総務委員会速記録第七号

平成二十八年六月九日(木曜日)
第一委員会室
午後三時二十五分開議
出席委員 十五名
委員長加藤 雅之君
副委員長西沢けいた君
副委員長柴崎 幹男君
理事石川 良一君
理事鈴木 隆道君
理事清水ひで子君
おときた駿君
まつば多美子君
木村 基成君
大場やすのぶ君
近藤  充君
新井ともはる君
曽根はじめ君
小磯 善彦君
秋田 一郎君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小池  潔君
外務部長横山 英樹君
青少年・治安対策本部本部長廣田 耕一君
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務延與  桂君
青少年対策担当部長稲葉  薫君
治安対策担当部長村山  隆君
総務局局長中西  充君
危機管理監田邉揮司良君
次長内藤  淳君
理事黒田 祥之君
総務部長小暮  実君
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
初宿 和夫君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長菊地 俊夫君
復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務松崎 浩一君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務佐々木秀之君
情報通信企画部長中島  毅君
情報政策担当部長後藤 啓一君
労務担当部長栗岡 祥一君
主席監察員藤井 秀之君
行政部長西村 泰信君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
山口  真君
区市町村制度担当部長小菅 政治君
総合防災部長矢岡 俊樹君
防災計画担当部長小林 忠雄君
防災対策担当部長小久保 修君
統計部長伊東みどり君
人権部長箕輪 泰夫君
人事委員会事務局局長藤田 裕司君
任用公平部長津国 保夫君

本日の会議に付した事件
理事の互選
青少年・治安対策本部関係
報告事項(質疑)
・第十次東京都交通安全計画について
・東京都自転車安全利用推進計画(平成二十八年四月改定)について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百二十八号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十九号議案 東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例
・第百四十八号議案 公立大学法人首都大学東京中期目標について
報告事項(質疑)
・東京都における情報通信施策の展開に向けた現状・課題と今後の方向性について
・熊本地震への都の支援等について
・首都直下地震等対処要領の改定について
・発災時における緊急輸送ルート確保に向けた基本方針について
・東京の防災プラン進捗レポート二〇一六について
・東京都震災復興マニュアル(復興プロセス編)の修正について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第九号 東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例

○加藤委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 冒頭に申し上げます。
 委員の皆様には、委員会の開会が大変遅くなりましたことを心からおわび申し上げます。
 今までの理事会で決まったことを、まず皆様にご報告申し上げます。
 六月十三日に、舛添都知事を呼んでこの総務委員会において集中審議を行うということを理事会で決定させていただきました。
 案件につきましては、知事の海外出張に係る旅費、知事の公用車の運用及び知事在任中の政治資金収支報告書等についてでございます。
 政策企画局から報告を求めた後、資料要求をした上で質疑に入っていきたいと思います。
 なお、この報告と資料要求については、再度、この委員会が終わった後に理事会を開いて、いつ行うかということにつきましては協議を行っていきたいと思います。
 また、十三日の何時から開くか、また何日間やるのか、そうしたことにつきましても、委員会終了後の理事会で再協議させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、続きまして、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○加藤委員長 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 去る六月七日の本会議におきまして、徳留道信議員が本委員会から都市整備委員会に変更になり、新たに、曽根はじめ議員が都市整備委員会から本委員会に変更になりました。
 この際、新任の曽根はじめ委員をご紹介いたします。

○曽根委員 曽根はじめです。どうぞよろしくお願いします。

○加藤委員長 紹介は終わりました。

○加藤委員長 次に、徳留道信議員の所属変更に伴い、理事一名が欠員となっておりますので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○おときた委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○加藤委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、清水ひで子委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、清水ひで子委員が当選されました。
 なお、議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○加藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査並びに青少年・治安対策本部及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 報告事項、第十次東京都交通安全計画について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○近藤委員 それでは、ご報告にありました東京都自転車安全利用推進計画についてお尋ねをしたいと思います。
 平成二十六年一月に策定いたしましたこの計画では、自転車事故の件数や死者数の削減について数値目標を上げていました。
 事故の件数につきましては、毎年度着実に減少をし、目標を達成し、取り組みに一定の成果があったものと評価をしているところであります。しかし、残念ながら死者数については達成数には至らず、昨年も多くの方が自転車の事故で亡くなられました。
 今回改定した計画では、自転車事故発生件数、自転車乗用中死者数ともに大幅な削減を目指す意欲的な目標を掲げ、達成に向けた新たな施策も盛り込まれているところであります。
 しかし、計画はあくまで計画でありまして、この計画をきちんと実行していかなければ自転車事故はなくならないというふうに考えています。
 この計画に記載した施策を今後いかに実施していくのか、また、いかに効果を上げ、都民の安全が図られるのか、見解をお尋ねしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 改定した自転車安全利用推進計画には、自転車事故発生件数、自転車乗用中死者数の削減に向け、社会全体で自転車の安全利用を図っていくために、都による対策のほか、事業者等による対策についても新たな項目を盛り込んでいるところでございます。
 この計画に基づき、都は、目標の達成に向けて、これまでの取り組みに加え、自転車安全利用指導員を初めとした新たな取り組みも着実に実施してまいります。あわせて、自転車の安全利用を効果的に広げていくために、自転車販売店による販売時の啓発の強化や、一般事業者による従業員への啓発を促進するための安全利用責任者の選任、ヘルメット着用の促進など、さまざまな主体による新たな取り組みも推進し、都民の安全につなげてまいります。

○近藤委員 自転車が安全に利用されるためには、確かに、都の取り組みだけではなく、みずからの命はみずからが守るという本人の責任もあるというふうに思います。また、社会全体の取り組みも不可欠でありまして、現行の自転車安全利用条例も、さまざまな主体に対し、その責務を設けているところであります。
 改定計画には新たな取り組みも盛り込んでいるとのことでありますが、そうした取り組みを社会全体で一層促進していくためには、先日、我が党が代表質問でただしました条例改正も有効な手段の一つだというふうに思っています。
 そのときの答弁では、学識経験者の意見を伺うなど、条例改正に向け準備を進めるとのことでありましたが、今後どういった視点で進めていくのか、お尋ねをしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 現行の自転車安全利用条例では、自転車の利用に関し、都、自転車利用者、事業者等の責務を定めているところでございます。
 先般改定した計画では、都の取り組みをより充実させるとともに、都民、事業者等に、より主体的な取り組みを求める項目についても盛り込んだところでございます。
 条例改正に向けては、計画に盛り込んだ新たな取り組みについて条例で規定することで、都の取り組みがより効果的に展開できるものや、さまざまな主体の取り組みをより促進できるものがあるかなどの視点で学識経験者等の意見を伺い、早期に条例の改正ができるよう準備を進めてまいります。

○近藤委員 人身事故が起きたとき、それが自分の最愛の家族であったら、どんなに悲しいことでありましょうか。不幸な事故を一件でも減らしていくために、改定計画に盛り込んだ新たな取り組みについて条例化が有効な手段であるならば、ぜひ早期に実効性のある改正ができるよう準備を進めていってほしいと思っています。
 この新たに盛り込まれた取り組みの中には、早速事業がスタートしているものもあります。その一つが自転車安全利用指導員でありますが、現在の活動状況についてお尋ねをしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、自転車走行空間の整備や自転車シェアリングの取り組みが進められ、自転車通行量の増加が見込まれる江東区において、本年五月から自転車安全利用指導員を試験的に導入しております。
 具体的には、自転車通行量の多い亀戸駅前交差点等において、週三日、二組四名の体制で、指導旗や声かけを通じた交通事故の未然防止活動や、違反行為を行った自転車利用者への自転車安全利用指導カードの交付による注意喚起等を行っております。
 また、同区内において先月発生した自転車死亡事故の現場に緊急配置するなど、指導員を機動的に活用し、街頭での啓発、指導に取り組んでいるところでございます。

○近藤委員 今回のお話の自転車安全利用指導員は、路上で直接、自転車利用者に注意喚起ができるなど、非常に有効な取り組みであると思っています。さらなる取り組みの充実を図っていただきたいと申し上げておきたいと思います。必要な予算を確実に確保していただいて、来年度以降、都内全体に広がる事業にしてほしいというふうに考えております。
 ただ、残念ながら、性善説に立ってのお願いだけでは、都民の安全や生命は守れないと思っています。性善説が完璧であるならば、殺人事件も交通事故も起きるはずがありません。指導員が啓発や指導を行おうとしても、きちんと聞いていただくには、なかなか難しい部分もあると思いますので、先ほど条例改正の準備を進めていくという答弁もありましたけれども、必要であれば、条例に指導員の位置づけを明確にするなど、指導員制度をぜひ実効性ある仕組みにしていっていただきたいと思っています。
 以前もこの場でお話をいたしましたが、新宿駅周辺が、たばこの吸い殻もなくなり、大変きれいになりました。指導員の声かけとペナルティーを科したことによる効果であると思っています。たばこ同様、しっかりとペナルティーを科した方が即効性があると私は思っています。
 自転車につきましても、道交法で罰則が定められています。危険な自転車運転はしっかり取り締まって、ペナルティーを科すべきだというふうに申し上げておきます。
 危ない自転車運転をしたときや法律違反の運転をしたとき、どんな重たいペナルティーがあっても私は大丈夫なんです、なぜなら安全運転だからであります、例えば自動車のスピード違反や飲酒運転のペナルティーが重くなっても私は平気です、なぜなら絶対にしないからでありますと、法律をきちんと守る人には、ペナルティーがどんなに重くたって全然関係ない話なんです。
 指導員による指導に効き目が出るように、必要であれば、警察による道路交通法の取り締まりだけでなく、道交法を改正していただき、駐車違反の取り締まりのように、民間人指導員によるペナルティーを科するということも考える必要があると私は考えています。
 ぜひ警視庁などとも緊密に連携し合い、警察と行政、または地域での社会教育、学校教育での規範意識の涵養がしっかりと進むよう取り組んでいただきたいとお願いをします。
 最後に、自転車安全利用に向けた本部長の決意をお伺いして、私の質問を終わります。

○廣田青少年・治安対策本部長 都は、平成二十五年七月から自転車安全利用条例を施行するなど、ルール、マナーの周知等の安全利用の促進に取り組んでおりますが、自転車乗用中の事故件数は順調に減少しているものの、死者数に関しては増加に転じる年もあり、昨年も三十三名のとうとい命が失われております。
 改定計画に掲げている、平成三十二年までに死者数を二十人以下に削減する等の目標を達成するためには、行政や警察だけでなく、事業者等も含めた自転車の安全利用に向けた社会全体の取り組みをより一層推進していくことが不可欠であると考えております。
 今後、早急に専門家の意見を聞く場を設けるなど、条例改正を含め、より実効性ある方法で対策の強化を図り、都による取り組みを着実に実施することはもとより、さまざまな主体による取り組みも促進し、自転車事故及び死者数のさらなる減少に向けて全力で取り組んでいく所存でございます。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。

○加藤委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案のうち知事提出議案の審査を行います。
 第百二十八号議案、第百二十九号議案及び第百四十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小暮総務部長 五月三十日の当委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますけれども、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の一ページをごらんください。1、公立大学法人首都大学東京運営費交付金予算額の推移でございます。
 運営費交付金の予算額について、平成二十四年度から平成二十八年度までの五年間の推移を、標準運営費交付金と特定運営費交付金とに分けて掲げてございます。
 二ページをごらんください。2、公立大学法人首都大学東京役員及び雇用形態別教職員数の推移でございます。
 役員及び教職員数について、平成二十四年度から平成二十八年度までの五年間の推移を、教員につきましては常勤教員と非常勤教員、職員につきましては都派遣職員、法人固有の正規職員、常勤契約職員、特定任用職員、非常勤契約職員に分けて掲げてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大場委員 私からは、東京都人権プラザについて伺います。
 昨日の一般質問でも人権プラザについて取り上げましたが、今回の移転を契機とし、これまで以上に幅広い都民の皆様に人権啓発を行っていこうとしていることがわかりました。
 人権プラザは、人権啓発に関する機能を備えた施設として、これまでも重要な役割を担ってまいりましたが、現在、人権プラザではどのような人権啓発の事業に取り組んでいるのか伺います。

○箕輪人権部長 東京都人権プラザは、都における人権啓発の拠点として、人権が尊重される社会の実現に寄与するため、展示事業や情報提供事業等を行っております。
 展示室におきましては、さまざまな人権課題を紹介する常設展示のほか、タイムリーな話題について工夫を凝らして紹介する企画展などを定期的に実施しております。
 また、図書資料室では、人権に関する図書や雑誌に加え、ビデオライブラリーとして啓発ビデオやDVD等の視聴覚資料を多数備え、閲覧や貸し出しを行っております。

○大場委員 ただいま、東京都人権プラザにおいてさまざまな取り組みを行っているということがわかりました。
 このたび、この人権プラザの移転を内容とする条例改正案が提案されましたが、その理由についてお伺いいたします。

○箕輪人権部長 都は、二〇二〇年東京大会の開催に向けまして、人権尊重理念を広く社会に発信し、浸透させていくことが求められております。
 しかし、人権啓発の拠点である東京都人権プラザは、現在使用している建物が建築後四十三年を経過し、老朽化が進行している、こういったことから、現状のまま長期間使用を継続することは困難でございます。
 こうした状況を踏まえまして、啓発事業のさらなる充実や、より幅広い都民の方々の利用促進といった観点から検討を重ねまして、移転することといたしました。
 移転先は、最寄りの駅から徒歩圏内にあり、周辺には企業や教育機関等が多く存在しております。特に、国が所管する公益財団法人人権教育啓発推進センターとは近い距離にあります。このため、今後さまざまな連携が期待できます。

○大場委員 人権教育啓発推進センターとの連携が期待できるとのことでありましたが、連携することにより東京都人権プラザにどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。

○箕輪人権部長 人権教育啓発推進センターは、中立公正な立場から人権に関する総合的な教育、啓発及び普及等を行い、国と連携、協力関係にあるナショナルセンターでございます。
 このセンターは、国際人権等の専門分野に強みがあることや、全国の自治体等との密接なネットワークを持ち、その活動範囲は広範に及んでおります。
 一方、東京都人権プラザは一般向けの展示室を保有しており、こうした双方の特徴を生かした連携を行うことにより、人権啓発機能や情報発信機能の強化を図ってまいりたいと思っております。

○大場委員 ただいま、さまざまな意欲的な取り組みや事業展開が期待できることがわかりました。
 さて、二〇二〇年東京大会まであと四年を切ろうとしております。オリンピック憲章では、オリンピックは人権に配慮した大会であることがうたわれています。二〇二〇年東京大会は、人権尊重の理念をより一層浸透させていく絶好の機会であり、オリンピック・パラリンピックを切り口とした啓発を行う必要性、重要性は大変高いものと考えます。
 移転先の東京都人権プラザにおいて、こうした啓発にもぜひ取り組む必要があると思いますが、所見をお伺いいたします。

○箕輪人権部長 移転先の東京都人権プラザでは、さまざまな人権課題を紹介する常設展示等のほか、オリンピック・パラリンピックと人権に関する特別展示を行うことを予定してございます。この特別展示は、オリンピック・パラリンピックを通じ、幅広い都民の皆様に、障害者、外国人、女性など、さまざまな人権について考えていただくものとするとともに、展示内容と連動した都民向けセミナーの開催などを検討しております。
 二〇二〇年東京大会の開催に向け、東京都人権プラザを一層活用した取り組みを推進してまいります。

○大場委員 一層活用した取り組みを推進していくということですので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 次に、公立大学法人首都大学東京の中期目標について伺います。
 都が平成十七年四月一日に、大都市における人間社会の理想像の追求を使命とする法人を設立してから十年以上が経過し、今年度は第二期中期目標期間の最終年度に当たります。
 この間、法人では、教育研究はもちろん、その成果を生かしたさまざまな社会貢献にも取り組んできましたが、そこで、第二期中期目標期間における法人の取り組みについて、都の評価をお伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公立大学法人首都大学東京の第二期中期目標期間の取り組みにつきましては、東京都地方独立行政法人評価委員会によります毎年度の業務実績評価におきまして、順調に成果を上げているとのご意見をいただいており、都も同様に判断してございます。
 具体的には、首都大学東京におけますティーチングアシスタント制度の拡充による能動的な学修を促進するための環境整備や、総合防災対策研究プロジェクトを初めといたします都との連携事業、産業技術大学院大学及び都立産業技術高等専門学校におけます国際的に活躍できる技術者の育成など、法人が設置する三つの教育機関が、教育研究とその成果による社会貢献に取り組み、成果を上げてきたと評価いたしております。
 一方、高等教育機関が集中しております東京におきまして、法人のプレゼンスをさらに高めていく必要があり、東京が持つ豊富で特色ある資源を最大限に活用した教育研究を推進することなどによりまして、法人の特色を一層明確にしていくことが今後の課題であると認識してございます。

○大場委員 第二期中期目標期間における法人の取り組みに対する評価を伺いましたが、それでは、今回策定する来年度からの第三期中期目標は、その第二期の評価を踏まえたものでなければなりません。
 そこで、第二期の成果と課題を踏まえ、第三期中期目標はどのような考え方に基づいて策定したのか、お伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第三期中期目標は、次代を担う人材の育成、大都市が抱える課題の解決に資する研究、他の教育機関との連携による地域社会の発展への貢献など、教育研究、社会貢献のさまざまな取り組みを通じて都民の負託に応えるための目標といたしました。
 また、二〇二〇年東京大会を挟む六年間であることも意識したものといたしました。
 特に、法人のプレゼンスの向上という課題に対しましては、三つの教育機関がさまざまな取り組みを通じて教育研究力を高め、その確かな成果を社会に還元し、さらには国内外へと波及させていくことなどにより、都が設立した教育機関としての存在意義を都民に示していくことを基本的な目標に明記いたしました。

○大場委員 中期目標の策定に当たっての基本的な考え方は理解いたしました。
 ただ、ただいま答弁があったように、都が設立した公立大学法人として都民の負託に応えていくことは大変重要であります。さらには、時代の変化とともに、新たな要請に的確に対応していくことも求められております。
 中期目標には、変化し続ける社会からの要請への的確な対応として、首都大学東京の学部の再編成が盛り込まれていますが、今回の中期目標では、どのような考え方で首都大学東京の学部再編を行うのか伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京の学部構成につきましては、開学から十年以上経過し、この間、急速なグローバル化や都市における新たな課題の顕在化など、大学を取り巻く環境が大きく変化しております。こうした社会状況の変化にも柔軟に対応できる教育研究体制を整備する必要があることから、複数の学部にまたがっている分野を再編し、強みを伸ばしつつ、新たな時代要請に応える体制を構築することといたしました。
 具体的には、知能を持つロボットの開発などの技術革新に対応するため、都市教養学部に置かれている機械、電気に関する基礎的な工学分野を再編し、システムデザイン学部の応用工学分野と統合いたします。
 さらに、ICTのインフラ、サービスの飛躍的な進歩に対応するため、システムデザイン学部において情報分野を強化いたします。
 また、都市教養学部と都市環境学部に分散しております都市政策分野は、高度化する都市の課題への対応力を強化するため、都市環境学部に集約して再構築いたします。これにより、都市政策に関する文理融合の教育研究をさらに幅広く展開できるようになると考えております。
 なお、都市教養学部の他の分野につきましては、教育研究内容や育成する人材像が高校生や企業等にもよりわかりやすく伝わるよう、人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部の四つの学部に再編いたします。

○大場委員 平成十七年に首都大学東京を開学したときには、学部構成の考え方の一つとして、既存の学部構成にとらわれず、大都市の課題に対応した学部構成とするという考え方があったと思います。
 そこで、今回の再編は、開学当初の考え方を変えるということなのかどうなのか、お伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 開学時の学部構成の考え方でございます、都市環境の向上、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築、活力ある長寿社会の実現という三点は、大都市における人間社会の理想像の追求という首都大学東京の使命を構成する柱であり、基本的な考え方は変わってございません。
 したがいまして、都市環境の向上に貢献する都市環境学部、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築を目指すシステムデザイン学部、活力ある長寿社会の実現を目指す健康福祉学部という三つの学部につきましては、第三期中期目標においても変更してございません。
 一方、都市教養学部は、幅広い分野にわたる教養を基礎に各専門分野を学ぶ学部として開設いたしましたが、近年は、学位を授与する課程ごとに教育上の方針を明示することが強く求められており、専門分野が明確になるように再編いたしました。
 なお、新入生が学部の枠を超えて少人数で討論などを行う基礎ゼミナールを開学時から実施しており、さらに昨年度からは、異なる専門分野の三年次や四年次の学生が一つのテーマについて学ぶ総合ゼミナールを導入するなど、分野横断的に学ぶ仕組みを整備してまいりました。
 こうした豊かな教養と広い視野を養う教養教育は、学部再編後も引き続き実施してまいります。

○大場委員 中期目標には、大都市の課題を解決し、持続的発展が可能な社会の実現に寄与するための研究を推進するということも掲げられています。都市の持続的発展には、環境負荷の低い次世代エネルギーである水素の活用を広げ、水素社会の早期実現を図ることも必要であります。
 そこで、首都大学東京では、水素エネルギーの活用について、今後どのような研究に取り組んでいくのかを伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、本年四月一日に水素エネルギー社会構築推進研究センターを設置し、水素によるエネルギーの高効率利用システムの開発から水素サプライチェーンの開発など、研究者の専攻を超えた横断的な研究を進めております。
 去る五月十三日には、都の環境局との共催により、都議会議事堂一階の都民ホールにおきまして、大学や企業の専門家が水素社会の実現に向けた最先端の技術や事例を紹介するイベント、「水素社会のもたらす未来をのぞいてみよう」を開催いたしました。当日は多くの都民の方々にご参加いただき、二百席余りの会場がほぼ埋まるほどの盛況でございました。終了後のアンケートでは、引き続き水素社会の認知度を高める取り組みを期待する意見などが寄せられておりました。
 今後も、首都大学東京では、こうした普及啓発活動を継続しますとともに、都の関係機関や企業などと連携しながら、水素社会実現のための基盤整備、インフラ整備に関する研究の取り組みを推進する予定でございます。

○大場委員 第三期中期目標期間は平成二十九年度から三十四年度までの六年間であり、二〇二〇年東京大会を挟む期間となります。
 そこで、二〇二〇年東京大会に関する首都大学東京の貢献について、都の所見を伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京は、二〇二〇年東京大会に向けた取り組みであります二〇二〇未来社会研究プロジェクトなど、都市課題の解決を目指したさまざまな研究を行っており、例えば、短時間で感染症の疑いのある人を選別するシステムの開発などに取り組んでおります。
 また、首都大学東京は、本年一月にボランティアセンターを開設し、学生のボランティア活動の支援をさらに推進するとともに、豊かな人間性と独創性を備えたリーダーシップを発揮する人材の育成にも取り組んでおります。今月からは、二〇二〇年東京大会などでも活躍できるボランティアリーダー養成プログラムを新たに開始いたしました。
 第三期中期目標では、二〇二〇年東京大会も見据え、大学の知見を都政等に還元することを求めており、都として、首都大学東京が東京の未来へ貢献できるよう支援してまいります。

○大場委員 首都大学東京を中心に質疑を行いましたが、産業技術大学院大学、都立産業技術高等専門学校を含めた法人全体として、次代を担う人材の育成と東京が抱えるさまざまな課題の解決のため、今後とも積極的に取り組んでいただけるものと期待して、質問を終わります。

○まつば委員 私からは、東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例と公立大学法人首都大学東京中期目標について質疑をしたいと思います。
 初めに、東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例について何点かお伺いをいたします。
 本年四月、障害者差別解消法が施行されました。また、さきの国会で、公明党の強い働きかけによりヘイトスピーチ対策法が成立をしたほか、部落差別解消推進法案も現在継続審議中でございます。
 東京都人権施策推進指針で取り上げたように、インターネットと人権、マタニティーハラスメント、またパワーハラスメントなど、新たな人権課題がふえております。またさらに、従来からある女性の人権などの課題につきましても、ストーカー行為やDV事件が近年増加するなど、人権課題を取り巻く状況は複雑多様化しているわけであります。
 二〇二〇年東京大会まで四年を切ろうとする今、オリンピック憲章に定める人権に配慮した大会を実現するためには、都民一人一人に人権尊重理念が広く浸透している社会の実現を急ぐ必要があると考えております。そのためにも、指針の重点プロジェクトでもある東京都人権プラザの機能強化というのは大変重要であると思います。
 そこで、今回の移転を機に、都は、プラザの事業をどのように展開していくおつもりなのか、まずお伺いいたします。

○箕輪人権部長 移転先の東京都人権プラザは、都営地下鉄、JR、東京モノレールの駅から徒歩圏内という高い利便性を有するとともに、通りに面したビルの一階、二階という、利用者にとって気軽に入りやすい条件を備えてございます。
 そこでは、タイムリーかつ魅力的な展示を展開するとともに、新設するセミナールームで人権問題都民講座や指導者養成セミナー等を展示内容と連動して実施するなど、啓発事業の充実を図ります。
 また、研修教育の場として活用いただくなど、企業、教育機関等と連携した取り組みも進めてまいります。
 これら施設が持つ利便性と効果的な取り組みとの相乗効果により、より幅広い層の都民の皆様に利用していただくことで、指針が掲げるさまざまな人権課題への理解が一層進むよう努めてまいります。

○まつば委員 移転後の事業展開について確認をさせていただきました。創意工夫を凝らして、しっかりと強化した形で推進をしていただきたいと思います。
 私は特に、東京を将来にわたり人権尊重都市としていくためには、次代を担う若者、また子供たちに向けた人権啓発というのは極めて重要であると考えております。
 そこで、移転先の人権プラザで、若者や子供たちに向けた啓発についてどういうふうに行っていこうと考えておられるのか、お伺いいたします。

○箕輪人権部長 移転先での啓発の実施に当たりましては、ICT機器等を活用したビジュアルな展示や、障害者が置かれている状況を実感できる体験コーナーの設置等により、若者や子供たちにもわかりやすく親しみやすい手法を用います。
 また、教育機関と連携し、オリンピック・パラリンピック教育等でも活用していただく場となることを目指していきます。
 さらに、セミナールームにおける子供向けの人権教室や、イベント会場等における出張展示も実施してまいります。
 これらの取り組みを通じ、移転先のプラザが、若者や子供たちにとって人権について考える気づき、学びの場となるよう努めてまいります。

○まつば委員 今ご答弁で、子供たち、若者にとって気づき、学びの場となるようにというご答弁でございましたので、しっかりとその旨を行っていただきますようにお願いをいたしたいと思います。
 移転先のプラザでの取り組みについては確認をさせていただきましたけれども、現在のプラザが、移転に伴い、経過措置といたしまして分館になるということであります。この分館を設置するに至った経緯と今後の考え方についてお伺いいたします。

○箕輪人権部長 現在の東京都人権プラザは、昭和四十七年に開館した産業労働会館を前身とし、これまで、都民の人権尊重理念の浸透に貢献するなど、大きな役割を果たしてまいりました。
 現プラザは、利用者の皆様に配慮し、平成二十九年度末まで、経過措置として分館として残す予定でございます。分館では、貸し会議室のほか、展示、相談事業の一部を実施いたします。
 移転に伴いまして、これまで長年にわたり現プラザが積み重ねてきた成果を損なうことのないよう、地元の方々など利用者に対する周知を徹底するなど、必要な調整を行ってまいりたいと考えております。

○まつば委員 歴史ある施設でございますので、ぜひとも地元の皆様に対するご配慮をしっかり行っていただくように、私からこの要望をさせていただきます。
 次に、公立大学法人首都大学東京の中期目標について質問をいたします。
 今回、この中期目標については議会の議決が求められているわけであります。この公立大学法人の中期目標というのはどのような手続で定められているものなのか、まず確認をいたしたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公立大学法人の中期目標は、地方独立行政法人法の規定に基づきまして、法人の設立団体の長である知事が、六年間の期間において法人が達成すべき業務運営に関する目標を定め、法人へ指示するものでございます。
 また、この法律では、中期目標を定めようとするときは、あらかじめ、外部有識者で構成されます東京都地方独立行政法人評価委員会の意見を聞くとともに、議会の議決を経なければならないことが定められてございます。
 特に公立大学法人の場合、あらかじめ法人の意見を聞き、その意見に配慮しなければならないことが特例として法に定められてございます。
 したがいまして、本件中期目標の都議会への付議に当たりましては、事前に法人との調整を行いますとともに、評価委員会の意見もいただいた上で本議案を提出いたしました。

○まつば委員 今のご答弁では、評価委員会の意見を事前に聞いているということでありました。
 そこで、委員からはどのような意見があり、それを中期目標にどのように反映したのか、それを伺いたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都地方独立行政法人評価委員会の委員からは、高等教育機関として最も重要なことは教育研究力の強化であり、それにより送り出した人材や生み出した知が社会にインパクトを与えることにより社会の発展に寄与し、都の教育機関として存在感を高め、都民の負託に応えていくという考え方が重要だという意見をいただきました。
 また、中長期的な財政運営という視点を持つこと、二大学一高専の連携をさらに促進することも重要だという意見もございました。
 委員の意見を踏まえまして、第三期中期目標には、各教育機関が教育研究力を高め、その成果を都民生活や東京都の施策に還元し、さらには世界へと波及させていくことにより、法人が社会的存在意義を一層高めていくという趣旨を記載するなど、評価委員会の意見も反映した第三期中期目標といたしました。

○まつば委員 次に、首都大学東京の学部再編について質問したいと思うんですけれども、先ほど大場委員からも質疑が行われたところでございますので、重複するところは避けたいと思っております。
 この学部再編が盛り込まれているわけですけれども、これについて、内容によっては、今の在学生に影響が生じる場合があるかもしれないということを危惧しているわけです。
 学生に十分説明すべきでありますし、また、これから首都大学東京へ入学を考えている高校生、特に現高校三年生であったり、また、学部再編の後の現高校二年生であったり、そうした高校生、また高等学校の進路指導担当教員などにもしっかりと、今回の再編の内容をきちんと周知する必要がある、そのように思っておりますが、こうした学生の方、高校生の方、また学校関係者等にどのように周知をしていくのか、その点を伺いたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京の学部再編案は、大学など法人内で平成二十五年度から検討を行っていたことなどから、法人と第三期中期目標の調整を重ねる中で大学側から提案を受け、都がまとめたものでございます。
 大学では、当初、学部再編などに関する在学生等への説明について、学部を構成する学科の計画案とあわせて、都議会の議決後に説明する準備を進めておりました。
 その後、本年五月九日の評価委員会における公開審議で中期目標案が了承されましたが、翌十日に新聞での紹介となり、在学生の不安などを払拭するため、予定を早めまして、五月十二日及び十三日に学生に対する説明会を大学が開催いたしました。
 この説明会では、学長みずからが説明を行い、学生からの質問にも学長が答えるという対応を行いました。特に、在学生が不安にならないよう、今回の学部の再編は平成三十年四月の入学者から適用し、在学生の学修環境は卒業まで保障されるという点についても説明いたしました。
 今後、在学生に対しまして、本年七月に大学が改めて説明会を開催するなど、計画が具体化していく節目節目において十分な説明を行う予定でございます。
 また、入学を志望する高校生に対しましては、七月と八月に大学が開催いたしますオープンキャンパスにおいて説明するほか、大学のホームページで再編の内容等を紹介してまいります。
 さらに、高等学校の進路指導担当教員に対しましては、七月以降に大学が複数回説明会を開催し、学部再編の内容についても説明するなど、丁寧に対応していく予定でございます。
 学部再編の内容などにつきましては、引き続き、在学生や高校生など関係する方々への周知に努めてまいります。

○まつば委員 今、さまざまなご答弁をいただきました。やはり丁寧に、きめ細やかに、そして不安にならないように、しっかりと説明をし尽くしていただいて、きちっと対応していただくようにお願いをいたしたいと思います。
 学生への配慮という点におきましては、昨年の第三回定例会の総務委員会におきまして、授業料減免に関する質問を我が党の高倉議員がさせていただきましたが、その質問に対しまして、経済的な支援を必要とする学生への適切な支援が行われるよう、法人と連携して取り組んでいくという答弁があったわけです。
 今回の中期目標を読んでみますと、学生支援については、経済的支援を含め支援体制や仕組みの充実を図るとあります。
 学生に対する法人の経済的支援としての授業料減免について、都は、法人と連携して、現在どのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 法人の授業料減免につきまして、平成二十七年度までは、法人の運営にかかわる経常的な経費に対する財源として、使途を特定せずに都から交付いたします標準運営費交付金を原資に、法人が他の経常的な経費との調整を図りながら一定の範囲内で対応してまいりました。
 昨年の第三回都議会定例会の総務委員会における質疑などを踏まえまして、今年度からは、減免の対象となる学生数の実態に応じた金額を都から法人に交付できます特定運営費交付金に変更し、対象学生数の変動に、より柔軟な対応ができるようになりました。
 今後とも、支援を必要とする学生への適切な支援が行えるよう、引き続き法人と連携して取り組んでまいります。

○まつば委員 法人と連携をした授業料減免の取り組みということでありましたが、これについては評価をいたしたいと思います。やはり学生のことを第一に考える大学、学生第一といたしまして、都は、法人と連携をし、今後もこの授業料減免等を含めた学生支援に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、今回の中期目標に掲げられている三つの重点目標のうちの一つに、新たな人材需要や解決すべき課題に対応していくための教育研究組織の再編や新しいカリキュラムの開発等の改革を進めていくということが書かれております。こうした視点は、首都東京の産業振興や課題解決に貢献をする、ものづくりスペシャリストの育成というのを使命といたしております都立産業技術高等専門学校においては、特に重要であると考えております。
 そこで、どのような取り組みを今後予定しているのか、お伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立産業技術高等専門学校では、本年四月から、情報セキュリティー技術者育成プログラム及び航空技術者育成プログラムという二つの新しい職業教育プログラムに着手いたしました。
 情報セキュリティー技術者育成プログラムでは、日々重要性が高まる情報セキュリティー対策を担う人材を育成するため、サイバー攻撃によって引き起こされる状況を再現して、実習などによる実践的な技術を習得いたします。この教育プログラムの初めての卒業生を、第三期中期目標期間の二年目となる平成三十年度末に輩出する予定でございます。
 また、航空技術者育成プログラムでは、増大する航空需要に対しまして、航空機整備の基本技術を基礎に、今後、航空業界で求められる技術、知識レベルの高度化、複雑化にも対応できる技術者を育成いたします。第一期となる卒業生を平成三十一年度までに輩出する予定でございます。
 都は、今後とも、産業界や社会の要請等を踏まえた法人による実践的な中核技術者育成の取り組みを支援してまいります。

○まつば委員 航空技術者や、また情報セキュリティー技術者というのは、今後ますます都内企業においても必要とされる人材だというふうに考えております。都は、引き続き都立産業技術高等専門学校の取り組みをしっかりと支援していただきたいと思います。
 このほか、中期目標の重点目標には、東京都が設立をした公立大学法人として、東京都のシンクタンクとしての役割をより一層果たしていくということも掲げられております。法人は、都のシンクタンクとして、都の各局等と連携をした取り組みをさらに推進していくべきと考えております。
 これまではどのような連携事業の実績があるのかということ、そしてまた、第三期中期目標期間ではどのように取り組んでいくのか、二点お伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公立大学法人首都大学東京では、この間、都の各局との共同研究や人材育成面での協力など、さまざまな連携事業に取り組んでまいりました。
 昨年度は、留学生から見たまち中の多言語対応についての調査など、五十件を超える連携事業を実施いたしました。
 今年度も新たに、子供の貧困に関する調査研究や、東京国際金融センターで活躍する人材を育成するための高度金融専門人材養成プログラムなどに既に着手いたしております。
 第三期中期目標期間におきましては、二〇二〇年東京大会も見据え、分野横断型の研究プロジェクトなどをさらに進める予定でございます。
 今後とも、教育研究の成果を都政のさまざまな場面に還元し、都民生活の向上に貢献してまいります。

○まつば委員 都民に意義ある教育研究機関として、さまざまな取り組みを積極的に展開していくことは法人の使命であるというふうに考えております。首都大学東京、産業技術大学院大学、また東京都立産業技術高等専門学校、この三つの教育機関がますます有為な人材を世の中に輩出していくということとともに、都の諸課題の解決に寄与することを期待いたしまして、質問を終わります。

○曽根委員 私からも、首都大学東京の第三期中期目標についての問題について、都議会では、十一年前の都立三大学の首都大学東京への再編の問題に、当時、文教委員会に大学管理本部が置かれまして、文教委員会での質疑に携わった経験を持つ数少ない議員として、この十年間の首都大学が残したものは何だったのかにも若干触れながら、何点かお聞きしたいと思います。
 今回の中期目標の中で特に大きな変化として見られるのが、先ほども出ておりました学部の再編ということですが、都市教養学部という形で、それまで都立大学の幾つかの学部、人文系から法学、そして理工学系まで、全て一つの学部にまとめてしまうというやり方をとったことについて、多くの内外からの意見がありました。
 今回は、その都市教養学部をもう一度、わかりやすいということで、人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部に分けていくということで、一見しますと、もとの都立大学当時の学部体系に近づいていくのかなというふうにも思いますが、このことで、一番重要な基礎的な教育研究、それから、学問の分野ごとの先端の教育研究などについて大いに貢献するということで再編が行われるのだと思いますが、その充実をする見通しについてお聞きしたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、開学当初から、都市教養学部などの各分野におきまして基礎的な教育研究に取り組んでまいりました。
 今回の学部再編は、大都市における人間社会の理想像の追求という大学の使命のもと、学部の性格を明確にし、普遍的で基礎的な学問分野と、都市の課題解決に対応した応用的な学問分野とに再構築するものでございます。
 都は、引き続き教育研究等の質の向上に取り組む首都大学東京を支援してまいります。

○曽根委員 当時の記憶からいいますと、基礎研究はほかの大学でもできるけれども、東京の大学として、都市問題に学問の壁を超えて大いに、何といいましたかね、幅広く取り組むというようなことが当時強調されたと思います。
 これについて、私が大変記憶に残っているのは、学部の壁まで取っ払うと、もうわからなくなって、優秀な受験生が集まらなくなるんじゃないか、それから研究者も、ほかの大学と全く学部構成が違うので、この都市教養学部というところで、一体何を、どの分野までやるのかということがわかりにくくなって優秀な人材も集まらなくなるんじゃないか、このことが危惧されました。
 で、このことがきっかけになって、また、当時、石原知事のもとでの実学重視ということについて、例えば、ビジネス英語で定評のある英会話専門学校に英語の授業を全部任せてしまうとかいうこともやられたために、それまで大学の再編で東京都に大変協力的であった、学長選挙にも出ました教授の方が大学を去るというふうな事態も起こったのを記憶しております。
 私はこの点で、やはり大学の学問研究、特に各分野別の基礎研究という点で、当時、都立大学で大変評価されていた各学部のみならず学科の、どこそこの教授のもとで学び研究者になりたいという、個別の大変専門的な目標を目指して受験生が集まってきて、大学ランキングでも受験生ではトップテンに入るぐらいの都立大学の実績というものを、もう一度取り戻すべきだという点では、今回の再編について、これからですけれども、課題を提起させていただきたいと思います。
 次に、中期目標の中で、都市問題の解決に向けた研究調査について伺いたいと思うんですが、かつて都立大学には都市研究所というのがありまして、首都大学への再編の際に、この都市研究所は解散させられました。
 しかし、その後、やはり個別の都市問題、特に高齢化問題や貧困化問題、それから、何より防災問題などに専門的に取り組む必要が出てきて、お聞きしますと、十三ぐらいのいろんな研究プロジェクトが立ち上がってきていると。
 例えば、当時、都市研究所で、防災で第一人者だった中林一樹先生などが中心になって防災問題、都市研究所の非常に大きな実績としてつくられていたのですが、こういったレベルをもう一度取り戻していくという点で、今回の中期目標の中ではどういうふうに位置づけられているのでしょうか。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、第二期中期目標期間におきまして、総合防災対策プロジェクトなど、大都市の課題解決に向けた研究に大学全体で取り組んでまいりました。
 第三期中期目標の研究に関します目標におきましては、長期的な視点から基礎研究を深化、発展させますとともに、東京都が設立した大学といたしまして、大都市課題の解決に向けた応用研究に分野横断的に取り組み、世界をリードすることを大学に求めております。
 また、学術研究の動向や社会ニーズの変化へ迅速かつ柔軟に対応するとともに、分野を超えた研究交流による新たな研究分野創生等のため、組織的かつ戦略的に研究を推進することも大学に求めております。

○曽根委員 都立大学当時、やはり専門学部に分かれ過ぎていることの弊害を克服するために都市研究所がつくられて、分野横断的なテーマについては、都市研究所で実績をつくっていくというやり方がとられました。今回も学部を再編していくに当たって、こうした当時の経験は生かされると思いますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。
 もう一つ、研究者または大学の職員も含めて、その後、なかなか人材が集まりにくくなった問題に有期雇用の問題があります。
 第二期の中期目標期間までに、一旦、先生方が全部任期制になって、何年かたつと、その教授についての評価がされて、だめならばもうそれで終わりというような任期制の、当時ほかの大学では余りとっていなかった方法のために、優秀な先生も敬遠して、もう首都大学には来ないというようなことも起きたと聞いております。また、法人固有の職員も任期つきばかり採用するということが行われて、この人材不足も大変深刻な事態に一時なったと聞いています。
 今回は、この間、先生方も、それから職員についても、任期なしの正職員に待遇改善が図られてきていると思いますが、この方向は、引き続き第三期においてもとっていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 法人では、都からの派遣職員が減少する中、業務内容や職場の状況に応じて多様な人材を適切に活用するとともに、正規職員の計画的な採用を行い、業務内容や職員の知識、経験を踏まえた配置を行っております。
 平成二十七年度には職員人事制度を改正し、これまで三年任期でした常勤契約職員を正規職員へ移行いたしました。さらに、今年度、優秀な人材の確保とキャリア形成に資するため、正規職員採用試験制度を改正し、非常勤契約職員が受験する場合に、これまで三十歳未満であった年齢要件を六十歳未満に緩和いたしました。
 第三期中期目標期間におきましても、法人は、優秀な固有職員を確保、育成し、少数精鋭による法人経営を推進するため、計画的な採用と人材育成を進める予定でございます。

○曽根委員 公立大学法人でありますが、公的な大学の職員の待遇のあり方として、何でも任期つきにして競争させれば優秀になっていくというようなことは、実際には実現しないと。やはり安定した職場を確保しなければ優秀な大学職員というのは残っていかないというのが、この十年間の首都大学の経験でも明らかになってきたと思います。
 あえていえば、総務局が所管しておられる他のさまざまな分野の都の非常勤職員についても、この考え方は、やはり必要だというふうに申し上げておきます。
 そこで、最後に学生のことなんですが、学生は当時、大幅に定員をふやし、その後も定員を拡大してきております。しかし、キャンパスは、それまでの三大学のキャンパスに基本的には限られていて、施設も若干は改善しましたが、やはり学生一人一人に対する福利厚生も含めた施設の充実が、私は非常に喫緊の課題ではないかというふうに思います。
 また、授業料の減免も、先ほどちょっとお話がありましたが、この間、若干改善されて、本来、授業料が全額減免になるべき学生が、予算が足りないために半額減免で終わっちゃったというようなことを、前に私どもは指摘しましたが、そういうことはないように若干の改善も進んできているとは聞いております。
 今後もその問題、学生の福利厚生、また授業料などに関する待遇の改善、安心して勉学に取り組めるようにしていくという点での検討をお願いしたいと同時に、やはり、例えば、お隣、韓国のソウル市立大学が全学生に対して授業料を半額に引き下げたということによって、学生のアルバイト時間が減り、社会参加、そして、市のさまざまな活動に対する学生の参加が非常に高くなったということも参考にして、学生の授業料の引き下げということも今後検討すべきだと思いますが、都の所見を伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 初めに、施設の充実でございますが、都はこれまで、法人が施設設備の整備に要する経費を対象に施設費補助金を交付してまいりました。
 第三期中期目標におきましても、学生や教員が快適な環境で安定的に学修や研究に取り組むため、限られた財源を有効に活用し、中長期的な構想に基づき、計画的に各キャンパスの施設設備を更新、整備することを法人に求めており、都は、引き続き法人の取り組みを支援してまいります。
 次に、授業料減免につきましては、昨年の第三回都議会定例会の総務委員会におけます質疑なども踏まえまして、既に今年度から、減免の対象となる学生数の実態に応じた金額を都から法人に交付して、対象学生数の変動に、より柔軟な対応ができるよう改善を行っております。
 公立大学法人の授業料につきましては、地方独立行政法人法の規定により、法人が上限を定めて都へ申請し、都は、その上限額を議会の議決を経た上で認可する仕組みとなってございます。
 したがいまして、授業料の具体的な額の決定につきましては、認可された上限額の範囲内で、他大学の動向や社会経済状況などを総合的に勘案し、法人が自主的、自律的に判断しております。

○曽根委員 大学の授業料の大幅な引き下げというのは、つまりは東京都の姿勢が変わらなければ実現できないわけで、予算の大枠を変えなきゃなりません。その点では、知事の決断が必要な問題です。それは強く求めておきたいと思います。
 最後に申し上げますが、十一年前にこの大学再編が行われるまで、計画段階でも二転、三転しまして、私は二〇〇一年から二〇〇四年までかけて、この大学管理本部の問題で質疑を繰り返しましたが、当時、大学で、生物学の先生で私と大学時代に机を並べた方が、生物学でいえばノーベル賞級の研究をやって、例えば、物すごい乾燥地帯でも育っていく植物の研究など国際級の研究をやっていたのですが、その方々も含めて大学の再編の中に巻き込まれて、まともな研究成果の発表の場も本当に限られてしまったということが起きました。
 しかし、私がその方々からいわれたのは、だからといって首都大学を余り外から批判しないでくれと。やっぱり受験生を集めたいし、それから優秀な研究者も来てほしいんだ、大学の改革は、我々、中に残った者が頑張るから、ぜひ外からそれを応援してくれといわれましたので、私たち共産党都議団も、その後は、やはり教育研究の客観的な条件整備、大学への運営費交付金などの充実、学生の支援、それから、建物が必要だとかキャンパスの改善が必要だと、そういうことに対する予算上の支援というのを中心に物をいってきました。学問研究に対して、踏み込んだ物いいは基本的にはしなかったつもりです。
 しかし、ようやくその大学の内部努力が、こうして中期目標にまで、中期計画にまで少しずつ花開いてきたのかなと、まだ芽吹き段階かもしれませんが、実感を持っております。
 したがって、この大学の中の自治、大学の自治のあり方、自治の精神が脈々とまだ頑張って生き残っているという、首都大学の中の方々の努力に報いるような東京都の対応であってほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○新井委員 まず初めに、東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例についてお伺いいたします。
 今定例会では、都は、現在、台東区にあります東京都人権プラザを港区に移転する旨の条例改正案を提出いたしました。現プラザが近い将来なくなるということの影響は、決して少なくないと考えております。
 そこでまず、現プラザが果たしている役割、機能についてどのようなものがあるのか、都の所見をお伺いします。

○箕輪人権部長 東京都人権プラザは、都の人権啓発の拠点として、さまざまな展示事業や情報提供事業等を行っております。
 具体的には、さまざまな人権課題に関する資料、パネルなどの展示、人権に関する図書、ビデオ、DVD等を備える図書資料室の運営及び相談員による人権相談を行っております。
 また、会議室やホール兼視聴覚室等の提供事業も行っております。

○新井委員 現プラザが、現在地におきましてさまざまな役割を果たしていることがわかりました。
 とりわけ人権プラザの会議室は、大小さまざまなバリエーションがございまして、人権関係団体のほか、地元の多くの方々が利用されていると聞いております。これらの方々に対しまして、人権プラザの移転に当たり、何らかの配慮はされたのか、お伺いします。

○箕輪人権部長 現在の人権プラザでは、会議室等の施設の使用を希望する方々に対し、東京都人権プラザ条例にのっとり提供する、こういった事業を行っており、人権関係団体の利用はもちろんでございますが、地元の各種サークル等の一般の方の利用が大宗を占めてございます。
 現プラザを移転と同時に廃止した場合に、会議室利用者の皆様に与える影響等を考慮いたしまして、平成二十九年度末まで、経過措置として会議室の提供機能を継続する予定でございます。
 円滑に経過措置の期間満了を迎えることができるよう、利用者の皆様に対する周知を徹底するなど、必要な調整を行ってまいりたいと思っております。

○新井委員 現プラザの利用者に対しまして、先ほど答弁があったように、平成二十九年度末までは、経過措置として会議室の提供機能を継続するという答弁がございました。経過措置の期間を設けたことは評価いたします。
 しかし、経過措置が平成二十九年度末に終了した後は、それまでプラザを利用していた方々が困るということは変わりないと思っています。
 そこで、経過措置が終了して現プラザが廃止された後、その跡地はどのように活用されるのか、都の方針をお伺いします。

○箕輪人権部長 現在の東京都人権プラザ廃止後の跡地利用の件でございますが、経過措置が終了した後は、現プラザが建つ土地につきましては財務局に返還することになります。
 返還後の利活用につきましては、東京都の公有財産関係の条例、規則等にのっとり、関係各方面との調整の上、決めることになります。

○新井委員 経過措置終了後の現プラザの跡地活用については、今後決定するということです。現プラザが、同和対策の推進のため、昭和四十七年に設立されました東京都産業労働会館を前身とするという経緯、そして、地元の多くの方々に現に利用されているという現状もぜひ理解していただきたいと思います。
 さて、さきの国会では、継続審議となっているものの、我が党と自民、公明の三党共同で、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的としました部落差別の解消の推進に関する法律を提出いたしました。
 私は、移転先のプラザにおいても、さまざまな人権課題、とりわけこの法律案の趣旨も踏まえて、同和問題の啓発にしっかりと取り組むべきだと考えていますが、都の所見をお伺いします。

○箕輪人権部長 都は、現在の東京都人権プラザの老朽化が進行していること及び二〇二〇年東京大会に向けて人権尊重理念を広く社会に発信し浸透させていくことが求められていることを受け、同施設を港区に移転することといたしました。
 移転先のプラザでは、幅広い層の都民を対象に、ICT機器等の活用や体験コーナーの設置等により、さまざまな人権課題への理解が深まるよう、わかりやすく親しみやすい手法を用いた啓発を実施してまいります。
 同和問題につきましても、差別落書きやインターネット上での差別書き込み等が発生しております昨今の状況等に鑑みまして、引き続き、重要な人権課題の一つとして啓発に努めてまいります。

○新井委員 現在の東京都人権プラザが抱えている老朽化という課題を解消し、より幅広い都民に利用してもらうという移転の趣旨は理解いたしました。
 我が党の台東区選出の中山ひろゆきも強く要望していますが、このたびのプラザ移転により同和問題解消が遠のく結果とならないよう、都として必要な施策は行っていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。
 次に、公立大学法人首都大学東京中期目標についてお伺いいたします。
 平成十二年、新しい大学のモデルを東京から発信するといった、当時あった都立の四つの大学の統合と改革が始まり、新しい都立の大学として平成十七年に首都大学東京が開学してから約十年が経過いたしました。
 開学当時も、都立の大学としての存在意義が議論されていたようでありますが、東京都があえて大学を持っているという意義としては、例えば水道など、都が持っているフィールドを活用するといったものもあるのではないかと考えております。
 今回の第三期中期目標を読みますと、この間の社会状況の変化について、グローバル化、少子高齢、人口減少社会、産業構造の変化や技術革新などが挙げられていますが、今回の中期目標で示されている方針や盛り込まれている首都大学東京の学部再編の考え方には、大学改革や開学の考え方も継承されているのか、お伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京は、開学時に、大都市における人間社会の理想像を追求することを使命として掲げており、これは現在も同じでございます。例えば、今回の中期目標におきましても、東京に先鋭的にあらわれている世界の都市に共通する課題の解決に向けた研究を推進することが、東京都が設立した法人に求められる主要な役割だと考えており、この点は、大学改革に着手した当時と同様でございます。
 したがいまして、都市環境の向上、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築、活力ある長寿社会の実現という都市の課題に対応する三つの学部を置くという、学部構成に関する開学時からの考え方は変更してございません。
 今回の学部再編は、開学時から十年余りが経過し、社会状況が大きく変化する中、こうした変化に柔軟に対応できる教育研究体制を整備する必要があることから行うものでございます。

○新井委員 首都大学東京の学部再編は社会状況の変化に対応するというものですが、新設される教育研究分野はあるのか、お伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の学部再編は、社会状況の変化にも対応できるよう教育研究体制を整備することを狙いとしてございます。このため、従来、複数の学部にまたがっていた分野を再編し、強みを伸ばしつつ、新たな時代要請に応えていくものといたしました。
 例えば、工学系の学部でございますシステムデザイン学部につきましては、都市教養学部にある機械、電気に関する基礎的な工学分野を再編、統合いたしますとともに、ICTのインフラ、サービスの飛躍的な進歩に対応するため、情報分野を強化いたします。
 このように、これまで教育研究を行ってきた分野のうち、今後ますます社会から求められる分野を強化するものでございます。昨日の都議会本会議でご提案をいただき、今後調整します火山災害対策に関する研究分野を除き、全く新しい教育研究分野を設けるものではございません。

○新井委員 システムデザイン学部の情報分野を強化するということですが、現在、システムデザイン学部では、情報分野についてどのような教育研究を行っているのか、お伺いします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 システムデザイン学部は、メカトロニクス、航空宇宙工学、産業デザインなど、複合的、融合的なシステム技術に関する分野から成る工学系の学部でございまして、情報分野といたしましては情報通信システムコースを設けてございます。
 情報通信システムコースでは、インターネットやデジタル通信、知能情報処理など、情報と通信の両者を幅広く学ぶことができるカリキュラムを提供してございます。
 また、昨年、学内にソーシャルビッグデータ研究センターを発足させ、ソーシャルメディアに関するビッグデータの情報解析、例えば時間や位置に関する情報がついた観光客のツイート分析の研究なども行ってございます。

○新井委員 ソーシャルビッグデータ研究センターは、ツイートした人が、どういう時間で、どういう場所で、どんなことをやっているかということを分析しているということです。
 このようなソーシャルビッグデータ研究センターのように、学内に研究センターを設けているということですが、このような研究センターは、ほかにどのようなものがあるのか。また、第三期中期目標で示されている目標との関連についてお伺いします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第三期中期目標におきましては、重点的に取り組む分野を定め、世界的に卓越した研究拠点を形成すること、また、研究成果を国内外に広く発信し、東京都や世界の諸都市に成果を還元することを目標と示しております。
 首都大学東京では、平成二十四年度から、卓越した研究実績があり、世界的な研究拠点へ発展する可能性のある研究グループや、大都市の課題解決に関する特色ある研究を進めるためのグループなどを研究センターとして指定し、その活動を支援しております。先ほどの答弁で申し上げましたソーシャルビッグデータ研究センターも含め、現在、十三の研究センターが活動しております。
 例えば宇宙理学研究センターでは、JAXAの科学衛星を用いた宇宙観測により宇宙の謎の解明に迫る研究など、宇宙に関連した多様なテーマに対して、宇宙物理学や宇宙化学などの研究者が分野横断的に取り組んでございます。
 また、子ども・若者貧困研究センターでは、都の福祉保健局と連携して、東京都における子供の貧困に関する調査研究を行ってございます。
 今後、各研究センターでは、中期目標の趣旨を踏まえ、トップレベルの研究成果を発信することにより首都大学東京のプレゼンスの向上や、企業、行政も含めた幅広い連携により研究成果を社会に還元する取り組みを進めることを予定としております。

○新井委員 各研究センターでは、JAXAとか東京都などさまざまなところと連携をいたしまして、トップレベルの研究成果が発信できることを期待いたします。
 また、学部再編に伴いまして強化される情報分野の具体的な内容は、中期目標を受けて今後大学が検討していくと思いますが、これからの成長分野といえます、さまざまなものがインターネットにつながるインターネット・オブ・シングス、ⅠoT、また、ビッグデータ、AIといわれるような人工知能などがございまして、これらについても、大学における教育研究として強化をしていく必要性があると考えています。
 今後とも、首都大学東京が時代の要請に柔軟に対応しながら、都が持っているフィールドも活用した研究を進め、都政や都民生活に貢献することを期待しまして、質問を終わりにします。

○おときた委員 私からも、重複する部分はございますが、首都大学東京についてお伺いをいたします。
 首都大学東京は、東京都の設置する公立大学であり、開学から十二年目を迎えました。学生らが豊かに学び、教員、研究者らが研究に打ち込むことのできる学府であることはいうまでもありませんが、都立の大学ゆえに東京都のシンクタンク的な意義を擁しており、都の発展に欠かすことのできない存在でもあります。
 二〇一五年に公表されたタイムズ・ ハイヤー・エデュケーション世界大学ランキングにおいて、首都大学東京は、七百七十九校ある我が国の大学の中で第九位にランクインするなど、高い評価も受けております。
 さて、この組織改編などが盛り込まれている公立大学法人首都大学東京の中期目標について伺いますが、公立大学法人首都大学東京の中期目標について、策定に当たってどのようなプロセスを経たのか、こちらを改めて伺いたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公立大学法人の中期目標は、地方独立行政法人法の規定に基づき、法人の設立団体の長である知事が、六年間の期間において法人が達成すべき業務運営に関する目標を定め、法人へ指示するものでございます。
 法律では、中期目標を定めようとするときは、あらかじめ、外部有識者で構成されます東京都地方独立行政法人評価委員会の意見を聞くとともに、議会の議決を経なければならないことが定められてございます。
 特に公立大学法人の場合、あらかじめ法人の意見を聞き、その意見に配慮しなければならないことが特例として法に定められてございます。
 したがいまして、中期目標の策定に当たりましては、事前に法人との調整を行いますとともに、評価委員会の意見もいただいた上で本議案を提出いたしました。

○おときた委員 策定に当たっては、地方独立行政法人法第七十八条三項の規定に基づき、大学法人側との事前に調整を行ったとのことですが、この具体的な方法や回数、対応に当たった大学法人側の担当部署などについて教えてください。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都地方独立行政法人評価委員会公立大学分科会の意見を伺うため、案がまとまりました本年四月七日、都知事名によりまして、法人の理事長宛てに中期目標案を送付し、意見の提出を依頼いたしました。この依頼に対し、法人からは、去る四月二十八日に、特段の意見はないという内容の回答文が理事長名で提出されました。
 また、手元の資料によりますと、法人内部における中期目標や中期計画に関する会議は、平成二十七年八月七日以降、計五回開催されております。都からは、中期目標の検討状況を資料として随時提出し、オブザーバーとして参加することなどにより、法人における議論も把握してまいりました。
 これに先立ち、学部再編につきましては、平成二十五年度から、大学など法人内での検討を行っており、この間、法人内の検討状況についての情報を法人からいただいておりました。
 そのほかにも、担当職員間の打ち合わせ、さらには電話も含めまして、さまざまな機会を生かした法人との意見交換を、特に平成二十六年度以降、頻繁に行ってございます。
 対応に当たりました法人側の担当部署でございますが、いわゆる窓口でございます経営企画室に限らず、理事長、学長、校長のほか、事務局の総務部など、多岐にわたる部署との意見交換を行ってまいりました。

○おときた委員 詳細なご答弁をいただきまして、大学側とは、東京都として十分なコミュニケーションをとってこられたということがわかりました。
 さて、以前に、東京都立大学から首都大学東京へ四大学が統合された際に学部の再編が行われました。その際、学部再編に反発した一部教員らが他大学に流出するということも起こりました。
 当時、何人の教員が流出したのか、当時のデータと状況について伺いたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 個々の教員の退職理由は、必ずしも退職時に明示されるものではないため、都立大学、科学技術大学、保健科学大学、都立短期大学の四大学が統合された際、それに反発して他の大学に流出したという教員の数についてのデータはございません。
 なお、教員の人数につきましては、四大学の統合前の平成十六年度は七百四十八名であり、平成十七年度は法人全体で七百三名でございました。

○おときた委員 理由についてのデータはないとのことですが、約五十名、一割弱の教員が減少しているということがわかりました。
 これ、都の方針により実施されることになる学部再編という点を共通項に見立てると、今回の学部再編に当たっても、少なからず教員の反発や流出が起こり得ることが懸念をされます。
 都として、この問題をどのように捉えていらっしゃるのか、見解を伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京の開学は、四つの大学を廃止し、新しい大学をつくるという大きな改革でございました。さらに、学部再編だけでなく法人化も伴いましたので、今回の学部再編と当時とを単に比較することは適当ではないと考えてございます。
 今回の学部再編は、時代の要請に合わせ、教育研究を充実強化するために実施するものでございます。教育研究分野の廃止は予定していないこともあり、学部再編を理由とする教員の流出は想定してございません。
 繰り返しになりますが、学部再編につきましては、平成二十五年度以降、大学など法人内で十分に検討を進めてきているものでございまして、さらには東京都とも調整した結果、今回の再編案に至っており、問題はないと考えてございます。

○おときた委員 問題ないとのことではありますが、現場にいらっしゃる先生方、皆さんが同意されているのかについては、いささかの懸念も残るところです。改革というのには反発はつきものでありますが、さらなるきめ細かな対応を要望するものです。
 続いて、本件にかかわる情報公開の取り組みについて伺います。
 東京都と同じく公立大学法人の設立団体である大阪市や横浜市は、それぞれの大学法人の中期目標の策定に当たって、パブリックコメントの手続を経た後に、議会に議決案件として付議をしております。
 都では、今回の中期目標に当たって、これまでパブリックコメントを実施しておりませんが、都民、とりわけ利害関係にある大学教員や学生からも意見を広く聞くことが可能になるパブリックコメントの手続、こちらの検討をされたのかどうかを伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第三期中期目標の策定に当たりましては、外部の有識者で構成されます東京都地方独立行政法人評価委員会における議論を、報道機関など都民の皆様に公開した会議の場で行ってございます。
 また、評価委員会におきましては、公立大学法人について専門に議論いたします公立大学分科会の委員の方々には、法人の実態を深くご理解いただけるよう、大学や高専の教育研究現場を視察いただき、直接、教員や学生にも接する機会も設けてございます。
 さらには、外部有識者が構成員となっております法人の経営審議会における議論も経ていることなどから、幅広い意見を取り入れるとともに、公正さと透明性を確保した第三期中期目標を策定したと考え、パブリックコメントは、これまでと同様、実施してございません。
 今後とも、都議会を初め広く都民の皆様の理解が得られるよう、他の自治体の取り組みなども参考にしながら法人の支援に努めてまいります。

○おときた委員 幅広く都民の声を聞くという意味で、パブリックコメントが実施されなかったことは少々残念ではございます。今後の広報活動での挽回を期待したいと思います。
 さて、公開した会議の場で実施をされたとのことですが、そこでの審議の内容、過程などの情報が広く素早く学生らに伝えられることは、当然になされるべきことであるように思われます。在学生やその保護者などにとって、在学する学部、学科等が将来的に再編されるということは、一つの大きな不安要素にもつながりかねません。
 ステークホルダーそのものである在学生やその保護者に対して、議論の過程を開示するなど、説明を果たすべきであると考えますが、学生らへの説明は、新聞報道の以前になされていたのかを伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第三期中期目標は、報道機関など都民に公開して議論を重ねております東京都地方独立行政法人評価委員会におきまして、本年五月九日に承認され、翌五月十日の新聞記事となりました。
 学生に対する学部再編案の説明は、五月十二日及び十三日に大学が実施し、学長みずから説明をいたしました。その際、今回の学部再編は、平成三十年四月の入学生から適用するものであり、在学生の学修環境は卒業まで保障されることなどについても説明をいたしました。
 大学では、第三期中期目標の策定後、中期目標には示されていない学科など再編案の詳細も含め、七月を目途に在学生に対する説明会を開催する予定でございました。これは、変更の可能性がある段階、詳細を説明できない段階で在学生に説明することによりまして、かえって不安を招くこと、さらには、そうした不確定な情報が流れることにより、首都大学東京を志望している高校生に無用な心配を与えることなどを懸念したからでございます。
 しかしながら、新聞報道がなされたこともあり、在学生の不安等を払拭するため、速やかに説明会を開催いたしました。
 今後、在学生には、議会での議決後に法人が策定いたします中期計画が具体化していく節目節目におきまして十分な説明を行っていく予定でございます。

○おときた委員 その学生向けの説明会では、具体的な再編案の内容について、学長が、新聞報道は青天のへきれきであった、丁寧な議論を心がけたつもりだが、最終的にはトップダウンで決めたというふうにいうことはできるなどの旨の発言をしていたといいます。
 こういった激論が生煮えの状態で、在学生らに不安を与えるという懸念はわかるのですが、新聞報道で学生が初めて知るというような情報の出し方については、いささか問題があったのではないでしょうか。在学生の不信を払拭すべく、今後はさらに丁寧なコミュニケーションを要望いたします。
 最後に、評価委員会にて配布された資料によると、現在、都市教養学部にある都市政策コースが都市環境学部に移管し、再編されることになっております。都市政策コースは、都庁や特別区職員に研修プログラムを提供するなど、重点目標、三の理念、都の政策課題と各教育機関の専門的知見とを結びつけ、課題解決のための施策を提案し、都のシンクタンクとしての役割をより一層果たす上で、その価値は高いものと評価できますが、今回の再編によって他の学問領域と再編することで、この意義に少なからず影響を与えるようにも思われます。
 そこで、この再編の狙いを改めて伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都市教養学部と都市環境学部に分散しております都市政策分野は、大規模災害対策など高度化する都市の課題への対応力を強化するため、都市環境の向上に貢献する都市環境学部に集約して再構築いたします。これにより、都市政策に関する文理融合の教育研究をさらに幅広く展開することで、都のシンクタンクとしての役割をより一層果たすことが可能となります。
 なお、都市教養学部のほかの分野につきましては、教育研究内容や育成する人材像が高校生や企業等にもよりわかりやすく伝わるよう、人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部の四つの学部に再編をいたします。

○おときた委員 再編といっても、縮小されるようなものではなくて、むしろ強化するものであるといったご答弁でした。
 ですが、現段階では、特に学生などのステークホルダーにとって、具体的にどう強化されるのか、学科はどのように再編されるのか、将来が見えないままに議論が進んでいるようにも見受けられます。
 どんな改革や変化にも批判や異なる意見はつきものではありますが、それを少しでも解消していくのは、適切な情報公開とコミュニケーションです。特に今回、現役学生などに対する情報公開、説明のタイミングに不適切な点があったことは否めません。首都大学東京に求められている役割に鑑みながら、関係各所が十分に納得していく形で計画が進められていくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。

○加藤委員長 次に、報告事項、東京都における情報通信施策の展開に向けた現状・課題と今後の方向性について外五件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大場委員 本年四月に発生した平成二十八年熊本地震についてお伺いいたします。
 今回の地震では、建物の倒壊などにより、六十九人ものとうとい命が失われました。まずは、地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 発災直後を思い起こせば、わずか一日、二日の間に、最大震度七の巨大地震が二度も発生しております。我が国は、これまで多くの震災に見舞われてきましたが、このような巨大地震が同一地域で短期間に発生したというのは記憶にありません。
 そこで、初めに、今回の平成二十八年熊本地震の特徴についてお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 今回の熊本地震は、四月十四日にマグニチュード六・五、最大震度七の地震が発生し、その後の十五日にマグニチュード六・四、最大震度六強の地震が続き、誰もが最初の地震を本震と考えたその直後の十六日未明にマグニチュード七・三、最大震度七のさらに大きな地震が発生いたしました。
 このように、本震と間違うほどの大きな地震の後に、それを上回る大地震が襲ってきたということが大きな特徴の一つに挙げられるかと思います。そのため、十四日の前震の直後に多くの避難された方が自宅に戻ったところを本震に襲われ、家屋の倒壊等で死者数等の被害が拡大したものと聞いてございます。
 また、発災以降、四月だけでも、深夜の時間帯を中心に最大震度五弱以上の地震が十八回も発生し、今日までに余震は千六百回を超えております。
 このような強い地震の連続や余震の継続はこれまでに経験のないものであり、このことも大きな特徴の一つと考えられます。

○大場委員 ただいまご答弁にありましたように、今回の地震では、深夜の時間帯を中心に比較的強い震度の地震が立て続けに発生し、多くの建物が倒壊し、または著しく破損しております。
 そして、ようやく鎮静化の傾向にあるものの、現在もなお余震が続いており、いまだに多くの方が避難所生活を余儀なくされております。被災者の皆さんは、日々不安を抱えており、その精神的苦痛は想像にかたくありません。
 こうした状況を踏まえ、都としても、被災地の状況をきめ細やかに把握し、必要な支援を迅速に行えるようにすることが重要であると考えます。
 そこで、今回の地震の発生に際し、都は、どのような体制のもと被災地の情報収集に当たったのかをお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 都では、四月十四日の地震発生直後より、総合防災部職員を中心に必要な体制をしき、被災地の被害状況等の情報収集に当たりました。
 また、本震が発生しました同月十六日、副知事を筆頭とします熊本地震情報連絡会議を設置いたしまして、全庁的な情報共有と被災地への人的、物的支援を迅速かつ継続的に実施できる体制を構築しました。
 さらに、十七日には総合防災部の職員を情報連絡員として現地に派遣し、被災地の情報を直接収集することで、現地のニーズのきめ細かな把握に努めてまいりました。
 現在は、全国知事会等関係機関からの適宜必要な情報収集を行うなど、引き続き現地の状況の把握に努めてございます。

○大場委員 ただいまご答弁にありましたように、都が発災直後より被災地の情報収集に努め、被災地の状況に応じた迅速かつ的確な支援を行い得る体制を構築していたことがわかりました。
 被災地ではこれまで、人的被害はもとより、一部破損を含むお住まいの被害は十万棟を超えております。また、発災直後の救出救助の段階から本格的な復旧、復興の段階に移行していく中で、これまで、被災地のニーズも多岐にわたり、また変化してきているものと推察いたします。
 東京は、我が国を牽引する首都として、人的、物的両面から被災地が必要とする支援を積極的に行い、一日も早い復旧、復興を支援すべきと考えます。
 そこで、都は、被災地に対し、これまでどのような支援を行い、今後どのように対応していくのかをお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 都はこれまで、現地派遣職員の情報等をもとに被災地情報の迅速かつきめ細かな把握に努めまして、国や全国知事会など関係機関とも緊密に連携し、被災地の支援を積極的に行ってまいりました。
 例えば人的支援は、救出救助や医療等支援、災害応急復旧、罹災証明発行支援など、これまで延べ千三百人を超える職員を派遣しており、その業務は多岐にわたってございます。また、毛布や給水袋など被災地が必要とする支援物資を迅速に搬送するとともに、被災者の都営住宅や都立学校等への受け入れ、また、都税の納期限延長、義援金の募集など、被災地の状況の変化に応じまして、全庁を挙げた幅広い支援を行っております。
 被災地が本格的に復旧、復興の段階に移行する中、今後も引き続き、現地のニーズを的確に把握し、関係機関とも連携を図りながら必要な支援を積極的に行ってまいります。

○大場委員 ただいまのご答弁で、熊本地震の特徴、都の支援の実績、復旧、復興に向けた今後の取り組みについて伺ってまいりました中で、都は、熊本地震の発災直後から物資や職員を送るなど、迅速かつ適切に支援に努めてきたことが理解できました。
 他方、被災地では、これまでにない事態の発生が被害を拡大させた面があることに加え、集積場所における支援物資の滞留、軟弱地盤上や昭和五十六年以前の旧耐震基準の建物が多数倒壊するなど、原因の精査が必要な多くの課題も浮き彫りになってまいりました。
 東京では、首都直下地震等が今後三十年以内に七〇%の確率で発生するといわれており、都には、熊本地震をみずからのことと受けとめ、首都直下地震等大規模災害に備え、首都東京を守るため、今後どう取り組んでいくかが問われていると考えます。
 そこで、世界一の防災都市東京を実現するため、都は、今回の熊本地震の教訓を検証し、みずからの防災対策の実効性を一層高めていくべきと考えますが、今後どのような取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。

○小林防災計画担当部長 先ほどのお話にございましたとおり、今回の熊本地震では、わずか一日、二日、二十八時間以内に最大震度七の地震が二回観測されますなど、これまでにない地震も生じておりまして、その検証には、震源と揺れの関係、揺れの連続と地盤及び建物被害の関係など、地震学や建築構造など専門的知見も踏まえました調査等が必要と考えてございます。
 このため、都は、国などによります建物被害や断層帯調査等の進捗について情報収集を図りますとともに、専門家の知見等を求めてまいります。
 また、支援物資の輸送や他の自治体、国との連携の状況等につきましても、被災地へ派遣した職員からの報告や個別の聴取に加えまして、現地での実態調査などを行い、整理、分析し、東京におけます発災時対応の教訓といたします。
 こうした作業を鋭意進めまして、都の災害対応への影響等の検証状況などにつきまして、本年秋を目途に取りまとめ、都におけます防災対策の実効性向上を図ってまいります。

○大場委員 熊本地震について何点か伺ってまいりました。
 今回のような経験のない事態に対しましては、冷静に分析等をする必要があること、また、そのためには一定の時間を要することは理解できなくはありません。
 他方、大規模災害はいつ起きてもおかしくありません。都には、被災地への必要な支援に引き続き尽力するとともに、スピード感を持って、今回の地震から得られた教訓の検証と、それを踏まえた都の防災対策を一層効果あるものにするための取り組みを求めまして、質問を終わります。

○おときた委員 私からは、東京都における情報通信施策の中から、オープンデータの活用について、一点だけ端的にお伺いをいたします。
 前回の総務委員会において、都内で、自治体によってオープンデータの姿勢に温度差が見られること、自治体ごとに形式が異なって利用しづらいなどの課題があり、それに対して、東京都がリーダーシップをとって共通のフォーマットづくりを進めていく必要性について述べさせていただきました。
 これに対しまして情報通信企画部長から、本年二月から、データ公開対象や公開基盤の整備における連携のあり方について、都と区市町村の担当者の間での協議が開始されたとの答弁を受けましたが、この協議の進捗状況は今どうなっているでしょうか、こちらをお聞かせください。

○中島情報通信企画部長 オープンデータの推進に当たっては、幅広いデータの提供が広域的課題の解決に資することから、都と区市町村が連携していくことは重要であると認識しております。
 区市町村のオープンデータの取り組み状況がさまざまであることから、現在、個別にその状況や考え方を聴取、整理することなどによりまして、担当者間において連携のあり方について検討を行っているところであり、引き続き区市町村との協議を進めてまいります。

○おときた委員 今ご答弁をいただきましたように、オープンデータの取り組み状況がさまざまであるからこそ、早い段階で東京都が音頭を取って調整していかなければ、今後、区市町村間の温度差や運用状況にさらに開きが出てしまうことも考えられます。
 二月から協議を開始するというご答弁をいただいたにもかかわらず、五カ月間を経た今でも、具体的なアウトプットをお聞かせいただけないことが少々残念でございます。オープンデータ活用の方針は、おおむね賛同できるものですが、この方針を具体的な期日を区切った計画へと落とし込み、迅速に前に進めていただく必要がございます。
 東京都のオープンデータ活用には、多くの人が期待をかけています。これまで以上に力を入れて基礎自治体との連携を進めていただきたい旨を強く要望いたしまして、質問を終わります。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○加藤委員長 次に、付託議案のうち議員提出議案の審査を行います。
 議員提出議案第九号を議題といたします。
 なお、本案については、関連のある政策企画局及び人事委員会事務局の理事者にもご出席いただいております。ご了承願います。
 本案について提出者の説明を求めます。

○曽根委員 東京都知事等の給料等に関する条例の一部改正案について趣旨説明を行います。
 まず、改正の目的です。
 舛添知事による高額な海外出張費に対して都民の大きな批判が広がっているもとで、知事の出張費の中で宿泊料の削減を図るため、本条例改正を今定例会に提出するものです。
 改正の概要ですが、宿泊料を初めとした知事の出張費は、東京都知事等の給料等に関する条例の第三条で規定されており、宿泊費等の額については、第三条第三項で別表に定めるところによるとされています。知事の海外出張の一日当たりの宿泊費は、別表の(五)で、指定都市四万二百円、甲地方三万三千五百円、乙地方二万六千九百円、丙地方二万四千二百円とされています。
 ところが、舛添知事は、この条例の規定を全く守らず、条例上限額を大幅に超えた支出が常態化しています。
 別表に定めるところによることを大原則にしつつ、どうしても超過する場合の厳しいルールを条例で明確に定めるものです。
 そのため、以下の規定を新たに加えます。
 第一に、宿泊費等の旅費について、特別の事情等により別表の(二)から(五)によることが困難である場合は、あらかじめ人事委員会と協議することを義務づけます。
 第二に、人事委員会と協議した上で別表(二)から(五)に定める額を超えて支出する場合、都民の理解を得られるようにする配慮義務を明文化します。
 第三に、人事委員会と協議する場合、知事は、所要額及び特別の事情等を具体的に記載した文書を人事委員会に提出し、増額の適否に関する回答を得る必要があることを明文化します。
 第四に、上記の協議を人事委員会と行ったときは、人事委員会に提出した所要額及び特別の事情等を具体的に記載した文書、人事委員会との協議の内容、増額の適否の理由を記載した文書を速やかに公表することを義務づける規定を明文化します。
 そして、特段の周知期間、準備期間は必要ないため、本改正条例は公布の日から施行するものとします。
 改正による期待される効果としては、石原元知事の豪華海外出張に対して都民から厳しい批判を受けて以来、別表の(二)から(五)に定める額を超えて支出する場合、人事委員会との協議という形式をとるようになりましたが、全て知事の要求どおり認められており、実効性あるものとなっておりません。協議の内容も不透明です。改正条例案は、さきに述べた四つの趣旨を条例に明文化することにより、海外出張の宿泊費についての規定をはるかに超えた支出が常態化している現状の改善を図るものです。中でも、宿泊等の所要額及び特別の事情等を具体的に記載した文書、人事委員会との協議の内容、増額の適否の理由を記載した文書の速やかな公開により、都民によるチェックの強化が可能となるものです。
 以上、趣旨説明を申し上げました。各会派のご賛同を心からお願いいたしまして、趣旨説明を終了いたします。
 以上です。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十六分散会

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