総務委員会速記録第十四号

平成三十年十一月十五日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長小松 大祐君
副委員長馬場 信男君
副委員長藤井  一君
理事増田 一郎君
理事鈴木 章浩君
理事木村 基成君
古城まさお君
藤井あきら君
山内れい子君
藤井とものり君
奥澤 高広君
森口つかさ君
原 のり子君
中屋 文孝君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長梶原  洋君
外務長山元  毅君
次長理事兼務福田  至君
次長戦略政策担当部長事務取扱松下 隆弘君
理事河内  豊君
理事横山 英樹君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小室 一人君
調整部長佐藤 智秀君
政策担当部長古屋 留美君
政策担当部長松崎伸一郎君
技術政策担当部長三木  健君
戦略広報担当部長報道担当部長兼務古川 吉隆君
海外広報担当部長梅田 弘美君
ホストシティプロジェクト推進担当部長小野 由紀君
渉外担当部長裏田 勝己君
国家戦略特区推進担当部長米津 雅史君
戦略事業担当部長田尻 貴裕君
計画部長宮澤 浩司君
外務部長加藤 英典君
外務担当部長丹羽恵玲奈君
青少年・治安対策本部本部長大澤 裕之君
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務森山 寛司君
青少年対策担当部長井上  卓君
治安対策担当部長高野  豪君
選挙管理委員会事務局局長澤   章君
人事委員会事務局局長砥出 欣典君
任用公平部長矢岡 俊樹君
審査担当部長神山 智行君
試験部長田中 宏治君
監査事務局局長岡崎 義隆君
監査担当部長池田 美英君

本日の会議に付した事件
理事の辞任及び互選
監査事務局関係
事務事業について(説明)
選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
人事委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・平成三十年「職員の給与に関する報告と勧告」について
政策企画局関係
事務事業について(質疑)
青少年・治安対策本部関係
事務事業について(質疑)

○小松委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、森口つかさ理事から、理事を辞任したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認めます。よって、申し出のとおり、森口つかさ理事の辞任は許可されました。

○小松委員長 次に、ただいまの森口つかさ理事の辞任に伴い、理事一名が欠員となりましたので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがしましょうか。

○藤井(あ)委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○小松委員長 ただいまの動議にご異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認めます。よって、理事には増田一郎委員をご指名申し上げます。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認めます。よって、理事には増田一郎委員が当選されました。

○小松委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○小松委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局関係の事務事業の説明聴取、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、政策企画局及び青少年・治安対策本部関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、監査事務局関係の事務事業については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行います。ご了承願います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 初めに、監査事務局長から挨拶並びに幹部職員の紹介があります。

○岡崎監査事務局長 監査事務局長の岡崎義隆でございます。
 小松委員長を初め委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜り、監査事務の適切な執行に努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 監査担当部長の池田美英でございます。本委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の松谷いづみでございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○小松委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○小松委員長 次に、事務事業について理事者の説明を求めます。

○岡崎監査事務局長 監査事務局の事務事業につきまして、お手元に配布させていただきました事業概要によりご説明申し上げます。
 こちらの方の表紙を含め二枚おめくりいただきまして、一ページをお開きください。
 1の監査委員でございますが、監査委員は、公正で効率的な行政を確保するために、地方自治法の規定により設置される独任制の執行機関でございます。
 都におきましては五名の監査委員が置かれており、識見を有する者から選任される委員が三名、議員から選任される委員が二名となっております。
 次に、2の監査委員の職務権限でございます。
 おめくりいただきまして、二ページの表をごらんください。経常的監査の一覧でございます。
 表の一番上、定例監査でございますが、都における事務及び事業の執行全般を対象として、合規性、経済性、効率性及び有効性の観点から実施するものでございます。また、東京都財務諸表につきましても、東京都会計基準に準拠して作成されているかを検証しております。
 次に、工事監査でございますが、都が行う工事等を対象といたしまして、計画、設計、積算、施工などの各段階におきまして、技術面から工事が適正に行われているかを主眼として実施するものでございます。
 次に、財政援助団体等監査でございますが、財政的援助に係る事業を対象として実施するものでございます。監査対象となる団体の区分ごとに申し上げますと、補助金等交付団体につきましては、補助等の対象となっている事業を目的に沿って適切に行っているか、出資団体につきましては、その事業を出資目的に沿って適正に運営しているか、指定管理者につきましては、公の施設の管理に係る業務を目的に沿って適正に行っているかについて検証を行っております。
 最下段の行政監査は、都の特定の事務や事業を対象として、経済性、効率性、有効性の観点から実施するものでございます。
 右の三ページをごらんください。各会計歳入歳出決算審査及び公営企業各会計決算審査でございますが、会計管理者などが調製した決算につきまして、知事からの審査依頼に基づき、決算計数が適正なものとなっているか確認するとともに、予算執行、資金運用、財産管理などについて審査するものでございます。
 以上のほか、基金運用状況審査などを行っております。
 次の四ページをお願いいたします。請求等により随時実施する監査でございまして、中ほどに掲げました住民監査請求による監査などがございます。
 また、五ページには、その他監査に付随する権限などを記載してございます。
 続きまして、六ページをお開きいただけますでしょうか。3の事務局についてでございますが、監査委員の補助機関である事務局は、職員定数八十九名で、事務局長のもと五課体制をとっております。
 各課の事務分掌は、七ページから一〇ページに記載のとおりでございます。
 飛びまして、一一ページをお開き願います。4、平成二十九年監査実施実績でございます。
 表の左から三列目、実施欄に記載のとおり、定例監査は、本庁と事業所を合わせまして四百四十八カ所で実施いたしました。また、工事監査は千六百三十一件の工事について、財政援助団体等監査は百四十五団体について実施いたしました。
 以下、行政監査などさまざまな監査を実施したところでございます。
 一二ページをお開き願います。指摘等件数でございますが、表の一番下の欄にございますとおり、指摘が二百五十七件、意見、要望が二十五件でございました。
 一三ページ、一四ページは、その局別、そして団体別の内訳でございます。
 一五ページをお開き願います。5、平成三十年監査基本計画でございます。
 冒頭で都政をめぐる状況と監査について述べた上で、平成三十年の監査の基本方針、そして、おめくりいただきまして、一六ページから一八ページにかけて各監査の留意事項などを記しております。
 一九ページをごらんください。6、予算概要でございます。
 平成三十年度の当初予算額は、総額で十億二百万円でございます。その主なものは管理費で九億六千三百九十三万余円、そのほとんどが職員の給与関係費でございます。
 概要のご説明は以上ですが、お手元にもう一冊、都民向けのパンフレット、東京都の監査のあらましというのをお配りさせていただきました。
 今年度は、図やイラストを充実させるとともに、目の不自由な方にも配慮して音声コードを挿入するなど、より親しみやすいものとなるよう工夫いたしました。
 また、このあらましの最後のページにもございますとおり、ホームページを全面的にリニューアルし、タブレット端末やスマートフォンにも対応できるようにしたほか、過去の監査を検索できるシステムを新たに搭載いたしました。
 こうした取り組みにより、都民に監査情報を一層わかりやすくお伝えしてまいります。
 以上、当局の事務事業をご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○小松委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○奥澤委員 本年三月の総務委員会において、我が会派の内山都議から、投票率向上に資する取り組みについて、SNS活用や投票所の最適化など、より効果の高い方法を調査研究し、実施されたいという意見を述べさせていただきました。
 投票所の最適化につきましては、面積当たりの投票所の数という観点から考えると、全国一の取り組みであるというふうに伺っており、これは評価したいところであります。
 一方で、どのような場所が足を伸ばしやすいかという観点で考えると、まだまだ工夫の余地が残っているのかなというふうに考えるところであります。
 例えば江戸川区では、イトーヨーカ堂の葛西店に期日前投票所を設置しておりまして、昨年の都議選では一万一千八十八人が期日前投票を利用している。ほかの期日前投票所の平均が六千六百十九人であったことを考えますと、より多くの方が利用したことになるなというふうに思います。
 また、町田市では、小田急線の鶴川駅、それから、JRの成瀬駅というところのすぐ近くに期日前投票所がありまして、ここも同様に高い数値が出ているところです。
 投票所ごとの投票者数というのを公開している区市町村というのは余り多いとはいえない状況ですので、私が調査できるデータというのは数が限りがあるんですけれども、期日前投票所の設置場所については、もっと議論がされるべきであると思いますし、もっと利便性の高いところに行くべきなんじゃないかなというふうに思います。
 一方、この議論がなかなか広まらないことというのは、必ず理由があるということだと思いますので、その理由について明らかにしておきたいと思います。
 期日前投票所の設置について、駅や商業施設などの生活の一部となる施設での実施を進めるに当たっての課題についてお伺いをいたします。

○澤選挙管理委員会事務局長 駅前や商業施設など利便性の高い場所に期日前投票所を設置することは、有権者の投票環境の向上を図る上で有効であると考えております。
 その一方で、こうした場所に設置することには課題もございまして、二重投票を防ぐため、選挙人名簿対照システムをつなぐオンラインの設置が必要となること、また、投票所外からの投票用紙ののぞき込みや入場できない者の立ち入りなどの不正行為を防止する設備が必要となることなどが挙げられると思います。
 このような課題を十分検討した上で、各区市町村選挙管理委員会が地域の実情に応じて、効果やコストの観点も踏まえ、設置するかどうかを判断することとなります。
 都選挙管理委員会といたしましては、新たな設置を検討している区市町村選挙管理委員会に対し、具体的な設置事例の紹介や助言などを行うことにより、引き続き区市町村選挙管理委員会の取り組みを支援してまいります。

○奥澤委員 システム面での課題と施設のハード面という形で課題があるということは理解いたしました。
 さまざまな場所に設置するということで、無線LANとか有線LANとか、いろいろ考えられると思うんですけれども、ここはセキュリティーの確保とコストという両面で、なかなか議論も進んでいかないということが総務省の報告書にも寄せられているところでございます。
 一方で、その報告書にもあるんですけれども、選挙管理委員会と各行政の情報通信担当部署というのがしっかりと連携をとることというのが指摘がされているところでありますので、東京都でもそのような連携を進めていただくとともに、情報をしっかりと区市町村に伝えていっていただきたいということを要望しておきます。
 続いて、商店街や商業施設における選挙割などのインセンティブ付与についての考え方をお伺いしたいと思います。
 まず、インセンティブを付与しなければ投票に行かないという人が本当に投票する資格があるのかという、そういったネガティブな意見も確かに聞こえるんですけれども、私はポジティブな意見も聞いておりまして、それまで全く関心を持てなかったけれども、行ってみると、実際に投票してみると、やっぱり考えなきゃいけないなと、ふだんから政治に目を向けるようになったというのは、私の友人の言葉でございます。
 インセンティブの付与については、北九州市の選挙管理委員会も、平成二十九年十二月に、投票環境の向上に関する具体的方策という中で幾つか紹介をしているところです。これらはまだ北九州市でも実施されたというわけではないんですけれども、各地でモデルケースが始まっておりまして、例えば東京都においても、アトレ大井町などで選挙割が最近も実施されたということが報告されています。
 しかし、各商店街や店舗で実施されているというケースがほとんどですので、なかなか効果測定が困難なのかなということも推察しています。
 東京都選挙管理委員会においても、投票率向上に関する調査研究を行っているということですけれども、インセンティブ付与の効果に関する見解をお伺いいたします。

○澤選挙管理委員会事務局長 都選挙管理委員会では、インセンティブ付与に関する実施場所などの実態を直接には把握しておりませんけども、有権者が投票済み証を持参することで、商店街などの事業主が独自にサービス提供などを行っていることは認識してございます。
 都選挙管理委員会におきましても、選挙期日の周知等のために、選挙が執行される際には、さまざまな啓発物を作成し、各所で配布しております。
 こうした取り組みが投票への動機づけや投票率向上の底上げに一定の効果はあるものと考えておりますが、投票率につきましては、その時々の争点、都民の関心など、さまざまな要素がかかわっており、投票率向上との関係性を見出すことは難しいところではございます。
 有権者が投票行動を起こすには、政治や選挙への興味、関心を持ってもらうことが重要でありまして、引き続き、選挙後、間を置かずに実施しております選挙に関する世論調査において、投票の動機など、投票行動に関しての調査を行ってまいります。

○奥澤委員 直近の選挙でいうと、例えば品川の区長選挙、これは投票率三二・七一%、新宿の区長選挙の投票率二八・二四%ということで、本当に低い数字だなと。これは民主主義の根幹を揺るがしてしまうようなゆゆしき事態だと思いますので、本当にあらゆる方策を尽くしていただきたいということを要望しておきます。
 また、さまざまな選挙啓発に取り組んでこられているところですけれども、私は、平成二十五年の参議院議員選挙の啓発が興味深いなと思って見させていただきました。
 ポスターを見ると、選挙の情報をどこで手にすることができるのか、あるいは、投票日当日にどこで何をすればいいのかといった具体的な行動がわかるような工夫がなされていたなと。
 また、海のいきもの選挙という、疑似体験みたいな啓発もしていまして、視点を少しずらしたようなアプローチですけれども、例えばお子様連れの家族、なかなか投票率が上がらない世帯への訴求効果というのは確実にあったんじゃないかなというふうに推察しています。
 最近、アメリカの大統領の中間選挙で、若者は投票しないでというような、逆説的というか、そういったPR動画が話題になって、若者の投票意欲がかなりかき立てられたというような話もあります。
 あるいは福岡の市長選挙のPR動画なんかも、何かむきむきの人が出てきて、ちょっとおもしろい、くすっとしてしまうようなところから取り組んでいると。
 平成二十八年の参議院議員選挙でも、東京都の取り組みも負けていないなというところで、ヤフー映像トピックスでトップになるような、そういった工夫を凝らしてきた、そういったことは率直に評価したいなというふうに思います。
 一方で、啓発というのは、時期によって必要な情報が異なるというふうに私は考えておりまして、平時の啓発と選挙時の啓発というのは、これはメッセージ性が違うんじゃないかなというふうに思っています。
 そこで伺います。平時の啓発と選挙時の啓発、それぞれの目的と工夫をお伺いいたします。

○澤選挙管理委員会事務局長 まず、常時啓発についてでございますけども、年間を通じて有権者の政治意識の向上を図ることを目的とした活動を行っております。
 具体的に申し上げますと、選挙や政治に関する知識や情報提供のための講演会を開催するとともに、高等学校などでの出前授業では、より選挙等に関心、興味を持ってもらうためにクイズ形式などを取り入れてございます。
 さらに、出前授業に関しましては、授業の様子や授業で使用したスライドなどをホームページで公開し、都内の区市町村を初め民間団体などが活用できるようにしてございます。
 次に、選挙時の啓発でございますが、各種選挙時に、あらゆる機会を通じて、選挙期日及び期日前投票の周知と有権者への投票参加を呼びかけております。
 特に、選挙期間中に実施する街頭啓発では、他の世代と比較して投票率が低い傾向にあります若年層との接点が得られるようなイベントを開催するとともに、若年層に身近なSNSを利用して選挙期日等の周知を図っております。
 今後とも、時期に応じた効果的な啓発に取り組んでまいります。

○奥澤委員 常時啓発に関しては興味、関心を引くようなもの、そして、選挙時の啓発では具体的な行動を示していくような、そういった取り組みをしているというふうに受け取りました。
 また、民間団体が活用できるようにしているという旨のお話があったんですけども、ここのところ、民間の団体もさまざまな工夫を、ゲーム形式だったりだとか、ワークショップだったりだとか、さまざまなノウハウを持っていますので、ぜひ知恵を出し合って、より一層効果的な、連携した啓発を進めていただきたいということを要望しておきます。
 最後に、投票所における有権者への配慮についてお伺いします。
 東京都では、先般、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が成立して、性自認や性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いを禁止するという旨の条例が成立しました。
 熊本の話なんですけれども、熊本にあります性的マイノリティーの当事者団体、くまにじさんが熊本県内四十五市町村の選挙管理委員会に対して行った調査によりますと、選挙の投票時の本人確認書類に性別の記入欄があるかどうかというもので、六つの市町村は設けていない、六つの市町村は今後なくす予定、二十八市町村は検討中、五つの市町村は変更の予定なしというふうに答えているそうです。
 戸籍上の性と異なる性で暮らしていた方が、期日前投票時に本人と認められなくて、やむなく性同一性障害であることを伝えたところ、大きな声で復唱されたことがあったと。これはアウティングと呼ばれ、本当に傷つく、そういった事案があったということが報告されています。
 東京都では、先ほども申した人権の条例が成立したということも踏まえて、先日の審議においても、性別の不要な書類において性別記載欄がないかとか、そういった点検をすること、庁内業務の洗い出しをしてほしい、そういった改善をしてほしいという要望を私からも行ったところであります。
 来年の四月には統一地方選があるわけですけれども、区市町村が実施するに当たって、この条例を制定した東京都として、しっかりと情報共有や呼びかけを行わなければいけないんじゃないかというふうに考えます。
 そこで最後の質問ですけれども、LGBT等の性的マイノリティーの方々が投票する際に不快な思いをしないために、東京都としてどのような取り組みができるのか、見解を伺いたいと思います。

○澤選挙管理委員会事務局長 投票所の管理運営は区市町村選挙管理委員会が行っているところでございますが、私ども都選挙管理委員会におきましては、全ての有権者がよりよい投票環境のもとで投票できることが大変重要であるとの認識のもと、これまでもさまざまな対応をしてまいりました。
 例えば、国政選挙、都議会議員選挙、都知事選挙及び統一地方選挙が行われる際には、区市町村選挙管理委員会職員に対して事務説明会を開催し、有権者へのさまざまな配慮や、選挙の管理執行に係る留意事項などについて説明するとともに、投票所における投票環境向上への協力要請を行っております。
 また、区市町村選挙管理委員会職員を対象として、毎年、有権者への接遇などについて研修会を行っております。
 こうした説明会や研修会など、あらゆる機会を捉え、全ての有権者に対してよりよい対応ができるよう、引き続き区市町村選挙管理委員会と連携をして取り組んでまいります。

○奥澤委員 なかなか直接的な言及ということには至らなかったんですけれども、全ての有権者に対してという言葉の中に、当然、性的マイノリティーの方々も含まれるというふうに、そういうお答え だったというふうに私は理解をしております。
 性自認や性的指向を理由として、もう既に不快な思いをした事例があるわけですから、統一地方選挙までの間に、区市町村の選挙管理委員会に対して留意事項を説明する機会などを設けていただきますことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○藤井(一)委員 私からは、ただいま奥澤委員から議論がありました期日前投票に関連することについて何点かお伺いいたします。
 昨年の衆議院総選挙では、期日前投票の利用者数が全国で約二千百三十八万人ということで、過去最多を大幅に更新したそうであります。台風の接近によりまして、投票日当日の悪天候が予想されたことの影響も大きいと思いますけれども、期日前に投票した人が全有権者の二割を超えたことは、この制度の定着を印象づけたのではないかと考えます。
 都内におけます統一外の首長選挙に目を向けますと、先日十一日に行われました新宿区長選挙では、期日前投票者数は一万九千二百二十六人、当日有権者数に占める割合は七・二九%、投票者総数に占める割合は二五・八三%でした。
 これを平成二十六年に執行された前回と比べますと、期日前投票者数が有権者数に占める割合、投票者総数に占める割合は、おのおの増加をしております。また、平成二十二年に執行されました前々回と比べても、おのおの増加をしているということがあります。
 新宿という一つの基礎自治体で捉えますと、期日前投票者数の増加は、当日有権者数が増加していることとともに、投票者総数の増加の要因にもなっていると考えられます。
 一方で、全国あるいは全都、東京都的に見れば、ライフスタイルの多様化で、期日である日曜日に投票するのが難しい有権者がふえているということも事実であります。
 今後、投票者数の増加、投票率の向上を目指して、期日前投票者数をふやしていく施策に積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 そこで、都内における期日前投票の推移について伺います。

○澤選挙管理委員会事務局長 期日前投票者数の投票者の総数に占める割合でございますが、都議会議員選挙で比較をいたしますと、平成二十一年が一五・三%、二十五年が一九・五%、二十九年が二三・九%となっておりまして、期日前投票を利用する有権者は着実に増加しております。

○藤井(一)委員 また、秋田県では、市町村が人の集まりやすい大型商業施設、駅前などに期日前投票所を設置したことによって、昨年の衆議院選では、全投票者の半数以上がそこで期日前投票を利用されたそうであります。都道府県で期日前投票の割合が五割を超えたのは、二〇〇三年の制度開始以来、初めてとのことでありました。
 このように、期日前投票を利用する有権者が着実に増加している背景には、低下傾向にあります投票率を少しでも高めようという工夫を凝らしている各自治体の取り組みがあります。先ほど奥澤委員からもいろんな例がありました。
 そこで、都内における期日前投票所の設置場所を工夫するなど、各自治体の取り組み事例について再度見解を求めます。

○澤選挙管理委員会事務局長 都内自治体におけます期日前投票所の設置場所の工夫例といたしましては、品川区が大井町駅前のショッピングセンターに、豊島区が池袋駅前の二つの百貨店に、葛飾区と江戸川区が、それぞれ四つ木と葛西にある大型スーパーに、また、府中市が府中駅前のショッピングモールに、瑞穂町が箱根ケ崎駅の東西自由通路にそれぞれ設置した事例がございます。
 東京都選挙管理委員会といたしましては、会議の場などを通じまして取り組み事例の紹介や助言などに努めていくとともに、引き続き、区市町村選挙管理委員会と連携をし、有権者に対する期日前投票制度の周知を図ってまいります。

○藤井(一)委員 次に、公職選挙法におけます事前運動について何点かお伺いしたいと思います。
 我々も選挙を経験してバッジをつけさせていただいているわけですけども、当然、この選挙には、さまざまな規制といいますか、禁止、やってはいけないという項目もあります。
 例えば、ご承知のとおり、公職選挙法では、選挙違反になる代表的な五つの事例があります。
 一つは寄附ですね。我々議員あるいは後援団体による地元の選挙区内の人に一切の寄附は禁止をされております。今、国会でも、女性大臣がカレンダーを配布したということで議論になっています。かつては、地元選挙区に線香を配って違反となった国会議員もおりました。このように厳しく規制されております。
 二番目は事前運動ですよね。これは、我々の選挙運動は、いわゆる候補者の届けとしてあった日から選挙の前日までしか選挙運動はできません。期間中以外では、選挙運動は一切できないことになっております。
 三番目は、戸別訪問は禁止をされている。そして四番目には、選挙運動に関して飲食物を提供してはいけないと。
 五番目には買収ですね。最も悪質とされるのが買収であります。選挙民にお金や物を渡して投票を依頼するといったことは一切禁止をされているわけでございますが、その中で、今回、事前運動について何点か確認をしたいと思います。
 実は私、地元で、地元の区議会議員選挙を控える年でございましたが、たまたま本番に入る前に、一般道路を、いわゆる本番のときに使う遊説カー、その上の方の看板は新聞で隠して、車体には候補者のポスターを何枚も張りつけて、そして、運転手の隣に候補者がたすきをかけて座って、後ろでアナウンサーが一生懸命、名前を連呼し、政党名を連呼しているところにぶつかりました。
 私は、これは事前運動だということで区の選挙管理委員会にただしました。こういうのは事前に--本番で使う選挙カー、それは名前とか看板は隠しているけども、ポスターを張って、なおかつ本人がたすきをかけて車に乗り、ウグイス嬢が名前を連呼して政策をいっている、これは選挙違反、事前運動じゃないんですかといいました。
 そうしたら、区の選管の担当者は何といったか。これは、公職選挙法百二十九条で、いわゆる本番の選挙でこういうことをやることはできるけども、それ以外の例示では入っていないから違反にはなりませんといいました。
 私は、おかしいじゃないかと、早速、東京都の選挙管理委員会に同じ質問をいたしました。事前にこういうことをやって、事前運動じゃないと区の選挙管理委員会がいっているけど、どうなんですかといいましたら、当時の東京都の担当者は、それは違反です、それは事前運動ですよと、こういいました。
 何で区の見解と都の見解が違うんですかということをただしましたら、これは、いわゆる本番中にやっていいこと--事前運動で調べましたら、例えばたすきの使用とか、それからチラシをまいたりとか、看板を使用したり、ポスター張りなど、これらは、本番中以外だと選挙運動とみなされて事前運動に該当する。だけど、ここには可能性がありますというふうに出ています。可能性がありますと。
 例えばたすきの使用は、選挙運動期間中、自分の選挙区への立候補者に限り認められる行為であり、選挙運動期間外に使用することはできませんとなっています。また、公示前のチラシまきについては、選挙運動に該当しない程度、つまり政治活動の範囲内であれば認められますと。ポスター張りについては、個人の政治活動用ポスターの掲示は、任期満了の日の六カ月前から当該選挙の投票日の間、選挙区内への掲示が禁止されていますと。
 このように、いろいろ事前運動というのが規定されているんだけど、それにないから、大田区の選挙管理委員会は、その項目にないから違反じゃないという。東京都選管は、いや、これは違反の可能性がありますという。一体、これはどっちなんでしょうかね。
 このように、禁止される事前運動に該当するか否かの判断自体は取り締まり機関というのが行うとしても、立候補の予定者から公職選挙法の規定やその解釈などの問い合わせがあった場合は選挙管理委員会が対応しているわけですから、都と区市町村の選挙管理委員会の見解が異なるというのは、これはおかしい。もっと連携して対応すべきと考えますが、選挙管理委員会の見解を伺います。

○澤選挙管理委員会事務局長 都と区市町村の選挙管理委員会が、公職選挙法の解釈などについて相違することなく選挙の管理執行に当たることは大変重要なことと認識をしてございます。
 都選挙管理委員会といたしましては、区市町村選挙管理委員会が定期的に開催をする連絡会などを通じまして、さまざまな情報の共有化に努めているところでございます。
 今後とも区市町村選挙管理委員会と連携をし、引き続き公平公正な選挙の管理執行に努めてまいります。

○藤井(一)委員 先ほどの事例のように、こういった事前運動が行われているにもかかわらず取り締まることができないのは、やはり公職選挙法という法律に問題があるんだというふうに考えます。
 東京都選挙管理委員会は、こういった問題に対して、国に対して速やかに法の整備に取り組むように求めるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○澤選挙管理委員会事務局長 立候補予定者のさまざまな政治活動や選挙運動が公平公正に行われることは、民主主義の根幹をなす選挙制度において極めて重要なことと考えております。
 政治活動や選挙運動にかかわる公職選挙法の解釈や判断につきましては、長年の判例や実例などの積み重ねによって、その考え方が確立をされてきたところでございます。
 都選挙管理委員会といたしましては、公職選挙法の解釈や判断に際しまして総務省に見解を確認するとともに、区市町村選挙管理委員会などから日常的に寄せられる要望などに対し、適切に対処してまいります。

○藤井(一)委員 ただいま出しました事例のように、公示前にたすきをかけ、そして、名前を連呼し、選挙区内を回っているということ、こういった行為について公職選挙法ではどのように規制をしているのか、お伺いいたします。

○澤選挙管理委員会事務局長 公職選挙法における規制でございますけども、個別具体の事案が公職選挙法に抵触するか否かにつきましては、当該行為が行われた時期、場所、方法などの具体的な事実を総合的に勘案して実態的に判断し、最終的には司法が判断するものでございます。
 その上で、法律上の一般論で申し上げますと、告示日や公示日前に立候補予定者が行う政治活動につきましては、それが選挙運動にわたらない限り、原則として自由でございますが、純粋な政治活動として行われるものであっても、立候補予定者の氏名や、氏名が類推されるような事項を表示した文書図画につきましては、政治活動用事務所の立て札、看板、ポスター、演説会等の会場で使用するもの以外は、公職選挙法第百四十三条第十六項の規定により掲示できないとされております。
 また、選挙運動とは、特定の選挙について特定の候補者の当選を目的として投票を得るためになされる行為と解されていることから、政治活動として行うものであっても、例えば、演説会などにおいて投票依頼を内容とするような演説を行ったり、ポスターに特定の選挙の立候補予定者である旨や投票を依頼するような文言の記載があるなど、選挙運動にわたるものと認められれば、公職選挙法第百二十九条の規定により、いわゆる事前運動として規制されることとなります。

○藤井(一)委員 ただいま、いろいろとご説明いただきましたけど、実際に現場ではそういった取り締まりがなされていないために、そういった事前運動が行われているというのが実態であります。
 そのことに対して、選挙管理委員会は、そういった事前運動を取り締まることができないのかどうか、お伺いいたします。

○澤選挙管理委員会事務局長 公職選挙法におきましては、第五条の規定によりまして、選挙管理委員会は選挙に関する事務を管理することとされ、また、第七条の規定により、検察官、都道府県公安委員会の委員及び警察官は、選挙の取り締まりに関する規定を公正に執行しなければならないとされております。
 したがいまして、政治活動として行われる行為が選挙運動にわたるものと認められるか否かの判断につきましては、取り締まり機関が行うこととなります。

○藤井(一)委員 取り締まり機関ということは警察ということですよね。
 インターネットで、選挙違反を発見した場合どうするのかという項目を拾いますと、こうありました。事前運動を初め選挙違反と思われる行為を発見した場合は、警察や選挙管理委員会に連絡することで公正な選挙の実現に貢献することができます、政治活動と選挙運動の区別が難しいこともあり、その行為を刑事事件として立件するか否かは警察の判断に委ねられることになりますが、選挙管理委員会に問い合わせたところ、疑わしい行為が報告された場合には、まず当事者への警告が行われるというふうに出ています。
 だから、取り締まれなくても、選挙管理委員会がしっかり警告をして、だめですよ、もし続けてやるならば警察にいいますよというぐらいの厳しい態度を、姿勢をとっていただきたい。
 じゃなかったら、今のままだったら、事前運動として規制できないのであれば、ほかの党はみんなやった方が平等じゃないですか。やったところとやらないところと、やり得なような今の制度を変えなければ、これは不公平だと思いますよ。
 そういった意味で、もっと選挙管理委員会がきちっと対応すべきと考えますが、局長、どうですか。

○澤選挙管理委員会事務局長 ただいま副委員長のご指摘の点でございますけども、繰り返しになり恐縮でございますけども、選挙運動にわたるものと認められる行為があった場合は、公職選挙法第百二十九条の規定により、いわゆる事前運動として規制されることとなっております。
 その認められるか否かの判断につきましては、取り締まり機関が行うこととなります。

○藤井(一)委員 これ以上やると繰り返しになりますから、もう終わります。

○藤井(と)委員 続いて、私も藤井でございますけれども、よろしくお願いいたします。
 投票率の向上という観点で、私からも質問させていただきたいと思います。
 まず、予算的なことについてお伺いしたいと思うんですけども、選挙啓発なんですけども、選挙管理委員会としては、常時啓発、そして、選挙のときの啓発ということで二つやられていると思います。
 例えばなんですけど、都議選啓発、衆議院啓発、そして常時啓発と、それぞれ経費をどれだけかけていらっしゃるのか、まずお答えをいただきたいと思います。

○澤選挙管理委員会事務局長 平成二十九年度におけます啓発事業に要した経費でございますけども、常時啓発の費用といたしまして約二千八十七万円、東京都議会議員選挙の経費としまして約一億四千三百二十二万円、衆議院議員選挙の経費として約六千百十万円でございました。

○藤井(と)委員 この三つの経費を計算しますと、二億円を一年間で超えてくるということでございまして、この選挙啓発の効果について、次にお伺いをしてまいりたいと思います。
 私、地元は練馬なんですけども、練馬でも、選挙の前に出てくると、駅で区の方がポケットティッシュを配ったりとかされていて、本当に頭が下がる思いなんですけども、一方で、ティッシュをもらって、そのティッシュに、かけがえのない一票を無駄にしないでくださいみたいなのが書いてあるんですけど、それで、ああ、俺も選挙に行かなきゃいけないなと思うような、そんな素直な人ばかりではないわけでありまして、ティッシュを配ること一つをとっても、やっぱりこれはただじゃないですし、人を使えば、それだけ労力がかかるということでございまして、こういった啓発というのは、今、本当に効果が上がっているのかどうかということについて、私、かねがね、ちょっと疑問を感じてまいりました。
 これは選挙管理委員会だけのことじゃないんですけど、行政というのは、啓発のための啓発にも見えてしまうようなことというのは多々あると思うんですけども、この選挙啓発に関する効果について、どのように思われていらっしゃいますでしょうか。

○澤選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会が行う選挙時啓発につきましては、主に選挙期日の周知や期日前投票の利用を周知することに重点を置いて展開してございます。
 主なものといたしましては、定番として活用しております広報用ポスターや新聞広告、これは委員ご指摘のティッシュも入るかと思いますけども、こうしたものに加えまして、街頭ビジョン、ホームページの特設サイト、SNSなど、時代の移り変わりに合わせ、効果的な媒体なども新たに組み入れまして行っております。
 このような啓発媒体に接することにより、直接、投票の動機へとつながることを数値的なデータで示すことは難しゅうございますけども、投票率向上の底上げに一定の効果はあるものと考えております。
 都選挙管理委員会といたしまして、今後とも効果的な選挙時啓発に取り組んでまいります。

○藤井(と)委員 ただいま効果的な取り組みを頑張っていくという答弁がありましたけども、本当にいろんなこと、蛍光ペンを配ったりとかティッシュを配ったりとかされていまして、それらも全部お金がかかる話でありますし、見え方によっては、ちょっと言葉は厳しいかもしれませんが、定例のイベントを回しているだけのような感じにも映ってしまいかねない点もあると思いますので、なぜ今、投票率が低迷をしているのかということを、ぜひ真剣に捉えて考えていっていただきたいと思います。
 具体的に投票率の低下の要因についてちょっとお伺いをしてまいりたいと思いますが、これは過去四回の衆議院の選挙なんですけども、二〇〇九年の政権交代選挙といわれた選挙は六六%という投票率だったんですが、どんどん落ちてきて、六六、六二、五四、五三と、どんどん下がってきている状況でございます。
 昨今の投票率が低くなっていく、低迷している原因について、これはなぜ起こっているのかということを真剣に捉えて、その分析をしていないと、なぜこういうことが起きているのかということを捉えていないと、啓発一つを行うにしても、やっぱり間違った対策になってしまうのかなと思うわけでありますけども、東京都の選挙管理委員会としては、その原因をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

○澤選挙管理委員会事務局長 投票率につきましては、投票日の天候やその時々の争点、都民の選挙への関心など、さまざまな要因がかかわっているものとされております。
 東京都選挙管理委員会では、国政選挙や都議会議員選挙、都知事選挙の実施後に選挙に関する世論調査を実施しておりますが、平成二十九年十月に執行しました衆議院議員選挙後の調査における投票を棄権した理由として最も高かったもの、これは、仕事が忙しく時間がなかったから、二八%、二番目が、適当な候補者がいなかったから、二六・三%、三番目といたしまして、病気、これは看病も含みますけども、病気または体調が悪かったからが一七・二%という結果でございました。
 こうした事柄も関係をしているのではないかというふうに考えております。

○藤井(と)委員 要因は、ただいまおっしゃっていただいたとおりでありまして、さまざまな要因があるわけでございます。
 やっぱり投票に行かれる方が少なくなるということは、それだけ、その方の民意というか、思いが届き、具体的な議席には反映をされないということでございますので、これはやっぱり政治がゆがんでいく、税金の使われ方がゆがんでいく一つの原因にもなると思いますので、ぜひ投票率の向上に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 投票率の低迷の原因について、ちょっと個別に見ていきたいと思うんですけども、やっぱり若年層が大変厳しい状況でございまして、これは都議選の数字なんですけれども、世代別の投票率なんですが、十八歳に関しては四六%ということで比較的高いんですけど、二十歳から二十九歳となってくると、二四%とか二七%みたいな、急に投票率が下がってしまうわけでございます。
 これは、学生時代においては出前授業だとか、そういったことがやっぱり効果を上げているのではないかということで、私、一定の評価をしているわけでございますけども、卒業した後の若いサラリーマンとかビジネスマンになったときの年代の方に対する、特にここが投票率を向上させていくためにはウイークポイントになっているんじゃないかなと思うわけでございますが、まさにこの世代にこそアプローチをしていくというような視点を持っていただきたいなと思うわけでございますけれども、選挙管理委員会としての見解を伺いたいと思います。

○澤選挙管理委員会事務局長 都選挙管理委員会といたしましても、選挙を実施するに当たりまして、若年層の投票率の向上は必要なものであるというふうに認識をしてございます。
 こうしたことから、若年層をターゲットとして、昨年七月に行われた東京都議会議員選挙におきましては人工知能の技術を活用したイベントを、また、十月に行われた衆議院議員選挙ではeスポーツを活用したイベントを開催することによりまして、若い人たちとの接点を創出し、投票の呼びかけを実施いたしました。
 さらに、ホームページに特設サイトを設けるとともに、若者にとって身近で情報収集に活用されておりますSNSを活用しての情報発信を行っております。

○藤井(と)委員 さまざまな啓発の取り組みをされているということは今伺いましたけれども、若者にとってはなかなか、それでも、そういったイベントに参加される方というのは、必ずしも多くないと思います。幾ら投票に行ってくださいといっても、いろいろ忙しいしということで投票に行っていただけない世代なのかなというふうに思うわけでございます。
 やっぱり選挙管理委員会としてアプローチも少し変えていただいて、なぜ投票に行く必要性があるのかと。今、世代会計といって、若い世代に対して使われる税金の額が少ないとか、そういったデータも出ていますので、そういったデータも含めていろいろ工夫をされながら、なぜ投票に行く必要性があるのかということも、私たちの政治の仕事でもあるとは思いますけれども、選挙管理委員会の側からとしても、なぜ投票に行く必要性があるのかということを積極的にPRしていっていただきたいなというふうに思います。
 これは次の質問なんですけども、一般的に、いわゆる新規転入者については投票率が低いといわれております。東京みたいな都市部の選挙の場合、一期四年間で有権者が四分の一入れかわるというようなこともいわれていて、国政選挙においては、全体の傾向だとか、どの政党を支持しているのかということで決まっていく面があると思うんですけども、都議選や区議選といった地方選挙になると、やっぱり地域コミュニティに対してなじみがないというか、余りそのまちに対してのアイデンティティーみたいなものは持ちづらいという、新規転入者にとってみれば、保育園の入園で断られたりとか、そういう事態に直面をしない限り、なかなか地方の選挙に対して関心が持てなくなるというようなことがあるということは、かねてより指摘をされているところであります。
 この新規転入者に対する選挙管理委員会としてのアプローチなり、あるいは分析なりをされていらっしゃいましたら、お伺いしたいと思います。

○澤選挙管理委員会事務局長 選挙人名簿でございますけども、選挙人名簿は区市町村選挙管理委員会が調製及び管理をしているものでありますから、東京都の選挙管理委員会といたしましては、選挙における都内への転入者数について把握はいたしてございません。
 また、選挙人名簿に登録されるには、住民票が作成された日から、引き続き三カ月以上、当該自治体に住所を有する必要がございまして、その期間内に転出した者は登録されないことなどから、正確な転入者数等の状況を把握することは困難でございます。
 しかしながら、地方自治体で実施をされます地域に密着した選挙におきましては、身近な課題に関心を持ってもらうことが何より重要であると認識してございます。
 そのため、都選挙管理委員会といたしましては、引き続き、地域の事情をより把握している区市町村選挙管理委員会との連携を図りつつ、啓発事業に取り組んでまいりたいと考えております。

○藤井(と)委員 次に、地域別のアプローチについてちょっとお伺いしたいと思うんですけども、私、最初に申し上げましたが、練馬が選挙区でございまして、練馬区でも石神井とか光が丘というのは毎回すごい投票率が低くて、低い地域というのは、言明しませんけれども決まっておりまして、これは実は、坂道が多い地域だったりとか、あとは区境であったりということが多いわけでございます。
 区境の、例えば隣の杉並に行ったら、その区境の向こうの杉並では非常に投票率が高かったりとか、何かちょっとよくわからないところもあって、まち全体をざくっと切って啓発していくというやり方を今されていると思うんですけども、こういった、とりわけ投票率が伸び悩んでいる地域について個別にアプローチをしていくということが、投票率向上という観点では私はふさわしい対策ではないかなと思ったわけでありますけども、こういった視点をぜひ持って取り組んでいただきたいと思うんですけども、都の選挙管理委員会のご見解をお伺いいたしたいと思います。

○澤選挙管理委員会事務局長 新興住宅地や地域の結びつきなど、地域ごとの特徴による政治意識の違いが投票率の差になってあらわれるという状況があることは、新聞報道等を通じまして把握してございます。
 都選挙管理委員会は、区市町村ごとの地域別投票率につきまして把握はしてございませんが、投票する権利を無駄にすることなく、より多くの有権者の方々に投票していただくことが重要であると考えております。
 今後とも、区市町村選挙管理委員会との啓発事業の連携を進めまして区市町村の取り組みを支援するなど、投票率の向上に努めてまいります。

○藤井(と)委員 今、地域別の投票率は把握をされていないということでございますけれども、これも、それぞれの選挙結果のしおりにも出ていることでございますので、これは区なり市の選管の仕事だとおっしゃらないで、ぜひこれは把握をして、どういった原因で投票率が低迷をしてしまっているのかということを、地域別の視点を持っても、ぜひ分析していただきたいと思います。
 これは最後の質問でございます。他会派さんからもお話がありました期日前投票所の設置についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 期日前投票所について、ショッピングセンターや駅に設置をすべきだというような、先ほど来お話がありましたけども、私、すごくこれはいいことだなと思っていまして、私は練馬なので、衆議院の選挙区でいえば東京十区というところに住んでいるんですけども、東京十区の中でも、実は--池袋で東武デパート、西武デパートで投票ができるということでございます。
 私、やっぱり人の行動も変わってきているというふうに思っていまして、通常、投票所だとか期日前投票所といったら、〇〇区民センターとか〇〇集会所みたいな名前がついていまして、これというのは、比較的投票率の高い高齢者にとってはなじみのある施設だと思うんですけども、だけど、投票率の低い若者にとってみれば、駅とかショッピングセンターというのは、例えば買い物のついでとか、出勤のついでに投票ができるということでございまして、親和性の高い施設なのかなというふうに思っていますので、投票率の向上という観点では、極めて有効な対策が、駅やショッピングセンターといったところに期日前投票所をつくっていくという方策なのではないかなと思っております。都内におけるこういった対策は、どの程度なされているのか。
 さらには、大学の中に期日前投票所をつくるというようなことをやっている自治体もあるそうでございまして、これも若者に直接アプローチができるというところだというふうに思います。
 その二つの点についてお伺いをしたいと思います。

○澤選挙管理委員会事務局長 期日前投票所は各区市町村により設置をされております。
 例示といたしまして、平成二十九年に執行されました東京都議会議員選挙におきましては、商業施設などの中に設置をされました期日前投票所は八カ所ございました。
 また、ご指摘の大学構内のお話でございますけども、これにつきまして、設置を検討した都内の自治体によりますと、都内の大学の特徴といたしまして、実家に住所を残したまま大学に通う学生が多いなど、大学のある自治体に住所を有する学生が少ないという実態があるというふうにも聞いてございます。
 今後とも、区市町村との連携を図りながら、投票率向上に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○藤井(と)委員 では、最後にまとめをさせていただきたいと思います。
 大学の方は、今、ご意見というか、ご答弁があったとおり、なかなかいろいろ課題があるというお話でございました。
 一方、商業施設については八カ所ということでございまして、ぜひこれはどんどん活用というか、していただきたいというふうに思います。
 そのことを改めて申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○小松委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたします。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○小松委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 事務事業及び報告事項、平成三十年職員の給与に関する報告と勧告についてに対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○奥澤委員 私からは、主に採用選考における配慮についてお伺いしたいと思います。
 十月一日から、東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例が施行されました。民間事業者に対しても合理的配慮の提供が義務づけられて、国の障害者差別解消法よりも、国の方が努力義務であるのに対して、本条例では責務が強化されたというような形になるというふうに思います。
 では、行政機関は、今までも義務だったということで、じゃ、変えなくていいのかというと、そんなことは決してなくて、より一層の取り組みが必要であるというふうに考えております。
 国や各都道府県の行政機関が、障害者雇用に関して水増しを行っていたというような報道も先般あったところでありますから、制度のあり方を問う声も上がっていました。何より、民間事業者に対して示しがつかないというところを意識しないといけないというふうに思います。本条例の実効力を高めていくためには、行政機関が民間事業者の取り組みをリードする姿勢というのを見せていかなければいけないというふうに思っております。
 そこで、本日は、障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考における合理的配慮の提供について質疑を行いたいと思います。
 採用選考でありますから、はかりたい能力、つまり業務を遂行するに当たって必要な能力を適切にはかるということが最重要だという前提の上で、試験の公平性を担保しながら合理的配慮を提供して受験者の能力を最大限発揮できる、そんな環境を用意するということが求められております。
 日本では、試験における合理的配慮に関して、かなりエビデンスが少ないということで伺っておりまして、なかなか文献も見つかりませんでした。採用試験の特性上、現場での即時対応が求められるというふうに思いますので、一つ一つの事例を積み上げていくだけでなくて、さまざまな場面を事前に想定していかなければいけないというふうに考えています。
 まず、一つ目の質問ですけれども、障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考におけるはかりたい能力、試験の公平性、合理的配慮について見解をお伺いしたいと思います。

○田中試験部長 障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考は、常勤の事務職を採用するための選考であり、第一次選考における教養試験、作文において、高校卒業程度の能力をはかるものであります。
 試験選考の実施に当たっては、身体障害、知的障害、精神障害といった障害の種別にかかわらず、試験において能力を発揮できるよう必要な配慮を行い、試験の公平性を確保しております。

○奥澤委員 本選考においては、障害のある方のために仕事を切り出すといった福祉的な観点からの採用ではなくて、障害のあるなしにかかわらず、常勤の事務職の業務遂行に必要な能力をはかるものであるというふうに認識いたしました。
 であるならば、本選考において提供される合理的配慮というものは、都庁という職場においても提供できるという前提で行われなければならない。逆にいえば、本選考で提供されている合理的配慮を見ることで、都庁内が障害者にとって働きやすい職場かどうかということをはかることにもつながるというふうに思います。
 そこでお伺いいたします。本選考において具体的に提供している合理的配慮について、取り組みをお伺いしたいと思います。

○田中試験部長 合理的配慮につきましては、障害などにより受験に支障が生じないよう、ハード面では、エレベーターやスロープ等の設備が整っている試験会場を確保するなど、状況に応じた配慮を行っております。
 ソフト面でも、点字による試験の実施、上肢障害等に対応するためのパソコン、ワープロでの解答、試験問題や解答用紙の文字の拡大、補助具の持ち込み、手話通訳者の配置、試験時間の延長等を行っております。

○奥澤委員 具体的なソフト面、ハード面での取り組みを確認することができましたけれども、大変気がかりな点としまして、昨年度から始まった知的障害、精神障害の方々への合理的配慮についてです。
 まずは確認をしたいと思うんですけれども、平成二十九年度、そして三十年度におけます身体障害、精神障害、知的障害それぞれの受験者数と合格者数をお伺いしたいと思います。

○田中試験部長 平成二十九年度については、受験者数が三百十三人で、身体障害者の方が八十人、知的障害者の方が二十八人、精神障害者の方が二百五人でした。合格者は三十五人で、身体障害者の方が十二人、精神障害者の方が二十三人となっております。
 平成三十年度については、受験者数が二百五人で、身体障害者の方が四十八人、知的障害者の方が十二人、精神障害者の方が百四十五人でした。合格者は四十人で、身体障害者の方が十六人、精神障害者の方が二十四人となっております。

○奥澤委員 数多くの方々が受験されているということで、門戸を広げたという部分で、その意義については理解を私も深めさせていただきましたし、意義ある取り組みだなというふうに思います。
 今のお話を聞きますと、受験者数も、かなり精神障害のある方が多いし、合格者としても、半数以上が精神障害のある方であったということであります。
 ここからは、精神障害のある方々への合理的配慮について深掘りをしていきたいというふうに思っています。
 それぞれ精神障害の特性というのがありますから、得意、不得意というものがかなり異なります。特に、集中して能力を発揮できる環境というのがかなり違いがあるということに留意しなければいけないというふうに考えております。
 十月一日に、先ほどの条例の施行とあわせて東京都障害者差別解消法ハンドブックも改定されているわけですけれども、そこには合理的配慮の具体例が記載されております。
 その一文を読むと、入学試験において、本来の目的を損ねない範囲で別室受験、時間延長、読み上げ機能等の使用を許可する。これは精神障害のある方々への配慮として具体的に書かれているんですけれども、先ほどからお伺いしている障害者の方々へのⅢ類採用選考においての取り組みをお伺いしたいと思います。

○田中試験部長 精神障害のある受験者に対しては、筆記試験において、より集中できるよう、ゆとりある座席配置にするとともに、個別面接においては就労支援機関の職員の同席を認めております。

○奥澤委員 ゆとりある座席という部分が、一つの工夫としてやっているということだと思うんですけども、なかなか試験監督者のマンパワーなんかを考えると、別室受験だとか、あるいは、公平性という観点で時間延長というのは難しさもあるというのは重々わかるところではあるんですけれども、例えばですけれども、座席の向きを壁側に向けたりだとか、窓側に向けてあげたりだとか、あるいは、つい立てを置いてあげるとか、そういったような工夫というのはまだまだ可能なんじゃないかなということを思いますので、今後検討していただきたいということを要望しておきます。
 続いて、聴覚過敏の方への対応についてお伺いをしたいと思います。
 聴覚過敏の方々で、例えばイヤホン、ヘッドホンをつけることが必要な方がいらっしゃるんですけれども、本選考においてはどのような取り組みをしているのか、お伺いしたいと思います。

○田中試験部長 聴覚過敏の方のイヤホン装着については、現在のところ対応実績はございませんが、これまでも人事委員会としては、個別の相談を受けた際には、可能な範囲で対応するように努めております。

○奥澤委員 相談があれば対応可能であるというふうに理解をいたしました。
 続いて、服薬が必要な方についてお伺いをしたいと思います。
 障害の有無にかかわらず、体調不良の際の服薬については、これは認められているというふうには思いますけれども、その休憩した分の時間延長というのはなされないものと認識しています。
 しかし、服薬というのは、飲んだからすぐに効き目があらわれるかというと、そうではなくて、薬が効くまでの間、少し休まなければいけない、そういうようなケースが多いというふうに聞いております。その分の時間延長、薬が効くまでの間の小休止を挟んで、その分の時間延長を行うことに関しては、これは合理的配慮に含まれてもいいんじゃないかなというふうに私としては考えるところです。
 先ほどご紹介しました東京都障害者差別解消法ハンドブックにおきましても、服薬の事項がありまして、自分なりの対処方法があるのはいいことであるというような記載がされています。対処方法をご自身で理解されているのであれば、これは業務遂行上の支障にはならないなというふうに私は考えます。特に精神障害のある方には、発作的に幻聴が起きてしまうような方もあれば、あるいは、定期的に毎日同じ時間に服薬をしているというような方々もいらっしゃいます。
 試験中に服薬等のための小休止を申し出る方がいらっしゃった場合の対応について、お伺いをしたいと思います。

○田中試験部長 服薬などの必要が生じた場合は、適宜認めているところではございますが、小休止につきましては、試験の公平性とのバランスを慎重に考慮することが必要であると考えておりまして、今後、国や他団体等の動向を注視してまいります。

○奥澤委員 各行政機関の採用選考というのはもとより、今、民間企業の採用選考あるいは大学、高校入試、また海外の事例ですね、海外の方は、こういったことはかなり進んでおりますので、そこにも広くアンテナを張っていただきたいということを要望しておきます。
 次に、情報提供のあり方についても聞いておきます。
 精神障害のある方の中には、音声情報で一気に情報が入ってくると、なかなか整理が難しいという方もいらっしゃいまして、文字情報で時系列を追って順番に伝えることで理解がしやすくなるという方がいらっしゃいます。
 本選考において情報提供にどのように取り組まれているのか、お伺いしたいと思います。

○田中試験部長 聴覚障害の方がスムーズに受験できるよう、試験開始の合図をボードを使ってお知らせするほか、試験の諸注意について、口頭だけでなく文字情報でもお伝えしております。

○奥澤委員 主に今のお話は聴覚障害のある方向けの合理的配慮の例だったと思うんですけども、これは実は、それを必要としている精神障害の方もいるんだというようなことだったんだと思います。
 これまで長年積み上げてきた取り組み、少し視座を高めると、もっとより広範に効果を及ぼせるような取り組みもあると思いますので、工夫を重ねていただきたいということで、よろしくお願いします。
 ここまで、かなり細かく具体例について伺ってきたわけでありますけれども、本選考の申込用紙を拝見いたしますと、受験者あるいは受験を考えている方、あるいはその保護者に対して、こうした合理的配慮を提供する意思があることが正しく伝わっているのかなというふうに、ちょっと疑問に感じるところがありました。
 都庁で働きたいという意思があっても、自分にできるんだろうかと不安を覚える方々に対して、この情報提供一つで、その背中を押すことにつながるということを自覚した上で、来年度はぜひ臨んでほしいなというふうに思います。
 加えて、合理的配慮の提供に当たっては、周囲の受けとめ方というのもかなり重要なことになりますので、不公平だと感じさせない工夫というのが要るんですけれども、ここで必要になるのは説明責任だと思うんですね。きちんと納得してもらえるように説明をしていく。
 その点でも--これは、後から、その場になって急に具体的な合理的配慮というのが出ると不平不満につながっていく。でも、事前に、例えば案内の中で、こういったことがありますよということを伝えておけば、周りの方々も、ああ、彼は申し出があって合理的配慮を受けているんだなということがわかることで会場全体の納得感も得られやすいというふうに思いますので、申込書類であったりだとか、ホームページ、そういったところでの情報の提供の仕方というのは今後考えてほしいというところで、最後の質問であるんですけれども、今後は、申込書類、ホームページ、そういったさまざまな場面で、具体的な合理的配慮の例だとか、あるいは、お気軽にご相談くださいといった、そういった言葉を掲載すべきじゃないかというふうに考えるんですけれども、見解をお伺いいたしたいと思います。

○田中試験部長 東京都を志望する障害者の方々への情報提供につきましては、採用選考案内の中で、合理的配慮に関する意向を確認するページを設けるなど、必要な対応に取り組んでまいりました。
 今後とも、国や他団体等の取り組み等を踏まえつつ、障害のある方がより受験しやすくなるよう、引き続き適切に対応してまいります。

○奥澤委員 ただいまご答弁にありました合理的配慮に関する意向を確認するページというのを見させてもらったんですけれども、これは、もちろん、これまでの積み重ねですから、身体障害のある方々への具体的な合理的配慮がずっと書かれているし、チェックをするような形で進めやすいんですけれども、知的障害の方あるいは精神障害の方々への合理的配慮というのを具体的になかなか見ることができなかったなというのが率直なところです。
 また、ホームページも、合理的配慮の提供についての記載があるところに、なかなかたどり着けないというところで、少しハードルを上げてしまっているんじゃないかなというふうに思います。
 本年度の採用選考は既に終わっておりますけれども、来年度に向けては、ぜひ改善を図っていただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○原委員 私の方からも、障害者雇用について伺いたいと思います。
 まず、資料を提出していただきまして、ありがとうございました。資料も踏まえながら質問をしたいと思います。
 中央省庁が雇用する障害者の人数を水増し、偽装していた実態は、本当に許しがたいものだと思っています。その分、就労の機会が障害者の方から奪われていたということもいえますし、また、障害者の人権と尊厳を著しく傷つけるものだったというふうに思います。
 厚労省が、このことに携わった職員の処分は行わないで口頭注意ということも報道されていましたけれども、果たして再発防止はできるのかと大変心配もしています。
 東京都においては、改めての都道府県、市町村に対する国の調査の結果、障害者雇用のいわゆる水増し問題はなかったというふうに報告をされています。これ自身はよかったというふうに思いますけれども、法定雇用率には達しているということもありますが、しかし、東京都自身の掲げている目標にはまだ届いていないという、そういう現実でもあります。
 私どもの会派の、とや議員の決算特別委員会の全局質疑で、三%の雇用率を目指して努力していくという、そういうご答弁が質疑に対してありましたけれども、目標に見合う努力、工夫が必要だというふうに考えています。
 あわせて、障害者の雇用の促進等に関する法律による雇用義務制度の適用団体、監理団体二十六団体のうち、法定雇用率を達成していない団体が八団体あるということが資料からわかりました。東京都としても、ぜひ改善へ働きかけることをこの場では求めておきたいと思います。
 そして、もう一方で大事なのが障害者雇用の中身、質の問題だと思っています。そうした中で、自力通勤が条件になっていることについて、この間、問題になりましたが、改めて誤解のないように表記をされたというふうに伺っています。ですけれども、本来の合理的配慮のあるべき姿からしてどうなのかということは、今後とも常に検討をしていくことが必要だということを、まず前段で述べておきたいと思います。
 その上で、幾つか伺いたいと思います。
 一つは、今の奥澤委員の質問と重なるところもありますので、もし重なっているところがありましたら、簡潔にお答えいただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。
 まず、最初に伺いたいのは、障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考が実施されるようになって、今お話にあったとおり、精神障害や知的障害の方も受験資格を得て、精神障害の方がかなり多く合格されているということで、これは大事な前進だと思っています。
 しかし、残念ながら知的障害の方の合格はないということで、これについての分析、どのように分析をされているのかということを伺います。

○田中試験部長 平成三十年度の障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考では、採用予定者数四十人に対して最終合格者は四十人であり、その内訳は、身体障害者の方が十六人、精神障害者の方が二十四人となっておりまして、知的障害者の最終合格者はありませんでした。
 採用選考では、第一次選考の教養試験と作文及び第二次選考のグループ討議と個別面接の成績を合わせた総合成績により合格者を決定しておりまして、結果的に身体障害者の方と精神障害者の方が上位を占めたものでございます。

○原委員 結果的にというお話だったわけです。
 例えば愛知県などでは、毎年、具体的な仕事内容をイメージしての知的障害者の方の採用などを十年来続けているという、そういう県もあります。
 この東京都職員Ⅲ類採用選考というのは、先ほどの質疑、やりとりの中でも、そのものの位置づけがまた違うわけですけれども、それでは、知的障害の方はこれを実際に受験はできるわけであって、知的障害の方々にはどのような職務内容をお知らせしているのかということを伺います。

○田中試験部長 障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考で募集している職種は事務でありまして、東京都の幅広い業務を担う職種で、さまざまな職場に配置されております。
 採用選考案内では、各局の本庁及び事業所の調査統計の集計事務、資料の収集管理、文書管理、庶務など、一般事務を職務内容としてお知らせしているところでございます。

○原委員 試験内容も、知的障害の方の特性に応じて改善をするという合理的配慮をすべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○田中試験部長 障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考は、常勤の事務職を採用するための選考であり、第一次選考における教養試験、作文において、高校卒業程度の能力をはかるものであります。
 選考の実施に当たっては、身体障害、知的障害、精神障害といった障害の種別にかかわらず、試験において能力を発揮できるよう必要な配慮を行い、試験の公平性を確保しております。
 個別面接におきましては、昨年度の採用選考から、受験者が登録している就労支援機関の職員の同席を合理的配慮として認めているところでございます。

○原委員 このⅢ類採用選考については、そういう性格のものだということなんですけれども、そうだとすれば、知的障害の方が本当に採用される、そういう試験を考えていく必要があるんじゃないかと私は思います。その話になると、人事委員会の範囲からまたちょっと違う、また全庁的に考えなければいけない課題かなというふうに思いますが、私はそのように思いました。
 合理的配慮というのは、障害者の方を特別扱いするということではなくて、その方に能力を発揮していただくための必要な配慮ですから、そういう点では、このⅢ類採用選考の結果、知的障害の方は合格をしていないという、その事実を見て、それにふさわしい、そうした試験の方法をほかに開拓していくということも必要なのではないかということは、これは意見で述べておきたいと思います。
 愛知県の、先ほどちょっと紹介した、ほかの県でもいろいろあるのかもしれませんが、知的障害者を対象とした愛知県職員採用選考というのは、全てルビが振ってあるんですね。当然、東京都のⅢ類採用選考とは違って、高校卒業程度ではなくて、小学校卒業程度というふうに今年度には書いてありました。そして、どんな仕事をやるのかとか、どんな場所でやるのかということもきちんと説明してあって、受験をしてくださいということを促しているんですね。
 私は、やっぱりこういう、本当に障害者の人たちに積極的にチャレンジしてもらおうと思ったら、それぞれの特性に合った、こうしたやり方を工夫していくということが本当に重要ではないかということをこの場では述べておきたいと思います。
 その上で、このⅢ類採用選考のことですけれども、受験者に対する選考案内について、これについてもいろいろな配慮が必要だというふうに思っています。
 東京都の採用選考についてはどのような改善を行ってきているのか、伺います。

○田中試験部長 採用選考案内につきましては、受験者に内容がわかりやすくなるよう改善に努めております。
 例えば今年度は、ユニバーサルフォントを導入し見やすくすること、給料などの待遇面でもわかりやすく明記することなど、必要な改善に取り組んでまいりました。

○原委員 いろいろ改善を進められているという点では、その努力はぜひ進めていただきたいんですけれども、私は、今の時点で、いろいろありますけれども、ちょっと幾つか改善を求めたいと思っているのは、受験申込書には配慮が必要なことを記入するようにはなっているんですよね。
 それで、本当にもっとこう、先ほどの奥澤委員の質疑の中でも、障害者の皆さんがチャレンジしやすいような、また、そういう案内の仕方というのは本当に重要だなというふうに思うんですが、その中で、例えばコミュニケーション手段を選択するというのがあって、口話法、筆話法、手話法、どれかに丸をしてくださいというふうに書いてあって、この中で、私は要約筆記を入れるべきではないかというふうに思ったんです。
 聴覚障害の方は、手話を使う方だけではありません。また、筆談というふうになりますと、その二人の、書いてくださる方とご本人との二人の関係ではわかるんですけれども、例えば、この試験では全体でグループ討論をするというのも入っていますよね。そうなると、きちんと要約筆記という方法で、みんなが何を話しているかということが画面に要約筆記で映し出されて、それを見ながら議論できるような、そういう配慮も必要になるんじゃないかというふうに思っているんです。私は、そのことをきちんと明記すべきだなというふうに思います。
 採用選考の案内の八ページには、留意事項の一番下のところに、聴覚等に障害がある人への配慮として、手話、筆談に対応しますとあるんですけれども、やっぱり要約筆記というふうに明記をされていないので、これはぜひ改善していただきたいと思います。
 ちょっと具体的な問題ですけれども、お答えをいただきたいと思います。

○田中試験部長 障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考において、現状は、合理的配慮指針にのっとり、聴覚障害の方への配慮として、必要に応じて手話、筆談などを導入し、均等な機会を提供できるよう努めているところでございます。
 これまでも聴覚障害の方が合格しておりまして、適切に対応していると認識しております。

○原委員 済みません、ちょっと確認してもいいでしょうか。適切に対応しているというお答えだったので、そうすると、現状でいいですよということなのかなというふうに、ちょっと思ったんですね。
 合理的配慮については、今後とも、さまざま改善すべきところはして、より障害者の方に積極的に受験をしていただけるようにしていくことが当然必要だというふうに思うので確認をいたしますけれども、現状でいいという認識なのか、それとも、要約筆記についてはここで具体的に出していますので、それをするしないはすぐお答えできないかもしれませんけれども、今後ともそうした改善は進めていくというお考えなのか、その基本的な考え、認識を確認させてください。

○田中試験部長 試験選考の実施に当たりましては、身体障害、知的障害、精神障害といった障害の種別にかかわらず、試験において能力を発揮できるよう必要な配慮を行い、試験の公平性を確保しつつ、さまざまな配慮を実施してきたところでございます。
 ご質問の要約筆記につきましては、試験の正確性、客観性、公平性等について課題がありまして、慎重に判断することが必要だというふうに考えてございます。
 今後、国や他団体等の動向を注視してまいります。

○原委員 今のご答弁で、そうですかという、はい、わかりましたという、正直いって、そういう気持ちではありませんけれども、ただ、他団体の動向や、また、ぜひ実際に聴覚障害の方々の意見も聞いていただきたいと思うんですね。
 中途で耳が、聞こえが悪くなった方とかもたくさんいらして、そういう方々は、要約筆記で全体の皆さんが話していることがわかったり、意思が通じ合えるというふうに大変おっしゃっています。そういう声もよく聞いていただいて、今後の改善を進めていただきたい。
 要約筆記だけではありません。さまざま課題がありますので、ぜひとも障害者の皆さんが積極的にチャレンジできる、そういう試験になるように改善を進めていただくことを求めて、要望として終わりたいと思います。

○山内委員 私からも、障害者雇用についてお伺いしたいと思います。
 二〇一六年四月に施行された改正障害者の雇用の促進等に関する法律で、障害者に対する差別の禁止として、事業主は募集、採用において、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならないとされています。
 しかし、先ほどもお話が出ましたけれども、自力で通勤できる、介護者なしで業務遂行が可能という二つの条件を課している中央省庁、都道府県等自治体があり、法の趣旨に反する差別的な状況だと問題になっています。
 そこでお伺いしたいんですが、受験資格における、介助者なしに職務遂行が可能な人、また、自力で通勤が可能な人という条件について、都の見解をお伺いいたします。

○田中試験部長 人事委員会では、障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考の受験資格において、障害者雇用促進法改正の趣旨を踏まえ、平成二十八年度から、介助者なしに職務遂行が可能な人という資格要件を廃止しており、本年度の採用選考案内では、自力により通勤が可能な人の要件のみ掲げてございます。
 これは、通勤に介助者が同行してよいが、その費用などは被介助者の負担とするという趣旨であり、個別に照会があった際には、その旨を説明しております。
 なお、既に東京都職員採用のホームページ上では掲載しておりますけれども、自力により通勤が可能な人の表現が誤解を招くおそれがあることから、来年度の採用選考案内で見直しを予定しているところでございます。

○山内委員 今、見直しを予定しているというふうにお伺いいたしました。
 法の趣旨にのっとって、障害者団体からは、自力で通勤が可能な人ということに対しても削除が求められております。ぜひ見直しをお願いしたいと思います。
 二〇一六年度の採用から、受験対象を身体障害者の十八歳以上二十八歳未満ということから十八歳以上四十歳未満と、受験年齢を拡大いたしました。そのため、二〇一六年度の採用予定者は三十五人で、受験者が七十三人、合格者が四十二人と、採用予定者を上回って、倍率は一・七倍だという結果になりました。
 二〇一七年度の採用からは、対象に精神障害者、知的障害者を加え、採用試験の対象は拡大をいたしまして、採用予定者は四十五人に対して、受験者が三百十三人、合格者は三十五人にとどまって、倍率は八・九倍にも上りました。その合格者三十五人のうち、身体障害者は十二人、精神障害者は二十三人ということです。障害者の雇用のさらなる拡大が求められる中、こうした三十五人という、非常に少なくなったことは残念な結果だと思っております。
 二〇一七年度に対象を拡大するに当たってどのような配慮を行ったのか、お伺いいたします。

○田中試験部長 個別面接の際、就労支援機関の職員の同席を合理的配慮として認めたほか、受験者の状況に応じて、受験する部屋の大きさや席の配置など、可能な範囲の配慮をしているところでございます。

○山内委員 二〇一七年度の採用試験では、第二次選考で、これまで行っていた身体検査をやめてグループ討議にしたということを聞いております。その理由についてお伺いいたします。
 また、グループ討議を審査する選考には障害の理解も必要と考えますが、どのように行っているのか、お伺いいたします。

○田中試験部長 グループ討議の意義は、受験者の取り組み姿勢、社会性、リーダーシップ、発想力、物事の考え方、協調性、行動力、コミュニケーション力などを見るものでありまして、グループ討議単体ではなく、個別面接とあわせ、総合的、多面的に人物を見ることが目的でございます。
 身体検査につきましては、健康と勤務の関係について面接で確認できること、グループ討議の導入により選考時間が延びること、また、受験者の負担軽減などの理由から廃止いたしました。
 なお、グループ討議及び個別面接の実施に当たり、面接員の障害に対する理解促進のため、合理的配慮指針や総務局で作成している合理的配慮の提供に関する事例集を配布しております。

○山内委員 二〇一八年度の採用試験が先日終了したということですけれども、採用予定者数と申込者、受験者数、合格者数、そして内訳、倍率についてお伺いいたします。

○田中試験部長 平成三十年度の採用予定者数は四十人、申込者数が二百七十三人、受験者数が二百五人、合格者数が四十人、倍率が五・一倍となっております。
 合格者の内訳は、身体障害者の方が十六人、精神障害者の方が二十四人でございます。

○山内委員 二〇一八年度の採用予定者数ですか、昨年度より五人減少して四十人になっているかと思います。障害者雇用を促進していくという目標を掲げたにもかかわらず、非常に消極的ではないかと考えます。
 人事委員会は、勤務時間その他の勤務条件、研修、厚生福利制度、その他職員に関する制度について絶えず研究を行い、その成果を議会もしくは任命権者に提出することを主な業務の一つとしています。
 障害者雇用を促進するための人事委員会としての取り組みについてお伺いいたします。

○矢岡任用公平部長 東京都人事委員会は、都議会及び知事に対し、地方公務員法の規定に基づきまして、職員の給与についての報告及び勧告並びに人事制度等について報告を行っております。
 障害者採用の促進につきましては、これまでも国や民間等の動向を絶えず研究、検証し、人事委員会勧告の中で必要な意見を申し述べております。
 本年の勧告におきましては、今後、各職場において障害のある職員がふえていくことを見据え、職場レベルでの研修の実施や専門的な相談、支援の充実なども視野に入れ、サポート体制の強化を進めていく必要があることなどを言及いたしました。

○山内委員 障害者の雇用の促進をうたっているにもかかわらず、不適切な応募条件等、採用の門戸を狭めるという障害者団体からの指摘があります。また、採用予定者自体が減少しているということも課題かと考えております。
 障害者の採用試験に関する応募要件や受験時の合理的配慮の提供については、障害者団体等の意見、要望を聞き、見直しを進めていくよう要望いたしておきます。
 次に、採用試験における性別明記についてお伺いしたいと思います。
 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が成立いたしました。LGBT等の人への配慮が必要です。
 採用選考申込書に性別を明記する理由についてお伺いいたします。

○田中試験部長 人事委員会では、会場の設営など、採用試験等を円滑に実施するため、事前に男女の数を把握することが必要でございます。
 また、任用や受験者の動向分析など統計上の必要性から、受験申込書の中で、住所、氏名、生年月日等とともに、性別を記入していただいております。

○山内委員 性別ということに関して私が注目したのは、医学部の入試の女性差別問題というのが大きな話題になっているからなんですが、東京都の採用試験の合否に必要がないならば、削除すべきではないかと考えますが、今後の対応についてお伺いいたします。

○田中試験部長 性別をめぐるさまざまな課題につきましては、都においても、さきに制定された東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例に基づきまして、基本計画策定に向けて議論がされているところでございます。
 採用試験の円滑な実施や統計上の必要性から、受験申込書の中で、住所、氏名、生年月日等とともに、性別を記入していただいております。
 今後とも、東京都職員を志望される方々の人権に十分配慮するとともに、庁内での議論や国、他団体の動向を見据えつつ、適切に対処してまいります。

○山内委員 今のご答弁で、庁内での議論あるいは国や他団体の動向を見据えてということだったので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 といいますのも、リクルートスーツやエントリーシート等の性別記載等の性別分けがあるために、戸籍性との違いが不利益の原因になるということがあると聞いております。採用において、例えば服装や外見、言動、採用選考申込書の性別の記載等が戸籍性と合致していないことに関して差別を行わないことが重要であり、そのことを採用選考の案内に明記する必要があると考えております。
 人材採用担当者や面接官に対して、SOGI、性的指向や性自認についての理解や当事者の置かれている状況、面接等でのやりとりにおいて生じ得る差別やハラスメントの具体例やその解決策等の研修を行うなど、性的指向、性自認に基づく採用差別を禁止するように求めて、私の質問を終わります。どうぞよろしくお願いします。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○小松委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小室総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料六点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料によりましてご説明申し上げます。
 初めに、一ページをお開きください。1、国際金融都市・東京構想に係る経緯及び費用でございます。
 平成二十九年十一月に策定いたしました国際金融都市・東京構想について、経緯及び年度別の費用等を記載してございます。
 次に、二ページをお開きください。2、東京、シンガポール、香港の国際金融都市としての比較でございます。
 国際金融都市としての東京の現状につきまして、世界的な地位を示す指標であります国際金融センターインデックス、法人実効税率、株式時価総額等により、シンガポール及び香港と比較して示してございます。
 次に、三ページをごらんください。3、東京都における国家戦略特区の取り組み状況でございます。
 平成三十年十一月十五日現在の取り組み状況を、六ページにかけまして分野別で記載してございます。
 次に、七ページをお開きください。4、アジアヘッドクオーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
 外国企業発掘・誘致事業における目標、実績及びこれらを含む特区内への外国企業の誘致目標、実績を記載してございます。
 次に、八ページをお開きください。5、小池知事就任後の海外出張状況でございます。
 小池知事就任後、現在までの海外出張について、出張先、期間、宿泊部屋タイプ、航空機の座席クラス、参加人数及び費用を記載してございます。
 なお、先日のロンドン、パリ出張の費用につきましては、費用の精算が完了していないため、概算額を記載しております。
 次に、九ページをごらんください。6、全庁横断の会議体や検討会の設置及び開催状況でございます。
 当局が事務局となっております全庁横断の会議体や検討会につきまして、名称、開催目的、開催実績及び構成局を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料についてご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○増田委員 それでは、私の方から、国際金融都市構想、そして、それに関連して国家戦略特区について質問させていただきます。
 国際金融都市・東京構想につきましては、都が進める三つのシティーのうち、スマートシティーの中心的政策として、平成二十八年十一月から二十九年の十月にかけて計八回行われた国際金融都市・東京のあり方懇談会の議論を経て、昨年十一月に取りまとめられたものであります。
 懇談会のメンバーについて特筆されますのは、それぞれの金融界のトップが一堂に会した、具体的にいいますと、全銀協、証券業協会、損保の協会、そして投資顧問協など、これだけ多くの金融界それぞれのトップが一堂に会した、そして、それに加えてシティー・オブ・ロンドンのメイヤー、あるいは東京に拠点を置く外資系金融機関の協会である国際銀行協会、これらが全て集まって議論したということでは、当時考え得る、恐らく最高のメンバーがそろったのではないかなというふうに考えております。そういった意味では、非常に画期的な取り組みであったというふうに私も見ているところでございます。
 内容としましても、抽象的な展望、そして具体的なアクションなど、非常に多面から議論されていまして、内容も非常に濃いものになっている、このように思うわけであります。
 一方で、やはりそれだけの専門家が集まって練られたものでありますので、ややもすると、一般の都民からしてみると、非常にわかりにくい面もある。金融の専門用語もたくさん出てきますし、横文字もたくさん出てくる。そういった意味では、一般の都民からしてみると、確かに、この構想を進めて、それは結構だけれども、納税者たる我々には一体どんなメリットがあるんですかと、こういうような疑問が当然湧くわけでありまして、それを聞かれたときに、きちんと答えられるようにしておくということも非常に重要なことではないかと思うわけであります。
 そこで、初めに、そもそもこの問題意識として、国際金融都市・東京構想を推進することで、都民が具体的にどのようなメリットを実感できるようなものであるのか、これについて伺います。

○田尻戦略事業担当部長 東京において金融産業を活性化し、国際金融都市を実現していくことで、都民に対してさまざまなメリットがもたらされると考えております。
 まず、銀行からなかなか融資を得ることができない有望なベンチャー企業などに対して資産運用業者が出資などを行うことによって、その成長、発展を促し、もって都民の雇用や給与の充実を図るということが実現するかと思っております。
 次に、国内外から新たに多くの金融商品が都民に提供されることで、国の進める貯蓄から投資へという流れを後押しし、都民の安定的な資産形成に寄与するものと考えております。
 さらに、フィンテックの活性化を通じまして、例えば携帯電話を活用した決済サービスなどが都民に提供されることで、時間や手数料等の節約につながり、都民の利便性が向上するというふうに考えております。
 以上のような都民に対するメリットを常に意識いたしながら、構想に掲げる施策に取り組んでまいりたいと考えております。

○増田委員 今、具体的に都民一人一人に対してのメリットということを列挙していただきましたけれども、引き続き、このプランを実行していくに当たりましては、外資系企業の誘致であるとか、そして従業員に対してのさまざまな優遇というのが出てくるわけなんですけれども、やはりそれ自体が目的化するのではなくて、最終的に、その結果、どのような恩恵が都民にもたらされるのか、こういうような視点に常にご留意いただきたいというふうに思う次第であります。
 次に、そもそもこの構想においては、アジアにおいてライバル都市、具体的には香港やシンガポールというところでありますけれども、そこに対して東京がおくれをとってしまった、その地位を挽回しようというところから始まっているものであります。
 そういった意味では、そのような相対的な国際都市間の競争に勝つ、そのためのプランという側面もあるので、まず、なぜそのように東京の地位が低下してしまったのかという要因分析と、そして、その相対的な競争に勝つための作戦の立て方、これは非常に重要だと思うわけです。
 そこで、東京がなぜシンガポールや香港の後塵を拝する状況になったのか、その背景とそれに対する対応について確認をしたいと思います。

○田尻戦略事業担当部長 背景といたしましては、まず、日本の銀行は、かつては積極的にリスクをとって貸し出しや株式投資を行ってまいりましたけども、国際的な金融規制等の影響によりまして、預金に対する貸出金の割合を示す、いわゆる預貸率が年々低下していくなど、現在では企業に対する資金供給機能が十分に果たされていないというような状況かと思っております。
 また、株式投資などの形で企業にリスクマネーを供給する役割を担う資産運用会社の数を見ますと、日本はシンガポールや香港と比べて大きく劣後してございます。
 さらに、新たな成長分野として注目をされているフィンテックにつきましても、東京の国内フィンテックベンチャーの資金調達額は、他のアジア諸国に比べると、その規模は劣っているというふうに見ております。
 こうした状況については、国際金融都市・東京のあり方懇談会などでも議論されておりまして、都といたしましても、国際金融都市としての東京の地位の低下につながったのではないかというふうに見ているところでございます。
 これらの背景のもとに、懇談会での議論を受けまして、昨年の十一月に国際金融都市・東京構想を策定いたしまして、現在、シンガポールや香港との競争に勝ち抜いていくための具体的な施策を展開しているところでございます。

○増田委員 他の都市との勝った負けた、あるいはランキングが下だ上だというところを見るのは、恐らくグローバル・ファイナンシャル・センター・インデックスという、あるシンクタンクがまとめているランキングを見ているかと思うんですけれども、昨年まで東京は五位でございました。
 ところが、つい最近発表されました最新の二〇一八年版によりますと、東京は、さらに上海にも抜かれて六位なってしまったと。ですので、香港、シンガポール、そして上海にも抜かれたというところが現在の東京の立ち位置でございます。これはちょっと今申し添えておきたいと思います。まさに待ったなしの状況というところではないかと思います。
 一方で、東京には、金融市場として、情報インフラが非常に安定しているとか、裁判制度が究極的には非常にしっかりしているとか、やはり外資系金融から見ても非常にいいところもあります。
 ですので、金融市場としての要因、そして都市としての要因ということをしっかり分けて、東京のいいところもしっかり前面に出して、集中的に弱いところに手を打つというような取り組みが重要ではないかと思います。
 次に、本構想における目標設定について伺うんですけれども、やはり本構想を成功裏に進めていくためには、適切な目標設定をするということは非常に重要だと思います。
 これについては、本構想の目標として今掲げられておりますのは、施策等の取り組みを通じて、東京が世界に冠たる国際金融都市として輝くことを目指す、このようにあります。そして、数値目標としては、金融系外資系企業を四年間で四十社以上誘致する、このようにあるわけです。
 一方で、リーマンショックの直前がピークだったとしますと、これは正式な統計でも何でもないんですけれども、国際銀行協会、IBAの事務局をやっている知人に聞きましたところ、恐らくピーク時は、東京にいた外資系金融機関の従事者というのは大体二万人ぐらいだったのではないか、今は恐らく一万人を割れているぐらいじゃないでしょうかというふうにいっておりまして、私の肌感覚としても、恐らくそんなものじゃないかなというふうに思うわけであります。
 それを取り戻そうということであれば、相応の会社の数あるいは人数を取り戻さなければいけないんじゃないかと思うんですが、一方で、昨今の金融業界というのは非常に、AIの普及などによりまして、余り人数を要しない、そういう業態に急速に変化してきているという面もあります。
 そこで、社数だけではなくて、本来、その構想の成否を適切に--社数だけを見ていると、その構想の成否を適切に評価できない可能性があるのではないかとも思うんですけれども、そこで、都としてはどのような観点で金融系外資系企業の誘致を図っているのか、伺います。

○田尻戦略事業担当部長 東京の金融市場を活性化し、事業者間の競争を促すために、平成二十九年度から四年で四十社の誘致目標を掲げて金融系外国企業の誘致に取り組んでいるところでございます。
 金融系外国企業の誘致を進める際には、まず、本構想にて重視をしております資産運用業者やフィンテック企業であることに加えまして、誘致企業が国内金融の機能を補完するものなのかどうか、都内経済への波及効果が見込まれるのかどうか等の観点から候補を選定しているところでございます。
 具体的には、資産運用の額であるとか、ビジネスモデルの優位性や独自性、技術の先進性、表彰歴、東京進出の関心度等を総合的に判断しているところでございます。
 このような視点によりまして、都内経済の活性化や都民生活の向上につながるような金融系外国企業の誘致を進めていきたいというふうに考えております。

○増田委員 今のご説明で、一定の実のある、中身のある会社の誘致を図るというようなことを意識されているということかと理解いたしました。
 一方で、繰り返しになるんですけれども、本件のこの構想の成否をどこかで数年後にはからなければならないというときに、会社を何十社誘致できましたというだけでは、やはりこの構想の成否の本質というのを見失ってしまうのではないかなという気がするわけです。
 例えば、本当にこれは一案でありますけれども、外資系金融機関というのを誘致するのであれば、外資系金融機関というくくりで、そこに従事する人の従業員数、そして運用資産残高、そのトレーディングの金額、あるいは、そこから、外資系企業とくくった中での企業からの税収ですとか、そういったものを客観的にはかれる指標をモニタリングしていく必要もあるのではないかなということを意見として申し上げたいと思います。
 次に、今まさに話に出ましたフィンテックについてなんですけれども、フィンテック、まさにいろんなところで議論になるわけですけれども、非常に新しい分野でもありますし、それがゆえに、人によって言葉の捉え方も違う、あるいは、そもそもわかっていないという人も多くいらっしゃると思います。
 多分、一般的な定義的には、新たなICT技術をもって、従来の金融業の外にいた人たちが新しい金融業を創出することというようにいわれているのが一般的ではないかと思いますし、私もそのように整理しているわけです。
 ですので、既存の金融業者が新しい技術を開発しても、それはフィンテックとはいわない。既存の金融業界の外にいた人が新しい金融技術をもって新しいフィールドをつくる、それがフィンテックだと思うわけなんですけれども、その内容も、送金などの決済系の技術であったり、あるいは仮想通貨であったり、セキュリティー認証であったり、そして、その資金の出し手と取り手を結びつけるプラットフォーム、いわゆるP2Pなどといわれておりますけれども、そのようにいろんな分野に多岐にわたっているわけであります。
 そこで、本構想においては、フィンテックというのは一つのキーワードになっておりまして、その産業の育成というのは非常に重要であると考えるわけですけれども、都は、進歩が著しいフィンテック技術を海外から取り込むためにどのような取り組みを行っているかを伺います。

○田尻戦略事業担当部長 平成二十九年度から、先進的な技術やビジネスモデルを持つ海外フィンテック企業を呼び込み、都内経済の活性化につなげるアクセラレータープログラムというものを開始しているところでございます。
 本プログラムでは、国内金融機関等のメンター企業の意見を参考にいたしまして、参加する海外フィンテック企業を選定しているところでございますけども、委員ご指摘のとおり、さまざまな分野にわたり、幅広い分野の技術やサービスが取り上げられているというところでございます。
 具体的には、平成二十九年度は八社、三十年度は十一社の企業を選定してございますけども、その分野は多岐にわたりまして、従来からあるような決済分野、投融資分野に限らず、顧客のサポート、保険の開発、セキュリティー、デジタルマーケティング等々のさまざまな分野に及ぶ企業が選定をされているところでございます。
 本年度につきましては、まさに現在、十一の企業が参加したプログラムが進行中でございまして、国内金融機関等とのビジネスマッチングやネットワーキングイベントを経まして、今月末のビジネスプランの発表会を目指しているところでございます。
 本プログラムによりまして、一つでも多くの海外フィンテック企業の誘致につながることを期待しているところでございます。

○増田委員 既に、さまざまなイベントを通じて、誘致活動を非常に力を入れてやっていらっしゃるということかと思います。
 この分野は、まさに今、激しく動いている日進月歩のところでございますし、未知の部分が多いがゆえに、大きな可能性もまた感じる分野であります。恐らくスタンスとしては、まずは自由な活動の場を提供する、そういうようなスタンスで、その分、実入りとなる分はちゃんと落としてもらうというようなスタンスでよろしいのではないかというふうに思うところであります。
 次に、外資系企業誘致の具体的な取り組みについて伺います。
 金融庁へのライセンス登録に係る手続等、そういったサポートを行う金融ワンストップ支援サービス、あるいは主要海外都市における窓口、アクセス・ツー・トウキョウの設置が既に行われておりますけれども、外資系金融企業誘致におけるそれらの利用状況、そして、それに対する現在の評価を伺います。

○田尻戦略事業担当部長 金融ワンストップ支援サービスにつきましては、平成二十九年四月に丸の内で運用を開始しておりまして、同時期に金融庁が開設をいたしました金融業の拠点開設サポートデスクというものと緊密に連携をしながら、東京進出に際して、ビジネス面及び生活面にわたるさまざまな課題の解決を支援しているところでございます。
 昨年度は合計百五十八件の対応の件数がございまして、相談内容といたしましては、金融規制に関することであるとか、日本におけるビジネス展開、そういうものが多かったというふうに承知をしております。
 利用者からは、法律相談の事前に、この窓口で無料で相談をできるという点であるとか、金融庁など規制当局にも一緒に同行してもらえるというような点で、高く評価をしていただいているというところでございます。
 一方、海外誘致窓口、アクセス・ツー・トウキョウにつきましては、ロンドン、パリ、サンフランシスコ、シンガポールの四拠点に設置をいたしまして、金融分野を含めまして、広く現地での誘致活動を実施してきているところでございます。
 昨年度の金融分野の利用状況といたしましては、このアクセス・ツー・トウキョウから八百八十六社の外資系の金融企業へのコンタクトを実施いたしまして、四十八件の面談を実施し、その中から、九社から、先ほど申し上げたフィンテックアクセラレータープログラムへの応募がございまして、着実に成果が出ているというふうに考えてございます。
 引き続きまして、海外、国内双方の相談窓口を使いまして、東京進出を目指す金融系外国企業に対する支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

○増田委員 特にアクセス・ツー・トウキョウにつきましては、専門の業者を使っている話でもございますので、やはり費用対効果といいましょうか、コスト意識というのは非常に大事ではないかと思います。ですので、運用も硬直的にならないように、常にその効果というのをぜひ見直していただきたいと思います。
 例えば、今は、その設置拠点というのはロンドン、パリ、サンフランシスコ、シンガポールということですけれども、そういう大都市ではなくて、ひょっとしたらインドのムンバイかもしれないし、当然シリコンバレーかもしれないし、あるいは、東南アジアのより新興都市の方が東京に出たがっている人たちというのが多くて、東京のことを知りたがっている人も多いかもしれません。そのように、常にこの運用につきましては柔軟に見直していただきたいというふうに、希望として申し上げたいと思います。
 次に、やはり同じく、本構想のもう一つの柱であるEMP、エマージング・マネジャー・プログラムについて伺います。
 これなんかは、まさにちょっと専門的でわかりにくい部分ではないかと思うんですけれども、東京が今ライバルとなっている香港やシンガポールに比べて文句なしに圧倒的にまさっている部分、これは何かというと、個人の金融資産。これがまだ大半が銀行預金、ゆうちょの預金、たんす預金に眠ったままであるということ、お金が動いていないということであります。潜在力が非常にあるということ、これは千八百兆円ともいわれているわけなんですけれども、これらをいかに貯蓄から投資に向かわせるかというところが非常に重要なところでありますし、東京、日本の潜在力でもあるわけです。
 そして、そのお金を動かすために必要なアドバイザーが投資顧問業であるわけでありまして、それの新興業者がエマージングマネジャーであるわけです。これを育成していこうというのがこのプログラムというわけなんですけれども、本構想においては、東京版EMP、エマージング・マネジャー・プログラムですね--これはアメリカでは一定の成果を上げている。能力がある若手、新しい業者を、何らかの理由でなかなかその実績が上げられない、そういう若い業者をどんどん積極的に登用していこうという、そういう発想なわけですけれども、その東京版EMPの導入を掲げておりますが、これまでの東京版EMPファンドの運用事業者の申し込み実績、そして、それに対する現時点での評価について伺います。

○田尻戦略事業担当部長 東京版EMPファンドの運営事業者につきましては、本年九月までの募集をしてございました。
 その結果、国内外から応募がございまして、外部有識者を含む選定委員会の審査を経まして、三社を東京版EMPファンド運営事業者として認定いたしました。今後、それぞれが設定したファンドから、都内の新興資産運用業者への分散投資が行われる見込みとなってございます。
 東京版EMPの導入につきましては、日本初の取り組みではございましたが、このように複数の社からの応募がございまして、東京における新興資産運用業者の育成というものに対する重要性が一定程度理解されたものというふうに考えているところでございます。

○増田委員 これまでの実績が三社、その数字が十分なのかどうかというのは、ちょっと評価としてわかりませんけれども、いずれにしましても、個人金融資産を貯蓄から投資に向かわせるという、その方向性だけは、東京にとって非常に重要なことだと思いますし、EMPのような取り組みを通じてそういった流れをつくり出すこと、これは非常に引き続き重要なものだ、その重要性については変わらない、このように理解いたします。
 次に、高度金融人材を東京に引きつけるための国家戦略特区の活用状況について伺います。
 外資系金融機関がどこに拠点を構えるか、それを検討する際、当然、候補地を横に並べて検討するときに、そのまちでの生活面の利便性というところも非常に重要視されるところかと思います。
 国際金融都市・東京構想を成功裏に導くためには、そのような高度金融人材を世界中から引きつけることは非常に重要でありまして、平成二十八年十二月に策定された海外金融系企業の誘致促進等に向けた当面の対応というのがまとめられておりますが、その中に国家戦略特区の活用による外国人の生活環境整備という項目がございます。
 そこで、これまでに実際に導入された施策があるのかどうか、そして、あるとすれば、その実績と外国人からの評価について伺います。

○米津国家戦略特区推進担当部長 今お話のございました、いわゆる当面の対応におきましては、国家戦略特区の活用によります生活環境整備といたしまして、一つ目、家事支援外国人受入事業の活用、それから、高度金融人材誘致促進に資する在留資格特例の実現、外国人医師の特例の活用、そして、インターナショナルスクールの誘致の四つの対応策を位置づけているところでございます。
 まず、一点目の家事支援外国人受入事業につきましては、昨年二月から事業を開始いたしまして、本年十月一日時点でございますけれども、認定事業者が四百十七名の外国人スタッフを受け入れているところでございます。
 外国人利用世帯の評価につきましては、英語でのコミュニケーションも含め、サービスの質が高い、このように認定事業者から報告を受けているところでございます。
 また、ご指摘の高度金融人材誘致促進に資する在留資格の特例でございますけれども、平成二十九年四月に高度人材ポイントの特別加算等を提案したところでございまして、現在、国において実現に向けた検討が進んでいる、このように承知しております。
 また、外国人医師の特例でございますけれども、聖路加国際病院及び聖路加メディローカス、トウキョウメディカルエンドサージカルクリニックにおきまして活用されておるところでございます。
 外国人利用者からは、英語で丁寧に対応してもらい、安心して受診できた、このような声がございまして、おおむね好評であると、医療機関から報告を受けているところでございます。
 最後に、インターナショナルスクールの誘致でございますけれども、八重洲二丁目中地区及び虎ノ門・麻布台地区におきまして、インターナショナルスクールの整備に向けた計画が都市計画法の特例として認定を受けているところでございます。

○増田委員 具体的にいろいろと今ご説明をいただいたわけでありますけれども、例えば東京は、観光地としては、非常に今、外国人に人気がある。これはやはり、東京、日本にはこんなおもしろいところがあるぞ、いいところだぞということが自然に口コミで広がって、今のこのような人気になっているという側面が非常に多いんじゃないかと思うんですけれども、同様に、そういったアジアへの進出を考えている外資系企業にとっても、東京というのはこれだけいいところだよというところが自然に広がる、そういった評価を受けるということも重要だと思います。
 一方で、過剰な優遇というふうにいわれない程度にするということもまた、留意は必要だと思うんですけれども、そのようなところで引き続き進めていただければと思います。
 最後の質問になりますけれども、英語対応の件についての質問であります。
 日本にいる金融界の外国人と話をしていて本音で語ったときに、一番何が問題だろうかというときに、必ず最後に出てくるのが、そうはいっても、日本は言葉の問題があるよねという問題であります。
 これは、日本に長年駐在している外国人は余りいわないんです。なぜなら、そういった人たちは、自分自身が日本人材としての日本語をしゃべれるという価値を持っているので、逆に全ての外国人が入ってきてしまうと、自分たちの価値というのがちょっと脅かされてしまうので、これはなかなかいわないんですけれども、実際には、みんな心の中で思っている一番のバリアというのはこの部分かなと。
 例えば、香港や上海、そしてシンガポールはもちろんなんですけれども、行政の文書は全て英語のはずであります。私も以前、日本の銀行の香港支店に五年ほどいたことがあるんですけれども、何しろ非常に評価が高い。ここは非常にいいよねと。なぜならば、やはり行政手続が簡便で、かつ、全て書類は英語で完結するということをみんないっておった次第でありまして、例えば、そこのときに、香港政庁に出す書類は全部広東語にしてくださいよ、北京語にしてくださいといわれたら、これは誰もそこに拠点は開かないわけでありまして、翻って、今、じゃ東京はどうかというと、ほとんどの書類は全て日本語にして出さなければいけないという、これはやはり大きなバリアになっていると思うわけであります。
 先ほど触れました、グローバル・ファイナンシャル・センター・インデックス二〇一八年版で東京がさらにランクを一つ落としたといいましたけれども、そのスコア項目の詳細を見ますと、ビジネス環境という項目がありまして、そこは東京は十位にとどまっております。当然、その主たる要因というのが、言語の壁であるということは容易に推察されるわけであります。
 今現在、都の方で打たれている施策、ワンストップセンターにおける手続あるいは英文手続マニュアルの作成などは、要するに、日本語の文章にするのをサポートするということで、あくまでも英語の文書そのものを行政サイドが受け付けるというのは、伺っているところですと税務ブースでの実施にとどまっている、このように理解しているところであります。
 やはりこの点が一つの大きなネックになっているのではないかと思うわけなんですけれども、この点、東京開業ワンストップセンターにおける英文による申請手続、その対応状況と今後の英語化への見通しについて伺います。

○米津国家戦略特区推進担当部長 いわゆる国際金融都市・東京構想の具体的取り組みの中の一つに、ご指摘の東京開業ワンストップセンターでございますけれども、英語申請を導入いたしまして、外国人の開業手続の利便性向上を図るということが掲げられているところでございます。
 この東京開業ワンストップセンターでございますけれども、外国人を含めた開業を促進するため、平成二十七年四月に国と都が共同で開設いたしまして、法人設立などに係ります各種手続の支援を総合的に行う窓口となっております。
 こちらのセンターでは、先ほど申し上げました構想実現のための取り組みの一つといたしまして、理事ご指摘のように、平成二十九年十二月、国税及び都税の税務ブースにおいて英語申請を開始したというところでございます。
 また、ジェトロ対日投資報告二〇一七におきましても、外国企業が日本でビジネスを展開する上での阻害要因といたしまして、行政手続の複雑さ、こういった点が挙げられておりまして、開業を希望する外国人の負担を軽減する上で、申請書類の英語化というのは非常に重要な役割を果たすものと認識してございます。
 申請書類の英語化に向けましては、法令改正など、さまざまな課題がございますけれども、先ほど申し述べました都税、国税以外のその他のブースへの英語申請の導入につきまして、国などの関係機関、関係主体に働きかけていく、こういうつもりでまいりたいと思っています。

○増田委員 最後に結びになりますけれども、やはり国際金融都市・東京構想は、東京が二〇二〇という年を超えて、さらに成長を遂げていくために、本当に大事な成長戦略そのものであるというふうに考えております。
 そして、そのためには、今の構想の中にある二本の柱、都民の金融資産を貯蓄から投資に向かわせること、そして、フィンテックなどの新しい分野を積極的に誘致して、その可能性の芽を育てていくこと、この二つは引き続き継続していくべきことだと思います。
 そして、その際に、冒頭に申し上げましたけれども、それが常に都民にとってどのような利益になるのかというところに軸を置いていただくことも忘れてはならないことだと思います。
 そして、それをはかるための適切な指標ですね、社数だけではない適切な指標というのも定めて、それをモニタリングし、評価していくことも必要ではないかと思います。
 非常に変化が早い新しい分野でございますので、この運用につきましては、柔軟に見直しをしていくことが重要ではないかと考えるところでございます。これを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二十五分休憩

   午後三時四十分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○鈴木委員 休憩前に国際金融都市についての質疑がありましたけれども、私も国際金融都市・東京構想について、東京のこの取り組みの意義と、そしてまた、今後の展開についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
 東京都が国際金融都市を再度標榜する背景には、アベノミクスと同じく成長戦略の必要性があります。少子高齢化の進展、人口減社会という成長制約の壁を打ち破るためには、都が率先して東京の成長に資する取り組みをしていくことが重要であり、その取り組みなしに激化する都市間競争に打ち勝つことはできず、持続可能な東京の実現もありません。
 しかしながら、これまで、東京の国際金融機能を強化しようとする構想や、その具体的取り組みは、バブル経済崩壊後、何度も提起されてまいりましたけれども、十分な成果をおさめることはできませんでした。
 その要因として、日本経済が長期にわたって苦しんだデフレの影響が大きかったと、まず考えられます。金融が担う資金仲介機能は、信用が拡大する局面において、より効果的に発揮されるわけでありますけれども、逆に信用収縮が進むデフレ環境のもとでは、その機能が発揮されにくく、かかる環境において、東京は国際金融センターを志向する次元よりも、安全資産、国の債権を扱う国際金融センター化した状況になってしまっていたわけであります。しかも、こうした長期のデフレ環境において、金融の活性化という発想自体が、国民の視点の外に追いやられてしまった面がありました。
 改めて述べるまでもなく、経済活動は人々や企業、国家の生存を支える基本的な活動でありますが、金融は、そうした経済活動の根幹にあります。
 経済は、生産と消費が循環して機能する総合体でありますので、生産と消費は、生産物をまず消費者が入手して消費することでつながり、また、その消費者は、生産活動に参加して対価を得ることで生産物を入手することができます。この交換を媒介するのが金融であり、金融は、生産者と消費者だけでなく、政府とこれら市場プレーヤーとの関係も媒介するわけであります。
 したがって、経済の循環も構造も、すべからく金融を媒介として形成されており、その意味で、金融は経済活動の根幹といわれるわけであります。
 だからこそ、金融がその機能を発揮して実体経済の成長を支えていくことは大きな意義があるとともに、経済が成熟化する中で金融の重要性が増すことは歴史的な必然であります。
 同時に、今日、日本の経常収支の構造は、貿易収支ではなく、所得収支の黒字に依存しているように、今日の日本は、金融資産を初め、過去の蓄積が生み出した資産への運用の依存を高めていかざるを得ない環境に今置かれているわけであります。そうした中で国民の生活水準を維持向上させていくためにも、一千八百兆ともいわれる個人金融資産を有効に活用していく視点は極めて重要であり、東京の成長戦略の重要な柱として金融を位置づけていくことは不可欠なことであるわけです。
 そのために、金融の発展を支援する動きや、金融の重要性に関する国を挙げてのコンセンサスづくりがまず出発点となると思います。同時に、海外に向けてもその本気度を示すことが、これから何よりも重要になってまいります。
 国際金融都市・東京構想の全貌という著書に、今回がラストチャンスとの危機感を持って構造的、本質的な課題に踏み込み、抜本的な克服策を見出していかなければならない、これまで類似の検討が繰り返されてきた経緯を踏まえると、今回は単に議論で終えるのではなく、必ずや具体的な行動に結びつけていかねばならないと、知事の決意がつづられておりました。
 都はこれまで、二〇一五年の舛添前知事が東京国際金融センター構想を発表し、東京を国際金融都市にするために取り組みを進めてまいりましたが、まず、その取り組みを今どのように総括しているのかをお伺いいたします。

○田尻戦略事業担当部長 東京を国際金融都市にするための取り組みは、これまでも官民さまざまな主体で検討されてきておりまして、東京都も、平成二十六年七月に東京国際金融センター構想に向けた取組というものを発表いたしました。
 この中の取り組みといたしまして、例えば東京市場の活性化を図り、その存在感を高めるために、平成二十七年五月に東京都外債を東京プロボンド市場に上場いたしました。
 また、国際金融センターで活躍できる人材を育成するために、平成二十八年四月から、首都大学東京に高度金融専門人材養成プログラム開設などの取り組みを行ってきたというところでございます。
 こうした取り組みが、昨年策定をいたしました現在の国際金融都市・東京構想における施策につながっているというふうに考えているところでございます。

○鈴木委員 舛添前知事の東京国際金融センター構想、構想の発表からすぐに舛添前知事の辞任により、十分な成果を出す間もなく終わってしまったわけでありますけれども、時を同じくして出された、日本経済研究センター、大和総研、みずほ総合研究所の大手シンクタンク三社が共同提言した東京金融シティ構想の実現に向けてと合わさり、東京金融資本市場の活性化を成長戦略の柱と位置づける方針が明確に打ち出されたこと、そして、今の答弁のように、東京市場の活性化を図り、その存在感を高めるために、東京都外債を東京プロボンド市場に上場したり、国際金融センター機能のかなめである人材育成に着手というような取り組みが、少なからず、そうした流れを踏まえて今回の取り組みにつながっているというふうに思われます。
 その後、知事がかわり、現在、平成二十八年度からは国際金融都市・東京のあり方懇談会が開催され、平成二十九年十一月に都が策定した国際金融都市・東京構想においては、金融人材、そして、資産、技術が集積する国際金融都市東京を目指すとされたところでありますけれども、これまでの取り組みとどこが違うのかを改めてお伺いいたします。

○田尻戦略事業担当部長 今回の構想は、国内外の企業経営者、多くの金融業界、団体の長、大学教授等の幅広い専門家を集めた懇談会による約一年間の議論を受けて策定されたということに加えまして、構想の内容といたしましても、例えば海外金融系企業の誘致を強化するといったこと、特に資産運用業やフィンテックに焦点を当てた支援策を盛り込んだこと、さらには、ESG投資など、世界のトレンドを受けた取り組みを進めることなど、東京に不足をしている新たな方向性を盛り込んでおりまして、これらが、これまで取り組んできた国際金融に関する都の取り組みと異なっている点であるというふうに考えております。
 都は、この構想に基づきまして、本年度予算に約五億円を計上いたしまして関連事業を実施するとともに、シティー・オブ・ロンドンとの合意書、MOUの締結でありますとか、金融庁との積極的な連携、さらには官民一体となった金融プロモーション組織の設立など、国内外からの協力、連携を進めながら、これまで以上に東京における金融の活性化に取り組んでいるところでございます。

○鈴木委員 先ほどの質疑にもありましたけれども、国際金融都市・東京構想においては、今、答弁がありました、特に資産運用業とフィンテック企業の振興に焦点を当てて、そして東京の金融業の活性化につなげることが柱であるということであります。
 そこで、資産運用業者の育成策の一つとして掲げられているのが新興資産運用業者育成プログラム、いわゆる東京版EMP事業でありますけれども、そのEMP事業の意義、そして、内容についてはどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

○田尻戦略事業担当部長 東京版EMPは、都が機関投資家に対してインセンティブを与え、新興資産運用業者への資金拠出を後押しする取り組みといたしまして、本年度から開始をした事業でございます。
 九月末まで東京版EMPファンドの運営事業者を募集した結果、国内外からの応募がございまして、日本と米国の資産運用業者三者を運営事業者として認定したところでございます。
 東京版EMPの導入によりまして、資産運用業の裾野を広げ、業者間の競争を活性化することにより、資金を預ける都民やリスクマネーの供給を受ける都内中小企業の双方がメリットを受けられる、そのような意義があるというふうに考えているところでございます。

○鈴木委員 この資産運用業者の育成、まさに人材育成に焦点を当てるというのは、国民の安定的な資産形成を促すためにも、そして、先ほどお話しさせていただいた一千八百兆円にも上る日本の個人金融資産の過半が、ほとんどリターンを生まない現金、預金にとどまっているという現状を打開して、リスクを伴う投資への資金シフトを起こすという社会的要請があるからであります。
 日本のインベストメント・バリューチェーンを再構築する上で、この資産運用ビジネスに関する競争力の向上というのは、まさに避けて通れない課題であります。
 資産運用ビジネスに関する競争力の向上というのは、新興資産運用業者、いわゆるEMからは、国内アセットオーナー、公的年金や準公的年金、生保、損保等の資金の出し手への参入障害が高い、そしてまた、EMとアセットオーナーのマッチングの機会が少ないという声がこれまで聞かれてきたわけです。
 こうした課題に対して、可能な限り対応策を今回のEMPの設計の中に組み込み、そして、海外運用プレーヤーの東京進出、国内運用プレーヤーの企業の後押しをぜひしていただきたいというふうに思います。
 また、EMPの実現に際しては、EMや機関投資家を含むアセットオーナーのみならず、この目きき役、そしてまた、指導者としてのシーダー、またはゲートキーパーといわれるような中心的役割を果たしていく、こうした方々が必要になるわけですけれども、その選定を誤れば、EMP全体が機能不全に陥ってしまうわけであります。
 シーダーにとって、EMPに関与することで、優秀なEMの早期発掘により高いリターンが実現できる、そして投資枠の確保につながります。
 また、人材育成が重要な目的となる東京版EMPにおいては、EM育成に主眼を置いて、かつ独立を支援するシーダーを選定することが、こうしたことからも何よりも重要になってまいりますけれども、この資産運用ビジネス環境が整備され、国際金融都市東京の真価が本当に促されていくことを私たちは期待しております。
 次に、この構想では、資産運用業者に加えて、フィンテック企業にも焦点を当てて、四年で四十社を誘致するという目標を掲げて金融系外国企業を誘致していると聞いておりますけれども、どのような基準で誘致を実施して、しっかり企業が本当に誘致されていくのかということについてもお伺いしたいと思います。

○田尻戦略事業担当部長 金融系外国企業の誘致を進める際には、資産運用額やビジネスモデルの優位性や独自性、技術の先進性、ほかの国での表彰歴、東京進出の関心度等を総合的に判断いたしまして、都内経済の活性化や都民生活の向上につながる金融系外国企業の誘致を進めておるところでございます。
 平成二十九年度は十社の誘致に成功いたしました。その中には、未上場で企業価値十億ドル以上の、いわゆるユニコーン企業といわれるようなものが二社であるとか、ヘッジファンドの運用額が世界第二位であるような資産運用業なども含まれているところでございます。

○鈴木委員 ただいまの答弁で、二十九年度で、有力企業を含む十社の誘致実績ということであります。さい先がいいか悪いかはわかりませんけれども、東京はさらに、さまざまな日本の課題を解決していく上で、有益な企業誘致にしていかなくてはならない。そして、貯蓄から投資という流れをしっかりと支援する役割を果たしていただけるような選考にしていただきたいというふうに思います。
 現在、東京も含め、世界の主要都市における金融振興の取り組みの中でも、このフィンテックは大きな柱に位置づけられております。これもフィンテックが、金融サービスの向上や経済の活性化に加えて、さらに、人々の広範な生活の利便性向上や各種の社会的課題の解決に貢献するものと捉えられていることを反映しているわけであります。
 フィンテックを通じたクラウドファンディングやピア・ツー・ピア・レンディングは、人々が、みずからのお金がどう使われるのか、積極的にかかわっていくという意味での金融の民主化といういわれ方をしておりますけれども、そうした意義も持っているわけです。
 デジタル情報技術を通じて、お金を届けたい人にお金を届け、そして意図したとおりに利用させることなど、従来に比べて行いやすくなってまいりました。
 この中で、例えば自然保全を機としたグリーンファイナンスへの参加や、海外も含めた、例えば被災地の支援など、人々が社会的問題の解決に主体的にかかわろうとする行動を金融面からサポートする機能もまた果たし得るというふうにいわれております。
 フィンテック企業の育成については、都が今年度に創設した東京金融賞においても、その取り組みがクローズアップされる可能性もあると考えておりますけれども、その現在の状況についてお伺いいたします。

○田尻戦略事業担当部長 東京金融賞は、都民ニーズを解決する都民ニーズ解決部門、ESG投資部門という二つの部門から成ります。
 その進捗状況についてでございますが、まず、本年七月に、日常生活において解決してほしい金融サービスにおける課題や、ESG投資に関するニーズなどを都民から募集いたしまして、千件近い応募がございました。
 これらの課題やニーズを取りまとめまして、九月にテーマなどを発表いたしまして、両部門において、国内外を問わず広く金融事業者の募集を開始いたしまして、都民ニーズ解決部門では、十六の国、地域、五十五事業者からの応募がございました。
 今後、外部有識者で構成されます審査委員会での審査を経て表彰企業を選定いたしまして、来年二月に表彰式を開催する予定でございます。
 東京金融賞を通じまして、都民の利便性の向上と金融の活性化を実現していくとともに、この賞を国際金融都市東京の象徴としていきたいというふうに考えているところでございます。

○鈴木委員 今、答弁の中でも、ESGの投資基準、これは今や世界基準として広く受け入れられております。世界各国で適用されておるわけですけれども、責任ある投資や持続性ある投資の基準を採用する主体は、投資する企業や金融機関、一般企業、そして、投資を選別したい公共組織であります。
 しかし、東京都が金融賞を設ける趣旨というのは、それとは異なり、単に投資することでも、投資を評価することでもありません。それは、東京の目指す社会的な価値の実現を支えて、もしくは、何らかの金融事業を創出したり推進したりするベンチャーなどを表彰して彼らの発展を支援することであり、金融の世界における東京の存在意義をアピールしようとすることといわれるわけです。
 今後も内容を正確に世界中に発信して、選考作業が円滑に行われること、そして、表彰が華々しく行われて、そのフォローアップがなされて、その全体が人々から評価されて、それがさらに永続することが大事だというふうに思います。
 特に、表彰して誕生したイノベーションの芽を大きく育てていく環境づくりも重要なわけでありますけれども、フィンテックに関する幅広い主体、金融機関やベンチャー企業を含む幅広い企業、学会などが東京をベースに総合的な交流や情報交換を行うことができる場づくりも、まさにこれから求められるわけであります。
 日本銀行などは、二〇一六年四月に決済機構局内にFin Techセンターを設立して、中央銀行の立場からフィンテックの支援に取り組んでおります。日本銀行の山岡さんが本でも述べられておりますけれども、東京版フィンテックセンターというものも、ぜひ創出していただきたいというふうに思います。
 そしてさらに、先ほどのお話もありましたけれども、今月の二十六、二十七と、東京都アクセラレータープログラム、フィンテックビジネスキャンプ東京が開催されるわけですけれども、ブラッシュアップしたプランを都内の企業及びメディアにきちっと発信して、そして、この発表会を通して、これが本当に東京の金融センターとしてのイメージアップにつながるようにぜひ取り組んでいただきたいということと、東京二〇二〇年大会に向けて、今まさに世界の注目度が上がっている状況において、今こそ、この取り組みをしっかりと続けていっていただきたいというふうに思います。
 先ほど、人材が何よりも大切だというお話をさせていただきましたけれども、先日、知事がロンドンの出張において、来年度、都の職員をシティーへ派遣する予定であると発表されましたが、その意義と内容についてお伺いいたします。

○田尻戦略事業担当部長 先日の知事の海外出張におきまして、知事はシティー・オブ・ロンドンのトップであるロード・メイヤーと会談いたしまして、来年度、東京都職員を同市へ派遣することで合意いたしました。
 都の職員は、同市において、国際金融に係る施策の立案であるとか、金融分野のプロモーション活動に関する実務等の研修を受けるということを想定しているところでございます。
 この派遣によりまして、両都市の連携をさらに強固なものとするとともに、世界の金融センターとして長い歴史を持つシティーにおいて、情報収集やネットワークの構築、シティーの金融プロモーション活動を学ぶことで、都の施策立案に生かしてまいりたいというふうに考えております。

○鈴木委員 こうした取り組みによって、高度金融専門人材の育成につながっていくんだというふうにも思いますけれども、そうしたことを考えますと、このシティー・オブ・ロンドン・コーポレーションへ派遣する意義というのは本当に大きいというふうに思いますけれども、やはり今求められているのは、こうした人材であるわけでございますので、ぜひ国内機関に世界中から優秀な人材が集まっていけるような、そうした取り組みにつなげていくことが大切だというふうに思います。
 これまで、東京都の国際金融都市・東京構想の取り組みについてお伺いしてきましたけれども、この構想は、いうまでもなく、東京都のみで推進することは困難であり、国や民間との連携を行う必要があります。
 この構想を推進するに当たって、東京都の役割はどのように認識されているのかをお伺いいたします。

○田尻戦略事業担当部長 東京には国内外のさまざまな金融系企業が集積しておりまして、まさに地場産業たる金融産業の活性化というのは、それによる成長産業への資金供給が強化されるということとあわせまして、都の成長戦略の一つになるというふうに考えております。
 このため、都といたしましては、東京に進出を検討している海外金融系企業に対するビジネス面、生活面での相談窓口の設置であるとか、国家戦略特区制度を活用した外国人の生活環境整備などを行っているところでございます。
 一方、ご指摘にもございましたとおり、金融産業の活性化は都だけで実現することはできず、金融規制や税制を担う金融庁等の国の機関、実際の金融ビジネスを担当する民間企業などとの協力が不可欠でございます。
 金融庁とは、外国金融系企業に対する相談窓口や金融ライセンス登録手続についての英語解説書などにおいて、緊密な協力が進んでいるところでございます。
 また、先日の知事のロンドン出張に際し開催した金融セミナーにおきましては、金融庁や十社以上の民間金融事業者が参加いたしまして、国際金融都市東京の魅力をイギリスの企業にアピールしたほか、来年度には、これら官民の金融関係者から成る金融プロモーション組織の設立を目指しているところでございます。
 今後とも、官民の金融関係者との連携を深めながら、国際金融都市東京の実現に向けて努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

○鈴木委員 国際金融都市・東京構想を実現していくというのは、先ほどもいいましたけれども、本当に東京都だけではできないことであり、国や民間との連携というのが不可欠なわけであります。
 そして、先ほどの質疑にもありましたけれども、やはり東京で企業が商売しやすい、そして、東京の魅力をそうした方々を通じて発信していくような取り組みをこれからも強くしていかなくてはならないわけであります。
 そして、今後、そうした観点からも、オールジャパンとして、東京市場を海外に売り込んでいくプロモーション組織も創設することが求められます。中央官庁には、金融事業者の規制、監督をする金融庁はありますけれども、金融産業のプロモーションを担う機能はありません。
 東京都がその役割を担うべく、業界横断的なプロモーション組織の組成をしっかりと後押しして、東京版のロード・メイヤーを設置して、官民一体となって取り組んでいくことが提言でもいわれておりますけれども、まさにこれが一番大事なことであるというふうに思います。
 こうしたことをしっかりと踏まえまして、具体的施策を盛り込んだ当面の対応を地道に展開する上で、今ほどやはり本気度が試されるときはないというふうに思います。
 私が今、冒頭述べましたように、バブル崩壊後、国際金融構想というのは何度も提起されてまいりましたけれども、十分な成果をおさめることができなかった。知事も著書において、これがラストチャンスとの危機感を持って取り組んでいくという決意が記されています。しかし、この国際金融都市・東京構想を発表するとすぐに、知事は、残念ながら、国政進出の話になって投げ出すことも考えられたわけであります。
 さらに、東京が再びアジアナンバーワンの金融センターを目指す上では、どうしても避けて通れないのが、先ほどありました税制の問題が大きな問題であるというふうに思います。
 また、法令や特区、そして規制緩和、国と連携していかなければならないことがたくさんあるにもかかわらず、今回、来年度の税制改正の議論の中でも、国へのカードとして知事が考えていたのかということを私たちは思いますと、本当にそうした姿というのは見られなくて残念だったなというふうにも思うわけであります。
 先ほど答弁にもありましたけれども、これからも局がしっかりとまず都の役割を認識して、具体的な行動に結びついていっていただきたいというふうに思います。そして、その行動によって、東京がかつてのようなアジアのナンバーワンの金融センターとして花開くことを期待いたしまして、私の質疑を終わります。

○古城委員 政策企画局関係の事務事業について、計画、そして国家戦略特区に関連して質問をいたします。
 私は第二回定例会の討論において、我が党が昨年の第四回定例会より代表質問で繰り返し訴えている、国連が掲げる持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの理念のもと、より一層、誰ひとり取り残さない持続可能な社会の構築を目指し、取り組みを強化していくべきであると強く主張いたしました。
 さて、昭和四十六年、一九七一年度から昭和五十七年、一九八二年度にかけて生まれた世代が新卒で就職活動を行ったバブル経済崩壊後のかつての就職氷河期では、内定がないまま卒業してしまった多くの人たちがいます。その後も正社員になれず、ロストジェネレーション、失われた世代と呼ばれました。私自身も、いわゆるロストジェネレーション、失われた世代の一人でありますし、委員の中にもいらっしゃるかと思います。今なお、将来に不安を感じざるを得ない働き方を余儀なくされている人が少なくありません。これらの世代を含む三十代、四十代のいわゆる働き盛りの世代は、総人口でいうと二千万人を超える大きな勢力でございます。
 今、日本人の平均寿命は、昨年の数字で、男性が八十一・〇九年、女性が八十七・二六年と発表されております。この平成の三十年間で、男女とも五歳以上延びたことになります。これからはまさに人生百年時代であります。
 この人生百年時代というキーワードの火つけ役となった本はライフシフトであります。イギリスの著名な経営学者であるリンダ・グラットン氏は、同書で、日本では、二〇〇七年に生まれた子供の半数が百七歳より長く生きるとの衝撃的な推計を紹介しております。二〇〇七年に生まれた子供ということでありますので、先ほど来申し上げているロストジェネレーションが親である、こういうお子さんも数多く含まれるのではないかと思います。
 今や人生百年時代は、七十から八十代まで働くのが一般的となることが想像にかたくありません。今後、高齢化がますます進んでいく中、誰もが高齢者になっても生き生きとした人生を歩むことが重要であると考えます。そのためには、現在、まさにこれまでの我が国、そして東京を支えてこられた高齢者の方々のみならず、三十代、四十代をもターゲットにした政策を重視していくべきと考えます。
 本年九月まで開催をしておりました超高齢社会における東京のあり方懇談会では、従前の高齢者施策の枠を超え、超高齢社会全体を見据えた幅広い議論が行われたと仄聞しております。
 そこで、都がこの懇談会を設置した背景及び経緯について見解を求めます。

○宮澤計画部長 我が国の高齢化は、世界に例を見ない速度で進んでおり、東京においては、六十五歳以上の高齢者の割合は二二・七%と、既に超高齢社会にございます。こうした中においても、持続的成長が可能な東京を目指して、全ての世代が生き生きと活躍できる社会を実現していく必要がございます。
 そのためには、地域包括ケアシステムの構築や認知症の予防はもちろんのこと、元気な高齢者の活躍の場の充実、さらには、空き家問題や地域コミュニティの希薄化といった課題への対応も重要でございます。
 こうした認識のもと、高齢者のみならず、幅広い世代が活躍できる地域のあるべき方向性を検討するため、超高齢社会における東京のあり方懇談会を設置し、議論を進めてまいりました。

○古城委員 それでは、超高齢社会における東京のあり方懇談会では、具体的にどのような議論がなされ、その成果を今後どう活用していくのか、見解を求めます。

○宮澤計画部長 超高齢社会における東京のあり方懇談会では、昨年十一月から六回にわたり、各分野の専門家による幅広い視点からの議論が行われました。
 その過程では、福祉、教育などの分野で地域づくりの主体として活躍しているNPO、民間企業などの若手の代表者を招いたヒアリングや現場視察なども精力的に行ってまいりました。
 本年九月には、懇談会の政策提言である「TOKYO BEYOND二〇二〇-世界に先駆ける長寿社会-」が発表され、実情に即した地域づくりに向けた多様な主体の発見、育成など、五つのポイントが示されました。
 本提言では、多世代、多文化共生など多様な人材が活躍できる地域づくりの促進や、高齢者となる前から地域活動に親しみ、退職後の人生を考えることができるよう、リカレント教育の普及やプロボノの促進など、現役世代に向けた施策にも触れてございます。
 本提言を受け、今後の都の政策に反映していけるよう、現在、関係各局で議論を重ねているところでございます。

○古城委員 ただいまの答弁の最後の部分でも触れていただきましたけれども、提言では、高齢者となる前から退職後の人生を考えるという視点に触れているということでありますが、この政策提言全般的には、現実に今、高齢世代である方、また、定年直前の世代の方々、こういったところがやはりメーンになっているような印象を受ける点もございますけれども、私としては、先ほど来申し上げていますとおり全世代的に、中でも、繰り返し申し上げますが、三十代、四十代の視点も大変大事であるというふうに認識をしております。
 ことし六月に行われました、ある生命保険会社による人生百年時代に関する調査によりますと、七八・八%の人が百歳まで生きたいと思わないと答える一方で、百歳まで生きたい人はわずか二一・二%でした。さらに、四人に三人が長生きをリスクとして捉え、その主な理由に、身体能力の低下、収入の減少、年金制度を挙げています。
 これまでの長生きは喜ばしいことという価値観が変容しつつあり、人生百年時代という言葉にはポジティブな要素を見出すことが困難である、こういう側面もあろうかと思います。
 私は過日、法政大学大学院キャリアデザイン学研究科を経て、生涯キャリアに関する研究所を立ち上げた方からお話を拝聴してまいりました。最近のニュースに見る高齢世代の憂鬱として、高齢者の高齢化、孤独死、老老介護から認認介護、いわゆる認知症、認知症介護へ、さらには天涯孤独、老後破産など、こういう、長寿が何やら後ろめたい、ネガティブな気持ちになる、こういう点を指摘されておられました。
 先ほどの調査に戻りますけれども、人生百年時代における老後の生活をどのように捉えているかという設問で、楽観的と答えた割合が一番高いのは、半数近かった二十代である一方で、三十代、四十代は、それぞれ五十代、六十代よりも低く、約三人に一人にとどまっております。三十代、四十代が五十代、六十代よりも悲観的に捉えているということがわかります。
 最も活力に富んだ三十代、四十代の青壮年世代の生活や心持ち、心情が不安定になれば、経済社会にとっても大きな損失となるのではないでしょうか。
 人生百年時代、このキーワードから、どうすれば長生きを楽しむ前向きな響きを感じ取ることができるか。リンダ・グラットン氏は、私たち一人一人も大きく変わる必要があるし、企業などの雇用主や、社会と国家も大きく変わる必要があると説いておられます。
 健康寿命の延伸、柔軟な働き方、安心の社会保障など、当然ですけれども、これらの基盤となる環境を整える役割が、政治には、また行政には求められていると考えます。
 これらのことも踏まえて、来年度に向け、誰もが明るい未来に向けて活躍できるような施策を積極的に展開していくべきと考えますが、全庁の計画を担う政策企画局の見解を求めます。

○宮澤計画部長 本提言を受けまして、現在、来年度に向けた予算編成と並行し、二〇二〇年に向けた実行プランの政策の強化に向けた検討を行っております。
 都の政策の強化の方針として策定いたしました重点政策方針二〇一八では、戦略の一つとして、高齢者が多世代とのつながりの中、安心して暮らし、生きがいを持って元気に活躍できるまちをつくることを掲げてございます。
 また、本年四月に全庁横断型のプロジェクトチームを設置いたしまして、高齢者の活躍促進に向けた施策の展開につきまして検討しているところでございます。
 こうした動きとともに、超高齢社会における東京のあり方懇談会の政策提言の内容もしっかりと反映できるよう、財政当局や事業所管局との連携のもと、政策のブラッシュアップを図ってまいります。

○古城委員 誰もが活躍できる東京の実現は極めて重要でございます。
 認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連理事長は、我が国のSDGsへの取り組みについて、課題をいえば、既存の政策を評価する切り口としてSDGsをもっと活用してほしい、なぜ達成しなければならないかを、政府、政治家、我々も含めてもっと深く理解し、達成に向けた具体的な政策目標をつくるというアプローチで臨むべきだと指摘しておられます。
 第一回定例会では、我が党の東村邦浩幹事長による、知事のリーダーシップのもと、都においてSDGsを強力に推進していくため、まずは二〇二〇実行プランやグランドデザインなどをSDGsの視点で整理をし、国とも連携して、これらを確実に実行することにより世界の都市をリードすべきとの訴えに対して、知事は、二〇二〇年に向けた実行プランや都市づくりのグランドデザインなどに盛り込みました政策と軌を一にしていると呼応されました。
 加えて、第二回定例会では、SDGsの視点を重視して、さまざまな分野について海外諸都市との連携を進めて、世界をリードする持続可能な都市東京を目指す方針を示されています。
 ぜひとも、二〇二〇年を目指して、誰ひとり取り残さない都市東京、誰もが活躍できる社会の実現に向け、きめ細かい政策を強力に進めていただきたいと要望いたしまして、次のテーマに移ります。
 続いて、東京圏国家戦略特別区域について質問をいたします。
 都はこれまで、国家戦略特区、八十四件の認定を受けているということでございます。先ほどの要求資料にも記述がございました。これは、全国の認定件数全三百件の約三割を占め、地方自治体としてもトップの実績でございます。多様な資源が集積し、民間がリスクをとってチャレンジできる東京ならではのことであろうかと思います。
 一方で、国家戦略特区は、チャレンジした民間事業者だけではなく、都民の皆様お一人お一人の生活にとってもプラスになるものである必要があります。
 例えば、都市部で保育所の用地確保が難航する中、荒川区では、昨年四月、特区を活用し、都立汐入公園内に保育所が開設をされました。二〇一五年十一月に、荒川区の提案が全国で初めて国に認定され、実現されたものであります。
 その後も認定が相次ぎ、荒川区をモデルに、特区に限らず、国や自治体の都市公園内に社会福祉施設を設置できることを柱とする改正都市緑地法、改正都市公園法などが、昨年四月、成立をいたしました。
 我が党は、待機児童の解消を目指す取り組みの一つとして、都議会議員ら地方議員と国会議員が連携して積極的に推進をしてまいりました。
 また、もう一つの話題ですけれども、ことしの二月二十三日、空港での自動運転バスの実用化に向けて、羽田空港周辺の公道で実施された民間事業者による実証実験を我が党は視察しております。
 自動運転技術の進展によって、決められたルートの輸送業務の省力化が期待されており、二〇二〇年以降の導入に向けて実験を段階的に行う計画ですが、国と連携しながら自動運転技術の積極的な導入を推進していただきたいと思います。
 そこで、都民生活に直接かかわる東京都の特区事業の実績について見解を求めます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 都では、国家戦略特区制度を活用いたしまして、委員のご指摘にもございましたけれども、全国に先駆けまして、都市公園内への保育所等の設置や東京自動走行ワンストップセンターの開設など、都民生活にかかわる取り組みを進めております。
 このうち都市公園内保育所等設置特例におきましては、保育所及び学童クラブ十一件の特区認定を受けまして、七区で千二百名以上の定員が確保されているところでございます。こうした取り組みは、本年四月の都内の待機児童数の減少にも寄与したものと考えております。
 また、関係省庁と共同設置いたしました東京自動走行ワンストップセンターでございますけれども、これまでに計十二件の実証実験を支援してきておりまして、高齢者など移動制約者の交通手段の確保でございますとか、不便地域の利便性向上などの効果が期待されておりまして、こうした自動運転技術の早期の実用化を促進しております。
 引き続き、都民生活の向上につながる特区の取り組みを進めてまいります。

○古城委員 先ほど、超高齢社会に関する話題として、計画に関して質問させていただきましたけれども、増加する高齢者ができるだけ長く健康的で心豊かな生活を送ることができるよう施策を推進していくこと、これは大変重要であると考えております。
 国家戦略特区には、医薬品や医療機器の開発に係るメニューも存在しております。なかなかすぐに、あしたすぐに結果が出る、成果を出すということは難しいかもしれませんが、これらの特区のメニューを積極的に活用して、医薬品や医療機器の開発を促進していくことが重要であると考えます。
 そこで、医薬品、医療機器分野における認定事業の進捗について見解を求めます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 国家戦略特区におきましては、医薬品、医療機器の開発を促進するため、国の関係機関の重点的な支援が受けられる特区メニューがございまして、都も積極的に活用しているところでございます。
 まず、医薬品分野でございますけれども、国立研究開発法人日本医療研究開発機構が担当のコーディネーターを設置いたしまして支援する特例、これにつきまして、本年三月に慶應義塾大学病院、十月には東京大学医学部附属病院、国立がん研究センターが認定されているところでございまして、各医療機関が有する創薬シーズを新たな医薬品の開発につなげるための相談が行われていると承知しております。
 また、医療機器分野につきましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の特区専用のコンシェルジュが製品開発に係る一貫した開発支援助言を行う特例がございますけれども、これにつきましても、医薬品分野と同じ三医療機関が平成二十八年に認定されたところでございます。
 このうち、例えば国立がん研究センターでは、8Kのスーパーハイビジョン技術を用いました腹腔鏡下手術の開発について相談が行われているところでございます。

○古城委員 今、特区の認定を受けて対応している医療機関の中に、私の地元、新宿にある慶應義塾大学病院も挙げてご答弁をいただきましたけれども、この慶應病院では、保険外併用療養に関する特例、また、病床規制に係る医療法の特例、二国間協定に基づく外国医師の業務解禁を含めて、答弁いただいた特例も加えて五つの事業が認定をされているということでございます。
 先進医療の迅速な提供と増加する外国人患者への対応などに取り組んでおられる、そういう結果、また、今現状、進捗であろうかと思いますけれども、そういったことも含めまして、医薬品、また医療機器分野における特区認定についても、これからも期待をしてまいりたいというふうに思います。
 次に、私の地元である新宿区における特区の活用状況について質問をいたします。
 新宿は、皆様ご承知のとおり、駅の東側に日本一の商業集積地や歌舞伎町、新宿御苑等の観光拠点が立地をし、西側には、ここ都庁を初め業務機能が高度に集積いたします東京の中核的な拠点でございます。ビジネスエリアとしては都内最大の事業数を誇り、観光地としては訪都外国人の約六割が訪問をしております。
 先ほど東側に新宿御苑と申し上げましたけれども、また西側には、この都庁のすぐお隣は新宿中央公園がございます。まさに緑と緑の間で栄えるまち、新宿であろうかと思いますが、実は、きょうは十一月十五日ですけれども、今から三百六十五年前の十一月十五日、これは当時でいうと旧暦に当たりますが、多摩の羽村から掘削が始まった玉川上水が四谷大木戸まで進みまして完成をした日でございます。
 今申し上げたとおり、水と緑、こういった、大変豊富な資源に恵まれているという場所であるということも加えて申し上げさせていただきたいなと思います。
 その中心となる新宿駅でございますが、出勤の際、登庁の際にご利用されている方も大変多くいらっしゃるかと思いますが、構造が複雑で、乗りかえの経路がわかりにくく、エレベーターを利用するにも遠回りになってしまい不便という声を数多くいただいております。
 また、鉄道や幹線道路、駅前広場を横断できる空間や通路が不足し、駅周辺をめぐり歩くことが困難といった課題を抱えております。
 本年の二月九日、東京都と新宿区は、二〇四〇年代を見据えて、「新宿の拠点再整備方針(案 )-新宿グランドターミナルの一体的な再編-」を公表し、三月に方針として策定されました。
 私は第一回定例会で、この方針に示された内容の確実な実現を図るためにも、駅構内を初めとして、駅周辺においても、駅東西の交流、連携や、また、車椅子でも快適に利用することができる空間を整備すべきと訴えたところでございます。
 これらの取り組みを通じまして、新宿駅周辺地域は、東京駅周辺などとともに、国際的な中枢業務機能を担う拠点形成が期待されております。こうした中、歌舞伎町や西新宿などにおいて、国家戦略特区を活用した民間プロジェクトが着実に今進んでいるところでございます。
 そこで、新宿における都市計画法の特例の認定状況について見解を求めます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 都市計画法の特例でございますけれども、ご案内のように、プロジェクト関連の都市計画全てを区域会議がワンストップ的に策定することによりまして、手続のスピードアップを図るものでございます。
 新宿におきましては、先ほどございましたけれども、西新宿二丁目地区及び歌舞伎町一丁目地区の二つのプロジェクトが進行しているところでございます。
 このうち西新宿二丁目地区におきましては、平成二十八年に認定を受けまして、来年度の竣工に向けて工事が進んでいると聞いております。
 新宿住友ビル周辺には、イベントホールとして活用できる広大なアトリウムが設置されまして、新たに屋内型の広場空間が創出される予定でございます。
 また、歌舞伎町一丁目地区におきましては、本年六月に認定を受けまして、来年度の着工に向けた準備が進んでおります。
 劇場やライブホールなどの複合エンターテインメント施設に加えまして、訪日外国人旅行者等の多様な滞在ニーズに対応する宿泊施設を整備することで、歌舞伎町の核となる新たな観光拠点が創出される予定であります。

○古城委員 今ご答弁の中で、歌舞伎町一丁目地区と西新宿二丁目地区のご説明をいただいたところですが、まず歌舞伎町一丁目地区につきましては、地下五階、地上四十階建てで、延べ八万五千八百平方メートル、最高高さ二百二十五メートルのビルが建築をされる予定でございます。
 その中には、千五百人を収容するライブホール、さらには空港連絡バスの乗降所、東西貫通道路、八百五十席の劇場、それから八スクリーンを擁する映画館、そして、グローバルな旅行者の多様な滞在ニーズに対応するホテルが配置をされるというふうに伺っております。
 また、災害時には、劇場やライブホールを帰宅困難者を受け入れる際の一時滞在施設としても開放する、こういう方針だそうでございます。
 これらの取り組みを通じまして、まさに先ほど来申し上げている、新宿駅を中心とした、この新宿、このまちの核となる新たな都市観光拠点が創出され、また、まちの回遊性とにぎわいを創出する都市観光インフラの整備、これは特区認定によって大きく開かれてきたものであると私も考えるところでございますし、この特区認定において、歌舞伎町エリアの拠点性と文化発信力がこれからも強化されていくことを期待したいというふうに思います。
 またあわせて、西新宿二丁目地区でございますけれども、新宿住友ビルが今、改修工事を行っているところでありますが、特区認定を、またこの改修工事にあわせて受けているというご説明でしたけれども、新宿駅のポテンシャルを生かした国際的なビジネス交流、ビジネスネットワークの場となる国際会議場施設が整備されると。
 さらには、既存のビルの周りの空地、青空空地全体に大屋根をかけ、新たに生まれる全天候型屋内アトリウム広場では大規模な国際催事の催しの開催も可能となるということでございます。
 さらに加えて、このアトリウム広場は、災害時には帰宅困難者の受け入れ施設、防災対策拠点としても機能する、こういうことも予定をされているわけでございまして、こうした都市防災力の強化への貢献なども評価されまして、国土交通大臣認定の民間都市再生事業計画の認定を受けているところでございます。
 この西新宿におきましては、都と新宿区が手を携えまして、エリアマネジメントに係る道路法の特例を活用し、多様なイベント開催によって地域のにぎわいを創出する取り組みも支援していると伺っております。
 一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会の皆様がこれを主催されておりますけれども、新宿住友ビル、新宿三井ビル、新宿センタービル、そして第一生命ビル、京王プラザホテルなど、街路に隣接する空地所有の事業者の皆様のご協力、ご尽力に心から敬意を表したいというふうに思います。
 この西新宿エリアでございますが、私たち、また職員の皆様も含めて約二十万人といわれる、超高層ビル群、また副都心エリアに就労者がいるというふうにいわれております。
 仕事帰りに生演奏の音楽を聞きに来たり、料理を食べながらダンスイベントやさまざまなエンターテインメントショーを楽しんだり、土日には新宿中央公園と連携したスポーツイベントに参加したりすることで、新たな人の流れをつくり出す効果が期待されます。
 そこで、道路法の特例を活用した西新宿の取り組み状況について見解を求めます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 エリアマネジメントに係る道路法の特例でございますけれども、道路空間等を活用したさまざまなイベントを展開するなど、にぎわいづくりの促進のための取り組みにつきまして、道路占用許可の基準を緩和するものでございます。
 先ほどご指摘にもございました西新宿でございますけれども、平成二十七年度より、本特例を活用いたしまして、エリアマネジメント団体の主催によるイベント、例えば新宿シェアラウンジというものが毎年開催されているところでございます。
 四年目となる本年でございますけれども、十月二日からの五日間に、夜間のオフィス街のにぎわいを生み出すナイトタイムエコノミーの社会実験といたしまして、高層ビルのロビーや屋外スペースなど六カ所の会場で短編映画二十二作品を上映するとともに、歩道上の街路灯へバナーフラッグを掲出するなど、シティードレッシングを行いまして、来街者の回遊性を高める取り組みが行われました。
 今後は、先ほどご答弁いたしました、西新宿二丁目地区におけるアトリウム設置などによって創出される広場空間も有効に活用したイベントが計画されておりまして、さらなるにぎわいの拡大が図られるものと期待しております。

○古城委員 道路占用許可の基準を緩和することによって、道路空間を活用したイベントの開催やオープンカフェの設置が可能となったということでございまして、まちのにぎわい創出、また、多くの来街者の方、もちろん国内からお越しになる方、そして訪都外国人の方も含めて、新宿の都市観光の推進を図るものだというふうに理解をさせていただきました。
 先ほど玉川上水について、十一月十五日が掘削が完了した日というふうに申し上げましたけれども、私ども公明党の東京都本部に、水と緑の回廊・国際都市東京の実現プロジェクトチームというものを立ち上げまして、羽村からの玉川上水の通水、そして、それが外堀に移り、さらには、そこから神田川、そして日本橋川へと、水と緑、清流を取り戻す中で、大きく東京が発展していく、そういうことに寄与する、そういったことも、これまで議会の中でさまざま提案させていただいているところでございます。
 ぜひとも、これからも都民生活ににぎわいと活力をもたらし、また都民生活の向上に資するよう、国家戦略特別区域事業の推進を着実に行っていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○とくとめ委員 私からは、昨年の提案以来、繰り返し質問してきた国際金融都市・東京構想の現在の進捗状況について改めて質問をし、意見を述べさせてもらいます。
 たくさんの事前の要求資料の提出、ありがとうございました。
 私はこの間、きょうまで三回、質疑をやっておりまして、同僚の委員が質問されたものを聞きながら、去年の十二月十一日、ことしの三月二十日の質問を思い出しました。きょうは、真逆の立場から質問することになると思います。
 自治体である東京都が金融業、投資業に乗り出すのは、本当にふさわしいのかと。自己責任が伴い、リスクが伴う株式投資の結果に、自治体として本当に責任が負えるのかと考えています。千三百万人都民の福祉の増進や向上にこそ責任を負う自治体の本業として、この事業にかなりの予算をつぎ込んで取り組んでいくことがふさわしいのかと。多くの都民、中小業者にとって、本当に利益をもたらすのかどうかという視点でただしてまいりました。
 きょうは、この一年間の国際金融都市構想の事業の進捗状況とともに、特に、最近の日本を含めた同時株安ともいえる株式市場の激しい乱高下の状況や、株高の背景にある異例ともいえる金融政策のゆがみなど、今後の国際金融都市・東京構想にも否定的な影響を与えかねないと思われる状況も踏まえて質問します。
 まず第一に、昨年末に国際金融都市・東京構想が提案されてから、ちょうど一年が経過しました。この一年間、約四億六千万円の予算を使って、国際金融都市東京の実現に向けたさまざまな施策の中で、既に同僚委員からも質問がありました海外プロモーション組織の設立に向けた検討とか、東京金融賞の創設及び表彰事業とか、東京版EMP創設のための補助などなどの事業が挙げられましたが、この間の進捗状況はどうなっているのかを伺いたいと思います。

○田尻戦略事業担当部長 海外プロモーション組織の設立に向けた検討につきましては、現在、官民実務担当者の間でプロモーション組織の設立に向けた検討会というものを開催しておりまして、来年度の設立を目指し、組織の体制や組織が担う業務の範囲などの検討を行っているところでございます。
 また、東京金融賞につきましては、まず、日常生活において解決してほしい金融サービスにおける課題やESG投資に係るニーズなどを都民から募集いたしまして、九月には、これらの課題やニーズを取りまとめたテーマを発表し、都民ニーズ解決部門、ESG投資部門、両部門において金融事業者の募集を開始いたしました。
 今後、外部有識者で構成される審査委員会の審査により表彰企業を選定いたしまして、来年二月に表彰式を開催する予定でございます。
 東京版EMPの創設のための補助というものにつきましては、新興資産運用業者の育成を図る東京版EMPファンドの運営事業者を九月末まで募集いたしまして、三者を運営事業者として認定したところでございます。
 さらに、来週、東京における資産運用業の活性化を目的としたセミナーなども開催いたしまして、このような形で構想に掲げた施策を着実に実施しているところでございます。

○とくとめ委員 この一年、国際金融都市構想に掲げた施策を着実に進めているということでした。
 そこで、紹介のあった東京金融賞については、現在のところでどれくらいの応募が寄せられているのでしょうか、教えていただきたいと思います。

○田尻戦略事業担当部長 金融賞には二部門ございまして、都民ニーズ解決部門につきましては、現在募集を終えまして、十六カ国、地域から五十五の事業者からの応募が来ております。ESG投資部門につきましては、今月末の締め切りでございまして、まだ現在、応募を続けているところでございます。

○とくとめ委員 来年度実施のさまざまな施策の内容については予算概要にも示されていますけれども、今年度と同様の施策を継続するとともに、多くの新規事業や拡充の事業が提案されていますが、主な事業について、どういう目的や内容を持ったものなのか、概要について伺いたいと思います。

○田尻戦略事業担当部長 主な事業といたしまして、まず、来年度設立予定の金融プロモーション組織に関しまして、組織設立に必要な準備作業や組織設立後のプロモーション活動実施に係る支援について予算要求を行っているところでございます。
 また、フィンテック産業の活性化とそれによる都民の利便性向上につなげるために、フィンテック技術の代表例でもございますキャッシュレスにつきまして、民間事業者が行うキュッシュレスのプロジェクトに対する支援に係る予算を今要求しているところでございます。

○とくとめ委員 ありがとうございました。
 もう一つ質問を予定しておりましたけど、既に同僚の委員から質問がありました都の職員をロンドンに派遣する問題は、先ほど答弁でありましたので、これは割愛いたします。
 そこで、昨年の質疑に対する答弁で、国際金融都市・東京構想について、都民の中での個人投資家の実態については、都民平均だとは思いますけれども、約千九百七十万の貯蓄に占める有価証券の割合は二割程度だと。全国平均で見れば約一四%を上回っているという紹介がありました。同時に、個人金融資産の四割強を投資しているアメリカなどに比べると、依然として投資を行う割合あるいは金額は低いことも紹介されました。先ほど、日本の個人金融資産は千八百兆円という、そういう発言もありました。
 なぜ貯蓄から投資に都民、国民が動かないのかと。これは去年の暮れの議論でもしました。その答弁もありましたけれども、やっぱり貯蓄から投資になぜ向かわないのかというところを日本の金融の歴史を振り返って考えないと、幾ら旗を振っても、やけどをした方々がいっぱいいると。俗っぽくいえば。そこからみんな慎重になっているわけですよね。
 そして、個人資産の活用によって、資産運用の選択肢の拡大、充実、中小企業を初めとする都内企業への成長資金の供給による経済の活性化に期待する、そういう内容が答弁でありました。
 ところが、この期待すべき個人資産の運用、投資信託をめぐって、ことしの春、三月末の、金融庁から、投資信託している半分の個人が損失という内容の発表がありました。私も大変衝撃的に受けました。本来、銀行に貯蓄をすれば、元金は絶対損失することはありません。そして、投資信託は安全だともいわれて売り込まれているこの投資信託の結果が、半分は損失だという報告が金融庁からありました。多くの皆さんの、SNSなどを含めて、注目と関心が集まっています。
 このことについて、都としてはどのような認識を持っているのですか。なぜこういうふうになっているのか、その要因をどのように見ておられますか。

○田尻戦略事業担当部長 金融庁は、金融機関に対しまして顧客本位の業務運営というものを進めようと働きかけをしているところでございまして、それを客観的に評価ができるように、投資信託の販売会社における比較可能な共通のKPIというものとして三つの指標を公表してございます。
 その一つが、今ご指摘のあった運用損益別顧客比率というものでございまして、金融庁が銀行二十九行を対象に二〇一八年三月末現在の合算ベースでの数値を調べたところ、半数強の顧客がプラスの損益である一方、残りの半分弱の顧客の損益はマイナスというような結果になったと承知をしてございます。
 金融庁が共通KPIを公表した理由といたしましては、長期的にリスクや手数料などに見合ったリターンがどの程度生じているかというものを見える化することによりまして、顧客が良質な販売会社を選ぶことにつながり、これが、ひいては販売会社による業務の質の向上をもたらすというふうに考えたからというふうに認識してございます。
 東京都といたしましても、国際金融都市・東京構想において、都民が安心して投資が行える環境の整備は必要ということを掲げておりまして、金融庁の取り組みもまた、この同様な視点に基づくというものであるというふうに認識をしているところでございます。

○とくとめ委員 この金融都市構想において、都民が安心して投資を行える環境の整備は必要と考えて、金融庁のこの原則は、自分たちも同様の視点だといわれました。
 ここに顧客本位の業務運営に関する原則というのがあります。七原則あります。立派なことが書かれています。
 第一原則は、顧客本位の業務運営に関する方針の徹底、公表等、二番目が顧客の最善の利益の追求、三番目が利益の相反の適切な管理となっていて、ちゃんと顧客の利益を守りなさいとなっている、そういう文章。しかも、この文章は去年の三月三十日に発表されています。もう一年以上たっています。
 そこで、この構想の公表より随分前、金融都市構想の公表より随分前の去年の三月三十日にこの原則を公表しているにもかかわらず、なぜ投資信託している半数の個人が損失という状況が生まれているのか、その要因について、どのように認識をされていますか。国際金融都市・東京構想のもとで、同じような事態は起きないといえるのでしょうか。

○田尻戦略事業担当部長 国の政府は未来投資戦略におきまして、または金融庁も金融行政方針などにおきまして、金融事業者の顧客本位の業務運営の確立と定着というものを掲げるとともに、つみたてNISAの普及など、長期積み立て分散投資の定着などによる家計の安定的な資産形成の促進を図っていくということが重要であるということを掲げておりまして、それに従い、東京都も国際金融都市・東京構想において同様の取り組みを進めているということにしているところでございます。
 今後とも、金融庁と連携をいたしながら、都民の金融に対する信頼を高めるとともに、貯蓄から投資の流れを後押しいたしまして、都民の安定的な資産形成を促進していきたいというふうに考えているところでございます。

○とくとめ委員 都民の信頼を得るためにも、この原則を踏まえて、金融庁とも協力しているということでありました。しかし、いずれにしろ、投資信託の場合は、自己責任も問われるし、リスクもあるわけですよね。貯蓄のように、元本は必ず保証して、リスクはないという金融ではないと思うんですね。そこは本当に、都民のリスクに対して、自治体である東京は責任を負わなければいけないという立場だと思うんです。
 そこで、次に質問ですが、国際金融都市・東京構想の具体化に当たって、鍵を握る重要課題の一つに、法人実効税率、相続税の見直しの検討が挙げられておりました。
 要求資料を見ても明らかなように、法人実効税率は、二十三区内に限ってみても、東京は三〇・六二%、シンガポールは一七%、香港は一六・五%になっている。比較しても、二倍以上の法人実効税率の高さが東京の実態です。これは三年間変化なしです。
 相続税も、シンガポール、香港は非課税ですが、東京は相続税一〇%から五五%で、これも三年間変化なしと要求資料では示されております。
 同時に、国際金融都市構想では法人実効税率や相続税の引き下げを掲げているけれども、今後の見通しは一体どういうふうになっているのでしょうか。これまでも何回も質問してまいりました。もう一年以上たっています。
 もしこれが検討されているとしたら、現在、どういう内容、あるいは東京都への税収の影響はどうなるのか、教えていただきたいと思います。

○田尻戦略事業担当部長 日本の法人実効税率の大宗は国税が占めてございまして、国の協力は不可欠でございます。このため、法人税につきましては、国家戦略特区における所得控除の対象に資産運用業やフィンテック企業を加えるような働きかけを続けているところでございます。
 また、都の法人二税につきましても、制度設計を検討している段階でございます。
 こうした政策減税というものにつきましては、将来的に都の税収が増加をする、いわゆる税源涵養の考え方に基づいて進めていくということで、都民の理解を得たいというふうに考えているところでございます。
 また、相続税につきましては、平成三十年度の税制改正におきまして、日本に長期間、住所を有していた外国人が出国後に行った相続につきましては、原則として、国外財産を相続税等の課税対象とはしない旨の改正が行われました。
 この改正は、都の要望に沿ったものでもございまして、外国の高度金融人材が東京で安心してビジネスを行えるものとして、外資系の金融機関などからも評価を得ているところでございます。

○とくとめ委員 現状では、法人税の実効税率は、まだ見直しや減税の方向は決まっていない、国との間でもそれは決まっていないというふうに受けとめてよろしいですか。

○田尻戦略事業担当部長 国の法人税につきましては、国に対する要望を続けております。
 都の法人二税については、現在、まだ検討しているところでございまして、まだ結論が出ているところではございません。

○とくとめ委員 昨年暮れの質問でも、ことしの三月の質問でも、同じような質問で、一年間、この問題は動いていないということです。
 ただ、国際金融都市構想の鍵を握る法人実効税率の見直し、引き下げ問題は、国との連携が不可欠であるだけではなくて、都税の減収になれば、都民の予算、都民施策にも大きな影響が出るのではないかと思います。これについて、税源涵養ということで、将来、税収の増加で穴埋めができるかのようにいわれました。
 しかし、国際金融都市構想の成否によって、注ぎ込む貴重な都民の税金の使い方とその結果によっては、大きく左右されることもあり得るのではないかと思うんです。
 この間の、政府によって、相次いで大手企業の法人減税がやられてまいりました。この四、五年間に四兆円もの、一億円以上の資本金の大手企業の減税がされているといわれています。
 そして、そこをもとにして大手企業の莫大な利益が広がる一方では、それを理屈づけるために、大手の企業がもうかれば、トリクルダウンで、すなわち、滴り落ちるように国民への恩恵、経済効果は発揮されるといってまいりましたけども、発揮されるどころか、都民や国民には還元されていないという実態があるのではないかと思います。
 そこで、最近の世界同時株安の発生による株価の乱高下の実態は、一過性のものではなくて、その背景には、やっぱり現代のゆがんだバブル経済の実態が指摘をされています。一九九〇年代から、ほぼ十年前後の周期で、日本株バブルの崩壊やリーマンショックなど相次ぎました。そして、今、歴史上、最高値に達したアメリカの株価を前に、トランプバブルの崩壊も注目をされています。
 日本の異例の株高も、政府の異常なゆがんだ金融政策によってつくられたものです。二〇一二年、安倍政権直前の日経平均株価は一万円前後で推移していました。しかし、現在では二万円を超過しています。つまり、安倍政権下で株価は二倍以上に高くなっています。これが実体経済が裏づけていれば、それはいいことだと思うんです。
 ところが、実体経済、すなわち国民の個人消費を中心とした肝心の実体経済は、拡大のないまま、横ばいのままです。国内総生産、GDPは四百九十九兆円から五百三十七兆円に、一・〇七倍しかふえていません。
 ところが、実体経済、すなわち国民の家計消費がこういう状態にある中で、やっぱり不安定な非正規雇用とかワーキングプアなどに見られる賃金カット、さらに四年前の消費税五%から八%の増税によって、二人以上の世帯の家計消費は二十五万円も落ち込んでいます。長期不況による長期的な経済停滞が放置されたままではないでしょうか。
 株価を二倍以上につり上げたアベノミクスは、安倍政権のもとで株価を高値で維持するために株価対策を実施してきました。それが日銀による公金投入とGPIFと呼ばれる年金積立金の投入でした。これで株価の高値を支えてまいりました。今の異常な株高は、このからくりがあったからこそ成り立っているんだといわれています。
 異次元金融緩和とは、世界の中央銀行でさえやっていない、日本の中央銀行である日銀に株を買わせることで成り立っている。日銀は、株価の連動型上場投資信託、ETFといわれているもので、現在、年間六兆円も株価を買い取っています。日本株の四%に当たる二十五兆円の株式を日銀が保有している。
 安倍政権下での株高は、この日銀とGPIFという年金積立金の合計六十六兆円、株式時価総額の一〇%を超える株式によって買い支えられた官製相場といえるものなんです。
 こんなことがずっと続くわけがない、どこかで転換しなきゃいけない、そうなったときには、新たな株のバブルが爆発するということになるんじゃないか、私はそういうふうに心配をしている。
 ですから、国債や株式価格が下落すると、日銀には巨額の損失が発生します。日銀信用は毀損して、急激な円安やインフレが日本経済を襲うことになります。
 内外の株価下落は年金積立金も直撃します。一〇%の株価下落だけで八兆円、十兆円の損失をもたらして、年金という生活資金、貯蓄などの個人資産が株式市場の泡となって消滅することになり得る。
 改めて、自治体である東京が本業である都民の暮らしと福祉の拡充のために、都民の皆さんの税金は、最優先でそういう分野に活用すべきだと思います。官民連携の名のもとに、民間の金融業や株式投資業には自治体は乗り出すべきではない。このことを強く述べて、質問を終わります。

○藤井(と)委員 私からは、「三つのシティ」の実現に向けた政策の強化-二〇二〇に向けた実行プランについてお伺いをしてまいりたいと思います。
 この三つのシティーという概念が掲げられておりますように、これは、知事の考え方を具体化した、具現化した計画であるといえるものでございます。一方、都知事選挙のときの公約というものが実行プランに反映をされていないというような事例も散見されるものであります。
 知事の問題意識を都の政策にしていくということは、これは政策企画局のまさに重要な仕事だというふうに思うわけでありますけれども、都知事選挙のときの公約を、可能な限り、この実行プランに反映させるという考え方でよろしいのか、まず確認をさせていただきたいと思います。

○宮澤計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランは、知事の考えを踏まえて政策企画局及び関係各局が立案した政策を、知事、副知事、関係局長で構成するプラン策定会議などの場で十分に議論した上で策定したものでございます。

○藤井(と)委員 今ご答弁あったとおりの位置づけだと思います。
 具体的に、知事公約の中で満員電車ゼロということについてお伺いをしてまいりたいと思います。
 満員電車ゼロに関しましては、我が会派の西沢議員が、満員電車ゼロというのはどういう意味なんですかということを予算特別委員会でお伺いしたところ、これは混雑率一八〇%区間をゼロにするという意味であるというような答弁がございました。そんな程度の志でいいんですかということで、我が会派から厳しく指摘をさせていただいたところでありますけれども、それぞれの公約の意味を明確にしていくということは、これは一方では大切なことではないかなというふうにも思った次第でございます。
 満員電車ゼロの中で、知事公約で具体的な政策として挙げられた二階建て電車という概念があったと思いますけれども、実行プランの中では、この二階建て電車ということについては言及すらないということでございまして、これは知事から政策企画局に対して何らか、この政策については指示があったのかどうかについてお伺いをしたいと思います。

○宮澤計画部長 実行プランを策定するに当たりまして、知事からは、現在の通勤混雑を可能な限りなくすため、さまざまな方策を考えるようお話をいただきました。
 そのため、実行プランでは、時差ビズの促進、働き方改革など快適通勤に向けた取り組みを具体化するとともに、鉄道ネットワークのさらなる充実に向けた検討、鉄道駅の乗りかえ環境の充実、交通需要マネジメント、TDMの導入検討など、さまざまな取り組みを推進しているところでございます。

○藤井(と)委員 今、答弁があった、さまざまな取り組みという中に二階建て電車が含まれているのかどうか、ちょっと不明でありますけれども、政策企画局という局は、知事の問題意識を具体的な政策にするということがまさに役割だと思いますので、この知事の問題意識をしっかりしんしゃくして取り組んでいただきたいと思います。
 次に、出生率についてお伺いをしたいと思いますけれども、この出生率について、実行プランの中で言及がございます。
 以下、引用させていただきますけれども、二〇一五年には一・二四まで回復したけれども、依然として都道府県の中では最低の水準になっている、社会を支える人口が減少していくことは、経済的な側面を初め、さまざまな面で大きな影響を及ぼしていく、こうした人口減少の問題に対して、都としても正面から向き合う必要がある、都内の若い世代の結婚、出産、子育ての希望が実現するならば、出生率は一・七六、希望出生率程度の水準まで向上すると見込まれるということが書いてありまして、最後に、結びで、都民の希望出生率一・七六を実現させることを将来的な展望とするということでございまして、これは展望ということでございますので、一・七六という数字に言及されているわけでございますが、これが数値目標であるのか、数値的な考え方を示したものなのかということまではちょっとわからないんですけれども、一定の目標を定めて、数値を掲げて取り組んでいくということは意欲的ですし、よいことだと思うわけでありますけれども、その根拠について、まずお伺いをしたいと思います。

○宮澤計画部長 都民の希望出生率一・七六は、国と同様に、都内の夫婦の予定子供数、結婚を希望する独身者の割合や、その希望子供数などをもとに算出したものでございます。
 実行プランでは、都民の希望出生率の実現を将来的な展望として示しており、これは他の政策目標とは目的を異にするものでございます。
 その将来的な展望のもと、都は、安心して子供を産み育てられる環境の充実に向けたさまざまな施策を展開しているところでございます。

○藤井(と)委員 都の政策目標とはちょっと違うというような話があったと思います。この希望出生率は、そもそも国の創生会議で示されたものでありまして、国が一・八という、国全体で一・八を目指すという話だったと思うんですけど、東京都としては一・七六ということでございます。国全体の出生率が一・四で、東京都がたしか一・二四だというふうに思うわけでございますが、より努力が必要なお話なのかなと思っております。
 実行プランの中で出生率の予測というものが示されてございまして、まず実績値について申し上げますと、二〇一一年から二〇一五年、東京都、都内で五十五万人のお子さんが生まれているということでございまして、次から申し上げる数字が予測なんですけども、二〇一五年から二〇二〇年が五十三万人、さらにその次の五年間が五十万人、さらにその五年間が四十八万人ということで、どんどん出生数が減っていくというような人口予測になっていると思います。
 私も、先ほどの希望出生率という理想に対して、現実というのは相当厳しいのかなというふうに思っているわけでございまして、希望出生率と、東京都としての計画というか、予測との乖離が相当あるというふうに思うわけでありますけども、その辺はどのようにお感じになられていらっしゃいますでしょうか。

○宮澤計画部長 希望出生率とは、若い世代における結婚、子供の数に関する希望がかなうとした場合に想定される出生率でございます。
 一方、合計特殊出生率とは、十五歳から四十九歳までの女性が生涯に何人の子供を産むのかを推計した数値でございます。現在の人口構成や傾向から、将来の数値が推計されるものでございます。
 それぞれの数値を踏まえ、実行プランでは、都民の結婚、出産、子育ての希望が実現するならば、出生率が希望出生率の水準まで向上することが見込まれると記載してございます。
 都は、子供を持ちたい人が希望するだけの子供を持てるよう、子育て環境の整備や不妊治療への支援などの施策を進めているところでございます。

○藤井(と)委員 今ご答弁があったとおりでありますけども、本当に出生率を上げるというのは相当難しい話でございまして、経済的支援の話もありましたけれども、今も経済的になかなか厳しいという状況でございますけども、今よりもはるかに多分GDPも小さかった、厳しかった団塊の世代生まれの方が生まれた時代というのは、出生率は四近くだったそうでありまして、何をやったら出生率が上がるということの因果関係はなかなか明確ではないということではあると思いますけれども、都として、やれることは全てやっていくというような立場で、ぜひ頑張っていただきたいなと思います。
 最後に、この人口推計についてを都の計画に生かしていくということについてお伺いしてまいりたいと思います。
 このプランにも書いてあるんですけども、いわゆる待機児童の解消を二〇一九年度末にゼロにするということで、この間、急ピッチに保育所を増設されていらっしゃるかと思います。
 他方において、さまざまな一部の識者の方からも指摘をされているところなんですけども、待機児童問題が一段落したころには、むしろ保育所が余ってしまうようなリスクがあるんじゃないかと。まさに今の幼稚園がそうだと思うわけでありますけども、そういったこともぜひ注意をすべきだというような話もございます。
 こういった意味において、私、政策企画局として、それぞれの個別の局の政策に対して、人口推計というものと、ある意味で矛盾してしまうような計画というのが幾つか散見をされるわけでございまして、これを修正してもらうように働きかけていくということも大切な役割なんじゃないかなと思うわけでございますけれども、この点について最後に伺って、終わらせていただきたいと思います。

○宮澤計画部長 人口推計は、現在の人口の構成をもとに自然増減、社会増減などを見込んだ長期的な将来推計であり、実行プランでは、こうした人口推計を都として示し、それを踏まえたさまざまな政策を盛り込んでございます。
 例えば待機児童は、二〇一七年時点では八千人を超えておりましたが、女性の活躍を後押しすることを目的に、これを解消するための施策を積極的に展開しているところでございます。
 将来的に保育所が余るというご指摘でございますが、長期的には就学前児童人口が減るという予測がある一方で、女性の就業がふえれば、保育ニーズはふえてまいります。
 保育所の増設などは、こうした状況も踏まえて、十分に考慮しながら対応する必要があり、都としては、人口推計を踏まえながらも、それだけではなく、ほかにもさまざまな要素を踏まえて政策を決定しているところでございます。
 なお、先ほどご指摘がございましたように、保育施設が充実して余るような場合には、例えば高齢者施設など、ほかの施設に展開するような制度も既に用意されているところでございます。

○藤井(と)委員 ただいま、保育所が仮に余るような状況があれば、他の施設に転用するというお話もございました。
 我が会派として、ずっと主張させていただいている財政の長期予測の話だとかも、やっぱり人口減少を踏まえた上での長期的な展望をしっかり示してくださいということを申し上げている次第でございます。その意味では、ぜひ長期的に取り組んでいただくということを改めてお願いいたしまして、会派としての質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○藤井(あ)委員 三人目の藤井でございます。よろしくお願いいたします。
 政策企画局の事務事業の質疑をさせていただきます。
 政策企画局は、移り変わりの早い社会の変化に対応し、東京の新たな成長につながる、これまでにない取り組みをする局であると認識しております。さらに、全庁的な視点に立って各局実施事業間の有機的な連携を図り、先進的な施策を積極的に展開できるように支援しております。
 新たな取り組み、全庁横断的な支援という視点から、今回は、大きく二点、全十個の質疑をさせていただきます。
 一つ目は、自動走行や海外企業誘致など特区に関するもの、二つ目は、ベイエリアビジョンの官民連携に関するものです。
 まず、特区について、最初に都の国家戦略特区の全体像について確認をした後、自動走行、アジアヘッドクオーター特区にかかわる外国企業誘致についてもお伺いしてまいります。
 小池知事就任以来、特区を積極的に活用して、東京の魅力を高め、激化する都市間競争を勝ち抜くと発言されているかと思います。東京二〇二〇年大会の開催も視野に、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備することは、都市の魅力を高め、世界から資金、人材、企業等を集めるために重要であると考えます。国際ビジネス拠点の形成や起業、イノベーション創出等の観点から、国家戦略特区を積極的に活用していくべきだと考えております。
 まず、確認の意味で、これまでの都の国家戦略特区の認定実績についてお伺いさせていただきます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 都では、国、自治体、民間事業者との連携のもとに国家戦略特区を積極的に活用しておりまして、これまでに自治体としてトップとなります八十四件の認定を受けております。
 例えば、認定実績が最も多い都市再生分野でございますけれども、都市計画法等の特例によりまして、都心部を中心に国際ビジネス交流拠点、MICE拠点などのスピーディーな整備を支援しているほか、道路法の特例によりまして、さまざまなイベント展開を通じたにぎわいの創出に取り組んでいるところでございます。
 また、こうした規制緩和だけではなくて、国家戦略特別区域会議のもとに、東京開業ワンストップセンターや東京自動走行ワンストップセンターなどを関係省庁とともに設置いたしまして、相談、手続をワンストップで支援する取り組みも行っているところでございます。

○藤井(あ)委員 先ほど古城委員からもご指摘がありましたとおり、全国で約三百件ある国家戦略特区のうち、八十四件が東京都で認定されているとのこと、さらには、全国で唯一の東京開業ワンストップセンターや東京自動走行ワンストップセンターなどを設置しており、国家戦略特区において都の果たす役割が非常に大きいということが確認できました。
 都市公園の保育園や学童クラブでの利用に関しては、東京からの提案で始まり、平成二十九年六月より全国措置へと広がったと、先ほど、またこちらも指摘があったところかと思います。
 これらのすばらしい実績は、都が民間事業者等と議論をし、特区メニューの新たな提案を国に行ったり、既存の特区メニューの活用を民間事業者と調整してきたご尽力のたまものであると考えますが、民間事業者とはどのように議論、調整を行っているのか、お伺いさせていただきます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 特区メニューの新規提案に当たりましては、民間事業者等のニーズを的確に把握することが重要でございますので、業界団体や新たなプロジェクトに取り組む民間事業者等にヒアリングを行っているところでございます。
 例えば、昨年九月に設置いたしました東京自動走行ワンストップセンターでございますけれども、民間事業者の方から、実証実験の相談でございますとか、手続の窓口を調べるのに時間がかかるというご意見もあったことを受けまして、内閣府、警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省の五省庁に働きかけて設置に至ったものでございます。
 また、既存の特区メニューの活用につきましても、民間事業者や区市町村などを対象としたシンポジウムを開催するなど、特区制度の積極的な情報発信を行っているところでございます。
 今後とも、特区制度のPRに努めまして、活用を促してまいりたいと考えております。

○藤井(あ)委員 民間事業者や業界団体などからニーズを的確に把握し、国に対して特区メニューを新規提案していることの確認ができました。特区制度を有効活用するために積極的に国に働きかけているとのこと、大変心強く感じたところでございます。
 先ほどご答弁にありました、ことし六月に開かれました国家戦略特区シンポジウムでは、都内の区市町村の職員や民間事業者向けに、ビジネス環境の整備や国際金融経済都市にふさわしい生活環境の整備、イノベーション創出と地域活性化、女性の活躍促進、多様な働き方の確保、子育て、介護サービスの充実など、都の国家戦略特区を活用した具体的な取り組みを紹介したと聞いております。
 都内自治体や民間事業者への働きかけも積極的に行っているということで、今後も積極的に働きかけて関係構築を期待しているところでございます。
 続いて、先ほどありました、民間事業者の課題から生まれたとご答弁いただいた自動走行ワンストップセンターの実績についてお伺いをしようと思っていたのですが、こちらも古城委員の方から質疑がありましたので、省略をさせていただこうと思います。
 自動走行に関しましては、先日の第三回定例会の私の一般質問でも取り上げさせていただきましたし、また、我が会派ではモビリティー政策研究会というものを立ち上げまして、会派を挙げて自動走行を初めとしたモビリティー政策に取り組んでおるところでございます。
 先ほど自動走行ワンストップセンターに関しましては、既に十二件も実証実験が行われているということで、大変これは重要なことだと考えております。設置から約一年で着実な実績が上がっているということで、こちらも安心をさせていただきました。今後は、特に東京二〇二〇大会のショーケースとなるよう、より大きな実績を積み重ねることを期待しております。
 こちらも私の一般質問で申し上げたとおり、例えばですけど、羽田から都心部をつなぐような実証実験を行うなど、こちらも要望させていただきます。
 加えて、つい先日、十三日に内閣府が東京の臨海部で自動運転の実験を行うという発表をしておりますので、そういったところでの協力、さらには東京都でも実証実験を行うように強く要望させていただきます。
 自動運転の社会実装には都民の理解も必要となりますが、機運醸成のために行いました十月の試乗会の結果についてお伺いをさせていただきます。

○田尻戦略事業担当部長 自動運転の社会実装を推し進めていくためには、技術面の課題はもとより、安全面等に対する不安の払拭といった社会受容性の向上が大きな課題であると考えております。
 こうしたことから、ことしの十月に臨海副都心のシンボルプロムナード公園で一般都民向けの自動運転車両の試乗イベントを開催し、二日間の合計で三百十五人の一般都民の皆様に最先端の自動運転車両に触れていただきました。
 試乗体験車へのアンケートを行ったところ、試乗前では四〇%の方が自動運転に対して不安と答えていたんですけども、試乗後ではそれが一〇%に減少するなど、自動運転技術について身近なものと感じていただいたのではないかというふうに考えております。
 今後も自動運転の利便性や安全性などを紹介するシンポジウムを来年の二月に実施する予定でございまして、これらの取り組みを通じまして、自動運転システムが都民の理解、賛同を得て、地域社会の中で受け入れられるような先端技術となるように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

○藤井(あ)委員 試乗体験を通じて不安感が減るという重要なエビデンスが確認できました。試乗体験による機運醸成がいかに重要かがわかるかと思います。
 我が会派のモビリティー政策研究会のメンバーの一員として、私も十月の試乗会に参加させていただきました。大変安定した走り、乗り心地で、決まったコースを走るということを踏まえても、不安を感じることは全くございませんでした。今後とも機運醸成の事業を強力に進めていただきたいことを要望いたします。
 また、平成三十一年度の予算要求では、機運醸成に加えて、自動運転が都内経済社会に与える便益に関する調査分析が新規で加えられております。どのような便益があるかわかれば、都民の理解はより一層進むものであると考えますので、こちらもあわせて進めていただきますよう要望いたします。
 続きまして、外国企業の誘致に関して、先ほどありましたが、アクセラレータープログラムに関して三点お伺いさせていただきます。
 アクセラレーターとは、スタートアップ、いわゆるベンチャー企業でありますが、特に最初の、初期のステージにおいて、さまざまな支援を通じて、そういったスタートアップ企業の急速な、まさにアクセルを踏むような成長を促すもののことをいいます。
 昨年度から新たに開始されました海外スタートアップ支援のためのアクセラレータープログラムの目的及び概要についてお伺いをさせていただきます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 都は、東京の国際競争力を向上させ、さらなる成長へと導くため、第四次産業革命関連の先端技術を持ちます外国企業誘致に取り組んでおりまして、海外のすぐれた技術やノウハウの国内企業への移転などを推進しております。
 ご指摘のございました東京都アクセラレータープログラム、テックビジネスキャンプ東京でございますけれども、その取り組みの一環といたしまして、先進的な技術を有する外国スタートアップ企業と都内企業とのマッチングなどを通じまして東京でのビジネス展開を促進することを目的として、昨年度から開始したものでございます。
 本プログラムは、約二カ月間の間、都内の大手IT関連企業でございますとか金融機関等が相談役となりまして、ビジネスプランのブラッシュアップを集中的に行いますほか、都内企業とのビジネスマッチングやネットワーキングイベント、ビジネスプラン発表会などの機会を参加する外国企業に提供するものでございます。

○藤井(あ)委員 日本の名立たる大企業が相談役となり、海外スタートアップを支援することで、大企業にとっても、まさにオープンイノベーションなど、学びを得る大変貴重な機会になっているのではないかと思います。
 加えて、海外最先端のスタートアップのビジネスプランを発表することで、日本のスタートアップにも刺激を与えていることと期待するところでございます。
 同時に開催されていますフィンテックのビジネスキャンプ東京とあわせて、ぜひ大きなムーブメントとなるように、さらなる積極的な取り組みを要望いたします。
 応募する海外スタートアップの数や、国内の協力企業の数もふえていると聞いております。そこで、プログラムのこれまでの実績についてお伺いをさせていただきます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 昨年度は四十九社の外国スタートアップ企業から応募がございまして、審査を通過した八社が参加いたしたところでございます。
 今年度は、それを上回ります八十五社からの応募がございまして、十三社が参加しております。
 また、都内の協力企業も、昨年度の十社から二十一社へと増加しております。
 本プログラムをきっかけにいたしまして、参加外国企業のうち、例えば人工知能を活用した先端的な画像認識技術を有する中国企業が既に法人登記を行い、事業を開始しているところでございます。
 また、その他の参加企業も、都内企業と引き続き協議を行っております。
 こうした参加した外国企業からは、本プログラムが日本の市場概要を素早く理解する上で効果的であるというほか、日本の主要企業と、ご指摘にございましたけれども、直接ビジネスマッチングを行う貴重な機会を設けることができる点というのを評価する声が挙げられておりまして、今後とも外国企業のさらなる都内進出が期待されるところでございます。

○藤井(あ)委員 本プログラムを通じて、世界各地からスタートアップが集まり、法人登記を行う会社や都内企業との協業を進めている会社まで出てきている。すばらしい成果を確認することができました。
 いただいた資料等を確認させていただきますと、採用されている今回参加予定の企業も、さまざまな国、九カ国から参加されているということで、非常にすばらしいなと思っております。
 また、参加企業、協力企業から評価が高いというところも確認できたのは、すばらしい点だなと思います。
 先ほど我が会派の増田理事の質疑の中で指摘もございましたが、フィンテック企業のアクセラレータープログラムの実績も確認をさせていただきました。
 実は私、決済系のフィンテックのスタートアップで三年ほど前に役員をしておりましたので、その視点からも大変興味深く拝見をさせていただきました。最近の海外でのフィンテックの多様さに驚いたところでございます。
 特に目につきましたのが、人工知能、AI、ビックデータやブロックチェーン、そういった最新の技術を活用したさまざまな事業、サービスを持ったスタートアップが多いことです。先ほど増田理事への答弁に、顧客サポートや保険開発の分野などへ、そういった技術を適用しているというご答弁がありましたが、非常におもしろいものだなと思いました。私がやっていたころは、先ほど答弁にもありましたとおり、決済といったようなところがやはりメーンでしたので、大分様相が変わってきているなと思います。
 これはテックの方のスタートアップも同様で、最新の技術を持つスタートアップが選定されているということがわかります。
 もちろん、スタートアップの支援というのは一筋縄ではいかないというところがありますので、改善をしながら事業を進めていくことが重要だと考えております。
 他の自治体では、海外アクセラレーターと連携してプログラムを展開しているところがあります。例えば神戸市では、シリコンバレーを拠点に世界六十カ国、二千社へ出資している実績のあるファイブハンドレッド・スタートアップスというところとパートナリングを組んで、アクセラレーションプログラムを展開しております。ことしは全二百三十七チームの応募があり、海外からは百三十五チーム応募があったそうです。
 こうした海外アクセラレーターとの連携など、プログラムのさらなる発展を目指すべきだと考えますが、東京都アクセラレータープログラムの今後の展開についてお伺いをさせていただきます。

○米津国家戦略特区推進担当部長 東京都内におきましては、世界的に活躍している海外アクセラレーター、シェアオフィスなどの進出が見られておりまして、外国企業の都内進出を後押しする資源が着実に増加しておると考えております。
 都においても、例えば、今年度既に、海外アクセラレーター、プラグ・アンド・プレー・ジャパンと連携いたしまして、ネットワーキングイベントを協力して開催しているところでございます。
 今後、こうした海外アクセラレーターとの連携、強化をさらに図るほか、アクセラレータープログラムの参加企業の同窓組織の強化促進を図りまして、新たな技術やビジネスモデルを持つ外国企業を都内に呼び込み、イノベーションの創出、都内経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。

○藤井(あ)委員 今後の展開について、大変力強いご答弁をいただいたものと認識しております。プラグ・アンド・プレーも、シリコンバレーの著名なアクセラレーターの一つですし、ほかにも、例えばYコンビネーターというようなアクセラレーターもいます。今後、こういったようなところと積極的な連携強化を要望いたします。
 アクセラレーターとの連携強化に加えて、例えばですけど、世界二十三カ国、七十七都市で二百八十七拠点のシェアオフィス、コワーキングスペースを展開するウィーワークの活用も提案させていただきます。
 グローバルで二十六万人を超える利用者がいるといわれておりまして、シェアオフィス、コワーキングスペースとして、世界のスタートアップなどの間では利用が定着してきております。
 私も先日、参加をさせていただきましたが、五月には、東京ワンストップセンターのセミナー会場としてもウィーワークを利用されておりました。小池知事も、冒頭ご挨拶されていたのを拝見させていただきました。
 また、せっかくのすばらしい本アクセラレータープログラムですが、まだ余り知られていないのではないかと若干心配をしているところでございます。海外スタートアップを対象としているところもあるかとは思うんですが、例えば、スタートアップがアクセスしやすいように、ツイッターやフェイスブックなどの独自アカウントをつくるなど、SNSを通じて広報するであったりとか、今後、さまざまな方法で東京都アクセラレータープログラムの普及にも努めていただきたいと思います。
 加えて、産業労働局がやっているアクセラレーターやスタートアップの支援のプログラム、これは日本の企業中心のものだと思うんですが、そういったところとも連携をすることで、普及というのは広がっていくんじゃないかなと思っておりますので、こちらも要望をさせていただきます。
 次の質問に移らさせていただきます。
 最後の三つの質問になりますが、先日始まった東京ベイエリアビジョン(仮称)の検討にかかわる官民連携チームについてお伺いをさせていただきます。
 東京ベイエリアビジョンは、先日、我が会派の森澤都議が経済・港湾委員会で質疑をいたしましたが、港湾局を中心に全庁横断的に検討が進んでいると聞いております。
 臨海副都心、ベイエリアは、激化する都市間競争の中で、東京の都市としての競争力を向上し、東京二〇二〇大会を基点とした東京のさらなる成長を促し、日本をも牽引する稼ぐ東京としての可能性を秘めた大変重要なエリアであると考えております。
 また、研究施設などが集まっておりまして、さらに、広い土地や道路があることで、先進技術のショーケースとしても実証実験ができるような場所であるという側面もあるかと思います。行政と民間が連携して、日本の新しいモデルをつくっていく上での拠点となり得るかと考えております。先ほど自動運転のところでもお話をさせていただいたと思うんですけども。
 都は、二〇一九年末をめどにビジョン策定に向けた検討を進めており、検討に際しては官民連携チームを立ち上げるなど、大変ユニークな取り組みを進めておるかと思います。
 そこで、官民連携チームの意義とメンバーの人選をどのように行ったのか、お伺いさせていただきます。

○宮澤計画部長 東京ベイエリアビジョンでは、二〇二〇年以降の成長モデルを国内外に示すものとして、ベイエリア全体を俯瞰し、これまでの枠を超えた総合的なビジョンを策定することとしております。
 本ビジョンの策定に向けた基本コンセプトの一つとして、官民連携のもと、次世代を担う若手の視点や自由な発想を生かすことを掲げており、官民連携チームはこれを具体化し、行政の枠を超えた発想や手法を積極的に取り入れる新しい取り組みでございます。
 メンバーの人選に当たっては、まちづくりの視点から検討を行う魅力あるまちづくりワーキンググループ、観光などにぎわい創出の面から検討を行う活力と躍動感のあるまちワーキンググループ、ICTやAIなどテクノロジーの面から検討を行う最先端技術のまちワーキンググループの三つを設置し、各界の第一線で活躍する方々にご参加いただくとともに、庁内関係各局等の技術職員を中心とする若手職員をメンバーとしてございます。

○藤井(あ)委員 都庁内の若手職員を民間の第一線で活躍する方々と掛け合わせることで、都に関する知識をワーキンググループにインプットすることと、さらに、若手職員がワーキンググループで得たものを都庁内に持ち帰るという初の試みであり、とても野心的な取り組みであるということを理解させていただきました。行政の枠を超えた新たなアイデアや若手職員の成長で、よい循環が生まれることを期待するところでございます。
 このベイエリアビジョンの策定に向けては、別途、庁内の検討委員会でも並行して検討を進めていると聞いておりますが、官民連携チームとどのような役割分担にあるのか、お伺いさせていただきます。

○宮澤計画部長 ベイエリアビジョンの策定に向けては、副知事をトップに関係各局で構成する庁内検討委員会を設け、港湾局、都市整備局、政策企画局の三局が中心となって検討を進めることになっております。
 官民連携チームは、次世代を担う若手の視点や行政の枠を超えた自由な発想を生かし、庁内検討委員会にベイエリアの将来像に係る提案を行う役割を担っております。

○藤井(あ)委員 ベイエリアビジョンに関する庁内検討委員会と官民連携チームの役割を理解することができました。
 官民連携チームは、先月十月に第一回の会議が開催され、今月には第二回が開催されると聞いております。
 そこで、今後、庁内検討委員会への提案の取りまとめに向けてどのように進めていくのか、お伺いをさせていただきます。

○宮澤計画部長 現在、各ワーキンググループは、おおむね月一回程度のペースで検討を進めており、テレビ会議などを活用した機動的な運営や現地の視察、ベイエリアの関係者へのヒアリングなどを精力的に行っております。
 庁内検討委員会への提案につきましては、三つのワーキンググループを統括するコーディネーターと各ワーキンググループの座長で構成される総括会議において取りまとめることにしております。
 来年末のベイエリアビジョンの策定に向けては、複数回の提案を予定しており、第一回目の提案を本年十二月末を目途に取りまとめる予定でございます。

○藤井(あ)委員 ベイエリアは、今後の東京の成長をつくり出す場所として大変重要な役割を担っております。そのため、ベイエリアビジョンにおいては、壮大なビジョンを描くことが重要であると考えております。
 先日の私の一般質問でも触れさせていただきましたが、カナダのトロントでは、グーグルの子会社であるサイドウオークラボというところと行政が組んで、センサーを活用したIoT技術などICTでまちの課題を解決するスマートシティーをベイエリアで建設しようというプロジェクトが実施されております。そういったスマートシティーの先行事例なども参考にしながら議論を進めていただきますよう要望いたします。
 また、今回対象となるベイエリアは、交通の面では課題が多くあるのではないかと考えております。海外で先行し、国の未来投資戦略二〇一八にも記載のあります、次世代の交通といわれておりますMaaS、モビリティー・アズ・ア・サービスなどの取り組みも踏まえるように要望させていただきます。
 官民連携チームによる検討はまだ始まったばかりですが、これまでにない発想のもと提案を取りまとめていただくことを期待して、私からの質疑を終わらせていただきます。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後五時三十七分休憩

   午後六時十分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○森口委員 私からは、都における都市外交の取り組みと国家戦略特区における外国人材の受け入れ事業について質問いたします。
 東京は日本の首都であり、世界を牽引する都市として、今後も持続的な発展を続けるとともに、国際社会への貢献が求められています。また、昨今、世界の都市間競争が激化をし、世界の人、物、資本、情報が国境を越えて都市にさらに集約がされていく中、東京が世界から選ばれる都市として今後も発展を続けるには、国際都市との連携が必要不可欠であります。
 東京都における都市外交は、平成二十六年十二月に策定された都市外交基本戦略により、東京二〇二〇大会の成功、大都市に共通する課題の解決、グローバル都市東京の実現の三つを目的として掲げ、都知事のリーダーシップのもとで、さまざまな国際都市との交流を進めてきました。
 先月、十月三十日から十一月四日まで、小池都知事は、東京都の姉妹友好都市であるロンドン市、パリ市を訪問いたしております。昨年も、パリ市にてC40やシティーラブに出席をし、都の環境政策や新しい東京の実現に向けた取り組みのPRを行うとともに、パリ市長やロンドン市長と面会をし、友好協力関係を構築しております。
 そこで、今回のロンドン、パリ出張の目的とその実績についてお伺いをいたします。

○加藤外務部長 今回の出張につきましては、シティー・オブ・ロンドンにおける金融プロモーション及び友好都市でありますロンドン市、パリ市と一層の連携を強化することでございます。
 シティー・オブ・ロンドンでは、ロード・メイヤーと会談し、連携を強化したほか、金融プロモーションの実施など、国際金融都市東京の取り組みをアピールいたしました。
 また、ロンドン市長と、環境、オリンピック・パラリンピックなどについて意見交換したほか、オリンピックパークを視察いたしました。
 パリ市長とは、東京二〇二〇大会とパリ二〇二四大会に向けて、オリンピック・パラリンピック、環境、文化、観光などの分野において連携を進めていくことで合意いたしました。
 また、パリ市内で実施したFUROSHIKI PARISなどの文化交流事業や東京二〇二〇大会等のPRブースを通じて、パリ市民に東京の魅力を広く発信することができました。
 今回の出張を通じまして、両都市との具体的な連携を深めることができたと考えております。

○森口委員 今ご答弁にありましたFUROSHIKI PARISの取り組みが非常に印象的だったのですが、ことしは日仏交流百六十周年であり、東京の友好都市であるパリ市との文化交流の活性化に向け、両都市の文化の魅力を世界に幅広く発信する取り組みとして行われているパリ東京文化タンデムの一つとして行われたアートイベントになりますが、パリ市庁舎前広場に日仏の著名なアーティストやデザイナーによる風呂敷アートを展示し、さらに、市庁壁面に並ぶ歴史的な石像にそれぞれ風呂敷を持たせるなど、日本の文化を強力に発信する事業として、パリにおいても大きな注目を集めたと伺っております。
 都は、パリやロンドン以外にも、ニューヨーク、北京、ソウル、モスクワ、ベルリン、ローマなど計十二の都市と姉妹友好都市の締結を行っております。
 一方で、姉妹友好都市以外にも、世界の主要都市と、都は二都市間都市外交を進めているわけでありますが、そういった都市と比べ、姉妹友好都市はどのような目的で締結をされ、どのような交流を行うのか、改めてお伺いいたします。

○丹羽外務担当部長 姉妹友好都市につきましては、友好親善的な交流を目的として、都議会の議決を経て、一九六〇年のニューヨーク市を皮切りに十二の都市と関係を締結しており、これまで友好代表団の相互派遣、青少年交流、文化スポーツ交流、研修員の受け入れなどを行ってまいりました。
 また、二〇〇〇年代以降は、こうした友好親善交流に加え、環境、都市づくりなど大都市共通の諸課題の解決に向け、実務的な交流、協力の推進を図っております。
 今後、姉妹友好都市とこれまで築いてきた成果を生かしつつ、その見直しや再活性化を図った上で、実務レベルでの交流、協力を強化し、都市間の連携を積極的に進めてまいります。

○森口委員 最近の姉妹友好都市関係は、二〇一五年にロンドン市と締結をしておりますが、その前は二十年以上前のローマ市であります。十二の姉妹友好都市の中には、現在、特段活発な交流が行われていない都市もあると伺っております。その時々の状況で締結をし、一時的な親善や交流に終わることなく、姉妹友好都市として、都民や企業、行政職員も含め、人的、文化的、経済的な交流を進めていただきたいと思います。
 期間を定めて更新制にする、定期的に共同事業を行うなど、姉妹友好都市のあり方も再度検討が必要と思われます。
 次に、都の多都市間都市外交についてお伺いをいたします。
 人、物、情報、資本が国境を越えて行き交う中、経済、環境問題、自然災害、テロに対する危機管理など、都市の共通の課題解決が求められております。
 先進都市としての経験やノウハウの共有は、非常に重要であります。都はこれまで、東京グローバルパートナーズセミナーや危機管理ネットワークなど、世界の主要都市と、優先課題に関して意見交換を行い、情報共有を進めております。
 そこで、都の多都市間都市外交の取り組みと、そこで得られたノウハウが具体的にどのようなものであるか、お伺いいたします。

○丹羽外務担当部長 都は、大都市に共通の課題解決や都市間の連携促進のため、多都市間都市外交に取り組んでおります。
 首長レベルでは、C40への参加や、都がことし五月に主催した、きれいな空と都市東京フォーラムなどを通じて、世界の大都市共通の環境課題の解決に向けて連携を図っております。
 実務レベルにおきましては、例えば危機管理ネットワークは、現在、十四都市が参加しており、危機管理会議や防災訓練、研修事業等を通じ、危機対応の経験やノウハウを共有しております。
 また、東京グローバルパートナーズセミナーは、海外諸都市の国際部門の責任者等を東京に招待し、毎年テーマを設定して意見交換を行っており、昨年度は十四都市が参加いたしました。
 こうしたさまざまな多都市間での交流により、東京の経験、取り組み等の発信や、海外諸都市との関係構築強化を進めております。

○森口委員 本年、新たな多都市間都市外交の取り組みの一つとして、Urban20に加盟をし、本年十月に第一回のアルゼンチン・ブエノスアイレスでの会合に参加いたしております。これは、世界的な経済の安定と成長を図るための国際会議体であるG20それぞれの国を代表する都市等が、世界の諸問題の解決には都市の視点や貢献が重要であるとして、国際的な課題に対する都市の取り組みや知見をG20に届ける取り組みであります。
 そこで、本年十月のUrban20の取り組みや実績についてお伺いをいたします。

○丹羽外務担当部長 先月、ブエノスアイレス市で開催されたUrban20、U20の第一回メイヤーズ・サミットには、二十のU20加盟都市を含む三十五都市の首長級幹部が参加し、コミュニケを採択した上で、ことしのG20議長であるアルゼンチン大統領に手渡しました。
 このコミュニケは、気候変動、将来の労働市場、社会統合、包摂、安全で持続可能な食、都市づくりに必要な財源といった世界共通の課題に関して、G20に対し、都市と連携した取り組みを求める内容でございます。
 東京都からは、この会議に、知事の代理として猪熊副知事が参加いたしました。
 また、知事のビデオメッセージにより、来年五月に東京で次のメイヤーズ・サミットを開催することを発表し、各都市に出席を呼びかけました。

○森口委員 来年度はG20が大阪で開催をされることから、U20は五月に東京で開催となります。さまざまな都市問題の解決が話し合われるとともに、世界の主要都市のリーダーが集まる場でもあります。二〇一九年、来年のラグビーワールドカップ、そして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのPRにつながる効果的な都市外交の機会にしていただきたいと思います。
 また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの成功や、その後のレガシーと都市の発展、国際金融都市政策、外国人との多文化共生社会の実現、女性や高齢者、障害者などの活躍、ダイバーシティー社会の推進、観光振興、文化芸術都市の推進など、東京が抱える課題解決や新たな施策を考える上で、海外の都市の先進的な取り組みに関する情報収集が必要不可欠と考えますが、都としてどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○加藤外務部長 都では、姉妹友好都市などの取り組みに関する海外の主要メディアの報道について情報収集し、関係部署と情報共有を図っております。
 また、都の施策推進に資する事項について、一般財団法人自治体国際化協会が海外に有する七つの事務所を通して現地での調査を行うほか、同協会が独自に調査、発信した情報も活用しております。
 今後も、さまざまな手段により海外諸都市の取り組みの情報を収集するとともに、情報共有を進め、都政の課題解決や新たな施策の推進に役立ててまいります。

○森口委員 海外の都市の取り組みに関する情報収集とともに、都市外交の推進には、東京と世界をつなぐ人材の育成が非常に重要と考えております。
 都は、都市外交人材の育成のために人材育成基金を設置していますが、都市外交人材育成基金の活用のこれまでの実績と、今後の人材育成の取り組みについてお伺いをいたします。

○加藤外務部長 都市外交人材育成基金は、東京と世界各都市との発展に向け、その相互の交流及び協力を担う人材の育成に資する施策の推進に要する資金に充てるため、平成二十七年四月に設置したものでございます。
 基金の総額は八十億円であり、期間は平成二十八年度から三十六年度までの九年間でございます。
 本基金を活用いたしまして、首都大学東京が行う留学生の受け入れや高度研究、姉妹友好都市等との合意に基づく人材育成事業、危機管理ネットワークなど多都市間で取り組む人材育成事業などを実施しております。
 これまでの実績ですが、例えば首都大学東京では、平成二十九年度末までに八十一名の留学生を受け入れており、また、危機管理ネットワークにおける人材育成事業には、平成二十八年度及び二十九年度で百八十六名が参加しております。
 今後も、留学生や行政職員の人材育成を通じて、互いの都市の課題解決や発展に資するとともに、東京と世界各都市を結ぶ持続的な人的ネットワークの形成を目指してまいります。

○森口委員 都市外交人材が都民や企業の国際交流を牽引し、世界の都市との人的交流、文化的交流、経済交流などを通じて、都民や東京都の企業のさらなる成長を促し東京の発展に寄与していく好循環へとつなげていくためにも、人材育成事業を今後も活発に進めていただきたいと思います。
 姉妹友好都市であるロンドン、ニューヨーク、パリ、そしてアジアの諸都市など、世界の主要都市と都市外交をさらに推進し、そこで得た先進的な取り組みや知見を都民に対してもっと発信していただきたいと考えますが、都の見解をお伺いします。

○加藤外務部長 知事の海外出張の成果や、国際会議等により得た海外諸都市の知見につきましては、東京都公式ホームページに掲載し、広く都民に発信しております。
 また、海外の先進的な取り組みに関する情報や知見は、さまざまな形で都の施策に活用しており、例えば海外の主要金融都市の取り組みは、国際金融都市東京の実現に向けた施策の参考としております。
 今後も、都市間交流を通じて得た情報や知見を、幅広い観点から都の施策に反映させてまいります。

○森口委員 ホームページでの発信や都庁内での施策への反映に加えて、都民や企業が海外の先進的な取り組みや知見を学び、活用できるような場や機会の提供も効果的と考えます。
 例えば、ことし五月に開催をした、大都市共通の環境課題をテーマにした、きれいな空と都市東京フォーラムは、世界二十二都市の代表が一堂に会し、持続可能な都市環境を実現するための効果的な政策と知見について情報を共有し、解決策を議論し、都民が各セッションに参加をできたと伺っております。
 都民参加型のこのような国際フォーラムを行っていくことで、都民一人一人が世界に視野を向け、国際的な視点を持ち、それぞれの地域や仕事に生かしていくことがグローバル都市東京の実現につながると考えます。
 経済、金融、都市づくり、環境、交通政策、社会福祉、観光、文化など、東京の進むべき方向性を考えていく上で、国際的な視点は必要不可欠であります。東京都の発展につながるよう、さまざまな視点での都市外交を拡充していただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 次に、国家戦略特区における外国人材の受け入れ事業についてお伺いをいたします。
 東京の持続的な成長や発展には、外国人の活躍が重要となっております。国は、高度外国人材の受け入れを進めるとともに、二〇一四年より、女性の活躍促進や家事支援ニーズへの対応、また、中長期的な経済成長の観点から、家事支援外国人の受け入れを成長戦略の一環として推進してきました。
 都は、二〇一六年に、家事支援外国人材の受け入れは、女性の活躍推進とともに、海外の高度金融人材等の誘致推進にも貢献をするとして、神奈川県、大阪府に続き、国内では三例目となる特区の区域計画認定を受け、昨年、二〇一七年五月より外国人材による家事支援サービスを開始いたしております。
 そこで、都における家事支援外国人受入事業の普及に向けたこれまでの取り組みと実績についてお伺いをいたします。

○米津国家戦略特区推進担当部長 都は、家庭での家事負担の軽減による女性活躍の推進などを図るため、国家戦略特区の特例を活用いたしまして家事支援外国人受入事業に取り組んでおります。
 本特例は、東京都と国の関係機関とで構成する協議会の管理のもと、家事支援サービスを提供する事業者に雇用される外国人材の入国、在留を可能にするものでございます。これによって、外国人材による家事支援サービスの提供がなされております。
 事業普及に向けた取り組みでございますけれども、利用者向け普及啓発セミナーや、外国人材の日本語研修費に対する補助制度などを実施しているところでございます。
 その結果、本年十月一日現在では、六事業者がフィリピン共和国から四百十七名を受け入れ、家事支援サービスを提供しているところでございます。

○森口委員 この家事支援サービスですが、二〇〇〇年以降、女性の社会進出に伴い、家事負担の軽減が課題となり、多くの新規事業者が参入するなど、ここ数年で急速に拡大している市場だと思っております。
 都内では、共働き世帯がふえ続けているとともに、東京で働く高度外国人材も増加をしております。
 経産省が公表している調査報告書によりますと、国内における家事支援サービス市場は、昨年、二〇一七年の六百九十八億円から、二〇二五年には少なくとも二千億円、最大で八千億円程度の市場に拡大すると想定がされており、事業者にとって一番の課題は人材不足とのことであります。
 本年八月に、都は、家事支援外国人受入事業について、制度拡充の提案を国に行っておりますが、その経緯と拡充の内容についてお伺いをいたします。

○米津国家戦略特区推進担当部長 現状といたしまして、家事支援能力や日本語能力にすぐれた人材が三年の在留期間で帰国してしまうため、利用者にとっては質の高いサービスを長期で受けられず、事業者にとっても、受け入れ、育成コストに係る対費用効果の点で大きな損失になり得るという懸念がございます。
 また、都外の地域からも、都内に通勤する共働き世帯などから、本事業によるサービスを利用したい、こうした需要がございますというふうに受け入れ事業者から聞いているところでございます。
 このため、本制度の制度拡充提案といたしまして、在留期間を三年から五年に延長するとともに、都外の埼玉県や千葉県などでもサービスを提供できるよう、国に求めたところでございます。

○森口委員 家事支援外国人受入事業の実際の参入事業者の意見としましては、人材不足によって需要に対応できないといった事態を改善することができた、外国人の受け入れによって人材不足を改善できる可能性が見えた、しっかりとした研修を受けており、顧客満足度が高い、また、既存の日本人スタッフにとっても、外国人材と一緒に働けることで刺激やモチベーションにつながっている、事業としてグローバル展開を考える機運が高まったなど、サービス提供の安定化が図られるとともに、生産性の向上、顧客満足度の向上、ブランド価値の向上、組織の活性化といった、本事業による幅広い効果が参入事業者の意見として上がっているようです。
 国は、今月二日に、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案を閣議決定いたしております。人手不足が深刻な業種で一定の技能を持つ外国人を対象に、新たな在留資格を来年四月に創設することとしております。
 国内の労働者だけでは労働力が不足をする十四業種が対象とされており、介護、建設、製造、ビルクリーニング、農業、宿泊、外食などの分野で、五年後に百四十五万五千人の労働者が不足をするとの試算のもと、五年間で二十六万二千七百人から三十四万五千百五十人、そういった新たな外国人の受け入れを進めていくと発表いたしております。
 都におきましても、東京商工会議所の本年の中小企業の経営課題に関するアンケート調査によりますと、既に七五%を超える企業が、人手不足が売り上げ拡大に取り組む上での課題になっていると回答いたしております。
 長時間労働の是正など、生産性向上や働き方改革に伴い、新たに人を雇う必要があるが、募集しても応募がなくて困っているといった声が多く、特に建設業やサービス業など、人手不足は非常に深刻とのことであります。
 そこで、国が人材不足対策の観点から、さまざまな分野で外国人労働者の受け入れ拡大を進めるとともに、都においても、中小企業にとって人材不足は喫緊の課題となっている中、都は、特区制度を活用した外国人材の受け入れについて今後どのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

○米津国家戦略特区推進担当部長 国際的な都市間競争の激化や少子高齢化等の課題を抱える東京でございますけれども、未来に向けてサステーナブルに成長していくためには、海外からすぐれた企業や人材を受け入れていくことが重要であるというふうに考えております。
 こうした観点から、都は、国家戦略特区制度を積極的に活用いたしまして、多様な外国人材の受け入れ促進を図ってきておりまして、具体的には、家事支援人材のほかにも、創業活動を行う外国人材の受け入れを促進しているところでございます。
 現在、国においては、ご指摘のように、新たな在留資格の創設を含む入国管理法改正案が議論されておりますけれども、都といたしましては、今後も、特区を活用した多様な外国人材の受け入れ促進や生活環境整備など、東京の国際競争力の向上につながる取り組みを推進してまいります。

○森口委員 都においても、家事支援だけでなく、介護、建設、清掃、警備、外食、サービス業など、さまざまな業界についても人材不足は深刻であります。高度人材の受け入れ推進はもちろんのこと、こういった分野でも外国人材受け入れの規制緩和を進めていくべきと考えます。
 東京の持続的な成長には、外国人の活躍が必要不可欠であります。一方で、外国人の受け入れ拡大による治安面での不安や、日本社会との共生への対策なども懸念がされております。
 国も、外国人受け入れに伴い、日本語教育など環境整備として、外国人材の受け入れ、共生のための総合的対応策を年内にまとめることとしております。
 本年の第三回定例会において、我が会派の増子幹事長の代表質問に対しまして、生活文化局長からは、東京の在住外国人は五十四万人を超え、国の外国人材受け入れ拡大方針等を背景に今後も増加が見込まれており、外国人が地域社会で安心して生活できるよう支援することがこれまで以上に必要であるとの認識のもと、外国人と日本人がともに活躍できる多文化共生社会の実現に向けて取り組んでいくとのご答弁をいただいております。
 また、産業労働局長からは、外国人材を雇用する中小企業への支援に関して、海外での新たなビジネス展開や人手不足の解消に向けては、中小企業が外国人材を円滑に受け入れられる環境づくりが重要との認識のもと、今後は、国の動向も見据えながら、中小企業の人材確保をさらに後押しするため、企業へのさまざまな支援を検討するとの答弁をいただいております。
 国境を越えて、人や物、資本、情報が行き交う中、世界の都市の競争はますます激化をしていくわけであります。日本人、外国人といった区別をすることなく多様性が強みとなる企業やサービスが、東京の持続的な成長には必要不可欠であります。
 外国人材の受け入れは、産業の振興という視点と共生社会の実現といった視点があるわけですが、政策企画局として、東京の国際競争力を強化し、国際的な経済活動の拠点形成を促進していく上で、引き続き、リーダーシップを持って外国人材の受け入れ事業を進めていただきたいと思っております。
 以上で終わります。

○奥澤委員 私、当選させていただいてから一年四カ月ということで、二回目の事務事業質疑を迎えているわけですけれども、この間、東京が日本の首都として果たすべき役割というのは何なのだろうかというのを、毎日そればかり考えているわけなんですけれども、日本経済の牽引役、あるいは課題解決、全国各地にこれから出てくるような課題解決のロールモデル、いずれにしても、過去の延長線上に未来を据えるという考え方ではなくて、未来を描いて、今とるべき方策を実行していくという思考へ転換していかないといけないんじゃないかということを考えております。
 一九六八年の映画、とても有名な映画ですけれども、「二〇〇一年宇宙の旅」の中には、アイパッドによく似たタブレット端末が登場するシーンがあります。五十年も前に未来をいい当てていたのか、あるいは、映画を見て得たインスピレーションからアイパッドが生まれたのか、ここは定かではないんですけれども、創造すること、つまりつくり出すということは、想像、思い描くことの産物であって、未来を思い描くことが、人や物、都市の成長には欠かせないものであるということを認識しているわけであります。
 そのような中で、東京都では東京未来ビジョン懇談会を設置しまして、東京の未来とか可能性について議論を重ねて、二十一世紀の豫言として未来像を描き、公表いたしました。本懇談会においては、明るい未来を示すことで、都民の皆様に夢と希望をもたらすことが狙いの一つであるということで伺っております。
 不確実かもしれないですけれども、わくわくするような未来を共有すること、これは都民と進める都政というのを標榜している小池知事の方針のかなめになるものであるというふうに捉えておりまして、その広報は非常に重要であるというふうに考えております。
 そこで、最初の質問になります。東京未来ビジョン懇談会の運営に当たりまして、より多くの方々に議論の内容を知っていただくために行った工夫についてお伺いいたします。

○宮澤計画部長 東京未来ビジョン懇談会は、芸術文化、スポーツなどの各界の第一線で活躍している新進気鋭の若手の方をメンバーとして、東京の未来や可能性について、自由な発想で議論を行っていただきました。
 懇談会での議論の内容は、ネット中継によりリアルタイムで都民に配信するとともに、議論の内容をわかりやすくまとめた東京未来ビジョン懇談会通信を各回ごとに作成し、ホームページで公開いたしました。
 また、都の広報のみならず、メンバーの発信力を生かして、SNSなどを通じ、懇談会を広くPRしていただきました。
 本年四月に取りまとめた二十一世紀の豫言では、個性あふれるメンバーそれぞれが考える未来の東京についての寄稿やインタビュー記事を掲載するとともに、漫画家のメンバーには漫画で未来への思いを表現していただくなど、より多くの都民に興味を持っていただけるよう努めてまいりました。

○奥澤委員 さまざまな工夫をなさっているということで、これはたしか、最初に出されたときに、私、ぱっと見た瞬間、どこを、何を見ればいいのか全くわからなかったり、文字が小さくてわからないんだけどということをすぐに指摘させていただいたら、すぐに対応していただいて、今は、見てもわくわくするような、ホームページ自体が魅力あるものになっているなというふうに思います。
 また、先ほどご答弁にありましたリアルタイムでの配信というのに当たっては、新進気鋭の方々ということで、どんな意見が飛び出すかわからないような状況の中で、なかなか勇気の要る取り組みでもあったんじゃないかなというふうに推察しているところです。
 参加者の寄稿やインタビュー記事を見させていただいたんですけれども、私が心に刺さったのは、学生内閣JAPANという方々のインタビューなんですけれども、二〇五〇年のことを聞かれたときに、日本を、世界で最も災害の多い国から、世界で最も防災にすぐれている国に変えたいというような答えがありました。今、我々は、弱みというか、課題として捉えていることというのを、取り組み方次第では、二〇五〇年には強みに変えて、世界に先駆けたものをつくっていけるんだということを改めて教えてもらったかなというふうに思っています。
 こうした発想転換を図るという上でも、価値ある取り組みであったというふうに私自身は評価しておりますし、その成果物の一つといえる二十一世紀の豫言については、今後の都政にも生かしていただきたいというふうに思っています。
 今述べました二十一世紀の豫言につきましては、今後どのように生かしていくべきというふうに考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○宮澤計画部長 懇談会で取りまとめました二十一世紀の豫言は、メンバーそれぞれが考える東京の未来について、メンバーの自由闊達な議論をもとに、二〇五〇年ごろの東京の未来像として七十の予言で示したものでございます。
 テクノロジーやグローバルといった七つの分野ごとに分け、例えば、人間の生活や活動によって生み出される全てのエネルギーを再生可能になど、こうなればいいなという未来の姿を自由な発想で議論し、まとめていただきました。
 メンバーによる自由な発想やアイデアは、職員としても、今後の政策を考えるに当たり、新たな気づきや発想を得るきっかけになったと考えております。
 今後は、こうした未来の姿を念頭に置き、都における政策の推進や政策形成等に新たな発想を生かしてまいります。

○奥澤委員 ただいまのお答えを伺いますと、都の職員の皆様にとっても、よい刺激になったということがよくわかりました。また、この発想を生かしていきたいというお考えも知ることができまして、ぜひ期待したいところだなというふうに思います。
 先ほども紹介しました学生内閣JAPANというところのインタビュー、もう一つ、ちょっと紹介したいのがありまして、今まではこうだった、今まではこうだったから変えることができないという言葉をよく聞いてきた、ただ、社会や時代の変化に応じて自分たちも変えていきたい、変わっていきたいと思って日々活動しているという、高校生、大学生を中心としたグループがこういった思いを持って取り組んでいるという記事がありました。
 私もまだ三十六ではあるんですけれども、確かに、学生のときに思っていたようなことを、年を重ねていく中で、何となく失ってしまったのかななんていうことを思い出させてくれたような気がしています。
 できない理由を考えるのではなくて、どうしたらできるのか、都民とともに考えて実行する都政へと、ぜひ昇華していっていただきたいということを期待しまして、次の質問へ移りたいと思います。
 東京未来ビジョン懇談会、これが示した未来というのは、今もお話がありましたけれども、不確実な未来であるといえる一方で、超高齢社会は確実性の高い未来というふうにもいえます。
 超高齢社会における東京のあり方懇談会の政策提言を見ますと、より実現性の高いものが多く含まれておりますし、新たな未来を切り開くチャンスがたくさんちりばめられているなというふうに思います。
 超高齢社会における東京のあり方懇談会の一つの成果物ともいえます政策提言、「TOKYO BEYOND二〇二〇-世界に先駆ける長寿社会-」の位置づけについてお伺いをしたいと思います。

○宮澤計画部長 今後の超高齢社会を見据え、持続可能な地域のあり方を検討し、今後の政策展開に資することを目的として、昨年十一月に本懇談会を設置いたしました。
 懇談会では、会場での議論に加え、先進的な取り組みを行っているNPOや社会福祉法人、デザイナー、都市プランナーなど、現場の実態や活動内容、成果についてヒアリングするとともに、視察も実施するなど、精力的に活動していただきました。
 政策提言は、こうした活動や議論を踏まえながら、都として取り組むべき政策の方向性を懇談会として示したものでございます。
 具体的には、多世代、多種多様な人材が活躍できる地域づくりの促進など五つのポイントが提示され、行政、NPO、大学、民間事業者などが主体となり、各地域で多世代、多文化の共生、高齢者の社会参加、育成等を進め、多様で持続可能な地域づくりに取り組むことが重要とされております。

○奥澤委員 超高齢社会を迎えるに当たってどうしようかというふうに始まった議論が、最終的には、多世代、多種多様、そういった人材を活用して多様な地域が生まれていくというようなことへ集約されていったというのは、なかなか興味深いものであるなというふうに感じたところです。
 今後の政策提言に資するということではありますけれども、いわゆる諮問と答申のような、そういう関係性ではないということなので、あくまで提言であるということではありますけれども、議論だけではなくて、現場の意見を吸い上げるような取り組みもあった上での政策提言ということで、ぜひ都政に生かしてほしいと考えております。
 そこで、取り組み状況、今後の展望、そういったことを確認しておかないといけないなと思いますので、本政策提言について、今後どのように都政に反映していくのかを改めて伺いたいと思います。

○宮澤計画部長 政策提言は、高齢者対策などの福祉分野にとどまらず、まちづくり、イノベーションやICTの活用、土地利用など、多岐にわたる分野に及んでいることから、全庁横断的な取り組みが求められます。
 そのため、副知事をトップとして関係各局で構成される超高齢社会対策検討本部を開催し、各局に政策提言の趣旨、内容を踏まえた施策検討の依頼を行いました。
 現在、都においては、実行プランに掲げた三つのシティーを実現するため、各局における新規施策の構築や既存施策の見直しなどを踏まえ、実行プランの政策の強化の取りまとめを行っております。
 政策提言を踏まえた各局の施策につきましては、予算編成と連動させながら、関係各局が密接な連携のもと、来年度の実行プランの政策の強化や予算に反映させてまいります。

○奥澤委員 ただいま、ちょうど全庁横断的に検討中であるということが示されたということだと思います。
 実行プランの政策の強化に反映されていくということになれば、昨年からも再三、お話もここでも出ていますけれども、PDCAサイクルの中にきちっと乗っかっていくということなんだというふうに思いますし、今後も、しっかりと注視された上で進んでいくものだというふうに理解をしました。各局からどのような施策が出てくるのかというのを、また楽しみに今後見ていきたいなというふうに思っています。
 先ほどの発想転換の話じゃないんですけれども、超高齢社会というのを、ピンチではなくてチャンスというふうに仮に捉えるのであれば、医療や介護あるいは創薬などの分野でイノベーションの可能性というのが大いに秘められていると思います。特に創薬分野に関しては、世界をリードする成長戦略にもなり得ると考えております。
 本年度から、創薬系ベンチャー育成支援事業が始まったということですけれども、その目的と内容についてお伺いしたいと思います。

○米津国家戦略特区推進担当部長 創薬関連産業の育成でございますけれども、ご指摘のように、東京の成長戦略としても重要であるとともに、革新的な医薬品の開発を通じまして、都民、国民の健康長寿の実現に寄与することが期待されます。
 一方で、日本は、研究機関の基礎研究水準は高いものの、イノベーションの牽引役である創薬系のベンチャーが不足しており、実用化につなげる流れが弱い、こういうふうにいわれております。
 そこで、製薬企業、支援機関、投資家などが集積いたしております東京の強みを生かしまして実用化に向けた支援を行うことによりまして、都民、国民の健康長寿の実現と経済の活性化につなげるため、今年度より、創薬系ベンチャー育成支援プログラムでございますブロックバスタートーキョーを開始いたしました。
 本事業では、創薬分野などの必要な知識を身につけることができるセミナー形式の研修プログラムでございますとか、専門家による指導、助言や、事業会社等とのマッチング支援などを行う選抜プログラムなどを実施いたしまして、来年三月にはビジネスプラン発表会も開催いたします。
 今後とも、こうした支援を引き続き実施いたしまして、創薬系のベンチャーや研究者の成長につなげてまいります。

○奥澤委員 創薬系のベンチャー、これ、今もお話しがありましたけれども、育たない理由というのが、一般的に、事業化までの期間が長いこと、その費用の大きさから途中で事業がとまってしまうことというのが第一点、そして、創薬部門の人材ですね、研究者としての性質が強い方が多いということで、ビジネス的な視点、お金に結びつけようという視点が弱いような、そういったことが指摘をされているところであります。
 東京都では、大学などへのアプローチもしているということで、研究者と投資家とのマッチングが進むように働きかけていると伺いました。こうした取り組みを、より一層推進していただきたいというふうに思っています。
 昨今、税の偏在是正措置で、東京の財源が吸い上げられてしまう、地方へ分配しようという方向性の議論が国でされているということなんですけれども、では、こうした事業も縮小されていいのかということに強く懸念を持たないといけないなというふうに思っています。
 高齢化の進展というのは、日本全国で起きている話であり、また、世界中でこれから起きていくこと、そして、病気で苦しまれている方というのも全国で暮らしています。人と物とお金、そして課題も集積しているからこそ、課題解決のトップランナーになることができるというふうに考えております。
 ちなみに、私は生まれも育ちも地方でありまして、その後の仕事でも、転々と地方を三、四カ所いるわけですけれども、こういった事業にお金をかけて東京で何が生まれてくるのか、それが地方にどう還元されるのかというのは、なかなかわからないんですね。だったら、わからないことだから、直接お金が入ってきた方がうれしいというふうに思ってしまうんですけど、じゃ、実際、てんでんばらばらに配るよりも、同じ課題を抱えているところに対して、エビデンスを提示してあげたりだとか、あるいは、一般化された課題解決のためのシステムを提供したりだとか、あるいは、技術革新、イノベーション、先端技術の技術革新を起こしたものを誰でも使える形で地方に還元できるんだよというような形も、しっかりと見せていかなきゃいけないことなんだろうなというふうに思っています。
 この一つの事業だけではないんですけれども、こういった投資というか、将来の大きく花が開くかもしれないことへの投資、これを大切にしていただきたいというふうに考えております。
 最後の質問になるんですけれども、本事業の成果、これはどのようにはかろうと考えているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○米津国家戦略特区推進担当部長 本事業では、専門家による綿密なサポートを受けられますほか、事業会社や投資家等とのマッチングを通じまして、事業運営や研究開発等に関する指導、助言を受ける機会を設けるなど、ベンチャー等の成長を支援する取り組みを実施しているところでございます。
 ご指摘の点でございますけれども、これらの取り組みにおいては、訴求力のあるビジネスプランを練り上げるなど、ベンチャー自身の成長を促す支援を行うということが重要であるというふうに考えておりまして、本事業の成果につきましては、経営体制の構築やビジネスプランの磨き上げ、研究開発の加速化などの観点から、今後、適切に検証してまいります。

○奥澤委員 今後、適切に検証していくということで、本年度はまだ検証はできていない。これはことし始まったところですから、もちろんそうなんですけれども、マッチングの件数とか、参加者数とか、そういった容易にはかれる数値目標ではなくて、私は安心をいたしました。
 極端にいうと、九十九の事業が仮に失敗をしたとしても、一つの事業が成功すれば全て取り返せる、そういった分野だと思っています、創薬というのは。
 本事業を通じまして、日本の未来あるいは世界の未来が変わるような革新的な医薬品が生まれるということを心から期待しておりますし、そういった気概を持って取り組んでいただきたいということをお伝えしまして、質問を終わりにします。ありがとうございました。

○小松委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○小松委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○森山総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の委員会において要求がございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております総務委員会要求資料の一ページをごらんください。ハイパースムーズ東京におけるITS技術の活用実績でございます。
 需要予測信号、交通情報板、PTPS、空港直行バス公共車両優先システムについて、平成二十八年度と平成二十九年度の実績を掲載してございます。
 次に、二ページをごらんください。東京都における自転車事故の状況でございます。
 平成二十五年から平成二十九年までの発生件数、死者数、負傷者数を掲載してございます。
 次に、三ページをごらんください。区市町村道における自転車走行空間の整備状況の五年間の推移でございます。
 平成二十五年度から平成二十九年度までの区道と市町村道における自転車走行空間の整備状況を掲載してございます。
 最後に、四ページをごらんください。全庁横断の会議体や検討会の設置及び開催状況でございます。
 当本部が所管する全庁横断の会議体について、名称、開催目的、開催実績、構成局を掲載してございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○森口委員 私からは、子供の安全対策についてお伺いいたします。
 都内の刑法犯認知件数が、戦後最悪であった平成十四年の三十万件から、昨年は約十二万五千件にまで減少している一方で、子供への強制わいせつ、連れ去り、誘拐、不審な声かけなど、子供が被害者となる事件は後を絶っておりません。昨今の子供が犠牲となる痛ましい事例や情勢を踏まえ、子供の安全対策については、より一層の取り組みが必要であります。
 そこでまず、東京都における子供に対する犯罪認知件数の推移とその内訳について伺います。
 あわせて、都として、子供が被害者となる犯罪についてどのように現状認識されているのか、お伺いをいたします。

○高野治安対策担当部長 東京都における子供に対する犯罪認知件数は、平成二十九年の警視庁子ども・女性の安全対策に関する有識者研究会提言書によりますと、平成二十四年が二百六十一件、二十五年が二百五十九件、二十六年が三百五件、二十七年が二百三十四件、二十八年が二百三十九件となっており、これらは、強姦、強制わいせつ、暴行、傷害、殺人、強盗、脅迫、恐喝、略取誘拐、人身売買及びこれらの罪の未遂罪の件数でございます。
 都内の刑法犯認知件数は減少しておりますが、子供に対する犯罪認知件数は、このように増減を繰り返しながら推移をしております。
 一方、平成二十九年の都民生活に関する世論調査では、治安に関する要望が上位でございまして、その具体的な要望施策としては、子供に対する犯罪が起こりにくい環境の整備が第一位となっております。
 全国的に見ましても、子供が被害者となる事件が後を絶たない状況でございまして、子供の安全対策のさらなる充実を図る必要があると認識しております。

○森口委員 今ご答弁いただきました子供に対する犯罪認知件数とは、十三歳未満、つまり小学生以下の子供たちがどの程度犯罪に巻き込まれているかといった数字であり、これまでも都は、子供の安全対策についてさまざまな取り組みを行ってきているわけではありますが、子供にかかわらない都内の刑法犯認知件数は、ここ十五年ほどで半数以下に減少している一方で、子供が被害者となる事件というのは、なかなか減っていないわけでございます。
 そこで、これまでの都の子供の安全対策の取り組みとその実績や課題について、改めてお伺いをいたします。

○高野治安対策担当部長 都はこれまで、子供の防犯能力を向上させ、犯罪被害を防止するため、例えば、小学校において地域の危険箇所を確認し、地図づくりを進める地域安全マップ講習会や、地域で防犯ボランティアのリーダーを育成できる指導者を養成する防犯ボランティアのフォローアップ講座を実施するなど、子供の安全対策に取り組んでまいりました。
 今後も、区市町村や警視庁等関係機関と連携をいたしまして、子供自身に危険を予測し回避させる能力をより身につけさせるなど、課題解決を図り、子供の安全対策を積極的に推進してまいります。

○森口委員 都としては、子供が巻き込まれるような犯罪がなくなるよう、警察、区市町村、関係機関、地域のボランティアの方々などと連携をし、取り組みを進めていただいております。
 子供の安全対策におきましては、地域の見守り、防犯ボランティアの活動というのが非常に重要であります。
 この地域の防犯ボランティアの活動は、二〇〇一年の大阪教育大学附属池田小学校における、児童八名が死亡、教師を含む十五名が重軽傷を負った事件が一つの契機となり、地域の安全・安心に対して、警察だけではなく、町会、自治会、PTAなど、自分たちの地域の子供の命を守る防犯ボランティア活動が全国的に広がってきました。
 学校安全ボランティア、子供安全ボランティア、子供見守りボランティアなど、さまざま名称はあるわけですが、子供が被害者となる考えられないような凶悪事件を機に、団体の設立や登録が進み、現在、都内ではおよそ四千団体、十五万人の防犯ボランティアが登録がされており、登下校中の見守り、地域の防犯パトロール、子供一一〇番の家、地域の安全チェックなど、さまざまな防犯活動を行っていただいております。
 一方で、防犯ボランティアの活動は、特定の高齢世代の方々が中心であり、二〇一六年の警察庁の全国調査によりますと、防犯ボランティア団体の六五%は平均年齢六十歳を超えており、メンバーの高齢化が課題であるとともに、後継者の確保や育成が非常に困難な状況とのことでございます。
 そこで、都における防犯ボランティアの高齢化と活動メンバーの確保について、都の見解を伺います。
 また、現在、四千団体、十五万人の防犯ボランティアの活動を後押しするために、防犯ボランティアの方々への活動支援や情報共有をどのように行っているのか、あわせてお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 防犯ボランティアは、高齢化や新たな担い手の不足など、さまざまな課題を抱えていることは承知をしております。
 このため、都は、地域に密着した企業と協定などを締結し、企業が日常の業務をしながら見守りに協力していただく、ながら見守り連携事業を展開し、見守りの目を減らさないよう取り組みを進めております。
 また、防犯ボランティアの活動を支援するため、防犯ボランティア応援ポータルサイト、大東京防犯ネットワークを運営しておりまして、各防犯ボランティア団体の活動事例を紹介するとともに、地図情報を使った防犯情報マップにより、子供への不審な声かけ情報などを掲載する子供の安全マップや、防犯ボランティア団体の活動情報を掲載する防犯団体活動情報マップ等を提供し、活用いただいております。

○森口委員 より防犯ボランティアの活動が活発化するように、防犯ボランティアの応援サイトである大東京防犯ネットワークといったポータルサイトを平成十七年度より運営しているわけであります。
 都内の犯罪情報をオープンデータとしている点や、GISを導入し、犯罪情報を地図上に視覚的に表示させる工夫を行っていたり、各団体の取り組んでいる子供見守り事例を毎年わかりやすく取りまとめ、公表しているなど、取り組みの情報共有や防犯教育にも活用されるようなポータルサイトとなっていると思います。
 また、先週、都庁で行われました防犯ボランティアのつどいに参加をしてまいりました。これは、ボランティアの方々の活動の活性化や交流の場として行われており、防犯情報マップの使い方講座や、子供の安全教育の専門家である宮田美恵子先生による地域防犯活動の講義、そして、参加者が子供と防犯ボランティアの役に分かれ、効果的な子供見守りとはどういったものであるかロールプレーを行うなど、充実した内容でありました。
 私の隣の席は七十九歳の防犯ボランティアの方でしたが、これまで十九年間、小学校の登下校の見守りを行っており、そろそろ私みたいなお年寄りは引退しないといけない、そんなふうにおっしゃっておりましたが、毎年、子供たちの元気な様子を見ていると、私が元気をもらっていますと、うれしそうな表情をされていたのが非常に印象的でありました。
 こういったボランティアの方々の献身的な見守り活動に加えまして、犯罪の起きにくい環境づくりには、地域に密着している企業との連携も非常に有効的と考えます。
 事業者との連携について、都の取り組みをお伺いします。

○高野治安対策担当部長 平成二十七年度から、郵便やコンビニ、信用金庫、新聞販売、生保、損保など、地域に密着した企業が日常業務をしながら見守りに協力していただく、ながら見守り連携事業を推進しております。
 現在、二十四の事業者と協定などを締結しておりまして、取り組んでいただいております営業車数は約五万八千台、従業員数は十万人を超えているという状況でございます。
 今後も、事業者に働きかけをいたしまして、ながら見守り連携事業を推進してまいります。

○森口委員 ながら見守りに関しては、三カ月ごとに各地域から上がってきた不審者情報や犯罪情報などを事業者に伝えることで、みずからの担当しているエリアに対してどのような危険性があるのか認識をした上で、見守りに協力してもらっているというふうに伺っております。
 防犯ボランティアのつどいで、宮田先生もおっしゃっていたことですけども、その瞬間、その空間において、犯意のある行為者、ふさわしいターゲット、そして監視者の不在、この三つの条件がそろったときに犯罪が発生しやすいといわれているようです。地域の見守りとして、十五万人の防犯ボランティア、そして十万人のながら見守り事業者の存在というのが犯罪抑制に有効なのだと思います。
 都は、子供の安全対策として、見守りの目となるさまざまな防犯ボランティア人材をふやしているわけでありますが、今年度から始めている防犯人材ソフトパワーの発掘事業とはどのような事業か、お伺いをいたします。
 また、今後どのように展開をしていくのか、あわせてお伺いします。

○高野治安対策担当部長 今年度から実施をいたしました防犯人材ソフトパワーの発掘事業は、子供の見守りにかかわる人材を新たに発掘し、裾野をさらに広げることを目的としております。
 今年度は、市民ランナーに協力を求めまして、子供の行動範囲が広がる夏休みの前に、女性のランニング団体と知事が協定を締結いたしまして、子供の見守り活動を行っていただくこととなったところでございます。
 今後も、ランニングイベント等で防犯啓発資材を配布し、まち中で一人で遊んでいる子供への声かけなど、見守り活動への参加を市民ランナーに働きかけ、意識啓発を図ってまいります。
 また、市民ランナー以外の方々へも、子供の見守り活動への参加を求めることを検討してまいります。

○森口委員 ランニング時にRUN and SAFETYと光るLEDつきアームバンドを着用し、住民への声かけや不審情報の通報を行うとのことです。アームバンドも非常にスタイリッシュであったり、ハッシュタグをつけてインスタグラムなどで取り組みを広める、そういった仕掛けをしていたり、新しい防犯のあり方のモデルになる気がしております。
 ことし七月に協定を締結し、これからの事業だとは思いますが、多くの都民に認知をされないと、防犯につながらない可能性があるのではと感じておりまして、事業趣旨の都民への周知という点もしっかりと進めていただきたいと思います。
 次に、都が本年度より進めている子供防犯教育人材育成事業について、こちらもどのような取り組みなのか、お伺いをいたします。

○高野治安対策担当部長 子供防犯教育人材育成事業は、子供自身に危険予測、回避能力を身につけさせるため、子供に対して防犯教育ができる人材を育成することを目的といたしまして、今年度より実施している事業でございます。
 この事業の受講対象者は、防犯ボランティア、スクールサポーター、退職された教員の方などでございますが、本年五月の新潟市における女児殺害事件もございまして、関係者の関心や意識が高まり、当初計画の二倍となる約百六十人の方々が受講する予定でございます。

○森口委員 子供への防犯教育は非常に重要であります。これも防犯ボランティアのつどいで宮田先生がおっしゃっていたことですが、学校での防犯教育と地域防犯活動を効果的につなげる取り組みとして、防犯マップづくりが有効であるとのことでした。
 宮田先生は空間マップと呼んでおりましたが、まずは学校で子供たちに登下校の安全性や危険性の防犯教育を行い、その後、家族とともに、各自、どこに危険性があるのか、どこで一人になるのか、実際にまち歩きを行い、その結果を地図に落とし込み、それを集約し、地域の防犯ボランティア団体の方々や関係者に、まちの危険箇所について発表会を行い、そこに監視の目を置いてもらう。地域の安全水準を、学校、家族、地域が一緒になって高めていく、そういった取り組みでありました。そういった一連の防犯教育ができる人材の育成は非常に重要であります。
 また、子供の防犯に関しましては、就学前から子供に防犯意識を持ってもらうことも重要であると考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 子供は、小学校入学後から行動範囲が拡大し、危険に遭遇する機会もふえる傾向がございます。
 このため、未就学段階の子供に対しましては、犯罪から自分自身を守る取り組みとして、日ごろから周囲に目を配り、できるだけ一人で外で遊ばないように意識づけなどを行うとともに、保護者に対しましては、危険箇所の特徴を理解させることで子供の安全対策を強化するため、昨年度より、三年間のモデル事業といたしまして、親子で地域の安全点検事業を実施しております。
 昨年度は、新宿、品川、杉並、日野の四区市で実施をいたしまして、二百八十八名の子供と保護者が参加いたしました。
 今年度も三区で実施をする予定でございますが、他の区市町村でも同様に取り組んでいただくよう、本事業の成果を広く周知してまいります。

○森口委員 未就学段階の子供と保護者に対して、通学路点検を含む防犯講座を実施することで、小学校入学前の子供たちが危険予測、回避能力を身につけるとともに、保護者は地域の危険箇所を認識ができるようになることで、安全対策の強化につながっているのだと思います。
 都として、子供が巻き込まれる犯罪がなくなるよう、子供への防犯教育を進め、危険予測、回避能力の向上に努めるとともに、犯罪の起きにくい環境づくりが非常に重要なわけであります。
 学校内の安全対策、通学路での安全対策に加え、昨今は、小学生の被害は帰宅後が最も多く、帰宅後の安全対策が重要ともいわれております。子供たちの安全を見守る犯罪の起きにくいまちづくりを実現するべく、警察、区市町村、関係機関、さまざまな防犯ボランティアの方々などと、さらに連携を密にしていただきたいと思います。
 子供たちを守る安全対策につきましては、二〇〇一年に多くの子供たちが犠牲となった附属池田小学校が実は私の母校でもありまして、当時、私は大学生でありましたけども、今、私、現在四歳の娘を育てる親としても、非常に防犯に関して強い思いを持っております。
 都の取り組みや施策につきまして幅広く確認をさせていただきましたけども、子供が犯罪に巻き込まれることがなくなるよう、今後も安全・安心なまちづくりに努めていただきたい旨を要望いたしまして、私の質問を終わります。

○中屋委員 私は、こちらの青少年・治安対策本部とのおつき合いは大分長くなりまして、大澤本部長を含めて四代目になりますけれども、古くは樋口本部長、河合本部長、廣田本部長、そして現在の大澤本部長と、こうなるわけですが、そうした観点で、都民の安全・安心の件につきまして、きょうは少々質問させていただきたい、こう思います。
 地域の防犯力強化に向けたこれまでの成果と今後の取り組みついて質問させていただきます。
 初めに、高齢ドライバーの事故防止と安全な自動車利用についてであります。
 私は、ことし三月の都議会総務委員会で、免許返納高齢者の自転車安全利用について申し上げました。免許返納に合わせて、代替の移動手段として自転車を使用する高齢者が安全に自転車を利用できるよう、講習会を始めるとのことでありました。
 その後の進捗について伺います。

○高野治安対策担当部長 都は、高齢者の運転免許返納者数の増加に伴い、代替交通手段として自転車の利用がふえることを見据え、今年度から新たに高齢者向けの自転車安全利用講習会を、地元自治体や町会、自治会、警察署、自動車教習所などと連携し、開催することといたしました。
 第一回の講習会は六月に葛飾区で開催しまして、携帯電話を使用しながら運転しないといったルール、マナーなど、自転車の安全な乗り方に関する講義や、自転車シミュレーターによる安全運転の判定、一般的な自転車だけでなく、電動アシストつき自転車、三輪車の実技指導を自動車運転教習所の教習コースを利用して実施をいたしました。
 参加者からは、自転車に乗る際のルールを再確認した、自転車に乗る感覚を思い出したなどのお言葉が聞かれました。
 現在、八王子市で行う第二回の開催に向けまして、同市役所や町会、自治会と連携しながら参加者を募集中でございまして、当日は、前回と同様の講義、実技に加え、理学療法士から高齢者の安全な自転車利用に資する体操指導も実施することとしております。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、高齢者の自転車安全利用を推進してまいります。

○中屋委員 今ご答弁がありましたように、携帯電話を使用しながら運転しないということを強く講習、また指導してもらいたい、このように思います。
 この事業は、高齢ドライバーの免許返納を促進すること、そして、重大な交通事故を抑えていく上で大切な取り組みであると思います。高齢者が参加しやすい制度として、引き続き取り組んでもらいたいと思います。
 次に、東京の治安対策についてお伺いをいたします。
 私はかねてより、地域における安全対策についてさまざまな質問をしてきましたが、それは、誰もが安全・安心を実感できる社会をつくるため、警視庁や区市町村はもちろん、都民や防犯ボランティア団体など幅広い層の協力を得ていくことが不可欠であるということであります。
 現在、防犯ボランティアの団体数、今お話がありましたけれども、平成十五年には百五十三団体しかなかったものが、さまざまな取り組み、地域の方々の協力によって、現在は約四千団体にまで拡大をしております。しかし、一方で、高齢者の問題、担い手の不足など、さまざまな課題を抱えているということも事実であります。
 地域の安全・安心のためには、地域での防犯活動を末永く継続していただくことが重要です。人材育成や防犯情報の提供などの活動支援に加え、防犯組織の結束を高め、活動されている方々のモチベーションを高めることが何よりも重要だとの観点から、私は表彰制度の創設を提案しました。
 都は、この提案を受けて青少年・治安対策本部長賞を創設したのでありますが、改めて、本部長賞の創設の目的とこれまでの表彰の状況について伺います。

○高野治安対策担当部長 青少年・治安対策本部では、平成二十八年度に、地域で防犯活動に取り組む団体及び個人を対象といたしました青少年・治安対策本部長賞を創設いたしました。
 その目的でございますが、地道な活動を行っている団体等に対しまして感謝の意をあらわすことで、そのご労苦に報いるとともに、継続的に防犯活動に取り組んでいただくことにございます。
 本部長賞には、長年、防犯活動を継続的に実施していただいている個人、団体及び模範となる先駆的な防犯活動を実施していただいている個人、団体を対象とした表彰状と、活発な防犯活動を一年以上継続的に実施し、実績を上げている団体を対象とした感謝状がございます。
 これまでに、表彰状の区分では七十一団体、九十四名、感謝状の区分では百十団体を表彰させていただいております。

○中屋委員 今ご答弁にありましたように、それぞれの地域で数多くの団体が、生業を持ちながら、苦労して地道に防犯活動を継続していただいております。今後も引き続き活動していくためにも、表彰制度をしっかりと運用してもらいたい、このように思います。
 次に、防犯カメラについて伺います。
 防犯カメラの設置補助制度が創設された平成十六年度、町会、自治会向けに独立した制度が整備された二十二年度、そして、直近三カ年の地域団体設置のカメラへの補助台数の推移をお伺いします。

○高野治安対策担当部長 地域団体が設置する防犯カメラへの補助台数でございますが、補助制度を開始した平成十六年度は四百七十四台、町会、自治会向けの制度を開始いたしました平成二十二年度は四百三十八台でございます。
 直近の三カ年では、平成二十七年度は千五百九十七台、二十八年度は千六百八十九台、二十九年度は二千八十一台と、制度開始時に比べまして四倍程度となっております。

○中屋委員 設置数が大幅に伸びております。これは地域の方々の要望が強いということであります。
 我々自民党の要望を踏まえて、都は、二〇二〇年までにカメラ設置を促進するために、二十九年度から三十一年度までの間、地域負担を軽減しております。
 そこで、地域負担軽減前と比べるとどんな状況なのか、伺います。

○高野治安対策担当部長 東京二〇二〇大会までに地域の取り組みを加速し、安全・安心の体制を強化するため、平成二十九年度から三十一年度までの間、町会、自治会や商店街等が新規に設置する防犯カメラに対しまして都の補助率を引き上げ、地域の負担を軽減しております。
 具体的には、町会、自治会等の負担率を六分の一から十二分の一に、商店街等の負担率を三分の一から六分の一に軽減しております。
 平成二十九年度の町会、自治会、商店街等地域団体への補助実績につきましては、前年度と比較をいたしまして三百九十二台の増加、増加率にいたしまして二三%となっております。
 さらに、今年度は二十九年度を上回る補助交付決定状況となっております。
 東京二〇二〇大会に向けまして、各地域で防犯カメラの設置が促進されますよう、引き続き取り組んでまいります。

○中屋委員 今ありましたように、引き続き地域の要望に応えられるよう、予算額の確保に努めていただきたい、こう思います。
 また、既にカメラを設置している多くの団体からは、防犯カメラを維持するための負担が厳しいとの話も聞いております。しっかり稼働し続けることや、整備したカメラを維持していくことも今後の重要な課題であります。
 都の補助制度は、平成二十五年度からカメラの更新についても対象としていることは承知しております。しかしながら、維持管理費については対象ではありません。東京都町会連合会からも、毎年のように維持管理費補助制度の創設という要望が出ております。
 そこで、都による維持管理費補助制度の実施について、早期に可能か、お伺いします。

○高野治安対策担当部長 防犯カメラの設置促進のため、平成三十一年度までの間、都の補助率を引き上げ、地域団体の負担を軽減しておりまして、町会連合会等から維持管理費補助制度創設のご要望も伺っておりますが、現状では設置を求める地域団体が多いことなどから、設置優先で取り組んでおります。
 平成三十二年度以降の補助のあり方につきましては、地域のご要望も踏まえながら、今後適切に対応していきたいと考えております。

○中屋委員 地域の方々の思いに、ぜひ応えてほしい。しかし、財源に限りがあるのもまた事実でありますから、二〇二〇年までに防犯カメラのさらなる設置促進に取り組んでいただきたいが、その後は、設置したカメラの維持更新にも力を入れていただきたい。
 そのためには、例えば、現行の予算の範囲内で新設、更新、維持管理をバランスよく補助していくことが、地域要望に応え、かつ防犯環境を整備するという都の方針に合致する最善の策だと私は思います。再来年度予算に向けての課題ではありますけれども、今から検討を進めていただきたいと思います。
 次に、新規事業の二〇二〇大会の安全・安心確保に向けた取り組みについて伺います。
 東京二〇二〇大会開催期間中は、世界中から、選手団、外国VIPの来日はもとより、訪日観光客の増加が予想されており、訪日外国人へのおもてなしには、安全・安心なまちづくりも重要な観点の一つであります。
 今回、都では、これまで警視庁や防犯ボランティアなどとの連携により、ながら見守り連携事業などさまざまな取り組みを実施してまいりましたが、二〇二〇大会では、今までの取り組みの経験を生かしつつ、個々の住民や事業者に対する新たな働きかけも重要と考えていると聞いております。
 そこで、二〇二〇大会の安全・安心確保に向けて、都は今後どのように取り組んでいくのか、大澤本部長の所見を伺いたいと思います。

○大澤青少年・治安対策本部長 東京二〇二〇大会の安全・安心の確保には、既存の防犯ボランティア等をリーダーとして、個々の住民、事業者に働きかけ、まちの防犯、見守り活動を拡大することが重要と考えております。
 このため、自主的防犯活動のシンボルを活用し、安全・安心な大会への参画意識を醸成し、オール東京のセキュリティー共同体をつくりたいと考えております。
 具体的には、東京の次代を担う若者を初め広く都民が、ふだんの生活、仕事の場で、いつもと違う点がないかを見る地域の安全点検を強力に推進し、まちの安全確保を図ってまいりたいと考えております。
 また、多文化共生を見据えた広報活動も展開し、誰もが安全・安心を実感できるまちづくりに取り組んでまいります。
 こうした取り組みにより、広く都民に自分たちのまちは自分たちで守るという意識を醸成し、大会期間中はもとより、大会後も見据えた東京の安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。

○中屋委員 最後に、二〇二〇大会に向けて、安全・安心という課題は最重要と私は思います。全国の県警、また警視庁署員による警備体制も、物理的に厳しい状況になると私は思っております。
 そこで、大澤本部長を中心にいたしまして、青少年・治安対策本部にリーダーシップを発揮してもらって、市区町村はもちろんのこと、青パトも含めて、民間の防犯ボランティアパトロール隊との連携をさらに強固にしてもらいまして、二〇二〇大会に向けて安全・安心なまちづくりを進めてもらいたいと思います。
 以上を申し上げて質問を終わります。

○古城委員 私は、青少年・治安対策本部の事業につきまして、先ほども政策企画局との質疑の中でも申し上げました誰ひとり置き去りにしないとのSDGsの考え方と、この事業は大変密接したものであり、都民の皆様お一人お一人にとって安全・安心の橋頭堡的な存在である、このように考えております。
 きょうは、この認識に基づきまして、大変委員会は長くなってはおりますけれども、有意義かつ意欲的な質疑とさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、十月二十六日に行われました各会計決算特別委員会の第一分科会においても、青少年・治安対策本部関係の昨年度の決算に関連して、例えば若ナビαの相談実績や広報の実績、また、防犯カメラ整備等区市町村補助金関連事業について質疑をしたところでございますので、きょうは重複を避けまして、新たな角度や、また深掘りした視点から、青少年・治安対策本部関係の事務事業につきまして順次質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず初めに、中学生の職場体験事業について質問をいたします。
 近年、就業構造が大きく変化をし、雇用形態も多様化、そして流動化しております。非正規雇用による不安定な就労状況、長時間労働などが社会問題化し、長期間にわたって課題として指摘されています。
 こうした中、青少年が自分の生き方や進路を主体的に考えて選択し、社会的自立を果たす重要性も叫ばれております。このためには、早い段階から働くことの意義を理解し、勤労観や職業観をみずから形成することができるように後押しするべきと考えます。
 私自身、自分自身が中学時代に、厳密には職業体験ではありませんけれども、当時の国会の、建てかわる前の議員会館を訪問して衆議院議員から直接話を聞いて、その政治家の方の志に胸を熱くしたり、玩具、おもちゃの研究家の方の仕事場にお邪魔をして、独創的な発想に刺激を受けたりした経験がございます。そして、それらの体験、出来事をルポルタージュとしてまとめる、こういう授業もございました。
 今振り返りますと、仕事というものを、自分事、我が事として実感できた最初の機会であったと思います。保護者や教員以外の大人と接して、仕事の体験を通じて社会の一員としての自覚を育む機会は大変重要だと考えます。
 そこで、都が実施する中学生の職場体験事業について見解を求めます。

○井上青少年対策担当部長 東京都では、平成十七年度以降、中学生の職場体験事業を推進して、公立中学校の生徒が地域の事業所等で職場体験を実施できるよう支援しております。
 本事業におきまして、都内全公立中学校の生徒は、在学時に全員、おおむね七万五千人が、職場体験を通じて働くことの意義や大変さ、すばらしさを意識するきっかけとし、社会の一員としての自覚や、望ましい社会性、勤労観、職業観を身につけることを目的としております。
 多感な中学生の時期に職場体験を行うことの意義は深いと考えておりまして、今後とも、学校や事業主によるすぐれた取り組みを情報共有するとともに、関係者相互の協力体制をさらに強化し、職場体験の中で、中学生が人と人とのかかわりの大切さや自己有用感を実感できるよう努めてまいります。

○古城委員 大人の側が、例えば勤労観ですとか職業観を身につけてほしい、このようなことをいうと、子供たちへの押しつけだみたいな、そういうご意見も中にはあることも私も承知はしておりますけれども、一方で、今ご答弁の最後に、子供たちが実感できるようにすると。この視点がやはり、みずから実感できるようにしていく、この点は大変大事な視点だというふうに感じております。
 今ご説明いただいた中学生の職場体験事業の報道発表によりますと、警視庁での指紋の採取体験では、子供たちから、ふだんでは学べないことをたくさん吸収できました、想像以上に仕事の種類が多様で驚きました、きれいに指紋を採取することが難しく、実際には数時間もそれを繰り返すと聞き、警察の仕事は集中力が必要だとわかりましたとの声ですとか、民間企業での下水管取りつけ作業では、同じ下水道管の工事でも、幾つかの種類があるのだとわかりました、取りつけ作業は最初は簡単そうに見えたけれど、実際にやってみると、思っていたより難しかったです、さまざまな人のおかげで下水道が機能しているのだと実感しましたとの声が紹介されております。
 子供のときは、大人になったら仕事をしなければならない、嫌だなですとか、また、仕事の大変さというのを自分の想像以上のように大きく考えてしまいまして、なかなか仕事というものを現実的に見ることができない部分もあるかもしれませんが、そういった子供たちの感覚を超えて、社会の中で生き抜く意欲とともに、自分自身が社会に必要とされている存在である、こういうことを実感できている、そういう子供たちの感想なのではないかなと私は感じているところでございます。
 そこで、職場体験に対する子供たち、生徒や保護者の感想を踏まえ、事業の効果について見解を求めます。

○井上青少年対策担当部長 職場体験後、中学生へのアンケート調査では、仕事をこなしたときにやりがいを感じた、あるいは、簡単そうな仕事でも、いざやってみるととても大変であることがわかったなどの感想がございました。
 また、保護者からは、社会インフラ整備の仕事で、草取りなどの目立たない作業も多かったようだけども、それが必要であると理解して充実感に満ちた様子だったので、得るものが大きかったと思うですとか、社会の厳しさや、お金を稼ぐことの大変さについて考えるきっかけとなったなどの感想が寄せられました。
 このような中学生や保護者の感想にありますとおり、中学生の職場体験は、家庭、学校、友人関係など、ふだんの生活で得られない時間を過ごし、中学生が自分らしい生き方を見つけることのきっかけとなる貴重な体験になっていると考えております。

○古城委員 この中学生の職場体験事業につきましても、多くの会社の方、事業所の方、また行政も、かなりご協力をいただいているというふうに聞いております。これからも、都内公立学校の中学生の皆さんが、本当に行ってよかった、職業体験してよかった、そういうふうに思えるような事業に取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、インターネットに関連して質問をいたします。
 もう既に周知の事実でありますが、中高生にもスマートフォンが急速に普及をし、青少年の多くは、コミュニケーション手段として、通話やメールよりもSNSを利用しております。
 総務省の平成二十九年の調査によれば、十代の平日一日当たりの平均利用時間は、携帯電話の通話が〇・六分であるのに対しまして--なので、これは三十六秒というか、四十秒弱なんでしょうか--SNSが五四・〇分と圧倒的に多くなっています。
 ただ、しかしながら、平成二十八年の調査からすると、通話は確かに減っているんですが、SNSも、反比例してふえるかと思ったら、実は五・八分ほど減っているんですね。この変化というのは、もしかしたら今後の展開に何かあるのかもしれませんが、きょうは、それは今は申し上げずに続けたいと思います。
 こうした変化に伴いまして、SNSを通じて、子供の性的画像が他者に渡る自画撮り被害や、ネットいじめなどのトラブルも急増をしております。
 警察庁によれば、SNSがきっかけとなって犯罪に巻き込まれた青少年は、九年前の二倍以上にふえております。一方で、身近に相談相手がいない青少年にとって、SNSが安心して本音を吐き出せる場になっていることも、またこれが事実でございます。
 都では、ネット上のトラブルに関する青少年からの相談を受け付ける窓口、こたエールを設置しております。加えて、都は我が党の提案を受けて、自画撮り被害の防止に向けて、全国に先駆け、昨年の第四回定例会に青少年健全育成条例の改正案を提出し、可決、成立しましたが、この中には相談事業の充実が盛り込まれました。
 私は、ことしの第一回定例会の一般質問において、自画撮り被害を防止するためにも、相談窓口のこたエールについては、青少年がふだんから使っているSNSを活用して、一日も早く相談を受け付ける、早く相談受け付けなどを開始すべきと訴えました。
 そこで、こたエールにおけるSNSを活用した相談の実施状況について見解を求めます。

○井上青少年対策担当部長 東京こどもネット・ケータイヘルプデスク、こたエールでは、五月八日から二十一日までと八月一日から十四日までの間、日曜日を除き午前十時から午後九時まで、試行的にLINEでの相談を受け付けました。
 LINEでの相談対応件数は、これらの期間を通じまして三百五十二件で、一日平均約十五件という結果でございました。
 また、この期間中、電話、メールでも百三十件の相談が寄せられておりまして、これらを含めたこたエール全体の相談件数は、昨年同時期の約六倍となったところでございます。

○古城委員 今、この時間帯について、午前十時から午後九時までという点がございましたけれども、この点については、一定の予算特別委員会で、子供たちだけではなくて、こたエールは保護者や教員からの相談も受ける、そういう性質であるということを踏まえて、いわゆるコアタイムといわれている夕方五時以降から九時、十時までにかけての期間だけではなくて、午前中からやるということで、青少年・治安対策本部としても、かなり検討いただいたということを理解させていただいております。
 さて、長野県で中学、高校生を対象に試行的に実施したLINEを活用した教育相談では、相談件数が大幅にふえ、特に交友関係や恋愛、学業など、身近な内容の相談事の増加が顕著であったとのことであります。
 これは、電話に比べて気軽に相談できることを示していると思いますけれども、こたエールにおいてLINEで応じた相談内容の傾向について見解を求めます。

○井上青少年対策担当部長 LINE相談の内容は、従来の電話やメール相談に比べまして、インターネットを通じた交際に関する相談の割合が多くなりました。
 その中には、SNSで知り合った人から会いたいといわれたというものや、写真を送ってしまったという児童買春や児童ポルノ被害につながるおそれがある相談も含まれており、被害に遭う前段階でアドバイスできたところでございます。
 現在、青少年の性被害の多くがSNSに起因して発生していることが社会問題となっており、LINE相談は、より早い段階で相談してもらうことにより、被害の未然防止に資すると考えております。

○古城委員 私の一般質問では、NPO法人自殺対策支援センター、ライフリンクの清水康之代表による、デジタルの文字だけで相談者の状況を十分に読み取ることは難しいため、SNSでの相談解決はあくまで緊急避難的な方法であることを踏まえて臨むべきであるとの指摘を紹介しまして、SNSを入り口として、電話や来所など対面の各種専門相談窓口へとつないで具体的な支援に結びつけるシステムを整備すべきと提案させていただいております。
 また、予算特別委員会では、電話、メール相談に対応している二人に加えて、LINE相談専任の担当者を確保し、相談に適切に対応できる体制を整えること、さらに、相談される方の状況を的確に把握して対応することが求められることから、児童心理カウンセリングを初め、LINEの特徴を踏まえた研修を行い、相談員のスキルアップを図った上で、LINEを活用して効果的な相談が実施できるよう努めることを確認させていただいております。
 実際に私も、こたエールでLINE相談を実施しているところにお邪魔して、視察をさせていただきました。また、同様に提案をした福祉保健局事業についてもLINE相談を視察させていただきまして、それぞれで相談員の方とも意見交換をしてまいりました。
 実際に私自身が視察をしたこと、また、都からいただいた答弁によりまして、コミュニケーション手段として普及が進むLINEの特性とともに、来所、電話、メールに続く第四の相談ツールとして位置づけられることも確認をしているところでございます。
 なお、視察をした際に伺ったことですけれども、LINE相談の担当者によれば、相談者がLINEのトークを見返したときに、希望となるような言葉を最後に送ることができるように心がけているとのことでございました。相談員の方々の献身的な対応に、心から敬意を表するものでございます。
 そこで、LINE相談における課題について見解を求めます。

○井上青少年対策担当部長 LINEは短い言葉でやりとりをする特徴がございますが、相談開始当初におきましては、相談者が話し言葉や単語でメッセージを送信してくるため、相談員は、相談者の置かれた状況や感情を十分に推しはかることが困難であり、内容の把握に苦労したケースもあったというふうに聞いております。
 また、相談員には正確かつ早いレスポンスが求められますが、単語では細かな意味が誤解されることもあるため、回答の言葉を慎重に選ぶ場面もあったというふうに承知しております。
 しかしながら、こたエールに寄せられた相談は定型的なものが多く、試行期間を通じて相談員が創意工夫した結果、相談員が順序立てて聞き出し、対処方法をアドバイスすれば、直ちに解決に導くことができるようになるなど、全般的には的確な対応ができたというふうに考えております。

○古城委員 相談員の方々も当然ご苦労があったということが今よくわかりましたし、また、委託元である青少年・治安対策本部の皆様のご尽力、また、ご努力もあったのだろうと、今のご答弁を伺いまして感じたところでございます。
 今後は、相談実施規模に対する回線や相談員の必要数、アクセス件数に対する対応率の把握、相談内容の分析と知見の蓄積などを踏まえて、都民にとってわかりやすく相談しやすい相談体制づくりを推進していかなければなりません。
 三月の一般質問では、都が実施するSNSを活用した各種相談機能について、わかりやすく相談しやすい体制を構築すべきとの私の提案に対して、知事は、相談事業は、都民にとってわかりやすく、かつ相談しやすいことが重要との認識を示されております。
 そこで、今後の相談しやすい環境整備について見解を求めます。

○井上青少年対策担当部長 今回のLINE相談では、中学生を中心に相談が寄せられ、青少年が疑問に思ったり、判断に迷った段階で気軽に相談してもらえるという結果が得られました。
 また、インターネットトラブルのような定型的な相談が多い場合には、短い単語のやりとりであっても十分に対応できたことから、LINEによる相談は効果的であるというふうに確認できました。
 この結果を踏まえまして、自画撮り被害を初め、青少年のSNS利用に起因する性被害やトラブルを未然に防止するため、今後も、こたエールがより相談しやすい窓口となるよう取り組んでまいります。

○古城委員 今ご答弁にありましたとおり、ぜひともこのこたエールについても積極的にLINE、また来所相談、電話相談、メール相談、これまでの相談窓口も含めて、青少年に寄り添うインターネットトラブルの相談窓口としての役割を果たしていただきたいと重ねて要望させていただきます。
 続きまして、次のテーマに移りたいと思いますけれども、私は、藤井とものり委員、また、原のり子委員とともに、十月二十八日、それから十一月三日の両日に放送されましたTOKYO MXテレビの番組、トウキョウもっと² 元気計画研究所に出演をさせていただきました。
 今回のテーマは、もっと子供たちがインターネットを適切に使うためにというものでありましたけれども、この主題として、もう周知の事実であるんですが、子供が将来なりたい職業にユーチューバーがランクインですとか、社会にネットが欠かせなくなった今、子供たちが上手にネットとつき合うすべを身につける環境が求められている、便利になった一方で、気づかぬうちにネット依存に陥ったり、ネットゲームやSNSに起因する犯罪被害に遭う児童も急増している、こういったことで、インターネットの適切な利用についてのテーマについて、私たちは活発な意見を交わしてきたわけでございますけれども、この番組の冒頭、一日のインターネット利用時間とその利用目的を尋ねられました。
 先日の各決の分科会でも、藤井委員が私も含めて紹介をしていただきましたが、私は六時間とフリップに書きました。ほかの議員の皆様は二時間から三時間と書いておられたわけですけれども、ある調査、内閣府による平成二十九年度の調査によりますと、青少年の平日一日当たりのインターネット利用時間は、平均ですけれども、小学生が九十七・三分、中学生が百四十八・七分、高校生が二百十三・八分、三時間半超です。高校生では、二時間以上の割合が七四・二%、四人に三人が二時間以上使っていると。さらには、五時間以上が二六・一%、四人に一人であると。
 一方で、大人である保護者は、お子さんが小学校、中学校、高校と同様の傾向が見られるわけですけれども、平日一日当たりのインターネットの利用時間は百三十六・四分で、二時間以上の割合が四三・七%、五時間以上の割合は九・一%でありました。
 私は、どちらかというと、世代的には、小学校ですとか中学校のお子さんがいるような世代に属するわけですから、インターネットの利用時間のセグメント、属性でいえば、子供たちの方に近いのかなというところも思ったわけですけれども、実際に、やはり日々の政治活動をSNSやホームページ等を通じて発信していくことですとか、情報収集、ニュース、または動画を視聴する、こういったことに加えて、きょうのさまざまな質疑も、今申し上げたような統計資料、データは、既に紙物ではなくてインターネットに行政機関、調査機関は公表しておりますので、インターネットを通じてこれを調べていく、そういったことが積み重なると六時間ぐらいになってしまうのは、もはやいたし方ない、そのように感じるところでもございますけれども、インターネットの利用時間というものを踏まえると、どうしてもネット依存、こういうことに議論がなりがちなわけでございます。
 そうした中で、特に都における取り組みとして、家庭の中でネット利用に関するルールづくりを行っていこう、こういう取り組みをされております。
 ことしの五月でしたでしょうか、各紙に東京都の青少年・治安対策本部の調査結果が報道もされていたところでありますけれども、どういうルールをつくっているのかというのを見てみますと、例えば利用する時間の制限。でも、これはネットでなくても、例えばテレビを見る時間は、親と子の間で決め事をして制限することがあると思います。決してネットだから制限するわけではないと思います。
 さらには、困ったときはすぐ保護者、親に相談すること。これも、ネット利用ではなくて、一般の生活でも当然起こり得ることです。
 それから、三番目がちょっと注目したいなと思っているんですが、利用する際のマナー(誹謗中傷することは書かない等)というふうにあります。どうしても匿名性が高い世界においては、誹謗中傷、ネガティブな要素が広まりやすい、また、書きやすい環境にあるかもしれませんけども、やはり自分がやられて嫌なことは他人にはしない、これは決してネットだけのことではなくて、現実でもそうですし、また、現実だけではなくて、ネットでも、当然、同じような人間と人間の交流があるものだというふうに考えております。
 こうした点を踏まえて、青少年課の方がコメントをされているわけですけれども、利用率が上がり、家庭内でのルールづくりは進んだものの、しっかりとした指導ができていない、こういうコメントをしておられます。相手にだまされたりして自画撮りを送ってしまう、そういう被害を防ぐために、むやみに自分の写真を送らないことや、ネット上で知り合った人と会う場合には保護者に知らせるといった、より具体的なルールづくりを勧めている、こういう記事になっているわけですけれども、先ほどルールづくりの中で申し上げた、自分がやられて嫌なことは他人にはしない、こういう点を踏まえると、子供たちにそのことを教えていくためには、やはり大人が、みずからが--自分はやっているにもかかわらず、子供たちにそれはやっちゃだめよと、こういうのでは、子供たちの眼に大人の姿というのはちょっとどうなのかな、そういうふうな映り方をするのではないかなというふうに感じているところがございます。
 したがって、先ほどのMXテレビの番組でも、大人にとっても適正なインターネット利用となるような、そういう取り組みをしていくことが大事なのではないか、このように私は提案をさせていただいているところでございます。
 少し前置きが長くなりましたけれども、こうしたことを踏まえて、インターネット、またスマートフォンの使い方について、保護者自身の理解を深めるよう啓発していくことが重要であると考えますが、見解を求めます。

○井上青少年対策担当部長 青少年がスマートフォン使用に伴う弊害に陥らないようにするためには、委員ご指摘のように、保護者が青少年に適切なアドバイスをできるよう、インターネットリテラシーを身につけてもらうことが重要であるというふうに考えておりまして、都では、保護者向けのファミリeルール講座の開催やリーフレットの配布などを行っております。
 このファミリeルール講座では、スマートフォンはさまざまな利便性がある一方、トラブルに巻き込まれるリスクもあることや、長時間使用してしまうこと、使い方によっては犯罪の加害者になることもあるなど、悪影響もあることについて保護者にも理解を深めてもらい、青少年のスマートフォンの使用について家族で話し合い、青少年自身が納得する形でのルールを決めることを勧めております。
 今後も、時勢を踏まえて講座や情報発信の内容を適宜見直しながら、青少年の適切なスマートフォンの利用に向け、保護者への効果的な啓発を行ってまいります。

○古城委員 今お示しいただいた見解について私も共有をさせていただいて、具体的な施策の展開については、これからも皆様と議論を深めさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、若ナビαについて質問をいたします。
 既に第一分科会で紹介をさせていただいているところでありますけれども、やはり昨年度の実績を確認いたしますと、全ての青少年、若年層、若者世代に寄り添って、さまざまな不安や悩みを受けとめて支えていく環境としての期待、これは非常に私としては高いものがございます。
 また、この若ナビαの開所、オープンに合わせて視察した際に同行した二十代の男性から、LINEなどのSNSを活用した相談も行ってほしい、こういう率直な意見を聞いたところでございます。
 東京都若者総合相談センター、若ナビαにおいても、SNSを活用した相談体制を確立すべきと考えますが、見解を求めます。

○井上青少年対策担当部長 生きづらさを抱える若者の社会的自立に向けた支援につきましては、七月末に知事に提言されました東京都青少年問題協議会の意見具申において、悩みを持つ若者は、みずからの悩みや現在の思いを自分の言葉で伝えることが苦手な場合も多いため、若者の心情を十分に理解し、寄り添う姿勢で、若者の思いを解きほぐし、支援につなぐことが不可欠としております。
 さらに、意見具申では、支援を受けた方が望ましい状況にあるにもかかわらず、支援の必要性を認識していない若者も多いことから、若者になじみのあるメディアであるSNS等の機能を活用した情報発信などを検討することも必要であるというふうに提言されております。
 これらの東京都青少年問題協議会の意見具申で示されました若者の行動特性を踏まえまして、SNS等を活用した情報発信が若者の心に響き、悩みを抱えた若者が東京都若者総合相談センター、若ナビの相談につながるよう検討してまいります。

○古城委員 相談体制というところにはなかなか、もう一歩、あと二歩ぐらいのところなのかなという、私は思いをしているわけですけれども、冒頭申し上げましたとおり、やはり誰ひとりとして置き去りにしない、取り残さない、こういう視点に立ちますと、本当に寄り添うためのそういう相談体制、ぜひともこれから引き続き検討を行っていただいて進めていただきたいなと、重ねて要望させていただきます。
 また、今、答弁の中でもご指摘があったところと重複いたしますが、やはり大事な事業、有益な事業を行うとしても、実際に支援を必要とする青少年、若年世代に、その事業の存在が届かなければ意味がありません。私は、この視点からもSNSなどを活用していただきたいと常々訴えているところでございます。
 先ほど答弁にありました、夏休みに実施された、こたエールのLINE相談の第二期の実施に当たって、青少年・治安対策本部から各学校を通じて、夏休み前に二つのアイテムをゲットしようとうたうチラシが配布されました。この点は各決第一分科会でも紹介をさせていただきましたけれども、ここでは、こたエールのLINE相談とともに、みまもりぃぬが紹介されています。
 私は、前職時代、公明党の職員でございましたが、党のキャラクターであるコメ助の利活用に携わっておりました。公明党がなぜコメ助なのかといわれると、コウメイ、コウメイ、コメ……ということで、ちょっと無理がある部分もあるかもしれませんが、お米のキャラクターでございます。
 これは、もともとはイラストだけだったんですけれども、着ぐるみも作製をいたしまして大変皆様にかわいがっていただいている、今もそのような状況なんですが、話題はちょっと違いますけれども、まさに今週末は、ゆるキャラグランプリ二〇一八の決勝大会も大阪で開かれるということで、私も、コメ助が出場しているものですから、結果発表を楽しみにしているんですけれども、今申し上げましたとおり、イラストやアニメ、動くアニメーションだけではなくて、実際にリアルに触れ合うことができる着ぐるみを作製して、よりリアルに、現実的にアプローチをしていく、こういう取り組みの重要性は、今申し上げたとおり、私の前職時代の経験からも実感をしているところでございます。
 この点、みまもりぃぬも着ぐるみが活躍しているというふうにちょっと聞きつけまして、さらなる活躍を期待しているところでございます。
 また、私も、みまもりぃぬのLINEを友達登録しまして、常々、みまもりぃぬのタイムラインを確認するとともに、プッシュ型通知で届くトークについても、これもまた毎週楽しみにさせていただいております。
 先日も、通知がお昼の十二時に参りまして、わくわくして開いたところですが、このみまもりぃぬのLINEの友達数は、現在、およそですけど、約三千三百六十弱になろうかと思います。そのみまもりぃぬの発信内容とともに、アカウント自体の友達数をふやしていく、この広報の取り組みについても、工夫をされているというふうに評価をさせていただきます。
 例えば、トークでの発信内容をタイムラインにも投稿することで、今後、登録をしてくれた人にも、過去のトークの内容をさかのぼって確認できるようにしていることや、トークも問いかけ形式にして、受信した側が一旦立ちどまって考えることができることを期待するもの、こういう工夫がされていることが挙げられます。
 今後は、トークやタイムラインで青少年・治安対策本部の各事業の周知や若ナビα、こたエール、ひきこもりサポートネットの相談窓口の紹介などを発信すること、さらには、LINEの機能であるリッチメニューやリッチコンテンツ、キーワード応答メッセージなどを最大限活用すべきと考えます。
 そこで、みまもりぃぬの実績と今後の活動戦略について見解を求めます。

○森山総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今お話がありましたみまもりぃぬですけれども、これは、東京都安全安心まちづくり条例が施行十周年を迎えました平成二十五年十月に、地域の防犯活動のマスコットとして誕生いたしたものでございます。
 都民の皆様に親しまれるよう、着ぐるみを制作しており、平成二十九年度のイベントへの出動実績につきましては、夏休み子供安全フェスタや特殊詐欺根絶イベントなど、合計五十二回となっております。
 このほかにも、当本部事業の推進の一環としまして、ながら見守り連携事業のシンボルステッカーなどの啓発グッズあるいは広報動画等にも、みまもりぃぬを使用しております。
 また、今年度は、事業広報活動の充実強化のため、新たに、お話がありましたみまもりぃぬのSNSアカウントを開設いたしました。若者が手軽にアクセスできるツールという特性を生かしまして、中学生、高校生に向け、SNSトラブルから身を守るための情報をわかりやすく発信しているところでございます。
 今後も、みまもりぃぬを都民の安全・安心を守るマスコットキャラクターとして、イベントでの着ぐるみやSNSによる情報発信等に幅広く活用いたしまして、子供から大人まで親しみを持っていただける、より実効性の高い広報活動を展開してまいります。

○古城委員 最後のテーマ、最後の質問とさせていただきたいというふうに思います。
 青少年が安全・安心に健やかに成長していける環境づくりは、社会全体の責務であると考えます。しかしながら、都内では、青少年に対する犯罪が毎年二百件以上発生をいたしております。
 先日の第三回定例会、また、各会計決算特別委員会の全局質疑でも我が党から提案をさせていただいているところでございますけれども、防犯カメラの整備を補助する事業については、やはりこれは、まちの安心・安全を守っていくための大事な事業であるというふうに思っております。今年度の補助の円滑な執行、また来年度予算の確保、これにぜひとも取り組んでいただきたいというふうに思います。
 中には、監視カメラではないか、防犯カメラというのは監視カメラだ、こういうようなご意見もあることは承知をしておりますけれども、今、やはり昨今の治安状況を踏まえて、防犯カメラに対する期待というのは、いや増して高まっているというところが現状でございます。こういう都民の皆様の意識、こういったものをぜひともしんしゃく、酌み取っていただいて、この事業についても、ぜひとも拡充、継続を行っていただきたい、この点、要望として申し上げさせていただきます。
 また、私自身も、先ほど来申し上げているとおり、第一回の定例会で、青少年をこうしたさまざまな危険から守るためには、成長段階に応じた一貫した対策を講じるべきと訴えたところでございます。これに対して大澤本部長は、安全・安心対策を切れ目なく総合的に講じていく方針を示されました。
 そこで、青少年・治安対策本部による切れ目のない施策の取り組み状況と今後の展望について、本部長の見解を求めます。

○大澤青少年・治安対策本部長 東京の治安については、都内の刑法犯認知件数は減少しているものの、子供や高齢者などの弱者が巻き込まれる重大な事件や事故が発生しており、また、ICT社会の進展により、青少年の健全育成を阻害する事態等が生じるなど、当本部を取り巻く環境は大きく変化しております。
 こうした中、都民の安全・安心を確保するには、青少年、治安、交通安全の各分野の連携を強化し、安全・安心に資する施策を切れ目なく実施していくことが重要であります。
 そこで、今年度は、青少年を危険から守るための取り組みとして、就学期を迎える子供やその保護者を対象とした防犯や交通安全の啓発動画の作成や、スマートフォンを持ち始める中高生がネット上のトラブルから身を守るための防止対策等を学ぶ講座の実施など、成長段階に応じた対策を総合的に実施しております。
 加えまして、関係行政機関を初め区市町村、事業者、防犯ボランティア等が連携した一体的な取り組みも不可欠であり、当本部がこれらさまざまな主体の結び目として施策を推進するものであります。
 今後とも、誰もが安全・安心を実感できる東京の実現に向けて全力を尽くしてまいります。

○古城委員 本部長、ありがとうございます。
 冒頭の質問で、中学生の職場体験についても、子供たちが未来をより実感できるような事業にしていただきたい、また、相談事業についても、寄り添ってもらっているんだなと、そういう安心感を実感できるような事業にしていただきたい、そのように申し上げてまいりました。
 また、最後に、大澤本部長の方から、誰もが安全・安心を実感できる施策をと、こういうご答弁をいただきました。
 ぜひとも、これらの施策を強力にこれからも推進していただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後八時十分休憩

   午後八時二十四分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 それでは質問したいと思います。
 まず最初に、資料の提出、ありがとうございました。
 最初に、ネットいじめ、また、自殺対策にかかわって伺います。
 先ほど古城委員からも詳しくネットの関係、テレビのことも含めてご質問がありまして、私は、またちょっと違う角度から質問させていただきたいと思います。
 十一月初めに新聞報道があって、八王子市の女子中学生がいじめを苦に自殺に追い込まれました。
 一年前ですね、昨年の八月に家族旅行のため部活動を休んだことを上級生からLINEで非難されて、他の生徒からも無視されるなどのことがあって、二学期から登校できなくなってしまいました。
 両親がLINEでのトラブルを担任と部活動の顧問に相談して、顧問は上級生を指導したということでした。そして、その結果、上級生は謝罪をして、そのことを顧問も確認し、女子中学生も、謝罪があった、大丈夫ですというふうに話をしていたというふうに報道されていました。
 しかし、その後も登校することができず、両親が転校することを学校に相談して転校に至っているわけです。しかし、その後、転校先でも登校はかなわず、トラブルがあったちょうど一年後に自殺を図り、亡くなってしまいました。
 学校は、謝罪もして、お互いそういうやりとりがあった、だから、いじめはなく、解決をしたと判断していたといわれていますけれども、女子中学生の死亡後、いじめはあったと認めて第三者委員会で調査をするという、そういう流れになっていると聞いています。
 女子中学生は、不登校になった後、転校しても不登校であることをごめんなさいとわび、また、不登校に優しい世界だったらな、学校に行かなきゃだめだかなと、両親に残した手紙に書いてあったと伝えられています。
 この悲しい事件は、LINEでのいじめに苦しんだこと、また、つらくて学校に行けなくなったこと、学校に行けない自分を責めていたことなど、学校が考えなければいけない教育の中身の要素がたくさんあります。
 ただ、ここできょう、私が質問をしていきたいと思っているのは、この事件でもはっきりしているのは、最初のきっかけがLINEだったということだと思うんです。そして、LINEがきっかけでいじめがあり、それで苦しんだ。ただ、ちゃんと謝罪が、LINEの中ではなくて直接会って謝罪があったけれども、それで解決して安心できるというふうにならなかった、ここが私は大事なポイントだと思っているんですね。こういう問題があるということをしっかり受けとめて、こういう悲劇が繰り返されないように、対策を本当に考えていかなければいけないと改めて思いました。
 十月二十五日に発表された文部科学省の問題行動、不登校調査では、いじめが最多四十一万件、そして、中でもネットいじめが最多の一万二千件超となったと報告されています。また、児童生徒の自殺が全国で二百五十人と、三十年間で最多という状況だと。子供たちの状況は本当に深刻なんだということを踏まえて、幾つか伺っていきたいと思います。
 東京都の青少年のネットトラブルの悩みに関する総合相談窓口、こたエール、このこたエールについては、先ほども質疑もたくさん行われています。
 この相談件数の推移を見ると、今回、先ほどいった文部科学省の調査では、ネットいじめについて非常にふえているという結果になっているわけですが、こたエールの相談件数としては、相談件数はふえているんですけれども、ネットいじめについて突出をしているといえるかというと、そういうふうにはなっていないというふうに思うんですね。
 こたエールの相談件数、内容の五年間の推移をどのように分析されているのか、まず伺いたいと思います。

○井上青少年対策担当部長 こたエールの相談件数は、平成二十五年度から三年間は年間二千件を超えておりましたが、平成二十八年度から減少し、昨年度、平成二十九年度は九百二十四件でございました。
 この間、こたエールのホームページにおきまして、事例を見て相談者が自己解決できるよう、架空請求を初めとする相談事例の掲載を充実させたところ、ホームページのアクセス件数は増加しました。
 ホームページの相談事例を見ることでトラブルの解決につながったものもあったことから、こたエールの相談件数が減少したものと考えております。

○原委員 確かに、こたエールのホームページ上での事例については大変丁寧に紹介がされていて、かなりまめに更新をしてくださっているんですよね。ただこういうことが、こういう相談がありましたというだけではなくて、それについてこういうふうに回答しましたということを載せて、さらに、そのことについての考察も書いているということで、非常に丁寧な紹介があるので、ですから、ちょっと心配だなと思ったことがあれば、電話をしなくても、その事例を見てわかるという場合も確かにあるなというふうには思います。
 ただ、こたエールの中で、ネットいじめについてどのぐらい相談をされたかというのは、話の中で、これはネットいじめだなというケースもあるでしょうし、また、やっぱり深刻だなと思うと、相談する先がこたエールでいいのかどうかというのを迷う、そういう青少年もいるかもしれないというふうにも思うんですね。ですから、どんな相談でも受けられるということを今まで以上に発信していくことが必要かと私は考えています。
 それで、今、子供たちを取り巻くネットの状況は、本当に想像以上に深刻になっているというふうに私は思っているんですけれども、その点について伺いたいんですが、先ほどいったように、八王子の女子中学生のケースでも、トラブルとなった上級生が本人に謝ったことで解決とはならなくて、転校後も、前の学校の生徒にばったり会うのではないかと不安で外に出られないという、そういう状況にもなっていたというふうに報道もされているんですね。ネットトラブルの複雑さ、また、その傷の深さというのが、私はこのケースで本当に出ているというふうに思っています。
 改めて、子供たちを取り巻くネットの状況の深刻さについてどのように認識を持たれているか、伺いたいと思います。

○井上青少年対策担当部長 スマートフォンの普及によりインターネットの利用の低年齢化が進み、青少年自身が自分にとって有害な情報に触れる機会やトラブルに巻き込まれるケースも増加しているというふうに認識しております。

○原委員 本当にそうだというふうに思います。
 そして、もう一つ、私が思ったのは、実際に見ている画像の深刻さというんですかね、先日、私も、情報教育や、また依存症のアドバイザーをしている方にも専門家としてのお話を聞きに行ったんですけれども、そのときに、大人側が、どのぐらい子供たちがどういう画像を見ているのか、それを直接知っておくことが必要なんじゃないかというふうにアドバイスを受けまして、でも、一人で見ない方がいいというふうにいわれて、専門家の方と一緒に、例えばこういう画像を子供たちは見ていますよというものを見ました。それは確かに一人で見るにはなかなか、本当に子供たちがこれを見ているんだろうかと思う内容で、暴力的であったり、傷つけている、そういうような状況のもので、しかし、それに、いいねという同意しているものがたくさんついているんですね。
 やっぱりそういう中に子供たちが--実は、大人はそこまで見ていないんじゃないか、そんなことは見ていないんじゃないかと思っているものも含めて見ている。時間が長いというだけではなくて、本当に大人の社会の責任ですけれども、子供たちにそういうものを見せるような、そういう仕組みになっているということを本当に知っておく必要があるなというふうに私は改めて思いました。
 あわせて、LINEの世界での同調圧力の激しさというのは、子供のみならず、実は保護者の中でも、LINEで今、連絡をとるとか、そういうこともありますよね、PTAとかそういう関係でも。その中のトラブルで自殺に至るというケースなども大人でも起きているということがあり、非常に深刻です。
 そういう意味で、啓発、教育の機会をこれまで以上に強化する必要がどうしてもあるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○井上青少年対策担当部長 青少年にインターネットを適切に利用してもらうため、青少年自身に対する啓発のほか、保護者が家庭において青少年と話し合う機会を持ってもらえるよう、平成十八年度からファミリeルール講座を開催してきております。
 これまでも、その時々で最新の状況や事例を盛り込むなど、内容を見直して実施してきておりますが、引き続き、適宜、講座内容の充実を図ってまいります。

○原委員 引き続き講座内容の充実を図っていきたいということで、ぜひいろいろ工夫もしていただいて進めていただきたいというふうに思います。
 先ほどいったように、私も体験したように、専門家のきちんとした指導を受けながら、どういう世界に子供たちがいるのか、見ているのかということを、例えばお母さんたちの講座で確認ができるとか、あるいは、親と一緒に来ていない児童館などで、子供たちに直接いろいろお話をしていくとか、いろんなやり方を工夫していっていただけるといいなというふうに思います。
 それで、そういう中で、私は、ネット依存という言葉もありますけれども、自分が依存しているかどうかというのもわからない場合ももちろんありますし、時間の問題だけではなく、どの程度入り込んでいるかというのは、本当に自分で気づかなかったりする場合もあると思います。また、親がとても心配をしているケースもあります。
 でも、ネット依存ではないかなと感じたときに、迷わず適切な相談場所につながっていくということもまた重要だと思っています。
 東京都でネット依存の相談を受け付けているか、また、相談があった場合、医療機関につなぐ、そういうケースはあるのか、その点について伺います。

○井上青少年対策担当部長 いわゆるネット依存に対しましての対応でございますが、先ほど答弁いたしましたファミリeルール講座におきまして、家庭内で利用時間を決めてもらうなど、長時間利用の予防の啓発にも取り組んでおります。
 また、こたエールでも、ネット依存の相談についても受け付け、相談者に対するアドバイスを行っており、医療機関を紹介するケースもございます。

○原委員 今の子供たちは、本当に小さいときからパソコンがあったり、スマホがあったりというのは、もう当たり前の環境で育ってきています。
 ネットは、便利で、本来、生活を豊かにしてくれるものです。ですけれども、それをみずからが主体になってちゃんと使っていくということや、また、何か心配なことがあったら、どこに相談すればいいかわかるようにしておくなどが非常に大事であり、そういう意味でも、今ご答弁にもあったように、こたエールは非常に重要だと、改めて私も認識をしています。
 同時に、実際に依存が心配になったときに医療機関につながっていくという上では、ご紹介する場合もあるというお話で、それはとても大事だと思ったんですけれども、ただ、専門の相談に乗れる医療機関が実はとても少ないというのも今現実で、私はそういう点では、私どもの会派では、都立病院などでも、きちんと専門の、ネット依存等に相談に乗れる、そういう診療体制などもぜひ充実をさせていってほしいということを予算要望でも毎年しているんですが、そういうことも重要になってくるかなと思います。これはまた所管が違いますけれども、そういう意見を述べておきたいと思います。
 それで、今まではネットの問題で話をしたんですけれども、一方で、今回の八王子のケースを考えると、自殺対策を本当に強化する必要があるというふうに思っています。
 気軽に、とにかくふだんから相談できる場が幾つもある、もし悩んだときにはたくさんの手が差し伸べられる、そういうような相談体制をつくっていくことが必要だと私は考えています。
 特に、もう死んでしまいたいというぐらいに思い詰めているときに、そのことを親に相談できるのか。できない子もたくさんいるんですよね。そういうときの相談先も積極的に伝えていくということが重要だと思っています。
 子供・若者計画の七三ページには自殺対策について載っていまして、ここに、中心は福祉保健局なんですけれども、自殺を本当に防いでいくために相談、支援の充実が必要だという、その一つとして若ナビが出ています。若ナビαですね、今は。
 これは非常に重要で、この若ナビαは、おおむね十八歳以上が対象だという位置づけというふうに聞いてはいますけれども、この若ナビαを多くの若い人たちに伝えていくということは非常に重要だと思っています。
 相談件数も昨年度より大きくふえていて、特に電話相談がふえているということも特徴かと思います。この要因の分析と、主な相談内容はどういうことかということを伺いたいと思います。

○井上青少年対策担当部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαの平成二十九年度の相談件数は、電話相談が六千三百六十二件、メール相談が五百二件、来所相談が百十七件、合計で六千九百八十一件となっており、前年度に比べ大幅に増加しております。
 昨年度は、ホームページやリーフレットによる広報のほか、若者がよく利用する情報手段を踏まえ、インターネットを活用した広告等を行ったことが相談件数増加の要因の一つとなったというふうに考えております。
 また、主な相談内容についてでございますが、自分自身の悩みや不安のほか、仕事関係、対人関係などとなっており、若者のさまざまな悩みや不安を受けとめているところでございます。

○原委員 今、詳しくお話しいただきまして、ありがとうございます。
 先ほど質問の中でも述べたように、若ナビαについては、主に十八歳以上の若者が対象ですというふうに書かれているかと思います。
 そうしますと、今、自殺の低年齢化の問題も出てきている中で、十八歳未満の子供たちに相談できる場を周知していくということもまた重要になってくると思います。
 もちろん、十八歳未満の子供たちが、例えば若ナビに連絡をとってみて、それが無視されるとか、そういうことはもちろんないということはわかっていますが、適切なところにつないでいってもらうということは改めてお願いをすると同時に、特に自殺対策というふうに考えた場合には、青少年・治安対策本部と、また福祉部局、教育との連携が重要になってくるというふうに思っています。
 福祉保健局などでもLINE相談等も実施をされているという状況がありますが、子供たちの状況が深刻であるということを受けとめて、全庁的に取り組みを強めていくということをこの場では要望しておきたいと思います。
 それで、若ナビαの相談のことにちょっと戻るんですけれども、若ナビαにいろんな形で相談して、それで、相談の入り口は違っても、話をしているうちに、これは深刻ではないか、自殺につながりかねないというようなことが起きた場合、そういうふうに判断をされるケースもあると思いますが、そのときにはどのように対応されているか、伺います。

○井上青少年対策担当部長 先ほども申し上げましたように、若ナビαは、人間関係、孤独や不安など、若者のさまざまな悩みについて相談を受けております。
 委員ご指摘の自殺につながりかねない相談を含めまして、若者からのさまざまな相談を受けるに当たりましては、臨床心理士等の相談員が若者に寄り添って話を聞くとともに、相談者の状況に応じて適切な支援につなぐなど、福祉、保健、医療等の分野の関係機関とも連携し、丁寧に対応しているところでございます。

○原委員 わかりました。
 先ほどもいったように、自殺対策、また、本当にそういうときに、せっぱ詰まったときに相談する場所として、子供・若者計画では、福祉保健局のこころといのちのほっとラインなどなど、福祉保健局のやっていることがもちろん中心で、対策はそこを中心にやっていますということで書かれているんですね。
 その中に若ナビも入っているんですけれども、先ほどもいったように、私は、いろんなところでいろんなふうに相談に応じてくれる場所があるということがとても大事だと思うので、若ナビαでも、どんな相談でも受けられるということをぜひ発信していく、改めていっていくことが必要かなというふうに思っています。
 それで、若ナビαについて、そういう点では、もっとさらに敷居を低くしていくというのも必要だと思っていて、これは、いろいろ改善の提案などは、都議会でもさまざまな議員の人たちが提起をしている、議論になっている課題でもあります。
 私は、きょうは一つだけ、これを検討していただきたいなと思うのは、ホームページにこんな相談があるというのは書かれているんですね。例えばこういう相談に乗れますと、仕事で悩んでいるとか幾つかありました。
 それだけではなくて、その相談に対する考え方というんですか、そういうものも載せていただけないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○井上青少年対策担当部長 若ナビαではこれまでも、よく寄せられる相談内容を周知するなど、さまざまな形で若者が気軽に相談できるよう努めてまいりました。
 七月末に出された東京都青少年問題協議会意見具申におきまして、情報発信する際には、相談や支援を受けることに対し、若者が持っている心理的ハードルを下げることができるよう、若者の関心を引く内容を発信していくことが必要と提言されたことを踏まえまして、より一層若者が相談しやすくなるよう、ホームページの改修に着手しております。

○原委員 ホームページの改善に着手をしているということで、ぜひさらに進めていただきたいというふうに思います。
 パンフレットを見せていただいたら、パンフレットには、かなりいろんな悩みを受け付けられると。例えば、本当にぼんやりしたような悩みでも、もやもやしていることがあるとか、そういうことも書かれていて、こういうことでも相談していいんだなというのがわかる内容になっていました。
 ホームページを見た、今、毎日ひきこもりの状態で暮らしている方からご意見があったんですけれども、ホームページの方を見ると、仕事で悩んでいるとかそういうことが出ていて、自分の悩みはちょっといえないかなというふうに思ったというふうにいっていました。
 ひきこもりの方にはまた別の相談もあるんですけれども、でも、どんな若者も、ここにどんな相談でもできるということを発信していく、そういう改善をさらに進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 最後に、ひきこもりの対策について若干伺いたいと思います。
 (資料を示す)これは、ひきこもりの理解と支援という、今までの相談等の事例等もまとめられていて、地域において相談や支援を行う方々の助けに使っていってほしいということになっていますが、これはとてもわかりやすく、よくできているなというふうに思いました。
 これをより広く活用してもらうべきではないかと考えていますけれども、見解を伺います。

○井上青少年対策担当部長 委員お話しのひきこもりの理解と支援につきましては、平成二十六年六月から実施しております訪問相談における相談事例等を踏まえ、平成二十九年度に、具体的な事例ごとにポイントをまとめて作成した冊子でございます。
 作成するに当たりましては、地域における支援の核であり、相談の窓口となる区市町村のひきこもり支援に携わる職員が相談を受ける際などの参考になるよう作成したものでございまして、区市町村に配布し、活用していただいているところでございます。

○原委員 わかりました。
 確認なんですけれども、済みません、今、区市町村には配布をして活用していただいているということなんですけれども、この冊子の一番後ろのところに支援機関一覧があって、東京都若者社会参加応援事業の参加団体一覧がありますよね。
 ちょっと教えてもらいたいんですが、この団体などにはこの冊子は渡っているものなのでしょうか。それとも市区町村から渡るものなのでしょうか。ちょっと確認させてください。

○井上青少年対策担当部長 先ほどご答弁申し上げましたように、今回のこの冊子につきましては、区市町村における支援が充実するようにという形で作成、配布したものでございます。
 また、区市町村におきましては、区市町村が話を受けたときにつなげるようにという形で、東京都若者社会参加応援事業の参加団体についても掲載しているというような内容でございまして、今現時点で社会参加応援事業団体の方には配ってはございません。

○原委員 わかりました。現時点ではそうなっているということですので、ここでは要望させていただきたいと思います。
 はじめにのところに、地域において相談や支援を行う方々の一助となればというふうにも書かれているので、ぜひ、市区町村を通してでもいいと思いますけれども、特に要望があった場合には、この参加団体に冊子をお渡しする、あるいはデータを渡すなど工夫していただきたいということを、まず要望はこの場ではしておきたいと思います。
 それで最後になりますけれども、この中にあるような事例についても、今度はひきこもりサポートネットのホームページなんですが、そちらのホームページでもぜひ紹介していただけたらいいなと思うんですね。
 ひきこもりサポートネットのホームページは、例えば、みんな同じように悩むもの、だけど一人で悩まないでと書かれています。引きこもっている方にお聞きすると、自分だけだと思っていたという方が本当に多いんですけれども、こういう呼びかけがホームページでされているというのは、とても大事だと思っています。また、ホームページには、焦らず、過去にこだわらずということも書かれていまして、非常に重要だと思いました。
 ソーシャルワーカーの方などに伺いますと、ひきこもりから脱出するという考え方ではなくて、今の自分を認めて折り合っていくということが大事なんだ、そこに伴走する支援が大事だというふうに伺って、私も学びました。
 私は、ホームページに、こうやってひきこもりから脱出したというような、そういう成功例とかというのではなくて、こうやって折り合ったとか、こういう悩みを持っているのは、あなただけではないよということがわかるような、そういう事例を紹介していただけないかというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○井上青少年対策担当部長 ひきこもりに悩む本人やご家族は、最初からその悩みを詳細に伝えることが難しいケースもあり、相談や支援を受けることに対し心理的なハードルを下げることは、何よりも非常に重要なことでございます。
 ひきこもりサポートネットにおきましても、先ほど申し上げました若ナビα同様に、さまざまな形で本人やご家族が相談しやすくなるよう努めてきておりますが、意見具申の提言も踏まえまして、さらに気軽に相談できるよう、ホームページの改修に着手しているところでございます。

○原委員 わかりました。全体として、本当に意見具申も踏まえて改善を進められているということがよくわかりました。
 先ほどいったように、伴走型の支援を継続できるようにしていくというのはとても重要で、そのためにも、年齢で区切らないということもまた大事になってくると思います。
 私どもの会派でも、このことはさまざまな場面で訴えてきましたけれども、ぜひ東京都としても、伴走型の継続した支援が保障されるようにしていっていただきたいということ、また、所管のあり方等も含めて検討されるようにこの場では要望して、質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。

○山内委員 私からも、ひきこもりサポートネットについて伺いたいと思います。
 東京都ひきこもりサポートネットが行っている訪問相談について伺いますが、生活者ネットワークはこれまでも、生きづらさを抱えている若者たちに寄り添う支援、社会参加への支援について政策提案をしてまいりました。
 ひきこもりなどの状態になる原因やきっかけはさまざまで、いじめや対人関係のトラブルがきっかけで学校や会社に行けなくなる、ひきこもりになったり、また、障害や病気に気づかずにひきこもり状態になって悪化したりすることがあるといわれています。こうした若者たちは、家族との関係がこじれることも多く、本人だけでなく家族も苦しんでいます。
 ひきこもり状態から社会参加に一歩を踏み出す糸口を見出すには、孤立させずに時間をかけて丁寧に支援していくことが重要です。
 都では、二〇一四年度から臨床心理士等の相談員が訪問相談を受け、支援機関につないでいるとのことですが、今年度から受託先がかわったと聞いています。
 そこで、東京都ひきこもりサポートネットにおける二〇一七年度までの総括についてお伺いいたします。

○井上青少年対策担当部長 東京都ひきこもりサポートネットは、平成十六年度からメール相談、その後、電話相談を始め、平成二十六年度からは新たに訪問相談を開始いたしました。
 相談に当たりましては、臨床心理士等の相談員等が丁寧に相談を受けるとともに、ひきこもりの若者やその家族の状況に応じて、ひきこもり支援をしているNPO法人等の適切な支援機関につなぐようにしております。
 過去五年の相談件数は、年間五千件前後で推移しており、平成二十九年度は、電話相談が三千六百三十件、メール相談が千百八十七件、訪問相談の新規申し込み件数が十九件となっております。

○山内委員 東京都ひきこもりサポートネットにおける訪問相談のこれまでの実施状況についてお伺いいたします。

○井上青少年対策担当部長 東京都ひきこもりサポートネットの訪問相談のこれまでの申し込み件数は、平成二十六年六月の事業開始から平成三十年三月までで百四十一件となっております。
 訪問相談におきましては、本人やご家族の状況を直接確認し、適切に課題を把握した上で、支援策を検討するケース検討会議等を実施し、地域でひきこもり支援を行っているNPO法人等の民間支援団体や保健、医療機関、就労支援機関などにつないでおります。
 昨年度は、訪問相談における相談事例等を踏まえ、具体的な事例ごとにポイントをまとめた冊子を作成し、区市町村のひきこもり支援に携わる職員に配布し、個別に相談を受ける際などに活用していただいております。

○山内委員 多岐にわたる相談に適切に応えていくために、ケース検討会議を実施しているということでした。
 訪問相談におけるケース検討会議の役割についてお伺いいたします。

○井上青少年対策担当部長 ケース検討会議は、ひきこもりの本人やご家族の状況に応じて、より適切な支援機関につなぐことを目的に、平成二十九年度から実施しております。
 訪問相談を行った個別案件ごとに具体的な課題について実態を把握した段階でケース検討会議を実施しており、相談者がお住まいの区市町村において、福祉、保健医療、雇用等の各分野の関係部署や地域の支援機関が一堂に会して支援策を検討しております。
 これらの取り組みを通じて、ひきこもりの本人やご家族が支援のはざまに陥ることがないよう、地域において区市町村や支援機関が連携を図り、本人や家族に寄り添った支援の提供を図っております。

○山内委員 これまで、お茶の水女子大学の臨床心理士の専門家が訪問相談を行ってきましたけれども、先ほどもいいましたが、今年度からは受託先がかわったと聞いております。
 そこで、東京都ひきこもりサポートネットの受託者の変更に伴う引き継ぎの状況についてお伺いいたします。

○井上青少年対策担当部長 東京都ひきこもりサポートネットにおける相談事業につきましては、何よりも相談者に寄り添った支援が重要であるため、相談内容のみならず、それぞれ相談の経過とその対応等についても引き継ぎを丁寧に行い、円滑に相談事業が継続されるよう、事業者の指導監督を行ったところでございます。
 今年度におきましても、サポートネットは、ひきこもりに悩む本人やご家族の状況を十分に把握し、関係機関と密接に連携しながら適切な支援機関につないでいるところでございます。

○山内委員 昨年度、訪問相談等を踏まえた冊子、先ほども出ましたけど、ひきこもりの理解と支援、事例と支援のポイントを作成したというふうにお伺いいたしました。しかも、ノウハウの蓄積として参考となるように区市町村の窓口に配布したとのことです。
 東京学芸大学からお茶の水女子大学へと引き継がれ、メール相談、電話相談を合わせますと、六年ほどもの時間と費用をかけて研究機関に依頼した報告がこの冊子の内容であるということは、私は非常に残念です。改めてお茶の水女子大学と協議をして、有意義な報告書をまとめていただきたいと思います。
 今年度からは、これまでひきこもり状態にある人の自立を長年支援してきたNPO法人が受託していると聞いております。ひきこもり状態の方の早期発見、早期対応から、長期化している状況に対して対応している、そして、そのために当事者と家族に寄り添い、自立に向けて支援していく、こうしたNPOの今後の活動に応援をしたいと思います。
 次に、自転車安全対策についてお伺いしたいと思います。
 自転車安全対策は、青少年・治安対策本部の業務の重要な一つです。
 三月の総務委員会質疑の際に、電動アシストつき自転車の事故がふえていることから、安全利用に向けた啓発について質問いたしました。その際の答弁に、子供を同乗させる特別仕様の自転車は、電動アシストつき自転車であることが多いことから、昨年度は、保育園で実施した交通安全教室において、留意点について啓発したとございました。
 その反響、そして、今年度の取り組みについてお伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 都は、昨年十一月に保育園で実施した自転車安全利用教室におきまして、前後に子供のダミー人形を乗せた電動アシストつき自転車でこぎ出すときにふらつきが生じる場面を実演するなど、保護者に対しまして、電動アシストつき自転車を利用する際の注意事項の確認を行っております。
 教室で電動アシストつき自転車に触れた参加者からは、ふだんは普通の自転車を使っているが、電動アシストつき自転車の重さに驚いた、また、現在、電動アシストつき自転車を使っているが、始動する際の重さによるふらつきなど、電動アシストつき自転車を利用する際の留意点を改めて認識したなどの声が聞かれました。
 今年度も、他の保育園で実施をいたします自転車安全利用教室におきまして、電動アシストつき自転車利用時の留意点について啓発してまいります。

○山内委員 ことしの五月、子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議で、子供を乗せた幼児用座席つき自転車の事故が取り上げられ、子どもの事故防止週間で注意喚起を行いました。
 東京消防庁管内の救急搬送データによりますと、二〇一一年から二〇一六年までの六年間で、幼児用座席つき自転車に子供を乗せて使用しているときに、十四歳以下の子供がけがをして千三百四十九人が救急搬送され、年齢別では一、二歳の幼児に多くて、四月から七月までに救急搬送数が増加傾向にあるということが出ていました。
 また、医療機関ネットワーク事業によると、六歳以下の子供を乗せた幼児用座席つき自転車の転倒、転落等の事故報告は、二〇一〇年から二〇一六年までの間で六百九件あったということです。事故内容は、走行中だけでなく、停車中にも転落等の事故が発生するとのことです。
 また、警視庁によりますと、電動アシストつき自転車を当事者とする人身事故件数は、二〇一二年ごろから年に百件を超え、二〇一六年には二百件を超え、二〇一七年には三百件を超えるというふうに報告がございました。
 電動アシストつき自転車を含む幼児用座席つき自転車に同乗中の幼児の死傷者数は、二〇一七年中、二百人を超えます。
 幼児用座席つき自転車は、最近では電動アシストつき自転車が一般的となっておりますので、七月には、神奈川県で、電動アシストつき自転車利用者の同乗である一歳の子供が亡くなるという大変痛ましい事故が起きました。
 そうしたデータを踏まえて、電動アシストつき自転車について、安全利用の普及啓発に一層取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○高野治安対策担当部長 都はこれまで、毎年五月の自転車月間に合わせて実施をいたします自転車安全利用TOKYOキャンペーンや、企業を対象に年八回程度実施いたします自転車安全利用TOKYOセミナー、また、保育園や小学校などでの自転車安全利用教室等で、広く都民に自転車安全利用について啓発しており、これらの中で、電動アシストつき自転車についても注意を呼びかけております。
 また、先ほどご答弁申し上げました保育園における自転車安全利用教室だけでなく、高齢者向けの教室でも、実際に電動アシストつき自転車を使った講習を行い、通常の自転車とは異なる特性を踏まえた留意点の啓発も実施してまいりました。
 今年度は、民間企業と連携をして実施した、地域住民を対象とする新たな自転車安全教室におきましても、電動アシストつき自転車を実際に利用した講習を実施し、また、自転車点検整備等を普及啓発するリーフレットにも、電動アシストつき自転車の利用に当たっての留意点を掲載しております。
 今後とも、自転車安全利用教室やイベントの機会等を利用いたしまして、電動アシストつき自転車の安全利用に向けた啓発に取り組んでまいります。

○山内委員 電動アシストつき自転車は、車体の重さだけでも三十キログラム程度あります。運転する大人と子供の体重や荷物の重さが加われば、百キログラム近くになります。バランスをとりにくく、ふらつきやすい、急に曲がったり、とまったりすることが難しい、運転中にハンドルを支えるのに力が要る、押して歩くときも、傾けないよう自転車を支えるのに力が要るなど、怖い経験をした人は多いと思います。
 走行中だけではなく、子供を乗せるときや、停止中も、大人がその場を離れたために転倒して子供が投げ出されるなど、そうした危ない経験をした人も多くいると思います。
 事故は、先ほどの消防庁の報告ではないですけれども、四月から七月にかけてが多いというふうに話を聞いております。
 子供のヘルメット着用はもちろんのことですが、子供を事故に巻き込まないために、ルールの普及啓発や事故に対する注意喚起、その広報など、積極的に取り組むよう要望いたしまして、質問を終わります。

○藤井(あ)委員 青少年・治安対策本部の事務事業の質疑に当たり、都の渋滞対策について質疑をいたします。全部で三問になります。
 大都市東京にとって、渋滞対策は、都市の魅力向上にもつながる大変重要な課題であると考えております。
 渋滞対策には、三環状道路など新たな道路建設、道路整備や立体交差化など、ハードの整備が欠かせない一方、都は、既存の道路を活用するソフト対策として、ITS等を活用した渋滞対策、ハイパースムーズ東京を実施しております。
 そこでまず確認になりますが、ハイパースムーズ東京の事業内容と、事業箇所の選定など、どのように事業を進めているのか、お伺いいたします。

○高野治安対策担当部長 ハイパースムーズ東京は、既存の道路を活用した即効性のある渋滞対策事業でございまして、交通量を予測し、最適な信号制御を行う需要予測信号制御の導入など信号制御の高度化、また、目的地までのルート別混雑状況や所要時間等を表示する交通情報板の設置など、ITS技術を活用した事業を実施しております。
 事業期間でございます平成二十八年度から三十二年度までの五カ年で、多摩地域を含む都内全域の主要渋滞箇所四百三十三カ所の中から百カ所程度に対策を実施することとしておりまして、毎年度、交差点の状況を把握し、効果が見込まれる箇所の選定を行っております。

○藤井(あ)委員 渋滞のソフト対策としてのハイパースムーズ東京は、関係各局とも調整をしながら、毎年、取り組む場所を決め、五カ年で百カ所程度対応するということがわかりました。
 答弁の中に多摩地域というお話がありましたが、多摩地域における平成二十九年度の実績と今後の取り組みについてお伺いをさせていただきます。

○高野治安対策担当部長 平成二十七年まで実施をしてまいりましたハイパースムーズ作戦では、区部の三十路線区間を対象に集中的に対策を実施してまいりましたが、ハイパースムーズ東京では、効果が期待される交差点に広く対策を実施するため、対象地域を多摩地域にも拡大いたしました。
 平成二十九年度は、小金井街道の前原坂上交差点など四交差点において需要予測信号制御を導入するなど、信号制御の高度化を十の交差点で実施するとともに、多摩市内におきまして交差点改良を実施いたしました。
 今年度は、府中市内の甲州街道にございます小金井街道入口交差点に需要予測信号制御を導入するなど、信号制御の高度化を五つの交差点で実施するほか、小金井街道と新小金井街道の交通流の分散を図る交通情報板を清瀬市内に新設するなどの事業を計画しております。

○藤井(あ)委員 多摩地域においても着実に事業が進められていることをご答弁いただきました。
 また、今年度は、私の地元府中市でも信号制御の高度化を図っていただいており、渋滞解消は地元からも声をいただいているところでございますので、今後の成果について期待をするところでございます。今後とも積極的な事業展開を期待いたします。
 多摩地区の渋滞対策に関して、二点、要望させていただきます。
 少し古いものになりますが、平成二十四年一月に、国土交通省及び東京都市圏、一都四県などが参加する東京都市圏交通計画協議会がまとめたデータがあります。これによりますと、自動車の利用率は、区部の一一%に対して多摩地区は二六%で、これは平成二十年に行われた調査のデータで、もう十年前になるんですが、十年ごとに調査をしていて、平成三十年、今まさに最新のデータを調査しているという状況になっております。
 この二十年の調査の中で、平成四十二年の予測というものもしているんですが、ほぼ同じような状況、約二・五倍ほど、区部と多摩部で車の利用率に違いがあるというような状況になっております。
 多摩地域は、自動車から公共交通へのシフトなどを促すことも必要になるのではないか、車の利用自体を減らす活動も必要になると考えますので、そういった調査研究も要望させていただきます。
 二点目の要望としましては、こちらにも関連してくるんですが、バスが走っている区間で渋滞が起きているという、ちょっとこれは私の印象があります。ですので、平成二十八年度までのハイパースムーズで行われていた、きょうの要求資料にもありますが、一ページにあるPTPS等を利用した信号の制御、平成二十八年度までの事業は空港直行バスについての制御に関するものでしたが、多摩地域のバスでも、こういったPTPS制御が有効かどうかといったところを調査研究していただけないかと要望させていただきます。
 先ほどご答弁いただきました、府中でご整備いただいている甲州街道では、整備地域からそのまま都心方面に進むと、東京二〇二〇大会の会場であります東京スタジアムや武蔵野の森スポーツプラザにぶつかります。東京二〇二〇大会に向けても、渋滞対策は重要な課題であると認識をしております。
 東京二〇二〇大会も見据えて、今後どのように渋滞対策に取り組んでいくのか、お伺いをさせていただきます。

○高野治安対策担当部長 ハイパースムーズ東京では、自動車の走行した地点、時間、速度等のデータを収集し、ビッグデータとして集約したプローブ情報を活用しまして主要渋滞箇所の状況を把握し、対策候補箇所の選定や対策後の効果検証に用いるなど、渋滞の実態を踏まえたきめ細かな対策を行ってまいります。
 事業の推進に当たりましては、東京二〇二〇大会も見据え、安全で円滑な交通社会の実現のため、国や警視庁、関係各局と緊密に連携し、多摩地域も含め、都内全域で着実に事業を展開してまいります。

○藤井(あ)委員 国や関係各局と緊密に連携をし取り組まれるとのことで、大変心強いご答弁をいただきました。東京二〇二〇大会に向けて、今年度、来年度も積極的に事業展開することを期待いたします。
 海外の動向などを見ておりますと、ICT、デジタル化が進む中で、今後、渋滞対策を含めた交通モビリティー政策というのは大きな注目が集まっているところでございます。
 先ほど政策企画局の質疑でも申し上げましたが、総務省や国土交通省、国では、次世代の交通として、MaaSについて整理を始めております。
 MaaSとは、モビリティー・アズ・ア・サービスの略で、海外、特に北欧などで導入が進んでおりまして、マイカー以外の全ての交通手段による移動を一つのサービスとして捉えて、シームレスにつないでいくという新たな移動の考え方になっております。
 こういったMaaSの考え方なども、ぜひ渋滞対策の一環として研究を深めてほしいということを要望させていただきまして、質問を終えさせていただきます。

○奥澤委員 私からは、青少年・治安対策本部の、特に青少年対策が多くなろうかなと思うんですけれども、二〇〇五年の設立当時から環境が大きく変わっているなというふうなことを、議事録なんかを通して私も感じていまして、特に、青少年問題協議会の意見具申が出たりだとか、あるいは、こころの東京革命事業が再編されるといったようなところで、青少年対策は転換点を迎えているのかなというふうに思っています。
 ですので、特に環境の変化、これをどういうふうに認識しているのかというところについて、出発点をそろえていくということを大切にした質疑をしたいと思います。
 その環境の変化の中でも特に重要だと思っているのは、インターネットの普及であります。世界中の誰とでも、いつでもつながることが可能になったということで、これが結果として、特殊詐欺、ネット犯罪、自画撮り被害やJKビジネスなど、悪意のある大人の犯罪の手口が多様化して巧妙化して、家族や地域といった目に見える範囲のコミュニティを中心とした取り組みだけでは、高齢者や女性、子供たちといった弱者を標的とした事件を防ぐことが困難な時代を迎えてしまったのかなというふうに捉えています。
 特に子供たち、青少年をいかにして守るか、私たち大人が、官民の垣根を越えて、一致団結して知恵を絞らなければならないというふうに考えています。
 そこで、改めまして、青少年を取り巻く環境の変化について青少年・治安対策本部の見解をお伺いいたします。

○井上青少年対策担当部長 インターネットの普及によりまして、瞬時に世界中の情報を入手でき、また、世界中に情報を発信できる時代となっており、さらに、昨今のスマートフォンの普及に伴い、その利便性が高まり、次代を担う青少年についても、最新の情報手段を積極的に活用しつつ、インターネットリテラシーにつきましても高めていくことが時代の要請でございます。
 しかしながら、一方で、その利便性、匿名性を悪用した犯罪が増加しており、特にSNSについては多くの青少年が利用しており、それに起因する被害やトラブルが社会問題となっております。
 こうした青少年を取り巻くインターネットを含む環境の変化に柔軟かつ的確に対応し、青少年の福祉を阻害するおそれがある行為を防止するとともに、青少年が健やかに成長できるよう環境を整備していくことが当本部の役割であるというふうに考えております。

○奥澤委員 今、環境の変化、そして、それに対して柔軟に的確に対応していくというような、そういった役割が述べられました。
 では、そのような環境の変化を受けまして、実際に青少年・治安対策本部ではどのような取り組みを進めているのか、伺いたいと思います。

○井上青少年対策担当部長 まず、青少年の福祉を阻害する大人に対しては、先般、自画撮り被害の防止に向け、不当な要求行為を罰則つきで禁止することにしたところでございまして、警察とも連携しながら、要求行為が犯罪であるということを社会に周知しているところでございます。
 また、青少年の判断能力が未成熟なことが一因となり、インターネット上のトラブルに巻き込まれることが少なくないことから、被害やトラブルの事例を広く発信するなど、青少年と周囲の大人にもインターネットリテラシーに対する理解を深めてもらえるような普及啓発に努めているところでございます。
 一方、青少年自身の多様な価値観を育めるよう、これまでの子供の正義感や倫理観を育むさまざまな取り組みに加え、新たに、地域の中で障害者、高齢者などとの交流により他者を思いやる、あるいは外国人との触れ合いを通して多文化への理解を深めるなど、青少年の多様性の意識を育む取り組みを強化するため、地域における青少年健全育成事業を今年度から実施しているところでございます。

○奥澤委員 まさに環境の変化に既に柔軟に対応している姿、そういった姿勢がうかがえるお答えであったかと思います。
 青少年へのアプローチということにちょっと注目していくと、今、青少年が被害に遭うということと同時に、知らぬ間に加害者になってしまうようなケースというのも出てきています。例えば、特殊詐欺の受け子にされてしまっていたなんていうケースなんですけれども。
 こうした手口は、SNS等の青少年が利用するコミュニケーションツールを悪用している形でして、いつも身近でいるはずの保護者でさえも気づくことができないというケースも散見されるということです。
 警視庁では、サイバー補導という形で、インターネット上の書き込みサイトなどで、青少年が犯罪に手を染めようとしている、そういった書き込みを見つけたときに、おとり捜査とはいわないんですけど、そういったような形をしながら、実際にその青少年と会って補導をするような、そういった手法もとられているというようなことも伺っています。
 しかし、私は、この手前でやっぱり声をかけてあげてほしいなというのが本心なんですね。SNSという気軽さもあって、特殊詐欺の受け子、JKビジネス、援助交際とか、本人もよくわからないままに発展してしまっているケース、あるいは、居場所を見つけているうちに犯罪に足を踏み入れてしまっているというケースもありまして、確かに青少年側から情報発信してしまうというケースもあるとは思うんですけれども、そもそもの背景というのは、判断能力の未成熟な青少年へ話を持ちかける大人がいるということ、これが理由であります。青少年を補導するという形よりも、やっぱり大人への対処を考えてほしいと思います。
 加えて、そのような危険と隣り合わせ、あるいは一歩足を踏み入れてしまった青少年を見つけたときに、まずは優しく声をかけてあげることができる、そんな東京都になってほしいと思っています。
 そのような観点から、青少年・治安対策本部ならではの、ネット空間での青少年へのアプローチをぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 関連して、事務事業概要、冊子を見させてもらうと、SNS等のコミュニケーションツールが閉塞した人間関係を強化する方向にあるという負の側面の指摘がなされているんですけれども、一方で、青少年とコミュニケーションを図ろうと考えれば、SNS等の利用は必要不可欠でありまして、正の側面をいかにして活用するかという視点での施策が求められるところであります。
 SNS等のコミュニケーションツールの正の側面についてどのように考え、また、どのような施策展開を図っているのか、お伺いしたいと思います。

○井上青少年対策担当部長 SNSは、世界中で多くの人に使われており、その特徴を理解し、適切に利用すれば、情報発信やコミュニケーションツールとして有用なものでございます。
 多くの青少年がスマートフォンを利用して情報の収集や発信、日常のコミュニケーションをSNSで行っている実態から、都としても、青少年にアプローチする手段として効果が期待できるというふうに認識しております。
 当本部では、青少年や周囲の大人たちを対象としたファミリeルール講座の開催によりまして、SNSの特性について理解を深めてもらうほか、被害やトラブルの事例についてのタイムリーな情報発信、あるいは、実際にトラブルを抱えてしまった青少年に気軽に相談してもらえるよう、SNSを積極的に活用しておるところでございますけども、引き続き、さまざまな活用方法を検討しながら、青少年を守るための施策を展開してまいります。

○奥澤委員 SNSの活用ということで、恐らく、先ほども幾つかお話がありましたLINEの相談というようなことを指しているのかなと思います。
 SNSのよいところというのは、一方通行ではない、双方向のコミュニケーションをとりやすいという点だと思うんですけれども、これを悪用するという形で、悪意のある大人たちは、青少年のコミュニケーション全体に網をかけるような形で、巧みな言葉で青少年の懐に入り込んでいきます。青少年・治安対策本部としては、青少年に対するSNSを活用したアウトリーチを検討していただきたいというふうに思います。
 また、いろんな啓発、特殊詐欺への注意喚起を行う啓発で先日見かけたのが、アプリゲームのスタンドマイヒーローズというものとのコラボレーションの企画を見ました。せっかくアプリゲームのキャラクターを使っているわけですから、例えば、そのキャラクターから何かツイートしてもらうだとか、何か呼びかけてもらうだとか、そういったような啓発というのは有効なんじゃないかなというふうにも思います。
 社会の変化とか青少年の置かれている環境に応じた新しい取り組み、このスタンドマイヒーローズもその一つだと思うんですけど、ちょっとついていけないなと感じてしまう大人がいるのも事実なのかなと。正直、私も、初めに聞いたとき、ぴんとこなくて、これはどんなゲームなんだろうと調べるところから入ったんですけども、とはいえ、やっぱり青少年というのは、何度も繰り返しになりますけど、判断能力が未成熟だったり、経験が足りなかったりという部分があるわけですから、大人の方が頭をやわらかくして、青少年の目線になって考え方を変えていくということがすごく大切なことだというふうに思います。
 犯罪から青少年を守るという観点とは少しずれてくるとは思うんですけれども、今の大人側がどう考え方を変えていくかという観点になってくるかと思うんですけれども、本年、青少年健全育成地区委員に対してダイバーシティー研修が実施されているということですけれども、その具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

○井上青少年対策担当部長 ダイバーシティー研修は、地域の中で青少年の健全育成に重要な役割を担っていただいている約四万五千人の地区委員の皆様方等を対象に、多様性についての理解を深め、各地区委員会での活動で実践していただくために今年度から開始した事業でございます。
 具体的には、約九十分間の中で、講義とグループワークの二部構成で実施しております。
 この中の講義では、社会を取り巻く多様性の意味につきまして、外国人、障害者、高齢者の三つの観点から、それぞれの現状と都の取り組み、多様性を阻害する考え方、反対に推進する考え方について理解を深めていただくような内容となっております。
 また、グループワークでは、それぞれ活動している地域において多様な人々との交流を促進するイベントについて、グループごとに話し合い、企画を立て、発表する内容となっております。
 この研修が、地区委員を初めとする子供にかかわる大人が多様性を理解し、多様性の視点を取り込み、さまざまなイベント等を実践するきっかけとなるよう取り組んでまいります。

○奥澤委員 まずは多様性を理解すること、これが出発点なんだという姿勢がよくわかりました。
 民生児童委員なんかもそうなんですけれども、地域のボランティア、青少年健全育成地区委員もだと思うんですけども、ご高齢化とか、なり手不足というのが指摘されているところでもありますから、先ほどお話でありました交流の機会というところでは、ぜひ人材発掘にもつながるような取り組みにしてほしいなと思います。特に、若者世代と地区委員が交流を進めていけるような取り組みを進めていただきたいということを要望しておきます。
 続いて、社会環境の変化を受けて、犯罪の姿も変わってきているという考えに基づいて質問させていただきます。
 東京都も積極的に取り組んでいる子供の万引き防止施策がありますけれども、これは効果が出ているんだと思います。その件数は大幅に減少しているということで、大変喜ばしいことです。万引きは非行の入り口ともいわれますし、万引き件数が減少しているということは、非行の入り口が狭まっているというふうにも捉えることもできます。
 一方で、新しい形で特殊詐欺の受け子に青少年が使われてしまうケースだったり、どこが非行の入り口になるのか私たち大人が気づかない、思い込んでいる、思い込みのわなといいますか、そういうのに陥らないようにしなきゃいけないなというふうに思います。
 一つ、ちょっと気になっているのは、暴走族追放の取り組みというのがあるんですけれども、暴走族というと、私ちょっとイメージだと、爆音で走行しているだけじゃなくて、特攻服みたいなのを着て、チーム同士で抗争、暴力事件を引き起こしたり、あるいは暴力団への入り口になっているような、そういったイメージを持っているんですけれども、なかなか最近の日常生活の中で、そういったイメージする、特攻服を着て集団で爆走しているような、そういった暴走族の姿というのは余り見ることがなくなったかなというふうに思っていまして、今の暴走族については、東京都としてはどのように認識をしているのか、伺いたいと思います。

○高野治安対策担当部長 警視庁の見解によりますと、暴走族のグループ数や構成員数は緩やかな減少傾向にございます。
 一方、依然として、集団で信号無視等の危険走行や広がり走行、蛇行運転等を行ったり、制限速度を大きく超える競争走行を行い、また、不正改造により騒音をまき散らすなど、周囲に多大な迷惑や危険を及ぼす活動をしている者もおります。
 こうしたことから、暴走族や、かつて暴走行為等を行っていた大人で構成される旧車會の違法行為等への対策は、現在も重要な施策でございます。
 都では、平成二年に首都交通対策協議会暴走族対策特別部会を設置しまして、毎年六月を暴走族追放強化期間として、指導取り締まりを担う警視庁や関係機関と密接に連携するとともに、暴走族追放ポスターを作成、掲示し、広く一一〇番通報を呼びかけるなど、暴走族を許さない環境づくりを推進しております。
 今後とも、警視庁や関係機関と連携をしながら暴走族の追放に努めてまいります。

○奥澤委員 状況は変化しているけれども、取り組みの手は緩められないという認識であったかと思います。
 私は、暴走族の質疑をするに当たっていろいろ考えていたときに、あおり運転も暴走行為なのかなというふうに最初は捉えたのですけれども、あれは一人でやるというような、一台でやっているというのでいうと、暴走行為には含まれないと。
 ただ、ほかの傷害罪とか、たしかそういったことで逮捕されるようなことだったと思うんですけれども、このあおり運転、今、社会問題化してきて、確かに交通安全リーフレットの中で注意喚起を呼びかけているページがあるんですけれども、全体の交通安全対策というか、その中で、暴走族が緩んできて、その中であおり運転みたいなことが出てきてという中で、バランスをとりながらにはなるとは思うんですけれども、あおり運転の方への防止する啓発もぜひ強化していただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 ここからは再犯防止の取り組みについてお伺いします。
 再犯者率が増加傾向にあることなどを受けて、昨年、国の再犯防止計画が閣議決定されまして、東京都においても、本年度、東京都再犯防止計画を策定するというふうに伺っております。
 まずは、東京都再犯防止計画の検討状況についてお伺いしたいと思います。

○高野治安対策担当部長 再犯防止推進法及び国の再犯防止推進計画を踏まえまして、都としての計画を策定するため、本年七月に、庁内関係局、警視庁、東京保護観察所等の国の機関から委員を出していただき、検討会を立ち上げたところでございます。
 これまでに、東京都保護司会連合会、東京更生保護女性連盟、東京更生保護施設連盟、東京社会福祉士会司法福祉委員会、東京都就労支援事業者機構、司法福祉に携わる弁護士など、都内で立ち直り支援に取り組んでいる方々から、三回にわたりご意見をいただいております。
 今後、今年度中の計画策定に向けまして、保護観察所等の国の機関も交え、関係局と検討を深めてまいります。

○奥澤委員 計画策定に向けた議論がしっかりと進んでいるということがわかりました。
 この議論の充実に資する取り組みということだと思うんですけれども、万引き等の問題行動を行う高齢者等の実態把握を行って、その結果を生かしていく方針であるというようなことを伺っております。
 この実態把握事業の具体的な内容と、そこから得られた知見についてお伺いしたいと思います。

○高野治安対策担当部長 都は、万引きによる検挙、補導人員数に占める高齢者の割合が増加していることを踏まえまして、万引きをしてしまう高齢者本人やそのご家族等を対象に、高齢者万引き相談を本年六月に実施いたしました。
 具体的には、社会福祉士や精神保健福祉士などの専門家が電話で相談を受け、万引きをしてしまう本人の状況や生活環境を聞き取り、相談員が助言や、必要に応じ適切な支援機関や団体を紹介するものでございます。
 結果といたしましては、五十四件の相談が寄せられまして、相談者は、半数以上がご家族、三分の一がご本人でございまして、相談対象の高齢者は、その多くが前科、前歴が少なく、刑事司法機関とのかかわりが比較的少ないという特徴がございました。
 相談への対応といたしましては、約六割の方に対しまして、医療機関や地域包括支援センターなど支援機関を紹介し、その他の相談につきましては、相談員が助言等を行っております。
 こうしたことから、このような相談事業は、犯罪傾向の進んでいない段階の者に対しましてアセスメントを実施し、適切な支援策につないでいく上で有効であると考えております。

○奥澤委員 具体的な事例について把握できたこと、これは有意義だったと思います。
 特に、犯罪傾向の進んでいない段階の者に対してのアセスメントを実施して適切な支援策につないでいくという話ですけれども、これは以前も指摘しましたけれども、再犯をする方々を捕まえて、何か更生、矯正というようなことではない方法、医療につないだり、福祉につないだり、そういったさまざまな方策の方が、より具体的な効果が得られるということもいわれてきているところであります。
 特に、今のお話の高齢者の万引きの背景には、社会からの孤立からくる不満、あるいは認知機能の低下、そういったことが指摘されているところでありまして、早期発見、早期対処、これは重要な観点であるというふうに思います。
 本年は、高齢者の万引きについての実態把握ということでありましたけれども、社会の変化によって、また新たな問題が生まれてくるかもしれません。早期に実態把握に努められて、その後の施策に生かしていただきたいということをお願いしておきます。
 また、再び再犯防止の計画そのものの話に戻りますけれども、再犯防止に向けては就労の確保が重要であるという指摘もあるところです。
 東京都では、保護観察対象少年の臨時職員雇用あるいは協力雇用主制度の普及啓発という形で、その就労の窓口を広げていくような取り組みをしていると伺っております。
 先般の第三定例会、我が会派からの代表質問において、知事から、就労に困難を抱える方--これは一度犯罪を犯したような方々も入るというふうに思います--について、ソーシャルファームの考え方も取り入れながら、より広い視点で就労支援のあり方を考えていく必要がある旨の答弁がありました。
 海外では、刑務所出所者等の雇用機会の創出、提供に主眼を置いてビジネス展開を図るソーシャルファームの成功事例もありまして、協力雇用主制度をどのように展開していくかというのは、日本にとって、日本の現在の制度からすると、すごく重要な視点だと思います。
 協力雇用主制度の概要、東京都の取り組み、そして拡大実績についてお伺いしたいと思います。

○高野治安対策担当部長 協力雇用主制度とは、法務省が、犯歴などを理解した上で出所者等を雇用する民間事業者を登録、支援することでございまして、出所者等の就労を促進し、円滑な社会復帰を図る制度でございます。
 東京保護観察所によりますと、都内の協力雇用主の数は、平成二十六年四月一日現在では四百六十一社でございましたが、平成三十年四月一日現在では千五十三社まで拡大しているとのことでございます。
 都といたしましても、非行歴のある少年が抱える事情を理解して、当該少年を雇用し、立ち直りを支援する協力雇用主の拡大を図るため、社会を明るくする運動等におきまして普及啓発を行っております。

○奥澤委員 五年で倍増しているということですので、制度の普及啓発が成功しているのかなというふうに率直に思いますし、評価したいところであります。
 この先を見据えると、実際に犯歴のある方と協力雇用主がきちんとマッチングができているのか、就労につながっているのかという視点、そして、一度就労した方がちゃんと継続して就労できているかという視点をきちんと持たないといけないというふうに思います。働き始めたけれど続けられませんでしたというのでは、その意義は半減してしまいますし、就労を通じて新しいコミュニティを形成すること、人として成長していくことが本当に肝要なことです。
 協力雇用主の皆様との交流も図りながら、支援のあり方についても検討いただきまして、例えば産業労働局の支援策なんかと結びつけていかなければいけないのかなというふうな部分を思うところであります。
 そういったことを質問させていただいて、終わりたいと思います。ありがとうございました。

○小松委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時四十四分散会

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