委員長 | ともとし春久君 |
副委員長 | 新井ともはる君 |
副委員長 | ほっち易隆君 |
理事 | 野上ゆきえ君 |
理事 | 三宅 正彦君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
和泉ひろし君 | |
おときた駿君 | |
遠藤 守君 | |
中村ひろし君 | |
谷村 孝彦君 | |
早坂 義弘君 | |
中屋 文孝君 | |
崎山 知尚君 | |
清水ひで子君 |
欠席委員 なし
出席説明員政策企画局 | 局長 | 長谷川 明君 |
外務長 | 水越 英明君 | |
次長理事兼務 | 潮田 勉君 | |
理事報道担当部長事務取扱 | 浜 佳葉子君 | |
理事 | 松下 隆弘君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小池 潔君 | |
調整部長 | 山下 聡君 | |
政策担当部長 | 小久保 修君 | |
政策担当部長 | 西坂 啓之君 | |
政策担当部長 | 古屋 留美君 | |
政策担当部長 | 田尻 貴裕君 | |
技術政策担当部長 | 森 高志君 | |
戦略広報担当部長政策担当部長兼務 | 小沼 博靖君 | |
海外広報担当部長 | 川崎 卓君 | |
渉外担当部長 | 佐藤 直樹君 | |
国家戦略特区推進担当部長 | 山本 博之君 | |
計画部長 | 小室 一人君 | |
外務部長 | 横山 英樹君 | |
都市外交担当部長 | 角南 明彦君 | |
国際事業担当部長 | 梅田 弘美君 | |
総務局 | 局長 | 多羅尾光睦君 |
危機管理監 | 田邉揮司良君 | |
次長理事兼務 | 榎本 雅人君 | |
理事 | 岸本 良一君 | |
総務部長 | 小暮 実君 | |
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長 被災地支援福島県事務所長兼務 | 松崎 浩一君 | |
訟務担当部長 | 江村 利明君 | |
復興支援対策部長 | 菊地 俊夫君 | |
復興支援調整担当部長 | 野口 一紀君 | |
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 | 佐々木秀之君 | |
都政改革担当部長 | 池上 晶子君 | |
都政改革担当部長 | 小笠原雄一君 | |
情報通信企画部長 | 久原 京子君 | |
人事部長 | 栗岡 祥一君 | |
労務担当部長 | 村岡 教昭君 | |
主席監察員 | 安藤 博君 | |
行政部長 | 西村 泰信君 | |
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長 事業調整担当部長兼務 | 山口 真君 | |
区市町村制度担当部長 | 小菅 政治君 | |
総合防災部長 | 梅村 拓洋君 | |
防災計画担当部長 | 小林 忠雄君 | |
防災対策担当部長 | 和田 慎一君 | |
統計部長 | 伊東みどり君 | |
人権部長 | 箕輪 泰夫君 |
本日の会議に付した事件
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「二〇二〇年に向けた実行プラン(仮称)」の策定に向けた「コンセプトと主要政策の方向性」について
総務局関係
付託議案の審査
・第百八十号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百八十一号議案 東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百八十二号議案 東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百八十三号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百四号議案 自治体情報セキュリティクラウド(外部接続中継システム)機器の買入れについて(質疑)
・第二百十一号議案 東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
・第二百十二号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
・第二百十三号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
・諮問第三号 地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問について(質疑)
報告事項(質疑)
・平成二十八年熊本地震支援の記録について
・平成二十七年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績について
○ともとし委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査並びに政策企画局及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより政策企画局関係に入ります。
報告事項「二〇二〇年に向けた実行プラン(仮称)」の策定に向けた「コンセプトと主要政策の方向性」についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 要求のございました資料一点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
表紙をおめくりください。歴代知事の長期計画の策定経過と主要政策等でございます。
次ページ以降、三ページにわたりまして、石原元知事以降の歴代知事の長期計画について、策定経過と主要政策等を記載してございます。
以上、簡単ですが、要求資料について説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○ともとし委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○和泉委員 まず初めに、二〇二〇年に向けた実行プランについてということでお伺いをさせていただきたいと思いますが、東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年は、都民、国民が心が一つになる大きなチャンスであります。この二〇二〇年に向け、我々は、ひとときも休むことなく都政を着実に進め、大会を成功に導き、さらに、次の時代においても輝き続ける東京をつくっていかなければならないものと思っております。
こうした中、都は、実行プランを年内に策定することとし、先月、コンセプトと主要政策の方向性を発表いたしました。また、その前後、知事をトップとするプラン策定会議を開催し、庁内における検討を進めていると聞いております。
現在、東京都には、都政の大方針として、我が党の政策提言を踏まえて策定された東京都長期ビジョンがあり、そのもとでさまざまな取り組みを進めているところであります。我が党は、さきの第三回定例会の舟坂議員の一般質問において、都政の現実を十分に踏まえ、議会とともに長期ビジョンで積み上げてきた政策をしっかりと前進させることが重要と指摘をさせていただきました。この点は、行政の継続性として大変重要な問題であります。
そこで、確認も込めて、本日は、長期ビジョンの政策のさらなる充実強化に向けた実行プランの策定についてお伺いをいたします。
まず、実行プランの策定に向けたコンセプトと主要政策の方向性について伺います。
この資料を見ると、今後の取り組み内容の記載があるだけで、これまでの取り組み状況や課題に関する記述がありません。
そこで、この資料を発表した目的について、まずお伺いをいたします。
○小室計画部長 東京都長期ビジョンにおきましては、中間報告を公表し、都民の方々からの意見募集を実施いたしましたが、実施計画に位置づけられる計画につきましては、基礎となる長期計画が既にあることから、こうした意見募集は、従前、行っておりませんでした。
今回の二〇二〇年に向けた実行プランにおいては、都民ファーストの視点から、政策形成過程の見える化を重視しております。そこで、実行プランの策定過程におきまして、ポイントとなるコンセプトや主要政策の方向性について都民の皆様の意見を求めることを目的にパブリックコメントを実施いたしました。
また、お話のこれまでの取り組みや課題につきましては、策定作業の中で各事業の進捗状況や課題等の整理を行っており、年内に発表する実行プランにおきまして、しっかりと記載してまいります。
○和泉委員 我が党は、都民の与党として、知事とも協力すべきは協力し、よりよい政策実現に向けて切磋琢磨し、山積する課題を一つ一つ迅速、的確に解決していくことが重要と考えております。そうした意味で、実行プランのコンセプトなどを都民にわかりやすく示すことは当然のことと思います。
今回の都民からの意見募集では、都立学校の生徒からも意見をもらっており、全体のうち大きな割合を占めていると聞いております。
未来を担う高校生の意見を取り入れるということはすばらしいことと考えますが、そこで、パブリックコメントの状況、都立学校から意見募集を行った趣旨、そして、いただいた意見を今後どのように扱っていくのかについてお伺いをいたします。
○小室計画部長 実行プラン策定に向けた都民からの意見、アイデア募集は、十一月十一日から同月二十五日までの期間に行いました。
受け付け人数は、一般の個人の方百五十四人、都立学校生徒三百三十一人、法人二十二団体、合計五百七人。意見、アイデア数は、現在集計中でございますが、約千七百件でございます。
なお、個人と法人からの意見数は約三百四十件であり、これは東京都長期ビジョンの中間報告に対する意見数三百十一件を上回っております。
意見等の内容は、約千七百件のうち、実行プランの策定コンセプトに関するものが約一割、三つのシティーの主要政策の方向性に関するものがそれぞれ約二割ずつの合計六割強、東京の理想の姿、未来の生活像に関するものが約一割強、その他が約一割でございまして、その大部分が三つのシティーにおける主要政策の方向性について肯定的なものでございました。
また、意見募集に当たっては、委員からのご指摘のとおり、未来の東京を担う若者の意見を聞くことは大変重要であるとの考え方から、主権者教育の観点も取り入れ、都立高校での実行プランの出前授業を実施したところ、二十校、二百九十人の生徒から自主的に意見が寄せられ、特別支援学校の生徒のものとあわせ、三百三十一人から約千三百件を超える意見をいただきました。
こうした都民の皆様から寄せられた意見等を参考にしながら実行プランの策定作業を進め、主な意見につきましては、三つのシティーごとに整理し、プランでどのように反映しているかなど、できるだけわかりやすく記載して、実行プランの冊子において紹介してまいります。
○和泉委員 今回の都立学校への募集は、東京の将来を見据えた積極的な目的により実施されたことがわかりました。あすを担う若者の意見は、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
さらに、押さえておかなければならない重要な点は、実行プランと長期ビジョンとの関係であります。知事は、長期ビジョンが示す政策の大きな方向性を継承するとしておりますが、長期ビジョンで進めてきた政策を着実に進めることは大変重要であり、個々の取り組みについても、継続すべきものと変更すべきものをしっかり見きわめる姿勢が求められると思います。
そこで、改めて、今回策定する実行プランと長期ビジョンとの関係についてお伺いをいたします。
○小室計画部長 行政におきましては、大きな方針のもとに積み重ねてきた政策をしっかりと進めていく継続性と、社会情勢や住民ニーズの変化等に的確に対応していくことが同時に求められると考えております。
実行プランは、長期ビジョンの現行の三カ年の実施計画にかわる新たな計画であり、長期ビジョンが示す政策の大きな方向性を継承しつつ、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーを実現し、新しい東京をつくっていくための今後の都政の具体的な政策展開を示すものです。
ここにいう長期ビジョンが示す政策の大きな方向性とは、長期ビジョンにおける八つの都市戦略と二十五の政策指針で示す政策の方向性であり、これらは実行プランにおいても継承されます。
一方、具体的な政策や個々の事業につきましては、ビジョン策定後の社会経済情勢や都民ニーズの変化等に応じて、新たに構築するものや拡充していくものがございます。
○和泉委員 長期ビジョンの大きな方向性が継承されるという大前提が改めて確認されました。
プラン策定においては、都政をめぐる社会経済情勢の変化や都民のさまざまなニーズを的確に捉え、柔軟に対応することが必要であると思います。
一方で、少子高齢化対策や首都直下地震への備えなど、東京が直面する大きな課題は変わることなく、引き続き、これまでの政策を充実強化していかなければならないと考えます。そこで、我が党としては、先日、都政の全般にわたり、実行プランに反映すべき事項について緊急提言を行ったところであります。
本プランは年内の策定を目指していると伺っておりますが、いよいよ検討も大詰めを迎えていることと思います。具体的にプランはどのような構成となるのか、現時点における検討状況についてお伺いをいたします。
○小室計画部長 実行プランは、大きく三つの項目で構成することを検討しております。
一点目が、プランの核となる三つのシティーの実現に向けた政策展開でございます。プランに掲げる全政策を三つのシティーに沿って体系化し、政策目標、政策展開、年次計画などを具体的に示します。また、分野横断的な政策といたしまして、東京二〇二〇大会の成功に向けた取り組みと多摩・島しょの振興についてまとめていきます。
二点目は、東京の成長戦略の方向性でございます。東京が世界をリードし、日本の成長のエンジンとして持続的に成長していくために、目指すべき方向性の提示を行います。こうした東京の成長創出に関する戦略の方向性を取りまとめて示すのは、初めてのことでございます。
三点目が、「Beyond二〇二〇」東京の未来に向けてでございます。夢と希望にあふれる東京の未来の姿として、プランの計画期間である二〇二〇年を超えたさらにその先の明るい東京の未来の一端を描いてまいります。
○和泉委員 東京の成長戦略の方向性が大きな項目の一つとなることがわかりました。こうしたまとめ方は、長期ビジョンにはなかったものであります。
これまで掲げてきた個々の政策の充実強化を図るだけではなく、成長戦略の方向性をあえて打ち出そうとしているのはなぜか、お伺いをしたいと思います。
○小室計画部長 東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される二〇二〇年まで、残り三年余りでございます。東京二〇二〇大会の成功をてことして、東京、さらには日本全体の発展につなげていかなくてはなりません。
東京が今後も日本の成長のエンジンとして二〇二〇年以降の持続可能な成長を目指していくためには、その戦略の方向性を明確に示し、そのもとで各政策を着実に展開していくことが必要です。そうした認識に立ちまして、今回、東京の成長戦略の方向性を提示していくことといたしました。
○和泉委員 現在、安倍政権では、日本再興戦略二〇一六において、回り始めた経済好循環を持続的な成長路線に結びつけ、戦後最大の名目GDP六百兆円の実現を目指していくとしております。
その中で、東京の位置づけは特に重要であります。東京こそが、アベノミクスと連動した大胆な経済対策によって、地域社会から日本の景気回復、経済再生を牽引し、まちの隅々にまで波及させていかなければならない。
そこで、東京の成長をどのように生み出そうとしているのか、成長戦略の方向性についてお伺いをいたします。
○小室計画部長 東京二〇二〇大会の開催という好機を逃さず、二〇二〇年以降の持続可能な成長に向けた政策を実行に移していかなくてはなりません。
このため、都市の競争力に不可欠な金融の活性化や、ICTの活用によるイノベーションの実現などに取り組むとともに、東京の経済成長の基盤である中小企業の振興や地域産業の活性化などに関する取り組みを着実に進め、東京の成長を創出してまいります。
成長戦略の方向性では、こうした視点から、実行プランにおける東京の成長創出に資する政策を取りまとめ、迅速かつ着実な歩みを示していく都の姿勢を示してまいります。
○和泉委員 これから都市間競争が激化する中、東京が力強く日本の成長を牽引していくためには、外国企業の呼び込み、中小企業の海外展開支援なども積極的に行っていく方向性をしっかりと打ち出していかなければならないものと考えます。
しかし、その一方で、都内企業の九九%は中小企業であり、中でも小規模事業者の経営の改善や地場産業の振興は欠かせません。
そこで、外国企業の誘致など外に目を向けた政策だけでなく、東京の持つ強みを生かすという観点から、都内中小企業、小規模事業者の振興も重要であると考えますが、いかがでしょうか。
○小室計画部長 東京の成長戦略の推進に当たりましては、海外に目を向けた取り組みのみならず、東京の発展を支えてきた都内中小企業が持つ力に着目し、これまで進めてきた政策をさらに充実強化して推し進めていくことが重要でございます。
世界的にも高度な技術力を有する中小企業の集積といった東京の強みを生かすため、外国企業と都内中小企業等のマッチング機会の創出、中小企業の海外展開の支援などの政策を積極的に進めてまいります。また、経営改善に取り組む中小企業の支援など地域産業の維持発展のための政策や、ものづくり産業を支える人材の育成、確保の取り組み、これまで中小企業が培ってきた技術やノウハウを継承するための事業承継、事業再生の支援など、中小企業をしっかりと支えていく政策を展開してまいります。
○和泉委員 元気な地域産業のまちをつくってこそ、東京の持続的成長は可能となります。成長戦略の方向性については、この点をしっかりと踏まえて検討を進めていただきたいと思います。
本日は、実行プランの基本的な考え方や成長戦略の方向性について検討状況を明らかにしていただきました。
開催まで三年余りとなった東京二〇二〇大会の成功と、十年後、二十年後、その先の将来の東京を夢と希望の持てる都市とするため、今こそしっかりとした礎をつくっていくことが求められていると思います。
最後に、成長戦略の方向性を含め、今後四年間の重要な都政の方針を示す実行プランの策定に向けた政策企画局長としての決意をお伺いいたします。
○長谷川政策企画局長 二〇二〇年に向けた実行プランは、小池都政として初めて策定する総合的な実施計画でございまして、都の政策を総動員して、都民ファーストの視点に立ち、三つのシティーを実現し、新しい東京をつくっていくことを目指すものでございます。
本プランでは、こうした目的を踏まえまして、長期ビジョンで示した政策の大きな方向性を継承しつつ、さまざまな社会経済情勢の変化にも的確に対応する政策の展開を図ることで、都民福祉の一層の向上を図るとともに、二〇二〇年とその先の持続的に発展する東京の姿を内外に示してまいりたいと思っております。
プランにおきましては、これまでにない取り組みとして、東京の成長戦略の方向性を盛り込んでまいりたいと思っております。この成長戦略の方向性に基づいて、さまざまな成長創出に資する政策を展開することで、東京が日本の成長のエンジンとして日本経済の活性化を目指してまいります。
そうした中で、ただいま委員からご指摘のありました、東京の産業の基盤でございます、小規模を含めた多くの中小企業がございますので、この経営の安定、あるいはさらなる成長に向けた政策、そして、これから求められます創業や起業への支援なども含めまして、中小企業への政策についても大変重要な課題と考えてございます。
さらに、具体的な政策展開とは別に、「Beyond二〇二〇」東京の未来に向けてというテーマで、二〇二〇年のさらにその先に目を向けて、新しい東京の未来像の一端を描いていくということも考えております。長期的な展望に立って、今後、東京が直面するさまざまな課題の解決に取り組みつつ、子や孫の世代に東京の明るい未来を引き継ぐための東京の底力を呼び起こせるような政策の立案にも生かしてまいりたいと思っております。
パブリックコメントにおけるご意見、アイデアを参考といたしながら、各会派からいただきましたご提言、そして本日のご議論も踏まえまして、年内の策定に向けて全庁を挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○和泉委員 局長の力強い決意を伺いまして、大変頼もしい限りでございます。
年内の策定に向けたラストスパートを、徹底した都民目線で、都民がわかりやすい言葉を用い、プランをしっかりとつくっていただきたいと思います。
そして、改めていうまでもございませんが、策定後の政策の着実な推進が何よりも重要であります。行政は、ともすれば、計画策定に全力を注ぎ込んだ後、政策展開において息切れしてしまうことになりがちであります。本プランでは、より具体的で数多くの政策目標を定め、その工程表も明確に作成すると聞いております。
工程に沿い、二〇二〇年の東京大会の成功と、さらにその先の輝き続ける東京の実現に向け、全庁で取り組んでいってほしいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
○新井委員 二〇二〇年に向けた実行プランの、まず初めに多摩振興についてお伺いしたいと思っています。
小池知事は、市長会の会合に参加しまして、公約には多摩格差をゼロにすると盛り込んでいた、ともに手を携え、交通網整備や産業振興といった課題を解決したいと、就任の挨拶をしました。知事が多摩重視の姿勢を示していただいたのは大変重要だと思っております。
一方、市長会の会長であります並木心羽村市長は、大切なのは対話を重ねることです、多摩の現場をぜひ見ていただきたいと求めました。会長が求めたように、多摩振興については、財政面や地域特性など、二十三区とは違った多摩地域の状況をよく踏まえた上で政策展開を図る必要性があると考えています。
まず、小池知事がつくる都政の全体にわたる計画に当たる二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、多摩振興にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○小室計画部長 活力ある東京に欠かすことができないのは、四百万人を超える都民の生活の場であり、さまざまな産業の集積を生かして東京の成長を支えてきた多摩地域の発展でございます。
多摩地域には、研究開発型の企業や大学、研究機関が集積するとともに、人々に安らぎを与える自然環境が身近にあるという特性を持つ一方、自然災害への備えや、多摩ニュータウンなど大規模団地の老朽化など、多くの課題も存在いたします。これらの特性や課題に的確に対応した具体的な政策の展開を図らなくてはなりません。
このため、実行プランにおきましては、産業集積の維持発展や、多摩地域の特性に着目した産業振興、豊かな自然や食、伝統文化による観光振興、農地や森林等の自然環境の保全など、多摩の持つ強みを生かした政策を積極的に展開するとともに、交通インフラの整備や、集中豪雨や土砂災害対策、多摩ニュータウンを初めとする地域の再生といった課題に対しても的確に対応してまいります。
○新井委員 実行プランにおきます多摩振興の方向性については理解をいたしました。多摩格差はなくなったという声を聞きますが、まだまだ多摩地域が抱える課題は山積しておりまして、将来のさらなる発展に向けて、さまざまな政策を展開することが大変重要であります。実行プランにおいては、多摩地域の特性をしっかりと踏まえた政策の展開を期待いたします。
さて、次に、実行プランの策定におけます都民の意見の反映についてお伺いいたします。
都民ファーストの都政を掲げる小池知事は、今般、実行プランの主要政策の方向性について取りまとめ、パブリックコメントを実施しております。十一月二十九日の第三回プラン策定会議後、実行プラン策定に向けた都民からの意見募集の状況、速報値を公表しており、それを見ますと、和泉委員も触れていましたが、都立高校への実行プランの出前授業を実施しているとのことであります。
特別支援学校の生徒も含みます、これからの未来を担う高校生にこのような取り組みを政策企画局が行ったことは大変意義があると思っております。
そこで、今回、なぜ都立高校生を対象に出前授業を行ったのか、そしてどのような意見があったのか、具体的な政策の一例を含めてお伺いいたします。
○小室計画部長 都民ファーストは、今後の都政運営において重要な視点でございます。そこで、今般、プランの策定に当たりまして、プランのポイントとなる事項を、コンセプトと主要政策の方向性として、できる限りわかりやすい表現で都民の方々に示し、意見やアイデアを募集することといたしました。
意見を募集するに当たりまして、未来の東京を担う若者の意見を聞くことも重要であるとの認識から、主権者教育の観点も取り入れた一つの試みといたしまして、都立高校を対象とした実行プランの出前授業を実施いたしました。
その結果、出前授業を実施した都立高校二十校の二百九十人の生徒から、自主的に意見やアイデアの提出がございました。
一例といたしまして、子供を産むことや結婚に対する不安がなくなるようサポートしてほしいといった具体的な政策に関する意見のほか、自動運転により交通事故が起こらないまちをつくってほしいといった、科学技術の進歩を踏まえた東京の未来像についてのアイデアなどが寄せられました。
こうした若者の声は、個別の政策に係るものは今後の政策展開の参考とするとともに、未来に向けてのアイデア等は、ビヨンド二〇二〇における未来像の検討に活用してまいります。
○新井委員 高校生などの若者たちが未来に夢と希望を持てる東京をつくるため、都民ファーストの視点から、都民の意見を十分踏まえて実行プランを策定していただきたいと思います。
次に、実行プランにおける東京二〇二〇大会に向けた政策展開についてお伺いいたします。
四年後に迫る東京二〇二〇大会は、大会を成功に導いていくことは無論のこと、それに加えて、大会終了後に都民に何を残していくのかということが、そういう視点が大変重要だと考えております。
例えば多摩地域では、武蔵野の森総合スポーツ施設を中心としたさまざまな施設の集積、いわゆるスポーツクラスターの活用により、誰もがスポーツに親しむ社会の実現を目指しておりますが、ICTの活用などのソフト面や、まちづくりといったハード面の両面から、都民に対してしっかりとしたレガシーを残すことが必要だと思います。
そこで、東京二〇二〇大会のレガシーについて、実行プランにどのように盛り込んでいくのか、お伺いいたします。
○小室計画部長 東京二〇二〇大会の成功は、東京、ひいては日本のさらなる成長のてこであり、万全な体制で大会を迎え、世界最高の大会を実現していかなくてはなりません。それとともに、ハード、ソフト両面のあらゆる分野で東京を進化させ、都民生活の質の向上と持続的な成長をもたらす確かなレガシーを次世代に残していくことが大変重要でございます。
このため、実行プランでは、大会競技会場の整備やテロ、防災対策、ラグビーワールドカップ二〇一九と一体となった開催機運の醸成など、大会の開催、運営に不可欠な取り組みの着実な推進を盛り込んでまいります。そして、ICTを活用した多言語対応、ボランティア活動の推進による外国人へのおもてなし、障害者スポーツの振興やユニバーサルデザインのまちづくりなど、ハード、ソフト両面で次世代に長く受け継がれるレガシーを残していくため、さまざまな政策の展開を示してまいります。
○新井委員 四年後の大会まで限られた時間の中、さまざまな取り組みを進め、都民が東京二〇二〇大会を開催してよかったと真に思える大会にしてほしいと思います。
さて、東京二〇二〇大会においては、世界中から多くの人が東京に訪れるとともに、世界中の耳目が東京に集まるといってよいと思います。オリンピック・パラリンピックという大きなイベントを単に開催して終わるのではなく、東京が推進する先進的な政策や将来の東京の姿を世界中に発信する絶好の機会として活用すべきだと考えています。
そこで、東京二〇二〇大会を捉えて、都の先進的な政策を世界に示していくべきだと考えますが、見解をお伺いします。
○小室計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランにおきましては、IoTの活用や水素エネルギーの普及など、先端技術を生かした政策の展開を織り込んでまいります。これらは、諸外国の他都市のモデルとなり得るものであり、大会をショーケースとして活用し、世界へ発信してまいります。
また、超高齢社会の進行に対する政策の充実や、誰もが優しさを感じられるバリアフリーのまちづくり、あるいはもったいないの精神に基づく3Rの普及など、大都市の抱える課題の解決に向けた取り組みを内外に示していく機会にもなります。
都といたしましては、こうした観点から実行プランを着実かつ積極的に推進し、その成果の発信に努めてまいります。
○新井委員 東京二〇二〇大会に向け、世界中から多くの人々が東京に来訪します。小池都政の実行プランを着実に推進し、新しい東京を生み出し、世界最高の都市として評価される東京になることを期待して、質問を終わりにします。
○野上委員 私からも、「二〇二〇年に向けた実行プラン(仮称)」の策定に向けて、コンセプトと主要政策の方向性について伺わせていただきます。
さきの委員の重複した質問については、割愛をさせていただきまして進めさせていただきたいと思っております。
このたび、二〇二〇年に向けた実行プランの策定に向けてのコンセプトが発表されたところでございます。
今、東京も、人口減少、長寿化社会に向け、また成熟した都市に向けて、さらなる発展が期待されているところでございます。
都内の民間企業でも、やはり社会経済の変化に応じて、経営手法の改善、改革に取り組んでおります。
一方、この東京も、行政の経営として、やはり自治体の趣旨に基づいて、都民の福祉向上のために、また地域の住民の皆さんのために、社会資本の整備及び教育や保健、福祉のそれぞれの行政サービスの提供、より質の高いサービスを提供しなくてはいけないという目標達成に向けて、どのようにしていくかということがより重要になっていると思っております。
新知事が就任されまして、東京の長期ビジョンの具体的な実行プランの策定がされましたけれども、この実行プラン策定に向けての経緯について、改めて伺わせてください。
○小室計画部長 都は、平成二十六年に策定いたしました東京都長期ビジョンに基づきまして、東京の都市力や都民の生活の向上につながるさまざまな取り組みを展開しております。
一方で、子育てや介護への不安の解消、誰もが活躍できる社会の実現など、東京を取り巻く社会経済情勢や都民のニーズは日々変化、多様化しており、今まさに都民ファーストの都政が求められております。
こうした中、東京が抱える課題を迅速かつ的確に解決へと導いていくと同時に、四年後に控えた東京二〇二〇大会の成功とその先の東京の未来の道筋を明瞭化し、東京のさらなる成長を創出していくため、都民ファーストの視点に立った今後の具体的な政策展開を示す二〇二〇年に向けた実行プラン--仮称でございますが--を策定することといたしました。
○野上委員 新知事の就任から、もう既に四カ月たちましたけれども、会見等を見ておりますと、民間の企業の経営の手法を取り入れたワードがよく記者会見でも出ているところでございます。
行政の運営は、ともすると、前例の踏襲や、あるいは先送り、環境の変化についていっていないのではないか、あるいは都民ニーズを把握していないのではないか、あるいは責任をとろうとしない先送りの体質があるのではないかというようなことがこれまでもいわれてきたところでございますが、こうして新知事が就任されて、改革、いわゆる民間でいえばビジネスモデルの改革と、そして技術の革新に向け、一歩一歩、進んでいるようにも見えるところでございます。
こうして、新知事就任後のこの実行プランの策定に向けて、コンセプトと主要政策の方向性の新たな視点、つまりは、これまでの歴代の知事とは異なる視点等は何だということでしょうか。それについて伺わせてください。
○小室計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランは、長期ビジョンが示す政策の大きな方向性を継承しつつ、三つのシティーを実現し、新しい東京をつくっていくための今後の都政の具体的な政策展開を示すものでございます。
ここにいう長期ビジョンが示す政策の大きな方向性とは、長期ビジョンにおける八つの都市戦略と二十五の政策指針で示す政策の方向性で、これらは実行プランにおいても継承されます。
一方、具体的な政策や個々の事業につきましては、ビジョン策定後の社会経済情勢や都民ニーズの変化等に応じて、新たに構築するものや拡充していくものがございます。
また、実行プランにおきましては、可能な限り数値化した政策目標を定めるとともに、政策の工程表をより詳細に作成するなど、PDCAを適切に実施する仕組みを策定段階から組み込んでまいります。
○野上委員 今の答弁にありましたけれども、実行プランにおいては、可能な限り数値化した政策目標を定めるということで、四年間の工程表も詳細に作成して、PDCAサイクルを適切に回していくということで期待をしたいと思っております。
また、最も重要なのは、やはり、今、答弁にもありましたように、最終的につくられた実行プランをどのように目標達成していくかということであると思います。
今や、自治体の行政管理から行政の経営ということに重きに置いて都政運営を行っていかなくてはいけないのではないかと思っております。どのように実行していくかについても、きちんと言及する必要があるのではないかと思っております。例えば、生き残りをかけて、みずからの改革に厳しく臨んでいる都庁組織の体制目標というものも一方で示す必要があるというふうに考えております。
今や政策は、合規性より目的性、効率性より有効性、公平性より優先性が重要とされてきております。顧客の満足度が業績に直結する民間企業と同じくはいかないですけれども、都民の満足度が適時即応に政策執行に反映されるような、柔軟で迅速な仕組みづくりが必要だというふうに考えております。
都庁組織体制については、どのようなプランを持ってこの実行プランを実現していく方向なのか、伺わせてください。
○小室計画部長 都はこれまで、事務事業の抜本的な見直しを初め、国や他の自治体に先駆けた人事給与制度改革や監理団体改革などの行政改革を進めてまいりました。長期ビジョンにおきましても、その着実な推進に向けて、引き続き、不断の行政改革の推進や執行体制の強化などに取り組んでいくとしております。
今回策定する実行プランでは、都政改革本部において示された都政改革を進める視点である都民ファースト、自律改革、透明性、情報公開等をプラン推進に向けた基本的方向性として掲げております。
現在、各局におきまして自律改革が進められておりますが、こうした都政改革の取り組みとも連携しながら、実行プランで掲げた政策を着実に展開し、三つのシティーを実現してまいります。
○おときた委員 私からも、二〇二〇年に向けた実行プラン(仮称)についてお伺いをいたします。
都民参加の観点からは、パブリックコメントを実施するということは非常に重要でございます。先ほども他の委員から、パブリックコメントにつきましては重複の質問も出ましたので、そういったところは省いて簡潔に伺いたいと思いますが、まずは、今回集まった件数や属性などについては、既に答弁がございました。千三百件を超える意見をいただいたということで、都立学校へは出前授業等々の工夫などを凝らしたということで、これは数多くの意見が集まったということで高く評価をしたいと思います。
しかしながら、こういった数多くの意見が集まったら喜ばしい反面、限られた時間で、これをどのように計画に反映していくのかということにつきましては課題もあるかと思います。
そこで、こちらについては、今後どのように計画に落とし込んでいく予定なのか、こちらについて改めて展望をお伺いいたします。
○小室計画部長 都民の皆様から多数の意見が寄せられましたが、そのご意見等の大部分は、三つのシティーを実現していく政策の方向性について肯定的なものでございました。
こうした意見等につきましては整理し、個別の政策に係るものは今後の政策展開の参考とし、未来に向けてのアイデア等は、ビヨンド二〇二〇における未来像の検討に活用しながら、今月末に予定している発表に向け、プランの策定作業を進めてまいります。
○おときた委員 策定までのスケジュールが非常にタイトではありますが、パブリックコメントを行うということが、都民の意見を聞いたということをつくるための形式的なものにならないためにも、目に見える形で具体的な落とし込みが行われるということを期待したいと思います。
そして、この集まった意見には、やはり採用されなかったものというのが出てくる可能性がございます。これまでの長期計画においても、巻末のページ等々にパブリックコメントがどのように生かされたかということが書いてあるんですが、反面、そういったところで拾い上げられなかった意見というのも多数存在したのではないかと思います。
そういった意見を出した方がモチベーションを失わないためにも、集まった意見の中で採用されなかったものも含めて、可能な限り公開されていくべきと考えますが、こちらについての所見をお伺いしたいと思います。
○小室計画部長 寄せられた貴重なご意見につきましては、主な意見を三つのシティーごとに整理し、実行プランへどのように反映しているかなど、できるだけわかりやすく記載いたしまして、実行プランの冊子において紹介してまいります。
また、数多くご意見等をいただきましたが、これらを今後どのような形で公表などしていくかにつきましては、現在、検討中でございます。
○おときた委員 検討中ということで、やはり、必ずしも全ての意見が採用されるとは限らないわけですが、どのような都民の声が集まったのかということを可視化することは非常に重要です。他局が行っているパブリックコメントの中には、不適切な表現が含まれるようなものを除いては、集まった意見はできるだけ公開をしているという取り組みもあるやに聞いております。
今回集められた意見も、なるべく多くの都民の方々に共有される方法をぜひ検討していただきたいという旨を意見として申し上げまして、簡潔ながら私の質問を終わります。
○中村委員 それでは、二〇二〇年に向けた実行プランについて伺います。
知事は、長期ビジョンを継承し、その実行計画として策定を図っています。とはいえ、人がかわれば、政策が全く同じというわけではないので、実質的には長期計画の変更ともいえます。そうした点では、幅広く意見を聞いて、しっかりとしたものをつくっておく必要があります。
今回は、コンセプトと主要政策の方向性のみの公表と都民意見の募集でしたが、十二月末にプランそのものが確定するなら、恐らく、かなりの分量の計画そのものの策定も相当程度進んでいるのではないかと推測されます。既にある長期ビジョンの単なる実行プランではなく、実質的な長期計画の変更とするならば、全文とはいわないまでも、もう少し具体的な内容を公開して、都議会や市区町村、都民からの意見を広く募っていただきたかったと思います。
さて、今般、実行プランを策定するに当たり、今の長期ビジョンにおける政策の実施状況を事後的にチェックし、どのような成果や課題があったのか把握した上でなければ、次の実行プランにはつながらないと考えます。
また、実行プランにおいても、今後、いわゆるPDCAサイクルを回して事業の着実な実施につなげていくことが重要と考えますが、所見を伺います。
○小室計画部長 実行プランは、長期ビジョンが示す政策の大きな方向性を継承しつつ、三つのシティーを実現し、新しい東京をつくることを策定の目的としております。
長期ビジョンで計画化されている事業につきましては、適切に進行管理を行っており、各局と課題を共有しながら、政策企画局においてヒアリングを実施し、その進捗状況や成果等を検証し、必要な見直しを図った上でプランの事業として選定しております。
また、実行プランにおきましては、長期ビジョン策定後の社会経済情勢や都民ニーズの変化等を的確に把握し、それに即した政策を展開するため、政策を具体化する個々の事業におきまして新規拡充を図ってまいります。
さらに、PDCAサイクルの概念を強く意識し、可能な限り政策目標を数値化して設定するとともに、政策の工程表をより詳細に作成し、PDCAを適切に実施する仕組みを計画の策定段階から組み込んでまいります。
○中村委員 計画は、単に策定するのではなく、それに盛り込まれた具体的な事業をしっかり進めていくことが大切です。PDCAサイクルを活用した着実な事業実施を求めます。
次に、事業費について伺います。
実行プランは四カ年の政策展開を示すものですが、都民への説明という観点から、その予算、事業費についても明らかにすべきであり、実行プランではどのように示されているのか伺います。
○小室計画部長 実行プランは、長期ビジョンにおける三カ年の実施計画にかわる新たな計画として策定するものでございます。平成二十九年度以降の四カ年の具体的な政策展開を図ります。
このため、現在の三カ年の実施計画と同様、実行プランにおきましても、四カ年の事業費を示していくとともに、おのおのの政策の四カ年の工程表をより詳細に作成することで、今後の政策の展開がわかりやすく都民の皆様に伝わるようにしてまいります。
○中村委員 都民の皆様に都政を理解していただくには、都政の見える化が鍵であり、四カ年の事業費や政策の進行の工程表をしっかりと都民に示し、都政がどのように展開をしていくのかを都民に伝えることは重要です。
さらにつけ加えれば、本来は、長期ビジョンにおいて掲げた政策のうち、どの政策が引き継がれ、または廃止になり引き継がれなかったのかなど、実行プランにおいて、事業費も含めて都民に明らかにすべきであることを申し述べておきます。
次に、局横断的な取り組みについて伺います。
行政が示す政策はいつも縦割りでわかりにくいという住民の方々からの意見は変わることはありません。都民の側から見れば、組織のあり方は関係ないわけですから、大事な政策ほど組織の縦割りを排し、横断的な展開を図るべきです。
例えば、知事の公約である女性の活躍推進は、待機児童対策や女性の就労支援など、組織の垣根を越えて取り組むべき課題です。実際には、普及啓発は生活文化局、待機児童対策は福祉保健局、就労支援は産業労働局とそれぞれ分かれていて、各局が連携して取り組まなければ推進はできません。
このような行政課題については、今般策定する実行プランは都の総合計画であることから、積極的に組織横断的に政策を展開すべきであると考えますが、所見を伺います。
○小室計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランは、都民ファーストの視点から、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三つのシティーを実現し、新しい東京をつくるため、都のさまざまな政策を総動員してまいります。
委員のご指摘がございました女性の活躍推進を初め、外国人受け入れのための多言語化対応、ユニバーサルデザインのまちづくりなど、組織横断的に取り組んでいかなくてはならない課題は大変多うございます。
そこで、実行プランでは、全庁的な視点に立ち、こうした組織横断的課題を的確に把握し、各局の連携のもとに政策化して計画に織り込むことで効率的な政策展開を図ることを促し、都民サービスの向上につなげてまいります。
○中村委員 組織横断的な課題こそ、しっかりと都の総合計画である実行プランに位置づけ、関係部局が連携して取り組むことで、真の都民のための都政が展開されると思います。
最後に、格差是正の政策について伺います。
都政については、東京二〇二〇年大会の成功はもちろんのこと、都民生活の質を高める政策を着実に実施しなければなりません。
今、正規雇用の三分の一にも満たない非正規雇用の収入や、将来の格差にもつながる子供の貧困、教育格差など、厳しい現実があります。
都民一人一人があすへの希望を持ち、努力が報われる東京にするため、負の連鎖を断ち切る政策を実行すべきであり、実行プランにおいて、格差是正、都民の幸福向上等を盛り込む必要があると考えますが、所見を伺います。
○小室計画部長 都民の誰もが希望と活力を持って生き生きと活躍できる社会、それがダイバーシティーの目指すところであり、それは誰にも平等にチャンスがあり、そのチャンスを生かし、みずからの希望をかなえていける社会でございます。
実行プランでは、家庭の経済状況などに左右されることなく、全ての子供が未来のためにみずからの意思で学べる教育環境の整備を進めるなど、ダイバーシティーの実現に向けて四カ年の具体的な政策展開を示してまいります。
○中村委員 平等なチャンスとか経済状況に左右されないなどが示されることはよいとは思いますが、ただ、現状の認識がしっかりされていなければなりません。格差という言葉を使って質問したのですが、それに対する答弁では、この言葉は使われませんでした。残念ながら格差は存在している以上、まずは現状をしっかりと踏まえて政策を策定していただきたいと思います。
また、長期ビジョンを策定した前の知事は、公私混同問題で辞職するという汚点は残しましたが、それ以前の都政において重視されなかった人権や国際化、男女平等参画等が進展し、非正規雇用の正規雇用化について初めて数値目標が掲載されるなど、評価すべき点もありました。ぜひこうした政策は後戻りすることなく、さらに一層進めていただきたいと思います。
よいものは継承し、変えるべきものは変えることで、真の都民のための政策が実現するプランになることを求めて、質問の方を終わります。
○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
○ともとし委員長 これより総務局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百八十号議案から第百八十三号議案まで、第二百四号議案、第二百十一号議案から第二百十三号議案まで及び諮問第三号、地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問についてを一括して議題といたします。
追加提出されました第二百十一号議案から第二百十三号議案までについて、理事者の説明を求めます。
○多羅尾総務局長 今定例会に追加で提出いたしました総務局所管の条例案の概要についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、資料第1号、平成二十八年第四回東京都議会定例会提出条例案の概要をごらんください。
番号1でございます。東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
この条例案は、現在実施している知事の給料等の減額措置について、追加の特例措置を設けるものでございます。
番号2でございます。職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例及び番号3、職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
これらは、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正等を踏まえ、規定を整備するものでございます。
以上が今定例会に追加で提出いたしました条例案の概要でございます。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小暮総務部長 今定例会に追加で提出いたしました条例案につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、資料第1号、平成二十八年第四回東京都議会定例会提出条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
まず、番号1、東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
この条例案は、現在実施しております知事の給料等の減額措置につきまして、追加の特例措置を設けるものでございます。具体的には、現在五〇%減額を行っております知事の給料等につきまして、平成二十九年二月一日から同年四月三十日までの間、さらにその五分の一を減額するものでございます。施行日は、公布の日を予定してございます。
続きまして、番号2、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例及び番号3、職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
これらは、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正等を踏まえまして、要介護者を介護する職員の超過勤務の免除、介護時間に係る規定の新設及び育児休業等の対象となります子の範囲を拡大するほか、規定を整備するものでございます。施行日は、平成二十九年一月一日ほかを予定してございます。
以上で、簡単ではございますが、今定例会に追加で提出いたしました条例案につきまして、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○ともとし委員長 説明は終わりました。
その他の議案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○早坂委員 自治体情報セキュリティクラウド(外部接続中継システム)機器の買入れ、予定価格三億七千万円についてお伺いをいたします。
昨今、国内外を問わず、サイバー攻撃による被害が連日のように報道されています。このような状況の中、都民の安全・安心な生活を実現していくためには、東京都を含め、都内区市町村のセキュリティー対策が大変重要であります。
サイバー攻撃は、セキュリティー対策が不十分で脆弱な箇所を突くといわれており、どの区市町村のセキュリティーレベルも、同等かつ高度なものにしていく必要がございます。
東京都は、我が党の平成二十八年第一回定例会代表質問に対して、庁内システムへの攻撃を早期に検知する監視システムを新たに構築すると答弁しており、さらに、区市町村に対しても、この監視システムを活用した支援を強化し、セキュリティーレベル向上の取り組みを後押ししていくと答弁しております。本件は、こうした監視を行うための自治体情報セキュリティークラウド構築の一環であると認識をいたします。
そこで、改めての確認になりますが、今回、買い入れを行う外部接続中継システムを含め、自治体情報セキュリティークラウドとはどのようなものであるか、それによりどのようなセキュリティー対策を実施されるのか伺います。
○久原情報通信企画部長 自治体情報セキュリティークラウドは、都及び都内区市町村がそれぞれ個別に実施しているインターネットを介した通信を集約いたしまして、メールやウエブ閲覧を安全に行うために必要なハード、ソフト両面の機能を統合したシステムでございます。
このシステムでは、インターネット通信時のセキュリティーを確保するとともに、通信などの記録、ログを収集いたしまして集中監視を行うものでございます。
また、サイバーセキュリティーの専門的な知識を備えた分析官、アナリストを配置し、従来のウイルス対策ソフト等では検知できなかった攻撃への対応や予兆の早期発見に寄与するなど、高度なセキュリティー対策を実施してまいります。
このように、自治体情報セキュリティークラウドは、都を含め、都内全ての区市町村におけるセキュリティー水準の維持向上を図っていくものでございます。
○早坂委員 セキュリティー対策については、これまでそれぞれの自治体が個別に対応してきたものでありますが、自治体情報セキュリティークラウドの構築により、都内区市町村全体をカバーすることが可能になるとのお話でございました。
自治体情報セキュリティークラウドの構築により、どのようなメリットがあるのか伺います。
○久原情報通信企画部長 サイバー攻撃の手法は日々巧妙化していることから、最新のサイバー攻撃の技術動向や事例等の収集を行い、それらを分析、評価し、迅速にセキュリティー対策の強化を図っていくことが重要でございます。
自治体情報セキュリティークラウドでは、不正な通信先の遮断など、全自治体に対して一括して対策を講じるため、自治体によって、対策の漏れやおくれなどを防ぐことができます。
また、都が国や警視庁などから収集した情報を活用しセキュリティー対策を講じることで、都及び都内区市町村全体として、サイバー攻撃に対する防御、検知の精度を向上させることが可能となります。
加えて、セキュリティーの専門人材や対策機器等を共同利用することにより、こうした機能を各自治体が個別に導入する場合に比較して、コスト面でのメリットも期待できるものでございます。
○早坂委員 今回の機器買い入れにより構築される自治体情報セキュリティークラウドは、東京都を含む区市町村全体のセキュリティーレベルを確保し、日々巧妙化するサイバー攻撃への対策として必要なシステムであるとのことであります。
本議案は機器買い入れでありますが、より重要なのは、今後の運用をいかに着実に行っていくかです。区市町村もクラウドのメリットを享受するからには、応分の負担を求め、東京都と区市町村とが共同してクラウドを効果的に運用し、都民の安全・安心な生活を実現すべく、東京全体としてのサイバーセキュリティー対策の向上に向けて努力していただきたいと思います。
以上です。
○曽根委員 私からも、第二百四号議案、自治体情報セキュリティークラウドの購入議案について、何点か質問させていただきます。
この議案は、二〇一五年、昨年の六月に発覚しました年金機構の個人情報流出事件を契機にして、自治体情報を狙ったサイバー攻撃に対策を強化する必要があるということで、この一環として、国の指導で議案が出されてきたと聞いておりますが、昨年、国の総務省から、セキュリティー強化についてどのような点が指導されたのかを最初に伺います。
○久原情報通信企画部長 日本年金機構の個人情報流出の事案を受け、平成二十七年十二月二十五日付の総務大臣通知により、地方自治体の情報セキュリティーの抜本的な強化策として、三層から成る対策を施すよう要請がございました。
まず第一に、マイナンバー利用事務系では、端末からの情報持ち出し不可設定等を図り、住民情報流出を徹底して防止すること、次に、マイナンバーによる情報連携に活用されるLGWAN環境のセキュリティー確保に資するため、LGWAN接続系とインターネット接続系を分割すること、そして最後に、都道府県と区市町村が協力して自治体情報セキュリティークラウドを構築し、高度な情報セキュリティー対策を講じることでございます。
また、都道府県においては、みずからの情報セキュリティー対策の充実を図るとともに、区市町村における必要な情報セキュリティー水準の確保のための支援に努められるようにとの要請がございました。
○曽根委員 国の指導の内容は三点。そのうち二つは、マイナンバー制度の本格的な運用を前にして、自治体のマイナンバー制度の運用に伴うセキュリティーの強化が占めていると。残る今回の措置に関連した自治体の一般情報ですね、ホームページなどのインターネットのネットワークについても、この指導の中では、マイナンバーのネットワークとは分離を徹底するようにという指導がありながらも、自治体の一般情報を扱うネットワークについても、セキュリティーをあわせて強化するという指導がありました。
マイナンバーとは分離されているはずの自治体の情報のネットワークにも新たなセキュリティーをかけ、しかも、県段階で、県内の区市町村をまとめてその情報を一括チェックするということが、共通して指導の内容で今出されているんですが、この理由について、また意味合いについて、もう少し正確に把握しておきたいと思います。
今回は、この制度の導入について国の補助金も出されているということですが、この補助率、また、適用範囲は区市町村まで含めているのか、県段階なのか、この点についてお聞きします。
○久原情報通信企画部長 自治体情報セキュリティー強化対策費補助金交付要綱に基づきまして、国の算定した上限額の範囲内において、自治体情報セキュリティークラウド構築に要する経費の二分の一に相当する額が補助金として交付されます。
自治体情報セキュリティークラウドに関しましては、基本的には都道府県への補助というふうに聞いております。
○曽根委員 一般的な指導ではなく、国が補助金を出して、半分の額を出してでも、各都道府県について厳密に、これを実施するようにということで、補助金をつけて誘導しているんだと思います。
その点で、国が重視していることは明らかですが、国は、どういうことを検討してこの具体的な指導を出したのか。私どもが探してみたのですが、専門家を集めて検討したということになっているんですが、国の検討した、その検討過程の記録が公開されていないんですが、東京都の方は入手しているでしょうか。
○久原情報通信企画部長 総務省が設置いたしました自治体情報セキュリティ対策検討チームの中間報告、最終の報告は我々も承知しているわけでございますが、議事録につきましては、昨年七月九日に開催された第一回会合の議事概要は、総務省ホームページにおいて公開されております。それ以降の会合につきましては、議事概要、議事録ともに公開はされておりません。都も提供はされておりません。
○曽根委員 今後の自治体情報のセキュリティーについての非常に突っ込んだ、しかも国の予算をかけての指導をするに当たって、なぜ検討過程の議事録が出てこないのかなと、ちょっと不審な思いもいたします。
結論は、先ほどの指導があったように、マイナンバー制度の導入と、それに伴って、分離はしているけれども、自治体の一般情報もサイバー攻撃にかかるケースがある。これは一般的にいって、東京都の都自身や都内の自治体へのサイバー攻撃は、他県に比べてもなお一層あり得ることですので、もちろん、セキュリティー強化は当然だと思いますが、なぜ検討経過を明らかにしないのかという点に、私はちょっとけげんな思いをするわけです。
それで、今回の関係で、実際に具体的にサイバー攻撃によって情報が流出した事例があるからこそ、こうしたホームページなどについても強化しなさいということになっていると思うのですが、こうした事例は、過去に重要な情報流出があったのかどうか。そして、このシステムには、その教訓は生かされているのかどうかについて確認しておきたいと思います。
○久原情報通信企画部長 他自治体では、サイバー攻撃を受け、ウイルスに感染したため、庁内ネットワークをインターネットから遮断し、暫定復旧まで二週間を要するという事例がございました。この件につきましては、情報流出は確認できなかったとのことでございます。
この事例では、ウイルスに感染していたことに気づかず、外部機関からの通報を受けて初めて感染していることがわかったということが問題でございまして、このたびの情報セキュリティークラウドでは、不正な通信を常時監視することで、いち早く検知できるものでございます。
○曽根委員 どの自治体かということは、余りはっきりとはお答えがなかったのですが、自治体の規模にもよるとは思いますが、多分、ウイルスに感染したということで、ほかから指摘があるまで気がつかなかったと。しかし、情報が流出したということは確認されていない。
これが重大な事案かどうかというのは、ちょっと私も評価しかねる、これだけではわかりませんが、これは一般的にいって、どの自治体でどういうセキュリティーをかけているのかということは、それぞれが判断してやってきたことで、私たちが家庭のパソコンでもかけている程度のセキュリティーと同じ程度のものもあるというふうにいわれていますので、それはいろいろレベルがあると思いますが、本当に重大な事案として、これを全国的に統一してやらなきゃならないのかどうかという点には、いささか疑問が残るわけです。
そこで、国会で昨年、年金機構の情報流出、ベネッセその他の企業の持っている個人情報も流出した事件が相次いだときに、我が党の国会議員の方で、公的な機関が持っている情報を守るということに関しては、今までの事件や経験からいって四つの問題点があるということを指摘いたしました。
一つは、公的な機関でしっかり守らなきゃいけないんですけれども、情報の一〇〇%の防御は実際上は難しいということ。
第二に、これを守るために、例えば、今回のように東京都内の全自治体の情報を一旦集約するというようなことをする場合、逆に、それを突破されたときのリスクも非常に大きいという問題。
三点目に、情報管理で一番危険が大きいのは、民間の事業者に委託せざるを得ないその部分で、悪意を持って情報が持ち出されるという危険。これは、ベネッセのときに現実に起きました。そのためには、信頼できる契約相手を選ぶことと同時に、その契約企業からさらに再委託、下請に出されるという、これは、ベネッセの場合、そうだったわけですけれども、そういう事態をやっぱり許してはならないという、要するに、公的な機密に関する防御のシステムを、できるだけ責任を持てる範囲にとどめなきゃならないということですね。この問題が一つ。
そして最後に、一旦流出すると、公的な情報というのは取り返しがつかなくなる。ネットに流れてしまう。
こうした問題点を指摘して、この問題の扱いは極めて慎重でなければならないということを申し上げました。
今回の東京都の導入しようとしている自治体情報のセキュリティークラウドについていうと、特に二番目のシステム集約の問題がある。これは本当にリスクが高まってしまうようなことはないのかどうか、この点の確認が一つ。
それから、三番目の、これには当然、民間の企業が契約企業で機器を導入するわけですけれども、ここについての東京都側の契約相手に対する指導ですね。それから、今後の保守点検の業務についての対策。こういったものはどうなっているのでしょうか。
○久原情報通信企画部長 自治体情報セキュリティークラウドでは、各自治体とインターネット間の通信を集約し、集中監視を行うものであり、異常検知時の対処のために必要な通信の記録、ログを集約いたしますが、通信の中身であるデータの蓄積は行いません。このため、集約化に伴う情報漏えいのリスクはないと考えております。
また、運用に当たって、運用事業者は、東京都サイバーセキュリティ対策基準等の関連規定を遵守することはもとより、システム運用の操作などを記録するとともに、都は、関連規定類の遵守度を確認するため、セキュリティー監査を実施するなど、運用状況の確認を行うこととしております。
○曽根委員 いろいろと防御策はとっているということですが、これは入札の形式はどうだったのかということと、応札企業は何者あって、結果としてどうなったのかについてお聞きします。
○久原情報通信企画部長 本件は、地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令に該当する一般競争入札により実施いたしました。
また、入札参加者は二者でございました。
○曽根委員 これ、ちょっと何か奇妙な話なんですが、今、落札企業はおっしゃらなかったんですけれども、東京都のホームページでは、この入札に関する契約調書というのが出ていて、これは本体の機器購入の三億何がしの金額ですが、このほかに、各区市町村とのアクセスをつなぐ関連機器の購入の契約が別個にあって、それから、このクラウドの本体の機器と都庁のメーンのコンピューターとをつなぐ、そのアクセスの機器購入の契約と、主に三つの契約があって、いずれも公表されていまして、これは日立が落札をしたということが出ています。この委員会ではお答えしにくいということなので、私の方からいっちゃったんですけれども。日立は、日本で一番の、こういうハードの電機メーカーとしては一番です。
ところが、ほかの自治体ではいろいろでして、既にことしの二定と三定で各県での議案がかかっているんですが、その中で、今回、私たちと同じ四定かもしれませんが、大阪で、十五万円で同じ自治体情報セキュリティークラウドを落札したということをニュースで見ました。昔、大変広がった、いわゆる一円入札と同類の超低額入札が、大阪府という非常に大きな自治体で起こったということで、このニュースの中でいうと、その落札した企業、余り私は名前は知らないのですが、ケイ・オプティコムという会社だそうですが、この件の責任者がインタビューに答えて、大阪府の各市町村ともパイプができるんだということに期待をかけているという話があったそうです。
つまり、これは大阪府との契約だけれども、大阪府のこの本体の機器と各府内市町村の、全部の市町村とのパイプができるわけですね。全部の市町村について入った情報が一旦ここを通っていくということで、そちらの方の今後のつながりも含めて、大阪府全体の、いわばセキュリティークラウドシステム全体について面倒を見る立場に今後なっていくであろうと。
恐らくそれを期待しての低額入札だったというふうに思いますが、国の方は、十五万円の半分ですから、七万五千円ぐらい補助を出すのかもしれませんが、逆にいうと、これだけの低額で仕事をとって、じゃ、その後どれぐらい、保守点検、メンテナンスで、もしくはチェック体制をつくる上で費用がかかってくるのか、そのうち企業の利益はどれぐらいになっていくのか、ここがちょっとわからないんですよね、今のところ。
都としては、今後、いわばチェック体制をどういうふうにつくっていこうとしているのか。先ほど、専門的な分析官ですか、置くというようなことはお話しになりましたが、都としてはこの費用をどれぐらいだと見ておられるのか、わかりますか。
○久原情報通信企画部長 個別の応札価格につきましては、あくまでも事業者の経営判断によるものというふうに認識をしております。
都といたしましては、運用段階において、維持管理経費につきましては、運用業務の内容をきちんと精査し、具体的な業務項目を明確化し、全体のコストが適切になるように管理を行っていくというところでございます。
○曽根委員 都の落札額も、億単位ではありますけれども、隣の埼玉や、それから、二定では兵庫がたしか議案決定していますけれども、どちらよりも低いんですね、額は。
ずっと前ですけど、「とみんず」などのコンピューターネットワークを導入するときの費用から考えると、やっぱり十分の一以下です、億単位とはいっても。そういう点からいって、後の大きな利益を見込んでの企業がこの入札に参加している。
それも、都の場合は日立で、二社しか応札していないということは、日立ぐらいしかできないということでやっているのかわかりませんが、いずれにしても、今後に莫大な費用がかかるような事態になると、これはどうなのかということは問題としては残ると思います。国の方もまだその試算は出していないようですので、こういう点がまだまだ懸念があるということを指摘しておきたいと思います。
それから、このシステムがもし定着をしたとした場合、今後、マイナンバー制度のネットワークにやはりサイバー攻撃がかかるかもしれない。それを防ぐためのシステムとして応用されていく可能性があるからこそ、またそれを狙っているのかなとも勘ぐるのですけれども、そういったことは応用はあり得るのですか。
○久原情報通信企画部長 自治体情報セキュリティークラウドは、メールやウエブ閲覧などインターネットを利用する場合のセキュリティー強化策でございます。
マイナンバーを扱うシステムはインターネットから分離されているものであることから、今回の仕組みをそのまま適用できるものではございません。
○曽根委員 恐らくそのまま適用はされないでしょうが、同じコンピューターシステムであり、外界とつながらないネットワークということで、マイナンバーはそれを最大の防御体制にしているのですが、しかし、その中のネットワークに入り込むということが、どんな手法で、どんなやり方で来るかわからないので、そういう点では、今回のセキュリティークラウドのシステムが一つの試金石になっていくんじゃないかというふうにも思います。
その点で、こうしたいろんな疑問について、国の指導でも、検討過程も明らかにしていないという点でも、この議案については、私はもっと慎重に検討すべき問題だろうということを申し上げておきたいと思います。
次に、二百十一号議案、知事の給料等の特例に関する条例改正案についても一言申し上げておきます。
前回、給料の半減の条例案について、この総務委員会で表明しましたが、同様に、知事が都政の推進のためにみずからの給料について減額措置をとることに対して、議会として異論を唱える必要はないと考えております。
ただし、処分する長として、けじめとしていると。けじめとしたいという問題は、今回の十八人ですか、処分を行う長としてのけじめということですけれども、これでこの問題は終わりではない、終わりにはしてはならない問題だということは指摘しておきたいと思うんです。
とりわけ、市場長や、それから、その部下の方々の立場の職員、そういう人に今は限定されておりますが、やはり元知事、自分と同じ立場にいた東京都のトップリーダーに対する、真実を語らせ、また、それに対する可能なペナルティーを考えていかなきゃならないという大変厳しい課題が私は待っていると思いますので、そういう点も含めて、今回の措置は、これでけじめで終わりというわけにはいかないということもあえて申し上げておきたいと思います。
この点については、議案の提案そのものは賛成いたしますが、今後にも大きな課題が残っているということを指摘して、意見とします。
以上です。
○新井委員 私からは、介護休暇についてお尋ねしたいと思います。
去る二〇一六年三月二十九日、雇用保険法等の一部を改正する法律が成立しました。特に仕事と育児、介護の両立支援に関する改正部分につきましては、二〇一七年一月一日の施行に向けて、公務員についても、民間に即し制度改正が必要となります。
国の育児・介護休業法では、対象家族一人につき、常時介護を必要とする状態ごとに一回だったのが、三回を上限として分割取得が認められます。これによって、突然入院に直面した時期であるとか、在宅介護をスタートさせる時期であったりとか、施設介護に移行する時期であったりとか、仕事と介護の両立体制を見直さなければならないときに、さまざまな時期で分割して休業を取得することが可能となりました。
都では、国に先立ち、これまでも、取得開始から二年以内に、通算百八十日の範囲で二回まで更新可能でしたが、今回の改正により、二年という期間制限がなくなり、無期限で、通算百八十日の範囲で二回まで更新できるようになりました。
先の見えない介護期間を、できる限りふだんどおりの仕事をしながら仕事と介護を両立していくことを支援するために、この改正というのは重要だと思っています。働きながら育児や介護をしていくためには、環境整備は、これにより一歩進んだと思っています。
そこで、まず、現在、都職員に介護休暇がどのように活用されているのか、取得状況も含めてお伺いいたします。
○村岡労務担当部長 都においては、育児・介護休業法に基づく介護休暇と短期の介護休暇の二つの制度を整備しております。
介護休暇は、最大百八十日間取得が可能な無給の休暇であり、主に介護の体制を整備するために利用されております。
短期の介護休暇は、年間五日間取得可能な有給の休暇で、一時間単位での取得も可能であり、主にケアマネジャーとの打ち合わせや介護用品の買い出しなどの日常的な介護にも利用されております。
なお、平成二十七年度の知事部局等における各介護休暇の取得人数及び取得率は、介護休暇が三十九人、〇・一四%、短期の介護休暇が六百八十一人、二・四七%になっております。
○新井委員 答弁でありましたように、取得状況というのは、現状ではそれほど高くないということでございました。しかし、今後、都の各職場で、必要な職員が必要なときに制度を利用できるよう取り組むことが重要だと考えています。
介護をめぐっては、配偶者がいない独身の方が仕事と介護の両立で苦労されたり、結婚されている方が夫婦両方の親の介護が同時期に必要となる、さまざまな状況が考えられます。
都の年齢的な職員構成からも、都でも今後、介護を抱える職員は増加していくのではないかと思います。介護に対する潜在的なニーズはあるのではないかと考えています。
介護と仕事の両立について、都としてどのような認識を持ち、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○村岡労務担当部長 都の職員構成を見ると、団塊ジュニア世代に当たり、介護を抱える可能性が高まると想定される四十歳以上の職員は、約六割となっております。
これらの職員は、管理監督者も含め、知識、経験ともに豊富で、職場の中核を担う職員でもあり、突然の介護に直面した場合には、本人の個人的な問題にとどまらず、職場運営に与える影響も大きいものがあります。
都は、こうした認識のもと、平成二十七年三月に策定した東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランに基づき、介護と仕事の両立を職場の危機管理の観点から捉え、個々の介護の状況に応じた実践的な講座の開催や、介護に関する基礎知識や都の支援体制等を解説するガイドブックの作成などに取り組んでおります。
○新井委員 取り組み状況についてはわかりました。
ただ、制度が充実しても、介護の事情を抱えていることそれ自体を、職場とか同僚の方になかなかいいにくいということも十分考えられます。
今回、介護休業の分割、介護時間の新設などの改正が行われましたが、こうした制度を職員が活用するには職場の理解が欠かせないと思っています。
制度をつくるだけでなく、制度を活用しやすい環境づくりをあわせて行うことが重要だと考えますが、所見をお伺いします。
○村岡労務担当部長 職員が介護を行いながら働き続けるためには、管理監督者が介護事情を抱えている職員の状況を十分に把握し、組織の責任として、職員が互いに協力し合える職場運営を行うことが重要であります。
このため、都では、両立支援に関する意識啓発はもとより、ライフワークバランスの理念のもと、全管理職がイクボス宣言を実施するなど、介護を抱える職員が休暇等を取得しやすい環境づくりに取り組んでおります。
今後とも、新しい制度の導入に関して、丁寧に制度の周知を行うことはもとより、介護を経験した職員の実体験や、それを踏まえたアドバイスなどを効果的に発信することなどにより、介護はいつでも起こり得る身近な問題として職員が理解し、介護と仕事の両立に向けて、職員相互に理解、協力し合える職場づくりに努めてまいります。
○新井委員 一方、職員が安心して介護に従事でき、かつ都民サービスも低下させないような仕組みも重要だと思っています。
民間企業などでは、育児や介護を抱えながら仕事が続けられるよう、出勤時間や仕事を終わらせる時間を事情に合わせて変えたり、在宅で勤務するテレワークもスタンダードになっていると聞きます。
都の今後の働き方改革の取り組みについてお伺いします。
○村岡労務担当部長 介護を抱える職員を初め、誰もが生活と仕事を調和させながら高い成果を上げていくためには、両立支援の制度のみならず、職員の働き方を変えていくことが重要であります。
都は現在、二十時完全退庁を突破口に、働き方や仕事の進め方の改革を推進しており、各職場では、例えば、管理職が資料作成の手戻りやむだのないマネジメントを徹底するなどの工夫が進んでおります。
柔軟な勤務時間に関しては、平成二十七年度に、育児、介護を抱える職員を対象に、従来の三つの勤務時間帯を六つに拡大した時差勤務を導入し、平成二十八年度には対象を全職員に拡大しております。
育児、介護と仕事の両立を後押しするテレワークについても、現在、検討を進めており、今後、勤務時間の弾力的な運用も含め、各職場の現場実態を踏まえながら、順次具体化に向けて取り組んでまいります。
○新井委員 育児、介護と仕事の両立を後押しするテレワークについても、現在、検討を進めているという答弁がございました。
限られた職員数で、職員の方が安心して介護に従事でき、職場の方々にも仕事に支障が出ないようにするためには、働き方の工夫を現場の実態を踏まえながら進めることが重要だと思っています。
最後に、厚生労働省のホームページに、仕事と介護の両立支援に取り組む企業などに役立つ、お役立ちツールについてちょっと紹介したいなと思っています。
検索サイトで、厚生労働省、スペース、仕事と介護の両立支援と検索しますと、さまざまなチェックリストなどのお役立ちツールが出てくるわけです。一例をいいますと、仕事と介護の両立支援制度を従業員に周知徹底するために人事担当が取り組むべきについてだったりとか、親が元気なうちに把握しておくべきことだったりとか、従業員から介護に関する相談を受けた際に対応することだったりとか、ケアマネジャーに相談する際に確認しておくべきことだったりとか、仕事と介護の両立に不可欠となる職場での働き方の工夫について管理職が取り組むべきポイントをまとめたチェックリストだったりとか、もちろん、このお役立ちツールにつきましては、著作権は厚生労働省にあるのですが、企業が社内の状況に応じて一部カスタマイズもできるようになっておりまして、ワードファイルやパワーポイントファイルもダウンロードできるようになっております。
高齢者人口の増加に伴いまして、介護保険制度の要支援、要介護認定数は増加しております。今後、団塊世代が七十代に突入することに伴い、その傾向は続くと思われます。
介護者は、とりわけ働き盛りの世代で、企業の中核を担う方が大変多く、企業においても、管理職として活躍する方や、職責の重い仕事に従事しています。介護は、育児と異なり、突発的に問題が発生することや、介護を行う期間や方策も多種多様で、仕事と介護の両立が大変困難だといわれています。
今回の改正を機に、仕事と介護の両立支援が進むことを要望しまして、質問を終わりにします。
○おときた委員 私からは、事件案の中から、自治体情報セキュリティクラウド機器の買入れに関連する、主に入札についてお伺いいたしたいと思います。
本件は、自治体情報セキュリティークラウドの構築に当たり、それに必要な対策強化の機器を購入するもので、予定価格も三億円を超える大型の案件となっております。IT技術にかかわる入札というものは、建設物などの公共事業とはまた違った視点での精査が必要になるものと認識をしております。
そこで、まず、事実関係を確認していきたいのですが、今回のセキュリティークラウドシステムの買い入れに当たっての入札につきましては、先ほど他の委員からも質問がありまして、入札の参加者は二者であって、一般競争入札によって実施をされたとのご答弁がありました。
しかしながら、都の場合、競争入札といっても、入札に参加できる条件が厳格に定められております。今回の案件では、どのような条件を満たした事業者が入札に参加できたのかをお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 本件の競争入札に参加できる事業者は、平成二十八年九月十二日付東京都公報にて公告された資格を満たす者でございます。
具体的には、地方自治法施行令第百六十七条の四の規定に該当しない、つまりは契約締結能力を欠いていない者、東京都競争入札参加資格指名停止期間中でない者、いわゆる暴対法を踏まえた排除措置期間中でない者、経営不振の状態にない者であることなどでございます。また、東京都における平成二十七、二十八年度物品買い入れ等競争入札参加有資格者で、営業種目〇〇二、事務機器・情報処理用機器のAの等級に格付されている者であること。
以上が参加資格の要件となっております。
○おときた委員 いろいろな条件をご説明していただいたわけですけれども、このご答弁の中でとりわけ重要だと思われるのが、最後に触れたAという等級の部分であると考えられます。
事業の安定性や継続性などを見きわめなければならないことから、事業規模で等級分けをして、一定以上の事業者に発注をするという考えの全てを否定するものではございません。
しかしながら、この契約案件は、IT技術に密接にかかわる物品の調達を行うものです。IT機器については、とりわけ、事業規模が大きければ技術力などが高いというわけではなく、まさに事業者も千差万別です。実際に今回の入札でも、二者入札で、入札金額が二者で二億円以上の差が生じていることからも、IT分野における幅の広さというものが見てとれると思います。
こうした背景によって、調達実績等があればA等級以外の事業者であっても対応ができる可能性も考えられることからも、事業規模などで一律に事業者を選定することには疑念もございます。
今回、A等級を入札参加資格の要件としたことについての見解をお伺いいたします。
○小暮総務部長 本件契約は、自治体情報セキュリティークラウドの構築を行うために必要なハードウエア及びソフトウエアを大量に調達するものでございます。
都では、入札参加を希望する事業者に対しまして、あらかじめ希望する営業種目ごとの履行能力に応じましてAからCまでの等級を付与してございまして、入札案件ごとに参加が可能な等級を定めております。
本件の契約事務につきましては財務局が担当してございまして、確認をいたしましたところ、大規模な物品発注案件であり、適正な履行確保の観点から、東京都で定めている一般競争入札の参加資格に沿いまして、A等級を受け付け等級としたとのことでございます。
○おときた委員 ご答弁のとおり、等級については、財務局が発注規模によって定めているということでございます。
しかしながら、繰り返しになりますが、とりわけこうしたIT技術の分野については、一概に事業規模でいわゆる足切りを行うことが適切なのかどうかについては疑問が残ります。そうした分野の入札において、事業規模で財務局が機械的に入札条件を設定し、事業所管局である総務局の意思が介在しないような仕組みが果たして適切なものなのかどうかにつきましては議論の余地があると思います。
こちらは総務局だけで完結することではございませんが、実際に条件設定を行う財務局も含めて、都の入札条件の緩和というものを検討して、公平性、透明性、競争性の観点から、可能な限り多くの事業者が入札できる環境というものを、特にこのIT分野というものにおきましては整えていくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
この際、議事の都合上、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十二分休憩
午後二時五十五分開議
○ともとし委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
次に、報告事項、平成二十八年熊本地震支援の記録について外一件に対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○早坂委員 まず、監理団体の経営目標評価について何点か伺います。
都政を取り巻く状況は日々変化しており、山積する課題を一つ一つ的確に解決していくことが求められています。監理団体改革もその一つです。
平成十一年当時、都財政が厳しい状況の中で、六十四あった監理団体を現在三十三団体まで削減した上で、行政だけでなく、民間だけでもない、公民の互いのメリットをあわせ持つ一・五セクターとして監理団体を積極的に活用していくことなど、我々都議会自民党が行った提言などを踏まえ、東京都はさまざまな団体改革を進め、現在に至っていると理解しています。
都民のための政策を実現する上で、その最前線を担っているのが、まさに監理団体です。そういう意味で、団体がしっかり都民の目線に立った取り組みを行っているのかが重要となります。
そこで、今回、平成二十七年度の経営目標評価が報告されましたが、改めて本制度の意義について伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本経営目標評価制度は、団体みずからが目標を設定し、その達成状況を都が評価するものでございまして、監理団体改革の一環としまして平成十三年度に導入をし、その後、時代の変化に合わせ、適宜必要な見直しを行ってまいりました。
具体的には、各団体の経営評価と理事長等の業績評価から構成されておりまして、団体の取り組み実績や役員報酬への反映を含め、その結果を都民に公表することで、各団体の経営責任の明確化を明らかにするとともに、各団体の経営改善や自律的経営の促進などを図っていくことを狙いとしております。
○早坂委員 各団体の経営改善や自律的経営の促進を図るものとの答弁がありました。まさにそうしたことが真に図られていくことにこそ、サービスの受け手である都民、利用者にとっても非常に重要なポイントとなります。
そこで、これまで監理団体において具体的にどのような経営改善がなされてきたのか伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 各監理団体は、本制度による経営目標の設定や評価結果等を踏まえました翌年度以降への取り組みの反映などを通じまして経営改善等を進めてまいりました。
例えば東京臨海高速鉄道株式会社では、駅務員のサービス介助士資格取得など、お客様本位に立った取り組みを進めるとともに、本業の運輸収入に加え、民間店舗の活用等、駅施設の有効活用などの増収努力を図ってまいりました。
当社の長期債務の圧縮等に加え、こうした取り組みを通じて、平成二十四年度に経常利益の単年度黒字化を達成、以降、四期連続黒字で、平成二十七年度は約三十三億八千万円の経常利益を上げてございます。
このほかにも公益財団法人東京観光財団では、都内、全国各地の情報の提供や多言語対応など利用者の利便性の向上の取り組みや、観光関連団体等で構成しております賛助会費収入の確保等の増収に努めてまいりました。
その結果、平成二十七年度は観光情報センター利用者数が約七十六万人と、五年間で利用者が倍増するとともに、平成二十三年度の公益法人認定以降、初めて当期正味財産増減額がプラスとなるなど、各団体で経営改善等が図られてございます。
○早坂委員 本制度を通じて、これまでに、公益財団法人から株式会社まで、さまざまな団体で経営改善につながっているとのこと、今後とも監理団体の経営改善などが進むよう期待するところです。
その上で、今年度の評価を見ていきたいのですが、経営評価については、五つの団体がS、二十八団体についてはAとなっています。各団体が目標に対して一定の成果を上げた結果だと考えますが、B評価が一つもついていないことなどをもって、目標設定や評価が妥当なのかという、うがった見方が出てくることもあるかもしれません。各団体は、日々、都民サービスの向上に向けて一生懸命取り組んでおり、そうした疑念を抱かせないよう不断の検証が必要です。
東京都は、こうした中、今後、制度の見直しを進めるとしていますが、まずは現行制度の課題をどのように認識しているのか伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体がみずからの取り組みを常に見詰め直し、経営改善等につなげていくこと、そして、都民の皆様方から監理団体の取り組みへの理解が得られるような制度としていくことが重要でございます。
こうした認識のもと、これまでも適宜制度の見直しを進めてきており、昨年度も現行制度への見直しを図ったところでございます。
一方で、現行制度を運用する中で、都民サービスの向上に資する水準の捉え方が真に都民の目線に立ったものとなっているか、また、施設改修など特殊要因等によりまして実績が急激に変動した場合など、団体によって目標設定の水準にばらつきが出ているなどの点が課題として挙げられるかと思います。
また、団体評価につきまして、これまでの最上位の評価に偏る傾向だったものが改善され、一定の見直し効果が得られた一方で、八五%の団体がAに評価されるなど、評価結果が中心化傾向になるなどの課題も見えてまいりました。
こうした点を踏まえまして、今後、さらに目標設定や評価結果の妥当性を高めていくことが必要と認識してございます。
○早坂委員 とても大切な課題認識かと思います。だからこそ、なおさら新制度の仕組みづくりが重要となります。
都民サービス提供の最前線を担っている監理団体ですが、目標設定でいえば、三十三団体それぞれで目指すべき方向や具体的な取り組みなどに差異が生じてくることを十分に加味すべきです。外部意見を参考にする、あるいは、現行制度は三段階評価でありますが、このままずっとそのままでいいのかなどの検討もあろうかと思います。
そこで、今後、東京都はどのような視点で制度の見直しを進めていこうとお考えなのか、ご見解を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 制度の見直しに当たりましては、目標設定や評価結果の妥当性を高めていき、これまで以上に都民サービスの向上や経営の効率化につなげていけるかといった点を踏まえる必要があるかと思っております。
こうした観点を基本的な視座に据えながら、委員ご提案の趣旨も踏まえ、外部の視点や団体特性等を踏まえた目標設定を行う仕組みへの変更や、きめ細やかに評価を行うための評価区分の詳細化などについて検討を進めてまいります。
また、評価区分の詳細化に合わせまして、例えば、高い実績を上げた団体を対象に組織全体へのインセンティブ付与なども検討してまいります。
今後、早急に具体的な制度設計に向けた検討を進め、PDCAサイクルがより機能する制度となるよう改善を図ってまいります。
○早坂委員 ぜひとも、めり張りのきいた制度となるよう期待しています。
一方で、幾らいい制度をつくっても、それが都民に伝わらなければ、結果として、監理団体の取り組みに対する理解にはつながりません。
適切なタイミングでの都民に対する情報提供なども検討の視点に加えるべきと考えます。ご見解を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本制度では、各団体と都との調整を踏まえ設定した目標や評価の結果につきまして、都民に対しホームページ等で公表しているところでございます。
見直しに当たりましては、目標設定や評価結果の妥当性のさらなる向上に加え、制度の運用に関する透明性の確保を図っていくことも重要でございます。
こうした認識のもと、目標設定や評価の考え方など、制度の仕組みはもちろんのこと、その運用プロセスなどについても、ホームページ等での公表を含め検討してまいります。
○早坂委員 ここまで監理団体の経営目標評価制度について質疑をしてまいりましたが、監理団体は、東京都の政策実現に向けて都政の現場の第一線を担う、なくてはならない都政の重要なパートナーだと考えます。都民の皆様からも理解され、都民本位の高いサービスが提供できるよう、今後とも監理団体の質の改革をしっかりと進めていくべきと考えます。
本経営目標評価制度を所管する総務局長のご見解を伺います。
○多羅尾総務局長 都はこれまで、監理団体の統廃合や経営目標評価制度の導入、情報公開など、さまざまな改革に取り組んでまいりました。
二〇二〇年東京大会の成功や、その後の東京の持続的発展に向け、監理団体が担う役割は高まっていると認識しておりまして、これまで以上に効率的、効果的な経営を行うことや透明性を高めることなど、都民の信頼を得ていくことが必要でございます。
このため、経営目標評価制度については、目標設定や評価の仕組み、プロセスなど現行制度の課題を洗い出し、さらなる制度改善を図った上で来年度からの運用開始を目指してまいります。
三定で委員からお話がございましたけれども、都立美術館の展示作品の写真撮影禁止の緩和など、都民サービス改善の視点はまだまだいろいろございまして、こうしたことに対する監理団体の努力も評価するなどしてまいりたいと思っております。
こうした自律的な改革を積み重ね、都民の理解と納得が得られるよう、また、都政の現場を担う監理団体が都の重要なパートナーとして力を発揮できるよう、今後とも監理団体の質の向上に向けた取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。
○早坂委員 ありがとうございました。
次に、平成二十八年熊本地震支援の記録についてお伺いいたします。
百四十五人の死者が発生した熊本地震から八カ月が経過しようとしています。東京都は、全国で発生した幾つもの大災害を踏まえ、かねてより、地域防災計画の改定、防災プランの策定や進捗状況の公表など、東京都の防災対策の推進を図ってきました。今回の熊本地震支援の記録も、こうした背景のもとに取りまとめられたものと思います。
そこで、まず、この記録は、主に誰に向けて書かれたものなのか伺います。あわせて、この記録の狙いは、東京都が今後支援に回るときのための教訓というよりも、主に東京都が被災した場合の教訓にあると理解してよいか伺います。
○小林防災計画担当部長 東京都はこれまで、東日本大震災などの大規模災害を受けまして防災対策の推進を図ってまいりましたが、熊本地震では、約二十八時間の間に震度七の揺れが二回観測され、また、震度一以上の地震が四千回以上観測されるなど、これまでの経験が通用しない側面もございました。
このため、被災地派遣を通じて得られました経験を組織として蓄積し、記録、教訓を全庁的に職員が共有するとともに、都民、国、区市町村、関係機関等にも発信することで、首都直下地震等に備えました東京都の防災対策に反映させ、その実効性を一層向上させることを主な目的に本報告を取りまとめたものでございます。
今回の取りまとめを踏まえまして、発災時におけます東京都の災害対応力をさらに高めてまいります。
○早坂委員 東京都に大災害が発生した場合、大混乱の中での司令塔となる災害対策本部の役割が重要なのはいうまでもありません。
東京都みずからが的確な運営を行うことはもちろん、全国からの支援をいかに円滑に受けるか、すなわち、受援が東京都の防災対策の実効性を高める上での重要な課題です。今後の東京都の取り組みについて伺います。
○梅村総合防災部長 熊本地震の被災自治体では、報道機関や住民への対応など、さまざまな業務が災害対策本部に集中し、本来優先すべき救出救助等のオペレーションや、災害対応に係る支援ニーズの把握や集約が困難な状況に陥る例も見受けられました。
首都直下地震等発生時には、より膨大な支援ニーズが発生することが見込まれますので、こうした状況下におきましても、都の災害対策本部の指令統制機能を確保できるようにするとともに、全国からの支援を効果的に活用することによりまして、的確な災害対応を行っていく必要がございます。
このため、発災後の混乱の中におきましても、広報、報道や人員調整、区市町村支援などの災害対応業務をより迅速かつ持続的に行うため、災害対策本部体制の見直しに着手してまいります。
また、発災時に円滑な支援を受けられますよう、あらかじめ応援受援のルールや手順、区市町村の支援ニーズの集約方法を明確化するなど、都の応援受援体制の充実を図ってまいります。
○早坂委員 熊本地震に対する支援の特徴は、物資のプッシュ型支援にありました。物資のプッシュ型支援とは、被災地からの要請を待たずに、支援する側の判断で迅速に物資を送り届けるものです。
この物資のプッシュ型支援は、発災当初の時点で、被災自治体が混乱し、当の自治体が物資の供給状況を確認できていないような状態においては有効であると考えます。
一方で、被災地の支援ニーズを踏まえない支援は、かえって被災自治体の災害対応を混乱させる原因となることもあります。
このため、東京都が行う被災地支援においては、被災地に情報連絡員、専門用語ではリエゾンオフィサー、古い言葉でいえば連絡将校を速やかに派遣することで、被災地の支援ニーズを迅速かつ的確に把握し、必要な支援につなげることが重要です。ご見解を伺います。
○梅村総合防災部長 被害状況や被災自治体の支援ニーズなど生の情報を直接把握することによりまして被災地の状況に応じた迅速な支援を行うために、速やかに情報連絡員を派遣することは重要でございます。
このため、今回の熊本地震では、発災直後から情報連絡員を派遣した結果、現地との情報連絡や調整におきまして大きな効果が認められました。
今後、他の道府県で災害が発生した際、より円滑な被災地支援が行えますよう、情報連絡員の活用について、さらなる検討を進めてまいります。
○早坂委員 このリエゾンオフィサーの成功事例として、東日本大震災で東京都が行った広域火葬体制について紹介したいと思います。
東日本大震災では、ご遺体の数が膨大で、遺体安置所や火葬場が追いつかず、ご遺体の損傷が進んだため、やむなく土葬による仮埋葬を認めることとなりました。犠牲者が多数発生している事態を受け、東京都は瑞江葬儀所などで被災自治体からの火葬協力要請を待っていましたが、当初、全く要請はありませんでした。
実は、震災発生から早い時期に、全国知事会から二度、そして厚生労働省から一度、火葬協力の可能性に対する問い合わせが東京都に来ており、三度とも東京都は受け入れ可能と返事をしていたのですが、当の被災県からは一向に協力の要請がありませんでした。
広域火葬協力の仕組みは、本来、ご遺体を東京まで運んできてもらうことが前提となっており、被災県にその搬送手段がなく、東京都への要請を諦めていたという事情がありました。
事態が進展したのは、宮城県災害対策本部の会議に毎回出席していた東京都のリエゾンオフィサーからの情報でした。すなわち、県の災害対策本部会議でご遺体の埋葬について困っていることを察知した東京都のリエゾンオフィサーが、本庁と相談の上、東京都がご遺体搬送の車を出して、こちらからお迎えに行くから広域火葬協力要請をしてほしいと宮城県に申し出たのです。その結果、直ちに八百六十体の火葬協力を行うこととなりました。
本当に困っている人は、何かお困り事はありませんか、何でもお手伝いしますよと声をかけてもらっても、困り事がたくさんあり過ぎて、何から頼んだらいいかよくわからないことがあります。また、遠慮もあるでしょう。それと同じで、被災した自治体からの支援要請を待っていたら、被災の程度がひどいときほど、逆に何も頼まれない事態が発生することは想像にたやすいことです。
その意味で、先ほどの物資のプッシュ型支援を含め、リエゾンオフィサーの役割は極めて大きいものと考えます。今、この場所に当時のリエゾンオフィサーがいらっしゃいますが、ご発言がありましたら……。--特になし。はい、わかりました。以上でございます。
さて、今回の熊本地震では、被災自治体に対し、カウンターパート方式による支援が行われました。このカウンターパート方式支援とは、どういうものなのでしょうか。そのメリット、デメリットについても伺います。
加えて、今後、東京都が被災した場合への備えとして、このカウンターパート方式がどのように検討されているのか伺います。
○梅村総合防災部長 カウンターパート方式とは、被災自治体に対しまして、支援業務ごとに支援自治体が変わるのではなく、特定の自治体が一貫して支援に当たる方式でございます。これは、被災自治体みずからの対応に限界がある中、受援に係る負担を軽減し、被災自治体の状況に応じたきめ細やかな支援を迅速に行う上で有効な枠組みでございます。
一方で、被災自治体による応援職員への指揮や誘導、調整等への関与が十分ではなく、応援自治体に任せ切りとなる例や応援職員のスキル、能力を有効に活用し切れていない例が一部では見受けられました。
都が被災した場合においても、全国知事会や九都県市等の広域相互応援の枠組みを踏まえましてカウンターパート方式が適用されることになりますが、首都直下地震発生時には膨大な支援ニーズが見込まれることから、例えば、都内のエリア、または特定の区市町村ごとに、その規模に応じた支援県を割り当てることも想定するなど、カウンターパート方式による支援のより柔軟な運用等につきまして具体的に検討してまいります。
○早坂委員 このカウンターパート方式支援は、自治体のマンツーマン支援といった方がわかりやすいかもしれません。
二〇〇八年、死者、行方不明者八万五千人が発生した中国四川大地震の際に、対口支援として大規模に行われました。すなわち、被災した都江堰市の支援は上海市、什ホウ市の支援は北京市などと割り当てて、マンツーマン支援を行ったのです。
私が四川大地震の調査に行った際、被災地のまちじゅうで、感謝上海とか、感謝北京といった横断幕を目にしました。中国共産党政府に、北京や上海などを被災地支援で競わせようという意向があったのかもしれません。四川大地震における対口支援、このカウンターパート方式支援は大変参考になる事例だと思います。
さて、東京都が被災した場合、直接には災害対策を担当しない局や出先機関も含め、都庁全体で災害に対応することになります。その際、東京都ではどのような職員配備態勢となっているのか伺います。
○梅村総合防災部長 東京都では、全庁を挙げて災害対応を行うため、災害時の担当業務や自宅から勤務地までの距離に応じまして、四つの区分に分けた配備態勢をとっております。
具体的には、災害時に勤務地において従事すべき業務がある職員のうち、自宅から勤務地までの距離が十キロ以内の職員を第一配備職員、十キロを超え二十キロ以内の職員を第二配備職員、また、二十キロを超える職員でも、業務に必要な職員を特例配備職員とし、勤務地に参集して業務に従事することとしております。
また、災害時に勤務地において従事すべき業務が定められていない職員につきましては、現地機動班要員として、都立公園や区市町村庁舎など指定された拠点に参集し、災害対応業務に従事することとしております。
○早坂委員 この記録にも記載されていますが、参集を求められている職員にも、例えばご自宅が倒壊したり、小さいお子さんがいたりと、さまざまな事情があろうかと思います。そういった事情に応じた柔軟な対応が必要であると、私自身が熊本地震の調査に行った際、災害対策に当たる担当職員の方とお話をして感じました。この点においても、ぜひご検討をお願いしたいと存じます。
さて、ここからは残念なことを申し上げなければなりません。私は、防災対策を講じる上で最も大切なことは命を守ることにあると信じています。首都直下地震でいえば、被害想定にある一万人の死者をいかに少なくしていくかが、私たち東京都の防災対策の根幹事項です。
したがって、この熊本地震支援の記録においても、何が原因で死者が発生したのか、そして、その支援はどのように行われたのか、そこに重点を置いてこの記録が書かれるべきであります。しかしながら、最も大切なそのことについての記載は極めて不十分であります。
記録の八ページに記載されている被害状況について、まず、そのまま読み上げます。
今回の熊本地震における人的被害は、建物倒壊、土砂崩れなどによる直接死の死者より、熊本地震の避難生活に伴う体調悪化などで死亡した災害関連死の死者数が上回っている、こう書いてあります。
東日本大震災の死者の九割が津波による溺死でした。阪神・淡路大震災の死者の九割が建物倒壊による圧死、窒息死でした。そして、関東大震災の死者の九割が火災による焼死でした。したがって、再び同じような死者を出さないための教訓として、東日本大震災では津波対策、阪神・淡路大震災では建物倒壊対策、関東大震災では火災対策を行うことで死者を減らす努力を行うわけです。
そこで、熊本地震では、死者の六割が災害関連死だと報告されています。では、震災関連死とはどういうものか、関連死の具体的死因は何か、そこに、どんなに注意を凝らして読んでみても、そのことに関する記載は全くありません。総合防災部のご担当の方に詳細な内容を尋ねましたところ、この記録に記載してあること以上のことはわかりませんとの答えしか返ってまいりませんでした。
繰り返しになりますが、防災で最も大切なことは命を守ることです。熊本地震で亡くなった六割の方々の死因が災害関連死であるならば、その最大の教訓にすべきは、災害関連死を減らす努力に尽きます。しかしながら、その最も大切な災害関連死の詳細はわかりませんというなら、この熊本地震支援の記録の発行の意義は、恐ろしく薄っぺらなものだといえます。
八十二件の震災関連死が報告されているのですから、それは一件一件の積み重ねで八十二件になったはずです。そこを追いかけないで、応援に行ったら、活動場所や宿泊、休憩場所が不十分で苦労したといった記録を残しているようでは、何をかいわんやであります。
もう一つ、全体で五十人の直接死についてであります。
発災当初、昭和五十六年以降に建てられた新耐震基準の建物も、熊本地震では倒壊したと盛んに報じられました。建物倒壊による死者は、阪神・淡路大震災の死者の九割であり、また、首都直下地震の被害想定では六割を占めるとされている極めて重要な課題です。
今回の質問に際して、改めてこの問題を調べ直すと、熊本地震で最も被害の大きかった益城町において、昭和五十六年以前に旧耐震基準で建てられた全ての木造建築物のうち三割が倒壊しました。そして、新耐震基準で建てられた全ての木造建築物のうち、平成十二年以前に建てられた全ての木造建築物の一割が倒壊したということでありました。
このことの評価、すなわち新耐震基準の安全性については、現在、国で検討が進められているようであります。
私が申し上げたいのは、命にかかわるこの件に関しての記述が極めてわかりにくいということです。命にかかわる最も大切なことだからこそ、問題の所在と現在の検討状況がはっきりわかるよう記述すべきであったと思います。
以上、私の問題認識について申し述べました。
さて、さまざまなストレスにさらされる被災者の心のケアも重要です。今回、どのような教訓が得られたのか伺います。
○小林防災計画担当部長 今回の支援の経験からは、発災直後からの機動的な被災者の心のケア体制の構築、東京都災害時心のケア体制におけます指揮命令系統の明確化、迅速に活動を行うための人材確保及び養成の必要性について、防災上の教訓を得てございます。
なお、今回の支援の記録は、ご指摘のございました被害の原因も含めまして、現時点で入手可能な情報等に基づき作成いたしたものでございます。今後、被災県の調査等も踏まえるなど、検証等は引き続き続けて行う予定でございます。
○早坂委員 災害や事故、犯罪など、生死にかかわるような場面に直面した人が強い精神的衝撃を受けることで、その後の著しい恐怖感や無力感にさらされることがあることはよく知られています。いわゆるPTSD、ポスト・トラウマチック・ストレス・ディスオーダーであります。
一方で、最近の研究では、PTG、ポスト・トラウマチック・グロース、トラウマの後の成長という、トラウマ体験がもたらすポジティブな影響についての報告がなされていますので、ごく簡単に紹介したいと思います。
つらい経験をすることが、しばしばその後の人間的深みを増すことになることは、私たちの知るところです。人生の価値観、優先順位が変わったり、物事に対する感謝の念が強くなったり、あんなにつらいことに耐えられた自分に自信を持ったりすることです。こういった成長をPTGと呼びます。
PTGは、トラウマに耐えるというものではなく、トラウマでの心の葛藤の後の成長を指すものでありますが、誰にもひとしく起きるわけではありません。ゆえに、トラウマで苦しんでいる人に、例えば、成長がないのはあなたの弱さなどと追い打ちをかけることは厳に慎まなければなりません。
このPTGを促すには、トラウマの発生からある一定時間が過ぎた後に、文章や語り、あるいは絵や踊りなどで、みずからの経験を他者に伝えることが有効だとされています。
東京都の防災対策として、PTSDの支援とともに、このPTGに関する支援もぜひお願いしたいと思います。
さて、今回の地震では、女性や乳幼児などの要配慮者への多様な視点を踏まえた避難所運営についても、その重要性が明らかになりました。
そこで、どのような点を教訓と考えているのか伺います。
○小林防災計画担当部長 今回、女性の視点等を意識いたしました避難所運営の重要性が改めて認識されたところでございます。
女性や要配慮者の視点に配慮した避難所運営を行うために、プライバシーへの配慮や液体ミルクの活用例を踏まえまして、多様な避難者を想定したきめ細やかな準備を行う必要という教訓を得てございます。
○早坂委員 この部分に記載のある乳児用液体ミルクについて、次のように掲載されていますので、まず読み上げたいと思います。
今回、お湯などが不要である海外の液体ミルクが災害現場で活用され、子育て家庭に利便性が高かった。実に淡々と記載がされています。
この液体ミルクに関しては、小池知事が就任直後の第三回定例会と前回の第四回定例会の施政方針演説で二度も取り上げ、また、本年十一月に提出した国の予算編成に対する東京都の提案要求、最重点事項にも入れられている、知事が極めて重視する施策です。
今回の記録からだけでは問題の所在がはっきりしませんので、私から追加説明をしたいと思います。
まず、これであります。(実物を示す)
災害が起きたときにではなくて、ふだん赤ちゃんが飲めるものは母乳でありまして、もし母乳がないときには粉ミルクを飲むわけであります。
我が国においては、粉ミルク以外のものが今許可はされていません。禁止はされていませんが、許可はされていない。何かというと、乳児用の液体ミルクというものがありますが、海外から買ってきて飲むことは可能でありますが、これを日本で販売することは、現在の法規上できません。
阪神・淡路大震災のときもそうでしたし、東日本大震災のときもそうでしたし、今回の熊本地震のときもそうでしたけれども、海外からの支援物資として、この液体ミルクが緊急支援物資として海外の国から送られてきたわけであります。
なぜ小池知事がこれを熱心にやっているかということを調べますと、彼女が国会議員であったときに、日本フィンランド友好議員連盟の会長さんでありまして、フィンランドの国から液体ミルクを大きく熊本に入れたということを彼女は誇りに思っていらっしゃって、地域の皆さんからも喜ばれて、それで、都知事になった後も、乳児用液体ミルクの解禁に向けて働いているんだと私は理解しています。
せっかくの機会ですので、これを飲んでいただこうかと思いまして、同僚議員にいいましたら、余り興味がないという話をいただきましたので、ここでは試飲はせずに、つい最近、子供が生まれた同僚議員もいますので、その方に後でプレゼントしたいと思いますので、お試しいただければと思います。
なお、これ一本が、大体、日本円で千円ぐらいです。高いです。私はまだ飲んだことがありませんので、また後で感想を聞かせていただきたい。赤ちゃんに聞くわけにいきませんので、大人が飲まないといけませんが、感想を聞きたいと思いますが、色が真っ白じゃなくて、少し茶色がかっているというのがインターネット情報で書いてあります。また、油と水が分かれるそうでありまして、それも日本人が嫌うのではないか、だからこれは日本で売れないのではないかというネガティブな議論があります。
災害対策用にこれを特別に使うということでは、とても高くなってしまいますから、ふだん私たちが子育てをする中で、粉ミルクだけでなくて、液体ミルクがあった方がいいのではないかという議論があると思いますので、それを踏まえた中で、ある一部分は災害時にも使うということでないと、多分これは発展しないと思いますが、現在、先ほど申し上げた国への提案なども含めまして、国で検討しているようであります。
国では、これを開いた後に、どうしても悪くなりますから、どのぐらいで悪くなるかとか、そういう安全上の問題、そして、乳児用液体ミルクという表示がまだ国では定まっていませんので、粉ミルクという言葉は定まっているけれども、乳児用液体ミルクという言葉は法的には定まっていないので、これから定めると。すなわち、厚生労働省と消費者庁に関して、これから働きかけるということになっています。今後の進展を見守りたいと思います。皆様とご一緒に試飲できなくて、きょうは残念でございますが、またの機会にお楽しみにしていただければと存じます。
さて、熊本地震においてその有効性が証明されたとする被災者生活再建支援システムの特徴と東京都における導入状況について伺います。
○和田防災対策担当部長 首都直下地震のような大規模な地震が発生した場合、被災者の生活再建に当たっては、被災した住家の被害認定調査や罹災証明書の交付などの膨大な事務作業が発生いたします。被災者生活再建支援システムは、これらの事務作業から発生する大量の情報を従来の紙ベースから電子化することにより、効率的に集約、管理し、迅速な罹災証明書の交付につなげていくものであります。
都では、平成二十四年度から、区市町村に対し本システムの導入を働きかけてきました。この結果、昨年度末時点で、都内十五自治体が導入しており、東京都以外にも、京都府、岩手県などの市町村においても導入されております。
○早坂委員 今回の熊本地震の教訓取りまとめの趣旨、内容を今後の東京都の取り組みに反映させるためには、関係者間での教訓、成果の共有と改善策の検証が必要です。
そこで、この記録を踏まえた東京都に発生する大災害への備えについて、総務局長のご決意を伺います。
○多羅尾総務局長 都ではこれまでも、東日本大震災の教訓などを踏まえた地域防災計画の修正など、その都度、経験や教訓を真摯に受けとめ、防災対策の推進を図ってまいりました。
今回の教訓についても、速やかに庁内で共有を図るとともに、区市町村や国等の関係機関とも教訓の具体化に向けた議論を深めつつ、災害対策本部体制のさらなる見直しや、全国からの支援を受ける体制、受援体制の充実、各局のマニュアル改善など、順次具体化を図るとともに、その成果の検証を重ね、不断の見直しを進めてまいります。
特に東京で大震災が発生した場合には、死者の数を初め、被害の大きさなど、過去の災害の経験を大きく超えるおそれがございます。そこで、熊本地震の貴重な教訓を、先ほど担当部長からもご答弁申し上げましたように、検証を続け、その教訓を生かし切るとともに、さらに、東京の特性を加味した対策を練り上げていくことも重要と考えております。
施策の実効性向上を図るこのサイクルを全庁的に強化していくことで、都や多様な主体の総力を結集した実効性の高い防災体制を構築し、首都直下地震等に向けた備えを一層強化してまいりたいと考えております。
○谷村委員 平成二十七年度東京都監理団体経営目標の達成状況、そして経営実績につきまして、評価結果等が本委員会に報告されました。この件につきまして質問をさせていただきます。
私が初当選させていただいたのは平成十三年になります。当時の都財政は大変に逼迫した状況下にあり、行財政改革の断行は待ったなしの状況にありました。こうした中にあって、都議会の副議長までされ、都議会公明党の幹事長を長く務められた石井義修さんが、この監理団体改革を全力で手がけられておりました。監理団体の統廃合や二重の退職金の受け取り禁止など、都議会公明党を挙げての取り組みをさせていただいたところであります。
まずは、これまでの監理団体改革の取り組み状況とその結果についてご答弁をお願いいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都は、お話の監理団体改革を行財政改革の大きな柱の一つに据えまして、平成十一年当時六十四あった団体の統廃合を初め、団体役員数の削減や役員退職金の廃止、経営目標評価制度の導入など、さまざまな改革に取り組んでまいりました。
その上で、三十三ある監理団体の存在意義や活用の考え方を整理いたしました東京都監理団体活用方針を策定し、都の政策実現に向けた施策実施の現場を担う重要なパートナーと位置づけ、積極的な活用を図るとともに、経営情報の公開等、透明性向上の取り組みなど、不断の改革を推進してきたところでございます。
○谷村委員 そこで、この経営目標の評価制度についてでありますが、団体がみずから目標を設定し、それを都が評価するというものになっておりますけれども、その理由についてお尋ねしたいと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本制度は、監理団体みずからが経営目標を設定し、都が達成状況を評価するという仕組みといたしまして、外部有識者の意見を踏まえまして、平成十三年度から導入したものでございまして、監理団体の経営責任や都としての指導監督責任を明確にするとともに、団体の経営改善等の促進を図ることを目的としてございます。
なお、目標設定や評価に当たりましては、総務局が、より適正な目標水準や評価となりますよう、団体を所管する各局等と調整を行った上で、副知事をトップとする監理団体改革推進委員会の承認をもって決定してございます。
○谷村委員 今ご答弁にありました、目標設定や評価に当たっては、総務局がより適正な目標水準や評価となるよう調整を行うとのことですが、事業内容や事業の性格が異なる監理団体の目標水準やその評価は、具体的にはどのような基準で行われているのでしょうか。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本制度の目標設定につきましては、重点目標とチャレンジ目標から構成されてございます。
重点目標は、各団体の経営計画等の中から重点的に取り組むものを目標として設定するものでございまして、設定に当たりましては、目標の指標が、団体が重点的に取り組むものとして適切な目標となっているか、また、過年度の実績と比較して、目標値の水準が適正なものとなっているかといった点を踏まえて、団体及び所管局との調整を行っているところでございます。
また、チャレンジ目標は、団体のより一層の努力によって初めて実現可能な、高い水準で設定しているものでございまして、設定に当たりましては、チャレンジ目標に真にふさわしい水準であるかといった観点から、団体、所管局等との調整を行っているところでございます。
一方、団体の評価につきましては、経営目標の達成状況を踏まえ、三段階で評価を行いますとともに、理事長等の業績評価につきましては、団体の経営目標の達成状況をもとに五段階で評価してございます。
例えば理事長等の業績評価に当たりましては、最上位の評価基準につきまして、全ての目標を達成した上で、その実績が過去の実績と同等以上の水準にあるか、そのほかに、団体等の実績として特筆すべき成果を上げているかを基準といたしまして評価を行ってございます。
○谷村委員 それで、先ほどのご答弁にありました、監理団体改革推進委員会の承認をもって目標設定の決定をするとのことですが、監理団体改革推進委員会のメンバーはどういった顔ぶれになっているのでしょうか。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体改革推進委員会は、本制度を初め監理団体改革の推進を図るため設置しております都庁内部の会議体でございまして、総務局担当の副知事を委員長に、政策企画局長、総務局長、財務局長、政策企画局調整部長、総務局総務部長、総務局人事部長、総務局行政改革推進部長及び財務局主計部長の計九人で構成されてございます。
○谷村委員 目標を総務局が調整して、それを都庁内部の会議体で承認するという、重点目標、そしてチャレンジ目標をこういうシステムで設定するには、目標それ自体に疑問が残るといわざるを得ないということを一言申し上げておきたいと思います。
次に、経営目標の達成状況を役員報酬に反映させる理由についてお尋ねしたいと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 設定いたしました経営目標の達成状況等を踏まえ、翌年度の役員報酬に反映させることで、経営陣の経営責任を明確化することを目的としておりまして、達成状況によりまして、五%増、増減なし、五%減、一〇%減の四段階となってございます。
○谷村委員 これまでに経営目標の達成状況によって役員報酬が増減した事例があれば教えていただければと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十二年度から二十六年度の過去五年間で申し上げますと、五%増が可能とした団体は、東日本大震災による被災地の瓦れき処理に当たり、全国に先駆けて受け入れ等で実績を残すなどいたしました公益財団法人東京都環境公社や、下水管敷設の新たな工法の開発、実用化などを行い、権威ある賞を受賞するなどしました東京都下水道サービス株式会社など、団体数は三団体となってございます。
一方、五%減となりました団体は、経営目標の達成状況が目標を大きく下回ったり、法令違反等、都民の信頼を失墜する事件等がございました、株式会社多摩ニュータウン開発センター、東京都住宅供給公社や株式会社PUCなど、団体数は六団体でございます。
なお、減額につきましては、各団体において次年度の役員報酬を必ず減額する一方、増額について、実際に役員報酬を増額するかどうかは、対象の団体が経営状況や団体を取り巻く環境等を総合的に勘案した上で、団体がみずからの経営判断で増額の可否を判断することとしておりまして、これまでも、団体の経営判断に基づき、二団体が役員報酬の増額を行っていないという状況でございます。
○谷村委員 もし可能でしたら、五%増が可能だった団体の環境公社、下水道サービス株式会社と、もう一つの団体はどちらだったのか。
また、五%減となった多摩ニュータウン開発センター、住宅供給公社、株式会社PUC以外の、あと三つの団体がどちらだったかというのはお尋ねできますか。
あと、二団体が役員報酬の増額を未実施となっていますけど、実際に実施した団体というのはどこかというのはお答え可能ですか。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 まず、五%増として例示いたしませんでしたもう一団体というのは、東京都中小企業振興公社でございます。
また、五%減というところで、先ほど例示で申し上げませんでした団体は、公益財団法人東京都人権啓発センター、公益財団法人東京都公園協会、それから公益財団法人東京観光財団でございます。
また、お話の、増額が可能となりましたけれども、据え置きと判断した団体につきましては、東京都下水道サービス及び東京都環境公社。東京都環境公社につきましては、実は二回対象となってございまして、平成二十三年度については増額をいたしましたが、二十五年度については据え置いているといったような状況でございます。
○谷村委員 済みません。ありがとうございます。
次に、経営目標評価制度ですけれども、団体みずからが目標を設定するというシステムには、なれ合いがどうしても生じてしまうのではないかという点、そして、この制度を運用していく中で、必ずお手盛りというのが出てしまうのではないかという点、この二点から、都民の皆様のご理解を得るのは大変厳しいのではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 現行制度は、監理団体が自律的な経営を行うため、経営改善の視点から、毎年、経営目標をみずから設定し、その達成に努めるとともに、都は、指導監督を行う立場から、より適正な目標水準となるよう必要な調整を行う仕組みとなってございます。
この制度を運用する中におきまして、目標とする都民サービスの水準や経営指標の改善目標に団体間のばらつきが出るなどの課題が見えてまいりました。監理団体が都民サービスの向上や経営の効率化を図るためには、本制度の不断の見直しが必要であると認識をしてございます。
そこで、こうした現行制度の問題点を改善する視点から、より都民の理解が得られる制度となるよう、早急に見直しに向けた検討を進めてまいります。
○谷村委員 ぜひ見直しに向けた検討をお願いしたいと思います。
不断の見直しが必要というご認識に対しての、この不断の見直しがどのようになされたのかという形跡がなかなかわからないという点と--それから、見直しに向けた検討ではなくて、早急に見直しをしていただきたいと思いますけれども、どういう点を見直していくのか、また、見直しされてきた形跡がなかなか見えないので、どのような見直しをされてきたのかという、この二点についてご答弁をお願いいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成十三年度に本制度導入以降、平成十六年度には、より高い目標に挑戦させるための戦略目標の新設、平成十八年度には、中期的な視点での経営改革の進捗状況を総合的に評価する仕組みへの変更、また、平成二十四年度には目標評価結果の理由の公表、また、昨年度、平成二十七年度には現行制度への見直しを行うなど、よりよい制度となるよう、これまでさまざまな見直しを図ってきたところでございます。
こうした不断の見直しを今後も行っていくことがやはり重要でございまして、現行制度の課題などを踏まえた見直しに当たりましては、外部の視点等を踏まえた目標設定の仕組みへの変更や評価区分の詳細化など、こうしたことを検討の視点に据えまして、本制度における目標設定や評価結果の妥当性を高め、より都民の皆様の理解が得られる制度としてまいりたいというふうに思っております。
そして、今年度中に制度の見直しを行い、来年度から新制度での運用を開始できるよう早急に取り組んでまいります。
○谷村委員 ありがとうございます。
十五年間で四回の見直しをされていること自体は、不断の見直しをされてきているあかしというふうに受けとめさせていただきたいと思いますが、今年度中に制度の見直しを行い、来年度からは新制度での運用を開始できるように取り組んでいただくということでございますので、明快なご答弁ですので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
次に、監理団体に対する都の評価が甘くなってしまう原因の一つに天下り問題があります。
私はこれまで、十五年間、天下りという表現は使ってまいりませんでした。他党の議員の発言を引用したり、意見開陳の中で一回使ったぐらいであります。これまでに培われた行政経験と、そして知見を生かして、監理団体という都政の最先端分野でご活躍していただくには、全く行政経験のない方や、民間会社にいて利潤追求をされてきた方たちが務められるよりは、よほどよいと評価をしてきたからであります。
しかし、最近では、監理団体に対する監視の目が緩んだと誤解でもされているのか、特命契約をふやして監理団体の仕事と責任を大きくし、盤石な天下り先を確保しようとでもしているのではないかと露骨な動きが散見されます。
一例を申し上げれば、建設局と公園協会であります。建設局長だった方がおやめになると、すぐ公園協会の理事長になっておられる。お人柄はとてもいい方なんですけれども、だからといって、それでいいかというのは別問題であります。
震災時に都立公園を拠点として提供し、避難場所や防災拠点として活用されるよう地元の区市と協定を結ぶ。これ自体はとてもよいことでありますが、その協定を、公園協会が区や市役所に出向いていって、区市と公園協会が結ぶ。その結果として、公園協会は、防災拠点として選定された多くの都立公園では、都と特命契約を結び続ける優位性を保てるようになる。これをあえて建設局が推進しておられるという点であります。
そもそも、都の施設を震災時に区市が活用しやすいように協定を結ぶべきは東京都であります。その区市と東京都の協定に基づいて防災拠点化された都立公園の指定管理を進める際には、指定管理者に区市との協定に基づいた対応を東京都が求めればよいわけで、指定管理条件にきちんと記載をすれば済むわけなのに、あえて監理団体である公園協会にそれをさせる。
公園協会からの提案なのか、公園協会に天下りをする見込みとなった建設局幹部の提案なのかわかりませんけれども、既に九つの区市と公園協会が防災協定を結んだそうですが、私の指摘を受けて、建設局として見直しをしてくださるそうであります。
行政改革推進部も、こうした実態を見て見ぬふりをされているということはないと思いますが、こうした情報は入っているのでしょうか、お尋ねをいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 これまで、東京都公園協会が地元区市との間で防災公園における防災協力協定を締結していることにつきましては、所管局が評価を行う指定管理者の管理運営状況評価における資料や、団体の人員配置に係る調整時などにおいて、情報としては把握をしてございます。
今回、東京都公園協会が地元の区市と協定を締結する具体的な動きにつきまして、事前に報告等は受けてございません。
○谷村委員 監理団体が市、区と直接協定を結び、その結果として、特命率、特命で指定管理を受ける率を上げようとする取り組み、それによってインセンティブを上げるという取り組みについて、情報としては把握されていたということですが、こうしたことについて総務局としての見解をお伺いできますでしょうか。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 一般的には、監理団体は都の行う行政運営を支援、補完する機能を有してございまして、都民サービスの向上に資する取り組みの一環としまして、その事業実施を円滑に行うなどの目的で、市区町村や関係機関と協定等を締結することは可能であるとは認識をしてございます。
また、指定管理の特命選定に当たっては、外部専門家を含む委員会を開催し、指定管理に必要な業務全般につきまして、特命の妥当性も含めた審査を行うなどの制度運用を図っているところでございます。
一方で、特命選定につきましては、都民に疑念が抱かれることがないよう、その適正性や透明性を高めていくことが重要でございまして、所管局及び団体に対しまして、適切に対応するよう必要な指導を行ってまいります。
○谷村委員 ありがとうございます。ぜひお願いをしたいと思います。
天下り問題について質問を続けさせていただきますけれども、都の課長級以上の幹部の皆さんが監理団体に数多く再就職されているという実態があります。
先ほどの役員報酬に関連して、監理団体の役員に現在何名の都の退職者が就任しておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体三十三団体ございますが、それらの団体の常勤役員数は、平成二十八年八月一日現在七十六名でございまして、そのうちの五十一名が都の退職者となってございます。
○谷村委員 七十六名中五十一名ということですので、六七%の監理団体の役員が東京都からの天下りをされているという実態であります。数字も、五十一名といえば少ないように聞こえるかもしれませんが、改革を始めていた平成十一年度からの累計数をもしお尋ねすると、実に千名近くになるのではないかと推計できます。
こういう状況下であるがゆえに、経営目標評価制度などといっても、監理団体にはなかなか物がいえないし、行く行くはご自分の身を当てはめなければならなくなるという、そういう疑念を持たれてはいけないと思います。
都の課長級以上で退職した幹部職員の方が監理団体に何名再就職をしておられるのか、また、それは全体の何割に及ぶのか、お伺いをいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十三年八月一日から平成二十八年七月三十一日までの五年間で申し上げますと、都を退職した課長級以上の職員は八百六十九名でございまして、その約二割に当たります百六十六名が監理団体に再就職をしてございます。
○谷村委員 五年間で百六十六名で、監理団体の数が減る前を推計しますと、これは五百名を超える数になると思います。
次に、冒頭に申し上げました都の行財政改革の取り組みでは、職員定数の削減も大きな課題となっておりました。この間、職員定数は着実に削減されているものの、監理団体でその数をのみ込んできたという実態もあります。
現在、監理団体には何名の都職員が派遣されているのか、また、団体固有職員との割合とあわせてお伺いをしたいと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の職員構成は、平成二十八年八月一日現在、団体常勤職員総数で一万一千七百二十二名、都派遣職員数は千七百三十六名となってございまして、団体常勤職員総数に占める割合は約一四・八%でございます。
○谷村委員 その都の職員と、それから監理団体の固有の職員との数的バランスはどうあるべきと考えておられるのか、この際、見解をお伺いしておきたいと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体は、都民サービスの提供など都の施策実施の現場を担い、行政運営を支援、補完する重要なパートナーでございまして、都の政策実現に向けて幅広く連携していくことが重要でございます。
とりわけ、二〇二〇年東京大会の成功や、その後の東京の持続的な発展に向け、監理団体が実施する都の政策との連動性が高い業務等につきましては、監理団体の自律的な運営を尊重しつつ、都派遣職員を積極的に活用し、団体固有職員とともに、効果の高い事業展開を図っていくことが求められるというふうに考えてございます。
また、都からの業務移管等により、都庁本体に直接事業を実施する現場が縮小傾向にある中、都民サービスの最前線である監理団体におきまして現場感覚を身につけることは、その後の政策形成能力等の向上にも資するものと考えてございます。
こうした認識に基づきまして、三十三団体それぞれの特性を踏まえたきめ細やかな人員配置を行っていくことで、安定的、継続的に質の高い都民サービスを提供するなど、都の政策実現を目指してまいります。
○谷村委員 次に、指定管理者制度における監理団体への特命についてお話を戻させていただきますが、各局で監理団体に特命で指定管理を行う傾向が相当数見られます。特命できる場合の条件について、改めてお伺いをしたいと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体を特命できる条件といたしまして、東京都指定管理者選定等に関する指針におきまして、都の政策と密接な関連のある施設につきましては、行政支援、補完機能を有する監理団体を特命選定することを可能としてございます。
これは、監理団体が長年にわたり、これらの特定の施設を都と一体となって管理してきており、都が保有してきた技術、ノウハウを着実に継承するなど、高い管理能力を有しておりますことから、特命で選定することを可能としたものでございます。
なお、特命選定を行う場合には、制度趣旨の一つでございます競争性が働かないために、公募選定の場合と同様に、外部の専門家を含む委員会を開催し、特命の妥当性も含めた審査を行うなどの制度運用を行ってございます。
○谷村委員 ただいまご答弁にもありましたけれども、特命選定を行う場合は、制度趣旨の一つである競争性が働かないため、公募選定の場合と同様に、外部専門家を含む委員会を開催し、特命の妥当性も含めた審査を行うなど、制度を運用されているということですが、現在、指定管理における特命と公募の割合について、件数と、そして金額ベースで、それぞれ明らかにしていただきたいと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十八年四月一日現在、指定管理施設は百九十八施設でございまして、協定締結金額の合計は五百六十六億八千万余でございます。このうち、特命につきましては百三十八施設、金額にいたしまして四百四億二千万余、公募につきましては六十施設、百六十二億五千万余でございまして、特命と公募の割合は、件数、金額ベースともに、おおむね七対三となってございます。
特命のうち、監理団体への特命につきましては八十五施設、三百六十三億四千万円余でありまして、特命全体に占める割合は、件数ベースで約六割、金額ベースで約九割でございます。
○谷村委員 金額ベースで数字を整理しますと、指定管理施設の協定締結金額の七割が特命で、その九割が監理団体になっていると。
これで指定管理者制度の競争性が保たれているといえるのでしょうか。ご見解をお伺いいたしたいと思います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 指定管理者制度は、公の施設の管理運営に民間の能力を活用し、都民サービスの向上を図るとともに、効率的、効果的な管理運営を進めるものでございまして、都においても、公園や福祉施設などにおきまして、公募により民間事業者を活用してございます。
一方、都が有する公の施設におきましては、二十六万戸に及ぶ都営住宅や、専門的な飼育、繁殖技術等が必要な動物園など、管理規模が大きく、専門的な技術、ノウハウを要する施設も存在してございまして、指定管理料も多額となる場合が多うございます。
こうした施設の大半は、政策との連動性及び管理運営の特殊性が高い施設でありますことから、監理団体を特命で選定してございまして、金額ベースで大きな割合を占めるとともに、協定締結金額全体に占める特命の割合も高まる結果となってございます。
特命選定の場合には、委員ご指摘のとおり、制度趣旨の一つでございます競争性が働かないため、公募選定の場合と同様に、外部専門家を含む委員会を開催し、特命の妥当性も含めた審査を行っていますが、公と民の役割分担のあり方について、経済状況の変化に応じて常に見直しを図っていく必要がございまして、指定管理者制度の運用に当たっても、常に検証を行っていくことが重要であると認識してございます。
○谷村委員 ぜひ検証を続けていただきたいと思いますし、その検証結果についてもお待ちしておりますので、よろしくお願いをいたします。
公営企業局等で民間に工事を発注しておりますけれども、その工事監督業務を監理団体に特命で委託するなど、さまざまな事業について特命契約が行われておりますけれども、こうした状況についてはどういうご認識をお持ちでしょうか。お尋ねをいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都が監理団体に委託する事業などにつきましては、契約方法も含め、事業効果や効率性とともに、団体の設立趣旨や東京都監理団体活用方針に合致しているか、他の実施主体と比較して団体が実施することが適当であるかなど、団体が当該事業を実施する妥当性等について不断の検証が必要であると認識してございます。
こうした観点から、これまで、団体の人員配置の機会等を捉え、その妥当性等について精査を行うとともに、平成二十二年度からは、財務局が実施しています事業評価などの機会も捉えて、監理団体に委託する事業等につきまして、その必要な検証、見直しを行ってまいったところでございますが、今後とも、委託業務の公共性や安全性など業務の性格の観点を含め、適切な監理団体への業務委託のあり方などにつきまして検討してまいりたいと思っております。
○谷村委員 これもぜひ、あわせて検討をお願いしたいと思います。
最後に、監理団体への都幹部の再就職や特命契約などの状況を踏まえますと、監理団体のあり方そのものを根本的に再検証すべきではないかと考えますが、見解をお伺いして、質問を終わります。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京が抱えるさまざまな課題を解決し、将来の持続的な発展につなげていく上で、都民サービス提供の担い手でございます監理団体の果たす役割は非常に大きいものと認識してございます。そのため、監理団体への再就職や契約手法等について都民から疑念を持たれることがないよう、公正性や透明性の高い厳格な運用が欠かせないものと思っております。
都は、平成十一年度以降、さまざまな団体改革に取り組んでまいりましたが、これまで以上に監理団体が自律的な改革を進め、効率的な経営を行えますよう、さまざまな改革を積み重ね、監理団体に対する都民の理解を高めていく必要があると考えてございます。
こうしたことから、監理団体の所管業務の範囲、経営層や職員構成のあり方、財務や契約の適正性などの観点も含め、監理団体全般に関する検証等を進め、委員ご指摘の点を踏まえ、また、都議会における広範なご議論や都政改革の動向等を踏まえながら必要な見直しを図るなど、都民の理解と納得を得られるよう積極的に取り組んでまいります。
○曽根委員 私からは、簡潔に、熊本地震の支援の記録について何点か質問したいと思います。
今回は、この支援の記録の作成に当たって、ただ都の職員が現地へ行って頑張りましたということよりも、救援、復興の支援と同時に、この経験をいかに都の防災対策に役立てるかということを重視してつくられたということをお聞きしました。
そこでお聞きしたいのですけれども、本記録の作成に当たって、さまざまな防災の分野がありますが、特に工夫した点はどの点だったのか。また、この記録を作成していく中で、都が今後の他の道府県への支援について、さらに工夫、充実すべき点をどのように捉えているのかについて質問いたします。
○小林防災計画担当部長 熊本地震支援の記録の取りまとめに当たりましては、発災時におけます、より的確な災害対応を視野に、都からの派遣職員へのアンケートや被災自治体等からの聞き取りを詳細に分析するなど、今回の支援の経験が組織全体の取り組みにつながるよう留意して作成いたしました。
他の道府県が被災した際の都の支援についてでございますが、今回は、東日本大震災など過去の災害を通じて得たノウハウにより、全体としては円滑に実施できたと認識しておりますが、今後は、職員派遣のルールや、さらなる携行品の充実などについて検討を深め、より円滑な被災地支援につなげてまいります。
○曽根委員 私の記憶によれば、これまで都が大規模な地震災害の際に支援に行った場所というのは、東北大震災や中越地震など、東北、北陸方面が非常に多かったと思います。今回は九州地方の大地震ということで、都の役割として、どちらかというと、避難所運営などソフトの対策が中心になったということが一つの特徴かなと受けとめておりますが、職員派遣のルールの見直し、検討の中で、災害の規模によっては、たとえ九州地方の災害であっても、例えばハイパーレスキュー隊など、今回は主には関西の方の大都市のレスキュー隊が行ったと思いますけれども、ルールの拡大適用などもぜひ検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
もちろん、行政の仕切りはいろいろあるでしょうから、都が一方的に支援を押しつけるようなことはあってはならないわけですが、私たち、東北の震災や、また、その前には中越地震の際にも、都のハイパーレスキュー隊が、当時、つくられて間もなくですけれども、土砂崩れの瓦れきの中に閉じ込められた二歳の子供さんを、いわゆる胃カメラと同じような原理で捜し出す、また、命があるところに発生する熱を感知する非常に優秀な機械も駆使して命を助けたというのを鮮明に記憶しておりまして、こうした活躍の場というのは、もちろん、それが必要な場合、切実な場合とそうでない場合があるでしょうが、今後も全国的な災害支援にはぜひ活用し、また活躍していただきたいということも、ちょっと申し上げておきたいと思います。
それから、今回の九州の熊本地震の特徴として、震度七の地震が短期間の間に二回発生したということから、大きな損害を与えたと。これまでにない事態が発生していると思います。
このため、今後、同様の問題が東京でも起こり得るということを念頭に置いた対応が不可欠と考えますけれども、こうした熊本地震の特徴を踏まえて、現地で支援に当たってみて、都の防災対策でどういう点が課題になるか、東京の防災対策で課題になるかという点をどのように捉えておられるか。それからまた、今回の教訓をどう今後の都の防災対策に反映させていくのかについてお聞きします。
○小林防災計画担当部長 熊本地震では、観測史上、例のない事態などにより、人的、物的にも甚大な被害が発生いたしましたことから、災害対策本部における業務の急増に伴う初動対応への影響や、全国自治体等からの応援受け入れにかかわる混乱など、首都直下地震等に備えます都の対応においても念頭に置くべき課題が明らかとなりました。
このため、都は、今回の支援等を通じて得ました教訓を踏まえ、災害対策本部における指令統制機能の確保、応援受援体制の構築や各局のマニュアル改定など、全庁的に取り組みの具体化を進めますとともに、訓練によります検証を積み重ね、都の防災対策の実効性をさらに高めてまいります。
○曽根委員 今お答えの中にありました、熊本現地での災害対策本部、地震災害に、はっきりいえばなれていない都市での災害対策本部が、業務が急拡大するという中で、一つは、初動対応がおくれたという現実の問題があったと思いますし、それから、全国から応援が行ったわけですが、物資の応援も含めて、受け入れ体制が十分整うのに時間がかかったということがあって、都の災害対策本部では指令統制機能の確保ということが浮かび上がったんだというお話がありました。
それから、同時に、応援の受け入れ体制の構築、これは関連していると思いますが、このために各局のマニュアルの改定も取り組むということもおっしゃったので、その中身として--もちろん、指令統制機能の確保で災害対策本部が常にリーダーシップを発揮するということが、私、大変鍵を握っていると思いますが、同時に、総務局総合防災部の直接の管轄問題以外にも、地震災害に伴うさまざまな、事業局を含む今後の対策という点で、各局のマニュアルの改定に当たって、やはり具体的にわかりやすく、どういう課題があるんだということを提起できるようにぜひしていただきたいと思うんです。
例えば、横浜市も大都市ですけれども、それが総合防災部で各局、事業局に物がいえるように--これはなかなか大変だというのが率直なところだと思うんですよ。そのために、課長級の職員は総合防災部と事業局の課長を兼務しているんですよ、鍵を握っている部署では。大変だと思いますけど、その部署にいる方は。しかし、直接現場を扱う事業局に行って、これが必要だからこういうふうに対策をとってくれということを、日常的にも物がいえるような体制づくりに横浜市が努力しているということも私たちも見てきました。
したがって、例えば、先日、代表質問の際に私たちが提案として申し上げましたように、一つは、今回、震度七が来た、そのときに持ちこたえた住宅が、二十八時間後にもう一度震度七に襲われて倒壊する、たまたまそのときに、荷物を取りに来たり、うちに戻っていた方が命を落とすというようなことも現実にあったわけですから、このことを教訓として、命を守るという点でいいますと、今回、東京都で、全ては教訓化はできないにしても、例えば、今、新耐震の基準以前に建てられた建物についての耐震診断や耐震補強に助成制度などがありますが、それ以降であっても、阪神大震災の後につくられた、より強化された基準の前に、西暦二〇〇〇年ぐらいですか、その前に建てられた建物についても、万が一に備えて、耐震診断に対する何らかの支援を具体化していくなどの対策が必要じゃないかということを、先日、代表質問でも提案させていただきましたし、それから、二度目の揺れが来ても建物の強度ができるだけ維持できるようにする上で効果的と今いわれております制振ダンパーなどの導入など、こうしたものの研究や普及の促進も提案をさせていただきました。ぜひ参考にしていただきたいと思うんです。
こうしたものは、直接は、やはり都市整備局や建設局などのマターになると思いますが、こういうことについても、ぜひ局間連携を強めて取り組んでいただきたい。
また一方で、今回、熊本地震の際、その後に発生する火災の大部分は通電火災だということがかなり知られてくるようになったために、通電の前に被災地に知らせを回して通電火災を防ぐという対策がとられた結果、火災発生はかなり抑えることができたという教訓もありますので、こうした点でも、東京の火災の防止にとって、通電火災をいかに抑えるかという点で、私どもが前から提案しております感震ブレーカーとともに、この問題での普及啓発を全力で取り組むというようなことも含めて参考にしていただきたいと。
以上、さまざまな教訓が--それからもう一つ、済みません。地震による土砂崩れの被害の想定や実態の調査についても、ぜひ強化していただきたいということ。
以上、ハードの対策を含むさまざまな課題に各局と連携をして取り組むことを求めておきたいと思います。
以上です。
○中村委員 最初に、熊本地震支援の記録に関して質問します。
ことし四月に、二回の震度七の大きな揺れを含む熊本地震が発生し、都からも千五百名を超える職員が現地で活動されたとのことで、心から敬意を表します。
当然、熊本への支援が目的ですが、それにより都の職員の皆様にも災害への対応という経験値が大いに増し、都の震災対策に生かすことができます。まさに記録の副題にあるとおり、都の防災対策の実効性向上に向けて、都民の安全・安心に生かしていただきたいと思います。
東京で高い確率で起こるとされる首都直下地震では、熊本に比べてはるかに大規模な被害が想定されており、熊本での事態を深刻に受けとめる必要があります。
そこで、熊本地震での教訓を踏まえて、それを都の防災対策などにどう生かしていくのか伺います。
○小林防災計画担当部長 熊本地震の支援の経験等を通じて得られた教訓を整理し、組織全体で共有し、都の取り組みに反映していくことは、都の防災対策の実効性を高める上で極めて重要でございます。
今回の地震では、発災後の混乱の中で、災害対策本部の機能を維持することや円滑に避難所運営を行うことの難しさなどが、改めて課題として浮き彫りになりました。
都では、今回の教訓を踏まえ、災害対策本部の強化や応援受け入れ体制の構築など、取り組みの具体化を進めますとともに、訓練等を通じた検証を行っていくことで、都の災害対応力をさらに高めてまいります。
○中村委員 都でもこれまで、計画をつくり、訓練を繰り返していますが、当然のことながら、実際は計画や訓練のとおりにはなりません。記録にも、現場で得た教訓や、被災自治体や応援職員の声が掲載されています。実際の体験からの教訓は貴重であると思いますが、都は、熊本に比べて規模が圧倒的に大きく、想定し得ないことが起こり得るとして、まず、最大限想定できる対策をとっておくことだと思います。
熊本では、全国から支援物資が集まり、多く集まりながらうまく分配できないということもあったようですが、東京では、そもそも大規模な人口に必要なだけ届くのか、都から市区町村に届くのかなどの課題もあります。今年度、都が国から購入した立川防災倉庫の活用を含めた物流の流れを早期に構築することが必要です。
もちろん、物資が行き渡るまでに自助にならざるを得ないという点で、家庭での備蓄が重要です。
今回の都の報告では、熊本市のアンケートでは、家庭内で備蓄を行っている世帯は約三割と、十分な備えがあるとはいえない状況でした。自宅避難でも避難所でも、物資が必要な量確保されるとの保証はありません。
都内でも家庭などでの備蓄は進んでいないとの話も聞きますが、都として都民の備蓄をどのように進めていくのか伺います。
○和田防災対策担当部長 大規模災害が発生した場合、自宅に被害のない多くの都民は、食品などが入手困難となる中で、身の回りにあるものだけで生活することとなるため、自宅での備蓄が重要であります。
都民の自宅での備蓄については、熊本市のアンケートと単純に比較はできませんが、三日分以上の備蓄をしている都民の割合は、都の調査で約六割となっております。
都は、自宅での備蓄を進めるため、平成二十七年度から都民の備蓄推進プロジェクトを開始いたしました。ふだん使っている食品や日用品を少し多目に備えておく日常備蓄という考え方を提案し、リーフレットやポスターなどによる広報活動や関連イベントなどを実施しております。
引き続き、日常備蓄についてのさまざまな普及啓発の取り組みを進めてまいります。
○中村委員 三日分以上の備蓄が六割という数値は、避難訓練に参加をしている人の数から考えればかなり高いとは感じますが、日常備蓄という点で質問すれば、買い物で三日分ぐらいまとめて買い物をすることがあると思いますので、実際に水道や電気、ガスなどのライフラインがとまっても、三日間食べて生活できるような中身の充実も含めて、さらなる普及啓発をお願いします。
一方で、震災時に備えて、企業等についても従業員向けの備蓄品を準備しておく必要があります。
都は、帰宅困難者対策条例を二〇一二年三月に制定し、一年間の周知期間を経て二〇一三年四月に施行されました。事業者に対して、全従業員の三日分の水や食料の備蓄を努力義務化しました。
条例制定から三年近く経過しましたが、東京商工会議所がことし五月に会員企業に行った防災対策に関するアンケートを見ると、三日分以上の備蓄は四八・〇%と半分を割り込んでいます。一、二日分の備蓄は三七・一%で、合計すると、何らかの備蓄をしている企業は八五%程度です。とはいえ、継続して普及啓発をしていかなければ、きっかけがないと率は上がりませんし、賞味期限が来て買いかえなければ、比率は下がるおそれもあります。
そこで、都は、企業等に対して従業員向けの備蓄を確保するよう積極的に働きかけていく必要があると考えますが、見解を伺います。
○和田防災対策担当部長 都では、広く都民や事業者に対し、発災時にむやみに移動を開始せず、会社などに三日間とどまっていただく一斉帰宅の抑制を呼びかけており、そのためには、事業者が三日分の備蓄品を確保しておく必要があります。
都はこれまで、事業者に対し、防災に関する講習会などの場を通じて啓発活動を行うとともに、事業者向けに作成した東京都帰宅困難者対策ハンドブックを配布することなどを通じて、従業員向けの備蓄品の確保を呼びかけてきました。
都は、今後も、事業者に対し従業員向けの備蓄の必要性について普及啓発を図ってまいります。
○中村委員 事業者の備蓄は帰宅の抑制のためですが、首都直下地震の場合には、帰宅したくてもできないことも起こり得ますから、努力義務とはいえ、条例に定めているので、今後も普及啓発に努めていただきたいと思います。
さて、災害時に住民への適切な情報提供は極めて重要です。
災害の際に恐ろしいのはデマです。熊本でも、動物園からライオンが逃げたとのデマが流れたと報道がありました。デマを信じて避難先から自宅に戻った人もいたと報じられ、もし戻ったときに、二度目の大きな揺れが来て亡くなった人がいたかもしれないと思うと、極めてその罪は大きいといえます。
こうしたデマは、一歩間違えば人命にかかわりかねません。デマの発生、流布を防ぐためにも、発災時の適切、正確な情報発信が重要と考えますが、都としてどのように対応するのか伺います。
○梅村総合防災部長 災害発生時におきまして、都民の冷静な行動を促し、二次被害を防止するためには、正しい災害情報を迅速、的確に提供することが重要でございます。
そのため、都では、発災時に、被害情報や交通状況、混乱防止の呼びかけなどの広報を、報道発表のほか、ホームページやツイッターを活用して実施することとしております。
また、平常時におきましても、災害時に正しい情報を得ることの重要性や、情報の具体的な入手方法に関する普及啓発も行っております。
こうした取り組みを通じまして、発災時における都民の混乱防止、さらには災害対応力の向上につながるよう、適切な情報発信に取り組んでまいります。
○中村委員 ライオンの話も報道で見たのですが、インターネットでデマが流れた後で、インターネット上では、デマらしいということで打ち消す情報も流れて収束していったようですが、そのネットを見た人が口コミで広げた情報は容易に収束しなかったとも報じられていました。
非常事態になると情報が錯綜しますし、あってはならないことですが、こうしたデマがインターネットと口コミが複雑に絡み合って起き得るものだとして対応を想定しておくことも必要だと思いますので、よろしくお願いします。
さて、熊本地震の教訓では、被災自治体の職員が必ずしも参集できず、すぐに対応できなかったとも聞いています。東日本大震災では、東京は震度五弱で、交通インフラ自体に被害はなかったのですが、交通が麻痺しました。首都直下地震の場合、交通機関が麻痺し、遠距離からの参集が困難になることも想定され、初動体制の確保が大きな課題となります。
熊本のことは、決して他人ごとと考えてはなりません。これらの事態を踏まえた都の見解を伺います。
○梅村総合防災部長 都では、災害発生時に遅滞なく必要な対応を行えるよう、災害対策住宅に入居する職員が直ちに参集し、初動体制を確立することとしております。
また、大規模災害発生時には、各職員が任務に応じ、あらかじめ定められた場所に参集する体制を構築しており、こうした体制の実効性を高めるために参集訓練を毎年実施するなど、職員の意識向上を図っております。
今後とも、訓練等を通じまして職員の防災意識を高めるとともに、熊本地震の教訓も踏まえ、参集体制の実効性の確保を図るなど、職員一丸となった災害対応力を強化してまいります。
○中村委員 災害対策住宅に住まわれる方は、その職にある期間は自宅にもほとんど帰れないでしょうから、本当に大変だと思います。
一方、いざ災害になれば、防災担当の職員だけではなく、全ての都庁職員が対応せざるを得ないのですが、都内に住んでいない職員も多いと聞きます。体制が万全に整わなくても、そこにいる人が担当するしかないので、総合防災部以外の全ての都庁の職員に、日常的に防災への高い意識を持っていただくことも大切です。ぜひ職員の研修などでも防災への意識を高めていただきたいと思います。
また、経験することは大変大きいので、知識の共有は必要ですが、直接、熊本や東日本大震災で貴重な経験をした職員や、総合防災部に所属したことがある職員などの経験のある方々は貴重な存在です。震災時には活躍してもらえるような仕組みについても検討することはあってよいかと思います。
いつ来るかわからない東京での震災に、これまで以上に備えていただくことを求めて、次の質問に移ります。
次に、報告事項である監理団体の経営目標の達成状況、経営実績に関連して質問します。
都政改革という点では、いわゆる外郭団体についても、より都民のための組織に変わっていかなければなりません。
私は、都が行う公共的な役割について都とともに行う専門的な団体としての監理団体の必要性はあると思っています。ただ、都が出資したり、仕事を委託しているため、常に都と同様に都民から見ることができ、理解される運営がなされなければなりません。そのため、決して甘い評価ではなく、厳しくチェックすることで都民への説明責任を果たしていくことが必要です。
今回報告された内容を見ると、監理団体の評価が正しく行われているのか疑問です。もともとどのような役割をする監理団体であるかしっかりと踏まえて、的確に評価すべきです。
定量的に数値で評価するのは簡単ですが、例えばセミナーを何回やったかとか、何人来たかなど、セミナーを開催するのが目的の団体ではないので、そのことそのものも大切でしょうが、その団体全体の評価とはいえません。
目標について、各団体は定量的な指標を設定していますが、団体の本来の役割を踏まえた目標になっていないのではないかと考えますが、見解を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本経営目標評価制度は、監理団体改革の一環として平成十三年に導入し、適宜、必要な見直しを行ってきておりまして、平成二十七年度には、明瞭かつ簡潔な制度となるよう、定性値から定量値とするなど、現在の仕組みに改善をしたところでございまして、重点目標とチャレンジ目標により構成をされてございます。
各団体は、重点目標としまして、都民、利用者、また財務の視点から、それぞれの経営計画等の中で重点的に取り組むものを目標として定量値を設定しておりまして、各団体の本来の役割を踏まえたものであると認識をしてございます。
○中村委員 言葉だけの問題かもしれませんが、監理団体の評価も、以前は四段階のS、A、B、Cを、三段階のS、A、Bにしたようです。しかし、普通、三段階評価ならA、B、Cです。ほとんどの団体が今回Aであり、Bの団体はありませんというと、よい印象に受けとめられますが、Aはこれでは普通の評価でしかありません。身内に甘い評価方法は、次の制度では改めていただきたいと思います。
また、三十三団体全てに重点目標を立てさせて評価をしていますが、さらにチャレンジ目標を設定させるとのことです。しかし、設定しているのは、三十三団体中八団体しかありません。
重点目標については全ての団体が達成し、そもそも目標の設定が甘いのではないかと思います。その上で挑戦すべきチャレンジ目標は設定しないというのであれば、向上しようとする気がないといわれてしまいます。
そこで、チャレンジ目標を設定しない団体があることについて、その理由を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 チャレンジ目標は、団体のより一層の努力によって初めて実現可能な、高い水準で設定を行うものでございます。
今回、三十三団体中、約八割の団体から目標の提出がありましたが、真にチャレンジ目標にふさわしい水準であるかなどの観点から総務局において調整を行い、副知事をトップとする監理団体改革推進委員会の承認を経て、最終的に八団体が設定することになったものでございます。
○中村委員 八割の団体がチャレンジ目標の提出があって、ふさわしい水準の八団体だけになったとのことです。
しかし、目標はふさわしくないからといって立てないのはおかしなものです。適切な内容と高い目標を立てさせ、質の向上につながるようにしていただきたいと思います。
現在、監理団体改革の一環として、制度の見直しに向けた検討を進めているとのことです。常なる改革のため、不断の見直しは必要ですが、見直す理由と方向性を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本制度を通じまして、監理団体がみずからの取り組みを検証し、経営改善等につなげていくこと、また、監理団体の取り組みに対する都民の理解を得ていくことが重要でありまして、こうした観点から、適宜、制度の見直しを図ってきたところでございます。
現行制度を運用する中で、目標設定等の妥当性のさらなる向上などの課題が見られますことから、制度を見直す必要があると考えてございまして、外部の視点等を踏まえた目標設定の仕組み等についても早急に検討を進めてまいります。
○中村委員 今年度については経営評価は行わず、来年度から新制度での運用を図る予定としています。
しかし、制度を変えるから、ことしは評価しないというのはおかしな話です。制度が変わろうとも、今年度も評価をすべきだったのではないでしょうか。今から今年度の目標を立てることはできないにせよ、今年度の監理団体の評価は、何らかの方法できちんと行っていただきたいと思います。
さて、都では、情報公開や入札改革を進めるとしています。監理団体も同様に、情報公開や入札改革を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体は、都政の現場を支える重要なパートナーでございまして、団体経営の透明性を高めていくことは重要との認識のもと、都はこれまで、経営情報の公開や団体の契約制度の見直しなど、さまざまな取り組みを指導してまいりました。
経営情報につきましては、予算、決算などの財務に関することや、人事給与等、役職員に関することなどについて毎年度公開するとともに、契約制度につきましては、平成二十年三月に契約に関する指導監督指針を策定いたしまして、契約類型の整理等に加え、契約情報等の公表も行っているところでございます。
今後とも、監理団体に対する都民の理解を高めていくため、不断の取り組みを推進してまいります。
○中村委員 監理団体については、いわゆる天下りなど、従来から厳しい指摘があったわけですが、豊洲の問題などもあり、都政そのものに対する都民の目がこれまで以上に厳しくなっています。今後、監理団体として存続していくこと自体が、都民の理解がなければ成り立たないというくらい厳しい認識を持って取り組む必要があります。
今後、監理団体にもより一層の透明性、公平性のある運営がなされる仕組みの構築を求めて、質問を終わります。
○おときた委員 私からも、報告事項の中から、監理団体の経営目標達成評価制度に関連しまして質問を行います。
こちらにつきましては、るる同僚委員からも詳細な質問がなされましたので、私の方からは、簡潔に二点ほど事実関係を確認させていただいた後に、意見を述べさせていただきたいと思います。
先般の本会議の代表質問でも、入札監視委員会に都庁職員OBが就任していることに対する疑義が出されました。身内に対して、OB、ほとんど身内の都庁職員OBが厳しい監視が行えるのかどうか、都民目線で疑念が抱かれるのは当然のことであり、知事がこの改善を宣言したことに関しては高く評価をするところでございます。
一方で、今回の監理団体評価についても、果たして外部の目で厳しい評価が行われているのかどうかというのは、極めて重要な指針でございます。
そこで、監理団体改革推進委員会のメンバー構成について見ますと、こちらは先ほど質問があって、ご答弁もあったのですが、担当副知事を筆頭として、政策企画局、総務局、財務局の各局長や担当部長等々のいわゆる全て身内の、内部の都庁職員ばかりのメンバーで固められておりまして、第三者の目が入っていないということも明確となっております。
都庁職員のOBが多く再就職をしている、いわゆる外郭団体に対して厳しい目が注がれる昨今、発注側と受注側の二者による関係だけではチェック機能が働かないという指摘は、かねてからされているところでございます。
そこで、メンバーには外部有識者も加えるべきと強く考えますが、こちらについて改めて見解を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本制度は、監理団体の経営責任の明確化や団体の経営改善の促進等を図るため、団体みずからが経営目標を設定、達成状況を都が評価する仕組みといたしまして、平成十三年度に導入し、これまで必要な見直しを適宜行ってまいりました。
今回、現行制度を運用する中で見えてまいりました目標設定等の妥当性のさらなる向上などの課題も踏まえ、制度見直しを行う必要があると考えており、来年度から新制度での運用開始を目指し、外部の視点等を踏まえた目標設定の仕組み等についても検討してまいります。
○おときた委員 先ほどより、新制度での運用で、外部の視点等を踏まえた目標設定の仕組みについても検討していくという前向きな答弁がなされておりましたので、こちらの早期の実行については期待をしたいと思います。
また、外部の目を入れるという意味では、目標設定などに外部のメンバーを入れるだけではなくて、そもそも、この推進委員会が開かれた場で行われることも非常に重要でございます。
この推進委員会の現在の会議体としての公開状況と、非公開であるならば公開していくべきと考えますが、こちらの所見をお伺いいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体改革推進委員会は、団体改革に係る都の内部検討等に関することを所掌事項としておりまして、監理団体改革推進委員会設置要綱に基づき設置をされております都庁内部の会議体でございます。
会議や議事録が原則公開となる審議会など、法令等に基づく附属機関等とは異なる性格のものでございまして、こうしたことから、これまで同委員会の会議や議事録等の公開は行ってございません。
一方で、監理団体に対する都民の理解を高めていくことは重要であると考えており、今後、制度の見直しに当たりまして、透明性向上に向けた取り組みについても検討してまいります。
○おときた委員 都庁内部の会議体であるために、現状では公開などが行われていないとのご答弁でしたが、こちらも、透明性向上に向けた取り組みについて検討していくという前向きな答弁を頂戴いたしましたので、今後は公開されていくことを強く要望するものでございます。
とにかく新制度について、先ほどから、検討、早期に実施という言葉をいただいておりますが、現状がどのように都民に見えているかというのを確認するためには、その会議体を公開するということが何より近道ではないかと思います。
果たして都民目線から見て、今、身内が身内をチェックするような体制がどのように映っているのか、それに対して都民はどのような声を上げるのか、また、マスコミはどのように報道するのか、そういったことから、今後、都政がやるべきことというのが見えてくるものと私は確信をしておりますので、まず、この会議体の公開、そういったことにつきましても早急な検討を求めたいと、改めて要望しておきます。
小池都政の誕生によって、こうしたチェック体制が次々と刷新され、透明性が増していくことで都民の信頼性が取り戻されていくことが非常に期待をされております。
地方自治体の中でも随一といわれる外郭団体の規模や数を誇る東京都では、その管理監督に厳しい目が注がれていることは、もはや繰り返すまでもございません。
引き続き、都と外郭団体、監理団体の関係につきましては、厳しく注視をしていきたい旨を申し上げまして、質問を終わります。
○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四十六分散会
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