総務委員会速記録第四号

平成二十八年三月十六日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長加藤 雅之君
副委員長新井ともはる君
副委員長柴崎 幹男君
理事石川 良一君
理事徳留 道信君
理事鈴木 隆道君
おときた駿君
まつば多美子君
木村 基成君
大場やすのぶ君
近藤  充君
小山くにひこ君
小磯 善彦君
秋田 一郎君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長理事兼務川澄 俊文君
外務長水越 英明君
次長理事兼務潮田  勉君
理事松下 隆弘君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小池  潔君
調整部長中澤 基行君
政策担当部長西坂 啓之君
政策担当部長八嶋 吉人君
技術政策担当部長加藤 直宣君
戦略広報担当部長政策担当部長兼務小沼 博靖君
海外広報担当部長川崎  卓君
渉外担当部長佐藤 直樹君
国家戦略特区推進担当部長山本 博之君
渉外担当部長政策担当部長兼務村岡 教昭君
報道担当部長松下 明男君
計画部長小室 一人君
計画担当部長梅村 拓洋君
外務部長横山 英樹君
都市外交担当部長角南 明彦君
国際事業担当部長梅田 弘美君
青少年・治安対策本部本部長廣田 耕一君
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務廣瀬 秀樹君
青少年対策担当部長稲葉  薫君
治安対策担当部長村山  隆君
人事委員会事務局局長藤田 裕司君
任用公平部長津国 保夫君
試験部長森山 寛司君
審査担当部長小澤 達郎君

本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十七号議案 東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
政策企画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出 政策企画局所管分
青少年・治安対策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出 青少年・治安対策本部所管分
付託議案の審査(質疑)
・第二十八号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・第十次東京都交通安全計画(中間案)について
・改定東京都自転車安全利用推進計画(中間案)について

○加藤委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、政策企画局及び青少年・治安対策本部関係の予算の調査、人事委員会事務局及び青少年・治安対策本部関係の付託議案の審査並びに青少年・治安対策本部関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分及び第三十七号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○加藤委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出、政策企画局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 要求のございました資料二点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
 まず、一ページをお開きください。舛添知事の海外出張の状況でございます。
 舛添知事就任以降の海外出張の状況について、出張先、期間、目的、参加人数及び費用を記載してございます。
 次に、二ページをお開きください。東京都における国家戦略特区の取り組み状況でございます。
 これまでの東京都における国家戦略特区の取り組み状況について、政策分野ごとに、特定事業等の名称、規制の特例措置の主な効果及び認定件数を記載してございます。
 以上、簡単ですが、要求資料について説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○木村委員 まずは、ライトアップについて質問させていただきます。
 舛添知事は、平成二十八年第一回定例会の施政方針において、観光を一大産業と高め、東京のさらなる成長につなげたい、また、新たな観光資源として光に注目し、戦略的なライトアップでまちの魅力をより一層高めるための検討を進めていくなどと表明しており、今後、観光振興に向けた施策を充実させていくことが重要だと考えます。
 日本政府観光局によると、二〇一五年の訪日外国人数は、前年度比四七・一%増の過去最高、約千九百七十四万人、また、観光庁による訪日外国人消費動向調査では、旅行消費額は前年比七一・五パーセント増の三兆四千七百七十一億円と、大幅な伸びを示しております。さらに、東京都観光客数等実態調査では、二〇一四年に東京を訪れた外国人旅行者数は約八百八十七万人、日本人旅行者数は約五億六百万人であります。
 東京は、二〇一九年のラグビーワールドカップや翌年のオリンピック・パラリンピック大会を控えており、東京を訪れる方々に東京の魅力を十分に感じていただき、再訪の機運を高める必要があると思います。そのための一つの取り組みとして、ライトアップを行って、夜間の都市の魅力というものを向上させることが重要だと考えます。
 ライトアップといえば、東京タワー、明治神宮外苑の絵画館だとか、そのほかには冬の表参道のイルミネーション、スカイツリーのライティングなど、さまざまな光の演出が実施されております。
 二〇一二年の十二月以降、毎年、東京駅周辺で行われているミチテラスでは、東京駅丸の内駅舎のスペシャルライトアップや、有名人をモチーフにした光るオブジェ等の光の魅力で、五十万人以上の来場者が訪れるなど、非常に集客力の高い魅力あるイベントとなっております。
 このように、光の演出は、子供からお年寄りまで幅広い層の人々を引きつけるものであり、魅力あるまちの形成につながるものだと思います。
 さて、平成二十八年度東京都予算には、都市の魅力を高めるライトアップ等に関する検討調査が計上されています。
 そこで、ライトアップ等の検討調査を行うこととした背景、調査の対象について伺います。

○加藤技術政策担当部長 東京には、豊かな水辺や日本庭園など魅力ある景観が数多く存在しておりまして、クリスマスの時期などには、現在でも至るところで光の演出が行われてございます。しかし、多様な実施主体がそれぞれ個別に行っており、都市の観光資源としては必ずしも十分に生かされているとはいえない状況にございます。
 このため、まずは他都市におけるライトアップや夜の景観施策等の事例を調査するとともに、東京におけるライトアップ等の実施状況の把握を行ってまいります。

○木村委員 他都市の事例や東京の現在の実施状況の把握を行うということでございますが、これらの調査をもとに、どのようにライトアップの検討を行うのか、その検討の視点について伺います。

○加藤技術政策担当部長 多くの観光客に東京を楽しんでいただくため、新たな観光資源として光に注目し、戦略的なライトアップによりまして、まちの魅力をより一層高めるような検討を行うことといたしております。
 具体的には、ライトアップの検討に当たりまして、ランドマークとなる施設の配置や地域のまとまりなどの視点、河川や運河から見た夜景など舟運の活性化の視点、ライトアップされた施設間を散策できるような回遊性を高める視点など、線や面としての広がりのある視点から戦略的なライトアップの検討を行ってまいります。

○木村委員 線や面としての視点から戦略的ライトアップの取り組みを行うということでございますが、その検討を踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか、その方向性を伺います。

○加藤技術政策担当部長 隅田川のテラスや庭園等におけるライトアップなど各局が計画している事業に対しまして、この調査検討の内容を反映させてまいります。さらに、民間施設等で行われているライトアップを取り組むなど、官民連携による取り組みに広げてまいります。
 こうしたことによりまして、東京を訪れた観光客が再び訪れたいと感じてもらえるような魅力ある夜の景観を創出し、観光産業の振興につなげてまいります。

○木村委員 二〇一四年にノーベル物理学賞を受賞された赤崎、天野、中村氏らが開発した青色LEDによって、当初は赤と緑だけであったLEDも、最近ではさまざまな色が出せるようになりました。さらに、LEDの消費電力は白熱電球の六分の一程度といわれているなど、省エネに大変すぐれており、環境にも優しく、こうした特徴を生かしてさまざまなライトアップが行われております。また、最近では、電球による光だけでなく、プロジェクションマッピングという、建物の壁などにバーチャル映像などの光を当てて演出を行うイベントも行われております。
 都においても、さまざまな視点を捉えた上でライトアップの取り組みを進めていただき、一層魅力ある夜の夜景をつくり上げていただきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、国家戦略特区と外国企業誘致の取り組みについて伺います。
 現在、我が国は本格的な人口減少社会を迎えており、特に労働生産性の低下を通じた経済活動への中長期的な影響が懸念されるところであります。これに加え、欧米、アジアなど地球規模で展開される都市間競争はますます熾烈化しており、今後、我が国が持続的な経済成長を実現していくためには、東京を世界で一番ビジネスのしやすい都市にしなければなりません。すぐれた技術、ノウハウを有する外国企業誘致を加速させ、世界中からの人、物、金の集積を活性化していくことが何よりも重要であります。
 そうした中にあって、東京都は、国家戦略特区、外国企業誘致などに精力的に取り組んでいると認識しておりますが、まず、これまでの国家戦略特区の取り組み状況、特に、外国人を呼び込むビジネス環境の整備の観点からどのようなプロジェクトを進めているかについて伺います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 東京都としましては、昨年度から、国、自治体、民間事業者との連携のもと、国家戦略特区の有効活用による、ご指摘のビジネス環境の整備に取り組んでいるところでございます。
 例えば、都市計画法等の特例による新駅、バスターミナル、国際ビジネス交流、MICE拠点等のスピーディーな整備、道路法の特例によるさまざまなイベント展開を通じました外国人等によるにぎわい創出、東京開業ワンストップセンターの開設による外資系企業設立に必要な行政手続へのスピーディーな対応などの外国人の呼び込みに資するプロジェクトに取り組んでいるところでございます。

○木村委員 東京都が国家戦略特区を有効活用して、さまざまなビジネス環境の整備に取り組んでいることはよくわかりました。
 それでは、答弁のあった三つのプロジェクトごとに、何点か確認をさせていただきたいと思います。
 まず、都市計画法の特例についてでございますが、さまざまなプロジェクトをスピーディーに整備していくと答弁されましたが、その根拠、その効果について、また、地区ごとの具体的なプロジェクトについて教えてください。

○山本国家戦略特区推進担当部長 都市計画法等の特例対象プロジェクトは、現時点で二十二ございますが、全て都市計画決定等の目標時期を区域会議において設定しております。これによりまして、目標達成に向けたプロジェクト関係者間の調整のスピードアップが促され、民間投資による経済波及効果の早期発現が期待されます。
 また、地区ごとの具体的プロジェクトでございますが、例えば、東京駅の周辺では、八重洲地区における大規模バスターミナル、大手町常盤橋地区における国際金融拠点、有楽町駅周辺地区におけるMICE拠点の整備等による国際ビジネス拠点のさらなる活性化、虎ノ門ヒルズ周辺では、新駅、バスターミナル、業務施設、サービスアパートメント、インターナショナルスクールの整備等によります外国人を呼び込む職住近接の空間づくりなどに取り組んでまいります。

○木村委員 民間投資による経済効果の早期発現につながると、我が国の経済活性化にも大きく貢献すると思います。目標の達成に向け、引き続き着実に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、エリアマネジメントに係る道路法特例について伺います。
 この特例に関しましては、昨年三月に、丸の内仲通り、行幸通りなどが特例認定を受け、その後には、九月には、この特例を活用したイベントとしてJAPAN NIGHT二〇一五が開催され、海外からも多くの来場者があったと伺っております。このような取り組みは、都市観光の推進などの観点から有意義だと思っております。
 さらに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けては、この特例を活用した大会関係のイベントの開催を行うことも有効だと考えますが、いかがでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご指摘のとおり、道路法の特例を活用して東京オリンピック・パラリンピック関係のイベントを展開することは、大会の機運を高めることにもつながり、有効であると考えております。
 例えば、昨年十一月に認定されました自由が丘駅周辺街路におきましては、ことしのゴールデンウイークに駅前広場などにおきまして、オリンピック選手などの参加によるトークショーや世界のスイーツイベントなどによりますオリンピック・パラリンピックの機運を高めるイベントを開催することになっております。
 東京都としましては、今後、こうしたすぐれた事例の各自治体への推奨を通じた適用拡大に取り組んでまいります。

○木村委員 ぜひ多摩も含めた各自治体への推奨をよろしくお願いいたします。
 次に、外国企業等の東京への進出をサポートする取り組みとして今年度から設置されました東京開業ワンストップセンターについて、提供するサービス内容、これまでの利用状況がどうなっているか伺います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 今年度四月一日に開設されました東京開業ワンストップセンターは、外資系企業などを対象に、法人設立時に必要な定款認証、登記、税務、年金、入国管理等の手続を一元的に対応する機関でございます。
 センターには、関係省庁や東京都から派遣された職員または専門家が常駐する八つの相談ブースを設けております。
 利用者につきましては、開設時から二月の末までに約七百五十人、相談ブース利用件数は約千六百件でございますが、下半期からは、広報の充実化等によりまして、上半期に比べて増加しているところでございます。
 また、利用者の満足度は高い状況にございます。
 今後とも、国、ジェトロと連携して、各国大使館、商工会議所など、さまざまな団体への広報活動を展開してまいります。

○木村委員 多くの外国企業から、日本でビジネスを行う上での阻害要因として、行政手続の複雑さが声として上がっております。法人設立時に必要な手続について一元的に対応する東京開業ワンストップセンターは、外国企業の誘致上、重要なツールだと考えます。今後も、より多くの外国企業にこのセンターを利用してもらえるよう、積極的な広報に努めていただきたいと思います。
 次に、外国企業誘致の取り組み状況について伺います。
 都はこれまで、海外から人、金、物を集積させる具体的な手法として、二十五年度から、目標設定のもと、民間のノウハウも活用してアジアヘッドクオーター特区内への外国企業誘致に取り組んでおりますが、改めて、外国企業を誘致する狙いと、事業開始からこれまでの誘致実績について伺います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 人口減少社会の到来に伴い、今後、我が国の持続的な経済成長を実現させるためには、企業の生産性を向上させることが重要でございます。そのためには、今後、海外の先進的な技術、ノウハウを活用して企業の付加価値を高めていくことが重要な課題になっております。
 そうした中、東京都は、こうした技術、ノウハウの国内企業への移転等を進める観点から、これまで、業務統括、研究開発業務を行う外国企業の誘致に取り組んできたところでございます。
 これまでの誘致実績でございますが、これらの高付加価値拠点を設置する外国企業を平成二十八年度末までに五十社誘致するとの目標に対しまして、現時点で四十六社から特区進出の意思決定を取得しております。また、将来的に高付加価値拠点を設ける意思がある外国企業につきましては、現時点で十八社から特区進出の意思決定を取得しております。

○木村委員 着実に件数が伸びているということはよくわかりました。引き続き目標達成に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 また、誘致企業の業種は、情報通信分野など今後成長が期待される分野が多数を占めているということでございます。こうした分野の中には、例えば、従来の金融システムではなく、携帯やタブレット端末などでも利用できる低コストでオープンな金融システムや、国際的に決済手段として使われている仮想通貨など、世界で急成長している金融IT、いわゆるフィンテックと呼ばれる分野もあります。このフィンテックの中には、ブロックチェーン技術のように、改ざん不可能な情報インフラとして、金融以外の分野での応用も期待される革新的な技術もあるわけです。
 今後は、こうしたフィンテックや人工知能など先進的な技術、ノウハウを生かした、国内企業と連携した新しいビジネス開発を活性化させて、日本経済の活性化に貢献していくことが重要ですが、都がこれまで誘致した企業にはそうした事例があるのか伺います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご指摘のフィンテックや人工知能の分野におきましては、外国で展開している先進的な技術と日本のものづくり技術とを組み合わせた新規ビジネス開発に意欲を持った企業を誘致したところでございます。
 例えば、フィンテック分野では、ヨーロッパ三十四カ国でITを活用した利便性の高い決済システムを提供している英国企業が、国内のソフトウエア開発企業と連携して新たなサービス開発に取り組む予定でございます。
 また、仮想通貨の取り扱い数が世界最大で、高度なブロックチェーン技術を有する米国企業が、国内IT企業や金融機関との連携のもと、低コストかつ安全性の高いデータ保管ビジネスの開発に取り組む予定でございます。
 さらに、人工知能を活用した画像、音声認識技術を有する米国企業が、国内の教育関連企業、ものづくり中小企業との連携のもと、英語教育に関するロボットの開発などに取り組む予定でございます。

○木村委員 フィンテックや人工知能など、今後の成長が期待できる分野で先進的な技術を持った企業を誘致し、都が我が国における新しいビジネス開発につなげようと取り組んでいるということでございます。
 今後は、それらを確実に実現に結びつけていただき、こうした取り組みを活性化させていくことが重要だと思います。
 そこでお伺いいたしますが、都としては、誘致企業と国内企業との連携事例の拡大に向けて、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 東京都としましては、ご指摘の誘致企業と国内企業との連携事例の拡大に向け、来年度以降、誘致企業の連携ニーズの情報発信や、さまざまな団体による連携機会の提供に取り組んでまいります。
 具体的には、誘致企業のニーズに基づきまして、国内企業と連携したい業務内容や連携先の業種等につきまして、特区のウエブサイト等を活用しまして情報発信に取り組んでまいります。
 また、連携機会の提供につきましては、例えば、中小企業支援機関との連携によるマッチングイベントや、都が主催するセミナー、さらにビジネスコンシェルジュ東京を活用したビジネスマッチングの実施など、さまざまな機会の提供に取り組んでまいります。

○木村委員 我が国の経済成長に貢献する連携事例が着実にふえるよう、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、外国企業誘致も来年度が最終年度になりますが、今後の展開の検討も含め、来年度の外国企業誘致の取り組み方針について、局長に伺います。

○川澄政策企画局長理事兼務 来年度は、まずは、現在掲げている目標が達成され、高い成果が上げられるように取り組んでまいります。
 また、これとあわせて、これまでの外国企業誘致の取り組みの深化に向けた調査も行ってまいります。例えば、今年度、英国政府との連携により、英国のフィンテック企業の誘致を実現させましたが、今後、このような事例の拡大に向けて、他の外国政府との連携拡大の可能性について調査をしたいというふうに考えております。
 また、先ほど答弁いたしましたとおり、人工知能の事例のように、外国企業の先進的な技術と都内中小企業のものづくり技術等を組み合わせた、さまざまな新規ビジネス開発の可能性等についても調査を行ってまいります。
 これらの調査結果につきましては、今後の外国企業誘致のあり方の検討に反映させ、我が国の持続的な経済成長の実現に貢献してまいります。

○木村委員 我が国の持続的な経済成長の実現に貢献するという、局長の力強い答弁でございました。
 繰り返しになりますが、持続的な経済成長を実現するためには、東京に世界からの人、物、金を集積させ、国内企業と連携したビジネス開発の活性化など、企業の高付加価値化、生産性の向上を図る施策を推進することが何よりも重要です。
 来年度において、これらの推進の観点から国家戦略特区、外国企業誘致の展開強化を要望して、私の質問を終わります。

○まつば委員 結婚支援について質問をさせていただきます。
 公明党はこれまでも、結婚支援について必要な施策を実施するように提言を行ってまいりました。
 先日の予算特別委員会におきまして、知事から、結婚支援についての都としての取り組みを検討していくという答弁をいただいたところであります。私は、この知事の答弁を受けまして、これは都の政策の考え方の大きな転換であると私は受けとめましたと申し上げました。なぜそう知事に対して答えたのか、そのことを、少し長くなりますけれども、ご説明をさせていただきたいと思います。
 二〇一二年の予算特別委員会におきまして、我が党公明党の栗林のり子議員が、結婚活動支援、いわゆる婚活について質問をいたしました。るる社会状況と婚活支援をするべき意義、また、さまざまな各地の取り組みを紹介した後、こう提案をしたわけです。
 ここで東京都しかできない取り組みを私は提案したいと思います、それは何か、ボランティア活動ですと。そして、自我の確立と他者とのかかわり、これが今、余りにもないんです、共同作業を通して他者とかかわっていく、そして継続という長いスパンで人とのかかわりを持つ中で、よさも見出せるのが、やはりボランティアではないかと思うのですと、お話をいたしました。そして、具体的に海の森での植樹ボランティアでの婚活イベントを提案いたしまして、こういったボランティア活動を通しての支援活動にぜひ力を入れて取り組むべきと考えるんですが、これはご答弁どなたもいただけないんです、実は、結婚というカテゴリーは、どこも受けとめていただけないんですというふうに予算特別委員会で訴えたところ、当時の知事がそれを受けて答弁に立たれまして、ボランティア活動を通じてたくさんのカップルができたら結構なことで、仕事はたくさんありますから、幾らでも準備いたしますという答弁があったわけです。そして実施されたのが、東京都海の森倶楽部会員事業であるアウトドア婚活in海の森でありました。主催は株式会社、共催は港湾局であったわけです。
 そもそも、二〇一二年にこの質問をしたときは、結婚支援、結婚活動支援を所管する部局はなかったわけであります。
 時代はさかのぼりますけれども、ちょうど今から二十年前になりますが、東京都結婚相談所が平成八年三月に閉所いたしました。これは、昭和八年に東京市のときに開設をされ、以来六十二年間、その歩みの途中からは委託事業となりましたが、所管は今でいう生活文化局であったわけです。廃止に当たりましては、東京都結婚相談所事業検討委員会が設置され、結婚相談所が果たしてきた役割や結婚相談事業にかかわる現況、評価及びあり方等について検討を行い、都議会でも議論があったわけであります。そして、平成七年の第一回定例会におきまして東京都結婚相談所条例を廃止する条例が可決されまして、結婚相談所はその使命を終えられたという歴史があるわけです。
 そうした二十年前の歴史、この歴史の中で、時代を経まして、栗林質問がありまして海の森でのイベント、また、東京都福祉保健財団の東京子育て応援事業の中において、出会い、結婚支援事業に取り組むNPOや企業も助成対象とすることになり、今現在、一団体、取り組まれているという経過であると認識をしております。
 そうした意味から、今回、知事から、結婚支援について都としての取り組みを検討すると、こういうご答弁ですが、この答弁は大変大きな意味を持つと私は考えておりますけれども、改めてその意味についてお伺いいたします。

○八嶋政策担当部長 結婚や出産を希望する全ての人がその願いをかなえ、家庭を築き、子供を持つことができるよう支援していくことが必要であります。
 このため、個人の価値観や人生観などにも十分配慮しながら、結婚支援につきまして、先ほどまつば委員からご紹介をいただいておりますけれども、これまでに実施してまいりました事業に加えまして、都としての必要な取り組みを検討していくこととしたものでございます。

○まつば委員 今ご答弁ございましたとおり、今回、結婚支援も検討していくということであります。
 これまで我が党は、結婚、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援をすべきと主張してまいりました。これは一歩前進したものと評価をいたしております。
 そこで、今回、このような判断に至った経緯についてお伺いいたします。

○八嶋政策担当部長 都はこれまで、安心して子供を産み育てられる環境を整備するため、さまざまな施策の充実を図ってまいりました。
 これまでの都議会での議論や今般の国の結婚支援の取り組み等を踏まえまして、今回、都としての結婚支援を改めて検討する状況になったものでございます。
 結婚は、個人の価値観や人生観に基づくものでありまして、結婚支援の取り組みに当たりましては、そうした点にも十分配慮しながら、都として何ができるか検討を深めてまいります。

○まつば委員 今ご答弁ございましたけれども、やはり個人の価値観とか人生観というものは大事なことでもございますので、ただ、希望される方が、結婚を望まれる方が結婚ができる環境づくり、これは大切だと思っております。
 いうまでもなく、結婚活動支援ということが一つ挙げられます。また、幅広い意味で、就労支援であったり、住宅の確保であったり、我が党が主張してきた産前産後ケアということや、保育園や幼稚園等の子育て環境の整備など、総合的に取り組むということだというふうに私は考えております。
 この妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援といいますのは、現在も福祉保健局を中心に取り組まれているものであります。川澄局長も、福祉保健局長でもございましたので、大変ご存じのことだと思っております。この妊娠、出産、子育て支援に加えまして、ここに結婚支援を入れた考え方を進めていただきたい、そのように思っております。
 都として取り組みを検討していくというお答えをいただきましたけれども、そのためには、都庁内にしっかりした検討体制を構築し、実効性を担保することが必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。

○川澄政策企画局長理事兼務 委員ご指摘のとおり、結婚支援について実効性のある取り組みを検討していくためには、各局が緊密に連携して横断的に検討していく必要がございます。
 このため、総合調整機能を有する政策企画局が軸となりまして、関係各局によるPTを設置し、結婚支援に関する検討をしっかりと行ってまいります。

○まつば委員 ただいま局長から、政策企画局が軸となって、関係各局によるPTを設置して検討を行っていくとのご答弁をいただきました。
 先ほど私もご紹介いたしましたけれども、二十年前の経緯もあった上での、今回のある意味での政策の一つの、一歩前進といいますか、転換ということだと受けとめております。
 どこの部局が担当されるのかということが私は非常に重要だというふうに思っておりましたが、先ほど、これを明確にしていただいたなというふうに思っております。政策企画局を軸にという答弁でございますけれども、ぜひとも具体的な施策を構築していただきまして、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるよう取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○小山委員 私からは、二件についてお伺いをさせていただきます。
 一件目として、都市外交について伺います。
 先日、アンヌ・イダルゴ・パリ市長が東京を訪問され、都議会でも市長一行を歓迎し、市長には都議会議事堂で演説をいただきました。市長からは、都市づくり、気候変動、オリンピック誘致など、多くの課題に向かって両都市の関係を深めていきたいと述べられ、また、痛ましいテロを乗り越え、観光客をパリ市に呼び戻したいという強い思いが伝えられました。
 現在、報道等におきまして知事の海外出張に注目が集まっておりますが、都市外交は、本来、知事が海外に出張するだけではなく、両都市の友好と発展に大いに寄与することが重要であると考えております。イダルゴ市長の訪問のほかにも、今年度は、ロンドンのジョンソン市長を初め、数多くの訪問がございました。
 そこで、今年度、平成二十七年度を総括し、改めて知事の都市外交の成果についてお伺いをさせていただきます。

○横山外務部長 今年度の大きな成果といたしましては、まず、ロンドン市との間で、都として十九年ぶりに友好都市関係を樹立したことが挙げられます。昨年度、一昨年の秋になりますが、知事のロンドン訪問を受けまして、昨年十月にはロンドン市長が来日され、この実現に結びついたものでございます。
 また、知事はソウルやパリ市を訪問しまして、それぞれの首長と会談をいたしております。パリにおきましては、東京都との友好協力関係を一層推進するため、新たに合意書を締結いたしました。この知事の訪問を受けまして、今、委員のお話のように、ことし三月にはパリ市長が東京都を訪れ、東京の施策などを学んでいただきました。
 ほかにも、首長が東京を訪問された例ということでは、モスクワ市長、オーストラリアのニューサウスウェールズ州首相をお迎えしてございます。それぞれ都市づくりやスポーツなど双方の都市が一致した関心分野におきまして、緊密な交流、協力を行うための新たな合意書を締結してございます。
 首長同士の会談等を通じまして、双方の都市が関心を持つ施策や都市共通の課題解決に向けて協力関係を構築してまいりました。

○小山委員 ただいまのご答弁にありましたとおり、今年度、平成二十七年度、特にロンドン市との友好都市締結というのは極めて大きい成果だというふうに思っております。これは、この間の総務委員会やさまざまな委員会でも申し上げてまいりましたけれども、オリンピック・パラリンピックを開催する都市同士の友好締結は、私ども東京にとっても、これからの施策を目指す中で大変重要だというふうに考えております。ぜひ両都市間の友好都市促進をさらに図っていただきたいと思います。
 さらに、ただいまのご答弁の中で、知事が海外の都市を訪問するだけでなく、姉妹友好都市の首長に東京を訪問してもらうことも含めた都市外交がさまざまな成果につながりつつあることを評価させていただきたいと思います。
 姉妹友好都市との関係では、都知事の訪問であれ、相手都市の首長の訪問であれ、これは期限が限られていることから、その後の継続的な取り組みということが極めて重要だと考えております。
 両首長がお互いの都市を訪問し、関係構築が図られましたロンドン市、パリ市との間でも、具体的な成果を上げていくために実務レベルの交流を進めていくことが不可欠だと思っております。
 そこで、今後、両都市との間で実務的な交流、協力をどのように進めていくのか、お伺いさせていただきます。

○横山外務部長 パリ市との間では、環境、文化、スポーツ、都市づくり、観光の五つの分野で、ロンドン市との間では、都市づくり、環境、文化交流、交通、観光、大規模なスポーツイベントの開催の六つの分野で合意書を締結しておりまして、あわせて、出張の成果を関係局の施策の検討に取り入れてきております。
 今後、相手都市との間で締結した合意分野を中心に、相手都市の実務担当者と協議を重ねながら共同で事業実施に結びつけるなど、実務レベルでの交流、協力を推進し、相手都市が強みを持つ施策や事例から学んだことを各局が進める施策に反映させ、その成果を都民生活の向上につなげてまいります。

○小山委員 今お答えをいただきましたように、まさに一番大事なのは、首長同士の訪問の後の行政レベル、実務レベルでの交流、協力というのが大事だというふうに考えております。ぜひこれを、政策企画局を中心として各局の政策の中に生かしていただきたいというふうに思います。
 知事の訪問、合意書の締結、実務者同士での交流、協力、そして相手都市首長の東京訪問と、このように両都市間での交流、協力が両都市の施策に生かされていくことが、まさしく都市外交において重要だということを改めて申し上げておきたいと思います。具体的な施策として形になるには、実際、時間がかかるものが多いということは承知しておりますけれども、都市外交で学んできたことを目に見える形で都民に還元していただくことを強く求めておきたいと思います。
 次に、ニューヨーク市とワシントンDCとの都市外交についてお伺いをいたします。
 これまでの予算特別委員会や総務委員会におきまして、ニューヨーク市については米国の先進事例を学ぶ機会として、また、ワシントンDCについては都内の米軍基地や米軍関連施設の縮小やこういった諸課題解決のために、知事に直接訪問をしていただきたいと申し上げてまいりました。
 ニューヨーク市につきましては、森記念財団の世界の都市総合力ランキングで、ロンドン市とトップの座を争う都市でもあります。東京が世界一の都市を目指すのであれば、先行している分野を学び、追いつき、追い越していかなければならないと考えております。
 例えば、水害から都市を守るビッグユーという都市開発をあわせた取り組みですとか、米国最大の開発事業でありますハドソンヤードの再開発、あるいは貨物鉄道の高架橋跡を都市公園として再生をし一大観光スポットとしておりますハイラインなど、ニューヨーク市は今、さまざまな取り組みを進めております。このように発展を続けますニューヨーク市から東京都が学ぶべきものは数多くあるというふうに考えております。
 また、ニューヨークとあわせまして、ぜひとも首都でありますワシントンDCとも、両都市の交流と都内における米国諸課題解決に向けて友好交流を進めていただきたいと考えております。
 そこで、世界の都市総合力ランキング上位のパリ市、ロンドン市とは交流が推進されつつある中ではありますが、最も古い姉妹都市でございますニューヨーク市との交流、そして、米国の首都であるワシントンDCとの首都同士の都市外交を進めていくべきと考えておりますが、都の見解についてお伺いさせていただきます。

○横山外務部長 ニューヨーク市とは、昭和三十五年に姉妹都市提携以来、環境や教育文化面での交流など、さまざまな交流を行ってきております。ニューヨーク市は、歴史ある都市でありながら、委員ご指摘のように、さまざまな再開発プロジェクトを進めるなど、今も発展を続ける魅力あふれる都市でございます。こうしたニューヨーク市の持つ強みを東京も吸収していくことが重要と認識しております。
 また、ワシントンDCにつきましては、大国の首都であるという一方、東京とは都市としての規模や機能の違いもございまして、今後どのような関係を築いていけるか、慎重に検討してまいりたいと存じます。

○小山委員 この件につきましては、先ほど申し上げましたように、これまでも各委員会の中で申し上げてまいりました。ぜひそれぞれ両都市との都市外交を進めていただきまして、都内における諸課題の解決や、あるいは都民に見える形での都民益としての還元を図っていただくように求めておきたいと思います。
 次に、今回新たに予算案に計上されましたライトアップ事業についてお伺いをさせていただきます。
 私は、都市全体をアート空間とするライトアップやデジタルアートの例として、昨年の予算特別委員会締めくくり総括質疑におきまして、チームラボのお話をさせていただきました。改めてチームラボを紹介いたしますと、昨年のNHKの大河ドラマ「花燃ゆ」のオープニング映像ですとか、あるいは東京スカイツリーの壁面の「墨田川デジタル絵巻」、さらには、ルーブル宮のフランス国立装飾美術館での日仏交流百五十周年記念事業として制作をされました「花と屍」など、手がけるこういったさまざまなデジタルアートが国内外で高い評価を得ております。
 また、プロジェクションマッピングなどを活用しましたその手法は、まさにライトアップに通じるものがあると考えております。
 チームラボの、国内では、長崎のハウステンボスにおきまして、運河沿いのライトアップされた木々が人々が近づくことで色を変えながら音を奏でるというデジタルアートの手法ですとか、あるいは佐賀の武雄の御船山楽園というところで、ライトアップされました山々、御船山であるとか、あるいはその湖面に小舟とともに踊る光の魚が水面に描かれまして、このデジタルアートが大変評価、好評を博した事例がございます。
 いうまでもなく、ライトアップは、都市の魅力、あるいはそういった場所、光景、さまざまな魅力を格段に引き上げるものと考えております。
 さきに申し上げましたロンドンにおきましても、オリンピック・パラリンピックを経まして、ロンドンアイですとか、あるいはシャードですとか、こういったところがライトアップされまして、非常にロンドンの観光的魅力の一つをなしております。さらに、もう皆さんもよくご承知の、ドイツのケルンというまちでは、ケルン大聖堂を中心として、まち全体がライトアップをされております。近くでいえば、上海の外灘における旧租界地の重厚な建築物を照らしているライトアップ、あるいは天津の海河という川沿いの両岸がライトアップされておりまして、このクルーズというか観光船が大変なにぎわいで、これもいろんなところで評価をされております。
 こういったさまざまなまち、あるいはそういった場所、場所をライトアップしているというのが、海外ではもう観光客を呼ぶ大きな一つの手段としても活用されております。
 こうした海外諸都市のような効果的なライトアップのためには、箇所の選定あるいはその手法といったものが重要だと考えております。しっかり今予算の中で調査検討ということになっておりますが、ぜひ東京という都市が持つポテンシャルをライトアップによって引き出していただきたいと要望しておきたいと思います。
 そして、今回のライトアップの具体的な方向性については、先ほど木村委員の方から質疑もございましたので、簡潔に幾つかちょっと質問をさせていただきますが、この来年度の調査検討を踏まえて、今後、これからのライトアップのあり方というものを固めていくのだと思いますが、予算審議に当たって、確認の意味を含め、基本的事項を二点お伺いしておきたいと思います。
 まず、平成二十八年度予算案に、この都市の魅力を高めるライトアップ等に関する検討調査が計上されたその背景と内容についてお伺いをさせていただきます。

○加藤技術政策担当部長 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けまして、訪日外国人のさらなる増加が見込まれてございます。そのため、多くの観光客が東京を十分に楽しめるよう、まちの魅力を一層高めるなど、観光産業の振興を図っていく必要がございます。
 そこで、新たな観光資源として光に注目し、検討を行うことといたしました。まずは、既存のライトアップの国内外の取り組み事例など、今、委員がおっしゃったものも含めまして、現状を把握してまいりたいと思っております。その上で、東京の魅力を高める戦略的なライトアップの取り組みについて検討を進めてまいります。

○小山委員 この調査検討の予算計上は、私は高く評価をさせていただきたいと思っております。このライトアップによってやはり都市が魅力を高めることが、これから二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを迎える東京という都市においても極めて重要だと思っております。
 先般、都庁の隣にあります新宿住友ビルでしょうか、そこの壁面を使って、この年末年始、デジタルアートというかライトアップがされておりました。夜間でありましたけれども、親子連れであるとか、大変多くの人々が楽しんでいたということを私も目にさせていただきました。
 さらに、今のご答弁の中に戦略的というようなご答弁がございましたが、戦略的なライトアップの取り組みの検討というのは非常に私は大事だと思っているのですが、戦略的という言葉から、改めて--この予算が政策企画局に予算計上されたことには、何らかの狙いというか考えがあろうかというふうに思っております。
 そこで、政策企画局に予算措置された理由についてもお伺いをさせていただきます。

○加藤技術政策担当部長 現在、さまざまな実施主体が個別に行っておりますライトアップにつきまして、その効果を十分に発揮することによりまして、まちの魅力を一層向上させる必要があると考えてございます。
 そこで、戦略的なライトアップの実施に向けまして、各局事業を横断的に取りまとめまして連携して進めていくということから、政策企画局に予算措置しているところでございます。

○小山委員 今ございましたように、やはり各局ごとにばらばらに行っていては、施策の有効性というのは減じてしまうというふうに思っております。やはり政策企画局が中心となりまして、各局にわたるような事業を束ねて、そして、今回のライトアップについても、その効果が十分に発揮されるような取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。
 特に、先ほど一例として挙げました新宿住友ビルのライトアップ、都庁でのライトアップ、これもさまざまなわけですけれども、実にまちとしての統一的なライトアップというのが、ほかの海外諸都市では図られております。これをどのように行っていくかということが、私はこれからの東京のライトアップにとって大変重要だというふうに思っておりますし、さらに、先ほど冒頭で申し上げましたように、東京、日本ならではの技術、デジタルアートで申し上げましたけれども、そういった方法、手法でのライトアップということも、東京ならではのライトアップとして考えられるのではないかというふうに思っております。ぜひそれらのことも含めて、今後の調査検討の中でご検討をいただきたいと思います。
 そして、何よりも、政策企画局に予算措置されたということでございますので、各局との連携を十分に図っていただくというこの方向性自体は評価をしておりますので、都市整備局や建設局、港湾局、産業労働局など、各局にまたがる事業になってくると思いますので、ぜひ政策企画局がリーダーシップを発揮していただく中で本事業を成功させていただきたい、このように思っております。
 そして、この都市のライトアップにより、東京ならではの魅力を十分に引き出していただきまして、国内外から多くの方が東京を訪れるような取り組みとして進めていただくよう求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○石川委員 東京のグランドデザイン検討委員会についてお伺いいたします。
 中長期の将来を見通しながら行政計画を策定する作業は、いうはやすし行うはかたしの部類に属するなかなか難しい作業だろうと思っております。行政計画でありますので、制度が大きく変わってしまえば実現不可能ということになるわけでありますし、また、全てが固定的なものを前提とするということは変化に対応できないわけであります。そういう意味でも、難しい課題に挑んでいるわけでありまして、二〇四〇年代のグランドデザインに挑戦をしている職員の皆さんに改めて敬意を表する次第でございます。
 現在、四回目の東京のグランドデザイン検討委員会が開催され、知事は毎回、冒頭に挨拶をされて、そして、会議に最後まで参加をされて意見交換もされているわけであります。大変お忙しい身でありながら、情熱を持って取り組んでいる様子がうかがえるわけであります。
 そんなことがあって、私も第四回目の検討委員会をぜひ傍聴させてほしいということで、本庁舎の七階まで足を運んだわけでございますけれども、残念ながら断られてしまったわけでございます。この傍聴の件については、予算特別委員会の質疑で、今後引き続き検討していくということになっておりますので、今後にまつといたしまして、四回の検討委員会の資料と会議録を見ますと、知事が、私たちは間違いなく後の歴史に問われる場所に立っていると発言をしておりますように、新進気鋭の有識者を招き、非常に刺激的な議論が交わされていることが推察をされるわけであります。
 特に、今後グランドデザインを担っていく、あるいは影響を受ける若い世代の人たちにとって、非常に有意義な内容が含まれているわけでありますけれども、価値のある内容ばかりだというふうにいってもいいのではないかなというふうに私は受けとめているわけであります。
 検討委員会における有識者との議論をもっと積極的に発信、周知をしていくべきというふうに考えますが、見解をお伺いいたします。

○小室計画部長 東京のグランドデザイン検討委員会では、大局的な見地から二〇四〇年代の東京のあるべき将来の姿を描くため、幅広い分野の有識者や専門家を招いて議論を展開しており、先進的なアイデアをいただいております。
 委員会での有意義な情報は、若者を初め広く世の中に共有することで、さらなる議論の展開にもつながることから、報道機関やホームページを通じて発信しております。
 今後とも積極的な情報発信に努めてまいります。

○石川委員 四回目などをちょっと紹介させていただきますと、ビジネス創発都市Tokyoということで、貨幣が静から動にこれから動いていくんだ、転換をしていく、デジタル通貨や仮想通貨の時代がやってくる。あるいはまた、物の所有からシェアリングの時代、価値の移転というような考え方に発想が転換をされていく時代に入っていく。さらにはまた、具体的な話ですけれども、車なども、自動運転のタクシーの時代で、ロボタクシーの登場がもう三十年ということになると想定される、さらには観光タクシー化が東京でも進んでいくことになるだろう。あるいはまた、空き家の対策などとしても、空き別荘をこれからはシェアリングをしたり、地域では地域住民のさまざまな事業の拠点になったり、あるいは法人等々が活用したり、さまざまな活用の方法が考えられるのではないか等々、これは毎回ごと、本当に刺激的な内容が含まれているわけでありまして、次代の時代を担う若い人たちが大いに触発をされるのではないかなというふうに思っているわけであります。
 創業支援のための資金や経営の支援も大変重要なわけでありますけれども、検討委員会の議論などは、創業を考えている若い人などにとっては極めて有意義なものではないかと思っております。インキュベーションの一環として位置づけられるのではないかと思っております。
 ホームページの発信に限定せずに、議論を尽くすためには、まだ二年ほどの時間もあるわけでございますので、検討委員会の内容を情報発信する工夫をしていただくことをお願いしておきたいと思います。
 東京のグランドデザインを考えるときに、統治機構を今後どうしていくのかという改革に取り組む必要性を感じざるを得ないわけであります。いわゆる道州制の問題というような大がかりな制度論だけではなくて、人口減少、超高齢化、世帯の単身化等によるコミュニティ維持の困難さなど、将来を展望するときに、自治体のあり方も大いに変化をしていくことが想定されると思っております。
 昨年秋に、私は総務委員会で、市町村合併の必要性も発生することにも触れさせていただきました。また、予算特別委員会でも、区市町村合併に前向きに取り組むべきだというような質疑もあったわけでございます。
 特に人口が、都心部から離れた地域では人口減少社会に突入をしており、西多摩地域は顕著といえるわけであります。いわゆる行政サービスの維持をしていく単位を考えても、多摩地域が最も早くこの人口減少にさらされることになり、諸課題に直面することになり、もう町村部が始まっているわけでありますけれども、二〇四〇年代をにらんで多摩の課題を議論する機会が必要というふうに考えるわけであります。
 今後の東京のグランドデザインにおいて、多摩を対象として、多摩・島しょのグランドデザインを検討していく必要があるのではないかというふうに考えるわけでございますけれども、見解をお伺いいたします。

○小室計画部長 東京のグランドデザインは、二〇四〇年代の東京のあるべき将来像を描くもので、生活の姿や都市の姿にも着目した幅広い検討を行っております。
 東京の将来を描くには、お話の多摩地域を含む各地域の課題や特性を踏まえた検討の必要があると考えております。

○石川委員 グランドデザインと東京都の長期ビジョンは、二〇四〇年代と十年後の東京に絞った計画として相補っているわけであります。一方で、多摩については、新たな多摩のビジョンと新たな多摩のビジョン行動戦略が策定をされており、十カ年計画となっているわけであります。長期ビジョンの中にも、グランドデザインとの相補性と同じように、多摩のグランドデザインと新たな多摩のビジョンが相補性をなす計画とする方がわかりやすいのではないかというふうに考えます。多摩で重点化をすべき施策も明確になるのではないかと思っております。
 本当に幅広い議論が今後も展開をされることを期待しているわけであります。その中で、多くの人が共有できる課題を明らかにし、その解決のための施策を計画化していくことになるのではないかと思っております。
 東京のグランドデザインの策定に向けて、今後どう取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○小室計画部長 昨年六月以降、これまで東京のグランドデザイン検討委員会を計四回開催し、幅広い分野の有識者、専門家を招いて自由闊達な議論を行ってまいりました。
 来年度は、データや参考資料の収集や分析をさらに進めるとともに、検討委員会の意見や提案も参考にしながら、引き続き東京のグランドデザインの策定作業に取り組み、平成二十九年度ごろの公表を予定しております。

○石川委員 二十九年度ごろという、ごろが入っているわけでありまして、時間的に多少余裕を持たせているのかなということで、このことも非常に大事なことだと思っております。
 知事が語っておりました、後の時代に問われたときに、賢明な計画のもとに都は事業を推進してきたんだと評価をいただけるような、長期的で、しかも世界一の都市といえるような高い目標を持ってグランドデザイン策定に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○おときた委員 私からはまず、予算案で、海外出張費としては次年度約三億三千五百万円が計上されております都市外交に関連する項目についてお伺いをいたします。
 先般、舛添知事のパリ、ロンドン海外出張費用が約五千万円にも上ることが大きく報道され、都民からの反響も非常に大きなものがありました。やはり海外視察などの目立つ行動に関しては注目が集まるものですから、こうした費用に関しては透明性を高く保つ必要性があります。
 そこでまず、さきのパリ、ロンドン出張にかかった費用の内訳を伺います。特に、航空券や宿泊費などの一般的な旅費以外に、どのような部分にコストがかかったのかを具体的にお示しください。

○横山外務部長 パリ、ロンドン出張における費用には、航空券と宿泊費以外に、都政PRのための講演会の会場費用、通訳費用、移動のための車両の費用、その他現地での活動に必要な備品等の費用など、多岐にわたる費用が含まれております。

○おときた委員 今、具体的な項目を幾つか挙げていただいたわけですけれども、それらの合計を足し上げて五千万円に達するということが、どうも想像がつきがたいように感じます。
 こちらの全ての費用の内訳、そして具体的な金額をお示しいただけますでしょうか。

○横山外務部長 知事の海外出張費用につきましては、ホームページにおいて総額を公開してございます。
 より詳細な情報につきましては、公文書開示請求をお願いしたいと考えます。

○おときた委員 ちょっと今、信じがたいご答弁をいただいたのですけれども、公文書開示請求をしてほしいと。議会や委員会の場での議員からの質問に対して、情報があるのに出さない。まして公文書開示請求を執行機関側が依頼するということは前代未聞で、少なくとも私は聞いたことがありません。
 詳細な金額がこの場で説明できない理由は何でしょうか。

○横山外務部長 知事の海外出張につきましては、ホームページ等で、出張時の主な行動、成果を、出張人数、総経費も含めて、都民への情報提供の観点から公開をしてございます。
 今ご質問いただきました個々の経費の詳細に関するものということでございますが、そうした情報につきましては、正確、適正を期すという観点から、公文書開示制度によりまして適切に開示の対応をしてまいりたいと考えます。

○おときた委員 何か大きな勘違いをされているようですけれども、公文書開示請求は、都民、市民が情報公開を求めるためにつくられた制度であって、行政側が正確、適正な説明を行うために用いる制度ではございません。公文書開示請求制度によって詳細な説明をするという今のご答弁には、大きな問題があると考えます。
 加えて、正確、適正を期すためとのことですが、この場では正確で適正な答弁はできないということなのでしょうか。委員会での答弁の正確さは公文書請求を下回ることをみずからお認めになるということですから、これは行政答弁の信頼性を根底から覆す問題発言です。
 そして、都議会は都民の代表者たる議員が質問を行う場であり、その質問をこのような形でかわすことは議会軽視であるとともに、この場で金額を説明できないありさまは、みずからこの出張経費の使用用途にやましいことがあったと証明するようなものではないでしょうか。
 今回のご答弁と対応には大きな違和感があり、強く抗議の意を表明するものです。
 総額だけしかお示しいただけませんので、その部分についての質問を続けますと、この総額の五千万円という金額は、比較をしてみれば、舛添知事のこの海外出張費用、歴代知事と比べても、そこまで大きく突出したものではありません。石原都知事時代も猪瀬知事時代も、欧州への視察では大体似たような規模感の出張を行っているのは事実です。
 一方で、今回の二十名という人数は過去最大の規模となっています。そこで、この二十名のメンバーの所属部署、役職などの内訳を教えてください。

○横山外務部長 出張メンバーは、知事、特別秘書、外務長のほか、政策企画局職員、生活文化局職員、環境局職員、オリンピック・パラリンピック準備局職員の合計二十名でございます。
 知事、特別秘書、外務長以外の十七名につきましては、管理職が十二名、一般職員は五名でございます。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、また私も事前にお調べをして、出張に行かれた方々のリストなども拝見したのですが、そちらを見ると、同一の部署から複数名が随行していたり、役職も近しい方が散見をされます。
 それぞれに役割があるものとは推察されますが、その具体的な役割や、人数が多くならざるを得ない理由について教えてください。

○横山外務部長 出張メンバーにつきましては、知事を政策面や都市外交において補佐する職員、訪問都市との連絡調整を行う職員、同行プレス対応、報道を担当する職員、訪問都市との政策合意分野を所管する各局職員などで構成されております。
 今回の知事出張では、パリでは、市長と面会し、幅広い分野で政策合意を行うとともに、フランス首相、外務大臣その他の要人とも面会をし、さらには講演会、行政視察等を行いました。また、ロンドンでは、ラグビーワールドカップの視察を行うとともに、スポーツ関係者との面会、講演会を行うなど、活動は多岐にわたりました。
 こうした活動に必要となる体制を組んだものでございます。

○おときた委員 パリとロンドンという主要都市の二つをめぐり、それぞれに特徴的な活動を行ったということで、担当する分野が多岐にわたったことで、対応する人数もふえたということかと思います。出張中の東京への情報共有などもありますし、スタッフ数を万全に充実させて行きたいという判断には一定の理解はできるところです。
 しかしながら、反面、都民負担で行うこうした活動については、幅広い理解が得られるよう、最大限の努力を行うべきではないでしょうか。
 海外出張中の報告業務のスリム化を行い、できる限り、職責が近い人材はまとめて業務を請け負うなど、随行人数の削減などで経費節減に努めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○横山外務部長 都政運営の経費削減の必要性は十分認識しておりまして、海外出張につきましてもコスト意識を持って取り組んでおります。先ほどご指摘がございましたけれども、決して無駄な経費はございませんし、やましいところもございません。
 海外出張中の知事の活動をリアルタイムで都庁と共有するというため、そういった業務もかなりございます。出張のこうしたことは、出張の効果を高めるとともに、スムーズな都政運営を行う上で不可欠のものと考えております。
 引き続き、経費の削減意識を強く持ちながら効果的に都市外交を推進し、成果をしっかりと都民に還元してまいります。

○おときた委員 行政の業務というのは、よくも悪くも縦割りでございますから、行く場所や役割がふえると人数がふえざるを得ない弊害というものが若干あるのではないかなということを推察しているところです。
 経費削減の必要性は十分に認識されているということですから、ぜひ、以前の海外出張に比べると劇的な改善が見られるなと、そのように思える成果を次回の出張から早速お示しいただけることを期待いたします。
 都民に成果を還元するというのはもちろんのこと、費用の用途を明らかにするのは最低限必要なことです。繰り返しになりますが、それすらも今回の質疑で明らかにならなかったことには、都民に対して大きな不信を植えつけかねないものと、失望を禁じ得ません。やましいことはありませんと最後にご答弁しておりましたが、でしたら、適正な答弁ができない、そういう能力がないということでしょうか。それはそれでまた大きな問題なんじゃないのでしょうか。
 開かれた都政というのは、果たしてどこまで本気で行うものなのかどうか、都市外交に熱心な舛添知事のこちらの方の一挙手一投足にも、厳しく私は注目をしてまいりたいと思います。
 次に、東京都のグランドデザインについて伺います。
 知事の肝いりで策定が進んでいるこちらの計画ですが、まず、今回の予算案で計上されている金額と、その使用用途の詳細についてお伺いをいたします。

○小室計画部長 東京のグランドデザインの策定に当たりまして、来年度の予算案では、委託料等として約五千五百万円を計上しております。
 グランドデザインは、二〇四〇年代の東京のあるべき将来像を描くものであることから、策定に当たりましては、ハード、ソフトの別なく幅広い分野にわたる検討や、外部の有識者、専門家の知見を活用する必要があります。また、検討の成果につきましては、ビジュアル化も重視いたしまして、都民にわかりやすく示す必要があります。
 こうしたことから、データや参考資料の収集、分析、将来像の検討のサポート、さまざまな分野における将来の姿のイメージ図作成等の委託を予定しております。

○おときた委員 こちらの五千五百万円という数字は、大体、東京都長期ビジョンを策定されたときのコストを参考に算出されたものかと思いますけれども、決して少なくはない金額です。それにもかかわらず、残念ながら、この計画の予算を審議するに当たって、この計画を説明する企画書すら存在せずに、知事の所信表明演説や記者会見などでその概要がかいま見えるだけで、率直に、その説明が不十分であるように感じております。
 そこで、改めてこちらの計画策定の意義や背景についてお伺いをいたします。

○小室計画部長 一昨年末に策定いたしました長期ビジョンでは、おおむね十年後の東京の姿を示し、現在、東京二〇二〇大会の成功や、その後の東京の発展に向けた政策を着実に展開しております。
 東京二〇二〇大会の開催を控えた今は、世代を超えて東京を大きく飛躍させるための基礎を固めるときでありまして、将来に向けて進化する東京の方向性を明確に位置づける必要があります。
 こうした考え方のもと、後の時代に活動する人々の目標や活力につながり、都民に夢や希望を与える二〇四〇年代の東京のあるべき将来像をグランドデザインとして描くことといたしました。

○おときた委員 詳細なご答弁をいただきまして、こちらのグランドデザインについては、既に検討委員会が四回開かれておりまして、進行が進んでおります。この検討委員会が傍聴が不可であるという問題点については、石川委員の方が予算委員会で既に指摘をされたところですけれども、こちらについては私も傍聴可能にすべきであると思います。対応ができればと要望しておきます。
 そして、こちらの経過資料の方を拝見すると、まちづくりから医療福祉、ビジネスに芸術文化と、幅広い有識者を招聘して意見聴取を行っています。こうした多彩な、ややもすると多彩過ぎる意見というのを今後どのように収束していくのか。
 重複する部分もありますが、この具体的なスケジュールなど、今後の展開について教えてください。

○小室計画部長 東京のグランドデザインの検討に当たりましては、昨年六月以降、検討委員会を計四回開催しております。
 検討委員会では、知事も毎回全ての時間出席し、幅広い分野の有識者、専門家を招いて自由闊達な議論を行い、多くの貴重な提言をいただいております。
 来年度は、こうした検討委員会での有識者、専門家の意見や提案も参考にしながら、将来像の検討に必要なデータや参考資料の収集、分析をさらに行い、平成二十九年度ごろに公表の予定でございます。

○おときた委員 平成二十九年度ごろ、つまり二年以内をめどにまとめていくということなんですけれども、率直に、二十年以上先の未来を予測するということは極めて困難なことではないかとも思います。二十年前の人々が、インターネットやスマートフォンがここまでライフスタイルを変化させる社会インフラになると予測ができなかったように、二〇四〇年代の生き方や暮らし方、科学技術の発展を予測することは容易ではありません。
 こうした計画を夢物語な計画で終わらせないためには、調査事項は、人口動態など、ある程度正確に予測ができるものに絞り込み、そこから検証できる社会保障制度の設計などの分野に限定して、効率的、低コストで行うべきとの考えもございますが、こちらについての見解をお伺いいたします。

○小室計画部長 二〇四〇年代の東京のあるべき将来像を描くためには、社会保障だけでなく、まちづくり、ビジネス、芸術文化、働き方など幅広い分野での検討を行い、都民が豊かでゆとりある生活を送っている姿を示していくことが重要でございます。
 検討委員会では、有識者、専門家から、人工知能の進歩や自動運転技術など、近い将来実現可能とされる先進的なアイデア、多くの知見をいただいております。これらのアイデアや知見も参考にしながら、人々の生活にかかわる幅広い分野にわたりまして東京のグランドデザインの検討を進めてまいります。

○おときた委員 検討委員会で多くの知見をいただいているとのことで、私もこちらの資料にはほとんど全て目を通させていただきましたが、本当に、あらゆる分野について、さまざまな角度からすばらしいご提案が出ています。
 ただ、これらのアイデアがどのような形で行政計画に収束していくのかということについては、正直申し上げて、現時点で私には想像もつかないというのが率直なところです。一見すると、まとまりに欠ける提案をまとめていくというのが腕の見せどころである反面、最終的なアウトプットが突拍子もない夢物語になることは避けなければなりません。
 このグランドデザイン策定には、非常に多くの困難があると感じております。くれぐれも、こうした都民負担をお願いして行う計画策定が無益なものにならない結果が示せるように要望し、また、今後もそのプロセスには注視していくことを意見として申し述べまして、私の発言を終わります。

○鈴木委員 それでは、私から都市外交に関して質問させていただきますが、最初に、世界一の都市東京を目指していく、それを公約、我々自民党もしていたわけですが、そういう中で、都市外交というようなものをどう捉えていくかというのは、非常に大切なときに来ているというふうに思います。
 もしかしたら、国の専権事項で、都市外交は東京都がやる必要はないと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、もう世界はそういうところになくして、二十一世紀が都市の時代といわれているのと同様に、もう既に企業は、要するにグローバル化していまして、国境はもう既に越えて、多くの国を越えて、下手したら外務省よりもすばらしいネットワークを持っている企業がもう日本にもあるわけで、世界にはもっとあるわけで、アメリカもそうですし、ヨーロッパの国々にもそういう企業があります。
 ですから、今、都市間の競争といわれているものもありますが、そういう中で、やはり自治体が、また、東京という首都東京が、オリンピック・パラリンピックを招致した東京がどういう道を歩んでいくかというのが、実は本当は問われているところだというふうに思っています。
 ですから、おときたさんがいうものもあるのかもしれないんだけれども、やはり日本人が本当に世界と和してお互いの心をつないでいけるような、そういう--国がやる外交ではなくして、政治的な外交ではなくして、民間交流とか、それから経済交流もそうでしょう、それからまたスポーツとか文化、スポーツも文化の中に入れていいと思いますが、その文化交流というようなものをもっとお互いに、お互いのそれぞれの文化と歴史を認め合った交流というようなものをしていかないと本来の都市外交にはなっていかないというふうに思うし、また、もしかしたら、都市外交が進むべき道は、僕はそっちの方向だというふうに思っています。
 私も自分の経験からいうと、十八歳で大学受験に失敗して、父親からパリとロンドンに十日間ずつ行ってこさせられて、それが今から、私も六十五ですからね、もうだから、十八だから四十何年前、パリに十日間、ルーブル美術館を五日間で全部見たり、そういうふうにしてきたことが世界へ行く旅の始まりだったわけですが、やっぱり物事、そういう経験を通して非常に多くのものが見えてきたり、それから、日本という国がこれからどういうふうにしていくのか、または日本という国が見えてくるんだと思うんですね。
 ですから、いろんなことをいわれているんだけど、知事も海外に行く場合に、知事一人で行くんじゃなくて、職員の人を連れていくのもいいし、議会と一緒に行ってもいいし、それから民間人を連れてトップセールスをやってもいいわけですよ。
 茨城県知事とこの間話して、茨城県知事は、民間団体の百人を連れて、実はベトナムに行きました。ベトナムの方で、三百人ぐらいの政府高官とハノイのホテルで交流会をやって、現実にそのホテルで、常陸牛を持っていって、それで常陸牛の契約が五つのホテルとできたというふうに聞いています。
 ですから、石原慎太郎知事と予算委員会でトップセールスをやるということをやって、もう五年前ですかね、四年前ですか、私が質問したときにトップセールスをやろうじゃないかといって進んでいないんだけれども、もっともっと東京ができるトップセールスまたは都市間交流というのがあるような気がするんですね。
 アジア大都市ネットワークというのは、石原慎太郎さんが、世界の中でそれだけの姉妹都市を持ちながら、アジアに目を向けるという先見性を持って僕は始めたものだというふうに思います。今とまっているわけでありますが、継続は力なりで、実はアジアの諸国は待っているんですね。
 私も、オリンピック招致で、結構アジアの国をずっと回ってきましたけれども、そういう意味では、実はそれぞれの国が、東京が今何を、また日本が何をこれからしてくれるのかというのを各国、各都市は待っていますよ。それを知るべきだし、やっぱりオリンピック招致に対して応援をしてくれた各国に対して感謝の気持ちを持ってお互いの心をつないでいくようなそういう心を持たないと、平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックをやるという趣旨にはかなっていないと私は思います。
 ですから、そういう意味で、やはりもう一度この都市外交というようなものを、政策企画局が中心になってやるんだけれども、局をまたがって全方位でやっていくような考え方を私は持ってほしいと思うんです。
 外務省は外務省の見地があるでしょう。外務省もやはりそれぞれの、各国に全部大使館を、二百国以上持っているわけだから、そことの関係を持ってやっていることはわかるんだけれども、だけど今いったように、逆に日本の企業だって、外務省以上に世界中にネットを張ってやっている企業があるわけよ、もう現実に。
 やっぱり外務省の大使館の人たちだって、そこと連携して、その国の調査、実情を調べ、そして日本に報告をして、世界、外交の中で日本がどういう政策を打つかというのは国がやっているわけですよ。それはそれで国が大いにやればいいし、ただ、日本だけじゃないわけでしょう。ほかの国も全部やっているんですよ、それを。
 そういう国家間の、要するに情報がある中で、正しい情報をどこをつかんでやっていくかというのは、実は民間外交の方がすばらしいところがあるんですよ。例えば、文化の関係で中国とつき合っている人がいる、台湾とつき合っている人がいる、そういう人の方が人としての交流があって、そういう中に本当のお互いの交流があるんですよ。そのことをやっぱり我々は知るべきだし、そういうことを実際に都市外交というか、東京がやるのであれば、日本中のそういう都市がいろいろなところと姉妹都市をやっているし、交流している人がいるんだから、東京がそういうことをみずからその先頭に立ってやっていくような気概を持ってやっていくとか、そういうことがやはり必要だというふうに思うんですね。オリンピック・パラリンピックがオールジャパンといっている意味は、僕はそこにあると思っているわけですよ。
 そのことを最初にいわせてもらって、あと木村さんがいった国家戦略特区に関しては、まさにもう、今いったことの代名詞であるわけですよ。
 ただ、企業間というのは非常に難しいですね。自分の父が、要するに世界中のつき合っている国と五十年やって、私も今、その後、社長をやっているんだけど、非常に難しいですよ。
 例えば三十五年ぐらい前かな、パリである程度、企業同士の交流を、要するに契約をするときに、あのころは--こんな話はいいのかな、まあいいか。一例だからね。要するに、フランス人とドイツ人の人は同じテーブルには着きません、契約するときに。だから、うちの父親が、こっちにはドイツの部屋をとって、こっちにフランスの部屋をとって、両方に行って契約書をお互いに書いて、そこでサインをして契約。顔も合わせないで帰ります。それが昔のドイツとフランスですよ。
 でも、EUになって一つになったでしょう。それは、西武と東急が結ばれたよりすごいよね、現実には。そういうものを乗り越えて、やっぱりEUはつくられていっているんですね。
 じゃ、アジアの中で本当にそういう今いった--アジアが発起体になってTPPもやっているんだけど、そういう中で日本が果たしていく役割があるでしょう。だけど、オリンピックを招致した東京というのは、東京の責任のもとにやるべきことがあるんですよ。
 知事は今回の予算の中でも、私が全責任を持ちますと答えているけど、そのとおりです。知事が全責任でやるんだよ。そのかわり、我々議会も、二元代表制なんだから一緒に責任を全うしようということですよ。
 やっぱりそういう気概を持ってやっていくのが僕は都市外交だと思うし、さっきも、最初に戻りますが、人と人のつながりを基本に置いた、要するに今いった外交戦略、お互いにそういうことをしている人たち、また、我々も若い人たちも、そういう心をつなげるような人を世界につくれるような、そういうような流れをぜひつくっていっていただければということを最初にいっておきたいというふうに思います。
 そういう中で、実は、外交戦略があって、この中にも幾つか書いてあって、すばらしいことがずっと書いてあるわけですね。ぜひこの外交戦略の中で進めていっていただくことをお願いしたいし、その中に、今いったように、多くの人たちがそれぞれの国とつながっていて、例えばASEANなんかだと、この間のラオスの大使なんかもそうですが、要するにラオス展みたいなのをやって、二万人か三万人容易に集まるわけですよ。それで、そういうところで交流している人たちがいるわけでしょう。それぞれ全部あるわけね。
 大使館同士はファミリーデーというのをやっていて、私たちも行きましたけど、そういう中で、大使、公使がみんな集まって交流をしているわけですよ。外務省は、招待しているけど来ないよね。この間、僕らは行って、都会議員、何人か一緒にいましたけどね。やっぱりそういうところで、一日いて、そういう大使とか大使の奥さんとか公使の人たちと話をしていくと、いろんなものが見えてくるわけでしょう。
 だから、私は、去年もそれを経験して、在留大使館との連携強化という部分でこれから質問させてもらいたいというふうに思っています。
 それでは文章を読みますけど、本年、リオデジャネイロでのオリンピック・パラリンピックが開催される。これが終われば、いよいよ東京開催、二〇二〇年の大会であります。私が今主張したように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会を成功させるためには、アジアの国々との連携が必要であるというふうに思います。これは、先ほどからいっているように、姉妹都市からヨーロッパも必要なんでしょう。ただ私は、今いったように、まずアジアの国をしていくことが、恐らくこれからの東京にとっての姿勢の中で一番重きを置いたらいいと私は考えているので、ひとつ検討していただければと思います。
 特にアジアの国からの信頼と尊敬をかち得るということが私は必要だと思います。台湾の南部地震で、都議会は、台北駐日経済文化代表処を訪問して、被害を受けた台湾の方々に見舞金を贈呈しました。都もいち早く、知事に台南市長宛てのお見舞いメッセージを発信してもらいました。見舞金を贈呈したことは、アジア諸国との信頼関係構築の観点からも、私は評価ができるというふうに思います。
 (資料を示す)これ、台湾から来ている、観光の日本語版の冊子なんですよ。台北の観光局が出していて、毎月送ってくるわけ。中に日本語で書いてあって、柯文哲が入っていて、私も去年ちょっと会って三十分ぐらいしゃべってきましたが、ことしも柯文哲さんは来て都庁を訪問していますけど、そういうつながりというのをどのくらい持てるかということだと思いますよ。
 台湾の場合は、もうご存じのように、四年前でしたっけ--石原慎太郎知事のときに「十年後の東京」をつくった。その後、一年たって、向こうの、要するに東京都と同じ総務局長に当たる人が来て、総務局と勉強会をやって十年後の台北というのをつくったんですよ。それを送ってきて、こんな厚い冊子ね。石原慎太郎がそれにサインくれて、サインしてもらって、また送り返した。
 今、台北とはそういう関係で、交通局、水道局から全ての関係で、向こうは、東京を目指して台北をつくり変えていっているという現実があるわけですね。ただ、IT関係は、下手したら東京より進んでいる部分があるかもしれないですね。
 そういう都市間交流がやっぱりあるわけだから、大いに職員の交流または人材交流というのはやったらいいと思いますね。
 私はもう何回行っているかわからないけど、三十五年ぐらい前から台湾に行っていますけど、今の代表処の方もそうですね。今は沈さんが代表、その前は馮寄台、その前は誰だ、忘れたな、ごめんなさい。そういう人たちとずっとつき合ってきているわけですね。ですから、そういう長いつき合いをしていくということを本気でしていかないと交流にはならないということも、あえてつけ加えさせていただきたいというふうに思います。
 知事は都市外交を積極的に推進しています。海外諸都市との関係強化のために都市外交を行うことも、私は今いったように必要であると思います。国内においてもこれから、海外ばかりの都市外交ではなくして、今いったように、国内でできる都市外交の政策をきちっと進めていく必要があるというふうに思います。大使館も百五十以上あります。積極的な大使館との交流を図っていくことは、僕は非常に大事だと思います。
 まず、在京大使館との連携強化の観点から、現在どのような交流、連携を行っているのかを伺います。

○梅田国際事業担当部長 毎年、在京大使館等を招待します情報連絡会を、都の施策を紹介するとともに、外交団と都幹部との顔の見える関係構築の場として開催しております。
 このほかに、都主催事業やイベント等におきましても在京大使館などをご招待いたしまして、例えば産業労働局主催の東京味わいフェスタ、あるいは生活文化局主催の東京都平和の日記念式典におきましても、多くの方々にご参加いただきました。また、今年度には、新たに、在京大使館等の防災責任者を対象といたしました防災連絡会を開催しましたところ、四十一館から五十名の参加がありまして、有意義な情報が得られたと好評を得たところでございます。

○鈴木委員 今、在京大使館との関係強化を図っていることがよくわかります。
 我が党が防災を通した大使館との関係強化を主張し、それに基づいてスタートした防災連絡会が在京大使館から大変好評を得ているというのは聞いています。
 マレーシア大使館かな--この間の平和式典に来ていましたよ、ダンさん。大使。一緒に食事もしているし、よく知っている人ですが、来ていて、おおなんていって会いましたけどね。
 だから、そういうことをどんどんやってもらうということは、非常に大使館側が東京に対しての感謝をしていますし、そういうのを大事にしてもらいたいというふうに思います。
 また、答弁の中にありました、外交団と都幹部との顔の見える関係構築の場として情報連絡会を開催していると今お答えがありましたが、具体的にどのような内容なのかをお願いいたします。

○梅田国際事業担当部長 本年度は、一月の中旬に、Ambassadors&TOKYOというタイトルのもとで情報連絡会を開催しました。九十二公館から大使級六十八名の方を含む百五十五名の方にご参加していただきました。これは、昨年度より五十名以上多くご参加いただいたものでございます。
 会場では、江戸手描きちょうちんや江戸木版画の実演及び体験コーナーを設けまして、東京の伝統工芸を実際に楽しんでいただきました。また、環状七号線地下調節池を初めとします都の先進的な技術や、東京ブランドのロゴキャッチコピーであります&TOKYOなどについても広くご紹介いたしました。本年は特に、来年度から都内の学校で行いますオリンピック・パラリンピック教育についてご説明しまして、大使館との連携について協力を求めたところでございます。
 在京大使館等から多くの参加を得られ、外交団と知事あるいは都幹部との交流も進んだというふうに考えております。

○鈴木委員 もったいないよね。というのは、これだけやっていて、もっとPRをして発信したら。全国に。都だけじゃなくして。やっぱり東京が日本の都市外交をリードしていくぐらいな気概を持って、こういうことをやっていることを、もう映像にしてでもどんどん日本から発信して、まず日本中に発信したり、それから世界にも発信したらいいんじゃないですか。やっぱりそういうことをやっていくということが知恵だというふうに私は思うんですね。
 だから、これだけいい事業をやっていて、もったいないですね。大使館側もすごく感謝しています。
 というのは、大使館は、オリンピック・パラリンピックが来る前というのは、外務長の水越さんも非常にご存じだと思いますが、向こうから来た人の相手をしていればいいというのが、大体、日本にある大使館だったんですよ。だから、ミャンマー大使なんかもそうだし、後でちょっといいますけど、要するに、ミャンマーから来た人、それから何かあった人、ミャンマーに関係している人の対応だけしていればいいということだったんですけど、今はASEANの大使は全員違いますよ。日本との交流を通して日本から何かを得て、自分の国に帰って、そして自分の国を発展させたいと。日本に追いついていくような、そういう国家、都市にしていきたいというのが目標で、今の大使はみんな来ていますよ。
 だから、ぜひ話してください。日本の大使は、向こうに行って、日本のことばっかりやっているのが多いんだけど、今のアジアの来ているASEANの大使の人はそういう人が多いです。
 特に、今回ミャンマーから来た大使は、この間も会ってきましたけど、文人です。今まで軍人だったんですね。文人の方で、ミャンマーの大学の総長経験者です。それで、この予算委員会が終わったら東京都に来て、東京都というか、日本の教育のシステムを学びたいと。東京都で勉強をさせてもらって、それをミャンマーに持っていって、ミャンマーの教育の機関の中に入れて、それをミャンマーでつくっていきたいというようなことまでいって、勉強に来るといっていますよ。総務局、教育庁と一緒に、ミャンマー大使が来たら対応してもらいたいと思いますが、実際には今、大使の人たちはそこまでもう来ています。そういうことを--やっぱりアジアの諸国の大使とかアジアの国々の人が求めているものは変わってきています。
 昔、マレーシアで、マハティール、昔の首相ですが、一万五千人、東方政策で国費で日本に留学させたわけでしょう。その中からもう大臣が出ているんですよ。僕らもマレーシアに行って会いましたけどね。もう日本語べらべらですよ。そういうことをやって、マレーシアも来て、もっとそれを進めていこうということで、現実に、日本との全て、若い人の交流から技術交流、全部したいと。
 それで、首都大学東京も同じですよ。どんどん来てくれと。むしろ大学移転で持ってきてくれぐらいなことをいっているわけですよ、向こうはもう。アジアも、タイもそうだし、ミャンマーもそう。それから、今いった、ベトナムもそうだし、ラオスもそうだし、それからインドネシアもそうですよ。
 僕、全部、大使と会って話していますけど、みんなそういうものを求めて、またそういうことを、今回の東京オリンピック・パラリンピックが来たことによって求めています。それをしっかり捉えてやっていくということが必要だし、そういうことをぜひわかってもらいたいと思います。
 それからもう一つは、各国大使が日本の文化との交流というのをすごい求めているんです、スポーツも含めて。茶道、華道とか、それから着物を着たいとか、ご婦人の方々は。そういうようなものとか、日本の伝統文化だけじゃなくして、ネイルとか、そういうようなものも非常に興味を持たれていますよ。ですから、日本のある古きよき伝統文化もそうだし、日本が今つくりつつある新しいそういう伝統文化も含めて、それをともに、自分の国との、文化との交流を本当にしたいという気持ちを持って来られていますから、ぜひそういうことも理解して大使館の人たちとつき合ってもらえると大変ありがたいと思いますね。
 ですから、今いったことを踏まえて、個々の大使館のニーズに合わせた対応も必要だというふうに考えています。よろしいでしょうか、今後の対応についてどのように行っていくのか伺います。

○梅田国際事業担当部長 鈴木理事がおっしゃいましたように、各国の事情や要望を十分踏まえた上で、個々の大使館との交流、連携を深めていくことが重要であるというふうに考えております。
 例えば、昨年七月に開催いたしました防災連絡会をきっかけとしまして、ASEAN諸国から改めて開催のご要望がございまして、昨年十一月には、マレーシア大使館を会場に、防災に関する説明会を開催したところでございます。
 また、都が有する先進的な技術やノウハウを日英二カ国語の併記によりまとめました「Tokyo Tech Book」を各大使館にも送付いたしました。大使等との面会の際には、知事も積極的にこれをPRしまして、各国の事情や要望を聞くなど、それぞれのニーズに合わせた連携や協力を進めるために活用しているところでございます。
 今後とも、各国皆様のご要望等にきめ細かく応えまして、大使館等との実務的な連携を深めていきたいと考えております。

○鈴木委員 今いったようなことでございまして、先ほどもいいましたように、二〇二〇年大会を招致することによって、今までと大使館との関係、それから大使の人たちが負っている責務というのかな、国から負わされている責務というのかわかりませんが、それが非常に変わってきているというふうに思います。それは、今いったように、東京と協力関係をより、または日本との協力関係をより密にして、アジアそのものの平和に貢献するというのは当然あるわけですが、それ以上に、それぞれの国々が自分の国を発展させたいという気概、そういうものに非常に満ちあふれているということですね。
 ミャンマーはもう立国の精神に立っているわけですから、JICAの田中という元所長がいますが、ミャンマーの立国に自分が携わらせてもらって誇りに思うということをいっていました。そういうすばらしい日本人がいます。
 例えば青年海外協力隊もそうですね。マニラに行って、天皇陛下、皇后陛下がお会いになっていただきました。彼らも実は、アジアを回っているときに、いろんなところでいろんな人を紹介してくれて、オリンピック招致の協力もしてくれました。そういう青年たちが、実は今、復興している三・一一ですね、私の女房は宮城ですが、宮城と岩手、福島に相当数行っています。自分が青年海外協力隊で海外に行ったという経験を踏まえて、そういうボランティアをもって、ただ、青年海外協力隊にいたということはいわないで、今、本当に行っている人は多いですよ。聞いたら、行っている人はすごい数ですね。
 だから、そういう人たちが本当は世界に出て--今も発展途上国で頑張っているんですが、JICAと青年海外協力隊、いろいろあるわけですが、なかなか青年海外協力隊には目は向いていない、外務省もね。例えば、青年海外協力隊と東京都がもっと連携して、そういう若者たちが活躍している場を東京から若者たちに伝えていくとか、そして、そういうすばらしい青年たちがいることを、やっぱり日本の中にも伝えなきゃいけないし、向こうで非常に理解されている人たちがいますから、今の若者たち、すばらしい面を持っていますから、そういうこともぜひ東京から発掘していただければ大変ありがたいというふうに私は思っています。
 何しろ、先ほども申しましたけど、全庁を挙げて取り組む都市外交のことに関して、好き勝手いってきましたので、それを含めて、今後の都市外交をどのように展開していくべきなのか、局長の見解を改めて伺いたいと思います。

○川澄政策企画局長理事兼務 今、いろいろと委員の方から貴重なご指摘をいただきました。
 私ども、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功及びその後の東京の発展のために、戦略的に都市外交を行っていくことが重要であるというふうに考えております。
 そのため、本日お話のあった、アジアを初め各国大使館等との連携をより深めていくとともに、あわせて、姉妹友好都市の首長を初め世界諸都市からの要人の訪問に際しましては、さらなる友好、協力関係を構築してまいりたいと考えております。
 同時に、知事の海外出張の機会を最大限に活用しまして、姉妹都市等との効果的な関係構築を進めるとともに、現地において、セールス面も含めて東京の魅力を積極的にアピールしていきたいというふうに考えております。
 さらに、海外で直接見聞した先進的な取り組み等は、速やかに関係部局と情報を共有し、都政運営に反映させていくよう努めてまいりたいと考えております。
 リオデジャネイロ大会が終われば、世界中の注目は、次の開催都市である東京に集まることになります。東京は、世界諸都市からの信頼をさらに高め、東京二〇二〇大会の成功に向けて支援と協力を得ていくためにも、各局が取り組んでいる国際的な関連施策をしっかりと支え、都市外交を推進してまいりたいと考えております。

○鈴木委員 我が党の代表質問では、知事に都民の声を聞いてほしいと。都市外交に関しても、内政と外交のバランスを十分考えてほしいということを代表質問ではいっているわけでありますが、今、局長から話があったように、東京オリンピックが終わった後、二〇二〇年先も見据えてということを我が党はいっていますが、そのときに一番、もしかしたら、手を携えて一緒にいってくれるのはアジアの諸国じゃないですか。これは中国もそうでしょう。それから韓国も台湾もインドもそうかもしれないし、バングラデシュもそうかもしれない。ASEANだけじゃなくしてね。それと、恐らく英連邦諸国のオセアニア諸国もあるでしょう。そういうところとしっかりと連携をとって日本がやっていくということが、私は非常に大切だというふうに思っています。
 ぜひ政策企画局とほかの局がある程度、意見交換を大いにしていただいて、知事にも伝えてもらって、東京が何を今後--都市外交、民間外交、または心の交流も含めた文化、スポーツの交流をしていく中で、どういうところの位置づけをしっかりさせてこれから進んでいくのかというのをしっかりとつくっていく、見据えていく。それで初めて、生活文化局がやっている文化プログラムも、オリンピアードというオリンピックへの道につながるんじゃないですか。個々にやっているのではなくしてね。
 イギリスも、エリザベス女王の六十周年というのをブレアがとりにいって、それで英連邦五十四カ国が全部集まって、イギリスのカルチュラルオリンピアード、要するに文化、いろんなものを--シェークスピアをやって、バッキンガム宮殿で世界で最高の音楽をあそこでやったわけですよ、音楽会を。それで最後にビートルズが出てきて、感動の嵐で世界を巻き込んだわけでしょう。そういうものをもってオリンピックへつなげていったという、それで若者たちに将来を託しますよというメッセージを送っていったのが、私はロンドンのオリンピックだというふうに思っています、現地にも行ってね。パラリンピックもそうですね。
 ですから、そういうことを東京でこれから具現化していくわけですから、ともにみんなの英知を集めて、またアジアの人たちの英知をいただいて、感謝の気持ちを持って、お互いにそういう心をつないでいくということをしていく外交をぜひ進めていくべきだということを私はかねてからいっていますので、ひとつご理解をいただいて、できれば検討いただくこともあわせてお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十四分休憩

   午後三時開議

○加藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出、青少年・治安対策本部所管分、第二十八号議案及び報告事項、第十次東京都交通安全計画(中間案)について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○廣瀬総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当委員会において要求がございました資料につきましてご説明申し上げたいと存じます。
 お手元の要求資料の一ページをごらんください。区市町村の子ども・若者支援地域協議会の設置状況及び子ども・若者計画の策定状況でございます。
 二ページをごらんください。渋滞対策事業ハイパースムーズ作戦ピーク時旅行時間比較区間一覧中間のまとめでございます。
 最後に三ページをごらんください。自転車事故の推移でございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○近藤委員 それでは、何点かお尋ねしていきたいと思います。
 東京都の大きな仕事のうちに、都民の生命、財産を守るというお仕事があります。これは、交通安全対策もそのうちの一つでありますし、きょう質問させていただきます渋滞対策やら自転車の安全施策ということについても、交通事故をなくすという大きな目標なんだというふうに思います。
 東京都におきましては、いろんな計画、プランを立てていただいておりますので、以前の事業質疑でも申し上げましたけれども、そのプランに対して実行をきちっとすること、そしてさらには、そのCの部分であるチェックをきちっとすること、こういったことをぜひ冒頭お願いしておきたいというふうに思います。
 それでは、渋滞対策についてでありますが、来年度予算に関連いたしまして、まず渋滞対策、一番でお尋ねをします。
 私の地元八王子におきましても、一昨年、圏央道が開通して、国交省の資料によれば、開通後の効果として、東名高速道路、そして中央道、関越道、東北道、常磐道へと乗り継ぐ場合、圏央道の利用が大変ふえてきています。そして、都心を経由する車は約九割から約三割に減少したんだというふうに報告が上がっています。
 都心の通過交通が渋滞の原因となっていることもありまして、道路ネットワークの整備は渋滞の解消に非常に大きな効果があると思っています。
 しかし、道路ネットワーク、道路を建設するという整備には大変時間と経費もかかります。先日の予算特別委員会の質問で、我が党の大場やすのぶ議員から、新たなハイパースムーズ作戦についてたださせていただいたところでありますけれども、多摩を含めた都内全域にぜひ拡大をしていただいて渋滞対策を進めていく旨のご答弁をいただいたところでありました。八王子を初めとした多摩地域でも、信号制御や交通情報板の設置など、最新のITS技術を活用した渋滞対策が実施されることに大いに期待をしているところであります。
 私も、渋滞を解消するためには、三環状道路や都市計画道路の整備などハード対策とあわせ、ハイパースムーズ作戦のような、既存の道路を活用した即効性のあるソフト対策が非常に効果的であり、どちらか一方だけではなく、どちらの対策も必要であると思っています。
 現在、二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会に向けて道路ネットワークの整備が進められておりますけれども、東京の最大の弱点といわれている渋滞を解消していくためには、ハイパースムーズ作戦のような、既存の道路空間を活用した即効性のある渋滞対策がこれまで以上に重要になってくると思います。
 そこで、来年度からの渋滞対策事業、新たなハイパースムーズ作戦についてお聞きするわけでありますが、平成二十八年度予算で、新たなこの作戦として、平成二十七年度の予算額より約六千万円を超えて増額となっております。増額となった理由は何でしょうか、お尋ねしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 来年度予算の増額理由の主なものは、交通情報板の増設でございます。平成二十七年度より二基ふやして五基設置する予定でございます。
 また、このほか、増額した予算の中には、平成二十年度から実施し今年度終了するハイパースムーズ作戦全体の対策の効果について、客観的なデータに基づいた効果検証を行う費用なども含まれているところであり、八年間の事業の取りまとめを来年度行う予定でございます。

○近藤委員 ご説明がありましたように、事業の効果検証を行うことは非常に有意義であります。渋滞対策におきましても、今後の対策を効果的に進めるためにも必要なことでありますので、効果検証の結果を新たなハイパースムーズ作戦において有効に活用していただきたいと思います。
 交通情報板の増設が予算増額の主な理由とのことでありますが、平成二十八年度において交通情報板を増設する趣旨を伺いたいと思います。

○村山治安対策担当部長 来年度設置する交通情報板は、首都高速道路中央環状品川線が平成二十七年三月に開通したことに伴い、品川線と並行している明治通り、山手通り、環七通りと品川線で交通量の分散を図り、渋滞を緩和するために、それぞれの路線に設置するものでございます。そのため、明治通りに一基、山手通りに二基、環七通りに二基設置する予定であり、交通情報板に目的地までの所要時間を表示し、ドライバーの的確なルート選択を促し、交通量を分散するものでございます。
 新たな道路の整備とあわせて、このような対策を実施することで、より一層渋滞の緩和を図ってまいります。

○近藤委員 ご説明ありがとうございました。
 きょう、委員会資料で出していただきました渋滞対策事業ハイパースムーズ作戦の一覧の中間のまとめというのがありますけれども、ここには1から30まで番号が振ってあって、三十カ所全て二十三区、都区内であります。冒頭申し上げておりますように、新たなハイパースムーズ作戦による渋滞対策は効果的にぜひ進めていただいて、都内全体の渋滞が早期に解消されることを願います。
 先ほどから申し上げておりますように、多摩地域における対策もぜひ早期に着実に実施されることを、事業のスピードアップをお願いしておきたいと思います。
 次に、自転車の安全利用についてであります。
 改定自転車安全利用推進計画についてお尋ねをしたいと思います。
 自転車は、日々の買い物や通勤通学など、子供から高齢者まで手軽に利用ができ、健康増進や環境負荷低減にもつながる便利な乗り物であります。
 近年、自転車利用のニーズは高まっているように感じておりますが、都において自転車の利用促進を図っていますが、施策を進めるに当たって、利用時の安全の確保が最も重要であります。そのためには、東京の実情に応じた安全な走行区間の整備も必要でありますが、自転車利用者自身がルール、マナーを守ることは大前提であると思っています。
 現在、自転車安全利用条例に基づく取り組みは進めてきてはおりますけれども、いまだにルール、マナー違反が後を絶たない状況であるというふうに嘆かわしいというふうに感じております。
 世界の諸都市の中でも自転車利用者が多い東京都でありますが、自転車事故を軽減させていくためには、自転車利用者にルール、マナーを遵守させる新たな対策の検討が急務だということを代表質問で我が党がただしたところであります。改定自転車安全利用推進計画の中間案にも記載がありますが、ご答弁では、新たに、違反行為等に対し、街頭で直接、啓発や指導を行う指導員制度を導入するということでありました。
 私たちの都民の責任としては、親のしつけ、教育の世界での規範意識の涵養というのは必要なんだとは思います。きょうは都の施策の話でありますから、教育の話ではなくお尋ねをしていきたいと思います。
 まず、自転車安全利用指導員制度の概要とその狙いについてお尋ねをしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 自転車安全利用指導員は、自転車の通行量が多い地域等を巡回し、一時不停止やイヤホンを使用しながらの運転などの違反行為をした自転車利用者等に対して、街頭で直接、交通ルール、マナーの啓発や指導を行うことを予定しております。啓発や指導の際に自転車安全利用リーフレット等を交付することで、自転車の交通ルール、マナーの向上につなげていくことを目的とした制度でございます。
 なお、平成二十八年度は予算額が一千万円となっており、二人一組の四人体制で試験的に導入する予定でございます。

○近藤委員 ご説明いただきました。試験導入とはいうものの、都内全域、この広い東京全域を対象にした場合、予算、人員ともに、ちょっと少ないかなというふうに思います。リーフレットなどの作成事務費、こういったものを含めて一千万円でありますから、人件費は残り九百万ちょっとですね。四人で割ったって二百万ちょっとということになりますから、そういう意味では、この実効性を高めるには、ぜひ対象地域をしっかり絞っていただいて、地元の区市町村や警察署などの支援や調整などを進めていただいてお願いをしたいというふうに思います。
 この事業については、マンパワーに頼るところが大きいと思います。こんなことをいっては何でございますが、私の八王子でも、この新宿でも、歩行喫煙の方がいなくなりました。これは、条例をつくったものの、やっぱり指導員の皆さんが声をかける。罰金というか、反則金をとらなくてもです。たばこを吸っちゃいけないんですよというと、多少は罵声を浴びせられることがあるかもしれませんけれども、そのうちこれがきちっとできて、新宿のまちも八王子のまちも歩きたばこがいなくなったんだと思います。
 そういう意味では、この歩行喫煙パトロールに当たった指導員、すなわちマンパワーの結果であることは評価をいたしますけれども、今後の具体的な展開について、自転車指導員についてお尋ねをしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 ご指摘のとおり、人員に限りもあるため、平成二十八年度は、自転車走行空間の整備や自転車シェアリングの取り組みを勘案しながら、対象地域を絞って運用してまいることを考えているところでございます。
 平成二十九年度以降につきましては、事故発生件数やルールの遵守状況の変化等を検証した上で本格導入を目指してまいります。

○近藤委員 しつこいようではありますけれども、街頭での直接的な啓発、指導は非常に有効だと思います。この制度がより効果的に機能するよう検討しながら、ぜひ取り組みを進めていってほしいと思います。
 ただ、指導員制度には規模的にも限界がありますし、また、そもそも交通ルールを余り把握していない方にきちんと教える、そうした幅広な啓発も必要なんだと思います。かくいう私も、自転車をどういうふうに乗っていいかと聞かれるとわかりません。ペダルをこいで真っすぐ進む、青信号は進む、赤はとまる。ただ、大きな交差点のときはどういうふうに曲がっていいか、もうこの年になるとわかりません。小学生や中学生は、自転車の乗り方、交通教室などをやると、ある程度理解をしているんだと思いますけど、私どもにはなかなかそれがわからないのが現実であります。恐らく、今、マナー違反だよといわれている人たちも、何がマナーなのか、何が--イヤホンをしながらとか、たばこを吸いながらとか、特別なことはこれは誰でもわかることですけれども、自転車に対する交通ルールというのはもうわからなくなってきてしまっているというふうな気もいたします。
 東京都におきましては、これまで、自転車安全利用リーフレットなどを配布するなどの取り組みに加え、自転車シミュレーターを使った参加体験型の交通安全教室等も開催してきたと聞いておりますが、特に、安全教育を受ける機会が少ない成人層に対する取り組みが重要なんだと思います。現在、事業者による従業員への教育を支援するためのセミナーも実施しているようでありますが、会社勤めをしていない方にも漏れなく啓発していくには、改定計画の中間案にもあるとおり、自転車の購入時の啓発は有効なアプローチだというふうに思います。
 自転車購入時の啓発として、自転車販売店と連携した取り組みを進めていくようでありますが、具体的な取り組みについてお尋ねをしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 自転車販売店には、これまでも、当本部で作成しているポスターの掲出のほか、自転車安全利用リーフレットを配布していただくなど、安全利用の取り組みにご協力をいただいております。
 これまでの取り組みに加え、都は、自転車購入者向けのルール、マナーのチェック様式の内容、活用方法について検討を開始するなど、自転車販売店と連携した安全利用の取り組みを一層推進してまいります。

○近藤委員 この新しい指導員の制度に加え、販売店における取り組みを進めていくことによって、交通ルール、マナーを社会全体に浸透させていってほしいと思います。そのためにも、都内の多くの販売店においてこういった取り組みが実施されるよう、進めていってほしいと思います。
 ただ、ルール、マナーを守っていたとしても、事故に遭ってしまう場合もあるんだと思います。そうした万一への備えも重要だと思います。万一への備えとしては、みずからが加害者になってしまった場合に被害者の損害を賠償するための保険に加入しておくということがあり、都においても普及啓発を図っているところだと聞いております。
 一方、みずからの身を守るという点では、ヘルメットの着用があります。自転車を利用していて事故に遭い、亡くなった方のうち、約七割の方は頭部損傷が主因だといわれております。みずからの命を守るためには、ヘルメットの着用が重要だと思います。
 しかし、子供にはヘルメットの着用が広がってきておりますが、残念ながら、かくいう私、ヘルメットを持っていません。ですから、残念ながら、大人への着用が広がらない、広がりにくいというのも肌で感じています。私が近くのスーパーへ数百メートル自転車に乗るのにヘルメットをかぶるか。難しいと思います。
 このような状況の中で、本年は、八王子の都立松が谷高校におきましては重点的な取り組みを行ったと聞いております。都はこれまでもヘルメット着用の啓発を行ってきたと思いますが、世代ごとにアプローチを変えるなど、新たな取り組みが必要だと思いますが、ご所見を伺いたいと思います。

○村山治安対策担当部長 ご指摘のとおり、自転車乗用中死者の約七割が頭部損傷が主因という状況を踏まえまして、都は、自転車安全利用条例におきましてヘルメット着用の努力規定を設けているところでございます。
 ヘルメットの着用を広げるため、今年度は、人口当たりの事故発生件数の多い高校生に対する普及啓発の取り組みを推進しておりまして、具体的には、都内全高校への啓発ポスターの配布や、お話の都立松が谷高校をモニター校とした取り組み等を進めております。
 さらに、改定計画では、高校生に加え、事故による死者数の多い高齢者向けの啓発も強めることとしており、具体的には、シルバー人材センターや老人クラブ等と連携した自転車シミュレーター教室の開催に合わせ、ヘルメットの着用を促進してまいります。
 また、これ以外にも、大人世代へのヘルメット着用の啓発は進めていきたいと思っておりますので、ぜひ着用の方をお願いしたいと思います。
 こうした世代に応じた取り組みを起点に、社会全体でのヘルメット着用の機運醸成を図ってまいります。

○近藤委員 都立松が谷高校での取り組みを契機に、この着用者がふえることを期待したいと思います。
 都区内にはないと思いますが、私ども八王子以西の多摩地区には幾つかあると思いますが、中学校の自転車通学にもヘルメットをかぶるところはあります。これは校則で定めていますから、高校生も中学生もきちんとかぶります。格好悪いとか、よく東京の子にはいわれるのですけれども、みんなやっぱり自分の命を守るということで、ヘルメットを着用して自転車通学をしていますけれども、今、部長からもお話があったこのヘルメット着用を広げるためには、利用者本人の一人一人に事故の危険性やヘルメットの重要性を認識してもらう必要があるんだと思います。
 世代に合わせた普及啓発を進めていってほしいと思いますが、私も買わなきゃいけないのかなというふうに思いましたけれども、ただ、行政の取り組みだけでは限界もありますので、ぜひ私どもの家族の中での働きかけとか、そういうところへ、社会全体にヘルメット着用の必要性、こういった取り組みを進めていってほしいなというふうに思います。
 冒頭申し上げましたけれども、こういった安全のためのプランを立てていただいたわけでありますから、このヘルメットをかぶるというドゥーの部分に対して、実行の部分に対しても、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 改定計画に基づきルール、マナーの徹底を図り、自転車による交通事故を一件でも減らしていってほしいと思います。先ほどの資料によれば、一万件を超す数の事故があって、何十人もの方が亡くなっているんだということであれば、これはやっぱり青少年・治安対策本部の大きな仕事の一つだというふうに思います。
 最後に、自転車安全利用に向けた本部長の決意をお尋ねしたいと思います。

○廣田青少年・治安対策本部長 都は、平成二十五年七月から自転車安全利用条例を施行するなど、ルール、マナーの周知等の安全利用の促進に取り組んでおりますが、事故件数は順調に減少しているものの、死者数に関しては増加に転じる年もあり、昨年も三十三名のとうとい命が失われております。
 改定計画では、平成三十二年までの数値目標として、死者数を二十人以下にすることなどを掲げておりますが、目標を達成するためには、ご指摘のとおり、行政や警察、自転車利用者だけではなく、事業者等も含め、自転車の安全利用に向けた社会全体の取り組みをより一層推進していく必要があると認識しております。
 今後とも、ヘルメットの着用促進や指導員制度の導入、自転車販売店における啓発の強化など、改定計画に盛り込んだ施策を着実に実行しつつ、自転車事故及び死者数のさらなる減少を図るべく全力で取り組んでまいります。

○近藤委員 もう一言だけ申し上げて終わろうと思います。
 今までお示しいただきましたこの改定計画には、新たな取り組みも盛り込まれております。ただ、机上の論理、計画に書かれているだけでは、現状は変わらないと思います。事故を減らすことができない、それではだめなんだと思います。
 ぜひ取り組みを着実に実行するための工夫、私は、必要があれば条例を改正してでもルールを守らせることが本来の目的であり、事故を減らすための実効性を持たせるなど、さまざまな方策を検討しながら取り組んでいってほしいと強くお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 以上です。

○小磯委員 私からも交通安全対策について質問をいたします。
 先月、町田市内で通学中の小学生が、いわゆる青ということで横断歩道を渡っていた小学生が、左折のダンプの犠牲になるという悲惨な交通事故が発生をいたしました。このような悲惨な事故を一件でも減らしていくためには、運転者に対する交通安全教育、そして指導、取り締まり、また、子供の交通安全教育、そしてまた、行政も、こうした子供たちの目線に立った交通政策、そういったものをしっかりと立てていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。
 以前、我が党の同僚議員が、子どもの視野を疑似体験できるチャイルドビジョンの活用というものを提案いたしました。子供の視野というのは、大人が思っているほど広くない。意外と狭いものだということでございます。大人は左右が百五十度の視野がありますけれども、子供というか、五、六歳ぐらいまでなんでしょうか、九十度ぐらいしか視野がない。上下が、大人は百二十度あるんですけど、子供は七十度しかない。そういうことでございます。それの疑似、幼児視界体験眼鏡、チャイルドビジョンというのがこれでございます。(実物を示す)新井副委員長は、すごい最新鋭の機器を持ってくるのかと思ったようでございますが、これはただの紙でございまして、でも、これをこうやって見ると、本当にここまで見えないんですね。ここまで物が迫っているというのは全く見えません。こうやってやると、近藤委員も清水委員もよく見えるんですけど、こうすると全く見えないんですね。これが左右でございます。上下も本当に見えないんです。だから、これをつけた状態が子供の視野の広さということでございます。
 また、六十五歳を超えると、だんだんまた、こういうふうに視野が狭くなってくるということでございます。
 これは福祉保健局の方でつくっているものでございますけれども、ここにいろいろと書いてあるんですね。子供の安全のために。車の近くでは絶対に幼児から目を離さない。幼児と道路を横断するときは、手をしっかり握り、必ず一緒に渡る。幼児を連れて道路を歩く場合は、子供を先に歩かせたり、走らせたり、後におくらせてはいけない。子供が道路の反対側にいる場合は、絶対に声をかけて、こうやって呼んではいけない。子供と一緒に道路を歩いているときに、急いでとか、走ってなどといったりしない。こういう細かい注意も書いてございます。
 こういったことを我が党の同僚議員が訴えさせていただいて、当時の都知事が、石原都知事でございましたけれども、あらゆる危険から子供を守ることは我々大人に課せられた責務であると思います、大都市東京は非常に複雑な都市構造を有しておりまして、また、交通量が極めて多いなど、子供にとって大人が想像し得ない危険が存在していると思います、地域住民や行政、学校、警察、企業の総力を結集して、この東京を、将来を担う子供たちが安心して行き来し、暮らせるまちにしていきたいと思っておりますということで、本当に我々大人が、こういう子供の命をしっかりと守る、そういう責任があるというふうに思っております。
 私は、こうした子供の視野は狭いという、そういう知見を、青少年・治安対策本部が行う交通安全普及啓発活動の現場にもしっかり生かしていただきたいと考えますが、所見をお伺いいたします。

○村山治安対策担当部長 当本部では、これまでも、警視庁、教育庁、区市町村等の関係機関と連携し、小学校や区市町村などにおいて、参加体験型の交通安全教室を初めとした交通安全普及啓発活動を実施してまいりました。
 来年度からは、子供の視野の狭さなど、子供の特性をさらに反映させた交通安全普及啓発活動を実施するため、最新の歩行者シミュレーターを導入することで、子供の視野を模擬体験できる機能を活用して保護者らに子供の視野を十分に認識させるなど、より効果的な交通安全教室を実施してまいります。
 今後も引き続き、子供が悲惨な交通事故に遭わないよう、子供の特性を踏まえた交通安全普及啓発活動に取り組んでまいります。

○小磯委員 私、これ大事なことは、やっぱり大人の我々が、子供の視野が狭いということをしっかりと理解していくということが大事なんだというふうに思います。
 今の歩行者シミュレーター、すばらしいと思います。その上でまた、こういう簡易なグッズを使って、子供の視野が狭いんだということを実感していただくことも大事なんじゃないかなと、こういうふうに思います。子供の目線に立った、そういう安全な交通の環境を整えていっていただきたいというふうに思います。
 次に、自転車の安全利用についてお伺いいたします。
 自転車の事故を減らしていくには、自転車利用者がきちんとルール、マナーを守るということが必要でございます。そのためには、ルール、マナーをきちんと知ること、そして、小さいうちから守ることを習慣づけていくことが重要で、学校が果たす役割も大きいというふうに思っております。
 現在、教育庁が中心となって学校における安全教育が進められておりますが、いまだに多くの悲惨な交通事故が発生しております。青少年・治安対策本部として、学校教育を支援する取り組みをより一層強めていくことが必要と思いますが、具体的な取り組みについて伺います。

○村山治安対策担当部長 当本部は、これまでも、学校等を通じた安全教育が推進されるよう、都内の全ての幼稚園、小学校、中学校、高等学校等に対し、年代に応じた自転車安全利用リーフレットを配布しているところでございます。
 また、自転車シミュレーターを活用した交通安全教室を、小学校や中学校を中心に年間百五十回開催するなど、学校における安全教育の支援を行ってきています。
 今後も引き続き、こうした取り組みを実施するとともに、より地域の実情に応じた学校教育が必要なことから、新たに、警視庁スクールサポーター等を通じ、小学校や中学校等に対し、交通事故の発生状況や自転車安全マナーカードの交付状況等を踏まえた助言等を行うことを改定東京都自転車安全利用推進計画に盛り込む予定でございます。

○小磯委員 学校における取り組みが推進され、自転車利用者が子供のころからルール、マナーをきちんと守って運転することにつながればいいというふうに思っております。
 もう一つ、自転車の利用について、無灯火の自転車が多いということと、それから、ライトをつけていても、明るさが不十分で暗かったり、点滅式のものであったりと、いわゆる道路交通法の基準を満たしていないと思われる自転車も多いと私は感じております。この基準というのは、十メートル先が見える照度ということでございます。
 こうした無灯火の運転は非常に危険であり、私自身、こういう無灯火の自転車に気づかずに冷やりとしたという経験がございます。無灯火が原因となった事故も少なくないというふうに思っております。
 こうした無灯火運転をなくしていくために、都が積極的な普及啓発を行うべきと考えますが、所見を伺います。

○村山治安対策担当部長 ご指摘のとおり、夜間の自転車の無灯火運転は、自転車が歩行者を認識できない、また、歩行者や自動車が逆に自転車を認識できないなど、非常に危険でございます。
 このため、これまでも、自転車安全利用に関する各種キャンペーンやリーフレット等を通じ、無灯火運転禁止の普及啓発に取り組んでおります。
 しかしながら、今後も、これまでの取り組みを引き続き実施するとともに、さらなる自転車利用者への周知徹底を図ってまいります。

○小磯委員 この無灯火運転禁止の普及啓発をぜひしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 こうした事故防止の取り組みを進めても、自転車利用者が事故の加害者となる場合もございます。最近、高額な賠償事例も発生しており、万一に備え、被害者の損害を賠償する保険に加入しておく必要がございます。
 東京都は全国に先駆けて、自転車安全利用条例において損害賠償保険加入の努力義務を定めております。最近では、大阪府において保険加入を義務化する動きがあるとの新聞報道も目にしたわけでございますが、義務化とはいえ、保険未加入者への罰則は設けられていないため、実質的には都条例で規定している努力義務と同様のものではございますが、保険加入に関する社会的な関心も高まっております。
 自転車事故による賠償責任、被害者救済のためにも、自転車利用者の保険加入促進が重要と思いますが、都の取り組みについてお伺いいたします。

○村山治安対策担当部長 ご指摘のとおり、高額賠償事例も発生していることから、事故への備えとして損害賠償保険の普及が必要でございます。
 そこで、都は、自転車安全利用条例において、自転車利用者等に対して損害賠償保険に加入する努力義務を規定し、自転車安全利用リーフレット等を通じ、保険の重要性に関する普及啓発を図ってまいりました。
 今後は、これまでの取り組みに加え、自転車販売店での安全教育を推進するために、内容、活用方法の検討を開始した自転車購入者向けの交通ルール、マナーのチェック様式にも保険加入の重要性を盛り込むなどにより、より一層の啓発を行ってまいります。

○小磯委員 自転車の安全利用に関しまして、自転車販売店など民間事業者の協力を得ていくことは重要でございます。さらに、先ほども質疑がありました自転車安全利用指導員の導入など、行政としても取り組みを強化して、社会全体で安全利用に取り組んでいただくことを強く要望して、質問を終わります。

○徳留委員 改定の東京都自転車安全利用推進計画の中間案を中心にして質問を行います。
 舛添知事のもとで自転車の積極的活用が強調されて、ソフト面でもハード面でも、自転車利用と安全走行問題でも貴重な前進があることを、自転車愛好者の一人として評価したいと思います。
 そして、今回改定の安全利用推進計画は、現場の実態、声を積極的に反映したものになり、より一層の自転車の利用と安全活用のための環境改善が前進することを期待したいと思います。
 同時に、今回の改定計画の中間案にもあり、事故の実態、状況を見ても、毎日二、三十キロ、結構な距離を自転車走行している私の経験からも、相当の改善が必要だと実感をしております。こうした体験も踏まえて質問いたします。
 まず、現行計画に基づき自転車の安全利用の取り組みを進めてきたと思いますが、交通ルール、マナーの啓発といったソフト面、自転車が安全に走行できる環境整備といったハード面のそれぞれの主な取り組みについて伺いたいと思います。

○村山治安対策担当部長 現行計画に基づく主な取り組みのうち、交通ルール、マナーの啓発の取り組みといたしましては、従来からの取り組みに加えて、事業者による従業員研修を支援する教材の提供や、社内リーダーの育成セミナーの開催など、新たな取り組みも展開しております。
 また、現行計画では環境整備について記載しておりますが、その主な取り組みといたしましては、都道における自転車走行空間が、平成二十五年度末時点の約百二十六キロメートルから、平成二十六年度末までに約百三十七キロメートルとなっております。

○徳留委員 ソフト、ハード両面でのさまざまな取り組みが進められて、貴重な前進があるということでした。そうした取り組みの結果として、これまでの数値目標の達成状況に反映しているものと思います。また、今後の計画に掲げる数値目標である自転車乗用中死者数、自転車事故発生件数などに反映してくるものでもあると思います。それだけに、事故の実態を踏まえて、現状の分析、原因の分析をしっかり行って改定計画に生かしてほしいと思います。
 改定計画の中間案では、死者数及び事故件数について、引き続き数値目標とすることが記載されていますが、目標達成に向けての課題は何かについて伺います。

○村山治安対策担当部長 まず、死者数につきましては、増加に転じた年もあることなどから、一層の削減に向けて、死者のうち五割近くを占める高齢者への取り組み強化や、近年増加しているスポーツタイプの自転車利用者への取り組みなどが必要であると考えております。
 さらに、事故件数につきましては、減少傾向にはあるものの、いまだ一万一千件を超える自転車事故が発生していることから、一層の削減に向けて、ルール、マナーの普及啓発の強化等の取り組みが必要であると考えております。

○徳留委員 さまざまな努力の結果、依然として事故が絶えないという状況がありますので、改めて事故の原因の分析をしっかり行って、ソフト、ハードの両面からの対策がますます重要だと思います。
 死者の五割近くが高齢者ということですけれども、高齢者の場合は、事故に遭ったときに死に至りやすいということです。そこで、直近の事故の実態について、具体的な数字で伺います。

○村山治安対策担当部長 平成二十七年に発生した自転車事故による死者数を死傷者数で除した数値を致死率といたしますと、高齢者の場合〇・八六%であり、全年代の〇・三一%の三倍近い数字になっております。

○徳留委員 高齢者は、一度事故に遭うと重症化しやすく死亡に至るということが数値でも出ていることについてはよくわかりました。そういう意味でも、やはりまず高齢者が事故に遭遇しないようにどうするかということと、高齢者自身への注意喚起、啓発とともに、それを保障するための安全な環境づくりが第一になっているというふうに思います。
 高齢者の事故の発生が自宅周辺で多いと、この改定の計画中間案にも報告されています。
 高齢者あるいは子供を含めた住民の事故防止のために重要な身近な生活道路対策、環境改善についてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 改定計画の中間案では、警視庁及び道路管理者による生活道路における取り組みといたしまして、自動車の走行速度を時速三十キロメートル以下に抑制するゾーン三十の整備等の適切な手法を選定し、通行環境を整備することを盛り込んでいるところでございます。

○徳留委員 子供や高齢者などの交通弱者といわれる人たちにとって交通事故に遭遇しない環境づくりは、住民全体にとっても安全なまちづくりに連動すると思います。地域全体を視野に入れて、安全な走行、自転車利用の環境整備をお願いしたいと思います。
 高齢者の場合は、単なる交通弱者というだけではなくて、活動が困難になるもとでの移動難民、買い物難民といわれる状況も広がっており、自転車の安全利用だけでなくて、地域をめぐり運行されるコミュニティバスの配備と運行が必要になっているということも意見として述べておきたいと思います。
 次に、レンタサイクルやシェアサイクルについての取り組みについて確認したいと思います。
 現在、千代田区、中央区、港区、江東区の四区での区境を越えた相互利用の広域実験も行われており、今後ますます広がるだろうと思います。今後の拡大に期待したいと思います。
 質問ですが、自転車の貸付事業者や、レンタサイクルやシェアサイクルの利用者に対して、ルール、マナーの啓発ができるようにしていく必要があると思いますが、この取り組みについて伺います。

○村山治安対策担当部長 レンタサイクルやシェアサイクルの利用者に対する会員申し込み時や貸出時における啓発は有効だと考えております。
 ご指摘の四区で実施しているシェアサイクルにおきましては、会員登録時に安全利用五則を周知徹底する取り組みが既になされているところでございますが、改定計画の中間案では、自転車貸付事業者や行政等が自転車に関する交通ルール、マナー等について周知し、利用者が自転車を安全に利用するよう啓発する旨を記載しているところでございます。

○徳留委員 レンタサイクルやシェアサイクルの利用者は、ふだん自分の乗っていない自転車を利用することになります。なれない自転車に乗るということもありますが、こうした機会に自転車利用の原則的なルールが周知されるよう、事業者への徹底、取り組みの支援を行ってほしいと思います。
 先ほどスポーツタイプの自転車の死者数が増加しているとのことでしたけれども、死亡事故の具体的な数字の推移について伺います。

○村山治安対策担当部長 警視庁によると、平成二十四年、二十五年のスポーツタイプの自転車利用者の死者数はそれぞれ一人でしたが、平成二十六年は八人、平成二十七年は四人の死者数となっております。

○徳留委員 私の毎日の体験からも、スポーツタイプの自転車利用者は、通勤への利用、サイクリングなど、自転車ブームもあり、利用者が増加しているように実感します。今後もこうした増加傾向は続くと思います。スポーツタイプの自転車利用者を視野に入れた安全利用の環境改善が急がれると思います。
 スポーツタイプの自転車利用者は、快適性を求めることもあって、一定のスピードを求めて車道を走る人が多いように思います。車道を走る人には、左側通行を含めて安全走行のルールを特に徹底する必要があると思います。具体的には、自転車が車道のどこを走行すればいいのか、どういう方向で走ればいいのかなどについて、幹線道路の中でポイントになる道路の路面に自転車の安全走行のルール表示を行うことが大事だと思います。そして、この走行のルールの原則になっている左側通行の意識、認識を高めることも大事だというふうに思います。
 自転車利用者にとって、ルールの徹底は、この総務委員会の質疑でも、また一般質問でも、私も何回も提起もして質問してまいりました。
 路面標示が極めて重要だと思いますけれども、この路面標示を活用した取り組みについてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 改定計画の中間案におきましては、警視庁による取り組みとして、自転車の通行位置や進行方向を示す自転車ナビマーク、自転車ナビラインを幹線道路に設置することを盛り込んでおります。これにより、自転車通行の整序化を図り、交通事故の削減を進めるとしているところでございます。

○徳留委員 警視庁による取り組みも行われるということでしたが、その結果、自転車の安全走行の確保、車道の左側通行が周知徹底され、事故の削減につながるようにしてほしいと思います。
 安全な自転車利用環境の整備について確認しておきたいことがあります。自転車の安全な利用環境の整備は、道路そのものの拡幅や自転車専用道路の整備などハード面もありますが、お金も時間もかかります。そういうもとでの鍵は、路面を積極的に活用した対策の具体化だと思います。
 自転車愛好者の中で合い言葉になっているのは、自転車交通のルールは路面標示で徹底せよと、こういう言葉があります。既存の路面の徹底活用を通じて、自転車のナビマークやナビラインの活用で、整備できる部分から整備を行い、その結果として、地域全体が連続的に安全地帯になっていくような改善が必要ではないかと思います。
 私の経験でいいますと、道路には路肩とか路側帯というのがあるんですね。今は、ほとんど自動車の専用レーンというか専用空間になっています。そこを左側を走っていても、自動車が幅寄せしてまいりますと、サンドイッチのようにガードレールとでかい自動車に挟まれると非常に怖い思いをします。そこの路側帯や路肩がラインで区別され、できれば、グリーンや、あるいはえんじ色、それからブルーは自転車専用道路になると思うんですけれども、そういうふうに視覚的にルールを示すようなことがあれば、本人も自覚するし、自動車の方も、ここは自転車が走るんだなということになって遠慮もするし、慎重にもなる。しかし、今は、ほとんど競争状態で強い者が勝つというのが実態になっているというふうに思います。
 一方で、道路管理者の自治体、交通管理者の警察署の対応の違いにより、地域ごとに路面標示等がばらばらになっている課題があることを体験的に実感しています。私の地元には三つ警察署がありますけれども、一つの警察署だけは、みずからの判断で、道路の左側に自転車の進行方向と自転車のマークをつけたナビマークがつけてあります。ペンキですから、一定期間たてば外れるんですけれども、そこの警察署の心意気を感じます。でも、ほかの二つの警察署の管内の地域は全くやってありません。署長に聞いても、それはそれぞれの警察の判断でやっていますと、ちょっと冷たい反応でありました。
 こういうばらばらな状態になりますと、利用者も混乱するということになりますし、場合によってはルール無視にもつながるのではないかというふうに思いますので、今回の改定計画の中でも、今後の具体化の中で統一的な改善対策を求めておきたいと思います。
 自転車問題の最後に、改めて、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けて、自転車の安全走行のための環境整備やそのネットワーク化の取り組みを進めていくべきだと思います。改定計画でのオリンピック・パラリンピックに向けての自転車の利用、それから安全走行の計画などの位置づけについて伺いたいと思います。

○村山治安対策担当部長 環境整備やネットワーク化の取り組みについてのお尋ねでございますが、改定計画の中間案では、道路管理者及び警視庁の取り組みといたしまして、道路の構造や利用状況等を踏まえ、適切な手法を選定し、安全に通行できる環境を整備することを記載しているところでございます。また、整備する際には、関係する道路管理者が協議することなどにより、安全でわかりやすく、連続性、統一性のあるものとなるよう検討していくことを記載しております。

○徳留委員 交通安全の取り組みは、ソフト面、ハード面の双方の取り組みを進めていく必要があります。ぜひ計画に具体的に反映されていることを着実に実行し、今後とも引き続き、自転車利用の安全性と快適性が拡充されるよう、精力的に取り組んでいただくことを要望しておきます。
 次のテーマとして、ハイパースムーズ作戦のこれまでの取り組みと今後の取り組みについて、何点か質問いたします。
 我が党は、代表質問でも取り上げたように、ハイパースムーズ作戦の取り組みについては、皆さんのお手元に資料要求で提出された資料にもあるように、全体としての渋滞解消の取り組みの成果などを高く評価して、今後、一層の取り組みの強化を求めておきたいと思います。
 そこで、この三月の今年度末で八年間の計画が終了するハイパースムーズ作戦の効果はどうだったのかについて伺います。

○村山治安対策担当部長 平成二十年度から実施し今年度で終了する八年間のハイパースムーズ作戦全体の対策の効果につきましては、来年度、効果検証することとしておりまして、その経費を予算に計上しているところでございます。
 なお、ハイパースムーズ作戦の事業期間前半の四年間が経過した平成二十四年に公表した中間のまとめでは、需要予測信号制御などのITS技術を活用した対策や道路施設の改善等、さまざまな対策をあわせての効果として、ピーク時旅行時間が一二・三%削減されたとしております。

○徳留委員 無通告で申しわけありませんけれども、今、答弁の中で、来年度、事業全体の効果については検証する予定だといわれました。この八年間の計画の中間の四年前に発表されたのが、今お知らせのあった、数値目標三〇%に対して一二・三%削減した結果だということだったと思います。
 四年間、この取り組みの到達点とか評価がほとんど出ないで、足かけ八年たって来年度に結果を出すということなんですけれども、いつ、どういう形で、その八年間の取り組みの到達や評価をされるのか。
 なぜこれを聞くかといいますと、実は、警視庁が、二〇一四年、東京の交通渋滞という冊子を発表しています。ホームページでも見られますけれども、それによりますと、平成十七年から平成二十六年度まで、ハイパースムーズ作戦と重なる部分があるんですけれども、その調査結果では、二千六百キロの都内の一般道路の渋滞解消率が四五%まで下がっているわけなんですね。すごい解消率なんです。先ほど紹介があった、その四年間の中間までの時期と重なるんですけれども、多分、今でいけば、数値目標の三割は超えて、四割、五割の渋滞解消率になっているのではないかと思うんですね。
 警視庁の方は、毎月そういう計画がホームページにも紹介されて、詳しいデータがあるにもかかわらず、なぜこの間、四年間、取り組みの結果が公表できなかったのか。そして、今月で八年になりますから、来年度の始まったところで、その総括と結果をされると思うんですけれども、いつぐらいに、どういう形で、八年間のこの取り組みの結果、到達、評価は発表されるのでしょうか。

○村山治安対策担当部長 行政施策を展開するに当たりましては、プラン・ドゥー・シー、こういったものが非常に重要になってまいります。こういったプラン・ドゥー・シーに関しましては、感覚論でやるものではなくて、客観的なデータに基づいてやることが必要であると思います。
 当本部といたしましては、ハイパースムーズ作戦自体は効果があったものというふうに自負しているところではございます。しかしながら、具体の効果について、特に数値につきましては科学的に検証することが必要であるというふうに考えております。
 いつ、どのように、その結果が出るのかということでございますけれども、先ほど答弁の中で申し上げましたように、来年度予算で効果検証の予算を組んでいるところでございまして、来年度、検証した後に、八年間のハイパースムーズ作戦の効果については公表することになるというふうに考えております。
 なお、中間のまとめ、本日、要求資料で提出したものにつきましては、平成二十年度から二十三年度までの四カ年、ハイパースムーズ作戦を実施した中間年のその翌年に、四年間の効果を検証して公表したものでございます。そういった意味で、ハイパースムーズ作戦全体につきましても、終了した翌年に調査をしてその効果を検証するというのは、もともと予定していたことでございます。

○徳留委員 資料要求でも出されたように、全体として三十路線のところで数値目標三〇%の渋滞解消の目標を掲げ、最初の四年間が経過した中間点で一二・三%の渋滞解消と、着実な効果を上げてきており、私たちも評価できるものだと考えています。
 こうした渋滞解消の取り組みのメリットについては、排気ガスの減少による地球温暖化防止だとか、経済活動の活性化だとか、日常や仕事における時間の有効活用や、運転中のストレスの軽減、緊急車両のタイムロスの軽減などが指摘をされております。私は個人的には、大震災の際の帰宅困難、移動困難の際に、こうした経験、蓄積は積極的に生かせるのではないかというふうに思っています。
 そこで質問ですが、予算も増額して、全都の四百カ所を超える交差点を対象にして新たなハイパースムーズ作戦に取り組むことになっていますけれども、ITS技術を活用した対策は、具体的にどういう対策になるのでしょうか。

○村山治安対策担当部長 新たなハイパースムーズ作戦では、これまで進めてきた需要予測信号制御などの対策に加えまして、交差点映像から渋滞の状況を自動判定できる技術を活用した画像解析による需要予測信号制御や、広域の渋滞情報を提供する広域交通情報板など、最新のITS技術を効果的に導入し、渋滞の解消を図ってまいります。

○徳留委員 新しいハイパースムーズ作戦は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催も見据えて、来年度予算も六千万円増額の約三億四千万円を活用して、全都の二十三区、多摩地域、約四百三十カ所のボトルネックと呼ばれる渋滞のひどい交差点を対象にした取り組みになると聞いております。渋滞解消を目指して、最小限の財政投入によって最大限の効果を得ることのできる作戦として期待をしています。
 これまでのように、渋滞解消率の数値目標も掲げて、系統的に目的、意識的に取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。

○新井委員 自転車事故を減少させていくために、東京都自転車安全利用推進計画に基づく取り組みが進められていると思いますが、依然としまして痛ましい事故は続いているわけでございます。
 このたび改定東京都自転車安全利用推進計画の中間案を示していただきましたが、私からも自転車の安全利用についてお伺いしたいと思います。
 高齢者のヘルメット着用について、また自転車利用者の保険加入促進につきましては、質問された先生方と質問がかぶりますので、割愛させていただきたいなと思っています。
 昨年六月から、道路交通法改定に伴いまして自転車運転者講習制度が開始され、自転車の安全利用に関しまして社会的な関心が高まっていると感じております。こうした関心の高まりが自転車事故の減少につながるかと思っていますが、昨年の都内におけます自転車が関係しました交通事故の状況についてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 平成二十七年中に都内で発生した自転車が関与する交通事故の件数は一万一千六十件であり、前年に比べ千六百六件減少しております。また、こうした事故による自転車乗用中の死者数は三十三人でございまして、前年に比べ五人減少しております。

○新井委員 死者数、事故件数ともに減少しているということで、法改正やさまざまな自転車安全対策の取り組みの効果が出ているのではないかなと思っております。
 しかし、今なお一万一千件を超える事故が発生しておりまして、三十三人もの方が亡くなっていらっしゃいます。引き続き取り組みを進めてほしいのですが、最近の傾向としまして、スポーツタイプの自転車利用がふえているんじゃないかと思います。また、先ほど質問もありましたが、死亡者数も増加しているということです。
 スポーツタイプの自転車利用は車道を走行することが多いと感じますが、バス事業者の方々に話を聞きますと、バスを無理に追い越そうとしたり、急に飛び出したりするということで、急ブレーキをバスの運転者の方がかけて、それによって車内事故につながるケースがあるということも聞きました。こうした車内事故を防止するためにも、自転車利用者の方に、事故の被害に遭わないようにルール、マナーの徹底を図っていただくことが必要だと思っています。
 今回の改定を機に、スポーツタイプの自転車利用者に対する取り組みを強化していった方がいいと思いますが、所見をお伺いします。

○村山治安対策担当部長 近年は、スポーツタイプの自転車利用者の死亡事故も多く発生していることから、改定計画におきましては、スポーツタイプの自転車利用者に関する取り組みも新たに位置づける予定でございます。
 具体的な取り組みといたしましては、スポーツタイプの自転車利用者が多く集まる自転車イベントへのブース出展や、自転車専門誌への記事掲載等を通じ、自転車に関する交通ルール、マナーやヘルメット着用の必要性等について周知してまいります。

○新井委員 スポーツタイプの自転車は、いわゆるママチャリとは違いましてスピードが出る分、事故の危険性は高まって、事故に遭った際に被害の割合は大きくなると思うので、そういった違いを意識させるような啓発に取り組んでいくことを要望したいと思います。
 次に、交通安全計画に関連して質問をいたします。
 さきの委員会では、報告では、重点課題としまして、高齢者の交通安全の確保が挙げられています。高齢者が歩行中に自転車乗用中の被害者となってしまう事故が多いと聞きます。
 高齢者の交通事故による被害を防止するために、高齢者に対する交通安全教育を進めるべきですが、青少年・治安対策本部の取り組みをお伺いします。

○村山治安対策担当部長 高齢者は、加齢に伴い身体機能や認知機能が低下する場合があることを踏まえ、当本部では、高齢者みずからが道路横断等の体験をする歩行者シミュレーターや、反射材効果を体験できる、くらピカBOXを活用した参加体験型の交通安全教室などを推進し、歩行中の交通事故防止や反射材用品等の普及を図っているところでございます。
 また、区市町村等が主催する高齢者を対象とした交通安全教室や講習会において、参加体験型の交通安全教育を出前形式で実施するなど、今後とも高齢者の交通安全教育を推進してまいります。

○新井委員 また、最近では、高齢者ドライバーによります認知症や逆走などの報道もよく目にします。高齢ドライバーの事故がふえているような印象がありますが、都内での高齢ドライバーの事故件数の十年前との増減についてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 原付以上の高齢運転者に主な過失や違反があった事故の件数は、平成二十七年で五千八百六件となっており、平成十七年の六千七百六十一件から九百五十五件減少しております。

○新井委員 高齢ドライバーに主な過失や違反があった事故の件数は減少しているということです。
 高齢化の進展を踏まえますと、都内におけます何らかの対策を講じていく必要性があると思います。
 高齢ドライバーによる事故を防ぐためにどのような対策を実施しているのか、お伺いします。

○村山治安対策担当部長 当本部においては、区市町村が主催する高齢者を対象とした交通安全教室や講習会において、高齢者による体力の衰えを自覚してもらうため、俊敏性の測定等ができる器材を活用した参加体験型の教育に取り組んでおります。
 また、高齢者に配布するシルバーパス用パンフレットに運転免許証の自主返納制度を掲載するなど、警視庁と連携し、高齢運転者の事故防止に向けた普及啓発を実施しております。
 さらに、警視庁における免許更新時の高齢者講習や認知機能検査、高速道路各社における逆走を防止するための標識や路面標示など、総合的な事故防止対策を実施しており、第十次東京都交通安全計画にもこれらの対策を盛り込む予定でございます。
 今後も、高齢者の安全な運転確保に向けて、関係機関と連携した取り組みを進めてまいります。

○新井委員 高齢ドライバーによります事故の報道は、昨今、取り上げられて注目されることが多くなってきたと思います。昨年、宮崎市内の中心部ですね、歩道を暴走して死亡事故を起こした男性の方が、調べますと、過去に認知症で入院していたということがわかったという報道がございました。
 また、国土交通省と高速道路六会社の発表によりますと、逆走で運転した人は、六十五歳以上の高齢者の方がおよそ七割を占めていると。そのうち認知症の疑いがある人は一二%になっていたという報道もございました。特に高速道路での逆走が死亡事故につながる割合は、事故全体のうち死亡事故が占める割合の約四十倍にも上るということが明らかになっているということです。高齢ドライバーによります事故を防ぐために、対策をさらに推進していただきたいと思います。
 今回の質問をしました計画では、平成二十八年度から平成三十二年度までの計画期間として数値目標を設置しております。交通安全計画では、都内での年間死者数を百二十五人以下に抑える。また、死傷者数を二万八千人以下に。また、自転車安全利用推進計画では、自転車乗用中の死者数を二十名以下、自転車事故の発生件数を八千件以下としています。この数値目標をぜひ達成していただくように取り組んでいただくことを要望しまして、私の質問を終わりにします。

○おときた委員 私からは、初めに、昨今、大きな話題に上ることもあります、いわゆるJKビジネスへの対応についてお伺いをいたします。
 女子高生あるいは女子高生を模した服装をしている女性が勤務するカフェやマッサージ店において性的なサービスを提供する、いわゆるJKビジネスが広がりを見せているとの指摘を受け、警視庁が有識者会議を開き、規制の強化を検討する有識者会議を開催しているところです。
 既に多くの違法店は摘発され、実際に現役高校生を働かせている事業者は少なくなっているとの声もありますが、こうしたビジネスへの勧誘があるとすればゆゆしき問題です。
 そこで、若年層を統括する青少年・治安対策本部としては、こうしたJKビジネスを取り巻く環境についてどのように認識し、また、今後どのような対策を考えているのか、見解をお伺いいたします。

○稲葉青少年対策担当部長 いわゆるJKビジネスと称されているものの中には、青少年の保護と健全育成の観点から憂慮すべきものもあると認識してございます。
 東京都青少年の健全な育成に関する条例を所管する当本部といたしましては、現在開催されている警視庁の有識者会議の動向を注視しつつ、必要に応じて警視庁と連携を図ってまいります。

○おときた委員 まさにこうしたビジネスにかかわるのは、青少年・治安対策本部が担当する若年層ですから、警視庁とも足並みをそろえつつ、具体的な対応を模索していただきたいと思います。
 関連して、性風俗産業に従事する青少年、若年層たちへの支援についてお伺いをいたします。
 JKビジネスなどをきっかけに性風俗へと勧誘される、悪徳業者にだまされて性風俗への道へ進むなど、ネガティブなイメージで語られることも多い性風俗産業の従事者たちですが、必ずしもこうしたケースばかりとは限りません。実際に性風俗産業に従事する、主に女性たちを支援する民間団体の調査によりますと、七割以上の方々は、自分たちの意思や考えで職業選択をしているとのデータもあるそうです。
 しかしながら、自分たちの選択で職業を選んでいるからといって、何ら支援が必要ないというわけではありません。やはり性風俗産業の従事者たちは、その慣習や偏見からか、セカンドキャリアの形成に非常に悩むことが多く、こうした方々への相談、支援は、現在、ほとんど民間のNPOや社団法人などが担っているのが実情です。
 性風俗産業に従事する方々は、まさに青少年へと分類される年齢層の方々が中心で、セカンドキャリアに悩む時期とも重なります。こうした方々への支援体制につきまして、青少年・治安対策本部の現状を伺います。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、社会的自立に困難を有する若者向けの無料相談窓口として、若者総合相談、若ナビを運営し、相談内容を限定することなく、幅広く若者の悩みや不安に対応しております。
 寄せられる相談内容は、就職への不安、心身の健康面の不調、職場環境への不満、対人関係などさまざまでございます。
 相談者の早期の社会的自立を図る観点から、相談内容を的確に受けとめ、課題に応じて適切な支援を提供できる支援機関を紹介してございます。

○おときた委員 総合相談機関である若ナビで、さまざまな立場にある方々からの相談を受け付け、対応しているということですが、では、実際に、こうした性風俗産業の従事者の方々から相談の入電が入ったケースはどれぐらいあるのでしょうか。また、あるとすれば、どのような対応をとられるのが一般的なのでしょうか、伺います。

○稲葉青少年対策担当部長 平成二十六年度の若ナビの相談件数は四千九百三十四件でございました。このうち、性風俗産業に従事している女性からと思われる相談は、メールが一件、電話が二件の計三件ございました。
 通常、相談を受けた場合には、経済的自立や家族関係の問題等、相談者が直面する課題に即して、女性相談センターや生活福祉、就労支援の窓口など、適切な支援を提供できる機関を紹介するなどの対応をしてございます。

○おときた委員 若ナビから、相談内容によって女性相談センターや生活福祉、就労支援の窓口におつなぎすることで対応されているということでありましたが、実績がまだ三件のみということで、これはNPO団体などの活動量と比較すると、非常に少ない数にとどまっているものと思われます。潜在的な支援のニーズに対して、まだ行政、東京都が対応し切れていない現実があるのかもしれません。
 東京都のみならず、我が国の行政支援では、性風俗産業などに入らせないための施策は多々見受けられるものの、一旦そちらに入られた人々への施策というのが非常に手薄です。そもそも風営法などの曖昧な区分により、性風俗産業の従事者に明確な定義すらなく、見方によっては存在がないものにされているともいえます。こうした背景もあって、性風俗産業に従事する方々の多くは孤立しがちで、行政のサポートの網からこぼれ落ちてしまうことが少なくありません。
 しかし、繰り返しになりますが、実態としては、民間の事業者がその相談、支援を担っているように、そこにはニーズが確実に存在をしています。東京都には、あらゆる悩みを抱える若年層を対象とする青少年・治安対策本部がせっかくございますから、我々はあなた方と向き合う気持ちと体制があるのだということをしっかりと示していく必要があるのではないでしょうか。
 よろず相談である若ナビは、リーフレットの配布など広報活動も積極的に行っているようですが、ぜひこうした性風俗産業に従事する若年層、青少年の方々にも届くような広報活動を行うことを要望いたします。
 また、すぐには難しいものと思いますが、行政そのものが支援機能を持つことが難しければ、将来的には民間事業者に助成や委託をして取り組むことも一案かと思います。性風俗産業という、ともすれば目を背けられがちな部分にもしっかりと対応することを期待いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、不健全図書の指定についてお伺いいたします。
 青少年健全育成条例に基づき不健全図書に指定された作品は、ゾーニングや閲覧規制を受けるなど厳しい措置をとられることから、表現の自由との兼ね合いもあり、極めて繊細な運用が求められます。
 まずは、不健全図書の指定について、この該当図書の発見はどのような方法で行われているのかをお伺いいたします。

○稲葉青少年対策担当部長 職員が年間を通して都内ほぼ全域の一般書店等を計画的に巡回しまして、区分陳列されていない図書類で青少年が手にとりやすいところに置かれたものを調査し、抽出してございます。

○おときた委員 職員の方々がみずからの足で書店などを回り、ピックアップをして調査するということですが、さすがに東京中で新規に発売される全ての図書を調査することは困難であろうと思います。
 毎月、どれぐらいの数量を調査対象としているのか、また、その数値に根拠があれば、その理由もあわせて教えてください。

○稲葉青少年対策担当部長 巡回先の一般書店等におきまして、青少年が手にとりやすいところに置かれた図書類を調査した上で、青少年の健全な育成を阻害するおそれのあるものを精査対象として購入した結果、平均して月百三十冊前後の購入実績がございます。

○おときた委員 簡潔にご答弁いただきましたが、いわゆる不健全図書が置かれる可能性が高いゾーンを見きわめて、職員が知識と経験に基づいて精査を行う結果として、毎月百三十冊前後の本を購入していると、こういう意味であると理解をいたしました。
 このやり方は、全数調査ではなくて、一部のみを調べる抜き取り調査、標本調査に近いものですから、同レベルの内容でも、たまたま調査職員の目にとまったために不健全図書に指定された、あるいは逆に、目にとまらなかったために指定されなかった、こういった事態が生じる可能性も完全には否定することができません。
 近年では、表現の自由に対する権利意識も高まり、東京都の不健全図書指定は注目を集めております。調査を担当する職員の方々の責任は非常に重大なものがありますから、ぜひとも慎重かつ的確な対応を続けていただきたいと思います。
 最後に、不健全図書の選定を審議する東京都青少年健全育成審議会の情報公開についてお伺いをいたします。
 こちらの審議会の議事録では、従来は委員の名前が塗り潰された完全な匿名でしたが、平成二十七年六月の審議会での議論の結果、アルファベット表記に改善をされ、それぞれの発言の関連性がわかりやすいように改善がなされました。しかしながら、審議会そのものはいまだ傍聴不可の非公開であるなど、まだまだ情報公開に対する消極的な姿勢が否めません。審議会の傍聴、議事録は、個人情報などにかかわらない限り原則公開であり、委員として責任ある立場で発言される以上、公開されることが望ましいことはいうまでもありません。
 東京都青少年健全育成審議会における議事録や傍聴などの積極的な公開について、都の見解を伺います。

○稲葉青少年対策担当部長 東京都青少年健全育成審議会運営要領におきまして、審議会は公開で行うこととしておりますが、審議会の決定により非公開とすることができるとされています。この規定に基づきまして、本審議会は、不健全図書類としての指定が決定する前の段階でその図書類の名前が公開されることによりまして、出版社に不利益をもたらすおそれがあるため、非公開としてございます。
 また、議事録の委員の氏名につきましては、委員が自由に発言できる環境を担保した上で審議する必要があるため、氏名を一部非公開としてございますが、審議内容につきましては、議事録を公開していることで、透明性は十分に確保してございます。

○おときた委員 確かに、運営要領にのっとって非公開にされているとのことで、ルール違反をしているわけではありません。ですが、これは多くの附属機関についても、再三、同様の指摘をしているところなんですが、そもそも、みずからの決定で非公開にできるというこのルール自体に欠陥がありまして、結果として、非常に多くの附属機関が非公開で行われるという情報閉鎖体質を招いています。また、その理由もやはり似通っておりまして、委員たちが自由な発言をするため、自由闊達な意見交換を妨げないためなどとされているわけですけれども、どうして公開の空間では自由闊達な意見交換ができないのか、その部分を改めてもう一度考え直さなければいけない時期に差しかかってきているのではないでしょうか。
 情報化社会の発展によって、開かれた政府、開かれた行政というのは世界の潮流になっており、公開されていないこと自体が既に不信を招きかねません。
 不健全図書指定前の図書類の名前が出てしまうことで不利益が生じる可能性があるという点については一定の理解をするところではありますが、では、決着がついていない裁判は全て傍聴が不可能なのかといえば、そういうわけでもないわけですし、また、これ私、きょう、ちょっと幾つか出版社に聞いてみたのですけれども、必ずしも出版社側も全てがそうしたことを不利益だと感じるわけではないというコメントもございましたので、こういったことをどこで線引きするかということは改めて考える余地があると思います。
 開かれた都政を目指す舛添都知事のもと、青少年・治安対策本部の附属機関には積極的な情報公開に努めていただきたい旨を要望いたしまして、私の質問を終わります。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十三分散会

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