委員長 | 菅野 弘一君 |
副委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 中山ひろゆき君 |
理事 | 内山 真吾君 |
理事 | 中屋 文孝君 |
理事 | 荒木ちはる君 |
山内れい子君 | |
奥澤 高広君 | |
斉藤やすひろ君 | |
福島りえこ君 | |
西沢けいた君 | |
原 のり子君 | |
山田ひろし君 | |
とくとめ道信君 | |
早坂 義弘君 |
欠席委員 なし
出席説明員政策企画局 | 局長 | 遠藤 雅彦君 |
外務長 | 山元 毅君 | |
次長理事兼務 | 岩瀬 和春君 | |
理事 | 小暮 実君 | |
理事 | 松下 隆弘君 | |
理事 | 鈴木 勝君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 横山 英樹君 | |
調整部長 | 佐藤 智秀君 | |
政策担当部長 | 小久保 修君 | |
政策担当部長 | 古屋 留美君 | |
技術政策担当部長 | 森 高志君 | |
戦略広報担当部長報道担当部長兼務 | 古川 吉隆君 | |
海外広報担当部長 | 梅田 弘美君 | |
ホストシティプロジェクト推進担当部長 | 高野 克己君 | |
渉外担当部長 | 裏田 勝己君 | |
国家戦略特区推進担当部長 | 松原 英憲君 | |
戦略事業担当部長 | 田尻 貴裕君 | |
計画部長 | 山下 聡君 | |
外務部長 | 加藤 英典君 | |
外務担当部長 | 丹羽恵玲奈君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 大澤 裕之君 |
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 森山 寛司君 | |
青少年対策担当部長 | 井上 卓君 | |
治安対策担当部長 | 臼井 郁夫君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 浜 佳葉子君 |
本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十六号議案 東京都議会議員及び東京都知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例
青少年・治安対策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出 青少年・治安対策本部所管分
政策企画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出 政策企画局所管分
報告事項(質疑)
・「『三つのシティ』の実現に向けた政策の強化(平成三十年度) 二〇二〇年に向けた実行プラン」について
○菅野委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、青少年・治安対策本部及び政策企画局関係の予算の調査、選挙管理委員会事務局関係の付託議案の審査並びに政策企画局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分及び第三十六号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○原委員 それでは伺いたいと思います。
十八歳選挙権が施行されてからの全体の投票率というのは、参院選が五七・五%、都知事選が五九・七三%、都議選が五一・二八%、衆院選五三・六四%でした。
今のところ、来年度は大きな選挙は予定されていません。この一年を有効に使って、投票率向上の取り組みを進めることは重要であると考えています。
都の選管として、どのような取り組みを強化していくのか、伺います。
○浜選挙管理委員会事務局長 平成三十年度は、常時啓発、これは選挙前に、選挙実施に向けて行うものではない啓発のことでございますが、常時啓発の中で、特に若い世代への啓発に重点を置いて取り組んでまいりたいと考えております。
具体的には、将来の有権者である児童生徒を対象に、選挙への関心を高めるため、明るい選挙をテーマとしたポスターコンクールを実施いたします。
また、都内の全ての中学校の三年生に向けて、選挙に関する学習冊子「Let's Study選挙」を、選挙をより身近に感じてもらえるような工夫をするなど内容を全面的に見直した上で作成し、配布いたします。
さらには、児童生徒を対象に、政治や選挙についてわかりやすく説明を行う選挙出前授業や、実際に投票を体験し、選挙に興味を持ってもらう模擬選挙を、区市町村の選挙管理委員会と連携するなどにより実施してまいります。
○原委員 学習冊子の方も、より改善、充実をさせていくというお話も伺いました。
それで、十八歳選挙権になってから、今、先ほどの質問でもいいました四回の選挙で、若い世代の投票率の特徴はどのようになっていますでしょうか。
○浜選挙管理委員会事務局長 十八歳選挙権が実施されてから都の選挙管理委員会が管理執行した選挙は、平成二十八年の参議院議員選挙、東京都知事選挙、平成二十九年の東京都議会議員選挙、衆議院議員選挙の四回でございます。
その中で、参議院議員選挙では十八歳の投票率が都全体の投票率を上回りましたが、十代、二十代の投票率は、いずれの選挙においても、都全体の投票率を下回っております。
また、十八歳の投票率に比べ、十九歳の投票率は八から一四%程度下回っておりまして、さらに、二十代は各世代を通じて最も低い状況にあるのが現状でございます。
○原委員 今のような現状で、若い世代の投票率を向上していくためにどうしていくかということが改めて問われていると思います。若い世代がどのように考えているかということをよく知るということが、効果的な取り組みを進めていく上では必要であると考えます。
若い世代に意識調査の実施を提案しますが、いかがでしょうか。
○浜選挙管理委員会事務局長 現在、都の選挙管理委員会が管理執行する選挙におきましては、選挙が終わった後、間を置かずして世論調査を実施しております。その調査対象は都内の有権者でございまして、若い世代も対象としております。
平成二十九年の都議会議員選挙の調査結果では、他の年代と比べて最も投票率が低い二十代の棄権理由としては、仕事が忙しく時間がなかったからが四〇・八%で最も高く、次いで、候補者の人柄や政策がわからなかったからが一九・四%と続いております。
一方、二十代で投票した人の動機を聞くと、都政をよくするためには投票することが大切だと思ったからと、投票することは権利であるからが、それぞれ四四・四%、次いで、投票することは義務であるからが三六・一%となっております。
○原委員 私も、今お話にありました世論調査の結果は見させていただきました。これ自体は、とても大事な調査だというふうに思います。
ただ、これは調査のやり方が、三千人対象の調査ということですので、回収数は千八百二十三件で、うち十八歳が七人、十九歳が二十人、二十代前半は七十二人ということになっている調査だと思います。これは少ないからだめだという意味ではなくて、そういう調査ですよね。
それで、これはこれで重要なんですけれども、若い世代に特化しての調査をすることによって、もっと詳しく状況がわかるのではないかというふうに私は思っています。ぜひ教育庁や、あるいは首都大などとも連携をして、若い人たちが選挙に際してどういう意識を持っているか、そういうことを調査するようなことをぜひ検討していただきたいということをこの場では要望しておきたいと思います。
それで、十八歳選挙権が実施される前の二〇一四年、平成二十六年ですけれども、このときに、総務省が意識啓発について全国の自治体に調査を行っています。この結果を改めて見ました。多分、国がやったこうした種類の調査で一番直近で新しいのは、この二〇一四年、平成二十六年の調査になると思います。それ以降は多分ないのではないかと、調べてみて思ったのですが、この調査なんですけれども、未成年者及び若い有権者を対象とした啓発事業実態調査としています。
調査の趣旨としては、今後の主権者教育推進の参考資料とするため、全国の未成年者及び若い有権者を対象とした啓発事業の実施状況を把握するというふうになっています。そして、全国の選挙管理委員会を対象に行っています。
この調査項目なんですけれども、十三項目ありまして、選挙出前授業、児童会長、生徒会長選挙の支援、選管インターンシップ、選挙事務への起用--選挙啓発作品募集、意識調査の実施、若者向け研修会の開催、大学祭での啓発、成人式での模擬投票、フェイスブック、ツイッターを用いた情報発信、模擬選挙、そして子供議会、この十三項目になっています。
このときの調査では、東京都として実施していると答えているものは、中学校での副読本の作成だけだったのですが、これは恐らく、都単独でやっているものは何かということで答えられたのかなというふうに思うんです。市区町村と連携しているものは入っていないかもしれないのですが、結果としては、中学校での副読本の作成ということだけが回答としてありました。
この調査、そして十八歳選挙権が実施されて以降、東京都としては、意識啓発、主権者教育はどのようなことを重視してきたのか、伺います。
○浜選挙管理委員会事務局長 東京都の選挙管理委員会での取り組みといたしまして、常時啓発における若い世代の啓発は、これまでも現在も重視して取り組んできているところでございます。
とりわけ、主権者としての自覚を促し、選挙の意義や重要性への理解を深めるための選挙出前授業及び模擬選挙は、教育機関や区市町村選挙管理委員会との連携協力を得て実施しております。
取り組み始めた当初は、都選挙管理委員会の独自開催や、都が主体となって区市町村と連携して実施する機会が多くあったのでございますが、現在は、区市町村にノウハウが蓄積されてきたことに加えまして、実際に行われた授業の様子を撮影した動画や授業用資料などを都選挙管理委員会のホームページで公開したことなどによりまして、区市町村や民間団体がそれらを活用して独自に開催することが容易となりまして、都内での取り組みは広がってきております。
このように、冊子の配布以外にも、実際に若者向けの意識啓発、主権者教育に取り組んでいるところでございます。
○原委員 わかりました。調査以降、また十八歳選挙権実施の中で努力をされている方向についてもご答弁をいただきました。
そういう中でも、残念ながらまだまだ投票率が低いということで、先ほど紹介していただいた東京都の世論調査の中で、若年層の政治や選挙に関する意識が高まるためにはどのようにしたらよいと思いますかという設問がありまして、このトップが六六・六%で、政治や選挙についての学校教育の充実というふうになっていました。若い世代の方も、それが大事だと答えられているのが特徴だなというふうに思い、やはり投票率を上げるためには主権者教育が鍵だというふうに改めて思っています。
私は、その中で、ぜひ今後、局を超えて検討していただきたいなと思っていることの一つが子供議会なんです。総務省調査で、先ほどいったように十三項目の中に子供議会を入れているというのは、これは大変注目をされるというふうに思います。都道府県の中で二〇一〇年度から二〇一三年度までの間に子供議会を実施したのは、この調査をした時点では十一件でした。
その中では、滋賀県のように、調査時点では小学生、中学生対象の子供議会を実施していたのですけれども、それを、その後さらに進めて、ことしは高校生議会、あるいは来年は学生議会というように実施している県もあります。
議会形式というのはなぜ大事かというと、子供の意見表明権を公式の場できちんと保障して、それに対して大人がきちんと責任を持って答えていく、そうすることによって、自分のいったことが実現したり、生かされるという経験をしていきます。もちろん実らない場合もあるんですけれども、その場合は、どうしてなのかということを考えることができます。そういう経験を通して、社会に働きかけをすることは無駄ではない、政治は大事なんだという経験をすることができると思います。
東京都は、過去に二回、子供議会を実施していますが、このときは議会発信でやっています。現時点において改めて、十八歳選挙権も実施されたというもとで、私は、都庁全体として、この問題をぜひ共有していただいて、子供議会などを含めて、子供たちが意見表明権を保障される、そういう場を保障していくということを検討していくことが必要ではないかというふうに思います。そのことを提案いたしまして、質問を終わります。
○菅野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○菅野委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、青少年・治安対策本部所管分を議題といたします。
本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○福島委員 私は、自転車の安全利用について何点かお尋ねします。
都はこれまで、民間企業などと連携しながら、社会全体での自転車安全利用を進めています。例えば、民間企業との自転車安全利用に向けた協定に基づき、購入者全員に接点を持てる自転車販売店で、全ての自転車購入者に対してルール・マナー確認書を配り、意識啓発を行っています。
一方で、インターネットを通じて自転車を購入する人には、人を介して直接ルール・マナー確認書を渡すことができない状況になります。
インターネットを通じて自転車を購入する方には、どのようにルール、マナーを周知していくのかを伺います。
○臼井治安対策担当部長 自転車ルール・マナー確認書は、自転車販売店で全ての自転車購入者に手渡し、チェック欄の内容を確認していただくことで、安全利用に向けた意識を啓発していくものでございます。
都は、インターネットで自転車販売を行う事業者に対し、ネット上の購入画面やカタログの紙面上等に、自転車の交通ルール等、安全利用を啓発する内容を掲載するか、自転車本体とともに、自転車の安全利用を啓発するリーフレット等を送付するよう通知しております。
また、インターネットによる自転車購入者が、当該自転車の防犯登録を行うため販売店を訪れた際には、ルール・マナー確認書による啓発を行うよう働きかけてまいります。
○福島委員 近年のインターネット通信販売の普及を考えると、インターネットでの自転車購入者は今後ますます増加することが予想されます。例えば、ネットで購入するという環境を利用し、購入画面に遷移する前にルール・マナー確認書の内容をチェックさせるなど、内容を確実に周知させるための、より効果的な取り組みもあわせて検討いただければと思います。
次に、本定例都議会の代表質問において、都民ファーストの会は、自転車安全利用指導員制度について質問いたしました。
民間に委託して、朝晩の通勤通学時間帯に交差点に立ち、信号無視や一時不停止など交通事故に直結しやすい違反行為を行っている自転車利用者に対して啓発や指導を行ったところ、指導員の配置箇所及びその周辺では、一定の事故件数の減少効果が見られているというお話でした。
私の地元世田谷区にも、平成二十九年度、試行エリアがあったということで、効果があったということは大変喜ばしいことだと考えています。
一方、この制度を都内全域に広げようとしても、事業費の面から、指導員を配置できる場所は限られます。そこで、さきの代表質問で都民ファーストの会は、指導員を配置できる場所とその数が限られる中で、どのようにこの取り組みを都内全域に広げ、事故件数低下につなげようとしているかについて質問し、指導効果を広く波及させるため、指導員の配置場所をきめ細かく変更するなど、さまざまな条件下での実施効果を検証し、その結果を踏まえて都内での効果的な展開を検討していくというお答えをいただきました。
私の地元の世田谷の若林というところには、環状七号線と世田谷線という電車が交差する場所があるのですけれども、ここには通常ある踏切がなく、信号機だけで交通整理をしています。しばしばこの信号を無視する自転車があるということで、ここも指導員を配置してほしいような場所ではあります。
直接の配置箇所以外にも広く効果が行き渡る方法を模索するなど、さまざまな取り組みを重ね、試行段階にあるこの自転車安全利用指導員制度を費用対効果が高い制度として磨いていっていただきたいという要望を述べておきます。
また、指導員は、制服を着て交差点に立ち、指導を行っているということですが、まち中でルール、マナーを守らずに自転車を利用している方の中には、一般の歩行者の方に危機感を抱かせるような運転をする者や、荒々しい態度を見せたり、速いスピードで歩行者のすぐ横を通り抜けたりする方もいると聞いています。指導員が指導しても指導に従わないなど、そのようなケースがあるのではないかと危惧します。
指導の効果を上げ、維持するとともに、どのような方法で指導を行っているのかを伺います。
○臼井治安対策担当部長 自転車安全利用指導員制度は、交差点等において、信号無視や一時不停止など交通事故に直結しやすい違反行為を未然に防止するとともに、違反行為を行っている自転車利用者等に対する啓発や指導を通じて自転車利用のルール、マナーの向上を図っていくことを目的に、平成二十八年度から試行として、民間事業者に委託して実施しております。
指導員が現場で指導を行う際には、対象者に手旗を示して自転車をとめた上で指導を行っております。また、指導を行った者に対しては、自転車の安全利用に関する啓発内容を示した自転車安全利用指導カードを交付することで、指導内容が確実に伝わるよう努めております。
さらに、都の担当者が定期的に指導員配置箇所を訪問し、指導状況について委託事業者と意見交換を行うことで、指導員の指導内容の向上に努めております。
引き続き、指導内容の維持向上に努め、自転車が関与する違反や事故の減少に努めてまいります。
○福島委員 工夫をしながら、より効果の上がる自転車安全利用指導員制度の展開を通じ、自転車の安全利用を推進していることがわかりました。引き続きよろしくお願いいたします。
自転車の安全利用を進める上で、ルール、マナーの周知徹底とともに、事故が発生した際に体を守る備えも大切です。
都は、自転車利用の際に頭部への致命傷が多いことを踏まえて、自転車用ヘルメットの着用を促進していますが、今後、より促進の効果を上げるためにどのように取り組んでいくかを伺います。
○臼井治安対策担当部長 都はこれまでも、自転車用ヘルメットについて、高校生やシルバー人材センターでご活躍いただいている高齢者、保育園の児童及び保護者、さらにはスポーツタイプの自転車利用者などを対象として、積極的な広報啓発活動を展開してまいりました。
来年度は、実施地域を絞り込んで集中的な事業展開を図ることで効果を高めていきたいと考えており、そのため、モデル地域を選定し、区市町村、警察署等と連携しながら、ヘルメットについての効果的な広報活動を推進してまいります。
具体的には、対象となる区市町村と連携し、ヘルメットに焦点を当てた自転車安全利用教室を積極的に開催するとともに、区市町村の持つ広報媒体や地域ネットワークを最大限に活用した啓発活動等を実施してまいります。
さらに、モデル地域での取り組み及び成果を都内全域に発信していくなど、ヘルメットの普及啓発に取り組んでまいります。
○福島委員 集中的な事業展開を図るなど、効果を高める方法を模索するということはとてもよいことだと思います。試行の条件を振って、エビデンスベースで費用対効果を検証することを念頭に入れた取り組みをぜひお願いいたします。
また、啓発活動をするだけではなく、なぜかぶりたくないのか、その理由をアンケートで把握し、これを踏まえた対策も必要ではないかと考えます。
例えば、ヘルメットをかぶりたくないという声に応えて、まだ高額ではありますが、海外製の製品で、衝撃があったときに頭部を守るエアバッグタイプのヘルメットなどもございます。コストは量産効果で下がります。大義と共感の安全策をぜひ進めていただきたいと思います。
次に、自転車の安全利用を推進するには、ルール、マナーの周知徹底やヘルメットによる頭部の保護とあわせて、自転車そのものの安全性を確保できるよう、自転車の点検整備をすることも大切です。
都は現在、都民からの提案を踏まえ、区市町村の自転車整備を支援する自転車点検整備事業の実施に向けて準備を進めていますが、検討状況について伺います。
○臼井治安対策担当部長 自転車の定期的な点検整備を進めることは、自転車安全利用を推進する上で重要な取り組みであり、都の自転車安全利用条例におきましても、点検整備を自転車利用者の努力義務として規定しております。
本事業は、都民からの事業提案を受け、自転車の定期的な点検整備を都民に促すことを目的に、自転車点検整備の重要性について普及啓発を行い、住民による点検整備を支援する区市町村への補助事業として実施するものでございます。
制度の効果を高めていくには、点検整備の質を確保することが不可欠であることから、自転車安全整備士により整備された自転車に付与されるTSマークの取得等を通じて、適切な自転車の点検整備がなされるよう支援し、自転車の安全利用を推進してまいります。
○福島委員 制度の概要はわかりました。実効性のある制度としていくには、点検整備の質の確保とともに、一台でも多くの自転車を点検整備の対象としていくことが大切です。
いただいたお答えの中から、都の助成対象となる区市町村は、都民からの補助金申請を受け都民に補助金を交付する事務と、都に対して補助金を申請する事務のそれぞれを負担することがわかりました。この制度を活用したいが、事務の負担を考えて区市町村が消極的になることのないようにしていく必要があると考えます。
そのためには、区市町村や都民が利用しやすい制度として具体化していくことが不可欠だと思いますが、都の見解を伺います。
○臼井治安対策担当部長 本事業は、区市町村の取り組みに対する補助事業であることから、制度の実効性を高めるには、区市町村が取り組みやすく、都民が利用しやすい制度として具体化していくことが重要でございます。
また、自転車安全整備士の資格試験にかかわる団体やTSマーク等の流通にかかわる団体など、関連団体も多いことから、これらの団体や区市町村と密接に連携し、利用しやすい制度として具体化してまいります。
今後、全ての自転車が適切に点検整備されるよう、都みずからも、啓発のためのリーフレットを作成し、点検整備に関する啓発に取り組むとともに、区市町村の積極的な取り組みと都民の利用を喚起し、自転車の安全利用を推進してまいります。
○福島委員 制度設計の状況がわかりました。区市町村の負担が少しでも少なくなり、制度が有効に活用されることを念頭に今後も検討を進めていただけるよう、お願いいたします。
最後に、高齢者の自転車利用についてです。
高齢者は、身近で手軽な移動手段として自転車を利用することが多い一方で、また、自動車利用と同じように、年齢を重ねることで自転車を運転する能力が低下することも考えられます。例えば、近年ふえている高齢者ドライバーによる自動車事故と同様に、自転車事故もふえていくおそれがあるのではないでしょうか。実際、私も、倒れたときにひとりで自力で立てない高齢者に遭遇したことがございました。
今後は、自動車と同様で、高齢者が自転車に乗るのをやめるような時期もあると思いますので、自転車の運転能力が低下した高齢者に働きかける機会もなかなかないので、現在どうなっているか、つかみにくいとは思いますが、こうした視点も踏まえて自転車の安全利用施策を展開していただきたいと思います。
以上で終わります。
○斉藤委員 私も、引き続き自転車安全利用についてお伺いをしたいと思います。
この自転車の問題、各会派とも大変活発に議論することになった感で、とてもすばらしいことだと思います。
そもそも自転車は、自動車のグループとは考えられずに、歩行者と同じように歩道に--標識に歩道を走れる歩道とそうじゃない歩道があるんですけども、長らく、車道は自動車中心、四輪、人と同じエリアに自転車ということで、なかなかルールを考えながら自転車を利用するということがなかった。
それが、大きな政策転換もございまして、今、再び自転車に対する考え方をみんなで整理しようということで、本来マナーであるところをルールにしていく、そしてルールを守らない者にはペナルティーをという形になってきて、だんだんだんだん自転車の利用自体が、規制が強くなってくることが強過ぎると、またこれは自転車のすばらしい利用を損ねてしまうので、このバランスが大変難しい。
そういう意味でいえば、東京都において青少年・治安対策本部の議論の場があるというのは、これは警視庁の議論じゃありませんので、非常にいろんな角度から議論ができて、とても私はよろしいのではないかなと。東京は、自転車政策を議論するいい場をいただいているというふうに感謝したいと思います。
その上で、自転車の安全利用でございますので、何点か質問を進めていきたいと思います。
自転車の安全利用につきましては、都はこれまで、社会全体での自転車安全利用を進めるために、時に民間企業などと連携しながら、自転車利用のルール、マナーの周知徹底をしたところであります。
例えば、今も議論がございましたが、自転車販売店で全ての自転車購入者に対するルール・マナー確認書による意識啓発や、自転車安全利用推進者を設置して社員の自転車安全利用を進める企業を支援する、企業においてもそういう取り組みをしていただいているところがありますが、そうした自転車安全利用推進事業者制度などをつくって、幅広い取り組みを通じて、社会全体で自転車安全利用を進めています。
残念ながら、昨年のデータ、結果を見ますと、平成二十九年は、自転車事故の件数が十三年ぶりに前年を上回ってしまった。そうしたことから、今後は、都民の自転車安全利用に向けた意識をこれまで以上に高めていく必要があると考えます。
昨年、総務委員会質疑で、我が党は、自転車安全利用に向けた民間連携のさらなる強化について質問いたしまして、都からは民間企業との協定を拡大していくという回答をいただきましたが、協定拡大の進捗状況を伺いたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 都はこれまで、民間の損害保険会社と締結した協定に基づき、ヘルメット着用時の死亡事故の際に保険金が増額される保険の開発、自転車安全教室の開催など、自転車安全利用の促進に向けた取り組みを連携して行ってまいりました。
ことし一月には、昨年に引き続き、新たな損害保険会社等と自転車安全利用に向けた協定を締結いたしました。当該協定に基づき、自転車安全教室を連携して実施していくことに加え、損害保険会社等が制作した反射材などの啓発品を都のイベントにおいて配布していくなど、自転車安全利用に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
今後も、こうした協定の拡大と、連携して行う事業の充実に努めてまいります。
○斉藤委員 これまでの協定に加えまして、協定を締結する企業をふやしているという現在の進捗状況をお伺いしました。今後の取り組みと成果を大いに期待したいところであります。
この協定を締結いたしまして、官民連携で自転車安全利用を進める取り組みは順調に進んでいると考えますが、今後は、より幅広い官民連携体制を構築していくことが社会全体の自転車安全利用の推進につながると思うわけであります。
そこで、今後さらに、官民連携をより拡大していく、より幅広く都民の意識啓発に取り組む必要があると考えますが、都の考えを伺いたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 都はこれまで、先ほど答弁いたしました民間企業との協定による取り組みのほか、自転車安全利用推進者を選任して従業員への安全教育に取り組む自転車安全利用推進事業者への支援等を通じて、官民が連携した自転車の安全利用を進めてまいりました。
来年度からは、これまでの取り組みに加え、新たに自転車安全利用サポーター制度を創設し、地域の住民や顧客を対象として自転車安全利用に取り組む民間企業等を支援してまいります。
具体的には、サポーター企業が行う社外向けの自転車安全利用教室や顧客等への啓発用リーフレット配布などの活動を支援することで、官民連携による自転車安全利用に向けた取り組みの幅を広げてまいります。
こうした取り組みにより、民間企業等と連携した普及啓発活動を強化し、社会全体での自転車安全利用をより一層推進してまいります。
○斉藤委員 協定の締結など、これまでの官民連携による自転車安全利用の取り組みに加えまして、来年度から新たに自転車安全利用サポーター制度というものを創設するとのことであります。官民連携による自転車安全利用の普及啓発に期待をしていきたいと思います。
せんだっても、私の地元、自由が丘商店街、全国でも屈指の規模を誇る商店街でございますけども、この歩行者天国、ここに、やっぱり自転車が非常に危ない運転をして入ってきてしまう。どんなに地域で、商店街で努力しようと思っても、なかなかいうことを聞いてくれないということで、そういうときにはどういう行動をとるかというと、警察の方に取り締まりをお願いするのですが、これはまた、歩行者天国の中の利用については簡単にはいかない。全都一斉に歩行者天国を規制するわけにもいかない。
秋葉原の駅前のような巨大な、大きな歩行者天国もあれば、自主的に商店街が、自分たちの力で商店街を中心にまとまって歩行者天国としているところもあります。いろんな姿が東京都下にはあるのですけども、いずれにしましても、やっぱり目の届くところで、みんなで悪いものは悪いといっていくような、そういった機運というのは非常に重要であろうと。それは官だけではなかなかいかないということで、この官民連携、非常に大事だと思いますので、今後も、ぜひ推進、啓発を期待したいところでございます。
都では、自転車の安全利用に向けまして、新規事業の創設や新たな協定締結など積極的な取り組みを行っていることがわかったわけですが、先ほども福島委員のご議論がありましたが、実際の自転車死亡事故をなくしたい。これをなくすには、ヘルメットの着用により、やはり自転車の事故によって--死亡の原因を調べますと、六割は頭部への損傷ということのデータも出ております。これを減らしていくことが鍵なのかなと思っているわけです。
頭部への損傷を減らし、自転車死亡事故をさらに減少させていくことを目指した、平成三十年度、来年度に向けた都の取り組みを伺いたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 都内における自転車死亡事故の約六割が頭部への損傷によるものであることから、当本部としても、頭部を守ることは、自転車死亡事故を減少させる上で極めて重要であると考えております。
このため、これまでも、高校生やシルバー人材センターでご活躍いただいている高齢者、保育園の児童及び保護者などを対象として、自転車用ヘルメットに関する積極的な広報啓発活動を展開してまいりました。
また、都と連携する損害保険会社が自転車保険料収入の一部を充当して寄贈したヘルメットを児童、保護者にモニターとして使用していただき、意見等を聞きながら、普及啓発を促進してまいりました。
来年度は新たに、自転車事故における頭部の危険性などを映像化するDVDを作成し、都内の学校や区市町村、関係団体等に貸与するとともに、自転車安全利用教室で積極的に活用することで、さらなるヘルメットの普及啓発を推進してまいります。
○斉藤委員 このヘルメット、なかなか、私も自転車を利用して区内を駆けめぐっていますけども、ヘルメットをかぶっていません。乗っている自転車も、スポーツタイプじゃなくて、よくいろんな世代が乗る普通の自転車ですけども、ヘルメットをかぶるということについて抵抗がある世代というのがあると思いますが、子供はその点、学校でしっかりと着用を教えられていますし、むしろお母さんやお父さんたちよりも子供の方が、そういう面では、教育を受ける場でヘルメットに親しんでいるところがございますので、親子の間でも、お父さん、お母さん、何でヘルメットをかぶらないのみたいなことも非常に重要になってくるのかなと思います。
いずれにいたしましても、危険性を映像化するDVD、これの効果をちゃんとはかって、エビデンスに基づいた事業執行というものをしっかり見ていきたいと思いますが、まずは、これを導入していくわけですから、こういうものを活用して大いに、頭部への損傷が死に非常に近いんだ、危ないんだということを、利用しやすい乗り物なんだけれども、また危険とも背中合わせなんだということを、ぜひとも理解していただく啓発に有効に活用していきたいと思います。
これまで自転車安全利用について質問を簡単にしてきたわけですが、今年度五月に、昨年の五月ですか、自転車活用推進法というのができて、今後は、それに基づく自転車活用推進計画というのがこれから出てくるんですね。
国の方がちょっとその策定がおくれている関係で、都の取り組みについて、なかなか一定の時期に間に合わなかった。非常に残念でございますけども、ぜひ議会においても--国がそういったものを示しますと、当然、都道府県において、東京都において、どういう形で自転車の活用をしていくのかということを考える場が出てきます。そういった場の中で、この委員会だけでは、所管だけでは--安全利用のことは議論できますが、走行空間ですとか、さまざまな点については、もっと幅広い視点が自転車政策には必要でございますので、大いに東京都下でも議論を深めていきたいと思っております。
また、東京二〇二〇大会開催を踏まえまして、江東区を先駆けとして、いわゆる広域自転車シェアリングというものがありますが、この自転車シェアリングというのはまさしく、ヘルメットを持って人は移動していませんので、そこにあるレンタサイクルを使って、その場で乗りますから、まさにヘルメットを着用しない人がたくさん広域に移動するわけです。外国人も出てきます。
そうした方々の事故なども、これからどういうふうに未然に防いでいくのかなということもございますし、損保会社も企業がお金を出して一生懸命啓発に協力いただいていますので、できれば、そういった自転車シェアリングに参加している企業にも、ヘルメットつきのシェアサイクルとか、そういったものなんかも含めて、ぜひとも支援を促していきたいというふうに思っております。
来月の一日からは、品川区と大田区が新たに広域自転車シェアリングに加わってまいります。目黒区も単独でシェアサイクルをやっていきますし、その先には、当然、広域化というものが出てきますが、ますます自転車利用が盛んになってきますので、これまで以上に自転車の安全対策が重要になってくるというふうに考えるわけであります。
こうした状況を踏まえまして、今後の都内の自転車安全利用対策を展開していくに当たりましての本部長の所見を伺いたいと思います。
○大澤青少年・治安対策本部長 自転車活用推進法が施行され、東京二〇二〇大会の開催が間近に迫る中、自転車安全対策に積極的に取り組んでいくことは、東京全体の交通安全を進めるためにも喫緊かつ重要な課題と考えております。
都はこれまで、自転車安全利用条例の制定や改正を踏まえ、自転車のルール、マナーの啓発や従業員の安全教育に取り組む事業者の支援など、さまざまな対策を積極的に展開してまいりました。また、社会全体での自転車安全利用を推進していくため、損害保険会社など民間企業との協定締結や、警視庁を初めとする関係機関と連携した事業にも取り組んでまいりました。
今後、自転車事故を一件でも減少させていくためには、自転車の安全利用に向けた意識を、より幅広く都民全体に浸透させていくことが必要であります。
そのため、都自身による対策を着実に進めるとともに、民間事業者や区市町村、警視庁との連携を強化し、安全利用に向けた多様な主体による取り組みを一層推進していくなど、誰もが安全・安心を実感できる交通安全都市東京の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
○斉藤委員 質問は以上でございますけども、自転車が走る空間が一体どこにあるのかということですね。東京都の道は、日本の道はとても狭いです。そういう政策を長年の歴史の中でとってきました。移動についてはとても不得手なところが実はあって、鉄道を中心に近代日本というのは発展してきた経緯があるかもしれません。
そういったことでいきますと、これから新しいモビリティー、自動走行なども含めていろんなものが道路上に出てくるこのときを捉えまして、温故知新というか、古きをたずねて、新たに自転車の利用についても、そういった全体の都市像というか、都市づくりの中で捉え直していく視点が重要である。そのときがいよいよ、活用推進法のもとで、国、東京都、そして区市町村と連携して始まっていくんだと。そういうことでいいますと、東京都知事を先頭に、各局が連携して、都市の問題として捉えていく視点がこれから重要になってくると思います。
ぜひとも安全利用につきましては、本部長を中心に、また官民連携で、私ども議会もしっかり力を込めて頑張りたいと思いますので、死亡ゼロを目指していきたいと思います。
以上です。
○中屋委員 私から、まず、昨年の第四回定例会で議論いたしました自画撮り被害への対応について伺いたいと思います。
我が都議会自由民主党が昨年の第一回定例会から、都に対してしっかりとこの問題に取り組むよう求めてきた結果、要求行為自体を罰則つきで禁止する改正条例が成立したわけであります。子供に裸の画像を送らせ、自分の欲望を満たそうとする大人に対しては、警察において厳しく取り締まるべきであり、社会に警鐘を鳴らすことで被害の未然防止が図られると考えるわけであります。
私からも、取り締まりにつなげるためには、子供が画像を送ってしまう前に相談窓口がその悩みをキャッチする必要があり、青少年のネットトラブル相談窓口、こたエールのフリーダイヤル化を求めたわけであります。
子供にとって、親には絶対に知られたくないような悩みでも、通話料金がかからなくなることによりまして、ちゅうちょなく相談することが期待できます。画像を要求された段階でも相談してもらえるのではないかと考えるわけですが、そこで、自画撮り被害を防止するため、こたエールにおけるフリーダイヤル導入は早期に実現すべきと考えますけれども、見解を伺います。
○井上青少年対策担当部長 ご指摘のとおり、こどもネット・ケータイヘルプデスク、こたエールにつきましては、自画撮りの要求を受けた段階で、ためらわずに相談してもらうことが大切でございます。
電話相談は、声や反応から、相談者の性格や置かれた状況を推しはかることができ、また、優しく声をかけて安心感を与えるなど、相談者に寄り添いながら対応できるメリットもあり、通話料金を無料化することは、相談を促進する上で有効であると考えております。
そこで、こたエールでは、本年四月一日からフリーダイヤルを導入することといたしまして、青少年に安心して電話してもらい、さまざまな不安や悩みに寄り添って対応していくことで、インターネットを利用した犯罪から青少年を守ってまいります。
○中屋委員 しっかりと実施をしていただきたいと思います。子供たちを初め全ての都民が安心して暮らせるように全力で施策を進めてきた我が党としても、引き続き青少年の健やかな成長に向けた総合的対策を講じるよう、要望しておきたいというふうに思います。
次に、高齢ドライバーの事故防止と安全な自転車利用について何点か質問させてもらいます。
近年頻発している高齢ドライバーによります重大な交通事故についてでありますけれども、先月も、港区、委員長の地元でありますけれども、高齢ドライバーが運転している車が急発進しまして、歩道上の歩行者をはねて死亡させまして、店舗に突っ込むという事故が発生したばかりであります。
高齢者の免許証返納については、警視庁や東京都がこれまでさまざまな取り組みを行い、平成二十九年度の都内における六十五歳以上の返納者、たしか都内は四万四千人で、前年より約二千人増加したということであります。
一方で、免許を返納した高齢者は、移動手段を車からほかの手段に変更することになりまして、久しぶりに自転車を利用しようという高齢者もいるといわれております。
高齢ドライバーによります事故を防止するとともに、免許返納にあわせて、代替の移動手段として自転車を使用する高齢者が安全に自転車を利用できるようにしていくことが必要と考えますけれども、都の見解を伺います。
○臼井治安対策担当部長 高齢者免許保有者数が年々増加し、高齢ドライバーによる事故が相次いでいる現状から、高齢ドライバーによる事故防止に取り組んでいくことは重要な課題でございます。
都はこれまでも、自動ブレーキ等を備えた先進安全自動車の利用や運転免許自主返納制度などについて、春、秋の全国交通安全運動等に合わせたイベントや、街頭ビジョン、リーフレットの配布等により広く呼びかけを行うなど、高齢運転者への啓発を強化してまいりました。
さらに、新たに来年度からは、高齢ドライバーの交通事故防止のための普及啓発や、免許を返納した高齢者を対象とした自転車安全教室を実施していく予定でございます。
このうち事故防止のための普及啓発につきましては、高齢ドライバーによる事故の特徴や身体機能の低下等、運転の際の留意点を啓発するとともに、免許の返納について考える機会として実施してまいります。
また、免許返納者への安全教室につきましては、自動車教習所などと連携して、自転車利用の実技と交通ルール等の講義を組み合わせる形で実施してまいります。
参加者の募集は、都のホームページや区市町村、交通関係団体等を通じて行うとともに、免許返納者への安全教室につきましては、免許返納を行う警察署や自転車販売店での募集も行ってまいります。
○中屋委員 この事業は、高齢ドライバーの免許返納を促進しまして重大な交通事故を抑えていくという上で大切な取り組みであると考えます。高齢者が参加しやすい制度として具体化すべきものである、このように考えます。
免許を返納した高齢者の多くが自転車を代替の移動手段といたしまして活用するようになりますと、自転車の安全利用はこれまで以上に重要となってくると思います。
昨年、自転車事故が増加したという現状を考えますと、既存の事業についても充実に努めまして、安全教室の効果を高めていく必要があると思います。
都は、今後、どのように自転車安全利用の徹底に取り組んでいくのか、伺います。
○臼井治安対策担当部長 都はこれまで、民間と連携するなど、社会全体で自転車の安全利用に取り組むとともに、事業の見直しや充実を図ることで、自転車利用のルール、マナーの周知徹底に努めてまいりました。
本年度は、自転車事故につながる危険な事例を解説した十編の動画を新たに作成したところであり、企業内研修での活用などを促進することで、自転車安全利用の推進に向けた支援を強化してまいります。
来年度は、自転車シミュレーターによる交通安全教室におきましても、シルバー人材センター等での活用を見込んで、多くの方が一緒に学べるよう、ハード、ソフトを一新し、講習内容を見直すことで、一層効果のある交通安全教室として展開してまいります。
さらに、自転車の飲酒運転の防止策を強化するため、自動車の飲酒運転根絶キャンペーンの中で、新たに自転車を対象とした積極的な啓発を図るとともに、自転車の飲酒運転防止等の推進に向けて飲食業界とも新たな連携を図るなど、さまざまな主体と協力しながら、これまでにない視点からの自転車安全利用にも取り組んでまいります。
○中屋委員 安全利用に向けて新たな取り組みを展開していくということで、その成果に強い期待を申し上げたいと思います。
私は、自転車の安全利用を初めといたしまして、さまざまな自転車施策をより効率的、効果的に実施していくためには、自転車ごとにその所有者を把握しておくことが大変重要だと常々いっているんですね。自動車のように自転車を登録する制度があれば、自転車を持っている高齢者への安全教室への参加呼びかけだとか、自転車保険の加入促進にも活用できる、こう思っているんですね。また、放置自転車対策にも大変有効であると私は思っています。
ぜひそういう方向を視野に入れて、自転車の安全、適正な利用促進をしてもらいたい、こう思っています。お願いします。
次に、防犯カメラの設置促進について申し上げたいと思います。
私はかねてから、本委員会において、誰もが安全・安心できる社会を実現していくためには、警視庁や区市町村はもちろん、都民や防犯ボランティアなど、幅広い層の協力が必要であるといってまいりました。
私の主張に応えまして、都が、防犯カメラの設置を初め、ボランティアの方々とともにさまざまな取り組みを進めてきた成果が、現在の東京の良好な治安につながっているものと考えます。特に防犯カメラの設置は、安全・安心まちづくりに大変有効でありまして、地域の安全に大きく貢献しているものと考えます。
そこで、防犯カメラの設置補助制度の趣旨について、改めて確認を申し上げたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 都は、地域の防犯力向上のため、防犯カメラの設置を契機として地域の見守り活動が活発に展開されることを目的に、平成十六年度から防犯カメラの設置補助を開始いたしました。これまでに、商店街、町会、自治会、通学路等と順次対象を拡大し、平成二十八年度末時点で約一万三千台の防犯カメラの設置を補助してきたところでございます。
また、補助に当たりましては、地域の見守り活動を活発化させるため、継続的な見守り活動の実施を求めるなど、防犯カメラの設置とあわせて、人の目による見守り活動の活性化にも努めてきたところでございます。
○中屋委員 機械の目だけじゃなくて、地域の見守りの目も活性化する取り組みを積極的に進めていく必要がある、こう思います。そのためには、身近な地域における防犯の取り組みがより重要となります。
私は長年、地元町会とともに地域の安全にかかわってまいりましたけれども、こうした地道な取り組みを都内全域に広げていくことで、世界に誇る東京の治安が保たれている、このように確信をいたします。
このため、私は、平成二十八年十一月の事務事業質疑で、資金力のない団体も含め、希望する全ての地域団体が防犯カメラを設置できるよう、地域の負担割合の軽減の必要性を訴えました。党としても、二十八年十二月の第四回定例会の代表質問で要望いたしました。これを受けまして、二十九年度から、東京都は地域負担の軽減に踏み出したわけであります。これは大いに評価をしたいというふうに思います。
そこで、この地域負担の軽減の効果について伺います。
○臼井治安対策担当部長 平成二十九年度から、防犯カメラを新規に設置する場合の町会、自治会の負担率を六分の一から十二分の一へ、商店街の負担率を三分の一から六分の一へ軽減いたしました。
今年度の町会、自治会、商店街の設置数につきましては、一月末の申請ベースでは、昨年度から約四百台増加、約二割増の約二千百台となっております。
これは、地域団体の負担軽減も寄与したものと認識しております。
○中屋委員 設置台数が約二割増加したということからも、私は、負担の軽減が地域住民の方々の取り組みを後押ししたものと考えます。
いいかえれば、これは地域の方々が防犯カメラの設置を強く望んでいることのあらわれだと思いますし、都として、こうした地域の方々の要望をどう把握しているのか、逆に伺いたいと思います。お願いします。
○臼井治安対策担当部長 実際に地域の方々と調整を担っている区市町村の担当部署によりますと、地域団体からは、当年度の予算を超える設置希望が寄せられていると聞いております。
このことから、補助制度の趣旨をご理解いただき、東京二〇二〇大会に向けて安全・安心の機運を高め、地域での取り組みを加速していただいているものと受けとめております。
○中屋委員 私も、地元から歓迎の声を聞いております。
こうした地域の声に応える、そして、この機を逃さず地域の防犯力を高めていくことが何よりも重要だと思いますが、三十年度予算ではどのように対応しているのか、伺います。
○臼井治安対策担当部長 区市町村への防犯カメラの要望調査では、前年度を大きく上回る予算要望をいただいたところでございます。
こうした地域の需要増大を踏まえ、平成三十年度予算では、設置規模を拡大し、前年度比約一・五倍となる三千三百台、約七億円の予算を計上しております。
今後、区市町村との連携をさらに密にし、各地域での防犯カメラの設置が円滑に進むよう取り組んでまいります。
○中屋委員 今後も、カメラ設置促進と地域の見守りの目の増加という、ハード、ソフト両面の取り組みをぜひ進めていただきたいというふうに思います。そのために、三十年度予算の確実な執行、そして、二〇二〇年、その先も見据えた、より積極的な取り組みの推進を望んでまいりたいと思います。
最後に、こうした安全・安心まちづくりに向けての本部長の決意をぜひ伺いたいと思います。
○大澤青少年・治安対策本部長 都民の治安対策に対する期待は高く、世論調査においては、都政への要望として、治安対策が上位を占めております。
この期待に応え、都民の安全・安心を確保していく上では、防犯カメラや特殊詐欺対策としての自動通話録音機の設置などハード面での整備に加え、都民や防犯団体、民間事業者など、あらゆる主体が防犯への取り組みを強化し地域の防犯力を高めるソフト面での取り組みが重要であると認識しております。
また、当本部においては、昨年度から地域の地道な活動を顕彰する制度を設け、二百近い団体や個人に感謝の意を表しているところであります。
今後も、防犯カメラや自動通話録音機の設置促進、ボランティアの活動支援など、ハード、ソフトの両面の取り組みをさらに推進し、防犯ボランティア団体や都民との協働、連携を進めるとともに、区市町村の取り組みへの支援も一層強化、充実してまいります。
二〇二〇年と、さらにその先の未来に向け、警視庁とも連携を深めつつ、誰もが安全・安心を実感できる社会を実現するため、全力を尽くしてまいります。
○とくとめ委員 それでは、私も自転車問題について発言をさせていただきますけれども、今期の新規の事業で一億二千万予算がつきました、名称は、災害時の活用など多様な課題を解決するための「自転車整備」支援事業となっています。今、具体化が進んでいるそうでありますので、きょうは、提案、要望的な質問をさせていただきたいと思います。
最初にちょっと違和感を感じたのは、災害時の活用などというところが一番冒頭に来ているんですよね。でも、災害時に自転車を活用する、そういう機会というのは、通常はほとんどないと思うんです。
私、二十年以上乗っていますけれども、唯一、二〇一一年の三月十一日、三・一一の大地震のときに、新宿の三丁目にいまして、巨大な地震と大きなクレーンがもう倒れてくるような揺れをした、その場面にいました。ちょっと時間がたったら、車道がほとんど自動車で満杯になりまして動けなくなる。それから、公共交通機関が使えない歩行者の皆さんが歩いて帰るというので、歩道も満杯になるという事態になりました。そのとき、もちろん、私は利用していましたので、新宿三丁目から板橋まで自転車で帰って、時間どおり帰れましたけれども、じゃ、そういう目的のためだけに自転車を利用するのかというと、そうではないと思うんです。一つはそうだと思います。
去年改正された自転車活用推進法、自活法というのを見ますと、やっぱり健康増進とか、環境の負荷を軽くするとか、あるいは節約とか、いろんな要素があるのが私は自転車だというふうに思います。
きょうは、もろもろではなくて、この「自転車整備」支援事業、本当に一億二千万のお金を有効に活用するためにはどうしたらいいのかということに限って質問したいと思います。
今も述べましたように、災害対策などいろいろな自転車活用の要素が混在していますけれども、自転車の点検整備とその啓発に軸を置いて都民の自転車整備を推進することが、制度の効果を安定的に得ていく上で重要であり、いざ災害というときにも、日ごろから乗りなれておくということが非常に大事だと。
多くの都民が安心して自転車を利用することができる環境を整えるために、自転車の点検整備を通じた自転車の安全利用を広く普及することが重要だと思います。この点検整備という活動を通じて、自転車の安心・安全利用のモラルやルールを普及することにもなると思います。
そういう点で、平常時から災害時まで、自転車の活用は、こういう努力を通じてこそ本格的に進んでいくのではないかと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 本事業は、都民提案制度で提案されたものであり、自転車の定期的な点検整備を都民に促すことにより自転車の安全利用を推進することを目的に、点検整備の重要性の普及啓発を行い、住民による点検整備を支援する区市町村への補助事業として実施するものでございます。
日ごろから自転車の点検整備に努めることによりまして、平常時はもちろん、災害時におきましても安全に自転車を利用できるようになると考えております。
○とくとめ委員 この事業が効果を上げていくためには、整備の水準をしっかり確保することが大切だと思います。素人の点検整備ではなくて、プロといいますか、整備士の資格を持っている、そういう方々、それはすなわち、自転車の業者の皆さんが持っていらっしゃいます。
しかも、この一億二千万、一人千円使ったとしたら、十二万人に恩恵が渡るんですね。自転車業界の皆さんに聞きますと、大体、組合に入っている人は、一回の修理に千円前後ということで修理をされているようです。組合に入っていない人は、もっと高くなったりしているようですけども、この助成額が、不正防止など制度の骨格をしっかり整理しながら具体化していくことが、本当の意味で一億二千万の効果を発揮することになると思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 制度の効果を高めていくには、点検整備の質を確保することが不可欠であることから、適切な自転車の点検整備がなされるよう支援し、自転車の安全利用を推進してまいります。
具体的な内容は、補助金制度に関する一般的なルールも踏まえ、検討しているところでございます。
○とくとめ委員 プロの整備士の点検整備を受けますと、こういうTSマークというのをつけてもらえるんですね。(資料を示す)その整備士の登録番号と何月何日に整備を受けたと。この白いところがTSマークといいまして、Tはトラフィック、Sはセーフティー、つまり交通安全という意味のこれをつけますと、ちゃんと整備をしたよと。
しかも、これは掛け捨て保険になるんですね。場合によっては一億の損害賠償がおりる。自分がけがをしたときには、傷害保険で百万から二百万おりる。
これがセットにして広がっていくということになりますから、大変大きな意味を持つ整備になっていくと思います。
こういう取り組みを、実は区市町村が既に行っているところがあるんですね。例えば、六千円で委託して、自転車屋さんが、保育園や小学校のPTAを集めた行事の中で、子供たちにも自転車の安全教育をしたり、自転車の整備点検をするわけです。既に制度を持っている、そういう幾つかの自治体があります。
ですから、それぞれの現場での取り組みの内容を生かしながら、ぶつかるんじゃなくて、相乗的にその補助が生きていくような、そういう制度にすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○臼井治安対策担当部長 本事業は、都民の自転車の定期的な点検整備への意識を高め、都民の自転車点検整備を促進する取り組みを行う区市町村に対する補助事業でございます。
区市町村の取り組みを参考にしながら、できるだけ利用しやすいものとなるよう、現在、検討しているところでございます。
○とくとめ委員 自転車業者の整備点検を受けた場合には、先ほどもいいましたように、TSマークというのを貼付することになっています。これは賠償保険に自動加入すると。期限は一年間有効なんですけれども、この内容、役割がどういうものであり、保険の有効期限や、保険の期限延長は一体どうやったらできるのか。
一過性の一年だけで終わりというのでは、事故というのはいつあるかわかりませんので、このTSマークがもっと有効に活用されるように、今度の点検整備の中でも徹底していく必要があると思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 本制度におきましては、点検整備の質を確保する方策の一例として、自転車安全整備士により整備された自転車に貼付されるTSマーク取得の確認等を考えているところでございます。
TSマークは、自転車安全整備店におきまして、自転車安全整備士が点検整備を行い、点検整備基準を満たした安全な自転車であることのあかしとして貼付されるものであり、この貼付を確認すれば、適切な整備がなされたものと認めることができるものでございます。
また、これには自転車向けの損害賠償保険及び傷害保険が附帯しております。有効期間は一年間で、期間満了後、更新するためには、再び点検整備を受けて、新たにTSマークの貼付を受けることが必要でございます。
○とくとめ委員 この事業では、自転車の安全点検、安全整備にとって、整備士がいる自転車業者の業界団体の役割、協力が不可欠です。聞くところによりますと、この業界団体に加盟している業者は半分程度だと聞いております。
ですけども、この業者の皆さんは非常に地域に密着していて、町会の役員だとか、学校、保育園と交流しながら、まあ、商売上もお客さんがつくということもありますけども、非常にボランティアの気持ちで、先ほど述べたような安全運転の教育とか点検整備などをしっかりやられておりますので、こういう業者とよく相談をして具体化されることが大事だと思います。
また、この事業を促進するためには、都と区市町村、それから自転車業者の関係者の連携協力が不可欠だと思います。業界に入っていない人、みずからやっているところ、場合によっては大規模な量販店もあるんですね。結構そういう量販店が、商売上、地域の自転車屋の皆さんとぶつかったりしているようですけども、そういう方々にもぜひ、この制度の実行に当たっては協力を求めていただきたいというふうに思います。
先ほどもいいましたように、区市町村の中には、既に自転車の整備に対して助成などの取り組みをやっているところもあるんですね。そういうところと今回の事業がうまく相乗できるような柔軟な対応をしていただきたいと思います。
多様な関係団体が存在する中で、都は、今後どのようにしてこの事業を制度化していくのか、見解を伺いたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 区市町村や自転車販売店、関係団体などと連携しながら、自転車安全利用の推進に資するものとなるよう、制度の具体化を進めているところでございます。
○とくとめ委員 きょうの議論では、自転車の安心・安全な走行全体がいろいろ議論になりましたけども、今回の制度は、まずは、自転車の安全点検を通じて、自転車が安全に誰もが楽しんで乗れるようにしようということで、大変大きな意味はあると思うんです。
ただし、私がいつも気になっているのは、ルールやモラルを守ろうとかなり強調されて、私も走っているときに、警視庁の方からこういうのをもらうのですけども、ここに自転車に乗る際の五原則とあるんですよね。ところが、このルールを守ろうと思えば、大変危険なことになる中身もあるんです。すなわち、自転車は車道の左側と。本当にリスクを冒さないと、そのルールを守るのは容易じゃないんですよね。
ですから、自転車の安全走行あるいは健康増進、さらには環境への負荷をなくすとか、それから経済的な節約と考えた場合に、自転車が安全に走れる環境をどうつくるかというのも大きな宿題なんですね。
幸いに来年度の予算で、自転車の空間を整備する建設局の予算が、何と一・六三倍、一六三%伸びて、今年度二十三億が三十八億になりました。
これは、今、中屋さん、いらっしゃいませんけど、中屋さんの地元の白山通りが三十キロぐらい自転車が整備されてるという、うらやましい限りですけども、そういうところとか、江東区の晴海通り、これは二十キロぐらい安全走行が整備されるとか、あるいは安全走行の地域が駅周辺でされるという、そういう予算になっています。
ですから、人間の方がルールやモラルを守って安全に走ると同時に、歩行者と自転車と自動車が共存共栄できるように、環境を区別して走れるような、そういう環境づくりにも、ぜひ他局とも協力していただいて取り組んでいただきたいということを最後にお願いして、質問を終わらせていただきます。
○西沢委員 私からも自転車対策についてお伺いをしたいと思います。
きょうもこれだけ質問が集中しているということは、この自転車の問題、自転車対策が、やっぱり都政の喫緊の課題であるということを印象づけているんだろうというように思います。私が取り上げるのは、二十八年度から行われている自転車安全利用指導員制度についてであります。
これは、昨年十月の事務事業の質疑でもただしたところでありますが、その後に、東京都内ではないですけども、女子大生、女性の大学生の方が、イヤホンをして、片手にスマホ、片手に飲み物を持って運転して、高齢者の方にぶつかって、その方はお亡くなりになるという、そんな事件が大きく取り上げられました。
やっぱり体感的に関しても、数値的ではなくても、自転車が怖いという方は、地元でもよくいわれます。
そうしたことから、この自転車安全利用指導員制度については大きな期待を寄せているところであります。直接指導を行っているわけですね、制服を着た指導員の方が。これが事故の減少に大きな効果を発揮する可能性を持っているというように思います。
二十八年度、江東区での成果を踏まえて、対象区市を拡大したというようなことでお答えがありました。昨年は、先ほどこれも話がございましたけども、平成二十九年では、十三年ぶりに前年度より増加してしまったということでありますが、ことし、再び前年比で減少に転じさせていくための方策、この方策で指導員制度を有効に機能させていくという必要があるというように感じるわけであります。
これはホームページにも出ていますけども、どこでやっているのかということをお伺いするわけですが、江東区、世田谷区、八王子市、各区市二名一組、四カ所で実施ということですが、今年度、この指導員が配置されている自治体はこういったところですが、具体的な配置場所についてはどうなっているのか、お伺いをいたします。
○臼井治安対策担当部長 自転車安全利用指導員による道路上の指導は、平成二十八年度に江東区で試行的な取り組みを開始し、亀戸駅前、木場五丁目の二カ所の交差点で事業を実施いたしました。
本年度は、これを世田谷区、八王子市にも拡大し、合計十二の交差点に指導員を配置しております。
具体的な配置場所でございますが、江東区は、二十八年度の二つの実施交差点及び亀戸天神通り、門前仲町の計四つの交差点、世田谷区は、大原、烏山総合支所入口、二子玉川、三軒茶屋の四つの交差点、八王子市は、八王子駅入口、大栗川橋南、八幡町、町田街道入口の四つの交差点であり、それぞれ指導員を二名ずつ配置し、指導を実施しております。
○西沢委員 具体的な配置場所について答弁をいただきましたが、全て交差点でやっているということですよね。
この交差点がいいか悪いかということを議論したいわけでありますが、やっぱり交差点は、交差する、当たり前ですけども、事故も多いと思います。人も多く集まるところであると思いますから、交差点でやるというのは大きな効果があると思いますが、果たして本当にそうなのかと。その交差点だけでやることが区市全体への効果の広がりになっていくのかどうか。先ほどの死亡事故の話であれば、交差点ではなかったわけですよね。
そうしたことから、区市全体への効果の広がりがどうなっているのかをお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 昨年度実施いたしました江東区におきましては、配置地点における違反や事故の減少が見られ、区全体につきましても、自転車事故の減少率が都全体の減少率を上回ったところでございます。
本年度におきましては、実施当初には、配置交差点におきまして事故や違反の減少効果が見られており、年度末に向けて最終的な効果を分析してまいります。
また、区市全体への波及という点では、実施当初において区市全体の自転車関与事故件数に減少効果があらわれていない地域もあり、今後、指導員の配置方法を工夫すること等により、いかに波及効果を高めていくかが課題であると考えております。
○西沢委員 効果はこれから最終的に分析していくということでありましたが、減少しているところもあれば、全体から見れば減少効果があらわれていない地域もあるというような答弁でございました。
例えば、前もいいましたけど、私の事務所の前というのは坂道なんですよね。坂をちょうどおり切ったところに自分の事務所があって、上に住んでいる方は年に何度か一一九番通報する経験があって、事故が多いわけですよね。
多くの交差点というよりも、そういったところ、坂が多いとか、坂の下ったところで指導するであったりとか、もしくは、そこは都立高校が近いんですけども、朝になると、都立高校に通う学生さんが自転車でびゅんびゅん行くのが怖いという方もいらっしゃいます。こうした方には、指導員も含めてですけども、学校と連携してやるとか、いろいろと工夫の仕方はあるんじゃないかと思います。
スピードの出やすい場所ですね、そういったところでやっていくということも効果的ですし、交差点だけの定点ではなくて、指導員の方がいろんな場所に移動するということも重要なんじゃないのかなというように思います。
指導ですから、警察官であったりとか、それから駐車監視員の方、公権力を行使するというようなことではないと思うのですが、だからこそ指導というものがどこまで効果があるのかというところになると思うんです。
つまり、何も悪いことをしていなくても、警察官を見るとどきっとするという人がいますよね、私がそうといっているわけじゃないんですけども。駐車監視員の方とかを見ると。駐車監視員の方は、大分もう浸透してきていると思うんですね。駐車監視員の方を見て、ああ、やばいという人がいますよね。もちろん、私がそうだというわけじゃないんですけども(笑声)。
それぐらい、いざ指導員の方がいらっしゃると、これはちゃんとしなきゃと、やっぱりぴりっとするということになるような取り組みというものが必要になってくるんじゃないのかなと思います。
こうしたことで、青少年・治安対策本部自身も課題だと認識しているという答弁でございますから、改めて、いかに波及効果をしっかりと高めていくか、課題を検証して検討していただきたいというように思います。
最後に、こうした現状を踏まえて、今後、どのような自転車安全利用指導員制度を展開していくのかをお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 自転車安全利用指導員制度は、指導員の配置箇所及びその周辺では一定の減少効果が見られていることから、都としても、自転車の安全利用を進める上で有効な手法の一つであると認識しております。
一方、三十年度の予算案におきましては、特定の交差点に固定して指導員を配置する現在の手法だけではなく、実施区市全体に減少効果が波及していくよう、配置方法を工夫していくこととしております。
このため、今後は、自転車事故が多発する地点を複数選定し、自転車事故の多発時間や周辺の交通状況を踏まえ、日によって指導員の配置場所を変更するなど、さまざまな条件下での実施効果を検証してまいります。
その結果を踏まえ、指導員の配置効果が、配置箇所及びその周辺に加え、実施区市全域に波及する効果的な展開方法を検討し、指導員制度の運用方法の確立を目指してまいります。
○西沢委員 この自転車の問題、改めて、きょうも議会でかなり集中して質疑になっていますね。
規制の話ですけども、先ほどもちょっと話がございましたが、規制をし過ぎるというようなことで、自転車そのもののよさが失われてしまうということもあると思います。だからといって、今の事故であったりとか、怖さというものを放置していいわけではなく、ある程度の規制は必要だろうと。そのバランスというものが大事なんだというのは、まさに私も、おっしゃるとおり、そのとおりだというように思います。
そんな中で、規制をするべきだということが議会の方からも上がってくる。警察庁出身の本部長がいらっしゃる青少年・治安対策本部、執行機関側から規制をしたいという話で、地域の都民から選ばれた議会側がその規制は本当にどうなのかという話をして、規制というのは進んでいくものが普通だと思うのですが、この自転車の問題については、議会側の方から規制やむなしと。むしろ規制をしてほしいという声が、各それぞれの地元の方からも上がっているという現状があります。
平成三十年度の予算の中で、こうしたやり方についていろいろ工夫していく、検証もしていくという答弁がありましたが、来年度の事業の実施の状況に応じては、私自身も、ある程度、自転車に関しては公権力を使っていくということで、もうやむなしというふうに感じているところであります。
できれば、そういったことがなくても、この指導員制度の中で自転車のマナーがしっかりと定着していく。東京都の中では、自転車で怖い思いというのはほとんどなくなったよねというようなことは、やはり青少年・治安対策本部の皆さんの事業実施にかかってくることだと思います。
ぜひ、そうした規制やむなしという声が、来年度の議会では、そんな話あったね、昔の話だねとなるように実施していただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○山内委員 昨年十二月、電動アシストつき自転車が歩道を歩いていた高齢者に衝突し、その衝突をした高齢者が亡くなるという痛ましい事故が神奈川県で起きました。電動アシスト自転車を運転した大学生は、片手にスマートフォン、もう片方の手に飲み物を、耳にはイヤホンをして運転したと報道されております。こうした事故は、自転車利用のルールを守っていれば起こらなかったのかもしれません。
都ではこれまで、自転車の安全運転に向けてさまざまな取り組みを行っておりますけれども、昨年の自転車事故の状況は、一昨年と比べてどのようになっているのか、発生件数と全交通事故に対する自転車事故の割合、自転車事故による死者数についてお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 都内における平成二十九年の自転車事故発生件数は一万九百四十九件であり、平成二十八年の一万四百十七件より五百三十二件増加し、十三年ぶりに前年を上回りました。
全事故に対する自転車関与事故の割合は、平成二十九年で三三・四%となっており、平成二十八年の三二・一%より一・三ポイント増加し、六年ぶりに前年を上回りました。
一方、都内における自転車事故による死者数は、平成二十九年で二十八人となっており、平成二十八年の三十六人より八人減少しております。
○山内委員 ただいまのご答弁から、自転車事故発生件数だけでなく、自転車関与事故の割合も前年より増加したことがわかります。非常に残念なことだと思っております。自転車の安全利用に向けては、都民の意識をさらに高める必要があります。
さらに、先ほど申し上げたように、電動アシストつき自転車による事故の発生防止も重要です。
この事故を機に、私自身、電動アシスト自転車の特性を十分に知って、広く情報提供する必要性を痛感いたしました。自転車シェアリングも広がっておりますけれども、この自転車シェアリングにも電動アシスト自転車が活用されていることもございます。
そこで、東京都は、電動アシストつき自転車の安全利用に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 電動アシストつき自転車は、加速の速さや車体の重さ、構造など、通常の自転車とは異なる特性を有しており、自転車安全利用条例におきましては、バッテリー取りつけ部分の緩みを確認するなど、独自の整備基準を設定しております。
また、都が広域利用に向けて取り組んでいる自転車シェアリングでは、使用する自転車が電動アシストつき自転車であることから、当本部としては、所管局が作成する利用案内のパンフレットに、急加速の防止やバッテリー残量の確認など、その利用上の留意点を盛り込んでもらうなど、安全利用に向けた啓発に協力しております。
また、子供を同乗させる特別仕様の自転車につきましては電動アシストつき自転車であることが多いことから、今年度、保育園で実施した交通安全教室におきまして、重さに起因する低速時のふらつきなど、その留意点についても啓発したところでございます。
今後は、自転車点検整備事業の啓発のために作成するリーフレットにおきまして、電動アシストつき自転車の特性を踏まえた留意点を記載するとともに、キャンペーンやセミナーなど、あらゆる機会を捉えて安全利用に向けた啓発に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○山内委員 電動アシストつき自転車を当事者とする人身事故件数というのが二〇一二年ごろから急激にふえて、二〇一七年には三百件を超えたと聞いております。
電動アシストつき自転車は、電力モーターがペダルをこぐ力を支える仕組みのために、子育て中の方や高齢者が使う機会がふえています。
道路交通法上は普通自転車として位置づけられていますが、速度が容易に出やすい、危険を察知してからとまるまでに時間がかかりやすいなど、電動アシストつき自転車の特性をよく理解して、普通の自転車以上に注意して乗ることが必要だと思っております。
また、インターネット販売では、アシスト比率が道路交通法の基準を超える違法のものも販売しているということが問題になっておりまして、生活文化局でも昨年七月に注意喚起をしたところです。
こうした関連機関等とともに、メーカー側や販売店、インターネット販売等とも連携して、消費者に対するわかりやすい情報提供が必要だと思います。
そのために、先ほど申し上げました電動アシストつき自転車の人身事故件数の公表、これは警視庁かもしれませんけれども、その公表とともに、人身事故には至らなくても、危険な目に遭った事例などの実態調査、これを行って、電動アシストつき自転車による事故防止の啓発に役立てるよう要望いたします。
また、先ほどご答弁にありましたけれども、自転車シェアリングの利用の際の情報提供についても、安全利用に向けた啓発にさらに努めていただくよう強く要望して、質問を終わります。
○内山委員 私からは、青少年の性被害防止に向けた取り組みについてお伺いをしたいと思います。
まずは自画撮り被害防止についてでありますが、昨年の第四回定例会で議論をいたしまして、青少年健全育成条例が改正されました。このことは大変注目もされまして、私も大変高く評価をいたしております。
とはいえ、インターネットには、県境もなければ、国境すらありません。そういった中で、我が会派からは、都と同様の規定整備を他の道府県にも強く求めるべきであると提案させていただきまして、知事からも、積極的に情報提供等を行っていくとの答弁がありました。
そこでお伺いいたしますが、この自画撮り被害の防止に向けた都と同様の規定整備を全国に広げていくためにどのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
○井上青少年対策担当部長 自画撮り被害の要求行為の多くはインターネットを介して行われており、より効果を高めるためには、都と同様の取り組みを全国に広げていく必要がございます。
改正条例の成立以降、複数の自治体の事務担当者に対しまして、条例改正に当たっての基本的な考え方や規制の適用範囲など、被害防止に向けたさまざまな取り組みにつきまして説明会を行ってまいりました。
また、本年二月一日の施行日には、全国の都道府県の青少年行政主管課長が一堂に会する場におきまして、都の取り組み状況につきまして情報提供を行ってきており、今後も、あらゆる機会を活用いたしまして、条例改正を紹介する冊子等を送付するなど積極的な情報発信を行い、都の取り組みを全国に広げていきたいと考えております。
○内山委員 ありがとうございます。全ての道府県に情報提供を行っているということで、ぜひ知事からも発信をしていただけるととても効果的であると思いますので、こちらもご検討いただければと思います。
続きまして、自画撮り被害と同様に青少年の性被害につながる問題として、いわゆるJKビジネスについても、昨年、特定異性接客営業等の規制に関する条例が制定され、七月一日に施行されました。
警視庁所管の条例でありますが、営業者に対して公安委員会への届け出義務や青少年を接客させることの禁止などが規定され、廃業する店が出たり、また、違法営業者に対する指導、取り締まりが行われたりするなど、一定の効果があったと思います。
しかしながら、私も条例施行前と後で現地を視察させていただきましたが、例えば、今まで営業を行っていた通りを変えて営業をまた再開していたり、もしくは営業形態を変えたり、また看板を出さずに違法な営業を行うなどして、アンダーグラウンド化し始めている実態がありました。
また、インターネットを見てみれば、青少年自身がSNSを通じて援助交際を求めるような投稿というものを多く見ることができます。例えば、特定のキーワードを入れると、そこのタイムラインには、ずらっと援助交際を求める側--要は、いい方が適切かわかりませんが、売りたい側と買いたい側ということで、ずらっと出てくる、こういった実態が既にあります。
そういった中にあっては、こういった対策の継続や、また、適宜見直し、そして、所管は違いますが、児相の機能強化や一時保護所のあり方の再検討、警察や教育庁との横の連携の強化が急務であると考えています。
話を青少年・治安対策本部の所管に戻しますが、東京都でも、青少年向けのイベントや、またリーフレットの配布を行い、JKビジネスの危険性を注意喚起しておりましたが、青少年が性被害に巻き込まれないよう、まずは継続して情報を発信する必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
○井上青少年対策担当部長 いわゆるJKビジネスは、青少年の性被害につながるおそれがあることから、今後も、青少年自身に身を守る力をつけてもらうことはもとより、青少年を守っていくべき大人に対しても、さまざまな機会を捉えて啓発していくことが重要であるというふうに認識しております。
都ではこれまで、警視庁や教育庁などと連携いたしまして、都内の高校生へのリーフレットの配布やイベントでの周知を行うほか、インターネットを活用した情報発信や学校等における講演会などを実施してまいりました。
○内山委員 ありがとうございます。
継続した啓発を行っていくということでありますが、このような問題は、青少年や保護者にも、自分にも起こり得ることというふうに捉えて、一方通行にならないように、みずから考えてもらえるような取り組みが必要であると考えます。
学習指導要領の改訂でも、ある種、詰め込み教育からの脱却ということで、アクティブラーニングの手法というものが取り入れられるようになりました。そういった、親和性も私は極めて高いなというふうに思っています。
そういった中で、青少年の性被害防止の啓発について、来年度はどのように行うのか、お伺いしたいと思います。
○井上青少年対策担当部長 先ほどご答弁いたしましたこれまでの普及啓発の取り組みを踏まえまして、来年度は、青少年や保護者等を対象とした講演会につきましては、関心を持って、より多くの方に参加してもらえるよう、講演会の内容を利用者のニーズに合わせて実施してまいります。
また、今年度、大学生を活用して実施いたしました高校生、中学生向けのグループワークにつきましては、活発な意見交換がなされるなど効果的であったことから、規模を拡充して実施いたします。
さらに、リーフレットやインターネットなど、さまざまな媒体を活用いたしまして性被害防止に向けた情報発信の内容充実を図るなど、青少年が被害に遭わないよう啓発を行ってまいります。
○内山委員 ありがとうございます。それぞれが効果的な取り組みであると思いますので、しっかり実施していただきたいと思います。
思いますが、一方で、リーフレットやインターネットでの啓発というのは、内容にも十分留意をしていかなくてはならないと思います。
例えば、児童虐待防止のポスター、これは厚労省がたしか出しているポスターだと思うんですけど、どういう内容かというと、虐待があったら通報しましょうという、要するに、いち早くというポスターがあります。これはヨーロッパなどでは、通報してくれというポスターではなくて、何かあったら相談してくださいというような、母親だとか父親に向けてのそういったメッセージであるといわれています。
何がいいたいのかといいますと、通報してくれ、これはだめだよというと、一旦そこに足を踏み入れてしまった、例えばこの場合であれば、青少年が、自分は当然悪いことをしているという自覚がありますから、そうした中で、なかなか相談に踏み出せないということがあります。そういった中で、そういったところも十分配慮していただきながら、リーフレットやインターネットでの啓発というのは、そういうふうなところを留意できれば極めて有効な取り組みだと思いますので、ぜひそのあたりは引き続き検討を続けていただきたいなと思っております。
今も申し上げましたが、一方で、効果的な啓発ができたとしても、家庭や学校でトラブルを抱えていたり、また、自分を必要としてくれるという、ある種、居場所的な思いからJKビジネスに居場所を求める青少年もいるということでございます。
そういった中で、被害に遭ってしまった青少年に対する支援も行っていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○井上青少年対策担当部長 青少年に対する支援の取り組みといたしまして、ネットのトラブル相談窓口、こたエールや、若者総合相談センター、若ナビαなどを開設いたしまして、青少年の幅広い悩みに対応しておるところでございます。
今後も、青少年に気軽にこれらの相談窓口を利用してもらえるよう周知をするとともに、ほかに相談窓口を有する教育、福祉や被害者支援を行う関係機関等との連携を密に図りながら、青少年の思いに寄り添い、青少年が抱えている悩みの解決につながるよう、切れ目のない支援を行ってまいります。
○内山委員 ありがとうございます。このこたエール--若ナビαもそうなんですかね--に関して、SNSの相談受け付けを開始すべきであると公明党さんの代表質問でもありまして、かなり前向きな、試行的に実施しながら、こういったものについても活用していくという答弁があったかと思います。こちらは、私も本当に期待しておりますので、ぜひ効果的な取り組みを期待しています。
一方で、じゃ、今の若ナビαとこたエールがどうなっているかというと、こういうトップ画面になっているんです。(資料を示す)青少年が持っているさまざまな課題もしくは悩みに対応しようという思いは見えているのですが、今、例えば私が質問させていただいたJKビジネスもしくは自画撮り被害に遭ってしまった青少年が、これを見て、ここに相談しようと思うかと思うと、これは私はなかなか厳しいんじゃないかなと思うんです。
先ほど中屋委員から電話相談の件もありました。電話相談ができると、文字ではなくて電話なので、いろんな空気感がわかったりだとか、すごく効果的だといいながら、一方で、電話相談というのは結構ハードルが高いものだと思います。
もちろん、だからやめろという話ではなくて、やりながら--しかも、日曜日、祝日はやっていなくて、平日も六時に終わってしまう。土曜日に至っては五時に終わってしまうという、こういうような状況です。ですから、そういった中では、ちょっと先ほどの話に戻りますが、LINEの活用等というのはかなり重要になってくると思います。
いたずらが起きるから、少し予防線を張るようなということも前に聞いたことがありますが、ほかの団体だとかで行っているLINE相談は、いたずらであってもいいから、ちゃんとそのものに対して答えを出していくというふうなLINEのやりとりを根気強くやっていくというふうに聞きました。
ですから、そういった意味においては、LINEの使い方も、以前、奥澤委員から指摘があったように、名前がどうで、何歳で、どこに住んでいてみたいな、そういったものを段階を踏まえてやっていくのではなくて、本当にちょっとしたキャッチボールから会話の糸口が見えてくる、もしくはそこから電話相談につなげるということができると思いますので、ぜひそういった実効的な対策を期待したいというふうに思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○菅野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたしたいと思います。
午後二時四十三分休憩
午後三時開議
○菅野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 それでは、ひきこもりの方々への支援について伺います。
来年度の予算案では、ひきこもりの方々への支援については、今年度とはほぼ変わりがない予算になっていると思います。
この中で、ご家族への支援や居場所支援、就労支援などを今年度以上にどのように充実させていくのか、どのように取り組んでいくのか、その点について、まず伺います。
○井上青少年対策担当部長 ひきこもりの若者やそのご家族への支援につきましては、福祉、保健、医療、雇用等のそれぞれの分野の関係機関が特徴を生かしながら、本人やご家族の状況に応じて適切な支援を行うことが重要であるというふうに認識しております。
支援に当たりましては、都、区市町村、NPO法人等の民間団体や関係機関が連携し対応しておりまして、都におきましては、みずから訪問相談を含め相談事業等を実施するとともに、本人の状況に応じて、区市町村や民間支援団体における居場所支援のほか、わかものハローワークや地域若者サポートステーション等における就労支援など、適切な支援につないでおります。
なお、来年度も、ひきこもり支援施策に関しましては、ひきこもりの若者やご家族への支援に必要な予算を計上しており、各種施策を着実に推進してまいります。
○原委員 そのひきこもり支援をさらに前に進めるという点では、身近なところに居場所をどれぐらいつくれるかが重要だと思います。
その重要性についての認識を伺います。
○井上青少年対策担当部長 ひきこもりの若者に対しまして早期の社会参加を後押しするためには、自立に向けて、身近な地域で自宅以外に安心して通える居場所があることが重要でございます。
このため、区市町村や地域のNPO法人等の民間団体の果たす役割は大きいというふうに認識しております。
○原委員 昨年の十一月に行われました平成二十八年度の各会計決算特別委員会において、我が会派の里吉議員が具体的に指摘をしましたけれども、居場所は、現在、東京都内に地域の偏りがあるというふうに思います。例えば、西武線沿線などは全くないという状況になっています。ただ、実際には、さまざま地域で取り組みをされている方もいらっしゃるんですね。自宅を開放したり、いろんな形で支援をしている方はいらっしゃいます。
私は、こうした方々の取り組みも把握をしていただきながら、東京都としての目標を持って市区町村に働きかけをしていくことが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○井上青少年対策担当部長 先ほどご答弁いたしました認識のもと、都ではこれまでも、区市町村における居場所を含めたひきこもり支援の取り組みが促進されるよう、財政支援や人材育成に資する研修を行うとともに、さまざまな機会を通じまして、ひきこもり支援に有用な情報の提供に努めてきております。
また、地域でひきこもりからの自立支援を行うNPO法人等民間団体につきましては、これらの団体の取り組みを支援する東京都若者社会参加応援事業を通じまして、より多くの地域で居場所事業が展開されるよう、毎年度、新規団体の募集を行っております。
○原委員 済みません、一点、ちょっと確認をしたいのですけれども、今ご答弁の中で、区市町村における居場所も含めたひきこもり支援の体制整備が促進されるよう財政支援もやっているということですが、この財政支援について一点確認したいんですけれど、市区町村が実施をする居場所事業の立ち上げに係る経費の一部についての補助を継続していくということでよろしいのでしょうか。
○井上青少年対策担当部長 ただいま委員の方からご指摘のありました補助事業につきましては、来年度も実施していく予定でございます。
○原委員 わかりました。そうなりますと、やはり鍵は、市区町村がどれだけこういう事業に積極的に取り組むかどうかということになりますので、一層、東京都からも働きかけをお願いしたいというふうに思います。
それで、内閣府は、来年度にひきこもりの長期化、高年齢化の実態調査を行うというふうに報道もされています。
これまで、二〇一〇年と二〇一五年に二回、内閣府は調査をしていますけれども、主にいじめや不登校をきっかけに起きる子供や若者の問題として捉えて、十五歳から三十九歳に限定をされていました。
しかも、一回目の調査よりも、二回目の調査で、人数が六十九万人から五十四万人へ減少したということで、これが大きな議論となりました。これは、ひきこもり支援が進んで、ひきこもりの方が減ったというのではなくて、実際には、ひきこもりのまま年齢が上昇していることを見逃しているのではないかという関係者からの厳しい指摘もありました。
こうした経緯があって今回の調査になったと私は受けとめているのですが、今回の内閣府が行う調査は、四十歳から五十九歳を対象に、全国の五千世帯を抽出して調査員が自宅を訪ねるというふうに報道がされています。
この調査に東京都はどのようにかかわるのか、伺います。
○井上青少年対策担当部長 来年度、内閣府におきまして、ひきこもりに関する調査が実施される予定であるというふうに、ただいまご指摘があったのですけども、そのような新聞報道があったことにつきましては承知しておりまして、その動向を注視しているところでございます。
○原委員 東京都としても、新聞報道の中でご存じだというのが現段階だということですが、私は、国のこの調査、どういうことで、どういう状況でやるのか、そういうことは、本来、都道府県にもきちんと連絡が行くべきなんじゃないかなというふうに思いますけれども、というのも、今までの調査とここで変わっているので、その結果が出たときにどういうふうに分析していくかというのは、都道府県、また市区町村は非常に重要になりますので、私は動向注視をしているということで理解しましたけれども、必要な情報は情報提供をするように、ぜひ求めていただきたいなというふうに思います。
今回の調査が長期化、高齢化にポイントを置いているということで、先ほどいったように、これまでと変わってきているということなんですが、私はこのことを通じて、改めて、一言でひきこもりと表現をされていても、一くくりにはできないということも鮮明になってくればいいなと思っているんです。
今回、五十九歳までという調査というふうに聞いていますけれども、長期化といっても、いつからひきこもりという状態なのか、その年齢によって、やっぱり状況も違ってきていますし、また、ひきこもりだということで、いろんな方々にお話を伺いますと、全く自室に閉じこもるというタイプの方もいますけれども、それだけではなくて、買い物には行きますという方もいたり、本当に一人一人違うんですよね。ですので、それぞれにふさわしい寄り添い方ができる支援ができるようになることが重要だというふうに思います。
本当に自分を責めていらっしゃる方がとても多いので、私は、一人一人にふさわしい歩みをしていけばいいんだという、そういうメッセージを送りながらの支援が本当に必要だということを述べたいと思います。
その点で最後に要望したいのですけれども、ひきこもりサポートネットの対象年齢が、今、東京都は三十四歳ということになっていますが、やはりこれを延長することや、相談回数の回数増も、この機会にぜひ検討していただきたい。このことを私たちは何度もいろいろな場面で求めていますけれども、改めて検討を強く求めて、質問を終わります。よろしくお願いいたします。
○奥澤委員 私からは、再犯防止についてお伺いをいたします。
再犯防止といいますと、例えば、怖い人たちだなとか、かかわりたくないな、一部の人の話なんじゃないか、そういったことを身の回りの方々からは伺うことがございます。
しかし、再犯防止というのは、そういった側面とは異なる部分が多くありまして、セーフシティーあるいはダイバーシティー、スマートシティー、そういったあらゆる観点から重要であるという認識を示させていただいた上で質問させていただきたいというふうに思います。
まず、昨年十二月に閣議決定をされました再犯防止推進計画によりますと、平成二十八年の再犯率は四八・七%とありまして、現在と同様の統計をとり始めた昭和四十七年以降、最も高い数値というふうになっております。
また、平成十九年版犯罪白書においては、戦後約六十年間にわたる犯罪記録の分析結果をもとにすると、全検挙者のうちの約三割に当たる再犯者によって約六割の犯罪が行われているということも示されております。
つまり、安全・安心なまちづくりを目指す上では、再犯を未然に防ぐ取り組みが非常に重要であるというふうにいえます。
そのような中、先般の、我が会派、佐野都議からの一般質問において、知事より、国の計画を踏まえ、平成三十年度、都としての計画策定のための検討会を立ち上げ、各分野の関係者から現場の実態や要望を伺いつつ、具体的な取り組みを検討するとの答弁がございました。
これにつきまして、計画策定のための検討会の今後の進め方についてお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 都の計画策定に当たっての検討メンバーは、就労や住居、保健、医療、福祉、教育等を所管する庁内の関係局、警視庁及び都内において刑事、矯正、更生保護を所管する法務省の機関を想定しております。
加えて、都内で犯罪をした者等の立ち直り支援に取り組んでいる各分野の団体の代表者等にもご参加いただき、ヒアリングを実施する予定でございます。
国の再犯防止推進計画を踏まえ、都としての計画策定に向け取り組んでまいります。
○奥澤委員 さまざまな機関と各局あるいは民間の団体、さまざまな方と連携して今後の検討を進めていくということが明らかになりました。
この民間の団体というのも、なかなか実態が見えにくいところもあって、例えば、ホームページ等で紹介しながら活動している団体もあれば、そうではなくて、本当に陰ながら支えているような団体もある。そういったことも、ぜひこれを機に現状把握を進められたいということを要望しておきます。
続いて、再犯といいましても、その特性や再犯に至る背景というのはさまざまなものがあります。例えばですが、高齢者の万引きなどがたびたびニュースで取り上げられることがふえてきておりますけれども、それが、生活困窮が理由なのか、それともクレプトマニアといわれるある種の依存症なのか、あるいは脳血管性認知症、高次脳機能障害の一部に見られる規範意識の減退化、そういった、理由がさまざま違います。
その背景を探ることによって、再犯防止の取り組みというのも大きく異なるというふうに考えているのですけれども、このような背景を踏まえた取り組みの大切さについて、都としてはどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 国の計画では、現状認識として、犯罪をした高齢者や障害者等の再犯防止には、必要な福祉的支援に結びつけることが犯罪等の常習化を防ぐために重要である場合がある旨が示されているところでございます。
このため、国は、犯罪をした者等について、刑事司法関係機関におけるアセスメント機能等の強化により、福祉サービスのニーズを早期に把握するなど、福祉的支援の実施体制の充実を図ることとしております。
なお、高齢者による万引きにつきましては、その割合が増加しており、再犯比率が約六割に上ることから、都はこれまで、有識者研究会により要因等の分析を行うとともに、その結果を踏まえ、来年度、再犯防止施策の先行的取り組みといたしまして、万引きをする高齢者本人や家族のニーズ等を調査し、具体的施策を検討してまいります。
○奥澤委員 私も、いろいろやりとりをさせていただく中で初めて知った「高齢者の万引きについて」、こういった冊子もつくりながら啓発もしているのですが、やはりなかなか届いていないというのが現状としてあるのかなというふうに思います。もちろん、万引きをしてしまった高齢者の方々もそうですけれども、その家族の方々あるいは友人、その周辺の方々にどう届かせるかということ、この観点もぜひとも持っていただいて取り組んでいただきたいというふうに思います。
続いて、ただいまのご答弁の中で、国の計画の中には、再犯防止には適切な福祉につなげることが大切である、そういった旨を確認ができました。これに関連して、薬物依存を有する者の再犯防止についてお伺いをいたします。
厚生労働省が「ご家族の薬物問題でお困りの方へ」という冊子を発行しておりますけれども、薬物依存症は国際的に認められている精神障害の一つですというふうに、その中に記載をされています。国の再犯防止計画におきましても、薬物依存症は病気であり、治療、回復が可能であると読み取れる内容が記載されています。
しかし、社会の中で、薬物依存症の方々が公的な支援と結びつき、適切な治療を受けている、このような方々がどれくらいいるでしょうか。誰にも相談できず、社会で孤立感を味わい、再度薬物に手を出してしまう、こういったことも決して珍しくはないように聞き及んでおります。
再犯防止の観点から、薬物依存症を有する者に対する都の見解をお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 国の計画では、薬物事犯者は、犯罪をした者等であると同時に、薬物依存症の患者である場合もあるため、使用しないよう指導するだけではなく、回復に向けた治療、支援を継続的に受けさせることが必要である旨が指摘されております。
このため、国は、再犯リスクを踏まえた効果的な指導の実施や更生保護施設による薬物依存回復処遇の充実、薬物依存症治療の専門医療機関の拡大、自助グループを含めた民間団体の活動の促進等を実施することとしております。
都といたしましては、国の検討、実施状況を踏まえ、薬物依存症対策の所管局と連携し、必要な対応を検討してまいります。
○奥澤委員 ありがとうございます。薬物依存症対策の所管局と連携するということで、やはり、やってはいけないよという啓発だけでは足りない、そういった認識も持った上で今後取り組んでいただけるのかなというふうに考えております。
必ずしも犯罪を犯した方々が犯罪を犯したくてしたとは限らない中で、再犯防止の取り組みというのは、もちろん、セーフシティー、安全を高めるという意味でも大切ですし、ダイバーシティー、その方々がもう一度輝く社会にするという観点からも大変重要なことだと考えておりますので、そういった観点から、ぜひこれからも検討会をつくっていっていただきたいというふうに思います。
少し観点を変えますと、中島隆信氏という方の「刑務所の経済学」という著書がございます。これを読みますと、受刑者には年間で約三百万円の公費が投入されているということが書かれています。税の使い道という観点からも、薬物依存症の方々を適切な福祉につなげて社会復帰に向けた治療を図ること、これが大切であるという旨も申し述べておきたいというふうに思います。
先ほども申しましたが、一度犯罪を犯してしまっても、罪を償い、出所した後には、孤立させず、地域社会の中に受け入れられて再犯防止につながっていく、これはいうまでもないことでございます。
しかしながら、当事者の話を伺いますと、家探しや就職活動、そういった場面において犯罪歴を隠さざるを得ないのが現状であり、また、その中間施設あるいはナイトハウスが開設される際には、近隣住民の反対運動が起こるという事例が頻発しているというふうにも聞き及んでいます。
さまざまな施策を今後検討し、実行されていくものと思いますが、何よりもまず、犯罪に対する正しい理解を広めることが重要であるというふうに考えています。
例えば、再犯防止とは少しずれますけれども、先日、渋谷区で開催されたかと思いますけれども、厚生労働省のイベント、誤解だらけの依存症というイベントがございました。これは、当事者や、支援する方々あるいはその家族から、画期的なイベントであったと好評を博しているようですので、ぜひこういった国が行う普及啓発の取り組みを都としても積極的に協力していただきたいですし、その知見をぜひとも学んでいただきたいというふうに考えております。
また、これから始まる検討会に関しても、その議論をオープンにすること、そして、わかりやすくその情報発信をすることというのも、これ自体が正しい理解を広めることにつながると思いますので、そういった部分もぜひとも検討いただきたいということを申し述べまして、最後の質問に移らせていただきたいと思います。
平成三十年度の予算では、特殊詐欺対策として録音機器の設置補助が大幅に拡充されます。これで犯罪を未然に防ぐ効果が期待されていきます。また、先ほども指摘がございましたJKビジネスや自画撮り被害の防止に向けた取り組み、青少年が犯罪に巻き込まれない社会をつくることへの東京都の意気込みが見られるところでございます。
ここで考えていただきたいことは、特殊詐欺における受け子といわれる人たち、あるいはJKビジネスに巻き込まれてしまった女の子たちは、本当に犯罪をしたかったのかという視点です。
貧困や、DVあるいはネグレクトなどの家庭環境によるもの、知的障害や精神障害などに起因するものもあります。犯罪の背景を知れば、なぜ適切な福祉につなぐことができなかったのかと悔やまれることもたくさんあるのではないでしょうか。
再犯防止計画策定に向けた検討会においても、当事者の意見にしっかりと耳を傾けて、現況調査を綿密に行い、犯罪抑止や再犯防止といった従来どおりの施策だけではなく、適切な福祉につなぐべき新しい施策等を並行して行っていくべきであるというふうに考えています。
再犯防止計画策定に向けた都の意気込みを最後にお伺いして、私の質問を終わります。
○臼井治安対策担当部長 犯罪をした者等が社会を構成する一員として再び生活ができる環境整備は、犯罪被害を防止し、都民が安全に安心して生活できる社会の実現に寄与すると考えております。
再犯を防止するためには、就労や住居、保健、医療、福祉、教育等のさまざまな分野の行政機関による取り組みに加え、民間団体等とも緊密に連携して推進することが重要でございます。
都の再犯防止推進計画策定に当たりましては、更正保護等の現場の実態を踏まえつつ、犯罪をした者等の立ち直り支援のため、国や区市町村と連携しながら、都として取り組むべき施策を検討してまいります。
○菅野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
○菅野委員長 これより政策企画局関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、政策企画局所管分及び報告事項、「三つのシティ」の実現に向けた政策の強化(平成三十年度)-二〇二〇年に向けた実行プランについてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○横山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の委員会におきまして要求のございました資料二点につきまして、お手元にお配りをしてございます総務委員会要求資料によりましてご説明を申し上げます。
まず、一ページをお開きください。国際金融都市東京構想策定に係る経緯及び費用でございます。
平成二十九年十一月に策定いたしました国際金融都市・東京構想につきまして、その策定に係る経緯及び年度別の費用を記載してございます。
次に、二ページをお開きください。東京、シンガポール、香港の国際金融都市としての比較でございます。
国際金融都市としての東京の現状につきまして、シンガポール及び香港と比較をいたしました、世界的な地位を示す指標であります国際金融センターインデックス、法人実効税率、株式時価総額等を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求資料につきましてご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○菅野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山田委員 私からは、国際金融都市・東京構想と外国企業の誘致について主に伺ってまいります。
小池都政における東京都の成長戦略の柱は、国際金融都市・東京構想でございます。十二月の委員会でも我々からも質問させていただきました。その後、当会派の議員を含めて、さまざまな方のご意見を伺ってまいりました。ぜひ推進してほしいというご意見の方もいらっしゃれば、逆に、昔から何回も聞くような話だけれども、本当にできるのかどうか、そういった疑問を持っていらっしゃる方もいます。
加えて、現在、例えば、アメリカのトランプ政権が法人税率を大幅に引き下げる税制改革を決断いたしまして、世界各地で経済成長の中心地をめぐる競争が激化しておるところです。
このような状況の中で、東京都が香港やシンガポールに負けないアジアナンバーワンの金融都市の地位を奪回していくためには、東京の進出先、投資先としての魅力をさらに高めていかなければなりません。東京、日本が世界から寄せられる信頼感であったり、また、一千八百三十二兆円にも及ぶ膨大な家計部門の金融資産、それは東京の魅力の一つだと思いますが、例えば、ロンドンはその後ろにヨーロッパ、ニューヨークはアメリカ、香港は中国を後ろに大きな市場として抱えている、その点も見逃すことができません。
先日、Fintech協会のお話を伺う機会がございましたが、例えば海外企業が進出先を決める際には、ある市場を押さえた後に、ほかの市場に出ていくことができるのかどうか、それも非常に重要な要素になるというふうなお話もありました。東京に進出することが、日本以外のその他の地域に進出するための試金石、足がかりになるという仕組みを構築していくことも、東京の市場としての魅力を高めるために非常に重要だと考えております。
その観点からは、東南アジアは、多くの日系企業も既に進出しており、日本と親和性も高いと考えられるところでございます。国際金融都市・東京構想を進めるに当たっては、東南アジア諸国との連携を強く進める施策も必要と考えますが、都の見解を伺います。
○田尻戦略事業担当部長 アジアナンバーワンの国際金融都市東京を実現するに当たり、国内外の金融事業者に対し、東京に拠点を設置する魅力を示すことは重要と考えており、都ではこれまで、アジアヘッドクオーター特区への外国企業の誘致などを積極的に推進してきたところでございます。
先般発表いたしました国際金融都市・東京構想では、今後、東京が目指す都市像の一つとして、アジアの金融ハブというものを提示してございます。具体的には、構想で焦点を当てている資産運用業者の誘致、育成などを進め、国内の個人金融資産が成長分野への投資に回ることによって、東京が日本を含むアジアの経済成長に向けた資金供給を行う拠点となることを目指していくものでございます。
○山田委員 ありがとうございます。ご答弁のとおり、アジアの金融ハブとなるための政策をぜひ進めていただきたいと思います。
さて、次に、国際金融都市東京を実現するためには、国内企業人材の育成に加えまして、海外からも優秀な人材を受け入れ、金融人材に加えて、規制や育成に力を入れていく行政であったり、大学などの研究機関、会計士や弁護士など、関連する専門職種が顔の見える関係を構築して、互いに刺激し合って新しい化学反応を起こしていくことができるような環境、すなわちエコシステムといわれるものを形成していくことが非常に重要です。
先端IT企業やスタンフォード大学などが集積するシリコンバレーがエコシステムとして代表的ですけども、最近、例えばヨーロッパでも、フランスがフレンチテックと称して、行政が主体的にベンチャー企業の育成のためのエコシステムの形成を進めております。
フィンテック事業者からは、エコシステムの形成は非常に重要であるが、都内に同じような施設であったり環境が乱立することは避けた方が望ましい、行政がある程度主導権を握ってエコシステムの形成に努めるべきとの意見がございました。
国際金融都市東京を実現していくために、金融に関するエコシステムの形成は重要だと考えますが、都の見解を伺います。
○松原国家戦略特区推進担当部長 国内外のスタートアップ企業にとりまして、大手企業や創業支援機関、研究機関などのパートナーとのネットワーク構築は重要と考えており、国際金融都市・東京構想においても、フィンテックエコシステムなどの早期形成に向けた対策を講じることを掲げているところでございます。
このため、具体的には、平成三十年度に、官民のさまざまな関係者が連携して先端産業の育成を図るエコシステムの形成に向けた検討を開始する予定でございます。
こうしたエコシステムの形成に向けた取り組みを通じて、都内におけるフィンテック、IoTなどのイノベーションの活性化や、先端技術を有する国内外のベンチャー企業などの集積を促進してまいりたいと考えております。
○山田委員 ありがとうございます。三十年度からエコシステムの形成に向けた検討を開始されるということですけれども、ぜひ海外の事例も踏まえて検討を進めていただきたいと思います。
次に、国際金融都市東京を実現して、貯蓄ではなく投資を都民の資産形成の手段の一つとするためには、都民が信頼して資産運用を委ねることができる人材を育成することが急務であり、東京版EMP、新興資産運用業者育成プログラムはそのための取り組みであるというふうに理解しております。
ただ、日本では、金融、特に資産運用は手を出したら危ないであったり、一部のお金持ちだけが行うものであるイメージが強く、必ずしも都民に身近な資産形成の手段として認識されていません。また、一部の悪質な事業者による詐欺の被害なども受けて、金融業者は信用できないという意識を根強く持っている都民もいます。
先日、私、東京証券取引所を訪問いたしました際にも、同様の問題意識を持っていらっしゃって、東証は、長期的視点に基づいて金融教育の取り組みも行っているというふうなことでした。
金融に対する都民の意識を変えていくための取り組みや、金融業に対する信頼を高めていくための取り組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。
○田尻戦略事業担当部長 日本には、海外の主要な国際金融都市と比較して資産運用業者の数が少なく、こうした企業を育成することで、都民の資産運用に係る選択肢の拡大、充実を図るとともに、よりよい運用商品を提供していくということが重要でございます。
そのため、都といたしましては、今後、東京版EMPの導入などを通じて資産運用業者の育成を図るとともに、これらの事業者に対しまして、顧客本位の業務運営に向けた取り組みを促すことで、都民が安心して資産運用を行うことができる環境の整備に貢献してまいります。
また、金融教育につきましては、この一月に、金融庁及び厚生労働省との連携のもと、税制上のメリットのあるつみたてNISAや、個人型確定拠出年金、いわゆるiDeCoをテーマとした都民向けの資産形成セミナーを実施したところでございます。
今後とも、こうした具体的な取り組みを積み重ねることで、都民の金融に対する信頼を高めるとともに、貯蓄から投資への流れを後押しし、都民の安定的な資産形成を促進してまいりたいと考えております。
○山田委員 ありがとうございます。国の金融政策の影響もあって、現在は超低金利の時代ですので、銀行にお金を預けても、資産形成にはつながってまいりません。その観点からも、貯蓄から投資に流れを促していくことは非常に重要だと考えておりますので、ぜひ今後も都民の資産形成の支援を進めていただきたいと思います。
最後に、外国企業誘致について伺います。
国際金融都市東京の持続的な経済成長につなげていくためには、金融業だけを育成するのではなくて、資金の投資の対象となる魅力的な産業の育成が必要です。
世界の潮流として、第四次産業革命、ICTやAIを活用した産業の時代ということが議論されておりまして、都は、平成二十九年度から第四次産業革命関連の企業の誘致に積極的に取り組んできたということですが、その取り組みの実績と今後の方向性について伺います。
○松原国家戦略特区推進担当部長 平成二十九年度から三十二年度までの四年間で、第四次産業革命関連の外国企業四十社に加えて、金融系外国企業四十社を誘致するため、さまざまな取り組みを積極的に展開しているところでございます。
具体的には、今年度は、市場調査などの無償コンサルティングサービス、海外セミナーの開催のほか、海外三都市に新たに設置した誘致窓口、アクセス・ツー・トウキョウを活用した海外現地における誘致活動を実施してきたところでございます。
その結果、本年二月末時点で、第四次産業革命関連の外国企業十社に加え、金融系外国企業八社の誘致を実現しており、目標達成に向けて順調に誘致活動を進めているところでございます。
来年度は、アクセス・ツー・トウキョウを新たにシンガポールに設置するなどにより、有望企業の確実な誘致にさらにつなげてまいります。
○山田委員 ありがとうございます。第四次産業革命の関連であったり、金融系の双方とも成果が出ているということでした。ぜひ積極的に続けていただきたいと思っております。
私も、ビジネスキャンプのイベントに、既に二回参加させていただきましたが、英語がメーンで、グローバルな都市東京に大変ふさわしいものだと思いますので、ぜひ今後とも積極的に続けていただきたいと思います。
今回は質問させていただきませんでしたけれども、東京都の最大の課題は少子高齢化と人口減少にあると思っております。その課題を解決するために、政策企画局さんがさまざまな事業を打っていらっしゃいます。
例えば、結婚に向けた機運醸成の取り組みであったり、超高齢社会における東京のあり方懇談会、また、先般、我々からの代表質問や私の一般質問でも触れさせていただきましたけれども、自動走行システムであったり、ドローンの活用といった最先端技術の活用、また国家戦略特区のさらなる活用の推進などさまざまな事業を、東京都が抱える最先端の課題を解決するために政策企画局さんは進めていただいているというふうに理解しております。
いずれも、都の課題解決のために非常に重要な施策であると考えておりますので、これからもしっかりと進めていただきたいとご要望いたしまして、私からの質問を終えさせていただきます。
○斉藤委員 私の方からも、引き続き国際金融について、そして自動走行実証事業について、最後に結婚支援について、この三つについてちょっと質問したいと思いますが、大義と共感が重要であります。
都民がさまざまな政策展開につきまして、本当に納税者として、そして有権者、都民として都政に共感をしていただけるかどうか、ここが非常に鍵だと思って、SDGs、私は前からSDGsのことをずっといっていますけども、持続可能な開発目標に資する形で、東京都政が時に国を牽引し、そして都市間競争においては、ニューヨーク、パリ、ロンドンといったライバル都市と比して、このSDGsに貢献度が高いという、そういった意味での競争を都市で競い合うことも重要だよという視点をぜひ都民にもご理解いただきたいということで取り上げさせていただきます。
東京都は、昨年の十一月に国際金融都市・東京構想を策定、公表いたしまして、来年度から本格的に具体的な施策を実施していくことになります。
金融庁も、今、山田委員からありましたけども、貯蓄から投資への流れを加速したいと。家計の安定的な資産形成や国内経済の活性化を図るために、金融機関における顧客本位の業務運営の定着や、税制のメリットのあるつみたてNISA、こういった制度を創設するなど、着実に国の方も取り組みを進めているところであります。
都はこの構想の中で、金融庁などと連携した金融による社会的課題解決の貢献を一つの柱と掲げておりまして、その中の取り組みの一つが、きょう、私が取り上げますESG投資の普及であると認識しております。
最近、マスコミにおいても、このESG投資、エンバイロンメントのE、ソーシャルのS、そしてガバナンスのG、こういったものに対する投資に関連した報道が多く見られるようになりましたが、日本では、欧米に比して、ESG投資はまだ普及していないようであります。
そこでまず、世界及び日本におけるESG投資の状況認識について伺いたいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 ESG投資につきましては、明確な基準は存在してはございませんが、ESG投資を普及させるための国際組織であるグローバル・サステーナブル・インベストメント・アライアンスのところのレポートによりますと、二〇一六年において、全世界のESG投資残高は二十二・九兆ドル、全運用資産残高に占める割合は二六・三%となっております。
一方、日本における投資残高は〇・五兆ドル、全運用資産残高に占める割合は三・四%となってございますけども、ESG投資に関する認知度、関心は近年高まってきている中で、今後、拡大の余地があるというふうに考えているところでございます。
○斉藤委員 世界の金融のレベルというのは、ESG投資残高だけで二十二・九兆ドルでありまして、それに対して日本の投資残高は〇・五兆ドル。これはちょっとタイムラグがありますけども、全体に占める日本の割合というのは大変に低い、小さいわけであります。
ESG投資の日本における状況を、理解をちょっと共有していきたいと思うのですが、そこで、世界最大の年金基金であります年金積立管理運用独立行政法人、これは、いろいろ運用に問題がありますけども、GPIFが昨年からESG指数に連動した運用を始めるなど、日本においてもESG投資の普及に向けた動きが見られるようになってきているようです。
私は、年金の運用という点では非常に大事な着眼点であるというふうに、積極的にこれを捉えているわけですが、都においてもESG投資の普及に向けた取り組みを積極的に推進していくべきでありまして、来年度は、東京金融賞、こういったものを創設して、ESG投資の普及を実践する金融事業者を表彰するとしております。その予算がしっかりついておりますが。
私は、昨年の第四回定例都議会におきましても、この総務委員会で東京金融賞の創設の意義について質問させていただきましたけども、いよいよ来年度、もう予算案ができておりますが、予算策定中、そういった作業の中で大まかな制度設計も進んでいることと思います。
そこで、この東京金融賞について、具体的な表彰企業選定のあり方について伺いたいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 東京金融賞は、二つの部門で行う予定です。
一つは、都民のニーズや都政の課題解決に資するような画期的な金融商品、サービスを提供する金融事業者を表彰する都民ニーズ解決部門、もう一つは、持続可能な都市づくりに貢献するESG投資の普及を実践する金融事業者を表彰するESG投資部門の二部門を予定しております。
表彰企業の選定方法につきましては、まず、都民から日常生活におけるニーズや利便性向上のためのアイデア、ESG投資へのニーズ等の募集を行いまして、次に、それらのニーズ、課題を取りまとめて発表いたします。そのニーズを解決できるような金融商品などを開発するような事業者、またはESG投資の普及を実現するような金融事業者を募集いたします。その後、応募者に対して外部有識者で構成される審査委員会の審査を行いまして表彰企業を選定する、このようなプロセスを想定しているところでございます。
○斉藤委員 それぞれニーズを、都民からアイデアを募集するとか声を聞く。自分でお金を集めて、自分で全部やるという、そういう時代じゃなくて、自分のやりたいことを、こういった投資を活用して実現することも出てくる。税金を使ってやるには限界がありますけども、今、これだけ大きな金融資産というものが世界をめぐっているわけですので、このESGの視点から、例えば女性の活躍推進なんかもその中に入ってまいりますけども、大いにこういったものを活用していくことは重要だと思います。
都民ニーズの解決ということ、そしてESG投資の普及を行うために、実際に都民からニーズや課題を募集することは重要です。その審査委員会の方々も、都民の課題を解決できる目きき力、こういったものが非常に重要になるんだろうなと思いますが、その目きき力を勘案して、この審査委員会も立ち上げていただきたい、これは要望しておきます。
そして、その審査委員会の方々のお力を活用しながら、都民に十分メリットのある課題解決策を提供できる金融事業者を選定していただきたいと思います。いわば第一号となります東京金融賞の受賞者に対する評価こそが、この事業の成否を決める非常に重要なものになると考えております。
来年度、実際に事業を実施していくことになりますけども、具体的な効果を見込んで事業を行うことになると思います。
そこで、この東京金融賞を創設することによる効果についてお伺いしたいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 都民ニーズ解決部門では、フィンテックなどを活用した画期的な金融商品、サービスが開発、提供されることにより、都民の生活利便性の向上が期待をされ、またESG投資部門では、ESG投資が注目されることによるESG投資の東京市場における拡大が期待をされるところでございます。
加えまして、金融に関する表彰制度を都が創設し、国内外の事業者を広く募集することにより、世界中の優秀な金融系人材の目が東京を向き、人材の流入や企業の誘致が加速されることが期待されると考えております。
○斉藤委員 東京金融賞の効果について答弁をいただきました。理解をしているところでございます。
このシンガポール、先ほどの、きょう提出の資料にもございますが、比較の対象になる都市でありますけども、シンガポールにも金融に関する表彰制度があると聞いておりますが、ESG投資の普及について強く焦点を当てていることが東京金融賞の特徴であるということを、きょうはここで認識を共有させていただきたいと思います。
都民ニーズの解決とESG投資の普及という二つの部門の表彰を実施していくことは、ご苦労も多いと思いますけども、民間事業者の知見やノウハウの活用に加え、金融庁などの関係庁や関係団体等の協力も得ながら着実に事業を実施いたしまして、国際金融都市東京の象徴となるような賞にしていってもらいたいと要望しておきます。
そして、都民の税金を投入する事業である以上、当然、エビデンスによる厳しい事業評価、これにたえ得る東京金融賞となるよう、責任を自覚して賞を創設していただきたいと思います。
そして、最後、SDGsの話にまた戻りますけども、官民パートナーシップということで、二〇一八年の重点的な取り組みの中に、期待されるものとして環境、社会、ガバナンス、ESG投資の促進というものが入っておりまして、単なる自治体だけでなくて、広く企業などにも、こういったSDGsの実現に向けて参画をしていただく大事な呼び水になりますので、ぜひともこの画期的な試みを成功していただきたいと思っているわけでございます。
国際金融については以上でございます。
続きまして、自動走行の実証実験についてお伺いしたいと思います。
先月の二十三日に、谷村副委員長もご一緒でしたけども、羽田空港周辺地域におけます自動走行バスの実証実験に参加してまいりました。実施主体はSBドライブさんでしたけども、意見交換を行ってまいりました。都議会公明党としての視察でございました。
これまで過疎地域や地方都市で行われることが多かった自動走行の実証実験が、羽田空港という国内外の人々が集まる象徴的な場所で行われるということは極めて意義があると思いました。また、実際に自動走行バスに試乗もいたしましたけども、近未来的な技術であり、実用化はまだ大分先と思っていた自動走行技術がここまで実用化に近づいているのかと、正直、驚いたわけでございます。
ちょうどアメリカから、ウーバーが行う自動走行の事故の話がニュースで流れておりましたけども、世界各国ではこういった試みを行う一方で、やはり安全が第一でございますので、なかなか国際法のレベルではハードルもあるようでございますが、ただ、そういうものについての試みが非常に進んでいるわけでございます。
このSBドライブとの意見交換では、東京自動走行ワンストップセンター、これは東京都がつくったものですが、この実証実験に出るまでの手続について調整を行っていただいたおかげで、非常にスムーズに実験が実施できたと聞きました。
そこで、最初に、東京自動走行ワンストップセンターで行われている具体的な支援についてお伺いしたいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 自動走行の実証実験を行うに当たっては、一定の安全性を確保しつつ、円滑に実施しなければならないという観点から、技術のレベルに応じまして、警察庁等から、道路使用許可の基準であるとかガイドラインなどが示されております。
実証実験を行う民間事業者は、これらの基準等に基づきまして、所轄の警察や道路管理者との調整、地元の区市町村や地元の事業者などへの説明など、実施に至るまでさまざまな手続を行う必要があり、そのたびに関係機関を個別に回る必要がございました。
このため、都では、東京自動走行ワンストップセンターを昨年九月に設置し、実証実験の構想段階から実施に至るまでの相談などを一括して受け付け、必要な手続についてのアドバイスや関係機関との連絡調整などの支援を行っているところでございます。
○斉藤委員 大変具体的なアドバイスを行っており、それを利用したSBドライブさんは大変に感謝しているお声がございました。
この実証実験手続の負担を減らすことは、国際競争にさらされている民間事業者にとっては大変ありがたいことであります。
東京自動走行ワンストップセンターを設置してから約半年がたったわけですが、これまでのセンターの相談実績や利用者の声について、もう少しお伺いしたいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 東京自動走行ワンストップセンターは、設置後、約半年が経過をいたしますけども、これまでに、自動車メーカーやIT事業者、大学などのさまざまな主体から延べ約百五十件の相談を受けているところでございます。その結果といたしまして、昨年十二月に行った全国初の遠隔型自動運転システムの公道実証を初めといたしまして、計七件の実証実験が実現をしております。
当センターの利用者からの声としては、例えば、実証実験の相談や手続の窓口を調べるのに時間がかかるけども、当センターで該当部署を案内、調整してくれたので助かったというものや、地元への説明を行う際、具体的にどこに説明をしたらいいのかわからないことが多いけれども、当センターが関係者を集めて説明会をセッティングしてくれたので助かったなどの好意的な声をいただいているところでございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。東京は交通量が大変多く、実証実験を行うには、他県に比べてハードルが高い公道上の実験ですけども、そういう面もありますが、多くの企業が集積をしている強みもあります。新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があるなど、多くの民間事業者などが、この東京で実証実験にチャレンジしたいと考えているようです。引き続き、きめ細かい支援を要望しておきます。
また、先ほどの羽田空港周辺地域の実証実験を皮切りに、SBドライブさんは、ANA、全日本空輸と連携して、二〇二〇年以降の空港における自動走行バスの実用化を目指している、段階的に実証実験に取り組んでいくということであります。
私どもが使用した車は、レベルスリー、レベルフォーに準ずる形で、完全に運転手がいない状況じゃなかったんです。遠隔操作をしながらも、中に人も乗っている、ただ、ハンドルは握っていないという形の実験段階だったのですが、この人が乗っているか乗っていないかというのが、国際的にも非常に大きなルールの分岐的になっているようでありますが、アメリカは、ちょっと独自の路線を行っていますので事故も起こってしまったということでありますが、成長戦略を推進するという視点だけでなく、東京の場合は、超高齢社会において、持続可能な地域活動を支えるための新たなモビリティーを創出するという意味での必要性というものを私は強く感じるわけであります。
総務局ではICT戦略というものを策定いたしましたが、まさしくそこにも書き込まれておりましたけれども、東京には東京としてのそういった必要性があるということも都民の方に理解いただきたい。
こうした動きを拡大いたしまして、自動走行バスや自動走行タクシーといった移動サービスの早期実現を図るべきと考えますが、都の取り組みについて伺いたいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 自動走行バスなどの移動サービスの実現は、まちの回遊性の向上や交通弱者の移動手段になるなど、多様な移動ニーズを抱える東京にとって大きな意義があると考えております。
このため、来年度から新たに、自動走行技術を使ったビジネスモデルとして、例えば、配車アプリを用いた送迎サービスを行う自動走行タクシーであるとか、ロボットなどによる接客サービスを行う自動走行バスといった提案を民間事業者から募り、事業化に向けた支援を行うこととしております。
このような取り組みを通じまして、移動サービスの事業可能性や技術的な課題などを明らかにして、早期の実現化を後押ししてまいりたいと考えております。
○斉藤委員 この移動サービスの実現には、先ほども申し上げましたけど、レベルフォー、レベルファイブと呼ばれる、ドライバーが介在しない高度な自動走行の実現が不可欠であるわけであります。
先ほどご答弁がありましたが、遠隔型自動運転システム、つまり車両の外にいる運転者が通信などを利用しながら運転操作を行うという公道実証は、その実現に向けた第一歩、ステップであります。日本の誇るべき自動走行の最先端技術をぜひ実用化につなげていくため、引き続き、都が率先してさまざまな実証実験の支援を行ってほしいと思うわけであります。
このテーマの結びになりますけども、二〇二〇実行プランを下支えする東京都ICT戦略、これは昨日議論になりましたけども、そこにおきましても、先ほど申し上げました、自動運転は、東京の地域特性に応じた都市づくりへの展開の具体的な検討を進めるということで、しっかりと位置づけられておりました。
東京の持続的な発展と人口減少、超高齢社会を見据えた次世代公共交通システム、こういったものにも連携しまして、安心して住み続けられる地域をつくることに貢献してこそ、この試みの大義、共感が得られるのであろう、このように考えるわけであります。
運転士の仕事がなくなるという話は別な次元でありまして、既に人は足りなくなっておりまして、団地などがあるところは、自動運転走行など、非常にゆっくりとしたスピードでもいいと思うんですね。そういった地域も東京はございますので、ぜひともこの事業の成功を応援していきたいと思っております。
最後になります。三つ目のテーマ、結婚支援についてお伺いしたいと思います。
先日、我が党の栗林のり子都議会議員が本会議一般質問で取り上げましたけども、結婚を希望する都民への支援について伺いたいと思います。
政府や地方自治体の結婚支援政策は、少子高齢社会への対応ということで、出生率低下の歯どめ対策の流れで議論されることが多いようです。この点、都議会公明党は、子供を産み育てることとは結果的にリンクはいたしますけども、そのためだけでなくて、もっと幅広く、誰もが生き生きと活躍できる多様性のある社会を容認する社会構築を大前提にして、結婚を希望する都民への支援そのものを重視しているわけであります。私は、その意味で、結婚支援は年齢に制限を設けるものではないんだと、このように考えているわけであります。
結婚支援というと、都にはかつては結婚相談所という事業がございました。若い議員の方、私も若いうちに入ると思うのですけども、若い議員の方はこの事業そのものを知らないかもしれませんが、都の現在の結婚支援政策を伺う前に、かつて都にあった結婚相談所事業を行ってきたときの事業の目的と内容についてお伺いしておきたいと思います。
○佐藤調整部長 東京都の結婚相談所でございますけども、昭和八年、当時の東京市の時代に設立されまして、戦前におきましては人口政策としての結婚奨励、戦後の混乱期におきましては未婚女性対策、高度成長期に入ってからは、主に地方から上京してまいりました若手の男性の結婚問題への対応など、その時々の行政目的を果たすために、いわゆるお見合いを中心とした結婚相談事業を行ってきたところでございます。
○斉藤委員 昭和八年というと、私の父親の生まれた年でございますが、今の答弁を伺いますと、やはり戦前からあるわけなんです。戦前からの結婚相談事業となると、やはり産めよ、ふやせよという富国強兵政策の流れがございましたので、そのイメージがあるのは否めないですね。
この結婚相談事業は、しかし、日本の社会の変化に応じて、その後も続いたんですけど、その時々の行政目的が変化する中でも、それに対応するために、その役割をさまざま変えながら、平成八年三月をもって廃止されることになりました。そこまで続いていたということですね。
そこで、都が実施していた結婚相談所を廃止した経緯について伺いたいと思います。
○佐藤調整部長 平成六年度の予算原案の発表に際しまして、都の事務事業全般にわたる徹底した見直しを行うという方針が出されました。その一環として、結婚相談所については、検討委員会を設置し、検討を行ったところでございます。
その結果、結婚をめぐる社会状況が大きく変化したことから、いわゆるお見合いを中心とした結婚相談事業を都が継続する必要は少ないと判断いたしまして、平成八年三月をもって東京都結婚相談所を廃止したところでございます。
○斉藤委員 この平成七年、平成八年というのは、私は当時、国会の議員秘書だったのですけども、行革を語らない人間は退場願いたいという、そういう改革の熱を非常に帯びた時期でありまして、当時、鈴木都政から青島都政に転換する、それが平成七年の四月でしたので、当然、都知事選挙においても行革が大きなテーマになっていたことは間違いありません。その行革が加速される中で、平成八年三月をもって廃止になった。確かに行政目的はあったんだけど、それが現在の今のニーズに対応できているのかという厳しい精査の中で廃止に至ったという経緯を確認させていただきました。
それから何年たったでしょうかということであります。私も栗林都議会議員も、平成二十一年初当選でございまして、この栗林都議会議員は、当選以来、ずうっとこの結婚支援事業を訴えてまいったんですね。訴える先の知事が随分かわりましたけども、一貫しているのは、栗林のり子都議会議員であり、我が会派のまつば多美子議員でございますが、平成二十四年の第一回定例会での予算特別委員会の質疑などを含めまして議事録を見ますと、よくその経緯がわかりますし、そして、平成二十八年の予算委員会及び総務委員会でのまつば多美子都議の議事録を読みますと、その経緯、流れがよくわかるわけであります。
そこで、平成二十八年ごろから再び都として結婚支援に取り組むことになった経緯について、政策企画局に伺いたいと思います。
○小久保政策担当部長 全国の若い世代の九割近くが結婚の意思を持ちながら、一方で、未婚率は男女ともに上昇を続けているという状況を背景に、地方自治体においては、地域の実情に応じて、出会いの機会の提供など、結婚の希望を実現するためのさまざまな取り組みが行われております。国においても関係予算が措置され、地方自治体の取り組みを支援するなど、結婚支援の取り組みが広がりつつあります。
こうした中、都議会においても、結婚支援について必要な施策を都として実施すべきとの議論がなされたことを受けまして、平成二十八年四月に庁内プロジェクトチームを立ち上げて全庁横断的な検討に着手し、各種施策を具体化してまいりました。
○斉藤委員 今のご答弁にもございましたが、国の方も動いたわけですね。平成二十四年の栗林のり子質問の時点では、国の動きも、まだそれほど顕在化していなかった、動きは鈍かったと私は記憶しておりますが、むしろ人口減少や高齢化などの問題に悩む地方自治体がその先駆となりまして、地域の事情に応じてというところが大事でございまして、それぞれの地域の事情に応じて結婚政策を展開してきたのが事実であると思います。
東京においては、海の森での植樹イベントという、イベントものから入っていったんですね。婚活イベントを連携させることで、ようやく東京都にもそういう政策の芽が出てきました。結婚支援が再び起動を始めた経緯であります。
その意味では、先ほど申し上げましたが、平成二十八年の予算特別委員会での質疑が非常に大きなエポックになったのではないかというふうに思うわけです。予算特別委員会で、まつば都議会議員からの質問に対しまして、当時の知事からは、都としての取り組みを検討していくという答弁が出たわけであります。
今、答弁者の担当の部長がかわりましたね。まさしくこの転換です。政策企画局の政策として受けとめられたからこそ、今、政策担当部長からのご答弁がいただけたわけでございます。大変大きな展開であると思います。
そこで、平成二十八年度より再び都が取り組み始めた結婚支援の目的について伺っておきたいと思います。
○小久保政策担当部長 全国の未婚者を対象にした結婚意思に関する調査では、男女とも、九割近い方がいずれ結婚するつもりと答えております。一方、都における生涯未婚率を見ると、男性が二六・〇六%で全国三位、女性が一九・二〇%で全国一位と、特に高くなっております。
結婚は、個人が自分の人生観に基づき決めるものでございますが、こうした状況を踏まえれば、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる方の後押しをすることも重要と考えており、結婚に向けた機運醸成に取り組んでいるところでございます。
○斉藤委員 都政においては、まさに政策企画局が軸となって、このPTも立ち上げまして結婚政策を推進している体制ができたわけであります。
そこで、最後の質問でございますが、来年度の結婚支援の取り組みについて伺いたいと思います。
○小久保政策担当部長 来年度は、都や区市町村、非営利団体等が都内で開催する結婚関連イベントの情報やライフプランの描き方など、さまざまな情報を総合的に発信する結婚支援ポータルサイトを新たに開設いたします。
また、結婚に関心を持つ方にライフプランなどについて考える機会を提供するセミナーやシンポジウムについても、開催に向けて検討してまいります。
さらに、結婚後の生活や費用といった知識や情報を紹介する結婚応援ハンドブックを作成するなど、各種事業を展開し、結婚を希望する方の支援に積極的に取り組んでまいります。
○斉藤委員 ハンドブックを活用される都議会議員もふえるのではないかと思います。
私もいろいろネットでも調べてみたのですが、自治体の婚活支援サービス四十七都道府県まとめという、こういうホームページがありました。これ、うなずいている方、ごらんになった方もいるかもしれないですけども、東京都のところを見たら、残念と書いてあるんですよ。残念ながら東京都主催の婚活、結婚支援サービスはなくということで、ちょっとこれは古いデータじゃないのかなと思うので、来年度はすばらしい取り組みを東京都は開始しますから、ぜひどんどんこういうことも発信をいただきたいと思います。
そして、最後に確認ですけれども、子供を産み育てるという文脈で結婚と出ると、当然、子供を授かるかどうかというほうに直結しちゃうわけだと思うんですね。そういうことだけではなくて、人生設計の中で、いろんな出会いがあり、結婚というものがあるわけです。シニアの方の結婚や、さまざまな出会いというものがあるというふうに、いろんなニュースになっておりますけども、そういったことの支援も含めまして、多様な、寛容な都市をつくっていくという意味での結婚政策ということについては、多分、これに反対する会派の方はいらっしゃらないと思いますので、ぜひそういうことを議論を深めまして--いろんな意見が飛び交っていいと思うんです。大事なことは、無関心であることだと思いますので、大いにこの議論は東京都政においても交わしていきたい、このように思いまして、質問を終わります。
○中屋委員 私の方からは、国際金融都市・東京構想について、確認と何点か質問をさせていただきたいと思います。
これまでの総務委員会の議論でもありましたように、かつてロンドン、ニューヨークと並ぶ国際金融センターであった東京は、今や、ロンドン、ニューヨークどころか、香港、シンガポールにも抜かれている状況であるということであります。
金融は経済の血液であるというのは一般にいわれているとおり、東京を国際金融都市にすることで経済を活性化する意味はあると思います。しかし、国際金融都市東京の実現に向けた取り組みが都内の中小企業にとってメリットがなければ、東京が国際金融都市構想を進める意味はないのではないかなというふうに私は思います。
その一方で、東京において金融系企業の誘致、育成を進めるということは、金融業界の内々の話であるということで受けとめられがちだというふうに思います。
私は、実は、長年、都議会自民党のIR議連の会長をやっておりまして、この取り組みは、東京にとって、金融業及びその関連産業の発展にとどまらない、観光振興などにも向けた新たな財源確保につながる重要なものではないのかなという考えがありまして、より大局的な視野を持って、この構想については取り組んでもらいたいなと、こう思っています。
こうしたことで、まず初めにお伺いしますけれども、国際金融都市としての東京が、なぜ香港、シンガポールに抜かれる状況に陥ったのか、その背景を確認したいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 国際金融都市のランキングでございます国際金融センターインデックスにおきまして、平成二十九年九月現在、東京は、香港、シンガポールより下位の五位となってございます。
その背景といたしましては、まず、日本の銀行がかつては積極的にリスクをとって貸し出しや株式投資を行ってまいりましたけども、国際的な金融規制などの影響によりまして、預金に対する貸出金の割合を示すいわゆる預貸率が年々低下するなど、現在では、企業に対する資金供給機能を十分に果たしていないという状況にございます。
また、株式投資などの形で企業にリスクマネーを供給する役割を担う資産運用業者の社数を見ますと、日本は、香港、シンガポールと比べて大きく劣後してございます。
さらに、新たな成長分野として世界的に注目をされているフィンテックにつきましても、シンガポールでは、表彰制度など国家的な取り組みを進めてございますが、東京では、まだそのような状況には至ってございません。
これらの状況などが相まって、東京の国際金融都市としての地位が香港、シンガポールに劣後した状況になったというふうに考えてございます。
○中屋委員 さまざまな要因が重なって、国際金融都市としての東京の地位が香港、シンガポールに劣後していったという事実が今回の国際金融都市構想の背景にあることが私は理解はできました。
しかし、その一方で、都が国際金融都市構想を進めるに当たっては、ランキングでシンガポールや香港をどうやって抜くかという議論だけではなくて、構想を進めることが都民や都内中小企業にどのようなメリットがあるのかを明らかにした上で構想を進めることが大事であるというふうに思います。
この点については、昨年の総務委員会でも議論がなされましたけれども、来年度予算案で掲げられている国際金融都市構想を推進することで、都民や都内中小企業にはどのようなメリットがもたらされるのか、改めて確認します。
○田尻戦略事業担当部長 国際金融都市・東京構想では、フィンテックと資産運用業に焦点を当てて、その誘致、育成に向けた取り組みを掲げてございます。
フィンテックにつきましては、誘致、育成を進めることで、例えば携帯電話を活用した送金サービスが利用できるようになるなど、決済などの面において都民の生活利便性の向上が期待できると考えております。
また、資産運用業の誘致、育成を進めることで、都内の中小企業にとっては、特に設備投資など前向きな資金需要に際し、銀行借り入れ以外にも出資の形で資金供給を受けられるようになり、資金調達の選択肢が広がるものと見込んでおります。
さらに、資産運用業者が資金調達のために新たな運用商品を組成することにより、都民にとって将来の資産形成に向けた選択肢が広がることも期待できると考えております。
以上のようなメリットが、都民や中小企業にとってもたらされるというふうに考えているところでございます。
○中屋委員 都が国際金融都市構想を推進することによって、フィンテック企業や資産運用業の誘致、育成といったことを通じて、都民や都内企業にさまざまなメリットがあるというご説明をいただきました。
議会としては、都が今後推進する国際金融都市構想に関するさまざまな取り組みについて、東京の地位向上のみならず、都民や都内企業にメリットを与えるものかという視点からチェックをする必要があると思います。
構想策定にかかわる背景や、その推進により都民や都内の中小企業にもたらされるメリットを確認したところで、ここからは、来年度予算案の中に盛り込まれた構想に関するさまざまな施策のうち、主なものについて、その内容と意義を確認したいというふうに思います。
初めに、資産運用業者の誘致、育成に関する取り組みとして、新興資産運用業者育成プログラム、東京版EMP、エマージング・マネジャー・プログラムについてであります。
EMPという言葉は、いわゆる業界用語でありますが、金融業界に属していない都民は、全くなじみのない言葉だと思います。
私は、今回質問するに当たりまして、EMPについて調べました。アメリカの大手年金基金などが資産運用業者育成のために行っているスキームでありました。
このEMPについて、予算案では三億円を計上しておりまして、来年度における国際金融都市構想に関連した取り組みの目玉と理解をしております。
資産運用業者の育成という視点は大事でありますが、アメリカで行われているEMPの場合、有色人種や女性などのいわゆるマイノリティーの資産運用業者を育成するための対策として、この取り組みがスタートしたと聞いております。
こうした背景を踏まえて、アメリカとは異なる環境にある日本、東京においてEMPに取り組む必要性について伺いたいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 アメリカでは、当初、女性や民族等のマイノリティー支援策としてEMPを導入してきたというのは事実でございますけども、現在では、次世代の資産運用業者の発掘、育成や運用先の多様化という目的でEMPが推進されており、その結果、実際に多くの新興資産運用業者が輩出をされております。
一方、日本では、このようなEMPの積極的な意義がまだ十分に認識されてはおらず、大手の機関投資家は、資産運用業者に自身の資金を預けるに当たり、過去の運用実績を重視するケースが多く、新興の資産運用業者が入り込むのは難しい状況にございます。
このため、都としては、海外で行われているEMPを参考にしつつ、機関投資家にEMPの活用を促進するインセンティブを付与することで、日本初の東京版EMPの導入に取り組むことといたしました。
この東京版EMPによりまして、海外から実績のある資産運用業者を誘致するとともに、国内において新たな業者の育成を進めることで、東京における資産運用業の裾野を広げて業者間の競争を活性化し、資金を預ける個人や機関投資家、リスクマネーの供給を受ける都内の中小企業などがメリットを受けられる環境をつくり出していきたいと考えております。
○中屋委員 EMPを導入する必要性というのは理解をしました。
しかし、一方で、日本でこれまで行われていなかった取り組みでありまして、まだまだ関係者に十分理解されていない部分があるのではないかと考えます。特にEMPの導入に向けては、実際に資金を新興資産運用業者に預ける機関投資家の協力が不可欠だというふうに思います。
東京版EMPの導入に向けて、関係者にどう周知し、理解を求めていくのか、お伺いします。
○田尻戦略事業担当部長 EMPは、日本ではまだなじみの薄い取り組みであることから、都は、今年度から認知度向上セミナーを開催いたしまして、EMPに関する関係者の理解を深める活動を開始いたしました。
また、東京版EMPは、都が機関投資家に対してインセンティブを与え、新興資産運用業者への資金拠出を後押しする取り組みでございまして、今後、実際に取り組みを進めるに当たっては、機関投資家などを公募、募集することになります。
そのため、関係者に広く情報提供を行って理解と協力を求め、東京における資産運用業者の育成に向けた象徴的な取り組みとして実現を図ってまいりたいと考えております。
○中屋委員 実現に向けた意気込みというのを理解はしました。
日本初の取り組みということで、実現に向けたハードルは高いと思いますけれども、ぜひこれを実現することで資産運用業者間の競争が活発化して、ひいては、資産運用業者に資金を預ける都民や、資産運用業者から資金提供を受ける都内の中小企業がメリットを受けられるように尽力してもらいたい、こう思います。
次に、フィンテック企業の誘致、育成に向けた取り組みに関して、フィンテック企業に関して行われるアクセラレータープログラムについて伺いたいと思います。
本プログラムについては、今年度からフィンテックビジネスキャンプ東京として開始をされます。その参加企業の募集時には、外国企業から多くの応募があったというふうに聞いておりますけれども、フィンテックビジネスキャンプ東京の実施状況について確認をしたいと思います。
○松原国家戦略特区推進担当部長 フィンテックビジネスキャンプ東京では、世界の十六カ国、五十二社から応募があり、そのうち八社を選定し、参加していただきました。
本プログラムでは、先進的な技術を有する海外スタートアップ企業に対しまして、都内の金融機関が相談役となり、ビジネスプランの磨き上げを支援するとともに、都内企業などとのマッチングの機会を提供いたしました。
プログラムの期間中、計百四十回を超えるマッチングなどが行われますとともに、ビジネスプラン発表会には関係者百四十名が参加するなど、フィンテック産業育成に向けて機運醸成が図られたと考えております。
また、一社につきましては、本年一月に都内に拠点を設立しまして、他の参加企業につきましても、都内企業との協議が行われておるところでございます。
来年度も本プログラムを実施し、東京におけるイノベーションの創出と、それによる都民の利便性向上や都内経済の活性化を目指してまいりたいと考えております。
○中屋委員 この取り組みのうち、フィンテック関連では既に実績を上げているものがあるということが確認できました。ぜひ今後ともこのような取り組みを続けてもらって、都民にとってメリットのある金融サービスを提供する可能性があるフィンテック産業の育成につなげてもらいたい、こう思います。
次に、構想に掲げられたさまざまな施策を推進するための体制づくりの必要性という観点から、プロモーション組織の設立に向けた検討について伺いたいと思います。
プロモーション組織については、国際金融都市構想実現に向けた官民一体による構築体制の面では設立した方がよいのではないかという思いがある一方で、かつての東京は、プロモーション組織がなくても、ロンドン、ニューヨークと並ぶ国際金融都市であったのではないかという思いもあります。なぜこのタイミングでプロモーション組織を設立しようというのか、取り組み開始に当たっては、その点を明らかにしておくことが必要であります。
そこで、今回、このプロモーション組織の設立を検討するに至った背景やその必要性について、海外の状況も含め、確認したいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 海外におきましては、香港、シンガポール、ドバイなどが国家もしくは地域主導の形で、ロンドン、パリ、フランクフルトなどが都市が主導するような形でプロモーション組織を設立しておりまして、金融業界に特化したプロモーション組織がないのは、主要都市でいえば、ニューヨーク、シドニーと東京のみとなってございます。
国際金融都市・東京のあり方懇談会の場においても、国際金融都市をめぐる競争が激化する中、東京が世界に冠たる国際金融都市になっていくためには、官民一体となった業界横断的なプロモーション組織のもとで海外金融系企業の誘致などを進めていく必要があるという意見が多く出され、それを踏まえまして、今回の構想においてプロモーション組織の設立を掲げたところでございます。
○中屋委員 海外主要都市におけますプロモーション組織の状況や国際金融都市をめぐる都市間競争の激化という状況を踏まえて、プロモーション組織の設立を検討するに至ったということは理解いたしました。
とはいっても、日本においては、従来より、銀行業、証券業、投資顧問業など業態別に団体がありまして、それらの団体がそれぞれの業態のための活動を行ってきたのではないか。それが、果たしてこのタイミングで一致団結して組織をつくることができるのか。本件は、それほど簡単な話ではないと思います。
そこで、プロモーション組織の設立に係る今後の進め方について、推進に当たっての課題とあわせて伺います。
○田尻戦略事業担当部長 プロモーション組織につきましては、その設立に向け、来年度に、官民の実務担当者との間で、海外主要都市の例も参考にしながら組織の体制などについて検討を行い、一定の合意を得ることを目指しております。
その検討に当たりましては、プロモーション組織が行う事業の範囲、資金負担、人員派遣等、組織のあり方について、参加予定の企業や団体などの間で合意を取りつけることができるかがポイントであると考えておりまして、今後、関係者との間で丁寧に議論を深め、理解を得ていきたいと考えております。
このようにいたしまして、国際金融都市・東京のあり方懇談会でも多くの方に賛同いただいているプロモーション組織の具体化に努めていきたいと考えております。
○中屋委員 新たな組織を設立する際には、たとえその目的に公共性があったとしても、関係者との調整過程では、えてして総論賛成、各論反対といった議論が起きやすい。
今後、都として、関係者の間で板挟みになる場面もあると思いますけれども、小さくてもよいのでプロモーション組織を設立して、東京版EMPなど都が進めていく施策とあわせて、国際金融都市東京の地位向上のための効率的な推進体制が築けるように検討を進めてもらいたいというふうに思います。
ここまで、国際金融都市・東京構想に関連して、構想策定の背景から来年度予算案に示された主な取り組みについて確認を進めました。
構想策定に当たっては、いろいろな苦労があったと思いますけれども、大事なのは、構想をまとめることではなくて、構想に掲げた施策を着実に遂行すること、東京に金融企業や資金、人材を集めて、呼び込むという具体的な成果を上げることにほかならないと思います。
また、構想に掲げた施策の推進に当たりましては、東京都単独でできることは少ないと思います。国や民間金融機関などとの連携は不可欠です。構想に掲げた資産運用業やフィンテック企業の誘致、育成に取り組むにしても、銀行、中でも地方銀行や第二地方銀行、そして信用金庫など、都民や都内中小企業に近い視点を持った、地域に根差した金融機関と協力をしていくことが必要であります。
この取り組みを進める意義は、資産運用業やフィンテック企業などの振興を通じて広く東京の経済を活性化させて、東京が世界一の都市として輝くことにあると考えます。また、この取り組みについて都民や都内の中小企業の理解を得るためには、実際にメリットを実感してもらうことが重要であると思います。
そうした点を肝に銘じてほしいことを再度申し上げまして、質問を終えたいと思います。
○とくとめ委員 私も国際金融都市問題について質問をしたいと思います。
昨年の総務委員会でも、国際金融都市・東京構想について、批判的立場から質疑を行いました。いよいよ予算案が具体的に示され、今後、この構想の実現に向けて具体化が促進されていくもとで、都民の福祉の増進を本来の仕事とする自治体東京の視点からも、また、民間の資産運用業者、フィンテック企業の事業促進のために、もっといえば民間の企業のもうけのために、多額の都民の税金を投入することがいいのかどうかということが問われている気がします。
都民個人の虎の子でもある貯蓄など金融資産を、自己責任とはいえ、東京都の旗振りによってリスクの大きい金融投資などに安易に投入していいのか、失敗した場合には誰が責任を負うのか、こうした観点から質問したいと思います。
東京は、かつて石原都政のときに、金融業、新銀行東京が失敗して八百五十五億円の損失を生んだ苦い経験を持っております。もちろん、絶対、同じようなことを再現してはならない。痛切な教訓として生かすべきだと思います。
そこで最初の質問ですけれども、国際金融都市・東京のあり方懇談会の中でも、アジアナンバーワンの国際金融都市東京の実現にとって法人税の減税が必要であることが強調されている問題です。
お手元にも資料要求で出された資料がありますけれども、アジアで、東京は二十三区内に限定して法人税の実効税率が三〇・八六%。国際金融都市東京としてナンバーワンになるには、現在、アジアで金融都市として先陣を切っているシンガポールの一七%、香港の一六・五%、まさに一〇%台への法人税の引き下げが問われてくるのかなと思います。
もちろん、その下にもありますように、相続税は、日本以外は香港もシンガポールもゼロであります。
そこで、東京として、法人税を現在の半分程度に減税するということになるのかどうか。昨年の総務委員会で質問して以降、国と都において、現時点までに法人税の減税についてどのように検討されているのでしょうか。都にとっての減収はどのくらいになっているのか。こうした大幅な法人税の減税が都民の理解を得られると考えておられるのかどうか、見解を伺いたいと思います。
○田尻戦略事業担当部長 都の法人二税につきましては、資産運用業及びフィンテック企業の新規参入促進につながるよう、業種や期間を限定して減税を行う、いわゆる政策減税というような形で制度設計を検討している段階でございます。
そのため、現時点では具体的な減収額を示すことはできませんけども、今後、この政策減税によって新規参入が促進して、将来的には都の税収が増加をする、いわゆる税源涵養というような考え方に基づいた仕組みとすることで、都民の理解を求めていきたいと考えております。
また、日本の法人実効税率の大宗は国税が占めてございまして、その抜本的な引き下げに向けては国の協力が不可欠であるということから、国に対しても、資産運用業やフィンテック企業の新規参入につながるよう、法人税の軽減を働き続けていくというふうに考えております。
○とくとめ委員 まだ検討中だ、国に働きかけ続けていると。しかし、今の答弁の中で見ても、税源涵養の考え方があって、大丈夫だ、取り戻せる、その話だけははっきりしているけども、一体どのくらい減収になるのかというのは明らかにしないまま、この言葉だけで答弁するというのを心配しているわけです。
国際金融都市・東京のあり方懇談会の中で一年以上検討して、国際金融都市東京の実現に向けて、いよいよ予算も確保して本格化しようという段階で、国に対しては、資産運用業及びフィンテック企業の新規参入促進につながるよう、法人税の減税を働きかけ続けていくといわれていますけれども、一体、その働きかけている中身は、何が検討されて、国の対応はどうなっているのでしょうか、お答えください。
○田尻戦略事業担当部長 国への働きかけにつきましては、昨年の予算等のその事業の国への要望という中に盛り込ませていただいておりまして、さらに、内閣府とも連携をいたしながら、国家戦略特区の税制の枠組みを使った要望をさせていただいておりました。
昨年は、残念ながら成功には至りませんでしたけども、今後とも、一定の法人税の引き下げには、その大宗を占める国の協力が不可欠であることから、継続して働きかけを続けていきたいというふうに考えております。
○とくとめ委員 法人税を香港、シンガポール並みの一〇%台に引き下げようとした場合、法人税の引き下げ競争に巻き込まれるだけでなくて、二〇一六年にパナマ文書の流出で実態が明らかになったように、世界の大企業、富裕層によるタックスヘイブン、すなわち租税回避地をめぐる税金逃れで国際社会からも厳しい批判が起きたように、税金逃れとも見られて、都民の皆さんからも理解を得られないんじゃないか。しかも、自治体として、それは本当にやるべきではないと思いますけれども、どのように認識されていますか。
○田尻戦略事業担当部長 先ほどの繰り返しになるかもしれませんけども、今回、我々、都として検討している法人二税の軽減につきましては、資産運用業及びフィンテック企業の新規参入促進につながるということを目的としているため、業種や期間を限定して行う枠組みでやることを検討しておりまして、どのような範囲に限定するかというような詳細は現在検討中ではございますけども、政策減税によって、これらの企業の新規参入が促進をされ、結果的に、将来、都の税収が拡大していく、そのような制度設計とすることで都民の理解を得てまいりたいというふうに考えております。
○とくとめ委員 税金を投入しても、やがて税金が都民に戻ってくるような考え方として、税源涵養といわれております。しかし、金融投資の業界は、リスクのある自己責任の世界です。本当に税金が戻ってくる保障、担保は一体あるのか、その担保は確保できるのか、どんな見通しを持っているのか、ここが問われているんじゃないかと思うんです。
この間、安倍内閣のもとでも、成長戦略という名で、五年間、さまざまな政策減税がやられて、法人税の引き下げが繰り返されてまいりました。その結果、都民の懐は、暖まるどころか、冷え込む一方です。大企業、富裕層のもとには、使い切れない約四百兆円を超える内部留保、ため込み金がため込まれています。しかし、国民、労働者の方にとっては、恩恵はほとんど回っておりません。
安倍内閣のもとで、この五年間、実質賃金は、年収で十五万円減っております。そして、一世帯当たりの個人消費も、約二十万、減り続けています。ますます貧困と格差が拡大している状況です。労働環境も悪化が続いているというのが実態ではないでしょうか。こうした現状をさらに悪化させることがあっては絶対にならない、そういう意味での税金の使い方が厳しく問われていると思います。
国際金融都市東京の実現にとって、宣伝、広報、販売などのプロモーション、これが大変重要になっているということが強調されてまいりました。
昨年の報道で、私は、官民連携で百億円の規模が紹介されているということを質問で使いました。
既に、国際金融都市・東京のあり方懇談会に参加していた業界の関係者を中心にして、昨年の一月十七日から、早くからプロモーション組織を立ち上げ、東京都の名前、政府の名前まで挙げて具体化されていることが紹介されていますけれども、それはご存じなのでしょうか。
既に小池知事もシンガポールを訪問してプロモーション活動を行っていますが、都としては、多額の税金を使ってのプロモーション活動の具体化にどのようにかかわって、どのように検討されているのか、お答えください。
○田尻戦略事業担当部長 プロモーション組織につきましては、国際金融都市・東京のあり方懇談会においても、その必要性は議論をされ、設立に向けた機運が高まっているところでございます。
こうした動きを踏まえまして、今後は、プロモーション組織の設立に向けまして、組織の体制、担う業務の範囲とその対象、財源を含む収支スキームなどに関しまして、来年度、官民の実務担当者の間で検討を行い、一定の合意を目指していくというような予定でございまして、現在はその準備を進めているところでございます。
○とくとめ委員 ここに、一月十七日に結成されたJIAMという、正式名称は一般社団法人国際資産運用センター推進機構、この顧問は、検討を進めてきた、この座長で斉藤さんですか、それから有友さんなど、メンバーはほとんど入っております。
既に一年前からこういう動きがあって、しかも、この文章を見ますと、三カ所に、政府、東京都、業界団体が連携してと。最後のところには、官民一体の推進体制として、このJIAMを設立しましたと書かれているんですよね。知らないというわけじゃないんだと思うんですけども。
今回の国際金融都市・東京のあり方懇談会のメンバーは、都以外のメンバーでは、都民代表や中小企業関係者は一人もおりません。ほとんどが金融業界、投資業界関係の代表や専門家で検討が進められてまいりました。そして、結論が出ました。
当弁で幾ら都民の安定的な資産形成の実現、全ての金融業者が顧客本位の業務運営を行うといっても、一体どういう保障があるのか。都民の暮らしや福祉の増進を本業とする自治体の活動のあり方として異常ではないかというふうに考えますけれども、都の所見を伺います。
○田尻戦略事業担当部長 国際金融都市・東京のあり方懇談会のメンバーにつきましては、国際金融都市東京の実現に向けた具体的な施策に結びつくよう、金融関係の団体の代表者や資産運用などの第一線で活躍してきた企業経営者、日本進出に当たっての苦労を実際に経験をしている外国人の企業経営者などを選定いたしました。
加えて、メンバーの中には、いわゆる大企業の関係者だけではなく、フィンテック分野のベンチャー企業経営者も含まれておりまして、懇談会の目的である金融の活性化などに向けた対策を検討するに当たり、適切な体制であったと認識しております。
また、昨年、懇談会の最終取りまとめを踏まえて作成いたしました国際金融都市・東京構想につきましては、昨年の議会に報告してご議論もいただいておりまして、今後は、構想に向けた施策を都としては具体化していきたいと考えているところでございます。
○とくとめ委員 確かに、関係者はふさわしい人たちで議論されたんだと思うんです。自己責任が問われるし、リスクもある中で、激しい争いをして勝ち抜く、もうけるためには、大変厳しい議論も苦労もあったと思うんです。
だけども、この構想をつくるに当たって、都民の安定的な資産形成を実現するとか、全ての金融事業者が顧客本位の業務運営をやるとか、言葉でいわれても、一般の都民の人たちには、本当に大丈夫なのか、その保障はあるのかという裏づけが聞こえてこないんですよね。
先ほども、答弁の内容について同じようなことをいわれました。で、批判をしました。懇談会の目的である金融の活性化とは、まさに激しい競争を勝ち抜くため、そういう取り組みではないかと思います。
自己責任がリスクを含めて激しく問われる投資事業に、自治体である都が、都民の税金を使って都民を巻き込むようなことはやめるべきだということを強く強調して、このテーマでの質問を終わります。
次の大きな質問のテーマは、東京百五十年記念事業について、意見を述べながら質問させていただきます。
今、東京百五十年を記念して、約二億円の予算で記念事業の具体化が進みつつあると聞いております。昨年五月のプレス発表によりますと、東京百五十年記念事業の準備がスタートしたことになっています。
五十年前の過去の東京百年記念のときにも、その二年前から、各分野の幅広い代表によって準備会議を発足させて、東京都は独自の立場から、東京百年の足跡を振り返るための東京百年記念を行ったことが、五十年前の東京百年記念祭の報告書に明記をされております。
そこで質問ですけれども、二億円の予算で実施される今回の東京百五十年事業は、昨年のスタート以来、どういうメンバーによって、どのような内容が検討されてきたのか、お答えください。
○古屋政策担当部長 平成二十八年十月に、国において明治百五十年関連施策の実施が決定され、都におきましても、昭和四十三年に東京百年記念祭を実施したこと等を踏まえまして、東京百五十年事業を実施することといたしました。
政策企画局のほか、関係する総務局、生活文化局、産業労働局を共同事務局といたしまして、事業の方向性や企画を検討してございます。
また、これまで、区長会、市長会、町村会への報告を行うとともに、東京商工会議所など民間団体にも協力要請を行っているところでございます。
○とくとめ委員 都庁の関係局を中心に基本方向が検討されて、区市町村を初め民間団体の協力を求めてきたということでした。
そこで質問ですけれども、昨年五月の事業スタートに当たってのプレス発表では、国等が推進する明治百五十年関連施策とも連携していくとなっております。
明治百五十年と東京の百五十年では、東京の場合は自治体であります。首都ですけども、自治体です。その記念の持ち方の性格や目的が違うと思いますけども、どういう内容をこの明治百五十年と連携することになっているのでしょうか。
○古屋政策担当部長 明治百五十年関連施策でございますけれども、国の明治元年から百五十年を記念いたしまして、明治以降の歩みを次世代に残す、明治の精神に学び、さらに飛躍する国への二つの方向性を掲げて事業が進められております。
東京百五十年事業でございますけれども、江戸から東京となった記念すべき節目を祝い、伝統、文化、技術などの東京の魅力を都民の皆様方に再認識、再発見していただくことを目的としてございます。
国の明治百五十年関連施策は、国の機関だけではなく、地方公共団体や民間とも幅広く連携して取り組んでいくこととしてございまして、明治百五十年のホームページで東京百五十年事業のイベントを紹介していただくことなど、効果的なPRとなるよう連携を図ってまいります。
○とくとめ委員 政府が進める明治百五十年の関連施策については、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは大変重要なことと強調されています。しかし、明治から百五十年のうちの後半は、今の憲法のもとでの東京です。そこは全く触れられていません。
一方で、政府を挙げてのキャンペーンに疑問の声も生まれています。日本歴史学協会からは、日本の近代を、特定の立場から一方的に明るい歴史として考えていこうとする政府の方針には強い違和感があるという声も上がっています。
明治百五十年の前半が、ご存じのとおり、侵略戦争と植民地支配という負の歴史を持っていたことは紛れもない事実です。そうした歴史に目を塞いで、戦前と戦後の違いを無視して、明治の精神という言葉だけで日本の強みを一面的に強調するのは、やっぱり時代錯誤ではないかなと思います。
そこで次の質問ですけども、東京百五十年記念を、二年後に迫った東京五輪大会に向けて、オリンピックの本来の精神である平和と友好、差別を許さない人権尊重を踏まえたダイバーシティーの都市にふさわしい内容にすることが、多くの国民、多くの世界の人から見ても東京五輪の魅力を示すことになり、共感を呼ぶことになって、機運醸成を広げることにも大きな役割を果たすのではないかと思います。
二年後の二〇二〇年東京五輪大会の成功に向けて、都民の中で一体感を醸成することが強調されておりますけれども、そのためにどのような企画の具体化が検討されているのでしょうか、お答えください。
○古屋政策担当部長 東京百五十年事業を行う平成三十年は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の二年前、ラグビーワールドカップ二〇一九の一年前に当たります。これらの国際イベントでは、国内外から大勢の観戦客や観光客の皆様が訪れることから、ホストとなる都民の皆様に東京への理解と愛着を深めていただきまして、一体感を醸成することが重要であると考えてございます。
このため、東京百五十年事業をきっかけといたしまして、歴史、文化、技術など、東京の都市としての魅力を再発見、再認識していただけるよう、浜離宮恩賜庭園での都民向けのイベントや江戸東京博物館での企画展など、より多くの方々に参加していただけるようなさまざまな取り組みを展開してまいります。
○とくとめ委員 二〇二〇年東京五輪に向けて機運醸成ということであるならば、ぜひ平昌大会で活躍した多くのアスリート、こういう方々、感動を持ってその活躍を見たわけですから、ぜひ平昌大会で活躍したアスリートの力をかりるのも重要ではないか、検討していただきたいということを意見として述べておきます。
最後に、今回の東京百五十年記念では区市町村との連携にも触れておりますけれども、どういう内容で連携していくのか、その内容と、必要な予算はどう保障されているのか、お答えいただきたいと思います。
○古屋政策担当部長 東京百五十年事業を幅広い取り組みとしていくためには、さまざまな事業やイベントを実施し、市民向けの歴史文化施設などを有する区市町村とも連携していくことが重要でございます。
このため、各区市町村が事業趣旨に賛同し、東京百五十年を記念する新しい企画の実施や、既存イベントの創意工夫などを行っていただけるように、区長会、市長会、町村会などの場を通じて協力を要請しているところでございます。
また、事業に参加していただきやすいように、ホームページでの広報連携や、統一のロゴマーク、連作のポスター、グッズなど活用しやすいPRツールを作成し、配布する予定でございます。
これらの事業は、来年度予算の一億九千五百万余円の全体運営経費の中で実施する予定となってございます。
○とくとめ委員 最後に、意見と要望を述べさせていただきます。
東京百五十年の歴史の前半と後半では、政治や社会のあり方が大きく変わっていることは事実であります。現在の憲法のもとで、七十年以上の間、都民主人公の見地で、地方自治を生かして、戦争のない平和や民主主義を生かしてきた東京の歴史を大切にして具体化をしていただきたいということを強く要望して、質問を終わらせていただきます。
○菅野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間の休憩をいたします。
午後四時五十二分休憩
午後五時十分開議
○菅野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西沢委員 私から、まず最初に、結婚支援について伺っていきたいというように思います。
先ほども斉藤委員から、大変わかりやすくて、大変いい議論ができたのかなというように思います。
もちろん私自身、私自身は四年前に結婚していますけども、結婚はよかったと思っていますし、心の底からそう思っています。ぜひ議事録に残していただきたいと思うわけですが、結婚を希望する人と、もちろん、そうでない方もいらっしゃるということですね。
ですが、結婚を希望する人がいらっしゃって、その希望に沿うような形で行政が支援をしたり、環境を整えるということは必要であるというふうに理解しているわけであります。しかし、その事業のあり方そのものについては、しっかりと問うていかなければいけないというような観点から質問していきたいというように思います。
まず最初に、内容について、いろいろと区市町村との連携についてという話、予算特別委員会でもこんな問題を取り上げてきたわけでありますが、今後、区市町村とどのように連携をしていくのか、お伺いいたします。
○小久保政策担当部長 結婚支援を効果的に進める上で、住民に身近なサービスを提供する区市町村との連携を密にすることは重要と考えております。
このため、都として結婚に向けた機運醸成に取り組むとともに、広域行政を担う立場から、区市町村が主催または後援をする出会いの機会づくりやシンポジウムなど結婚関連イベントの情報を、来年度開設予定の都の結婚支援ポータルサイトにおいて紹介してまいります。
今後、区市町村との意見交換等を通じ、ウエブサイトの相互リンクやイベントの企画運営に係る協力など、連携の可能性を多角的に検討してまいります。
○西沢委員 機運の醸成については、広域自治体である都がやることは大変いいことではある、効果のあることだと思いますが、やはり区市町村でも、今さまざまな活動や実施、事業などもやっていますから、連携することは非常に大事だというように思います。
そこでといいますか、次にですが、さきの総括質疑では動画について取り上げました。動画については、再生回数や視聴者数などを見るというのが重要だという趣旨の答弁がありました。つまり、つくって、これがよかったのかどうなのか、何をもって成功なのかという指標がわかりづらいですよと。この指標は何かという問いに対しては、明確な指標というものはないけども、視聴者数や再生回数などではかることは重要だという答弁だったと思うんですね。
区市町村との連携、そしてポータルサイトをつくるということでありますが、じゃ、ここには具体的に来年度はどのような指標を設定するのか。
ポータルサイトですから、視聴者数というものがあると思いますし、閲覧回数がどれくらいなのか、どれくらいのアクセスがあったのか、もしくは、区市町村それぞれでやっていますけど、どれぐらいの区市町村と連携をするのかとか、こういった指標もあると思いますし、目標もあると思いますから、具体的にどのような指標を設定するのか、またどのような目標を設定するのか、お伺いいたします。
○小久保政策担当部長 来年度開設予定のポータルサイトにおいては、掲載情報の充実度合いやその利用状況の面から、総合的に事業評価を行うことが必要でございます。
掲載情報の充実度合いを示す指標については、掲載した結婚関連イベントの件数を初め発信する情報量が、また利用状況を示す指標については、ポータルサイトの閲覧数や掲載イベントの参加者数などが考えられます。
各指標の目標設定につきましては、本事業が来年度新規に着手するものであることから、今後、コンテンツを詰めていく中で、各指標の実績等も踏まえて検討してまいります。
○西沢委員 この指標は、やっぱり大事だと思うんですね。もちろん、見えない部分はあると思います。都がこういった事業、機運の醸成をやったから、じゃ、何人、何組結婚したのかということというのは、因果関係というのはなかなか見えづらいところではあります。かといって、都の税金を使って事業をやる以上は、どれくらいのお金をかけて、どんな事業をやって、それによってどれくらいの効果があったんだということで、これが成功なのか失敗なのかというものをはからなければいけない。そのための指標の設定であったり、目標の設定というのは重要だというように思います。
今、答弁で、閲覧数やイベントの参加者数などが考えられるということでありました。どの指標を使って、どういう目標設定がいいのかということも、ぜひ厳し目に設定をしていただきたい、そして進めていただきたいということを申し上げておきたいというように思います。
次のテーマに移りたいと思います。外国企業誘致についてを先に質問に参りたいと思います。
特段、新規事業に目を向けていきたいというように思います。予算案の概要を見て、新規になっているものについて取り上げていきますが、エコシステム形成促進事業について最初にお伺いします。
これは、先ほどちょっと議論がありました。その中で、エコシステム形成促進事業が何なのかということでありますけども、海外における成功事例の調査をしていくんだということです。
このエコシステム形成事業、そのまま検索すると、私なんかは、環境系の何か、そんなふうにイメージをすることもありますが、そうではなくて、海外で成功しているもので、ベンチャー企業であったりとか、そういった企業を育てていくというようなことだと思うんですね。
海外での成功事例が何なのかということを把握していると思うので、そこの目指すものは何なのかということですが、どういった成功事例を把握しているのか、お伺いをいたします。
○松原国家戦略特区推進担当部長 ベンチャー企業、大手企業、投資家、それから大学などの研究機関、さらには創業支援機関など、さまざまなプレーヤーが集積し、あるいは連携しているビジネス環境を生態系になぞらえましてエコシステムと呼んで、海外の諸都市において、その形成が進んでいるものと承知しております。
例えば、ロンドンで、レベルサーティーナインという建物を中心に、国内外のスタートアップ企業の創業、集積に取り組んでいる事例がございます。
このほかにもいろいろ、世界でエコシステムによるイノベーションの活性化が進められているということでございます。
○西沢委員 ロンドンでのレベルサーティーナインという話がございました。建物の一つのフロアで、ベンチャー企業があって、そこから金融だったりとか、それを育てたり、もしくはマッチングしていくというような、そういった、企業であったりとか、支援するような団体が一つのフロアに集まっているというようなことですね。こうしたものなんかが成功事例だよと。目指すところとしては、こうした海外の事例なんかをまずは調査をするということですね。
これをどう生かすのかということに関しては、先ほど答弁が出たので、あえてお伺いはしませんけども、これを生かして、フィンテック、IoTなどの先端技術を有するベンチャー企業の集積を促進していきたいというようなことであります。
ですので、私としては、海外の参考事例は大変重要だと思います。生かすに当たっても、画一的な成功事例だとかを目指すと、日本に合わない部分も必ず出てくると思いますから、日本に合った形の形成促進にしていただきたいということだけ申し上げておきたいというように思います。
続いて、パートナーシップ支援事業についてお伺いいたします。
これも外国企業の誘致ということで、新規事業ということでありますが、この概要を読むと、外国企業のマッチングニーズの掘り起こしを行って、都内中小企業との確度の高いマッチングに向けた橋渡しを実施するということになっていますが、外国企業のマッチングというのは、これまでもやってきたんじゃないかと思うんですね。
だから、私は、今までやってきたことと、来年度、平成三十年度でやることの違いがどういうものなのか、来年度はどのような取り組みを予定しているのか、お伺いいたします。
○松原国家戦略特区推進担当部長 都はこれまで、アクセラレータープログラムの実施ですとかマッチング商談会の開催などによりまして、誘致などしている外国企業と都内企業とのビジネスマッチングの機会を設けてきたところでございます。
来年度に行いますパートナーシップ支援事業におきましては、専門のコーディネーターを設けまして、誘致した外国企業と都内企業の双方のニーズをきめ細かく把握することにより、一層効果的なマッチングの機会を創出するとともに、事後のフォローアップなども実施する事業に取り組んでまいる予定でございます。
○西沢委員 来年度は、専門のコーディネーターがきめ細かくやりますよということと、これから事後のフォローアップなんかもやるということですね。外国企業のマッチングはいいと思いますけども、官のお墨つきになる、東京都がやるということの、やっぱりリスクというものも考えなければいけないと思います。
このマッチング事業によってどのような事業効果を期待しているのか、これをお伺いしたいと思います。
○松原国家戦略特区推進担当部長 パートナーシップ支援事業の実施によって、より確度の高いマッチング機会がふえることで、外国企業と都内企業の双方の技術などを組み合わせた高付加価値の製品あるいはサービスの創出などが期待されるところでございます。
本事業を来年度新たに実施することによりまして、都内におけるイノベーションの活性化や都内経済の発展に貢献してまいりたいと考えております。
○西沢委員 外国企業の誘致という視点で事業をやっているということでございますけども、次に伺いたいのは、海外に向けての話です。公共インフラ輸出、技術支援調査の検討というものについてお伺いをしたいというように思います。
事業だけを見ると、これも新規事業というような形でありますが、事業自体は調査をするということだと思うんですね。ただ、海外展開ということに関していうと、今まで東京都は、水道であったり、それから下水道の技術、水貢献ビジネスという形で水道局はやってきたというようなところがあると思うのですが、今回というか、来年度予定している調査の内容は、どういった調査の内容なのか、お伺いをいたします。
○田尻戦略事業担当部長 今ご指摘のございましたとおり、都は、水道施設や下水道施設など大規模な公共インフラの管理運営者でございまして、その運用について高い技術力を有しております。これらのノウハウを生かしまして、海外への公共インフラ輸出、技術支援を進め、海外諸都市の抱える課題解決に寄与することは、中小企業の海外展開などによって東京の経済の活性化が期待できるほか、国際的なプレゼンスの向上につながると考えております。
これまで関係局におきましては、発展途上国等による要請を受けまして、技術指導や視察の受け入れなどの対応を行ってきましたが、今後、都として、さらなる公共インフラ輸出、技術支援の可能性について検討していくために、来年度新たに、公共インフラに関する海外の潜在的な支援ニーズなどを調査することとしたものでございます。
○西沢委員 今、答弁にありましたけども、水道とかは、今まで海外進出といいますか、そういったことでやってきたわけですけども、それ以外に何かあるんじゃないかということで調査する、こういった答弁だったと理解をします。これからニーズを調査するということであります。
私自身は、東京都の技術を海外で生かすということ自体、これは悪いことではないというように思っております。ただし、何のために海外に展開するのかと。税金を使って都民の皆様のお金を使って、海外に展開をするということであれば、当然、都民の皆様へどのように還元をするのかという視点が必要だと思うんですね。
慈善事業としてやる、これはこれで一つの理由かもしれませんが、水道に関してはそうではないと。民間の技術、東京都の都下の企業が海外に進出する際の足がかりにもなる、それが都民への還元になる、こういった理屈もあったと思いますが、単純にそれ以外、何か東京都でできることはないかと探してきたはいいけども、結果的に都民の皆様とは関係のないことで東京都が何か勝手にやっている、こういうふうにいわれかねませんから、しっかりと都民の皆様にどう還元するのかという担保が必要だということを申し上げておきたいというように思います。
そして、創薬系ベンチャー育成支援事業についてお伺いいたします。
ここについても、新規予算で約八千万円が計上されているわけであります。少子高齢化が急速に進んでいく中で、この医薬品市場というのは大きなポテンシャルであるというように思うわけでありますが、その一方で、日本は、新薬の創出国としては競争率が低下しているという話もお伺いいたします。
そこで、当事業を開始する目的や背景などについて、まず最初にお伺いいたします。
○田尻戦略事業担当部長 創薬関連産業の育成は、東京の成長戦略として重要であるとともに、革新的な医薬品の開発を通じまして、都民、国民の健康長寿の実現に寄与できるポテンシャルを有しております。
その一方で、日本は、研究機関の基礎研究水準は高いものの、イノベーションの牽引役である創薬系のベンチャーが不足しており、実用化につなげる流れが弱いというふうな指摘も受けております。
これまで都では、国家戦略特区制度を活用いたしまして革新的な医薬品開発を支援してきているところでございますけども、これに加えまして、有望な創薬シーズの実用化を後押しするために、来年度から新たに、製薬企業、支援機関、投資家などが集積をする東京の強みを生かして、創薬系のベンチャーの育成支援を行ってまいりたいと考えております。
○西沢委員 今、答弁がありましたけども、日本が創薬系ベンチャーが不足しているという認識に立ってこれをやるということですね。これはおっしゃるとおりで、創薬ベンチャーの国籍という、いただいた資料ですが、医薬産業政策研究所のリサーチペーパーというものでは、創薬ベンチャーの国籍が、開発品目数でいうと、アメリカの三百三十四に比較して、日本は十という極めて少ない数になっていると。二位のイギリスでも三十八、カナダ二十九、スイス二十、フランス十九、ドイツ十八と比較して、日本も十という形で、極めて少ないということですね。
日本は、大学発のこうしたことが多いわけでありますが、さまざまな課題があるわけですね。がんに有効なオプジーボ、副作用がたくさん、結構あるという話ですが、我が国発の医薬品があるという一方では、やっぱりアメリカに比べれば圧倒的に少ないというわけで、ベンチャーを取り巻く環境もかなり厳しい状況にあるというように聞いているところであります。
そういった意味では、創薬ベンチャーを育成していくという方向性は正しいというように思うわけでありますが、その支援内容です。創薬ベンチャーを育成していくということは先ほど答弁がありましたが、その支援内容がどのようなものなのか、お伺いをいたします。
○田尻戦略事業担当部長 創薬系のベンチャーは、大学などの研究から創業するケースが多く、学術的な知識は豊富であるものの、それを実際のビジネスにつなげる知識や経験が不足しているという側面がございます。また、医薬品の開発は長期間にわたるため、その間の開発資金をどう獲得していくかということも重要な課題となっております。
このような創薬系のベンチャーが直面する課題に対応するために、ビジネス面のノウハウの取得であるとか、資金調達機会の確保などを目的とした支援事業を実施していく予定でございます。
○西沢委員 日本は、学術的な、知識はあるんだけども、そのために--開発ができるその知識はあるけども、結果的にビジネスとして成功するようなノウハウがない、だから、それを支援するというようなことでありました。
この話を聞いたとき、私は、海外の番組を紹介するやつで、海外です、アメリカだったと思いますけども、自分の子供が難病を患ってしまったと。難病になったんだけども、手だてがないという中で、その方が、自分でその研究をしている人に投資して、そのドクターに投資して、この難病を治す薬をつくってくれという形で投資する。その方が研究して、それをつくる。自分自身が取締役員となって会社をつくって、その薬を商品化する。最終的にその商品が流通する形になって、その会社ごと売却をして、自分の子供も助かって、さらには莫大な利益を得たというような、こんな話、これは美談という形で紹介されていたのを思い出します。
アメリカでは、そういったことがよくあるというようなことの一つだと思うのですが、日本に関しては、そういったのは聞かないですよね、余り。先ほど答弁いただいたように、日本は、そういった知識もある、学術的には知識は豊富なんだけども、ビジネスとしてやるような、そういった土壌ではないというようなことが課題である。そこには、例えば、研究開発から治験、厚労省の承認に至るまでは十年以上かかるというようなことでありまして、長期間のプロセスを支える資金の確保が鍵となっていると思います。
また、これは、日本政策投資銀行関西支店の資料では、新薬の開発成功率は三万分の一というようにいわれているわけで、かなりハイリスク、ハイリターンの分野ということがいえるんじゃないのかなというように思うわけであります。
これも先ほどの話と同じになるのですけども、じゃ、そこを支援するということになって、都民の皆様の税金を使ってハイリスク、ハイリターンの分野にチャレンジするということであれば、やっぱりそのリスクはしっかりと都民に説明しなければいけないと思いますし、どのように都民に還元するのかということをいわなければいけないと思います。
ハイリスクな医薬品開発を支援する本事業の実施に当たっての都の考え方をお伺いいたします。
○田尻戦略事業担当部長 医薬品の開発は、多額の費用と高いリスクを伴い、創薬研究の専門性も必要となることから、本事業では、個々の創薬系のベンチャーに対しまして、都みずからが補助金などの形で直接的な財政支援を行うということは予定をしてございません。
都は、創薬系のベンチャーがベンチャーキャピタルなどの民間からの資金調達が容易となるような支援を行うことといたしまして、具体的には、創薬系のベンチャーのビジネスプランのブラッシュアップであるとか、創薬系のベンチャーと事業会社や投資家などとのマッチングの機会の創出というものを行うこととしております。
このように、本事業の実施に当たりましては、民間からの資金供給を円滑にするための環境整備ということを前提といたしまして、創薬系ベンチャーの育成を効果的、効率的に進めていきたいというふうに考えております。
○西沢委員 都が直接お金を出資したり、もしくは投資するということではなく、その環境整備をするんだということだと思います。
さりとて、当然、今回というか、来年度は八千万円のお金を投じるということです。当然、少ない額ではないわけでありますから、東京都がそれだけお金をかけた上で、どれだけのものがあるのかということが重要なポイントなのではないかなと思います。
答弁にあったとおり、都民の貴重な税金を効果的に使うということを約束していただいて、質問を終わらせていただきます。
○奥澤委員 私からは、「三つのシティ」の実現に向けた政策の強化についてお伺いをいたします。
昨年の第三定例会において、二〇二〇年に向けた実行プランのレビューについて質疑を行いましたので、その続きのような形になろうかと思います。
その際、実行プランを着実に進めていくために、千二十一事業全てについて一斉に調査を行い、実行プランのスタートラインが明らかになったというようなことが確認されたことと思います。レビューの実施によって、的確な現状把握、課題の明確化や見える化がなされて、都庁みずからが自律的に課題解決を進めていく機運が高まったというふうに考えています。
それらを前提にして、今回の政策の強化は、PDCAのA、つまりは改善策の提示というアクションであるというふうに考えております。
そこで、一つ目の質問を行います。
レビューにおきましては、現状のままでは、なかなか目標の達成が困難と思えるものも散見されました。こうした事業については、目標達成に向けてどのような改善策、アクションに取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。
○山下計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランの事業実施状況レビューにおきましては、現場を持つ各局と綿密な意見交換を行い、改めて、プランに掲げました政策目標に対する現状や課題を認識することができました。すなわち、プランに掲げました事業のうち、順調に進捗しているもの、あるいはそうではないものがあることは把握してございます。
そうしたことから、今回の政策の強化におきましては、レビューで得られた課題などを踏まえまして、可能な限り、新規政策の構築や既存政策の見直しを行いました。
今後も、事業を取り巻く現場の状況をしっかりと分析した上で、各局と真摯に議論を重ね、効果的な政策展開につなげてまいります。
○奥澤委員 順調に進捗しているものとそうではないものがあることを把握できたということが、まず非常に重要なことであると思いますし、ただ、経営に直結する民間企業と異なりましてなかなか、行政におけるPDCA、特にアクションについては、効果の高いとはいえない事業や、あるいは形骸化してしまった事業が継続されてしまうようなケースが指摘されているところでございます。
順調に進んでいないものについては、従来の発想から脱却して、思い切った施策をぜひとも検討していただきたい、そのような取りまとめを進めていただきたいということを意見しておきます。
また、その際、内部の視点だけではなかなか気づきにくいこと、こちらについては、外部の視点を組み込むこともぜひ検討していただきたいと考えておりますし、例えば、私の選挙区でありますけれども、町田市では市民参加型事業評価という仕組みもやっておりますので、そういった他の自治体の例などもご参考にされてはいかがかなというふうに考えております。
続きまして、PDCAサイクルそのものについてなんですけれども、昨年の第三定例会におきまして、PDCAサイクルを重ねていく過程で、プラン、ドゥー、チェック、アクション、それぞれが相乗的に進化を遂げていくように取り組んでいく所存である旨の答弁がございました。
世界の都市間競争のさなかにあるこの東京にとっては、社会が変化するスピード、これはとてつもなく速い、そしてまた解決すべき課題も多岐にわたります。いわゆる縦割り行政では対処できないことも数多く、また、組織横断な視点で進捗管理、適切な助言、総合調整を行っていく必要があると考えておりますし、その役目を担うべきは政策企画局なのではないかという旨を昨年の第三定例会で述べさせていただいたところでございます。
そこで、伺います。
これまで、この一年間、PDCAサイクルを回してきたことで得られた成果、そして、そこで見えてきた課題を明らかにしていただきまして、三つのシティーの実現に向け、今後どのように政策を推進していくのか、所見をお伺いいたします。
○山下計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランの策定から事業実施状況レビューを経まして、このたびの政策の強化版の公表と、ちょうどPDCAサイクルのいわば一周目を回したところでございます。
この一周目のプロセスにおきまして、現場を持つ各局や財政当局と議論を重ねたことなどによりまして、一つの局では気づきにくい横断的な視点やアイデアが都庁内で共有され、こうしたことが政策の前進につながるものというふうに考えてございます。
また、都民への説明責任を果たすべく、レビューの結果や政策の強化版を広く公開いたしましたことで、よりよい政策展開に向けた都庁の自律性が高まったと考えてございます。
一方、見えてきた課題でございますけれども、先端技術の発展やさらなる高齢化の進展など、ますます速度を増す社会情勢の変化に対しまして、スピード感を持って対応していく必要性を改めて認識したところでございます。
今後は、政策の強化版に掲げた政策の実施という新たなサイクルに入ってまいりますが、局の垣根を越えた政策のつなぎ役といたしまして、引き続き、各局とともにPDCAそれぞれのステップを着実に重ねながら、全庁横断的に、より実効性の高い政策の推進を目指してまいります。
○奥澤委員 ありがとうございます。PDCAの一周目が終わり、新たなサイクルに入っていく、そういった認識であったかと思います。
事業を所管する各局がスピーディーかつ効果的な施策を実行していくこと、そして、財政当局がエビデンスに基づいた見直し、特に予算面での見直しを行っていくこと、そして、政策企画局がこれらの取り組みに横串を通していくこと、こういった仕組みがスタートしたところであり、これが、この都庁の仕事をますます発展させていく、より都民サービスの向上につながっていくものというふうに本当に期待をしているところでございます。
ただ、こういった仕組みをつくっても、定着させていくためには、当然、働いている皆さんがどのようなモチベーションで取り組んでいくのかというのはすごく重要なことであると思っています。そういった意味でも、目標や成果、これが見える化をされていくこと、これはモチベーションの向上につながっていくことになるのではないか、有効な方法ではないかというふうに思っています。
そういった面で、スピード、エビデンス、組織横断、そして見える化、こういったことを常に意識して取り組んでいっていただきたい、さらにさらに強化をしていっていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○早坂委員 東京都はこのほど、結婚に向けた機運醸成のための動画を作成しました。タイトルは、「東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック あなたは誰と観ますか」。
まず、この動画の制作目的と概要、そして、どなたの発案によるものか、伺います。
○小久保政策担当部長 都は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる方の後押しをすることも重要と考え、結婚に向けた機運醸成に取り組んでおり、この動画もその一環として、結婚や家族、ライフプランについて考えるきっかけにしていただくことを目的に作成いたしました。
動画は、六十秒、三十秒、十五秒の三つのバージョンを用意し、東京動画等で公開するほか、東京メトロや都営地下鉄の車内ビジョン、映画館、街頭大型ビジョンなど、さまざまな場所で広く発信しております。
動画に係る経費は約三千万円で、内訳は、映像制作に千三百万円、放映関係に約千七百万円でございます。
本事業は、知事から動画作成のアイデアを受け、事務方で内容を検討し、作成等を行ったものでございます。
○早坂委員 結婚は個人の自由であるにもかかわらず、税金で動画をつくったということは、この動画にどのような公益があるとお考えか、伺います。
○小久保政策担当部長 全国の未婚者を対象にした結婚意思に関する国の調査では、男女とも、九割近い方がいずれ結婚するつもりと答えております。一方、生涯未婚率は、全国的にも東京においても、今日、増加傾向が続いており、特に東京は、男性が全国三位、女性が全国一位と高くなっております。
結婚を希望しながらも結婚に至らない背景や理由はさまざまであるものの、今や、こうした状況は単なる個人の問題にとどまらないものと認識してございます。
このため、結婚や家族、ライフプランについて考えていただくことを目的に、都において動画を作成したものでございます。
○早坂委員 結婚を希望しながら結婚に至らないという状況は、単なる個人の問題にとどまらないというご答弁でありました。言葉を補えば、したがって、それは社会的問題であるということであります。そこに公益性があるというご答弁だと思います。
では、結婚そのものにはどのような公益があるとお考えか、伺います。
○小久保政策担当部長 結婚の社会的な意義についてのお尋ねだと存じますが、都の結婚支援は、結婚は必ずした方がよいといった特定の価値観に立つものでも、また結婚を推奨するものでもなく、あくまで結婚を希望する多くの方の願いをかなえる上での機運醸成が目的でございます。
結婚そのものの社会的意義に着目して本事業を行っているわけではございません。
○早坂委員 ちょっとわかりにくいですね。何がわかりにくいかというと、結婚を希望しながら結婚に至らない状況は社会的問題であるということで、先ほどご答弁いただきました。しかし、結婚そのものの社会的意義に着目して本事業を行っているわけではない。では、何のための事業なのか、私にはよくわからないです。
また、今のご答弁、すなわち、結婚を推奨はしないが、結婚しようという機運は醸成したいというのもよくわかりません。結婚しようという機運の先にあるのは、結婚なのではありませんか。
ご答弁がわかりにくいのは、この事業が実質的には結婚を勧めているにもかかわらず、価値観の押しつけという評価を恐れて、そのことは公には認めないことにあるんだろうと私は考えます。だからこそ、言葉を丁寧に選んで、価値観の押しつけだとみじんにも言質をとられないよう、答弁の言葉がまどろっこしいものになっているのではないかと私は推察をいたします。
結婚という行為は、人によってはとてもナーバスなものです。相手がどう思うかわからないから、むやみにそこに立ち入るべきではないと私は信じます。この動画を見て、心を痛めている人が現にいらっしゃる。だから、私がこの動画には問題がありますねと、ここで議論をしているわけであります。
知事は、さきの予算特別委員会で、個人の価値観や人生観に十分配慮しながら、結婚を希望する方の支援に取り組みたいとご発言なさいました。この動画は、その前段の部分、すなわち個人の価値観や人生観に十分配慮ができておらず、この動画を見て、悲しく、つらい思いをしている人がいるのです。
私自身は、二十年前に結婚し、現在も、妻、そして二人の息子とともに幸せな暮らしを送っています。もし結婚はどうですかと聞かれることがあれば、私はその方に結婚を勧めたいと思います。しかし、そのことと、聞かれてもいない人に無神経に結婚を勧めることとは決定的に違います。
世の中には、さまざまな事情を抱えて結婚に踏み出せない人がいます。例えば、国籍の問題とか、性的マイノリティーであるとか、体に障害があるとか、身内に犯罪者がいるとか、そのことを他人には絶対秘密にしておきたいと思い詰めている人が、その秘密が、結婚することによって相手やその家族に知られてしまう。そういう状況にあって結婚を無神経に勧められたら、一体どんなに苦しくて悲しい思いをするのでしょうか。あるいは、結婚直前に婚約者が自殺してしまったという人もいるかもしれません。そういう人の心に、事情を知らないからといって塩を塗り込むようなことを行政がするべきではありません。
それとは別に、そもそも結婚に価値を見出さない人もいます。それは、何も人との交際を一切しないというのではなく、むしろ適当な距離感で多くの人とつき合っていきたいと考え、それを実行している人もいます。それがその人の価値観なのであります。
結婚するかしないかは個人の自由です。また、結婚したいと思っていても、そこに踏み出せない理由を抱えている人もいます。そうしたことをお考えいただければ、無神経に結婚を勧めることがどういうことなのか、おわかりいただけると思います。
世の中には、強い結婚規範にとらわれた人がいます。人は結婚してようやく一人前、家庭を持ち、子供を育てて、初めて人の愛情がわかるなどとのたまう人です。それはまるで、酒が飲めて一人前、酒が飲めないやつは男じゃないなどとのたまう人と一緒に思います。申し上げるまでもなく、結婚しているかどうか、お酒が飲めるかどうかで人間の価値が決まるものではありません。
しかしながら、そういう人が、そういう強い結婚規範にとらわれた人が、未婚者に対して早く結婚しろという価値観を押しつけてくることがあります。あるいは、何の根拠もなく、高望みし過ぎなんじゃないの、だからいまだに結婚できないんだという評価を押しつけてくる人もいます。厄介でありますが、それはあくまで個人レベルの話です。
それと、行政が価値観を押しつけてくること、あるいは、結果として価値観を押しつけられたと感じる都民がいることとは、質が全く違うわけであります。
今日、我が国は少子化という社会問題を抱えています。我が国では、婚外子は全出生数のわずか二%にすぎませんので、現実には、これから多くの人が結婚をなさらないと、子供もふえないだろうと思います。行政が行う結婚の推奨の真の理由は、そこにあるのかもしれません。
しかし、結婚するかどうかは個人の自由でありますし、子供をもうけるかどうかも個人の自由です。だからこそ、東京都は結婚を推奨はしないが機運の醸成を図るなどと、わからないことをいうんだろうと思います。
さて、先ほどのご答弁の中に、全国の未婚者の九割がいずれ結婚するつもりと答えているというものがありました。そこの部分を詳しくご説明ください。
○小久保政策担当部長 国立社会保障・人口問題研究所が平成二十七年に実施した第十五回出生動向基本調査の中で、十八歳から三十四歳の未婚者の生涯の結婚意思については、いずれ結婚するつもりと一生結婚するつもりはないの二つの選択肢のうち、いずれ結婚するつもりと回答した人が九割近くいるという結果がございまして、それを根拠としてございます。
○早坂委員 ご説明のとおり、選択肢は二つであります。いずれ結婚するつもりと一生結婚するつもりはない。この二つなら、よほど強い考えを持った人でない限り、前者を選ぶでありましょう。現に九割の人がそう答えています。九割の人が結婚したいのに結婚できていない、だから、東京都は動画をつくって、それを応援しよう、こういう筋立てだと思います。
しかし、この出生動向基本調査には続きがあります。いずれ結婚するつもりを選んだ人に、さらに二つの選択肢、すなわち、ある程度の年齢までには結婚するつもりという選択肢と、理想的な相手が見つかるまで結婚しなくて構わないという選択肢、この二つを提示すると、四割の人が後者、すなわち、理想的な相手が見つかるまで結婚しなくて構わないを選んでいます。先ほどの一生結婚するつもりはないと答えた人と合わせると、結婚に前向きな人とそうでない人の割合は、ほぼ半分半分ということになります。したがって、未婚者の九割が結婚したいのにできていないという評価は、必ずしも事実を正しく伝えていないと私は理解します。
さて、生涯未婚率という国の統計があります。五十歳の時点で一度も結婚したことがない人の割合です。それによると、昭和の時代まで、昭和六十三年までは生涯未婚率は五%未満、すなわち、国民の九五%が人生で一度は結婚していました。
それが平成の時代になって、生涯未婚率は急上昇、平成二十二年現在の未婚率は、全国で男性が二〇%、女性が一〇%です。東京都は、先ほどお話がありましたとおり、男性は全国三位、二六%の未婚率、そして、女性は全国一位、一九%の未婚率であります。カーブは右肩上がりでございますので、今申し上げたのは平成二十二年、平成三十年の今は、生涯未婚率はさらに高くなっているものと見込まれます。
かつて昭和の時代、ほとんどの人が結婚していた時代には、結婚を勧められても、それはごく普通のことだったろうと思います。しかし、平成三十年、生涯未婚率が急上昇した今、同じように結婚を勧められたら、それは結婚という価値観の強制だという感情を持つ人が多くなるのは当然だろうと思います。
そこで、今回の動画を見た都民の反応について伺います。
○小久保政策担当部長 本動画のユーチューブの再生回数は、現在十一万回を超えておりまして、テレビや新聞などでも報道されるなど、都民の大きな関心を呼んでおります。
なお、当局及び生活文化局都民の声課に寄せられた電話やメール等によるご意見は、三月十九日現在で、賛成七件、反対四十件でございます。
○早坂委員 十一万回という多くの再生回数があったのは、都民がそれを支持したからでありますでしょうか。むしろ、心の痛みに思いをいたさない、こんなひどい動画を東京都がつくったとインターネットで拡散されたために、それで再生回数がふえたと評価するのが私は正しいだろうと思っています。
実は、この動画がこれほど話題になったのは--この話題とはネガティブな意味でありますが--一番最後のメッセージにあります。そのメッセージとは、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック、あなたは誰と見ますかということであります。
このメッセージは、一人で見ることを暗に否定しています。誰と見ようと、一人で見ようと、それは勝手であります。ご見解を伺います。
○小久保政策担当部長 誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーの実現に向けて、多様な価値観を尊重していくことは重要でございます。
この動画は、あなたは誰と見ますかというフレーズで視聴者に問いかけることによりまして、東京大会を一つのきっかけに、結婚や家族、ライフプランについて具体的に考えてもらいたいと思い作成したものでございまして、大会を見る見ない、あるいは誰と見るかといった、個人の決定に特定の価値観を押しつけるものではございません。
○早坂委員 この最後の部分のメッセージが個人の内心に踏み込んできたと強く感じた人がいたからこそ、その人の思いを受けとめて、私が、きょう、ここでこの質問を取り上げているのです。
二〇二〇年大会をきっかけに私たちが目指しているのは、ダイバーシティー、多様性、そして、ソーシャルインクルージョン、誰一人も取り残さないといった社会なのではありませんか。それをどうして、ダイバーシティーもソーシャルインクルージョンも否定するかのようなこの動画をオリンピック・パラリンピックと結びつけるのでしょうか。そのことにも強い違和感があります。
この動画は、いわゆる適齢期の方だけでなく、いろいろな人がごらんになります。ひとり暮らしの高齢者がオリ・パラを誰と見ますかと問われて、オリ・パラは私の行くところではないと感じることになるかもしれません。誰一人取り残さない、それと逆行しています。
発案者と制作者がよかれと思ってこの動画を作成したことには異論はありません。しかし、その表現内容が、結果として、これを見た一定の人たちに、重たい鉛を撃ち込まれたような印象、効果を与えてしまったのです。
この動画に関する世論の評価を調べていく上で、民間のブライダル雑誌のあるコマーシャルに出会いました。そのメッセージはこうです。結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私はあなたと結婚したいのです。もう一度申し上げましょう。結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私はあなたと結婚したいのです。誰のことも傷つけず、それぞれの価値観を尊重しながら、結婚に踏み出すカップルを応援する、すばらしいメッセージ、表現方法だと思います。
私は結婚に反対しているのではありません。ただ、この動画を見て、強烈な拒否反応を示す方がいらっしゃるということを申し上げているのであります。その拒否する理由も、身勝手なものではなく、共感できるものであります。そういう方がいらっしゃる以上、これまで申し述べてきた理由で、私はこの動画の公開を直ちに取りやめることを求めます。
以上です。
○原委員 それでは、伺いたいと思います。
二〇二〇年に向けた実行プランにかかわって伺います。
若い世代の意見を聞いて政策立案していくことは、東京の現在と未来に向けて重要であると考えています。二〇二〇年に向けた実行プランは、二〇二〇大会の成功とその先の東京の未来への道筋を明瞭化すると位置づけられています。また、未来を担う人材の育成も政策の柱の一つです。
今回、来年度の政策強化版が出されました。そこで、改めて、若い世代の意見をどのように聞いていくのか、考えを伺います。
○山下計画部長 一昨年の十二月に公表いたしました二〇二〇年に向けた実行プランでは、未来の東京を担う若者の意見を聞くことも重要であるという認識から、主権者教育の観点も取り入れまして、都立高校での実行プランの出前授業を実施いたしました。
その結果、二十校、二百九十人の生徒さんから自主的に意見が寄せられ、また、特別支援学校の生徒さんからの意見と合わせて一千三百件を超える意見を頂戴いたしました。
また、今回の「三つのシティ」の実現に向けた政策の強化におきましても、実行プランに関する今後の取り組みにつきまして、都民の皆様から意見を募集した中で、都立高校の生徒さんからもさまざまな内容の意見をいただいたところでございます。
今後も、未来の東京を担う若者の意見も聞きながら、実行プランの推進に取り組んでまいります。
○原委員 二十校の都立高校には、実際に出前の授業もして意見をいただいたと。しかも、高校生が自主的に意見を出してきているということで、本当に、これはとても大事ないい取り組みだというふうに思います。
大もとの実行プランの三七二ページに、都立高校生からの意見、アイデア、特別支援学校高等部生徒からの意見、アイデア、ちょっと一ページだけではありますけれども、紹介をされているということも拝見しました。
それで、これに実際に職員の方が出向いていって授業をやっている、説明をしているということだと思うのですけれども、実際に取り組まれた職員の方々の感想などはいかがでしょうか。
○山下計画部長 職員の感想でございますけれども、やはり直接高校生と話をすることによって、いろいろな、日ごろ都庁で仕事をしている分には気づかない点もあったということで、非常に有益であったという感想を聞いてございます。
○原委員 ありがとうございます。高校生の意見を聞きながら、職員の方も、そこでまたいろいろ学んだことが多いのかなと思って、いい取り組みだと思うのですが、実行プランに限らず、政策企画局は、局の垣根を越えて、都民の声を踏まえながら政策立案をして、各局の実行に結びつけていくという、そういう部署だというふうに思います。
プランなどの進行管理についても、今後も、また、そのほかのさまざまな政策立案とその推進に当たっても、若い世代の意見を聞いていくようにしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。
○山下計画部長 都への政策の提案につきましては、都は、広報の専門部署を設置いたしまして、広く都民が直接提案できる機会を設けてございます。都民の皆様からいただいた提案は各局に情報提供され、政策の立案やその推進の参考となってございます。
引き続き、若い世代の意見も聞きつつ、政策の立案やその推進に努めてまいります。
○原委員 今後も引き続きということです。私は、今回、いろいろ意見も聞きながら取り組まれてきて、今回は政策をさらに強化していくという来年度版も出されている中で、改めて、これまで聞いたご意見について、その結果を、また進行状況を返していくということも非常に大事かというふうに思っています。
大もとのこの実行プランを見ますと、都民の方々からのさまざまなご意見やアイデアについてはプランへの反映ということが書いてあって、何をプランに反映したかということがあるのですけれども、高校生の意見については特にそういうことはないのですが、私は、今後、いただいた意見がどういうふうになっていったのかということを返していく、そういう工夫をしていただきたいというふうに、これは要望しておきたいというふうに思います。
先ほど選管の予算調査のところでも私は意見を述べたのですけれども、そのときにも紹介しましたが、滋賀県では子供議会をやっているのですけれども、さらに高校生議会、学生議会というのを実施しているんですね。
それで、半年かけて、議員になった人たちが調査をして議論もして、そして議会で質問をして、提案をして実現されたことをホームページなどで公表されているんですね。この子供の議員の人たちが発言して実現したことはこれですということも公表するという形でやっている。これはほかにも例があるかもしれませんけれども、とても大事だというふうに思いました。
実際に発言したことが実現をするという体験をすることがとても重要なので、ただ意見を聞いた、若い人の意見を聞くということだけではなくて、今回のように高校生に出前授業をやって、それをプランに反映させていきますよということをさらに進化させていくということで、主権者としての若い人たちの意見を公式の場で発表してもらって、それに大人が責任を持って答えていく、そういうやりとりをぜひやっていけるような東京都になったらいいのではないかというふうに思います。
東京の将来を考えても、主体的にまちづくり、また、都政にかかわる人たちを育てるということは重要です。来年度は東京百五十年の取り組みが行われる節目の年にもなりますので、こうしたことも含めて検討していただきたいということを要望して、質問は終わります。
○菅野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時五分散会
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