委員長 | ともとし春久君 |
副委員長 | 新井ともはる君 |
副委員長 | ほっち易隆君 |
理事 | 野上ゆきえ君 |
理事 | 三宅 正彦君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
和泉ひろし君 | |
おときた駿君 | |
遠藤 守君 | |
中村ひろし君 | |
谷村 孝彦君 | |
早坂 義弘君 | |
中屋 文孝君 | |
崎山 知尚君 | |
清水ひで子君 |
欠席委員 なし
出席説明員青少年・治安対策本部 | 本部長 | 廣田 耕一君 |
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 延與 桂君 | |
青少年対策担当部長 | 稲葉 薫君 | |
治安対策担当部長 | 臼井 郁夫君 | |
総務局 | 局長 | 多羅尾光睦君 |
危機管理監 | 田邉揮司良君 | |
次長理事兼務 | 榎本 雅人君 | |
理事 | 岸本 良一君 | |
総務部長 | 小暮 実君 | |
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長 被災地支援福島県事務所長兼務 | 松崎 浩一君 | |
復興支援対策部長 | 菊地 俊夫君 | |
復興支援調整担当部長 | 野口 一紀君 | |
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 | 佐々木秀之君 | |
都政改革担当部長 | 池上 晶子君 | |
都政改革担当部長 | 小笠原雄一君 | |
情報通信企画部長 | 久原 京子君 | |
人事部長 | 栗岡 祥一君 | |
労務担当部長 | 村岡 教昭君 | |
主席監察員 | 安藤 博君 | |
行政部長 | 西村 泰信君 | |
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長 事業調整担当部長兼務 | 山口 真君 | |
区市町村制度担当部長 | 小菅 政治君 | |
総合防災部長 | 梅村 拓洋君 | |
防災計画担当部長 | 小林 忠雄君 | |
防災対策担当部長 | 和田 慎一君 | |
統計部長 | 伊東みどり君 | |
人権部長 | 箕輪 泰夫君 |
本日の会議に付した事件
青少年・治安対策本部関係
事務事業について(質疑)
総務局関係
事務事業について(質疑)
○ともとし委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、青少年・治安対策本部及び総務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○延與総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の委員会において要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元にお配りしております総務委員会要求資料の一ページをごらんください。東京都子供・若者計画の進捗状況でございます。
子供・若者計画策定済み自治体数及び子供・若者支援地域協議会設置済み自治体数につきまして、平成二十八年四月現在の状況を記載してございます。
次に、二ページをごらんください。ハイパースムーズ作戦におけるITS技術を活用した対策の実績でございます。
需要予測信号、交通情報板、PTPS、空港直行バス公共車両優先システムそれぞれにつきまして、平成二十年度から二十七年度までの実績を記載してございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○ともとし委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○中屋委員 私からは、まず自転車の安全利用について伺いたいと思います。
この間の経緯を改めて振り返ると、専門家を交えた懇談会等を通じて、ナンバープレート制の導入など、自転車安全利用の推進方策について踏み込んだ検討を積み重ねてまいりました。そうした検討結果を踏まえ、平成二十五年には自転車安全利用条例を制定し、安全対策を進めてきたことは承知をしております。
自転車は、健康にも環境にもいい交通手段であります。子供から高齢者まで多くの都民が利用しており、まさに生活の足となっております。昨今は、スポーツタイプの自転車も普及し、自転車を利用している方々がますますふえているように感じます。
条例に基づく安全対策の成果もあり、年々、着実に自転車事故の件数は減少してきておりますが、残念ながら、昨年もなお一万件を超える自転車事故が発生している状況であります。
自転車の事故を削減するためには、安全に走行できる道路空間の整備といったハード整備、悪質な利用者への取り締まりが必要であります。加えて、自動車と違い、自転車については体系的にルール等を学習する機会も少ない。そのため、自転車の交通ルールを利用者にきちんと教育する、周知する、そういったことがより重要であります。特に、学校卒業後の成人層に対してどう啓発していくかが問題だと考えております。
自転車の安全利用についての取り組みは、先般の定例会で自転車安全利用条例を改正するなど、今後、より一層進めていくところだと思いますが、条例改正を踏まえた成人層に対する啓発についての基本的な考え方を伺います。
○臼井治安対策担当部長 自転車の安全利用を促進し、事故の削減につなげていくためには、行政や警察だけでなく、事業者等も含めた社会全体の取り組みによりまして成人層への啓発を進めていくことが不可欠でございます。
そのため、先般改正された自転車安全利用条例におきましても、こうした認識のもと、自転車小売店による販売時の交通ルールの啓発義務や、自転車を業務で利用したり、自転車通勤を認めている事業者による従業者教育を推進するための自転車安全利用推進者の選任の規定等を盛り込んだところでございます。
今後は、条例改正を契機といたしまして、安全利用に向けた広報啓発や安全指導など、都や警察による対策を着実に実施するとともに、多様な主体による取り組みも促進するなど、自転車事故の削減を目指して取り組んでまいります。
○中屋委員 確かに、行政や警察だけでは自転車の安全利用を進めていくには限界があると思います。
これは個人的な意見ですが、免許を取得するときの教習所などで、こういうドライバーの側に立った自転車に対する教育というのは大変効果があるんだろうというふうに思うんです。ただ、これは青少年・治安対策本部の域を超えてしまうところもまたあると思いますが、ぜひ連携をとって、そういうところにも普及啓発をしていただくとありがたいなというふうに思います。
自転車の安全利用を進めていくには、事業者も含めた多様な主体による取り組みということが一つ鍵になってくると思います。
しかし、自転車を取り扱うことを本業としているとはいえ、個々の自転車小売店にとっても啓発の負担は大きい。さらに、自転車は従業員の交通手段、通勤手段の一つにすぎないわけで、企業にとっては、条例が変わったからというだけでは、なかなか取り組みは浸透していかないんだろうというふうに思います。
こうした事業者への取り組みの支援策を含めて、自転車利用者への交通ルールの普及啓発を具体的にどう進めていくのか、所見を伺います。
○臼井治安対策担当部長 ご指摘のとおり、事業者等による取り組みを促進するためには、都として必要な情報の提供や支援等の協力を行うことが重要だと考えております。
そこで、都は、全ての自転車小売店において共通内容による啓発が実施され、なおかつ各店舗の負担が軽減できるよう、交通ルールや損害賠償保険の必要性等を記載したチェックシートを提供する予定でございます。
また、事業者による従業員教育を促進するため、事業者向けのセミナーの規模拡大も検討しております。
こうした取り組みによりまして、事業者を通じた普及啓発をより一層促進するとともに、当本部といたしましても、区市町村と連携した自転車シミュレータ安全教室の開催や、リーフレットの幅広い配布等により、自転車利用者への交通ルールの普及啓発に取り組んでまいります。
○中屋委員 施策を進めていくに当たりまして、きっかけ、契機というものは非常に重要だと思います。今回、条例を改正し、来年二月から施行するということで、この機を捉え、自転車の安全利用をより一層進めていっていただきたいというふうに思います。
これまで自転車について伺ってまいりましたが、次に、自動二輪車について確認をしたいというふうに思います。
自動二輪車は、自動車に比べて省エネ、省スペースであり、個人の楽しみとして、また、通勤や事業で利用している方も大変多い手段であります。
しかし、大都市特有の問題として駐車スペースに課題があります。自転車については駐輪場もかなり整備してまいりましたが、自動二輪車の駐車スペースは十分ではありません。その結果、利便性の高い有用な交通手段であります自動二輪車の活用が阻害されている面があると考えられます。
都民、事業者の多様なニーズに応えていくことで、東京という都市をますます発展させ、都民の方々が生活をしやすい、事業者の方々が事業をしやすい都市にしていくことができるわけであります。
自動二輪車の駐車対策に関する青少年・治安対策本部の取り組みについてお伺いをいたします。
○臼井治安対策担当部長 当本部では、平成二十一年に、庁内関係局、警視庁、区市、業界団体等とともに、自動二輪車駐車場の整備促進を図るためのさまざまな対策を実施する手引といたしまして、自動二輪車駐車場整備促進アクションプログラムを策定し、自動二輪車駐車場対策の実施主体でございます区市町村に周知いたしました。
現在も、駐輪場への自動二輪車受け入れを働きかけたり、毎年、調査結果を取りまとめております駅前放置自転車等の現況と対策におきまして、放置された自動二輪車の台数を公表するなど、区市町村の取り組みを促進しております。
さらに、当本部のホームページにおきましても、自動二輪車の駐車場情報を提供しております。
今後は、新たに、当本部のホームページや放置自転車クリーンキャンペーン推進委員会において、各種の自動二輪車駐車場の整備助成制度につきまして幅広く周知し、情報提供を充実させるなど、自動二輪車の駐車場対策に取り組んでまいります。
○中屋委員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、東京の治安対策について質問したいと思います。
東京は、オリンピック・パラリンピックの開催を四年後に控え、昨年も約一千二百万の外国人旅行者が訪れるなど、世界から注目される都市となっておりますが、こうした東京の魅力は、良好な治安という礎の上に成り立っているといっても過言ではありません。
しかし、一方で、国際社会に目を向ければ、無差別テロにより多くの市民の命や日常生活が犠牲になっており、こうした世界の治安情勢を鑑みると、東京も現状の治安に甘んじることがあってはならない。東京が世界から注目されればされるほど、治安対策の重要性は一層増すものと考えております。
私は、かねてより、地域における安全対策についてさまざまな質問をしてまいりました。昨年も、安全安心まちづくり条例の改正に当たって、誰もが安全・安心を実感できる社会を実現するために、警視庁や区市町村はもちろん、都民や防犯ボランティア団体など幅広い層の協力を得て対策を進めていく必要があると申し上げたところであります。
本日は、その視点を踏まえ、青少年・治安対策本部が発足した当初の理念であります、治安の維持こそ最大の都民福祉に立ち返って、これまでの取り組みを総括し、その成果と今後の展開について伺いたいと思います。
まずは、地域における環境整備として、都が平成十六年度から商店街、町会、自治会等に対して補助を行っている防犯カメラについて伺います。
私の地元文京区においても、住民の意識が高く、都の補助を活用して、既に二百台以上の防犯カメラを設置いたしました。都が補助事業を開始してから十年以上経過しますが、今後も防犯カメラの設置を都内全域に進めていくには、その成果について検証が必要だと思います。
そこでお伺いいたしますが、都として防犯カメラの設置補助に関してどのように成果を捉えているのか、また、今後どのように展開していくつもりなのか、お伺いをいたします。
○臼井治安対策担当部長 都ではこれまで、都内の希望する全ての団体に対し、累計約一万台の防犯カメラの設置を補助してまいりました。
昨年度、これまで防犯カメラの設置を補助した団体に対して行ったアンケート調査では、地域の治安が改善した、地域住民の防犯意識が向上したとの意見が多数を占めており、防犯カメラの設置は、地域の安全・安心の向上に貢献しているものと考えております。
今後は、設置を希望する地域が依然として多いことから、地域の要望に応えるべく、警視庁や区市町村と連携し、補助制度の周知や効果的な防犯カメラの設置を働きかけてまいります。
○中屋委員 防犯カメラについては、設置を希望する地域も多いとのことでありますが、資金力のない団体などはちゅうちょしてしまうこともあると聞いております。今後、一層地域の治安向上を図るには、希望する全ての地域が設置できるように、負担割合の軽減などもぜひ実現していただきたいと思います。
さて、地域の安全・安心は、防犯カメラによる機械の目とパトロール等の人の目による見守りとをあわせて行うことで、一層の成果が得られるわけであります。
しかし、パトロール活動の主体となっている防犯団体も、高齢化や新たな担い手の不足など、さまざまな課題を抱えておりまして、今後も継続的に活動を行うには、活動の効率化や活性化が必要だと思います。
そのためには、警察や行政等の地域における防犯情報の共有はもちろん、防犯団体のレベルアップや地域における団体同士の結束が大事だと思いますが、都として今後どのように支援を進めていくのか伺います。
○臼井治安対策担当部長 地域の安全・安心を確保するためには、ご指摘のとおり、防犯カメラの設置だけではなく、パトロールなどの人の目による見守り活動とあわせて行うことが重要でございます。
都ではこれまで、ボランティアリーダーの養成や、活動に必要な装備品の補助などを進めてまいりましたが、今年度から新たに、大学生等の若い担い手を確保する事業を実施しております。
また、防犯団体の活動を活性化するために、新たに防犯団体に対する青少年・治安対策本部長賞の表彰制度を設け、約百の団体、個人を表彰したほか、先月には、防犯団体の情報支援として、防犯ポータルサイト、大東京防犯ネットワークをリニューアルし、都道府県で初めてウエブGIS、地理情報システムを導入し、地域の防犯情報を地図により発信するサービスを開始いたしました。
今後は、各地域において、それぞれの実情に合った防犯対策が進められるよう、警視庁や区市町村と連携し、防犯団体のレベルアップに向けた助言や指導、情報共有の場づくりなどを進めてまいります。
○中屋委員 防犯団体に対して人材育成や防犯情報の提供等の支援を行っていることは、よくわかりました。
特に本部長表彰は、私が総務委員会でたびたび提案してきたことでありますが、防犯団体は、日ごろから地域のために地道な活動をこつこつと行っております。周囲から感謝や評価される機会が、実はそれほど多くないと聞いております。こういう機会を設けて防犯団体の士気を高めることは、何よりも重要です。今後も、地域で一生懸命活動している防犯団体を掘り起こして表彰していただきたいと思います。
さて、次は、先ほども答弁にありました防犯ポータルサイト、大東京防犯ネットワークに関して質問いたします。
私もサイトを見ましたが、地域の防犯情報が地図により表示されるため、大変わかりやすい。また、これまで簡単に入手できなかった地域の犯罪情報をオープンデータ化し、民間でもデータを活用できるようにした点でも大変画期的なものであると思います。
しかし、すぐれたサイトであっても、利用されないと全く意味がありません。防犯ポータルサイト、大東京防犯ネットワークは、リニューアルしてから一カ月経過するわけですが、利用者の反応はどうなのか。また、今後、より多くの都民等に利用してもらうために、どのようにサイトを周知し、活用を促していくのか、あわせて伺います。
○臼井治安対策担当部長 防犯ポータルサイト、大東京防犯ネットワークは、都民や防犯団体などが効果的な防犯活動を行えるよう、子供の安全情報マップや特殊詐欺情報マップ、町丁字別犯罪情報マップ等の情報を、地図によりわかりやすく発信しております。
多くのマスコミに取り上げられたこともあり、リニューアル開始後、約一カ月間で約八万件ものアクセスがあり、実際に利用した防犯団体からも、わかりやすいと好評を得ております。
今後は、委員ご指摘のとおり、サイトの活用を促していくことが重要でございます。そのため、先日も、オープンデータを活用したワークショップや防犯団体に対する講習会を開催したところでございますが、今後も、区市町村や教育委員会などを通じてサイトの周知を図るとともに、効果的なデータの活用事例を紹介するなど、民間の活用も広く促し、多様な防犯の取り組みを促進してまいります。
○中屋委員 防犯ボランティア団体が効果的にパトロールなどを行うには、地域の防犯情報の把握が不可欠です。今後も、警視庁等と調整をして、都民にとって有意義な防犯情報を発信していくとともに、防犯団体がその情報を防犯活動に生かせるように、引き続き講習会の実施などの支援もあわせて行っていただきたいなというふうに思います。
次に、民間の防犯の取り組み促進について伺います。
都では、昨年度から、防犯ボランティア団体の活動を補完するものとして、民間事業者の協力を得て子供や高齢者等の弱者を見守る、ながら見守り連携事業を進めております。このような取り組みは、地域における見守りの目をふやすために有効だと思いますが、都内全域で進めていくためには、より多くの事業者に働きかけていくことが必要です。
都として、今後、この取り組みをどのように広げていくのか、見解を伺います。
○臼井治安対策担当部長 都では、地域における見守りの目をふやすため、地域を巡回する事業者等に働きかけ、これまで十七事業者と協定を締結しております。
これにより、都内では、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、金融機関など約一万店舗のほか、物流や配送に携わっている約三万台を超える車両が、地域において、業務の傍ら、パトロールや声かけなどにより高齢者や子供等の弱者を見守っております。
今後も、都民や防犯団体に加え、民間事業者も地域の一員として積極的に防犯活動に取り組み、地域の安全・安心の体制が強化されるよう、さまざまな業種の事業者に働きかけ、見守りのネットワークを拡充してまいります。
○中屋委員 ぜひ強力に進めていただきたいと思います。
これまでの質問から、都では、ハード、ソフトの両面から非常に多くの取り組みを進めていることがわかりました。
この質問の最後に、都民の安全・安心を確保して東京の一層の治安向上を図るために、青少年・治安対策本部長としての、今後どのような視点から施策を進めていくのか、決意を伺いたいと思います。
○廣田青少年・治安対策本部長 東京の治安は、刑法犯認知件数が十三年連続減少するなど、指標的には改善しておりますが、社会情勢の変化等に伴い、犯罪の傾向や都民の要望なども変化しております。
今後も、良好な治安を維持し、誰もが安全・安心を実感できる社会を実現するには、新たな課題への迅速かつ柔軟な対応が不可欠であります。また、警察や行政だけでなく、都民や防犯団体、民間事業者など、あらゆる主体による防犯の取り組みを促進し、地域の力を強化していくことが大変重要でございます。
青少年・治安対策本部としましては、今後とも、新たな治安情勢等に機敏に対応しつつ、さまざまな主体の結び目として、警視庁を初めとする関係機関、団体等や都民との協働、連携を推進するとともに、より都民生活に身近な行政である区市町村の取り組みが進むよう、その支援を一層強化していくことで、誰もが安全・安心を実感できる社会の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
○中屋委員 今、本部長の強い意気込みを感じたところであります。
我々は、ともすると、良好な治安は当たり前のものとして享受しがちであります。世界に目を向けると、そんな状況ではないということはわかるはずです。今ある治安も、これまで警察、行政、都民、防犯団体、民間事業者などの関係者による日々の安全・安心まちづくりの積み重ねによって得られたものであります。
青少年・治安対策本部は、そうした関係者を結び、連携して効果的な取り組みが進められるように、今後も、本部の特性を生かしつつ、東京の治安対策に取り組んでいっていただきたいということを強く申し上げまして、質問を終わります。
○遠藤委員 それでは、私からも質問させていただきます。
当該の総務委員会に所属するのは、私は、二〇〇五年、すなわち平成十七年に初当選をさせていただいて以来、久方ぶりの当委員会の所属であります。
青少年・治安対策本部にかかわる件についても、これまで余り言及してきておりませんので、きょうは、当本部が扱う事業三点について、現状確認と今後の方向性、見通しについて、今後の質疑に資するよう、基本的なことをまずお伺いさせていただきたい、このように思っております。
きょうは、こころの東京革命と外国人に対する取り組み、そして放置自転車対策、この三点についてであります。
初めに、こころの東京革命についてであります。
本事業は、平成十二年、当時の石原知事が提唱されて、今日まで十六年経過をいたしているわけであります。小池知事を迎えて、今、さまざまな都政改革が進められている中、このこころの東京革命についても、今申し上げましたとおり、十六年たち、当時の石原知事が提唱されてからかなり時間もたっているということで、その名称や理念、また、何よりこの取り組み内容について、社会情勢等々も踏まえて工夫を重ねていくべきである、こういう基本的な考え方に基づいて、まず、このこころの東京革命について、これまでどんな視点、そして、考え方に基づいて今日まで十六年間事業を進めてきたのか、これについてお伺いしたいと思います。
○稲葉青少年対策担当部長 こころの東京革命では、親や大人が愛情と勇気を持って他人の子供でも褒める、叱るという行為を実践することや、地域や社会全体で子供を健全に育んでいく必要性を都民に浸透させるため、さまざまな普及啓発に取り組んでまいりました。
平成二十六年度には、これまで以上に取り組みを推進していくことを目的にリニューアルを行いまして、より親しみを持っていただくよう、心の表記を漢字一字から平仮名三文字に変更し、新たなロゴマークを作成いたしました。
また、社会状況の変化を踏まえ、こころの東京革命行動プランを改定し、標語を追加、修正するとともに、家庭や学校等に期待する具体的行動に、スポーツを通じた心身の鍛錬や子供のインターネット使用に関する項目を加えました。
このような見直しを踏まえ、現在は、親や大人への呼びかけの強化や、スポーツの持つ力の活用に重点を置いて普及啓発に取り組んでございます。
○遠藤委員 心という表記を変えたと。さらに、ロゴマークについてもリニューアルをして、その上で、現在は、子供だけではなくて親や大人に対する呼びかけ、さらにはスポーツの持つ力、これは明らかにオリンピック・パラリンピックも視野に置いてだと思いますけれども、そうしたものに力点に置いて普及啓発に取り組んでいる、このようなことであったと思います。
それでは、この普及啓発の取り組み内容について、もう少し具体的に説明してもらいたいと思います。
○稲葉青少年対策担当部長 子供に思いやりの心や規範意識を醸成していくためには、親や大人が果たすべき役割はますます大きくなってございます。
そこで、都内の全公立小学校と連携して、行動プランのリーフレットを新一年生の保護者に配布することを通じて、大人一人一人にこころの東京革命の理念を伝えているほか、動画や雑誌等の媒体を活用した広報や、親子で多くの来場者が見込めるイベントにおけるブース出展等を行ってございます。
また、スポーツが子供の健全育成に与える影響力に着目し、地域で活動する青少年のスポーツ指導者を対象に、スポーツを通じて社会のルール、マナーを習得することの大切さを認識してもらう講習会を開催したり、都内に活動拠点を持つプロスポーツチームと連携して、試合会場における広報を展開したりしてございます。
次代を担う子供たちが社会の一員としての役割と責任を果たしていけるよう、親や大人に対し、こころの東京革命の理念を一層浸透させていくため、これらの普及啓発に今後とも継続的に取り組んでまいります。
○遠藤委員 今、最後に、こころの東京革命の理念を一層浸透させていくと、こんな答弁があったと思います。いいかえれば、東京発の社会運動を広げていくという、こういった答弁だったと思いますけれども、いろんな事業を通じて、親にいろんな配布物をしたり、また動画、雑誌等、あれやこれや使っていると思うんですけれども、じゃ、東京都が発信するこころの東京革命の中身や、または独自性等々、どれほどの都民の皆さんがよくわかっているのかというのは、これを明らかにするということ、成果というんですか、それはなかなか見えづらい点があるんだと思います。
その上で、こころの東京革命というキーワードは非常に、最初に答弁がありましたけれども、当時の石原知事らしいコンセプトというか、ちょっと言葉は語弊があるかもしれませんけれども、やや大上段に構えて、生き方というのはこういうものだということを伝えるという、これがやや先行し過ぎて、じゃ、実際、その成果がどれほど上がっているのかというのは、繰り返しになりますけれども、わかりづらい、見えづらいと思います。
また、同じような中身で、例えば警視庁が普及啓発をしたり、さらには、もちろん、こうした心にかかわることですから、教育庁や、または生活文化局等々も、この種の情報発信とか普及啓発というのはやっていると思いますので、治安対策本部が担う、まさにこうしたで普及啓発ですとか東京都が発信するメッセージというのは、よく考えていただいて、さすが青少年・治安対策本部から出されているメッセージであるということを、より都民、今回は特に大人の方々を中心にメッセージを伝えていくということでありますので、その辺をもう少し明らかにしないと--というのは、なぜこういうことをいっているかというと、一つには、今回、新しい知事になられて、事務事業の終期を全てにつける、こういう考え方が示されておりますけれども、仮に、この終期をつけるつけないという話になったときに、いやいや、これはしかじかこれこれ、こういう意義があってやっているんですということを明確に発信できなければ、この事業そのもの自体、内部において、じゃ、今回はなしという話にもなりかねないので、都民に対する普及啓発をしっかりするという意味と、あと、いわゆる対内部的な、事業の成果というものをしっかりと説明する意味でも、私は、これについて、よくよくその内容について精査をすべきである、このように思ってございます。
次いで、日本に暮らす、または日本を訪れる外国人の方に対する取り組みということで質問したいと思います。
オリンピック・パラリンピックを控えてはもちろんでありますけれども、政府、また自治体の取り組み等々がありまして、年々、外国人の日本への訪問、また定住等も数がふえているんだと思います。その上で、近隣の方々、また日本人とのトラブルも、一方ふえているということであります。
事前にお伺いしたところによると、都では、こうしたトラブルや、またはルール違反、マナーの向上を目指して、留学生向けの講習会というのをかなり多くやっているということでありますけれども、その対象や、また中身、そして一番大事な成果、これについて報告をいただきたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 都では、外国人留学生を対象といたしまして、留学生が犯罪に巻き込まれないように、日本での生活マナーや法令知識を教示する出張型の啓発講習を実施しております。
具体的な講習内容は、在留中の法令遵守に関することはもとより、日本の慣習や注意を要する行為、犯罪に係る注意喚起などに及んでおり、要望に応じて、日本語、英語、中国語、ベトナム語の四カ国語での講義が可能となっております。
本講習は、多くの留学生が生活に身近なことを直接学べるものであることから、大変好評を得ておりまして、学校関係者からも引き続き開催を要望されているなど、高い成果を上げているものと考えております。
○遠藤委員 今の中に回数とか頻度とかというのがなかったのですけれども、もしもわかれば、例えば、昨年度これぐらいやっているとか、今年度これぐらいやる予定だとか、そういうのがわかればちょっとお答えいただきたいんですけど、出ないですかね。--じゃ、いいです。後ほど報告をしてください。後ほどで結構です。
そこで、治安対策本部の方で主体的に取り組んでいるということは今わかりました、講習会は。
その一方、外国人の方々へのルール、マナー、そして法令等の徹底については、国や、また、都においては警視庁、または地元の区市町村等々でもさまざまな啓発の取り組みが行われておりますけれども、こうしたつかさつかさとは違って、東京都が主体的に取り組んでいる事業はどんなものがあるのか。また、その効果について、これまでどんな効果が上がっているのか、それについて答弁を求めたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 外国人が犯罪に巻き込まれず、安全・安心な生活を送るためには、日本で生活するためのルールやマナーを正しく理解していただくことが重要でございます。
そのため、都では、外国人が犯しがちな刑法や道路交通法、さらには、いわゆる入国管理法等の内容を盛り込んだ、わかりやすいマニュアルを独自に作成し、入国管理局や警視庁、区市町村の協力をいただき、各窓口等において配布しております。また、都内全域におきまして、区市町村や民間団体等、官民を問わず広く要請に対応している講習におきましても、本マニュアルをテキストとして利用するなど、幅広く活用しております。
本マニュアルは、英語、中国語、韓国語など七カ国語での翻訳も行っており、外国人を多く受け入れている学校関係者や区市町村等から追加配布の依頼が多く寄せられているなど、都内全域での啓発促進に寄与しております。
今後とも、各関係機関等と連携し、留学生講習やマニュアルの活用により、効果の高い外国人の滞在支援に努めてまいります。
なお、先ほどのお問い合わせの件でございますが、平成二十七年度におきます留学生講習は、七十九回実施しております。
○遠藤委員 ありがとうございました。七カ国語を使って、さまざまな情報提供に努めている、こういうことでありました。
繰り返しになりますけども、ますます外国人が日本へ訪れる数もふえてくると思いますし、また、今、七カ国語とおっしゃいましたけれども、それ以外の言語を使われる方々もふえてくると思いますので、その辺の取り組みなんかも、よくその動向等をキャッチしながら、拡充すべきは拡充をしていただきたい、このように思います。
最後に、放置自転車対策であります。
私は大田区でありまして、JRの駅が二つあります。蒲田と大森ということで、正確にはちょっと覚えていませんけれども、いずれの駅も、かつては放置自転車のワースト云々ということで、そういう指摘がありましたけれども、最近は本当に、この二つの駅も非常に整っているなと。行政、また民間の方々、いろんな努力があって減ってきているなと思いますけれども、青少年・治安対策本部として、この放置自転車対策、これまでどんな視点に基づいてどんな取り組みをしてきたか、そしてまた、成果が上がっていれば、その辺についても報告をいただきたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 放置自転車は、歩行者や緊急車両の通行の妨げとなり、まちの美観を損なうなど大きな社会問題となっており、都はその削減に向け、区市町村や関係機関、団体と連携して、社会全体での取り組みを推進しております。
具体的には、青少年・治安対策本部長を会長とする駅前放置自転車クリーンキャンペーン推進委員会を設け、都の関係局や区市町村を初め、委員会を構成する国土交通省、警視庁、鉄道各社、バス、タクシー事業団体など、各種団体による主体的な啓発運動の取り組みを進めております。
毎年十月末には十日間の集中的なキャンペーンを展開しており、二十七年度は、期間中、約一万四千人が参加し、二百四十四駅での広報活動と四百四十二駅での撤去作業を実施いたしました。
○遠藤委員 十月の末を集中キャンペーン期間として、非常に大量の方が参加いただき、また、多くの駅で広報活動をしているという趣旨の答弁だと思います。
その一方で、やっぱり放置自転車というのはなかなか、自転車の価格自体も非常に下がっておりますので、安易に放置をするという、こういう傾向もあるわけであります。いわばそうした経済的な部分と皆さん方が取り組まれることに対する、これのやりとりというか、イタチごっこというか、攻防戦というか、こういう点があるんだと思いますけれども、今、答弁いただいたような取り組みをするに当たっての工夫とか、また、特に明らかなこういう成果が出ているということがあれば、これについて答弁を求めたいと思います。
○臼井治安対策担当部長 駅前放置自転車クリーンキャンペーンの実施に当たりましては、都が作成する啓発用ポスターを駅構内や電車内、公共施設に掲示したり、リーフレットなどを配布し、都民に放置防止を呼びかけるほか、構成団体等が独自の広報誌や横断幕を活用して多様な広報活動を展開しております。
近年は、タレントを起用した動画を作成し、ウエブ広告や大型ビジョン、デジタルサイネージなどを活用し、幅広い層への普及啓発を図るとともに、その効果を分析して、次年度以降の事業にも反映させております。
一方、放置自転車対策の継続的な取り組みに向け、毎年、区市町村を通じて駅前放置自転車の実態を調査し、その結果を公表することで、区市町村の対策にもご活用いただいております。
このような地道な取り組みを重ねた結果、平成二年のピーク時には約二十四万三千台にも上っていた放置台数は、平成二十七年の調査では約三万七千台まで減少しております。
今後とも、区市町村や関係機関、地域と連携して、放置自転車削減の取り組みを推進してまいります。
○遠藤委員 今、改めて答弁がありましたけれども、ピーク時の二十四万台から三万七千台ということで明らかに減っているということで、これはすごい効果のある事業をしておられたんだなということがわかりました。
その上で、先ほど放置自転車の弊害について何点かありましたけれども、障害者の皆さんの通行を阻害したり、または、そうした放置自転車が青少年を中心とする、盗難の温床にもなるというようなこともありますので、大きく減ったとはいえ、まだまだ三万七千台近くが放置されているということでありますので、より一層強力に進めていただきたい、このことを要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○曽根委員 私からは、昨年策定されました東京都子供・若者計画のその後の進捗状況について、何点か質問したいと思います。
日本のこれからを担う子供や若者が社会的に自立した個人として成長できる条件を整備していくことは大変重要な課題ですが、しかし、この間、保護者世代の長期にわたる所得の減少傾向や教育費負担の増大、また、都内では、住宅事情の厳しさから、子供の心身ともに健全な成長と若者の社会的自立が以前にも増して困難なことが指摘されて久しいわけであります。また、行政による有効な対策もおくれてきたといわざるを得ません。
子供、若者への支援のおくれを克服するために支援法が制定されて五年以上が過ぎましたが、他の道府県は相次いで、この法に基づく計画をさまざまな名称でつくってきておりますけれども、ようやく東京都も、昨年、総合的な計画の策定にこぎつけました。
この事業の本来の目的、目標は、やはり子供、若者に身近な基礎的な自治体における支援を本格的に促進するという課題だと思いますが、この点から見て、資料でいただきましたように、計画制定後一年以上経過した中で、区市町村による計画づくり、また支援地域協議会づくりがまだ少数派にとどまっていることは、決して順調な進捗とはいいがたいのではないかと考えております。
都として区市町村における取り組みの状況についてどう見ているかをまずお聞きします。
○稲葉青少年対策担当部長 本年四月の時点における区市町村の状況を見ますと、計画策定が六区市、協議会設置が四区市でございますが、各区市町村においては、地域の実情を踏まえて検討をいただいているところでございます。
都は、昨年、東京都子供・若者計画を策定し、社会的自立に困難を有する子供、若者が地域において適切な支援を受けることができるよう、平成三十一年度までの計画期間五年間のうちに、都内全ての区市町村における子供・若者計画の策定と子供・若者支援地域協議会の設置を目指してございます。
○曽根委員 東京都の計画もそうですが、子供、若者支援の課題というのは非常に総合的な面を持っているのは当然です。
東京都の現状を見るならば、ほかの道府県に比べて、社会的なひきこもり問題とともに、非正規労働や未就職の若者が多数見られる現状があり、また、住宅費の負担の重さから、親元から自立した生活がなかなか困難であることや、また、他県以上に、女性の自立の上で、保育など子育て支援が極めて重要である点などが指摘されております。
また一方、朝食を食べられない子供の増加の中で、子供食堂などの取り組みが各地域で急速に拡大しており、大都市特有のいわば貧困問題を抱えております。
こうした状況を見定めながら、各区市町村の取り組みを都として的確に支援していくことが必要だと思いますが、自治体や住民の取り組みにも特徴や歴史があり、決して一律には進んでおりません。
この中で、現状を踏まえて、都として区市町村の支援にどのように取り組んでいこうとしているのかをお聞きします。
○稲葉青少年対策担当部長 区市町村への支援につきましては、今年度から、区市町村における計画の策定や協議会の立ち上げ、相談体制の整備等に係る費用の補助を行うこととし、区市町村長会を初めとするさまざまな機会を捉えて、本補助も活用した取り組みの充実を行っていただきますよう、繰り返し働きかけを行ってございます。
また、福祉、教育、雇用、矯正等の各関係局等が構成メンバーとなっております東京都子供・若者支援協議会を活用し、ノウハウや情報を提供し、各区市町村を支援することとしております。
○曽根委員 都が行っているように、区市町村にこの計画の具体化を進めていく上で、最も深刻といわれているひきこもり対策に限らず、例えば若者の就職支援、子供の貧困対策などに支援するよう、幅広く取り組みを進めていく必要があると思います。
その点で、各区市町村への幅広い援助が行われていることは当然だと思いますが、今後は、都からは、情報提供などにとどまらず、例えば、自治体の関係職員やNPO団体の交流や研修の場を設けるなど、情報を各関係の団体、個人が共有し、具体的なノウハウも含めて援助を強めていく必要があると思いますが、こうした取り組み、都の現状はどうなっているか、お聞きします。
○稲葉青少年対策担当部長 都では、若者の自立支援を担当する区市町村の職員を対象とした情報交換会を開催し、区市町村における若者相談の取り組み状況や先進事例の報告等を行ってございます。
また、若者支援の担当職員だけでなく、広く不登校対策や生活困窮者への自立支援を行う部署の職員、また、ひきこもり支援等を行っているNPO法人等の方々を対象とした研修やシンポジウムを実施し、都や関係機関の取り組みを紹介するとともに、区市町村における支援のネットワークづくりに向けたノウハウを共有し、意見交換ができる場を設けてございます。
さらに、東京都ひきこもりサポートネットの訪問相談や巡回相談におきましては、区市町村の関係部署と連携して対応することにより、具体的な事例を通じてノウハウを共有し、地域での対応力の向上を図ってございます。
○曽根委員 さまざまな取り組みが行われていることは、今後も大事だと思います。
同時に、私は地元は北区で、北区はまだ計画が策定されておらず、また、支援地域協議会もこれからなんですけれども、窓口となっている担当の職員に聞きますと、北区の場合は、この五、六年にわたって、例えば、ひきこもりに近い状態やニートの状態にある若者の社会参加を就職支援という形でサポートしてきている。で、かなり深刻な状態の生活にあった若者も、区内の中小企業に正規で就職させる。かなり長期にわたる援助を行ってそういう取り組みを行い、かなりの実績を上げてきているということをお聞きしました。
このように、区市町村は、ある分野について非常にノウハウを蓄積し、また、社会参加、最終的には就職をするということまで視野に入れると。地元にある中小企業がどれぐらいのニーズを持っているのか、採用の可能性があるのかなど、やはり企業経営者とも太いパイプをつくっていかなきゃならない。こういうことにたけている自治体もあれば、むしろ、まず、家庭にひきこもっている状態の若者をたまり場に引っ張り出すというようなことに重点を置いている取り組みも見てきました。
したがって、これは、自治体によっても取り組みはさまざまですし、また、地元でどういう市民団体、NPOなどが活動しているか、それがどれぐらいの蓄積があるのかによっても大分違ってくるというふうなことです。
したがって、都の支援は、各自治体が努力をしていることについて大きな枠組みでの支援を行うことと、東京都が独自にパイプを持っている、若者対策、若者への働きかけを行っているNPOなどへの援助を一層強化する。これは必ずしも青少年・治安対策本部だけではないと思いますが、こういう取り組みを通じて全体としてボトムアップをしていくために、今後も相当努力をしていかないと、五年以内に全部の自治体に支援地域協議会までつくっていくというのは、なかなか大変なことだと思います。
来年もまた、取り組んでいる自治体が同じ程度ということは絶対ないようにしていただきたい、この点を強く求めて、私の質問を終わります。
○新井委員 私からは、まず、交通安全対策についてお伺いしたいと思います。
本年四月には第十次東京都交通安全計画を策定しまして、平成三十二年までに死者を百二十五人以下にするといった数値目標を掲げまして取り組みを進めていることは聞いております。この目標を達成するためには、例えば、事故が交差点で起きているのか、単路で起きているのかといった道路の形状や、事故に遭われた方がどういった年齢層なのか、また、朝なのか、夕暮れの薄暮時間帯なのかとか、事故の現状分析をすることによって、それに応じた対策を打っていくということがとても重要だと考えています。
そこで、まず、昨年都内で発生しました交通死亡事故は、どういった道路形状で多く発生し、年齢層や時間帯についてどういった特徴があったのか、お伺いします。
○臼井治安対策担当部長 平成二十七年の交通事故死者数百六十一人のうち、七割以上の百十九人の方が交差点及び交差点付近の事故で亡くなられております。
年齢層別では、四割近い方が六十五歳以上の高齢者であり、また、時間帯では、十八時から二十時が最も多くなっております。
○新井委員 ただいまのご答弁によりますと、死亡事故を削減するためには、交差点での事故をどうやって減らしていくのか、また、特に高齢者への対策、薄暮、夕暮れどきの時間帯から夜間帯の対策が必要だということがわかりました。
例えば交差点対策に関しましては、交差点形状の変更や歩車分離信号機の導入などの対策も考えられますが、ドライバーや歩行者に交差点での事故が多いということをきちんと知ってもらい、注意をしていただくといった地道な活動も必要だと考えています。
そこで、青少年・治安対策本部としまして、こうした事故の現状を踏まえてどういった取り組みを行っているのか、お伺いします。
○臼井治安対策担当部長 交差点での事故が多いことを踏まえ、当本部は、警視庁と連携し、交差点では、ドライバーと歩行者、自転車利用者等が相互に安全を確認する交差点アイコンタクト運動を広く都民に呼びかけております。
具体的には、交通安全運動等のリーフレットや、都内三十一カ所の街頭ビジョンを通じた啓発を行っているほか、今年度から導入し、年間百二十回の運用を予定しております歩行者シミュレーターにも同内容を盛り込んで交通安全教育を実施しております。
また、高齢者の死亡事故や、薄暮や夜間の死亡事故が多いことを踏まえ、区市町村と連携し、参加体験型の交通安全教育を出前形式で実施いたします地域交通安全ふれあい事業や、反射材の効果を視認できるくらピカBOXの活用等を通じ、交通安全意識の向上を図るなど、事故防止の取り組みを推進しております。
○新井委員 ドライバーと歩行者に対しまして有効なのは、できるだけアイコンタクトをするということが重要だと思っています。
私は剣道をやっているんですけど、一眼二足三胆四力という言葉がございまして、これは目のことが一番重要だといっています。相手の目を見ることによって、相手がどのように考えているなとか、例えば、歩行者の方がこちらを認識しているのか、そのまま通り過ごそうとしているのか、そういったことが重要だと考えています。
答弁であったとおり、事故の現状を踏まえた対策がなされていることがわかりました。悲惨な事故を一件でも減らしていくために、今後も引き続き取り組んでいただきたいと思います。
次に、安全・安心に関します取り組みに関してお伺いいたします。
都では、防犯カメラの設置促進や防犯パトロールの活性化に向けました支援を実施しているところですが、犯罪や事故等の被害に遭わないためには、都民一人一人がみずから安全を確保するための対策を講じることも重要であると考えています。
そのためには、地域の犯罪情報の把握が欠かせません。しかし、現状において、市区町村単位の情報がほとんどでありまして、より身近な町丁字単位の詳細情報や、ほかの地域と比較した情報など、簡単に把握することができない状態です。
そこで、都では、先月、防犯ポータルサイト、大東京防犯ネットワーク、これは、ほぼ一カ月で八万件アクセスがあったと聞いております。これをリニューアルしまして、地域の防犯情報を地図により詳細に表示しています。
改めて、どのような機能が追加されたのか、お伺いします。
○臼井治安対策担当部長 都では、都民や防犯団体などが効果的な防犯活動を行えるよう、防犯ポータルサイト、大東京防犯ネットワークにウエブGIS、地理情報システムを導入し、地図により防犯情報を発信する機能を追加いたしました。
具体的には、子供の安全に関する情報マップ、特殊詐欺に関する情報マップ、町丁字別の犯罪情報マップ、防犯ボランティア団体の活動情報マップ、東京都や区市町村の防犯の取り組み状況マップ、放置自転車情報マップの六種類でございます。
そのほか、グラフの集計機能やパトロールマップの作成ツール、都内の町丁字単位の犯罪情報等のオープンデータをダウンロードできる機能なども追加いたしました。
○新井委員 私も実際にこのサイトを操作しましたが、非常に多くの防犯情報が載っております。自分の住んでいる地域の詳細情報も把握できるため、地域の治安により関心が持てるようになると思っています。
そこで、都は、この情報をどのような形で入手をしてサイトの運営をしているのか、また、データの更新の頻度はどのくらいなのか、お伺いします。
○臼井治安対策担当部長 犯罪情報につきましては、警視庁の各部署から紙または電子データで入手して、地図によりわかりやすく表示できるよう加工しております。
また、防犯団体の活動情報につきましては、大東京防犯ネットワークに登録しております団体に確認を得た上で、個人情報以外を表示しております。
都や区市町村の取り組み状況は、年度末に各区市町村の実施状況を確認し、公開しております。
データの更新頻度は、情報により異なりますが、特殊詐欺や町丁字別の犯罪情報などは一カ月ごとに更新し、防犯団体の活動状況、都や区市町村の防犯の取り組み状況は、原則一年ごとに更新してまいります。
○新井委員 今回のリニューアルでは、防犯に関しますさまざまなオープンデータを公開しています。特に都内の町丁字別の犯罪情報をCSV形式でオープンデータ化したことは、大変意義が大きいかと思っています。
都では、これらのデータを活用しまして、今月、防犯アイデアソンを開催しました。近年、さまざまなデータを活用しましたアイデアソンやハッカソン、これはいろいろと--昔はITコミュニティの主催でやっていることが多かったんですけど、最近では、大企業だったりとか、また、経済産業省や自治体などの公共機関が主催となってやるところも多くて、いろんな情報を使って、いろいろな商品の開発だったりとか、また、地域の活性化、まちづくりに、多種多彩な領域でいろいろな活用がされていると聞いています。そういったアイデアソンやハッカソンが開催されているのですが、防犯アイデアソンは全国で初めての試みだと聞いております。
そこで、都では、どのような狙いで防犯アイデアソンを開催したのか、また、参加者の反応はどうだったのか、お伺いします。
○臼井治安対策担当部長 都では、リニューアルした防犯ポータルサイトを周知し、公開したオープンデータの活用を広く促すため、データを活用した新たな防犯の取り組みを皆で考えるワークショップ、防犯アイデアソンを開催いたしました。
参加者は、IT技術者や防犯団体、学生、研究者、警察、行政など、さまざまな分野から定員を上回る約七十名の申し込みがあり、効果的な子供見守りやパトロール、災害発生時の空き巣対策など、さまざまな視点から防犯に関するアイデアが出されました。
参加者からは、公開情報が多く画期的だ、他県でも同じサイトが欲しいなど、大変好評をいただいた一方で、オープンデータ化を一層進めてほしいなどの要望も出されております。
○新井委員 防犯情報の多くは警察が所有しているということでございますが、今後も都民にとって有益な情報が公開されるよう、警視庁からの派遣者が多いこの本部は、その特徴を生かして、しっかり警視庁とも調整をして進めていただきたいと思います。
また、オープンデータのデータをもらうときに、町丁字別の犯罪情報というのは一番情報量が多いというふうに聞いているんですけど、紙ベースでいただいているということです。そのデータの正確性だったりとか、また業務の効率化とかを考えますと、できる限りデータでいただけるように、これ難しいかとは思うんですけど、そういうふうにされるよう調整をしていただけたらなと思っています。
また、ほかの自治体においてもこのような情報公開が進むよう、ポータルサイトやオープンデータの充実など、都が先例となってさらに進めていってほしいと思います。
次に、特殊詐欺の被害防止に関します取り組みについてお伺いします。
振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺は、大切な財産をだましとる悪質な犯罪でありまして、多くの高齢者が被害者となっております。
この特殊詐欺は、被害件数が二年連続して減少となり、本年も減少傾向が続いてきましたが、最近、被害者の増加がし始めている、増加傾向に転じていると聞いております。
高齢者という弱い者を狙いまして、巧妙かつ組織的に敢行される特殊詐欺の被害を防止するための取り組みは重要だと考えています。
いろいろ、携帯電話もレンタルのものを使ったりとか、契約者が犯罪者と全く関係のない契約者の携帯を使ったりとか、足のつかない、そういったいろいろな、犯罪の仕方のツールを変えながら相手はやっているというふうに聞いています。
そこで、特殊詐欺の被害を根絶するためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。
○臼井治安対策担当部長 特殊詐欺は、電話で高齢者をだます手口であることから、高齢者世帯への自動通話録音機の設置を促進する事業を継続して展開しております。
この録音機は、呼び出し音を鳴らす前に警告メッセージが流れる仕組みとなっていることから、これまで、機器が正常に作動している世帯での被害情報はなく、設置効果は高いと考えております。
一方、被害防止の啓発といたしましては、特殊詐欺被害防止イベントを開催したり、広報用動画を作成して、街頭ビジョンや人が集まる施設等で放映するなど、高齢者ばかりでなく、子や孫世代も対象にした幅広い啓発に取り組んでおります。
また、最新の手口や具体的な防止策等を盛り込んだ、プロの劇団員を活用した実演式防犯講話を各地で実施するなど、さまざまな取り組みを行っております。
今後とも、特殊詐欺根絶を目指し、関係機関と連携しながら被害防止対策に取り組んでまいります。
○新井委員 答弁でありました自動通話録音機器の設置、これは設置状況が九割以上、計画してきたものの九割以上が設置をされているということで、設置をしたところは被害が全くないということでございます。かなりこの設置効果が高いのかなと思っています。引き続き、この設置の取り組みを行っていただきたいと思っています。
また、だましの手口というのはずっと変わっていないということでございまして、心情に訴える巧妙な手口でやっていると。だまされた方も、聞くと、そういっただましの手口は知っているよ、でもだまされちゃったということなんですね。
そういう意味では、プロの劇団員がやっているものを、これは三十分ぐらいのものみたいなんですけど、いかに犯人がいろいろやりとりをして巧妙なことで誘ってくるのかということがわかるものですから、こういったプロの劇団員の活用も率先してやっていただきたいなと思っています。
高齢者以外にも、弱者が被害者となる犯罪が起きておりまして、ストーカーやDV、性犯罪、子供の連れ去りなど、犯罪も後を絶たない状況であることから、女性や子供を犯罪から守るための取り組みも重要だと考えております。
そこで、女性や子供を狙いました犯罪の被害を防止するための取り組みについてお伺いします。
○臼井治安対策担当部長 都では、ストーカー、DV、痴漢、盗撮など女性特有の犯罪被害防止に向けて、注意すべき事項や被害防止のポイントのほか、被害を受けた際の相談や連絡先等、防犯力を高めることを啓発するリーフレットを作成し、大学や専門学校等の学生に配布し、防犯講話に活用するなど、広く注意喚起を行っております。
また、警視庁や区市町村等と連携して、地域安全マップづくりや、子供一一〇番の家駆け込み体験訓練のモデル事業を推進することにより、子供自身の犯罪被害防止能力の向上に取り組んでおります。
さらに、犯罪や事故の被害に遭いやすい弱者への対策を強化するため、地域を巡回する事業者の協力を得て、業務の傍ら子供等の弱者を見守る、ながら見守り連携事業を実施しております。
今後とも、弱者が被害者となる犯罪の防止対策につきまして、関係機関と連携しながら着実に取り組みを進めてまいります。
○新井委員 地域安全マップづくりとインターネットで検索しましたら、まず最初にヒットしたのが、東京都がつくっている安全地域マップ作製指導マニュアル、地域安全マップをつくろうというものなんですけど、これは内容を見ると、すごくよくできていまして、ぜひこういったものを小学校で使っていただきたいなと思っています。いろいろな現場に児童が行って、どこが危ないのかとか、暗闇が地域でどういうところにあるのかとか、そういうところを確認しながらマップをつくるという意味では、すごく有効的かなと思っています。
また、ながら見守り連携事業、最近、例えば運送会社の人なんかも、この見守り連携事業に賛同するトラックなんかはシールを張られています。そういったトラックの方が、物流の運送事業をしながら子供たちを見守るという意味では、もっともっとこのシールを張ったトラックが普及拡大すればいいかなと思っています。
今後も、さらに防犯対策につきまして関係機関とも連携して安心・安全な都民生活をしていただくよう取り組みを進めていただくことを要望しまして、質問を終わりにします。
○おときた委員 私からは、まず初めに、東京都青少年の健全な育成に関する条例の中から、不健全図書の指定について伺いたいと思います。
主に、子供たちに有害な内容を含む図書を触れさせないという趣旨で行われている不健全図書の指定でありますが、ともすれば、こちらは表現の自由を侵しかねないものであり、その運用には極めて慎重な配慮を必要とするものであります。
その観点から幾つか伺っていきたいのですが、二〇一四年に初めて、新しく定められた第二号基準による不健全図書が指定をされました。
第二号基準というのは、性交等に対する抵抗感を弱め、性に関する判断能力の形成を妨げるものなど、やや曖昧かつ主観的な部分が含まれることから、さらなる慎重な運用が求められているものです。
そこで、二〇一四年に初めて第二号基準によって不健全図書が指定されて以降、この第二号基準によって不健全図書に指定されたものはあるのかどうか、お伺いいたします。
○稲葉青少年対策担当部長 ただいま委員からお話のありました、平成二十六年五月十六日付で指定の告示をしました一誌以降は、第二号基準による指定の実績はございません。
○おときた委員 一誌以外ないということで、この一誌に関しましては、私も、実物等々、担当の方々と一緒に読み合わせさせていただきまして、おおむね妥当な判定が行われたものかなというふうには認識をしていたところでございます。
では、次に、不健全図書の一号基準と二号基準、これが両方同時に抵触するということはあり得るのかどうか。そして、あり得るとすれば、この作品はどのように公開されるのか、所見をお伺いいたします。
○稲葉青少年対策担当部長 条例上は、一つの図書類が両方の基準に該当する可能性はございます。
不健全図書類として指定する際は、該当条項及び理由を明示した上で、青少年健全育成審議会に諮問し、審議の内容については議事録を公開することといたしております。
また、不健全図書類に指定した際も、該当条項及び理由を明示した上で、東京都公報において告示をすることになってございます。
○おときた委員 そもそも二号基準が一誌しかないことから、極めて珍しい例であるかとは思うのですが、両基準に該当することがあるということが確認できました。
ただ、現時点では、両基準に該当する場合も含めて、二号基準に該当するものについては、平成二十六年以降発生していないということも確認ができました。
表現の自由を尊重するという観点から、この二号基準については、引き続き慎重かつ適切な運用をされることを強く求めておきます。
次に、関連いたしまして、東京都青少年健全育成審議会の情報公開についてお伺いをいたします。
この議事録においては、委員の名前が匿名化されていることに疑義が生じています。他の地方自治体では、この委員の名前が完全に公開されているケースもありまして、都も積極的な情報公開をするべきと考えますが、こちらの見解をお伺いいたします。
○稲葉青少年対策担当部長 他の自治体の審議会の議事録は、議事録自体を非公開とする県や、概要のみを公開とする県があり、また、公開としている県でも、委員の氏名の公開、非公開の取り扱いについては、さまざまな状況になっているという現状にございます。
都においては、審議内容は、議事録の公開により透明性を十分に確保するとともに、委員が自由に発言できる環境を担保した上で審議する必要があるため、氏名を一部非公開としてございます。
○おときた委員 この点につきましては、何度かご指摘させていただきまして、また、決算特別委員会でも、私の同僚、上田都議の方も指摘をしたとおり、氏名の公開が自由な発言を果たして妨げるものなのかどうかという点については疑問がございます。
表現規制にかかわる分野については、何より情報公開によって信頼性を高めるということが必要であるという観点から、情報公開に積極的な先進自治体の例に倣って改善されていくことを強く要望するものです。
不健全図書に関連しては、最後に、ネット上の作品図書について確認させていただきます。
現在、不健全図書の対象は、書店などの流通に乗るもののみで、インターネット上の作品は対象となっておりません。この方針は今後も維持されるのかどうか、都政も変わりまして、さまざま不安視されている点から、この所見について改めてお伺いをいたします。
○稲葉青少年対策担当部長 東京都青少年の健全な育成に関する条例では、不健全図書類の指定の対象となる図書類の定義としまして、販売もしくは頒布または閲覧もしくは観覧に供する目的をもって作成された書籍、雑誌、文書、図画、写真、ビデオテープ、ビデオディスク、コンピューター用のプログラムまたはデータを記録したCD-ROMなどの電磁記録媒体と規定していることから、インターネット上で閲覧する作品は条例の指定対象とはなってございません。
一方、インターネット上の有害情報につきましては、インターネット接続役務提供事業者に対し、インターネット接続役務に係る契約を締結するに当たって、青少年が利用する場合は、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用などを勧奨するよう努めることと規定をしてございます。
○おときた委員 インターネット上に流れる有害情報についての懸念は、ある程度理解できる一方で、行政による過剰な干渉は表現者の萎縮を招きかねません。特にインターネット上は自由な表現空間が最大の魅力であり、それが失われないように、現状が引き続き継続されることを求めておきます。
次に、昨年度取り上げた東京都青少年問題協議会の情報公開体制についてお伺いをいたします。
この審議会の会議日程や場所が適切に告知されず、傍聴希望者が必ずしも傍聴に参加できなかったという問題につきまして、昨年の事務事業質疑でも厳しく指摘をさせていただいたところです。
青少年・治安対策本部では、情報公開ポータルを新たにスタートし、東京都青少年問題協議会について、前回の指摘も踏まえて、次回開催時には前もって会議開催の告知が行われるのかどうか、こちらを確認させていただきたいと思います。
○稲葉青少年対策担当部長 青少年問題協議会の会議の開催日程や開催場所の情報は、事前に都民に周知する予定であり、今般開設しました情報公開ポータルサイトなども活用してまいります。
○おときた委員 今、指摘させていただいた審議会は、しばらく開催予定はないということなんですが、適切な対応を今後はとられるというご答弁を評価したいと思います。
青少年・治安対策本部が所管する他の審議会についても同様に、今後は徹底した情報公開、この情報公開ポータル、非常に期待値が高く、私も見守っておりますので、徹底した情報公開がなされることを望むものです。
次に、東京都若者相談の窓口である若ナビについてお伺いをいたします。
年間利用者が五千人を超えたと、決算委員会の質疑でも同僚都議が確認をしているところでありますが、より多くの若者に活用してもらうためには、幅広く広報を続けていく必要がございます。
そこで、若ナビの現在の広報活動の状況についてお伺いしたいと思います。
○稲葉青少年対策担当部長 東京都若者総合相談、若ナビの広報活動については、若ナビのホームページのほか、区市町村の窓口や公立図書館等におけるポスターの掲示、リーフレットの配布を行うとともに、都や関係機関等が主催する各種イベントにおいてリーフレットの配布をするなどして周知してございます。
また、多くの若者に利用してもらえるよう、大学の食堂におけるトレーマット等を活用した広報に加え、平成二十七年度からは、卒業を控えた高校生にリーフレットを配布するなど、広く普及啓発を行ってございます。
○おときた委員 リーフレットの配布など、紙ものの実物によるアプローチというのも非常に重要ではあるのですが、やはり若年層にリーチする最大のツールはインターネットです。
最近の若者は、フェイスブック、ツイッター、LINE等のSNSを活用する機会が多いため、若ナビについても、これらを活用した広報活動を行う必要があると考えますが、こちらの所見をお伺いいたします。
○稲葉青少年対策担当部長 東京都若者総合相談、若ナビの活用を促進するためには、相談者である若者の特性等を踏まえた広報を展開することが重要でございます。
このため、今年度から、若者が日常的に利用するインターネットの検索機能を活用し、若ナビに関連したキーワード等と連動してバナー広告が表示されるような広報を行うこととし、十月からはパソコンで、また、来年一月からはスマートフォンにおいても実施することとしております。
○おときた委員 ただいまご答弁いただいたバナー広告というのも、もちろんやっていただいた方がいいことではあるのですが、バナー広告というのは、あくまで相手がクリックしてくれるのを待つプル型、引っ張ってくる広報戦略であって、プッシュ型、こちらから情報を積極的に発信していくというのとは、ちょっとタイプが違う情報発信なんですね。ですので、やっぱりその点をしっかりやっていくということが、今後、私は重要になってくると思っています。
こちら、若ナビを運営委託している会社の方は、残念ながらこういった広報戦略にはたけていないようで、この会社の方のホームページ等々も見させていただいて、その会社がフェイスブックページを運用していたので見てみたのですが、何と十一「いいね」しかついていなかったということでして、残念ながら、こういった点につきましては、都が積極的に関与をしてサポートしていく必要があるやに認識をしております。特に若年層に爆発的に普及しているLINEの活用については、早急に導入検討を期待しておきたいと思います。
最後に、青少年・治安対策本部の意義について確認をさせていただきます。
局と違って、本部とは、そもそも時限的な組織であって、役割を終えれば解散されたものです。
緊急治安対策本部として青少年・治安対策本部が設立されてから十四年余りが経過をいたしまして、本来の目的である治安については、都内の刑法犯認知件数が、本部設立直前の平成十四年と比べますと、一昨年の比率で四七%減少し、大きく改善をしております。青少年・治安対策本部は、その期限から考えれば、その役割をほとんど終えているとも考えられます。現在担っている職務につきましては、他の部門と重複しているものも多く見られますし、本部の存在意義というのは見直されるべきと考えております。
今、青少年・治安対策本部にしかできない役割はあるのか、時限組織である本部を継続する意義について、改めてお伺いをいたします。
○延與総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 青少年・治安対策本部の意義についてのお尋ねでございます。
都内の刑法犯認知件数は、確かに減少傾向にございます。しかし、平成二十七年におきまして、都内の特殊詐欺の被害総額は六十七億円、ストーカー事案相談件数は約二千件に上るなど、都民の身近なところで、高齢者や女性など弱者が狙われる事件は後を絶ちません。
都民生活に関する世論調査におきましても、治安対策に関する要望が毎年上位に上げられておりまして、一層の安全・安心の確保に向けた取り組みが求められていると考えております。
安全・安心に係る多岐にわたる事業を一体的、総合的に推進するには、関係局はもとより、区市町村や警視庁等の関係機関の緊密な連携が重要でございます。当本部は、時々刻々変化する治安情勢等を踏まえつつ、安全・安心の向上に取り組むさまざまな主体の結び目として、地域や関係機関との連携を強化しながら施策を着実に展開しております。
引き続き、直面する新たな事象により迅速かつ的確に対応し、都民の安全・安心の向上に全力で取り組んでまいります。
○おときた委員 連携やさまざまな主体の結び目としてというご答弁をいただきましたが、ややもすると、それが不明確なすみ分けとなって、二重行政の弊害を招くという点も、かねてより指摘をされているところです。
青少年・治安対策本部の事務事業を洗い出しますと、その業務のほとんどは、警視庁、福祉保健局、教育庁などと役割をともにしており、もちろん、それらの役割が意味がないというつもりもありませんし、非常に重要なものも多いのですが、そうであれば、それぞれの部署に再び役割を分散させて、この本部というのは発展的な解消をするということも考えられるのではないでしょうか。
本部の存在ありきにとらわれない問題解決の方法と効率化を検討する必要があるということを東京都に対する意見として申し述べまして、私の意見を終わります。
○中村委員 青少年・治安対策本部の事務事業について、交通安全対策について質問します。
ことし四月に第十次東京都交通安全計画を策定し、東京都自転車安全利用推進計画が改定されました。その交通安全計画の冒頭には、交通事故による死傷者をゼロに近づけ、究極的には交通事故のない安全・安心な都市東京の実現を目指しとし、取り組みをしていただいています。
しかし、都内においては、昨年も百六十一人もの方が交通事故で命を落とされています。しかも、この数字は、事故後二十四時間以内に亡くなられた方の人数であり、三十日以内死者数は二百六人にも上るため、実際には、より多くの方が亡くなられていると重く受けとめなければなりません。
私ごとですが、幼いころ祖父を交通事故で亡くし、写真の顔しか覚えていません。平成三十二年中に死者数を百二十五人以下にするとの計画ですが、計画なので、目標として数値を示すしかないのですが、百二十五人という数字ではなく、一人一人にとうとい命があり、そこには悲しむ大勢の家族、関係者がいますので、ぜひ死者数ゼロを目指して取り組んでいただくことをお願いいたします。
さて、こうした中、最近は高齢者の運転による事故が多発し、多くの報道がなされています。通学路で小学生が死亡した事故や、都内においても、立川市、小金井市と事故が続いています。死亡事故や高速の逆走などは大きく報じられますが、ほんの一部でしかなく、事故に至らなかっただけで、危険な運転は頻繁に起きていると推測されます。さまざまな事情があってハンドルを握られるのでしょうが、事故に巻き込まれて命を落とす方がいることも重く受けとめなければなりません。
高齢者の免許については、国でも制度を改め、認知機能が低下すれば免許が取り消しになるようですが、免許を更新した後で急速に認知機能が低下することもあります。ご本人の自覚、周りからの声かけなどによる免許の返納が進むことが求められます。
こうした状況を踏まえると、免許返納の啓発活動が重要だと思いますが、取り組みについて伺います。
○臼井治安対策担当部長 都は、春、秋の交通安全運動や年末のTOKYO交通安全キャンペーンにあわせて作成しておりますリーフレット等を通じて、高齢者に対し、運転免許証の自主返納について呼びかけを行っております。
また、関係団体と連携いたしまして、高齢者に配布されております東京都シルバーパス用のパンフレットに運転免許証の自主返納制度についての記事を掲載し、幅広く啓発を行っているところでございます。
○中村委員 取り組みについてはわかりましたが、昨今の事故の状況を見ると、より一層取り組みが必要だと思います。
高齢者の事故は、都市にもある交通不便地域の課題や、高齢者だけの世帯でほかに運転する人がいないなど、都市や地域の問題の縮図でもあります。移動支援サービスや地域の見守り、支え合いなど、地域でのつながりについては福祉保健局などとも連携するなど、免許を返納しても困らないような取り組みをすることで事故が減らせるようにしていただきたいと思います。
次に、自転車の交通安全について伺います。
自転車の事故を減らすために、自転車の交通ルールなどを周知することが重要ですが、特に高齢者については、自動車の運転の問題だけではなく、自転車でも危険な場合が多く見られます。免許を返納すれば自転車に乗るということもありますが、車道をふらつきながら走る姿を見ると、車が通ると、接触しなくても倒れてしまうのではと心配になることもあります。
もちろん、接触しないようにすることが重要ですが、みずから転倒することがないようにすることも重要です。例えば、三輪の自転車など安定性の高い自転車を利用するということも事故防止に資すると思います。
そこで、高齢者の方の転倒を防ぐために、三輪自転車の普及啓発もしていく必要性があると思いますが、取り組みについて伺います。
○臼井治安対策担当部長 三輪の自転車など転倒しにくい自転車は、安全な利用に資するものと認識しております。
そのため、自転車安全利用推進計画におきましても、自転車製造事業者に対しまして、高齢者向けの三輪自転車など、安定性が高く転倒しにくい自転車の開発や普及を図ることを求めており、現在、こうした製品も販売されているところでございます。
○中村委員 高齢者の方は、ご自身で転倒しただけでも、大けがをしたり、死亡事故につながることもあります。本当はヘルメットをかぶっていただきたいのですが、自尊心もあり、なかなか難しいとは思います。そうであれば、三輪車や、場合によっては補助輪をつけるとか、また、免許の要らない低速のスクーターといったものもあるようですから、倒れないものに乗り、未然防止を図ることを促進していただくよう求めます。
次に、自転車が安全に走れる道路空間について確認します。
自転車は法的には車両ですが、数年前から、歩行者との接触の事故などがあるため、自転車が原則どおり車道を走るよう徹底されましたが、現実的には道路事情と合っていません。私も地元は自転車で移動することが多いのですが、車道を走ると、すぐ脇を自動車が走り抜けていき、怖い思いをしたことも何度もあります。
道路幅が狭いので限界はありますが、だからこそ、その限界がある中で、自動車、自転車、歩行者がともに安全に走れるよう、道路構造を抜本的に見直す必要があると思いますが、所見を伺います。
○臼井治安対策担当部長 自転車安全利用推進計画におきましては、道路管理者及び警視庁の取り組みといたしまして、道路の構造や利用状況等を踏まえて適切な手法を選定し、自転車が安全に通行できる環境を整備することとしております。
○中村委員 直接的には、整備の方は他局になると思うのですが、こうした自転車のレーンも整備していただいていますが、実際走ってみると、こうして計画を立てている方は、ご自身で自転車で走ったことがあるのかなというふうに思うことが多々あります。
従前の構造で道路幅がないのに通行できないスペースがあったり、段差があったりと、ぜひともそれぞれの立場から最適となるような見直しを図っていただきたいと思います。
事故を削減するためには、安全に走れる道路空間を確保することも重要ですので、整備が進むよう、青少年・治安対策本部としても働きかけていっていただきたいと思います。
自転車は、歩行者に対しては加害者になることが多いのですが、自動車との事故の場合、被害者になる場合も多いのではないでしょうか。確かにマナーの悪い自転車もいるので、昨今、自転車が悪いという印象を与えがちですが、自転車が車道を走れば自動車から被害を受けてしまいます。
そこで、自転車が関与する事故の割合が、都内は全国に比べ高いといわれますが、事故における自転車側の違反率について伺います。
○臼井治安対策担当部長 自転車が関与する交通事故における自転車側の違反率は、平成二十七年の数値では約四七%となっており、五割近い事故におきまして、自転車利用者側にも何らかの違反がある状況でございます。
○中村委員 半数近い事故において自転車利用者側にも違反があるということで、交通ルールの啓発などの重要性がわかりますが、裏を返すと、半数近い事故においては、違反がなかったにもかかわらず事故にも巻き込まれているともいえます。
事故を減らすためには、自転車は車道を走るものだということについて、自動車のドライバーへの教育の徹底も必要だと思いますが、取り組みについて伺います。
○臼井治安対策担当部長 都は、交通安全運動等を通じまして、自動車の運転者に対し、交通ルールを守り、安全な運転を行うよう、幅広く啓発しているところでございます。
さらに、自転車安全利用推進計画におきましては、自動車運転免許の更新時講習等の機会を捉え、自動車等の運転者に対し、車道を通行する自転車の安全に配慮した運転を心がけるよう教育を行うこととしております。
○中村委員 交通においては、常に弱い立場を保護することが大事であり、まずは歩行者、次に自転車だと思いますので、自転車に関する事故が多いというたびに、これは自動車の運転手への啓発を徹底していただきたいと思います。
自動車のドライバーは免許を持っているので、免許の取得時、更新時等にきちんと教育することが重要と思います。警視庁等とも連携し、引き続き取り組んでいってほしいと思います。
さて、ここまで、交通安全の観点から自転車について尋ねてきましたが、次に、自転車の駐輪場について確認します。
自転車安全利用推進計画には、駐輪場が整備されているにもかかわらず、自転車を放置する利用者も多いとありますが、私はこの認識は違うのではないかと思います。確かに、駐輪場をかなりの数、整備をされたのですが、まだまだ整備は十分ではありませんし、遠く離れたところにあって利用しにくいということもあると思います。
駅前などでは、商店に買い物に来る方が自転車をとめる場合がありますが、地価が高く、小さな商店ではなかなか駐輪場が用意できませんので、公共の駐輪場が必要になります。しかし、駅に来る方の多くは駅を利用されている方で、そもそも駅には駐輪場をつくる余裕もあります。昨今では、鉄道事業者自身が商業施設を開設し、ますます来場者をふやしているようですが、そうしたスペースがあるならば、まずは十分な駐輪スペースを設けることが必要です。
自転車の駐輪場は十分でないため、鉄道駅の協力を得る必要があると思いますが、所見を伺います。
○臼井治安対策担当部長 自転車安全利用推進計画では、鉄道事業者等に対し、可能な限り、顧客等の駐輪需要を満たす適正な規模の駐輪場を整備するよう求めております。
また、都は、毎年、駅前放置自転車の実態を調査しており、その実施結果を鉄道事業者等に周知することなどによりまして、駐輪場の整備を促しております。
○中村委員 取り組みはしていただいていますが、まだまだ設置の余地はあるかと思います。少しのスペースでもとめられるような、さらなる工夫が必要です。
自転車に関しては、昨今、事故の危険性や放置自転車など、マイナスのイメージで捉えられていることが多いように感じています。しかし、自転車は、環境にも健康にもすぐれた乗り物です。自転車利用の促進のための全庁的な取り組みが必要であると、たびたび申し上げてきました。
今後も、ぜひ都として自転車の利用促進をしていくという視点で取り組みを進めていただくことを求めて、質問を終わります。
○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
○ともとし委員長 これより総務局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
江村訟務担当部長は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小暮総務部長 十一月八日の当委員会におきまして要求のございました資料八点につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料一ページをごらんください。1、防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
一ページから二ページにかけまして、平成十七年度から二十六年度の防災対策予算の執行状況を、主な事業別に掲げてございます。
三ページをごらんください。2、指定緊急避難場所及び指定避難所の基準でございます。
三ページから四ページにかけまして、災害対策基本法における基準等について記載をしてございます。
次に、五ページをごらんください。3、都及び監理団体における非常勤職員等数の状況でございます。
知事部局及び監理団体における非常勤職員等数について、平成二十四年から二十八年までの状況を掲げてございます。
次に、六ページをごらんください。4、感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
感震ブレーカーの都内の設置率や、設置支援制度を実施しております区市町村数を掲げてございます。
次に、七ページをごらんください。5、同和対策事業の終了に伴い一般対策で実施している事業の一覧でございます。
次に、八ページをごらんください。6、人権に関する相談件数と分野別内容の推移でございます。
平成二十三年度から二十七年度までの状況を掲げてございます。
次に、九ページをごらんいただきたいと思います。7、首都大学東京授業料減免実績でございます。
授業料減免者数につきまして、平成二十六年度から二十八年度までの実績を掲げてございます。
最後に、一〇ページをごらんください。8、附属機関等の会議の公開状況でございます。
附属機関等の会議の公開につきまして、平成二十七年四月及び二十八年十月の状況を掲げてございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○ともとし委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○ほっち委員 それでは、私から質問をさせていただきます。
質問させていただく前に、けさ起こりました福島県沖を震源とする地震に際しまして、火事などでけがをされた方などがいらっしゃるということで、心からお見舞いを申し上げたいなというふうに思っております。
地震はいつ起こるかわかりません。我々が住むこの東京においても、首都直下型地震がいつ来るかもわかりません。それに備えて、主管であります総務局の皆さんにも、日ごろの備えですとかをすることを改めてお願いして、質問に入らせていただきたいというふうに思っております。
それでは、質問に入らせていただきます。
知事は、本年九月一日に都政改革本部を立ち上げ、十六人の特別顧問などを中心に、さまざまな都政の課題に今現在取り組んでいらっしゃいます。
都政改革本部については、さきの第三回都議会定例会において、我が党の高木幹事長が、その位置づけや、顧問団と知事や理事者との関係についてお尋ねをしたところでありますが、特別顧問等の活動が多岐にわたってくるにつれ、その権限や責任について、議会としてもしっかりと整理をしていかなければならないというふうに今考えているところであります。
そこで、本日は、この都政改革本部に関していろいろと質疑を行っていこうというふうに思っておりますが、初めに、地方自治体である東京都を構成する機関とその役割、また意思決定の仕組みについて、基本的なことではありますが、改めて確認をしていきたいというふうに思っております。
普通地方公共団体は、みずからの判断と責任において事務を管理し執行する執行機関と、執行機関の事務執行を補助するための補助機関、そして、条例や予算などの重要事項についての審議等を行う議決機関とで構成されております。
そこで、まず、地方自治法上、執行機関である長の権限についてはどのように規定をされているのか、お伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 地方自治法におきましては、執行機関である知事の権限につきまして、当該地方公共団体を統括し代表する権限や、当該地方公共団体の事務を管理し執行する権限、補助機関である職員を指揮監督する権限等について規定されております。
○ほっち委員 東京都の事務は極めて複雑で多岐にわたりますが、知事一人で全ての意思決定を行っているのか、お伺いいたします。
○小笠原都政改革担当部長 東京都としての意思決定につきましては、知事及び決定権限の配分を受けている各局長等が行うものとされております。
○ほっち委員 地方自治体には、専門家や学識経験者等がメンバーとなる審議会や審査会といった機関がありますが、その性格や目的、設置要件などについてお伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 普通地方公共団体における執行機関の附属機関は、地方自治法において、法律または条例の定めるところにより設置され、執行機関が行政を行うに当たり、必要な調停、審査、審議または調査などを行う機関と規定されております。
また、附属機関を設置する目的としては、専門知識の導入、公正の確保、利害の調整、民意の反映などがございます。
○ほっち委員 それでは、都政改革本部は何に基づいて設置をされているのか。また、本部の位置づけについてお伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 都政改革本部は、平成二十八年九月一日付で都政改革本部設置要綱に基づき設置されたものでございます。
同本部は、知事を本部長とし、副知事及び各局長等を本部員とする全庁横断型の都庁内部の会議体でございます。
意思決定につきましては、本部の議論を踏まえた上で、知事及び各局長等が行うものとされております。
○ほっち委員 都政改革本部には、現在どのようなプロジェクトチームがあり、また、その設置根拠についてお伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 都政改革本部設置要綱第三条第四項におきましては、本部長は、必要があると認めるときは、専門的な課題を検討するためのプロジェクトチームを設置することができると規定しております。
この規定に基づき、現在、本部内には、情報公開調査チーム、オリンピック・パラリンピック調査チーム、内部統制プロジェクトチームの三つのチームが設置されております。
○ほっち委員 プロジェクトチームは、都としての方針を決定する権限を有しているのか、プロジェクトチームの権限についてお伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 都政改革本部の各プロジェクトチームは、本部長である知事に助言、提言を行うために設置されたチームでございまして、都としての方針は、知事及び決定権限の配分を受けている各局長等が決定することとされております。
○ほっち委員 都政改革本部の特別顧問等を設置した理由及び任命の経緯についてお伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 都政改革本部は、都民ファーストの都政の実現に向けた改革を推進するために設置されておりまして、その所掌事項は、都政の課題についての実態調査及び改善策の検討に関すること等でございます。
特別顧問等につきましては、都政の課題の検討に当たり、客観的な第三者の視点を反映させるため、本部長である知事が、東京大改革をともに進めるという同じ志を持ち、さまざまな知識や経験を有する外部の方を任命したとのことでございます。
○ほっち委員 それでは、特別顧問等の身分は何か、また、どのような権限が与えられているのかというところをお伺いいたします。
○小笠原都政改革担当部長 特別顧問、特別参与、特別調査員は要綱によって設置されておりまして、その身分は、地方公務員法に規定する特別職の非常勤職員でございます。
また、特別顧問及び特別参与は、顧問の設置及び運営に関する規則に規定する東京都顧問としての身分を有しております。
特別顧問等は、本部長である知事の命により、改革本部において、政策的見地から、あるいは技術的、専門的見地から、都政の課題についての実態調査や評価、課題の整理、改善策の検討を行うことが職務となっております。
○ほっち委員 特別顧問等は、職員の方に直接指示、命令をすることができるのか、お伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 特別顧問等からは、それぞれの専門知識や経験等に基づき、助言や提言をいただいております。
調査の過程で、職員に対して資料の提出や作成、情報収集などを依頼することもございますが、指示や命令として行っているものではなく、特別顧問等の役割としての調査や助言の一環として行っているものであると認識しております。
○ほっち委員 それでは、上山特別顧問は、十月十八日のIOCのバッハ会長と知事との面会に同席をして、その場で知事が渡した文書を作成したようですが、その文書は都の公文書なのか、また、どのような位置づけの文書なのか、お伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 十月十八日にIOCのバッハ会長にお渡しした文書は、特別顧問が知事と相談して作成し、知事からバッハ会長にお渡しした文書であることから、公文書に当たると考えております。
特別顧問から伺っているところでは、当該文書の内容は、オリンピック・パラリンピック調査チームとしての考え方をまとめたものでございまして、面会当日に、施設の見直しについて話が及んだときのために用意したとのことでございます。
○ほっち委員 調査チームの考え方をまとめたものであるのに、表紙にガバナーズ・オフィス・トウキョウ・メトロポリタン・ガバメントと書いてあったため、その後訂正するという対応をとったようですが、一連の訂正の経緯についてお伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 十月二十日、知事から、当該文書が都の方針として意思決定されたものであるとの誤った受け取り方をされないよう、表紙の作成者について削除の指示がございました。
作成者を削除した後、訂正部分を明示したペーパーとともに、削除後の資料を記者クラブ各社に配布をいたしました。あわせて、ホームページについても訂正を行い、IOCに対しても、表紙の訂正に関して説明する文書を送付いたしました。
○ほっち委員 IOCに対し、訂正の文書を送ったということでありますけれども、これは誰の名前で訂正をしたのか、お伺いをしたいと思います。
○小笠原都政改革担当部長 平成二十八年十月二十六日に、IOCの事務総長に対し、十月十八日の面会時に配布した資料の位置づけと表紙の訂正に関して説明する文書を、総務局長とオリンピック・パラリンピック準備局長の連名で送付をいたしました。
○ほっち委員 それでは、特別顧問等の報酬額というのは幾らなのか、また、その基準はどこに決められているのか、お伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 特別顧問等に対する報酬につきましては、非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例に基づいて支給すると要綱で定めております。
一時間当たりの報酬額は、特別顧問七千三百円、特別参与六千五百円、特別調査員五千百円でございます。
○ほっち委員 それでは、特別顧問等へはどのような場合に報酬を支払うのか、お伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 報酬につきましては、都政改革本部会議への出席を初め、各局や関係者との打ち合わせやヒアリング等に特別顧問等が従事した場合に支払うこととしております。
○ほっち委員 この特別顧問のお話なんですけれども、先日は、外国特派員協会で記者会見をしているところが大きく報道をされておりました。その会見では、みずからのチームでまとめた報告書の内容をお話ししていたようですが、特別顧問というのは、本来、知事へ助言、提言をすることが役割ではないのでしょうか。報告書の内容について説明をすべきなのは、本来は提言を受けた側の都知事が説明をするべきではないかというふうに私は思っております。
これまでも、特別顧問の方がたびたびマスコミに登場してご自身の意見を述べているという姿を目にしましたし、あたかも東京都を代表しているかのようにテレビ等に出て見解を述べるというのは、特に問題がないのでしょうか。一般の都民の方は、都を代表して、都の考えとして発信しているというふうな誤解を持って見ている方も私は多いというふうに思っております。
私は、この点について非常に、ちょっとおかしいなという違和感を覚えておりますが、そこで確認を、再度質問させていただきますが、都政に関する重要な情報を扱う特別顧問などについては、どのようにして守秘義務を課しているのか、お伺いをいたします。
○小笠原都政改革担当部長 特別顧問等には、特別顧問、特別参与及び特別調査員設置要綱第五条におきまして守秘義務を課しております。
また、就任に際しまして、特別顧問等は、同要綱の規定に基づき、守秘義務を遵守する旨の誓約書を提出しております。
○ほっち委員 特別顧問が職務を行っていく上で、もし仕事上のミスを犯した場合は、責任は誰がとるのか、お伺いをいたします。
○多羅尾総務局長 特別顧問は、地方公務員法第三条第三項第三号に規定する特別職の非常勤職員でございまして、本部長である知事の命により、都政の課題について改善策を検討し、助言、提言することを職務としております。
都では、専門知識や豊富な経験を有する非常勤職員を任用し、都政のさまざまな分野で活用していますが、担当する職務を進める上では、いずれも非常勤職員みずからが一義的な責任を負っております。したがいまして、特別顧問も非常勤職員であることから、みずからが職務上の責任を一義的に負っているということでございます。
なお、管理監督という意味では、特別顧問は、要綱上、都政改革本部長である知事に直接任命されております。
○ほっち委員 続いて、市場問題プロジェクトチームについてお伺いをしたいと思っております。
この市場問題プロジェクトチームは、なぜ都政改革本部の中に位置づけがなかったのか、その理由についてお伺いをいたします。
○池上都政改革担当部長 都政改革本部では、都民ファーストの都政の実現に向けた改革を推進するため、都政のさまざまな課題についての評価や改善策などの検討を行っております。
一方、市場問題プロジェクトチームにつきましては、築地市場から豊洲市場への移転という特定のテーマにつきまして、土壌汚染、液状化、建築構造など、特定分野に精通した専門委員に集中的に調査していただくこととしていることから、本部とは別に設置をしております。
○ほっち委員 市場問題プロジェクトチームのメンバーは専門委員とのことでありますけれども、専門委員とはどのような職なのか、なぜ特別顧問ではないのか、お伺いをいたします。
○池上都政改革担当部長 専門委員の職務は、知事が委託する特定の事項について調査研究し、報告をすることでございます。一方、特別顧問の職務は、大所高所に立った政策的見地から、広く都政の課題について評価し、改善策を検討し、助言、提言を行うことでございます。
市場問題プロジェクトチームは、築地市場から豊洲市場への移転という特定の事項を調査対象としており、その調査に当たっては、建物の構造設計や液状化などに関する高度な専門知識を要することから、特別顧問ではなく専門委員を設置しております。
○ほっち委員 それでは、市場問題プロジェクトチームの専門委員は、誰が人選をして任命したのか、お伺いをいたします。
○池上都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチームの専門委員につきましては、知事が人選をし、任命しております。
○ほっち委員 それでは、市場問題プロジェクトチームの専門委員の報酬の取り扱いについてお伺いをいたします。
○池上都政改革担当部長 専門委員の報酬は、非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例に基づき支給をしております。
本プロジェクトチームの専門委員には、月額十五万円を支払うこととしております。
○ほっち委員 それでは、この専門委員には守秘義務は課されているのか、お伺いをいたします。
○池上都政改革担当部長 専門委員は、特定事項の調査を行うため、専門の学識経験を有する者の中から知事が選任する非常勤の特別職の地方公務員でありまして、守秘義務が課せられております。
○ほっち委員 そうしますと、専門委員がテレビなどに出演をして、職務上知り得たことや個人的な意見を話すことというのは許されるのかどうなのか、お伺いをいたします。
○池上都政改革担当部長 専門委員は、職務上知り得た秘密について、在職中はもとより、退任後も漏らしてはならないこととされております。
なお、公の場で議論されているような建物の設計内容や構造計算などについては、秘密文書に該当するものではなく、また、個人としての意見を表明することを妨げるものではございません。
しかし、公の場で、守秘義務を遵守していないであるとか、個人の意見がプロジェクトチームの結論であるとの誤解を招くような言動は、厳に慎むべきであると考えております。
○ほっち委員 今もお答えをいただきましたけれども、公の場で、守秘義務を守っていかなければいけないですとか、個人の意見であっても誤解を招くような言葉は慎むべきだというふうなお答えが今ございましたけれども、やはりこのことをしっかりと任命権者である知事にもご理解をいただいて、その専門委員の方に、こういうことですよということを再度しっかりといっていただきたいなというふうに思っております。
私、地元の地域を歩いておりますと、専門委員さんがいったことが東京都の結論だというふうないい方が多くて、特別顧問のときもそうなんですけれども、東京都は今こうなんだというふうな意見をよく私も耳にします。でも、誰が決めたのですかと私が伺うと、テレビでいっていたわよという答えになるんです。
ですので、そこら辺のオープンな--全てをオープンに見せるということは大事であると思いますけれども、やはりそういうこともしっかりと徹底していただきたいということをお願いしたいなというふうに思っております。
それでは、続いて、中央卸売市場の幹部人事異動に関して質問をさせていただきたいと思っております。
去る十月十五日付で、中央卸売市場長を初めとする幹部の大幅な人事異動が実施をされました。本日は、異動の当事者となった方も出席をされているため、ご本人の前で質疑を行うということは、私自身も大変忍びないというか、申しわけないというか、そのような気分を非常に持っておりますけれども、この異動が職員を過度に罰するものではないかという懸念があることから、あえて質問させていただくことをお許しいただきたいなというふうに思います。
まず、豊洲市場の建物地下に盛り土がなされていなかった問題を発表した九月十日の記者会見において、知事は、誤った情報を公開していたことについて、全都庁の職員に粛正をしていきたいと発言されました。
それから一カ月ほど経過した十月十五日に幹部人事異動が行われたわけでありますが、中央卸売市場長の異動について、知事は前日の定例記者会見で、総務局の理事職というのは、これは市場長より格下になることになります、そういった意味では、公務員としてのピラミッドからすれば、二歩ほど後退という形になり、それをもって処分というのかどうか、ご判断いただければと思いますと発言をされました。
発言の中で、知事は後退や処分といった言葉を使っていますが、今回の異動は懲戒処分に当たるのかどうか、都の見解をお伺いいたします。
○栗岡人事部長 地方公務員法第二十九条に規定される懲戒処分は、法令や職務上の義務に違反した場合、職務を怠った場合や全体の奉仕者としてふさわしくない非行のあった場合に行うものでございます。
人事異動は、こうした法令上の懲戒処分には当たりませんが、一般的に、職務遂行上、支障や不都合が生じるおそれがある場合などに、人事上の措置として異動を実施することがございます。
今回の異動は、第三回都議会定例会の閉会を機に、豊洲市場整備に関連するさまざまな課題の解決に向け、中央卸売市場の体制を刷新、強化するために実施したものでございます。
○ほっち委員 今の答弁で、法令上の懲戒処分がどういうものなのかがわかりました。
しかし、小池知事は、今回の異動について後退と表現していることから、何らかの処分性があるのではないかと疑わざるを得ません。
また、先ほども申しましたけれども、やはり、私、地域を歩きますと、かわいそうだよねという素直な都民の声というものもございます。その人だけが悪いわけじゃないよねという声も、私も正直耳にしています。
その中で、民間企業においては、業績の上がらない社員に対する処分的な意味合いも含めて、いわゆる右肩下がりの異動が行われているというふうに聞いておりますけれども、実際に今回の異動では、中央卸売市場から総務局理事への異動など、ラインの職からスタッフの職へと異動している例が幾つか見られます。
そこで、こうした異動は降任に当たるのかどうか、見解をお伺いいたします。
○栗岡人事部長 地方公務員法上、降任とは、職員を現在の職務の級より下位の級に任命することをいいまして、例えば部長級の職員が課長級の職員になる場合をいいます。
職務の級が下がるような異動は行っていないことから、法令上の降任には該当するものは含まれてございませんけれども、今回の異動は、先ほど答弁しましたとおり、人事上の措置として、諸般の事情を考慮して行ったものでございます。
○ほっち委員 今、今回の異動は法令上の降任に当たらないとのことでありますけれども、それでも、後退という都知事の言葉、表現からすると、処遇面で、例えばですけれども、給与上何らかの影響が生じたのではないかというふうにも考えられますが、そこで、今回の異動により、俸給、つまり給料月額の引き下げが起こっているのかどうか、お伺いをいたします。
○栗岡人事部長 地方公務員の給与について、地方公務員法において、職員の職務と責任に応ずるものであるという職務給の原則が定められてございます。
都におきましては、局長級や部長級の職員に職務給の原則が徹底されてございまして、ポストに応じて給料月額が定額化されているため、異動により職務の内容が変わった際に、給料月額が上がるだけではなく、下がる場合もございます。
委員がご指摘の降給とは、同一の職務の級において、現在の給料月額よりも低い給料月額に決定すること、つまり、職務の内容が変わらないのに給料月額が下がることをいいますが、今回の異動では職務の内容が変わっていることから、仮に給料月額が下がったとしても、法令上の降給には該当いたしません。
○ほっち委員 十月十五日付で実施されました中央卸売市場の幹部人事異動について、懲戒処分なのかどうか、また、降任や降給に当たるのかどうかというふうなことを伺ってまいりましたけれども、ここまでの答弁では、法令上、いずれにも該当しないということではありました。
しかし、今回の異動は、答弁でも触れられているように、人事上の措置として実施したとのことであり、そこに処分性がなかったとはいい切れないのではないでしょうか。実際、豊洲市場問題をめぐる自己検証報告書によって管理監督責任を指摘された関係者は、再三にわたる批判にさらされており、その影響というのは、ご家族の皆さんにまで及んでいるというふうにも聞いております。
こうした状況の中では、職員の皆さんが自分の職務に萎縮をし、組織全体の士気が低下してしまうのではないのかというおそれを私自身は心配しております。皆さんは自信を持って、これまでも、これからも仕事をしていただきたい。我々も、しっかりと信頼をしながら仕事をしていきたいというふうな思いでいるところであります。
そこで、こうしたときこそ適切な組織運営というものが求められるというふうに思っておりますし、人事を所管する総務局長としての見解をお伺いしたいというふうに思います。
○多羅尾総務局長 豊洲市場整備に関する問題は、担当職員一人一人が前例のない土壌汚染対策工事等に全力で取り組んでいたにもかかわらず、豊洲新市場整備方針に反して、盛り土を行わずにモニタリング空間を設置することを適切な手続を経ないまま進めてしまったものでございまして、非常に残念でならないと感じております。
都は、今回の問題を、関係する職員のみならず組織全体の問題として捉え、その対策として、全庁的に、仕事の進め方や組織のあり方、さらには職員意識の改革といった観点から、さまざまな見直しの検討を始めているところでございます。
一方、組織にとって人は最大の財産であり、個々の職員が持てる能力を最大限発揮することが、必ず都政の発展につながっていくと認識しております。
こうした観点に立ち、職員一人一人の意欲を大切にし、能力、業績を適切に評価するなど、きめ細かい人事管理を行うことで、特にこのような時期には、職員のモチベーションをより一層高めていくような組織運営に努めてまいりたいと考えております。
○ほっち委員 豊洲市場の盛り土問題をめぐり、都政に対する信頼が大きく損なわれたということは明らかであります。失われた信頼を回復するためには、職員一人一人がこれまで以上に職務に全力で取り組むことはもちろんでありますけれども、このような厳しい状況に直面している今こそ、人事を所管する総務局として、適切な人事管理を行い、都の執行力を最大限発揮できる組織を構築していただくことを強く要望しまして、私からの質問を終わります。
○ともとし委員長 ほっち議員の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
午後三時十三分休憩
午後三時二十六分開議
○ともとし委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
○遠藤委員 それでは、私からは、都政改革本部内に設置されてございます内部統制プロジェクトチームに絞って質問をさせていただきたいと思います。
十一月二日に開かれましたオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会では、私は、都政改革本部そのものや、また、その中の構成員でございます特別顧問の方、さらにオリンピック・パラリンピック調査チームについて、設置理由や、また、その役割等を質問いたしました。
その一方、十一月十五日に開かれました総務委員会、政策企画局に対する質疑の中では、都の顧問制度全般について質疑を行いました。
本日は、冒頭申し上げましたとおり、この都政改革本部に設置されております内部統制プロジェクトチームについて、基本的なことについてお伺いをいたしたいと思います。
この内部統制という言葉はよく使われるわけでありますけれども、そもそも行政において内部統制というものはどんな意義を持っている言葉なのか、まず答弁をいただきたいと思います。
○池上都政改革担当部長 内部統制とは、国が設置いたしました第三十一次地方制度調査会の答申によりますと、事務を執行する主体である長みずからが行政サービスの提供等の事務上のリスクを評価及びコントロールし、事務の適正な執行を確保する体制としております。
内部統制の取り組みを推進することの意義といたしましては、マネジメントの強化や事務の適正化の確保が促されることなどが考えられます。
○遠藤委員 今、答弁がございました内部統制について、事務を執行する主体である長みずから、都政でいえば小池知事ということだと思いますけれども、小池知事みずからが行政サービスの提供等の事務上のリスクを評価及びコントロールし、都の事務の適正な執行を確保する体制を、都においても内部統制、こういったことの定義づけ、意義なんだろうと思います、答弁は。意義についても、マネジメントを強化する、そして事務の適正化の担保を促すことという、こういう答弁であったと思います。
それでは、都政改革本部内には、情報公開調査チーム、オリンピック・パラリンピック調査チーム、そして、今話題となりました内部統制プロジェクトチームという三つのチームがあるわけでありますけれども、この内部統制チームだけが、調査チームではなくプロジェクトチームというように、調査、またプロジェクトという形で名前を使い分けているわけであります。
名は体をあらわす、こういう言葉もあるとおり、なぜプロジェクトチームという名称を使っておられるのか、その区別について説明をいただきたいと思います。
○池上都政改革担当部長 調査チームは、専門的な課題を検討するために、特別顧問等のみをメンバーとして設置されたものでございます。
一方、内部統制プロジェクトチームは、既存の制度を自律改革の一環として点検し、内部統制の改善策を検討していくため、管理部門の都庁各局と特別顧問等によりチームを構成しております。
○遠藤委員 その内部統制プロジェクトチームでありますけれども、現在、どのようなテーマ、アジェンダをセッティングしているのか、そして、今後どんなテーマについて検討することが予定されているのか、お答えいただきたいと思います。
○池上都政改革担当部長 現在、内部統制プロジェクトチームでは、具体的なテーマとしまして、入札契約制度について検討を行っているところでございます。
今後は、事業の枠を超えた全庁的視点に立った内部統制の課題について検討していく予定でございます。
○遠藤委員 先ほど部長が答弁されました、いわゆる内部統制についての意義ということで、地方制度調査会の第三十一次答申、私も事前に頂戴いたしましたけれども、その中で、一般的に、財務局、または財務部門が担う契約、入札関連の項目については、重要な事項であるので、いち早く取り組むことが適切であるということが書いてございました。
まさにそういった意味では、都の内部統制プロジェクトチームでも、この答申の中に示された、いわば一丁目一番地ということで、この契約、入札について議論を開始しているんだろうと思います。
事前に我々の手元にいただいております、このプロジェクトチームの今後の中身については、全部は挙げませんけれども、事業の評価ですとか、または補助金の使途、こうしたものについても順次検討、議論をされていく、このように聞いております。
それでは、今、答弁がありました入札契約制度について、このプロジェクトチームでは、結果的に、どんなことを目標に、どんな成果を目指して、現在議論が展開されているのでしょうか。
○池上都政改革担当部長 入札契約制度は、その時々の状況や時代背景に応じた不断の改革が重要でございます。
内部統制プロジェクトチームでは、今後の入札契約制度の適正化に向けて、新しい制度、運用のあり方を提案していくことを目的としております。
○遠藤委員 成果を目指してということで聞きましたけれども、それでは、どんなやり方、手法をもって検討、検証しているのか、そのやり方についてお伺いいたします。
○池上都政改革担当部長 現在取り組んでおります入札契約制度では、特別顧問等による制度所管局と事業実施局へのヒアリングを中心に検討を行っているところでございます。
○遠藤委員 先ほど最初の答弁で、内部統制プロジェクトチームと調査チームとの違いについて答弁がございました。今、最後にお話がありましたとおり、ヒアリングを中心に検討を行っている、このようなことでありましたけれども、せっかくこのような形でプロジェクトを設置されてございますので--これはそうではないと顧問の皆さん等々はいわれるかもしれませんけれども、これまで、マスコミ報道ですとか、また、私もじかに職員の皆さんといろんな話をする中で、一方的なヒアリングが中心であるような、そういう声も聞こえてくるわけであります。
そういった意味では、このプロジェクトチームについては、調査チームということで、内部の、例えば過去の契約の民事上の適否や、または職員の皆さんの責任を問う、決してこういうことが目的ではないと。そういうことでありますので、いってみれば、皆さんと、そして特別顧問の方は、いわゆるイコール、対等の関係で、より有意義な入札契約制度について議論をし、改善策を練っていく、こういうことでありますので、私は、ぜひこうした、お互い、イコールパートナーという立場に立って検討を進めていくべきであると思いますし、今後、この制度の運用改善に向けて、皆さん方からも積極的な意見を出して、決して萎縮することなく、建設的に意見を闘わせていただくことが重要だ、このように思ってございます。
この内部統制プロジェクトチームは、いろいろこれから議論をするわけでありますけれども、この検討結果について、いわゆる親機関というんですか、都政改革本部会議に、どのようにその成果について今後報告いたしていくのか、これについて答弁を求めたいと思います。
○池上都政改革担当部長 第三回都政改革本部会議では、入札契約制度につきまして、制度の運用の現状整理とケーススタディーについて報告したところでございます。
今後、制度と運用の見直しや改善策などについて、本部会議に報告をしていく予定でございます。
○遠藤委員 きょうは、内部統制プロジェクトチームについて基本的なことをお伺いいたしました。いわばキックオフであります。
最後に、意見を申し述べて質問を終わりたいと思います。
過日、オリンピック・パラリンピック調査チームから出されましたバージョン〇・九という調査報告書についてオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会で議論になりまして、私も、この調査報告書並びにその策定におけるさまざまな方々の関与について質問させていただきました。
今後さらに、各方面からのさまざまな意見を反映してバージョンアップしていく、こうしたことを見越してバージョン〇・九としたという、こういう答弁がありますけれども、私は、これはオリ・パラの質疑でも意見しましたけれども、そうであれば、我々にも、また一般都民にも、そして一般社会でもある意味使われている、例えば中間報告や第一次報告等にすべきものであったのではないか、このように思っております。
そもそも行政機関から出される報告は、それが会議における提言の位置づけであったとしても、それはそれで完成したものとして出されていなければ混乱を招くことになりかねませんし、そのベースとなるものが、仮にそうした形で、言葉が適切であるかどうかはちょっとあれですけれども、完成されたものでなければ、その議論そのものが有意義でなくなってしまう、このように思うわけであります。
恐らく都民の多くの方は、都の会議で出された文書について、〇・九ですから、〇・一足りないものとして受けとめたりはしないのではないか、このように思っております。そういった意味では、今後の報告については、混乱や誤解を招くことのないように、中間報告、最終報告、さらには素案等々の、誰が見ても誤解を招かない表記、また、報告書の位置づけをはっきりとさせて公表すべきだと思います。
そういった意味では、この〇・九バージョンは改革本部の方から出されたもので、なかなかそこに総務局の皆さんが関与できなかった、そうしたことも、この前、答弁がありましたけれども、その辺については、しっかりと担当のセクションとして助言をしていただきたい、このように思ってございます。
今回取り上げました内部統制プロジェクトチームのあり方につきましては、先ほどちょっと触れましたけれども、地方制度調査会の答申の中で、内部統制と関連して、長による内部統制体制の整備及び運用のチェックとして、監査委員の制度、そして我々議会の関与、内部統制体制をチェックするその重要な位置づけということで、監査委員並びに我々議会の役割というものも記されておりました。
我々公明党としては、特に議会の役割という点は、これまでも大変に重視いたしておりましたし、この調査会による答申にも、明確に議会の関与が極めて今後重要であるというようなことが記されておりますので、これはここではきょうは議論しませんけれども、また内部統制の議論とあわせて、強い関心を持って後に議論をさせていただきたい、このように思ってございます。
ところで、十一月十五日、先ほども触れましたけれども、総務委員会、政策企画局への都の質疑の中におきまして、都政改革本部及び都の顧問制度全般について質疑をした中で、最後に長谷川政策企画局長に、都政改革本部または顧問制度については、都政全体にかかわるテーマであるから、分掌にあるとおり、本来、都の顧問制度等を所管する政策企画局が所管すべきであると、私はそういう問題提起をしたところ、長谷川局長からは、いやいやそうじゃないんです、今回の都政改革本部、また特別顧問等々の働きについては、主に行政改革の視点、観点が極めて重要であるからこそ総務局が所管になっているんですと、こういう答弁がありました。
しかしながら、顧問制度は、今申しましたとおり、そもそもは政策企画局が所管をするということで、これは分掌の中にそう入ってございます。
そして、実態としても、これまではオリンピック・パラリンピック等の報告書を出して、そこが議論の中心になっておりましたけれども、知事が策定されます二〇二〇年の実行プログラムについても、既に各局に、顧問の方々から、または都政改革本部からはヒアリングが行われ、今後についても、恐らくこの議論に関与されていくことになるんだと思います。
私は、それがいいとか悪いとかいっているのではないのですけれども、であれば、冒頭申し上げましたとおり、局長は--局長というのは長谷川局長でありますけれども、総務局としっかり連携をとって進めていく、こういうような答弁がありました。前のオリ・パラ特委での、これは多羅尾局長から、顧問制度全般についてもしっかり整理をしていく、このような答弁がございました。いわば両局長の問題意識、何らかの形で整理しなければいけないという、こういう問題意識は共通されているのだろうと思います。
都政改革本部が出されたみずからの報告書の中に朝令暮改、これでも、いい意味での朝令暮改でも結構なんだと。それが報告書であり、基本的には特別顧問のお考えであるのかなとも思いますので、ぜひ、このまま総務局の中に都政改革本部を置くということよりも、むしろ、さらに今後、都政の全体に対する位置づけというものが大きくなってくるわけですので、上山さんがいうとおり、朝令暮改でも結構だということであれば、私は改めて、この機能は、または所管は政策企画局に置くべきだということを意見として申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
○曽根委員 私からは、まず一点目、分譲マンションの防災対策についてお尋ねしたいと思います。
私もマンション族の一人なのですが、私は六階に住んでおりますが、上の階のお宅が火災になったときには、消防の水をかぶりまして大変な思いをしたこともあり、また、東北の大震災の際には、マンションの防災管理者であった私が何とか自宅にたどり着くまでに、帰宅困難者としての一人として大変苦労もいたしました。
最近、「東京防災」が発行されまして、東京都も、各マンションに講師を派遣し、マンション防災の講習会を行うなど、都民世帯の全体で四割、分譲マンションでいえば二割を占めるマンションの防災に力を入れ始めていることは大変重要だと考えております。
最近の分譲マンションは、規模によっては一つの大きな地域になっており、大規模災害によって、周辺地域に思わぬ二次災害をもたらす場合もあります。にもかかわらず、大半の自治体は、マンションの管理組合との直接のパイプがなく、そのために、区や市町村が自治会、町会に行っている、例えば防災資器材や防災活動への支援などがマンションには直接は届きにくいという関係です。この点で、防災力の向上に対して公的支援のあり方がこれまでも課題になってきております。
そこで、都として、総合防災部を中心に関係各局が連携し、区市町村や関係諸団体と協力して、マンション居住者による防災対策として、例えば組織づくり、計画づくり、備品や水、食料の確保、防災訓練の定期化など、都内各マンションの防災対策が大きく前進するよう取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。
そこで、平成二十七年、昨年に国から出されました、都市部を初めとしたコミュニティの発展に向けて取り組むべき事項についてという通知について、ここには、マンションの管理組合も、自治会や町会と同じく地域コミュニティの担い手として捉えるべきとの方向が示されていると思いますが、どういう内容を述べているのか、また、この通知の区市町村への周知を行っているかどうかをまずお聞きします。
○和田防災対策担当部長 総務省から、平成二十七年五月に、都市部を初めとしたコミュニティの発展に向けて取り組むべき事項についての通知が発出されております。
当通知の内容は多岐にわたっておりますが、防災に関する記述といたしましては、マンションにおいて自発的な防災活動を行う管理組合なども自主防災組織として位置づけることが有効と記載されております。
また、本通知につきましては、所管部を通じて、各区市町村の防災担当部署及び住民コミュニティ部署などの関係部署に対し、広く周知を図っております。
○曽根委員 私は、この通知を見まして、大変重要な点が二つあると思うんです。
一つは、マンション住民と地域住民との関係について述べた点で、地方公共団体によるコミュニティ関連施策の対象にマンション管理組合が扱われてこなかったわけですね、事実上。これを、各地方公共団体において地縁団体を対象に各種の連絡、支援を行う際には、その内容に応じ、管理の一環としてこれらのコミュニティ活動を行っていると認められる管理組合等に対しても同様の取り扱いを行うことというふうに示された点です。
つまり、管理組合が自分たちもコミュニティを担っている活動をやっているんだということであれば、町会、自治会と同じように、さまざまな自治体からの、例えば広報の配布だとか、それから、もちろん防災についてのさまざまな援助ができるようにすべきではないかということ、これが一つ。
今、お話の、お答えの中にあったように、自主防災組織として、これまでは地縁団体、つまり自治会、町会が主なベースとして想定されてきたところであるが、多くの区分所有者が居住者として住むマンションにおいて自発的な防災活動を行う管理組合等も自主防災組織として位置づけることが有効であると。また、こうしなければなかなか、大規模なマンションであっても、防災活動を自分たちだけで取り組むというのは難しいことですし、自治体の支援も届きにくいということではないかと思います。
それで、この二つの点をもとにして、自治会、町会の支援と同等の、例えば区市町村による防災資器材、例えばD1ポンプとか、今はさまざまなそのほかの資器材の配布も行われておりますが、マンション特有の防災の課題についても、啓発や情報提供なども行えるようになるのではないかと思います。
都として、マンションの防災対策への支援として、現在どういう取り組みを行っているか、お聞きします。
○和田防災対策担当部長 災害時には、行政による公助だけでなく、自助、共助が不可欠でございます。マンションなどでも、居住者みずからが自主的な防災市民組織を結成し、自助、共助の取り組みを進めることが重要でございます。
都内には、意欲的な防災活動に取り組んでいるマンションもあることから、こうしたマンションの防災市民組織を都認定団体としております。
また、防災の専門家を防災活動を行う団体に派遣する「東京防災」学習セミナーにおいては、コースの一つとしてマンションの防災対策を設定し、マンション管理組合における防災活動を支援しております。
○曽根委員 マンション防災の講習会、私のマンションでも申し込んで、なかなか去年は当たらなかったのですが、今回当選しまして講習を受けることができました。熊本地震の経験も含めて講習の中に取り入れていただいて、初心者コースでしたけれども、役に立ちました。
こうした取り組みを引き続き進めると同時に、今、私が思うに一番不足しているのは、自治体と各マンションを結ぶ具体的なパイプがないという問題なんです。ところが、今お答えになったように、総務局の取り組みとしての講習会もやられているのですが、既に五年前から都市整備局の方でマンション啓発隊活動というのを行っていまして、昨年の十月時点で、旧耐震基準で建てられたマンションが都内に約一万二千棟あると。旧耐震基準ですから、何らかの対策が必要な場合もあるということで、ここを対象に、五年かけて、約九割に相当する一万三百棟を直接訪問したという実績を持っているそうなんです。
こういう活動では、管理組合の役員などから直接話も伺って、各マンションの事情をきめ細かく把握することができる、また、さまざまな助成制度の周知も図られ、成果も上がってきているというお話がありました。
こうした点で見ると、むしろ地域によっては、地元の区市町村よりも東京都の方が、今は都市整備局ですが、マンションに直接のつながりを持っている、訪問実績がある。ですから、課題を抱えたマンションには、そういった記録をもとに、改めて防災等の支援をすることができる、よりどころがあるということなんですね。
こういうものも生かして進めていくと、より施策が効果的に進むと思うのですが、こうした都市整備局などの取り組みとの連携はどういうふうに行っているでしょうか。
○和田防災対策担当部長 安全・安心な都市を目指すためには、庁内各局と連携して、計画的に防災の取り組みを進めていく必要がございます。
東京の防災プランでは、マンション耐震化の取り組みを、建物の耐震化、更新等の項目の中で掲載するとともに、本年三月に公表した東京の防災プラン進捗レポート二〇一六でも、マンション啓発隊を具体的な取り組みとして取り上げるなど、各種施策を計画的に進めているところでございます。
○曽根委員 少しずつ前に進んでいるようなんですが、私ちょっと具体的な提案がありまして、例えば都市整備局では、各分譲マンションに対して管理組合の運営マニュアルというものを冊子として発行しており、今回、マンションの施策が住政審などで出されましたので、改定して中身を充実させていこうという動きになっています。
それから、総務局さんが発行した「東京防災」の冊子の中にも、マンションの防災についても一部触れられています。
ところが、実際の分譲マンション、特に高層の住宅の場合は、一般の住宅の防災とは全く違った、例えばエレベーターの問題、それから高層階での閉じ込められた場合の対策、中間階の備蓄が必要ではないかなどなど、さまざまなマンション特有の、高層住宅特有の課題を抱えております。
そういう点では、私はこれらをある意味で融合し、発展させて、マンションの防災のためのマニュアルというものをつくって、これは既に中央区など都心区ではつくっているところもあるそうですから、こういったものを、先ほど申し上げたように、問題を特に抱えている旧耐震などのマンション、高齢化が進んでなかなかインターネットなどが見られない、そういう高齢化したマンションのところに直接冊子を情報として届ける、紙媒体で届ける、こういうことは非常に重要ではないかと思うのですが、こういう提案について今後検討していただけないかどうか、お答えいただきたい。
○和田防災対策担当部長 地域の防災力を高めるためには、自助、共助の取り組みを進めることが重要でございます。
防災ブック「東京防災」において、マンションにおける防災マニュアルの作成を紹介しております。
また、「東京防災」学習セミナーでは、マンションの防災対策のコースにおいて、マンションにおける活動マニュアルの参考となるよう、講義やディスカッションを実施しているところでございます。
今後もこうした取り組みを進めてまいります。
○曽根委員 基本的に、東京都のマンションに対する施策は、いろんな申し込みを待っている段階なんですね。しかし、多くの専門家が語っておりますように、高齢化が進み、老朽化が進んだマンションでは、もう管理組合自体が運営能力を失いつつある、もしくは自分たちでマンションを何とかしようという意欲すら失いかけているところも出てきていると。
こういうところが、東京都にお願いします、講習会をやりたいんですけどというふうに手を挙げるのを待っているのでは、手おくれになる事態も考えられますので、そういう点では、せっかくマンションに直接訪問で一万軒以上の訪問をやってきた東京都の実績なども、局の壁を越えて協力し合って、直接支援が、しかも有効な支援が届くような手だてを考えていただきたい、このことを申し上げておきます。
残り時間で首都大学東京の支援について幾つかお聞きします。
首都大学東京については、私たちはこれまでも、学生への支援の大きな二つの柱、一つは授業料の減免制度の拡充、それから、大学の学生に対する、独自の給付型奨学金の支給ということを繰り返し提案もしてきました。また、都内出身の学生に対する、幅広く適用される給付型奨学金については、条例提案も前回の第二回定例会のときに提案いたしました。
最近、小池知事が高校生向けの給付型奨学金を具体化する意向を示すなど、教育費の負担軽減に前向きな動きが出てきたことを歓迎するものです。
そこで、首都大学の学生への授業料減免は、ここ数年で制度の中身は若干改善されてきていると思いますが、大学や都がどのような取り組みを行ってきたのか、この点について伺います。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 首都大学東京では、平成二十七年度から日本学生支援機構の奨学金の推薦基準を準用するなど、授業料減免の審査基準をよりわかりやすく改定するとともに、審査に用いる世帯の総所得額の計算方法の具体例を公表し、学生がみずからの世帯の状況を審査基準に当てはめて試算することができるようにいたしました。
なお、首都大学東京の授業料減免につきましては、平成二十七年度までは、公立大学法人の運営に係る経常的な経費に対する財源といたしまして、使途を特定せずに都から交付する標準運営費交付金を原資とし、法人がほかの経常的な経費との調整を図りながら一定の範囲内で対応してきたところでございます。
今年度からは、これを減免の対象となる学生数の実態に応じた金額を都から法人に交付できる特定運営費交付金に変更し、対象学生数の変動に、より柔軟な対応ができるよう改善を行ったところでございます。
これらの大学と都の取り組みにより、支援を必要とする学生へのより適切な支援が行えるようになったものと考えてございます。
○曽根委員 確かに、二つの点で改善が進んだと思います。
一つは、大体、学生は、自分の親の所得の細かい内容は余り知らないのが普通ですので、自分の親の所得が減免を受ける際の適用基準に入っているかどうかを確認するのはなかなか大変ということで、標準的なモデルを示したり、学生支援機構の基準をそのまま使ってわかりやすくするという点で、申し込みしやすくなるということはあります。
それから、これまで標準運営費交付金の中でやっていたので、運営費交付金が頭打ちになっている現状ではなかなか、本来、全額減免を受けられるはずが半額減免に終わってしまったみたいなことが過去にあったと思いますけれども、これは減ってきていると思います。いただいた資料で見ると、確かに全額減免がふえてきております。
しかし、これを見て思うのは、総数は余り変わっていないんですね。というか、若干ですが減っています。つまり、受けられる学生が大体受けられるようになってきたし、本来、全額減免を受けられる方は全額減免がきちんと適用されるようにもなってきたんだけれども、これは制度の所得基準そのものを大きく緩和しない限りは、学生全体の中で一割ちょっとなんでしょうか、この割合がこれから拡大していくことはないだろうなというふうに思われます。
そこで、やっぱり思い切って、全国の国公立大学、なかんずく都市が経営している公立大学に先駆けて、授業料減免の所得基準のハードルを下げるということを検討すべき段階に入っているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 首都大学東京では、他大学の動向や社会経済状況などを見据え、授業料減免の制度や運用の必要な見直しを行いながら、さまざまな学生支援に取り組んでおり、都としても適切に行われているものと認識してございます。
○曽根委員 ちょっと残念なお答えなんですが、全体として、大学生を抱える保護者世帯の中でも、実質所得の目減りがこの間進行しており、これは首都大学というわけではありませんが、大学生全体の中退率もふえてきております。
この間、我が国も、国連人権決議でうたわれている中等教育、高等教育の無償化を目指すという規定に批准いたしましたので、これは、政権が変わったからといって守れなくて当然というわけにはいかない国際的な約束になっているわけです。
したがって、国とともに、自治体である東京都、また首都大学の大学法人も、この課題に対してどう前向きに取り組むのかが問われておりますので、ぜひ積極的に検討していただきたいと思います。
それで、首都大学東京では、もう一つ、奨学金についても大学独自の奨学金制度を設けていると思いますが、その内容についてお聞きします。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 首都大学東京では、大学院博士後期課程に在学する学業成績の優秀な学生に対しまして、研究に専念できる環境を提供するため、平成二十一年度から博士後期課程研究奨励奨学金の制度を設け、毎年度、二十数名を対象に年額百八十万円の奨学金を給付してございます。
また、平成二十四年度からは、大学院に在籍する学生のうち、成績が優秀ですぐれた研究成果を上げている者を対象に大学院生支援奨学金を設けてございまして、毎年度、百三十名程度の学生に授業料の半額に相当する金額、例えば一般の大学院の場合であれば、年額二十六万円の奨学金を給付してございます。
これらの奨学金は、首都大学東京独自の制度でございまして、貸与ではなく給付型の奨学金でございます。
○曽根委員 大学院生、特に最近、オーバードクターの大変厳しい暮らしを、何とか研究者としてちゃんと食べていけるように国全体でも支援していく必要があるのではないかというようなことが機運としては盛り上がってきているだけに、首都大学の院生に対する給付型奨学金は大変重要だと思います。ただ、これは一般学生はほとんどないんですよね。
したがって、私は、国の方は今検討している段階ですけれども、これに先駆けて、首都大学のこの院生に対する奨学金制度を拡充しながら、独自の学部生に対する給付型奨学金制度を創設できるように、これは大学としての独自の取り組みを進める必要が今こそあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 首都大学東京ではこれまでも、大学の自主的な判断により、経済的に困窮する学生に対する授業料減免制度や優秀な大学院学生に対する給付型奨学金制度を設け、学生の支援に取り組んでおり、都としても、大学のこうした取り組みは適切に行われているものと認識してございます。
大学の学生を対象とする給付型奨学金につきましては、現在、国において検討が行われていると聞いてございまして、都としても、こうした国の動向を注視しているところでございます。
○曽根委員 国の動向を注視するということですが、首都大学という大学に限っての制度ですから、都内の全学生という制度に比べれば、はるかに現実的であり、可能な制度ですので、私は、まず第一歩としても、首都大学での先行的な取り組みということは、一般学生に対して大きな前進になる、励ましになると思います。
いずれにしても、国が既に批准している以上、国際的な一般的な学生の扱いとして当然といわれている大学の授業料の無償化については、何らかの方法で東京都も歩を踏み出していかなければならないという段階ですので、ぜひこうした点からスタートするということを有意義な政策として検討していただきたいことを申し上げて、質問を終わります。
○中村委員 それでは、総務局の事務事業質疑について、最初に防災対策について質問します。
けさ六時ごろ、福島県で震度五弱の大きな地震があり、被害を受けられた方には心からお見舞いを申し上げます。
東京も震度三でしたが、長い時間揺れました。
都における最も大きな課題の一つは震災対策です。いつ来るかわからない地震に備えるというよりも、来るものとして備えをしなければなりません。五年前に東日本大震災が発生してから、都議会でも多くの議論がなされました。さらに、ことしの四月に熊本地震が発生したため、私自身、第二回定例会の本会議で一般質問を行いましたが、防災を所管する委員会として、さらに質疑をしたいと思います。
まず、防災訓練について伺います。
私は毎年、地元の三鷹市の総合防災訓練に参加しますが、三鷹市を初め市区町村が実施する防災訓練は、地域住民が避難訓練へ参加し、消火活動などを経験するなど、防災意識の向上を図る上で大変有効です。
一方、首都直下型地震発生時には、市区町村をまたぐ広範なエリアで甚大な被害が生じることが想定されます。このため、都と市区町村が災害発生状況に応じたリアリティーのある訓練を連携して行うことが重要です。
今後の防災訓練において、実際の災害発生時に役立つものにしていくため、都と市区町村と連携した訓練を実施する必要があると考えますが、見解を伺います。
○梅村総合防災部長 災害発生時に迅速かつ適切に災害対応を行うためには、訓練を通じて災害対応力を向上させていくことが重要でございます。
このため、都は、地震、風水害、帰宅困難者の発生などのさまざまな状況や災害を想定した実践的な防災訓練を、市区町村、事業者等と連携し、毎年実施しております。
さらに、都と市区町村災害対策本部との連携手段の確保を図るため、防災行政無線やテレビ会議等を活用した定期通信訓練や災害情報システムの活用訓練を市区町村との間で年三十回以上実施するなど、市区町村との連携強化に努めております。
今後とも、市区町村や防災関係機関と連携を図り、災害対応力の強化に向けた訓練を実施してまいります。
○中村委員 都が市区町村と連携して訓練を行っているのはわかりました。ただ、都が実際に市区町村と合同で住民参加での訓練を行うのは、順番に行うという事情はわかりますが、なかなか回ってくるものでもありません。もちろん、住民に見える形でなくても、図上訓練などを頻繁にやっていただいているのはわかりますが、日常的に実際に人が動いて行き来をして、実際の動きを確認する必要もあると思います。
ちなみに、三鷹市の訓練には、都の出先機関として警察署、消防署、水道局、保健所等は参加しますが、総務局の方はお見かけしません。全体の調整を行う総務局が、実際に住民の近くで対応する市区町村とより一層連携を密にしていただくことを求めます。
さて、先ほども述べましたが、ことし四月に発生した熊本地震では、極めて短期間の間に震度七の地震が二度発生しました。最初の地震を本震としていましたが、二回目の地震の方が大きかったことから、後の地震の方が本震に改められました。
地震の少なかった熊本の備えが東京とは違ったとはいえ、最初の地震がおさまった後で安心して自宅に戻り、次の地震によって家屋が倒壊して亡くなられた方が多かったとのことです。
熊本で二度起きたので、東京で二度起きるとは限りませんが、起こらないとも限らないため、耐震化などを含めて、二度起きることを想定した対策も必要です。
熊本では、二度地震があったこともあり、想定以上の避難者が発生しました。このことは、多くの方が報道でもごらんになっているので、仮に首都直下地震などが発生した場合、一度大きな揺れを感じた後も、二度目の地震が来るのではないかという怖いという心理は否定できません。
仮に住宅に損害のない方も避難所に避難すると、現在の被害想定以上の避難者が発生すると考えられますが、都の見解を伺います。
○小林防災計画担当部長 四月に発生いたしました熊本地震では、強い揺れの連続など、これまでの経験が通用しない側面があったことから、都の防災対策上の観点からも、この間、地震の原因や被害等の因果関係等に関する国の調査等の情報収集に努めてまいりました。
熊本地震を引き起こした活断層につきましては、国の地震調査研究推進本部が三年程度をかけて重点的調査、観測を進めるなど、地震の原因等の究明は今後も継続される見込みでございます。
また、建築物の被害に関する国土交通省の調査委員会からは、いわゆる新耐震基準の有効性及び建築物の耐震化の重要性を改めて示した内容等に関します報告書が公表されてございます。
避難行動など、熊本地震の被害等の実態につきましては、被災県等においても検証がなされることが考えられますことから、都では、引き続きこうした動きを注視してまいります。
○中村委員 検証は当然しなければならないのですが、地震はいつ起こるかわからないですし、そもそも現在の科学で全て証明できるものでもないので、予算にも限りはあると思いますが、できる限りの想定をして対応に努めることが必要と考えます。
先ほど述べたように、仮にこれまで想定した規模の地震が発生したとしても、二度目もあるかもしれないと思うと、避難者が多数発生する可能性があります。その結果、現在想定している指定避難所では収容能力が不足することも考えられます。指定の避難所以外の場所で支援を必要とする方については、臨時避難所の開設など、必要な支援を受けられる体制をとる必要があると考えます。
こうした状況への対応について、都の見解を伺います。
○小林防災計画担当部長 先ほどのご答弁と重なるところがありますけれども、都では、被害等の実態などにつきまして、必要な情報収集に努めているところでございますが、同時に、現在進めております今回の災害対応の教訓等の取りまとめ作業を踏まえ、都における発災時の現実的かつ的確な対応を図ってまいります。
○中村委員 もとより災害が発生した際には予想どおりにはいかないので、常に予想もし得ない事態に対応する心構えも必要だと思います。とはいえ、熊本地震の影響による都民の不安は大きくなっていると考えられますので、地震の規模は同じだとしても、対応すべきことが多くなったと考えて取り組むべきと考えます。
そうした点では、災害対応は常に最悪のことを想定しなければなりません。あってほしくはありませんが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが開催されている間に震災が発生することもないとはいえません。その場合、最大どのくらいの海外からのお客様が来ているのか、さまざまな言語の人にどう対応するのか、場合によっては、地震を体験したことがない国の方も来ればパニックになる可能性もあります。
大会開催まで、あと四年を切りました。大会成功のためには、大会中に何があっても無事に終えることができるよう備えていくことが大切なので、今後、他局とも連携しながら、オリンピック・パラリンピック開催中の震災対策も万全にするよう取り組むことを求めて、次の質問に移ります。
次に、都内の避難者支援について伺います。
東日本大震災から五年半が経過しました。しかし、先ほども述べましたが、けさも福島県で震度五弱の地震が起こり、不安な状態は続いています。そうした中、復興支援対策部の方々を初め、発生から今に至るまで、多くの都の職員が被災地で支援活動をされてきたことは敬意を表します。
また、都内に避難されている方々への支援も行っていただいています。とりわけ福島県からは、福島第一原子力発電所の事故により避難された方々が大勢います。被災された方々への支援については、引き続き行うことが必要です。
そこで、まず、都内に避難されている方々の現状について伺います。
現在の都内避難者の人数と、岩手県、宮城県、福島県の各県の内訳はどのくらいでしょうか。都が提供する応急仮設住宅に入居する福島県の避難指示区域以外からの避難者、いわゆる自主避難者の人数を伺います。また、都では、避難者の暮らしをどのように把握しているのか、伺います。
○野口復興支援調整担当部長 都内避難者の数は、平成二十八年十月十三日現在、六千四百四十六人であり、岩手県からは二百四十二人、宮城県からは七百八十五人、福島県から五千三百一人となっております。
このうち、平成二十九年三月末までに応急仮設住宅が提供終了となる福島県からの避難者、つまり自主避難者でございますが、平成二十八年九月三十日現在、一千三百六十六人となっております。
都では、避難されている方々に対しまして、戸別訪問のほか、平成二十三年度から、毎年、避難生活の状況や今後の居住先の予定などのアンケート調査を行っており、平成二十六年度には個別面談調査を実施いたしました。
これらの調査等を通じまして、避難者が今後の生活の先行きや健康面への不安など、さまざまな悩みを抱えている状況を把握しており、生活面のケアの充実が図られるよう、被災元自治体や関係機関に対しまして情報提供しております。
○中村委員 東北三県から現在でも多くの方が避難され、とりわけ、原発のある福島県から多くの方々が避難されていることがわかりました。当然、生活にはさまざまご苦労もあるので、都も個別面談調査を実施し、状況把握に努めているとのことです。
そこで、都内避難者に対するこれまでの都の主な支援策及び総務局が行ってきた取り組みについて伺います。
○野口復興支援調整担当部長 都ではこれまで、都営住宅を活用した応急仮設住宅の提供を初め、孤立化防止や就労支援の実施、水道、下水道料金の減免、都営交通一日乗車券の配布など、避難者の生活全般にわたる支援を幅広く実施してまいりました。
総務局でも、こうした支援情報について、ホームページでの掲載のほか、定期的に個別郵送するなど、利用が促進されるよう努めてまいりました。
また、避難生活の長期化に伴い、先行きに不安を抱き、抱える課題や悩みが多様化していることに対応するため、以前より総務局内に相談窓口を設置しておりましたが、平成二十七年五月からは、都内避難者相談拠点を飯田橋のセントラルプラザ内に開設いたしまして、相談体制の充実を図ったところでございます。
○中村委員 東日本大震災以降、都としても、各局がそれぞれの役割の中で支援をされてきたようです。支援の開始は、できるところから始めたのだと思いますが、避難が長期化し、苦労されている方々も大勢いる中、総務局が全体を統括、推進し、都庁全体としての支援活動として継続していただきたいと思います。
そうした中、来年三月に、いわゆる福島県からの自主避難者に対する応急仮設住宅の提供が終了するとのことです。それにあわせ、戸別訪問が行われていると聞きますが、どのような状況になっているのか伺います。
○野口復興支援調整担当部長 福島県では、昨年六月、避難指示区域以外からの避難者につきましては、平成二十九年三月をもって、災害救助法に伴う応急仮設住宅の供与終了を決定いたしました。
応急仮設住宅の供与終了に当たりまして、福島県では、県への帰還を基本としながらも、避難者それぞれの意向を尊重し、避難者みずからによる生活再建を支援するという考え方に立ち、避難者を受け入れている自治体等と連携し、全世帯への戸別訪問を実施しております。
本年度中に合計三回の戸別訪問を行うこととしており、第一回は五月中旬から六月末まで、第二回は八月末から十月下旬まで実施しており、第三回は来年一月初旬から予定しております。
都は、福島県からの要請に基づき、戸別訪問に協力しているところでございます。
○中村委員 都市整備局が、福島県からのいわゆる自主避難者への住宅支援として、都営住宅の専用申込枠を確保し、募集を行っていることは承知していますが、資格要件があり、希望する避難者が全て入居できるわけではありません。福島県と戸別訪問を行っているのであれば、そうした声が総務局にも届いているのではないでしょうか。
いわゆる自主避難者への応急仮設住宅の供給の打ち切りについて、総合調整を行う総務局としてどのように対応しているのか伺います。
○野口復興支援調整担当部長 福島県から多くの避難者を受け入れている都といたしましては、福島県の意向及びその後の協議を踏まえ、本年六月と九月の二回にわたり、ひとり親、高齢者、障害者世帯など、特に自力で住宅の確保が困難な世帯に対しまして都営住宅の専用申込枠を三百戸確保し、募集を実施いたしました。
総務局といたしましては、都市整備局等の関係局とともに、福島県との協議の場において、移転が困難な世帯を来年度以降も引き続き支援していくための人員配置等、フォロー体制の必要性などを働きかけております。
また、独自に実施した都内避難者へのアンケート結果や相談拠点等に寄せられた意見を福島県へフィードバックすることで、県の民間賃貸住宅等家賃補助事業など、避難者の生活再建につながる取り組みの実施を後押ししております。
このように、今後とも、関係各局の協力、福島県等の関係機関との連携など総合調整を図ることにより、避難者に寄り添ったきめ細やかな支援を継続してまいります。
○中村委員 都として、困難な世帯に三百戸確保されたことは評価します。しかし、住宅は生活の基本ですから、この枠に当てはまらない方でも困っている方はいます。先ほども述べましたが、総務局が都庁全体の避難者支援への取りまとめとしての役割を発揮し、都市整備局とも連携しながら、答弁されたように、避難者の方々に寄り添ったきめ細やかな支援を継続されることを求めます。
次に、都政の改革について質問します。
今、豊洲市場問題で、残念ながら都政が都民からの信頼を失ってしまいました。総務局の行政監察室が事務局として豊洲市場地下空間に関する調査特別チームを設置し、第一次、第二次と自己検証報告書を公表しました。
この調査は、行政監察の一環として事実解明のために行われ、責任追及のため、八人を特定して懲戒処分を行うということですが、今一番やらなければならないのは、都民からの信頼を回復することです。
第二次自己検証報告書の末尾には、今回の事態を契機として、東京都の組織が元来持っていた自浄機能を一刻も早く回復できるよう、東京都が一丸となって取り組まなければならないと記載されていますが、そのとおりだと思います。そのためにも、総務局にはしっかりと役割を果たしていただきたいというふうには思っています。
この豊洲市場の件は、中央卸売市場だけの問題としてではなく、都庁全体で重く受けとめなければなりません。かかわった人は限られていますが、一人一人の職員が本当に都民のための都政運営ができているかを見直す機会にしなければなりません。
公益通報制度もつくるとのことですが、いいにくいことをいえるようにするということには一定の意味はあると思いますけれども、組織として誤りや間違いがあれば、まずは組織の中で当然正されていくべきであり、悪い情報を報告したら機嫌を損ねるような上司がいるならば、人事管理や研修の中で態度を改めさせていくべきです。
職員の意識の改革、公益通報制度以前に風通しのよい組織にすること、悪い情報がきちんと報告されること、縦割りをなくすことなど、やるべきことはたくさんあります。
都政が信頼を回復するために、都としてどう取り組んでいくのか伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都は、今回の豊洲市場の問題を、関係する職員のみならず組織全体の問題として捉え、その対策として、全庁的に、仕事の進め方や組織のあり方、さらには職員意識の改革といった観点から、さまざまな見直しの検討を始めておるところでございます。
今回の問題を契機といたしまして、改めて職員一人一人が都民の皆様に対する責任を痛感し、都として実効性のある対策を打ち立て、都民の都政への信頼を取り戻せるよう全力で取り組んでまいります。
○中村委員 対策を全庁的にとの認識はあるとのことですが、具体的な取り組みはまだ検討中とのことです。
豊洲の問題を解決するには、技術的に安全だと証明するだけではなく、都民に誤った説明をした都庁が本当のことをいっていると信用されないと、真の解決にはなりません。それを証明するには、改革を進めていることを示すしかありません。ぜひ早期に取り組むことを求めます。
また、この豊洲市場問題では、決裁の文書はあっても、会議の議事録がなかったりしたことから、誰がまでは特定しましたが、何のためにまでは特定は困難とされていました。
また、今回、オリンピックの関係で、都政改革本部と知事の決定のあり方も問われています。
都政改革本部は、知事が本部長である全庁横断型の内部の会議体であり、意思決定機関ではないと聞いています。その提言を受けて知事が決定すれば都の方針になるのですが、その際の知事の決裁はどのように行われているのでしょうか。
知事が決めさえすれば口頭でもよいとはならないので、都庁マネジメント本部での議論を経るとか、文書で記録を残すとか、知事の決裁のルールをきちんと決めるべきと考えますが、見解を伺います。
○小暮総務部長 知事が決定権者でございます重要施策につきましては、各局からの事前説明や会議の場など、その決定の場面は一つに限定されるものではございません。
この場合におきましても、決定手続は、原則として東京都文書管理規則等の規定にのっとりまして、所管部署が起案を行い、関係部署との協議等を経まして決定権者による決定をとることとしてございます。記録を残すことをルール化してございます。
○中村委員 知事の決裁について伺いましたが、局や部、課の組織についても、意思決定や記録の作成や保存をきちんとしていくことが重要です。もちろん、後になって問題が起きた場合に記録を残すことが主な目的ではなく、意思決定が適切になされることが最も重要です。都庁は都民にとって重要事項を決定するのですから、その決定手続は適正に行っていかなければなりません。改めて、都政における意思決定のルールの明確化を求めます。
さて、さまざまな都政の課題への対応を求めてきましたが、最後に、監理団体や報告団体等の外郭団体の文書管理について伺います。
今、オリンピックの組織委員会の監督や情報公開が問題になっていますが、二〇二〇年にオリンピックが終わって解散されると、どうなってしまうのでしょうか。既にオリンピック招致委員会は解散しています。都の外郭団体で解散した団体の文書は重要なものもあると思いますので、解散とともに廃棄することなく、都が保管する必要があると考えます。
監理団体や報告団体については、解散したら記録がなくなってしまうので、重要な会議の議事録、決裁文書など、団体が解散しても都が保管し、将来公開するなど、都民共有の財産として生かすべきと考えますが、都の見解を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都では、監理団体、報告団体それぞれに対しまして、事業計画や決算資料、役員等の名簿など、団体運営の状況に係る情報を報告させ、都が必要とする情報等を得ることができる仕組みとなってございます。
また、各団体の主要な会議等への出席などを通じまして入手した資料など、都の施策推進と密接な関連を有する情報も必要に応じて得ており、これらの情報などは、団体を一義的に所管する各局が東京都文書管理規則等に基づき保管するなど、適切に対応しているものと認識してございます。
お尋ねの監理団体や報告団体が解散した場合についてでございますが、都と密接な関連を有する団体の情報等について保管、活用を図っていくことは基本的に重要であると考えておりますが、一方、都とは別の法人格を有しておりまして、団体が保有する全ての情報を都が確保することは、現実的には困難な面もあるものと認識してございます。
○中村委員 監理団体などが解散した場合の情報の活用は基本的に重要としながらも、確保は困難との答弁でした。別団体とはいえ、設立を都がしているのであれば、解散した場合の文書の保存については、あらかじめ決めておけばいいわけです。もちろん、組織委員会は今既に存在していますが、まだ解散したわけではありません。貴重な資料ですから、ぜひ協議をしていただきたいと思います。もちろん、組織委員会だけではなく、都の関与する団体についての資料をできるだけ保存するようにすることを求めます。
以上、都政が信頼を取り戻すために何点か質問いたしましたが、改めて総務局により一層の取り組みを求めまして、質問を終わります。
○野上委員 総務局の事務事業について幾つか伺わせていただきたいと思います。
私からは、都政の内部統制やガバナンスの充実のための取り組みについて幾つか質問させていただく予定であります。
都政運営には、都民との信頼関係を構築して、都民と行政とが協働して施策の展開をしていく、そして、まちづくりをしていく、未来をつくっていくということが必要であります。そのためには、都の職員の法令遵守、いわゆるコンプライアンスが第一義的には重要であります。
しかしながら、私からも報告するまでもなく、さまざまな局において職員の不祥事というのは起こっているわけでございます。ある一定の人数を所有している組織であれば、ある一定の割合で、そういった何らかの不適切な行為を行う人材が出てくるというのは、どの組織でも当てはまるということでありますけれども、また、このたびの築地市場移転にかかわる豊洲新市場盛り土問題により、都政への都民からの信頼は今大きく揺らいでいるところです。
この現状を克服するためには、ほかの委員からも言及がありましたけれども、やはりみずから自浄作用を機能させて組織を活性化させていくこと、そして、これまで都政の中で設置してきた制度についての見直しが必要だと思っております。内部統制やガバナンスの充実が求められているというふうに考えております。
さきの決算委員会で、私は都の公益通報制度について質疑を行いましたところ、昨年度の通報件数とその件数に対する局の考えを伺いましたが、過去五年間の通報は三件であり、具体的な是正に結びつくものもあったが、昨年度は本制度上の通報として取り扱うものはなし。
その課題として、通報対象を公益通報者保護法に規定する法令違反行為に限定してきたことのほか、通報できる者を職員のみとしていた、かつ職員が受け付けることとしてきたために、通報する側にも心理的な抵抗があったことなどが課題というふうに、みずから局が課題を指摘しているところであります。
しかし、この制度が始まってから時間がたっているわけで、なぜこのような課題を認識していながら実効性の高い公益通報制度を実行、運用できなかったのか、改めて都の見解を伺います。
○安藤主席監察員 都のこれまでの公益通報制度は、職員が公益通報者保護法に規定する法令違反行為に該当する疑いがあることを発見した場合に、所定の窓口に通報する制度でございました。この制度では、総務局や各局等の窓口に加え、外部の東京都人材支援事業団にも窓口を設けることなどにより、利用しやすい制度の運用に努めてまいりました。
しかし、通報対象を公益通報者保護法に規定する法令違反行為に限定してきたことや職員が受け付けることとしてきたために、通報する側に心理的な抵抗感があったことなどが課題であったと考えられましたので、今回の制度改正を行ったものでございます。
○野上委員 今、答弁にありましたけれども、利用しやすい制度の運用に努めてきたということで、これまでの公益通報制度、東京都人材支援事業団、各局の窓口あるいは生活文化局の都民の声の窓口、さまざまな窓口があって、それをどういうふうに集約して、そして、都政の制度あるいは運営にフィードバックしてきたのかということがまず総括されていないという点も私はつけ加えて、それは要望しておきます。それぞれの窓口があって、何の機能が持たされてきたのかということを、やはりここで改めて考え直さなくてはいけないのではないかというふうに思っておりますので、ぜひその点も含めて改善をしていただきたいと思います。
また、新知事は、都の内部調査が不十分だった豊洲新市場の盛り土未実施問題で、内部告発を促す公益通報制度を導入して原因究明を続けるとし、現行の都の公益通報制度を改善し、内部告発を促す新たな公益通報制度を導入するとしています。
そこで、どのような仕組みで、これまでより実効性の高い公益通報制度を運用していくのか、また、どのような改善点を図ったのか伺います。
○安藤主席監察員 これまで通報対象を公益通報者保護法で規定された法令に限定してまいりましたが、都政改革本部での議論を踏まえ、今般、通報対象を都条例、規則等を含む法令全般の違反に拡大するとともに、職員に加えて、都民からの通報も受け付けることといたしました。また、窓口については、新たに弁護士を窓口とする外部窓口を設置いたしました。
新たな制度は十一月一日に開始したところであり、利用しやすい制度として適切に運用してまいります。
○野上委員 公益通報制度を利用して通報してこられる方についてなんですけれども--都政への信頼を裏切るような不正行為あるいは不祥事、もちろん都庁内でのパワハラやセクハラもそうなんですけれども、通報を契機として明らかになって、そして通報に対して適切に対応するということは、被通報者自身の利益や、あるいは都政の向上につながるということのみならず、都民の安全や安心の向上、福利、福祉の向上にも、ひいてはつながっていくものだと思います。そういう意味では、この制度をきちんと運用していくということは非常に重要だというふうに考えております。
ですから、通報者に対して、処分であるとか、人事的なマイナスなどの目に見える不利益を排除しなければなりません。これについてはどのような取り組みをしているのでしょうか、伺います。
○安藤主席監察員 通報者が公益通報または相談したことを理由にして不利益な取り扱いを受けないよう、これまで同様、公益通報者保護制度の趣旨を徹底することで適切に対処してまいります。
なお、弁護士窓口に寄せられた通報につきましては、公益通報者の個人情報を保護するため、原則として、通報者の氏名、住所、所属、連絡先、その他の個人が特定される情報を伏せた上で全庁窓口へ移送することとしております。
また、庁内窓口についても、相談者または通報者の秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、業務を行うこととしてございます。
○野上委員 通報者が日常業務においてコミュニケーションがとりづらくなるようになってはよろしくないですし、また、業務上の連絡が滞ったり、いわゆる目に見えないようないじめであったり、疎外感であったり、そうした問題が起きないようにぜひとも対応していただきたいと思います。
次に、公益通報に関する処理の状況についてですが、各局の総務部長など、毎年、公益通報に関する処理の状況について、インターネットなどその他の方法により概要を広く都民に公表するとともに、本制度を都民、都庁職員に利用してもらえるように、わかりやすい広報活動をしてはいかがでしょうか。
現状のホームページの記述も拝見させていただきましたが、まだどのような手続の流れで、通報した方がこの処理--事件案というか、通報した事件について処理されるのか、そして、いつフィードバックがされるのかということについてはちょっとわかりにくい表記になっていると思いますので、広報活動についてどのように考えていらっしゃるのか伺います。
○安藤主席監察員 公益通報に関する処理の状況につきましては、毎年度、インターネットなどにより、その概要を公表することを予定してございます。
また、都のホームページにおいては、図表等を活用して制度を説明するなど、わかりやすい広報に努めてまいります。
○野上委員 この公益通報の事務処理に関する文書の保存期間についての現状を伺います。
○栗岡人事部長 公益通報の事務処理に関する文書の保存期間につきましては、東京都文書管理規則に基づき各局長が定めることとなってございまして、総務局におきましては保存期間を五年としてございます。
○野上委員 公益通報制度については理解いたしました。
次に、コンプライアンスについて少し伺わせていただきたいと思います。
今、民間の企業が非常に神経質になっているのがコンプライアンスの問題です。先ほども申し上げたとおり、法を遵守するということはもちろん大切ですし、それを守るのは当たり前のことですが、社会のルールである法律や社会の良識に沿った組織運営、都政運営を行うということは非常に重要だというふうに考えております。また、都民からの信頼を受け、そして都政のブランドを高めていくということは非常に重要なことだというふうに考えております。
そこで、これまで都は、都のコンプライアンス向上についてどのように取り組んできたのか伺います。
○栗岡人事部長 職員には、地方公務員法におきまして、職務遂行に当たり法令等を遵守する義務が規定されてございまして、都では、採用時からこの義務について研修を行うほか、汚職等非行防止研修を定期的に全職員に実施することで、職員の法令遵守意識を高めてございます。
特に組織のマネジメントを担う管理監督職については、平成二十六年度からeラーニング研修も実施してございます。
加えまして、毎年度、汚職等非行防止月間を定め、昨年度からは新たに、服務事故の例を中心に全職員にメールマガジンを配信するなど、全庁的な取り組みを推進してございます。
また、非行事故の未然防止や服務規律の維持向上を図るため、服務、契約、公金管理等に関して調査を行う予防監察を行ってございまして、昨年度は、二十局、二百六十六の部や事業所で実施し、必要な改善指導も行ってございます。
もとより、平成十一年四月、国に先駆け、利害関係者との接触に関する指針を制定し、利害関係者の範囲や接触に関する禁止事項、遵守すべき事項を明記するなど、職務上の利害関係者との関係を規制してございます。
こうしたさまざまな取り組みを、必要な見直しを随時行いながら進めることで、適正な事務事業の執行を確保してまいりました。
○野上委員 先ほどの公益通報制度もそうですけれども、例えば大阪府であるとか、あるいは大阪市、大阪市が一番先進的な取り組みをしているというふうに伺っておりますが、公益通報制度の中にもコンプライアンス委員会というものをつくって、そして外部の目をきちんと取り入れる。そして、何よりも、外部の目を入れるということは職員一人一人の方を守るという意味なんですね。不正が起きたときに、直接の上司にはなかなか相談ができない、そういったことで制度を利用して、組織の改善化を図るということにも資するわけでございます。
例えば、このような東京都職員等のコンプライアンス推進に関する要綱をつくって、実効性が伴うように制度運営すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○安藤主席監察員 大阪府職員等のコンプライアンスの推進に関する要綱におきましては、公益通報と公正職務執行確保を事業の柱としてございます。
都では、本年十一月に新たに、公益通報の処理に関する要綱及び職務に関する働きかけについての対応要綱に基づく運用を開始したところでございまして、これらを適切に運用しながら実効性のある制度運営を行ってまいります。
○野上委員 十一月に新たな機能をつけ加えて、より精度の高い制度設計をしたということで、もちろんこれからの運用状況をフォローしてまいりたいと思っておりますけれども、とはいうものの、まだまだこの制度自体はファーストステップにすぎませんので、これから半年、一年、運用しながら、より改善を図っていただき、そして、三件や五件しか通報がなかったよという報告ではないように、ぜひ透明性が高い、また風通しのよい組織をつくるために公益通報制度の運用をきちんとしていただきたいと思います。
さらに、小池知事は十月二十一日の会見で、都職員が都議など関係者と接触する際のルールについて、職務遂行上で都民の意見を取り入れるのは大切だが、口ききなど都民から誤解を受けることはあってはならないと述べております。接触の記録をとるよう制度化すると発表しておりますが、これはどのような仕組みか伺います。
○小暮総務部長 職務に関して外部関係者からの働きかけについてのお尋ねでございますが、知事の記者会見での発言のとおり、適正な行政の執行等の観点から、外部関係者からの職員への働きかけがあった場合に、記録の作成を職員に義務づけることを要綱の形で制度化したものでございます。
○野上委員 またさらに、小池知事は、記録を残すことを徹底したい、国会と霞が関の関係でも同じようなことをしていたというふうに記憶している、改めてこの制度を要綱の形で制度化していきたいというふうに述べておりましたが、それが形になったということだというふうに思っております。
この記録の対象というのはどの職、例えば特別職に限るとか、どの範囲に適用されるのか伺います。
○小暮総務部長 要綱の仕組みと記録の対象者でございますが、いわゆる知事部局に所属する一般職の職員が職員以外の外部関係者から働きかけを受けた場合に、その内容を要綱に定める対応記録票に記録することとしてございます。
なお、行政委員会、公営企業等は、本要綱と同様のものをそれぞれ制定しております。
○野上委員 これまで公益通報制度と都のコンプライアンスについて伺ってまいりました。
公益通報制度については、職員の方が少しでも気になることを自由に発言できる環境を整備するということは必要でありまして、本当の問題点が上がってくる確率は高まってくるのであろうというふうに考えております。よりよい仕組みを目指して、適切な利用を図っていただきたいと思っております。
最後に、東京都における内部統制、コンプライアンスについてどのように取り組んでいくのか、局長の所見を伺いまして、私からの質問を終わります。
○多羅尾総務局長 都は、東京大改革の基本的なインフラ整備の一環として、今月一日に公益通報制度を見直し、新たに弁護士による外部窓口を設置して都民からの通報も受ける仕組みを開始するなど、外部チェック機能の強化を図っております。一方、都庁内の自律改革、自浄作用の強化も、外部チェック機能の強化と車の両輪の関係として大切であると考えております。
このようなことも踏まえまして、コンプライアンスの確立に向けた内部統制の強化については、今回の豊洲市場の問題を、一部の職員や部署に限らず、都庁の組織全体にかかわる重大な問題と捉え、仕事の進め方や組織のあり方、さらには職員意識の改革といった観点から全庁的に対策を講じていくこととし、さまざまな見直しの検討を始めております。
今後も、実効性のある対策を策定し、都の組織が元来持っていた自浄機能を一刻も早く回復させ、都政への信頼を取り戻すため、都が一丸となって取り組んでいけるよう、総務局としても全力を尽くしてまいります。
○おときた委員 私からは、まず、総務局が所管いたします包括外部監査報告についてお伺いいたします。
包括外部監査は、非常に強い権限と効果を持っています。毎年、報告書に記載されている内容は多岐にわたり、その指摘は的確なものが非常に多い。そして、その指摘を受けた事業部署は迅速に改善に取り組んでいます。
私も、直近の平成二十六年度に包括外部監査報告をされました水道局の事業について、今回、決算委員会で取り上げましたが、とにかく迅速に改善に着手していると。我々議会の方で何度も何度も指摘してきたようなことで動かなかったことでも、包括外部監査が入ると瞬く間に改善されるという、少し悲しいような事実もあるのですが、とにかくこの包括外部監査の効果というのが非常に高いものがあって、これを最大化するということが都政改革の一つにつながるのではないかと考えています。
そこで、まず、この監査についての頻度や対象局、事業の選定などの仕組みについてお伺いをいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 包括外部監査は、従来の監査委員監査に加えまして、監査機能の独立性と専門性を一層充実させることを目的に導入された制度でございまして、都においては平成十一年度から実施しております。
地方自治法上、都道府県及び政令市等においては、毎会計年度に一回以上の監査を実施することと定められておりまして、監査テーマは、包括外部監査人自身が、自己の見識と判断に基づきまして、都政の置かれている状況や各局の事業動向などを把握した上で、必要と認めるものを選定しております。
平成二十七年度につきましては教育庁及び生活文化局、また、平成二十八年度は建設局のそれぞれ所管事業に関する事務の執行が監査テーマとなってございます。
○おときた委員 監査制度の仕組みがよくわかりました。
それでは、この包括外部監査に係る費用はどの程度なのかをお伺いいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 昨年度、平成二十七年度に都が包括外部監査人に支払いました金額は三千七百六十四万七千円でございます。
○おときた委員 大体四千万弱といったところなのですが、こちらの包括外部監査ですが、ご答弁いただいたとおり、年に一回、対象の事業局は一つないし二つというのが慣例になっています。
しかしながら、このペースでは、一つの局や事業に対して回ってくる頻度は非常に低くなってしまいまして、事業の改善効果が薄れてしまうのではないかということが懸念されます。例えば、五年に一度ぐらいのペースで質と量の外部監査が事業に対して行われれば、都の事業は著しい改善が見込めるのではないかと期待されます。
監査人は一名と地方自治法に定められておりますが、監査人チームの増員などで対象を拡大していくことは可能であり、その方向性を検討していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 地方自治法では、知事は、毎会計年度、一人の外部監査人と包括外部監査契約を締結することとなっておりまして、地方公共団体の事務を適切に監査するため、外部監査人は監査の事務を他の者に補助させることができるとされてございます。
監査契約締結後は、外部監査人において監査テーマを選定し、監査委員へのテーマの通知などを経まして、通例七月ごろから実質的な監査が開始されている状況でございます。監査に際しましては、外部監査人が統括するおよそ二十名程度の補助者とチームを編成して組織的な監査を実施しまして、翌年の二月に監査結果報告書が提出される流れとなってございます。
都の膨大で複雑多岐にわたります事務事業につきまして監査対象を拡大していくためには、予算上の制約のみならず、現行法上一人と定められております外部監査人が補助者を指導、監督できる範囲は限られ、監査の質の確保など検討を要する課題も多いことから、まずは監査結果を最大限活用することに努めてまいりたいと考えてございます。
こうした点を踏まえまして、総務局では、監査結果を全庁的に共有するため、包括外部監査データベースや監査結果の事例集を作成し、庁内各局での積極的な活用を促しているところでございます。
今後とも、監査結果を効果的に活用しまして、各局における事務事業の改善に資する取り組みを進めてまいります。
○おときた委員 確かに、監査の質というところに課題があるというご答弁でした。
費用といたしましては、四千万弱というのは、この監査報告の内容と各事業に及ぼす影響力を考えれば、私は決して高いものではないと思っています。
監査結果の事例集などを共有しても、やはり強い権限を持つ監査人に直接の指摘をされた部分では即座に改善に向かうのと比べると、その影響力というのは、残念ながら限定的にならざるを得ないところがございます。各自治体の監査人を経験したエキスパートを集めるなど、監査チームの能力拡大により、費用、予算を投じてでも、包括外部監査の量的拡大というのに関しては今後ぜひ検討していただきたいということを求めまして、次の質問に移ります。
次に、「東京防災」についてお伺いいたします。
グッドデザイン賞も獲得して各所で好評を博している「東京防災」ではございますが、視覚障害者対応などのアクセシビリティーについては、一部から懸念の声も上がっています。
現時点で、「東京防災」で視覚障害者などのアクセシビリティーの対応についてどのようなことが行われているのかをお伺いいたします。
○梅村総合防災部長 「東京防災」は、発災時にとるべき行動や事前の備えをまとめた防災の指針を各家庭で備え、都民一人一人に実践していただくことを目的に作成したものでございまして、視覚障害者の方を含め、都民がその情報を活用できることが重要でございます。
そのため、都は、視覚障害者への対応として、昨年度、特別な機械や技能を要さず、普及が進んでいる音声コードを添付した冊子を作成し、区市町村や都営地下鉄の駅などに置いて、入手できるよう配布を行いました。
さらに、より多くの都民の方に「東京防災」を活用していただくため、今年度は、点字版、音声テープ版、CD-ROM版を新たに作成する予定でございます。
○おときた委員 音声コードを添付した冊子などを特定の場所で配布して、また、今後は点字版などの作成を予定しているとのことですが、いずれも入手できるルートが限られているのが難点といえます。
そこで期待されているのが、手軽に入手できる電子書籍です。ところが、現在、「東京防災」電子書籍版はアマゾン等々でゼロ円で販売されているのですが、こちらについては、視覚障害者対応に、音声読み上げなどについては対応していないということが大きく明記されています。ここは非常にセンシティブな、繊細な問題なのですが、ゼロ円で無料で提供しているからといって視覚障害者対応というのを最初から排除してしまっている点について、少し疑問の声が上がっています。
細かい点でありますけれども、ほかの方法があるからといって、こういったところを無視するということは適切ではなくて、むしろこういった細かなところこそ配慮が必要な部分ではないかと思います。
今後、電子書籍もしくはそれに準じる形で音声読み上げ等々、視覚障害者への対応を進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○梅村総合防災部長 電子媒体を活用した配慮といたしましては、ホームページにおきまして、「東京防災」のテキストデータを音声読み上げにより提供するなど、視覚障害者の団体の意見も取り入れながら、きめ細やかに対応しております。
電子書店での無料配信につきましては、各電子書店が提供する配信サービスを活用して行っているものでございますが、現在、無料配信に協力していただいている二十五の電子書店のうち、ほとんどの事業者が音声読み上げに対応した電子書籍を取り扱っていないという状況にございます。
こうしたことから、電子書籍につきましては、各電子書店の配信サービスの状況を十分に踏まえまして検討する必要があると考えております。
○おときた委員 現在、障害者差別解消法も施行されまして、また東京パラリンピックを控える東京都でございますから、電子書籍の書店の対応状況という横並びの状況に合わせて、これで現在の状況をよしとするスタンスに対しては、私は少々疑問は残っております。
健常者と障害者が等しい状態で情報を入手できる環境を整えるというのが、やはり行政のあるべき姿であると思いますので、「東京防災」の対応につきましては、今後改善を要請したい、期待したいという旨を申し述べておきます。
そして、これは「東京防災」ということに限ったお話ではないのですが、防災マップなどの地図ですね、地図が画面に表示されるものに関しては、現在はページが読み上げに一切対応できておりません。特にハザードマップなど、赤いところが危険地帯とか、青いところは安全地帯というような形で色分けされているものについては、色弱の方は、表示されても、見ても全く理解することができないという状況になっております。
地図をテキストデータに全て起こすということは、完全に行うことは難しいとしても、補足説明を行うテキストデータなどをそのページに付与するなど対応を行うべきと考えますが、こちらについての所見をお伺いいたします。
○梅村総合防災部長 まず、「東京防災」についてでございますが、こちらは、色覚の個人差を問わず、より多くの人に見やすく、伝わりやすいよう、デザインや色使いなどにきめ細やかな配慮を行い、色彩及びフォントやレイアウトに関するユニバーサルデザインの認証を取得しております。
また、ホームページにおきまして、プレス発表や東京都の取り組みなどのテキスト情報を音声読み上げできますよう対応しているほか、ユーザーによる文字、背景の色、文字サイズの変更を可能とするなどの取り組みを行っておりまして、より使いやすいホームページとなるよう、改善に向けた準備を既に進めております。
東京都防災マップにつきましては、地図は視覚的に訴えるものでございまして、音声で正確に伝えることは困難なところがございます。そこで、視覚障害者の方が少しでも音声読み上げにより情報を入手することができるよう、防災施設等の検索結果をテキストデータで提供しております。
引き続き、きめ細やかな情報提供を行ってまいります。
○おときた委員 もちろん、ユニバーサルデザイン認証を取得した点など評価できる点は非常に多くあるのですが、地図ページの対応につきましては、そのページ単独での対応が難しいという点で、ある種、諦めをしてしまって、他所で提供はしているのですが、それに対しての動線をしっかりとつないでいく、このページは今何が表示されていて、この情報はどこで得られますとか、そういったのが読み上げられるなど、こういった、もう一歩きめ細かな、踏み込んだ配慮が欲しいと私は感じております。
グッドデザイン賞やユニバーサルデザイン認証を取得した「東京防災」だからこそ、こういった地図ページに関しましても、さらなるアクセシビリティーの向上で他の制作物の見本となっていただきたいという旨を要望いたしまして、次の質問に移ります。
次に、オープンデータについてお伺いいたします。
政府や行政が持っている情報を二次利用可能な形で公開するオープンデータの活用促進を後押しするために、私はこれまで何度も議会質問で取り上げてまいりました。
平成二十七年度末に千六百件に拡大し、本格実施をスタートしたオープンデータですが、その後の状況はどのようになっているのかをお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 情報通信技術の進展に伴い、公共データの二次利用を可能にするオープンデータは、都民生活の質の向上を目指すICT利活用の方策の一つとして積極的に取り組むべき施策と認識し、推進を図っているところでございます。
データ公開件数でございますが、平成二十八年十月末現在で二千五十二件でございます。
○おときた委員 約二千件を上回りまして、数としてはふえているものの、行政が所有している潜在データの膨大な数を考えれば、まだまだ拡大の余地があり、引き続き公開の促進を求めるものです。
また、これまでも繰り返し述べてきたとおり、オープンデータは、広域自治体と基礎自治体、あるいは基礎自治体同士などで同様の形式で運用されることが何よりも重要です。
基礎自治体との連携については、年初に協議がスタートしたと聞いておりますが、こちらの進捗状況とその後の課題をお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 オープンデータの推進に当たっては、幅広い提供が広域的課題の解決に資することから、都と区市町村が連携していくことは重要であると認識しております。
区市町村との協議を引き続き行っているところでございまして、データの公開対象につきましては、都民の関心、ニーズが高いことはもちろんのこと、広域的な課題の解決に資するという観点から、自治体で共通性があること等も考慮し、十三の重点分野を選定して、その分野のデータから優先的に公開していきたい旨、電子計算主管課長会等で提案したところでございます。
また、公開基盤の連携については、六月に区市町村にアンケートを行い、公開基盤構築後、直ちに連携できる自治体、連携までに若干の時間を要する自治体等、各自治体の状況を確認いたしました。直ちには連携が困難な自治体に対しては、技術的支援などを行いながら、早期に連携が図れるよう取り組んでまいります。
○おときた委員 今ご答弁いただきましたように、自治体間に温度差や、あるいは課題などが山積されているわけですが、低コストで都民益を生む可能性が高いオープンデータの有益性を各自治体と共有していくことは非常に重要です。現状の確認から次のフェーズに早急に移行できるよう、引き続き協議の進展に期待したいと思います。
また、一方で、基礎自治体との連携に加えて、オープンデータの一般認知向上というのも非常に重要であり、今年度も、東京都は初のオープンデータ関連のイベントを実施したと聞いております。その内容とこちらの評価について所見をお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 本年九月に、墨田区と協力し、オープンデータ利活用推進策として、行政が保有するデータを活用し地域課題を解決するためのアイデアを参加者が議論するイベント、いわゆるアイデアソンを開催いたしました。
当日は、墨田区において防災訓練が行われ、それと並行して、アイデアソンにおきましても、データを活用した発災直後の安全な行動に資するアイデアの創出を目指したものでございます。四十三名の参加があり、七班に分かれてフィールドワークを行い、アイデアを出し、その際に、あることが望ましいデータを掲げていただきました。
今後は、本イベントで出されたアイデアやデータをアプリケーションなどの形にしていくイベントについて検討していきたいと考えております。
イベントを通してオープンデータの有用性が確認され、地域課題の解決や住民生活の利便性の向上に資するオープンデータの利活用が進むものと考えております。また、区におけるオープンデータ化への取り組みの一助にもなったものと認識しております。
○おときた委員 都としては、初めてのオープンデータ関連のイベント開催だと思いますが、一定の成果をおさめたものであると評価できると思います。その後のアプリの開発等々もご考慮いただいているようで、単発で終わるのではなくて、基礎自治体や参加者も含めた継続的な取り組みに発展していくことを引き続き望みたいと思います。
また、こうした単発なイベントを行うだけではなく、オープンデータの利活用促進には民間団体との連携が欠かせません。こういった民間団体との連携につきまして、今後の見通しや課題についての見解を伺いたいと思います。
○久原情報通信企画部長 オープンデータは、行政データを二次利用可能な形で提供し、そのデータを民間企業や住民が自由に利活用することを通じて地域の課題解決などを図るものであることから、オープンデータの活用を促す民間団体との連携も必要であると認識しております。
さまざまな機会を捉えて、民間団体と意見交換を行っております。これは、民間の視点から見て、都のオープンデータの取り組みが効果的なものであるかなど、有用な情報を得るよい機会になっていると考えておりまして、今後も継続してまいります。
現状、民間団体とは意見交換にとどまっておりますが、地域課題の解決等に資するものとなるのであれば、イベント等のオープンデータ利活用促進策を連携して実施することも検討していきたいと考えております。
○おときた委員 こちらも以前から指摘させていただいていることの繰り返しになりますが、行政が公開したい、あるいは公開できるデータと、民間企業がぜひ公開してほしい、利活用したいと思っているデータというのは、間々、相違があるということが起こります。その相違を埋めて有効なデータを提供していくためにも、民間団体との意見交換やその参画は極めて重要な取り組みです。今後は、意見交換にとどまらず、具体的な事業参画などの検討にまで踏み込まれることを期待し、要望しておきまして、次の質問に移ります。
次に、首都大学東京につきまして、関連の質問を行いたいと思います。
昨年度に引き続き、都市外交人材育成基金に関連して、首都大学東京における留学生の支援等を行う事業について確認させていただきたいのですが、まず、留学生の支援等の事業について、この狙いと意義について改めてお伺いしたいと思います。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 首都大学東京ではこれまで、都が設置した都市外交人材育成基金とその前身であるアジア人材育成基金を活用いたしまして、大都市共通の課題解決に資する高度先端的な研究を実施するとともに、東京と海外諸都市との相互理解や友好親善に意欲のある優秀な留学生を大学院に受け入れ、支援する事業を行ってまいりました。
この事業は、大学院修了後も東京に愛着を持ち続け、さまざまな形で東京のさらなる発展に寄与する人材を育成し、ひいては海外諸都市との相互発展に貢献する継続的な人的ネットワークを形成することを狙いとするものでございまして、長期にわたる都市間関係の安定に寄与し、大学はもとより、都にとっても非常に重要な意義があるものと考えてございます。
○おときた委員 海外留学生に都民の税金を使うということに関して、一部では異論の声も聞かれるものの、私としてはこの取り組みに一定の理解を示すところでございます。
そして、受け入れた留学生と卒業後の関係構築のために、首都大学東京では昨年度から帰国留学生同窓会というものを開催しております。こちらは昨年の事務事業質疑でまさに取り上げた点でございますが、こちらの昨年度の実施状況の概要について改めてお伺いいたします。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 首都大学東京では、アジア人材育成基金により受け入れ、大学院を修了した留学生が帰国後も将来にわたって都市相互間の交流や協力を担う人材として活躍できるよう、大学や都との交流を保つとともに、修了生間のネットワークを構築するため、昨年八月、初めて帰国留学生同窓会をタイ王国のバンコクで開催いたしました。
この会には、修了生が二十名参加したのを初め、在学時の指導教員や、首都大学東京と交流協定を結んでいるタイの大学関係者など計四十一名が出席し、修了生による修了後の研究活動等に関するプレゼンテーションなどが行われ、修了生同士、また修了生と首都大学東京及びタイの大学等との交流の機会となりました。
○おときた委員 せっかく公費を投入して受け入れた留学生たちでありますから、卒業後にネットワークを築くために投資をする、そしてイベントを企画するということに関しては、もちろん理解ができます。
しかしながら、その同窓会を海外で行う、タイのバンコクで行ったということについては、一般的な都民感覚からかけ離れたものであり、昨年もその疑問をこの場で厳しく指摘させていただきました。
こちらの帰国留学生同窓会、昨年度は海外で開催でありましたが、今年度は東京開催になったと仄聞しておりますが、その東京開催になった理由についてお伺いいたします。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 昨年度の帰国留学生同窓会は、修了生が多い東南アジアのハブといえる要所であり、修了生が集まりやすいタイ王国のバンコクで開催されました。また、昨年秋には、研究分野の異なる在学中の留学生間や留学生と教員の交流を促すことを目的に、これも初めてとなる都市外交人材育成基金年次総会が東京で開催されました。
首都大学東京では、今後は、帰国留学生同窓会を都市外交人材育成基金ネットワークミーティングといたしまして海外で開催する方式と、年次総会との合同により東京で開催する方式との二種類に整理して実施していくことといたしております。
具体的には、修了生相互の人的ネットワークの構築や、修了生と現地の大学、研究機関、企業等との交流の場を提供いたしまして帰国後のさらなる活躍を後押しする海外での開催と、修了生を東京に招き、在学中の留学生との交流や愛校心の醸成を図ることを目的に年次総会と合同とする東京での開催のいずれかを年度ごとに実施することとなります。
そこで、今年度は、昨年度とは異なる試みといたしまして、年次総会との合同によりまして、今月二十五日、東京で開催することとしたと聞いてございます。
○おときた委員 修了生が集まりやすいバンコクでとのご答弁もありましたが、首都大学東京の卒業生なのでありますから、やはりその同窓会は東京で、母校でやるということが自然であって、一般的な感覚であると私は思っています。
さらに昨年度、はバンコクで開催するに当たって、卒業生に対して旅費を支給したり、また、東京から十名を超える職員が出張したことで、少なからぬ経費が費やされております。そして、大変残念ながら、出張中の職員が期間中に、週休日とはいえ、観光地に赴くなどの事態も発生いたしまして、この点は昨年度も指摘させていただいたところです。
東京開催ということになれば、少なくとも日本から出張する経費などはなくなり、また、年次総会との合同開催によって、さらなるコストカットが望めるのではないかと考えられます。
昨年度にかかった費用と今年度の事業費の見込みについての比較をお伺いいたします。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 昨年度の帰国留学生同窓会の開催経費は約四百八万円でございまして、昨年東京で開催しました年次総会は約百六十三万円でございました。
今年度は、両者の合同開催で約二百五十万円の見込みと聞いてございます。
○おときた委員 五百五十万円以上かかっていた経費が、やはり半分以下の二百五十万円での実施見込みとなっておりまして、大きく経費の削減に成功しているようです。最少のコストで最大の効果という点では、やはり東京開催が望ましいということは数字上からも明らかではないかと思います。
昨年度は海外開催、ことしは東京開催となったわけでありますが、来年度以降はどのような形で実施していくのか、今後の展望についてお伺いいたします。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 年次総会との合同による東京開催は、今年度初めての試みでございまして、首都大学東京では、今月末に実施した後、昨年度の実施状況もあわせて検証を行い、より効果の高い内容とするよう改善を図っていくこととしてございます。
なお、整理いたしました二種類の開催方法は、狙いや目的が異なるため、今後いずれか一方に絞るということではなく、各年度における開催方法等につきましては、その年度ごとに検討し、実施する予定であると聞いてございます。
都といたしましても、都市外交人材育成基金によるこの事業の目的が達成できるよう、引き続き首都大学東京を支援してまいります。
○おときた委員 年度ごとに開催方法を検討ということでございましたけども、繰り返しになりますが、首都大学東京の卒業生、公費で受け入れたわけですから、東京に来るべきであるというのが一般的な感覚でございますし、また費用の面でも優位性があると思います。
ここにそもそも海外留学生を公費で受け入れることはいかがなものかという議論もある中で、さらに同窓会に大きな経費が使われているということであると、そこに対しても都民からさらなる大きな疑念を持たれてしまう可能性も否定はできません。
東京開催の方は今週末ということでございますが、まずはそちらをしっかりと運営していただきまして、来年度以降も本事業が継続されるのであれば、東京開催で定着していくということを強く望むものです。
最後のテーマとして、附属機関についてお伺いいたします。
こちらも総務委員会で以前より厳しく取り上げてきた案件でございますが、長らくの間、都の附属機関、つまり協議会や審議会など都の政策決定にかかわる会議体が、多くの場合、都民やメディアに対して事実上の非公開の状態で行われてまいりました。まさにこちらは都の閉鎖体質、ブラックボックスを象徴する事例であり、早急な改善を求め、また、改善に向かう旨のご答弁もいただいてまいりました。
現在、附属機関等の開催日程等を含めました公開の状況はどのようになっているのかをお伺いいたします。
○栗岡人事部長 附属機関等の会議の開催日程の事前告知につきましては、附属機関等設置運営要綱の取り扱い通知に基づき実施してまいりましたが、二十七年四月時点では、一部非公開の会議を含め、会議を公開している附属機関等の半数において開催日程の事前告知がなされておりませんでした。
このため、本年四月に、一層開かれた都政を進めるため、取り扱い通知を改正いたしまして、事前告知については、必要に応じ努めるとしていたものを、原則実施することに改めました。これにより、現在、一部非公開の会議を含め、会議を公開している附属機関等の開催日程は全て公表してございます。
さらに、今般、都民ファーストの観点から、会議そのものの公開につきましても、改めて各所管局において自己点検を行いまして、会議の公開を一層進めることとあわせて、事前告知の徹底を図ってございます。
○おときた委員 通知が出されただけでは、その効果は限定的ではないかとの懸念もありましたが、都民ファーストと情報公開を旨とする知事のリーダーシップもありまして、この問題の大幅な改善が図られているということについては高く評価したいと思います。
しかしながら、各局の自己点検や自主性に任せているだけで情報公開の質を維持できるかという点については、これまでの経緯からもいささか懸念がございます。
会議の開催日程を初め、情報公開に当たっては、附属機関等を総括する総務局がマネジメントを行いながら各局と連携していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○栗岡人事部長 総務局におきましてはこれまで、附属機関等の一層の情報公開に向け、会議開催の事前告知の原則化など、取り扱い通知を改正し、各所管局に対し周知徹底してまいりました。
今般、都政改革の取り組みにおきましても、同種の機関や他県の状況などを比較勘案しながら、各所管局において自己点検を実施した結果、会議の公開が増加し、二十八年十月時点では、昨年度と比較して、一部非公開の会議を含め、公開の機関は六三%から七五%へと一二ポイント増加し、全機関の四分の三に達してございます。
また、各機関の基本情報や会議の開催日程の一覧を総務局が集約してホームページに掲載するなど、情報へのアクセス向上を図り、さらに、十月三十一日に開設された情報公開ポータルに附属機関等の情報をリンクさせ、情報の一元化に取り組んでおります。
今後も、情報を都民にわかりやすく伝えていくため、各局と連携しながら適切な公開を推進してまいります。
○おときた委員 まさに今ご答弁いただいて、最近公開が始まった情報公開ポータルというのが情報公開の基本となるものであって、これは非常によくできていると思うのですが、なぜ今までこれができてこなかったのかという遅きに失した感はあるとはいえ、この運用が始まったということは非常に高く評価したいと思います。
情報公開というのは、不断のチェック体制をしいておかなければ、いつ以前の閉鎖体質に戻ってしまうかわからないものでございます。都民ファーストの視点から、さらなる各局の情報公開を促進、維持していくように強く求めまして、私の質問を終わります。
○ともとし委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後五時二十四分休憩
午後五時三十一分開議
○ともとし委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○谷村委員 それでは、市町村総合交付金につきまして質問させていただきます。
まず、この市町村総合交付金がスタートするに当たっては、複数の交付金が統合されてスタートいたしました。その経緯と趣旨についてお伺いいたします。
○西村行政部長 市町村総合交付金は、平成十八年度に、それまでの市町村振興交付金、それから市町村調整交付金、そして多摩島しょ底力発揮事業交付金を統合いたしまして、市町村にとって投資的経費、経常経費の区別なく柔軟に活用できる交付金制度としたものでございます。
本制度によりまして、市町村が実施する各種施策に要する経費の財源補完を通じまして、特色ある地域づくりに取り組む市町村を積極的に支援するとともに、行政改革の取り組みを促し、各市町村の振興と安定的な行財政運営を図っておるところでございます。
○谷村委員 今、投資的経費について言及がありましたけれども、それは要綱ではどちらに示されているのでしょうか。
○西村行政部長 従来の制度におきましては、投資的経費につきましては、振興交付金の方で対象としておったというふうに聞いてございます。
○谷村委員 いえ、そういう質問はしておりません。今、投資的経費というふうに、あえて総合交付金の位置づけをお話しされましたけれども、市町村総合交付金の要綱ではどこにそういったことが触れられているのでしょうか。
○西村行政部長 要綱の中で投資的経費に該当するものは、これは割が三つございまして、振興支援割という割の中でまちづくり振興割ということで、こちらで市町村が実施する公共施設整備等を対象としておるところでございます。
○谷村委員 振興支援割というのは全て投資的経費ということで、市町村振興交付金を受け継いだものという位置づけでよろしいのですか。
○西村行政部長 ちょっと説明が十分でございませんでした。
振興支援割の中には、先ほど委員お尋ねの投資的経費もございますが、その他、特別事情割というのもございまして、その中に一定の、ハード系だけではない経常経費も含まれているという状況になってございます。
○谷村委員 冒頭にお尋ねしましたのは、複数の交付金を合わせて市町村総合交付金をスタートさせた経緯とその趣旨をお尋ねしたのですけれども、あえてその中で投資的経費に言及されているのはどういう意味でしょうか。
○西村行政部長 先ほども若干触れましたが、従来の交付金につきましては、経常経費と投資的経費、対象が異なる交付金でやってきたところでございますが、これを合体させることによりまして、先ほど申し上げました、投資的経費、経常経費の区別なく、この新たな市町村総合交付金の中で対応できるという制度になったということで申し上げたところでございます。
○谷村委員 それでは、そのようにご答弁いただければいい話ではないかと思いますけど、なぜあえて投資的経費だけそのように強調されるのでしょうか。
○西村行政部長 ちょっと説明があれだったかもしれませんが、先ほどご答弁いたしましたのは、三つの交付金の統合によりまして、市町村にとって投資的経費、経常経費の区別なく柔軟に活用できる制度となったということでご答弁したところでございまして、ちょっとお聞き苦しかった点があったとすると、おわびをしたいと思います。
○谷村委員 それでは、先ほど言及された特色ある地域づくりを積極的に支援されているということですけれども、特色のある地域づくりというのは具体的にはどういったことになるでしょうか。
○西村行政部長 先生もご案内のとおり、多摩地域、島しょ地域におきましては、それぞれ観光資源、それから農林水産の産品、こういったものがございまして、例えばこういったものを活用しながら地域おこしにつなげていく、そういう取り組みにつきまして特色ある地域づくりということを申し上げたということと、それからあと、多摩と申しましても、東部と西多摩のエリアではそれぞれ地域特性が違うという状況がございますので、そういう地域特性を生かした地域づくり、こういったことも含めて先ほどお話をさせていただいたつもりでございます。
○谷村委員 じゃ、具体的には、多摩の東部の地域特性というのはどのようなことを指されているのでしょうか。
○西村行政部長 多摩東部につきましては、一般的にいわれるのは、区部に隣接したエリアということで住宅地が非常に多く広がっているというようなエリアでありまして、そういう地域の特性という意味でいいますと、そういう特性を持っているという中でいかにコミュニティづくりを図っていくかとか、そういった課題が出ているというふうに認識しておりまして、そういったものについて取り組む市町村を積極的に支援していくということでございます。
○谷村委員 では、冒頭の質問に戻りますけれども、三つの交付金を統合して市町村総合交付金制度がスタートしたわけですけれども、その効果はどう変わってきているのでしょうか。三つがそれぞれで行っていた交付金と市町村総合交付金に統合した制度について、どういう具体的な効果が上がっているのでしょうか。
○西村行政部長 新たな制度としましては、財政状況に応じた支援、それから経営努力に応じた支援、それからあと振興支援という三つの色分けができるわけでございますけれども、これらを統合することによりまして、今申し上げましたそれぞれにおいて取り組みを進める市町村を支援するという意味におきまして、一定の成果があったということになろうかと思います。
○谷村委員 じゃ、その件については後ほど改めてお伺いしたいと思いますが、市町村総合交付金の位置づけ、主たる目的ということについてお尋ねしたいと思います。
○西村行政部長 市町村総合交付金は、市町村に対する包括的な財源補完制度としまして、市町村の経営努力を促進し、自主性、自立性の向上に資するとともに、地域の振興を図り、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進を図るための制度でございます。
○谷村委員 それでは、この交付額の算定基準についてどのようになっているか、お尋ねいたします。
○西村行政部長 市町村ごとの交付額につきましては、市町村に配布、周知した要綱に基づきまして、財政力指数や歳出削減努力等の客観的、画一的な数値にあらわれるものを基礎とするとともに、公共施設整備事業など個別の財政需要につきまして、市町村から事業計画書の提出を受けた上で、ヒアリングにより内容をきめ細かく確認するなど、個々の市町村の実情に即した交付となるように適切に算定しているところでございます。
○谷村委員 今ご答弁ありました個々の市町村の実情に即した交付、個々の市町村の事情に即したものというのは、例えばどういったことを指すのでしょうか。
○西村行政部長 先ほど三つの割で成り立っているというご答弁を申し上げましたけれども、まず財政状況につきましては、これは文字どおり、そのとおり、それぞれの置かれた財政状況を踏まえた支援を行うということでございます。それから、経営努力割につきましては、それぞれが取り組んでいる行政改革努力、こういったものを算定に反映させるというものでございます。それからあと振興支援につきましては、それぞれ個別の行政課題を抱える中で取り組んでいる公共施設整備事業など、そういったものに対して支援するということで、以上申し上げました、こういった実情を踏まえて交付を行っているということでございます。
○谷村委員 ということは、話をもう一度戻しますけれども、統合して市町村総合交付金ができる前の三つの交付金の状況と総合交付金がスタートした現在の状況とどう異なるのでしょうか。
○西村行政部長 三つの交付金を統合いたしまして新たな総合交付金をつくったわけでございますけれども、一つは、財政状況に応じて支援していくという仕組みを取り入れたことによりまして、そういった面でのバックアップを行ってきたということと、それからあと経営努力につきましては、一定の行財政改革が市町村において進展したということ、それからあと振興支援につきましては、公共施設の整備を初め、まちづくりにおいて成果が上がったということになろうかと思います。
○谷村委員 私がお尋ねしているのは、先ほどお答えになりました財政状況あるいは経営努力、振興支援というものが、市町村総合交付金ができるまでの制度ではできなかったものなのでしょうか。それをやってきたものが、その三つが統合されて市町村総合交付金になっているわけですから、どういう違いが出ているのかというのをお伺いしているんです。
○西村行政部長 それぞれ旧交付金の時代におきましても、一定の目的を持って取り組みを進めてきたわけでございますけれども、三つの統合を図ることによりまして、私どもとしましては、安定的な行財政運営、それから市町村における人事給与制度の改善など行財政改革の取り組みの促進に寄与した、それから、先ほど申しましたように、道路、学校などの公共施設整備、地域の特性を踏まえたまちづくり事業に資するなど、そういった意味での成果があったということで、特に安定した行財政運営や行革努力への取り組みということについては、新たな市町村総合交付金におきまして取り組みを始めたところでございまして、こういったことにつきましては成果があったということでいえるのかなというふうに思っております。
○谷村委員 じゃ、市町村の側からは、どういうふうな使途として、この三つの交付金が統合されたという効果が出ているのでしょうか。
○西村行政部長 平成十八年度に市町村総合交付金を創設したわけでございますけれども、この際、市長会、町村会の意見を聞きながら制度構築を行ったところでございます。それで、市町村総合交付金になりまして、先ほど申しましたように、経常経費、投資的経費の別なく総合的に支援するということにつきましては、使い勝手がよくなったというような声を市町村からいただいているというふうに聞いてございます。
その後も、平成二十一年度に、要望を踏まえて、都の施策と連携した市町村の取り組みへの積極的支援や経営努力割の評価項目の見直しなども行ったところでございまして、市町村から使途の柔軟化を求める声がございましたので、そういった意味で評価を得ているというふうに認識してございます。
○谷村委員 じゃ、今おっしゃった二つの点は、具体的にどういったことが使い勝手がよくなったり、弾力的に使えるようになったというふうに評価されているのでしょうか。
○西村行政部長 使い勝手の点についてでございますが、従来は、冒頭申し上げましたように、市町村振興交付金、調整交付金の二本立てでやっておりましたので、わかりやすく使い勝手という意味でいうと、申請事務の簡素化とか、そういったことが挙げられようかと思います。
それから、投資的経費と経常経費の別なくしているということで、市町村から見た場合には、総合的な支援が受けられるという認識に立って評価していただいているものというふうに認識してございます。
○谷村委員 それでは、平成二十七年度の総合交付金総額四百八十三億円の財政状況、そして経営努力、まちづくり等振興支援のそれぞれの配分についてお伺いいたします。
○西村行政部長 まず、総予算額は四百八十三億円ということでございますが、財政状況割につきましては百四十五億円、経営努力割につきましては七十三億円、振興支援割につきましては二百六十六億円という数字になってございます。
○谷村委員 その金額の割り当ての根拠は何でしょうか。
○西村行政部長 交付要綱におきまして、配分項目の配分割合につきまして、おおむね財政状況割につきましては三〇%、経営努力割につきましては一五%、振興支援割につきましては五五%という目安を設けておりまして、この中で配分しているという状況でございます。
○谷村委員 この要綱で、今ご答弁ありました財政状況が三〇%、経営努力が一五%、そして振興支援が五五%という、こういうふうにこの比率で定めた根拠というのは何でしょうか。
○西村行政部長 申しわけございません。ちょっと今手元に資料がないものですから、当時のどういう考え方でやっているかということはお答えすることができません。
○谷村委員 先ほど、市町村の側から、統合されてこの総合交付金になって、効果があるという理由の一つに、経常経費と投資的経費の違いなく執行されるということを市町村側が評価しているというご答弁がありましたけれども、こういう三〇%、一五%、五五%という比率がある中で、経常経費と投資的経費というものが垣根なく請求できる、あるいは要求できるということはおかしいのではないですか。
○西村行政部長申しわけございません。ちょっとわからないという状況でございます。
○谷村委員 だって、あなたが答弁したわけじゃないですか。
市町村総合交付金になって、市町村側からよくなったというその理由の中に、経常経費と投資的経費の違いなく交付されるというのであれば、何でこの三〇%、一五%、投資的経費が入ると思われる五五%という垣根が交付自体にあるのですか。
○ともとし委員長 ここは裁判所じゃないんだから、立ってなくていいですよ、一旦、席に戻って。
今の質問をちょっと整理して、それで答弁してください。
○西村行政部長 先ほどご答弁しました振興支援割の中に投資的経費、経常的経費が対象として含まれるということになってございまして、五五%の中でそういうやりくりがきくと。従来は別立てであったものが、がっちゃんこしてやりくりがきくというふうになったことをもって、使い勝手がよくなったということだというふうに考えてございます。
○谷村委員 先ほど、財政状況、経営努力、振興支援の割合、三〇%、一五%、五五%の割合の根拠が不明というふうにお答えになりましたけれども、この割合の中で振興支援が五五%というのは高過ぎるのではないでしょうか。
○西村行政部長 こちらの配分の目安についてでございますが、先ほど平成二十一年度に制度を見直したというふうに申し上げましたけれども、それまでは、財政状況割が三五%、それから経営努力割は一五%、それで振興支援割が五〇%という比率で当初は運用しておったところでございます。市長会等から、より使い勝手のよい制度にしてほしいという要望を受けまして、財政状況割から五%を振興支援割の方に移しまして五五%としたというのが経緯でございます。
○谷村委員 では、質問を前に進めます。
先ほど交付額の算定基準をお尋ねした際に、公共施設整備事業を一つの状況としてヒアリングの対象としておられるようなご答弁をいただきましたけれども、その具体的な算定の方法についてお尋ねいたします。
○西村行政部長 市町村総合交付金におけます公共施設整備事業の算定に当たりましては、各市町村が実施する道路、橋梁、公園、学校教育施設、ごみ処理施設などの清掃施設などさまざまなまちづくりに資する事業につきまして、市町村から提出された事業計画を踏まえて算定しておるところでございます。
算定に当たりましては、それぞれの事業の進捗状況、地方債の起債及び国庫補助金等の活用状況などをヒアリング等で確認するとともに、十分意見交換を行いまして、市町村ごとに異なる状況をきめ細かく把握しておるところでございます。
その上で、市町村の一般財源所要額の一部につきまして、実情に即した交付となるよう丁寧に算定を行いまして、予算の範囲内で都として交付額を決定しておるところでございます。
○谷村委員 各市町村からヒアリングを受けて予算の範囲内で交付額を決定する際に、どうしても相対的な比較をしなければならないと思いますけれども、その相対的な比率というのはどういう基準で出されているのでしょうか。
○西村行政部長 ただいまの公共施設整備事業の算定に当たりまして、先ほど、市町村からヒアリングを行って、意見交換を行って、その上で算定を行っているというご答弁をいたしましたけれども、その際に、当該の事業、個別の事業ということになりますが、その事業が市町村の中でどういう位置づけになっているのか、市町村にとってどういった必要性、緊急性があるのか、そういった観点を総合的に勘案いたしまして、いってみれば事業の優先順位ということで、私どもの方で整理させていただいておるところでございます。
○谷村委員 市町村総合交付金の対象になる三十九市町村にとっては、それぞれが最重要課題として申請するわけですけれども、その中で、それぞれ出てくるものについて、それを相対的に予算の範囲内で分けなければいけないわけですね。それをどう算定されるのかと伺っているんです。
○西村行政部長 ただいま三十九市町村から出てきたものをどういうふうに分けるのかというご質問かと思いますが、それぞれの三十九自治体から丁寧にヒアリングを行いまして、その上でやっておるということでございますが、例えばわかりやすいのでいうと、財政状況が非常に厳しい自治体、それからあと、当該の事業が長期に位置づけられておりまして、単年度単年度で対応を変えていたのでは円滑に事業が進まないといったような事情、もろもろあろうかと思いますが、そういったものを総合的に見て判断するということをしておるところでございます。
○谷村委員 それは担当者によって交付額の決定が変わるということでしょうか。今いる担当者ということではなくて、年度が変わったりすると思いますけれども、そういった比率を出すものに当たっては、そういう担当者による恣意的なものは排除されてきちんと--みんな三十九市町村、これが一番大事なんだと出してきているけれども、限られた予算を配分するのに、どこを選ぶか、優先をつけるかという、それは担当者の恣意的なものは入らないようなシステムになっているのでしょうか。
○西村行政部長 特に明文化した基準というものを持っているわけではございませんが、少なくとも担当がかわったことによって対応が異なるというようなことが起きないように、担当間の連携を密にして、そこら辺のところは整合性をとりながらやってきているというふうに考えております。
○谷村委員 ということは、最初の方に算定した担当者がいて、それがその後大きく変わらないように引き継いでいってということになるのですか。例えば、最初の人がこうしたのだから、整合性がとれるようにそれをきちんと引き継いでいきますという形で配分は決まるということですか。
○西村行政部長 担当がかわったことによって、都としての対応が変わるということのないようにしなければいけないというふうに考えております。
したがいまして、引き継ぎをしっかりするということもございますが、何を考慮していくかということについては、明文という規定にはなってございませんけれども、それぞれこれまでやってきた積み重ねというものもございますので、そういったものの経験というか、ノウハウというか、そういったものもありますので、そういったことについては、担当間で合意を得ながら実際の事務を処理しているということでございます。
○谷村委員 そういう明確な基準がないのはおかしくないですか。これだけの金額が動いているんですよ。担当間との打ち合わせだとか引き継ぎも大事かもしれませんけど、見直しも大事ですよ。その時々の担当者によって変わる可能性があるというシステムはおかしくないですか。
○西村行政部長 本来からいいますと、一定の基準をもって対応していくということが望ましいというふうには思っておりますが、なかなか、行政を取り巻く環境等も変わる中で、そこのところは、三十九市町村にとって何が必要なのかとか、何を緊急的に対応しなくてはいけないのかとか、市町村のどういう計画に位置づけられているのかとか、そういったことを念頭に置きながら対応して、担当がかわったことによって支障が出るということのないように対応しているつもりでございます。
○谷村委員 一定の基準をもって対応すべきだとおっしゃっていながら、これはもう十一年目の制度に入っているわけですけど、一定の基準がないというのはおかしくないですか。それは、ヒアリングのときに各市町村のアピールの度合いだとか、説明の仕方だとか、情熱だとか、そういったものに左右されるのですか。
一定の基準がないというのはおかしいと思いますけれども、行政部長が答えられないようですから、局長、おかしくないですか。
○多羅尾総務局長 市町村総合交付金は、今までもご議論がございましたように、多摩・島しょ地域の振興のために、ハード行政からソフト行政まで、さまざまな分野に活用されるものでございます。したがって、算定の視点というものも、非常にさまざまな点があるものではないかと思っております。
したがいまして、今お示しできる明確な基準というものはございませんけど、今まで各担当者は、例えば、客観性の強い定量的な視点や、一方で、きめ細かな配慮を必要とするような、しんしゃくする必要があるような定性的な視点、そういったものを組み合わせて、合理的で公平感のある算定に努めてきたところだと、このように私は考えております。
今、先生のいろんなご指摘もございますので、今よりよい制度になるようにさらに頑張っていきたい、このようには思っております。
○谷村委員 ありがとうございます。そうであっていただきたいと信じますけれども、では質問を進めさせていただきます。
先ほどのご答弁で、市町村からの事業計画書の提出やヒアリングを行われておりますけれども、その時期というのはいつごろ行われているのでしょうか。
○西村行政部長 事業計画書につきましては、毎年度一月に提出を受けておりまして、ヒアリングにつきましては、四、七、十、一月の年四回実施しておりまして、ここで状況を把握しているということでございます。
○谷村委員 それで、要綱を確認しますと、先ほども何度か申し上げていますが、財政状況割、あるいは経営努力割のそれぞれ三〇%、一五%というのは、これは結構定量的に金額がはじかれるのだろうと思いますけれども、振興支援割、市町村総合交付金の五五%を占めているわけですが、平成二十七年度では、先ほどご答弁いただきましたけれども、二百六十五億円分というふうになります。
この対象というのが、先ほどご答弁いただきましたけれども、各市町村が実施する道路、橋梁、公園、学校教育施設、ごみ処理施設などの清掃施設、さまざまなまちづくりに資する事業と、こうなっているわけですけれども、ほとんどの市町村の公共事業に対して東京都が関与しているということではないのでしょうか。
市町村の自立性、主体性をもって本来交付されるべき市町村総合交付金が、ほとんどの市町村の公共事業に対してヒアリングを行っているというので、市町村の自立性、主体性というものは担保されるのでしょうか。
○西村行政部長 ただいまお話がありました公共施設整備等の個別事業に対しての交付につきましては、その時々で市町村間において大きく異なる財政需要を踏まえ、市町村にとって必要な事業が円滑に実施できるように交付しておるところでございまして、その交付に当たりましては、市町村の自主性、自立性に配慮しておるところでございます。
算定に当たりましては、先ほどもご答弁申し上げましたが、ヒアリング等を通して十分に意思疎通を行っておるというふうに考えてございまして、市町村の意向も踏まえつつ、適切に対応しているものというふうに考えてございます。
○谷村委員 市町村の意向を踏まえつつとおっしゃいますけれども、ヒアリングというのは、ただ聞くだけですか。
○西村行政部長 ヒアリングにおきましては、当然のこととしまして、市町村からの要望の内容を確認するとともに、胸襟を開くといういい方がいいのかどうかわかりませんが、市町村の担当者からの率直な話をお聞きして、そういうやりとりをするということでございます。
○谷村委員 そうすると、市町村総合交付金を受けるに当たって、あるいは市町村総合交付金を申請するに当たって、各市町村は、ほとんどの公共事業に対して東京都に報告をし、応援していただけるものはどうなのか、優先順位はどうなのかといったことを都に対して報告をし、ヒアリングとは聞こえはいいですけれども、さまざまな確認をされたり、指示をされたり、時に理解してもらえなかったりという状況になるわけで、主体性、自立性あるいは地方自治をしっかりと確立していくべき都内の各市町村に対して、余りにも細かくヒアリングをし過ぎなのではないですか。
○西村行政部長 ただいまご指摘のありました振興支援割についてでございますけれども、こちらにつきましては、個々の市町村のまちづくりに係る事業とか、それから自然災害などの特殊な事情について対象としているわけでございますけれども、こういったさまざまな財政需要につきましては、これは毎年度変化していくものでございます。
個々の市町村の状況に適切に対応していくためには、一律の算定方法を定めて柔軟な対応ができなくなることは適当でないということで、そういう事業の性格と申しますか、そういったことに着眼しましてヒアリング等を実施しておるというところでございまして、その中におきまして、市町村の状況をきめ細かく把握する必要があるというふうに私どもとしては考えておるところでございます。
○谷村委員 きめ細かく把握をしても、一定の基準を持っていないわけですから、そういう対応はできないのではないかという疑問を呈しておきます。
続きまして、交付決定の手続、これはどのようになっているのでしょうか。
○西村行政部長 東京都事案決定規程におきましては、算定いたしました交付額につきまして、関係部署に協議の上、総務局長が決定するということになってございます。
○谷村委員 具体的に関係部署とはどこを指すのでしょうか。
○西村行政部長 局内の予算担当部門、それから文書部門といいますか、そういう局内の関係の担当者ということになります。
○谷村委員 局内の部局もいえないのですか。
○西村行政部長 失礼いたしました。
総務局内の企画計理課、それからあと文書課に協議を回しておるという状況でございます。
○谷村委員 議会で質問しているわけですから、そういった対応をしている部署だとかという表現をしないで、きちんと答えてくださいよ。
総務局長が決定というふうにおっしゃいましたけれども、総務局長はいつごろ決定をされるのでしょうか。
○西村行政部長 交付決定につきましては、先ほど申し上げましたヒアリング等を経た上で、三月に交付決定を行うこととしてございます。年度末ということになろうかと思います。
○谷村委員 それぞれの市町村が行う事業、一般会計の補完をする金額が最終決定するのが年度末というのは、市町村にとっては負担ではありませんか。
○西村行政部長 交付決定につきましては、当該年度の三月に行っておるところでございます。
それで、市町村の資金繰りということで考えた場合には、交付は実は年二回行っておるところでございまして、毎年度六月に前年度交付額の三分の一を概算交付という形で交付してございます。その後、先ほど来ご答弁申し上げております交付額の算定を行いまして、当該年度の三月に交付額を決定する。その交付決定額から先ほどの概算交付額を差し引いた額を三月中に交付するという流れになってございます。
○谷村委員 市町村総合交付金に関する要綱の中には東京都市町村総合交付金配分内訳表というのがありますけれども、総務局長がこれを決定されるに当たっては、どの程度までの資料を確認されて三十九市町村の金額というのをお決めになるのでしょうか。
○西村行政部長 交付金要綱には、委員お尋ねのように配分内訳表がついてございます。
実際の交付決定におきましては、この表に係るものを、三十九団体ございますので、一表に落とし込んだ形で整理いたしまして、それをもって局長に説明した上で決定いただくという流れになってございます。
○谷村委員 それでは、本論に入りたいと思います。
これまで平成十八年度は三百十億円でした。ことし、平成二十八年度で十一年目を迎えます。総額は三百十億円から四百八十三億円、一・六倍になっております。
この金額を、予算額を上げていく上では、私ども公明党、また、復活予算等では都議会自民党の皆さんと一緒になって、幾度となくこの増額に努めてきたわけでございますが、市町村総合交付金の内訳金額というのがこれまで一切公表されなかったというその理由は何でしょうか。
○西村行政部長 市町村総合交付金の交付額につきましては、まちづくり等、市町村の公表前の計画に係る財政需要など、信頼関係に基づき把握した情報も含めて算定しておりまして、その詳細が明らかになることで、市町村の実情に即した適切な算定が困難になることが想定されるところでございます。
また、市町村別の交付額やその内訳を一律に公表することは、市町村の財政状況や経営努力等が金額の多寡のみで判断されまして、都民に正確な理解をしていただくということに支障が生じるおそれがあるというところでございます。
こうした情報につきまして市町村が通例として公にしないこととしている場合は、開示に当たりましては配慮が必要であるということから、都としましては、市町村の理解のもと、当該市町村分のみの交付額を提示してきたところでございます。
情報公開が求められる中、平成二十七年度決算におきましては、総合交付金の交付額につきまして、全ての団体が決算書等により公表したことが確認できたため、今般、決算特別委員会におきまして資料を提供したところでございます。
○谷村委員 各市町村の財政状況が明らかになることがよくないということで、各市町村に配分された金額を公表してこなかったというお答えですけれども、そういうそれぞれの各市町村の財政状況というのは、市議会、町村議会にかかりますし、各自治体の市町村の方たちはご存じなわけですよね。そういうお答えで金額が公表されなかったというのは説得力がありません。
なぜ公表されなかったのか、お答えください。
○西村行政部長 私どもといたしましては、先ほど来申しておりますように、市町村との信頼関係に基づき把握した情報も含めて算定しておるということで、市町村から公表を前提に収集した情報ではないというようなこともございまして、繰り返しになりますけれども、それに加えまして、金額の多寡のみで判断されるということは、都民の正確な理解ということにはつながらないのではないかというふうに考えて公表してこなかったというところでございます。
○谷村委員 三百十億円から四百八十三億円に当たるこの金額について、じゃ、都民に対する説明はなくていいというお考えなのでしょうか。
○西村行政部長 都民に対する説明責任というお話でございます。
先ほども若干触れましたが、各市町村におきましては、それぞれの決算書等におきまして、当該市町村の都からの交付額というものをオープンにしているという状況がございます。その数字の中身につきましては、私どもとしましては、各市町村におきまして説明責任を果たしていただくというような考え方もあって、これまで内訳は公表してこなかったというところでございます。
○谷村委員 市町村の責任で公表、市民に対して明らかにすると。出しているのは東京都の税金じゃないですか。何で東京都の責任において、そういったことをきちんと公表できないのですか。説明責任を担われないのですか。市町村の責任においてそれを公表するという話ではないですよね。
東京都の税金を使って市町村の財政を支援していくという趣旨のもと、東京都としてはこういうふうにして各市町村に金額を交付しましたよという説明責任が、何で市町村の責任のもとにおいて行われなければいけないのですか。本来、説明責任を持つのは東京都ではないですか。
○西村行政部長 繰り返しになりますが、市町村別の交付額を一律に公表することは、市町村の財政状況や経営努力等が金額の多寡のみで判断され、都民に誤解を与えるおそれがあるということから、これまで都は当該市町村分のみの交付額を提示してきたところでございます。
○谷村委員 繰り返しになりますが、市町村の財政状況というのは、それぞれ市議会、町村議会で明らかにされていますし、地方自治法等で市民、町民、村民にも明らかにされています。東京都が交付する市町村総合交付金の内訳というものが公表されたからといって、各市町村が何ら困ることはないと、公表されているわけですから。それぞれ決算でされているわけですから。なぜあえてそれをディスクローズしてきたのか。
お答えになっていないです。きちんとご説明してください。
○西村行政部長 先ほど来申しております、信頼関係に基づき把握した情報とか、それから都民の正確な理解ということで公表してこなかったという答弁をいたしましたけれども、これまでの考え方として、そういう考え方で対応してきたところでございますけれども、委員おっしゃるように、情報公開が今求められている中でございますので、私どもとしましても、二十七年度決算の数字につきましては今回お示ししたところでございます。
○谷村委員 今後は、決算だけではなくて、予算を都議会で審議する段階で、どういう市町村別の予算額なのかということはきちんと明示していただいて--東京都のごく一部の担当者と、市町村のどのクラスになるかわかりませんが、副市長さんなのか財政担当部長さんになるのかわかりませんけれども、その信頼関係だけで金額が検討されて、そしてその金額が交付されていく。その金額が公表になると、信義にもとるようなことになるあるいは市町村に迷惑がかかるというようなことでは、今後は、市町村総合交付金について一定の対応を私どもはしなければならないと思っております。
もしそれができないのであれば、この市町村総合交付金を抜本的に見直しして、各市町村が主体的に、そして自立性を持って、さらには市町村の地方自治権というものがしっかり行使できるような、そういう市町村の財政を応援できるシステムに変えるべきだと思っております。局長、いかがですか。
○多羅尾総務局長 市町村総合交付金の情報公開についてということだと思います。
今までも情報公開は都政の原則であったと思います。しかし、一方で、相手方がある場合、この場合は市町村だと思いますけれども、この場合は、情報公開条例七条などに相手方にも配慮することというような定めがございまして、先ほど部長の答弁にもるるございましたように、相手方が積極的に公表していない資料が使われているものであるとか、あるいはそういった数字がひとり歩きして市町村の財政運営の努力が誤解されかねない、こういったものについて、いささか私どもが抑制的に考えて、そういった現在のような、今までのような対応をしてきたという傾向もございます。
先ほどもご答弁申し上げましたように、平成二十七年度におきましては、全市町村の決算資料におきまして、この数字が明らかになっているということが確認できましたので、資料を議会に提出させていただいたところでございます。
情報公開は、今後とも極めて都政の重要な柱となることだと思いますので、本件につきましても、区市町村とよく相談しながら情報公開をより推進してまいりたい、このように考えております。
○清水委員 先ほどもご答弁で触れられましたが、都政改革の一環として、都はこのほど、職務に関する働きかけについての対応要綱を定めて、十一月一日から開始されています。そのことについて何点かお伺いいたします。
まず、この要綱の制定の経緯と目的についてお答えいただきたいと思います。
○小暮総務部長 要綱制定の経緯でございますが、平成二十八年十月二十一日の知事の定例会見での発言のとおり、適正な行政の執行等の観点から、外部関係者からの職員への働きかけがあった場合に記録の作成を職員に義務づけることを要綱の形で制度化したものでございます。
○清水委員 今、行政への外部からの働きかけを記録して公表するという制度は、大分、多くの自治体が始められています。その背景には、自治体に対する働きかけが法律や条例に違反するものだったり、働きかけの過程でさまざまな事件が起こったりしたことなどが発生している自治体もあって、その再発防止のためには、行政に対する働きかけの内容を記録し、公表することが大きな意義を持つということもあって広がっているといわれています。
そこでお伺いいたしますが、記録をする職員と記録をする対象の範囲についてお答えください。
○小暮総務部長 記録する職員と記録する対象の範囲ということでございますが、いわゆる知事部局に所属する一般職、一般職員から局長まででございますが、一般職の職員が職員以外の外部関係者から働きかけを受けた場合に、その内容を記録するということとしてございます。
行政委員会、公営企業等は、本要綱と同様のものをそれぞれ制定してございます。
○清水委員 今お答えがありました職員以外の外部関係者からという、その外部関係者というのは、どこからどこまでを指すのでしょうか。
○小暮総務部長 外部関係者につきましては、職員以外の者というような考え方でございます。
○清水委員 職員以外。都民、それから議員も入りますか。
○小暮総務部長 職員以外の者ですから、議員の先生方ももちろん入ります。都民の方ももちろん入ります。
都民の方につきましては、都民の声窓口といったところがございますので、そちらの方で記録するということになると思います。
○清水委員 それでは、記録をされる内容について、それから記録化が除外される場合についてお伺いいたします。またあわせて、その記録の保存期間についてお伺いいたします。
○小暮総務部長 記録される対象でございますが、職員以外の者が職員に対して要望、意見等を伝え、その職務に関して行為をするように、またはしないように求めた場合のその内容としてございます。ただし、議会、審議会等の公開の場におけるもの、文書によるもののほか、担当窓口を訪ねたり、公表資料の提供を求める等、日常的に受ける軽易な照会、資料請求等は対象外としてございます。
保存期間につきましては、文書管理規則に基づきまして設定してございます。
○清水委員 今お答えになった内容は、要綱の中の定義、第二条の(5)に書かれているんですけれども、職員以外の者が職員に対して要望、意見等を伝え、次のところですね、もうちょっと説明していただきたいのですが、その職務に関して行為をするように、またはしないように求めることをいうというくだりなんですけれども、それについて、どういうことをいっているのかということをお聞きします。
○小暮総務部長 その行為についてするように、またはしないようにということでございますが、ある目的を持って働きかけをする、職員に対してこういった行為をしてほしい、あるいはしないようにといったようなことでございまして、明確な規定といったものは私ども定めてございません。
○清水委員 職員は、その判断というのはどうするのですか。
それから、その判断の一つとして、その下に、先ほどお答えになったようにアからオまで、こうしたときは除外するんだよと書いてあるのですけれども、職員の判断と、アからオの除外する情報を職員が全部持っていなければいけないということですか。
私は何をいいたいかといいますと、記録というのは、できる限りするということが効果を発するのではないかということで、こういうふうに限定するということは、この制度の効果を発しないと思うんです。
今のところと、それから、アからオの除外の規定についてお聞きします。
○小暮総務部長 記録の内容でございますけれども、基本的には、働きかけ等、そういった要望を受けた職員がケース・バイ・ケースで記録をしていくということでございます。内容によっては軽微なものもございます。照会であるとか軽微なもの、あるいは資料請求といったもの、こういったものについては特に記録をしないのですが、内容によっては、重要なもの等につきましては必ず記録をすると。
このアからオ、議会、審議会の不特定多数の者が傍聴可能な公の場におけるもの、あるいは不特定多数の者がその内容を知り得るもの等、あるいは議事録が作成されるようなもの、こういったものにつきましては除外するというふうに思っております。
○清水委員 その判断を職員にさせるということが非常にハードルが高いというふうに思うわけです。こうした記録をするときには限定を定めないということが二十数カ所の県でやられているようなんですけれども、その中のいろいろな例を見ても、そういうことがいわれています。
それで、今いわれたけれども、要望というのは都民の声に、そちらに持っていくということですけれども、ここの要望、意見等と都民要求、都民の声との違いというのはどうなんですか。
○小暮総務部長 明確な規定はございませんが、職務に関する働きかけに関しましては、この要綱に基づいて記録するというふうに考えてございます。
○清水委員 先ほどいいましたけれども、こういうふうに狭めない。
じゃ、都民要望の方に持っていった場合に、この記録にも加わるのですか。そこら辺はどうですか。
○小暮総務部長 都民要望、都民の声ですね、こちらに寄せられました意見につきましては、働きかけ要綱の記録としては扱わないようになってございます。
○清水委員 ここは、今のお答えだと、この要綱はかなり限定されているということになります。それを限定するということは、反対に、職員がこうした要望や意見をもらって、その職務を、行為をするように、しないように求めるということをいわれたからとか、そうした判断をするというのは非常に大変なんです。
それよりも、要望や意見をもらったということを単に記録するということで書いた方が、職員の負担とか、職員の時間をとられるということは、もっとハードルが下げられると思うんですよ。
じゃ、要望書はどう書くわけですか。要望等と書くわけですか。書く用紙がありますよね、対応記録票というのが。この対応記録票にどういうことで書くわけですか。
○小暮総務部長 対応記録票への記載でございますが、厳密な形で要綱の中に細かく規定はしてございません。
基本的に対応記録票は、お話があった内容を簡潔にわかりやすく書くといったことで、各局統一的に対応するような形で要綱上は入ってございます。
○清水委員 やはり、先ほどから繰り返し述べていますように限定しないと。限定しないで、それで記録を保存しておいて、それで、どういうことがその要望から発展していくか、まだわからないわけですから、その際に都民の声に回すのではなくて、要望、意見をきちんと保存しておく、限定しないということを要望しておきたいと思います。
それから、期間なんですけれども、対応記録票の保存期間というのは、先ほど文書規則に基づいてやるといわれたんですけど、大体どのぐらいを考えているのですか。
○小暮総務部長 要綱に規定しました対応記録票の保存期間でございますが、当該文書が東京都文書管理規則上の資料文書ということでございますので、三年及び一年を原則という形で考えてございます。
○清水委員 これも私は非常に短いと。せめて四年か、それ以上、私は保存すべきだというふうに思いますよ。
だから、先ほどいいましたように、要望だと思っていたけれども、何が発展するかわからない。どういう内容がどうなるかわからないということでは、三年、一年では非常に短いと思いますけれども、検討していただけないですか。
○小暮総務部長 対応記録票の保存期間でございますが、こちらも先ほど申し上げたとおり、文書管理規則上の資料文書ということでございまして、当面三年及び一年を原則とするということで対応していきたいと思います。
○清水委員 舛添前知事の問題で、いろいろ情報開示していただきましたけれども、一年というものが多かったわけですよ。ですから、そこで私たちは、文書の保存期間というのはどうなんだろうかということを会派の中でもいろいろ話し合いをしました。仮に議員が要望したということもあるでしょう、それから、都のほかの部門から来たこともあるでしょう、都民から来たこともあるでしょう。せめて四年ぐらいは保存すべきではないかというふうに私は要望しておきたいと思います。
それから、公開ですけれども、記録の公表時期と公表内容についてどのように公表するのかということについてお伺いいたします。
○小暮総務部長 記録につきましては、年度単位で集約し、公表することを予定してございます。今後、公表時期や公表内容につきまして検討していきたいというふうに思っております。
それから、申しわけございません。先ほど答弁の中で、保存期間につきましては、三年及び一年を原則ということで申し上げましたけれども、文書管理規則の四十八条において、保存期間を超えて保存する必要があると認める文書につきましては、その必要な保存期間を延長することができるということがございますので、必要な、重要な文書につきましては、一年、三年に限らず、保存期間を延長することで対応が可能というふうに考えてございます。
○清水委員 公表についてですけれども、要綱に公表ということは書いてあるのですけれども、概要の公表なんですよね。概要というのはどうやってまとめるのですか。
○小暮総務部長 概要につきましては、それぞれそういったお話を受けた職員が聞き取りをした内容によりまして記録されるということでございますので、一律に内容を縛る、こういった形でどういった内容まで踏み込んで書くということは、私どもの方として細かく指導することは困難かというふうに思っております。
○清水委員 そうしたら、概要の公表でなくて、そのほかの情報の公開というのは開示請求しないと出てこないということでしょう。
仮に都民の声に寄せられたものを情報公開すると、年間で二十万件ぐらいになるんだそうです。それを全部情報公開しなければいけないのかということになるので、情報公開制度以外の公表制度、さらに充実した公表制度を私は考えるべきだというふうに思いますが、どうですか。
○小暮総務部長 現時点では、情報公開制度に基づいた開示制度、それから、今回、要綱に基づいて、働きかけの対応記録票の公表につきましては、それぞれ同じような形で公表するということではなくて、私どもとしては、この対応記録票、今後、公表時期、公表内容についても検討していきたいというふうに思っています。
○清水委員 この制度を本当に都政の改革に役立つものにするためには、限られた内容を記録するのではなくて、広く記録するということと、それから、公開を、公表をできるだけ--概要なんていって、何が何件、何が何件というような概要というのではなくて、できるだけ幅広く公表することがこの目的を達成することだと思いますので、ぜひそのようにご検討をお願いして、質問を終わります。
○新井委員 長時間にわたり、お疲れさまでございます。最後ですので、なるべく早目に終わらせたいなと考えております。
まず、私からはサイバーセキュリティー対策についてお伺いいたします。
先週の十一月十五日、上野にて実施しました大規模テロ災害対処訓練、和泉委員とも一緒に参加させてもらいました。大変勉強になった訓練でございました。
都もテロのターゲットになる可能性も十分あると考えています。昨年十二月には、ウクライナにて多角的なサイバーテロによって大規模的な停電が発生しました。都も、サイバーテロによって大きな影響が出る可能性が十分あると思っています。
サイバーセキュリティー対策は、攻撃を受けた際の防御はもとより、被害を最小限にとどめるための対応が重要となっています。東京都では、これまでもさまざまな対策を講じてきていると思っています。
そこで、本年四月に東京都CSIRTが設置されましたが、設置に至る経緯及びその活動についてお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 東京二〇二〇大会の開催都市として注目を集める東京には、サイバー攻撃のさらなる増加が見込まれることから、対策を一層強化していく必要がございます。
そこで、都は、公営企業を含む全庁的な体制として、昨年十月に設置したサイバーセキュリティ委員会の下に、本年四月、サイバー攻撃への対処を専門的に行う体制として東京都CSIRTを設置いたしました。
東京都CSIRTは、全庁のセキュリティー事故対応を統括し、指導、指示などを行うとともに、東京二〇二〇大会を見据え、サイバーセキュリティーに係る取り組みを計画的に進めるために昨年度策定いたしましたロードマップに基づきまして、情報システムに対するリスク評価、庁内システムへの攻撃を早期に検知する監視システムの構築などを行っているところでございます。
○新井委員 情報セキュリティー的におかしい事象が発生した場合には、発生した現場から局を通じて東京都のCSIRTに連絡が行くように、サイバーの司令塔となっているということです。昨年度はポリシーの変更もしたと聞いております。インシデント、大きなサイバー事故は起きていないと聞いております。
答弁によりまして、東京都CSIRTを中心に総合的な取り組みを着実に進めていくことで、サイバー攻撃への対応力を高めていることがわかりました。
そこで、東京都CSIRTが設置されたとはいえ、それだけでなく、都職員全体のセキュリティー意識の底上げも重要であると考えますが、見解をお伺いします。
○久原情報通信企画部長 サイバー攻撃の手法が巧妙かつ多様化しており、技術的な対策だけでは防ぎ切ることが困難であるため、職員がその危険性を真に理解し、攻撃を受けた場合に一人一人がみずから確実に対応を行えることが重要でございます。
具体的には、eラーニングによる職員研修や標的型メール攻撃訓練を実施するなど、職員のスキルを向上させるための取り組みを進め、セキュリティー事故の未然防止に向けた対策を継続的に実施しております。
特に標的型メール攻撃訓練については、最新の攻撃事例を訓練に取り入れるなどの取り組みを積み重ね、職員がより実践的な対処方法を身につけられるように充実強化を図っております。
また、サイバー攻撃に対する模擬訓練となる机上演習を今年度から開始するなど、新たな取り組みを行っているところでございます。
○新井委員 標的型メール攻撃訓練、毎年、このやり方、攻撃の仕方を変えているということです。いろいろな実践的な対処方法を身につけられる訓練だなと思っています。また、模擬訓練につきましては、インシデントが発生したときにどう対応するのか、また、そういった情報をどう共有するのかということが大切なのかなと思っています。
答弁でいただきました東京都職員のセキュリティー意識の向上の取り組みについても重要でございますが、東京二〇二〇大会に向け、サイバーセキュリティーの確保を図るためには、国やさまざまな団体との連携や情報共有が非常に重要になってくると思います。その取り組み状況についてお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 サイバーセキュリティーの確保を図っていくためには、関係機関との常日ごろからの密接な情報交換、連携が重要だと認識しております。
このため、国や警視庁、組織委員会等との連携を進めており、そのほかにもセキュリティーに関する知見や技術力を有する外部機関との連携強化に努めているところでございます。
また、区市町村との連携、情報共有体制を強化するとともに、今後は、セキュリティー事故に関して、東京都CSIRTが区市町村を支援するなど、区市町村のサイバーセキュリティー対策への取り組みを後押ししてまいります。
○新井委員 内閣官房情報セキュリティセンターとか警視庁など関係機関の連携はもちろんのこと、会議だけでなく、ふだんから情報共有をして、顔がわかるような関係を築いていただきたいなと思っています。
さまざまな対策を実施していることがわかりました。引き続きサイバーセキュリティー対策の向上を図っていただきたいと思います。
次に、東京都におけますネットワーク環境についてお伺いいたします。
ICT技術の進展により、都の各職場からは、例えば、ネットワークを活用して、カメラやプレゼン資料を使いながらの複数の同時音声通話をすることや、同じ一つのノートを共有して、お互いの書き込みができるといったような、いわゆるクラウドを使ったアプリケーションの活用など、さまざまなニーズが生じていることが想定されます。
このような技術の進展に伴います各職場のニーズに対しまして、都のネットワークが制度面でもインフラ面でも柔軟に対応できるようにすべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 新たなICTサービスなどの技術は、サイバーセキュリティポリシーに適合するのであれば、安全かつ安定的に業務改善や都民サービス向上に資するものとなることが期待できます。
都ではこれまでも、ICTに係る新技術を都政の現場で利活用し、業務改善や都民サービスの向上に役立ててきたところでございます。
今後も、新たなICTの活用につきましては、技術動向を注視しつつ、都民サービス向上などの想定される導入効果やコスト、ネットワークの安全性、安定性等を総合的に勘案しながら対応を検討することとなると考えております。
○新井委員 ネットワークの安定運用は何より最優先されるべきものと考えています。その大前提を踏まえた上でではありますが、システム上、対応可能な新技術、新サービスについては、ぜひとも積極的な活用を図っていただくことをお願いしたいと思います。
各局ともIT担当者がいらっしゃいます。各局の現場からさまざまな相談やニーズを受けている各局のIT担当者とも日常的に話し合いをしていただいて、都政の現場、各職場のニーズに対して、ポリシーの変更など、都のネットワークが制度面でもインフラ面でも柔軟に対応していただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、長時間労働問題について質問いたします。
大企業にて女性新入社員が過労自殺をした報道発表があり、長時間労働が社会問題となっております。
都においては、働き過ぎにより精神や体調に影響が出る職員はどれだけいるのか、また、どのように対応しているのか、お伺いいたします。
○村岡労務担当部長 都においては、長時間労働による脳、心臓疾患及びメンタルヘルス不全等の健康障害を防止するため、超過勤務時間が一カ月当たり百時間を超えた職員または二カ月から六カ月間の超過勤務時間の平均が月八十時間を超えた職員を対象に、産業医による面接指導の機会を設けております。
平成二十七年度は、知事部局等で延べ三千八十三人が面接指導の対象となり、六百二十二人が面接指導を受けたところです。
また、所属長は、面接指導対象者に対して、産業医による面接指導の受診勧奨を図るとともに、面接指導実施後には、必要に応じて超過勤務の制限や業務分担の見直しなど、産業医の意見を踏まえたきめ細やかな対応を行っているところです。
○新井委員 超過勤務時間が一カ月当たり百時間を超えた職員、また、二カ月から六カ月間の超過勤務が平均で月八十時間を超えた職員というのは、労働行政では、健康障害とか、長時間労働の因果関係が認めやすいといわれています。その人数が、平成二十七年では三千八十三名いるということです。分母が二万八千人ですから、約一一%となるんですね。これは大変大きいかなと思ったんですけど、一人の方が複数該当するというケースもあるので、実際はもっと低い値になると聞いております。
本庁の職員の残業が月平均二十三・五時間。この数値から考えますと、一部の部署や一部の人たちが長時間労働になっていると思われます。仕事の内容から、なかなか難しいかもしれませんけど、改善を図るよう対策に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、都は、残業削減マラソン、二十時完全退庁など新たな取り組みを始めたが、具体的にどのようなものなのか。また、都庁超勤対策チームはどのような役割を果たしているのか、取り組み状況についてお伺いいたします。
○村岡労務担当部長 本庁舎では、十月から、遅くとも夜八時には仕事をやめる二十時完全退庁を都庁の働き方の新しいルールとしたところでございます。具体的には、十七時四十五分に定時のチャイムを鳴らし、二十時に速やかに仕事を終えて退庁するようアナウンスを放送し、二十時十五分には執務室の照明を一斉消灯しており、やむを得ず二十時を超えて超過勤務を行う職員は、事前に届け出を提出し、退庁に際しては所属、氏名が記録される仕組みとしております。
また、同月、各部局の超過勤務縮減率を公表して争う残業削減マラソンを開始しました。
さらに、責任ある体制のもとで都庁全体の超過勤務をマネジメントする仕組みといたしまして、政策・総務担当部長で構成する都庁超勤対策チームを設け、毎月、部署ごとに超過勤務時間を把握し、前年度との比較や超過勤務を分析した上で、超過勤務縮減策を翌月に生かす取り組みを全庁で展開しております。
○新井委員 二十時半以降いる方はカードリーダーにICカードをかざすということで、どれだけの人数の方が残業しているかということが、今後、近日中にはわかるということです。ただ、二十時のエレベーターが大変混んでいるということで、今回の施策というのはかなり有効的なのかなと思っています。
二十時の完全退庁というのは、私はすごくいいことだなと思っています。ただ、単に二十時退庁と号令をかけるだけではなくて、仕事量そのものを減らさないといけないかなと思っています。その仕事量について、都としてどのように工夫して削減しているのか、お伺いいたします。
○村岡労務担当部長 超過勤務縮減に向けては、退庁時間などの目標設定だけではなく、長時間労働を防ぎ、できる限り早く行うべき仕事を終えて退庁できるよう、仕事の進め方そのものを見直すことが重要であります。
このため各職場では、二十時完全退庁のルールのもと、仕事の時間管理の徹底を初め、例えば会議の進め方の効率化や資料の簡略化、管理職による無駄のないマネジメントなど、実情に応じた取り組み目標を定め、工夫を重ねているところです。
こうした各職場の努力や創意工夫を全庁で広く共有し、仕事の働き方の見直しにつなげてまいります。
○新井委員 なるべく残業しないということは、ワークライフバランスの関係からも推奨すべきだと考えています。仕事量を減らしていかなければ、働く職員の負担が大変大きくなるのかなと思っています。ぜひ効率化を図ったり、無駄のないマネジメントをして、仕事量を減らす工夫を全庁で取り組んでいくことを要望いたしたいと思います。
最後に、発災時のペットの同行避難についてお伺いしたいと思います。
災害が発生した際に、都民の皆さんが慌てずに適切に行動するためには、災害に関する正しい情報、有益な情報を発信し、日ごろから正しい知識、心構えを身につけていただくことが大切でございます。
ペットの同行避難も同じです。災害が発生したら、避難するのは人間だけではございません。避難が必要な場合、ペットとともに同行避難することが基本となりますが、さまざまな人が共同生活を送る避難場所での受け入れのためには、ペットのしつけや健康管理、防災用品の備蓄など、飼い主の常日ごろからの備え、心構えが大変重要であり、そのような情報を都民の皆様にしっかりと広報、周知していくことが不可欠でございます。
そこで、災害時に有益な情報、とりわけペットの同行避難について積極的に広報していくべきだと考えますが、都はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○梅村総合防災部長 都は、「東京防災」の作成、配布や防災ホームページの活用など、災害時に必要となる情報の積極的な周知を進めてまいりました。
ペットの同行避難につきましては、飼い主や住民の方々が、日ごろからの備えや発災時の行動につきましてさらに理解を深めることができるよう、防災ホームページにおきまして、環境省や関係局のガイドラインなどのリンクを掲載するとともに、防災ツイッターも活用し、紹介を行ってまいりました。
引き続き、ペットの同行避難を含めまして、災害の備えの向上につながる防災情報の発信を行ってまいります。
○新井委員 防災ブック「東京防災」は、とても多くの方が評価していますし、災害に対する備えが万全となるように参考にするものだと思っています。今後、「東京防災」の更新がございましたら、ぜひペットの同行避難について、今、記載がございませんので、一文だけでもいいので記載していただくことを要望しまして、質問を終わりにします。ありがとうございました。
○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ともとし委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時五分散会
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