総務委員会速記録第四号

平成二十七年三月十九日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長栗林のり子君
副委員長西沢けいた君
副委員長中屋 文孝君
理事やながせ裕文君
理事徳留 道信君
理事早坂 義弘君
清水 孝治君
上田 令子君
栗山 欽行君
高倉 良生君
田島 和明君
ともとし春久君
山下 太郎君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長中西  充君
危機管理監宮嵜 泰樹君
次長理事兼務中村 長年君
総務部長榎本 雅人君
尖閣諸島調整・特命担当部長野口 毅水君
訟務担当部長和久井孝太郎君
復興支援対策部長川合  純君
復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務赤木 宏行君
行政改革推進部長三木 暁朗君
自治制度改革推進担当部長奥田 知子君
情報システム部長中島  毅君
首都大学支援部長伊東みどり君
人事部長内藤  淳君
労務担当部長栗岡 祥一君
主席監察員大朏 秀次君
行政部長西村 泰信君
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務佐々木秀之君
区市町村制度担当部長越  秀幸君
大島災害復興対策担当部長神山 智行君
総合防災部長矢岡 俊樹君
企画調整担当部長裏田 勝己君
防災担当部長小久保 修君
統計部長中村  豊君
人権部長箕輪 泰夫君
選挙管理委員会事務局局長松井多美雄君
人事委員会事務局局長真田 正義君
任用公平部長津国 保夫君
試験部長森山 寛司君
審査担当部長小澤 達郎君

本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十七号議案 東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十八号議案 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 平成二十七年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 平成二十七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第三十号議案 東京都行政手続条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十五号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十六号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第百十一号議案 包括外部監査契約の締結について
・第百十二号議案 昭島市と福生市との境界変更について
・第百二十一号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・小笠原諸島振興開発計画について
・平成二十七年度都区財政調整の概要について
・東京の防災プランについて
・東京都国民保護計画変更案について
・都庁組織・人事改革ポリシーについて

○栗林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局及び総務局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分及び第三十七号議案を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○津国任用公平部長 二月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。局長級職員が就任している都以外の役職と根拠法令、それに伴う報酬額でございます。
 人事委員会事務局長の都以外の役職につきまして、団体名、役職名、根拠法令、報酬額を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 資料の提出、ありがとうございました。
 特に問題がないことを確認させていただきました。人選及び報酬につきましても、ないということでした。
 それではまず、人件費問題や職員の待遇についてお伺いします。
 予算特別委員会で、現在、都政の財政運営が今まさに議論されているところであります。私どもは、東京都議会会派の中で唯一、第四回定例会へ付託された職員給与条例一部改正条例、いわゆる総額二百二十六億円の賃上げ議案に反対させていただきましたことからも、常に人件費については着目をしているところであります。
 そこで、人件費の適正化についてお伺いいたします。
 初めに、今後は、給与、諸手当の適正化をどう求めて推進していくのか、お示しください。

○津国任用公平部長 人事委員会ではこれまで、職員給与につきまして、国や他団体との制度的均衡を図りつつ、その水準については、民間給与水準との均衡を図ることを基本として公民較差の正確な算定とその確実な解消を図っており、国が引き下げを見送る中でも、毎年度引き下げ改定を行うなど、きめ細やかに対応してまいりました。
 また、職責、能力、業績等の給与への反映などの観点から、給料表の構造や諸手当の見直しにつきましても、必要な勧告を行ってきたところでございます。
 本年度も同様の観点から勧告を実施するとともに、今後の課題として、職責や能力、業績の給与への反映や、生活給的、年功的要素の抑制等のさらなる推進を挙げており、今後、これらの点について必要な検討を進めてまいります。

○上田委員 また総務局の方でも伺わせていただきますけれども、財政効果も図れたような実績があるということで、人事におきましても厳しく見守っていっていただきたいというふうに思います。
 一方で、今、ベアが紙面を、アップしたということで民間の方でるる報道されているところでございますが、非常勤職員についてです。
 正規職員の給与の高さが指摘される一方で、各局採用の非常勤職員は給与が低く、任用期間が短く、生活が安定しないとの声があります。月給は二十万円程度に届かず、正規職員並みの業務や、職場によっては、時にいわゆるサービス残業までしなければ仕事が終わらないと仄聞しております。
 また、これが事実であるとして、常態化している職場があるとすれば、いかなる方法で適正化していくのか、ご所見をお示しください。

○津国任用公平部長 個々の職務に対してどのような任用、勤務形態の職員を配置するかは、効率的かつ効果的な執行体制の確保等の観点から、その職務内容及び業務量に応じて任命権者が判断しております。
 また、非常勤職員の勤務条件につきましては、個々の職務内容を踏まえ、その実態をより具体的に把握している任命権者が適切に定めております。
 人事委員会といたしましては、非常勤職員の取り扱いについて、今後とも、任命権者の対応を注視しながら適切に対応してまいります。
 なお、正規職員の給与の高さが指摘されるとのご発言がございましたが、職員給与につきましては、先ほど申し上げましたとおり、民間給与水準との均衡を基本として、民間の給与実態等について調査を実施し、公民較差を正確に算定した上で、その結果等に基づき較差の確実な解消を図ってきており、人事委員会といたしましては適切な給与水準であると考えております。

○上田委員 適切な給与水準ということは、たしか事務事業でもご答弁いただきました。
 職員給与は民間準拠が原則ということは承知しているところでございます。ことしの春闘でも、先ほどいったように、大企業を中心に大幅なベアが見込まれ、一時金もアップする一方、中小零細企業、江戸川区も非常に多いんですけれども、ベアなんてとてもできないという声があって、較差はしばらく開いていくというように思います。
 民間といっても、事務事業でもいわせていただきましたが、やっぱり上場企業と中小零細企業ではかなり、民間間でも格差があるというふうに思っております。民間においての所得格差が大きくなったときに、職員給与にはどのように反映されるのか、基本的な考え方と、勧告に至る流れをいま一度お示しください。

○津国任用公平部長 人事委員会では、地方公務員法の規定を踏まえつつ、給与水準については、民間企業等との均衡を図ることを基本として、毎年度、大企業に限らず、中小企業を含めた都内の五十人以上の民間事業所を対象に、その給与支給金額等について調査を行い、その結果等を総合的に勘案して、知事及び議会に対し勧告を実施しているところでございます。
 また、公民較差の算定に当たりましては、民間の給与実態をより適切に反映できるよう、調査結果等をもとに、民間と公のそれぞれの役職段階や年齢等が相応する者同士を比較しております。
 来年度の勧告に当たりましても、この考え方を基本に必要な調査検討を行ってまいります。

○上田委員 きのうの青少年・治安対策本部の同僚委員が取り寄せた資料でも、子供の貧困が進むということはお母さんの貧困ということで、江戸川区の平均世帯収入といいますか、三百万円前後というふうになっております。そういった実態も踏まえまして、勧告に従わざるを得ないということではあると思うんですけれども、しっかりと調査の視野を広めていっていただきたいと思います。
 そうした中で、やはり子供の貧困はお母さんの貧困、大抵シングルマザーになってしまいまして、そしてまた、女性の貧困ということの中で、東京都の女性管理職は一五%ということで、これ、国家公務員における女性管理職割合は三・三%、都道府県平均の七・二%に比べても倍以上という、大変優秀な結果だと思います。
 また、厚生労働白書の平成二十五年の雇用動向調査の全体の離職率は平均一三%でありますが、東京都の女性職員は三%を推移し、余り男女差がなくて、著しく離職率が低いということでございます。これは、人事委員会が、政府やほかの地方自治体以上に、本来の人事監督機関としての役割を果たしてきたことだと評価させていただいております。
 とはいえ、女性管理職はまだまだ一五%で、舛添知事ももっとふやしていこうという機運の中、昇進試験のさらなる受験率の向上、動機づけについて、新年度に向けたお取り組みをお聞かせください。

○森山試験部長 人事委員会ではこれまで、筆記試験の前倒し受験や、一定得点以上で翌年度以降の受験を免除するなど、職員が昇任選考を受験しやすい仕組みを導入してまいりました。また、管理職等の魅力のPRにも努めてまいりました。
 来年度に向けましては、これらの取り組みに加えて、出産や育児を理由として昇任をちゅうちょする職員が多いという状況を踏まえ、出産や育児を経験した女性管理職、係長による座談会を初めて開催いたしました。この座談会での仕事と育児との両立などの経験談を職員向け情報サイトで広く紹介し、女性職員の昇任に対する不安の軽減に努めたところでございます。こうした取り組みによりまして、昇任選考における女性職員の申込数は増加傾向にあります。
 今後とも、女性職員の受験促進に取り組んでまいります。

○上田委員 ぜひ推進していただきたいと思います。
 私自身も、結婚しますと、子供が保育園に入る、学校に行くということで、保育や教育、福祉の分野に視野が広がりまして、それがまた都民への接遇あるいは新しい行政事業への発想、アイデアにつながっていくと思いますので、ぜひ女性職員の--また、リーダーになって責任を持つと、実は自由度も本当はふえるということも、女性職員自身にも知っていただきたいと思いますので、さらなる取り組みを求めるものでございます。
 続きまして、ハラスメント防止など労働環境の整備についてお伺いいたします。
 苦情相談が初期のうちにできやすい、問題が発生すれば進退、出世に影響なく物が申せる、相談ができる風土づくりができているかどうか、伺いたいと思います。
 何か職場間のトラブルを抱えたときに、公平審査が誰しも受けられるという職員への周知徹底は、例えば入都式のときに資料を渡すとか、いろいろあるとは思うんですけれども、どのようになされているのか。都庁全員の職員が公平審査というものを知っているのかなというふうに思ったことから、お尋ねしたいと思います。周知徹底についてお答えください。

○小澤審査担当部長 公平審査制度や苦情相談制度は、いずれも地方公務員法に基づく制度でございまして、それらは地方公務員に係る基本的な知識であるというふうに認識しているところでございます。
 その上で、人事委員会としては、公平審査制度について、ホームページにおきまして、制度の概要、手続の流れ、要求の書式を周知しているところでございます。あわせて、苦情相談につきましても、同様に周知しているところでございます。

○上田委員 そのような過程の中で、同じ職場の人間にはいいたくないなど、直属の上司がまさにそのトラブルの原因だということもあるかと思いますが、そのあたりの情報管理の配慮はどうなっているかということ、人事委員会事務局の人事体制、情報管理についてご説明ください。
 また、相談から解決、相談からなかなか解決に至らず公平審査までの流れの中で、問題が起きないための仕組みづくりについてもお伺いします。

○小澤審査担当部長 まず、苦情相談は匿名で行うことも可能でございます。また、相談者の承諾がなければ、相談者の氏名や相談内容を所属等に伝えることはございません。苦情相談や公平審査に関する情報は極めて機密性の高いものでございますから、関連する部署以外に漏れることがないよう、徹底した管理を行っております。
 また、公平審査の流れの中で生じますさまざまな情報は、当事者間で共有されるものも多いため、当事者双方に情報の重要性を踏まえて取り扱いに十分留意するよう周知し、適切な管理を徹底するよう指導しているところでございます。
 さらに、受け付けの際には、相談や要求の内容を丁寧に聞き取って、趣旨に即した適切な対応を行っているところでございます。

○上田委員 承知いたしました。すぐに相談並びに公平審査ができる環境が整っていて、守秘義務といいますか、情報についても、しっかりと守られているということを確認させていただきました。
 そういった中で、事実認定がされる一方で、それとはまた違う形で、相談の段階で、相談者の方に精神的なケアが必要と認められる場合もあるかと思います。そうした場合の対応や関係機関との連携についてお示しくださいませ。

○小澤審査担当部長 精神的な悩みなど、相談内容によりましては、他の相談窓口の方がより適していると考えられる場合がございます。そういった場合、申立者の要望があれば、専門機関への相談などをアドバイスしているところでございます。
 ただし、あくまでも申立者の要望を踏まえて行うものでございまして、人事委員会の判断のみによって、他機関と共同してそういった問題に対応するといったことはございません。

○上田委員 承知いたしました。
 給与の問題と、また労働、特に女性とか弱者と呼ばれるような人たちへの対応につきまして、非常勤も含めて、しっかりと人事監督機関としての役割を果たしていることを確認させていただきました。
 新年度に向けましても、この取り組みを安全・安心に--東京都が、やはり都道府県でトップということで皆さんも注目されていることから、人事委員会の役割も大きいと思います。期待を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたします。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○栗林委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分及び第三十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松井選挙管理委員会事務局長 去る二月十六日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、局長級職員が就任している都以外の役職についての一ページをお開き願いたいと思います。
 選挙管理委員会事務局長が就任しております都以外の役職、根拠法令等及び報酬額をお示ししてございます。
 よろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○徳留委員 それでは、第三十八号議案、選挙管理委員の報酬及び費用弁償の一部を改正する条例にかかわって質問をさせていただきます。
 まず最初に、各都道府県の選挙管理委員の報酬の支給方法はどのようになっているのかをお伺いいたします。

○松井選挙管理委員会事務局長 各都道府県の選挙管理委員の報酬は条例で定められておりまして、都におきましては、東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例で定めているところでございます。
 報酬の支給方法は各都道府県によって異なっておりまして、月額で支給している団体、日額で支給している団体及び月額に勤務日数に応じた日額を加算して支給している団体がございます。

○徳留委員 東京都の選挙管理委員の活動の実態がどのようになっているのかについて、お伺いいたします。

○松井選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会は、原則として月二回の定例委員会を開催しております。そのほか、必要に応じて臨時委員会を開催しております。
 委員会では、選挙の管理執行等に関する事項について審議を行っております。
 選挙執行時には、臨時委員会を開催し、選挙執行計画の決定や選挙長の選任等を行っております。また、投開票日当日には、夜間にも臨時委員会を開催しております。さらに、選挙後には、当選人への当選証書付与を行っております。
 そのほか、委員会では、各区市町村の投開票状況の現地調査、不在者投票指定施設の現地での状況調査、常時啓発、選挙時啓発に係る行事への対応、各種会議やイベントの開催、出席など、活発に委員会活動を行っているところでございます。

○徳留委員 今、選挙管理委員の給与の仕組みやその実態についてお話がありました。
 いただいた資料で見ますと、東京都が一番高くて、全国で最も高い五十二万ですが、最低は、月額でその三分の一、四分の一のところもあります。月額と日額の両方で仕組みを持っているところ、あるいは日額だけのところがありますので、各県の選挙管理委員がどのくらいの報酬をもらっているかというのは必ずしも判断できませんが、原則二日として、東京などは五十二万だとすると、日額二十六万ぐらいということになりまして、都民の常識から見て、本当にこれでいいのかという声が聞こえてきております。
 そこで、都の選挙管理委員の報酬改定の仕組みはどのようなものなのか、また、最近の改定はどのような傾向なのかについてご報告いただきたいと思います。

○松井選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員の報酬は、東京都特別職報酬等審議会の答申を参考にいたしまして改定を行っております。
 平成に入ってからの改定の状況を申し上げますと、平成八年度までは増額改定、十六年度に減額改定、十八年度に減額改定、二十二年度から二十六年度まで毎年度減額改定ということになっております。

○徳留委員 ただいま、報酬の実情や活動の中身、それから報酬改定の仕組みや傾向についてお話をいただきましたが、我が党としては、今回の報酬や費用弁償の改正については賛成ではありますけれども、かつて数年前に、都民から選挙管理委員の報酬のあり方について訴訟が起きました。その訴訟の根拠は、地方自治法二百三条の二の第二項の趣旨を逸脱しているのではないかというのが大きな根拠でありました。
 それは、原則月二回という出席だとすると、委員長が二十六万、それから委員が二十一万数千円になる、こういう報酬でいいのかというのが一つの論点でありました。それから、国の非常勤委員との報酬の比較からしても、何倍もの報酬を受け取っているけれども、それはいいのかということで裁判が行われました。
 結果としては、この訴訟は退けられましたけれども、今後の問題として、今、都民の暮らしの実態、それから行政委員の活動の実態などを踏まえたときに、検討する必要がある状況ではないか、今後、見直しを含めて検討すべきではないかという意見を述べて、私の質問を終わります。

○西沢委員 私からは、平成二十七年度の一般会計予算について、ホームページについて取り上げさせていただきたいと思います。
 選挙管理委員会の予算は、選挙がある年は大きく膨らむというのはうなずけるわけでございますが、来年度予算の中において膨らんでいる部分は、これはホームページのリニューアルを考えているということで来年度予算が計上されているという説明が当委員会の中でもありました。
 そこで、このホームページをつくっていくに当たって幾つか質問したいと思いますが、ホームページは、私どもは、選挙結果であったり選挙速報であったり、それから収支報告書であったり、大変なじみのあるものとして、よく拝見させていただくわけでございます。
 そうした中で、情報公開に基づいて必要な情報を拝見させていただけるという今の役割は、私としては十分に果たしているのではないかと思うわけでありますが、今回なぜリニューアルを行うのかということ、そもそもホームページはどのような役割があってということでございますが、再構築するに当たってどのようなことを考えているのか、まず最初にお伺いさせていただきます。

○松井選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会の公式ホームページは、平成十一年に作成し、現在まで基本的に大きな変更を行わずに運用しております。
 ホームページの内容は、先生のおっしゃるとおり、投票率や得票数など選挙結果のデータ、都内各区市町村の選挙スケジュール、政治団体の収支報告書、選挙QアンドAなど、多岐にわたるデータやイベントなどのトピックスなどであります。
 今回の再構築は、これまでのホームページをより見やすいデザインに設計したり、データやコンテンツを統一の規格にするなど、都民がより見やすく、使いやすいホームページとするものでございます。

○西沢委員 確かに今ご答弁いただいたように、より見やすくということでございますけれども、平成十一年につくられているというところから、バナーであったりとか、フォントのサイズであったりとかが、少しばらつきがあったりとかというところがあろうかと思います。そうしたところのデザインを変えていくというようなところはうなずけるところでございますので、見やすいようにやっていただくように、改めて私からも要望させていただきたいと思います。
 それでは、再構築は来年度中ということでございますが、スケジュールは今後、どういった形で進めていくのかお伺いいたします。

○松井選挙管理委員会事務局長 ホームページにつきましては、選挙、政治団体、政治資金、啓発など、掲載しているコンテンツが多岐にわたりますが、その表示を統一の規格とするため、事務局内の各課の担当職員でリニューアルに向けたプロジェクトチームを設置し、仕様の詳細を検討いたした上で決定したいと考えております。
 その後、具体的にページを作成する作業を行いまして、本年中にはリニューアルできるよう取り組んでまいります。

○西沢委員 本年中ということで、統一地方選挙の後になるんだろうということがわかりました。
 最後に、選挙管理委員会さんのホームページ、他の道府県なんかもそうですけれども、選挙QアンドAであったりとか、それから、政治家の寄附は禁止ですというようなコンテンツがあろうかと思います。選挙になりますと、さまざまな公職選挙法の解釈というものが、一般の有権者の方々からしてもわかりづらいというところがあるんだと思います。
 特に最近は、インターネットの普及やスマートフォンが普及することによって、さまざまな選挙のツールというものもふえてきたり、政治活動のツールもふえてきていると思います。
 そうした中で、情報も多様化していく中で、わかりやすいQアンドAとか、収支報告書がどういったものなのかというのを、この都選管のホームページを見ればある程度わかるよというところを私は充実してほしいと思うわけですが、この見直しについてはいかがでしょうか。

○松井選挙管理委員会事務局長 今回のホームページのリニューアルを機にいたしまして、それぞれのコンテンツの掲載内容についても同時に見直しを行います。
 おっしゃっております選挙QアンドAに掲載する内容は、選挙や政治資金について、各法令、制度の周知を目的としておりまして、今回のリニューアルに伴い、全般的な掲載内容のブラッシュアップに努めてまいります。

○西沢委員 ブラッシュアップに努めていくという力強い答弁をいただきました。
 先ほどもいいましたけれども、私たち議員を含めて都民の皆様により広く知っていただくために、なかなかわかりづらい--私たちの選挙はチラシも配れないというようなところがあったりしますから、そうした中で、それはなぜなのかというのは、選挙管理委員会のホームページでも広くわかりやすく--わかっていくというようなことがあると、より活動もしやすくなりますし、理解も深めていただけるというように思います。
 改めて、このリニューアルに伴い、掲載内容のブラッシュアップをきちんとしていただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。

○上田委員 まずは、選挙事務運営協議会の各部会報告についてお尋ねしたいと思います。
 統一地方選挙も迫ってまいりました。選挙管理委員会においては本領発揮のシーズンとなっておりまして、大いに日ごろ蓄積された実力を発揮していただきたいと思います。
 さて、平成二十七年一月に公表された東京都選挙事務運営協議会の部会報告についてですが、昨年度の検討結果を今後どのように実現されていくのかについて、まずお示しいただきたいと思います。

○松井選挙管理委員会事務局長 東京都選挙事務運営協議会は、東京都及び区市町村における選挙事務の改善を図り、相互の連携を密にすることを目的に設置され、選挙事務に関する事項の調査研究及び改善に関する協議を行っております。
 この協議会では、毎年一月から十二月にかけて課題に関する検討が行われ、十二月下旬に開催される協議会の総会において、各部会から検討結果が報告されております。
 昨年の協議会は三部会に分かれまして、第一部会が不在者投票指定施設における外部立会人の導入、第二部会が選挙執行経費の節減、第三部会が若年層啓発における教育機関との連携について検討が行われました。
 各部会から報告された検討結果を踏まえまして、東京都選挙管理委員会と区市町村選挙管理委員会が連携を図りつつ、今後の選挙事務に反映されるよう取り組みを進めてまいります。

○上田委員 若年層啓発における教育機関との連携は、ちょうど事務事業質疑でも私が取り上げたテーマであり、その後の成果を期待したいと思います。
 検討課題に関する今年度の現時点での進捗状況もお伺いいたします。

○松井選挙管理委員会事務局長 東京都選挙事務運営協議会では、例年、総会を十二月下旬に開催し、検討結果を取りまとめております。昨年は、十二月に衆議院の解散総選挙が行われたことから、総会はことしの一月三十日に開催され、各部会における課題の検討結果が報告されました。
 各部会から報告された内容につきましては、各区市町村におきまして、それぞれ対応が進められているところでございます。

○上田委員 選挙は、本当に一票で泣き笑いが大きいというところで、研さんにいとまなくやっていらっしゃるということが見られるところでございますが、そもそも、選挙事務運営協議会の各部会報告における検討課題なんですけれども、どうやって選定するのか。今年度の検討課題についてもお尋ねいたします。

○松井選挙管理委員会事務局長 東京都選挙事務運営協議会における検討課題につきましては、区市町村選挙管理委員会に対して行うアンケート調査に基づきまして課題を選定し、総会において翌年の検討課題として決定されております。
 ことし取り組む検討課題といたしましては、一月三十日に開催された総会におきまして、第一に障害者の投票環境の向上、第二に投票事務及び開票事務の管理執行、第三に若年層を対象とした選挙時啓発の取り組み、以上の三課題が決定されたところでございます。

○上田委員 いずれの項目も、非常に私も注目しているところでありまして、障害者の投票環境の向上や、さっきもいいました若年層を対象とした選挙の常時そして選挙時の啓発の取り組みなどは、委員会質疑や文書質問でも重ねてきたところであります。東京都にも求めてきました。的を射た課題であるとうれしく思っております。
 次に、来年度予算の目玉でありますホームページの刷新でございます。
 別途取り寄せた資料では、選挙管理委員会のホームページアクセシビリティーの対応状況は、まだ実施されておらず、これも後の総務局での資料で要求したものなんですが、平成二十二年度、東京都の報告団体であるところへ発注して、その後、民間になったようなのですが、随意契約でずっと今まで来ております。というような経緯もありますことからも、刷新におきまして--平成十一年、うちの息子が生まれた年、今度高校生になるというような感じで、今ちょっとびっくりしたところではございますが、改善を願っているところでございます。
 障害者の選挙への参加という観点から、都外施設にいらっしゃる障害者対応や投票所のあり方についても文書質問で確認させていただいておりますが、その中で課題認識を持ったのは、選挙公報がPDFで上がっておりまして、視覚障害者がその情報を得ることができないのではないかなということでございます。
 PDFは読み上げ機能が可能かどうか、現状についてお尋ねいたします。

○松井選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会が実施いたします国政選挙、都議会議員選挙及び都知事選挙におきましては、選挙期間中に開設する特設ホームページに選挙公報をPDFファイルで掲載しております。
 このホームページに読み上げ機能を付加し、選挙公報の内容を音声情報により提供することにつきましては、立候補者の氏名等さまざまな文字情報を正確に読み上げることが可能か、立候補者が多数となる場合や、公示日、告示日から投票日までの期間が短い選挙におきまして、選挙期間中に正確な音声情報を提供することが可能か、文字数の違いから立候補者ごとの読み上げ時間に長短が生じることで、立候補者間の公平性に問題が生じる可能性はないか、イラストなどの視覚に訴えるものの音声化が非常に困難であることなど、解決すべき課題が多いものと考えております。

○上田委員 まだまだ、技術的な課題をクリアするまでいましばらく時間がかかることがわかりました。引き続き注視したいと思います。
 さて、衆院選の後、政見放送情報、プレス向けのニュースが載っていたんですが、事務事業質疑の質問づくりの参考にしようと思ったらば、結構すぐに削除されていたというような事実がありました。
 それで、あっと気づいたんですが、ホームページの通知、ニュースですよね、新着情報をアーカイブ、ストックはされていると思いますけれども、そのルールにつきお示しください。
 また、先ほどの選挙公報の話ですが、できれば過去のものをホームページ上に残していただきたいなと考えているものなのですが、すぐにこれも削除されていて、見るとすると、選挙のあらましでしたか、選挙管理委員会から出す冊子でしか見ることができないので、ぜひホームページ上で過去の公報を残せればなというふうに思っております。残せないとすれば、その見解をも教えていただければと思います。

○松井選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会の公式ホームページには、主なプレス発表資料を新着情報ということで掲載いたしまして、これは一年以上閲覧が可能な状態にしております。
 一方、選挙時には特設のホームページを開設いたしまして選挙公報等を掲載しておりますが、これにつきましては、投票終了後に選挙公報のデータを削除いたします。また、選挙終了後には、特設ホームページは閉鎖しております。
 選挙公報は、選挙期間中に選挙管理委員会が主体となって行う選挙運動の一部でありまして、総務省の質疑応答集において、ホームページへの掲載期間は投票日当日までとすることとされております。
 また、選挙の期間を超えてホームページ上に掲載を続けることは、誰でも閲覧が可能であることから、事前運動の可能性もあると考えられます。

○上田委員 そうですね。紙ベースでもあるからホームページでもとは思ったのですが、事前運動という……。もともと公選法が玉虫色というか、解釈がどうとでもとれる中で、一度出たものとしては、私はぜひ掲載していっていただきたいなと思いますが、研究を進めさせていただきたいと思います。
 また、見れなくなったのは、特設ホームページは削除されるということが理解できましたので、ありがとうございます。
 それでは、来る統一地方選に向けて直近の衆院選がありました。事務事業質疑で、常時啓発、選挙時啓発の取り組みについては、時節や世代、対象に合わせたアイデアをもって実施をされていることは確認させていただいておりました。
 衆議院選挙を終えてのそれらの今までのお取り組みについての成果と課題について、ご所見を伺います。

○松井選挙管理委員会事務局長 啓発の取り組みでございますけれども、まず常時啓発の取り組みを幾つかお示ししたいと思います。
 まず、未成年の児童生徒に選挙の重要性を伝える模擬選挙や出前授業、小学生、中学生、高校生を対象としたポスターコンクール、ポスター展、ツイッターやホームページによる選挙に関する情報の継続的な提供、NPO法人等の若者啓発グループとの連携、選挙フォーラムでのシンポジウムなどを実施いたしました。
 昨年十二月の衆議院選挙の際には、メッセージツリーイベント、都庁ライトアップ、特設ホームページの開設、コンビニレジ画面への広告掲出、割り箸の箸袋広告による大学生等への周知、ティッシュペーパーの配布、選挙広報用ポスターの車内づりや駅張りの広告、懸垂幕、横断幕の掲出など、さまざまな啓発事業を実施いたしました。
 今回の衆議院議員選挙は、全国的に見ると、戦後過去最低の投票率五二・六六%でございましたが、東京都では、全国の投票率を一・七ポイント上回る五四・三六%ということで、これは全国順位といたしましては十五位でございました。
 今後とも、選挙に関する啓発に取り組み、投票参加の意識が高まるよう努めてまいります。

○上田委員 投票権を国民が全て得るまで、大変な先人の苦労があったので、本当に涙ぐましい努力をしないと来てもらえないという問題、特に私の選出の江戸川区は都内最低の投票率というふうになっておりますので、これからの統一地方選挙についても私でもできることは--知事選がなくなってしまったのでちょっと投票率が心配なところでありますけれども、都議会も一丸となって、投票率アップに向けて努力をしてまいりたいと思います。
 そして、選挙となりますと、選管には多くの問い合わせ、違法を疑われる声の通報もあると存じます。警告は警察の管轄であることは承知しておりますが、選管が担います撤去命令などの状況につきまして、区市町村別の件数、内容、内訳についてお示しください。

○松井選挙管理委員会事務局長 公職選挙法では、選挙の公正確保のため、違法な文書図画が速やかに撤去されるよう、選挙管理委員会から掲示責任者に対して撤去命令を行うことができる旨規定されております。
 昨年実施されました衆議院議員選挙に関連して、都内で発せられました撤去命令の件数は全部で九十二件でございます。区市町村別で見ますと、中野区が十八件、世田谷区が十七件、足立区が十三件などとなっております。
 また、内容別に主なものといたしましては、立候補者の氏名が記載されている政党等の政治活動用ポスターが公示日翌日以降も掲示されていたものが五十三件、立候補者個人の政治活動用ポスターが解散日の翌日以降も掲示されていたものなどが三十六件でございました。

○上田委員 あわせて、区市町村選管にあった都民からの区市町村別通報件数と、東京都にあった通報件数についてもお示しくださいませ。

○松井選挙管理委員会事務局長 選挙時は、選挙の実施に関して、東京都選挙管理委員会や区市町村選挙管理委員会に対して、都民や報道機関、立候補者等から通報や問い合わせ、苦情等、極めて多数の情報が時々刻々と寄せられております。その内容も実にさまざまで多種多様でございまして、中には、選挙管理委員会所管ではなくて、警察において対応すべき事例も数多く寄せられております。こうした状況の中で、ポスターなどの文書図画に関する通報件数について把握することは困難でございます。
 なお、通報された内容といたしましては、ポスターやビラに関するものが多いと思われます。

○上田委員 ホームページも刷新されることで、内容も充実して、そちらで見て解決ということで通報が減ることを期待するものであります。
 あと、これらの件に関して区市町村の運用なんですが、区市町村によっては、先ほどいったポスター類の撤去における運用の差がどうもあるように見受けられます。
 東京都選挙管理委員会としては、各区市町村選管に統一基準をもってどのような指導、助言をしているのか、していくのか、お示しください。

○松井選挙管理委員会事務局長 区市町村選挙管理委員会に対する指導、助言といたしましては、区市町村選挙管理委員会の職員を対象とした研修会及び各種選挙の前に開催する事務説明会等におきまして、公職選挙法に規定される違法な文書図画の取り扱い等につきましても周知を図っているところでございます。
 今後とも、選挙の公正を保持するため、さまざまな場を活用いたしまして区市町村選挙管理委員会に働きかけを行ってまいります。

○上田委員 ほかの選挙区の応援に行くと、ここまでやって大丈夫なのか、オーケーとか、多分ここにいる委員の皆さんもかなり経験があると思うんですが、オーケーな部分とだめな部分の温度差があるようなので、選挙区で対応が違うというのは非常に--ぜひ、候補者にとっても応援する人にとっても不利にならないようなご指導をお願いしたいと思います。
 最後に、選挙権年齢の引き下げに向けた対応についてお尋ねします。
 十八歳への選挙権年齢の引き下げ対応について、学校教育における憲法教育の充実につきまして、予算を踏まえての具体的な取り組み、教育機関との連携についてお示しください。

○松井選挙管理委員会事務局長 十八歳選挙権につきましては、本年三月五日に六党共同で公職選挙法の改正法案が国会に提出されました。
 政府の動きといたしましては、総務省と文部科学省とが連携して、高校生向けの副教材などを作成するというふうに聞いております。
 十八歳選挙権の啓発につきましては、国や学校教育機関との連携が重要と考えております。
 東京都選挙管理委員会といたしましては、これまでも実施しております模擬選挙や出前授業などを通じて、十八歳以下の生徒へアプローチし、選挙参加への意識の醸成を図ってまいります。

○上田委員 若年層の投票率アップというのは、恐らく施策の実現とか選挙行動が変わってきまして、ひいては政治構造も変わると思っています。予算組みを見ておりますとなかなか、子供や教育よりも高齢者福祉の方が額としては大きくなる。やはり選挙に来る人の方にどうしても目が向きがちじゃないかという中で、ぜひ若い世代の、特に投票率の向上に向けましてのご努力をお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたします。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○栗林委員長 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第三十号議案から第三十六号議案まで、第百十一号議案、第百十二号議案及び第百二十一号議案並びに報告事項、小笠原諸島振興開発計画について外四件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○榎本総務部長 二月十六日の当委員会におきまして要求のございました二十三件の資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の総務委員会資料を二枚おめくりいただき、一ページをごらんください。
 一ページから三ページにかけましては、平成二十七年二月末現在の知事、副知事及び局長級が就任している都以外の役職と根拠法令、それに伴う報酬額を、総務局分についてそれぞれ掲げてございます。
 四ページをごらんください。知事が職員を代理人に指定した訴訟事件等の発生件数について、総務局所管の五カ年分を掲げてございます。
 五ページをごらんください。東京都電子情報処理規程に基づくシステムアセスメント制度による評価結果について、過去三年分を掲げてございます。
 六ページから一九ページにかけましては、ホームページの運用経費、委託業者及び選定方法について、局別に過去五年分の状況を掲げてございます。
 二〇ページ及び二一ページをごらんください。監理団体経営目標の達成度評価及び団体理事長等の役員報酬増減団体について、過去三年分の推移を掲げてございます。
 二二ページをごらんください。監理団体における平成二十六年六月一日現在の障害者雇用率について、団体別に掲げてございます。
 二三ページ及び二四ページをごらんください。監理団体及び報告団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数について、平成二十六年八月一日現在の人数を団体別に掲げてございます。
 二五ページ及び二六ページをごらんください。監理団体及び報告団体の職員数について、過去五年分の推移を団体別に掲げてございます。
 二七ページから三一ページにかけましては、都及び監理団体における非常勤職員等の人数について、局別、団体別に、平成二十二年から二十六年までの状況を掲げてございます。
 三二ページをごらんください。職員の懲戒処分の状況について、平成二十五年度及び二十六年度は本年二月までの懲戒処分者数を懲戒処分の量定別に掲げてございます。
 三三ページから四一ページにかけましては、懲戒免職事案の概要について、平成二十五年度及び二十六年度は二月までの状況を任命権者別に掲げてございます。
 四二ページをごらんください。人件費の歳出合計比及び都税比について、平成二十一年度から二十五年度までの状況を掲げてございます。
 四三ページをごらんください。障害者雇用率について、平成二十二年から二十六年までの推移を任命権者別に掲げてございます。
 四四ページをごらんください。平成二十五年八月一日から平成二十六年七月三十一日までの期間に退職した管理職の再就職者数について、局別及び職層別に掲げてございます。
 四五ページをごらんください。副知事経験者の再就職先について、平成二十二年度公表以降の状況を掲げてございます。
 四六ページから四八ページにかけましては、東京都地域防災計画に記載しております被害軽減と都市再生に向けた目標及び各施策ごとの目標を掲げてございます。
 四九ページ及び五〇ページをごらんください。防災対策予算の主な事業別の執行状況について、平成十六年度から二十五年度までの推移を掲げてございます。
 五一ページをごらんください。内閣府が実施した防災に関する世論調査に記載されております感震ブレーカーの全国及び東京都区部の設置率を掲げてございます。
 五二ページをごらんください。平成二十五年度及び二十六年度は本年二月までに発表された都内における警報及び注意報の発表回数を掲げてございます。
 五三ページをごらんください。平成二十四年四月一日から本年二月二十八日までの都内における自衛隊の災害派遣の内容を掲げてございます。
 五四ページをごらんください。平成二十七年国勢調査について、都及び区市町村の主な事務と予算提案額等を掲げてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗山委員 東京の防災プランについてお伺いいたします。
 都は、昨年末に東京の防災プランを策定、公表いたしました。二〇二〇年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、都民、地域、企業、行政が、あらかじめ備えるべき取り組みをわかりやすく取りまとめをしております。特に公助につきましては、今後三年間の具体的取り組みを工程表として示しておりまして、昨年の我が党の政策提言を反映した内容となっており、大変評価しております。
 一方で、いつ発生するかわからない首都直下地震や近年多発する集中豪雨など、自然災害への備えは待ったなしであり、プランで掲げた取り組みをこれまで以上にスピード感を持って進めていく必要があります。
 とりわけ、都民の命を守り、そしてつなぐ取り組みは、公助である行政に課せられた大きな使命であるともいえます。そうした点を踏まえて何点か質問させていただきます。
 まず、災害対策における道路の必要性でございます。
 この点につきましては、折に触れ、計画的に整備する必要性について訴え続けております。
 道路は、災害時の物資輸送や迅速な復旧、復興活動を支えるとともに、延焼遮断帯を形成し、燃え広がらないまちを実現するなど、世界一安全・安心な都市を実現していく上でなくてはならない社会基盤でございます。
 しかし、一たび大規模地震が発生すれば、電柱等の倒壊に伴う道路の閉塞や、揺れ等に伴う道路の被害などの発生が想定されます。また、多摩地域などの山間部では、道路沿いの斜面崩壊により道路が寸断され、集落の孤立化や物資供給の停止が発生することが予想されます。こうした事態に陥らないよう事前の取り組みが大きな鍵となります。
 災害時に住民の避難や救出救助活動、物資輸送のかなめともなります道路の安全性を高める取り組みを着実に進めていくべきである、こう考えますけれども、見解をお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 委員ご指摘のとおり、災害発生時に備え、道路の安全性を確保することが重要でございます。
 このため、緊急輸送道路の拡幅整備や多摩山間地域の道路整備など、災害に強い道路ネットワークを構築してまいります。
 また、緊急輸送道路となる都道の無電柱化に加え、区市町村道の無電柱化促進の支援について、避難場所と緊急輸送道路を結ぶ道路や災害拠点病院の前面道路など、防災に寄与する路線へと対象を拡大してまいります。
 さらに、巡回による日常点検や定期点検等を行い、緊急性の高い道路斜面から順次、落石防護柵の設置や既設グラウンドアンカーの経年劣化対策などの斜面対策を実施してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、災害に強い安全な道路網の整備を着実に推進してまいります。

○栗山委員 まさに都民の命をつなぐ道路の安全性を高めるさまざまな取り組みを重層的に進めてもらいたいと思います。
 命を守るという点では、発災時の建物倒壊や火災の発生に伴う負傷者をいかに迅速に助け出せるかが大きな鍵となります。
 都の被害想定では、負傷者が最大で約十五万人発生し、このうち重傷者は約二万二千人に上ると想定されております。この負傷者を円滑かつ迅速に救出していくことで、被害の増加を抑制することができます。特に、人命救助の一つの目安となります発災から七十二時間については、都や自衛隊、警察、消防などの関係機関が効果的な連携のもと応急対策活動を実施していかなければなりません。
 こうした中、都は昨年四月に首都直下地震等対処要領を策定し、都立公園や清掃工場を大規模救出活動拠点として位置づけてきましたが、こうした拠点を発災時にも有効に機能させていくことが、都民の命を守る上で大変重要でございます。
 そこで、発災時の救出救助活動拠点の実効性を高めていくため、今後どのような取り組みを進めていくのか、見解をお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 発災後七十二時間において、一人でも多くの人命を救助するためには、その被害の状況に応じた救出救助活動を速やかに展開することが重要でございます。
 特に、活動の中心を担う自衛隊、警察、消防の各機関が集結拠点や医療活動スペース等として活用する拠点を発災時にも機能させていくことが求められます。
 こうしたことから、大規模救出救助活動拠点となる三十一の都立公園と十二の海上公園におきまして、二〇二〇年までに、停電時の安全な避難や救助活動支援のための非常用発電設備の設置や、緊急車両動線の確保、照明設備の整備などを推進してまいります。
 また、全国からの応援部隊を受け入れるため、多摩地域において緊急消防援助部隊の受援施設を整備するなど、応援部隊の受け入れ体制も着実に確立してまいります。
 今後とも、首都直下地震等対処要領の実効性を高め、迅速かつ的確な救出救助活動が展開できるよう環境を整えてまいります。

○栗山委員 防災プランでも、東京が目指す都市像として、命を守る災害対応体制の構築を掲げております。各局との連携もしっかり図りながら、万全の体制を確保していただきたいというふうに思っております。
 東京は、さまざまな地域特性を持っています。その中でも、島しょ地域の対策も絶対に忘れてはいけないと思います。南海トラフ地震等が発生した場合は、島しょ地域に巨大な津波が短時間で押し寄せるおそれがあるため、津波による被害防止は喫緊の課題といえます。
 被害想定によれば、避難を迅速に行うことで死者をゼロにすることが可能というふうにしています。そこで、人的被害の軽減に向けた迅速な避難の実現など、島しょ地域の津波対策をどう進めていくのか、見解をお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 ご指摘のとおり、都や国の被害想定では、島しょ地域に高い津波が短時間で到来すると予測されております。まずは、住民や来島者の命を守る取り組みを早急に実施する必要がございます。
 こうしたことから、岡田港を初め、早期避難が困難な四島九港への津波避難施設の整備に加えまして、岸壁等にいる設備利用者等に対し、迅速な避難ができるよう、津波避難誘導標識の設置を全島で進めてまいります。
 また、避難計画モデルの作成やそのアドバイザー派遣を通じて、島しょ町村や事業者等の避難計画策定を強力に支援してまいります。
 これらの取り組み効果を具体的に検証するため、住民避難に重点を置いた訓練を実施するなど、今後とも、ハードとソフトの両面を組み合わせた取り組みを展開してまいります。

○栗山委員 島民の命を守るためには、今の答弁にもあったように、多角的な取り組みを進めることが非常に重要となります。これらに加え、島民の津波に対する意識を高めていく取り組みも継続して進めていくことが効果的であると思われます。
 ここまで地震対策についてお伺いしてまいりましたが、世界一安全・安心な都市の実現に向けては、水害への備えも非常に重要なポイントとなります。
 都内でも、毎年集中豪雨による浸水被害が発生したり、一昨年の大島や昨年の広島での土砂災害を初め、台風などによる豪雨を起因とした土砂災害が近年多発しており、人口、資産が高密度に集中した東京においては、水害対策も喫緊の課題といえます。
 昨年には土砂災害防止法が改正され、基礎調査の公表の義務づけや警戒避難体制の整備などが盛り込まれております。今後は土砂災害警戒区域等の指定促進が期待されます。
 こうした中、都内にある土砂災害の危険性が高い地域の被害軽減に向けて、具体的な取り組みをどのように進めていくのか、見解をお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 ご指摘のとおり、近年、全国で土砂災害が多発しており、これらによる被害を軽減するための取り組みを迅速に進めていくことが必要でございます。
 このため、未実施である残り約五千カ所における基礎調査を平成二十九年度までに集中的に実施し、その結果を公表するとともに、平成三十一年度までに約一万五千カ所の土砂災害警戒区域等を指定いたします。また、区域指定に基づきまして、区市町村によるハザードマップの作成を支援してまいります。
 さらに、特別警戒区域内にあり、移転が困難な避難所周辺の斜面対策を実施するなど、ソフト、ハード両面の土砂災害対策を推進しまして、土砂災害の危険性が高い地域の安全性を向上させてまいります。

○栗山委員 今ご答弁がありました土砂災害対策を初め、自然災害の脅威に対しては、ハード、ソフト面、さまざまな対策を総動員して、それらを適切に組み合わせていくことが求められると思います。防災プランで掲げた取り組みを、全庁挙げてスピード感を持ってしっかりと進めるということで、自然災害への備えに万全を期し、都民の命を守り、つなぐという行政としての根幹的な責務を十二分に果たされるよう期待いたします。
 次に、燃料の備蓄についてお伺いいたします。
 災害時の応急活動において、東日本大震災で課題となったものの一つが燃料の確保でございます。直接の被災地でない東京においてすら、ガソリンスタンドには車の長蛇の列ができ、大混乱となった。これは皆さんの記憶にも新しいことだろうというふうに思っています。これが首都直下型地震となれば、燃料の確保は、はるかに困難になることが火を見るよりも明らかでございます。
 そうした中にあっても、命をつなぐ救命救急活動のためには、災害拠点病院などの施設を停電させるわけには絶対にいかないわけであります。また、緊急時に出動する各種車両の燃料も確保しておく必要がございます。
 このため都は、従来の優先供給制度に加え、より確実に燃料を確保するため、都があらかじめ購入した燃料を給油所等に備蓄するランニングストック方式を導入し、燃料の供給体制を強化いたしました。
 そこで、発災時の応急活動において重要な役割を果たす燃料備蓄の必要性について、改めて都の見解をお伺いいたします。

○裏田企画調整担当部長 災害時におきましては、災害拠点病院の機能維持や救出救助活動等を行う緊急通行車両等に必要な燃料の確保が不可欠であることから、都は、それらが優先的に燃料供給を受けられるように体制を構築してまいりました。
 しかしながら、東日本大震災の際に明らかになりましたように、燃料そのものが絶対的に不足する状況下におきましては、より確実に燃料を確保する必要がございます。そのため都は、災害拠点病院や緊急通行車両等が使用する燃料をあらかじめ購入、確保した上で、発災時には確実に供給できる新たな仕組みといたしまして、ランニングストック方式を平成二十五年に導入いたしました。これによりまして、給油所等への燃料供給が途絶した場合でも、安定的に燃料を供給することが可能となりました。
 ランニングストック方式を活用した燃料備蓄によりまして、災害時であっても、災害拠点病院や緊急通行車両等に安定的に燃料を供給することは、極めて重要な取り組みであると認識しております。

○栗山委員 災害拠点病院等に安定的に必要な燃料を供給するため、燃料の備蓄が重要な役割を果たしていることが改めて確認できました。
 さて、先月来、都がランニングストック方式により備蓄している燃料が、実際には確保されていないのではないかとの報道がなされております。聞くところによりますと、燃料の管理に関しても、組合が毎月都へ報告すべき燃料の数量について、変更がないからという理由で半年まとめての報告になっていたとのことでございます。災害時に生命線となる燃料の管理という観点からも極めて遺憾であり、都、組合相互に緊張感を持って取り組んでいくべきであるというふうに思います。
 また、都が組合に支払っている保管料について、各給油所等には一万円ずつしか支払われていないともお伺いいたしております。これでは実効性のある制度が担保できるとはとても思えません。
 保管料の取り扱いや契約、管理方法も含め、改めて制度を見直していくべきと考えますが、都の所見を伺います。

○裏田企画調整担当部長 都は、備蓄している燃料を適切に保管するため、その業務を組合に委託しておりまして、お話の保管料はその費用として支払っているものでございます。
 このため、組合が各給油所等に幾らを支払うかは、組合が責任を持って決めるべき問題でございますが、契約で定められた燃料が確実に備蓄され、災害時に必要な燃料の供給が行われることが第一でございます。
 今後、災害時の燃料供給が確実に担保されますよう、保管料の取り扱いを初め、契約内容や備蓄燃料の管理方法等につきまして、改善策を検討してまいります。

○栗山委員 燃料を確保すること自体は絶対に必要な取り組みでございます。必要な燃料がきちんと備蓄され、災害時に災害拠点病院や緊急通行車両等に対して確実に供給されるよう、しっかり制度の改善をお願いしておきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
 次に、マイナンバー制度についてお伺いいたします。
 社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度に関する都の取り組みについてお伺いいたします。
 平成二十五年五月、マイナンバー制度に関して定めた行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律が成立いたしました。この制度は、住民票を有する国民一人一人に一つの番号をつけ、複数の行政機関に存在する同一人の情報をひもづけし、効率的に活用するための社会基盤として位置づけられております。
 制度導入により、社会保障、税、災害対策の申請を行う際に添付書類が削減されるなど、国民負担の軽減や行政手続が簡素化されるほか、所得やサービスの受給状況が把握しやすくなることで、公平公正な社会の実現が図られるなどの効果が期待されております。
 いよいよことし十月には、区市町村を通じて都民一人一人に個人番号が通知されるとともに、来年一月からは、個人番号カード交付と個人番号の利用が開始される予定となっておりまして、その活用は目前に迫っております。
 まさにマイナンバー制度への対応は待ったなしでありまして、一寸のおくれも許されないという状況にございますが、都におけるこれまでの対応状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○三木行政改革推進部長 都は、マイナンバー制度導入に適切に対応するため、平成二十五年四月、庁内に社会保障・税番号制度企画調整会議を立ち上げ、個人番号利用の検討、他機関との情報連携に必要となるシステムの構築や改修、個人情報保護に関する検討などの準備を進めております。
 今後は、引き続きシステムの構築等を図るとともに、個人番号の利用開始に向け、制度運用に必要な条例制定等の準備を進めるなど、円滑な導入を目指してまいります。

○栗山委員 番号の利用の開始に続きまして、平成二十九年七月からは、地方公共団体を含めた全国の機関、団体との間で情報連携が開始されることになっております。
 現在、銀行預金口座との連携や健康保険証との一体化を初め、さまざまな分野での活用が盛んに論議されるなど、都民、国民の生活を一変させる可能性を持つものとして認識しております。
 しかし、二月十九日に内閣府が発表した資料によりますと、国民の七割がいまだ制度の内容を知らないという結果が示されるなど、そうした活用可能性を云々する以前に、都民に対する制度への理解を促進していくことが大きな課題となっております。
 そこで、制度の円滑な実施に向け、都民に対し、マイナンバー制度の仕組みやメリットなどを積極的に周知していくことが極めて重要である、こう認識しておりますけれども、都の見解をお伺いいたします。

○三木行政改革推進部長 委員ご指摘のとおり、個人番号の利用開始に向け、マイナンバー制度の周知、広報を行うことは重要でございます。
 国におきましては、昨年十月にマイナンバーコールセンターを開設するとともに、テレビ、ラジオ等のコマーシャルやポスター、ホームページ等による広報を行っております。
 これに加え、都といたしましても、「広報東京都」を初めとした各種媒体を活用した広報を積極的に行うほか、区市町村との連携を通じた住民への周知や事業者団体への働きかけを行うなど、幅広く制度周知に努めてまいります。

○栗山委員 都として、マイナンバー制度の仕組みやメリットなどをしっかり都民の皆さんに周知して、円滑な導入が図られるよう、市区町村とも連携した取り組みを期待して、私の質問を終わります。

○高倉委員 東日本大震災の発生から今月十一日で満四年、そしていよいよ五年目に入るわけであります。
 改めて、東日本大震災の犠牲となられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されまして今なお厳しい境遇に置かれている被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 私ども都議会公明党は、発災以来、福島、宮城、岩手各被災県に、私どもで編成した被災地支援の調査チームを事あるごとに派遣いたしまして、現地の生の声をキャッチして、それを本会議、また委員会の場で、東京都が行うべき支援策として提案させていただいたところでございます。
 私も、特に福島の方に何度も行かせていただきまして、先月も福島に参りまして、当選したばかりの新しい内堀知事さんにお会いして、いろいろお話も聞いてきたところであります。
 私は、昨年の十一月二十七日に開催されました当委員会の事務事業質疑におきまして、福島の風評の問題を指摘しまして、風評被害は、福島県の生産者のみならず、観光業や流通業なども含め社会全体の損失につながっており、都は、いわれのない風評の払拭に向け、全力を挙げて被災地支援を行っていただきたい、このように訴えたところであります。
 福島県では、風評の払拭に向けた取り組みを引き続き全力で進めているわけであります。例えば、全てのお米について放射性物質の検査をする全量全袋検査を全国で唯一実施しているわけであります。検査の結果、食品衛生法の基準値であります百ベクレルを超えたものが、平成二十四年では七十一点、二十五年では二十八点というふうに減少してきておりますけれども、昨年は、約千百万の米袋のうち、基準値を超えたものはゼロというふうになったわけであります。
 福島県は、万全の対策をとりまして農産物等の安全性を確保しておりますけれども、本年一月二十三日に福島県の商工会連合会が公表しました、首都圏の消費者を対象にした意識調査によりますと、福島県産の食品を買わないと答えた消費者の割合は三〇・六%でありまして、前回調査は三〇・二%だったわけでありますが、ほとんど変わらない状況があります。改めて風評被害を裏づける残念な結果となりまして、風評の払拭には引き続き時間がかかるといった現状が示されたわけであります。
 そこで、都は、福島県の風評被害について、これまでどのような支援を行ってきたのか、また、風評をどのように捉えているのかにつきまして、ご所見をお伺いしたいと思います。

○川合復興支援対策部長 都は、原発事故による風評被害に苦しむ福島県の早期復興を図るため、その払拭に向け、福島の県産品と観光をPRするふくしま東京キャンペーンを実施しております。これは、福島支援の取り組みを都庁の各局が事業者や区市町村等と連携して実施するもので、平成二十四年から都のキャンペーンとして展開をしております。
 こうした取り組みを継続して行っておりますが、ことし二月に消費者庁が実施した風評被害に関する消費者意識の実態調査によりますと、福島県産の食品の購入をためらう消費者は一七・四%であり、昨年八月の一九・六%から若干減少はしたものの、顕著な変化は見られておりません。
 このように風評被害は根強いものがあり、都は、風評の根絶に向け、引き続き粘り強く取り組んでいく必要があると考えております。

○高倉委員 今ご答弁にもありましたけれども、福島県の風評被害、大変根強いものがあります。東京都は、風評の払拭に向けて、引き続き全力で取り組む必要があると思います。
 先ほど申し上げましたけれども、先月の十日に、私は都議会公明党の調査チームの一員としまして福島県に参りまして、例えば、その中で、県の経済、農業関係の団体と意見交換を行わせていただきました。各団体の関係者からは、風評はすぐに解消されるわけではなく、消費者の理解を得るためには五年、十年というスパンがかかる、福島県ではことし四月からデスティネーションキャンペーンを開始するので、東京都には特に観光面の支援をお願いしたいと、こういった強い要望をいただいたわけであります。
 デスティネーションというのは、英語で目的地を意味するわけでありますが、デスティネーションキャンペーンとは、その名のとおり、目的地であります福島を広く紹介するために、地元関係者と自治体が、JRグループや全国の旅行会社等と連携して行う国内最大級の観光キャンペーンでございます。
 きょうは、いい機会なので、そのポスターをお借りしてきましたので、ちょっとご紹介したいと思います。ちょっと大きなポスターですけれども……(実物を示す)これは福島の花見山というところで、これからすばらしいシーズンを迎えるということだと思います。
 それから、これは、被災もありました松川浦の復興チャレンジグルメの写真でございます。非常においしそうなものですね。
 それから、これは、福島に温泉はたくさんありますけど、そのうちの一つ、温泉の写真でございます。
 これは福島の地酒ですね。お好きな方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、こういうポスター。
 それから、これは、よく皆さんも写真をごらんになったと思いますが、大内宿というところの写真でございまして、こういったポスターをいろんなところに掲示して、今回のデスティネーションキャンペーンを何とか福島の復興に結びつけていきたいということです。
 しかしながら、ことしは全国でさまざまなイベントというのが予定されておりまして、観光振興を進めるにしてもなかなか大変であるというふうに思います。例えば、今月の十四日には北陸新幹線が開通いたしまして、東京駅から金沢駅への直通ルートができました。また、七年ぶりに長野県の善光寺でご開帳があるということです。そして、ことしは徳川家康の没後四百年に当たりまして、栃木県日光市を初め全国各地で記念イベントが催されるということになっているわけであります。
 このように、大変ライバルが多く、国内の観光市場というのは競争が激しいわけでありますけれども、恐らく福島県も負けていられないということだと思います。来年度はぜひ、こうした福島県の観光振興についても、しっかりと都としても応援していかなければいけないと思いますが、風評対策に係る都の支援につきまして、今後の展開をお伺いしたいと思います。

○川合復興支援対策部長 東京は国内最大の消費地であり、都が全国の先頭に立って風評対策に取り組むことは、福島県の本格的な復興の後押しになると考えております。
 そのため、都といたしまして、福島県のデスティネーションキャンペーン等のタイムリーな情報につきまして「広報東京都」に掲載するなど、積極的に情報提供してまいります。
 また、都営交通の中づり広告等の協力や被災地応援ツアーも引き続き実施いたします。
 教育旅行につきましては、都立学校や区市町村の担当者を対象にした説明会を引き続き実施するとともに、来年度は、福島県の要請に基づき、県庁が主催するモニターツアーを都内の各学校に紹介するなど、支援を行ってまいります。

○高倉委員 今、答弁の中で教育旅行のお話がありましたけれども、今回も福島に行ってお話を聞いたときに、やはり商工団体の方々も、特に、かつて盛んだった教育旅行、非常に打撃を受けているというお話がありまして、東京都からの教育旅行についても、非常に強い要請があったことをつけ加えさせていただきます。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 一方、被災者の方々は、風評被害とともに、風化の問題も心配しております。
 残念ながら、震災から五年目に入りまして、記憶の風化が進んでいるというふうにいわざるを得ない状況があります。毎年、震災の日を迎える三月を除きますと、被災地に関する報道といったものも東京では少なくなりまして、被災地入りするボランティアの数も減ってきているというような状況もあります。
 また、今月発表されました報道機関の世論調査によりますと、国民の間で被災者への関心が薄れ、風化しつつあると思うかといった問いに対しまして、全国では七三%の方、福島県民でも七一%の方が風化しつつあるというふうに回答しているわけであります。多くの被災者は、いわゆる世の中の関心が薄れつつある、薄れていくといったことに不安を抱いていらっしゃるわけであります。
 私たちは、被災者のことを忘れずに、しっかりと地に足をつけて復興支援に取り組み、被災者に寄り添っていく必要があると思います。都は都民に対して、被災記憶を伝承し、風化を防ぐ取り組みを進めるべきだというふうに思いますけれども、ご所見をお伺いしたいと思います。

○川合復興支援対策部長 被災地の復興は道半ばであり、いまだ全国に約二十三万人の避難者が、東京でも約七千五百人の方々が避難生活を余儀なくされております。被災地の現状や復興の取り組みを都民の方に正確に伝えるということは、都の責務であると考えております。
 そのため、都はこれまでも、被災地の現状や派遣職員の活動状況等を、都民に向け、ホームページやツイッターなどを通じ継続的に紹介してまいりました。
 また、今年度初めて、青森、岩手、宮城及び福島の東北四県と共催で、復興支援に従事している実務家や学識経験者によるフォーラムを開催いたしました。
 来年度は、これらの取り組みに加え、新たに、被災地の語り部が震災当時の状況を語り継ぐイベントを都内で開催いたします。
 都民に震災を知ってもらい、復興の必要性を理解していただくことは、被災者の不安の解消にもつながり、こうした取り組みを進めることにより、被災地の復興を後押ししてまいります。

○高倉委員 ぜひ風化の防止について積極的に取り組んでいただきまして、被災地の復興を後押ししていただきたいと思います。
 何度も申し上げておりますけれども、被災地の復興なくしては、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの成功はないというふうに考えております。
 先ほど申し上げた、先月福島に参りまして、知事、それから県の体育協会、そういった方々とも意見交換をしてきましたけれども、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックのときに、宮城ではサッカーが行われると。そして、これはオリンピック・パラリンピックではありませんけれども、前年のラグビーのワールドカップにおきましては、せんだって開催都市が発表されたように、岩手は釜石での開催があるわけでありまして、ぜひ福島でオリンピックの一部の競技を開催していただいて、県民を強く励ましていただきたい、励みになるようにしていただきたい、こういう話が知事を初めいろんな方からありまして、視察のときに--県営のあづま球場という球場があります。福島にはプロ野球の公式戦が行われる球場が三つぐらいあると。このあづま球場もそうなんですけれども、そういった現場も見てまいりまして、大変野球が盛んであるということで、もしオリンピック・パラリンピックで野球が復活をするようなときには、何とか福島で開催していただけませんかと、こういった強い要望があったわけであります。
 私ども都議会公明党としては、福島県でこうした競技を開催するとともに、大会の開催時には、発災から約十年を迎える東日本大震災の復興状況を世界に広く発信できるように、都は被災地支援を一層強めるべきであるというふうに思っております。
 続いて、都の防災対策につきまして質問させていただきます。
 都議会公明党は、防災対策を進める上で、女性や高齢者の視点、また自助、共助、公助それぞれの立場で備蓄を推進していくなど、そうした重要性、必要性について、これまでさまざまな場面で提案をさせていただきました。
 こうした都議会公明党の指摘を受けて、これまでに、東京都防災会議への女性委員の登用や地域防災計画への反映を行うなど、都はいろんな取り組みをしてきたことにつきましては高く評価をいたしているところであります。
 東京の防災プランにつきましても、こうした視点を踏まえ策定をしているのかどうか、昨年の九月の骨子公表時の本委員会においても何点か質疑をさせていただいたところであります。今回、そうした点が具体的取り組みとしてどのように反映されたのか、そして今後どのように施策を推進していくのか、今回の質疑を通して改めて確認させていただきたいと思います。
 一たび大規模な地震が発生すれば、多くの方々が避難生活を余儀なくされることが容易に想定されます。防災プランのシナリオでも、避難所開設、運営の支障を事象として示しておりますけれども、なれない避難所での生活は、被災者にとって大変につらいものである点、東日本大震災などの過去の災害でも何度もクローズアップをされているわけであります。とりわけ高齢者などの要配慮者や女性にとって、非常にストレスがたまりやすいというふうに思います。
 避難所の管理運営は、地域防災計画において、住民に身近な区市町村の役割とされているわけでありますが、広域的な立場から、都としても避難所生活者の安心を確保していくことが重要であります。
 そこで、高齢者を初めとする要配慮者や女性の視点に配慮した避難所運営体制を都内全域で構築していくべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 発災時の避難所開設や運営の支障を防止し、都民が安心して避難所生活を送ることができる環境を整備していくことが重要でございます。
 こうしたことから、防災プランにおきまして、避難所の運営基準や運営方法を定める避難所管理運営マニュアルを、二〇二〇年までに全ての区市町村で策定するという目標を掲げてございます。
 目標達成に向け、都といたしましては、今後、要配慮者の視点を盛り込んだ指針等の改定や、区市町村の男女平等参画センター等との連携強化などを通じまして、要配慮者や女性の視点に配慮した運営マニュアルの策定に向け、区市町村を支援してまいります。
 自然災害の発生に備えまして、区市町村によるきめ細やかな避難所運営体制を構築し、誰もが安心して避難所生活を送ることができる環境を整えてまいります。

○高倉委員 長期にわたります避難生活を想定すれば、地域の住民とともに取り組む体制づくりが非常に重要であります。
 都や区市町村がしっかりと連携して、高齢者や女性に配慮した取り組みを全力で進めていただきまして、地域住民とともに避難所管理運営体制を構築していただきたいと思います。
 加えて、動物、とりわけペットへの対応といったものも大きな課題であります。東日本大震災でも、飼育している犬や猫といった動物の保護あるいは避難所への同行が大きな問題になったわけであります。
 都内でも、ペットと暮らす方々も多く、災害が起きれば避難所に一緒に連れていきたいという方々も出てくるわけでありますが、被災した多くの方々が当面生活をする避難所では、一方で動物に対する苦情といったことも想定されるわけであります。
 こうしたことから、私ども都議会公明党は、その対応につきまして、さまざまな機会を通じ取り上げてまいりました。既に、ペットの同行避難については避難所運営マニュアルに盛り込んでいる区市町村もあるわけであります。
 そこで、区市町村によるペットの同行避難対策に対する都の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 都では、東日本大震災の教訓等を踏まえまして、地域防災計画修正時に飼養動物の同行避難等に関する体制づくりを区市町村の役割として位置づけたところでございます。その上で、都は、避難所運営マニュアル策定に向けた区市町村向けの指針を改定し、飼養動物の同行避難対策を盛り込み、区市町村の受け入れ体制等の整備に向けた支援を行っております。
 防災プランにおきましても、区市町村や関係機関と連携いたしまして、動物の防災に関する普及啓発を促進することとしており、今後とも、動物愛護の視点にも配慮するなど、避難者の安心確保に向けた取り組みを推進してまいります。

○高倉委員 今後とも、区市町村による災害時の愛護動物同行避難に向けた取り組みが進むことを期待しております。
 避難者の安心を確保するという点では、避難所の管理運営に加えまして、避難所生活を余儀なくされた方々が、当面の間、安心して生活していく上で、食料や生活必需品などの物資は必要不可欠なものでありまして、行政の立場からしっかりと備えていくべきであると思います。
 最大で約二百二十万人の避難所生活者が発生するという都の被害想定を踏まえまして、防災プランでは、これまでに都や区市町村合わせておおむね二日分の備蓄を確保し、二〇二〇年までに三日分の食料、生活必需品を備蓄していく目標を掲げております。
 一方で、東日本大震災では、多くの避難所で高齢者や女性などへの配慮の視点が不足しまして、おむつや生理用品などの入手に苦労する事態が発生したわけであります。
 こうした教訓等も踏まえて、災害に備えた三日分の備蓄はもちろんのこと、高齢者や乳幼児、女性などにも配慮した品目の拡充を図るなど、避難者に必要不可欠な物資を備蓄していくべきと考えますけれども、ご所見をお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 大規模災害発生時には、物流の途絶などによる物資不足の発生が想定されることから、避難生活に必要不可欠な食料や生活必需品をあらかじめ備蓄しておくことが欠かせません。
 これまでも、アルファ化米や即席麺などの食料、毛布や敷物等の生活必需品について、区市町村の民間事業者とも連携し、避難所生活者用の備蓄を進め、おおむね二日分を確保したところでございます。
 今後、目標である三日分の確保に向け、さらなる備蓄量の増強等に加え、新たに紙おむつや生理用品の備蓄を進めるなど、区市町村と連携し、高齢者や乳幼児、女性の視点にも配慮した備蓄品目の拡充も図ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、避難生活者に必要な物資を備蓄し、発災時の安心を確保してまいります。

○高倉委員 新たに高齢者や乳幼児に必要な紙おむつや女性用の生理用品を備蓄していくということでありまして、高く評価を申し上げたいと思います。区市町村との連携をさらに強化して、必要不可欠な備蓄量と品目の拡充を図っていっていただきたいと思います。
 公助による備蓄は、避難所生活を余儀なくされる方々へのセーフティーネットとして実施する点が大きいと思います。
 一方で、都内には一千三百万人の都民がおりまして、先ほどの被害想定の避難者数を見ても、一たび災害が起きれば、大半の方々が倒壊や延焼を免れた自宅で生活を送ることにもなると思います。特に、発災から数日間は、東京都を初め自衛隊、警察、消防などの関係機関は、大量に発生する負傷者の救出救助活動に力を注ぐことになりまして、多くの方々は当面の間、みずから命をつないでいかなければならないということになります。
 こうした点を踏まえれば、都民みずからが自助の取り組みとして、日ごろから発災に備えた食料や生活必需品等の備蓄をしっかりと行っていく必要があろうかと思います。防災プランによれば、約半数の方々が飲料水や食料を備蓄しているということでありますが、目標とする備蓄一〇〇%にはまだ道半ばであるというふうに思います。
 そこで、これまで以上に都民一人一人の備蓄を促すために、普及啓発の取り組みを強化していくべきと考えますけれども、ご見解をお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 発災後の混乱防止や早期復旧に向けました当面の生活に備え、都民みずから日ごろから食料や生活必需品等を準備しておくことが重要でございます。そのためには、従来の備蓄に対する意識を変えていくとともに、各家庭が、家族構成などを踏まえ、自主的に必要なものを賢く継続的に備えることができるよう促していく必要がございます。
 こうしたことから、現在、都では、防災の専門家による検討会を設置し、最小限備えておくべき食料品や生活必需品等をモデルとして提示することや、都民の備蓄に対する意識を高めるため、備蓄の日を設定し、普及イベント等を展開することなど、都民の備蓄促進に向けた具体的な取り組みの検討を進めているところでございます。
 今後、区市町村や学校等とも連携いたしまして、来年度から、都民の備蓄を促すさまざまな取り組みを展開してまいります。

○高倉委員 災害時においては情報の発信ということも大変重要でありますので、この点について一点お伺いしておきたいと思います。
 災害が発生したときに、多くの人命を救うためには、警察、消防、自衛隊等の各機関が円滑な救出救助活動を展開することが重要となりますが、そのためには、まず迅速かつ正確に被災状況を把握する必要がございます。
 都でも、各機関、区市町村等からの情報収集を行い、被害地域や被害の程度などの把握に努めているということは承知をいたしておりますけれども、道路の寸断で現場に近づけないといったようなさまざまな悪条件によって、なかなか的確な情報が入手できない、こうしたことも想定されるわけであります。
 情報収集は救出救助活動の生命線であることから、情報入手が途切れないよう、さまざまな手段を講じていかなくてはいけないというふうに思います。
 実は最近、ヘリコプターもありますが、ドローンと呼ばれる無人の小型の飛行機というのが、非常に今関心が高まって話題になってきているんです。個人でも実は楽しめて、本当に小さなものなんですけれども、いろいろと調べてみたら、一万円以内で購入ができたりしまして、小さなプロペラがついていて、かなり高いところまで飛ばせるんですね。いわゆるリモコンで飛ばせるわけであります。昔のラジコンというか、そういうのをイメージしていただければいいと思うんですけれども、このドローンに小型の動画のカメラがついておりますと、空からいわゆる空撮ができるということで、今、手軽に空撮が楽しめるものとして非常に関心があって試す方々がふえているということなんです。今いったように値段が非常に安い。また、少し高目のものですと非常に高性能であって、空から映している空撮の動画も、リアルタイムで手元にあるスマートフォンですとかタブレットで見ることができる、こういうようなものであります。
 いろいろ情報を私も集めてみたんですけれども、今これを、そういう個人の趣味ではなくて、さまざまなところに役立てていこうというような試みが実は行われているわけであります。
 すぐに思い浮かぶのは、空撮ですから、例えば、なかなか私たちが近寄ることができない危険な場所、まあ、当然、ヘリコプターというのはちゃんとあって、人が乗って、そこから見れるわけですけれども、一方で、なかなかヘリコプターが近づけないような場所も多分あるんだと思いますし、あるいはヘリコプターといっても、何百機も東京都が配置しているわけでは必ずしもないわけであります。そういうコストも安くて、比較的高性能で、いわゆる高いところから俯瞰して、あるいは人が行けないようなところまで行って、すぐそばから動画を撮影して情報を集める、こういったことが恐らく可能なんだというふうに思います。
 今すぐどうこうということではないんですけれども、こういう世の中のさまざまな技術が進展している中で、最新の技術を積極的に駆使して情報収集活動を強化していくべきであるというふうに考えますけれども、この点についてのご所見をお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 大規模災害発生時に円滑に救出救助活動を展開するためには、委員ご指摘のとおり、迅速かつ正確に被災状況等を収集する必要がございます。
 都も、発災時に区市町村等から情報を災害情報システムを用い収集を行うとともに、都庁外二カ所に設置いたしました高所カメラや各機関のヘリコプターから、映像等により被災状況の把握に努めているところでございます。
 今年度はさらに、陸上自衛隊第一師団に加えまして、陸海空の三自衛隊を統合運用する東部方面総監部との間に防災行政無線局を整備いたしまして、自衛隊との情報共有体制を強化するとともに、JAXA、宇宙航空研究開発機構と、地球観測衛星を用いました防災利用実証実験に関する協定を結んだところでございます。現在、悪天候による視界不良時における被災現場の画像確保など、観測衛星写真の防災への有効利用を検討しているところでございます。
 今後とも、さまざまな機関等と連携を進めていくほか、最新の技術開発の動向を把握いたしまして、積極的に取り入れることなどによりまして情報収集体制の強化を図ってまいります。

○高倉委員 最後に、燃料の備蓄について申し上げたいと思います。
 先月来、都が東京都石油業協同組合との契約により備蓄している燃料が、実際には確保されていないのではないかといったような報道がなされております。
 都は、災害拠点病院や緊急通行車両等に対しまして、既に導入していた優先供給よりも確実に燃料を確保できる手段としましてランニングストック方式を導入し、平成二十五年、東京都石油業協同組合と契約を締結いたしました。こうした災害時の燃料の確保は絶対的に必要なものでありまして、この取り組み自体は評価をいたすものであります。
 しかし、今回の報道を見ますと、こうした重要な取り組みやそれに基づく認識が現場の隅々まで確実に行き渡り、運用されているのかどうかという点では、懸念を抱かざるを得ません。
 災害時には、救命救急活動のみならず、道路啓開、物資輸送など、燃料が確保されないと何もできないということになるわけであります。
 本件につきましては、先ほど栗山委員さんの質疑で、必要な燃料が確実に備蓄されるよう、契約内容や備蓄燃料の管理方法等について改善策を検討していく趣旨の答弁がありましたので、重ねて同様の答弁を求めることはいたしませんけれども、契約で定められた燃料がきちんと備蓄され、災害時の燃料供給が確実に行われますように、早急に改善策の検討を求めておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○徳留委員 防災プランにかかわって防災問題を中心に質問します。
 特に、昨年末に防災プランが策定され、これに基づき、さらに防災意識の向上や防災に必要な具体策を全都民的に普及啓発するため、防災ブックの試作版の製作が進められていると聞いております。ぜひ関係者の意見を集約し、しっかりと反映させて、本当に役に立つ防災ブックとして完成させてほしいと思います。こうした問題について質問いたします。
 まず、都民の防災意識の向上、防災対策の徹底にとって極めて重要な役割を果たすことになる防災ブックに現時点で盛り込まれる予定の主な内容、どういうものになるのかについてお伺いしたいと思います。

○矢岡総合防災部長 防災ブックの試作版についてでございますけれども、試作版は、都民や専門家、区市町村等の関係機関から完成版作成に向けて意見を聴取するために作成してございます。幅広く意見を聴取するために、さまざまな自然災害の概要やその対処方法、災害に対する事前の備え、防災の知識、こうしたものを掲載してございます。

○徳留委員 完成する防災ブックは都内全世帯に普及すると聞いておりますが、どのくらいの規模になり、その予算規模はどのくらいになるのかについてお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 平成二十七年二月一日時点の住民基本台帳によりますと、世帯と人口では、都内の世帯数は約六百八十万世帯となっており、今回の防災ブックの取り組みはこれら全世帯を対象としております。その費用でございますけれども、平成二十七年度予算では約二十億円を計上してございます。

○徳留委員 大変巨額の予算を使って作成するものであり、これから本当に防災に強い安心・安全の東京を目指す上で、自助にとっても、共助にとっても、公助にとっても、そしてソフト、ハードのさまざまな多面的で多重的な防災対策について、都民の防災意識の向上に長期的にも大きな影響を与えるものだと思います。それだけに、全都民に防災対策の重要な内容を、読んで実践的にもわかりやすく普及啓発するものとして、どういう内容を掲載していくのか、練り上げてもらいたいと思います。
 その点で、一昨年末の中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループの報告に基づいて、昨年三月に首都直下地震緊急対策推進基本計画が閣議決定されました。そこでは、電気に起因する火災の発生を抑制するための感震ブレーカー等、東京都は感震機能つき分電盤といっておりますが、この普及について強調されました。
 被害想定として、内閣府の試算として、首都直下地震の場合には死者の最大は二万三千人規模だと。その中で火災による死者は一万六千人、うち電気が原因の火災による犠牲者は七千人ということが報告されています。
 そして、感震ブレーカー等の有効性、信頼性などを検証するために、内閣府、消防庁、経済産業省等の関係省庁及び専門家の参加において、大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会が、昨年の秋以降、ことしの三月まで七回にわたって開催されてまいりました。その結果、先月の二月に感震ブレーカー等の性能評価ガイドラインとして公表されました。そして、年度内に一連の検討会の最終報告を発表して、さらに具体化が促進されることになっていると聞いております。けさ、内閣府の担当官に電話して、このことは確認いたしました。できるだけ年度内に最終報告を発表したいと述べておりました。
 この検討会の最大の趣旨は、大規模地震時における電気火災を原因とする出火の発生抑制の方策等について検討して、現在市販されているさまざまな種類の感震ブレーカー等の普及、設置にかかわって、ガイドラインとして取りまとめたことであります。
 その中で、首都直下地震については、これまでの木造住宅密集市街地における同時多発的な延焼火災等の危険性が改めて指摘され、人的、物的被害の軽減対策として、これまでの市街地整備事業や避難地、避難路の整備、延焼遮断帯の整備等の推進とあわせて、ソフト的な出火防止対策として、特に感震ブレーカー等の普及に努めることとされております。
 そこで質問ですが、内閣府、総務省消防庁、経済産業省を中心とした検討会によって、阪神・淡路大震災、東日本大震災など地震火災の経験から、最新の知見を踏まえて、感震ブレーカー等の設置、普及にかかわって公表されたガイドラインの内容について、都はどのように受けとめ、この内容を今後都としてどのように具体化、普及していくのかについてお伺いいたします。

○裏田企画調整担当部長 国の検討会においてまとめられました感震ブレーカー等の性能評価ガイドラインにおきましては、電気に起因する火災の発生抑制に向けて、感震機能つき分電盤に加え、コンセントタイプや簡易タイプなどの種類を挙げて、それらの仕様、機能等を整理しております。
 その上で、出火予防が期待される範囲や作動の信頼性がタイプごとに異なり、停電時の照明確保や維持管理など、使用上留意すべき点もさまざまであり、感震ブレーカー等の普及とともに、漏電遮断器や消火器の備えつけなどの取り組みもあわせて行うことが、電気火災の発生抑制効果を高めるとしております。
 都といたしましては、今後とも、建築物等の耐震化や不燃化等に向けた取り組みに加え、家具類等の転倒等防止対策や感震機能つき分電盤等の普及促進に取り組んでまいります。

○徳留委員 感震ブレーカー等の普及に努めていくということでした。
 感震ブレーカー等については、この間、私を含めて我が党は繰り返し質問をしてまいりました。地震火災の中で、一旦停電した電気が復旧した電気によって引き起こされる通電火災、あるいは復電火災と呼ばれるものを食いとめる上での重要性を強調して、都として、助成制度の具体化を含めて感震ブレーカー等の普及啓発、設置の促進を求めてきました。
 しかし、都の答弁は一貫して、感震ブレーカー等については、国の動向や、器具の信頼性、有効性について国の検討を注視するという立場でありました。そういう点から普及啓発に努めているという答弁でした。
 最新の到達点では、都内での感震ブレーカー等の普及、設置の実態はどうなっているのか、ご報告いただきたいと思います。

○裏田企画調整担当部長 平成二十五年十二月に国が実施いたしました防災に関する世論調査によりますと、揺れを感知して電気をとめる器具でございます感震ブレーカーの設置率は、全国で六・六%、都区部において八・一%となってございます。

○徳留委員 現状は、ほとんど普及していないともいっていいぐらいの到達だと思います。地震火災、中でも通電火災といわれる電気火災防止に大きな役割が期待されているにもかかわらず、普及、設置が進んでおりません。
 なぜ感震ブレーカー等の普及、設置が進まないのかについて、今回の国の検討会では幾つかの論点を整理して検討しております。
 一つは、出火原因の半数以上が電気に起因するものであるという認識がなく、感震ブレーカーの存在が知られておらず、その必要性が理解されていない。二つ目が、必要性を理解しても、感震ブレーカーなどの機器の存在が知られておらず、分電盤タイプの場合は高価なために設置に至っていない。三つ目は、家具転倒防止の場合は効果が認識しやすいが、感震ブレーカーなどによる電気火災の予防効果が実感しづらいこと。四つ目は、みずから設置しても周囲の家屋から出火して延焼することもあり、みずから進んで設置する動機にならない。五つ目が、電気はできるだけ切らないでほしいという気持ちが動く。こういうことが論点として検討されていたようであります。
 こうした実態は、各方面で作成されている防災用のパンフレット、リーフレットにも、その内容の不十分さが反映しているのではないかと思います。私も、地元の板橋でつくられている防災用のリーフレット、あるいは町会連合会が地域ごとにつくっている防災用のマニュアルなどを見ても、この感震ブレーカー、電気による火災の重要性が全く掲載されていないものがいっぱいあります。
 ここに、東京消防庁がホームページで掲載しております震災特集保存版「地震 その時十のポイント」というのを持ってまいりました。わずかに書いてあるのは「避難の前に安全確認 電気・ガス」、避難が必要なときにはブレーカーを切りと書いてあります。
 私はわかりますけれども、一体これでどれだけの人が、最近の地震で電気火災が本当に大事だ、これを食いとめるためには、器具がなければ、まず自分のところから逃げるときには電源、ブレーカーを切って外へ出るんですよ、できれば器具をつければという対応にはなかなかならないのではないかと思います。
 そこで、ガイドラインでは改めて、大規模地震時における火災の発生状況について、阪神・淡路大震災でも東日本大震災でも、発生した火災の中で原因が判明しているものの過半数の六割以上が電気を起因とする火災であったという認識を広げる、それが非常に大事だといっております。
 国民誰にとっても、何十年に一回、何百年に一回の大地震の経験は限られており、特別の努力、対策がないと、多数の国民の一般的な経験では、こうした地震火災、通電火災や復電火災についての認識は、なかなか得られるものではないと思います。
 地震火災の出火原因は時代とともに推移して、九十年前の関東大震災では、かまどや七輪からの出火の原因が多数でした。五十年前の新潟地震以後は、ガス、石油機器関係の出火が多く見られるなど、使用している火気器具や燃料、エネルギー等の生活様式の変化と安全対策により、その出火原因も変化してきています。最近の大規模地震の阪神・淡路大震災、東日本大震災においては、電気を起因とする火災が多く見られるようになりました。
 こうしたことから、専門家から繰り返し指摘されてくる中で、感震ブレーカー等の普及が通電、復電火災といわれる電気火災の抑制効果を発揮するということについて、いろいろ留意点もあるけれども、今回提案がされているわけです。
 そこでお聞きしますが、昨年策定された防災プランには、当初の骨子の段階では、地震火災の中で電気火災を防ぐための対策として漏電遮断器のみが明示されていました。それが確定版には、感震機能つき分電盤、いわゆる感震ブレーカー等も明記されることになりました。
 都の認識としては、この二つの器具が、地震のときの通電火災に両方とも同じように性能を発揮すると考えておられるのでしょうか。漏電遮断器は、阪神・淡路大震災や東日本大震災の中で、地震火災の原因としてはっきりしてきた通電火災や復電火災を防ぐのにどのように役立つのか、見解を伺います。

○裏田企画調整担当部長 災害時の火災による被害を防止するためには、出火や延焼を抑制することが重要でございます。
 ご質問の漏電遮断器は、災害時を含め、漏電による火災や感電死傷の防止対策として、過電流や短絡、漏電の際に電気供給を遮断するものでございまして、地震による強い揺れを感知して電気を遮断する感震ブレーカー等の設置、それと消火器の備えつけなどの取り組みとあわせて行うことで、電気に起因する火災の発生抑制効果を高めるものでございます。
 感震ブレーカー等の性能評価ガイドラインにおきましても、その有効性が示されておりますとともに、漏電遮断器の普及が地域の災害防止に寄与するものであるとして、今後も設置を促進することが必要としております。
 こうした取り組みに加えまして、建物の倒壊に伴う出火を防ぐための耐震化や、耐火構造住宅への建てかえ等の出火防止対策や、木造住宅密集地域の改善、延焼遮断帯となる特定整備路線の整備など、延焼防止対策を多重的に推進することで、火災に伴う人的、物的被害の軽減が図られるものと考えております。

○徳留委員 感震ブレーカー等の普及、設置は、いまだ全国で六・六%、東京の都区部で八・一%、これが二〇一三年の十二月段階の到達であります。
 ところが一方で、漏電遮断器の普及状況はどうかといえば、阪神・淡路大震災の時点、一九九五年では、全国は六四・五%、関東地域は六九・八%でした。東日本大震災直後の二〇一三年時点では、全国は八九・〇%、関東地域が六九・八%、現在は全国八九・〇%、関東は九二・九%という普及状況になっています。しかも、漏電遮断器の場合は、電気設営業者などの保安規程で義務的に普及されるようになって、ますます一〇〇%の方向に向かっています。
 漏電遮断器と感震ブレーカー等の器具は、同じ性能を持つものではありません。漏電遮断器は電気火災防止に役立つものではありません。しかも、その普及、設置状況には大きな差があります。これを放置したのでは、幾ら普及啓発といっても、電気火災による死者が七千人、被害想定されているものを解決することはできないのではないかと思います。それぞれが独自の役割を果たす防火器具として、感震ブレーカー等の役割を特別に明確にして、対策をもって普及啓発に当たる必要があると思います。
 そこで、阪神・淡路大震災でも東日本大震災でも、六割以上が通電火災、復電火災が原因と検証されているわけです。こうした通電火災の危険性とその対策の重要性についての認識を広く都民に普及啓発することが、地震火災の発生を最小限に食いとめて被害を最小にする具体化、すなわち感震ブレーカー等の普及、設置につながっていくのではないかと思いますが、どうでしょうか。
 まだ都民の意識としては十分に普及していない通電火災への対策を含めて、都民の防災意識をどのように向上させるのか、都の見解を伺います。

○裏田企画調整担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、地震に伴う火災を防止するためには、出火防止対策や延焼防止対策を推進していくことが重要でございます。
 こうしたことから、防災プランにおきまして、二〇二〇年を目標に、燃やさない、燃え広がらない地域づくりや、初期消火力の強化、建物等の延焼防止といった自助、共助、公助が備えるべき取り組みを取りまとめたところでございます。
 今後とも、出火、延焼の抑制に向けた家庭や地域によります取り組みを促すことで都民の防災意識を向上させ、具体的な行動につなげてまいります。

○徳留委員 私も、自助、共助、公助、さらにはソフト、ハード、全ての面で多重的な対策が必要なことはよくわかります。しかし、国民の中に、都民の中に、感震ブレーカーの重要性、その前提としての、最近の都市型の大震災で停電後の通電、復電によって大きな火事の原因になっているという、この認識がなければ、幾ら器具をキャンペーンしても普及しないと思うんです。
 やっぱり大地震の対応では、家屋、住宅が倒れない、倒れにくい対策、それから家具が転倒しない、転倒しにくい対策、そして燃えない、燃えにくい対策が必要だと思いますけれども、その対策にとって感震ブレーカーが大きな役割を果たす、また果たすようなものとして製品の向上も必要だと思うんです。そこの認識を持って対策を打たなければ、先ほど紹介あったような六%、八%の水準で一向に普及しないと。そうすると、いざ首都直下地震になったときに、七千人規模の火災による死者を生み出すことになりかねないということを強調しておきたいと思います。
 そこで、都民の防災意識の向上にとって重要な役割を果たすことになる、今後配布される予定の防災ブックの内容として、自助や共助や公助あるいはハード、ソフト、多重対策の具体化は当然としても、ガイドラインで指摘されている地震火災の発火原因となる電気火災の問題の対策としての感震ブレーカー等の重要性、その役割、設置について、わかりやすくしっかりと反映させることが重要だと思いますが、いかがでしょうか。

○矢岡総合防災部長 防災ブックは、一家に一冊常備され、家庭における防災の指針ともなるものを目指してございます。
 一方で、ご指摘の感震ブレーカー等の性能評価ガイドラインは、先ほどもご答弁いたしましたけれども、さまざまなタイプの感震ブレーカー等について、その仕様や性能、また性能の評価方法などを記載しているものであり、比較的専門性の高い内容となってございます。
 防災に関する情報は広く多種多様でございまして、防災ブックでは、それを都民にとってわかりやすく伝えていくことが重要と考えております。現在実施中の調査等を踏まえつつ、掲載事項や表現につきまして検討してまいります。

○徳留委員 都の担当部門が、電気火災、とりわけ通電火災や復電火災の重要性の認識と必要性をしっかり受けとめることから始まるのじゃないでしょうか。そういう立場に立って感震ブレーカー等の留意点や問題点も改善をしていくと。
 この前、生文局が、家具の転倒防止で試験をやったら不十分さがあったということで、これを本当に有効にするには上と下をしっかり支える必要があるということをやられましたけど、こういう立場で、感震ブレーカーの有効性、信頼性、そういうものを高めていくためにも前向きに努力をしていただきたいと思います。
 国の電気火災の抑制に関する検討会の結論として、感震ブレーカー等の普及についてのガイドラインが公表されたことを受けて、また近く公表される最終報告も念頭に置いて、三月八日、政府は、業者とも協働して、大都市圏を中心にして住宅密集地に感震ブレーカーを普及する、そういう対策に打って出るということを発表されました。
 ぜひこうした取り組みを、特定の住宅密集地域だけじゃなくて、新しい住宅だけじゃなくて、既存住宅、とりわけ木造住宅の密集地域まで広げていけるかどうかが、私は大きな鍵を握っているのではないかというふうに思います。そのためには行政の強力な普及啓発が不可欠ですし、その役割をぜひ防災ブックに果たしていただきたいと思います。
 さらに、防災基金一千億円なども活用して助成などを具体化して、この感震ブレーカーの普及を広げながら、首都の直下型地震で通電火災や復電火災によってたくさんの犠牲者を出すことがないような、そういう対策を強めていただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わります。

○栗林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十分開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山下委員 私からは、東京都国民保護計画のことを何点か伺うことを通じて、危機管理について質疑をさせていただきたいというふうに思っております。
 私はこれまで、危機管理について、代表、一般あるいは以前の総務委員会等でも、さまざま質問を積み重ねてまいりました。
 例えば、私が一期生のころには、知事室に不審者が侵入する事件があり、その後の対応策を質問したりもいたしました。
 また、お隣の韓国では、地下鉄の火災などで大変な被害があり、日本においても、六本木などの地下の深いところにある駅では、これは私自身、実際に伺ってはかったのですが、駅のホームから地上部まで上がるまでに、私の足ですけども、平常時に七分程度かかって、そしてラッシュ時になると十一分から十二分かかる。極めて深いところですから、当然長い時間がかかる。こういった同じようなものが起きたときにどういう想定があるのかと、こんなことも伺ってまいりました。
 そこには駅員さんが数名いらっしゃるだけで、その中には、もしかしたらハンディキャップをお持ちの方もいらっしゃるかもしれない、点字ブロックが機能しない場合もある、エレベーターがとまってしまうこともある。要は、当時から私が申し上げてまいったのは、想定でき得る全てのことを想定して準備しなければならないということでございます。
 そういう意味では、今回の東京都国民保護計画は、以前と比べると想定もふえ、しっかりとした組織、連絡体制などを構築するなど、随分進んだように思います。その点は非常に私自身も高く評価をさせていただいているところであります。
 しかし、幾らシミュレーションして準備を進めても、実際に都民に必要な情報が届き、素早く安全が確保されなければ意味がありません。今回はその観点から質問してまいりたいと思います。
 まず、東京都国民保護計画では、住民等への警報、避難の指示等の伝達について、多様なメディアを活用するとしていますが、ご承知のとおり、ほぼ全てのメディアは電力によって支えられております。いざというとき、送電がダウンすることも十分に考えられるわけでありますが、そういった状況下において、どのように情報伝達手段を確保するのかをお伺いいたしたいと思います。

○小久保防災担当部長 東京都国民保護計画においては、住民等への警報、避難の指示等の伝達に際して、多様な状況や条件にある人々に迅速、的確に情報が伝わるよう、多様な手段を活用することとしております。
 ご質問の停電時におきましては、携帯電話や、非常用発電装置により停電対策を講じた防災行政無線などを活用してまいります。

○山下委員 また、多様なメディアの活用の中には、携帯電話やデジタルテレビの自動起動機能の活用を検討するとありますが、それらの機能は全ての携帯電話やデジタルテレビが対応しているのでしょうか。全てでないとすれば、対応している割合はどの程度か、お伺いをいたしたいと思います。

○小久保防災担当部長 デジタルテレビの自動起動機能については、通電待機状態でも信号受信時に自動的にテレビが起動する緊急警報放送に対応する受信機がございます。しかし、現在、対応しているテレビが一般に普及しているとはいいがたい状況にあります。
 一方、携帯電話については、携帯電話事業者が提供する緊急速報メールがあり、指定された地域内の携帯電話ユーザーに対し、回線混雑の影響をほとんど受けることなく、国や地方公共団体から災害避難情報等を一斉に配信することができます。緊急速報メールについては、多くの携帯電話が対応しておりますが、一部対応していない機種もございます。
 なお、それぞれの対応割合については、詳細には把握しておりません。

○山下委員 さらに伺いたいと思います。
 この計画の中で、都のホームページへの警報や避難の指示の即時掲示、電子メールによる一斉情報発信がありますけれども、ホームページについては、当然、見にきてもらわなきゃいけないし、電子メールについては、アドレスを登録してもらわなければならないというふうに考えますが、それらの対応策もあわせてお伺いしたいと思います。

○小久保防災担当部長 ホームページは、その特性上、災害の第一報が伝わりにくいものの、警報やテレビ、ラジオなどにより情報を確知した後、ホームページにアクセスすることにより、容易に詳細な情報収集が可能となることから、有効なメディアであると認識しております。
 また、電子メールによる一斉情報配信については、区市町村と連携し、アドレス登録が不要な携帯電話事業者の緊急速報メールを活用することが一つの対応策と考えております。

○山下委員 これまで、三点ほど都民に対する緊急時の情報発信について伺ってまいりました。ご答弁からわかるのは、都としては、いざというとき、携帯電話を情報発信の核と据えているのであろうなということでございます。
 しかし、携帯電話であっても万能ではありません。最近、スマートフォンの普及でさらに便利になったとはいえ、その電池のもちは決してよいものとはいえないというふうに思います。恐らく、もっても丸一日がいいところではないでしょうか。そうなると、その後はどうするのかといった問題も出てまいります。
 今まで三点ほど伺ってまいりましたが、私は、せっかくこの計画の中にそれを載せていただいているわけですから、もっと掘り下げた準備をすべきではないかなというふうに考えております。
 例えば、デジタルテレビの自動起動機能がついているテレビが少ないというご答弁がありましたけれども、少ないのであれば、普及させるためにインセンティブをつけるなどの誘導策を考えることであるとか、携帯電話の緊急速報メールも、対応していない機種があるということがわかっているのであれば、一〇〇%を目標に考えていくとか、それぞれの対応割合は把握していないという現在のご答弁がありましたけれども、それだけで終わらずに、今後対応策をしっかりと検討していただきたいというふうに強く要望させていただきたいと思います。
 次いで、この計画の中で、緊急時に大規模施設に協力を要請するということについて質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど、備蓄あるいはさまざま危機管理についても議論が諸先輩方からございましたけれども、私も、既に東京都が、緊急時のために、帰宅困難者のために、食料や毛布だの備蓄を要請しているということは承知いたしております。
 しかし、食料など賞味期限があるものに関しては、当然更新しなければならないわけです。すると、その経費は一体誰が払うのかという話に当然なるわけであります。初回購入時には補助があったけれども、更新時には、その当該施設自身が経費を全額負担しなければならないと伺っております。
 もちろん、それでも多くの施設は協力をしてくれるというふうに信じていますが、危機管理に終わりはありません。今後、長期間にわたる備蓄経費を大規模施設の良心だけに委ねていいのか。公として都がサポートする方法を検討すべきと考えますが、ご所見をお伺いしたいと思います。

○小久保防災担当部長 都は、九十二万人に及ぶ行き場のない帰宅困難者の安全を確保するため、共助推進の観点に立ち、さまざまな民間事業者に対し、一時滞在施設提供に向けた協力を求めており、現在、事業者の負担軽減のため、その開設に必要となる備蓄品の購入費用の六分の五を補助しております。
 この補助事業は、事業者の自主的な取り組みを促す観点から、対象を初期費用に限定しているものであり、将来想定される更新費用の負担は、各事業者にお願いしたいと考えております。

○山下委員 ご答弁で、要するに、共助推進の立場であるから各事業者にお願いをしているといったことだったろうというふうに思っていますが、私はやはり、危機管理を考える上では、もう一歩踏み込んだことを想定していただきたいなというふうに思っています。
 確かに、緊急時に全ての都民、国民の食料を公が負担するということは、それは到底困難であります。これは実現不可能だというふうに私も理解をいたしております。
 しかし、私が今質問させていただいたこの取り組みというのは、もうご承知のとおり、共助推進の立場である東京都が初回に費用を六分の五を出してでも、帰宅困難者のために備蓄が大変重要だから、それでもやりましょうといって始まった事業だと私自身は認識をしていて、これは大変貴重な取り組みだと私は思っているわけであります。
 そこで、せっかくのこの取り組みを、長期間にわたる備蓄費用が捻出できないという想定も十分に考えられるわけであります。いざ万が一のことが起きた際に、さまざまなケースがあります。もちろん、外国の武力攻撃かもしれないし、大きな地震かもしれないし、さまざまなケースはあろうかと思いますが、そのときに、少し前の更新時までは備蓄していたんだけれども、今回は備蓄はやめていたといったような事態が起きないように私はすべきだというふうに思っております。もちろん、共助の推進の立場あるいはその考えには共感するところは十分私も持っておりますが、それだけのせっかくの取り組みでありますから、今後ぜひこの取り組みだけでも機能するようにご検討いただけないかなと、今後ともお願いをしておきたいというふうに思います。
 次に、有事の際、この大都会東京で人々がどう動くのか、また、どうすれば効果的にパニックを起こさずに安全に避難できるのかを考える上で、東京を俯瞰で捉えるシミュレーションが重要であるということから質問していきたいというふうに思います。
 私は、実際に行われている東京マラソンなどの大規模イベントが、シミュレーションをする上で大変役に立つと考えています。
 いうまでもありませんが、東京マラソンは、今や日本だけではなく海外からも注目される非常に重要なイベントであります。当然、都民に誤解されたり、都民の利益にならないような形はあってはなりません。しかし、一日に三万六千人を超えるランナーが参加し、コース周辺の店舗や住民に多大な協力を仰ぐイベントはそうありません。
 人々の動き、そこで発生するさまざまな出来事は、大規模災害、テロ、軍事攻撃などの有事に、都民、国民にどう知らせ、どう避難誘導するかを検討するのに参考になるのではないかと考えますが、ご所見を伺います。

○小久保防災担当部長 東京マラソンは、ことしで九回目を迎え、警備に加え、ランナー、観客の安全確保や交通誘導など、危機管理に関するノウハウや各種情報等が蓄積されてきております。それらについては、住民に対し避難の指示や誘導を行う場合など、国民保護事案等の対応においても参考になるものと考えております。

○山下委員 ありがとうございます。ぜひ、都民に誤解を与えず、かつ有益なシミュレーションが行えるように今後もご努力いただきたいというふうに思います。
 さて、これまで主に、実際、有事の際にどうするかを伺ってまいりました。しかし、何よりも日ごろからの準備が大変重要であることは間違いありません。都民には、日ごろの訓練はもちろんのこと、緊急時避難場所、連絡方法などについて、家庭内での話し合いを促していくべきだと私は考えております。
 知事肝いりのハンドブック、これは先ほど来議論がありましたから割愛をさせていただきますけれども、それはもちろんのこと、東京都が提供番組を持つMXテレビなどで、さまざまな危機からどう身を守るかなどを知らせ、都民の危機意識の向上を促すような番組に特化した番組を私はぜひつくっていただきたいというふうに思っておりますが、そういった番組をつくり、有事への備えとすべきと考えますが、ご所見を伺いたいと思います。

○小久保防災担当部長 都は、パンフレット、テレビ、インターネット等のさまざまな媒体を活用するとともに、講演会、研修会などさまざまな機会を通じて、国民保護措置の重要性や内容等について普及啓発を行うこととしております。
 ご提案のTOKYO MXなどの協力を得て関連情報を提供することも含め、引き続き、都民、事業者等の危機管理に対する意識の向上を図ってまいります。

○山下委員 ありがとうございます。ぜひ今後とも、都民にわかりやすい形で危機意識の大切さを伝えていただきたいと思います。
 本日は、危機管理についてさまざま議論させていただいてまいりましたが、やはり計画を策定しただけでなく実効性のある取り組みが必要であります。さまざまな時代の変化の中で、万全の対応がそう簡単ではないことは私自身も認識をさせていただいているところでありますが、想定でき得る全てのことを想定し、具体的な危機管理への取り組みを効果的に行っていく必要があると考えます。
 最後に、今後の危機管理について考え方と決意を伺い、私の質問を終わります。

○矢岡総合防災部長 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを控えまして、東京における危機管理の重要性が高まってきております。首都直下地震への備えはもちろん、昨今の緊迫した国際情勢を踏まえ、テロ等への対処も強化していく必要がございます。
 このたび変更する国民保護計画を含めまして、計画やマニュアルを真に実効あるものとするためには、委員ご指摘のとおり、現実に起こり得るさまざまな状況をきめ細かく想定し、技術動向にも注視しながら効果的な対策を模索し続ける姿勢が重要だと考えてございます。
 今後とも、関係機関と連携しながら、危機管理対策の充実に向け取り組んでまいります。

○やながせ委員 私からは、包括外部監査について何点か質問していきたいと思いますけれども、その前に、今の舛添都政、一年がたちまして、本格予算ということで初めての予算ができました。それで、福祉が一兆円を超える、また、四千五百億円の基金では、防災に特化した基金が一千億積まれるということで、これまでできてこなかった、けれども必要であった部分に対して、非常に手厚く手当てがされているのかなというふうに思います。
 ですので、その使う部分に関しては、よく手当てをしてきているというふうに思うんですけれども、ただ、私はこれからの都財政を考えると、社会保障費なんかでは固定費が毎年三百億円ずつ増加していく、また、老朽化したインフラの対策は六百億円ずつコストがふえていく、こういった試算もあるわけです。つまり一千億円ずつ固定費がふえていくんだ、こういった試算がある中では、積極予算をするのであれば、それと同時に、しっかりとゼロベースでの事業の見直しをするということ、また、しっかりと財源を生み出すことが必要だなというふうに考えています。
 その中でも、いわゆるコストカット、行革を、しっかりと不断の改革をやっていくということが何よりも大事なことなんだろうというふうに私は考えています。国から地方法人課税の偏在是正ということで、私たちも申し上げておりますけれども、ただこれは、積極予算をどんどんやっていくんだ、基金もどんどん積み立てていくんだと、この部分を見て、国は、都は裕福じゃないか、富裕じゃないかと。ただその一方で、行革をやれやれということで国はいっているわけですけれども、この部分はなかなか見えてこない。これでは、偏在是正を変えていく、偏在を是正していくということになかなか至っていかないのではないか、このように思っています。
 ですので、行革をつかさどる総務局は、何とかしてまずは行革大綱をつくっていただきたいと、こういったお願いをずっとしてきました。これはなかなか簡単にできるものではないと思います。まだ舛添都政は一年目ということで、必要なところにまず手当てをしていこう、それから行革ということにも手をつけていくんだろうなというふうには思っておりますけれども、行革大綱をまずはつくっていただきたい、このことは再度強く要望しておきたいというふうに思います。
 また、ゼロベースでの見直しということでいうと、今、財務局の事業評価ばかりがいわれているわけですけれども、これはやっぱり限界がありますよ。今回も、出てきた予算、これだけ組み替えしましたというのがありますけれども、あれもほとんど、もとからあった事業の組み直しで出てきたようなものですから、しっかりとそれは外部からの目を入れるということが何よりも重要だろうというふうに考えています。
 そういった中では、行革の視点から見ると、ひとり気を吐いているのが包括外部監査だということで、私はこの包括外部監査が非常に有効に機能しているんだというふうに思っていますし、非常に大きなツールなんだろうというふうに思います。
 その観点から、包括外部監査がしっかりと機能するように、何点かきょうは質問していきたいと思います。
 まず、包括外部監査人、今、佐久間さんが監査人を担当されているわけでありますけれども、この選定方法についてお伺いをしたいと思います。

○三木行政改革推進部長 包括外部監査契約を締結できる者は、制度上、弁護士、公認会計士等とされており、都においては、財務書類の監査に精通している公認会計士を包括外部監査人としております。
 選定に当たっては、日本公認会計士協会東京会に対して複数の候補者の推薦を依頼しており、その中から包括外部監査人を選定しております。
 なお、推薦に当たりまして、候補者から東京都の包括外部監査に関する提案書を提出していただいているところでございます。

○やながせ委員 公認会計士協会の方からの推薦を経て決定しているということなんですけれども、毎年大体五人から六人、平成二十六年度は五人の推薦があって、その中からこの佐久間さんを選んだということでございました。
 この外部監査は、まさに誰になるかによって大きく結果も異なってくるだろうというふうに思います。力量は、多分、個人の資質に相当差があるだろうというふうに私は考えておりまして、この選定というのは何よりも大事であるというふうに思うんですね。
 そういった中では、この選定をどういうふうにやっているのかということを聞きましたところ、提案書を書いてもらっているんだということでありました。提案書の中には、監査人の候補者たる人が、これまでどういった民間の会計監査をしてきたのか、協会の中でどんな役職をやってきたのか等々、さまざまな項目が書かれているわけですけれど、私、一つだけちょっと気になったのが、監査の方針というところがあるんですね、この項目の中に。
 そこには何と書かれているかというと、テーマの選定、監査の実施、結果の報告等に当たっての基本姿勢、視点、手法の工夫などというふうに書かれておりまして、監査の方針をそれぞれの人から明らかにしてもらって、その中から選ぶということなんです。一見すると、これは当たり前のように見えるかもしれないんですけど、ただ、私はちょっとこれに対して危惧を抱いておりまして、例えば監査の方針で、非常に厳しい内容でこれは見ていくんだ、監査といってもさまざまな分野がありますから、過去のさまざまな、自分の特殊な能力を駆使して東京都の非常に厳しい状況を明らかにするんだというような、これが監査の方針として書かれていたら、その人を果たして選ぶのかなというふうに、私はちょっとうがった見方でこれを今回見ているわけですけれども、思うわけであります。この監査の方針というものを書かせることによって恣意的な判断が入ってしまうのではないかという懸念を持つわけであります。
 監査人が選ばれてから、都庁に対して、ここに大きな問題があるだろうということで突っ込んでいくという、これがあくまで包括外部監査であります。ですので、事前に選定の段階に当たって監査の方針を書かせるということについてちょっと私は不安があるわけですけれども、これを検討していただけないか、変えた方がいいのではないかというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○三木行政改革推進部長 都は、他の自治体を上回る組織、財政、事業規模などを抱えていることから、包括外部監査人の選定に当たりましては、これまでの包括外部監査に関する実績や公的部門監査、民間企業会計監査の実績に加え、監査の基本姿勢や職務の遂行に必要な専門能力を備えた監査体制の構築が可能かどうかなど、幅広い視点で選定する必要があると考えております。
 お話の点につきましては、テーマを選定するに当たっての候補者の基本的な姿勢等を確認するためのものでございまして、包括外部監査人の選定に必要な要素の一つと認識しており、これらの観点を総合的に勘案した上で、ふさわしい者を選定しております。

○やながせ委員 基本姿勢を聞くのはいいと思うんですよ。ただ、ここにテーマを書かせるということになれば、そのテーマが、例えば都庁側にとって非常に都合の悪いことがあったとして、それが書かれていたということで、この人ははじこうという判断をすることも可能であるという実情があるということですので、ぜひこれは検討いただきたい、このことを要望しておきたいというふうに思います。
 それで、監査人は、選ばれてからみずからテーマを選んでいくわけですけれども、監査人が選んできたテーマなんですけど、これが--平成十一年から外部監査は始まっています。それで十六年経過しているわけですけれども、十一年から十六年間の監査テーマを見てみると、正直、非常に偏りがあるなというのは感じます。
 多分、自由に選んでいるから偏りがあるということもあるとは思うんですけれども、幾つか挙げてみますと、例えば今回のは水道局がテーマでありました。でも、水道局に関しては平成十六年もされています。監理団体、また公営企業に関する監査テーマが非常に多くなされているわけであります。
 逆にいえば、例えば教育庁のようなところは、一回もこの監査に上がっていないというような実態があるということなんですけれども、そこでまず、監査テーマについては誰がどのように選定をしているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○三木行政改革推進部長 包括外部監査は、監査機能の独立性と専門性の強化を目的としていることから、そのテーマについては、包括外部監査人自身が自己の見識と判断に基づき選定をしております。また、監査人は、過去の監査テーマ、都政を取り巻く課題や各局の事業動向などを把握した上で選定しているものと認識しております。

○やながせ委員 そうですね、自由に監査人がテーマを選んでいいよ、選ばなくちゃいけないということで、この公営企業のあり方、公営企業は民間企業との比較がしやすいということもあるかもしれませんけれども、やっぱり公営企業に偏ってしまっていると。もちろん公営企業のあり方というのは、都政にとっては一番大きな課題だと私は考えていますので、そこを監査していただくというのは大変ありがたいことなんですけれども、やっぱりテーマが偏っているということは否めないなというふうに思うんです。
 それで私は、これを解決するためには今の予算規模を考えてみたいんですけれども、これ、三千七百万円という予算であります、包括外部の委託の予算でいえば。私は、三千七百万円というのはどういう根拠なんだということを聞くと、いろんな根拠をいただきました。神奈川県からすると二倍ぐらいの金額をかけているんだというようなお話がありました。
 ただ、東京都の財政は、公営企業も合わせると十三兆円という莫大な予算を持っていて、それを横断的に横串にする、徹底して事業を洗っていく、そういう作業ですから、これを三千七百万円でやるというのは、なかなか困難なことなのかなというふうに私は考えています。
 それで、民間企業が監査にどれくらいのお金をかけているのかということも調査をしてみました。これはかなりまちまちでございまして、大企業の中には、やっぱり数億円かけているんだというところが多かったです。ただ、なかなかお答えいただけないところも多くて、十三兆円という規模を考えたときには、三千七百万円という予算規模では、局横断的な調査等々はなかなか難しいのではないかというふうに私は考えます。ですので、一番グレーがありそうなところにテーマが偏ってしまうということなのかなというふうに思います。
 そこで私は、監査人は一人ということなので、監査人をふやせばいいんじゃないかなというふうに思ったんですけれども、監査人は一人と決まっておるということのようでありますので、監査人のもとに複数のチームを編成して、都政の幅広い分野を横断して監査が実施できるように、これを充実するべきなのではないかというふうに考えますけれども、見解をお伺いいたしたいと思います。

○三木行政改革推進部長 地方自治法では、知事は、毎会計年度、一の者、すなわち一人の外部監査人と包括外部監査契約を締結することになっており、複雑多岐にわたる地方公共団体の事務を適切に監査するため、包括外部監査人は、監査の事務を他の者に補助させることができるとされております。
 平成二十六年度におきましては、包括外部監査人が統括する十八名の補助者とチームを編成して、組織的な監査を実施しております。また、包括外部監査人は、みずから設定したテーマに応じて、公認情報システム監査人や建設コンサルタントなど必要な専門家を補助者として活用し、会計的な視点のみならず、多角的な視点からの監査も実施しております。
 このように、包括外部監査人が監査体制の強化を図り、より効果的な指摘を行うことで、効率的な業務運営及び都民サービス向上などの成果につなげておるところでございます。

○やながせ委員 ありがとうございます。
 それで、平成二十七年度においては二割増額する予算を計上しているということは私も承知をしておりまして、ぜひより充実をしていただきたいということを申し上げたいというふうに思います。
 平成二十六年度の水道局の監査報告書、これは非常に分厚いものでありますけれども、見させていただきました。非常に厳しい内容となっていますよね。
 これは皆さんごらんになっていただいたとは思うんですけれども、水道局の特にTSSとPUC、これは私もかねがねいってまいりましたけれども、PUCなんかは自己監督の状態になっているんじゃないか、また、交際費が非常に多額になっているんじゃないか、また、監理団体が締結する契約、特命随意契約が、やっぱりありとあらゆるところでなされている、それが非常に不合理なんじゃないかということで、非常に厳しい内容となっています。非常に厳しいなと。だから、これは有効に機能しているというふうに私は思うんです。
 ただ、残念なのは、ここで指摘されている内容というのは毎年されていることなんです。前回の予算特別委員会、去年の予算特別委員会で私は申し上げましたけれども、不合理な特命随意契約なんていうのは、毎年この外部監査で指摘されておる、だけれども全くなくならない。これは非常に残念なことであります。
 また、ここにも書かれていますけれども、例えば工水の問題ですね。工業用水の問題が前に指摘されたんです。この包括外部監査で指摘をされたんだけれども解決されていない、それはどうするんだ、一刻も早く決めなくちゃいかぬじゃないかと、そんな指摘もなされています。
 非常に厳しい内容となっていて、これは有効に機能しているんだろうというふうに思うんですけれども、指摘をされて、それがちゃんと全庁的に解決されていく、これが何よりも大事なことですから、そこも含めて--総務局は責任を持ってこれをやったわけですから、その結果がどこまで反映されているのか、ここまでしっかりと追跡調査をして、全庁的な取り組みになるように波及をさせていただきたい。これは毎回申し上げていることですけれども、このことを申し上げておきたいというふうに思います。
 今のどんどん膨張する予算の中で、やっぱりゼロベースの見直しは必要です。そのためにはやっぱり外部の目が何よりも必要だと思うんです。だから、そのツールとしては包括外部監査をしっかりと活用する。活用するというのは、この結果で出てきたことを全庁的に実施していくということだと思います。ぜひこれは実施をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問は終わります。

○上田委員 総務局の予算調査に当たりまして、多岐にわたる事業を、端的に十四項目、四十三問尋ねさせていただきたいと思います。
 まず、国勢調査についてです。
 本年は国勢調査の実施年でございまして、国勢調査は、調査員が各世帯に訪問、調査票を配布する悉皆調査により行われます。さきの事務事業質疑におきまして、非常勤の国家公務員である国勢調査員が調査活動中に犯罪行為や児童虐待を知ってしまった場合の対応につきまして、法に基づいて対応するとのご答弁でした。
 まずこの点について、区市町村、各調査員、各指導員にはどのような周知をしているのか、お示しください。

○中村統計部長 国勢調査において実際の調査に当たるのは区市町村でございます。このため、都が主催する事務打ち合わせ会等の場を通じまして区市町村に、また、区市町村を通じて指導員及び調査員に、国勢調査の実査活動中に遭遇する事態についても、各種法令に従った適切な対応をするよう周知してまいります。

○上田委員 仮に調査員が犯罪行為、児童虐待を見るような事態に遭遇してしまった場合は、どのような支援や相談をされているのか、お示しください。

○中村統計部長 都は、実査を担う区市町村や調査員等が適切に対応できるよう、必要に応じて区市町村の取り組みを支援してまいります。

○上田委員 当事者に普通の町会の市民がかかわっているわけですので、サポートと周知をお願いします。
 一方、プライバシーの観点から、国勢調査に抵抗感を持つ都民がふえていると考えております。このような不安を解消し、調査票を着実に回収していく都としての広報の取り組みについてお答えください。

○中村統計部長 都民の理解と協力を得ながら、国勢調査を正確かつ円滑に実施することが重要でございます。
 このため都は、国や区市町村と連携しまして、国勢調査の意義とともに、調査方法がプライバシー保護に十分留意したものであることなどの広報を展開してまいります。

○上田委員 承知しました。よろしくお願いいたします。
 次に、こちら資料四ページになりますが、知事が職員を代理人に指定した訴訟事件の発生件数が書いてあります。二十五年度は二百四十件ということです。
 この指定代理人の運用状況について資料を提出していただきました。職員が訴訟対応する指定代理人について活用されているということから、指定代理人となる職員の資格など、選任の条件をご説明ください。

○和久井訟務担当部長 訴訟代理については、地方自治法第百五十三条の定めにより、知事が補助機関である職員を指定代理人とすることができるとされておりますが、その他の資格や条件は求められておりません。
 なお、法務課では、七名の法曹資格を持つ職員を有し、その他、法務の行政専門職など専門性の高い職員を中心として訴訟対応を行っております。

○上田委員 当該職員の専門性が担保されていることは理解ができました。
 ただ、さきの事務事業質疑で指摘させていただきましたように、訴訟の過程で公益通報者の個人情報が相手方に知られてしまう事案が起きました。
 改めて、指定代理人として応訴対応に当たる職員のスキル向上、特に公益通報者保護、個人情報保護への配慮について、取り組み状況をご説明ください。

○和久井訟務担当部長 各事件の訴訟対応のために指定される代理人は、経験豊富な管理職と一般職員がペアで組むようにし、幅広い法務事務を経験させるなど、法務人材の育成に努めております。
 十一月二十七日の総務委員会でご答弁申し上げたように、委員がご指摘の訴訟において、公益通報者を特定できる形で資料を提出したことはないと認識しております。
 公益通報に関する訴訟については、他の訴訟と同様、これまでどおり、事業所管局とよく連携し、必要な立証活動を損なわない限度で、個人情報の保護に十分に配慮して対応してまいります。

○上田委員 個人が特定されるような形では出していないという認識ですが、私もそちらの裁判資料を見ましたら、若干認識違いがあるようには思います。こうした認識の違いがございますことからも、今後も特段の配慮とスキルの向上を求めさせていただきます。
 さて、児童相談所の移管についてです。
 今定例会の一般質問にて、私は新生児里親推進を求めました。質問に向けての調査の中で、予期しない妊娠、出産の相談、事後の対応などについて、区市町村を含めて対応しているとの説明を福祉保健局長から受けました。
 また、養育家庭委託に不安を抱く実親に対しては、家庭的な環境が児童の成長を促すこと、そのために養育家庭委託が望ましいことなどを説明していると梶原局長から明言もありました。
 予期しない妊娠など育てられない事情を抱えた場合、親がもともと不存在、存在しない場合等における新生児、乳幼児の里親委託、家庭養護にあっては、区市町村が対応することが望ましいことからも、可及的速やかな児童相談所の区への移管を求めるものでございます。
 つきましては、特別区への移管について、都の取り組み状況、区側の動き、今後の見通しについてご説明をください。

○越区市町村制度担当部長 児童相談所は、里親委託や一時保護、児童及び家庭に係る専門的な調査、診断、強制的措置を必要とする児童等の家庭裁判所送致など、幅広い業務を行っております。さらに、虐待や非行などの困難事案に対応できる専門性や、施設への広域的入所調整ができる体制が不可欠であり、家庭復帰までの一貫した対応が求められます。
 特別区は人口規模もさまざまであり、仮に全ての区へ移管するとなれば、各区で一時保護所の整備や専門人材の確保、育成等が必要となるほか、施設等への入所調整には、特別区相互、都と区との間で連携協力が必要となるなど、多くの課題がございます。
 今後とも、子供たちの安全や安心をいかに確保していくかという観点を最優先に、児童相談行政のあり方などについて、特別区と真摯に幅広い議論を行ってまいります。

○上田委員 私は江戸川区選出で、岡本海渡君事件が起こったところでございます。区長会の意見を聞いて、ぜひ区の方に移管に向けてのお取り組みの方を、東京都も前向きに考えていただきたいと思っております。
 一方、市については、特別区に比べて移管を求める動きに温度差があるように思われます。現状について、現在の市の状況と、将来に向けて移管を視野に入れているのかどうか、都の所見をお示しください。

○越区市町村制度担当部長 児童相談所は、法令上、都道府県及び指定都市が行う事務となっております。
 市が児童相談所を設置、運営するためには、都道府県との連携体制や人的体制、児童福祉施設の確保などを図った上で、都道府県との協議状況等を踏まえて、希望する市が国に要請し、政令で指定される必要がございます。
 現在、児童相談所設置市として政令で指定をされているのは、全国で横須賀市と金沢市の二市のみであり、都内で移管希望を申し出ている市はございません。

○上田委員 市部と区部は財政状況のあり方が若干違うということから、そのようになっているのかとお見受けしました。まずは、今あるソフトウエアで連携を図って、虐待防止、さらには予期しない妊娠についての対応を求めるものです。
 そして、虐待というと、人権施策指針の見直し、現在策定中の東京都人権施策推進指針について伺います。
 有識者懇談会による人権問題についての当事者からの意見聴取の状況について、ご説明ください。

○箕輪人権部長 東京都人権施策推進指針の見直しにつきましては、平成二十六年七月に有識者懇談会を設置いたしました。有識者懇談会は七回開催され、基本理念や人権課題について議論し、二月十日に提言がまとめられました。
 議論に先立ち、高齢者、障害者、多文化共生など、さまざまな人権課題につきまして現状を把握するため、八人の有識者及び十九の人権団体からヒアリング、意見聴取を実施いたしました。

○上田委員 その中で、指針で取り上げる人権問題に新たな項目が追加されました。その理由についてご説明ください。項目がふえますと、啓発に向けた取り組みが拡散しないか危惧をいたしますが、従来の項目を含めて、どのように啓発を継続して推進していくか、新年度の取り組みをお答えください。

○箕輪人権部長 有識者懇談会では、平成二十五年に実施した人権意識に関する世論調査や、有識者、人権団体からのヒアリング等を参考に、指針で取り上げるべき人権課題の検証を行いました。その結果、インターネットによる人権侵害や、北朝鮮による拉致問題、災害に伴う人権問題など、新たな項目として取り上げるべき人権課題が示されました。今後、都では、提言の趣旨を踏まえまして、指針の素案を策定いたします。
 なお、啓発につきましては、人権週間や憲法週間の行事におきまして、都民の関心の高い人権課題を取り上げるとともに、そのほかの人権課題につきましても、啓発冊子の作成、配布等により、継続的に都民に周知を図ってまいります。

○上田委員 研さんを重ねているとのことですけれども、この指針は、都民とともに、庁内でもあまねく皆様と共有していくことが肝要と考えております。職員にいかに周知、啓発していくか、新年度の取り組みをお答えください。

○箕輪人権部長 有識者懇談会の提言の趣旨を踏まえまして、今後、素案の策定、パブリックコメントを行い、新たな指針を策定していくこととなります。
 職員への周知につきましては、人権担当課長会等で全庁に説明するとともに、悉皆で行っている人権研修で取り上げ、職員が指針の内容を正しく理解できるよう浸透を図ってまいります。

○上田委員 そして、項目には従前から女性、子供、高齢者、障害者が取り上げられていますが、現指針の策定以降、子どもの権利条約議定書の選択議定書の批准、障害者権利条約の批准、DV防止法の制定、児童、高齢者、障害者それぞれについて虐待防止法の制定、障害者差別解消法の制定など立法上の動きがありましたが、これらの新たな人権法制と指針との関係について所見をお示しください。

○箕輪人権部長 人権に関する個別法の成立や改正など、国の制度につきましては、有識者懇談会におきまして十分に議論され、その内容は提言に反映されております。
 指針の策定に当たりましては、有識者懇談会の提言を踏まえるとともに、制度改正などの新たな動向も捉えた内容としてまいります。

○上田委員 連動を図って、法制の推進と、関係各局と進めていただきたいと思います。
 また、さきの事務事業質疑では、施設で障害者に対応する施設職員、特に経営者に関しては、障害者虐待防止法の理念を、福祉保健局と力合わせて啓発について浸透していっていただくよう求めさせていただきました。
 あす三月二十日は、虐待が認められた西東京市の障害者入所施設への改善措置命令の期限となります。理事長が交代するも、前理事長の影響下の人事となっていないか、同じ運営メンバーで虐待防止の徹底ができる環境づくりができているか、懸念しつつ見守っております。同様な施設が都内に存在しまいかと危惧もしております。
 そこで、新たな人権法制のうち、障害者虐待防止法の啓発について伺います。

○箕輪人権部長 都におきましては、障害者の人権は重要な人権課題の一つと捉えてございます。
 障害者の人権に関する啓発につきましては、啓発冊子やホームページ等におきまして、障害者を取り巻くバリアの解説や、障害者の自立、社会参加を目指した法律の趣旨を紹介するなど、共生社会の実現に向けた啓発を実施してまいります。

○上田委員 あわせて、北区の高齢者マンションでの身体拘束問題が発生し、立入検査を都は実施したということです。知事が三月十日、老人福祉法と介護保険法と高齢者虐待防止法、この三つを武器として使うしかない、そうすると、都が権限を持っている法律は老人福祉法と介護保険法、高齢者虐待防止法の権限は北区にしかありませんと、記者会見で語るにとどまっています。
 また、東京都が介護保険法、老人福祉法に基づいて監査をしている町田市の介護つき有料老人ホームでの、褥瘡が悪化している、同一施設の入所者の救急搬送が多発している事例も、先週テレビで報道されていました。この件に関しましては、我が会派の議員が厚生委員会でただしているところでもあります。
 西東京市の障害者施設の件でも見られましたが、都と区市町村で責任の押しつけ合いをしているうちに、障害者や高齢者や児童が置き去りになるのではないかと強く懸念を持っております。
 ついては、東京都が区市町村も含めてできることは啓発事業であることから、総務局での取り組みは重要と考えております。高齢者、障害者、児童虐待についての取り組みの新年度の展開についてお示しください。

○箕輪人権部長 高齢者、障害者、子供の人権は重要な人権課題でございまして、総務局では、それぞれの人権課題につきまして、都民の皆様の理解を深めるため、ホームページ、「広報東京都」、テレビCMなどを活用いたしまして、広く啓発を行っております。
 さらに、国、区市町村と連携を図り、二十六年度は、講演と映画の集いにおきまして高齢者や子供の人権を取り上げるなど、創意工夫を凝らした啓発を実施いたしました。
 二十七年度につきましても、引き続きこれらの施策を取り組んでまいります。

○上田委員 制度より目前の都民の命、人権が最優先です。都民啓発よりも優先されるのは、東京都職員の人権意識の向上と啓発と考えます。殊に祉保健局職員にあっては、福祉施設における最たる人権侵害である命にかかわる事故、虐待についての人権意識を高め、機動的に動くよう、総務局においての徹底指導、啓発を強く望むものであります。
 次に、防災対策についてです。
 若年層や乳幼児を抱えた若い子育て世代の災害時対応について、防災ブックの利活用につき、都度質疑を重ねてきました。母子向け、災害弱者向けの対応状況について、現状についてお答えください。

○矢岡総合防災部長 防災ブック作成に向けました災害弱者向けの対応状況についてでございますが、防災ブックは一家に一冊常備され、各家庭における防災指針ともなる冊子を目指しており、その作成に当たっては、行政はもとより、防災機関や専門家等の知見を活用していくことが必要となります。
 このため、現在、試作版を作成し、関係機関や専門家等から意見を伺っておりますが、高齢者、障害者、乳幼児等、防災施策において特に配慮を要する方に関して、平時よりさまざまな施策を所管しております福祉保健局や教育庁などからも意見を聴取しているところでございます。
 今後、この調査をもとに、来年度の完成版作成、配布に向け、取り組んでまいります。

○上田委員 今後も、乳幼児に対するパンフレットもつくっている福祉保健局との連携を希望します。
 次に、帰宅困難者対策ですが、父親が帰宅抑制で都心部に残り、自宅、地域で乳幼児を抱えた母子の災害時サポート体制において、東京都は、防災隣組事業で、近隣住民同士の助け合いの醸成で対応するとの答弁を事務事業質疑でいただきました。
 来年度予算額は六千万と承知しておりますが、東京都全体で具体的にはどのような対策をするか、お示しください。

○裏田企画調整担当部長 災害時に各家庭に残される可能性の高い子供たちや高齢者等の安全を確保するためには、家族間の緊急時連絡手段の確保など、ふだんからの災害への備えとともに、近隣住民同士の助け合いが重要でございます。
 こうした自助、共助を促進する仕組みといたしまして、都は、防災隣組事業を実施し、防災意識の啓発や地域防災活動の活性化を図っているところでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、地域において意欲的な防災活動を行う団体を東京防災隣組として認定いたしまして、その取り組みを広く紹介することで、住民による主体的な防災活動を他の地域にも波及させてございます。
 さらに、希望する町会、自治会等に対しまして、防災活動の専門家による講義と住民同士の交流の場を提供する地域防災学習交流会を実施し、地域の活動や交流の活性化を図っております。
 今後も、こうした取り組みを着実に実施しまして地域防災力を向上させてまいります。

○上田委員 地域によっては温度差もあると思います。そのばらつきが出ないよう留意をしながら、費用対効果も念頭に入れ、住民による主体的な防災活動の自助の波及効果を期待するものであります。
 さて、豊島区での訓練動画紛失事案を受けまして、都の危機管理意識を伺います。
 去る二月五日に豊島区と合同で実施した七千人参加の帰宅困難者対策訓練を事後検証するため、イベント会社に委託して撮影した動画が、委託事業者の中から盗難被害に遭いなくなったと二十五日に発表されました。しかし、三月一日に、さいたまスーパーアリーナの警備室の遺失物で発見されたということです。委託事業者が盗難を申告する前日にアリーナで撮影をしていたことから、置き忘れの可能性が高いと思われます。
 災害という危機に備えるための訓練において、貴重な動画が盗難に遭ったとか、実は置き忘れだったなどなど、危機管理が全くなっておらないことが露呈したのではないでしょうか。
 総合防災部を所管する本委員会に正式な報告もあってしかるべきだと考えて待っておりましたが、報告は受けておりません。
 あえて苦言を申しますが、神は細部に宿るといいます。この件を受けての、改めて都の危機管理意識をお示しください。この件について総務局が対応されたことがあれば、お示しください。

○小久保防災担当部長 本事案のような重要な記録情報の逸失は、起こしてはならない事故であると認識しております。
 都としては、当初、盗難が報告された際及び遺失物として発見された際には、速やかに受託業者に状況の聞き取り調査を行うとともに、逐次、訓練参加機関、庁内関係部署へ情報提供し、報道機関にも公表するなど、必要な対応を行ってまいりました。
 今回、都は受託業者に対し、契約に基づき動画の適正管理を指示するなど、事前に考え得る適切な対応はとっており、今後も引き続き、外部への委託に際し、契約書に定められた内容の実施に万全な対応を図るよう指導、監督を徹底してまいります。

○上田委員 この際、事業者を変更する等の前向きなといいますか、決意といいますか、決断をして、人がかわればやっぱりクオリティーも変わると思いますので、そういった英断を下していただきたいと思います。
 そしてまた、東京都の危機管理意識なんですけれども、るる先ほど同僚委員からもお話が出ました、三億三千七百万で購入したはずなのに、首都直下型地震に備えた災害時燃料が実際は備蓄されていない可能性があるという報道がされました。
 東日本大震災でガソリンが不足して混乱が生じた教訓から、東京都石油業協同組合と契約し、あらかじめ二千七百五十キロリットルを購入しておく計画だったようですが、保管義務があるガソリンスタンドなどに意図が伝わらず、備蓄に至っていなかったということでございます。
 この件について、まず、この事業概要と報道に至った経緯のご説明を求めます。

○裏田企画調整担当部長 災害時には、災害拠点病院の機能維持や救出救助活動等を行う緊急通行車両等に必要な燃料の確保が不可欠でございます。
 このため、都は、災害拠点病院等への燃料の優先供給制度に加えまして、平成二十五年に、事前に購入した燃料を給油所等へ備蓄するランニングストック方式を新たに導入いたしました。これによりまして、給油所等への燃料供給が途絶した場合でも、安定的に燃料を供給することが可能となってございます。
 一方、都との契約内容を、東京都石油業協同組合が口頭でしか各給油所等へ伝えていなかったことなどから、燃料の備蓄に関し、組合と給油所等との間に認識のそごがあったと報道されたものでございます。
 なお、平成二十五年五月に、都と組合は、備蓄義務を有する給油所等を集めて研修会を開催しておりまして、そこで制度の周知を図っております。

○上田委員 認識のそごがあったということであります。そのそごがあるうちに災害がやってこなくて本当によかったなと思うんですけれども、つきましては、そのそごがどうして出ちゃったのかということで、東京都の在庫のチェック体制はどうであったか、月末在庫報告書が都へ提出されていたのか、契約書どおりやっていらっしゃったのか、お答えください。

○裏田企画調整担当部長 各給油所等で備蓄する燃料の数量につきましては、年度初めに締結する契約書で明記されておりまして、災害時に都が払い出しを指示しなければ、基本的に変更されるものではございません。このため、半年に一度、保管料の請求時に組合から提出される毎月の在庫報告書で確認をしてまいりました。
 しかし、組合との契約では、毎月末に都に対して報告することとなっております。組合に対しまして、きちんと毎月報告するよう指導してまいります。

○上田委員 契約上は毎月出すことになっていたということなんですけれども、ガソリンスタンド、油槽所、双方から出されるはずの月末在庫報告書が提出されていなかったことは、気づいていらっしゃったのでしょうか。

○裏田企画調整担当部長 都は組合と契約を締結しておりまして、組合が毎月、都に在庫報告書を提出することになってございます。
 したがいまして、都といたしましては、組合内部の在庫確認方法については確認する立場にはございません。

○上田委員 ちょっと踏み込んで確認させてもらいますが、資料だけで確認したことに対して、実際に立入検査など在庫現物をチェックしていなかったということについて非常に疑問に思うんですけど、この点についてお答えください。

○裏田企画調整担当部長 備蓄燃料の確認につきましては、契約の相手方でございます組合から提出される在庫報告書で確認しておりまして、それをもって適正な在庫があると判断してございました。
 災害時の確実な燃料供給は重要な課題でございまして、今回のことを踏まえまして、在庫を確認する仕組みなど、現行の制度につきましては必要な改善を図ってまいります。

○上田委員 組合任せの姿がちょっと見てとれるのですが、油槽所とガソリンスタンドとその組合、東京都石油業協同組合の間で、燃料代金や保管費について詳細の決定の相互確認などはなされたのでしょうか、お伺いします。

○裏田企画調整担当部長 都は、組合との契約に基づきまして、年度当初に燃料の購入代金を組合に支払ってございます。また、保管料は、備蓄している燃料を適切に保管するため、その業務を組合に委託しておりまして、その費用として組合に支払っております。
 契約は都と組合との間で締結しておりまして、組合と給油所等との間で購入代金や保管料につきまして詳細の確認等がされていたかどうかは、組合内部の問題であると認識しております。
 なお、組合からは、購入代金や保管料の取り扱いにつきましては、理事会で決定するなど必要な手続を行っていると聞いております。

○上田委員 組合内部の問題ですけども、この三億三千七百万は都有財産で都民のものだと思うんですよね。組合任せにして相互確認を怠っていたのはなぜか、お聞かせください。

○裏田企画調整担当部長 繰り返しとなりますが、契約は都と組合との間で締結しておりまして、組合と給油所等との間で購入代金や保管料につきまして詳細の確認等がされていたかどうかは、組合内部の問題であると認識しております。
 都といたしましては、契約の相手方である組合が給油所等との間で合意を得ているという認識のもとに、毎年度契約を締結しております。

○上田委員 それでは、そもそも論に立ち返って、協定のあり方そのものについて、保管費で五%ということでは採算が合わないように思われますが、制度自体が妥当か、持続可能なのか、お答えください。

○裏田企画調整担当部長 保管料につきましては、協定によりまして、燃料の購入代金の五%を組合に支払うこととなっております。これは、制度導入時に都と組合との交渉により合意したものでありまして、妥当なものとして契約に至ったものと認識しております。
 なお、平成二十五年二月に協定を締結して以降、これまでに組合等から都に対しまして、保管料が低過ぎるというお話を受けたことはございません。

○上田委員 先ほども委員からお話がありましたが、知事の指示のもと、このような状況の中、見直しがされている中で、次年度予算にのっているんですけれども、執行していいと考えていらっしゃるか、ご所見をお聞かせください。

○裏田企画調整担当部長 当初予算案には、災害時に災害拠点病院の機能維持や緊急通行車両等に必要な燃料の経費を計上してございます。
 首都直下地震等の切迫性を考えますと、災害時の確実な燃料供給は重要な課題でございまして、現行の制度につきましては、必要な改善を図った上で適切に予算執行していきたいと考えております。

○上田委員 適正な予算執行ということですが、知事も今月三日の会見で、ガソリンスタンドとか油槽所にとってみれば、コストはかかるのに、石油業協同組合が都からもらうお金をプールして、自分のところにはほとんど来ないといったら、誰がやる気が起こりますかと。要するに世間の常識、都民に説明できるような話じゃないといけないので、徹底的にそういうことを改善する、改善しなければこのシステム全部をやりかえると述べ、問題視をされております。
 つきましては、ここまで組合任せにして、実際に燃料が確保できるとお考えになっていたのかについてお答えいただきたいのと、あと、二十五年に研修会をやっていた割には、油槽所、ガソリンスタンドの認識が大分乖離がある、そごがあったわけですから、研修会は何回やったのか、お聞かせください。

○裏田企画調整担当部長 まず研修会でございますけれども、平成二十五年の五月に都の職員も出席して行っております。研修会としてはその一回でございます。
 それから、ランニングストック方式につきましての可能性といいますか、できるかといったご質問でございますけれども、都と組合との間での契約を行う中で、都といたしましては、組合が内部での意思疎通も含めて、きちんと燃料の確保、災害時の確実な燃料の供給も含めて実施していただけるということを考えておりました。

○上田委員 二十五年一回きりだったから忘れちゃったのでしょうかね、ガソリンスタンドさんも油槽所さんも。組合任せにしないでいただきたいというのは、この手のお金というのはどんどんプール--年度ごとに一回返金してということ、システムは知っていますけれども、これはランニングストックじゃなくて、ランニングストップじゃないのかというふうに私も思わせていただきました。
 知事もやるということですので、やっぱり組合さんはなかなか、こういった契約過程というのをあずかり知らない、よくわからない部分もあると思いますので、しっかりとオープンな場で、都有財産であります三億三千七百万、有事に使えるように--本当にこれまで、二十五年から災害がなくてよかったとほっとしているところでございますので、危機管理対策の前に、まずは総務局におけます危機管理意識の向上もお願いをいたしまして、次の質問に移ります。
 注意報、警報、特別警報への対応のあり方について伺います。
 事務事業質疑でもやっていますが、大島の土砂災害時は出されずに物議を醸した特別警報のほか、警報、注意報については資料にいただいたとおりとなっております。
 この点につきまして、独自の情報発信を私はしていただきたいなと。都も一生懸命やっているんですけれども、防災サイトの更新やツイッター情報は即時性を持っているのかなという部分も考えまして、新年度へ向けての迅速かつ的確な情報発信の展開を求めます。
 具体的な取り組みを伺います。

○矢岡総合防災部長 東京都地域防災計画では、気象庁から大雨警報等の気象情報が通報されたときには、都は関係する区市町村にその内容を通知し、これを受けた区市町村は、直ちに区域内の住民や防災組織等に周知することとなってございます。
 区市町村は、地域特性を踏まえながら、迅速かつきめ細かな情報発信を行う必要がありますが、都としてもその取り組みを支援するため、気象庁から都に配信される気象警報等の情報を区市町村の防災担当者に自動でメール送信するシステムを今年度構築いたしました。
 都としましても、ホームページやツイッター等を通じまして、直接都民に対して気象情報等を発信しており、昨年二月の大雪の際にも、二十四時間体制でさまざまな情報収集を行い、気象情報や交通情報、停電等の状況など、広域自治体である都として発信すべき情報を逐次情報発信したところでございます。
 今後とも、区市町村等と連携しながら迅速な情報発信に努めてまいります。

○上田委員 どうぞよろしくお願いをいたします。
 さて、東日本大震災より四年が過ぎました。都内には現在七千五百九名がいまだ避難しているということで、東京で新生活を始める方と被災地に戻る方、支援の方法が変わりつつあります。
 つきましては、都内の避難者の現状について、総務局が把握している概要をお示しください。

○赤木復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 都内避難者数は、本年二月十二日現在七千五百九名でございまして、そのうち、岩手県からの避難者が三百十名、宮城県が九百三十五名、福島県が六千百十七名となっております。
 都が毎年度実施しているアンケート調査等によりますと、東日本大震災から四年が経過し、都内に避難されている方の多くが東京での定住を希望する一方、将来の居住先について判断を保留している方もいらっしゃいます。

○上田委員 引き続きの現状把握を求めます。
 次に、新年度の都内の避難者向けの事業展開について、具体的なお取り組みをお示しください。

○赤木復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は来年度、避難生活に関する情報の定期的な提供のほか、避難者に対する相談体制を充実させるなど、避難元自治体と連携して都内避難者支援を実施してまいります。

○上田委員 本定例会も、都営住宅において特例措置の条例改正案も上がっており、東京都の取り組みは評価するところであります。
 次は、ホームページのアクセシビリティーについて伺います。これは資料の五ページから一九ページになります。
 東京都公式ホームページ作成に関する統一基準を拝見しましたが、技術的なことばかりで若干驚きました。このようなことは、通常、ベンダーの仕事ではないかと思います。担当職員は技術に詳しいわけではないので、このような統一基準を出しても、理解できないんじゃないのかなという指摘を専門家から受けました。
 その指摘によりますと、サイトは誰のために構築しているのか、東京都サイトのお客様は誰か、お客様を満足させるために何をすべきか、日常的に、また年間スケジュールを立てて、どのように改善していくつもりか、そのようなことを書いておくべきではないのかということです。
 つきましてはお尋ねします。この統一基準に沿って、これまでどの局のサイトが改善されたのでしょうか。

○三木行政改革推進部長 都では、ホームページの開設、運営に関する必要な事項について東京都公式ホームページ運営管理要綱を、また、作成時のチェックポイントや具体的な作成方法などについて東京都公式ホームページガイドラインを定めております。
 お話の東京都公式ホームページ作成に関する統一基準は、これらに加えて策定したもので、技術的内容が中心となっております。
 なお、各局が管理するトップページについては、政策企画、総務、生活文化、環境、福祉保健、交通、水道、下水道の各局と病院経営本部、教育庁、人事、労働、収用の各委員会事務局、監査事務局及び東京消防庁の十五局で、今年度末までに対応は完了する予定でございます。

○上田委員 徐々に取り組みが、十五局が対応完了の予定ということで、ほっとしました。
 では、統一基準に沿ってアクセシビリティー方針を公開したのは、どの局がありますでしょうか。アクセシビリティー対応状況について試験を実施し、結果を公表したのはどの局か、お示しください。

○三木行政改革推進部長 今年度末までの見込みも含め、試験結果を公表したのは、先ほどの十五局から交通局、下水道局と東京消防庁を除いた十二局であり、また、アクセシビリティー方針を掲げた局は、これら十二局に加え、主税、オリンピック・パラリンピック準備、産業労働、建設、港湾、交通、下水道の各局と、選挙管理委員会事務局、青少年・治安対策本部、中央卸売市場の二十二局でございます。

○上田委員 ありがとうございます。
 私もこちらへ来て、東京都の各局はどことなく独立した小国が集まっているようで、独自性があることは一概に悪いとはいいませんが、来るオリパラを鑑みましても、国際的な評価も海外から評価されますので、早急な統一の徹底が求められるところです。
 つきましては、統一基準に沿った改善が進んでいない局は、どうして改善できていないのか、いつまでに改善できるのか、お聞かせください。

○三木行政改革推進部長 現在、各局では、統一基準に対応するため、必要に応じて予算を確保し、来年度実施することも含め、鋭意ホームページの改善を図っております。おおむね来年度末までには対応できるものと考えております。

○上田委員 統一基準に沿った改革が進んでいない局について、総務局はどのような働きかけを行っておりますでしょうか。指導、支援、助言等の具体的な内容、それを受けて改善につながっているかについて、具体的な取り組みと現状認識についてお示しください。

○三木行政改革推進部長 昨年三月に統一基準を策定して以降、各局担当者向けにホームページアクセシビリティー講習会を開催いたしました。また、アクセシビリティーに対応したホームページに簡易に移行できるツールを提供するなど、各局の取り組みを支援しております。さらに、定期的に進捗状況の確認を求めるなど、各局の取り組みを促しており、着実に改善が図られていると認識しております。

○上田委員 これまでのご答弁で、各局の取り組みのばらつき、統一基準の運営上の課題が明らかになりました。
 統一基準は局ごとのサイト作成基準であって、東京都サイト全体の作成基準となっていませんが、統一基準を改正し、各局に徹底させていかないのでしょうか。今後どうしていくかについてお示しください。また、有識者やサイト利用者の意見を聞いて改善する予定はあるかについてもお示しください。

○三木行政改革推進部長 統一基準は、都が管理するホームページ全体を対象とするものであり、東京都総合トップページもその対象に含まれております。
 なお、総合トップページについては、生活文化局が来年度見直しに着手することを公表しております。
 ホームページは、利用者にとってわかりやすく使いやすいことが重要であることから、都に寄せられる利用者の意見なども踏まえながら、統一基準に沿った対応を進めてまいります。

○上田委員 技術を持っている都民やボランティアで協力してくれる有識者もいると思われますので、広く呼びかけて協力を求め、意見を聞くにとどめず、事業に協力していってもらいたいと思います。
 提出いただいた資料によれば、過去に、産業労働局や先ほどいいました選挙管理委員会事務局が報告団体に発注をしていたり、あわせて、サイト構築運営費の大半が随意契約で支払われていることが資料で明らかになっています。
 公共調達の公平性の観点からご所見を伺います。

○三木行政改革推進部長 地方自治体が行う契約は、法令により競争入札とすることが原則とされておりますが、予定額が一定額を超えない場合や、プロポーザルの内容で競争させる企画提案方式及びそれに続く保守委託など、性質または目的が競争入札に適さない場合などについては随意契約によることができるものとされております。
 こうした観点から、ホームページを管理する各局が適切に対応しているものと認識しております。

○上田委員 随意契約が制度上可能であるのは承知しておりますが、日進月歩の技術革新が進む中、競争入札の原則に常に立ち返っての調達を望みますし、我々も、理事者にお任せではなく、議会人としても常に監視体制をとってまいりたいと思います。
 次に、管理職の再就職の考え方と実績についてです。
 提出の資料四四ページによりますと、管理職の再就職者は百七人ということです。また、昨年の局長クラスの再就職先も、十二名のほとんどが都の監理団体、報告団体、地方公共団体など、いわゆるお役所と関連する組織への再就職でありました。また、副知事においても、資料のとおり、管理職同様、監理団体への再就職が見受けられます。管理職も副知事においても、都のあらゆる事業と受注関係のない民間へ再就職なさるべきと考えます。
 ついては、この人数と再就職先について適正と考えるか、今後どうしていくか、所見を求めます。

○内藤人事部長 管理職の再就職につきましては、定年またはその直前まで働いた者が在職中に培った知識や経験を、監理団体や報告団体を中心に社会のさまざまな分野で活用するものでございまして、非常に有意義なことと考えております。
 特に、行政運営の支援、補完機能を持つ監理団体や、その公益性に鑑みまして都が出資などを行っている報告団体については、適切な事業運営に寄与するよう、都の保有する人材情報をもとに有為な人材を推薦しているところでございます。その上で、監理団体の役員に再就職した者に対しましては、業績評価などによって、自律的な経営のかじ取りを厳しく求めているところでございます。
 一方、民間企業等への再就職につきましては、公正な都政運営に疑念を持たれることのないよう、求人票の徴収や、都に対する営業活動の自粛について書面で確認を求めるなど、企業等との関係を厳正に保つ仕組みを設けてございます。
 あわせて、再就職情報の一元管理や管理職全員の再就職情報の公表も行いまして、適切な運用を重ねてまいりました。
 再就職者の人数につきましては、こうした制度運用の結果であると認識しておりまして、今後とも、公正性、透明性を図るため、制度の厳格な運用に努めてまいりたいと考えております。

○上田委員 管理職の再就職により、在職中に培った知見や経験を、都民には天下り組織ではと疑問視される監理団体、報告団体で活用することが非常に有意義なことと認識と、都民が受けとめるとも思えないものがあります。
 再就職の人数が制度運用の結果であるという認識ですが、この制度は都民が望んでできたのか。そうではないと思いますので、市井の民間意識を持つ都民代表、一般人代表として、今後もこの制度のあり方については問うてまいりますし、積極的に情報の公表のお手伝いをしてまいる所存です。
 次に、監理団体、報告団体についてです。
 提出の資料二〇ページから三〇ページによりますと、監理団体、報告団体の職員数は微増、監理団体の非常勤職員は増加傾向であります。
 一方、都庁組織・人事改革ポリシーにおいて、監理団体を含む都政グループ全体の執行強化を目指し、監理団体の効果的活用のため、グループ内人材の交流を活性化、政策連動性の高い公の施設において指定管理を長期化と書かれていることに、私は驚愕しております。これでは東京都の行財政改革は後退しているといわざるを得ません。
 通常業務は非常勤でこなし、管理ポストや常勤待遇の現役出向は、官製ワーキングプアを助長しつつ、天下り先を生き長らえさせる構造ではないかと拝察します。徹底して縮小し、民間企業へ委託していくべきと考えます。
 改革ポリシーに、なぜ監理団体を活用するか涙ぐましい努力で書いているので、よく承知はしていますが、内部的な判断ではなく、都民の感覚とそごがないか、客観的なご所見をお聞かせください。

○三木行政改革推進部長 都はこれまで、団体の統廃合、役員退職金の全廃、情報公開の推進など、監理団体改革に取り組んでまいりました。
 監理団体は、都政の現場を担い、行政支援、補完機能を発揮する重要なパートナーであり、都と監理団体が都政グループとして一体となり、幅広い連携を図っていくことは極めて重要と認識しております。
 今後とも、監理団体を積極的に活用し、都政の執行力を強化していくことで、都民ニーズに的確に応え、都民本位の質の高いサービスの提供につながるものと考えております。

○上田委員 都政グループへ、ワーキングプアに泣く無辜なる都民や新進気鋭の民間企業もいずれ加えていただきたいなと思っております。こちらについても定点観測を続けさせていただきます。
 次に、人件費の適正化、資料は四二ページです。
 提出の資料によりますと、東京都の人件費比率ですが、歳出合計比二三・三%、都税比では三一・九%、過去五年、この水準で推移しています。
 資料請求の際に、こうした資料は存在していない、資料要求を辞退するよう勧められましたが、区市町村では当たり前に出てくるものであり、遺憾でした。例えば武蔵野市は、四十年前からこれらの数値を市民に公表しております。
 担当職員がこのデータの存在を知らなかったということに少々びっくりいたしまして、こうした意識にあって、全庁にわたるコスト意識共有のあり方についてのご所見を求めます。

○三木行政改革推進部長 都民の期待に応えるサービスを提供していくためには、限られた財源、人材を十二分に活用し、最少の経費で最大の効果を上げるというコスト意識の徹底が不可欠であり、今後とも、こうした視点を踏まえ、職員コスト意識の醸成に努めてまいります。

○上田委員 人件費比率によって、行革に向けた目標の参考にすべきではないかと考えますが、東京都の特性を踏まえたご所見をお聞かせください。

○栗岡労務担当部長 都はこれまで、独自の人事給与制度改革を徹底しまして構造的に総人件費を抑制する仕組みとすることで、定数削減効果とあわせ、平成二十六年度は、平成十一年度と比べ、人件費を約二割、額にして約四千億円を縮減してまいりました。
 なお、都税収入は、法人二税の占める割合が高いことから景気変動の影響を受けやすく、極めて不安定な形で増減を繰り返してございます。そのため、歳出合計や都税収入に占める人件費の割合を単純に行革の参考指標とすることは、限界があるものと認識してございます。

○上田委員 やはり財源が不安定ということは理解をしました。
 その中で、二十五年度、住居手当の改正がなされました。その財政効果についてと、新年度の各種手当の適正化などの方向性をお示しください。

○栗岡労務担当部長 都はこれまでも、職責、能力、業績の給与への反映や、生活給的、年功的要素の抑制等の観点から、手当の見直しに取り組んでまいりました。
 住居手当につきましては、平成二十四年度に、持ち家に係る手当を廃止するとともに、他団体に例のない都独自の見直しとしまして、対象者を家賃負担の重い三十五歳未満の職員に限定してまいりました。その結果として、普通会計決算ベースとなりますけども、平成二十四年度の七十三億円から、平成二十五年度は半分以下の三十一億円となってございます。
 引き続き、各種手当を含む人事給与制度全般について不断の見直しを行ってまいります。

○上田委員 四十億円のコストカットということで、大いに評価したいと思います。
 次に、私は、昨年の予算特別委員会で課長職者が多く、事業概要などでは分掌が明確ではない局があることを指摘いたしましたが、改善が明らかになっておりません。
 管理職の適正配置についてのご所見もお示しください。

○内藤人事部長 管理職のポスト設置に当たりましては、毎年度、業務内容等を検証し、必要な見直しを行っており、適正な配置を実施しております。
 平成二十七年度、来年度でございますが、知事部局では約二万四千人の職員を配置し、そのうち組織のリーダーとなる管理職につきましては、約一千三百六十のポストを設置する予定でございます。
 なお、昨年十一月の事務事業質疑の際にもお答えしたところでございますが、総務省が実施しております全国調査がございまして、これをベースに、行政系職員に占めます管理職の構成比を独自に試算してまいりました。二十五年同様、二十六年につきましても、国や他団体の全国の平均が約一六%に対しまして、東京都は八%、二分の一の水準でございます。
 人事実務をつかさどる私といたしましては、極めて厳格なポスト管理と任用管理を行わせていただいていると認識しております。
 以上でございます。

○上田委員 女性の登用も全国の倍、そして今度は、管理職は逆に半分ということで、多分半分で回るというのは、量より質なのではないかなというふうに思っております。さらなるお取り組みを応援したいと思います。
 次に、非常勤職員の配置について、二七ページの資料でございます。
 局によって差があるようですが、その理由をお示しください。

○栗岡労務担当部長 各局が実施しております個々の業務内容、業務量に応じまして、例えば非常勤講師や統計調査員、各種相談員など、必要な非常勤職員を適切に配置している結果だと認識してございます。

○上田委員 では、非常勤職員が従事できる業務の範囲について、基本的な考え方をお示しください。公権力の行使との関係についてもお願いします。

○栗岡労務担当部長 都の非常勤職員は、一定の学識、経験を活用し、常勤職員の職務を補完する業務に従事してございます。
 なお、公権力の行使そのものについて行う業務については従事させてございません。

○上田委員 適正な職務に当たっているということを理解しました。
 一方、官製ワーキングプアが社会問題化していますが、都におきましては、官製ワーキングプアのような問題はないと承知しておりますが、この点について、いま一度ご所見をお示しください。

○栗岡労務担当部長 都の非常勤職員は、特定の仕事に関する知識、経験あるいは高度の専門性を持った者を任用してございまして、報酬や休暇、休業制度などの処遇についても、常勤職員を参考に適切に設定しているところでございます。

○上田委員 非常勤職員にはサービス残業はないようなことを、危惧しておりますので、引き続き管理の方もよろしくお願いしたいと思います。
 次に、障害者雇用率です。
 任用者別の障害者雇用率が資料四三ページで示されております。昨年の予特以来、私としても定点観測をしている課題です。
 おおむね各局とも法定雇用率に到達しつつありますが、法定雇用率は法律で決められた最低ラインであり、目標ではなく通過点。さらに雇用率の向上に向けた取り組みをお示しくださいませ。

○内藤人事部長 これまでも知事部局では、障害のある方が安心して働ける職場環境に十分配慮しながら、身体障害者を対象とした毎年度の職員採用選考などによりまして雇用機会の拡充を図り、法定雇用率を達成してまいりました。
 今後も、こうした取り組みを着実に進め、障害者雇用の確保に努めてまいりたいと考えております。

○上田委員 教育委員会もやっとクリアしたところで、ますますの向上を期待するところではございますが、一方、同じ都政グループである監理団体については、雇用率にばらつきが見られます。二二ページですけれども、これについてのご所見と対応策をお示しください。

○三木行政改革推進部長 監理団体における障害者の雇用確保は、都としても重要と認識をしており、これまでも、その促進に向け指導を行ってまいりました。
 今後とも、職場環境の整備や障害者に適した職務内容の見直しなどを行い、ハローワークなどの関係機関とも連携を図りながら、それぞれの実情に応じて指導してまいります。

○上田委員 同じグループ内ということで、連動を図っていくというようなガイドラインも出されたことでございますので、東京都と同様の雇用率になるように、全体的なバランスがとれるようによろしくお願いします。
 最後に、職員の懲戒処分とアフターフォロー、殊に当該職員と被害に遭う職員について、再発防止状況についてお伺いします。
 資料の三二ページから四一ページ、懲戒処分の資料が示されました。
 非行はあってはならないことと考えますが、職員の非行防止についての具体的な取り組みについてお伺いします。

○内藤人事部長 職員は、都民の負託に応えるため、公務員としての高い使命感と倫理感を持って職務に精励する責務を負っておりまして、非行はあってはならないことと考えております。
 万が一、非行が発生した場合、本人への事情聴取も含めた事実確認を行った上で厳正な処分を行い、原則として全ての処分内容を公表しております。
 また、非行防止のため、服務監察による指導、助言のほか、全職員を対象とした研修の実施など、職員に非行を身近な問題として強く自覚させる取り組みも行っております。
 さらに、例年十一月を全庁的な汚職等非行防止月間と定め、職場単位での話し合いや、個人によるチェックリストの実施など、全庁を挙げて、非行を防止する職場づくりや職員個人の意識啓発に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを進めまして、全体の奉仕者としての意識の徹底を図り、非行の未然防止に努めてまいりたいと考えております。

○上田委員 お取り組みが毎年十一月ということで、ちょっと私もあずかり知らなかったのですが、今後もチェックをさせていただきたいと思います。
 そして、免職以外の被処分者への研修、お戻りになる方ですね、配置転換等、再発防止のためのアフターフォローについての考え方、取り組み状況についてお示しください。

○内藤人事部長 懲戒処分を受けた職員に対しましては、処分事由となった非行の態様を踏まえ、各所属において所属長を中心に適切な指導を行っております。
 また、汚職等非行防止研修の受講や、先ほどご紹介しました汚職等非行防止月間での取り組みにより、改めて服務規律の意識を高めております。
 さらに、必要に応じまして人事異動を行うなど、さまざまな手法を活用して再発防止に取り組んでおります。

○上田委員 最後になりますが、暴行、暴言、財産の侵害、職務放棄等の加害行為を職員が行い、処分を受けたとき、その被害者となった職員のアフターフォローについての考え方、取り組み状況についてお示しください。

○内藤人事部長 非行による被害を受けた職員への対応につきましては、事故の態様等によってさまざまでございまして、一律的なものではございませんが、例えば、各所属において第三者立ち会いのもと、事故者との話し合いや謝罪の場を設定するなど、事故者と被害者との関係回復に向けた取り組みを行っております。
 また、職員が被害を受けたことに関連して悩みを抱えている場合などには、さまざまな問題に対応可能な相談室を東京都人材支援事業団に設置しておりまして、職員が安心して相談できる体制も整えております。
 さらに、事故者との接触を回避することが望ましいと判断される場合は人事異動を行うなど、被害者の状況を踏まえた適切な対応を行ってまいります。

○上田委員 人事におかれましては、人的なことの適正配置及び個人個人の資質の管理、あるいは人権を守ること、体制が整っていることを確認させていただきました。
 私、やはり行政はハードウエアではなくてソフトウエアだと思います。先ほどかなり厳しく指摘もさせていただきましたけれども、るるこのところ起こっている問題も、皆様方がより高いスキルを持って一歩踏み出して、できないこと探しではなくてできること、制度の中でやっていますというのではなくて、一歩踏み込んで、こうした新聞報道にならないような気概をさらに持って--いい労働環境のもと働けるというような環境は確認させていただきましたので、引き続いて、もうちょっと踏み込んで、都民のために一歩踏み出す、そうした思いを持ちまして、今後、日常勤務、新年度を迎えて取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○清水(孝)委員 それでは、私は、ご報告いただきました都庁組織・人事改革ポリシーについて何点かお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 昨日お聞きしました長期ビジョンもそうなんですが、このポリシーにつきましても、大変よく練り上げられた計画だ、方針だなというふうに、まずは感心をしているところでございます。
 しかしながら、このポリシーが発行されるまでの間も、都としては、こういった組織ですとか人事制度の改革というのは不断に見直されてきたのかなというふうに思っている次第でございます。
 そこで、まず初めに、これまで行われてきましたマネジメント改革について概略的にお伺いをしたいと思います。
 昨日お伺いしたとおり、昨年の十二月、舛添知事は、今後の施策目標を掲げました長期ビジョンを公表されました。このことで都議会自民党も、舛添知事と同じく、東京を世界で一番の都市にしていくことを改めて決意したわけでございます。
 この長期ビジョンを実現させるためには、我が党の高木けい政調会長が昨年の第四回定例会で、都庁の執行強化が不可欠であり、人材確保や組織の生産性を高める人事政策が求められると指摘させていただいたところであります。この都庁組織・人事改革ポリシーは、まさに我が党の主張を具体化したものだと考えている次第であります。
 世界で一番の都市という目標達成に向けました道筋を明らかにした直後に、この時期に本ポリシーが出されたことは、世界一を目指して、都が一丸となって全力投球していく意気込みを明らかにしたという点では大きな意味があるかと思うわけでございます。
 そこでお伺いしたいと存じます。
 いわゆる都庁の組織や人事に関する改革につきまして、これまでの東京都の取り組みを振り返りますと、かつて都財政が危機的状況にあった時期には、二度にわたり都庁改革アクションプランを策定するなど、さまざまな行財政改革に都がみずから取り組んできたと聞いているわけでございます。
 このポリシーでも、第2章にこれまでのマネジメント改革としてまとめてありますが、改めて、これまでのマネジメント改革の取り組み内容とその成果についてお伺いしたいと存じます。

○内藤人事部長 都では、財政危機に瀕しておりました平成十一年以降、財政再建推進プランを端緒といたしまして、マネジメントに係る不断の見直しを実施してまいりました。
 具体的には、公と民との役割分担の見直しなどの観点から、職員定数の見直しを初め、地方独立行政法人制度など多様な経営手法の導入等により、執行体制のスリム化を図っております。
 あわせて、人材の精鋭化を図る観点から、全国に先駆けて導入いたしました人事考課制度を基礎といたしまして、実力本位の昇任制度で厳格なピラミッド型の職層構成を維持しているところでございます。
 給与制度におきましても、職責、能力、業績主義の観点から、部長級職員の定期昇給や生活関連手当の廃止、全職員へのボーナス査定の導入、退職手当への在職中の職責の反映など、都独自の見直しを重ねてまいりまして、職員の意欲を引き出す仕組みにも工夫してきたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、総人件費を、平成十一年度と比べ、約二割、額にいたしまして約四千億円縮減するなど、国や他団体を上回る行財政改革を進めながら、少数精鋭の効率的な執行体制の構築に努めてまいりました。

○清水(孝)委員 これまでの東京都の改革についてお聞かせいただきました。必要な行政サービスを提供しつつ、極限までスリム化を図ってきたことは理解するわけでございます。
 現在、都が直面する課題は、オリンピック・パラリンピックの開催や長期ビジョンの実現など、これまで我々が経験したことのない困難あるいは高いハードルが待ち受けていると思うわけでございます。
 そこで、次に、課題解決のための執行体制の強化策についてお伺いしたいと存じます。
 限られた人員で課題を迅速に解決していくためには、柔軟に組織を編成し、限られた人的資源を最適に配分していくことが重要であろうかと思います。
 先日、本ポリシーに関して、人事部長から、リアルで本質的な仕事を進める都庁に変えるとの説明もいただきました。私も、職員が能力を遺憾なく発揮できる機能的な組織とすることが、直面する困難な課題を解決していくために何よりも重要だと考えているわけでございます。
 このポリシーでは、目玉の改革といたしまして、監督職制度の見直しにより課長補佐と係長職級を廃止し、新たに課長代理が設置されました。このことによりまして、課長代理は、課長が持つ決定権の一部の委譲を受け、従来の監督職よりも重い責任を担うことに加え、半世紀以上続いたといわれる係制という枠組みを改め、組織のあり方や仕事の進め方を変えていくことになろうかと思います。
 私も十五年間、自治体議員を経験しておるわけでございますが、私から見ても、これは組織の仕組みが変わるだけでなく、職員が長年なれ親しんできた仕事の流儀も変わる大改革となると思っているわけでございます。
 そこでお伺いしたいと存じます。今回の監督職制度の見直しによりまして、具体的に組織や仕事の流れがどのように変わり、どんな効果が予想されるか、お聞かせ願いたいと存じます。

○内藤人事部長 まず、組織の基本は、常に限られた人員であっても直面する課題に迅速かつ的確に対応し、具体的な成果に結びつけられる体制であることと認識してございます。
 こうした観点から、都では、各行政分野で実際の事業執行のかなめとなる課に、あらかじめ定めた事務を効率的に処理するために係を置きまして、職員も係単位で配置してまいりました。
 しかしながら、昨今のように、社会経済情勢の変化が激しく、複雑かつ多様な課題への即応が求められる中では、既存の枠組みにとらわれず、より柔軟なマンパワーの配分が可能となる組織体制が求められていると考えております。
 このため、ご指摘いただきましたように、係制につきましては、監督職制度の見直しにあわせ、一年間の試行を経た上で廃止する予定でございます。これによりまして、年間を通じ、課長みずからの判断で、課題の状況や職員の適性等に応じて、課長代理の担任事務とその事務を担う部下職員を組み合わせることができる、柔軟かつ機動的なチーム編成が可能となります。
 また、職員にとりましても、係の枠を超えた多様な業務経験を積むことで、より幅広い視野と新たなスキル等の習得にも寄与するとともに、みずから進んで仕事を引き受ける、こうした気概を育むことにもつながっていくものと考えております。
 この取り組みを通じまして、職員の意識の変革、組織の活性化、一体感の醸成を進めながら、都庁全体を課題即応解決型の組織へと転換してまいりたいと考えております。

○清水(孝)委員 大胆な改革によりまして執行体制が強化されることを期待しております。
 次に、職員の専門性の強化について伺いたいと思います。
 本ポリシーでは、民間企業で主流となっておりますプロジェクトマネジメント技法の視点を取り入れた仕事の進め方モデルも示されております。この組織、人事制度の大改革を円滑に進めるためにも、大変有意義なものであると思っております。ぜひとも職員の共通認識となるよう浸透させていただきたいと思います。
 このプロジェクトマネジメント技法は、本編でも二三ページからイラストで説明されているように、監督職制度や係制の見直しによって課単位の柔軟性が高まることが、局や部の壁を乗り越えて横断的に協力体制をとり、都庁全体が課題解決力の高い組織へ変革していくことにつながっていくものと大いに期待しているものでございます。
 さて、組織は人なりと申しますが、都政課題の解決に向けて仕事に取り組む職員一人一人のパフォーマンスが高まれば、組織力は一層向上するはずであります。
 しかし、我が党が繰り返し指摘しておるように、現在、都庁では、団塊世代の大量退職が進んだことにより、技術職を中心に、現場で蓄積してきた知識やノウハウの承継が危うい状況にさらされているわけであります。まさに職員個々の質を高める取り組みは、待ったなしで求められているわけでございます。
 そこでお伺いいたします。このポリシーでは、専門職のキャリア形成にも道が開ける、いわゆる複線型の任用体系を整備することも含まれております。職員が持つ専門性や強みを育成、活用し、国や民間のプロフェッショナルと伍して対応できる職員を育てる。この伍して対応できる職員というのが、私は気概に満ちたこの表現が好きなのでありますが、そういったこととされておりますが、具体的にどのような取り組みを進められるのか、お聞かせ願いたいと存じます。

○内藤人事部長 昨今の社会経済情勢の変化、さらには五輪大会開催準備や長期ビジョンの実現など、これまでの経験値でははかり知れない課題が想定される中、今後、都政におきましては、特定の分野に強みを持つ人材がますます必要になってくるものと認識しております。
 既に都では、組織にとって人は最大の資産との認識のもと、平成十八年に人材育成基本方針を策定し、さまざまな専門性の強化など、人材育成を基軸に据えた人事管理を展開してまいりました。
 例えば、採用では、民間での職務経験を持つ人材を対象といたしましたキャリア活用採用を、昇任では、高度な専門性に着目して管理職に登用する行政専門職制度を導入し、専門人材の確保、育成に取り組んできたところでございます。
 今回、こうした取り組みをさらに一歩進めまして、新たに導入する課長代理への昇任に当たっても、通常の区分に加え、医事や児童福祉相談などの選考区分を設けることで、採用から管理職に至るまで、特定分野の専門性に着目した複線型の昇任体系を段階的に整備してまいりたいと考えております。
 このことによりまして、民間での職務経験を持つ職員や、豊富な知識、経験を有するベテラン職員を、より責任ある立場で活用していきたいと考えております。
 また、育児、介護期にある職員も、専門性を駆使した独任型のスタッフ職として活躍できる機会を拡大してまいりたいと考えております。
 一人でも多くの職員が、みずからのキャリア選択の中で意欲的に自身の専門性を磨くことで、組織の課題解決力を一層強化してまいりたいと考えております。

○清水(孝)委員 ぜひとも専門性にすぐれている人材が生きるよう、制度充実に取り組んでいただきたいと存じます。
 次に、都庁版ワークライフバランスの推進について伺います。
 その前に、職員意識について一言申し上げたいと思います。
 組織の柔軟性を高め、さらに職員の質も高め、着実に課題を解決できる体制が整備されることは、今のご答弁でよく確認ができました。しかし、組織の活力を維持していくためには、職員の努力や成果に的確に報い、職員のモチベーションをより一層高めることが重要であります。
 そのための方法の一つが、先ほどの答弁でもさまざまな見直しを行ってきたとのことですが、給与面でさらにきめ細かく成果を反映していく方法が挙げられるかと思います。
 しかし、職員がやる気になるのはお金だけではございません。たとえ小さな努力や成果であっても、認められることが重要であります。例えば、自発的事務改善に関する提案を取り上げ、すぐれたものを表彰していくことも、士気高揚の観点から効果的であります。
 静岡県では、ひとり一改革運動という改善運動を行い、年間一万件を超える提案がなされているそうでございます。都の方でも、今後、庁内ネットを利用いたしまして、事務改善アイデアバンクですか、仮称でございますが、そんなこともやるそうでございますが、さらに力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 つまり、本ポリシーの取り組みの一つでもございます信賞必罰を徹底すべきであります。そもそも信賞必罰とは、中国の思想の書でございます韓非子の中で、君主が臣下に使う人間管理の術でございます。信賞必罰とは、読んで字のごとく、刑罰や賞与は例外なく与えなければならないという意味であり、そこがポイントでございます。適正な対応を求めるわけでございます。
 他方、現在は複雑多様な世の中でございます。努力したくとも、子育てや介護の事情により、一般の職員と同じように働くことが困難な職員も存在することも承知しております。今後重要なことは、ワークライフバランスの取り組みを進めるに当たっては、仕事と生活の調和に結びつく職場環境の充実、それとあわせて、子育てを行う職員のキャリアアップや介護との両立まで見据えた取り組みを推進していくことであろうかと思います。
 そこでお伺いしたいと思います。このポリシーでは、キャリア形成と職場の危機管理、この二本の柱を主軸に加えた都庁版ワークライフバランスを推進し、都政の課題解決や自己を成長させるさまざまなキャリアに挑戦する職員を支援するということでございますが、今後どのような取り組みを進めていかれるのか、お聞かせ願いたいと存じます。

○栗岡労務担当部長 本ポリシーにおきましては、職員がみずから成長し、組織に貢献していくことを基本姿勢として共有していくことをうたってございます。
 出産や育児の事情を抱えながらも、職責を果たし、昇任にチャレンジしようとする職員を応援することが、組織として職員を大切に育て生かすことにつながっていくものと認識してございます。また、職場の中核を担う管理監督職層が突然直面することになりかねない仕事と介護の両立につきましては、職場の危機管理の観点からも支援が必要だと考えてございます。
 そこで、職員一人一人のキャリアプラン策定を支援しまして、育児から介護までライフステージに応じた支援講座を切れ目なく実施するとともに、育児や介護を担う職員を対象とした時差勤務を導入いたします。
 こうした取り組みを展開しますことで、育児中の職員のキャリア形成促進と、職場の危機管理としての仕事と介護の両立支援の視点を取り入れた都庁版ワークライフバランスを推進し、男女を問わず全ての職員が意欲と能力を一層発揮できる組織を実現してまいります。

○清水(孝)委員 人生山あり谷ありと申しますが、誰でもが通る道であり、予見可能な障害、ハードルにつきましてはしっかりと対応していただき、職員の皆さんが安心して仕事を続けられるよう、これからもご努力を願い、次の質問に入りたいと存じます。
 次に、本ポリシーの大きな取り組みの一つでございます監理団体の活用について伺いたいと思います。
 何かと話題にされる東京都の監理団体でございますが、都はこれまで、監理団体の削減を初め、役員退職金制度の全廃や役員業績評価制度の導入、さらには包括外部監査制度の活用など、必要な監理団体改革に積極的に取り組んできたと認識をしているわけでございます。
 一方、長期ビジョンを支え、都民ニーズに柔軟かつ的確に応えていくためには、都政の重要なパートナーであり、サービス提供の現場でもある監理団体を、これまで以上に活用することが重要と認識しております。
 私も、この質問を契機に東京都の監理団体を調べてみました。多摩都市モノレールですとか東京都農林水産振興財団など三十三団体、皆、都民サービス提供のために必要不可欠なものであると感じたわけであります。
 こうした中、我が党は、昨年の第四回定例会、高木けい政調会長の代表質問で、監理団体を都庁組織と一体的に捉え、都政の現場を支える組織として積極的に活用していく必要があることを指摘させていただきました。都からは、監理団体を都政の一体的運営を担う都政グループの一員として捉え、相互の人材交流、育成を含めた幅広い連携を図っていくとのご答弁をいただいたわけでございます。こういうやりとりがあったわけでございます。
 そこで、まずお伺いしたいと思いますが、都政グループの一員と捉えた監理団体と具体的にどのような連携を図られていくのか、お伺いしたいと思います。

○三木行政改革推進部長 監理団体は、都政の現場を担い、行政支援、補完機能を発揮する都政の重要なパートナーであり、先般策定した東京都長期ビジョンに掲げる政策の多くを支えるなど、その重要性はこれまで以上に増しております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、新たな課題や都民ニーズに的確に対応していくためにも、監理団体を都政の一体的運営を担う都政グループの一員として捉え、幅広い連携を図っていくことは極めて重要と認識しております。
 そこで、政策との連動性の高い事業を担う監理団体を中心に都職員の積極的な活用を図るとともに、技術、ノウハウの継承や人材育成の観点から、都職員と監理団体職員との相互交流を活発化させるなど、都の重要施策の実現を強力に支え、都政と一体となった運営を強化してまいります。
 とりわけ平成二十七年度においては、水素社会の実現に向けた補助事業や、外国人旅行者向けの観光インフラ整備支援事業など、長期ビジョンに掲げる政策の展開に重点的に人員を措置するなど、ビジョン実現の原動力として監理団体を活用することとしております。
 今後とも、都及び監理団体相互の人材交流、育成をこれまで以上に活性化させることで底上げを図り、都政全体の執行力を高めてまいります。

○清水(孝)委員 ただいまの答弁、広く都民の皆様にも説明をされていただければと思うわけでございます。
 次に、監理団体の活用の中で、指定管理者制度について伺いたいと存じます。
 都は、平成二十二年九月に策定いたしました東京都監理団体活用方針の中で、指定管理者制度を導入している公の施設のうち、政策連動性や管理運営の特殊性の高い施設につきまして、行政支援、補完機能を有する監理団体に管理を担わせるとするなど、必要な見直しをしてきたわけでございます。
 オリンピック・パラリンピックを五年後に控えた今、都政グループの一員として、こうした機能をさらに強化していくためには、中長期的な視点で、監理団体が技術、ノウハウの継承や人材育成を確実に行い、都民へのサービス水準の維持向上を図る仕組みを整える必要があろうかと思います。
 この点、我が党は、さきの第四回定例会で、指定管理者制度の活用も含め、監理団体の人事や財政面での安定的な運営を確保していく必要があることを指摘させていただきました。それに対し、都は、監理団体が管理する施設の特殊性に応じて、指定管理期間の長期化を検討していくことを表明されたわけでございます。
 そこで、改めてお伺いしたいと思います。このポリシーの中では、防災対策等、都の主要施策と連動した重要な役割を果たす施設について、標準の指定期間を五年から十年に長期化を図るとしておりますが、その見直しの考え方と効果についてもお聞かせを願いたいと思います。

○三木行政改革推進部長 都はこれまで、公の施設の管理に民間のノウハウを積極的に活用する一方、政策との連動性及び管理運営の特殊性が高い施設の管理には監理団体を活用するなど、めり張りのある制度運営を実現してまいりました。
 しかしながら、監理団体が運営するこうした施設の管理においては、施設が担う政策を確実に実現していくためには、短期の事業サイクルでは、技術、ノウハウの継承や人材育成に困難を生じることが課題となっております。
 このため、監理団体が運営する防災公園や文化財庭園など、特に主要な政策と連動した重要な役割を果たす施設につきましては、標準の指定期間を五年から十年に長期化を図ることといたしました。あわせて、指定管理開始後五年目を目途に中間評価を実施するなど、サービスの質的な担保を図る仕組みとしてまいります。
 これらの取り組みにより、能力や専門性の高い固有職員の安定的な雇用、育成が可能となり、都民本位のサービスの実現につながるとともに、長期ビジョンと連動した施設を中心に質の高い施設運営を確保することで、新たな行政需要に的確かつ柔軟に対応できるものと考えております。

○清水(孝)委員 人口減少社会を見据えますと、監理団体においての質の高い人材をしっかりと確保していくことは、極めて重要なことだと思うわけでございます。監理団体を積極的に活用し、安かろう、悪かろうでなく、都民の立場に立ったサービス水準をしっかりと確保してもらうことを強く要望したいと思います。
 今回、このポリシー発表によりまして、都庁の組織、人事を今後どのような姿に変えていこうとしているのか、これまでの答弁でよくわかったわけでございます。このポリシーによる改革は、必ず実のあるものにしなければなりません。そして、このことを都民に対しても十分説明しなければならないと思うわけでございます。
 そのために、都庁はもちろんのこと、都政グループの一員でもある監理団体まで、職員一人一人の意識、そして組織全体の意識を変えていく必要がございます。この改革を、仏をつくって魂入れずとならぬよう、ポリシーの目標や根底にある精神を繰り返し職員に訴えかけていくことで、都民のために積極的にチャレンジする組織風土が根づくものと考えるわけでございます。
 このポリシー発行が契機となりまして、将来にわたって都政を支えていく人材レガシーを築き、継承していくことを期待して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○西沢委員 私からは、まず最初に、防災についてお伺いをしていきたいと思います。
 きょうもさまざま議論があったところでございますが、私の方からは、特に二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催時、また開催の前後の期間も含めた、オリンピック・パラリンピックを意識した、特化した防災というものについてお伺いをしたいと思います。
 先般も、昨年の四定での一般質問で、私は、二〇二〇年オリンピックを控えている中で、例えば時限的な防災計画というものも考えていかなければいけないんじゃないのかというような質問をさせていただきました。そのときの答弁は、オリンピック・パラリンピック準備局長から、施設ごとに避難計画は策定してまいりますというような答弁があったところであります。
 もちろん、一義的には、イベントの開催であればイベントの主催者が、まず最初にそうした防災計画を危機管理という面から考えなければいけないというところはあろうかと思います。
 先ほど議論がありました、東京マラソンの蓄積がありますから、これまで何年もやってきた蓄積があって、いざとなったときの対応、こうしたものに対してノウハウがたまってきている、こうした話がありましたが、オリンピック・パラリンピックは一発なわけです。その時期に何かあったときに、なれていませんでしたからというわけには当然いかないわけであります。あらゆる想定というものを当然していかなければいけないというように思うわけであります。
 そこで、防災対策について、まず東京都地域防災計画というのがあります。そして本日の、多く質疑がありましたが、東京の防災プランというものを策定しているわけであります。二〇二〇年の大会開催時における大地震発生を想定して、改めてこの計画を見直す考えがあるのかどうか、見解をお伺いいたします。

○矢岡総合防災部長 東京都地域防災計画は、災害対策基本法に基づき東京都防災会議が策定する計画でありまして、都を初め区市町村や各防災機関、事業者等の災害に対する予防対策、応急復旧対策等を取りまとめたものでございます。
 最新の地域防災計画震災編は、首都直下地震や南海トラフ巨大地震の被害想定に基づきまして、平成二十六年に修正をしてございます。その時点で求められる対策を基本的に網羅したところでございます。
 また、東京の防災プランについてでございますけれども、二〇二〇年の東京大会開催も見据え、世界一安全・安心な都市の実現に向けて、庁内各局に加えまして、都民、企業が取り組むべき防災の取り組みを工程表とともに示したものでございまして、昨年末に策定をしたものでございます。今後は、このプランをもとに、都民や企業の皆さんと一緒に防災対策に取り組んでいくこととしてございます。
 このため、いずれの計画につきましても、現時点で見直す予定はございません。

○西沢委員 地域防災計画も東京の防災プランについても、見直す予定はないということでございました。これは役割分担といいますか、その計画そのものが法律で設置されているもの、もしくは二〇二〇年に向けてというもので、違うものだというようなことだと思うんです。
 ただ、大会開催時においては特殊な状況にございます。そして、今、訪日の観光客一千三百万人といわれている中で、二〇二〇年には二千万人と。多くの方が外国人も含めて東京にいらっしゃる。外国人もそうですけど、日本人も日本全国から東京に集まってくる。別に開催期間だけじゃなくて開催の前からそういった方々、そういった意味を含めれば、もう既に今からでも東京を目指していらっしゃる方が多くなってきているわけでございます。
 そして、そういった場所において、いざ何かあったときに、東京都は首都直下地震等対処要領をつくって、発災後七十二時間の取り組みというものを策定しているところでございますが、この要領についても、大会開催期間はもちろん、その前後を含めた期間--平時と比較して、今申し上げましたように、多くの方が特定箇所に集中するということが想定されますが、改めてこの対処要領を検討していくということも重要だと考えますが、見解を伺います。

○矢岡総合防災部長 オリンピック・パラリンピック大会時においては、世界中から東京を訪れる多くのアスリートや大会関係者、観客の安全を確保するために、地震に対する万全の備えが必要でございます。
 都といたしましても、先ほどご説明いたしました東京の防災プラン等に基づきまして防災対策を進めてまいりますが、競技会場などの大会関係施設につきましても、建物の耐震化や施設ごとの避難計画を策定していくこととしてございます。
 お話の首都直下地震等対処要領は、観光客を初め都民の方々を円滑に救出救助するため、発災後七十二時間における自衛隊、警察、消防等の各機関の活動とその連携手順を定めたものでございます。
 現在、競技大会の会場について、配置等も含め検討中と聞いておりますが、今後、その内容を踏まえ、大会開催の際にも適切に救出救助活動が展開できるよう、関係各局や大会組織委員会とも連携しながら取り組んでまいります。

○西沢委員 この要領については変えていくということを今答弁いただいたということで認識をさせていただきます。
 確かに、これ、去年の四月に策定されたものでございますが、最後のページには、継続的に改定をしていきますよというようなことが書かれているわけでございます。地域防災計画という大きなものというよりは、いざというときに、七十二時間どう動くのかというような細かな手順を定めているというものでございますから、その状況、状況に応じて細かく、直すところは改定していくよというようなことでございますので、改めて私の方からも、オリンピック・パラリンピックを考慮して改定していただきたいということは要望させていただきたいと思います。
 それで、今ご答弁いただいた要領が、その開催時というようなことが強かったと思うんですけども、何度も申し上げますように、私としては、大会の開催期間のみではなく、その前後の期間、その前後というのがどこかといわれれば、今からという話もあれば数カ月という期間かもしれませんけども、そこで改めて別に対処するような考えがあってもいいのじゃないのかなというような気がいたしますので、その辺もあわせてご検討いただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、こうした防災もしくはオリンピックの成功は、都庁の職員の皆様の役割というものが大変重要でございますが、その職員の皆様の組織の体制が変わるということで、私の方からも、都庁組織・人事改革ポリシーについて何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 今も議論があったところでございますが、私の方からは、このポリシーについて評価というところで申し上げますと、私自身が都庁の職員だったことも自治体職員だったこともございませんし、何よりもこれからというところでございますから、議会側から積極的に何か、これがいいものだ、これをやれば全てうまくいくんだみたいなことを評価できるものではないと私は思いますが、ですが、都庁の職員の皆様がご自身で、こうした環境であればいい仕事ができるんだというようなことで策定されているものだと思いますから、温かくこれは見守っていきたいというように思います。このことをまず申し上げます。
 そして、この中で、職責や権限がフラット化されて、監督職が培ってきた実務に精通した能力が最大限発揮される仕組みとなる、こうしているわけでございます。先ほども議論がありましたが、課長代理を設置するということでございます。
 話を聞いていきますと、東京都は厳格なピラミッド構造になっているというようなことであります。ポリシーの八ページを見ると、確かに、国であったり他の道府県なんかと比較しても、部長、課長、今まで課長補佐、係長、主任、係員と、厳格なピラミッドになっているわけでございますが、係長と課長補佐を一緒にするということによって、この厳格なピラミッドが崩れてしまうのではないか、こうした話なんかもありました。ただ、監督職、管理職、一般というような形で考えれば、それは崩れないんですよというような話なんかもあります。
 これを整理することで、権限や責任のあり方というものがどのように見直されるのか、改めてお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 現在の制度は、課長補佐のみが課長の代理権を有してございまして、課長補佐ポストに係長が配置されるなど、組織上の位置づけと配置の実態に乖離が生じている例もございました。このため、代理権を監督職全員に付与することで、迅速かつ機能的な仕事の進め方に資する制度へ見直しを行うものでございます。
 さらに、課長代理は、部下の休暇承認などの決定権を課長から委譲されることによりまして、これまで以上に重い職責を担うこととしまして、実務のかなめである監督職の意識改革とさらなる育成を図ってまいります。
 また、ポストの位置づけに縛られることなく、適材適所の柔軟な人事管理が可能となりますことから、各課長代理が実務に精通した専門的な知識、経験を最大限に発揮することで、組織の課題解決力を強化してまいります。

○西沢委員 課長代理という役職の権限の話の中で、部下の休暇承認などの決定権も課長から委譲されるという話がありまして、すごくイメージが湧きますね。すごくそれは大きな権限になるんだろうと思いますし、課長代理の意識というものも十分高まっていく、そんな制度なんだろうというように思います。改めて、不明確や非効率にならないように徹底をしてもらいたいというように思います。
 また、今回、先ほども議論がございましたが、係制の廃止というものがございます。そもそも係制というものがどういったもので、なぜこれを廃止するのか、お伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 現在の係は、課における事務を類似、関連するものごとにあらかじめ大くくりいたしまして、最小の事務処理単位として設置したものでございます。係長を中心として、定例的、経常的な事務を効率的に処理するに当たり機能してまいりました。
 一方で、近年、例えば突発的な課題や急激に進行した課題への即応が求められておりまして、係の分掌にかかわらず臨機応変な対応を迫られるケースがふえてきてございます。また、係があることで、職員が無意識のうちにみずからの業務範囲を限定し、縦割りの意識を持ちがちになる傾向があるなど、変化が激しく、高度化、複雑化する都政課題に対応する上では課題が発生してございます。
 そのため、今回、課長代理の設置とあわせ、係制を廃止し、これまでの枠組みにとらわれず、課題や課内の状況に応じ、迅速かつ柔軟な仕事や職員の配分を可能とすることで、組織の執行力の向上を目指すこととしました。

○西沢委員 係という枠にとらわれないということだと思います。
 ただ、ひっかかるところがございますが、係という形であることによって責任が明確化するという利点も、これまであったのではないかなというように思います。
 一般の都民の方もしくは皆様がおつき合いの関係機関、議会もそうです。名刺交換などをされる場合に、係というものがあったり、係長の方であれば、これは都庁の組織人事一覧ですけども、例えば係の名前で広報調整担当係長とかとあると、広報調整を担当するんだなとか、人材開発担当係長とあれば、そういう人材の開発の担当という係なんだなと、すごくわかりやすく名刺なんかにも書かれているわけです。また、庁内に行けばそういう看板が掲げてある。
 これがなくなってしまうということになると、フラット化されるということで、いいのかもしれないんですが、逆に責任の所在が曖昧になってしまうんじゃないかなという不安もあったりしますが、そうした細かな配慮が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○栗岡労務担当部長 見直し後の制度におきましては、課長代理に対して、課長が事務執行上の合理性や効率性を踏まえ、課題に応じて柔軟に具体的な担当事務を指示することとなります。
 これによりまして組織の課題解決力の一層の向上を図るものでございますけども、課長代理の担任事務を都民にわかりやすくお示しすることも、責任を持ってしっかりと都民サービスを行う観点から、これまで同様、重要だと考えてございます。
 こうした観点から、名称の表記や人事異動の発令等の際には、課長代理の担任事務を具体的に表示することとしてございます。ちなみに、今、委員からご指摘いただきました広報調整担当係長の場合ですと、課長代理(広報調整担当)というような表記になるかと思ってございます。
 今後とも、都民サービス向上の視点を踏まえ、適切な対応を図ってまいりたいと思います。

○西沢委員 ありがとうございます。例えば住民基本台帳ネットワークシステム担当係長という方は、課長代理(住民基本台帳ネットワークシステム担当)というような形になるということですね。
 名前は細かな話かもしれませんけども、実はこうした意識というものは比較的大事なんじゃないのかなと思いますし、いただいた名刺で、名前だけでどうしても覚えられないとかという、取引だったりとか都民の方が、何々係長さんとやりとりしましたという形で覚えていたりとかして話が進むこともよくありますから、表示についてはいろいろな議論があろうかと思いますが、こうした観点からも工夫をしていただきたいなということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたします。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十八分散会

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