委員長 | 菅野 弘一君 |
副委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 中山ひろゆき君 |
理事 | 内山 真吾君 |
理事 | 中屋 文孝君 |
理事 | 荒木ちはる君 |
山内れい子君 | |
奥澤 高広君 | |
斉藤やすひろ君 | |
福島りえこ君 | |
西沢けいた君 | |
原 のり子君 | |
山田ひろし君 | |
とくとめ道信君 | |
早坂 義弘君 |
欠席委員 なし
出席説明員総務局 | 局長 | 多羅尾光睦君 |
危機管理監 | 田邉揮司良君 | |
次長 | 榎本 雅人君 | |
総務部長 | 矢田部裕文君 | |
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 池上 晶子君 | |
訟務担当部長 | 江村 利明君 | |
復興支援対策部長 | 伊東みどり君 | |
復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 | 松崎 浩一君 | |
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 | 小林 忠雄君 | |
都政改革担当部長 | 小笠原雄一君 | |
都政改革担当部長 | 豊田 義博君 | |
情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 | 久原 京子君 | |
情報政策担当部長 | 吉野 正則君 | |
人事部長 | 栗岡 祥一君 | |
労務担当部長 | 村岡 教昭君 | |
行政部長 | 野間 達也君 | |
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長 事業調整担当部長兼務 | 山口 真君 | |
区市町村制度担当部長 | 小菅 政治君 | |
総合防災部長 | 梅村 拓洋君 | |
防災計画担当部長 | 西川 泰永君 | |
防災対策担当部長 | 和田 慎一君 | |
統計部長 | 熊谷 克三君 | |
人権部長 | 仁田山芳範君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 浜 佳葉子君 |
本日の会議に付した事件
総務局関係
事務事業について(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
○菅野委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局及び選挙管理委員会事務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより総務局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
箕輪人権担当理事は公務のため、また、貫井コンプライアンス推進部長主席監察員
政策法務担当部長訟務担当部長兼務は所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○矢田部総務部長 九月十五日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は十一点でございます。
一ページをごらんください。1、平成二十八年度長時間労働面接対象者数でございます。
長時間労働の面接対象者数について、平成二十八年度の実績を局別に分けて掲載してございます。
二ページをごらんください。2、育児休業取得職員数の推移でございます。
育児休業の取得状況について、平成二十四年度から二十八年度までの五年間の推移を男性職員と女性職員とに分けて掲載してございます。
三ページをごらんください。3、防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
このページから次のページにわたりまして、平成十八年度から二十七年度の防災対策予算の執行状況を主な事業別に掲載してございます。
五ページをごらんください。4、感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
1として感震ブレーカーの都内の設置率を、また、2として区市町村における設置支援制度の状況を掲載してございます。
六ページをごらんください。5、同和対策事業の終了に伴い一般対策で実施している事業の一覧でございます。
七ページをごらんください。6、人権に関する相談件数の推移でございます。
相談分野別に平成二十四年度から二十八年度までの五カ年分の状況を掲載してございます。
八ページをごらんください。7、平成二十八年度に行った職員対象の人権に関する講演会のテーマ及び講師の一覧でございます。
九ページをごらんください。8、首都大学東京授業料減免実績でございます。
授業料減免者数につきまして、平成二十七年度から平成二十九年度までの実績を掲載してございます。
一〇ページをごらんください。9、附属機関等の会議の公開状況でございます。
附属機関等の会議の公開について、平成二十八年四月及び二十九年四月の状況を掲載してございます。
一一ページをごらんください。10、知事部局の障害者雇用率の推移でございます。
知事部局の障害者雇用率について、平成二十四年から二十八年までの五カ年の状況を掲載してございます。
一二ページをごらんください。11、都及び監理団体における非常勤職員等数の状況でございます。
都及び監理団体における非常勤職員等数について、平成二十五年から二十九年までの状況を掲載してございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○菅野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
それでは発言を願います。
○中山委員 私からは、まず、ダイバーシティー構想について伺いたいと思います。
まず、東京都人権プラザについて伺います。
前期第二回定例会において、東京都人権プラザの一部を改正する条例が可決、成立をいたしました。これまで地元におきましても、人権プラザはまさに人権啓発の、地元では台東区の北部地域にあるのですけれども、大変存在感がある、そんな施設でありました。一方で、貸し館業務もやっておりまして、サークル事業だとか、あるいはコミュニティの一つの核になってきたわけでございます。
今回、条例が可決、成立はしましたけれども、地元はどちらかといえば、やっぱり廃止をしないでほしい、そんな声が大変多いのも実態ではあるわけでございます。
そこで、総務委員会の委員として詳細説明をいただけるという機会を頂戴いたしましたので、東京都人権プラザ移転に至った経緯について、まず伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 東京二〇二〇大会の開催を契機といたしまして、人権尊重理念をより広く社会に発信し、浸透させていくことが今求められております。
東京都人権プラザは、都における人権啓発の拠点として、人権が尊重される社会の実現に寄与するため、展示事業や情報提供事業等を行う施設であります。
現在、台東区で使用している建物は、建築後四十五年を経過し、空調設備や衛生設備に関する配管類が耐用年数を迎えていることなど老朽化が進行していることから、現状のまま長期間使用を継続することは困難でございます。
また、啓発事業のさらなる拡充や、より幅広い都民の方々の利用促進も求められていることから、台東区から港区へ移転することといたしました。
この結果、東京都人権プラザは、平成二十九年一月に港区に本館として移転し、台東区にある施設は分館と位置づけ、経過措置として平成二十九年度末まで使用することといたしました。
○中山委員 築後四十五年ということでありまして、老朽化が進んでいるということでございます。それだけだと私たちも納得できないわけなんですが、一方で、人権プラザということで、都の大きな優先順位といいますか、その中において、大きな構想だったり、やっぱり理念が私は必要だというふうに思っております。
これまで、さまざまな差別問題というのは、どうしても政治的なイデオロギーで語られてきたのですけれども、二〇二〇年、まさに東京オリンピック・パラリンピックを迎えるに当たって、やはりダイバーシティー構想をどうやって根づかせていくか、あるいは、将来に対する遺産、いわゆるレガシーをつくっていく拠点にならなければなりません。そういう意味では、今後の新しい人権プラザに、大いに私たちも期待を寄せるものだというふうに思っております。
そこで、移転先である港区芝の東京都人権プラザにおいて、移転を契機としてどのような事業に取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 東京都人権プラザ本館では、さまざまな人権課題を紹介する常設展示等のほか、オリンピック・パラリンピックと人権に関する特別展示を行っております。この特別展示は、オリンピック・パラリンピックを通じまして、幅広い都民の皆様に障害者や外国人などさまざまな人権について考えていただくものとしているとともに、多文化共生をテーマとした都民向け講座の開催などを実施しております。
また、移転先の周辺には、企業や教育機関等が多く存在していることに加え、国が所管しております公益財団法人人権教育啓発推進センターとは近い距離にあり、今後、地元である港区を初めとして、さまざまな連携を進めてまいります。
今後も、東京二〇二〇大会の開催に向け、東京都人権プラザ本館を一層活用した取り組みを推進してまいります。
○中山委員 今ご答弁があったとおり、二〇二〇大会を迎えるに当たって、さまざまな人権施策を担っていくということで、それには多としたいというふうに考えております。
また、国が所管する人権教育啓発推進センターとの連携などが理由に挙げられているのですけれども、新たに認識を持った次第でございます。
ただ、一方で、平成二十九年第二回定例会において東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例が可決、成立し、平成三十年三月三十一日をもって分館の方が廃止されるわけでございます。
分館は、昭和四十七年に開館をして、東京都産業労働会館を前身としているわけでございます。これまでも、同和対策を初めとするさまざまな人権課題の解決に向けて事業を展開してまいりました。そういう意味では、地元でもこれまで本当に大きな役割を担ってきたなという、私は認識を持っているわけでございます。
また、同和対策を、しっかり課題解決のために取り組んでいる地元の団体もいるわけでございまして、やはり台東区の橋場の分館が廃止されるということは、一抹の不安を抱えているというのは事実だというふうに思っております。
そこで、移転先においても、これまでと同様に、台東区橋場で東京都人権プラザが担ってきた役割を継承すべきだというふうに考えるわけですが、見解を伺います。
○仁田山人権部長 東京都人権プラザ本館は、台東区橋場のプラザで担ってきた人権啓発の拠点としての役割を継承して移転しております。
具体的には、本館では、これまで台東区橋場で行ってきた事業のうち、展示事業、情報提供事業、一部の相談事業などを引き続き実施しております。
なお、現在、経過措置として分館において行っている会議室等の提供事業につきましては、平成三十年三月三十一日の分館廃止に伴い、終了いたします。
○中山委員 具体的には、展示事業であったり、情報提供事業であったり、また、一部の相談事業が引き継がれるという答弁でありました。
やはりこれまで担ってきた橋場の地域の人権プラザというのは大変大きな存在感があったわけでございまして、その辺の懸念をぜひ払拭していただきたいと思います。
そういう面では、同和に対する対策をしているさまざまな団体があると思いますけれども、引き続き意向をできるだけ酌んでいただけるように、ひとつここは強く要望させていただきたいと思います。
本件については最後になりますけれども、本年度末をもって分館を廃止した後の施設の活用について、どのような方針なのか、所見を伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 東京都人権プラザ分館の廃止後は、建物が老朽化していることも踏まえ、建物を取り壊し、土地については財務局に引き継ぐ予定でございます。
引き継ぎ後の利活用につきましては、東京都の公有財産関係の条例や規則にのっとり、関係各方面との調整の上、決定されます。
○中山委員 ちょっと冷たい答弁であったのですけれども、これまでサークル等々を行ってきた方々、あるいは地域の皆さんの意向というのがあるわけでございまして、先日、台東区の方にも陳情が出されて、結論的には継続審議になったわけでございますが、どの会派も、やはり地元の声からすると、同じような施設をつくってもらいたいという声が大変大きいわけで、私も議事録を拝見しまして、どの会派も、東京都と連携をして、そして何かをつくってほしいという要望がこちらの方に、議事録で見た感じではあるのですけれども、また、こちらは皮革産業の聖地であります。そういう意味では、靴、かばん、履物、さまざままだ事業を展開されている方が多くいるわけでございまして、熱心に産業労働局の方でもいろんな事業に取り組んでおります。
そういう面では、東京都の中でも、総務局と産業労働局がよく対話をしていただいて、ぜひうまい形で都有地を活用してもらいたい、あるいは台東区とぜひ連携をしていただくよう、強く要望をさせていただきたいというふうに思っております。
次の質問ですが、今回、部落差別解消法について質問をいたしたいと思います。
平成二十八年十二月に、部落差別の解消に向けて国等の取り組みを定めた部落差別の解消の推進に関する法律が公布、施行されたわけでございます。部落差別の言葉を冠した初めての法律であります。国や自治体の責務として、相談体制の充実や教育、啓発、実態調査の実施が明記されたわけでございます。
そこで、部落差別の解消の推進に関する法律が施行されたことに伴い、部落差別解消に向けて、都は、現在どのような取り組みを行っているのか、所見を伺いたいと思います。
○仁田山人権部長 同和問題につきましては、都は、平成十四年三月の同和問題解決のための取組に関する基本方針及び平成二十七年八月に改定いたしました東京都人権施策推進指針に基づき、同和問題の解決に向けての取り組みを推進してまいりました。
都内においては、依然として、公共施設等における差別落書きや張り紙をする事例等が発生しております。最近では、インターネット上に特定の地域を同和地区であるとするなどの情報が掲載され、問題になっております。
そうした中、部落差別の解消の推進に関する法律が昨年十二月に公布、施行されました。同法は、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的としております。
都では、部落差別の解消の推進に関する法律等に基づき、引き続き同和問題解決に向けて取り組んでまいります。
○中山委員 これまで都は先進的に取り組まれておりまして、そこに国の法律が個別法として制定されたということだというふうに思います。
今回、ちょうど民主党政権から自民党、現政権に戻りまして、実態とすれば、人権を大きなくくりとした法律をやっていこうというところから個別法に変わってきたということでありまして、今回、障害者差別解消法、今の部落差別解消法あるいはヘイトスピーチ対策法ということで、逆に私はそれはわかりやすいというふうに思っておりまして、国民としても、国が後押ししてくれるということは、私は大変大きいことだなというふうに思っております。
そういう面では、今回の部落解消法ができたということは、都がやっていることの一つの担保になるというふうにも認識をいたしているわけでございます。
また、今後、ダイバーシティー構想を一つ一つ根づかせていくという意味では、後押しをしてくれているというふうにも私は見るわけでございますが、最後に、ヘイトスピーチ解消に向けて都が取り組んでいると思いますが、人権尊重の取り組みを進めて多様性と優しさのあるダイバーシティー実現に向けて、局長のご決意をお願いいたしたいと思います。
○多羅尾総務局長 世界の中で輝き続ける東京であるためには、人権は当然に尊重されるべきものでございます。
ただ、現実には多くの個別の問題がございます。例えば外国人に対しては、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるお話のヘイトスピーチは許されるものではございません。
都はこれまでも、国に対して実効性のある対策を求めるとともに、大型啓発イベントや人権週間行事などにおいて、外国人の人権をテーマにさまざまな都民啓発を行ってまいりました。
昨年六月には、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ解消法が公布、施行されました。同法はいわゆる理念法ですが、ヘイトスピーチは許されないことを宣言するとともに、さらなる人権教育と人権啓発などを通じて、その解消に向けた取り組みを推進するため制定されたものでございます。
都は、都民啓発をより強化するため、法施行から一年となりました本年六月に、「広報東京都」六月号による啓発、都営地下鉄における啓発ポスターの掲出、渋谷や新宿における啓発動画の放映など、啓発活動を集中的に実施してまいりました。
今後とも、国と十分連携しながら、多様な人権の尊重に向けた取り組みを推進し、多様性と優しさのあるダイバーシティー東京を実現してまいります。
○中山委員 局長、ご答弁ありがとうございました。
今ご答弁にありましたとおり、今後もダイバーシティー構想が実効性の高いものになるよう強く要望いたしまして、私からの質問を終了させていただきます。ありがとうございます。
○斉藤委員 私の方から、大きなテーマは三つ、一つは防災関連、二つ目に働き方改革について、三つ目に行革関連をテーマに質問させていただきます。
初めに、水防対策について質問します。
近年、我が国におきましては、極端な集中豪雨によりまして大きな人的、物的被害が発生するなど、自然災害の激甚化が進んでいると思います。
例えば、平成二十七年九月、関東・東北豪雨では、常総市におけます鬼怒川の決壊などのため、多くの住民が孤立し、約四千三百人が救助されました。記憶にあるところでございます。先日も常総市の市長にもお会いしましたけども、都民の皆様にもご支援いただいたことを大変感謝されておりましたが、大変な被害でございました。
また、昨年八月の台風十号では、中小河川が氾濫いたしまして、死者、行方不明者が二十九人に上るなど、岩手県や北海道の各地で甚大な被害が発生しているところであります。
これらの水害を踏まえまして、現在、国においては、堤防などの施設では防ぎ切れない大洪水は発生が避けられないものといった考え方に立ちまして、水防災意識社会の再構築、減災を中心とした視点というものを強調して進めているところであります。
先ほど申し上げました台風十号の被害を踏まえて、本年五月には水防法が改正されまして、大規模氾濫減災協議会の制度の創設や、要配慮者利用施設におけます避難確保計画の作成及び避難訓練の義務化などが定められたところと認識しておりますが、都におきましても、都が管理する河川がございます。この河川について、大規模氾濫減災協議会の設置について検討が行われていると承知しているところであります。
この首都圏も、いつ何どき豪雨に襲われても不思議ではありません。そのとき、もし区部の東部低地帯におきまして大規模水害が発生した場合、百万人単位の住民が自治体の区域を越えて避難することを余儀なくされる可能性がございます。
このようなことを考えたとき、都は、広域自治体の立場から、事前に国や関係自治体と調整を重ねまして、広域避難の体制を構築していく必要があると考えますが、都の現在の取り組み状況について伺います。
○西川防災計画担当部長 あらかじめ大規模水害に備え、都民の生命を守るためには、自治体の区域を越えた住民避難を円滑に実施するための体制を構築していくことが重要でございます。
現在、都は、国の中央防災会議のもとに設置されましたワーキンググループや、荒川が決壊した場合に浸水が想定される地域に位置する五つの特別区による協議会に参加をしておりまして、浸水の深さ、継続する時間など、被害状況に応じた避難方法について検討しております。
さらに、都内関係自治体による意見交換の場を設けまして、住民の安全かつ効果的な避難が可能となるよう検討を行っております。
今後も、国の動向等も踏まえまして、関係自治体や関係機関と連携しながら、大規模水害に関する広域避難の検討を進めてまいります。
○斉藤委員 災害対策基本法におきましては、水害が予想された場合、区市町村長が住民に対して避難情報を発令することとされています。住民は、この情報に基づいて避難行動を起こすことになります。
しかしながら、昨年の台風十号による水害では、町役場から避難準備情報が出されたものの、避難準備情報には、高齢者などの要配慮者は避難を開始しなさい、するべきだ、そういう意味が含まれているということが伝わらなかったために、適切な高齢者の避難行動がとられずに、高齢者施設におきましては多数の犠牲者を出してしまったと分析されているところであります。
国は、そうした状況を踏まえまして、本年一月に避難勧告等に関するガイドラインを改定いたしまして、従来の避難準備情報を避難準備・高齢者等避難開始へと名称変更いたしまして、その意味するところを明確にしたと聞いています。
また、人的被害が生じる危険性が非常に高まった場合に出される避難指示ですね、この避難指示につきましては避難指示(緊急)へと名称を変更いたしまして、その事態の切迫性を強調しております。
このような対応も重要だと思いますけれども、何よりも住民の側が水害に対する意識を十分に持っていなければ、やはり適切な避難行動にはつながらないわけでございまして、その期待はできないと考えます。であればこそ、住民に対する水害への意識の啓発が重要になってくるわけですが、この点は、本年の第三回定例会でも我が党が質問をしたところでございます。
そこでまず、先ほどの避難情報の変更について、都民に水害に対する意識を浸透させるため、都が行っている取り組みについて伺いたいと思います。
○西川防災計画担当部長 住民が区市町村長が発令する避難情報を正確に理解し、適切な避難行動へと結びつけることは、水害の危険から身を守る上で非常に重要でございます。
そのため、都は、水害リスクについての知識を普及するため、本年二月、リーフレットを作成し、全区市町村へ配布して窓口等に設置していただくとともに、都や自治体の防災関連のイベントなどで参加者に配布しておるところでございます。
このリーフレットは、今お話のありました今回変更された避難情報のほか、気象庁による注意情報、警報について解説をするとともに、非常用の持ち出し品や備蓄品のリストなども掲載してございます。
加えまして、都内のデジタルサイネージを活用いたしまして、変更された避難情報の名称とその意味について周知を図るといった取り組みを進めております。
○斉藤委員 リーフレットなどを作成して啓発に努めていると。(資料を示す)これがその現物でございますが、字が大変小さいのがちょっと気になりまして、ご家族の方がまずこれをしっかり見ていただく。また、老老の方ですとか、ご家族ですとか、単身の方、そして目の不自由な文字の読み取れない方々、そういった方にも、避難情報がこのように、避難指示(緊急)など変更があったことについても、できるだけ丁寧に、一遍には全部はできませんけれども、できるだけ急いで啓発を進めていただきたい、このように感じたわけです。大活字という、大きな字で情報を出すということも重要であろうと思います。
さきの第三回定例会の我が党の代表質問に対しまして、都は、区と連携いたしまして、水害リスクに対する意識啓発を目的とした水害ワークショップを開催しているとご答弁いただきました。このような地道な取り組みによりまして都民の意識を着実に高めていくことが、発災時の適切な避難行動へと結びつき、被害を少なくすることになると考えます。
そこで、このワークショップの具体的な内容と開催状況について伺いたいと思います。
○西川防災計画担当部長 都は、水害リスクに対する認識を向上させ、適切な避難行動につなげるため、水害に関するワークショップを平成二十八年度から開催しております。
ワークショップにおきましては、学識経験者や気象台の職員などにより、洪水に関する知識や注意報、警報の意味などを解説していただきますとともに、地元で水害が発生する可能性のある場所を実際に見るまち歩きなどを行っております。さらに、ハザードマップを用いたグループワークにより、参加者みずから避難行動について具体的に検討しております。
開催状況につきましては、平成二十八年度は、江戸川区で三回にわたって開催をいたしました。平成二十九年度は、足立区で二回、墨田区、荒川区でそれぞれ一回ずつ開催しておりまして、年度末に向けて、引き続き開催をする予定でございます。
今後も、水害リスクに対する都民の意識を高めていくため、啓発活動を積極的に実施してまいります。
○斉藤委員 地元で水害が発生する可能性のある場所を実際に見て回るまち歩き、大変いいアイデアだと思います。また、私、区部東部から選出されています墨田区の加藤雅之都議にお伺いしましたけれども、先日参加されたそうですが、大変好評でありまして、まず、顔を合わせて、いろんな方々と知り合うことができるところから始めて大変に有意義だったということで、第二回が予定されているようでございますが、こういった取り組みが非常に重要であろう、このように思うわけでございます。
本年も、七月の九州北部豪雨や九月の台風十八号、十月の台風二十一号など、いずれも今までに考えられなかったような記録的な大雨をもたらしまして、全国に大きな爪跡を残しております。被災地の皆様には心からお見舞いを申し上げますけれども、このような気象状況の変化を踏まえれば、水害対策はまさに喫緊の課題であります。
東京におきまして大規模水害が発生する際には、その被害は都内にとどまりません。これは近隣県にも及ぶことが考えられます。河川とはそういうものでございますし、自然災害とはそういう広域なものでございます。困難な課題でございますけれども、都におきましては、都民を初め、都民のみならず、近隣県の住民を水害から守るために、国や近隣県の自治体とも連携しまして着実に取り組みを進めていってもらいたい、このように強く要望しておきたいと思います。
常総市の市長ともお話ししたのですが、日ごろから--常総市なども、鬼怒川の決壊は大変な被害だったのですが、都民の方からも大変大きな支援をいただいたと。観光でつながることも大事なんですが、できれば、ほかの地域で起こった災害について支援を続けていくことが、翻って自分の地域の災害意識の向上につなげることができるということもございます。
観光ということで入るのも大事だと思いますが、そういった災害の現場でどういったことが語り継がれていくのか、また、どういう取り組みをしたかということを知っていただくためには、常総市は、準市民という、そういったアイデアを持って、市民にならずも、住民票はそのままなんですが、準市民という形で市に親しんでもらいたいみたいな取り組みも、災害後、考えているようでございます。日ごろからの連携が重要だと改めて申し上げておきたいと思います。
次のテーマに移りたいと思います。
次は、働き方改革に関連することでございますが、男性の育児休業につきまして、きょうは都の職員の皆様についての状況もお伺いしたいと思っております。
安心して子供を産み育てるためには、女性だけではなく、男性が仕事と子育てを両立できる環境づくりが重要であることはいうまでもございません。
現在、国では男性の育児休業取得率を二〇二〇年までに一三%とする目標を掲げて、企業でも努力が進んでいます。
また、ことし一月には、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正されまして、妊娠、出産、育児に関する嫌がらせ、いわゆるマタハラ、また男性に対しては、父性に対する差別ということでも、パタニティーハラスメント、パタハラというものもあります。こうしたことのないように対策をとることが企業に義務づけられるなど、男性の育児休業取得促進への機運が高まっていると認識しております。
男女とも活躍できる社会に向けまして、都庁から範を示し、男性職員が率先して育児休業を取得すべきと考えますが、現在の状況についてお伺いしたいと思います。
○村岡労務担当部長 職員が仕事やキャリア形成と育児を両立していくことには、父親と母親が協力して子育てを行っていくことが重要であり、都はこれまで、父親である男性職員が積極的に育児に参加できるよう、さまざまな支援に取り組んでまいりました。
具体的には、男性職員の育児休業を初めとする育児関連休暇の活用促進はもとより、男性職員の両立体験談の紹介、育児休業者向けの講座に夫婦そろっての参加など、男性職員の積極的な育児参加を促しているところです。
男性職員の育児休業取得率については、平成二十五年度までは二%台だったところ、平成二十六年度以降は四%台ないし五%台で推移しております。
○斉藤委員 きょう委員会に提出された資料の中の二ページに、ちょうど育児休業取得職員数の女性、男性別の数字が出ております。
私も参考にさせていただきたいと思いますが、国家公務員におきましては、一般職の男性職員の育児休業取得率が、昨年度初めて一〇%、一割を超えた。昨年度、新たに育休を取得した男性国家公務員の割合は八・二%で過去最高になったなどと報道されております。民間レベルでも、いわゆる男性の産休の取得率一〇〇%、男性の育児休業の取得率一〇〇%、こういった目標を掲げている企業も出てきております。
都の男性職員の育児休業取得率は四から五という今のお話でしたけれども、まだまだ低い水準です。これは、分母が三桁で、取得している数が大変少ないので、その数字は年によって大きく変動するのも現時点ではやむを得ないかもしれませんが、まだまだ低い状況であることは、これは明らかです。もっと明確に目標を掲げまして、男性の育児にかかわる休暇、休業の取得促進に取り組むべきであると思います。
現状への認識と今後の取り組みについて所見を伺いたいと思います。
○村岡労務担当部長 男性の育児参加にかかわる休暇、休業に関して、配偶者の出産に伴い取得できる出産支援休暇の取得率は八割を超え、生まれた子やその兄弟の養育に関し取得できる育児参加休暇は約七割の取得率となっております。
男性職員の育児休業取得率向上に向けては、処遇面で、今年度から、一カ月以下の育児休業について勤勉手当の勤務期間から除算しない制度へ改正したところです。
去る十一月七日には、男性職員の育児参加を強力に進めることなどについて、知事、特別職、全局長による都庁働き方改革宣言として示したところであり、今後、より実効性のある取り組みを検討、展開してまいります。
○斉藤委員 都庁の働き方改革宣言、全局長によるということで、多羅尾局長も宣言されたというふうに伺っております。職員の方のことをいう前に自分はどうなんだということもございますが、議員の産休や育児のあり方については、国会でしばしば、価値的な議論ではなくて、どちらかというとイメージを損ねるような、議員としてのそういった批判が強まるような報道が多いのは大変残念に思います。
まずは、都庁は非常に大きな組織でございますので、それぞれの皆さんで協力し合って、ぜひ各企業の範たる男性の育休の取得率向上を期待したいところでございます。
このテーマは最後にもう一つございますが、次、最後に、このテーマの一つですが、女性の活躍を促すための制度の問題ですが、女性の活躍を促すには、家族の状況に合わせまして選択できる多様な働き方の選択肢を広げていくことが重要であります。
働く既婚女性にとって、配偶者の転勤は大変悩ましい問題でございまして、退職して同行するか、別居するかの二者択一を迫られることもあります。特に海外勤務などはそうです。私のところにも、そういった相談がございました。
こうした悩みへの具体的な解決策として、平成二十七年から配偶者同行休業制度が都として導入されております。
そこで、都における配偶者同行休業の活用状況についてお伺いしたいと思います。
○村岡労務担当部長 配偶者同行休業は、配偶者の海外勤務等に同行するため、一時的に職務を離れる必要がある職員の継続的な勤務を促進する観点から制度化され、三年を超えない範囲で休業することができる制度でございます。
平成二十七年四月の制度創設から現在までに、知事部局等で、現在、合計二十九人が取得しており、女性職員を中心に活用されております。
配偶者同行休業を取得した職員には、本人の仕事と家庭の両立はもとより、職務復帰後のキャリア活用が期待され、中長期的視点に立った人材確保にも寄与するものであり、今後も、男女を問わず、取得促進に取り組んでまいります。
○斉藤委員 利用されている方がおられるのは大変うれしく思いますが、これは本当に大変喜ばれている制度でございます。働き方改革、今、政府を挙げてやっておりますけれども、これは、雇用側、雇う側というか、チームを組む側、一緒に仕事をしている側からすれば、キャリアを持った方がそういった理由によって退職されることは望まれない。むしろ、転勤から帰ってきたら、またそのキャリアを生かして働いてもらいたいということで、雇用側にも大変プラスになる制度だというふうにいわれておりますので、テレワークだけでなく、こういったこともしっかりと活用されながら、働き方改革の範を示していただきたいと思っております。
次に、最後のテーマでございますが、行革的な視点から、指定管理者制度と監理団体の活用について伺いたいと思います。
指定管理者制度は、多様化する住民ニーズにより効率的、効果的に対応するため、公の施設の管理に民間などの参入を可能とすることで、一つは住民サービスの向上、二つ目は経費の削減を図ることを目的とするものと理解しております。都におきましては、平成二十九年四月の時点で、百九十九の施設において導入していると伺っております。
都としては、指定管理者に東京都監理団体を指定し、広く活用していると思います。
そこで、監理団体に指定管理者を指定している件数をまず伺いたいと思います。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十九年四月現在、指定管理施設であります百九十九施設のうち、監理団体に指定管理者を指定していますのは百十三施設でございまして、おおむね六割弱となってございます。
○斉藤委員 百十三施設、おおむね六割弱。
このように監理団体的な団体を指定管理者にしているのは、ほかの道府県でも見られることでございますが、次に、監理団体への特命の状況について、指定管理者における特命の全体の状況とあわせて伺いたいと思います。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十九年四月現在、監理団体への特命につきましては八十九施設でございます。
指定管理施設のち、特命施設全体では百四十三施設ございまして、特命全体に占めます監理団体の特命の割合は、件数ベースで約六割となります。
○斉藤委員 きょうはグラフみたいなものでしかできていないのですけれども、割合としては六割を超えていると。一般的に見まして、監理団体への特命の割合が高いという印象を受けるわけでありますが、割合、数字以上に大事なことは、その中身、サービスの向上とコスト削減の達成であるというふうに私は思っております。この目的を達成するため、不断の改革が重要であると思います。
これは改革ということでいえば、大阪府、大阪市が指定管理者制度についての改革を行ったことを、せんだって、昨年になりますけれども、調査をしてまいりましたけれども、特に住まいの管理をめぐっては、公営住宅の管理をめぐって、指定管理者制度の導入について大変検討がなされたということを調査してまいりました。
命を預ける住まいと、さまざまな施設の管理がございますので、一概に全てを一緒に議論することはできないと思いますが、例えば、都民生活に直結する福祉や住まいの分野に関する施設に指定管理者制度を適用するに際しまして、公募による競争を行うことが適当なのかどうか、こういった検討が必要であると、大阪でもしっかり議論されましたし、また私もそういうふうに思います。
そこで、制度上、特命によります指定管理者の選定ができる場合として、どのような基準を東京都は設けているのか、伺いたいと思います。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 指定管理者の選定につきましては、広く民間のノウハウを活用し、競い合いの中で最も適切な事業者を選定することを基本としておりますけれども、施設の状況に鑑み、競い合いなどによる効果が十分に発揮できないと考えられる場合などにおきましては、公募によらず選定することも可能としてございます。
東京都指定管理者選定等に関する指針におきまして特命選定が可能となる施設としては、管理形態などのあり方について検討中である施設や民間移譲等の方針が決定している施設、指定期間の過半にわたって大規模改修が予定されている施設などがございます。また、都の政策と特に密接な関連のあります施設につきましては、行政支援、補完機能を有する監理団体を特命選定することを可能としてございます。
一方で、特命による選定が可能な場合でございましても、行政、監理団体、民間の役割分担のあり方につきましては、社会経済環境の変化に応じて見直しを図っていく必要がございまして、最適な選定手法につきましては、常に検証を行っていくことが重要であると認識してございます。
○斉藤委員 監理団体は都にとっての重要なパートナーであることは、これは間違いないと私は思います。しかし、一方で、指定管理者として安易に特命することに対して、都民の目は特に厳しいものでございます。それが現実でございますが、経営目標の取り組みの適切な運用や監理団体改革の取り組みなどを通じまして経営改善などが図られて、団体に対する都民の理解と納得を高めていくことが非常に不断に重要であると。指定管理者制度においても監理団体を活用していく大義がそこにあるんだと思います。
そこで、監理団体全体を所管している総務局といたしまして、監理団体改革を含めて、監理団体をどのように改革を進めていくのか、局長の見解を伺いたいと思います。
○多羅尾総務局長 都はこれまでも、時代の変化に合わせ、監理団体の経営改善や情報公開など、さまざまな改革に取り組んでまいりました。
今後、高齢化の進展や人口減少社会の到来など、将来を見据えてさまざまな政策課題に取り組み、首都東京を持続的に発展させていくためには、その担い手となる都庁の改革とあわせて、監理団体の改革を引き続き推し進めていくことが重要であると認識しております。
そのため、本年九月の都政改革本部会議において、監理団体を都庁グループ、重要なパートナーという意味になると思いますが、その都庁グループの一員として位置づけた上で、都民目線に立った情報公開、また、団体、所管局、総務局による三つの切り口での改革の推進等、団体改革の方向性を新たに示してまいりました。
今後は、仮称でございますが、団体による経営改革プランの策定を初め、都と団体の役割分担や団体活用の考え方の検証、団体特性に応じためり張りある関与手法の導入など、検討を深化させ、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
こうした改革を積み重ねていくことで、監理団体に対する都民の信頼を高め、都庁の本体とともに、新しい東京の実現を目指していくことが必要と考えております。
○斉藤委員 きょうの今の局長のご答弁をいただきまして、監理団体改革は、非常にこれから重要な政策課題になってきているんだなと認識をいたしました。
監理団体そのものの見える化、どのように監理団体が--いろんなところで活躍されていますけど、それぞれの個々の監理団体が一体どういうことを目的に設置されて、どういうことで運用されて仕事をしているか、そうしたことについては、そういった予算の執行状況だけでなく、仕事ぶりについても見える化をしていくことが重要だと思います。
また、指定管理者制度からきょうは議論させていただきましたけれども、指定管理者制度というのは行革のツールの一つでございますので、民間にできることを洗い出して、公の施設であっても民間を導入することで、先ほどいった都民サービスに対する向上とコスト縮減というもとでの、一つのツールとして指定管理者制度がございますが、そういった制度の中に特命として監理団体が入っていくことの意味、そういったこともございます。
それから、これは第三回定例会でしょうか、報告書、外部の視点を入れた目標に対するチェックですね。これは来年度が非常に重要な年度になると思いますが、外部の目を入れての評価というものを、またプランに生かしていくというサイクルが重要だと思います。
全団体による経営改革プランを策定するという局長のご答弁もありましたけれども、今後、しっかりとこの監理団体改革、都民の暮らしをより一層豊かにするために、また、都の職員の皆様のノウハウをどのように持続あるものにしていくかということも含めまして、議論を続けていただきたいと思います。
本日の質問は、以上で終わりたいと思います。
○早坂委員 まず、人口減少、超高齢社会における区市町村の行政サービスのあり方について伺います。
我が国は、二〇〇八年をピークとして、これから本格的な人口減少社会を迎えることになります。東京都の人口は、現時点では増加傾向にあるものの、八年後の二〇二五年をピークに減少に転じると見込まれています。
また、六十五歳以上の人口割合である高齢化率では、終戦から五年後の一九五〇年には五%を下回る数値であったのに対し、以来、一貫して上昇、八年後の二〇二五年には我が国の高齢化率は実に三〇%となり、以後もさらに上昇し続けるとされています。
高齢化の進展イコール生産年齢人口の減少であり、人口減少社会と相まって、納税者の減少、すなわち、税収減は必ず発生する事態であります。
こうした状況下で持続可能な行政サービスを展開していくためには、行政サービスの効率化が求められます。その一つは、みずからの自治体独自のスリム化の努力であり、もう一つが近隣自治体同士の協力、すなわち広域連携であろうと思います。このことは、我が東京都はもちろんのこと、基礎自治体である区市町村においてもいえることであります。
国の地方制度調査会では、将来を見据えた区市町村の行政体制のあり方として、合併、基礎自治体間の広域連携、都道府県による補完などの多様な手法の中で、それぞれの区市町村が最も適したものをみずから選択できるようにしていくことが必要であるとしています。
私は、その中でも基礎自治体間の広域連携について、区市町村が相互に連携協力しながら地域の共通課題を解決していく方法として有効であると考えます。
そこで、地方制度調査会の答申を受け、基礎自治体の広域連携の活用などについて、国ではどのような検討がなされているのか、伺います。
○小菅区市町村制度担当部長 東京の人口は、今後しばらくは増加を続けるものの、二〇二五年の一千三百九十八万人をピークに減少局面に入るものと見込まれます。
こうした中、昨年三月に出された国の第三十一次地方制度調査会の答申では、行政サービスを持続的に提供していくことが人口減少への対応につながるものとした上で、自治体間の広域連携や補完の必要性、有効性について言及しています。
また、本年十月には総務省に自治体戦略二〇四〇構想研究会が設置され、全国の高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年ごろの自治体を想定し、住民生活に不可欠な行政サービスのあり方や、個々の自治体では完結しない広域的な行政課題への対応などについて検討を開始しております。
○早坂委員 基礎自治体の広域連携の活用などについて、総務省で検討が始まったとのお話でありました。
繰り返しになりますが、人口減少社会、そして超高齢社会では、限られた行政資源を活用した効率的な行政運営が求められます。
そこで、都内の区市町村において、これまでどのような連携の事例があるのか、伺います。
○小菅区市町村制度担当部長 都内の区市町村では、それぞれの自治体の強みを生かした連携や、地理的なつながりに基づく連携の事例が見られます。
例えば、観光振興に力点を置く墨田区と台東区では、東京オリンピック・パラリンピックが終了する二〇二一年までの間、東京スカイツリーや浅草寺など東京を代表する観光施設へのさらなる集客や、空港からのアクセスを利用した訪日外国人の拠点整備などを狙いとして、観光分野での連携協定を締結しています。
また、多摩地域においては、多摩川に沿って位置し、鉄道で結ばれた調布、府中など十の自治体がイベントや職員交流を行う多摩川流域連携会議や、相互に近接し、市街地が連担している武蔵野、三鷹、小金井、西東京の各市が図書館やスポーツ施設などの公共施設を共同利用する取り組みが行われています。
さらに、今後の有効な連携を模索する動きとして、立川市を中心とする九市による広域連携サミットや、特別区と全国各地域の自治体との共存共栄を図ることを目的とする全国連携プロジェクトなどの取り組みが進められております。
○早坂委員 鉄道や道路などのつながりや、観光や産業などといった共通するテーマをベースとして、各基礎自治体間でさまざまな取り組みが始まっています。例として示された図書館の共同利用がわかりやすい例でありますが、一つの区市町村で図書を購入するよりも、幾つかの基礎自治体が協力して図書を購入する方が、より多くの種類の図書を購入できることは明らかであります。
そういった一つ一つの基礎自治体同士の連携を積み重ねた究極のものが市町村合併であると考えます。国が主導し、既に平成の大合併をなし遂げ、来るべき納税者減少社会への取り組みが始まっています。しかし、市町村合併により、逆に行政サービスへの距離が遠くなったり、地域の独自性が失われたなどのデメリットが生じているのは、よく知られたことであります。
東京都は、今日まで人口が増加し続けてきたため、基礎自治体間での広域連携といった議論からは遠いところにあったように思います。しかし、将来を見据え、そういった議論を始める時期に差しかかったのではないでしょうか。
無論、都内の基礎自治体は、それぞれ高齢化の進展状況や人口の増減のピークやスピードも異なるものでありますし、また、それぞれのペースやスタンスで都内の基礎自治体同士のさまざまな連携や協力が実施されていくものと思われます。基礎自治体同士の連携を今後さらに推し進めていくためには、その特性をよく理解しておく必要があります。
そこで、基礎自治体の広域連携のメリットとデメリットについてお伺いをいたします。
○小菅区市町村制度担当部長 広域連携のメリットとしましては、行政需要が多様化していく中で、人材や土地、インフラなどの限られた資源を有効に活用することにより、地域の行政課題に効率的に対応することができることがあります。また、任意の協定から地方自治法に定められた共同処理方式など、幾つかの手法が選択できることや、分野によって連携する自治体の組み合わせを変えたりすることができる点で、柔軟な運用が可能となります。
一方、デメリットとしては、事務分担や費用分担など事務手続に関するルールづくりが必要な点や、意思決定が複雑になる可能性があることなどが挙げられます。
なお、東京においては、広域連携は、現在まで活用された事例は全体としてはまだ少ない状況にあります。
今後、都内の区市町村は、こうした広域連携の特性に配慮した上で、導入の効果を十分に検討していくことが重要であると認識しております。
○早坂委員 東京都において広域連携が活用された事例は、現在まで少数であるとのご答弁でありました。
都内の各区市町村がみずからの行政区内において行政サービスを十分に提供していくことは当然のこととして、誰もが経験したことのない人口減少、そして超高齢社会に機動的、柔軟に立ち向かっていくためには、行政区域を越えた連携協力が重要な選択肢の一つになっていくものと考えます。今後は、例えば高齢者施策の分野などにおいても、課題を共有する近隣基礎自治体同士で新たな連携体制を構築するなど、これまでにはない取り組みも考えていく必要があります。
また、現在でも、市町村の消防事務や水道事務などは、島しょ部を除き、おおむね東京都に一元化されています。こうした広域連携が困難な地域や分野においては、東京都がその実情に応じて市町村事務を補完、代行することもあり得ると思います。
今後、東京都は広域自治体として、基礎自治体である区市町村の自主性を十分に尊重しつつ、真に必要な都民サービスを提供していくという立場に立って、区市町村に対し、必要な助言や支援を積極的に行っていくべきものと考えます。
そこで、都内の区市町村における広域連携の取り組みについて、総務局長のご見解をお伺いします。
○多羅尾総務局長 冒頭の委員のお話にもございましたけれども、東京の人口は、区部を中心に全体としては増加しておりますけれども、地域別に見ると、既に減少が始まっている自治体もございます。また、高齢化が一層進み、二〇三〇年にはおおよそ四人に一人、さらにその二十年後の二〇五〇年には三人に一人が六十五歳以上になることが見込まれております。
東京においても、これまで経験したことのない人口減少、少子高齢社会を迎え、都内の区市町村を取り巻く行財政運営の状況はさらに厳しさを増していく中、東京が将来にわたって持続的に発展していくためには、今まで以上に効率的で質の高い行政サービスを、これまでにない取り組みも含め、工夫を凝らしながら提供していかなければならないと考えております。
区市町村の広域連携は、そのための有意義な取り組みの一つであり、都としても、それぞれの地域において連携が促進するよう、区市町村の自主性を最大限に尊重しながら、一方で、支援、協力に全力を挙げてまいりたいと考えております。
○早坂委員 次に、国民保護に対する東京都の対応について伺います。
本年八月二十九日、そして九月十五日に、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが我が国の上空を通過しました。北海道や東北地方のほか、関東地方においても茨城県や群馬県でJアラートが鳴るなど、都民にとって看過できない深刻な脅威が目前で発生しています。
北朝鮮から再び弾道ミサイルが発射されるなどの武力攻撃事態が発生した際に都民が適切に行動するためには、日ごろから避難について十分に理解しておくことが必要です。
本日は、三つの場面について伺います。
第一は、今まさに東京都が弾道ミサイルに襲われる可能性が高いとして、都内にJアラートが鳴動したという場面、第二に、その弾道ミサイルが東京都に着弾したという場面、第三に、それらの事態を想定し、対処するための平時の場面です。
まず初めに、弾道ミサイルが今まさに東京都に向けて飛来する可能性が高まり、都内でJアラートが鳴動した場合の東京都の具体的な対処について伺います。
○和田防災対策担当部長 弾道ミサイルが東京に飛来する可能性がある場合は、都として迅速に態勢を整えて対応することが重要であります。
都内でJアラートによるミサイル発射情報が伝達された場合、都は直ちに職員を参集させ、対策本部を設置するなど、その後の事態進展に対処する態勢を整えます。
さらに、国からの弾道ミサイルに関する詳細情報や都内の状況について情報収集を行うとともに、都民に対して必要な情報を発信していきます。
今後も、都内でJアラートによる弾道ミサイルの発射情報が伝達された場合に備え、適切に対応してまいります。
○早坂委員 次に、都内に弾道ミサイルが着弾した場合の東京都の対処について伺います。
○和田防災対策担当部長 弾道ミサイルが落下した場合の対処につきましては、知事を本部長とする対策本部に切りかえ、国や警察、消防などの関係機関と連携しながら、被害の最小化に努めていくこととしております。
また、国民保護法に基づく国からの避難措置の指示や救援の指示などを受け、区市町村などの関係機関と連携して、住民の避難や食料、生活必需品の供給、医療の提供などを実施していきます。
今後とも、都民の生命、身体及び財産を守るため、関係機関との連携強化を図るなど、万一の事態に迅速かつ的確に対応できるよう備えてまいります。
○早坂委員 第三に、それらの事態に備えた平時の対応について、都民への啓発に関する東京都の取り組みについて伺います。
○和田防災対策担当部長 Jアラートによるミサイル発射情報が伝達された場合、都民に的確な避難行動をとっていただくためには、一人一人がその行動について理解していることが重要であります。
都においては、ミサイル落下時の行動について、東京都ホームページや防災ツイッター、デジタルサイネージ、「広報東京都」などを活用し、区市町村とともに広報活動を実施するなど、都民に対し、きめ細やかな周知を行っております。
また、海外からの来訪者も多いことから、Jアラートによる情報伝達の仕組みや、とるべき具体的な行動について、英語、中国語、韓国語の三カ国語でも防災ホームページに掲出しております。
引き続き、ミサイル発射時の情報伝達の仕組みや具体的な避難行動について、さまざまな機会を活用し、理解促進を図ってまいります。
○早坂委員 ありがとうございました。
国防に関することは、国の専権事項です。一方で、住民保護に関する第一の担い手は、基礎自治体である区市町村であります。
したがって、本日お示ししたような武力攻撃事態に対する東京都の役割は、国や区市町村に対する補完的役割にあると考えます。都民の生命と財産を守ることが、東京都という行政体の最大の使命であり、また存在意義であります。
被害の最小化に向けて、国や区市町村を積極的にサポートしていただきますようお願いいたします。
終わります。
○とくとめ委員 私からは、最初に防災問題について質問をいたします。
小池知事は、九月の三定での所信表明で、全国的に大規模な水害や土砂災害の発生が見られる中、ハード、ソフトの両面から災害対策を展開して、都民の命を守るセーフシティーの実現を加速していくと表明いたしました。
私は、二年前の二〇一五年の第三回定例都議会の代表質問において、現在、東京都内の十三区と埼玉県の三市の合計十六区市が参加している、しかも九百三十項目もの事前防災行動の点検項目を抱えて取り組みを進めている荒川下流タイムラインの経験を踏まえて、都内全域を対象にした本格的な東京湾のタイムラインの策定を求めました。
これに対して、当時の知事は、今回の豪雨被害が広域に及んでいることから、住民を広域的に避難させる枠組みの整備に向け、区市町村や鉄道事業者等の関係機関と連携協力しながら、国や近隣県とともに検討を進めてまいりますと答弁を行いました。
また、当時の総務局長は、都も参加するタイムラインの検討会で意見交換を行い、活用状況を分析、今後のことにつきましては、こうした分析等を踏まえて対応していくという答弁がありました。
タイムラインとは、事前防災行動計画とも呼ばれていますが、国交省のワーキンググループの定義では、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況をあらかじめ想定し、共有した上で、いつ誰が何をするのかに着目をして、防災行動とその実施主体を時系列的にした計画とされております。全国の経験でも、事前防災行動や予防、避難にも大変大きな効果を発揮していると報告されています。
国土交通省は、近年の異常気象による豪雨災害が拡大するもとで、一連の台風による国管理河川や県管理河川といった中小河川が氾濫して、逃げおくれによる多数の犠牲者と甚大な経済損失が発生したことを踏まえて、ダムや堤防では防ぎ切れない大洪水が発生する、そういうものとの考えに立って、現在のハード、ソフトが一体となった水防災意識社会再構築ビジョンの取り組みを進めてまいりました。
ことし六月から施行の改正水防法では、こうした考えを盛り込み、水害対策の強化とともに、社会全体でこれに備えるために、大規模氾濫減災協議会の創設、要配慮者施設の避難計画とその避難訓練、そしてタイムラインの策定、避難計画づくりや中小河川の危険度の周知など、事前防災行動計画と呼ばれるタイムラインなどの策定にかなりの力を注いだ法律になっています。二〇二一年までに三十二項目の緊急行動計画を具体化することを求めています。
そこで最初の質問ですけれども、都は、全国的にも先駆的な経験として、六月施行の改正水防法にも反映されている荒川下流タイムライン、事前防災行動計画とも呼ばれているものですけれども、この効果についてどのように認識をされているのか、伺います。
○梅村総合防災部長 荒川下流タイムラインは、台風などの来襲による荒川の決壊を想定しまして、荒川下流域の自治体や公共交通機関などの関係事業者が協議の上、発災前の備えや発災時の対処行動と実施主体を時系列で整理したものでございます。
タイムラインを導入する効果としては、災害発生のおそれがあるときや災害発生時におきまして、混乱することなく、先を見越した早目の行動を可能とするとともに、対処行動の漏れの防止などにもつながるものと認識をしております。
○とくとめ委員 最近にない異常気象のもとでの台風、集中豪雨、ゲリラ豪雨などの東京での都市災害の一つとして、豪雨災害対策の新しいあり方として、荒川下流タイムラインの経験は大変重要だと思います。
そこで、荒川下流タイムラインにこれまで都の担当者も参加して東京都として取り組んできた経験を、都としてはどのように分析をされておられるのか、見解を伺いたいと思います。
○梅村総合防災部長 都では、荒川下流タイムラインに従いまして、台風が東京地方に近づくおそれがある場合には、気象庁と連携の上、気象説明会を開催し、庁内の連携や区市町村への情報提供、注意喚起を行うなどの取り組みを実施しております。
本タイムラインは、平成二十七年五月から試行が開始され、その後、対処行動や時系列の見直しを行うとともに、対象エリアを埼玉県川口市などの他県自治体を含めた十六区市に拡大するなどをしながら試行を継続しております。
このため、都を含めました関係者が参加するタイムライン検討会におきまして、自治体への情報伝達や避難準備情報の発表などの実際の活用状況につきまして分析を行っているところでございます。
都といたしましては、検討会における分析などを踏まえまして適切に対応してまいります。
○とくとめ委員 都においては、検討会における分析等を踏まえて適切に対応していくとの答弁でした。
タイムラインの有効性は、荒川下流でも、全国の経験でも明らかだと思います。これまで経験したことのない豪雨災害をめぐる状況からも、六月施行の改正水防法の内容の具体化に直ちに取り組むべきではないかと思います。
そこで、ことし六月から施行の改正水防法は、この間の荒川下流タイムラインの経験、二年前の私の代表質問への答弁から見ても、同じ方向を持った内容だと思っています。
改正水防法については、都は、その内容をどのように受けとめて、何が新しい豪雨対策のポイントになっているのか、その認識を伺いたいと思います。
○西川防災計画担当部長 近年、全国各地で水害が頻発し、激甚化をしております。平成二十七年九月の関東・東北豪雨による被害など、全国各地の河川で氾濫が頻発し、甚大な被害が発生しております。
こうした被害を繰り返さず、逃げおくれゼロ、社会経済被害の最小化の実現に向け抜本的な対策を講じるため、改正されたものと認識しております。
○とくとめ委員 これまでの被害を繰り返さずに、逃げおくれゼロや社会経済被害の最小実現のために抜本的な対策を講じるため、改正されたものとの答弁でございました。こうした認識と意識の発展が不可欠だと思います。
改正水防法の改正から六カ月が経過して、主な具体化に当たって、来年の早い時期の出水期までに急ぐことを求めています。本格的な具体化が急がれます。
そこで質問ですけれども、改正水防法の施行から六カ月近くが経過する中で、この法律が都道府県に対して一番目に具体化を求めている課題として、大規模水害対策にかかわる幅広い関係者の集団的な力を結集して広域的な対応を進めるためにも、大規模氾濫減災協議会の創設を求めています。
都は、この大規模氾濫減災協議会の創設についてどのように進めておられるのか、伺います。
○西川防災計画担当部長 平成二十九年五月の法改正で制度が創設されました大規模氾濫減災協議会は、水害に対する意識を、施設整備により洪水の発生を防止するものから、施設では防ぎ切れない大洪水は発生するものへと根本的に転換し、社会全体でこれに備えるため、河川管理者や地方自治体、防災機関などの多様な関係者が連携いたしまして、洪水氾濫による被害を軽減するための対策を総合的に推進するためのものでございます。
都におきましては、その趣旨を踏まえまして、国管理河川の大規模氾濫減災協議会に参加をしておるところでございます。
○とくとめ委員 大規模氾濫減災協議会の創設と本格化は、一部の局や担当者だけで本来の役割や効果を発揮するものではありません。荒川下流タイムラインの検討会や専門部会には、これまで参加してきた総務局、建設局、交通局、さらにオブザーバーとして消防庁や警視庁とともに、福祉保健局や教育庁など、都庁の局横断的な体制の構築が不可欠だと思います。そのことを荒川周辺の十三の区は求めています。これも生きた経験、教訓として受けとめていただきたいと思います。単にこれまでどおり参加をするだけではなくて、東京全体を視野に入れた大規模氾濫減災協議会として創設をし、拡充すべきだと思います。
そこで次の質問ですが、改正水防法では、一部改正の土砂災害防止法とともに具体化が急がれている義務的課題として、岩手県に上陸の東北、北海道台風によって、岩手県岩泉町の老人ホームでの避難がおくれて甚大な犠牲者を拡大した経験から、洪水時の逃げおくれによる人的被害ゼロの実現のために、老人ホームや保育園、幼稚園などの要配慮者利用施設の避難確保計画の作成と避難訓練の実施を都道府県など自治体に求めています。
都としては、この提起に対して、どのように具体化をされているのでしょうか。
○西川防災計画担当部長 全ての住民等の的確な避難が重要でございますが、法改正の趣旨を踏まえまして、特に要配慮者の適切な避難を実現するため、各区市町村長に対しまして、区長会総会、市長会議、町村長会議におきまして、法改正により、要配慮者利用施設において避難確保計画の作成等が義務化されたことなどを説明いたしますとともに、制度改正等の内容につきまして、各区市町村に通知を発出し、各自治体の関係部署が連携して適切に取り組むよう要請をいたしました。
引き続き、関係局と連携の上、適切に対応してまいります。
○とくとめ委員 引き続き、関係局と連携の上に適切に対応するということでした。
先週の金曜日の十七日には荒川下流タイムラインの専門部会が開催されて、要配慮者施設の管理責任者などが集まって、要配慮者の避難計画あるいは避難訓練をどうするのかについて会合が行われております。東京都の担当者も参加をしているのではないかと思います。
荒川下流タイムラインの運用を開始してから、もう三年、四年とたちます。しかし、東京都の国への要望の中では、この取り組みについては、まだ体制や活動について定めていない、こういう予算要望が書かれています。
同時に、平成二十七年九月の関東・東北豪雨では、鬼怒川などが氾濫して、栃木県、茨城県、宮城県などで広範囲の浸水被害が発生した、水害対策は喫緊の課題であり、こうした対策への取り組みを速やかに進める必要がある、これが東京都の立場として国への予算要望に書かれています。
同時に、区市町村からも、東京都への予算要望の中に、広域自治体としての都に対する期待が述べられています。近年の異常気象による大規模な水害等への対策の一層の充実を図るため、広域避難体制の構築、広域避難場所の早急な整備及び避難誘導等の区との連携、災害時緊急対応情報の提供などをぜひ行ってほしい、こういうのが来年度予算に書かれています。
最後に、東京、埼玉の十六区市が参加して荒川下流河川事務所等で具体化している、この事前防災行動計画と呼ばれるタイムラインの経験を生かして、改正水防法も踏まえ、国管理河川とともに都が管理している中小河川も含めて、関係機関や地域住民と情報や対応方針を共有して、適時的確な連携をとる東京版のタイムラインを急いで策定していただくことを強く要望して、まず最初の質問を終わります。
二つ目のテーマでの質問を行います。
マイナンバー導入、利用開始から約二年が経過いたしました。さらに政府は新しく、マイナンバーを通じて個人情報を自治体や国の機関との間でやりとりができる情報ネットワークシステム、NWSと呼ばれているシステムの本格的な活用も開始をして、利用拡大に大変前のめりであります。四十七都道府県、約千七百市町村、日本年金機構、税務署、医療保険者など、五千を超す公的機関をつなぐ巨大な情報連携システムの構築を目指すものであります。
当初はことしの一月に開始する予定だったものが、二〇一五年には日本年金機構から百二十五万件の個人情報が流出する大問題が起きました。そのために実施が延期をされていました。情報漏れ対策が万全なのか、不安を拭えない状況が続いています。
当初の税と社会保障、災害対策に限定して活用するはずの特定個人情報が、さまざまなリスクが指摘され、トラブルが発生しているもとで、さらに安易に活用拡大していいのかということを強く思います。
私たち共産党としては、マイナンバー制度については反対であります。中止すべきだと思っておりますけれども、制度の運用が始まって約二年間、さらに利用拡大の動きが広がる中で、明らかになっているさまざまなリスクやトラブルなどの危険性を最大限に解消して、万全の安全対策を求める立場から幾つか質問いたします。
まず、現在、都内では、本来の税と社会保障、災害対策にかかわる以外では、どういう分野でマイナンバーの活用が広がっているのか、その実態はどうなっているのか、同時に、活用を広げるためにはどういう手続が必要になっているのかを伺います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 マイナンバーの利用範囲は、法により社会保障、税、災害対策の三分野に限定されており、利用可能な事務は法で限定列挙されております。また、条例の定めにより自治体独自の事務に利用することも可能でございますが、その場合も、法定事務と趣旨や目的が同一である、いわゆる上乗せ、横出し事務に限定をされております。
現在の利用範囲を拡大するためには、これら法令改正が必要となります。
また、自治体独自の事務の利用に当たり、他機関が保有する情報の提供を求める場合は、国の個人情報保護委員会への届け出が必要となります。
○とくとめ委員 マイナンバーの利用範囲は、大事な特定個人情報を扱うことから、法により社会保障、税、災害対策の三分野に限定されているにもかかわらず、利用への不安やさまざまなトラブルから利用者が広がっていないと。政府を先頭にしてマイナンバーの利用を安易に拡大することは、安全利用対策が明確にならないもとでは、一層リスクを広げることになるのではないかと強く思います。
そこで質問ですけれども、マイナンバー導入以来、全国ではマイナンバーカードの交付は約一〇%程度ということが報道されておりますけれども、現時点においては、東京都内ではマイナンバーカードを交付した人は具体的にどのくらいいるのか、伺います。
○野間行政部長 都におけますマイナンバーカードの交付枚数についてでございますが、総務省の発表によれば、平成二十九年八月三十一日時点で百六十一万五千八百八十六枚でございます。
交付枚数率にいたしましては、平成二十九年一月一日時点の住民基本台帳人口に対しまして一一・九%となってございます。
○とくとめ委員 約一二%のマイナンバーカードの交付だと。一千三百万人の都民の中でいえば、約百六十二万ということです。
こうした中で、個人情報保護のための国の監督機関、個人情報保護委員会が、十月、今年度上半期の活動実績を発表しています。それによると、個人番号、マイナンバーの漏えいが二百七十三件発生して、六十六件だった前年同時期の四倍超に上ることがわかりました。このうち過半数の百五十二件は、マイナンバーを記載した住民税の決定通知書の誤った送付等が原因になっています。自治体にごり押しをした総務省の責任が問われる事態ではないかと思います。
漏えい件数を前年から大きく押し上げた原因は、自治体が事業者に送る特別徴収税額決定通知書の誤った送付があったということは明らかであります。通知書は、従業員の住民税額を市町村が事業者に通知するもので、毎年五月に事業者に郵送されることになっています。
マイナンバーの導入以来、全国では個人情報の流出や成り済ましなどの事件や問題が発生をしていることは承知のとおりです。事件や事故等が発生した場合、どのような対応を行うことになっているのかを伺いたいと思います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 行政機関において特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応については、国の個人情報保護委員会が定めております。
具体的には、各機関において、組織内における報告、被害の拡大防止や原因究明、再発防止策の実施、委員会への報告などを行うこととされております。
なお、委員会には、法令に違反した者に対し、勧告及び命令を行う権限が付与されており、これらにより事故等への適正な対応が図られることとなります。
○とくとめ委員 個人情報保護委員会に特別の権限が与えられていて、事故等への適正な対応が図られているということでした。
しかし、二〇一五年には日本年金機構から百二十五万件の個人情報が流出する大問題が起こりました。本当に情報漏れ対策が万全なのか、不安は拭い切れないと思います。マイナンバーカード交付が一二%にとどまっている要因の一つでもないかと思わざるを得ません。
こうした事故等の状況や対策等、必要な情報が関係者間で共有されなければ、同様の事故が今後ともほかでも起こり得ると思います。
こうしたマイナンバーに関する情報は、国や自治体間ではどのように共有されているのか、伺います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 国が把握した情報や各機関で必要な対応については、その都度、国から都道府県の関係部署に送付され、都道府県を通じ、速やかに区市町村に伝達されております。
また、国の個人情報保護委員会では、ホームページでマイナンバー取り扱い上の注意点やトラブルにつながり得る事例を掲載し、注意喚起等を行っているところでございます。
さらに、国、都、区市町村の担当者が一堂に会する連絡会議を年一回開催しておりまして、全国レベルでの事故の状況や留意点を初め、マイナンバー制度の適正な運用に必要な情報共有を図っているところでございます。
○とくとめ委員 具体的な問題をお伺いしますが、各種制度の申請などの行政手続を行う際に、マイナンバーの提示をめぐってトラブルが起き、また、私どものところにも相談が来ておりますが、従来どおりの手続を行えば、マイナンバーの提示の強制はできないということで対応はいいのかどうか、見解を伺います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 個別法令の特別な規定がない限り、マイナンバーの提示は義務ではないと認識しております。
○とくとめ委員 各種行政手続の場合のマイナンバーの提示については、個別法令の特別な規定がない限り、マイナンバーの提示は義務ではないという明確な答弁がありました。
しかし、実際には、半ば強制的なマイナンバーの提示が求められた事例の相談を受けています。都内の民間事業者の従業員が、これまではマイナンバーの提示については拒否してきましたけれども、子供が生まれたことにより、扶養控除等申告書に自分と子供のマイナンバーを記載して提出するよう事業者から求められ、マイナンバーを記載しなければ扶養控除等申告書は受け取らないといわれ、そして、記載するか、扶養から外すかを選べと迫られたという話です。さらに、扶養から外すと、これまで受けていた家族手当と住宅手当も支給しないといわれたとのことでした。
この相談は幸いにも解決したものの、こうした事例は、マイナンバーを使わずとも従来どおりの行政手続は可能であり、強制できないという立場から大きく逸脱して、あってはならないことだと思います。
そこで、こうしたマイナンバー記載を強制する事例について、自治体や民間を問わずにしっかりと実態を調査して、都として何らかの対応を行うべきではないかと考えますけれども、見解を伺います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 例えば内閣府のホームページでは、市町村に対しまして、子ども・子育て支援制度におけるマイナンバーの取り扱いについて、個人番号の記載がないことのみをもって申請を受理しないことがないよう求めるQアンドAが掲載されております。
こうしたことも含めまして、個々の事例においては、それぞれの担当部署で適切に対応されていると認識しております。
なお、都においても、自治体や民間等の担当部署等から個別の相談があった場合などには必要な助言等を行っているところでございます。
○とくとめ委員 ぜひ適正なマイナンバーの運用に向けて、引き続き厳格な対応をしていただきたいと思います。
最後に、三つ目のテーマでございますけれども、都のICT戦略の策定にかかわって何点か質問いたします。
近年、情報通信技術、いわゆるICTの発展と普及は目覚ましく進んでおり、ICTを新しく有効に活用することは、行政機関にとっても、都民生活の支援、中小企業、零細企業や第一次産業への支援、防災や発災時の救援活動など、極めて重要であると考えております。
特に、自治体である都のICT戦略の策定というのだったら、やっぱり都民の利益を最優先に考えて、自治体としての本来の役割である都民の暮らしの向上や福祉の増進に役立つことが最も重要だと思います。
それだけに、このICTの戦略を具体化していく上では、トップダウンではなくて、多数の都民の声、都民の要求を踏まえた行政需要について、ICT戦略にしっかりと反映させることが重要だと考えます。
そこで、十月十二日までの期限で実施されたICT戦略の策定についてのパブリックコメントでは、都民からどのような声が寄せられているのか、伺いたいと思います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 パブリックコメントにつきましては、寄せられた意見への対応とともに、戦略の公表に合わせて公表する予定でございまして、現時点でのお答えは差し控えさせていただきます。
○とくとめ委員 現時点では公表できないということですけれども、今後早急に公表するとともに、ICT戦略の中にしっかり都民の声が反映できるようにしていただきたいということを要望しておきます。
都民の利益を最優先に考えるときに、今回のICT戦略の具体化にかかわるインフラ整備、大量の機器購入など、この事業全体に都民の税金がどのくらい投入されるのか、重大な関心だと思います。来年度予算の中でも、既に、部分的にはこれに関連するような予算が具体化されているのではないかと見受けます。
そこで質問ですけれども、今回のICT戦略の具体化にかかわるインフラ整備、大量の機器購入など、この事業全体に都民の税金がどのくらい投入されることになるのか、伺いたいと思います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 現在、ICT戦略を策定しているところでございまして、それに基づく事業費についてお答えできる段階ではございません。
○とくとめ委員 来年度の予算の中では、ICT戦略にかかわる関連予算の概算は検討がされているのでしょうか、伺います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 ICT戦略に基づき来年度に取り組む事業につきましては、今後、予算編成のプロセスを経て予算化されていくものと認識しております。
○とくとめ委員 都民の中には切実な要求が多様に存在するもとで、ICT戦略に巨大な都民の税金が投入されることによって都民要求に応えることができるのかどうか、この費用対効果がどうなるのか、ICT戦略を通じて都民サービスがしっかり向上して、税金の使い方をめぐって都民への説明責任をきちんと果たすことができるかどうか、そういうことが大事ではないかと思います。
そこでお伺いしますけれども、ICT戦略に基づく今後の取り組みについて、都民の立場から見て、費用対効果というのはどのように考慮をされているのでしょうか。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 個々の事業を予算化する過程で、事業ごとに費用対効果は適切に評価されていくものと認識しております。
○とくとめ委員 都民の税金の使い方の無駄をなくし、ゆがみを正してワイズスペンディングを貫く上での議会のチェックも大変重要になっていると思います。
そこで、この事業を推進するために、所管の総務局情報通信企画部では、IT企業からマネジャー、管理職クラスの外部人材を、同じ課長職の肩書で八人もの職員を採用しておりますけれども、選考過程について具体的に説明をしていただきたいと思います。
○矢田部総務部長 十一月一日付で採用いたしました情報通信技術担当課長は、あらかじめ要綱で定めた特定任期付職員の採用選考に係る手続に沿って選考を実施いたしました。
具体的には、採用人数、職務内容、求める専門性、勤務条件などを定めた採用案内を公開し、受験者を公募いたしました。
その結果、八名の応募がございまして、受験者全員に対しまして書類選考及び面接を実施し、東京都総務局任期付職員選考委員会におきまして採用候補者を決定いたしました。その後、人事委員会の承認を得た上で採用したものでございます。
○とくとめ委員 八人の募集に八人の応募で全員採用の試験の公平性や公正性は、見てどうなのか、ちょっと心配になります。しかも、八人の出身企業が、NTTデータ、富士通、マイクロソフト、日立、IBM、NEC、パナソニック、グーグルなど、八社から一人ずつIT企業の出身者という採用になっています。
採用に当たって必要となる人事委員会の承認を得た上で採用したものだということでありました。
そこで、ICT戦略の事業では、採用した八人の課長はどのような業務を担当することになるのか、インフラ整備や資器材の発注なども担当することになるのかどうか、お伺いします。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 政策におけるICTの利活用を積極的に進め、都民サービスを向上させることを目指し、ICTの利活用促進の取り組みに管理者の立場で企画や助言、指導を行う、高度な専門性と豊富な経験を有する人材を募集したものでございます。
これらの業務を担う情報通信技術担当課長は、内部からの任用が困難であるため、能力、経験、資質を有した人物を外部から特定任期付職員として採用したところでございます。
八人の職員それぞれが持つ最新の知見を最大限生かし、ICT戦略の策定を初め、各局が横断的に取り組むテーマの調整や各局事業に対する助言などを担当しております。契約などの職務は担当しておりません。
○とくとめ委員 契約などの職務は担当していないということで当然だと思いますけれども、安心したといいますか、しかし、ICT戦略は、先ほど質問しましたマイナンバー制度の導入のときとも共通して、新たな公共事業とも見られて、利権が絡んだり、無駄遣いが生まれる側面、可能性もあります。
マイナンバー制度の導入のときは、必要な基幹システムの構築など、国の予算として三千四百億円以上の税金が投入されています。制度スタート後も、制度の維持費として毎年数百億円かかり、マイナンバーをめぐって動く巨額のお金にIT企業やコンサルタント会社がかかわって利益をむさぼる構図がありました。
マイナンバー制度の準備段階で、政府は、大手電機企業の幹部らが委員に名を連ねる検討会議を設けてマイナンバーの制度設計を行わせました。メンバーは、二十一人のうち十三人が企業関係者で、日立、富士通、NTTデータ、沖電気、大和総研ビジネス・イノベーション、野村総研あるいはNECなど、IT企業など大手電機の幹部が加わりました。その結果、二〇一三年以降、行政機関が発注したマイナンバー関連の事業二十七件、総額二百二十六億円のうち、二十二件が会議に参加した企業七社が受注して、その判明した分だけでも、発注額の八割をこの検討会議に参加した企業が受注したといわれています。こうしたことは絶対にあってはならないということだと思います。
ICT戦略を具体化して推進するためには、都民の声や要望をしっかり反映させて透明化を確保すると同時に、都庁内の各局との連携、区市町村との連携も不可欠だと思います。
都庁内の各局や区市町村との連携はどのように進められているのでしょうか。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 ICT戦略の策定やそれに基づく事業の実施に当たっては、実際に事業を担う各局の理解と協力が不可欠であることから、庁内で検討部会を立ち上げるなど、緊密に連携をしております。
また、区市町村とは、東京都カタログサイトの構築やアイデアソンキャラバンなどのオープンデータの取り組みを初め、個々の事業の推進に当たり、連携して取り組んでおります。
○とくとめ委員 最後の質問です。
このICT戦略では、これまでにないビッグデータを扱い、あらゆる情報のオープンデータの利用を促進することになっており、個人情報を含めた情報管理、サイバー攻撃などからのセキュリティー対策は特別に重要になっていると思いますが、どのように検討を具体化されているのか、伺います。
○久原情報通信企画部長情報企画調整担当部長兼務 セキュリティーの確保につきましては、東京都サイバーセキュリティポリシー等にのっとり、さまざまな対策を講じるとともに、万が一のセキュリティー事故に備え、サイバー攻撃への対処を専門的に行う東京都CSIRTを設置しております。
あわせて、国や警視庁に加え、セキュリティーの知見や技術力を有する外部機関との連携を強化するとともに、区市町村のセキュリティー水準確保に向け、自治体情報セキュリティークラウドの設置や技術的助言を実施しております。
こうした取り組みにより、区市町村も含めた東京全体のセキュリティー対策を進めているところでございます。
○とくとめ委員 それでは、ぜひ万全の厳格なセキュリティー体制を構築していただきたいということを心から要望いたしまして、質問を終わります。
○西沢委員 私から、まず最初に、監理団体についてお伺いをしていきたいというように思います。
監理団体について先ほども議論がございましたが、私からは、違う視点から質問していきたいと思います。
監理団体は、ご承知のように、監理団体に指定をされますと、透明化される部分が多くなるというように思います。経営目標であったり、経営の状況であったり、こうした状況も、さらにホームページでアップされて見ることができる、契約の状況なんかもホームページで見ることができるようになっていくという意味で、非常に大きな透明性の確保、情報公開につながる制度だというように思っております。
この基準に当たって、毎回聞いていることでもあるのですが、改めて確認をさせていただきたいと思います。監理団体、そして報告団体の指定に当たっての基準について、まず最初にお伺いをいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都では、現在、都の政策との連動性が高く、都の施策実施の現場を担う監理団体と、その公益性に鑑み、都が出資等を行っております報告団体の大きく二つに区分してございます。
具体的には、東京都監理団体指導監督要綱におきまして、都が出資または出捐を行っている団体及び継続的な財政支出、人的支援等を行っております団体のうち、全庁的な指導監督を行う必要があるもので、原則として、都が基本財産に出資等を行っている公益法人等、それから、都が資本金の二五%以上を出資している株式会社、そして、その他特に指導監督を必要とする団体のいずれかに該当する団体を監理団体として、総務局長が指定及び指定解除の決定を行うこととしてございます。
また、報告団体につきましては、都が出資等を行っている団体、都の継続的な財政支出が団体収入のおおむね五〇%以上であり、かつ都の継続的な補助金支出が一億円以上の団体、監理団体指定解除後三年以内の団体及び持ち株会社の子会社を基準といたしまして、団体を所管する局等の長が行うこととしてございます。
○西沢委員 ほかの自治体では、条例などで決めたり、議決しているところもあるのかもしれませんけども、東京都の場合は、監理団体については総務局長が指定をするというようなことを確認させていただきました。
この監理団体の指定についてでありますけれども、さきの決算の場でも質疑をした一般財団法人東京都営交通協力会という団体、私は、この団体は東京都と密接な関係があるので、監理団体にするべきだという思いを持っております。この団体の六割は東京都からの収入、そのうちのほとんどが特命随意契約であり、自主事業も、ほとんどは東京都の資産を使って運営しているという一般財団法人であることから、極めて密接な関係にあるというように思っております。
ここで、そもそもこの団体、一般財団法人東京都営交通協力会は、制度上、監理団体とすることが可能なのか、不可能なのか、お伺いいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都では、全庁的に指導監督を行う必要があります団体について、自律的経営を促進することを目的といたしまして、組織運営や事業運営等に対して必要な関与事項を要綱で定め、当該要綱に基づき監理団体として指定してございます。
指導監督に当たりましては、都の関与の実効性を担保するため、所管局と団体との間で協定書を締結してございます。
このため、指定に際しましては、監理団体の指定基準に該当することはもとより、指導監督の実効性を担保するための協定を締結することが重要でございまして、とりわけ既存団体の指定に当たりましては、新設団体の指定と異なり、団体を所管することとなる局及び団体とも必要な調整を行うことが求められます。
お話の東京都営交通協力会につきましては、都が出捐を行っていない団体でございますが、局及び団体の調整状況を踏まえた上で指定の可否を判断すべきものと認識してございます。
○西沢委員 もちろん、相手がいることですから、総務局長が勝手に指定して、勝手に情報公開せよといっても、当然、実効性が担保されないものでありますから、当然、協定を結んで、監理団体になりましょうねという調整が必要だということだと思います。
今の答弁で、局、団体の調整状況を踏まえた上で指定の可否を判断すべきということですから、これ、ちょっとお伺いしますけれども、局、団体の調整が整えば、指定をすることは否定しないということでよろしいのでしょうか。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 繰り返しになりますけれども、局及び団体の調整状況を踏まえた上で、そのことも含めまして判断をさせていただきたいと考えてございます。
○西沢委員 指定の可否を判断するのは、それが調整ができて、例えば交通局が交通協力会と話をして、監理団体になりたい、しましょうという話をした上で協定書も結んで、総務局長に指定してほしいというところまで調整が進んできたものを、総務局がだめだということはないということでよろしいのでしょうか、お伺いいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 繰り返しで恐縮ですけれども、そういった協議が調ったことを受けまして、改めて指定の可否についてを含めて判断をさせていただきたい、このように認識してございます。
○西沢委員 ありがとうございます。済みません、ちょっとしつこく聞きましたけれども、つまり、これは決算の場で議論しておりますと、最初から指定されていればともかく、既存の団体ですから、指定になれば、当然、制限がかかるわけです。情報公開しなければいけないですし、総務局長、所管局長からの要請に応じて説明をしなければいけない。議会でも経営目標とかを議論されなければいけない。だから、どうしても、そういったことをちゅうちょしてしまうのではないかというところがあります。
議論の中では、出捐をしていないから、つまりお金を出資していないから、全く別の団体なんだからという理屈で余り積極的ではないように、私はこれまでの議論に見受けましたので、先ほどの冒頭の質問の答弁で、その他特に指導監督を必要とする団体、こういう要件があるから指定を否定するものではないということを確認したかったわけであります。
何度もお聞きいたしましたが、今の答弁で、状況を見た上で、調整状況を踏まえた上で指定の可否を判断するということでございましたから、私は十分検討できるものだということを今、確認させていただきました。
こういう協力会など、同様に密接な団体が私はほかにもあるんじゃないかなというように思っております。監理団体や報告団体ではないけども、東京都と密接な関係にある、事業を行うに当たって、都民の皆様の税金を使って契約されるというような団体も、ほかにもたくさんあると思います。
こうした団体は、やはり一斉チェックを行うべきなんじゃないかなと思います。いかがでしょうか。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京が抱えるさまざまな課題を解決し、将来の持続的な発展につなげていく上で、都とともに監理団体の果たす役割は非常に重要と認識してございます。
こうした認識のもと、現在、都政改革本部におけます改革テーマの一つとして、都庁とともに、監理団体等を含めた執行体制の強化に向けた改革案の検討を進めてございます。
本年九月の都政改革本部会議におきまして、新たに監理団体を都庁グループの一員と位置づけるとともに、都政との関連度合いの濃淡に応じた報告団体の仕分けとあわせ、具体的な定義や名称等について今後検討することなど、改革の方向性を報告したところでございます。
引き続き、監理団体改革の具体的な取り組みについて検討を進め、都庁グループとしての執行体制強化に向け、取り組んでまいります。
○西沢委員 監理団体改革、大変結構なことだと思います。進めていただきたいと思いますが、そもそも監理団体というのがどういったものなのか、どういった基準で指定していくべきなのかというところも含めて、ぜひ進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
都政改革本部の資料で、来年度は監理団体活用戦略というものの策定を検討しているということでございます。これまで活用方針というものがありましたが、これとは違うものなのか、それとも更新するものなのか、全く新しいものなのか、策定を検討している監理団体活用戦略はどのようなものなのか、お伺いをいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 九月の都政改革本部会議では、先ほどご答弁いたしましたが、監理団体等の位置づけの見直しに加えまして、監理団体の戦略的活用に向けまして、監理団体、団体を所管する各局等、全庁的な指導監督を行う総務局の三つの切り口による改革を進めていくことを報告いたしました。都庁グループの執行体制強化に向けた監理団体の戦略的活用を図っていく観点から、所管局による改革の取り組みとして、今後、監理団体活用戦略、仮称でございますが、こちらを策定してまいります。
現在、平成二十二年に策定した監理団体活用方針を含め、これまでの活用に関する検証を進めてございまして、各局による見える化改革とも連動させながら、平成三十年度を目途に、団体との役割分担や活用の考え方、団体に対するミッションの提示などについて取りまとめをしてまいります。
○西沢委員 さまざまな改革をしていくうちの一つだと思いますが、非常に重要だと思っています。
そもそものこの監理団体、いわゆる第三セクターで赤字がたくさんあって、それをどうしようかということで、責任の役割が、それは役所だ、それは団体だということから、しっかりと指導監督するということの監理団体というものがあったと思いますが、これからは、一つは都民の皆様の信頼を得るため、それから、東京都が進める政策の実現をしていくというような点であると思います。
特段、都民の皆様からの信頼ということでいえば、やはり情報公開というところがテーマになっていると思います。繰り返しになりますが、監理団体の指定も含めたこうした改革は、情報公開というところからぜひ進めていただきたいというように思います。
そして、監理団体活用戦略は局の方からつくるものでありますが、監理団体側がつくるものとしての経営改革プラン、先ほども少し議論がございましたが、この経営改革プランを策定すると。
都政改革本部の資料を見るとPDCAという言葉がございまして、総務委員会では、このPDCAというのは何度も出てくるわけでありますが、PDCAの仕組みをどのように活用していくのか、お伺いをいたします。
○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都庁グループの執行体制強化に向けまして、各監理団体におけます自律的な経営改革を促進していくことが重要でございます。そのため、現在、主要事業を含めました経営状況の分析などにつきまして、各団体による自己点検を進めてございます。
今後、全団体が組織運営や事業運営上の課題解決に取り組む経営改革プランを、年度末を目途に策定していく予定でございます。策定いたしましたプランにつきましては、毎年度、その進捗状況等についてチェックをし、各団体の経営基盤強化につなげていけますよう、仕組みを検討してまいります。
○西沢委員 PDCAという、そのものの考え方は大変すばらしいと思います。財務局でも事業評価をやっていますし、政策企画局でも事業のレビューをやっています。総務局さんでも、今回、こうしたPDCAというようなことでの経営改革をしていくということ、ぜひ見守っていきたいし、しっかりと事業の評価ができるよう進めていただきたいということを申し上げまして、次の質問に行きたいと思います。
続いて、防災対策における民間との連携についてお伺いをしていきます。
平成二十四年四月に公表された首都直下地震の被害想定では、死者数約九千七百人、負傷者数約十五万人、建物の被害が三十万棟、帰宅困難者が約五百十七万人という、想像を絶するような被害が発生するということが見込まれているわけであります。
このような膨大な被害に対しては、行政だけの対応には限界があり、多くの分野で幅広く民間の力をかりつつ、総力を結集して対応していく必要があるというように思います。
とりわけ物資の調達や配送については、民間の協力を得ることが不可欠です。東京都はこれまで、消費財流通業界の企業が主体となっている日本TCGFなどと、また、都の備蓄倉庫の荷役については東京都トラック協会と協定を締結するなど、民間との協力体制を構築してまいりました。
多くの都民が被災者となることが見込まれる中で、生活に不可欠な物資を被災者にきちんと届けていくためには、事前にさまざまな民間事業者で構成される各種の民間団体との協力体制をしっかりと構築していくことが重要です。
そこで、民間事業者から成る各種の団体との協力体制を強固なものとし、かつ発展させることが重要であると考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
○西川防災計画担当部長 大規模地震などの災害が発生したときにおきましては、さまざまな応急復旧活動を担う民間企業などと密接に連携し、被害状況に応じた支援を行う必要がございます。このため、民間企業などから専門能力に応じた協力が得られる体制を整備しておくことが重要となります。
このため、都では、救出救助、ライフラインの復旧など多くの分野で、民間企業あるいは関係企業で構成される団体と、被災時の支援などにつきまして協定を締結しております。平成二十八年四月一日現在では、四百三十一の企業、団体と協定を締結して、被災者の多様なニーズに対応するための体制を強化してきました。
さらに、こうした連携体制が災害時に確実に機能するよう、協定先企業、団体との協議、訓練を通じまして、必要な情報の共有化や要請手順の習熟などを図ってきておりまして、引き続きこうした取り組みを継続し、協定の実効性を高めるよう努めてまいります。
○西沢委員 当然、行政だけでは限界があるわけで、民間の力は非常に重要です。
私は、この質問の意図は、タクシーの運転手さん、知り合いの方に、災害時に自分は力になりたいんだけど、どうすればいいんだというようなことを聞かれて、その会社の方に聞いても、何ら決まっていないよみたいな形だったと聞きまして、今、答弁いただきました四百三十一の団体、平成二十六年の地域防災計画の震災編に団体が載っていますが、こうしたタクシー業界というところがまだ入っていないわけであります。
もちろん、さまざまなニーズに対応するための体制を強化するという答弁でありましたから、いろいろと課題はあるんだと思いますが、あらゆる資産を使って、こうした声も大事だと思います。力になりたいという声をぜひ大切にしていただきたいというように思います。
そして、次に行きますが、大規模震災が発生した場合には、全国から多くの支援物資が東京に届けられると思います。こうした支援物資を被災者の手元にしっかりと届けられるよう、事前に十分な備えをしていくことも重要です。
昨年の熊本地震では、避難所に届けられた支援物資が、必ずしも被災者のニーズに合わないという問題があったと聞いております。そのため、被災者のニーズを支援者側が把握でき、そのニーズに合った支援物資を送ることができるような仕組み、すなわち支援物資のマッチングができるような仕組みづくりが重要であると考えます。
私は、昨年の第一回定例会の予算特別委員会において、アマゾンのスキームを活用した支援物資のマッチングについて質問をしました。具体的には、アマゾンの欲しいものリストを活用し、それぞれの避難所が必要な物資、不足している物資を登録すると、支援する側でそれを見て、避難者のニーズに合った物資を送ることができるというものです。
避難所ごとにアマゾンの、まあ、アマゾンじゃなくてもいいんですよ。アマゾンじゃなくてもいいのですけれども、避難所ごとにアカウントがあって、ここではおむつが足りない、ここでは毛布が足りない、ここでは水が足りないということが一目でわかるような仕組み、実際に徳島県はこれを導入しています。これを導入すべきなんじゃないかという話をしましたが、課題はあると思うが、同様の仕組みを導入すべきではないかという私の質問に対し、東京都は慎重に検討するというような答弁がありました。
そこで、現在の検討状況についてお伺いをいたします。
○西川防災計画担当部長 お話の仕組みにつきましては、被災地と支援者をつなぎ、避難生活の質を向上させる可能性がございますが、二百万人を超える避難生活者の発生が想定される東京におきましては、同様の仕組みを導入して確実に機能させるためには、多くの課題があると考えられます。
例えば、輸送を担う運送会社のトラックや人員の不足、あるいは避難所における要望の取りまとめや物資の受け渡しを行う人員の不足などが発生することが予想されます。特に人命の救出救助が優先される発災の直後には、こうした課題の解決は困難であると考えられます。
また、平成二十八年四月に発生いたしました熊本地震においては、支援物資の滞留など、災害対応上の課題が明らかになったところでございまして、こうした事象や、国が実施したプッシュ型物資輸送の検証等も必要でございます。
こうしたことから、お話の仕組みを都へ導入することにつきましては、引き続き慎重に検討してまいります。
○西沢委員 もちろん、人命の救出や救助が優先される場合にこうした仕組みというものを活用ということでは当然なくて、復興していく段階の中で、私は十分に検討できるんだと思っています。
トラックや人員が不足しているからというご答弁もありましたが、先ほどの質疑になるのですけれども、やっぱりそういったことも含めて民間の力を活用していくということが重要になっていくと思います。これはアマゾンでなくていいのですけれども、こういう仕組みを活用するに当たって、課題はあると思いますが、ぜひ検討していただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。
次に、帰宅困難者の対策についてお伺いをいたします。
先ほど申し上げましたとおり、被害想定によると、首都直下地震の際には、都内で約五百十七万人もの帰宅困難者が発生することが見込まれております。発災時は救命救助活動が最優先となることから、これらの帰宅困難者への対応は、行政による公助だけではこちらも限界がありまして、帰宅困難者対策においても民間事業者との連携が重要です。
東京都は、平成二十五年四月に施行した東京都帰宅困難者対策条例に基づき、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保を進めております。
そこで、現時点での一時滞在施設の全体の確保状況と、そのうちの民間施設の占める割合についてお伺いをいたします。
○和田防災対策担当部長 都はこれまで、都立施設を一時滞在施設に指定するとともに、区市町村や国、民間事業者の協力を得ながら一時滞在施設の確保を推進してきました。
その結果、本年七月一日現在で九百十八施設、受け入れ人数では約三十二万八千人分の一時滞在施設を確保しております。そのうち民間施設は、施設数で約五〇%、受け入れ人数で約四七%となっております。
○西沢委員 今の答弁で、施設で五〇%、人数で四七%、大体半分ぐらいは民間だというようなことがわかります。やはり公共施設では限界がありますし、民間の施設というのは、オフィスビルだとか、そういったことが多くなると思うんですね。当然、公共の施設だけではありませんから、これはもっと比率が、民間がどおんとなるような形で確保していくことが重要ではないかと思います。
そこで、東京都は、民間一時滞在施設の確保に向けて、具体的にどのような取り組みをしているのか、お伺いをいたします。
○和田防災対策担当部長 都はこれまで、経済団体が主催する防災に関する講演会など、さまざまな機会を捉えて、広く民間事業者を対象に一時滞在施設確保への協力を呼びかけてきました。
また、帰宅困難者向けの備蓄品購入費用や、帰宅困難者の受け入れスペースなどの施設、設備の整備費用を補助する制度などを通じて、民間事業者が一時滞在施設の確保に協力しやすい環境を整備してきました。
さらに、今年度、一時滞在施設の確保を担当する専任の職員を新たに配置し、区市町村と連携しつつ、民間事業者への働きかけを行っております。
○西沢委員 さまざまな取り組みで努力をしているということがわかりましたが、ぜひ今後、少しでも多くの民間事業者の協力が得られるよう、しっかり取り組みを進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
さて、大規模災害による混乱が収拾した後、原則として四日目以降、職場や学校、一時滞在施設から徒歩で自宅に向かう帰宅困難者が円滑に帰宅できるよう、東京都は災害時帰宅支援ステーションの確保を進めています。多数の帰宅困難者が安心して自宅に向かえるようにするためには、多くの災害時帰宅支援ステーションの確保を進めていく必要があります。
そこで、災害時帰宅支援ステーションの概要と確保状況についてお伺いをいたします。
○和田防災対策担当部長 災害時帰宅支援ステーションは、大規模災害時に、徒歩帰宅者に対し水、トイレ、災害情報などの提供を行い、徒歩帰宅者が円滑に帰宅できるよう、可能な範囲で支援を行う施設であります。
都では、都立学校を災害時帰宅支援ステーションとして位置づけているほか、沿道に多数の店舗があるコンビニエンスストア、ファミリーレストラン、ガソリンスタンドなどの民間施設とも協定を締結し、協力をいただいております。
これまで、都内で営業する事業者などに対しては都が、都圏域を越えて広域的に営業する事業者などに対しては九都県市が災害時帰宅支援ステーションへの協力を要請し、確保を進めてきました。
その結果、本年二月時点で、東京都内で一万八百五十一カ所を確保しており、そのうち民間施設は約九八%であります。また、九都県市全体で二万四千五百七十三カ所を確保しております。
○西沢委員 一時滞在施設に比べて、帰宅支援ステーションは一万八百五十一カ所確保されていて、そのうち民間施設の割合が九八%という答弁でした。もちろん、こちらの方が多くて、こちらの方がある程度確保できているのかなというようなことですけれども、当然、開きがあるのは当たり前かもしれませんが、やはり民間との協力関係というものは欠かせないというようなことがわかります。
今回、災害時における民間との連携の必要性について質問してまいりましたが、発災時には行政と民間が一体となって対応していかなければなりません。そのために、事前にしっかりと協力体制を構築していく必要があります。引き続き民間事業者との連携を進めていくことを要望しまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
島しょ地域の振興についてお伺いをいたしますが、防災の話に関連して、特段、平成二十五年十月に大島では土砂災害がございまして、視察と一緒に、私もボランティアとして瓦れきの撤去に加わってまいりました。
そうした意味から、さきの、先月の下旬、二週連続で台風が伊豆諸島地域を打撃したわけであります。大変気になるところでございますが、どの程度の被害が発生したのかということと、その際の各支庁における対応体制、支庁と都庁側との間の連携体制はどのようなものであったのか、お伺いをいたします。
○野間行政部長 本年十月下旬の台風による被害でございますが、現時点の集計では、十月二十二日から二十四日にかけての台風二十一号では、八丈町において負傷者一名、十月二十九日の台風二十二号では、大島町において床下浸水一棟の被害が発生いたしました。
島しょ地域におけます都の総合出先機関である各支庁と本庁組織との間では、自然災害発生時などの緊急連絡体制を平時から整えておりまして、各支庁が把握した情報を本庁の関係部局に随時報告することにより、本庁幹部職員との間で、また、必要に応じて知事まで、その情報を速やかに共有し、迅速な対応が行えるようにしてございます。
今回の台風に当たっては、支庁の防災担当課長であります総務課長を中心に関係職員が職場に待機するとともに、支庁は、町村等から収集いたしました被害状況や避難者情報を本庁の関係部局に随時報告を行ったものでございます。
○西沢委員 防災の話をしてまいりましたけど、やっぱり島では本土と全く同じような状況にはいかないということがありますから、東京都の支庁、本庁、それから町村との連携というのは極めて重要だということです。しっかりと連携を欠かしていないという答弁でございました。進めていただきたいと思います。
東京都はこれまで、東京都離島振興計画に基づきまして、島民生活に直結する交通や通信などの環境整備--都議会民進党、民主党時代からですけれども、この振興には取り組んできて、毎年、視察も重ねてまいりましたが、この環境整備、最初は携帯電話のつながらない地域なんかもあったと思いますが、これまでどう取り組んできたのか、お伺いをいたします。
○山口多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 交通、通信等の環境整備につきましては、道路、港湾施設などの整備を常に進めてきておりまして、特に近年では、老朽化した船舶の更新や、調布と三宅島間を結ぶ航空路線の就航などにより、利便性がさらに向上しております。
通信につきましては、島しょのインターネット利用環境を改善するため、光ファイバーケーブルの整備を進め、ことし七月から、神津島、御蔵島で超高速ブロードバンドのサービス提供を開始しました。
今後も東京都離島振興計画に基づき、津波避難施設の整備など防災力の強化や、残る地域の超高速ブロードバンド環境の整備を初めとして、島民の皆様の安全・安心、利便性向上につながる環境の整備が図られるよう取り組んでまいります。
○西沢委員 超高速ブロードバンドサービスも開始をしていくということで、利便性も高まっていると思います。また、防災関連においては、ハザードマップの策定の支援であったり、それから、大島においては、一昨年、災害区域の指定をしていったり、総合防災訓練なども実施するなど、さまざまな取り組みをしているところだと思います。ぜひそうした振興、防災も含めて島しょの振興を進めていただきたいと思います。
最後の質問になりますが、この島というのは、国境離島ということから、防衛という観点からも、振興と同じように重要であります。
特段、最近は北朝鮮の問題を初めとして関心のある中で、こうした取り組みから、今後どのようにして島しょ地域の振興を図っていくのか、そして、島しょ町村の役割と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○山口多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 島しょ地域は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれ、また、我が国の排他的経済水域の確保等の観点から、国益を維持する上でも極めて重要な役割を担っております。
島しょ地域の振興には、島しょ町村みずからが主体となって、地域の自立により持続的な発展を遂げる島づくりに取り組むことが重要でございます。
都はこれまで、地元町村と連携をしながら、先ほどご答弁申し上げました交通、通信などの環境整備のほか、産業、観光振興や医療対策など、島しょ地域の振興を図ってまいりました。
今後とも、島しょ地域の持続的発展に向けた振興策を展開してまいります。
○菅野委員長 それでは、議事の都合により、おおむね十五分間、休憩をとりたいと思います。
午後三時二十一分休憩
午後三時三十九分開議
○菅野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
それでは発言を願います。
○山内委員 私からも質問いたします。
まず、公文書管理についてお伺いしたいと思います。
豊洲市場問題をきっかけに露呈した公文書管理のずさんさは、結果として公文書管理条例の制定につながりました。七月一日施行の公文書管理条例と、それを念頭に、年度当初及び七月に改正文書管理規則を施行し、運用しています。
そこで、東京都公文書の管理に関する条例の制定と文書管理規則の改正によって、公文書の作成、保存についてどのような見直しが行われたのか、お伺いいたします。
○矢田部総務部長 本年七月施行の東京都公文書の管理に関する条例におきましては、文書による事案決定の徹底や政策の形成過程を明らかにする文書の作成、さらには文書の適正な管理などを実施機関の義務として明確に規定したところでございます。
お尋ねの文書の作成、保存につきましては、事案決定に当たり、局長以上の職にある者に対して説明を行った場合には、その議事要旨を作成の上、経過資料として起案文書に添付して保存することなどの見直しを行いました。
○山内委員 例えば、行政計画を策定する過程では、さまざまな場面で文書の作成が必要になります。どのような議論を経てその計画を策定したのか、意思形成過程をたどることができるように文書を作成することが義務づけられました。意思決定に至る過程の文書は、一つ一つを見ると保存期間がばらばらですけれども、その計画に関する資料をセットにして意思決定のための起案文書に添付することで、一番長い保存期間に合わせることになったということです。制度の運用はまだ始まったばかりですが、どこの部署においてもきちんとなされるよう、徹底していただきたいと思います。
公文書の管理に関しては、廃棄の問題についてもこれまで指摘をしてまいりました。公文書が適正に作成されても、その廃棄が安易に認められるようでは、都民への説明責任を果たすことはできません。
公文書の廃棄についてどのような見直しが行われたのか、お伺いします。
○矢田部総務部長 公文書の廃棄につきましては、従来から廃棄の意思決定を必要としていたところでございますが、ダブルチェック制度を導入することにより、その手続について一層厳格化いたしました。
具体的には、重要な公文書を廃棄しようとするときは局の庶務主管課長等の承認を得ることとし、当該文書を作成した課の判断のみでは廃棄できない制度に見直しました。
この制度の定着を図るとともに、新たに導入いたしました公文書の管理状況の点検制度も活用して、適正な公文書管理を推進してまいります。
○山内委員 公文書管理において、文書の廃棄及び公文書館への引き継ぎは非常に重要です。条例では、公文書が都民共有の財産であり、現在及び将来の都民に対する説明責任を果たすことを目的としており、廃棄には慎重な判断が求められます。今回設けた制度を運用していく中で、廃棄の際のパブリックコメントなど、第三者の目でチェックする仕組みを検討するように再度要望いたします。
また、公文書館の建設がいよいよ始まります。この建設を機に、公の施設として条例に位置づけ、機能強化をすることを改めて要望いたします。
次に、都職員の障害者の正規雇用、東京都職員Ⅲ類選考の障害種別についてお伺いしていきたいと思います。
二〇一六年度の採用から、受験対象を身体障害者の十八歳以上二十八歳未満から十八歳以上四十歳未満と受験年齢を拡大いたしました。さらに、今年度から精神障害者、知的障害者に拡大をいたしました。
今年度の採用予定者四十五人に対して三百九十九人の申し込みがあったということです。残念ながら最終合格者は三十五人にとどまり、内訳は、身体障害の方が十二名、精神障害の方が二十三名になっています。雇用機会の幅が広がってはいますけれども、新たに採用される精神障害の方が能力を発揮して生きがいを持って職場に定着できるよう支援が必要です。
そこで、新たに採用となる精神障害者の合理的配慮の内容、配置先や職務内容をどのように決めていくのか、お伺いいたします。
○栗岡人事部長 障害者雇用促進法の改正によりまして、平成三十年度から精神障害者が雇用率の算定対象となり、あわせて法定雇用率も引き上げとなるなど、障害者雇用のさらなる促進が求められてございます。こうした状況を踏まえまして、人事委員会等とも連携して、今年度から、身体障害者を対象とした採用選考の受験資格を知的、精神障害者へ拡大したところでございます。
一般的に、精神障害には、統合失調症、気分障害、てんかんなどさまざまな疾患がございますが、定型的な業務は得意であっても、突発的な事象に過度なストレスを感じたり、工夫や応用が必要な業務には戸惑いを覚えたりといった特性があることに加えまして、個人差も大きいものと認識してございます。
このため、来年度から新たに採用する精神障害者につきましては、生活面や就労面を日常から支援している就労支援機関の同席のもと面談を実施するなど、より詳細に障害特性を把握した上で、個々の特性に応じた合理的配慮を検討しながら、配置先や職務内容をきめ細かく決定してまいります。
○山内委員 実際の配置には、職務の適性や人数規模等によって、受け入れの多い局がある一方で少ない局もあると思います。その結果、障害者を受け入れる上での配慮について差が生じ、例えば、ある局では合理的配慮として認められた補助具が、ある局では認められないなど、ばらつきが懸念されます。
今後、実際に仕事を始めて合理的配慮が必要になった場合、当事者が合理的配慮を求めたときにどのように対応するのか、また、どこの局に所属していても適切な対応が図られるよう取り組んでいくべきだと考えますが、所見を伺います。
○栗岡人事部長 昨年四月の改正障害者雇用促進法の施行に伴う合理的配慮の義務化を受けまして、まずは、日常的に接している各所属の管理職を相談窓口とし、年に二回ある自己申告面接等などの機会を通じまして、定期的に職員の意向を把握してございます。その上で、各所属での対応が困難な場合には、各部、各局の人事担当者が連携し、必要な支援を行うこととしてございます。さらに、各局での運用で対応が困難な事例が生じた場合には、総務局など所管部署が相談に応じまして、他局での参考事例を提供するなど助言を行う体制を整備してございます。
一方で、適切な合理的配慮を都庁全体に浸透させていくためには、適宜適切に各職場での就労事例を他の職場へ普及していくことが必要でございます。
このため、法改正に伴い昨年度作成しました対応事例集を、今年度、現場の声を踏まえて改定するなど、定期的に各職場の具体的配慮事例を掲載するとともに、庁内ポータルサイトからの閲覧を可能としまして広く周知することで、他の職場への普及を促進してございます。
○山内委員 都は、第四期東京都障害福祉計画で雇用率三%の目標を掲げています。さまざまな取り組みを進め、法定雇用率二・三%を達成はしておりますけれども、二・六五%にとどまっているのが現状です。来年、二〇一八年四月から精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることを受けて、法定雇用率は二・五%に引き上げられ、それを現状では上回っていますが、さらに雇用の拡大が必要と考えます。
障害者の雇用促進に向けて、今後の取り組みについてお伺いいたします。
○栗岡人事部長 知事部局の障害者雇用率につきましては、法定雇用率を一貫して上回ってきたものの、平成二十二年以降、目標値の三%を下回っている状況にございます。これは、主として障害者雇用率の算定対象の適用範囲の拡大による影響が大きいものと認識してございます。
障害者の雇用につきましては、これまで身体障害者を対象とした採用選考を継続して行ってまいりましたが、近年、採用数を拡大するとともに、昨年度は受験年齢の引き上げを行い、今年度には知的、精神障害者へ受験資格を開放するなど、着実に門戸を広げてまいりました。
一方で、今年度新たに対象としました知的、精神障害者につきましては、その障害特性に応じた職の見きわめが必要でございまして、また、段階的な就労時間の拡大など、一律の常勤雇用にそぐわない場合も考えられますことから、きめ細かな職場環境の整備も不可欠でございます。
このため、都では、非常勤職員としてチャレンジ雇用を実施しておりまして、障害特性に応じた就労訓練を実施するとともに、業務の集約化やさらなる業務の開拓など、障害特性にかなった職域の確立に向けて取り組みを進めています。
今後、こうした取り組みや、新たな選考で採用された障害者の配属後の状況等を踏まえながら、障害者の雇用促進に向けて必要な検証と改善を積み重ねてまいります。
○山内委員 今回の採用選考では、採用予定数が確保されていないことや、残念ながら知的障害者が合格していないなど、今後の課題があります。
知的障害者の採用を進めるには、任用試験の申請書や試験問題等に対する合理的配慮も必要と考えます。今回の選考状況とともに、配属後の状況をしっかりと検証し、障害の特性を生かして、ともに仕事ができる都庁の実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
障害者の就労を進めるには総合相談窓口が重要であると専門家からの指摘があります。障害当事者からの要望を丁寧にすくい上げ、働きやすい環境整備を要望いたします。
次に、テレワークについて伺いたいと思います。
働き方の選択肢として、国や企業でテレワークの導入が広がっていますが、都庁におけるテレワーク導入への取り組み状況についてお伺いいたします。
○村岡労務担当部長 テレワークは、育児や介護と仕事との両立はもとより、災害や突発事態への対応にも有効であり、都では、働き方改革の起爆剤として導入に積極的に取り組んでおります。
既に、今年四月から八月まで、全庁約三十職場で在宅型テレワークを試行し、七月二十四日の都庁テレワークデーには、タブレット端末による遠隔会議やサテライトオフィス体験を促し、全庁で千人規模の職員がテレワークを体験したところです。
九月以降は、テレワークの活用条件を弾力化するとともに、テレワークを常時活用できるモデル職場として、政策企画局、総務局、財務局、産業労働局、生活文化局、都市整備局の六局を指定し、テレワークデーを毎月設置するなど、新たな取り組みを全庁展開しているところでございます。
○山内委員 これまでの取り組みを踏まえた今後の展開について所見をお伺いいたします。
○村岡労務担当部長 テレワークを円滑に導入していくには、まず体験することが重要であるとの認識のもとで、モデル職場を中心に、在宅勤務や出張併用などのさまざまな活用を試みております。
その結果、在宅勤務の活用により、通勤時間を家事に充てることができた、育児に関する所用を行いながらも、仕事に穴をあけずにこなせることができた、出張と在宅勤務を組み合わせることで移動時間を減らせ、その分、業務に充てることができたなどの効果を確認しております。
一方、多くの職員が日常的にテレワークを行うためには、ペーパーレスの徹底や仕事のやり方の見直しとともに、テレワークが可能となる、持ち運びができセキュリティーに支障のないパソコンの変更などICT環境の改善も必要となります。
今後も、各職場での活用を積み重ねながら、仕事の改革、制度の改善、ICT環境の充実などを進め、育児、介護を行う職員を初め、多くの職員がテレワークを活用できるよう取り組んでまいります。
○山内委員 次に、防災について伺っていきたいと思います。
防災に関する諸計画、プラン等への女性の視点の反映について、阪神・淡路大震災以降、生活者ネットワークは一貫して主張し、東京都の計画等への反映も促してきました。
熊本地震など最近の災害も踏まえて、都としての課題、現状の認識を改めてお伺いいたします。
○西川防災計画担当部長 大規模災害に際しまして、女性や要配慮者の方の安全と安心を確保するため、女性の視点等を防災対策に反映させることは極めて重要でございます。
このため、都では、東日本大震災や南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえて東京都地域防災計画を修正するに当たりまして、東日本大震災のときの被災地でボランティア活動を行った方との意見交換、あるいは女性専門家を中心としたプロジェクトチームの設置など、女性から見た防災対策の課題について具体的な検討を行いました。
これらを受けまして、現行の東京都地域防災計画震災編では、女性や要配慮者の視点も踏まえた避難所運営体制の確立を目標に掲げるとともに、二〇二〇年までの取り組みを示しました東京の防災プランやその進捗レポートを通しまして、引き続き、重要な課題としてその着実な推進を図ってきております。
また、平成二十八年熊本地震に際しての支援等に基づく経験、教訓を取りまとめた平成二十八年熊本地震の支援の記録におきましても、避難所に関しまして、女性の視点等を意識した運営やプライバシーへの配慮など、多様な避難者を想定した準備などを防災上の教訓として取り上げ、女性や要配慮者の視点の重要性を改めて確認しております。
都では、今後とも、女性の視点を反映させたきめ細かな防災対策の実現に向け、さまざまな施策の検討に当たりまして、知見を持つ専門家や被災地支援の経験者から意見を伺うとともに、その活用に努めるなど、引き続き取り組みを進めてまいります。
○山内委員 避難所では、炊事は女性が行うものという思い込みのもと、被災地でも根強い性別役割分担意識が女性被災者にとって重荷になっているという報告もあります。
特定の役割にとどまらず、避難所運営に女性が参画することが重要と考えますが、都の認識、対応をお伺いいたします。
○和田防災対策担当部長 災害時の女性の課題にきめ細かく対応するためには、多くの女性が避難所運営などの地域防災活動に積極的に参画することが重要であります。しかし、地域防災活動のリーダーはもとより、地域防災活動事業の参加者にも女性は少ないのが現状です。
そこで、現在、都は、地域防災の研究者や女性の視点を生かした活動を実践している方などにより、女性防災人材育成のためのカリキュラム等を検討しております。
今後、この検討に基づき、避難所運営に参画できる女性人材の育成を推進してまいります。
○山内委員 災害時の女性の課題として暴力の問題があると専門家が指摘しています。災害時に、女性や子供が被害に遭うDV、虐待、性暴力などの暴力が起こるリスクが高まることは国際的にも知られています。
阪神・淡路大震災時に性暴力の被害が発生していたにもかかわらず、公的な被害届がないなどとされて、被害者に対し、デマ扱いしたり、あるいはバッシングなどが起きたりもいたしました。
内閣府も、男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針において、女性や子供に対する暴力等を予防するため、就寝場所や女性専用スペース等を巡回警備したり、防犯ブザーを配布するなど、安全・安心の確保に配慮すること、また、暴力を許さない環境づくりや被害者への適切な対応を徹底することなどを挙げています。
都としても、災害時のような混乱時にレイプやDVが起こることを予測し、女性や子供、高齢者、障害者などが被害に遭わないような取り組みや、被害者が訴えることができる電話や面接相談の開設、一時保護施設の設置などが必要であると考えます。災害時における性暴力、DV防止のための取り組みを専門家などと協議して、防災計画にも盛り込んでいくことを要望いたします。
次に、LGBTについて伺いたいと思います。
LGBTはセクシュアルマイノリティーの総称としても使われていますが、LGBT以外にも多様なセクシャリティーが存在します。性の多様性を認め合い、人権を保障する東京を目指す必要があると考えます。
都は、いわゆるLGBTについて、人権の課題として認識しているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 都は、取り組むべき人権施策の基本方針を示しました東京都人権施策推進指針を平成二十七年八月に改定し、新たに性同一性障害者と性的指向を人権課題として掲げました。
指針に基づいて、都は、自己の性の認識についてであります性自認や性的指向、いわゆるLGBT等、性的マイノリティーに対する偏見や差別の解消を目指して啓発等に取り組んでまいります。
○山内委員 残念ながら、現状では、LGBTに対して、職場、学校等で嫌がらせやいじめを受ける、就職や職場で不利な扱いを受ける、あるいは差別的な言動をされるといった人権侵害が起きています。
そこで、LGBTに対する偏見や差別を解消するため、具体的にどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 都は、都民向け啓発といたしまして、リーフレット「性的マイノリティの人権」を発行し、さまざまな機会を捉えまして都民に配布しているほか、先日行いました大型人権啓発イベントでありますヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一七においては、会場に啓発パネルを展示するとともに、性的マイノリティーを題材といたしました映画を上映いたしました。
また、各局の作成する行政文書について、業務上、性別の把握の必要性のないものについては見直しを行うよう依頼を行いました。
今後も引き続き、性的マイノリティーに対する正しい知識の普及と偏見や差別の解消を目指しまして啓発等に取り組んでまいります。
○山内委員 LGBTに対する偏見や差別を解消する取り組みを適切に行うためには、まず、都の職員がLGBTについて正しく理解することが必要です。
都の職員全体について、LGBTに関する理解促進のためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 職員を対象としました取り組みといたしまして、ここ数年、性的マイノリティーをテーマとしました人権学習会を実施しております。
また、今年度は、性的マイノリティーの人権について、職員全体を対象にeラーニングによる研修を実施しているところであります。
なお、厚生労働省の指針改定を受けまして、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針の改定を行い、性的マイノリティーに対するセクハラも職場におけるセクハラの対象となることを職員に周知いたしました。
○山内委員 性的指向及び性自認においても多様性を認め合える社会になるよう、正しい理解が進み、一人一人が大切にされる社会になるよう努めることを要望いたします。
最後に、性犯罪、性暴力被害に対する支援についてお伺いしていきたいと思います。
二〇一六年二月に策定された第三期東京都犯罪被害者等支援計画では、性犯罪等被害者支援の取り組みの充実強化を重点的に取り上げていることから、今回は性犯罪、性暴力被害者に対する支援についてお伺いします。
まず、女性の被害についてです。
まず、この支援計画の中には、東京都総合相談窓口で対応した犯罪被害者全体にわたる相談等の件数が報告されており、二〇一四年度までの相談件数は明記されています。
そこで、二〇一五年度以降の相談件数と、そのうちの性的被害の相談件数及び割合についてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 東京都総合相談窓口におきまして、平成二十七年度の相談件数は五千五百六十六件であり、このうち性的被害の相談件数は二千五百十一件となっております。
また、平成二十八年度の相談件数は六千二十三件でありまして、このうち性的被害の相談件数は二千八百五十四件となっております。
いずれも相談件数全体の四割台となっております。
○山内委員 東京都総合相談窓口での相談件数のうち、毎年、性的被害が最多ということでした。
都は、二〇一五年の七月から性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業を開始いたしましたが、その理由と事業の内容についてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業を開始しました理由でありますが、性犯罪等について、妊娠のリスクがあるなど被害直後からの早期救済が必要であることや、都が平成二十六年度に行いました実態調査で、性犯罪等被害が心身に与えるダメージが他の犯罪被害に比べて著しく大きいことが明らかになったことを踏まえまして、民間支援団体と協働し、ワンストップ支援事業を開始したものでございます。
事業内容についてでございますが、二十四時間三百六十五日電話がつながるホットライン、性暴力救援ダイヤルNaNa--このNaNaというのは、ノットアローン、ノットアフレイドということで、一人ではない、心配しないでいってくださいという意味を込めましてNaNaといっておりますが--を新たに設けまして電話相談を受け付けております。
さらに、必要に応じて、面接相談や医療機関、警察署等への付き添い、それから、中長期的な精神的ケアを行う専門的機関への同行支援など、きめ細やかな支援を実施しております。
○山内委員 性暴力救援ダイヤルNaNaにおける相談件数、付き添い支援の実績についてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 平成二十八年度の相談件数は六千百二件、付き添い支援の実績は百五十一件となっております。
○山内委員 二〇一六年の性的被害の相談件数は、先ほどお伺いした東京都総合相談窓口では二千八百五十四件、今お話を伺った性暴力救援ダイヤルNaNaでは六千百二件と、非常に多いんですね。しかし、恐らくこれも氷山の一角だと思うんです。
性被害に遭った場合、身も心も混乱状態にあります。また、自分自身を責めたりもするでしょう。何をどうしたらよいかわからない不安の中で、インターネットで調べたりして、とにかく、何をどうしたらよいか教えてくれる相談窓口につながることが大切です。そのために性暴力救援ダイヤルNaNaがあるのだと思います。
ところが、インターネットで検索しても、なかなか性暴力救援ダイヤルNaNaにたどり着かないんですね。
インターネットでダイヤルNaNaにたどり着けるような工夫が必要ではないかと思いますが、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 性犯罪等被害者については、早期支援が早期回復につながる傾向にあることから、被害者が早い段階で相談できることが重要でありまして、円滑なネット検索を可能とするためにも、相談窓口であります性暴力救援ダイヤルNaNaの周知が求められております。なお、ダイヤルNaNaで検索すれば、直ちにヒットはいたします。
都はこれまで、相談窓口を、ホームページや啓発行事、それから、民間事業者向けを含む各種研修会などで周知をしてまいりました。
今後も、若者が多く利用するSNSをより効果的に活用するほか、さまざまな機会を捉え、多様な媒体を活用するなど、工夫したPRを展開してまいります。
○山内委員 ダイヤルNaNaと引けばつながる、そこまで周知しているといいなと思います。実際に検索してみると、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業という事業名が出てくるので、ぜひインターネットの検索の工夫やSNSの効果的活用に取り組んでいただきたいと思います。
生活者ネットワークは、性暴力救援センター・大阪SACHICOを視察いたしました。病院の中に支援センターが置かれているために、被害者に素早く医療や精神的な支援や法律のサポートをワンストップで行っています。
傷の治療や、先ほどお話がありましたけれども、妊娠の不安を解消するためのモーニングアフターピルなどの提供とか、感染症検査など、被害直後の対応が必要です。
先ほど、ダイヤルNaNaで電話相談を受けた場合、必要に応じて面接相談を行っているとの話がありましたが、場合によっては、緊急を要して面接を行う時間がない場合もあります。そのようなケースにはどのように対応し、支援しているのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 性暴力救援ダイヤルNaNaで受け付けました相談内容が緊急対応を要する場合、例えば医療機関での診療を急ぐ場合などには、速やかに支援員が出向いて相談者の診療に付き添うなど、状況により柔軟な対応を行っております。
○山内委員 被害者が一人住まいであったり、加害者が親族や近所の顔見知りの人だったりした場合に、一時的な滞在場所や居場所が必要なこともあるだろうと思うんです。
被害者に対する支援に、こうした一時的な滞在場所の提供も必要と考えますが、受け皿はあるのでしょうか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 現在の住居が犯罪の現場となるなどにより当該住宅に居住することが困難になった場合、被害者等の精神的、経済的支援の観点から一時的な滞在場所を確保することは重要であります。
都では、被害者等が一時的な滞在場所を必要とする場合、警視庁と連携し、宿泊費の支出を負担することで宿泊施設を確保する制度を設けております。
○山内委員 都が実施した性犯罪、性暴力被害に対する調査で、被害による心身の状況について、フラッシュバックなどのPTSDが八割を超え、不眠が六割を占めるとの報告がありました。
被害から十年、二十年たった場合でも、トラウマやPTSDなどに対する精神的ケアによる支援を丁寧に行うことが重要ですが、どのように支援をしているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 性暴力救援ダイヤルNaNaでは、時間が経過した被害であっても相談を受け付けております。例えば、実際に二十年から三十年前の事案の相談も受け付けております。精神的ケアが必要な場合には専門的機関につないでおります。
また、冒頭にご説明しました東京都総合相談窓口においては、専門相談員による電話相談、面接相談とともに、神経科医や臨床心理士等によるカウンセリングを実施しておりまして、トラウマやPTSDなど犯罪等により受けた影響から早期に回復できるよう、精神的支援を行っております。
○山内委員 性被害というと、見知らぬ人に襲われるというイメージがありますけれども、実態はそうではなくて、仕事関係、スポーツ等の指導や大学のサークル、親戚等の顔見知りであったり、もしかしたら、交際相手だったり、夫婦間だったりします。見知らぬ人であろうが、顔見知りであろうが、望まない性的な行為は性暴力であるということがまだ社会的に浸透していません。
人々が被害者の置かれた深刻な状況を理解し、被害に遭った責任は本人にあるんだとの誤解や偏見を払拭するために、被害者の多くが啓発活動を求めています。こうした現状に対する都の取り組みについてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 性犯罪等被害者は、被害に遭った側の服装や行動に原因があるなどと見られがちであることから、こうした誤解や偏見を払拭していくために、都民に対し、性犯罪等の実態や被害者の置かれた深刻な状況の理解を促していくことが必要であります。
都はこれまで、啓発イベントや各種研修会の開催に加え、啓発リーフレットを作成するなど、広報、啓発に取り組んでまいりました。
啓発イベントの一例といたしまして、先週十三日に都と大田区とで共催いたしました犯罪被害者週間行事では、性被害者の支援に取り組んだ方々を講師やパネリストに招き、公募により百六十人の一般都民の方々が参加し、さまざまな視点からディスカッションを行い、被害の実態について理解を深めました。
今後も、性犯罪被害等の正しい理解を促進していくために、工夫した広報、啓発に努めてまいります。
○山内委員 昨今、睡眠薬などの薬物を飲食物に混入して、女性の意識がもうろうとした状態等でレイプする性暴力が発生しており、この薬物をレイプドラッグといいます。こうしたレイプドラッグなどの新たな課題に対応していくためには、現場の声を積極的に吸い上げていくことも重要と考えます。
新たな課題にどのように対応しているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 現在、都は、性犯罪等被害者の支援を実施する際の諸課題に適切に対応していくために、東京都、警視庁、東京都総合相談窓口を担っております被害者支援都民センター及び性暴力救援ダイヤルNaNaを担っております性暴力救援センター・東京、略称でSARC東京と申しますが、その四者で定期的に打ち合わせを行っております。
四者の打ち合わせにおいて、お話のありましたレイプドラッグの問題など、新たな課題についても意見交換を行っているところでございます。
今後も、さまざまな機会を通じ、現場の声も参考にしながら施策の充実に努めてまいります。
○山内委員 二〇一七年七月に、ことしですね、百十年ぶりに性犯罪を厳罰化する改正刑法が施行されました。課題が残されていますが、強姦罪の名称を強制性交等罪に変更、男性も被害者の対象となりました。起訴するのに被害者の告訴が必要な親告罪規定を撤廃いたしました。また、親などの監護者による子供への性暴力も処罰の対象となりました。
そこでまず、子供の被害について伺いたいと思います。
子供の場合、困ったこと、嫌なこと、どうしていいかわからないことなどがあって、言葉に出していえないこともあります。そもそも、体をさわられたりする行為が、性的行為であったり、性暴力であることの認識がないことが多いといいます。嫌だ、怖い、変だという訴えに丁寧に相談に応じ、支援していく必要があります。
子供が受けた性犯罪等被害にかかわる相談、支援にはどのように対応しているのか、お伺いいたします。
○仁田山人権部長 性犯罪等被害者は年齢等もさまざまでございますが、特に未成年者の受けた性犯罪等被害に係る相談、支援におきましては、よりきめ細やかな配慮が必要であると認識しております。
都の相談窓口においても、例えば、必要に応じて保護者と子供を別々に面接するなど配慮を行っております。
今後も、関係機関と連携しながら、子供の受けました性犯罪等被害の相談、支援に適切に対応してまいります。
○山内委員 次に、男性への支援について伺いたいと思います。
男性被害者に対してはどのような対応をしているのか、被害の相談状況と認識についてお伺いいたします。
○仁田山人権部長 都の相談窓口では、性犯罪等被害の相談に、従来から性別を問わず応じております。
性暴力救援ダイヤルNaNaで受け付けた男性被害者からの電話相談件数は、平成二十八年度におきまして九十七件となっておりますが、面接相談や具体的な支援については実績がないので、必ずしも詳細については明らかではございません。
刑法改正を受け、男性も被害の対象となることから、男性被害者からの相談も今後ふえることが考えられます。
今後、男性被害者からの相談に対しましても、面接相談をより活用してもらうほか、関係機関と連携を深め、適切に対応してまいります。
○山内委員 性犯罪、性暴力は重大な人権侵害です。被害に遭った場合、どうしたら支援が受けられるのか、どのような支援が受けられるのかが即座にわかり、安心して相談できるワンストップの体制をさらに拡充し、広く周知していくことが喫緊の課題です。
性暴力、性被害は、夜道で見知らぬ人から突然襲われるという先入観がありますが、先ほどもいいましたけれども、実際には、知人や友人、会社の関係者など、面識のある人が加害者であることが八割近くになっています。加害者が知っている人の場合、被害者は顔見知りであるがゆえに訴えにくい、加害者には加害者意識が低いということが性被害、性暴力が続いていると知る必要があると思います。
性犯罪、性暴力は重大な人権侵害である、望まない性的行為は性暴力であるということを広く周知し、人権問題の一つとして社会に徹底していくことで性暴力の撲滅に向けて進めていくよう求めて、質問を終わります。
○内山委員 私からは、防災対策について質問をさせていただきたいと思います。
これまでも、東日本大震災や、また熊本の地震など、昨今、多くの災害が起きているわけでございますが、とりわけ東京都で考えてみますと、これだけ大所帯というか、人口も多い、また、昼間人口はさらに多い、そして、都庁、役所機能というところで考えても、これまでの震災と比べても、大分、その世帯というのは大きくなるわけです。大きくなれば、それだけ大きな力を発揮できるという利点がある一方で、きめ細やかな、もしくは大きいからこそ機能しなくなるという、こういう可能性もあります。
そういう観点から、私の方で十問ほど質問をつくらせていただきましたが、これまで何人かの方が防災関連の質問をされておりますので、同じ質問をしてもしようがないので、少し臨機応変に質問していきたいと思いますので、ご対応方、よろしくお願いしたいと思います。
まず最初に、広域連携の取り組みということで質問をさせていただきたいと思います。
先ほども申し上げましたが、例えば、どこかで震災が起きたときに東京都のこの大きな力を使うということになれば、これは応援をする側となると、東京都はかなり大きな力というか、頼りがいのある存在なのではないかなと思うのですが、例えば市区町村なんかで災害相互協定を結ぶときは、大体同じぐらいの規模の自治体と災害の相互協定を結んで、余り遠過ぎず近過ぎずといったところで結んだりするかと思います。一方、東京都は、先ほど申し上げたように、応援するときはいいんですけど、いざ被災をするというときになると、同じ規模の自治体を国内で探すことというのは、なかなか難しい問題があると思っています。
そういった中で、これまでは、東日本や熊本の地震なんかでは、自衛隊、警察、また消防等々と協力しながら、東京都もその支援に大きな力を発揮したというのは記憶に新しいところだと思いますが、そこで、東京都はこれまで、この広域連携についてどのように取り組みを進めてきたのか、まずお伺いをしたいと思います。
○梅村総合防災部長 大規模災害発生時におきまして、膨大な災害対応業務が生じる中で応急活動に係る人的支援や食料などの物的支援を円滑に行うためには、自治体間の相互連携が果たす役割が重要となります。
都はこれまで、全国知事会や九都県市との間で災害時の相互応援の枠組みを確保するとともに、九都県市と関西広域連合との間で相互応援協定を締結し、遠隔地の自治体からの応援を受け入れる体制を整備しております。
また、九都県市の広域防災プランや応援マニュアルなどの改正を通じまして相互応援の実効性を高めるなど、広域連携体制の強化に取り組んでまいりました。
○内山委員 ありがとうございます。そういった広域的な枠組みでの相互というところが、やはり東京都としては考えられるのかなというふうに思いました。ありがとうございます。
一方で、さらに具体的に受援体制等のところについてお伺いをしたいと思いますが、熊本地震においては、延べ十一万人を超える全国の自治体の職員が被災地支援に従事をされたということで、こういった広域的な人的もしくは物資といったところでの支援というのは極めて大きいと思っています。
一方で、先ほど西沢委員だったかな、そのマッチングというところで考えたときに、人も物資も必要としている、それが供給もされる、しかし、そこがなかなかマッチングしないという、こういった問題というのは、熊本だけではなくて、東日本大震災のときも何度か指摘をされた問題ではないかなというふうに思っております。
そういった中で、熊本地震を踏まえて、東京都として、受援、応援について何を課題として認識をしているのかというのをお伺いしたいと思います。
○梅村総合防災部長 被災地派遣の経験を組織全体で共有し、今後の都の防災対策につなげていくことは重要でございます。
このため、都派遣職員や被災自治体へのヒアリングなどを通じて明らかになりました課題等を中心に整理いたしまして、平成二十八年十一月に熊本地震支援の記録を取りまとめたところでございます。
熊本地震の被災自治体では、応援職員への指揮や誘導、調整などへの関与が十分ではなく、応援自治体に任せきりとなる例や、被災自治体による支援ニーズの把握や集約が困難な状況に陥っていた例、また、支援物資が物資集積拠点に滞留し、避難所まで速やかに届かない例などが見受けられました。
こうしたことから、他県の応援職員の支援やマネジメントを適切に行うことができる体制整備や、発災時に都がみずから対応可能な業務を平時から整理した上で、広域応援によるべき業務を明確化すること、また、物資の調達元から避難所に至る物流を一体と捉えまして、支援物資の受け入れ、輸送体制を構築していくことなどが必要であると認識しております。
○内山委員 ありがとうございます。
被災されたところに職員を派遣して、そこでお手伝いをする、支援をするというのは、もちろん、一義的にはその被災自治体の支援ということになるのですが、そこで得られた経験というのは、持って帰ってきたときに東京都の大きな財産になると思います。
私もこれまで、災害の支援のボランティアに何度か行かせていただきました。西沢委員と行かせていただいたんですかね、一緒に行かせていただいたのですが、そこで、例えば災害のボランティアの受け入れ体制とかというのも、一度というか、何度か経験をしていると、大体受け入れの--今の話はボランティアの受け入れですけど、受け入れ体制のレクチャーを受けても、すぐ頭の中にその景色というか、状況をイメージしやすいんですね。
それはもう本当に、百聞は一見にしかずじゃないんですけど、そういうことを考えたときに、東京都の職員が実際に現地に行って、東日本大震災もしくは熊本の震災、さまざまなところでそういった経験を積んできて、それを、じゃ、そのままダイレクトに--先ほど申し上げましたが、東京都は大所帯ですから、そのまま使えるかどうかというのはわからないのですが、しかし、それを財産として持って帰ってきて、東京都でしっかりとその生の経験を形にしていくというのは、これはかけがえのない財産になると思いますので、今答弁いただきましたが、ぜひそこはしっかりと構築をしていただきたいというように思っております。
そういった中で、国におきましても、この熊本の地震の教訓を踏まえた上で、本年三月に地方公共団体の災害時受援体制に関するガイドラインを策定いたしまして、都道府県または市区町村においての応援の受け入れを想定した体制の整備を推進していくこととされております。
そういった中で、当然、都道府県と市区町村、広域的な役割を担うところと実際の役割を担う市区町村で明確に役割が違うということなんですが、この受援、応援体制の構築に向けた東京都の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○梅村総合防災部長 首都直下地震が発生すれば、熊本地震とは比較にならないほどの膨大な支援ニーズが発生することから、都が単独で対応することは現実的には困難であると想定されます。
そのため、他の道府県や関係機関から都が応援を受け入れる受援、そして、被災市区町村に対する都みずからの応援や、他県等から受ける人的、物的支援を被災市区町村へ効果的につなげていく応援、この受援と応援の体制を早急に整備していく必要がございます。
現在、自衛隊、警察、消防などの関係機関や都内市区町村とも連携しながら、具体的な手続や受け入れ体制などの確認を進めているところでございます。
首都直下地震などの災害発生時には、広域連携の枠組みを有効に活用し、円滑な支援を受けられるよう、今年度中を目途に市区町村の支援ニーズの集約方法、受援、応援のルールや手順を明確化するなど、都の受援、応援体制の強化に取り組んでまいります。
○内山委員 ありがとうございます。今答弁いただいたとおり、この受援、応援体制の早期の整備というのは極めて重要だと思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。
そういった中で、先ほど、これも西沢委員からもありましたが、民間事業者との連携というものも極めて重要だと思っています。自治体だけではなく、民間事業者との連携は、これまでも、いつ発生してもおかしくない首都直下地震等に備えて、民間の事業者と協定を締結してきたということを質問しようと思ったのですが、答弁がさっき来ていました。四百三十一の民間企業及び民間企業等で構成される団体と締結をしてきたということでございました。
なので、これは質問しませんが、一方で、そこから先、協定を結んだら、それがすぐにでも機能する、もしくは、結んだら二、三年たって機能するという、こういうものでもないと思います。そうした中で、災害が発生したときに、いかにこの協定、もしくはその連携がしっかりと発揮できるかどうか、実現できるかということが重要、まさに肝となってくると思います。
そこで、この協定の実効性を高めるために、東京都はどのような取り組みを行っているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○西川防災計画担当部長 都はこれまで、総合防災訓練を初めとした訓練を民間事業者等と連携して実施するなど、協定団体等との間で、定期的に物資輸送訓練や連絡体制を確保するための通信訓練などを行ってまいりました。
本年九月に調布市と合同で行いました総合防災訓練では、広域輸送基地である東京都多摩広域防災倉庫の備蓄物資などを調布市の地域内輸送拠点へ配送する訓練を、協定締結者である東京都トラック協会や物資調達関連団体の参加のもとに実施したところでございます。
今後とも、関係者へのより一層の周知を図っていくなど、連携体制の確保等に向けた取り組みを通じまして災害対応の実効性を向上させてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。今まさに答弁をいただいたのは、こういった取り組みを行っている例を答弁いただいたと思うのですが、この四百三十一の協定を結んでいる中で、全てのその協定が、今ご答弁いただいた中に網羅されているとはなかなか考えづらいんですね。
そういった中で、この質問に至った経緯としては、協定を結んでいるんだけど、実際に何をやっていいかわからないんだよねという事業者の方の声を聞いたのが、この質問の第一歩でありました。
当然、四百三十一といっても、その中の、例えばグループ企業だとか、いろいろな関係のところで派生をしていくと、もしかしたら、これよりも多い関係団体、企業があるのではないかということが推察をされると思います。
もちろん、総務局だけではなくて東京都全体ということですから、多くの局にまたがった問題になると思いますが、協定を結ぶことが目的ではなくて、その協定をいざ災害が起きたときに機能させていくということが重要だと思いますし、先ほど質問、意見をさせていただいた、この大きな東京都の中での受援、応援体制も含めて、さまざまなものが機能していくという中においては極めて重要な視点だと思いますので、ぜひそのあたりも再度点検をしていただければと思います。
続きまして、罹災証明の件についてお伺いをしたいと思います。
昨年四月の熊本地震においては、被災者に対する罹災証明書の交付など、これがなかなか、もろもろの事情ですぐに交付できなかったということがあるというように聞いております。
そういった中で、こういった災害などで被害を受けた被災者にとりましては、生活の再建は大変大きな問題でありまして、少しでも早い公的な支援を受けることを望んでいるものだと思います。
そこでお伺いをいたしますが、被災者が早期に生活再建を図るためには、罹災証明の交付等を迅速に行う必要があろうかと思います。これらの業務を行う上での課題認識について、まずお伺いをしたいと思います。
○和田防災対策担当部長 被災した自治体では、短期間に罹災証明書の交付やその前提となる住家被害認定調査を行う必要があり、膨大な業務量が発生いたします。また、自治体間の対応にばらつきがあると、被災者の不満や不公平感が発生し、その是正などの対応に追われ、業務にも影響が出るおそれがあります。
そのため、第一に、迅速かつ効率的に調査等を行うため、業務のシステム化、電子化の推進、第二に、自治体間で対応に差異が生じないよう、業務実施上の統一的な方針、ルールの策定、第三に、発災時に業務を行う実践力を備えた人材の育成を効果的に進めていく必要があります。
○内山委員 この罹災証明書発行などの膨大な量の業務を混乱なく迅速に行う上では、今答弁がありました。おのおのの課題に日ごろから取り組んでいく必要があるということで、その中で、少し何点かお伺いをさせていただきたいのですが、熊本県の公表されている資料などを見ると、この罹災証明書の交付数は十八万件を超える膨大な数に上っています。そうすると、この交付にかかわる業務を効率的に進めることは極めて重要であります。
東京都では、この業務のシステム化、電子化を図る取り組みとして、被災者生活再建支援システムの導入を進めていると伺っておりますが、どういったシステムなのでしょうか、概要をご説明いただければと思います。
○和田防災対策担当部長 被災者生活再建支援システムは、地理情報システムなどを活用して住家被害認定調査から罹災証明書の作成、被災者台帳を用いて各部署間で情報を共有しながら福祉サービスの提供、就労支援、住宅再建などの生活再建支援を一貫して行うことのできるシステムであります。
都では、平成二十二年度からこのシステムの検討を行い、二十四年度から市区町村への導入促進に取り組んでおります。
このシステムは、二十五年度の大島町の土砂災害時のほか、熊本地震の際にも複数の被災自治体で使用され、調査結果のデジタルデータ化による罹災証明書の迅速かつ効率的な発行など、システムの有効性が実証をされております。
○内山委員 ありがとうございます。このシステムの概要とその有効性についてはわかりました。
端的に、その導入の状況についてお伺いをしたいと思います。
○和田防災対策担当部長 先ほどもご答弁をいたしましたが、都では、被災者生活再建支援システムの市区町村への導入促進を平成二十四年度から取り組んでおります。
市区町村が導入するに当たっては導入コストの負担が課題となることから、システム導入の促進を図るため、システムと機器を市区町村ごとに導入する従来の方式に加えまして、システム、機器などを共同利用する方式での導入を未導入の自治体に対して昨年度提案いたしました。その結果、本年十一月時点で、六自治体が共同利用方式での導入を新たに行い、従来方式とあわせまして、計二十四自治体が導入済みでございます。
○内山委員 ありがとうございます。こういった被害調査や罹災証明書の交付の膨大な業務を自動化することなしに進めていくことというのは、現実的には不可能ではないかなと感じるところでございます。この被災者生活再建支援システムの都内各自治体への早期導入に向けて、ぜひ取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、発災時に業務を行う職員の育成についてお伺いをいたします。
このシステム化を行うとともに、発災時にこういった調査や罹災証明書の交付を迅速に行うためには、業務に従事する職員を日ごろから育成する必要があろうかと思っております。兵庫県などでは、こういったところが足りなかったというような話も聞いております。
東京都での取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○和田防災対策担当部長 都では、罹災証明書の交付や交付の前提となる住家被害認定の調査等に携わる自治体職員の育成のための研修を平成二十六年度から実施しております。
研修の実施により、業務に必要な知識を習得するとともに、発災時にこれらの業務を迅速かつ効率的に行う実践力のある職員の育成を図っております。
また、首都直下地震などの発災時には膨大な業務量が発生することから、都内の市区町村間で相互に調査等の業務を支援できるよう、体制整備に取り組んでおります。
今後とも、市区町村と連携し、引き続き職員の育成を図ってまいります。
○内山委員 先ほど来から申し上げているとおり、早い段階で罹災証明書を交付して、この被災者生活再建支援制度を初めとする公的支援によって、被災者の住宅再建や生活再建を後押ししていくことは極めて重要だと思っています。
しかしながら、被災者の生活再建を円滑に進めていくためには、公的な支援に加えて、自然災害による損害を補償する地震保険などの保険、共済への加入を促進することも重要なのではないかなと思っています。
そこでお伺いいたします。発災時に被災者が生活再建をするのに際しまして、地震保険の意義についてお伺いしたいと思います。
○和田防災対策担当部長 地震などの発災により住まいが損害を受けて修繕や建てかえをするとなれば、多額の費用負担により、被災者の生活に多大な影響を及ぼします。災害に備えた事前の取り組みとして、任意で地震保険へ加入することは、発災時の円滑な生活再建に効果があるものであります。
都では、都民向けの東京都防災ガイドブックにおいて、日ごろから災害への備えの一つとして地震保険について紹介をしているところであります。
○内山委員 ありがとうございます。
こういった地震の保険に関して、今、内閣府の保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会というものによれば、地震の保険の加入率が四九%、水災補償の加入率が六六%ということでありました。水災の方に関しては、保険を知らなかったというような意見もあったというふうに聞いております。
国の方でどういった形でこの議論がまとまっていくのかというのは見守っていく必要もあろうかと思いますが、一方で、この地震保険に関して、さすがに今はご存じないという方はごくごく少数だと思いますが、その知っているレベルというのは、単純にそういうものがあるというのを知っているのか、それとも、いざ震災が起きたときにどういった形で生活再建に向けて実効的なものなのかという、そういう深いレベルまで知っているという、その知っている、知らないでも、その中に大きな知識の差というものがあると思っています。
そういった中で、ぜひ東京都としても、知らないというレベルをなくしていくことは当然のことなんですが、まず、この地震保険というものをしっかりと認知度、知識の中の深いレベルで認知をしていくことによって、こういった保険というものは、いざ災害が起きたときに、より自立していく大きな力になっていくと思います。そういった中で、ぜひこの地震保険について、積極的な啓発活動も日ごろの防災の取り組み中で行っていっていただきたいなというように思っております。
ちょっと早口になってしまったところもあろうかと思いますが、防災対策について、結果的には、九問、質問をさせていただきました。冒頭でも申し上げましたが、東京都の持つ、ある意味というか、いろいろな意味で大きな力がしっかりと、東京でいざ震災が起きたとき、もしくは、周辺というか他の道府県でそういった震災が起きたときに、より使えるような日ごろからの取り組みというか、備えというものは極めて重要だと思っています。
私が指摘するまでもないことだと思いますが、そういった意気込みだけではなくて、平時からそういったきめ細やかな対応、これがまさに--よく自助、共助、公助という使われ方もしますが、公助の部分で我々が日ごろから備えていくことは極めて重要ですが、自助、共助、例えばこの地震保険なんていうのは自助の取り組みだと思うのですが、いい方は悪いですけれども、自助だから自分たちでやってくださいということだと、いざ何か起きたときに、その自助と共助がうまく機能しない、結果的に公助が圧迫されてしまう、こういうこともあろうかと思います。ですので、我々は公助をしっかりと押さえていきながら、自助、共助がいざというときに機能するような取り組みというものも、平時では重要なのではないかと思っています。
引き続き、取り組みには期待をして見守っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私の質問は以上となります。
○中屋委員 私からも、防災について何点か質問をいたしたいと思います。
防災対策に関し、都民の自助、共助の取り組みについて何点か伺います。
今後三十年以内に七〇%の確率で首都直下型地震が発生するといわれております。その際、重要となるのが、行政による公助に加えて、都民による自助、共助の取り組みであります。阪神・淡路大震災では、発災時に生き埋めや閉じ込められた人のほとんどが、自助、共助により助かったわけであります。東京を災害に強い都市としていくためには、この自助、共助を担う都民の防災意識の向上や地域防災活動の活性化が何よりも重要となってまいります。
そこでまず、都民の自助の取り組みについて質問をいたします。
首都直下型の地震の被害想定によりますと、約一千万人の都民は、自宅の倒壊などの被害を受けないため、避難所に行かず、引き続き自宅にとどまる在宅避難をすることになります。大規模災害が発生すると、電気、ガス、水道、下水道などが使えないおそれがあるほか、道路が瓦れきで塞がれるなど、流通が機能しないおそれがあります。在宅避難者は、食品や日用品などが入手困難となる中で、身の回りにあるものだけで生活することが想定をされます。
このような事態に備え、都民が自宅での備蓄を進めることが必要だと考えますが、都の取り組みを伺います。
○和田防災対策担当部長 災害時に備えた都民の自助の取り組みとして、自宅における備蓄が重要であります。
そこで、都は、ふだん使っている食品や日用品などを少し多目に備えておく日常備蓄という考え方を都民に提案し、家族で備蓄を確認するきっかけとなるよう、日にち的には一昨日になりますが、十一月十九日を備蓄の日と設定しております。
都民が日常備蓄を実践しようという機運を醸成するため、リーフレットやポスターなどによる広報活動や、一昨日、新宿駅西口イベントスペースで実施した備蓄の日フェスタなどの普及啓発イベントを実施しております。
災害時でも都民が自宅で安心して生活を継続できるよう、今後とも日常備蓄についての普及啓発の取り組みを推進してまいります。
○中屋委員 ぜひ今後も、都民に対して、日ごろから必要な食料品や日用品を備えることの重要性について普及啓発を進めていただきたい、このように思っております。
次に、都民が自助、共助の防災意識を高めていくためには、地域における取り組みも重要であります。地域を支えているのは、町会、自治会の皆さんであり、さまざまな活動に積極的に取り組んでおります。我が党では、こうした町会、自治会の活動の重要性を常々申し上げてきたところであります。
それぞれの地域により防災上の課題や関心事が異なることから、そこに住まう都民一人一人の防災意識向上のためには、地域を熟知した町会、自治会の存在は欠かせないと考えます。
そこで、地域で活動する町会、自治会を通じた都民の防災意識向上に向けた取り組みについて伺います。
○和田防災対策担当部長 都民の防災意識を向上していくためには、地域で防災活動に取り組む町会、自治会などに働きかけていくことが重要であります。
そこで、平成二十五年度から、町会、自治会などを対象に、防災の専門家を派遣し災害について学ぶ学習会として東京防災学習セミナーを実施しております。受講を希望する団体が多いこともあり、今年度からは、回数を年間二百五十回から三百回にふやして実施しております。
今後とも、都民の自助、共助の意識向上のため、町会、自治会などに対する防災学習の機会を提供してまいります。
○中屋委員 都民の防災意識を向上させるためには、東京防災学習セミナーの取り組みは大変有効であると思います。今後とも着実に実施をしてほしいと思います。
災害時に共助の活動を担う主役は、この町会、自治会を初めとした自主防災組織であります。私は、東日本大震災の後、決算特別委員会やこの総務委員会において、この自主防災組織の活動活性化について積極的に支援すべきと訴えてまいりました。
東京防災隣組、向こう三軒両隣、皆さんで協力をして地域を守っていこう、そして、東京都がそうした頑張った人たちにはそれぞれ賞を与えていこうと、こういう取り組みをやっていただいたと思います。
自主防災組織の現状を見ますと、役員の方々の高齢化や活動のノウハウ不足など、さまざまな課題を抱えております。こうした課題に対してどのように対応していけばよいのか、自主防災組織だけでは解決は難しいと私は考えます。
こうした課題を抱えている自主防災組織の活動をこれまで以上に活性化するためには都の支援が必要と思いますが、都の取り組みを伺います。
○和田防災対策担当部長 共助の担い手である自主防災組織の活性化のためには、各団体へのきめ細かな支援が重要であります。
都はこれまで、自主防災組織を対象にシンポジウムや交流会などを開催し、各団体の取り組みについて情報発信や情報交換を促進してきました。
さらに、今年度より、都は、防災の専門家を派遣し、活動に若年層の参加者をふやす工夫や新しい訓練の方法など効果的なアドバイスを行う自主防災組織活動支援事業を開始し、十団体に専門家を派遣いたします。
今後とも、自主防災組織を支援する取り組みを進め、地域防災活動の活性化をより一層推進してまいります。
○中屋委員 今、都民の自助、共助に関する都の取り組みを質問してまいりましたけれども、こうした取り組みをさらに充実させていただいて、都内全域の地域防災力を向上させていくことが何よりも重要であります。これからも都民の主体的な防災活動を支援する取り組みを着実に実施してほしい、このように思います。
続きまして、外国人を念頭に置いた防災対策について、一つ質問をいたします。
東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックには、選手、関係者、観客など多くの外国人が来日すると考えられます。大会の成功に向けて、安心してお越しをいただくためにも、防災対策上の準備も重要となってまいります。
万が一、大会開催期間中に大規模な災害が発生した場合に、言葉や習慣も異なり、地理的にも不案内な外国の方々は、防災上配慮が必要な方々だと思います。発災時に外国人の方々の不安を低減させ、混乱なく安全に避難等をしていただくためにも、外国語による情報提供など、適切な支援の取り組みが重要と考えます。
そこで、東京二〇二〇大会に向けて、外国人の方々を念頭に置いた防災対策を一層進めるべきと考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。
○梅村総合防災部長 大規模地震などの発生時に外国人の方々の安全・安心を確保することは重要でございまして、特に東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の成功のためにも、安全・安心な大会への万全の備えが必要であると考えております。
このため、都では、二〇二〇年を目標に自助、共助、公助による防災の取り組みを推進すべく、平成二十六年末に東京の防災プランを策定し、この中で、災害情報の多言語化や、わかりやすい案内板の整備など、外国人の方々への情報提供手段の強化を図っております。
また、平成二十七年に作成いたしました「東京防災」におきましても、英語版を初めとする外国語版の冊子を作成するとともに、ホームページに掲載し、必要に応じて利用いただける状態とするなど、防災情報の提供や防災知識の普及など発災時に備えた外国人の支援策を進めております。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、全庁で連携をして発災時における外国人の方々の安全・安心の確保に努めてまいります。
○中屋委員 この防災については、常に都民の関心が一番高いところです。命にもかかわることです。ぜひとも東京都として心して取り組んでいただきたいことをお願いして、質問を終わります。
以上です。
○原委員 それでは質問したいと思います。
大きくは三つのテーマで質問をしていきます。首都大学東京についてと職員の福利厚生関連と人権問題です。
最初に、首都大学東京について伺います。
首都大学東京が実施をしている学生生活実態調査の報告書では、はじめにの部分で、学生の意見を聞きながらキャンパス内の改善に当たってきたことに触れながら、このように書いてあります。本実態調査の中で寄せられた自由意見には、日野キャンパスと荒川キャンパスでの生活環境に対する要望は依然として寄せられていますと記されていまして、大学学生委員会としてキャンパスの環境改善が課題であるとの認識が示されています。
これらの課題解決に向けて、大学ではどのような取り組みが行われており、また、大学から東京都に要望が上がってきた場合、どのように対応しているのか、まず基本的な考えを伺います。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、学生の家計や健康などの状況を把握するため、二年ごとに学生生活実態調査を実施しており、その中で、大学のよい点と改善してほしい点についても学生の声を聞いております。
大学では、この調査結果を分析し、学生支援策やキャンパスの環境改善に向けた検討を行っております。例えば、日常生活での悩みやストレスについての調査結果を踏まえ、今年度から荒川キャンパスでの学生相談室の開室日をふやすなどの改善を行ったところでございます。
なお、大規模な施設改修を伴うものなどにつきましては、都が施設費補助金を予算措置することが必要となりますので、都としても、大学の要望を聞きながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○原委員 来年度から学部が再編をされるということで、今、そのことに関連をして、南大沢キャンパスと日野キャンパスを結ぶ連絡バスについては改善が必要ではないかという声も上がっていると聞いています。
バスの増便などの改善が求められるのではないかと思いますけれども、東京都の考えを伺います。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日野市に所在する首都大学東京のシステムデザイン学部の学生は、一年から二年次は、原則として大学のメーンキャンパスである南大沢キャンパスで教養科目等を中心に学び、三年次から日野キャンパスで本格的な専門科目を受講しております。
大学では、両キャンパス間を移動する学生や教職員のため、通常、一日往復十四便の連絡バスを運行しており、利用状況や学生の要望等を踏まえ、ダイヤの改正や車両の大型化などの改善を行っております。
学部再編後のカリキュラムや時間割り編成につきましては、同じ日にキャンパス間を移動するような形を避けるなど、できる限り学生の負担が少なくなるよう、首都大学東京において検討しているところでございます。
都としても、今後とも、こうした大学の取り組みを支援してまいります。
○原委員 わかりました。学部再編についてはホームページなどでも詳しく書かれていましたけれども、電気、機械のコースが再編、統合されて、それぞれ人数がこれまでよりもふえるというふうに見受けました。そうしますと、一つの学科は百人近い人数で、その方たちが、仮に同じ時間に日野キャンパスで全員授業を受けるということになった場合に、バスの問題だけではなく、受け入れる教室が十分足りるのかとか、いろいろ課題があるのではないかというふうにも感じています。ぜひ大学の検討状況を見ながら取り組みの支援をお願いしておきたいと思います。
それで、最後にもう一点、首都大学東京について伺いたいのは、私も学生生活実態調査報告書を読ませていただいて、非常によく分析をされていて、学生の声が、また生活実態があらわれていると思いました。このサンプル数も四千百五十八ですから、かなりの学生が回答してくれているということで、これを生かしていくことが非常に大事ですし、既にこれを生かしながら改善に取り組まれているということもわかりました。
東京都地方独立行政法人評価委員会による業務実績評価においても、ぜひこれを直接参考にすべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学生生活実態調査の結果につきましては、これまでも、東京都地方独立行政法人評価委員会公立大学分科会の委員の求めに応じて都から情報提供するとともに、公立大学分科会が行う大学等とのヒアリングの場においても、その内容や学生から寄せられた声を大学運営に取り入れた例が報告されるなど、適宜、委員が参考としております。
なお、公立大学分科会では、法人の業務運営の適正な評価に資するために、年数回、キャンパス視察を行っており、その際に学生との意見交換を実施しております。
○原委員 この実態調査を読みますと、学生の経済状況も調査をされていまして、全国平均よりも世帯所得が低く、経済的に厳しい状況にある学生が多いという分析もされています。
そういう中で、今回、資料でも出していただいたように、減免制度を利用している学生がふえていたり、また、奨学金についても改善をされてきているということはとてもよいことだと思いますし、その結果、圧倒的にいい点、首都大学東京について、よいと思っているその回答のトップが学費というふうになっていまして、いろいろな、どういう条件のもとでも、学びたい学生に門戸を開いていくという点では、非常に評価をされると思います。
私は、もう一つ、すごく自分として注目したのは、改善してほしい点のトップが、三七・一%で大学名と知名度というふうになっていました。この点については、こうした学生の声も多くあるということを、ぜひ大学の中でも十分話し合ってもらう必要があるのではないかというふうに感じました。その点を申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、とちょう保育園について伺いたいと思います。
昨年十月に東京都が開設をしたとちょう保育園ですが、先日、私も、共産党の都議団で改めて視察をさせていただきました。とちょう保育園といいますと、都民の方に聞くと、都庁の職員の人が利用している保育園というふうに思っている方も多くて、実際には、ゼロ歳から二歳の四十八人のうち、半分を地域の方、そして、その残り半分、二十四人のうちの半分を近隣の企業で働いている皆さんのお子さん方、そして、半分が都庁の職員の方ということで、地域貢献もしながら運営をされているということがよくわかりました。
残念ながら園庭がない保育園ですけれども、現場では、さまざま工夫をしながら保育をされているということも見させていただきました。
きょう取り上げたいのは、とちょう保育園は都議会議事堂の一階に立地をしているわけですけれども、ちょうどその付近に喫煙所があるという問題なんです。
お迎えに来る、送りに来るときもそうですが、駐輪場も近くて子供が通る可能性もある、そういう場所に喫煙所があるということで、これは東京都としての対応が求められるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○村岡労務担当部長 保育施設において子供の受動喫煙を防止することは当然であり、とちょう保育園でも、施設面はもとより、利用動線において園児の受動喫煙防止を徹底しております。
具体的には、保護者や園児が出入りする正面入り口は都民広場側に面し、お話の議事堂内の喫煙所のある区画とは、利用者が接しないよう完全に隔てられております。
また、園児の散歩等を含む利用動線についても、正面出入り口からの出入りを厳守しており、園児の受動喫煙の懸念はないように対応しております。
今後も、保育園利用時の園児や保護者の動線に厳格に対応し、園児の受動喫煙対策に適切に対応してまいります。
○原委員 利用動線については徹底をしていますよということで、それは理解はしますけれども、ただ、議事堂一階は誰でも出入りができる自由なスペースになっていますので、ここの出入り口付近にある喫煙所については撤去をするように調整していくということが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○村岡労務担当部長 施設管理者として対応すべき課題だと考えておりますので、今後の検討課題だと思います。
○原委員 検討課題ということですので、ぜひ検討していただき、対応を求めたいと思います。
都民スペースでは、イベントや展示など、都民誰もが参加できる催しがやられていることも多いので、とちょう保育園に限らず、子供がそのそばを通るということは当然あるということがいえると思います。
また、先日、子供の受動喫煙防止の条例が議会で可決をされたということもありまして、議会の姿勢もまた問われているかというふうに、そこは自覚をしなければならないというふうに思いますが、ぜひ検討をしていっていただきたいということをここでは求めておきたいと思います。
次に、パワーハラスメント等への対応について伺います。
ことしの二月から、従来の相談窓口に加えて、外部弁護士によるパワーハラスメント等相談専用ダイヤルが始まりました。これまでに寄せられている相談件数及び主な内容や対応状況についてお聞かせください。
○村岡労務担当部長 今年の二月に開設した外部弁護士によるハラスメント相談窓口は、毎月四回、一回三時間の時間帯を設定しており、これまで、毎回数件、合計七十件の相談が寄せられております。
相談内容は、上司の言動が威圧的である、上司からの差別的な扱いを受けている、部下や同僚から無視されコミュニケーションが難しいなどパワーハラスメントに関する悩みのほか、セクハラ的な言動あるいは人事異動に関するものも含まれております。
相談窓口では、相談内容がハラスメントに該当するかどうかなど、専門的、客観的な観点から助言しているところでございます。
○原委員 従来のパワーハラスメント相談窓口の受け付け状況もあわせて伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○村岡労務担当部長 パワーハラスメント相談窓口は、平成二十七年の七月に、全庁窓口は総務局人事部、各局窓口は各局人事担当課で整備し、平成二十七年度は、知事部局、公営企業、教育庁合計で五十五件、平成二十八年度は六十八件の相談を受けているところでございます。
○原委員 今までの相談に加えて弁護士相談が実施をされたということで、悩みを抱えている職員の方にとって、プライバシーも配慮されながら安心して相談ができるようになったということでは、とても重要だと思っています。
より相談しやすくしていくために、弁護士さんの相談の時間帯なんですけれども、これも改善を検討されることが必要ではないかと思っています。
現在、平日の時間が、平日の場合は四時半からになっていますけれども、それを終業時刻以降からにするとか、また、土日の相談は第四土曜日の午前中一回ということですけれども、これを回数をふやすなどの検討が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。
○村岡労務担当部長 弁護士による外部相談窓口は、時間外にも相談できるよう、四時半から七時半まで開設しております。土曜日は月一回ですけれども、九時半から十二時半まで開設しているところでございます。
土曜日の受け付け状況は、平日と同様、毎回数件、日によってはゼロの場合もございます。現在ところ、土曜日の対応を拡大する必要は特段ないものと認識しております。
今後も、相談窓口の利用状況を踏まえながら適切な相談体制を確保してまいります。
○原委員 現状はわかりました。今後の状況を見ながら、相談体制については検討をしていっていただきたいと思います。
そして、大事だと思うのは、相談についてはプライバシーは十分配慮しつつも、一個人の問題で解消せず、組織の問題として受けとめて職場環境の改善にどうつなげていくのか、ここが肝要だと思います。
ハラスメントが発生しないよう、啓発、また研修がとりわけ重要だと思いますが、東京都としての対策について伺います。
○村岡労務担当部長 パワーハラスメントは、組織への障害となるとともに、職員の勤労意欲も減退させ、相手の尊厳も傷つける重要な課題でございます。
都では、この認識のもと、ハラスメント防止について、管理監督者を中心に、各種各職層別の研修や講習会を通じて、相談窓口に寄せられた事例を示すなど未然防止への意識啓発を行っているところでございます。
今後とも、丁寧な相談対応や職員への意識啓発などの取り組みを重ねながら、良好な職場環境づくりに努めてまいります。
○原委員 今、ご答弁の中で、相談窓口に寄せられた相談事例も示しながら検討するというお話があって、私はこれは非常に重要だというふうに思います。寄せられた声が本当に組織の改善に生かされるように、悩んで相談をした方が、結果として職場環境がよくなったとわかるような、実感できるような、そういう対策、対応をぜひともとっていっていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。
次に、LGBTの関連で少し伺いたいと思います。
性的マイノリティーの方たちが働きやすい環境を整える動きが、少しずつですが広がってきているとは思っています。就職活動においても、最近は企業の側で配慮をする、改善をするという動きも少しずつ出てきているというふうに思いますが、自治体においては、千葉市において、ことし一月から、自治体としては全国で初めて、同性パートナーがいる職員に結婚休暇に相当するパートナー休暇あるいは親の介護のための休暇などが認められるようになったということです。
ダイバーシティーを位置づける東京都としても、同性パートナーと性的マイノリティーの職員への配慮や、千葉市のような同性パートナーにかかわる休暇制度創設などに率先して取り組んでいくことが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○村岡労務担当部長 働きやすい職場にするためには、差別やいじめ、ハラスメントがないことが大切であり、性自認や性的指向に関する問題も含めて、全ての職員が生き生きと働ける環境づくりは組織としての責務でございます。
都では、管理監督者向けの研修において、いわゆるLGBTなど性的マイノリティーへの認識をダイバーシティーマネジメントの一環として捉えて啓発するとともに、平成二十九年一月にはセクシュアルハラスメント防止に関する基本方針を改正し、性自認及び性的指向に関する周知啓発に努めております。
休暇等の制度活用については、国や他の自治体の状況等も参考にし、客観的な事実確認の方法や法令との整合等も踏まえながら対応していく必要があるものと認識しております。
○原委員 ぜひ積極的な検討を進めていただきたいと思います。ご答弁にもありましたが、全ての職員が生き生きと働ける環境づくり、LGBTの問題も含めて大事なんだというお話でした。その点については、本当にそのとおりだと思いますので、ぜひ積極的に検討して進めていっていただきたいと思います。また機会あるごとに状況等を今後も確認していきたいと思います。
次に、人権問題について伺います。
最初に、人権相談について伺います。
資料として、五年分の人権相談の状況を出していただきました。この資料の見方についてなんですけれども、相談件数のカウントの仕方について、まずご説明をお願いしたいと思います。あわせて、相談の手段は、電話、メール、面談、それぞれ何件ずつになっていますでしょうか。お願いいたします。
○仁田山人権部長 東京都人権プラザにおいて実施しております相談事業につきまして、人権問題にかかわる全般的な相談に対応する一般相談、弁護士による法律相談並びに同和問題及びアイヌの人々という特定の人権課題に関する相談に対応する特定相談がございます。
相談を受け付けた場合には、該当する人権課題や相談内容の分類等を記録いたします。一般相談及び法律相談につきましては、一回の相談受け付けにつき一件と集計しております。特定相談につきましては、相談内容が同和問題やアイヌの人々といった特定の人権課題に関する専門的な相談窓口であるとともに、相談者の生活全般に関する多岐にわたった相談内容が寄せられることが多く、相談の傾向を的確に把握するため、相談内容を複数件に分類し集計する場合がございます。
また、相談件数の相談方法別内訳につきましては、平成二十八年度の実績では、一般相談と法律相談を合わせまして、Eメールが二十四件、電話が七百七十九件、面接が九十六件、郵送が十件でございます。特定相談につきましては、Eメールが五件、電話が六百六十六件、面接が百五十三件、郵送が二十八件でございます。
○原委員 わかりました。この数字が、その人権分野によってかなり差が大きいので、それはカウントの仕方が、一般相談、法律相談、特定相談と、内容によって違いがあるということがわかりました。そういうことだったんですねということがわかりました。
それで、特定相談について伺いたいのですが、人権プラザ分館で行われている特定相談は同和問題とアイヌの人々の相談ということになっていますが、この相談の受け付け方はどのようになっているでしょうか。
○仁田山人権部長 人権に関する相談事業は、相談者である都民に対する適切な助言等を通じてさまざまな人権問題の解決を図るために有効であると考えておりまして、同和問題とアイヌの人々に関する相談は専門知識や経験が必要な分野でありますので、特定相談として、それぞれ専門の相談員がいる専用の電話番号をご案内しております。
また、特定相談の窓口に来たもののうち、相談内容が特定相談以外の人権相談であった場合の振り分け方については、必要に応じて法律相談や他の相談機関等をご案内しております。
○原委員 人権といっても本当にたくさんありますけれども、その人権相談は、どんな相談でも、相談する側がこの問題とかこの分野というふうにわからなくても相談できるということが大切であって、私は、特定相談ということで同和とアイヌの人々だけを取り出すのではなくて、この人権相談全体をさらに充実へと見直すべきではないかと考えていますが、見解を伺います。
○仁田山人権部長 特定相談を行っております東京都人権プラザ分館は、東京都人権プラザ条例の改正によりまして、平成二十九年度末をもって廃止いたします。
東京都人権プラザ分館の廃止に伴い、一般相談や法律相談も含め相談事業全体のあり方について、これまでの実績や都民のニーズ等を踏まえまして必要な見直しを検討しているところでございます。
○原委員 相談事業全体のあり方を見直していく、検討していくということなんですけれども、それでちょっと伺いたいと思ったのですが、人権課題について、優先すべきものとそうではないもの、そういう区別とか、そういう考え方というのは東京都は持っていらっしゃいますでしょうか。
○仁田山人権部長 人権課題について、どれが優先する、どれが優先しないということはございません。
○原委員 わかりました。そういう視点で、相談事業全体のあり方を、ぜひ人権相談全体を充実していく方向での検討を求めておきたいと思います。
次に、人権プラザ分館について伺います。
人権プラザ分館については、今年度末をもって閉館するとなっています。その後の建物の除却など、どのようなスケジュールになっているでしょうか。
○仁田山人権部長 東京都人権プラザ分館につきましては、本年六月に行われました第二回都議会定例会において東京都人権プラザ条例の一部改正が可決されたところであり、平成二十九年度末をもって廃止いたします。
廃止後は、分館が所在する土地は東京都財務局に引き継ぐこととなりますが、引き継ぐに当たって、分館の建物が老朽化していることを踏まえまして、建物を取り壊す予定でございます。
引き継ぎ後の土地の利活用につきましては、東京都の公有財産関係の条例や規則等にのっとり、東京都財務局が関係各方面と調整した上で決定をされます。
○原委員 建物の除却をするまでは総務局人権部として担当しているということだと思いますけれども、一般的に、こういうケースの場合、建物の除却を実施するまでの期間というのはどのぐらいを想定しているものなのでしょうか。
今回の場合だと、二十九年度末でこの人権プラザ分館については閉館していくということは条例が通っているわけですけれども、実際のところ、その解体をするということになる場合には、二十九年度末で直ちに解体ができるわけではないと思いますが、そのあたりのスケジュールをお聞かせいただきたいと思います。
○仁田山人権部長 建物を取り壊すには所要の手続等を確認する必要がありますので、今はスケジュールについて検討中でございます。
○原委員 手続が必要だということで、現時点でもわかっているのは、当然、三月末ですぐ建物がなくなるというわけではないということだと思います。
それで、もともとこの人権プラザ分館は、皮革産業の振興と地域福祉の増進のために産業労働会館としてスタートしたという歴史を持っているので、地域に根差していまして、多くの都民に利用されてきているというふうに思っています。
地域の皆さんから、閉館せずに存続をという要望も強く出されているということで、こうした要望を受けとめて向き合っていくことが大事だというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 東京都人権プラザ分館につきましては、一部の地元の方々から、今後も地域のコミュニティの場として、また、歴史的経緯からも地場産業の皮革履物産業振興のセンターとして活用すべきであるとのご要望があることは把握してございます。
プラザ分館の建物については、設備等の老朽化が著しいことから、使用を継続することは考えてございません。プラザ分館周辺には、貸し会議室機能を有する官公庁施設が複数存在することから、平成三十年度以降はその施設を利用いただくようお願いしておるところでございます。
なお、分館の廃止に当たりまして、利用者の方々に対し周知徹底を図るとともに、地元の台東区に対しても、東京都人権プラザの移転、分館の廃止等について情報提供を行ってきたところでございます。
○原委員 今、冒頭のところで、一部の方々からという、要望についてそういうふうにおっしゃっていましたけれども、それは一部の方々ではないということを私は指摘したいと思います。先ほどほかの委員の方もおっしゃっていましたけれども、実際に台東区の方にも陳情が出されていて、そこで議論もされ、継続審査になっているという状況にもなっていて、本当に住民の方は、ぜひここを残してほしい、活用してほしい、何か手だてはないのかということを今探られているわけで、決して一部の方々ではないということをまず指摘しておきたいと思います。
それで、建物の躯体については、耐震上は、直ちに取り壊さなければならないという問題があるわけではないということもはっきりしているわけです。もちろん、全体のメンテナンス等はしていかなければいけないことはいうまでもありませんけれども、私は今、公共施設については、ストック活用という考え方で、既存の建物をリノベーションして利活用するという、こういうケースがとてもふえているというふうに思っているんです。私は東久留米に住んでいて、隣の清瀬市などでも古い市民ホールをリノベーションして、本当に新築かと思われるような、躯体がしっかりしていたので、そういうような活用をしているというケースは今たくさん出てきているんですよね。
そういう点でも、技術も発展していますし、私は、これだけ住民の方からも活用できないのかという声がある中で、そういうことも含めて再度検討をしていただきたいというふうに強く思っています。
また、この総務局だけではない--今後、この先、総務局から手が離れていくのは解体をされた後ということになっていくと思いますので、住民の方々からの要望は、総務局の範囲にとどまらないさまざまな要望が出ていますので、東京都の方でも、局を横断的にぜひ検討を、議論を進めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 プラザ分館が施設としての機能や役割を十分に果たすためには、建物の耐震性だけでなく、設備の老朽化などの状況も総合的に勘案する必要があるというふうに考えてございます。
プラザ分館は、築年数が既に四十五年を経過しており、平成二十七年度に実施いたしました東京都人権プラザ劣化状況等調査におきましても、耐用年数や更新時期を迎えたことから、改修、修繕の優先度が高い設備が多く、建物を使い続けるためには大規模修繕が必要となるとの調査結果を得ております。
建物の大規模改修には、多額の費用、そして改修期間を要することとなりますので、費用対効果の関係から、都民の理解を得ることは困難であるというふうに考えてございます。
○原委員 私は、リノベーションでの活用はどうかということも含めて提案をしましたので、そして、今、尊重しなければいけないと思うのは、台東区の方でも陳情が出て継続審査になっているという事実もありますので、私は、そこもぜひ重く見ていただく必要があるというふうに指摘をしておきたいと思います。
それで、最後に、ちょっと時間がありませんので、一点だけ伺いたいと思います。
人権プラザ本館の方ですね。先日、視察をさせていただきまして、とても工夫をして、子供でもとても楽しめる、人権の問題を難しくしないでわかる、とてもいい内容の展示が多くありました。ぜひこれは広く周知をしていただきたいということを、この場では要望しておきます。
それで、一つだけ確認をしたいのは、人権プラザは、その施設の性格上、都民誰でも利用しやすいようにしておくことが必要です。都民の方から使い勝手などについて意見が寄せられたときには、常に必要な施設改善を進めていただきたいと考えていますが、いかがでしょうか。
○仁田山人権部長 東京都人権プラザ本館では、多機能トイレや授乳室の新設、トイレ周辺への音声案内機器の設置のほか、施設内を示しました触知案内図の受付への配置など、来場者の方の円滑な施設利用を目指しまして、移転に当たり整備を実施したところでございますが、今後とも、来館者の方を初めとしてさまざまな意見を踏まえまして、より利用しやすい施設となるよう努めてまいります。
○原委員 今、都民の声も聞きながら必要な改善をしていきたいということでしたので、ぜひお願いしたいと思います。
例えば、点字ブロックの色などもわかりやすくしていく改善なども必要ではないかということを私自身は感じました。全国約三十四万人の視覚障害者がいる。そのうちの七割は弱視の方だということがいわれています。そういう方たちにとっても利用しやすいような、そういう改善も含めて今後検討されることを求めて、質問を終わります。
○福島委員 私からは、八問、質問させていただきたいと思います。
まずは行政改革に関するご質問です。
秋吉貴雄氏という方が書かれた「入門公共政策学」という本によると、政策プロセスというものは、政策問題の発見と定義を行って、次に解決策を設計する。このときは費用便益分析なども行っていく。次に、三番目として政策を決定する。ここでは、意見収集や政治家や官僚との調整も行われる。四番目としては、政策を実施して、このときには組織連携が大事です。五番目としては政策の評価。ここでは、セオリー評価やプロセス評価、そしてインパクト評価などが行われるというふうになっています。
私自身、この総務委員会に所属する都議会議員として、三カ月強ではありますけれども、都政を学んできた印象ですが、都では、主に行政活動のアウトプットを検証するプロセス評価は実施しているものの、全般的に、事業の効果をはかるインパクト評価の前提となる政策の最終目標である成果指標の設定が十分でないというふうに感じています。
例えば、都は、非常に多くの普及啓発活動を実施していらっしゃいます。きょうの質問の中でも、斉藤議員の一番最初のお話の中では、水害の対策に関して啓発しなきゃいけなくなりましたし、早坂都議のご質問では、北朝鮮からのミサイルが来たときにどうすればいいかという対応も啓発する必要があるということ、そして、西沢都議のご質問では、帰宅困難者を受け入れるための企業に対する啓発活動も行わなければいけない、山内委員のご質問では、ダイヤルNaNaも啓発しなければいけない。非常にたくさんの啓発活動をされているわけです。
そこで、平成二十九年の定例監査報告書を拝見させていただきますと、計画どおりに予算が執行されたかどうか、例えば啓発活動であれば、パンフレットをきちんと作成したか、印刷物がきちんと予定どおりになっているか、配布はしっかり行われたか、こういうことは非常に詳細に記載されています。
しかしながら、この成果指標に対する達成度に関しては、例えば、啓発活動の一つとして自転車安全対策にかかわる普及啓発というものがあるのですけれども、この場合は、平成二十五年から平成二十八年にかけて事故件数が二八・六%減少しました、このようなことが書かれていますし、パラリンピック競技を中心とした障害者スポーツの推進にかかわる普及啓発の場合は、世論調査で調べたところ、前年に比べて一三ポイント、その認知度が向上しましたということが書かれていたりします。
このような最終的な達成度に相当する記載がある一方で、帰宅困難者対策の場合は、東京商工会議所が年一回行う調査結果を踏まえるというふうに書かれています。ちなみに、これをひもといてみますと、調査結果は三年間横ばいになっています。
また、納税にかかわる普及啓発の場合は、都政モニターで調査して今後活用していきますという記載があるのですけれども、これをひもといてみると、税金の情報発信に関しては不十分が六四・三%、租税教室の実施に関しては知らなかったというのが九〇・六%という内容にとどまっていて、表現にばらつきがあるということを申し上げさせていただきました。
さらにいえば、このような最終的な達成度が記載されていても、そもそもこの成果指標がどうだったかというのは--目標が達成されたかどうかがわからない。例えば、一三%認知度が上がりましたということなんですけれども、そもそも、これは目標値が一五%であれば不足している結果ですし、一〇%が目標値であれば成功した事業というふうになるわけです。なので、数字が示されていても、目標値に対してどうだったかということが実はわからないということになっています。
実は、この成果指標に対する達成度をきちんと決めていくことによって、翌年、その事業を継続するべきか、力を入れるべきか、そして廃止するべきかということが明らかになるはずです。
都では、各局がさまざまな形、例えば、政策企画局が行っている実行プランのPDCAとか、財務局が行っています事業評価、監査事務局が行っています監査、さまざまな観点で事業性能評価を行っているのですけれども、それにおいても、このようなばらつきが生じているということになっています。
ということで、各政策、施策において最終的な到達目標をわかりやすく明らかにするとともに、個別の事業が政策の最終目標にどれだけ寄与したかということを整理、検証する仕組みというのはとても大切だと思っております。
それで、一つ目の質問なんですけれども、今年度に入り、都政改革本部では、二〇二〇改革の取り組みの一つとして見える化改革をスタートさせたと伺っています。
その見える化改革の事業ユニット分析の説明資料には、事業目的や効率性等の観点から事業の課題を整理し、成果指標、生産性、満足度などを数値で示すといった記載がありますが、現在どのような取り組みを行っているのでしょうか。そしてまた、このような取り組みを踏まえて、行政改革推進部としては、各局の政策、施策レベルでのPDCAサイクルを今後どのようにマネジメントされていくか、これについて伺います。
○小笠原都政改革担当部長 今年度から、各局の主要事業について、その実態と課題の見える化を図り、局事業の自律的かつ総合的な見直しにつなげていく取り組みとして見える化改革を開始いたしました。
見える化改革においては、一定の行政活動のまとまりである事業ユニットを設定いたしますとともに、当該ユニットを構成する事業をわかりやすく体系的に整理することとしております。
あわせて、二〇二〇年に向けた実行プランで掲げた政策目標や各局の行政計画で掲げた施策等の目標などに照らし、各局が主体となって自己点検、自己評価を行うこととしております。
現在、各事業ユニットについて調査分析を進めているところでございまして、順次、都政改革本部会議で報告を行っていく予定でございます。
今後、こうした見える化改革の進捗も踏まえつつ、各局の政策、施策におけるPDCAサイクルがより有効に機能するための仕組みを検討してまいります。
○福島委員 今回の質問を作成させていただくに当たり、政策企画局が作成した都民ファーストでつくる「新しい東京」実行プランというもので政策を確認して、財務局がつくった東京都予算案の概要の事業評価のページを見たりとか、ホームページ上では事業評価票というものが載っているのですけれども、これで事業評価を確認して、監査事務局がつくった報告書で監査結果を確認するという作業を行いました。
残念ながら、それぞれの報告書を見ただけでは、実は、どの政策にひもづいているかということは非常にわかりづらい状況になっています。なので、情報開示というのは非常に大事ですけれども、情報を収集する側としても、なかなか難しい状況になっています。
また、最初に述べたように、啓発事業一つとっても、事業によって評価指標がばらついており、局を横断しての比較というものが困難になっています。
都政の行政の範囲は広く、見える化改革の推進は骨が折れる作業だとは思いますが、今回ご答弁いただきました、各局の政策、施策におけるPDCAサイクルがより有効に機能するための仕組みの中の体系的に整理という部分ですが、最終目標である政策に個別の事業がどれだけ関連しているかということをきちんと明らかにすること、そして、この政策目標、達成目標をきちんと整理して自己点検、自己評価を実施するというあたりが--政策や施策の最終的な到達目標に対して、できるだけこれらの事業を客観的に比較できるようにして、例えば局をまたいだ評価、例えば、いい啓発事業があれば、ほかの局がまねしてもいいわけですよね。そういう比較できる形にしていくということを強く要望して、一つ目の質問を終わります。
二つ目は、三問、防災に関しての質問をさせていただきます。
先ほどから東京都帰宅困難者対策条例の話がたくさん出ていたので、これに関しては割愛をします。
しかしながら、東京商工会議所が毎年実施している会員企業の防災対策に関するアンケートの二〇一七年度の調査結果では、東京都帰宅困難者対策条例の認知度は六四・四%で、過去三回の調査から大きな変動がないことが明らかになっています。また、東京の防災プラン進捗レポート二〇一七の中で紹介されているアンケート結果でも、帰宅困難者対策条例を知っている人は四六・二%、前年度比〇・五%増にとどまっています。
帰宅困難者対策条例というものは、全員が一斉帰宅を抑制して初めて成立する仕組みであるため、一般の人で四六・二%、商工会議所所属企業で六四・四%にとどまっているという認知度は上げていく必要があります。
今後、さらに認知度を上げるために、都民の意識を十分に把握した上で普及啓発の方法を検討する必要があると思いますが、先ほど述べた東京の防災プラン進捗レポート二〇一七の中では、帰宅困難者になった場合の心配なことの一位として、家族の安否が七〇・五%となっています。
この結果を踏まえまして質問になりますが、都はこれまで、発災時の家族の安否確認方法について普及啓発を推進してきていますが、都民の意識を踏まえつつ、具体的にどのような取り組みを行ってきたかに関して伺います。
○和田防災対策担当部長 大規模震災の発災時には、帰宅困難者が家族の安否を確認した上で、安心して安全な場所にとどまっていただくことが重要であります。
都が昨年実施した都民を対象としたアンケート調査でも、帰宅困難者になった際に心配なこととして、約七割の回答者が家族の安否を挙げており、最も多くなっております。
このため、都は、九都県市と連携して災害用伝言板などの安否確認手段のリーフレットを作成し、防災イベントなどさまざまな機会を捉えて配布するとともに、東京都防災ホームページに安否確認手段を掲載するなどして広く普及啓発を図っております。
また、毎年度、区市町村と合同で実施している帰宅困難者対策訓練などにおいて、訓練参加者に実際にスマートフォンなどの安否確認サービスを体験利用していただくなどの取り組みを行っております。
○福島委員 取り組みに関してご紹介いただきました。しかしながら、リーフレットの作成やホームページ上での安否確認手段の掲載、訓練時の体験利用といった従来の延長線上にある取り組みでは、認知率が頭打ちの状況を打破するには十分ではないのではないでしょうか。より踏み込んだ対策の推進が必要に思います。なぜなら、この安否確認へのニーズは、考えている以上に、本質的、本能的な問題だと考えているからです。
さきに紹介したアンケートでは、いずれも帰宅困難者対策条例を知っているかとは聞いていますが、一斉帰宅抑制を守れるかに関しては聞いていません。そして、帰宅困難者対策に関する検討会議の議事録で挙げられていますけれども、東日本大震災のときに歩いて帰れたという成功体験、加えて、熊本地震のときの二回目が本震だったという体験から、三日間、家族と離れて過ごすということをより困難にしている、そのように考えられます。
この問題意識を持って、私なりにそれなりの人数に確認してみましたけれども、何と全員が、本音では家族や子供のもとに一刻も帰りたい、帰ってしまうかもしれないという答えでした。三日間とどまるという方針がマクロでは正しいことがわかっていても、つまり頭で理解することはできても、ミクロには、三日間、家族と離れて過ごすことはかなり難しいということです。杞憂であればいいのですが、帰宅抑制が守られなければ、企業が幾ら帰宅困難者受け入れの準備を進めても、計画倒れになりかねません。
そこで、先週プレス発表がありました児童生徒の安否確認ハンドブックですが、これも家族の安否確認にかかわる取り組みだと思います。
そこで質問になりますけれども、今回のこのハンドブック作成の目的及びその内容について伺います。
○和田防災対策担当部長 大規模震災の発災時に帰宅困難者に安心して会社などの安全な場所にとどまってもらうためには、家族、とりわけ子供の安否情報を確認できることが重要であります。
このため、保育所や学校などの施設の防災担当者が発災時に児童生徒の安否情報を円滑に保護者に連絡できるよう、施設の防災担当者向けのハンドブックを作成いたしました。
ハンドブックは、担当者が利用しやすいよう、災害用伝言ダイヤルやスマートフォンなどで利用できる災害用伝言板などの安否確認方法に加え、施設における安否確認訓練の実施例などを掲載するとともに、担当者が直接書き込んでマニュアルとしても活用できるようにしております。
○福島委員 今教えていただいた、マニュアルとして記入できるところもあるということで、啓発だけではなくて、少しこう、主体的な行動もできるような仕組みになっています。
今ご紹介いただいた、保護者からの安否確認に応える方法を学校施設などに設定するというこの取り組みは、帰宅困難者にとって一番心配な家族の安否の実現をより確実にするための大変よい試みだと私は思っています。
本委員会前に伺ったところ、このハンドブックの作成に当たっては、学校など六つの施設をきちんとヒアリングして、安否確認のすぐれた取り組み、例えば通知文の例文に、日本語だけではなくて、このような英語文も入れていくといったような先進的な取り組みを普及するということでした。
それで、ついそういうふうに聞いてしまうと、介護施設とか障害者施設にも同じようなものをつくってくださいというふうにいいたくなるのですけれども、ここはぜひこの取り組みの費用対効果を検証していただきまして、従来のパンフレットとか、あとは掲示とかイベントとかに比べて、こういうものが安否確認の不安に対する都民の心にきちんと応えられているかどうかということをよく検証した上で、効果があるとなれば、ぜひ介護施設、そして、そういう高齢者施設とか障害者施設にも展開していただきたいというふうに思います。
では、防災に関する最後の質問になります。
今後も、東京都帰宅困難者対策条例の認知度向上、そして、一斉帰宅抑制の普及啓発のためにアンケート調査を行っていくと思いますが、ご質問になります。
アンケート調査を実施するに当たっては、帰宅困難者対策条例を知っているかという質問だけではなく、一歩踏み込んで、都民の意識をしっかりと把握できるように、例えば、一斉帰宅抑制を守れるか、守れないなら、何があれば守れるかといった設問を設定するなど見直しが必要だと考えますが、見解を伺います。
○和田防災対策担当部長 効果的な普及啓発を行うためには、アンケート調査などのさまざまな方策を通じて、都民の意識や取り組み状況などを把握することが重要であります。
都は、今後の防災対策の検討に生かすため、毎年度、広く都民を対象に防災に対する意識や防災に関する取り組みなどについてのアンケートを実施しております。
今後も、アンケート調査の工夫などを通じて、引き続き都民意識などをより的確に把握するよう努め、効果的な普及啓発につなげてまいります。
○福島委員 冒頭に述べましたように、私の問題意識は、従来の普及啓発では頭打ちになっている帰宅困難者対策の認知度を上げるためにこれからどのような取り組みをするべきか、そして、認知度が上がると同時に、一斉帰宅の抑制が機能するためにどうすればよいのかということになります。
アンケートから酌み取った家族の安否確認に応える取り組みをご紹介いただきました。しかし、これも、一歩前進した取り組みではありますが、どちらかといえば都から都民への啓発活動になっています。
例えば、このアンケートで、先ほど申し上げたとおり、一斉帰宅抑制を守れないなら、どうすれば守れるかというふうに聞けば、対策を考える手がかりになると同時に、都民が主体的に考えるような機会にもなります。
例えば私であれば、安否確認といっても、その一瞬だけではなくて、安否確認がとれた後も気になります。先ほど述べた耐震性や備蓄に加えて、子供や障害者、高齢者といった要配慮者が過ごす学校や施設を取り巻く大人が連携して当たれる組織があって初めて、自分が帰るよりは施設や地域にお任せした方が安心というふうに思えて、この一斉帰宅抑制が現実的な施策になっていくのではないでしょうか。
ただ、これは私の考えなんですけれども、先ほど中屋理事の方からご質問がありましたように、町会や自治会といった、地方で過ごす人たちによる自主的な取り組みが非常に、防災セミナーでもすごく申し込みが多いというお話も伺いました。
しかしながら、例えば高齢化が進んでいるとか、そういった問題に関して、その地域なりの特性を踏まえた対策を地域の人に考えてもらう。水害対策の場合は、そういうふうに水害の問題になりそうなところを見て回る、自分たちで考えるというのはすごく効果的なんじゃないかというお話がありましたけれども、一方的な啓発じゃなくて、こういう主体的に考える場を設けていく、このようなことで機運の醸成や意識向上がなし遂げられていくのではないかと思います。
ということで、意識啓発や一時避難場所の確保のための補助に加えて、この一段上の意識向上に向けて都民参加型の取り組みというものも検討していただいた上で、啓発活動、そして、こういう主体的な参加活動、どちらがどれだけ効果があるのかということをぜひ検証していただいて、効果的な普及活動をやっていっていただきたいというふうなことで質問を終えさせていただきます。
次に、統計部に関する質問が二点あります。よろしいでしょうか。
総務局統計部には、私個人的には非常に大きな期待をしています。なぜなら、東京都は先ほどのPDCAの徹底に取り組んでいて、実は、これの精度を上げていくためには数値を用いた客観的な評価が重要であり、そうなると統計的扱いが必要になるからです。
例えば、普及啓発のためのパンフレット配布、そしてイベント実施、教室実施、このような一つのアウトカムに向けて複数の事業が実施される場合には、どの事業がどれだけアウトカムに寄与したかを評価するためには、要因が複数あって、分布や交互作用を考慮するときには、本来、統計的な取り扱いが不可欠だからです。
それで、既に国は、行政の改善に統計を持ち込むことを奨励していまして、平成二十八年度から地方公共団体における統計利活用表彰を行っています。
そこで、東京都の地方公共団体における統計利活用表彰に対する申し込み状況を教えてください。
○熊谷統計部長 地方公共団体における統計利活用表彰は、客観的な統計データに基づく的確かつ効率的な行政運営を一層促進する観点から、地方公共団体における統計データ利活用への関心をさらに高めてもらうことを目的として、平成二十八年度から総務省が実施しているものでございます。
統計部におきまして、庁内各局、都内区市町村に対して募集を行い、平成二十八年度の第一回表彰には応募がありませんでしたが、第二回表彰となる今年度は四つの区市から応募があり、そのうち、統計分析により道路台帳閲覧事務等の改善を図った豊島区のGISポータル構築による業務改善の取り組みが、総務大臣賞に次ぐ統計局長賞を受賞したところでございます。
○福島委員 豊島区の申し込んだ内容が統計局長賞を受賞したことは大変すばらしいことだと思います。しかしながら、都としては申し込んでいないというご回答だと思います。業務範囲が広くて人口も多い東京都こそ、行政立案にデータと統計を活用し、政策の精度を上げることが大切だと考えます。
私としては、統計的取り扱いを都庁内の各局に普及する役割は、ぜひ素養がある統計部に担っていただきたいと考えますが、統計部として今後どのように取り組むかについて、お考えをお聞かせください。
○熊谷統計部長 統計部ではこれまで、国から委託を受けて実施する国勢調査、経済センサスなどの各種統計調査から得られる統計データや、これらを都独自に加工して作成した東京都の人口予測、東京都産業連関表などの統計データを庁内各局に提供し、都民ファーストでつくる「新しい東京」の策定など、さまざまな政策の立案決定に寄与してまいりました。
また、各局の統計部門の職員の実務能力の向上を図るため、地方統計職員業務研修を開講するほか、各局が独自の統計調査を実施する際の企画、設計に関する助言や統計データの分析方法の提供など、統計業務全般にわたる全庁的な支援を行ってきたところでございます。
現在、統計データなどの証拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMの取り組みの重要性が指摘される中、都においても、統計部門以外の部署における統計データの利活用の促進と、これに向けた職員全般の情報活用能力、データ分析能力の向上、より加工しやすい形式での統計データ提供など利用環境の改善が課題となっております。
今後、地方統計職員業務研修の拡充や統計利活用に関する情報発信などの取り組みにより、政策立案部門や事業実施部門の統計リテラシーの向上を図るとともに、職員の誰もが自由に統計データを再利用することを可能にさせるオープンデータ化等の施策を進め、統計データの利活用推進による各局の政策の充実を支援してまいります。
○福島委員 各局の統計業務の支援を強化するという、大変力強い回答をいただきました。
九月に発表された東京都ICT戦略には、ビッグデータの活用の検討推進、そして、ICTを都の政策実現に最適な形で活用する、五年後の姿としては、インフラの維持管理にICTを活用する、ICTの活用によりスマートエネルギー都市を実現するといった内容が記載されています。二〇一八年度に試行、二〇一九年度には本格実施といった計画を確実に遂行するためにも、統計的扱いができる人材育成、そして、ソフトウエアなどの環境整備をしっかり進めていただきたいと思います。
では、最後に、人権部に対して二問の質問をさせていただきます。
総務局人権部の取り組みに関しては、イベントの開催や広告の掲示、そしてパンフレットの配布など、啓発活動が中心的というふうに伺っております。
ここで、費用対効果など事業の評価指針に関して教えてください。
○仁田山人権部長 人権意識の高揚につきまして、定量的に測定することは必ずしも容易ではございませんが、都におきましては、人権週間等における講演と映画の集いやヒューマンライツ・フェスタ東京などの集客イベントにおきまして、事業の効果を検証するため、来場者の方々に必ずアンケートを実施しているところでございます。またさらに、来場者数が事業の効果をはかる目安となるため、より多くの来場者数を確保することを目標といたしまして、集客のための周知、広報等を行っております。
またそのほか、より多くの都民の方々へ人権に関する情報を届けることが啓発効果をさらに高めることにつながることから、映画館のスクリーンや大型デジタルサイネージによる人権啓発映像の放映、それから、Jリーグやプロ野球の試合会場における啓発活動、人権啓発ポスターの鉄道車内における交通広告などを実施しているところでございます。
今後も引き続き、できるだけ多くの都民の方々に情報が届くよう、工夫を凝らし、繰り返し粘り強く効果的な啓発の実施に努めてまいります。
○福島委員 イベントの開催に関しては、入場者数とアンケート結果を指標として考えているということを教えていただきました。
人権意識の高揚を定量的に把握することはなかなか難しいことは理解できます。しかしながら、事業を評価し、より効果のある事業にしていくという姿勢はぜひ大切にしていただきたいと考えます。
次に、平成二十九年一月に港区に移転した人権プラザ、こちらを、私と奥澤議員も先週拝見させていただきました。大変すばらしい施設だと、私も本当に学ぶところが多かったのですけれども、ここで使われているパンフレットやイベントのパンフレットを見て気づいた点をご質問させていただきます。
この人権プラザのパンフレットやヒューマンライツ・フェスタ東京のパンフレットですが、実は音声コードがついていません。展示やイベント、パンフレットの内容も大事ですけれども、同時に、展示やイベント会場、印刷物そのものが人権や多様性に配慮した内容になっていれば、参加者や来た企業の人たちは、これを見れば、こういうふうにつくればいいんだと勉強の場にもなるし、きっと大事にとっておいてもらえるんじゃないかなというふうに思うのですけれども、そして、人権に配慮するということを体感することもできると思います。
以上、提案をさせていただきましたが、これに関する見解をお聞かせください。
○仁田山人権部長 人権啓発におきまして、障害のある方や外国人など多様性に配慮することは重要でございまして、東京都では、こうした視点に立ち、これまで啓発機会の提供に努めてまいりました。
具体的には、啓発冊子やチラシへの音声コードの添付、多言語への対応、イベント会場における手話通訳や要約筆記の実施などの配慮を、必要に応じて可能な限り行ってまいりました。
また、ヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一七において、事前広告のチラシなどについては音声コードを添付するほか、東京都人権プラザにおいて作成する印刷物については、色覚の個人差への配慮なども行ってまいりました。
今後も、誰もが安心してイベント等に参加し必要な情報が得られるよう、工夫して啓発事業に取り組んでまいります。
○福島委員 ご答弁ありがとうございました。可能な限りということですが、ぜひその実施率を上げていただくよう努力していただきたいということで、質問を終わらせていただきます。
○菅野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
この際、議事の運営上、おおむね十五分間、休憩をとりたいと思います。
午後六時十二分休憩
午後六時三十分開議
○菅野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
それでは、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
それでは、資料について理事者の説明を求めます。
○浜選挙管理委員会事務局長 去る九月十五日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
お手元の資料、東京都選挙管理委員会事務局が高等学校で実施した選挙出前授業・模擬選挙件数の一ページをお開きください。
東京都選挙管理委員会事務局が平成二十七年度、二十八年度及び二十九年度に実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の件数を区市町村別にお示ししてございます。
よろしくお願い申し上げます。
○菅野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行いたいと思います。
それでは発言を願います。
○内山委員 私からは、投票に際しての障害を持たれている方に対する対応、取り組みについて、端的に一問、お伺いさせていただきたいと思います。
身体的な介護、介助が必要な方というのは、ぱっと見というか、見て特徴的にわかる方、もしくは、介護、介助がなければ、例えば移動することができない方、こういった方々に対しての取り組みというのは比較的進んでいるというか、それがなければ投票ができないので、進んでいるというように理解をしているのですが、特に、一見--例えば知的障害を持たれている方、これは重度であれば見てとれるケースもあると思うのですが、なかなか見てとれないケースというのもあると思うんです。
そういった中で、投票所において、特に知的障害を持たれている方々の対応について、東京都の選管としてどのように取り組んでいるか、お伺いしたいと思います。
○浜選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会といたしましては、全ての有権者の方が投票しやすい環境の充実を図ることは大変重要なことと考えてございます。
区市町村選挙管理委員会の職員を対象に行う研修では、東京都心身障害者福祉センターの協力を得て、投票所における障害のある方への接遇の講義を行っておりまして、その中では、精神障害や発達障害も含め、さまざまな障害の特性や接遇のポイントなどについて説明をしております。
さらに、国や都の選挙についての事務説明会では、事務処理のみではなく、障害のある方などへの対応についてもご説明をし、投票所の投票環境の向上への協力要請を行っております。
今後とも、障害をお持ちの有権者の方々が心配することなく投票できる環境の整備に向けて、区市町村選挙管理委員会と連携を図りながら取り組んでまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
この質問に至った経緯としましては、さきの衆議院選挙のときに、私も昭島選挙区ですけれども、昭島の方ではなくて、ほかの市の方から相談を受けた、質問を受けたのがきっかけでした。
十八歳になる軽度の知的障害を持たれているお子さんと一緒に投票に行ったと。十八歳の彼女は、ちゃんと選挙公報を見て、いろいろと考えて、お母さんとは違う候補者を自分で選んで投票したいという意思を持っていた。
しかし、投票所に行って--軽度なので、恐らくわからなかったんだと思うんです。一緒に入って投票所に着いてみたら、ポスターだとかいろんなもので総合的に覚えていたものが文字だけになっていて、我々もたまにありますよね、文字だけになっていて、あれっ、誰だったっけと、わからなくなってしまった。そのときに、横にいたお母さんが、この人だったでしょうというふうに教えてあげようとしたところ、投票の干渉というふうにとられたのか、お母さんは出ていってくださいということになってしまった。この子は、軽度の自閉症等、もろもろありましたので、そこでパニックに陥ってしまったという、こういう事例がありまして、これはどうすればよかったのか。
最終的には、恐らく、その十八歳の方が、もともとこの方に入れたいと思っていた方に入れられたんじゃないかなというふうにいっていました。こればかりはわからないということでした。
私、この相談を受けたときに、これはもしかしたら盲点なのかもしれないと思いました。というのは、先ほど冒頭に申し上げたように、必ず何かしらの介助が必要な、身体的なもしくは知的な部分も含めて、必ず支援が必要な方に関しては支援が入って、それに対して離れてくださいといわれることはないと思うのですが、一方で、軽度な、普通、何もイレギュラーがなければ、そのまま日常生活が送れるんだけれども、先ほどのようなイレギュラーが起きてしまったときに、ご自身の思いが投票行動につなげられないようなこういったケースというのは、もしかしたら、このケースだけじゃないんじゃないかなというふうに感じました。
ちょっとお伺いしたいのは、このような場合、どのように対応しているか、どのようにすればいいのか、そのあたりを教えていただけますでしょうか。
○浜選挙管理委員会事務局長 投票は、ご本人の意思に基づいて行われるべきものであることは申すまでもないことでございまして、これに資するために、公職選挙法では、各投票所の投票の記載をする場所に候補者の党派や氏名などの掲示物を掲出することとなっております。
また、投票所において、心身の故障その他の事由によって、みずから候補者の氏名を記載することができない場合には、投票管理者に申請して代理投票させることができることとなっております。
投票先の候補者の名前を忘れてしまったご質問のようなケースでは、落ちついた場所で選挙公報をお見せする、また、事務従事者がご本人の意向を確認しながら代理記載するなど、各投票所の投票管理者や事務従事者がご本人の状況に沿って丁寧な対応を行うことが必要と考えております。
○内山委員 ありがとうございます。
こういった対応が冷静にとられるようであれば、それは私は問題ないと思うのですが、残念ながら、今回の、先ほど申し上げたケースでは、こういった対応には至らなかったということでありました。
ご自身の意思で投票することと、また投票干渉をしないということ、これはどちらも極めて重要で、ともすると、こういった軽度の障害を持たれている方、なかなかそれが理解ができない場合においては、両立できないこともあるのかもしれないというふうに私自身思いました。
そういった意味においては、障害のさまざまな形、重度、軽度も含めてあると思いますので、難しい課題だと思いますが、その二つが両立できるように、ぜひ今後とも取り組みを進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○原委員 それでは伺いたいと思います。
提出をしていただいた資料を見ますと、都選管が高校で実施をした選挙出前授業、また模擬選挙が、三年間出していただいたのですけれども、二十九年度は大きく減っているというふうに読み取れます。
実態はどのようになっているのか、伺います。
○浜選挙管理委員会事務局長 十八歳選挙権が導入されました法改正当初は、区市町村選挙管理委員会では選挙出前授業や模擬選挙に関するノウハウが少なかったために、都選挙管理委員会の独自開催や、都が主体となって区市町村と連携して実施する機会が多かったものでございます。
その後、実際に行われた授業の様子や選挙出前授業を実施するまでの段取りを解説した動画及び授業用資料などを都選挙管理委員会のホームページで公開したことによりまして、区市町村や民間団体がそれらを活用して独自に開催することが容易となり、都内での取り組みが広がってきております。
実際、平成二十八年度において、都選挙管理委員会または区市町村選挙管理委員会が独自に出前授業や模擬選挙を実施したもの、都と区市町村が連携して実施したもののうち、都選挙管理委員会で把握している高等学校の数は全体で百九校でございまして、お手元の資料にございます数字は、このうち都選挙管理委員会が実施したものを掲載してございます。なお、そのうち模擬選挙を実施したのは七十六校でございます。
○原委員 わかりました。
実際には、二十八年度では百九校実施をされてきているということで、広がっているというふうにもいえると思います。十八歳選挙権がスタートした中で、こうした取り組みはますます重要になっていると認識をしています。
主権者教育が非常に重要になっているという中で、やはり教育委員会とも連携をしながら意識を高める取り組みも必要であると考えていますけれども、現状の取り組み状況を伺います。
○浜選挙管理委員会事務局長 主権者教育の実施を担っている学校に対しましては、都内の全中学校の三年生向けに、「Let ’s Study選挙」を教材として配布しております。
また、平成二十八年の参議院議員選挙前には、教育委員会が全都立高校生に配布した、選挙啓発や選挙期間中にやってはいけないことが記載された名刺大の選挙啓発カードの作成にも協力をいたしました。
さらには、都立高校で行われる出前授業や模擬選挙に加えまして、選挙権年齢が十八歳になったことに伴って開催される教職員への説明会に講師として参加しております。
○原委員 わかりました。
私は、十八歳選挙権で初めて選挙、投票する人の意見を聞いて、なるほどと思ったことがありまして、十八歳になって選挙に行けるんだから、どんどん若い人が行ってくれということを、すごくあちこちからいわれて、でも、大人の人たちも投票に行かない人はたくさんいるのに、若い人ばかりいわれて、それは不公平だというふうにいった十八歳の人がいました。
私はそれを聞いて、なるほどなというふうに思って、やっぱり十八歳選挙権がスタートした中で、若い人たちにも投票していただく、そうした啓発をしていくと同時に、全体に、皆さんの一票で政治に参加をしていく、そういうことをより訴えていくことはますます必要だなというふうに、若い人の声を聞いて感じました。
それと同時に、主権者教育の大もとのところで大事なのは、子供の権利条約で位置づけられている意見表明権が本当に日ごろから大事にされて、そうした子供たちの意見が社会に生かされていくという、そういう経験をたくさんしていくことだというふうに思うんです。
そういう点でも、選挙のやり方というだけではなくて、やっぱり教育との連携というのは必要だと思いますし、子供議会などをやられている自治体も結構ありますけれども、そういうところでは、子供目線で発言をして、それがそのまちのまちづくりに生かされていくとか、そういう経験をする、こういう機会なんかも非常に大事かなというふうに思っています。
今後、東京都は、来年度予算などでは百五十年の行事をやっていくということにもなっていましたけれども、そういうときこそ、いい機会として、こういう子供たちの意見を聞くような子供議会なども考えていったらいいのではないかと私は思っています。
それから、ある障害者施設、通所施設で、都選管と自治体の選管の方に相談をして、施設に来ていただいて出前講座をやっていただいたという話を地域で伺いました。実際にそのときにいろいろ教えてもらって、自分で考えて決めていいんだということや、当日、もしわからなかったら、心配しないで係の人に聞けばいいんだよということを教えてもらって、安心して自信を持って投票に行けたと非常に喜ばれていました。
ですので、学校だけではなく、そうした福祉施設などにも、今後も要請があればぜひとも出向いて、出前でいろいろ教えていただくということを選管の皆さんにはお願いしておきたいと思います。
それで、最後に、一つ、具体的な問題で質問をさせていただきたいと思うのですが、さきに行われた衆議院選挙において、最高裁判所国民審査と比例代表の投票、この二つの用紙が一緒に渡されて、それで記載台で書いて、それぞれの投票箱に入れるということになっていましたけれども、これが非常にわかりにくいという声が寄せられました。
なぜそれぞれ一回ごとに書くのではなく、二つ同時に一緒に投票することになっているのか、伺いたいと思います。
○浜選挙管理委員会事務局長 最高裁判所裁判官国民審査は、衆議院議員選挙の期日に行うこととなっているものでございます。
ご質問の件につきましては、有権者が衆議院議員小選挙区選挙及び比例代表選挙の投票を行った後、国民審査の投票を行う前に投票所を退出してしまうことがないように、衆議院比例代表選出議員選挙の投票用紙と最高裁判所裁判官国民審査の投票用紙を同じ場所で同時に交付して、投票記載台も同じ場所にして、選挙の投票記載と同時に記載できるようにしたものでございます。
なお、この考え方は総務省が示しているものでございまして、他の道府県においても、市町村の多くがこの方法を採用していると聞いております。
○原委員 済みません、一つだけ確認をしたいのですけれども、総務省からは、この記載台を--結局、三回投票するということになると、記載台が三カ所必要になりますよね、投票所で。それを、例えば記載台は二カ所にしてくださいとか、そういう指示というのは総務省からあるものなんですか。そこだけちょっと確認させてください。
○浜選挙管理委員会事務局長 記載台は同一箇所でというふうに示されております。
○原委員 ごめんなさい。同一箇所というのは、ちょっと意味がよくわからなくて、まず最初に小選挙区を投票しますよね、記載台で書いて。その後、例えば、比例の投票をする、その後、裁判所の方をやるという、それは、やってはいけないとか、そういうふうなことになっているのかどうかということを知りたいのですけれども。
○浜選挙管理委員会事務局長 法律などで定めがあるということではございませんが、投票用紙を二枚、比例代表のものと最高裁判所国民審査のものを同時にお渡しして、同じ記載台で書いていただくことが望ましいというふうに示されておりますので、東京都の選挙管理委員会におきましても、それに従った執行計画を立てたというところでございます。
○原委員 総務省からは、それが望ましいことであるということなんですね。そこは一つ確認しました。
国民審査自体は、信任できない人にバツをつけるという、それも余計に、もともと複雑な仕組みになっているわけですけれども、いずれにせよ、投票の仕方について、さらにわかりやすく周知することをこの場では求めて、質問を終わりたいと思います。
○西沢委員 私からは、聞きたかったのが投票率について、まずちょっとお伺いしたいと思います。
ことしは、都議会議員選挙、そして衆議院選挙と大きな選挙が続いたこともありまして、必ず選挙になりますと、投票率がどうだった、低かった、高かったなどなど、さまざまな議論がされます。高いからいいとか、低いからいいとか論じられることもありますし、そうなってくると投票の義務化というような議論もあります。
そこで、投票率向上についての東京都選挙管理委員会の認識をお伺いしたいと思います。
○浜選挙管理委員会事務局長 投票率の向上は、民主主義の根幹にかかわる大変重要な課題であると認識しております。
投票行動には、当日の天気、そのときの争点、関心の高さなど、さまざまな要因がかかわってくることから、投票率について一概に説明するのは困難でございますが、できるだけ多くの方々に投票していただきたいというふうに考えております。
このため、都選挙管理委員会では、啓発や投票環境の整備など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
○西沢委員 できるだけ多くの方に投票をという話でございますが、もちろん、投票率向上は望ましいと私は思っております。
そうした中で、期日前投票制度という制度がございます。選挙期日に投票に行けない場合は、告示もしくは公示日の翌日から期日前投票が行えるわけであります。
この期日前投票制度は、自分でも経験して感じるのは、期日前投票に行きましょうみたいなことに少し違和感を感じます。期日前投票に行くと、例えば翌日にもう投票するということになりますと、候補者の政策の訴えというものをほとんど聞く機会がありませんし、選挙公報というものも、恐らくというか、見る機会がないまま判断をするというような形になりまして、選挙運動期間は選挙の規模によって異なりますけれども、いずれにしても、有権者の皆様が判断する材料としては少なくなってしまうのかなと思います。
こうしたことから、期日前投票については、どういうふうなあり方があるのかという議論があると思いますが、東京都選挙管理委員会の期日前投票についての認識をお伺いいたします。
○浜選挙管理委員会事務局長 期日前投票は、選挙の当日に投票することが困難であると見込まれる有権者の投票を、公示日や告示日の翌日から期日前投票所で行えるようにした制度でございまして、平成十五年の公職選挙法改正により導入されたものでございます。
投票は、選挙期日に行うことが基本でございます。都選挙管理委員会は、当日投票することが困難な場合の期日前投票の利用について、その期間などを有権者の方にご案内しているところでございます。
○西沢委員 当日投票することができない人は、それよりは、投票に行けないよりは、投票に行ける機会があった方がという制度だということを確認させていただきました。今の認識は、すごく私は大事だと思います。
それで、この期日前投票の投票所の設置についてでありますが、最近はショッピングモールみたいな商業施設、イオン、東武、西武デパートなんかで、四階で投票できますみたいな、そんな声を聞くことがあるようになりました。きょうの議論の中で、こうした制度、設置については、投票率の向上ということからいえば、大きな役割を果たしているんじゃないのかなと思います。
私は、これは東京都が区市町村にこうした制度を働きかけていくべきなんじゃないかというように考えますが、認識をお伺いいたします。
○浜選挙管理委員会事務局長 商業施設などの利便性の高い場所に期日前投票所を設置することは、投票環境の向上を図るという観点から有効と考えております。
こうした場所への期日前投票所の設置につきましては、地域の実情に応じて、コストの観点も踏まえて区市町村選挙管理委員会が判断することになりますが、都選挙管理委員会といたしましては、具体的な設置事例の紹介や助言、支援などを通じまして、区市町村選挙管理委員会の取り組みが広がるよう後押しをしてまいります。
○西沢委員 投票環境の向上を図る上で、私も有効だと思います。ぜひ進めていただきたいと思います。
最近では、私の家の近く、事務所の近くのラーメン屋さんでも、投票済み証を持って行くと煮卵サービスとか、そういうことを商店街とかでも取り組まれるケースもあると思います。
投票済み証の発行については、公職選挙法に規定がなくて、区市町村選挙管理委員会が発行していると聞いております。こうしたのも利用してのPR活動も、ひとつ参考になるんじゃないかなということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○奥澤委員 それでは質問させていただきます。
昨年は参議院議員選挙、都知事選挙、そして、ことしは都議会議員選挙と衆議院議員選挙ということで、大きな選挙が立て続けで、また、予期せぬ形で来たということで、皆さんは大変な時間を過ごされたことと思います。その間に、選挙権年齢の引き下げ、いわゆる十八歳選挙権が始まり、また、ほかの自治体における政務活動費の使い込みなど、さまざまな政治的なスキャンダルが多く起きた年であったと思います。
よくも悪くも政治に注目が集まったからこそ、都民の政治参加への意欲がすごく高まっているということで、きちんと光を当てて、選挙管理委員会の取り組みについて、一つ一つご質問をさせていただきたいというふうに考えております。
まず、選挙管理委員の役割ということについてお伺いしたいのですけれども、平成二十八年度における選挙管理委員の具体的な業務内容についてお伺いいたします。
○浜選挙管理委員会事務局長 平成二十八年度は、さまざまな議案の決定や事務局からの報告を受けるため、選挙管理委員会が二十四回開催されておりまして、内訳は、定例委員会が二十二回、臨時委員会が二回でございます。
このほか、選挙実施時における業務として、参議院議員選挙及び都知事選挙等において行われた東京都・区市町村選挙管理委員会委員長会議、立候補届け出の受け付けや選挙会、当選証書付与式などの事業が十回、また、都選挙管理委員会が主催する行事として、東京都明るい選挙推進大会や明るい選挙ポスターコンクール表彰式などが四回ございました。
それ以外にも、主に電話やファクシミリ等を活用して行われるものとして、委員会において審議が予定される議案資料及び選挙関連資料などの読み込みや分析、情報収集、各種調整、協議に関する判断及び指示などがございまして、登庁日には各種文書の決裁を行っております。
また、他の団体が開催する行事等への参加や出席として、都道府県選挙管理委員会連合会が開催する役員会及び総会、特別区選挙管理委員会連合会や東京都市選挙管理委員会連合会が開催する総会などが十二回ございました。
○奥澤委員 ありがとうございます。
そうしますと、実際に足を運んでの会議や行事が合わせて四十六回、それから、電話やファクシミリを利用しての職務が、回数はわからないが、多数存在するということになると思います。
皆さんご存じのとおりですけれども、東京都の選挙管理委員は、月額報酬を受け取っていて、また、他の自治体よりもかなり高額な報酬になっているということは問題視されたことが過去にもございます。
これを仕事の量だけで見ると、見える範囲だけで見ると、どうしても問題があるのではないかというふうに感じてしまうところではあるのですけれども、仕事というのは、当然、量だけで判断することはできませんので、その質も見て考えていきたいということで、選挙管理委員会、皆様がふだん委員の指示を受けてされている業務内容についても具体的にお伺いしてまいりたいと思います。
まず、事務分掌中、選挙制度の調査、企画及び立案に関することということがありますけれども、平成二十八年度におけるその具体的な内容についてお伺いいたします。
○浜選挙管理委員会事務局長 選挙制度の調査、企画及び立案に関する事業といたしましては、公職選挙法を初めとする各種関係法令の規定のうち、有権者の投票行動や選挙運営に支障を来している可能性があるものの法改正の必要性について検討し、改正が必要と考えられるものについては、他の道府県と協議の上、都道府県選挙管理委員会連合会を通じて国会や政府等に法改正要望を行っております。
平成二十八年に都選挙管理委員会が法改正が必要と提言した主な事項は、都道府県の議会議員選挙または知事の選挙においては、有権者が同一都道府県内の区市町村の間で転居した場合、一回の移転に限り、引き続き選挙権を有すると規定されているところ、二回以上転居した場合においても、同様に選挙権を有することとし、投票可能とすること。郵便等投票のできる者及び郵便等投票における代理投票のできる者について、それぞれの適用範囲を拡大することなどでございます。
なお、このうち、同一都道府県内の区市町村間を二回以上転居した場合における選挙権の継続につきましては、昨年末の臨時国会において改正法が成立し、ことしの六月一日に施行されましたことから、都内では、先般行われた都議会議員選挙から適用されております。
○奥澤委員 ありがとうございます。
ただいまのお答えの中で、郵便等投票のできる者及び郵便投票における代理投票のできる者について範囲の拡大を要望ということがございましたけれども、これ、先ほどの質問とも、内山都議との質問ともちょっと関連するのですけれども、今回の要望に関しては、どのような方々を具体的に想定して要望されたか、そういったことがございましたら、お答えいただければと思います。
○浜選挙管理委員会事務局長 現在の公職選挙法では、郵便投票を行うことができる要件として、身体障害者手帳等を持ち、両下肢、体幹、移動機能などに一定以上の重度障害があること、または介護保険で要介護五の認定を受けていることがございます。
また、郵便投票の代理記載を行うには、これらの要件に加えまして、上肢または視覚の障害が一定以上の重度障害であることが要件となっております。
しかしながら、これらの要件に該当しなくても、実際には、身体の障害等により投票所に行くことが困難な有権者あるいは投票用紙にみずから記載することが困難な有権者がいると考えられることから、要件を緩和する法改正要望を行ったものでございます。
○奥澤委員 ありがとうございます。
選挙の事業実施に関して、どうしても支障となってくるもの、そして、法律と現実が合わなくなっているものというのが現実に存在していると思います。社会の変化によって、有権者のニーズといいますか、求めるものも変わってきておりますので、そういったことをぜひ国へ要望していくこと、そして、我々もそういったことを注視していきたいというふうに考えております。
国では、ネット投票についての議論も始まりました。先ほどのような投票に行くことが困難な方々に対しても有効でありますし、また東京都というのは、住民票を移していない大学生が多数存在していることや、海外勤務のビジネスマンが多数いるというような特徴もございますので、ネット投票が解禁となれば、これはインパクトはかなり大きいものだと思います。ぜひ東京都においても、独自に調査研究あるいは国への要望、そういったことを進めていただきたいというふうに考えております。
続きまして、区市町村選挙管理委員会に対する助言、支援という事業があると思うのですけれども、こちらについても、平成二十八年度におけるその具体的な内容についてお伺いいたします。
○浜選挙管理委員会事務局長 都選挙管理委員会が二十八年度に行った区市町村選挙管理委員会に対する助言、支援といたしましては、まず、参議院議員選挙及び都知事選挙等の実施時には、選挙の全体計画に沿った事務の流れを定める選挙執行計画の策定、その執行計画を説明するための東京都・区市町村選挙管理委員会委員長会議の開催、選挙運営に当たっての留意事項について区市町村選挙管理委員会の職員に周知するための事務手引の作成及び選挙事務説明会等を行いました。
また、港区長選挙や小金井市議会議員選挙など区市町村の独自選挙が行われた際には、それぞれの選挙実施過程で寄せられる問い合わせ等への助言及び相談対応を行いました。
このほか、区市町村選挙管理委員会の職員を対象とした選挙事務研修会の開催、常時寄せられる各種問い合わせへの助言や回答、東京都選挙事務運営協議会において区市町村選挙管理委員会と共同で行う選挙事務の改善に向けた検討、特別区選挙管理委員会連合会及び東京都市選挙管理委員会連合会が開催する局長会及び係長会に職員を派遣しての意見交換や情報交換などを行いました。
○奥澤委員 ありがとうございます。
そういった形で、都から実際に実施をしている区市町村に対して助言をさまざま行っているということは大変理解できたのですけれども、先ほど原委員のお話にあったような不備というか、使い勝手の悪さを実際の有権者が感じていたりだとか、あるいは、先ほど内山理事からお話のあった、軽度の知的障害のある方へ対応がうまくなかったんじゃないかというような、こういった話がたくさん出ておりますので、成功、失敗、そういったことを共有して、ふだんのマニュアルづくり、これの見直しをさらに進めていただきたいというふうに要望させていただきます。
続いて、東京都選挙事務運営協議会というものも運営されているということなんですけれども、近年の開催実績とその具体的な内容についてお伺いいたします。
○浜選挙管理委員会事務局長 東京都選挙事務運営協議会は、東京都及び区市町村における選挙事務の改善を図り、相互の連携を密にすることを目的に設置されているものでございます。
この協議会では、選挙事務に関する事項の調査研究及び改善に関する協議を行っておりまして、毎年一月から十二月にかけて課題に関する検討が行われ、総会において検討結果が報告されております。
近年の検討課題といたしましては、平成二十六年は、不在者投票指定施設における外部立会人の導入について、選挙事務執行経費の節減について、若年層啓発における教育機関との連携について、また、平成二十七年には、障害者の投票環境の向上について、投票事務及び開票事務の管理執行について、若年層を対象とした選挙啓発の取り組みについての検討が行われておりまして、各年の総会において検討結果の報告が行われました。
平成二十八年は、参議院議員選挙に加えまして、都知事選挙、衆議院議員補欠選挙等が実施されることになったため、各部会における検討結果の取りまとめが、残念ながらできませんでした。
なお、総会に報告された検討結果につきましては、その後の都及び区市町村における選挙事務の改善に活用されております。
○奥澤委員 ありがとうございます。
取り組みの意義は理解できたのですけれども、しかしながら、平成二十八年には開催されていないということで、確かに選挙があったということではあるのですけれども、選挙がある年だからこそ多くの課題が見えてくるはずでありますし、本年も都議選、衆議院選があったということで、そこの中で出てきた課題をきちんと整理して、次の選挙へとしっかりとつなげていただきますよう要望いたします。
そして、次に、投票率向上に向けた取り組みについてお伺いするのですけれども、こちらは、先ほどの西沢委員のお話と重複する部分もありますので、予定していた質問を少し削らせていただきながらと思います。
事務事業の概要に書かれております、冊子を見ますと、投票率の大きな特徴として、十八、十九、二十歳の世代、特に若年層の投票率の低さ、そして、それが参議院選挙から都議選に対して大きく、半減に近いような形で減っているようなところが見られる。そして、高齢者、八十代以上の投票率がかなり低いという、大きく下がるということがあります。
こちらの二点の特徴というのを、先ほど、意識が薄れたんじゃないかとか、マスコミの報道の量があるとか、天気の問題があるとか、いろいろあると思うのですけれども、こちらの解決策として、先ほど西沢委員もいわれました投票所をどこにするかという部分に関して、ちょっと一つ、データを紹介しながらお話をさせていただきます。
明るい選挙推進協会という部分がことし三月に調査したのによると、投票所までの所要時間が五分以内である方は、八〇・一%の方が投票所に足を運んだ、投票所までの所要時間が二十分以上の方は、投票に行った人の割合が六〇%ということで大幅に減少するという傾向がありまして、これは物理的な距離での調査なんですけれども、これに踏切だとか、坂道だとか、そういったことが多分に影響されるというふうにいわれております。
先ほども話があったのですけれども、ショッピングセンターや駅などで開設した地域においては、本当に長蛇の列をなしているような姿というのを見ました。
特にご高齢の方々なんですけれども、選挙のときに話を聞いておりますと、それだけのために足を運ぶのがちょっとつらいという言葉が出ていまして、例えば、コンビニエンスストアだったり、郵便局であったり、あるいは病院などもそれに当たるのかもしれないですけれども、生活圏の中に投票所を設置することができれば、投票率向上というのには物すごい大きな影響力があるのではないかというふうに思っております。
この開設場所については、適切な助言を区市町村にしていくことに加えて、あるいは補助ということも考えられるのかどうか、そういったようなさまざまな方向から、ぜひ都としては助言をしていってほしいという形で考えております。
こういった指摘も踏まえまして、投票率向上に向けて、改めてになるかもしれないのですけれども、選挙管理委員会の果たすべき役割あるいは方針、そういった部分がございましたら、教えていただければと思います。
○浜選挙管理委員会事務局長 国政選挙や都政選挙が行われる際には、選挙期日の周知や投票参加の呼びかけ等の啓発活動のほか、点字や音声による選挙情報の提供など、投票環境の充実を図っております。
また、投票所のバリアフリー化、自宅と投票所間の移動に使用するための車椅子の貸し出し、身体障害者用駐車場の確保、福祉部局と連携した障害者総合支援法による移動支援等を区市町村へ働きかけるとともに、実施した場合には、その経費を支援しております。
さらに、若者向けの普及啓発事業を展開し、その中で選挙期日の周知や投票参加の呼びかけを行っております。
選挙が行われていない時期におきましても、投票所へ行くことが困難な方について、郵便投票制度の要件範囲拡大を国へ要請し、また、主権者意識が未熟な若者への主権者教育に関して、教育委員会や区市町村と連携協力を行っているところでございます。
投票率向上に向けた課題の抽出と対応策につきましては、引き続き、区市町村選挙管理委員会とともに連携して検討を行い、都や区市町村で取り組むとともに、国や関係機関への働きかけを行ってまいります。
○奥澤委員 考え得るさまざまな施策を通じて啓発を図っている、投票率向上に取り組んでいるということはわかるのですけれども、やっぱり結果として得られないという部分はなかなか悩ましいところだと思います。
ここでちょっと一つ、二〇一一年に慶應義塾大学の学生が行った若者の投票行動における調査というものをご紹介しながら提言させていただきます。
選挙に関する情報をどこで入手したかというアンケートをとっておりまして、確かにテレビやラジオからの認知が最も高く八六・五%なんですけれども、インターネットを通じてという回答が半数近い四八・六%となっています。
東京都全体でインターネットを通じて情報を入手したという人は七・二%しかおりませんので、若年層と年齢が高くなってきたところでは大きな差があるということをまずは知っていただいた上で、さらに、候補者選定の決め手というのが、既にもう、テレビや新聞、そういった報道よりもインターネットを通じてというところの方が高くなっているということも、大変おもしろい調査が出ております。
この調査から六年が経過していますので、この傾向はさらに著しくなっているところだと思いますので、ぜひ今後の参考にされていただきたいと思います。最近ではテレビや新聞が届きませんので、特にインターネットやSNSを通じて、若年層にきちんと届く啓発をお願いしたい。
もう一つ、同様の調査なんですけれども、期日前投票について認知をしているのは四五・九%、しかし、そのやり方を知っているのは三五%ということで、期日前投票という言葉は知っているが、やり方は知らないという人はかなり多く存在しています。
ですので、やっぱりここは、投票に行こうというだけでは、なかなかそこは足を運ぶ動機づけにはなりませんので、投票方法の周知であったり、どこでできるのか、何時からできるのか、そういったことを、例えば、ポスターやチラシ、あるいはポスター掲示板ですね、公営の掲示板、そういったところにも具体的に記載していくような、そういった工夫をぜひともされていただきたいというふうに考えております。
このような調査というのが、大分、今、世の中に出てきておりますので、可能な限りエビデンスに基づいた啓発、そういった取り組みをしていただきたいということを要望しておきます。
最後にご質問いたします。
明るい選挙推進事業というものがございますけれども、この明るい選挙というのはなかなかわかりにくいもので、どのような選挙であると捉えて選挙管理委員会の皆様が業務に当たっておられるのか、そちらをお聞かせください。
○浜選挙管理委員会事務局長 明るい選挙とは、有権者が主権者としての自覚を持って進んで投票に参加し、選挙が公正に行われ、有権者の意思が正しく政治に反映される選挙のことでございます。これを進めるための運動を明るい選挙推進運動としております。
その目的は、第一に、選挙違反のない選挙を行うこと、次に、有権者が投票に参加すること、そして、有権者が常日ごろから政治と選挙に関心を持ち、候補者の人物や政見、政党の政策などを見る目を養うことでございます。
○奥澤委員 ありがとうございます。
明るい選挙ということで、有権者の意思がしっかりと正しく政治に反映されること、これは本当に大切なことだと思っておりますし、そして、これら三つ、今出た要件三つを同時にかなえるための方法というのは、これは私は情報提供だと。ここに尽きると思っております。
実際に、先ほどもいった投票に行こうということだけじゃなくて、投票の方法であったりだとか、あるいは、先ほど啓発カードの話があったと思うのですけれども、公職選挙法の中身などをさまざまな観点から有権者に訴えかけていくということがすごく重要だと思っています。
実際に私自身がとある候補者を支援したときに犯した失敗談を含めて、ちょっと最後に提言なんですけれども、公営掲示板に張るいわゆる選挙ポスターのサイズを、私、間違えたことがありまして、指摘を受けてすぐに張りかえたのですけれども、もちろん故意ではないのですが、翌日、新聞記事になりまして、有権者の皆様から、故意か過失か、そんなのはどうでもいい、選挙違反をするような人に政治を任せたくないという、かなり辛辣なご意見を多数伺ったんですね。
有権者にとっては、公職選挙法というのはかなりわかりにくいものなんですけれども、これを周知することというのは、候補者の人柄や政治姿勢についての判断材料を提供することにもなりますし、もちろん、有権者が公職選挙法を知っている、見られているという感覚を候補者が持つことで、違反の数というのも当然減ってくるというふうに思っています。
また、平成三十一年の統一地方選挙から新しい制度が始まって、今度、区市選挙でも政策ビラの配布が可能になるということで、新しい制度が始まるときというのはどうしても、この明るい選挙が果たして実施されるのかどうか、これはこの一年の選挙管理委員会の皆様の不断の努力に尽きると思っておりますので、ぜひこの間での啓発を含めてよろしくお願いいたします。
違反への対応というのが、なかなかイタチごっこのような、追いついていない状況があるということはお認めいただいた上で、正直者がばかを見るような、そういった選挙にならないように、実効力のある防止策を検討していただきますようお願い申し上げます。
最後に一点、この調査を進める中で、どうしても申し述べておきたいことがございます。それは選挙管理委員のあり方についてでございます。
現在、東京都の選挙管理委員は四名、プラス補充員が四名、うち六名が議員経験者という形になっております。その報酬は月額制、委員長が月額五十二万三千円、委員が月額四十二万九千円、そして補充員が日額二万六千二百円ということで、これはほかの自治体と比してもかなり高額ということで、実際、東京都では月額報酬であることも、現在の報酬額が妥当であることも、これは裁判で立証されている、判決が出ているということは重々承知はしております。
ただし、今、日本全国では、この見直しをしていこうという動きが広まっていて、かなり日額のところもふえてきている状況があるのは当然ご存じだと思いますし、裁判で認められたからといって全てを是認するというのはやはり、これはよろしいあり方ではないというふうに私は考えております。
だからといって、報酬を減らせという議論がしたいのではなくて、その報酬に見合うだけの役割を果たして、先ほどもいった明るい選挙が果たされるために、選挙管理委員会というものがすばらしい存在であってほしいという思いを持っております。
次回の選挙管理委員の選挙は平成三十一年になろうかと思いますけれども、その人選や報酬、役割についても、これまでどおりという考え方ではなくて、きちんと検討してふさわしい人を選んでいくということを、これは我々議員自身が考えなければいけないということを問題提起させていただいて、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○福島委員 私の質問ですけれども、若年者の投票率向上に関するものでございまして、今までの質疑に出てきましたので、割愛させていただきます。
○菅野委員長 じゃ、ほかに発言はございませんね。--ほかになければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時十八分散会
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