総務委員会速記録第十号

平成二十七年十月二日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長栗林のり子君
副委員長西沢けいた君
副委員長中屋 文孝君
理事やながせ裕文君
理事徳留 道信君
理事早坂 義弘君
上田 令子君
高倉 良生君
栗山 欽行君
清水 孝治君
ともとし春久君
田島 和明君
山下 太郎君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長川澄 俊文君
外務長宮島 昭夫君
次長理事兼務潮田  勉君
理事松下 隆弘君
総務部長小池  潔君
調整部長中澤 基行君
政策担当部長西坂 啓之君
政策担当部長八嶋 吉人君
技術政策担当部長加藤 直宣君
戦略広報担当部長政策担当部長兼務小沼 博靖君
海外広報担当部長川崎  卓君
渉外担当部長佐藤 直樹君
国家戦略特区推進担当部長山本 博之君
渉外担当部長政策担当部長兼務村岡 教昭君
計画部長小室 一人君
計画担当部長梅村 拓洋君
外務部長横山 英樹君
都市外交担当部長川上 文博君
国際事業担当部長梅田 弘美君
青少年・治安対策本部本部長廣田 耕一君
総合対策部長廣瀬 秀樹君
青少年対策担当部長稲葉  薫君
治安対策担当部長村山  隆君
総務局局長中西  充君
危機管理監田邉揮司良君
理事山手  斉君
総務部長小暮  実君
企画担当部長首都大学調整担当部長
尖閣諸島調整担当部長兼務
初宿 和夫君
訟務担当部長和久井孝太郎君
復興支援対策部長菊地 俊夫君
復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務野口 毅水君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務三木 暁朗君
情報通信企画部長中島  毅君
労務担当部長栗岡 祥一君
主席監察員藤井 秀之君
行政部長西村 泰信君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
佐々木秀之君
区市町村制度担当部長小菅 政治君
総合防災部長矢岡 俊樹君
防災計画担当部長小林 忠雄君
防災対策担当部長小久保 修君
統計部長伊東みどり君
人権部長箕輪 泰夫君

本日の会議に付した事件
意見書について
政策企画局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十三号議案 東京都とロンドン市との友好都市関係の結成について
青少年・治安対策本部関係
報告事項(質疑)
・東京都子供・若者計画について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十四号議案 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例
・第百五十六号議案 住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
・第百五十七号議案 住民基本台帳法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百五十八号議案 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例を廃止する条例
・第百五十九号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十号議案  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成二十六年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について
・平成二十六年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績及び平成二十七年度東京都監理団体経営目標の設定状況について
・東京都人権施策推進指針について

○栗林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件について、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○栗林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、政策企画局及び総務局関係の付託議案の審査並びに青少年・治安対策本部及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより政策企画局関係に入ります。
 理事者の欠席について申し上げます。
 猪熊理事及び松下報道担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十三号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小池総務部長 要求のございました資料六点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
 まず、一ページをお開きください。ロンドン市との友好都市関係の結成に向けた交渉経過でございます。
 ロンドン市と友好都市提携合意に至るまでの交渉の経過を記載してございます。
 次に、二ページをお開きください。東京都海外事務所の設置及び廃止の状況でございます。
 かつてニューヨーク市及びパリ市にございました東京都海外事務所につきまして、その概要並びに設置及び廃止の状況を記載してございます。
 次に、三ページから五ページまでが姉妹友好都市との主な交流実績でございます。
 過去三年度における姉妹友好都市との主な交流実績を記載してございます。
 次に、六ページ及び七ページにつきましては、知事及び理事者の姉妹友好都市への訪問状況でございます。
 過去三年度における知事及び理事者の姉妹友好都市への訪問状況を記載してございます。
 次に、八ページをお開きください。姉妹友好都市との民間交流に係る都のサポート状況でございます。
 過去三年度におきまして、姉妹友好都市との民間交流に対して都が行ったサポートの状況を記載してございます。
 最後に、九ページをお開きください。舛添知事就任以降の知事、外務長及び都市外交担当部長の海外要人及び自治体関係者との面会実績でございます。
 平成二十六年二月の舛添知事就任以降の面会の実績を記載してございます。
 以上、簡単でございますが、要求資料について説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中屋委員 私の方からは、ロンドン姉妹友好都市提携について何点か伺います。
 いわゆる姉妹友好都市交流が普及する契機となったのは、第三十四代アメリカ大統領、アイゼンハワーが、昭和三十一年にピープル・ツー・ピープル・プログラム、市民から市民への交流計画という都市提携運動を提唱したことによるといわれております。
 この運動は、第二次世界大戦の惨禍を教訓といたしまして、国境を越えた都市同士を結び、市民レベルで交流し合うことによって相互理解を深め、世界の平和に貢献することを目的に展開されております。欧米だけではなく、世界各都市の間で姉妹友好都市提携による友好の輪が広がっているわけであります。
 アイゼンハワーの提唱した都市提携運動の四年後、今から五十五年前の昭和三十五年、東都政におけるニューヨーク市との姉妹都市提携から始まりまして、その後、鈴木都政において八つの都市との友好都市提携を経て、平成八年の青島都政におけるローマ市との友好都市提携が結ばれ、これまでの東京都の姉妹友好都市数は十一を数えます。
 このたび、ローマ市以来、十九年ぶりとなるロンドン市との友好都市提携を行う議案が提出されました。本会議の代表質問で、ロンドン市との友好都市提携に対する知事の思いと狙いについて伺いましたが、ロンドン大会の成功とそのレガシーを学ぶことはもとより、大都市に共通する課題の解決に協力して取り組んでいきたい、その知見を生かしながら、引き続き世界のほかの都市とも協力し、かつ切磋琢磨することで、世界一の都市の実現につなげていくとの答弁をいただいたところであります。こうした考えは、我が党が目指す大会の成功とこれを契機とした東京のさらなる発展に沿ったものでありまして、大いに賛成するところであります。本委員会では、今回の提携の意義や効果について、より詳しく明らかにしていきたいと思います。
 まずは、ロンドンの話に入る前に、東京都の姉妹友好都市について確認をいたします。
 姉妹友好都市提携を締結することにより、具体的にはどのような有用性があったのか、伺います。

○横山外務部長 姉妹友好都市を締結する場合には、両首長の間で共同宣言というものを行うことにしてございます。その趣旨は、両都市のさらなる発展と市民生活の向上に資するとともに、両都市が直面する共通の課題に共同して取り組み、これまで培ってきた相互のきずなを一層強固なものとするため、友好関係を樹立するという趣旨のものでございまして、永続的な協力関係を想定してございます。
 これらに基づきまして、具体的には、都市問題解決のための技術交流や職員の相互派遣など、さまざまな交流を行うことで協力関係を築き、都市問題の解決を通じた両都市の発展に資するとともに、東京の国際化へも対応してまいりました。

○中屋委員 これまでの姉妹友好都市提携による効果は理解できました。しかし、英国の首都であり、世界の都市総合力ランキングでも一位であるロンドン市と、これまで友好都市の関係がなかったことの方が不思議なくらいであります。
 それでは、今なぜこのタイミングでロンドン市と友好都市提携なのか。在英国日本国大使館にも勤務されていた経験を有し、今回の提携合意にも主導的な役割を果たしております外務長に見解を伺います。

○宮島外務長 ロンドンの日本大使館から異動になり、昨年夏、東京都外務長として着任してから一年余りが過ぎました。
 私も、ニューヨーク、パリ、北京、ソウルといった世界の大都市が東京の姉妹友好都市に名前を連ねている中でロンドンが友好都市になっていないことに、当初から実は違和感を持っておりました。
 ロンドンは、二〇一二年ロンドン・オリンピック・パラリンピック大会に成功し、また、東京は二〇二〇年大会の招致を実現いたしました。そして、舛添知事は、二〇二〇年大会の成功を起爆剤として東京を世界一の都市にするという大目標を掲げ、都政に取り組んでいる。こういうふうなことを踏まえまして、昨年末策定いたしました都市外交基本戦略では、関係強化の重点都市の一つとしてロンドンに言及させていただきました。
 昨年十月、私も同行しましたが、知事のロンドン訪問において、知事から直接ジョンソン市長に友好都市提携を提起し、その場で原則的に意見の一致を見ました。その後、これをフォローアップいたしまして、私自身、先方と累次の電話やメールのやりとり、さらに出張も行いまして、また、本年六月、リスター・ロンドン副市長来日の際には、前田副知事からも副市長に要請をいたしました。その後もさらに粘り強く交渉を重ねた結果、今回の基本合意にこぎつけることができました。
 ロンドンに勤務しました元外交官として、舛添知事のリーダーシップにより、東京都の都市外交のレガシーの一つとして成果が残せるということに深い感慨を覚えております。
 ロンドンとの新たな出発点に立ち、外務省在英国日本国大使館、在京英国大使館などとのパイプも十分活用いたしまして、今後、一層の関係強化のため努力を重ねたいと思います。よろしくお願いいたします。

○中屋委員 ただいま外務長から、外交官の経験や知事の外交のアドバイザーとしての立場から、実感のこもったご答弁をいただきました。ありがとうございます。
 これまでのロンドン市との関係の中で、政策提携にかかわる協定を締結していたと聞いておりますけれども、それはどのような内容で、成果はどうだったのか、伺います。

○横山外務部長 東京都とロンドン市の政策提携にかかわる協定書は、平成十八年に、当時の石原知事とリビングストン市長との間で締結されたものでございます。
 共通の関心分野に重点を置きまして、共同で課題に取り組むというもので、都市再生、交通政策、環境問題、治安対策、スポーツ振興と観光振興、文化交流の六分野を掲げて協定を交わしてございます。
 成果の一例といたしまして、環境問題の分野では、ロンドン市長の呼びかけに応えて、世界大都市気候先導グループ、いわゆるC40と呼ばれるグループですけれども、この運営委員会のメンバーとして参加をし、地球温暖化対策への取り組みを開始いたしました。
 その後、都では、C40気候変動東京会議を提案、開催いたしまして、十三の共同行動について参加都市の合意を得るなど、政策協定をきっかけとした取り組みが着実な成果を上げたというところでございます。
 なお、この協定は三年ごとに見直しを行うということにしてございまして、平成二十四年まで継続をいたしました。

○中屋委員 聞いておりまして、やはり交流の積み重ねは大事だということは感じます。特定の分野における実務的な提携が両都市間で過去に行われ、交流実績があったからこそ、この提携までこぎつけることができたものと評価いたします。
 友好都市となるロンドン市から具体的に何を学び、また何を教えることができるのか、お伺いをしたいと思います。

○横山外務部長 ロンドン市と姉妹友好都市関係を結成することで、両都市間で包括的かつ永続的な関係を構築することになります。
 ロンドン市との友好都市関係については、実務的に有効なものとする必要があることから、友好都市提携の締結と同時に、両都市間で特に力を入れていくべき分野についての合意書を別途締結する予定でございます。
 合意書には、都市づくり、環境、文化に関することなどを盛り込み、オリンピック・パラリンピックのレガシーを学ぶことはもとより、各分野での知見の共有や具体的事業の実施につなげていく考えでございます。

○中屋委員 過日、英国からは、ことしの二月ですか、ケンブリッジ公が訪日をした際に、都議会も、議長を初め会派を超えておもてなしをしたわけであります。長い歴史のある日英の関係を鑑みても、両国の首都同士が友好都市提携を締結することは大きな意味があると思います。この提携を東京のために永続的なものとして十分に生かしてほしいというふうに思います。
 そこで、最後になりますが、この画期的ともいうべきロンドン市との友好都市提携の締結を受けまして、今後、東京都の都市外交をどのように展開していくのか、局長のご答弁を伺い、質問を終わります。

○川澄政策企画局長 二〇二〇年大会まで五年を切りまして、その成功のためには、都市外交は重要なツールであると考えております。
 友好都市提携を締結するロンドン市からは、今まで以上に、その経験などについて詳細に学ぶことができるようになるというふうに考えております。ロンドン市と関係構築をしていくことは、世界一の都市を目指す東京にとっても大きな第一歩でございまして、成熟都市としての都市経営の知見を交換し、切磋琢磨することで、東京のさらなる発展につながるものというふうに確信をしております。
 今回の友好都市提携が実効あるものになるよう、各局とも緊密に連携をいたしまして、活発な交流、協力を行っていきたいというふうに思っております。
 さらに、今後の都市外交の展開につきましては、戦略的に協力関係を構築する都市を選定しまして、両都市に共通する課題の解決を積極的に行い、より実務的、実質的な協力を進めていきたいと考えております。
 引き続き、各局が取り組んでいる国際的な関連施策をしっかり支援いたしまして、都庁一体となって都市外交を推進してまいります。

○ともとし委員 都市外交について質問をさせていただきたいと思います。
 私たち都議会公明党は、舛添さんを知事ということで推薦させていただくその政策協定の一環の中には、都市外交というものを明確に出させていただきました。
 国という単位になりますと、国益だとかイデオロギーだとかさまざまな問題があって、なかなか国民のため、都民のためという観点だけでは考えられないようなそういう状況が、特に昨今、厳しいものが見えてきたからゆえに、日本の首都であるこの東京の都市外交を重要視すべきであるということから、そうしたことを、当時、舛添候補に訴えさせていただきました。当時の舛添さん自身もそのことを十二分に承知していただいて、知事に就任以来、積極的にこの都市外交をされていただいているように思います。
 そういう中で、今回は、昭和三十五年にニューヨーク市と初めて都市外交、友好都市ということで始まって以来、十一番目の都市ということで今日まで来ているわけですが、新たにロンドンということで都市外交を、友好都市ということで進めようとしているわけですが、かつての友好都市、そうした中で都政に対してどういう効果をもたらしたのか、その辺の総括をまずお願いしたいと思います。

○横山外務部長 東京都は、姉妹友好都市との間で、友好代表団の相互派遣、青少年交流、文化、スポーツ交流、技術協力など、さまざまな交流事業や協力事業を行い、相互理解を深めてまいりました。こうした取り組みは東京の国際化施策の根幹となるものであり、東京のグローバル化はもとより、国際社会における東京の発信力やプレゼンスの向上に寄与してきたものと認識してございます。
 一方で、姉妹友好都市、今ご指摘がございました十一の都市がございますが、この提携から長い年月が経過したものの中に、首長の交代等により関係が疎遠になっている都市があるということも事実でございまして、舛添知事は、首長間の往来を初め、姉妹友好都市との関係の再構築に取り組んでいるところでございます。

○ともとし委員 今のご答弁で、ある意味ではわかるわけでありますが、過去にこういう十一の都市との姉妹交流を結んできておりますけれど、例えばサンパウロは一回しか行っていないんですね。このサンパウロとは一九九〇年に友好都市提携をしているわけなんです。あるいはカイロ、ここも一九九〇年に一回行っただけ。ローマも一九九六年に一回行っただけ。
 要するに友好都市交流は、そういう面で実現すべく、友好都市としてのそうした提携をするわけですけれど、現実にはほとんど機能を果たしていないというような、そういう思いもするわけですが、その辺についてはいかがですか。

○横山外務部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、ご指摘のとおり、友好提携から、長い年月の間、交流が十分に行われていなかった都市があるということも事実でございます。そうした現状をしっかり認識いたしまして、首長同士の交流を活性化することで、既存の姉妹友好都市関係の再構築に取り組もうとしているのが舛添知事の都市外交でございます。
 昨年十二月に東京都都市外交基本戦略を策定させていただきました。その中にも、姉妹友好都市の再活性化ということにつきましては重点的に記載をしてございます。
 今後のことに少し言及させていただきますと、この基本戦略の中にも、首長間の合意を行った都市との間で交流、協力の活発化が低下しないようにという趣旨で、例えば周年事業を行い、そういった機会に往来を行っていく等の記載もございますので、こうした基本戦略に定めた趣旨を実現できるよう、今後とも努力をしてまいりたいと存じます。

○ともとし委員 いろんな角度での交流というのは物すごく大事だと。単なる首長だけが行ったり来たりするだけじゃ意味がありませんよということにもなってくるかというふうに思うのですが、その都市その都市の特徴もあると思います。
 それと同時に、例えば、十月一日は都民の日なんですよ。そういう都民の日という東京にとって大事な日にちになるときに、この姉妹都市からどういうような祝電が来ていますか。

○横山外務部長 私が承知しているところでございますと、そういった祝電等はいただいてございません。

○ともとし委員 じゃ、正月にはどのぐらい来ていますか。

○横山外務部長 これも承知してございません。

○ともとし委員 恐らく皆無に等しいんじゃないかというふうに思うんですよ。だけど、国対国、例えば今、中国は国慶節という、そういうような状況になっていますけれど、やっぱり大使館を通して祝賀会が行われたりなんかするということもあるんですよね。だから、向こうから来なくても、こちらから東京都として知事名でも、そういうような節目節目のときには、姉妹都市交流を結んでいるところに何らかのコメントを発するということは、姉妹交流、人と人との交流以前の段階として大事じゃないかなというふうに思いますけど、いかがですか。

○横山外務部長 ご指摘のとおりだと存じます。
 例えば、舛添知事が昨年二月に就任をいたしまして、この際に、就任に際して、姉妹友好都市の首長からお祝いの手紙等をいただいているという例がございます。知事からも、姉妹友好都市の首長が交代をする、あるいは再選をされて着任するというような際にはお祝いの手紙を発するなど、こういった交流については続けているところでございます。

○ともとし委員 外務長は、海外のそういう経験もあるというふうに先ほどもいっておりましたけれど、外国の例として、そういう節目節目のとき、極端な話をすると、首長の誕生日とか何とかというときでも、結構、そういう書簡あるいは電報等といったものもやっているやに聞きますけれど、経験としてどうですか。

○宮島外務長 委員ご指摘のとおり、確かにそのような例もございます。誕生日ですとか、あと、国の場合ですとナショナルデーということで国際日を決めておりまして、そういうときに祝辞をお互いに伝えるとか、そういうふうなことはございます。今後検討していきたいと思います。

○ともとし委員 私、海外というか、その都市に行っていろんな交流を結ぶ、これも大事なんですよ。だけど、節目節目のそういうときに、手紙、書簡あるいは電報の一本、これはそんなにお金はかからないんだから、ぜひともやるべきだと。それが相手からも返ってくる、そういう内容になってくるのかなと。東京というのはこういうところなんだというようなことも考えていただけるんじゃないかなというふうに思うんですね。
 同時に、先ほど来、答弁があるように、なかなか知事が行ったりなんかするということはできないんですよ。青島さんの時代も鈴木さんの時代も、それこそ一回行ったきりで、その後何も続かないという、そういうようなこともあるんです。だからこそ、外務長という職責がある、あるいは外務部長という職責もあるし、十万何がしのそういう職員の方もいるわけなんです。
 そういう職員の方の交流というのも大事だし、都民の方の交流というのも大事だなというふうに思うんですが、この辺についてはいかがですか。

○横山外務部長 姉妹友好都市関係の結成を受けまして、相手都市とは文化、スポーツ交流や技術交流などを行ってきているところではございますが、これも必ずしも活発ではないという面があるということも否定できないところでございます。
 そうしたことも踏まえまして、先ほど申し上げましたような都市外交基本戦略というものをつくって、まずはトップ同士の外交ということから再構築を図っていく、これを受けまして、職員同士などさまざまなレベルでの交流を深め、相手都市の先進的な事例を学んで、これを都政に生かしていく等の取り組みに広げていく、こういった趣旨を戦略の中にも盛り込んでいるところでございまして、この趣旨に沿って、今後ともしっかり取り組んでいきたいと考えております。

○ともとし委員 しょせん、国だとか、あるいは都市だとかといっても、大事なのは人ですから、その人を育てるということを重点に置いた施策というのが大事かなというふうに思うのですが、こうした人材育成、この辺について局長はどうお考えでしょうか。

○川澄政策企画局長 今回の十九年ぶりの友好都市提携を世界ランキング一位のロンドン市と結ぶことには、本当に大きな意味があるというふうに思っております。
 ロンドン市からさまざまな経験を学びつつ、協力して都市問題の解決に当たることは、まさに二〇二〇年大会の成功とその先の発展という都の目指す方向性の具体化であるというふうに思っております。これを実効性あるものとして、さらなる都市外交の展開を図っていくためには、委員ご指摘のとおり、職員の育成が根幹であるというふうに思っております。
 東京都といたしましても、これまでも海外に職員を派遣し、国際関係業務を担い得る語学力、それから対外交渉力、グローバルな政策立案能力などの育成に取り組んでおりまして、現在も、外務省を通じた在外公館への職員派遣に加えまして、自治体国際化協会を通じまして、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポールの事務所に職員を派遣してございます。
 関係局とも協力しまして、引き続きこうした研修の充実や職員の派遣を通じた育成を図るとともに、自治体国際化協会への職員派遣拡大も検討してまいりたいというふうに思っております。
 先ほど来、いろいろ委員の方から貴重なご提言をいただきました。それは、都市外交の具体的な事業がどうのというよりも、基本的な姿勢とか取り組みの考え方だというふうに思っております。そうした考え方をしっかりと踏まえまして、都市外交の再構築を図っていきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○ともとし委員 局長の意気込みというのを聞かせていただきました。
 局の中に外務長が誕生して、外務部長等々のそういう部の体制もできているわけですので、ぜひとも、先ほど来、話をさせていただきましたそういったことも実行しつつ、新たな都市交流というものをやっていただければなというふうに思います。
 とにかく、このロンドンというものを一つの--今回十九年ぶりという、そういう状況ですけれど、もう一回、今までの姉妹交流というか姉妹都市提携を結んだ、そういったところの洗い直しをして、そして新しい体制の都市交流というものを、ぜひとも都民、職員、そして知事を初め、そういったところと総力を挙げた形で進めていただきたいというふうに思いますので、よろしく要望して終わりたいと思います。

○西沢委員 私からもロンドン市との友好都市関係についてお伺いしていくわけですが、今、ともとし委員からも指摘がありましたけども、ただ単に結ぶだけではなくて、儀礼的なもののみにとどめることにはしないで、都政にとって今後有意義なものにしていくべきだということ、これは先般の我が党の代表質問に、知事からは、ロンドン市との交流、協力を推進し、そこから得られる知見をしっかりと都政に反映していくというような答弁をいただいたところでございます。
 私は、この二都市間外交のメリットというものは大きいものであると考えております。都市外交というものは、そもそも都民のメリットにつながるものであり、友好都市提携というものも同様でなければなりません。
 昨年、知事がロンドンに出張した後に、私もこの総務委員会で、東京都とロンドン市がいまだに友好都市提携を締結していないということを指摘させていただきました。都政、都民への還元として、姉妹友好都市をふやしていくことが大切ではないかという意見表明をさせていただいた上で、今回、ロンドン市との友好都市提携ということについては大変に歓迎をするわけであります。
 それで何点か伺っていくわけでございますが、一般的な話でいえば、都市外交基本戦略の中で、東京都に具体的にどのようなメリットがあるのかというのを示されたわけですが、今回の提携において、具体的に東京都にどのようなメリットがあるのかというのをお伺いいたします。

○横山外務部長 成熟都市として二〇一二年ロンドン・オリンピック・パラリンピック大会を成功させた経験を学ぶことで、二〇二〇年東京大会の成功に結びつけていくことができると考えます。
 大会のレガシーを都市経営に活用している点も学びつつ、また、個別の分野として、環境問題や交通政策など共通する課題に協力して取り組みまして、都民生活の質の向上につなげてまいります。

○西沢委員 今答弁がありましたように、ロンドン大会のレガシーを学ぶということも、今回の友好都市提携のメリットであるというふうに思います。このオリンピックがメーンになってくるように私は思うんですね。ところが、知事の発言などを聞くと、姉妹友好都市提携というものがオリンピック・パラリンピックのためということが余り前面に出ていないように思います。
 もちろんそれだけではない。今答弁があったように、環境問題や交通政策、さまざまな面でメリットがあると思いますが、今後、五年後にオリンピックを控える東京にとって、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の成功というものが、都政、都民にとって最大のメリットになるようにしなければいけないんじゃないかと思います。
 少なくとも二〇二〇年の東京大会までは、オリンピック・パラリンピックの成功に向けて重点的に協力してもらうべきというように考えますが、見解を伺います。

○横山外務部長 オリンピック・パラリンピック大会のレガシーを都市づくりに活用していくことは、今回の友好都市提携における重要事項だと考えております。
 ロンドン市からは、成功の経験を重点的に学び、大会とその先の東京の発展に生かしていくとともに、成熟都市に共通するさまざまな課題に協力して取り組んでまいります。

○西沢委員 ボリス・ジョンソン市長が来日をするということであります。そして、調印式を行うということであります。ボリス・ジョンソン市長、大変著名な政治家でもありますから、当然、日本でもメディアの注目度は高いと思います。こうした機会をチャンスと捉えて生かさなければいけないと思います。
 二〇二〇年大会の成功のための協力をボリス・ジョンソン市長にその場で表明してもらうとか、そういうことにこの姉妹都市提携を最大限有効に活用すべきというふうに考えるわけですが、見解を伺います。

○横山外務部長 東京とロンドンがさまざまな分野で協力していくことを両首長が表明をするということ、このことそのものが二〇二〇年大会の成功につながるものと考えてございます。

○西沢委員 ぜひ表明を楽しみにしております。ボリス・ジョンソン市長が来て表明をする、そして二〇二〇年大会を成功させましょうということを市長の口から聞かせてもらえることを望んでいるわけでございます。
 私、昨年、ロンドンに出張して海外調査を行いましたが、ロンドンの行政に関する調査を行ったわけですが、東京都とロンドンの--一概にロンドン、ロンドンといっても、制度が違うわけでありますね。基礎自治体があるのは同じですけども、その事務の権限であったり、全く違うわけであります。
 そして、東京都のカウンターパートとなるのは、グレーター・ロンドン・オーソリティー、略してGLAであるというように思われます。一概にロンドン、ロンドンといっても、GLAの行政職員でいうと、大体、今、八百人程度ということで少人数であります。東京都のカウンターパートとなるGLAが八百人です。東京都は今、何人ぐらいですかね、事務職員、一万八千人ぐらいでしょうか。それだけ規模が違うということで、実際に協定を結ぶ組織体であるGLAと、友好都市としての実効性をどのように担保していくのか、お伺いいたします。

○横山外務部長 世界の大都市の制度や仕組みは、国によってさまざまでございますが、今ご指摘のグレーター・ロンドン・オーソリティー、GLAと称しておりますが、この組織は、広域調整、広域戦略の策定を行っているところでございまして、住民に直結する基礎的なサービスは、三十三ある区、基礎的自治体が主に担うという役割になってございます。
 行政の仕組みは違うものの、同じ広域行政を担う自治体として、GLAと基礎的自治体との役割分担や広域戦略の考え方など、学ぶべきところは多いと考えます。個別の行政分野に関しましても、交通、都市計画、文化、環境などさまざまな分野の知見を交換することは有効であると考えます。
 また、GLAとの間では、GLAの国際部門を窓口といたしまして、東京都では外務部を窓口といたしまして、この連携体制を確立するなど、今後も緊密にコミュニケーションを図りながら、両都市の交流、協力を確実に進めてまいります。

○西沢委員 仕組みや規模は異なる行政体であっても、きちんと対応して、学ぶところは学んでいくということでございます。学ぶ点も多いということであります。ぜひ両都市にとってプラスになるように取り組んでいただきたいと思います。
 恐らくGLAという組織は、私も調査に行って、東京都でいうところの政策企画局のような、そういった組織ですよね、きっと。ロンドンと一概に大きくいっても、その組織体は、東京都全域でいうところの政策取りまとめを行う政策企画局だということだと思います。
 そういう意味で、緊密なコミュニケーションを図りながらという答弁があったように、きちんと対応していただきたいことを改めてお願いさせていただきたいと思います。
 最後に、ロンドンにとどまらずに、私は、姉妹友好都市というのをふやしていくべきだというように考えております。やみくもにふやしても、先ほどのように、希薄になってしまう関係になったりということで再活性化という話がございましたが、これからはグローバルな社会で、今まで大都市ということでいっていましたけども、私は、大都市にこだわらず、都市として、これから後進国が学ぶべき点のある都市にどんどん発展をしていく、成熟していくという中にあって、減っていくというよりは、必ず学ぶべき都市はふえていくというように実感をしておりますから、改めて姉妹友好都市をふやしていくことを目指すべきと考えますが、見解を伺います。

○横山外務部長 姉妹友好都市の提携につきましては、相手があることでございますので、お互いの都市の関心が一致することが必要と考えます。都民生活の向上につながるかどうかというような観点から、総合的にこういった観点を勘案して判断してまいりたいと存じます。
 二都市間の都市外交ということでは、都市外交基本戦略にも位置づけてございますが、姉妹友好都市という形態に限らず、政策連携や会議の開催など、柔軟な形態をとって進めてまいりたいと考えております。

○西沢委員 形態に限らず柔軟に進めるというようなことでありますが、条件の合う都市とは、ぜひ積極的に友好都市関係を結んでほしいというように思います。
 東京から学ぶことは絶対にあるはずだと思うんですね、別の都市から比べてみれば、見てみれば。逆に東京都から学ぶものがないところと結ぶということは、ちょっと言葉は悪いかもしれないですけど、損ばかりするということになるかもしれませんけども、そこの見きわめというのが非常に大事だと思います。東京都から学ぶところは大変多くありますし、それだけ先進的な取り組みをやってきたし、それは皆様がこれまでも頑張ってこられたところだと思いますから、それをさらに発展させるために、私たちは、見きわめて提携をしていくということを必要とするのではないかというように思います。
 最後に、ロンドンは世界の都市総合力ランキング一位の都市であり、民間企業や団体はロンドンとの太いパイプを持っているところが多いです。友好都市提携の機会を捉えて、ロンドンと関係の深いビジネスマンや民間の有識者などから意見を聞く場を設定して、民間のパイプを民間外交という形で後押しする仕組みをつくっていってほしいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○やながせ委員 私からも、この都市外交、ロンドン市との姉妹友好都市の締結について幾つか質問していきたいと思いますけれども、かなり質問がかぶっておりますので、かなり割愛していきたいというふうに思うんですけど、やっぱり外交は難しいなというふうに思っています。
 それは一朝一夕で成るものではなくて、継続的な取り組みというのが必要だろうというふうに思いますし、そういった中では、これまでの東京都の都市外交の歴史を見てくると、今回、十九年ぶりにこれを結ぶということで、これまでの石原さんは、アジネットを中心にやっていこうということでやられてきたと。それを今回転換して、仕切り直しをして、こういった友好都市も利用していこうということだと思うんですけれども、やっぱり一朝一夕にして成らないということを考えたときに、知事がかわったからといって、外交方針が余りころころと変わることのないように、やっぱり筋を通していくと。そういった意味では、先ほども書簡を交換するとかという話も、提案もありましたけれども、そういった地道なことを定期的にやっていくということが必要なんだろうというふうに思います。
 ただ、今回、基本戦略をつくられたということなので、これをもとにしっかりとやっていっていただきたいというふうに思いますけれども、その中で何点か質問しますが、友好都市をこれから結んでいく予定があるのか。
 それと、私は、ロンドンもいいんですけど、ロンドン・オリンピックから学ぶべきことというのは、もうかなり学んできたのかなというふうに思います。議員の派遣団も行って、ロンドンのやり方、ロンドンの成功事例というのは、もうかなり今回の招致の段階で盛り込まれてきているんだろうというふうに思うわけです。
 とすると、次の開催地がリオデジャネイロということで、ブラジルはサンパウロと友好都市を締結しているということなんですが、次の東京オリンピックという流れを見ると、やっぱりこういうリオデジャネイロとしっかりと関係を強化していく、ここと姉妹友好都市を締結する。一国に二つの都市となってしまうのですけども、こういったことも考えていいんじゃないかなというふうに思いますけれども、見解をお聞きしたいと思います。

○横山外務部長 今回のロンドン市との提携につきましては、オリンピック・パラリンピックの経験を学び、それをいかに都市経営に活用してきたかという、広い、かつ長い視野の観点での関係といいますか、そういったことを学んでいくということを主眼にしているということでございます。
 今後の予定につきましては、現時点では未定でございますが、ご指摘のリオデジャネイロにつきましては、都市外交基本戦略の中でも、今後、関係を強化する都市ということでの言及はございます。姉妹友好都市を締結するかどうかという観点からいいますと、現時点では未定でございます。

○やながせ委員 そうですね。戦略の中には、リオデジャネイロと関係を強化していこうということはあると思いますので、ここから学び取ることは非常にこれから多いと思いますので、ぜひ強化をしていただきたいということを申し上げたいというふうに思います。
 先ほど、外交は難しいねということで、私が思うのは、やっぱり外交というのは見えないんですよね、その成果が。成果がよくわからないというところ、ここに難しさがあるんだろうというふうに思います。当然これは当たり前といったら当たり前のことなんですけれども、そもそも政府がやることではないかというような意見もあるわけでございまして、ここにどう応えていくのかということが重要なんだろうというふうに思います。
 例えば舛添さんが、ここに書いてありますけれども、昨年、ソウルに行ったわけですね。ソウルに行ったときに、私たちのところ、私だけなのかもしれませんけれども、どういう反応があったのかといったら、何で韓国の大統領に頭を下げているんだというような多数の意見が寄せられました。今はどうなのかということはありますけれども、その当時、韓国と日本は良好とはなかなかいえないような関係で、安倍さんの外交方針と舛添さんの外交方針が違うんじゃないかというような疑義も私のところにはたくさん寄せられました。私、安倍さんは関係ないんですけど、寄せられました。
 私はやっぱり、外交をしていく上で、これは政府の専管事項であるということを考えたときに、少なくとも政府の足を引っ張るようなことをしてはいけない、これは当然のことだというふうに思っているわけですけれども、そういった意味では、政府としっかりと連携をしていく。海外に行って要人と会うというときには、どこまでいうのか、頭を下げるのか下げないのかと、これも非常に重要なことだと思います。そこをしっかりと政府と連携すべきというふうに考えているわけですけれども、この点についての見解を伺いたいと思います。

○横山外務部長 外交は国の専管事項ではございますが、都市には都市にできる外交があるといたしまして、都が進める都市外交は、東京と海外都市とが都市という立場を生かして、トップレベルあるいは職員同士で交流を行い、大都市が共通で抱える課題の解決など成果を都民の利益増進につなげる、こういった観点で進めるものでございます。
 知事が海外に出張した際に、先方の首長と会うという以外に、国の要人等と面会をするというケースもございます。こうした際を含めて、知事の海外都市訪問に際しましては政府と意見交換を行うなど、連携を図っているところでございます。

○やながせ委員 そうですね。政府としっかりと話をして臨んでいただきたいというふうに思います。
 また今月もソウルに行かれるんですよね。講演で行かれるということのようなんですけれども、ソウルが関係を重点的に結びたいということなのかなというふうに見えますけれども、本当にそうなのかというところも、やっぱり説明をしっかりとしていかなくちゃいけないと思うんですね。
 外交交渉はハードにやっていますから、今、TPPなんかの話もありますし、また、インドネシアで、先般、高速鉄道ですか、中国が新幹線を、日本を採用せずに中国のものを採用するといったように、非常にしのぎを削っているというような状況もあります、AⅡDの話も含めて。
 ですから、そういったことを踏まえて、しっかりと政府と連携をしていただきたいということを申し上げておきたいと思いますが、もう一点は、知事が海外に行く。議員が海外に行くときもそうなんですけど、やっぱり税金の無駄遣いなんじゃないかといわれます、これは。間違いなくいわれるんです。僕もずっといわれ続けてきましたし、知事が行くと、知事がソウルに遊びに行っているんじゃないか、ニューヨークに遊びに行っているんじゃないかというふうに思われます。それはそれで仕方のないことだと思うんですね、必ずいわれますから。
 ただ、それに対して、ソウルに行ってこういう成果が上がったんだ、都民の利益のためにこういうことをやってきたんだということをしっかりと説明責任を果たすということが大事だというふうに思います。
 都政と緊密な課題といえば、例えば水ビジネスで、アジアに行ってトップセールスをして何らかの受注を受けてきたというようなことがあれば、これはわかりやすいんですけれども、なかなかそういう成果というのは目に見えないものが大きいんだろうというふうに思いますから、だからこそ、これは説明責任をしっかりと果たすべきというふうに考えます。その点についての見解を伺います。

○横山外務部長 これまでも、知事の都市外交につきまして、その取り組みや成果を知事みずからさまざまな機会を捉えて発信するとともに、都庁ホームページ等を活用いたしまして随時公表しているところでございます。
 今後とも、迅速、的確な情報発信に努めてまいります。

○やながせ委員 情報を発信してもなかなか、それがどこまで届くのかというのはまた難しい問題なので、それはしっかりと注力をしていただきたい。その発信の仕方も工夫をしていただきたいというふうに思うんです。
 このように、税金の無駄遣いなんじゃないかといわれるんです。だから、それに対して、そうじゃないんだということをしっかりといっていくことをしていただきたい。
 そして、東京オリンピックがありますから、リオデジャネイロ等々と関係を強化して、また、さまざまな国との関係をちょうど強化する時期だと思いますので、積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○上田委員 私からは、六点質問させていただきたいと思います。
 知事は、ことしの十月、十一月と、ソウル、ロンドン、パリの三都市に出張し、都市外交を再開することになりました。手術の予後がよろしいということで、それは何よりなことだと思いますが、私はかねてより、都市外交というものは、あくまでも都市政策の一環として、都市間交流事業であるということを申し上げてきました。
 その観点から、知事及び理事者が姉妹友好都市を訪問するに当たり、どのような目的のもとに訪問するのか、訪問時期及び訪問を決定するタイミング、資料、3の三から五ページをごらんいただければ、大体スケジューリングも、皆さん、委員で共有できると思いますけれども、そういったタイミングについてもあわせてお答えください。
 また、今後、知事及び理事者の姉妹友好都市への訪問も含めた交流のあり方についてもお答えください。

○横山外務部長 理事者の訪問につきましては、施策の推進や都市間交流の強化などを目的に、いずれも適時適切に実施しているところでございます。
 今後とも、知事及び理事者の姉妹友好都市等への訪問については、東京都都市外交基本戦略に基づきまして、より実効性のあるものとなるように適時適切に実施してまいります。

○上田委員 基本戦略にのっているということは十分承知しているところではございますけれども、国際情勢や東京の課題は刻一刻と変わるものでございます。しかるに、日常的な都市間交流から得られる知見が大切と考えますことから、九ページ、資料、6ですね、あわせて海外要人、自治体関係者との面会の目的と成果などについてもご報告いただければと思います。

○横山外務部長 大都市共通の課題や今後の交流、協力等について意見交換を行うことを目的に、海外要人、自治体関係者と面会を行っておりまして、その成果は都市外交の推進に役立てているところでございます。

○上田委員 一応、平時の交流が役立っているということを確認させていただきました。
 資料の6とか、こちらの3の今までの交流実績を見ますと、スポーツ観戦等々が多く、大変結構なことだとは思うんですね、環境問題とか。ただ、やはり都市運営というのは結構--私は個人的には、行政運営を、結構苦しいところだけれども、自然増する福祉費をどうしているのかといったような行政問題とか、日常の行政事業についての意見交流なんかをしていただいているといいのかなというふうにも、この資料を見て考えておりました。
 都市外交基本戦略では、研修や海外派遣を通じ、職員の人材育成を強化、グローバル人材を配置する体制をとっていくとの方針も示されております。かようなことからも、やがて外務省に戻る人材のみならず、知事の海外出張には、東京都のプロパー理事者、職員の同行の重要性を感じます。やはり行政課題や運営、事業についての共有を私は重要視しているところでございます。こうした見地から、随行者の考え方についてお示しいただければと思います。

○横山外務部長 知事の姉妹友好都市等への出張には、政務担当特別秘書及び外務長のほか、関係部課長や担当者など、業務上必要な職員が同行することとしております。

○上田委員 業務上必要な職員が同行ということでありますが、同行するのみならず、戻ってきて都政に生かしていただきたいというような考えも持っておりまして、でも、一方、東京都は、公募人事で国際的な専門性や語学にたけた人材を登用しているということも仄聞しておりますし、オリ・パラに関する国際関係のテレビ報道に当たって、都の国家戦略特区担当者が堪能な英語で受け答えをされている姿が、都民からも称賛と期待の声が私のところにも寄せられております。
 各国の次世代を担う職員の職務を通じた交流こそが都市間交流の本懐であることから、予算も限られておりますし、過不足ない人員体制、出張回数を--先ほど同僚委員からも指摘があったように、遊びに行っているのではないかというような厳しい叱声の中、出張回数も勘案をしていることは十分承知しているところではございますが、行くからには、せっかくの機会を、若手グローバル人材育成と職員レベルでの交流に大いに生かされていくことを希望したいと思います。
 次に、ロンドンとの友好都市結成に向けて、昨年十月から準備をしてきたということが、資料、1の一ページのところから読み取ることができます。
 ことしは、一月二十八日の、ティモシー・ヒッチンズ駐日英国大使とともに羽田空港から浜離宮恩賜庭園を視察していることなど等、国内においても恐らく交流を深めていたように思われますが、こうした中でも姉妹都市結成に向けての交渉などはあったのかどうか、お聞かせいただければと思います。

○横山外務部長 ロンドンとの友好都市結成に向けての個別の交渉につきましては、相手方との信頼関係にかかわることでありますため、大変恐縮ですが、お答えは控えさせていただきたいと存じます。

○上田委員 本定例会でも、駐日大使との交流については、知事は、答弁の中に織りまぜていらっしゃったことから、具体的にはつまびらかにできないということではありますが、交流を深めて、この協定に向けて話を進めていたのではないかと理解をさせていただきます。
 さて、石原都政において海外事務所が全廃されていますが、今後の考え方を伺いたいと思います。
 また、資料、2にあります主な業務内容の〔1〕から〔4〕の四点は、事務所があってもなくても、業務自体は東京都の都市外交事業には必要と思われますが、現在はどのような体制で〔1〕から〔4〕までの事業を補完しているのか、お示しください。

○横山外務部長 過去に海外事務所を設置しておりましたニューヨーク市とパリ市につきましては、現在、自治体国際化協会の海外事務所に職員を派遣しているところでございます。自治体国際化協会は、全国の自治体の共同組織としまして、自治体の海外活動の支援や海外都市の先進事例の調査等を行っております。
 今後とも、知事や職員の海外出張時のサポートや依頼調査などで同協会を活用していく考えでございます。

○上田委員 関係機関を活用され、戦略的かつコンパクトな交流を重ねていただきたいと思います。
 また、海外ばかりではなく、地方財源をめぐりさまざま議論をされている折、丁寧な説明を地方自治体にされまして、国内地方都市との都市間交流もあわせてお願いをするものでございます。
 また、東京都は、公益財団法人東京都中小企業振興公社と連携をされまして、都内中小企業の海外販路開拓を支援することを目的とし、産業振興策の一つとして、経済成長著しいタイ王国、バンコクに、公社として初めての海外拠点となる都立産業技術研修センターを、四月に支所を開設しました。この五カ月で百五十件もの相談が寄せられ、国内中小企業アジア進出において頼れる存在になっているということであります。
 このような産業政策などとの取り組みと政策企画局の都市外交基本戦略はどう連動、活用されていくのか、そして、いるのかをご説明いただければと思います。

○横山外務部長 都市外交基本戦略におきましては、各局が実施する関連施策を含めて取りまとめておりまして、都内中小企業の海外への販路開拓支援等の産業政策もその中に位置づけられております。
 こうした戦略に基づく各局の施策展開に当たりましては、庁内に設置しております都市外交推進会議などを通じまして、連携を図りながら、その実現に向けた支援を行っているところでございます。

○上田委員 産業労働局に具体的施策があるのは大きな強みだと思います。八ページ、資料、5にもあるように、民間交流のサポート実績もあり、大本営の発表よりも、現地民間法人、企業より身近で新しい情報も集約できるように、日本からの発信もまたしかりだと考えます。
 先ほど同僚委員より、トップ外交の前に時節の挨拶あり、都市の前に人がありというすばらしいご指摘、私も大いに賛同するところでございます。引き続きの民間及び民間企業を支援しつつの都市間交流事業を推進していただきたいと要望を述べまして、私の質問を終わらせていただきます。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○栗林委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 報告事項、東京都子供・若者計画についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○廣瀬総合対策部長 当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の総務委員会要求資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。エンゼルプラン以降の子供、若者、子育て支援に係る東京都の計画とその概要及び根拠法令でございます。
 続きまして、二ページをごらんいただきたいと存じます。不登校の児童生徒の何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因、背景でございます。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。不登校の対応について都と医療機関との連携状況でございます。
 続きまして、四ページをごらんいただきたいと存じます。四十歳未満の自殺者における原因とその割合でございます。
 五ページをごらんいただきたいと存じます。若年者向け薬物再乱用防止プログラム実施内容でございます。
 六ページをごらんいただきたいと存じます。地域生活支援事業、ふらっとホームの概要及び直近の決算、予算額でございます。
 七ページをごらんください。児童養護施設等退所者へのアンケート調査結果を踏まえた対応状況でございます。
 最後に、八ページをごらんいただきたいと存じます。東京都要保護児童対策地域協議会の設置目的等でございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中屋委員 私の方からは、東京都子供・若者計画について何点か伺います。
 人口減少社会を目前に控えた今、東京の未来を切り開く若い力を育て、東京を世界で一番の都市にしていくということが、我々世代に与えられた最大の使命であるということを強く感じております。
 都は今般、子供・若者計画を策定し、子供たちの元気な声があふれ、若者が生き生きと輝くことができるまちを目標として掲げております。
 一方で、家庭や地域の子育て力が低下をする中で、子供、若者自身の力だけでは解決できない困難が生じた場合には、地域や社会が支援していくということを忘れてはならないと思います。
 先日行いました我が党の代表質問に対するご答弁の中で、区市町村が地域の子供、若者の課題に応じた支援を行うため、子供・若者支援地域協議会を設置することを推進し、都の協議会におけるノウハウや情報なども活用しながら区市町村を支援していくとのご答弁をいただいております。
 そこでお伺いいたしますが、区市町村における取り組みを推進し、地域における対応力を強化する意義と、そして都の役割について伺います。

○稲葉青少年対策担当部長 区市町村は子供、子育て支援施策の実施主体であり、小中学校の設置者でもあることから、子供、若者の発達段階に応じた支援を切れ目なく実施する上で、既に重要な役割を担っていただいております。
 子供、若者が住民に身近な地域で適切な支援を受けることができるようにするためには、区市町村が区域内における子供、若者の状況に応じて支援の枠組みを構築していくことが必要であり、都は、区市町村の取り組みが円滑に進むよう支援してまいります。

○中屋委員 今のご答弁で、区市町村における取り組みの重要性は理解いたしましたが、区市町村でも従前より、地域の実情に応じて子供、若者への支援施策に取り組んでいるところであります。私の地元文京区でも、ひきこもりの若者への支援としてSTEP事業を立ち上げまして、この東京都子供・若者計画にも取り上げていただいております。
 そこで伺いますけれども、今後、都が推進をしていく区市町村におけるネットワークづくりは、既存の取り組みとどのように役割を分担し連携していくのか、伺います。

○稲葉青少年対策担当部長 お話のように、区市町村においてさまざまな支援を行っている既存の協議会等の中には、子供・若者計画により推進する子供・若者育成支援ネットワークと支援の対象者が一部重複するものや、目的等が重なり合うものがございます。
 このため、区市町村におけるネットワークづくりに当たりましては、区市町村の実情に応じて、既存のネットワークと連携して子供・若者育成支援ネットワークの活動を充実させたり、既存の仕組みの中で活用可能なものを子供・若者支援地域協議会として機能させたりすることなどにより取り組んでいくことができます。

○中屋委員 昨年度の総務委員会に提出された資料でも、全国的に区市町村レベルでの子供・若者支援地域協議会の設置がなかなか進まないことが明らかとなっております。その理由としては、地域に協議会の担い手となる組織や人材が不足していること、また、関係機関、団体との役割分担が難しいということなどが挙がっております。
 そこで、今後、区市町村における子供・若者支援地域協議会の設置を進めていくため、どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、区市町村と子供、若者の育成に関する課題を具体的に共有し、関係機関などと連携しながら、研修等を通じて人材の育成や資質の向上に努めますとともに、支援の担い手となるNPO団体等の育成を図ります。
 また、先進的な取り組みを行っている自治体の事例等をまとめまして区市町村に情報提供するなどして、都内全ての区市町村における取り組みを推進してまいります。

○中屋委員 先般、大阪府内において、深夜にまち中を徘回していたことがうかがわれる中学生が被害となった悲惨な事件が発生をいたしました。一方、今週に入りましては、高校生が祖父母や同級生を殺害したとして逮捕される事件が続いたところであります。
 私が関心を持って取り組んできた非行の問題一つとっても、行政が取り組むべき課題はますます困難化しているというふうに思います。この計画策定を契機として、全ての子供、若者が身近な地域において適切な支援を受け、生き生きと活躍できる東京を実現していただきたいというふうに思います。
 そのために、都は、全ての区市町村が地域における子供、若者の支援ニーズや活用可能な社会資源などを適切に把握して、多様な分野の関係機関などと連携をして必要な施策を円滑に推進していくことができるように、財政的な面も含めて十分支援していくことを要望して、質問を終わりたいというふうに思います。

○高倉委員 それでは、報告事項の東京都子供・若者計画について質問いたしますけれども、今回は、特に若者の自立支援ということにつきまして、簡潔に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 都は八月に、全ての子供、若者が青年期に社会的自立を果たすことができるよう、その成長を社会全体で支援していくことを目標としまして、東京都子供・若者計画を策定いたしました。この計画の柱となる三つの基本方針の一つとして、社会的自立に困難を有する子供、若者やその家族への支援に取り組むということが掲げられております。
 都はこれまでも、こうした若者への支援策といたしまして、東京都ひきこもりサポートネットや東京都若者総合相談事業、若ナビに取り組んできたわけでございます。
 特に、長期にわたって仕事や学校に行かず、家族以外の人との交流をほとんどせずにいるというひきこもり等の若者が抱える問題は、大変複雑、そして多様でありまして、個々の事例に即したきめ細かな支援が必要であるというふうに思っております。
 私ども都議会公明党は、特にひきこもりの問題についても、かねてから大変重要な課題であるということで、さまざまな、いろんな自治体、各地の事例の現場を見たり、あるいは、どういうことが可能なのかといったようなことについて研究を重ねてきているわけでございます。
 ことしの七月に、私は、都議会公明党の同僚の議員とともに、これは横浜市ですけれども、K2インターナショナルグループという民間が取り組んでいる、不登校、ひきこもり、発達課題といった若者の自立を支援する具体的な取り組みを見てきたところであります。
 このK2は、横浜市内を中心に十六カ所の拠点を配置いたしまして、共同生活、就労支援、雇用創出、学童、子育て、不登校支援、居場所づくり、こういった大変幅広い活動を進めておりました。
 特に就労支援については、共同生活寮というのを、六つを拠点として運営しておりまして、ジョブトレーニングとか、若者雇用の受け皿になっていくような飲食店を五店舗ほど運営しておりまして、この店舗は、にこまる食堂といいまして、一食二百五十円で大変おいしいメニューを提供していると。そして、その店舗スタッフの八割が、K2の取り組みの中から自立をして、そういう仕事をしているという方であったりいたしました。また、農園なんかも運営をしておりまして、農作業を通してさまざまな農作物をつくって、こういう食堂で活用したり、あるいは無人販売所を通して地域に販売していたりと、こういった活動をしておりました。
 若者に対して働く場、そして住む場、また相談の場といったことを提供しながら、最終的には自分の力で働きたい、自立したい、こういった願いをかなえるような取り組みをしていたわけでございまして、いずれにしても、ひきこもりの若者に対しては、さらにこれからきめ細かな対策を講じていく必要があるのではないかなというふうに思っております。
 さて、そうした中で、東京都は昨年の六月から、ひきこもりの状態にある若年者を対象としまして、長期化の未然防止と早期の自立促進を目標としまして、家庭等への訪問相談を実施しております。昨年十一月の事務事業質疑、そしてことし三月の第一回定例会の当委員会で、その取り組みについては質問をさせていただいたところでございます。
 若者の自立を応援する私ども都議会公明党としては、実績を着実に積み上げるとともに、計画の策定を契機といたしまして、より力を入れて取り組まれることを期待しているところでございます。
 そこで、この訪問相談事業について、これまでの申し込みの実績、取り組みの状況についてお伺いをしたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 昨年六月の相談受け付け開始以来、二十六年度末までに四十八件、二十七年度に入ってからは九月末までに二十一件、計六十九件の申し込みを受け付けてございます。
 一件当たりおおむね五回の訪問を行い、本人や家族と接する中で必要な情報をきめ細かく把握し、一人一人の課題を的確に見きわめますとともに、支援員が同行するなどして、適切なサービスにつなげるよう努めています。
 また、訪問を終了した後も、必要に応じて状況を確認するなど、継続的にフォローをしています。

○高倉委員 昨年度に引き続きまして、今年度に入ってからも継続的に申し込みがあるといったようなお話でありましたけれども、今後も着実に進めていっていただきたいというふうに思います。
 また、訪問相談は、単にひきこもりの若者への個々の支援にとどまらずに、区市町村の窓口で申し込み受け付けを行うことを通じまして、住民に身近な地域における若者の自立支援を行える体制整備を進めていくことを目指して実施しているというふうに、これまでもご答弁もいただいているところであります。
 訪問相談の実施、さらには東京都子供・若者計画の策定を通じて、都として今後何を目指していかれるのか、このことについてお伺いをしたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 専門職による訪問相談を行うことにより、若者本人だけでなく、その家族や家庭の状況についても把握することができます。こうした取り組みにより、ひきこもりに至ったさまざまな要因や課題を抽出、分析し、ひきこもりの状態にある若者への効果的な支援を充実しますとともに、得られたノウハウ等を区市町村にも還元し、活用を促してまいります。
 また、東京都子供・若者計画の策定を契機としまして、各区市町村における子供、若者施策の枠組みづくりや計画策定を促進し、ひきこもりの若者を初めとして、社会的自立に困難を抱える若者を支援する体制の整備を都内全域で推進してまいります。

○高倉委員 訪問相談の取り組みを通じて、ひきこもりの効果的な支援手法が確立できれば、今後、区市町村における子供、若者の支援に係る体制整備に大いに資することになりますので、成果を期待いたしたいと思います。
 また、東京都子供・若者計画の策定を契機に、ひきこもりの若者や非行少年、ニートなど、社会生活を営む上で困難を抱える子供、若者が、さまざまな課題を乗り越えて社会的自立を果たし、次代の社会を担って生き生きと活躍していける社会を実現できますよう、私ども都議会公明党も全力で応援をしてまいりたいと思っております。
 都の若者自立支援の取り組みの一層の充実を要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○上田委員 子供と若者をめぐる、そしてまた、ひいては少子化対策における施策というのは、エンゼルプランから始まりまして、まさに私が結婚して母親になる、こうした時代とすごく即していまして、今回の子供・若者、通称子若計画を策定するまでの歴史的経緯は、個人的にも非常に感慨深い思いで見させていただいておりました。
 資料の一ページにございます1の一覧表の方を見ていただければ、これまでの経緯というのは委員の皆様と共有ができるかと思います。
 殊に次世代育成行動計画は、各区市町村でもつくっていった経緯があったかと思います。私も一母親として江戸川区に意見を述べ、待機児解消に向けた子育て支援策の提案などをしてきております。
 一方で、この間、政権がかわったり、さまざま、子供・子育て新システムがことしの四月から始まりましたけれども、かなり国政に左右されながら、東京都は地道に法律に基づき各計画の策定をし、また、区市町村への根気強い働きかけをしてきたことかと思います。
 こうした経緯につきまして、歴史的背景を一旦振り返らせていただきまして計画を見直したいと思いますことから、次世代育成支援行動計画から子供・若者計画に至るまでの策定準備、策定後の成果--この策定準備の段階で、職員間あるいは区市町村、関係各所、また、各局で大きな議論をなさったと思います。それは必ずやこの東京都の、都政の血肉となりまして都民に還元できると思いますことから、策定後の成果と課題、策定準備、これらについての所見を伺いたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 それぞれの計画の所管局におきましては、関係各局等から成る検討会などを設置しまして、それまでの取り組みの成果や課題を相互に共有しながら計画を策定してございます。
 東京都子供・若者計画につきましては、東京都青少年問題協議会において検討しまして、都の関係各局等が充実に努めてきました子供、若者に係る施策との整合性を図りながら策定いたしました。
 今後は、区市町村が、地域の実情に応じた計画の策定や、支援のネットワークである子供・若者支援地域協議会を設置することができるよう支援してまいります。

○上田委員 ただいまのご答弁であります、課題を共有しながら計画をしているということと、子供、若者に係る施策の整合性を図っているというところで、ひとつ安心をした次第でございます。
 同僚委員からも、子供・若者支援地域協議会の設置の徹底を求められたところでございますので、これにつきましても私もお願いを申し上げるところでございます。
 一方、この協議会のほかにも、子供・若者計画について、これは区市町村は努力義務となっております。一ページの一番下ですね、策定は努力義務とありまして、義務であった次世代育成行動計画においても、例えば協議会の設置などは区市町村で非常にばらつきが見られて、私も初期に物を申したんですけど、江戸川区は、区民会議みたいな、一般の人を公募しての協議会は余りつくっていただけなかったなという思いも実はあります。
 子供・若者計画において、自治体間格差が生じて、区市町村によって子供と若者の健やかな成長や社会的自立の取り組みに差が出ないことを--特に私、城東地区の江戸川区でございます。課題が非常に多いところでありますので、こういったところにしっかりと計画をつくっていってもらいたいとも思っておりますので、現在の区市町村への働きかけ、啓発の取り組み状況と考え方、都内全てで、オール東京での計画策定に向けての取り組みの所見を伺いたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 区市町村に対しましては、都の子供・若者計画の策定過程におきまして、担当者向け説明会の開催等を通じて、計画の趣旨、内容等について情報提供を行ってまいりました。
 今後とも、区市町村の会議等の場を活用して計画の策定を働きかけてまいります。

○上田委員 協議会ともども、計画策定に向けてのさらなる取り組みをお願い申し上げたいと思います。
 さて、今期の東京都議会におきましては、一般質問等で社会的養護の問題が非常に活発となりまして、昨年、「明日、ママがいない」というドラマがありまして、日本中での注目も集まり、いよいよ社会的養護、要保護児童の取り組みについて、東京都においてもしっかりと本格的にやっていくんだという機運も高まっているところでございます。資料の六ページの6ですね、ふらっとホームの方も既にやっており、予算の方もつけて、ふえているというところが見てとれると思います。
 このコア計画にのっとった児童養護施設退所後のアフターケア、今後また進化をしていくと思いますが、取り組みの進化についての所見を伺いたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 児童養護施設を退所した子供、若者が地域で安定した生活を継続することを支援するため、退所後に悩みを抱えた場合の相談窓口として東京都若者総合相談、若ナビなど、当本部の行う事業について情報提供を行ってまいります。

○上田委員 退所後の子供たちに若ナビパンフレットを配っていなかったんですよね。今度お配りいただけるということでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 また、八ページの8にある東京都の要保護児童対策地域協議会、そうそうたるメンバーがいらっしゃいますので、機動力ある協議会の運営、そして施策への反映を望むものでございます。
 何しろ、退所後の子供たちはホームレスになる可能性が数十倍、そして、暴力団や、女の子の場合は性産業に勤めてしまう可能性が数倍あるといわれていますので、重ねてよろしくお願い申し上げるわけでございます。
 次に、子供・若者計画と子供・子育て支援事業計画との対応関連連関がわかる資料をさきの総務委員会で請求をしたのですが、計画書の二ページ以外のものは存在しないということでした。同じ子供を中心としました二つの計画の相関関係をフローチャートのように積み上げて、今後、そごなく、各局、そして関係機関との施策が連動されて計画が実現していくのか、青少年・治安対策本部の子供・若者計画を中心とした位置づけ、役割、所見を伺いたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 東京都子供・若者計画では、東京都子供・子育て支援総合計画を初めとする都の子供、若者分野に係るさまざまな計画等の中から、子供、若者の育成支援に関する施策等を集めて一覧化しております。
 各施策、事業につきましては、それぞれの所管部局において実施していくことになり、計画間においてそごが生じることはございません。
 当本部は、都の子供・若者支援協議会の事務局として本計画を策定しまして、都の子供、若者施策の取り組みの現状を示すとともに、今後の施策の枠組みづくりを推進することにより、子供、若者の社会的自立を支援してまいります。

○上田委員 そごが生じないということと、施策の枠組みづくりをしっかりしていただけるということでございますので、今後も見守っていきたいと思います。
 次に、自殺者対策について伺います。
 十代から三十代自殺者に関する死因、薬物検出件数、精神疾病受診者の割合、精神的ケアとしての精神科医療への紹介実績の資料請求をしたものの、把握はしていないということでありました。
 子供への精神医療、向精神薬投与などの早期介入の問題もありまして、現状、科学的データを把握せず自殺対策や不登校対策を講じることに危惧を抱いているところでございます。不登校というのは複合的な要因がありますので、安易に精神的なものと片づけて、早く薬を投与することに関して、私は非常に個人的な危機感を持っているところでございます。
 ついては、警視庁、教育委員会、福祉保健局が子供と若者とを基軸に計画を策定し、施策を展開する青少年・治安対策本部における実態把握と、それに基づく自殺対策のあり方についての所見をお聞かせいただければと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 自殺対策や不登校対策につきましては、それぞれの所管局において、関係各局や保健、医療、福祉の関係団体等を構成員とします検討会などを設置しまして、必要に応じて実態を把握しながら、対策の検討を進めていると承知してございます。

○上田委員 資料の方の二ページと三ページに、不登校生徒の原因が、いじめや、不安など情緒的混乱ということになっております。また、三ページにおきましては、こちら、他機関との連携というところで、病院等の医療機関と連携して指導に当たったということも、年々大きくなっているところが見てとれるところでございます。
 さきの委員会でも触れましたが、監察医務院における異状死にみられる薬物乱用・依存等の実態に関する調査研究、平成二十五年度厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書によりますと、薬物中毒死による医薬品検出は七百八十三件、精神神経用剤、あとは睡眠導入剤などの割合が多く占められております。
 自殺予防対策として実態把握は不可欠と考えます。現在、いろいろな研究が進みまして、多量多剤によりまして、むしろ自殺願望が深まるということも、非常に私も監察医務院のデータを見まして--上野さんという監察医務院の「死体は語る」という有名な小説もありましたけれども、実際に私も監察医務院に行きまして調査をさせていただきました。そういったことから、非常に優秀な監察医務院という施設を持ち、データを持っている東京都でございますので、警視庁を初め関係各局と機動的に、直近データをむしろとりに行くというぐらいの形で把握をされ、強固な連絡、確認体制のもと、施策へのさらなる反映をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
 それでは、この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十五分休憩

   午後二時五十五分開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより総務局関係に入ります。
 理事者の欠席について申し上げます。
 内藤次長は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十四号議案及び第百五十六号議案から第百六十号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小暮総務部長 九月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料のうち、付託議案に関します資料十三点についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますけれども、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の一ページをごらんいただければと存じます。都においてマイナンバーを利用する法定事務の一覧を掲げてございます。
 二ページをごらんいただきたいと存じます。行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例別表第一に規定する事務における新規申請件数について、過去三年分を掲げてございます。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。都職員に対しますマイナンバー制度の周知状況についてでございます。
 四ページをごらんください。主要諸国における番号制度の概要についてでございます。
 五ページをごらんください。都における情報事故、事件について、平成十九年度以降の発生件数を内容別に掲げてございます。
 六ページをごらんいただきたいと存じます。マイナンバー制度導入に伴う共通基盤構築、システム改修の経費及び今後の維持費等の追加コストについてでございます。
 七ページをごらんいただきたいと存じます。都におけるマイナンバーのデータとデータにアクセスする端末等のセキュリティー対応状況、マイナンバーのデータにアクセスする端末等の状況、そして、基幹システム以外での利用についての基準、指針につきまして、それぞれ掲げてございます。
 八ページから九ページにかけましては、自治体中間サーバー導入に向けての進捗状況及び入札実施状況についてでございます。
 一〇ページをごらんいただきたいと存じます。住基カードの交付枚数及び本人確認情報の利用、提供件数、住基サーバーにおける過去五年の情報漏えい件数、職員の住基カード取得状況につきまして、それぞれ掲げてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗山委員 それでは、マイナンバー制度についてお伺いいたします。
 平成二十五年五月、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法が成立をいたしました。
 マイナンバー制度は、住民票を有する国民一人一人に一つの番号を付し、複数の機関が保有する個人情報が同一人の情報であることを確認するためのものであり、社会保障、税、災害対策の三分野において活用する大変重要な社会インフラでございます。いよいよ今月から都民へのマイナンバー制度の通知が始まり、来年一月からはその運用が開始をされます。
 そこで、マイナンバー制度の重要性や、制度導入による都民にとっての利便性についてお伺いをいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 マイナンバー制度は、公平公正な社会の実現と行政の効率化、そして国民の利便性の向上、この三点に資する極めて重要な制度でございます。
 例えば、社会保障や税に関する事務において、情報の照合、転記等に要する時間や労力が削減されることによる行政の効率化が図られるとともに、社会保障制度間の給付調整や税情報の正確な把握などにより、公平公正な社会を実現してまいります。
 とりわけ、都民の立場から見た利便性といたしましては、社会保障給付の請求の際に提出する課税証明書や住民票など、申請時に必要な添付書類が省略可能となり、都民の時間的、金銭的負担が軽減されるなどのメリットがあるほか、個人番号カードを公的な身分証明書として所持できるとともに、コンビニ等で住民票や印鑑登録証明書等の公的な証明書が取得できるようになるなど、都民の日常生活における利便性の向上が図られます。

○栗山委員 ご答弁にありましたとおり、種々の利便性が向上すること、これは大変すばらしいことであると思います。
 しかしその一方で、ことし五月に発生した日本年金機構の個人情報漏えい事故に起因して、制度の安全性に対する不安の声が上がっていることも事実でございます。マイナンバー制度の導入に当たっては、制度の安全性が前提となるものでございまして、都民が安心してマイナンバー制度を利用するには、制度の安全性を確保することが何よりも肝要である、こう認識をいたしております。
 そこで、マイナンバー制度は都民にとって安心できる制度設計となっているのか、都の所見をお伺いいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 個人情報の漏えいやマイナンバーの不正利用による成り済ましといった制度導入に伴う懸念の声に対して、まず制度面の措置としては、マイナンバーの利用範囲や情報連携の範囲が法律で限定されるとともに、国の第三者機関である特定個人情報保護委員会がマイナンバーを含む個人情報の取り扱いを監視、監督し、法律に違反した場合の罰則は、従来の個人情報保護法より重くなってございます。
 システム面の措置といたしましては、マイナンバーを含む個人情報は一元管理するのではなく、従来どおり、それぞれの行政機関が分散して管理することにより芋づる式の情報漏えいを防ぐとともに、行政機関間の情報連携では、マイナンバーを直接使わず、符号に置きかえてやりとりをすることとし、また、システムにアクセスできる人を制限した上で、暗号化により通信する方法をとってございます。
 このように、制度面とシステム面の両面から各種の個人情報保護の措置が講じられており、マイナンバー制度は安心できるものになっていると認識してございます。

○栗山委員 安心できる制度設計となっていることはわかりました。
 都では、マイナンバーを含む個人情報の取り扱いについてどのような取り組みを行うのか、お伺いいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都におきましては、総務省からの通知に基づき、マイナンバー関係で使用する情報システムをインターネットに接続されたネットワークから分離すべく、既存システムの改修を行うとともに、マイナンバーを含む個人情報等をインターネットと接続した個人端末に保管せず、アクセス制限のかかったサーバーに保管することを改めて徹底するなどの取り組みを行ってまいります。
 こうした取り組みを進め、都としても、でき得る限りのセキュリティー対策や個人情報の保護等に適切に取り組み、都民の安全・安心を確保してまいります。

○栗山委員 ただいま、課題となっている点について質疑をさせていただきました。
 今後も、都は、国や市町村としっかり連携を図り、都民や都内企業への一層の制度周知を図っていただいて、情報漏えい等、さまざまなリスクに対する懸念を払拭していただくようお願いして、質問を終わります。

○高倉委員 それでは、質問させていただきます。
 今月からマイナンバーの個人番号の通知が始まるわけであります。この制度の導入の効果については、先ほども質疑がありましたけれども、特に、住民の側から見れば利便性の向上、それから、行政の側から見れば効率化といったようなことが大きなメリットとして期待ができるのではないかというふうに思います。
 済みません、先ほど質疑がありましたけれども、住民の利便性の向上ということについて、具体的にわかりやすく説明をお願いしたいなと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 マイナンバー制度におきましては、都民の利便性の向上が期待されることとして、まずは、社会保障の給付の請求の際に提出する課税証明書や住民票など、申請時に必要な添付書類が省略可能となり、都民の時間的、金銭的負担が軽減されることが挙げられます。
 また、個人番号カードを申請いただくことにより、公的な身分証明書として所持できるとともに、コンビニ等で住民票や印鑑登録証明書等の公的な証明書を取得することが可能となります。
 このようなマイナンバー制度のメリットを都民にわかりやすく丁寧に周知してまいります。

○高倉委員 そこで、このマイナンバーについては、いわゆる利用の範囲が限定をされていると。そうした中で、地方自治体においてマイナンバーを独自に行政手続などで利用する場合には、条例で規定をすることになっているということであります。そうした利用範囲ということについてどのようになっているのかについて説明をお願いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 そもそもマイナンバーの利用範囲は、マイナンバー法で、社会保障、税、災害対策の三分野に限定されており、マイナンバーが利用できる具体的な事務を限定列挙してございます。
 条例に規定できる事務は、今申し上げた社会保障、税、災害対策の三分野に類する事務とされてございまして、法で限定列挙をされた法定事務にかかわる、いわゆる上乗せ、横出し事務等に限定をされているところでございます。

○高倉委員 今、条例で規定できる事務ということについての説明があったわけでありまして、その中で、法定事務に係る、いわゆる上乗せ、横出しの事務に限定をされるといったお話がありました。
 今回、このマイナンバーの制度実施に当たって、東京都が独自に利用する事務ということについて限定をしたというようなことだと思いますけれども、都が独自に利用する事務の種類といいますか、中身といいますか、このことについて限定をした考え方あるいは事務の例について伺いたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 条例による利用範囲は、先ほど申し上げた一定の限定条件があり、都はその条件のもとで、都民の利便性向上及び行政事務の効率化の観点から全庁的な検討を行い、七事務を条例に規定するものでございます。
 上乗せ事務でございますが、法定事務に対する支給額の加算等でございまして、その例としましては結核医療費助成事務、こういったものが挙げられます。
 また、横出し事務でございますが、法定事務に対する対象者、給付内容の拡張、こういったものでございまして、その例としては難病等医療費助成事務、こういったものが挙げられるところでございます。

○高倉委員 今、答弁で、全庁的な検討を行って七事務に限定して条例で規定をしたと、こういう答弁があったわけであります。
 こうした東京都独自の利用ということについて、限定的な形での出発ということだと思いますけれども、今後、住民の利便性の向上あるいは行政の効率化、先ほど申し上げましたけれども、こういう観点から、独自に利用していくこの利用の範囲が拡大をされるというようなことも聞いているわけであります。
 そうした一方で、利用拡大に関しては、個別の内容については、これに関係する方々が懸念を持っているというような話もあるわけでありますけれども、利用の拡大の今後の見通しということについてお伺いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今後のマイナンバーの利用範囲拡大に関するお尋ねでございますが、さまざま国の方でも検討なされております。こういった国の検討の動向等を踏まえ、都においても、引き続き、都民の利便性向上等の観点から、利用拡大に関する検討を進めてまいりたいと思ってございます。

○高倉委員 マイナンバー制度のスタートに当たっては、国民、都民の制度への認知度あるいは理解といったものが必ずしも十分ではないというようなことが、例えば内閣府が九月に公表した調査結果といったものにもあらわれているように思います。
 さまざまな報道機関が実施した世論調査でも、この制度の内容について十分に承知をしていないという人が多いというような結果も出ているわけであります。
 住民だけではなくて、事業者においても、導入の準備といったことについて課題があるようでありまして、私どもも、都内のさまざまな中小企業の方々、また、そうした関連の団体の方々から、最近もさまざまに意見をお伺いする機会があったのですけども、やはりこの導入に対する懸念といったことが大変多く出されていたということがありました。
 そこで、この制度についての都民あるいは事業者への周知のための取り組み状況、そして、今後の対応についてお伺いをしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 マイナンバーの利用開始に向け、都民の安心と理解が得られるように、マイナンバー制度の周知、広報を行うことは重要でございます。
 国においては、昨年十月にマイナンバーコールセンターを開設するとともに、テレビ、ラジオ等のコマーシャルやポスター、ホームページ等により広報を行ってございます。
 都といたしましても、「広報東京都」や東京都ホームページを初めとした各種媒体を活用して都民向けの広報を行うとともに、中小企業を対象とした説明会や、業界団体と連携した事業者向けの制度周知を繰り返し実施してまいりました。
 今後とも引き続き、区市町村と連携した都民への周知や、業界団体への働きかけによる事業者への周知を積極的に推進してまいります。

○高倉委員 ぜひそうした努力を引き続き行っていただきたいというふうに思います。
 内閣府の調査によりますと、マイナンバー制度に対する懸念として、個人情報保護の問題も指摘をされています。先ほどの質疑にもありましたけれども、こうした個人情報の保護については、やはりしっかりとした対応をしていかなければならないというふうに考えます。
 マイナンバーを独自に利用する東京都としましても、個人情報の保護については、その対応に万全を期すように強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○徳留委員 それでは、マイナンバー制度の施行、個人番号の交付を目前にして、この問題についての質問を行います。
 我が党は、マイナンバー法の制度の実施については反対の立場であります。その理由の第一は、国民一人一人に原則不変の個人番号を付番して、既存の住基ネットは情報対象が四つに限定されたものに比べて、マイナンバー制度では飛躍的に拡大する個人情報をこれによって容易に照合できる仕組みをつくる、そういうことによって、取り返しのつかないプライバシー侵害や成り済ましなどの犯罪被害を常態化する危険があるのではないか。二つ目の理由は、共通番号システムは、二〇〇三年から稼働、交付開始の住基ネット構築のために初期費用が約三百九十億円だったのに、今回のマイナンバー制度は、政府の発表によりますと、初期投資がその七倍以上の三千億円を超える巨大プロジェクトにもかかわらず、その具体的なメリット、費用対効果が示されないまま、新たな国民負担、事業者への負担が求められ続けること。三つ目が、税や社会保障の分野では、徴税強化や社会保障給付の削減の手段とされかねない。こういう点から、私どもは導入実施は中止すべきだと考えております。
 同時に、法定委任事務として、三日後の十月五日から全国一斉にマイナンバー個人番号の交付、郵送が開始されます。来年の一月からは実際に利用がスタートすることを控えながら、制度に対応する事業者などの準備のおくれや住民への周知徹底のおくれが繰り返し報道をされています。
 今もありましたが、最新の内閣府の世論調査でも、半数以上の国民が制度を詳しく知らない、多くの住民のさまざまな不安や疑問の声も広がっています。
 マイナンバー制度実施によるプライバシー侵害などのリスク、危険性、デメリットなど、指摘があります。こうしたもとで、我が党としては、マイナンバー制度の実施には中止を求める立場ですが、リスク、危険性の最大限の解消や万全の安全対策を求めて、幾つか質問します。
 まず、マイナンバー制度の実施に当たって、国民への周知のおくれ、とりわけ事業者の準備のおくれが指摘をされ、本会議の質問でも紹介があったように、多くの戸惑いの声が寄せられています。また、事業者にとっては、マイナンバー制度の施行に当たってのガイドラインに基づく対策のための莫大な経費、事務負担の大きさは相当のもので、悲鳴が上がっています。業者の中からは、これはマイナンバー増税あるいはマイナンバー倒産、マイナンバー不況、そういう声も聞こえてまいります。
 都は、制度施行に間に合うように、都民、事業者への制度の周知徹底についてはどのような対応を行われているのですか。お答えいただきたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 マイナンバーの利用開始に向け、都民の安心と理解が得られるよう、マイナンバー制度の周知、広報を行うことは重要と認識してございます。
 都といたしましても、「広報東京都」や東京都ホームページを初めとした各種媒体を活用した都民向けの広報を行うとともに、業界団体と連携した事業者向けの制度周知を繰り返し実施してまいりました。
 今後とも引き続き、区市町村と連携した都民への周知や、業界団体への働きかけによる事業者への周知を積極的に実施してまいります。

○徳留委員 しかし、政府は、著名な女優を起用したり、ことしの三月から、コマーシャル、新聞折り込みなど約十五億五千万円の公費、広報費を使ってまいりました。政府主催のシンポジウム、新聞広告などに約九億三千万円、総合計で二十四億八千万円を使って、さまざまな広報、周知徹底に取り組んでまいりました。
 しかし、先ほど述べたように、最新の内閣府の調査でも、半数以上は制度がよくわからない、むしろ個人情報の漏えいによるプライバシーの侵害へのおそれなどの不安が広がっています。
 制度の周知が十分でない、知らされていないことからの不安と、実際に、日本年金機構や民間事業者などの大量の情報流出事故、事件が発生したことを体験して、よく知ったり理解した上での不安や疑問も広がっているのが実態だと思います。
 都民への広報という点でも、最近、都として、ようやく新聞折り込みや駅への配置で「広報東京都」が届くようになりました。
 そういう中で、いよいよ五日から簡易書留で個人番号の郵送が始まりますが、郵便局関係者に聞くと、年末までの短期間で全世帯、東京でいえば五百万世帯を超える世帯に簡易書留で届けるというのは、年賀状のようにアルバイトを使うわけにいきません。かつてやったことのない大規模な配達業務だといわれています。そうした中で、通知カードを受け取らない人、受け取れない人がいるのではないか、そういう声も聞きます。
 個人番号の通知カードの不達の人はいるのかどうか。DV被害者など住民票の場所に不在な人など、マイナンバーが届かない人が多数残されるのではないかという指摘があります。その場合はどのようになるのか、現状と対策についてお伺いします。

○西村行政部長 日中不在の単身世帯や在留外国人の多い都内におきましては、区部を中心に通知カードの返戻が発生することが予測されております。
 都はこれまで、通知カードの返戻を防ぐために、「広報東京都」、それからメディア等を活用して、マイナンバー制度につきまして周知、広報を行ってきたところでございます。
 また、住所地から避難しているDV被害者等が居住地で通知カードを受け取ることができるよう、東京ウィメンズプラザを初めとする各種相談機関を通じまして、登録手続の周知等を行ってきたところでございます。
 今後とも、区市町村と連携して適切に対応してまいります。

○徳留委員 簡易書留による郵送、全世帯の個人への配布そのものが、重要な個人情報が詰まったものであり、マイナンバー制度の土台をなす活動の一つだと思います。この時期に集中的に配達されることから、詐欺グループなどが、その簡易書留で郵送される個人番号の取得を狙い、悪用を狙うのではないかという指摘も聞きます。
 次に、マイナンバー制度の施行に当たって、既に導入実施が始まって十年以上になる住基ネットの費用対効果について、国がどのように評価しているのか、お聞きしたいと思います。

○西村行政部長 国は、住民基本台帳ネットワークシステムの運用に当たりましては、区市町村、都道府県及び指定情報処理機関によるシステムの維持管理に年間約百三十億円のコストがかかっているとしております。
 その一方で、住基ネットを活用することにより、住民票の写しの添付及び年金の現況届提出の省略や、転入通知のオンライン化による事務手続の効率化、郵送切手代の削減などによりまして、全体として約五百十億円の効果が見込まれるとしております。

○徳留委員 その住基ネットのカード交付率は全国で約五%程度と報道され、東京都では、いただいた資料要求から算出しますと、八%程度の交付率にとどまっています。現状から見て、ごく一部の活用にとどまっているのではないでしょうか。
 十年以上前に開始された住基ネット構築のための初期費用は約三百九十億円だったといわれています。先ほどの答弁で、年間の維持管理を中心に百三十億円かかるということでした。今回のマイナンバー制度の導入になれば、政府による初期投資が、従来の住基ネットの約七倍以上の三千億円を超える。巨大なプロジェクトになります。その具体的なメリットも、具体的な費用効果も示さないままスタートするというものです。
 IT関連の一部の大企業にとっては大きな利権となる巨大プロジェクトですけれども、巨額の国民の税金を使っての事業であるにもかかわらず、利便性、効率性のみが盛んに強調されています。しかし、費用対効果についての見通しがないまま巨額の税金を投入するというのは、余りにもずさんなやり方ではないかというふうに思います。
 次に、個人番号カードを取得した場合と、申請せずに取得していない場合には、住民サービスを受ける際にどういう違いが生まれるのかについて、お答えいただきたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 個人番号カードを申請していただくことにより、公的な身分証明書として所持できるとともに、コンビニ等で住民票や印鑑登録証明書等の公的な証明書を取得することが可能となるなど、個人番号カードを所持することには多くのメリットがございます。
 今後とも、個人番号カードを都民にわかりやすく周知してまいります。

○徳留委員 個人番号カードは申請せず、取得しない場合のことも質問しましたけれども、答弁がありませんでした。この問題はきちんと知らせるべきではありませんか。個人番号カードを申請せずに取得しない場合でも、住民サービスについては、従来どおりの手続で受けることができるというふうになっているはずです。個人情報やプライバシーに慎重な人にとっては、こういう選択肢があるんだということもちゃんと示すべきではないかと思います。
 次に、事業所などにおいて従業員の情報漏えいが発生した場合、また、ブラック企業などに悪用されたりする場合の心配の声も上がっています。事業者の情報管理の安全性はどうやって担保されるのでしょうか。お答えください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十八年一月以降、税や社会保障に関する手続書類に従業員等のマイナンバーを記載して提出することになるため、事業者は、従業員等からのマイナンバーの取得や、安全管理措置の検討と対応や準備が必要となります。
 まず、事業者は、国が示しているガイドラインに基づいて、マイナンバーを含む個人情報を適切に取り扱うこととされてございます。
 また、国の第三者機関である特定個人情報保護委員会が、マイナンバーを含む個人情報の取り扱いを監視、監督してまいります。さらに、法律に違反した場合の罰則は、従来の個人情報保護法より重くなってございます。
 これらの制度上の措置によりまして、情報管理の安全性が保たれることになってございます。

○徳留委員 住基ネットの利用とは違って、今度のマイナンバー制度では、事業所など民間でも活用できるようになっているところが特徴であります。同時に、情報管理の責任も問われ、体制も必要です。情報管理の徹底性の難しさもあると思いますが、ガイドラインはあるといっても、専門スタッフがいるわけではないし、多額の経費の負担も指摘をされています。
 ことしの六月に発売された「文藝春秋」に、北見式賃金研究所の所長が試算を出しておりますが、従業員百人の支店が数カ所という企業を想定して試算したところ、初期費用で一千万円、毎年のランニングコストで四百万円という、そういう例も紹介をされています。住民、従業員、家族の個人情報の管理、安全性の確保を徹底するよう、ぜひ丁寧な援助が必要だと考えます。
 次に、マイナンバー制度の導入を前にして、日本年金機構、民間企業など--ベネッセですけれども、大量の情報流出事故が発生している中で、一層不安の声が上がっています。都においても、同じようなことが発生するおそれは絶対ないとはいえないと思います。
 その中で、サイバー攻撃の標的となることが想定されますけれども、その対策はどのようになっているのでしょうか。お答えください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 日々高度化、多様化するサイバー攻撃の脅威に対しまして、現在ある情報セキュリティ委員会を改組し、副知事をトップとするサイバーセキュリティ委員会を設置することや、セキュリティーポリシーの見直しなど総合的な対策を強化してまいります。
 また、来年度初めには、全庁のセキュリティー事故対応を統括し、指導、指示等を行う東京都シーサートを設置いたします。
 こうした取り組みを着実に進め、東京都全体のサイバーセキュリティーレベルを向上してまいります。

○徳留委員 ことし六月に日本年金機構の情報流出問題が起きて、政府は急遽、六月に各都道府県に文書を提出して、基幹ネットと情報ネットを分断するように指示があったと思うんですね。それを六月、七月中に改善しなさいという提案をしたのに、それがどういうふうになったのかの発表が一切ありませんでした。
 八月二十七日の参議院の委員会で厳しく追及したら、政府の担当大臣は、一割から二割はまだこのネットの遮断ができていないという答弁をしました。だから本当に、十月五日からこの制度の施行が始まるというのに、現場の受け入れの体制がまだ不十分だということが残っているということが、一カ月前の八月二十七日の参議院の会議で指摘もされました。
 次の質問ですが、マイナンバー制度を先行して導入したアメリカ、韓国などでは、大量の成り済まし事件が発生して被害も広がっていると聞いています。成り済まし防止のためにどういう対策が打たれているのでしょうか。特に、自治体の職員の窓口対応などが重要だと思いますが、どうでしょうか。
 最近、新聞に折り込まれ、届いた「広報東京都」には、成り済まし防止のために、マイナンバーのみの本人確認は行いませんとありますけれども、どういうことなのでしょうか。本当にこれで大丈夫だと判断できるのでしょうか。お答えください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 個人番号のみで本人確認を行っているアメリカなどと違い、日本のマイナンバー制度においては、成り済まし防止のために、窓口申請においては、個人番号カードの写真との厳格な本人確認を行うことを義務づけております。また、オンライン申請においては、個人番号カードのほか暗証番号が必要となってございまして、マイナンバーだけでは成り済まし被害が起こらない仕組みになってございます。

○徳留委員 成り済ましの被害が起こらない仕組みとの答弁でした。
 この問題は、過去の事件、事故から教訓を導き出して、仕組み上の安全対策を具体化するとともに、人の問題があると思います。住基ネットのときの成り済ましも、窓口の対応が弱点でした。同時に、成り済ましを狙う人の中に詐欺集団のような人もいるわけで、安全対策、情報管理についての不断の検証が必要ではないかと思います。
 特定の個人に関する情報を統一された番号で管理する共通番号制のやり方の代表格として、アメリカ、韓国、スウェーデンなどの制度が日本にも紹介されています。皆さんの手元にある資料要求にも紹介があります。
 ところが、一方で、資料要求の内容では全く触れられていないものが、ドイツやフランスやイギリスやオーストラリアなどのように、共通番号制が市民的自由の抑制あるいは国民のプライバシーを侵害する危険性がある、不正利用の危険性をふやしてしまうという観点から、分野別の番号を維持して、共通番号を利用した情報提供を行えるような仕組みはつくらない、行わない、廃止している国も生まれています。
 しかし、マイナンバー制度のもとで、ICカードの偽造や成り済まし犯罪の増加が懸念されています。
 アメリカでは、官民分野で広範に社会保障番号が共通番号として使われて、他人の番号を悪用して、さまざまな税額控除、給付金を申請するケース、成り済まし被害が多発して、二〇〇六年から二〇〇八年までわずか三年間に、被害は一千百七十万件、被害総額は二兆円ということまで紹介をされています。
 もちろん、アメリカでもさまざまな改善策がとられて、日本の実施に当たってもそれを生かそうとされていることは、先ほど答弁にあったとおりなんです。そういう努力をしたものの、アメリカでは成り済まし犯罪を減らすことができずに、二〇一〇年代に入って以降、国防総省が共通番号の使用をやめました。独自の限定番号に全面的に移行するなど、共通番号を見直す方向に進んでいるんです。韓国もあるんですが、韓国の例は時間がないのでいいません。
 このように、共通番号にひもづけられた情報は、一度流出すれば簡単に集積をされ、取り返しのつかない甚大な被害をもたらす。犯罪集団から見れば値打ちのあるターゲットということになりかねません。だからこそ、今度の実施に当たっては、安全神話にとらわれることなく、多重防護での対策も不可欠ではないかと思います。
 次の質問ですが、情報漏えいやプライバシーの問題などが、マイナンバー制度の導入で飛躍的にリスク、デメリットが拡大するのではないかという不安、心配の声が寄せられて、また指摘もされております。
 情報漏えいやプライバシーの侵害は絶対に許されないし、一度発生すれば取り戻すことのできないものです。情報の管理は十分に行われているのかどうか、お答え願いたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 個人情報の漏えいやマイナンバーの不正利用による成り済ましといった制度導入に伴う懸念の声に対しまして、まず制度面の措置としては、マイナンバーの利用範囲や情報連携の範囲が法律で限定されているとともに、国の第三者機関である特定個人情報保護委員会がマイナンバーを含む個人情報の取り扱いを監視、監督し、法律に違反した場合の罰則は、従来の個人情報保護法より重くなってございます。
 また、システム面の措置といたしましては、マイナンバーを含む個人情報は一元管理するのではなく、従来どおり、それぞれの行政機関が分散して管理することにより芋づる式の情報漏えいを防ぐとともに、行政機関間の情報連携では、マイナンバーを直接使わないこととしておりますし、また、システムにアクセスできる人を制限した上で、暗号化により通信する方法をとっているところでございます。
 このように、制度面とシステム面の両面から各種の個人情報保護の措置が講じられてございまして、適切な情報の管理が行われるものと認識しているところでございます。

○徳留委員 情報漏えいやプライバシー侵害などのリスクが飛躍的に高まるのではないかという不安の声が広がる中で、最近、新聞に折り込まれて届いた「広報東京都」に、個人情報は分散管理することで連鎖的な情報漏えいを防ぐとあります。
 しかし、個人にとっては、カード社会が広がるもとで、カードを通じてさまざまな情報が集約されていくことではないでしょうか。そういう状況に対してどのように対応するのか、ぜひお答えいただきたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 個人番号カードの裏面にはICチップが搭載されてございますが、その中には、カードの券面に記載されている住所、氏名、生年月日、性別、マイナンバー等の必要最小限の情報のみが記録されてございまして、税関係情報や年金関係情報などプライバシー性の高い情報は記録はされてございません。
 また、他人が個人番号カードを悪用し、個人情報を入手しようとしたとしても、窓口申請において厳格な本人確認が必要であり、オンライン申請においても暗証番号が必要なことから、さまざまな情報がカードを通じて収集できない仕組みとなっているため、直ちに都民のリスクにつながるものではないというふうに考えてございます。

○徳留委員 十年以上前に施行された住基ネットでも、交付率、取得率が全国五%、東京は八%であるにもかかわらず、既に不正取得、偽造、成り済ましの犯罪が頻発して、防止策とイタチごっこの状態となっているといわれています。
 二〇〇九年から二〇一二年度までの四年間をとってみても、偽造や成り済ましなどの発生件数は二百二十六件、うち成り済ましは百三件と報告されています。
 この制度での最初の成り済まし不正取得は、佐賀県の鳥栖市で起きたものです。役場の住基ネットのポスターを見て思いついた男が、知人男性の氏名、住所、生年月日と自分の顔写真で申請して取得した住基カードで、サラ金から約六十万円を借りたという事件でした。
 問題は窓口の本人確認にあったといわれています。こうしたことから、総務省は、本人確認の厳格化のために、照会書と健康保険証などの身分証明書の提示を求めることにして、各自治体に通達を出しました。
 ところが、その後も、他人の健康保険証を借りたり盗んだりして住基カードを不正取得して、銀行や闇金から融資を受けたり、クレジットカードをつくるなどの事件が発生しています。こうした偽造、成り済ましには、暴力団や窃盗グループによる組織的な犯行が多く含まれていると報告をされています。
 その後もさまざまな対策をとっているものの、イタチごっこで、偽造、改ざん、成り済ましが発生しているといわれています。こうしたことから、マイナンバーのICカードの普及と情報集約が進めば、成り済ましなどの犯罪も、急増や被害の拡大の懸念が広がっていくのではないかと思います。
 そこで、「広報東京都」で、個人番号カードは身分証明書になるほか、コンビニなどで住民票等の取得が可能と書いてあります。どういうことでしょうか。コンビニなどでの住民票の取得についての仕組みはどうなっているのでしょうか。今後の見通しも含めて伺いたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 国のアンケート調査結果によりますと、住民票等のコンビニ交付サービスは拡大傾向にございまして、将来的には、全国民の約八割がコンビニ交付サービスを受けられる見込みとなっているということでございます。

○徳留委員 コンビニで手軽に個人番号カードが使用できて利便性と効率性が拡大できるということは、一方で、個人番号カードの紛失、盗難などによる情報漏えい、プライバシー侵害の問題、事件の発生が広がることも十分に予想されると思います。コンビニでの事務手続のセキュリティー問題、特別の警戒などの問題も発生してくるのではないかと思います。
 そこで質問ですが、マイナンバー制度の施行で先行している諸国で発生している情報流出などの事件は、日本も例外ではないと思います。ことしの六月の日本年金機構の百二十五万の情報流出事件、同じ六月の、東京商工会議所の事務職員のパソコンがメールを介してウイルスに感染して、最大一万二千件を超える会員、企業などの個人情報が流出した事件、昨年には、通信教育大手ベネッセから顧客情報が一千万件以上も不正に持ち出され、名簿業者に売却された事件など、その原因、問題点は、システム上の問題と同時に、人間の問題などさまざまで、その後、改善策が具体化されていると思います。
 しかし、重要で大量の個人情報が満載されたものをプロの詐欺集団、犯罪集団が狙っている事実がある以上、今度のマイナンバー制度の施行のもとでも、絶対安全といえない状況があることを覚悟して対策に当たる必要があると思います。
 その点で、マイナンバー制度の導入についての国会審議において我が党が指摘した四点の危険性、リスクを政府も認めざるを得ませんでした。それは次の四点です。
 一つは、一〇〇%情報漏えいを防ぐ完全なシステムの構築は不可能である。二つ目は、意図的に情報を盗み取り、売る人間が存在する。三つ目は、一度漏れた情報は流通、売買され、取り返しがつかない。四つ目は、情報は集積されるほど利用価値が高まり、攻撃をされやすくなる。
 以上のような四点のリスク、危険性の指摘については、都としても、マイナンバー制度の導入スタートに当たって、今後の住民の情報漏えいやプライバシー侵害の不安に応えて万全の安全対策を具体化する上で、ぜひ極めて重要な指摘として受けとめ、具体化を図っていただきたい。その点で都の認識はどうなのかを伺いたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都におけるマイナンバー制度の導入に当たりましては、制度の安全性を確保することを最重視し、でき得る限りのセキュリティー対策や個人情報の保護等に適切に取り組み、都民の安全・安心を確保してまいります。

○徳留委員 最後に、マイナンバー制度によって収集され、活用される個人情報は、住民にとっての利便性や、行政事務にとっての効率性というだけにはとどまらない、憲法の人権保障に係る個人情報、プライバシー権などの大事な問題が含まれていると思います。
 プライバシー権は、憲法十三条の幸福追求権の解釈上認められた人権です。この解釈は裁判判例でも発展しており、憲法の基本的人権の重要な要素としてプライバシー権の尊重が位置づけられています。
 プライバシー権は当初、その内容は、私生活をみだりに公開されない法的保障ないしは権利との定義から、その後、この権利の内容は、自己の情報をコントロールする権利として、国際的にも、身近なところにおいても、各種の名簿の作成と活用などにおいて厳しい視点で捉えられています。これは、個人に関する情報が行政機関によって集中的に管理される現代社会において、個人が自己に関する情報をみずからコントロールして、自己の情報について閲読、閲覧、訂正ないし抹消請求を求めることが必要であるということが考えられるようになってきたことによります。まして現在では、個人情報が経済的利益を得るための重要な対象になり、売買されたり悪用される状況が広範に存在していることも決して無視はできないと思います。
 個人情報に関するプライバシー権は、個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせないという消極的なものから、プライバシー権の保護を公権力に対して積極的に請求していく権利に発達してきています。その典型的な例が、二〇〇八年三月の最高裁の判決で、住基ネットそのものは否定しなかったものの、その判決の中身では、憲法十三条が、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由を有するものと解されると述べているような判決も出ています。
 決して効率性や利便性という言葉で安易に対応するわけにいかない。一方で、情報漏えいしたり悪用されれば、取り返しのつかない甚大なプライバシー侵害や成り済ましなどの犯罪につながり、飛躍的に危険性や犯罪性が高まることを含んでいる、そういう問題として厳密な対応が必要だということを強調して、質問を終わります。

○西沢委員 マイナンバー制度について私からも質問していきたいと思いますが、大分重複している部分がありますので、はしょって質問いたしますが、後ほど質問しますが、やっぱりセキュリティーについては、特にこの辺はもう少し詰めさせていただいて質問していきたいというように思います。
 マイナンバー制度については、民主党政権のときに決定をして方針を決めているから、着実にこれを進めていっていただきたいという立場に変わりはありません。ですが、どういうことをやろうとしているのかとか、目的はわかりますが、どうやっていくのか、どのようにしていくのかというところがなかなかわかりにくいというところがあるのではないかと思います。
 そこで、いろいろかかわります、国もそうです、市区町村もそうですが、マイナンバー制度の導入に向けた東京都の役割についてどうなっているのか、お伺いいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都は、マイナンバー制度の導入に向け、主に三点取り組んでございまして、都庁内部の導入準備を進めるとともに、都民に対する制度周知や区市町村に対する助言、こういったものに取り組んでございます。
 具体的な取り組みでございますが、平成二十五年四月、庁内に社会保障・税番号制度企画調整会議を立ち上げ、マイナンバー利用の検討、他機関との情報連携に必要となるシステムの構築、改修や運用テストなど、個人情報保護に関する検討などの準備を進めてまいりました。
 あわせて、都民に対して、制度への理解を促進していくため、「広報東京都」などの各種媒体を活用した広報や、業界団体と連携した事業者向け周知を積極的に行うほか、区市町村に対して、カード交付等が円滑に行われるよう、説明会の開催あるいは助言、こういったものを行って、都の役割を果たしてきたところでございます。

○西沢委員 各自治体、大変だと思うんですけども、東京都は特に、区市町村に対しても助言などをすることも取り組んでいるという答弁でしたから、東京都がいかにしっかりと対応しているよということを、まず前提として、ちゃんとしなければいけないんだなというように思います。
 それで、セキュリティーについてですが、セキュリティー対策がどうなるかという話については、これまでも答弁が出てきたのであえて質問しません。ネットワークから分離をしていくとか、コンピューターから物理的なアクセス制限をかけるであるとか、こうしたことで情報を一元化しないから、ちゃんと対応していますよというような、こんな話もございました。
 それから、都民からマイナンバー制度についてもよくわからないといった声が多いとか、事業主に対しても対応すべきだというような話もありました。こちらも質問しませんが、要望だけさせていただきたいというように思います。
 マイナンバー制度については、わかりづらいというところに関してはきちんと対応していただきたい、制度周知にも努めていただきたいということもありますし、法人についてもです。
 法人会であるとか商工会議所の支部にも、私自身入会しています。それで、送られてくる案内だとか、周りの会員さんの話を聞くと、マイナンバーについてのセミナーとか講義が今いっぱいあるんですね。たくさんある。マイナンバー、おたくの従業員、こういうふうにしましょう、こういう管理をしましょうと、そういった営業なんかも来ます。週刊誌なんかには、それを悪用して、マイナンバー始まります、だからあなたの口座預金が危ないです、守ります、こういった詐欺が始まるんじゃないかというような心配の声もあります。事業主の方々にとっては非常に負担のあるものですから、これも答弁が出ているのであえて質問しませんけども、事業主の方々に対しても、きちんとした対応をしていただきたいということも要望させていただきます。
 それから、七事務になったことについても既に話がありましたので、これも要望だけさせていただいておきます。
 今回、なぜ規定されなかった事務があるのかという、その考え方でありますが、今後、この事務について、国の動向も踏まえて考えていただきたいと思いますし、その都度、東京都が横出し、上乗せする事務についてやっていくということですから、これについても着実にしていただきたいということだけ要望させていただきます。
 それで、セキュリティーの話に戻るわけですけども、話にありました、東京都の--私が一番心配しているのが、余り考えたくないことなんですが、担当する職員の皆様が悪意を持って、業務に関係なく個人情報を抜き取ることができるのかどうかということです。
 各所管庁だとか国税庁や区市町村や都税事務所だとか東京都、東京都の中でも教育委員会とか、いろいろ情報が分散している。分散している中で、今までは分散している各組織体ごとの対応だったわけですが、これを、今の答弁、議論だと、一つのところに集めるわけではない、一つのところに情報を集めるから危ないんじゃないかという声は当てはまらないよ、もともと分散しているよということだと思うんですね。
 だけども、そこから、例えば東京都の職員がそういう情報を取りに行くことができるようになって利便性が上がるというようなことだと思います。つまり、その職員が、制度とかシステムの面を知っている方が、あえて悪意を持って情報を抜き取ってやろうということができるようなシステムなのでしょうか。お伺いいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都が保有する重要な情報の保護に当たりましては、ルールを遵守するための人的な側面の対応、これが大変重要かというふうに思ってございます。
 これまでも都におきましては、eラーニングによる職員の研修、情報セキュリティ・個人情報安全管理強化月間を設定いたしまして各職場における自己点検を実施するなど、全庁的な対策を実施してきたというところでございます。
 また、これまで答弁をしてまいりました制度面、システム面、こういったものの対応もあわせて実施をしていくということでございまして、さらに、なおもう一つ、万が一、職員が個人情報を抜き取るなどの対応をした場合には、従来の個人情報保護法より強化された罰則、こういったものが適用になるというふうに考えてございます。

○西沢委員 万が一のときには個人情報保護法が適用されますよ、刑事罰になりますよということだと思うんですが、もう一回聞きますよ。悪意ある職員の方が抜き出すことが物理的にできるのかどうか。やろうと思えばということをお伺いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 セキュリティーの分野におきましては、一〇〇%大丈夫ということはなかなかいえないということがございますので、そういったことがないように、さまざまな研修とかということで対応していく必要があるというふうに思ってございます。

○西沢委員 まあ、できるということですよね。そういうことだと思うんですよね。
 それを私がこだわって質問しているのは、昨年、一般質問でも取り上げましたけども、東京都で残念ながら情報漏えい事件が起きました。これは、去年でいえば水道局で、事件自体はその前ですけども、これについて私は、通報制度について強化すべきだということを訴えました。それは、今回のマイナンバー制度に当たって、私は強化するべきだというように感じるわけです。
 つまり、悪意を持って--そういうことは本当に考えたくないわけですけど、実際に、数年に一度、東京都でそういった情報漏えい事件が起きているわけです。水道局の事件でいえば、OBの方から依頼をされて、自分の出世にかかわると思うから、やむなく情報を漏えいしましたというようなことがあったわけです。その都度、東京都は、検討委員会を立ち上げて対応策を出しているわけです。いずれも周知徹底に努める、研修をしっかりします、そして、内部通報制度についてもきちんと職員に徹底させるということに、いってみればとどまっているわけです。
 だけども、数年に一回、こういうことが今まで起きていたわけで、今の答弁がありましたけども、絶対はないかもしれない。でも少なくとも、この人はこういうことをやっている担当で、そういうことができる担当だなという人の横で、怪しいなと思った人が通報できる制度は強化すべきなんじゃないかというように思います。
 これ、多分、要望を出していますけども、強化はまだされていないですよね、外部への通報制度というのは。ですから、一〇〇%じゃない、さらに、この職員が悪意を持てば、都の情報だけではなく、国税庁や区市町村だとか都税事務所だとか違うところに行けるということですから、リスクは高まるわけですから、私はこの機会に、こうした情報漏えい事件が起きないような対応を強化すべきであるということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 一〇〇%安全ということはないのでございますが、私、先ほど研修と申し上げましたが、それ以外にもいろいろ技術的に、例えばそういう悪意なことをやったときにアラートを発生するとか、そういった技術的な対応は日夜進歩してございますので、そういった技術的な対応も含めて、そういう悪いことをしようという、起こさせないといいましょうか、そういったことも含めての取り組みをさらに充実していく必要があるかというふうに思ってございます。

○西沢委員 ぜひやってください。終わります。

○やながせ委員 私の方からもマイナンバーについて聞いていきたいんですけど、かなり論点がかぶっていますので、かぶらない部分に関して質問したいと思います。かぶらない部分はないんですけどね。
 それで、やっぱりメリットをしっかりと知らせることが重要だと思います。それは、やっぱりメリットがわからないと、ちゃんと通知カードを受け取らないということになりますから、こんなメリットがたくさんあるんだよ、じゃカードもとろうと、こういうような動きになってくるのかなと思いますので、これをしっかりと周知していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 導入コストなんですけれども、こちらの資料の方にもお示しいただきました。私が懸念するのは、今後、利用の拡大を検討しているということで、これから将来的には、国民健康保険証、運転免許証、また公立の図書館カードなどの統合も検討されておるということでございます。ですから、そういったところに使用の用途、利用が拡大されていくと、システムをまた改修することになるのではないか。それに伴ってまた一つずつ、運転免許証を統合しました、健康保険証を統合しましたと、そのたびにシステム改修に莫大な費用がかかるということがあっては、これは困るなというふうに思います。
 ですから、今のシステムがそういった仕組みになっているのか、それとも、そういったことも見越したシステムになっているのか、この点についてお聞かせいただければと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今般、国において検討が進められている、今お話のあった健康保険証等との個人番号カードの一体化につきましては、その詳細な内容は公表されておりませんけども、仮に全国的に実施された場合において、マイナンバーを含む個人情報は各行政機関が保有するという分散管理の方法をとっていることを踏まえますと、そういった健康保険証のシステム改修等に伴いまして、都のマイナンバー関連システムにおける抜本的な改修や、それに伴う多額のシステム改修経費が必要になるというようなことは想定はしてございません。

○やながせ委員 そうならないということだと思うんですけど、今みたいに、健康保険証については政府の方では検討しているんですね。でも、その詳細については明らかにしない。こんなこともあって、こういったことはやっぱり積極的に政府に、示さなくちゃいかんじゃないかということをいわなければいけないんだと思います。
 それで、もう一点は、通知カードの未達ということで、報道でも一割以上は不達になると。先ほども出ましたけれども、通知カードが不達になると--一月からこのナンバーをもっていろんな行政手続をしていくということになると思うんですけれども、都として、このマイナンバーの記載を不要とする経過措置期間など、こういったものを設けた方が、私は本来いいのではないかなというふうに思いますけれども、不達を見越した対応を考えるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 来年一月以降、マイナンバーの利用が開始され、都民は、社会保障、税、災害対策等の行政手続においてマイナンバーの記載を求められる場合があります。ご質問のようなケースについては、各行政手続を規定する法令に基づき、個別に判断されることになると思われます。
 通知カードは、個人のマイナンバーを証明する重要なものでございますので、必ず受け取るとともに大切に保管するよう、都民向けの制度周知を丁寧に行ってまいります。

○やながせ委員 私がいろいろ聞いた限りでは、この通知ナンバーがなくても、最悪のところ、手続ができないというようなことではないよというように聞いておりますので、その部分については安心しているんですけれども、通知ナンバーがないからどうなるんだというような不安に対しても、積極的に応えていっていただきたいというふうに思います。
 先ほど来から出ているセキュリティー対策についてですけれども、やっぱり一番あるのは情報漏えいはどうなんだということで、この資料にもお示しいただきましたが、都庁のこれまでの情報セキュリティー事故ということを考えたときに、これはハッカーとかウイルス感染とか、そういうことではなくて、事故の七割近くは過失規定違反、管理策の不備、そして内部の不正行為が要因となっているというふうに私は認識をしています。
 ですから、大事なのは、先ほど来出ていますけれども、やっぱり職員に対する啓発、教育をしっかりしていくということが何より大事なんだろうというふうに思います。それで、こういった職員の情報セキュリティー教育の実施等々を定めたISMSの活用など、外部の視点が必要なのではないかと。
 ISMSとプライバシーマークの取得、大企業はこういったことをしているんです。うちはしっかりと情報管理をしているんだよということを対外的にアピールする。また、取引をする際に、ISMSをしっかりとっている、ISO二七〇〇一とか、こういったものをとっているんだよということがお互いの信頼関係に結びつくということから、これを積極的に導入している。民間企業はそうしています。
 こういった活用、外部の視点からのチェック体制を確保すべきというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 職員の情報セキュリティー教育につきましては、先ほど来答弁してございますが、eラーニングによる研修のほか、情報セキュリティ・個人情報安全管理強化月間を設定し、各職場において自己点検を実施するなど、全庁的な情報セキュリティー対策に取り組んでございます。
 また、セキュリティー対策における、今お話のあった外部の視点からのチェック体制についてでございますが、マイナンバー制度の導入に伴い特定個人情報保護評価制度が新設されており、都はこれを適切に実施し、情報システム等に知見のある第三者による点検を行うことで、外部の視点を担保しているところでございます。

○やながせ委員 ぜひ、民間企業並みの厳しいセキュリティー対策をとっているんだということを検討していただきたいというふうに思います。
 それで、事業者向けの支援策、これもさまざまな委員から出ました。私も、大田区という土地柄もあるのか、中小の町工場、私の家の隣も町工場、裏も町工場なわけですけれども、町工場のおじさんに聞くと、やっぱり何のことかわからぬという話なんですね。それで、とにかく不安を抱えていると。不安を抱えていて何をしたらいいのかわからぬという方がたくさんいらっしゃいます。
 ですので、都としては、ぜひ、こういった事業者向けの支援策を充実していただきたいというふうに思います。もう答弁いただいていますけども、ぜひ答弁をお願いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十八年一月以降、税や社会保険に関する手続書類に従業員等のマイナンバーを記載して提出することになるため、事業者は、従業員等からのマイナンバーの取得や安全管理措置の検討等、対応や準備が必要となります。
 都といたしましても、業界団体等と連携した事業者向け周知を実施するとともに、東京都ホームページ等で、事業者のガイドラインや国が設置するコールセンター等、きめ細かく広報していくことで、事業者がマイナンバー制度への対応や準備を適切に進められるよう支援してまいります。

○やながせ委員 ぜひお願いしたいというふうに思います。
 これは中小の事業者がやらなければいけないことが非常に多いんですね。ですから、これは、いろんなところで示されてもいるんですけれども、規程や様式のひな形を提供する等、こういったことが事業者の負担を大きく減らすことが可能になってくることにつながっていくと思いますので、ぜひお願いしたいというふうに思います。
 マイナンバーの一番の不安はセキュリティー対策だと思います。それで、今の通知が来て、それを奪われたとか奪われないとか、そういったことも始まるでしょうし、一月の導入から、絶対、このセキュリティー、漏れの問題がニュースで大きく取り上げられると思います。ですから、それは、都庁は全国の自治体の中で最もセキュリティー対策が厳しいというふうに私は思っていますから、ぜひそういった事故を起こすことのないように徹底していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○上田委員 マイナンバー導入に伴う百五十四号議案以降六件の付託議案に係りまして、住民に近い地方自治体、東京都ということで、主にテクニカルなことや現場の運用についての着眼点で、七点確認させていただきます。
 年金機構問題は、基幹システムからの情報流出ではなく、日常的に用いているデータサーバーからの情報流出でありました。また、アラートが出ているのにストーカーに連絡先を知らせ、殺人事件にまで発展した逗子市役所の事件のように、人的ミスで情報が流出してしまったこともありました。
 基幹システムは、自治体も国もそれなりにセキュアなシステムになっているとは私も思っております。しかしながら、実際のマイナンバーの利用は、基幹システムだけではなく、各業務の都合などに応じた基幹システム外での扱いが想定されております。年金機構は、この基幹システム外のセキュリティーブリーチ、いわゆる抜け道が原因とされております。
 東京都におけるマイナンバーのデータ管理や利用について、どこでどのように行い、基幹システム外での扱いがどの程度発生するかなど、ちょっとお尋ねしたいと思います。
 資料の方は、一ページ、七ページの7と8、こちらをご参考にいただければ、委員の皆様、どういった事業でどんなふうに東京都が活用していくのかということがわかると思います。
 では、お答えいただければと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都では、総務省からの通知に基づき、マイナンバー関係で使用する情報システムをインターネットに接続されたネットワークから分離すべく既存システムの改修を行うとともに、マイナンバーを含む個人情報等をインターネットに接続した個人端末に保管せず、アクセス制限のかかったサーバーに保管することを改めて徹底するなどの取り組みを行ってまいります。
 こうした取り組みを進め、都としても、でき得る限りのセキュリティー対策や個人情報等の保護などに適切に取り組み、都民の安全・安心を確保してまいります。

○上田委員 業務の徹底の方向性があるということを確認させていただきました。
 一ページの法定事務一覧を見ればわかるように、東京都においてマイナンバーを利用する法定事務の一覧の手続に対して、るる今議論もありましたように、マイナンバーに懐疑的な都民の方もいらっしゃいましょう。そういった方々や、何らかの理由によりまして個人番号を提示しない個人に対してはどのような対応になっていくのか、お示しください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 来年一月以降、マイナンバーの利用が開始され、都民は、社会保障、税、災害対策等の行政手続においてマイナンバーの記載を求められる場合がございます。ご質問のようなケースにつきましては、各行政手続を規定する法令に基づき、個別に判断されることになるというふうに考えてございます。
 通知カードは、個人のマイナンバーを証明する重要なものであるため、必ず受け取るとともに大切に保管するよう、都民向けの制度周知を丁寧に行ってまいります。

○上田委員 個別の判断ということであります。
 一応、総務省においては、番号法第十四条第二項に基づき、地方公共団体情報システム機構から個人番号を含む機構保存本人確認情報の提供を受けることはできますが、その後は、ご答弁のとおり、あくまでもマイナンバーが基本ということでありますが、拒絶をされることはないのであろうなというふうに解釈をさせていただいておりますので、さまざまな都民の手続に瑕疵のないような運用が図られることを今確認させていただいた次第でございますし、個別の判断は、区市町村からも問い合わせが来るかと思いますので、判断基準等を共有していただきたいなということで、次の質問に移ります。
 基幹システム外利用についてなんですけれども、先ほど来、管理について議論がありますが、そのシステム外利用についての基準と指針の明文化並びに職員研修などを実施する等の予定や、基準、指針の考え方を問いたいと思います。これは七ページの9ですね、これについても、理事者の方から現状について報告させていただいていますので、委員の皆様、あわせてごらんください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 現状において重要な情報を保護するための具体的な方法は、情報セキュリティーポリシーに基づき、各局の事務やシステムにおいて情報セキュリティ実施手順等で定めてございます。基幹システム外のマイナンバーの利用に当たっても、これらの基準及び法令をもとに適切に検討してまいります。
 また、eラーニングによる研修のほか、情報セキュリティ・個人情報安全管理強化月間を設定し、各職場において自己点検を実施するなど、全庁的な情報セキュリティー対策にも取り組んでございます。
 こうした継続的な取り組みを通じたPDCAサイクルを展開することにより、適切な情報管理に努めてまいります。

○上田委員 PDCAサイクルは非常に大切なことであります。日々変わっていくことと思います。
 また、基幹システム外のマイナンバーの利用にあっても、これらの基準及び法令をもとに適切に検討とご答弁をいただいておりますので、情報セキュリティーポリシーに基づいた情報管理をすることを重ねてお願い申し上げる次第でございます。
 さて、この間、都の職員の皆様も、四月二十三日、社会保障・税番号制度担当説明会というところで、総務省からの資料に基づいた勉強会といいますか、説明会を受けたと思います。
 その中で、職員への個人番号カードの取得促進についてという資料が提示をされております。総務省としては、公務員が国民や都民よりも率先して、特に地方公務員がマイナンバーカードの取得をするべきだということを打ち出しておりますが、三ページの資料によりますと、周知にとどまるような形になっております。
 今後、地方公務員であります東京都職員のカード取得に向けての取り組みの予定及び考え方についてお示しください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 個人番号カードの普及に限らず、マイナンバー制度の円滑な導入のためには、行政実務を担う職員が制度を理解していることが非常に重要でございます。
 都は、都民や事業者向けの制度周知に取り組むとともに、職員向けにも制度の周知を行っており、今後も、職員の理解が深まるよう適切な周知に取り組んでまいります。

○上田委員 強制することは余りよろしくないでしょうし、いろいろと都の職員の間でも、こうしたものに対するアレルギーがあるようなこともあるかと思いますが、何よりも、先ほど来の都民への協力、事業者への協力を訴えていく中で、やはり率先してとっていっていただきたいと思いますので、何とぞ取得に向けて、数値的にも出るような形での取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、システム開発の状況についてお尋ねしたいと思います。
 新国立競技場問題は、目に見える箱物でイメージもできるということで国民が注目しまして、白紙撤回となったということですが、一方で、こうしたサーバーやシステムインフラは目に見えない箱物というところで、その金額の妥当性、技術的な適正性が問われるところでございます。
 マイナンバー導入に伴うシステム改修と新システム導入の状況をちょっと知りたいと思います。六ページと八ページの6、10の資料の方を共有できればと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都における情報システムの改修や新規構築においては、システムアセスメント制度などを通じまして、費用対効果の観点などから妥当性についても評価を行った上で実施してございます。
 今回のマイナンバー導入に伴うシステム改修及び連携サーバー等の新システムの導入についても、このシステムアセスメント制度等を通じて妥当性を評価した上で、適切に実施をしてまいります。

○上田委員 ぜひおっしゃるとおりに進めていただきたいと思います。特にシステムアセスメントと情報保護評価というのが、関連の強化をちょっと読み取れないかなとも思ったので、そこら辺の関連づけての導入の運用を重ねて求めたいと思います。
 次に、ほかの委員からも指摘がありましたが、マイナンバーの通知カードは、特別区、私も特別区ですけど、一割以上が宛先に届かず戻ってくると予測しているようでございますが、この件に関しての東京都の想定と対応、所見を伺いたいと思います。

○西村行政部長 日中不在の単身世帯や在留外国人の多い都内におきましては、区部を中心に通知カードの返戻が発生することが予測されます。
 都はこれまで、通知カードの返戻を防ぐため、「広報東京都」やメディア等を活用して周知をしてきたところでございます。
 このほか、区市町村に対しまして、居住地と住所地が異なる住民の居住実態調査を行いまして、居住地へ住民票の移動を行うように促してきたところでございます。
 今後とも、区市町村と連携して適切に対応してまいりたいと思います。

○上田委員 マイナンバーだけではなく、やはり居住地と住民票の整合性というのは、基本的に当然なことでございます。住んでいるところで選挙もすれば、住んでいるところでいろいろと道路も使うし、公共施設も使うわけでございますので、これを進めることは非常に健全な、住民の把握にもつながっていくし、サービスを受ける側と税金を払う側がイコールになっていくということで、進められていくとよろしいかなというふうに思います。
 最後に、東京都の現状として、個人情報データが通常どこでどのように保存をされているのか。局ごとのサーバーでの保存があるのか。データのストレージを集中的に行っているのか。加えて、特定個人情報についての保護のあり方について、若干テクニカルではございますけれども、確認をさせていただきたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 各局が実施する事務にかかわるシステムは、それぞれ該当する局が所管をしており、システムが利用するデータベースはシステムによって保管をされております。したがって、事務で使用する個人情報データベースは、各局がそれぞれのシステムで保管をしているところでございます。
 また、特定個人情報におきましても、全庁の特定個人情報を一つのデータベースで保管するのではなく、当該情報を取り扱う各システムで保管されるということになります。

○上田委員 各局が所管するシステムということであり、集約と分散、どちらがリスクが大きいか悩ましいところだと思います。
 ただ、資料の1、8を見ていただけばわかるように、五局、二十四の法定事務に分かれております。いまだ端末の把握もされていない現状でありますから--8、七ページのところですね、米印、現在、各局においてマイナンバーのデータにアクセスする端末台数等を精査中ということで、端末の把握もされていないことからも、システムアセスメントの情報セキュリティーの徹底ができるかどうかのリスクは高まるのではないかなというふうに心配もしているところでございます。
 六ページ、九ページの資料も見ればわかることではございますが、せっかく巨額を投じ、議論を尽くし、制度が開始したとしても、人的ミスが起こってしまっては、また指摘をされてしまう。絶対に人為ミスはあってはならないことでございますので、先ほど指針の明文化ということも申し上げておりましたが、総務局は、オール総務局ということで、人事も含めて基準、指針、研修、人材育成、専門的外部人材の登用などもし、情報保護の徹底に努めること。また、本来のマイナンバー制度の目的であります合理化、有形無形の行政コストの圧縮、何より脱税や不正還付を防止して徴税額、徴税率が高まりまして、また、確定申告が簡素化することで都民、国民の納税意識が高まり、マイナンバーで監視されるという被害者意識ではなく、行政や議会を主権者として監視する都民の当事者意識を醸成する制度に導いていきたいということを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時十九分休憩

   午後四時三十五分開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 次に、報告事項、平成二十六年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小暮総務部長 九月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料のうち、報告事項に関します資料五点につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますけれども、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の一一ページをごらんいただきたいと存じます。公立大学法人首都大学東京の収入、支出の決算額につきまして、平成二十二年度から平成二十六年度までの推移を内訳別に掲げてございます。
 一二ページをごらんいただきたいと存じます。公立大学法人首都大学東京の役員及び職員数につきまして、平成二十二年度から平成二十六年度までの推移を、職員につきましては区分別に掲げてございます。
 次に、一三ページから一四ページにかけましては、監理団体への再就職について、平成二十五年八月一日から平成二十六年七月三十一日までの間の課長級以上の退職者における東京都での職名や再就職先の団体名等を掲げてございます。
 一五ページをごらんいただきたいと存じます。都から監理団体への周知、情報提供についてでございます。
 一六ページをごらんいただきたいと存じます。東京都人権施策推進指針の庁内への周知状況についてでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○清水(孝)委員 それでは、私からは東京都の監理団体の評価制度のあり方について何点かお伺いしたいと思います。
 東京都の監理団体におきましては、我が党は事あるごとに質問させていただいておりますが、私の地元でも大いに活躍しております多摩都市モノレールですとか、あるいは東京都農林水産振興財団とかがございますけど、そのような団体を初めといたしまして、それぞれの団体が安定的で質の高い都民サービスの実現に貢献していることを肌で実感しているわけでございます。
 一方、そのように都政と密接な関係にある監理団体でございますが、一朝一夕に都政にとって重要な位置を占めるに至ったわけではございません。石原元都知事の時代に、都政が未曽有の財政危機を乗り越えていくために、我々都議会と東京都が一丸となって財政再建に取り組んできたわけでございますが、監理団体につきましても、団体数の削減ですとか役員退職金制度の全廃、包括外部監査制度の活用など、徹底した監理団体改革を重層的、複合的に実施してきた結果が今の姿であると理解しているわけでございます。
 今後はさらに、次のステップに向けまして、監理団体がより活躍できるよう不断の改革を進めていくことを期待しているものであると同時に、都民の視点に立った評価を進めていくことが重要だと考えるわけでございます。
 そこで、今回は、以下三点についてお伺いしたいと思います。
 初めに、昨年の第四回定例会で、我が党の代表質問を受けまして、今回、平成二十七年度経営目標から、より簡素でわかりやすい評価制度に改正したとのことでありますが、改めて、改正を行った背景についてお伺いしたいと存じます。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 本制度については、発足後、十数年を経過し、この間にさまざまな改正を行ってまいりました。一方で、この間、複雑で都民にわかりにくい、最高評価に多くの団体が集中するなど団体の努力が伝わりにくいといった課題が浮き彫りになってまいりました。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を目前に控え、東京都長期ビジョンに掲げる各施策を実現するためには、これまで以上に監理団体の果たすべき役割の重要性が増してきていることから、監理団体が行政支援、補完団体としての性格をより一層発揮できるよう制度の見直しを行ったところでございます。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。制度の発足から十数年が経過いたしまして、評価制度として定着する一方で、都民にとってわかりづらいですとか、あるいは努力している団体の頑張りが伝わりにくいといった課題があるということがわかったわけでございます。
 都と監理団体がこれまで以上に幅広く連携し、山積する都政課題に向けて邁進していくためには、それぞれの監理団体がいま一度原点に立ち返り、都政を支援、補完する役割を強力に担っていくんだというふうなことを明らかにすることが大切だと認識しているわけでございます。
 そこでお伺いしたいと思います。監理団体を取り巻く環境の変化を捉えた制度見直しであることはわかりましたが、どのような考え方により制度を見直したのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の役割がこれまで以上に重要性を増す中で、より明瞭で簡潔な制度であること、これまで以上に都政や都民に貢献できる制度であること、客観性を向上させ、めり張りのきいた制度とすること、この三点を果たすことを目指して、平成二十七年度より、重点目標とチャレンジ目標によって構成される評価制度に改正を行ったところでございます。
 特に、都民や都政への貢献度を端的に示すものとして、平成二十七年度経営目標から、都民、利用者の視点に立ったチャレンジ目標を導入し、チャレンジに値する指標や目標値を設定していくことといたしました。
 あわせて、重点目標、チャレンジ目標の設定根拠について明記をするなど、制度の運用に当たっては、公表の範囲を拡大し都民の理解を得るとともに、説明責任を果たすことを目指した制度改正を行ったところでございます。

○清水(孝)委員 ありがとうございます。監理団体がこれまで以上に都政や都民に貢献するために、明瞭簡潔、客観性向上といったコンセプトで、新たに評価制度を見直したというふうな答弁であったと思います。
 確かに、これまでの報告書を拝見しますと、非常に複雑な仕組みであると私も感じております。また、実際に、なぜか多くの団体が最上位評価であるAランクに位置しているわけでございます。そのことにつきましては、私としては、それらの団体が、みずからに課した目標達成に向かって組織一丸となって努力した結果であると、素直な性格でございますので、私はそういうふうに認識しているわけでありますが、その一方で、今後、二〇二〇年大会を目前とし、世界一の都市東京の実現に向けて都政が急ピッチで動いていく中、東京都の監理団体も、今まで以上に都政や都民に貢献していく姿勢を示していくことも、また重要であると認識しております。
 その点から、今回の制度改正は、重点目標、チャレンジ目標、いずれも都民、利用者の視点に立ってとういうふうなことを明確にしており、考え方は大いに理解をするものであります。殊にチャレンジ目標につきましては、まさにチャレンジという名にふさわしいものであってもらいたいし、チャレンジという言葉を冠にする以上、精いっぱい努力して、ようやく達成してできるぐらいのレベルの高い目標であってほしいと考えているわけでございます。
 私も、二十六年、二十七年の状況ですとか実績の資料を拝見いたしました。その中で、例えば東京動物園協会では、上野動物園の年間入場者数増加の目標を設定しております。これは再整備工事が実施されるわけでございますが、入場者減少が懸念される、つまり、ハンデがある中で、冬季の閑散期のキャンペーン等、誘致策を実施し、前年度比増を目指しているようでございます。
 そのようなチャレンジ目標を精いっぱいの努力でクリアした団体につきましては、ある程度のインセンティブを与えるような仕組みをつくることも、また必要ではないかと思うわけでございます。ぜひ検討をしていただきたいと思います。要望でございます。
 さらに、これまで以上に説明責任を果たしていこうという、制度運用に当たって公表範囲の拡大も考えているとのことでございました。これはしっかりと対応していただきたいと思います。
 さて、昨年末に発表がございました東京都長期ビジョンに当たっても、政策目標として上げた事項のかなりの部分を監理団体が直接的あるいは間接的に担っているなど、私自身、この監理団体ということを調べるに当たりまして、都政における重要な仕事の多くを、この監理団体というものが担っていることを理解したわけでございます。
 その一方で、この東京都の監理団体は、あくまでも外郭団体であるわけでございまして、都民の直接的な理解が得にくいという一面もあるかと思います。だからこそ、今後、都政と監理団体とが幅広く連携していくためにも、東京都による適切な指導監督は不可欠であると認識しているわけでございます。
 そこで、最後に、今回の新しい評価制度を踏まえた今後の監理団体の指導監督のあり方について、ご所見をお伺いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 新たな課題や都民ニーズに的確に対応していくため、さきの第四回定例会において、都政の重要なパートナーである監理団体を、いわば都政グループの一員として捉えるとともに積極的に活用していくことといたしました。
 今回の新しい評価制度の見直しは、このような新しい方針を制度面から強固にさせていくためのものであり、これまで以上に監理団体が都民目線に立った団体経営を行えるよう、指導監督に努めてまいります。

○清水(孝)委員 よろしくお願いします。終わります。

○高倉委員 それでは最初に、監理団体について質問をいたします。
 監理団体については、これまで厳しい団体改革に取り組みまして成果を上げてきたというふうに認識をいたしております。今回の経営目標評価制度でも、多くの団体が上位の評価を得ておりますけれども、これはむしろ、各団体がしっかりと堅実に目標達成に向けて努力をしてきた証左であるというふうに私は見ております。
 評価制度につきましては、各団体の自律的な改革、自己改革を促進する取り組みの一つでありまして、役員退職金の廃止や、より透明性を高めるための包括外部監査制度を導入するなど、これまでも不断の見直しを重ねてきたというふうに聞いております。
 そこで、改めてということになりますけれども、監理団体経営目標評価制度の一連の流れについて説明をお願いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 団体が策定した当該年度の経営目標及び前年度に策定した経営目標の評価については、団体内での意思決定を経た後、団体トップによる所管局長へのプレゼンテーション等を行い、団体と所管局で経営目標、評価の客観性や妥当性等について協議を実施した後、総務局に提出をされます。
 私どもの総務局に提出を受けた後は、団体、所管局と総務局とで客観的なデータの検証などをもとに詳細な協議を行い、一定の調整を経た後、副知事をトップとする監理団体改革推進委員会へ付議をして決定してございます。
 さらに、経営目標の設定状況を今お示ししている冊子として取りまとめ、都議会への報告を行うとともに、都民に対して公表することで公正性や妥当性の確保を図っているところでございます。

○高倉委員 今、この評価制度の実際の段階的な取り組みについて詳細にご説明をいただいたわけでありまして、今いったような一連の流れで、客観性あるいは公正性、妥当性といったものがしっかり図られているということであると思います。
 毎年、この評価制度に基づいて各団体の目標達成状況の報告を受けておりますけれども、昨年度、評価が低かった団体が、今年度、評価をアップさせたといった例があるのかどうか。どのように努力した結果、そうした評価の向上につながったのかということについてお伺いをしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今回の経営目標達成度評価においては、昨年度と比較し、五団体が評価ランクを上げてございます。いずれも経営目標として掲げた各指標を達成したことによるものであり、前年度の結果を踏まえ、PDCAサイクルに基づいて、各団体が重点的に取り組むべき課題について組織が一丸となって取り組んだ結果であると認識をしているところでございます。

○高倉委員 この評価制度に基づいて、しっかりと必要な取り組みをした結果として評価ランクが上がったというような説明を今いただいたわけでありますけれども、反対に、今回低い評価となった団体については、今後どのようにして評価の向上につなげていくのか、このことについてお伺いをしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 それぞれ団体が達成できなかった目標につきましては、団体自身がPDCAサイクルを通じて行う取り組み結果の分析などをもとに、目標達成度評価の際に、所管局や総務局との協議の中で検証していくとともに、翌年度の目標設定に反映させることなどにより、評価の向上に向けた的確な対応を図ってまいります。
 今後も、都民の理解を得られますよう、適切に経営目標達成度評価制度を運用しながら監理団体の指導監督に努めてまいります。

○高倉委員 この監理団体の指導監督に努めていくと今ご答弁がありましたけれども、ぜひともしっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。
 続きまして、平成二十六年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について質問をいたしたいと思います。
 この評価内容についての質問に入る前に、公立大学法人の業務実績評価方針と評価方法につきましてご説明をいただきたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 公立大学法人の各事業年度における業務の実績につきましては、地方独立行政法人法第二十八条の規定に基づき、知事の附属機関としての東京都地方独立行政法人評価委員会が評価を行っております。
 評価の方針としましては、都が定めました中期目標の達成に向けまして、法人が作成しました中期計画の事業の進行状況の確認や、法人の業務運営の改善、向上に資することなどを基本としております。
 評価方法としましては、法人が提出します業務実績報告書などに基づき、評価委員会が法人からのヒアリングなどを実施しました上で、項目別評価と全体評価を行っております。
 評価に当たりましては、教育、研究の状況、法人の業務運営の改善、財務運営の改善などに視点を置きまして総合的に評価を行います。
 評価結果につきましては、評価委員会が法人に通知するとともに、知事に報告をいたします。評価委員会から評価結果の報告を受けた知事は、都議会に報告することになってございます。

○高倉委員 ただいま評価委員会の役割、また評価方針と評価方法について確認をさせていただきましたけれども、この評価については、これをしっかり生かしていくということが大変重要だと思いますので、当然これまでも取り組んできているとは思いますけれども、さらに的確に取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 今回の評価の中身でありますけれども、全体評価を見ますと、順調に成果を上げていると評価をされております。
 項目別評価では、四十八項目のうち、七項目が一番高い評価であります評定一、そして四十項目が順調に実施の評定二となっております。項目別で見ても、おおむね順調であることがわかります。
 評定一のものとしまして、首都大学東京の教育課程、教育方法があります。ティーチングアシスタント制度の充実が高く評価をされているようであります。
 そこで、この高い評価を得たティーチングアシスタント制度について、都の認識についてお伺いをしたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 ティーチングアシスタント制度は、大学院生が授業時間内外に教育補助業務を行うものです。
 首都大学東京では、これまで一種類でしたティーチングアシスタントを今年度から三つに区分し、ティーチングアシスタントのほか、新たにシニアティーチングアシスタントとスチューデントアシスタントを新設しました。シニアティーチングアシスタントは、博士後期課程の大学院生が高度な教育補助業務に従事し、スチューデントアシスタントは、学部の学生が授業時間内の単純補助業務に従事するもので、業務内容に応じて謝礼金の時間単価にも差を設けてございます。
 拡充しましたこれらの制度は、学部の学生に対する教育を充実させますとともに、従事いたします大学院生の教育力の向上や経済的な支援などにもなっております。
 都といたしましては、このようにさまざまなよい効果が見込まれておりましたことから、高い評価を得たものと認識してございます。

○高倉委員 ティーチングアシスタント制度について今ご説明をいただきましたけれども、一石二鳥あるいは三鳥といったような大変効果のある、すぐれた取り組みであるというふうに思います。ぜひ、さらに推進をしていっていただきたいと思います。
 このティーチングアシスタント制度は、大学院生の経済的支援にもなるという今の答弁でありましたけれども、学生支援に関する取り組みの中の経済的支援を見ますと、授業料減免制度について見直しを行い、支援体制を構築するよう努めていることが評価されております。
 制度の見直しを行い、より使いやすく、わかりやすくすることは大変結構なことでありますけれども、一方で、予算という経営上の制約があるわけであります。授業料の減免については、法人が自主的、自律的に判断するものであると理解はしておりますけれども、例えばリーマンショックのように社会経済状況が短期間に大きく変化をし、減免対象の学生が急激にふえた場合の対応といったようなことには不安が残るわけであります。
 法人の自主的、自律的な判断を原則としつつも、支援を必要とする学生への適切な支援体制が万全なものとなるように期待をされますけれども、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 首都大学東京におけます授業料の減免につきましては、都は、地方独立行政法人である首都大学東京の自主的、自律的な判断による取り組みを支援してまいりました。
 お話の趣旨を踏まえまして、今後とも、支援を必要とする学生への適切な支援が行えるよう、法人と連携して取り組んでまいります。

○高倉委員 大変大事な取り組みであるというふうに思いますので、ぜひ設立団体として都の積極的な支援を期待いたしております。
 さらに項目別評価を見ていきますと、残念なことに、評定三、年度計画を十分に実施できていないと評価された項目が一つあるわけであります。情報提供等という項目で、首都大学東京で情報セキュリティー事故が立て続けに発生をしたということであります。
 そこで、評価の対象となった事故の概要についてお聞きをいたしたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 首都大学東京におきまして、ことし平成二十七年一月に二件の情報セキュリティー事故が発生いたしました。
 まず、本年一月五日に認知しました事故は、ネットワークに接続された事務組織の記憶装置が外部から閲覧可能な設定になっていたものでございます。保存されていました学生や教職員の個人情報が悪用されたとの報告やその他の被害の発生につきましては、現在のところ確認はされておりません。
 次に、本年一月二十七日に認知しました事故は、ネットワークに接続された学部の機器を不正に経由して、学外に大量のメールが送信されたものでございます。これは、パスワードが初期設定のままで変更されていなかったことによるものと考えております。
 どちらの事故も、ネットワークや情報セキュリティーに関する知識不足や認識不足が大きな原因となっております。

○高倉委員 こうした事故は、あってはならないことであると思います。今回は、幸いにして個人情報に関する被害はなかったようですけれども、大学には、多くの学生、また教職員、そういった方々の個人情報とか、あるいは研究データといったような重要な情報が数多く存在をしているわけであります。
 事故発生後は速やかに対応するとともに、その後の再発防止対策を講じるべきだというふうに考えますけれども、法人として平成二十六年度内にどういった対策をとったのか、また、二十七年度以降の対策についてもお伺いしたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 事故発生年度の平成二十六年度内の対策としましては、本年一月五日の事故に対しましては、速やかに接続状況の確認を行い、より安全なネットワークへの接続がえを実施いたしました。
 本年一月二十七日の事故に対しましては、学外から学内への通信を原則遮断するとともに、学外から学内への通信を認めている機器を対象に、専門業者によるセキュリティー診断を実施し、安全であることを確認いたしました。
 また、この間、教職員に対しまして、情報セキュリティー及び個人情報保護対策の周知徹底を図りました。
 平成二十七年度以降の対策としましては、外部の専門機関によります情報セキュリティー点検と、その点検結果に基づきます見直し、教職員に対する情報セキュリティーや個人情報管理に関します教育指導の徹底、ネットワークの利用ルールの見直しなどを予定しており、可能なものから速やかに実施しております。

○高倉委員 ほかの大学などでも、こうした情報セキュリティー事故の発生といったことを耳にするわけであります。徹底した再発防止対策をお願いいたしまして、首都大学東京に関する業務実績評価についての質問を終わりたいと思います。
 最後に、東京都人権施策推進指針について質問をいたします。
 この指針が、八月二十五日、公表をされたわけであります。前回の第二回定例会の総務委員会の質疑の際にも申し上げましたけれども、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会を五年後に控えたこの時期に、私ども都議会公明党の求めに応じて、十五年ぶりにこの指針の見直しを行ったことについては高く評価をしているところであります。
 前回の委員会質疑では、私から、指針の狙い、特徴、多文化共生への取り組み、第三者機関の設置といった三点について質問をさせていただきました。多文化共生への取り組みについては、オリンピック・パラリンピックの開催に向けまして人権尊重の理念が浸透した社会を実現するための起爆剤として、大型啓発キャンペーンを実施するとの答弁をいただいたところでございます。
 早速これを具体化して、今月九日から十一日まで東京国際フォーラムで行われます大型人権イベントについては、ぜひとも成功をさせていただきたいと思います。これを皮切りに、人権啓発の取り組みをさらに積極的に進めていただきたいと思います。
 こうした人権啓発の取り組みと並んで、人権が侵害されたり、侵害されるおそれのある人々の人権を守る取り組みも大事であると思います。こうした人々に対しては、まず、適切に相談に応じることが第一歩であるというふうに思いますけれども、都における相談体制は現在どうなっているのかについてお伺いしたいと思います。

○箕輪人権部長 人権が侵害されたり、侵害されるおそれがある都民に対しまして、適切に相談に応じ、救済につなげていくことが大変重要でございます。
 都では、女性、子供、障害者などの人権課題に対しまして、事業所管局が、それぞれの施策体系のもと、専門機関を設置するなどしまして相談窓口を設けておりますほか、東京都人権プラザにおきまして人権相談を実施し、電話、メール、面接等により人権に関するさまざまな相談に応じるとともに、必要に応じて適切な専門機関を紹介してございます。これらの相談機関につきましては、ホームページや「広報東京都」、啓発冊子に一覧を掲載するなど、広く都民に周知を図っております。

○高倉委員 相談体制についてはわかりました。
 近年では、指針で取り上げた人権課題が前回の指針から大幅にふえるなど、都における人権を取り巻く状況は複雑化、多様化しております。例えば、障害のある女性が職場でセクシュアルハラスメントの被害を受けたケースや、インターネット上の子供同士のいじめといったように複数の人権課題にまたがる人権侵害が発生する、こういった場合でございます。
 このような状況から、各相談機関が個別に対応するだけでは解決が困難な事例がふえることを私は危惧いたしております。
 そこで、今後、このように複雑化、多様化した人権課題に関する相談ニーズにどう取り組んでいくのかについてお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。

○箕輪人権部長 人権課題が複雑化、多様化しております状況の中で、迅速かつ的確に相談に応じ、人権問題の解決を図るためには、関係機関が緊密に連携した実効性のある対応を行うことが大切でございます。そのためには、日ごろから関係機関相互の協力体制を構築していることが必要でございます。
 都はこれまでも、各局の相談機関や警視庁、東京労働局、東京法務局等をメンバーとする連絡会議を開催し、人権相談に関する情報交換や情報収集を行ってまいりました。
 今後とも、このような連絡会議の場を活用するなど、各局の相談機関はもとより、国の人権擁護機関、都民にとって身近な窓口である区市町村、さらには民間団体など、さまざまな相談機関との連携強化を図り、人権相談の充実に努めてまいります。

○清水(ひ)委員 平成二十六年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価についてお伺いいたします。
 二〇一一年度に始まった第二期中期目標期間において、公立大学法人首都大学東京に対する標準運営費交付金はどのように推移しているのでしょうか。二〇一一年度と二〇一四年度の決算額をお伺いいたします。
 また、標準運営費交付金の金額はどのような考え方で積算しているのか、お答えいただきたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 公立大学法人首都大学東京に対します運営費交付金のうち、通常の法人運営の財源に充てるための経費でございます標準運営費交付金の決算額は、第二期中期目標期間の開始年度の二〇一一年、平成二十三年度になりますが、平成二十三年度は百四十九億四千六百万円、昨年度、平成二十六年度は百五十二億二千七百万円でございます。
 標準運営費交付金は、法人の経営努力を求めるため、原則として毎年度一%の効率化係数を用いて積算しておりますが、都の計画事業として位置づけ、新たに実施いたします事業に要する経費、例えばアジア人材育成基金を活用した留学生の受け入れに要する経費などは、効率化係数の対象外として交付金を積算しております。

○清水(ひ)委員 それでは、今のお答えの中にありましたアジア人材育成基金を活用して二〇一四年度に受け入れた留学生の出身国や人数はどうなっているのでしょうか。
 また、アジア人材育成基金を活用して受け入れた留学生は、首都大学東京に在学する留学生全体のうち、どのくらいの割合を占めているのか、お伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 平成二十六年十月一日現在、アジア人材育成基金を活用して、中国、ベトナム、タイなど十三の国と地域から九十二名の留学生を首都大学東京に受け入れており、この割合は、留学生全体四百三十九名のうち二割強となってございます。

○清水(ひ)委員 これまでも十三の国ということでは、大変多くの国から受け入れをされて、対応されるのに苦慮されているかと思いますが、今年度からは、アジア人材育成基金にかわって都市外交人材育成基金が創設されて、ヨーロッパなどアジア以外の地域からも二名を受け入れるなど、対象が広がったということを聞いております。
 基金により受け入れる留学生は毎年ふえているようですが、この留学生のための支援策としてはどのようなことを行ってきたのか、お伺いしたいと思います。
 また、そうした支援を行うためには教員や職員の人件費も必要だと思いますが、それも含めて財源を手当てしてきたのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 これまでアジア人材育成基金を活用した留学生への支援といたしましては、奨学金の支給、住宅の確保、授業料などの免除のほか、日本語教育プログラムの充実などを行ってまいりました。
 さらに、こうした留学生支援策を実施するため、職員の人件費や日本語教育プログラムの講師報酬などに基金を充当し、体制を整備いたしました。

○清水(ひ)委員 留学生の受け入れを今後もふやしていくことを目標にするのであれば、こうした留学生支援に要する経費というのは、大学の運営にとって常に必要なものであって、一時的なものではあり得ないわけです。
 私は何をいいたいのかというと、やはり標準運営費交付金の問題ですけども、一%ずつ削減しているんだといっても、こうした事業の大きな拡大というか、やることを大きくしていくということもあり得るわけなので、基金の充当というのではなくて、恒常的な運営費交付金として措置すべきだというふうに考えるわけです。
 それはやっぱり、今おっしゃった学生支援というのは、それだけにとどまらないと思うんですよね。いろんな学生さんがいろんな国から、言葉がわからないでいられるとなると、毎日の生活のことなどもいろいろ面倒を見られるというようなことで、本当に十分な手当てが必要だと思いますので、そういう措置をするべきだと思いますけれども、いかがですか。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 アジア人材育成基金を活用しました留学生受け入れ事業に必要な経費でございますが、通常の運営費交付金とは区別して適切に処理してまいりました。
 今後の都市外交人材育成基金を活用した事業につきましても、同様の取り扱いを行ってまいります。

○清水(ひ)委員 同じお答えだったんですけれども、ぜひ改めて要望しておきたいと思います。
 次に、学生に対する経済支援について伺います。
 二〇一四年度業務実績報告書によりますと、首都大学東京では、授業料減免制度について、より支援を必要とする学生に対して支援が行えるように制度の見直しを行い、今年度から、これまで収入とみなしてきた貸与型奨学金を総所得額への加算対象から除外することとしたと報告をされています。
 しかし、今年度前期には、三十九人が全額免除の基準を満たしていたにもかかわらず、法人の減免予算額の不足により半額免除となったと聞いています。このまま減免のための予算の拡充がなされなければ、今後も、全額免除の所得基準に該当していながら半額免除となる学生が生まれることになるのではないでしょうか。
 首都大学東京学生委員会の学生生活実態調査の報告書にも、そのことが中に指摘をされているんですけども、授業料減免制度を含めた首都大学東京の学生支援の取り組みに対し、私は都から財政支援を行うことを求めますが、いかがですか。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 地方独立行政法人でございます首都大学東京が、みずからの予算の中で授業料減免をどのように設定するかにつきましては、法人が自主的、自律的に判断をして行うべきものであり、都は法人の判断による取り組みを支援してまいりました。
 今後とも、支援を必要とする学生への適切な支援が行えるよう、法人と連携して取り組んでまいります。

○清水(ひ)委員 この基準になっている生徒ができないということなので、ぜひ都の財政支援も含めて検討していただきたいというふうに思います。
 さらに、今、大学生の、また学生のアルバイトは、ブラックバイトとかいわれて、学生生活を非常に脅かしているというようなことがいわれています。ここの首都大学には、かなり多くの方々が、そういうアルバイトをしているというふうにも聞いていますし、それから、それにふさわしい気持ちでここを希望する方々が多くいるわけです。
 そういう意味で、学生への経済支援については、対象となる基準を満たした学生は全員支援の対象とするということはもちろん、所得基準のハードルを引き下げて学生生活の実態に沿うよう対象を広げるなど、支援のさらなる拡充を求めますが、いかがですか。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 首都大学東京は、他の大学の動向や社会経済状況などを見据え、平成二十六年度に行いましたように、制度や運用の必要な見直しを行いながら、授業料減免などの学生支援に取り組んでおります。
 支援対象につきましては、妥当な範囲に設定されていると、都としては認識してございます。

○清水(ひ)委員 現在かなり高くなっていますけれども、うちの子供も一人だけ、こちらにお世話になって、私学の学費よりも半分ぐらいで済ませていただいて、とても助かった経験があるんですけれども、やっぱりここに行って勉強したいという学生がたくさんふえることを望みたいと思います。
 次に、首都大学東京の産学公連携や地域貢献の取り組みについて伺います。
 首都大学東京においては、産学公連携や地域貢献などにより、東京の産業支援等にどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 大都市の課題に的確かつ迅速に対応するため、都や区市町村、企業などとの連携を推進していくことは、公立大学であります首都大学東京の使命でございます。
 これまでも、研究者の研究成果をデータベース化するとともに、企業との共同研究や受託研究の受け入れのほか、企業が直面しております技術的課題に関する相談に対しまして、教育、研究及び技術上の専門的知識に基づく助言を行うなど、企業などの活動を支援してまいりました。

○清水(ひ)委員 業務実績報告書では、大学の社会貢献について、目標を達成するために産学公連携等に取り組んでいて、多摩地域を支える事業者等との交流とか連携などにも取り組んでいるということが報告されています。
 私も、今度の議会の前に、首都大の産学公連携センターで都内産業とどんな連携をしているのかということをお聞きするために伺いました。そして、担当者の方にお聞きしてまいりました。
 そして、多摩地域の産業関係者とか、それから金融機関の方々と話し合いをする中で、産学公連携の中で首都大学がどんなような役割を果たすのか、果たしていってほしいのかというようなことを懇談する中で、立派な取り組みはされているということはわかりましたけども、でも、まだまだ、ちょっと敷居が高いなというようなことをいわれる自治体や企業の方もいるわけです。
 やはり、それにはどちらの努力も必要だと思います。それは、自治体や企業なども日ごろから、いろんな取り組みを大学でやっているところに積極的に参加していくというようなことも必要だと思います。そして、そこで知り合いの先生を探す、何でも話せる先生を探すというのは重要だと思います。
 ですから、やはりそれは双方の努力が必要だと思いますが、立派な東京の産業に役立つような仕事をされている首都大学東京で、都内の企業の八割以上が小規模企業であって、大学の敷居を低くして気軽に大学との連携ができるような工夫をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長兼務 首都大学東京では、中小企業からの相談に対しまして助言や技術指導を行うための連携の仕組みの整備、都内の自治体や地域に密着した金融機関が開催いたします交流事業への出展、中小企業団体によります助成事業説明会を活用した産学連携事業例の紹介などを通じまして、中小企業への研究情報の発信や連携活動に取り組んでございます。

○清水(ひ)委員 引き続きご努力をお願いしたいと思います。
 以上です。

○西沢委員 私から、監理団体の経営目標評価を実施するに当たって幾つか聞かせていただきたい、お伺いしたいと思います。
 まず、この東京都監理団体経営目標の達成状況、経営実績ですが、話にもありました、A、B、Cと評価があるわけですけども、この目標の設定をどのようにやっているのか。それから、その評価をどのようにやっているのかということ。それから、これの公表に至るまでの全体的なスケジュールについてお伺いをいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 団体自身が事業目的や特性などに応じて策定した当該年度の経営目標及び前年度に策定した経営目標の評価につきましては、団体内での意思決定を経た後、団体トップによる所管局長へのプレゼンテーション等を行い、団体と所管局間で経営目標の客観性や妥当性等について協議を実施いたしまして、六月に総務局に提出をされます。
 提出後は、団体、所管局と総務局とで客観的なデータの検証等をもとに詳細な協議を行い、八月に副知事をトップとする監理団体改革推進委員会に付議して決定をするというスケジュール、段取りでございます。
 さらに、経営目標の設定状況を冊子として取りまとめ、都民への公表を行っているところでございます。

○西沢委員 大まかに目標の設定について話をお伺いいたしましたが、私が気になるのは、その目標であったり評価が妥当なものなのかどうかというところに至ります。もちろん、これはAが多いという話がさっきありましたけども、当然、目標を達成している団体が多いということですから、これはもう、私も素直な性格ですから、素直にこれは喜ばしいことであるべきだと思うんですね。
 ただ、じゃあ、その目標が本当に妥当なものになっているのか、もしくは評価というものが妥当なのかどうかでないと、やはりお手盛りなんじゃないのかとかというふうなことになろうかと思います。
 それで、今答弁にあったように、監理団体改革推進委員会へ最終的に付議すると。各団体が自分たちで目標をつくって、そして団体のトップからその所管局長へ最初に話をして、所管局ともやりとりをして、総務局と所管局と団体とでやりとりをして、最終的には副知事をトップとする監理団体改革推進委員会で決めるというわけですから、この監理団体改革推進委員会というのが非常に重要だと思います。
 このメンバーというのがどういう構成になっているのか、書いていないと思うので、お伺いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体改革推進委員会のメンバーでございますが、委員長である総務局担当の副知事を筆頭に、政策企画局長、総務局長、財務局長、政策企画局調整部長、総務局総務部長、総務局人事部長、財務局主計部長、総務局行政改革推進部長の計九名で構成をされてございます。

○西沢委員 言葉を悪くいえば、ほとんど身内で決めているという印象をやっぱり持たざるを得ません。どういう会議でやって、これは議事録とかそういうのはないですよね--ないですよね、ないと思うんですよ。ですから、この目標が本当にいいのかどうかということと、その目標が達成されていると、その達成状況がいいのかどうかというものの判断、もちろん、この取り組み自体はすばらしい取り組みだと思うんですが、これはどうしても、身内でやっているんじゃないかというような、そういった印象をやはり持たざるを得ないかなというように思います。
 例えばこの目標設定を見てみると、その重点目標の設定で、名指しはもちろん避けますけれども、重点目標にしている設定理由というものが書いてあります。その客観的な数字、過去の実績を参考にしているということが書いてあったりすることはわかるんですけども、書いていないのもありますし、やはり私としては、今後、この評価制度について外部の目を取り入れていくべきなんじゃないかなと思いますが、所見をお伺いいたします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 これまで都においては、都庁本体と並んで監理団体において包括外部監査制度を導入するとともに、各団体の経営目標の設定に当たっては、包括外部監査の結果を全ての団体で共有した上で翌年度の目標設定に活用するなど、積極的に外部の視点を導入しております。
 また、設定した経営目標及びその評価結果を公表するなど、いわば事前と事後の双方でその状況を広く都民にお知らせし、一層の透明化を図ってございます。
 さらに、地方自治法の規定に基づく監査委員による財政援助団体等の監査実施、経営状況に関する毎年の都議会への報告、都の制度に準じた情報公開の徹底など、都民目線に立って、あらゆる角度から団体運営に関する効率性や透明性の確保に取り組んできたところでございます。
 今後も、このような監理団体に対する多様な取り組みを重層的、複合的に展開するとともに、この制度を適切に運用しながら団体の経営改善、自律的経営の促進に努めてまいります。

○西沢委員 包括外部監査の話がありましたが、包括外部監査は、全部の監理団体が毎回、毎年、この監査を受けているわけではありませんし、私としては、あらゆる角度からと答弁いただきましたが、やっぱり肝である決定権者のメンバーは外部の目を入れるべきなんじゃないのかなと思います。
 特に報告として出てくるものはそうなんですが、目標については、その目標を決めるというのは難しいと思いますけども、でも、そういったところで、やはり外部の目を入れていくということも一つの手法だと思いますから、これは要望させていただいて、質問を終わらせていただきます。

○やながせ委員 私からも、この平成二十六年度の東京都監理団体経営目標の達成状況、経営実績について、また平成二十七年度の東京都監理団体経営目標の設定状況について質問していきたいと思います。論点はかぶらないかなと思ったら、論点がかぶっているところがあるので、そこはちょっとはしょって別の質問にしたいと思います。
 都は平成十三年度から、監理団体改革の一環として、団体にみずから経営目標を設定させ、その達成度を評価していると。そして、この評価結果については、翌年度の経営改善及び役員報酬、トップですね、トップ報酬に反映させることによって、団体のさらなる自律的経営を促進させるとしています。また、この達成状況を都民に公開することによって、公正で透明度の高い経営を徹底するとともに、説明責任を果たす機能を有しているともしています。
 つまり、経営目標、評価、この目標管理システムが、都の重要なパートナーと位置づけられている監理団体の自律的な経営、経営改革と説明責任という二つの重要な役割を、この制度は担っているということになります。
 では、その経営目標管理の制度、システムが効果的に運用されているのか、それがきょうのテーマでありまして、まず大事なのは、先ほど西沢委員の方からいっていましたけれども、この目標の設定方法だというふうに思います。きちんと適切な目標設定がなされているかどうかということであります。
 一般的に、こういった数値目標というのは、当初は、よくこの指標を検討して、妥当性はどうなんだという検証も行われて、二年目にはちょっと変えようかなと、いろんな試行錯誤をしていくんですけれども、この実施を重ねるに従って緩くなっていく傾向にあるのではないか。
 去年の実績にちょっと上乗せしておけばいいじゃないかとか、毎年当たり前のようにクリアできるものが見直されずに残っていたりということで、惰性になっていくという性質を持っているものなのかなというふうに思います。
 そういったことを防ぐためにも、これはたゆまない検証が必要だというふうに考えているわけですけれども、本制度において、各団体が目標とする指標や数値は、どのようなプロセスを経て設定されているのかということを伺いたいんです。先ほどの答弁でも、基本的には、所管する局とその監理団体が目標をすり合わせして出してくる、それに対して、総務局がそれは妥当なのかどうなのかということで、これをちょっと突き返したりして、最終的には決まっていくということなんですけれども、基本的には、これは局と監理団体で決めておるということなんだろうというふうに思います。
 それで、この目標の冊子を熟読しました。この冊子だけを見ているとよくわからないんですね。それで、過去の二年分をトータルで検証して、私はよく見たのですけれども、すると、やっぱり先ほど西沢委員がいっていたとおり、お手盛りなんじゃないか、こんな目標でいいのかという目標がたくさん出てくるわけであります。
 例えば、これ、私はちょっとゆがんだ性格をしているので、これはしっかりとこういったことをいっていきますけれども、東京都歴史文化財団の目標の中に、対象館における総合的な満足度というものがあります。二十七年の目標は、ことしの目標ですね、九〇%とされています。これは二十六年の目標と一緒なんですね。でも、資料では、去年の実績は九七%だったわけですよ、満足度が。つまり、二十六年は、九〇%満足度を頑張ろうといって頑張った、結果は九七%だった、目標は達成した。でも、二十七年も目標は九〇%とするとなっているんです。
 おかしいなと思って、過去の目標と実績を調べたら、これはずっと同じことを繰り返しているんですね。二十五年の目標は満足度九〇%、それに対して実績は九八・七%。二十四年は、目標九〇%、実績は九八・二%なんですよ。これ、何で目標を過去の実績よりも少ない目標にしなければいけないのかと。
 普通、九〇%の目標で九八%の満足度が出たといったら、それは九〇%でいいやということではなくて九五%にしよう、でも、それもクリアできた、そうしたら九八%を目指そうと、そういうことがあって、これはたゆまぬ自己改革がなされていくはずなんです。
 ですから、こういった目標が散見される。同じパターンでいくと、東京マラソン財団の東京マラソン参加者の満足度、これなんかも、実績よりも次の年の目標が低い。七四・一%の目標を立てたけれども、八〇・八%の実績をとった。でも、次の年も八〇%なんですよ、目標が。
 こういうことをやっていて、これは果たして、ことしは何がおかしかったのかな、ことし改善すべき点は何だったのかな、よし、では改革をして、次の年にはもっと上回れるように頑張ろうよと、そのPDCAサイクル、さっきおっしゃっていましたけれども、そのサイクルがこれで回っているのかというふうに思います。これは随所に見られるんですね。今のも一例です。
 もうちょっというと、毎年A評価の常連なのが株式会社東京スタジアムであります。これは味スタの運営をしているのですが、よく頑張っている企業だと、これはあらかじめ申し上げておきたいと思いますけど、ただ、目標の設定はどうなのかというと、経営の根幹となる経常利益率が指標となっていますが、これも過去三年間を調べると、二十四年の目標三・六%、それに対してのその年の実績は八・九%。非常によく頑張りましたよ。二十五年の目標はどうかというと、二・六%なんですよ。前年八・九%の実績をとってですよ。実績は一一・五%、非常によく頑張りました。では、その次の年はどうかといったら、また二・六%の利益率を目標にしている。実績は一二・九%、非常によく頑張りましたということで、それでまた、ことし二十七年の目標は二・九%、ちょっと上げてみたということで、これは達成できますよね。これなんかは、実態と目標がもう全然乖離しちゃっている、そんな目標設定なんじゃないかと。
 私は、東京スタジアムを所管するオリ・パラ局に、どうしてこんな設定をしているのかということを聞きました。聞くと、このスタジアムの運営というのは、コンサートが幾つとれるかによって大きくこの利益率が変わってくるんだ、そのコンサートがとれるかどうかよくわからない、だから、これは低目に設定しているんだみたいな話でしたよ。ぜひそれは話を聞いてみてください。
 それで、昨年の実績よりもかなり低い目標を立てている。それで、この中では、その目標を達成したと。達成した、達成した、だからA評価というようなことになっているわけであります。私は、これはやっぱり局と監理団体で目標を設定しているということの限界のあらわれなのではないかというふうに思います。
 そこで、総務局がこの数値に対して、どういうふうに突っ込みを入れているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 先ほど、スケジュールの中で、各局所管の監理団体、所管局の中で出てきたものを総務局が調整をするというふうに申し上げました。これは二カ月ほどにわたりまして、一つ一つの指標について、その妥当性について評価をするものでございますが、その年ごとの、例えば施設であれば工事があるかないかとか、あるいは先ほど満足度の話がございましたけれども、ただ、満足度というのは、やはり一定の高い水準を維持するということは非常に大切でございまして、九〇%の目標を維持するということは大変なことだというふうに思います。評価のとり方によっても変わる場合がございますので、傾向として、満足度的なものについては、九〇%をかなり高い水準というふうに我々は認識をしてございまして、そういった中での達成度というふうになってございます。
 その他、その工事の状況だとか、今、味の素スタジアムの例が出ましたけれども、そういった現実の現場、私も味スタにいたことがございますので事情はよく知っておるのですが、そういったものを総合的に勘案しながら目標設定をしていると。
 一方、逆に甘い目標があった場合には、差しかえとか、ほかに変わる目標があるんじゃないかということを具体的に提示をしたりしながら、二カ月間にわたって細かい協議をしているところでございますので、そのお手盛りという指摘は当たらないというふうに考えてございます。

○やながせ委員 いい答弁だったなというふうに思いますけれども、これ、満足度で九〇%は高いですよ、確かに。高いですよ。でも、ずっとそれをクリアしているんだったら、それはもう目標にならないですよ。それが今回、次の質問でも書きましたけど、これまで目標の数が一つの団体につき大体十個だったんです。それを絞って四つにしているんですよ。その四つの中にそんな目標を入れる必要はないですよ。毎年九〇%とっているんですから。なぜそれを入れる必要があるんですか、それも簡単にクリアできる目標を入れるというのはおかしくありませんかと、そういうことを私は思うわけであります。
 それで、今の味スタの話ですけど、これも別に工事があるわけじゃないんですね。工事があるわけじゃないんです。もちろん、工事があるから目標は低く見積もっているよというのは書いてありますから、それは私も読み込んでいますから、それはわかるんです。でも、そういう外的な要因もなく毎年低い目標設定をして、それをクリアしてAランクをつけている、こんなことが非常に多く散見されるわけであります。
 それで、私は、この局と監理団体で目標を設定していくということを、総務局が横から、これはだめだといっていくなんということは、なかなか難しいんじゃないかと。
 そこで、先ほど西沢さんもおっしゃっていましたけれども、この目標設定について、第三者による評価などを入れるということを検討した方がいいのではないかというふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 先ほどの答弁とかぶる部分も若干ございますけれども、これまで、都におきましても包括外部監査を導入するとともに、その結果を全ての団体で共有してございます。
 トータルでいいますと、三十三団体のうち二十五団体ですか、外部監査を受けておりまして、その受けた結果を全団体に共有するということで、包括外部監査の結果を生かしておると。そういう意味で、外部の視点を導入してきているということでございます。
 経営目標とその結果を公表し、都民にお知らせをし、一層の透明化を図っているということでございまして、そのような取り組みによって、いわゆる外部的な要素を取り入れた評価を行っているというふうに考えてございます。

○やながせ委員 これは第三者の評価を入れるとか、例えば議会が、これは報告事項になっていますけれども、都民の代表である議員がこういった評価にかかわっていくとか、そういった制度をぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 それで、先ほども申し上げましたけど、この目標設定を二十七年から変えるということで、従前と比較して、この目標数が少なくなっているんですね。その理由をもう一回聞きたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今までの制度では、都民・利用者、財務、内部管理、環境配慮行動のこの四つの視点から団体の経営目標の設定を行っていました。これらにつきましては、本制度の活用等による不断の改革により、各団体において自律的経営が促進され、一定の浸透が図られたものと考えております。
 今回の制度改正は、果たすべき役割の重要性が増し、これまで以上に都民目線に立った団体経営が求められている監理団体が、都民、都政へのより一層の貢献に資するように行ったものでございます。
 そのため、制度設計に際しましては、財務の視点はもとより、都民、利用者の視点を重視し目標数を絞ることで、一つ一つの目標の重みを増し、監理団体が当該年度に取り組む目標をより明確に示すとともに、その存在意義を都民にわかりやすく伝えるための明瞭簡潔な制度というふうにしたところでございます。

○やながせ委員 もう私、これははっきり申し上げると、四つの指標でそんな団体の評価なんかできないと思いますよ。例えば今、総務局さんがいらっしゃいますけど、総務局さんもいろんな業務があるじゃないですか。それを四つの指標で切れといわれて、達成した、達成していないと、それで本当に総務局の正しい評価というのはできるのかと。
 都民に向けて、わかりやすくアピールしなくちゃいけない、それは当然そうだと思います。そういった工夫はしていかなくちゃいけないと思いますけど、シンプルにしたからわかりやすいのかといったら、私は逆に、これはわかりにくくしているんじゃないかというふうに思います。
 やっぱりこれは、それぞれの団体によって、その指標は幾つもあっていいと思います。それは四つとか、十個じゃなくちゃいけないとかということではなくて、その団体の特性によって、幅広い事業をやっているところもありますから、その事業の特性によって、この目標の数を決めていく、そういう形を目指していただきたいというふうに思います。
 それで、この経営目標の一つの肝が、役員報酬がこれによって連動するというところであります。この役員報酬、トップ報酬ですね。トップの報酬が五%増、五%減と。五%増、変わらず、五%減という団体があるようですけれども、これをどのような基準で評価しているのか、その点について聞きたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 今、委員の方から目標設定のお話がございまして、先ほど満足度の話もございましたが、やはり利用者満足度というのは、その団体の経営、特に都民、利用者という視点から非常に重要な視点だというふうに思ってございまして、今回また、都政グループの一員ということで、都民、利用者の視点をより重視していこうという視点で改正を行いましたので、そういう意味で、都民、利用者という観点からの絞った形での四つの目標の設定ということについては、私は意義があるものというふうに考えておるところでございます。
 それで、先ほどの役員報酬の件でございますが、役員報酬につきましては、団体の経営評価、すなわちAからのDの四段階評価、都局長による理事長等の評価、すなわちSからDの五段階評価を総合的に判断してございます。局長による理事長等の評価につきましては、Sを抜群、Aを優秀、Bを標準、Cをやや劣る、Dを劣るという水準で評価しているところでございます。

○やながせ委員 先ほどおっしゃったこの満足度の部分は、私も大事なところだと思っています。ただそれが、じゃあ九〇%をとればいいだろうという、その目標の数値の設定の仕方がどうなんだということだと思いますよ。
 それは、毎年九八%とっているのを九〇%の目標を設定するというのではなくて、九八%を毎年とっているのであれば、少なくとも九八%にしよう、そういう数値目標をするべきなのではないかということで、その指標としては、都民の目線をしっかり入れていくと。満足度なわけですから、それは重要な指標なんでしょう。ぜひその数値を検討していただきたいというふうに思いますけれども、今の役員報酬が五%増、変わらず、五%減となるのに、各所管の局長がこの団体のトップの方を評価するわけです。その団体の方を評価する仕方がSからDまで、S、A、B、C、Dという五段階に分かれているということなんですけれども、この五段階の評価をどういう基準でつけているのかという、この点について聞きたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 基準、評価の目安というふうに考えますが、これは個人の評価にかかわるものでございまして、事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、公表はしていないところでございます。

○やながせ委員 これ、内部の評価をしているんじゃないですからね。これは、都がほかの団体の、監理団体ですけど、都と密接にある団体、といっても、ほかの団体のトップを評価するわけです。でも、どのランクで評価をつけたのかというのは未公表であると。SとA、聞きましたら、抜群か優秀か、標準、やや劣る、劣るというのが、S、A、B、C、Dなんですよね。
 それで、評価はできないですよね。多分、内規があって、それも公開できないということなんでしょうけど、やっぱりこれはしっかりと--団体のトップはほとんどが都の退職者ですよね。都民から見たときに、やっぱり天下りだという批判がされているわけですから、そのトップに対してどういう評価をつけたのかということは、しっかりと公表すべきだと思いますよ。この点についてはいかがでしょうか。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 役員の業績評価について、局長による理事長等の評価そのものを公表すべきだというご指摘かと思いますが、この役員の業績につきましては個人の評価そのものでございます。
 個人の評価は、一般的に公表されるべき性質のものではないというふうに考えておりまして、個人の評価、先ほど申し上げた評価の目安、こういったものは私どもは一体のものというふうに考えてございまして、繰り返しになりますが、事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、その観点も含めて公表はしていないというところでございます。
   〔「透明性はゼロなんだよ」と呼ぶ者あり〕

○やながせ委員 そうですね。
 それで、なぜこういうことをいうのかというと、各監理団体のトップというのはほとんど退職者なんです。退職者ということは、やっぱり自分がお世話になった先輩とか後輩とか、もしかしたら、いじめられた先輩かもしれないし、いじめた後輩かもしれないし、局長がそういう方の評価をするということになるんです。それが本当に適切な評価ができるのかと。普通であれば、僕が局長だったら、もう全員Sですよね、お世話になってきていますから。そんなDとかつけられないですよ。というふうに僕は思うわけです。うがった見方かもしれませんけど。
 それは都民もやっぱりそう思うのではないか。だから、そこはしっかりと公開をして、都はこういうふうな、この人に対しては、再就職をしたけれども、これだけ頑張っているから、だからSなんだよ、この人は、都から再就職したけれども、こんなミスを犯したからDなんだよと、こういったことをしっかり明らかにしていくことが大事なのではないかというふうに思います。
 そもそも私は、この経営評価の中で、団体の評価というものとトップの評価が分かれているということ、ここに大きな問題があるのではないかというふうに思います。普通、会社の経営がよければ、その会社のトップは評価されるんです。そうですよね。会社が破綻したら、その会社のトップの責任なんです。責任の所在はもう明らかなんです。でも、この目標管理制度だと、団体の評価とは別に経営者の評価をしているということで、例えば、団体がどんなにひどい業績になったとしても、トップに対してはSランクをつける、やりようによってはこんなことも可能なわけですね。多分、実態上はありませんということなんでしょうけど。また、どんなにいい、すばらしい業績を残した団体であっても、こいつは嫌いだからということでDをつけるということも、実態上はできてしまうわけであります。
 だから私は、団体の評価とトップの評価が分かれているというのは、やっぱりおかしくて、団体の評価イコールトップの評価ということで、局長が団体のトップをハンドリングしようとしているかのような、この恣意的に見られるような評価というのは、やめた方がいいんじゃないかというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 まず、監理団体の理事長等でございますが、これは、都での在職中に培った知識や経験を団体の経営に活用できる適切な人材を都の判断で推薦しているということでございまして、先ほど天下りという話がございましたが、都の監理団体はそれには当たらないというふうに考えてございます。
 それから、評価の観点でございますけれども、都庁では、もともと年功序列による人事を行っていないため、役職に応じ、自分よりも年長の職員を評価、指導する立場に立つということはごく一般的なことでございまして、また、悉皆での人事評価の研修等も受けてございますので、そういった恣意的な評価を我々がするということは全く考えてございません。
 その上で、本制度の適用によりまして、団体の経営改革、改善に向けた経営トップのリーダーシップのさらなる発揮を促すということとともに、トップに対する高評価が組織全体のモチベーションの向上につながるなど、インセンティブがこの制度によって働いている。また、先ほどのように都の判断で推薦をしていきますので、きっちりとその役割を果たしているかということを、この業績評価制度によって厳しく見るという、そういうこともございますので、この役員業績評価は今後とも必要なものだというふうに考えてございます。

○やながせ委員 るる申し上げましたけど、私はこの経営管理というのは、やっぱり経営の根幹をなすシステムだと思います。これがうまく回っていけば、どんどん自己改革はなされていくんですね。だから、民間も当然のようにやっているし、ただ、そこには当然、目標設定が確かなのかどうかということと、その評価の基準が曖昧ではなくて、しっかりとした判断基準があるという、この二つがそろって、そこでこのPDCAサイクルが回っていく。よし、じゃあ、ことしよりも来年は頑張ろう、去年より頑張ろうというようなモチベーションアップになっていくというふうに思います。
 私が見る限りでは、過去のものも見まして、この目標設定はやっぱりおかしい部分が多いと思います。ぜひこれは、来年はこのようなことがないように、厳しく総務局が見ていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○上田委員 やながせ理事、そして西沢副委員長の指摘は、まさにごもっともだなと思って、うなずきながら聞かせていただきました。同じ視点に沿いまして質問させていただきます。
 平成二十七年度におきましては、評価について、内部管理という文言を省いて日常の中で実施をするということでありますが、今までもるる、これまでの審査の中で指摘してきましたが、やっぱりこれ、日常といっても、身内の評価で、お互いに身内だけでやるのではないかということで、客観性がさらに損なわれるのではないかと思いますけれども、ご説明をいただければと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 内部管理は、人材育成や団体運営における費用対効果や効率性の発揮など、団体が内部で取り組む指標でございます。
 目標設定に内部管理の視点を追加した平成十八年度以来、各団体において自律的経営が促進され、一定の進展が図られたと考えております。
 新制度では、内部管理の視点はなくなってございますが、引き続き通常の指導の中で監督をしてまいります。

○上田委員 やながせ理事も指摘をしました役員報酬についてでございます。
 これについては、一応、建前上は、組織が違う外部であります局長がやるということで、監理団体理事長らに、経営方針を達成し、局長等が求めた水準を評価基準としているが、請求資料によれば、これは一三ページの16ですけど、同僚委員が指摘したように、局長級が監理団体にはずらっと再就職しているのが、もうこれで一目瞭然だと思います。ついこの間まで上司であった人間を冷徹に評価できるかどうかは、先ほどのやながせ理事と全く同じ見地で、私は非常に懐疑的だというふうに思います。
 この観点から、そもそも経験値の高い外部人材を採用することで、経営目標についても議論がありましたけれども、厳しく経営目標を立て達成をするとか、また、健全な第三者評価--これもご意見がありました。全く私もそのとおりだと思います--を局長等ができると考えます。全くの外部人材であれば冷静に判断をすることができるというふうに思います。
 監理団体への局長を初め幹部級職員の再就職そのものが、経営目標達成の阻害要因になっているのではないか、後輩が先輩を評価するというようなことで評価制度が担保できるのかというところにつきましてのご所見を改めて伺いたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 繰り返しになる部分もございますが、都庁では、先ほど来申し上げていますように、年功序列による人事を行ってございません。役職に応じ、自分よりも年長の職員を評価、指導する立場になるということは、現役時代から、もうよく一般的にあることでございます。
 また、都の管理職は、毎年しっかり人事評価の研修を受けており、適正な評価のノウハウ、こういったものは身につけてございます。変な評価をすれば評価をした側が問われます。
 という中で育ってきておりますので、今ご懸念の点は当たらないというふうに考えてございます。

○上田委員 これから地方財源についても議論がされていく中で、東京におきましても、渡さないというからには、中には、もう絶対に厳しい財政目標を立てておかなきゃいけないというふうにも考えております。
 都政グループということについては、私もこれまでの委員会の中でも、都民がそれを求めたのかなということを常々思っているところであります。チャレンジ目標というのもあるんですけれども、こういった見地からも、やっぱり費用対効果を鑑みた、チャレンジしないでいい、削減、撤退といった目標設定もあってしかるべきだと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 チャレンジ目標は、団体の存在意義を踏まえた、さらなる都政への貢献に資する目標を設定するものでございます。
 設定に際しましては、当該年度における事業等の成果を数値にて目標化できるものについて、過去実績等を考慮し、都民、利用者の視点からチャレンジに値する高い目標値を設定するというふうにしているところでございます。

○上田委員 都民、利用者の視点はすごく大事だと思うので、都民、利用者の視点が中で生きるというのは、やっぱり私は、都民、利用者である全く外部の人材は、まずは監理団体で登用してはどうなのかなというふうに思っております。
 そうした民間への委託あるいは民間に事業を担ってもらうなど、そもそも監理団体自体が必要なのかどうか。これはもう、中であるべき論で来ちゃっているので、そこで人事だ何だとかやっていますけど、そもそも今、要るのかなというような、この三十三団体自体の必要性、レーゾンデートルといいますか、存在意義についてのそもそもの議論というのは、必要かという考え方があるかどうか、お答えください。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体は、採算性等から市場に委ねられない業務を行う公共、いわゆる第一セクターの側面と、機動的に事業を展開しつつコスト重視に基づく効率的な経営を行う民間、いわゆる第二セクターの両方の側面をあわせ持っております。
 そのため、公益性、公共性を確保しつつ、都が直接実施するよりも効率的に、より高度なサービスが提供できる監理団体を今後とも積極的に活用してまいります。
 なお、外部の人材のお話がございましたが、外部からトップ等に人材を求めているという監理団体もあることを申し添えさせていただきます。

○上田委員 わかりました。
 公的なサービスに対する住民の期待はやっぱり大きくて、お役所に関係したところだからお願いしたいとか、信頼を持っているというような声もあるのはよくわかっているんです。そういう声もあるということも別に否定するものではございませんけれども、いずれにしろ、税金事業でございますので、続けるのであれば、東京都の政策と監理団体というのは、都政グループということで一心同体だというふうになっているところでございます。
 政策というのは、当然、整合性を持って進めていくべきだと思いますけれども、やはり東京都自体も十三兆円という非常に大きな世帯で、局も二十数局に分かれておりますし、さらに三十三も監理団体がありますと、末端神経まで血が通わないようなことが起こりがちではないかということで、ここではないのですけれども、ほかの都の外郭団体におきまして、都の指針と少し外れたような案件に私も遭遇しまして、いろいろと当局の方に改善をお願いしたこともあるようなことから、整合性を無視するような団体及び現場の誤った運用、あるいは政策を共有していなかった場合の対応について問いたいと思います。
 この件に関しては、一五ページの17、先ほどあった、首都大学の方でも議論になりましたこうしたセキュリティーの事故で、通達、どんなふうな指導が入っているかなというところで資料請求をさせていただいたので、ご参考ください。よろしくお願いします。

○三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を目前に控え、東京都長期ビジョンに掲げる諸施策の多くを支えるなど、監理団体の重要性はこれまで以上に増してございます。
 新たな課題や都民ニーズに対応していくため、都政の重要なパートナーである監理団体を、いわば都政グループの一員として捉え、幅広い連携を図っていくことは極めて重要と認識してございます。

○上田委員 私も当選以来、監理団体のあり方につきましては、常に問題意識を持って臨んでおりますので、今後も厳しい目で定点観測をさせていただきたいと思いますし、随時検証をしていただくことをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 人権指針についてでございます。
 人権意識の醸成に向けまして、資料一六ページの18ですね、悉皆で人権研修を実施したことについては理解をしておるところでございます。
 都庁内におけます職員同士の人権意識の高まりは大変重要でありますし、取り組みもしているようですが、一方、最も大切なのは、都民に対してのあらゆる接遇や配慮だと考えております。
 障害者、社会的弱者、LGBTなど今回も陳情も上がっていますけれども、言葉がけや対応、個別の配慮が必要な場合が見てとれます。都民に対しての接遇、例えば視覚障害者は言葉だけが情報となりますが、例えば東京都の窓口や投票所でほかの人に聞かれたくないような場合は、第三者に聞こえないような形式、少し離れて対応するなど、物理的な対応などが現場で必要となってくることもあります。
 人権指針に基づいた学びの中から、職員が自発的に配慮できる行動を起こせる、こうしたことに力がつく職員の人材育成につきまして、臨機応変な対応がすぐできるような、これはやはり日ごろの研さんだと思いますので、こうした人材育成についてのご所見を伺いたいと思います。

○箕輪人権部長 行政の仕事は人権に深いかかわりを持つことから、都職員は、日ごろから都民一人一人の人権に配慮した行動、言動を身につける必要がございます。
 そこで、都では、人権意識の醸成を職員研修における重点事項として位置づけ、全職員を対象に人権研修を実施しております。研修に当たりましては、身近な事例を通してグループ討議を行うなど、職員がさまざまな場面で相手に配慮した行動を自発的にとれるよう、内容に工夫を凝らしております。
 これらの取り組みにより、東京都人権施策推進指針に掲げた人権に関するさまざまな課題への理解を深めるとともに、職員の豊かな人権感覚の醸成を図ってまいります。

○上田委員 大いに職員が率先して進めていくことを期待したいと思います。
 実は昨日、アメリカの州議会議員の上院議員さんと下院議員さんが都庁に視察においでになりまして、対応させていただきました。アジア系の州議会議員ということでありまして、ベトナム系、日系、チャイニーズ系といった、さまざまな人種の議員もいらっしゃいました。
 また、ことしは、私もママ友といいますか、お母さん仲間として一緒に政策の勉強をしてきました聴覚障害者の斉藤りえさんも北区議会議員になりまして、議会から人権といいますか、そうした障害者の議員に対する配慮というのも動き始めておりまして、これから人種も非常に多様な東京になっていき、そこで働く人たちも、あらゆる人種や障害を抱えた職員はもとより、議員においてもふえていくこととなります。
 こうした人権意識というのは、時代によって変わっていくものでありましょう。私ども女性におきましては、先輩たちによりまして男女雇用機会均等法、こうしたもので私たちも育休をとれたり、この場にいて発言ができるようになってまいりました。
 常にそれを聞き取ることは、都民の当事者の声を聞いて、またこの指針を随時刷新していく、アップロードをしていくことが大事と思われます。そして、努力を重ねた結果、いつか、指針がないと差別が起こるような時代があったねというような東京になっていただくことを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十一分散会

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