総務委員会速記録第三号

平成二十七年三月十八日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長栗林のり子君
副委員長西沢けいた君
副委員長中屋 文孝君
理事やながせ裕文君
理事徳留 道信君
理事早坂 義弘君
清水 孝治君
上田 令子君
栗山 欽行君
高倉 良生君
田島 和明君
ともとし春久君
山下 太郎君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長川澄 俊文君
外務長宮島 昭夫君
次長理事兼務武市  敬君
理事猪熊 純子君
理事土渕  裕君
総務部長河内  豊君
調整部長中澤 基行君
政策担当部長藤田  聡君
政策担当部長小沼 博靖君
技術政策担当部長加藤 直宣君
渉外担当部長政策担当部長兼務小室 一人君
国家戦略特区推進担当部長山本 博之君
渉外担当部長政策担当部長兼務村岡 教昭君
計画部長小池  潔君
外務部長横山 英樹君
都市外交担当部長川上 文博君
国際共同事業担当部長小菅 政治君
青少年・治安対策本部本部長河合  潔君
総合対策部長横山  宏君
青少年対策担当部長坂田 直明君
治安対策担当部長村山  隆君
監査事務局局長石原 清次君
監査担当部長副島  建君

本日の会議に付した事件
意見書について
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十九号議案 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
青少年・治安対策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出 青少年・治安対策本部所管分
報告事項(質疑)
・「安全安心TOKYO戦略」について
・「東京都子供・若者計画(仮称)」について
政策企画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出 政策企画局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第二十八号議案 東京都都市外交人材育成基金条例
・第二十九号議案 東京都アジア人材育成基金条例を廃止する条例
報告事項(質疑)
・「東京都長期ビジョン」について
・「東京都都市外交基本戦略」について

○栗林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○栗林委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十七年度の予算につきましては予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会の所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十七年三月十六日
東京都議会議長 高島なおき
総務委員長 栗林のり子殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(金)午後五時

(別紙1)
総務委員会
 第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 総務委員会所管分
 第二号議案 平成二十七年度東京都特別区財政調整会計予算
 第四号議案 平成二十七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算

(別紙2省略)

○栗林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、青少年・治安対策本部及び政策企画局関係の予算の調査、監査事務局及び政策企画局関係の付託議案の審査並びに青少年・治安対策本部及び政策企画局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分及び第三十九号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石原監査事務局長 去る二月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 お手元の資料、局長級職員が就任している都以外の役職についての表紙をおめくりください。
 現在、監査事務局長が就任しております都以外での役職、その根拠法令等及びそれに伴う報酬額についてお示ししてございます。
 よろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 資料の方、ありがとうございました。特に問題はないということで認識をさせていただいた次第でございます。これは個人に付与されるものではなくて、監査事務局長というような立場での選任ということで理解をしております。ありがとうございました。
 さて、監査事務局の指導的役割についてお尋ねをしたいと思います。
 平成二十六年度、一年間の監査結果では、指摘金額が約六億円、経費の削減や収入漏れが定例監査では百六十三万円、財政援助団体等監査では補助金の過大交付が約六百三十万円ということでしたが、一般会計が約六兆円、特別会計を合わせますと十三兆円ともなる東京都の大きなバジェットからしますれば〇・〇〇四%。これはちょっと少額かなと思わざるを得ず、費用対感覚を鑑みますれば、都民感覚では、六億円の無駄を見つけるために監査事務局の予算約九億円を使っているというような感覚も持ったり、理解が得にくいのかなということをちょっと懸念しました。
 予算編成でのいろいろな財務局の見解も、今年度の予算案の概要の歳入の状況について、財務局では、都税収入は法人二税の占める割合が高いため景気変動の影響を受けやすく、極めて不安定な形で増減を繰り返しています、そのため、今後の税収動向を慎重に見きわめながら適切な財政運営に努めていく必要がありますとされておりまして、知事答弁でも、都議会でも、再三再四、東京都庁の不安定な財源が指摘をされているところであります。
 この財政状況にありまして、逆から申し上げますと、監査事務局の役割は非常に大きい、意義も大きいと考えております。
 地方自治法上でも定められているとおり、監査事務局は、住民の代役としての精神を住民のために執行担当者がその監査の実務において活性化できる指摘、指導ができているのか、また監査事務局は、監査して報告したら終わりではなく、その後の各局の事務事業と切れ目なく監視の目を持った指導的役割が求められるところでございます。
 監査は手段であって目的ではなく、結果をもって何をするのか、指摘金額と予算全体のバランスに対する見解、監査とその結果のフィードバックを、無駄と不正を防止するという基本的な役割を踏まえた上での事務局の意義、今後発展的にし得る役目につきましても、新年度予算に当たりお答えいただければと思います。

○副島監査担当部長 まず指摘金額についてでございますが、指摘金額は、税や使用料などの収入不足や漏れ、補助金の過大交付額、委託契約などに係る過大な支出額、会計手続等が適正に行われていないものの額、有効に活用されていない資産の価額等をお示ししたものでございます。
 平成二十六年の監査の指摘金額は、お話のとおり約六億円でございますが、過去五年間の指摘金額の平均では約十七億円となっております。
 しかしながら、監査におきましては、例えば、故障した消防設備の修繕を速やかに行っていなかったものや、定期点検において早急な対応が必要とされたにもかかわらず、長期にわたり補修を行っていなかったものを指摘するなど、放置すると重大な結果が生ずるおそれがあるものの、こうした数値としてあらわせない事例もございますので、監査の効果は指摘金額の大きさのみでははかれるものではないと考えております。
 次に、監査結果に基づく改善の取り組みについてでございますが、監査事務局では、監査の実効性を確保するため、各局から指摘事項の改善状況について報告を求め、その内容を確認し、監査結果に基づき講じた措置として、年二回、議会に報告するとともに公表しているところでございます。
 その際、各局の取り組み内容につきまして、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直しなど、再発防止の徹底が図られているかを詳細に確認し、的確にフォローを行っているところでございます。
 さらに、再発防止の効果をより高めることを目的といたしまして、各局の担当者向けに事務説明会を年二回開催いたしまして、過去の指摘を類型化した監査指摘事例集を配布し、共通して誤りの起こりやすい事例を各局に周知しているところでございます。
 今後とも、監査結果が都の事務事業の改善に資するよう、質の高い監査を実施するとともに、各局における事務改善を促してまいります。

○上田委員 金額だけではなくて、重大な、故障した消防設備の修繕といった具体的な例が非常にイメージが湧きました。引き続き両輪でやっていきたいと思います。
 また、各局の担当者向け、年二回開催をするということで、気軽に監査になる事前に相談ができたりするような風土があるというのは事務事業の中でも確認をさせていただいておりますので、新年度に向けて、より効率的な監査、そして指摘が、全局から自発的に担当職員が意識を高めるようなお取り組みを希望するものでございます。
 監査事務局について当初は聞かせていただきましたが、組織としてのあり方を伺ったところですが、次に、監査委員及び職員の専門性、ソフトウエアの方、一人一人のソフトウエアの専門性の研さんについてどうなっているか、お尋ねしたいと思います。
 ご承知のとおり、非常に膨大な書類を見たり、数値も大きいというところで、専門性が問われる業務なことと配慮しております。しますれば、委員、職員の研修体制は非常に重要視するところでありまして、実際に全都道府県監査委員協議会連合会講習会などに参加されてきた経緯もあると仄聞しております。
 現在の委員及び事務局職員の技術向上に向けた取り組み、殊に議選委員の能力向上については個人的に気になるところでございますし、期待するものでありますことから、研修体制についてお尋ねいたします。

○副島監査担当部長 まず職員の技能向上についてでございますが、都政は多岐にわたり、また専門化、高度化が進んでおりますので、監査を行う職員にも専門性が求められているところでございます。
 このため、職員に対しましては、簿記や会計など専門知識に関する研修を事務局で行うほか、会計検査院や民間団体主催の研修など外部の研修等に派遣しております。また、職員の自己啓発を支援するため、簿記等公的資格取得費用を助成しているところでございます。
 また、他部署からの転入職員には、監査手法、指摘文作成方法など監査技術についての研修を実施することに加えまして、各職員にインストラクターを配置し、日常的に指導を行っているところでございます。
 さらに、公認会計士を任期つきで職員として一名任用しているほか、公認会計士有資格者を一名配置しております。
 次に、監査委員についてでございますが、地方自治法等に基づき、現在、公認会計士、民間企業の監査役経験者など識見を有する者から三名、都議会議員から二名選任されております。
 監査結果の報告、意見の決定等につきましては合議によるものとされており、各監査委員が有するそれぞれの専門性を生かしつつ、相補いまして審議を行っているところでございます。
 その上で、全都道府県監査委員協議会連合会の講習会の場などを通じまして、会計制度に係る法改正など、監査をめぐる最新動向に関する情報収集や意見交換等を行い、研さんを深めているところでございます。

○上田委員 ご答弁いただきました。特に自己啓発を支援するための簿記等公的資格取得の費用の助成ということは、非常にインセンティブも高まりますし、そういった外部研修で同様な方々と各職員が情報交換することで、自然にあちらの自治体ではこうやっているんだ--監査事務局のあり方も、各地方自治体でかなり独特なカラーがあるようでございますので、積極的に外部の研修等に派遣されていくことを要望します。
 一方、議選委員ということで、相互に補って審議を行うということでありますが、我々議会も、簿記議連でもないですけど、こういった簿記、やっぱり振替伝票を書けるぐらいの財政、簿記の知識が、議員もある人も多いと思いますが、新人さんとか私も含めて研修をしていけるような風土をつくっていきたいなと。充て職に甘んじることなく、技術を向上する風土を我々議会ではつくっていく。これだけ執行部の方が、理事者の方もやっているということで、非常に刺激を受けた思いでございます。
 るるご報告いただきましたけれども、指摘が少ないことが全て健全ともいえない部分がやはりあるかと思います。監査事務局職員、また委員の皆様においては、行財政の健全化を目指す指導監査を起こすとともに、キャッシュ・フローでは安定傾向にある東京都でも、都債残高は一般会計程度残り、先ほどいいましたとおり、不安定な法人二税に依存していることからも、財源確保の困難さを大いに全庁にわたり自覚するとともに、監査事務局がまさに筆頭に立ちまして、さらなる支出の抑制と、不正と無駄、そういったものの見きわめ等を--抑制に邁進され、数値目標というのもなかなか難しいとは思いますけれども、指摘金額につきましては鋭意きっちりと、もうちょっと出していくような目標意識を持っていただければと思います。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○栗林委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、青少年・治安対策本部所管分及び報告事項、「安全安心TOKYO戦略」について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○横山総合対策部長 当委員会におきまして、二月十六日に要求がございました資料につきましてご説明させていただきます。
 お手元にございます総務委員会要求資料の表紙をめくっていただいて、目次をごらんください。
 今回要求がございました資料は、記載のとおり、現在の知事等が就任している都以外の役職と根拠法令、それに伴う報酬額、以下八件でございます。
 もう一枚めくっていただいて、一ページをごらんください。まず、現在の知事等が就任している都以外の役職と根拠法令、それに伴う報酬額でございますが、こちらの資料は、東京都知事及び青少年・治安対策本部長関係で二月末現在に就任している東京都以外の役職について、就任依頼がありました団体とその役職、根拠法令及び報酬額をお示ししたものでございます。
 なお、副知事関係は該当はございません。
 次に、二ページをごらんください。こちらは、東京こどもネット・ケータイヘルプデスクの運営、利用状況でございますが、こちらは、平成二十五年度と平成二十六年度における本年一月末までについて、それぞれの相談件数、内訳及び関係機関との連携の実績をまとめたものでございます。
 次に、三ページをごらんください。東京都ひきこもりサポートネットの実績でございます。
 こちらは、1の相談件数の推移、一つ飛んで3の緊急時の対応及び4の他の支援機関への紹介件数につきましては、平成二十一年度から平成二十五年度までの実績について、また、飛ばしました2の相談内容につきましては、平成二十五年度の内訳と実績をまとめたものでございます。
 次に、四ページをごらんください。早期からのしつけの後押し事業の実施件数でございます。
 こちらは、平成二十二年度から平成二十五年度までの出前講演会、心の東京塾等の実施件数を示し、下段には各年度の実績がなかった区市町村を記載しております。
 次に、五ページをごらんください。東京都におけます子供がいる家庭の所得の状況でございます。
 こちらの資料は、福祉保健局が公表している平成二十四年度東京都福祉保健基礎調査報告書に記載されているものを抜粋して示しております。
 次に、六ページにございます2のひとり親世帯の年間収入は、二十歳未満の子供がいる母子及び父子世帯の年間収入につきまして、平成二十四年度調査と過去二回の調査を比較した図表でございます。
 次に、七ページをごらんください。都道における自転車走行空間の整備状況の推移です。
 こちらの資料は、建設局の事業概要に記載された数値をまとめたものでございます。
 次に、八ページをごらんください。区市町村道における自転車走行空間の整備状況です。
 こちらの資料は、区市町村道における自転車走行空間の整備状況について、当本部が毎年実施しております区市町村における交通安全対策事業の現況調査におきまして、各区市町村から回答があった数値分をまとめたものでございます。
 最後に、九ページをごらんください。自転車と歩行者の交通事故発生件数の五年間の推移です。
 こちらの資料は、警視庁の統計により、まとめたものでございます。
 以上、資料要求の説明を終わらせていただきます。
 ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中屋委員 私の方からは、安全安心TOKYO戦略について質問させていただきたいと思います。
 安全・安心に関する新たな指針の策定については、これまで何度か質問をしてきたわけでありますが、本年一月に安全安心TOKYO戦略が発表されまして、当委員会でも報告がございました。
 また、さきの本会議における我が党の代表質問におきましては、河合本部長から、今後、戦略によりテロにも屈しない強い東京を創造するとの力強い答弁がございました。
 この本戦略の肝は地域であると思います。それは、地域がみずから事件や事故に立ち向かい主体的に取り組むことで、地域の安全・安心の向上が図られるわけであります。そのためには、行政、警察などがそれぞれ持てる力を結集して地域を支援していくことが何よりも重要であります。これまで長年、夜間の見回りを行う地元町内会とともに地域の安全にかかわってきた私の考えとまさに一致するところであります。こうした地域での地道な取り組みの積み重ねが都内全域に広まることで、世界で一番の都市としての東京が初めて見えてくるわけであります。
 戦略が成功するか否かは、いかに地域とともに施策を進められるかにかかっております。本日は、そうした観点から戦略の進め方について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、戦略では、安全・安心に対する地域の役割をどのように位置づけ、地域活動の課題をどう捉えているのか、お伺いをいたします。

○村山治安対策担当部長 戦略では、東京の安全・安心を向上させるために、それぞれの地域の実情に応じて自助、共助、公助を適切に機能させることが重要としております。そのためには、地域における自主的な防犯活動など、住民による主体的な取り組みが欠かせないものとなります。
 しかし、地域では、町内会、自治会の加入率の低下やボランティア団体の構成員の高齢化などにより、今後の活動の継続性が危ぶまれております。
 そこで、戦略に基づき、都内六十二区市町村の全ての地域において住民による自主的な防犯活動が継続して活発に展開されるよう、区市町村等と連携して新たな担い手の確保や活動の活性化に向けた支援を行ってまいります。

○中屋委員 ただいま地域活動の課題についてご答弁いただきました。それぞれの活動を末永く継続していくことが重要であるとの認識は確かにそのとおりであると思いますけれども、そのためには地域の防犯組織の結束を高める。実際に活動にかかわっている人々のモチベーションを上げていくということが私は必要だというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、私はかねてから防犯団体などへの表彰制度を提案しておりますけれども、これについては、さきの事務事業質疑で検討していくとの答弁がありましたけれども、今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。

○村山治安対策担当部長 戦略に盛り込まれている防犯団体等に対する顕彰制度につきましては、朝夕のパトロールなど地道な活動を継続されている地域の人々の励みとなり、それぞれの活動の活性化に向けた力強い応援歌になるものと考えております。
 今後、類似の顕彰制度や他自治体の事例などをつぶさに調査研究した上で、派手さはないが、これらの活動に地道にこつこつと汗を流している人々の心が報われるような都独自の工夫を凝らした表彰制度を検討してまいります。

○中屋委員 ぜひ実現をしてほしいというふうに思います。
 地域の活動は、成果が目に見えにくい。忙しい時間を割いて、これを長く続けていくことは、口でいうほど簡単ではありません。活動の担い手を育てていくためにも、このようなことに十分気配り、目配りをしていただければありがたいというふうに思います。
 また、担い手の確保に加え、それぞれの活動を補完、強化していくことも忘れてはなりません。
 そこでお伺いいたしますが、戦略では、地域を巡回する事業者の協力を得て、子供などの弱者を見守るネットワークづくりを推進していくこととしておりますけれども、今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。

○村山治安対策担当部長 企業や事業者の知見や機動力を活用した地域の見守り体制の充実強化についてでございますが、これにつきましては、現在、他の分野における類似の取り組みの調査を行うとともに、関係事業者へのヒアリングを始めるなど、その事業化に向けた検討に着手しているところでございます。
 今後、これらの結果を踏まえつつ、地域の実情を熟知した区市町村の意見も聞きながら、なるべく多くの見守りの目が地域に根づくような制度設計を行ってまいります。

○中屋委員 まさに我が意を得たりの思いであります。事業者もみずから地域貢献活動を積極的に進めておりまして、地域から信頼され発展することを目指しているところが少なくありません。このような事業者が地域の一員として安全・安心に関する活動に参加しやすい仕組みをつくることは、地域の活動を補完、強化していく上で大変有意義であると思います。
 次に、これもしっかり考えなければならない話でありますが、地域における足腰を鍛えて、その活動を活性化するためには、安全・安心にかかわる行政、警察、地域などがおのおの有する情報を共有していくことが私は不可欠であるというふうに思います。
 さきの事務事業質疑におきまして、関係者が持つ情報を共有、発信する仕組みを検討していくとの答弁がございました。その方向性について伺います。

○村山治安対策担当部長 地域の安全・安心に関する行政や警察、学校、町会など、地域の関係者のそれぞれの取り組みを有機的かつ重層的に進めるためには、ご指摘のとおり、情報の発信、共有が重要であると認識しております。
 今後、私どもが管理運営を行っております防犯や安全・安心まちづくりに関するホームページ、大東京防犯ネットワークによる情報発信を充実させるとともに、関係者の意見を聞きながら、一方的な情報の提供にとどまらない地域の活動の活性化に資する効果的な情報戦略を検討するなど、その発信、共有の深化に向けた取り組みを加速させてまいります。

○中屋委員 これまでいろいろとご答弁いただきましたけれども、安全・安心の実現に向けました地域あるいは地域の活動に対する都の姿勢はよくわかりました。地域の活動と同様、地道で息の長い取り組みが求められますが、我々がこれまでに築き上げてきた犯罪や事故のリスクの少ない東京を確実に子や孫の世代に引き継いでいけるよう、さらに汗をかいてもらいたいと思います。
 さて、戦略の周知を目的にことしの一月に開催されましたシンポジウムには、島しょ部を除きました全警察署と八割の区市町村の参加があったと聞いております。安全・安心に関する関心の高さがうかがえるわけでありますけれども、最後に、この戦略において、地域とともに世界で一番の都市の実現に向けて取り組んでいく本部長の決意をお伺いいたします。

○河合青少年・治安対策本部長 安全・安心の礎は地域にあります。地域の地域による地域のための取り組みが一筋の流れとなり、これらが集まって安全・安心の大河を形づくるものであります。
 世界一の実現は、もとより高いハードルであります。しかしながら、戦略に魂を入れ、これを絵に描いた餅に終わらせないよう、区市町村を初めといたします地域の関係者としっかり手を携えながら、東京の安全・安心を支える地域の力の強化に向けまして、当本部の総力を結集し、全力かつ全速力で取り組んでまいりたいと存じます。

○中屋委員 治安対策のプロフェッショナルである本部長の使命感あふれる決意は伝わりました。しっかりとまた頑張っていただきたいというふうに思います。
 我が党もかねてから、日常のあらゆる危険から都民の命を守るための政策提言を行ってまいりましたが、世界で一番の都市の実現に向け、手綱を緩めることなく、各種の施策をこれまで以上に強力に進めていってもらいたいというふうに思います。
 折しも、東京にほど近い川崎市において、中学一年の男子生徒が、我々には理解できないささいな理由によって、グループリーダーの十八歳の少年に殺害されたとのショッキングな事件がございました。
 それによると、被害に遭った生徒は、加害者の少年から頻繁に暴力を受けていたことや、グループを抜けたいことなど周囲にSOSを発していたようですけれども、結局、誰もこれに対応することなく最悪の結果を招いてしまったわけであります。
 当事者でない私があれこれいうことは差し控えなければならないというふうに思いますけれども、仮に学校や家庭を含めた地域の見守りの目がきちんと機能していたならば、このような悲惨な事件は防げたのではないかと、子供を持つ親として本当に無念でなりません。
 この事件はいつどこで起こっても不思議ではないわけで、ご答弁にもあったけれども、このような事件が二度と起こらないように、安全・安心に関する地域のさまざまな取り組みを今後も都が積極的に後押しすることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○高倉委員 若者の自立の支援ということにつきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。
 社会との関係が築けず就労や就学に至らない、あるいは社会生活を営む上で困難といったものを抱えた若者の自立と社会参加の支援というのは大変重要であるというふうに思います。特に、東京の将来を若い皆さんが支えていっていただくということを考えたときには、しっかりとした支援が必要であるというふうに思います。
 東京都はこれまで、ひきこもりの状態にあります若者、また、その家族のための相談事業、東京都ひきこもりサポートネットといった事業を展開してきております。また、就労、就職、人間関係、孤独といった若者が抱えますさまざまな悩みに対応する総合相談事業、若ナビにも取り組んできたわけであります。
 若者の社会的自立を支援していくためには、こうした都の取り組みをさらに充実しまして、都内の多くの若者に事業の活用といったことを促していくことが大変大事であるというふうに思います。
 ひきこもり等の若者への支援といたしまして、昨年の六月から家庭等への訪問相談が開始をされております。昨年の十一月の事務事業質疑でも、訪問相談の目的あるいは手順、実施体制等についてお聞きをしたところであります。
 その中で特筆すべきこととしまして、都内六十二の全区市町村に、ひきこもり問題に悩む若者やそのご家族から相談の申し込みを受ける一次受付窓口が設置をされ、都と区市町村が共同して支援を行う体制整備が一歩進んだこと、これがまさに特筆すべきことでもあると思います。
 これまで若者の自立を応援してきた私ども都議会公明党といたしましては、この事業について今後も積極的に取り組んでいってほしいというふうに考えているところでございます。
 そこで、訪問相談につきまして、本日現在の申し込みの実績、また取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 訪問相談につきましては、昨年六月の開始以来、本日現在で、予算上想定いたしました規模の四十件を上回る四十八件の申し込みを受け付けておりまして、その内訳は、区部二十件、多摩地区二十八件でございます。
 ひきこもりの状態にある本人の年齢は、二十歳代五六%、三十歳代二五%、性別は男性が七七%を占めておりまして、申込者は母親六九%、父親二五%でございます。
 ひきこもっていた期間は、二年を超える例が六五%、中には十年以上に及ぶ事例もございました。
 ひきこもった理由でございますけれども、就労、学業、対人関係の不信等のほか、疾患や障害が疑われるケースもあるなど、さまざまでございます。
 そのため、ご家庭への訪問に当たりましては、本人や家族の置かれた状況やニーズに即したきめ細かな対応を行っておりまして、既に、東京都若者社会参加応援事業に参加するNPO法人等や地域若者サポートステーションの活動を紹介いたしまして、同行してつないでいった例もございます。

○高倉委員 今、いろいろと実態の説明がありました。
 この訪問相談は、ひきこもっている若者やご家族の状況や要望を踏まえまして、必要な支援を見立てるといったものであります。支援する側に豊富な経験と高い専門性が求められるというふうにもお聞きをしております。
 今いろいろと数字が説明をされましたけれども、事業開始年度に予想した規模を超える申し込みを得たことにつきましては、大変に喜ばしいことであるというふうに評価を申し上げたいと思います。
 今後も、家庭内にひきこもっている若者を一人でも多く早期に適切な支援につなげていくために、訪問相談の実績を今後も着実に積み上げていってほしいというふうに思います。
 また、これも昨年の事務事業質疑でもお伺いをしましたけれども、この訪問相談をきっかけといたしまして、住民に身近な区市町村における、ひきこもりの若者やそのご家族への支援体制の促進を図っていくといったことが大変重要であるというふうに思います。
 都は、区市町村への補助を通しまして自治体の支援体制の整備を促進しているわけでありますけれども、この制度を活用した自治体においてどういった取り組みがなされているのかといったことは大変興味深いところであるというふうに思います。
 そこで、今年度の区市町村補助の活用の実績についてご説明をいただきたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 平成二十六年度は、各区市町村が都の補助制度をその実情に合わせてより活用しやすいものとなるよう補助要件を緩和いたしまして、制度のリニューアルを行いました。
 その結果、二十五年度を上回ります四つの自治体が補助制度を活用してひきこもりに関する相談を受け付ける体制を整備いたしまして、このうち、文京区、世田谷区、府中市は東京都若者社会参加応援事業に参加するNPO法人等への委託により実施、大島町は直営で実施するに至ったところでございます。

○高倉委員 今、四つの自治体の名前が挙げられました。この四つの自治体が開始をした取り組みは、これから都の補助を活用して若者への支援体制を整備していくという自治体にとりまして、いわば先進的なモデルになるものというふうに思います。
 したがいまして、こういった取り組みを広く周知していくといったことが大変重要であるというふうに思います。
 二十六年度に補助を活用した自治体における具体的な取り組みの内容についてお伺いをしたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 事例を挙げますと、まず世田谷区では、ひきこもり等の生きづらさに悩む若者やその家族を対象とした相談窓口を設置するとともに、既存の就労支援窓口等と連携いたしまして、若者の自立や就職を総合的に支援する仕組みといたしまして若者総合支援センターを立ち上げました。
 また、他の自治体でも、都の保健所等と連携した個別相談対応や居場所の運営、家族向けのセミナーや個別相談会の実施、自治体内でひきこもり等の若者を支援している関係機関の連絡会の設置等に取り組んでおりまして、地域に根差した支援体制の整備が進んでございます。
 都といたしましても、こうした取り組みについて、先進事例として区市町村職員向けの情報交換会等の機会を通じまして情報提供を図るなどいたしまして、区市町村に対し支援体制整備に向けた取り組みを促してまいります。

○高倉委員 今、具体的な取り組みの内容についてご紹介をいただいたということですけれども、都の補助を活用して、地域の実情を踏まえて工夫を凝らした事業が進んでいるといったこと、そして、こうした取り組みを開始していく自治体がふえていくといったことは本当に意義深いことであるというふうに思います。
 今、説明がありました四つの自治体につきましては、まだ事業を立ち上げたばかりということでありまして、専門的、技術的な面で苦労があるというふうに想定をされます。都としても、ぜひさらなるバックアップをお願いしたいというふうに思います。そして、今後、都内全域に若者の自立を支援する体制の整備が広がっていくということを大いに期待しているところであります。
 一方で、都の訪問相談は、利用に際しまして氏名や住所といった個人情報を明らかにしていく必要があるわけであります。したがって、心理的な障壁のために申し込みにつながりにくいといったようなことも考えられまして、こういったことについても、先般の事務事業の質疑の際にもお伺いしたところであります。
 それについては、ひきこもりの問題が家庭の中で潜在化しがちでありまして、なかなか支援に結びつけにくいといったことも考えられるわけであります。しかしながら、せっかく区市町村との連携によりまして一歩進んだ取り組みを開始したわけでありますから、支援を必要としている方を早期にすくい上げまして、都の訪問相談につなげていってほしいというふうに思います。
 そこで、ひきこもりの状態にある若者やそのご家族を早期に適切な支援につなげていける地域の体制整備を促進していくために、今後どう取り組んでいくのかについてのご所見をお伺いしたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 来年度は多摩地区で、訪問相談の一環といたしまして、三つの自治体との共同による巡回相談会の実施を予定してございます。
 自治体で相談会の会場を準備いたしまして、事前に市民への広報を実施し、当日は、東京都ひきこもりサポートネットの相談員が自治体の職員と連携して相談に対応します。都民の方には匿名による申し込みにより気軽に利用していただき、相談者の要望に即して支援機関の情報を提供するとともに、都の訪問相談にもつなげてまいります。
 巡回相談の実施をきっかけに、区市町村における支援体制整備のさらなる促進を図り、社会的自立に困難を抱えた若者の社会参加を後押しできる体制を拡大していくことを目指してまいります。

○高倉委員 ただいまの巡回相談会につきましては、区市町村の取り組みを促進する起爆剤にできますように、また、ひきこもりの問題に悩む若者やそのご家族を必要な支援に円滑につないでいけるように、よい結果を出してほしいというふうに思います。
 また、来年度に策定を予定しております東京都子供・若者計画につきまして、既に青少年問題協議会の場でも議論をされているというふうにお聞きしております。この計画の策定によりまして、都は広域的自治体として、また区市町村は住民に身近な自治体として、それぞれの役割を果たしながら社会的自立に困難を抱える若者を支援していく体制整備が促進されますよう、私ども都議会公明党としても、しっかりと応援をしてまいりたいというふうに思います。
 都の若者自立支援の充実を強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○徳留委員 一月の青少年問題協議会において、都知事から挨拶を兼ねて子供・若者計画(仮称)の策定について諮問があり、八月ごろまでに策定する見通しが示されました。
 都知事は挨拶の中で、次代を担う青少年が能力や個性を十分に発揮し、社会の一員としての役割を生き生きと果たすことができる社会をつくることは都民全ての願いと述べて、全ての人が活躍できる社会という目指すべき東京の将来像の実現のために、ひきこもりや不登校、社会生活を円滑に営む上での困難を有する青少年へのさらにきめ細かい支援が求められていると強調しました。そのための東京都子供・若者計画(仮称)の策定に当たって、都民一人一人の青少年育成に向けた関心を喚起し、青少年の健全育成に向けた取り組みを総合的に推進すると述べています。
 こうした取り組みの土台となる法律は、子ども・若者育成支援推進法と子ども貧困対策法に示された基本理念ではないかと思います。基本理念では、憲法及び児童の権利条約に基づき、子供、若者の最善の利益を尊重、子供、若者は大人とともに生きるパートナー、自己を確立し社会の能動的形成者となるための支援、一人一人の状況に応じた総合的な支援を社会全体で重層的に実施、大人社会のあり方の見直しなど五点を示され、貧困対策では、子供の貧困の解消、健康で文化的な生活の保障、次世代への貧困の連鎖の防止等が提起をされています。
 そこで質問ですが、子供と若者を主役にした総合的な計画の作成具体化に当たって重要なことは、子供、若者とその親、家族の当事者の目線から出発して、子供、若者、家族の現状、実態をしっかり掌握し、その分析を踏まえて、その実態から総合的で重層的な具体化を図ることが不可欠だと思います。
 子供、若者の現状や実態を把握するために、都はどのような手だてをとっているのか、伺いたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 都内の青少年の現状を踏まえた計画とするため、子供・若者計画を審議する東京都青少年問題協議会の委員として、現場において青少年の支援に従事するNPO団体の代表等を加え、青少年の現状、実態についても聴取することとしております。また、都として既に取り組んでいる、ひきこもりや非行等社会的自立に困難を有する青少年を支援する施策を推進し、また、区市町村の担当者等と地域の取り組み事例を意見交換する中で把握してきた青少年の現状、実態を計画の策定に反映させてまいります。

○徳留委員 委員の中には、多くの学識経験者や、公募で選ばれた子供、若者分野で活躍されている専門家がたくさんおられます。
 ただ、ブログを見ますと、第一回目の審議会では発言する雰囲気ではなくて、都議の前にはマイクがあるけど自分たちのところになかったと、ブログにそういう書き込みもありました。いずれも、その分野で一番先進的に頑張っている方たちですので、ぜひそういう人たちの意見をしっかりと酌み取っていただきたいというふうに思います。
 都内でも多くの子供、若者を支援する団体、NPOが活動しております。さまざまな経験、教訓を蓄積しています。また、自治体でも先行して子供、若者支援計画の具体化も始まっています。そうしたところから、生きた経験、実績、要望などについてもしっかりヒアリングを行うとともに、先進経験を普及、交流することも重要だと思いますが、いかがでしょうか。

○坂田青少年対策担当部長 これまでも都は、東京都若者社会参加応援事業におきまして、ひきこもり等の社会的自立に困難を有する青少年を支援するNPO団体等による支援事例を蓄積しており、区市町村職員に向け、研修会等の機会においてその成果の普及を図っております。
 また、東京都子供・若者支援協議会におきまして、青少年問題にかかわる関係機関や支援団体等の参加を得て、先進的な取り組み等について情報交換を行い、他の支援機関とともに共有し、効果的な施策を推進していくこととしております。

○徳留委員 子ども・若者育成支援推進法の第二条の基本理念の二項の中でも、子供、若者について、個人としての尊厳が重んじられ、不当な差別的取り扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮することと明記。
 第十二条の意見の反映の項目においては、子供、若者育成支援施策の策定及び実施に関して、子供、若者を含めた国民の意見をその施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとするというふうに明記されています。
 青少年問題協議会や専門部会の場、さらには特別の懇談会のような場などに子供、若者に参加してもらって意見、要望を出してもらうことや、若者団体などからヒアリングを行うことや、公募やインターネットなどを活用した意見募集を行うことも、子供、若者の視点、子供、若者を主役にした計画を策定する上で重要ではないかと思います。
 子供・若者計画の策定とその実施において生きた力を発揮するためにも、こうした法律の基本理念をしっかり踏まえて、子供、若者の意見、思いをしっかりと反映させるためにどのようにするのか、具体策を伺いたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 計画策定に当たりましては、青少年の支援に伴い、その意見を把握している民間団体の代表者等を委員とする東京都青少年問題協議会に諮問しておりまして、また、同じく民間団体の代表者等を委員とする東京都子供・若者支援協議会等の場における意見交換を通じまして、さまざまな支援の対象となる青少年の意見の反映に努めていっております。
 さらに、今後、インターネットも利用したパブリックコメントを実施いたしまして、青少年を含む都民から広く意見を聴取することとし、必要なものを計画に盛り込んでいくこととしております。

○徳留委員 子供、若者の当事者から、型どおりではなくて、極力、直接意見、要望を聞き取る努力、作業を重視していただきたいということを強く要望しておきます。
 子供・若者計画(仮称)の説明の中で、青少年の現状と課題について、一例が資料として紹介をされておりました。さまざまな深刻な実態が広がっていると思います。こうした子供、若者を取り巻く現状について都としてしっかり分析してこそ、かみ合った解決策の具体化ができるのではないかと思います。
 特に、子供、若者支援計画を具体化する上で、子供、若者の自立と成長にとって大きな障害になっている共通問題が子供の貧困問題です。
 ご存じだと思いますが、世帯収入から子供を含む全員の所得を計算して、真ん中の人の収入の半分に満たない人の割合が子供の貧困と呼ばれています。
 東京都の独自の子供の貧困の調査はないということで、お手元に資料を提出してもらいましたけれども、二百万円以下の家族の方がどんどんふえていると。特にひとり親の場合、女性の場合は大きな増加が見受けられます。
 二〇一二年の厚労省の国民生活基礎調査によると、全国的な子供の貧困率は一六・三%、六人に一人です。さらに、子供がいる現役世帯のうち、大人が一人の世帯、ひとり親世帯の子供の貧困率は五四・六%で、二人に一人になっています。過去最悪の水準ということです。OECD三十四カ国の中でも最低レベルという事態であります。しかも重大なことは、親の貧困が子供の貧困へと連鎖して悪循環となっている問題があります。
 けさ、安倍首相が子供の貧困対策のために国民運動を呼びかけました。ことしの二月の衆参本会議での施政方針演説でも、子供の未来を家庭の経済事情に左右されてはならないと述べて、幼児教育の無償化や奨学金制度の拡充など貧困対策を強化することを述べております。
 都は、この貧困の連鎖の問題をどのように認識して、その解決のために子供・若者計画の中にどのように反映させていこうとしているのか、お伺いいたします。

○坂田青少年対策担当部長 子供の貧困の原因は親の貧困でございまして、この連鎖を断ち切るためには、労働や教育等の分野での青少年の自立に向けた取り組みが特に有効でございます。
 そこで、子供・若者計画におきましては、経済的な困難を有する青少年に対する学習支援や非正規雇用対策等、貧困の連鎖を断ち切るために必要な施策を盛り込む予定でございます。

○徳留委員 私は、先日、調布市で活動するNPO法人キートス、フィンランド語でありがとうという意味だそうですけど、キートスが主催する青少年の居場所というグループの活動、取り組みの経験を伺ってきました。
 ひきこもりや不登校など十二歳から三十歳までの子供、若者たちが約二百三十人登録されており、スタッフは、さまざまな専門家を含めて全てボランティアの四十人の協力者が運営に当たっておりました。
 一昨年の十月から昨年九月までの一年間で、居場所への来室者は延べで二千八百三十五人、来室した背景には、障害がある、不登校だった、ひきこもりなどが多数で、家庭状況ではひとり親が多数です。親が生活保護を受けているとか、障害者だとか、病気疾患という方々もいました。
 居場所への来室のきっかけは、公的機関の紹介、知人の紹介が多数で、ネットを通じて参加したという人もいました。
 このキートスの活動の特徴は、決まったプログラムがあるわけではなくて、提供された居場所と無料の食事の提供が鍵になっています。気軽な参加が広がり、キートスの代表でお母さんのような方を中心とする大家族のような雰囲気の中で、交流、懇談、もちろん学習支援も行っていました。
 こうした子供、若者たちの実態、これは別の経験として、昨年秋にNHK放映の「おなかいっぱい食べたい-緊急調査・子どもの貧困-」、こういう特集番組でも紹介をされているように、子供の食の貧困が、食すらままならない、子供の体と心が脅かされる、ちゃんと食べたいという声も紹介をされていました。これに応える地域のさまざまな取り組みの挑戦が始まっていました。
 調布市のキートスの居場所への参加、食事の提供を通じて、傷ついた子供、若者が癒やされて自信と自己肯定感を取り戻して、人間らしい暮らしを体験しながら新たな目標に向かって前向きの生き方、活動に取り組みを始めているという経験を聞きました。
 この事業には年間六百万円がかかるそうです。三分の一は調布市の助成、残り三分の二は全て有志の募金に頼っているということでした。これだけ立派な活動をされているNPOの活動をしっかり支援する財政支援が不可欠ではないかということも痛感しました。
 また、市の担当者からは、福祉分野の包括支援のような支援をぜひしていただきたいという声も伺いました。
 そこでお聞きしたいのは、七割近くが学校への復帰を果たせない児童生徒の不登校問題、資料にもありますように、一昨年のひきこもりサポートネットへの相談件数が五千三百数十件というふうになっているこの社会的なひきこもりの問題、非正規労働や職場でのパワーハラスメント、使い捨て労働問題などの解消に役立つ総合的な計画の具体化を図ることも若者の自立と成長にとって不可欠になっていると思います。
 我が党議員も、この間、繰り返し取り上げて質問してきました。この間の都の取り組みと、これからの計画の中での拡充や強化方法についてお伺いをしたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 ひきこもりや不登校、非行等社会的自立に困難を有する青少年の問題は複雑でございまして、一人一人の状況に応じたきめ細かい支援が重要でございます。
 例えば、当本部では、先ほども申し上げましたが、昨年六月から、ひきこもり等への支援施策といたしまして家庭等への訪問相談を開始いたしました。
 現在策定を進めております本計画においては、個々の事情が複雑に絡む青少年の自立の問題に対処するために、当本部を初め関係各局の施策を盛り込む予定でございます。

○徳留委員 今も答弁にありましたように、一人一人の子供、若者の実情は大変複雑です。したがって、支援のあり方、対応のあり方も複雑だと思います。それだけに、現に頑張っているNPO法人などボランティアでの取り組みの経験、教訓などもしっかりとつかんだ上で普及を広げていただきたいし、計画の中にも盛り込んでいただきたいと思います。
 我が党議員の若者に対する就業支援についての先日の一般質問に対して、青少年の健やかな育成のためには若者の職業的自立は重要であり、国の大綱である子ども・若者ビジョンに盛り込まれている、これを勘案して策定する東京都の子供・若者計画においても盛り込んでまいりますという答弁がありました。
 増大する不安定な非正規雇用、二千万を超えるともいわれています。さらに、ブラック企業、ブラックバイトなど若者の雇用問題の解決は幅広い分野にわたり、若者の社会的自立を支えるための不可欠の課題になっています。子供・若者計画の中にどのように具体化するのかを伺いたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 青少年の社会的自立を進める上で、非正規など雇用問題は重要な課題であると認識してございます。
 昨年三月に設置いたしました計画を推進いたします東京都子供・若者支援協議会においては、青少年の雇用問題にかかわる都産業労働局、東京しごと財団、東京労働局の代表が構成員となっております。
 計画策定に当たりましては、これらの協議会委員の意見も勘案するとともに、関係各局、関係機関とも連携を図り、社会的自立に困難を有する青少年の雇用に関する施策を計画に盛り込んでまいります。

○徳留委員 若者の働く権利や労働相談活動に関連して、さまざまな機会にその知識を若者にしっかり普及啓発することが重要だと思います。
 昨年十一月に公表された日本労働組合総連合会、いわゆる連合の十八歳から二十五歳の男女の労働者千人を対象にしたアンケート調査では、労働に関する知識を身につけるために必要だと思ったことは何かという質問に対して、トップの四七%の勤労青年労働者が、社会科の授業でもっと労働に関する内容を取り上げると回答しています。
 さらに、労働教育や仕事に対する意識についての質問では、働く上での権利、義務を学校教育でもっと学びたかった、働くことの意義を学校教育でもっと学びたかった、働く上での権利、義務を理解すれば、今よりも安心して働けると、複数回答で六割、七割の青年労働者が答えております。
 こうした勤労青年の意識、思いにも応えて子供・若者計画にもしっかり盛り込んで、学校教育を含めてさまざまな機会、都庁横断的に関係各局からも普及啓発する活動を具体化すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○坂田青少年対策担当部長 本計画の策定に当たりまして勘案することになっている国の子ども・若者育成支援推進大綱、子ども・若者ビジョンでございますが、こちらにおいては、社会形成、社会参加に関する教育の推進といたしまして、勤労観、職業観を形成する教育に関する取り組みが位置づけられております。
 現在策定を進めている本計画において、関係各局と調整の上、必要な施策を盛り込んでまいります。

○徳留委員 我が党議員が先日の一般質問において、児童虐待の問題について質問をいたしました。この児童虐待の問題も、ひきこもりや不登校などの大きな要因になっています。貧困や親の事情から、虐待によって心身ともに傷つく子供が増加をして、時には命を落とすという痛ましい事件が起きるなど、年々深刻で複雑になっていること、こうした子供たちを救済し、一人一人の状況に見合った支援の重要性と具体策について質問をいたしました。
 こうした問題も子供・若者計画の中にしっかりと具体化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○坂田青少年対策担当部長 虐待を受けた青少年のうち、社会的自立に困難を有する者に対しましては、関係各局や区市町村との調整、協議の上、現在策定を進めている本計画について必要な施策を盛り込んでまいります。

○徳留委員 ぜひ具体化を進めていただきたいと思います。
 東京には、四年制の大学生、短大の学生、専門学校の学生、九十万を超える大学生や専門学校生がいるといわれています。親の経済的困難の中で、四十年前に比べると、国立大学で学費は五十倍、それから、私立大学でいうと六倍にも高くふえている学費の問題や、返済に苦しむ奨学金、生活に苦しむ学生が広がっています。東京の将来を担う学生への支援の問題も重要になっていると思います。
 こうした学生へのさまざまな支援、就職支援なども計画の中にきちんと位置づけて具体化することが、東京の将来を担う人材育成の問題としても重要だと思います。我が党議員が一般質問でも取り上げてきましたけれども、どのように具体化されるのでしょうか。

○坂田青少年対策担当部長 都は、社会生活を円滑に営むことが困難な大学生等の若者や、人間関係につまずいたり、就労に至らないなどの悩みを抱えた若者に対しまして、さまざまな支援を行っております。そのため、経済的な困難の有無にかかわらず、社会的自立に困難を有する青少年であれば支援の対象となると考えております。
 現在策定を進めている本計画におきまして、関係各局や区市町村と連携、協議の上、必要な施策を盛り込む予定でございます。

○徳留委員 子供・若者計画の推進にとって、都を先頭にしつつも、NPOなどの民間団体、区市町村との連携、協力によって重層的なネットワークによる支援が不可欠であることはいうまでもありません。
 ところが、東京都とともに、区市町村の子供・若者計画の策定もおくれており、これからというのが実態であります。このようにおくれている中で、一昨年、都内の市長会要望でも、都として早くこの計画をつくってほしいという要望が寄せられています。
 都独自のしっかりした総合的な子供・若者計画の策定を急ぐとともに、区市町村の計画策定への働きかけ、子供、若者支援を強化していくことが求められています。都の見解を伺いたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 都はこれまで、ひきこもりや非行等社会的自立に困難を抱える青少年を支援するための施策を、NPO等の民間支援機関や区市町村等との連携、協力のもと、子供・若者計画の策定に先立って推進してまいりました。
 今後、都は、計画策定を早急に進めるとともに、都の計画策定の後は区市町村において地域の実情に合った実効性ある計画が策定されるよう、都は広域的自治体として、計画策定のノウハウを提供するなど専門的、技術的支援を行ってまいります。

○徳留委員 これまでも都が取り組んできたさまざまな経験、教訓を、この計画の策定と同時並行でスピードアップして取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、子供・若者計画の名称にかかわって、現在はわざわざ仮称になっております。この計画のネーミングについても一言意見を述べておきたいと思います。
 名は体をあらわすといいますが、この計画が子供、若者を本当に大事にして主役に据え、青少年に対して激励と希望、展望を示すような総合的、重層的な内容に練り上げるとともに、計画の名前にも大人社会の期待と思いがこもったものにすることが重要ではないかと思います。間違っても、子供、若者を、対策の対象とか取り締まりの対象と見るような視点になってはならないと思います。
 実際に、既に計画を策定して実施を始めている全国の自治体では、例えば、子ども・青少年希望(ゆめ)プランとか、若者主役計画とか、わくわくプランとか、あるいは未来こどもはぐくみプランとか、子供・若者計画のネーミングそのものに、子供や若者を励ます、期待をする思いがこもったネーミングがされています。
 こうした名前も参考にして、夢のある計画の名前にしてもらいたいということを最後に要望して、質問を終わります。

○西沢委員 私の方からは、まず最初に、報告事項、安全安心TOKYO戦略についてお伺いをしていきたいと思います。
 まず最初に、この安全安心TOKYO戦略の考えについてでございますけれども、なぜこの戦略がつくられるかというもののきっかけでもありますが、この戦略の一番最初のご挨拶の中に、都民の治安に対する不安感は解消されておらず、一層の安全確保に向けた新たな指針の策定が求められているというようなことが書かれております。
 先般の委員会の説明の中でも、この不安感を解消--つまり、刑法犯の認知件数からすれば年々減ってきているという中にあっても、例えば平成二十四年に警視庁が実施したモニターの調査では、十年前と比較して治安はよくなったと回答している人よりも、これは二七%ですけど、悪くなったと回答してる人が三三・九%と悪くなってきているわけであります。
 このギャップを埋める言葉というのが体感治安という言葉だと思います。つまり、体感治安が悪くなってきているから、こうした対策が必要なんだというようなことなんだと思います。
 この体感治安というものがゼロになるという考えは、なかなか難しいと思うんです。刑法犯がゼロになる、これも難しいのかもしれません。究極の社会は、そういったところは不断の改革、不断の努力はしていかないといけないとは思うんですけれども、体感治安、つまり治安の感じる部分について、主観的な要素のところでゼロになるというところはなかなか難しいのではないかと思います。
 そうした中にあって、この体感治安という言葉はすごく便利な言葉だと思うんですね。つまり、刑法犯の認知件数は減ってきている、客観的な数字で見るとよくなってきているんだけども、体感治安という主観的な要素で悪くなっているから、こうした対策が必要なんだというようなことは、いかようにもいえるわけであります。
 つまり、この体感治安という言葉をどのように捉えるかによって、戦略は大きな意義が変わってくるのではないかと思います。
 そこでお伺いしますが、この戦略では体感治安というものをどのように捉えているのかをお伺いいたします。

○横山総合対策部長 安全安心TOKYO戦略では、究極の目的を誰もが安全・安心を実感できる社会の実現を目指しております。ここで安全というのは、今お話にもありましたように、客観的に事件や事故等の被害に遭う危険が少ないこと、また、安心というのが、主観的に犯罪や事故等に対する不安が少ないことというふうに定義されております。
 そこで、本戦略が目指します安全・安心に関する実感、感じる方ですね、実感をここでいう体感治安として捉えまして、その向上に取り組んでまいります。

○西沢委員 今、答弁がありました体感治安というのは、安全・安心に対する実感というものが体感治安で、その向上に取り組んでいくものであるといったことでありました。
 この体感治安というのは、私が十数年前に大学を出て警察官の採用試験を受けるときに、体感治安という言葉を何度も勉強というか、書くことが多かったんです。そのときも、体感治安というのが悪いんです、だから警察ないし治安対策というものが必要なんですという言葉、もう十年以上前からずっといわれている言葉なんです。
 ですので、一つ、私からの思いですけれども、体感治安は非常に便利な言葉だし、体感治安というのは、今あったように、アンケート調査とか何かの客観的な数字をもとに決まっている指標ではないということですから、行政の皆さんにおかれましては、使いようによってはすごく便利に使えてしまうということを認識していただきたいと私からはお願いをさせていただきたいと思います。
 刑法犯の認知件数というものが改善されて統計上は安全だとされていても、人々が不安を抱えておびえながら暮らすということであれば、都民の生活の質というものは担保されません。この戦略については、今、話もありました主観的な安心にも目を向けて取り組んでいくということでございますが、都民が何に不安を感じているのかを把握して、都民の安心を確保するための効果的な対策を講じていくという必要がございます。
 戦略はつくっただけ、だけれども、その先がないということは当然だめであります。戦略をつくっただけで終わりということにならないように、今後、都民の安全と安心の向上を図るための戦略を生かしてどのように取り組んでいくのかが大事でありますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○横山総合対策部長 本戦略が目指します誰もが安全・安心を実感できる社会を実現するためには、都民の生活の場である地域において、都民の不安感を解消し、犯罪や事故等に立ち向かう力を強化することが必要でございます。
 そこで、犯罪の取り締まりだけではなく、都民に不安や不快を与えるルール、マナー違反なども視野に入れ、都民の規範意識の向上に努めるとともに、地域の自主的な防犯活動への支援などにより地域の力を強化してまいります。
 さらに、こうした取り組みを効果的に進めるため、戦略の考えを都内全域へ周知し、区市町村や警視庁等の関係機関による分担と連携を強化して行ってまいります。

○西沢委員 区市町村や警視庁などの関係機関における分担と連携を強化して取り組んでいくというようなご答弁でございますが、地域における安全・安心の向上には、地域の実情を最もよく知る区市町村との連携というものは欠かせないわけであります。
 この連携ということでありますけれども、当然、この連携の強化は非常に重要であります。これに向けてどう取り組んでいくのかということですけれども、一概に--当然、電話するだけでも連携、会合を開くのか、窓口をどうするのか、これも連携。連携を強化するといってもいろいろとあると思うので、これをどのような取り組みで進めていくのかお伺いいたします。

○横山総合対策部長 本戦略では、都内六十二区市町村の治安情勢がそれぞれ異なることから、地域の実情を踏まえたきめ細かな取り組みに対応した連携が必要と考えております。
 そのため、住民にとって最も身近な区市町村が中心となって、警察や地域の団体等と連携して、地域の特性を生かした安全・安心の取り組みを進めていくことが重要でございます。
 その上で、都は広域自治体として、区市町村長会や担当課長会などを通じまして情報共有に努めるとともに、関係機関との相互連携の調整や区市町村への効果的な支援などを実施してまいります。

○西沢委員 区市町村長会や担当課長会などを通じるというようなご答弁もありました。
 それから、今回の質疑の中で一つわかったことですけれども、関係機関との相互連携の調整をするというようなことでございました。調整役というのは、東京都の役割としては非常に重要なところであると思いますし、改めて私からも調整役としての役割を果たしていただきたいということを申し上げておきたいというように思います。
 続いて、報告事項で、東京都子供・若者計画についてお伺いをいたします。
 この計画は、きょうも議論がございましたけれども、平成二十二年施行の子ども・若者育成支援推進法、民主党政権のときにできた法律に基づいてつくられているわけでございますが、他の道府県や自治体などでも、既にこうした計画がつくられているわけであります。
 平成二十二年から五年がたつわけでございますけれども、今、この機に東京都が策定するというのは、少し遅きに失したのではないかというふうにいわれかねないんじゃないかと思いますが、この機会に策定する意義は何なのか、お伺いいたします。

○坂田青少年対策担当部長 都は、子ども・若者育成支援推進法の施行に先立ち、ひきこもりの若者への相談支援事業の実施等さまざまな施策を展開し、実績を積み重ねてまいりました。
 一方、区市町村におきましても、それぞれの地域の実情に応じ必要な体制を整備し、社会的自立に困難を有する青少年に対する支援に取り組んでまいりました。
 こうした機運を捉えて、都では、区市町村との適切な役割分担のもと、青少年に係る施策のさらなる充実を図るため、計画を策定することとしたところでございます。

○西沢委員 これまで東京都は実績を積み重ねてきたということ、既に計画がなくてもやってきたということだと思います。先進的な取り組みなどもあると思いますし、それで区市町村との役割分担をこれからきちんとするんだと、こういう認識をしたところであります。
 先ほどの計画ももちろんですけれども、区市町村との連携というところがテーマにもなりますが、区市町村といっても、どの範囲なのかという問題もございます。東京都とともに青少年施策を推進する区市町村における取り組みに弾みをつける意味で、計画策定の後、計画に基づく取り組みをどのように区市町村に展開をしていくのでしょうか、お伺いいたします。

○坂田青少年対策担当部長 都の計画策定の後は、都内全域の取り組みの底上げを図るため、全ての区市町村に対し、それぞれの実情に応じた子供・若者計画の策定とともに、地域における支援ネットワークの構築を促してまいります。
 また、それぞれの地域において立ち上げた子ども・若者支援地域協議会に対して、都の協議会等から支援のノウハウの提供等を行うことにより、社会的自立に困難を有する青少年に対する支援の充実を図ってまいります。

○西沢委員 全ての区市町村に対して支援ネットワーク構築を促していくなどなど、充実を図っていくというご答弁をいただいたところであります。
 それでは、今後、書いてあることがどう担保されていくのかということであります。先ほどとも同じですが、計画をつくっただけではなく、それをどう実行していくかということでございますが、今答弁があったように、地域における取り組みの底上げを実現する上で、都として計画策定の後にどのように青少年施策を推進していくのか、お伺いをしたいと思います。

○坂田青少年対策担当部長 都では、東京都子供・若者支援協議会の場を活用いたしまして、計画に基づく施策の進捗状況を把握し、各施策の効果を点検、評価することにより、各施策の改善、見直しを行ってまいります。
 また、地域の実情等についても区市町村から情報提供を受け、広域自治体として調整を行うとともに、先駆的、モデル的事業の実施については、都の支援協議会から専門的支援のノウハウ等を提供いたしまして、青少年の健全育成や自立支援施策のさらなる推進を図ってまいります。

○西沢委員 わかりました。報告事項については以上にさせていただいて、最後に予算の方で一点だけ、自転車について質疑をさせていただきたいと思います。
 この委員会でもそうです、それから本会議でもそうですが、これまでたびたび自転車のマナー、安全利用について質疑を重ねてきたところでございます。
 先般の一般質問において取り上げた自転車のルール、マナーの啓発について、私、地元でこんな意見をいただきました。ルール、マナーの向上が大事というのはよくわかりますということなんですが、西沢さん、ルール、マナーの向上といっているだけでは、多分、解決にならないと思いますよ、その認識は甘いですと、こういうふうにいわれました。つまり、ルールとマナーは全く別のものですよと。ルールというのは守らなければいけない、違反。例えば、自転車で飲酒はルール違反です、マナー違反です、自転車でイヤホンをつけて運転をするというのはルール、マナー違反だと。これはルール、マナーを飛び越えて法令違反でしょうと。ルールだとかマナーという言葉というのは生ぬるいんじゃないんですか、そうした認識では直らないんじゃないんですかと、こういうふうにいわれて、私ははっとしたわけです。なるほどと、こういうふうに思ったんです。
 さらに続けて申し上げると、確かに、ルール、マナー違反を飛び越えて自転車で死亡事故まで起きているような、残念ですけれども、マナーでカバーできるタイミングじゃなくなってきている。その方がいうには、例えば痴漢は犯罪ですというふうにいいます、痴漢はルール違反ですというふうにいいますかと。確かに、ルールというのは守らなければいけないものですから、そういったいい方はしません。残念だけど、自転車の取り扱い、自転車の運転作法については度を越している違法行為です、禁止事項ですというようなこと、こうした認識を持たなければだめですと、こういうふうにいわれました。私、全くそのとおりだなというように思ったわけであります。
 そうした観点から、きょうも安全安心TOKYO戦略、先ほど答弁もありましたが、ルール、マナー違反なども視野に入れると。ルール、マナー違反と一緒くたに考えがちなんですけれども、マナーを越えた場合にルールになるというような、まずルールとマナーは違いますし、ルール、マナーという言葉をさらに飛び越えて禁止事項だ、違反行為だ、犯罪だというような形で、言葉によって大きく普及啓発活動は変わっていくんだと思います。
 ですから、改めて、私は、単なるマナーの問題ということではなく、禁止された行為であるということを周知していく必要があると思いますけれども、都の取り組みについて伺います。

○村山治安対策担当部長 自転車の安全利用に関してでございますけれども、ご指摘のあった酒気を帯びての自転車の運転やイヤホン等を使用して交通に関する音が聞こえないような状態で自転車を運転することは、信号無視と同様に、道路交通法で禁じられた行為でございます。そのため、自転車のルール、マナーを啓発するリーフレットでも禁止行為として明示し、広く周知を図っているところでございます。
 今後も引き続き、自転車利用者のルール遵守の徹底とマナー向上に取り組んでまいります。

○西沢委員 今、答弁があったように、道交法で禁じられた行為であるということを確認もいたしました。国も動いて、自転車の利用については少し厳しくするような方向でありますけれども、今お話のあったように、リーフレットの方でも禁止行為として書いてはいるものの、私はまだまだだと思います。明確にここは、ルール違反とマナー違反、一緒くたに書くことはあってもいいのかもしれないんですけれども、もうルール違反、マナー違反というような言葉を飛び越えて、禁止行為です、違反ですというのを前面的に出すぐらいの形、本当に残念なんですけれども、ルール、マナーというような言葉で済むのであればいいのですが、現状ではもう少し厳しくしなければいけない状況になってきているのではないかと思います。
 改めて私からも、ルール遵守の徹底とマナー向上、それから広報について明確にしていただくことを要望して、質問を終わらせていただきます。

○上田委員 総務委員会予算調査、青少年・治安対策本部におかれましての執行委任のあり方について、まずお尋ねしたいと思います。
 地域における見守り活動への支援についてですが、当初より大幅に増額し、本部における意気込みを感じるものです。しかしながら、町会、自治会に補助をする地域における防犯設備についてのみが本部の直接事業であり、商店街における防犯設備整備は産業労働局、通学路における防犯設備整備は教育委員会へ執行委任をしているという形になっております。
 執行委任については、予算上の事務手続の便宜から、同種の事業を実施しているということを理由に委任しているという説明を事務事業ではいただいているところですが、同じような事業が三種類に分かれ、担当部署が違うということに、統一感を持った見守り活動ができるのか懸念をしております。
 なぜ本部が予算計上して他局に執行委任をしなければならないのか、その必要性と、それを実行することで、執行委任をすることで期待している効果についてお答えをいただければと思います。

○村山治安対策担当部長 防犯設備の整備に関する補助事業のうち、商店街を対象とする防犯設備の整備に対する区市町村補助及び通学路を対象とする通学路防犯設備整備事業については、町会等を対象とする地域における見守り活動支援事業により、平成二十二年度以降、二千百二十二台の防犯カメラに対し補助を行うなど、同種の事業を先行して実施し、防犯設備の整備に関する知見を蓄積してきた当本部において予算措置を行っております。
 その上で、これらの事業の執行に当たっては、それぞれの設置当事者となる商店街や公立小学校に関する事務に精通した産業労働局及び教育庁に委任し、事業を迅速かつ確実に実施できるようにしたものでございます。

○上田委員 わかるような、わからないようなというところではございますけれども、専門分野を--この見守り事業については本部の方が長年やっていらっしゃるということで、その知見を共有することで、産労と教育委員会さんには本業に従事をしていただこうということではあろうかと思います。また後ほど、まとめの方でも意見をいわせていただきたいと思います。
 次に、今、私の子供も中学三年生ということで、土曜日、LINEで知り合った人と何かサイクリングに行きたいなんていうふうなことで、個人的には、親としてもインターネット対策については非常に危機感を持っているところではございます。つきましては、インターネット対策、東京こどもネット・ケータイヘルプデスクについてお尋ねしたいと思います。
 これについては、相談者の中で、犯罪行為が行われている、もしくは犯罪行為に発展する危険性が十分に考えられる場合に、最寄りの警察署へ事件の相談に行くようにアドバイスしているという本部のお話でいらっしゃいますが、教育委員会とは学校非公開サイト等の監視事業などを通じ、警視庁とは治安対策も含めて連携を図っているということから、アドバイスして終わりではなく、先ほど同僚委員からもお話がありました川崎の事件も踏まえて、深刻な場合は本部から最寄りの警察との情報共有をするなどの必要性を感じるところでございますが、そのあたりにつきましてはどのような対応をされているか、お答えください。

○坂田青少年対策担当部長 東京こどもネット・ケータイヘルプデスク、通称こたエールでございますが、こちらでは、警視庁その他の機関との連携については、相談の中で、犯罪行為が行われている、もしくは犯罪行為に発展する危険性が十分に考えられる、このような場合に、こたエール担当者が相談者に対しまして、これは犯罪の可能性があるということをしっかりと認識させた上で最寄りの警察署に事件相談に行くようアドバイスをしております。
 その上で、本人が希望すれば、青少年・治安対策本部担当者があらかじめ地元の警察署に事案概要等につきまして情報提供を行い、相談者が来所した場合に円滑かつ迅速な対応ができるようにしておくための連携体制が構築されております。
 こたエールでは、現在までの相談案件におきまして、警察署に情報提供する必要のある深刻な事例は、幸いございません。
 以上です。

○上田委員 今のところ深刻な事例がないというところで、ほっとしたところではございますし、また、機動的に、警察には前もって連携が図れるという体制がとれていることを確認させていただきました。
 そういったケータイヘルプデスクの内容が毎度気になるところなんですが、今回も資料の二ページにおまとめいただいた次第でございます。
 この中で大半を占めます架空請求ですけれども、その内容についてちょっと教えていただければと思いますのと、あとは、よくマスコミも騒がせております自殺や殺人予告などはなかったのか。あれば、どのような対応をしているのかにつきましてお答えいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 架空請求の内容は、アダルトサイト等の有料サイトのいわゆるワンクリック詐欺でございます。
 現在まで、自殺や殺人予告などの相談事例はございません。相談がされた場合は、さきに述べましたとおりの連携体制が活用されることとなっております。

○上田委員 ありがとうございます。
 しかし、ああいった川崎の事件もそうですけれども、そういう青少年をめぐるものに関しては、インターネット並びにスマホ、携帯、こういった問題が必ず絡んでくる。これをめぐる問題を鑑みますれば、子供たちの抱える問題は、早々、すぐには解決しないというようなことは先ほど来議論も続けられてきました。
 相談件数は引き続き増加傾向にあるようですが、この結果を受けて、今後、予算をとるに当たってどのように分析し、所見を持たれて新年度に反映していくのか、体制も含めてお示しいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 ご指摘のとおり、交際とか削除方法などの相談件数が増加いたしまして、全体といたしまして、昨年同時期と比べて一割以上の相談件数の増となってございます。
 この原因は、この相談業務の認知度が高まったほか、スマートフォンの普及の低年齢化によりまして、ソーシャルネットワークサービス、SNSと申しますが、これらを利用して写真等を安易に相手に送付する行為などのトラブルもふえております。
 新年度は引き続き、相談職員がトラブルの情報を共有化することによりまして効率的な相談対応に努めてまいります。

○上田委員 虐待もそうですが、件数がふえている、通報件数が、相談件数がふえているというのは、悪いようで、実は東京都の方も、学校、小中学校を通じて、こたエール事業についての周知度ももしかしたら高まってきて、子供たちがすぐに相談ができるような体制が整ってきたのではないかなというふうにも、今のご答弁から推測させていただきます。
 うちの息子もそうですけど、子供というのは、すぐにいただいた資料をなくしたりしてしまうので、引き続きまして、根気強い周知をお願いしたいと思います。
 続きましては、またこれも大きな、長期化しますとニートという、また生活保護者の問題も出てくる青少年のひきこもり対策についてお尋ねをしたいと思います。
 東京都ひきこもりサポートネットにおいては、資料三ページによりますと、精神障害、発達障害に関する相談は千九百三十一件で、一方で、他機関に紹介した件数は九十九件というふうになっております。
 紹介していない相談、この落差ですよね、千八百件ぐらいをどのように解決されたのかなということと、紹介する場合はどのように行っているのかも含めてお答えいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 相談対応に当たりましては、臨床心理士等の資格を有する専門家が、相手の話や電子メールの文面を的確に受けとめ、必要な情報を収集して現状と課題を整理し、ひきこもりの状態から脱するための助言を行っております。
 その上で、医療行為等特別な対応が必要と考えられる場合や、若者支援に取り組むNPO法人等の活動への参加など具体的な希望がある場合は、適切な支援を行える機関を紹介してございます。

○上田委員 精神疾患であれば、早い時点で各区市町村の保健所につないでいくといった対応もとられると思います。長引きますとなかなか、社会復帰の前に治療が必要ということで、その中で、ご本人もご家族も大変長らく治療にかからないという事例なんかも散見されますことから、せっかく相談に来たのはSOSの第一歩ですので、体制がとれていることでございますので、引き続き積極的な医療機関への連携を求めたいと思います。
 次に、資料三ページを拝見させていただきますと、ここに関しては、二十五年度に一件、殺害予告があったため、警視庁へきちっと通報したというような実績をお持ちですけれども、支援機関への紹介件数は減少傾向にはあります。
 東京都のこのサポートネットの相談の段階で、先ほどの話ではないですけれども、相談で解決する対応力が向上したのかなというふうにも思いますが、相談対応力の向上に向けた取り組みとそのご成果についてお答えいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 相談員の対応能力を向上させるため、精神科医や臨床心理士等の有資格者が中心となった専門研修を年六回実施するとともに、月一回の継続研修では、困難な事例への対応や記録のとり方、電話相談のロールプレー等を行うほか、日常の相談対応を通じた職場研修等を通しまして、人材の育成に力を入れております。
 また、相談データを蓄積いたしまして、ひきこもりの状態に陥る要因や相談内容の動向等の調査分析を行うことを通しまして、個々のケースに的確に対応できる体制の整備を図っているところでございます。

○上田委員 ありがとうございます。
 相談対応能力の向上のまた一環といいますか、本部においても気づきがおありになったと思います。今年度から始まった訪問相談事業について、六月の事業開始からの実績と成果及びそれに関する本部の評価、また、それらの今までの評価と実績を受けて、来年度に向けてどのように取り組んでいくのかをお答えください。

○坂田青少年対策担当部長 先ほども申し上げましたが、事業開始以来、予算上想定した規模の四十件を上回る四十八件の申し込みを現在受けているところでございます。
 一つの家庭につき、おおむね五回、月一回程度のペースでご自宅等への訪問を行い、必要に応じて電話連絡によりフォローしており、精神疾患や発達障害が疑われるなどの困難な事例については、医師の専門的な助言も得ながら対応してございます。
 既に、東京都若者社会参加応援事業に参加するNPO法人等の活動を紹介し、同行してつなげた事例もございます。
 来年度も今年度と同様の事業規模を想定してございまして、ひきこもりの状態にある若者やご家族の置かれた状況やニーズに即したきめ細かな対応を行い、適切な支援につなげてまいります。

○上田委員 ありがとうございました。
 長期化する場合が多いかと思いますが、可能な限り軽度のうちに解決をすることが望ましいと、私も相談を結構いただくことが多いので、思っております。
 その前段として、ご本人がまだ意欲がある場合に、東京都の若者総合相談事業、若ナビなどを活用することも多いと思います。殊に、面談で会うということで、ココロすっきりカフェについての取り組み、利用状況について、その実績とその結果をどう受けとめているか。
 若ナビの方は、主に電話、電子メールがメーンというふうには思っておりますが、これは電話や電子メールではなくて、面談となるニーズや、きっかけというか、契機がどこにあるのかお示しいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 平成二十一年度に開始いたしました若ナビは、十八歳以上の若者を対象とした電話や電子メール、面談による総合相談事業でございまして、若者のさまざまな悩みや不安の解消を図るため、専門性を有する民間事業者に委託して実施しております。
 都内の複数のカフェを相談場所として確保し、相談日に相談員を派遣する予約制の面談事業、ココロすっきりカフェの延べ実施件数は、事業を開始した平成二十四年度から二十七年二月末までで百二件の実績がございます。電話と電子メールによる相談の件数に比べて少ないのは、利用に際し、氏名や住所、電話番号等の個人情報を明確にする必要があることが心理的な障壁になっていると考えられております。
 ただし、直接相談員と会って悩みを聞いてほしいと望む相談者から一定数の申し込みを受けていることから、そのニーズに対応するため、相談手法の一つとして確保する必要があると考えてございます。
 申込者の中には若ナビに相談した実績がない方もおりまして、面接相談の際、電話や電子メールによる継続的な相談対応ができることを伝えまして事業の周知を図っているところでございます。

○上田委員 百二件ということで、ちょっと少ないのかなというふうには思いましたけれども、ニーズに沿って、その方に応じた形で対応しているということで理解させていただきます。
 また、カフェを常設していてコストがかかったらどうしようというふうに思ったんですけれども、複数のカフェを相談場所として確保して、余りコストをかけない形でサービスを展開しているということで一つ安心をさせていただきました。
 さて、身近な犯罪の防止対策についてお尋ねしたいと思います。
 今、特殊詐欺といいますか、オレオレ詐欺、うちの親戚もひっかかりそうになって大変なことになったんですが、今回の予算で目玉になっている自動通話録音機について、どのような需要があって一万台の購入を決めたのか。また、これも本部経由となっているのはどうしてなのかということをお尋ねしたいと思います。
 また、物品管理、紛失や故障やメンテナンスについて、具体的運用を踏まえてお答えいただければと思います。

○村山治安対策担当部長 特殊詐欺対策については、官民挙げての対策が進められておりますが、当本部では、捜査とは別の観点からの被害防止に特化した対策を実施しているところでございます。
 今回の自動通話録音機の都民への貸与は、被害防止を担う当本部が緊急対策事業として実施するものであり、都が購入して警察署等を通じて貸与する方法で検討しております。
 購入台数一万台は、同事業を先行して実施している警視庁の調査結果等に基づき決定したものでございます。
 なお、自動通話録音機のメンテナンス等については、機器の製造納入業者がサポートセンターを設けて利用者に直接対応し、三年間無償で修理が受けられるような方法で検討しているところでございます。

○上田委員 特殊詐欺の被害額は昨年で八十億ということで、定例会本会議でも各議員が取り上げる社会問題であるということでございます。
 お話によりますと、特殊詐欺防止策は、警視庁、東京都消費生活総合センターなどの生活文化局とも重複をしていることから、この連携を図って、屋上屋を重ねることには注意を払っていきたいと思います。
 今回は一億円の予算がついているということで、六十五歳以上に警察から貸し出すということで、混乱のない管理の仕方を求めたいと思います。
 また、特殊詐欺に関して、前述、先ほどご答弁いただきましたこどもネット・ケータイヘルプデスクの架空請求の対応について、各種相談窓口との連携状況について、例えば八百二十一件のうち、何件をどの関係機関につないで、どう解決したか等の実績も踏まえて、具体的にお示しいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 相談を受けた架空請求につきましては、ほとんどがアダルトサイト等の有料サイトでのいわゆるワンクリック詐欺でございます。
 そのことに対する対応といたしましては、無視して自分の個人情報を相手方へ伝わらないようにするとか、相手方に情報が伝わり、繰り返しの請求等が来た場合につきましては、警察へ相談するなどのアドバイスを行うことで収束してございます。
 現在のところ、各種相談窓口と連携に至ったケースはございません。

○上田委員 ありがとうございました。大事件にならず、ほっとしたところでございます。引き続きのお取り組みをお願いいたします。
 次に、不健全図書についてです。
 青少年の健全な育成に関する条例に基づいて、不健全図書、また逆に優良映画などを指定されていますが、その選定及び基準のあり方をお示しいただきたいと思います。
 というのは、思想的な偏りがないかということをちょっと懸念しているところであります。そのような偏りがないような配慮を当然されていると思いますけれども、その点についてもお示しいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 青少年の健全な育成に関する条例第十八条の二でございますが、こちらでは、知事は不健全図書類の指定、優良映画などの指定をしようとするときは、青少年健全育成審議会の意見を聞かなければならないこととしているため、指定に当たりましては全て審議会に諮ってございます。
 審議会の委員は、同条例第二十条によりまして、業界に関係を有する者、青少年の保護者、各三人以内、都議会議員の皆様を含めました学識経験を有する者、八人以内等の特定の分野に偏らないよう構成されてございます。
 審議に当たりましては、条例施行規則第十五条の基準によりまして、世論の代表として適切な審議を行い、公正な立場で意見を述べることとなっておりまして、議事録は公開となっております。
 なお、指定に対しまして異議のある場合は、不服申し立てができる制度が設けられてございます。

○上田委員 公正な判断ができるような環境が整っているということを確認いたしましたが、市場側には、インターネットも含めて無数の図書が出回っているという中で、これらの指定についてどのような効果が期待できるのかなという思いもあります。
 本部としては、どのような効果を期待して実施されているのか、お答えいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 不健全図書指定の制度では、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類を青少年が立ち入る書店等の一般販売コーナーで購入して指定してございます。
 指定図書を公表し、当該図書の区分陳列を書店に求めることで、書店等の自主的な区分陳列が一層促進されることを期待してございます。

○上田委員 一罰百戒ということで、皆さんは危機意識を事業者が持つということに意義があるというふうなことかと理解をさせていただきました。引き続き、事業者が警戒心を持つような形でのお取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、若者総合相談対応についてです。
 私、一般質問でもさせていただきましたが、児童養護施設の退所者に対する支援について、児童養護施設の退所者のうち社会的自立に困難を有する青少年に対しては、現在、若者総合相談窓口、若ナビにおいて電話等による相談を受け付けており、必要に応じて、福祉、就労支援等の関係機関や支援のノウハウを有するNPO法人等民間団体を紹介するというご答弁をいただきました。
 また、今後、東京都青少年問題協議会で審議中の子供・若者計画に、社会的自立に困難を有する青少年に対する相談体制の充実について盛り込むとされていますけれども、この児童養護施設の退所者も含めまして、非常に困難を抱える若者でいることは確定しておりますので、平成二十七年度予算にこの盛り込むというところが加味されているか、ご答弁いただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 平成二十七年度予算におきましては、東京都若者総合相談、若ナビ、先ほど出ましたネット・ケータイヘルプデスク、東京都ひきこもりサポートネット、非行少年立ち直りワンストップセンター事業、ぴあすぽなど、青少年が利用できるさまざまな相談窓口の運営に係る経費等、必要なものを計上しております。
 また、ネット・ケータイヘルプデスクにつきましては、ポスター、チラシ作成のための費用を新たに措置いたしまして、小中高校等において配布することで、さらに効果的な広報に努めることとしております。

○上田委員 ありがとうございます。
 また、例えば児童養護施設で、退所時に子供たちに青少年・治安対策本部の適正なパンフレットを渡す。一般質問でも触れましたけど、常時、本部の既存事業を紹介、周知して、常に血肉にして、先ほどいいました、子供というのはすぐに忘れてしまうので、児童養護施設にいる子たちが若ナビにかければいいんだというふうに情報をいつもインプットしていくような、困ったときに役立てるような情報提供をしていただけるかどうか検討していないか、お聞かせいただければと思います。

○坂田青少年対策担当部長 区市町村の窓口や公立図書館等、多くの利用者の来訪が見込まれる公的機関や各学校、学習塾における各種リーフレット配布やポスター掲示、都や関係機関、団体が主催する各種イベントにおけるリーフレット配布等を行っております。
 また、来年度からは、児童養護施設における東京都若者総合相談、若ナビのリーフレット配布についても検討を行ってございます。

○上田委員 ぜひ検討を前向きにしていただきまして、児童養護施設での設置、紹介、周知徹底を重ねてお願いするものでございます。
 最後に、犯罪抑止についてです。
 ストーカーやDVなど、三鷹の事件もありましたけれども、女性に対する犯罪防止については、本部におきましては初期段階の啓発活動を実施しているということであります。それは、どのような対象者の手に渡るかを想定しているか、リーフレット類を作成し、どう対象者へ届けることができるのか、配布方法の決定をしているかについて伺わせていただきたいと思います。

○村山治安対策担当部長 ストーカーなど女性の生命、身体にかかわる犯罪については、都民の安全・安心を脅かす新たな脅威として深刻化しております。このため、今年度、当本部では、被害に遭う可能性の高い女性層を対象に啓発リーフレットを作成いたしました。
 本リーフレットは、相談者等に対応するため、警察署の生活安全課や区市町村の相談窓口に配布しているほか、広く女性の手に渡るように、都内の大学、美容、看護などの専門学校等とも連携し、配布を行っているところでございます。

○上田委員 総合的に冒頭の地域における見守り活動なども本部は行っているところでありまして、その中の防犯カメラ、予算も多くつけている中で、これはストーカー、DVにも活用できると思いますし、最も活用できるのは子供の通学路の見守りだと思うんです。
 子供の見守り活動においてですが、子供一一〇番の家駆け込み訓練と、区市町村が独自に行う小学校で配布する、江戸川区ですとピヨピヨ一一〇番といいましたかね、そんな一一〇番シールの配布事業、これは、我が区では区内警察署や江戸川区教育委員会、江戸川区青少年育成地区委員会で実施をしており、小学校で配布をしております。
 区市の小学校なので、警察署が行う防犯訓練とはどこが違い、何を連携されているのか。どこも手挙げ方式なようなので、今のところ実績が二件ということでありますけれども、数多い東京都内の小学校数の中でどう広げていくかの方向性も聞きたいと思っております。
 また、最も私が見守ってほしい子供を狙った登下校時の後を絶たない不審者、けさも江戸川区教育委員会からの不審者情報も携帯に入ってきたところでございます。子供への啓発や近隣住民への啓発は、青少年・治安対策本部で何か検討されているのか。
 また、子供が一一〇番をしていいということも周知しているかについてもお聞かせいただければと思います。

○村山治安対策担当部長 子供の見守りについては、ご質問の事業を含め、それぞれの区市町村において、さまざまな取り組みが進められていると理解しておりますが、当本部において今年度新たに実施した子供一一〇番の家への駆け込み体験訓練は、子供が通学路等において実際に危険に遭遇した際の子供及び駆け込み先の協力者が適切に対応できるように、学校、PTA、警察など地域の多くの関係者と連携し、都がモデル事業として実施した実践的な訓練でございます。
 引き続き、他の区市町村にもその実施を働きかけ、取り組みを広げてまいります。
 また、不審者に対する対応に関しましても、さきの通学路防犯設備整備事業により、公立小学校の通学路における防犯カメラの設置に対する支援を行っていることに加え、毎年、夏休みの時期に合わせ、子供並びにその保護者を対象とするイベントを開催し啓発を行うなど、安全・安心の確保に万全を尽くしております。
 なお、お尋ねの一一〇番通報に関する子供自身への周知につきましては、東京都教育委員会の安全教育プログラムに安全指導の事例の一つとして示されるなど、関係機関において適切に対応されているものと理解しております。

○上田委員 警視庁と教育委員会の相互連絡制度が、平成十六年ぐらいでしたか、締結されていることから、一応、警視庁とも連携を図る本部、ぜひそこら辺の強化、警察へ連絡、通報し、早く犯罪の芽を摘んでいくということのご努力をお願いしたいと思います。
 最後になりますが、事務事業におきまして、青少年・治安対策本部が、治安の維持こそ最大の都民福祉の名のもと、当時の石原知事の鳴り物入りで設置した経緯を踏まえて、いわば各局との治安維持を中心としたハブ的機関であることを確認させていただいておりました。
 痛ましい川崎の事件、江戸川区でも三年前にリンチで十六歳の少年が殺されてしまいました。このような新手の犯罪、傷害事件、インターネット、サイバーをめぐる犯罪行為、特殊詐欺など、青少年を初め都民の治安を守る環境が激変してきた発足以来の十年間であったと認識しております。激動の時代に合わせて、本部一丸となられ、関係各局と強固な連携を図られ、成果を上げていらっしゃるのだろうと考えております。
 執行委任のあり方などは、例えば見守り活動について、教育委員会、警視庁、産業労働局は本来業務に専念し、本部が得意とする部分を担い、二十四億円という決して多額ではない予算の中、効率性を上げるために尽力されていることは理解いたしました。
 以前指摘させていただいたとおり、他局や国、区市町村等の関係機関との業務の重複を回避し、効率性を重視する、こうしたご努力を新年度も望むものであります。
 殊に、青少年が社会で活躍できるための本部が持っている事業を児童養護施設、あるいは虞犯行為を重ねて立ち直りが必要な子供たち、青少年たちは、本部からのアウトリーチアプローチを各局連携で求めるものでございます。最も暗いところを照らすことが全体の明るさにつながることと考えております。
 また、若ナビなど、委託事業など民間との連携で相互に青少年を支え合う実績もおありです。また、資料四ページでも、早期からのしつけの後押し事業も、例年、区市町村が減っているのは、私はこれ、大分自力でできるようになってきたのではないのかなというふうに思っております。積極的に地域や民間、NPOを活用し育てていただきまして、やがては地域、民間、NPOが自力で都民を支えていく自助のサポートを本部が担い、都民に自助の力が備わった時代が到来したときに、改めて青少年・治安対策本部のあり方と役目を再検討することを求め、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十分開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより政策企画局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、政策企画局所管分及び第二十八号議案、第二十九号議案並びに報告事項、「東京都長期ビジョン」について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○河内総務部長 要求のございました資料四点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
 まず、一ページをお開きください。アジアヘッドクオーター特区の外国企業誘致数とそのための誘致費用でございます。
 平成二十七年三月十二日現在の誘致した企業数及び費用を記載してございます。
 次に、二ページをお開きください。知事一年間の海外出張の状況でございます。
 舛添知事の就任以来、一年間の海外出張に関する状況を記載してございます。
 次に、三ページをごらんください。現在の知事等が就任している都以外の役職と根拠法令等、それに伴う報酬額(政策企画局関係)でございます。
 知事、副知事、政策企画局長ごとに、就任している都以外の役職と根拠法令等、それに伴う報酬額を記載してございます。
 最後に、四ページをお開きください。東京都内に所在する、首脳会談や外相会談のほか各種会議やレセプションなどの国際交流活動にも利用されている公の迎賓施設の名称と所在地の一覧でございます。
 表のとおり、三カ所について記載をしてございます。
 以上、簡単ですが、要求資料について説明させていただきました。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○清水(孝)委員 それでは、私からは、報告事項でございます東京都長期ビジョンについて質問したいと思います。
 こんなに厚い冊子を拝見させていただきまして、立派なものでございます。これに先立ちまして、私たち自民党では、一昨年の都議会議員選挙において、政策集、東京を世界で一番の都市にという……(資料を示す)こういったコンパクトにまとめられたものでございますが、こういったものを発行いたしまして、都民に選挙戦を通じてお約束させていただいたわけでございます。
 また、その実現に向けましても、党内で政策推進総本部を設けまして議論を深めるとともに、長期ビジョン策定に当たって積極的に政策提言を行ってまいりました。
 この長期ビジョンは、我が党の政策提言を十分に反映しており、これからの都政運営の羅針盤として、その実現に大きく期待するものでございます。
 これまでも我が党は、策定過程を通じまして長期ビジョンに関する東京都の見解をただしてまいりました。本日は、それらの総仕上げといたしまして、昨年九月の中間発表から最終報告に至るまでの追加された内容を中心に何点かお伺いしたいと思います。
 まず初めに、オリンピック・パラリンピックについて、特に大会によってもたらされるレガシーについてお伺いしたいと存じます。
 二〇二〇年の開催都市が東京に決定してから一年半余りが経過をいたしました。現在、大会に向けた動きが活発になっておりますが、大会開催を一過性のイベントにしないためには、大会の後に何を残すことができるかが重要でございます。それを特徴的に示すものがまさにレガシーという言葉でございまして、その意義は多くの方も指摘をしているとおりでございます。
 そこで、お伺いしたいと存じます。
 実は、中間報告では、このレガシーについて記述がなかったわけでございますが、今回のこの厚みを増した長期ビジョンでは、総論に新たにレガシーという言葉が取り上げられているわけでございます。
 改めてレガシーという記載を追加した理由について、まずはお伺いしたいと存じます。

○小池計画部長 二〇一二年にオリンピック・パラリンピックを開催したロンドンが大会を契機に都市力を大きく向上させましたように、オリンピック・パラリンピックには都市を変え、飛躍させる力がございます。
 長期ビジョンでは、基本目標の一つに、二〇二〇年大会の成功を掲げておりますが、大会の成功をもってゴールとするのではなく、その先を見据えた政策展開を通じまして、東京の抱えるさまざまな課題の解決を加速し、確かなレガシーを残していくことが重要であると考えております。
 そのため、二〇二〇年大会をきっかけに東京がどのように変わっていくのか、長期ビジョンで掲げた政策が将来どのように実を結び後世に残されていくのかといったレガシーにつきまして、基本的な方向性についてビジョンの中で示しております。

○清水(孝)委員 レガシーの重要性、よくわかったわけでございます。
 さて、森記念財団が発表いたしております世界の都市総合ランキングでは、ロンドンが以前、ニューヨークに次いで世界第二位でございましたが、二〇一二年大会オリンピック・パラリンピックを機に一位に躍進し、その後も一位を維持しているというふうなことでございます。これは、大会の成功はもとより、幅広い分野においてさまざまなレガシーを残したことが功を奏したのではないかと思うわけでございます。
 そこで、重ねてお伺いをしたいと思います。
 長期ビジョンではレガシーの基本的方向を示したとのことでございますが、ハード、ソフトそれぞれについてどのような項目を挙げておられるのか、お聞かせを願いたいと存じます。

○小池計画部長 大会の成功を起爆剤としまして、東京を世界一の都市へと飛躍させていくためには、ハード、ソフト両面から都市力を高め、さまざまなレガシーを残していかなければならないと考えております。
 長期ビジョンでは、レガシーの基本的な方向としまして、ハードの分野では、大会後も都民、国民に広く活用される大会関連施設の整備を初め、公共空間のバリアフリー化、利用者の視点に立った交通体系の構築、水素社会の実現、こういったものを示しております。
 またソフトの分野では、世界有数の観光都市の実現やボランティア文化の定着、心のバリアフリーの醸成などを掲げておりまして、幅広い分野について未来に引き継がれる有形無形のレガシーを示しているところでございます。

○清水(孝)委員 ハード、ソフト両面の重要なレガシーについてお伺いをいたしました。
 さきのロンドン大会では、実に成功した大会として世界から評価されているわけでございます。それもレガシーとして残されたものが充実しているからだと思うわけでございます。
 特に、二〇一二年のロンドン・パラリンピックでは過去最高の観客数を記録するなど、障害者に対する見方を変えるきっかけとなったわけであります。これは、ロンドン大会の重要なレガシーの一つだと思うわけでございます。
 今回の東京は、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市であり、二〇二〇年大会の成否の鍵は、まさにパラリンピックの成功にかかっているといっても過言ではないと思うわけでございます。ぜひとも大会を経て障害者への理解が一層進み、お互いに尊重し支え合い、共生、共助社会の実現を目指してもらいたいと思います。
 ほかにも、さまざまな面から後世に何を残し、未来に何を引き継いでいくのかをしっかりと議論していただき、二〇二〇年大会を成功に導くとともに、その先の一層の飛躍に向けて取り組んでもらいたいと要望して、次の質問に移りたいと思います。
 ただいま申し上げましたレガシーもそうでございますが、都市のあり方を検討する際には、これは勇気を持って一旦立ちどまってみて、そして、改めて広く現状分析や課題の検討を行うことが重要だと私は思うわけでございます。
 その点、この長期ビジョンでは、二〇六〇年という長期的な視点に立った人口推計を行っているわけであります。その分析によりますと、これまで増加傾向にあった東京の人口は、オリンピック・パラリンピックを開催する二〇二〇年をピークに減少局面を迎えてしまうという予想がされているわけでございます。また、少子高齢化も一層進みまして、本格的な少子高齢、そして人口減少社会が到来するわけでございます。
 東京は、二〇二〇年大会の成功とそのレガシーの継承を目指すだけでなく、同時に迎えてまいります少子高齢、人口減少社会、こういった課題にも対応していかなければならない。しかし、この問題は、私たちの東京に限ったことではなくて、程度の差こそあれ、世界の先進都市の多くが抱える深刻な課題だと認識しているわけでございます。
 東京を世界で一番の都市にするためには、この大会の成功だけでなく、少子高齢、人口減少社会に対しても有効な対策を示していただき、他の先進都市に先駆けて、この深刻な問題を克服しなければならない、そういう使命を東京は帯びていると思うわけでございます。そして、先進都市のトップランナーとして、そのノウハウを他の先進都市とも共有して、世界各都市の課題解決にも尽力すべきだと考えるわけでございます。
 そこで、お伺いしたいと存じます。
 二〇二〇年は、東京にとってオリンピック・パラリンピックの開催という輝かしい年であるとともに、人口減少局面への突入という、二つの意味で大きな転換点となるわけでございますが、それをどう乗り越え、どのように世界の模範となる世界一の東京を目指していくのか、お伺いしたいと存じます。

○小池計画部長 時代の大きな転換期を迎える中にありまして、世界一の都市東京を実現するため、長期ビジョンでは、史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現と、課題を解決し、将来にわたる東京の持続的発展の実現という二つの基本目標を定めております。
 特に後者の持続的発展の方でございますが、後者の基本目標では、少子高齢、人口減少社会の到来に対応すべく、福祉先進都市の実現を初め、具体的な政策展開を盛り込んだ五つの都市戦略を掲げております。
 東京を世界の模範となる都市に飛躍させるべく、これらの都市戦略で掲げた政策展開に積極的に取り組みまして、少子高齢、人口減少社会の到来に備えた改革を加速させていく必要があると考えております。

○清水(孝)委員 ありがとうございました。
 オリンピック・パラリンピックの成功、そして少子高齢、人口減少社会の克服、この二つを実現しなければ長期ビジョンの目標を達成できない。つまり、世界一の都市にはなれないと思います。ぜひともそうした取り組みをしっかりとしていただきたいと要望したいと思います。
 こうした取り組みを進めていくためには、長期的な視点に立った基本目標や都市戦略とあわせて、より具体的な年次計画が重要になってくるかと思うわけでございます。
 そこで、次に、最終報告で新たに盛り込まれました三カ年の実施計画について伺いたいと存じます。
 これまで都議会での議論におきましても、長期ビジョンの有効性を担保するために、三カ年の実施計画を策定する旨の説明がなされてまいりました。そして、長期ビジョンの第4章、三四〇ページから、過去、三年間の具体的年次計画とともに、必要な事業費が明らかにされているわけでございます。
 それによりますと、平成二十七年度の事業費は一兆三千億円、三年間では三兆七千四百億円となっており、内訳も二十五の政策指針ごとに示されているわけでございます。
 しかし、せっかく立派な計画を策定しましても、事業費を示したといたしましても、その実現が財政的に担保されなければ画餅に帰してしまうわけでございます。
 そこで、伺いたいと思います。
 本定例会では、今まさに平成二十七年度予算を審議しているところでありますが、これから先も含めて長期ビジョンに挙げられた政策に必要な事業費、予算についてはどのような重要性を持って取り扱われることになるのか、お伺いしたいと存じます。

○小池計画部長 世界一の都市東京の実現には、長期ビジョンで掲げましたさまざまな政策目標の達成が不可欠であります。
 そこで、最終報告では、長期ビジョンの着実な推進に向けた取り組みといたしまして、必要な財源や人材の確保、執行体制の強化、行政改革の推進などを掲げております。さらに、長期ビジョンの政策に対しましては、優先的に予算を措置していくということにしております。また、政策目標の実現に向けて、具体的な事業の工程と事業費を示した実施計画を定めますとともに、三カ年分の総事業費を明らかにしております。
 現在審議いただいている平成二十七年度予算案におきましては、一兆三千億円の事業費を一〇〇%盛り込んでいるところでございます。
 このように予算の裏づけを担保して政策を着実に推進してまいります。

○清水(孝)委員 ぜひとも必要な事業費が優先的に措置されるよう、引き続き取り組んでいただきたいと存じます。
 今回の長期ビジョンでは、都民が真に必要とする政策がハード、ソフト両面でバランスよく取り上げられていると私たちは評価しているわけでございます。我が党といたしましても、その予算化には最大の後押しをしていきたい、エールを送りたいと思います。
 また、財政面以外にも、長期ビジョンの中では、人材の確保と執行体制の強化や行政改革の推進について今後の方向性が示されております。これらについては、いずれも長期ビジョンの着実な推進に向けて必要不可欠な取り組みでございます。全庁を挙げてしっかりと取り組んでもらいたいと要望して、次の質問に移りたいと思います。
 一方、バランスという観点に着目をいたしますと、どうしても二〇二〇年の大会に向けて臨海部を初めといたします区部が注目されがちでございます。しかし、今回の長期ビジョンでは、多摩・島しょの振興という都市戦略を一本立てにしておりまして、実にバランスのとれた政策構成をしていると私は思うわけでございます。
 多摩、そして島しょが独立した都市戦略となったことで、市町村の方も今後の都の取り組みに大きな期待を寄せていると存じます。
 そこで、お伺いしたいと思います。
 多摩・島しょの振興を都市戦略の一つに位置づけた熱い思いにつきまして、何かお聞かせをいただければと思います。

○小池計画部長 多摩・島しょは、四百万人を超える都民の生活の場であるとともに、多様な産業の集積等により東京の発展を支える重要な地域であります。そして、豊かな自然を初めとしまして、都心部とは異なる魅力にあふれた地域でございます。
 これまでも都は、多摩・島しょ地域の振興を都政の重要課題に位置づけて、行政サービスの向上に向けた政策展開を行ってまいりました。しかし、人口推計では、区部より若干早く人口のピークを迎えること、交通インフラや防災対策の一層の充実が求められることなど、地域の特性に応じたさまざまな課題を抱えております。
 そこで、長期ビジョンの策定に当たりましては、多摩・島しょ地域の振興なくして東京の持続的な発展なしとの認識に立ちまして、地域の特性を踏まえた政策を的確に講じていくため、都市戦略の一つとして位置づけることといたしました。
 今後も、多摩・島しょ地域の抱える課題に積極的に対応するため、政策を着実に推進してまいります。

○清水(孝)委員 多摩・島しょ地域をおもんぱかっていただくような大変ありがたいご答弁を頂戴しました。ありがとうございます。
 申すまでもなく、この多摩・島しょ地域の持つポテンシャルというものははかり知れないものがございます。昨年六月にIOCの調整委員の方々が東京を訪れたときにも、この多摩・島しょの食材、新鮮なウドですとか、脂身がおいしいトウキョウ・Xなどでおもてなしをさせていただきまして、大変好評だったと聞いているわけでございます。
 さらに、二〇二〇年大会の事前キャンプ地としても、この多摩・島しょ地域は注目を集めている上、これから育成されるさまざまなボランティアについても、同地域から多くの都民が参加し、大会を支えることになるかと思うわけでございます。
 二〇二〇年大会の成功、そして東京を世界で一番の都市にするために、多摩・島しょ地域の振興なくして東京の持続的発展なしという思いを大切に、今後も、一層の発展のため、着実に政策を推進していただきたいと要望して、次の質問に移ります。
 さて、今回の質問をするに当たりまして私は思っているのですが、この分厚い長期ビジョンを拝見させていただきまして、これはなかなかよくできていると今さら思っているわけでございますが、これはどんなところがよくできているかと申しますと、私どもプロだけではなくて、都民の一般の方にもわかりやすく読んでもらえるような工夫がされているわけでございます。
 例えば、随所にちりばめられましたコラムですとか、あるいは世界の主要都市と比較した東京の都市力といった図表などがございます。さらには、都民の方々から頂戴したパブリックコメントがどのように反映されたのかまとめたコーナーなどもありまして、大変興味深く拝見をさせていただきました。
 行政計画は、どうしてもかた苦しく敬遠されがちだったわけでございますが、これなら都民の方々にも親しみを持っていただき、理解を深めてもらえるように工夫された内容になっているんじゃないかなと私は評価するものでございます。
 何か聞くところによりますと、行政棟、都庁の三階に都民情報ルームというのがあるそうでございますが、そこでこの東京都長期ビジョンが売り上げでナンバーワンであると。本文と概略版を合わせて一万冊以上売れているというふうなことを拝見しました。その反響の大きさをそういった数字からも感じるわけでございます。
 しかしながら、さすがにこの分厚い、四百六十ページあるそうなんですが、四百六十ページにも及ぶこの本文や、概略版でも百ページにわたる長期ビジョンは、気軽に一般の方が読もうとするには少々敷居が高いのかなというふうに感じております。これを機会に、都の計画を初めて読もうとする方でも気軽に内容をわかってもらえるよう、もう一工夫されたらどうかなと思います。
 そこでお伺いします。せっかくすばらしい長期ビジョンをつくった以上、より多くの都民に知ってもらうために、さらなる工夫ができないか、見解をお伺いしたいと存じます。

○小池計画部長 これまでも、長期ビジョンの普及を図るために、都民情報ルームでの閲覧や販売、ホームページへの掲載、「広報東京都」二月号での概要紹介などを行ってまいりました。
 今後はさらに、初めてそのビジョンを手にとる方、ふだんは余り興味のないような方にも関心を持っていただけるようにイラストやイメージを多く用いるとともに、わかりやすい表現を使ったPR版というものを年度内に作成して、都民情報ルームなどで販売するとともにホームページでも公表していきたいと思っております。
 また、都民の方々はもとより、外国の方にも都の施策をご理解いただきながら東京を身近に感じていただけるように、このPR版は、日本語と英語、両方で作成したいというふうに考えております。
 こうした工夫によりまして、都民を初め多くの方々に長期ビジョンを知っていただくことで都政への関心をより深めていただきたいと思っております。

○清水(孝)委員 都政の主役は、何を隠そう、当然のことながら都民の皆様でございますので、いかにわかりやすく伝えていくのかというのが重要なのかなと思います。とかく行政計画ですと、可及的速やかに行いますなんていう、そんな言葉に代表されるように難しい言葉が出てくるわけでございますが、本計画のように図やイラストなどを使ってわかりやすく都民の皆様方に説明できるよう、これも説明責任の一つなのかなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと存じます。
 また、今回は、日本語だけでなく英語版も作成するということでございますが、これも世界一の都市東京を目指す以上、適切な対応だと思うわけでございます。
 せっかく策定した長期ビジョンでございますので、より多くの方に読んでもらえるようにPR版の作成を期待したいと要望し、最後の質問に移りたいと思います。
 本日は、東京都の向こう十年間の計画であります長期ビジョンという壮大な計画につきまして、私もお伺いさせていただきました。
 改めて、オリンピック・パラリンピックの開催まであと五年なのかなと思っておりますが、まさに二〇二〇年大会は、東京が世界一の都市に飛躍する大きなチャンスであると確信をしているわけでございます。
 振り返れば、東京を世界で一番の都市に、これは都議選のときに我が党が都民の皆様方と交わした約束でございます。あわせて、その後、舛添知事が、我が党と道を同じく世界一の都市東京を目指すため、都政の大指針として新たな長期ビジョンを策定することを明らかにされたのは、今から一年前の平成二十六年第一回都議会定例会の施政方針でございました。その後、我が党でも政策推進総本部で議論し、舛添知事に対して二度にわたって政策提言を行うとともに、都議会でも議論を繰り返してきたわけでございます。
 まさに、今回のこの長期ビジョンは我が党の政策提言をしっかりと反映しており、当然その実現に向けて、我々も執行機関とともに汗をかいていきたいと申したいと思うわけでございます。
 そこで最後に、今後の都政の羅針盤となる長期ビジョンで掲げた政策の実現に向けた局長の決意を伺い、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○川澄政策企画局長 東京は、五年後に迫った二〇二〇年大会の成功はもとより、本格的な少子高齢、人口減少社会の到来や首都直下型地震の脅威など、その先を見据えて解決すべき多くの課題を抱えております。
 長期ビジョンでは、これらの課題に正面から向き合い、中長期的な視点に立って対策を講じていくため、都政全般について幅広く今後の政策展開を示すことで解決への道筋を明らかにいたしました。
 また、二〇二〇年大会開催時と十年後の二〇二四年の二つの東京の将来像を示すとともに、その実現に向けた政策目標の数値化を徹底したほか、住民に身近なものとして感じてもらえるよう、わかりやすくPR版を作成するなど、従来の長期計画になかったさまざまな工夫も取り入れております。
 今後は、長期ビジョンに掲げた政策を着実に推進していくため、政策目標や実施計画の進行管理を徹底し、全ての都民が夢や希望、幸せを感じられる世界一の都市東京の実現に向けて全庁を挙げて取り組んでまいります。

○高倉委員 それでは、まず最初に、東京都長期ビジョンについてお伺いをしたいと思います。
 五十年前のアジアで初めての東京でのオリンピックの開催、この当時は、日本では高度経済成長期の真っただ中であったわけであります。そして、東京は多様な産業が育ちまして、優秀な人材が集まる世界有数の大都市へと急速に発展をしたわけであります。
 そして、今、半世紀がたちまして、二回目のオリンピック・パラリンピック大会を控えるということで、再び世界から東京が注目をされているわけであります。
 そうした中で、オリンピック・パラリンピックが開催をされる二〇二〇年というのは、東京にとっては、もう一つ別な意味での転換点になるわけであります。それは、東京の人口が減少局面に入っていくということであります。まさしく人口減少社会の到来、そして、東京はこの局面で大きな課題に向き合っていくという必要があるわけであります。
 都市と人というのは非常に緊密な関係があると思います。当然ながら、人なくして都市は存在しないわけでありまして、同時に、都市というふうな基盤なくしては、人の幸せな生活も実現することはできないということであります。
 東京都長期ビジョンは、都民の幸せな生活の実現のための処方箋として、舛添都政のもとで初めて作成をされた都政の長期計画ということであります。
 その中で、今後の東京の人口についても推計をされ、ビジョンで打ち出される政策の基礎というふうになっているわけであります。
 この長期ビジョンを見ますと、いわゆる総論ともいえる第1章の中で、三つの項目の中の一つとして人口減少社会に向けてという項目立てがありまして、ページ数でいっても八ページ、九ページ、一〇ページ、一一ページ、一二ページ、一三ページとずっと、この人口減少社会に向けてといったことが非常に詳細に述べられているわけであります。
 この長期ビジョンの中で、本当に東京がこれから大きく立ち向かっていかなきゃならない課題として、少子高齢化とともに、この人口減少といったことがあるのではないかと思いますが、まず、この長期ビジョンで示された東京の人口状況についてのご説明をお願いしたいと思います。

○小池計画部長 東京都の人口は、直近の国勢調査であります二〇一〇年では千三百十六万人となっておりまして、今後しばらくは増加するものの、二〇二〇年の千三百三十六万人をピークに減少に転換すると予測しております。その後、二〇六〇年には一千三十六万人になり、二〇一〇年に比べ約二割減少するというふうに見込んでおります。
 また、人口の年齢構成を見ますと、一層の高齢化が進みまして、老年人口の割合は、二〇一〇年の二〇・四%から二〇六〇年には三九・二%に上昇するというふうに予測しております。
 さらに出生数を見ますと、二〇〇六年から二〇一〇年までの五年間では約五十三万人だったのに対しまして、二〇六〇年までの五年間では約二十三万人と、半分以下になるという状況でございます。
 その結果、人口の年齢構造も劇的に変化しまして、二〇一〇年には現役世代三・三人で一人の高齢者を支えていたのに対しまして、二〇六〇年には現役世代一・四人で一人の高齢者を支えていくという状況になるということが見込まれております。

○高倉委員 今、説明をいただきましたけれども、この人口減少というのは大変大きな課題になってくるということであるというふうに思います。そして、この東京都長期ビジョンにおいては、それに対して、人口の自然増につながる子育て環境の充実、あるいは高齢者の増加に対応する福祉サービスの充実に向けた目標や政策といったことを掲げて、この人口減少社会に備えていくというようなことになっているわけであります。
 そこで、こうした少子高齢、そして人口減少社会に向けて、どういった認識のもとでこの長期ビジョンを策定されたのか、このことについての見解をお伺いしたいと思います。

○小池計画部長 ここ二十年ほど、東京の人口増は他県からの転入者によって支えられてきましたが、この転入者の減少や死亡数が出生数を上回る状況の拡大によりまして、二〇二〇年には東京も人口減少の道を歩み始めるというふうに考えられます。
 そのような状況のもとにありまして、東京は、我が国の首都として、引き続き日本を牽引する機関車である役割を果たすために、経済の活性化や都市としての魅力の向上に取り組み、さらなる発展を目指す必要があります。
 同時に、少子高齢、人口減少社会の到来を踏まえまして、子供を産みたい人が安心して産み育てられる社会を実現しますとともに、労働力人口が減少する中、女性や高齢者などの一層の社会参加も重要になってまいります。
 こうした認識のもと、さまざまな施策を展開していくことで、将来にわたる東京の持続的な発展、ひいては、日本が再び存在感を示し、輝くことにつながるというふうに考えております。

○高倉委員 今、人口減少局面に対する都の認識を改めてお伺いしましたけれども、東京においては、少子高齢化の進行、人口減少社会の到来を控えまして課題が山積をしているわけであります。
 そうしたことに対して、子育て支援あるいは高齢者のための施策といったようなソフト面での取り組み課題がある一方で、いわばハード面における人口減少社会に対応した都市のあり方をどうしていくのか。いわゆるまちづくりの分野においても、さまざまな取り組みを進めていかなければならないというふうに思います。
 今後の都市づくりでは、都市経営コストの効率化の要請に応えつつ、都市の魅力と国際競争力を高めるとともに、快適な都市生活と機能的な都市活動も確保していく必要があると思います。これに加えて、高齢の方、小さなお子さんをお連れの方、障害のある方など、誰もが快適にかつ安心して移動することができる環境の整備が必要でありまして、これを着実に進めていかなければならないと思います。
 都民の生活の視点から、東京においても少子高齢、人口減少社会を見据えたまちづくりといったものが必要になると思いますけれども、都としてのこのことについての今後の取り組みについてご所見をお伺いしたいと思います。

○小池計画部長 人口減少、少子高齢化が進行する中、都民の生活の質をさらに向上させるとともに、東京の活力を高めていくためには、身近な地域で誰もが活動しやすく快適に暮らすことのできるまちを実現することが重要であります。
 このため、公共交通の利便性の向上やバリアフリー化の徹底とともに、駅などを中心に商業、医療、福祉などの日常生活を支える機能を集約し、あわせて、これらの機能の集積が進んだ中心部相互のネットワーク化を図っていくことが重要であると考えております。
 さらに、こうした機能が集積した中心部などの周辺では、良質な居住環境を創出し、誰もが暮らしやすいまちへと再編してまいります。
 このような地域特性を踏まえた集約型地域構造という視点に立った都市づくりを都内の各地で進めてまいりたいと思っております。

○高倉委員 今ご答弁をいただきましたけれども、公共交通の利便性の向上あるいはバリアフリー化の徹底といったことは具体的な取り組みでありますし、これはしっかり推進をしていただきたいなと思います。
 さらに、駅を中心とする商業、医療、福祉といった日常生活を支える機能の集約、あわせて、この機能の集積が進んだ中心部の相互のネットワーク化と。これは今ご答弁をいただきましたが、なかなか大変な取り組みになるんじゃないかなというふうに思います。
 もう既に東京は、都市そのものがしっかりとした機能を備えた、いろんなものが集積をした都市になっているというような状況の中でこれを進めていくというのは大変な作業になるとは思いますけれども、これを適切な政策のもとで着実に遂行していくことによって、都民一人一人が安心して快適に生活をし、充実した人生を送ることができる都市東京になっていくというふうに思うわけであります。
 私ども都議会公明党としても、この長期ビジョンに掲げられた政策の実現に向けては積極的に応援をし、また推進をしてまいりたいというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 続いて、都市外交人材育成基金についてお伺いをしたいと思います。
 これまでのアジア人材育成基金の成果につきましては、本委員会あるいは本会議などさまざまな機会で私どもも質疑をさせていただいてまいりまして、実務レベルの交流でさまざまな成果を上げてきたというふうに承知をしております。
 この中でも、首都大学東京においては、十四の国と地域から百四十五名の留学生を受け入れてきたという実績があるわけであります。これについては既に、本定例会での我が会派の代表質問に対して、知事からも具体的な答弁があったところでございました。
 そこで、首都大学を巣立った卒業生が活躍するのはまだまだこれからかもしれませんけれども、現時点でどういった人材が育っているのか、このことについてご答弁をいただきたいと思います。

○小菅国際共同事業担当部長 ご指摘のとおり、首都大学東京では、高度研究などを通じましてアジアから留学生を受け入れてまいりました。現在、四十七名が博士号を取得して修了している状況のもと、帰国後は、首都大学での留学経験を生かしまして各界で活躍していらっしゃいます。
 具体例を挙げますと、日本の大手建設会社に就職して海外展開業務を担当しまして、日本と出身地をつなぎ、いわば日本と海外の結びつきを強くする人材として活躍している例がございます。
 また、首都大学東京で研究した都市問題の解決のための高度研究の分野で、帰国後、母国の大学の学科長になられまして、首都大学東京からも教員などが参加する国際シンポジウムを開催した方がいらっしゃいます。
 研究ネットワーク構築に貢献する人材として活躍している例として挙げさせていただきました。

○高倉委員 今、具体的な事例を挙げていただきまして、大変ありがとうございました。日本でこちらに留学をして、大変大きな活躍をしている。そして、日本とその国との結びつきを強めていく、あるいは共通する都市問題の解決に当たっていっているというような、本当に大切な人材に育っていらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。
 そうした意味では、このアジア人材育成基金、本当にこれまでも大変大きな役割を果たしてきたものというふうに思います。
 そして、今回、都市外交人材育成基金、これはアジア人材育成基金を再構築するということでありますけれども、なぜ今この新基金を設置するのか。その意義と目指すところにつきまして、改めてご所見をお伺いしたいと思います。

○小菅国際共同事業担当部長 アジア人材育成基金は、アジアの将来を担う人材の育成に向けて、首都大学東京での留学生の受け入れですとか、行政職員の研修参加などへの活用を通じまして、東京とアジアがともに発展するための礎を築いてまいりました。
 新たな基金は、対象地域を、アジアのみならず、姉妹友好都市などさまざまな都市に拡大するものでございます。
 加えて、留学生には日本語や日本文化を学ぶプログラムを提供することによりまして、すぐれた知日派人材を輩出することを目指してまいります。

○高倉委員 今、答弁にもありましたけれども、この対象を、アジアから広く、姉妹友好都市を含めて拡大をしていくといったようなお話でありますけれども、本当にこれは大切なお話であるというふうに思います。
 これからオリンピック・パラリンピックを開催し、当然ながら、それだけではなくて、本当に世界一を目指す首都東京が世界中の都市と交流をしていく、これは極めて大事なことであるというふうに私も同じ考えを持っております。そうした意味で、ぜひこの新しい基金のもとで、さらに幅広い交流というのを展開していただきたいなというふうに思います。
 そうした新基金の設置の意義を鑑みますと、これまで関係がどちらかというと余り濃くなかったといいますか、例えばそういった地域でいいますと、中東でありますとか、あるいはアフリカでありますとか、そういった地域の都市との交流、人材育成事業、こういった点にも積極的に活用してほしいというふうに思うわけでありますけれども、改めてご所見をお伺いしたいと思います。

○小菅国際共同事業担当部長 都と他の都市が相互の交流を通じて、大都市の直面するさまざまな課題の解決に取り組んでいくためには、世界的な視野に立つ有為な人材の育成が極めて重要でございます。
 新たな基金は、アジア人材育成基金の成果を踏まえつつ、その対象を、アジアだけでなく、さまざまな都市に拡大するものでございます。
 この趣旨に沿って、都市外交基本戦略に基づきまして、既存の姉妹友好都市等に限らない世界の諸都市との交流の中での人材育成事業に活用してまいります。

○清水(ひ)委員 政策企画局に係る予算案中、アジアヘッドクオーター特区についてお伺いいたします。
 我が党はこの間、アジアヘッドクオーター特区について、誘致する外国企業への大幅減税の優遇など競争は、OECDの指摘も例示して、その国や都市の財政を破綻に導くことになるとか、神奈川県の報告書が、外資系企業の立地が中小企業への影響を危惧し、全国各地で減税をして企業を誘致したものの撤退した経験などを示して、東京の経済対策としての外国企業の進出には見過ごすことができない大問題があることを指摘してまいりました。
 その上で、東京に大企業と人、物、金を呼び寄せるという東京一極集中政策ではなくて、アジア諸国や国内地方都市との共存共栄、そして対等、平等の関係を築き、お互いに発展し合う道というのを提案してまいりました。
 特区内への外国の誘致企業の目標は、アジア地域の業務統括拠点、研究開発拠点を設置する企業五十社を含む外国企業五百社以上です。こうした目標を達成するために、東京都は、現在、この事業について業務委託契約をしております。
 伺いますが、アジアヘッドクオーター特区への外国企業の誘致の事業は、これまでどのような事業を幾らでどこと委託契約をしているのか、お伺いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご指摘の事業でございますけれども、平成二十五年度、平成二十六年度から外国企業発掘・誘致事業に取り組んでおりまして、受託者はアクセンチュア株式会社でございます。
 あと予算でございますけれども、平成二十五年度は決算ベースで約三・四億、平成二十六年度は予算ベースで六・二億円でございます。

○清水(ひ)委員 今ご答弁いただきました。平成二十六年度では、十九社の業務統括拠点、研究開発拠点を誘致し、それに要した費用が二億八千七百万円ということです。
 資料に、ここに出していただいていますけども、一社当たり一千五百万円支払われていることになりますが、この金額というのは何に基づき支払われたのか、お伺いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 先ほど申し上げました委託契約に基づきまして、特区進出の意思決定を取得した企業数に応じまして、成功報酬の形で支払いを行っているところでございます。

○清水(ひ)委員 成功報酬ということでお答えがありましたけども、その積算根拠というのはどうですか。お伺いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 外国企業誘致におきまして目標を確実に達成するためには、高度なノウハウを有する民間事業者に対しまして、一定のインセンティブの付与のもとで事業実施を委託することが適当であると考えておりまして、今回の契約におきまして成功報酬という仕組みを取り入れたところでございます。
 成功報酬として支払う額でございますけれども、想定される事業内容や日数から適正な労働単価と必要な稼働日数を設定し、それらの積算により算定したものでございます。

○清水(ひ)委員 外国企業の誘致費用は委託契約に基づいて支払うということですけど、そもそも東京都が誘致する業務統括拠点、研究開発拠点の基準というのはどのようになっているのですか。お伺いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 業務統括拠点でございますけれども、グローバル企業の子会社を統括する拠点でございます。
 具体的には、日本に設立した当該拠点から子会社の営業活動や経営企画等における方針決定や調整などの業務を行うための拠点でございます。
 また、研究開発拠点でございますけれども、基礎研究から応用開発、試作、製品試験など、さまざまな製品やサービスの産業化のための研究開発を行うために必要な機能を有する拠点でございます。

○清水(ひ)委員 そうすると、これまで外国企業に合わせてどれだけの費用を用意してきたのか、お伺いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 これまで外国企業発掘・誘致事業において、三十社の業務統括拠点、研究開発拠点を設置する外国企業を誘致したところでございますけれども、それに要した費用については約八・二億円でございます。
 なお、これらの企業の拠点設置後三年後までの投資予定額は、誘致費用の約二十三倍、約百九十億円でございます。

○清水(ひ)委員 そんなことは聞いていないんですけどもね。
 そしたら、今ご答弁いただいた、誘致した企業は三十社ということでした。で、私、何回も都のウエブサイトを見ても十六社しか載っていないんです。一年目の一三年度、一四年度。
 都民、私たちも誘致企業を知る手だてがない。外国企業だから英語の名前なんでしょうけども、それはどうしても行き着かないんですよ、どういう仕事をやっているとかという。もちろん、その会社のウエブサイトもありますよ。そこを開こうとしてもそれがない。
 事業の公表についてどう考えるのですか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 誘致企業の公表につきましては、都民の税金の使途の明確等の観点から重要と考えております。
 公表につきましては、特区進出の意思決定の取得後、誘致企業の経営に支障がないとされる時期に実施しておりまして、その結果、現時点では、外国企業名や特区内での計画事業内容等の情報について、十六社を特区のウエブサイト上に公表しております。
 現在、残りの十四社とは公表に向けた調整を行っているところでございます。

○清水(ひ)委員 公表について、今、時期があるんだということをいわれました。企業の公表というのは時期があるかと思うんです。
 ただ、契約したアクセンチュアという契約企業には、既に支払いが行われているわけですよね。契約に基づいて支払われているわけなんです。それが公表されていない。それを知る手だてがないと。
 私は、進出企業の法人登記などの確認を行ってきましたが、何をもって誘致できたと判断するのか、どの時点で成功したと判断して支払うのか、それが明確じゃないんです。だから、その契約書類を公表できる範囲で見せてくださいということでさんざんいってきました。また、その時点では成功したと判断したけども、その後、進出するかどうか定まらない、何らかの事情で取りやめになった場合、どうするのかというようなことが明らかになっていないわけです。
 また、既に進出している企業が新たに業務統括拠点や研究開発拠点を設置した場合にも成功報酬を支払っているわけですよね。同じ住所でも外国企業が新たな設備投資をすれば、成功報酬が支払われた場合、企業の意思で設備投資する場合もあるかもしれませんなどなど、その契約の中身もどうしても不透明なんです。何回も、きのうもお聞きしましたけども。
 そうでないというのであれば、これに応える情報を公開していただきたいと思いますけども、どうですか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 先ほども申し上げましたけれども、公表につきましては、特区進出の意思決定の取得後、誘致企業の経営に支障がないとされる時期について実施しているところであります。
 そういった中、都民の税金の使途の明確化の観点、そういったところをしっかりと受けとめまして、公表に向けた調整に取り組んでいきたいと思っております。

○清水(ひ)委員 それはわかりましたけども、もう既に契約したアクセンチュアには支払いをしているわけですよね。支払っていると。私が今いったいろいろな例、撤退したとか、そういう場合にはどうなるのですかという、その契約書はどうなっているんですかということを私は聞きたかったわけです。
 これまで合わせて約十億円の委託金が支払われてきました。この事業は長期ビジョンで二〇一六年度までの目標としているわけです。このままの実績で推計すると、来年度、再来年度、仮に今年度と同額の金額とすると、業務委託で二十二億円、成功報酬で七億円余り、約三十億円余りの経費がかかることが予想されます。それが十分情報が明らかにされないまま税金が支払われていってよいのかということなんです。先ほども、企業の情報を明らかにする、その責任があるということをいわれました。
 私は、改めてアジアヘッドクオーター特区による企業誘致契約について、それ自身は私たちは事業の見直しということを主張しているわけですけれども、事業を見直すことと、これまでの実態については情報公開を徹底し、第三者によるチェックが必要だというふうに強く指摘しておくものです。
 そして、東京に大企業と人、物、金を呼び寄せるという東京一極集中政策ではなく、アジア諸国や国内地方都市との共存共栄、そして対等、平等の関係を築き、お互いに発展し合う道を再度提案して、私の質問を終わります。

○西沢委員 私から、まず最初に、長期ビジョンについてお伺いをさせていただきます。
 きょうも議論がありまして、多少かぶるところもございますけども、ご容赦いただいて、確認の意味も込めまして、視点も違いますので質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、四百六十ページにも及ぶ量というところで内容も充実しているということでもございますが、これが実行されなければ机上の空論に終わってしまうということ、そのために計画の実効性を高めていく必要がございます。
 我が党の先般の代表質問でもただしたところでございますが、これも確認の意味を込めて、長期ビジョンの実効性を高めるための取り組みについて、まず最初にお伺いいたします。

○小池計画部長 長期ビジョンの実効性を高めるための取り組みといたしまして、まず、約三百六十項目の政策目標を数値化することによって、都民に目標をわかりやすくお示ししますとともに、政策の確実な推進を図っております。
 また、長期ビジョンに掲げる政策につきましては、その着実な実施を担保するため、新たに創設する基金なども活用して優先的に予算措置をすることとしております。
 さらに、政策目標を実現するための具体的な事業展開を三カ年の実施計画として取りまとめまして、平成二十七年度と今後三年間で必要となる事業費も明らかにしております。
 なお、平成二十七年度に実施する事業につきましては一〇〇%予算化されております。

○西沢委員 財源の話もございましたが、来年度について一〇〇%予算化をされているという話もございました。
 そして、実行するための三カ年の実施計画、第4章、三四〇ページからあるところでございますけども、この三カ年の実施計画を明らかにして、これを進めていくという話でありますが、例えばホームドアの整備について、三四四ページなんかでは、JRや私鉄でホームドアの整備を促進するため、二〇一五年は六駅分の補助金を交付して、二〇一六年には引き続き補填をしていくというような、こうしたことが書かれているわけでございます。
 先には、最終的には二〇二四年ごろまでには、JR、私鉄の一日当たりの利用者十万人以上の全七十八駅でホームドアの整備がおおむね完了というところに向かっていくというわけでありますが、中には、ほかの事業なんかを見ていくと、例えば大江戸線全三十八駅とか--二〇一五年、二〇一六年、二〇一七年が全部ぴゅっと協議、調整だけで書かれてあったり、他の事業なんかを見てもそうなんですが、例えば三五四ページの障害者スポーツの環境づくりなんかも見てみますと、障害者スポーツセンターの改修ということで基本設計が二〇一五年とかとわかるんですが、その隣のページへ行くと、スポーツ教育推進校の指定というのがぴゅうっと線が引かれていたり、進行の管理というものが、こうした三カ年以上かかるものについてはわかりづらくなっているところがあります。年度ごとに、この年度にこういうことをやって、来年はこういうことをやってということがわかればいいんですけども、時間のかかる事業なんていうものについては、この実施計画だけを見てはわからない部分があるわけでございます。
 こうした中で進行管理をどういうふうにやっていくのかというのは重要で、先ほど局長も進行管理は重要だという話が答弁の中でもありました。ふたをあけたらやっていませんでしたとか、担当がかわったら、ああ、書いてあったけども、自分はちょっと詳しくないとかということがあってはならないと思うわけですが、そこで、今後の長期ビジョンの進行管理をどのように行っていくのか、見解をお伺いいたします。

○小池計画部長 今後、各局におきまして、長期ビジョンに掲げた政策を展開していくこととなりますが、当局は政策の進捗状況を的確に把握しまして、政策目標や当面三カ年の実施計画がございますので、この三カ年の実施計画に基づく進行管理を適切に行ってまいります。
 そして、政策を着実に進めるため、各局と十分調整の上、こうした進行管理の結果を次の年の予算措置に結びつけていくなどしまして、世界一の都市東京の実現を目指してまいりたいと思っております。

○西沢委員 事業の実施は各局が行って、進行状況は政策企画局が把握をするというような、こうしたお話でございました。
 私は、例えばこの計画が変わることもあると思うんです。最終的にこれは二〇二四年へ向けて書かれているものですけども、その先に変わることがあって、その中には下方修正をしなければいけないもの、または前倒しにやることができたという上方修正をすることもあろうかと思います。
 前も公営企業委員会でも取り上げましたが、平成十八年につくられました二〇〇六年のときの「十年後の東京」、つまり二〇一六年までにどういう東京にするのかというところに、先ほどのホームドアについては、都内全ての駅においてホームドアまたは検知マットなどを設置するというような目標があったわけです。都内全てにホームドアなどを対策していくと。ところが、今、こうした話もあるように、ホームドアはこれから二〇二〇年へ向けてやっていくというところから、明らかにこれは下方修正だと私は思うわけであります。やれていないわけですから。
 一昨年、公営企業委員会で交通局の方に質疑をしたときは、これはやれていますと。それは、ホームドアなどということで、ホームに内方線を描きましたと。内方線というのは、黄色の点字ブロックですね。こうしたもので全ての駅は既に対応済みですと、こういうふうな驚くべき答弁があったわけです。
 各局からしてみれば、こういうことをやっていますということでいいんだと思うんですが、今でいう政策企画局では、こうした進捗管理をする中で、私としてはこうした部分は、本当にできているのかどうかというのは、きちんとできていないものは下方修正だという判断をしてもらいたいというように思うわけでございます。進捗管理の中で得た結果の取り扱いというものが非常に重要だと思うわけであります。
 この三カ年の実施計画の中で、ローリングの時期を迎えるというようなことがあろうかと思います。その際に、この目標値や事業の内容の見直しというものがあってしかるべきだと思いますが、どのように行うつもりなのか、お伺いいたします。

○小池計画部長 今、実施計画のローリングの際の、見直す際のご質問ということなんですけども、この長期ビジョンにつきましては、まさにこの四月からここに掲げた実施計画がスタートするわけであります。ですので、現在はローリングというよりも世界一の都市東京の実現に向けた事業展開をまさに着実に進めていく時期だと、そういうふうに考えてございます。
 なお、一般論としましては、各種計画においてローリングなり見直しをする時期が来た場合には、それまでの計画の進捗状況を踏まえながら、その時点におけるいろんな状況を勘案して必要な改定を行うものというふうに認識をしております。

○西沢委員 実施計画を見直すときについては、その時々の計画の進捗状況や社会経済状況を勘案していくということ、これは当たり前のことだと思います。
 一般論としてということでありますけども、当然、その際には--下方修正をするということも十分にあり得る。そして、私は、別に下方修正してもいいと思うんですけども、その際に、なぜそういうことになったのか、その理由というものも明らかにするべきだと思います。
 繰り返し申し上げますが、先ほどのホームドア、平成十八年のときにつくられたものは、気づいたら変わっていたわけですね。もし下方修正する、上方修正もそうかもしれませんが、変わりましたということであれば、そうしたことを私はあえて、例えば別冊にして、別に変わったもの、最初の計画としてつくったものとは違うものです、それはこういった理由でこういうふうに変わりましたというようなもの、別冊じゃなくても、例えば巻末に、実施計画のように後ろの方に記載するというようなことでもいいと思うんです。そうすることによって、この計画は絵に描いた餅じゃないですよ、もし変わった場合は、こういうふうに変わったということが明らかになりますよというふうになって、私はよりいいビジョンになると思うんですが、いかがでしょうか。

○小池計画部長 今、副委員長の方から、実施計画を見直す際の具体的な提案ということでお話を伺いました。
 先ほどもご答弁しましたように、我々としましては、まさにこれから実施計画のスタートをする時期でありまして、今はそれに全力を投入するということであります。
 見直しの際の具体的な方法につきましては、見直す時点で、いろんな状況を勘案しながら検討していくことになるというふうに考えております。

○西沢委員 もちろん、今始まったばかりということですけども、こうした意見もあるということをとめていただきたいというように思います。
 それでは、続きまして次の質問に移りたいと思いますが、国際金融センターについてお伺いをしたいと思います。
 この東京国際金融センター構想でございますが、ロンドン、ニューヨークに並ぶ国際機関の拠点として復活させる東京国際金融センター構想を進めているところでございますが、国際金融の拠点となるということは、世界の中での東京という都市の重要性も上がり、いわゆる都市ランキングの順位などにも反映されることになるのではないかと思います。
 この金融センター構想というのは、私は何度説明を受けてもなかなかわかりづらいところがあるわけでございますが、東京都が目指す東京国際金融センター構想の姿というものはどういったものなのか伺います。

○小室渉外担当部長政策担当部長兼務 東京国際金融センターとは、ロンドンやニューヨークのように世界中から人材、情報、資金が集まり、国内外の必要な部門に資金が供給される拠点です。そこでは多くのビジネスチャンスが生まれ、活発な情報交換のもと、国内外の金融機関の活躍により、さまざまな産業分野に必要な資金が供給され、東京、さらには日本の経済の活性化がなされていきます。その結果といたしまして、都市ランキングの向上にもよい影響を与えることが期待されます。

○西沢委員 今の答弁の中で、都が目指す東京国際金融センター構想の姿というところのお話があったわけでございますが、イメージとして東京国際金融センター構想というのが、金融機関が幾つあって、取引量が幾つあってみたいな客観的な数字をもって金融センター構想というものが成功する、もしくは完成されるというような、こうしたイメージじゃないという認識を持たせていただきました。
 そして、この金融センター構想は一朝一夕にできるものではないと。今後時間をかけてやるわけでございますけども、この取り組みは、昨年の七月に東京国際金融センター構想に向けた取り組みを公表したわけでありますが、八カ月たちました。四つの課題と二十の取り組みというものを挙げたわけでございますが、現在の進捗についてお伺いいたします。

○小室渉外担当部長政策担当部長兼務 国際金融センターの実現は、都のみならず、国、民間と協働して着実に取り組みを進めていくことが必須です。
 そこで、昨年九月には、都、国、民間のメンバーによる推進会議を開催いたしました。会議では、各参加者から構想に対する強い賛同を得られ、官民一体での構想の推進に向けた第一歩となりました。さらに、十一月及び二月には、推進会議のもとにビジネス交流拠点の活性化を目的とした分科会を開催いたしました。国、民間から約四十団体、百名もの参加者が集まり、協働による交流拠点活性化に向けて活発に議論がなされました。
 このように、都は、先導役として官民一体の体制を構築し、東京国際金融センター実現に向けた歩みを進めております。

○西沢委員 わかりました。
 この金融センター構想というのは、東京都自身がどうやるのかという話でございますが、当然、やる金融そのものというのは、国の政策、金融庁であったり、それから、実際に金融の現場の担い手となるのは民間の金融機関であります。
 今の答弁で、東京都自身が先導役となって、この金融センター構想を進めていくということはわかったわけでございますが、一方で、東京都自身もみずからの取り組みというものを着実に進めて実現に結びつけていかなければいけないというふうに考えるわけでございますが、都はこれから具体的にどういった取り組みを進めていくのか、お伺いいたします。

○小室渉外担当部長政策担当部長兼務 国際金融センターで活躍できる金融プロフェッショナルの育成に向けて、高度金融専門人材育成プログラムを首都大学東京で平成二十八年四月に開講することを目指して、来年度は具体的なカリキュラムの検討なども進めてまいります。
 また、国際金融センター構想に取り組む東京の姿を都が内外に発信するため、世界で活躍する金融関係者やジャーナリストなどが集う国際金融会議の東京での開催に向けて、国、民間とともに準備に着手いたします。
 東京国際金融センターの実現に向けて、都はこれらの取り組みを着実に進めてまいります。

○西沢委員 都自身の取り組みというのもわかりました。金融の活性化につなげるという意義は十分に理解をするところでございますが、実体経済を活性化させるためには、資金が、大企業ばかりではなく、都内企業数の九九%を占める中小企業に回っていくことも重要であります。
 この金融センター構想というのが、都市ランキングに入って、めでたしめでたしというようなことではなく、中小企業の資金調達であったりとか、そういった部分にも資していかなければいけないというように私は考えますが、見解をお伺いいたします。

○小室渉外担当部長政策担当部長兼務 日本経済の持続的な成長のためには、実体経済がしっかりと伸びていくことが大切です。
 東京国際金融センターでは、国内外の多くの金融機関が集まり、ビジネスに関するさまざまな状況が行き交います。そうした動きの中、東京の中小企業やベンチャー企業が持つ新技術などに関するさまざまな情報に国内外の金融機関が触れ、多様な資金供給の可能性が生まれてまいります。
 その結果といたしまして、都内の中小企業を初めとする、日本の実体経済を支え、資金を必要とする産業に多様な資金が供給されていくという好循環がもたらされ、東京、さらには日本の実体経済の活性化が図られていくものと考えます。

○西沢委員 今回の質疑で、金融センター構想というものが、今のお話にあった中小企業にとってプラスになっていくんだよというようなことや都市ランキングにも影響していくということがわかりました。
 そのこと自体はわかるわけでございますが、知事がいうように、国際金融センター構想の一環として公金を株式に投資するというような話がございましたが、そうしたことのためにやっているものではないというような認識も持ちますし、そうしたことはするべきではない、そういったことに資するものではないということを私は要望としてつけ加えさせていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 都市外交でございますが、昨年十一月に都市外交基本戦略(素案)が出されていたわけですが、昨年十二月に策定をされました。十一月に作成された素案から最終版を策定するに当たって変更した部分が幾つかございますから、この辺を中心にお伺いをしていきたいと思います。
 さきの総務委員会の中で、私は、大都市共通の課題解決があるということでございますが、必ずしも大都市にこだわる必要はないのではないかというような意見を申し上げました。大都市というと、大きな都市、ロンドン、ニューヨーク、パリ、こうした都市を思い浮かべる方もすごく多くあると思います。定義づけはいろいろあろうかと思いますが、大都市のみにこの戦略をしていくんだよというようなイメージも持たれるわけでありますから、あくまでも戦略としては、都市間の課題解決に向けてということですから、大を取ってしまったらと、私はこうした意図で申し上げたわけでありますが、大都市という形で確定版になりました。
 では、この大都市というのは、どのような都市を念頭に置いたものなのか、改めてお伺いいたします。

○横山外務部長 都市外交を通じて共通の課題解決を進めるためには、お互いが蓄積した技術やノウハウ、経験を学び合い、ウイン・ウインの協力体制を築くことが重要でございます。
 このような観点から、基本的には東京と共通点の多い規模の大きな都市を想定しておりますが、都市の共通の課題解決に向けて協力体制が築ける場合には、必ずしも都市の規模のみにこだわるというものではございません。

○西沢委員 都市の規模にこだわってはいませんよという答弁でした。だったら取ってもいいんじゃないかと思うんですけども、それはいいとして、今お話にもありましたが、大都市を想定しつつも、それのみに限定しない戦略を行っていくということで、二〇二〇年大会まで三十の都市という目標が加えられたわけであります。この三十都市という目標を掲げること自体は私はいいと思うんですけども、目的がこの数を達成するということではないんだというようなことを申し上げたいと思います。
 関係構築をするのが目的であって、数をこなすというのが手段なわけでありますから、この目的を達成するために数をこなすことにこだわる必要はない。では、この三十という目標、関係を構築というのは、何をもって関係を構築というのかというのが大事なんじゃないかと思うわけでございます。
 この関係構築というのは、具体的にどういった内容、形式をいうのか、お伺いいたします。

○横山外務部長 関係構築を目指す海外都市との交流、協力の具体的内容でございますが、双方の関心が一致し、かつ二〇二〇年大会の成功と世界一の都市東京の実現に資する実質的なものに絞った実務的なものとしたいと思っております。
 連携、協力の形式としては、姉妹友好都市に限らず、政策提携やイベント、会議の開催など柔軟なものといたしまして、必ずしも合意書等の締結を要件とするものではないと考えております。

○西沢委員 わかりました。もちろん、電話一本したから関係構築だというようなものを求めるわけではありません。きちんと実をとるような関係構築というものをお願いしたいというように思います。
 次に、多都市間都市外交に関連をして、アジア大都市ネットワーク21の見直しについてですが、今回の最終版に変わって、総会は休止することになったというように書いてあります。
 東京がこれまで幹事都市を務めてきた共同事業について、都の事業として実施するとしているものの、総会を休止するということが、多都市間外交が後退するのではないか、後退しているというように受けとめられかねないのではないかと思います。今後の多都市間外交の展開についてお伺いいたします。

○小菅国際共同事業担当部長 多都市間の都市外交は、共通の課題に共同で取り組み行動するなどの点で有効でございまして、継続的に活発に活動しているものは、特定の分野に限定された目的や受ける利益が明確なものが多いといった状況にございます。
 この点に鑑みまして、総会は、近年首長がほとんど参加しないという状況の中、会員都市間で抜本的に見直しを行った結果、休止することに会員都市の全会一致で合意したものでございます。
 一方、東京が幹事都市を務めてまいりました共同事業は、感染症対策や危機管理、経済交流など、それぞれ特定の分野で成果を上げてまいりました。
 今後は、これらの共同事業を、都が幹事を務める多都市間の実務的協力事業として取り組みまして、都や海外諸都市に共通した課題への対応や施策の連携を図ってまいります。
 今後も、より効果的、効率的な多都市間の都市外交を進めていく所存でございます。

○西沢委員 総会休止に至る経緯をご説明いただきましたが、休止はするものの、もちろん実務協力は継続していくということで、後退ではないということを確認させていただきました。
 最後に、第四回の定例会であったりとか総務委員会でも、広く地震国の都市との相互協力体制が必要であるというふうにしてきたことについてでございます。
 都市外交基本戦略でも、今回、危機管理面の推進をしていくというようなことが明記されているわけであります。これは非常に重要なことだと思います。
 一週間前の三・一一、三月十一日で東日本大震災から四年がたったわけでございますけども、外務省のホームページによれば、震災後に二十四の国と地域が東京に、日本に緊急援助隊などを派遣して協力をいただいたということでございます。
 そのうちの十五カ国と地域は、東京都の姉妹友好都市やアジネットの都市であるということでございます。特に、台湾からは世界で最も多額の義援金が寄せられたということについては、本当に深く日本人の心に刻まれたのではないかというように思うわけであります。
 私の視点は、東京都がいざ震災が起き被災したときに、世界中から援助の手が差し伸べられるような関係というものを都市外交を通じて築いていく必要があるのではないかというように思うわけであります。
 日本の近隣で、国と国では、今、仲が悪くなってしまっているようなところがあるかもしれませんけども、東京という都市として、都市間ではそういった関係を築くというような視点が、これを見ると--いざとなったら助けてくださいというようなものを明記して書くのはちょっと嫌らし過ぎますから、当然そういうべきではないかもしれませんが、そういった関係構築を外交戦略の中でしていくべきであるというふうに考えますが、見解をお伺いいたします。

○横山外務部長 都市外交基本戦略におきましては、海外諸都市との友好関係を深め、ともに学び合いながら持続的なウイン・ウインの関係を築いていくことが重要であるとしております。
 海外諸都市と協力、信頼関係を積み重ねていくということは、万一の際に助け合える関係の構築にもつながっていくものと考えます。

○西沢委員 万一の際の助けという点については、都市外交を進めていく上でぜひ意識をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○やながせ委員 私からは、長期ビジョンについて何点か伺っていきたいと思います。
 きょう、長期ビジョンについて、もう複数の方から議論が出されています。かぶるところも多々あるんですが、ちょっと変化球を投げたいなというふうに思っています。ぜひよろしくお願いします。
 それで、長期ビジョンなんですけれども、まず最初にもう一度確認をしたいんですけれども、政策企画局がこの長期ビジョン策定に際してどのような役割を担ってきたのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。

○小池計画部長 当局は、総合的な長期計画の策定などを所管する局としまして、長期ビジョンの策定に当たり、目指すべき将来像、世界一の都市東京の実現とすることや、二つの基本目標と八つの都市戦略といった全体構成を考えて示しております。
 さらに、二〇二〇年大会開催時と二〇二四年ごろの姿の両方を示すこと、あるいは政策目標を可能な限り数値化すること、こういったことを長期ビジョンで基本的方向や策定方針を各局に示しております。
 そして、具体的な政策目標や政策展開につきまして各局との調整を行いますとともに、パブリックコメントや議会での議論を踏まえた上で昨年十二月に公表するなど、総合調整を行う役割を果たしております。

○やながせ委員 具体的な政策目標や政策展開について各局との調整を行ってきたということで、できる限り数値化をしてきたということでございました。
 それで、その数値化を非常によくご努力されたんだろうというふうに思います。特に非常に意欲的な目標を掲げることができたというのは、多分、各局から出てきたものに対して、それじゃだめなんだよ、もうちょっと上を目指そうよということをこの政策企画局がリードしてきた、その成果があらわれているのかなということで、再生可能エネルギーを二〇%にするとか、非常に意欲的な目標であって、ぜひこれを実現していただきたいというふうに思うところであります。
 ただ、私はこの長期ビジョンを見てちょっと違和感を覚えるのは、事務事業の質疑でもいったんですけれども、現状の東京都についての認識が若干異なるのかなという部分を感じます。
 それで、この長期ビジョンを推進していくために何が一番必要なのかといえば、それはやっぱり財源だと思います。この長期ビジョンに示されているのは、あくまで出の部分ですから、つまりお金を使う事業ですよね。これだけ使っていきますよということで予算規模も示されているということなんですけれども、じゃ、その財源をどうやって担保していくのかと。各委員からもありました。東京都の財政は不安定だということで、法人二税で常にジェットコースターのような財政状況にあると。
 ことしは三千五百億円の税収増ということで、これはいいかもしれません。ただ、かつては一兆円どんと落ち込んだこともあると。じゃ、その一兆円どんと落ち込んだときに、この長期ビジョンをどうするんだと。どう優先順位をつけるんだといったようなこともありますけれども、私は、この長期ビジョンを着実に実施していく上では、どうやって安定的な財源を確保するのかということ、これにぜひ言及をいただきたかったというふうに思うんです。
 財政計画を示すのはなかなか難しい、それは財務局じゃないかという話もあるかもしれません。ただ、この長期ビジョンとセットで、十年間の財源をこうやって確保していくんだよということを示すこと、これが非常に重要なことだったのではないかというふうに私は考えていますし、これからもぜひその努力をしていただきたいというふうに思います。
 ちょっと愚痴っぽい話になってしまって申しわけないんですけれども、そういった意味では、安定的な財源を確保するためには、例えば地方法人課税の偏在是正を絶対なくしていくんだということであるとか、法人二税に頼るのではなくて、それは消費税の方に何とか転換していくんだというような税のあり方に向かった目標、東京都としては、その税を国に働きかけて転換していくことによって安定的な財源を確保していくんだよと、そういった目標もしっかりと盛り込むべきだったのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、この点についての見解を伺いたいと思います。

○小池計画部長 まず、長期ビジョンの事業の財源の確保ということからしますと、我々としましては、今、理事からお話があったような、景気によって大きく変動する、左右されるというような東京都の財政の特徴なんかも踏まえて、都独自の基金というのを今回新たに創設するなど、財源の確保というのを積極的に図っているところでございます。その上で予算を優先的に措置して、三カ年の実施計画ですとか総事業費を明らかにしてビジョンの事業を着実に推進していくということでございます。
 地方法人課税の問題もちゃんと書くべきじゃないか、あるいは地方税から消費税みたいなお話ですけど、ちょっと後者の方はなかなか、東京都としてどこまで見解を出して取り組むのかというのは私もちょっとわからぬところがあるんですが、地方法人課税の偏在是正措置への対応は東京都としてしっかりやっていかなきゃならないと思いまして、これにつきましては、財政当局の方で昨年九月に東京都の主張をまとめて発表しております。また、今年度の予算案の公表に当たりましても都の見解を示すなど、東京都全体として適切に対応しているというふうに考えております。

○やながせ委員 財政当局の方でそういった話はしているじゃないかということなんですけど、私はやっぱり、ビジョンというものが、ちゃんと入りと出がセットで示されるということが説得力を持つものなんだという上では大事なことなんだろうというふうに思いますので、ぜひその努力はしていただきたいというふうに思うんです。
 ここに、長期ビジョンの最初のところに、今、東京に求められる長期ビジョンということで、非常に重要な記述、記載がされていると私は思っています。
 そこに書いてあることをちょっと読むと、一方、二〇二〇年は東京が低迷の時代へと向かうターニングポイントになるという見方もある、東京の人口は減少局面を迎え--さっき人口減少の話もありました。これが到来するとともに、二〇二〇年大会の反動により公共事業が減少し、景気後退局面を迎えることになるという悲観的な予測である、しかし、二〇二〇年大会のさらなる先を見据え、今のうちから中長期的な視点に立って必要な対策を計画的に講じていけば、悲観的な予測を打破し、これまで以上に東京を発展させていくことは十分可能であるということですね。これ、重要なことが書かれていますよね。これはすごく重要なことだなと思うんです。
 私、ここに書いてあるとおり、悲観的な予測をすごくしておりまして、これから人口減少社会があると。さっきお話がありました、非常に厳しい状況が来るであろうと。さらには景気の後退局面が必ず来ます。それは来るだろうというふうに思っているんです。そのときに、着実に安定的な事業の推進をしていくための財源の確保ということ、これをどれだけ真剣に考えても考え過ぎるということはないんだろうということで、ぜひその点を考えていただきたいと思うんです。
 先ほど、地方法人課税の偏在是正に関して、財政当局がきちんと対応しているじゃないかというお話がありました。これに関して、私の方で、私の事務所に大学生のインターンの人が来ていまして、アンケート調査を蒲田駅前で行ったわけであります。
 偏在是正というものがあるんだよ、つまり、東京都は不合理に税財源を奪われているんだよということを知ってる人というのはどれくらいいるのかというアンケートをとったんです。すると、アンケートをとると、ほとんどの人がそんなことは知らないわけです。ほとんどの人は知らないんですよ。
 それから、もう一つの質問としては、じゃ、東京都が財源を奪われ、地方に回されてしまうということについてどう思いますかという質問をすると、質問の内容はちょっと違うんですけども、それは賛成であるという方が半分以上いらっしゃったんですね。半分以上いらっしゃったんです。
 つまり、東京が不合理に財源を奪われているんだ、何とかしなくちゃいけないんだと、これは議会、また都庁の皆さんの中では共通認識だと思うんですけれども、都民には全く伝わっていない。かつ、東京は金が余っているんだから、それは地方に分けて地方の活性化につなげりゃいいじゃないか、このように思っている方も大多数いらっしゃるわけであります。
 私は、こういった間違った現状に対してしっかりと物をいっていかなくちゃいけないと。それは、都政がこれから非常に厳しい状況に陥るんだ、不安定で厳しい状況にこれから陥っていくんだということをしっかりと広報活動していく必要があるのではないかということを考えるわけであります。
 それで、この長期ビジョンというのができました。私は、じゃ、この長期ビジョンというものができたということを都民がどれだけ知っているのかということをぜひ調査をしていただきたいと思いますし、その認知の向上に向けてさまざまな努力をしていただきたいというふうに思うんです。
 それは、ここに書かれていることというのは、これは都民のためのものですよ。先ほどもありました。都民の参画が必要なものですし、東京都内にある事業者の参画が必要なものです。つまり、みんなが、よしやろうじゃないか、このビジョンに向かって進もうじゃないかというふうに思わなければできない目標設定になっているわけです。実際、二〇%の再生可能エネルギーをやると。これは非常に意欲的です。もうぜひ達成したい。私たちもこれはしっかりといっていかなくちゃいけないと思いますけれども、よくご理解をいただくということが何よりも大事なのではないかというふうに思っています。
 そういった意味では、先ほどPRも積極的にやっていくというお話もありました。ただ、私は、これをより有効的なPRをしていただきたいと思うんです。
 つまり、いつもやっている「広報東京都」にビジョンができましたというふうに書かれただけだと、これは伝わらないんですよ。企業であれば、会社の経営ビジョンができたときには、トップの人間がプロジェクターを前にして、スティーブ・ジョブズとかのプレゼンテーションがありますけれども、ああやって、これからこういうふうにこの企業は発展していくんですよ、株主の皆さん、しっかりと株を買ってくださいということをアピールするわけであります。私は、そういうシーンがこの東京都にあってもいいんじゃないかなというふうに思うんです。
 舛添さんが、知事が都民に対してビジョンをしっかりと説明する場を設ける、こういったPRが必要なのではないかというふうに思うわけですけれども、見解を伺いたいと思います。

○小池計画部長 昨年の十二月にビジョンを公表したんですけども、そのとき、当然、記者会見でビジョンについてパワーポイントを使いながら公表しております。その翌日の新聞やその日のニュースなんかにもいろいろ取り上げられて、そういう意味では、トップによるアピールというのはかなり効果があるものだというふうに考えております。
 その後も何回かテレビの番組に出演されて、その冊子を持って宣伝をしていただいたり、言及していただいたりというようなこともございました。
 ただ、知事だけのそういった宣伝、PRには限りがあると思いますので、我々も、区市町村ですとか各種団体の要請に応じまして、可能な限り出向いて、こういった説明会を開いてビジョンの普及に努めてきている、そういった状況でございます。

○やながせ委員 済みません、ちょっと変化球を投げたので、申しわけないです。
 ぜひこの広報のやり方というのを考えていただきたいというふうに思うんです。通常の東京都の広報というのは流れていますよね。流れちゃっていると思います。だから、エッジをきかせた広報というのをぜひ考えていただきたいと。やっぱり僕はこれが何よりも大事なことなんだろうというふうに思うんです。東京都がどちらに向かっているのかというのをよく知っていただくということ、このために尽力をしていただきたいというふうに思います。
 それで、この長期ビジョンを見ていると、バラ色な未来ということで非常にすばらしい内容がたくさんあって、ぜひこうなってほしいなというふうに思うんですが、その反面、私はちょっと、さっきの財政的な問題もそうなんですが、国はこれを見てどう思うかなというようなことを考えるんですね。都は裕福じゃないか、だから、こんなことができるんだと。このビジョンを実現できるのは東京都だけですよ。ほかの自治体の状況から見ると、このビジョンというのは非常にうらやましいなと思えるようなビジョンになっているんだというふうに思うんです。
 だから、このビジョンを実現するためには、危機的な状況があって、でも、それをこう乗り越えていくんだよ、それがあって、この長期ビジョンが実現できるんだということ、この説明が必要なんだろうということを先ほどから申し上げているわけですけれども、このような都政が厳しい状況と私は認識しているわけですけれども、この迎える実情がある中で、どのような危機感を持ってこの長期ビジョンの策定に臨んだのかという点についてお伺いをしたいと思います。

○小池計画部長 東京は、グローバル化の進展や都市間競争の結果、そういった状況の中で二〇二〇年をピークに人口減少局面を迎えて、本格的な少子高齢、人口減少社会がやってまいります。
 先ほど理事の方からご紹介があったように、ビジョンの中では、二〇二〇年大会の反動で公共事業が減少して景気後退の局面を迎えることになるんじゃないかというような予測があるというようなことも我々承知した上で、そういった記述をさせていただいております。
 ただ、そこに掲げてありますように、例えば財政の面でいえば、先ほどいったような基金の創設ですとか、そういったことをできる限り今のうちにやっておけることはやっておくということで、こういったビジョンに掲げる施策を展開していく、そういう体制をつくっていくというようなことで危機意識を持ちながらビジョンを策定しているところでございます。

○やながせ委員 財政の安定化が必要だという話をしました。それで、今、税収の話もしたんですけれども、大事なことは、舛添さんもいっていますけど、富を生み出すということと、あとは無駄の削減という、この二つをしっかりやっていかなくちゃいけないんだというふうに思います。
 そういった意味でいうと、この富を生み出す部分、それとゼロベースで削減していくという、いわゆる行革でありますけれども、その部分については記述が少ないのではないかということで、そこについては私は不満を持っているわけであります。
 特に行革の部分については、これは一般質問でも申し上げましたけれども、四百六十ページ中の一ページしか記載がされていないということで、不断の行革をしていくということ、それから富をしっかりと生み出すということ、この二つについての記載をもうちょっと盛り込んでいただきたかった。これもちょっと愚痴っぽくて申しわけないんですけれども、私は思います。
 それで、このお金を生み出すための対策、経済の活性化についてどのような認識を持ってこの長期ビジョンの策定に臨まれたのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○小池計画部長 都民の方々が豊かな生活を実感して、東京で暮らして本当によかったと思ってもらえるためには、富の創造が不可欠であるというのは今お話があったとおりであると思います。そのために、経済の活性化のための政策展開が極めて重要であるというふうに考えております。
 富が創造されれば、都民の豊かな生活が実現するということと、そればかりでなくて税収増にもつながっていくということにもなっていくと思います。
 そのため、長期ビジョンの策定に際しましては、政策全体に共通する視点の一つとして経済の活性化と生活の質の向上、こういったものも掲げております。また、個々の施策の中では、金融や産業振興、国家戦略特区など東京の経済を盛り上げていくための政策を盛り込んでおります。

○やながせ委員 そういった政策は掲げられているんですけど、ただ、本来であれば、この長期ビジョンに掲げた政策を実現することによって、どれだけ都内の総生産がふえていくのかであったり、どれだけ税収がふえるのかといったことにぜひ着目をしていただいて、これからでもいいので、この政策目標をぜひつくっていただきたいというふうに私は考えておりますし、ぜひ要望したいというふうに思います。
 行政は、もちろんさまざまな事業があって、お金を使うということが仕事であります。ですので、このお金を稼いでくるというのは、なかなか難しいことなんだと思います。ただ、じゃ、東京都庁の中でどこがお金を稼ぐということを考えるのかといったら、それは政策企画局しかないだろうというふうに思いますので、ぜひ東京都のお金を稼ぐヘッドなんだという認識を持っていただいて、今後も政策企画局が先頭に立って事業を進めていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
 それで、先ほどからもありましたけれども、この長期ビジョンをぜひ実現したいと思いますし、実現していただきたいです。その実効性を高めるために、先ほど進捗の話もありましたけれども、やっぱり検証することが大事だということを私からも申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、実施計画を今後つくる際に、それまで実施してきた政策や事業の検証結果をどのように反映していくのかということについてお伺いをします。

○小池計画部長 実施計画は、長期ビジョンに掲げた政策の確実な実現に向けて、真に実効性のある取り組みを重点的に進めていくために策定するものでありまして、これまで実施計画を策定する際には、前年度までの事業の進捗状況ですとか、事業実施によって得られた成果を把握した上で、その時点における社会経済状況などを勘案しながら、政策の確実な実現に必要な事業を選定してまいりました。
 現在、まさにこの四月から実際に事業をやっていくということでありますので、検証というのは、そういった事業が進んだ結果を見てということになると思いますが、今後、実施計画の策定に際しては、先ほどご紹介したような見直し事例などを踏まえながら対応していくものというふうに認識をしております。

○やながせ委員 ありがとうございました。しっかりとこの計画を検証して、それを反映していくということをやっていただきたいというふうに思いますし、私たちも、都民の暮らしがこれによってどういうふうに変わっていくのかということを見ていきたいというふうに思います。ですので、PRをしっかりやっていただきたいということ、これは思います。そのときには、こういう課題があるんだよ、東京都は非常に厳しい状況があるんだ、だけれども、これを乗り越えて、この事業を展開していって、その結果、こういったすばらしい東京ができ上がるんだという、その流れでしっかりと都民に説明をしていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

○上田委員 まず、私は都市間交流についてお尋ねをいたします。
 昨年十二月、東京都都市外交基本戦略が策定されました。
 これまで都では、国際化、情報化に向け、鈴木都政下の一九九四年に東京都国際政策推進大綱を策定し、友好都市交流を進めてきました。また、石原都政下の二〇〇一年には、アジア大都市ネットワーク21を立ち上げ、アジア地域を中心とした多都市間の交流による事業が展開されてきました。
 このような国際的な都市間交流は、国際平和の進展に貢献するものであり、次の四つの側面を有するものだと私は考えております。
 その第一は、政治部門、すなわち理事者、議会の間の交流です。狭義の都市外交ともいえるのではないでしょうか。
 第二は、職員間の交流です。これにより実務上の問題の解決に向けた行政技術の共有が期待されると思います。
 第三は、民間交流の支援。民間交流の促進のための環境整備です。
 第四に、これらを包括するものとして、東京の都市ブランドの売り込み、PRです。
 これらは相互にリンクして展開されるものであり、シナジー効果が発揮されるものと思われます。この考えに基づきまして、以下伺わせていただきたいと思います。
 まず、基本戦略が策定されたことによる従来の都市間交流施策との変更は、来年度にどのように向けてどのように生じるか、見通しをお聞かせください。

○横山外務部長 昨年末に策定いたしました東京都都市外交基本戦略では、都市外交の今後の方向性といたしまして、友好都市等とこれまで築いてきた成果を生かしつつ、その見直しや再活性化を図った上で、各局実務レベルでの交流、協力を強化していく旨、記載をしてございます。
 来年度においても、本戦略を踏まえた都市外交を展開してまいります。

○上田委員 都市外交のきっかけといいますか、推進のきっかけとなりました、昨年度、知事のトップマネジメントを強化するということで、知事本局から政策企画局へ組織変更が行われ、外務長と都市外交担当部長が配置をされました。儀典長から外務長に名称が変更をされたわけでございます。
 つきましては、基本戦略の策定に外務長及び都市外交担当部長がどのように関与され、ご知見が反映されたのか。特に深く関与された項目などがございますか。具体的にお答えくださいませ。

○横山外務部長 都市外交基本戦略の策定におきまして、外務長は、その企画立案など専門的見地から中心的な役割を果たしてまいりました。また、都市外交担当部長は、外務長をサポートし、都市外交基本戦略策定の実務を担当しております。

○上田委員 そうですね、実務を中心的な役割を果たされたということで承知をいたしました。
 ついては、基本戦略では、知事による外国都市の訪問や国際会議等への参加は効果が大きくと、こちらの一九ページに記載されておりますけれども、その効果はどのような効果が期待できるのか。職員間や民間交流だけでは得られない知事による効果がありましたらば、具体的にお答えいただければと思います。

○横山外務部長 都市外交におきましては、最高責任者である首長同士が交流することで緊密な都市間の信頼関係の構築が可能となります。また、首長が相手都市の先進事例などを直接見聞できること、トップによる東京のプロモーションを行えること、現地メディアを通じて東京の政策や魅力等を強く発信できることなど、都市外交における首長の果たす役割は非常に大きいと認識しております。

○上田委員 過日の予算特別委員会での私どもの会派の議員への知事のご答弁で、独自の外交人脈もあり、表彰もされているということで、知事の国際的な貢献度の高さ、あるいは、もともと国会議員もなされ、そして国際政治学者であられるということで、非常に知事ご自身の効果が高いというのも理解できるところではありますけれども、トップダウンももちろん重要ではございますが、ボトムアップの見方というのも看過できないと思うのでございます。
 そのような観点から基本戦略の方をじっくり拝読させていただきましたが、民間交流の支援促進に関する記述がいささか少ないのではないかなというふうに思った次第でございます。
 民間交流は、NGOによる国際貢献事業から文化芸術団体の交流、教育現場の交流、研修生の受け入れのような技術交流、こちらも今度、留学生支援を入れるということでございますが、まさに多岐にわたっております。いわゆる草の根交流の領域が大きいものでございます。このような草の根の領域こそ、国家間の外交で果たし得ないものではないでしょうか。
 今まさに物騒な世の中になり、テロの問題もある中で、その中で、NGOやまさに民間で支え合い、信頼関係を別途補っている事例を多々拝見しても明らかなことだと思います。
 そこで、民間交流の支援促進については、この都市外交戦略におきまして、都市間交流におきまして来年度における考え方、取り組み、課題認識につきましてお示しくださいませ。

○横山外務部長 姉妹友好都市等とはこれまでも、環境、教育、文化、スポーツなど、行政同士はもちろんのこと、民間も含め、さまざまな分野において交流を行ってきております。
 引き続き、民間とも連携しながら都市外交を推進してまいります。

○上田委員 民間交流にも視野をいただけるということで部長からのご答弁を、この基本戦略では読めなかった部分の言質を頂戴いたすことができました。
 推進をされるということで、じゃ、実際に来年度予算ではどうかということを拝見させていただきます。都市外交推進費として従前三億六千五百万円であったところ、六億七千万円ということで増額をされているところです。増額の必要性と具体的な使途についてご説明いただければと思います。

○横山外務部長 二〇二〇年大会の成功と世界一の都市東京を目指して、さまざまな取り組みを行っていく必要がございますけれども、それを都市外交の面から支えるための予算を計上してございます。
 主な内容といたしましては、知事の海外出張、在京大使館等との連携強化等の経費でございます。

○上田委員 きょうは、私、資料の方を理事者の皆様、委員の皆様にちょっと配らせていただいております。昨年の四月十八日に、都市間交流の実績と実態調査のために、東京都儀典長、現在は外務長というふうに名前が変わっておりますけれども、儀典長に係る情報公開を行いました。開示の概要がここにまとまっておりますので、ちょっとごらんいただければと思います。
 この資料によりますと、儀典長による海外出張はアジネット21のみでございました。儀典長から交代された外務長は、海外出張の回数がふえるようではございますけれども、来年度はどのような頻度となるのか。その目的と狙いにつきまして、現時点での外務長のお考えをお示しくださいませ。

○横山外務部長 知事を支える立場から、外務長は知事の海外出張に同行することとしてございます。来年度も引き続き、知事の都市外交を支えていきます。

○上田委員 部長の方からお答えになられましたけれども、引き続き知事の都市外交を支えるために同行をされるということであり、ということは、舛添知事は海外出張もかなり多いということで出張費がふえていくというようなことで、この六億七千万の増額については、理解と、またチェックをしてまいりたいと思います。
 このように、こちらの資料の方をもう一回見ていただきますと、この最初の二枚が情報公開の海外出張の経緯でございまして、残る総務委員会資料、儀典長の主な出張先一覧という横軸のものをごらんいただけると、都市間交流にかなり民間施設が利用されております。途中で儀典長がかわられているので、例えば四分の二ページですと、帝国ホテル九件、ホテルオークラ五件、ホテルニューオータニ十件、そして四分の四ページ、帝国ホテル十二件、ホテルオークラ十二件、ホテルニューオータニは三件ということになっております。
 実際、このように都市間交流に民間施設が活用されている実態があるのですが、一方、知事は、ことし一月六日の記者会見で、やはり格が全然違うと。おもてなしをするときに、公的な東京都の迎賓施設へ迎えるというのは、公式な賓客としてお迎えすることになる、気持ちはいっぱいこもっていても、民間の施設を使ったということになると、相手からすると少し格が下がったことになると述べられてはいるんですけれども、資料にあるとおり、既にもう大いに民間施設を有効活用されていて、先ほど来、委員からも財源をどうするんだというようなお話のある中で、こうした東京都の民間施設を大いに都市間交流に活用していただくことは、また財源といいますか、税収のアップにもつながっていくように、ちょっと私見では思った次第でございます。
 こういったことも踏まえまして、都市間交流の際の賓客の迎賓施設の選定の考え方をお示しくださいませ。

○横山外務部長 基本戦略におきましても、友好都市の首長を初め、海外主要都市の首長など、東京を訪問する要人を適切に接遇することは重要である趣旨の内容が記載されております。
 世界一の都市にふさわしい、また東京の魅力発信にもつながるような東京都としての接遇に取り組んでまいります。

○上田委員 東京都としての接遇ということで、まさに東京都庁の第一本庁舎の知事室におかれまして、知事が賓客と会談する場面が報道されます。これを見る限り、スペースや設備に不都合はないのではないかなと思いますが、その際の接遇の考え方をお示しくださいませ。

○横山外務部長 知事は、相手の人数等に応じまして、基本的に庁舎内の会議室や応接室などを活用し、賓客との会談等を行っております。
 なお、接遇の形態はさまざまなものがございますことから、目的に応じまして、美術館や庭園など、都の施設も活用した接遇も行っているところでございます。

○上田委員 東京都は、さまざまな美術館、まさにおっしゃるように庭園も持っていらっしゃるということで、そこを大いに活用して、大抵は会議室等やお客様を迎えるようなスペースも活用しているということが理解できました。
 また、提出していただいた資料四ページによりますと、都内には既に公の迎賓施設が三カ所あります。これらの施設の設置目的、稼働状況、都としての利用実績、都は都市間交流に利用できないのか、その可能性等も踏まえてお答えくださいませ。

○横山外務部長 今お話にございましたように、本日の要求資料として提出をさせていただいておりますが、都内には、迎賓館赤坂離宮、外務省飯倉公館、三田共用会議所の三カ所、公の迎賓施設が存在しております。
 これらの施設は国の施設でございまして、都単独での利用実績はございません。
 なお、設置目的、稼働状況については、都として承知をしてございません。

○上田委員 私も取り寄せて、あっと思ったんですけれども、この三田共用会議所、私、都立三田高校出身で、すぐそばにあって、いつも人けがなくて何に使っているのかなと、ジョギングというか、部活のランニングをしながら見たところが、そういった施設で使われているということでございます。
 国は国といっても、同じ税金で運営されているのであれば、私の限りでは余り活発に使っているように見えなかった三田共用会議所等も、知事も元国会議員でいらっしゃいますし、ぜひ国の方にも働きかけていただきまして活用ができないのかなというふうに考えた次第でございます。
 次に、都市外交人材育成基金、八十億について伺いたいと思います。
 この金額の算定根拠、基金の目的と使途について、もちろん、口頭で事前資料等は伺ってはいるんですけれども、やはり額が大きいということと、説明資料が三行ぐらいで終わってしまってイメージがちょっと湧きづらいので、委員の皆さんとも共有したいので、目的と使途について改めてご説明をください。

○小菅国際共同事業担当部長 現行のアジア人材育成基金七十億円をベースにしまして、基金対象事業を拡大すること等を踏まえて、平成二十八年度から九年間の総額を八十億円といたしました。
 基金の目的は、東京と世界各都市との発展に向けまして、その相互の交流及び協力を担う人材の育成に資する施策の推進に要する資金に充てるための財源として設置するものでございます。
 具体的な充当事業、使途は、来年度以降の予算編成の中で調製、決定していくことになります。

○上田委員 そうしますと、来年度以降ということでございますが、ちょっと一般的に伺いたいと思うんですけど、増額等は考えていらっしゃるか。増額をするとなると、いかなる必要性が生じたときかということをちょっと確認させてください。

○小菅国際共同事業担当部長 平成二十八年度から九年間の総額として定めるものでございまして、基金の設置を提案してございます現時点で基金の積立額を増額することは考えておりません。

○上田委員 不安定な税収、法人二税に頼るということで、基金の重要性というのも理解するところではございますけれども、ちょっと基金のあり方については、うちの会派でも今後も検討、研究をさせていただきたいと思います。
 また、では、この基本戦略の中のどの部分だというふうにいっても、なかなかすぐにはあれで、後で資料としてもう一回提出していただいたのが八ページの部分と一〇ページと一九ページ、それから二一ページというふうな形になっておりますので、今後、予算でございますので、お金がかかることについての資料は、もうちょっと親切だとありがたいなというふうに思った次第でございます。
 次に、長期ビジョンの歴史的背景と未来へ向けて伺いたいと思います。
 東京都は、安井都政以来、長期ビジョンを策定してきました。計画行政を基礎づけるもので、改めて長期ビジョンを策定する意義、都政における位置づけについてお示しください。

○小池計画部長 東京都が施策を進めていくに当たりまして、都として目指すべき将来像や都政運営の基本的な考え方、都政全体の政策体系、こういったものを明らかにするとともに、これらを都民にわかりやすく説明することが重要でありまして、こうした観点から、長期ビジョン、こういった長期計画の策定が必要だと認識しております。
 今回つくりました東京都長期ビジョンの都政における位置づけでありますが、これは今後の都政運営の指針、大方針となるものであります。

○上田委員 まさに未来を都民と共有し、約束をするというような位置づけだと思われますが、長期ビジョンの計画期間は、ご承知のとおり十年間ですけれども、これが知事の任期と一致していませんよね。だから、知事が次の選挙を目指してつくる場合と、遺言のように残す場合というようなことが歴史的にあったようにも思います。そうした知事の任期と一致しないことから、一昨年には策定に着手した知事が辞職してしまうという事態が起きました。
 長期ビジョンと都知事の任期との関係、仮に知事が交代するなどにより見直しが求められた場合の考え方についてお示しください。

○小池計画部長 行政計画のうち、法令で計画期間が定められているものがございますが、それ以外のものにつきましては、何年を計画期間にするかというのは、その時々の社会経済状況や直面する諸課題の内容などによって、その都度判断すべきものであると考えております。
 今回策定した長期ビジョンにおきましては、二〇二〇年大会の成功はもとより、少子高齢、人口減少社会の到来など、さらなる先を見据えて東京が直面する諸課題を解決する必要がある、そういう観点から、今からおおむね十年を計画期間と定めてございます。
 また、一般論ではありますけども、各種計画について見直す時期が来たと判断される際には、それまでの計画の進捗状況を踏まえつつ、その時点における社会経済状況などを勘案しながら必要な改定を行うものと認識しております。

○上田委員 ありがとうございます。
 ということで、今ご答弁の中では、都政全体の政策体系を明らかにして都民にわかりやすく説明をしていただける、社会状況や課題によって、その都度判断、その都度必要な改定を行うという認識ということを確認させていただきました。
 つきましては、さきの事務事業でも指摘をさせていただきましたけれども、長期ビジョンの策定に当たっての都民参加は、パブコメの募集期間が二週間ということと、中間報告は販売しなかった--先ほど委員が、今これが一万部ぐらい売れているということを見れば、やっぱり中間報告も、もしも販売したらば、かなり売れたのではないかなみたいに思った次第でございます。販売しなかった理由はきちっと了解はしておりますけれども、意外や意外に、そこの冊子に関して住民の関心が高くて、あと公開の仕方も、都民情報ルームで閲覧ということですので、東京二十三区二十六市ございますので、この点を鑑みますと、都民参加、都民参画の計画づくりは低調だったというふうに私は考えております。
 計画実施に当たっての都民参加、都民参画の考え方、それ以前の問題として、長期ビジョンを都民にどう周知していくかについて具体的な取り組みをお示しくださいませ。

○小池計画部長 計画実施に当たっての都民参加ということでいえば、世界一の都市東京の実現のために、都みずからの取り組みだけじゃなくて、都民や民間企業、町会、自治会、NPOなど東京にかかわる多様な主体と相互に連携をして取り組むことが重要であるというふうに考えております。
 長期ビジョンの都民への周知の方ですが、ホームページへの掲載、ツイッターでの情報発信、「広報東京都」二月号での紹介のほか、他の有償刊行物と同様の取り扱いではありますが、都民情報ルームでの閲覧や販売、都内約四百四十の書店での取り寄せ販売などを実施しておりまして、今後も、PR版の作成など長期ビジョンに関する広報活動を積極的に展開していきたいと思っております。

○上田委員 都内四百四十もの書店での取り寄せ販売ができるということは、本当に、ああ、すごいなとは思うところでございますが、一歩踏み込んで、今日的にはアマゾンなどでの取り寄せができるようになれば、きっと気軽に取り寄せて大いに議論をしていただきまして、まさにわかりやすくて住民参画ができるような長期計画になっていくと思います。次の見直しのとき、また定点観測させていただきます。
 最後に、美濃部都政は広場と青空東京構想、鈴木都政はマイタウン東京構想、青島都政は生活都市東京構想、石原都政は「十年後の東京-東京が変わる-」ということで、二〇〇六年に発表されて、まさに十年がたとうとしております。
 オリンピックを実現するための都市構想がまさに動き出して、「十年後の東京」を貫く三つの当時の視点は、科学技術、人材育成、東アジアというのを掲げていました。アジア大都市ネットワーク21も見直され、中止ということが図られる時期に入り、また、アジア人材育成基金が再構築され、グローバル化し、都市外交人材育成基金へ看板がかけかわった十年の時代の流れを感じております。
 こうして今、舛添都政が目指すものは、世界一の都市東京の実現ということでありますが、何をもって世界一とするのかは、きょうもるる議論がありましたが、大変難しいところでありますが、計画の最初にあるように、全ての人が東京で暮らして最高の幸せを実感できるに尽きると私は考えます。
 肥大化するメガロポリス東京というよりも、人々が自由を謳歌し、快適に暮らす、基礎自治体にそれぞれ住民自治--コンパクトシティーの集合体というイメージを私は抱いているものでございます。
 都民中心、最優先のための長期計画、それに基づく附帯事業の執行でありましょうし、都市外交基本戦略ももちろんその中に含まれると考えております。
 残念ながら、長期ビジョンのパブリックコメントにおきましては、先ほど申し上げたような少し低調であったということと、こちらにおきましても、四百六十ページ分のパブコメ部分は五ページということで、本来であれば、どこにも都民が入るような、ともにつくってきたことが実感できれば納税者意識も高まるように私個人は思います。
 また、都市外交基本戦略に民間交流についての明記がなかったことが少し残念に思いました。知見がある外務長と部長が企画立案など、外務長は専門的見地から中心的役割を果たしていたという答弁がいただけていたのですが、ちょっと民間交流が落ちてしまったのかなというふうに思っております。
 私は区議会議員から都議会議員となって、この都議会、都庁、都政をいろいろ勉強させていただくようになりまして、どうも地域住民のあずかり知らないところで都政がどんどん決まって動いているように思われるところが多々あります。
 東京都は、世界一住民が参画し、住民自治が世界ナンバーワン都市東京の実現、そしてそのためには、オリンピック、いろいろな施設の見直しを舛添知事はしていただきましたけれども、るる迎賓施設のあり方についてお尋ねしたのも、もはや少子高齢化において不要不急の箱物は一つもつくっている余裕がないということをぜひ強い認識を求めまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○徳留委員 最後に、これまでの東京都アジア人材育成基金条例を廃止する問題と新たな東京都都市外交人材育成基金の条例について、我が党の立場を明らかにするために二点だけ質問いたします。同僚委員の質問とかぶるところがありますけれども、質問させてもらいます。
 第一に、これまでのアジア人材育成基金を廃止して、その基金の残金二十五億円とともに新たに来年度五十五億円を追加して、来年の総額で八十億円を積み立てることになっています。都民の目線から見ても、巨額の予算ということになります。
 この基金の目的と主な事業の内容について、今後の見通しと特徴的な事業について、まず伺います。

○小菅国際共同事業担当部長 都市外交人材育成基金は、東京と世界各都市との発展に向けまして、その相互の交流及び協力を担う人材の育成に資する施策の推進に要する資金に充てるため、新設するものでございます。
 平成二十八年度から九年間の事業に活用しまして、首都大学東京が行う留学生の受け入れと高度研究、多都市間の実務的協力事業、友好都市等との政策提携などの合意に基づく人材育成事業等を推進してまいります。

○徳留委員 来年度八十億円を基金として積み立てた上で、今後の予算の具体的な執行のあり方についてはどのような仕組みになっているのか、伺いたいと思います。

○小菅国際共同事業担当部長 来年度八十億円を積み立てまして、翌平成二十八年度から毎年度必要額を取り崩して事業に充当してまいります。
 具体的な充当事業、使途は、来年度以降の予算編成の中で調製、決定いたしまして、歳入予算に取り崩し額を、歳出予算に事業費を計上することになります。

○徳留委員 八十億円の巨額の事業となります。都民との関係で透明性が必要であり、この事業の推進が、外国都市との交流や友好など都民にとってもさまざまな分野あるいはいろいろな角度から利益をもたらされるようにすべきだという要望を述べて、質問を終わります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案並びに報告事項に対する質疑は終了いたします。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十六分散会

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