総務委員会速記録第十五号

平成二十七年十一月十九日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長加藤 雅之君
副委員長新井ともはる君
副委員長柴崎 幹男君
理事石川 良一君
理事徳留 道信君
理事鈴木 隆道君
おときた駿君
まつば多美子君
木村 基成君
大場やすのぶ君
近藤  充君
小山くにひこ君
小磯 善彦君
秋田 一郎君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
人事委員会事務局局長藤田 裕司君
任用公平部長津国 保夫君
試験部長森山 寛司君
審査担当部長小澤 達郎君
監査事務局局長宗田 友子君
監査担当部長副島  建君

本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・平成二十七年「職員の給与に関する報告と勧告」について
監査事務局関係
事務事業について(質疑)

○加藤委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局及び監査事務局関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 事務事業及び報告事項、平成二十七年職員の給与に関する報告と勧告についてに対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 人事委員会事務局の人事委員会勧告についてお伺いいたします。
 このほど、職員の給与等について勧告がありました。例月給、特別給とも、昨年に引き続き、引き上げ改定を行うとの内容でした。この内容に関連して何点かお伺いいたします。
 給与の勧告については、民間給与実態調査として民間企業等の給与水準の調査を行い、その結果と都職員の給与とを比較した上で行うということですけれども、職種別の民間給与実態調査はどのような内容で行っているのか、お伺いいたします。

○津国任用公平部長 職種別民間給与実態調査は、官公庁等を除く全産業のうち、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の事業所を対象に実施しており、調査の対象者は常勤の従業員となっております。
 主な調査項目につきましては、四月分の給与や直近一年間の賞与の支給状況、初任給の月額のほか、住居手当や家族手当の支給状況など、給与制度に関する事項となっております。
 また、本調査は、調査の統一性を保持し正確を期するため、人事院、都道府県、政令指定都市及び特別区の人事委員会が同一の基準に基づき共同で実施しております。

○清水委員 今お話しいただいたような調査をされているということですけれども、賞与の支給状況についても調査を行っているということですけれども、賞与についてはどのような調査を行っているのか。そして、賞与を支給していない企業等の取り扱いについてはどうなっているのか、お伺いいたします。

○津国任用公平部長 賞与につきましては、各調査事業所における直近一年間の支給実績について、本年の調査でいえば、昨年の八月からことしの七月までに支払われた賞与の支給総額及び支給人員を調べております。この調査結果と賞与支給月の給与の支給総額などをもとに民間の賞与の年間支給月数を算出し、都職員の支給実績と比較しております。
 また、賞与を支給していない事業所につきましても、支給総額をゼロ円として調査結果に算入し、比較に反映しております。

○清水委員 調査の実態などについては、お知らせいただいて理解したところですが、先月出された人事委員会勧告が実施された場合、職員の平均給与はどの程度に上がるのか、お伺いいたします。

○津国任用公平部長 本年の勧告内容が実施された場合、職員の平均年収は約六百六十四万円となり、勧告前と比較して約五万円の増となります。

○清水委員 そこで、先ほどご説明いただいた実態調査の件ですけれども、民間給与実態調査については、民間の正規職員のみが対象となっているようですけれども、非正規職員については調査の対象となっていないというふうにお伺いしております。
 そこで、東京都においても、この間、正規職員が非常勤職員になるということで、数は年々増加し、先日の資料の中で見ると約七千人を超えているような状況になっています。その業務内容も、正規職員と同じような内容でやられているのではないかと。
 このような中で、民間企業等の非常勤職員の給与水準についても調査を行うべきではないかと思いますけれども、いかがですか。

○津国任用公平部長 都職員と民間従業員との給与比較に当たりましては、公務と民間の給与水準の精緻な比較を行うため、役職や雇用形態等が同種同等の者同士を比較するとの考え方に基づき、人事院及び全国の人事委員会が同一の基準により実施しており、調査対象は常勤の従業員としております。
 お話の非正規従業員につきましては、期間を定めて雇用されているなど、雇用形態等が都職員と異なる実態にあることから、比較の対象とすることは適当ではないと考えております。

○清水委員 ちょっと今のご説明でお聞きしたいんですけど、全国で統一されているということなんですけど、東京都として独自にやってはいけないものなんですか。それをちょっと確認したいんですけど。独自の調査。

○津国任用公平部長 行っている調査は、同一の基準に基づき行っておりますけれども、それを必ずしもやってはいけないということではないと思います。

○清水委員 今そういうお答えだったのですけれども、私が今回の質問でいいたいのは、東京都の非常勤職員については、今、十六日勤務ですか、報酬が二十万程度という職が多いというふうに聞いています。そうなると、年収としては二百三十万から二百四十万、手取りだと二百万前後となるというふうにも聞いています。
 一方、都の正規職員については、今回の勧告により平均給与が約六百六十万円となっており、同じ都の中で同じような業種を行っている職員について、正規と非正規の違いによって年収に大きな違いが生じているわけですけれども、やはり私は、非常勤の給与水準について、まず、人事委員会としてどのように考えているのか、ちょっとお伺いします。

○津国任用公平部長 非常勤職員につきましては、効率的かつ効果的な執行体制の確保等の観点から、個々の職務内容等に応じて任命権者が職を設置し、任用しております。
 その報酬等につきましては、職務内容や勤務形態が多種多様であることから、個々の職の実態に応じて任命権者が適切に定めているものと考えております。

○清水委員 条例などの定めについては承知しているわけですけれども、民間との均等待遇とかそういう点を踏まえれば、その給与の決定においては、民間企業の非正規労働者の賃金との比較を行って、それを参考とすべきではないかなというふうに私は思うわけですけれども、正規の職員の比較はずっとやっておられると。しかし、東京の場合、本当に非常勤の職員が多いということで、その水準をどうするのかという、じゃ、何で決めているのかということになるわけですけれども、調査をして比較すべきだというふうに考えますけれども、いかがですか。

○津国任用公平部長 ただいま申し上げましたとおり、非常勤職員の報酬につきましては、各任命権者がそれぞれの実態に応じて適切に定めていることでございます。
 また、都の非常勤職員の報酬につきましては、条例等に基づきまして、職務の複雑性、困難性及び責任の軽重に応じ、かつ常勤職員の給与との均衡を考慮して任命権者が定めるものとされております。

○清水委員 そうすると、先ほど同種同等の比較ということをいわれましたけれども、正規職員であっても、給料表をつくっておりますけれども、いろんな職種があるんじゃないのですか。非常勤職員の平均をとって比較するとか、そういう、本当にやろうと思えば、いろんなやり方でできるのではないかと私は思うわけです。
 それで、先ほどいわれましたように、非常勤職員の問題ですけれども、この間、昨年、非常勤職員が、特別職の非常勤職員から一般非常勤職員に任用根拠が変更されましたよね。それで、人事委員会は、その一般非常勤職員に任用根拠が変更されたことに伴って、やはり地方公務員法上、それをしっかりとやっていただくということが責任じゃないかと思うのですけれども、そこら辺はどう考えますか。

○津国任用公平部長 都の非常勤職員につきましては、医療や研究などの幅広い分野でさまざまな職が設置されており、その報酬につきましては、個々の職務内容等に応じて職ごとに定められております。
 一方、民間の非正規従業員につきましても、契約社員やパートタイムなど、その勤務形態等はさまざまでございます。
 このように、職務内容や勤務形態等が多種多様な実態にある中で、都の非常勤職員の報酬と民間企業等の非正規従業員の給与とを一律に比較することは適切ではないと考えております。

○清水委員 もう一度いいますけれども、一般非常勤にとって、特別職非常勤職員からの任用変更があったわけです。それは、人事委員会が措置要求と不服申し立ての役割しかないということになるんじゃないんですか、その非常勤職員に対して。地方公務員法の規定に沿って、都の非常勤職員に対し、人事委員会が任務を果たすことを求めたいと思うんです。
 そして、やはり民間の非常勤職員の給与実態をしっかり調査して、その平均とか、いろんな方法があるので、それが反映されるように求めておきたいと思います。
 以上です。

○新井委員 私からは、障害者の職員採用についてお伺いしたいと思っています。
 障害の有無にかかわらず、一人一人が生き生きと活動できる社会の実現は、私たちの共通の課題だと考えています。平成二十八年度から障害者雇用促進法が改正施行され、障害者の採用や雇用に際しまして、障害の状態に応じた合理的配慮の提供が求められております。
 まず、現在、都が行っております取り組みを確認したいと思います。
 都の採用におきます障害を持った受験者への配慮について、まずお伺いします。

○森山試験部長 東京都人事委員会で実施いたします一般の採用試験、採用選考におきましては、視覚に障害があり、身体障害者手帳等で確認できる場合には、A4判の問題をA3判に拡大した試験問題による受験を認めております。
 さらに、矯正視力が〇・一五以下であるなどの一定の要件に該当する場合は、教養択一試験の試験時間の延長も実施しております。
 また、大学卒業程度を対象とするⅠ類B採用試験の行政区分の一般方式と福祉区分Cにおける試験につきましては、点字による試験を実施しております。
 さらに、事務の試験区分におきましては、上肢の障害の程度が一級または二級であるなどの一定の要件に該当する場合につきましては、パソコンまたはワープロを使用した文字入力による解答を認めております。

○新井委員 都におきます採用試験では、障害者におけます配慮がされていることがわかりました。
 視覚障害者の方へは、先ほど答弁にありましたけど、試験問題や解答用紙をA4判から倍のA3判に拡大したり、その場合は、障害者手帳が交付されていなくても、医師の診断でも可能と伺いました。
 また、車椅子の受験者におきましては、会場の選定や机の幅を配慮したり、時間延長やそういったこともやるということです。
 また、書くことができない、腕などに、上肢の障害がある方に関しましては、ワープロの入力を認めている方だったりとか、また別の教室を用意する配慮だとか、障害者に対しまして、誰でも自由に採用試験を受験できるということです。本当にすばらしいことだと思っています。
 一般的な採用につきましては、障害者の方へ配慮されていることがわかりました。
 ところで、障害者手帳を提示することは必須でありますが、障害者の方々を積極的に採用するという意味で、都は、一般の採用試験とはほかに、障害者を対象とした採用試験も行っていると聞いておりますが、その概要についてお伺いします。

○森山試験部長 都におきましては、身体障害者を対象とするⅢ類の採用選考を実施しております。受験対象者は、身体障害者手帳の交付を受けている十八歳から二十七歳までの方となっておりまして、今年度は四十二名の方が受験いたしまして、最終合格者は二十三名になっております。
 選考内容といたしましては、第一次選考として教養試験及び作文、第二次選考として口述試験及び身体検査を行っております。
 受験時には、試験問題の文字の拡大、パソコン、ワープロ、電動タイプライターでの文字入力、ルーペや補聴器等の補助具の使用、手話でのやりとり等、さまざまな配慮を行っているところでございます。

○新井委員 Ⅲ類というのは、高校卒業程度の採用試験と伺いました。通常、十八歳から二十一歳の年齢しか試験を受験できないということですが、障害者のこの場合は二十七歳まで受験できるという、年齢の幅を広げているということです。
 冒頭で質問しましたⅠ類Bの一般方式での採用試験で、障害を持った方が配慮を受けながら受験するのは、毎年これは一桁の応募があると聞いております。それに比べまして、今、質問しましたⅢ類の採用試験では、毎年多くの方が受験すると聞きました。ことしは、答弁であったように四十二名でしたが、平成二十六年では七十二名、平成二十五年では六十三名というように、ほぼ六十名から七十名の方が受験されるということで、多くの障害者の方が受験されているということです。都が職員の採用に当たりまして、身体障害者に対しまして一定の配慮をするということが本当にわかります。
 ところで、障害はさまざまなものがありますが、近年、学習障害の児童生徒への対応が大きな課題になっております。通常の学級に在籍し、知的障害はないのですが、学習面で著しい困難を示す児童生徒が一定割合いると、文科省の調査結果もございます。
 このような子供たちは、学習をする際に困難な部分を補うことで、ほかの子供たちと同様な進路に進むことができると考えています。例えば東京大学のDO-IT Japanというプログラムでは、IT機器の技術を活用することによって、学習障害を持つ子供たちがその能力を発揮し、進学や就労ができるということもいわれております。
 さて、障害者の就労をめぐりましては、企業が義務づけられている雇用率が引き上げられましたが、ハローワークによりますと、就労した障害者の中には、障害について職場の理解が十分得られず、やめてしまう人が少なくないといわれています。障害者の就職は厳しい状況が続いておりまして、知的障害がある人や精神障害がある人の求人は、さらに厳しくなっていると聞いています。
 来年、平成二十八年の四月には、改正された障害者雇用促進法が施行されます。障害者の範囲が広がるということです。
 この法律につきまして、障害者とそうでない者との均等な機会及び待遇の確保や、障害者の方がその有する能力を有効に発揮できるようにするための措置というのが前置きされております。
 障害者の方々の雇用は、時代時代の変化によって確実に進展しています。東京都の採用でいえば、学習障害を持つ方へのITを使用した合理的配慮における採用試験はまだまだ実施されておりませんが、合理的配慮におけます採用試験に対して、情報や世の中の知見が進めば、国として大きな流れが生じると考えております。
 今後の都の障害者雇用に当たりまして、採用側が広く障害に関する最新の情報や知見を持ち、より多くの多様な人材が都庁の門戸をたたけるよう工夫していただくことを要望しまして、質問を終わりにします。

○石川委員 職員の昇任試験受験についてお伺いをいたします。
 東京都では、能力、業績主義に基づく任用制度がつくられており、採用時の類別や学歴などにとらわれない公平、平等な選考によって、本人の努力次第で主任、課長代理、統括課長代理へとステップアップすることができるようになっております。また、管理職選考、専門職選考なども、本人の希望に合わせて、ゼネラリストを目指す総合性や、スペシャリストを目指す専門性に配慮した多様な昇任ルートが設けられております。そのほか庁内公募や業績評価制度など、職員のやる気を生かし、成果に応える制度となっております。
 主任選考試験は、Ⅰ類B採用は五年目、Ⅰ類A採用は三年目、Ⅱ類採用は七年目、Ⅲ類採用は九年目に受験をすることができます。また、管理職は、若い人でも挑戦をすることができ、種別Aコース、種別Bコースという能力、経験に応じた昇任ルートが用意されているわけであります。また、特定分野のスペシャリストを管理職として選抜する専門選抜も用意されております。さらに、職員が仕事を通じて上げた成果や能力、態度などを上司が評価する業績評価制度を導入しており、毎年一回実施されております。業績評価は、昇給や勤勉手当などさまざまな形で活用されており、給与面でも、職員のやる気や成果に応えることに努めるシステムとなっているわけであります。
 そういう意味では、年功序列の弊害を乗り越えていく昇任システムができており、より多くの職員が昇任試験に挑戦することが望まれるわけであります。
 そこで、ここ数年の主任試験、管理職試験の受験率がどうなっているのか、お伺いいたします。

○森山試験部長 ここ三年間の例でいいますと、主任級職選考の有資格者数に対する受験率は、四十歳未満の職員が対象の種別Aでは、平成二十五年度が四二・九%、二十六年度が四六・九%、二十七年度が五〇・四%となっております。
 また、四十歳以上の職員が対象の種別Bでは、平成二十五年度が二〇・九%、二十六年度が二〇・五%、二十七年度が一九・六%となっております。
 同じく管理職選考の有資格者数に対する受験率は、主任級の職員が対象の種別Aでは、平成二十五年度が二九・五%、二十六年度が三〇・八%、二十七年度が三二・四%となっております。
 また、課長代理級の職員が対象の種別Bでは、平成二十五年度が一三・二%、二十六年度が一二・四%、二十七年度が一二・六%となっております。

○石川委員 種別Aでは、約五〇%の職員が常に主任試験を受験しないという傾向が続いているわけであります。また、管理職試験ともなりますと、種別Aでは、三分の二の有資格者が毎年受験をしていないという状態が続いているわけであります。
 都の任用制度は、若い人にも早く責任ある職につく道も用意をされているわけで、職員の能力や意欲を引き出していくことにもつながっていかなければならないわけであります。全職員の中で受験率が高まることが望まれるわけであります。
 というのは、試験に臨もうとすること自体が能力アップを図り、人事考課の結果をよりよいものにしようとすることとなり、日常的に向上しようとするインセンティブを働かせることにつながるといえるわけであります。
 そこで、受験率を上げるための取り組みと不合格者に対するフォローについてお伺いいたします。

○森山試験部長 有資格者が受験しやすくするために、主任級職選考の種別A及び管理職選考の種別AとBにおいて、受験の負担軽減といたしまして、例えば筆記試験の一部科目を、受験基準を満たす一年前から受験できるようにするとともに、一定点数以上を得た場合には、翌年度以降三年間、当該試験科目を免除する措置などを実施しております。
 また、庁内情報サイトを通じまして、論文作成の基本的な考え方を示したり、管理職の仕事ややりがいを紹介するなど、昇任選考に関する情報を発信し、受験促進を図っております。
 不合格者に対しましては、翌年度の受験対策に役立つよう、主任級職選考においては筆記試験の成績を、管理職選考におきましては筆記試験及び口頭試問の成績を告知しております。

○石川委員 制度としましては、試験科目を免除したり、主任試験では筆記試験の成績を告知したり、管理職試験でも成績を告知する等、受験者に次の試験への意欲を高める工夫をされていることがわかりました。
 東京都の昇任制度は歴史もあり、国のキャリア制度などとも無縁で、平等に昇任の機会を与えるものとなっているわけであります。
 ただ、筆記試験に重点を置くのか、日常の業務成績に重点を置くのか、面接に重点を置くのか、試験のコースによっても考え方が異なるわけであります。実際には、どのようにして昇任試験の合格者を決定しているのか、お伺いいたします。

○森山試験部長 それぞれの選考実施要綱にも記載しておりますが、主任級職選考におきましては、論文、勤務評定などの成績を総合して、また、管理職選考におきましては、論文、勤務評定、口頭試問などの成績を総合して合格者を決定しております。

○石川委員 横浜市は、一九九〇年代から二〇〇六年まで、係長昇任試験受験者が減ってピーク時の半分になったそうであります。そこで、二〇〇七年の試験では、四十歳以上の筆記試験はやめたそうであります。そして、勤務成績と面接と所属部署からの推薦制度を導入することで、受験者数の減少に歯どめがかかったそうであります。
 今後の課題として、筆記試験をやめるというような制度改変は必要ないと思いますが、筆記試験と人事考課、面接をどのような配分で評価していくのかということについては、試験合格者のその後の職場での評価や、実際に試験を受けた職員の意見などもしっかりと受けとめ、最終的に三つの評価要素の比重については柔軟に対応することも必要であることを意見として申し述べておきたいと思います。
 次に、女性の活躍推進についてお伺いいたします。
 舛添知事は、女性の都庁での活躍について、次のように記者会見で述べております。
 都庁においては登用試験がありますから、だから、幹部職にチャレンジして優秀な女性はどんどん採っていますので、完全に門戸は開かれている、ですから、全職員が、特に男性職員がそういった目でしっかり、特に上の方にあるクラスの局長以上ぐらいの人たちが、自分たちの後輩で局長に上がってくるような女性を、どうすれば女性幹部を育てられるのかという、それを常に仕事の場で考えておかないとだめだと思いますね、もちろん、今度、保育所を都庁につくるということを含めて、そのために仕事がしやすい、家庭と仕事が両立できる状況を整えるのは我々の役割ですから、それは社会全体で、また都庁でもやっていきたいと思いますと述べております。
 知事のおっしゃることを長期的視点で実現するためには、まず、能力と意欲のある女性に、より多く受験をしていただくことが第一歩といえるわけであります。
 そこで、都庁職員となるために、どのように多くの女性に受験をしていただく努力をしているのか、お伺いいたします。

○森山試験部長 女性の受験者を拡大するために、都庁受験希望者向けの採用セミナーでは、女性を対象に質疑応答などを行います女子カフェコーナーを設けて、女性職員による仕事と家庭の両立の経験談の紹介や個別相談などを行っております。
 また、女性受験者をターゲットとした東京都女性職員キャリア研究セミナーを都内の大学で開催し、女性職員によるパネルディスカッションや講演を通じまして、仕事のやりがいや職場の雰囲気などを紹介しております。
 あわせまして、都が女性にとって働きやすい職場であることを説明したリーフレットを作成し、セミナー参加者や各大学の就職支援課などに配布しております。

○石川委員 一般的に、景気がよくなると公務員の受験者は民間に流れ、景気が悪くなると公務員試験の受験者がふえるなどといわれており、データ上もそのようであるわけであります。まずは、恒常的に都の職員の魅力をしっかりとプロモートし、意欲ある女性に、より多く受験をしていただき、優秀な職員採用に結びつけなければならないと思います。
 次に、晴れて職員となってからは、次は主任試験、管理職試験に挑戦をしていただきたいわけですが、女性職員の昇任試験の受験率についてお伺いいたします。

○森山試験部長 平成二十七年度の女性職員の有資格者に対する受験率は、主任級職選考では、種別Aで三〇・七%、種別Bで一四・八%となっております。
 また、管理職選考では、種別Aで一一・一%、種別Bで五・〇%となっております。

○石川委員 主任試験、管理職試験ともども、種別A、Bに関係なく、全体の受験率よりも女性職員の受験率が低くなっているわけであります。よくいわれるのは、公務員の賃金は、成果や能力よりも勤続年数で上がるので、管理職の責任ある立場で負担が重くなるよりも、一般職のままでよいというような声であります。また、管理職だと子供を迎えに行けない、介護ができない、あるいはプライベートな時間がとれないなどという声は、女性職員からよく聞くわけであります。
 女性職員の昇任試験の受験率を上げるためにはどのような努力がなされているのか、お伺いいたします。

○森山試験部長 女性職員の受験率向上のため、庁内情報サイトにおいて、試験に関する情報や、受験のきっかけ、仕事のやりがいをテーマとした女性の管理職などによります座談会の記事を掲載するなど取り組みを行いまして、受験促進を図っております。
 また、妊娠中の女性職員が受験する場合、特別に受験会場を設けるなど、身体的な負担を軽減するための配慮をしております。

○石川委員 女性管理職を積極的に登用するには、職場における男性職員、女性職員の役割分担意識を変えていかなければなりません。このことは、十月九日に開催されました都議会の男女共同参画社会推進議員連盟の研修の結論でもあったわけであります。
 そのためには、将来の人員構成をシミュレーションし、必要となる女性管理職の目標人数を明示することなども必要になってきます。また、女性に対して教育訓練やキャリア開発を支援することも求められます。また、管理職になると長時間労働につながるというような不安は、現状における管理職の労働時間管理をしっかりと行うことも必要になるわけであります。
 いずれにしろ、女性活躍社会を目指すために、短い時間の中でさまざまな改善が求められることを指摘しておきたいと思います。
 次に、人事委員会勧告についてお伺いいたします。
 毎年の人事委員会勧告を出す上で、職員と民間従業員の給与の比較をする上で、企業規模、事業所規模をどの規模のものを抽出して比較するのかということが重要といえるわけであります。
 今回の調査は、八百八十の事業所で、調査実人員は五万六千三百四十一人となったわけでありますけれども、最低規模は五十人以上百人未満の事業所となっているわけでありますけれども、民間給与実態調査における対象事業所の規模の推移についてお伺いいたします。

○津国任用公平部長 職種別民間給与実態調査は、国の人事院、都道府県、政令指定都市及び特別区の人事委員会が共同で実施しており、調査対象事業所の規模につきましては、平成十七年までは企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上の事業所としておりました。
 その後、民間従業員の給与をより広く把握し、職員の給与に反映させることが適当であるとの観点から、平成十八年に調査対象を企業規模五十人以上に拡大したものでございます。

○石川委員 事前に説明を受けたところによりますと、平成十七年度までは百人以上の企業が対象だったわけですが、平成十八年から五十人以上、百人未満も対象とし、平成十八年では、調査事業所数は四十五事業所で全体の五・五%だったものが、平成二十七年には百三十七件、一五・六%まで伸びてきたこともよく理解をできました。
 給与に関する情報は正確さが求められるわけでありますけれども、二〇一五年十一月十六日付の週刊「AERA」に各自治体の給与比較が表となって出ており、都職員の平均月収が四十七万六千九百円で高いという記事があったわけであります。私は、この記事の引用元である総務省のホームページを調べたところ、平成二十六年地方公務員給与実態調査結果の都道府県別の平均給与月額等という表の中に、月額支給される給料及び手当の東京都の欄の合計がこの数値に当たることがわかりました。
 一方、都人事委員会勧告では、職員の月例給が二十六年で四十万四千円となっております。
 そこで、総務省の調査結果と都の勧告の平均給与月額が異なる理由をお伺いいたします。

○津国任用公平部長 都の勧告における平均給与月額と総務省の調査結果による平均給与月額では、調査対象職員や含まれる手当等に違いがあることから、異なる結果となっているものでございます。
 具体的には、都の勧告における平均給与月額につきましては、民間給与との比較を行うため、事務職や技術職に適用される行政職給料表(一)適用者の平均給与月額を示しており、職員ごとに変動要素のある通勤手当や時間外勤務手当などは含まれておりませんが、総務省の調査にはこうした手当が含まれており、さらに教員や警察官、医師なども対象となっております。

○石川委員 職種も年齢もばらばらなものを一緒にして平均値を出した数値が総務省のもので、官民較差のベースとなる比較には適当でない数値だということがわかりました。ただ、このような情報が一方的に流れることに対して、何らかの対処をする必要があるのではないかと思います。
 次に、同じく「AERA」の記事の中で、都の地域手当二〇%を高いとしておりますけども、地域手当の考え方についてお伺いいたします。

○津国任用公平部長 地域手当につきましては、地域ごとに民間賃金や物価等に関する事情を考慮して支給される手当であり、国が平成十八年度に導入した際に、都におきましても、制度的均衡を図る観点から導入しております。
 地域手当の支給割合は段階的に引き上げてきており、都においては、本年四月に、これまでの一八%から、特別区内に勤務する国家公務員と同じ割合である二〇%へ引き上げる改定を行っております。
 なお、公民較差の算出に当たりましては、地域手当を含めた給与総額で民間と比較していることから、地域手当の支給割合を引き上げる際は、給料月額の引き下げ改定をあわせて行っており、本年の改定におきましても、二%の引き上げと同時に、給料月額の平均一・七%の引き下げ改定を行っております。

○石川委員 地域手当は、本給の一部が振りかわったもののようであり、今回の制度改正は、結果として退職金や年金へのはね返りを長期的に抑制することになり、国家公務員の地域手当に合わせて設定をしており、東京都エリアの諸物価等も勘案しておる地域手当ということだというふうに思います。
 最後に、今後の課題といたしましては、五十人以上百人未満の事業所の比率をどうするのかということと、五十人以下の事業所は全く対象外でよいのかということについては、引き続き研究をする必要があることを指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

○おときた委員 私からも、簡潔に職員の給与に関する報告と勧告についてお伺いをいたします。
 今年度の報告と勧告でも、公民較差の解消のためとして、例月給、特別給ともに、二年連続となる引き上げが提示されました。
 一方で、十一月十六日に内閣府によって発表された七月から九月のGDP、国内総生産の速報値は、前の三カ月に比べ、年率換算で実質マイナス〇・八%と、二四半期連続のマイナス成長となっています。雇用者報酬の伸び率こそ、実質〇・八%、名目〇・九%の伸びとなっているものの、来年からの消費税増税などを控え、まだまだ予断の許さない状況です。
 また、東京都に目を向けてみれば、二〇二〇年東京五輪の開催に向けて大きな支出が見込まれる中、エンブレム問題をめぐる不手際などがあり、その都政運営には厳しい目が注がれています。
 こうした中で行われる職員給与の引き上げについては、慎重な対応を求める声も多く上げられています。
 そこでまず、職員と民間従業員の給与比較の方法と根拠について、この説明を改めて求めます。

○津国任用公平部長 地方公共団体は、地方公務員法において、給与等の勤務条件について、社会一般の情勢に適応するよう適当な措置を講ずることが求められており、人事委員会は、そのために講ずべき措置について、議会及び知事に勧告を行うことができるとされております。
 この法の趣旨を踏まえ、都人事委員会は、毎年、国の人事院や他の地方公共団体の人事委員会と共同で民間事業所の給与水準等について調査を行い、その結果をもとに、公務と民間の役職段階や年齢などが相応する者同士の給与を比較して、必要な勧告を行っております。

○おときた委員 民間事業所の給与水準等の調査を行い、役職等が相応する者同士の給与を比較ということですが、ここで気になるのが、民間従業員の給与の基準としている調査対象の事業規模です。他の委員の方々からも複数ご指摘があったように、都内に所在する調査対象産業の事業所のうち、企業規模五十人以上で、かつ事業所規模五十人以上という基準が示されているのですが、中小零細企業が九九%といわれる日本の企業社会において、これが果たして民間水準を的確にあらわしているのかどうかについては、非常に議論が多いところです。
 そこで、この調査対象、方法や対象規模は国が定める規定に準じているようですので、確認をいたします。
 こういった一連の調査並びに報告、勧告は、全国一律で横並びに行わなければいけないものなのでしょうか。例えば東京都が独自の基準で調査をして、国と異なる人事委員会勧告の結論を出すことは、理論的、法律論的には不可能なのでしょうか。その理由とともに、改めて見解をお聞かせください。

○津国任用公平部長 地方公務員の給与につきましては、地方公務員法の定めにより、国や他の地方公共団体の職員並びに民間従業員の給与などを考慮して定めなければならないとされております。この趣旨を踏まえ、都人事委員会におきましては、人事院や他の人事委員会と共同して、同一の基準に基づく調査を実施しているところでございます。
 その結果等に基づき算定される公民較差につきましては、都と国や他団体では、給料表の構造や職員の在職状況等が異なることから、それぞれ異なる数値となっております。
 さらに、都におきましては、給与構造や給与制度の改革を図るため、給料表における昇給カーブのフラット化や級構成の簡素化のほか、特別給における勤勉手当の割合の拡大等による能力、業績の給与への反映など、都独自の問題意識に基づくさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。

○おときた委員 調査結果の算定に対して独自の取り組みは行ってはいるものの、地方公務員法に基づき、全国一律の対応が必要と認識しているということがわかりました。
 それでは、この人事委員会勧告とは別に、東京都が独自の調査報告を行い、その上で全国一律の給与勧告とは異なる結論を出すことは、制度上あり得るのかどうかを伺います。

○津国任用公平部長 人事委員会といたしましては、給与勧告制度の趣旨に鑑み、議会及び知事に対して勧告のとおり実施することを要請しておりますが、その取り扱いは、最終的には議会及び知事が判断するものでございます。

○おときた委員 その取り扱いは、最終的には知事と議会の判断によるものということで、独自の調査を行い、また、異なる結論を出すことも不可能ではないと理解いたしました。
 全国的な例を見れば、独自の調査基準に基づいたというわけではないものの、名古屋市で人事委員会勧告とは異なる給与改定の結論を出した例があります。
 また昨年、私と同会派の上田都議が確認させていただいたように、東京都でもかつて、ベースアップの勧告を延伸した事例があったようです。
 国や他の地方公共団体も考慮というご答弁もありましたけれど、この地方分権の時代に全国一律の調査、報告が行われるというのは、今後は変化せざるを得ないのではないかと思いますし、地方公務員法もそれを否定するものではないようにも読み下せます。
 東京都は、首都として突出した存在感を持っているのはもちろんのこと、これからは我が国最速のスピードで少子高齢化が進み、また、二〇二〇年東京五輪以降の都市運営を迫られるなど、独自の課題が山積をしております。東京都には、そうした事象に鑑みて、職員給与を独自に精査する能力も既に十分に備わっているのではないでしょうか。
 ことしの二年連続引き上げという結論は、必ずしも今の東京都にとって適切なものではないのではないのかという意見を申し上げまして、私の質問を終わります。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○加藤委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○新井委員 監査に当たりまして、毎年、重点的に監査すべきテーマを重点監査事項として設定しているということですが、どのように決定しているのか、また、どのような項目を設定しているのか、お伺いします。

○副島監査担当部長 監査の実施に当たりましては、毎年、監査基本計画及び監査ごとの実施計画を監査委員による審議を経て決定しております。この計画におきまして、都政をめぐる状況や社会的な諸問題、過去の指摘事例等を踏まえまして重点監査事項を定めております。
 例えば定例監査では、都における事務や事業の執行全般について、全局を対象に事務の執行が適正適切に行われているかを監査しておりますが、監査の実施に当たりまして、平成二十七年は重点監査事項を四項目設定しております。
 この重点監査事項のうち、全庁を対象にいたしました工事契約に係る価格情報管理につきましては、水道局における情報漏えい事件の発生を踏まえたものであります。
 また、このほか、局別に選定する事項といたしまして、事業実施部門の外部委託、業務の内部統制、債権管理の三つを設定しております。このうち、例えば債権管理につきましては、過去の監査で同様の誤りが繰り返し発生していることを踏まえまして設定したものであります。

○新井委員 社会的な諸問題だとか、その辺を監査するということなんですけど、最近では、くい打ちデータの流用の問題が社会的な問題になっているわけでございます。そして、重点項目を今後十二月に決めるということでして、このくいの流用について重点事項になるのかどうかという問い合わせをしましたら、その可能性についてはかなり少ないですということでした。
 それはどうしてかといいますと、くいデータの流用というのは施工中の問題ですということで、監査につきましては、施工者でなく、監督をする各局に対してやるので、直接監査の対象にならないというお答えでございました。
 また、先ほど答弁でありました平成二十七年の重点監査項目は、工事契約に関します価格情報管理というものです。この価格情報管理の監査をした結果、エクセルとか電子ファイルにパスワードが設定されていなかったので、担当者以外でも価格の情報が見られるようになっていたりとか、また、フォルダーがあるんですけど、そのフォルダーに関しましても、課とか係にアクセス制御をかけていて、同じ課だったり係であったら、そのフォルダーの中を見ることができたということで、大変問題だったなと思っています。毎年、計画を策定し、都政をめぐります状況などに対しまして監査を行っていることがよくわかりました。
 その監査の結果としてまとめられました監査報告書を見ますと、さまざまな問題点を指摘しております。注目の高かった事例や不適正な支出の返還を求めた事例など、具体例をお尋ねいたします。

○副島監査担当部長 監査結果につきましては、監査報告書として取りまとめ、議会にご報告いたしますとともに、プレス発表や局ホームページを通じまして情報提供しております。
 最近の事例で注目の高かったものといたしましては、ろう学校に設置されました緊急時等に点灯する始業灯が生徒の視界に入らない位置に設置されていたため、適切な場所に移設するよう求めた事例などがあります。
 また、不適正な支出の返還に係る事例といたしましては、保育所を運営する社会福祉法人におきまして、対象児童数の算定誤りなどによる補助金の過大交付が認められたため、六百十二万円の返還を求めた事例があります。
 なお、この補助金の事例につきましては、従前より同様の誤りが繰り返されていたことから、所管局に対しましては、補助金交付に係る審査事務の充実など一層の改善を求めたところでございます。

○新井委員 先ほど答弁がありました、ろう学校の始業灯が生徒の頭の上の後ろの方に設置されていたということで、この始業灯というのは、火災が発生したときには赤くランプが光ったりとか、また、校内に不審者の方が侵入した場合には青い光を点灯するというもので、安全確保に関します情報を生徒に提供しているものです。こういったものをしっかりと指摘していただいたということでした。
 監査の指摘を受けまして、各局が真摯に受けとめて、是正、改善を進めることが求められております。そこで、各局の改善状況はどのようになっているのか、お伺いします。

○副島監査担当部長 監査の指摘事項につきましては、各局に対しまして指摘事項の改善状況の報告を求め、その内容を確認し、監査結果に基づき講じた措置といたしまして、年二回、議会にご報告し、公表をしております。
 具体的な改善事例といたしましては、水道、下水道料金の還付に関する事務が円滑に行われるよう、新たに還付事務室を設置し、事務処理体制を見直したものなどがございます。
 また、指摘に対する改善状況につきましては、過去三年間に行った指摘で見ると、約九割が改善済みとなっておりまして、各局において比較的速やかな対応が図られているところでございます。
 なお、一部には、指摘事項の改善までに時間を要する事案がございますが、そうした事案に対しましても、その進捗状況や今後の対応予定などにつきまして、各局から詳細にヒアリングを行い、きめ細かくかつ的確にフォローし、各局における改善の取り組みを促しております。
 例えば具体的な事例といたしまして、事業廃止などにより利用されなくなった土地の利活用に係る指摘などは、改善までに若干時間を要しておりますけれども、引き続き継続してフォローしているところでございます。

○新井委員 各局におけます改善がより一層進められるよう、監査事務局として引き続き働きかけをお願いしたいと思います。
 最後に、監査の課題について所見をお伺いします。

○副島監査担当部長 監査の課題についてでありますが、監査におきましては、事務事業が適正適切に実施されているかを検証し、問題点を指摘した上でその改善を求めておりますが、指摘事項につきまして、再び同じ誤りが繰り返されることのないよう、再発防止の徹底を図ることが課題となっております。
 そのため、具体的な取り組みといたしましては、各局の改善状況につきまして、指摘した問題点の是正、改善のみならず、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直しまで踏み込んで改善しているかを確認いたしまして、再発防止の徹底を図っております。
 さらに、同じような誤りがほかの局で繰り返されることのないよう、都庁全体に水平展開していくことが重要であると考えております。監査事務局では、各局の担当者向けに事務説明会を年二回開催し、過去の指摘を類型化した監査指摘事例集を配布いたしまして、全庁横断的に発生しがちな事例を各局に周知しております。
 監査事務局といたしましては、今後とも、監査結果が都の事務事業の改善に資するよう、質の高い監査を実施するとともに、各局における事務改善を促し、公正かつ効率的な行財政運営の実現に貢献してまいります。

○新井委員 大切なのは、再発防止や繰り返されることがないということが重要だと思っています。しっかりと都庁全体に水平展開も図っていただきたいなと思っています。
 今後とも監査結果が都の事務事業の改善に資することを要望しまして、質問を終わりにします。

○おときた委員 私からは、工事監査について、簡潔に二点だけお伺いをいたします。
 監査委員の職務権限の一つに工事監査がございます。平成二十六年は、対象となる工事一万五千六十七件のうち、約一割に当たる千五百五十八件に対して監査が実施されており、空調設備のサイズが過大になっていた例や、補強材の取りつけ方法の誤りなどを指摘した例が報告されています。
 そこでまず、工事監査とは、そもそもどのような監査か、どのような根拠法に基づいて業務内容が規定され、監査を行う権限が付与されているのかを伺います。

○副島監査担当部長 工事監査は、都が行う工事等を対象といたしまして、計画、設計、積算、施工等の各段階において、技術面から工事が適正に行われているかどうかを主眼とし、合規性はもとより、経済性、効率性、有効性の観点にも留意して実施するものであります。これは、監査委員の職務といたしまして、地方自治法第百九十九条の規定に基づき行う監査の一つでございます。

○おときた委員 計画、設計、積算、施工等の各段階において工事監査を実施するということで、非常に幅広い範囲が職責だということがわかりました。
 さて、今般、くい工事における大規模なデータ転用が発覚したことが大きな話題となっています。残念ながら、都有施設においても、くいデータ転用が認められた案件が発覚しており、現時点では安全性に問題はないとの調査結果が出ているものの、都民からは多くの不安の声が上がっています。
 もちろん、日本中の専門家が見抜けなかったことですから、現行の制度上では、行政サイドのチェックで防止するのは困難であったことは認識されているところですが、監査によって見抜くことはできなかったのかと、そういった意見があることも事実です。
 工事監査における計画、設計、積算、施工でいうと、こうしたくい工事に関連するのは施工の部分に当たるかと思いますが、そこで改めて、工事監査の施工の分野ではどのような監査が行われているのかを伺います。

○副島監査担当部長 工事監査の施工の分野では、都における工事につきまして、発注者である各局の監督員が行う指導監督が、法令に基づき適切に行われているかを事後的に監査するものでございます。
 具体的に申しますと、例えば工事記録写真を審査し、地面を掘削したときに崩落防止が施工されているか、高所作業時における転落防止措置が確実に実施されているかなどの安全管理面や、提出書類を審査し、産業廃棄物や建設副産物が適切に処理されているかなど手続面を検証するなど、さまざまな観点から監査を行っております。

○おときた委員 工事監査の役割は、施工業者を直接監査するのではなく、発注者である各局が行う施工管理が適切に行われているかを事後的に監査するということだと思います。
 私も、本事案が発生してから、ゼネコン、サブコンの方々、現場の方々とも意見交換を行いましたが、今回のようなケースでは、第三者機関を設置するなどして現場レベルでの立ち会いを行うことや、事業者側の自助努力なくしては解決できないということがわかりました。改めて、都の工事監査は適切に行われていたということだと思います。
 最後に、繰り返しになりますが、今般の問題は、工事施工中のまさにくい打ち現場での対応が課題ですので、現在、既に国土交通省が検討会を立ち上げたとの報道も出ており、原因究明と再発防止の徹底に向けての対応が注目されるところです。
 東京都は、国と連携した対応を図るとともに、監査事務局としては、今後とも各局の取り組みをしっかりと監査していただきたい旨を申し上げまして、私の質問を終わります。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二分散会