総務委員会速記録第四号

平成二十九年三月二十二日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長ともとし春久君
副委員長新井ともはる君
副委員長ほっち易隆君
理事三宅 正彦君
理事野上ゆきえ君
理事曽根はじめ君
和泉ひろし君
遠藤  守君
おときた駿君
中村ひろし君
谷村 孝彦君
早坂 義弘君
中屋 文孝君
崎山 知尚君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長多羅尾光睦君
危機管理監田邉揮司良君
次長理事兼務榎本 雅人君
理事岸本 良一君
総務部長小暮  実君
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
松崎 浩一君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長菊地 俊夫君
復興支援調整担当部長野口 一紀君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務佐々木秀之君
都政改革担当部長池上 晶子君
都政改革担当部長小笠原雄一君
情報通信企画部長久原 京子君
情報政策担当部長吉野 正則君
人事部長栗岡 祥一君
労務担当部長村岡 教昭君
主席監察員安藤  博君
行政部長西村 泰信君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
山口  真君
区市町村制度担当部長小菅 政治君
総合防災部長梅村 拓洋君
防災計画担当部長小林 忠雄君
防災対策担当部長和田 慎一君
統計部長伊東みどり君
人権部長箕輪 泰夫君
監査事務局局長猪熊 純子君
監査担当部長池田 美英君

本日の会議に付した事件
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 平成二十九年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 平成二十九年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第二十八号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
・第二十九号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第三十号議案  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 包括外部監査契約の締結について
報告事項(質疑)
・平成二十九年度都区財政調整の概要について

○ともとし委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局及び総務局関係の予算の調査並びに総務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分を議題といたします。
 本案について既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○ほっち委員 それでは、質問させていただきます。
 まず初めに、住民監査請求についてお伺いをさせていただきます。
 豊洲の新市場の移転延期により、移転延期に伴う補償費用が五十億円提案されております。一部マスコミでは約百億円との報道もありますけれども、豊洲市場において、本来負担する予定のなかった維持管理費が一日に百九十万円かかっている事実もあります。
 今後も日を重ねるごとに、補償費用、維持管理費が加算されていくというふうになりますけれども、また一方で、小池知事は、本年一月二十日の定例会見で、土壌汚染問題を抱える豊洲市場の用地購入をめぐる住民訴訟に関し、購入当時の責任者だった石原慎太郎元知事に賠償責任はないとしていた従来の都の方針を見直すというふうな表明をされました。
 この住民訴訟は、東京都監査委員の審査を不服として、豊洲市場の用地購入について、土壌汚染を知りながら土地を五百七十八億円で購入したのは違法として、工事金額の返還や市場関係者への損害の補填などを求める訴訟を起こしたものであります。
 この訴訟は、住民監査請求として東京都監査委員において審議され、不適当で監査を実施しない旨の決定をされた事案でありますけれども、そこでお伺いをさせていただきますが、住民監査請求の制度とその対象についてお伺いをさせていただきます。

○池田監査担当部長 住民監査請求は、普通地方公共団体の住民が、当該普通地方公共団体の執行機関または職員につきまして、違法または不当な財務会計上の行為があると認めるとき、監査委員に対して監査を求め、損害を補填するために必要な措置を請求する制度でございます。
 請求の対象は六つありまして、具体的には、公金の支出、財産の取得、管理、処分、契約の締結、履行、債務その他の義務の負担、公金の賦課、徴収を怠る事実、財産の管理を怠る事実でございます。

○ほっち委員 今お答えいただいたとおり、財務会計上の行為が請求の対象となるということでありますけれども、怠る事実、すなわち不作為についてはどのような場合が請求の対象となるのか、お伺いをいたします。

○池田監査担当部長 地方公共団体の執行機関または職員が行うべき行為を怠る事実、すなわち不作為につきましては、公金の賦課、徴収を怠る事実または財産の管理を怠る事実が請求の対象となります。この財産とは、地方自治法第二百三十七条に規定する公有財産、物品、債権、基金の四つでございます。
 財産の管理を怠る事実とは、普通財産を権原なく占有する者があるにもかかわらず、是正のための措置を何ら講じない場合や、行政財産を目的外に許可使用させている場合に、許可条件に著しく反する使用がなされていることを看過している場合等をいうものでございます。
 また、首長や職員等に対する損害賠償請求権等の不行使についても、財産の管理を怠る事実に含まれます。

○ほっち委員 これまでの住民監査請求において、財産の管理を怠る事実を対象とした事案で、請求に理由があると認められ、必要な措置を勧告した事例があるか、お伺いをいたします。

○池田監査担当部長 平成十五年度に二件勧告した事例がございます。
 都立病院等において発注された寝具類の賃貸業務等につきまして、談合行為により損害をこうむったにもかかわらず、都が損害賠償請求権の行使を怠っていることを違法、不当として必要な措置を求めた事例、及び江東区に所在する港湾局所管の都有地が不法占有されていることは財産の管理を怠るとして必要な措置を求めた事例がございます。

○ほっち委員 それでは、一般論としてお伺いをさせていただきますけれども、本来負担をする必要のない公共施設の維持管理経費が発生をし執行されたことについて住民監査請求がなされた場合、監査事務局としてどのような判断をするのか、お伺いをいたします。

○池田監査担当部長 維持管理経費の支出は公金の支出であり、監査対象となる財務会計上の行為に当たると考えられます。
 住民監査請求の要件としましては、請求人が都の住民であること、公金の支出等が一年以内になされたものであることなどがありまして、請求の要件を満たしていると判断されれば監査を実施することとなりますが、要件を満たしていないと判断されれば監査は実施せず、いわゆる却下となります。
 監査を実施した場合、請求人の主張に理由があると認める場合は、必要な措置を講ずるべきことを勧告することとなり、一方、請求人の主張に理由がないと認める場合は、いわゆる棄却となります。

○ほっち委員 そうしますと、冒頭に述べましたけれども、住民訴訟の見直しについて決定をした知事は、知事自身の決定による補償費用についても住民訴訟の対象となる可能性があるということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○新井委員 私からは、システム監査についてお伺いしたいと思います。
 ネットワークシステムとは、行政業務のかなめでございます。そのため、システムの運用、管理とは、業務を遂行するのに必須だと考えております。
 平成二十九年監査から、新たに、都の情報システムを対象としましたシステム監査として実施することとなりました。その目的についてお伺いします。

○池田監査担当部長 情報システムは、都政運営を支える重要な基盤となっております。
 地方公共団体における内部統制の重要性が高まり、事務処理上のリスク回避や事務の適正性の確保がより一層求められる中、今後は、システムにおける内部統制の取り組みを強化することが必要となっております。
 このことから、平成二十九年より、新たに、IT統括管理部門による都の情報システムに係る内部統制の強化に資することを目的にシステム監査を実施するものでございます。

○新井委員 答弁であったように、都も含めた地方公共団体では、人口減少によって地方公共サービスの重要性や効率化や業務の適正が求められるようになりまして、それをしっかりするためにシステム内部統制が必要になります。
 また、平成二十九年より新たなシステム監査を実施するということですが、その後においても、しっかり定期的にシステム監査を実施していただきたいと思っています。ほかの道府県では、大阪府だったりとか大阪市、佐賀県なんかもやっていると思いますけど、定期的ではなくてスポット的な監査をやっているというところもございますから、都は、来年度以降も定期的にこういったシステム監査をやっていただきたいなと思っています。
 システム監査を実施するには、システム固有の知識が必要でございます。高度の専門的な知識を要するため、外部の能力を活用しました実施体制は検討しているのでしょうか、お伺いします。

○池田監査担当部長 システム監査を実施するに当たりましては、高度専門的な知識を要するため、システムに係る調査や分析などにおきまして、外部の能力の活用を想定しております。
 実施体制といたしましては、監査事務局職員に外部委託業者を含めた体制で行うこととしております。

○新井委員 今回のこの監査につきましては、実務経験を持ちます公認システム監査人や国家資格を持ちますシステム監査技術者など、高度かつ専門的な知識のある方が実施体制に入っているということです。しっかりとやっていただきたいなと思っています。
 監査テーマの選定に当たりましては、情報システムの重要度や、情報セキュリティーが脅かされます重大事故につながるおそれがあるインシデントにおける影響度など、優先度の明確化が重要ですが、どのようなリスクアプローチ手法を用いて検討しているのか、検討するに当たって考慮するポイントについてお伺いします。

○池田監査担当部長 平成二十九年に実施するシステム監査のテーマにつきましては、リスクアプローチ手法を用いて検討している段階でございます。
 具体的には、都におけるITに係る計画、規定、体制、運用などにつきまして、都の現状を調査、整理することから始め、想定されるリスクを抽出し、その抽出したリスクを影響度及び発生可能性により分析し、優先して回避すべきリスクの洗い出しを行っております。
 その結果、影響度、発生可能性のいずれも高い項目を監査テーマとして設定したいと考えております。

○新井委員 毎年度決定しますシステム監査テーマにつきましては、リスクアプローチ手法を用いて検討している段階ということです。顕在リスクと潜在リスクをできる限り洗い出してすることがとても重要だと思っています。何がリスクなのかを着目し、的確なテーマの選定をしていただきたいと思います。
 システム監査対象となるのはどれくらいのボリュームなのか、平成二十九年システム監査の全体的な計画についてお伺いします。

○池田監査担当部長 現在、システム監査のテーマは選定している段階でございまして、テーマが決まり次第、平成二十九年監査の具体的な監査内容や対象、期間等を盛り込んだ実施計画を作成することとしております。

○新井委員 情報化投資の増大だったりとか、投資対効果の不透明さなどの経営上の課題、また、不正アクセスやシステム障害などが発生します障害対策、セキュリティー対策の方針などセキュリティー面の課題、そういったことについて、システム監査の基本としまして、情報システムの環境の信頼性、安全性、有効性についてどのように評価するのか、お伺いします。

○池田監査担当部長 システム監査におきましては、政府や民間団体のガイドラインなどを参考にしまして、監査項目、評価基準等を定めて評価を行うこととなります。
 都におきましては、先ほど申し上げましたとおり、システム監査のテーマを選定している段階でございまして、テーマが決まり次第、具体的な評価方法も検討してまいります。

○新井委員 情報システムにおけます機器やソフトウエアのふぐあいや障害など、情報セキュリティーが脅かされ、重大事故につながるおそれがあるインシデントが発生した場合、業務を正常に遂行できない事態が発生することが想定されます。その場合、少ない時間に根本的な対処を検討しなければなりません。システム管理者は、障害の検知から復旧までの状況を判断して、障害の規模や深刻さから、損失を最小限に抑えるよう努める必要性があります。
 早期回復や障害の切り分けを図るためには、ネットワーク構成図やシステム構成図といった情報システムの設計文書が最新の状況で管理、保管されることが大変重要だと考えております。
 システム監査におけますこのようなドキュメント管理や保管--ドキュメント管理や保管というのは、ドキュメントの作成ルールだったりとか、作成計画や種類だったりとか、目的の明確化をしっかりする必要性があると思っています。また、そのドキュメントなどは、情報システム部門の責任者の承認をちゃんともらって保管しているか、管理されているかということも重要だと思っています。そういったドキュメント管理や保管についてどのように認識しているのか。
 また、システムは拡張や更新され、情報システム環境が変化します。その場合、ドキュメント管理の更新についてはどのように認識をしているのか。ドキュメント管理の更新につきましては、定期的な見直しだったりとか、環境に応じたいろんな変化がございますから、そういった意味で更新が必要だと思っています。

○池田監査担当部長 システム監査のテーマは、基本戦略から調達、開発、運用または情報セキュリティーなど、さまざまなITガバナンスの取り組み内容から選定することとなります。
 情報システムを効率的に運用するため、または障害からの早期回復を図るためには、副委員長ご指摘のとおり、システム構成図やネットワーク構成図といった設計文書が最新の状態で保存、管理されていることが重要でございます。
 これらにかかわる監査テーマが選定された場合は、ドキュメントの適切な管理、更新を検証することは、システム監査における重要な視点の一つであると認識しております。

○新井委員 システム構成図やネットワーク構成図といった設計文書が最新の状態で保管、管理されることは大変重要であるという答弁をいただきました。ぜひ監査のときはしっかりチェックをしていただきたいと思っています。効率的な運用だったりとか、障害の復旧、また情報セキュリティーのことについても考えますと、そういったことは大変重要だと思っています。
 私も、システムエンジニアを数年間やっていたときに、いろんな企業のところに行って構築をしました。そのときに、例えば先方の方のシステムを、どうなっているんですかと見させてもらいますと、例えば、全体のシステムがいろんな業者がつくっていれば、おのおのの構成図はあるんですけど、全体的な構成図がなくて大変困ったということもございました。いろいろなトラブルがあったときに、すぐ復旧するためには、全体的なそういったシステム図がなければ、なかなかこれ、復旧するのが難しいのかなと思っています。
 また、配線関係なんかもやっていたんですけど、これは配線をする方のスキルにもよるんですけど、しっかりした仕事をされる方は、どの配線がどういうところにつながっているか、配線ラックを見ると一目瞭然でわかるんです、タイラップとかで描いてあって。
 でも、適当にやっている業者さんですと、その配線がどのようになっているのかというのが全くわからない状態で、ある金融関係のトラブルの復旧に行ったときに、その配線を確認してその状況を復旧に当たろうと思ったんですけど、もうごちゃごちゃになっていて、システムというか、そういった機器がどういうふうに配線されているのかというのが全く、わかるのに時間がかかってしまったということもございました。
 そういうことを考えましても、そういった全体の構成図だったりとか、そういった整理された配線というのは大変重要だと思っていますので、そういった点、しっかりシステム監査をやっていただきたいなと思っています。
 以上で終わります。

○おときた委員 私からも、新規事業のシステム監査について、簡潔に何点かお伺いいたします。
 このシステム監査導入の狙いは、新井副委員長がご質問いたしましたので省略いたしまして、こちらを導入するに当たり、都が把握あるいは参考にしている他の道府県の事例についてお伺いをいたします。

○池田監査担当部長 他の道府県につきましては、大阪府及び佐賀県で、情報システムに係る内部統制に着目したシステム監査を実施していることを把握してございます。
 大阪府は、平成二十二年度より、外部委託を活用してシステム監査を実施しており、平成二十五年度では、債権管理システムにおける全般統制や業務処理統制について監査を実施しております。
 佐賀県は、平成二十七年度の行政監査におきまして、情報システムの運用、管理について、利用者に対するアンケート調査などを用いて監査を実施しております。

○おときた委員 都が把握している、参考にしている他府県の情勢ということで、大阪府も外部委託を活用してということを述べられておりました。
 実際に東京都もシステム監査を行うに当たりましては、外部委託の事業者に委託をすることになると思うのですが、その事業者はどのようなものを想定しているのかをお伺いいたします。

○池田監査担当部長 システム監査を実施するために必要な知識及び技能を保持していると認められます公認情報システム監査人やシステム監査技術者などの資格を保有する者が在籍しています会計監査法人やコンサルティング会社を想定しております。

○おときた委員 システム監査という特性上、会計監査法人やコンサルティング会社というのが適正だということは理解できます。
 こういった事業者に一定の結論というか調査結果を出していただいて、そこから問題は、当の監査委員たちには、こういったシステムという専門的な知識がない中で、どのようにこれを伝えていって、そして監査委員たちが適切な判断を下せるかというところが重要になると思います。
 このシステムという専門知識がない監査委員たちが是非を判断するために、どのように実効力を担保していくのか、その点の所見を最後にお伺いいたします。

○池田監査担当部長 平成二十九年に実施するシステム監査は、都の情報システムに係る内部統制に着目をして実施いたします。実施に当たりましては、監査委員が監査の対象や目的、監査の観点などをあらかじめ決定した上で実施することになります。
 監査は、監査事務局職員に外部委託業者を含めた体制で実施することとしておりまして、情報システムの高度な知識や経験を必要とする調査や分析は外部委託業者が担い、監査委員は、その分析結果を、監査の観点に基づき、経営的視点や都民の目線等から評価を行います。
 監査委員は、企業経営の経験や財務会計制度の専門的知見等を有しておりまして、そうした知識と経験をもとに評価するものでございまして、実効性は担保されるものと考えております。

○おときた委員 分析、調査の方は外部委託業者が、その結果に基づいて経営的な視点から評価をするのが監査委員という形での分業をしていくということでございました。
 もちろん、そういった形になると思うんですが、やはりこの間のコミュニケーションがしっかりとれていないと、極めて専門性が高い分野について実効力がなかなか担保できないというおそれもありますので、このコミュニケーションをしっかりやっていっていただきたいなと思います。
 それと、外部業者の方は、今回は総合評価方式の方で選ばれるということを聞いております。まだ初年度ですので、いろいろとやりながら、中長期的には競争入札であるとかといった、より公平性、競争性が担保されるような方法も模索していっていただきたいということを要望として申し上げまして、質問を終わります。

○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ともとし委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○ともとし委員長 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第二十八号議案から第三十四号議案まで及び第七十三号議案並びに報告事項、平成二十九年度都区財政調整の概要についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小暮総務部長 去る二月二十日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。1、防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
 一ページから二ページにかけまして、平成十八年度から二十七年度の防災対策予算の執行状況を主な事業別に掲げてございます。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。2、都及び監理団体における非常勤職員等数の状況でございます。
 非常勤職員等の人数について、局別、団体別に平成二十八年の状況を掲げてございます。
 四ページをごらんいただきたいと存じます。3、都における常勤職員、一般職非常勤職員の主な勤務条件比較でございます。
 都の常勤職員と一般職非常勤職員における任用や給与、報酬、休暇、休業など、主な勤務条件の比較を掲げてございます。
 次に、五ページをごらんください。4、感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
 感震ブレーカーの都内の設置率や、平成二十九年一月一日現在の設置支援制度を実施しております区市町村数を掲げてございます。
 次に、六ページをごらんください。5、公立大学法人首都大学東京に対する運営費交付金及び施設費補助金当初予算額の推移でございます。
 運営費交付金及び施設費補助金の予算額につきまして、平成十九年度から二十八年度までの十年間の推移を、運営費交付金につきましては、標準運営費交付金と特定運営費交付金とに分けて掲げてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ともとし委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 まず、小笠原航空路の開設について伺います。
 (パネルを示す)我が国最南端の沖ノ鳥島並びに我が国最東端の南鳥島を含む小笠原村には、二千六百人が暮らしています。小笠原諸島は三十余りの島々から構成されていますが、住民がいるのは父島と母島です。
 この地図をごらんください。東京から父島、母島までの距離は、コンパスでぐるっと円を描くと、札幌や鹿児島と同じ距離になります。
 この父島、母島までの交通アクセスは、週に一往復の「おがさわら丸」という船便だけです。片道二十四時間の船旅です。「おがさわら丸」は、より北にある父島までしか参りません。母島までは、そこから「ははじま丸」という船に乗りかえて、さらに二時間を必要とします。ちなみに、父島-母島間の往来は週に五、六便あるようです。
 さて、父島、母島には、それぞれお医者さんが住んでいますが、住民の皆さんが命にかかわる緊急事態となれば、一一九番通報します。その一一九番通報は、千代田区大手町の東京消防庁ではなく、村役場につながります。なぜなら、東京消防庁の管轄エリアには島しょ地域は含まれていないからです。
 一一九番通報を受けた村役場は東京都総務局小笠原支庁に連絡、小笠原支庁はさらに総務局総合防災部に連絡をします。総務局総合防災部はさらに三カ所に連絡をします。まずは海上自衛隊に、災害派遣というくくりで、自衛隊機による救急患者の航空搬送を依頼します。次に福祉保健局、自衛隊機に搭乗してくださる医師の手配と、患者を連れて帰ってきた後の受け入れ病院の確保です。さらに東京消防庁、添乗医師を救急車でお迎えに行った後に、神奈川県厚木市の海上自衛隊厚木基地まで運びます。
 ところが、医師を乗せた自衛隊機が着陸できる滑走路が父島、母島にはありません。そこで、自衛隊機は、旧日本軍が使用していた硫黄島に着陸します。硫黄島は、母島よりさらに南でありまして、何となく、こう距離をはかると東京から名古屋以上の距離があるように思えます。この硫黄島に自衛隊機は着陸するわけです。
 厚木からの自衛隊機が硫黄島に着陸するまでの間に、硫黄島に駐在している自衛隊のヘリコプターが、片道一時間以上かけて父島、母島にいる患者を迎えに行きます。ちなみに、自衛隊機のヘリコプターは夜間でも飛行可能ですが、悪天候では飛ぶことができません。
 厚木を飛び立った自衛隊機が硫黄島で患者を収容し、急ぎ厚木に戻ります。厚木から硫黄島まで、飛行機の時間は片道約三時間であります。厚木に到着した患者は、そこで待機している東京消防庁の救急車に乗りかえ、基本的には港区の都立広尾病院に搬送されます。
 平成二十七年度、父島、母島から二十九人の救急患者がこうして搬送されました。
 ちなみに、父島、母島の一一九番通報から都内の病院に到着するまでの時間、つまり搬送時間は、二十七年度は平均九時間十七分でございました。
 こういった救急搬送は、小笠原に飛行場ができれば、大幅にとはいわないものの、ある程度短縮できる可能性があるのではないかと思います。また、住民の安心感にもつながります。こういった事情などを考えれば、父島、母島にお住まいの皆さんが小笠原航空路の開設を切望しているお気持ちはよくわかります。
 戦後、アメリカによって占領されていた小笠原諸島が我が国に返還されたのは、昭和四十三年、一九六八年です。明平成三十年、二〇一八年は、返還五十周年の節目に当たります。
 小笠原諸島は、世界遺産に登録されたことからも明らかなとおり、多くの野生動物、それも固有種、希少種が生息しています。航空路の開設に当たっては、自然環境への影響を十二分に配慮する必要があります。十二分に配慮した上で、ぜひ小笠原に航空路の開設をお願いしたいと思います。
 昨年十月、小池知事は、小笠原村でのオリンピック・パラリンピックフラッグツアーイベントに出席するため父島を訪れました。その際、飛行場の建設候補地も視察されたようであります。
 小笠原村民が切望している航空路の開設に向けて、これまで検討を進めていらっしゃると思います。現在の検討状況について伺います。

○山口多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 航空路の開設におきましては、航空法や自然公園法などが定める規制を初め、財政面など多くの課題があることから、昨年三月から、都、村、国の実務者で構成する検討会議を立ち上げ、課題を深く掘り下げ検討を行っております。
 現在、検討案の一つであります、父島の洲崎地区を活用し航空路を開設する案に関して、国からの技術的な助言を得ながら調査を実施し、飛行の安全性を確保した場合における自然改変の程度、就航可能な機材、運航採算性の検証に係る需要予測など、課題を詳細に分析し、検討を行っております。
 今後も引き続き、必要な調査を行うとともに、一層緊密に関係機関との折衝などを行い、自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられるよう、精力的に検討を進めてまいります。

○早坂委員 次に、首都直下地震対策について伺います。
 東京にマグニチュード七クラスの地震が発生する可能性は、今後三十年以内に七〇%といわれます。そういわれて久しいような気がいたします。
 そこで、この見解は、いつ、誰によって発表されたものか伺います。

○小林防災計画担当部長 国が阪神・淡路大震災後設置いたしました地震調査研究推進本部は、平成十一年に、陸域の浅い地震あるいは海溝型地震の発生の長期的な確率評価を行うこととし、これに基づきまして、同本部の地震調査委員会は、平成十六年八月、相模トラフ沿いの地震活動の長期評価を公表いたしました。
 この長期評価の中で、南関東でのマグニチュード七程度の地震の発生確率を、過去の地震の平均発生頻度から、ポアソン過程というモデルによりまして計算いたしまして、今後三十年以内の発生確率を七〇%と推定したところでございます。

○早坂委員 ご答弁のとおり、平成十六年八月に文部科学省の地震調査研究推進本部が発表した推計であります。三十年以内にという推計ですが、発表以来、十三年が経過をしようとしています。
 この推計で興味深いのは、阪神・淡路大震災発生直前の三十年確率が八%、東日本大震災発生直前の三十年確率が二〇%であったことです。それと比較し、この首都直下地震発生三〇%の確率は、切迫性が高いと解釈するか、それとも、国の発表する地震発生確率は当てにならないと解釈するか、いかがでしょうか。
 (資料を示す)さて、ここにありますのが、国ではなく、我が東京都が平成二十四年に発表した首都直下地震の被害想定であります。それによると、最悪の場合、およそ一万人が死亡すると想定されています。うち六〇%が建物倒壊による圧死、窒息死、四〇%が地震火災による焼死だとされています。
 区市町村別で見ると、我が杉並区での死者の七五%が焼死、目黒区と品川区では七〇%、大田区では六〇%が焼死だとされています。これらの想定を見ると、今申し上げた区では、火災対策こそが首都直下地震から命を守る手段だといえます。
 私たちがふだん防災対策として真っ先に頭に浮かぶ備蓄食料の確保は、命を守ることにはつながりません。なぜなら、備蓄食料が必要になるのは、生き残った後の段階だからです。
 さて、火災といえば、昨年十二月に新潟県糸魚川市で大火災が発生しました。その概要と、私たち東京都が学ぶべき教訓をどう読み取るか、お伺いをいたします。

○小林防災計画担当部長 新潟県糸魚川市大規模火災につきまして、本年一月の総務省消防庁の報告によりますれば、平成二十八年十二月二十二日午前十時二十分ごろ飲食店から出火し、翌二十三日十六時三十分鎮火とされてございます。
 また、この火災による被害は、人的被害として負傷者十七人、建物被害として焼損百四十七棟、うち全焼百二十棟、焼失面積約四万平方メートルとなってございます。
 本火災につきましては、国において、糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会が設置されるなど、消防の面から検証等がなされております。
 都といたしましても、木造建物が密集した地域での火災であることも踏まえまして、東京消防庁と連携するなどしながら、こうした動きを注視してまいります。

○早坂委員 ご説明のとおり、出火から三十時間にわたって四万平方メートルが焼けました。私が現地に調査に入った出火から二十三時間後でも、まだ消防団が放水している状況でした。
 当時、木造住宅密集地域が被害を大きくしたとの報道がありました。木密地域では、火災が発生すると、木造住宅が密集しているため、瞬く間に燃え広がってしまう。しかも、道路が狭い上、消防車も入っていかれないという状態になります。
 そこで、現在東京都で行っている木密対策は、個々の建物の不燃化と延焼遮断帯となる四メートル道路の整備です。つまり、一つ一つの建物を燃えにくくする、そして、幾つかの建物が延焼したとしても、四メートル道路を越えて隣のブロックまでは延焼しないようにする、そういう対策です。
 では、糸魚川大火災はどうだったか。全焼した百二十軒のうちに、燃えないはずの耐火構造の建物が含まれていなかったかどうか、そして、中心部を通る十メートル道路を越えて延焼火災が発生したのはどうしてか、そういった観点からの検証を待ちたいところです。つまり、東京都が首都直下地震に備えて行っている木造住宅密集地域対策が、糸魚川大火災で有効に機能したのかの検証であります。
 さて、もう一つ、ことし二月、埼玉県三芳町、アスクル物流センターで火災が発生しました。焼損面積は四万五千平方メートル。消防隊の努力にもかかわらず、鎮火まで実に十三日間を要する想像を超えた大火災となりました。
 この火災では、屋上に設置してあった太陽光パネルが放水により冠水し、感電のおそれのため、消防隊が近づけなかったとの報道がありました。また、倉庫内に保管されていたスプレー缶が火災により爆発し、被害を広げたようです。
 私たちの日常生活でごく当たり前に使うスプレー缶ですが、使い切ったつもりのスプレー缶が誤ってごみ収集車に回収され、そのごみ収集車の車両火災が頻発していることは、よく知られています。使い切ったつもりのスプレー缶ですら、それだけの大きな被害が出ているのですから、私たちの家に転がっている新品のスプレー缶が火災時にどれだけの被害をもたらすか、想像に余りあります。
 しかし、私たちの意識の中に、太陽光パネルやスプレー缶が火災発生時に被害をもたらす可能性があるとは、みじんにも考えたことはないでしょう。そういった新しい知見を首都直下地震の火災対策にどう生かしていくか、大きな課題だと思います。
 幸いにも、二つの火災では死者は発生しませんでした。それは火災から避難する時間があったからです。阪神・淡路大震災の死者の八〇%が建物倒壊による圧死、窒息死でした。そのほとんど全ては地震直後の即死でした。
 一方で、火災の場合、出火から火が大きくなるまでには時間的猶予があります。大正十二年の関東大震災では、東京ドームと同じ広さの広大な空き地であった本所被服廠跡地で、そこに避難してきた三万八千人が焼死しました。ここで人々が焼死したのは、地震発生から四時間後のことでありました。
 したがって、この四時間を適切な避難行動に使っていれば、この人々は死なずに済んだはずと私は確信します。すなわち、首都直下地震での死因は焼死だという被害想定があるのならば、適切な避難行動で死者は激減させることができるはずというのが私の主張です。
 首都直下地震の火災から命を守るためにはどうしたらいいでしょうか。
 第一には、火を出さないことです。そのためには防災まちづくり、すなわち、個々の建物の不燃化、耐震化と延焼遮断帯となる道路整備が必要ですが、その検証が必要だと先ほど述べました。
 次に、初期消火が必要です。首都直下地震では、杉並区においては、地震直後三十七件の火災が発生し、これが最終的には二万三千件を超す延焼火災となるとされています。したがって、火の勢いが弱い間に、いかに初期消火に努めるかが死活的に重要です。
 しかし、それでも火が迫ってきたら、最後に避難という段階になります。
 私は、都民の命を守るために最も大切な首都直下地震の火災対策に重点を置いて、これからも政治活動を続けてまいる決意です。
 そこで、最後に、首都直下地震での火災被害を念頭に置いた東京都の防災対策の推進について伺います。

○梅村総合防災部長 首都直下地震が発生した場合、区部では、震度六以上の地域が広範囲に生じ、揺れ、火災等により、人的、物的に甚大な被害の発生が想定されております。
 中でも、延焼などの火災による被害の多数が、特に区部の木造住宅密集地域で発生すると想定されておりまして、こうした被害を防ぐためにも、あらゆる対策を講じていく必要がございます。
 このため、都では、不燃化特区の推進や特定整備路線の整備など、木造住宅密集地域の改善に取り組むとともに、消防団の支援や消防水利の確保等による初期消火力の強化などの取り組みを多重的に進めております。
 また、地域の実情に精通し、発災時の避難誘導等を担う区市町村と連携いたしまして、避難場所など防災情報を広く周知するとともに、地域での共助の取り組みを促進することで、都民一人一人の防災力の強化に努めてまいりました。
 引き続きこうした取り組みを進め、災害時に火災が発生しても燃え広がらない、燃えないまちの形成と地域防災力の向上を図り、都民の命、生活、財産をしっかり守るよう、各局や各機関と連携して取り組んでまいります。

○遠藤委員 それでは、私からも、三点にわたりまして質問させていただきたいと思います。
 初めに、先日の三月二日の本会議一般質問でも言及、取り上げさせていただきました、性犯罪、性暴力被害者支援のワンストップ支援センター、いわゆるSARC東京の運営について質問させていただきたい、このように思います。
 このSARC東京については、来年度予算に、このセンターの運営負担金ということで、初めて三千八百万円余りが計上をされたところであります。
 そこで、まず議論の前提として、改めて、ここは二十四時間三百六十五日体制で相談を受け付けているということでありますけれども、その具体的な業務内容についてお伺いしたいと思います。

○箕輪人権部長 性犯罪等被害者は、身体的、精神的に極めて重い負担を強いられていることから、被害直後から医療や精神的ケア等の支援に確実につないでいくことが重要でございます。
 こうした課題を踏まえまして、平成二十七年七月に開始した東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業では、二十四時間三百六十五日、電話相談を受け付けまして、医療機関や警察署等に付き添うとともに、中長期的な精神的ケアが必要な場合は専門的機関につなぐなど、きめ細かな支援を実施してございます。
 支援員による電話相談や付き添い支援は、常時二名体制で行ってございますが、緊急時や遠隔地など相談者のニーズによっては、シフト外の支援員が都内各地での付き添い支援等を行っております。
 今後とも、民間支援団体を含め関係機関との連携のもと、被害者の心身の負担軽減と早期回復を図ってまいります。

○遠藤委員 二十四時間三百六十五日、電話相談は二名の体制で行っていると。その上で、ここで聞き取った状況、深刻なものが--性犯罪、性暴力ですから、全てが深刻で緊急性の高いものだと思いますけれども、その上で、必要に応じて、都内各所に配置をされているスタッフがその場に駆けつけて対応、これも二十四時間三百六十五日でやるという体制ができている、こういう答弁だと思います。
 その上で、これまで、こうした活動をするに当たっては、SARC東京さんのみならず、関連のさまざまな民間支援団体との連携もされてきたんだと思います。その連携の実態等、今後の連携のあり方等について答弁を求めたいと思います。

○箕輪人権部長 第三期東京都犯罪被害者等支援計画の策定に当たりましては、性被害に遭った方々を支援しているNPO法人など民間支援団体に対して調査を行い、いただいたご意見を施策に反映いたしました。
 また、現在は、ワンストップ支援の相談窓口を運営する性暴力救援センター・東京、先ほど来話に出ております、略称、SARC東京でございますが、この団体が他の支援団体と研修等で意見交換を行うなど、団体相互で連携を行ってございます。
 さらに、SARC東京からは、他の団体が相談者にワンストップ支援の相談窓口を紹介した事例があるというふうに聞いてございます。
 今後もこのような取り組みを進め、専門家懇談会などさまざまな機会を通じ、民間支援団体の現場の声や各種専門家の方々の意見を取り入れ、施策の充実に努めてまいります。

○遠藤委員 これは、二日の私の一般質問への局長の答弁でも、こうした機能があることはしっかりと周知をしていく、それが重要であるという答弁がありました。その後の予算特別委員会における我が党の栗林議員とのやりとりにおいても、やはりこの相談窓口の認知度を高めておく、こういう必要性について答弁があったわけであります。
 私も、事前に職員の方とのやりとりの中で……(資料を示す)こうした名刺等を、いろんな女性が立ち寄られるところを中心に配布したり、さまざまな機会を通じて、この二十四時間ホットラインの存在について普及啓発をされているということを聞きました。
 いずれにしても、性犯罪、性暴力に対する正しい理解の普及、または相談窓口の周知をより積極的にやっていくべきなんだろうと思います。
 今、正しい理解の普及ということでお話ししましたけれども、これもさきの本会議のときに触れました。やはり、こうした性犯罪、性暴力を受けた女性の方の約三人にお二人は、誰にも相談しない、できないということであります。
 データによれば、その理由はやはり、そうした犯罪、また暴力を受けたことが恥ずかしいという理由が一番多く、また、次に上るのが、自分さえ我慢すればそれで事が済む、過ぎるだろうという、こうしたことが、誰にも相談しない、専用の窓口にも電話をしない、こういう理由であります。非常にデリケートな、そして繊細な女性の気持ちなんだろうと思います。
 ぜひこうした理由を踏まえた上で、この相談窓口の周知等々、または内容、手法、これをぜひ考慮して検討していただきたいと思います。
 大々的にこうしたものを、存在自体をアピールするのは、大型の液晶ビジョンやトレインチャンネル、また女性専門誌、さらには動画等々、あらゆる媒体を使っていくべきだと思いますけれども、繰り返しになりますけども、こうした誰にも相談できない、三人に二人いらっしゃる。こういうデリケートなお気持ち、心というものを十分踏まえた上での対応をしていくべきだと思いますけれども、普及啓発について答弁をいただきたいと思います。

○箕輪人権部長 性犯罪等被害者の声は埋もれがちでございまして、相談窓口の認知度を高め、その存在を広く都民に知ってもらうことが重要でございます。
 都は、ワンストップ支援事業を開始して以降、相談窓口である性暴力救援ダイヤルをホームページや啓発行事、研修会などで周知してまいりました。
 今後は、これに加えまして、若者が多く利用するSNSを積極的に活用するほか、多数の観客が集まるスポーツイベントなどさまざまな機会を捉えまして、多様な媒体を活用するなど、工夫を凝らしたPRを展開してまいります。
 また、犯罪被害者週間行事におきまして、性犯罪、性暴力をテーマとして取り上げ、PTSDの発症率が高いなどの被害の深刻さを伝えるとともに、被害に遭った側の服装や行動に原因がある、あるいは抵抗できたはずだなどという被害者に対する偏見、誤解の解消等に努めてまいります。
 これらの啓発の取り組みを通じ、性被害の悩みを抱えた方々をスムーズに相談窓口へつなぎ、確かな支援を図ってまいります。

○遠藤委員 この性犯罪、性暴力被害者支援については、国も、政府も、新年度、支援交付金というものを新たに創設した。まさに国を挙げてこの対策に乗り出していく、いわば元年なんだろうと、このように思います。
 やはり、都民のみならず、首都東京は全国から多くの女性の方も来られるという、そうした状況もありますので、しっかりと対応を引き続き強化してやっていってもらいたい、このように思います。
 次に、市町村総合交付金について質問させていただきます。
 これにつきましては、昨年十一月二十二日、当委員会におきまして、事務事業で谷村委員からも質問がございました。
 先日、都は、平成二十八年度分の交付金額を初めて公表したわけでありますので、そういった意味では、その当時からいささかステージが変わりましたので、改めてきょうは取り上げてみたいと思います。
 これまで都は、この交付金の金額をかたくなに公表してきませんでした。それは、それなりの理由、行政上の理由があったと思いますけれども、その理由についてお伺いしたいと思います。

○西村行政部長 これまで市町村総合交付金につきましては、市町村との信頼関係に基づき把握した情報も含め算定していること、市町村別の交付額を一律に公表することは、その財政状況や経営努力等が金額のみで判断されるおそれがあること、及び市町村みずから公にしていない情報を都が開示する場合には一定の配慮が必要であることなどを勘案いたしまして、当該市町村分のみの交付額を提示してまいったところでございます。
 なお、情報公開が求められる中、各市町村におけるそれぞれの交付額の公表が進んできたことを踏まえつつ、都におきましても、都政の見える化を進める観点から、市町村別の交付額を明らかにすることとしたところでございます。

○遠藤委員 今、三つ理由を挙げられました。市町村との信頼関係に基づいて把握した情報も含んでいる、そして、一律に公表すると、財政状況や経営努力等が金額のみで判断されて、あらぬ誤解が生じる、三つ目に、市町村みずから公にしていない情報を都がみずから開示するには配慮が必要だと、こういう理由でありますけれども、私はこれは余り説得力がある理由ではない、このように思います。
 仮に今いわれた懸念を裏返しにしたとしても、どれほどまでに当該市町村に、または東京都に影響があるのか、比較考量した場合、余り説得力がある強い理由には当たらないのではないか、私はこのように思います。
 他に真の理由があると私は推察をいたしますけれども、公開されることが決まりましたので、これについては云々申し上げません。
 その上で、交付額の算定基準とその決定過程はどうなっているのか、これを次に聞きたいと思います。

○西村行政部長 これまで市町村総合交付金は、市町村にも配布、周知した要綱に定める基準に従いまして、実情に即した交付となるよう算定を行ってまいりました。
 具体的には、個々の市町村の財政力指数や徴税率等の指標により客観的に算定を行うほか、公共施設整備や地域振興事業を初め、山村、離島地域など市町村の個別の実情に応じた財政需要につきましても、ヒアリング等を通じて把握した上で算定してきたところでございます。
 なお、今年度につきましては、知事が市町村長と個別に意見交換を行いまして、こちらでの要望等を踏まえて市町村別の交付額を決定し、公表したところでございます。

○遠藤委員 今、答弁にありました交付金の要綱ですね、これを事前にいただきました。(資料を示す)その中に、充当事業報告、こういうくだりがあります。これはこう書いてあります。交付金の交付を受けた市町村の長は、交付年度の翌年度の六月三十日までに、東京都市町村総合交付金充当事業報告送付書及び充当事業報告書を知事に提出しなければならない。一言でいうと、どういう事業に総合交付金を充てたのか、それをしっかりと知事に、東京都に報告しなさいよということになっているわけであります。当然ながら、交付金を交付しているわけですから、どこにどういうお金をどれだけ充てたのか、これは東京都はわかっている、報告を受けていると思います。
 金額自体は公表されることになりました。金額が公表されれば、その金額は、どのような形で、その目的に合って使われたのか、また、場合によっては使われなかったのか、こうしたところにも都民の皆さんは広く関心が行くところだと思います。
 時間の問題でありますので、ぜひ充当事業についても速やかに今後公表すべきである、このように意見を申し述べておきます。
 次に、今、質疑の中では、市町村長からさまざまなヒアリング、要望を受けた上で、いわゆる充当事業について決定をしていると。いわば行政ルートでさまざまな意思疎通を図りながら、意見交換をしながら、充当事業については決定、見ていると。金額もそうなんだと思います。
 我々議員も、一方で、直接、住民の皆さんからそうした声を聞いているわけであります。私も伊豆諸島、小笠原諸島等々にも足を運ぶ、こういう機会がありますので、きょうは、島しょ部の関係で総合交付金に関して二点お伺いをしたいと思います。
 まず、慢性疾患を有する伊豆・小笠原諸島住民の方々が島外の医療機関において受診する際の交通費、または滞在費についてであります。
 先ほど早坂委員からも、離島の皆さんの生活、特に医療というのは非常に重要な課題、重大な問題、命にかかわる、こういうご指摘がありました。私も全く同感であります。
 早坂委員のきょうの話は、いわゆる救急、エマージェンシーの話でありますけれども、その一方で、慢性的に疾患を抱えている方、または障害をお持ちの皆様、島しょ部では、病院は八丈島しかございません。そうなると、どうしても都内本土にある病院、主に島しょ部の方は広尾病院をご利用になられる方が多いと思いますけれども、こうしたところに行き来する場合、または宿泊するに対して、都は総合交付金による財政補完に努めてきました。
 私も、平成二十二年の第一回定例会一般質問において、総合交付金の活用を念頭に、ぜひ支援をすべきだと、こういう提案をさせていただきました。
 この交通費等の助成については、既に東京都町村会が福祉保健局に対して、助成制度を創設してもらいたい--いいかえるのであれば、総合交付金という手法ではなくて、しっかりと難病患者に対する通院のための助成制度の創設をしてもらいたい、または障害者に対する通院のための助成制度を創設してもらいたい、このような要望書が福祉保健局宛てに出されているわけであります。そういった意味では、離島にお住まいの住民の皆さんのニーズは非常に高いんだろうと思います。
 しかし、その一方で、今、福祉保健局に出されております助成制度の創設となるとなかなか、乗り越えなければならないハードル等々もあるんだろうと思います。時間を少し要するのかなと思います。その間に、島しょ部の高齢化というものはさらに進んでくるわけでありますので、やはりこの助成制度、私は個人的にはこの助成制度をぜひつくるべきだと、このように思っていましたし、これからもその制度の創設に向けて私なりに努力をしていきたいと思いますけれども、タイムラグがあると思います。
 その間の住民ニーズに応えられるように、しっかりとここは総務局として対応をしていくべきだ、拡充をしていくべきだ、このように思いますけれども、どうでしょうか。

○西村行政部長 離島にお住まいの方々が島外に通院等を行う際には、多額の交通費等がかかることから、各町村がその実情に即して支援を行っておりまして、これはまさに島しょ町村特有の財政需要となっております。
 都はこれまでも、島しょ町村の置かれた厳しい財政状況を踏まえた上で、こうした特別な財政需要にも配慮しつつ、ただいま委員ご指摘のとおり、市町村総合交付金による財源補完に努めてまいったところでございます。
 今後とも、住民ニーズを受けとめた各町村の個別の財政需要も丁寧に聞き取りながら、的確に支援を行ってまいります。

○遠藤委員 この要綱の中には、交付金の配分項目ということで、財政状況割と経営努力割及び振興支援割ということで、大きく三つのカテゴリーがあります。その中で、今、この問題については、振興支援割の中も幾つかに分かれていて、特別事情対策という項目があります。まさにこうした離島の、しかも医療という部分というのは、極めて特殊、特別な事情の対策だと思いますので、しっかりとここは手当てをしてもらいたい、このように思います。
 ただ、その一方、この総合交付金は一般財源の補完ということですので、どの項目に最終的に充当するかというのは、まさに町村の判断になりますので、ここはなかなか難しい。都として、ここに使えとか、こうすべきだというのは難しいというのは、それはよくわかります。
 ただ、その裏返しとして、全てを任せ切りということになると、真に住民の皆さんの願いが酌み取れないというところもありますので、なかなか難しい仕事だと思いますけれども、よく配慮、目配り、そして、さまざま担当者レベルで意見交換があると思いますので、十分踏まえてやっていただきたい、このように思います。
 次に、三宅島について、もう一つお伺いします。
 三宅島は、二〇〇〇年に雄山が噴火して以来、利用されていない村役場や村営施設などが島内にそのまま放置をされております。これらの建物は、火山ガスや塩害による劣化が著しく、島の景観面や今後の土地利用の面から速やかな解体撤去が求められている、期待をされている、このように聞いております。
 これらの施設を解体するには、やはり大きな財政負担が必要になるわけでありますけれども、ここも、村の財政事情を見ると、単独でやるというのはなかなか難しいんだろうと思います。
 ところで、現在、こうした被災した建物の解体撤去については、市町村総合交付金の対象になっていないわけであります。観光産業が基幹産業である島でもございます。ぜひ早急に解体撤去できるように、市町村総合交付金により財政支援をできる、こうした体制をつくるべきだと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○西村行政部長 三宅村の休止、老朽施設の解体撤去につきましては、先月の知事と市町村長との意見交換におきましても、村長から都の財政支援の要望があったところでございます。
 市町村総合交付金の算定に当たりましては、既存公共施設の建てかえ等の再整備を行う場合には、その解体撤去費も含めて対象としてございます。
 その一方、解体撤去のみの場合には、住民の福祉向上に資するよう、跡地を計画的かつ有効に活用することが望ましいことから、ただいまご指摘のありましたとおり、交付金の対象とはしてございません。
 現在、村では、休止、老朽施設の跡地利用の計画について検討を行っていると聞いております。今後、村が着実に施設更新等に取り組めますよう、村の計画の策定状況を確認するとともに、噴火災害からの復興等の実情も十分に踏まえながら適切に支援してまいります。

○遠藤委員 今年度の補正で五百億になりました。そして、来年度の予算案についても五百億ということで、極めて多くの都民の税が総合交付金という形で三十九の市町村に交付をされるわけでありますので、しっかりと住民ニーズを踏まえて、そして事故のない運用をしていっていただきたい、このように思います。
 最後に、防災、減災対策について質問をいたします。
 東日本大震災を受け、さまざまなことが議論をされ、また、我々公明党も、首都直下型地震に備え、具体の提案をさせていただきました。
 その中で、我々公明党は、「東京防災」の作成に先立って、帰宅困難者への情報提供の方途として、都独自の専用アプリをつくって多くの都民が活用できるようにすべきだと、こうした提案を平成二十四年の二定の一般質問で高倉議員がいたしました。その際、スマホを初めとする携帯端末やパソコンなどから、一時滞在施設の開設状況や鉄道の運行状況などの情報に簡易にアクセスできるアプリケーションソフトを作成し云々と、こういう答弁がございました。
 その一年後、平成二十五年一定の予算特別委員会で、これは小林議員でありますけれども、その都独自の専用アプリケーションの作成検討状況、進捗状況についてただしました。それに対して答弁は、スマホのアプリから、携帯向けのポータルサイトを作成するということで、専用アプリからポータルサイトに話が変わっていました。
 公明党が、防災対策として情報提供等で活用できるアプリの作成をいち早く提案したわけでありますけれども、総務局は、このアプリの作成については、この答弁を時系列に見る限りにおいては余り積極的ではないように思えます。
 ところが、今回、平成二十九年度の予算案の中に、防災アプリの開発費のための予算が計上されております。ここに至った経緯、今後、この防災アプリの内容、また機能をどういった内容にするのか。または配信時期、提供時期、これも決まっているのであれば、なるべく早く提供すべきだと思いますけれども、答弁を求めたいと思います。

○梅村総合防災部長 東京都は、昨年度、防災ブック「東京防災」を作成し、セミナーや防災関連のイベントなど、さまざまな機会を捉えまして活用促進の取り組みを進めてまいりましたが、都民の防災意識に関するアンケートでは、相対的に若年層の認知度が低く、一層の浸透が課題であるということがわかりました。
 スマートフォンアプリは、若者世代に広く利用されておりまして、また、この調査によりますと、五割を超える都民の方がアプリでの情報提供を望んでいるということも踏まえまして、来年度、「東京防災」の活用促進につながるアプリを作成することといたしたものでございます。
 具体的な内容、機能につきましては、例えば、災害時にとるべき行動や備蓄、家具の転倒、落下防止などさまざまな事前の備えを、アプリの特性を生かしながら、よりわかりやすく紹介するコンテンツなどを想定しております。
 今後、災害への備えに役立ち、魅力あるアプリとなりますよう、民間のアイデアも聞きながら検討を進めまして、来年三月を目途に配信を行う予定でございます。

○遠藤委員 来年三月を目途に配信を行う、こういう答弁でありました。若者にも非常に有効であるという調査もあるということですので、ぜひ使っていただけるような、そういうアプリの開発を目指してもらいたい、進めてもらいたい、このように思います。
 ところで、来年度、都は、公明党の要望に応じて、女性の視点での防災ブックを作成するということで、知事も、何度もこの点については、さまざまな機会に発信をされておりますけれども、ぜひこの防災ブックの中身、内容を、今お話にあったアプリの中にもしっかりと反映をして、いわゆる紙媒体とアプリ、アプリと紙媒体、連携しながら、双方のいいところも生かしながらやっていくべきだと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○梅村総合防災部長 女性視点の防災ブックの具体的な掲載内容につきましては、今後、女性スペシャリストによる編集会議を立ち上げまして検討を進めていくこととしてございますが、よりきめ細やかな防災への取り組みを掲載する予定でございまして、「東京防災」とあわせて活用していただくことで、より効果的な普及啓発につながるものと考えております。
 そのため、本アプリのコンテンツとして展開可能なものにつきましては、女性視点の防災ブックの内容も取り入れるよう検討してまいります。

○遠藤委員 三月十一日、東日本大震災から六年、この日と前後して、私たち公明党として、防災対策にかかわる、防災、減災にかかわるセミナーですとか、または街頭でのキャンペーン活動をいたしました。やはり女性の皆さん、非常にこの問題に関心があると同時に、すぐれたこうしたパンフレット、またはすぐれたこうした電子媒体での情報については非常に求めているということを痛感いたしましたので、重ねてになりますけれども、この防災ブック、そしてアプリ、女性や若者たちに本当に、真に有効に使っていただけるように英知を集めてつくっていただきたい、このことを要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○中村委員 それでは、質問させていただきます。
 初めに、コンプライアンス、法令遵守に関して、今度設置されるコンプライアンス推進部について伺います。
 昨年の決算で、豊洲市場の盛り土がなかったことが大きな問題になっていましたので、行政監察室の体制の強化を図っていただきたいという質問をしました。来年度は五名増員で、名称もコンプライアンス推進部になるということで、その取り組みは評価したいと思います。
 これは大変重要なことなので、さきの予算特別委員会で我が会派の島田議員、あさの議員も質問しましたが、その中で、これまでの業務で予防監察と事故監察があり、今回の体制強化では予防監察の強化が主な狙いであり、チェック機能の充実や職員の意識啓発を行うことが明らかになりました。ここは総務委員会ですので、もう少し詳しく議論したいと思います。
 まず、チェック機能の充実として、監察の範囲を拡大するとのことです。これまでは服務管理の状況についての調査という位置づけだったようですが、それだけでは、法令遵守や都の方針どおりの執務ができているかは徹底できません。
 監察の範囲の拡大について具体的な内容を伺います。

○安藤主席監察員 二十九年度の予防監察は、これまでの欠勤事故や手当の不正受給等の服務管理を中心とした監察に加えまして、文書等各制度所管部門と連携し、文書管理や事務引き継ぎ等が適正に行われているかについても監察を実施いたします。
 また、各局等がみずから実施する監察につきましても、各制度所管部門と連携し、点検項目を充実させるなどして監察内容の充実を図り、職員の事故の未然防止に寄与するようにしてまいります。

○中村委員 今回の問題の中では、文書の管理について問題になっていました。今後、文書管理については、我が会派の代表質問で、知事も条例化をするという答弁もありましたので、これはしっかりとやっていただきたいと思います。
 また、事務の引き継ぎについても、管理職については、これまでも文書で行っていたようですが、今後それを適正に行われているかも対象にするとのことでした。
 豊洲市場の問題でも、青島さんから石原さんへの引き継ぎ文書が注目をされましたが、こうしたことは慣例で行うのではなくて、位置づけを明確化することで、その責任を押しつけ合うことにならないように、しっかりと明確にしていただきたいというふうに思います。
 次に、職員の意識啓発を行うとのことですが、いろいろ制度をつくったとしても、最後は人ということになりますので、職員の意識の啓発は何より重要なものになります。
 研修の強化などがあるかと思いますが、具体的な内容を伺います。

○安藤主席監察員 職員へのさらなる意識啓発のために、これまでの汚職等非行防止にコンプライアンスの要素を加えたコンプライアンス推進研修を全職員を対象に新たに実施し、都におけるコンプライアンスの考え方を職員へ周知徹底いたします。
 また、メールマガジンの発行や強化月間の設定など啓発活動を強化し、全職員へ、さまざまな機会を捉えてきめ細かなPRを実施してまいります。

○中村委員 ぜひこのコンプライアンスの徹底ということ、汚職等をやってはいけないのは当然なんですけども、こういったコンプライアンスの意識についても、しっかり持っていただけるようにしていただきたいと思います。
 特に民間であれば、例えば法令違反等で処分されれば会社の存続が危ぶまれますので、法令遵守というのを徹底しているという話もよく聞きますが、許認可を出す側の行政が法令違反を犯すようでは示しがつきません。行政こそが真っ先に襟を正し、法令遵守を徹底する必要があります。
 先ほど、コンプライアンス推進部を設置して、監察範囲の拡大や研修の強化を図ると答弁がありましたが、さらに全庁が一丸となって法令遵守に取り組む体制を整備し、コンプライアンスの推進を図っていくことが重要であると考えますが、見解を伺います。

○安藤主席監察員 全庁が一丸となってコンプライアンスを推進する体制を整備していくことは、極めて重要であると認識してございます。
 このため、従来の事後対応的な汚職等防止委員会の機能を拡大し、常時コンプライアンスを推進していくため、来月から、副知事をトップ、各局長を委員とするコンプライアンス推進委員会を設置し、全庁的に不断に取り組んでいく体制を整備いたします。
 また、各局においても、局コンプライアンス推進委員会を設置し、各事務事業についての法令遵守の取り組みを局ごとに進めてまいります。

○中村委員 今回の豊洲市場の問題に関しては、揺らいでしまった信頼回復をすることが、今、都は必要になっていると思います。この問題は、市場の担当者だけの問題とせず、都庁全体が信頼回復に向けて取り組まなければなりません。
 今の答弁で、これまでにはこういった組織はなかったそうなんですが、今回から新たに全局長が入った組織ができていくということは大変いいことだと思っていますので、今後は、全庁一丸となってコンプライアンス、法令遵守の徹底を求めていただきたいということでございます。
 次の質問に移りたいと思います。
 次は、防災対策について伺いたいと思います。
 三・一一、東日本大震災から六年ということになりましたが、決して風化させるということではなくて、災害については、これからいつ起こるかわからないわけですから、過去の話ということよりも、これからのこととしてしっかりと、まだまだ考え続けていかなければならないと思っています。
 そういった点で、昨年、東京都が国から買い入れた旧立川政府倉庫について、今回、来年度の予算の方を見ると、多摩広域防災拠点とするというふうな記載があります。これは、倉庫を買ったわけですが、倉庫ではなく拠点という名前になっていますので、物資の備蓄だけということではないようです。
 もちろん、物資も後々は大事になります。先ほど、最初の段階で命を救うということが大事だという話もありましたので、そういった点から見ても、物資の備蓄だけではなく、防災の拠点として、この拠点をどのように生かしていくのか、都としての活用について伺いたいと思います。

○小林防災計画担当部長 本施設は、自衛隊、警視庁など防災機関が高度に集積いたします立川広域防災基地内に立地しておりまして、立地上のメリットを生かし、多摩地域はもとより、東京全体の防災力を高める広域的な防災の拠点として機能させてまいります。
 具体的には、都のみならず、市区町村や指定公共機関、地域住民など災害対応を担う多様な主体が、物資の備蓄、救出救助、災害医療、訓練、普及啓発など、平時を含めましてさまざまな活動を行う施設として活用してまいります。

○中村委員 せっかくの施設でございますので、ぜひ有効になるような生かし方をしていただきたいと思います。
 とはいえ、物資の備蓄ということも大事な位置づけになりますので、その点、少し確認したいと思います。
 今回の旧立川政府倉庫の建物そのものは総務局が担当しているわけですが、備蓄する物資というのは福祉保健局が担当ということになるかと思います。建物と中の物の所管が分かれていると、いざというときに迅速な対応がとれるのかという点では、少し疑問に思うところもあります。
 備蓄した食料が賞味期限切れがないように、各自治体の訓練に合わせて活用してもらうなど、平常時でも防災の担当が行った方が、物資を廃棄せずに有効に生かしていけるとも思います。
 物資の備蓄、管理、活用を含めて一元的に対応する方が望ましいと考えますが、見解を伺います。

○小林防災計画担当部長 都におけます防災対策は、各局の役割分担のもと、全庁を挙げて進めていくこととしております。加えて、災害対応を適切に行うためには、国、市区町村、民間団体等、あらゆる主体の協力が不可欠となります。都庁内外の総合調整を担う総務局が、それぞれの取り組みを支えつつ、組織間の横串を通す役割を果たさなければならないと考えてございます。
 災害用物資につきましては、都の備蓄を担う福祉保健局のみならず、物資拠点での荷役や輸送を担う民間流通事業者の協力や、いわゆるラストワンマイルを担う市区町村の取り組みなども重要でございます。
 総務局が中心となりまして相互の連携を強化するとともに、この施設を各主体が積極的に活用することで、それぞれがみずからの防災力を高め、物資の調達、輸送体制を総体として強化していくこととしてございます。

○中村委員 災害時には、もちろん全庁を挙げて対応するということになろうかとは思いますけれども、例えば、これ、薬とか、福祉保健局が担当しているものを日常的に扱うということであれば、一定、意味はあると思うんですが、食料ということになると、日常的にどこが扱うかというのは確かにあると思います。
 だからこそ、そういった点では市区町村との、例えば市区町村にも防災担当がいますから、東京都の防災担当と日常的につながりがあった方が扱いやすいところもあるでしょうから、こういった経過もあるとは思いますが、そのときそのときでの最適な分担になるような不断の見直しというのをお願いしたいと思います。
 そうした点で、また、日ごろ住民の生命、安全を守るのは、まずは市区町村長ということにはなると思います。しかし、地方と違って、多くの方が自治体の境を越えて働きに出たり、行動に出るため、例えば働きという、仕事という点でいえば、一週間、七日のうちの五日間の平日は、実は多くの方が住民票がある場所にはいないということになります。東日本大震災では帰宅困難者の問題があり、東京都も対応はしていますが、帰宅が困難になる前に、生命、安全を守る避難体制や医療などが必要となります。
 例えば、人口が五万人の千代田区には、他県からも含めて、平日昼間には百万人の人がいますが、千代田区役所だけでこの百万人は守れません。もちろん都も対応していますが、そもそも昼間人口についてはどこが責任を持つのか、明確にして対応を考えなければなりません。まさしく広域行政としての都の役割だと考えます。
 大都市として、住民票どおりの対応ではなく、移動を考慮した災害対策について、責任を明確にして取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。

○小林防災計画担当部長 発災時の住民の避難等につきましては、法令によりまして、基礎的自治体である市区町村が主たる役割を担うこととされておりまして、市区町村ごとに避難所の確保、運営、避難誘導などの対策を講じてございます。
 首都直下地震等が発生した場合、被害は広範囲に及ぶことが想定されますため、都は市区町村と連携いたしまして、避難場所など防災情報の周知や、防災訓練、帰宅困難者訓練等の合同実施等を行いますとともに、九都県市間での相互応援協定などの都県域を超えた災害時の連携強化や、国や関係機関との協力体制の構築にも努めてきてございます。
 今後とも、都内市区町村との連携を初め、こうした多様な取り組みを通じて災害時の応急対応等の備えを広域的に進めまして、東京の安全・安心の向上を図ってまいります。

○中村委員 先ほども述べましたけども、大都市の特性として、市区町村の境にかかわりなく人が移動し、特に都心に集中をします。
 もちろん、自治ですから主体は市区町村ですが、最初から市区町村だけでは対応できない事態が想定されるわけですから、場合によっては、都が主導しなければならない場合もあるかと思っています。そのときになって考えようというよりも、あらかじめそうしたことを想定して役割分担していくことも検討願いたいと思います。
 次に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの災害対策について伺います。
 イベントとしての担当はオリンピック・パラリンピック準備局となりますので、どのくらいの人が世界中から集まるのか、時間帯によってどう動くかは、確かにオリンピック・パラリンピック準備局が担当できるかと思います。
 しかし、私は、これはイベントとして見るだけというよりも、一時的に人口が膨れ、多様な人種が混在する全く違う東京を想定し、対応を検討する必要もあるかと思います。
 警視庁も今から対策本部を設置し、恐らく期間中は他県からも応援を呼ぶものと推測されます。
 総務局としても、今から専任の担当を置いて、オリンピックの計画立案に対して防災の観点から助言、指導し、大会時には、国や他県への応援要請も含めて対応する必要があると考えますが、見解を伺います。

○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 二〇二〇年東京大会におきまして、都は、開催都市として、万全の体制でアスリート、大会関係者、観客の安全・安心を確保していかなければなりません。
 このため、オリンピック・パラリンピック準備局とともに、総務局が事務局となり、治安対策、サイバーセキュリティー、災害対策、感染症対策の四つの視点から安全・安心部会を設置し、庁内横断的に検討を進めてございます。
 現在、各種事態を想定した対処要領の策定作業を進めてございまして、今後、対処要領をもとに実践的な訓練を重ねていくことで、国や組織委員会を初め関係機関等との連携を強化していくとともに、対処要領の検証、見直しを行い、対策の実効性を高めてまいります。
 今後、この庁内横断的な体制の中で、各局はもとより、国や関係機関等とも連携しながら、大会時の危機管理体制の充実、強化に取り組んでまいります。

○中村委員 オリンピックというのも、期間は短いわけですから、そういった点では所管局が担当するということもあるかとは思いますけれども、ただ、本当にそのときの東京というのを考えると、今と違う姿もあるんだろうと思っています。
 私たちは日本に暮らしていると、例えば震度三ぐらいの地震でも最近はなれてしまっているところもあるんですが、全く地震がない国の方が来れば、少し揺れただけでも驚く方も多く、そういった方々によっては、パニックにならないとも限らないというふうに思っています。
 担当を直接置くというのもなかなか大変なことだとは思うんですけれども、こういった対応をしっかりとしていくことで、逆に、これから海外から来られる方も安心して来ていただけるということをPRすることも、ひとつ大事なんだろうというふうに思っています。
 東日本大震災の映像等も世界に流れているところもあるでしょうから、不安なく日本に来ていただけるように、しっかりと都庁としても全庁的な対応をして、世界中からのお客様を安心してお迎えできるような体制を整えていただくことを求めて、質問を終わります。

○おときた委員 私からは、予算審議において、防災政策について一点、一分野、簡潔に伺ってまいります。
 小池知事は防災政策における自助、共助を重視しており、首都直下型地震の防火対策については、不燃化領域率の向上によって木密地域の延焼を防ぐ公助の施策だけではなく、そもそもの出火原因を抑える自助、共助の施策も今後はさらに注力されるべきです。
 特に、過去の大震災では、火災の発生原因の六割が通電によるものという教訓が得られています。
 火災を防ぐための代表的な自助、公助の施策は、各世帯における感震ブレーカーの設置が挙げられますが、東京都は、この感震ブレーカーの普及について、その重要性をどの程度認識し、どのような取り組みを行っているかを伺います。

○小林防災計画担当部長 火災被害の防止には、初期消火力の強化や、木造住宅密集地域の改善に向けた不燃化など延焼防止対策とあわせた多重的な取り組みが重要でございます。
 感震ブレーカーも、地震発生時の電気火災防止には一定の効果がございますが、簡易タイプ、コンセントタイプ、分電盤タイプといったさまざまなタイプの機器がございまして、揺れと同時に電源が遮断され、避難に必要な照明等が確保できないものがあることや、在宅医療機器を使用している場合など、設置する際には機器の特徴を十分に理解しておく必要がございます。
 都は、これらを踏まえまして、都内各世帯に配布した「東京防災」において、出火防止に向けた取り組みとして、住宅用消火器や火災報知器、漏電遮断器とともに、感震ブレーカー等の設置などを、今やろう防災アクションの一つとして示したり、防災展において機器サンプルを展示するなど、広く普及啓発の取り組みを実施しているところでございます。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、感震ブレーカーにはさまざまな種類があるので、なかなか理解が難しい、とっつきにくい部分があるというような内容もございました。
 そんなこともあってか、東京都の感震ブレーカーの普及率は、現在約六%程度になっていると伺っております。これまでの都の認知向上の取り組みによって、感震ブレーカーの普及率というのは、ここまで向上しているのでしょうか。
 東京都における感震ブレーカーの普及率の推移などがございましたら、ご教示ください。

○小林防災計画担当部長 平成二十六年十二月に策定いたしました東京の防災プランでは、出火防止に向けた漏電遮断器や感震機能つき分電盤等の設置などを、都民みずからが備えるべき取り組みとして掲げてございます。
 昨年三月に発表いたしました同プランの進捗レポートにおきまして、自助、共助の取り組みのうち出火防止対策の取り組み状況に関しては、都民アンケートの結果では、感震ブレーカーの設置に取り組んでいるとの回答は、回答数の六・一%でございました。
 本年度におきましても、同様の都民アンケートを実施したところでございますが、現在、発表に向けて回答を集計中でございます。

○おときた委員 昨年三月に発表したプランの中で六・一%という数字が出て、今年度はまだ集計中ということで、まだ推移を経過するところまでのデータは集まっていないのかなというふうに理解をいたしました。
 この感震ブレーカーの普及に向けては、内閣府が平成二十八年にモデル調査を実施しています。その調査結果によると、感震ブレーカーの認知度は、例えば世田谷区では、地震火災についての認知が五四%、感震ブレーカーについての認知は三四%となっております。比較的、三割から四割程度あるにもかかわらず、その設置率は六・一%というふうに低いものとなっています。この結果から、感震ブレーカーの認知度の向上は、必ずしも普及率の向上にはつながっていないという可能性も指摘をされています。
 とはいえ、その存在を多くの都民が認知するということは極めて重要であり、感震ブレーカーの普及を進めるに当たっては、目標を設定し、進捗管理をしながら実施するべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○小林防災計画担当部長 感震ブレーカーの普及目標に関しましては、国では、平成二十七年三月に閣議決定されました首都直下地震緊急対策推進基本計画におきまして、国が講ずべき出火防止対策等の措置の中で、感震ブレーカー等の普及を加速させ、今後十年間で、延焼のおそれのある木造住宅密集市街地における普及率二五%を目指すことといたしてございます。
 都といたしましては、こうした国による目標達成に向けた普及促進策など、その動向を注視しつつ、毎年度の都民アンケートの結果等も踏まえながら、出火防止対策や延焼防止対策を多重的に推進する中で、感震ブレーカーにつきましても、引き続き広く普及啓発を図ってまいります。

○おときた委員 ご答弁では、国における普及率を回答いただきましたが、それが都の目標でもあるのか、それとも違うのかというのが、はっきりしない状態です。都の独自目標をしっかりと掲げてこそ、普及啓発の実効力が担保されるものと考えます。
 感震ブレーカーの普及には明確な数値目標を設定すること、また、この普及を実施している区市町村との連携、それに対する補助なども検討することを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○和泉委員 地方自治体は、知事を中心とする執行機関と私たち議会の議決機関があり、二元代表制で構成されているはずであります。重要事項である条例、予算は、議決機関が決定する仕組みとなっているはずであります。
 さて、現下の最大関心事である市場問題に関しては、議会、行政が一丸となって解決を目指していかなければならないものと考えておりますが、ここは総務委員会ですので、市場のよしあし等については議論をするつもりはございませんが、行政手法やプロセスについて、確認、お伺いをさせていただきたいと考えているところであります。
 昨年十一月七日に開場予定であった豊洲新市場への移転を、これに先立つ二カ月前の八月三十一日に、執行機関が議会に諮ることなく移転延期を決定いたしました。
 豊洲移転延期の決定については、その決定までにどのようなプロセスがあったか、まことに不明確であります。知事はどのようにして移転延期を決断したのか、総務局長にお伺いいたします。

○多羅尾総務局長 委員ご質問の、豊洲移転延期についての決定までのプロセスについてでございますが、当局としては把握しておりません。

○和泉委員 びっくりいたしましたが、はっきりと、把握をしておられなかったというご答弁をいただきました。
 私、八カ月目の都議会議員でありまして、各局がどのような役割を担っているのかも、まだ鮮明にわかるわけではありませんが、区議会十三年の時代に、総務という所管は役所のかなめである、扇のかなめであると私は考えておりましたが、その総務局長が把握していないということがはっきりいたしました。
 それでは、この豊洲新市場への移転問題に関しては、本定例会の中で本会議、予算特別委員会の場で、我が会派からさまざまな質問を、知事を初め関係局長に行ってきたところではありますが、知事からは明確な答弁をいまだいただけていないと感じております。本日は、総務委員会の場で、築地市場の豊洲市場への移転及び市場のあり方に関して検討している市場問題プロジェクトチームについてお伺いをいたします。
 本定例会の代表質問において、豊洲市場の検査済み証の発行についての情報の公表にタイムラグがあった問題で、知事は、市場問題プロジェクトチームにしっかり議論をいただき、その検討結果を踏まえて、建築基準法に基づく手続を進めるよう市場当局に指示してきたとの発言がありました。
 また、予算特別委員会の場でも、市場問題プロジェクトチームの見解が、行政上の手続に大きな影響を及ぼす権限はあるのかの質問に、知事は、さまざまな分野の専門家の方々の意見を聞き、判断に役立てるのは有益と答えております。
 さらに、同じ質問に対し総務局長は、プロジェクトチームの委員は、東京都の専門委員という立場で、大変その分野について学識の、あるいは経験の深い方たちが委員になっている、その点では、非常にその検討の内容の価値は重いと理解しているとお答えになっております。
 そこで、プロジェクトチームは都としての方針を決定する権限を有しているのか、プロジェクトチームの権限について改めて総務局長にお伺いをいたします。

○多羅尾総務局長 市場問題プロジェクトチームは、地方自治法第百七十四条に規定する専門委員をもって構成されております。専門委員は、専門の学識経験を有する者の中から知事が選任し、知事から委託を受けた事項について調査すると定められております。
 また、参与及び専門委員の設置等に関する規則により、専門委員は、知事が委託する事項について調査研究をし、知事に報告すると定められております。
 したがって、本プロジェクトチームは、都としての方針を決定する権限は有しておりません。

○和泉委員 知事はこれまで、政策決定の判断に当たり、外部有識者を大分活用してまいりました。執行機関の意思決定の参考とするため、都政改革本部があり、情報公開、オリンピック調査、内部統制プロジェクトチームの三つのチームが設置されました。これとは別に、東京都専門委員で構成される市場問題プロジェクトチーム、学識経験者の専門家による豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議が設置されております。
 昨年十一月二十二日の総務委員会において、我が党のほっち副委員長から、都政改革本部の各プロジェクトチームの権限についての質問に、知事に助言、提言を行うために設置されたチームで、都の方針は知事及び決定権限の配分を受けている局長であると、都政改革担当部長が回答いたしております。
 また、昨年十二月二十七日の豊洲市場移転問題特別委員会においても、我が党の松田委員から、市場問題プロジェクトチームの座長の行政上の立場、権限、責任についてどのような見解が示されていたのかの質問があり、都政改革担当部長から、小島座長からは、私どもの立場は、知事に対して報告書を提出し、その報告書を見て知事が総合的な判断をする、これに対して、行政はそれに拘束されるものではなく、もらった知事が自分の行政判断をするというときに参考にするという旨の発言がありましたとの答弁があり、市場問題プロジェクトチームがアドバイザー的な立場であることを確認いたしました。
 そこで、改めて、市場問題プロジェクトチームは知事に報告を行うだけのものと解釈してよろしいかどうか、ご見解をお伺いいたします。

○池上都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチームは、築地市場の豊洲市場への移転及び市場のあり方に関し、豊洲市場の土壌汚染、施設及び事業に関する事項、市場のあり方に関する事項等につきまして、土壌汚染、液状化、建築構造、経営戦略等、特定の分野に精通した専門委員が検討を行い、その結果を知事に報告するものとされております。
 専門性の観点から示される報告内容は、知事が市場の移転について総合的に検討し、判断する材料の一つになるものと考えております。

○和泉委員 念のために総務局長にも、同じ認識であるか、お伺いをいたします。

○多羅尾総務局長 ただいまの担当部長の答弁と同様の認識でございます。

○和泉委員 今のお二人の答弁を受けて、改めて確認をいたしますが、本定例会の代表質問、予算特別委員会の場において、豊洲市場の検査済み証の発行についての情報の公表にタイムラグがあった問題で、知事から市場問題プロジェクトチームの発言があったと思います。
 建築基準法上、建築主事の検査済み証発行手続に対して、市場問題プロジェクトチームの審議は影響を与えるのか否か、総務局長にお伺いいたします。

○多羅尾総務局長 建築主事が行う検査済み証の発行については、権限を有する建築主事において、根拠法令等に基づき実施されるものでありまして、建築基準法上、市場問題プロジェクトチームは、その行政手続に関与いたしません。

○和泉委員 検査済み証の発行手続には、市場問題プロジェクトチームは関与しないということがよくわかりました。この点については、改めて知事に確認をしてまいりたいと考えております。
 知事は、いうまでもなく大きな権限を持っておりますが、みずからの判断と責任において都政を運営する責任も同時に負っております。混迷を深める市場移転問題に結論、終止符を打つのは、知事の決断以外にない。一日も早い決断を切望して、終わります。

○新井委員 私からは、まず最初に、民間企業との人材交流の促進についてお伺いしたいと思います。
 都庁の各分野におきまして仕事の内容が高度化しておりまして、その中にあって、都の職員にはより一層専門性が求められていると思います。
 例えば、私が携わってきましたICTの世界はもちろんのこと、金融や危機管理などさまざまな分野におきまして、民間の最先端の知見をタイムリーに取得していくことが重要だと思っています。
 この職員の専門性強化に向けては、民間企業との人事交流が極めて有効なものだと思っています。実は、都は、ノウハウやコスト感覚の導入などを目的に、三十年も前に民間企業との人材交流を実施していると聞いております。
 そこで、都におけます民間企業との人材交流の現状と成果、今年度の実績についてお伺いします。

○栗岡人事部長 民間企業からの研修生の受け入れと職員の民間企業への派遣は、相互の人材育成と組織の活性化等に資するものであり、有意義でありますことから、職員派遣は昭和五十八年度から、研修生の受け入れは昭和六十二年度から継続して実施してございます。
 民間企業からの研修生の受け入れにつきましては、企業からの申し出を受け、利害関係に抵触しないよう、行政の公正性の確保等を考慮して受け入れを決定してございまして、平成二十八年度は二十八名の研修生を受け入れてございます。
 一方、都からの派遣研修につきましては、主として管理職候補者の育成上重要なステップとして実施してございまして、民間企業だけでなく、国、他自治体も含めて、事業上の必要性や育成上の効果を考慮し、派遣先を決定してございまして、民間企業には平成二十八年度は十四名の職員を派遣してございます。
 なお、派遣研修生の帰任後の活用におきましては、例えばPFI事業の推進において中心的な役割を果たすなど、都の困難課題の解決に一定の成果を上げてございます。

○新井委員 一定程度の交流が行われているということは理解いたしました。
 しかし、官民が協働し課題解決を担っている現在におきまして、より一層、多様な分野で、かつさまざまな段階、若手でも、課長代理でも、課長でも交流が行われるべきだと思っております。
 多様な分野というのは、これまで派遣されたリストを見ますと、主に大手の金融業だったりとか、また鉄道会社に限られております。金融系の会社に行った方は、東京都に戻ってきてから、主にPFI事業に携わっているだったりとか、一定の成果を上げていると聞いております。
 その企業の選別については、この何十年間、余り変わることがないというものでございますけど、世の中の流れだったりとかニーズというもので、学ぶべき会社というのはどんどん変わっていくものだなと思っていますので、ぜひそういった意味でも、いろんなさまざまな会社、例えばコンサルティング会社の、頑張っているベンチャー企業だったりとか、あとは、これからはやるであろう第四次産業のそういった会社だったりとか、外資系も今まではなかったですけど、そういった注目される外資系だったりとか--いろんな会社の選定というのはなかなか難しいと聞いております。受注関係があってはならないとか、あとは特定の企業に対して人的支援をしているんじゃないかというふうに誤解をされても困りますから、そういった意味では、目的や期間を整理して、しっかりと実施をしてもらいたい。
 また、国でもやっていますし、国ではちゃんとした基準を設けていると聞いていますから、そういったものを参考にするだったりとか、また、民間企業が多く出向している国の機関、都が直接受け入れられない企業と、そういった国の機関を使って間接的に交流を持ったりだとか、そういったことも考えられるのかなと思っています。
 また、さまざまな段階の方が私は行くべきだなと思っていまして、お伺いしますと、管理職選考Aに通った方が、管理職候補者として一年間派遣されると聞いています。人数も、答弁にあったとおり、とても少ないといわれています。そういう意味では、より多くの階級というか、いろいろなタイプの方が行けるチャンス、手を挙げれば行けるチャンスがあればいいなと思っています。
 人事交流は、必ずや組織のレベルアップとか都政の活性化、そういったものにもつながると思っております。また、都にとっても、コンサルティングや業者にとっても、ウイン・ウインの関係が、こういった人材交流によって築けると思っています。引き続き推進をしていただきたいなと思っています。
 今の段階では、組織委員会に対して、多くの都の職員の方が派遣されていると聞いていますが、いろんな継続性ということを考えますと、大変な時期ではありますが、そういった派遣というのも私は重要かなと思っております。
 そこで、人事交流をより積極的に進め、派遣人数の拡大や、ベンチャー企業なども含めてさまざまな派遣先企業を開拓するなどの見直しを行うべきと考えますが、見解をお伺いします。

○栗岡人事部長 都と民間企業等との人事交流は有意義でございまして、都は継続的に取り組んでまいりました。
 一方、その実施に当たり、公務への信頼性の確保や、効果的な人材育成といった観点も欠かせません。
 民間企業からの研修生の受け入れにおきましては、派遣元企業の事業内容を踏まえ、密接な利害関係がある業務を避けるなど、研修生の配置先や従事させる職務を適切に定め、また、守秘義務を課すなど公正性の確保に努めてございます。
 また、都からの研修生の派遣におきましては、公費負担による研修であることに鑑みまして、行政による個別の営利企業への支援とみなされることがないよう、派遣先企業の事業内容を考慮するとともに、あわせて効率的、効果的な人材育成に資するよう、管理職候補者などの選抜された人材の育成にふさわしい経験が得られることを確認して行ってございます。
 このような認識のもと、行政課題の変化を考慮しつつ、例えば国への派遣の場合におきましても、民間企業からの出向者も多い経済産業省の情報通信やエネルギー所管部署などにも派遣するなど、見直しを適宜加えつつ人事交流を行ってございます。
 今後とも、社会経済情勢や行政課題の変化を踏まえた派遣先の見直しなどを常に行いつつ、人事交流や経験者採用等、さまざまな手法を活用することで、専門性にも考慮しつつ、多様な人材の確保、育成に努力してまいります。

○新井委員 都庁にとって、都民の信頼を確保することは、もとより重要だと思っています。その中で、適正に人事交流を行うように努めていることは理解いたしました。
 しかし、時代の変化は著しいです。こういった人事交流や経験者採用をさらに拡大することを通じて、都庁の職員に民間の最先端の知見を導入していかなければ、都民の期待に応える都政運営は実現しないと思っています。
 そのために、職員は、専門性を高めるモチベーション、目的となるキャリアパスをしっかりと見据える必要性がありますし、状況を見据え、専門人材にポスト、権限を与えていかなければならないと思っています。
 ここで私が提言しておきたいのが、今すぐにやることは難しいかなと思っていますが、IT専門の局長級ポストが必要な時代が近い将来到来すると考えております。
 例えば、その昔は、危機管理監というポストは東京都はございませんでした。平成十五年に、自然災害やNBC災害等の多様な危機に備え、危機管理体制について一元的に局長を補佐する職が必要との判断があり、設置されたと聞いております。
 今後、ITの重要性は日々高まっていきます。そういう中、専門人材を確実に育て、そのキャリアを都としてしっかりと考えていくことを切に要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、罹災証明書の交付について質問をします。
 住家被害認定調査に基づき交付される罹災証明書は、被害者が各種の被害者支援制度の適用を受けるに当たって必要になるものであり、被害者の早期の生活復興に不可欠なものでございます。
 罹災証明書の交付はどのような方々が対象となるのか、お伺いします。

○和田防災対策担当部長 罹災証明書は、災害対策基本法により、市区町村長に交付が義務づけられております。
 罹災証明書の交付対象としては、住家の所有の有無にかかわらず、災害により居住する住宅に被害を受けた賃借人や単身赴任者などを含めた幅広い方々が対象となります。

○新井委員 住家の所有の有無にかかわらず、幅広い被災者が証明書の交付対象となると。住家被害棟数の大きさ以上に、罹災証明書の交付対象は多くなり、これに関する業務量は膨大なものとなります。このため、効率的に証明書を交付するためには、やはりシステム化が必要となります。
 都ではこれまでにも、市区町村と連携し、罹災証明書の交付システムの導入を進めていると聞いておりますが、現在のシステム導入状況と、導入に当たっての課題は何か、お伺いします。

○和田防災対策担当部長 都では、住家被害認定調査や罹災証明書の交付等の迅速化、効率化に向け、平成二十二年度から、市区町村と連携し、被災者生活再建支援システムの検討を行い、二十四年度から市区町村への導入促進に取り組んでまいりました。このような取り組みの結果、本年度末時点で、二市十四区一町の合計十七自治体が導入済みとなっております。
 また、導入の課題といたしましては、二十六年度末に都が市区町村を対象に実施した調査の結果によりますと、これまでのシステム導入手法では、必要な機器一式を購入するクライアントサーバー型のため、導入時の費用について予算の獲得が難しいことなどがあると認識をしております。

○新井委員 必要な機器一式を購入しますクライアントサーバー型は、当然ながら、自治体の規模の大小に関係なく、一定のコストを負担する必要性がございます。多摩地域の小規模自治体にとっては、その導入コストは重要な課題となっております。
 このような課題がある中、都におけます熊本地震の支援の記録の中において、迅速かつ効率的な罹災証明書の交付等にシステムの導入は極めて有効であり、都としても、都内区市町村のシステム導入をさらに促進していく必要性があると記載されております。
 都としては今後どのような取り組みを行っていくのか、お伺いします。

○和田防災対策担当部長 熊本地震では、複数の被災自治体において、都が導入を進めてきた本システムが使われ、その有効性が改めて証明されました。
 このことから、都では、市区町村のシステム導入をさらに促進していくため、従来のシステム導入手法に加え、機器等の共同利用によるスケールメリットを生かしたクラウドサーバー型を、システム未導入の自治体に対し新たに提案いたしました。

○新井委員 初めて明らかになりましたけど、答弁で、従来のシステム導入の手法に加えて、機器等の共同利用によるスケールメリットを生かしたクラウドサーバー型を入れていただけるということです。今まではなかなか、財政的に豊かな区でしか入れることができなかったんですけど、財政的に大変厳しい市とかには、これは大変有効なのかなと思っております。
 単にシステム導入するだけでは限界があります。このために、熊本地震の際にも、熊本県や県内市町村では、被災後に住家被害認定調査等の罹災証明書交付までに必要な手続や、地震保険の請求には罹災証明書は不要であることなどをホームページで案内し、被災者からの交付申請の抑制にも努めておりました。
 このような取り組みが都としても必要であると考えますが、都の見解をお伺いします。

○和田防災対策担当部長 首都直下地震発生時に想定される膨大な罹災証明書交付等の業務に対応していくためには、被災者の理解と協力が必要であります。
 このことから、都においても、平常時から市区町村や関係機関と連携し、罹災証明書の概要等に関する普及啓発に努めてまいります。

○新井委員 普及活動に努めていくということです。平常時から市区町村、関係機関と連携しながら、罹災証明書等のそういった概要について、訓練などを通じて、いろいろと普及活動をやっていただきたいなと思っています。
 以上をもちまして、質問を終わりにします。

○ともとし委員長 他に発言はありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ともとし委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会は閉会いたします。
   午後三時六分散会

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