた際、都民の安全を守るかなめであり、庁舎機能の維持は不可欠と考えてございます。
 そうした中で、国際的なテロの脅威の高まりや、東京二〇二〇大会を初めとするさまざまな大規模イベント等の開催を見据えますと、都庁舎の安全管理体制の強化は喫緊の課題であると認識してございます。

○古城委員 平成七年五月十六日、都庁舎知事室において知事宛ての小包が爆発し、知事秘書である職員の方が重症を負うという、許しがたい事件が発生いたしました。このことを我々は絶対に忘れてはならないと思います。
 我が党は、事件発生翌々日の都議会臨時会本会議での討論で主張しており、都民の皆様が心から安心して暮らせるよう、社会秩序の維持と危機管理体制の整備に全力を挙げるべきと訴えてまいりました。
 私は、ことしの七月、東京二〇二〇大会を見据えた都市の安全対策を探るため、人工知能、AIを活用した画像解析など最新技術を伝えるショールーム、NECイノベーションワールド品川を訪れ、カメラに映った複数の人の顔を瞬時に分析、認証する動画顔認証を体験するとともに、見分けが難しい物品を画像などで識別する機器や、高度化するサイバー攻撃に対応する情報セキュリティー対策部門の取り組みも視察をしてまいりました。いずれも安全・安心な都市機能の運営に欠かせない重要な技術であると実感をしたところでございます。
 AI、ICT技術が飛躍的に向上している今、これら最新技術を活用するなど、さまざまな知見を集めながら、都庁の物流の安全まで含めた幅広い対応が必要になると考えます。
 また、先ほど申し上げた政府のテロ対策推進要綱では、警備担当者の取り組みだけでなく、施設従業員など全ての関係者がテロに対する危機意識を共有することの重要性を強調しております。テロ対策は、総力戦で取り組んでこそ効果を発揮することを肝に銘じるべきであります。
 そこで、都庁舎のセキュリティー強化に係る具体的な取り組みについて見解を求めます。

○西山総務部長 都庁舎のセキュリティー対策につきましては、平成二十七年度に、来庁者に受付票の記入を義務づけるなど、入退庁管理の徹底を図りました。
 さらに、二十九年度には、セキュリティーゲートの設置や監視カメラの増設を行うとともに、巡視、警備員の庁舎案内に係る負担を軽減し、より業務に注力できるよう、タブレット端末やデジタルサイネージ、メガホン型多言語翻訳機等を導入いたしました。
 また、今年度は、都庁舎地下にエックス線検査機を設置し、搬入物品の検査体制の強化に向けた準備を進めるとともに、都庁舎警備業務におけるAI、ICTの導入に関する調査などを行ってございます。
 今後は、こうした調査の結果なども踏まえながら、都庁舎で働く職員、委託会社社員、テナント等との連携をより密にし、さらなるセキュリティー対策の強化に取り組んでまいります。

○古城委員 ここまで、防災対策、そして危機管理に関連して質問をしてまいりました。
 小林危機管理監は、本年八月の退官までの前職在職中、西日本豪雨に伴う災害派遣において、隷下部隊を一元的に指揮し、その手腕を存分に発揮されてきたところでございます。また、統率方針として、発生した事態に対し即行動し、編成、装備の持続力をもって任務を必ずなし遂げる部隊となれとの先輩の心構えに倣われて、即動必遂を掲げられたと伺っております。
 勤務地で申し上げると、北は東北、そして南は沖縄まで、三十五年半のご経歴の中で、誰ひとり取り残さないSDGsの理念を体現されてきたと私は実感しておりまして、敬意を表しますとともに、大変僣越ではございますが、小林危機管理監におかれましては、これまでのご経験、知見をもとに、都民の皆様の安心・安全の確保に向けてご尽力をいただきたい、この点を期待させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、人権施策について質問をいたします。
 SDGsは、全ての人々の人権の実現を前文でうたうとともに、世界人権宣言や国際人権条約をSDGsの原則とすることを示しています。
 さきの第三回定例会において、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が成立いたしました。
 都はこれまで、東京都人権施策推進指針に基づき、同和問題を初め十七の人権課題を掲げ、取り組みを進めてきました。
 今回の条例化においては、二〇二〇年に向けて東京への関心が一層高まる中、新たな人権課題にも目を向け、国内外に都の取り組み姿勢を明らかにしております。
 今後、当事者の皆様に寄り添うためにも、当事者の皆様の意見を聞き、人権施策を進めていくことが求められると考えますが、見解を求めます。

○仁田山人権部長 人権施策の推進に当たりましては、当事者の方々の意見を聞くことは重要でございます。
 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の制定に当たりましては、当事者や有識者など広く都民の声を伺ってきたところでございます。
 今後も引き続き、当事者等の意見をさまざまな機会を通じて伺いつつ、東京都人権施策推進指針に掲げる十七の課題のそれぞれにおける取り組みの方向性を踏まえ、人権施策全体をより積極的に推進してまいります。

○古城委員 第二章に多様な性の理解の推進を掲げる本条例は、基本計画を定めることを規定しています。
 そこで、この基本計画の策定はどのような形で進めていくのか、見解を求めます。

○仁田山人権部長 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例におきましては、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るため、基本計画を定めることとしておりまして、その計画を定めるに当たりましては、都民等から意見を聞くものとすると規定してございます。
 計画策定に当たりましては、まず、十月三十日に全庁横断会議を開催して、条例の趣旨を庁内で共有したところでございます。
 今後、都庁各局の施策現場におきまして、どのような配慮が必要かなどを個別具体的に検証しながら、課題を抽出しつつ、相談窓口で寄せられる声、都民等や区市町村の意見、都議会でのご議論も踏まえて、有識者、当事者等の方々の意見も伺いながら策定してまいります。
 具体的な施策を東京二〇二〇大会までに進めていくことができるよう、来年中を目途に計画を公表してまいります。

○古城委員 法務省の発表によりますと、人権侵犯事件として、全国の法務局が昨年中に救済手続を始めた一万九千五百三十三件のうち、インターネット上の人権侵害情報が二千二百十七件で、五年連続して過去最高となっております。対前年比で申し上げると一六・一%増ということでございます。弱者を見下すような、また、匿名で発信できるネットを悪用した他人への誹謗中傷が増加していることは憂慮にたえません。
 互いの人権を尊重することは、社会生活の最も基本的なルールであると考えます。取り返しのつかない結果になる前に、人権侵害に毅然と対処することが必要不可欠といえます。
 そこで、インターネット上での人権侵害について、都としてどのような対策を行っているのか、見解を求めます。

○仁田山人権部長 インターネットの利用に当たりましては、利便性を享受するだけでなく、他者の人権への配慮に心がけること、それから、ルールやマナーを守ること等につきまして、リーフレットや啓発動画の作成、それから、東京都人権プラザにおけます展示等により啓発を行っているところでございます。
 また、インターネットにおける書き込みなどで人権侵害に当たると思われる法律問題につきまして、悩みを抱える相談者が弁護士との面接により無料で相談できる法律相談事業を、この十月より新たに開始したところでございます。
 インターネット上の人権侵害に対しましては、憲法に掲げる基本的人権である表現の自由にかかわる問題であることから、法整備も含め、国の取り組みが極めて重要であると考えております。
 このため、都といたしましては、国に対して、実効性のある対策を講じられるよう要望を行っているところでございます。

○古城委員 今のご答弁の中でも、インターネット上の人権侵害に当たると思われる法律問題についても、無料で相談できる法律相談事業を開始されているということでありましたけれども、この点も踏まえても、やはり人権侵害との闘いは相談から始まるものであると思います。
 一方で、難しい問題もあります。それは、被害者は、いじめなどの事実を相談できない場合が多いといわれていることであります。周囲の人が、日常の振る舞いの異変からその苦しみを察知し、寄り添うことが大切であると考えます。そのためには、一人一人が人権尊重の精神を涵養し、人権尊重の社会を築く必要があります。
 私は先日、都内で行われた障害者スポーツへの参加と環境整備をテーマとするシンポジウムに参加し、スポーツジャーナリスト、二宮清純氏の講演を拝聴する機会がありました。その中で、二宮氏は、アンコンシャスバイアス、無意識の偏見とも訳されておりますが、この克服を主題に据えておりました。
 パラスポーツへのアンコンシャスバイアスについて、例えば、このパラスポーツ、障害者を見せ物にするなという声や、また、感動をありがとう、勇気をありがとうとの感想、これは上から目線との見方を示されておりました。またさらには、パラアスリートの活躍が、新聞のスポーツ面ではなく社会面で取り上げられることも挙げておられました。また、気遣いが、逆説的に、かわいそうな人たちへの同情から生まれていることへの指摘もあり、二宮氏いわく、配慮は必要だが、遠慮は必要ないと訴えておられました。
 過日の各決第一分科会での質疑を通じて、人権感覚は子供のころから形成され、大人になっても、生活や暮らしの中で気づき、学んでいくことが重要であると、私はこの認識に立たせていただきましたけれども、今回、二宮氏の講演を拝聴しまして、このアンコンシャスバイアスは、意識や風土が一番くせ者で、最後まで残るといわれているものなんですけれども、やはりそれに対していく上でも、自分自身の気づきが大切であるとの意を強くいたしました。
 都が、来館者に気づき、学びを得てもらう場として期待する東京都人権プラザは、タブレット端末を使い、クイズ形式で人権を学べるTOKYOキヅキ・タウンという展示や、車椅子体験コーナーなどがあります。人権施策の推進に当たっては、人権プラザ事業の内容の充実とともに、広く都民に施設そのものを知っていただくべきと考えます。
 そこで、施設のPR及び最寄り駅からのアクセス方法の周知について見解を求めます。

○仁田山人権部長 東京都人権プラザは、子供や若者を初めとする幅広い層の都民に、人権につきまして、気づき、学びの場となる都の人権啓発の拠点でございます。
 都は、より多くの都民にプラザを利用してもらうため、プラザの案内リーフレットをさまざまな人権啓発イベントで配布するほか、プラザのホームページやツイッターなど多様な手法により、施設のPRを行っているところでございます。
 また、プラザへのアクセスマップをわかりやすく改善するとともに、本年十月から、プラザの最寄り駅であります都営地下鉄芝公園駅及び大門駅の構内に電飾看板を新たに設置し、来場者への案内を充実させたところでございます。
 これらの取り組みによりまして、プラザをより多くの都民に利用していただけるように努めてまいります。

○古城委員 東京都人権プラザへの案内をするための都営地下鉄の構内の電飾看板ですが、先日の全国育樹祭の懇談会に参加をさせていただいた折、大門駅を利用いたしましたけれども、しっかりと目立つところに、階段を上る、まさにその角に設置されているということで、私も実感をしたところでございまして、これからの取り組みに、より一層期待をさせていただきたいというふうに思います。
 さて、この人権プラザの近くには、国が所管をする公益財団法人人権教育啓発推進センターがあり、人権ライブラリーを運営しております。この人権ライブラリーは、国内外の人権関連図書や全国の地方公共団体が発行する啓発資料などを所蔵し、人権の専門図書館としての役割を果たしています。
 一方で、東京都人権プラザには、その施設の二階に、人権に関する図書やDVD等の貸し出し、閲覧ができる図書資料室が設置をされております。先日、プラザを視察させていただきましたけれども、この図書資料室には、専門書だけではなくて、子供向けの絵本なども数十冊所蔵をされておりました。装飾も大変工夫をされているなと思ったところでございます。
 したがいまして、東京都人権プラザでは、人権ライブラリーとの相乗効果も意識しつつ、機能が過度に重複しないように、都の施設ならではの特色を出す取り組みが必要だと考えます。
 そこで、東京都人権プラザの図書資料室の特色について見解を求めます。

○仁田山人権部長 東京都人権プラザの図書資料室は、人権に関する絵本やコミックなどを積極的に収集し、子供、若者など人権を学び始めた方々にもわかりやすく親しみやすい図書資料の充実に努めているところでございます。
 また、収集した図書を活用し、人権に関する講座や絵本の読み聞かせ会などの人権啓発イベントも実施しているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、より幅広い層の方々に気楽に利用していただけることを目指しております。

○古城委員 次に、誰もが活躍できる都の人事施策について質問をいたします。
 中央省庁や全国の自治体で障害者雇用率の水増しや誤りが発覚をしており、問題が顕在化しております。
 先日の我が党の各決全局質疑において、遠藤局長から、知事部局は適切に計上している、改めて調査し、問題ないことを再確認したと答弁がございましたけれども、都は、さらに障害者雇用を促進しなければならない立場でもあると思います。
 質問の冒頭以来、申し上げておりますが、SDGsは、全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進することを掲げています。
 私の地元新宿区で活動されている新宿区手をつなぐ親の会は、昨年の四月に、知的障害児・者の自己決定支援ハンドブック「人生の主人公として生きるための-二十六の権利-」、そして、ことし四月には、知的障害者成人期権利擁護事例集「日常にある確かな権利 気づいてほしい わたしのための あなたのための二十六の権利」を発行されました。これら二十六の権利のうち、生活力の向上に関する権利として、働くこと及び就労先や通所先の選択があります。
 都は、我が党の予算特別委員会での質問、提案を受けて、昨年度、常勤職員の障害者採用選考の受験対象を、精神、知的障害者の方々にも拡大し、都職員としての雇用の機会をふやしております。精神障害者の方が、昨年度は二十三名、そして、今月六日に実施結果が明らかになった今年度は二十四名も合格されたことは、非常に意義深いと考えます。
 一方で、知的障害者の方について、都の採用試験の合格水準に達するのが困難であること、公務員の任用の根本原則である成績主義の壁を乗り越える必要があること、さらに、障害の特性を鑑みると、必ずしも一律の雇用形態が適しているとは限らないことなどが今後の課題として浮かび上がっています。
 しかしながら、職業訓練ではなく、働き手として、一般就労として都庁の戦力として雇用していくことが非常に大事であると、我が党はかねてより訴えているところでございます。
 都は、これらを踏まえて知的障害者の非常勤職員の採用選考を実施し、都庁における知的障害者雇用が一歩前進しておりますけれども、今後、知的障害者の方が働き続けることができる職場環境の整備に取り組むべきであります。
 そこで、知的障害者の方々の雇用をさらに進めるため、一人一人の障害特性を踏まえて仕事を切り出すなど、職域を創出する工夫が必要であると考えますが、見解を求めます。

○栗岡人事部長 都では、障害者採用選考の精神、知的障害者への対象拡大とあわせまして、今年度から、知的障害者を一般就労として雇用するとともに、障害特性に適した職務内容や勤務条件を検証していく取り組みとして、非常勤職員であるオフィスサポーターの雇用を開始したところでございます。
 雇用に当たっては、専門的な知識、経験を有する障害者雇用支援員を同時に配置しまして、オフィスサポーターの業務管理や指導をきめ細かく行う体制を整備してございます。
 この支援者の助言のもと、データ入力や資料の電子化など、各種庶務事務や軽作業を切り出し、知的障害者の特性に合った職務の創出に努めてございます。
 これまで職員が行っていた業務の一部をオフィスサポーターが担うことで、業務の効率化やペーパーレス化にも寄与してございます。
 こうした取り組みを丁寧に継続しながら、さらなる障害者雇用の促進に向けまして、引き続き、必要な検証と改善を積み重ねてまいります。

○古城委員 オフィスサポーター制度につきましては、新宿区手をつなぐ親の会の皆様からも大変期待がある、期待が高まっているということを申し述べさせていただきたいと思います。
 最後に、我が党の藤井副委員長の質問の露払いとして、島しょ振興について一問質問をさせていただきたいと思います。
 SDGsでは、地方の文化振興、産品販促につながる持続可能な観光業に関する指針も示されております。
 そこで、特産品の販売を通じた島しょ振興について伺います。
 私は、昨年、雄山を中心とする観光資源を生かした振興策を探るため、三宅島を視察しましたほか、かつての公明党の職員時代に、三宅島に加えて大島、八丈島も訪問をした経験がございます。
 伊豆諸島、小笠原諸島は、島の人々との温かい交流とともに、島酒、島酎、栄養満点の健康野菜、アシタバが香るうどんやカレーなどの料理、そして、島ずし、島レモン、牛乳煎餅など、個性豊かな島の味に加えて、独自の伝統が息づく工芸品も魅力的でございます。
 都内のみならず、広く特産品の認知度の向上を図るとともに、都民の皆様が実際に島の特産品を目にし、手にとり、買い求めることができる取扱店舗の拡大などにより、島々の特色ある特産品の販売を促進し、より一層、島しょ振興に取り組むべきと考えます。
 そこで、都の監理団体である東京都島しょ振興公社の取り組みについて見解を求めます。

○野間行政部長 東京都島しょ振興公社は、アンテナショップ東京愛らんどにおいて、加工品や酒、菓子類など約三百品目を対面により販売する特産品展示販売事業を行っておりますほか、インターネットの通販サイトにも出展いたしまして、約二百品目の島しょ特産品を扱ってございます。
 また、新聞、雑誌やテレビ、ラジオなどのメディアを通じて、特産品や観光のPRを行っておりまして、平成二十九年度は約七十媒体に取り上げられました。
 このほか、公社ホームページ上で、島しょの食材や焼酎などを取り扱う飲食店を紹介するなど、多くの方々に特産品を知っていただく機会をふやす取り組みを行ってございます。
 特産品の取扱店舗の確保につきましては、特産品販売協力店制度を設けまして、応募した協力店に対し割引価格での商品提供を行うなど、取扱店舗の確保に向けた取り組みを行ってございます。

○古城委員 これまで、SDGsの観点から、総務局の事務事業について、防災対策、危機管理、人権施策、障害者雇用、そして島しょ振興について質問をしてまいりました。これらに加えて、私は、復興支援、情報通信技術なども含めて、総務局の事業はSDGsと軌を一にしているとの確信を深めたところでございます。世界をリードする持続可能な都市東京を構築するために、誰ひとり取り残さない施策を強力に推進していくべきと考えます。
 冒頭申し上げましたけれども、今後、遠藤局長とも、折々の機会を通じて、このSDGsに関する議論を深めていく期待を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員 私からも、防災対策について、まず質疑をさせていただきます。
 まず、水害についてでありますけれども、本年は、七月の西日本豪雨や台風二十一号など、全国各地で大規模な水害による甚大な被害が相次ぎました。
 その中で、今回の西日本豪雨の特徴の一つというのが、さまざまな災害を一度に呼び起こしたことがまず挙げられます。土砂災害と浸水、そして堤防の決壊による洪水、さらに、人命や財産を失う直接的な被害を免れたとしても、水道やガスなどのライフラインが破壊されたり、交通網の遮断により食料を調達できなかったりと、多くの住民の方が影響を受けたわけです。
 昨今、地球温暖化が叫ばれる中で、異常気象ともいえる豪雨が多発する中、東京でもこのような大規模水害が発生する可能性もあり、特に想定最大規模の降雨や高潮による浸水が発生した場合には、ゼロメートル地帯を広く抱える東京の東部低地帯を中心に、広範囲にわたる被害が懸念されております。
 このことは、議会の代表質問でも、我が党からもさまざまな要望をさせていただいておりますけれども、こうした状況を踏まえて、都と国は、広域避難に関する検討会を既に設置しており、今週の月曜日も、中央合同庁舎において第二回の検討会が開かれたわけです。
 そこで初めに、大規模水害時における広域避難対策の取り組みや状況についてをお伺いいたします。

○西川防災計画担当部長 荒川などの大河川の氾濫や高潮の発生が想定される場合におきまして、百万人以上に及ぶ住民が確実に避難を行うためには、広域的な避難場所と、そこに至るまでの避難手段が確保されていることが重要でございます。
 本年三月、国のワーキンググループにおきまして、洪水や高潮氾濫からの広域避難に関する基本的な考え方が取りまとめられました。これを踏まえまして、大規模水害時の広域避難の具体化に向け、本年六月、東京都は、国と共同で、都内の自治体、近隣の埼玉県及び千葉県、鉄道事業者、気象庁などの関係機関で構成する検討会を設置いたしまして、これまで課題の洗い出しを行ってまいりました。
 今お話のありましたとおり、今週月曜日、十九日には第二回の検討会を開催いたしまして、避難場所の確保や運営方法などに関する課題を整理いたしますとともに、これらの課題の具体的解決に向けた検討方針を定めたところでございます。
 今後は、この検討方針に沿って、関係機関の役割分担を明確にするなど、今年度末までに広域避難に係る対応の方向性を取りまとめ、その後も引き続き検討を進めてまいります。

○鈴木委員 今ご答弁にありましたけれども、この検討会は本当に始まったばかりで、今後、関係機関の役割分担を明確にして、年度末までに広域避難に係る対応の方向性を取りまとめるということでありますけれども、この取り組みというのは、関係機関も多く、また調整事項も複雑であり、本当に困難が予想されます。
 しかしながら、一度発生したら、極めて甚大な被害が予想されますので、引き続き東京都が強いリーダーシップを発揮して、具体的な取り組みを前に進めていただきたいと思います。
 次に、区市町村のタイムラインの作成支援について、私からもお伺いいたします。
 ことしは、都内でも多くの局地的集中豪雨が発生したわけです。八月には、世田谷区などにおいて時間百十ミリの雨が観測され、気象庁が記録的短時間大雨情報を出すなど、床上、床下浸水等の被害が発生いたしました。
 都内における時間五十ミリ以上の豪雨発生率は、この三十年間で約三倍になるなど、近年、確実に増加しております。地球温暖化の影響により、今後さらに増加するともいわれている中で、都内のどこにおいても、集中豪雨に伴う水害や土砂災害などに見舞われる可能性が高くなることが考えられます。
 ことし七月の西日本の豪雨では、河川の氾濫後に避難指示が出された自治体もあったことが報道されております。このため、区市町村が避難勧告等を適切に発令するためにも、自治体がとるべき事前の防災行動があらかじめ整理されていることが何よりも重要であるわけであります。
 そこで、水害などの発生を前提として、防災機関との連携や住民への情報提供など、自治体が取り組むべき防災行動を時系列で整理したタイムラインの作成について、区市町村を後押しするということでありますけれども、具体的にはどのような取り組みになるのか、お伺いいたします。

○西川防災計画担当部長 都民が迅速に避難行動に移れるようにするためには、避難の判断に必要となる情報を、区市町村が迅速かつ適切なタイミングで住民に提供することが重要でございます。
 そのためには、区市町村が事前にとるべき行動を時間軸に沿ってわかりやすく整理したタイムラインを、各自治体があらかじめ策定しておくことが効果的でございます。
 そこで、都は現在、都内区市町村におけるタイムラインの策定状況などにつきまして、整理や分析を行っているところでございます。
 一方、本年八月、国におきましては、平成三十年七月豪雨を教訓といたしまして、激甚化、頻発化する豪雨災害に対する避難対策の強化を検討するためのワーキンググループを設置し、区市町村による防災情報の確実な伝達やわかりやすい発信など、実効性ある避難を確保するための検討を現在行っております。
 都といたしましては、この検討状況を踏まえながら、例えば中小河川においては水位上昇が急激であるなど、予想される災害の特性を考慮いたしました効果的なタイムラインを策定できるよう、きめ細かく区市町村を支援してまいります。

○鈴木委員 自治体が作成するタイムラインについては、既に荒川下流で運用を開始しているわけですけれども、都内の中小河川や土砂災害など、さまざまな災害に対しても積極的にタイムラインを活用するべきであり、都も、こうした区市町村の取り組みを強力に後押ししてもらいたいと思います。
 一方、タイムラインは、作成して終わりではありません。避難に関する情報が出されても、実際に避難しない方がたくさんいらっしゃることも事実であり、東日本大震災の津波や、ことしの西日本豪雨における避難勧告も従わず、命を落とされた方が多数いたわけであります。
 このことにより防災関係者が気づくべきことは、防災教育を行えば誰もが適切な行動をとるということは幻想であるということを、やはり知るべきであるというふうに思います。人間には、情報を獲得してから行動に移すまでに大きなバリアがあって、そのバリアを無視して、ただ情報を与えるだけの防災教育では、都民の命を救うことはできないということが明らかになってきたわけです。
 このため、防災訓練などにおいても、お住まいの地域では、実際にどのような被害が発生するのかということをリアリティーをもって住民に知らしめ、実際にどのような被害が発生するのかということもしっかりと感じていただきながら、自治体もタイムラインを活用して検証を重ねていくことが避難の実効性を高めていくことにつながっていくというふうに思っておりますので、ぜひ防災訓練などにもそうした観点を持って、これから対応していただきたいというふうに思います。
 次に、帰宅困難者対策についてお伺いいたします。
 東日本大震災では、都内において多くの人々が徒歩による帰宅を開始したことで、人が道路にあふれ、大渋滞が発生するなど、大きな混乱を招いたわけです。
 ことし六月の、先ほどもありましたけれども、大阪北部を震源とする地震においても、多くの行き場のない人々が発生したことは、本当に記憶に新しいことです。しかしながら、首都直下地震が発生した場合には、より一層の混乱が起こると心配されます。
 これまで、さまざまな議論の中で帰宅困難者対策に取り組んできているわけですけれども、中でも、目標とする、九十二万人もの行き場のない帰宅困難者が滞在できる一時滞在施設の確保というのは極めて重要になってくるわけです。
 そこで、確保の取り組みを始めて五年が経過したわけでございますけれども、この一時滞在施設の確保が頭打ちになることが懸念され始めておりますけれども、今後どのように確保していくおつもりなのかをお伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 都は、平成二十五年度に帰宅困難者対策条例を施行し、都や区市町村などの公共施設の活用を初め、一時滞在施設の確保を進めてきております。
 公共施設の確保には限界があることから、大規模施設を有する大学の連合組織に協力を要請するなど、特に民間などの協力を得られるよう努めております。
 これまでに九百六十八施設、約三十五万人分の一時滞在施設を確保し、そのうち民間施設につきましては、施設数全体の約半数を超えており、さまざまな民間企業などの協力を得ております。
 今後も、これまでの取り組みに加え、都内で進む再開発により建設されたビルを含め、多くのビルを所有する不動産開発会社などにも積極的な働きかけを行い、一時滞在施設の一層の確保に取り組んでまいります。

○鈴木委員 ただいまの答弁でも明らかになったわけですけれども、行き場のない帰宅困難者九十二万人に対して、現在、約三十五万人分を確保しているということでありますけれども、この数というのは、まだ目標の三八%にすぎないというわけです。
 帰宅困難者対策は、多くの昼間人口を有する首都東京が取り組まなければならない重要な防災対策でありまして、中でも一時滞在施設の確保は、行き場のない帰宅困難者の安全を確保する上で、確実に進めていかなければならない取り組みであり、さらに、今後、東京を訪れる外国人もふえる中で、あらゆる手段を使ってでも結果を出していただきたいと思います。
 例えば、民間協力事業者にお願いするだけでなく、意向を確認しながら、例えば東京都の防災協力事業者として表彰制度をつくるなど、事業者の協力意欲を高めていくことも必要ではないかなというふうに思います。
 今後とも、一時滞在施設の確保に向けて一層の取り組みを要望いたします。
 次に、今後の人権政策についてお伺いいたします。
 我が国において、現在、少子高齢化、人口減社会の進展により、あらゆる分野において、将来的に、質、量ともに安定的な人材確保は困難な見通しとなっているというふうにいわれております。
 このことは、日本経済において本当に深刻な問題であり、政府は、農業、漁業、外食、介護、建設業、製造業などの十四業種だけで、二〇一九年から五年間で百三十万人以上の人手不足の実態を公表して、国内の高齢者や女性の活用で補い切れない労働力を外国人人材で対応しようと、現在、出入国管理及び難民認定法の改正案を審議しているわけです。この法改正は、多くの中小企業、経済界の強い要望であり、内容のある審議となることを期待しております。
 また、本年六月には働き方改革関連法が成立し、国では、国家公務員の定年年齢を、段階的に六十五歳まで引き上げが検討されるなど、国を挙げて人材活用のありようが大きく変化してきております。
 こうした中で、都においても、組織を支える人材の確保、育成、活用には長期的視野が必要となってきており、東京二〇二〇大会後を見据え、今から道筋をつけて取り組んでいくことが重要であるわけです。
 現在、都は、大会準備で組織委員会に多くの職員を派遣しており、バックグラウンドが異なるさまざまな組織の人材と仕事を進めた経験、ネットワークは、大きな今後の人的財産であります。また、大会後は、こうした育成の機会が失われてしまうことで、職員がまた内向き志向になってしまわないか、懸念の声も上がっております。
 大会で得た貴重な経験を生かして、今後も民間企業等との積極的な人事交流を進めるべきと思いますけれども、都の見解をお伺いいたします。

○栗岡人事部長 東京二〇二〇大会は、他に類を見ない規模のイベントでございまして、組織委員会等において、職員が、民間を初め、さまざまなバックグラウンドを持つ同僚等に触発されながら業務を進めた経験や築いた人的ネットワークは、職員にとって貴重な財産でございます。
 この財産を、個々人のスキルの向上、個人的なネットワークにとどめることなく、人材育成の仕組みとして組織的に継承し、都政の課題解決に結びつけていくことが重要と認識してございます。
 こうした問題意識に立ちまして、都では、本年七月に、人材育成を強化するための新たな指針として東京都人事交流指針を策定いたしました。

○鈴木委員 大会後も民間等との人事交流を推進していただいて、今、人材育成に取り組む姿勢が示されたわけですけれども、大会の人的レガシーとしてしっかりと継承してもらいたいと思います。
 職員が外部の知見等を学ぶことは、いうまでもなく重要ですけれども、一方で、金融を初め民間等が進んでいる事業領域、あるいは急速に変化する技術革新等への対応では、内部職員だけでは対応困難なケースも想定されるわけです。
 都における民間人材の活用の現状と、今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 都はこれまでも、都政を担う多様で有為な人材を確保することを目的としまして、キャリア活用採用選考を実施しております。
 システムや資金運用など専門的知識、スキル、経験へのニーズが高い分野で、民間企業等から人材を登用してまいりました。
 さらに、高度かつ専門的な知識を要する業務で、内部では人材を育成することが困難な場合には、管理職についても、任期つき職員として民間人材を登用してございます。
 こうした多様な人材確保の取り組みとあわせまして、人事交流の仕組みにより民間企業から職員を受け入れることで、コスト感覚や柔軟な発想といった民間ならではの視点を取り込むとともに、事業展開に資する人的ネットワークを構築してまいります。
 なお、民間企業等からの受け入れについては、幅広い業種から人材を受け入れられるよう、本年十月に公募の仕組みを新たに設けたところでございまして、経済団体の協力等も得ながら周知を進め、人事交流の拡大に向けた取り組みを着実に推進してまいります。

○鈴木委員 社会の変化に対応していくためには、内部職員の教育とともに、即戦力として、多様で有為な人材を外部から確保することというのは、本当に不可欠になってきているわけです。今答弁がありましたけれども、ぜひ経済団体等とのネットワークも活用して、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 今回、国際金融都市という形で、今、都が取り組んでいるわけですけれども、この新たな金融テクノロジーも、都の職員だけでなく、やはり有為な外部の方を登用しながらしっかりと、私は、そういったことも視野に入れて成果に結びつけていただきたいなというふうに思っております。
 次に、定年年齢の延長についてお伺いいたします。
 国における公務員の定年の引き上げ検討や、政府の未来投資会議では、現行で六十五歳までの継続雇用の義務づけを七十歳まで引き上げる際の仕組みづくりの検討など、我が国の高齢期雇用のあり方が、今現在、議論されております。
 本格的な高齢社会を迎える中で、公務においても、知識と経験を有する高齢層の職員を活用しながら、効率的な行政運営を行っていくことが必要であるわけですけれども、都における高齢層の活用について、これまでどのような取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 都におきましては、定年退職後の継続雇用として、平成十三年度より、フルタイム勤務と短時間勤務から成る再任用制度を導入しましたが、年金制度の問題もあり、短時間勤務が中心となってまいりました。
 しかしながら、公的年金の支給開始年齢の引き上げに伴う無年金期間の発生を契機としまして、雇用と年金の確実な接続を図るとともに、定年退職した職員が在職中に培った知識や経験をより一層活用する必要が生じてまいりました。
 このため、平成二十五年度より、管理監督職への任用に制限がある短時間勤務ではなくて、フルタイム勤務を基本とした制度へ見直しを行ったところでございます。
 この結果、都におきましては、六十一歳から六十五歳までの再任用職員全体で見ますと、七割以上がフルタイム勤務を選択してございます。
 一方で、国は、再任用職員におけるフルタイム割合が三割程度となってございまして、国と比較しましても、都は、定年退職した職員を積極的に活用し、都民サービスの質の向上を図っているところでございます。

○鈴木委員 スキルのある方々を積極的に採用するということは大変プラスになるわけですけれども、都の人事制度としては、やはりこれは大きな課題があるわけです。
 定年退職した職員を積極的に活用しているというふうに今ご答弁いただきましたけれども、一方で、本年の人事委員会の勧告で定年引き上げに係る意見がなされるなど、動きはさらにますます活発化してきております。
 再任用としての活用とは異なり、定年年齢の延長では、役職定年とか給与水準など広範囲に影響が出ることから、組織の活性化も視野に入れて検討していく必要があるわけですけれども、そこで、都においては、定年延長の議論の動向と状況についてどのようになっているのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 高齢層職員の雇用のあり方につきましては、都においても重要かつ喫緊の課題と認識してございます。
 そのため、政府が行った公務員の定年引き上げに係る論点整理や、人事院の定年引き上げに係る意見申し出、人事委員会勧告意見なども踏まえ、検討すべき論点の整理を行っているところでございます。
 例えば、管理職が一定の年齢に達したことをもって一律的に役職を外す役職定年制度などについて、今後、詳細な研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 具体的には、都におきましては、先ほど申し上げましたが、既に多くの再任用のフルタイム勤務職員が、現場において、部課長を初め役職者として活躍するなど、都と国では職員構成や任用実態も異なりますので、都の実情に合った適切な制度となるよう検討していく必要があると考えてございます。
 国の検討状況は明らかではございませんけども、法改正の動向を注視しつつ、都における論点整理等を踏まえまして、人事制度全体への影響にも留意しながら検討を進めてまいります。

○鈴木委員 都では、人事制度全体への影響も留意しながら検討を進めるとのことですけれども、早ければ平成三十三年度から延長という報道もあって、実際に延長された場合には、新規採用の抑制や昇任数の減少、そして総人件費の増加などが起こることも本当に懸念されるわけであります。
 そこで、定年延長に伴う人事管理への影響についてお伺いいたします。

○栗岡人事部長 定年延長に伴いまして、経験豊富な高齢層職員の活用を進めるに当たりましては、新規採用職員数や昇任数の抑制、総人件費の増加などの影響が懸念されるところでございます。
 都は、国と異なりまして、再任用職員の七割がフルタイム勤務でございますことから、フルタイムを基本とした再任用制度が定着しているとともに、再任用短時間勤務職員も含めた定数管理や実力本位の昇任選考などを行っておりまして、定年延長に伴う人事管理への影響は、国等と比べますと比較的少ないものと認識してございます。
 しかしながら、仮に定年を段階的に引き上げる場合、定年退職者が発生しない年度が生じるなど、新規採用や昇任の機会を狭めるおそれがありますことから、若手、中堅職員のモチベーションへの影響にも留意しながら、計画的に人事管理を行っていくことが重要だと考えてございます。
 一方で、高齢層職員に対しましては、体力面での個人差や職員の事情等も考慮する必要がございまして、定年前の早期退職や短時間勤務等の多様な働き方も検討しつつ、将来動向を見きわめる必要があるというふうに考えてございます。
 都のこれまでの取り組みや実情を踏まえまして、今後の人員構成や総人件費管理、組織活力の維持にも幅広く留意しながら、慎重に検討を進めてまいります。

○鈴木委員 定年延長というのは、確かにスキルがある方を活用するということにおいては本当にプラスになるわけですけれども、人事制度においては、やはり先輩であり、そして上司だった方が長く、また、役職は別にしていらっしゃるという中では、下に続く方々のモチベーションにもいろいろ影響してくるんだろうというふうに思います。
 そうした中で、こうした活用を国の方は三三年までに形づけようとして、今、取り組みが始まっているわけですけれども、東京都においても、都政運営に支障を来すような影響が発生することになってしまえば、都民サービスにも負の影響も与えてしまうわけですので、定年延長は、安定的な財政運営を支える重要なテーマとしても、多角的に、かつスピーディーに検討をこれから進めていっていただきたいなというふうに思います。
 確かに難しい話だというふうに思っておりますけれども、ぜひ今後とも、またいろいろと皆さんの取り組みを期待させていただきます。
 かつて、東京都の財政再建の取り組みの中で、外部委託とか、そして退職者不補充などを通じて、これまでも、先ほど伺ったんですけれども、平成三十年で二万四千人以上の職員が減ったというふうに話を伺いましたけれども、ピラミッド型の人事制度がこれによって一時大きくゆがんだり、技術職の分野においては、技術系の担い手不足の問題が生じたということもあったわけです。こうしたことも繰り返さないためにも、長期的な展望に立っていただく中で検討を重ねていただきたいと思います。
 次に、このことに関連して、非常勤、そして臨時職員制度についてもお伺いいたします。
 定年延長と密接に関連する課題として、非常勤、臨時職員制度に関する法改正への対応が挙げられます。
 昨年五月の地方公務員法の改正によりまして、平成三十二年度から、一般職の会計年度任用職員制度が導入される予定であるということになりました。
 東京都においては、現在、知事部局だけで約八千人の非常勤職員がおります。教職員も含めますと、全庁で約二万七千人近くいらっしゃるというふうにいわれておりますけども、各種相談対応や医療、福祉など、さまざまな現場で働いていると聞いております。
 今後、定年延長による高齢層職員の活用とあわせて、この非常勤、臨時職員のさらなる活用についても検討する必要が出てきたわけです。都庁における働き方改革を進めていく上でも、多様なマンパワーをさらに活用していくことが重要であります。
 非常勤、臨時職員制度に関する法改正への対応として、東京都はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 都におきましては、個々の職務内容や業務量等を十分に勘案した上で、常勤職員、非常勤職員、臨時職員等が的確に役割分担を行い、スリムで効率的な執行体制を確保してございます。
 こうした中、国は、地方公務員の非常勤、臨時職員制度につきまして、本来、地方公務員法が適用される一般職として任用すべき職が、同法が原則適用されない特別職として任用されるなど、制度の趣旨に沿わない運用が見られるとして、新たに一般職の会計年度任用職員を設置し、任用及び給付等の規定を整備することを目的に法改正が行われたところでございます。
 そのため、都におきましても、平成三十二年度の改正法施行に向け、都の実情を踏まえ、現行の特別職非常勤職員の大部分や臨時職員を会計年度任用職員に位置づけまして、地方公務員法に基づく人事管理の徹底や期末手当の支給を含め、勤務条件の整備を進める予定でございます。
 法改正への対応を着実に実施いたしまして、今後ますます複雑化する都政課題に対して、多様な人材の活用を一層促進してまいります。

○鈴木委員 非常勤、そしてまた臨時職員の方々も、多様なスキル、能力をお持ちの方が大変いる中で、今回、期末手当の支給を含めた勤務条件の整備を新たに進めていくということは、やる気にもつながっていくわけでありますし、こうした状況において、今後ますます複雑化する都政課題に対しても、しっかりとこういった方々を活用して取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 多様な人材の活用として忘れてならないのは、女性の活用であります。そこで、最後に女性の活躍推進についてお伺いします。
 平成三十年二月に、都が女性活躍推進法に基づきまして公表した職員の任用状況を見ますと、近年、採用者に占める女性割合は四〇%を上回っており、組織を支える重要な戦力であります。
 しかし、管理職比率は、いうまでもなく、平成二十九年四月時点では一九・六%と、いまだ二〇%を下回る状況であります。管理職への登用が期待される層である監督職でも、三〇%以上の女性職員が活躍しております。
 女性職員の一層の活躍促進に向けて、どのように今後取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 柔軟で効率的な組織を構築していくためには、性別にとらわれることなく、能力、業績に基づく実力本位の任用管理をしていくことが重要でございます。
 都では、公平公正な選考による管理職登用を実施してございますが、さらに管理職に占める女性割合を、二〇二〇年までに二〇%、二〇二五年までに二五%と目指してございます。
 こうした中、女性の管理職選考受験者をふやす取り組みとして、受験負担の軽減、管理職の魅力PR等、多様な観点で取り組みを進めているものの、受験をためらう理由では、昇任への不安等の声が多数挙げられるなど、一人一人に寄り添った相談機能の強化が求められる状況にございます。
 そのため、本年十一月から、育児と仕事の両立等の経験を有する管理職等をキャリアメンターとして指定しまして、職員がキャリア形成等の悩みを相談できる取り組みの試行を開始いたしました。
 今後、キャリアメンター制度の試行状況や、働き方改革などの取り組みを重層的に進めまして、女性職員の一層の活躍促進に努めてまいります。

○鈴木委員 このことは、東京都だけの問題ではなくて、日本の社会全体の問題なんだというふうに思います。
 しかしながら、女性の活躍が叫ばれる中で管理職を希望する人が少ないということは、今答弁にもあったように、本当にさまざまな課題があるからだというふうに思います。
 今後、新たな制度、そして取り組みを通して、そうした課題に一つ一つ対応していくことによって、最終的に、女性管理職がふえるということだけでなく、そのことを通して、さらに東京都が魅力的なものとなっていくというふうに私は感じておりますので、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 次に、東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金について何点かお伺いします。
 忘れられてしまっているようなところもあるのかもしれませんけれども、我が国は、世界第六位となる広大な領海、排他的経済水域や大陸棚を有する海洋国家であり、そのうち、東京都に属する排他的経済水域は約四割に及んでおります。
 この排他的経済水域等の権益を確保して、海洋国家としての我が国の地位を堅持する上で、いわゆる国境離島の役割が極めて重要であるわけです。
 日本全体で、島と認められる要件として、周囲が百メートル以上というふうになっておりますけども、この周囲百メートル以上の島は、現在、六千八百五十二ありまして、東京都だけでも、全国で六番目の三百三十の島を有していることになっており、中でも、排他的経済水域に大きく関係する沖ノ鳥島や南鳥島などの国境離島を擁する都としても、その維持、保存は重要な課題であるわけです。
 尖閣諸島もまた、排他的経済水域等の権益確保を図る上で極めて重要な国境離島であります。そして、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも、国際法上も、いうまでもなく明らかなものであります。
 そうした中で、平成二十四年、都は尖閣諸島の取得を決断するに至りました。そこには、東京のため、都民のため、そして日本のために、個人所有であった尖閣諸島を一刻も早く公有化して、所有を安定化し、その上で、尖閣諸島の豊穣な海や豊かな自然を生かした具体的な活用を図るべきであるという、当時の石原知事の強い思いがあったわけですけれども、都による取得を現実的なものとした背景には、やはりもう一つ、知事と尖閣諸島の所有者であった栗原氏との深いご縁があったということがあったわけです。
 こうした背景から、都は平成二十四年四月より、尖閣諸島の取得、活用を目的として、東京都尖閣諸島寄附金の受け入れを行ったわけです。都民や国民から寄せられた寄附金は、約十万四千件、約十五億円に達しました。まさに石原知事の憂国の念が、都民や国民など寄附者の思いへとつながって大きなうねりとなったのであります。
 都による尖閣諸島の取得は、平成二十四年九月の国有化によりかなわなくなりましたけれども、都は当時、寄附金を活用して積極的に尖閣諸島の現地調査などを行って、現在は寄附金を基金により管理して、当時の調査結果や寄附者の思いなども踏まえて、毎年、尖閣諸島の戦略的な活用の実施について、国に対して具体的な提案を行ってきております。
 しかしながら、あれから既に六年が経過して、状況は一向に変わっておりません。今月に入ってからも、十一月五日から十六日までに、十二日間連続で中国公船が尖閣諸島周辺の接続水域内に入域して、そのうち十一月十一日には領海侵入が行われるなど、中国による挑発行動は毎日のように繰り返されており、寄附者の思いに応えるためにも、国には、一刻も早く、尖閣諸島の活用にかかわる具体的な取り組みを進めてもらわなければならないわけです。
 そこでまず、平成二十四年度に実施した東京都尖閣諸島寄附金の受け入れから基金設置に至るまでの経緯と、その間の支出内容についてお伺いいたします。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、尖閣諸島の購入と活用を目的として、先ほど理事のお話がございましたけれども、平成二十四年四月から東京都尖閣諸島寄附金の受け入れを開始いたしました。しかし、同年九月に国が尖閣諸島を購入したため、その目的を尖閣諸島の活用に限定し、平成二十五年一月まで受け入れを行ってまいりました。その結果、都民、国民から、約十万四千件、約十五億円の寄附金が寄せられたところでございます。
 なお、寄附金のうち約八千万円は、平成二十四年九月に実施した現地調査や、ウォール・ストリート・ジャーナルへの意見広告掲出などに支出をしております。
 残りの寄附金につきましては、会計年度を越えて厳格に管理するため、平成二十五年三月に条例を制定し、基金化いたしました。

○鈴木委員 私も、首都大学を担う部長がこの基金の担当だというので、びっくりしたわけですけれども、何でかなというふうに今でも思っています。
 今答弁がありましたけれども、平成二十五年三月に条例を制定して基金化したということですけども、当時、委員長は私だったんですけれども、基金の活用目的と現在の基金残高についてお伺いいたします。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十五年三月に制定した東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金条例では、基金の活用目的を、寄附金として寄せられた都民等の意思を受け、国による尖閣諸島の活用に関する取り組みのための資金とすると規定しております。
 また、現在の基金残高は十四億一千万余円となっております。

○鈴木委員 結局、差し引き--八千万円近く調査経費で使われているわけですけれども、都は、国による尖閣諸島の活用に関する取り組みとして、どのような取り組みを想定して、国に対して実際にどのような提案を行っているのか、お伺いいたします。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、平成二十四年九月の現地調査を通じ、自然環境の保護や、地元漁業者のための施設の設置などの必要性を確認いたしました。
 都としては、所有者である国が尖閣諸島の活用に資する、こうした取り組み等を行うことを想定し、これまで、ヤギの被害から貴重な動植物を守ることなどによる自然環境の保全や、地元漁業者のための船だまり、無線中継基地等の地元自治体が強く要望する施設の設置など、尖閣諸島の活用方策について、国に対して具体的な提案を行ってまいりました。

○鈴木委員 じゃ、そうした提案に対して、自然環境の保全とか、地元自治体が強く要望する施設の設置についてなど、国がその提案を受けて具体的に対応したものというのは今まであったのでしょうか、お伺いいたします。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 尖閣諸島における自然環境の保全や地元自治体が強く要望する施設の設置につきましては、現時点で、国による具体的な対応に結びついた事例はございません。
 今後も、都は引き続き、地元自治体と連携しながら、尖閣諸島の活用に関して関係省庁に働きかけを行うとともに、都の取り組みをホームページ等で発信してまいります。

○鈴木委員 このことは、当然、国策として、外交上の問題、さまざまな問題で今現在に至っているわけですけれども、この基金をつくって、基金を管理している東京都としては、やはり私はそれなりの責任があるんだというふうに思います。
 まず、寄附された方々を含め、都民、国民に対して、現実に都の管理状況、そして、実際に管理しながら国にこうした提案をしているということを、常に私は発信していくことも大事だというふうに思います。
 またさらに、先日、知事が、この基金を活用して人工衛星の開発にも使えるんじゃないかというような話をされておりましたけども、そうした誤解を招くような発言がないように、しっかりと事務方の皆様もご意見を伝えていただきたいというふうに思います。
 私は、この基金を使って今すぐ何かをすればいいというのではなくて、やはり都としての責任を果たしていただいて、この基金をしっかりと今後も皆様の思いに応えていけるようなものとして取り組んでいきたいという、そうした心意気を取り組みで示していただきたいということで、きょう質問させていただきましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、首都大学東京についてお伺いいたします。
 首都大学東京に行く前に、公立大学法人首都大学東京という組織があるわけですけれども、産業技術大学院大学、そして東京都立産業技術高等専門学校、この三つの組織から成って、多様な分野で世界の先端を行く研究を行って、そして、次代を担う人材の輩出や大都市課題の解決、新たな知の創造等の教育研究など、確かな成果を社会に還元して、さらにそれを世界に波及させていくという目標のもとに、この三つの機関が連携して、協力して、法人全体として効果的な事業展開が図られて、そして、他の国公立大学にない特性を持って運営されているというふうになっております。
 その中で、首都大学東京は、平成十七年四月に、都立の四つの大学の再編統合によって開学して、ことしで既に十四年目となったわけです。この間、首都大学東京では、一、二年次からのゼミナールとかインターンシップなど、学生が主体的に学ぶ力を育むための教育の取り組みを行ってきたと聞いております。もちろん、それは重要なことであるわけですけども、大学においては、やはり高い研究力に裏づけられてこそ、質の高い教育も可能となるのではないかなというふうに思います。
 首都大学東京は、開学以来、時代をリードしながら、学生本位の本物の考える力を身につけることを柱に、学部や学科の枠を超えた活発な教育研究が行われているということですけれども、首都大学のこれまでの研究についてどのような成果があったのか、お伺いをいたします。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京は、開学以来、多彩な基礎研究を展開しながら、都立の大学として、都市の課題に焦点を当てた課題解決型の応用研究を推進してまいりました。
 平成二十四年度からは、大学として、世界的な研究拠点化につながる卓越した研究を行うグループと、大都市の課題解決に資する特色ある研究を行うグループを研究センターとして指定し、研究広報やシンポジウムの開催、外国人研究者招聘などについて支援をしております。
 現在、十六の研究センターがございまして、例えば水道システム研究センターでは、将来の次世代型水道システムにおいて、電力使用量を削減するための方策を明らかにしております。
 また、子ども・若者貧困研究センターでは、都や区市町村と連携して子供の生活実態に関する調査研究を行い、その成果は都の新たな施策にもつながっております。
 さらに、宇宙理学研究センターでは、衛星観測により銀河中心部の高温ガスの状態を明らかにした研究成果が、イギリスの科学誌、ネイチャーに掲載されるなど、高い評価を受けております。

○鈴木委員 今ご答弁がありましたように、こうした大学を挙げて、連携しながらすばらしい成果を上げて、そしてさらに、本年四月に、首都大学東京の有する教育研究資源の集約、強化をさらに進めることで、時代の要請に応えて学部を再編したということでありますけれども、さらにいえば、今、日本が中国や韓国におくれをとっている、例えばブロックチェーンの技術などがあるわけですけども、このブロックチェーンというのは、分散型台帳技術または分散型ネットワークの仕組みであるわけですけれども、仮想通貨など、本当に今、国際金融都市として東京都が取り組んでいるフィンテックを語る上でも欠かせない技術であります。
 ブロックチェーンというのは、金融サービスに大きなメリットをもたらしているというふうにいわれておりますけども、その活用というのは、それだけではとどまらないものともいわれております。特にこうした分野は、先行した者が勝つ世界であり、国際金融都市を目指す東京においても、私は早急に対応していく必要があるのかなというふうに思います。
 昨年、都が策定した国際金融都市・東京構想でも、フィンテックやブロックチェーンなどの革新的技術を応用した産業の育成を図るとしており、首都大学東京でも、これらについて研究面での貢献など、大学の立場からできることがあるのではないかというふうに思いますけれども、現在の状況をお伺いいたします。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、先ほどご答弁いたしました十六の研究センターの一つとして、平成二十七年度に、丸の内サテライトキャンパスを本拠地とする金融工学研究センターを設立いたしました。
 このセンターは、金融機関等での勤務経験のある教員を中核メンバーとして、ファイナンス及び金融工学の研究を進めるとともに、海外の研究者との国際ワークショップなども行っております。
 あわせて、金融機関や日銀、金融庁などの公的機関とも連携し、年に一度、首都大学東京ファイナンス・シンポジウムを開催しており、実務家や研究者の参加を得て、フィンテックと金融ビジネスの新展開や、ブロックチェーン技術の展開といった最新の話題を取り上げて議論を行っております。
 加えて、今年度からは、フィンテックやESG投資など、社会の実勢を捉えたテーマによる東京ファイナンスフォーラムを月に一回程度開催するなど、研究センターの研究成果を広く社会に還元しております。

○鈴木委員 今、大学が選別される時代になってきている中で、海外からの留学生や研究生だけでなく、もちろん、大学として質の高い学生を集める必要があるわけです。
 首都大学東京は、これまで答弁があったように、都市についての課題を取り上げて教育研究を行っているんですけれども、このことが、都民を初め、世の中に余り知られていないのかなというふうに思います。
 私も、今回、この事務事業質疑をする中でいろいろと学ばせていただいて、改めて、すばらしい成果も出て、本当に取り組みを頑張っているんだなというふうに思っておりますけれども、やはり東京都の公立の大学としては、研究の成果を積極的に発信して、首都大学東京に行きたいというふうに思ってもらえるような学生をもっともっと集めていく取り組みも必要ではないかというふうに思います。
 二〇二〇年四月に名称変更を予定しているということですけども、これを単なる名称変更に終わらせることなく、契機として、首都大学ならではの強みを明確にして、その成果をわかりやすく発信していくべきと考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京は、教員と学生がお互いに顔の見える人間関係の中で、学生の能動的な学びを促し、本物の考える力を身につけるための教育や、都立の総合大学として、大都市の先端的課題の解決に資する研究を初め、世界水準の研究に取り組んでまいりました。
 その結果、首都大学東京の学生に対しては、一般に、真面目で優秀という評価が定着しており、世界大学ランキングでは、日本の大学の中では常に十位程度に位置づけられております。
 一方、教育研究成果についての発信力が弱く、首都圏における大学認知度では中位程度になっているなど、大学の教育水準に対し、その認知度やブランド力が十分とはいえない状況にあるという点が課題でございます。
 今後、首都大学東京では、都民に対して教育研究成果をわかりやすく発信していくため、広報の専門家など外部の意見も取り入れながら、戦略的な広報活動等に取り組んでいくこととしております。
 名称変更を一つの契機として、首都大学東京がその存在意義を都民に向けて明確に発信していけるよう、都としても支援してまいりたいと考えております。

○鈴木委員 今答弁にありましたように、私の地方の友人も、首都大学東京が東京都の大学とわからない方もたくさんいらっしゃいまして、そのレベルがどういう状況なのかというのもわからない中で、私が首都大学東京のすばらしさを説明しているという状況もあるわけですけども、教育機関に求められるニーズというのは、本当に近年大きく変化しておりまして、特に大学においては、グローバル化への対応というのは重要な使命ともなってきております。
 そうした中で、首都大学東京は、海外からの留学生の受け入れを推進するとともに、国際交流協定に基づいて、交換留学制度など、世界各国の大学へと留学する首都大学生がふえているというふうにいわれております。
 このたび、ロンドンの大学との協力体制を築いたわけですけども、都の都市外交とも連携して、これからも世界で認められる、選ばれる大学として取り組んでいただきたいというふうに思います。
 今答弁もありましたけれども、新たな名称変更が、さらなるグローバルな大学として発展していく契機となりますよう、今後の活躍をご期待申し上げまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時三十五分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 それでは、質問したいと思います。
 まず最初に、資料提出、ありがとうございました。それらの資料も踏まえて、人権部にかかわる三つの課題について質問したいと思います。
 まず最初に、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例について伺います。
 成立した人権条例は、前文と三つの章で構成され、あらゆる差別は許されないことを位置づけ、その上で、対策がおくれている、強化をしていかなければならない多様な性の理解の推進と差別禁止、ヘイトスピーチを許さない取り組みの強化について書かれています。
 多様な性の理解の推進については、都の責務として、基本計画を策定し、必要な取り組みを推進すること、策定に当たっては都民の意見を聞くことが位置づけられています。
 基本計画策定はどのように進めるのか、とりわけ、その中で都民参加をどう保障するのか、伺います。

○仁田山人権部長 基本計画は、条例に規定しているとおり、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るために作成することとしております。
 既に、全庁横断会議を設置して条例の趣旨を共有し、基本計画策定の準備を始めたところであります。
 今後、新設した相談窓口に寄せられた声、有識者、当事者等や区市町村の意見、都議会でのご議論も踏まえ、具体的な施策を東京二〇二〇大会までに進めていくことができるよう、来年中を目途に策定していきます。

○原委員 今ご答弁にありました、新設した相談窓口、ここに寄せられた声を大事にしていくということは、私はとても重要だというふうに思っています。
 また、都議会での議論も踏まえというお話もありましたので、私自身も、さまざまな都民の方からのご意見も聞きながら、基本計画がよりよいものになっていくように議論をしていきたいというふうに改めて思いました。
 この相談窓口については、電話相談としてスタートさせたことは非常に重要であって、今後その状況を見ながら、第三回定例会でも要望しましたけれども、メールなどでの相談など、さらなる充実も検討してほしいということは、改めてこの場では要望しておきたいと思います。
 その上で、基本計画において、苦情処理や被害者救済についても盛り込まれていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○仁田山人権部長 LGBT等の方々のお困り事はさまざまでありまして、声を上げられない当事者の声をどう聞くかという配慮も求められているものと認識しております。
 相談や苦情の内容は多種多様でありまして、しっかりと当事者の悩みを聞き、寄り添うことが何よりも大切であることから、相談窓口を新設したところでございます。
 相談内容に応じまして、人権侵犯事件の調査、救済を行う東京法務局を初めとする適切な機関を紹介することで対応してまいります。
 また、相談窓口に寄せられた相談を人権部に集約し、そこから明らかになった課題を各局と共有することで、各現場において適切な対応につなげてまいります。

○原委員 今回、条例の中で差別禁止を明確にしたという点からも、相談を受けることを大事にしながら、苦情や困難の解決に積極的に当たっていくということが重要だと私は考えています。
 今、内容に応じて適切な機関を紹介することや、また、相談窓口での声を各現場にもつないで適切な対応をしていくというお話があって、これは非常に重要ではあります。
 同時に、苦情の申し立てができるように東京都として体制を整えることも、また必要ではないかというふうに思います。都民の声、相談者の声を聞きながら、これらについては検討を進めていただきたいということを求めておきたいと思います。
 次に、ヘイトスピーチ解消にかかわり、伺います。
 ヘイトスピーチの規制に関して設置をされる審査会の委員について、その選任の考え方と公表の仕方について伺います。

○仁田山人権部長 審査会の委員につきましては、条例第十五条第二項に規定しているとおり、学識経験者その他適当と認める者のうちから委嘱するとしておりまして、公平公正かつ中立的な運用を行うことができる委員を知事の責任おいて選定し、公表いたします。

○原委員 この点については、条例の可否を問う、その議論の中でも、私たちも問題提起をしてきた点です。
 事前規制についての基準を知事がつくっていくということですけれども、第三回定例会での我が会派の質問に対する答弁では、その際は、学識経験者の意見も伺いながら、慎重に検討しながら策定していく、また公表していくということもいわれていました。
 そういう中で、実際に、具体的にその答弁をどのように進めていくのかということを伺います。

○仁田山人権部長 公の施設の利用制限は、集会の自由など基本的人権の制限とも密接にかかわることから、その基準の策定等に当たりましては、学識経験者等からの意見も伺いながら慎重に検討してまいります。
 基準の策定等の後は、都民に基準を公開するなどして、条例の適用等について周知してまいります。

○原委員 その点は本当に慎重に、また、都民にも公開していくということで、改めてお願いをしたいと思います。
 私たちは修正案を出したときに、知事に審査会の皆さんが意見をいえるというだけではなくて、積極的に知事の方から基準をつくっていくときに意見を求めていくということを修正案等でも示しましたけれども、ただ、その点について、修正案は通りませんでしたが、今ほどのご答弁のとおり、慎重に進めていただくということで、その点については重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
 そして、この間も、ヘイトスピーチは、都内でも実は本当にたくさん繰り返されている状況があるというふうに私は認識しています。
 こうした状況について、都としてはどのようにその状況を認識されているのか、伺いたいと思います。

○仁田山人権部長 東京を訪れる外国人は今後も増加していくことが見込まれる中で、東京にヘイトスピーチがあってはならないと認識しておりまして、条例の制定を機にヘイトスピーチの解消に向けて取り組んでまいります。

○原委員 この間、都内で街頭などでのヘイトデモのようなものが繰り返されている、都内でも起きていますけれども、改めて、それだけではないなということを実感した出来事がありまして、先日、立川市にある朝鮮学校の学校公開に伺いました。
 そのときに朝鮮学校の教育についてお話も伺って、きちんとされているんだなということを私も実感したんですけれども、その校長先生のお話の中で、朝鮮学校の生徒さんが動画になっているツイートに、どんどんどんどんヘイトスピーチが次々連なっているという状況に胸を痛めているというお話がありました。
 私も見てみましたら、本当にそのとおりで、誤解も含めて、また偏見も含めて、そういうツイートが連なっていると。やっぱりこうした状況はなくしていかなければいけないというふうに改めて思いました。
 この条例が積極的に生かされていくようにお願いをしたいと思いますし、私自身も努力をしていきたいと思います。
 また、あわせて、人権条例全体、この新しい条例に基づいて、先ほどのヘイトスピーチだけではなくて、SOGIの関係でも基本計画をつくっていくとか、さまざまな取り組みをしていかなければならない。そういう中で、実際に人権条例の具体化にかかわる職員体制をやはり強化していく必要があるのではないかというふうに強く思っています。ぜひこのことについても検討いただきたいということをこの場では要望しておきます。
 次に、同和問題に関する専門相談窓口について伺います。
 指定管理者によって旧人権プラザで行われていた同和とアイヌの特定相談は、昨年度末をもって終了し、今年度から新たに、同和問題に関する専門相談窓口が都からの委託により実施をされています。
 なぜ同和の相談事業だけ継続される必要があるのか、昨年十二月の総務委員会でも質疑をしました。
 落札した事業者は、どのような実績を持ち、他の自治体での実績はあるのか、伺います。

○仁田山人権部長 平成三十年度の同和問題に関する専門相談窓口の運営につきましては、総合評価方式の競争入札による委託契約により実施しております。
 落札した事業者は、一九九四年に設立されました公益社団法人東京部落解放研究所でございます。
 総合評価を行うため、入札の際に事業計画書の提出を求めておりますが、それによると、当該事業者は、主な事業として、調査研究、講演会、研修会などの開催、相談活動などを実施しております。
 また、他自治体での実績につきましては、記載はありませんでした。

○原委員 事業計画書には、他自治体での実績は記載されていないという答弁でしたが、本来、やったことがあるのかないのかということ、ほかの自治体での実績があるかどうかということについては把握をされているのが当然ではないかなと私は思います。
 また、事業計画書自体は公開されていませんので、都議会からも、都民からも見えにくいということは指摘をせざるを得ないと思っています。
 それで、総務委員会要求資料の一〇ページに入札経過調書が載っています。この入札経過調書を見ますと、落札金額は三百二十六万七千百七十四円となっています。
 旧人権プラザで行っていたときの同和の特定相談の委託料は幾らでしたか。

○仁田山人権部長 東京都人権プラザで昨年度まで実施しておりました特定相談は、同和問題及びアイヌの人々という二つの人権課題に関する相談に対応するものでございました。
 この特定相談の経費につきましては、都がプラザの指定管理者へ支出した金額は、平成二十九年度の実績で約一千三百万円でございます。

○原委員 昨年度までの特定相談は、同和については二団体で、一団体は二名体制で、もう一団体は一名体制、それで週五日間行っていたというふうに認識をしています。それに加えてアイヌの相談があったということだと思います。それで一千三百万円ほどの実績だったということだというふうに、今聞いていて思いました。
 ところが、今回の専門相談は同和に限っていて、一団体で、仕様書にもあるように週二日となっています。一人体制で、この団体の事務所で受けることができるようになっています。それで三百万円ということが妥当なのかどうかということは、私は、今後検証していく必要があるというふうに考えています。きょうは、その考えを述べることにとどめておきたいと思います。
 そこで、仕様書に沿って伺いたいと思います。
 資料の一二ページから一三ページに具体的にいろいろ書いてありますが、ここにある相談対象者というのはどういう人を指しているのか。
 また、相談日は、今いったように週二日となっていますが、これまでより減っています。なぜ二日としたのでしょうか。
 また、来所相談は一人三回程度とありますが、これはどういう意味でしょうか。

○仁田山人権部長 お答えをさせていただく前に、一つだけお話をさせていただきたいと思います。
 先ほど、特定相談の中で、二つの団体により相談をというふうにいわれておりましたけれども、人権プラザで特定相談をやっておりますので、私どもとして団体にお願いしているものではないというものでございます。
 答弁に入らせていただきます。
 相談対象者はどなたかという話でございましたが、原則として、都内に在住、在学、それから在勤する者であります。
 それから、二日にというお話でございましたが、これは、旧東京都人権プラザ分館で実施された特定相談の実績を踏まえまして、見直しを行った結果、相談日を週五日から二日にいたしました。
 それから、一人が同一内容の相談で何回も相談に来ることも想定されるために、より多くの方に相談機会を確保するため、原則として、一人三回程度といたしました。相談内容等により、必要がある場合には、三回を超える回数の来所相談も可能でございます。

○原委員 今、部長から、団体にお願いしたということではない、指定管理者の方に委託をされた中でやられているということでのご説明がありました。またこのことについては別のときにも議論をしたいと思いますが、実際には、先ほどいったように、全体として週五日やっていたというのは間違いないと思います。
 そして、今回は週二日で一人ということになっていますが、その人数も、団体といったらよくないのであれば、人数も多かったということがいえると思いますが、またこれは議論をしたいと思います。
 それで、この資料の二一ページなんですけれども、ここに相談カード(同和問題)というのを載せていただきました。
 この相談カードについて伺いたいんですが、これまでの特定相談では、相談人数ではなくて、相談者の相談内容で相談件数をカウントしていたんですよね。一人が何件も相談内容を含んでいれば、それを五件とか六件というふうにカウントしていました。
 新たな専門相談窓口の相談カードは、一人の方が何件も相談があれば案件ごとにカードをつくるのか、それとも、一人カード一枚なのか、伺います。

○仁田山人権部長 相談カードの作成につきましては、電話相談または来所相談の対応をした際、一回の相談につき一回作成することといたしております。
 相談内容の分類が複数にわたる場合であっても、一回の相談につき作成する相談カードは一部でございます。
 なお、一回の来所相談では解決に至らず、二回、三回と回数を重ねた場合は、その都度、一部ずつ作成することになります。

○原委員 今ご答弁していただいた内容ですと、今までよりも、実際にどのぐらいの相談があるのかという実態がわかりやすくなるのではないかなと、私は今聞いていて感じました。
 もとより、こういう差別解消という取り組みは、どの人権課題も軽重はありませんと人権部長もずっとおっしゃっている中でやられていくのですけれども、差別がなくなっていくことが大事なので、それをリアルにつかんでいくことが必要だと思うんですね、数としても。もちろん、どんどんその数が膨らめばいいわけではなくて、どんどん解消していく方向に行くことが必要。そういう点でも、リアルな数字、人数を把握していくことが必要だということを指摘しておきたいと思います。
 部落差別の解消の推進に関する法律では、第六条で、国は、地方公共団体の協力を得て部落差別の実態に係る調査を行うと規定されています。これについてどのように進めるのか、伺います。

○仁田山人権部長 平成二十八年十二月に施行されました部落差別の解消の推進に関する法律第六条におきましては、国は、地方公共団体の協力を得て部落差別の実態に係る調査を行うものとされているところでございます。
 現時点で、部落差別の実態に係る調査につきまして、国の動きはございません。

○原委員 国の動きはないということですから、どんな調査をどういうふうに進めるかというのは全くわからないわけですけれども、現状はわかりました。
 解消法では、第四条で、地域の実情に応じて相談体制の充実を図るように努めるものとするというふうにいっていますが、一方で、この法律はできましたけれども、二〇〇二年三月に国の同和対策の特別事業は終結をしている、そういうことを受けながら東京都も事業をやってきたという、そういう流れもあるわけです。
 私は、そういう中で専門相談を特別に実施するということが果たして必要なのかというのは、やはり考えなければいけないと思っています。私としては、人権相談全体を充実していくことこそ重要で、その中で相談を受けていくということではないかなというふうに思っています。
 先ほどご答弁でも、特定相談の実績を踏まえ、見直しを行って、週二日にしたというふうにおっしゃっていました。ですから、これまでのやり方よりも、週五日だったものを週二日にしたということを見れば、それを実態に合わせたということですから、そういうことを考えても、専門相談窓口を特別につくるというよりは、人権相談全体を充実していく、そういう方向に進めていくべきではないかなという意見を述べておきたいというふうに思います。
 最後に、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業について若干伺いたいと思います。
 先日、我が会派の大山議員と一緒に性暴力救援センターをお訪ねしまして、取り組みの内容も改めて教えていただきました。改めて、ワンストップ事業の重要性を実感しました。
 私たちが伺っている短い時間の間にも電話が入って、支援員の方は別室に行って対応されているということで、しょっちゅう電話が鳴っているという状況もわかりました。
 東京都の性暴力救援ダイヤルNaNa、二十四時間ホットラインは、まさに休日、夜間も含めて二十四時間三百六十五日体制で相談を受け付けています。
 どのような体制で夜間、休日の相談を受け付けているのか、伺います。

○仁田山人権部長 電話相談は、常時二名体制で対応しておりまして、二十四時間、休日、夜間を含めて実施しております。

○原委員 全国を見ますと、自治体によっては、夜間、休日については外部のコールセンターに委託をしているというケースも結構あります。
 東京都は、二十四時間三百六十五日、同じ団体が対応しているということになっているわけですが、なぜそのようにしているのか、伺います。

○仁田山人権部長 性犯罪、性暴力被害者は、妊娠のリスクがあるなど、被害直後から早期救済が必要であります。
 休日や夜間を問わずに相談に応じ、適切な支援が提供できる体制を確保していくことが望ましいと考えたことから、二十四時間体制を行うことといたしました。

○原委員 改めて、これはとても大事なことだなというふうに受けとめています。
 一つの例ですけれども、コールセンターに委託をして、うまく連携ができているケースもきっとたくさんあるんでしょうけれども、例えば自治体によっては、休日、夜間に相談を担っていただくのは負担が重い、また、そこにお金もいろいろ持ち出さなければいけないとか、いろんなことを考えてコールセンターにして、一時受け付けは、一応、看護師さんが行うということになっているけれども、じゃ、直ちに動きをつくれるかというときに課題があったという、そういう例もお話の中では私は聞いています。
 そういう中で、東京の場合は、休日、夜間も含めて、必ず二人体制で行っている。直接電話を受けて、すぐ動くということを大事に貫かれているということは非常に重要だというふうに思いました。
 それで、今回、資料の中でも相談件数も示していただきましたけれども、相談者の年齢や相談内容の特徴、また、被害の直後か、過去の被害かなど、相談実績からいえる傾向というのは何かあるでしょうか。

○仁田山人権部長 相談内容の傾向といたしまして、年齢につきましては十代から二十代の女性が比較的多いところでございますが、子供から大人まで幅広い年代の被害者から相談がございます。
 また、強制性交や強制わいせつなどの深刻な被害の相談が多く、中には児童虐待やDVなど、他の専門相談窓口につなぐ事例もございます。
 さらに、被害直後の相談のみならず、性被害を受け、長年経過したものまで、相談する時期もさまざまでございます。

○原委員 最後におっしゃっていた、被害を受けて長年経過をしたものも含めて相談があるというお話で、私は、これもとても重要だと思っています。その直後には相談することができなかった、ためらってしまったということがあっても、何年もたってから、どうしてもそのときの傷が癒えない、悩みを抱えたままだというケースは本当にたくさんあります。
 そういうときにも、まずはここに電話をしてみて、相談して、そこで適切なところにつないで、カウンセリングを受けるなり、対応を受けるなりということができるということは非常に重要で、私は、時間がたってしまったからということではなくて、いつでも相談できますよということを、ぜひさらに積極的にアナウンスしていただきたいというふうに思います。
 それで、次に、いろいろ努力をされている中でパンフレットもいろんな種類を出されていて、私は、この一つ一つがとても重要だと思って読みました。
 それで、啓発リーフレットの中に、あなたの望まない性的な行為は全て性暴力だというふうにはっきり書いてくださっていて、悪いのは、あなたではなくて加害者なんですということを明記し、そして重要だと思ったのは、性暴力は、地域、年齢、性別、国籍を問わず起きていますと書かれている点です。これはとても重要だと思いました。
 しかし、一方で、連携の図がこの中にあるんですけれども、この連携の図を見ますと、連携先の医療機関としては、産婦人科、精神科、小児科というふうになっています。
 男性やセクシュアルマイノリティーの方への対応は、必要な医療機関との連携を含め、どのように行っているのか、伺いたいと思います。

○仁田山人権部長 性暴力救援センター・東京の電話相談では、従来から性別を問わずに応じております。
 男性やセクシュアルマイノリティーの被害者からの電話相談に対しましても、必要に応じて、対応が可能な病院など専門機関につなぐこととしております。
 今後も、さまざまな電話相談に対しまして適切に対応し、円滑な支援を行うことができるように努めてまいります。

○原委員 ぜひお願いをしたいと思います。そういう意味でも、支援員の役割は本当に大事だ、非常に重要なんだというふうに思います。
 あらゆる被害を受けた方々、それは年齢や性別を問わず受けるんだということでやられているということで、刑法も改正をされているので、男性の被害が加わった中で、これまでは割と女性中心だった対策をさらに前に進めなければいけないということもある中で、新たに研修も強化をしていくことが本当に必要なんだというふうに思います。
 まず、どのような研修を行っているのか、また、その中でも、男性やセクシュアルマイノリティーの被害者への相談支援に関しての研修というのは行っているのか、伺います。

○仁田山人権部長 性暴力救援センター・東京の相談支援事業に従事している支援員に対しましては、対応力向上のための研修を年四回程度行っております。研修には、医療従事者や弁護士など専門家を講師とした科目も取り入れております。
 また、今年度から、セクシュアルマイノリティーの被害者に対して相談業務を行っている民間支援団体から講師を招き、研修プログラムに組み込んでおります。

○原委員 わかりました。さらに研修を充実させていく努力をされているということで、引き続きお願いしたいと思います。
 きょうは、ちょっと時間の関係でまたにしますが、研修とともに、その支援員の方々を支える、そういう体制というのも本当に重要だと思っていまして、同行支援にかかわる経費もそうです。それから、支援員の方自身のメンタルケアや、また年休などを保障していくなど、これはやっている県もあるんですね。そういうことも含めて課題だというふうに思っています。これはまた別の機会に議論をしたいと思います。
 また、先ほどパンフレットのこと、リーフレットのこともいいましたけれども、ぜひこのリーフレットなどを、インターネットの情報だけではなくて、こういう実際に手にとることができるリーフレットはとても重要だと思うので、さらに広げていただきたい、いろいろなところで宣伝、配布をしていただきたいということを、この点については要望しておきたいと思います。
 それで、できるだけ早く支援につながるためにも、相談の敷居を低くしていくことが本当に大事だと思うんですが、そのために、広げていただきたいと話したこうしたリーフレットをさらに工夫していくということも重要だと思いますが、いかがでしょうか。

○仁田山人権部長 リーフレットは、被害者が救済に向けた一歩を踏み出すきっかけになるものであるというふうに考えておりまして、このことから、今後も、より利用を促すような内容となるよう、被害者の視点に立った工夫をしてまいります。

○原委員 ぜひ工夫は絶えずしていっていただきたい、そういう検討をしていただきたいと思っています。
 私自身は、このリーフレットを見て、まず電話をしてみようと思えるように本当に工夫をされているんですが、さらに、相談をしたことによって、よかったというような、そういうことが何らかの形で伝わるような工夫をしていただけたら、さらにいいなというふうに私は思っています。
 また、先ほど連携の図のことをいいましたけれども、性別や年齢にかかわらず相談できるということを今実際にやられているわけですが、それをさらにこの中で強調していただけると、多くの方がもっと身近に、何か困ったらすぐ連絡しようというふうに思っていただけるのではないかというふうに思いますので、こうしたことも含めて、さらなる改善を検討していただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○藤井(と)委員 私からは、監理団体、そして首都大学東京、そして特別区への事務移管について、順次質問をさせていただきたいと思います。
 まず、監理団体についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 まずは、退職管理に対する考え方についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 これは直近一年間の幹部職員さんの再就職状況なんですけれども、課長級以上の職員さんが再就職された数は百三十七名ということでございますが、その内訳は、監理団体三十一名、報告団体八名、公益団体三十一名、民間企業三名、再任用四十二名、その他二十二名ということでございまして、これを再任用を除いた九十五名から考えますと、監理団体には三十一名、三三%、約三人に一人の方が再就職をされていらっしゃるということでございます。
 さらに、監理団体三十三団体の役員のうち、四十四名が都庁職員OBということでございまして、まさに多数を占める状況ということでございます。
 この退職管理に関しましては、在職中に培われた経験だとか、あるいは知識を次の職場で生かしていただくということは、別に何も問題ありませんし、むしろ好ましいことだというふうに思います。
 しかしながら、この再就職先が、監理団体とか報告団体、あるいは、都から多額の財政支出を受ける公益団体等に集中するというような状況は好ましくありませんし、見方によっては、ちょっと不自然にも感じてしまうわけでもあります。この点、一般的には天下りと指摘をされるような状況でもあるというふうに思います。
 団体の役員会において、都庁OBの方が多数を占めるという状況になりますと、さらに、かつての後輩を指名していくというようなことにもつながりかねないわけでありまして、この点、るる申し上げてまいりましたけれども、東京都として、退職管理に対しての問題意識なり考え方みたいなものがあれば、お伺いしたいと思います。

○栗岡人事部長 都はこれまで、再就職情報を一元管理する都庁版人材バンクを独自に設置しまして、再就職の状況を公表するとともに、平成二十七年度には退職管理条例を制定しまして、外部の有識者で構成された退職管理委員会を設置いたしました。
 この委員会により、第三者の目を通して、監理団体や民間企業等への再就職についてチェックを行うなど、職員の退職管理のより一層の公正性、透明性の確保に努めてまいったところでございます。
 もとより、監理団体や報告団体など、都の事務事業と密接な関連を有する業務を行っている団体につきましては、みずからの経営判断により、これらの業務の円滑な遂行を図る人材確保の一環としまして、固有職員のほか、都職員等を登用しているものと認識してございます。
 都としましても、豊富な知識や行政経験を有する職員がこうした団体において活躍することは、団体の適切な事業運営に寄与するものと考えてございます。
 今後とも、退職管理につきまして厳格な運用を図りつつ、各団体が進める人材確保の取り組みに適切に対応していくことにより、質の高い都民サービスの維持向上に努めてまいります。

○藤井(と)委員 おのおのの監理団体みずからの経営判断ということでありますけれども、都庁職員OBの方の多くが監理団体に再就職をする状況が生まれたり、監理団体の役員が都庁OBの方ばかりというような状況になるのは、やはり不思議でもあるわけでございます。
 こういった状況がつくられる中で、どのような機関においてどのような検討をされて、こういった状況が生まれているのかについて、ちょっと不思議にも思えるわけでありますけれども、都としてはどのように把握をされていらっしゃるのでしょうか。

○栗岡人事部長 少し繰り返しになるところがございますけども、各監理団体は、業務の円滑な遂行を図る観点から、みずからの経営判断によりまして、都職員の活用を含め、適切な人材の確保を図っているものと認識しています。
 また、都としましても、都の事務事業と密接な関連を有する団体の運営のかなめとなる役職者に都職員を推薦することは、都のガバナンスを確保し、都政と連動した効果的な運営を図る上で有益であると考えてございまして、具体的に申し上げますと、こうしたことから、これらの監理団体につきましては、退職管理条例に基づきまして、外部有識者による退職管理委員会の諮問を経た上ででございますけれども、適切な人材を推薦することが必要な団体として--適材推薦団体といわれておりますけれども--指定されてございまして、それにより都職員を推薦しているところでございます。

○藤井(と)委員 監理団体からの役員候補の推薦の依頼があって、あくまでも、都はその依頼に基づいて推薦をしているにすぎないという話だというふうに思います。これはあくまでも団体みずからの経営の判断だというご答弁であったと思います。
 一方においては、団体にとっては、大部分の収益を都からの委託金だとか補助金で得ている。さらに、随意契約等の割合が極めて高いということでございます。
 仮に、団体としてプロパーの職員さんを登用したいと考えていたとしても、役員としてOB職員さんを受け入れないと契約自体を切られてしまう、そういったことを考えると、やっぱり役員さんを受け入れてでもやっていこうという団体の判断にもなろうかなと思います。
 このことは、実は、団体それぞれの自律が進まないと。これは見える化改革でも指摘をされていたと思いますけれども、随契等、委託料等で、まさに都の保護のもとで安住をしかねないというようなことは問題意識として指摘されていたと思います。
 この監理団体三十三団体のうち、七つは株式会社ということでございまして、こういった委託料とか補助金で大部分の収益を占められるという状況になっていきますと、外に受注の機会を求めていく必要性がないということにもなりますので、じゃ、これはそもそも株式会社である必要性というのはあるのかというようなことにもなってくると思いますので、ぜひこの点はしっかりお考えをいただきたいなというふうに思うわけであります。
 先ほど他会派さんからのご質疑で答弁があったと思いますけれども、再就職のあり方についてはしっかり考えていきますというような答弁があったと思います。
 この考えていくというのは、具体的には、都庁のOB職員さんの監理団体への再就職の数を減らしていくということも一つの方向性として考えているというふうに捉えてよろしいのかどうか、そのことを答弁いただきたいと思います。

○栗岡人事部長 委員お尋ねの、先ほど定年延長ですとかさまざま、これから六十歳を超えたところの職員の環境というのは大きく変わっていくところでございますけれども、その中で、現時点で再就職といったところについて、監理団体に行く数を減らすとか減らさないというような話ではなくて、むしろ、どういった形が職員の能力を活用して都政全体を活性化していく形になるのかといった観点から考えていく必要があるのかなと思ってございます。
 しかしながら、一方で、先ほど委員がご指摘、おっしゃっているようなところにつきましては、現在、退職管理条例とか、昨年も条例改正していただきまして、一般職員まで公表対象を広げるという形で条例をご審議いただきましたけれども、そういった対応にも取り組んでおりまして、退職管理のところにつきましては、引き続き厳格な運用とか制度改正も含めて検討した上で、一方で、退職後の職員の活躍の場をどういうふうに確保していくかといったところについては適切に対応していきたいと考えております。

○藤井(と)委員 都民サービスを充実させていく上で監理団体を活用されていくんだというような答弁を都は繰り返されているわけでありますけれども、一方において、随契の多さとか、随契をふやすということはそれだけ、最初から--公共サービスというのは、別に役所だけだとか監理団体だけがやるべきことではなくて、民間も含めて最適な団体が担っていくということが本来あるべき姿だと思っていますので、そういった意味では、最初から門戸を開かない、締め出しちゃうというようなことにもやっぱりつながってしまうわけであります。
 天下りといわれるような状況が随契の多さを生み出してしまう。それが都民サービスをゆがめてしまって都民の利益を損なうというような状況にならないように、ぜひ再就職の問題についてはしっかり取り組んでいただきたいなと思います。
 次に、そもそもの監理団体、今、三十三団体あるわけでありますけれども、この指定についての考え方についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 監理団体になれば、経営目標をつくったりとか、情報公開が求められると。資料にもありましたとおり、監理団体においては障害者雇用をどれだけしっかりやっているかと、そういったこともしっかりモニタリングをされていくということでございます。
 私の問題意識としては、本来、監理団体でなければならないにもかかわらず、指定をされていないような団体がないのかどうかということであります。
 まず、監理団体の指定の考え方について、簡単にお答えをいただきたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都では、都が出資等を行うなど、都の政策との連動性が高く、都の施策実施の現場を担うなど、全庁的に指導監督を行う必要がある団体について、自律的経営を促進することを目的といたしまして、組織運営や事業運営等に対して必要な関与事項を要綱で定め、当該要綱に基づき監理団体として指定してございます。
 具体的には、東京都監理団体指導監督要綱におきまして、都が出資または出捐を行っている団体及び継続的な財政支出、人的支援等を行っております団体のうち、全庁的な指導監督を行う必要があるもので、原則として、都が基本財産に出資等を行っている公益法人等、都が資本金の二五%以上出資している株式会社、その他特に指導監督を必要とする団体のいずれかに該当する団体を監理団体として、総務局長が指定及び指定解除の決定を行うこととしてございます。

○藤井(と)委員 今ご答弁がありましたとおり、東京都として、出資ないし継続的な財政支出をしている、人的支援を行っている団体、さらに、その上で、全庁的に指導監督をする必要性がある団体を指定しているというようなご答弁でありました。
 具体的には、一般財団法人東京都営交通協力会について指摘をさせていただきたいと思うわけでありますけれども、団体の収入のうち受託事業収入は、駅の係員業務とか清掃事業、六十二億円ということでございますが、これは大半が都からの特命随意契約だということであります。
 それに加えまして、四十八億円、これは収益事業なんですけれども、売店事業だとか広告事業、これはまさに東京都の資産を活用して得ている事業ということでございます。
 随契の多さとか、団体の役員として都のOBが再就職をしているというような状況、あるいは都の資産を使って収益を稼ぎ出しているというようなことがございまして、これは外形的に見れば、あるいは経済的実質に着目をすれば、監理団体そのものであるといっても私は過言ではないと思うわけでありますけれども、これは、人的にも財政的にもかなり関係が深い団体でありながら監理団体として指定をしていないというのは、ちょっといかがなものなのかなと思うわけでありますけども、その辺について都の見解があれば答弁を求めたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都が基本財産に出資等を行っております公益法人など、東京都監理団体指導監督要綱に定める基準に基づきまして、先ほど申し上げましたが、監理団体の指定を行ってございます。
 その上で、組織運営や事業運営などに対して必要な関与事項を要綱で定めますとともに、都の関与の実効性を担保するため、所管局と団体との間で協定書を締結してございます。
 このため、指定に際しましては、監理団体の指定基準に該当することはもとより、都が主体的に関与できるか、また、協定書の締結に向けた状況などを総合的に勘案する必要がございます。
 ご指摘の一般財団法人東京都営交通協力会につきましては、都が出捐を行っていない団体であることなどから、指定を行ってございません。

○藤井(と)委員 最後のご答弁にありましたとおり、都が出捐を行っていないからということでございますけれども、その判断だけで監理団体にしないというのは、ちょっと形式的な判断にすぎるのではないかなと思うわけでございます。
 協力会の出捐金について調べましたら二万円ということでございまして、これは当時、ずっと大昔の話ですから、今の二万円とは違うということでありますけれども、監理団体にできないと。するというのであれば、一円でも二円でも出資すればできるわけでもありまして、これはちょっと考えていただきたいなと思うわけであります。
 協力会に関しまして、やっぱり監理団体として指定して、一定の経営における透明性等を担保していくということが必要だと思うわけでありますけど、何か課題だとか、あるいは、それを行う上でのハードルだとか、そういったものは何かあるのでしょうか、見解を伺いたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 先ほどご答弁させていただきましたけれども、監理団体の指定に当たりましては、指定基準に該当するか、主体的に都が関与できるか、協定書の締結に向けた局と団体との調整状況などを総合的に勘案して指定を行う必要がございます。
 なお、先ほど少し触れられておりましたが、各局等が締結いたします特命随意契約につきましては、法令等に基づき行われているものでございまして、監理団体の指定の有無にかかわらず、各局等において、その妥当性や適正性の判断を適切に行っているものと認識してございます。

○藤井(と)委員 これまでの質疑の中でも、監理団体と特命随意契約を結んでいくことはいかがなものかということを指摘してまいりましたけれども、実態を見ると、ほぼ監理団体同様であるにもかかわらず、そういった団体と特命随意契約を結んでいくというあり方は、私は、よりよくないことだと思いますし、問題があると思いますし、この点はやっぱり見直していただきたいなという思いであります。
 さらに、質問において先ほど申し上げましたとおり、百億円近くの東京都の財政を委ねているわけでもありますから、これは形式的に判断をされないで、ぜひ実質面に着目をされて考えていただきたいなと思うわけであります。
 私、実は公認会計士でもあるんですけど、会計の世界では、どこまで子会社を連結にするのかというのは、監査上、すごく重要な視点だったりするんですけれども、ゼロ連結という言葉があるように、株式を持っている割合がゼロ%だったとしても、その会社を実質的に支配しているかどうかというところから判断して連結の範囲に含めていく、それで、しっかり財務諸表等を公表していくというあり方になっていると思いますので、改めて、東京都にとって、じゃ、交通協力会というのを実質的に支配しているかどうか、監理団体であるのかどうかという観点から、ぜひご判断をいただきたいということを改めて申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次には、首都大学東京についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 ことし七月の都政改革本部会議におきまして、首都大学東京の名称を東京都立大学にするというのも一つの考え方ではないかという知事のご発言があったと思います。
 これは、どのような問題意識から知事はこのようなご発言をされたのか、都として把握をされていることがあればお伺いをしたいと思います。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 総務局及び公立大学法人首都大学東京では、昨年度から、都政改革の一環である見える化改革の取り組みとして、首都大学東京の現状と課題などについて分析、検討を進めてきておりました。
 この過程で、首都大学東京につきましては、大学の教育水準に比べ、一般での認知度やブランド偏差値が十分ではないこと、半数近くの学生が大学名、知名度を改善してほしい点に挙げていることなどが改めて明らかとなりました。
 知事も以前から同様の問題意識を持っており、都として検討を進める中で、見える化改革報告が行われた七月の都政改革本部会議におきまして、都立の大学であることを都民の方によりわかりやすく発信していくために、大学名を変えるくらいの大胆な改革を進めることも必要ではないかという観点から、東京都立大学とするのも一つの考え方ではないかという問題提起を行ったものでございます。

○藤井(と)委員 今ご答弁がありましたとおり、教育水準に比べて認知度等が十分ではないということでございます。
 こちらの大学、いずれの学部も、いわゆる入試偏差値といわれるものも高いですし、学術レベルも、教育力、研究力、国際性などで評価をされる世界大学ランキング二〇一八年で国内で十一位になるなど、大変実力のある大学でもあると思います。
 一方、日経の関連会社の調査なんですけれども、ブランド偏差値は四十二位、大学認知率は五十七位ということでございまして、実力が、ブランド力だとか、あるいは認知率につながっていないというような状況だと思います。
 東京都立大学にするのは一つの考え方じゃないかということをおっしゃった、発表されたのは知事でありますけれども、これは、どのような機関において、いかなる検討を経て、そのような意思決定がなされたのか、お伺いをしたいと思います。
 このことは、私、これは推測なんですけど、大学認知率等は、首都大学東京という名前が、正直いって、なかなか浸透し切れなかったということが背景にあって、もともとの名前である東京都立大学に戻した方が有利である、復活させた方が賢明であるというような判断が背景にあったのではないかなと推測するところでありますけれども、都としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどの知事の都政改革本部会議における問題提起を受けとめた後、首都大学東京を設置、運営する地方独立行政法人である公立大学法人首都大学東京において、名称変更についての検討が行われたところでございます。
 公立大学法人首都大学東京においては、理事長、学長を含む副理事長、学外委員等により構成され、法人の経営に関する重要事項を審議する経営審議会などにおける審議を経まして、理事長が名称変更の手続を進めていくことを決定いたしました。
 その旨を法人から都へ報告があり、八月の知事定例記者会見において、知事がその旨を発言するとともに、都と法人の連名で報道発表を行ったところでございます。
 東京都立大学という名称にした法人の判断につきましては、都立の大学であることを明確にし、都との連携関係をさらに強化していくことにより、教育研究に一層磨きをかけ、開学以来の首都大学東京の実績を土台に、さらなる発展を目指していくという考え方があったものと理解しております。

○藤井(と)委員 今のご答弁の中で、知事だとか東京都からいっていることじゃなくて、首都大学東京の方もしっかり納得をした上で、こういった方向性が出されているということは理解いたしました。
 例えば、大学というのは教育機関でありますけれども、学生さんが就職活動をされますと、やはり大学のブランド力だとか知名度というのは大切なわけでありまして、歴史がある名前に、もともとの名前に戻すと、一部報道では十億円近くのお金がかかるんじゃないか、そんなこともいわれておりますけれども、一定の経費がかかるわけではありますけれども、もともとの名前に戻すということは賢明な判断なのかなというふうに思うわけであります。
 この項の最後の質問なんですけれども、平成十七年の四月に、いわゆる独法化というものを行ったわけでありまして、これは十三年近くの年月がたっているわけであります。この十三年を振り返って、いわゆる独法化のメリット、デメリット、よかった点、悪かった点、どのように把握をされているのか、お伺いしたいと思います。
 これは、現在、都立病院も独法化の提案等が出されているところでございまして、そういった中で、東京都として、大学に関する独法化というものに対する評価をどうされているのかということを確認して、そして、しっかり議論していくということが改めて大切なのかなと思うわけであります。その点について都の見解を伺いたいと思います。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成十七年四月に、都立の四つの大学を再編、統合して首都大学東京を開学した際、同時に、行政組織から大学を切り離して、自主的、自律的な運営を行うとともに、経営的な視点を取り入れ、大学の教育研究活動を一層活性化させるため、地方独立行政法人法に基づく公立大学法人化を行ったところでございます。
 法人化により、六年間の中期目標期間を見通した計画的かつ弾力的な財務運営が可能となり、法人の経営努力により生じた剰余金を活用して、独自に教育研究環境の整備を進めるなどの取り組みも行ってまいりました。
 さらに、優秀な人材を確保するため、すぐれた研究者を先導研究者に認定する仕組みを導入したり、学長裁量による教員採用枠を設定したりするなど、人事についても戦略的な運用を行っております。
 また、都からの派遣職員の縮減を進めつつ、法人運営を支える職員の確保及び人材育成を計画的に進めております。
 この公立大学法人の運営につきましては、外部有識者から成る東京都地方独立行政法人評価委員会により評価が行われ、毎年、第三回都議会定例会において評価結果を報告しておりますが、この間、法人は着実に運営を行い、確かな成果を上げているという評価をいただいております。

○藤井(と)委員 大学に関しては、独法化が成功したと一定の評価をしているというお話であったと思います。これから、さまざまな東京都の事業に関しては、独法化とか民営化だとか、そういった検討をされていかれると思います。
 独法化に関しましては、いい面もあれば、当然、悪い面というか、ちょっとマイナスに出てしまうような面もあろうかと思いますので、この点、とりわけマイナスの点については、これから都として研究して、しっかり把握をしていっていただきたいなということを要望したいと思います。
 最後の質問の項になりますけれども、特別区への分権についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 平成十二年の都区制度改革におきまして、清掃事業が二十三区に移管すると。これは財源移譲も含めて行ったということでございます。
 まさにニア・イズ・ベスト、ニア・イズ・ベターという言葉がございますとおり、地域でできることは地域でやっていく、基礎自治体でやっていくということは基本であるのかなというふうに思います。
 しかしながら、平成二十三年の都区のあり方検討委員会で一定の方向性が示されて以来、都と区の事務分担にかかわる議論が一切進んでいない、とまってしまっているように、どうしても感じてならないわけであります。
 この間、都から区への事務の移管をどのような事業において進めてこられたのか、また、今後、これは区との協議でもあろうかと思いますが、東京都として、どんな事業や事務を区に移管していこうとされているのか、まず、お考えを伺いたいと思います。

○浦崎都区制度担当部長 都は、平成十二年の都区制度改革によりまして、特別区への清掃事業の移管や都市計画決定に関する事務等の移譲を行ってまいりました。
 その後の都から特別区への分権につきましては、法令改正に伴い、騒音規制法、悪臭防止法、振動規制法等に規定される事務の一部を都から特別区に移譲しております。
 加えまして、都が行っている事務のうち、住民に身近な事務権限である屋外広告物の規制や法定河川の管理などにつきましては、特別区との協議に基づきまして、都の条例で定めることで特別区が処理をできることにする事務処理特例制度を活用いたしまして移譲を進めてきております。
 今後とも、地域の実情を踏まえた上で、特別区と十分に協議を行いながら、大都市行政にふさわしい役割分担について検討してまいります。

○藤井(と)委員 具体的にこれまで移管してきた事業についてお伺いをしまして、私もちょっと不勉強で、知らなかった部分もたくさんあります。
 東京都と区の協議の中で、都から区に移管すべき事業として挙げられていた大きなものとして、一つは、都職員の人事権の区への移管という話でございます。もう一つは児童相談所の区移管ということでございまして、この二つを特に、都と区の合意事項としてやっていくという話であったかと思います。
 具体的にお伺いをしてまいりたいと思います。児童相談所について今回伺いたいと思うわけでございますが、いわゆる先行三区といわれる区が、平成三十二年四月に区の児童相談所を開設するということを表明されておられるわけであります。
 これは、東京都としてどういうスタンスで臨むのか、ちょっと不明なところもあるわけでありますけれども、見方によっては、あくまでも区レベルで設置できるというふうにしたにすぎず、これはあくまで、都としては財源を含めての事務移管ではないというような姿勢を崩していないようにも感じてしまうわけであります。
 児相をこれから設置していく区がどんどん--実は、私の地元の練馬区を除いては、二十二区全て開設していくというような方針を掲げているわけでありますが、そういう区がふえていくと、やっぱり財源の移譲という話も含めた事務移管をしっかり行っていただくということが大切になってくるのかなと思うわけでございますけれども、これは行政部としてどのように把握をされているのか、考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

○浦崎都区制度担当部長 児童相談所の設置及び運営につきましては、本来、都道府県業務でございますが、平成二十八年の児童福祉法の改正によりまして、特別区も、個別に政令指定を受けた上で児童相談所を設置できるようになったものでございます。
 このため、今回の特別区の児童相談所の設置は、過去に財源を含め移管を行った清掃事業等とは、その性格が異なるものと認識しているところでございます。

○藤井(と)委員 性格が異なるものという答弁がありました。それは性格が異なるものなんでしょうけれども、非常に冷たい答弁にも思えるわけでありまして、実際、区児相ができた地域においては、都児相の事業の範囲から、管轄から外すというような話でもあるわけでございまして、仕事だけ区にやってもらって、でも、財源移譲はしない、財源手当てはしないというのは、これはちょっと筋が通らない話だというふうに思います。
 これからどんどん区レベルの児相もふえていくということも出てくると十分に想定をできるというような状況でもありますので、ぜひこの点、所管の局と連携をして、行政部として、しっかり財源の手当てということをお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。

○山内委員 障害者雇用についてお伺いしていきたいと思います。
 この間、中央省庁の水増し問題に端を発して、さまざまな問題が浮き彫りになりました。
 東京都は、二〇一六年度の採用から、受験対象を、身体障害者の十八歳以上二十八歳未満から十八歳以上四十歳未満と受験年齢を拡大し、採用予定者は三十五人、そのうち合格者は四十二人と、採用予定者を上回りました。
 一七年度からは、対象に精神障害者、知的障害者を加え、採用予定者を四十五人としましたけれども、合格者は三十五人にとどまり、身体障害者は十二人、精神障害者は二十三人。障害者の雇用のさらなる拡大が求められる中、残念な結果だと私は思っております。
 私は昨年、新たに採用となる精神障害者の採用後の配置、合理的配慮など、定着支援をしっかり行うよう要望いたしました。
 そこで、今年度、障害者採用選考で新たに採用された精神障害の職員の配置、合理的配慮の状況についてお伺いいたします。

○栗岡人事部長 精神障害のある職員の採用後の配属に当たりましては、まず、本人の関心のある事業分野、障害特性、配慮事項などを把握するため、合格後に職員本人と面談を実施してございます。
 その上で、ともに働く職場づくりを推進する観点から、今年度採用した二十二名は十八の局に配置してございまして、給与や契約事務、物品管理など、他の新規採用職員と同様、幅広い職務に従事してございます。
 職場での合理的配慮につきましては、本人の意向と職場の状況を考慮しながら、通勤時間の配慮、窓口対応などの免除、作業手順や優先順位を文書で伝えるなど、配置、担当業務、仕事の進め方の各段階で障害特性を踏まえた対応を実施してございます。

○山内委員 どこの局に配属されても、適切な合理的配慮が受けられることが必要です。障害者Ⅲ類選考による採用者に限らず、障害者への合理的配慮は義務です。
 ことし八月、合理的配慮事例集第三版を作成したと聞いています。この合理的配慮事例集についてお伺いいたします。

○栗岡人事部長 合理的配慮の提供に関する事例集は、障害者雇用促進法改正による合理的配慮の義務化を受けまして、職員が障害の特性や配慮のポイントについて理解を深めるとともに、障害を有する職員に対して適時適切なサポートを行えるよう、平成二十八年三月に作成いたしました。
 作成に当たっては、厚生労働省が作成した事例集をもとに、庁内各局、各職場の協力を得まして、都の職場で実際に取り組んでいる配慮事例を集約して掲載してございまして、これまで毎年度改定してございます。
 また、本年八月に改定した第三版では、昨年の障害者選考から対象を拡大した精神障害や知的障害に関し、障害特性や配慮事項などの記載内容を大幅に充実させてございます。
 さらに、庁内ポータルサイトを活用して職員への周知も行ってございまして、都庁全体で障害者雇用への理解が進むよう取り組んでございます。

○山内委員 障害のある職員や、周りで支える職員が相談できる環境も不可欠です。
 合理的配慮における相談体制はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 障害のある職員にとりまして職場で働く上で支障になっている事情等に対しては、職員に身近な各所属の各管理職を相談窓口に指定してございまして、定期的に面談を実施することで、障害の症状や悩みを把握してございます。
 また、各所属だけでは対応が困難な場合は、各部、事業所の人事担当者があわせて相談に応じる体制としてございまして、その際、所属長や人事担当者には、外部の専門家を招いて研修も実施したところでございます。
 さらに、本人や所属が、直接、精神保健の専門医のアドバイスを受けられる体制も整備してございます。
 一方、職場が本人の症状や配慮事項をより正確に把握し、適切に配慮を行うため、職員の生活面などを支えている就労支援機関やかかりつけ医とも、必要に応じて、本人の同意を得ながら連携を図っているところでございます。
 都庁内の相談体制とこれらの機関が連携しまして重層的な支援の輪を形成することで、障害のある職員の安定した就労を総合的に支援してまいります。

○山内委員 二〇一八年度の障害者Ⅲ類選考では、採用予定数が四十五人から四十人に減少いたしました。障害者雇用を進めていこうとする施策とは逆行しているように思います。
 障害者選考における採用予定数の考え方についてお伺いいたします。

○栗岡人事部長 職員の採用予定数は、事業執行に必要な人員の確保や職員の退職動向などを総合的に勘案して設定してございます。
 現在、東京二〇二〇大会終了後を見据えて、職員全体の採用数は減少してございまして、一方で、障害者の採用に当たっては、三%の目標達成を目指し、雇用率の着実な上昇を前提に、毎年度、一定規模の採用を行っていくことが重要であると考えてございます。
 引き続き、こうした考えに基づきまして採用予定数を設定しながら、障害者の雇用を安定的に確保してまいりたいと考えてございます。

○山内委員 今ご答弁いただきました目標は三%ということなんですが、残念ながら未達です。
 雇用率三%を目標とする中、障害者雇用を促進するために、都はどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○栗岡人事部長 都は、国連の国際障害者年である昭和五十六年に障害者採用選考を開始いたしまして、その後、知事部局の雇用率は、平成元年ごろからおおむね三%前後を推移してございました。
 法令改正の影響などによりまして、平成二十二年からは雇用率三%を下回っておりますものの、積極的に障害者雇用の促進を図ってございまして、近年では、雇用数や雇用率は着実に増加してございます。
 また、雇用促進に向けた具体的な取り組みとしまして、先ほど委員のご指摘にもございましたが、平成二十八年度から、受験資格の年齢上限を二十八歳未満から四十歳未満への引き上げ、平成二十九年度は、受験対象の精神、知的障害者への拡大を行いまして、雇用機会の拡大を行っているところでございます。
 さらに、合理的配慮の義務化を受けまして、職員研修や配慮事例集の周知、相談体制の整備などの取り組みも着実に実施し、障害者の職場の定着と活躍を支援しているところでございます。
 今後も、障害者の方々がその能力や適性に応じて働き続けることができるよう、職域の拡大に努めるとともに、安心して働き続けることができる職場環境を推進し、障害者雇用の促進に努めてまいります。

○山内委員 障害のある人もない人も、ともに当たり前に働く時代に、現場はどうしていけばいいのか、障害のある人の力を引き出し、活躍してもらうにはどうすればいいのか、まだまだ手探り状態にあるのが現状だと思います。
 都の東京ジョブコーチは、障害者が就職し、新しい職場で円滑に働き続けることができるように、また、障害者を雇用する企業がスムーズに受け入れられるよう、民間企業を対象に、障害者の作業適応支援や職場内の環境整備など職場定着に向けた支援をするもので、成果を上げています。
 東京都の障害者雇用を促進し、職域拡大、定着を進めるには、障害の特性を理解し、行政にも必ずある障害者が希望する仕事を見きわめて、どのように工夫すれば当事者が生きがいを持って働くことができるのか、いわば障害と仕事をつなぐコーディネート、アドバイス、マッチングのできる人材を配置して、経験を積んでいく仕組みをつくっていく必要があるんじゃないでしょうか。都庁内に障害者就労支援コーディネーターを専門的に配置することを要望しておきます。
 次に、育児休業についてお伺いしたいと思います。
 男女平等参画の実現から、また、子育て経験や地域生活の経験を今後の仕事に生かす観点からも、男性の育児休業取得がふえることに期待をしています。
 そこで、現状について伺っていきたいと思います。出産支援休暇、育児参加休暇の二〇一七年度の取得実績について教えてください。

○木村労務担当部長 都では、男性職員の育児参加に係る有給休暇としまして、配偶者の出産に伴い、二日以内で取得できる出産支援休暇、生まれた子や上の子の養育などに関し、五日以内で取得できる育児参加休暇の制度がございますが、知事部局等と公営企業の職員の平成二十九年度における取得実績は、出産支援休暇については約八六%、育児参加休暇については約七三%となっております。

○山内委員 育児休業の二〇一七年度の取得実績、取得期間の傾向についてお伺いいたします。

○木村労務担当部長 平成二十九年度の育児休業取得率は、女性職員については約九〇%、男性職員については約七%となっております。
 取得期間については、女性職員については六カ月から一年以下、男性職員については六カ月以下の期間での取得が多い傾向にございます。

○山内委員 男性の育児休業取得率について、国は二〇二〇年までに一三%、東京都は二〇一九年度までに一五%という目標を掲げています。
 取得率を高めるための取り組みについてお伺いいたします。

○木村労務担当部長 男性職員の育児参加促進のためには、職員個人の意識向上だけではなく、職場の理解や協力が重要であります。
 ことしのライフ・ワーク・バランス推進月間には、育児休業を取得した男性職員の体験記等を庁内に周知し、機運醸成を図ったところであります。
 さらに、職場として支援していくことを伝えるため、子供が誕生する予定の男性職員に対する応援メッセージの送付や、両立支援に関する制度等を掲載した男性職員向けのガイドブックの作成等を年度内に実施する予定でございます。
 また、育児に関する休暇の取得予定や育児期の働き方について、男性職員と所属長との間のコミュニケーションを強化する取り組みをあわせて実施いたします。
 今後とも、これらの取り組みにより、育児と仕事の調和を実現できる職場環境づくりを推進してまいります。

○山内委員 育児参加休暇という、参加という言葉に主体性が感じられないという印象がありますけども、男性職員の方々も、二日以内の出産支援休暇は約八六%、五日以内の育児参加休暇は約七三%と、男性も出産直後の休暇は有給であり、取得率が高いことはわかりました。
 育児休業は、データとしては、一日から六カ月、六カ月から十二カ月と、六カ月単位の集計しかないということで、男性が実際にどのくらいの期間、育児休業を取得しているのかは不明です。
 パパ職員とイクボスに聞く育児取得インタビューをクローズアップ都庁というホームページで発信して、育休取得を応援していると聞いていますけれども、その体験談を拝見しますと、取得日数は一週間だったりします。
 まず、男性も女性も、育児休業の日数がどのくらいか把握する必要があると思いますので、その期間の把握を要望しておきたいと思います。
 長期の育児休業を取得するのが難しい原因を考えてみなければ、目標一五%は実現しないのではないでしょうか。
 育児休業中に支給を受けることのできる育児休業手当金というのは、地方公務員等共済組合法で定められており、育児休業開始から百八十日までは報酬の六七%、百八十一日以降は五〇%というふうになっています。しかも、振り込みは組合の決定を待ち、通常の支給日とはタイムラグがあります。
 育児休業を取得した本人への支給額がこれだけ減額されると、生活が厳しくなり、長期の取得をちゅうちょするのではないでしょうか。
 生活者ネットワークは、かねがねパパクオーター制というのを提案していますが、生活面をバックアップする仕組みが重要であり、法改正を含めて、民間も入れた国全体の制度づくりと機運が必要だと思います。
 また、長期育児休業を取得した後に、職場復帰時のサポートも重要です。育児は女性が担うという固定概念を払拭していく取り組みに期待します。
 次に、災害時の外国人支援についてお伺いしたいと思います。
 近年の観光客の増加、東京二〇二〇大会等の開催に関連して、外国人に対する災害発生時の支援は重要な課題です。六月の大阪府北部地震、九月の北海道胆振東部地震において、災害時の外国人観光客への支援が不十分であることが浮き彫りにされました。
 多くの外国人が、何が起こったのかわからなかった、日本人が日本語情報を聞いて移動するのを見て自分も移動した、スマートフォン等で母語のメディアのニュースをチェックしたけれども、地震の大きさなどがわかるには時間がかかったとか、母国の家族や友人を通して情報を得た、食料を配られたけれども、宗教上、食べられない豚肉などが入っているかどうかを聞いても、説明を求めても答えてもらえなかったなど、情報不足に困惑したと聞いています。空港や駅周辺に滞留する外国人への混乱防止のための支援は重要です。
 災害等が発生した際に、外国人観光客に対して災害情報をどのように伝達するのかが大きな課題となっていますが、都はどのように対応していくのか、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○有金総合防災部長 大規模災害の発生に際し、外国人観光客の安心・安全を確保することは大変重要でございます。
 そのため、都では、平成三十年三月に取りまとめましたセーフシティ東京防災プランに基づきまして、災害時等に宿泊施設の観光事業者が外国人旅行者に対して適切な避難誘導等ができるよう、災害時初動対応マニュアルの効果的な周知、活用を図るとともに、防災語学ボランティアの育成や在京大使館等との連携強化を進めております。
 また、東京都防災ホームページや東京都防災アプリでは、多言語による防災マップや都立一時滞在施設等の情報も提供するとともに、現在地から避難先へのルート案内機能も備えております。
 引き続き、災害発生時に必要となる外国人観光客への情報提供に努めてまいります。

○山内委員 インターネットやSNSから得る情報が頼りだったりするにもかかわらず、充電場所がわからなかったり、食べる物や水、寝る場所も得られなかったり、行き場のない外国人が困惑していました。
 そこで、一時滞在施設等に関する情報や誘導について、都はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 大規模地震が発生した際、安心して滞在できる一時滞在施設に避難できるよう、行き場のない外国人に対して的確に情報発信を行うことは重要であります。
 都は、発災直後から、英語による東京都防災ツイッターや多言語対応しております防災ホームページによる情報発信を行うこととしております。
 また、多くの外国人滞留者が見込まれるターミナル駅周辺につきましては、鉄道事業者などに、デジタルサイネージや翻訳機材などを活用した、よりきめ細やかな情報発信に取り組むよう、訓練などを通じて協力を求めております。
 今後も、発災時に行き場のない外国人に対して的確な情報発信ができるよう努めてまいります。

○山内委員 地震に遭遇した経験のない外国人、日本語が理解できない外国人や、英語が母語でない外国人などの帰宅困難者に対して、災害情報を的確に伝達していくことは重要です。
 ことし二月に提出された今後の帰宅困難者対策に関する検討会議報告書には、例えば、確認するをよく見る、避難を逃げるというように表現をわかりやすくするとともに、漢字には振り仮名をつけるなど、易しい日本語を活用したわかりやすい情報発信を工夫する必要があると示されています。
 災害支援として有用な情報の易しい日本語化、多言語化について取り組む必要があると考えますが、都の取り組み状況についてお伺いいたします。

○有金総合防災部長 災害発生時には必要な情報を迅速、簡潔に発信していく必要があり、そのため、多言語化とともに、わかりやすい日本語で伝えていくことも重要でございます。
 都におきましては、東京都防災ホームページのほか、東京都防災アプリや「東京防災」、「東京くらし防災」などで、先ほどご答弁いたしました災害情報のほかに、英語、中国語、韓国語で、発災時におけます身の守り方や災害に関する情報を提供しております。
 また、「東京くらし防災」では、平易な言葉や平仮名を用いまして、わかりやすく災害時の行動について記載もしております。
 今後も、災害発生に備えた外国人の安全・安心の確保に引き続き努めてまいります。

○山内委員 先ほども明示させていただきましたが、ことし二月の今後の帰宅困難者対策に関する検討会議の報告書に、今後の取り組みの方向性の中に、要配慮者対応の拡充として、易しい日本語、英語等による外国人への普及啓発及び情報発信の工夫とあります。
 日本語を十分に理解できない外国人や、英語が母国語でない外国人の帰宅困難者に対して、災害情報を的確に伝達していくことは重要である、このために、易しい日本語、英語を活用したわかりやすい情報発信を行うなど工夫をする必要があるとか、地震に遭遇した経験の少ない外国人も多い中で、こうした外国人に対して防災知識の普及啓発を効果的に行う必要がある、このため、災害時にコミュニティの核となる教会やモスクなどを通じた普及啓発なども含め、効果的な方法について検討を進めていく必要があるとか、近年、訪日外国人観光客が大幅に増加しており、これらの観光客に対して、帰宅困難者対策の基本的な事項について普及啓発を行っていく必要がある、このため、多くの外国人観光客が経由する空港、ターミナル駅、ホテルなどにおける普及啓発についても検討する必要があると明記されています。
 ところが、残念なことに、この七月、その後に作成された都立施設を活用した一時滞在施設の運営マニュアルバージョンツーには、その検討会議の報告が十分に反映されておりません。都立一時滞在施設も平日の昼間を想定しており、いざというときに発揮できるのか、非常に不安です。
 東京都は、ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会の開催と、外国人観光客をふやすことを進めていますが、外国人観光客の快適で安心・安全な東京滞在を標榜するならば、検討会議の報告書にある、こうしたすぐれた提案に早急に取り組む必要があると考えます。ぜひ対応をお願いいたします。
 次に、防災や復興に女性の視点をという観点から質問させていただきたいと思います。
 一九九五年の阪神・淡路大震災以降、生活者ネットワークは、防災、復興に女性の視点、子供の視点を盛り込むよう要望してまいりました。
 二〇一一年の東日本大震災後、さらに、支援活動をしてきた女性たちからは、避難所生活での女性への配慮に欠けることや、避難所などでの生活における性別役割による女性への負担、災害時には暴力やDVや性被害などが増加することなどが明らかにされ、男女共同参画が不可欠であることが改めて認識されました。
 罹災者に寄り添った支援を行うために、避難所運営における女性リーダーの配置、防災会議などに女性の参画がようやく進んできたところだと思います。
 そこで、東京都防災会議における女性委員の人数、また、この中に学識経験者として女性が参画していると聞いていますが、その方々の参画の経緯についてお伺いいたします。

○西川防災計画担当部長 東京都防災会議は、災害対策基本法に基づき東京都防災会議条例によって設置されておりまして、現在、委員六十八名のうち、七名が女性でございます。このうち、いわゆる充て職となっている防災機関等の職員が五名おりまして、二名の方につきましては、防災対策に造詣の深い学識経験者を任命しております。
 東日本大震災におきまして、避難所の運営に当たり、女性や高齢者の視点が必ずしも十分ではなかったとの指摘があったことから、地域防災計画の策定等に当たり、多様な主体の意見を反映することができるよう、平成二十四年に災害対策基本法が改正され、自主防災組織を構成する者または学識経験者の任命が可能となったものでございます。
 都は、この法改正を受けまして平成二十五年に防災会議条例を改正いたしまして、学識経験者として二名の女性を委員に任命し、現在に至っております。

○山内委員 昨年の総務委員会で避難所運営における女性の参画に対する東京都の取り組みについて伺ったところ、地域防災の研究者や女性の視点を生かした活動を実践している方などにより、女性防災人材育成のためのカリキュラム等を検討しているとのことであり、今後、この検討に基づいて避難所運営等に参画できる女性人材の育成を進めていくというご答弁をいただきました。
 そこで、どのような内容の研修を行っていくのか、お伺いいたします。

○和田防災対策担当部長 防災コーディネーター研修は、発災時に地域や職場において活躍できる女性のリーダー的人材を育成することを目的としており、地域生活分野と職場分野の二種類の研修を実施いたします。
 このうち地域生活分野の研修では、災害時に発生する多様なニーズを解決するために必要な知識や行動を学ぶ内容としております。具体的には、避難所における多様なニーズの解決に向けて行政機関などと連携していく方法やコミュニケーションの手法などを学ぶものとしております。

○山内委員 先ほどご答弁がありましたが、東京都防災会議の委員名簿を拝見いたしますと、六十八名中、女性は七人と、約一割にとどまります。役職から選出されたとはいえ、やはりこれでは男女平等参画にはほど遠いと思います。
 生活者ネットワークが女性の視点、子供の視点あるいは生活者の視点を反映していくよう強く要望しているのは、防災対策が相変わらず男性目線で生活感が欠如しているからです。
 例えば北海道胆振東部地震の際に、北海道からの要請があって、東京都から紙パックの液体ミルクが支援物資として送られましたが、実際には活用されなかったという報道があり、大変驚きました。
 海外からの緊急輸入で、他の自治体との連携不足や情報の不手際などがあったといわれていますが、そもそも、なぜ紙パックの液体ミルクであったのでしょうか。東京都の避難所でも同様なことが起こらないとは限らないので、なぜ必要なのかを改めて認識する必要があるかと思います。
 生活者ネットワークは、子育て中の若いお母さんからの要請を受けて、二〇一六年の予算特別委員会で、乳児用液体ミルクの実物を見せて、災害時の乳児用液体ミルクの必要性を取り上げました。
 粉ミルクと哺乳瓶はあっても水がない、水があったとしても、お湯を沸かして、冷まして、ミルクを溶いて、さらに飲める温度にするという手間をかけることができない、あるいは、哺乳瓶等を煮沸消毒できないなど衛生環境の悪い中で赤ちゃんにミルクをあげられない状況を何とか支援するために、乳首をつければ、そのまま赤ちゃんに飲ませることができる液体ミルクを緊急時の対応として必要だと要望したのです。今回、被災地に送られた紙パックに入った液体ミルクではないんです。
 どのような理由で必要なのか、そうした生活者の視点が欠けているために起きたミスマッチではなかったでしょうか。
 液体ミルクの備蓄や支援物資については、福祉保健局のマターだというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、防災会議に女性の参画あるいは女性の防災リーダーの育成ということを生活者ネットワークが繰り返し要望しているのは、こうした視点が重要だということをいいたいためなんです。
 液体ミルクは、国内での製造、販売が八月に解禁され、国内メーカーが来春の発売開始を目指すという報道がありました。なぜ必要なのかという観点、そして配慮のもと、緊急時の備蓄としての液体ミルクに期待したいと思います。
 次に、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業についてお伺いしたいと思います。
 東京都では、NPO法人性暴力救援センター・東京、通称SARC東京との協働で、性犯罪、性暴力被害のワンストップ支援センターを実施しています。センターでは、二十四時間三百六十五日、電話でつながるホットライン、ダイヤルNaNaでの電話相談、必要に応じては、面接相談や医療機関、警察署等への付き添い支援も行っており、これらは大事な取り組みと考えています。
 二〇一七年度における性犯罪、性暴力被害のワンストップ支援センターの相談実績、付き添い支援の実績、また、相談者の年代の傾向についてお伺いいたします。

○仁田山人権部長 平成二十九年度の相談件数は四千五百九十三件、付き添い支援の実績は二百二件となっております。
 相談者の傾向につきましては、年齢は十代から二十代の女性が比較的多いところでありますが、子供から大人まで幅広い年代から相談がございます。

○山内委員 付き添い支援には、病院、警察、裁判所など、さまざまな付き添い先があります。
 特に緊急の対応を必要とする医療機関との連携について、充実した点についてお伺いしたいと思います。

○仁田山人権部長 被害者の心身の治療等のためには、早期に医療機関を受診することが必要でございます。これまで、ワンストップ支援センターと近接する特定の病院での付き添い支援がほとんどでありました。
 このため、診療実績の少ない医療機関に積極的に呼びかけ、医療機関向け研修や、産婦人科医会など医療関係団体への説明等を行い、医療従事者の理解、促進を図りました。
 これらの取り組みにより、相談者の身近な病院や、相談者が希望する医療機関への付き添い支援の拡大に努めたところでございます。
 今後も引き続き、情報収集や医療関係者の理解促進に努め、医療機関との円滑な連携を図ってまいります。

○山内委員 今後も、ぜひとも医療機関と円滑な連携を図っていただきたいと思います。
 そして、東京都には都立病院があります。都立病院との連携も、今後進めていっていただきたいと要望しておきます。
 性犯罪等被害者が早期の支援につながることが何よりも大切です。そのためには、相談窓口である性暴力救援ダイヤルNaNaに相談してもらうことが重要ですが、まだ都民に十分に認知されているとは思えません。
 ダイヤルNaNaの周知に向け、どのような工夫を行っているのか、お伺いいたします。

○仁田山人権部長 性犯罪等被害者につきましては、早期支援が早期回復につながる傾向にあることから、被害者が早い段階で相談できるよう、相談窓口が広く周知されていることが求められております。
 都はこれまでも、リーフレットやカードをさまざまなイベントなどにおいて配布しております。
 また、若者が多く集まる繁華街において大型画面による啓発映像の投影や、相談窓口を周知するキャンペーンを新たに実施するなど、さまざまな工夫を行ってまいりました。
 インターネット上においても、ワンストップ支援センターのホームページを見やすく改善したり、都のホームページに啓発動画をアップするなどの工夫を行っているところでございます。
 今後も、さまざまな機会を捉え、引き続き、工夫したPRに努めてまいります。

○山内委員 睡眠薬などの薬物を飲食物に混入して、飲んだ人の意識がもうろうとした状態でレイプする、いわゆるレイプドラッグなど新たな課題対応については、東京都や警視庁、相談機関の間で意見交換を行っているということがございました。
 そこで、レイプドラッグについては、その後どのような取り組みをしているのか、お伺いいたします。

○仁田山人権部長 いわゆるレイプドラッグにつきましては、新たに警察庁から、採尿や採血を確実に行うなど証拠保全に関する対応方針が示され、それに基づいて警視庁では対応がなされていると聞いております。
 ワンストップ支援センターでは、この方針を踏まえ、レイプドラッグが疑われるケースについては証拠保全が確実に行われるよう、所管の警察署や医療機関に被害者の状態や意向を適切に伝えるなどの支援を行っております。
 今後も、レイプドラッグを初めとした新たな課題への対応におきまして、東京都、警視庁、相談機関で密に連携し、適切な対応を行ってまいります。

○山内委員 大切なことを伝えたい-性暴力被害者支援ガイドというのを、ワンストップ支援センターがことし作成をいたしました。
 その作成の目的と配布先についてお伺いいたします。

○仁田山人権部長 性暴力被害に関する相談は、被害当事者だけでなく、保護者や友人など、被害者に身近な人たちからも多数寄せられております。こうした人たちが性暴力被害者に対して適切に対応できるようにするため、都とSARC東京が協働して、このガイドを作成いたしました。
 このガイドは、被害者の身近にいる者が性被害を相談されたときにどのように対処したらよいかを案内する内容となっており、主に、研修会などを通じて学校教員や医療機関従事者を中心に配布しております。ワンストップ支援センターを運営しているSARC東京のホームページにもアップしており、広く都民がガイドをダウンロードできるようにしてございます。
 今後も、さまざまな機会を捉え、周知してまいります。

○山内委員 性暴力、性被害は人権侵害であるという認識は、ミー・ツー運動などにより、世界的規模で広がりを見せています。
 夜道で見知らぬ人から突然襲われるというだけでなく、実際には、八割近くが知人や友人、会社関係者など面識ある人が加害者であり、加害者には加害意識が低く、被害者が訴えても、バッシングや二次被害が起こり、さらに苦しみ、一生、傷として抱えてしまう人も多く、非常に深刻だと思います。
 女性であれ、男性であれ、LGBT等の人であれ、人権を尊重し、心も体も傷つけないために性教育は必要であり、人権の観点からも進めていただきたいと要望しておきます。
 都は二〇一五年度から、被害者等が一時的な滞在場所を必要とする場合、警視庁と連携し、宿泊費の支出を負担することで性犯罪被害者の安全確保をする制度を設けていますが、ホテルなどの費用負担だけではなく、DVや性暴力などさまざまな人々に寄り添いながら支援し、シェルターを運営しているNPO等の団体では資金面の苦労が多いと聞いているので、都営住宅を活用するなどの支援の充実というのを連携して考えていただきたいと要望しておきます。
 最後に、公文書管理についてお伺いしたいと思います。
 昨年七月、公文書管理条例が施行されて、昨年度の管理状況について取りまとめ、ことし七月、公表いたしました。条例施行から一年以上が経過いたしました。
 それまでは規則を運用して文書管理を行っていましたが、条例によって何が変わり、成果及び課題をどのように捉えているのか、お伺いいたします。

○西山総務部長 東京都公文書の管理に関する条例の制定以前は、執行機関ごとに制定した文書管理規則等に基づき公文書を管理してまいりました。
 公文書は都民共有の財産であり、公文書の適正な管理が情報公開の基盤であるという条例の基本理念をもとに、条例制定後は、知事部局だけではなく、行政委員会、公営企業等も条例の対象とし、全庁的に統一した公文書管理のルールが確立をいたしました。
 また、お話にございましたように、新たに、全庁的に公文書の管理状況を点検し、毎年公表することといたしました。
 この条例によりまして、文書による事案決定の徹底や政策形成過程を明らかにする文書の作成等、適正な公文書の管理が推進されたものと認識をしてございます。
 今後は、条例の基本理念をさらに職員に浸透させるとともに、公文書管理状況の点検結果なども踏まえ、公文書の管理を厳格に進めてまいります。

○山内委員 東京都の文書管理の文書単位でありますけれども、実務上、テーマごとに保存期間の違う文書が一緒にファイリングされていると聞いています。
 短い保存期間の文書が先に捨てられてしまうと、事業の検証が難しくなるので、最も保存期間の長い文書に合わせて全て保存すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○西山総務部長 都では、公文書の保存期間を、当該公文書の効力、重要度、利用度、資料価値等を考慮して設定してございます。
 昨年度の条例制定によりまして、組織の基本的な方針、計画等、重要な事案の決定に当たっては、政策形成過程を明らかにする文書の作成を義務づけておりまして、事業の事後的な検証は可能なものと認識してございます。
 なお、業務上、引き続いて保存する必要がある文書につきましては、常用利用する文書である常用文書として指定したり、事業期間が延長した場合には、それに合わせて保存期間を延長するなど、必要に応じて保存期間の見直しを行える仕組みとなってございます。

○山内委員 豊洲市場移転については、東京ガスとの交渉記録が都に残されていなかったり、なぜ盛り土が施されていなかったのかが結局わからずじまいだったりと、文書に関する問題が次々と噴出いたしました。
 何がどのように決まったのかを検証できるようにしておく必要があり、文書管理の重要性が多くの人に認識されるようになったと思います。
 意思形成過程を記録し、残すという観点から、庁内の会議や打ち合わせなどの記録の作成と管理をどのように行っているのか、お伺いいたします。

○西山総務部長 決定権者が局長以上で、都または局等の政策決定にかかわるもの、意思決定を伴わない場合であっても、局長以上の職にある者に対して説明を行ったときや、会議で局事業の方針に係る重要な判断が行われたときなどには、経過等を明らかにする文書として、会議や説明の際の議事要旨、会議資料、説明資料等の作成と保存を義務づけてございます。

○山内委員 国では、歴史公文書を公文書館に保存し、利用を図ることを法律で規定しています。市民の財産である公文書が適切に保存され、利用できるようにすることが重要です。
 知事部局においては、保存期間が長期の公文書を公文書館に引き継いできましたが、条例制定によりどのようなルールになっているのか、また、今後どのように変わるのか、お伺いいたします。

○西山総務部長 これまで公文書館では、知事部局を対象に、保存期間が長期の公文書等について引き継ぎを行ってまいりました。
 条例の制定によりまして、知事部局のみならず、行政委員会、公営企業等の実施機関を対象に、公文書館長が公文書の引き継ぎを求めることができることといたしました。
 今後、新公文書館の開館に合わせまして、公文書の引き継ぎのルールについて必要な見直しを行ってまいります。

○山内委員 公文書管理法が運用されているにもかかわらず、森友、加計や自衛隊の日報など、政府では、公文書に関して次々と問題が明るみに出てきて、ついには財務省の文書改ざんと、あきれる事態となっています。
 そして、公文書管理のガイドラインを改正して、なるべく文書を作成しない、記録を残さない方向に動いているというふうに感じます。これでは、意思形成や決定過程を後になって検証することができなくなってしまいます。
 豊洲市場問題の反省を生かして、国のような事態にならないよう、ぜひしっかりと取り組んでいただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後五時三十二分休憩

   午後五時五十九分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤井(あ)委員 総務局への事務事業質疑をさせていただきます。
 私からは、大きく三点、東京都ICT戦略にかかわるもの、働き方改革に関するもの、そして統計に関するもので、計十四個の質疑をする予定です。
 世界では、国を超えてグローバルに活動するグーグル、アップル、フェイスブックやアマゾンのGAFAと呼ばれるようなデジタルプラットフォーマーが人々の日々の生活に入り込み、国以上の存在感を示しております。
 テクノロジーをベースとした世界の都市も存在感を増しており、そういった世界の情勢を見ると、デジタル化の波はもう待ったなしのところまで来ており、日本の現状に危機感を募らせております。
 人々のデータを握るGAFAへの危機感などがあり、国は平成二十八年十二月に官民データ活用推進基本法を施行し、官民データの推進体制を整備し、毎年、官民データ活用基本計画を見直すことを盛り込むなど、取り組みの本気度合いが伺えるような状況になっております。
 都においても、都政の効率的な運営のため、また、激化する世界の都市との競争に打ち勝つためにも、ITの利活用は非常に重要な課題だと認識をしております。東京のICTの利活用推進に向けて大きな役割を担う情報通信企画部には、とても期待をしておるところでございます。
 平成二十九年十二月に東京都ICT戦略が策定されました。東京都ICT戦略の目的、位置づけについて、改めてお伺いをさせていただきます。

○山田情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務 東京都ICT戦略は、ICTを活用した都市機能の向上や、データの活用、官民連携による行政課題の解決の仕組みの構築、民間におけるICT活用の後押しによる生産性向上、新価値創造といった四つの柱に基づき、都におけるICT利活用の今後の展開を示したものであり、二〇二〇年に向けた実行プランで掲げる三つのシティーの実現をICTの活用により効率化、加速化させ、実行プランの進捗を確かなものとすることを目指し、策定したものでございます。

○藤井(あ)委員 東京都ICT戦略は、データの活用を初めとする四つの柱に基づいて、今後の東京のICT利活用の展開を示したものであり、二〇二〇実行プランに掲げる三つのシティーの実現を加速化させるものというご答弁をいただきました。
 世界と戦うための東京のデジタル化、IT化を進めるために、非常に重要な戦略だと認識をしていますし、記載されている一つ一つの施策についても、全庁、全局にわたるもので大変評価をしております。
 東京都ICT戦略で目指す東京の姿を実現するためには、推進体制が重要と考えております。一般的に、戦略で目指す姿を実現するためには、いつまでにどのように目標を達成するかの見通しを共有した上で、定期的に関係者を集めた会議を開くなど、進捗管理をする必要があるかと思います。
 東京都ICT戦略の実行に当たり、どのように進捗管理を行っているか、お伺いいたします。

○山田情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務 東京都ICT戦略の実現には各局との連携が不可欠であり、昨年度、庁内で検討部会を立ち上げ、ICT戦略の策定やICTの実装について、各局と検討を実施いたしました。
 今年度は、各局の施策の進行管理を行うため、五月に検討部会を開催し、各局が一体性を持って取り組みを進めることができるよう、今後のICT利活用の基本的方向性や、IoTやAI、ビックデータといった主要技術を活用した施策について実証実験の実施など、導入に向けた具体的なプロセスを全局に周知いたしました。
 あわせて、民間から採用した情報通信技術担当課長が、各局の施策の進捗状況や実施上の課題などについてきめ細かく把握し、課題解決や取り組み促進のための技術的助言、提案を積極的に実施するなど、各局と連携しながら施策を着実に進めているところでございます。

○藤井(あ)委員 今年度は、予算前の五月に、各局のメンバーが参加した検討部会が開かれたとのご答弁をいただきました。率直に申し上げますと、年一回の会議では物足りないと考えておりますし、戦略の進捗の管理ができるのかと若干心配をしております。
 加えて、参加者の役職も重要ではないかと考えております。局長なのか部長なのか、どのレベルかによって、予算など意思決定への影響度は大きく変わってくるものだと考えております。
 国の場合、官民データ活用推進基本計画の中で、内閣総理大臣を議長とするIT戦略本部の下に官民データ活用推進戦略会議を置き、議長は、そのまま内閣総理大臣が務めています。重点項目については、四半期に一回、政府CIOが官民データ利活用推進の観点からフォローアップを行い、課題の可視化と因果関係の整理を行い、政策効果、目標、KPI等について不断の見直しを行っております。内閣総理大臣を議長とした推進体制に本気度を伺うことができます。
 先ほどのご回答の中で、会議体としては年一回ですが、検討部会に基づいて、日々、民間から採用した情報通信技術担当課長が各局の施策の状況をきめ細かく把握し、現状の推進体制の肝となっているものと理解をいたしました。
 これはボトムアップで進める大変重要な取り組みだと理解をしておりますので、引き続き、情報通信技術担当課長が積極的に動けるように、情報通信企画部、さらには総務局を挙げて各局に働きかけるなど、取り組みを後押ししていただきたいと強く要望いたします。
 この情報通信技術担当課長は、各局の施策立案に対する技術的な助言、提案を実施したとのことですが、具体的にどのようなものがあるのか、お伺いをさせていただきます。

○山田情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務 具体的な実施内容についてでございますが、ドローンを使った公共インフラに対する点検手法や、施設情報等の電子化、住民協働による道路に関する情報収集の仕組みを検討するなど、今後、ICTを活用した効果的な公共インフラ維持管理を実現していく上で重要なステップとなる各局の取り組みに対し支援いたしました。
 また、受動喫煙防止対策の問い合わせ対応へのチャットボット導入に当たり、ウエブ版のデモ環境を構築し、事業化に向けた検討をサポートいたしました。
 さらに、AI技術等を活用しながら、危険性の高い建物火災の法則性を見出し、実効性ある火災予防対策に生かすことを目指した検討部会に部会員として参加し、技術面のアドバイスを行うなど、各局と連携しながら施策を推進しております。
 引き続き、ICTに関する高度な専門性と豊富な経験を生かしながら、各局の施策立案をしっかりとサポートしてまいります。

○藤井(あ)委員 情報通信技術担当課長が、ドローンやチャットボット、AIなど先端技術とご自身の経験をもとに、公共インフラの点検作業など、各局の事業を推進する支援をしているということがよくわかりました。戦略の進捗管理にも重要な役割を果たし、各施策の支援でもご活躍されている様子がわかりました。
 情報通信技術担当課長の任期はたしか二年だったと思いますので、今後、延長であったりとか新規採用など、今後の展開についても、切れ目がないよう体制の維持、さらにはバージョンアップすることのご検討を強く要望させていただきます。
 平成二十八年十二月に成立しました先ほどの国の官民データ活用推進基本法では、都道府県が官民データ活用推進計画を立てることを義務としています。
 情報通信企画部のホームページでも発表されていますが、東京都は先日、十月だったと思うんですが、東京都ICT戦略、今までお話のありましたICT戦略を東京都官民データ活用推進計画とすることとしております。
 東京都ICT戦略を東京都官民データ活用推進計画と位置づけた理由についてお伺いいたします。

○藤原情報政策連携担当部長 都道府県官民データ活用推進計画は、官民データ活用推進基本法におきまして、国が定める基本計画に即して都道府県が定めることとされた官民データ活用の推進に関する施策についての基本的な計画でございます。
 また、内容につきましては、国が公開している都道府県官民データ活用推進計画策定の手引によりますと、法に定められた基本的施策を踏まえ、官民データ活用の推進に関する施策についての基本的方針として、行政手続のオンライン化原則、オープンデータの推進、個人番号カードの普及及び活用に係る取り組み、利用の機会等の格差の是正に係る取り組み、情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保に係る取り組みを適宜記載するとされております。
 一方、東京都ICT戦略は、都のICT化を推進するための計画であり、官民データ活用推進基本法に定められている基本的施策であります行政手続のオンライン化やオープンデータの推進等を含み、さらにはIoTやAI等のICT技術を活用した都独自の取り組みも含んでおります。
 また、行政手続のオンライン化やオープンデータ推進につきましては、東京都ICT戦略に即して方針やスケジュールを策定し、具体的な施策を既に進めております。
 そのため、先般、開催したICT先進都市・東京のあり方懇談会でのご意見も踏まえ、東京都ICT戦略を東京都官民データ活用推進計画と位置づけ、さまざまな官民データ活用を推進していくこととしたものでございます。

○藤井(あ)委員 ICT先進都市・東京のあり方懇談会での意見も踏まえて、東京都ICT戦略を東京都官民データ活用推進計画としたことがわかりました。
 率直に申し上げますと、戦略とされていたものをそのまま計画とするのは、かなり無理があるというか、違和感があります。東京都ICT戦略は、戦略なので、推進体制やスケジュールなどの具体的な点が抜けていると思います。専門家が集まりますICT先進都市・東京のあり方懇談会で、その点、議論がもしなかったのであれば、非常に残念ですし、もしくは会議の進め方に問題があったのではないかと考えております。
 東京都官民データ活用推進計画を策定するタイミングは、東京都ICT戦略の実現に向けた体制を整えるチャンスであったと思いますので、重ね重ね残念でございます。
 国が都道府県官民データ活用推進計画の定義を広くとっているせいもあるとは思うんですが、一般的に、戦略は計画よりも広義であり、計画であれば、いつ誰が何をどのようにするのかなど、具体的な内容が必要だと思います。
 事実、国が自分たちに課している官民データ活用推進基本計画は、推進体制、いつまでに何をするのかなどが具体的に含まれた内容になっています。
 また、政府CIOポータル内に地方の官民データ活用推進計画策定の手引というページがございまして、他自治体の計画が記載をされております。幾つかの自治体の官民データ活用推進計画を確認しましたが、都道府県では四自治体が計画をアップしておりまして、北海道、静岡、滋賀、徳島、これを全て確認しましたが、推進体制について触れている内容になっております。
 都道府県以外にも市町村も計画を立てておりまして、横浜市の官民データ活用推進計画は、推進体制を含めて、KPIやスケジュールも明確になっていますので、既にご確認済みとは思いますが、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 東京都ICT戦略には、個々の施策について、いつまでに何をするかといった内容が明記されていませんが、この点についての認識をお伺いさせていただきます。

○藤原情報政策連携担当部長 東京都ICT戦略は、二〇二〇年に向けた実行プランで掲げる三つのシティーの実現をICTの活用により効率化、加速化させ、実行プランの進捗を確かなものとすることを目指し、策定したものでございます。
 そのため、東京都ICT戦略に掲げられた主要な施策については、実行プラン事業として、目標年次や目標値を明記し、施策の実施、進行管理、評価、改善、見直しといったPDCAサイクルの運用、各施策の実施状況のレビューを実施しております。その他の施策につきましても、各局の独自事業として、それぞれ進行管理が行われております。
 こうした取り組みに加えまして、ICT利活用を促進するための庁内検討部会の活用や情報通信技術担当課長による各局への技術的支援、提案などを通じ、各局の取り組みを着実に進めてまいります。
 なお、行政手続のオンライン化やオープンデータの推進につきましては、東京都ICT戦略に沿って、具体的な取り組み内容及びスケジュールを明確にし、取り組みを進めております。

○藤井(あ)委員 二〇二〇実行プランの中などで、各局が独自に、主要施策についてはPDCAを回しながら進捗管理などが行われていることがわかりました。ぜひ、東京都ICT戦略だけを見ても、そのスケジュールなどがわかるようにしていただきたいですし、進捗の管理も、皆さんが主体となってすべきだと申し添えておきます。
 これも意見ですが、東京都ICT戦略は、国が定める官民データ活用推進基本法で目指す姿の必要最低限の項目だけを満たすような内容になっていると思います。
 正直に申し上げまして、東京都ICT戦略を何度も何度も読んでおりますが、個々の施策があることは理解できますし、一個一個の施策はとてもすばらしいものだと思っていますが、東京都がどのようにその目指すべき姿を実現しようとしているのか、さっぱりわかりません。
 例えば、都内区市町村や民間事業者といつまでにどのように連携していくのか、そして、そのための体制をどうするのか、どのようにその達成度を確認していくのか、わかりません。記載があるのは、区市町村や民間事業者と進める個別の事業のみとなっております。
 繰り返しになるのですが、東京都ICT戦略、東京都官民データ活用推進計画は、都のICT戦略の根幹を担う非常に重要なものであり、その実行に大変期待をしているところでございます。国の官民データ活用推進基本計画も毎年見直すものですし、東京都官民データ活用推進計画は、東京都ICT戦略でもありますが、これからの見直し、追記をするなど、アップデートしていくことを強く要望させていただきます。
 いつまでに何をするのか、そして、その進捗をどのような数値、いわゆるKPIで管理するのか、会議体など体制をどうするのか、要求資料16にあるような全庁横断の会議体や検討会の中に加わるぐらいでもいいんじゃないか、そのように考えております。これは、はっきりとさせていただきたいと強く要望させていただきます。
 東京都ICT戦略の中身、記載のある個別の論点についても確認をさせていただきます。
 ICT戦略の実行に向けて、今年度、総務局ではどのような施策に取り組んでいるのか、お伺いをさせていただきます。

○山田情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務 日進月歩で進歩いたしますICT技術を最適な形で都の施策に導入するためには、導入の効果や課題などについて、実証を経ながら段階的に展開を図ることが重要でございます。
 そのため、今年度、都では、庁内のさまざまな施策への展開を見据えた実証実験を、民間事業者と協働し、実施いたしました。
 一つは、熱中症予測に関する実証実験でございます。これは、気象データや熱中症に関するデータ等を組み合わせた分析を行い、予測に有効なデータや可視化の手法などを検証したものでございます。
 もう一つは、大規模イベント、都市動態に関するシミュレーション実証実験であり、人流や交通にかかわるビックデータとその他の関連データとを掛け合わせまして、動態モデルの可視化や将来的な予測の可否等について検証したものでございます。
 こうしたビックデータ分析の活用可能性を探る取り組み等の検証結果を踏まえ、関係局と活用について検討を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 他局に先駆けて、ビックデータ分析など、先端技術の活用をすることで、活用可能性を探っているということがわかりました。ぜひ引き続き、関係局と連携を深めながら検討を進めていっていただきたいと思います。
 先日、小池知事がロンドンを訪問しました。二〇一二年のロンドン・オリンピック・パラリンピックでは、今、東京大会でも取り組んでいる交通の行動変容を促すような活動に加えて、公共交通のオープンデータをAPIで公開することで、四千もの事業者が登録し、交通関係のアプリが開発されたことで、交通需要の二〇%削減につながったとのことです。
 交通関係のデータは交通局の範囲だと考えるかもしれませんが、局を超えてオープンデータを実現すべきことにフォーカスし、ぜひ行動していただきたいと思います。
 二〇二〇東京大会を目前に控えて、オープンデータの取り組みも待ったなしでございます。東京都では、オープンデータカタログサイトを公開し、登録のデータ数は着実にふえていることを先日も確認させていただきました。登録データ数をふやすとともに、利便性を確保する必要がございます。
 東京都ICT戦略では、オープンデータの活用を促進するため、APIの導入を検討するという記載がございますが、その検討状況についてお伺いいたします。

○久原理事 API、アプリケーション・プログラミング・インターフェースのことでございますが、これは、都のオープンデータカタログサイトに掲載されたデータから必要な情報を自動的に検索、取得できるようにするものでございます。
 都民や企業等のデータダウンロードの負担を軽減することができるため、オープンデータを活用したアプリケーションやウエブサービスの開発、運用が容易になるというメリットがございまして、オープンデータの利活用を促進する上で重要な取り組みと認識してございます。
 今後、必要なデータや提供方法などについて、APIを利用することになるデータ利用者等の意見も聞きながら、導入について検討を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 APIの提供でアプリなどの開発をしやすい環境をつくり、利用者の利便性を上げようとしていることがわかりました。あわせて、ロンドン大会で実績はわかるようになっているように、利用者には登録を促すなど、その後の活用の状況を確認し、成果を検証できるような仕組みづくりもご検討をお願いいたします。
 一般の都民が一番わかりやすく利便性を感じるのは、行政手続のオンライン化ではないでしょうか。例えば、これまで平日昼間に役所に行って直接書類を提出する必要があった手続を、自宅にいながらにして、パソコンやスマートフォンなどを通じて申請ができる。これは大変に便利だと思います。国も、官民データ活用推進基本法の中で、十条に行政手続のオンライン化原則を定めています。
 東京都ICT戦略でも、都民の利便性向上と事務効率化のため、さらなる行政手続の電子化を推進するということが定められています。
 都の行政手続の電子化に向けた取り組み状況をお伺いいたします。

○藤原情報政策連携担当部長 行政手続の電子化につきましては、平成二十一年度に策定した電子申請取組方針をもとに取り組みを進めてきた結果、電子申請件数は増加をいたしました。
 一方で、行政手続の電子化自体は伸び悩んだため、昨年度、行政手続の棚卸しを行い、電子化されていない手続につきまして、申請件数や電子化の阻害要因等を把握するための調査を実施いたしました。この調査結果を踏まえ、ことし五月に電子申請取組方針を改正いたしました。
 現在、各手続所管におきまして、申請書の記載項目や添付書類、業務フローの見直し等を行うなど、改正後の取組方針に基づき、行政手続の原則電子化に取り組んでおり、準備が整った手続から、順次かつ計画的に進めてまいります。

○藤井(あ)委員 都の電子申請取組方針を、行政手続等の原則オンライン化の推進のため、調査結果などを踏まえて改正したとの重要なご答弁をいただきました。
 法の整備などが必要で、なかなかいつまでに何を達成するのかといったことがいえない状況だというのは理解できるところでありますが、ある程度の目標とスケジュールの設定が必要ではないかと考えます。
 やり方は幾つかあるかと思うんですが、例えば、横浜市の先ほど申し上げました官民データ活用推進計画の中では、以下のように評価指標とスケジュールを整理しております。
 政策指標として、平成三十年度にマイナンバーを使ったマイナポータル等を活用した電子申請を開始する。
 スケジュールとして、平成三十年度、国が示す地方公共団体が優先的に取り組むべき手続とその方策等を勘案し、本市において優先的に取り組むべき手続とその方策を整理する。平成三十一年度は、国が示すマイナンバー制度等を活用した住民票の写しや戸籍謄抄本等の提出不要化に向けた方策等を勘案し、本市の手続における添付書類の削減に向けた取り組み方針を整理する。
 こういったような形で整理することもできるかと思いますので、いつまでに実現するか、期限を定めて、原則オンライン化に向けて積極的に取り組んでいってもらいたいと思います。
 なかなか一〇〇%実現することは難しいとは思うんですが、一〇〇%実現する前提で取り組むことで、法の不備など、さまざまな課題が出てくると思われます。そういった点に関しましては、都民の利益に資するところでございますので、積極的に国に働きかけるなど、待ちの姿勢ではなく進めていっていただきたいと思います。
 続きまして、ICT戦略にもかかわりまして、私の昨年の一般質問でも取り上げさせていただきました職員の働き方改革について伺ってまいります。
 まず、職員の働き方改革を進めるためには、ICT環境の整備も必要だと考えております。都の職員は、TAIMS、トウキョウ・アドバンスト・インフォーメーション・マネジメントシステム、東京都高度情報化推進システムと呼ばれる環境を利用していると聞いております。
 職員が業務で利用しているTAIMSとはどのようなものか、お伺いいたします。

○沼田情報政策担当部長 ご質問がございましたTAIMSでございますが、職員が書類の作成を行うほか、電子メール、スケジュール表、電子掲示板の利用、庶務事務システムや文書総合管理システム等の業務システムの利用、インターネットを使った情報収集等に利用するシステムでございます。
 職員が日々の業務を行うために必要不可欠なものとなっております。

○藤井(あ)委員 パソコンなどの端末を含めて、電子メールやスケジュールなど、全ての職員が日々の業務で使うための、コミュニケーションや情報共有、事務処理の効率化や意思決定を支援する、いわゆる情報系のシステムであるということがわかりました。
 情報系のシステムは、昨今、チャットやウエブ会議、社内SNSなど、いろいろと進化をしております。
 都でも、まさに今、TAIMSのリニューアルを進めており、来年度は端末展開も控えて、予算の見積もりもかなり大きくなっていると思います。
 新しいシステムとなるからには、これまでの課題を改善するものであると考えますが、現在どのような課題があり、どのように改善しようとしているのか、お伺いいたします。

○沼田情報政策担当部長 現在のTAIMS端末では、庁舎外で使用することを想定していない設計となっておりますので、一部の先行導入している端末でのみテレワークを行うことが可能となっているところです。
 さらに、セキュリティーの確保が重要でございますので、そのためには自治体情報システムの強靭性の向上というものが必要になってきております。
 このため、職員が使用する端末を軽量、小型化するとともに、セキュリティー対策に万全を期すために、端末に仮想化技術を導入して、テレワークへの対応とシステムの強靭化を同時に図ることとしております。
 また、これに先立ち、今年度、管理職を対象に、TAIMSの電子メールやスケジュール表を各自が携帯しているスマートフォンやタブレットで安全に利用できる機能を導入しております。

○藤井(あ)委員 既存のTAIMSは庁舎内でのみ使用を想定していたが、新たなTAIMSでは、セキュリティーを向上し、軽量、小型の端末にすることで、テレワークがいつでも安全に行える環境が提供されるということがわかりました。
 加えて、既に管理職を対象に、電子メールやスケジュールをスマートフォン、タブレットで確認できるようになったとのことで、生産性が上がるものと期待をしております。
 先日、外部の勉強会で経済産業省で働く知人に会った際に驚いたのは、タブレットPCから資料をプロジェクターへ出力して説明をしていたことです。経産省では、持ち出し可能なタブレットとノートパソコンを既に選ぶことができるそうで、柔軟な働き方ができる体制が進んでいるなと感じました。
 都でも、そういった柔軟な働き方ができる環境を整え、職員の生産性を高め、より一層、都民のために働ける環境を整えていただきたいと思います。
 先ほど我が会派の奥澤委員もおっしゃっていましたが、業務効率化によってつくられた時間を都民と向き合う時間に充て、創造的で挑戦的な取り組みをすることを期待いたします。
 昨年の第三回定例会、私の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、テレワークを含む職員の働き方改革については、今までお話のあったようなICTの環境の整備と同時に、制度や仕組みの整備も必要になってまいります。
 そのためにこれまで試行を進めているとのご答弁を一般質問ではいただきましたが、テレワークを推進していくに当たり、これまで試行として取り組んで見えてきた課題と今後の取り組みについてお伺いをさせていただきます。

○木村労務担当部長 これまで都では、モバイル端末を、平成二十九年四月の試行開始時の五台から現在約百三十台までふやし、知事部局等全局での在宅勤務型テレワークの試行や、本年七月に新設したサテライトオフィスの活用等に取り組んでまいりました。
 試行状況の検証のため、本年十月に実施したアンケートでは、終日型の在宅勤務を実施した職員の八割以上がライフワークバランスが向上したと回答いたしました。
 一方で、テレワーク推進のために必要なこととしまして、資料の電子化、手続の簡素化、ICTツールの導入、職場への浸透等の回答がありました。
 こうしたことを踏まえ、ペーパーレス化を進めていくとともに、在宅勤務の申請様式を押印なしでメールで提出することも可能とするなど、手続を簡素化してまいります。
 さらに、来年一月以降、モバイル端末の段階的な配備にあわせ、毎月のテレワークデーはもとより、年二回の時差ビズ等の機運醸成の機会も活用し、より多くの職員、職場がテレワークを体験し、なれていくための取り組みを実施してまいります。
 ICT環境の整備を進めながら、これらの取り組みを加速していき、東京二〇二〇大会後には、テレワークが都庁のワークスタイルの一つとして定着することを目指してまいります。

○藤井(あ)委員 テレワークの試行の中で、職員のワークライフバランスが向上するというアンケートの回答があったと重要なご答弁をいただきました。試行により、課題も明らかになりつつあるということもわかりました。
 私も、IT企業で働いていたころ、テレワークを活用しておりました。外からメールをやりとりできたり、社内の資料にアクセスできることは大前提として、家や外出先からウエブ会議に参加をしたり、チャットを使って、ちょっとしたことを同僚に確認できたのは大変効率がよかったです。
 試行後の課題として、家からだとコミュニケーションがとりにくいという声もあったということですし、先ほどの新しいTAIMSの中で、機能としては実装される予定と聞いておりますので、今後、そういったチャットやウエブ会議を利用していくことも要望させていただきます。
 まずは、試験的にでもいいので、利用してみるといいのではないかと思います。都庁の中でも大分距離が離れていると思いますので、庁内でチャットを使ってみるであったりとか、ウエブ会議を使うということで、その有用性を感じることができるのではないかと思います。
 先日の平成二十九年度決算特別委員会の産業労働局への質問で、都内企業のテレワークの導入率は、都が調査した、従業員三十人以上の企業を対象とした調査で、昨年度の六・八%から今年度は一九・二%に大幅に拡大していることが明らかになりました。民間でもそういった形で導入が進んでおりますので、都庁がモデルケースとなることで、さらに社会におけるテレワークの活用が一層進むものだと期待をしております。
 ロンドンのように、テレワークが東京二〇二〇大会のレガシーとなるべく、環境を整えていってほしいと要望させていただきます。
 テレワーク試行の先ほどのご答弁いただきましたアンケートの中で、資料がデータ化されておらず、準備が大変ということがあったということですが、テレワークの推進には、紙に頼らない、ペーパーレスの働き方を定着させていくことが重要であると考えます。
 ペーパーレスの推進に向けた取り組みの現状と今後の方向性についてお伺いさせていただきます。

○豊田都政改革担当部長 テレワークを初めとした柔軟な働き方を推進するためには、ICTを活用した業務の改善、改革の基盤となる取り組みであるペーパーレス化を進めることが重要であると考えております。
 そのため、都では、今年度から平成三十二年度までの三年間で達成すべき全庁的な数値目標として、コピー用紙使用量の二〇%削減、ペーパーレス会議の実施率九〇%を設定するとともに、各局においても、具体的な取り組みを設定し推進しております。
 総務局では、これらの取り組みを支援するため、ペーパーレスの取り組み事例等、ペーパーレス推進に資する情報を職員掲示板を通じて庁内に発信するなど、職員の意識やITスキルを向上させる取り組みなどを行っております。
 今後は、各局の取り組み状況なども踏まえながら、さらにペーパーレスの取り組みを推進し、テレワークなどの新しい働き方を定着させ、都庁の生産性向上を図ってまいります。

○藤井(あ)委員 全庁横断的にペーパーレスの取り組みが進んでいることが確認できました。ご答弁にありましたとおり、ペーパーレスは、ICTを活用した業務改革の大前提、支える屋台骨となる取り組みです。とはいえ、人は、なかなかこれまでのやり方を変えることは難しいものだということも理解をしております。環境が整っても、紙を印刷して使う人はこれからも出てくるのではないかと思います。
 一方、ペーパーレスに関しては、これまでも多くの企業や行政が取り組んでおりますので、事例も豊富にございます。事例を研究することと、ぜひ、ほかの自治体や企業でそういったペーパーレス化に成功しているところを直接訪問するなどして、実際どのように取り組んだか、参考にしていただきたいと思います。
 こちらで働き方改革に関する質疑を終えさせていただきます。
 続いて、統計に関する質問を二問させていただきます。
 統計は、社会の情報基盤であり、非常に重要なものであると認識をしております。
 国の統計局のホームページでは、国の統計の三つの役割のうち、二つ目として、以下のように述べております。当たり前の話かもしれませんが、述べさせていただきます。
 第二に、国や地方の行政の運営を公平公正に行う基準を与えるための役割です、国や地方公共団体は、国民、県民、市民などを対象にして、さまざまな行政を行っています、この例としては、公共施設の整備、公共サービスの提供、補助金の給付などがよく知られていますが、それを公平に行うためには、正確で信頼できる統計が必要なのです、もしも統計がなかったとしたら、例えばどこに施設を建設するのか、誰にどのようなサービスや補助金を提供するかなどといった重要なことが、それを担当する職員の個人的な勘や判断、これまでの慣習などで決められてしまいかねません、そのような決め方は公平公正とはいえませんし、お金、税金の使い方として効率的でもないでしょう、このような問題が起こることのないように、行政を行う上で多くの人が納得できる客観的な基準として、国が統計を作成していますとあります。
 都の統計部の仕事は、法定受託業務として国の統計調査を実施することが大部分と聞いておりますが、都政における統計部の役割は何か、お伺いをさせていただきます。

○熊谷統計部長 統計部では、国からの委託を受けて、国勢調査や経済センサスを初めとするさまざまな統計調査を実施し、重要な情報基盤である統計の整備に貢献しているところでございます。
 こうした法定受託事務に加え、都独自の施策も実施しており、各種統計調査の東京都分の結果を報告書として公表するとともに、統計データを再利用して、東京都産業連関表や都民経済計算などの加工統計として作成し、各局はもとより、都民、事業者の利用に供しております。
 また、ホームページ「東京都の統計」の開設などを通し、都民に対する統計の普及啓発に努め、オープンデータ化にも取り組んでまいりました。
 さらに、庁内各局に対し、統計調査の企画、設計やデータの分析方法など統計の利活用に関する助言を行い、業務を支援しております。
 このように、統計部は、都民の共有財産である統計を利用しやすい形式で幅広く提供する役割を果たすとともに、庁内においては統計業務に関する調整機能を担っているところでございます。

○藤井(あ)委員 統計部では、都のデータを扱いながら、統計の利活用の環境整備に向けたさまざまな取り組みを実施しているとのご答弁をいただきました。都の政策が統計に基づき公平公正に行われているか、サービスや補助金が効率的に使われているかの客観的な基準を、統計部は統計情報として提供する重要な役割を担っているということが確認できました。
 現在、日本では、政府を挙げてEBPM、証拠に基づく政策立案の推進に取り組んでおります。先ほど来申しております国の官民データ活用推進基本計画の中でも、官民データ活用によるEBPMの推進としての項目がございます。統計等データの利活用促進や人材の確保、育成に努めると、こちらには明記をされております。
 都でも、都庁内の統計利活用の促進は極めて重要だと考えております。本年第一定例会で、我が会派の福島議員の一般質問に対して、さらなる統計の利活用を図り、EBPMの推進に寄与していくため、セミナー開催を初めとした取り組みを講じていくとご答弁されていましたが、本年度の取り組み状況をお伺いさせていただきます。

○熊谷統計部長 EBPMの推進のためには、エビデンスとなる統計データを職員が正しく理解し、適切に利用する能力、すなわち統計リテラシーの向上が不可欠でございます。
 このため、都庁職員の統計への関心を喚起し、あわせて統計利活用に関する知識やノウハウを付与するため、今年度、初の取り組みとして、統計利活用セミナーを開催いたしました。
 この中では、例えば、統計データに基づく多様な指標を活用した世界の都市総合力ランキングに携わる民間の研究者を講師として招き、東京の都市力という興味深いテーマを題材に、統計データの利活用や提供方法の新たな手法を紹介する講義を行いました。
 また、東京都産業連関表の作成に関与した大学教授による東京の経済の分析や、経済波及効果算出ツールを用いた実習など、多彩な内容、方式でセミナーを実施したところでございます。
 さらに、庁内ウエブ、とちょうiにおいて、統計利活用のヒントと題する連載も開始し、統計の意義や利活用事例を職員にわかりやすく訴求する取り組みも始めております。
 今後とも、テーマ、内容に工夫を凝らしたセミナーの開催などによる情報発信を充実させ、職員の統計リテラシー向上を通じた統計利活用の促進を図り、都庁におけるEBPMの推進に寄与してまいります。

○藤井(あ)委員 着実に取り組みを進めていることを確認することができました。
 先ほどご答弁にありました統計利活用セミナー、このチラシを私も拝見させていただきました。東京都産業連関表と経済波及効果分析というものも今、答弁にございましたが、これなどは、例えば産業労働局の施策全般の効果をはかるのに有用ではないかと思いましたし、ぜひ活用していただきたいと思います。
 国のEBPMの推進体制などを見ていると、特に利活用の面で、統計部の役割は今後増してくるものと考えており、大きな期待を寄せております。
 以上で私からの質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○藤井(一)委員 引き続き、藤井がやります。三人目でございます。
 私からは、小笠原航空路に絞って質問いたします。時間も短くしたいので、質問をはしょりますので、順番どおりじゃないから気をつけて。
 小笠原は、東京から南に千キロ、そして、船で前は二十九時間以上かかりましたが、今は二十四時間ということで、東京の一番遠い島であります。ここは、行った方はわかると思いますが、年間の平均の温度が二十三度、非常に亜熱帯性の気候であり、また、海が大変きれい、透明度が高く、そういったことで大変人気があります。しかし、残念ながら飛行場がなく、船だけでしか行けないと。
 平成二十三年だったと思いますが、世界自然遺産に登録をされまして、多くの方が小笠原に行きたいと思っても、二十四時間、船に乗らなきゃいけないという現状があって、なかなか行けないというのが現在であります。
 ここは、オガサワラオオコウモリとか、ムニンツツジとか、ムニンノボタンとか、非常に天然の固有の植物、動物がありまして、そういった意味では貴重な小笠原の資源があるわけです。また、東洋のガラパゴスとも呼ばれております。
 そういったことで、私どもはぜひ、地元の方たちも、ぜひ小笠原に空港をつくってもらいたいという熱い要望をいただいて、私も本会議や委員会で何度も訴えてきたところでございます。
 そこで、きょうは、都民ファーストの新しい議員の方もいらっしゃいますので、基本的なことも踏まえながら質問していきたいと思います。
 まず第一番目に、小笠原航空路に関しまして、これまでどういう検討をしてきたのか、伺います。

○野間行政部長 都はこれまで、平成七年に兄島、平成十年に父島の時雨山に飛行場の位置を決定いたしましたが、それぞれ自然環境への影響等が課題となり、断念してございます。
 その後、父島の洲崎地区活用案、硫黄島活用案、水上航空機案、聟島案の四案について検討を開始し、平成二十一年に、自然公園法の特別保護地区となった聟島案を検討対象から外し、残る三案について検討を進めてきてございます。
 昨年七月に開催いたしました、都と村で構成いたします小笠原航空路協議会におきましては、硫黄島活用案、水上航空機案のいずれも中長期的課題として整理し、洲崎地区活用案について、より具体的に検討を進めていくことを確認いたしました。
 さらに、ことし七月に開催いたしました協議会におきまして、より実現性の高い洲崎地区に絞って集中的に検討していくことを確認いたしました。

○藤井(一)委員 今ご説明がありましたように、平成七年に兄島に航空路をつくると決定いたしました。私、平成七年、この兄島に行きました。都議会公明視察団一員として参りまして、五十メーター近い崖をロープで上がって、上がりますと平らなんですね。だから航空路に選ばれたんですけども、残念ながら、なぜだめになったかというと、先ほどの天然記念物、植物があるから、だめだということになりました。でも、我々が行ったとき、すぐそばでヤギが植物をいっぱい食べていましたよ。
 そして、その後が時雨山案になりました。時雨山というのがありまして、私も現地に行きました。山がこう、こういう山になっているんです。ここをどういうふうに航空路をつくるんですかと聞いたら、山の半分を削って谷を埋めて、もう一つ、山の半分を削って谷を埋めて航空路をつくるんだと。そんなの無理でしょうと思いましたけども、案の定、石原知事が現地に行って、ここに空港をつくるのはとんでもないといって反対されて、没になったわけですよ。
 あと、ただいま説明はありませんでしたけど、たしか、航空路ではないんだけども、テクノスーパーライナーというのも検討されたじゃないですか。その当時、二十六時間ぐらいかかったのを十七、八時間に縮めるということで、テクノスーパーライナーという速い船を東京都は建造しようとした。我々も大変期待したんですよ。
 そうしたら、担当部長が来ましたよ。何といって来たか。できたんだけど、波が四、五メーターだと、その波があるととまっちゃうんですと。何でそんなちゃちなものをつくるんだと怒った経験がありますよ。
 だから、兄島にしても、時雨山にしても、テクノスーパーライナーにしても、本当にもうちょっとならないのかなというのが実感でした。
 そこで--正直いって、石原知事はヨットが好きだから、小笠原へしょっちゅう行って、こういう自然を残した方がいいというので、飛行場は反対だったんだよ。だから、なかなか都の職員の皆さんも進められなかったんじゃないかなと私は個人的に思っていますが、最近というか、ことしの六月三十日に行われました小笠原返還五十周年記念というのが小笠原でありました。私は残念ながら行けなかったんですけども、そのときに小池知事は、小笠原に飛行場を建設することは必要だと認識していますというふうに明確におっしゃいました。
 私は、今までの知事、石原知事にしても、猪瀬知事にしても、舛添さんにしても、小笠原に対しては余り目を向けていなかった。ようやく目を向ける知事ができてよかったなと実感したわけですけど、このときの式典で、小池知事は航空路の開設について具体的にどういう発言をしたのか、確認の意味でお伺いいたします。

○野間行政部長 ことし六月に開催されました小笠原諸島返還五十周年記念式典において、知事は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的な発展、さらに島民の皆様の安心・安全を守る観点から、小笠原に飛行場を建設することは必要であるとの認識を示しました。
 また、より実現性の高い洲崎地区を活用する案に絞り、機材については水上航空機も含めて集中的に検討していくこと、これまで検討してきた滑走路案よりも短い千メートル以下の滑走路で運用可能な機材について、財政負担も含めた調査、分析をするよう指示したと発言いたしました。

○藤井(一)委員 ただいま洲崎の地区を活用する案に絞って集中的に検討するという答弁がありましたけども、この方針に変わりはないかどうか、伺います。

○野間行政部長 ことし七月に開催いたしました小笠原航空路協議会におきまして、先ほど申し上げた三つの案のうち、洲崎地区活用案を集中的に検討することを村と確認してございまして、今年度は、洲崎地区周辺の自然環境への影響調査や、短距離滑走路を想定いたしました機材の調査を行っているところでございます。

○藤井(一)委員 洲崎地区を集中的に検討するということですけれども、現在、この洲崎地区の検討案の概要はどういうものか、お伺いいたします。

○野間行政部長 現在の洲崎地区で想定しております滑走路案は、滑走路長一千メートル、全長千三百二十メートル、標高二十メートルとなってございます。
 また、機材につきましては、小笠原において千メートル程度の滑走路で運用可能と思われますATR42-600Sという四十八人乗りプロペラ機の開発の動きがあることから、これを使用機材として想定しておりますが、滑走路長を短縮できるその他の機材につきましても、さらに調査を進めてまいります。

○藤井(一)委員 私、このATR、乗ってきましたよ。今、熊本空港から伊丹空港に一機だけ飛んでいるんですよね。フランス製です。ちょっと機内は狭いですけども、非常に短い滑走路でおりられる。
 会社の担当者に聞いたら、約八百から千メートルでおりていますということでございましたので、ぜひこういった機種、今、改良されているということですけども、前向きに検討していただきたいと思います。
 洲崎地区の活用案についてですが、先ほどの機材も含めて、どのような課題があるのか、これについて伺います。

○野間行政部長 平成二十九年度に調査を行いました一千メートルの滑走路案では、従来の千二百メートルの滑走路案と比較いたしまして、周辺地区への影響が軽減されるとの結果が出ている一方、依然として一定規模の自然改変が必要となってございます。
 飛行場を開設した場合、こうした自然改変によりまして、景観への影響はもとより、動植物への影響につきまして、陸域、海域も含め、広範かつ季節ごとに調査、検証が必要となります。
 洲崎地区では一千メートル以下の滑走路長を想定しており、就航可能な機材も限られることから、最新の機材に関する調査も行ってございます。

○藤井(一)委員 最新の機材に関する調査を行っているという答弁でしたけども、どういうふうに情報を集めて検討を行っているのか、伺います。

○野間行政部長 小笠原まで飛行可能な機材に関する調査につきましては、機材の開発状況や、海外での運航実績のある機材を含めまして、幅広く情報を収集してございます。
 機材に関する情報につきまして、業界紙や専門紙など一般的な公開情報によるもののほか、航空機の販売事業者や航空機メーカー、運航事業者へのヒアリングを行っておりまして、今後も、機材開発の動向につきまして情報を収集してまいります。

○藤井(一)委員 話題は変えますけども、今、小笠原航空路に対して調査をされているわけですが、総務局として、平成二十九年度に予算一億一千万、平成三十年度には一億二千万の予算をつけて調査しております。
 そこで、平成三十年度は、平成二十九年度に比べて予算額が一千万円増額をしているわけですけども、どのような調査を具体的に実施するのか、伺います。

○野間行政部長 平成三十年度におきましては、村民生活の安全・安心の観点をより重視した検討を行うこととしておりまして、機材に関する調査の一環として、病気などの患者が搭乗する際の医療器材搭載の可能性につきまして、航空機メーカーに対しヒアリングを行うこととしてございます。
 これに加えまして、機材に関する最新の開発動向や長距離の洋上飛行の可能性、さらには、気温や搭乗者数、路面の状況など、さまざまな条件下における短距離滑走路での運用可能性などにつきましても、あわせて確認を行う予定でございます。

○藤井(一)委員 先ほどの機材にしても、そしてまた、今、さまざまな短距離滑走路の可能性とかを検討されているということですけども、大事なのは、やっぱり、どういうお客を乗せて、そして採算が合うかどうか。
 せっかく航空路ができたとしても、万が一、一人当たり百万ぐらい出さなきゃいけないなんていうのだと、たくさんの人は行けないわけで、そういう意味では、小笠原航空路を開設した場合の運航採算性というのが大変重要だと思いますが、これを判断するにはどういった要素が必要か、伺います。

○野間行政部長 運航採算性の検討に当たりましては、収入に関する要素といたしまして、機材定員、運賃、就航率、搭乗率、運航便数などについて、また、支出に関する要素といたしましては、機材購入費、機体整備費等の維持費、燃料費、人件費等諸経費などについて想定していく必要がございます。
 今後、運航採算性を算定するに当たりましては、他の運航事業者の例なども参考にしながら、想定条件を設定していく必要があると考えております。

○藤井(一)委員 その検討の中に、知事は、機材として飛行艇をも考慮するということで発言されました。
 この飛行艇、確かに、水上から飛び立って、水上におりられる。私も小笠原で見たことがあります。船で湾を出ようと思ったら、目の前で水上飛行艇がすうっと行って、あっという間に上がっていく。こういうのがあるといいなとは思うんですが、残念ながら、この水上飛行艇、現在は、軍事用の水上飛行艇としては使えますけども、民間用としての活用がなかなかなされていない。
 しかし、現在、国内あるいは国外におきまして、民間事業として水上航空機を運航している事例があるというふうに伺いましたが、この点について伺います。

○野間行政部長 国内におけます事例といたしましては、唯一、広島県尾道市に所在いたします株式会社せとうちSEAPLANESが平成二十八年八月から水上航空機の運航を行ってございます。
 国外における事例といたしましては多数存在いたしますが、例えばモルディブ共和国やフィジー共和国におきまして、島しょ間を回る路線が運用されてございます。また、カナダのバンクーバーやアメリカのシアトルにおきましては、海峡間を渡る路線として運用されております。

○藤井(一)委員 ただいま国内外の例をお示しいただきましたけども、それぞれ水上航空機が民間事業として行われているその事業の概要、また、何人乗りで何キロぐらい走るのか、これについてもお伺いいたします。

○野間行政部長 尾道市の事例では、地域の新しい価値を創造し、地域活性化、観光振興や新しい交通手段としての活用を目指すことを目的に航空輸送事業を立ち上げ、パイロットを含めた十人乗りの小型機材で、遊覧飛行やチャーター便を運航してございます。
 海外のモルディブやバンクーバーの事例では、島々が点在している地形から、搭乗人員が十八人程度の小型機材で、日常の交通手段として定期便や遊覧ツアー、チャーター運航などを行っており、航路距離はたしか三百キロ程度というふうに聞いてございます。

○藤井(一)委員 早速、私と古城委員は、来週、尾道のせとうちSEAPLANESを伺いまして、できれば乗りたいと思うんですが、日程的に合うかどうか。ぜひ国内唯一のこういった水上航空機を調べていきたいと思いますので、調べてきたら、また詳細にお伺いをいたしますので、お待ちいただきたいと思います。
 続いて、小笠原航空路の検討に当たりまして、都は、国と村とで構成します検討会議を設けております。また、都は、技術的あるいは専門的な観点から議論を充実させる必要があるということで、航空行政を所管します国土交通省航空局とか、あるいは国土交通省国土政策局に協力を依頼いたしまして、平成二十七年度末に小笠原航空路に関する検討会議を立ち上げたところであります。
 国土交通省の協力も参加も得て、実務者レベルの検討をする体制を設けたということですけども、これまで何回この会議を開催して、どのような検討がなされたのか、伺います。

○野間行政部長 小笠原航空路に関する検討会議でございますが、都、国、村の三者が一堂に会し、これまで平成二十七年度に一回、二十八年度に三回、二十九年度、三十年度ともに一回、計六回開催してございます。
 検討会議におきましては、都や小笠原村が実施いたします航空路に関する調査の内容やその結果等を共有するとともに、都や村の求めに応じまして、国からは、調査すべき事項や調査手法などについて、技術的、専門的な観点から助言を受けているところでございます。

○藤井(一)委員 検討会議が平成二十八年度には三回実施されたけれども、それ以外の年は年に一回しか実施をされていないという答弁がありました。
 いろいろ課題があって、国と相談することがなかなかないから、こういう会議がなされないのか、それとも、ほかにも理由があるのかわかりませんが、少なくとも、例えば茨城空港であるとか、新潟空港であるとか、こういうものをつくる場合は、地元の県と国とがしっかり連携しながらつくってきたということもお聞きしました。
 また、国土交通省の担当者の方から、東京都さんは余り相談がないんだけど、本当につくる気があるんですかねといわれたこともあります。
 そういった意味で、やはりもっともっと前向きに、早くつくるという気があれば課題ももっと絞られるだろうし、また、国の協力も得て、早くつくれる体制をつくるべきだと思いますけども、そういった意味で、この点、どのようにお考えになるか、伺います。

○野間行政部長 小笠原航空路に関する検討会議は、関係者間の情報共有を図るとともに、国から技術的、専門的な助言を得つつ、意見交換を行うことができる有意義な場であると考えてございます。
 都といたしまして、洲崎地区活用案を集中的に検討していくためには、これまでの調査結果を踏まえた航空法の運用の視点、飛行場建設における技術的な視点、小笠原諸島振興開発特別措置法との関連など、技術的、専門的な助言を得る必要がございます。
 このため、今後も、国や村との連携を密にしつつ検討会議を開催しながら、検討を加速してまいりたいと考えてございます。

○藤井(一)委員 先ほど申しましたように、平成七年から今日まで二十三年ほどたっております。私も平成七年の兄島からかかわってきました。そしてまた、平成十三年には洲崎地区案、水上航空機案、硫黄島活用案、聟島案というのが出て、それから今日まで検討されてきた。約十七年ですよね。
 私も小笠原に何回も行きました。地元の小笠原の方から、本当の多くの方から、早く空港をつくってもらえないかということを要望を受けてまいりました。二十数年前に五十代で元気だった方も、今はもう七十代、八十代になっています。中には亡くなった方もいます。
 その方たちからすれば本当に、この前も小笠原の関係者から、東京都は一体何をやっているんだ、何を検討、調査しているんだ、いつまでにやるんだ、このように厳しくいい寄られました。やる気があるのか、このようにもいわれました。また水上飛行艇案が出てきたけども、水上飛行艇案なんか無理だよという声もありました。
 私も、水上飛行艇の世界的トップレベルの技術を持った新明和工業に、数年前、現地に行って担当者からも聞いてまいりました。飛行艇案はどうですか、小笠原まで飛ばせるようになる可能性はどうですかというふうに聞きましたら、その担当者は、ちょっと厳しい、無理ですと。なぜですかと。今、軍事用の飛行艇を民間用にするためには、すごい複雑な国の許可、そして、それをやるのに多額のお金がかかります、ですから、軍事用として今やっていますけど、これを民間用にするには大変ですといわれました。
 そういったものをまた検討案に入れているということで、ある関係者から、またこれから二十数年検討するんですか、私たちが生きている間にはできませんねと、このようにもいわれました。
 この二十五年間で、小笠原空路の担当部長、現在でいえば多摩島しょ振興担当部長は十六人かわりました。担当課長は十五人かわったんですね。榎本次長も担当部長だったんですよね、答弁してもらえますか。
 本当に、地元小笠原に行って皆さんの声を聞いてみてくださいよ。いざ病気したり、いざ自分の身内が東京で危篤だといわれたときに、すぐ帰れないんですから。一週間に一回の往復の便でしか帰れないんですから。
 よっぽど重傷、よっぽど大けがであれば、自衛隊の飛行艇が来て、乗せて、厚木基地や、あるいはほかの基地に連れて行きますよ。でも、地元の人は、飛行艇で運ばれた人を下から見て、ああ、あの人とはもうこれで会えないんだな、最後だなと、みんな思っている。
 そういう現状の中で、まさに国境離島の最前線で小笠原があるから、日本のやっぱり、何というんですかね、小笠原のおかげのところもあるし、そういう意味で、小池知事がようやく小笠原に目を向けていただいた、何回も小笠原に行っていただいた。私は大変評価していますよ、その面は。
 だったら、今までの検討を早く進めてもらって、そして、小笠原の人たちの長年の念願であります航空路建設にぜひ尽力をしていただきたい。
 今、遠藤局長が担当局長ですので、ぜひ局を挙げて小笠原航空路建設に向けて頑張っていただきたい、このように思うわけですが、開設に向けての局長の決意をお伺いしたいと思います。

○遠藤総務局長 小笠原における航空路の開設につきましては、島民生活の安定と、国境離島である小笠原諸島の自立的な発展を図る上で極めて重要であると認識しております。
 都は、小笠原航空路の検討に当たりまして、より実現性の高い洲崎地区活用案に絞って集中的に検討していくこととしております。
 これまでは、自然環境や景観への影響、航空機材など、飛行場を建設するに当たって必要となる基本的な事項について幅広く調査を行ってきたところでございます。今後、航空路開設に向けた具体的検討を進めていくためには、飛行場の構造や工法、運航形態などについても調査、検討を行っていく必要があります。
 藤井副委員長から、これまでの経過も含めまして、小笠原航空路開設に関する熱い思いを今聞かせていただいたところでございます。小笠原で実現可能な航空路案が早期に取りまとめられるよう、国や村を初めとする関係機関と緊密に調整を行いながら、洲崎地区における必要な調査に取り組んでまいりたいと思います。

○藤井(一)委員 以上です。

○中屋委員 大分時間もたってまいりまして、お疲れも見えてきておりますけれども、ここから元気を出して頑張っていきたいと思いますから。
 私の方は、被災地支援の取り組み一本に絞って質問していきたい、こう思います。
 ことしは、大阪北部地震、平成三十年七月豪雨災害、北海道胆振東部地震など、全国各地で自然災害が頻発をしておりまして、いつどこで災害が発生してもおかしくない状況にあるわけであります。
 都は、大規模災害発生時には、被災地からの応援要請に基づいて迅速に支援を行っております。本年七月の豪雨災害においても、都職員を派遣しております。
 一方、東日本大震災の発生から七年と八カ月が経過をしまして、都民の関心は徐々に薄れつつあり、東北被災地に目を向ける機会が少なくなっているということは大変悲しく思うところであります。
 発災後、私は都議会自民党の一員として、瓦れき処理などで粉じんが舞う状況の中、ゴーグルをつけて被災地域を視察いたしました。ここにいらっしゃる老舗の会派の人たちも、現地に急ぎ入ったというふうに思います。そこには、応急復旧業務のために、被災自治体職員とともに取り組んでいる都職員の姿がありました。
 私は、平成二十五年の総務委員会において、被災地支援の取り組みについて質問いたしました。被災地への職員の派遣を継続するべきだ、支援をしっかり行っていくべきだということを申し上げたのであります。
 都職員業務は、被災地の避難所の支援などに始まりまして、被災地の状況の変化に応じて復興支援も行ってまいりました。
 こうした復興事業の着実な進展は、被災地の方々の懸命な努力や都の応援職員の働きの成果でありますが、今なお復興は途上でありまして、被災自治体とともに汗をかく応援職員の存在が私は必要不可欠だと思っています。
 そこで、東北復興に向けた都の人的支援について何点か質問いたします。
 まず、今年度、東北被災三県に対する都職員派遣の実績について伺います。

○伊東復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務 都は、今年度、東北被災三県からの応援要請に基づき、岩手県に十七名、宮城県に十八名、福島県に二十一名、合計五十六名の職員を派遣しております。

○中屋委員 東日本大震災発生後、七年と八カ月がたった今なお、東北三県で五十六名もの多くの方が被災地の復興業務に従事していることを再確認しました。都職員の努力に敬意を表したいと思います。
 ことし八月には、ラグビーワールドカップの開催会場となります岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムが完成をしまして、記念イベントが開催されたところであります。まさに復興の象徴であると感じました。
 東北被災三県に派遣されている都職員は、具体的にどのような業務で復興に貢献してきたのか、伺います。

○伊東復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務 都の派遣職員は、公共インフラの整備や産業の復旧復興事業など、幅広く復興業務に参画しております。
 公共インフラの復旧復興事業では、高台移転に向けた土地区画整理事業、道路整備や橋梁の建設、そして、委員からお話があった岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアム周辺の水門工事などを担当しております。
 また、産業の復旧復興事業では、中小企業等の再生に向けたグループ補助金関連業務などを担当し、復興に必要な支援を行っております。

○中屋委員 職員が、インフラの設備や産業の復旧復興事業など東北振興の基盤事業を支えていることがよくわかりました。
 それでは、現在の東北被災三県の復興状況と課題を教えてください。

○伊東復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務 東北被災三県の復興状況についてでございますが、地震、津波による被災地域では、復興に向けた取り組みは着実に進展しており、例えば災害公営住宅の整備については、平成三十一年度末までにおおむね完了する予定となっております。
 また、福島の復興、再生では、帰還困難区域を除く地域で避難指示の解除が進んでおり、本格的な復興のステージに移行し、復興事業は進展しております。
 国が定めた復興期間は平成三十二年度末まででございまして、残り二年余りとなっております。東北被災三県では、復興の総仕上げに向け、総力を挙げて取り組んでおりますが、被害の甚大な一部地域や、福島県の帰還困難区域における特定復興再生拠点区域の整備を初め、平成三十二年度末を超えても整備事業が残る見込みとなっていることなどが今後の課題と認識しております。

○中屋委員 この被災三県の復興事業が進展しているということはわかりました。一方で、まだまだ取り組むべき課題があるということも確認をしました。
 復興期間も、残りあと二年となりました。被災地の復興に向けて、都は、復興期間の最後までしっかりと私は支援を継続していくべきだと考えています。
 その辺をしっかりと捉えていただいた上で、私は遠藤局長に答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○遠藤総務局長 都はこれまで、被災地のニーズに応じまして必要な支援を行い、被災地とともに復興の歩みを進めてまいりました。現在も必要な職員を派遣し、さまざまな分野で復興事業を担っているところでございます。
 私自身、本年、前職の政策企画局長の時代ではございましたけれども、東北被災三県を訪ねまして、各県庁の幹部と意見交換をさせていただく機会がございました。三県とも判で押したように、名刺交換が終わりますと、まず最初に、都の職員派遣に関するお礼と、それから、私どもが派遣している職員の仕事ぶりに対する感謝のお言葉をいただいたというところでございます。私自身、都の職員の一人として、とても誇らしい感情を抱いたところでございます。
 被災自治体では、今なお復興を担う職員の確保が重要な課題となっております。都としては、復興期間終了に向けた国の復興支援の動向を注視しつつ、今後も、復興の総仕上げに取り組む被災地のニーズに応じまして、職員派遣を適切に行ってまいります。

○中屋委員 ただいま、復興支援のため、被災地への都職員の派遣を引き続き適切に行っていくという内容の答弁をいただきました。
 今回、私は、職員が、被災地復興のため、今なお懸命に働いている状況を質問したわけでありますが、このことをより多くの都民の皆様に知ってもらうことで、震災の記憶や被災地支援の気持ちを風化させないことにつながると私は思っています。
 これは私からの要望でありますけれども、被災地の復興のため尽力した都職員に対して、復興期間が終わる平成三十二年度末にでも、何らかの形で感謝の意を表するべきだと私は申し上げたいというふうに思います。
 以上で私の質問を終わります。

○とくとめ委員 それでは、防災対策の中で重要な取り組みになってきているマイタイムラインの作成具体化の問題と、もう一つ、総合防災対策のあり方について質問いたします。
 私は、西日本豪雨で深刻な被害を受けた岡山県の真備町を、調査とボランティア活動で訪問してまいりました。真備町を流れる、小田川という東西を大きく流れる川が、四十年来、長年放置された河原の樹林帯で流れが遮られて、豪雨で一気に氾濫して、まち全体が、四千六百世帯ですか、浸水した状況でした。
 正確なハザードマップがあったのに、避難の声が届かずに、高齢者が逃げおくれて、五十一人が亡くなりました。多数の住民が被害者になりました。
 現地の被災者からは、助かったはずの命があったのではないかとか、長期にわたって河原に樹林帯を放置したのは人災と同じだと、こういう怒りの声が寄せられました。
 私はこの実態を見て、東京で同じような豪雨があったらどうなるのか、自然災害を絶対に人災にしてはならないという思いで帰ってまいりました。特に岡山県の真備町で見た現実は、プラスの面もマイナス面も、重大な教訓を我々に教えていると実感しました。
 特に、マイタイムラインが具体化されて、それがみんなのものになっていたら、五十一人の犠牲者は生まれなかったんじゃないか、そういう思いをしております。
 それは、一方で、プラスの教訓もあるんですね。あそこにあった特養ホーム、三十六人の特養ホームの入所者を、三十人の職員が夜の十時に、施設長が、このままいったら五メーターの浸水になるというので全部呼び寄せて、近くにピストン輸送して、三十六人全員助かっているんですよね。
 だから、同じような条件のもとで、命を失った人と助かった人がいると。これはやっぱり大事な教訓を教えていると思います。
 それから、もう一つの、小田川の河原に四十年来放置されてきた樹林帯、私は土手から見ましたけど、流れている水が見えないんですよね。土手にはいっぱいごみが流れ落ちている実態があり、土手から目線より上にある樹林帯の上に、いっぱいごみがかかっている。ああ、これが流れ落ちたんだなということを大変実感いたしました。
 実は岡山県の真備町というのは、明治以来、二十回ぐらい氾濫や洪水が起きているんですよね。最高なのは明治の、今から百二十五年前ですかね、何と犠牲者が百八十二人、三百世帯の家が倒れたという、そういう災害をいっぱい経験しているにもかかわらず、それに対応できなかったという点では、本当に返す返すも地元の人たちも残念だと思います。
 こういう全国で相次いだ自然災害というのは、今後の東京でも例外ではないと見るべきではないかと思います。地震でも豪雨でも、台風などの深刻な体験を通じて、東京でいつ発生してもおかしくない、東京の防災に万全を期したいと、小池知事が七月十三日の記者会見で語っておりますけども、本当にそういう思いで首都東京の防災対策に当たるべきだというふうに思っております。
 改めて、こうした一連の、ことし何回もあった異常な自然災害の経験、教訓を生かして、予防対策を最優先にして体制構築を図って、従来の延長線上ではない災害対策の抜本的強化を求めながら、防災対策について質問します。
 まず最初に、マイタイムラインの作成具体化についてであります。
 その大もとにあるタイムラインについては、改正水防法で提起があって、ハードだけでは逃げ切れない事態になるというので、ソフト対策として逃げおくれゼロと。これは、岡山の真備町だったら、まさに逃げおくれゼロになったかもしれない、そういう対策の打ち出し、もう一つは社会経済被害の最小化に向けて具体策を提起したのが、今度の減災協議会の中身だったというふうに思います。
 私も、実はこの数年間、ずっと代表質問でも総務委員会でも、このタイムラインの問題を繰り返し質問してまいりました。担当者にもいろいろ聞きました。でも、多くの人は、今は注視しているところだ、やっていることはわかっていると。もっと具体的な話になると、荒川はそれでいいけれども、中小河川は対応が間に合わない、緊急事態になれば、タイムラインでは対応しにくいというような話で、結局、実らずに来たのが、全国的な豪雨災害の経験を通じて、都の職員の皆さんも私たちも含めて認識が変わって、タイムラインはどうしても必要だというふうになったのが今の現状だと私は思っています。
 そこで、お手元にも、出していただいた要求した資料、たくさんの資料をいただいてありがとうございました。それを見ますと、都内の全自治体ごとのタイムラインの具体化は、作成が都内六十二自治体の半数にとどまっています。
 残りの半数の自治体についても、最近の頻発する豪雨などの自然災害の態様から見ても、都民、住民の命、安全が問われる重要な問題であり、急いで作成具体化すべきだと考えていますけれども、都は、この現状をどのように打開して全都の自治体が全部タイムラインの作成具体化に行くように対策を打たれるのか、ぜひお聞きしたいと思います。

○西川防災計画担当部長 自治体のタイムラインですけれども、これまで国が主体となって運用を開始した荒川下流タイムラインを初めといたしまして、国直轄管理河川の沿川の自治体の策定が進んでいるところでございます。
 今後、都は、広域自治体の立場から、都内の区市町村において、地域や自治体の特性に応じたタイムラインの作成が可能となるよう、支援をしてまいります。

○とくとめ委員 私の実感でいきますと、去年の六月十九日に改正水防法の施行があって、去年の暮れに減災協議会が立ち上げられて、ことしの六月二十八日に減災協議会で方針が提案されて、全国的な大災害を受けて、八月にも臨時の会議があったと。今ちょうど一年半たつんですよね。だけども、半分というのは、ちょっと遅過ぎるのではないかなと。
 というのは、六十二のうちの三十一は、半分は荒川タイムラインなんですね。東部低地帯の十三区が入っています。私は何でそういうふうに--お金が要るわけじゃないんですね。知恵と情報があればできるはずの具体化が進んでいないのかというところが非常に気になるんですね。
 私は改めて、今の異常気象のもとでの豪雨災害などの事態を、本当に住民の立場から災害を最小限にしていく、逃げおくれゼロにしようと思ったら、今いろんなことをやっているけど、それがだめというんじゃなくて、レベルアップするには、こういう手だてが必要なんだということを受けとめてもらって、前に進んでいただきたいと。
 改正水防法の三十二項目の緊急行動の中の二番目がタイムラインです。それから、減災協議会の提起した方針の二番目もタイムラインになっているんですよね。だから、それだけの位置づけがあるわけですから、もうちょっと踏み込んで、なぜ三十一の自治体がまだ具体化に及んでいないのか、丁寧な援助をしていただきたいというふうに思います。
 二つ目に、これは小池知事が独自に提案されたものだと思うんですが、家庭などで都民が作成具体化するマイタイムラインが本格的に役割を発揮していくためには、マイタイムラインという言葉だけではなくて、マイタイムラインの持っている内容を多くの都民に、コンパクトに、見た目でも、実感的にでもわかりやすいものにしていく、知らせていくことが不可欠じゃないかというふうに思っています。
 そこで、来年度の予算概要の説明のときに、マイタイムラインの中身を小学校の子供たちを通じて親や家庭に伝えるために、宣伝物というんですかね、普及啓発用の宣伝物をつくるという話を聞きました。百五十万ぐらいとかいう話でした。まだこれからの話ですけども、非常に大事だと思うんです。
 大事だと思うんだけれども、どういう中身にするのかというのは鍵だと思うんですよね。子供たちから大人に普及するんだから、子供たちが納得して、これは大事だと思わないと、そこで全部とまっちゃう。
 だから、私は担当者にも示しましたけど、幾つかの新聞に、災害対策をめぐって、イラストを使ってわかりやすくA2でつくった、そういう記事などがありました。専門家にも声をしっかり聞いて正確に、しかし、わかりやすく、これだったらやれると。命がかかった話ですから、わかれば本気になって受けとめると思うんです。
 ぜひそういうふうにつくってほしいんですけれども、どのように検討されているでしょうか。

○西川防災計画担当部長 住民が適切に避難行動をとることができるようにするためには、都民一人一人が、時間軸に沿って、みずからの行動をあらかじめ整理したタイムラインを作成しておくことが重要でございます。
 このため、大人から子供まで幅広い世代が簡単にマイタイムラインを作成できるような工夫を重ねるとともに、広く都民に提供してまいります。

○とくとめ委員 都民の中でマイタイムラインの実効性を発揮していくためには、都民に、住民の皆さんに気象情報や避難情報を機敏に正確に知らせて、避難誘導して、行動してもらう。そのためにも、都内の全自治体でのタイムラインの作成具体化は不可欠だと。
 私は、表裏一体といったらおかしいけど、これが一体に進まなかったら、誰がマイタイムラインで計画を持っている人に情報を伝えて避難勧告や避難指示をするのかという、その一番のもとの主体の自治体でタイムラインが具体化されなかったら、これは計画倒れになってしまうんじゃないかと思うんですけども、都は、どのようにこの具体化を促進するつもりなんですか。

○西川防災計画担当部長 個人で作成いたしますマイタイムラインは、個々の置かれている環境などを踏まえまして都民一人一人が避難の判断に資する気象や避難に関する情報を入手し、適切なタイミングで行動に移すことを目的としたものでございます。
 これに対しまして、区市町村のタイムラインは、発災のおそれがある際に区市町村自身があらかじめとるべき行動を整理しておくものでございまして、マイタイムラインとはその性格が異なるものでございます。
 その一方で、区市町村がタイムラインを運用することにより、避難準備情報や避難所の開設など、都民がマイタイムラインを活用するに当たって必要な情報発信を確実に実施することが可能になるものと考えております。

○とくとめ委員 確かにマイタイムラインとタイムラインは、主体がちょっと違うとは思うんです。ただ、ことしの九月十四日の防災事業の緊急総点検を踏まえた今後の取組についてという十二項目のこの中身を見ますと、性格が違うといっちゃうと誤解を招くんじゃないかなという文章があるんですね。
 例えば今後の取組の中に、タイムラインの普及拡大、調節池の加速的な整備などの十二分野について、年度内に実施--つまり、今、半分しかいっていない--または来年度予算編成に向けて事業化を図る、こう書かれてあって、このタイムラインの中には、ちゃんと矢印をして、タイムラインからマイタイムラインに向かっての位置づけというんですか、役割がそう書かれているんですよね。
 私はやっぱり、自治体がそういう立場で具体化をしてどんどん、家庭や子供たちを含めて都民一人一人にそういうマイタイムラインの意味、役割を伝えていくというのがないと、末端、子供たちからというのでは、なかなかそれは難しいのではないかなという感じがするんですよね。
 それは私の感じなんですけども、そこはぜひ、こういう文章にもなっている話ですから、マイタイムラインの大事さと、それをリードするタイムラインの重要性が一体になって進まないといけないんじゃないかなと意見を述べておきます。
 次に、タイムラインが本格的に役割、機能を発揮していくためには、タイムラインの言葉がひとり歩きするというだけじゃなくて、タイムラインの内容に基づく、各地域で実際の避難訓練を通じて体験をしてもらう、そして防災と避難についての意識改革、そういうことが進むことが非常に大事だと思います。
 真備町は、どんどんどんどん浸水していることはわかっていながら、大丈夫だろうと思ったり、ひとり世帯の場合は、どうやって逃げていいかわからないということで、ちゅうちょしているうちに逃げられなくなったとか、いろんな状況が生まれています。
 だから、そういう中身で訓練もして、実感して、体験して、いざというときには逃げるぞというところまで持っていかないと、これは絵に描いた餅というか、机上の計画になっちゃうんじゃないかなというふうに思います。
 そういう点を都としてはどのように具体化しようと考えているのか、お聞きしたいと思います。

○有金総合防災部長 都では、平成二十六年度から区市町村と合同による風水害対策訓練を実施しており、本年度はあきる野市と合同で訓練を実施いたしました。
 本訓練では、あきる野市の災害対策本部設置から、避難準備情報や避難勧告等の情報伝達、避難所開設など、行政が実施する行動を一般的な手順に沿って訓練するとともに、地域住民の皆様による避難所までの避難訓練も実施をいたしました。
 都といたしましては、これまでの総合防災訓練の実施状況を各区市町村との間で共有し、区市町村が実施する訓練を通じまして、区市町村のタイムラインの実効性を高めてまいります。

○とくとめ委員 大事な答弁だと思うんですが、私も地域で防災行動に参加すると、主には地震なんですよね。もちろん、荒川の河川敷で地域の町会の代表だけの水防訓練というのはありますけども、一般的には、マイタイムラインで求められているような認識と行動をするような訓練になっていないと思うんですね。
 だから、やっぱりそういうところまで意識して旗を振っていかないと、マイタイムライン、タイムラインは大事だといわれても、いざというときに行動につながるかどうかというのは、真剣に具体化というか、対応を考えていく必要があるんじゃないかと思います。
 そこで、タイムラインが本格的に実効性を発揮するためには、気象などの災害情報、避難情報などを機敏に、正確に住民に周知することが不可欠だと思います。
 ご存じの方もいらっしゃると思いますけど、最近、気象庁が二台のスーパーコンピューターを導入しました。こういうスーパーコンピューターやICT等の活用を含めて、連携した最新情報の活用、提供には、どのようにこういうスーパーコンピューターを含めてICTが生かされていくのか。
 地震情報のように、携帯電話で気象情報あるいは短時間集中豪雨みたいなものが都民に伝わるような、そういう方法はないのかどうか。何か考えていることがあるでしょうか。

○有金総合防災部長 都では、災害情報システムを活用し、気象庁からの最新の気象情報を区市町村にも即座に伝達する仕組みを構築しており、情報の共有を図り、区市町村から住民への避難勧告等につなげております。
 また、総務省の所管する地方公共団体が発する災害情報を集約するLアラートを活用することで、区市町村が発する避難勧告等の情報を即時にマスコミ各社へ直接提供し、テレビ、ラジオ等を通じて住民への周知につなげております。
 さらに、東京都防災アプリでは、最新の気象情報を初めとする災害情報や避難情報をプッシュ配信で周知する機能があり、災害時に活用できるようになっております。

○とくとめ委員 ありがとうございました。多くの都民に災害情報、気象情報が周知できるような多様なツールが存在している、それがまた都民的にも知らされているということは、まさにマイタイムラインに基づいて行動する大前提ではないかというふうに思います。
 いろいろ担当者に聞く中で、いろんなことをやっているということはわかりましたけど、都民的にはどこまでそういうことが認識されているか。私のスマホにはNHKの災害情報が入っていて、アプリを使えば、自分が今いる場所の気象情報が知らされるようになっていますけど、そういうことも、これから本当に大事になっていくんじゃないかなと思います。
 次に、ことしの六月の東京全体の減災協議会で提起された取組方針では、都内全自治体でのタイムラインの具体化について、何と大きな見出しで、おおむね五年で実施という提起がされています。
 最近の頻発する豪雨などの災害状況から見ると、毎年これからそういうことが起こり得る。岡山県の真備町のようなこと、あるいは短時間集中豪雨、それから、局地的な集中豪雨、線状降雨帯、そういうのが起こるかもしれないということを考えたら、半分だけしかまだ具体化できていないというのは、私は遅過ぎるんじゃないかなと。少なくとも、本格的な出水時期になる来年の春ぐらいから機能するようなところに持っていくべきではないかなと思います。
 これは、それはやり過ぎだというのじゃなくて、実は、改正水防法の中にも平成三十三年度までに具体化しなさいと書かれています。
 それから、この前、六月二十八日にやった東京都の減災協議会の一番最初の文章、減災のための目標の文章の中に、各構成員が連携して、平成三十三年度を目途に達成すべき減災目標と書かれているんですね。
 ところが、タイムラインのところだけに、上の方に大きな、五年をめどにと。これはちょっと、緊急事態との関係ではミスリードになるのではないかと。
 何かお金がないとかいう話じゃないんですよ。そういう事態を受けとめて、緊急性を受けとめたら、人はいるわけです、知恵もあるわけだし、情報もあるわけだから、できると思うんです。きれいにはいかなくても、まずは足を踏み出すと。強弱はあっても、まず、そういう方向に足を踏み出すということが私は非常に大事じゃないかと思います。
 東京都はどのように見ていらっしゃいますか。

○西川防災計画担当部長 今後進める区市町村タイムラインの作成支援につきましては、都内全域を対象としてございます。
 しかしながら、近年の豪雨の激甚化などを踏まえ、現在、浸水想定区域図の改定作業が進められておりまして、区市町村におけるタイムラインはこれを踏まえて策定する必要がございます。
 今後、東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会とも連携しながら、全区市町村が速やかにタイムラインを作成できるよう支援を進めてまいります。

○とくとめ委員 今、答弁された内容には、ちょっと納得いきがたいんですよね。
 つまり、タイムラインを具体化するのに、浸水想定区域図の改定作業がされないとできないという位置づけなんですか。私は、それは同時並行であっても具体化できるんじゃないかと。ぜひそう検討してほしいなと。
 それともう一つ、やっぱりタイムラインというのは、考え方の変革だし、もちろん体制の具体化もあるんですけども、例えばタイムラインで先頭に立ってリードしている学者が調査したものによりますと、二〇一五年九月の関東・東北豪雨災害時にもタイムラインの効果が確認をされているんですけども、例えばこの関東・東北豪雨災害で氾濫危険情報が発表された市町村のうち、タイムラインを具体化していた市町村は、七二%がちゃんと発令しているんですね。ところが、そういうタイムラインをまだ具体化していない市町村は、三三%しか発令ができなかった。
 これは手の問題、技術的な問題ではなくて、そういうふうに受けとめて、構えて具体化をしていれば、いざというときに行動を起こせるということにもつながっていく。行動の中身は、今までの延長線上とまだ変わらないところもあるかもしれないけど、そういう発想で、今までの災害対象、防災活動のレベルを上げるという意味で、これが提起されているのではないかと私は受けとめているつもりなんですね。
 ですから、あと三十一区市町村の具体化は先延ばしにしないで、できるだけ早く具体化して、そういう浸水想定区域図の改定作業があるんだったら、別にそれがあったからこれをやっちゃいけないということではないわけですから、そこはぜひリードをしていただきたいなというふうに思います。
 次に、ことしの六月に開催された全都的な減災協議会は、ことし頻発した甚大な自然災害の直前でした。それをカバーするために、普及するために、八月にも臨時の会議をやられたということをお聞きしました。
 それだけに、最新の災害情報の周知徹底、タイムラインなどの新しい防災対策の徹底と、取り組み状況の教訓や経験の普及のためには、減災協議会を臨時で開催して、もう一度受けとめてもらって、一気に全自治体で具体化を進めるような意思統一が必要じゃないかなというふうに私は思います。
 ことしの全国で頻発した甚大な災害が首都圏でも発生しかねない、そういう情勢に対する行政の対応が問われている問題だと思います。都の見解を伺います。

○西川防災計画担当部長 平成三十年七月豪雨等を踏まえまして、本年八月三日、区市町村等関係機関と、防災に対する共通認識を新たにし、避難対策を初めとした減災への取り組みを連携を図りながら進めるため、臨時の減災協議会を開催いたしました。
 既に協議会におきましては、課題に対する認識は共有されており、現在、実務的な検討を進める段階に来ているところであるため、現時点では減災協議会を緊急に開催する予定はないというふうに所管局からは聞いております。

○とくとめ委員 所管は建設局と聞いておりますけども、後でも触れますけども、まさに横串で局横断的に対応するべきときだと思いますので、これは要望として、いかにして早く六十二の区市町村自治体でタイムラインを具体化するか、来年度予算で認められれば百数十万枚の宣伝の普及、宣伝リーフ、宣伝物ができていけば、かみ合っていく、そういうことも念頭に置いて、このおくれをぜひ打開してほしいなというふうに思います。
 そこで、次に、地球温暖化などの異常気象から頻発する風水害、いつ発生してもおかしくない首都直下型の地震に対して、もっと専門家の英知を結集して本格的な災害対策を検討していくことが必要ではないかと。
 事が起きてから、臨時的に、一時的に体制をとっていろいろ検討するのではなくて、やっぱりこれから起こり得るんだから、その事後の対策ではなくて、予防対策として、知見を持っている学者、専門家を集めて、あるいは研究所などをつくって本格的な検討をやっていくことが、行政の皆さん方の行動や対策を打つ際の実効性といいますか、有効性を大きく発揮する上で大事じゃないかと思いますけど、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

○西川防災計画担当部長 防災対策の実効性を高めるためには、専門家の知見の活用が不可欠でございます。
 これまで、地域防災計画や被害想定など、防災対策の前提となる方針の修正や見直しに当たりましては、地震や火山などの災害対策の専門家の知見を反映させつつ実施をしてまいりました。
 また、非常勤の専門家として防災専門員などを配置いたしまして、最新の科学的知見に基づく助言を得ております。
 引き続き、効果的に専門家を活用して、的確な防災対策を推進してまいります。

○とくとめ委員 臨時的に、一時的に必要な専門家を集めて対応していただいているというのは、当然といえば当然だと思うんですけど、もう一歩前に進めて、恒常的な、日常的な総合防災研究所みたいな、そういう体制をとって具体化すべきではないかという意見と要望を述べておきます。
 最後に、地震、豪雨などの最近の災害情勢や重大災害に機敏に対応するためにも、都の総合的な災害対策のあり方の改善、防災対策のさらなる強化が求められているのではないかというのを痛感します。
 それは、私がそういっているんじゃなくて、知事がことしは何回もそういう発言をされています。例えば七月十三日の記者会見では、一連の災害に対して、東京でこのようなことが起こったならばどうなるのか、どうするのかということで、このたび、東京の防災に万全を期すために、都の防災対策について総点検を改めて実施することにしたと。庁内では副知事をトップにして、横串を刺して横断的に都の災害対策事業を、それもハードからもソフトからも今回対策を打つように総点検する、こういう趣旨のことを発言されています。
 そういう段階に来ているのではないかと。これも事後的な対策じゃなくて、日常的な東京都の行政としての仕事の大事なあり方として、予防的な立場でこの仕事をやるためには、やっぱり総合防災局みたいな、仮称ですけど、そういう体制をとることが求められている時期じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○有金総合防災部長 首都直下地震等の大規模な災害が発生し、または発生するおそれがある場合におきましては、直ちに知事を本部長とする災害対策本部を設置し、全庁を挙げて災害対策を行う体制を整備しております。
 また、台風接近などの被害発生が予測される気象状況になった場合におきましても、危機管理監のもと、総務局が中心となり情報収集を行うとともに、災害が発生した際にも関係各局が迅速に対応できるよう、危機管理対策会議等を通じて情報共有を行える体制としております。
 さらに、総合防災訓練や図上訓練等を年間を通じて実施しており、このような取り組みを繰り返し行うことにより、危機管理体制の実効力を維持してまいります。

○とくとめ委員 先ほどもいいましたけども、災害発生後の対応、事後の対応というところから、これだけ地球温暖化を理由にした異常気象が広がって、豪雨災害も頻発するということが予想されているときです。
 そういうもとにあって、首都東京の災害に強いまちづくり、防災都市東京、都民にとって安心・安全の東京ということになると、災害が起きてから対応するだけでは間に合わなくなっているのではないかと。だから、局横断的な英知を結集して、災害に強いまちづくり、予防的な災害対策に向かって仕事を発展させるべき、そういう局面ではないかというふうに思います。
 したがって、先ほどいいましたように、ぜひ縦割りじゃなくて、横串で局横断的な総合防災局みたいな、総合的な体制をつくっていただきたいということを要望として述べて、質問を終わります。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後七時五十七分休憩

   午後八時十分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○増田委員 それでは、私の方からは、防災対策に関連しまして、立川広域防災基地に絞って幾つか質問させていただきます。
 私の地元でもございます立川市の中心に位置する立川広域防災基地には、都の施設に加えまして、自衛隊立川駐屯地、災害医療センター、日本赤十字社の関連施設等、国を初めとした防災関係施設が集積しているところとなっております。
 また、その南側には、避難地としての機能も備えた国営昭和記念公園が隣接し、さらには、直線距離にして三、四キロのところに横田基地もあるわけであります。
 そのように災害時の重要施設が集中している、そういった拠点となっております。
 このため、国では、首都直下型地震が起きた際には、そして都心が壊滅的な状態になったときには、立川防災基地が国の災害対策本部の代替施設としての機能も担うこととしております。
 そこでまず、首都直下型地震のような大規模な災害が発生したとき、国と都の連携についてはどのようになっているか、その点について伺います。

○有金総合防災部長 都では、首都直下地震等が発生した場合、国などの関係機関との効果的、効率的な連携のもと、発災後七十二時間に取り組む基本的な活動内容や連携手順を首都直下地震等対処要領として取りまとめております。
 本要領におきましては、首都直下地震等の大規模な災害が発生した場合には、政府が緊急災害対策本部を開設した上で、被災地の対応を行う政府現地災害対策本部を被災自治体の庁舎に設置することとしております。
 このため、都では、政府現地対策本部の活動に必要なスペースを都庁内に確保し、国に対する物資や人員等の支援要請について適切に連携することとしております。

○増田委員 ただいまのご説明で、災害発生時は、主に都庁を中心として国との連携を図っていくということかと理解いたしました。
 一方、立川広域防災基地には、国の施設だけではなく、都の立川地域防災センター、多摩広域防災倉庫、そして消防庁及び警視庁の第八方面本部など、同じ敷地の中に都の重要施設も集中しております。
 そこで、改めてお伺いいたしますけれども、立川広域防災基地が担う役割を都としてはどのように認識しているか、伺います。

○有金総合防災部長 首都直下地震が発生した場合、多数の被災者や首都機能の混乱、麻痺など、甚大な被害が予想されます。このような事態に対応しまして、迅速に救援、復旧の措置を講ずるため、国は、関係地方公共団体と協力の上、災害応急対策の拠点を整備し、実働部隊を中心とした支援体制を確立しておくことが必要であるとの認識を示しております。
 この認識のもと、震災発生時に即応できる人員、物資等の確保及び航空機、ヘリコプター活動の拠点としての飛行場を備えた総合的な防災基地として、国が旧米軍基地跡地を活用し、立川広域防災基地を整備しております。
 都といたしましても、基地内の国の関係機関が担う役割を認識の上、都における多摩地域の防災活動の中心拠点として、また都心部の防災機能を補う施設として、立川地域防災センター等を整備しております。
 また、平成二十八年七月には旧立川政府倉庫を買い取り、多摩広域防災倉庫として、昨年六月から一部の供用を開始しております。

○増田委員 ただいまのご説明で、立川広域防災基地が、まず多摩地域の防災活動の中心であること、そして都心の防災機能を補う施設であること、その両面として、非常に重要な役割を果たすというご説明だったと思います。
 そして、今お話の中にもありました、その中の中核の施設の一つであります多摩広域防災倉庫、これについて伺います。
 これは、昨年六月から運用を開始された比較的新しい施設であるわけなんですけれども、具体的に何を平時から備蓄しているのか、あるいは、災害発生時に支援物資を受け入れるそういった中継基地であるのか、平時、災害時それぞれにおいて果たす役割について具体的に伺いたいと思います。

○西川防災計画担当部長 多摩広域防災倉庫につきましては、現在、倉庫棟の二階部分は、都を初めといたしまして、多摩地域の自治体や日本赤十字社が、食料、生活必需品などを保管する備蓄倉庫として使用しております。また、敷地内のオープンスペースにおいては、多摩地域の消防団が放水訓練などに活用しております。
 災害時には、災害発生直後からおおむね三日間につきましては、保管している備蓄物資を区市町村の地域内輸送拠点に向けて搬出し、また、おおむね四日目から七日目につきましては、国が調達する物資の受け入れを行い、同様に区市町村の地域内輸送拠点に搬出することとしております。これらの物資は、最終的には、区市町村によりまして地域内輸送拠点から避難所に搬送されることとなります。

○増田委員 ただいまのご説明で、一つは備蓄倉庫として、そしてまた有事の物資の搬送拠点として、その両面で重要な役割を果たす、そういうことかと思います。
 そうしますと、これはかなり大きな倉庫でございまして、これを活用するためには、どのような手段で物資が搬送されるのか、この点についても重要な点であると考えます。
 そこで、災害時の多摩広域防災倉庫における物資の搬入、搬出それぞれについて想定されている輸送手段、陸路のトラックなのか、鉄道なのか、ヘリなのかということについて伺います。

○西川防災計画担当部長 本倉庫は、都が取得する以前は、政府米を保管し、災害時に放出するための備蓄倉庫として運用されていたことから、物資の荷さばきに適した機能を有しております。
 具体的には、倉庫棟一階部分においては、敷地内の二カ所に、おのおの約二千平方メートルのオープンスペースを有しておりまして、大型車両の運用や荷さばきのためのスペースの確保が可能でございます。
 また、倉庫棟二階部分におきましては、敷地内に二カ所設けられたスロープによりまして、中型車両が直接二階へアクセスすることが可能となっております。
 これらの本倉庫の特性を踏まえ、災害時における物資の搬入、搬出につきましては、トラックによる輸送を想定しており、本年の総合防災訓練では、協定事業者と連携し、都の備蓄物資などについてトラックによる輸送訓練を実施しております。

○増田委員 ただいまのご説明で、基本的には陸路、トラックによる搬入、搬出がメーンの手段であるということと理解いたしました。
 幾つかの質問の中で、立川防災基地が果たすその役割につきまして、いかに重要なものか、そして、特に中核施設である防災倉庫の役割、そして、国との連携について確認させていただきました。また、防災倉庫におきましては、その搬送手段が主に陸路であるという点も確認させていただきました。
 立川は、よく多摩地域の交通の要衝であるといわれるわけであります。確かに、中央線、青梅線、南武線、そして多摩モノレールが南北に走っておりまして、多摩地域での最大のターミナル駅、こう申せると思うんですけれども、あくまでもこれは鉄道網という視点からでありまして、例えば、あえて地図から鉄道の線を消してしまいまして、道路だけに着目したときに、立川というのは、非常にまだ道路網は脆弱でございます。
 そして、そのために、災害発生時に最も重要であるはずの陸路につきましては、せっかくこれだけ立派な倉庫があるのに、そこに至るまでのアクセスの道路が非常に弱いということを指摘せざるを得ないわけであります。
 私も、ことしの第二定例会の一般質問でも指摘をさせていただきましたけれども、立川市の東西を走る中央道、そして国道二〇号線、甲州街道、そこから立川の中心に至る縦の道路というのが災害時に非常に大事になるはずなんですけれども、今現在は、あそこは片側一車線の道路に、かつ青梅線の踏切が二カ所かかっております。実際に東日本大震災のときには、青梅線が踏切近くでとまってしまったために、踏切が何時間もおりたままになってしまったという事態が発生しております。
 そういった道路が、今、この防災基地、防災倉庫へのアクセスのメーンの道路になっているという、この現状をまずご理解いただきたいと思います。
 北側には五日市街道が走っておりますけども、これもやはり片側一車線の道路でございます。これはすぐに渋滞をしてしまう、そのような道路でございます。
 したがいまして、防災基地、防災倉庫の機能を有事に一〇〇%発揮させるためには、早期に縦の道路の整備を図って十分なアクセス道路を確保すること、これは非常に大事だと思います。
 この道路は、都道の計画線、立三・一・三四号線ということで、既に第四次事業化計画にも入っておりますけれども、具体的な時間軸というのは、まだ見えてきていないわけであります。
 直接の担当は建設局ということになろうかと思いますけれども、防災上、これがいかに重要な道路かということを、ぜひ建設局とも連携、協力いただいて、これを一日も早く整備していただくよう強く強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○木村委員 都民ファーストの会には島しょ振興政策研究会というのがあり、これまでに八丈、小笠原、神津の三カ所を訪問し、政策研究や提言を行ってまいりました。また、私自身は、参議院議員の秘書時代、伊豆諸島、小笠原諸島も担当していたので、島しょ地域とは約十五年のおつき合いということになります。
 各島の友人や知人とは、今も島固有の課題について話し合うことが多く、その都度、島民の皆さんが自分の島に対する熱い思いを抱いているということをとても感じるわけであります。
 そこで、本日は、島しょ地域に関する質問をさせていただきたいと思います。
 本年三月の予算特別委員会で私が行った締めくくり総括質疑におきまして、宝島推進委員会について質問させていただきました。民間の専門家で構成された東京宝島推進委員会では、現地視察や島民の方々との意見交換などを行いながら、熱心な議論が行われたということでした。
 初めに、東京宝島推進委員会、東京宝島事業、東京宝島会議、島会議と、島がつくものが複数ありますが、それぞれの内容や役割、関係性について伺います。

○野間行政部長 東京の島しょ地域の隠れた魅力を再発見するとともに、付加価値を付し、活性化を図ることを目的に、平成二十九年三月、ブランディングやマーケティングの専門家から成ります東京宝島推進委員会を設置いたしました。
 この東京宝島推進委員会から受けた島しょ地域のブランド化に向けた提言を踏まえて、都が実施いたします取り組みの総称が東京宝島事業でございます。
 東京宝島会議及び島会議は、東京宝島事業の一環として行う取り組みでございまして、東京宝島会議は、各島の関係者が一堂に会し、各島での取り組みの共有や切磋琢磨、連携する機運の醸成などを目的として開催いたしまして、島会議は、各島において、現地の事業者が各島のブランドコンセプトの構築、磨き上げや新たなアイデア、取り組みを創出していくことを目指して実施するものでございます。

○木村委員 ありがとうございます。各島が一堂に会して会議をするなど、情報共有の場を設けることはすばらしいと思います。各島がばらばらに活動するよりも、同じ目的を持って活動することで効果が増す、そのように感じております。
 次に、東京宝島推進委員会について伺います。
 同委員会では、島しょ地域のブランド化に向けた検討が行われていましたが、その中で、島しょ地域には共通する良質な地域資源とブランド化の障壁があると報告されていますが、それぞれについて伺います。

○野間行政部長 東京宝島推進委員会からの提言におきましては、東京の島しょ地域が持つ魅力あふれる宝物といたしまして、気候風土に由来する個性的な特産品群と雄大で魅力的な自然資源、歴史文化や自然、ライフスタイルが育んだ独自の風土の二点を挙げてございます。
 一方、東京の島しょ地域に共通する課題といたしまして、産品の生産性及び供給の不安定性、交通アクセスの制限、ユーザーへの訴求体制、多様なニーズへの受け皿不足の四点を挙げてございます。

○木村委員 各島に共通する魅力を十分に生かすには、今、挙げられた障壁の克服が重要になると思います。
 そこで伺います。東京宝島推進委員会の提言では、東京宝島ブランドを確立するためには、これまでの手法から脱却した、新たな発想の選択と集中による取り組みが必要であるとされています。
 東京宝島事業では、具体的にどのような形でこの提言が反映されたのか、あわせて、今年度の東京宝島事業の取り組み状況について伺います。

○野間行政部長 東京宝島事業は、東京宝島推進委員会からいただいた提言に基づきまして、今年度から各島での事業を開始してございます。
 まず、島の個性を掘り起こし、切磋琢磨する仕組みづくりといたしまして、現地の意欲ある事業者で構成する島会議を、今年度は大島、神津島、三宅島、八丈島の四島で立ち上げ、専門家の支援も得ながら活発な議論が開始されております。
 さらに、全十一島の関係者が一堂に会し、各島での取り組みを共有するとともに、地域のブランディングの先行事例の紹介やビジネスマッチングの場ともなる東京宝島会議を設置し、先月、第一回の会合を開催いたしました。
 また、東京宝島のブランド価値を高める事業への集中支援といたしまして、二つの産品をモデル事業として選定し、産業労働局と連携しながら、マーケティングや販路拡大などの支援も開始いたしたところでございます。
 これらの取り組みに加えまして、各島の取り組みや魅力を広く周知していくためのイベントやフェアなどを開催していく予定でございます。

○木村委員 東京宝島事業では、現地の主体性を重視していますが、その狙いについて伺います。

○野間行政部長 東京の島々には、島の規模や位置、自然環境などにより、それぞれ違うバラエティーに富んだ個性や特徴がございますが、それらをさらに磨き上げ、それぞれの島ならではの提供価値を創出していくことが、ブランド化に向けた取り組みにおいては特に重要でございます。このことにつきましては、東京宝島推進委員会からの提言においてもご指摘をいただいております。
 それぞれの島の個性を磨き上げていくのは、島のことを一番よく知る島の人々でございます。このため、東京宝島事業におきましては、現地の主体的な取り組みの支援や、その機運を醸成していくことを主眼に取り組んでいるところでございます。

○木村委員 確かに、実際に事業を行うのは島の方々だと思いますので、主体的な行動機運を醸成することは重要だと思います。とはいえ、意外と自分の強みについて気づいていない場合があると思います。自己分析は大変難しい作業ではないでしょうか。
 島会議は一年間で五回の開催と聞いております。しかし、五回の議論でブランド化に向けた取り組みが完結できるとは思いません。
 今年度、島会議を実施した島においても、マーケティング調査など、都が取り組みのサポートをしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○野間行政部長 今年度、都が四島で実施している島会議は、それぞれ五回の開催を予定してございますが、これは各島でのブランド化に向けた取り組みの始まりと認識しております。
 今年度、島会議を実施した島においても、各島の実情や要望に応じまして、引き続き、主体的な議論や取り組みの後押しをするような支援を検討してまいります。
 今後も、それぞれの島での取り組みの進捗に応じ、主体的な取り組みを支援することによりまして、島しょ地域の活性化につなげてまいります。

○木村委員 次に、島しょ振興で行った電気自動車普及モデル事業についてお伺いいたします。
 本事業は来年度から環境局に移管されるということですが、本事業の成果と課題について伺います。また、あわせて、本事業の結果を、オープンデータとして広く都民に周知すべきと考えますが、見解を伺います。

○野間行政部長 都は、自然豊かな環境を守るとともに、島しょ地域の振興を図るため、新島と八丈島で島しょ地域における電気自動車普及モデル事業を実施しております。
 新島では、昨年度から、都の庁有車として電気自動車を一台導入し、日常業務で使用するとともに、八丈島では、二カ年で二十三の事業者をモニターとし、四つの車種を使用する実証実験を行いました。
 加えまして、今年度、自動車メーカー等の協力を得て、両島で普及啓発イベントであります東京アイランドモーターショーを開催いたしまして、展示会や試乗会等を実施するなど、島しょ地域ではふだん目にすることのできない多くの電気自動車を一度に楽しめる機会をつくることができました。
 実証実験や普及啓発イベントを通じて、多くの島民の皆様に電気自動車を実際に体験していただき、ガソリン車に比べ燃料代が安いこと、坂道でも力強く走行できることなど、電気自動車のよさを実感していただけたことが本事業の成果の一つと認識してございます。
 一方で、アンケートでは、車両価格が高い、充電切れの不安があるといった意見も寄せられております。こうした声も踏まえまして、今後、二カ年にわたる実証実験の走行データ等を分析し、業種に適した車種、コストメリットを享受するまでの使用期間など、事業者に対し、導入メリットをわかりやすく提示することで普及につなげてまいります。
 また、本事業の結果につきましては、ホームページで広く都民に周知するとともに、二次利用が可能な走行データなどについては、オープンデータ化を検討してまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 都民ファーストの会では、モビリティー政策研究会とエネルギー環境政策研究会が、電気自動車や再生可能エネルギーの政策研究を行っております。さまざまな立場の方々とお会いするのですが、皆さん、データをとても大切にされています。
 業種に適した電気自動車の車種、コストメリットなどがわかれば、例えばタクシー事業者、介護事業者や配送事業者などが、自分の業種に当てはめて具体的な検討ができると思います。データの開示は当然でありますが、今の答弁にあったように、実験結果をわかりやすく具体的に、そして、すぐ活用できる形にして提供できれば、事業者はとても助かると思います。
 引き続き、データの有効活用や提供に努めていただくよう要望し、次の質問に移ります。
 本年は、小笠原諸島がアメリカから返還されて五十周年という節目の年に当たります。都民ファーストの会島しょ振興政策研究会では、節目の年となる本年五月に小笠原村へ視察を行いました。
 視察に先立ち、小笠原村議会の議員が、私たちの会派にわざわざ小笠原の現状を説明に来てくださいました。喫緊の課題としては、先ほども熱く詳しいお話をいただきましたが、航空路開設や港湾整備など、村の方々の生活に関する内容でありました。
 このとき、都民ファーストの会の小笠原勉強会に講師として来てくれた議員は、小笠原でお子さんを亡くされています。航空路があれば救われる命がふえる、そのように確信しているところであります。
 現地では、小笠原航空路協議会で飛行場として検討されている洲崎地区や二見湾、そうしたところにももちろん行ってまいりました。私たち都民ファーストの会は、引き続き、小笠原村の航空路早期開設に向けて努力をしたいと思います。(「偉い、頑張れ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 さて、本年は小笠原諸島返還記念五十周年ということで、さまざまな事業が展開されてきました。その一環として、五月にシンポジウムが開催されましたが、実施の趣旨や内容、参加者の数について改めて伺います。

○野間行政部長 小笠原諸島返還五十周年を契機に、都といたしましても、同諸島の歴史や国境離島としての重要性、自然のすばらしさ等の魅力を一人でも多くの方々に伝えるために記念事業を展開してございまして、そのキックオフイベントといたしまして、五月二十四日に小笠原諸島返還五十周年記念シンポジウムを開催いたしました。
 このシンポジウムでは、有識者をお迎えし、小笠原諸島の振興開発の取り組み、同諸島が歩んできた歴史、海洋資源の保全等に果たす役割について講演を行っていただきました。
 また、有識者と小笠原村長によりますパネルディスカッションを実施しました。このパネルディスカッションでは、これまで交通アクセスが改善されてきた経過を振り返りながら、世界自然遺産に登録された豊かな自然を活用し、観光産業を育ててきた状況について言及され、引き続き、自然環境を守りながら、より人々が定住するための振興策を検討していくべきという議論が行われました。
 当日は二百五十名の方にご参加いただき、アンケートでも、多くの方に大変参考になったとご回答をいただいてございます。

○木村委員 シンポジウムで二百五十人という多くの方が参加してくださって、大変よかったと思います。告知や宣伝は大変だったと思います。お疲れさまでした。
 小笠原諸島は、我が国の排他的経済水域の約三割を有する島々ですが、そのこと自体、都民には余り知られていないと思います。東京都がこの広い海域に接する小笠原諸島を守っている事実を広く知っていただければ、東京の財政需要に対する理解が増す一助になると思いますので、さまざまな場面で、そうしたことも広げていただきたいと思います。
 シンポジウムの後の六月三十日と七月一日は、小笠原村父島と母島において、小池都知事を初めとした関係者も参加して、返還五十周年記念式典とセレモニーが開催されました。こうした記念行事は、単発だと記憶に残らなかったり、十分なPR効果がなかったりすることがあります。一定期間は継続して行った方が効果があると考えます。
 そこで、シンポジウム以外にどのような記念事業を実施しているのか、また、今後はどのような事業を予定しているのか、その目的も含めて、最後に伺います。

○野間行政部長 返還五十周年を迎えた本年には、一年を通じまして、小笠原村では、父島、母島返還祭を初め、ドキュメンタリー映画の上映、竹芝地区での盆踊り大会など、多くの記念事業を実施してきております。
 都も、村の動きに積極的に協力し、五十周年と小笠原の魅力を広く発信していくため、シンポジウムのほかにも記念事業を実施してございます。
 まず、本年六月に、父島及び母島に返還五十周年記念の看板を設置するとともに、返還当時の貴重な映像のデジタル化を行いまして、公文書館等で公開いたしました。
 また、本土でのPR事業といたしまして、小笠原諸島の自然や文化、歴史など、小笠原ならではの魅力を取り入れた動画を作成し、六月下旬より、東京動画や新宿駅大型デジタルサイネージ等で公開しております。
 さらに、十二月には、約一カ月間、渋谷のスクランブル交差点における街頭ビジョンや、JR品川駅及び東京駅の構内のデジタルサイネージの活用、都内を走るJR主要路線における車体広告を実施する予定でございます。

○木村委員 ありがとうございました。

○森口委員 先ほどの木村先生のすばらしい島しょ振興の質疑に続きまして、私も、島しょ振興政策研究会の一員としまして、島しょ地域の災害対策について質問をさせていただきます。
 東京都には二十一の活火山が存在をしていますが、全てが島しょ地域にあります。特に火山が活発に活動している伊豆大島と三宅島は、過去、たびたび噴火災害に見舞われてきました。前回の大島の三原山噴火による全島避難から、今月でちょうど三十二年がたっております。三宅島におきましても十八年が経過をしており、これまでの噴火の周期から見ますと、次の噴火に備えた対策が急務といわれております。
 伊豆諸島にはほかにも、新島、神津島、八丈島、青ヶ島など、それぞれ特徴が異なる活動的な火山があり、島民や来島者を対象にした警戒避難体制の整備が急がれているところでございます。
 こうした中、都におきましては、平成二十八年四月に、伊豆諸島の火山につきまして火山防災協議会を設置し、火山避難計画の策定を進めてきました。
 そこで、それぞれの火山の特徴を踏まえた火山避難計画の策定に向けた具体的な取り組みについて伺います。

○西川防災計画担当部長 都におきましては、活動火山対策特別措置法に基づきまして、伊豆大島、新島、神津島、三宅島、八丈島及び青ヶ島の六つの火山ごとに、地元町村、気象庁、各火山に精通した専門家などで構成される火山防災協議会を平成二十八年四月に設置いたしました。
 そして、それぞれの火山の特性を踏まえた火山ハザードマップを作成し、このハザードマップに基づきまして五段階で注意喚起を行う噴火警戒レベルを導入した後、避難計画の策定を進めていくことといたしております。
 火山防災協議会におけるこれまでの検討状況につきましては、伊豆大島と三宅島については昨年五月に避難計画を策定し、八丈島と青ヶ島につきましては、本年五月、噴火の状況に応じて行政や住民などがとるべき行動を整理した噴火警戒レベルを導入いたしました。また、新島、神津島につきましては、避難計画を検討する上で必要となる火山ハザードマップを作成したところでございます。
 八丈島と青ヶ島につきましては、来年度に避難計画を策定する予定であり、新島、神津島については、来年度の噴火警戒レベルの導入、再来年度の避難計画の策定に向け協議を進めてまいります。

○森口委員 万が一、火山の噴火等が発生した場合におきましては、島民の方はもとより、観光で来島される方々が適切に避難できるよう、引き続き避難体制の整備を進めていただきたいと思います。
 次に、津波対策について伺います。
 国の地震調査によりますと、南海トラフ沿いの地域におきましては、マグニチュード八から九クラスの地震が今後三十年間に発生する確率は七〇から八〇%ほどであり、大規模な地震発生の切迫性が懸念をされております。
 都は、南海トラフ巨大地震等に伴う被害想定を公表しており、伊豆諸島におきましては、最大で三十メートルを超える巨大な津波が、十数分といった短時間のうちに到達することが想定がされております。
 このため、島しょ地域におきましては、島民が迅速に避難するための計画づくりが必要不可欠であり、都も、広域自治体として避難計画策定の後押しをすることが重要であります。
 総務省消防庁のガイドラインでは、市町村が策定すべき津波避難計画につきまして、都道府県が広域的、総合的な立場から計画にかかわる指針を策定することが求められていますが、これまでの都の取り組み状況についてお伺いいたします。

○西川防災計画担当部長 都は、平成二十五年度に、島しょ地域の町村がハザードマップを作成するために必要な基本情報を掲載いたしました津波浸水ハザードマップ基本図を作成し、各町村に提供いたしました。
 翌平成二十六年度には、島しょ町村の津波避難計画の策定を支援するための手引書といたしまして東京都津波避難計画策定指針を策定いたしました。
 さらに、平成二十七年度には、これらに基づき各町村ごとに津波避難計画を作成する際の参考となる津波避難計画モデルを作成し、島しょ地域の町村にお示しをしてきたところでございます。
 これらを受けた島しょ町村九つの自治体のうち、平成二十九年度までに、合計五つの自治体が津波避難計画の策定を完了いたしております。
 都は、残りの自治体につきましても、広域的、総合的な立場から、引き続き、避難計画策定に向け必要な助言及び支援を行ってまいります。

○森口委員 島ごとに地域事情も異なるとは思われますが、全ての島しょ町村におきまして津波避難計画が策定できるよう、今後とも都の力強い支援をお願いしたいと思います。
 さらに、避難計画を策定して終わりというわけではありません。策定した計画を踏まえて、島民がいかに迅速に避難できるようになるかが重要であります。
 そこで、避難計画の実効性を高めていくためには、訓練による検証が重要と考えるが、島しょ地域における都の防災訓練の取り組み状況についてお伺いいたします。

○有金総合防災部長 都はこれまで、島しょ地域の特性を踏まえた総合防災訓練を行ってきており、昨年度は、八丈町、青ヶ島村と共同で、島民の参加のもとに、火山噴火等を想定の上、島外避難に向けた避難訓練等を実施いたしました。
 今年度も、今月の八日から十日にかけまして、小笠原村と共同で、海上保安庁等の防災機関等の参加も得まして、津波被害を想定し、遠隔地である小笠原の地域事情を踏まえた自助、共助を中心とした避難訓練等を実施いたしました。
 今後とも、島しょ町村との合同による訓練を継続的に実施し、各島の避難計画等の実効性を高めるとともに、島しょ町村や各防災機関との連携を強め、島しょ地域の防災力を高めてまいります。

○森口委員 島しょ地域には島特有の災害リスクがあり、地域特性に応じた対策が必要であります。広域自治体である都が率先をして島しょ地域の防災対策を支援し、島しょ全体の防災対応力を高めていくことを要望して、次の質問に移ります。
 ことし平成三十年は、一月の東京都心で二十三センチの積雪による交通混乱から始まり、大都市直下にて最大震度六弱の揺れを観測した大阪北部地震、西日本を中心にした二百名を超える人的被害を出した平成三十年七月豪雨、その後も記録的猛暑や九月の台風二十一号、最大震度七を観測した北海道胆振東部地震など、相次ぐ自然災害に見舞われてきました。
 大規模な災害が連続的、複合的に発生をし、甚大な被害につながっている昨今の教訓を踏まえた災害対策の見直しや強化が必要不可欠と考えます。
 都は、本年七月から九月に、激甚化する自然災害を受け、各局にまたがる防災対策の緊急総点検を行い、セーフシティ東京防災プランに位置づけられた二百項目の防災事業の見直しを行いました。その一つがタイムラインの普及拡大であります。
 平成三十年七月豪雨では、大雨特別警報や土砂災害特別警報が出され、地元自治体から避難勧告、避難指示が発令されても、多くの住民が避難行動をとらず、被害が拡大したといわれております。
 大きな被害が発生をした広島県、岡山県、愛媛県の各市町村に対し内閣府が行っている住民の避難行動等に関するアンケート調査によりますと、避難勧告等を発令しても、避難しなければならないとの意識がないなど、避難行動に結びつかなかった、避難行動要支援者の個別計画を作成していないなどにより、迅速な避難行動に結びつかなかったといった住民避難に関する課題が多くの自治体から挙げられております。
 一方で、避難訓練を実施するなど、防災意識の高い地域の住民はスムーズに避難ができた、地域で大雨の際に安全に避難できる場所を決めており、それが事前に周知されていることで自発的な避難行動につながったなど、避難行動に効果的な取り組みについても指摘がされております。
 また、環境防災総合政策研究機構の避難勧告が発令された被災地域の住民を対象にしたアンケート調査によりますと、避難地域の全体の二割強しか被災回避行動をとらなかったとされております。
 そもそも自分の住んでいる地域でどのような危険性があるのかわからない、避難するタイミングがわからない、避難するべき場所がわからないなど、今の災害対策は住民一人一人の備えにつながっていないと指摘がされております。
 こういった災害の教訓からも、台風や豪雨などの風水害は、起こり得る災害を事前に予測することが比較的可能であり、住民一人一人が事前にとるべき行動をあらかじめ整理したタイムラインの活用が重要視されております。
 タイムラインの取り組みは、平成二十四年に、ハリケーン・サンディがアメリカのニュージャージー州、ニューヨーク州に上陸をした際に、タイムラインをもとに住民避難に対する対策を行ったことで被害を最小限に抑えることにつながり、水害からの避難にタイムラインが大きな効果があると認められたと伺っております。
 一方、我が国におきましては、タイムラインが注目されてから日が浅いこともあり、都内におきましても十分に普及が進んでいないというふうに伺っております。
 こうした中、都は、九月に発表した防災事業の緊急総点検におきまして、タイムラインの普及拡大を掲げております。
 そこで、改めて、我が国におけるタイムラインの導入経緯と都の今後の普及拡大に向けた取り組みについてお伺いします。

○西川防災計画担当部長 タイムラインは、災害の発生を前提といたしまして、行政や住民など各主体が災害時に行うべき防災行動を時系列に沿って取りまとめるもので、いつ誰が何をするかを明確にすることによって的確な行動につなげることをその目的としております。
 国におきましては、先ほどお話のございましたハリケーン・サンディの事例などを踏まえて導入を進めてきており、現在、荒川下流域におきまして、国、東京都、浸水が想定される十六の区と市、そして、警察、消防、鉄道事業者等の関係機関によって荒川下流タイムラインが運用されております。
 さらに、都におきましては、本年発生いたしました西日本での豪雨等を踏まえまして、九月に防災事業の緊急総点検を実施し、タイムラインを普及拡大することといたしました。
 今後、都は、都内全域を対象に、荒川下流タイムラインの運用から得られた教訓を参考にしながら区市町村タイムラインの作成を支援してまいります。
 さらに、水害からの被害を最小限に抑えるためには、都民一人一人が正しく避難行動をとることが重要であることから、個人が作成するいわゆるマイタイムラインについても作成の支援を行ってまいります。

○森口委員 都民一人一人がマイタイムラインを策定することにより、防災行動を迅速かつ効率的、効果的に進め、適切な避難行動につながり、被害の拡大を防ぐことが期待がされます。
 マイタイムラインの作成につきましては、学校の防災教育の一つとして取り組むことで、我が子の安全を起因として家族全員で防災行動計画を考えるきっかけにつながり、都民一人一人の防災意識の向上や被害の軽減に非常に有効であると考えます。
 また、タイムラインの策定は、台風、豪雨、雪、津波など進行型の災害だけでなく、地震などの突発型の災害においても有効な取り組みとして考えられており、都におきましても、さらなる普及拡大を進めていただきたいと思います。
 次に、災害発生時におけるICTを活用した被害状況の収集や分析について質問をいたします。
 災害の発生直後、災害情報を収集、分析し、被害状況に応じた住民に対する避難指示や救援活動、復旧活動などの対応へとつなげていくことが重要でありますが、発災直後、被災地域の被害状況を収集することは非常に困難といわれております。
 国の内閣官房IT総合戦略室によりますと、要約をしますが、災害時の対応において、状況把握は極めて重要であるが、即時性のある情報、局地的な情報を広く取得することは困難である、一方で、近年、市民がSNSを活用して、時々刻々と変化をする情報を数多く発信しており、被災現場またはその周辺から発信される場合や、災害発生前後の時間経過に合わせて発信をされる情報は、臨場感、即時性を有する貴重な情報源であります、このため、SNSにより発信される情報を積極的に収集することは、即時性や局地性のある情報を獲得する有効な手段の一つであり、これらの情報の活用によって適切な災害対応へとつながると考えられていると、以上のように災害対応におけるSNSの活用に関して指針を示しております。
 実際に、昨年七月の九州北部豪雨の際には、大分県では、ツイッター上の災害情報を整理、要約するシステムであるD-SUMMを活用して、日田市の冠水やJR久大線の鉄橋の流出の状況を把握し、迅速な被災地域への災害対応につなげることができたといわれております。
 ことしの七月の西日本豪雨でも、災害対策本部が通報を受ける前に、ツイッターで土砂崩れなどの被害状況の把握につながったといわれております。
 そこで、都としても、SNSやD-SUMMなどのICTを活用した災害情報の収集や分析による災害対応が有効と考えるが、今回の緊急総点検を受けた今後の取り組みについてお伺いいたします。

○有金総合防災部長 大規模災害発生時には、都の災害対策本部におきまして、さまざまな災害情報を収集し、その情報を分析した上で、正確に都民、被災者などへ伝えていくことが必要でございます。
 最近の災害では、被災者などがSNSに写真を添付し、情報を発信する事例がふえており、これらの情報を活用することが非常に有益でございます。
 都が導入しております災害状況要約システム、いわゆるD-SUMMでは、写真や図が添付された情報を選択する機能もあることから、これらを活用し、初動体制に必要な情報を収集し、災害対策を進めていきます。
 一方、デマ情報や事実誤認と思われる情報が発信されていた場合には、都として公的な機関等への情報の真偽を確認し、誤った情報であれば、ツイッター等で訂正情報を発信し、都民に正確な情報が伝わるように努めてまいります。

○森口委員 ICTやAIを活用した防災の次なる取り組みの一つとして、チャットボットの活用なども研究がされていると伺っております。これは、被災状況に合わせて能動的に被災者一人一人から情報を収集し、自治体等で分析することを可能にするもので、重要な情報の対話型の連絡や、デマの可能性のある情報について周辺の被災者に直接確認をすることができるようになるといわれております。
 本年九月には、防災科学技術研究所とLINE株式会社は、AI、チャットボットを活用した災害時の情報収集や対話形式で被災者に情報を伝える仕組みの構築を目指し、協力をすると発表がされております。
 都は昨年より、首都直下地震を想定した図上訓練におきまして、国立研究開発法人情報通信研究機構の協力のもと、D-SUMM及びDISAANAで被害状況の分析を行い、発災直後の状況把握におけるSNS情報の重要性などについて検証を進めていると伺っております。
 ICTを活用した災害情報の収集や分析に関して、さまざまな取り組みを検討し、進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 本年六月の大阪府北部地震におきまして、外国語での災害情報や避難情報の不足から、多くの外国人の間で混乱が生じました。
 都は、今回の緊急総点検を受けて、外国人が災害情報を迅速に収集し、適切な避難行動をとれるよう、東京都の防災ホームページ、防災ツイッターなど多言語で情報発信をする取り組みや、外国語版「東京くらし防災」などの普及を促進していくとのことであります。
 現在、五十四万人の外国人が住み暮らし、毎年一千三百万人を超える外国人が都を訪れる中、外国人に対する災害対策は重要な課題であります。
 都は、今月十三日に、外国人をテーマにした防災に関するシンポジウムを開催しており、私も参加をさせていただきましたが、同時通訳もあり、数多くの外国人が参加をしておりました。
 そこで、改めて、都民向け防災シンポジウム「防災×外国人」では、どのような外国人を対象として、どのような目的で行ったのか、お伺いをいたします。

○小菅調整担当部長 委員ご指摘のとおり、東京に暮らす在住外国人の人数は年々増加傾向にある中、災害発生という非常時に外国人と向き合う機会とその重要性は増しております。
 そのため、本シンポジウムでは、日本人、外国人を問わず参加していただきたいという考えのもとで参加者を募りました。
 また、パネルディスカッションでは、在住外国人だけでなく、災害発生時に情報を必要とする短期滞在の外国人観光客も視野に入れて、登壇者の方々に議論を進めていただきました。
 実際の議論の中では、まず、東京で地震や水害などの災害が起こるとどうなるかを知ること、次に、こうした災害を切り抜けるために事前にしっかりと備えること、最後に、外国人みずからが助けられるだけではなく、支援するために助け合うことの重要性を考えていただくことを目的といたしました。
 外国人支援に携わる専門家の意見なども交えながらの議論を通じて、日本人、外国人双方にとっての情報提供の重要性など、防災に対する意識の向上を目指したところでございます。

○森口委員 シンポジウムで話題に上がっておりましたが、多言語化されている東京都防災アプリのさらなる普及や、易しい日本語での災害情報を発信する、また、災害訓練への外国人の参加を促すなど、外国人への支援を進めるとともに、防災語学ボランティアとして、外国人が日本語のわからない外国人を助けるなど、災害時の外国人との協働を進めるといった点も、都において重要な課題であります。
 また、緊急総点検を受けた外国人への情報発信の強化として、都内のデジタルサイネージにて、災害発生時、多言語で情報発信をする運用を開始しておりますが、どのような取り組みなのか、お伺いいたします。

○有金総合防災部長 大規模災害発生時には、情報不足による混乱や二次被害を防止するため、住民等への的確な情報提供が重要でございます。
 都は、外国人等に向けまして、災害時の冷静な行動を促すメッセージやさまざまな災害関連情報を迅速に伝達するため、まずは、都及び都の監理団体が保有するデジタルサイネージを一部活用し、的確かつ効果的に多言語で情報発信する取り組みを今年度から開始いたします。
 今後とも、各局等と連携をしながら、外国人等に対しまして、デジタルサイネージを活用した災害情報の発信に取り組んでまいります。

○森口委員 次に、災害における女性の視点について伺ってまいります。
 平成三十年七月豪雨におきましては、現地に派遣された都の職員によりますと、避難所運営において、女性避難者の体調不良時の搬送、ケア等の補助、女性用手洗いの清掃、女性や乳幼児向け物資の配布など、女性の視点を踏まえた取り組みや女性職員の活躍が重要であったとの認識がされており、今回の緊急総点検を受けまして、今後、都外被災地への派遣職員として、一定割合以上の女性職員を確保することとしております。
 昨今の多様化する被災者ニーズに、よりきめ細かく対応していくためには、家庭や職場等で活躍をしている女性の声を生かし、防災分野におきましても発揮されるよう取り組んでいくことが重要との認識があります。
 都は、災害時の女性のニーズにきめ細かく対応するための、女性の視点を防災活動に反映できる女性の防災リーダーの育成を今年度より進めております。
 発災時に地域や職場においてリーダー的人材として周囲の人を牽引していく役割を果たすことができる女性の防災コーディネーターの育成研修として、来年一月下旬より、二日間の研修を、職場五十名、地域五十名を対象として行う予定でありますが、今後、どのような計画で防災コーディネーター育成の研修を進めていくのか、見解を伺います。

○和田防災対策担当部長 防災コーディネーター研修は、発災時に地域や職場において、身につけた知識に基づき、女性の視点から行政や関係機関などと連携して、リーダー的人材としての役割を果たすことのできる人材を育成することを目的としております。
 この研修では、防災の知識を学ぶだけではなく、ワークショップ形式を取り入れ、発災時に多くの避難者と円滑にコミュニケーションがとれる能力の向上などを図る実践的なスキルも学ぶプログラムとしていることから、一回当たりの定員は五十名としております。
 防災コーディネーター研修は、一年度につき、地域生活分野と職場分野を合わせて百人育成し、平成三十二年度までに三百人育成する計画としております。

○森口委員 都は、平成三十二年度までに防災コーディネーターを三百人育成するとの計画とのことでした。女性の防災コーディネーター育成は、都として初の取り組みと伺っております。研修の実施に当たっては、例えば、受講者を募集する広報の仕方や、潜在的な受講者に研修を受講したいと思ってもらえるような動機づけなど、さまざまな工夫が必要になるのではないかと考えます。
 そこで、都は、防災コーディネーター研修について、どのような工夫をしながら、三年間で三百名の防災コーディネーター育成という目標を達成していくのか、見解を伺います。

○和田防災対策担当部長 防災コーディネーターの育成を着実に進めるためには、防災に関する一定の知識と意欲のある女性に研修を受講していただけるよう、研修内容の周知や防災活動への動機づけに工夫が必要であります。
 受講者の募集に当たりましては、防災コーディネーターの意義や役割、研修内容をわかりやすく記載したチラシを作成、配布するとともに、区市町村や東京商工会議所と連携した広報を展開するなどの工夫を行ってまいります。
 また、女性の防災人材育成事業のもう一つの取り組みである、基礎的な防災知識を学ぶ防災ウーマンセミナーを初め、都民向けセミナーなどにおいて防災コーディネーター研修のPRを行い、事業の周知を図ってまいります。
 さらに、受講者が防災コーディネーターとして活動する意欲を持ち続け、災害時には直ちに実践的な活動が可能となるよう、研修を受講したことを証する修了書を交付するとともに、受講後のフォローアップも実施し、その活動を継続的に支援してまいります。
 今後とも、さまざまな工夫を重ねて、女性の防災コーディネーター育成の目標達成に向けて積極的に取り組んでまいります。

○森口委員 より多くの女性が防災コーディネーターとなり活躍できるよう、研修を受講したいと思えるようなインセンティブの付与やターゲット層に確実に届くような広報展開など、さらに工夫をしていただき、防災コーディネーターの育成を確実に推進していただきたいと思います。
 最後に、本日は、セーフシティ東京防災プランのもと、総務局の所管する防災事業について伺ってまいりました。
 今から二十三年前になるんですけども、一九九五年、阪神・淡路大震災で、私は、当時十四歳の兄を震災で亡くしております。今でも、私もそのときのことをよく覚えております。
 都におかれましては、年々高まり続ける地震へのリスクや、また大規模な豪雨災害などに対して、本日も幅広く伺ってまいりましたが、さまざまな防災事業を、苦悩もされながら、しかし着実に前に進めていただき、そして、都民一人一人の命を守っていただいている、そういったことに感謝と敬意を表したいと思います。
 今回の防災事業の緊急総点検を踏まえ、今後、防災対策にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺い、私の質疑を終わります。

○遠藤総務局長 東京二〇二〇大会まで二年を切りました今、首都直下地震、大規模水害など、さまざまな災害を念頭に置きながら万全の対策を図っていくことは重要なことでございます。
 本年は大きな災害が相次いで発生したことを踏まえまして、ご指摘のように防災事業の総点検を実施したところでございますが、その結果を踏まえて、事業のスピードアップとレベルアップに努めているところでございます。その成果は、各局における来年度の予算要求にも、既に端的にあらわれているところでございます。
 当局におきましても、前倒しが必要な施策に速やかに着手するため、区市町村庁舎の非常用電源に関する支援につきまして、補正予算に盛り込んだところでございます。
 しかしながら、危機管理には、終わりもなければ、休みもございません。今回の総点検をもってよしとするのではなく、今後とも、防災事業の不断の見直しと点検を行うことで防災対策を練り上げてまいります。同時に、計画倒れに終わることのないよう訓練を積み重ねることにより、その実効性を向上させていくことが必要不可欠でございます。
 今後も引き続き、自衛隊、警察、消防などの関係機関とも強固な連携を図りつつ、全庁を挙げまして東京の防災力の向上に努めてまいる所存でございます。

○小松委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時六分散会

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