総務委員会速記録第十一号

平成三十年十月三日(水曜日)
第一委員会室
午後九時十五分開議
出席委員 十五名
委員長菅野 弘一君
副委員長谷村 孝彦君
副委員長中山ひろゆき君
理事内山 真吾君
理事中屋 文孝君
理事荒木ちはる君
山内れい子君
奥澤 高広君
斉藤やすひろ君
福島りえこ君
鈴木 章浩君
西沢けいた君
原 のり子君
山田ひろし君
とくとめ道信君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長梶原  洋君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小室 一人君
青少年・治安対策本部本部長大澤 裕之君
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務森山 寛司君
総務局次長榎本 雅人君
総務部長西山 智之君
選挙管理委員会事務局局長澤   章君
人事委員会事務局局長砥出 欣典君
任用公平部長矢岡 俊樹君
監査事務局局長岡崎 義隆君

本日の会議に付した事件
付託議案の審査(決定)
・第百六十五号議案 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十六号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十七号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十八号議案 東京都石油コンビナート等防災本部条例
・第百六十九号議案 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例
・第百六十九号議案に対する修正案
特定事件の継続調査について

○菅野委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査及び特定事件の閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百六十五号議案から第百六十九号議案までを一括して議題といたします。

○中屋委員 この際、本案について継続審査とすることを求める動議を提出させていただきます。
 提案理由を述べさせていただきます。
 本委員会に付託された第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案で取り上げられている性的多様性、そしてヘイトスピーチといった人権問題は、都民の日常生活、職場、家庭、地域社会など、あらゆる場面に影響を及ぼす重大なテーマであります。
 しかし、人権条例を提案するためには、政府の動きや企業の取り組み、区市町村との連携はもとより、何よりも関係団体及び都民等の意見を丁寧に伺い、その上で、都として審議会に諮問し、専門的な検討を加えた上で条例案を提出するべきであります。
 また、議会の審査に当たっても、今回成立しなかった参考人招致をしっかり行った上で、実質一日の委員会審議で結論を出すというようなやり方ではなく、条例の趣旨、条文の内容、条例制定が都民生活に与える影響などについて、議会として十分調査し、議論できる審査期間を設けるべきであります。
 さらに、本案は、不当な差別について十分な定義がされておらず、内容も性の多様性とヘイトスピーチに特化しており、これまで都が人権施策推進指針に掲げていた高齢者、障害者、男女平等、同和問題、犯罪被害者、そしてHIVやハンセン病など、人権課題との整合がとれておりません。
 加えて、オリンピック憲章でも、人種、信条、肌の色、宗教、そして性的指向など、いかなる種類の差別も受けてはならないとしており、殊さらに性的指向を取り上げてはいけません。
 さらに、新たな審査会の設置根拠や権限、そして、公平な運用を担保する仕組みなどを明確にしないまま設置を定め、具体策は、全てこの先の基本計画に委ねるという先送りの内容になっております。
 本案は、東京の人権施策を進めるための条例としての要件を満たしていないこと、及び、たった一日の審議で結論を出すことは到底不可能であり、継続審査とすべきであります。
 国内で最初の条例であるとか、オリンピックだからといった安易な理由で拙速に制定すべきではありません。このまま条例化すれば、差別解消どころか、言葉狩りなどの意図せぬ対立をあおり、結果として性的少数者の方々の孤立を深め、ヘイトスピーチをめぐる混乱に拍車をかける可能性すらあるといわざるを得ません。
 本委員会としては、引き続き調査検討及び参考人招致等を行い、しっかりと議論した上で結論を出すべきであります。
 よって、本案は継続審査とすることを求めます。
 以上です。

○菅野委員長 ただいま、中屋理事から、第百六十九号議案について継続審査を求める動議が提出されました。
 この際、ただいまの動議に対し、発言の申し出がありますので、これを許します。

○中山委員 都民ファーストの会東京都議団は、東京都議会自由民主党提出の継続審議の動議に対して、反対の立場から意見を申し述べます。
 本条例は、昨日の質疑でも明らかになったとおり、この制定過程で、大学教授や弁護士、NPO法人など、さまざまな有識者から意見を聴取しております。
 第二回定例会と本定例会、二度にわたる委員会質疑では、まさに都民の代表たる都議会議員が当事者の声を代弁した形で、あらゆる角度から質疑が行われました。
 また、パブリックコメントに寄せられた意見が第四条等に反映されている点も、当事者の声を反映されたいという各会派から寄せられた要望が反映されており、評価します。
 さらに、今後の基本計画やガイドラインの具体的な施策を進める段階においても、引き続き、当事者や有識者等の意見を聞きながら進めるとの答弁がありました。
 つまり、本条例制定において十分な審議を行ってきたこと、今後も適宜必要な意見を聞きながら進めていくことから、東京二〇二〇大会のホストシティーとして、速やかに条例を制定し、オリンピック憲章にうたわれている人権尊重の理念が広く都民等に浸透するよう、スピード感を持って具体的な施策を実行していくべきであると考えます。
 意見表明を終わります。

○西沢委員 継続の動議について申し上げます。
 都議会立憲民主党・民主クラブは、一つ一つの議案について慎重に審議することは必要であるとは考えるものの、事前の調査検討を踏まえ、決められた会期中の日程の中で最大限の審議を行ってまいりました。
 よって、採決すべきと考えます。
 以上です。

○山内委員 生活者ネットワークは、第百六十九号議案に対する動議に反対の立場から意見を申し述べます。
 生活者ネットワークは、一日も早い条例制定を望んでいます。多様性が尊重される都市の実現に向けて、条例を制定し、次の一歩を踏み出すことが必要と考えます。
 よって、継続審査を求める動議には反対です。

○菅野委員長 発言は終わりました。
 ただいまの動議は、起立により採決したいと思います。
 動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○菅野委員長 起立少数と認めます。よって、動議は否決されました。
 付託議案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 修正案及び付帯決議案の提出について申し上げます。
 ただいま議題となっております議案中、第百六十九号議案に対し、原のり子委員外一名から修正案が、また、西沢けいた委員からは付帯決議案がそれぞれ提出されました。
 案文はお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

   修正案の提出について
第百六十九号議案 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例
 右議案に対する修正案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
  平成三十年十月三日
(提出者)
 原 のり子  とくとめ道信
総務委員長 殿

   第百六十九号議案 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案に対する修正案
 第百六十九号議案 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案の一部を次のように修正する。
 第十一条に次の一項を加える。
2 知事は、前項の基準を定め、又は改正するときは、審査会の意見を聴かなければならない。
 第十三条の見出し中「審査会」を「拡散防止措置等に係る審査会」に改める。
 第十四条第一項中「前条各項」を「第十一条第二項及び前条各項」に改める。
 附則に次の一項を加える。
3 都は、この条例の施行後三年を経過した場合において、この条例の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(提案理由)
 公の施設の利用制限の基準について、慎重かつ多角的に検討する必要があり、かつ、人権を扱う条例の重要性に鑑み、不断の検討を行う必要がある。

   付帯決議案の提出について
第百六十九号議案 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例
 右議案に付する付帯決議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
  平成三十年十月三日
(提出者)
 西沢けいた
総務委員長 殿

   第百六十九号議案 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例に付する付帯決議案
一 オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現に当たっては、東京都人権施策推進指針に掲げられている十七の人権課題を含めて取り組むこと。
二 都は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いがなされることのないよう、都営住宅への入居を始め、各種施策についての検証を行い、適切な措置を講ずること。
三 都は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動について、どのような言動が該当するか、具体的な例を列挙・明示するなど、都民等にわかりやすく示すこと。
四 都は、公の施設の利用制限について、必要不可欠な場合に限定するとの認識の下、利用制限する場合の基準を明確にするなど、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないよう具体的措置を講ずること。
五 都は、都民等の本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外の表現活動が萎縮しないよう、積極的に啓発をすること。

○菅野委員長 これらを本案とあわせて議題といたします。
 それでは、提出者の説明を求めます。

○原委員 第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の修正案について趣旨説明いたします。
 本条例案の前文では憲法を位置づけ、さまざまな人権に関する不当な差別を許さないことが明記され、さらに、第一条において、啓発とともに教育が位置づけられました。差別禁止と理解の促進が車の両輪として推進されるとの答弁もあり、議論の中で、より具体的になってきています。
 本条例案の第三章、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進の中に、第十一条、公の施設の利用制限が盛り込まれました。この基準を知事が定めるとされています。
 このことについて、地方自治法第二百四十四条第二項では、地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならないとしていることを踏まえ、条例で設置される学識経験者等による審査会の意見を聞くように求めました。
 これに対して、学識経験者等からの意見も伺いながら、慎重に検討しながら基準を策定していくこと、また、基準も公開し、周知すると答弁がありました。
 条例案第十四条の二項では、審査会は知事に意見を述べることができると規定されていますが、さらに実効性あるものとするために、第十一条に二項を追加し、知事が審査会に意見を聞かなければならないということを義務づけます。基準についての拡大解釈や乱用を防ぐことからも重要であると考えています。
 また、人権を扱う重要性に鑑み、本条例を施行後三年後に見直し、検討を行い、必要な措置を講ずるための規定を追加します。
 我が党は、本条例案を真に都民のものとして、さらによりよい条例となるよう、以上、二点の修正案を提案いたします。
 皆様のご賛同をお願いし、提案といたします。

○西沢委員 都議会立憲民主党・民主クラブとして、百六十九号議案への付帯決議を提案いたします。
 本条例案については、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会に向けて、また、LGBT差別、ヘイトスピーチを許さないことについて前進させるものとして一定の理解をいたします。
 しかし、条例制定に当たっては、なお留意すべき点が多いことから、以下の点についての付帯決議を求めます。
 一、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現に当たっては、東京都人権施策推進指針に掲げられている十七の人権課題を含めて取り組むこと。
 二、都は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いがなされることのないよう、都営住宅への入居を初め、各種施策についての検証を行い、適切な措置を講ずること。
 三、都は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動について、どのような言動が該当するか、具体的な例を列挙、明示するなど、都民等にわかりやすく示すこと。
 四、都は、公の施設の利用制限について、必要不可欠な場合に限定するとの認識のもと、利用制限する場合の基準を明確にするなど、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないよう、具体的措置を講ずること。
 五、都は、都民等の本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外の表現活動が萎縮しないよう、積極的に啓発すること。
 以上、皆様のご賛同をお願いし、提案理由の説明といたします。

○菅野委員長 説明は終わりました。
 この際、本案に対しまして発言の申し出がありますので、これを許します。

○中山委員 我々、都民ファーストの会東京都議団は、知事提案の東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案に賛成し、日本共産党東京都議会議員団提出の修正案に反対、都議会立憲民主党・民主クラブ提出の付帯決議案に反対の立場から意見を申し述べます。
 本条例案は、これまで東京都人権施策推進指針に基づき取り組んできた十七の人権課題を含むあらゆる人権課題に対し、啓発、教育等に、より一層総合的に取り組んでいくこととしています。
 また、近年、オリンピック・パラリンピック大会など国際的なスポーツ大会で課題が顕在化し、日本ではいまだ十分な対策が講じられてこなかった性自認、性的指向による差別の問題と、いわゆるヘイトスピーチの問題について必要な取り組みを定めるものであり、時宜を得た条例であると評価します。
 多様な性の理解の推進については、当事者の意見を踏まえ、性自認と性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いについて禁止規定を設けたことに加え、都民等からの意見を聞きながら基本計画を策定すること等を定めており、評価します。
 また、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進については、東京二〇二〇大会を迎えるに当たり、本条例は、ヘイトスピーチ解消に向け、日本国憲法に定める表現の自由に配慮した上で、公の施設の利用制限や拡散防止措置及び公表の規定を設けるなど一連の措置を定めており、評価します。
 東京二〇二〇大会は、世界中の人々の注目が東京に集まります。人権尊重都市東京を世界に発信することは、さらなるインバウンドを呼び込むなど、大会後も続くレガシーとなります。速やかに条例を制定し、多様な主体と連携し、実効性とスピード感を持って具体的な施策を実施していただきますことを要望いたしまして、意見表明を終わりにいたします。

○鈴木委員 都議会自民党は、第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案に反対の立場で意見を述べます。
 先ほど、我が党の中屋理事が継続審査を求める動議において説明したとおり、本条例案は、一、都のこれまでの人権施策の取り組みや、オリンピック憲章が求める国の施策との整合性がとれていないこと、二、企業や区市町村及び関係団体等の意見を聴取し、都の審議会に諮問した上で提案すべきであること、三、新たに設置する審査会に関する具体的な規定等が不明であり、先送りになっていること、四、議会として、参考人招致を行った上で、十分に調査、議論できる審査期間を設けること、五、憲法が定める規定に抵触する可能性があることなどから、本案は、都の人権施策を進めるための条例としての要件を満たしておらず、たった一日の審議で結論を出すことは到底不可能であります。
 よって、本委員会として継続審査とすべきことを訴え、反対の意見を表明いたします。

○斉藤委員 都議会公明党としまして、知事提出の付託議案、第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例に賛成する立場から意見表明を行いたいと思います。
 都はこれまで、日本国憲法その他の法令を遵守し、東京都人権施策推進指針に基づいて、同和問題、ハンセン病回復者への差別問題を初め十七の人権課題を掲げ、取り組みを進めてまいりました。
 しかしながら、性自認や性的指向から生ずる差別や本邦外出身者に対しての不当な差別的言動への対応は決して十分とはいえず、東京二〇二〇大会開催都市としては、こうした新たな人権課題の取り組みを加速する必要があります。
 そして、東京に集う人々の人権が誰ひとり取り残されることなく尊重され、東京が持続可能なよりよい未来のために人権尊重が実現した都市であり続けるとの決意を国内外に発信するために当該条例案を策定する意義を評価するものであります。
 その上で、今後、次の点については検討すべき課題として申し述べるものです。
 まず、人権課題は不断の検討を行い続けていくものであることから、これまでの人権課題の取り組みはもとより、時代、社会の変化に応じて生ずる新たな人権課題についても、条例により位置づけて施策を推進していくことも検討すべきであります。
 都は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いがなされることがないよう、例えば都営住宅への入居を初め、各種施策についての検証を行い、適切な措置を講ずることを求めます。
 さらに、都は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別解消並びに啓発等の推進を図るための基本計画を策定するに当たっては、当事者の意見も十分に聞くことを求めます。
 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に当たっては、日本国憲法に定める表現の自由に配慮するとともに、実効性ある取り組みとするべきです。
 また、都民等の本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外の表現活動が萎縮しないよう、積極的に啓発に努めることを求めます。
 以上。

○とくとめ委員 第百六十五号議案に反対、第百六十六号から第百六十九号議案に賛成の立場で意見表明いたします。
 第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案について述べます。
 本条例案は、六月の第二回定例会、本定例会で質疑が行われました。日本共産党都議団は、第二回定例会において、日本国憲法を位置づけること、性的指向、性自認に関する差別の禁止規定を条例に盛り込むこと、啓発と同時に教育も位置づけることを提案し、それが条例案に反映されたことは重要なことだと考えています。
 その上で、昨日の質問で、不当な差別的取り扱いについて、セクシュアルマイノリティーの方々が、教育、就労など社会のさまざまな場面で困難等に直面していること、性自認や性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いを受けていることがあるとの認識を示されました。今後、基本計画を策定する上で、広く都民の方や当事者の方から意見を聞き、実効性のあるものとなるよう求めます。
 また、相談については、本人以外には家族や友人等からも受け付けるとともに、多様な媒体での相談受け付けを行うこと、苦情処理についても、体制等の具体化を行うことを強く求めます。
 続いて、ヘイトスピーチ規制の取り組みについて述べます。
 ヘイトスピーチ規制に関しては、公の施設の利用制限を伴うことから、憲法の基本的人権の尊重、表現の自由を脅かすものになってはならないことは大前提です。原案について、拡大解釈や乱用を許さず、厳格かつ慎重に取り扱う旨の答弁がありましたが、今後の施策の推進では、その立場を堅持して行うよう強く求めます。
 質疑では、本邦外出身者に対する不当な差別的言動は、ヘイトスピーチ解消法第二条で規定したものに限ること、公の施設の利用制限の基準策定は、学識経験者等の意見を聞き、慎重に行うと答弁したことは極めて重要であると考えます。
 この答弁を実効性あるものにするため、基準の策定の際は審査会の意見を聞く義務規定を追加し、修正案を提案しました。また、本条例案は人権を扱う重要性を鑑み、今後も不断の検討を行うよう、見直し、検討の規定も追加いたしました。皆様のご賛同を心から呼びかけます。
 最後に、西沢委員から提案がありました付帯決議に関連して申し上げます。
 付帯決議の一で、人権尊重の理念の実現に当たっては、東京都人権施策推進指針に掲げられた十七の人権課題を含めて取り組むとあります。
 かねてより我が党は、人権問題のそれぞれの課題は軽重なく取り組むよう求めてまいりました。既に、都において同和関連事業は終了しております。しかし、都は、人権問題を語る際に、同和を初めと強調して、今なお偏りが見られます。改めて、人権問題は軽重なく取り組むことを求めて、付帯決議には賛成をいたします。
 以上で討論を終わります。

○西沢委員 第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例に対して、都議会立憲民主党・民主クラブとして、五項目の付帯決議を付して賛成するという立場から意見表明を行います。
 まず最初に、修正案については、三年を経過した場合において検討を加え、必要な措置を講ずる旨の規定などを設けるものとなっております。
 私たちは、東京都人権施策推進指針にある十七課題、とりわけ、さきの定例会では犯罪被害者支援の条例化なども提案をしており、三年を経過せずとも、必要に応じて、人権施策の推進に必要な措置を講じるべきと考えますので、反対をいたします。
 私たちは、条例の概要が示された段階から、繰り返し、東京都人権施策推進指針に示された十七の人権課題について、条例に規定し施策を前進させるべきであると求めてまいりましたが、本条例案については、東京二〇二〇大会に向けて、また、LGBT差別、ヘイトスピーチを許さないための施策が前進するものとして一定の理解をいたします。
 性自認、性的指向による差別で苦しむ方に、少しでも東京都が手を差し伸べていくということは極めて重要です。
 しかし、この条例で、LGBTやヘイトスピーチのほかの人権課題はどう具体的に前進させるのかということに対しては、まだまだ関係者の皆様の不安を完全に解消するに至る答弁はありませんでした。
 また、条例によって、都営住宅への入居、パートナーシップ制度など当事者から要望のある点について、具体的にどう変わっていくのかについても十分なお答えがありませんでした。
 第三章のヘイトスピーチに関しては、絶対に許さないという姿勢は極めて大事です。
 本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外の表現活動にかかわる方からは、公の施設の利用制限や拡散防止措置に際して、表現活動の萎縮につながるのではないかとの不安、疑問の声も寄せられています。
 本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外の表現活動に携わる多くの方の自由な表現活動の萎縮につながることのないよう、議会としての意思を示すことが必要であると考えます。
 したがって、先ほど提案をいたしました五項目の付帯決議を付して賛成するものです。
 以上です。

○山内委員 都議会生活者ネットワークは、第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例に対し、賛成の立場から意見を申し述べます。
 生活者ネットワークは、一日も早い条例制定を望んでいます。
 もとより、当事者参画は重要と考えます。本条例第五条に基づくSOGIに関する基本計画の策定においては、必ず当事者、当事者団体の参画を求めるものです。
 この条例制定を契機に、多様な人々の人権が保障される都市東京の実現を決意し、賛成意見とします。

○菅野委員長 発言は終わりました。
 それでは、これより採決を行います。
 初めに、第百六十九号議案を採決いたします。
 まず、原のり子委員外一名から提出されました修正案について、起立により採決いたします。
 本修正案に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○菅野委員長 起立少数と認めます。よって、修正案は否決されました。
 次に、西沢けいた委員から提出されました付帯決議案について、起立により採決いたします。
 本案にお手元配布の付帯決議を付することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○菅野委員長 起立少数と認めます。よって、本案にお手元配布の付帯決議を付することは否決されました。
 次に、原案について、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○菅野委員長 起立多数と認めます。よって、第百六十九号議案は、原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百六十五号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○菅野委員長 起立多数と認めます。よって、第百六十五号議案は、原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百六十六号議案から第百六十八号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅野委員長 それでは、異議なしと認めます。よって、第百六十六号議案から第百六十八号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○菅野委員長 次に、特定事件についてお諮りいたします。
 お手元配布の特定事件調査事項については、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅野委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○菅野委員長 この際、所管六局を代表いたしまして、榎本総務局次長から発言を求められておりますので、これを許します。

○榎本総務局次長 当委員会所管の六局を代表いたしまして、一言、御礼を申し上げます。
 ただいま、本定例会にご提案申し上げておりました議案につきましてご決定を賜り、まことにありがとうございました。
 昨年八月から、この間、菅野委員長を初め委員の皆様方におかれましては、私どもが所管しております事務事業につきまして数々のご指導、ご鞭撻を賜り、厚く御礼申し上げます。この間に頂戴いたしました貴重なご意見、ご提言等につきましては十分に尊重させていただき、今後の都政運営に生かしてまいります。
 以上、簡単ではございますが、御礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

○菅野委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも、一言、ご挨拶を申し上げたいと思います。
 きょうは任期最後の委員会に当たりまして、一言、ご挨拶申し上げます。
 まずは、この一年間、委員長を務めさせていただきました。何分、行き届かない点が多々あったかと思います。しかしながら、そこで、谷村副委員長、中山副委員長を初め理事の皆様、また、各委員の皆様方には本当にお支えをいただきまして、また、いろいろお力になっていただきました。
 また、所管六局の局長、理事者の皆様、そして議会事務局の皆様の多大なるご配慮とご協力によりまして、この委員会を無事、円滑に運営することができました。心より厚く御礼申し上げたいと思います。
 この間、総務委員会では、実行プランを初め総合計画、そして、防災対策、治安対策、人権施策や青少年の健全育成、また、首都大学東京のこともありましたし、多摩・島しょの施策もございます。都の重要課題を数多く議論し、取り組みを前に進めることができたと思っています。
 特に、この夏は全国各地で大規模な自然災害が発生し、大変な被害が出ています。この東京も、いつそういった事態が発生しても大丈夫なように、しっかりとした備えが必要だと思います。今後も、総務委員会が中心となって、この被災地の復興、また、首都東京の防災、危機管理のかなめとして全力を挙げる必要があると思っています。
 どうぞ、これからも都政発展のために、筆頭委員会としての総務委員会が、一層、力を発揮されて活躍されますことを心よりお願い申し上げて、ご挨拶としたいと思います。
 本当に一年間ありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時四十六分散会

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