総務委員会速記録第十八号

平成二十六年十二月十九日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長栗林のり子君
副委員長西沢けいた君
副委員長中屋 文孝君
理事やながせ裕文君
理事徳留 道信君
理事早坂 義弘君
清水 孝治君
栗山 欽行君
上田 令子君
高倉 良生君
服部ゆくお君
田島 和明君
ともとし春久君
山下 太郎君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長川澄 俊文君
外務長宮島 昭夫君
次長理事兼務武市  敬君
理事猪熊 純子君
総務部長河内  豊君
調整部長中澤 基行君
政策担当部長藤田  聡君
政策担当部長小沼 博靖君
技術政策担当部長加藤 直宣君
渉外担当部長政策担当部長兼務小室 一人君
国家戦略特区推進担当部長山本 博之君
渉外担当部長政策担当部長兼務村岡 教昭君
計画部長小池  潔君
外務部長横山 英樹君
都市外交担当部長川上 文博君
国際共同事業担当部長小菅 政治君
総務局局長中西  充君
危機管理監宮嵜 泰樹君
次長理事兼務中村 長年君
総務部長榎本 雅人君
尖閣諸島調整・特命担当部長野口 毅水君
訟務担当部長和久井孝太郎君
復興支援対策部長川合  純君
復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務赤木 宏行君
行政改革推進部長三木 暁朗君
自治制度改革推進担当部長奥田 知子君
情報システム部長中島  毅君
首都大学支援部長伊東みどり君
人事部長内藤  淳君
労務担当部長栗岡 祥一君
主席監察員大朏 秀次君
行政部長西村 泰信君
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務佐々木秀之君
区市町村制度担当部長越  秀幸君
大島災害復興対策担当部長神山 智行君
総合防災部長矢岡 俊樹君
企画調整担当部長裏田 勝己君
防災担当部長小久保 修君
統計部長中村  豊君
人権部長箕輪 泰夫君
選挙管理委員会事務局局長松井多美雄君

本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百二号議案 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第三号)の報告及び承認について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十四号議案 平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、債務負担行為 総務局所管分
・第百八十八号議案 公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十号議案  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十一号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十二号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十三号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十四号議案 職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十五号議案 職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十六号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十七号議案 職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十八号議案 東京都特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例
・第百九十九号議案 職員の配偶者同行休業に関する条例
・第二百号議案   特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第二百一号議案  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「(仮称)都市外交基本戦略」(素案)について

○栗林委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局及び選挙管理委員会事務局関係の付託議案の審査並びに政策企画局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百二号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第三号)の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 衆議院議員選挙といいますと、政見放送というのがつきものでございまして、これが五人以上の政党要件がないと、無所属だったりするとできないなんていう、そこら辺の問題なんかも、今回とみに個人的にはちょっと注目をさせていただいた中で、若干、未明の政見放送が翌日の朝刊に載るというような新聞報道もありまして、新聞報道も二日分載せるとか、ちょっと配慮はしていただいたようには思うんですけれども、政見放送って、事ほどかように投票行動にも影響するものでございますので、広く有権者に、候補者の政策が過不足なく、不公平感なく伝わる非常に重要なツールの中の告知方法については重要に思われます。
 東京都選管として、政見放送の告知方法についての一般的な、一般の都民有権者に対するものと、また一方でマスコミさんへの通知、新聞報道では表記の仕方が、ちょっと誤解を招くようなものがあったので、そこら辺についてどういう対応になっているか、お伺いできればと思います。

○松井選挙管理委員会事務局長 政見放送は、衆議院議員、参議院議員及び都道府県知事の選挙の際に行われることとなっておりますが、先日の衆議院議員選挙におきましては、小選挙区では候補者届け出政党が、比例代表では名簿届け出政党がテレビやラジオにより政見放送を行ったところでございます。
 政見放送を実施するに当たりましては、候補者届け出政党、名簿届け出政党から、日本放送協会及び放送事業者に対して申し込みが行われ、候補者届け出政党については東京都選挙管理委員会におきまして、名簿届け出政党については中央選挙管理会におきまして、それぞれ公示日に、くじで放送順序を決定いたしました。
 東京都選挙管理委員会が所管しております小選挙区の政見放送の放送局及び放送日時につきまして、公示日の翌日にホームページで一般に公表いたしますとともに、都庁記者クラブを初めとする報道機関へ情報提供を行ったところでございます。

○上田委員 ありがとうございます。となると、やはり報道の仕方は各新聞社、媒体、メディアの判断ということではあると思いますけれども、引き続き誤解のないものと、できれば無所属の候補も政見放送に出るような動きになることを個人的には願うものでございます。
 ついては、補正予算の方です。衆院選挙で六十三億円ということで、多分、全国の十分の一が東京都だったのかなというまさに額でしたね。区市町村の持ち出しとなりますと、私たち選挙区も抱えているところで持ち出しがなかったのか気になるところです。持ち出しの有無があったかなかったか、万一不足が生じた場合の対応についてお答えいただければと思います。当然、資料の方で、区市町村交付金というような形できちっと渡すようなことはわかってはいるんですけれども、確認と、その区市町村交付金、過不足があるのかないのかとか、今後どのように決済されていくのか、ご説明いただければと思います。

○松井選挙管理委員会事務局長 衆議院議員選挙を初めとする国政選挙等の実施に要する経費は、公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法に基づき国庫負担とされており、その基準額は、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に規定されております。
 区市町村が国政選挙等の実施に要した経費の請求につきましては、都道府県が区市町村に調査し、執行状況等を取りまとめ、都道府県分とあわせて国へ報告することにより行われます。国からの交付につきましては、都道府県分及び区市町村分が一括して都道府県に交付され、都道府県は区市町村分を当該区市町村に交付することとなっております。
 また、基準法によりますと、避けることのできない事故その他特別の事情により、法に基づく基準額では不足すると認められる場合に、一定の範囲内で追加交付できることとされております。
 今回実施された衆議院議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に要した経費につきましては、今後、東京都選挙管理委員会におきまして区市町村に対し調査を行い、執行額を取りまとめた上で国に請求することとなります。

○上田委員 何しろ非常に急な解散で、年末ということで、国政はそういうふうに解散をしても、東京都初め区市町村というのは寝耳に水で、また、選挙というとさまざまなアクシデントが起こると思います。
 その中で、基準法では、避けることができない事項や基準額が不足すると認める場合に、一定の範囲内で追加交付が可能ということですが、一応、区市町村も当然知っているとは思いますけれども、周知をしていただきまして、持ち出しがあるかないかも丁寧に対応していただければありがたいと思います。どうもありがとうございます。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○栗林委員長 これより総務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十四号議案、平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、債務負担行為、総務局所管分、第百八十八号議案及び第百九十号議案から第二百一号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 百九十一号議案、職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例についてでございますけれども、先般、本会議の初日の方の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例は、かがやけTokyoでは反対をさせていただきました。消費増税に伴い、まだまだ実質的には賃金が民間の方で上がっていない中、都職員の勤務状況については非常に評価をするところではございますが、財政的な面も含めまして、世論も含めまして、反対をさせていただいた次第でございます。
 そちら反対した兼ね合いから、職員の退職手当に関する条例の改正について、改めての改正趣旨やその影響と、その影響額が出た場合は、本給の方で私どもは反対をさせていただいたので、こちらも、例えば退職金がふえるということであると、ちょっと検討しなきゃいけないというところで、そこについて確認をさせていただければと思います。

○栗岡労務担当部長 退職手当につきましては、平成二十四年度に国の見直しにあわせまして、民間水準との均衡を図る改正を行ってございまして、その際、在職中の職責等をよりきめ細かく反映する都独自の見直しを実施したところでございます。
 今回の改正は、人事委員会勧告による給料月額と地域手当との配分変更を契機としまして、在職中の職責反映度合いをさらに高める観点から、現行水準の範囲内で、退職手当の調整額単価を千円から千七十五円に改定するものでございまして、このため、これによる退職手当総額の増減はございません。

○上田委員 ご答弁ありがとうございました。退職手当総額の増減はないということを確認させていただきました。ありがとうございます。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。

○栗林委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 理事者の欠席について申し上げます。
 土渕理事は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 報告事項、「(仮称)都市外交基本戦略」(素案)についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○服部委員 都市外交についてお伺いいたしますが、知事は就任以来、ソチ、北京、ソウル、トムスク、モスクワ、あと仁川、ベルリン、ロンドンと、非常に積極的に海外出張を重ねてきたわけですが、こうした中で今回、都市外交基本戦略、これが示されました。
 まず、都市外交基本戦略素案ですが、これはどういう目的で、どういう性格づけのもので、なぜ今、策定され発表されたのか、この点について伺います。

○横山外務部長 東京都の都市外交の目指しますところは、二〇二〇年大会を成功させ、それをきっかけとして都市機能を飛躍的に向上させることでございまして、東京が抱える都市問題の解決を進めまして都民生活を豊かにしていくと、こういうことでございます。
 本戦略は、今後の東京都の都市外交の基本的考え方と政策の方向を示すもので、東京都長期ビジョンの目指す都政の目標達成の一端を担うものでございます。
 これまで、都では都市外交に特化した政策指針は策定しておりませんで、二〇二〇年大会に向けた準備が本格化するこの時期に、都市外交に東京都の総力を挙げて取り組むための指針として、策定を進めているものでございます。

○服部委員 これまでになかった都市外交に特化した政策指針を策定したと、そういうことですけれども、都市外交戦略素案では具体的にどのように都市外交を進めようとしているのか、伺います。

○横山外務部長 都市外交を通じて、東京の国際的なプレゼンスを高めるとともに、諸都市との友好関係を深め、ともに学び合いながら、持続的なウイン・ウインの関係を築いていくことが重要でございまして、これにより都民生活が向上し、メリットを都民に還元することができると考えております。
 都市外交の進め方につきましては、友好都市等とこれまで築いてきた成果を大切にしながら、その見直しや再活性化を図った上で、二都市間及び多都市間、マルチの都市外交も、国内外で積極的に推進をしてまいります。
 具体的には、二都市間の外交につきましては、既存の姉妹友好都市、アジネット会員都市に限らず、戦略的に協力関係を構築すべき都市を選定して進めてまいります。また、多都市間の外交につきましても、目的、時期など最も効果的な対応を探ってまいります。
 なお、知事による外国訪問や国際会議等への参加は、非常に効果が大きいものでございますが、都市外交における知事の役割が重要である一方、知事の都市外交に充てられる時間も限られているということもございますので、戦略的、計画的に訪問などを進めてまいります。

○服部委員 今、都市外交の進め方について明らかにしていただきました。
 その中で、今答弁いただきましたけれども、知事の都市外交に充てられる時間は限られていることから、戦略的、計画的に訪問などを行う必要がある、そういうお答えでした。
 このことに関しては、都市外交における知事の役割を補完するものとして、必要に応じて副知事などによる活動を行うことも考慮すべきではないかと思います。都民の中には、知事が年に何回も海外に出かけるということで、やはり危機管理などの面で大丈夫なのか、そういう懸念もあるので、十分な配慮が必要だと、そのように思います。
 また、都が進める都市外交という観点に立っていえば、今の答弁に触れられていたように、最終的には都民にメリットがあるものとなっていることが必要だと思います。都民の税金で行う以上、都民のメリットを明確にするのは当然のことであり、いかに具体的に目に見える成果を上げるかが問われております。単なるかけ声だけで終わってしまってはならない、そのように思います。
 基本戦略にも、都民にメリットを還元すると明記されているんですが、具体的にどういったことを想定して目指しているのか、伺います。

○横山外務部長 本戦略の素案の中では、東京の持つ強みを生かし、また、東京が苦手なことは、海外諸都市の先進事例などを学ぶことを通じて、都民の利益の最大化を図るという趣旨を述べさせていただいております。
 十月の知事のベルリン訪問を例に挙げさせていただければ、ベルリン市の循環型のエネルギー政策や水素エネルギーの開発状況など、環境対策で先進的な取り組みを直接学ぶ機会を得ることができました。この機会を生かしまして、実務レベルで職員が実際に政策を進め、東京の環境対策の成果が上がれば、さらに快適な東京が実現することになりまして、都民にメリットを還元していくということにつながってまいります。
 一例でご説明をさせていただきましたが、素案の中では、このように海外の先進事例などを学んできたことを各局が進める政策に積極的に取り入れていくという趣旨で、これが都民のメリットの還元に結びついていくと考えます。
 そのためにも、海外諸都市との友好関係を深め、実務レベルでの交流を盛んに行っていきたいと思っております。

○服部委員 都民のメリットができるだけ目に見える成果として出るように、各局の事業の後押し、下支えを政策企画局がしっかりと今後も取り組んでもらいたいと思います。
 そして、都市外交を実務的に進めていくに当たっては、我が党の代表質問でも取り上げたように、都市と都市との間に人と人とのつながりをしっかりと構築することが大切だと思います。
 人材育成の観点は、都市外交の重要なテーマであります。そのために、基本戦略素案では、人材育成に資する目的の新たな資金の造成が示されました。これは、従来のアジア人材育成基金、これをもとに再構築すると聞いておりますが、そこで、アジア人材育成基金の実績と成果について確認をさせてください。
 それで、確認と同時に、この基金が創設されてからこれまでの間に、アジア人材の育成にどのように使われて、どのような成果が上がったか、これも含めて答弁いただきたいと思います。

○小菅国際共同事業担当部長 アジア人材育成基金は、アジアと東京の発展に向けまして、アジアの将来を担う人材の育成に資する施策の推進に要する資金に充てる目的で、平成二十年四月に創設されました。
 金額は七十億円ということで、平成二十一年度より取り崩しを始めまして、これまで、首都大学東京の博士後期課程に留学生を受け入れて、アジアの大都市問題の解決やアジアの発展に資する高度、先端的な研究を行うほか、行政職員の研修、都市間での共同研究などを実施してまいりました。
 具体的には、高度研究の分野では、アジア都市圏における急激な人口増加と人間活動の拡大に起因する水問題解決といったテーマなど、十テーマの研究を実施いたしました。
 これらの研究などを通じまして、中国、インド、ベトナムなどアジア諸国から、昨年度末現在で百十七名の留学生を受け入れております。
 また、これまで約五百八十人のアジアの行政職員、専門職員に対しまして研修などを実施いたしまして、政策形成、職務遂行能力の向上に寄与してまいりました。
 さらに、マニラ、バンコクなどアジア諸都市の専門家とともに、結核や新型インフルエンザなどの感染症への対策につきまして共同研究を行い、各都市の施策向上と人材育成につなげております。
 このような事業を通じまして、アジア人材育成基金は、東京とアジアがともに発展していくための礎を築いてまいりました。

○服部委員 アジア人材育成基金が一定の成果をおさめてきたということは確認できました。
 今、行政職員の研修受け入れについて話がありましたけれども、これについて、アジア各都市の東京に対する期待、これは大変高いものがあるんですね。前回の事務事業質疑の際にも触れましたが、私はことし、都議会自民党のマレーシア行政調査団の団長を務めて、現地で視察調査や意見交換を行ってきました。その際にも、クアラルンプール市の幹部から、東京から学びたい具体的な分野について言及があり、職員の交流や人材育成の重要性をお互いに確認したところでもあります。
 職員の研修については、このような各都市の課題もきちんと踏まえ、実効性のあるものにしていくことが重要であると考えます。
 そこで、基金を活用した行政職員等の研修について、具体的な例も含めてその成果を伺います。

○小菅国際共同事業担当部長 都はこれまで、環境、都市計画、危機管理などの幅広い分野におきまして、アジア各都市の行政職員、専門職員に対して継続的に研修を行ってまいりました。施策や計画の立案に関するものもありますし、救助隊員など現場の職員が技術を学ぶ研修も行っております。これらの研修に加えまして、時宜に応じたテーマに基づく研修も実施しております。各都市の共通の課題に応えてきたという形でございます。
 例えば、ことしは、クアラルンプール市の意見をもとに、公衆衛生、特に公共施設の衛生的な維持管理に関する研修を企画しております。都における公衆衛生施策の概要に関する講義に加えまして、都立公園や駅の清掃を視察し、公共施設を衛生的に維持するための実際の取り組みを学ぶことといたします。
 さらに、小学校におけるモラル、衛生教育の見学など、施設を清潔に使わせる教育の側面にも焦点を当てます。
 一月に三日間の日程で実施をいたしますが、クアラルンプールのみならず、デリーやバンコクといった他の都市も参加の意向を示しております。
 研修生が各都市に持ち帰った情報が新しい施策につながる例など、これまで研修生の受け入れを通じまして、人材育成とアジア各都市が抱える課題の解決、そして都市間関係の強化に着実に貢献してまいりました。

○服部委員 今、こうして事例を伺って、アジア人材育成基金がアジアの各都市にとっても大変有意義な事業に使われているということがわかりました。こうした実績を踏まえて、新たに設置する基金を上手に活用して、アジアはもちろんのこと、グローバルな人材育成に活用してもらいたいと思います。
 海外から留学生、研修生を受け入れ、育てる際には、留学や研修を通して、世界に誇る日本の伝統文化に触れる機会、あるいはこれは日本人、私自身も自戒の念をもって申し上げますけれども、本来、日本人の持つ規範意識あるいは礼儀正しさ、こういったものを学ぶ機会を持っていただいて、帰国後も、東京で留学、研修したことを彼らが誇りを持って語ってもらう、そういう事業の提供に努めていただきたい、そのように思います。
 そして、実務的な都市外交を進めていく上には、これまでのように海外から職員や留学生を受け入れるだけでなく、東京からも職員を海外の諸都市に派遣していくことも必要だと思います。職員を海外に派遣することは、これは長い目で見て重要な布石、種まきとなります。東京を世界で一番にするためにも、世界を知り、広い視野で政策を考えることのできる職員を育成することが重要なテーマであり、基金を有効に活用して進めるよう要望をしておきます。
 ここまで、都市外交基本戦略素案について質問してきました。本日の質疑を通じ、都市外交による成果も出ていることが確認されましたが、引き続き、都民の理解を高めながら、都市外交にしっかり取り組んでもらいたい。とりわけ、都市外交を支える人材の育成について、重視していることを改めて申し上げておきたいと思います。
 我々も、都民のために具体的にどのような成果を上げるか、また、相手都市に対しての貢献を通じて、東京のプレゼンスを上げていくことができるのか、注視していきたいと思います。
 いうまでもなく、知事が都政運営を行うに当たっては、時には内政、時には都市外交にと、その時々の状況に応じてバランスをとった取り組みが求められています。知事には、内政も強力に進めながら、都民に役立つ都市外交にも尽力し、オリンピック・パラリンピックの成功へ向けた都政のかじ取りを行ってもらいたい、そのように思います。
 そこで、最後に、都市外交をどのように進めていくのか、知事を支える政策企画局長の決意を伺いたいと思います。ありがとうございました。

○川澄政策企画局長 都市外交の成果を着実に上げていくためには、中長期的な視野に立って優先度を考えつつ、戦略的に進めていくことが重要であると考え、今回、初めて都市外交基本戦略を策定いたしました。
 本戦略の基本方針には、都庁全体で総合的に取り組み、都民生活を向上させ、メリットを都民に還元することを明確に位置づけております。都庁の総力を挙げ、都市外交を通じた都民生活の向上に全力で取り組んでまいります。
 さらに、中長期的な視野に立って都市外交を進めるため、グローバルに人材育成に取り組むこととし、そのための新たな基金を創設したいというふうに考えております。これにより、委員にもご指摘をいただいた海外派遣や研修などを通じて、職員の人材育成を強力に進め、都市外交の成果を高めていきたいというふうに考えております。
 知事のトップマネジメントを支える局として、知事が東京にいて進める政策も、海外に出かけて進める政策も、双方が十分に機能し、相乗効果を上げられるよう、各局とも緊密に連携しながら、しっかりと知事を支えてまいります。

○高倉委員 今、国際関係がさまざまに複雑な状況もありまして日々動いていると。日本がそうした中にあっていろんな影響を受けざるを得ない。自治体としての東京都も、こうした国際関係の影響といったものは、大なり小なりいろんな形で影響を受けるというような状況はあると思います。したがって、日本の首都として、日本の顔としての東京都が独自の都市外交を展開していくということは、大変に意味が大きいというふうに思っております。
 また、六年後にはオリンピック・パラリンピックを東京で開催をするということでありますので、世界のさまざまな都市と交流を結んでいくと、またそれを拡大していく絶好のチャンスであると。そうした意味でも、今、東京都が都市外交の基本的な戦略を定めて展開していくということは、大変意味があることではないかなというふうに思っております。
 都市外交基本戦略の素案を見てみますと、二ページの下の方には、これまで都では都市外交に特化した政策指針は策定をしておらずと、平成六年に策定をした東京都国際政策推進大綱の中で都市外交に取り組む方針が示されているのみであったと、こういう状況であったんだというふうに思います。そうした意味でも、今回、この基本戦略を策定していくということは、大変大きな意味があるのではないかなというふうに思っております。
 この素案の中の別添の資料、二〇ページを読みますと、今、東京都として十一都市と姉妹交流を結んでいるということがわかるわけでありますけれども、今回、この素案の中で、姉妹友好都市との関係の再構築を図っていくといったことがいわれているわけですが、確かにこれを見ますと、ニューヨークなんかは五十四年が経過をしていると。最も新しいローマにしても、合意の締結から既に十八年が経過をしていると。当然ながら、双方の首長もかわっているわけでありまして、今、本当に、こういう歴史も踏まえつつ、関係の再構築を図っていくということは大変重要なことではないかなと思っております。
 舛添知事につきましても、ことし四月、七月、十月、それぞれ北京、ソウル、それからベルリン、こうした都市を公式訪問されて、既に新しい合意を締結しているということでありまして、こうした三都市については、その合意に基づいてさまざまな事業が推進をされるのではないかと思います。
 私ども公明党は、今回の舛添知事の積極的な都市外交については大変評価をいたしているところでございます。
 そこで改めて、今後、東京都として、姉妹友好都市との関係の再構築、これを具体的にどう進めていくお考えなのか、このことについてまずお伺いをしたいと思います。

○横山外務部長 都市外交の推進におきまして、姉妹友好都市との関係の再構築は、戦略的な展開を進める上での非常に重要な柱になると考えております。
 姉妹友好都市につきましては、相手都市の意向及び都にとっての有効性を総合的に判断しました上で、五年ごとの周年行事などの機会を捉えまして、知事が相手都市を訪問するなど、関係の再構築を図るところから始めていくことが重要でございます。ベルリンに十月に訪問いたしましたが、これは二十周年ということで訪問をさせていただきました。
 一方では、知事の外国訪問の機会というのは非常に限られていることから、先方首長の来日を促し、東京の方に来ていただくということも必要でございまして、こうした首長同士の往来を通じて、姉妹友好都市との関係の再構築を進めてまいります。

○高倉委員 今答弁にありましたトップ同士の往来ということはもちろんでありますけれども、実務者レベルでの交流によって、都市と都市とが互いに学び合う関係をより実効性あるものにしていくということは、本当に重要であるというふうに思っております。
 私ども都議会公明党として、さきの第三回定例会で質問したことに対して、舛添知事は、来年度中を目途に自治体国際化協会の海外事務所も活用し、姉妹友好都市などへの職員派遣の拡大を検討していくといった答弁もされているわけであります。職員が相互交流していくということは本当に大事であると思います。
 以前にも申し上げたと思いますが、ことし杉並区で行われた東京都の総合防災訓練、そこには韓国あるいは台湾の主要な都市の行政の関係者も来ていらっしゃいまして、大変実り多い訓練になったのではないかなというふうに思います。
 こうした職員の相互交流、より活発にしていただきたいというふうに思いますけれども、さらに一歩進んで、一定期間職員の交換を行うということで、相互理解が深まりまして、それによって実務交流がしっかりと根づくことになるのではないかなというふうに思いますけれども、この点についてのご見解をお伺いしたいと思います。

○横山外務部長 都市と都市との学び合う関係をより実効性のあるものにしていくためには、相互の信頼関係に基づく協力が大切でございます。そのためには、トップ同士の信頼関係の構築はもとより、実務者レベルにおいても交流を促進することが大切だと考えております。
 これまで知事が訪問した友好都市との間では、合意事項について、各局が先方都市のカウンターパートとの間で具体的な交流、協力を開始しております。
 さらに、北京市とソウル特別市につきましては、平成十一年を最後に中断しています職員交換を再開するということで合意をいたしておりまして、現在、具体的な内容について検討を行っているところでございます。
 こうした職員派遣等を通じまして、相互理解を深めるとともに、実務レベルでもしっかりと友好都市等との交流、協力を促進してまいります。

○高倉委員 職員が海外諸都市と交流をすることで、その職員の能力向上にもつながっていくと思います。こうした人材の交流を通じてその成果が都政に還元をされることで、よりよい政策が実行され、都民の利益につながっていくものというふうに期待をしておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 都市外交という、いわゆるほかの国の都市と交流をしていくということで、本当にいろんなことが考えられるのではないかなと思います。今回の素案の中でも大都市共通の課題解決といったことも入っておりまして、大変大事だなと思っております。
 また一方で、例えば文化の面での交流ですとか、あるいは教育の交流といったような、より共通点が見出しやすい、そうした中での交流というのをどんどん図っていくべきではないかなというふうにも思います。
 先ほども質疑がありましたけれども、世界一の都市東京の実現におきまして、広い視野を持ったグローバルに活躍できる人材の育成を中長期的に進めていくということが大変重要であるというふうに思います。
 特に、長い目で見ますと、若い世代の海外との交流が大変重要でありまして、例えば教育庁で行っている次世代リーダー育成道場あるいはJETプログラムなどは、高校生が生きた英語に触れ、国際感覚を養う機会として、大変有効な取り組みであるというふうに思います。
 そこで、次の世代、次の時代を担う若者たちの交流についてどう進めていかれようとしているのか、このことについての見解をお伺いしたいと思います。

○横山外務部長 ご指摘のように、都ではこれまで、都立高校等の生徒を対象としました海外留学支援のほかに、JETプログラムによる英語教育の充実や国際交流の拡大を通じまして、世界を舞台に活躍する人材の育成に取り組んできております。また、姉妹友好都市を初めとした世界の大都市との交流事業として、国際ユースサッカー大会を開催するなど、スポーツを通じた少年少女の国際交流にも力を入れてきております。
 こうした交流事業を通じて、青少年が国際感覚を養うということは非常に重要なことでございまして、また、こうした方々が将来、国際交流を担う人材としても期待されることから、都市外交基本戦略素案におきましては、グローバル都市東京を実現する取り組みという項目の中にグローバル人材の育成を位置づけまして、今後さらに推進することとしてございます。

○高倉委員 将来を担っていくということで、若い皆さんが国際交流を通して、また、そういうものを本当に大きく将来にわたって育んだり、あるいは広げていったりするということで、本当に若い方々の育成というのは大変重要だと思いますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 今回の都市外交基本戦略素案の策定によりまして、今後の東京都の都市外交の基本的な考え方と政策の方向性を明確にするということだと思います。この基本戦略を実現に導いていくのは、各局が取り組む具体的な事業ということになってくると思います。
 政策企画局として、各局のそうした取り組みをしっかり支えていただくとともに、局の事業の成果が都民の目に見える形で還元をするように、ぜひ後押しをお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わりたいと思います。

○徳留委員 都市外交基本戦略素案について何点か質問を行い、意見、要望を述べたいと思います。
 都市外交基本戦略の必要性にかかわって、一九九四年、平成六年に策定された都市外交に取り組む方針、東京都国際政策推進大綱が紹介され、その目標となっている四点の中で、第一目標として掲げられている世界の平和と繁栄に貢献する東京を紹介して、今日の都政を取り巻く国際環境、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けた準備を本格化させる時期に、今回のような都市外交に東京都が総力を挙げて取り組む政策指針が必要であるとしています。
 対象期間を長期ビジョンと同様に二〇二四年までの十年間として、目的は、長期ビジョンの大目標実現に直結するものとして、一つに二〇二〇年大会の成功、二つ目に大都市共通の課題解決、三つ目にグローバル都市東京の実現などの三つとしています。
 そこで質問ですが、二十年前に策定された東京都国際政策推進大綱などに基づいて、東京が取り組んできたこれまでの都市外交の政策指針や実績は、今回の都市外交基本戦略素案にはどのように生かされているのかについて、お伺いいたします。

○横山外務部長 ご指摘の平成六年に策定されました東京都国際政策推進大綱は、変容する国際社会と東京に押し寄せる国際化の波を受けて、東京が国際社会のかかわりと地域社会の国際化の進展の中で、どういった都市像を目指していくのかという考え方のもとに策定をされたものでございます。その後、東京都における国際政策の展開の指針となるものはございませんでした。
 今回、改めて、都市と都市とが学び合う関係に軸足を置くという認識のもとに、二〇二〇年大会の成功と世界一の都市東京の実現という、都民生活の向上に直結する都政の大目標の実現を主眼といたしまして、姉妹友好都市等とこれまで築いてきた関係も踏まえた上で、この戦略を策定したものでございます。

○徳留委員 今回の基本戦略の目的の第一に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の成功が挙げられていますが、この大会が、基本戦略素案の一文にも明記されているように、平和の祭典として成功するためにも、また、都市外交を発展させて、都民目線から見ても世界一の都市東京を実現させる上でも、東京の平和的な環境は大前提ではないかと考えます。これまでの都市外交の第一の目標にも、世界の平和と繁栄に貢献する東京が掲げられておりました。
 その点で、先日の本会議の代表質問でも取り上げたように、日本は来年、戦後七十年、被爆七十年を迎えようとしている中で、一国の首都である東京に東アジア最大規模の米軍基地が七十年近くも居座り、ベトナム、アフガニスタン、イラクなど数々の戦争で海外への出撃、中継拠点になっていることは、世界に全く例のない異常な事態だと思います。
 こうしたことを放置したままでは、平和と友好の祭典としてのオリンピック・パラリンピック大会の成功にも、世界一の都市東京の発展にとっても、また、都市外交の発展にとっても、暗い影を落とすのではないかと思います。
 憲法九条の平和の原則を破壊する集団的自衛権の行使容認をめぐる具体化など、事態の進展によっては、東京、首都圏の平和と安全の環境に重大な障害になりかねません。
 都民の安全・安心を脅かす事態を踏まえて、横田基地などの米軍基地の整理縮小、返還の実現、住民の安全・安心の実現を目指して、本格的に力を尽くすべきではないかということを求めておきます。
 次に、都市外交の推進の基本的方針の二番目に、都庁全体で総合的に取り組み、都民生活を向上させメリットを都民に還元と明記してあります。具体的にはどのような都民生活の向上が展望されているのか。
 十一月に発表された生活文化局による都民生活に関する世論調査では、望まれる東京の将来像では、トップが、災害を予測し、予防する安全な都市三九%、二位が、福祉施設、事業が充実し、バリアフリー化の進んだ高齢者や障害者に優しい都市二九・五%、三位が、水と緑があふれる美しい景観都市、これが二五・七%になっています。
 また、オリンピック・パラリンピック大会を契機とした東京の都市像として、史上最高の大会を実現するために東京都が加速すべき政策として期待される一位は、誰もが安全・安心に過ごすことができる高度防災都市の構築と治安維持、これが五二・四%、二位が、おもてなしの心で、東京を訪れる全ての人々を歓迎する都市の実現、これが二七・五%、三位が、再生可能エネルギーの利用促進など、環境に優しい都市の創出二七・四%になっています。
 こうした都民が望んでいる都市の東京の将来像や、オリンピック・パラリンピック大会を契機とした東京の都市像などの期待や要望に応える都市外交になってこそ、都市外交への都民の関心も期待も高まるのではないかと思いますが、こうした期待と要望に具体的にはどのように応えていくのか、そして、その推進体制はどのようになっているのかについて、お伺いいたします。

○横山外務部長 都市外交基本戦略素案では、世界主要都市との施策の学び合いとして、近年増大している自然災害やテロの脅威、環境対策等に対応するため、海外主要都市との間で最新技術や課題の共有化を推進し、対応能力の向上を図ることとしております。
 こうした取り組みを通じまして、お互いの都市が蓄積してきた技術、事業運営ノウハウ、先進事例、経験等を学び合うことで、安全・安心で快適な都市東京の実現につながりまして、これがひいては都民にメリットを還元していくということになります。
 本戦略の推進に当たりましては、本年八月に設置をいたしました都市外交推進会議を通じまして、局間の相互調整等を行ってまいります。

○徳留委員 都市外交が都民生活を向上させ、メリットを都民に還元するという場合に、ハードとソフトの分野があると思いますが、都民にとって、東京のあるべき都市像、将来像への期待と展望の中には、身近な暮らしの安定、安心・安全が最も強いと思います。
 都市間の交流を通じて、本会議の代表質問でも紹介したように、医療分野や教育分野などのソフト分野での世界水準にもしっかり学び合い、都民の生活向上につながるようにしていただきたいということを要望しておきます。
 最後に、都市外交の発展にとって、都市間相互の信頼、友好関係、ウイン・ウインの関係は重要な土台だと思います。また、オリンピック・パラリンピック大会を契機とした都市像として、都民世論調査では、第二位に、おもてなしの心で、東京を訪れる全ての人々を歓迎する都市の実現というのがあります。
 この点で、大きな社会問題になっている人権侵害、民族差別のヘイトスピーチの問題の解決は、放置すれば、おもてなしの心を台なしにして、都市外交の発展にとっても、オリンピック・パラリンピックの成功にとっても重大な障害になり、東京、日本の信頼が問われる重大問題だと思います。
 都として、世論喚起とともに、法的規制を含めて国に対して厳しい対処を求めるべきではないかということを要望して、質問を終わりたいと思います。

○西沢委員 都市外交の基本戦略の都市外交に特化したものを出したということについては、全般的に評価できるものであるというように私も思う次第でございます。
 先ほど来、メリット、デメリットの話がございますけれども、当然、知事の個人の交流や人脈を広げるだけではなくて、いかにそれが都民に還元されるかということを常に考えていただきたいということ、冒頭にこのことを改めて申し上げて、中身について細かく少し質疑をさせていただきたいというように思います。
 三つの目的がございます。二〇二〇年大会への成功、そして大都市共通の課題の解決、グローバル都市東京の実現というような三つございます。さらに細かく、都市外交のメリットというのは、この三つ以外にも私はあるんじゃないのかなというように思います。この三つにこだわらなく、例えば細かい情報の交換であったりとか、それから、いざ災害が、東京での首都直下、災害が起きたときの関係の構築であったりとか、こうしたものは都市外交の一つの目的としてもあってもいいんじゃないかなと。さまざまなメリットは当然あると思います。
 先ほど高倉委員の質疑の中で、北京市と再び人事交換を始めるというような話がありました。こうしたことを私はすごくいいんじゃない、すばらしいと思います。こうしたことによって、いざとなったときの太いパイプというのはつながっていくんじゃないのかなというように思います。こうしたことができるのは、二都市間都市外交というものの大きなメリットの一つであるというように感じるわけであります。
 これまでの中で、どの国とやっていくのかという話ですけれども、その見直しや活性化を図った上で、二都市間都市外交及び多都市間都市外交を国内外で積極的に推進するとしているわけでありますが、この素案の八ページから一〇ページに、ではどこと具体的に都市外交を進めていくのかという対象国について触れているわけでありますが、この中に新興地域の有力都市等というところがございます。具体的に新興地域の有力都市等というのはどんな国なのでしょうか、都市なのでしょうか、お伺いをいたします。

○横山外務部長 都は現在、姉妹友好都市及びアジア大都市ネットワーク21の会員都市と協力関係にございます。今後は、こうした既存の姉妹友好都市やアジア大都市ネットワーク会員都市に限らず、戦略的に協力関係を構築すべき都市を選定し、二都市間外交を進めることが必要でございます。
 戦略素案の中に新興地域の有力都市という記載がございますが、現時点で具体的な候補となる国や都市は決まってございません。しかし、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の成功と世界一の都市東京の実現という目標がございますので、こうした目標に向けまして、双方の関心が一致し、ウイン・ウインの関係が築ける都市ということが、候補の都市になると思います。

○西沢委員 ウイン・ウインの関係が築ける都市が候補となり、その有力都市というのは今のところ決まっていないですよというようなことでございました。
 この目的の中に大都市共通の課題解決とありますが、私は、必ずしも大都市にこだわる必要はないんじゃないのかなと思うんです。大都市の定義は何なのかということですけど、特に人口で見たりとか、六大都市だ、七大都市だというような、そういうふうに決めることもあるんですけれども、この課題については、都市に絞って、大都市という表現ではなく、小さい都市であったとしても、例えば震災の多い、災害の多いような国、都市とは、都市外交によって、東京にとって学べる部分があるんじゃないのかなというように思いますから、大都市というところに絞る必要はないんじゃないのかなということ、このことを一つつけ加えて申し上げておきたいと思うわけであります。
 さきの総務委員会の事務事業の質疑における私の質問に対しましては、世界の都市や市民が、行政、文化、さまざまな文化における交流を通じて相互理解を深めることが、都市の発展と友好関係を増進、そして世界平和の実現に貢献するという考えのもと、これまで姉妹友好都市提携を行ってきたというような答弁がございました。
 私はその際に、改めて、都政、都民への還元という視点で意見も申し上げさせていただきましたが、例えばロンドンなどとはまだ進んでいないわけであります。やはり二都市間におけるメリットというのはすごく大きいと思うわけであります。多国間での表面だけの関係になりがちですけど、もちろんそれも大事なんですけれども、改めて、今後の二都市間外交で姉妹友好都市をふやしていくことを目指すべきではないかと考えるわけですが、見解を伺います。

○横山外務部長 二都市間の都市外交は、相互の都市が抱える課題や関心に即した対応が可能となるため、効果が上げやすいという側面がございます。一方で、個別に活発な交流を継続的に実施するということにつきましては、多大な労力を要するために、戦略的な対応が必要だとも考えております。
 連携協力の形式は、姉妹友好都市という形態に限らず、政策連携や会議の開催など、柔軟に進めてまいりたいと考えております。

○西沢委員 もちろん、個別に活発な交流を継続するには多大な労力を要するということもよくわかります。当然、お金をどれだけかけて、どれだけのメリットがあるのかという費用対効果の話になってくると、予算の話もかかわってきますから、この場で議論するものではないと思いますけれども、二都市間外交という形式を、視点を引き続き検討してもらいたいというように思うわけであります。
 先ほど申し上げました防災の件なんですけれども、この素案の中でも、一五ページに防災について少し触れられているわけでありますが、この視点というのはすごく大事だというように私は思うわけであります。いざというときに、多くの都市からの支援をいただけるような都市外交という視点、このことについて、私はもう少し記載してもいいんじゃないのかなというようにも思うわけであります。
 広く地震国の都市と相互の協力体制を構築するという、こういった視点、重要だと考えますが、見解を伺います。

○横山外務部長 都はこれまでも、アジア大都市ネットワークの共同事業の一つであります危機管理ネットワークにおいて、東京都の総合防災訓練に会員都市等から救助隊の参加を受けて、合同訓練を行ってまいりました。ことしも、ソウル特別市、そして台北市と、同じ台湾の新北市が参加をしております。こうした協力関係は、いざというときに多くの都民の命を救うことにも役立つものでございまして、都市外交の成果の都民への還元という観点からも重要でございます。
 また、都市外交基本戦略素案では、世界の主要都市との施策の学び合いとして、近年増大している自然災害やテロの脅威等に対応するため、海外主要都市との間で最新技術や課題の共有化を推進し、対応能力の向上を図ることとしてございます。

○西沢委員 防災などでの協力関係の構築というのは、オリンピック・パラリンピック大会を控えましてますます重要となると思います。
 これまでのアジネット参加都市、これまでの姉妹友好都市とは別に、例えばトルコやメキシコやパプアニューギニアという国は地震国としてもあります。こうしたものを総合的に判断して戦略的に決めていくということですから、ぜひとも、改めて防災という観点をもう少し強調いただけるような検討もお願いをしたいというように思います。
 それでは次に、都市外交をどのように進めていくかということでございますが、先ほど少し答弁も出ましたが、この進め方の一つに都市外交推進会議というところがあるという話でございますが、これはどのような会議かお伺いいたします。

○横山外務部長 都市外交推進会議は、都庁関係各局で構成する会議でございまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功と東京の発展に寄与する都市外交を推進するために、本年八月に設置したものでございます。

○西沢委員 これは、先ほども話がありましたが、庁内の会議ということですね。庁内だけで決めていきますよということであります。
 私の視点は、もう少し広げて、民間企業や団体というのも、既にさまざまな国やさまざまな都市と太いパイプを持っているというような企業、団体も多くあります。広い意味で、東京には太い人脈やパイプというものがあり、それを生かす必要はあるんじゃないのかなというように思います。
 例えば、東京外交のために、東京都内に東京外交のための懇話会、懇談会みたいなものを設置するなど、そうした広い意味で広げる工夫をしていくべきではないかというように考えますが、見解を伺います。

○横山外務部長 グローバル都市東京を実現するためには、行政だけではなく、さまざまな分野における知見を活用しまして、都市外交を進める必要があると考えます。
 本基本戦略素案の策定に当たりまして、また、都市外交の今後の進め方を考えるに当たりまして、国際社会で広く活躍している外交の専門家、外資系企業の外国人経営者、都市問題の専門家をお招きいたしまして、都側から知事と外務長が出席をいたしまして、意見交換会を行ったところでございます。
 引き続き、必要に応じて外部有識者の意見を聞いてまいります。

○西沢委員 今回も外部有識者の意見を聞いてきたというような話でございましたが、やっぱり東京の持つ強みは、多くの人が集まるというようなところでございますから、こうした東京の都市外交の視野を広げるという工夫は、ぜひ改めて続けていただきたいというように思います。
 民間のパイプというものを民間外交という形で後押しするような、そんな仕組みがあってもいいのではないかと思いますし、その都度、外部有識者の話を聞くということも重要だと思いますけれども、例えば東京都の附属機関として、東京外交懇話会、名前はちょっとわからないですけれども、そういった形で定期的に、東京の人脈、広い意味での知識や経験というものを生かす場をつくってもいいのではないかなと思いますので、こちらもあわせてご検討いただければということ、このことをお願いをして質問を終わらせていただきます。

○上田委員 今、西沢委員からもまさにご指摘あったとおり、やはり民間の力が大切で、外交より、まずは私、都民が都市外交の政策にもどんどん参加していただきたいというふうに考えました。
 今回の都市外交基本戦略策定に当たりまして、都民参加、参画がやはり不可欠なのではないかなと考えているんですけれども、これに関する、基本戦略をつくるに当たってのパブコメの聴取や、今ご答弁いただいたかと思いますが、第三者からの意見聴取などはなされたのかどうなのか、パブコメはなぜしなかったのか等々、そのあたり、お聞かせいただければと思います。

○横山外務部長 年内の同時期に発表を予定しています東京都長期ビジョンにおきましては、都市外交も含まれておりまして、この長期ビジョンの九月の中間報告発表時に都民意見の募集を行っております。
 また、先ほどもご答弁申し上げましたが、国際社会で広く活躍している外交の専門家、外資系企業の外国人経営者、都市問題の専門家に幅広い観点からご意見をいただきまして、これは十一月に実施をしたところでございます。
 なお、本戦略の素案でございますが、東京都ホームページで公開をしてございます。

○上田委員 東京都の長期ビジョンで集めているということですが、私も総務委員会でも事務事業でも質問させていただきましたけど、そのパブコメも二週間しか募集もしていなかったですし、「広報東京都」にもタイミングが悪いということで載っていなかったし、中間報告書も、ホームページで見るか、あるいは都民情報ルームで冊子を閲覧という、非常に都民にとっては手の届かないような形での意見募集のようなスタイルになっていると思います。都市外交については、割と都政って皆さん関心がなかなかない中で、同僚議員とも話していますが、今回、衆院選等で駅で立つと、どうなっているのと。普通の、私なんてお母さん議員なんで、お母さんたちも聞いてくるぐらいに非常に関心が高いということで、随時、同僚委員同様、民間あるいは都民の声を聞く形をとっていっていただきたいというふうに思います。
 基本方針です。都市外交推進の基本方針ですが、国との連携協力とありますけれども、基本戦略の策定に当たりまして、外務省とはどのようなやりとりをされているのか、具体的にお示しください。

○横山外務部長 本都市外交基本戦略は、八月末に庁内で立ち上げました都市外交推進会議で検討を行いまして、策定を進めてきたところでございます。
 この中には、国との連携、関連という事項が幾つかございますけれども、ODAなど国との連携協力に関する部分につきましては、素案を発表しました後に外務省に照会をしているところでございます。

○上田委員 都市外交推進会議も先ほど議論になっておりますし、外務省に都度、今後も照会していくと思いますので、随時、私たちの方でも確認をさせていただきたいと思います。
 また、国との連携協力も非常に重要だとは思っておりますが、都市外交、都市間交流に当たっては、防衛など国の専管事項と国際法上の国家間の法律関係を結ぶものではなくて、東京都と国の果たす責務をどう切り分けていらっしゃるのか、こういった立場でもお伺いしたいと思います。

○横山外務部長 国家間の利害調整を主とする外交は国の専管事項でございます。都市外交は、都市という立場を生かしたさまざまなレベルでの交流を行うことで、世界の諸都市と友好、協力関係を深め、教え教えられる関係を築き、都民生活の向上に結びつけるということでございます。このような基本理念に基づきまして基本戦略を策定しているところでございます。

○上田委員 やはり国際問題に発展するようなことに関しては、都民の危惧が大きいかと思いますので、常に線引きをしながら、相互補完をする形を要望するものであります。
 最後に、都庁全体で総合的取り組みとありますが、庁内の人材はどのように育成、活用されていくのか、今後の見通しをお聞かせください。

○横山外務部長 研修や姉妹友好都市などへの海外派遣等を通じまして、職員の人材育成を強化し、各局にグローバル人材を配置する等の体制を整備していくことにつきまして、基本戦略にも記載をしているところでございます。

○上田委員 そうですね。一七ページに書いてあるとおりだと思います。
 まさに、こうして都庁のプロパーの生え抜きの人材を育成していくということでありますので、今後は、私も予算特別委員会で申し上げておりますけれども、民間あるいは都庁からの大抜てきを、外務長並びに部長も外務省からおいでになっていただいていますけれども、よき教育をしていただきまして、都庁の人材の育成に当たっていただきまして、いずれは東京都の職員から大抜てきをしていっていただきたいということを重ねて申し上げて、私の質問を終わります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十分散会

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