委員長 | 菅野 弘一君 |
副委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 中山ひろゆき君 |
理事 | 内山 真吾君 |
理事 | 中屋 文孝君 |
理事 | 荒木ちはる君 |
山内れい子君 | |
奥澤 高広君 | |
斉藤やすひろ君 | |
福島りえこ君 | |
鈴木 章浩君 | |
西沢けいた君 | |
原 のり子君 | |
山田ひろし君 | |
とくとめ道信君 |
欠席委員 なし
出席説明員政策企画局 | 局長 | 梶原 洋君 |
外務長 | 山元 毅君 | |
次長戦略政策担当部長事務取扱 | 松下 隆弘君 | |
理事 | 河内 豊君 | |
理事 | 横山 英樹君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小室 一人君 | |
調整部長 | 佐藤 智秀君 | |
政策担当部長 | 古屋 留美君 | |
政策担当部長 | 松崎伸一郎君 | |
技術政策担当部長 | 三木 健君 | |
戦略広報担当部長報道担当部長兼務 | 古川 吉隆君 | |
海外広報担当部長 | 梅田 弘美君 | |
ホストシティプロジェクト推進担当部長 | 小野 由紀君 | |
渉外担当部長 | 裏田 勝己君 | |
国家戦略特区推進担当部長 | 米津 雅史君 | |
戦略事業担当部長 | 田尻 貴裕君 | |
計画部長 | 宮澤 浩司君 | |
外務部長 | 加藤 英典君 | |
外務担当部長 | 丹羽恵玲奈君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 大澤 裕之君 |
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 森山 寛司君 | |
青少年対策担当部長 | 井上 卓君 | |
治安対策担当部長 | 高野 豪君 | |
総務局 | 危機管理監 | 田邉揮司良君 |
次長 | 榎本 雅人君 | |
理事情報通信企画部長事務取扱 | 久原 京子君 | |
理事 | 箕輪 泰夫君 | |
総務部長 | 西山 智之君 | |
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 池上 晶子君 | |
調整担当部長 | 小菅 政治君 | |
訟務担当部長 | 江村 利明君 | |
復興支援対策部長復興支援調整担当部長 被災地支援福島県事務所長兼務 | 伊東みどり君 | |
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 | 小林 忠雄君 | |
都政改革担当部長 | 小笠原雄一君 | |
都政改革担当部長 | 豊田 義博君 | |
情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務 | 山田 則人君 | |
情報政策担当部長 | 沼田 文彦君 | |
情報政策連携担当部長 | 藤原 知朗君 | |
人事部長 | 栗岡 祥一君 | |
労務担当部長 | 木村 健治君 | |
コンプライアンス推進部長主席監察員 政策法務担当部長訟務担当部長兼務 | 貫井 彩霧君 | |
行政部長 | 野間 達也君 | |
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長 事業調整担当部長兼務 | 高崎 秀之君 | |
都区制度担当部長 | 浦崎 秀行君 | |
総合防災部長 | 有金 浩一君 | |
防災計画担当部長 | 西川 泰永君 | |
防災対策担当部長 | 和田 慎一君 | |
物資調整担当部長 | 大澤 洋一君 | |
統計部長 | 熊谷 克三君 | |
人権部長 | 仁田山芳範君 |
本日の会議に付した事件
青少年・治安対策本部関係
報告事項(質疑)
・第三十一期東京都青少年問題協議会意見具申について
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「重点政策方針二〇一八 Tokyo ともに創る、ともに育む」について
・「二〇二〇年に向けた実行プラン」事業実施状況レビュー結果について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十五号議案 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十六号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十七号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十八号議案 東京都石油コンビナート等防災本部条例
・第百六十九号議案 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例
報告事項(質疑)
・平成二十九年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について
・平成二十九年度東京都監理団体経営目標の達成状況について
・東京都新型インフルエンザ等対策行動計画の一部変更について
・東京都地域防災計画(火山編)の修正素案について
○菅野委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
傍聴人の数についてお諮りをしたいと思います。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上ございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
○菅野委員長 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
去る九月二十六日の本会議におきまして、早坂義弘議員が本委員会から厚生委員会に変更になり、新たに鈴木章浩議員が厚生委員会から本委員会に変更になりました。
この際、新任の鈴木章浩委員をご紹介いたします。
○鈴木委員 よろしくお願いします。
○菅野委員長 紹介は終わりました。
なお、議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。
○菅野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査並びに青少年・治安対策本部、政策企画局及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
それでは、これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
報告事項、第三十一期東京都青少年問題協議会意見具申についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
それでは、発言を願います。
○内山委員 よろしくお願いします。
私も青少年問題協議会の方に出させていただいておりますので、そちらの方で、るる意見もさせていただきました。その中でのものも含めまして、今回は少し質問をさせていただければと思います。端的にいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
まず、生きづらさを抱える若者の社会的自立に向けた支援についてということで、まず第一章で背景的なところが書かれているかと思います。そういった中で、やはり不登校という一つのキーワードというのが、ひきこもりであるとか、生きづらさを抱えている若者たちにとっての大きなキーワードになるのかなと思って、こちらも読ませていただきました。
そういった中で、青少年問題協議会の中でも指摘をさせていただきましたが、五ページにあります上から五行目、都立高校において中途退学者の進路状況というのは、細かくデータをとられていて、就職や就学をせずに何もしていない者の割合が約三割になっているという具体的なデータがある一方で、八ページの方に、これは小中学校においての不登校経験について書かれているわけですが、八ページの上から三行目には、ひきこもりの若者は不登校経験のある場合も少なくないがという、極めて抽象的な表現にとどまっているということだと思います。
やはり小学校、中学校というのは、都立じゃなくて、市区町村立というのがほとんどでございますので、そういった中で、不登校経験のある、もしくは、不登校でそのまま卒業を迎えてしまった生徒がその後どうなっているのかというのが、しっかりとしたデータをとられていないという中において、少し、ここの現状の中で、この中でも切れ目のない支援というふうに書かれておりますが、そういったところで、行政的な問題でも、支援の切れ目が出てしまうのではないかというふうにも危惧をしています。
そういった中で、スクラム連携というような言葉も出ていましたが、不登校から引き続いてひきこもりになる若者の対応について、切れ目のない支援、これは当然必要だと思いますが、見解の方をまずお伺いしたいと思います。
○井上青少年対策担当部長 ひきこもりについては、さまざまな要因が背景になっており、ひきこもりの若者は、意見具申にも記載されておりますとおり、不登校経験のある場合も少なくございません。
本人が学校に在籍している場合は、教育相談センター等で学校復帰に向けた相談を受けることもできると承知しておりますが、学校を離れると支援が途切れてしまうことが懸念されます。
このため、学校から離れた場合も適切に相談につながるよう、東京都ひきこもりサポートネットがひきこもりの相談窓口として、本人や家族に加えて学校関係者等からも広く相談を受け付けていることを、ホームページ、リーフレットのほか、講演会やセミナー等、さまざまな機会や媒体を通じてPRしております。
東京都ひきこもりサポートネットが相談を受けた場合には、区市町村や関係機関と連携しながら、本人や家族の状況に応じて支援につないでおります。
今後も、ひきこもりで悩む若者に寄り添い、教育、福祉、保健、医療、雇用等の分野の関係機関と密接に連携しながら、切れ目のない支援に取り組んでまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
先ほど、本人が学校に在籍している場合は、教育相談センター等、適応指導教室ということだと思いますけど、相談を受けることもできるというふうにありますが、不登校になってしまったお子さんが適応指導教室につながっている割合というのは全体の二〇%程度です。
残りの八割は、この適応指導教室から学校に復帰するという手順を踏めずにいるということもありますので、これはやっぱりスクラムということや、もしくは、最後に、教育、福祉、保健、医療、雇用、さまざまな分野で連携をしていくということだったと思いますが、特に教育が担う役割は大きいとはいえ、やはりこのあたりは青少年・治安対策本部の皆さんにも頑張っていただきたいなというように、リーダーシップを持って、こういった分野に関しては行っていただきたいなというように思っています。
続きまして、同じく八ページ目です。非行歴を有する若者への支援ということがあります。
非行歴といっても、昨今、俗にいう非行というものでも、大分、感覚というか、そういったものが変わってきているのかなというふうにも思うんですが、非行歴を有する若者の現状とそれに対する支援についてどうなっているのか、見解を伺いたいと思います。
○井上青少年対策担当部長 社会全体として、悩みを抱えている若者の自立支援の必要性について、他人事との思いが強く、特に、ご指摘の非行歴を有する若者が罪を償い、社会の一員として再出発しようとする際、立ち直ろうとする若者を受け入れ、手を差し伸べるという社会の理解が十分ではなく、適切な支援にたどり着くことが難しい場合が多いと、意見具申でも指摘されているところでございます。
このため、都では現在、若ナビαにおきまして、非行専門の相談員を配置いたしまして、若者や家族の状況に応じて教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用等の分野の支援機関につなげるなど、若者の自立支援を後押ししております。
○内山委員 ありがとうございます。
非行歴といっても、今ご答弁いただいたような、非行を犯してしまったというか、非行を行ってしまった若者がどう復帰していこうかというところの問題もさることながら、その前段階というか、非行に至るまでの過程というのもあろうかと思っています。そういったところで考えると、やはりそういったところもまた、犯してしまったからそれをまた立ち直らせる、これもかなり大事なことだと思うんですけど、その前段階というところのケアという視点も、ぜひ、この非行というところは持っていただきたいなというふうに思っています。
今、若ナビαというふうにご答弁がありましたので、続きまして、この若ナビαについて、青少年問題協議会でも意見をさせていただいたところを中心に質問させていただきたいと思います。
この若ナビαを使うということは、対象となる若者たちに親しみを持って利用してもらえるようにということだと思うんですが、SNSを活用した取り組みというのは極めて重要だと思いますが、その現状と見解をお伺いしたいと思います。
○井上青少年対策担当部長 悩みを抱えた若者に対しまして、悩みを抱えたときはいつでも気軽に相談できる相談窓口として若ナビαがあることを、しっかりと認知してもらうことが大切でございます。
このためには、若者の行動パターンを踏まえた、より適切な手段で情報を発信していくことが重要となります。
これまでも、ホームページ、リーフレット等でPRを図っているところでございますが、今後、若者に普及しているSNS等の機能を活用し、より一層効果的な情報発信を行っていく必要があると考えております。
○内山委員 ありがとうございます。今、SNS等の機能も活用して効果的な情報発信もしていくという、第一段階としては、支援が必要な対象の方々にリーチをしていくという、この情報発信というのは極めて重要だと思います。
一方で、情報発信をして、例えば若ナビαの支援というか、相談につながろうとした、そういった若者に対して、そこからの受け皿というか、相談のしやすさというか、そういったものも極めて重要だと思います。
そういった中では、現状、若ナビαは、電話相談かメール相談か、あとは来所相談ということでした。
電話に関しては、例えば通話料がかかったりとか、あと時間が区切られて、月曜から土曜までの午前十一時から午後八時まで。午前十一時から午後八時までということは、大体、ひきこもりだとか、そういった、二十四時間が我々の生活とは余りリンクしないお子さんとか若者からすると、やっぱり相談しようと思える時間というのは夜の時間帯が多いんだと思うんです。そういった中で、十一時から八時というのは、もうちょっと柔軟にした方がいいのかなというふうにも感じております。
また、メール相談も、登録をしてからでないと利用できないというのも、ちょっとハードルが高いかなと思っています。
そういった中で、それに対してさまざまな懸念点があるのは重々、十分承知をしているところでございますので、SNSで情報発信だけではなくて、情報の受信というか、受け皿の方も、ぜひSNS等も活用しながら、ほかの局やほかの相談でも、今、LINEで試行でとり行っているものもあろうかと思いますので、そういったところをぜひハードルを下げていただけると、発信だけでなくて、その次の段階、受信というか、受け皿のところの段階もぜひ検討いただきたいなと思いました。こちらは意見としていわせていただきたいと思います。
では、最後になります。
今まで以上に、悩みを抱えた若者に寄り添った支援を社会全体で充実していくことが必要だというように思います。こちらの意見具申の中でもスクラム連携という言葉が出てきておりますが、そういった中で、若者が困難な状況に陥らないようにするために、若者自身が、例えば成功体験を重ねるなどして自己肯定感を高めていけるような社会全体の環境づくりというものもあわせて必要だと思いますが、見解の方を伺いたいと思います。
○井上青少年対策担当部長 全ての若者が生きがいを持って豊かな人生を切り開いていくためには、何よりも、自分のよさや可能性をみずから肯定的に認める自己肯定感を有することが大切でございます。しかしながら、現状では、この自己を肯定的に捉えている若者の割合は、諸外国に比べて低くなっております。
このため、若者自身が青少年期から、理事ご指摘の成功体験を重ねることや、あるいは地域活動やボランティア活動等への参画、多様な価値観や多様な年代との触れ合い、交流などを通じまして主体的に活動することによりまして、みずからが社会の構成員として重要な存在であるという、いわゆる自己有用感を育み、自己肯定感を高めていくことが重要であると認識しております。
そういう意味におきまして、悩みを抱えた若者に寄り添うという観点にとどまらず、青少年や若者が自己有用感を抱き、自己肯定感を実感できるような環境づくりに向けても、青少年や若者の周りにいる大人たちが彼らに寄り添い、支えていくというサポーター意識を持って見守ることが必要で、このサポーター意識の浸透を図っていかなければならないと考えております。
○内山委員 こちらも、特に教育委員会等ともしっかりと連携をしながら、自己有用感というものをしっかりと育んでいきながら自己肯定感につなげていくというのは極めて重要なポイントだと思っておりますので、ぜひ期待していますので、お願いしたいと思います。
私からは以上です。
○斉藤委員 私ども都議会公明党はこれまでも、青少年課所管の、本部所管ともいいますか、若者への支援につきましては施策の充実を訴えてまいりました。
このたび第三十一期の東京都青少年問題協議会におきまして、タイトルにございますように、生きづらさを抱える若者の社会的自立に向けた支援についてという、この中で、未来のある若者にスポットを当てまして、若者や家族に寄り添うという視点でさまざまな施策が提言されております。
今回は、この意見具申は、相談支援に対する課題、対応という、そういう諮問を受けての意見具申でございますので、青少年を取り巻く、今後あらゆるというか、非常に広範な政策全てを方向づけるものではない、そこまではいわない、私はそういう認識のもとで、今回、質問させていただきたいと思います。その認識のもとで、この意見具申を踏まえまして、今後、東京都の施策として具体化することが大切であるという観点から、何点か伺いたいと思います。
まず、若者のさまざまな相談を受け付ける若ナビαについてですけれども、都議会公明党はこれまでも、さまざまな機会を通じまして、この若ナビの充実について政策提案をしてまいりました。
若ナビαは、人間関係の悩みや漠然とした不安、孤独、社会的自立に向けて課題を抱え、相談したいと思ったときに気軽に相談できる窓口であり、そして、非常に重要な、そういった窓口の役割を担っていると認識しております。
そこで、意見具申にもありますけれども、若ナビαは、誰からも頼りにされるよう、ハブステーションといいますか、たどり着けば、そこからさらにその先につながるというハブステーションとして、さらに機能を充実させていく必要があると考えますけれども、見解を伺います。
○井上青少年対策担当部長 悩みを抱える若者や家族にとりまして相談しやすい環境を整備することが最も大切であるというふうに認識しております。
そのためには、一時的な相談窓口となっている若ナビαは、若者や家族からの、いつでも、どのような悩みについても安心して相談できるという支援の拠点、ハブステーションを目指していかなければならないというふうに考えておりまして、また、意見具申にも、その体制強化を図っていかなければならないと書いておりまして、そのように考えております。
さらに、若者や家族からのどのような悩みの相談にも適切に応え、支援機関につなぐことはもとより、各支援機関等が十分な支援を実践できるよう、これらの機関からの相談や照会に対しても的確に情報提供していくことも重要でございます。
若ナビαが、若者や家族だけでなく、支援機関等にも信頼され、活用される相談窓口としての役割を果たせるよう、その機能強化に努めてまいります。
○斉藤委員 私も、この若ナビαというか、たどり着けるかどうかということを体験してみたりしているんですが、やはり、まずアクセスをするという行為ができる人は、かなり可能性が高いと思います。それができない方が大変多いというのが、この問題の難しさの背後にあるんですけれども、悩みを抱える若者やご家族がどこかに相談しようと思っても、どこに相談していいのかわからないという問題があるとよく伺います。
また、相談しようと思っている人を適切な支援機関につないでいく。必要に応じて、その方にとって最も適切な支援は何なのかということを考えてつなぐことができることが何よりも必要だと思うわけです。
そのためには、支援機関、支援をしている方々がおられますけれども、その情報をいつでも容易に探せるように、情報を総合的に集約したポータルサイトといいますか、そういった場の構築が急務であると意見具申の中で提案されています。私も、かねてからそのように考えておりました。早急にポータルサイト的なものを構築すべきであると思います。
あわせまして、若い方々やご家族にとって真に役立つものでなければならない。そこを見たときに、自分とは全然違うなということであれば、それで絶たれてしまうこともあるわけなので、本当に役立つものでなければと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。
○井上青少年対策担当部長 ただいまご指摘のとおり、意見具申におきましては、都において、ひきこもりや非行歴を有する若者を含む、悩みを抱える若者への支援に関する社会資源の情報を総合的に集約し、若者や家族にとっても、支援機関等にとっても、最適な相談支援機関等を容易に見つけることができる仕組み、いわゆるポータルサイトの構築が急務というふうに提言されております。
都といたしましては、このような情報提供の仕組みは重要だというふうに考えておりまして、このポータルサイトを今年度内に運用できるよう準備してまいります。
ポータルサイトの構築に当たりましては、若者や家族が安心して支援機関等を利用できるよう、支援機関等の基本情報はもとより、相談事例や支援メニュー、支援プログラムなど、若者や家族が必要とする情報を適切に収集し、地域ごとに容易に検索、入手できる仕組みとし、活用されるものとなるよう工夫してまいります。
○斉藤委員 青少年の周辺にあるさまざまな問題、どうしても、ひきこもりの問題と非行という話が合わさって伺いますと、非常に違和感を持つ方は多いと伺っております。
私も実際に、非行歴のある社会的に自立しようと思っている方を支援する保護司の方々も、もちろん背後におられますし、そういったものについての強化も当然必要だと。東京都の場合は青少年課がございますから、青少年ということで、そこに、いろんな青少年が抱える問題は一義的にひもづけされる。
そういうことで、このポータルサイトには、さまざまな方が期待もして、勇気を出してアクセスされることがあると思いますが、このひきこもりの問題というのは非常にデリケートな言葉でございますけれども、そういうことを考えますと、青少年課で今議論していることは、もちろん、ひきこもりの問題だけではないので、こういった問題の整理は、福祉部門とも連携しながら、しっかりきちんと整理をする必要があると、基本的に私は思っております。
今、ひきこもりというお話もございましたので、それに関連して、ひきこもりの問題についてお伺いしたいと思うんですが、最近は、報道等されていますように、本人のひきこもりの長期化の問題と、親御さん、親の方の高年齢化が同時に進んでいって、経済的にも精神的にも孤立した状況で追い詰められていってしまう、深刻化している、これをいわゆる、親が八十代、お子様が五十代、青年期からずっとひきこもりが長くなっているので、五十代に至っている方々が大変ふえてくるんじゃないかということの五十代で、八〇五〇問題というふうに社会問題として顕在化しているわけであります。
この問題に関しましては、私どもの会派、私も、そして他の会派も、この問題を課題意識として強く、危機感の中で取り上げたところでありました。さきの代表質問、一般質問で取り上げたところですが、本日の総務委員会では、あくまでも若者の社会的自立に向けた支援ということでございますので、若者のひきこもりということの長期化を未然に防ぐ、要するに、そういうことがないように未然に防ぐという観点でお伺いすることになりますが、ひきこもりを長期化させないためには、当然、早期の支援が不可欠であると考えます。
この早期支援につなげるためには、ご本人やご家族お一人お一人の思いや悩みをしっかりと受けとめていく。これまでも行ってきた関係機関との連携をより一層強化していく必要があると考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○井上青少年対策担当部長 ひきこもりについては、若者や家族に寄り添って、その悩みや困難な状況を十分に把握し、適切な見立てを行い、早期の支援につなげ、長期化を未然に防ぐことが大切でございます。
若者や家族が複合的な問題を抱えている場合には、抱えている課題により、例えば教育、福祉、保健、医療、雇用等の分野の関係機関がかかわり、密接な連携、いわゆるスクラム連携を図ることが重要でございます。
その上で、最も適切な支援が実現できるよう、関係機関の役割分担や連携に関する総合調整を行う、いわゆるコーディネート機能も欠かせません。
東京都ひきこもりサポートネットにおきましては、このコーディネート機能を十分に発揮し、関係機関との連携をより一層強化し、若者と家族に寄り添った支援を行い、早期の支援につなげてまいります。
○斉藤委員 先日、当事者の方にもお話を伺いましたけれども、スクラム連携も大事なんですけれども、私が早期といっているのは、早くその状況を脱しなさい、脱しなさいとせき立てるということではなくて、その方と早く接触をして、その方がどういうふうなことを悩んでいるかということに寄り添っていく期間を長くとるためにも、早く事前に手を打つことが必要だと。出会いを早くした方がいいということですね。
その点、この間、亡くなった樹木希林さんがすばらしいコメントをされていましたけれども、誰ひとり意味のない生はない、みんな生まれてきたということに意味がある、出会うべき人がやっぱりいるんだ、その人と出会うまでには時間がかかったり、いろんな時間の長い短いがある、その人と出会うまではぶらぶらしていたらいいのよという、こういうお話があったんですね。まさしくそういう感覚ですか。
ですから、教育ですとか、雇用ですとか、そういうものをゴールとして、そこに行きなさい、そこにつながっていきなさいというふうな角度では、そういった当事者の方のお気持ちに寄り添うことはなかなか難しいということを私は実感いたしました。
その上で、ひきこもりの相談窓口である東京都ひきこもりサポートネットでございますけれども、ただいま答弁にございましたが、非常にすばらしい機能を発揮しておられます。
支援機関の方とも、私もお会いをしております。本人の状況に応じて、適切な支援メニューが提供できる体制が整っていることが大切だ、支援機関を応援しなきゃいけないと。支援機関の担当者の認識が非常に未熟で不十分であったりしますと、その方と接触したことで、また違った方向に行ってしまうということもあるわけですから、この支援メニューのミスマッチが生じてしまうことはあってはならないと私は思います。
そこで、各支援機関に任せ切る、任せるのではなくて、都といたしまして、その支援機関の担当がご本人やご家族お一人お一人のお声を幅広くキャッチアップできる場をつくったり、適切なご支援ができるような支援能力ですね、支援機関のその人の。その向上を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
○井上青少年対策担当部長 若者や家族の抱えている課題を的確に把握し、適切な支援につなげていくためには、彼らにかかわる支援機関の担当者の支援力の向上が必須でございます。支援機関担当者の支援力の向上について、都といたしましても積極的に関与する必要があると考えております。
このため、東京都ひきこもりサポートネットがハブステーションとしての機能を発揮することで得られる知見を活用した情報提供や、あるいは参加者によるグループワークを取り入れた研修を行ってまいりたいと考えております。
また、悩みを抱える若者や家族等の当事者から直接話を聞く機会を設けるなどして、幅広い視野を持った相談対応ができるよう、都といたしましても、支援機関の担当者の支援力向上に努めてまいります。
○斉藤委員 今、非常に大切なご答弁をいただいたところです。今のご答弁で、若者ご本人やご家族等の当事者から直接話を聞く機会を設けると。とても大切なことだと思います。幅広い当事者のお声を施策展開に反映させることは、あまたある学者の方のご意見も大事ですけれども、何よりも、やはり当事者の方のお声を聞くことは本当に大切なことであるというふうに思っております。
参考になるか、ちょっと次元が違えばお叱りも受けるかもしれませんが、二十一世紀では初めてとなる国際人権法に基づく人権条約、いわゆる障害者権利条約のスローガン、私はとても大切だと思っていますが、我々のことを我々抜きに勝手に決めるなでございます。
そして、本日は予算特別委員会でもございませんので、ご答弁は結構でございますけれども、今ご答弁がございましたように、その支援機関の質を高めるための施策は重要です。
対象となるひきこもりという問題で悩んでいる当事者やご家族にとって、支援機関をもっとふやしてほしいというお声もあります。意見具申にも書かれています。一九ページでございますけど、支援機関をふやすことが大事だというふうに指摘もされているわけですが、技術的支援、それはされておりますけれども、のみならず、かつては財政的にも支援されていましたけれども、あらゆる工夫によってふやしていくべきだと。
私は、家族の地域会もどんどんできていますけれども、そういったやる気のある、支援の気持ちがある方については、できるだけ多くの方に参加していただいて、その質が高まるように、東京都が技術的に支援をしたり、先ほどの質の向上という、その中に入ってきてもらうようなことが、あわせて必要じゃないかなというふうに考えるわけです。
また、現在行われている支援機関によるアウトリーチ事業、大変重要な事業だと思いますが、年間で五回ぐらいをめどにというふうな回数だと認識しておりますけれども、せっかくもう少しで信頼関係ができそうなときに、それがアウトリーチが使えなくなってしまうというようなキャップを感ずるようなものじゃなくて、例えば二年間で十回とか、できるだけ、その方に応じて柔軟にアウトリーチ事業を継続して使えるようにしていくことも重要であると考えるわけです。
そして、これは冒頭に申し上げればよかったのかもしれませんけれども、今回の意見具申の議論に使われている資料、私もこれを読み返してみて、改めて気がついたのですが、四ページに、例えば社会的自立に困難を有する若者の現状というところの、この現状を把握するときの資料の中にこうありました。都内のひきこもり状態にある若者の人数は、推計約二万五千人となっている。これはいつの資料ですかということで見ると、平成十九年度に本部が発表した若年者自立支援調査研究報告書。十年以上前のデータで現状把握を議論してはいけません、これは。これはなりません。
ですから、今、国が、内閣府を中心に、我が党の国会議員なども動きまして、年齢によらないひきこもりの全国調査をやっている最中だと思いますが、国の動向をよく踏まえて、都でも、今、現状、一体どのくらいそういう方がおられるかということについては、より現実に即した実態把握が必要である、全力を挙げていただきたいとあわせて要望しまして、きょうは質問を終わりたいと思います。
○原委員 それでは、幾つか伺いたいと思います。
生きづらさを抱える若者の社会的自立に向けた支援について、青少年問題協議会より意見具申が行われました。
まず最初に、トータルとして、この意見具申を都としては今後どう生かそうと考えているのか、伺います。
○井上青少年対策担当部長 第三十一期東京都青少年問題協議会の意見具申を踏まえまして、生きづらさを抱える若者や家族に寄り添った支援の充実を図り、若者が生き生きと輝ける社会の実現を目指していきたいと考えております。
○原委員 私は、今回の意見具申を読んで一番大事だと感じたのは、生きづらさの原因は若者や家族に素因があるわけではなくというふうに二三ページに書いてあります、この点です。生きづらさを抱えている若者は特別な存在ではなくて、環境や状況の変化により誰でも当てはまる、そういう可能性があるとしている点です。
都としては、この指摘をどう受けとめていますか。
○井上青少年対策担当部長 ただいまご指摘がありましたように、意見具申におきましては、現在の若者が悩みを抱え、相談等の支援が必要になることは、若者や家族に素因があるわけではなく、生活空間の内閉化を招きやすい環境に置かれ、自己肯定感が低くなっていることによることも少なくないと指摘されております。
若ナビαや東京都ひきこもりサポートネットに寄せられる相談内容を見ても、さまざまな要因が背景となり生きづらさを感じ、社会的自立が困難な状況に直面している若者が多く、このことは、どの若者にも起き得ることであると認識しております。
このため、都としては、将来を担う若者を支えていくことは社会全体の責務であり、生きづらさを抱える若者に寄り添うというサポーター意識を持って若者を支えていくことが必要であるというふうに考えております。
○原委員 今も自己肯定感という言葉が出てきましたが、この意見具申の第4章には、自己肯定感という言葉と自己有用感という二つの言葉が使われています。
それぞれ、都としては、その定義についてはどのように考えているか、お聞かせください。
○井上青少年対策担当部長 まず、自己肯定感は、自分のよさや可能性を肯定的に認める感情でございます。
また、自己有用感につきましては、青少年問題協議会でも丁寧に議論されたところでございますが、自分が社会の構成員として重要な存在であるとの感情とされ、意見具申で指摘されたものでございます。
いずれも、一人一人の若者が自分らしく生き生きと輝くために必要なものと考えております。
○原委員 青少協の中では、議論の上でこの言葉を使っているのだというふうに思います。
これはこれとして受けとめながら、都として、今後、いろいろ事業を進めていくときに、言葉の定義というのは非常に重要になってくると思うので、また改めて、私も今後議論していきたいと思っているんですが、この間、自己肯定感という言葉がいろいろな使われ方をしているということが私自身は非常に気になっていまして、自己肯定感が低いとか高い、あるいは高める、こういういろんな表現がされています。そもそも、自己肯定感とは何かということが大事ではないかと思っています。
本来の自己肯定感は、自分が必要とされているかとか、価値があるかとか、そういうことではなくて、存在自体が受け入れられる、自分が自分であって大丈夫という感覚だというふうに思うんですね。ですから、自分の否定的な部分や、失敗してしまった自分でも受け入れられる、そういう感覚を持って過ごせるためには、何度でもやり直せる環境や、そういう社会をつくっていくことが必要だという捉え方が私は重要ではないかと思っています。
先ほど、一人一人の若者が自分らしく生き生きと輝くためにと、ご答弁もありました。本当に大事なことだと思いますので、本来の自己肯定感の定義に立った支援がなされるように、ここでは強く要望しておきたいと思います。
そして、今回の意見具申の中では、特徴の一つでもあると思ったのが、インターネットやスマートフォンなどは、みずからの世界を広げるためのツールになり得る積極的な側面があるということを大事にしているということです。そして、若者や家族の心に響くSNS等を活用した情報発信という表現もされている。この点は非常に重要です。さらなる強化、改善をこの場では求めておきます。
同時に、若者が生きた体験をする、人と人のつながりにどうつながっていくかが大事なんだということも指摘をされています。
この点で、一点、伺います。ひきこもり支援の地域の居場所をふやしていくことについて、これまでも質問をしてきましたが、今回の意見具申を受けて、改めてどう考えているか、伺います。
○井上青少年対策担当部長 ひきこもりの若者の自立を支援するには、訪問相談、居場所の提供、社会体験活動など、若者の状況に応じて、ステップを踏んで自立に向けた支援を行うことが重要でございます。
このうち居場所の提供につきましては、利便性が高い身近な地域で支援を受けることを望んでいることが少なくございません。
こうしたことを踏まえまして、これまでも都では、区市町村における居場所の提供あるいはNPO法人等による東京都若者社会参加応援事業を通じた居場所の提供が進むよう、各種の支援に取り組んでまいりました。
引き続き、身近な地域でひきこもりの若者が居場所を確保できるよう努めてまいります。
○原委員 引き続き、身近な地域で居場所を確保できるように努めていくという、最後におっしゃっていた点は非常に重要だと受けとめています。ご努力をぜひお願いしたいというふうに思います。
意見具申の最後には、他人事とせず、若者を支える心構えを社会全体に涵養していくことが必要という指摘があります。
この点については、そのために、都としても広く都民への働きかけもまた必要になってくると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○井上青少年対策担当部長 今回の意見具申では、具体的な支援策を提言している第3章の、若者が社会的に自立し、活躍できる社会の実現に向けた仕組みづくりの冒頭に、社会全体で若者の生きづらさに寄り添うサポーター意識を持って若者を支えていくことが必要であるとされておりまして、各種提言の基調をなしております。
都といたしましては、支援を行うに当たりましては、このサポーター意識を都民全体に浸透を図っていくことが重要だというふうに考えております。
○原委員 そのために何を具体的にやっていくのかというのが、まさにこれからの検討になっていくのだと受けとめました。
私は、今回、自立ということがテーマになっているわけですけれども、この自立のゴールというのも、一人一人違っていいということを大事にしてほしいと考えています。テンポも進み方も、人によって違います。そういう点でも、ひきこもり対策の支援の対象年齢の線引きなどは見直していくべきだということも改めて意見として述べまして、質問を終わりたいと思います。
○西沢委員 私からも、この意見具申について質疑をさせていただきたいと思います。
今回は、私もこの協議会のメンバーでもございますが、その場でも意見を申し上げましたが、この定例会で、私どもの会派も含めて三つの会派から、特にひきこもりの対策について、福祉部局と連携をすることはもちろんですけれども、私どもは所管がえも含めてご提案をさせていただきました。三つの会派からこうしたことが集中するというものは、大きな一つのあらわれなんだろうということを前提に質疑をさせていただきたいというようにも思います。
先ほど斉藤委員からお話がございましたが、現状、いわゆるひきこもりの高齢化というのが問題になっている中において、この調査ですね、話がありました、平成十九年のデータをもとに議論がなされてきたわけであります。十一年も前のデータをもとにやっている。
一応確認なんですけれども、現時点で、ひきこもりに関する調査の結果、把握しているものが十九年以降にはあるのかどうか確認したいと思いますが、この調査結果についてお伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 都における直近のひきこもりに関する調査でございますが、平成十九年度に都内の十五歳から三十四歳までの若年者を対象にアンケート調査を行い、その結果、ひきこもり状態にある若者を約二万五千人と推計したものでございます。
○西沢委員 今、答弁がありましたが、直近がやっぱり平成十九年度の調査ということがわかります。状況が大きく変わっているということが、どうしてもこの調査からでは見えない部分があるんじゃないかというように思います。
さらに、答弁にもありましたけれども、都内の十五歳から三十四歳までの若者を対象にしているということです。ひきこもりの高齢化というものが問題になっている中で、三十四歳までの若者しか対象にしていないということ自体が、やはり私は大きな問題なんじゃないのかなというように思います。
今後、ひきこもりに関する調査の予定があるのかどうか、お伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 現時点におきまして、都における調査は予定はございませんが、内閣府におきまして、今年度、四十歳から六十四歳までの方を対象にした、ひきこもりに関する全国の実態調査を実施する予定と承知しており、その動向を注視しているところでございます。
○西沢委員 都における調査の予定はないということですが、今、お話がありましたが、内閣府の方で四十歳から六十四歳までの方を対象にした調査をやっているということですね。これは十一月、十二月ぐらいですかね、公表されるというように私も聞いているところであります。
つまり、これは、他の道府県も含めて、全国的にやはりひきこもりというのが、若者の対策のみならず全体の課題であるということがわかっているから、だからこそ国全体で、内閣府も調査の対象年齢を上げているということがわかるわけでありますね。
青少年・治安対策本部という部署ですから、当然、青少年対策というものになる。でも、青少年・治安対策本部だから、青少年しかひきこもり対策はやらないというのは、やはりおかしいんじゃないかなというふうに思います。
ひきこもり対策の対象年齢というもの、私自身はこれは見直していくべきだというように思いますが、見解をお伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 ひきこもりの方への支援は、年齢によらず、関係機関が連携して、身近な地域で切れ目なく実施することが重要であるというふうに考えております。
こうした考えに立ちまして、今後とも、福祉、保健、医療、雇用、教育等、さまざまな分野の連携を一層進めながら、切れ目のない支援を推進してまいります。
○西沢委員 対象年齢によらずにやるということは重要であるということはご答弁いただいたとおりでありますが、対象年齢を変えるという方針というのは、やっぱり答弁できないということだと思うんですよね。
やっぱり、これだけひきこもりの長期化への対応が課題になっているという中において--もちろん、連携をしていくというご答弁がありました。これは当然だと思いますが、基本的には青少年問題だと捉えていく中でやるのは限界があると思います。
この長期化への対応が課題になっている現状を踏まえて、今後どのような対応をしていくのか、見解をお伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 意見具申でも指摘されておりますが、ひきこもりの若者や家族が社会から孤立し、困難な状況が長期化しないよう支援していくことが重要であるというふうに認識しております。
このため、都では、ひきこもりの若者や家族からの相談の窓口である東京都ひきこもりサポートネットが相談を受け付け、福祉、保健、医療、雇用、教育等のさまざまな分野の関係機関と連携し、ひきこもりが長期化しないよう、早期に支援につなげております。
今後も、ひきこもりで悩む方々に寄り添い、関係機関と密接に連携し、本人や家族の状況に応じた支援を行ってまいります。
○西沢委員 今の体制はそのままだけれども、関係機関と密接に連携をしていきますよというようなご答弁であります。もちろん、青少年・治安対策本部自身が、青少年問題ではなく、違う、年齢の高いところまで私たちはやりますという答弁はやっぱりできないというように、確かに思うんですよね。
ただ、そうはいうものの、さきの本会議の定例会で知事に--代表質問では、この八〇五〇問題に象徴されるひきこもりの長期化、高齢化に対する質問に対しては、知事は、都における体制強化を図る、こういった答弁をしたわけですね。
これは、具体的にどのような体制強化を図っていくのか、お伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 現時点で、青少年・治安対策本部におきましては、若者のひきこもりの第一次相談窓口である東京都ひきこもりサポートネットにおきまして、本人や家族の思いや悩みを受けとめ、ひきこもりが長期化しないよう、早期支援に向け、状況に応じた支援につなげるため、これまでも庁内外の福祉、保健、医療、雇用、教育等のさまざまな分野の関係機関と連携し、切れ目のない支援に取り組んでまいりました。
今後とも、重ねてになりますが、ひきこもりで悩む方々に寄り添い、関係機関と密接に連携しながら、切れ目のない支援に取り組んでまいります。
○西沢委員 関係機関と密接に、ぜひ連携して取り組んでもらいたいと思います。多分、それ以上の答弁はないと思うんですよね。
つまり、この質疑で明らかになったのは、やはり全庁的な取り組みが必要であるということであり、青少年・治安対策本部だけでは、私からいわせれば、連携にとどまってしまうということです。
だからこそ、全庁的というのは、福祉部局、福祉保健局が中心となっていくであるとかというところまで考えないといけないというようにも思いますし、さまざまな声を聞かせていただいていますけれども、やっぱり青少年・治安対策本部という部署そのものの名前が、ひきこもりを初めとした青少年が犯罪予備軍だといわれているように感じるというように思われる方もいらっしゃるのも事実です。自分たちが対策されているのが治安対策なんだというような、自分たちが犯罪をいかにも犯す危険性があるといわれているかのようだというような、皆さんにいっても、そこは違うのかもしれませんし、特に青少年・治安対策本部の皆さんがさまざまな施策で対策されているということは大いに評価をいたしますし、これからもやっていただきたいと思いますが、次のステージになるんじゃないかなということ、ぜひ全庁的な取り組みを求めまして、質問を終わらせていただきます。
○山内委員 私からも、生きづらさを抱える若者の社会的自立に向けた支援についてお伺いしていきたいと思います。
第三十一期の東京都青少年問題協議会の若者支援部会では、現場でかかわっている支援者、支援団体のご意見や提案を伺い、議論をしてまとめられたのが今回の意見具申だと思います。
そこでまず、本意見具申の前提となる生きづらさを抱えている若者の現状について、どのようなご意見がそこで出ていたのか、お伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 東京都青少年問題協議会での議論を紹介させていただきたいと存じます。
本協議会の若者支援部会におきましては、若者の現状につきまして、地域の人間関係が希薄化し、家庭においても、家族という単位での支えが脆弱化しているという指摘がございました。また、急速にスマートフォンが普及し、コミュニケーションの機会をふやす一方で、トラブルが増加するなど、負の側面もあわせ持っていること、自己肯定感を有する若者の割合は五割弱と諸外国に比べて低いこと、さらに、自己の環境と似通ったところで生活圏を閉じてしまう内閉化の傾向が強く、濃密な関係性を構築し、仲間、グループ以外との人間関係のつながりがないこと、そのため、今ある人間関係から外れると自分の居場所はどこにもなくなってしまうという、排除される不安やリスクが強いこと、その結果として、リアルな世界においても、あるいはネットの世界においても、いわば出会いの多彩性や多様性が失われてきていることなどが指摘されております。
このようなさまざまな要因により、生きづらさを抱え、社会的自立に困難を有する若者がいるというふうにされております。
○山内委員 生きづらさを抱える根底には、社会の多くの人たちとのかかわりを失っていたり、孤立によって生まれたりすることが指摘されていたと思うんです。しかも、その孤立を自己責任あるいは家族の責任として捉えて、家族が丸抱えをして、家族の力で何とか解決しなくてはならないと考えがちであるという現状が示されていたと思います。
しかし、自己責任や家族の責任ではなくて、社会の問題として解決する必要があるというのが、共通したあそこでの見解であったと思います。個人の責任で何とかしなさいよというのではなくて、SOSを出していいんだよ、寄り添っていくよという姿勢が重要だということをいっていたかと思います。
そこで、不登校やひきこもり状態の若者や家族にとって、意見具申には、若者や家族自身が自力で解決しなければならないと思っているなど、相談することをちゅうちょする、支援を求めない場合があるとありますけれども、このことについて東京都の見解をお伺いします。
○井上青少年対策担当部長 若者がさまざまな要因により生きづらさを感じて困難な局面に陥ることは特別なことではなく、社会全体で若者を支えていくことは社会の責務であり、生きづらさを抱える若者に寄り添うというサポーター意識を持って支援していくことが必要との提言がございました。
支援を受けた方が望ましい状況にある若者や家族が適切な支援につながるためには、都民一人一人が生きづらさを抱えた若者を温かく見守る中で、若者や家族が気おくれせず支援を受けることができるよう、サポーター意識の浸透が重要であるというふうに認識しております。
○山内委員 ひきこもり状態や生きづらさを抱えている若者やその家族は、複合的な要因を抱えているケースが多く、どの窓口に相談したらよいのか迷うケースが少なくないといっております。
最初の相談窓口である若ナビαや東京都ひきこもりサポートネットの環境整備について、見解をお伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 悩みを抱える全ての若者や家族にとって最も大切なことは、相談しやすい環境を整備することでございます。
さまざまな内容の相談を受け、若者の状況に応じて適切な支援機関等につなぐ若ナビαや、ひきこもりについての相談を受けている東京都ひきこもりサポートネットでは、若者や家族の支援の入り口として、誰でも、どんなときも、どんな悩みでも、まずは相談できるという支援の拠点を目指していかなければならないというふうに考えております。
○山内委員 相談窓口において、若者や家族が現状を整理して話すことはとても難しくて、時間がかかってしまうというふうにご指摘がありました。また、最初の相談で聞いてもらえないという気持ちを持ってしまうと、諦めてしまったり、次の相談に行かなくなってしまうということも多いと聞きます。
そのような相談者の思いにも十分配慮すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 みずからの悩みや思いを自分の言葉で相手に伝えることが苦手な若者や家族は少なくございません。また、若者や家族にとっては、相談に行くこと自体が勇気が要る行動となっているケースもございます。
意見具申にもあるとおり、まずは、若者や家族のこのような心情を十分に理解して寄り添う姿勢で、若者や家族の思いを解きほぐし、抱えている悩みや思いを受けとめつつ、加えて、つなぎ先となる各支援機関にその思いを橋渡しする代弁者機能を発揮することが、若者や家族に寄り添った支援を行う上で不可欠と認識しております。
○山内委員 若者や家族は、身近な地域で支援を受けたいと考えることもあるようですが、住んでいる地域で相談することをためらう場合もあるというふうなご指摘が若者部会の中にもございました。
このことから、どのような地域においても支援を受けられる体制が必要であると考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 若者や家族がどのような地域においても支援を受けられる環境づくりが重要というふうに考えております。
具体的な支援メニューの提供は、区市町村や、ひきこもりの若者支援プログラムを用意している東京都若者社会参加応援事業に登録されているNPO法人等でなされております。
都はこれまでも、これらの団体による取り組みを後押しし、若者や家族が、身近な地域や、あるいは、それぞれがご希望される地域で支援を受けられるよう努めてきております。
○山内委員 東京都と区市町村の両方に、地域における支援情報や社会資源に関する情報を集約した上で、支援を必要としている人に情報提供できるよう体制を整えることが重要であり、支援者間を橋渡しするなどのコーディネート的な役割を果たす窓口があることが理想的だという意見がその中にありました。
区市町村の中には、若者の相談窓口や連絡協議会を設置しているところもありますが、整備状況はまちまちです。東京都は、財政的支援や人材育成に関する研修、先進事例の情報提供等を行うことが必要であり、今も行っているというふうにはお伺いしております。
しかし、その一方で、自分が居住している地域で相談するのをためらう当事者や家族がいることから、東京都に、都の方に問い合わせが来た場合、その相談者の方が居住している場所だけではなくて、他の地域の窓口や適切だと思われる相談先、リファー先というんでしょうかね、あそこの中で出ていましたけれども、紹介するのも都としての役割だと思います。区市町村の相談体制の実態や先進事例などを把握して、コーディネートの役割を果たせるようにしていくことが重要だと考えます。
若者支援部会では、いろいろ支援の制度はあるけれど、制度と制度のはざまに落ちて支援が受けられない実態があることも指摘されておりました。
例えば、十八歳未満の子供は児童福祉法に基づいた支援があるけれども、十八歳を超えると生活保護というのは、就労可能性のある若者が受給するにはなかなか難しいという事例とか、あるいは女性保護も、配偶者DVで逃げている人には、数は少ないですけれども、女性シェルターがありますが、虐待等で逃げてきた十八歳や十九歳の子供は、なかなかそういったシェルターに入れないということも出てきておりました。
また、障害者自立支援では、障害手帳をとらずに生きていきたいという若者は使えないなど、現場では、制度のはざまでいかに子供、若者を支援につないでいくか、非常に苦労している切実な現状が出ていたかと思います。
制度と制度のはざまに落ちてしまわないように、子供を真ん中にした多機関のスクラム連携が必要だというご意見だったかと思います。
そこで、どんな悩みも取りこぼさないスクラム連携について、若者を第一に考えて支援を行うべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
○井上青少年対策担当部長 多様な悩みを抱えた若者や家族への支援を行う際は、複合的な悩みを適切に支援できるよう、複数の支援機関等が連携し、それぞれの役割を果たすことが大切であり、この点は、今回の青少年問題協議会においても重点的に議論されたところでございます。
個々の状況や背景に応じて必要な支援を受けることができるよう、各支援機関等が重なり合い、支援のはざまに個別の案件が落ちることがないような密接な連携、いわゆるスクラム連携を組み、支援していくというスタンスが何よりも重要であるというふうに考えております。
その上で、最も適切な支援が実現できるよう、関係機関の役割分担や連携に関する総合調整を行うコーディネート機能も欠かせないというふうに考えております。
○山内委員 今、お話しいただいたコーディネート機能を果たすには、その地域にどんな居場所があり、どこにアクセスすれば、就労や医療、金銭管理や学習支援、生活拠点などの支援を受けられるかなど、行政機関やさまざまな支援団体、NPO等の情報を包括的に持って、そこでつなげていくということが重要なんだというご指摘があったと思います。
悩みを抱えた若者や家族に対しては、都は、多種多様な支援機関等の情報提供を行うべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 意見具申では、若者や家族が必要に応じた適切な支援を受けることができるようにするには、都において、悩みを抱える若者への支援に関する社会資源の情報を総合的に集約し、最適な相談支援機関等を容易に見つけることができる仕組み、いわゆるポータルサイトの構築が急務というふうにされております。
都におきましては、若者や家族が悩みの解消に向けて安心して支援機関等を利用できるような区市町村や民間支援機関等の情報を取りまとめた、若者支援等の社会資源情報に関するポータルサイトを今年度中に立ち上げることを予定しております。
○山内委員 生きづらさを抱える、そして、ひきこもり状態になっている、そういう方々が長期化、高齢化していることが社会問題となっています。
青少年・治安対策本部には、残念ながら対象に年齢制限がありますので、子供、若者から長期化、高齢化し、四十歳、五十歳の方が困難を抱える現状や、あるいは複合的な要因を抱えているケースに対して、一人一人に着実に対応していく、あるいは幅広い支援をしていくには、近くにある、手に届く範囲内で、顔を合わせるような状況の中で支援を一本化していける、そういった支援対策というのが必要だと思っております。
現在、所管がえも含めてさまざま出ておりますけれども、ぜひ幅広く対応ができ、そして、その方一人一人に対応できるような、そういった寄り添った支援ができるように、局を挙げて、どうしたらいいのか考えていっていただきたい、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。
○菅野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
○菅野委員長 これより政策企画局関係に入ります。
報告事項、重点政策方針二〇一八「Tokyo ともに創る、ともに育む」について外一件に対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
それでは、発言を願います。
○福島委員 二〇一六年度に策定、二〇一七年から二〇二〇年に向けての四カ年計画、都民ファーストでつくる「新しい東京」、以下、実行プランの進捗管理として、二〇一七年度の政策目標と年次計画の実績一覧表、そして事業実施状況レビューの作成、大変お疲れさまでした。各局の事業を取りまとめる政策企画局の仕事量は大変な量だと推察いたします。
都民ファーストの姿勢で都政を進めるために、都民に今まで以上に都政に興味を持ってもらい、議論に加わってもらうためには、行政計画と進捗をわかりやすく伝えようとするこれらの取り組みは大切で、まさに小池都政らしい取り組みだと評価します。
レビューに加えて、これも二〇一七年度から策定している重点政策方針についても、この七月に、二〇一八年度版「ともに創る、ともに育む」が策定されました。重点政策方針を作成する意義は、実行プランの中で、より推進、加速する領域を定め、実行プランを確実に遂行することだと理解しております。
そこで、重点政策方針の対象となる領域の推進、加速をどのように行うのか、教えてください。
○宮澤計画部長 重点政策方針は、実行プランに掲げる三つのシティーの実現に向け、特に重点的に取り組むべきテーマを設定し、全庁横断的に実施していくための方向性を示したものでございます。
この重点政策方針の策定と同時に、本方針に掲げた八つの戦略に沿った積極的な政策展開を図ること、また、プラン事業実施状況レビューの結果を踏まえた既存政策の拡充、見直し等を行うことなど、実行プランの政策の強化について各局に依頼を行いました。
また、予算の見積もりについての依命通達におきましても、重点政策方針及び実行プランに係る事業の新規拡充については、予算のシーリングの枠外とし、実行プランの着実な推進をバックアップしてございます。
政策の強化の検討に当たっては、事業所管局からの政策案について、政策企画局、財務局、事業所管局が密接に連携しながら検討を重ねてまいります。
○福島委員 重点政策方針については予算のシーリングの枠外とすることで、実行プランの確実な達成に向けて、政策企画局と財務局が一体となって予算にめり張りをつけるとともに、各局と積極的な政策展開を図っている、このようなことがわかりました。事業の成果を費用対効果で設計したり評価するには財務的観点が不可欠であることから、大変よい取り組みだと思います。
以上、これらの取り組みの意義を確認させていただきました。
さらに質問を続けます。
事業の加速、推進を目的とするのであれば、重点政策方針は、これまでの事業の進捗とともに、社会情勢の変化も踏まえて設定する必要があります。
昨年度は福祉関係の分野にフォーカスしていたのに対して、今年度はハード、ソフト全体に及んでいる、このように見えます。どのような分析に基づいて決定したのでしょうか。
重点政策方針の策定の経緯についてご説明ください。
○宮澤計画部長 重点政策方針は、実行プランの着実な推進に向けて、社会情勢の変化や新たな都民ニーズなどを都の政策、都の事業展開に反映させ、実行プランに掲げる政策のさらなる強化につなげるものでございます。
昨年は、待機児童対策や高齢社会への対応を社会情勢を踏まえた喫緊の課題と捉え、こうした分野を中心に戦略を策定いたしました。
今年度は、昨年からの課題に加え、大阪北部地震や西日本豪雨の教訓を踏まえた防災対策、二〇二〇年の先の経済成長も見据えた取り組みなどが必要との考えのもと、三つのシティー全体にわたり、ハード、ソフト両面から重点的に取り組むべき課題を設定いたしました。
○福島委員 社会情勢を踏まえて、加速が必要な領域の政策を強化するということですけれども、重点政策方針を設定したことで、対象となる領域の事業が加速しないと、この方針を設定する意味がありません。
政策企画局として、重点政策方針そのものの評価方法をどのように考えているか、見解を伺います。
○宮澤計画部長 重点政策方針は、実行プランに掲げる三つのシティーの実現を確実なものとするため、今後展開すべき大きな政策の方向性を八つの戦略として示したものでございます。
重点政策方針に基づき、実行プランの政策や事業が強化され、三つのシティーの実現に向けた進捗状況は、実行プラン事業実施状況レビューにより把握しております。レビューの結果、全体として順調であれば、重点政策方針が機能しているということになるものと考えてございます。
○福島委員 各事業の積み重ねが重点政策の評価であるというお答えだったかと思います。
しかしながら、本来、政策とは、政策、施策、事業と階層性を持っており、政策はより観念的、事業はより具体的なものになります。
各事業が進捗することも重要ですが、各事業には優先順位があるはずです。これを決めるのに必要なのが、政策、施策と事業の間の論理的な構造を示すロジックモデルです。
総務省は、平成十七年には既に、政策評価の実施に関するガイドラインとして政策の体系化を求めており、評価においては、上位の目的の実現のために必要な効果が得られるかについて検討するとあります。
来年度以降の重点政策方針作成においては、ロジックモデルの作成と、それによる評価に取り組むことを要望いたします。
今回の事業実施状況レビューですが、私は、事業の進捗状況というのは、事業の性質によって大きく三つに分けられる、このように考えました。
一つ目は、セーフシティーの配水管の耐震継ぎ手化や、ダイバーシティーの放課後子供教室の設置など、そもそも計画どおりに進捗しているもので、ステークホルダーが、例えば都の保有施設であったりして民間の参画が余りないとか、こういうものに関しては計画どおりに進みやすい、このようなことがわかっております。
このように、おおむね計画どおりに進んでいる事業を、レビューを踏まえて、今後どのようにさらに政策的な効果を高めていくのか、政策企画局の見解を伺います。
○宮澤計画部長 今年度のレビューにおいて、二〇一七年度を目標年次とする三十三の政策目標については目標を達成し、二〇一八年度を目標年次とする三十四の政策目標についても目標達成見込みであり、全体として、おおむね計画どおりに進捗してございます。
計画どおりに進んでいる事業については、今後、政策目標の上方修正や到達時期の前倒しを検討するなど、社会情勢の変化や都民ニーズなどを適切に反映させ、継続的にレベルアップを図ってまいります。
○福島委員 二つ目の例は、従来の政策に課題が生じている場合です。
例えば、セーフシティーの特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化は、今後は協力が得られにくい建築物が残っている、このように伺っています。また、消防団員の確保は、ここ数年、計画未達の状態が続いています。災害時の帰宅困難者対策としての一時滞在施設の確保も、数年、頭打ちになっています。これらについては、共通点として、都民や事業者の参画や支援など、ステークホルダー、関係者が多い、または成功の鍵を握っている事業であるということです。
このような場合、従来の事業の予算をふやしても加速にはならず、従来の事業を分析、課題を踏まえて新規事業を計画する必要があります。
また、がん検診の受診率向上のような事例であれば、これは東京都ではなかなか進んでいないんですけれども、八王子市が、民間から資金を調達するだけではなくて、官民連携で事業を推進し、成果に連動して事業を請け負った事業者に費用を払うソーシャル・インパクト・ボンドを適用することで、すなわち社会課題解決の新しいスキームを活用することで受診率を向上させる、このような取り組みも出てきています。
さらなる取り組みが必要なこのような二つ目のケースにおいて、レビューを踏まえて、今後どのような展開を図っていくのか、政策企画局の見解を伺います。
○宮澤計画部長 レビューにおいて明らかになった政策目標の実績を踏まえ、目標達成に向けてさらなる取り組みが必要なものについては、政策企画局、財務局、事業所管局とが共同で、データをもとに綿密な意見交換を行いながら課題を分析し、庁内で共有したところでございます。
今後、こうして明らかになった課題を踏まえ、関係各局でさらなる議論を重ね、事業の実施手法の見直しや新たな取り組みの実施など、政策目標の達成に向けて、さらなる政策の強化を図ってまいります。
○福島委員 SIB、ソーシャル・インパクト・ボンドについては、一五年には横須賀市、尼崎市、そして福岡市でパイロット事業、神戸市でも、糖尿病性腎症の患者を対象にした重症化予防で検討されています。財政的に余裕のある都にこそ、積極的にスキームの研究、施行に取り組んでいただきたいことを要望します。
事業の進捗が順調なもの、そして、さらなる取り組みが必要なものについては、今それぞれ伺いましたが、さらに私が三つ目として考えているのは、事業そのものの成果がはかりにくいとされているケースです。
例えば、中小企業の事業承継、再生は専門家の派遣件数をKPIにしていますが、専門家を派遣したからといって事業が上向いたとは限りません。事業が上向いた事業者の数を指標にしたいところですが、為替や市況など要因が多過ぎて評価することが難しい、このような説明を受けました。
また、普及啓発事業や機運醸成事業なども、ゴールを数値化することは容易ではない、このような説明を受けています。
このような事業の目標設定について、さらなる工夫が必要だと考えますが、見解を伺います。
○宮澤計画部長 実行プランに掲げる各政策目標は、客観的に政策の進捗状況を把握できるよう、可能な限り数値化、定量化してございます。
一方で、事業の性質上、成果指標を設定することが難しいものもあり、こうした事業についても、事業の実施効果を把握できるような目標を設定するよう努めているところでございます。
○福島委員 このような事例にこそ、エビデンスベースの評価が有効です。証拠に基づく政策立案、EBPMの有効性は、ことしの第一回定例会の一般質問でも述べさせていただきましたが、EBPMの始まりは医療です。さまざまな生活スタイルを送る患者がいる中で、医療的行為の有用性を検証するために生み出されたのがランダムサンプルによる評価です。
また、普及啓発ではありませんが、広告の効果については、民間に多数の事例があります。
成果指標の設定に当たっては、こうした事例も十分に参考にしていただきたい、このように思います。
それでは、ちょっと時間の問題もありますので、政策企画局に期待することとしては、やはり全庁に横串を刺して俯瞰した視点で政策を考える、このようなところであります。
例えば高齢者施策に関しては、社会保障制度と所得のバランスによっては、働く意欲をそぐようなことになりかねません。PDCAサイクルをしっかりと回して、俯瞰した視点で、新しい東京をつくるための政策を常に見直していく、これが必要とされています。
そこで、社会やニーズの変化を的確に踏まえて、実行プランの政策の効果を高めていくために、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○宮澤計画部長 実行プランでは、施策の実施、進行管理、評価、改善、見直しというPDCAサイクルの概念を強く意識し、プラン策定段階からこれを組み込んでございます。
このPDCAサイクルの運用を徹底するため、各政策展開における施策の実施状況をしっかり確認するとともに、社会情勢の変化や新たな都民ニーズを時宜を逸せず反映させることで、新規施策の構築や既存施策の見直しにつなげ、実行プランをベースとした政策の強化を毎年度行っております。
こうした取り組みに当たっては、関係各局と密接な連携を図りながら、実行プランに掲げた政策の評価を図ってまいります。
○福島委員 刻々と変化する社会情勢を踏まえて、さらには複雑化する都民のニーズを踏まえて、しっかりと事業を行っていくためには、データに基づいた政策立案、加えて、例えば予算の一%を政策評価資金として外部機関に評価を委託する、このような取り組みも考えられるかと思います。
例えば国政においては、増税なき経済成長という上げ潮派の理論を支えたのは、東京財団というシンクタンクでした。また、米国では、都市問題や情報問題に特化した専門シンクタンクが政策立案のための材料を提供したり、欧州でも政策形成に寄与しているシンクタンクが多数存在します。
このようなものを利用しながら、政策企画局、総務局、財務局など所管は分かれていますが、都庁全体でしっかりと連携してよい政策をつくり上げ、実行していただきたい、これを申し上げて質問を終わります。
○斉藤委員 私は、平成二十一年に都議会議員として初めて選出いただきまして、当時、都政を俯瞰する意味で最も大切なツール、重要なツールとして紹介されたのが「十年後の東京」、そして「二〇二〇年の東京」という、石原都知事の都政ではそのビジョンであったわけであります。単年度予算だけでなく、多年度でどのような政策実現を目指しているのかというのを読み取る意味では大事なツールであることを先輩都議から伺ってきて、このビジョンを読んだものでございます。
その後、舛添都政におきましては東京都長期ビジョンが示されました。それぞれの知事のもと、計画も、予算をめぐる組織のあり方も変わってきたわけでありますけれども、この東京都長期ビジョンは平成二十六年十二月に策定されたものです。その計画期間が平成二十七年から三十六年までの十カ年となっております。
この計画期間の途中に小池都政がスタートしたわけでありますけれども、この小池都政の二〇二〇年に向けた実行プランの位置づけでありますけれども、この長期ビジョンの三カ年の実施計画にかわる新たな計画として策定された、このように認識するものであります。「新しい東京」の実行プランにも、三六四ページに明確に書いてあるわけでありますが、今回の総務委員会では、実行プランのさらなる推進のために策定された重点政策方針二〇一八、そして、事業実施状況のレビューについて報告されているわけです。
そこで、私からは、この実行プランの策定やその実現に向けた取り組みについて、これまでの都政との違い、これがどこにあるのかを、その特徴を明らかにしていただきたいと思います。
○宮澤計画部長 現行の実行プランにおいては、可能な限り数値化した政策目標を設定するとともに、各政策の年度別の進行を明瞭化した四年間の工程表を作成してございます。
また、その推進に当たっては、各年度の事業の進捗や成果を調査、把握し、その結果を今後の政策展開につなげていくPDCAサイクルの概念を策定段階から組み込み、その運用を徹底してございます。
PDCAサイクルのC、チェックの一環である事業実施状況レビューでは、実行プランの進捗状況と課題を取りまとめ、庁内各局と共有するとともに、都民への説明責任を果たすべく、わかりやすく公表してございます。
また、実行プランの達成に向けた積極的な政策展開を導くための方向性を示す重点政策方針を毎年度策定し、この方針のもと、実行プランの政策の強化と予算編成を連動させております。
なお、重点政策方針に掲げられた戦略の実現に向けた積極的な取り組みを初め、実行プランに係る新規拡充事業については、シーリングの枠外としてございます。
こうした取り組みにより、実行プランに掲げた政策目標を達成するために、関係各局と連携を密にとりながら、全庁一丸となって政策を推進しているところでございます。
○斉藤委員 確かにこの実行プランでは、策定過程から重点政策方針を起点とする政策の強化、予算の編成など、計画に予算がきちんと連動している、政策と予算がきちんと連動している、それがよくわかるようになったというふうに私も感じております。これまでは、その点が都民からは見えにくかったのかなというふうに思いますが、まさにこの実行プランは、予算が明確に連動していることが政策の側から見通せる、そのようなプランになっているというふうに私は実感をしているところであります。
今回の事業実施状況レビューについてですが、これにつきましても、政策の進行管理が大事ですけれども、その進行管理も、都民への説明責任を果たす意味から、公表、見える化をしていることがわかります。
実行プラン、またはこの強化版にのれば、予算面でもバックアップされるということで、計画の重みがより増したというふうにもいえるというふうに思っているわけであります。オール都庁の実行計画たるこの実行プランと都の予算が、まさに都政の両輪となって動いているというふうに認識をいたしました。都民を代表する議会といたしましては、この政策と予算の関係がより見える化されている点を評価したいと私は思います。
今回のレビューは初年度の結果を反映しておりまして、昨年とは意味合いが異なります。今回のレビューを見ますと、政策目標の達成に向けた課題も掲載されております。二〇二〇年に向けたプランでありまして、ことしはまだ二〇一八年、まだ政策目標の達成に向けた時間があるわけでありますが、全力で頑張っていただきたい、このように思います。
これまで以上に、政策企画局が責任を持って課題を抱えている政策を進行管理していただきまして、おくれている政策課題については加速、または見直すなど、実行プランの達成に向けて、さらに踏み込んで取り組みを進めていくべきと考えますけれども、政策企画局の見解を伺います。
○宮澤計画部長 事業実施状況レビューの取りまとめに際しては、五百七十七の政策目標全てにわたり、その達成に向けた進捗状況について、当局及び財政当局からの、各事業所管局に対して詳細なヒアリングを実施いたしました。
その結果、二〇一七年度を目標年次とする三十三の政策目標について目標を達成するなど、全体としておおむね計画どおりに進捗しておりますが、一部においては、さらなる取り組みが必要なものも確認できております。
この取りまとめのプロセスの中で、各政策目標について、進捗状況と達成に向けた課題を、各事業所管局、財政当局とも共有してございます。
今後、この進捗状況及び課題を踏まえ、各事業所管局や財政当局などとしっかり議論を重ね、必要に応じて各政策目標の達成に向けた取り組みの加速化、見直しなどを行い、実行プランの政策の強化に反映し、取り組みを一層進めてまいります。
○斉藤委員 二〇二〇年まで、まだ二〇一八年ですから二年間ございますが、現時点では今のご答弁で理解いたしました。
計画あってこその予算でありまして、また、予算が確保されてこその計画の実現という、当たり前のことでございますが、この計画と予算の関係が小池都政の両輪であることが、今のやりとりで、短いやりとりですが、確認をさせていただきました。
今後とも、都政の柱を担う局として、各事業局としっかりと議論していただきまして都政を前に進めていただきたいと要望して、私の質問を終わります。
○西沢委員 私からは、今まで実行プランなどについて議論が及んでおりますが、その部分の発言は割愛をしつつ、重点政策方針についてお伺いしたいというように思います。
実行プランの話の中では、シーリングの対象外とするというような話がありまして、予算面でもしっかりとこの政策を推進していくというお話がございました。
この重点政策方針についても、次年度以降の積極的な政策展開を導く方針を示すものであると。これは去年もつくられたものだと思うんですけれども、非常に重要な政策の方針だというのは、名前からも見られるわけですが、東京都の中、都庁内部の方でどう活用されているのかということをお伺いしたいと思います。その位置づけについて、改めてお伺いいたします。
○宮澤計画部長 重点政策方針は、社会情勢の変化に的確に対応し、実行プランを着実に推進するため、特に重点的に取り組むべきテーマを明らかにし、全庁横断的に計画、予算、組織一体として政策展開すべき方向性をお示ししたものでございます。
現在、本方針に基づき、具体的な政策案について、政策企画局は、関係各局とともに新規政策の追加や既存政策の拡充等を検討するとともに、来年度予算編成を担う財政当局とも密接に連携するなど、政策の強化に向けた取り組みを進めているところでございます。
○西沢委員 今、財政当局とも密接に連携するというような答弁がありまして、いってみれば、予算のしっかりと裏づけのある政策、重要な、重点的な政策の方針を出すというようなことであると思います。つまり、ただのかけ声ではなくて、予算を伴った政策であると。国でいうと、財務省から、大蔵省から、国の方、官邸が主導してやる骨太の方針みたいな、そんなイメージを持つわけですね。極めて重要なものだというように感じるわけであります。
こうした方針の政策の策定の手法として、ボトムアップ型、トップダウン型というものがあると思うんですね。国の骨太の方針とかいうものは、今までの財務省から官邸主導ですよね。国の、総理大臣のトップダウンでこうだみたいなものをやっていくというところもあると思いますが、今回の重点政策方針については、同じようなことでいうのであれば、財務局から知事室が政策を一手に引き受けて、知事がトップダウンで方針をどかんと打ち出すというようなものなのか、それとも、これまでの副知事の依命通達でも始まった予算の取り組みの一つ、ボトムアップ型、各局から積み上げてやっていくもの。
ボトムアップ型、トップダウン型というものがあろうかと思いますが、本重点政策方針の策定に際してはどのような手法で策定したのか、お伺いいたします。
○宮澤計画部長 重点政策方針は、知事の指示のもと政策企画局が作成し、副知事、教育長、都技監、政策企画局長、総務局長、財務局長等から成る都庁マネジメント本部での議論を経て決定されたものでございます。
今回の重点政策方針は、人の持つ活力こそが全ての基礎になるとの考え方のもと、昨年度の人のライフステージに応じた考え方をさらに発展させ、人と人のつながりに着目して策定してございます。
○西沢委員 重点政策方針は、知事の指示のもとに政策企画局が作成したというような答弁がありました。もちろん、副知事、関係局長からの調整を経て決めましたよということでありますが、作成そのものは、知事と政策企画局でつくったということは大きなことなんじゃないかなと。つまり、新たなトップダウン型に近いような形の方針になるというように私は思いました。
だからこそ、予算の裏づけがあって、そして強いトップダウンで知事が進める政策というものは大きなものがある、一気に進むことになる、そういった重点政策方針であるということを確認させていただきました。
この中身についてですけれども、方針の考え方の着眼点としては、昨年度は人のライフステージで、今年度は人と人とのつながりということで、人に着目しているということは、私としては大いに評価をしたいというところでありますが、昨年のものと見比べてみると、同じようなものも結構あったりもするし、何となく言葉だけ変えているんじゃないかなと思われることもあったりもしますが、ここでちょっとはっきりさせたいのが、今年度において新たに位置づけた方針が何なのかについてお伺いいたします。
○宮澤計画部長 昨年度の重点政策方針については、人のライフステージに応じた政策を重点的に展開するという観点から、実行プランが目指す三つのシティーのうち、ダイバーシティーを中心に方針を策定いたしました。
一方、今回策定した重点政策方針では、昨年度の方針をさらに発展させ、人と人をつなぐことによる相乗効果としての東京の活力に着目し、三つのシティー、すなわちセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーに関連する方針を幅広く掲げたところでございます。
具体的には、大阪北部地震や西日本豪雨の教訓を踏まえた戦略1の、みんなでつくる強固な防災対応力を備えるまち、戦略2の、活気に満ち、人がふれあう魅力的なまち、戦略3の、次世代につなぐスマートで快適なまち、戦略4の、誰もが輝き、経済の成長を創出するまちなどを今回新たに位置づけたところでございます。
○西沢委員 新たに策定したものに限らず、前からのものでも実現していないものに関しては、やはり強力な政策として進めるということでよろしいのかと思いますし、特に防災に関しては、今定例会のテーマになりました。戦略の1のところにも掲げられたということですが、ここに書いてある液体ミルクの普及とか、なかなか進まなかったという話もありますが、東京都庁が意思を持ってやるということがこの重点政策方針ということであれば、しっかりとPDCAサイクルを回して進めていただきたいというようなことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○山内委員 私からも、重点政策方針二〇一八「Tokyo ともに創る、ともに育む」についてお伺いしていきたいと思います。
二〇一六年の十二月、長期ビジョンをベースに、都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランを策定、二〇一七年度から二〇二〇年度までの四年間の事業計画を示しました。
三つのシティー実現に向けて、セーフシティーには七つ、ダイバーシティーとスマートシティーにはそれぞれ八つの政策の柱を立て、政策目標を示した上で事業展開をしていく形になっています。
そして、この九月に出された事業実施状況レビュー結果は、政策の柱ごとに二〇一七年度の実績を明らかにし、目標達成に向けた今後の取り組みも示しています。実行プランに掲げた事業については、進捗状況がわかるようになっています。
ところで、二〇一七年七月には重点政策方針二〇一七を出し、八つの戦略を示しました。ことし七月には重点政策方針二〇一八を出して、昨年度とは違う八つの戦略を掲げています。
ことし一月に策定した実行プランの政策強化版においては、重点政策方針二〇一七で掲げた八つの戦略ごとに施策を取りまとめていますが、今後、これらの戦略ごとの成果についてどのように総括していくのか、お伺いいたします。
○宮澤計画部長 重点政策方針は、社会情勢の変化に的確に対応し、実行プランを着実に推進するため、特に重点的に取り組むべきテーマについて方向性を示したものであり、これに基づき政策を強化し、展開を図ってございます。
昨年度の重点政策方針で掲げた八つの戦略については、本年一月に策定した実行プランの政策の強化版において政策を取りまとめており、その政策の取り組みの成果は、来年度のレビューの中で進捗状況や課題を確認してまいります。
○山内委員 重点政策方針を変更するに当たっては、前の方針を総括した上で、新たな方針を策定することが必要と考えます。
今年度の重点政策方針は、人と人とのつながりに着目したとのことですが、今年度の重点政策方針について、昨年度の重点政策方針から、どのような考え方に基づいて今回の策定に至ったのか、お伺いいたします。
○宮澤計画部長 今回の重点政策方針二〇一八は、人のライフステージに応じた政策を展開するという昨年度の考え方をさらに発展させて、人と人とのつながりに焦点を当てて策定いたしました。
ここでは、人が交わり、協力し合うことで生まれる相乗効果が東京の大きな活力になるという考え方を基本としております。
今後、この方針のもと、実行プランの政策の強化版を策定し、さらなる政策展開を図ってまいります。
○山内委員 計画的に政策を進めていくための実行プランだから、目標達成に向けて、事業をチェックしながら進めていくのは当然だと思います。
重点政策方針は、横断的な取り組みとして、政策の柱とは違う視点で事業をカテゴライズしています。そこで二〇一七年と二〇一八年と重点政策方針が出されたことだと思いますが、方針を出すたびにこの作業を行うので、現場の事業は同じなのに、分類するための計画づくりの仕事ばかりがふえているように思えてならないんです。
横断的な取り組みとしては、縦割りによって、必要な行政サービスにつながらない人が出てくるといった課題を解決することが重要であり、年齢の違いや施設やニーズの違いなど、施策のすき間への対応を求めて、私の質問を終わります。
○菅野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十分休憩
午後二時五十五分開議
○菅野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより総務局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
遠藤総務局長は、療養のため、本日及びあすの委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
付託議案の審査を行います。
第百六十五号議案から第百六十九号議案までを一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際に要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○西山総務部長 九月十八日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は四点ございます。
一ページをごらんください。1、都内におけるマイナンバーカードの交付枚数率でございます。
平成三十年七月一日現在の交付枚数率を記載してございます。
二ページをごらんください。2、都の事業におけるマイナンバーの事故件数でございます。
平成二十七年度以降の都の事業におけるマイナンバーの事故件数を記載してございます。
三ページをごらんください。3、都においてマイナンバーを利用している事務一覧でございます。
都においてマイナンバーを利用している法定事務及び条例で規定している事務の一覧を記載してございます。
五ページをごらんください。4、申請により都民等の利用に供されることが想定される主な都の公の施設でございます。
施設所管局別、施設別に分類して記載してございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○菅野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
それでは、発言を願います。
○山田委員 私からは、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案について質問いたします。
我々、都民ファーストの会東京都議団は、いかなる種類の差別も許されないという観点から、性自認、性的指向、いわゆるヘイトスピーチの問題、その他の人権課題の当事者、専門家等から、さまざまなご意見を伺ってまいりました。
東京都人権施策推進指針の十七項目に限らず、社会の無数の人権課題の一つ一つに、さまざまな見方があることを改めて認識いたしました。
また、ある当事者の方からは、非常にデリケートな問題もあり、公の場でみずから語ることは困難だけれども、当事者の声を都民の代表である都議会議員がしっかりと受けとめた上で議論してほしい、そういったお話もいただいております。
そういった方々のお声を踏まえ、この条例を歓迎する一方で、何点か確認させていただきたいと思います。
東京都ではこれまでも、東京都人権施策推進指針に基づき、差別解消に向けたさまざまな取り組みを行ってきました。平成二十七年八月に十五年ぶりに改定された指針においては、女性、子供、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者など、犯罪被害者やその家族、インターネットによる人権侵害、北朝鮮による拉致問題、災害に伴う人権問題、ハラスメント、性同一性障害者、性的指向、路上生活者、そして、さまざまな人権課題として、刑を終えて出所した人、個人情報の流出やプライバシー侵害、親子関係・国籍、人身取引などの、いわゆる指針十七項目を解消すべき人権課題として位置づけました。
本条例案においては、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民に一層浸透した都市東京をつくるのだという決意が語られ、その取り組みを推進することが都の責務であるというふうに明記されております。
そして、先日の我々の代表質問で、知事から、指針、これらの十七項目の人権課題も、この条例で、いかなる種類の差別に含まれるという趣旨のご答弁がありました。
つまり、この条例案は、指針十七項目を含め、いかなる種類の差別も許されず、その取り組みを推進することが都の責務であると規定しています。そこで、本条例案の第二条において、都は、人権尊重の理念を東京の隅々にまで浸透させ、多様性を尊重する都市をつくり上げていくため、必要な取り組みを推進するものとすると規定しています。
そこで、いかなる種類の差別も許されないという観点から、第二条で推進していく必要な取り組みとはどのような取り組みなのか、伺います。
○仁田山人権部長 都はこれまで、ヒューマンライツ・フェスタ東京や人権週間行事などといった啓発イベント、あるいは映画館のスクリーンや大型デジタルサイネージによる啓発映像の放映、人権プラザでの展示事務等、多様な広報手段を活用いたしまして啓発活動に努めてきました。
本条例の制定を契機に、さまざまな人権課題について啓発等の施策を総合的に実施していくことを改めてお示しいたしました。
今後、これまでの取り組みをさらに充実させるとともに、相談機能の充実を図りながら、国や区市町村、都民、事業者と協力し、さまざまな人権課題への取り組みを積極的に推進し、人権尊重の理念を広く浸透させてまいります。
○山田委員 ありがとうございます。さまざまな人権課題に関して、これまでの取り組みを一層積極的に強化していただきたいと思います。
さて、いかなる種類の差別も許されない都市東京を目指すに当たっては、一つずつの差別解消への取り組みが相乗効果をなして、単体で取り組むよりも一層の差別解消を図ることができるのであれば、大変望ましいことです。
二〇一五年の人権指針の改定では、七項目が新たに追加されましたので、その前後を振り返ることで、今般の条例制定後の取り組みに生かせるのではないかと考えます。
そこで伺います。平成二十七年の人権指針改定の前後の取り組みを振り返るとともに、それを踏まえて、今後どのような変化を生み出していきたいと考えているのか、都の見解を伺います。
○仁田山人権部長 平成二十七年八月に改定いたしました東京都人権施策推進指針では、国内外の人権をめぐる動向、人権課題の多様化を踏まえ、取り組むべき新たな人権課題を追加いたしまして、それぞれの課題ごとの施策の方向性を示したものでございます。
改正後の指針に基づき、これまでも、十七の人権課題につきまして総合的に人権啓発を進めてまいりました。
今般、東京二〇二〇大会の開催を間近に控え、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念実現に向けまして、決意をできるだけ早く都として示しまして、さまざまな人権課題への対応をしていくということが必要であると考えました。
条例制定を契機に、さまざまな人権課題について啓発等の施策を総合的に実施していくことを改めて示し、さらに、ホストシティーとして、性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消及び啓発等の推進と、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消にさらに積極的に取り組むことといたしました。
都民、事業者の皆様と協力しながら、さまざまな人権課題への取り組みを積極的に推進し、人権尊重の理念を広く都民の皆様に浸透させていきたいと考えております。
○山田委員 ありがとうございます。東京二〇二〇大会を好機と捉えて、あらゆる角度から人権尊重の理念を浸透させる取り組みを推進していただきますよう、お願いいたします。
では、なぜ、今回、指針に加えて、改めて条例を制定する必要があるのでしょうか。
指針は、東京都における今後の人権施策の基本理念や施策の展開に当たっての基本的な考え方を示したものというふうに理解しています。つまり、都庁が作成した指針について、議会での審議はあっても、議決までは必要なものではないというふうに理解しています。
ですが、私、条例は違うというふうな理解です。条例は、都庁が作成したものであっても、都民の代表である議会の議決がなければ成立はいたしません。
その意味で、今回、条例が制定されることで、指針が存在するだけの状況よりも、東京都、そして都議会も含めた差別撤廃への強い意思が示されることになるというふうに考えております。
例えば、東京都男女平等参画基本条例十四条では、セクハラの禁止条項が設けられております。セクハラは許されないというのは、条例に規定するまでもなく、当然のことですが、第二回定例会の我々の代表質問でも指摘しましたとおり、都議会では、セクハラの発言や時代錯誤の女性蔑視の言動が存在しないことを改めて強く望むところです。
このセクハラの禁止に関しても、条例に改めて規定してあることによって、東京都のセクハラに対する姿勢を強く示すことにつながり、関連施策が一層前に進むことになります。
この例からも明らかなとおり、人権指針よりも一歩踏み込んで条例を制定することの意義は大きいというふうに考えております。
さて、社会の変化に伴い、新たな人権課題が顕在化することもあり、その都度、必要な対応を定めていく、進めていく必要があります。特に、東京都は東京二〇二〇大会のホストシティーです。
先ほどの人権指針の見直しを行ったときの平成二十七年第二回定例会において、今後は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを切り口にした人権啓発を進めることを求めるというふうな意見も出ておりました。
二〇一四年のソチの冬季オリンピックにおいては、ロシアの性的マイノリティーに対する扱いへの反対を表明するアメリカやドイツ、フランスの首脳が開会式をボイコットした事件が起き、その直後に、性的指向に基づく差別の禁止が五輪憲章に加えられました。
性自認、性的指向を理由とする差別については、いまだ国の法整備も行われておらず、都が率先して取り組むことは、ホストシティーとしての責任を果たす上で大変意義深いというふうに考えております。
また、オリンピックに限らず、世界的なスポーツの大会において、人種を理由とする差別的言動が繰り返されています。
法務省が委託した調査研究の報告であるヘイトスピーチに関する実態調査報告書においては、ヘイトスピーチ等を伴うデモなどを行っていると報道等で指摘されている団体が二〇一二年四月から二〇一五年九月までの間に実施したデモ等の発生件数は、都内では合計四百四十件であるとされております。同調査で、大阪府が百六十四件、愛知県が百件だったことと比べても、突出した件数となっています。二〇一六年六月、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行されましたが、このような都の実情に応じた施策が求められています。
世界的なスポーツ大会である来年のラグビーワールドカップ、そして、二年後に迫った東京二〇二〇大会までに、このような世界の潮流を捉えた人権施策を推進することは、ホストシティーとしての都の責務です。
では、次に、第二章、多様な性の理解促進について伺います。
まず、都の条例案の第三条では、性自認、性的指向に関する啓発等の推進を図るものとされていますが、具体的に、どのような場面でどのようなことを行うことを考えているのか、伺います。
○仁田山人権部長 LGBT当事者の方々は、教育、就労など社会のさまざまな場面で困難等に直面していると聞いております。
今般提出いたしました条例案において、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消及び啓発等を推進するとともに、都は、基本計画を策定し、必要な取り組みを推進することを規定しております。
条例制定を契機に、ヒューマンライツ・フェスタ東京などの啓発イベント、リーフレットやインターネットの活用など、あらゆる機会を捉えて、工夫を凝らし啓発を行い、理解の促進を図ってまいります。
○山田委員 ありがとうございます。ぜひ多くの場面で工夫を凝らした啓発を進めていただきたいと思います。
次に、第四条には、都、都民、事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならないと規定されています。では、ここの不当な差別的取り扱いとはいかなるものかという点について伺います。
例えば、個人間で無意識に発した言葉に大きく傷つく人もいれば、そうでない人もいます。一つの言葉や行動が差別に当たるのかどうかは、TPOによって判断が異なるものであり、一つ一つの事例を積み重ねることが適切な啓発につながるものと考えます。
そこで大切なのが相談窓口です。その重要性は、我が会派の所属議員の一般質問でも、以前、指摘させていただきました。
五月に本条例の概要が発表された際には、都がLGBT等の方々の一元的な相談窓口を新設し、全庁横串であらゆる悩みに適切に対応という言葉がありましたが、本条例は、相談窓口については明記はされておりません。
ワンストップで気軽に相談でき、その解決への道しるべとなる相談窓口が当事者にとって不可欠であることは論をまちませんが、当事者ではない人にとっても、自分の置かれている現状への正しい対応がわからないときなどに気軽に相談できる相手がいることは重要です。
本委員会において再三指摘されていることですが、性自認、性的指向を理由とする差別の実態や困り事は見えにくく、顕在化している課題は氷山の一角でしかないという見方もあります。相談窓口の設置により、これまで以上に相談が寄せられ、差別の実態や困り事がより一層見えてくる可能性もあります。
ただし、相談することがカミングアウトを前提としたものになっていないかという点は重要です。カミングアウトをする幸せもあれば、しない幸せもあります。悩み相談自体が当事者のストレスにならないよう、配慮が必要であると考えます。
そこで伺います。相談窓口の設置に関して、相談者への配慮、解決への道しるべ提示という点に触れつつ、進捗状況を教えてください。
○仁田山人権部長 LGBT等の方々の困り事はさまざまでございまして、声を上げられない当事者の声をどう聞くか、また、意図しないカミングアウトを当事者にさせないようにするなど、最大限の配慮を行うことが必要でございます。
相談に当たりましては、しっかりと当事者の悩みを聞き、寄り添うことが何よりも大切であり、また、相談内容は多種多様であることから、相談窓口を新たに設置して、相談窓口に寄せられた相談を人権部に集約し、そこから各局と共有することで、各現場において適切な対応につなげてまいります。
なお、相談窓口につきましても、一日でも早い開設に向けて準備を進めているところでございます。
○山田委員 ありがとうございます。ぜひ一日も早い相談窓口の開設へ向けて、引き続き努力を進めていただきたいと思います。
さて、性自認、性的指向に関する差別に関する論点としては、職場、住居、教育を初め多岐にわたりますが、さきに述べましたとおり、いまだ国の法整備も行われておりません。都が率先して課題解決を行うためには、条例という形で東京都の意思を強く示すことに加えて、多岐にわたる課題に対して、きめ細やかな施策が求められます。それには、条例よりも、より柔軟な対応が可能な基本計画で行っていくことが適切であるというふうに考えております。
条例案の五条では、性自認、性的指向に基づく差別解消等のために基本計画を定めると規定していますが、今後、どのようなスケジュールで、どのようなプロセスを経て進めるのか、伺います。
○仁田山人権部長 基本計画は、条例に規定していますとおり、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るために作成することとしております。
策定に当たりましては、条例制定後、全庁横断会議を設置しまして条例の趣旨を庁内で共有し、相談窓口で当事者から寄せられる声、都民等や区市町村の意見、都議会でのご議論も踏まえ、各施策現場における課題を抽出いたしまして、具体的な施策を東京二〇二〇大会までに進めていくことができるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。
○山田委員 ありがとうございます。ぜひスピード感を持って、引き続き取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
続きまして、第三章、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進について伺います。
まず、第九条二号、表現活動についてお伺いします。
ヘイトスピーチというと、デモ行進やSNSでの投稿を想像する人が多いのかもしれませんが、それだけではなく、落書きやビラの頒布なども含まれるというふうに理解しております。
ひとえに表現活動といっても、さまざまな形態があり、ヘイトスピーチを行った者の特定が難しくとも、その行為自体が不当な差別的言動に該当する可能性があるんだと啓発していくことが重要です。
一方で、表現の自由やプライバシーの保護という観点から、どこまでの内容を公表するかという点では慎重を期するべきです。一部では、第十二条にある表現活動の概要等の公表が個人を特定するものであり、表現活動を萎縮させるのではないかというような指摘もあります。
第十二条のこの概要等について、この指摘を踏まえて、その目的について伺います。
○仁田山人権部長 条例案第十二条の規定は、個人名を特定すること自体が目的ではなく、概要等の公表によりヘイトスピーチの実態を広く都民に伝え、あくまでヘイトスピーチは許されない旨、啓発していくための仕組みの一つとしているものでございます。
○山田委員 ありがとうございます。ヘイトスピーチの規制の実効性確保の観点に加えて、表現の自由であったり、プライバシーの保護、そういった観点にも留意した運用をぜひ進めていただきたいというふうにお願いいたします。
次に、第十一条の公の施設の利用制限についての基準について伺います。
この基準は、表現の自由との関係で、萎縮的な効果を与えてはなりません。他方で、ヘイトスピーチ規制の実効性を確保できる内容にもならなければならないところです。
今後、どのようにこの公の施設の利用制限の基準を定めていくのか、見解を伺います。
○仁田山人権部長 公の施設の利用制限に関する基準の策定に当たりましては、施設利用の観点から、集会の自由など基本的人権の制限とも密接にかかわることから、学識経験者等からの意見も伺いながら慎重に検討してまいります。
○山田委員 ありがとうございます。川崎市のガイドラインのような、いわゆる言動要件かつ迷惑要件といったように双方の要件を求めるのではなくて、京都府のガイドラインのような、言動要件または管理運営上の支障要件のどちらかだけを求める規定が、実効性を確保する観点からは有効ではないかというふうな指摘もあるところですので、今後、専門家の意見も踏まえて、しっかりご検討いただきたいというふうに思います。
次に、条例案の第十二条、公表することにより第八条の趣旨を阻害すると認められるとき及びその他特別の理由があると認められるときについて質問します。
およそ差別の問題については、民族に限らず、その出自や被害に遭ったことを明らかにされることによって、二次的な被害、差別を受けるおそれがあります。このことについては十分な配慮を払わなければなりません。他方、差別を行う者を放置しておくこともできません。
これらを勘案しまして、条例案の第十二条のこの公表をしない場合について、どのような手続で、また、どのような場合が想定できるのか、伺います。また、公表する場合も、公表の仕方について配慮が必要であると考えますが、見解を伺います。
○仁田山人権部長 条例案第十二条第一項ただし書きの適用につきましては、公表することによって、ヘイトスピーチの対象となった方々に改めて被害を及ぼすことにならないかを慎重に検討して、公表の可否を検討してまいります。
また、第十三条第三項の規定により、公表を行おうとするときは、あらかじめ審査会の意見を聞くことになっていることから、具体的な公表の方法等につきましても、ヘイトスピーチの対象となった方々の人権に配慮しつつ、審査会の意見を踏まえ、ヘイトスピーチは許されないことを啓発していくために、工夫して公表してまいります。
○山田委員 ありがとうございます。二次的被害の配慮も行いながらの運用をお願いいたします。
次に、条例案第十五条の審査会についてお伺いします。
大阪市の例では、五人の委員による審査で、平成二十八年度から二十九年度に繰り越された二十六件のうち、同年度中に結論が出されたのは九件であり、十七件は一年以上かかっても結論が出ていません。
都において、実際の状況を踏まえて検討する必要が今後ありますが、大阪市の結果を踏まえると、五人の委員では少な過ぎる可能性もあるところです。
審査会については、人員確保を含めて、機動性を有する体制を確保すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○仁田山人権部長 今回提案いたしました条例案では、ヘイトスピーチの解消を図るため、具体的には、公の施設の利用制限に関する基準の策定とともに、事後の拡散を防ぐ取り組み及び事案の概要等の公表など事後の措置をあわせて規定しつつ、表現の自由にも配慮するための仕組みとして審査会を設置することといたしました。
審査会におけるヘイトスピーチの調査審議につきましては、事案の緊急性等も考慮し、開催頻度や開催方法を工夫していくなど、運用開始後の状況も踏まえつつ、臨機応変に対応してまいります。
○山田委員 ありがとうございます。運用開始後、随時、適切な体制の確保に努めていただきたいと思います。
さて、最後になりますけれども、少し長目になりますが、本条例案の策定に向けたプロセスについて考えを述べさせていただきます。
先日の代表質問において、本条例案策定のプロセスに関して、昨年十二月に条例案策定を指示、本年五月に概要を発表、六月に議会での審議とパブリックコメントを実施、区市町村との協議や有識者ヒアリングを実施したものであり、プロセスに瑕疵はない旨の答弁がありました。
つまり、この条例案の制定過程においては、大学教授であったり、弁護士、NPO法人など、既にさまざまな有識者の意見が聴取されてきたものと理解しております。
そして、我々、都民の代表である都議会議員の意見を求めるプロセスとして、前回の定例会において条例案の概要が示され、それに基づく質疑が行われました。我々、都民ファーストの会東京都議団の議員を含め総務委員会の委員の先生方は、六月の審議に際して、議員の職責として、事前にさまざまな都民の声を聞いた上で審議に臨まれたものというふうに理解しております。
先ほど述べましたとおり、ある当事者の方からは、非常にデリケートな問題もあり、公の場でみずから語ることは困難だけれども、ぜひ当事者の声を都民の代表である都議会議員がしっかりと受けとめて議論してほしいとのお話もいただいておりましたところです。
さて、私の方で、今回の条例案と、六月の総務委員会で審議対象になりました条例の概要案、それを改めて比較検証いたしました。条例案自体はこの九月に、そして、条例案の概要は、六月四日付で総務局のウエブサイトで公表されているものです。
私の方で比較しましたところ、条例案の四条、十条、そして、審査会の委員の人数などの運営について規定する十五、十六、十七条などの内容を除きまして、今回の条例案の内容は、六月の条例案概要で示された内容と実質的に同じものというふうに理解しています。
もちろん、条例にする特有の、例えば条文の定義づけをするであるとか、文章の形にするであるとか、そういったような修正はありますが、今回示された条例案の本質的な部分については、六月の総務委員会において既に審議された概要と実質的に同じです。
場合によっては、企業と連携したキャンペーンや相談窓口のことであったり、公の施設の利用制限のガイドラインの言及など、概要の方が踏み込んだ記載があります。
つまり、繰り返しになりますけれども、この条例案の本質的な部分については、都民の代表が集まる都議会のこの総務委員会において、六月、そして今と、二回の審議が行われることになっている。その事実を改めて述べさせていただきます。
そして、これまで述べましたとおり、本条例案の検討の過程においては、多様な都民の意見を反映させるためのさまざまなプロセスが行われてきたものというふうに理解しております。
先ほども述べましたけれども、ラグビーワールドカップは来年です。そして、東京二〇二〇大会までは残り二年を切っています。条例や基本計画が策定されれば、都民の意識が直ちに変わるわけではありません。普及啓発であったり、都民の意識改革、具体的施策の進展には時間が必要です。東京都がホストシティーとしての責任を果たしていくためには、もはや成立の時期が不明確な国の動きを待つべきではありません。
先ほど述べたとおり、私たちは、この条例の検討過程において、多くの都民の方々と意見交換をしてまいりました。この条例が制定されることで、これまで光が当てられてこなかった人権課題への取り組みが前へ進むのだと心待ちにしている都民が多くいます。
異なる立場の相手を理解して多様性を尊重する東京、そして、いかなる種類の差別も許されない東京を実現する、そのためにも、我々は、この条例を前に進めるべきと考えております。
私からは以上です。
○谷村委員 それでは、私からも、この東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案について質問を行わせていただきます。
まず初めに、この人権条例を制定する意義について確認をさせてもらいたいと思います。
人権尊重に関するものは、例えば、一九四五年に定められました国連憲章あるいは一九四六年に公布されました日本国憲法第三章、第十条から第四十条、そして、一九四八年に採択されました国連の世界人権宣言というふうな、この人権条例というもとになるものが数多くあるわけですけれども、その中で、このたびの人権条例案の名称をオリンピック憲章にうたわれる人権尊重と、なぜこのように冠をつけられて条例案としてまとめられたのか、お伺いをいたします。
○仁田山人権部長 東京二〇二〇大会を間近に控えまして、ホストシティーである東京都は、オリンピック憲章を当然に遵守しなければならず、憲章にうたわれている人権尊重の理念を実現することが不可欠であることから、今般、人権尊重のための理念の実現を目指す条例を策定することといたしました。
都は、これまでの人権施策推進指針に基づいて人権尊重のための取り組みを実施してまいりましたが、東京二〇二〇大会を契機といたしまして、人権尊重の理念の実現のために、啓発、教育等の人権施策を総合的に推進してまいります。
○谷村委員 この人権条例の制定を推進している私どもの立場から、なぜこの時期に条例制定をするのか、そして、なぜオリンピック憲章にうたわれる人権尊重というのかということについて、少し意見を述べさせていただきたいと思いますが、東京都人権啓発センターが「TOKYO人権」というものを出しておりますけども、その第七十一号に、当時の首都大学東京の特任教授をされております舛本直文さんという方のインタビュー記事を載せられております。
先ほどの質疑にも少し出ましたけれども、二〇一四年のソチ冬季大会では、開催国のロシアにおける性的少数者に対する差別が問題となりましたが、IOCは、二〇一四年末にオリンピズムの根本原則を改定し、第六項に性的指向による差別禁止を加えました、単に性的指向の単語を追加するのではなく、第六項全文が世界人権宣言の条文に近い文章になった点で、IOCが人権尊重という課題に力を入れているということがうかがえます、このように書いてあります。
世界人権宣言、あえてそれが、オリンピック憲章が世界人権宣言に近づいたという表現になるのはどういうことかといいますと、日本国憲法では、婚姻というのが、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の云々という、この両性という表現が極めて曖昧で、これは、法律の研究家、あるいは他の法制によって認められないのではないかというふうにも読めるし、賛否が分かれる点があります。
しかし、世界人権宣言においては、成年の男女は、人種、国籍または宗教によるいかなる制限も受けることなく、婚姻し、かつ家庭をつくる権利を有する、成年の男女は、婚姻中及びその解消に際し、婚姻に関し平等の権利を有すると。婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意によってのみ成立すると、こうはっきり--LGBTの方々の婚姻というものを他国では既に認めている国の数は五十カ国を超えていると伺っておりますけれども、日本国憲法ではどう解釈するかという議論がまだ残り、他の法令でも残る点がありますけれども、この世界人権宣言に近づくような形で、今回、オリンピック憲章が変更された。
しかも、二〇一四年にソチ大会で起こった問題をすぐ解決するために、その年内中にこの条項を改定したという、このIOCのスピード感というものには大変な敬意を表するわけであります。
そして、このオリンピックの人権問題としては、人種差別の問題もありましたけれども、それとは別に、女性の参加と、この性的少数者の問題が挙げられると舛本先生はおっしゃっております。
一八九六年の第一回アテネ大会では、女性は参加できませんでした、まだ女性の権利が十分に保障されていない時代だったこともあり、クーベルタン自身も、女性の参加には反対していましたとおっしゃっております。ちょっと驚きではありますけれども。
その四年後の一九〇〇年の第二回パリ大会からは女性も参加するようになった、ところが、一九六四年の東京大会で、男性のような体格をした女子選手が陸上競技でメダルを獲得したことで、性別を疑う議論が起こりました、その結果、その次の一九六八年のメキシコ大会から、女性だけ性別検査が始まりましたと。
女性であるかどうかということを、女性だけ--男性が男性であるかという、こういう検査はないわけですけど、女性に対してだけ、いわゆる女子の競技に出場する選手に対してだけ、あなたは女性ですかという、そういう検査を始めて、実に三十年間、これが続けられたわけであります。女性にだけ求められた、この性別検査というものが、女性の人権侵害に当たると多くの抗議がされて、三十年後、一九九九年にようやく中止をされたという、そういう歴史を持っております。
ですので、さまざまな差別の問題にぶつかるたびに、ちょっとこの女性の問題は三十年もかかっておりますけれども、敏感にオリンピック憲章では対応をしてきているということも踏まえ、現状では、人権の問題、課題として最新の取り組みをしているのがこのオリンピック憲章であるということも踏まえて、私は、人権の条例の名称にオリンピック憲章にうたわれるというふうな冠をつけたものだと理解をさせていただいているわけであります。
次に、人権施策推進指針の取り組みについて確認をさせていただきたいと思います。
本条例案の前文にも触れてありますけれども、人権施策推進指針の取り組みの中に、重点プロジェクトとして人権尊重都市東京を内外に発信とあります。そして、その人権推進指針が、この条例案の前文にもきちんと位置づけられております。
本条例の制定と、そして、これまで取り組まれてきた人権施策推進指針が明確にリンクされたものと私は思いますが、見解を求めたいと思います。
○仁田山人権部長 平成二十七年八月に策定いたしました人権施策推進指針は、国内外の人権をめぐる動向、人権課題の多様化などを踏まえまして、取り組むべき人権課題を新たに追加いたしまして、それぞれの課題ごとの施策の方向性を示したものでございます。
指針の取り組みの、今、お話がありました重点プロジェクトでは、人権尊重都市東京の内外への発信を掲げておりまして、これまでホームページの活用や英語版リーフレットの活用などに努めてまいりました。
本条例前文では、人権が尊重された都市であることを世界に向けて発信とうたっており、条例制定を契機といたしまして、今後さらに、都の姿勢を発信すべく積極的に取り組んでまいります。
○谷村委員 二〇一五年八月に定められました人権施策推進指針ですけれども、今、お話がありましたように、その指針の中の重点プロジェクトとして、オリンピック開催に向け、人権尊重都市東京を内外に向けて発信をすると。そこで、その文面の中に、効果的なアピール手法を研究し、東京は人権が尊重された都市であることを国内外に向けて発信すると、こう記されているわけであります。
国内外に向けて発信をするために、このたび条例を制定する。この条例制定そのものが--中身も大事ですけれども、人権尊重都市東京であるということを大きく発信するには、この時期にしなければ間に合わないですし、その内容についても、きちんと多くの関係者の方からの意見も聴取されながら、この条例案文をつくられたものと理解いたしておりますが、私は、これまでの東京都の人権施策の取り組みにつきまして、手放しで評価をするつもりは毛頭ありません。
私の二期目の最終年、二〇〇一年が初当選ですので、二〇〇八年というのは二期目の最後の年でした。十二月十日に、本会議で一般質問に立たせていただきました。この十二月十日というのは、くしくも世界人権宣言が採択された日、一九四八年十二月十日。私がこの一般質問に立たせていただいたのが二〇〇八年十二月十日ですので、ちょうど採択されて六十年の日に一般質問で取り上げさせていただきました。
何を取り上げさせていただいたかといいますと、当時は、多文化共生というものが、どうこの世界都市東京に受け入れられていくのかということを位置づけていくべきだと申し上げたわけですけれども、このたびできている二〇一五年八月の前にできておりました人権施策推進指針というのがもう一個あったわけです。これは二〇〇〇年十一月に定められているものですけれども、その指針では、人権の考え方というのは、いろいろな状況、社会というのは変わっていくので、五年置きに見直しをしますというふうに、二〇〇〇年十一月の人権施策推進指針には明確に書かれているわけです。にもかかわらず、二〇〇八年の段階で、五年がたって三年たっているけど、見直しがされていませんねと。
これは、その人権、多様な人権は、どんどん変わっていきます。当時は、繰り返しになりますが、多文化共生というものをどう進めていくか、どう受け入れていくか、どうその問題を乗り越えていくかという取り組みをしていたわけですので、八年たっても見直しをしていないではないかという指摘をさせていただきました。
当時の総務局長は中田総務局長ですけれども、指針は、二十一世紀を展望し、東京における多様化、複雑化する人権問題の状況等を考慮し、平成十二年、二〇〇〇年に作成したものであります、国際化時代にふさわしく、都民が多様な文化を受け入れ、理解し合えるよう、指針における具体的な取り組みにつきまして見直しの検討を進めてまいりますとおっしゃったのが二〇〇八年十二月十日の答弁なんですけれども、それ以降、見直しがなされることはありませんでした。
繰り返しになりますけども、見直しがされたのは二〇一五年八月。こういう人権施策推進指針一つのあり方をとっても、私は、もっと都政に人権という課題をど真ん中に置いていかなければならないということをずっと訴えさせていただいたわけですけれども、今の皆様を責めているわけではありません。これは、当時の石原都政あるいは猪瀬都政の間では、どんなに主張しても見直されることがなかったわけでありまして、私は人権政治家だというふうにご本人がおっしゃっておりました舛添要一都知事が誕生して、そして、私ども公明党はこういう主張をしておりますというやりとりの中で、約一年後になって、この新しい人権施策推進指針というものに改定をされたわけであります。
その二〇一五年八月段階での状況といった人権課題というものを十七課題にわたってされているのがこの人権施策推進指針でありまして、今後も、この人権施策推進指針に基づいた取り組み、あるいはその不備、後でも申し上げますけれども、これについては注視をして取り組ませていただきたいと思いますが、時の知事によって、取り組みの強弱がはっきりと変わっております。
ハンセン病患者の問題も、先ほど山田委員からお話がありましたけれども、私からの要請に応えていただき、昨年の四月一日、小池知事が、国立ハンセン病療養所の一つ、これは都内で唯一のハンセン病療養所ですけれども、多磨全生園を知事としては五十八年ぶりに訪問されました。そして、元患者の方々にもお会いいただき、励ましてくださいました。
これ、国立と今いっているんですけど、できたときは東京府立だった。東京に責任はないという、その論調がずっと続いていたわけですけれども、舛添知事も行くとはおっしゃったんですけど、途中で挫折されましたので行っていただけなかったわけですけれども、小池知事の場合、三月一日に本会議で申し上げて、行きますといわれて、四月一日には行っていただきました。
入所者自治会の皆様からは長年のご要望でしたので、都知事が私たちを激励に来てくださったということで、本当に画期的なことでありました。
そして、ことしの二月三日になりますけれども、ハンセン病問題に関するシンポジウム、人権フォーラム二〇一八in東京が開催をされました。このハンセン病の問題で、都が、また都内でシンポジウムが開催されたのは、このときが初めてのことであります。
このシンポジウムにも小池都知事が出席をされ、そして、その年の八月に、副大臣に就任直後にすぐに全生園を訪問していただきました高木美智代厚生労働副大臣、このお二人も出席をして、このシンポジウムにおいて、多くの問題点というものを掲げ、問いかけをされたわけであります。
日本国憲法第十二条には、この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならないと。この不断の努力というものが大事なのであります。
その意味で、今回のこの条例案、どういうふうに定めておられるのかということが大変重要になるわけであります。不断の努力をしなければ、人権というのは、すぐにでもじゅうりんをされるし、差別というのは、さっと行われるという、その緊張感を持ってしていかなければならないのが、この人権尊重の取り組みであります。
少しでもそういったものが出るようであれば、直ちに直す、是正する、クレームをつける、そういう取り組みをされている方々も、きょう、傍聴にお見えになっているのかもしれませんけれども、それでは、条例案の内容について質問をさせていただきます。
まず、第一章、第一条では、啓発、教育等の施策を総合的に実施、第二条では、多様性を尊重する都市をつくり上げると踏み込んでいますけれども、具体的には何をされるのでしょうか。多様性を尊重する都市をつくり上げるとまで、この条例は書いてありますので、この具体的な中身についてお尋ねいたします。
○仁田山人権部長 都はこれまでも、ヒューマンライツ・フェスタ東京や人権週間行事等といった啓発イベント、時宜を捉えた啓発映像の放映、それから、人権プラザでの展示事業、啓発冊子の作成など、多様な広報手段を活用いたしまして啓発等に努めてまいりました。
本条例では、さまざまな人権課題につきまして、啓発等の施策を総合的に実施していくことを改めて示しました。
今後、条例制定を契機に、これまでの取り組みをさらに充実させるとともに、国や区市町村、都民、事業者と協力し、庁内においても各局事業と密接に連携を図りながら人権への取り組みを積極的に推進することで、人権尊重の理念を広く浸透させ、多様性を尊重する都市をつくり上げてまいります。
○谷村委員 次に、第二章に入ってまいりますが、第四条には、都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない、このようにあります。
ここでいう不当な差別的取り扱いとはどのようなことを指しているのか、お尋ねをいたします。
○仁田山人権部長 LGBT当事者の方々は、教育、就労など社会のさまざまな場面で困難等に直面していると聞いております。中には、性自認や性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いを受けている場合もあるものと認識してございます。
具体的には、合理的な理由がないにもかかわらず、当事者であることのみを理由に、昇任、昇格に関して不利に扱われたりするなどについて聞いているところでございます。
○谷村委員 ただいまのご答弁は、一般社会的な不当な差別のことを指されてご答弁をいただいたんだと思いますけれども、都庁においても、この不当な差別的な取り扱いがあってはならず、都が行っているさまざまな施策を点検すること、例えば都営住宅の入居基準、募集資格等や、また、現在、三つの区で制定しているといわれておりますパートナーシップ条例、これに対して東京都はどう対応するのか。
そして、男女別を前提とした仕組みになっているさまざまな都の施策、制度の見直し、あるいは変更などについて、さまざまな角度から制度の見直しというものを図るべきだと思いますが、見解をお伺いします。
○仁田山人権部長 今般提出いたしました条例案におきまして、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消及び啓発等を推進するとともに、都は基本計画を策定することとしております。
基本計画に盛り込むべき具体的な施策につきましては、条例制定後、全庁横断会議を設置して条例の趣旨を共有し、相談窓口で当事者から寄せられた声、都民等や区市町村の意見、都議会でのご議論も踏まえ、都庁各局の施策現場においてどのような配慮が必要かなどを個別具体的に検証しながら、必要な取り組みを積極的に実施してまいります。
○谷村委員 今、お話のありました相談窓口、いろんなお話の中で、相談窓口で当事者から寄せられた声、これは最も大事にしていただきたいと思います。
かつて、色覚障害を持っていらっしゃる方の都政における不便さを解消するために、色覚バリアフリーというものに取り組ませていただきました。
例えば、オレンジ色と緑色が並ぶと違いがわからない、赤と黒が並ぶと違いがわからないという、さまざまなタイプがあるわけですけれども、よく電光掲示板になると、緊急あるいは重要事項になると、黒字に赤文字になる。そうなると、それが見えなくなってしまう。普通に見ていれば理解できないけれども、その人たちからのそれぞれの事情を伺うと、そういうことなんですねということがいっぱいあるわけです。
そのほかに、都に絡むことで何かありますかといったら、都庁に行くと、その局に行くには赤色のエレベーターに乗ってください、青色のエレベーターに乗ってくださいと張ってあるんだけど、何色かわからない。これはそんなに予算はかからなかったので、赤色の印に赤と平仮名で入れていただいて、色名が入っているということで、その方たちはそういう指定でも行けるようになったとか、あるいは地下鉄路線図が十三の色で路線が分けられていたわけですけども、これがわかりにくいということで、その路線にそれぞれ記号で、丸ノ内線だったらM、新宿線だったらSとか、千代田線であればCとか、そういうものをつけていただいて、さらに、始発駅からターミナルまでナンバリングを入れていただいて、これが今、色覚バリアフリーだけではなく外国人バリアフリーに、地下鉄だけではなく、JR、私鉄等も含めて、そういったものが展開されるようになったわけですけれども、LGBTの方々のさまざまな見直しをしてほしい、こういう課題があるということについては、そういう目線に立ってみないとわからないこと、理解できないことというのはたくさんあると思います。
ですので、相談窓口に来られた方、先ほど、カミングアウトしないと来れないじゃないかというお話もあります。ですので、窓口に来られた方のことを最優先して聞いていただくのはもちろんのこと、さまざまな機会を通じてこうしたお声を聞いて反映していくこと、変えていくことが最も重要であると思いますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。
続きまして、第五条には都の責務が記されております。
総務局には四月一日から、このLGBTの方々への配慮をするために--配慮というのは、制度的にどうあるべきか、そのお声を生かしていく、あるいはご不便はないかという、そういう対応をするために専門の担当者を配置はされておりますけれども、東京都の組織図を見ると、そういう人が配置されていたんですかということが、聞かなければわからないような状況になっております。
その方はその方で、一生懸命頑張ってくださっているわけですけれども、これから力強くLGBTの方々への支援をしていくためには、都としての強力な体制をしくべきであると思います。この総務局内が一番妥当だと思いますが、LGBTの方々の皆さんを支援する、そういう都の専管組織を設置するべきだと。
これは、この段階ではお答えできないということはよく理解できますので、強く主張をさせていただいておきますので、よろしくお願いします。そういう局の編成というのは人事部とかになるのでしょうか。次長、よろしくご検討をお願いいたします。
次に、さらに加えて、都の責務に関連して、プライドハウスというものが、近年、オリンピック・パラリンピック、国際スポーツ大会等で取り組みがスタートしております。セクシュアリティーを問わず、あらゆる人が安心して過ごせる場所というものを提供していく。オリンピック・パラリンピックあるいはスポーツの国際競技大会、そこにプライドハウスというものがあると、そこで安心して過ごせる場所になっていくという、そういったものを提供されている取り組みが既にスタートしております。
そういう場所を提供するだけではなく、LGBTの皆さんに発信する地域情報や文化情報の提供、あるいはLGBTとスポーツという視点での課題やその解決方法、また、その学びの提供、地域の住民や来訪者を問わず参加できるスポーツイベントなどを実施していくという、そういうプライドハウスというものにずっと取り組んでおられる方々がいらっしゃいます。実にすばらしい取り組みだと思います。
こうしたプライドハウスの取り組みについて、東京大会においても、これは民間の取り組みですけれども、そういう取り組みがされていく--既にされていると思いますけれども、都としても、あるいは組織委員会になるかもしれませんが、このプライドハウスに取り組まれている方々と連携をして支援していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 多様な性の理解の推進につきましては、東京都、都民及び事業者が一体となった理解、協力が必要であるというふうに認識しておりまして、民間団体が行うプライドハウスの設置などの事業活動に関しましては、都として何ができるのかにつきまして、今後、研究、検討してまいります。
○谷村委員 ぜひ、研究がつきますけれども、検討までいっていただいていますので、さすがは人権尊重都市東京といわれるような、こんなオリンピックは初めてだ、こんなパラリンピックは初めてだといわれるような、そういうプライドハウスというものへの支援というものが画期的な取り組みとして進めることができますよう、強く期待をしています。
次に、第三章、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進についてお伺いをいたします。
この三章の第十一条ですが、知事は、公の施設において不当な差別的言動が行われることを防止するため、公の施設の利用制限について基準を定めるものとすると、このように記載されております。
この公の施設の利用制限に関する基準の対象は、個人なのか、あるいは団体なのか、あるいはその両方なのか、まずお伺いいたします。
○仁田山人権部長 利用申請を受け付ける相手方は、個人、団体、いずれも対象となります。
○谷村委員 個人で申請をしたり、団体で申請をしたり、そうした団体が利用制限の対象になった場合に、利用制限に該当する行為があった場合に、その団体が利用制限の対象になって、団体名が変われば、これは大丈夫なのでしょうか。あるいは、その団体の代表者が変わっていれば利用制限の対象にはならないのか。あるいは、代表者でなく、主たる主要なメンバーが残ったまま別な団体がつくられた場合、これは利用制限の対象になるのか。そういう課題等が、まだこの条例案文では理解はできませんので、これから検討されていくんだろうと思いますので、これは大事なことですので、ここの点は明確にしていただきたいと思います。
そして、第十二条ですけれども、知事は、次に掲げる表現活動が不当な差別的言動に該当すると認めるときは、事案の内容に即して、当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置を講ずるとともに、当該表現活動の概要等を公表するものとする、ただし云々と続くわけですけれども、この公表に当たっては、いつ、どこで行われたか、誰が、何をという、どういう項目が公表の該当になるのでしょうか。
○仁田山人権部長 事案の概要等の公表につきましては、審査会の意見も聞きながら、その公表内容について決定し、この公表を通じて、ヘイトスピーチが許されないということを広く都民に周知いたします。
○谷村委員 次に、第十四条の二項について、第十四条というのは、そういう公の施設の利用制限をするための審査会を設置するというのが第十四条ですけれども、その二項に、審査会は、前項に定めるもののほか、この章の施行に関する重要な事項について調査審議するとともに、知事に意見を述べることができる、こういう条文と、あと十六条、審査会は、知事または第十三条第一項もしくは第三項の規定により調査審議の対象となっている表現活動に係る第十二条第二項の規定による申し出を行った都民に意見書または資料の提出を求めること、適当と認める者に、その知っている事実を述べさせること、その他必要な調査を行うことができるという、この審査会の権能というか、役割というか、権限というものが記載されているわけですけれども、この審査会の諸手続に強制力があるのか。あるとしたら、どの程度なのか。あるいは強制力がないのか、お尋ねしたいと思います。
○仁田山人権部長 審査会の調査審議に当たりましては、相手方に応じる義務は課されておりませんが、協力を要請していくということでございます。
○谷村委員 現状では、この審査会には、そういう権限は、法律的にも、条例的にも付与はされていないということを確認させていただきました。
ヘイトスピーチの法律の方ですね、ヘイトスピーチ解消法が制定をされて、それをブレークダウンして条例制定して、地方公共団体としての取り組みを定めるこの条例の内容になっているわけですけれども、ヘイトスピーチ解消法第五条では相談体制の充実が規定されておりますけれども、この条例案ではどのような相談体制が考えられるのでしょうか。
○仁田山人権部長 外国人に関する相談につきましては、東京都人権プラザにおける人権相談を初めとする庁内の窓口、また、法務局が開設する外国人のための人権相談所などで受けることとしております。
また、人権侵犯事案への該当が疑われる場合については、法務省などの関連機関と連携しながら対応を行ってまいります。
○谷村委員 あともう一点、公の施設の利用制限等を進めていくに当たっては、申し出があったときと知事が職権で行使する場合と、二通りあるわけです。
例えば、前項の規定による措置及び公表は、都民等の申し出または職権--これは知事のですが--により行うものとするとか、第十三条でも、表現活動が不当な差別的言動に該当するおそれがあると認めるとき、または同条第二項の規定による申し出があったときは、次に掲げる事項について審査会の意見を聞かなければならないとか、第十六条では、先ほども読みましたけれども、申し出を行った都民に対して意見書または資料の提出を求める等とありますけれども、この申し出をされた方に対する保護というものが、この条例案では読み取れないわけですけども、これは、これから追って内容を詰めていくという認識でよろしいですね。答弁は求めない……。--よろしいですね、はい。
一応、この申し出の方に対する保護についても、しっかりと進めて、検討していただきたいことを申し上げておきたいと思います。
改めまして、今、この条例案の中身、内容について確認をさせていただきましたけれども、先ほどもお話しされました、この条例制定に関連して、さまざまな意見等があるようですけれども、その点について、二、三、確認をさせていただきたいと思います。
まず、このパブコメに反対意見が多いじゃないか、それでも本条例を制定するのかという、こういう意見があるようですけれども、これについて見解をお願いいたします。
○仁田山人権部長 パブリックコメントに寄せられる意見は、単に賛成、反対だけではなく、意見として寄せられたさまざまな考え方が記載されており、丁寧に確認させていただいております。
そして、それらの考え方を総合的に勘案いたしまして条例案を慎重に精査した上で、今般の条例案を提出したところでございます。
○谷村委員 パブコメをやったけれども、何の意味もないじゃないか、パブコメの内容というのを反映していないじゃないかというご意見もあるようですけれども、パブコメの意見を反映したところは、この条例案の中にあるのかないのか、あるのであればどういうところか、お答えをいただきたいと思います。
○仁田山人権部長 条例案第一条に規定いたします、さまざまな人権課題に関する取り組みにつきまして総合的に実施することを加え、第四条に性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いを禁止する規定を加えたことなどがパブリックコメントの意見を踏まえたものでございます。
○谷村委員 先ほどの私の質疑の中でも触れさせていただきましたが、今回のこの条例が、これまでの人権施策推進指針を踏まえていないではないか、この流れが違うじゃないかという、こういう批判をされている方もいらっしゃいますけれども、この点について、どのような見解でしょうか。
○仁田山人権部長 平成二十七年八月に改定いたしました東京都人権施策推進指針では、国内外の人権をめぐる動向、人権課題の多様化などを踏まえ、取り組むべき人権課題を新たに追加いたしまして、それぞれの課題ごとの施策の方向性を示したものであります。
改定後の指針に基づき、これまで、十七の人権課題につきまして総合的に人権啓発を進めてまいりました。
指針に基づいて今後も取り組んでいくとともに、今般、東京二〇二〇大会の開催を間近に控え、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念実現に向けた決意をできるだけ早く都として示し、さまざまな人権課題へ対応していくことが必要であると考えております。
○谷村委員 次の批判には私も驚いているんですが、この条例がオリンピック憲章から遊離しているという、こういうご批判もあるようですけれども、この点について、先ほど私も申し上げましたが、一応、見解をお願いします。
○仁田山人権部長 この条例は、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透した都市となることを目的としておりまして、人権尊重のための取り組みをより積極的に推進することとしたものでございます。
○谷村委員 もう一つ、最後にお伺いしますけれども、今回、この人権尊重の条例を定めようとしているときに、法律がないのに、条例によって差別禁止をうたうと社会が混乱するんじゃないかという、こういう意見を持たれている方がいらっしゃるんですけど、これについても見解をお願いします。
○仁田山人権部長 第三条に規定いたします性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るという趣旨を実現するために差別禁止規定を置いたもので、都、都民、事業者が、それぞれ性自認及び性的指向について理解を深めることが目的でございます。
都としては、条例制定を契機に、性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消並びに啓発等をより一層推進してまいります。
○谷村委員 過日の本会議代表質問で、私ども公明党は、この人権条例を制定して、今後は、これまでの人権課題への取り組みや、あるいは、時代、社会の変化に応じて生ずる新たな人権課題が出た場合は、必要であれば、条例によりしっかりと位置づけて施策を推進していくべきことも検討すべきと、このように主張をさせていただいております。
この人権の取り組みだけは、これでいいとか、あるいはまだ早いとか、そういうことをいっていたら、人権の尊重というのは絶対にできることはありません。早過ぎることはないですし、まだこのままでいいとかというものは絶対ないと私は思っております。
ことしは、日本の政治の中心が東京に移って四百十五年になります。いわゆる江戸開府してから四百十五年。日本の政治の中心が江戸東京に移って、二百六十五年間、ある意味で、大きな戦乱のない天下泰平の世を築いた。
足かけ三世紀にもわたって築かれたわけですけれども、その中心が東京に移ってからだという意味では、今の世界都市東京も、そのDNAをしっかりと引き継いでいるものと思いますが、さらに、ことしは明治から百五十年と、これはよくいわれております。この明治というのは、欧米列強に押されながらも、我が国が国際社会にデビューをした画期的なときですけれども、この百五十年も、前半の七十五年と後半の七十五年で大きく分かれるといわれております。
前半の七十五年というのは、封建制度を終わらせて、憲法を定めて、人の支配から法の支配へ変えてきた、いわゆる立憲主義を打ち立てた。そして、富国強兵を進め、欧米列強からの植民地化を防ぐ中で新しい国家を築いてきましたけれども、やがて、日清、日露、日中、日米との開戦に突き進み、たたきのめされて地に落ちてしまうというのが前半の七十五年。
後半の七十五年は、日本国憲法が施行され、民主主義の旗を掲げて、戦後復興であったり、阪神・淡路大震災あるいは東日本大震災からの復興を遂げて、世界では、一時、二位、今は世界三位の経済大国になったと。
この国際社会の前半の七十五年というのが、軍事力の競争が行われた七十五年、日本を軸にした場合ですけれども、後半の七十五年というのが、経済力の競争が行われた七十五年であった。
このアジア、アフリカというのは、軍事力で、あるいは、時には経済力でじゅうりんをされたわけであります。この軍事力でもない、経済力でもない、次なる国際社会が競うべきテーマとは何か、それを我が国が発信するときを迎えているわけであります。
時を同じくして、平成の世が間もなく幕をおろします。平和の祭典である東京オリンピック・パラリンピックで、日本は、この東京は何を発信するのか。
平和というのは、平和学の権威であるガルトゥングは、戦争がない状態が平和ではないと。基本的人権が守られていないうちは平和ではないという意味も含めて、平和の祭典である二〇二〇年の東京大会は何を発信するのかということが問われているわけであります。
私どもは、それは、軍事力でもない、経済力でもない、ヒューマニズムに支えられていく新しい文化、文明の発信をする新たな人権の世紀たる、あるいは人権の七十五年、百年、百五十年にしていくべきであると、そう考えております。
その意味において、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を目指す条例をこの時期に新設するということは時宜にかなったものでありますし、これが、日本国憲法の前文に書いてある、国際社会において名誉ある地位を占めたいと思うというものにも通じるものであると思います。
これまでの質問で、条例提案の考え方や疑問点も含めまして質疑をさせていただきましたけれども、東京二〇二〇大会を間近に控えた今、人権尊重の理念を実現するこの条例は、非常に意義があるものと思います。
今後、人権施策を所管する総務局として、次長の決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
○榎本次長 人権尊重の機運を高め、誰もが生き生きと活躍できる東京ということを実現することが大変重要でございます。都はこれまでも、先ほど先生からもお話がございましたが、人権施策推進指針に基づきまして、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
東京二〇二〇大会の開催を間近に控えまして、オリンピック憲章にうたわれる、いかなる種類の差別も許されないという理念が浸透した東京を目指して、今般、本条例案を提案したところでございます。
今後、条例制定を契機といたしまして、先ほどの指針に掲げる課題はもとより、多くの外国の方も訪れます東京二〇二〇大会のホストシティーとして、性自認及び性的指向に関する差別の解消並びに啓発等の推進と、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に積極的に取り組むことといたしました。
人権尊重の理念のより一層の浸透に向けまして、人権施策を所管いたします総務局といたしまして、庁内各局はもとより、さまざまな主体と連携をしつつ、啓発、教育等の人権施策をオール東京で積極的に、そして総合的に展開してまいります。
○鈴木委員 私からも、第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案について質疑いたします。
冒頭に、さきの代表質問でも私たちは表明いたしました。人権文化の涵養というのは、時間とプロセスが何よりも大切であるとの歴史的認識のもと、現状と課題に対して丁寧にかつ慎重に調査を進め、何よりも当事者の方々の悩みや困難の解消を最優先にして、差別という以前に知識の不足を解消して、ホストシティーとして、東京から積極的に理解を促進していくことが何よりも必要であると表明をさせていただきました。
しかしながら、このたびの東京都の取り組みは、人権尊重という重大なテーマにもかかわらず、政府や企業の取り組み状況、また、各方面の当事者からの意見聴取、さらには審議会に諮ることもせず、パブリックコメントや区市町村からの意見の反映結果を示すこともなく、議会には正式な条例案を定例会の直前に提出するという、余りにも独善的な、拙速なものでありました。
こうした理由から、議会として、委員会において当事者の方々からの声を、ご意見を聞かせていただく場を設けるべきとの提案もさせていただきましたが、調整がつかないという理由で実現できなかったことは大変残念でなりません。
差別解消ではなく……(「それはいい過ぎだよ。それはいい過ぎだよ、委員長」と呼び、その他発言する者あり)ちゃんと聞いてくれ。差別解消ではなく、理解促進をと静かに耐えておられる方々のご意見を伺う機会を設けられなかったことに対し、申しわけない気持ちでいっぱいであります。
委員の方々には強く、都民が納得する議論を放棄せぬよう十分な審議を尽くすべきと、改めて主張をさせていただきます。
盲目的に都の立場を代弁する質疑がありましたけれども、改めてこの質疑を聞かせていただき感じたことは、本当にご理解をいただく、理解を深めていくことの大切さを感じました。感情的になればなるほど、当事者の方々の苦しい思いを考えると、社会全体が自然と受けとめられるような、そして社会を、慎重に丁寧に理解促進の普及啓発に取り組んでいくことこそ、何よりも大切であるということを改めて感じさせていただきました。
また、日本国憲法の三原則の一つであります基本的人権に対して、都がこれほど軽く扱われていることに強い憤りを感じております。質疑を通しまして、この条例案の拙速性、危険性について明らかにしてまいります。
まず、この条例案を作成するに当たりまして意見聴取された方々についてお伺いいたします。どのような方々から意見を聴取し、その方々からどういった意見を伺ったのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 有識者の意見を聞いたということで、どのようなということでご質問でございますが、私どもといたしましては、人権全般を見渡せる法学者、オリンピック・パラリンピックの関係者、弁護士、当事者及び当事者支援事業者、先行事業にかかわった有識者など、多岐にわたる分野から、中立的な立場からご意見をいただける方にご協力をいただきました。
○鈴木委員 そんな話を聞いているんじゃないんです。意見を聞かせていただいた方々が、どういう肩書の方で、日ごろどういう活動をして、その方々がどういうご意見をいったのか、そういったことを伺っているんですけれども、もう一度、回答をお願いします。
○仁田山人権部長 意見聴取をした方々でございます。
順不同でございますが、大沢秀介慶應義塾大学名誉教授でございまして、表現の自由について、諸外国の事例に詳しい憲法学者でございます。続きまして、早稲田大学政治経済学術院教授の川岸先生でございますが、表現の自由とその制約に造詣の深い憲法学者でございます。それから、木村俊介明治大学公共政策大学院専任教授でございますが、行政経験もある行政法の専門家でございます。鈴木秀洋日本大学危機管理学部准教授でございますが、LGBTの視点を踏まえた施策等の実務経験者でございます。田島正広先生は弁護士でございまして、インターネットの人権侵害に詳しい弁護士でございます。鶴田幸恵先生は千葉大学文学部准教授でございまして、社会学の観点から性的マイノリティーを研究する研究者でございます。戸松秀典先生は学習院大学名誉教授でございますが、憲法学の第一人者でございまして、都専門家会議の座長も務めていらっしゃる方でございます。中川重徳弁護士でございますが、LGBT支援にも取り組む弁護士でございます。日高庸晴先生は宝塚大学看護学部教授でございますが、社会健康医学を専門とする性的マイノリティーの研究者でございます。星野慎二NPO法人SHIP代表でございますけれども、LGBTを支援するNPOの方でございます。舛本直文首都大学東京オープンユニバーシティー特任教授でございますが、オリンピズムやオリンピック教育研究の専門家でございます。マセソンさんでございますが、日本財団パラリンピックサポートセンター推進戦略部プロジェクトマネジャーでございまして、パラリンピアンの方でございます。藥師さんでございますが、これはNPO法人のReBit代表理事でございまして、LGBTを支援するNPOの方でございます。山脇明治大学国際日本学部教授でございますが、多文化共生の研究者でございます。
以上でございます。
○鈴木委員 今、こういった説明いただいた方々に直接聞いた方はどなたなのか、そしてまた、そういった方々から、実際にどのような話を具体的に聞いたのかというのが示されていないんですけれども、いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 今、お話をさせていただいた方々に直接お会いしてお話を聞いたというところでございます。
どのような意見が具体的に出たかということにつきましては、一応、先日プレス発表をさせていただきましたが、具体的にどの人がどういう意見をいったかということはいわないということでご了解を得ているところでございますので、概略だけ、主なものだけ、お話をさせていただきます。
まず、総論でございますけども、さまざまな人権課題に対応できるもの、特にLGBTとヘイトスピーチについて条例をつくるという都の姿勢には賛同する、それから、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例の中に、特にLGBTとヘイトスピーチが出てくることについて、整理、検討が必要であるということ。
それから、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現の部分でございますが、オリンピックを政治利用することがないように留意する必要がある、あるいは、オリンピックを機に、認識を新たに条例を制定するというならいいが、オリンピック憲章全体を守ろうという条例には違和感がある、あるいは、オリンピック憲章と人権をつなぐキーワードには積極的平和がある、東京が注目される今、条例化はアピール材料であるため、積極的に発信してほしいなどでございます。
それから、多様な性につきましては、性自認や性的指向について定義することもできなくはないが、さまざまな概念がある中で、当事者が疎外されているような感覚に陥ることのないように、定義をするには注意が必要だということ、オリンピック・パラリンピックの開催都市として、性的指向等を理由とする差別があっては問題、あるいは、性自認や性的指向は、どう生きるかという不可侵のところにあるものである、あるいは、この条例は、光の当たっていないところにあえて光を当てるのが大切だ、それから、東京が理解促進、差別解消を明言することは大きい、差別が許されないことを明記すべきである等々の意見がございました。
それから、ヘイトスピーチにつきましては、まず、全般的な話につきましては、表現の自由に配慮するとともに、表現活動の萎縮効果をもたらさないように留意する必要がある、わかりやすい基準を定めて運用していかなければならない、表現の自由への配慮も必要で、判断を誤ってはいけないが、当事者がいることも踏まえるべき等の意見がございました。
それから、公の施設の利用制限につきましては、裁量の逸脱とならないように、特に不許可とする基準は明確に示しておくことが大切、言動のみで施設の利用制限を行うことは適切でない等の意見がございました。
それから、不当な差別的言動の拡散防止措置及び事案等の公表につきましては、罰則を持たない、それから、都民の権利を制限し、または義務を課すのでないのであれば処分性はない、不当な差別的言動が許されないことを啓発していくには拡散防止措置が大切等の意見がございました。
第三者機関の審査会につきましては、審査会での適切な判断には時間がかかるため、事案の積み上げ等を行うことが重要である、このことが区市町村との連携協力につながっていくのではないか、あるいは、第三者機関の権限の範囲を工夫することで、事案の処理がスピーディーになるのではないか等の意見がございました。
○鈴木委員 今、お話を伺った中で、憲法学者、法律家、そしてまた学識経験者、そういった方々からの意見を聞いた部分、そしてまた、さらに当事者の意見ということが大事だというふうに私も思っているわけですけれども、この当事者団体の方々の活動、実際にここの意見聴取一覧に載っているのは、藥師さん、そしてまた星野さん、そういう方々しか載っていないような現実があるというふうに思っておりますけれども、何でもっと丁寧に、さまざまな活動をされている団体の方々--きょうも、そういった方々も来られているというふうに思っておりますけども、どうしてこの団体を選んで、ほかの方々の聴取はしなかったのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 今回、条例を制定する上において必要なご意見を学識経験者等からお伺いしたということでございます。
LGBTの当事者の方々の意見につきましては、それ以外にも、いろいろな機会を通じてお伺いしているということでございます。
○鈴木委員 このいろいろな機会というところが全く不明であるところが、本当に今回の取り組みのおかしなところだというふうに私は思います。今までの人権活動とはまた違う、この条例化をするという中では、やはりその中で、本当に公明正大で、そして誰もが納得がするような取り組み、アプローチが何よりも大事だというふうに私は思います。
特に、このような方々が、日ごろどのような状況で困難を抱えて苦しみを持たれているのかということに対して、しっかりとフォーカスを当てないということが、この条例をつくる意味というものが薄れていくものと私は思わざるを得ません。
特にセクシュアリティーというのは、よく一人一人が違いがあって、またグラデーションで、本人すら理解されていないものもあるといわれている本当に大切な話の中で、今、どういった方々が活動されているかというのは、SNSとか、そういった発達した時代で、調べればたくさんわかることなんですけれども、そういった、慎重に、そして丁寧に取り組んだ形跡がないということ自体、私は今回の取り組みに大きな瑕疵があるのではないかなというふうに思います。
また、私も、さまざまな団体の方々と話をさせていただきました。そして、本当に、日ごろ気がつかないことも教えていただきました。それぞれの活動は目的が違うこともわかりました。まさに政治的な感じもいたしました。
しかし、共通する部分も明らかになりました。それはLGBTQ。そのQというのはクエスチョンの意味なんですけれども、知識を身につける、普及啓発、そして理解促進をしていくことが大切だということです。
そして、LGBTの問題は個人の人権保護の問題であって、思想信条やイデオロギーの問題にしてはいけないということを、本当に私も感じました。
今回、このLGBTの方々から、いろいろお話をさせていただく中で、こういった方々が約五・九%ぐらいいらっしゃるというお話も伺いました。
何よりも、そういった方々に対する知識不足の解消というものをしっかりとしていきながら、この問題に対してアプローチをしていくことが何よりも大切だったのではないかなというふうに思うんですけれども、その点に関してはどのような見解かをお伺いいたします。
○仁田山人権部長 私ども、条例を制定する上、あるいは人権施策を推進していく上において、当事者の方々のいろいろなご意見、ご実情を知るということは非常に大事なことだというふうに考えております。
そういう意味で、あらゆる機会を通じまして、そういう方々の考えとか意見とかというのをお伺いしていきたいというふうに考えております。
○鈴木委員 聞かせていただきたいじゃないんですよ。もう条例化の取り組みが始まっているわけですよ。これは、条例化の取り組みの中で聞いてこなければならなかったことなのではないかという話をさせていただいているんです。
次に、この条例案には、都民の責務のほかに、事業者の責務というものが定められております。多様性が昨今うたわれている中で、企業の人権意識や社会的責任としてだけでなく、重要な経営課題として捉えて取り組んでいる企業もございます。
そうした企業の取り組みを調査し、意見を聴取したのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 私ども、事業者につきましても意見を聞いているということでございます。
○鈴木委員 具体的に、じゃ、どういう企業に話を聞いて、それを通してどういったことをいわれていたのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 経団連の方々と意見交換いたしまして、例えば、当事者が主催しておりますワーク・ウィズ・プライド等についての意見交換をしているということでございます。
○鈴木委員 この取り組んでいる企業というのはさまざまあって、基本的には大企業を中心として、今、部長、経団連というお話がありました。しかし、今回、都民の責務、そして事業者というのは、中小企業の方々も小規模事業者の方々もいるわけです。
そうした方々の意見も聞いて、そういった方々に対しても、今回、しっかりと対応できるような、ご理解いただけるようなものにしていくことが何よりも大事だったんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 昨年十二月の四定で知事から指示があって、三月から五月にかけまして有識者の方から意見を聞き、五月十一日にポイントをまとめ、六月四日に条例案の概要をつくりまして、それでさらに、それを二定にかけたり、あるいはパブリックコメントにかけたりいたしました。
そういうような過程を踏んで丁寧に進めてまいりまして、その過程の中で、いろいろな方々からご意見を伺っているというふうに認識しております。
○鈴木委員 パブリックコメントの内容も、先ほど質疑がございましたけれども、いろんな方々がいる中で、合計は千八十五件という話なんですけれども、これが多いか少ないかという話は今はしませんけれども、こういったことを本当にどのように反映していくのかということが何よりも大事なことではないかなというふうに思います。
例えば、企業の中で、この条例の影響で、今、全く理解が進んでいないにもかかわらず、差別禁止に事業者が取り組んだ結果、社員に対して、当事者の方が相談窓口へ来るように指示をするなど、混乱が予想されるケースもある。また、会社の部活やサークルなども、行き過ぎた配慮によりまして生活のしづらさを感じるケースがふえるのではないかというような、実際に心配されている企業もあるんですよ。
そういった企業は、本当に、人権意識や社会的責任、さらには経営課題の視点から、いろんな部分で取り組んでいこうとしている中で、こうした理解が進んでいないという現状に対して不安を抱えているということに対しては、部長はどういうふうに思っているんですか。
○仁田山人権部長 多様な性の理解の推進につきましては、東京都、それから都民及び事業者が一体となって理解、協力が必要であるということから、条例案の第七条では、事業者の責務といたしまして、事業者は、その事業活動に関し、差別解消の取り組みを推進するとともに、都がこの条例に基づき実施する差別解消の取り組みの推進に協力するよう努めるものとするとしております。
まず、事業者におきまして、みずから理解を進めていただくとともに、事業活動に関して、こうした機運醸成に努めていただくということで定めたものでございます。
○鈴木委員 その意見聴取、中小企業や小規模事業者の方にもされたのですか。
○仁田山人権部長 先ほどお話しさせていただきましたが、私ども、丁寧に策定作業を進めているということでございまして、いろいろな機会を通じまして、いろんなご意見をいただいたという理解をしております。
○鈴木委員 こういった、いろいろな意見とか、総合的だとか、抽象的な答弁では質問がかみ合わない。聞いている人たちも理解……(「質問が抽象的なんだよ」と呼ぶ者あり)いや、具体的に中小企業者、小規模事業者に聞いたのかという話をしているんですよ。そういった方々に話をしていくということが何よりも大事なことではないかなと、私、先ほどもお話しさせていただいたわけですけれども、そうした部分に対して、しっかりと私はフォーカスされていないというふうに思うんです。
その話をしても時間がたつだけで、また後で明らかにしていきますけれども、今回、教育、理解促進、そして、もっとそっとしておいてほしい、差別解消まで大きく意見が分かれている中で、こうした多様な意見というものを集約していったという話をされておりましたけれども、その方針の中心というのがオリンピック憲章に示されたことなのかということなんですけれども、いかがなのでしょうか。
○仁田山人権部長 いろいろな機会でお話をさせていただいておりますけれども、東京二〇二〇大会開催を契機として、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を広く都民に浸透させていくことが重要であるというふうに考えまして、このような取り組みを進めているというご理解をしていただければというふうに思います。
○鈴木委員 では、確認ですけれども、オリンピック憲章にこの人権尊重の理念があるからこそ、ホストシティーとして、それをまず第一として、今回、この条例をつくったという認識でよろしいんですね。
○仁田山人権部長 私ども、東京二〇二〇大会のホストシティーとして、いかなる差別も許されないというオリンピック憲章を広く都民に浸透させていくという考えのもと、取り組みをしているということでございます。
○鈴木委員 今、お話しになったオリンピック憲章のことについては、後でまた質疑をさせていただきます。
今回の取り組みの中で、丁寧に取り組んできたという話があったんですけれども、何で審議会に諮ることもなく取り組んできたのか、それについて説明をお願いします。
○仁田山人権部長 東京二〇二〇大会の開催を間近に控えまして、オリンピック憲章にうたわれる、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念実現に向けた決意をできるだけ早く都として示し、さまざまな人権課題へ対応していくということが求められているところでございます。
このため、昨年十二月に条例化の方針を明らかにした後、条例化のために必要なさまざまな知見を得るために、審議会という形でなく、当事者や専門家から、それぞれの立場で個別にご意見をいただき、スピード感を持って丁寧に検討を進めてきたところでございます。
○鈴木委員 それでは、逆に聞きますけれども、時間があったら審議会を開いた方がいいと思っているんですか。
○仁田山人権部長 申しわけございませんが、ちょっと仮定の話なので、お答えができません。
○鈴木委員 審議会というのは、行政機関への民意の反映とか専門的知識の導入など、そういった設置根拠で設置されているわけであって、第三者的立場から利害の調整を図る機能を持って、審議会というのはこれまで設置されてきたんですけれども、仮定ではないでしょう。
今、部長がおっしゃったのは、オリンピックがあと二年を切った中で、スケジュール的に審議会を設けられなかったという話の中で、今回はそういったことをしなかったと、先ほどお話しになったんだというふうに思うんですけれども、時間があれば、この審議会というのを開いた方がよかったのか、諮った方がよかったのかどうなのかというのを聞いているわけです。
○仁田山人権部長 先ほどと同じ答えでございまして、時間があればどうだという話をされても、ちょっと今の段階ではお答えができないということで、それで私どもは、先ほど、東京二〇二〇大会を契機として、ホストシティーとして、そういう思想を、人権尊重の思想を広めているということで、スピード感を持って取り組んでいくということでございます。
○鈴木委員 じゃ、次長、榎本次長に伺います。
審議会というのはどういったものなのか、明確に答えていただきたいと思います。
○榎本次長 審議会は条例設置という形になっております。今は、そういう意味では、ございません。
○鈴木委員 冒頭にお話しさせていただきましたけれども、この人権条例というのは、憲法の三原則の一つ、基本的人権について述べられている条例なわけですよ。そうした条例を東京都が初めて制定しようという取り組みの中で、審議会すら設けないで、そうした公の公平な公正な取り組みも、私たちが本当に理解できるような状況でもないにもかかわらず、こういった条例化というのはあり得るのかというふうに私は思うんですけれども、それに対してどうなのか、お伺いいたします。
○箕輪理事 繰り返し的な内容になりますけれども、この条例は、ご指摘のとおり、人権を扱う重要な条例の案でございます。ゆえに、有識者の方からいろいろご意見をいただいて、条例案の概要というものをまずはつくったと。そして、第二回定例会で条例案の概要を公表して、先生方にもいろいろご議論をいただきつつ、パブコメをさせていただいたと。
パブコメの意見、この間のいろんなご意見も踏まえて丁寧に議論をさせていただいて、今回提案しているというふうに認識してございます。
○鈴木委員 それは皆さん方の考え方であって、要するに、そのパブコメを、先ほどの質問にもありましたけれども、どのように反映しているのかということも、いまいち明確ではない。
そしてまた、今回の意見聴取を聞いた方々、憲法学者がいたり、いろんな方がいて、この方々が、ヘイトスピーチについて話しているのか、今回のセクシュアリティーについて話しているのかということも全く分けられていない。一つ一つのことに対して、別々にきちっと答えていることもない。皆さんが、ただ総合的な判断の中でという話の中では、理解しろということが難しいというふうに私たちは思います。(「そんなこと全然ないよ」と呼ぶ者あり)
次に、もう一つです。
皆さん、今、そんなことをいろいろ話していて笑っていますけれども、この人権の話の中で、本当に最終的にこれでいいのかという方々の声というのが大変寄せられている中で、この総務委員会の質疑というのは大変重いと思います。
さらに、この条例の審査において、都側から条例案が提示されたのは、先ほど冒頭にお話しさせていただいた第三回定例会直前の九月十四日ですよ。それまでの説明は概要資料によるもので、内容の精査、審査も、本日の委員会の一日のみ。
議会の役割、責務を達成することというのは、それでできるのかというような思いで私たちは思っておりますけれども、この条例提案が遅過ぎると思わないのか、見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 本条例の重要性に鑑みまして、都議会第二回定例会では条例案の概要を、そして、本定例会では条例案をご審議いただいているところでございます。
第二回定例会では、六月にお示ししました条例案概要についてのご審議や、パブリックコメントで寄せられた当事者からの意見を聞いてほしい等の意見なども踏まえまして条例案を策定し、本定例会でさらなるご審議をお願いしているところでございます。
○鈴木委員 条例案と条例案の概要というのは、文言がわからない中で、私たちがそれに対していうこともできないわけです。それで、そうしたことも、やはりきちっと前に私たちに示していくのが説明責任として大事なことなんじゃないか、それは当然のことだと思うんですけれども、いかがですか。(発言する者あり)概要案が示されただけで、条例案が皆さんのところに行ったのはいつなんだという話なんですよ。(「さっきやったじゃないか。聞いてないよ」と呼ぶ者あり)黙って。
それで、今回のこの国の取り組み、人権擁護の取り組みというのがあるわけですけれども、人権擁護委員の制度のもと、各市区町村ではこれまでも、国民の基本的人権が侵害されることのないように監視したりとか、また、侵犯された場合には、その救済のために速やかな適切な処置をとったりとか、常に自由人権思想の普及高揚に努めて取り組んでいるわけでありますけれども、この人権擁護の方々が取り組んでいる事業、どんな活動をされているのか。
これは、東京都、そして区市町村で全然違うわけですけれども、その部分に共通していることは普及啓発ではないかと思うんですけど、いかがですか。
○仁田山人権部長 先生お話しのとおり、普及啓発でございます。
○鈴木委員 じゃ、その普及啓発活動をされているこの人権擁護委員の方々の課題、困難、そして、そういった方々の問題意識というのは一体どういうものなのかということを、どういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
○箕輪理事 今のご質問に直接ということと、ちょっと外れるかもしれませんが、私ども、人権施策を推進するに当たりまして、国、法務省法務局、それから、人権擁護委員の連合会、個々の人権擁護委員の方々と一緒になって普及啓発活動ということをずっとやってきてございます。
そういった意味で、日々の課題ということをつぶさに我々が存じているかというのはありますけれども、そういった方々の普及啓発活動であるとか人権擁護の活動といったものとは、日常からおつき合いさせていただいてやってございます。
○鈴木委員 人権擁護委員の方々が、イベントや、そして講演会とかを開かれる中で、この参加者が少ない、そして、なかなか話を聞いてくれない、そういった課題を持っている方がたくさんいらっしゃるわけですよ。要するに、何がいいたいかというと、もっと普及、そして、人権に対する啓発が必要だというふうに思いながら、なかなかそういう認識を持っていただけないような状況が今まだあるというふうに受けとめているという、そういった話を聞くわけです。
今、お話しになりましたけれども、今までの取り組みというのは、国の制度があって、国の法務省、そしてまた、区市町村と連携をしてという話があります。しかし、この条例に対して、国が、じゃ、これからどのようなかかわりをするかということが全く真逆な話になってくる可能性が高いという状況の中で、今までとは考え方を変えていかなくてはならない。
例えば、実際に人権擁護委員の方々が、相談窓口が区市町村になって、区市町村にLGBTの方々を理解できる教育ができているのか、そういった方々が来られたときに、しっかりとそういった方々の気持ちを酌み取れるような教育が皆さんにできるのか、そういった不安も感じているわけですけれども、そういった現場の声に対してはどのように感じているのか、お答えください。
○仁田山人権部長 今、お話しの件でございますけれども、具体的にどういう意見をというふうに、申しわけございませんが、ちょっと今ここで述べられませんが、いずれにしろ、不当な差別的取り扱いというものがなくなっていないという状況の中では、私ども、やはり普及啓発というのを今後もさらに積極的に進めていかなくちゃいけないというふうに考えているところでございます。
○鈴木委員 差別の解消は誰もが求めていることなんですよ。その取り組みの中で、差別を禁止することを先に--普及啓発、要するに、理解促進の以前に差別の禁止をすることによって、また意図しないさまざまな悩みや苦しみが生じる方が出てくるのではないか、実際にそういった声も聞かせていただいているわけです。その取り組みを私たちがいっているわけですけれども、それに対しては、全く今、答えになっていないのが現実だというふうに思います。
実際に、渋谷区でパートナーシップ条例が制定されて窓口が開かれているわけですけれども、この窓口に相談されている方というのは実に少ない、数的には。パーセンテージからいうと。それはなぜかというと、実際にそうした当事者の方々が、今、本当にお困りでせっぱ詰まっていない方々が、要するにリスクを伴う。こういったことに対して、まだまだ理解されていないという現実があるわけです。要するに、当事者の方々も、そして、一般の都民の方々、区民の方々、そういった方々の相互の理解すらできていないというのが今の状況だというふうに伺っています。
そうした中で、今回、国の法律がまだない。その中で、東京都は、オリンピック憲章に書かれているから、オリンピックがあるから、とにかく急いでこの条例を制定しなきゃいけないと。そういったことが、どれだけそういった方々に対して的外れな話になっていくのかというようなことに対して、皆さんはどのように考えるのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 私ども、先ほどから繰り返しお話をさせていただいているところでございますが、普及啓発と差別解消というのは、これはポイントでもお話しさせていただきましたけれども、車の両輪というような例えをしているところでございまして、条例を契機に、さらに普及啓発を進めていくということでお話をさせていただいているところでございます。
○鈴木委員 差別禁止と理解促進、その順番が違うとどういう問題になるかということは、後でまた、ただしていきたいというふうに思いますけれども、先ほどオリンピック憲章の話をされました。
オリンピック憲章にあるオリンピズムというのは、人間、人類の理想に役立つ哲学、それの遵守を参加国に求めて、文書の規範性を維持することから、国際オリンピック委員会というのは、国連のオブザーバーであるわけですけれども、各国から独立して、だからこそ、オリンピック憲章規則三十三にあるように、国内法制度をオリンピック憲章等に従わせることを求めているわけですよ。
このような拘束力というのは、当然ながら、民主主義の関係の中でいろんな危険性もあるというふうにいわれている中で、開催都市はこの規則を、国も受け入れているというのが現実です。
二〇一四年版のオリンピック憲章によれば、スポーツすることは人権の一つとして、全ての個人は、いかなる種類の差別を受けることもなく、またスポーツする機会を与えられなければならないと記されている。この差別の中には性自認、性的指向も含まれるわけですけれども、個人の尊重や平等実現の構築を要請しているけれども、どのように実現をするのかということは示されていないわけです。
つまり、これまで、国際社会が最も守るべき普遍的な人権尊重の理解実現に向けて、国際協調の厳しさを踏まえて国への義務を求めているわけですけれども、国際都市以上に政府に対してオリンピック憲章の遵守を求めているのが、このオリンピック憲章規則三十三というふうにいわれておりますけれども、それに対しては、東京都はどのように感じているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 オリンピック憲章に掲げられました根本原則につきましては、開催都市の責務として、あるいは、都はホストシティーとして守らなきゃならないもの、達成しなきゃならないものというふうに考えてございます。
○鈴木委員 今の部長の答弁は、オリンピック憲章に対して、きちっと認識されていない。
例えば、この中では、冒頭に書いてあるとおり、人間の理想に役立つ哲学、要するに理想に役立つ、そしてさらに、オリンピック憲章の真の狙いというのは、今までのさまざまな歴史を通して、その解消のために近づいていく、その歩みが求められている。歴史的な歩みから。それをこのオリンピック憲章が求めている。
それを無視して、まさに国との整合性もとれていない中で、このオリンピック憲章の実現というのを、このオリンピック憲章はそれを求めていないんですよ。
例えば、じゃ、この国の取り組みと、どのような形で今回の条例というのは整合性がとれているのか、お伺いいたします。
○箕輪理事 これまでの質疑で申し上げておりますように、東京都の人権施策というのは、国際人権のいろんな規約であるとか、日本国憲法とか、そういう流れの中でずっと培われてきたもの。そして、東京都人権施策推進指針を二度出しということで、東京都の人権施策というのは、国の人権施策のたてつけの中で、国とも協調しながらということで進めてきたところでございます。そういう流れを踏まえて、いろんな課題を進めてきた。
で、今般のオリンピックの開催都市となったということ、この機会を捉えまして、この憲章の基本理念をしっかりと受けとめて人権尊重の都市をつくっていく、こういう一つの契機としたいということでございますので、そういった意味では、これまでの流れと今回の条例の提案というものは整合性はとれているのではないかなというふうに思っております。
○鈴木委員 その件に対しても、後でまたお話をさせていただきますけれども、オリンピズムの舞台裏というのは、国連と同じで国益の調整の場なんですよ、ある意味では。
二〇一四年十二月の臨時総会で採択した五輪改革、オリンピックアジェンダ二〇二〇で、オリンピズムの基本理念第六項に、今回、性的指向によって差別されないとの文言が追加されたわけです。国連人権宣言及び欧州人権条約の精神に沿ったものであります。
この改正というのは、先ほど話もありましたけれども、二〇一四年二月のロシア・ソチ冬季五輪の同性愛者に対する差別的な国内法によるものだともいわれて、さらには、北京五輪の中国人の人権問題にしても、五輪開催国の国内政治への内政干渉はできないという現実の中での板挟みの中で、こういった取り組みにつながっているというふうにいわれています。恒常的な人権問題へのコミットメントというよりは、現実的には、五輪開催の十七日間の保証を取りつけて妥協せざるを得ない状況というのも実情にあるというふうにいわれています。
こうしたことから、現実的に、IOCの究極の存在目的は五輪の存続であって、開催コストの高さとか、世論の批判で招致都市が辞退しかねない現状がある中で、人権問題を抱えるか否かで選んでいられないという本音もあるのかもしれません。
その証左が、八月一日に開催都市決定投票が行われた二〇二二年冬季五輪招致が、人権問題で批判を受けている中国・北京とカザフスタンのアルマトイの一騎打ちになりました。この両国というのは、ご承知のように、人権問題でいろんな根深い問題があるというふうにいわれている中で、四票差で北京が勝利した。カザフスタンへの批判も、セクシュアルマイノリティーへの批判だったというふうにいわれております。
欧米出身の委員とロシアやそれ以外の国々の委員では温度差がある中で、二百六の国、地域の五輪委から成るIOCには人権問題でおくれている国も少なくない中で、この現実を受けとめると、国際社会で国益というものをしっかりと考える必要があるというふうに思わざるを得ない。
要するに、冒頭に話させていただいた、国連と、そしてオリンピックの舞台というのは国益の調整の場にもなっているといわざるを得ない現実がある中で、日本の国益を守るための、やはりそういった取り組みを一緒になってしていくのが東京都の取り組みではないかというふうに私は思います。
さらに、今回、IOCの内部でも、国際スポーツ界が直面する課題として、キャスター・セメンヤ、南アフリカの事例があって、近年表面化した性分化疾患、インターセックスの問題の答えがまだ出せていないという状況があります。
これは、男性と女性で種目を分けてきた近代スポーツの成立過程の根幹部分にかかわる大きな問題です。性的指向がどうであれ、性転換後の選手でも男性、女性の枠に当てはめられるが、インターセックスの選手の判断は極めて難しい。
五輪史でも悪名高い性別検査に関しても、DNAを分析して女性であることを確認する手法が廃止されたのは、不正を働く者の摘発ではなく、自身が認識せずに性分化疾患を抱えていた選手を暴く結果になるからだといわれています。性別検査が解答のない問題に突き当たったため、アンチドーピング時の視認という原型に戻ったというのが現実です。
現在、スポーツで男女の別がなく競技が可能なのは、馬術などの人体の運動能力が直接の鍵にならないものといわれている中で、この性分化疾患の問題の解答が今も出ていないのが現状です。
このように、オリンピック憲章は人類の理想ではある。その理想への道筋、そして到達点すら見えていない現実の中の網が何よりも大切であり、そして、それが国際社会の中で重層的にかかわっていくことが、この人権問題の何よりも大切な取り組みの中で、国と開催都市との実際の整合性、現実的に、オリンピック規則三十三というのが国内法制度をオリンピックに従わせるということを求めているのが、まさにそこだというふうにいわれています。
要するに、開催都市、そして、それをしっかりと担保する国、この国と開催都市の両輪が、オリンピックを現実に取り組んでいくために何よりも必要だということが求められている中で、本当に今回の条例というのは、今、ある意味、性的指向、性自認に対する国の法制化が、この臨時国会でも法案提出が準備されようとしている中で、整合性がとれているのかということを私はいいたいんですけれども、どうなんでしょうか。
○仁田山人権部長 今までお話をさせていただいたこととダブるかもしれませんが、私どもといたしましては、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章ということは、東京都としても取り組まなきゃいけない課題というふうに認識しておりまして、それで、今回、条例等の動きということになっているということでございます。
○鈴木委員 国は、差別禁止ではなくて、今、理解促進法という形の法案を準備しているというふうにも伺っています。そしてさらに、何よりも大事なのは、差別禁止ではなくて、まず理解促進、そしてまた、その普及啓発、教育。そういったことを何よりも土台として取り組んでいく中で、みんなが当たり前のように自然な形で理解し合えるような、そういった社会実現のために取り組んでいく。そうした中で、この理解促進法が一番懸念しているのが差別禁止という文言だというふうにもいわれています。
そもそも、先ほども触れましたけれども、各自治体が行っている人権擁護の取り組みというのは、先ほどご答弁がありましたけれども、国の委託事務。要するに、各自治体の独自の事務ではない。要するに、今まで取り組んできた人権擁護の取り組みというのは国の委託事務だと。要するに、国が各自治体に委託をして取り組んで、ともに歩んできた、そういった事務がこの人権擁護の取り組みなわけです。
しかしながら、国の法律がこの東京都の条例と違った場合、どういった混乱が生じるのかということは、考えるに、本当にもう、明らかにこれは大変なことになると誰もが感じるというふうに思います。
実際、国の予算が三〇%入っているわけです。国の委託事務との整合性というのが、さらに、この国の予算を都を経由して受けている区市町村にも混乱が生じるというふうに思いますけれども、それに対してどのように考えるか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 繰り返しになりますけれども、私ども、普及啓発と差別解消は車の両輪ということで考えておりまして、この条例を契機に、さらに啓発活動も進めていくというふうに考えています。
その取り組みの中で、国とか区市町村と協力しながら、あるいは都民の皆様、あと事業者の皆様のご理解を得ながら取り組みをしていきたいというふうに考えているところでございます。
○鈴木委員 このような情緒的で感情的な議論で、本当にこれが実際にいいのか。例えば、憲法との問題が、これは生じてくる可能性があるというふうに思っています。
憲法九十四条は、地方公共団体の権能を規定しているわけです。条文では、地方公共団体は、その財産を管理して事務を処理し、及び行政を執行する権能を有して、法律の範囲内で条例を制定することができる。
この規定については有識者の方々からも意見を聞いているはずですけれども、この憲法九十四条との問題については、何という話をされていたのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 今回の条例案にも書かせていただいておりますけれども、東京都は、人権尊重に関して、日本国憲法その他の法令等を遵守しというふうになってございまして、当然、憲法にのっとって行動していくということでございます。
○鈴木委員 何を根拠に憲法九十四条に違反していないかといわれたことに対して、全く答えになっていないんじゃないですか。要するに、何のために、法律家、憲法学者や、そして弁護士の方々をお呼びして意見を聞いたのか。
地方自治体の権能の中で、九十四条に関係するかどうかというのは絶対に問題になる話の中で、今、部長の答えがその答えになっているかという話をしているんですけれども、明確に答えてください。
○仁田山人権部長 私どもの取り組みについては、差別の実情に応じて取り組みをしていくということで考えておりまして、当然、法律の範囲内という理解でございます。
○鈴木委員 憲法の根拠を聞いているわけですよ、今回の話は、今の話は。
例えば、二〇〇〇年に、地方分権一括法で自治体の権能は確かに拡充しましたよ。しかし、条例制定においては国の規定がある。だからこそ、その憲法九十四条の趣旨が生きてくるわけです。
しかし、何も規定していないときはどうなるのかというのが、今回の、ある意味、判断になるわけですけれども、このことについて判断した判例が実はあるんですよ。いわゆる徳島市公安条例事件。
これは有名な話なんですけれども、判例では、条例が国の法令に違反するかどうかは、法令や条文の文言を対比するだけでなく、それぞれの趣旨、目的、内容や効果を比較して、両者に矛盾があるかどうかをまず判断すべき、例えば、国の法令で明文がない場合でも、法令が規制せず放置すべきだというなら、このことを規制する条例は国の法令に違反するといっているんですよ。
今の話からすると、国の法令は、差別禁止ではなくて、理解促進がまず大事だということで、今回、そういった法案を準備しているわけですけれども、この差別禁止で生じる当事者の方々のさまざまな話の中で、やはりしっかりと国民、都民にこの理解を、そしてまた、普及啓発ができた中でそういった取り組みをしていただきたいという要望が、声がある中で、まさにこの部分に当たるんだというふうに私は思っているんですけど、いかがですか。
○仁田山人権部長 このような条例案を出させていただきましたけれども、このような条例で規定を定めるということは、憲法で許されているものというふうに考えてございます。
○鈴木委員 憲法の、どういう根拠で、これが抵触していないかということに全然答えていない。要するに、この質疑をしていたって、結局、そういったきちっとした説明がなされなかったら、質疑している意味がないわけです。(谷村委員「そんなことないよ」と呼ぶ)質疑している意味ないだろう。(谷村委員「意味あるよ」と呼ぶ)答えを聞いているんだよ。(谷村委員「何、問題があるんだよ」と呼ぶ)何いってるんだ。(谷村委員「質問が悪いんだよ」と呼ぶ)質問が悪いんじゃないよ。(発言する者多し)同じだよ、君と。君と同じよ。
○菅野委員長 質問者、質問するように。委員の方も質問してください。
○鈴木委員 谷村さん、これ映っているんだから、よく見ていた方がいいよ。
この九十四条の話というのは、地方自治体がいろんな取り組みをする中で、やはりしっかりと踏まえていかなきゃいけない基本原則だというふうに思っているわけですけれども、なぜそれに対してきちっと説明ができていないのか。
そして、あらかじめ、憲法学者だとか弁護士だとか、法律家の方々に聞いているなら、その理由を、ちゃんとしっかりとした根拠として受けとめていなかったらおかしいだろうという話をしているんですけど、いかがですか。
○仁田山人権部長 先ほどからお話しさせていただきましたとおり、私ども、この条例の前文にも、日本国憲法その他の法令を遵守しというふうに書いてございまして、その範囲内でやるということでございます。個別具体的にどう守るのかということではなくて、全体として守らなきゃならないということで考えてございます。
さらに、今の法体系の中では、このような条例の規定を設けるということは許される、禁止されていないというふうに理解してございます。
○鈴木委員 九十四条には、実は、もう一つルールがあるんですよ。条例は、その地方公共団体内の政治のためにつくられるものであり、自治事務、つまり地方公共団体の事務に関するものでなくてはならないというふうにいわれています。
つまり、人権擁護の取り組みは、先ほど部長がお話しになったように、国のものなんですよ。国の法律があって、その法律に基づいて委託されて事業がある。だからこそ各自治体の取り組みが委託事務になっているという、そうした状況の中で、こうしたことから、今回の条例案というのは、明らかに憲法九十四条に抵触するんじゃないかという懸念が生じて当然の話なんです。いかがですか。
○仁田山人権部長 都民の人権を守ることは、都においても推進すること、要するに、東京都としてやるべきことという理解でございます。
○鈴木委員 行政が、そうした法的根拠というものにのっとった取り組みをしないということになったら、本当にもう、行政たるものの資格がなくなるといわれてもしようがないという話だというふうに私は思いますよ。
さらに、法令の根拠が示されていないというふうに私は思いますけれども、こういった独善的な話の中で、区市にも混乱が生じる。要するに、国の法律が新しくできて、それは理解促進をしましょうと。しかしながら、そこに東京都の条例で差別禁止だという条例がさらに乗っかってくる。そうした中で、差別禁止の中でさまざまな状況が、要するに、意図せぬ混乱が生じるというふうに懸念されている方々もいらっしゃる中で、そうした方々に対して、どのような取り組みをしていったらいいのかというような混乱が生じるというふうにもいわれているわけですよ。
そうしたことに対して、区市に対しては、じゃ、どのように説明をするんですか。
○仁田山人権部長 私どもの条例案の中にも書かせていただいております。
第一章のところをちょっと読ませていただきますと、二条でございますけれども、都は、人権尊重の理念を東京の隅々にまで浸透させ、多様性を尊重する都市をつくり上げていくため、必要な取り組みを推進するものとするとしてございまして、二項で、都は、国及び区市町村が実施する人権尊重のための取り組みについて協力するものというふうに書いてございまして、その点は混乱がないように進められるというふうに考えてございます。
○鈴木委員 国、区市町村もそうですけれども、協力をしてという文言が入っている、だからいいといっている、そういう話では、この条例の趣旨とは整合性がとれない。
実際に、この条例が国に協力するとはいっているわけですけれども、国際社会に東京都が本当に人権尊重の都市であることを発信するために、今回、条例化する。要するに、そこに、国--東京都というのは一体どこの都市なのかということが、私は本当に感じるような取り組みになりつつあるというふうに思っています。
さらに、都は平成二十七年八月に、オリンピック憲章に掲げる人権尊重の理念実現のため、十五年ぶりに東京都人権施策推進指針を見直したわけです。十七項目ある中で、なぜ東京都が今回条例案を出すのはこの二項目なのか、これについて説明をいただきたいというふうに思います。
○仁田山人権部長 東京二〇二〇大会開催を契機といたしまして、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を広く都民に浸透させていくことが重要であると考えてございます。
そこで、本条例案では、啓発、教育等の人権施策を総合的に実施していくこととしておりまして、東京都人権施策推進指針に掲げられた十七の人権課題に対しても、今後も積極的に政策を進めていくということでございまして、あわせて、東京二〇二〇大会のホストシティーとして、性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消及び啓発等の推進と、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消にさらに積極的に取り組むべく、今般、条例案を提出させていただいたところでございます。
○鈴木委員 先ほど、部長、今までもこの人権の取り組みというのはやってきたという話をされていて、この指針も、十七項目ある中でやってきたという話をされている。じゃ、何のために、この二項目は特に条例化をしなきゃならないのか。(「おくれているから」と呼ぶ者あり)それはまさに、おくれているという話もありましたけれども、オリンピックがあるからだという話なんです。
でも、人権尊重の取り組みというのはそんなものなんですか、部長。要するに、しっかりと理解をいただく中で取り組んでいくことが何よりも大切なのではないか。それが今までの歩みの中で私たちがつかんできたことではないかなというふうに思うわけですけれども、今回、オリンピックがあるからこそ、要するに、オリンピックのホストシティーとして、人権尊重の都市だということを認めてもらいたいがために、新たに加わった二つを条例化して取り組む。しかしながら、国の方も、これから法案を、間もなく臨時国会、年内に提出するような状況がある中で、オリンピックやラグビーのワールドカップがあるからこそ急いでやる。
しかし、こういう人権の取り組みというのは、急いでやるものなのか。そういったことに対してどう思っているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 済みません、ちょっと繰り返しの答弁になるかもしれませんけれども、先ほど来からお話しさせていただいておりますけれども、いかなる差別も許されないというオリンピック憲章の理念というものは、我々東京都としてもしっかり取り組んでいくべきというふうに考えてございまして、今まで十七課題も取り組んできてまいりました。
ホストシティーといたしまして、さらに積極的に進めるということで、性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消及び啓発等の推進と、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消にさらに積極的に取り組むということで条例を提出したということでございます。
○鈴木委員 この十七項目の指針のうち、何で、今回、二項目だけを取り上げて条例化をするのかという話を聞いているんですけれども、それに対して答えられないんですか、部長。もう一度答えてください。ちゃんと、端的に。
○箕輪理事 先ほど来、申し上げておりますが、十七項目、十七課題ですね、今の指針についてはこれまでもやってまいりましたし、その中にも、もちろん、LGBTの問題であるとか外国人の人権については入っている。これはこれまでもやってきたし、引き続き、全ての課題を我々はきちんとやっていきたいというのがあるわけでございます。
ただ、オリンピックのホストシティーとして、今後さまざまな外国の方がいらっしゃるという中で、今までの取り組み、もっとやるべきことがあったのかなということで、そういった国際的な潮流ということも含めて、LGBTなどの方々に対する施策であるとかヘイトスピーチの解消といった取り組みが今求められている、そんな認識でこの二つをしたわけでございますが、ほかの施策をしないというわけではなく、それは総合的に、これまでの指針の施策も含めてやっていくということでございます。
○鈴木委員 国はこれまでも、人権擁護法案とか、そして男女共同参画社会法とか、さまざまな取り組みをしてきているわけですよ。しかしながら、その法律制定には、さまざまな課題があるから慎重になっているということが今までの取り組みなわけです。全くやっていないわけじゃない。
そして、先ほど私がいわせていただいたオリンピック憲章の規則三十三、これはまさに、国がしっかりと後押しをするようにということが書かれている中で、今回、この人権条例に対しては、国と何か調整をしたのか。そのときに、部長は、それはしていないような話があったわけですけれども、していないわけですよ。要するに、国の取り組みを無視して、皆様方が、来年のラグビー、そしてオリンピックがあるからこそ、急いでこの条例化をしなきゃいけないと。しかし、実際にフォーカスを当てなきゃいけない方、当事者の方々は、それを求めているのかという話を私は大事にしてほしいという話をしているわけです。
そういう問題じゃない。一番大事なのは、そういった方々が今、直面している苦しみや困難に、私たちがどうやって寄り添って受けとめて対応していくのかということ。そして、それが本当に解決のベストであれば条例化も必要。
条例化をして、しっかりとそういった皆さんにやってもらわなきゃいけないこと、法律化することも大事なんだけれども、そういう取り組みがない中で、実際に、国がもう間もなく法案を提出しようとしている状況の中で、何でこの時期に東京都がやらなきゃいけないのか。
来年のラグビー、そして再来年のオリンピック、そんなことが当事者の方々は理解ができるのかという話をしているんですけれども、どうなんですか、本当に。
○仁田山人権部長 私ども、先ほど来、お話しさせていただいているとおり、いかなる種類の差別も許さないという、そういう取り組みをしていこうということでございます。
そして、先ほど先生からお話がありました国等の動きについても十分見ながら、今後、取り組み等について考えていく、あるいは取り組みを行っていくというふうに考えてございます。
○鈴木委員 いいかげんなことをいわないでください、部長。これからじゃないだろう。今まで条例化の中でしっかりとやってこなきゃいけない話だったんじゃないかという話をしているわけですよ。
先ほどの憲法の話もそうです。地方公共団体の権能からいっても、やはり国とのそごがあってはならないという形で、こういった憲法に規定されている。
そして、国は、全くそれに対して取り組みをしていないわけではなくて、さまざまな課題があるからこそ慎重に取り組みをしてきている。そうしたことも踏まえないで--しかしながら、今、この臨時国会で法案を特命委員会でまとめて出そうとしている状況の中で、何で東京都が先にこれを出さなきゃいけないのか。
そして、その整合性の中で、国は今、差別禁止を求めるのではなくて、理解促進を大切にしようという法律をつくろうとしている中で、この差別禁止という条例が、ほかの区市町村とか都民の方々、特に当事者の方々にどのような混乱を生じさせかねないのかということに対して懸念をしているわけですけれども、一体、それがどういうことなのかということが全く答えられていないじゃないですか、委員長。私がいっていることに対しては全く答えていないですよ。こんな質疑、成り立たないと私は思うんですけど、委員長、きちっといってください。
○菅野委員長 理事者の方は、一応、質問者への答え、答弁、的確に答えていただきたいと思いますが。
○箕輪理事 さまざまな当事者の声をご紹介いただきました。それを踏まえてやっていく必要があるかと思いますが、いろいろ社会の中で混乱がないようにというご指摘に対しては、私どもも、この条例の中で啓発等をしっかりやっていくんだということでございますので、いろんな理解を進めていただくということ、理解増進ですが、これは必要だというのはそのとおりでございますし、それは都民の皆さんと一緒にいろんな理解促進を進めていくというのは全く異論のないところでございますが、現実として、いろんな生きづらさとか困難があるというお話でございますので、そうすると、やはり今、あわせて車の両輪といういい方をかつてしましたけれども、あわせて、そういった差別解消に向けてのできることをやっていくというのも必要かなと考えてございます。そういったことで、この条例のつくりになっているということでございます。
○鈴木委員 今まで東京都が人権に対してさまざまな取り組みをしてきたことは理解している。指針に載っているとおり。
そして、その中で、いろんな方々の声が、ぜひこの問題に対してもっとフォーカスを当てていただいて条例をつくってくれという要望があったのなら、私たちも理解する。しかしながら、そういったこともない。そして、まさにそうした状況の中で、例えば先進的な渋谷区の話でも、相談窓口に来ている件数というのは本当に少ないというふうにいわれている。そういった状況の中で、ただ、オリンピック憲章に載っているから、東京都が一刻も早く、来年のラグビーもあるからやろうと。
それが本当に、実際に当事者の方々に対して説明がつくのかという話、そしてまた、区市町村に対して、そういったさまざまな困難が生じるんじゃないかという懸念に対する回答になっていないという話をしているわけです。
じゃ、実際にこれまで、この人権施策推進指針にのっとって、東京都は、この性自認、性的指向に対して具体的にどのような取り組みを庁内でしてきたのか、そして、どういった成果があったのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 私どもの取り組みの話を、ご質問という理解で返事をさせていただきますが、私ども、LGBTにつきましては、パンフレットあるいはイベント等を通じまして普及啓発活動をしているということでございます。
○鈴木委員 普及啓発のパンフレット、それは今までどこでもやってきていることなんですよ。だから、それがどうしてこの条例をつくるということになるのか、その整合性が全くない。
要するに、東京都もさまざま実際に実践をして取り組んできて、東京都の中でやってきて、そして、いろんな方々と一緒になって、東京都がまず率先をして、この条例を全国に先駆けてやるんだったら、今までもこのセクシュアリティーに対しての取り組みを十分にやってきた中で、それでも、今ここで条例化をして条例をつくらなかったら、この問題は解決できないというのであるならば理解はできる。
しかしながら、まだまだそういう状況ではない中で、そして、東京都が大した、ほとんどやっていない中で、本当にそれで区市町村に責任としてそういったものを与えていいのかということを、皆さん、どういうふうに考えているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 今、先生、お話しの中で、取り組みを十分していないというお話がありまして、私どもも、今後、オリンピックを契機に、ホストシティーとして取り組みを進めていきたい。それも、ヘイトスピーチやLGBTに限るわけではなくて、全体的に、十七の課題についてもしっかり取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
○鈴木委員 東京都は、このオリンピック憲章を利用して、今回、こういった条例を制定して、そしてまた取り組みをしていこうという話なわけですけれども、性的指向、性自認で悩む当事者の困難というのは、本当に二の次になっているというふうに、私は今、理解しました。
さらに、法案の全体像がまだ示されていないまま条例化してしまう姿勢というのは、民主党政権のときの人権侵害救済法案と全く同じ取り組みになっていく可能性が高い。この人権侵害救済法、結局これが、条例後の改正がさらにハードルが下がって、東京都から区市町村、そして全国へと、こういった条例をつくっていけるような、私は、そういったものになっていく可能性がある、また危険性があるものというふうに思います。
この差別禁止という取り組みがあらゆるものの差別とされて、男女関係、男と女とは何か、それによる結婚、家族のあり方、それらを背景とした文化、習慣が崩されていく危険性もあるというふうにもいわれています。
そのため、差別解消の啓発であり、今後作成されていくという基本計画が何よりも大切なわけですけれども、渋谷区のパートナーシップ条例の計画で、区立の小中学校では独自の教材をつくって、このLGBTへの理解を深める授業がされているというふうにいわれております。しかしながら、現場の先生方、そしてPTAの方々から、子供に異性愛も同性愛も同じというような意識を植えつけていく教育というのは、果たしてどうなのかという意見が上がっております。
また、LGBTの方々の理解を超えた普遍的愛の考え方として教育することは、日本の家族観、結婚観も揺るがしかねない内容になる中で、ここはやはり、憲法と、そして国の取り組みとも整合して、もっと議論を深めていくことが何よりも大事だというふうにもいわれています。
LGBT法連合会の方々もいらっしゃるかもしれませんけれども、総務局の方々も参加されて、東京都庁でこの意見交換会をされたわけですけれども、彼らが作成した性的指向及び性自認を理由とする私たちが社会で直面する困難のリストという一六ページにわたる一覧表を、私もホームページで拝見させていただきました。本当に理解ができる部分と、その解決のために、普遍的対応が今の状況では困難であるというような感想も持ちました。
例えば、子供、教育の分野では、学校の制服や体操服など、戸籍上の性別で分けられたため、苦痛を感じ、不登校となった、そういった意見、男女で分けた授業や種目、体育祭、部活、合唱コンクールにおいて、性自認と戸籍の不一致のために、自分のやりたいことが選択できなかった、また、学校行事において、男女で色分けをしたり、役割を決めていたりするため、自分が望まない色が宛てがわれ、好まない役を任された、学生証に性別欄がある、卒業証明書、卒業見込み証明書や成績証明書に性別欄の記載があることで、性同一性障害であることが知られ、不快な思いをこうむったなどの六十項目が挙げられています。
就労の分野では、パートナーの死別に際して、遺族補償の給付、死亡退職金の給付、慶弔金の支給等が拒否されたなどなど、法律上、結婚と扱われないため、使用者との関係でさまざまな不利益を生じたとも載せられております。
カップル、養育、死別、相続では、パートナーを扶養家族として所得税の申告をしたが拒否、特別養子を受け入れることができなかった、パートナーの死別に際して、パートナーの財産を相続できなかった、未成年の子がいるため、戸籍上の性別変更ができなかったなど、二十項目挙げられておりました。
一覧表が示している、性的少数者が社会で直面する困難というものがここに載せられているわけですけれども、しかしながら、この問題というのは、かつてジェンダーフリーの問題でも上がりましたけれども、男女を前提とした婚姻制度を基本とした社会保障など、さまざまな制度や慣行が全て差別に当たるというふうにもいわれかねないというような議論が国会でされたわけです。
当事者の方々の苦しみ、困難を個別に対応させていただくことは何よりも大切なわけですけれども、そして、それに対して理解を深めていくことが何よりも大切であり、そうしたことを一つ一つ積み上げていくことが、本当の意味の、私は救済になっていくのであるというふうに思います。
こうした一六ページにわたるリストの中で、今、話をさせていただきましたけれども、実際に教育現場やさまざまな場所で困難、混乱が生じる可能性がある中で、実際にこのことに対してはどのように対応していこうと思っているのか、見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 啓発につきましては、本条例案の第三条で、都は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るものとすると規定してございます。条例制定を契機に、あらゆる機会を捉え、当事者を含め、都民一人一人がさまざまな人権課題を正しく理解できるように、啓発イベントの実施や、インターネット、啓発冊子などの活用を含め、総合的な人権啓発を推進していきます。
また、教育につきましては、学校において、性自認及び性的指向に関しては、まずは教員の理解が重要でございまして、文部科学省の通知の周知や、医療や心理等の専門家による講演により、全ての教員が性同一性障害や性的指向、性自認に係る児童生徒に適切に対応し、一人一人に寄り添えるよう取り組みを進めていくと聞いてございます。
○鈴木委員 部長、最後の、と聞いておりますというのは、本当にみんなに申しわけない発言だと私は思います。皆さん、やはり先頭に立って条例化をする、そのリーダーとして、しっかりとやっていって、しっかりとそういった方々の気持ちを込めて条例化をしていくことが、何よりもこの人権に対する取り組みで求められているんじゃないかなというふうに思います。
今までの条例と一緒にこの条例案を考えることというのは、私はあり得ないことだというふうにも思っています。本当に慎重の中で取り組んで、実際に一番フォーカスを当てなきゃいけない方、当事者の方々、そうした方々に寄り添いながら、そして、その方々がさらなる意図せぬ差別や、そういった困難に直面しないような対応をしっかりとしていくための普及啓発が本当に必要なんだというふうに私は思いますよ。
そうした取り組みよりも、ラグビーのワールドカップや、そしてまたオリンピック・パラリンピックのために、急いでそういった条例を、あえて十七項目のうち二つ取り上げてやるということ自体、全く説得力がなく、理解に苦しむ。ある意味、政治的なパフォーマンスといわざるを得ない。私はそのように指弾させていただきます、本当に。
やはり東京都がやるべき姿というのは、オリンピック憲章の三十三にも書かれている、オリンピック憲章に掲げられている人権尊重の理念を実現するために、国とともに、区市町村とともに、そして、もっといえば都民や国民と一緒になって、こうした取り組みになっていくような、まず、そういった形でリーダーシップを発揮するのであれば、それはもちろん、ホストシティーとして私は理解できますけれども、そうじゃない。ある意味、スタンドプレー。東京都が開催都市としてやらなきゃいけないんだというような独善的な取り組みの中で、実際に、国や区市町村にどれだけのいろいろな心配や、また困難が予想されるのかということを考えると、やはり今回の取り組みには本当に疑義を述べたいというふうに思います。
実際に私たちも、この審議がなかなか、条例案も本当に間近になって、きちっと文章が出たのは開会の前ですし、参考人も呼ぶことができなかった状況を考えると、本当に、もっと丁寧にこれを審査することが何よりも大切だったというふうに思っております。今回、参考人で私たちが呼び……(「提案したのに反対したんだよ」と呼び、その他発言する者あり)
憲法上、規定されている男女の婚姻関係と同性カップルは全く異なるもので、法制度上、税制上、規定されているわけですけれども、特に婚姻制度というのは、子供の心身ともに健全な発育を図るために、両親の関係を制度で保護することで、婚姻関係が簡単に壊れない仕組みになっているわけです。LGBTの当事者の方々の苦しみや困難の救済とはまた別に、この男女婚姻関係と同性愛同士の関係というものも、はっきりと整理をしていかなくてはいけないというふうにも思います。
さらに、この差別の解消の取り組みの中で、これまで国でも問題になっていた男女共同参画社会基本法や人権擁護法案でも取り上げられた憲法十九条の思想信条の自由、そして憲法二十一条の表現の自由ということに対しても、しっかりと整合性がとれた取り組みになっていかなくてはならないというふうに思っておりますけれども、この憲法に対する考え方についてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 これも先ほどから繰り返しで申しわけございませんが、条例案の前文には、東京都の人権尊重に関して、日本国憲法その他の法令等を遵守するということになってございますので、私ども、憲法の範囲内で取り組みを行っていくということでございます。
○鈴木委員 これから基本計画が示されるわけですけれども、その基本計画の内容がどのようなものになっていくのかということをしっかりと注視していかなきゃならないわけですけれども、この基本計画は、実際にどのような内容になっていくのか、そして、このスケジュールはどうなっていくのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 本条例案では、基本計画は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るために、都の責務として策定することとしております。
基本計画に盛り込むべき具体的な施策については、条例制定後、全庁横断会議を設置して条例の趣旨を庁内で共有し、各施策現場においてどのような配慮が必要かなど、個別に課題を検証しながら検討してまいります。
また、基本計画の策定に当たりましては、当事者を含めた都民等からのご意見を伺いながら、これは先ほどお話ししました、近々、相談窓口を設置いたしますので、そういうところに寄せられたご意見なども伺いながら、具体的な政策を東京二〇二〇大会までに進めていくことができるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。
○鈴木委員 かみ合わない議論をさせていただいていて、私が一番思うのは、今までで、東京都が、ある意味、全国で初めて、この人権に対する条例を制定する、そして、そのための哲学とか理念とかというものも、いまいち伝わってこない。要するに、オリンピック、そしてラグビーがあるから。ラグビーにおいては、何の根拠でラグビーに間に合わせようとしているのかというのも、いまいち不明なわけですけれども、しかしながら、そういった国際大会がある、それに対して、しっかりと国際協調として、この人権尊重の姿を本当に世界にアピールしたい、そういった思いのためにこの条例ができるというふうに感じています。
しかしながら、本当にそれでいいのか。やはり何度もいうように、憲法との関係性や区市町村との関係性、そして何よりも当事者の方々に--実際に今でも、カミングアウトをする、しないではなくて、してもしなくてもいいような社会をつくってほしい、そういった方々に対して、今回どのようにお応えをしていくのか。しかし、それはこれからの基本計画に委ねられるんだろうというふうに思います。
国との、法律との整合性の範囲でという話を聞きましたから、その部分においては、私たちも、これからの取り組みを注視していく必要があるのかなというふうにも思います。
今回、参考人をお呼びしたかったけれども、呼べなかった。私たちは、一般社団法人LGBT理解増進会、また、全国LGBT理解増進ネットワーク会議代表の繁内幸治さんをお呼びさせていただきたいというふうに思っておりました。また、ほかにも、さまざまな方々の、団体の活動をされている方々の話も聞かせていただきたいというふうに思っておりました。
そうした中で、繁内さんが私たちに、差別をしたらいけないのは当たり前の話であり、ただ差別はだめだから禁止してしまえばいいというのは別の問題です、大切なのは理解を深めていくこと、そのために啓発していくことであり、その心の広さが、制度を生かし、制度に力を与えていく、カミングアウトする必要のない社会、自然にいい合える社会、お互いが理解していく社会、これが私の目指す社会、東京都は日本のど真ん中であります、王道にのっとっていき、多くの方々で、会派の違いを乗り越えて全会一致で可決するような条例をぜひつくっていただきたいという話でした。
私たちも、そういった方々の思いをしっかりと受けとめさせていただく中で、やはりもっと慎重に、大切な人権にかかわる条例化の取り組みですから、もっと議論をしていくことが何よりも大事であるというふうにも思っておりますし、国の法律が臨時国会で制定準備されようとしている中で、今、この三定、あしたの委員会で採決というものは、余りにも拙速なのではないかなというふうにも思います。
そのほか、次に、ヘイトスピーチについて、若干、お伺いをさせていただきます。
ヘイトスピーチをやめさせたいというのは、多くの人が望むことであります。本条例案は、禁止や罰則を設けず、不当な差別的言動が行われることを防止するため、公の施設の使用制限など、主に啓発等を推進するための理念法であるというふうに思います。
とはいえ、どんな言葉が不当な差別的言動に当たるかは、審査会の意見を聞いて判断することになっています。どんな発言が本邦外の出身者に対する不当な差別的発言になるのかを判断する目安というようなガイドラインが必要ではないか、そのようにいわれております。
外国人参政権がないのは差別、朝鮮学校に補助金を出さないのも差別といったことも不当な差別になるのかどうなのか、混乱を生じない対策が必要だというふうに思います。
さらに、在日韓国・朝鮮人の中には、戦時中に強制されて来たという主張がありますが、これを歴史的事実として誤りだと教えることが侮蔑、差別的言動だと訴えられたらどういう状況になるのか、啓発活動や教育現場で起こり得る可能性として取り上げられておりますけれども、それに対する見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 本条例に規定する不当な差別的言動のお話でございますが、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律第二条と同義でございまして、専ら本邦の域外にある国もしくは地域の出身である者またはその子孫であって適法に居住する者に対する差別的意識を助長し、または誘発する目的で、公然とその生命、身体、自由、名誉もしくは財産に危害を加える旨を告知し、または本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国または地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動のことをいう、そういう言動でございます。
○鈴木委員 対象となる言動が、そういう言動に値するかしないかというためのガイドラインというものをつくるのかつくらないのか、これはやはり必要な話だというふうに思っておりますけれども、それに対してはどのように考えておりますか。
○仁田山人権部長 それが不当な言動に該当するかどうかについては、個別的に審査会で検討する、審査をしていただくということになるということでございます。
○鈴木委員 というと、現場現場で、そうした指針となるようなガイドラインはつくる予定はないというような理解でよろしいですか。
○菅野委員長 答えられませんか。
○仁田山人権部長 公の施設に不当な差別的言動が行われることを防止するために基準を定めるということでございますが、どのようなものが該当するかについては、審査会で審査をするということでございます。
○鈴木委員 きちっと答えていただきたいのは、ガイドラインをつくるかつくらないかという、そういった気持ちはあるのかないのかという話を聞いているんです。
その審査会がどうのこうのという話は、それは見ればわかります。審査会については、まだ時間はありますから質問しますけれども、現場の中で混乱が生じないような形でガイドラインみたいなものをつくる予定があるのかないのかということを現状の中で聞かせていただきたいという話をしているんですけれども、いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 済みません、ちょっと説明をもう一度させていただきますと、条例案の第十一条に、知事は、公の施設において不当な差別的言動が行われることを防止するため、公の施設の利用制限について基準を定めるということになってございます。
○鈴木委員 要するに、公の施設の中で、管理者に対して基準を設けるということの話なんですね。
先ほどお話しになっていた、そういったいろんな申し立てに対しては、実際にそれが当たるか当たらないかは、委員五人以内で組織する審議会の組織というものが、これから学識経験者とか、その他適当と認める者をという話が書いてあるわけですけど、その適当と認める者の範囲というのは、大体どのような方々になるのですか。
○仁田山人権部長 審査会につきましては、これから決められていくということでございますが、ある程度、人権全般を見渡せる法学者とか、先行事例に携わっているような有力者など、適切な人選をしていきたいというふうに考えてございます。
○鈴木委員 いや、だから、学識経験者のほかにという話をしたんですけれども、基本的には余り認識されていないと。
しかし、この問題も、人権擁護法案の問題でも、その調査ということに対する組織観というのが一体どういったものかによって、大変危険なものがあるという議論が国でもされているわけですよ。
要するに、先ほどの話もそう、そして、このヘイトスピーチの問題もそう。ある意味、国のいろんな議論の中で、東京都がそれをしっかりと受けとめていないというところが、今の答弁の中で、私は本当にあらわれているというふうに思うんです。そういった状況でこの条例ができるということに対する、若干の危惧を抱かざるを得ません。
さらに、国の法律でもそうでしたけれども、審査会の調査権、これは令状主義を求めている憲法三十五条に抵触する可能性もあると国ではいわれている中で、この東京都の条例においては、その憲法三十五条に対してはどのような配慮がされているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 条例の規定の適用を公平かつ中立的に行っていくことを担保していくために、地方自治法第二百二条の三の規定により、執行機関の附属機関として、本条例の定めるところにより審議または調査を行う機関として審査会を設置したものでございます。
ヘイトスピーチ解消の取り組みは、表現の自由への十分な配慮が必要であり、学識経験者等で構成される知事の附属機関である審査会での調査審議も踏まえつつ、ヘイトスピーチに該当するか否かについては慎重に判断してまいりたいということでございます。
さらに、条例十八条に表現の自由等への配慮についても規定していることでございますので、慎重な取り扱いを担保しているところでございます。
○鈴木委員 最後になりますけれども、国で二〇一六年五月十四日にヘイトスピーチ解消法が成立したわけです。制定されたわけですけれども、不当な差別的言動を許さないは誰もが認めることである、しかし、その条例の運用をどのようにしていくかということが、やはり一番慎重に取り組んでいかなくてはいけないものであるというふうに思います。本当に社会の理解をこの分野においても求めていく中で、このヘイトスピーチに対する取り組みを進めていくべきだというふうに思います。
最後に、重ねるわけですけれども、ヘイトスピーチ、そしてまた性的指向、性自認の両方が、この条例の中で一緒になっている。私はこのことも、本当は別々にして一本一本の条例にするべきではなかったのかなというふうにも思います。そしてさらに、その方が説明責任がしやすい、そして理解しやすい。
このヘイトスピーチは誰もが許さないというのは、もう国の法律もできていますし、ある意味、それは皆さん理解している。しかし、これと、そしてオリンピック、その二つのキーワードで、この条例が実際に--LGBTという言葉すら、まだ都民の方々の、多分、半分以上の方は理解されていない状況の中で、私はもう少し慎重に取り組んでいく必要があったんだろうというふうに思います。
きょう、いろいろ質疑をさせていただきましたけれども、オリンピック憲章が求めているのは国との整合性、そしてまた、憲法で求められている、憲法九十四条も国の規定の範囲の中でというふうにいわれている中で、しっかりと国と整合性をとって、区市町村に混乱が生じないような取り組みをしていただきたいということを強く要望いたしまして、終わりにさせていただきます。
○菅野委員長 質疑の途中ですが、ここで休憩をとりたいと思います。
午後五時五十四分休憩
午後六時二十六分開議
○菅野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 それでは、私も人権条例について質問をしたいと思います。
今ほどいろいろ質疑が行われまして、その中で、一つ、事実経過として参考人招致のお話がありました。ちょっと今いらっしゃらないですけれども。
私たち共産党としては、第二回定例会のときから、参考人招致も含めて閉会中審査などもやろうということを提案してきました。また、今回、総務委員会の方で急遽ご提案もあって参考人を呼ぼうというふうになって、もう本当に短い時間で、何とか協力してやろうというふうに動いたわけですけれども、何せ半日、実質半日で参考人の方を呼ばなければいけないということでは、そこは難しかったわけですけれども、やっぱりそういうふうに、それぞれ立場は違っても、委員会で十分審議を尽くすためにどうしようかということを今まで議論してきているということを踏まえないで発言があったのではないかというのは、とても残念に思いました。
そのことについては指摘をした上で、これまでの議論の中で私が思ったのは、オリンピックが近いということもあって、この条例を急いでいるというお話もいろいろ出ていたんですが、今回の条例で大事だと思ったのは、オリンピックのその先も見越しているという点が非常に重要だと思っているんです。
それは前文のところでうたわれています。東京が、持続可能なよりよい未来のために、人権尊重の理念が実現した都市であり続けることということが明記されていまして、私は、そこを見据えながらこの条例案が出されているということについて、評価できるのではないかと考えています。
また、この条例案概要が出る前に、その前にポイントが出ていましたけれども、その間でもいろいろ発展があって、結果的にこの条例案は、セクシュアルマイノリティーの方だけのためのという視点ではなく、これは誰にでもかかわることなんだということで、第四条のところにも書かれているとおり、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならないと。これは、特定の人だけのことをいっているわけではなくて、全都民のことをいっているんだという、そういう到達点でつくられているということは非常に重要なのではないかということを、まず受けとめているところです。
それで、最初に質問をするのは、第二章にかかわって伺います。
第二章のタイトルは、多様な性の理解の推進となっています。
まず、基本的なことを確認しますが、都としてこの条例をつくるに当たって、多様な性の理解とはどういうことを指しているのでしょうか。あわせて、そのために何が必要と考えているのか、伺います。
○仁田山人権部長 多様な性の理解とは、自己の性別についての認識のことをいう性自認や、自己の恋愛または性愛の対象となる性別についての指向のことをいう性的指向がさまざまであるということを理解することであります。
都民一人一人が多様な性について理解するため、条例制定を契機として啓発等を積極的に推進していくことが必要であると考えております。
○原委員 第三条には、性自認、性的指向について、この条文の中で括弧でくくりながら簡潔に説明されているんですね。二定のときにも、この用語がなかなか難しい、まだまだその点では都民に浸透していないというのもあるので、そのことも指摘をしましたが、今回、簡潔にこの説明が載っているというのは、私はとても重要だと思っています。
その上で、ただ同時に、性的指向について説明があるんですけれども、性的指向についてはさらに多様ですよね。この説明の中に、例えば無性愛とか、わからないという、そういうもの、そういう方もいらっしゃると思うんですね。そういう方々、そういう認識も含めているのかどうかということを伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 本条例の第二章では、多様な性の理解の推進を図るものとしておりまして、ご指摘の無性愛は、多様な性に含まれるものと考えております。
○原委員 含まれているということで確認をしました。これは私は大事なことだなというふうに思っています。
そして、今回の条例案の特徴は、第二章のテーマである多様な性の理解の推進、この理解の推進をしていくということとともに、第四条で規定されているように、不当な差別的取り扱いをしてはならないと位置づけられた。先ほど車の両輪だというご説明がありましたが、まさにここが今回のポイント、重要なところだと思います。
それで、今までの説明でも出ていましたが、改めて伺いますけれども、どうして車の両輪という、なぜこの二つを位置づけたのか。そして、あわせて、どういうことが不当な差別的取り扱いだと考えているか、具体的に説明をしていただきたいと思います。
○仁田山人権部長 条例案第三条では、性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消並びに啓発等を推進することとしております。
その上で、理解促進とともに、不当な差別的取り扱いを解消していくための取り組みも、あわせて進めていくことが重要であると考えたため、憲法十四条でも性別による差別は禁止されており、オリンピック憲章における規定との整合性を考慮し、これらの範囲内で性自認及び性的指向を理由とした不当な差別的取り扱いをしてはならないとする規定を設けたところであります。
なお、LGBT当事者の方々は、教育、就労など社会のさまざまな場面で困難等に直面していると聞いておりまして、中には、性自認や性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いを受けている場合もあると認識しております。
○原委員 差別はあってはならないということを明確にしながら理解を広げていくという、この条例はそのきっかけになるものだというふうに思っています。
私は、このことが条例に位置づけられることで、セクシュアルマイノリティーの方や、また性の違和感を感じている、そういう方、そのことで悩んでいる人、そういう方々にとって、とても支えになるのではないかと思っているんです。
先ほどいったように、これ、全ての人にかかわる条例としてつくられていますので、カミングアウトが前提になっているというものでは全くないというふうに思うんですね。ですので、こういう、差別はあってはならないということをきちんと書かれることによって、特に誰にも相談できず苦しんでいる人たちも本当にたくさんいらっしゃるので、支えになるのではないかと。あなたが悩んでいることで差別を受けることはないんですよということを東京都の条例でいうということは、非常に重要だというふうに私は受けとめています。
その上で大事になってくるのが、相談窓口と苦情処理だと思います。どのように進める考えでしょうか。
○仁田山人権部長 LGBT等の方々のお困り事はさまざまでありまして、声を上げられない当事者の声をどう聞くかという配慮も求められていると認識しております。
相談に当たりましては、しっかりと当事者の悩みを聞き、寄り添うことが何よりも大切であり、また、相談や苦情の内容は多種多様であることから、相談窓口を新たに設置して、相談窓口に寄せられた相談を人権部に集約し、そこから各局と共有することで、各現場において適切な対応につなげてまいります。
○原委員 済みません、今までの質疑の中でも相談のことも出ていたと思うんですが、ちょっと確認なんですけれども、二定のときにも議論になっていたと思いますが、相談するのは、誰でも相談できるということなのかどうかということと、その相談の手段ですね。相談窓口ということですが、それはどういう手段、電話なのかとか、窓口に必ず行くのかとか、ちょっとそこを改めて確認させてください。
○仁田山人権部長 お話の相談窓口につきましては、当事者の方だけでなく、誰でも相談ができるというものでございまして、相談方法は電話で予定をしております。
○原委員 誰でも相談できるようにしてほしいというのは、関係者の皆さん、都民の皆さんからも、とても強く要望されていたというふうに思いますし、また、議会の中での議論でも、さまざま意見が出ていたと思います。そういう点で、やはり改めて大事だというふうに思います。
ただ、今後の課題ですけれども、電話相談だけでいいのかというのは私は思っていまして、第二回定例会の総務委員会でも提起しましたけれども、メールとかLINEとかSNSの活用とか、そういう、できるだけ相談のハードルを低くするというのが重要ではないかなと思うんですね。時間や場所を選ばないで、また、場合によっては匿名でも相談できる、そういうことは必要ではないかと思いますけれども、現時点では電話相談ということで進められているんだと、今、お聞きして思いましたが、今後、この点はぜひ検討が必要ではないかと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 相談窓口につきましては、これから始めるということもございますので、まずは実績を見た上で、いろいろと考えていきたいというふうに考えております。
○原委員 わかりました。ぜひ今後の課題として検討していただきたいということを、この点については要望しておきたいと思います。
あわせて、その相談で大事なのは、どういう方が相談に乗ってくださるかだと思うんですよね。特に今回、SOGIハラは許さないという立場に立っての相談を受けることになりますから、どんな方でも相談できる、これはとてもいいんですけれども、それぞれのさまざまな立場の人の相談に乗れる方じゃないと、相談に行ったけれども、逆にちょっと困ったとか、もう電話したくないとか、追い詰められちゃったとか、そういうことにならないようにしないといけない大変デリケートな問題だと思います。
ですので、どういう方が相談に十分乗るのかということについては十分配慮をしていただきたい。今回は、この点については強く要望するということでお願いをしたいと思います。
私、このことを考えたときに、いろいろちょっと調べていて、見たのは、二〇一七年の十月から十二月に行われた、三重県の県立高校四十九校の二年生、一万人の調査というのがありました。これは、三重県の男女共同参画センターと宝塚大学看護学部の日高庸晴教授による調査だったんですが、この高校二年生、一万人の調査の結果、一〇%の方がセクシュアルマイノリティーというふうに、結果としてなっていました。その中には、LGBTですという自覚を持っている高校生、または、わからないという高校生を含めてですけれども、一〇%ということだったんです。
それで、そのうち三人に一人が、自分の体を傷つけたことがあると。悩んでですね。そういう回答をしている。
さらに、私はこれがとても深刻と思ったのは、そのうち九割の人が誰にも相談したことがないというふうに回答していました。これが現実なんだというふうに改めて思ったんです。特に親に相談するというのは、最もハードルが高いというふうに答えている人もたくさんいたんですね。ですので、今回の条例制定をきっかけに相談窓口が始まるわけですけれども、安心していかに相談できるかというのが、本当に決定的だなというふうに思いました。
ぜひ、こうした調査の結果なども出ているので、相談に乗る人の問題、また、できるだけ相談しやすい環境づくり、ここを十分配慮していただきたいということを求めておきたいと思います。
次に、都としての責務としても、不当な差別的取り扱いはしてはならないということを今回位置づけていますが、そのことについて、私は、そうであれば、率先して都庁内でも実践をしていくことが大事だなと思っています。
これも第二回定例会で質問して、一定の答弁があったんですけれども、今いったように、不当な差別的取り扱いをしてはならないということが条例に明記をされるというもとで、都庁内の職員の皆さんに対するSOGIハラ根絶の取り組みや、それから同性婚などをした職員への均等待遇など、これは今まで以上に検討をスピードアップして進めていく必要があるのではないかと思いますが、見解を伺います。
○木村労務担当部長 職員一人一人が最大限能力を発揮するためには良好な職場環境が不可欠でありまして、そのためには、職員の人権が尊重され、ハラスメントがないことが大前提でありまして、性自認や性的指向に関する問題にかかわらず、全ての職員が生き生きと働ける勤務環境づくりが必要であります。
都では、平成二十九年一月に、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針を改正し、職員の性自認及び性的指向に関する規定を定めたところであります。
具体的な取り組みとしまして、ポータルサイトのハラスメント防止掲示板において、ハラスメントに関する啓発資料等を常時掲載するほか、毎年十二月のセクシュアルハラスメント防止月間には、全員にSOGIハラに関する設問を盛り込んだハラスメント理解度チェックを実施するなど、ハラスメントに関する周知啓発に努めているところでございます。
さらに、人権課題をテーマとした全職員対象のeラーニングや、管理監督者向けの研修等を通じまして、性的マイノリティーへの理解促進に向けた取り組みを行っておるところでございます。
一方、休暇や給与などの職員の勤務条件につきましては、国や他団体との均衡を踏まえることが原則であります。同性パートナーにかかわる休暇制度等の整備につきましては、法令との整合性や客観的な事実確認の方法等を含めまして、総合的に検討していくべきものと認識しているところでございます。
今後とも、ハラスメントのない職場づくりに向けまして、職員の意識啓発等に取り組んでまいります。
○原委員 さらなる推進をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
第二章にかかわっての最後の質問になりますけれども、基本計画策定についてです。
これをどのように進めていくのかということなんですが、今回、条例の中に、第五条の二として、都は、前項の基本計画を定めるに当たっては、都民等から意見を聞くものとすると。
意見を聞くということが位置づけられたことは非常に重要だと思っていますが、具体的にどう進めるのか、伺います。
○仁田山人権部長 基本計画は、条例に規定しているとおり、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るため、策定することとしております。
策定に当たりましては、条例制定後、庁内横断会議を設置して条例の趣旨を庁内で共有し、相談窓口で当事者から寄せられる声、都民等や区市町村の意見、都議会でのご議論も踏まえ、各施策現場における課題を抽出しつつ、具体的な施策を東京二〇二〇大会までに進めていくことができるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。
○原委員 わかりました。
それでは、次に、第三章、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進について伺います。
二章とつくりが違うのは、ヘイトスピーチについては、現に国の法律があるという中での対応になっているということからだと考えていますが、まず伺いたいのは、条例では、国の法律に基づき、都の実情に応じた施策を講ずることにより、差別的言動の解消を進めるとしています。
この都の実情をどう見ているのかということを、まず最初に伺います。
○仁田山人権部長 都内のヘイトスピーチに関しましては、その件数を正確に把握した統計は存在いたしませんが、類似するものとして、法務省が委託した調査研究の報告であります、ヘイトスピーチに関する実態調査報告書での統計が考えられます。
この調査におきましては、ヘイトスピーチ等を伴うデモ等を行っていると報道等で指摘されている団体が平成二十四年四月から同二十七年九月までの間に実施したデモ等の発生件数として、都内で合計四百四十件が挙げられております。
○原委員 わかりました。
それで、私、ちょっと具体的に、現にこういうことが起きていますということで質問をしたいんですけれども、先日、小平市内の玉川上水の遊歩道にあるベンチ十五カ所にヘイト落書きがされていました。マジックのようなもので、朝鮮人は犯罪民族、被害者のふりに注意というふうに書いてある。ベンチ十五カ所です。かなり広範囲でした。
私も、数件、情報が寄せられたので、現場に行ってみました。私が行ったときには、既にテープが張られて、落書きそのものを、私が見たところは見れないようになっていましたが、それ自体が物々しい感じでした。
近くには学校がたくさんありまして、子供たちが通る場所なんですね。テープを張ってあるベンチのそばに警備員みたいな人が立っていたので、その方に聞いたら、子供たちが登下校でこの遊歩道を使うので、いつも交通誘導員として立っていますというふうにおっしゃっていました。そういう場所です。私は、こういうところにこのような差別的な落書きをしているということで、本当にショックを受けました。
都としては、この事実を把握していたか、また、どのような対応をしたか、伺います。あわせて、人権部でもこのことを把握していたのか、伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 今回のお話しの事実につきましては、人権部も把握しておりました。
施設管理者が、都民からの情報をもとに、警察とともに現地確認をし、速やかに遮蔽措置を講じるとともに、落書き除去作業を実施しているとの連絡を受けております。
○原委員 把握をされていて、対応されたということについては、まずはよかったというふうに思いますが、都内でも、やっぱりこういうことが現に起きるという状況です。
この落書きと直接関係しているかどうかということは確認できませんけれども、全く同じ時期に、この近くの朝鮮大学校において、関東大震災時の朝鮮人虐殺問題についてのシンポジウムが行われていたんですね。こうしたシンポジウムも安心して行えないのかというふうに、とても私は憤りも感じました。
私たちは、代表質問で知事に、関東大震災での朝鮮人虐殺の事実について、これが重大な人権侵害だという認識に立っているのかと質問しました。残念ながら、知事は、何が史実かは歴史家がひもとくもの、甚大な災害と、それに連なるさまざまな事情で亡くなった全ての人に哀悼という、そういう範囲の答弁でした。
私は、今回の小平の様子を見て--今でも災害が起きるたびに、SNSを通じてヘイトスピーチが行われているんですよね。今度は、子供がよく通るような場所でも落書きもされるというようなことで、私は改めて、知事が歴史の事実にどう向き合うのか、重要になっているというふうに思っています。
そういう点では、提案者である知事の答弁は、今回、非常に残念だったんですけれども、ここに知事はいらっしゃらないですけれども、歴史の事実に向き合うこと、また、朝鮮人犠牲者の追悼式典への追悼文はやっぱり送るということを判断すべきだということは、今後もいっていきたいなと思います。特に今回、知事は人権条例をこういうふうに提案されているわけですので、そのことを求めたいと、改めて私たちは考えています。
その上で、この条例が成立をしたというふうになった場合に、今回の小平のヘイト落書きのようなことが起きた場合には、都民はどこに連絡したり、あるいは、都はどのように対応していくということになるのか、伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 先ほどお話しのような落書き事案についていえば、施設管理者、区市町村、都等に連絡していただくものと考えております。
本条例第十二条に規定するとおり、都民等からの申し出あるいは職権により、ヘイトスピーチに該当するか否かなど審査会の調査審議を経て、概要等の公表などの措置がなされる場合もあると考えております。
○原委員 わかりました。そういう場合もあるということです。それは条例に規定をされているということです。
それで、今、お話にあった事後公表だけではなくて、今回の条例の特徴は、事前規制が一つの特徴だというふうに思います。それが第十一条の公の施設の利用制限ということになるわけです。公の施設についての資料も提出をしていただきました。ありがとうございました。
これは確認なんですけれども、あくまでも本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行おうとする者が利用申請を出したときに制限をすることができるとするもので、施設の利用制限については、そこに限っているという理解でいいのか、確認をしたいと思います。
○仁田山人権部長 都民の利用に供される公の施設は、本条例第十一条の施設の利用制限は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行おうとするものか否か、利用ごとに判断するということになっております。
○原委員 都民の皆さんの中には、ヘイトスピーチと何ら関係のないものでも規制されかねないのではないか、表現の自由は守られるのかという心配の声もあります。
代表質問でも伺いましたが、改めて、大事な問題なので確認します。
ヘイトスピーチへの規制は、憲法が保障する言論、表現の自由を守る立場を堅持するとともに、ヘイトスピーチ解消法に基づいて規制対象を明確にすることが重要だというふうに思います。見解を伺います。
○仁田山人権部長 ヘイトスピーチの解消に向けました取り組みについてでございますが、今般提出した条例案は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消を図ることを趣旨としており、不当な差別的言動とは、条文上、いわゆるヘイトスピーチ解消法第二条に規定するものをいうと明確に定めております。
また、ヘイトスピーチの解消に関する規定の適用に当たりましては、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならないと規定しているところでございます。
○原委員 ヘイトスピーチ解消法第二条を踏まえるということで、これは、先ほども他の委員の方の答弁の中でも第二条を読み上げられていました。そこをはっきりさせているということ、そして、地方自治法第二百四十四条第二項の規定を厳格に踏まえるということについては確認をさせていただきました。
そうすると、重要なのが、やっぱり基準ということになると思います。どういう基準を持つのか。
代表質問では、地方自治法第二百四十四条の二項で、地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することは拒んではならないとしていることを指摘しまして、基準については、この規定を厳格に踏まえるべきだと質問をしています。これに対し、当然踏まえるべきものとの認識が明らかにされています。これは確認をしております。
さらに、基準の設定や、また変更をする場合、審査会の意見を聞く必要があると私たちは指摘をしましたが、公の施設の利用制限は、施設利用の観点から、集会の自由など基本的人権の制限とも密接にかかわることから、学識経験者等からの意見を伺いながら慎重に検討し、基準を策定していくとの答弁がありました。
その上で、この基準は都民に公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 公の施設の利用制限に関する基準の策定等に当たりましては、施設利用の観点から、集会の自由など基本的人権の制限とも密接にかかわることから、学識経験者等からの意見も伺いながら慎重に検討していくこととしております。
基準の策定の後は、都民に基準を公開するなどして、条例の適用等について周知をしてまいります。
○原委員 第十四条の二項で審査会について規定をされていまして、審査会は知事に意見を述べることができるというふうになっています。ですので、審査会から基準について意見をいうということも当然できるということになると思うんですが、私は、審査会がそう判断をしたらできるというだけではなくて、知事の側から審査会の意見を聞いて基準の設定や変更を行うという、そういう姿勢が大事なのではないかと思いますが、そういう検討はされているでしょうか。
○仁田山人権部長 審査会につきましては、附属機関として機能するというふうに考えてございますので、あくまでも知事の判断をする上で必要な意見などを述べていくというふうに理解しております。
○原委員 この規定では、意見を審査会からいうことはできるという、そこは大事なことではあると思いますが、わかりました。
それで、私たち共産党都議団で京都府庁に行きまして、京都のガイドラインについても勉強してきたんですけれども、このときに私が何より強く感じたのは、京都府庁の担当している人権の関係の職員の方々が、ヘイトは許さないという、すごく強い決意を持っていらっしゃるということを感じました。特に京都では、朝鮮学校に対するヘイトスピーチが起きて大問題になりましたが、ああいうことを絶対に起こしてはいけない、そのためにできることをしていこうという問題意識が非常にはっきりしていました。
私は、その京都のガイドラインも学ぶ中で、東京都でも、どういうことがヘイトスピーチなのか、わかるように示していくというのが大事になってくると思いますが、ガイドライン等に明示することが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 公の施設の利用制限に関する基準、ガイドラインについてでございますが、何がヘイトスピーチかを個別具体的に明示することについては、明示された表現以外はいかなる表現でも許されるというような誤解を生じさせるおそれがあることから慎重にすべきと考えているところでございますが、どのようなものがヘイトスピーチであるかについての基本的な考え方を示して周知してまいります。
○原委員 確かに、誤解、これだけなのかという誤解みたいなものになってはいけないという、それはそれでわからないわけではないんですが、ただ、調べてみましたら、二〇一七年の二月に、新聞記事で、法務省がヘイトスピーチの典型例を示しているということが報道されていまして、その中には具体的なことが書いてありました。特定の人たち、対象になる人たちを害虫のように例えたりとか、海に投げ込めとか、そういうことはいけないという例示を示して、積極的にヘイトスピーチをなくすために取り組んでくださいというふうに法務省でもなっているという新聞報道もされていて、それは多くの人が目にしていると思うんですね。
(資料を示す)京都府では、こういうきれいなパンフレットもつくっていて、具体的に、とにかくわかりやすく、こういうことがヘイトスピーチだよということが書かれています。私は、こういうこともぜひ参考にしていただきながら、都民の皆さんに、これがいけないんだということをわかりやすく示してほしいということを改めていいたいと思います。
同時に、ヘイトスピーチで大事なのは、許されないということをはっきり示すと同時に、その内容をどのように教育、啓発していくのかが重要だと思います。
これについては、どのように進める考えでしょうか。
○仁田山人権部長 ヘイトスピーチの解消を図るため、都は今後、必要な取り組みを積極的に推進していく必要があると認識しております。
啓発等の推進に当たりましては、国とも連携し、各種広報媒体の活用、啓発冊子やリーフレットの配布、人権啓発に関するイベント等を効果的に活用してまいります。
○原委員 二定のときにも議論しましたけれども、啓発、そして教育が大事だと。今回、最初のところに教育、啓発。その啓発の中に教育も含まれるということも含めて記述がされました。
そういう点では、今、お話にあったような内容と同時に、学校教育の中で、きちんと人権問題として扱っていくということも重要になってくると思います。単なる禁止事項として子供たちに伝えるというのではなくて、やっぱり多文化共生について学んでいくということが非常に重要なのではないかと思います。
第二章のSOGIの関係とも通じるんですけれども、多様性、また、今いったように多文化共生を学び合えるように、ぜひとも教育庁と連携して取り組んでほしいと思いますけれども、そのことについて見解をお願いいたします。
○仁田山人権部長 啓発等には、当然、今、お話がありましたように、教育も含まれるわけでございますが、教育につきましては教育庁所管でございます。人権教育という面では、当然に教育庁とも連携してまいります。
○原委員 ぜひお願いをしたいと思います。
そして、先ほどもちょっと、ヘイトスピーチに関してのパンフレットは示させていただきましたけれども、今回の条例全体--どういうふうにつくるかというのは、それはわかりませんが、条例について、都民向けのわかりやすいパンフレットなどをつくること、これは必ず必要だというふうに思っていますが、現在の考え方を伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 条例制定後は、本条例の趣旨を周知していくため、さまざまな広報媒体を活用するなど、効果的な啓発方法を検討してまいります。
○原委員 ぜひお願いをしたいというふうに思います。
都議会では、二〇一五年に全会一致で、外国人の人権が十分尊重されることを求める意見書を可決しています。これは、とくとめ委員が二定のときにも指摘をした点ですけれども、国の法ができる前に、率先してそういう取り組みをしてきた、そういう先進的な役割を果たしてきていると思います。そういう点でも、この条例を本当にみんなで育てていくような、そういう取り組みが必要なのではないかと私は考えています。
同時に、私も、よりよい条例にしたいということでずっと質問をしてきましたけれども、さらによりよくしていくために、今、修正案を考えております。この後、委員の皆様にもご提示して、ぜひ検討していただきたいと思っていますが、そのことを申し添えまして、質問は終わりたいと思います。
○西沢委員 私からも、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例についてお伺いをしたいというように思います。
この条例について、きょうもたくさんの議論がなされているわけでありますけれども、オリンピック憲章にうたわれる条例ということでありますけれども、私自身は、この条例そのものは時期尚早とは思いませんし、代表質問でも申し上げましたが、意義のあることだと思っております。むしろ、これは第一歩になるものだというようにも思っております。
むしろといいますか、オリンピック憲章に示されているからやりましょうということではなくて、オリンピックがあろうがなかろうが、やらなければいけないことなんだというふうに思うんですね。
なので、オリンピック憲章が変わった場合、変わったら、この条例そのものは変わってしまうのかというような疑問がちょっとあるので確認したいと思いますが、例えばこの人権規定、特に今回の性自認、性的指向に関するものであったり、もしくは人種について、万が一、オリンピック憲章から何か削除されたということがあったとしたら、これは変えなきゃいけないとも思いますし、その辺、今後、オリンピック憲章が変わった場合、条例を改正する予定なのかどうか、お伺いをいたします。
○仁田山人権部長 本条例案は、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指すものであり、憲章の改正があった場合に、直ちに改正が必要とは考えておりませんけれども、憲章の改正の内容によって個別具体的に判断することになるというふうに考えております。
○西沢委員 まあ、当然だと思いますよね。人権についても、オリンピックだからということではなく、この条例はオリンピックそのものだということを確認させていただきました。
今回、特段、いわゆるLGBTに関する部分とヘイトスピーチに関する部分の二本立てだというようなことでありますけれども、なぜこの二本立てなのかということは、きょうもたくさん議論がありましたので、この辺は割愛をさせていただきますが、私たちとしては、代表質問でも申し上げてきましたとおり、同じように他の人権でも悩まれているという方がたくさんいる中で、なぜ二本立てなのかという疑問がある。むしろ、この二本立てとしたことによって、それ以外の人権施策についてが後退しているんじゃないかと危惧をされる声があるわけであります。
この辺を改めて、指針で示した他の人権ですね、今回の条例、二本あるわけでありますが、それ以外の人権施策について、この条例案によってどう変わるのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 都はこれまでも、東京都人権施策推進指針に基づきまして、それぞれの人権課題に対して取り組んでまいりました。
今回提案いたしました条例では、人権尊重の理念を東京の隅々にまで浸透させ、多様性を尊重する都市をつくり上げていくため、必要な取り組みを推進することを都の責務として規定しております。
都は、条例制定を契機に、いかなる種類の差別も許されないという観点から、指針に掲げる十七の課題それぞれにおける取り組みの方向性を踏まえつつ、人権施策をより積極的に推進してまいります。
○西沢委員 今の答弁は、人権施策をより積極的に推進していくという答弁がありました。この条例ができたことによって、ここで取り上げられなかった人権施策が後退するというようなことではなく、むしろ、この条例に書かれていること、メーンとしては二つかもしれませんけれども、それ以外の人権施策についてもより積極的に推進していくという、こういった答弁をいただいたわけであります。ぜひ進めてもらいたいというように思います。
先ほどもございましたけれども、パートナーシップ制度などがありますが、この条例によって、これはつくられていく予定なのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 同性パートナーシップ制度と一口にいいましても、いろいろとありまして、行政サービスの主体となる各区市町村の判断が尊重されるべきというふうに考えております。
○西沢委員 各区市町村でつくられているものはいろんなものがあると思いますが、私が聞いているのは都庁で。これは全国で初めての条例なわけですけれども、東京都庁で、東京都でつくる予定があるのかどうか聞いています。いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 ちょっと繰り返しになってしまいますが、同性パートナーシップ制度と一口にいいましても、いろいろとございます。サービスの主体となる現場や各区市町村の判断も尊重されるべきと考えておりますけれども、都としては、まず、本条例の制定を通じて、多様な性があることへの理解を進めていくということでございます。
○西沢委員 現時点で考えていないということだと思うんですけれども、ただ、東京都がこれに一歩踏み出す。先ほどもいいました、第一歩だと思うんですよね。踏み出したことによって考えられていくし、そういうことも進み出していかなければいけないものだろうというふうに私は思います。
現場ではどんな影響が出てくるのかということを考えていきたいわけですけれども、多様な性の理解の推進を示したこの条例によって、都立病院であったり、学校であったり、それから都営交通ですね、都庁の各現場においてはどのような影響が出てくるのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 今回提出いたしました条例案におきまして、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消及び啓発等を推進するとともに、都は、基本計画を策定し、必要な取り組みを推進することを規定しております。
条例制定を契機に、各施策現場においてどのような配慮が必要かなどを個別具体的に検証しながら、必要な取り組みを実施してまいります。
○西沢委員 これから検証しながらやっていくということでございます。つくっただけではなく、当然、そこを反映させていただきたいというようなことは申し添えておきたいというように思います。
ここまでが第二章の話で、第三章の方についてお伺いをしていきたいと思います。
いわゆるヘイト対策の方でありますけれども、最初にちょっと確認しますけれども、見ろという話なんですけれども、この条例は、禁止規定や罰則規定がない条例ということでよろしいか、確認したいと思います。
○仁田山人権部長 ヘイトスピーチについては、ないということでございます。
○西沢委員 つまりといいますか、先ほどもちょっと委員からも質疑がありましたが、表現の自由、表現活動をされている方からすると、非常に心配の声が上がっているのが現状であります。その一方では、しっかりとヘイトスピーチを根絶するために、がんがんやってくれという方もいるわけでありますね。ですので、いわゆる本邦外出身者に対する不当な差別的言動というもの以外のものまで規制をしてしまうんじゃないかという心配に答えていかなければいけないというように思うんですね。
そこでまず、この条例のつくりですけれども、十一条には公の施設の利用制限について書かれている、十二条については、拡散を防止するために必要な措置を講ずると書いてあるわけですね。つまり、十一条というのは、事前に利用を制限する、事前にそれをとめましょうというもので、十二条については、既に表現されてしまったものに対して対策をしましょうという、この二つに分かれるわけですね、今回の条例。
十一条について、まず聞いていきたいと思いますが、十一条というか、その前に、前提として、表現活動というのは何なのかということなんですけれども、九条の二には、その他の手段ということが書いてあるわけですね。九条の二というのは、表現活動というのは、集団行進及び集団示威運動並びにインターネットによる方法その他手段により行う表現行為をいうと。これが何なのか。
その他手段というのが入ると、いってみれば無限定になっちゃうということでもあるんですが、そのような理解でいいのかどうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 昨今の表現活動は、インターネットのほか、例えばSNSなどが多いところでございますが、新たな表現手段の出現も想定して定義しております。
○西沢委員 つまり、表現活動というのは、私が確認したのは何なのかということですけれども、かなり広い範囲で捉えているということがわかりました。インターネットとかSNS、ブログで書いていることに限定するんですよとかいう答弁であれば、結構、狭い範囲のインターネットの活用だなということもわかります。表現活動に限定している、想定しているということがわかりますが、新たな手法、確かに、今はSNS、フェイスブックとかLINEだとかいろいろありますけれども、それが一般で、それだけに限定しますというと、これから新しいものが出てきたときに、いや、それは今回の条例では想定していなかったので、不当な差別的な発言があった、不当な差別的なことがあったとしてもできないんですということであれば、やはり実効性が伴わないということにもなりかねませんから、こういった形で表現活動を捉えるというのは一定の意義があると思います。
ただ、表現活動を広く捉えれば、当然、じゃあ、自分たちの活動が何か利用制限されるんじゃないかと心配される方がいるのも事実だと思うんですね。
そこで確認をしていきますが、まず、十一条の公の施設とは、具体的にどのような施設なのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 第十一条の公の施設とは、第九条第一号に規定する、地方自治法第二百四十四条の二の規定に基づき都条例で設置する施設が対象となってございます。
○西沢委員 具体的に、これは資料要求でも出ている会議室であったりとかということが想定されることはよくわかるんですけれども、東京都の施設で、例えば都道はこれに該当するのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 都道におけるデモの場合には、いわゆる公安条例で許可されており、これは警察の所管になるということでございます。
○西沢委員 都道は違うということだけ、ちょっと確認したかったわけでありますが、じゃ、具体的に、この公の施設の利用について、不特定多数の団体ではなくて、当該団体のみの利用については制限はできないのかどうか、確認したいと思います。
つまり、都の会議室で、不当な差別をやりますという人たちだけが集まって、身内だけで不当な差別をいい合って終わるということも制限をされるのかどうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 本条例に規定する不当な差別的言動とは、いわゆるヘイトスピーチ解消法第二条と同義でございまして、専ら本邦の域外にある国もしくは地域の出身である者またはその子孫であって適法に居住する者に対する差別的意識を助長し、または誘発する目的で、公然とその生命、身体、自由、名誉もしくは財産に危害を加える旨を告知し、または本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国または地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動のことをいうというふうになってございまして、対象となる言動がこれに該当しなければ利用制限もできないということでございます。
○西沢委員 済みません、もう一回、ちょっと確認していいですか。
例えば、私一人が東京都の会議室を借りて--私一人じゃ、ちょっとあれですね。もう一人ぐらいで、〇〇人は〇〇だみたいなことを、例えばいい合うということをやった、もしくは、やろうとしている場合も、利用の制限をする可能性があるということですか。
○仁田山人権部長 先ほどちょっと該当条文を長々と読んだのですが、要は、公然と扇動するのかということでございまして、その集まりがそれに該当するのかどうかというのは、個別に判断されるというふうに考えております。
○西沢委員 個別に判断するということなので、事前にそれがわかっていれば利用制限をする可能性もあるということなんですね。(「公然と」と呼ぶ者あり)公然と……。(発言する者あり)ちょっと違うんだよな。
もう一回聞きますよ、済みません。事前にですよ、私ともう一人がそういうことをやろうという場合、二人だけ。でも、わからないです、ほかの人は。何かインターネットでこういうのをやりますとかということを公にしているわけでも何でもないです。私、やらないですけれどもね。
例えば、そういう場合でもですか。もう一回、済みません、確認していいですか。
○仁田山人権部長 公然とということでございますので、当然、特定の室内でやるというものは含まれないというふうに考えています。
○西沢委員 利用制限は、そういった場合、個別に判断するということですから、もちろん程度はあれ、つまり、会議室で話しただけで、何かやられるぞみたいなことを心配されている方もいますけれども、その心配はしなくていいよというようなことなんじゃないかなということであります。
それで、続いて、この表現物ですね。これの発表であったり、つまり表現物、紙にして頒布したり、配ったりとか、もしくは出版したり、それからインターネットでの発表をするということ、これは、特にインターネットを含め、心配される方も多いんですが、この発表なども含めて制限がかかるものなのかどうかをお伺いいたします。
○仁田山人権部長 公の施設における表現物の頒布行為については、十一条において制限をかける可能性はございます。
出版、インターネットにつきましては、条例上、規定はございません。
○西沢委員 インターネット、出版については、条例上、規定はないというご答弁でございました。
具体的に、例えば、在日の〇〇人について出ていけみたいな差別を助長するような漫画、要するに、不当な差別をするような漫画であったり、アニメに制限をかけることはできるのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 公の施設におけます表現物の頒布行為につきましては、十一条において制限をかける可能性はございます。
出版、インターネットについては規定はございません。
○西沢委員 同じ答弁なんですけれども、その制限について、つまり、十一条において制限をかけるということですから、公の施設ではそういったことがあるけど、それ以外のところについてはないということですね。条例上の規定はないというご答弁がありました。
ですので、具体的に、出版をする、例えば、都の施設の中で輪転機を回して印刷しているというのは恐らくあるのかもしれませんし、あり得ないかもしれないですけれども、東京都の施設の会議室の中で、ウエブサーバーを置いて、そこから何か発信するというようなことが--そもそも、それ自体、使い方はだめですけれども、そういったことがあれば制限はあるかもしれませんけれども、基本的にインターネットについて条例上の規定はないというようなこと、確認をさせていただきました。
この十一条の施設の利用制限をするに当たって、じゃ、その当該団体をどのようにして判断するのかということをお伺いしたいと思います。
○仁田山人権部長 今後定める基準に照らしまして個別具体的に判断するものでございまして、団体そのものの性格を判断するものではございません。
条例施行後に事例が蓄積されることによって利用制限を行ってまいります。
○西沢委員 個別具体的にやるということですが、団体そのものの性格で判断はしないというような答弁でありました。
施行後に考えていくということでもありますが、事前に団体を調査するというようなこと、もしこれがあるとすると、いわゆる思想信条に基づく--この団体はこういう団体だからだめだとか、いいとかということになってしまうわけですよね。
これは憲法にも抵触する可能性が出てきてしまうと思うのですが、事前に団体を調査するということは想定しているのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 団体が行います表現活動等を萎縮させる可能性もあるため、利用の有無を前提としていない団体への調査は想定してございません。
○西沢委員 施設の利用制限については、地方自治法の二百四十四条で広く制限を認めていないということで、今回の条例案はこれに反しているという声があるということですが、これは先ほど質疑があったので割愛いたしますけれども、学識経験者の意見を聞きながら慎重に検討するというような話でございました。
こういう自治法であったりとか、制限については、やはり心配されることが多い。この十一条は、事前にその利用を制限するということですから、一連の規制というのが事前の検閲に当たるんじゃないかというような心配があるわけですが、この一連の規制が事前の検閲につながるという懸念は全くないということで考えてよろしいのでしょうか。
○仁田山人権部長 差別的言動につきましては、公の施設の利用を制限するのみでありまして、検閲には当たりません。
○西沢委員 これまでの議論が、いわゆる十一条で事前に利用を制限する。これは事前に利用を制限するということに関してですけれども、これから十二条についてお伺いしたいと思います。
十二条は、先ほど申し上げましたとおり、既に行われた表現活動について、必要な措置ないしは公表するということが定められているわけでありますね。
十二条でまず確認ですけれども、十二条の第一項の第二号のアでいう都民等に関する表現活動ということですね。十二条の対象になるものの一つに、都民等に関する表現活動と。この都民等に関する表現活動といってしまうと、これ、何でも入るんじゃないかというようなことで、いろいろ制限をしているにもかかわらず、何かこう、都民等に関するといったら、何でもそうじゃないかと。
一番については、都の区域内で行われた表現活動と書いていますから、これは都内で行われたものと、何となく理解できるわけですけれども、都の区域外で行われた表現活動のうち、このアというのは都民等に関する表現活動というと、東京都以外でも何でも関係あるんだといえば、都民等の等というのは、東京都以外の他府県民であったり、外国人であったり、法人であったり、全てが対象になるんじゃないか、こういった懸念があるわけですが、都民等とは何なのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 専ら本邦の域外にある国もしくは地域の出身である者またはその子孫であって、都内に適法に居住する者をいいまして、個人及び法人が対象になります。
○西沢委員 今の答弁は、かなり狭く考えているということがわかりました。都民等といっても、専ら本邦の域外にある国もしくは地域の出身である者またはその子孫であって適法に居住する者。つまり、本邦外者だということで、今回の条例である不当な差別的取り扱いを受ける側の方々に関するものということに限定するということで確認をさせていただきました。
この十二条の中で、必要な措置ですね、事案の内容に即して、当該表現活動にかかわる表現の内容の拡散を防止するため、必要な措置を講ずると。既に行われた表現活動に対して必要な措置を講ずると。
さっき、ちょっと議論もありましたが、改めて、この必要な措置とは何なのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 例えばインターネット上の事案につきましては、プロバイダー等への削除要請、掲示物等の遮蔽措置などが考えられますが、そのほかの必要な措置につきましては、具体の事案に即しまして、審査会の意見を聞きながら対応してまいります。
○西沢委員 具体的な措置の例が出てきました。プロバイダー等への削除要請、それから掲示物の遮蔽措置ということが考えられるわけですね。
まず、ちょっとここについてですけれども、最初、冒頭に、禁止規定、罰則がないということを確認していますが、これは都の強制権みたいなものはあるのでしょうか。プロバイダー等に削除要請、掲示物の遮蔽措置、今ご答弁されましたが、都が勝手に掲示を何か剥がしちゃうとか、勝手に削除するということを強制することができるものなのでしょうか。念のため、確認したいと思います。
○仁田山人権部長 施設に関してのお話ということであれば、その施設管理者が行うというものでございます。(西沢委員「十二条だと……。十一条の施設じゃなくて、十二条の話」と呼ぶ)インターネット上の……(西沢委員「必要な措置の中の削除要請」と呼ぶ)済みません。このプロバイダーにつきましては、私ども削除要請は行いますけれども、削除するという権限はございません。
○西沢委員 強制的には当然できないものだというように思います。その他の必要な措置は、具体の事案に即して、審査会の意見を聞きながら対応すると。
審査会は、先ほども議論がありまして、私も後で少し聞かせていただきたいと思いますが、具体の事案に即してということでは、事案の内容に即してと条文に書かれているわけですけれども、これは具体的にどのような状況のことなのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 インターネット上の対応が多いと考えられますが、ビラ、ポスターなどが頒布されているものが拡散しないようにするなども考えられ、具体の事案に即して、審査会の意見を聞きながら対応していくことになるというふうに考えております。
○西沢委員 これも審査会の意見を聞きつつ対応するというようなことでございました。
そこで、この審査会の話ですけれども、さまざま聞いてまいりましたが、東京都が、どうやら強制的に何かをするとか、そういったことではないと。ただ、表現活動の中では、審査会の意見を聞くから大丈夫だということで納得するという方もいれば、あるいは、審査会といっても、これは聞くだけになるんじゃないかとか、知事のいうことを聞く人だけがなるんじゃないかとか、さまざまな心配の声もあります。
この審査会、十三条ですけれども、審査会の意見を聞かなければならないとありますが、具体的にどのようにお聞きになるのか、お伺いをいたします。
○仁田山人権部長 不当な差別的言動に該当するか否か、該当する場合は、拡散防止として知事が講じようとする措置が適切であるかどうか、それを公表することが妥当かについて意見を伺うということでございます。
○西沢委員 知事が意見を聞いた、この意見聴取したものは、私たちは公表されるべきだというように思います。公表されるんだと思いますけれども、これ、絶対条件だと思うんですね。
というのは、心配される方の声でいえば、審査会の意見は聞きました、だけれども非公表だ、でも、審査会の意見を聞いて、例えば制限をかけましたというようなことが、不当な差別でない表現活動、真面目な表現活動をしている者に関しても、知事が職権で何かやるんじゃないかというような不安の声がある中で、審査会の意見は聞きました、でも、それは非公表だけれども、聞いた上でやっているんだといわれちゃうんじゃないかという心配の声があります。なので、審査会の意見というのはこういう意見だった、だから知事はこういう判断をしたというようなことが必要だと思います。
まさに情報公開の中で、ここのポイントは、この条例の中でのポイントは大きくて、審査会の意見は公表されるものと考えていいのか。また、非公表にするということができるのかどうか、可能なのかどうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 審査会で示された意見につきましては、個人情報や差別的言動の詳細が含まれているなど非公表が妥当な場合を除いて、原則として公表されるものと考えております。
○西沢委員 原則として公表されるもの。個人情報とかは、当然公表されないということだと思いますが、これまで真っ黒塗りになったものを本会議でも掲げたこともありますけれども、今の小池知事になって、そういったことはないと思いますが、一応、改めて、原則公開、必ず公開しなきゃいけないというようなことは、私は必要だということを申し上げておきたいというように思います。
この中で、じゃ、百歩譲って公表されたとして、私、悪いように考えていっているんですよ。悪い、最悪のケースとしてですけれども、知事の判断と審査会の意見が食い違ったとして、審査会では、いや、それは利用制限するべきではないよとか、必要な措置にならないんじゃないかという意見が出ているにもかかわらず、知事の判断で必要な措置を執行することは可能なのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 審査会の意見につきましては、最大限尊重すべきものと考えております。
○西沢委員 時折、知事に聞かないとわからないところもあるかもしれませんが、今の答弁で最大限尊重すべきものという、事務方でそういうふうに上げているわけですから、これは、一応、大きな答弁だというように思っています。
この審査会の人選ですけれども、ちょっとありましたけれども、審査会の人選は公平でなければならないというように思いますが、その担保はどのようにされるのでしょうか、お伺いをいたします。
○仁田山人権部長 審査会の委員につきましては、学識経験者その他適当と認める者のうちから委嘱するとしておりまして、公平公正かつ中立的な運用を行うことができる委員を知事の責任において選定し、公表するということでございます。
○西沢委員 それで、十六条の調査権限についてですが、先ほど副委員長の方からも話がございましたので、ここはそんなにはやりませんが、一応、確認だけしたいのは、この調査権限があると。この調査の名のもとにおいて、事前に調査をしたりとか、思想信条のチェックであったりとか、検閲であったりとか、こういったことがないという見解でいいのかどうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 検閲等につきましては規定されていないということでございます。
○西沢委員 条例上、検閲等は当然規定されておりませんから、そういったことはできないということです。
審査会は、先ほどの質疑の中では、調査協力を要請するというようなことでありましたから、強制をする権限というものはないということは確認をされました。
そういったことから、表現活動についてさまざまな不安な声もありますが、かなり狭く捉えているということが、一連の質疑の中からいえるんじゃないのかなというようには思います。
ただ、もちろん、いろいろと狭く捉えているといいましたけれども、やっぱりヘイトスピーチに対して実効性がないじゃないかといわれてはいけないと思いますから、そこはしっかりと、がんがんやるべきところはやらなければいけないというように、条例をつくっただけで、かけ声だけ、見せかけだけというふうになってもいけないというように思います。ですから、本邦外出身者に対する不当な差別的言動というのは、しっかりとこの条例でなくしていく、解消していくということは大事です。
ただ、その一方で、本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外の表現活動について萎縮が起きないように、積極的に条例の広報啓発はもちろんなんだけれども、この表現活動に対して、活発に表現活動をやってもらうという取り組みも必要だと考えるんですね。いってみれば、不当な差別をしている表現活動はもちろんだめだけれども、それによって心配の声があるのは事実ですから、それ以外の表現活動については活発にやっていってもらおうということが必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 ヘイトスピーチは許されないという趣旨での表現活動を活発にするという取り組みにつきましては、社会的な機運醸成に向けた教育、啓発として推進してまいります。
○西沢委員 この広報啓発は大事だと思っておりまして、これまで、さきの第二回定例会でも申し上げましたが、都の公園を使うに当たって、事前に、集合場所であったりとか、どのような活動を行うのかということを建設局所管の監理団体の方で集めていたということなんかもありました。それが、実際、事前に内容を調査することにつながるんじゃないのかということで、もうこれはやっていないと思いますし、それから、青少年健全育成条例の改正のときには、やはりこの条例が乱用されるんじゃないかという懸念の声がたくさんありました。
表現の自由を取り巻く環境の中では、特にインターネット、SNSなど、さまざまなツールというものが出ていく中で、先ほどありましたが、新たな手法というものを想定する必要があって、こうしたことをしっかりと、不当な差別を解消するということは大事ですが、やはり表現活動を萎縮させてはならないというようなこと、ここには大きな重きを置いていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○山内委員 私からも、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案についてお伺いしていきたいと思います。
その前に、条例案の概要について質疑する六月の総務委員会において、私は、性的指向及び性自認による差別の排除、禁止について、国際連合の人権理事会はもとより、経済界等、そして都内の基礎自治体の取り組み状況についてお伺いいたしました。その際に、もう既に取り組んでいるというお話をいただきました。
とりわけ、二〇二〇年の大会、東京都とともに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の運営を担う東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の取り組みについてお伺いしたところ、組織委員会はもう既に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会、持続可能性に配慮した調達コードにおいて、性的指向、性自認による差別の排除を明記しているということを示されました。
これらのことを考えますと、やはり国の法整備の方がおくれているということが明らかだということを申し述べさせていただきたいと思います。
それでは、条例案について質問をさせていただきたいと思います。
東京都はこれまでも、東京都人権施策推進指針に基づいて総合的に施策を展開してきたことが前文に明記されております。この指針には、人権課題として十七項目が挙げられています。
そこで、本条例は、この十七項目も含め、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現に向けたものであると理解してよいのでしょうか、改めてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 今回提案をさせていただいております条例につきましては、オリンピック憲章にもうたわれる、いかなる種類の差別も許されないという理念が浸透した東京としていくため、指針に掲げる十七の人権課題も含め、人権施策に総合的に取り組んでいくこととしたものでございます。
○山内委員 六月議会において、総務局長は、条例制定を契機に、人権尊重の理念のより一層の浸透に向け、都は、庁内各局はもとより、さまざまな主体と連携しつつ、啓発、教育、相談、救済などの人権施策を、オール東京で総合的かつ効果的に展開していく、総務局は、常にその先頭に立っていきたいと考えていると答弁されました。
第一条に、この条例は、東京都が啓発、教育等として、以下、啓発等とするということが明記されております。施策を総合的に実現していくとされておりますけれども、啓発、教育、相談、救済などが含まれていると理解してもよろしいでしょうか。
また、第二章の多様な性の理解の促進、第三章の本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進においても、啓発等という言葉がございます。表記がございます。この啓発等についても、同様に、啓発、教育、相談、救済などが含まれていると理解してよいのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 啓発、教育、相談、救済などの人権施策を総合的に実施していくことが重要と考えておりまして、啓発等にはこれらが含まれているというものでございます。
○山内委員 次に、多様な性の理解の促進についてお伺いいたします。
性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止が明記されました。性的指向及び性自認、SOGIは、マイノリティーかマジョリティーかの立場を超えて、全ての人を包含する概念です。禁止によって、全ての人の人権を保障し、社会的に差別をしない、させないという機運の醸成に資するものと評価をいたします。
この条例は、カミングアウトを前提にしたものではなく、カミングアウトの自由を認めていると捉えておりますが、見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 カミングアウトをする、しないにつきましては、当事者の自由であることは当然のことであり、本条例におきましても、都が当事者に対してカミングアウトを求めることはございません。
○山内委員 ハラスメントの対象として、差別的な言動も含まれます。
条例にある不当な差別的取り扱いには、差別的な言動も不当な差別的取り扱いとして含まれるのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 不当な差別的取り扱いに該当するか否かは、個別具体的な事案ごとの判断に委ねられておりますが、性自認及び性的指向に関する言葉や行動が当事者に不利益を与えることにより、不当な差別的取り扱いに該当する可能性がございます。
○山内委員 条例が成立後、全庁横断会議を立ち上げ、各局と課題等について共有し、対応策を積み上げながら基本計画の策定を行う予定と聞いております。
また、条例には、基本計画を定めるに当たっては、都民等から意見を聞くものとするとあります。現場の課題やニーズを踏まえるには、パブコメや、必要に応じて意見を伺うだけではなく、当事者や当事者団体等の切実な声を反映するよう、当事者等が参画する会議を設置し、策定、チェック、改善することが必要と考えます。
基本計画策定の手順、構成員、スケジュール等について、改めてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 基本計画は、条例に規定しておりますとおり、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るため、策定することとしております。
策定に当たりましては、条例制定後、全局横断会議を設置いたしまして条例の趣旨を庁内で共有いたしまして、相談窓口で当事者から寄せられる声、都民等や区市町村の意見、都議会でのご議論も踏まえ、各施策現場における課題を抽出しつつ、具体的な施策を東京二〇二〇大会までに進めていくことができるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。
○山内委員 全庁横断的な相談窓口を設置し、充実していくと聞いておりますけれども、相談窓口はどういうものを考えているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 LGBT等の方々のお困り事はさまざまでありまして、声が上げられない当事者の声をどう聞くかという配慮も求められているものと認識しております。
相談に当たりましては、しっかりと当事者の悩みを聞き、寄り添うことが何よりも大切であります。
また、相談内容は多種多様であることから、相談窓口を新たに設置しまして、相談窓口に寄せられた相談を人権部に集約し、そこから各局へ共有することで、各現場において適切な対応につなげていくと考えております。
○山内委員 今ご答弁いただいたように、寄せられる相談は多岐にわたるかと思います。そして、苦情処理や救済が求められることがあります。実際に差別が起きてしまった場合、当事者が泣き寝入りせずに済むように救済をしなくてはなりません。
庁内各局や関連機関は、相談窓口に対し、どのように協力し、連携し対応していくのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 今回新設いたします相談窓口につきましては、LGBTなどに関する総合的な相談窓口といたしまして、庁内各局や関係機関とのネットワークを生かした相談業務を実施してまいります。
当事者の気持ちに寄り添い、相談事案の解決に向けて取り組んでまいります。
○山内委員 SOGIに関する困難や差別については、当事者や当事者団体みずからが切実な声を上げ、長年かけて地道に取り組んできたことで、ようやく課題として注目されたばかりだと思います。差別の禁止を目指していくことが重要です。
今後、社会的動向や施策の施行状況によっては改正の必要も出てくるのではないかと思います。見直しについてはどのように考えるのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 今回提案をいたしました条例では、さまざまな人権に関する不当な差別を許さないことを明らかにして、人権施策をより一層推進していくことといたしました。
人権課題は、社会の変化に応じて柔軟に対応していく必要があります。今後も、国内外の情勢変化に応じて、見直しの必要性についても検討してまいります。
○山内委員 昨年、日本学術会議が出した「性的マイノリティの権利保障をめざして-婚姻・教育・労働を中心に-」という提言には、性的指向の自由、性自認に即した生活を送る権利、身体的性にかかわる特徴の尊重は、人間としての尊厳の本質にかかわり、全ての人にひとしく保障されるべき権利であると明言しています。
当事者団体や支援団体、企業等で構成される団体が作成しているLGBT困難リストがあります。困難リストの一つ一つには、その先に困難に苦しむ当事者がいて、今なお変わっていないのが現状です。基本計画は困難を解決するためのものなので、策定に当たっては、当事者がきちんと議論に参加することを要望いたします。
誰もがありのままの自分で生きていける、個々人が理不尽な思いをしたり、排除されたりしない、互いに立場を入れかえてもフェアである社会にすることが重要です。生きづらさを抱えている人の声を酌み取り、解決することは、多くの人がさらに生きやすい社会にしていくことになると思います。
次に、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進についてお伺いいたします。
公の施設について、不当な差別的言動が行われることを防止するため、公の施設の利用制限について基準を定めるものとするとありますが、どのように基準を定めるのか、申請はどのように行われるのか、審査の期間はどのぐらいなのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 公の施設の利用制限は、施設利用の観点から、集会の自由など基本的人権の制限とも密接にかかわることから、学識経験者等からの意見も伺いながら、総務局において、条例第十一条の規定により、公の施設の利用制限に関する基準を定めます。
当該基準を公の施設を所管する各局に示しまして、各局は、基準を活用して各施設の利用許可の判断を行います。
各施設により、利用申請の方法は異なっております。申請から許可、不許可処分までの間、審査にかけることができる期間もまた異なることから、具体的な審査の期間は施設により異なります。
○山内委員 都有施設の室内、公園や広場、路上のデモなどが考えられますが、不当な差別的言動を受ける側の影響が違うために、対策も変わってくるのではないでしょうか。それぞれどのように対応するのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 公の施設の利用制限に関していえば、施設が比較的小規模で、かつ閉鎖的な空間や、相当程度の規模で開放的な空間など、規模やその態様はさまざまであり、各施設での表現活動も一様ではございません。このことから、具体的な施設での利用制限を行うか否かは、個別事案ごとに判断すべきものと考えております。
なお、道路上のデモにつきましては、いわゆる公安条例で定められている基準に基づいて許可が行われるため、一義的には警察の所管になると考えております。
○山内委員 審査会の設置は常設なのでしょうか。
どういうときに開催されるのか、頻度等は決まっているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 審査会は、知事の諮問した事項につきまして調査審議する、条例で設定される常設の附属機関でございます。
また、審査会は、定期的な開催のほか、緊急的事案により開催される場合もありまして、その頻度につきましては、事案の発生状況等により決定していくということでございます。
○山内委員 ヘイトスピーチの被害者への対応も重要です。特に在留外国人が多い地域では、頻発するヘイトデモでひどい言葉を投げかけられることから、対応が求められます。
外国にルーツのある人たちが被害を相談できる窓口や救済の仕組みはどうなっているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 被害に関します相談は、東京都人権プラザにおける人権相談を初めとする庁内の窓口、また、法務局が開設する外国人のための人権相談所などが受けることとしております。
また、人権侵犯事案への該当が疑われる場合につきましては、法務省などの関連機関と連携しながら対応を行ってまいります。
○山内委員 先日、小平市の朝鮮大学校の沿道や近隣にあるベンチに差別的な落書きがされて問題となりました。先ほども質問で出たかと思いますが、東京都は、市と連携して、落書きが見えないようにテープを張るなどの対策をとったと聞いています。
落書き事案への対応と、それがヘイトスピーチに該当する場合の対応についてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 落書き事案につきましては、施設管理者、区市町村、都等に連絡していただくものと考えております。
本条例第十二条に規定するとおり、都民等からの申し出あるいは職権により、ヘイトスピーチに該当するか否かなど審査会の調査審議を経て、概要等の公表などの措置がなされる場合もあると考えております。
○山内委員 この条例が成立し、生かされるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○中山委員 私の方は、前回の定例会におきまして、この人権条例の報告事項について質問させていただいたわけであります。そこの大きな視点は、どうしても、今回、ヘイトスピーチとLGBTの方が特出しされている分、十七項目のそれぞれの人権課題についてこれまで活動してきた人が、期待を持っている分、落胆してしまうんじゃないか、そんな懸念を質問させていただいたわけであります。
ただ、きょう、いろいろと質疑を聞いておりまして、きょう、質問をしようと考えていた部分は、皆さんの質問の中に含まれておりましたので、重複いたしますので、私からは質問を控えさせていただきたいと思います。
○とくとめ委員 それでは、第百六十五号議案、いわゆるマイナンバー法に基づく条例の一部を改正する条例の問題について質問いたします。
この条例にかかわって、我が党は、マイナンバー制度導入前からも、導入後も、一貫して批判して、これに反対してきました。それは、このマイナンバー制度が、憲法でも重視されているプライバシー権の重大な侵害、個人情報の漏えいのリスクをはらんでいるということ、それから社会保障費の削減が狙われているという面、さらにはIT企業の利権との結びつきなどの指摘がされているということがあります。
実際に、世界で先行して導入されたマイナンバー制度の実態からも、日本でマイナンバー制度を導入後の実態からも、さまざまな個人情報の漏えいの事故、事件、プライバシー権の侵害が発生して大きな社会問題になっています。マイナンバー制度への国民、都民の不信と不安を広げているのも、こういう問題があるのではないでしょうか。このことが、マイナンバー制度のカード普及、利用、活用が広がっていない要因になっているのではないかと思います。
我が党は、今回のこの条例の一部改正についても反対ですが、マイナンバー制度の利用が継続される以上は、万全の安全対策の確保、個人情報の保護、プライバシー権の尊重に最大限の対策を求め、基本点を確認しつつ、質問をいたします。
まず最初は、条例の一部改正で拡大される三つの事務分野、これは要求資料で明示されていますが、その中で、マイナンバーの対象人数となるのは、それぞれの事務において何人になるのか、伺います。
○久原理事 平成二十九年度の実績の数字となりますが、東京都立産業技術高等専門学校における奨学のための給付金の支給に関する事務については九十三人、東京都内に設置されている私立高等学校等及び東京都立産業技術高等専門学校における学び直し支援金の支給に関する事務については三百三十二人、東京都立産業技術高等専門学校における授業料負担の軽減及び選択的学習活動に係る経費の支援に関する事務については四百五十九人となってございます。
○とくとめ委員 三事業で、合計八百八十四人が対象になるということです。利用対象者一人一人の利益と、個人情報やプライバシー権の保護がかかっている人たちだと思います。
資料要求において提出していただいた都の事業におけるマイナンバーの事故数は、資料にあるとおり、二件になっています。
幸いにして二件ですが、この事故の詳細な内容と要因はどういうものになっているのか、そして、あわせて、再発防止策はどうしているのかについて伺います。
○久原理事 都の事業におけるマイナンバーに関する事故内容についてでございますが、どちらも教育庁における事案でございます。
平成二十八年度の事故は、職員が、当時勤務校で持ち出し禁止とされているマイナンバーを記載した同校教職員の十名分の書類を校長等の承認を得ずに自宅に持ち帰り、約半年後に自宅で発見し、回収したものでございます。
今年度の事故につきましては、職員がマイナンバーを記載した書類を二人の提出者に返却する際、封筒を間違えて手渡しし、翌日に回収したものでございます。
なお、これら二件の事故につきましては、確実に回収を行ったため、外部への情報漏えいには至っておりません。
再発防止策といたしまして、事故者への指導に加え、教育庁として、全管理職に対し、例えば、特定個人情報事務取扱者として指定された職員が複数で対応することや、管理職が機会を捉え点検することなど、特定個人情報の取り扱いについて周知徹底を図ったということでございます。
○とくとめ委員 幸いにも、二件のマイナンバーにおける当事者は十二人ということでした。個人情報の漏えいはなかったということでしたが、事故の原因は、今の説明にもあったように、システムエラーや犯罪ではなくて、ヒューマンエラーではないかと思います。同時に、事故の要因は初歩的なミスでありますが、一歩間違うと、とんでもない個人情報の流出、漏えいになりかねない問題だったと思います。
今回改正される条例で拡大される事務分野について、いわゆる立法根拠、現場の利用者、活用者から、やってほしいんだと、そういう声が上がっているのかどうか、伺います。
○久原理事 マイナンバーの利用範囲は、法で社会保障、税、災害対策の三分野に限定されておりまして、具体的な事務を限定列挙しております。
また、条例に規定できる事務は、法定事務の上乗せ、横出し事務等に限定されており、個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用できることとされております。
そのような中、都民の利便性の向上を念頭に置きつつ、行政事務の効率化の観点、いわゆる現場の声から事務の追加の検討を行い、三事務を条例に追加する条例案を提出しているものでございます。
○とくとめ委員 現場からの声というのは、どちらかというと、利用、活用を促進させたい役所の立場といいますか、効率化を求めての声ではないかという感じがします。利用、活用される対象、つまり利便性がある、だから、この事業についてマイナンバーを適用してほしいという声は、実際には今の説明の中にはなかったような気がします。実際の事務手続は、リスクを感じるマイナンバーではなくとも、従来どおりで十分にやれるということではないかと思います。
マイナンバーカードの交付枚数率が、要求資料にありますように、東京都で一四・九%。約一五%にとどまり、裏返せば、カードを交付していない人が八五%も存在していることになります。
この要因をどのように見ておられるのか、伺います。
○野間行政部長 平成三十年七月一日時点の都内におけますマイナンバーカードの交付枚数率は、今、お話がございましたように一四・九%となってございます。この交付枚数率につきましては、全国における交付枚数率一一・五%に対しまして三・四ポイント上回っておりまして、都道府県の中では全国で二番目となってございます。
都内区市町村におきましては、土日や平日夜間の開庁時間延長や、無料による申請用写真の撮影など、都民のマイナンバーカード取得促進に努めているところでございます。
こうした区市町村の取得促進に向けた取り組みなどによりまして、今後も交付枚数率は向上するものと考えてございます。
○とくとめ委員 昨年十一月の総務委員会の同様の質問への答弁では、都における交付枚数率は一一・九%、約一二%ということでした。年間で約三%の交付率の前進にとどまっているのではないかと思います。
全国との比較で東京の交付枚数率が全国二番目の高さといっても、逆に、全国でも東京でもマイナンバーカードの利便性の普及啓発のキャンペーンをやってきても、全国平均で約九〇%、東京平均で約八五%の人がマイナンバーが交付されていないという事実です。
実は、三年前のきょうと同じ十月二日の総務委員会では、私の質問に対して、国のアンケートを紹介して、これからコンビニでも八割の人がカードを活用できるようになるという答弁が行革推進部長からありました。
もちろん、カードなしのマイナンバーだけの利用者も多数いるし、マイナンバーを利用せずに従来どおりの人も多数いる、これは事実です。その実態は、聞いたところ、全国的にも、国からも報告も求められていなくて集計もされていない、わからないということなんですね。わかっているのは、マイナンバーカードの普及率のみです。
莫大な予算を投入して、利便性や効率性を強調して、鳴り物入りで制度を導入しても、こういう現状だということの要因はどうしてなのか、費用対効果が厳しく問われているのではないかなと思います。マイナンバー制度そのものの、PDCAの観点からの検討が必要ではないでしょうか。
そこで、これまで、導入以来、この総務委員会でも、寄せられた苦情、相談を踏まえて質問しましたが、今回の条例案で拡大される三つの事務分野で、マイナンバーを利用、活用されていない人たちの事務手続はどうなっていくのか、再確認の意味で伺います。
○久原理事 個別法令の特別な規定がない限り、マイナンバー提示は義務ではございません。
マイナンバーを使用しなくても、これまでどおり課税証明書等の必要書類を添付することで申請は可能でございます。
○とくとめ委員 利用者の窓口での対応をぜひ丁寧に行って、事務手続にはさまざまな選択肢があることを紹介して、都民からの苦情が寄せられることがないようにしていただきたいと要望しておきます。
都のマイナンバーのシステムの導入にかかった初期投資額及び年間の維持管理費について伺います。また、この経費の費用対効果についてどうなっているのか、伺いたいと思います。
○沼田情報政策担当部長 マイナンバーによる行政機関間の情報連携では、既存業務システムの情報を他の機関と安全にやりとりする情報システムの構築が必要でございます。
この情報システムの構築には既存システムの改修も含まれておりますが、このような改修は、通常のシステム改修とあわせて実施されることから、ご質問にありましたマイナンバー制度導入に係る初期費用というものは、算出は困難な状況でございます。
このため、整備経費に充てられる国への補助金申請時の補助対象経費について、目安としてお示しいたしますと、約十四億円、今まで要しているということになっております。
また、もう一つありましたご質問の維持管理費につきましては、マイナンバーによる情報連携に必要な機能だけを切り出して費用を算出することは、これまた困難でございます。
なお、経費につきましては、都における情報システムの改修、新規構築及び運用に係るシステムアセスメント制度などを通じて、必要性、妥当性の観点から評価を行った上で予算計上しておりますので、マイナンバー制度の導入時においても同様の措置を行っているところでございます。
○とくとめ委員 答弁では、年間維持費については、全体像の掌握は困難ということでした。費用対効果についても、マイナンバーカードの交付枚数率が低い現状、それ以外のマイナンバーの利用者の実態も不明の状況では、なかなかこの制度の評価ができないのではないかという気がします。
政府は、実はマイナンバー制度の導入に当たって、既に活用、利用されなくなった住基ネットのときの約七倍の三千四百億円の税金を投入しています。この制度の維持費として、毎年、数百億円がかかるとしてきました。これは全国的にです。
都民には利便性をうたいながら、都民の税金を使って導入した制度です。きちんとした現状の評価と改善に向けた対応策を求めておきたいと思います。
マイナンバーのシステムに関する維持管理費は、マイナンバーの利用数、活用数によって増減が生まれてくるのかどうか、伺いたいと思います。
○沼田情報政策担当部長 マイナンバーによる行政機関間の情報連携では、マイナンバーを含む個人情報は、おのおのの行政機関が個別に保有するという分散管理方式をとっております。このことから、マイナンバーの利用状況いかんでシステムに抜本的な改修が必要な仕組みにはなっておりません。このため、ご質問の維持管理費についても、利用者数の増減に直接的な影響を受けないものと認識しておるところでございます。
ただし、今後、国の政策等において影響を受けたシステム改修等が発生する場合がございます。そのような場合には、維持管理費が変動する可能性もあるとは考えております。
○とくとめ委員 維持管理費は、マイナンバーの利用者の増減には影響を受けないということでした。
一方で、国の政策等に伴い、維持管理費が変動する可能性もあるという答弁でした。
実は政府は、現在、マイナンバーの利用を、税と社会保障、災害対応などから、さらに、プライバシー性が極めて高い個人の預貯金や特定健診情報、金融資産保有状況と医療保険などの情報へ拡大する方向を打ち出しています。
マイナンバーカードの使い方について、政府は、健康保険証の一体化を目指して、二年後の二〇二〇年までに、国民八千七百万人に個人番号のカードを持たせる構想を発表しています。より重大な特定個人情報の漏えい、プライバシー権の侵害への危険性、リスクが拡大するおそれがあるのではないでしょうか。そういう方向を目指しているということを、やっぱりしっかり自覚していただきたいと思います。
そこで、マイナンバーのシステムに関する安全性、個人情報の保護の重要性に鑑みて、具体的な事故や事件などの実例を踏まえて、都としてセキュリティー対策にどのように取り組んでいるのか、伺います。
○沼田情報政策担当部長 マイナンバーシステムでは多層的なセキュリティー対策がとられており、マイナンバーシステムからの直接的な情報漏えいは全国的に起こされていないところでございます。
しかしながら、東京都では、行政運営上、都民等の個人情報などの重要な情報を多数取り扱っており、セキュリティー対策に万全を期すということは極めて重要だと考えているところでございます。
このため、特定の組織や個人に狙いを定めて執拗に攻撃を仕掛けてくる、いわゆる標的型攻撃など、日々、高度化、巧妙化するサイバー攻撃の脅威に対応すべく、副知事を最高情報セキュリティー責任者とする体制を都では確立し、マイナンバー制度の安全・安心な運用にも資するセキュリティーポリシーの見直しなど、総合的な対策を行ってまいりました。
さらに、平成二十八年四月には、全庁のセキュリティー事故対策を総括し、指導、指示等を行う東京都CSIRTを設置するなど、一層の体制強化を図ってきております。
こうした組織的な対策とともに、技術的セキュリティー対策の導入、人材育成、これは教育も含みますけれども、そのような対策を総合的に実施して、東京都全体のセキュリティーレベルを引き続き向上してまいる所存でございます。
○とくとめ委員 この間の都が直接関与する事故は、幸いにして二件で、当事者十二人ということで、個人情報の漏えいはなかったということが先ほど答弁でもありました。しかし、もし個人情報が漏えいしていたならば、この制度の中で罰せられる性格の事件になりかねないものではないかと思います。直接の要因はヒューマンエラーではないかと思いますけれども、その事故が個人情報の漏えい、個人にとっては重大なプライバシー権の侵害になりかねないということを、しっかり受けとめていく必要があると思います。
皆さんもご存じのとおり、昨年の一月に--日本年金機構の百二十五万件に上る個人情報の流出発覚で全国的に大変衝撃が広がって、そういうものも、今のマイナンバーに対する不信だったり、不安を広げているようになっているんじゃないかと思います。
本来、個人に関する情報は、本人以外にむやみに知られることのないようにすべきものだと思います。プライバシーを守る権利は、憲法によって保障された人権の一つになっています。特に、現代の高度に発達した情報化社会では、国家や企業などに無数の情報が集積されており、本人の知らないところでやりとりされた個人情報が、本人に不利益な使い方をされるおそれがあります。そのため、どんな事故情報が集められているかを個人が知り、本当に使われないように関与することも、プライバシー権として認めるべきだという考えが広がっています。
我が党は、このマイナンバー制度導入をめぐる国会の審議でも、その後の検討段階からも、この制度には、四つのリスク、危険性があるということを厳しく指摘してまいりました。このことは、政府もその指摘を認めてまいりました。
その第一は、一〇〇%情報漏えいを防ぐ完全なシステムは不可能だということ、二つ目が、意図的に情報を盗み取り、売る人間が存在するということ、三つ目が、一度漏れた情報は、流通、売買され、取り返しがつかないようになる、四つ目が、情報は集積されればされるほど利用価値が高まり、攻撃しやすくなる、この四つの問題点をずっと指摘してまいりました。
ぜひこうした点もしっかり考慮して、今、継続されているマイナンバー制度、万全の安全対策をとるように求めて、質問を終わります。
以上です。
○奥澤委員 よろしくお願いします。私が、本日の付託議案審査、条例の審査における最後の質問者になろうかと思うんですけど、もうしばらくよろしくお願いします。
私からも、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現の条例について質問をさせていただこうと思っております。
これに関しては、第二回定例会からも引き続いて議論しているところでありますし、各会派から、本当に当事者の声に寄り添って、差別の解消を求める中での議論を積み重ねてこられたところでありまして、本当に私自身も多くのことを皆さんから学ばせていただきましたし、そういったことを前提にして、きょうも、一部重複がないようにというのは考えますけれども、しっかりと質疑をさせていただきたいと思います。
これまでも委員会でも取り上げてきたのですけれども、LGBT当事者の自死念慮の割合が高いというのはこれまでも話をしてきたことで、その根底にあるのは、性に関する正しい知識がない、あるいは得る機会が少ないということであるというふうに考えています。みずからが性的マイノリティーであるかもしれないというふうに感じたときに、ロールモデルが少ないこと、それによってみずからの存在自体に疑問を感じてしまったり、あるいは不安になって周囲に相談しようと思っても、その相手がいない、あるいは、配慮のない言動が周りから発せられて孤立してしまう、そのようなことが起きているわけでございます。
そのような当事者の方々の苦悩というのは、社会全体の知識と理解の乏しさから来るものであると考えますし、第一条、啓発等というところには教育も含まれているということでありました。
性自認に関しましては、幼稚園、幼少期の段階からみずからの性別に違和感を覚えるという子供がいるという指摘もあります。例えば渋谷区では、小中学校の教職員向けに、LGBT当事者による出前講座を実施するなどしております。こういった事例も参考にしながら、適切な時期に正しい知識の普及をしてほしい、そのような体制づくりをしてほしいということをまず要望しておきます。
あわせて、先般の代表質問において、我が会派からの質問であったと思いますけれども、産婦人科医等を活用した、性教育の外部講師のモデル授業というのを年度内に実施するというような旨の答弁がありましたので、ぜひこういった授業との連携も含めて検討いただきたいというふうに思っております。
また、保健室とか図書室、そういった子供の手の届くところに、性自認や性的指向に関するハンドブック等を置いておくこと、これもよいことではないかという意見が寄せられております。
自分の性に悩みながら、誰にも相談できない児童というのは少なくないとお伺いしておりますし、情報が氾濫する現代社会においては、インターネットやSNS等を中心に、必ずしも正しいとはいえない情報が氾濫しています。悪意ある情報に傷つくことも少なくありません。
そこで、都民が性自認や性的指向について知りたいと思ったときに、手の届くところに情報があるということが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 多様な性に関する理解を深めるため、広く都民に対して情報を積極的に届けていくことが不可欠でございます。
条例制定後は、性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消及び啓発等の推進を行っていくという条例の趣旨に基づきまして、さまざまな広報媒体を活用するなどして効果的な啓発、広報を検討してまいります。
○奥澤委員 ありがとうございます。
さまざまな手段ということなんですけれども、私としては一つ提案がございまして、まず、してはいけないことというのをしっかりと周知していかないといけないのではないかということを思っています。例えば、本人の了解を得ないで、性自認や性的指向について第三者に伝えてしまうこと、いわゆるアウティングなどがそれに当たると考えています。
本条例を契機に、きょうもたくさんの傍聴者の方が訪れておりましたし、ネット中継も入っている、さまざまな報道もありました。社会全体が、性自認あるいは性的指向に対する差別や偏見、あるいは、そこまでいかなくても、一歩構えてしまうような心のバリアというようなものが徐々に解消されていくものというふうに考えております。だからこそ、例えば軽い気持ちでアウティングしたことが当事者を大きく傷つけて、時には死に追い込んでしまうこともあるんだということを社会全体が理解して、意図せぬ悲劇を起こさせない、そういった未然防止をするように十分に配慮していただきたいということを指摘しておきます。
次に、同性パートナーシップ制度についてなんですけれども、既に質問では重複している部分がございましたので、意見だけ述べさせていただきたいと思います。
渋谷区や世田谷区、中野区においては同性パートナーシップが始まりまして、既に各区の合計で百組以上の申請があるということで、お喜びの様子が報道されているところです。
同性パートナーシップにつきましては、当然、これは基礎自治体の意向を尊重した上ということになりますけれども、今後の基本計画策定に向けたプロセスにおいては、広域自治体としての東京都としてできること、これを十分に検討していただきたいということをお伝えしておきます。
当事者の方々と話していて思うのは、愛する人と一緒にいたいという、人の本質的な欲求というのが社会に認められることは本当に大事なことで、幸せなことだということです。そして、その幸せを認めることが、誰かを傷つけたりだとか、あるいは不利益を与えたりしているのか、そこをちゃんと考えなきゃいけないというふうに思っています。
一つ、事例を紹介いたしますと、オーストラリアのメルボルン大学の調査で、合計五百人の子供を持つ同性カップル三百十五人に対しての調査結果があります。それによりますと、その子供たちは、健康と家族のきずなをはかる項目で、異性のカップルよりも、全体で平均六%を上回るスコアが記録されている。では、そのほかはどうなのか。気性、気分、態度、精神衛生、自尊心、それらの項目では、全体で同水準のスコアだったという調査結果が出ています。
この結果を見る限りは、この調査の責任者を務めたサイモン・クロウチ氏もいっておりますけれども、同性婚の家族とその子供たちは大変うまくやっており、これが子供の健康にいい影響を与えているというふうな結果を出しています。これは、その前に実施している調査ともほぼ同じ結果が出ているということですので、かなり信憑性が高いんじゃないかなというふうに考えます。
また、その一方で、同性カップルに育てられた子供は差別に遭いやすい、いじめの対象になってしまう、そのようなことも、結果も出ているそうです。
じゃ、ここで考えていただきたいことは、不幸せなのは子供の方なのかということなんです。子供は全く不幸せ、子供自体が悪いのでは全くなくて、社会全体が悪いのであって、社会全体が不幸せなんじゃないかという考え方をきちっと持ってほしいということなんです。
そういった意味でも、本条例が、SOGI差別を許さない、そういった姿勢を明確に打ち出したこと、これを本当に評価したい、そのように思っております。
本当に何がいいたいんだと、事例を出してということでいうと、基本計画の策定、これから徐々に具体的な施策を進めていく中では、思い込み、つまりは、自分自身がこれまで当たり前だとされて思ってきたことが本当にそうなのかということを疑ってほしいんです。伝統とか、そういった言葉で何となく覆い隠されてしまっていることにきちんと目を向けること、そして、フラットな目線でエビデンスに基づいて判断をしてほしい、検討してほしい、これを強く要望させていただきます。
少し視点は変わるんですけれども、私の地元であります町田市、本年六月の市議会において、婚姻や事実婚などの関係にある異性カップルが町田市から受けている行政サービスについて、同性カップルにも適用が可能なものがあるか確認されたいという請願が採択をされました。これは非常に重要な観点で、もちろん、これから進めていく具体的な施策は大事だということなんですけれども、これまでやってきた制度あるいは都庁でシステム化しているさまざまなことを改めて一斉点検することで見えてくる課題があるというふうに考えています。
条例を定めようとしているこの東京都自身が、当事者への配慮に欠けるようなことがあってはなりません。例えば、性別の確認が不要な書類においても、性別記載欄がないかなど点検をすること自体が職員の意識を高めることにもつながるというふうに考えております。
そこでお伺いいたします。基本計画の策定においては、庁内業務の一つ一つを洗い出していただき、必要があれば速やかに見直しを図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 今般提案いたしました条例が施行された後、全庁横断会議を設置し、条例の趣旨を庁内で共有し、相談窓口で当事者から寄せられる声、都民等や区市町村の意見、都議会でのご議論も踏まえ、基本計画を策定してまいります。
基本計画の策定に当たりましては、各施策現場での課題を抽出しつつ、当事者が抱える困り事に対し、どのような配慮が必要か確認し、具体的かつ迅速に必要な見直しを行ってまいります。
○奥澤委員 ありがとうございます。
続きまして、より効果的な啓発等を行うための事業者等との連携についてお伺いをいたしたいと思います。
これまでも東京都ではさまざまな啓発活動を行っておりまして、例えば、昨年の十一月四日、五日に開催されたヒューマンライツ・フェスタ二〇一七においては、二千人弱というふうに聞いておるんですけれども、そのような方々が参加しているということで聞いています。もちろん、内容が異なりますので、単純に数字を比較することはできないんですけれども、特定非営利活動法人東京レインボープライドが主催する東京レインボープライド二〇一八では、約十五万人が参加したとの報道発表がありました。
私自身も参加をしましたけれども、LGBT当事者の方々も、そうでない方々も、一緒にパレードとか、あるいは各種イベントを通じて、性自認とか性的指向、それに加えて、みずからのさまざまなアイデンティティーをどう表現していくのかといった点でも理解を深め合う、すばらしい機会となりました。
今月、来週ですけれども、十月八日に、新宿、近くで東京ラブパレードが開かれるということも聞いておりますので、これも今から楽しみにしているところです。
また、九月六日、先月には、セクターを超えた団体、個人、企業が連帯するという形で、プライドハウス東京コンソーシアムが結成されました。来年初旬には、市民参加型のチャリティーマラソン企画、レインボーマラソン東京、仮称ですけれども、これを計画しているというふうに伺っております。
ここで伝えたいのは、人から人へ情報がどんどん拡散される時代になっておりますので、東京都が主催しなければいけないのか、必ずしも、これはそんなことはないんじゃないかというふうに思っています。
SNSなどが発展している現代社会においては、よくも悪くも、たった一人の言動が、あっという間に世界中に拡散されてしまいます。
東京都の主催する事業においても、この一人一人の拡散力を意識したイベントを開催する、あるいは、後援や共催を通じて、NPOなどの民間団体や民間企業による啓発も後押しすべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○仁田山人権部長 性自認及び性的指向を理由とする差別の解消並びに啓発等の推進を図るため、都は今後、拡散力、発信力を重視した取り組みをさらに積極的に推進していく必要があると考えております。
啓発等の推進に当たりましては、都主催のイベントにおいて、また、SNSを活用して、発信力を有する若者や企業と協力するなど、効果的な発信ができるよう工夫を凝らしてまいります。
また、近年、多くの企業が参加するLGBT支援にかかわるさまざまなイベントが実施されており、そうしたイベントとの連携も含め、今後、個別に検討してまいります。
○奥澤委員 ありがとうございます。ぜひとも連携を前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、基本計画について質問を考えていたんですけれども、既にこれは明らかになりましたので、私からは割愛をさせていただきます。
続いて、ヘイトスピーチに関する部分なんですけれども、これも重複しているんですけれども、私からも要望が二点ありますので、これだけお伝えをさせていただきます。
本来、ヘイトスピーチは全国一律で対応すべき課題であって、国の施策のさらなる推進を求めるところであります。
東京二〇二〇大会を間近に控えて、東京都が率先して施策を推進すること、これは国の後押しをするというか、そういった部分でも意義深いというふうに考えておりますし、我々都議会議員も、国に対して、もっともっといっていかなきゃいけないということを強く思った次第です。
平成二十八年六月に、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行されまして、それに対して、東京都は国に意見書を提出しているかと思います。この中では、差別的言動の定義を定めることや、実効性のある施策を実施することなどを国に求めています。
今後は、本条例に関連して得られた知見あるいは課題、今度は東京都が先進的な自治体になっていく形になりますので、引き続き、国に対しては要望を続けていただきますとともに、国や基礎自治体との連携を深めていただく、これを要望しておきます。
そして、もう一点、要望しておきます。
先日、SNS大手のツイッター社が、人間性を否定し、人間以下に扱う会話は、暴力を正常化することを含め、ツイッターのサービス外に悪影響を与える可能性があるとしています。新たに、人種、民族、国籍、性的指向、性別、性自認、信仰する宗教や年齢、障害、病気、職業、政治理念や地域、社会的慣習をもとにした暴言や脅迫、差別的な言動を規制の対象として、また、ツイートする、写真にタグづけする、名前を挙げるなど特定の個人またはグループを標的にしていなくとも、上述のような点で共通する特定の集団へのヘイトスピーチも違反の対象にするということの報道発表がありました。
このような民間事業者とも連携した取り組みというのをぜひ進めていただきたい。特に情報交換を推進していただきたいということを二つ目の要望としておきます。
社会は常に変化をし続けます。人権課題も同様です。だからこそ、目指すべき方向性を指し示した上で、後退することなく、かつ柔軟に対応していただきたいというふうに思います。
性自認や性的指向を理由とする差別あるいは本邦外出身者に対する差別は、当事者が、さらなる差別を受けること、その恐怖心から口をつぐんでしまう。今なお顕在化していない部分がある。これは、今までの議論でも、本当に各会派から積み上げられてきたことです。そのような見えにくい、聞こえてこない、でも、確かに存在する差別に対して何をしていくのかというのが今回問われていることなんだというふうに私は理解しています。
まだ見えにくい差別に関しても、その解消を図る、それを明確に打ち出したこの条例の制定というのは、本当に大きな意義があるというふうに思っています。本条例が当事者の心の支えとなること、これまで感じてきたことを安心してお話しいただくことで、より具体的で実効力のある施策が展開されていくことを期待しています。そして何より、差別を受けてきた当事者の苦悩を少しでも和らげる、あしたを生きる勇気になることを願ってやみません。
もちろん、本条例をゴールとは私も考えておりません。今後の具体施策の展開においてクリアしていくべき課題というのが、きょう、皆さんにとっても見えてきたことだというふうに思っています。このさまざまな指摘に対して真摯に応えていく、これが東京都の責務であると私は考えております。
この間、昨年の十二月に小池知事から意思表示があって、その後もたくさん担当の方々と意見交換をさせていただきました。本当にありとあらゆる疑問点をぶつけて、意見をぶつけて、提案をぶつけてというふうにやってきた中で一番感じたことというのは、本当によく勉強されているな、当事者の声を聞いているなというのを感じてきました。
この条例をここに上程するまでの間に、担当の方々、そして周りのサポートをしている方々がされてきたご尽力、こちらにまずは感謝を申し上げますとともに、これから先もさらなるご努力をいただけるように、私からはエールを送りたいと思います。
それでは、最後の質問になります。
本条例の指し示す東京の未来像実現に向けて、本日もいろいろやりとりがありました。東京都の決意を改めてお伺いいたします。
○榎本次長 多様性が尊重され、誰もが活躍できる東京、これを実現するためには、全ての人の人権が尊重されなければなりません。そのためにも、東京二〇二〇大会開催を契機といたしまして、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を広く都民に浸透させていくことが必要でございます。
東京二〇二〇大会と、さらにその後の未来も見据え、多様な人々の人権が尊重される東京を目指し、本条例案を提出いたしました。条例の制定を通じまして、さまざまな人権に関する差別を許さない都の姿勢を、国内外に対して改めて明確にするということ、それから、先ほども拡散力を有するという、NPOあるいは民間団体等の方々との連携をというご質問をいただきましたけれども、こうした多様な主体の方々と連携を図りながら、これまで以上に積極的に人権施策を総合的に実施してまいります。
○菅野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩したいと思います。
午後八時四十八分休憩
午後九時六分開議
○菅野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
報告事項、平成二十九年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について外三件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
それでは、発言を願います。
○福島委員 平成二十九年度公立大学法人首都大学東京の業務実績評価、そして東京都監理団体の経営目標の達成状況について質問をさせていただきます。
まず、首都大学東京に関してです。
先日、産官学連携が進む中で、最も情報セキュリティーに対する安全対策が脆弱な大学が狙われている、このような報道がありました。
公立大学法人首都大学東京の中でも、首都大学東京は、平成二十五年、六年に情報セキュリティー事故を起こし、平成二十六年度の業務実績評価において、評定三、年度計画を十分に実施できていないを受けています。しかしながら、平成二十九年度にも、四件の個人情報にかかわる情報セキュリティー事故を起こしています。
情報セキュリティー事故に対する現在の対策の実施状況について伺います。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公立大学法人首都大学東京では、平成二十六年度の事故等も踏まえ、外部からの攻撃に対する情報セキュリティー対策として、ファイアウオールによる防御、不正侵入防止システムによるネットワーク監視等を行い、不正な通信やスパムメール等をブロックしております。
また、セキュリティー対策が十分でないパソコン等は学内ネットワークへの接続を制限する検疫システムを導入し、サイバー攻撃に対処しております。
さらに、重要な個人情報や研究情報を取り扱う大学のリスク管理体制として、平成二十八年度に、情報セキュリティー専門組織であるCSIRTを設置し、万が一、情報セキュリティー事故が発生した場合に、迅速に対応できる体制をとっております。
昨年度に発生しましたメールの誤送信による情報セキュリティーの事故の対策としましては、メール誤送信防止ソフトの導入を行い、メール送信時に宛先や添付ファイルの暗号化を再確認した後に、改めて送信操作を行うようにいたしました。
また、電子メール送信時のルールを制定するとともに、法人や大学内の各種会議の機会を捉え、情報セキュリティーに関するルールの周知徹底と注意喚起を行いました。
○福島委員 情報漏えいを起こさぬよう、そして、外部からのサイバー攻撃をも想定した情報セキュリティー対策の着実な実施を要望いたします。
続けます。昨年の初めての総務委員会で、私は、首都大学東京に求められる特色として、課題先進都市である首都東京というフィールドを生かし、東京のシンクタンク、そして東京の将来に資する人材育成機関として機能することを要望しました。
本定例会議での我が会派の一般質問で、知事に、都立大学への名称変更に伴う首都大学東京の取り組みについて問いましたが、これに対する答えも、教育研究の成果をこれまで以上に都に還元することを明らかにしたものというものでした。改めて申し上げておきます。
そこでまず、人材育成についてです。
首都大学東京における都市政策研修、産業技術大学院大学における中小企業のための新規事業のつくり方、そして、産業技術高等専門学校による中学生向けの情報セキュリティー研修など、東京都の人材育成にさまざまな角度からかかわっています。
これらの教育について、内容の概略と参加延べ人数、成果を教えてください。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京が都の職員向けに行っている専門研修である都市政策研修は、若手職員が政策形成に必要となる基本的知識を習得する研修で、都市政策科学科の教授陣七名が一年かけて講師を担当しており、平成二十一年度から二十九年度までの修了者は計二百十一名でございます。
産業技術大学院大学による中小企業のための新規事業のつくり方は、地元区である品川区との連携セミナーでありまして、新規事業を開発したい中小企業の経営者などに、理論と実践的ノウハウを習得することを目的としたセミナーで、平成二十年度から継続開催しており、参加人数は延べ四百二十一人でございます。
産業技術高等専門学校による中学生向けの情報セキュリティー研修は、同校が平成二十八年度から行っている情報セキュリティー技術者育成プログラムの一環として、より早い段階からの情報セキュリティー技術者教育としての体験学習会でございます。平成二十八年度と二十九年度の二年間で、計四十名が参加しております。なお、二十九年度の受講者二十人のうち、約半数が産業技術高等専門学校に入学しております。
○福島委員 東京を支える人材育成を継続的に行っていることを理解しました。移り行く社会課題を捉えた教育の研究と充実を求めます。
加えて、国際都市東京の発展にとって、東京を理解する人材が周辺国にふえることは重要です。
そこで、平成二十九年度の業務実績評価に記載されている、首都大学東京が取り組んでいる都市外交人材の育成の取り組みと卒業後の活躍状況について詳細を伺います。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、都が設置した都市外交人材育成基金と、その前身であるアジア人材育成基金を活用し、東京と海外諸都市に共通する課題の解決に資する高度先端的な研究を実施するとともに、東京と海外諸都市との相互理解や友好親善に意欲のある優秀な留学生を大学院に受け入れてきてまいりました。
平成二十九年度は、都市外交人材育成基金を活用して三十三名の留学生を新たに受け入れ、平成二十九年度末までに都の基金で受け入れた外国人の留学生は累計で二百二十六名となり、そのうち百十七名が大学院を修了して学位を取得しております。
これらの留学生は、大学院修了後、多くが母国の大学などの研究機関において教員や研究員として勤務しているほか、WHOを初めとする国際機関や地元政府機関、首都大学東京を含む国内大学、日系企業に勤務するなど、各地で活躍をしております。
○福島委員 首都大学で育った人材が各国で研究者、教育者、そして国際機関で働いているということで、周囲への大きな波及効果が予想されます。
そこで、育成はもちろんですが、卒業後の関係継続など、持続的な事業展開を期待します。見解を伺います。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都市外交人材育成基金等により首都大学東京に受け入れ、大学院を修了した留学生が、帰国後も将来にわたって都市相互間の交流や協力を担う人材として活躍できるように支援していくことは重要でございます。
そのため、首都大学東京では、修了者がかつての指導教員や在学中の留学生等と大学で一堂に会し、活動報告等を行う年次総会や、帰国後の修了者を首都大に短期間受け入れる帰国留学生短期研究支援制度等を実施しております。
これにより、海外諸都市との相互発展に貢献する継続的な人的ネットワークの形成を図っております。
○福島委員 ありがとうございます。しっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、首都大学東京に期待されるシンクタンク機能について伺います。
他道府県の事例ですけれども、内閣府による地方議会の事例紹介によれば、山形県では、議会の政策立案機能をさらに向上させ、さまざまな地域課題に対処できるよう、山形大学と相互協力に関する協定を全国に先駆けて締結し、委員会の所属事項に関して、大学から専門的な意見や最新の取り組み事例について聴取することで議論が深まるとともに、委員会の活性化、これがなされているとされています。加えて、平成十三年には、これも全国に先駆けて知事への政策提言なども行っております。
そこで、首都大学東京には、都の大学として、なかなか行政では取り組むことができないエビデンスに立脚した都の政策立案、そして、事業の実施によりエビデンスが得られるよう設計した政策提案を検討していただくことを検討していただきたいと考えます。見解を伺います。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 近年のIoT、ビッグデータ、AIなどに代表されるICT技術の急速な進化や少子高齢化、大規模災害リスクの増大など、社会を取り巻く環境は大きく変化し、高度複雑化した新たな課題を生み出しております。
こうした状況の中、首都大学東京では、統計学等を積極的に利用して、エビデンス、証拠に基づく政策立案に資する研究に着目して、都へ事業提案をしております。
例えば、平成二十九年度は、ビッグデータを活用した観光行動分析実証事業を提案し、都を訪れる外国人旅行者の行動の特徴等に関する情報を収集、分析し、観光事業者等に向けて情報発信をいたしました。
今後とも、平成三十年度の学部再編により新たに設置した情報科学科などの研究成果を活用しながら、エビデンスを取り入れた政策提案に努めてまいります。
○福島委員 今年度の首都大学東京の学部再編においてなされた、都市環境学部に都市政策科学科ができたこと、システムデザイン学部に情報科学科が生まれたことなど、環境は整備されつつあるといえます。今後、エビデンスに立脚した政策提案を牽引するシンクタンクとしての役割を首都大学東京に果たしていただきたいことを述べて、次の質問に移ります。
東京都監理団体経営目標の達成状況についてです。
今回、監理団体の経営目標評価に外部有識者の視点を入れて初めての達成状況の評価結果の公表となりました。SからDまでの五ランクある中で、今回は、C評価が二団体、D評価が一団体、そして、評価の低い団体の常勤職員の最高位の者の報酬の削減も実行される、このようなしっかりとした評価制度に進んでいるものとして、まずはこのような評価が行われたことを評価したいと思います。
一点、気になったのが、外部有識者の意見を聞いた最終評価の前段階の所管局による団体への評価です。
例えば、東京都福祉保健財団に関して、所管局である福祉保健局の評価は、財団が都民に対する福祉保健医療サービスの向上に十分な寄与をしたとしています。一方、外部有識者の意見を踏まえた最終評価は、下から二番目のC評価とされており、所管局の評価と最終評価に大きな食い違いが生じている印象を受けました。
評価委員会の今回の意見では、団体の自律的な改革の進展に濃淡が出てきているとの指摘と、その理由として、団体自身のみならず、団体を所管する各局の改革意識も影響しているとされております。これはまさに先ほど私が指摘した、所管局の評価と外部有識者の意見を踏まえた最終評価との食い違いにあらわれている、このようにいえます。
そこで、評価委員会からの、団体のみならず、所管局の直接的な参画関与と意識改革が欠かせないとの指摘に対して、どのように対策するのか、伺います。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の経営目標評価制度は、監理団体みずからが経営目標を設定し、都がその達成状況を評価するものでございまして、各局は、団体を所管いたします立場から、目標の設定及び評価に当たり、評価委員会の意見も踏まえながら必要な調整、指導を行ってございます。
平成二十九年度の目標設定に当たりましても、こうしたプロセスを経て各団体が目標を設定いたしました。その上で、次年度に向けて本制度のさらなるレベルアップを図るべきとの認識のもと、課題の捉え方、指標の設定、実績の公表などの面で所管局の一層のフォローが求められるとの趣旨で、評価委員会から、ご紹介がありましたご意見をいただいたものでございます。
今後は、本年六月に策定いたしました経営改革プランを本制度の評価対象とすることとしておりまして、毎年度行うこの改革プランの改定の中で、そうした意見も踏まえ、団体の経営改革に向けて、所管局による適切な関与のもと、より本質的な視点からの目標設定や的確な評価がなされますよう、本制度のさらなる効果的な運用を図ってまいります。
○福島委員 ありがとうございます。私は、このような課題を決して否定的に捉えているわけではありません。初めて制度を創設して実行した、チャレンジしたからこそ出てきた課題といえます。
監理団体が経営改革プランのPDCAサイクルによりバージョンアップしていくように、総務局としても、制度をPDCAサイクルで改善していくことを期待し、質問を終わります。
○斉藤委員 私の方からも、この平成二十九年度の監理団体経営目標の達成状況について、簡単に質問させていただきます。
これは、私、昨年も、きょうを目指して各団体がどのような成果を出すかということを大変期待して、きょうを迎えました。
今回の総務委員会に平成二十九年度の監理団体の経営目標の達成状況について報告がございましたが、この監理団体は、都の政策実現の現場を担っている大事な都政のパートナーでございまして、各団体の事業や取り組みについて都民の理解と納得が高まっていくことが重要であると考えます。そのためには、個々の監理団体が都民サービスの質を高めていくことが求められていまして、そうした改革を促進するツールとなるのが、この経営目標制度と考えます。
今回の経営目標の評価は、今、福島委員からございましたが、外部有識者で構成される評価委員会からの意見を踏まえて最終的に評価が行われたということですが、今回の評価は、これまでの評価からどのように改善が図られたのか、その成果を伺いたいと思います。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今回の経営目標の評価に当たりましては、目標に対する定量的な実績に加えまして、新たに、目標の達成あるいは未達成の実績が、団体の自助努力によるものか、あるいは外的要因によるものかなどにつきまして、まず団体みずからが分析を行う仕組みといたしました。
その上で、外部有識者で構成されます評価委員会の委員から、各団体の実績及び分析内容について意見を聴取するとともに、都は、その意見を踏まえまして、経営目標の達成状況について、これまで三段階であったものを五段階に細分化いたしまして評価を行ったものでございます。
こうしたプロセスの見直しや、よりきめ細やかに評価を行うことにより、評価に対する客観性、妥当性が向上するなど、改善が図られたものと認識してございます。
○斉藤委員 この外部有識者の視点を踏まえて評価の客観性、妥当性が高まるなど、目標評価制度がまた一歩進化したという印象を受けております。
確かに、みずから掲げた目標に対するみずからの一次評価と、最終的な外部有識者による最終評価に大きな開きがあるということは、それは目標の質が問われるわけでありまして、今まではそこが非常に見落とされていた部分があると。達成しやすい目標を掲げて、その目標の数値を量的にクリアしましたよというレベルでは経営改善は図れないわけですけれども、こういった今回の、目標とその達成状況を進行管理、フォローアップしていくことによって経営が非常に質が高まっていくということが非常に重要でありますので、今回の評価、Dランクのところもございましたし、Sのところは、これは動物園の、動物園協会でございますけれども、パンダの大変な成果も得られているわけですが、一喜一憂することなく、継続的にこの経営目標の達成状況を見ていくことが重要であろう、進化させていくことが重要だろうというふうに印象を受けております。
大事なことは、各団体がより質の高い都民サービスを実現していく、それに向けまして、今回の評価をいかに今後活用していくかという、生かしていけるかということにあると思います。
各団体は、今年度、経営改革プランを新たに作成し、取り組みを進めているところでありますけれども、今回の評価を各団体のさらなる改革促進にしっかりと生かしていくべきと考えますが、見解を求めます。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 評価委員会からは、経営目標の達成状況に関する意見とともに、団体の技術力を生かした企画提案力の強化や、より戦略的な人材の確保、育成など、今後の経営改革に向けた意見をいただいたところでございます。
今後、各団体は、ご紹介にありました本年六月に策定した経営改革プランの見直しを毎年度行うこととなりますが、その際、個別の取り組みの進捗状況などを踏まえた計画の更新はもとより、今回の委員意見なども参考にしながら、経営戦略や到達目標のバージョンアップを図ってまいります。
このように、経営目標評価制度の仕組みを活用し、PDCAサイクルのさらなる充実を図っていくことで、各団体が都民サービスの質をさらに高め、持続的に成果を上げていけるよう、自律的な改革を促してまいります。
○斉藤委員 今回の評価が各団体のさらなる経営改革へと生かされ、都民サービスの質の向上へと、よい方向に向かっていくことが確認できました。
冒頭に申し上げましたけれども、この東京都の監理団体は、都の政策実現に向けた現場を担っている重要なパートナーとしての役割を担っております。常にこの監理団体に向けられる都民の目、それは厳しいものもあるというのも現実でございます。
しかしながら、住宅政策に関しましては、また審議会も開かれますけれども、住宅の管理のあり方についても、住宅供給公社のような大事な監理団体もございます。そうした監理団体が、都政のパートナーとして、しっかりと都民の目に耐えていくというか、都民から非常によくやっているなと見られていくためにも、この戦略的な経営プランというものの、今度は実行というものも重要になってくるわけだと思います。
先ほども申し上げましたけれども、本制度が適切に運用、活用されまして都民サービスの質の向上が図られていくことで、都民の理解と納得が高まっていくことを期待しております。
今後、経営改革プランの見直し、評価の動向を注視いたしまして、都民の皆様に対する情報発信をしっかりとしていってもらいたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
○西沢委員 私からは、今もありました平成二十九年度東京都監理団体経営目標の達成状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。
これは、外部の有識者も含めてしっかりと評価をしていくということは、もう従前より申し上げてきたことでありまして、それが実際にやられたということは大きな意義があるというふうに評価をさせていただくところであります。
その上で、幾つかお伺いをしていきたいというように思いますが、今回、外部の評価委員会の方々が、本当にさまざま意見をおっしゃっていただいて、分析もしていただいたりというようなことでありますが、評価委員会の方のご意見というのは、団体の評価そのものにどのように影響をされたのか、お伺いいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の経営目標の評価に当たりましては、外部有識者で構成されます評価委員会から意見聴取を行い、都がその意見等を踏まえまして評価を行うこととしてございます。そのため、団体個々の経営目標の達成状況に関する評価委員会の意見などを踏まえながら、都として団体の評価を行ったということでございます。
○西沢委員 今、ご意見を聞きながら、都として評価を行ったという答弁でございました。
この五段階の評価ですね、S、A、B、C、Dという五段階の評価は、これは、じゃ、最終的に誰が決めるのか、お伺いいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の経営目標の評価は都が行うこととなっておりまして、具体的には、評価委員会などの意見も踏まえながら、副知事をトップといたします監理団体改革推進委員会の承認をもって決定してございます。
○西沢委員 外部の目を入れるべきだということはずっと申し上げてきたことで、外部の目が当然入ったわけでありますけれども、最終的に、じゃ、決めたのは誰かという質問でありましたが、最終的には都が行うと。具体的に、評価委員会の意見を踏まえつつとしながらも、やっぱり副知事をトップとする監理団体改革推進委員会の承認をもって決定。つまり、東京都がやっぱり決めているということなわけですね。
私は、外部の評価委員会の方々、見れば、かなりご意見をいただいているということはわかるんですけれども、じゃ、評価委員会が決めた、評価をしたということじゃないんだと。やっぱり都が自分たちでやって、自分たちの監理団体を、東京都、自分たちが評価しているというふうになってしまっている。自分たちの評価を自分たちでしているといわれてしまいかねません。
都が決めたこの団体の評価というのを、評価委員会は、何か承認するであるとか、後から追認するであるとか、こういったプロセスはあるものなのでしょうか、お伺いいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 先ほどご答弁させていただきましたとおり、監理団体経営目標の評価は、評価委員会から意見を聴取した上で、都が団体の評価を決定する仕組みとなってございます。
したがいまして、都が決定した評価について、評価委員会から承認を得るという仕組みではございません。
○西沢委員 評価委員会によって団体の評価が決められるものではないという理解でいいわけですよね。--そういうことですね。そこはあえて聞きませんけれども、つまり、評価委員会が決めた評価じゃないよということを確認させていただきました。
例えば、外部の人だけが決めるというような--この仕組みが始まって間もないということもありますから、もちろん、今までよりは全然前に進んでいるというようなことで大いに評価はするものの、評価の決定プロセスに関しても、ぜひ評価委員会の方に加わってもらってはどうかと思いますが、見解をお伺いいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本制度は、監理団体みずからが経営目標を設定し、都がその達成状況を評価することで、団体の経営責任や、都としての指導監督責任を明確にするとともに、団体の経営改善等の促進を図ることを目的としてございます。
昨年度、より一層の経営改善に資する目標設定及び評価がなされるよう、外部有識者で構成される評価委員会から意見聴取する仕組みを導入いたしました。今回、各団体の経営目標に対する実績やその分析について専門的見地から意見をいただき、都として評価を行うことにより、評価に対する客観性、妥当性の向上が図られたものと認識してございます。
今後とも、評価委員会の意見などを踏まえながら、都として団体の評価を行うことにより、適切な制度運用を図ってまいります。
○西沢委員 意見を聞いていくということ、外部の目を入れるということは大変重要である、だけれども、プロセスは変わらない、都として評価をするんだというようなことでありました。ぜひ今後の検討課題にしていただきたいというように私は思います。
というのは、やっぱり自分たちで評価をするということは、何かしら手心が加えられるんじゃないのかというようなことがあるわけですね。
その中で、この評価達成状況を見ると、しっかりと評価されているとは思いますけれども、ただ、例えばこれは、この前の本会議で、多分、都民ファーストさんの中であったと思うんですけれども、税務署か何かが入って、追徴課税か何かを払った団体もあったとか、団体によって、かなり--やらかしてしまっている団体だけれども、いやいや、それは経営目標はまた別なんでということで、例えば評価が高くなるというようなことが本当にあっていいのかというようなことを、次のステージで考えたときには考えていかなければいけないんじゃないのかなというように思うわけであります。
監理団体のうち、今回、私たちも取り上げましたが、障害者の法定雇用率が未達成の団体というものが、八団体、監理団体の中であるということです。
今回、評価がS評価もしくはA評価の団体で未達成の団体は幾つあるのか、教えていただけますでしょうか。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今回の団体評価結果は、S評価が一団体、そしてA評価が七団体でございますが、このうちA評価の一団体について、障害者の法定雇用率を達成できておりません。
○西沢委員 達成していない団体だけれども、A評価、高い評価が下された団体があったというようなご答弁でございました。
確認ですけれども、今回の団体の評価に当たって、障害者雇用の確保という点については評価に影響を及ぼしたのでしょうか、お伺いいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 団体の評価に当たりましては、各団体が設定した経営目標の達成状況を基本といたしまして、経営目標のみでははかれない定性的な面も総合的に勘案し、評価を行ってございます。
障害者雇用の状況につきましては、今回の評価において、特段、加味してございません。
○西沢委員 経営目標のみではかれない部分も総合的に見ているんだよと答弁されていたけれども、この障害者雇用率については、達成していようが達成していまいが関係ないよというようなことでした。
私自身は、今後--これは大きな問題になりました。東京都自身は、いわゆる水増しということはしていないというようなことでありましたが、この障害者の雇用率というものについて、やっぱりこれは、東京都はもちろんですけれども、監理団体もしっかりとやっていかなければいけない部分に来ているんじゃないかと思います。来ているんじゃないかと思いますというか、前から来ていますから、これはやっていかなければいけないと思います。
今後、私は、こういう経営目標だとか財政状況だとかも総合的に見ているということでありますから、この障害者雇用の確保という面も、しっかりと評価の対応方針にしていくべきなんじゃないかと思いますが、見解をお伺いいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都庁グループの一員であります監理団体における障害者の雇用確保は、都としても重要と認識してございます。
都はこれまでも、本制度、経営目標評価制度の運用とは別に、団体による障害者の雇用確保に向けて、適宜、指導を行ってまいりました。
今後とも、監理団体への指導監督の一環として、各団体に対して、法定雇用率達成に向けた取り組みを強化するよう指導してまいります。
○西沢委員 この障害者雇用率については、本制度の運用とは別にやっていますよ、指導してきましたよということでありました。
でも、例えば、先ほどの評価委員会が、評価を下していないわけですけれども、意見をいっているだけですね、今。評価をするという立場にもしなっていたとして、この問題が大きく出たときに、例えばS団体、Sになる予定だった団体が、大きくこうしたことが問題になっていたとしたらば、果たして評価委員の方々は、そこに本当にSをつけるだろうかと。
都としては、多分、本制度の運用とは別にやっているし、経営目標は別でやっているからということで、問題なくSとつけるかもしれませんが、果たしてそういう評価になるのかというと、やっぱり外部の目を入れるということの必要性というものが出てくるんじゃないかと思います。
いろいろいいましたけれども、この制度自身が進んできたということは大いに評価はするべきでありますが、これに満足せずに、さらなる改革といいますか、改良といいますか、充実に努めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○山内委員 首都大学東京業務実績評価に関連して質問をいたします。
ことしの八月二十四日、東京都と公立大学法人首都大学東京は、首都大学東京などの二つの大学と法人の名称を二〇二〇年四月から変更するための手続を進めていくことを発表いたしました。都立の大学であることをわかりやすく周知し、認知度を高め、首都大学東京の志願者をふやそうということであるのでしょうけれども、そのためには、教育の充実や学生への支援、学生生活の充実のための支援等に注力することが重要と考えます。
その具体的な施策の一つとして、昨年九月の総務委員会で、私は、首都大学東京の学生への支援の充実についてお伺いいたしました。
障害のある人もない人もともに暮らすというインクルーシブの観点から、教育現場でも障害のある学生への支援の充実を求め、障害のある学生の現状や支援状況の把握のための調査を要望いたしました。
また、子育てしながら学業を続けている人、妊娠、出産をして学業を続けたいと願っている人を支援するためのキャンパス内の保育施設の拡充など、学生生活の支援の充実を求めました。
また、SOGI、性的指向及び性自認を理由とした差別の禁止、解消のために、ガイドラインを作成し、さまざまな相談や対応を行っている大学があることを示し、例えば氏名の取り扱い、通称名を可能にするだとか、名簿等における性別の表記の廃止や、トイレの整備、健康診断などへの配慮、キャリア相談や就職活動支援などを行ったり、困ったことや伝えたいことがあった場合の相談体制など、対応を求めました。
そこで、首都大学東京では、性的指向及び性自認、SOGIを理由とした差別の禁止、解消のために、その後、どのような対応が実施されたのか、お伺いいたします。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、平成二十三年にダイバーシティ推進室を設け、男女共同参画推進、障害がある構成員支援、文化的多様性を持つ構成員支援などに取り組んでおり、その一環として、学生や教職員向けの講演会の開催などにより、性自認及び性的指向に関する啓発等も推進してまいりました。
社会状況等の変化を踏まえ、平成二十九年度にダイバーシティ推進基本方針を新たに策定し、性自認及び性的指向に関する意識啓発の推進や相談支援体制の整備に、さらに力を入れていくことといたしました。
こうした新たな方針や他大学の事例の検討などを踏まえ、昨年十月から、婚姻等により改姓した場合や性別に違和感のある学生が希望する場合などに通称名を使用することができる制度を導入いたしました。これにより、通称名の使用が承認された学生につきましては、学生証や各種の証明書等も通称名で表記されることとなりました。
なお、通称名の使用に関する学籍情報につきましては、個人情報として厳格な管理を行っております。
○山内委員 ダイバーシティ推進基本方針に、多様性を踏まえた構成員支援として、セクシュアルマイノリティー--SOGIが望ましいですけれども、そういう明記だったかと思いますが--に関する意識啓発の推進、相談支援体制の整備、環境整備が明記されたことを評価するものです。
さらに、昨年十月一日からは、今ご答弁がありましたように、性自認に困難を抱える学生の学籍簿についても手続を定め、学校での書類全般に通称名の使用を認めたことは評価いたします。学校が書類を発行する相手は在校生だけではなく、卒業等により学校を離れた元学生から証明書の発行を請求された場合にも、性別欄の削除、また名前の変更等も同様に対応していただきたいと考えております。
入試に関しては、国が行っている学校基本調査で、入学志願者と入学者の男女別数を出すことが必要とされているために、性別の記載が求められていると聞きました。受験者の余分な心理的な負担をなくすためには、願書や受験票における性別の記載の削除、また、性別削除が難しければ、申請書を提出して事前協議をすれば、自認の性別の記載を認めたり、通称名を認めるなどを国に求めていくことや、首都大学東京の裁量でできることはないか探っていくことも重要ではないかと考えております。
また、受験の場合のトイレの使用についても配慮するなど、性的指向や性自認の差別の解消、禁止に向けて前向きに検討し、実現した場合には、その対応を募集要項に明記することによって、大学の魅力が広まっていくのではないでしょうか。
また、進路指導や就職活動等において指導を行う教職員が、性的指向や性自認が非典型である人のロールモデルを十分に知り、実際にどのような職につき、どのように生活しているかなどの情報を専門機関等から取り寄せて参照し、相談に乗れるようにすることで、学生にとって、より具体的で有効な支援になるという指摘があります。
首都大学東京等におけるSOGIに基づく差別の禁止、そして解消が進むよう要望いたしまして、質問を終わります。よろしくお願いします。
○菅野委員長 ほかによろしいですね。--発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後九時四十四分散会
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