総務委員会速記録第十六号

平成二十七年十一月三十日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長加藤 雅之君
副委員長新井ともはる君
副委員長柴崎 幹男君
理事石川 良一君
理事徳留 道信君
理事鈴木 隆道君
おときた駿君
まつば多美子君
木村 基成君
大場やすのぶ君
近藤  充君
小山くにひこ君
小磯 善彦君
秋田 一郎君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
選挙管理委員会事務局局長安藤 弘志君
政策企画局局長川澄 俊文君
外務長宮島 昭夫君
次長理事兼務潮田  勉君
理事猪熊 純子君
理事松下 隆弘君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小池  潔君
調整部長中澤 基行君
政策担当部長西坂 啓之君
政策担当部長八嶋 吉人君
技術政策担当部長加藤 直宣君
戦略広報担当部長政策担当部長兼務小沼 博靖君
海外広報担当部長川崎  卓君
渉外担当部長佐藤 直樹君
国家戦略特区推進担当部長山本 博之君
渉外担当部長政策担当部長兼務村岡 教昭君
報道担当部長松下 明男君
計画部長小室 一人君
計画担当部長梅村 拓洋君
外務部長横山 英樹君
都市外交担当部長川上 文博君
国際事業担当部長梅田 弘美君
青少年・治安対策本部本部長廣田 耕一君
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務廣瀬 秀樹君
青少年対策担当部長稲葉  薫君
治安対策担当部長村山  隆君
総務局局長中西  充君
危機管理監田邉揮司良君
次長内藤  淳君
理事山手  斉君
総務部長小暮  実君
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
初宿 和夫君
訟務担当部長和久井孝太郎君
復興支援対策部長菊地 俊夫君
復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務野口 毅水君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務三木 暁朗君
情報通信企画部長中島  毅君
労務担当部長栗岡 祥一君
主席監察員藤井 秀之君
行政部長西村 泰信君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
佐々木秀之君
区市町村制度担当部長小菅 政治君
総合防災部長矢岡 俊樹君
防災計画担当部長小林 忠雄君
防災対策担当部長小久保 修君
統計部長伊東みどり君
人権部長箕輪 泰夫君

本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都選挙管理委員会関係手数料条例の一部を改正する条例
政策企画局関係
報告事項(説明)
・「『東京と地方が共に栄える、真の地方創生』の実現を目指して 東京都総合戦略 」について
青少年・治安対策本部関係
事務事業について(質疑)
総務局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・行政不服審査法施行条例
・東京都職員の退職管理に関する条例
・審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・災害派遣手当等の支給に関する条例の一部を改正する条例
・東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例
・東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
・東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・東京都人権プラザの指定管理者の指定について
報告事項(説明)
・東京都国土強靭化地域計画(素案)について
・東京都震災復興マニュアル(復興プロセス編)の修正素案について
・第三期東京都犯罪被害者等支援計画(素案)について
陳情の審査
(1)二七第三五号の一 ヘイトスピーチ禁止条例の制定及び学校教育へ取入れを求める意見書の提出に関する陳情

○加藤委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、青少年・治安対策本部及び総務局関係の事務事業に対する質疑、選挙管理委員会事務局及び総務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、政策企画局及び総務局関係の報告事項の聴取並びに総務局関係の陳情審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○安藤選挙管理委員会事務局長 第四回定例会に提出を予定しております選挙管理委員会事務局所管の案件は、条例案一件でございます。
 それでは、お手元の資料、平成二十七年第四回定例会提出予定条例案の一ページをお開き願います。
 東京都選挙管理委員会関係手数料条例の一部を改正する条例の概要でございます。
 これは、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行による公職選挙法及び地方自治法の改正に伴い、選挙の効力または当選の効力に関する異議の申し出等及び直接請求に関する異議の申し出等にかかわる書類の写し等の交付手数料にかかわる規定を設けるものでございます。
 交付手数料の額につきましては、一枚につき、単色刷り十円、多色刷り二十円としてございます。
 施行期日につきましては、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日としてございます。
 二ページ以降は、条例案の案文及び新旧対照表を添付しておりますので、ご参照いただければと存じます。
 以上、第四回定例会に提出を予定しております条例案についてご説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 それでは、資料要求はなしということで確認をさせていただきます。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○加藤委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○小室計画部長 去る十一月六日に公表いたしました「『東京と地方が共に栄える、真の地方創生』の実現を目指して-東京都総合戦略-」についてご説明させていただきます。
 お手元に二点の資料をご用意させていただきました。
 資料第1号は東京都総合戦略の概要資料、資料第2号は東京都総合戦略の冊子でございます。
 本日は、資料第1号、東京都総合戦略の概要資料でご説明させていただきます。
 それでは、資料の一枚目をごらんください。
 まずは、東京都総合戦略の位置づけでございます。
 東京都総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法第九条の規定に基づく都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略に当たるものでございます。
 対象期間は、国の総合戦略は今年度から二〇一九年度までの五カ年でございますが、東京都の場合、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も見据え、今年度から二〇二〇年度までの六カ年としております。
 次に、その右にお示ししております総合戦略の策定の考え方でございます。
 昨年十二月に策定いたしました今後十年間の都政の大方針である東京都長期ビジョンの目標や政策を基本に、東京と地方の共存共栄に特に焦点を当てて策定しております。
 続きまして、その下にお示ししてございます地方創生に対する東京都の考え方でございます。
 東京都が目指す地方創生とは、第一に、東京と他の地域が、それぞれの持つ力を合わせて、ともに栄え、成長し、日本全体が持続的発展をしていくことでございます。そして第二に、少子高齢、人口減少社会の到来に対しまして正面から向き合い、出生率を向上させ、人口減少に歯どめ、高齢者が地域で安心して生活できる社会、ワークライフバランス、全ての人が活躍できる社会の実現に向けて、さまざまな対策を全力で講じていくことでございます。
 続きまして、その下にお示ししております東京の人口でございます。
 国が策定を求めている地方人口ビジョンに当たるものといたしまして、人口の現状分析や推計、人口の将来展望をまとめております。
 人口推計につきましては、二〇一〇年の国勢調査をもとにいたしました東京都長期ビジョンの推計と同様でありまして、東京の人口は、二〇二〇年の一千三百三十六万人をピークに、二〇六〇年には一千三十六万人まで減少するものと見込んでおります。
 また、昨年の東京の合計特殊出生率は一・一五と、都道府県別で最も低く、さらに、社会増につきましては、全国的な人口減少の影響により縮小するものの、今後も続く見込みでございます。
 これらを踏まえまして、東京都の人口の将来展望といたしまして、都民の希望出生率一・七六の実現を展望、人の移動は個々人の選択によるものの二点を示しております。
 続きまして、恐縮でございますが、一番下の枠の基本目標と政策をごらんください。
 総合戦略の構成でございますが、国の総合戦略を勘案して、東京都長期ビジョンの目標や政策を体系化し、基本目標に合わせてまとめ直したものとなっております。その上で、地方創生に向けた都の考え方や姿勢を明瞭化するために、重点的な取り組みを選び出し、取りまとめたものが、資料の下から二段目のオレンジ色で囲んだ部分でございます。東京と地方がともに栄える、真の地方創生の実現に向けた取り組みでございます。このような取りまとめ方をしたことが都の総合戦略の特徴でございます。
 ここでは、最重点事項であります東京と地方の共存共栄に加え、首都・国際都市としてさらに発展し、日本経済を活性化、少子高齢・人口減少社会に対する東京の挑戦の三つの視点を示しております。
 続きまして、資料の二枚目をごらんください。こちらには、三つの視点ごとに取り組みの例を示しております。
 視点〔1〕の東京と地方の共存共栄では、全国各地と連携した産業振興、東京と地方の双方の魅力を生かした観光振興、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした各地域の活性化など、東京と他の地域が共存共栄し、日本全体の発展につながっていく取り組みをまとめております。
 視点〔2〕の、首都・国際都市としてさらに発展し、日本経済を活性化では、世界一の国際経済都市、観光都市としての発展、都市インフラの整備など、東京がさらに発展し、生み出した富を全国に波及させ、日本経済の持続的成長を支えてまいります。
 視点〔3〕の少子高齢・人口減少社会に対する東京の挑戦では、安心して子供を産み育てられるまちの実現、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現、全ての人が活躍できる社会の実現など、少子高齢、人口減少社会の到来に正面から向き合い、さまざまな政策を展開してまいります。
 大変雑駁でございますが、以上で東京都総合戦略の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○加藤委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大場委員 特殊詐欺の被害防止については、これまでの警察の取り締まりに加えて、被害者にならないための高齢者などへの啓発を進めており、警視庁の統計によると、都内で件数、被害額ともに減少してきているものの、昨年の特殊詐欺被害は二千三百十一件、約八十億円と、依然として、その件数、被害額ともに憂慮すべき状況にあり、都民の不安は非常に大きくなっています。
 最近では、賃貸住宅の空き部屋に現金を送らせ、住民に成り済まして受け取るといったような新たな手口も相次いでおり、手口が複雑かつ巧妙化するなど、被害の防止を徹底するのは難しくなっています。
 また、特殊詐欺の中でも、いわゆるオレオレ詐欺については、息子や孫に成り済まして、親や祖父母の親心につけ込んで高齢者の大切な財産をだまし取る手口は、家族間の信頼を破壊するだけでなく、被害者の心に喪失感や失望感を抱かせる極めて卑劣な犯罪であり、何としても根絶していかなければなりません。
 このような現状のもと、特殊詐欺を根絶するための都の施策として、我が党が提案して一億円の予算を獲得し、今年度、緊急対策事業として自動通話録音機の無償貸与事業が実施されています。
 まず初めに、当該事業の概要について伺います。

○村山治安対策担当部長 当本部では、捜査とは別の観点から、被害防止に特化した緊急対策として、警告メッセージと録音機能により振り込め詐欺を未然に防ぐことができる自動通話録音機を本年六月から無償で貸し出す事業を行っております。
 貸し出しは、都内在住のおおむね六十五歳以上の方が居住する世帯を対象に配布しております。また、自動通話録音機無償貸与パンフレット記載の区市町村、警察署を窓口として実施しているところでございます。

○大場委員 私の地元の世田谷区でも、昨年の特殊詐欺被害は百三十四件、そして約四億二千万円も発生しています。ことしも、八十歳代の被害者が、息子の知人を名乗る男に、電話を受けてから約三時間後に二千三百万円もの大金を自宅近くの路上で手渡しして被害に遭っている事例があるなど、大変危惧しているところでございます。
 こうした被害が発生していく中、特殊詐欺の犯人が電話をかけた先で警告のメッセージが流れる自動通話録音機が設置されていれば、自分の声が録音されるのを嫌がって、高齢者につながる前に電話を切ってしまうだろうし、また、電話がつながらなければ、だまされることはなく、被害の未然防止の効果が高いと思われることから、その普及促進は重要であります。
 そこで伺いますが、年度途中でありますが、現時点での自動通話録音機の普及、設置状況について伺います。

○村山治安対策担当部長 当初、一万台で事業を開始したところでございますが、十月末現在で、この一万台についてはほぼ配布が完了しております。
 警察署や区市町村の各窓口の申し込み受け付け状況によりますと、多くの高齢者世帯が本機の設置を希望しておりますことから、十月に五千台を追加購入し、引き続き貸し出しを実施しているところでございまして、現在、普及促進に努めております。この五千台についても、近々、配布が見込まれるところでございます。

○大場委員 自動通話録音機設置促進事業は非常に好評を得ておりまして、事業が順調に進んでいることを確認いたしました。
 また、これまで、自動通話録音機を設置した世帯からは被害が発生していないと聞いており、世田谷区においても多くの方が設置を希望しているようであります。
 この自動通話録音機は、パンフレットによれば、設置するのに工具も不要で、機械に弱い高齢者でも自分で簡単に設置できることから、ご答弁のように、早期の配布を期待するところであります。
 そこで伺いますが、追加購入した五千台も配布済みとなるのであれば、さらに追加購入してはいかがでしょうか。

○村山治安対策担当部長 これまでの自動通話録音機の配布状況を踏まえまして、追加購入分五千台の配布に目途がつき次第、配布窓口である警察署や区市町村に具体的な必要数を調査の上、さらなる普及促進を図るため、追加購入を検討したいと考えております。

○大場委員 ぜひともさらに追加購入をし、特殊詐欺被害防止に効果を発揮してほしいと思います。
 振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺被害は、平成十五年ごろから社会で騒がれるようになりました。今や、振り込め詐欺などの特殊詐欺を知らない方はほとんどいないと思いますが、にもかかわらず、いまだに被害が多いのが現状であります。
 これには、犯行の手口が複雑かつ巧妙化していることや、多くの高齢者が、私は大丈夫との誤解をしていることが大きく作用していると聞いています。警視庁犯罪抑止対策本部のホームページを見ると、息子の声ぐらいわかるからだまされない、ふだんから電話したり会っていればだまされない、うちはお金がないからだまされないという三つの大誤解が紹介されていますが、まさに私はだまされないという誤解こそが被害に遭う原因であるといえると思います。
 そこで、機器などによるハード面の対策も重要でありますが、最新の手口はどうしてだまされるのかを教示するようなソフト面での対策も強化していく必要があります。
 そこで伺いますが、これらの現状を踏まえて、都では、特殊詐欺被害防止に関する啓発をどのように行っているのかを伺います。

○村山治安対策担当部長 都では、高齢者の被害防止に関する啓発活動として、チラシ、リーフレット、啓発グッズの作成などを行うほか、平成二十三年からプロの劇団員による実演式防犯講話を行っており、その内容は、毎年、最新の手口などを反映したものに更新しております。
 また、イベント等に来られない高齢者への被害啓発を目的として、実演式防犯講話を撮影、収録したDVDを作成し、警察署、区市町村等に配布しているところでございます。
 今後も、新たな手口と効果的な被害防止対策の普及啓発を積極的に行い、高齢者の被害防止に努めてまいります。

○大場委員 都がハード、ソフトの両面で対策を強化していることがわかりました。
 ところで、新聞報道によると、特殊詐欺の被害を金融機関の窓口で阻止する例を非常に多く目にします。
 しかし、犯人側の手口も、被害者に、預金の引き出しの理由として、自動車販売店のカタログを持たせて新車購入を装わせたりするなど巧妙化しています。被害を防止するためには、警察、行政のみでなく、民間との連携による対策が必要不可欠であり、これらの情報を金融機関に提供することが重要であります。
 そこで伺いますが、特殊詐欺を根絶するに当たり、都では、官民連携での取り組みについてどのように行っているのか、伺います。

○村山治安対策担当部長 都では、警視庁と連携し、金融機関職員を対象として、だましの実例を踏まえた声かけ講習会などを繰り返し行うなど、金融機関等の民間企業に最新の手口や事例などの情報をわかりやすく提供して、官民連携での取り組みを強化しているところでございます。
 また、本年五月には不動産業界二団体及び警視庁と協定を締結し、特殊詐欺の根絶に向けて、新たに連携した取り組みを開始しているところでございます。
 今後も、あらゆる機関と連携を図りながら、特殊詐欺の被害防止のための対策をさらに強化してまいります。

○大場委員 警察、行政のみでなく、さまざまな機関との連携を図って、特殊詐欺の被害防止のための対策をぜひ強化していただきたいと思います。
 先日、巣鴨駅前の金融機関のイベント会場を借りて、高齢者を対象に自動通話録音機の効果や取りつけ方を説明するイベントが行われていたというニュースを見ましたが、高齢者の皆さんからいろいろ質問を受けて対応しているところを拝見し、このような地道な取り組みには高い効果が期待できると感じました。
 このように活動を続けながら、東京の安全・安心を一層向上させ、世界で一番の都市にふさわしい安全・安心を実現するためにも、特殊詐欺を根絶させなければなりません。
 最後に、特殊詐欺根絶に向けての本部長の決意を伺います。

○廣田青少年・治安対策本部長 安全・安心の確保は、世界一の都市を目指す上で不可欠な礎であると考えております。
 都内の犯罪発生件数は減少傾向にはありますが、DV、ストーカーや特殊詐欺など、高齢者や女性、子供などの弱者が被害者となる犯罪は後を絶ちません。中でも特殊詐欺は、依然として都民に深刻な不安を与えておりまして、都が直面する喫緊の課題の一つとなっております。
 都といたしましては、特殊詐欺を東京から根絶するという強い意志のもと、警視庁を初め区市町村、事業者、都民と連携し、あらゆる手段を講じて全力で取り組んでいく所存でございます。

○大場委員 本部長の並々ならぬ決意を伺いまして、特殊詐欺を根絶するという熱い思いが伝わってまいりました。
 我が党もかねてから、特殊詐欺被害防止のための政策提言を行ってまいりましたが、東京を世界で一番の都市にするため、各種の施策をこれまで以上に強力に進めていっていただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○徳留委員 青少年・治安対策本部関係の事務事業にかかわって、八月に策定されました子供・若者計画について質問いたします。
 私も青少年問題協議会の委員として、一月以来、この子供・若者計画の策定の協議会に参加して、意見や要望を述べてまいりました。
 この協議会の中での学識経験者の委員の皆さんの発言は、専門部会のたくさんの議事録を読んでみますと、大変刺激的で学ぶことが多い充実した内容だったと感じております。
 こうした議論の内容も踏まえて策定された今回の子供・若者計画が、子ども・若者育成支援推進法などに基づき、基本理念として、全ての子供、若者の健やかな成長と社会的自立を支援する、子供、若者の最善の利益を尊重するという視点に立って、子供、若者を単なる育成支援する対象としてだけではなくて、社会を構成する重要な主体として尊重する立場が重視されていることを歓迎したいと思います。このことは、子供・若者計画のサブタイトルが、社会に参加し、社会を形成する若い力を育むとされたことにも反映されていると思います。
 それだけに、計画の中に取り上げられている青少年・治安対策本部関係所管の五十を超える施策を初めとする、これまで取り組んできた数百の施策が来年度予算で裏づけられることや、何よりも、都庁横断的に総合的で重層的な取り組みとして、各区市町村の取り組みとのネットワーク化を図りながら本格的に具体化、推進していくことが求められていると思います。こうした角度から、具体化、推進に当たって、幾つかの点について質問をいたします。
 まず、都の子供・若者計画の各施策の総合的、重層的な推進を進める上での推進目標と、計画を具体化するに当たっての都庁横断的な進行管理はどこが責任を担うのか、どのような推進体制となっているのかを伺いたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 都では、都内全ての区市町村における子供・若者計画の策定と子供・若者支援地域協議会の設置を目指すこととしております。
 そのため、区市町村が地域の課題に応じた計画の策定や支援のネットワークである子供・若者支援地域協議会を設置することができるよう、関係各局等から成る東京都子供・若者支援協議会を活用してノウハウや情報を提供し、区市町村を支援してまいります。この子供・若者支援協議会の事務局は当本部が務めております。

○徳留委員 区市町村の子供・若者計画の策定と子供・若者支援地域協議会の設置を目指すとともに、都として、関係各局から成る東京都子供・若者支援協議会がイニシアチブを発揮して、区市町村の取り組みとのネットワークが機能するように支援するということでした。
 この支援協議会の役割は、さきの青少年問題対策協議会の中でも大変議論になったように、都においても区市町村においても、ネットワークが総合的、重層的な機能、役割を発揮する上で大変重要な役割を担っているのではないかと思います。
 次に、子供・若者計画の具体化、推進にとって重要な役割を担う区市町村の子供・若者計画と支援地域協議会の具体化、設置状況はどのようになっているのでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 当本部が実施いたしました区市町村への調査によりますと、本年十一月二十日現在、一区三市において子供・若者計画が策定され、三区一市が子供・若者支援地域協議会を設置してございます。

○徳留委員 現状では、子供・若者計画も支援地域協議会も、全区市町村のうち六・五%であり、取り組みの具体化が始まったばかりという状況だと思います。区市町村においても、今、来年度予算の検討が始まっているときだけに、子供・若者計画の具体化や支援地域協議会の設置の促進とともに、これまでの区市町村が実施してきた子供、若者支援の施策が充実されるよう、都の子供・若者計画が絵に描いた餅にならないよう、都として積極的なイニシアチブを発揮していただくことを要望しておきます。
 次に、都の子供・若者計画の具体化にかかわって、現時点で、来年度予算の見積もりを見通して取り組みを強化しようと予定されている内容はどういうものになるでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 ひきこもり等の若者やその家族からの相談を受け付ける体制を整備いたします区市町村に対して費用の一部を補助する事業を拡充いたしまして、区市町村における子供・若者計画の策定と子供・若者支援地域協議会の設置に係る費用の一部も補助することを検討しているところでございます。

○徳留委員 答弁は青・治関係の事業の予算化が中心だと思いますが、子供・若者計画の具体化、推進の進行管理を担う部署として、都庁横断的に取り組みが促進されるよう、イニシアチブの発揮を強く求めておきたいと思います。
 次に、子供・若者計画に基づく、さまざまな困難を抱える子供や若者への支援にとって、区市町村との重層的な連携、ネットワーク化が極めて重要だと思います。区市町村の取り組みに対する都としての支援や連携は、具体的にどのように進めるのでしょうか。答弁をお願いいたします。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、区市町村と子供、若者の育成の課題を具体的に共有し、関係機関などと連携しながら、研修等を通じて人材の育成や資質の向上に努めてまいります。
 また、先進的な取り組みを行っている自治体の事例をまとめまして区市町村に情報提供するなどして、都内全ての区市町村における取り組みを推進してまいります。

○徳留委員 各自治体ごとの現時点での取り組み、あるいは地域ごとの取り組みにアンバランスもあるもとで、都として人材の育成や資質の向上、関係機関等と連携して促進することは極めて重要だと思います。
 また、都として、先進的な経験普及、情報提供などによって、重層的なネットワークのために今後とも積極的に役割を発揮することが重要だと思います。
 次に、NPO、ボランティア団体など民間諸団体との連携も一層重要になってくると思いますけれども、連携と支援の強化は具体的にどのように強化されていくのでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、東京都子供・若者支援協議会等の場を活用しまして、子供、若者への支援を行う民間団体等と相互に必要な情報の共有を図ってまいります。
 また、ひきこもり支援に関しては、区市町村に対しまして、東京都若者社会参加応援事業の登録団体の活用などを働きかけてまいります。

○徳留委員 知事も、子供・若者計画の策定に当たっての挨拶の中で、全ての子供、若者が社会的自立を果たすことができるよう、その成長を社会全体で応援していくため、区市町村、国、事業者、関係機関、団体などと連携し、本計画を全力で推進してまいりますと述べているように、今回の子供・若者計画の取り組みの具体化、推進の鍵は、重層的なネットワーク化による連携した取り組みではないかと思います。ぜひこの点を重視していただくよう、強く要望しておきます。
 次に、子供・若者計画の事業の一つであるひきこもり対策にかかわって、切れ目のない支援を進める上で、対象年齢による線引きで青・治と福保の対応に分かれることから、改善を求める関係者の要望が寄せられていますけれども、都としての改善策についての見解をお伺いします。

○稲葉青少年対策担当部長 ひきこもり対策については、例えばひきこもりの脱却後までを考えた場合、年齢に応じて必要とされる支援はおのずと異なってまいります。
 このため、都は、福祉、保健医療、就労、雇用等の部署が相互に連携しながら、それぞれの年齢層に適した支援を行うことで、切れ目のない支援の実施を図っております。

○徳留委員 都として、ひきこもりの支援対象の年齢によって単純な縦割り行政にならないよう、年齢的な制限を取り払い、横断的な連携をしっかり行って、困難を抱え支援を求めているひきこもり対象者や保護者、親の意向も反映させて、切れ目のない支援が行われるようにしてほしいということを要望しておきます。
 次に、今回の子供・若者計画の数百に及ぶ盛りだくさんの各施策を生かして子供、若者を支援する上で、施策の対象者や関係者への普及啓発など周知徹底が重要だと思います。計画全体と主な施策の内容の周知徹底などは、具体的にはどのように進められるのでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、区市町村長会を初めとしますさまざまな機会を活用し、都の東京都子供・若者計画について区市町村に説明をいたしますとともに、地域の実情に応じた計画の策定や子供・若者支援地域協議会の設置を働きかけているところでございます。
 また、東京都要保護児童対策地域協議会など関係団体等が構成員となっております会議等においても、計画について説明するなどし、広く周知を図ってまいります。

○徳留委員 さまざまな機会に説明、周知を図っているということでしたが、福祉保健局が五年に一回行っている都民の健康と医療に関する実態と意識という福祉保健基礎調査報告書によりますと、これは平成二十六年度版ですけれども、都民にとって大変大事な健康と医療に関する施策の認知度が、重要性の割には極めて低いものがあるということが明らかになっています。ぜひこういうことも念頭に置いて、改めて子供・若者計画の中の支援策の普及啓発、周知徹底を図っていただきたいということを要望しておきます。
 次に、子供・若者計画に当たって、冊子の視点1にあるように、子供、若者の最善の利益となるよう、その意見や実態をリアルにつかむことが引き続き重要だと思いますが、そのための都としての具体的な取り組みはどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 東京都子供・若者支援協議会は、教育、保健医療、福祉、矯正更生保護、雇用の各分野の行政機関のほか、民間支援団体を含む三十一機関で構成されております。
 都としましては、こうした協議会等を通じて、実際に支援を行っている機関や団体からの報告、情報提供を通じまして、子供、若者等の実態について課題の把握と共有を図り、今後の施策に生かしてまいりたいと考えております。

○徳留委員 さまざまなルート、関係諸団体を通じて子供、若者の実態をつかんで収集し、子供、若者の当事者の目線で必要な支援を行うことが重要だと思います。場合によっては、直接的に当事者から実態を聞くことも、かみ合った施策の具体化にとって必要だと思います。こういう努力を今後ともぜひ続けてほしいと思います。
 こうした中で、今月、十一月一日に首都大学で設立された子ども・若者貧困研究センターは、東京都が設置する大学であり、都の社会福祉行政と密接な連携を図ることが可能な条件を持っていると思います。
 この子ども・若者貧困研究センター長は、青少年問題協議会の学識経験者の委員も務められた、子供の貧困問題の第一人者であり、多数の著作もある阿部彩首都大学教授であります。
 この間の青少年問題協議会の子供・若者計画の策定に向けた審議の中では、子供、若者が抱える深刻で複雑な実態の背景に子供の貧困問題があるのではないかということが大変活発な議論になりました。
 残念ながら、今回の計画の冊子の中では、余り貧困問題には触れられていませんが、今後、子供、若者への本格的な支援を考えた場合には、非常に大事なテーマになってくると思います。
 日本の子供の相対的貧困率が、OECD諸国では最悪の一六・三%、さらに、ひとり親家庭の子供貧困率が五四・六%になっている問題の打開は、子供や若者の支援にとって避けて通れない問題ではないかと思います。今回の子供・若者計画のコラム欄にも、阿部彩教授がこういう内容を簡単に書かれております。
 今回、首都大学で設立された子ども・若者貧困研究センターは、東京都とも積極的に連携をとりながら、都及び都内の自治体及び日本各地の自治体の子供の貧困対策を支援することを設立の目的としているようです。都の子供、若者支援、子供の貧困対策にも積極的に生かして連携していくべきではないかということを意見として述べて、私の質問を終わります。

○新井委員 まず私からは、自転車の安全利用について質問いたします。
 自転車安全利用の条例は、行政を初め自転車利用者、企業などの各主体の役割を明確にし、社会全体で自転車の安全利用を促進するためを目標として制定されました。社会全体で安全利用を促進していくということですと、行政や学校等に加え、各企業の取り組みも重要であると考えております。
 具体的な例を挙げれば、条例では、企業に対して従業員への安全教育について定めています。こうした企業の取り組みを都として支援していくことが必要であります。
 条例制定後に新たに始めた取り組みについてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 都は、企業等の事業者による安全教育が着実に進められるよう、社内で自転車の安全利用の取り組みを普及定着させるリーダーを育成するための自転車安全利用TOKYOセミナーを、平成二十六年度から新たに開始いたしました。昨年度のセミナーは、自転車交通ルールや都条例の解説、最新の事故発生状況などを内容として、合計六回開催し、五十四企業、約三百名が受講いたしました。
 また、企業等が社内教育に活用できる研修用DVDを作成し、業界団体等へ配布するとともに、ホームページでも使用できるようにするなど、企業等による取り組みを支援しているところでございます。

○新井委員 セミナーは、安全教育を行う企業にとり、ことし六月から導入された自転車運転者講習制度など、自転車をめぐる直近の情報が得られる貴重な場であると考えております。今後とも、セミナー参加者からの意見も踏まえて内容の充実を図っていただきたいと思います。
 また、条例では、安全教育に加え、損害賠償保険への加入についても定めています。最近では、環境局が中心になり自転車シェアリングの取り組みが進められており、外国人を含め、利用者が今後ますます増加するものと見込まれております。こうした中、特に外国人観光者が自転車シェアリングを利用時に事故を起こした場合、被害者側への対応が課題になると考えております。
 自転車シェアリング利用者の保険への加入状況についてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 自転車シェアリングを実施している江東、千代田、港、中央の四区におきましては、それぞれ運営事業者が、都条例も踏まえ、自転車損害賠償保険への加入によりまして、事故に備えた適切な対応をしていると聞いております。

○新井委員 外国人観光者も含め自転車シェアリングを利用している方が、万が一事故を起こしてしまった際の対応もなされていることがわかりました。
 しかしながら、事故が起きない、事故を起こさないというのが究極の目標であります。自転車事故を一件でも減らすために、引き続き自転車の安全利用について普及啓発を進めていただきたいと思いますが、啓発に当たっては警視庁との連携が重要だと考えております。具体的な取り組みについてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 自転車の安全利用の啓発に当たりましては、警視庁が有する事故情報を都が作成する安全利用リーフレットに活用するなど、より効果的に実施を行っているところでございます。
 また、先ほど申し上げた企業向けのセミナーに警視庁職員を講師として招聘しているほか、自転車安全利用TOKYOキャンペーンの実施などで連携して取り組んでいるところでございます。
 今後も引き続き、警視庁や区市町村を初めとした関係機関等と連携して、自転車の安全利用を推進してまいります。

○新井委員 五月の自転車月間に合わせて大々的に行われている自転車安全利用TOKYOキャンペーンなどにおいて、警視庁と連携して取り組んでいるということです。また、事業概要によりますと、二百七十万枚ものリーフレットを配布するなど、力を入れて取り組んでいることがうかがえます。引き続き、警視庁とも連携し、より効果的に安全利用の普及啓発を進めていただきたいと思います。
 次に、ITSの活用策についてお伺いいたします。
 ITS、高度道路交通システムとは、人と道路と自動車の間で情報の受発信を行い、道路交通が抱えている渋滞などさまざまな課題を解決するシステムでございます。
 ITSは、カーナビやETCなどに主に使われておりますが、国も自動走行システムなどに国家プロジェクトとして取り組むなど、活用が期待される技術でございます。
 二年前に、産官学が一体となって、ITSの普及による交通問題の解決及びビジネスチャンスの創出を図ることを目的とした国際会議であるITS世界会議が東京で開催され、東京都では、信号制御、道路防災等の展示や、災害におきます道路交通情報の提供の仕組みを体験するデモンストレーションを行い、私も当時、そのデモンストレーションについて体験をいたしました。
 ますます発展していく技術でありますITSについて、東京都での活用策についてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 ITSの活用策でございますが、都では、警視庁と連携して渋滞対策事業、ハイパースムーズ作戦を進めているところでございまして、この中におきまして、ITS技術を活用した取り組みとして、交通量を予測して最適な信号制御を行う需要予測信号制御の導入を実施しているなどの取り組みを進めているところでございます。
 これまで、この需要予測信号制御の導入状況につきましては、平成二十年度から二十六年度末におきまして、十四路線の十九区間に導入しているところでございます。

○新井委員 先ほど答弁にあったように、渋滞対策事業は、ハイパースムーズ作戦におきまして、ITSを活用した高度な信号制御であります需要予測信号の導入をしているということです。ハイパースムーズ作戦については、今年度で終了すると聞いております。来年度以降も引き続き渋滞対策を実施していくよう、強く要望いたします。
 ITS世界会議におきまして実施しました、災害時における道路交通情報の提供の仕組みのデモンストレーション後の東京都の取り組みについてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 都は、震災時においてドライバーなどの安全や緊急車両の円滑な通行を確保するため、本年三月に公益財団法人日本道路交通情報センターと協定を結び、同センターが保有する災害時情報提供サービスを利用して、都が把握した火災情報をスマートフォン等に表示し、ドライバーにわかりやすく提供する全国初の仕組みを構築、運用しているところでございます。

○新井委員 災害時に火災情報を提供するのは、全国初の取り組みだと聞いております。ドライバーの安全面の確保に役立つものだと考えていますので、どうぞ引き続きやっていただきたいなと思います。
 次に、特殊詐欺被害防止の自動通報録音機について質問をいたしたいと思います。
 先ほど大場議員も質問をしていましたので、かぶらない項目に絞って質問をさせていただきます。
 大場議員の答弁であったとおり、十月末現在で約一万台の設置が進んでいるということです。申し込み開始後五カ月で、当初の購入の一万台が都民の手に渡っておりまして、好評を得ている様子をおうかがいします。
 そこで、自動通話録音機の設置効果についてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 自動通話録音機については、警告メッセージと録音機能を有する本機を設置することによりまして、特殊詐欺の犯人に通話を断念させ、被害が未然に防止できる効果が期待されているところでございます。
 これまで、自動通話録音機を設置した世帯では特殊詐欺被害が発生したとの報告は受けておりません。また、電話による迷惑な勧誘等も減少したとの声も寄せられているところでございます。

○新井委員 順調に設置が進んでおり、効果も高いということですが、都民の声としまして、通話が全て録音され、いつまでもその録音データが残っており、プライバシー上、安心して使用することができないという声があると聞いておりますが、いかがでしょうか、お伺いします。

○村山治安対策担当部長 都で普及促進している自動通話録音機は、設置場所に困らないサイズであることや、工事不要で設置操作が簡単、メーカーによるサポート体制があるなどの特徴がございます。
 録音データの保存についてでございますが、今回東京都で購入した機器は、被害の未然防止に特化したものであり、使用者がボタン一つで録音データを消去することが可能となっております。

○新井委員 以前の機器と比べまして、バージョンアップをしたということです。サイズも小さくなって、また、メーカーのサポート体制も充実して、使用者がボタン一つで録音データを消去するということで、プライバシーについても大変守られているというものでした。引き続き、特殊詐欺被害防止に向けまして取り組んでいただきたいと思います。
 次に、サイバー犯罪対策についてお伺いします。
 サイバー犯罪は、発生件数も激増し、ワンクリック詐欺や不正アクセスなど手口も多様化しており、誰もが被害に遭うおそれがある犯罪となっております。特に、サイバー犯罪について認知度の低い方への被害防止が重要であり、講習会などを行うことが有効であると考えております。
 そこでお伺いします。青少年・治安対策本部も講習会を実施しているということですが、実施方法とその実績についてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 サイバー犯罪対策については、警視庁と連携をとりながら対応に当たっているところでございます。
 当本部では、主にネット関係に詳しい専門家に講師を委託し、サイバー犯罪に巻き込まれるおそれのある大学生、若手社会人、高齢者等を対象として、被害防止を目的とした啓発講習会を実施しております。
 本年度は三十回の開催を予定しておりまして、これまでに二十回を実施済みであり、延べ約三千五百七十人が受講しているところでございます。

○新井委員 今年度も三十回やるということなので、あと十回開催するということです。
 最後に、ネット、携帯等に関しますルールづくり事業と東京こどもネット・ケータイヘルプデスク事業の連携についてお伺いいたします。
 携帯電話やスマートフォンの普及に伴い、青少年が架空請求やネットいじめ、迷惑メール、有害サイト、画像掲載等のさまざまなトラブルに巻き込まれるケースが増加し、大きな社会問題となっております。
 一方、ネットやスマートフォンの利用について、青少年とその保護者が家庭でのルールを決めずにいるということによって、長時間使用する子供が多くなっている実態も見受けられます。このことは、家庭内でのコミュニケーションや青少年の健全な育成を妨げるものと懸念しております。
 そこで、都は、ファミリeルール講座や出前講演会を実施して、家庭でのルールづくりを支援するネット、携帯等に関するルールづくり事業を行っています。また、青少年がネット、携帯でのトラブルに巻き込まれた場合の相談窓口として、東京こどもネット・ケータイヘルプデスク事業、愛称でございますが、こたエールも行っております。
 これらの事業間におけます連携が図れているのか、お伺いいたします。

○稲葉青少年対策担当部長 東京こどもネット・ケータイヘルプデスク、こたエールに寄せられました相談については、その中から青少年の被害防止に有効な事例をファミリeルール講座や出前講演会で情報提供しております。
 一方で、ファミリeルール講座や出前講演会においては、参加者に対し、インターネットに関するトラブルの相談窓口である、こたエールの取り組みについて周知しており、相互に連携を図ることによって事業の効果を高めております。

○新井委員 都道府県が電話のヘルプデスクを置いているというのは大変珍しいことでございまして、京都でもこれを置いているんですが、これは民間だったりと、NPOの「相談してねっと」というものです。ほかの道府県ではないということなので、すごく評価できるなと思っています。
 また、こたエールの年度別の相談件数を見てみますと、年々増加、二百件ペースでこれはふえているんですね。これのニーズがかなり高いのかなとおうかがいします。
 このネット、携帯のトラブル事例、いろんなことが相談されるわけでございますが、こういったことというのは、いろいろとトラブルが多様していまして、いろいろとこういったトラブルの変化もしているわけでございますから、場合によっては、得られたノウハウをぜひともこの関連事業へ展開していただきたいと思います。そのことを要望しまして、私の質問を終わりにします。

○おときた委員 私からは、まず、本部の位置づけとその存在意義についてお伺いをいたします。
 緊急治安対策本部が設立されてから十年以上が経過をいたしました。本来の目的である治安については、都内の刑法犯認知件数が、本部設立直前の平成十四年と比べると、昨年度で四七%減少し、大きく改善をしています。こうした背景もあり、現在は青少年・治安対策本部の役割も大きく変化をしています。
 しかしながら、本来、本部というのは、特定の目的を達成するための時限的な組織であって、その組織が目標達成を目指して変化しているのか、組織の存続それ自体が目的となって変化しているのかは厳しい目で問われなければなりません。
 青少年・治安対策本部の事務事業を洗い出しますと、その業務のほとんどは、警視庁、福祉保健局、教育庁などと役割をともにしています。そうであれば、それぞれの部署に役割を分散させて本部は解散する、そういったことも考えられるのではないでしょうか。
 そこでまず、今、青少年・治安対策本部にしかできない役割はあるのか、時限組織である本部を継続する意義について伺います。

○廣瀬総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当本部は、平成十五年、都内の刑法犯認知件数が戦後最悪の水準を記録したということを背景にいたしまして、総合調整機能を発揮いたしまして新たな課題へ迅速に対応するとともに、基礎的自治体への支援を行うという役割を果たすべく、本部組織として設置されたものでございます。
 その後、治安や安全・安心まちづくり、交通安全、青少年対策など、都が緊急かつ機動的に対応すべき課題等につきまして、関係局や警視庁等と連携を図りつつ取り組んできたところでございますが、現在も、さきに述べました役割を果たすべく、さまざまな施策を推進しておるところでございます。

○おときた委員 今ご答弁をいただいて、もちろん自分たちで自分たちの存在意義がないとか薄いとはいえないわけですけども、この本部を必ずしも持続しなければいけない、そういった理由にはなっていないようには思います。
 単独でできる事業が少なければ、関係局や警視庁と連携を図る必要がもちろん出てくるわけですが、そこがうまくいかないと、非効率な運営が行われたり、二重行政、三重行政になってしまうおそれもあります。
 そこで、青少年・治安対策本部の構成に目を向けてみますと、予算や人員については、局と比べて非常に小さく、財源、権限、人間が不足しているように思います。単に他局の補完機能となり多重行政を招くのではなく、本部として有効な実行力を持つためには、このあたりの課題解決が重要と思われますが、所見をお伺いいたします。

○廣瀬総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当本部の事業を進めるためでございますけども、適切な体制となっているというふうに考えております。

○おときた委員 適切というご答弁でしたが、先ほどから他の委員もご指摘された、子供・若者計画一つをとっても、その取りまとめ役であった青少年・治安対策本部の計画執行における役割というのは比較的小さなものになっておりまして、この点につきましては、また後ほどご質問させていただくことにいたしまして、次の質問に移ります。
 次に、子供・若者計画策定過程に関連して、これを議論した青少年問題協議会について伺います。
 この協議会の一部は、当初、傍聴不可の非公開とされており、公募委員からの意見によって公開されることになったと伺っております。
 そこで、この協議会の一部を当初非公開とされていた理由を伺います。

○稲葉青少年対策担当部長 東京都青少年問題協議会には、全ての委員が出席する総会と、委員のうち学識経験者から構成される専門部会の二つがございます。
 総会については、原則公開とすることが、平成二十七年一月二十日に開催されました第一回総会において決定をされております。
 一方、専門部会については、当初は公開について特段の定めはしておりませんでしたが、非公開としていたわけではなく、傍聴は可能でございました。

○おときた委員 公開について特段の定めはしていないが、非公開としたわけではないということで、傍聴可能ということなんですが、こちらは会議の日程や場所などが途中までどこにも告知をされていなかったんですね。
 先般、産経新聞の報道にもあったように、東京都の附属機関の会議は、事実上、傍聴に都民の方が参加することができない、実質非公開のものが多く存在するわけでして、この協議会の専門部会も、まさしくそのような状態であったといえます。
 このように、日程を積極的に公開しない、実質非公開とする対応をとられた理由は何でしょうか。また、対応は後に変化し、傍聴告知を行ったようですが、こうした変化が起こったのはなぜか、理由をお伺いいたします。

○稲葉青少年対策担当部長 専門部会につきましては、第三回の会議におきまして、同部会が専門的事項を審議するために設置されたものであり、弾力的、機動的な運営を図ることとされていることに鑑み、開催日時や場所等についての広報は実施しないことを部会として決定いたしました。
 その後、委員からの提案を受け、第六回専門部会で協議の上、開催日時や場所については開催七日前に広報することとし、傍聴の可否については、審議内容にプライバシー等の保護すべき情報が含まれていないかを委員の方の協力を得て事前に確認した上で、五日前に広報することといたしました。

○おときた委員 ご答弁の中で、弾力的、機動的な運営を図ることとされていることに鑑みなどのご答弁がありましたけども、これはつまり、傍聴者がいると運営に何らかの差しさわりがある、そういう見解の裏返しではないでしょうか。
 それであれば、第三回の専門部会において会議を非公開とすることもあり得たと思いますが、原則公開としながら日程を公開しないという手法をとられた理由をお伺いいたします。

○稲葉青少年対策担当部長 都が設置いたします附属機関については、附属機関等設置運営要綱等におきまして、非公開の根拠が、個人のプライバシー保護、企業秘密保護及び法令等による公開禁止以外の場合は原則公開とされております。この規定に従いまして、会議自体は原則公開としたものでございます。

○おときた委員 つまり、今のご答弁は、附属機関の運営要綱においては、この専門部会は非公開にできる条件は満たしていなかったということにほかなりません。これは非常に大きな問題で、本来であれば要綱で公開にしなければならないのに、自分たちの都合で見せたくないから、日程や場所などを告知せずに事実上の非公開でやっていましたと。これはルールの裏側をつく、極めて都民に対して不誠実な対応です。
 前のご答弁で、第三回の専門部会でこのような対応が決定された旨をお答えいただきましたけど、これも、内部で委員の方が問題提起をしたから、初めて俎上に上がったものであって、このようなルールの抜け道を使うような決定に対しては異を唱えている委員もいらっしゃいました。
 そうした意見に鑑みて、第六回の専門部会から告知が始まったわけですけども、残すところは、わずか拡大専門部会と最後の総会を残すのみで、結局、専門部会はそのほとんどが、都民からあえて隔絶された場所で行われていたわけです。
 では、ここで、最終的に協議会にはどれだけの傍聴人が参加したかを確認させてください。

○稲葉青少年対策担当部長 第三十期東京都青少年問題協議会におきましては、確認がとれる範囲で、延べ、都議会議員の方を含む議会関係者が三名、一般都民の方については四十三名、報道関係者が八名、会議を傍聴されております。

○おときた委員 こちらの数は全てのトータルだと思いますが、実質非公開であった専門部会においても、一部委員の方が呼びかけてくださったことによって何名かの傍聴人はいらっしゃったと、そのように仄聞をしております。
 それでは、こうした会議日程等を公開しない実質非公開から会議日程等の広報を行うこととなったわけですが、これによって、運営上、何か問題等は起こらなかったのか、事務局の見解を伺います。

○稲葉青少年対策担当部長 先ほどお答えしましたように、部会として一定のルールを定めた上で、会議の日程及び傍聴の可否を広報することといたしましたので、運営上問題はなかったと考えております。

○おときた委員 公開後も、当然のことながら問題はなかったわけです。であれば、これはもう、最初から設置要綱に基づいて原則公開、しかも、きちんと日程や場所も告知をして公開して、都民に幅広く開かれた場で行わなければいけなかったと、そういうことです。
 にもかかわらず、以前からの慣習や事務局の恣意的な判断で、ルールの抜け道を利用して実質的に非公開にしていた。これは強く反省しなければならないことだと思います。
 今は完全に情報化社会で、特にこの空気の中で育ってきた若い世代というのは、情報それ自体がオープンにされないことに何よりも不信感を感じます。そうした若者たちを相手にするのが青少年・治安対策本部ですから、皆様が運営される会議体における情報公開に対する姿勢については早急に改善され、再発が防止されることを強く要望し、最後の質問に移ります。
 最後に、こうした協議会などの紆余曲折を経て策定された子供・若者計画ですが、多数の関係部局が横断的に役割を担っており、その中で青少年・治安対策本部が担う部分の比率は比較的低いものといえます。
 とはいえ、この計画を取りまとめた担当部署として、計画の整合性を保ちながら進めていくためにどのような役割を担うのか、こちらを改めて確認させてください。

○稲葉青少年対策担当部長 東京都子供・若者計画に盛り込まれております各施策は、それぞれの所管局において実施していくことになります。青少年・治安対策本部としては、東京都子供・若者計画に盛り込まれました各施策が支援を必要とする子供、若者に確実に届くようにするため、区市町村における支援体制の整備を推進する役割を担っております。
 このため、本計画策定の趣旨を踏まえ、都内全ての区市町村における子供・若者計画の策定と子供・若者支援地域協議会の設置を推進するため、関係各局等から成る東京都子供・若者支援協議会を活用し、ノウハウや情報等を提供し、区市町村を支援してまいります。

○おときた委員 ご答弁のように、結局のところ、各施策の進捗などは所管部局に管理をされており、青少年・治安対策本部が全体を統括するという権限はないわけです。区市町村の支援についても、これは本部がなければいけないのかといわれれば、そこにも再び議論が必要なところじゃないかと思います。他の委員の方からご指摘もあったように、なかなか現状うまくいっていないというところもあるようです。
 こうした総合的な計画の運営一つとっても、冒頭の議論に戻りますが、果たして青少年・治安対策本部がこのままでよいのかということは、改めて考え直さなければいけない時期に来ているのではないかと思います。
 繰り返しになりますけれど、本部というのは、特定の目的を達成するために時限的に設置されるものであり、その存続が目的になってはならないということを意見として申し上げまして、私の質問を終わります。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。

○加藤委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、総務局長から幹部職員の紹介があります。

○中西総務局長 十月二十三日付の人事異動に伴いまして就任いたしました当局の幹部職員をご紹介いたします。
 企画担当部長で首都大学調整担当部長、尖閣諸島調整担当部長及びオリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務の初宿和夫でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○加藤委員長 紹介は終わりました。

○加藤委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小暮総務部長 十月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料四点について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料第1号、総務委員会要求資料をごらんいただきたいと思います。
 まず、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、監理団体評議員会一覧でございます。
 監理団体のうち評議員会を設置している団体におきまして、評議員の属性を、一覧として一ページから九ページにかけまして掲げてございます。
 次に、一〇ページをお開きいただきたいと思います。2、監理団体における非常勤職員等数の推移(過去五年分)でございます。
 各監理団体における非常勤職員等数につきまして、平成二十二年度から二十六年度までの五カ年の状況を掲げてございます。
 恐れ入ります。一一ページをごらんいただきたいと思います。3、知事部局の障害者雇用率の推移(過去五年分)でございます。
 知事部局の障害者雇用率につきまして、平成二十二年から二十六年までの五カ年の状況を掲げてございます。
 一二ページをごらんいただきたいと存じます。4、自衛官の募集に係る事務の実施状況でございます。
 自衛官募集事務につきまして、概要及び実施状況等を掲げてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○柴崎委員 まず初めに、都庁舎のセキュリティー対策について伺います。
 都庁舎は、シティーホールとも呼ばれていますように、都民が自由に訪れることができる開かれた庁舎として建設されているため、セキュリティーの観点からはさまざまな課題があるわけです。
 そこで、我が党は、さきの第一回定例会におきまして、議会棟を含む都庁舎のセキュリティーをより強化すべきとの提言を行いました。これを受けまして、七月には来庁者への手荷物検査を試行し、十月五日からは恒久的なセキュリティー対策を実施している点は評価しております。今後、費用対効果も考慮した機械警備、具体的にはセキュリティーゲートの設置なども予定していると仄聞しております。
 十一月十三日にはフランス共和国の首都パリで起こりましたテロ、そして、トルコ共和国の首都アンカラで十月十日に起こったテロなどを考えますと、都民の皆様が安心して訪れることができる都庁舎とするためのセキュリティー対策は、ますます重要性を増していると思います。
 こうした中で、恒久的なセキュリティー対策を講じてから二カ月を経た現在、改めて都庁舎のセキュリティー強化に対する所見を伺います。

○小暮総務部長 昨今の国内外の治安情勢等を踏まえますと、テロの脅威が高まる中、来庁者の安全を確保し、都政のヘッドクオーター機能を維持するための都庁舎のセキュリティー強化は喫緊の課題であると認識いたしております。
 一方、都庁舎は、多くの都民や事業者、観光客が訪れる開かれたシティーホールでもございます。
 このため、都民サービスとセキュリティーの二つのバランス、そして費用対効果にも十分配慮しながら、都庁舎の警備体制を構築してまいります。

○柴崎委員 十月からのセキュリティー対策は、七月に実施した手荷物検査等の試行結果を踏まえて行っているということでありますが、この手荷物検査等の試行につきましては、試行時にどのような課題が判明し、それを恒久的なセキュリティー対策の中にどう反映したのか、伺いたいと思います。

○小暮総務部長 七月の試行におきましては、入庁の動線が集中いたします第一本庁舎の北側で混雑が頻発をしておりまして、来庁者の利便性を損なう状況が発生いたしました。また、来庁者からは、かばんの中を見られるといったことの抵抗感も意見として寄せられてございます。さらに、手荷物検査等は多数の人手を要しますために、恒久的な対策として実施する場合には、コスト面での課題があることも改めて明らかになったところでございます。
 そこで、民間のリスクコンサルティング会社等の知見を参考に、手荷物検査と同等の抑止効果を持つ対策として、入庁時の受け付けによる確認と防犯カメラの設置を組み合わせたセキュリティー体制を構築したものでございます。

○柴崎委員 先日のフランスなどにおける大規模なテロは、対岸の火事ではなくて、東京でも起こり得るものとして捉える必要がございます。
 テロの脅威は、我々が予期しない形で巧みに姿を変えていくと思いますが、今後、来庁者の安全をどのように確保していくのか、都の所見を伺います。

○小暮総務部長 現在、都庁舎におきましては、各フロアの特性を踏まえました警備体制の再点検を継続して行っておりまして、例えば防犯カメラを増設することにより、可能な限り警備の死角をなくす取り組みなどを検討してございます。
 今後とも、都政を取り巻く社会環境に適合した最適なセキュリティー体制を構築し、来庁者の安全を確保してまいります。

○柴崎委員 来年は、五月二十六日、そして二十七日には伊勢志摩サミットが三重県で予定されているなど、これから国際的注目が集まる会議などが日本で予定をされております。テロリストの注目も高まると思われます。考えたくないわけでありますが、テロの可能性というものを国民各自が理解する必要を認めざるを得ない情勢だと感じております。
 テロを完全に防ぐことは極めて困難だといわざるを得ません。しかしながら、都庁舎のセキュリティーを高める必要があるこの時期に、試行的に行っていた手荷物検査を再開することなども検討して、来庁される皆様の安全を最大限確保していくことに努めていただきたい、このことを申し上げまして、この質問を終わります。
 続きまして、尖閣諸島活用基金について伺います。
 最近の新聞報道によりますと、中国による海洋進出が連日のように取り上げられております。南シナ海周辺諸島への脅威となっていることはご存じのことかと思います。
 沖縄県の尖閣諸島周辺におきましても、中国公船による領海侵入が続いており、記憶に新しいところによりますと、中国海軍の情報収集艦一隻が、今月十一日から十二日にかけまして尖閣諸島南方の公海を往復航行していたということが防衛省の発表で判明しました。日本の領海や接続水域には入っておりませんが、尖閣南方地域では、このような中国軍艦の特異な航行を確認したのは初めてのことで、このような状況からも、我が国の領土、主権に関する国の取り組みがより一層重要になっているものと思います。
 都では、平成二十四年四月、尖閣諸島の購入と活用を目的とした寄附金の受け入れを開始いたしました。同年九月には、島々は国の所有になったわけでありますが、その後、都は、寄附者の志を生かすために、都議会の議決を経て、平成二十五年三月に基金として積み立て、今日に至っているわけであります。
 そこでまず、尖閣諸島活用基金の現在の残高、そして、今後、この基金をどのように活用していくのか、伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金は、確実かつ効率的な運用を行うため、六カ月の定期預金としており、残高は、直近の満期日でございます本年七月現在で十四億一千万余円でございます。
 この基金の活用につきましては、条例で、国による尖閣諸島の活用に関する取り組みのための資金とする旨を定めております。
 このため、都といたしましては、今後、国の動向を慎重に見定めながら、寄附者の志が生かせるように対応したいと考えております。

○柴崎委員 基金を活用するためには、島々の所有者である国の活用策が明らかになることを待たなければならないわけでありますが、都としても、国に対して活用に向けて働きかけていくことが重要だと思います。
 そこで、国に対して都はどのような働きかけを行っているのか、伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、尖閣諸島が排他的経済水域などの圏域確保を図る上で極めて重要な国境離島であるという認識のもと、地元漁業者のための船だまりや無線中継基地、有人の気象観測施設の設置を行うよう求めているほか、自然環境保全や地元漁業振興に向けた取り組み、尖閣諸島の史実や自然環境保全の重要性などに関して国内外へ効果的に情報発信することについても要請をしております。
 今後とも引き続き、尖閣諸島の維持保全に万全の備えを講じるよう国に求めてまいります。

○柴崎委員 国の尖閣諸島のホームページを見ますと、英語版に加えまして中国語版及び韓国語版、日本の領土などについて情報発信に力を入れていることがよくわかります。
 尖閣諸島が日本固有の領土であることは、国内はもとより、諸外国に向けてアピールしていくことは大変重要な取り組みであり、今後一層、充実強化していかなければならないと思います。
 ただ、国のホームページには、歴史的価値の高い資料が多く掲載されているものの、残念なことに、最近の島々の状況を示す新しい資料は比較的少ないように思われます。
 一方、都のホームページを見ますと、島々の国有化直前に都が実施した現地調査時の調査報告書など、新しい資料が掲載をされております。
 そこで、都の資料は、島々の近況を伝えるものとして、国が行う普及啓発活動に役立てることができると思いますが、都の見解を伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都はこれまでも、国や地元自治体であります石垣市が実施する領土、主権に関する普及啓発事業などに、都が保有いたします尖閣諸島の資料を提供するなどの協力を行ってまいりました。
 一方で、ご指摘のとおり、国の尖閣諸島に関する近年の写真は少なく、都の写真を国が活用した場合の事業効果は大きいと考えております。
 今後、尖閣諸島に関します都の資料の国における活用について、所管であります内閣官房とも調整を進めてまいります。

○柴崎委員 尖閣諸島活用基金につきましては、寄附者の志に沿う形で、一日も早く国による尖閣諸島の活用が図られ、基金を国に託す日が来ることを望んでおります。
 続きまして、公文書館についてお伺いしたいと思います。
 都の公文書館は、昭和四十三年、港区海岸に設置されて以来、東京都の重要な行政文書の保管、保存の機能を担ってきたわけであります。とりわけ東京府、東京市時代の公文書約三万四千件は、この大部分が昨年度の重要文化財に指定されるなど、東京都が果たしてきた役割を過去から未来へ着実に引き継ぐ重要な施設であります。
 施設の老朽化や狭隘化に伴いまして、平成三十一年度までに西国分寺に新しい公文書館を建設する予定になっております。現在は、世田谷区の旧都立玉川高校の校舎に仮移転中であるわけでありますが、新しい施設は、今年度、基本設計を終えまして、今後、具体的な実施設計に入ると仄聞しております。
 公文書館は、都政の歴史をひもとく重要な施設であり、行政利用のみならず、一般の都民からの関心も高いと思われます。国の公文書館についても、新しい施設の検討を行っているようであります。国民への展示、学習機能の充実などが求められているわけであります。
 アメリカやフランスの公文書館などは、展示、学習機能はかなり充実をしておりまして、多くの国民からも親しまれているとのことであります。都の公文書館につきましても、保存環境を充実していくことはもとより、特に展示、学習機能の充実を図り、都民の利便性の向上についてもしっかり検討していくべきと考えます。
 こうした中で、新公文書館建設の基本的な考え方について伺いたいと思います。

○小暮総務部長 都の公文書館は、明治期以降の公文書を所蔵しておりまして、首都東京の足跡を引き継ぐとともに、保存文書を広く公開することで、これまでの都政の評価、検証に資する重要な役割を有しております。
 新しい公文書館におきましても、こうした役割を着実に果たしていくため、資料の保存環境の充実を図りますとともに、より多くの都民の皆様に利用していただける施設としていくことを基本的な考え方としてございます。
 具体的には、開館後向こう三十年先を見据えました収容能力を確保する、あるいは文書の保存に最適な温湿度管理が可能な施設としてまいりたいと思います。さらに、お話の重要文化財の展示につきましても可能な環境を整備するほか、東京の歴史を体感できる場を提供するなど、展示、学習機能の充実を図りまして、利便性を向上してまいります。

○柴崎委員 保存資料のデジタルアーカイブ化など、情報発信の強化の取り組みも重要だと思います。そうしたソフト面の取り組みにつきましても、しっかりと取り組んでいただくことを期待いたしております。
 隣接地には、平成二十九年一月、一足先に都立多摩図書館が移転をし、新設される予定であります。さらに、都立武蔵国分寺公園とも隣接しているわけであります。こうした周辺の施設とも連携を図り、調和のとれた施設にすることは非常に重要だと思います。
 周辺住民や地元自治体、国分寺市の意向も十分に踏まえながら、多くの利用者に親しまれる施設としていくことが必要と考えますが、ご見解を伺います。

○小暮総務部長 お話しのように、建設予定地は、都立多摩図書館、都立武蔵国分寺公園に隣接しておりまして、周辺施設との連携を図っていくことが重要でございます。
 都立多摩図書館とは、案内サインの統一を図るなど地域との調和を図るとともに、今後、企画展の共同開催等の効果的な連携の取り組みについて検討をしてまいります。また、都立公園を含めまして周辺施設と連携いたしまして、防災拠点としての機能も果たせるよう、検討、調整を進めてまいります。
 これら周辺施設との調和を図りながら、公文書館の機能を十分に果たすことを目指しまして、森の中の知の泉、こういうコンセプトによりまして、多くの都民の皆様に親しまれる施設としてまいりたいと考えております。
 今後、住民説明会などを通じまして都民の皆様のご意見を伺うとともに、地元国分寺市とも十分に連携をしながら、新しい公文書館の建設に向け、着実に事業を推進してまいります。

○柴崎委員 基本コンセプトは、森の中の知の泉ということだそうです。今、ご答弁をいただきました。緑豊かな多摩地域に都政の情報が湧き出るという、公文書館にふさわしい、すばらしいイメージだと思います。国分寺は湧水で有名な場所でもありまして、所在地も泉町ということから、地域に親しまれるキャッチフレーズになればと思っております。
 いずれにいたしましても、住民説明会も予定されているとのことでありますので、地元の住民の皆様の意見にしっかり耳を傾けていただいて、地元自治体とも十分連携を図りながら、利用者に親しまれる施設になってほしいと思います。
 また、国分寺市では、国分寺消防署の老朽化に伴い、泉町を候補地として移転の検討を進めると仄聞いたしております。周辺施設が連携、協力して防災機能を高めていくことを期待しております。
 特に内装につきましては、多摩産材を積極的に活用していただいて、木のぬくもりを感じることのできる、そんな空間にしていただくことを要望いたします。
 それでは、次の質問に入ります。
 東日本大震災発生から四年八カ月が経過をいたしました。都はこれまで、被災地のニーズを把握し、延べ約三万人を超える職員を派遣するなど、真に必要とされる支援を通じて復興を後押しして、地方自治体のリーダーとしての役割を果たしてきたと評価しております。
 被災地の復興は着実に進展し、津波被害の大きかった地域では復興まちづくりの事業等が急ピッチで進められ、沿岸部では山から切り出された土砂による巨大な盛り土が施されたり、工事の進捗率が約半分に達したと仄聞いたしております。
 まちづくりの土台づくりが進む一方、被災者の生活再建や人口流出など多くの課題が壁となっているようでございます。もとのようなにぎわいのあるまちづくりへの道筋は、なかなか見えてこない、これが現実のようであります。また、多くの方々が応急仮設住宅での生活を余儀なくされておりまして、厳しい状況が続いております。被災地の人たちは、まだまだ震災以前の生活に戻れていないと思います。
 こうした中で、現在の被災地の復興状況について伺います。

○菊地復興支援対策部長 被災地では、インフラの復興事業はピークを迎えているものの、住まいの確保について見ますと、被災三県の災害公営住宅の整備が完了した戸数は、計画戸数のまだ四割以下であるなど、完了まで相当な規模が残っております。
 産業の復旧、復興状況では、国が六月に被災地の中小企業等に実施した調査によりますと、売上状況が震災直前の水準に回復していないと回答した企業の割合は、卸、小売、サービス業、製造業、旅館、ホテル業で約六割、最も高い水産加工業では約七割などと、被災地の産業は依然として厳しい状況でございます。
 また、被災地全体で約十九万人の被災者が今なお避難生活を送っております。
 このように、被災地の復興はいまだ道半ばといわざるを得ず、被災地は全国からの支援を必要としている状況でございます。

○柴崎委員 被災地の状況がいまだ道半ばである以上、支援を継続していくことが必要であると思います。
 しかし、九月に被災県の市町村を対象に行った新聞社の調査によれば、四十二市町村のうち九割の自治体が風化を感じているというふうに回答したことが大きく報道されました。私自身も、町会や地元企業の方々と懇談する中で、以前よりも震災が話題になることも少なくなっていると感じております。
 震災記憶が風化すると、人々の被災地への関心や支援の意識が薄れ、それがひいては復興の停滞につながっていくおそれもあるのではないかと思います。
 都のこれまでの震災記憶の風化防止への取り組みについてお伺いいたします。

○菊地復興支援対策部長 都は、被災地の現状や復興の取り組みを都民に正確に伝え、より多くの都民の方に支援の継続を呼びかけていくことは極めて重要でございます。
 そのため、風化防止の取り組みとして、これまで都は、ホームページ、ツイッターなどさまざまな手法を通じて、被災地の被害状況、復興に向けた取り組み等を都民に伝えてまいりました。
 また、被災地で支援活動を行ってまいりましたアスリートによるトークショーや、毎年開催している復興フォーラムにおいて、被災県と協力し、都民に震災の風化防止と継続的な支援を呼びかけてまいりました。

○柴崎委員 復興五輪を掲げる都にとりましては、被災地の復興はオリンピック成功の大前提でありまして、復興が停滞するようなことがあってはならないと思います。
 インフラ復旧は喫緊の課題でありますが、被災地で人々が生活を再建していくことには、観光や農林水産業等の回復が被災地の復興に必要であると思います。例えば、被災地への観光や被災県産食材の購買など、都民の支援が集まれば大きな復興支援のうねりになると思います。
 震災風化防止の取り組みは重要であるし、被災地復興には都民の理解と協力が欠かせないものであると思います。復興を停滞させないためにも、都は、復興途上にある被災地の状況を受けとめて、震災の記憶の風化防止に力を入れていくべきであると考えます。
 都は、風化防止について今後どのような取り組みを行っていくのか、伺います。

○菊地復興支援対策部長 先ほど答弁申し上げましたこれまでの取り組みに加え、年明けに、風化防止の取り組みをさらに推進するため、都主催による風化防止イベントを実施する予定でございます。
 イベントでは、語り部による講話やパネル展で、都民が忘れかけている震災当時の状況と、現在の復興はいまだ道半ばである状況を強く発信するとともに、著名人による支援の呼びかけや観光、県産物のPRを行ってまいります。
 都は、震災五年目の節目に、イベントを通じて被災地の支援に対する都民の理解と協力をさらに広げるとともに、今後も被災地の人々を励まし、勇気づけ、被災地復興を後押ししてまいります。

○柴崎委員 ぜひとも多くの都民に復興の現状を伝え、いまだ復興途上にある被災地をぜひ応援していってほしいということを強く要望いたします。
 それでは、次の質問に移ります。
 続きまして、小笠原の交通アクセスの改善、特に航空路の開設について伺いたいと思います。
 昭和四十三年に我が国に復帰いたしました小笠原諸島は、特別措置法のもと、復興、振興開発が進められ、生活基盤が重点的に整備をされてきましたが、依然として課題は山積いたしております。
 こうした課題の解決に向け、都は昨年十二月に小笠原諸島振興開発計画を策定いたしましたが、この計画の中で、交通アクセスは小笠原村の最重要課題とうたっております。改善に向けた取り組みを着実に進めていく必要があると思います。
 航路につきましては、本土と父島を結ぶ「おがさわら丸」、そして、父島と母島を結ぶ「ははじま丸」、これが来年度には新造船の就航を目指して順調に準備が進んでいるとのことであります。
 しかし、本土と父島との交通アクセスは、原則、週に一往復の航路に限られておりまして、復帰当時から多くの島民が期待をしておる航空路の開設は、民生の安定と産業振興を進める上で極めて重要であると思いますが、いまだ実現に至っておりません。
 そこでまず、小笠原の交通アクセスの改善の必要につきまして、改めて都の認識を伺います。

○佐々木多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 本土から一千キロメートル離れた小笠原諸島への交通アクセスの改善は、島民生活の安定と産業振興を図る上で重要でございます。
 航路につきましては、来年七月の就航を目指して、新たな「おがさわら丸」と「ははじま丸」の建造が進んでおり、その就航により、運航時間の短縮及び船内の快適性向上が図られることになります。
 一方、航空路の開設につきましても、村民の長年にわたる切なる願いであることを強く認識しております。
 そのため、都といたしましては、振興開発計画において、交通アクセスは小笠原村の最重要課題であると位置づけ、航空路の開設について調査検討を進めているところでございます。

○柴崎委員 航路に関しましては、我が党の取り組みによりまして、来年七月、新造船が就航し、利便性や快適性が高まることになりました。このことにつきましては、都議会自民党といたしましても大変評価をしているところでありますが、航路による時間の短縮には限界があります。
 一方、答弁にありましたように、航空路の開設は、村民の長年にわたる切なる願いでもあるわけであります。航空路の開設につきましては、先ほど申し上げました振興開発計画においても、関係者間の円滑な合意形成を図るため、パブリックインボルブメントの実施に向けた調査検討を引き続き実施するとしております。
 そこで、現在の小笠原航空路の開設に関する検討状況、そして、課題につきまして伺います。

○佐々木多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 現在、小笠原航空路につきましては、洲崎地区活用案、硫黄島活用案、水上航空機案の三案を中心に調査検討を実施してございます。
 一方で、航空路の開設に当たりましては、自然環境への影響を初め、費用対効果、運航採算性など、さまざまな課題がございます。
 こうしたさまざまな課題の解決に向けた調査を行うとともに、小笠原村などの関係機関と実務的な検討や情報共有を行っているところでございます。

○柴崎委員 小笠原村等の関係機関との情報共有を行っている答弁が今あったわけですが、こうした場を持って、都が関係機関と実務的な検討を着実に進めていることは評価をしたいと思います。
 また、ただいまの答弁で、航空路開設の検討に当たって調査を実施しているとのことでありますが、航空路の調査では具体的にどのようなことを行っているのか、伺います。

○佐々木多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 小笠原航空路の検討に当たりましては、小笠原諸島の振興を総合的に推進する総務局と空港整備を専門的に行う港湾局が役割分担をし、相互連携のもとで検討を推進してございます。
 具体的な調査内容につきましては、総務局では、航空路を開設する上で必要な手続となるパブリックインボルブメントの円滑な実施に向けた調査を行ってございます。また、航空機自体に関する最新の技術開発動向や、運航採算性の検証に関する需要予測などを実施してございます。
 一方、港湾局では、主に空港施設の配置や規模等の検討、自然環境に関する現況調査や保全対策の検討、気象、海象観測調査などを実施しております。
 今後とも、航空路の開設に必要な調査検討を行ってまいります。

○柴崎委員 航空路開設に必要な調査をこれまで実施していることは理解できました。今後とも、航空路開設に向けた調査をしっかりと行うとともに、小笠原村を初めとして、国の関係省庁など関係機関と広く情報共有や連携を図っていくことを強く要望いたします。
 小笠原諸島は、平成二十三年六月に世界自然遺産に登録されたことからも明らかなとおり、多くの固有種、希少種が生息、育成をしております。世界的にも貴重で、かけがえのない自然の宝庫であることから、特に自然環境への影響につきましては十分な調査が必要であることは認識いたしております。
 一方、緊急時におきましては、自衛隊の航空機による本土への搬送が行われております。村民は、よほど重篤な事態でなければ利用することができないわけであります。また、出産に当たりましても、長時間移動のリスクを回避する観点から、妊娠八カ月の時点で上京せざるを得ないことや、高齢者等が通院による上京をする際、約十日間を要することなど、いずれの事例におきましても内地での長期滞在が余儀なくされ、精神的、経済的な負担も大きいわけであります。
 村民の安全・安心を守る観点から、もう一点申し上げれば、小笠原諸島は、昨年度、中国漁船による違法操業問題では、国境離島としての存在価値も大きくクローズアップをされてまいりました。本土から千キロメートル離れた小笠原に航空路が開設されていれば、こうした事態や不法上陸等の事案に機動的な対応を可能にすることとともに、違法操業を未然に防ぐことも抑止的効果として期待できるわけであります。
 このように、航空路の開設は、村民の安全・安心感を高めることにつながるとともに、広く国防の面からも貢献するものと考えております。航空路の開設に向けた検討を一層真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、小笠原の航空路開設につきまして、局長の決意を伺います。

○中西総務局長 小笠原におけます航空路の開設は、島民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要であるとともに、村民の長年にわたる切なる願いであることを強く認識してございます。
 一方で、航空路の開設に当たりましては、自然環境への影響を初め、費用対効果、運航採算性などさまざまな課題がございます。このため、国や小笠原村など関係機関との調整を丁寧に行いながら、自然環境の保全と両立する航空路案が取りまとめられるよう、最新の技術開発動向などを含め、幅広く課題の整理、検討を実施してまいります。
 今後とも、島民生活の安定と産業振興を図り、国境離島である小笠原諸島の自立的発展を目指して、積極的に課題解決に取り組んでまいります。

○柴崎委員 ただいま局長からご答弁をいただきました、小笠原航空路の開設に向けた検討についてであります。
 この航空路開設に当たりましては、自然環境への影響を初め、さまざまな課題があると認識をしておりますが、技術開発は日進月歩で進んでいるということから、最新の技術開発動向にも注視しながら、これまでの三案に必ずしも縛られることなく、幅広く柔軟な視点を持って、小笠原村、国、都が緊密に連携を行いながら、航空路開設に向けて検討を深めていただきたいと思います。
 小笠原村は、三年後の平成三十年、これが復帰五十周年を迎えるわけであります。国政においては、ことし九月に、自由民主党の有志議員による小笠原を応援する会が結成されました。小笠原航空路の早期開設を初め、安倍総理に要望を行っているわけであります。
 一方、小笠原村からは、復帰五十周年を迎えるまでに、ぜひ航空路開設の方向性を見出してほしいと切なる声を伺っております。
 都も、こうしたさまざまな声を真摯に受けとめていただき、今後の検討に全力を傾けていただくよう強く要望いたしまして、質問を終えます。

○加藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十八分休憩

   午後三時四分開議

○加藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○まつば委員 柴崎副委員長より質疑もございましたが、私からも、都庁舎における警備強化に関して何点か質問をいたします。
 私は、都議会棟に入るときに、一階の防災センターがある入り口を主に利用して十年になります。この間、利用する一人としてさまざまなことを感じてまいりましたし、心配もしたこともありますし、所管の総務局に要望を申し上げたこともございます。それはなぜかと申しますと、都庁舎を利用する方々の安全を確保する重要な役割を担っていただいているのが、警備に従事をされている部署であり、方だからであります。
 来庁者の方の顔を見て、目を見て、声をかける、挨拶をする。それが悪意がある来庁者を見分けるためにも重要であると思っております。また、訪れた方の都庁に対する第一印象にもなるといったこともあるかと思います。顔を見て、目を見て、声をかけて挨拶をする。これは、私が最も大事だと思っていることでございます。
 十月五日から警備が強化をされました。大きく変わったわけであります。警備の強化は、来庁者の安全・安心を確保することが第一の目的であることはいうまでもありません。安全・安心のため、不審者等のチェックをシステムとしてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 安全・安心は、都民の皆様、観光客の皆様に対する最も大事なおもてなしであるというふうに思います。その上で、警備に当たられる際には、お客様をお迎えしているとの意識も持って、その業務に当たっていただくことも重要であると思っております。
 十月五日からの警備強化に当たりまして、接遇などの都民サービスの視点からは、どのような考え方で警備強化に取り組んでいるのか、質問をまずいたします。

○小暮総務部長 都庁舎の警備強化と来庁者への接遇についてでございます。
 都庁舎は、多くの都民や観光客が訪れる開かれたシティーホールでございます。このため、今回の警備強化では、都民が利用する施設が集中いたします一階、二階は、基本的にフリーゾーンとして自由に出入りできるようにするなど、都民サービスとセキュリティーのバランスに十分配慮をいたしました。
 また、警備業務は、都民の皆さんと接する機会が多い業務ということもありますので、庁舎の案内等を行う際には適切な接遇が必要であるというふうに考えてございまして、巡回警備、定点警備などの警備業務の内容に応じましたきめ細かな接遇に努めているところでございます。

○まつば委員 今のご答弁で、フリーゾーンというお話がございました。都庁舎の一、二階は基本的にフリーゾーンということでございますけれども、都議会棟で考えてみますと、一階には都政ギャラリーがありまして、また都民ホールがあります。また、観光客の皆様がよく一階のトイレを利用されている姿も多く私も拝見しております。
 政策企画局の質疑の際にも申し上げましたけれども、このトイレが、まだ和式が随分ございまして、この洋式化も図っていくことも大事でしょうし、またトイレの使い方等も、日本語だけしか表示がございませんので、英語や中国語やといった多言語対応の重要性につきましても指摘をしたところでございます。
 このフリーゾーンに案内板のようなものをこれからも設置することもあるかと思いますけれども、そうしたときにも、日本語だけではなくて英語等、多言語対応していただくことも、二〇二〇年を目指して大切ではないかとも思っております。
 この議会棟一階というのは、そうした意味で、大変に多くの都民の皆様、観光客の皆様が利用されているわけであります。この来庁者の皆様に安心して気持ちよく施設を利用していただくため、警備業務における接遇向上に向けて、今後どのように取り組みを進めていくのか、質問をいたします。

○小暮総務部長 来庁者の皆様に安心して気持ちよく都庁舎の施設を利用していただくために、警備業務におけます接遇向上は重要でございます。
 このため、都は、警備会社に対しまして、警備業務の技能向上とあわせまして、接遇向上のための訓練あるいは教育などに継続して取り組むことを求めております。警備会社では、接遇に重点を置いた教育、研修を実施しているところでございます。
 今後とも、都庁舎の警備員としてふさわしい都民サービスあるいは接遇能力の向上のため、適宜必要な指導を行ってまいります。

○まつば委員 来年十月には、この議会棟一階には保育所も開設をされるということでございます。また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを控えて、都庁舎への来庁者はますますふえることも予想されるわけであります。そうした意味では、安全の確保ということ、また都民サービスという二つのバランスの上で、課題も多いとは思いますけれども、こうしたさまざまな変化の中で、警備のあり方、やり方、仕方については検証をし続けていただくということが大事かと思っております。
 今後とも、都民の皆様が安心して利用できる都庁舎となるよう取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次は、防災対策について質問をいたします。
 私は、防災対策について、たびたび議会の中で質問をさせていただいてまいりました。東京都防災会議に女性委員の登用ということも議会で発言をし、実現していただきました。また、要配慮者の方々への支援、帰宅困難者対策など、さまざまな視点から質疑をしてまいりました。それは、一千五百五十万人の昼間人口を抱える首都東京において、都民の安全・安心を確保することは都の基本的な使命であり、防災対策は都政の最重要課題だと考えているからであります。
 都は、先日の十一月十九日を備蓄の日として、家庭での備蓄を推進しているわけでございますが、その考え方と備蓄促進の取り組みについて、まずお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 首都直下地震等の大規模災害が発生した場合、物流が麻痺して、食料品や生活必需品が入手困難となるおそれがございます。こういった状況の中で、自宅の倒壊等を免れた多くの住民は、自宅にとどまって生活することとなります。
 このような事態に備えまして、都は、ふだんの生活で使っている食料品や生活必需品を少し多目に備えておく日常備蓄という考え方を示しまして、十一月十九日を備蓄の日として備蓄状況を確認してもらう日とするなど、家庭での備蓄を促進する取り組みを展開してございます。
 引き続き、都民一人一人が自助による災害に備えるという機運を醸成していくよう、効果的な普及啓発を進めてまいります。

○まつば委員 十一月十九日ですけど、一年に一回は備蓄の日というようなことだというふうに伺っておりまして、一年に一回はきちっと備蓄を見直すというのは、大変意義がある取り組みだというふうに思っております。
 特に日常備蓄の考え方ということですけれども、この九月から配布をされた「東京防災」の中にも詳しく出ているわけですが、こうしたことを通して、都民にも周知をさらにしていただきたいと思っております。
 この「東京防災」でありますけれども、今やろうというキーワードもありまして、災害に備えて都民みずからがなすべき対応について丁寧にわかりやすく記載をしているものであると思っておりますし、また、都民の皆様から役に立つとのお声も私も多く聞いておりまして、高く評価をさせていただいているところでございます。
 都議会公明党は、さきの平成二十七年第一回定例会の総務委員会においても高倉議員から質問いたしましたけれども、防災対策を進める上で、女性や高齢者、ペットとの同行避難等も含めた動物愛護の視点などを踏まえる重要性を一貫して訴えてきたところでございます。このような視点に基づいて、この対策といいますものは、この「東京防災」の中に、現状の中でのポイントとして示されていると理解をいたしております。この「東京防災」が、都の進める取り組みの情報発信の最大の軸として進めていただきたいと思っております。
 昨日も杉並区の総合震災訓練があったわけですけれども、区市町村、さまざまな独自の取り組みもしているところであります。例えば、杉並区の獣医師会のブースを昨日拝見いたしましたけれども、震災時には負傷動物救援所というのを五カ所設置するという、そういう準備もしておりまして、そういった意味では、それぞれ各区市で工夫をしているということもございます。
 そうした意味では、「東京防災」を手にとって読んでいただいた都民の方々が、防災ということに関心を持っていただいた。その方々が、さらにより深く参考になる情報というものが欲しいんだといったときに、その情報を発信すること。また、今後さらに、新たに課題というものが見つかる場合もあります。そういった新しい課題に対応。また、最新技術というものを取り入れた取り組みに、この防災の対策がシフトすることもあると思います。そうした意味では、こうした新たな取り組みということも含めて、逐次情報を発信していく必要があると思います。
 そこで、「東京防災」というものを踏まえて軸にしながら、こうした都が持つさまざまな情報について、防災ホームページやSNSを最大限活用して広く発信していくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○矢岡総合防災部長 災害対策の情報を発信していくことは、都全体の災害対応力を高める上で重要でございます。
 そのため、防災の指針となるよう作成し、都内に配布をいたしました「東京防災」は、できるだけ多くの方に活用いただけるよう周知を進めてございます。
 また、広く都民の皆様に理解を深めていただきたい防災情報等は、防災ホームページにおいて参考となるホームページ等を紹介することや、発災時におけるツイッターなどを活用し発信していくことで、防災対応力の向上につなげていくよう努めてまいります。

○まつば委員 ただいまのご答弁で、防災ホームページにおいて参考となるホームページの紹介や、また、ツイッターの活用ということで情報発信をされていくというご答弁でございましたけれども、今後の取り組みに期待させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、帰宅困難者対策についてお伺いをしたいと思います。
 首都直下地震が発生した際、人口の密集する東京で、とりわけ大きな問題となるのが帰宅困難者への対策でございます。東日本大震災のときにも、この帰宅困難者の方が多く発生をしまして、その経験を東京はいたしたわけであります。
 こうしたことを通しまして、二〇一二年には、我が党の五都県の女性議員で、女性の視点で帰宅困難者対策について提言を国に対して行いました。それは、帰宅困難者対策というのは、国や近県との協力というのが非常に重要だというふうに考えた上で行ったわけであります。
 その中で、特に要援護者の方の支援や一時滞在施設の確保といったことを取り上げさせていただきました。中でも、行き場のない帰宅困難者の方は九十二万人にも及ぶと予測されておりまして、それらの方々を受け入れる一時滞在施設の確保というのは大事な課題となっております。
 これに対して、都は、施設所有者の賠償責任に係る問題の解決といった、大きな課題ですけれども、そうしたことを働きかけるなど、帰宅困難者対策をめぐる諸課題について、国とさまざまな協議、調整を行っていると伺っております。
 そこで、帰宅困難者対策に関して、これまで国とどのような協議、調整を行ってきたのか、お伺いいたします。

○小久保防災対策担当部長 東日本大震災における教訓を踏まえ、都は、国や事業者団体とともに協議会を設置し、帰宅困難者対策の課題について、官民横断的に議論を重ねてまいりました。
 さらに本年二月には、その後継となる首都直下地震帰宅困難者等対策連絡調整会議において、一時滞在施設の確保及び運営のガイドラインを改定し、法制度整備に向けた当面の対応策等を整理したところでございます。
 また、本年一月、一時滞在施設の確保促進等について検討するため、内閣府とともに、首都直下地震対策に関する合同検討チーム、帰宅困難者対策分科会を設置いたしました。現在まで計十三回にわたる会議を開催し、一時滞在施設の事業者面積に係る法整備や、国施設を活用した一時滞在施設の拡大について、都から国に対し強力に働きかけるなど、精力的な協議を行っております。

○まつば委員 ぜひ今後とも都の考えを国に強く働きかけていただきまして、一時滞在施設の確保等に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 さて、帰宅困難者対策におきまして重要なのは、障害がある方、また高齢者の方、要配慮者への対応であるというふうに思っております。都では、東京湾北部地震による要配慮者の死者数は、実に約五千人に上ると想定をしております。大変な数字であります。対策の強化が必要であるわけです。
 当然ながら、災害時に発生する行き場のない帰宅困難者の中に、要配慮者の方が相当数含まれることも考えられるわけであります。被災時に、こうした要配慮者の方が一時滞在施設に安心して安全にとどまることができるような十分な支援策を講じることが重要であると考えます。
 そこで、都は、一時滞在施設において要配慮者へどのような対応を行っているのか、お伺いいたします。

○小久保防災対策担当部長 一時滞在施設の運営において、要配慮者への支援は重要と認識しております。特に、大きな割合を占める民間一時滞在施設において、要配慮者への支援が行き届くことが必要でございます。
 このため、一時滞在施設の確保及び運営のガイドラインの中で、要配慮者への優先スペースの確保や、一時滞在施設から緊急に避難が必要となった場合の具体的な誘導方法の検討など、要配慮者への対応について明記し、事業者に協力を促しております。
 また、一時滞在施設の提供を予定する企業等へのアドバイザー派遣事業においても、本ガイドラインに基づき、一時滞在施設の開設、運営に当たり、障害のある人にもわかりやすい案内表示の使用など、要配慮者への具体的な支援方法について助言しているところでございます。

○まつば委員 要配慮者の支援に向けまして、都が取り組みを着実に進めていることは理解いたしました。
 しかし、発災から四日目以降、混乱が収拾したといたしましても、一時滞在施設から帰宅する際にも、移動手段や安全の確保など、要配慮者の方はさまざまな困難に直面することになるというふうに思うわけであります。これを心配して、要配慮者のご家族の方が、本人の無事な帰宅のために、危険を顧みずに迎えに出てこられるというのは当然のお気持ちだと思います。そうしたことを考慮しますと、要配慮者の方の帰宅支援もまた重要な課題だというふうに思っております。
 そこで、要配慮者の帰宅支援について、都はどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○小久保防災対策担当部長 要配慮者を一時滞在施設から安全に帰宅させることは重要な課題と考えております。
 このため、都では、地域防災計画において、徒歩帰宅が困難な要配慮者のために、バスや船舶などの代替輸送手段を確保する旨規定するなど、必要な支援を行うこととしております。
 また、帰宅支援に係る具体的な手順を確認するため、本年二月に実施した豊島区と合同の帰宅困難者対策訓練では、バスによる要配慮者のさいたま市への搬送を行いました。
 要配慮者に対する帰宅支援は、輸送手段や受け入れ体制の確保など広域的な連携が必要な課題であり、今後、国や他県との協議、調整を進めていきたいと考えております。

○まつば委員 ぜひ具体的な検討を進めていただきたいと思います。
 要配慮者の方の中でも障害がある方については、その障害の程度や状況が個人によって異なり、それを他者が容易には確認できないという面があるため、特にきめ細かい対応が必要であると考えております。
 例えば、危険が差し迫っていること自体を察知できなかったり、また、パニックで動けなくなったり、集団の中で極度のストレス状態に陥るなど、想定外の行動をとってしまうことも考えなければならないと思います。
 そうした中で、都は平成二十四年から、障害がある方が災害を初めとする緊急的な状況に直面したときに備えて、ヘルプマークやヘルプカードの整備を推進しております。これらは、障害がある方が常時携帯をされております。
 ヘルプカードには、障害の特性や必要な支援の内容、緊急連絡先などが書かれており、この提示によりまして、周囲の人より必要な支援をお受けいただくことができるというふうになっておりまして、災害時に非常に有効に活用できるものと考えております。
 実際、私も、特別支援学校を卒業されて社会人として通勤されているお子さんの親御さんからご要望をいただきました。
 それはどういうことかといいますと、ヘルプカードを持っていても、自分から周囲の方にカードを見せて支援を求めるのは、やはり難しいということがあるようであります。お母様としては、お子さんに、何かあったときには、この同じマークがあるところに行けばいいんだよというふうに教えてあげたいというふうにお話をされていました。ですので、帰宅支援ステーション、キタクちゃんですか、あのマークがありますけれども、その横にヘルプカードやヘルプマークのステッカーを掲示していただき、障害がある子供たちへそうした支援ができるような体制をとっていただきたい、そういう強い要望をお伺いしております。
 帰宅支援ステーションは民間事業者が中心でありますし、また、それぞれ開設するコンビニエンスストアやカラオケボックスにおいて、災害時に要配慮者を支援する体制が整わないといった課題もあるかとは思います。
 そこで、まずはですけれど、災害時に帰宅困難者となった障害がある方などが待機する一時滞在施設において、その意思疎通にヘルプマークやヘルプカードを最大限活用すべきであるというふうに考えます。
 一時滞在施設におけるヘルプマークやヘルプカードを活用した障害がある方への支援について、都の見解を伺います。

○小久保防災対策担当部長 一時滞在施設の運営において、多様な障害者に対するきめ細かな支援は重要でございます。ご提案いただいたヘルプマークやヘルプカードの活用は、その円滑な実施に大変有効な方法と考えます。
 都としても、一時滞在施設の確保及び運営のガイドラインや、平成二十五年四月に作成した都立一時滞在施設の運営マニュアルにおいて、障害者が必要な支援や配慮を受けるに当たり、ヘルプカードの活用が考えられることを例として施設管理者へ示しております。
 また、事業者等に広く配布している帰宅困難者対策ハンドブックにおいても、障害者がヘルプカードを使用する場合があることを知っておくよう呼びかけているところでございます。
 今後とも、都立施設、民間施設を問わず、ヘルプマーク等を最大限活用した効果的な支援が拡大するよう、関係機関とも連携しながら検討を進めてまいります。(「検討じゃ、やるのかやらないのかわからない。検討、やるのか」と呼ぶ者あり)検討を進めてまいります。

○まつば委員 ぜひともこれは、検討ではなくて、速やかにやっていただきたいというふうに思っております。(「賛成」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 繰り返しになりますけれども、やはり帰宅支援ステーション、コンビニエンスストアや、さまざま民間事業者の方からご協力をいただいているということはよくわかります。
 このヘルプマーク、ヘルプカード、都民の方に周知を、今、東京都も一生懸命していただいています。その上で、この周知をして、近くにいる都民の方が提示をされて気がついてということもあるわけですけれども、お隣の方に提示をするということも、やはり困難が伴うということも現実的にはあるようでありますし、まずは同じマークがあるところに行けばいいんだよと、こう教えてあげたいという、そういう保護者の方の思いというのも受けとめていただいて、ぜひとも、まずは一時滞在施設をしっかりやっていただいて、さらには、こうした帰宅支援ステーションについてもご検討をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○徳留委員 総務局の事務事業の一つである障害者雇用について質問いたします。
 来年四月から改正障害者雇用促進法が施行されます。その中心は、雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置、すなわち合理的配慮の提供義務を定めるとともに、障害者の雇用に関する状況に鑑み、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える等の措置を講ずるとなっています。
 この改定法に基づく都の取り組みは具体的にどうなるのかについて伺うとともに、障害者団体など関係者から強く要望されている障害者雇用の拡大に関連して、都の長期ビジョンや今年度から始まった第四期東京都障害福祉計画に掲げられた障害者雇用の目標とその達成に向けた取り組みに関連して質問します。
 最初の質問は、来年四月一日から施行の改正障害者雇用促進法にかかわって、都における障害者雇用の今後の取り組みはどのように影響を受けていくのかについてお伺いします。

○内藤次長 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正によりまして、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置として、合理的配慮の提供義務が定められております。
 これによりまして、平成二十八年四月一日以降、都におきましても、採用時及び採用後におきまして、障害者からの申告に基づき、支障を改善するための合理的配慮を適切に講じることが求められることになった次第でございます。

○徳留委員 改正障害者雇用促進法の施行によって、一層の障害者雇用の拡大とともに、障害者にとって働きやすい職場環境の一層の改善が求められることになるということだと思います。まさにノーマライゼーションの社会のあり方への改善が問われるということになるものと思います。
 そこで伺いますが、平成二十二年から平成二十六年までの最近五年間の知事部局の障害者雇用率の実績、到達状況はどうなっているでしょうか。

○内藤次長 平成二十二年から二十六年までの五年間の知事部局におきます障害者雇用率は、順に平成二十二年が二・九四%、二十三年が二・五九%、二十四年が二・六〇%、二十五年が二・六五%、そして二十六年が二・六一%となってございます。これら過去五年間の障害者雇用率は、いずれも国が定めます地方公共団体が達成すべき障害者雇用率二・三%を大きく上回っているものでございます。
 また、障害者雇用数につきましても、平成二十二年の五百八十一名から平成二十六年は六百二十名に増加しているところでございます。

○徳留委員 障害者の法定雇用率は、確かに二・三%ですから、それは上回っております。障害者雇用実数も最近五年間で増加傾向にあり、その努力は評価したいと思います。
 しかし、都の最近の五年間の事業目標は、ずっと三%を掲げながら未達成になっています。この三%目標に対してどうだったのかが、今、取り組みの総括の基準になるべきではないかと思います。
 三月の第四期東京都障害福祉計画の案へのパブリックコメントでは、何年か前は三%を超えており、四%を目標とすべきと期待する意見も寄せられています。現状に甘んじることなく、改正法あるいは第四期障害福祉計画の具体化の中で、より積極的な障害者雇用の拡大に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで質問ですが、二〇一〇年、平成二十二年以降の五年間、都が目標値として定める知事部局内の障害者雇用率三%の目標は未達成のままであるとともに、達成率で見ると、わずかながら低下傾向にあることをどのように要因を分析しているのでしょうか。また、今後の都の目標達成に向けた取り組みの具体化についてお伺いします。

○内藤次長 都におきましては、障害者雇用について、昭和五十六年度に都における身体障害者採用の基本方針を策定して以来、法定雇用率を上回る障害者雇用率三%を目標とし、都独自のチャレンジ雇用や身体障害者特別選考を活用しながら、障害者雇用の確保に努めてまいりました。
 本年四月、障害者がその適性と能力に応じて公務につく機会を保障するとともに、企業等に対する指導的役割を果たすため、第四期東京都障害福祉計画におきましても、障害者雇用率三%を改めて目標として設定し、障害者雇用の確保に取り組んでいるところでございます。
 知事部局の障害者雇用率につきましては、平成二十二年以降、三%を下回っているところでございますが、これは主として、障害者雇用率の算定対象の適用範囲の変更の影響によるものと認識してございます。
 一方で、障害者雇用数につきましては、六百名を超える規模にまで増加してきており、障害者雇用率三%を超えていた平成二十一年度を上回る規模の雇用を確保しているところでございます。
 引き続き、三%の目標達成に向けて、関係各局と連携いたしまして、障害者雇用の確保に努めてまいりたいと考えております。

○徳留委員 法定雇用率二・三%を達成することは、地方公共団体としては当然であると思います。問題は、一貫して掲げている目標の障害者雇用率三%、実数でいえば約七百人ぐらいだと聞いておりますけれども、どうやって達成して、さらに引き上げていくかということではないかと思います。
 同じ地方公共団体でも、平成二十六年、二〇一四年の厚生労働省の資料によりますと、障害者雇用率が、大きな府県である神奈川県では三・四九%、大阪府では三・五六%、福岡県では三・四五%であり、三%を超えており、未達成あるいは雇用率の低下傾向の理由に、障害者雇用の対象者がふえているということをしてはならないのではないかと思います。
 最大の地方公共団体である東京都の目標達成に向けた努力は、全国の牽引者としての役割を果たして、地方公共団体にも民間企業にも、障害者雇用の拡大にとって率先垂範の役割を果たして大きな影響を与えるものと思います。
 関係各局と連携して障害者雇用の確保に努めるということでしたが、来年度予算の見積もり段階で、福祉保健局の障害者施策の推進分野では、都庁における知的障害者、精神障害者が非常勤職員や短期実習生として就労経験を積む機会を提供することで一般企業への就労を支援する東京チャレンジオフィスの運営を、新規事業として増額の要求がされていると聞いております。ぜひ三%の目標達成に向けて、チャレンジ雇用の思い切った拡大で障害者雇用の機会を拡大する取り組みを強化してほしいと要望しておきます。
 次に、都独自の取り組みであるチャレンジ雇用と身体障害者特別選考の最近の五年間の実際はどうなっているのかについてお伺いをいたします。

○内藤次長 平成二十二年から二十六年までの五年間の知事部局におきますチャレンジ雇用の実績は、累計で臨時職員百三十五名、非常勤職員十二名となってございます。
 一方、平成二十二年から二十六年までの身体障害者特別選考におきましては、累計で百四名を採用させていただいているところでございます。

○徳留委員 障害者雇用に当たっては、試験全般にわたってさまざまな配慮が必要であることは当然だと思います。障害者の採用試験の改善は人事委員会の所管であると思いますが、合理的配慮の理念を踏まえて、試験のあり方について、一緒に改善について検討してほしいと思います。
 検討する際のポイントは、健常者とは違った障害の特性を踏まえた実態の把握を踏まえた上での対応の改善が必要ではないかと思います。第四期障害福祉計画案へのパブリックコメントでも、障害者から採用試験の改善を求める要望が掲載をされておりました。
 そこで、改正施行される障害者雇用促進法における合理的配慮を踏まえて、都における障害者雇用の採用と採用後の合理的配慮について、実態と考え方についてお伺いいたします。

○内藤次長 都は、障害者雇用に当たりまして、障害の特性に応じたきめ細かな配慮を実施することが重要であると認識し、従前より、採用試験及び採用後の職場におきまして、さまざまな配慮を実施してまいりました。
 採用試験におきます受験方法におきましては、昭和四十八年度に点字受験を導入し、その後も、平成五年度には拡大文字やワープロによる受験を認めるなど、各種職務内容に照らし順次拡大を図っております。
 また、身体障害者特別選考の合格者につきましては、スロープや点字ブロックなど設備が整った施設への配置を行った上で、視覚障害のある職員には拡大ディスプレーの配備、聴覚障害のある職員には音声拡大電話機の設置などといった、職員が円滑に職務遂行できるよう努めてまいったところでございます。
 こうした個別の対応につきまして職場内で認識を共有するとともに、人事異動などの際にも引き続いた配慮がなされるよう庁内での共有化を図ることで、障害のある職員が継続して職務に従事することが可能となり、着実な障害者数の増加につながっているものと認識しております。
 改正障害者雇用促進法の施行後におきましても、引き続き、障害のある方が安心して働ける職場環境に配慮しながら、障害者雇用の確保に努めてまいりたいと考えております。

○徳留委員 都として、これまで障害者の雇用に当たって、障害の特性に応じたきめ細かい配慮を実施することや、採用試験及び採用後の職場においてさまざまな配慮を実施してきたという答弁でした。さらに、改正障害者雇用促進法の施行後においても、引き続き、障害のある方が安心して働ける就業環境の確保に配慮しながら、障害者雇用の確保に努めるということでした。
 知事は、今年度四月から開始され、平成二十九年度までの期間で実施されている第四期の東京都障害福祉計画の冒頭の挨拶の中で、障害者総合支援法の見直しなどを通じて、障害者施策が大きな変革の中にあることを強調しています。特に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会成功と一体に、心のバリアフリー、それからユニバーサルデザインのまちづくりなどを一層推進していく必要があるとも述べています。
 ぜひ、第四期障害福祉計画の基本理念の一つである障害者が生き生きと働ける社会の実現を目指して掲げた障害者雇用の三%、実数でいえば約七百人だと聞いておりますが、この達成を初め、障害者の雇用環境の改善に力を尽くしていただきたい、このことを最後に強く要望して、私の質問を終わります。

○新井委員 まず初めに、セキュリティーポリシーについて質問をしたいと思います。
 情報通信ネットワークや情報処理システムは、生活する上で必要不可欠です。しかしながら、世界規模で見ますと、サイバーセキュリティーに関します脅威が深刻化しておりまして、サイバー攻撃は、日々高度化、多様化しております。東京都におきましても対策を強化する必要性があると認識しております。
 都では、平成二十七年十月にセキュリティーポリシーを改正いたしました。そこで、今回、東京都サイバーセキュリティポリシーの改定が行われた背景と経緯についてお伺いします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十六年にサイバーセキュリティ基本法が施行され、地方公共団体にもサイバーセキュリティーにかかわる施策を自主的に策定、実施する義務が課せられるとともに、平成二十七年三月には、総務省が示す地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインが改定されました。
 高度化、多様化するサイバー攻撃の急増を踏まえると、完全に防ぎ切ることは困難であり、これまでの未然に防御する対策に加えて、発生後の迅速な対応により、影響を最小限に抑えることが重要となってきております。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催を控え、世界の注目が集まる東京は、これまでとは比較にならないほどのサイバー攻撃を受ける可能性が高まってきております。
 このような都が置かれた環境の変化に的確に対応することが必要なことから、セキュリティーポリシーの改定を行ったところでございます。

○新井委員 東京都サイバーセキュリティポリシーは、基本方針及び対策基準で構成されているということですが、それぞれどのような位置づけになっているのか、お伺いいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京都サイバーセキュリティ基本方針では、情報セキュリティーに関する理念、基本的な考え方を規定しております。また、東京都サイバーセキュリティ対策基準では、情報セキュリティー管理体制、各システム共通の具体的な対策等を規定しております。
 これらサイバーセキュリティーポリシーの適切な運用により、東京都全体のサイバーセキュリティーの確保を図ってまいります。

○新井委員 答弁にあったように、セキュリティ基本方針というのが理念や考え方、そして、セキュリティ対策基準というのが管理体制や個別具体的な実施手順や対策が明記されているというものです。
 どの情報を誰に読み取っていただくのか、また、どの操作を誰に対して許可するのか、どのデータを暗号化するのか、外部の侵入について機密漏えいなどを防止する方針、また、コンピューターウイルスや成り済まし対策など具体的な対策内容は、セキュリティーの観点から公開はされないということですが、さまざまな対策が考慮されているのかなと思っています。
 基本方針や対策基準などセキュリティーポリシーの改定がされましたが、それを実施する組織体制というのは、さらにこれは重要だと考えております。
 そこで、東京都サイバーセキュリティポリシーはどのような組織体制で運用していくのか、お伺いします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都におきましては、これまでもサイバーセキュリティーの向上に取り組んできたところでございますが、さらなるセキュリティーの強化のため、十月には、公営企業を含む全庁横断的な体制として、副知事をトップとする東京都サイバーセキュリティ委員会を設置いたしました。
 また、来年度初めには、全庁のセキュリティー事故対応を初めとした、サイバーセキュリティーを統括し、指導、指示等を行う東京都CSIRTを委員会のもとに設置を予定しております。
 これらの体制により、東京都全体のサイバーセキュリティーレベルの向上を加速してまいります。

○新井委員 幾ら対策を考慮したとしましても、想定を超えます事故や、またウイルスが発生するということも考えられるわけでございます。セキュリティー事故の未然防止策及び重大事象が発生した場合についての対処についてお伺いします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都におきましては、これまでも、ファイアウオールやウイルス対策ソフトの導入など、さまざまな技術的な対応とともに、人的な対応も必要であることから、eラーニングによる職員研修や標的型メール攻撃訓練を実施するなど、職員のスキルを向上させるための取り組みを進め、セキュリティー事故の未然防止に努めてきたところでございます。
 また、重大事故等が発生した場合には、局への助言や情報連携等これまでの取り組みに加え、先ほど答弁申し上げました東京都CSIRTを中心に、迅速かつ適切に対処してまいります。

○新井委員 ITにおきます環境やニーズというのは、日々変化するわけでございます。そこで、都政の現場では、業務改善等の観点から、新たなITサービスや新技術の活用が求められることがあると考えられます。
 このような新技術とサイバーセキュリティーポリシーの関係について、見解をお伺いします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 これまでも、各局において、新たなITサービスなどの技術を都政の現場で利活用し、業務改善や都民サービスの向上に役立ててまいりました。業務改善の手段である新技術の利活用は、コストや効果の観点からの検討はもとより、新たに策定したサイバーセキュリティーポリシーを適切に適用することで、業務改善や都民サービスの向上を安定的に達成できるものとなります。
 今後も、各局と緊密に連携するなど全庁的な調整力を発揮し、業務改善や都民サービスの向上に資するよう、サイバーセキュリティーポリシーを適切に運用してまいります。

○新井委員 この質問をする上で、都政の現場にニーズがあり、そのことが業務改善や都民サービスの向上に結びつくのであれば、担当の方は、いつでもオープンドアなので、ぜひとも相談をしていただきたいということの意見をお伺いしました。
 私はシステムエンジニアを十数年しておりましたので、ネットワーク管理者であれば、セキュリティー的なトラブルを防ぐのは当然でありまして、トラブルの発生について十分気をつけていかなければなりません。このITサービスを導入するというのはなかなか、とてもハードルが高いというのは十分認識、理解をしております。
 しかし、セキュリティーポリシーありきではなく、全庁的な調整力を発揮し、現場のニーズにも応えていただけるということでしたので、ぜひとも現場からのニーズがあれば積極的に検討し、新たなITサービスや新技術の活用にもチャレンジしていただきたいと思います。
 次に、マイナンバー制度導入に関する今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。
 マイナンバー制度の効果の一つとして、行政間の証明書等の情報を電子的に照会する、いわゆる情報連携により、申請時に添付書類の省略を図る行政手続の簡素化の実現が挙げられております。
 行政間の情報連携を担うシステムは、国が整備する自治体間をつなぐ核となる情報提供ネットワークシステム及び中間サーバーと、各自治体が整備する宛名システム及び各業務システムとで構成されると聞いております。
 このうち、都が整備する宛名システムは、国の中間サーバーと都の各局が整備する各業務システムのやりとりを安全に仲介する役割を担っております。都においても、マイナンバー法に対応した情報連携に向け、この宛名システムを構築する必要性がございます。
 そこで、平成二十九年七月に開始される自治体間の情報連携開始に向け、都におけるシステム整備のスケジュールについてお伺いをいたします。

○中島情報通信企画部長 平成二十九年七月に開始されます情報連携は、国及び全自治体間で行われるものであるため、都におきましても、期限におくれないようシステム整備を進めていく必要がございます。都では、国の提示するスケジュールに従いまして、宛名システム及び各業務システムの整備を進めてまいりました。
 今後は、情報連携開始に向けまして、平成二十八年一月から六月までの間に、都の内部で宛名システムと各業務システムを連携するテストを行い、同年七月から平成二十九年六月までの間に、国及び全自治体が参加し、実際に情報提供ネットワークシステムを通じて情報連携を行います総合運用テスト、これを業務への影響に配慮しながら進めていくこととしております。

○新井委員 都の今後のシステム整備スケジュールについて理解いたしました。
 情報連携実現に当たり、国が整備するシステムと都が整備するシステムの両方が完了することで、初めて全体として情報連携の仕組みが機能することになります。
 ところが、従前から、国からのシステム仕様の提示がおくれており、予定されていたスケジュールでの実現に懸念の声が上がっていると聞いておりました。自治体におきますシステム構築のおくれは、情報連携のおくれにつながると考えております。
 そこで、現在のシステム仕様の提示状況についてお伺いします。

○中島情報通信企画部長 都では、国が提示するシステム仕様に基づきまして、国が構築する中間サーバーに接続をいたします宛名システム及び各業務システムの整備を行っております。
 当初、国から詳細なシステム仕様がなかなか提示されませんでしたが、平成二十六年度末ごろから数回にわたり提示がございまして、現在では、中間サーバー接続に必要な主な仕様がほぼ提示された状態となっております。
 これに基づきまして、平成二十九年七月に全自治体間で開始されます情報連携に向けて、現在のところ、予定どおりにシステム整備を進めているところでございます。

○新井委員 国からシステム仕様の提示がされていることは理解しました。
 マイナンバー制度におきます情報連携は、国及び約千七百の自治体間の相互で実現する大変大規模なものでございます。各自治体は、国から提示されるシステム仕様に従ってシステム整備を進めていくということですが、システム仕様にあらわれない運用部分の調整も、システム同士の接続に当たっては大変重要でございます。システム上のトラブルは、利用者の都民に対し、マイナンバー制度自体の不信感を招いてしまいます。
 そこで、マイナンバー制度のシステム対応に当たり、他団体とどのように情報共有、情報交換を行い進めているのか、お伺いいたします。

○中島情報通信企画部長 システムによる情報連携を円滑に行うためには、仕様の詳細や運用方法に関して、他団体との情報共有、情報交換を行いながら進めていくことが重要であると認識しております。
 例えば区市町村のシステム担当者とは、都と区市町村とで構成いたします既存のIT推進協議会の場で意見交換を行うとともに、他道府県のシステム担当者とは、国が設置いたしましたマイナンバー意見交換、情報共有メーリングリスト等を活用いたしまして、情報共有、情報交換を行っているところでございます。
 自治体間の情報連携開始に向けまして、今後のテストの局面におきましても、こうした場を活用しながらシステムの構築に努めてまいります。

○新井委員 マイナンバー制度導入には、各自治体でのシステム整備が不可欠という観点から質問を行いました。システム障害は、利用者に対し、マイナンバー制度への不信感を生むことになりますので、区市町村とも連携をしながら万全な対応をお願いしたいと思います。
 次に、島しょ部におきます超高速ブロードバンド環境の整備についてお伺いいたします。
 平成二十一年度から二十二年度にかけて都が実施しました小笠原村の海底光ファイバーケーブル整備事業は、島しょ部の情報通信環境整備事業として画期的であったと思っています。
 しかし、伊豆諸島の利島、新島、式根島、神津島、御蔵島及び青ヶ島の五村六島では、超高速ブロードバンドが未整備になっております。
 そこで、小笠原整備の後から現在までのこの五年間におきまして、超高速ブロードバンド未整備の島についての改善に向けた都の取り組みの状況についてお伺いします。

○中島情報通信企画部長 五村六島では、採算面等の理由から民間事業者による基盤整備が進まず、都内区市町村では、この五村のみが超高速ブロードバンド未整備となっており、早期の改善が必要であると認識しております。
 都は、平成二十五年四月策定の東京都離島振興計画に基づきまして、都及び五村による検討組織を設置し、同年七月に第一回の検討会を開催いたしました。これまで九回の検討会を重ねまして、無線回線の増強による改善の可否、及び海底光ファイバーケーブルを島と島の間を環状に接続して双方向からの通信を確保する、いわゆるループ化による安全性向上など、五村と改善に向けた具体的な方策を検討してまいりました。
 また、平成二十六年十二月に策定いたしました東京都長期ビジョンにおきまして、全ての島しょ地域に超高速ブロードバンドサービスを提供する目標を掲げ、国に対して早期改善要望を行うなどの取り組みを進めているところでございます。

○新井委員 都が離島振興計画を策定し、計画に基づいて改善に向けて着実に取り組んでいることは理解いたしました。
 小笠原を整備した五年前に比べ、今日におけるICTサービスの進歩は目覚ましいものであり、超高速ブロードバンドに対するニーズは、住民及び行政の双方において、より高まっていると考えております。
 そこで、このようなニーズの変化を踏まえて、超高速ブロードバンドが未整備である五村六島ではどのような要望や期待があるのか、お伺いいたします。

○中島情報通信企画部長 超高速ブロードバンドは、昨年度末時点での全国の整備率が九九・九%に達する基本インフラでございまして、そのサービスを都民がひとしく享受できる環境を整備することは重要であると認識しております。
 ネットショッピング利用や日常的な生活情報収集の手段として、インターネットは離島での生活に不可欠なサービスとなっておりまして、超高速ブロードバンド整備に対する地元の要望は非常に強いものがございます。
 また、インターネット利活用によります特産品のネット通販促進による産業振興や遠隔医療及び遠隔事業の充実などの実現も地元では期待されております。
 これらを実現して島民生活の向上を図るためには、超高速ブロードバンドの整備が不可欠であり、今後とも、こうした点を踏まえ、五村の持続的な発展に寄与できるよう取り組んでまいります。

○新井委員 ICTサービスが進歩した現在こそ、離島には超高速ブロードバンドが必要であり、その整備は欠かせないことはよく理解いたしました。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を見据えて、五村六島の早期の整備が求められていると考えております。
 そこで、五村六島におきます超高速ブロードバンドを早急に整備する必要性があると考えていますが、今後、都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

○中島情報通信企画部長 五村六島の超高速ブロードバンド整備は、早期かつ確実に実施していくことが必要であると認識しております。
 整備の実施に当たりましては、離島固有の地勢や自然環境により高額な整備費を要するため、その財源の確保が課題でございまして、国は成長戦略の柱としてICT利活用を掲げ、離島の超高速ブロードバンド化を推進していることから、この五村六島の整備には国も一定の責任を果たすべく、財政支援を国に強く求めているところでございます。
 今後とも、早期整備の実現に向けまして、継続的に国に対する要望を行うなど、取り組みを進めてまいります。

○新井委員 この質問に当たりまして、さまざま超高速ブロードバンドに向けました検討をやってきたということを理解いたしました。
 また、いろいろと聞いてみますと、マイクロ無線のいろいろな検討、どういうことをやったかということをお伺いしましたら、多重化を考えてみたりだとか、あとはデータを分散するために複数の電波をやったらどうかという、そういったことも検討されたと聞いています。
 しかしながら、多重化しても最大で百五十六メガしか出ないということで、これ以上の多重化をしても高速にすることができないですし、また、データを分散するために二つで無線をやったとしても、島は一点ですから、二つで送ったとしても、お互いが干渉してしまって、複数無線で飛ばすということはできないということでした。これ以上、マイクロ無線という技術ではスピードアップすることができないということです。
 また、無線の電波というのは、海面からの反射でノイズが発生するということで、この辺も、通信が安定しないということで、大変これは懸念すると思っています。
 超高速ブロードバンドの整備を早期に、確実に実現していただくことを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、「東京防災」についてお伺いいたします。
 「東京防災」は、そのデザインのよさなど評価できますが、作成に当たってどのような点を工夫したのか、お伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 「東京防災」は、行政だけでなく、都民一人一人が災害への備えを万全としていただけるよう、都内の全世帯に向けて配布したものでございます。
 東京の防災対応力を高めるためには、配布するだけではなく、手にとって活用していただくことが重要でございます。そこで、若者世代などの比較的防災に関心の薄い世代を引きつけるために、人気の漫画家である、かわぐちかいじ先生の描きおろし漫画を掲載することや、キャッチコピーの盛り込みやイラストの多用などにより、読みやすく、わかりやすいデザインとすることなどの工夫を凝らしたところでございます。
 さらに、防災マスコットキャラクターの防サイくんを活用することで、幅広い世代に防災への取り組みを身近に感じていただけるよう、広報展開も行ってございます。
 今後も、あらゆる機会を捉えまして、「東京防災」の活用を促進してまいります。

○新井委員 「東京防災」は都内全世帯に配布するということですが、まだ配布されていない世帯がございます。これらの方々にどのように対応するのか、お伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 都は、「東京防災」を九月一日から都内全世帯に向けて配布を開始したところですが、一部の世帯では、まだお手元に届いていない状況でございます。
 そこで、コールセンターでの配送依頼を受けているとともに、十一月二十五日からは、専用フォームを設けまして、メールでの問い合わせを受け付けられるようにし、未配達の世帯の受付窓口を拡充してございます。
 引き続き、未配送の世帯には丁寧に対応してまいります。

○新井委員 現在では、この「東京防災」を有償で配布することを開始しました。好評でありまして、売り切れ状態にあると聞いております。
 そこで、これを増刷するのかお伺いします。

○矢岡総合防災部長 「東京防災」は、さまざまな媒体による広報活動や評判が広がったことなどにより、九月一日の配布開始以後、他県に住む方や企業などから、「東京防災」を有償でもいいから欲しいとの問い合わせが多くなり、十一月十六日から有償頒布を開始いたしました。
 しかし、想像以上に反響があったことや、中には複数冊を購入される方もおりまして、供給が追いついていない状況となってございます。
 一方で、多くの購入希望が引き続きあることから、増刷等により、こうした需要には応えてまいります。

○新井委員 「東京防災」は、コンパクトがゆえに、全ての情報を網羅しているわけではないですが、ペットの同行避難などのプラスアルファの内容についてはどのように対応していくのか、お伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 「東京防災」は、行政のみならず、防災関係機関や専門家等の知見を活用し、コンパクトながらも必要な情報を網羅的に掲載してございます。
 一方で、掲載内容をさらに深めるため、ペットの同行避難など参考となる情報につきましては、防災ホームページや防災ツイッターなどを通して紹介してまいります。

○新井委員 東日本大震災では、多くのペットや飼い主さんが悲しい目に遭いました。その後、環境省が、災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを策定いたしました。このガイドラインには、自治体におきます普及啓発活動、災害が発生したときの初動対応としまして、まずは初めに、ペットとの同行避難と明記されているわけでございます。答弁でもありましたように、ペットの同行避難については、東京都防災ホームページや防災ツイッターにぜひ掲載をしていただきたいと思います。
 また、今「東京防災」は大変注目されています。ですから、この今に、例えば増刷するタイミングや何かのタイミングのときに、「東京防災」の電子版でよいですから、また一行でもいいので、ペットの同行避難ということをぜひ掲載していただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、LGBTについてお伺いいたします。
 人口五%がLGBTといわれており、これは日本全体では六百万人に上る計算になります。渋谷区や世田谷区は独自に同性パートナーシップ制度をスタートさせたこともあり、LGBTは、ここ最近大きく注目されるようになりました。
 一方で、当事者の方の話を聞きますと、暮らしづらいという声がよく聞かれます。これは、LGBTに対する理解がまだ進んでいないからではないかと考えていますが、都は、LGBTを取り巻く状況についてどのように考えているのか、お伺いいたします。

○箕輪人権部長 内閣府が平成二十四年に行いました人権擁護に関する世論調査によれば、性的少数者に対してどのような人権問題が起きているかという問いに対しまして、職場、学校等で嫌がらせやいじめを受ける、就職、職場で不利な扱いを受ける、差別的な言動をされるといった回答が多く見られました。
 このように、性的少数者は、偏見の目で見られたり差別的な扱いを受けるなど、社会生活のさまざまな面で人権にかかわる問題も発生してございます。
 性についての多様性があることへの理解を深め、性的少数者への差別や偏見をなくし、全ての人々の人権が尊重される社会となることが重要でございます。

○新井委員 都のLGBTについての認識は理解いたしました。
 LGBTの方への偏見や差別をなくすためには啓発が重要だと考えております。都は、八月に策定した東京都人権施策推進指針の中でLGBTを人権課題に取り上げ、啓発に取り組んでいくとしていますが、具体的にどのように啓発を行っていくのか、お伺いいたします。

○箕輪人権部長 都はこれまでも、性的少数者に関する正しい知識の普及や偏見、差別の解消に向け、ホームページや「広報東京都」の人権特集に加え、国等と連携した人権イベントにおけるパネル展示や啓発冊子の配布などにより、啓発を実施してまいりました。
 今年度実施した大型啓発イベント、ヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一五では、多文化共生をメーンテーマに、これまでの人権イベントでは参加が少なかった若年層を取り込み、多くの人に人権を考えるきっかけをつくるイベントといたしました。
 都は、引き続き、このような機会を捉え、性的少数者の人権を含むさまざまな人権課題について幅広く都民に訴えかける啓発に取り組んでまいります。

○新井委員 これまでの取り組みとしまして、人権週間や憲法週間では、講演や映画を中心に開催したと聞いております。箱物ですから、内容を深く掘り下げるということについては、これはいいことだと思うんですけど、余り興味を持っていない方については、そういったところの会場に入ることだったりとか、そういうところに耳を傾けるというのは大変敷居が高いのかなと思っています。
 今年度開催をしました大型啓発イベント、ヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一五、これは間口を広げたということで、今までにはなかったものだと思っています。ふらっと気軽に寄るという意味では、とてもいいイベントだったなと思っています。
 今後、人権週間でもスポーツの関係者を招くとか、いろんな工夫なんかもすると聞いておりますが、いろいろなタイプの方々に興味を持ってもらって理解を普及するということが本当に重要だと思っています。啓発活動を行っていくために、いろいろな工夫をしていただきたいなと思っています。
 都民への啓発の取り組みについては十分理解をいたしました。都民への啓発はもちろん大切ですが、当然のことながら、都の職員がLGBTについて理解することも大変重要でございます。
 そこで、都は、職員に向けてどのように周知を図っているのか、お伺いします。

○箕輪人権部長 都の職員は、窓口で性的少数者の方に対応したり、職場に性的少数者の職員がいる場合もございますことから、性的少数者に関する正しい知識を身につけ、理解を深めることが大切でございます。
 そこで、職員を対象とした人権に関する講演会におきまして、性的少数者をテーマに学識経験者から講義を受けるなど、職員の理解促進を図っているところでございます。
 引き続き、各局の人権担当者が集まる会議や職員研修などの機会を捉えまして、性的少数者を含む各人権課題について庁内周知に取り組み、職員の人権意識の向上を図ってまいります。

○新井委員 まずは、都は、職員を対象とした取り組みを積極的にしていただきたいなと思っています。また、LGBTを取り巻くさまざまな課題に対して解決ができるような、そういった新しい制度も導入することを要望いたします。
 最後に、職員の評価制度についてお伺いいたします。
 都政が直面するさまざまな課題に的確に対応するためには、人材育成の視点に立った職員一人一人の意欲向上や能力を伸ばしていく、そういった仕組みづくりが必要不可欠だと考えております。
 都の人事制度は、学歴や年齢にかかわらず、能力、業績に基づく、誰もがチャレンジ可能な仕組みと伺っておりますが、その根幹をなすのは公正かつ適切な人事評価制度にあると認識しております。
 そこで、都における人事評価制度の仕組みと活用状況についてお伺いします。

○栗岡労務担当部長 都の人事考課制度は、全国に先駆けまして昭和六十一年から運用してございます。以来、約三十年にわたり、必要な制度改善を図りながら運用を積み重ねてきてございまして、評価結果を職員の能力開発、任用、給与、配置管理などに順次活用してまいりました。
 評価に当たりましては、目標管理手法や上司との面接等を通じまして、職員本人の業績、能力に関して共通認識を醸成することで、人材育成、能力開発を図ってございます。また、多段階での評価や、全管理職に対し毎年度評価訓練を行うなど、評価制度の公正性、公平性の確保に努めているところでございます。
 今後とも、適正な人事考課制度の実施に向けた不断の取り組みを進めますとともに、職員の資質向上と都の組織力向上に努めてまいります。

○新井委員 適切な人事評価に当たっては、当該職員の仕事の成果や結果のみならず、チームワークなども含め、職員の働きぶりを適切に評価しフィードバックすることで、人材育成と納得性向上を図ることこそが重要であると考えますが、所見をお伺いします。

○栗岡労務担当部長 人事考課につきましては、評価結果に対する職員本人の納得性向上はもとより、評価を通じて職務の改善と能力向上につながることが重要と認識してございます。
 そのため、都では、業績のみならず、職務遂行の過程で発揮されました能力や取り組み姿勢についても、プロセス評定として評価対象としてございまして、部下や後輩への指導育成、リーダーシップ、チームワークなども評価してございます。
 また、希望者全員に対し、面接を通じた評価結果の開示を実施しているほか、苦情相談制度も設けてございまして、職員の納得性確保や人材育成につなげられる仕組みを構築してございます。
 今後とも、人材育成を基軸に置いた人事考課制度の運用に取り組んでまいります。

○新井委員 民間企業などにおいては、職員に幅広い知見を身につけさせるために、海外派遣研修の実施やMBAの取得促進などを通じて人材育成を実現している例も見られます。
 都職員としての資質向上の観点から、外部への派遣による人材育成が重要と認識していますが、都の取り組みについてお伺いします。

○内藤次長 現在、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会開催準備、東京都長期ビジョンの実現など、都政の課題はますます複雑、高度化しております。
 こうした中、都の執行力を高めるためには、効果的な人材育成の取り組みが非常に重要でございまして、とりわけ外部機関への派遣は、職員の視野を広げ、専門性を高める有効な取り組みであると認識しております。
 そのため、都では、国や民間企業等への研修派遣のほか、国際業務を担い得る人材を育成するため、米国大学院等での海外研修や外務省等の各機関を通じた海外派遣を実施しているところでございます。
 また、行政運営に関する高度な専門的知識等を習得させるため、大学院の修士課程を履修する研修等も実施しているところでございます。
 今後とも、都政のさまざまな分野におきまして、職員が高い専門性を身につけ、その能力を最大限発揮できるよう、人材育成の取り組みを推進してまいります。

○新井委員 人材育成が非常に重要だというのはいうまでもないですが、職員が法令等に違反するなど非違行動を行った場合、厳格な処分を実施した上で、その後の人材活用に取り組むことが重要と考えますが、都としてどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。

○内藤次長 職員は、都民の負託に応えるため、公務員としての高い使命感と倫理観を持って職務に精励する責務を負っており、非行はあってはならないことと認識しております。
 それゆえに、常日ごろから、全庁を挙げて、みずからを律する意識の徹底に努めておりますが、こうした中にあっても非行が発生した場合は、本人への事情聴取も含めた事実確認を行った上で、非行の程度に応じて免職、停職など厳正な処分を行い、原則として全ての処分内容を公表してございます。
 懲戒処分を受けた職員に対しましては、処分の程度により、昇給の停止や特別給の減額など、その後の処遇にも反映しておりますが、その上で、厳正な処分を受けた後は、他の職員と同様に、必要な指導、助言により人材育成に取り組みますとともに、その職員の能力や適性に応じた適材適所の配置により、人材の有効活用を行っているところでございます。

○新井委員 都政を動かします実行部隊の方は、職員の方々だと思っております。職員の仕事のやる気、モチベーションを上げるためには、この人事評価制度というのは大変重要でございます。今後も、全国に先駆けてさまざまな工夫をしていただくことを要望しまして、私の質問を終わりにします。

○石川委員 まず、島しょ振興についてお伺いいたします。
 三宅島は、二〇〇〇年の噴火によって全島民が島外へ避難せざるを得ない状況となりました。四年五カ月にも及ぶ避難生活を余儀なくされましたが、二〇〇五年二月一日に避難指示が解除され、二〇一一年に、山頂を除いて立ち入りと居住の制限は解除されました。同年五月、観光客の受け入れが再開されましたが、島の人口も減少し、失われた四年五カ月を取り戻すには大変な努力が求められたわけであります。
 石原知事は、一九九九年四月に東京都知事に就任し、就任後間もなくしての大仕事として、三宅島の噴火に対する全島避難指示を初め、帰島後の島の復興に努めてきたわけであります。
 観光客減少への対策として、イギリス・マン島で行われているマン島レースを参考に、日本初となる一般道を使用した本格的なオートバイレースを三宅島で開催することを提唱したわけであります。しかし、国内二輪メーカーの協賛が得られないことなどもあって、結局、代替イベントとして、二〇〇七年十一月十六日から十八日にチャレンジ三宅島モーターサイクルフェスティバルが開催をされました。
 以後、噴火後の火山灰が残るオフロードをうまく活用できないかとの発想から、三宅村では、復興を強力に後押しすることを目的に、三宅島ならではのユニークなスタイルの観光振興策として、バイクを使ったオフロードレースをすることになりました。WERIDE三宅島エンデューロレースとなったわけであります。
 そこで、バイクレースによる振興について、これまでの経緯と実績について都の認識をお伺いいたします。

○佐々木多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 平成十九年に開始をいたしましたモーターサイクルフェスティバルでは、公道をさまざまなバイクが走行するパレードなどを実施し、多くの島民が沿道で声援を送るなど、島に久しぶりのにぎわいがもたらされました。
 平成二十二年からは、三宅島をこれまで以上にアピールするため、火山島ならではの大自然を活用したオフロードレースとなり、ことしで六回目の開催となりました。ことしのレースは、九月の申し込み開始から早々に定員に達するなど人気を博し、大会当日は百人以上がレースに参加をいたしました。
 年々、バイクレース業界内での認知度も高まってきており、島外のライダーが継続的に参加するなど、本レースは三宅島に定着しているものと考えてございます。

○石川委員 石原知事の強い思いからこのバイクレースは始まったわけで、マン島レースのような大胆なものという希望は理解はできたわけですが、私も、三宅島モーターサイクルフェスティバルに個人的にマイバイクを持ち込んで参加をさせていただき、石原知事の乗るサイドカーつきのバイクの後ろにつき、島をライディングする魅力を肌で感じさせていただきました。
 ただ、道路が一部、レースの周回コースとすることは困難な地域があることから、公道レースは厳しいと感じたわけであります。しかし、モトクロスのレースは、本島では騒音等の問題もあり、余りよいコースがないという声もあり、知恵を絞って現在の方式に定着をしたのではないかと思っております。
 そこで、三宅島のバイクレースのこれまでの成果と今後の都の支援についてお伺いいたします。

○佐々木多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 三宅島のバイクレースは、現在、島で行われておりますイベントの中で、島外からの来訪者が最も多いイベントとなっており、重要な観光振興策として三宅島の復興に貢献しているものと考えてございます。
 三宅村も、本レースを観光振興上の主要事業として位置づけ、本レースを通じて三宅島の魅力を広くPRし、観光客の増加を図っていくこととしておりまして、近年では、これまでのノウハウを生かしながら、村が主体的に運営を行ってございます。
 本レースがこれからも三宅島ならではのイベントとして継続的に開催されるよう、都といたしましても、三宅村の取り組みを引き続き支援してまいります。

○石川委員 WERIDE三宅島エンデューロレースとして本年で六回目を迎え、定着もしてきたわけであります。例えば十年目のような節目にはぜひ、都が提唱して二〇〇七年から始まったこともあり、さらに島しょの振興の一環として大きな事業となるよう支援を検討していただければと思います。
 また、去る十一月二十五日、東京自治会館で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を推進するために、東京自治会館を多摩・島しょ地域の拠点とするオープン記念式典や記念講演が行われました。その中で、島しょも加盟している河村東京都町村会会長から、オリンピックでサーフィンが正式種目に決定したなら、島しょ振興という意味でも、東京でサーフィンをオリンピック種目として選定してほしいという挨拶がありました。
 新島は、日本を代表するサーフアイランドで、島の東側の海岸には約六・五キロにも及ぶ真っ白な砂浜があり、クリーンなバレルが炸裂する世界的に有名なビーチブレイクは、世界大会の舞台ともなっております。まさに世界中のサーファー、ボーダーに人気のワールドクラスのサーフィンアイランドといえるわけであります。
 もちろん東京都に決定権があるわけではありませんが、開催都市である東京都のエリアの中でオリンピックのサーフィン大会が実施できることになれば、島しょの振興にとって大きなインパクトとなることを確信しておりますし、実現することを願って、次の質問に移ります。
 都の人事制度について伺います。
 石原知事は、就任早々の一九九九年七月に都の財政再建推進プランを策定し、毎年六千二百億から七千六百億円の財源不足が見込まれることから、二〇〇〇年から二〇〇三年の四カ年を計画期間として、五億円を超える百三十八事業について、事業の存廃を含めて根本的な見直しを掲げ、財政再建団体への転落を回避すべく財政再建を目指したわけであります。
 特に、人件費を初めとする経常経費の削減に取り組み、この中で、四年間で五千人の職員定数削減を打ち出したわけであります。そして、大幅な職員定数削減に取り組んできたところであります。
 しかし、今年度において知事部局の職員定数が増員に転じました。行政ニーズの変化に伴うわけで、削減することが全てではないわけでありますけれども、オリンピック・パラリンピックの開催などを控えており、今後も人員需要は高まるものと思われるところでございます。
 石原都政以降の知事部局等の職員定数の推移と考え方についてお伺いいたします。

○内藤次長 知事部局等の職員定数につきましては、石原元知事が就任した平成十一年度は四万四千七百九人でございましたが、平成二十七年度には二万五千四十六人とし、差し引き一万九千六百六十三人の減となってございます。
 この間、事業の廃止や縮小、委託化など徹底した見直しや内部努力により、簡素で効率的な執行体制の構築に努め、その結果、大幅な定数削減を実現できたものと認識してございます。
 知事部局等の職員定数は、平成二十七年度におきまして、四十一年ぶりに対前年度比増員となりましたが、その措置に当たりましても、これまで同様、当該年度の事業動向や個々の職務内容、業務量等を十分に精査し、削減すべきところは削減するとともに、都政の重要課題への対応など真に必要な人員につきましては増員することで、効率的、効果的な執行体制の構築を図っているところでございます。
 都の執行体制は、こうした考えのもと、常に最少の経費で最大の効果を発揮できるよう、適正な定数管理を行っております。

○石川委員 毎年度、削減すべきは削減し、必要な人員は措置するとのことでございますが、今後の増要因と予想されますオリンピック・パラリンピックは一過性のものであり、過剰な人員を抱えることがないよう、中長期的な視点を持った定数管理を必要とするわけであります。
 任期付職員の採用などを含め、オリンピック・パラリンピック後も見据えた職員定数の考え方についてお伺いいたします。

○内藤次長 オリンピック・パラリンピック大会の開催に向けましては、競技施設の整備を初めとして多くの業務が発生することが想定されております。これらの業務を確実に遂行するためには一定の人員が必要となりますが、人員を措置する上では、各業務の内容や業務量等を十分に精査するとともに、その他の業務における徹底した執行体制の見直しも、あわせて継続していくつもりでございます。
 また、人員の確保の面におきましては、新卒者の安定的な採用のみならず、任期付職員制度の拡充や、他自治体からの派遣職員の活用など、臨機応変かつ多様な工夫に取り組んでいるところでございます。
 こうした多様な取り組みも進めながら、オリンピック・パラリンピックを初めとする都政の重要課題に対応するとともに、内部努力も継続、徹底しながら、今後も適正な定数管理を行ってまいります。

○石川委員 民間に委託できるものは委託することを含めて、今後も、不要な増員を行うことなく適正な定数管理に取り組んでいってもらいたいと思います。
 職員をふやすことは難しいことではありませんが、削減することは大変な困難を生じることは、よくわかっていることだろうと思っております。
 適正な定数で都政運営を遂行していく上では、組織のあり方も重要であります。具体的な業務を執行するに当たって、係を単位として行ってきたところですが、二十七年度は試行をし、二十八年度から係制を完全に廃止する計画になっております。
 今回の係制の廃止の目的や狙いについて伺います。

○内藤次長 これまでの係は、課におきます事務を類似、関連するものごとにあらかじめ大くくり化し、最小の事務処理単位として設置したもので、係長を中心として定例的、経常的な事務を効率的に処理するに当たりまして機能してまいりました。
 一方で、社会経済情勢の変化が激しく、複雑かつ多様な課題への即応が求められる中、係の分掌にかかわらず、臨機応変な対応が迫られるケースが増しております。また、係があることで、職員が無意識のうちにみずからの業務範囲を限定し、縦割り意識を持ちがちになるといった懸念もございます。
 そこで、今回、係を廃止し、これまでの係長を課長の代理権を有する課長代理に位置づけることで、従来の係の枠組みにとらわれず、課題や課内の状況に応じ、迅速かつ柔軟な仕事や職員の配分を可能といたしました。
 これによりまして、全ての職場、現場における課長のマネジメント力強化や、課長を支え補佐する監督職の意識改革を進めるとともに、課全体が一丸となって課題に取り組むことで、組織の一体感の醸成や活性化、さらには仕事の進め方改革を促し、都庁全体の執行力の向上を図ってまいりたいと考えております。

○石川委員 団塊の世代が定年を迎え、職員の年齢構成も変化をしてきており、滑らかなラインの人員体系となったのも、今回の改革に着手をする要素ともいえるかと思います。
 課長代理は管理職ではないわけですが、課長を代行するようなことを時には行うということであり、それがうまく機能するのかどうかについては、今後もしっかりと注視をしていきたいと思います。
 行政課題がますます高度化、複雑化していく中、職員一人一人が意欲を持ち、その能力をこれまで以上に発揮していくことが求められております。私の二十年間の市長経験でも、職員のやる気や能力を引き出すためには、さまざまなことに取り組んできたわけでありますが、やはり一番のポイントだと感じますのは人事評価であります。
 体系的な人事評価を行う以前は、職員としての職務の成果に差があっても、職員の評価に差をつけることがやる気を失わせるという意見が支配的な時期もあったわけであります。しかし、適切な評価を行い、評価を基礎とした人事制度とすることが組織力を最大限高めることにつながると考えるわけであります。
 バブル経済の破綻後、国、地方を通じた厳しい財政状況の中で、財政再建プランなどによる職員数の減少の中で、個々の職員には、困難な課題を解決する能力と高い業績を上げることが従来以上に求められてきました。また、地方分権の一層の進展により、行政サービスの高度化に伴う専門的能力、新たな課題に積極的に取り組む進取の気性と創造力、状況に適切に対応できる柔軟性などがこれまでにも増して求められております。
 こうした高度化、多様化する住民の行政ニーズに対応し、住民に身近な行政サービスを提供する地域における総合的な行政主体として、地方公共団体の役割はますます重要となってきているわけであります。
 こうした状況を背景に、都は、国や全国の自治体に先駆けて人事評価を導入し、長年にわたり運用し、蓄積もあるわけでありますが、都における人事評価の特徴についてお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 都の人事考課制度の特徴としまして、目標管理手法の活用がございます。職務や能力開発について、組織方針を踏まえて職員みずからが目標設定及び自己評価を行う中、上司との意見交換を通じまして共通認識を醸成した上で上司が評価するなど、業績評価と自己申告を一体的に運用してございます。
 評価に当たりましては、業績のみならず、職務遂行の過程で発揮された能力や取り組み姿勢につきましても、プロセス評定として評価対象としてございます。
 また、希望者全員に対する評価結果の本人開示や苦情相談制度の実施に加えまして、評価結果に基づく指導、育成も行っており、制度の透明性、納得性の向上を図ってございます。
 さらに、全管理職を対象としました評定者訓練を毎年度実施しまして、公正性、公平性の確保にも努めてございます。
 今後とも、職員の人材育成や組織力の向上を図るという制度の趣旨を踏まえ、適切な運用を図ってまいりたいと存じます。

○石川委員 人事評価が人材育成に大きな役割を果たすことはもちろんですが、評価結果を適切に処遇に反映させる、つまり、頑張りに応じて給与に差をつけていくことも大事なわけであります。
 機会は全ての職員に平等に与えられなければなりません。しかし、結果の平等を保障することは、努力して結果を出した者もそうでない者も同じというのでは、職員の意欲に結びつかないわけですし、結果は同じ処遇などということは、都民感覚では理解が得られないわけであります。公務の世界でも、評価に基づく信賞必罰は当然といえます。
 そこで、都では、人事評価の結果を具体的にどのように給与上の処遇に反映させているのか、お伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 職員の評価結果を適切に処遇に反映させることは、職員の意欲、能力を引き出すことで公務能率の向上を図り、都政に対する都民の負託に応えていくためにも極めて重要であると認識してございます。
 都におきましては、これまでも、評価結果を職員の昇給や勤勉手当などに反映させてございまして、職員の頑張りを処遇に反映させる仕組みを構築してきたところでございます。
 とりわけ勤勉手当につきましては、来年度から査定反映の一層の拡大を行うこととし、よりめり張りがついた処遇の実現を図る予定でございます。これによりまして、業績に応じた年間支給額の最大差は、管理職におきましては約六十四万円差から約六十八万円差へと六%拡大、課長代理においては約二十五万円差から約二十九万円差へと一六%の拡大、主任、主事におきましては約九万円差から約十二万円差へと三三%拡大する見込みでございます。
 今後も、評価結果を処遇に適切に反映させることで、職責、能力、業績に基づく人事管理の徹底を図ってまいります。

○石川委員 都は、基本的な考え方に沿った評価に応じた処遇を実施していることがわかりました。ただ、こういった制度も、少し気を緩めてしまうと、中位に評価が寄ってしまう傾向があることは指摘をしておきたいと思います。
 都が実施をしております人事評価制度と、それを職員の処遇に反映させるシステムは高く評価できるわけでありますが、区市町村のモデルともなるといえるわけであります。
 そこで、区市町村における人事評価の導入状況について伺います。また、その結果を給与上の処遇に反映させているのかどうか、あわせて伺います。

○西村行政部長 都内区市町村では、一団体を除き、人事評価制度を既に導入済みでございまして、残る一団体につきましても、年度内には導入する予定でございます。
 それから、評価制度の処遇への反映状況についてでございますけれども、現在、七割以上の団体で人事評価制度を昇給や勤勉手当等の給与上の処遇に反映させているものの、いまだ反映していない、あるいは反映が不十分な団体も見受けられるところでございます。
 都はこれまでも、こうした団体に対する助言はもとより、先進事例の紹介や説明会の実施など、各団体の実情に合わせた検討が進むよう、きめ細かく情報提供してきたところでございます。
 今後とも、都内区市町村に対し、人事評価の処遇への反映につきまして、必要な助言等を行ってまいります。

○石川委員 平成二十八年四月から施行される地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律は、能力及び実績に基づく人事管理の徹底を求めており、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び上げた実績を把握した上で行われる人事評価制度であり、これを任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とすることを目的としているわけであります。これらの内容は、都が先行して既に実施をしてきたものであり、処遇への反映も実施をされています。
 区市町村も、評価制度はほとんど導入をされており、処遇への反映もされつつあることがわかりました。ただ、仏つくって魂入れずということわざがありますが、形だけで中身は従来のままというケースはよくあることであります。各自治体の評価と処遇の内容を把握し、必要な指導をしっかりと行うべきであることを意見として申し上げておきたいと思います。
 職員の提言する改善や提案を積極的に取り入れることで行政の無駄を省き、効率化を進めることは非常に大切なことであります。特に、多くの職員や関係者の前で検証することは、職員の意欲を高め、その結果に報いることになるからであります。
 都においては、知事が職員を表彰する制度があると伺っておりますが、現行の職員表彰制度の内容と評価への反映についてお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 都は、昭和五十九年に東京都職員表彰制度を創設いたしまして、模範とすべき職員を毎年表彰してまいりました。
 昨年度、職責、能力、業績主義に基づき信賞必罰の人事管理を徹底する観点から、従来複数に分かれていました表彰制度を再編整備いたしまして、職員のモラールの向上を図ることといたしました。
 具体的には、最も上位の賞として、都民サービス向上に資する春風賞、職員の努力による多大な功績に対する秋霜賞を設置いたしました。また、職務に対する有益な発明や政策課題を解決した類例のない功績、業務改革や職務整理などを多面的に評価できる仕組みとしてございます。
 昨年度の受賞例といたしましては、世界で初めて認知症の進行メカニズムを解明いたしました公益財団法人東京都医学総合研究所派遣研究員の実績や、全国で初めて下水道システムのインフラ輸出を実現した取り組みなど、世界的に顕著な発明や全国に波及する成果がございます。
 今後も、こうした優秀な取り組みを全庁に広く周知し、新たな課題へのチャレンジを喚起してまいりたいと存じます。

○石川委員 しっかりした表彰制度は、職員の意欲を大いに高めていくと思います。表彰のステージはなるべく大きく、しかも、都庁職員だけではなく、広く都民にもわかるようなものにする工夫も必要かと思います。また、直接、職員自身の職務にかかわることでなくても、効率化等に寄与したことによる表彰であるなら、人事評価に直接反映させることも検討していただきたいと思います。
 行政は、時代の変化を敏感に捉え、常に中長期的な視点から課題を認識して対応していくことが重要でありますが、これは職員の能力開発についても同様であります。職員が長い職業人生を送る中で、常に自分自身を成長させるという意欲を持ち、さまざまな課題にチャレンジし、都政を支えていくことが求められております。その点で、都の実情に即したワークライフバランスの実現が大事であるといえるわけであります。
 都におけるワークライフバランス推進に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 都は、本年三月に東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランを策定いたしまして、従来の休暇制度の整備や制度利用による育児と仕事の両立から、出産等の事情を抱えながら昇任に挑戦する職員を応援する方向へと、支援策の方向を転換してまいりました。
 プランでは、二〇二〇年までに都の女性管理職比率を二〇%にまで高める目標を掲げまして、職員のライフステージに応じた支援講座を切れ目なく実施するとともに、休暇に頼らず仕事に専念できるよう、育児や介護を行う職員を対象とした時差勤務を導入してまいりました。
 育児や介護の事情を抱えながらも、みずから成長し組織に貢献する職員を育成し、生かすことは、男女を問わず全ての職員の意欲と能力を一層発揮できる組織の実現につながるものでございます。
 これまで推進してきた仕事と生活の調和に、育児期におけるキャリア形成と、仕事と介護の両立など職場の危機管理を主軸に加えた都独自のワークライフバランスを推進し、都政の課題解決や自己の成長に向けたキャリアに挑戦する職員を支援してまいります。

○石川委員 我が国は既に人口減少社会に突入しており、東京都も二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが人口のピークともいわれており、その後は減少に転ずるわけであります。
 都政においても女性の活躍を推進していくことは、将来の都庁を支えるという観点からも必要不可欠といえます。特に、女性が活躍できる土壌をつくるという意味でも、女性管理職の登用が必須であり、目標数値を掲げることも、女性活躍社会実現のため必要なことといわれています。
 都庁のワーク・ライフ・バランス推進プランの中では、行政系の女性管理職の割合を二〇%にまで高めることを目標に掲げていますが、その実現に向け、具体的にどのような取り組みを行っていくのか、伺います。

○栗岡労務担当部長 都はこれまで、学歴や年功、男女の性別にとらわれない能力や業績に基づく公平、平等な選考によりまして幹部職員を選抜し、実力本位の任用管理を実施してまいりました。その結果、都の女性管理職の割合は、国や民間、他の道府県の割合を大きく上回ってございます。
 プランで掲げてございます女性管理職比率の目標達成に向けては、所属長による、よりきめ細かい受験勧奨を実施するとともに、ライフイベントに応じた従来からの両立支援に加え、キャリア形成を促す講座を実施するなど、意欲と能力がある女性職員を積極的に支援してございます。
 さらには、女性管理職も能力や業績に応じて困難ポストへ積極的に配置し、業務経験を通した育成を行うことで、より上位の役職へ登用拡大を図ってまいります。
 今後とも、実力本位の選考を行う中で女性管理職の割合を高めることはもとより、男女を問わず、都庁の幅広い分野で意欲と能力のある職員が一層活躍できますよう、計画的な育成や支援に積極的に取り組んでまいります。

○石川委員 時代の変化を敏感に捉えるということは、これから職員の働き方も改革をしていかなければならないことだと考えます。もちろん、都民サービスが後退するようなことがあってはならないわけですが、冒頭に伺った組織のあり方とあわせて、今後の大きな課題であると認識をしております。職員のワークライフバランスの推進に向けて、フレックスタイム制の導入など、職員の柔軟で多様な働き方への見直しも必要と考えます。
 都における勤務時間制度についてお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 この夏、育児や介護の事情に限らず、全ての職員のワークライフバランスの実現に向けまして、新宿本庁舎に勤務する職員を対象に、従来の勤務時間に早朝出勤の時間帯を加えた朝型勤務を試行、実施いたしました。
 朝型勤務実施期間中は、職場におけるコアタイムの運用や職員のタイムマネジメントの徹底により定時退庁を促進しまして、超過勤務の縮減や組織の生産性向上を図ることで、職員のワークライフバランスを強力に推進してきたところでございます。
 朝型勤務の試行結果を踏まえ、平成二十八年度からは、朝七時半から十時まで、最大で六本の勤務時間帯による時差勤務を大半の職場に導入いたしまして職員の勤務時間のフレキシビリティーを高めるよう、勤務時間制度の見直しを行う予定でございます。
 もとより、職員のワークライフバランスは勤務時間制度のみで解決するものではございませんが、さまざまな事情を抱える職員に多様な働き方の選択肢を用意することで、全職員が生産性を高め、迅速、果敢に課題に取り組む組織の実現を目指してまいります。

○石川委員 人事委員会にも申し上げましたが、女性管理職を積極的に登用するには、職場における男性職員、女性職員の役割分担意識を変えていく、いわゆるジェンダーフリーの考え方を定着させなければなりません。また、働く時間帯をより柔軟にしていく努力が必要であります。また、管理職になると長時間労働につながるというような不安は、現状における管理職の労働時間管理をしっかりと行うことも必要になるわけであります。
 いずれにしろ、女性活躍社会を目指すために、時間的な余裕が余りあるわけではありません。まずは、女性管理職二〇%の達成と都議会本会議場の状況が変わるよう、最大限の努力を求めておきたいと思います。
 次に、多摩地域の合併問題についてお伺いいたします。
 明治の大合併は、明治政府によって一八八八年に市制及び町村制が公布されるとともに、町村合併の推進を指示したわけであります。これに基づき、強力に町村合併が進められた結果、町村数は、一八八八年末の七万一千三百十四から、一八八九年末には一万五千八百二十となり、五分の一に減少したわけであります。
 昭和の大合併は、一九五三年十月に九千八百六十八あった基礎自治体が、一九六一年には三千四百七十二になり、約三分の一に減少をしました。
 平成の大合併は、地方の各自治体にとって、地方交付税の確保と合併特例債の発行を認められるという、まさにあめとむちによって誘導されまして実現したといっても過言ではないと思います。
 地方分権という視点から、国と地方の実際の仕事は四対六に対して、財源は六対四であり、これを五対五とする地方側の目的は達成できませんでした。
 人口二十万人から三十万人が効率的な行政運営を実現できる単位といわれていましたが、このことは合併によって前進をしたといえるわけであります。
 現在、地方創生に向けた、各自治体が地方人口ビジョンと地方版総合戦略を策定、公表したところであります。
 そこで、平成の合併が、全国と都内市町村でどのように進められてきたのか、お伺いいたします。

○小菅区市町村制度担当部長 いわゆる平成の合併におきましては、本格的な地方分権の時代を迎え、新たな行政需要、広域的な行政需要への対応や行財政基盤の強化を図ることを目的に、合併特例法に基づきまして、平成十一年から平成二十二年三月末まで、財政支援や国及び都道府県による積極的な関与が行われました。
 この間に、全国の市町村数は、平成十一年三月末時点の三千二百三十二団体から、平成二十二年三月末時点では千七百二十七団体まで減少しました。
 都内では、平成十三年一月に、田無市と保谷市の合併により西東京市が誕生しております。

○石川委員 全国では、まさに平成の大合併と呼べるほどの多くの自治体が合併をしたわけであります。
 しかし、大都市圏の場合、市町村合併による行財政の効率化はより強力に実現ができるにもかかわらず、市町村合併の進捗は低いままにとどまりました。大都市圏市町村は、一般に人口規模も大きく、合併をしなくてもやっていけるといえます。そんなことから、東京は、平成の合併の旋風が吹く前の平成七年九月の秋川市、五日市町の合併によるあきる野市の誕生を含めて、二つの合併に終わったわけであります。
 そこで、東京の多摩地域において、都はこれまでどのように市町村合併に取り組んできたのか、お伺いいたします。

○小菅区市町村制度担当部長 平成の合併におきまして、都は、市町村合併が行財政基盤の強化などを進める上で重要かつ有効な選択肢であるとの認識のもと、広域的な立場から、市町村の自主的、主体的な取り組みを支援してまいりました。
 具体的には、関連する情報を都民や市町村に提供しますとともに、市町村の検討に活用できるよう、市町村合併に関する検討指針を策定しまして、議論の素材を提供いたしました。また、知事を本部長とする東京都市町村合併支援本部を設置しまして、市町村合併を全庁的に支援する体制を構築するとともに、市町村の取り組みを総合的に支援する東京都市町村合併支援プランを策定いたしました。

○石川委員 東京都は、答弁にありましたように、市町村合併に関する検討指針を策定して、議論のたたき台としてきたわけであります。私の当時の思いとしては、都は、かなり思い切った合併案を提示してきたと受けとめたわけであります。それも、各自治体ごとに数案、具体的な自治体名、地図も示して公表してきたわけであります。
 しかし、合併が進まなかった一つの要因としては、東京の市町村は地方交付税の不交付団体も多く、また、交付税をもらっていても、財源全体に占める割合は、全国の交付自治体と比べると比較的小さいところが多いといえるわけであります。また、西東京市の誕生の過程で、市長同士が選挙で争うような構図となってしまったことも、合併を遠ざける要因となったともいえるでしょう。
 しかし、多摩地域は二〇一五年から人口減少に向かうと、国立社会保障・人口問題研究所は推計値も出しているわけであります。もうことしであります。今後の合併のあり方を考える上で、人口構造の変化は重要な要素の一つといえます。
 そこで、将来の都内自治体を取り巻く状況はどのように変化していくと見込んでいるのか、お伺いいたします。

○小菅区市町村制度担当部長 本年三月に取りまとめました東京の自治のあり方研究会最終報告によりますと、今後の東京の人口減少は、全国と比べ緩やかではありますが、生産年齢人口が大きく減少する一方で、七十五歳以上人口が倍増するなど、人口構成が大きく変化することが見込まれております。
 こうした状況の中、各地域では、今後、働く世代の減少による歳入減と行政需要の変化、増大による歳出増が見込まれ、都内の区市町村を取り巻く行財政運営の状況は極めて厳しい局面を迎えるものと想定されます。

○石川委員 税収は減り、支出はふえ続ける人口構造に急激に変化をしていくことは避けられないわけであります。また、公共施設の維持管理、いわゆるファシリティーマネジメントに積極的に取り組んだとしても、公共施設にかかわる市民サービスを維持することは並大抵のことではないわけであります。
 そうした状況を踏まえて、都内区市町村の合併について、今後、都としてどのように対応していくべきと考えているのか、認識を伺います。

○小菅区市町村制度担当部長 今後の東京を取り巻く厳しい状況を見据えて、都内の区市町村は、既存の行政体制の維持、存続にとらわれず、早急に行政体制のあり方を検討していく必要があると認識しております。
 一方、都内の区市町村は、人口、面積規模や産業集積、地域の連担の状況や人口構造の変化のスピードが、地域により大きく異なっております。このため、合併等の行政体制のあり方については、各地域の状況の違いを踏まえた上で検討していくことが重要でございます。
 こうした認識に基づきまして、都は今後、将来の行政体制のあり方などにつきまして、各区市町村による主体的な検討を支援してまいります。

○石川委員 「西東京市合併十年のあゆみ」の中で、十年で、人件費の削減を中心に百五十八億円の経費削減を行うとともに、合併に伴う財政支援によって、四百五十億円を活用してまちづくりを進めてきたと記述されております。
 また、市民アンケートでも、行政運営についての満足度も高くなっているわけであります。
 都は、一時、かなり突っ込んだ合併案を多摩の自治体に示したわけであります。実は、これからの十年を目途とした長期ビジョンという時間的なスパンというよりは、三十年程度という、いわゆるグランドデザインの時間的なスパンをめどとして、多摩地域の市町村合併に取り組む構えを用意していく必要があるのではないかと考えます。
 我が国は、既に一千兆円を超える借金を抱えており、今後も今まで以上に厳しい財政運営を地方自治体が強いられることは避けることができないわけであります。必ず次の市町村合併の時代が来ることを想定して準備していただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○加藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時一分休憩

   午後五時十八分開議

○加藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○おときた委員 私からは、初めに、都市外交人材育成基金に関する事業について幾つかの質疑を行います。
 本事業をこれから効果的に展開していくに当たっては、前身であるアジア人材育成基金を活用した取り組みを総括し、有為な人材との関係性を構築していくことが欠かせません。
 具体的には、基金を活用して首都大学東京が受け入れた留学生たちが帰国後に何をしているのかを把握し、東京都とのつながりや留学生同士の交流を保ち、アジアや東京都に貢献する人材になるようフォローアップを行わなければ、留学に公費を支出しただけのばらまきとのそしりを逃れられません。都民のお金で行う事業ですから、一円の無駄もなく、最大の効果を上げる必要がございます。
 そこでまず、アジア人材育成基金六年間で終了した留学生たちに対してどのような施策を行っているのかを伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地方独立行政法人である公立大学法人が運営します首都大学東京の留学生が、大学院修了後も東京に愛着を持ち続け、さまざまな形で東京のさらなる発展に寄与する人材として活躍することは、長期にわたる都市間関係の安定に寄与するものであり、大学はもとより、都においても重要です。
 首都大学東京ではこれまで、都がアジアの将来を担う人材の育成に資する施策に充てるために設置しましたアジア人材育成基金を活用し、優秀な留学生を受け入れてまいりました。また、留学生の人的ネットワークの形成に向け、在学生及び修了生への取り組みも進めております。具体的には、修了生の帰国後も、所属していた研究室を通じての研究交流はもちろん、定期的な現況調査など、大学とのつながりの維持、強化に取り組んでおり、今年度からは新たに帰国留学生同窓会も開催いたしました。
 今後は、アジア人材育成基金を再構築して創設しました都市外交人材育成基金を活用し、母国で教育研究に携わる修了生が短期的に首都大学東京で研究を行う際の活動支援、若手日本人研究者との継続的な国際共同研究の実施など、帰国後のフォローアップ体制を充実していく予定です。

○おときた委員 さまざまな施策が熱意を持って行われていることがわかりました。
 それでは、そのうち、今年度から新たに始められたとおっしゃっております帰国留学生同窓会について、こちら、細かいことかもしれませんが、事業の信頼性の根幹にかかわる部分ですので、詳細に幾つかご質問させていただきたいと思います。
 ご答弁の中で、大学院修了後も東京に愛着を持ち続けることが重要との言及がございましたが、ことし八月に行われたと聞いているこの同窓会は、どういうわけか、東京ではなくバンコクで開催されたと聞いております。
 東京都の首都大学東京で受け入れた留学生たちの同窓会をなぜバンコクで開催したのか、この理由をお伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大学院修了後、留学生の多くは出身国に帰っておりますが、タイのバンコクは、アジア地域、とりわけ修了生の多い東南アジアのハブともいえる要所であり、修了生が集まりやすい場所でもあります。また、首都大学東京は、昨年度、初の海外拠点としてバンコク事務所を開設しており、この事務所を活用した準備が可能です。さらに、今回の帰国留学生同窓会開催に合わせ、首都大学東京の関係者が協定を締結しているバンコク市内の大学などを訪問し、ネットワークを強化することもできます。
 以上のような理由から、首都大学東京では、バンコクで帰国留学生同窓会を開催することとしたと聞いております。

○おときた委員 一番の理由にアクセスというものが上がりました。
 では、まず、この同窓会参加者の対象者は何名で、そのうち何名が参加したのか、また、その中でタイ在住者が何名いたのかを教えてください。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の帰国留学生同窓会には、二十六年度末時点での修了生四十八名のうち二十名が参加いたしました。タイ在住は、タイ出身者の四名のうち、日本在住の一名を除く三名でございます。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、別途詳細を拝見いたしましたところ、中国やフィリピンなど東南アジア各国から参加者が来られているようです。
 それで、タイ出身者は四名で、うち一名は、わざわざ日本からバンコクに行くことになると。こうした遠方からの参加者たち、留学生たちの旅費はどのような扱いになっているのでしょうか、伺います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 帰国留学生である大学院修了生の航空運賃につきましては、東京都からの標準運営費交付金を財源とします公立大学法人首都大学東京の予算で負担し、その他の滞在経費等は修了生の負担といたしました。

○おときた委員 留学生たちの交通費は、東京都のお金から出ていたというわけですね。懐かしい東京に来てもらって、東京への愛着を高めていただくというならまだしも、多くの留学生には何らゆかりのないバンコクへの交通費が公費から支払われる、ここに都民の納得が得られるのかどうかについては大きな疑問が残ります。
 では、続いて、東京からバンコクの同窓会に参加した関係者が何名いたのか、役職別に分けてお示しください。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京からは、学長、国際担当の副学長、留学生の指導教員の八名、大学の事務職員五名、計十五名が参加いたしました。

○おときた委員 留学生の参加者が二十名に対して、日本から十五名もの関係者がバンコクに出張していたわけです。これはほとんど半分です。
 この関係者たちの旅費、経費はもちろん公費負担だと思われますが、確認のため、お伺いいたします。また、さきの留学生たちの旅費も含めて、本同窓会自体にどれだけの経費がかかっているのかもお示しください。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回のバンコク出張は、業務としての出張であるため、首都大学東京から参加した教職員の旅費は法人が支出しております。これを含め、帰国留学生同窓会開催経費の総額は約四百八万円でございます。

○おときた委員 総額は四百八万円ということですけど、事前にお伺いしたデータでは、日本から出張した十五名の経費、これが百九十一万円となっておりました。総経費のほぼ半分です。冒頭の答弁で、初の海外拠点であるバンコク事務所を活用できるとおっしゃっておりましたが、それでも大勢の事務方が出張なされていると。東京で行えば、この部分の経費は丸々カットできたわけです。
 続いて、もう一つ、開催の妥当性について確認いたします。
 本同窓会はことしの八月二十九日に開催されており、その十日ほど前には、バンコク市内で大規模な爆発テロが起こっておりました。多くのイベントが中止になり、しばらくの間、帰国した日本人も多かったことは記憶に新しいところです。
 こうした極めて危険な情勢下で、なぜ中止という判断を行わなかったのか、その理由をお伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、大学のバンコク事務所などを通じて、現地の日本大使館やバンコクに事務所を置く各大学のネットワークなどによる現地の最新情報の入手に努めました。
 事件発生から一週間を経過した時点で、さらなる事件が起こっていなかったこと、他の大学等において、バンコクで実施する行事が通常どおり行われているものも多くあること、また、バンコク市内の様子も平常どおりに戻りつつあることなどを総合的に勘案し、予定どおり開催することを決定したと首都大学東京から聞いております。

○おときた委員 総合的にご判断ということですけども、この爆破事件が起きたことで、参加をキャンセルした者も複数いると聞いております。留学生、関係者の中に何名いたのかを教えてください。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 爆発事故を受け、今回の帰国留学生同窓会の参加をキャンセルした修了生は六名でございます。
 なお、これに伴い、不参加となった修了生を担当していた指導教員一名が参加を見送っております。

○おときた委員 六名の留学生がキャンセルをされて、参加者が二十名ということは、二割強、三割弱の参加者が安全面を理由に辞退されていたわけです。これは十分に開催中止を決断する理由になっていたように思います。それでも開催をご決断されたと。
 それでは、以上の背景の中で開催された同窓会で、留学生や関係者の安全確保についてはどのような努力をされていたのかをお伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、帰国留学生同窓会の開催に当たり、日本の外務省の通知等をも参考にし、不要不急の外出を避ける、人が集まる場所では細心の注意を払うなどの対応策を周知いたしまして、参加者に対する注意喚起に努めてまいりました。

○おときた委員 不要不急の外出を避けるように注意喚起を行ったと。この点が後ほど重要になりますので、ぜひご留意しておいていただきたいと思います。
 続いて、出張日程についてです。
 この同窓会への職員出張は、当初、同時期にバンコクで開催予定だった日本留学フェアへの参加、視察も兼ねたものだったと伺っております。しかしながら、日本留学フェアは爆発事件の影響で延期になっております。その結果、東京都から訪問した関係者たちのスケジュールはどのようなものになったのか、こちらを詳細にお伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 延期となりました日本学生支援機構主催の日本留学フェアの当初の開催予定日は日曜日でございました。このため、首都大学東京では、他の大学への訪問なども検討しましたが、調整がつかず、週休日といたしました。
 その他のスケジュールにつきましては変更しておりません。

○おときた委員 ご答弁のように、同窓会の抱き合わせだった当初の出張目的の一つが事件で延期、なくなっているわけです。これも十分に同窓会開催延期の理由になると思いますが、それでも同窓会は強行に開催したということで、この点には大きな疑問がやはり残るところです。
 そして、訪問日程に週休日が発生したということですが、この日に出張に係る手当、経費は支出されているのかどうかを確認させてください。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京の旅費規則では、翌日以降の用務のため滞在が必要な場合、週休日についても、旅行命令に基づく用務のための出張として、宿泊料や日当を支給する規定となっており、この日についても旅費が支出されております。

○おときた委員 休みの日にも東京都の、つまり、都民のお金から関係者には日当などが支払われているわけで、これではますます本事業に対する都民の厳しい見方を助長することになるのではないかと思います。
 週休日の翌日、月曜日にはバンコクにおける協定大学への訪問予定があったそうですが、同窓会だけは開催するにしても、安全面、スケジュール面を考えて、そちらの大学訪問はキャンセルし、終了後に即時帰国する選択肢もあったと思われます。なぜそのような対応を行わなかったのか、理由をお伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、安全面からの検討を行った結果、帰国留学生同窓会を開催できる状況にあると判断いたしました。現地での他大学への訪問も、帰国留学生同窓会とあわせ、重要な用務であり、総合的に判断した結果、当初の予定どおりとしたと聞いております。
 なお、この訪問時には、首都大学東京と訪問先の大学との間での交換留学等の実施に向け、互いの留学生受け入れ体制の確認や受け入れプログラムの紹介などを行いました。これにより、今後、学生の派遣や受け入れに具体的につながっていくものと期待しております。

○おときた委員 爆破テロという事情が事情ですから、大学訪問はキャンセルすることに差し支えはなかったのではないでしょうか。意見交換に意義がないとは申しませんが、こうした情勢下で行うことには疑念を感じざるを得ません。どうしてそこまで月曜日の大学訪問の予定にこだわったのでしょうか。
 ここで週休日の過ごし方について少しお話をさせていただきたいのですが、前述のご答弁のとおり、参加者や関係者には不要不急の外出を避けるように通達しておりました。ところが、ここで一枚の写真をごらんいただきたいのですが、こちらですね。こちら、バンコクから少し離れたところにある世界的観光地であるアユタヤというところです。ここに写っていらっしゃるのは、今回、出張した関係者の方々であるといわれております。ごらんのように、楽しそうな集合写真まで撮られておりまして、個人のお顔には修正を入れさせていただきましたが、見る方が見れば、わかるのではないかと思います。日付も二〇一五年八月三十日と刻印されてございます。
 こうした遠方の観光地への外出は突発的に行ったとは思えませんから、事前に周到に準備されていたと考えるのが妥当です。都民の税金で出張して、日当が出ている週休日に計画的に遊んでいたのではないかと、ここには、都民のみならず、私自身も強い憤りを覚えております。
 以上、見てきたように、公費支出の観点からも、安全面からも極めて軽率であり、都民の理解は到底得られない事業のように思えます。果たしてこの同窓会企画の開催は妥当であったのかどうか、改めて東京都の見解を明確にお示しください。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでのアジア人材育成基金、そして、新たに創設しました都市外交人材育成基金の目的を達成するためには、修了生の人的ネットワークを形成することが極めて重要です。そのためのきっかけづくりとなる今回の帰国留学生同窓会は、繰り返しになりますが、より多くの大学院修了生に参加していただくことを考えてバンコクでの開催といたしました。安全面につきましても、日本の外務省からの安全情報や現地の最新情報を収集した上で開催の判断を行っております。
 また、帰国留学生同窓会後の大学訪問も、国際的な大学間連携を進めていく上で重要な用務であり、先方との事前の約束どおりに対応いたしました。先ほどもお答えしましたとおり、訪問時には、交換留学等の実施に向け、受け入れ体制の確認や受け入れプログラムの紹介などを行いました。これにより、今後、学生の派遣や受け入れに具体的につながっていくものと期待しております。
 また、お話がございました週休日の過ごし方につきましても、一定の範囲内での注意喚起をした中で、各自が適切に対応したものと考えております。
 このように、今回の留学生同窓会の開催について、首都大学東京は適切に対応したものと考えております。

○おときた委員 残念ながら、これだけの事実をご指摘させていただいても、不適切な対応についてはお認めいただけませんでした。これが都民の税金を預かる東京都の意識なのだと思うと、大きな失望を感じざるを得ないところでございます。
 週休日の過ごし方についても適切であったとご答弁がありましたけども、近隣の観光地に集団で出かけることが果たして適切であったのかどうか、これは、都民目線で見れば回答は明らかではないかと思います。
 ネットワークの形成というのは重要ではありますが、であれば、なおさら、こうした同窓会は東京で行えばよい話です。大学訪問は、また別のテーマであり、いわば出張のこじつけの一つです。
 来年度以降も開催が予定されていると聞いておりますが、アジアから、今回、都市外交人材育成基金で世界へとその対象が広がったことで、開催地が今度はパリだ、ニューヨークだなどと広がることには、都民の理解は決して得られません。次年度以降の同窓会については、東京で最小限の費用で最大の効果を上げられることを強く要望いたします。
 この事業に関連しては、最後に、ことし十月に行われた第一回都市外交人材育成基金の年次総会についても伺います。
 こちらは首都大学東京の構内ではなく、どういうことか、近隣のホテルで開催されたと聞いております。これに使われた経費と、なぜホテルでの開催を選択したのか、その理由をお示しください。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京が十月に開催しました第一回都市外交人材育成基金年次総会は、基金により受け入れました留学生や関係の教職員、さらに、大学院修了後に日本で就職、修学等をしております修了生が一堂に会し交流する機会を設けることにより、留学生同士、また、教職員や留学生とのネットワークを構築することを狙いとしたものでございます。
 この年次総会では、留学生による活動報告としてのプレゼンテーションとともにレセプションを行い、業務委託料として約百六十三万円を法人が支出いたしました。
 首都大学東京では、百二十名を超える規模のイベントを開催するに当たりまして、学内に適当なスペースがなかったこと、直営で行う場合の準備などにかかわる業務量等を総合的に勘案し、近隣のホテルでの開催を選択したと聞いております。

○おときた委員 こちらも、一事が万事で、同窓会と同じ意識の問題のように思います。大学ですから、大人数相手にプレゼンをする教室などもあるでしょうし、食事は学食を使うこともできます。大勢の留学生たちが首都大学東京を訪れる中で、なぜこの基金を使って来た留学生たちだけが豪華に歓待されるのか、疑問の声も大学構内で上がっていると聞いております。
 本事業の基金を積み立てた政策企画局の質疑でも言及いたしましたが、都民の中にも、経済的事情で大学に進学できない、あるいは奨学金の返済にいまだに苦しむ人たちがいる中で、なぜ外国人留学生の受け入れ事業にこれだけの公費が注がれているのか、都民からは厳しい視線が集まっております。その中でこのようなお祭りイベントのようなことばかりを開催していれば、事業そのものに対する不信を招きかねません。
 今回の質疑を通じて、不適切とも思われる海外出張などの事実が明るみになりました。これは広く都民の知るところになるはずです。東京都は、都民からの声をしっかりと受けとめて、一円たりとも税金が無駄に支出されることのないよう、本事業に臨む姿勢を抜本的に改善される、そして首都大学東京に強く指導されることを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、附属機関の情報公開についてお伺いいたします。
 先般の報道では、東京都の附属機関の七割以上が非公開になっている現状が示され、ゆゆしき事態であると感じているところです。私もかねてから、東京都の各種協議会、審議会などの附属機関の閉鎖的な体質については問題提起を重ねており、今回の報道後も、すぐに申し入れを行うべく動きましたが、こうした動きを統括するのは、情報公開課を持つ生活文化局ではなく総務局であるとのことでした。
 そこでまず、附属機関を統括する総務局の役割とその役割を担う根拠についてお伺いいたします。

○内藤次長 附属機関は、法律または条例に基づきまして執行機関に置かれる審議会、審査会などを指すものでございまして、都の組織を構成する機関の一つでございます。
 そのため、東京都組織条例に基づき、組織に関する業務を所管する総務局は、附属機関及びこれに類似する機関の設置及び運営につきまして適正な運営がなされるよう、附属機関等設置運営要綱を定めているところでございます。
 なお、附属機関に類似する機関と申しますものは、要綱等により知事が設置する懇談会、局長が外部の専門的知識を導入するために設置する専門家会議、事業執行上の連絡調整を図るため設置する連絡調整会議がございます。

○おときた委員 条例取り決めの観点から総務局が担当している理由はわかりました。
 では、実際に附属機関の審議会等の公開状況はどうなっているのか、担当局として把握している状況をお示しください。

○内藤次長 附属機関等の審議の公開状況でございますが、平成二十七年四月一日現在、三百機関ある附属機関等のうち、公開は百四十七機関、一部非公開は四十三機関、非公開は百十機関となってございます。

○おときた委員 この数字だけを見ると、かなりの割合は公開しているようにも思えるのですが、では、そのうち、開催日程が公開されていないなど、実質非公開、事実上、都民が傍聴に来れない、そうなっている附属機関については実態を把握できているのか、状況を伺います。

○内藤次長 会議を公開または一部非公開としている百九十機関のうち、ちょうど半数に当たりますが、九十五機関が会議開催日程等の事前告知を実施し、残りの九十五機関が事前告知を実施している状況にはございません。

○おときた委員 ご答弁のように、開催告知がなければ都民は見に来ることができませんから、多くの附属機関で適切な対応ができていないということがわかります。そして、そもそも、今回このような報道が出るまで、担当する総務局もこの状況を俯瞰的に把握していなかったようですから、こちらも問題であると感じております。
 そんな中、舛添知事も、十一月初旬の記者会見において、この事態に対して改善を指示した旨を述べられておりましたが、これがどのように進行していくのかには不安が残ります。情報の受け手は一般の都民ですから、情報公開を担当する生活文化局情報公開課とも連携し、原則的には、全ての附属機関から情報を吸い上げて一元化し、都民に幅広く公開できる体制をとれることが望ましいと考えます。
 現状の改善に向けて、附属機関を総括する総務局として今後どのような対応を行っていくのか、展望をお聞かせください。

○内藤次長 附属機関の情報公開に関しましては、附属機関等設置運営要綱及び取り扱い通知におきまして、ホームページの積極的な活用など適正な運営に努めているところでございます。
 各局は、個人のプライバシーや企業秘密といった保護すべき情報の有無など、各機関の審議内容を踏まえ、報道発表や公式ホームページなどを活用し、可能な限りの情報の公開を行っております。また、会議運営に混乱や支障が生じる場合や緊急に開催される会議などを除いて、事前告知の実施に努めております。
 元来、附属機関は、自由な意見の交換や意思決定の中立性が阻害されないよう、その審議の自主性が最大限尊重されるべきものでございます。そのため、情報の公開はおのおのの機関の判断のもとに行われるものでございますが、その運営実務は各所管局が実施しているため、今回改めて、各局に対し、要綱及び取り扱い通知の再徹底を周知したところでございます。
 引き続き、公開情報を都民にわかりやすく伝えることにつきましては、関係局と調整を図りながら適正な運用を推進してまいります。

○おときた委員 丁寧なご答弁をいただきまして、自主性を尊重するという内容もございましたが、この前に行われた青少年・治安対策本部に対する私からの質疑の中で、附属機関を統括する部門の責任者が、条例上の条件では非公開にできないけれど、円滑な運営のために、見られることに差しさわりがあるから日程は告知しなかったと、そういったような内容を堂々と答弁してしまうのが各附属機関や統括部局の実態なんですね。簡単にいえば、悪いことをしている意識というのが全くないんです。
 こうした実態に対して、都民益の観点からも、条例上のルールからも、公開、告知はしなければならないんだと、総務局が強い指導力を発揮されることを望みます。
 また、そもそもの情報公開については、その専門性をうちに抱える生活文化局が担うべきであると考えます。これは総務局の質疑でいっても仕方のないことかもしれませんが、最後のご答弁にもあったとおり、そちらの方ともしっかりと調整を図りながら、どの部署が責任を持って情報公開を進めるのか、縦割り行政の弊害を乗り越えてしっかりと進めていただくように要望、意見を申し上げまして、次の質問に移ります。
 次に、東京都のウエブサイト運用についてお伺いいたします。
 障害者や高齢者など心身の機能に制約のある方でも、年齢的、身体的条件にかかわらず、ウエブで提供される情報が問題なく見られるように対応するウエブアクセシビリティーの重要性は日増しに高まっております。ところが、東京都各局のホームページは統一感がなく、専門知識を持って活動しているWebアクセシビリティ協会という組織に診断をいただいたところでも、多くのページでこの対応が不十分な状態であることが指摘されております。
 外向けのホームページ全体については生活文化局が主導となっているのは伺っているところですが、このウエブアクセシビリティーについては、東京都として取り組む部署はどこになるのでしょうか。また、これが総務局であるとすれば、その担当として、ウエブアクセシビリティーの重要性をどのように認識されているのかを伺います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ウエブアクセシビリティーに関する社会的な要請は高まっていると認識しております。
 そこで、東京都公式ホームページにおける統一感の欠如等の課題に対応するため、総務局では、ウエブアクセシビリティー対応を含めた技術的基準として、平成二十六年三月に東京都公式ホームページ作成に関する統一基準を定め、東京都各局のホームページの統一感の創出を推進しております。
 今後とも、ホームページデザインなどの一体感の醸成に努めるとともに、高齢者や障害者を含めた、誰もが必要な情報にアクセスできるウエブアクセシビリティーの対応の強化を図るなど、より機能的なホームページの構築を推進してまいります。

○おときた委員 総務局が統一基準を定めて推進していくと、そのようなご答弁がありました。
 それでは、具体的に、現状では不十分となっている各局のウエブアクセシビリティーについて、総務局としてはどのような対応を行ってきたのかをお聞かせください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京都公式ホームページ作成に関する統一基準への準拠状況については、各局の状況を定期的に確認し、取り組みを支援しております。
 今年度も、十局においてリニューアルを実施するなど準拠への対応を着実に進めており、これにより、統一基準で示したウエブアクセシビリティーへの対応は、おおむね全庁で完了する見込みとなってございます。

○おときた委員 今年度にリニューアルを実施して、年度末までには、おおむねその結果が出るようですから、まずはそちらを待ちたいと思います。
 しかしながら、各局がそれぞれ改善を担当しているとのことで、規格を作成して配布しているとはいえ、不安が残ります。実際に、ある程度のガイドラインがあっても、これまで、東京都各局のホームページの仕様はばらばらで、統一感を著しく欠いてまいりました。
 ウエブアクセシビリティーについては、このような事態に再びならないよう、どのような対応が考えられるのでしょうか。各局との連携、特にホームページ全体を統括する生活文化局との連携を中心に見解をお伺いいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京都公式ホームページ作成に関する統一基準では、シンボルマークや問い合わせ先の配置場所の統一などを指針として定め、ホームページの統一感の醸成を図っております。また、ウエブアクセシビリティーに対応したホームページに簡易に移行できるツールを提供するなど、各局の取り組みを支援してきたところであります。
 あわせて、各局が委託により対応する場合は、委託仕様として本統一基準を添付することで実効性を確保しております。
 本統一基準については、総務局と関係局が共同で策定したところであり、今後も各局と連携し、適切にウエブアクセシビリティーを確保してまいります。

○おときた委員 いろいろと試行錯誤しながらご対応していただいているのだなとは思います。
 ただ、気になるのは、やはり各局との連携のところで、私が都議会に来た直後から指摘させていただいているところなのですが、指導力を発揮する部門がどこになるのか、かなり曖昧ではっきりしないんですね。ホームページ全体については、さきの舛添知事のご答弁で生活文化局だということで決着を見たのですけれども、では、アクセシビリティーについては総務局だということになるのでは、また新たな縦割りの構造になってしまいます。
 ご答弁の中で、関係各局と共同で基準を策定したといっておりましたけれども、これは要は生活文化局のことだと思うのですが、そういった答弁すら、なかなかいただけない。こういったところに、総務局と生活文化局がどうもうまく連携ができていないんじゃないかということを非常に肌身に感じるところでもございます。アクセシビリティーとデザインというのは、切っても切り離せないものですから、このあたりの役割整理については、しっかりと関係二局で定めていただきまして、これまでの二の舞にならないよう対応されることを強く要望いたします。
 そして、年度末に一旦のリニューアルが行われても、こうした改善作業に終わりはありません。JIS規格も万能ではないことも指摘されていまして、不断の努力で改善を続けていく必要がございます。その際には、冒頭に出てきたWebアクセシビリティ協会など、民間の知恵などもかりながらブラッシュアップを行っていくことが望ましいと考えます。
 ウエブアクセシビリティー推進の中長期的な計画について展望をお聞かせください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 技術の進歩やウエブアクセシビリティー等に対する社会的な要請の高まりに対応するため、継続的な改善を続けていく必要があると認識しております。
 そこで、ホームページ作成統一基準講習会を定期的に開催するなど、各局における継続的な改善を支援しているところでございます。
 今後とも、国の手引の改正などの機会を捉え、適切に統一基準等の見直しを図るとともに、必要に応じて業務委託を活用するなど、専門的な知見を取り入れつつ、関係局と連携して不断の改善を推進してまいります。

○おときた委員 必要に応じて業務委託などを活用すると、民間活用に向けて前向きなご答弁もいただけましたので、この分野については、ぜひ民間の専門的知見や機動力の助けをかりながら、東京都全体で統一感を持って推し進めていただきたいと思いますので、この点を要望し、次の質問に移りたいと思います。
 次に、総務局が策定しているIT人材育成プログラムについてお伺いいたします。
 情報化の流れはとどまることを知らず、ITの知識や運用はますます重要になってきています。
 東京都は、平成二十一年にIT人材育成プログラムを作成しておりますが、まずは、これはどのようなものなのか、概要をお伺いいたします。

○中島情報通信企画部長 東京都IT人材育成実行プログラムは、IT人材の育成を推進していくための指針として、平成二十一年に定めたものでございます。
 この指針では、誰もがいつでもその職責、職層に応じてITを業務改善のツールとして利活用できるといった目指すべき人材像を掲げ、その実現に向けて、職員として身につけるべき情報リテラシー、職場マネジメント力、ITマネジメント力の向上を図ることとしており、これらをIT人材育成の基軸に据えております。
 また、具体的な取り組みとして、組織、部門が果たすべき役割分担や、情報システムの開発、運用、技術支援、そして情報セキュリティーなどの四つの分類に応じて職員が保有することが望ましいITスキルの目安を明示し、このITスキルの獲得に向けたOff-JT、OJT、自己啓発などの研修の実施を定めております。
 特にOff-JTにつきましては、対象となる職員のレベル、職場の状況に応じまして、研修受講後に職場において実際にITを的確に業務遂行に活用していけるよう、実践的な研修体系としているところでございます。

○おときた委員 丁寧にご答弁をいただきました。こちらのプログラムなのですが、当時作成された資料を見ると、アンケートなどをとって、さまざまな数値目標、数値が示されております。こうした実態を調査しているのは大変すばらしいことなんですけど、せっかくですから、取得した数値に関しては、定量的に経年変化を追っていくことが非常に重要になります。
 また、こちらの計画の中には、三カ年後には全体的な見直しを行う、そういった文言もありまして、策定当初はPDCAを回していくことが想定されているようです。
 こうした中で、プログラムの開始から六年間がたち、どのような成果が出ているのでしょうか。また、実際に、三年後となる平成二十四年前後にはどのような見直しが行われていたのかを伺います。

○中島情報通信企画部長 実行プログラムの全体的な見直しについてでございますが、実行プログラムは、ITに関する都職員の保有すべき資質や能力の育成についての指針を定めたものであり、IT人材はこれに基づいて継続的に育成していく必要があることから、実行プログラムそのものの変更は行っておりません。
 一方で、個々の研修内容は、都職員が獲得したITスキルレベルや技術動向などに応じて見直すべきものであることから、研修受講の前後に実施いたします理解度テスト、受講生アンケート、研修講師の講評、各局担当者の意見などから得られた内容を反映させ、内容の見直しを行っております。
 具体的には、講義と実際に機器を操作する実習とを並行して行うことにより、知識と技術の定着を目指す研修や、外部委託業者による高度専門的な技術や知識の付与を図る研修をふやすなど、日常業務の実践力強化を目的とした研修内容の充実を図りました。
 こうした取り組みを重ねることによりまして、与えられたIT基盤の適切な活用を行える情報リテラシーや、業務改善のためにITの活用を進める職場マネジメント力、そして、業務システムの適正化や業務委託の適正管理を行うためのITマネジメント力について、一定程度の向上が図られたものと考えております。

○おときた委員 一定のスキル向上が見られたというのはすばらしいことだと思います。
 しかしながら、とられているアンケートや講評、意見などは、どれも個々に単発で集計されたもので、これでは経年変化や総合的な評価というのを把握することは難しいのではないかと感じます。IT人材は継続的に育成していく必要があるとのご答弁のとおり、だからこそ、同じ指標を用いて定点観測していくことが大切です。
 また、プログラムそのものの変更は行っていないとの点についても、スマホやタブレット端末の普及など、ITも六年間で飛躍的に変化し、求められる人材像もまた変わってきているのではないでしょうか。
 これまでのプログラムの効果を算定した上で、新たな目標や指標を定めることが必要であると考えますが、IT人材育成プログラムの課題と今後の展望についてお伺いいたします。

○中島情報通信企画部長 実行プログラムで掲げております目指すべきIT人材像の実現やそのための能力の向上は、継続して取り組んでいくべきものであると考えております。
 一方、都では、平成二十七年三月に都庁組織・人事改革ポリシーを策定し、十月には東京都サイバーセキュリティポリシーの見直しを行っており、この六年間で人材育成を取り巻く状況にも変化が生じてきておりますことから、今後行ってまいりますIT人材育成実行プログラムの検証作業に当たりましては、こうした新たな指針との整合を図ることなどを念頭に置きつつ、内容の検討を進めてまいります。

○おときた委員 現状の変化を受けとめていただいて検討を進めていくとの前向きなご答弁をいただきましたので、この点は高く評価するとともに、ぜひ早急に行ってほしいと思います。
 IT人材の育成については、民間でも伝統的な大企業などは特に苦戦しているところで、誰でもいつでもITが使えるというような発想から、専門分野や役割を切り分けて、ある程度割り切った業務遂行をする形式がとられることもあるようです。要は、何でもかんでも誰でもというのは難しいということなんですね。こうしたトレンドや事例なども研究しながら、三年、六年ではなく、非常に早いスピードで展開するITの変化についていけるようなプログラム改定が行われることを期待いたします。
 つけ加えまして、こちらの平成二十一年策定のプログラムについては、私が指摘をするまで、ホームページなど都民が閲覧できる場所に公開されておりませんでした。その後に調査を重ねていく中でも、残念ながら、このプログラム遂行に関して恒常的に注目している気配が余り感じられませんでした。プログラムを掲げて、それを取り下げていない以上は、指摘されてからやるというのではなくて、常に都民の目があるという緊張感を持ちながら、その遂行に邁進していただくことを期待、要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、防災関連について簡潔に伺います。
 先般、「東京防災」が発刊されたところですが、来年には障害者差別解消法などが施行されることもあり、障害者などの特別な支援を要する人への災害対策のニーズ、関心は日増しに高まっております。
 「東京防災」の策定に当たっても、表現についてのご議論があった様子ですが、まず、障害者への防災、発災時の対策を策定するに当たって、東京都の役割をお伺いいたします。

○小林防災計画担当部長 東京都地域防災計画では、国の防災基本計画を踏まえまして、予防、応急、復旧の災害対策業務を網羅的に示しまして、行政機関等を中心にそれぞれの業務の役割を明確化してございます。
 障害者などの要配慮者に関する取り組みにつきましては、地域防災計画におきまして、避難行動要支援者の名簿作成や避難支援体制の整備などを区市町村の役割と位置づけてございます。
 都は、広域的な立場から、区市町村が進めます要配慮者対策の支援や、発災時の要配慮者に関する区市町村等との連絡調整等を担うこととしてございます。

○おときた委員 一義的な対応は基礎自治体が行っているということがわかりました。
 とはいえ、多くの人々が広範囲に暮らす東京都において、どの地域でも過不足なく障害者などの要配慮者の方々への対応が行われるように、広域自治体たる東京都も努めなければなりません。
 そこで、基礎自治体の対策を策定する過程において、東京都はどのような支援を行っているのかを教えてください。

○小林防災計画担当部長 東京都では、要配慮者対策に係ります指針の策定、避難支援プランの作成支援、避難生活等におけます要配慮者等のニーズに対応した対策を働きかけるなど、都の障害者施策等を所管いたします福祉保健局において、区市町村による要配慮者対策の強化に向けたさまざまな支援を行っているところでございます。

○おときた委員 専門の知識を持つ福祉保健局が一義的な対応をするということです。
 しかし、ここで重要なのは包括的な連携になります。事前の対策においても、また発災時においても、縦割り行政の弊害で情報共有が不足していたり、実際に障害者などの要配慮者に対して十分な対応ができない事態が起きることは避けなければなりません。
 防災を統括する総務局として、要配慮者対策の支援を担う福祉保健局との役割分担、連携はどのようになっているのでしょうか、伺います。

○小林防災計画担当部長 災害から都民の安全・安心を確保していくためには、庁内各局はもとより、関係機関等との適切な役割分担のもと、予防から応急、復旧まで、一体となって防災対策を推進していくことが重要でございます。
 こうした認識のもと、昨年末に東京の防災プランを策定いたしまして、障害者など要配慮者支援体制の整備を初め、各局が事前に取り組むべき具体的な取り組みを数値目標とともに示したところでございます。
 また、発災時には都災害対策本部を設置いたしまして、区市町村から、避難所におけます障害者などの要配慮者数等、その後の支援に資するための情報を把握するなど、全庁を挙げて応急対策を実施することとなります。
 今後とも、福祉保健局を初め各局、区市町村等、関係機関としっかり連携を図りながら、東京の防災力向上に向けた取り組みを進めてまいります。

○おときた委員 ご答弁をいただきまして、しっかりと連携も考えられているのだなというふうに思います。
 阪神大震災や東日本大震災の例を見ても、障害者などの要配慮者への対応はまだまだ不十分であるという面が否めません。実際に障害者の方々などのお話を伺っていても、自治体ごとの対応の違いや、どこに聞いてもわからなくて、たらい回しにされたと、そういったことが一番不満として残っているということも仄聞しております。
 引き続き、区市町村の支援並びに横の連携をしっかりと行っていただくようお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 最後の項目です。ワークライフバランスの推進についてお伺いいたします。
 舛添都知事は、就任後、ワークライフバランスの促進を強く打ち出されました。就任直後の記者会見においては、日が暮れたら帰る、五時、六時になったら全員帰るなどとおっしゃっておりましたので、やはりワークライフバランスにおいては、勤務時間、時間の短縮という面に重きを置かれていたのだと思います。ワークライフバランスという定義も幅広いのですが、私は主にここでは時間に着目しております。
 そこで、知事就任から一年半がたち、これまでのワークライフバランス促進に対する取り組み状況と、残業時間の短縮など可視化された実績が出ているのかをお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 都は本年三月、東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランを策定いたしまして、出産や育児、介護の時期にあっても、昇任を含めた職員のキャリア形成を後押しし、組織の生産性を向上させる取り組みを推進してございます。
 プランに基づき、育児中の職員を対象としたキャリア形成を促す講座を実施しましたほか、本年四月には、休業等の取得によらず仕事に専念することが可能となるよう、育児、介護を行う職員のための時差勤務を導入したところでございます。
 さらに、この七月、八月の二カ月間は、育児、介護など特別の事由を有しない一般の職員のワークライフバランス実現を目指して、新宿本庁舎に勤務する職員を対象に、育児、介護職員向けに設定した早朝の勤務時間帯を活用して朝型勤務を試行いたしました。
 こうした取り組みにより、定時退庁の促進やタイムマネジメントを意識した仕事の進め方を徹底し、超過勤務の縮減と生産性の向上など、働き方改革を促してきたところでございます。
 この結果、朝型勤務を試行実施した二カ月間の本庁職員一人当たりの総超過勤務時間数は対前年度比で〇・五%減となり、一定の成果を上げたものと認識してございます。

○おときた委員 一定の、〇・五%と数字にすると微々たるものですが、しっかりと成果が出ているということで、そのご答弁の中に朝型勤務というものがございました。
 こちらの試行実施で、超過勤務の削減に一定の効果があったとのことですが、こちらの仕組みと今後どのような展開を図っていくのかを具体的に教えてください。

○栗岡労務担当部長 朝型勤務は、現行の八時半、九時、九時半の始業時間に加え、育児、介護職員向けに設定しました始業時間のうち早朝勤務の時間帯、具体的には午前七時半、八時の始業時間を追加したものでございます。
 朝型勤務の実施期間中は、管理監督職が率先して制度を利用するとともに、職員のタイムマネジメントを徹底し、会議時間の集約を初め、コアタイムの運用を強化するなどして定時退庁を促進し、超過勤務の縮減を図りました。特に朝型勤務を積極的に活用するため、全庁で二十カ所程度設定したモデル職場におきましては、超過勤務時間数が約一割縮減されまして、より大きな成果を上げたものと考えてございます。
 この夏の試行結果を踏まえまして、平成二十八年度からは、早朝勤務の時間帯に加え、遅出勤務となる十時の開始も加えた六本の始業時間帯を設定しまして、本庁のみならず、事業所を含めた大半の職場に時差勤務を拡大する予定でございます。これにより、育児、介護など特別の事由を有しない職員も含め、広くワークライフバランスの実現に資するとともに、超過勤務の縮減と生産性の向上を段階的に実現してまいります。

○おときた委員 国の方の政策でも、夕活というのがことし話題になりましたが、勤務シフトの弾力的な運用によって、超過勤務削減に一定の効果があったと。特にモデル勤務では一割ということで、これは非常に大きな成果だと思います。
 ですが、ここで大事なのは、職種や業務内容ごとの対応になります。朝型勤務の方式に全体としては一定の効果があったとしても、どうしてもその仕組みになじまない職種や、時差勤務を導入するだけでは効果が出なかった部門もあったことが推察されます。試行実施の結果、そうした分析を行っているのかが気になるところです。分析を行った上で朝型活動、時差勤務を東京都全体に展開するとすれば、これが必ずしも有効でない分野にはどのようにアプローチしていくのか、それを考える必要がございます。
 こうした観点からも、二カ月間の時差勤務の実験結果を踏まえて、東京都全体として超過勤務を減らし、ワークライフバランスを促進していくために、今後はどのように取り組みを進めていくのか、見解をお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 都庁は、都民サービスに直結する窓口職場など、さまざまな態様の現場を抱えてございまして、業務形態によりワークライフバランス実現の手法は異なるものと考えてございます。
 例えば交代制勤務の職場におきましては、あらかじめ勤務割りを設定するため、休暇の計画的な取得を推進しやすい環境にございます。また、時期的に超過勤務が集中する職場におきましては、新たに導入する遅出出勤を活用しまして、一定のインターバルを持って元気回復を図ることなどが有効でございまして、各職場の勤務実態に合わせた手法を取り入れていきたいと考えてございます。
 今後は、職場に応じて、広く総労働時間も縮減していく観点に立って、時差勤務の拡大に限らず、休暇取得の促進などさまざまな手法を活用し、職員の意識改革と職場の生産性向上を推し進め、ワークライフバランスの実現に取り組んでまいります。

○おときた委員 超過勤務の削減は、行政以上に民間でも非常に解決が難しい課題ですので、一筋縄ではいかないことも多いかと思います。時差勤務などの手法は決して万能なものではなく、むしろ職員の意識改革などを促す一つの手段ともみなすべきです。超過勤務の短縮には、何より管理職の理解や対応も問われてまいりますので、引き続きの努力が継続されることを期待いたします。
 最後に、時間という点からは離れまして、ワーク・ライフ・バランス推進プランを拝見いたしますと、充実した子育てに関する対応に比べて、介護に対する記載や施策が十分ではないように思えます。
 今後、介護を控える職員たちのワークライフバランスを支えるためにどのような対策を展開していくのかをお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 育児とは異なりまして、介護は、年齢的に見て、職場の中核を担う管理監督職を中心に突然発生することが多く、介護の態様も一人一人異なりますことから、職場において気軽に話しにくく、極めて個別性が高いという特徴がございます。実際に介護を抱える職員が自治体のサービスを利用する場合も、居住する自治体により内容が異なっておりまして、都の休暇制度を初めとした勤務条件だけで全てを解決することが難しい性格を有してございます。
 このため、現在、介護の相談窓口の設置や職員の介護体験の共有を進めてございまして、まずは事前の備えが何より重要であると認識してございます。こうしたことから、管理監督職を対象として、具体的な介護の体験談や介護を抱える職員に対するマネジメントに関する講座を開催し、介護について職場で話しやすい雰囲気づくりや、必要な心理的準備などの意識啓発を進めているところでございます。
 今後も、いつ発生するかわからない介護に備えまして、職員が仕事と介護を両立させられるよう、職場の危機管理の視点に立った取り組みを継続してまいります。

○おときた委員 育児とは異なるというご答弁もあったとおり、期間が比較的限定されていて、ある程度予測がつきやすい育児に比べて、介護は、いつ始まり、いつ終わるかわからないという点に困難さがございます。民間でも介護離職という問題が発生しておりますが、こうした問題に対しては、行政機関がまずモデルケースを示すことで、その解決策が普及していくことも考えられます。
 母親の介護が政治家の原点と、そのように語る舛添知事が率いる東京都にこそ、ぜひ模範となる取り組みを展開していただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○清水委員 東京都の附属機関についてお伺いいたします。
 先ほどもご答弁がありましたけども、法律または条例により設置する附属機関、要綱等により知事が臨時に設置する懇談会、外部の専門的知識を導入するため局長が設置する専門家会議、事業執行上の連絡調整を図るため局長が設置する連絡調整会議というのが附属機関で設置されております。
 舛添知事は、再三、開かれた都政とか、徹底した情報公開ということについて話されますので、一体、実態はどうなっているのか、多くの都民の関心事になっております。
 そこで、今、東京都の附属機関の設置状況をご紹介しましたけども、この附属機関以外も含めた審議会等の公開、事前告知の状況についてお伺いいたします。

○内藤次長 平成二十七年四月一日現在でございますが、三百機関ある附属機関等のうち、公開は百四十七機関、一部非公開は四十三機関、非公開は百十機関となってございます。
 また、事前告知につきましては、会議を公開としている百九十機関のうち、半数の九十五機関が開催日程の事前告知を実施し、残りの九十五機関が実施していない状況にございます。

○清水委員 これらの機関の運営に関しては、附属機関等設置運営要綱が制定されております。この要綱を制定した経緯をお伺いいたします。

○内藤次長 附属機関等設置運営要綱は、行政の簡素効率化という観点から、機能が同一、類似している附属機関の統廃合の推進など、その適正かつ効率的な運用を図るため、昭和六十二年に制定したものでございます。
 要綱では、附属機関の設置の考え方や、審議や議事録の公開など、設置及び運営に係る統一的な基準を定めてございます。

○清水委員 それでは、改めて、要綱では附属機関はどのような目的で設置されるものでしょうか。また、どのような審議を行うのか、伺います。

○内藤次長 附属機関等設置運営要綱の第3の1により、附属機関は、行政の意思決定等に際しまして、専門知識の導入、公正の確保、利害の調整または民意の反映を目的に設置するものと定めております。
 また、その審議内容は、諮問に対して答申を行うもの、各種計画の策定にかかわるもの、各種紛争の解決のための調停、あっせん等、さらには、法人、団体等の設立認可、処分等に関するものなどがございます。

○清水委員 今ご説明がありましたけども、極めて当然の答弁なんですけれども、確かに、公開していないというものは内容によってわかりますけれども、都民は当然に知る権利があるし、そして秘密にしておくものでないことは明らかだと思います。
 要綱では、附属機関の調査審議について原則公開としていますが、附属機関の審議の公開や事前告知の状況についてはどうですか。

○内藤次長 附属機関の審議の公開状況でございますが、平成二十七年四月一日現在、百四十七機関ある附属機関のうち、公開は六十六機関、一部非公開は二十五機関、非公開は五十六機関となってございます。
 また、附属機関に係る事前告知につきましては、会議を公開または一部非公開としている九十一機関のうち、五十三機関が実施し、残り三十八機関が実施していない状況にございます。

○清水委員 要綱では原則公開としているにもかかわらず、審議会の公開はわずか半分以下、しかも、いつ会議を実施するのかさえ知らせていない機関が多くあります。その理由は何ですか。

○内藤次長 審議の公開、非公開につきましては、おのおのの附属機関が審議内容を踏まえ判断しており、非公開とする場合は、その審議内容が東京都情報公開条例第七条に定めます非開示情報に該当することをその理由としてございます。
 非公開の具体的内容は、個人のプライバシーや企業秘密などのほか、公にすることにより都の事務または事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれのあるもの、率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれのあるものなどがございます。
 また、事前告知につきましては、事前に開催日程等を公表することで、当日の会議運営に混乱や支障が生じるおそれがある場合や、緊急に開催される会議など事前の周知が困難な場合において、附属機関の判断によりまして実施していないものでございます。
 各附属機関は、こうした特性や審議状況などを踏まえつつ、できる限り、会議情報の公開や事前告知に努めているものと認識してございます。

○清水委員 それでは、今、数字でお示ししましたけども、その内容が非開示情報に該当するということで幾つかいわれましたけども、そういう内容がそれらの審議会では語られているのですか。そういう判断のもとに非公開としているのですか。そういう精査というのはされているのかということについてお伺いいたします。

○内藤次長 附属機関は、元来、自由な意見の交換、意思決定の中立性が阻害されないよう、その審議の自主性が最大限尊重されるものでございます。
 したがいまして、附属機関の審議内容におきます情報の公開の有無につきましては、おのおのの機関が自主的に判断するものだと認識してございます。

○清水委員 確かにそうかもしれませんけども、プライバシーや企業秘密に関することを、それは幾つかの会議の中では触れられてしまうこともあるかもしれない。しかし、代表として皆さん出ているわけですから、そんなにたくさん企業秘密について都の審議会で話されることというのはどんなことなんですか。都民の税金で運営されている会議が、そのような秘密会議というようなことで話されていいのかということを都民は考えているわけです。
 ですから、やはり審議会などは、民意の反映だということで情報公開を積極的に行うべきではないですか。それについてお伺いいたします。

○内藤次長 附属機関の会議や議事録の公開につきましては、附属機関等設置運営要綱及び取り扱い通知によりまして、原則公開としてございます。
 しかし、附属機関には、諮問に対する答申を行うものや各種計画の策定にかかわるものなど、第三者の立場で専門知識の導入や民意の反映を図りつつ幅広い視点で審議を行うものがある一方で、各種紛争の調停、あっせん等や法人、団体等の設立許可、処分等など、個別の案件についての公正の確保や利害の調整が必要となるものがございます。
 そのため、附属機関の目的やその審議内容を踏まえた情報公開が必要であり、現在、各附属機関において、その特性や審議状況を踏まえ、適切に判断されているものと認識してございます。
 今後とも、都民からの情報公開の要請と、非公開とすべき情報の保護の両立を図りつつ、要綱等に基づきまして、積極的な情報公開に努めてまいりたいと考えております。

○清水委員 舛添知事が就任以来、新たに公開になった会議があるのでしょうか。

○内藤次長 申しわけございません。手元に詳細資料がございませんが、現時点では特段変更はなかったやに記憶しております。

○清水委員 先ほど、積極的な情報公開に努力するというご答弁だったのですけれども、現在はどういう検討をしておられるのですか。

○内藤次長 先ほど来からご答弁させていただいておりますように、附属機関の会議や議事録の公開につきましては、附属機関等設置運営要綱及び取り扱い通知によりまして、原則公開としてございます。
 しかしながら、中身の状況によりまして、繰り返しになりますが、個人のプライバシーや企業秘密等々、公開になかなかなじまないものもあるという中で、それぞれの附属機関が自主的に判断されているものと考えております。
 今回、公開している附属機関におきまして、事前告知が必ずしも十分なされていないという実態がございました。これにつきましては、先般、十一月二日、知事の指示のもとに、改めて事前告知等の周知徹底を図ったところでございます。
 以上でございます。

○清水委員 マスコミからも、徹底した情報公開という舛添氏の考えには全面的に賛成だが、実態が伴わなければパフォーマンスに終わりかねない、公開、非公開で得られる利益のバランスを念頭に、情報公開のあり方について行政みずからが再検討を行うべきだというふうに新聞の中でも書かれています。
 やはり舛添知事がそういっているのでしたら、就任以来、特段変化がないのではないかというようなご感想を述べられましたけども、これを、都民が自分たちの身近なところで都政が開かれているんだなということが実感できるように積極的な公開を求めておきたいと思います。
 それから、いただいた資料の中では、二年間、会議が一度も開かれていないというようなところが五十余りあるというふうにも聞いておりますし、私の知っている審議会でも、十一年間開かれていないというような審議会もあります。民意の反映ということから見て、私が知っている審議会、自分が入っていた審議会でも、民意を反映して検討しなければ進んでいかないんじゃないかと思うような審議会もあるわけですよね。
 ですから、そういうことの改善も今後行っていただきたいし、また、監理団体の評議員会についても、各団体の判断だということで多くは非公開になっていると聞きますが、都民の関心の強い内容のものは公開可能になるように求めておきたいと思います。
 以上です。

○小山委員 東京都は、東日本大震災以降、その経験と教訓から、高度防災都市の実現に向けて、都議会からのさまざまな提案を受けながら着実に防災施策を進めてこられました。従来の防災対策を全面的に見直され、いつ発生するかわからない首都直下地震等への備えに取り組んでいただいております。
 私から申し上げるまでもなく、都民の安心・安全は、都政において最も重要な使命だと思います。加えて、東京都において、四年後の二〇一九年、ラグビーワールドカップ日本大会を、そして、五年後の二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。都民の安心・安全はもちろんでありますが、この二大会に来都されます国民や海外から訪れる外国の皆様の安心・安全の確保をしっかり図っておくことが、二〇二〇年大会後のレガシーとしても重要だと考えております。
 そこで、二〇一九年ラグビーワールドカップや二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックという大イベントの開催に向けて、都は、開催期間中の大規模地震の発生時など、自然災害に対する防災対策をどのように考え、どのように取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催も見据え、首都直下地震や風水害といった自然災害への備えを、スピード感を持って推進していくことが重要でございます。
 こうした認識のもと、世界一安全・安心な都市東京を目指しまして、二〇二〇年を目標に、都民、企業、行政があらかじめ備えるべき取り組みを取りまとめました東京の防災プランを昨年十二月に作成したところでございます。
 防災プランでは、災害発生により起こり得る事態に対して、目指すべき十四の将来像と、それに向けた五十四の取り組みを工程表とともに示しておりまして、現在、都民や企業の皆様の理解と協力も得ながら、さまざまな防災の具体的取り組みを推進しているところでございます。

○小山委員 ただいまのご答弁の中に、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会を見据えてということでお答えをいただきました。東京都が今、防災プランの中で、さまざま施策の充実と実施を図られていることはよく承知しておりますが、ぜひ、その一年前に開催されますラグビーワールドカップにおきましても--これは何十万人という方が海外からお見えになられます。こういった多くの方が来都されます二〇一九年まで、ぜひ二〇二〇年ではなくて二〇一九年までに、一年前倒しをして各施策の取り組みを図っていただきたいということを求めておきたいと思います。
 そこでまず、こうした大きな大会開催時には、先ほども申し上げましたように、海外から東京に訪れる外国人が何十万人とふえることになると思います。そうした外国の方々が災害時に避難する際に一目でわかるサインの設置促進などの対応が極めて重要だと考えておりますが、都の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 外国人を初めとする要配慮者に対して、発災時におきましても安全で迅速に避難することができる環境を整えていくことは重要なことでございます。
 こうしたことから、防災プランでは、英語などの併記により、外国人にもわかりやすい案内板等の整備を図ることとしておりまして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けた多言語対応協議会の方針等も踏まえながら、関係各局において、各種公共施設等で案内板等の多言語化を進めているところでございます。
 今後とも、発災時の外国人等の安全確保に向けた取り組みを展開してまいります。

○小山委員 防災プランで案内板等の整備を図られるということでございましたが、先ほども申し上げましたように、ぜひ一目でわかるサインや案内板としていただくようお願いしておきたいと思います。
 さらに、多言語の対応についてもご答弁をいただきました。先ほど、まつば委員の方からもお話をされておられました防災ブックの「東京防災」についてでありますが、私も、大変多くの都民の方から好評のお声を頂戴しております。この「東京防災」でございますが、さきの定例会で、私ども会派の代表質問において申し上げましたが、配布するだけの一過性のものとすることではなくて、さまざまな活用を図るべきと提案させていただいたところでございます。
 そこで、防災ブックの「東京防災」を一過性のものとすることなく、活用を図る中で、外国人にも対応できるものとして役立てるべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いさせていただきたいと思います。

○矢岡総合防災部長 東京はさまざまな災害の脅威に直面しておりまして、これらの災害の被害を最小限に抑えるために、都民一人一人の力を結集しまして、災害対応力を高めていかなくてはなりません。そのため、一家に一冊常備し、災害に対する備えを万全とするために、都内に居住している方に向けまして「東京防災」を作成したところでございます。
 一方、都内には四十万人を超える外国人の方が居住しておりまして、また、平成二十六年に都を訪れた外国人旅行者数は約八百八十七万人になってございます。外国人に向けた災害対策の周知は重要なことと認識してございます。そのため、英語版の冊子を作成するとともに、英語版、中国語版、韓国語版をホームページに掲載しまして、必要に応じてご利用いただけるよう対応しているところでございます。

○小山委員 ご答弁の中で取り組みについてもお答えをいただきましたが、まず、外国人の居住が都内四十万人を超え、さらに、二十六年には八百八十七万人の方が訪れたということであります。ことしは恐らく、それをはるかに超える数になろうかというふうに思いますが、ご答弁の中では、英語版の冊子、そして英語版、中国語版、韓国語版という、この三つの内容でホームページに掲載されて対応しているということでございますが、先日、案内されておりました来年の東京マラソンは、二十九カ国語に対応したスマホアプリなどを活用して、情報伝達やコミュニケーションを図られるということでありました。
 ぜひ防災施策においても、主要外国語のみならず、その他の外国語についても、スマホアプリやインターネットなどを活用して多言語対応を図るべきと考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 都は、多言語対応の推進によりまして、全ての外国人が快適かつ安心して滞在できる都市の実現を目指してございます。
 「東京防災」を初めとします防災に関します情報の発信につきましても、言葉のバリアフリー環境の整備に向けた取り組みは重要であると認識しておりまして、都としましては、外国人旅行者の安全・安心の確保に向けて取り組んでまいります。

○小山委員 世界から多くの方が訪れる東京が安心で安全だというふうなことを実感していただきますように、ぜひ一番最初の多言語の対応というものをより一層推進していただきまして、東京に在住する外国人や外国人旅行者の安心・安全の確保をしっかり図っていただきたいと思います。
 多言語対応に加えまして、二〇一九年や二〇二〇年の大会開催時に向けて、防災訓練やシミュレーションも極めて重要であると考えております。特に防災訓練については、自治体を初め、警察や消防などの防災機関やボランティアなどが参加いたします総合防災訓練の機会を捉えて、二大会の開催を見据えた、海外からの来都者を踏まえた対応を図るべきと考えております。
 そこで、都の見解についてお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 これまで総合防災訓練では、展示ブースを活用し、来場された外国人に向けまして、防災語学ボランティアの多言語での活動紹介や地震対策DVDの上映などを実施し、外国人の防災意識を高める取り組みを行ってきたところでございます。
 一方で、年々増加傾向にあります外国人旅行者を踏まえた防災対策は喫緊の課題でありまして、地域防災計画に基づきまして、観光施設等が所在する市区町村や観光関連事業者等と連携した取り組みが求められております。
 今後、総合防災訓練などの機会を活用しまして、外国人旅行者の安全確保を図ってまいります。

○小山委員 そこで、ここで提案でございますが、二〇一九年のラグビーワールドカップ、そして二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、この二大会、東京スタジアムが会場として使用されます。地元自治体であります調布市、三鷹市、府中市との連携が極めて重要だとも考えております。
 大会開催を前に、ぜひとも都が主導して、これらの自治体とも連携する中で、東京スタジアムを訓練会場として防災訓練を行うべきと考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 ラグビーワールドカップなど大規模集客施設でのイベントの開催に当たりましては、参加選手やその関係者、観覧者の安全対策のため、大会開催者の責任において、運営スタッフを中心とする事前の訓練の実施が必要であると考えております。
 また、大規模集客施設周辺の駅等は多くの外国人が利用することが想定されることから、災害時には、地元事業者による情報提供や地元自治体による避難誘導など、多言語による対応が望まれております。
 都としましては、今後、大会開催者が取り組む事前対策につきまして、地元自治体とともに必要な支援をしてまいりたいと考えております。

○小山委員 今ご答弁の中で、大変大事であるということの認識は頂戴いたしました。二大会の会場となります東京スタジアムにおける総合防災訓練の実施ということを、地元自治体の声を踏まえながら、ぜひとも実施していただきますよう要望しておきたいと思います。
 次に、多摩振興についてお伺いいたします。
 先月、東京都が発表いたしました東京都総合戦略によりますと、東京の人口は、今後しばらくは増加を続けるものの、二〇二〇年の千三百三十六万人をピークに減少に転じ、二〇六〇年には一千三十六万人までに減少すると予測されております。
 多摩地域に目を向けますと、区部に先んじて、本年の約四百二十万人をピークに人口が減少していくと見込まれておりまして、今後、少子高齢化が一層進んでいくことが予想されております。そのような中、多摩の市町村では、現在、それぞれの地域特性を踏まえた地方版総合戦略の策定を行っているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、都として、今後どのように多摩地域の振興に取り組んでいくのか、お伺いさせていただきます。

○佐々木多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 多摩地域は、今後、人口減少や少子高齢化の進展といった厳しい状況下に置かれることが見込まれておりまして、こうした状況を乗り切るためには、市町村と連携を図りながら、多摩振興の取り組みを着実に進めていく必要がございます。
 また、人口減少、少子高齢化の動向やまちづくりなどの課題が多摩の地域内でもさまざまでありますことから、その多様な地域の実情や特性を十分に把握し、的確に対応していくことが重要であると考えてございます。
 このため、地域の実情に精通した市町村の意向を踏まえながら、きめ細かで実効ある振興策を講じてまいります。

○小山委員 人口減少に向かう多摩におきまして実効ある振興策を講じていただくということは、本当に重要だと思っております。まずは、多くの方々が多摩に来訪していただくことで交流人口をふやして、地域の活性化につなげていくことが重要だと思っております。
 先ほども申し上げましたが、この先を見据えれば、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピック、そして、その前年の二〇一九年にはラグビーワールドカップが、多摩地域の東京スタジアムにおいて開会式や開幕戦なども行われることになっております。これらの大会によって、海外からも大きな注目を集めることになろうかと思っております。
 そこで、多摩の魅力を、海外の方も含め多くの方々に知っていただくことが多摩振興という点でも大変重要だと考えておりますが、都の魅力発信の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○佐々木多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 多摩の振興に当たりましては、交流人口の増加を図るため、地域資源を活用し、多摩の魅力を地域内外に幅広く発信していくことが重要でございます。
 このため、都は、フェイスブック等のSNSの活用、まち歩きをテーマとした情報誌への掲載、英語字幕つきの映像の配信、また大型イベントへの出展などを通じまして、多摩の魅力の発信を行っているところでございます。
 また、多摩の魅力発信支援補助事業を通じまして、市町村がみずからの区域を越えて広く魅力を発信する取り組みに対して支援しております。
 海外から来訪される方々も含め、多くの人々に多摩の魅力を知っていただくため、市町村や関係局とも連携し、引き続きこうした取り組みを進めてまいります。

○小山委員 今ご答弁の中で、さまざまな取り組みについてお答えいただきました。英語版の字幕つきの映像配信などということでお答えもいただいておりましたけども、先般、私の地元府中の方に、ウィーンの方から多くの方々が、行政の方を含めお見えになられまして、やはり英語版ももちろんでありますけども、他の言語での情報発信というのも非常に必要とされているなというのを強く感じました。
 ぜひとも、先ほど来ずっと申し上げておりますけども、やはり二〇一九年、二〇二〇年に向けて、こういった部分にも多言語の対応をしっかり、先ほど少し前倒しということも申し上げましたが、早急に取り組んでいただくようにお願いしたいと思います。
 二〇一九年のラグビーワールドカップ、そして二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックという二年続けての世界的なスポーツの祭典の開催は、多摩の飛躍にもつながる大きな契機でありまして、世界最大級のこれらの祭典を多摩地域のさらなる発展に結びつけていくという視点が重要であると考えております。
 そこで、こうしたスポーツの祭典を絶好の機会と捉えて多摩地域の振興を進めていく必要があると考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○佐々木多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 都はこれまで、新たな多摩のビジョン行動戦略に基づきまして、多摩地域におけるスポーツクラスターの形成や地域におけるスポーツの振興、多摩の多様な魅力の発信、普及などの取り組みを行ってまいりました。
 多摩地域では、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に加え、二〇一九年のラグビーワールドカップでも競技の実施が予定され、国内外を問わず、多くの方々が多摩を訪れることが見込まれております。この絶好の機会を逸することなく、市町村や関係局等と緊密に連携を図りながら、スポーツ、文化、産業、観光など幅広く多摩地域の振興を図ってまいります。

○小山委員 都は今月、市長会や町村会などと連携しまして、多摩・島しょにおけます二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組みを推進するための拠点を、府中市にございます東京自治会館に設置していただきました。この拠点にラグビーワールドカップも加えて実施していただきたいということも要望させていただいたところなのでございますが、このオリンピック・パラリンピック競技大会やラグビーワールドカップ二〇一九年日本大会に向けた事業実施に関する情報発信拠点を多摩地域に設置していただきまして、今後の各地域の事業展開につなげていただきたいと思っております。
 そして、ぜひともこの機会を逸することなく、都として多摩地域の盛り上げに全力で取り組んでいただくことを強く要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○加藤委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○中西総務局長 今定例会に提出を予定しております総務局所管の案件は、条例案十一件、事件案一件でございます。
 私からは、このうち、主な条例案及び事件案の概要についてご説明申し上げます。
 まず、条例案でございます。
 恐れ入りますが、資料第2号、平成二十七年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の一ページをごらんください。
 番号1、行政不服審査法施行条例でございます。
 これは、行政不服審査法の施行に伴い、東京都行政不服審査会の設置等に係る規定を設けるため、新たに条例を整備するものでございます。
 同じく一ページ、番号3、東京都職員の退職管理に関する条例でございます。
 これは、東京都職員の退職管理に関し必要な事項を定めるため、新たに条例を整備するものでございます。
 次に、二ページをごらんください。番号4、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、東京都人事委員会勧告などを踏まえ、今年度の公民較差に基づく職員の給料及び諸手当の規定改正と、給与構造及び制度の改革にかかわる規定改正を行うものでございます。
 次に、五ページをごらんください。番号9、東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の施行による地方公務員法の改正に伴い、所要の規定を整備するものでございます。
 次に、同じく五ページ、番号11、東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、条例で定める基金の長期貸付の貸付期間について上限を引き上げるため、所要の改正を行うものでございます。
 以上が、主な付託予定条例案の概要でございます。
 次に、事件案でございます。
 恐れ入りますが、資料第3号、平成二十七年第四回東京都議会定例会提出予定事件案の概要をごらんください。
 東京都人権プラザの指定管理者の指定についてでございます。
 これは、東京都人権プラザの指定管理者を指定することにつきまして、議会にお諮りするものでございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小暮総務部長 総務委員会に付託される予定の条例案十一件及び事件案一件につきましてご説明申し上げます。
 まず、条例案でございます。
 恐れ入りますが、資料第2号、平成二十七年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の一ページをごらんいただきたいと存じます。
 番号の1、行政不服審査法施行条例でございます。
 これは、行政不服審査法の施行に伴い、東京都行政不服審査会を設置するほか、資料交付に関する手数料等に係る規定を設けるものでございます。
 施行日は、行政不服審査法の施行の日を予定してございます。
 番号の2でございます。審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、行政不服審査法の施行に伴い、出頭した参考人等の費用弁償につきまして規定を改めるものでございます。
 施行日は、行政不服審査法の施行の日を予定してございます。
 続きまして、番号の3、東京都職員の退職管理に関する条例でございます。
 これは、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の施行による地方公務員法の改正を踏まえまして、職員の退職管理に関し必要な事項を定めるものでございます。
 施行日は、平成二十八年四月一日ほかを予定しております。
 続きまして、二ページをごらんいただきたいと存じます。
 番号の4、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、東京都人事委員会勧告などを踏まえ、今年度の公民較差に基づく職員の給料及び諸手当の規定改正と、給与構造及び制度の改革にかかわる規定改正を行うものでございます。
 まず、1、今年度の公民較差に基づく職員の給料及び諸手当の規定改正についてでございますが、主な内容は二点でございます。
 (1)、給料表の改定でございます。行政職、公安職など七つの給料表を、人事委員会から勧告された給料表等に改めるものでございます。
 (2)、手当の改正でございます。勤勉手当の支給月数を表のとおり改正するものでございます。
 続きまして、2、給与構造、制度の改革にかかわる規定改正についてでございますが、主な内容は二点でございます。
 (1)、公安職の部長の職、九級の給与制度の改正でございます。公安職給料表の九級につきまして、給料月額を職責、役割に応じて定額化するとともに、扶養手当を廃止するものでございます。
 (2)、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の施行に伴う対応でございます。地方公務員給与における職務給の原則を一層徹底するため、等級別基準職務表を定めるなど、規定の整備を行うものでございます。
 施行日は、それぞれ資料に記載の日を予定しております。
 次に、三ページの番号の5でございます。東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例及び四ページの番号6でございますが、東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これらは、特定任期付職員及び任期付研究員に適用する給料の規定改定及び号給別基準職務表の新設を行うものでございます。
 まず、1、今年度の公民較差に基づく給料の規定改正でございます。今年度の公民較差の解消を図るため、人事委員会から勧告された給料表に改めるとともに、期末手当の支給月数を改正するものでございます。
 続きまして、2、号給別基準職務表の新設でございます。地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律第一条の規定に基づきまして、職務を号給ごとに分類する際に基準となるべき職務の内容を定めた号給別基準職務表を新設するものでございます。
 施行日は、それぞれ資料に記載の日を予定してございます。
 四ページの番号7でございまして、災害派遣手当等の支給に関する条例の一部を改正する条例及び五ページの番号8、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これらは、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の施行による地方公務員法の改正等に伴いまして、所要の規定を整備するものでございます。
 施行日は、それぞれ資料に記載の日を予定してございます。
 続きまして、五ページの番号9でございます。東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の施行により、地方公務員法に規定する人事行政の運営等の状況の公表事項について改正が行われるため、規定を整備するものでございます。
 施行日は、平成二十八年四月一日ほかを予定してございます。
 続きまして、番号の10、東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、行政不服審査法の施行に伴いまして、所要の規定を整備するものでございます。
 施行日は、行政不服審査法の施行の日を予定してございます。
 続きまして、番号の11、東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、条例で定めます基金の長期貸付の貸付期間につきまして、三十年以内から四十年以内に上限を引き上げるため、所要の改正を行うものでございます。
 施行日は、公布の日を予定してございます。
 続きまして、事件案でございます。
 恐れ入りますが、資料第3号、平成二十七年第四回東京都議会定例会提出予定事件案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 番号1、東京都人権プラザの指定管理者の指定についてでございます。
 東京都人権プラザは、都民の人権が尊重される社会の実現を目指し、都における人権啓発の拠点として設置した公の施設でございます。
 指定管理者の名称は公益財団法人東京都人権啓発センターで、指定の期間は平成二十八年四月一日から平成三十年三月三十一日までの二年間でございます。
 以上、簡単ではございますが、今定例会に提出を予定してございます案件につきまして、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○加藤委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○小林防災計画担当部長 東京都国土強靭化地域計画(素案)についてご説明させていただきます。
 本冊はお手元配布の資料第7号のとおりでございますが、概要版でご説明させていただきたく存じます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第6号、東京都国土強靭化地域計画(素案)の概要をごらんください。
 まず、1、策定の背景、位置づけでございます。
 東日本大震災以降、国土政策、産業政策も含めました総合的な対応により大規模自然災害に備える国土強靭化の理念が打ち出され、普及しつつございます。
 こうした中、国土強靭化基本法が制定されるなど、国全体で強靭化を進めていくための枠組みが整備されてまいりました。基本法では、都道府県は国土強靭化に関する施策の推進にかかわる基本的な計画を国土強靭化地域計画として定めることができると規定しております。
 この地域計画素案は、法に基づきまして、東京の防災施策の羅針盤として、さまざまな防災計画や、それに基づきます具体的な取り組みを束ねる、いわゆるアンブレラ計画として策定したものでございます。
 東京は、首都機能を有する、世界でも類を見ない集中、集積された都市でございまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けましても、東京の強靭化は日本にとって特別の意義があると考えてございます。
 次に、2、強靭化の基本的な考え方でございます。
 計画策定に向けた検討は、都に加えまして、国や関係機関で構成されます東京都防災会議で進めてまいりました。
 東京は、首都機能として日本の政治、経済、文化の中心であるとともに、区部、多摩、島しょから成る多様な地域特性を有しておりますが、それゆえに、防災面ではそれぞれ特有のリスクを抱えてございます。
 こうした地域特性等を十分に踏まえまして強靭化を進める上で、記載のございます四つの基本目標を設定し、さらに、大規模自然災害を想定して、これをより具体化した八つの推進目標等を設定いたしました。
 目標の達成に向けまして、都の各局はもとより、国や民間事業者も含めました機関の現行施策の対応力について分析、評価した脆弱性評価を行い、対応方策を検討し、推進方策を取りまとめたものが今回の地域計画素案でございます。
 本計画に基づきまして、全ての主体が共通の認識のもと、東京におけます国土強靭化施策を着実に推進することを目指してございます。
 恐れ入りますが、二枚目をごらんください。八つの推進目標ごとに、主な推進方針を記載してございます。
 目標1、2は人命の保護、救助に関するもの、目標3から6は行政機能や通信、ライフライン等の機能維持に関するもの等でございまして、これらの方針に基づきまして東京の強靭化を進めてまいります。
 次に、4、推進方針に基づく施策でございます。
 例示にございますとおり、国、民間の取り組みにつきましても、数値目標とともに整理してございます。
 最後に、5、計画の推進、課題でございます。
 今後の社会情勢の変化、国の基本計画の見直し等を考慮し、必要に応じて計画を見直すとともに、具体の取り組みにつきましては、各種事業計画等のもとでの進捗管理を行い、着実に推進してまいります。
 また、計画推進に当たっての課題として、国の財政負担などを掲げてございます。首都機能の維持は国家的な意義があり、計画に位置づけられた取り組みに対します国の新たな財政措置等が必要であると考えてございます。
 内容の詳細につきましては、資料第7号、素案の冊子を後ほどごらんいただければと思います。
 なお、本素案をもとに都民の皆様からのご意見をいただき、再度、東京都防災会議において検討した上、来年一月末ごろを目途に最終的な取りまとめを行う予定でございます。
 東京都国土強靭化地域計画(素案)の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小久保防災対策担当部長 東京都震災復興マニュアル復興プロセス編の修正素案についてご説明いたします。
 東京都震災復興マニュアル復興プロセス編修正素案の本冊はお手元配布の資料第9号のとおりでございますが、本日は概要版で説明申し上げます。
 資料第8号、東京都震災復興マニュアル(復興プロセス編)修正素案の概要をごらんください。
 まず、左上の1、復興プロセス編の位置づけでございますが、都では平成十五年三月に、東京都震災復興マニュアルとして、都民一般向けの復興プロセス編と行政職員向けの復興施策編とを作成いたしました。このうち復興プロセス編は、復興の全体像及びそのプロセスを明らかにするとともに、都民の皆様が復興に向けて行動する際の選択、判断基準等を示したものでございます。
 次に、2の修正の視点でございますが、復興プロセス編策定以降、現在に至るまでの状況変化として、平成二十三年に発生した東日本大震災を契機に、災害対策基本法の改正や、大規模災害からの復興に関する法律の制定など、法令の整備が進められました。また、都や他自治体においては、災害対応経験を積み重ね、復興事業に関する新たな取り組みも行われております。今回の修正では、これらの内容を反映させるとともに、都民の皆様にとってわかりやすく、手にとりやすい冊子となるよう、全面的にリニューアルいたしました。
 次に、3、主な修正箇所等でございますが、地域力を生かした地域協働復興を促進するため、復興を進める住民組織である地域復興協議会の活動を支援する際の協力主体として、新たにボランティアを追加するなど、行政とボランティアとの連携を深めることといたします。
 また、区市町村職員向け都市復興模擬訓練を実施するとともに、区市町村震災復興標準マニュアルや市街地の事前復興の手引を作成するなど、区市町村への取り組み支援を進めることといたします。
 さらに、災害復興まちづくり支援機構を構成する専門家職能団体との協定に基づき、災害時に地域復興協議会が専門家による支援を受けられる仕組みの構築を進めてまいります。
 分野別の主な修正箇所でございますが、都市復興の分野では、時限的市街地の形成に際し、法改正により新たに定められた被災地短期借地権制度を活用していくことといたします。
 住宅復興の分野では、東日本大震災等の経験を踏まえ、応急的な住宅の確保に当たり、公的住宅等の空き住戸の活用、民間賃貸住宅の借り上げ、他の道府県での応急仮設住宅等の確保など、多様な対策を講じることといたします。また、都や関係団体から成る居住支援協議会の活動推進により、被災者の民間賃貸住宅への円滑な入居も促進してまいります。
 産業復興の分野では、大島町土砂災害の際の経験等を踏まえ、都市イメージの回復に向けたキャンペーン等や、農林水産業再建に向けた具体的な取り組みを進めることといたします。
 暮らしの復興の分野では、応急期において東京都災害ボランティアセンターを設置し、区市町村等と連携して、一般ボランティアの円滑な活動を支援することといたします。また、都内にとどまっている被災者はもとより、都外へ移転した被災者についても漏れなく生活再建支援を継続できるよう、区市町村における取り組みを促進してまいります。
 今後のスケジュールにつきましては、資料右下の修正スケジュールにありますとおり、十一月二十六日に修正素案を公表したところですが、パブリックコメントによる都民の皆様の声や都議会での審議を反映した上、来年二月中旬には学識経験者等により構成される震災復興検討会議を、三月下旬には庁内検討組織である震災復興検討委員会を開催し、修正を決定する予定です。
 以上が主な内容ですが、詳細は、資料第9号、東京都震災復興マニュアル復興プロセス編修正素案をごらんいただきたいと存じます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○箕輪人権部長 第三期東京都犯罪被害者等支援計画の素案につきましてご説明申し上げます。
 お手元に、資料第10号、素案の概要、また、資料第11号として素案本文の冊子を配布させていただいておりますが、本日は概要の資料でご説明させていただきます。
 お手元の資料第10号、第三期東京都犯罪被害者等支援計画(素案)の概要をごらんください。
 平成二十三年一月に策定いたしました第二期の計画でございます東京都犯罪被害者等支援計画は、計画期間が今年度末までとなっております。そこで、被害者や被害者支援団体の声、これまでの到達状況等を踏まえ、このたび、新たに第三期の支援計画の素案を取りまとめたものでございます。この計画の計画期間は、平成二十八年度から三十二年度までの五年間となってございます。
 左側上段のⅠ、計画策定の趣旨でございます。
 計画の性格でございますが、本計画は、犯罪被害者等支援の基本的考え方を明らかにするとともに、今後の支援の施策等を示すものでございます。
 次に、支援の基本的考え方でございます。犯罪被害者等基本法で示されております基本理念に基づき、三点の考え方を掲げてございます。
 次に、Ⅱ、都内の犯罪被害者等を取り巻く現状でございます。
 まず、都内における犯罪等の現状でございます。都内の刑法犯認知件数は減少傾向ですが、性犯罪の認知件数が増加傾向にあり、ストーカー行為、配偶者からの暴力、児童虐待に関する相談も増加してございます。
 次に、都内における犯罪被害者等の状況でございます。本年実施いたしました犯罪被害者等の実態調査の結果によると、回答者のうち、性犯罪被害者の八割を超える方が心的外傷後ストレス障害を抱えるなど、精神的ダメージが心身に与える影響が大きいこと、犯罪被害者やその家族の多くが、周囲の無神経な言動で精神的苦痛を受けていることなどが明らかとなってございます。
 さらに、犯罪被害者等に関する都民の意識でございますが、今年度実施いたしましたインターネット都政モニターアンケート調査では、犯罪被害者等基本法や支援策の認知度が低下傾向になっております。
 次に、Ⅲ、都におけるこれまでの犯罪被害者等支援でございます。
 これまでの取り組みの実績といたしましては、平成二十年に公益社団法人被害者支援都民センター内に総合相談窓口を設置したほか、本年七月には性犯罪、性暴力被害者に対するワンストップ支援事業を開始いたしました。また、連携体制や啓発の充実、強化に向け、都内全ての区市町村に対応窓口が設置されたほか、民間団体との連携会議の開催や犯罪被害者週間行事などに取り組んでまいりました。
 次に、右側上段のⅣ、都の今後の取り組みでございます。
 取り組みの方向性といたしまして、社会全体で支える支援の実現を掲げております。これまで、さまざまな機関、団体で支援の取り組みが進展しつつありますが、先ほどの各種調査結果からは、広く犯罪被害者等支援について都民の理解が進んでいるとはいいがたい状況にございます。これまでの到達状況等を踏まえ、犯罪被害者等を社会全体で支える支援の実現に向け、今後取り組みを推進してまいります。
 次に、取り組みの体系と重点的取り組みでございます。第三期計画では、被害者支援施策の充実、強化、都民、事業者等の理解の促進、連携体制の強化の三つを柱として、それぞれの柱の中で具体的施策と重点的取り組みを掲げております。
 一つ目の被害者支援施策の充実、強化では、東京都総合相談窓口における機能強化として窓口の体制強化、区市町村との連携強化を、さらに、性犯罪等被害者支援の取り組みの充実、強化として性犯罪、性暴力等ワンストップ支援事業の充実等を掲げております。
 また、二つ目の都民、事業者等の理解の促進では、被害者の置かれた状況に対する理解の促進として、犯罪被害者週間行事の効果的実施や、スポーツ等の各種イベントの機会を活用した啓発事業の実施等を掲げております。
 最後に、三つ目の連携体制の強化では、区市町村相談窓口における対応の充実に向けた連携の推進といたしまして窓口対応マニュアルの作成と活用の促進など、関係機関及び民間団体との連携の推進として不動産関連団体と連携した住宅のあっせん等を掲げてございます。
 二枚目をお開きください。ここでは、第三期計画における取り組みの体系の詳細をお示ししてございます。
 配偶者暴力や虐待事案への対応なども含め、全庁を挙げて取り組んでいくこととしてございます。
 もう一度お戻りください。申しわけございません。
 資料の一枚目の最後でございます、最下段の今後のスケジュールでございます。
 本日からパブリックコメントを開始いたしまして、新たな計画は来年二月を目途に公表の予定でございます。
 第三期東京都犯罪被害者等支援計画素案の説明は以上でございます。
 詳細は、資料11に本冊がございますので、後ほどごらんください。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○加藤委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情二七第三五号の一を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○箕輪人権部長 陳情二七第三五号の一、ヘイトスピーチ禁止条例の制定及び学校教育へ取入れを求める意見書の提出に関する陳情についてご説明申し上げます。
 資料第12号、陳情審査説明表をごらんください。
 この陳情は、大阪府大阪狭山市在住の我が郷土を愛する会代表、平野博義さん外一名から出されたものでございまして、平成二十七年七月二十二日に受理されております。
 陳情の趣旨は、ヘイトスピーチを許さない条例の制定を行うことでございます。
 現在の状況でございますが、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動が、いわゆるヘイトスピーチとして社会的問題になっております。
 都では、ヘイトスピーチに対する取り組みといたしまして、これまで、外国人の人権や多様性の尊重を内容とする知事のメッセージを「広報東京都」やホームページに掲載したほか、多文化共生をテーマにした大型人権イベントやテレビCMの放映等の啓発を実施してまいりました。
 都議会におかれましては、平成二十七年第二回定例会において、ヘイトスピーチ対策を含む外国人の人権が十分尊重されることを求める意見書を採択し、平成二十七年六月二十四日付で国に提出されております。
 また、国においては、法務省の人権擁護機関において、ヘイトスピーチに焦点を当てたポスター、リーフレット、インターネット広告等の啓発活動に取り組んでいるほか、相談に対応してございます。
 都は、今後も、東京都人権施策推進指針に基づき、国と連携した啓発の強化や、スポーツ団体等との連携により多文化共生の重要性を訴えるなど、積極的な啓発事業を展開してまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○まつば委員 ヘイトスピーチ禁止条例の制定及び学校教育へ取入れを求める意見書の提出に関する陳情の総務委員会付託分について、都議会公明党としての意見を述べます。
 ヘイトスピーチは、一人一人の人権が尊重され、豊かで安心して生活できる成熟した社会を実現する観点から、あってはならないことであります。
 都議会公明党は、世界一の人権都市東京を目指して、東京都人権施策推進指針の見直しを推進し、人権施策の一層の充実を求め、外国人の人権が尊重される東京を築くための各種人権啓発活動の取り組みを都に求めてきました。
 一方、ヘイトスピーチの規制については、表現の自由との関係もあり、一地方自治体のレベルというより、広く国において同一の基準で対応すべき問題であります。
 国においては、公明党ヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチームが、本年七月、内閣官房長官と法務大臣に対し、人種差別の実態調査及び調査結果を踏まえた人種差別解消に向けた基本法等の整備を含む実効性ある人種差別撤廃政策の実施を求める要望書を提出いたしました。
 これを受け、現在、国においてヘイトスピーチに関する実態調査を実施中であり、調査結果を踏まえて、国に新たな動きが出てくることが予想されることから、その動きを踏まえて対応すべきと考えます。
 以上のことから、本件陳情は不採択とするのが適当であると申し述べ、意見といたします。

○徳留委員 陳情二七第三五号の一、ヘイトスピーチを許さない条例の制定を行うことに関する陳情について意見を述べます。
 今回の陳情の趣旨は、都議会第二回定例会で採択された、ヘイトスピーチ対策を含む外国人の人権が十分尊重されることを求める意見書と大きく重なる内容になっていると思います。
 同時に、今回の陳情では、都として条例の制定を求めているものの、その内容の部分については不明であり、よく検討する必要があると考えます。
 特定の国や民族を排斥して民族差別をあおるいわゆるヘイトスピーチは人権を侵害するものであり、憲法が保障する集会、結社の自由や表現の自由と相入れるものではなく、自由と民主主義を尊重する市民社会では決して許されるものではありません。
 平成二十六年八月、国連人種差別撤廃委員会は、日本政府に対して、ヘイトスピーチの根絶に向けて、法的措置を含め毅然と対処するよう勧告いたしました。また、同じ昨年十二月、最高裁は、ヘイトスピーチを行った団体の発言が、国連の人種差別撤廃条約が禁ずる人種差別に当たるとして違法性を認定、賠償と街宣活動の差しとめの判決が確定しております。
 ヘイトスピーチの根絶に向けて法的規制を行う場合には、言論、出版の自由や結社の自由、表現の自由など、憲法が保障する基本的人権を全面的に擁護しつつ、人種差別の禁止を明確にした理念法の制定を初め、実効性のある法的規制を行うことが必要だと思います。
 実は、今回と同じような陳情がことしの六月上旬に大阪市議会に提出されて、条例化について全会一致を目指して努力があったものの、意見書としては全会一致で採択されたものの、継続審議になった経過があると聞いております。
 この点から考えて、今回の陳情は制定すべき条例の内容が不明のままであり、我が党は、今回の陳情は趣旨賛成にとどめて、条例化することになるならば、条例の内容を慎重に検討を行うとともに、全会一致で進めるべきであるということを述べて、意見表明といたします。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○加藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二七第三五号の一は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時十七分散会

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