委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 小山くにひこ君 |
副委員長 | 宇田川聡史君 |
理事 | みやせ英治君 |
理事 | 中屋 文孝君 |
理事 | 清水ひで子君 |
鈴木 章浩君 | |
栗山 欽行君 | |
徳留 道信君 | |
野上 純子君 | |
両角みのる君 | |
島田 幸成君 | |
藤井 一君 | |
村上 英子君 |
欠席委員 一名
出席説明員政策企画局 | 局長 | 川澄 俊文君 |
外務長 | 宮島 昭夫君 | |
次長理事兼務 | 武市 敬君 | |
理事 | 猪熊 純子君 | |
理事 | 土渕 裕君 | |
総務部長 | 河内 豊君 | |
調整部長 | 中澤 基行君 | |
政策担当部長 | 藤田 聡君 | |
政策担当部長 | 小沼 博靖君 | |
技術政策担当部長 | 加藤 直宣君 | |
渉外担当部長政策担当部長兼務 | 小室 一人君 | |
国家戦略特区推進担当部長 | 山本 博之君 | |
渉外担当部長政策担当部長兼務 | 村岡 教昭君 | |
計画部長 | 小池 潔君 | |
外務部長 | 横山 英樹君 | |
都市外交担当部長 | 川上 文博君 | |
国際共同事業担当部長 | 小菅 政治君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 河合 潔君 |
総合対策部長 | 横山 宏君 | |
青少年対策担当部長 | 坂田 直明君 | |
治安対策担当部長 | 村山 隆君 | |
総務局 | 局長 | 中西 充君 |
危機管理監 | 宮嵜 泰樹君 | |
次長理事兼務 | 中村 長年君 | |
総務部長 | 榎本 雅人君 | |
尖閣諸島調整・特命担当部長 | 野口 毅水君 | |
訟務担当部長 | 和久井孝太郎君 | |
復興支援対策部長 | 川合 純君 | |
復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 | 赤木 宏行君 | |
行政改革推進部長 | 三木 暁朗君 | |
自治制度改革推進担当部長 | 奥田 知子君 | |
情報システム部長 | 中島 毅君 | |
首都大学支援部長 | 伊東みどり君 | |
人事部長 | 内藤 淳君 | |
労務担当部長 | 栗岡 祥一君 | |
主席監察員 | 大朏 秀次君 | |
行政部長 | 西村 泰信君 | |
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 | 佐々木秀之君 | |
区市町村制度担当部長 | 越 秀幸君 | |
大島災害復興対策担当部長 | 神山 智行君 | |
総合防災部長 | 矢岡 俊樹君 | |
企画調整担当部長 | 裏田 勝己君 | |
防災担当部長 | 小久保 修君 | |
統計部長 | 中村 豊君 | |
人権部長 | 箕輪 泰夫君 |
本日の会議に付した事件
青少年・治安対策本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十二号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「東京都長期ビジョン(仮称)」中間報告について
総務局関係
報告事項(質疑)
・平成二十五年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績及び平成二十六年度東京都監理団体経営目標の設定状況について
・平成二十五年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について
・小笠原諸島振興開発計画(素案)について
・東京都地域防災計画(震災編・風水害編)の修正について
・東京の防災プラン(骨子)について
○伊藤委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、青少年・治安対策本部関係の付託議案の審査並びに政策企画局及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百五十二号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
○伊藤委員長 これより政策企画局関係に入ります。
報告事項、「東京都長期ビジョン(仮称)」中間報告についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○河内総務部長 要求のございました資料一点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
表紙をおめくりください。
タスクフォースの設置状況、体制、検討内容でございます。
現在設置されているタスクフォースの名称、設立時期、体制、検討内容につきまして記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求資料の説明にさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○栗山委員 九月十二日に発表されました新たな長期ビジョンの中間報告についてお伺いいたします。
先日の代表質問では、我が党から長期ビジョンに対する知事の考えを質問し、知事から世界一の都市東京の実現に向けた今後の政策運営の新たな指針であるとの答弁がありました。この知事の力強い決意は、我が党の公約と道を同じくするものでございます。
我が党は、昨年の都議会議員選挙において十本の柱から成る政策集、東京を世界で一番の都市にを都民に約束し、その実現のために党内に政策推進総本部と五つの分野から成る政策推進本部を設け、議論を深めるとともに政策の進行管理を行ってまいりました。
今回、中間報告の策定にあわせ、政策集に基づいた政策提言を七月に行ったところでございます。
知事が代表質問で答弁したように、本中間報告は我が党の政策提言を十分に反映したものとなっており、その点につきましては十分に高く評価をしたいと思います。
また、今回の長期ビジョンの特徴として、オリンピック・パラリンピックを開催する二〇二〇年とおおむね十年後となる二〇二四年の二段階に分けて政策目標が示されております。数値化にも努められておりまして、これまで以上に具体性のある内容となっております。
しかし、東京の持続的発展というものに終わりはございません。その責務を担うという政治の視点から見ますと、二〇二〇年も二〇二四年もいずれも中間点でしかないと、こういっても過言ではないというふうに思っております。
我々政治の役割は、さらにその先の二十年後、あるいは三十年後といった、より中長期的な視野に立ち、次世代を担う若者たちに夢や希望を持てるような将来像を示すとともに、その実現に向けた責任を持っていくということでございます。
代表質問では、長期ビジョンに関する知事の考えなど総論的な答弁を得たことから、本日の総務委員会では東京の将来を考える上で欠かすことのできない重要な課題について、ハード、ソフトの両面から議論を進めさせていただきたいと思います。
まず、少子化対策についてでございます。
東京の将来を担う子育て世代に対し、安心して子供を産み育てられる環境を整備することは喫緊の課題でございます。将来を担う子育て世代に優しい東京を実現していくためには、保育サービスを大幅に拡充して待機児童をゼロにするとともに、将来にわたって待機児童ゼロの状態を持続していかなければ、継続をしていかなければならないと思います。
中間報告では、二〇一七年度末までの待機児童解消を政策目標に掲げ、保育サービスの利用児童数を現状の二十三万五千人から約四万人ふやすとしております。この約四万人というのは、あくまでも概数でありまして、最終報告で確定値を報告するということでございます。
確実に待機児童を解消していくためには、現場である区市町村の状況を的確に把握した上で最終目標を設定するとともに、解消に向けた道筋を都民に示していく必要があると思いますけれども、ご所見をお伺いいたします。
○小池計画部長 待機児童解消に向けた二〇一七年度末の保育サービス利用児童数の数値目標についてでありますが、保育の実施主体である区市町村のニーズ調査の結果等も踏まえまして数値を精査し、十二月の最終報告で明らかにしてまいります。あわせて、最終報告でお示しする三カ年の実施計画の中で待機児童解消に向けた具体的な工程表を示してまいります。
○栗山委員 現場の状況を的確に把握し、最終報告では実効性のある政策目標を示していただきたいと思います。
また、安心して子供を産み育てられる環境を整備していくためには、社会全体で取り組んでいく必要がある、これは自明の理でございます。
都では、従来から企業等における仕事と子育ての両立支援といった次世代育成の取り組みを促進しているところでございます。特に、次世代育成の取り組みの一つである事業所内保育施設の設置を進めることは、安心して子育てができる環境を整備する上で重要なことであるということはいうまでもございませんけれども、対象を地域の児童にも開放することで、喫緊の課題であります待機児童の解消への効果も大きく期待できるものというふうに思います。
そのために、我が党の政策提言でも地域の児童を受け入れる事業所内での保育施設の設置を促進することを挙げております。長期ビジョンの中間報告におきましても、地域に開放した事業所内保育の重要性を指摘した上で都庁内にも設置すると、こうされておりますけれども、今回、都みずから都庁内に保育施設を設置することとした意義についてお伺いをいたします。
○小池計画部長 東京都では、次世代育成支援の取り組みとしまして企業等における仕事と子育ての両立に向けて、事業所内保育施設の設置を促進しているところでございます。
その中でも、ご指摘のように地域の児童を受け入れる事業所内保育施設は、待機児童解消にも寄与しますことから、民間事業者等に対し、さらに設置を促進していく必要があります。
そこで、大都市のニーズに応じた多様な保育サービスを充実させ、待機児童解消をさらに推し進めるため、都内でも最大級の事業所である新宿の都庁内において、都みずからがシンボル的な事業としまして平成二十八年度を目途に地域に開放した事業所内保育施設を設置することとしたものであります。
○栗山委員 子育てをしながら仕事を続けたいと願う保護者や女性にとって、保育サービスの充実というのは切実な願いであると思います。待機児童解消に向けて都庁一丸となって対応するとともに、さまざまな手法も取り入れて保育サービスの充実に向けて積極的に取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
次に、高齢者及び障害者施策についてお伺いいたしますが、高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる幸福実感社会の実現を目指すことが極めて重要であると思います。
高齢者につきましては、二〇一〇年の二百六十四万人から二〇二五年には三百二十七万人に増加すると推計されておりまして、東京は都民の四人に一人が高齢者という、これまで経験したことのない超高齢社会に突入することになります。
認知症高齢者につきましても、二〇一三年の三十八万人から二〇二五年には六十万人に大幅にふえると見込まれております。
このような超高齢社会を迎えるに当たりまして、都はどのような方向性で高齢者施策を進めていくのか、お伺いをいたします。
○小池計画部長 多くの高齢者の方々は、たとえ介護が必要になったとしても、可能な限り住みなれた地域で生活したいと望んでおられる方が多いということでございます。
そのため、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指していくということで、中間報告でも政策指針の一つにしっかりと掲げております。
その実現に向けまして特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホーム、サービスつき高齢者向け住宅など、多様なニーズに応じた施設や住まいを確保していきますとともに、在宅生活を支える各種サービスの充実などに取り組み、適切な医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を支援してまいります。
○栗山委員 ご答弁にもございましたとおり、超高齢社会を見据えまして高齢者のニーズに応じた施設や住まいの整備を着実に進めて、盤石な体制を整えていただきたいと思います。
また、保育と同様に高齢者施策の最前線は区市町村であることから、最終報告では現場の状況などを十分に把握した上で具体的な実施計画をお示しいただきたいと思います。
また、保育と同様に障害者施策につきましても、パラリンピック開催都市として、障害のある人もない人もお互いに尊重し、そして支え合いながら、ともに生活する社会の実現は、必須の目標でございます。
我が党の政策提言におきまして、高齢者や障害者に優しい東京の創造を挙げていることから、最終報告に向けて施策の整備目標等を精査するとともに、実現に向けたさらなる促進策などを期待しております。
次に、女性が活躍できる社会の実現、この実現に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
今年三月、第二次安倍政権が発足をし、過去最多に並ぶ女性閣僚が起用されました。女性の活躍を促進することは国の成長戦略の重要な柱の一つでありまして、安倍首相みずから先陣を切って取り組む姿勢を示したもの、こう理解をいたしております。
また、今月十二日から三日間、都内で開催されました女性が輝く社会に向けた国際シンポジウムに安倍首相も出席をしまして、女性の活躍促進に向けた強い決意を語っておりました。
この国際シンポジウムで基調講演を行ったIMF、国際通貨基金のラガルド専務理事が、女性の労働参加が国の潜在成長率の引き上げに貢献できると、こう述べているように、女性の活躍は我が国の経済成長を牽引する大きな力であるというふうに思います。
また、経済のみならず、政治、文化、スポーツなどあらゆる分野で女性が夢にチャレンジできるようになることは、日本の活性化に大きく寄与するものというふうに認識をいたしております。
サッカーを初め、これまで男性のスポーツと思われていた分野で、近年女性が大活躍をして、日本中が沸き立ち、国民が勇気づけられたことは記憶に新しいと思います。
この国際シンポジウムの開催日と同じ十二日に、長期ビジョン中間報告が発表されたわけであります。この中でも女性の活躍促進について記載がなされております。政策目標にM字カーブの解消を目指しとありますけれども、M字カーブの解消を目指すとの課題認識、これはどのようなものか、お伺いをいたします。
○小池計画部長 我が国の女性につきまして年齢別の有業率をグラフにいたしますと、結婚、出産期に当たる三十歳代で一旦低下し、育児や子育てが落ちついた四十歳代後半に再び上昇する、いわゆるM字の曲線を描いております。
一方で、女性の社会進出が進んでいるスウェーデンなどでは、二十歳から五十九歳までの女性が就業している割合が一貫して高く、このようなM字カーブを描くことはございません。
女性が社会で活躍することは、女性ならではの視点や感性を生かした商品やサービスの提供が活発になりますことなど、東京のみならず、日本の経済を活性化することにつながりまして、三十歳代の女性の有業率が低下していることは、社会にとって大きな損失であります。
そこで、働くことを希望する女性が就業しやすい環境を整えて、女性の多様な働き方を支援し、有業率を上げる取り組みを都が率先して進めていくことが必要であると考えております。
○栗山委員 女性の社会的な活躍を促進して、東京や日本、社会全体の活性化や経済への好影響をもたらすために、M字カーブの解消を目指すという都の課題認識がわかりました。
ところで、都が今月十六日に開催をした女性が輝くまち・東京シンポジウムに出席いたしました。知事もまた、日本全体で少子高齢化が急激に進む中、社会の活力を高めるためには女性の力を最大限に引き出すことが不可欠と、こう挨拶をされております。
安倍政権とも足並みのそろった女性の活躍促進と日本再生への意気込みを感じる発言であったというふうに認識をしております。
長期ビジョンの中間報告で示されました二十五歳から四十四歳の女性の有業率を七五%に上昇させると、こうした政策目標は、国の成長戦略と比べても高い目標設定となっておりまして、女性の活躍促進に力を入れている知事の決意、こういうものを感じるところでもございます。
そこで、こうした数値目標の達成など、女性の活躍を促進するために都はどのような方向性で取り組みを進めていくのかお伺いをいたします。
○小池計画部長 女性の活躍を促進していくに当たりましては、女性の職域拡大、管理職登用の促進、企業におけるワークライフバランスの推進、再就職支援、多様な働き方の支援など複数の視点からの取り組みが必要であります。
こうした視点に立ちまして、民間事業者に働きかけ、女性の活躍する場の拡大を図っていくこと、女性が働きやすく、家庭と仕事を両立しやすい環境整備を促進すること、離職した女性を中心としたきめ細かい就業支援や個人のニーズに応じた柔軟な働き方を支援することなど、幅広い政策を展開してまいります。
○栗山委員 我が党の政策提言の中で、世界で一番女性が輝く都市を目指し、ソフト、ハードの両面において女性が活躍しやすい環境を整備することということを挙げております。我々の思いを酌み取った内容であるということは高く評価をさせていただきたいと思います。
女性のみならず、日本のこれからの発展のためには、女性の力は大きな原動力となります。女性のすぐれた力が社会で発揮できるように、東京から先鞭をつける意気込みで重層的な政策を展開して、女性が活躍する東京、日本へと変わることを大いに期待しております。
東京のさらなる発展を考えた場合、ソフト対策だけではなくて、良質な社会資本ストックを次世代に継承するためのインフラ整備などハード対策につきましても目を向けていかなければならないと思います。
東京を世界で一番の都市にするためには、国際的な激しい都市間競争を勝ち抜き、都民生活の利便性を一段と高める交通インフラの整備は、欠かすことのできないものであると思います。
特に二〇二〇年大会の開催期間中には、国内外から観光客や選手を初めとした大会関係者など多くの人々が東京を訪れ、宿泊先や選手村から競技会場や観光地との間を往来することになると思います。
二〇二〇年の大会を成功裏に導くためには、こうした人々のスムーズな往来を支える交通ネットワークの構築が重要であると思いますし、大きな鍵となると思います。二〇二〇年の大会に向けた交通インフラの整備の見込みについてお伺いをいたします。
○小池計画部長 ご指摘いただきましたとおり、東京都にとりましては二〇二〇年大会の確実な運営に必要不可欠である交通インフラをしっかりと整え、万全の体制で大会に臨んでいかなくてはなりません。
現在、都心環状線を通行する六割の車が単に通過するだけの交通となっておりますが、二〇二〇年までに三環状道路が九割開通するとともに、シームレスな料金体系の導入により、交通量に余裕のある経路に誘導し、通過する車をできる限り都心に流入させないことなどで交通渋滞を大きく改善してまいります。
また、競技会場が集中する臨海部の交通インフラを充実させるため、都心と臨海部を結ぶBRTを中心とした中規模な公共交通の導入や臨港道路、南北線などの整備を推進していくことで、大会開催時におけるスムーズな移動を確保してまいります。
さらに、海外から多くのお客様を迎える観点から、大型クルーズ客船が接岸できる新たな客船ふ頭を臨海副都心地区に整備いたしますとともに、大会後の需要増も見据えて、羽田、成田の空港容量の拡大や空港アクセスの拡大にも取り組んでいきます。
二〇二〇年大会までに、こうした交通インフラの整備を着実に進めてまいります。
○栗山委員 史上最高のオリンピック・パラリンピック競技大会を実現する上で、東京を訪れる人々がストレスなく快適に東京のまちを移動できる、そうした環境整備というものは開催都市としての最低限の責務であるというふうに思います。二〇二〇年の大会を目指して、これからの整備が確実に進むよう進行管理を徹底していただきたいというふうに思っております。
次に、東京の発展を支えるまちづくりについてお伺いいたします。
国家百年の大計と、こういわれますけれども、まちづくりはご承知のとおり、一朝一夕に実現をできるものではございません。
関東大震災の復興を担った後藤新平は、東京を燃えない近代都市につくりかえるために大規模な区画整理や道路計画を打ち出しましたが、余りに壮大な計画であったがゆえに、当時は理解を得られず、全てを実現することは残念ながらできませんでした。
しかし、後藤新平の描いた東京復興計画は、現在でも高く評価をされております。同じ禍根を残さないためにも、遠い将来を見通した先見性のある構想力は、大いに学ぶべきであるというふうに思います。
二〇二〇年の大会のみならず、そのさらなる先を見据え都心部のまちづくりを加速し、国際的なビジネス拠点や観光拠点をつくることによって新しい富を生み出し、日本の経済成長を牽引していかなければ、東京の未来、そして日本の未来、これはないと思います。
先日、知事も品川駅周辺を視察されておりましたけれども、都心部では拠点駅の整備や市街地の再開発が着々と進められており、世界中が東京を注目している、こういっても過言ではありません。都心部における都市再生のまちづくりについて、どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○小池計画部長 拠点駅の整備や都市再生の推進により、多くの人々が快適に訪れることができるまちを創出し、多様な都市機能を集積させることは、世界中から人、物、情報、技術を引きつけることにつながりまして、東京、そして日本のさらなる発展を目指す上でも極めて重要であると認識しております。
まず、拠点駅の整備につきましては、東京駅などで駅前広場の再編や自由通路の整備を行ってまいります。また、周辺市街地の再編等を一体的に実施し、交通結節機能の強化を図るとともに、駅利用者の利便性、回遊性を向上させてまいります。
都市再生につきましては、例えば有楽町地区において民間開発との連携による旧都庁舎跡地を活用したまちづくりによりまして、有楽町駅周辺の機能更新を進め、公共空間の整備やMICE機能の充実などを図り、国際的なビジネス、都市観光拠点を形成してまいります。
こうした取り組みにより、都心の機能強化を推進し、東京の都市力のさらなる向上を図るとともに、都民生活の質を高め、世界をリードするグローバル都市の実現を目指してまいります。
○栗山委員 都心部のまちづくりは、都市の利便性の向上の観点や都市間競争の観点から、また日本の力を高める観点からも待ったなしの課題でありまして、さらにアクセルを踏んで進めていっていただきたいと思います。
一方、東京全体の発展を目指すためには、都心部だけではなく、多摩地域のまちづくりについても着実に取り組んでいく必要があると考えます。
例えば、多摩ニュータウンでは、早期に入居が進んだ地区で、老朽化した団地の再生やインフラ更新が待ったなしの状態であることはいうまでもありません。緑豊かな環境や既存のインフラストックを生かしつつ、高齢者から若い方まで幅広いニーズに応えるまちづくりを進め、多摩ニュータウンの魅力をいま一度よみがえらせなければならないと、こう認識をいたしております。
多摩ニュータウンにおけるまちづくりについて、どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○小池計画部長 東京の発展のためには、都心部だけでなく多摩地域も含めて都内のそれぞれの地域の特徴を生かしたまちづくりを進めることが重要であります。
多摩ニュータウンの再生につきましては、二〇二七年に予定されておりますリニア中央新幹線開通を見据えまして、広域幹線道路となる南多摩尾根幹線を早期に整備するとともに、これと連動して沿線地域の商業用途への土地利用転換を誘導してまいります。
また、都営住宅の建てかえによるバリアフリー化などによりまして居住水準を向上させるなど、多摩ニュータウンの再生を推進いたします。
こうした取り組みを都、地元市、民間などが一丸となって進め、多世代が安心して住み続けられる持続可能なまちを実現してまいります。
○栗山委員 多摩地域の重要性をしっかりと認識されていることが確認できまして、多摩都民として大変安心をいたしました。
多摩ニュータウンの再生の成果は、今後の全国のまちづくりの再生、団地再生の先進モデルとなり得るものでございまして、大変注目されているものと認識をいたしております。私も再生がしっかり進んでいくよう、多摩都民としてしっかり尽力をさせていただきたいと思います。都において、引き続き都全体がバランスよく発展していくように留意をしてもらいたいというふうに思います。
持続可能なまちという観点では、環境問題、これも大変重要な問題でございます。
環境政策に関して、我が党では政策提言において後世に誇れるクリーンで美しい東京の創造を挙げているところでございます。東京が持続的に発展をしていくためには、都民生活や企業活動そのものとともに、その舞台である東京の環境を維持、そして改善することが不可欠でございます。
近年、平均気温の上昇に加えまして、夏季の著しい猛暑による熱中症の増加やこれまでにない規模の豪雨による災害発生などに見舞われ、地球温暖化の影響が指摘されております。豊かな生活と引きかえに生命や財産までが脅かされるような事象が発生しては本末転倒と、こういうことになってしまいます。
都市活動と環境保全は二者択一のものではございません。子や孫、さらにその先の世代まで東京において豊かな生活が送れるよう、両者を高い次元で両立させていかなければならないと思います。東京は、その実現が可能な都市であると認識をいたしております。
我が党が代表質問で取り上げた水素エネルギーも大気の環境改善などとの両立が図られるものと、こう理解をいたしております。都の今後の環境政策として、どのようなことを行っていくのかお伺いいたします。
○小池計画部長 東京の持続的な発展を実現するため、これからの十年間のみならず、さらにその先も見据えて環境政策を先駆的に展開していくことが必要であります。
エネルギーの分野では、東京都は省エネルギー化や再生可能エネルギー導入の目標を打ち出しております。都市活動と環境保全の両立について、都民、事業者、行政など全ての主体に課せられた課題として取り組みを進めてまいります。
自然環境の分野におきましても、公園整備や丘陵地保全、PM二・五抑制や水質改善など、都民に、より快適で質の高い生活を提供し、東京に住んでよかったと思われる環境を目指してまいります。
こうした取り組みを推進し、東京の環境を次世代へと受け継いでいきますとともに、さらに東京の先駆的な取り組みについても積極的に発信し、世界の環境保全にも貢献していきたいと考えております。
○栗山委員 東京の先駆的な取り組みについても発信をして、世界の環境保全にも貢献していきたい、こういうことは非常に重要なことなんだろうというふうに思っています。
環境政策のおくれは、取り返しのつかない結果をもたらすことにもなります。我々の世代だけが物理的に恵まれた生活を享受するようなことがあってはいけない、これは自明の理であると思います。
環境政策を積極的に進めることによって、我が党が提言をしております水と緑に囲まれたエネルギー効率が世界一の環境都市、これが実現をいたしまして、次世代に誇りを持って引き継げるような環境が実現すること、これを強く期待しています。
ここまで中間報告で示された具体的な政策について、ソフト、ハードの両面から特に重要と思われる課題について質問を行ってまいりました。答弁の中にも幾つか数値目標が説明されておりましたが、中間報告では約二百三十の数値目標が示されております。
知事も代表質問において、都が推進する施策のみならず、社会や都民生活に及ぶ効果や状況についても、できる限り数値化したと答弁をしております。これは、政策は絵に描いた餅であってはならないという知事の決意、こうしたあらわれでありますけれども、計画は作成するだけではなく、それが実行されて初めて意味があるというふうに思います。そのためにも、年末の最終報告は都民が納得できるような実施計画となるように、その精度を高めていっていただきたいと思います。
最後に、局長から最終報告の策定に向けた決意をお伺いいたしたいと思います。
○川澄政策企画局長 今回の中間報告では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの競技大会の成功のみならず、中長期を見据えて都が取り組むべき政策の目標や方向性について明らかにいたしました。
年末に策定する最終報告では、中間報告に対する都議会での議論や都民の皆様からの意見を十分に反映するとともに、引き続き検討を行っている重要課題等についても政策目標や方向性を明らかにし、より熟度を高めてまいります。
あわせて、計画の実現に向けた進行管理を積極的に行うため、三カ年の実施計画を盛り込んでまいります。
二〇二〇年大会の成功とレガシーの継承と活用、東京に暮らす人々の夢、希望、幸せを実現するための今後の都政運営の新たな指針となる東京都長期ビジョンの策定に向けて、各局をしっかりとリードし、全庁を挙げて取り組んでまいります。
○栗山委員 最終報告では、三年間の実施計画が明らかになるということでございます。六年先の二〇二〇年と十年先の二〇二四年、そして実施計画の三年と、それぞれの目標年次は異なることから、各目標で目指すべき内容を的確に踏まえつつ、進行管理、これを徹底していただきたいと思います。
政治とは、将来に責任を持つことでございます。私たちが生活している現在の東京は、多くの先人が夢見て、そして実現してきた未来の積み重ねの上に存在しています。我々も先人から引き継いだ東京をよりよいまちに発展させるとともに、将来を担う世代に引き渡していかなければなりません。そのためには、東京の進むべき未来を計画として示した上で、それを着実に実現することが必要でございます。結果を出すこと、すなわち政策の実現こそ政治の使命でございます。東京を世界で一番の都市にするため、今後も責任ある政治、これを貫くことで東京の未来を切り開いていく覚悟でございます。
最終報告に向けては、課題を精査した上で政策推進総本部から改めて提言を行うことから、今回の中間報告と同様に十分に反映をして明るい未来が展望できる計画としていただきたいというふうに思います。
また、計画の実現に向けては、車の両輪である議会と知事を初め、職員の皆さんが一丸となって取り組んでいきたい、私どもも取り組んでまいりたいというふうに思っております。年末の最終報告に大いに期待をして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○野上委員 私の方からも、東京都長期ビジョンの中間報告についてお伺いいたします。
先日、我が公明党の代表質問で長期ビジョンの最終報告に向けた知事の見解についてただし、知事からは都民の皆様に未来への夢と希望を持っていただけるよう世界一の都市東京の実現に向けた道筋をしっかり示していきたいという答弁がございました。本日は、その知事の決意を踏まえ、何点か質問させていただきます。
石原都政下では、平成十八年の十二月に公表された「十年後の東京」、そして東日本大震災を経て、「十年後の東京」を改定した「二〇二〇年の東京」が公表されております。
今月十二日に舛添都政のもとで初めてとなる東京都長期ビジョンの中間報告が公表され、我が党としても舛添ビジョンに大きく期待しているところがございます。
そこで、まず石原都政下で出された「十年後の東京」、そして「二〇二〇年の東京」と今回東京都の長期ビジョンの違いについて、まず最初にお伺いいたします。
○小池計画部長 今回の長期ビジョンは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決定した後に初めて出されるビジョンであります。そのため、これまでのビジョンが策定時から、おおむね十年後の姿を示していたのに対し、今回の長期ビジョンでは、オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年の姿と十年後となる二〇二四年ごろの姿の両方を示しております。
また、目標の明確化や進捗状況の見える化を図るため、約二百三十設定した政策目標を可能な限り数値化し、その達成時期も明らかにしている点も特徴の一つであります。
○野上委員 オリンピック・パラリンピック招致が決まった後に初めて出される長期ビジョンという、これが一つです。二〇二〇年の東京の姿を示すことは、これは当然のことですが、そのさらなる先の四年後、二〇二四年の姿も示していることについて評価したいと思っております。
また、東京の将来像実現に向けた政策目標をできる限り数値化したという点でも、東京都民に政策展開をわかりやすく示すとともに、その目標を不退転の決意で実現しようという舛添知事の意気込みのあらわれとして受けとめていきたいと思っております。
この長期ビジョンで示された東京の将来像を実現するためには、都が主体的に取り組むことはもちろんですけれども、東京で暮らす都民や東京で活動する事業者、それら全ての人が世界一の都市東京の実現に向け、それぞれの役割を担っていく必要があります。そのための政策展開はさまざまだと思いますが、私の教員時代の経験を踏まえると、将来の東京を支える人材の育成が非常に重要だと思っております。
近年、経済のグローバル化や少子高齢化に伴う労働力人口の減少など、我が国の経済、社会構造が大きく変化しております。こうした社会変動が続く中で、東京と日本の将来の担い手となる子供や若者たちの育成が大変大事であり、一人一人の意欲、能力を伸ばす教育の充実が必要と考えております。
特に、これからの時代をたくましく生きていくためには、基礎学力の向上や国際社会で通用する語学力の習得などは重要な視点でございます。この長期ビジョンの中間報告の中でも、九四ページにございますように政策指針18として、東京、そして日本を支える人材の育成を掲げております。この中で公立小中学生の学力調査での下位層を全教科三〇%未満まで減少させる、このことを数値目標としておりますが、次世代の教育について意欲的な取り組みを進めていく姿勢がうかがえると思います。
そこで、まず長期ビジョンの中間報告で教育政策の主なポイントについてお伺いいたします。
○小池計画部長 全ての子供が社会の中で自立し、夢と希望を実現していくためには、国語や算数などの基礎的な教科の学力や世界に通用する豊かな人間性を身につけていることが必要であります。
そこで、児童生徒一人一人の学習到達度に着目しまして、習熟度別指導を展開していくなど、東京の子供たち全体の基礎学力を底上げしてまいります。
また、世界で活躍するグローバル人材を育成する教育環境を整えるとともに、社会の一員としての役割を果たせる子供たちを育てるためにキャリア教育を充実していくことなどを主なポイントとして政策の方向を示しております。
○野上委員 基礎学力の向上、グローバル人材の育成や社会の一員としての自覚を促すキャリア教育などの重要なポイントが教育政策の方向性に含まれていることは評価いたします。
基礎学力の向上に向けては、これまでもさまざまな取り組みを行ってきたと思いますが、今後一人一人の学習状況に応じたきめ細かい授業を行うことが大事です。さらなる工夫を重ねていくべきと思いますけれども、具体的な政策の方向性についてお伺いいたします。
○小池計画部長 基礎学力の向上を目指して二〇二四年度までに全ての公立小中学校で、一人一人の学習状況に応じた習熟度別指導やチームティーチングなどを展開してまいります。
また、タブレット端末等のICT機器を活用した授業を実施するなどして学習意欲を高め、個々の理解度に柔軟に対応した教育環境を整備し、児童生徒の確かな学力を育成してまいります。
○野上委員 二〇二四年度までに全ての公立小中学校で一人一人の学習状況に応じた習熟度別指導、あるいはチームティーチングなどを展開するほか、タブレット端末を使用していくという、こういう流れが打ち出されております。
最新のICT機器を活用して授業内容を理解しやすくする取り組みは、冒頭に申し上げた子供たちの意欲や能力を伸ばすには効果的だと思います。今後の展開を期待しております。
次に、国際社会で活躍できるグローバル人材の育成についてでございますが、海外留学は異文化の中でみずからを磨く大変貴重な体験であります。若者には積極的に世界の人々と触れ合う機会を持っていただきたいと思っております。
全世界でグローバル化の流れは、そのスピードが加速しておりまして、国際社会で活躍できる人材の育成について今まで以上の充実を図るべきと考えますが、具体策を伺います。
○小池計画部長 海外への関心を高め、国際感覚豊かな若者を育成していくためには、全都立高校にJETプログラム等による外国人人材を招致し、学校生活で外国人や異文化と接する機会をふやしてまいります。
さらに、実際に海外留学に挑戦する若者を支援するとともに、都立国際高校に国際バカロレアコースを新設するなどの取り組みも進めまして、豊かな国際感覚と海外で通用する高い語学力を身につけ、世界を舞台に活躍する若者の育成に取り組んでまいります。
○野上委員 国際バカロレアコースの新設というのは非常に注目をしておりまして、国際高校の中で豊かな国際感覚を身につけて、海外で活躍する人材をたくさんつくっていっていただきたいと思っております。
将来の日本を担い、世界に羽ばたく子供たちの教育の充実は、何よりも重要な政策です。今後とも、全ての子供たちの基礎学力や語学力の向上、個々の能力や豊かな個性を伸ばす教育内容の充実に取り組んでいっていただきたいと思います。
そして、子供たちが教育段階から海外に目を向け、国際社会とのかかわりを意識できる環境づくりをぜひとも進めていただきたいと思っております。
次に、政策指針17、九〇ページになりますけれども、ひきこもり、ニートなどの青少年問題の対応について質問させていただきます。
若者には成功ばかりでなく挫折もつきものであり、学校に行けなくなって中退してしまうなど失敗をしても再度やり直しができる、納税者、社会人になってもらうことは重要な課題であると感じております。
エリートの育成だけではなく、ひきこもりやニートなど青少年をめぐる問題にも正面から向き合うことが必要と思いますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○小池計画部長 委員ご指摘のとおり、次代を担う全ての青少年が生き生きと社会に参加していることが重要であり、ひきこもりやニートなど、さまざまな問題を抱える子供や若者がハードルを乗り越えるための支援を強化していくことが必要であります。
そのために都では、区市町村の意見も踏まえながら、新たに東京都子供・若者計画を策定し、教育、福祉、保健、医療、雇用などの関係団体が連携して、地域できめ細かな支援を行うネットワークを構築する取り組みを進めてまいります。
○野上委員 ひきこもりやニートなどの課題は、本人や家庭だけの努力に任せるのではなく、関係団体が力を出し合って連携していくことが非常に大事であると思います。これは、本当に共感できる取り組みだと思っております。
人を育てることは、社会の根幹を形づくるとても大切な取り組みであり、今後の施策の展開を注目していきたいと思っております。
さて、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックまであと六年となりました。二〇二〇年大会は、日本の優秀な科学技術を世界にアピールする最高の舞台でもあります。
今、次世代のエネルギーとして水素が着目されております。私も二〇〇五年に開催されました愛知万博で水素エネルギーを活用した燃料電池車に実際に試乗し、音も静かで、乗り心地もすぐれ、水しか排出しないなど、大変すばらしいエネルギーに感銘を受けました。
また、水素エネルギーについての技術開発を通じて、国内に高度な技術が蓄積されていくとともに、一般への普及拡大と需要創出により、大きな経済波及効果も期待できます。
政策指針20の一〇二ページにもございますけれども、こうした特徴を持つ燃料電池車を普及していくに当たっては、水素ステーションの整備が不可欠でございます。
その整備費は約五、六億円といわれておりまして、欧米の約一、二億円と比べても乖離が大きい金額でございます。
そこで、都が率先して環境面ですぐれた能力を持つ燃料電池車の普及やインフラ施設である水素ステーションの整備を進めていくべきと考えますが、都の認識をお伺いいたします。
○小池計画部長 燃料電池車は、粉じんを初め、有害物質を排出しない無公害車ともいえる車であります。また、燃料電池車は自立分散型の発電設備ともいえまして、フル充電しますと、一般家庭の約一週間分の電力を賄うことが可能となりまして、停電時の電源として都民の安心・安全に資するものであります。
水素ステーションにつきましては、燃料電池車の普及に向けまして、ユーザーがいつでもストレスなく燃料を充?できるよう、ステーション数を積極的にふやしていくことが重要となります。
長期ビジョンの中間報告では、こうした点を踏まえまして燃料電池車や水素ステーションを普及拡大していくことを将来像と示しております。さらに最終報告では、普及に向けた具体的な取り組みや数値目標についても示してまいります。
○野上委員 一〇二ページの目標年次と目標値が空欄になっておりますので、具体的な取り組みや数値目標についても、最終報告の中でしっかりと明記していただければと思います。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会は、燃料電池車を初め水素エネルギー社会の姿と、その関連技術を世界に示す絶好の機会であります。さらに、これからの十年間は水素社会の本格的な到来に向けて技術開発や製品普及が大きく進歩していくことになります。
水素に係るインフラについても、水素ステーションに加えて水素パイプラインによる事業所や家庭への水素供給に係る技術開発も進んでいくことでありましょう。
水素社会の実現に向けては、都も水素エネルギーの活用を促進していくとともに、すぐれた技術を有する先進的都市として、その活用の姿をアピールしていただきたいと思っております。
そこで、二〇二〇年大会も踏まえた水素エネルギーの活用とともに、水素活用の姿を積極的に発信していくべきと考えますが、見解を伺います。
○小池計画部長 二〇二〇年大会の開催時には、燃料電池車について乗用車タイプのみならず、バスのタイプも市場に供給されているということを伺っております。大会期間中は、輸送手段として燃料電池車の活用を図りまして、クリーンな排気ガスやそれを可能とする技術の高さをアピールしてまいります。
今年度設置した水素社会の実現に向けた東京戦略会議における議論やオリンピック・パラリンピックに係る計画策定の進捗状況も踏まえながら、水素活用の姿を最終報告に反映してまいります。
○野上委員 二十一世紀の新しいエネルギー利用の姿であります水素社会の実現について、東京が先鞭をつけていくことを大いに期待しております。
次に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会開催時のおもてなしの充実について質問してまいります。
二〇二〇年には、海外から選手や大会関係者だけでなく、多くの観客や観光客も東京を訪れることが予想されます。東京を訪れる外国人に快適に東京で滞在してもらうためには、多言語対応を一層進めることが重要でございます。
そのため、東京都では国や他の地方公共団体、民間団体及び企業と連携して二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けた多言語対応協議会を設置し、官民一体となった表示、標識等の多言語対応を強化推進していると承知しております。
その中でも、飲食、宿泊施設等における案内表示や標識等の多言語化、ICTツールなど各種媒体を用いた多言語での案内についても促進しておりますが、例えば高齢の方が経営する飲食店等では、ICTツールを使うことは難しいのではないでしょうか。
そこで、多言語対応の一つとして、飲食店や宿泊施設等を対象に、誰でも簡単に使用できる多言語のカードを作成することも重要であると考えております。
また、東京での滞在をさらに快適にするために大切なことは、外国人に対するおもてなしの心、ボランティアの精神であります。
二〇二〇年大会に向けては、国や組織委員会、そして開催都市であります東京都が連携して取り組むことは当然でありますが、加えて多くの都民や企業の協力が不可欠であります。
二〇一二年のロンドン大会では、約七万人もの市民が競技運営などを行う大会ボランティアとして競技を支え、大会の成功に大きく貢献をいたしました。
二〇一四年のソチ冬季大会でも、約二万五千人もの大会ボランティアが活躍をしております。
そこで、二〇二〇年大会を成功に導くためにも、同様に多くのボランティアの力を結集すべきであると考えますが、二〇二〇年大会におけるボランティアの全体像についてお伺いいたします。
○小池計画部長 ボランティアは、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会でも、さまざまな場面で活躍しており、二〇二〇年大会においても成功を支える重要な力であると認識しております。
そのため、二〇二〇年大会に向けまして、大会組織委員会において競技運営やイベントサービスなどの大会運営そのものを担う大会ボランティアを育成することとしております。
また、東京都におきましても、東京を訪れた大会関係者や観客に対して案内等を行う都市ボランティアを一万人育成してまいります。
加えて、まち中で旅行者に観光案内を行う観光ボランティアや高齢者などが簡単な外国語で道案内等を行う外国人おもてなしボランティアなど、都内の各所でさまざまな分野のボランティアが活躍し、多くの都民がボランティアとして二〇二〇年大会に参加することを目指しております。
○野上委員 答弁にございましたように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会において、ボランティアは重要な役割を担うことになります。そのために、都民に対してボランティアへの積極的な参加を働きかけていくべきと考えますが、まず現時点の都民のボランティアへの参加状況について確認いたします。
○小池計画部長 ボランティアの参加状況に関する指標で、総務省の社会生活基本調査におきまして、過去一年間に報酬を目的とせず、自分の労力、技術、時間を提供して地域社会や個人、団体の福祉増進のための活動を行った十歳以上の人の割合をボランティア行動者率としております。
直近の調査であります平成二十三年の結果によりますと、東京都のボランティア行動者率は二四・六%となっておりまして、全国平均の二六・三%を下回っております。
○野上委員 ちょっと残念な結果なんですけれども、東京都のボランティア行動者は、全国平均よりも低いという結果が出ております。
ボランティアというと何か特別な行動のように感じてしまい、難しく考えてしまう人も多いのではないかと思います。ボランティアという言葉をかた苦しく捉えずに、まずは自分のできる範囲内で手を差し伸べることが大切であります。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のときには、国内外から多くの方が東京を訪れることになります。日本語を話せない外国人だけでなく、パラリンピック競技大会の際には、障害のある方も多く東京に来られます。また、地方から初めて東京に来て、東京の交通網に戸惑う高齢者の方がいるかもしれません。
こういった助けが必要な方々に対して自分のできる精いっぱいの対応をすること、それこそがオリンピック・パラリンピックの東京招致をかち取った最大の要因でもあるおもてなしの精神ではないでしょうか。
二〇二〇年東京大会では、都民一人一人がボランティアとして、おもてなしの精神を発揮して大会を成功に導くとともに、その精神を大会だけで終息されることなく、東京の文化として引き継いでいくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
○小池計画部長 二〇二〇年大会では、多くの都民がボランティアとして大会に参加し、国内外から東京を訪れる方々をおもてなしの精神を持って歓迎することで大会が成功をおさめることを目指しております。
そして、大会を契機に一層の醸成が進んだ都民のおもてなしの精神につきまして、その後のボランティア文化や共助の力として定着させるため、幅広い市民活動を支援し、都民一人一人の積極的な社会貢献活動を促進してまいります。
こうした取り組みにより、ボランティア行動者率を二〇二四年には日本一のレベルとなる四〇%まで高め、互いに支え合うボランティア先進都市の実現を目指してまいります。
○野上委員 二〇二四年には、四〇%までボランティア行動者率を高めるという目標を掲げております。
先ほどの答弁にありました外国人おもてなしボランティアは、高齢者を初めとして、簡単な外国語で道案内等を行うボランティアということですが、ボランティアは高齢者の方々の生きがいにもつながると考えます。お年寄りの方と話をしていると、元気な方も多く、ボランティアや社会貢献活動に対して関心はあるけれども、一体何をしたらいいのか、どうしたらいいのかがわからないという方も少なくありません。
二〇二〇年の大会では、さまざまなボランティアが活躍するということでございますが、こういったボランティアに関心がある方々を活動につなげられるように適切なコーディネートを行える体制の構築を進めていただきたいと思っております。
ボランティアは、人のためではなく、参加した人の心も豊かにし、健康づくりにもつながるものでございます。また、新たな人や知識とも出会うことで自分自身を深め、より豊かな生活を送ることができます。人に施したことは自分に返ってくるということでございます。
二〇二〇年大会を契機に、都民のボランティアへの参加が進む中で、おもてなしや共助、支え合いといった精神がさらに醸成されるとともに、その先の二〇二四年には成熟した都市の豊かな生活を支える文化として定着し、後世に引き継がれることを期待して、私の質疑を終わらせていただきます。
以上です。
○清水委員 私からも東京都長期ビジョン中間報告について、何点か伺います。
代表質問でも知事に認識や、また具体的な問題についてただしましたが、私たちは中間報告について保育園を四年間で四万人分整備するとか、その後も待機児ゼロを継続する、特養ホームは最大一万九千人分整備する、これらを進めるために、都有地や国有地、民有地の借地料の補助などの実施を明確に位置づけたことは極めて重要であるという評価をしております。
しかし、その一方で、この長期ビジョン中間報告は、石原都政以来の長期ビジョンを継承して、大型開発優先で国際金融センター構想などで外国企業を呼び込むなど、大企業がもうかれば全てうまくいくという経済政策、そして都市政策をとっていること、また、都民を苦しめている格差や貧困の広がり、安倍内閣が進める消費税増税、医療や介護など社会保障の切り下げなどから都民の生活を守る、そういう立場が欠けていることは容認できないという立場で質問をしてまいりました。
今の前進面は評価して、さらに前進させることが必要だと思っていますし、問題点は是正を求めていきたいという立場です。
以下、三点ほど質問いたします。
まず、代表質問でも触れましたけれども、パブリックコメントについての期間についてです。既に終了しているかと思いますけれども、二週間ほどの期間でした。今回、重要な長期計画であって、多くの都民の意見を酌み尽くす必要があります。各団体がそれぞれの意見をまとめるとしても、それなりの時間が必要です。また、区市町村への手続も行っているようですけれども、そうしたことを考えれば、二週間というのは非常に十分ではありません。既に終了したかと思いますけれども、延長する必要があるのではないかということを改めてお伺いいたします。
○小池計画部長 パブリックコメントの期間につきましては、その計画の内容や策定スケジュールを勘案して期間を定めていくべきものと考えております。
今回の長期ビジョンにつきましては、今後三カ年の実施計画を策定してまいりますが、十二月の発表に向けまして、寄せられたご意見を実施計画策定の議論の際にもできる限り生かしていきたいというふうに考えておりまして今回の期間を設定したものであります。今回の期間は適切だと考えております。
○清水委員 現在、どのくらい寄せられているのかということはわかっていますか。
○小池計画部長 パブリックコメントにつきましては、先週の二十六日までということなんですが、二十六日の消印有効ということもありまして、まだ完全に集計はできておりません。
ただ、現在、約ということでいいますと、件数で百五十件、事項数三百件ぐらい来ております。
○清水委員 改めて、私は求めておきたいというふうに思います。
期間の延長ということと同時に、さまざまな立場の方の意見を取り入れて、このまとめを行っていくということが必要だと思いますけれども、このことについてはどのように行ってきているのですか、お伺いいたします。
○小池計画部長 さまざまな方の意見ということでございますが、長期ビジョンの策定に当たりましては、外部有識者を交えたタスクフォースや各種審議会における議論、検討の状況を反映しております。
今後も引き続きタスクフォース等での議論やパブリックコメントに寄せられたご意見などを踏まえ、策定作業を進めてまいります。
○清水委員 タスクフォースについては、先ほどの資料請求にお応えいただいて出されております。審議会等ということがありました。
このタスクフォースを見ても、ここに構成員、体制ということがあります。これ自身は、知事の政策を実現するための組織であるし、審議会等についても諮問について議論をするということですから、やはりもっともっと専門家や研究者、市民団体、立場が違う方々の意見というのも取り入れる必要があるというふうに私は考えますけれども、いかがですか。
○小池計画部長 タスクフォース等、舛添知事になってから幾つか設置しておりますが、舛添知事、万機公論に決すべき、賛成の方も反対の方も入れて議論しようということで最初からいっておりまして、そういったものがこういったタスクフォース等にも反映されているんじゃないかと考えております。
○清水委員 さらに求めておきたいと思います。
具体的な内容ですけれども、本会議の代表質問では、保育や特養問題、それから中小企業、建設業の問題、そして雇用の問題、防災についてなど求めてまいりました。私は、まず先ほども別の委員が触れましたけれども、女性や若者全ての人が活躍できる社会の実現という都市戦略6の政策指針17のところで、女性の働きやすい職場環境の整備などが将来像として掲げられていますけれども、そもそもその根底となる東京都が制定している男女平等参画基本条例、男女平等に関する意識改革というものをきちんと長期ビジョンに盛り込む必要があるんではないかというふうに考えます。
それは、この間の人権問題もありますけれども、しかし、それだけではない。例えば、働きやすい職場づくりとか働く場への進出とか女性の管理職登用とか、そういう実現というのは意識改革ができたからこそ実現されるものです。子育てや介護や家事が女性の仕事であるという、その認識を社会から変えていかなきゃいけないと、世界の中でも、本当にこれは日本はおくれているんです。
それで、ここの問題、例えば、自分は洗濯を手伝ったとか、赤ちゃんをお風呂に入れて手伝っているよという、こういう段階ではないと、もうそういう段階ではないと、もう世界の流れというのは、もっと大きく進んでいるというふうな今事態です。男女平等参画のための意識改革という問題について数値目標も幾つか掲げられています。条例の行動計画には数値目標が掲げられています。掲げていないものについても、その達成について目標を持って取り組む必要があるというふうに思います。
それから、第二番目には、総合的な交通体制ということをいっています。
確かに、ここの点では、いろんな大型開発とか都市政策の転換を私たちが求めていますけれども、そういう違いがあっても、今必要なのは何なのかということをもっと認識していただきたいなと思います。
公共施設や商店街や商業施設、病院、主要駅などをつないで、高齢者などの地域における生活を支える交通、この地域交通が今大変重要になっています。これが私は触れられていないというふうに思うわけです。
市町村に比べて区部の公共交通の整備は進んでいますが、鉄道も路線バスも交通は通勤通学の便を中心につくられていて、高齢者などが地域の中で日常生活をする上で必要な移動ということに着目すれば、交通不便な地域は少なくありません。特に、多摩地域はそういう傾向が強いです。地下鉄は、階段、エスカレーター、エレベーターなど縦方向の移動距離が長く高齢者には不便で、区部においてもそういう状況があります。
長期ビジョン中間報告は広域交通が中心になっていて、地域交通、高齢者の交通確保策を今後盛り込んでいただきたいというふうに強く求めておきます。
三つ目には、長期ビジョンでは、先ほどもほかの委員が触れましたけれども、これまでと同様、再生可能エネルギーによる電力割合を二〇%に拡大する目標が示されましたが、これも、もうこの間繰り返し要求してきましたけれども、数%から伸びないという状況になっております。
そこで、二〇〇六年に環境局が出した再生可能エネルギー戦略の中には、目標達成に向けた施策の方向で触れられている個人と地域が選択するエネルギー利用、個人や地域の力を生かした再生可能エネルギーの利用拡大には、都民や区市町村と共同した小規模、自立分散の地域密着型発電への位置づけがありましたが、今回の長期ビジョンにはほとんどありません。つまり、実効ある支援策が明確にされていません。
先ほどお示しいただいたタスクフォースでは、再生可能エネルギー、これが設置されていますけれども、この中にもNPO関係者や市民団体の方などは入っていません。二〇〇六年の環境局が出した再生可能エネルギー戦略の中には、こうした関係者が入って提言もしているんです。こういう内容を盛り込まない限り、これまでも十分に達成できなかった。これが計画倒れになるというようなことがいえるんではないかということで具体化が求められていると思いますが、それぞれお答えください。
○小池計画部長 最終報告に幾つか課題を反映していくべきじゃないかというお話でしたが、ビジョンの中間報告では、東京の将来像やその実現に向けた今後の政策の方向性や政策目標をお示ししまして、最終報告に向けてパブリックコメントで都民等の意見を募集することとしております。
最終報告では、三カ年の実施計画に加えて、現在検討を続けている課題などについても新たに追加していく予定でありまして、最終報告で追加する事項につきましては今後の策定過程の中で検討してまいりたいと思います。
○清水委員 きょう指摘した内容、それから代表質問などで指摘してまいりましたが、こうした問題を最終報告に盛り込むことを求めて、質問を終わりたいと思います。
○島田委員 私からも、東京都の長期ビジョンについてお伺いをさせていただきたいと思っております。
まず初めに、政策の実効性、財政的な裏づけについてお伺いしたいと思います。
我が党の代表質問にもありましたが、この長期ビジョンでは財政的な裏づけはないわけでありまして、普通、企業の経営計画であれば、必ず政策と、そして中長期の財政計画があって初めて、その計画が実行できるわけでありますけれども、今後の税収というものは、確かに景気や社会情勢によって左右されますけれども、今までのいろんな実績がありますので見通しを示すことはできるだろうというふうに思いますし、特に心配なのは今後の支出であります。
特に社会保障費は年々増加して、たしか一兆円を超えている状況だというふうに思いますし、少子高齢化によりそのように社会保障費が膨らみ、そして支出がふえると、そして、一方で働き手が少なくなるので、今度は税収が減っていくと、オリンピック・パラリンピックでも経費がかかっていくと。
このような状況の中で、何か新しい政策を実行するのであれば、何かをやめるという選択肢もしなくてはいけないなと、そのように思っているところでございますが、今回の中間報告では、さまざまな政策目標を掲げ、その実行に向けて政策の方向性を示しておりますけれども、財政的な裏づけがあって初めて政策は実行していくことが可能になるというふうに思っております。
今後、少子高齢化などで財政が逼迫することが予想される中で、財政的にどのように政策の実効性を担保していくのか、お伺いしたいと思います。
○小池計画部長 年末の最終報告におきましては、政策の実現に向けて具体的な政策展開と三カ年の実施計画を策定いたしますが、長期ビジョンで選定する事業につきましては、予算等を優先的に措置していくこととなっております。これにより、長期ビジョンに掲げた政策の実効性を担保してまいります。
○島田委員 今お答えがありまして、三年間の実施計画を策定する中で、そこについては優先的に措置をしていくということでありますけれども、この長期的な財政ビジョンというものが必要になるというふうに思うわけでありますけれども、その点、何かお考えがありましたら、ちょっとお伺いしたいと思います。
○小池計画部長 長期ビジョンに、三カ年の実施計画と、あと具体的な政策展開ものせる予定でございまして、三カ年の実施計画と、その事業も含めまして予算上、人員上の優先的な措置はしていくと、そういうことでございます。
○島田委員 繰り返しになりますけれども、三年間、この計画は長期ビジョンということで三年間の短い財政計画はある程度つくるんだろうけれども、やっぱり長期的なビジョン、特に今いろんな税収が減ったり、社会的要因の中で将来的な財政計画を都民に示していくということも必要ではないかなと、そのようにも思っておりますので、ぜひその辺の検討をよろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、子供を産み育てる環境づくりについてお伺いしたいと思いますけれども、長期ビジョン策定で特に重要なテーマは、今後の少子高齢化社会に対応するかということであるというふうに思います。
東京の人口は、二〇二〇年に千三百三十六万人をピークに二〇六〇年には二〇一〇年に比べて二割ほど、人数にして二百八十万人減少して千三十六万人になることが予想されております。子供を産み育てる環境づくりをどう整備していくか、これが大変重要な課題であろうかというふうに思います。
私の選挙区では、地域の医療病院で産婦人科が医師不足、あるいは助産師の不足で閉鎖する状態になっておりまして、周産期、小児医療体制の整備、あるいは待機児童の課題が山積しているわけであります。子供、子育て支援、大変重要なテーマであるというふうに思います。
少子化対策としては、待機児童の対策などは長期ビジョンで盛り込まれておりますけれども、安心して子供を産み育てる環境づくりについて、出産から子育て期間に至るまで切れ目のない支援が必要だというふうに思っております。中間報告では、どのような政策の方向性を考えているのか、見解をお伺いいたします。
○小池計画部長 安心して子供を産み育てていくためには、今お話にありましたように妊娠期から出産、子育ての時期を通した切れ目のない支援が重要であります。
そのために、周産期、小児医療体制の整備や出産前後にサポートを必要とする家庭への支援、子育てひろばの整備など、地域の子育て支援機能を充実してまいります。
こうした取り組みの推進により、地域で安心して子供を産み育てられ、子供たちが健やかに成長できる社会の実現を目指してまいります。
○島田委員 今お答えがありましたけれども、子育て支援には待機児童解消に向けた保育サービスの充実、あるいは保育人材が不足していたり、あるいは児童の居場所づくり、児童虐待など、さまざまな課題があるわけであります。ぜひともこれらの課題の解決に向けて、長期ビジョンにしっかりと取り組みをいただきたい、そのように思っております。
次に、高齢者施設の整備についてお伺いいたします。
長期ビジョンの目指すべき将来像の中では、この東京を、ここで生まれて老後を過ごすことができてよかったと、そうやって思ってもらう都市にするということが、まず最初に述べられております。
高齢者人口は、二〇一〇年の約二百六十四万人から二〇二五年には三百二十七万人になることが推計されておりまして、支援が必要な高齢者の増加も見込まれております。在宅介護も限界がありまして、高齢者施設の整備が喫緊の課題となっております。
高齢者施設の整備に当たっては、高齢者のニーズに合った施設や住まいの確保が重要でありますが、都内は地価が高いだけでなく、施設の整備に適した用地自体見つけるのも容易ではありません。施設などの整備を進めていくためには、東京の地域特性を考慮し、賃料の減額などにより事業者負担を軽減するとともに、都有地を有効活用するなど、都全体で積極的に協力していくことが必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
○小池計画部長 特別養護老人ホームなどの高齢者施設の整備を進めるに当たりましては、東京の地域特性である高い地価と用地不足の問題への対応が不可欠であります。そのため、福祉インフラ整備のために都有地を貸し付ける際の賃借料について、地価の高い地域ほど減額率が高くなる仕組みを導入することで事業者負担を軽減しております。
また、用地の確保に向けましては、老朽化した都営住宅や公社住宅の建てかえの際に用地を創出した上で福祉インフラ整備への活用が見込まれる用地を選定し、候補地として提供してまいります。さらに、公営企業用地につきましても活用を進めるなど、都全体で福祉インフラ整備のための用地提供に取り組んでまいります。
○島田委員 高齢者施設の整備、これは喫緊の課題でありますので、ぜひ積極的に対応をよろしくお願いいたします。
次に、多摩・島しょ振興についてお伺いいたします。
長期ビジョンの中間報告では、世界一の都市東京という、東京が目指すべき将来像を掲げ、政策の方向性を八つの都市戦略に取りまとめております。
今回の中間報告において、多摩・島しょを都市戦略の一つとして取り上げていることは非常に意義深いことと考えております。
そこで、多摩・島しょの都市戦略の設定の考え方についてお伺いいたします。
○小池計画部長 多摩・島しょ地域は、まちづくりの歴史、文化など地域ごとの多様性に富み、豊かな自然にあふれ、東京にありながら大都市とは異なる特色がございます。こうした地域の特性などを踏まえまして、長期ビジョンの策定に当たりましては都市戦略1から7までの政策分野を切り口とした設定に加えまして、都市戦略8として多摩・島しょ地域の振興を設定しております。
ここでは、ハード、ソフトの両面の視点から、道路ネットワーク、防災対策、福祉、文化振興などの推進とともに、多摩・島しょにある豊かな自然を生かした地域の活性化について示しております。
○島田委員 今の答弁の中に防災対策という、推進ということがありました。多摩・島しょ地域は、大変険しい山間部や海に囲まれております。その地域の特性から、防災対策は引き続き重要な課題であると、そのように思っております。
このたび東京都の地域防災計画の風水害編、そして震災編が見直されているところでありますけれども、伊豆大島での土砂災害の教訓をどのように今後に生かしていくのかなど大きな課題でありますし、南海トラフ大地震が起きた場合には、三十メートルとも想定される津波にどう対応していくかなど、今後の防災対策に対する課題は多いところでございます。
多摩・島しょ地域の災害対策の視点で、中間報告ではどのような施策を盛り込んでいるのか、お伺いいたします。
○小池計画部長 地震、津波、豪雨といった災害への対策は、多摩・島しょ地域においても重要な課題でありまして、地域の状況に応じた災害対策を迅速かつ積極的に推進する必要があります。
中間報告では、多摩地域につきまして地震、風雨により緊急輸送道路が寸断された際の集落の孤立化を防ぐため、多摩川南岸道路や秋川南岸道路、梅ヶ谷トンネルの整備の推進により、代替ルートの確保を目指しております。
島しょ地域では、南海トラフ地震などによる津波対策として、避難施設が必要となる九つの港につきまして、二〇二四年度までに整備を完了させるなど、島しょ地域の津波対策の推進をしてまいります。
○島田委員 今ございましたように、総合的なハード、そしてソフトの対策が必要だというふうに思っております。特に、今のご答弁の中にありましたけれども、我が西多摩地域の秋川南岸道路だとか、それから梅ヶ谷トンネルの整備というものは、非常に地域要望の高いものでございまして、ぜひこれらの地域ともしっかりと連携をとりながら、ハードと、そしてソフトの対策もあわせてよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
そして、最後に、多摩・島しょ地域の自然の恵みを生かした観光振興についてお伺いいたします。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京開催が決まり、準備が進んでおります。開催時には、多くの外国人旅行者が多摩地域にも訪れるというふうに思います。このような機を捉え、多摩地域の自然や文化を紹介し、今後の多摩振興を充実させることは大変重要なことというふうに考えております。
多摩・島しょ地域がこれからさらなる発展を遂げていくためには、その特色、セールスポイントを強く打ち出していく必要があります。
その意味で、多摩・島しょ地域の振興にとって重要な要素である多摩・島しょ地域の自然の恵みを生かした観光振興について政策の方向性についてお伺いいたします。
○小池計画部長 多摩・島しょ地域におきましては、豊かな自然を生かした地域の活性化を目指し、都民の貴重な財産である自然を保全し、その魅力を生かした観光振興を促進することが重要であります。
中間報告では、自然環境など魅力あふれる観光資源を国内外に効果的に発信するとともに、多摩・島しょ地域の特色ある食材や食文化など、さまざまな地域資源を生かした新たな観光資源の開発を推進することとしております。
こうした取り組みによりまして、国内外から多くの人々が訪れる多摩・島しょ地域の実現を目指してまいります。
○島田委員 今の答弁にありましたけれども、自然と、そしていろいろな独自の食文化ということでありますが、二〇一四年の六月にIOCの調整委員会による会場の視察の際には、東京しゃもだとかトウキョウXですか、こういった東京の食材を使った料理が振る舞われたということでございます。
西多摩地域、我が選挙区ですけれども、そこには例えば秋川牛だとか、あるいは奥多摩のワサビなどがありまして、ぜひ東京産の食材のおもてなしで地域振興を図っていただきたいと、そのように思っております。
今回の長期ビジョンの中間報告では、緊急輸送道路に無電柱化など多数の政策目標が設定されていることは一定の評価をいたしますけれども、しかし、最後にわかりやすさという点で、それらの基準となる現状の数値があった方が達成状況を比較しやすいのではないかなというふうに思っております。
無電柱化の推進のところでは、第一次緊急輸送道路の無電柱化を二〇二四年までに五〇%完了するというふうに書いてあるんですけれども、先ほど野上委員のところでもボランティアの数字、現時点ではどれぐらいボランティアができているのかと、現時点の質問がありましたけれども、都民にもわかりやすいということでは現時点の数字を示して、そして達成目標を設定するということも非常に都民についてもわかりやすいのではないかと、そのように思っておりますので、最後にその点もちょっと意見として申し述べさせていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○みやせ委員 私も東京都の長期ビジョンについてお伺いをさせていただきます。
なお、今までの審議の中で重複する質問もありましたので、重なる部分は割愛をさせていただきます。
少子高齢化の社会の到来、二〇二〇年に迫っているオリンピック・パラリンピックの開催、消費税の増税による影響、伸長するアジアとの向き合い方、首都直下地震の到来など、東京都が将来にわたって抱える課題や周辺環境の変化は多岐にわたっております。
二〇二四年に向けて、これから動き出す長期ビジョンは、東京都がどのような方向に向かうのか、どう優先順位をつけて、どう実現に臨むのか、まさに東京の未来を左右する東京の設計図づくりといっても過言ではありません。
私たち結いと維新でも、本会議の一般質問の場では広く外部の有識者の声や都民の声をしっかりと伺いながら、人口推計だけでなく財政推計も盛り込んだ計画の策定をすべきと質疑をさせていただきました。
また、さきの総務委員会では、海外、とりわけアジア諸国などの人口動態やマーケット調査、意識調査なども実施すべきこと、また国内においても、いわゆるマーケティング調査や顧客満足度調査に際し、数字データである定量調査と意見収集型の定性調査を組み合わせ、長期ビジョンを多くの声を聞きながら策定していくことが重要だと述べさせていただきました。
端的に申し上げますと、ビジョンの策定に当たり民間企業で実際に行われている手法や観点を重要視していただきたいと要望させていただいております。
そこで、今回の中間報告を読ませていただき、まず率直に感じましたことは二〇二四年という期限に対し、可能な範囲で数値目標がしっかりと盛り込まれていた点であります。
私自身、民間企業から都庁での仕事へと転身し、まず一番最初に驚いたことは、民間では必ず打ち手一つ一つに対し、各数値目標が多岐にわたって設定されておりましたが、行政では各施策に対して数値目標を設けにくいといったことでありました。そういった点からも、今回その困難を克服し、しっかりと可能な範囲で数値目標が設定されたことは大変評価できるものであります。
そこで、このたびの長期ビジョンの策定に当たり、その特徴について改めてお伺いいたします。
○小池計画部長 東京には、オリンピック・パラリンピック大会の成功という大目標がありますので、ビジョンの中では、まず二〇二〇年の東京の姿を明らかにしております。
これとともに、二〇二〇年大会の成功はゴールではなく、世界一の都市を目指す東京にとっては一里塚であることから、二〇二四年の姿についてもあわせて明らかにしております。
さらに、政策の確実な推進を図るため、政策目標について可能な限り数値化するとともに、達成時期を明らかにしております。
○みやせ委員 ありがとうございました。数字は、誰もが客観的に状況を把握できるものであります。まだまだ数値目標を設定できるものもあるかと思いますので、ご答弁の最後にありましたように、一層政策目標に数値を設定していただくよう要望いたします。
次の質問に参ります。
今回の長期ビジョンは、舛添知事になってからの初のビジョンであります。舛添知事は、かねてより万機公論に決すべしと述べられております。そして、その具体化の一つがタスクフォースの設置と聞いております。
今回、九月に示された長期ビジョンの策定方針においても、都政の重要課題に対してはタスクフォースの設置など機能的な検討体制を整えるとされておりますが、このタスクフォースにおける検討状況、先ほど質疑が出ましたので、ここは意見にとどめさせていただきます。
私どもは、外部の有識者の声を広く聞いていただきたいと申し上げてまいりましたが、タスクフォースにおいて実現されることが確認できますが、今後は個別のテーマのみならず、一層長期ビジョンそのものに関しましても、ぜひ有識者の声を聞いていただくよう要望をいたします。
次に、グローバルの観点から個別の政策の数値目標に関連してお伺いをさせていただきます。
今回の長期ビジョンでは、世界トップスリーに入る年間三百三十件の国際会議が開催といった目標や、二〇二四年に東京における国際会議の開催件数を二〇一三年比約一・五倍にするとの目標が掲げられておりますが、これらの目標はどういう考えで設定されたのか、所見をお伺いいたします。
○小池計画部長 国際会議や展示会などのMICEは、世界中から人や物、情報、技術が集まり、大きな経済波及効果をもたらす成長産業でありまして、近年世界各国の都市が誘致に力を入れているところでございます。
特に、国際会議の開催は、政治、経済、学術、文化など幅広い分野で開催都市から世界に向けて最新の知見を情報発信することになり、都市力をはかる一つのバロメーターともいえるものであります。
このため、長期ビジョンの中間報告では、東京において国際会議の積極的な誘致活動を進め、開催件数を大幅にふやしていくという目標を掲げております。
二〇一三年の世界の都市別の開催状況を見ますと、一位シンガポール、二位ブリュッセル、以下ウィーン、ソウルと続きまして東京は五位となっておりますが、今後地域一体となった受け入れ体制の強化や東京の持つ魅力的な資源を生かすことなどによりまして国際会議誘致の取り組みを進めまして、常時世界トップスリーに入る国際的なMICE都市としての地位を固めてまいりたいと思います。
○みやせ委員 ありがとうございます。答弁にもありましたとおり、シンガポールがMICEに関しましてはナンバーワンであります。
先般、私どもの会派ではシンガポールに視察に行ってまいりました。さまざまな取り組みにつきましてヒアリングをしてまいりましたが、MICEに関しましても実際に訪れ、研究をしてまいりました。
そこでは、MICEを重要なビジネスセンターとして捉えるだけではなく、MICEを中心とした総合リゾートとして戦略的に機能をさせておりました。
ポイントを絞って申し上げますと、まず一点目は、民間企業の上手な活用であります。建築設計におけるコンペでは、なるべく民間の自由な発想を生かすため、要件をMICEの建設、オフィスが近いので憩いの場にすることの二点に絞り、十九社がアイデアを競い合い、周辺地域の公共インフラ整備を含め、民間が実現をさせておりました。
次に、二点目でありますが、国際会議の実施件数のみを指標とするのではなく、その収容規模、シンガポールは実に一部屋に七千三百人を着席できるスペースもMICEに用意されておりました。すなわち、その規模にもこだわっておられました。
三点目には、会議出席者本人だけではなく、いかに家族と一緒にシンガポールに来てもらい、お金を使っていただくかということでありました。その基本的な考えに基づき、MICEはホテルやアミューズメント施設などと一体化し、ナンバーワンを獲得したものと思われております。
時間の関係もありますし、直接の所管局ではないのでこれ以上の詳細は控えますが、ポイントになったことは、MICEを単に会議場としてではなく、いかに観光やIRなどと連携させていくのか。それは所管の局だけではなく、東京都の政策企画局に当たる局が横断的に戦略を担い、各局にリーダーシップを発揮されておりました。ぜひシンガポールに見習い、政策企画局の皆さんにも他の局との調整のみならず、リーダーシップをさらに持っていただき、目標であるトップスリーの実現に向けて進んでいただければと思っております。
次の項目に参ります。
私の地元板橋区高島平では、団地が築四十二年を超え老朽化し、また住民も高齢化、地域によっては高齢化率が四割近くに到達し、私の母校も廃校となり、大変強い危機感を感じております。
一方で、都有地や周辺の住宅を含め、どう地域や団地を再生させていくのかの検討会も始まってまいりました。
そこで、長期ビジョンには、都営住宅等の建てかえに伴う創出用地を福祉インフラの整備の候補地として十年間で三十ヘクタール強を提供するとありますが、具体的な内容をお伺いしたいところでありますが、先ほど質疑がありましたので割愛をさせていただきます。
私は、実は都有地の創出は大変重要なことだと思っております。再びシンガポールの話で恐縮ではございますが、東京都二十三区ほどの大きさしか国土がないシンガポールにおいては、国土が限られている以上、経済を維持発展させるためには、地下を活用するか上空を活用するしかないと担当者の方よりお伺いをしてまいりました。
東京都においても、待機児童解消のために都有地を活用することが当初うたわれておりましたが、なかなかよい都有地がなく、国有地の活用を検討するといったことがございました。
保育所などの福祉保健分野のみならず、まさに空間やスペースをどう確保するかは、多くの局の政策にとってボトルネックになるものであります。
質問しようとしていましたところの中に、十年間で三十ヘクタールの創出とありました。私は新しいアイデアやさらなる高層化、地中化によって三十ヘクタールといわず、多くのスペースを生み出していただきたいと考えております。
都政の課題は福祉インフラの確保のみならず、商店街の活性化、コミュニティの再生、防災など多岐にわたっております。そこで、単に創出された都有地を福祉インフラの整備のみならず、相乗効果が出るような取り組みが必要ではないでしょうか。
例えば、都営住宅をさらに高層化し、一階に商店街を設置します。また、二階には病院を置き、さらに中層階、三階から中層階までは、例えば既存の都営住宅の人に住んでいただく、さらに中層階から高層階は新規の子育て層に入っていただく。また、住宅の周辺にはシンガポールのようにフードコートを用意し、多世代の方が交流できるようなスペースを設けていく。例えば、病院の待ち時間が長いと悩まれるご年配の方が多いですが、そういったビルが、建物が高層化し、その下に病院があれば病院の待ち時間はなくなるわけであります。また商店街も、地域の商店街の方は今大変お客さんが来ないと嘆かれている商店街も多いですが、その建物の一階に商店街があれば、上から住民の方々がその商店街を利用していただけるような、そういった機会もふえると思います。
このように、まだまだアイデアの域は出ませんが、いずれにせよ、その際に大切になってきますのは、政策企画局の皆様がしっかりとリーダーシップを発揮し、トータルでマネジメントすることが重要と捉えております。
このように長期ビジョンは各局と調整しながら策定し、施策は各局が実行することだと思いますが、局間をしっかり連携させ、相乗効果を生み出すことにより、また民間の力を活用することにより目標達成が進むような取り組みが必要だと考えますが、所見をお伺いいたします。
○小池計画部長 中間報告では、バリアフリー環境の整備や都市再生の推進など、庁内の局間連携や官と民との連携により取り組んでいく施策を掲げております。
こうした政策の実現に向けて、都庁だけでなく、都民、事業者、国等の関係者とも積極的な連携協力を図り、施策を推進してまいります。
○みやせ委員 ありがとうございます。今回の長期ビジョンにおいて、可能な範囲で目標数値が設置されたことは大変喜ばしいことでありますが、一方、残念ながら、各局の政策目標数値が達成できないのではないかといった事態も予想されます。
そこで、長期ビジョンに掲げた政策の実施に際しましては、各局が事業主体となりますが、政策企画局は各局の政策展開にどうかかわり、どうフォローしていくのかお伺いいたしまして、私からの質問を終わります。
○小池計画部長 年末に策定する長期ビジョンの最終報告におきまして、具体的な政策展開とあわせて三カ年の実施計画を盛り込んでまいります。
三カ年の実施計画などによりまして、政策の進行管理を行い、目標の実現に向けて取り組んでまいります。
○両角委員 それでは、私からも長期ビジョンの中間報告について質問させていただきたいと思います。
最初に特徴を伺おうかと思ったんですが、今他の委員からの質問で、世界一の都市東京の実現を掲げているということと、オリンピックまでのステージとオリンピック以後、四年後二〇二〇年のステージに分けているということと、数値化を図ったということが特徴であるという話がありましたので、私からはそれは質問をしないで、次に、二〇二四年、要は十年後の東京のあるべき姿ということで、まずは一点伺いたいんですけれども、オリンピック・パラリンピックが開催をされる二〇二〇年が一つの目標だと、一つのステージだと思います。
そのステージを超えて、次、二〇二〇年から東京都の人口というのは減少局面に入るということでありまして、そうした中で、そこからまたステージが変わっていくんだろうと、オリンピックも終わって、その四年間の踊り場があって、これからはずっと人口が減っていくという、そんな局面なんですが、この十年後というターゲット設定をされたんですが、二〇二四年というのは、まずどんな都市東京というのであるべきかということをイメージされているのかということを伺いたいと思います。
○小池計画部長 今回の長期ビジョンでは、東京が都民に夢や希望を与え、幸せを実感できる成熟社会にふさわしい都市ということで、そういうことであり続けられるよう長期的な視点で新たなグランドデザインを描くことを目指しております。
そのため、基本目標の一つに、課題を解決し、将来にわたる東京の持続的発展の実現を掲げまして、その実現に向けた具体的な道筋を描いていくこととしております。
○両角委員 幸せを実感できる成熟社会にふさわしい都市ということを目指していくということでありました。
ご案内のとおり、日本全体も人口減の局面に入っておりますし、東京都については二十年後には高齢者、ひとり暮らしの高齢者が四四%になるという数値も出ておりますし、さらに二〇五〇年には、極端に簡単にいえば労働力が半分になって高齢者が倍増すると、そんなイメージになってくるわけであります。
世界の国の中でも日本の国というのが急速に高齢化をしていく。じゃ、都市で考えた場合も東京は人口が多いですから、高齢者のロットというのもすごい大きいわけです。世界の同じような大都市の中で、一番先に高齢化、超高齢化というのを経験していく、そんな大都市なんだということを思えば、その中で私は東京モデルというのを二〇二四年、その先を見て提示していただければありがたいなと期待するところなんです。
例えば、雇用。高齢、超高齢化になって、しかし活力を持っていける、そんな雇用のモデルであったり、モビリティーであったり、あるいは超高齢化に対応したバリアフリー都市、それが東京が先んじて、世界が注目しているわけでありますから、そのオリンピックを超えて、そして二〇二四年、これから本格的な超高齢化を迎える、そんな大都市東京がこんな成熟して新しいモデルを展開しているんだよということを、先ほど成熟社会にふさわしい幸せを実感できるという抽象的な言葉でありましたが、モデルを出して発信していただきたい。このことをまずは要望させていただきたいと思います。
次に、策定のプロセスということについて何点か伺いたいと思います。
今回、舛添知事が二月に当選をされてから、七カ月、八カ月という、そんな時期に発表された中間の発表でありました。まさに、だんだん舛添色が出てくる中でプランニングとして自分の色をこれから出していくということであろうと思います。
それでは、今回のビジョンでは、特に舛添知事の思いというのをどこに具体化されているのかということを伺いたいと思います。
○小池計画部長 今回の長期ビジョンは、舛添知事就任後初めて策定されるものでありまして、今後の都政運営の指針となるものであります。
ビジョンでは、史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現を初め、少子高齢化対策や災害への備え、グローバル都市の実現など、都政の重要課題について政策の方向性を示しております。
○両角委員 知事が選挙でも訴えられた、例えば少子高齢化対策というのは待機児ゼロにするとか、そういったような思いが具体化をされた、そんなものなんだろうというふうに理解をするわけであります。
そこで、この策定過程ということで、このプランをまずちょっと見たときに将来像としてこのようになっているという書き方なんです。理想像が書いてあるということなんですけれども、プランをつくるときのつくり方もいろいろだと思うんです。
例えば、審議会を設けて、そこで意見を聞いて、あるいは同時並行で庁内のプロジェクトをつくって、各局からニーズが出てたたいていくという方法もあるでしょうが、今回の長期ビジョンについては、政策企画局が中心になって、特に庁内ワーキングみたいなものを設けたというふうには聞いておりませんし、あるいは審議会で大々的にやったということも聞いていないわけですが、そうした中で、やはり大切なのはニーズをきちっと捉えるということであろうと思うんです。
そのことでちょっとお聞きをしたいんですけれども、例えば、業界や団体、いろんな団体があります、市民団体、福祉団体。そういうところからヒアリングを順次かけていくという、系統的にそういうことをやるとか、あるいは都民アンケートをかけていくとか、そういうこともこういう長期ビジョン等々をつくるときに行われる一つの手法ではないかなと思うんですけれども、今回の中間報告の策定プロセスにおいては、外部からの意見というのはどのように反映をさせたのか伺いたいと思います。
○小池計画部長 今回の中間報告の公表に当たりましては、外部有識者を交えたタスクフォースや各局所管の審議会等での議論を十分に踏まえながら、策定、公表をしております。
○両角委員 政策企画局がみずからビジョンのための審議会を回すということではなくて、各局がやっている審議会の意見を取り入れたりと、そういうことだろうということで理解をしますが、今タスクフォースというお話がございました。それでは、タスクフォースの検討結果というのは、このプランにどのように生かされているのかということを伺います。
○小池計画部長 例えば、東京の総合的な交通政策のあり方検討会というタスクフォースがございますが、そこでの議論の内容としまして、歩行者を中心とした質の高い空間の創出、そういうものがございますが、これは今回の中間の報告でも記載されております。このほか再生可能エネルギーや水素社会の実現につきましてもタスクフォースの議論を受け、政策の方向性などを掲げております。
○両角委員 本日委員会に提示された資料請求の資料でもタスクフォースの設置、検討内容ということでいただいているわけであります。
今交通政策についてというお話がございました。それぞれの分野で専門家、例えば金融関係であれば証券取引所の方ですとか、あるいは庁内の関係部署の方が入って議論をされているというふうに確認させていただきました。
しかしながら、今、この中間ビジョンが提示をされたのが九月ですよね。それぞれのテーマのタスクフォースで大体一回一時間半とか、その程度の議論ということになっていますので、何となく私のイメージではタスクフォースというのは短期間に熟度の高い議論をして、かなりたたいていくというようなイメージがあるんですが、最初の導入部分の議論で提示をされているというような、そんな印象を受けたということはお伝えさせていただきたいと思います。
それで、次に、一つ、ビジョンの特徴ということでお話をいただいております数値目標について伺いたいと思うんですが、この数値目標を設定した狙い、それと設定に際して数値の取り扱いというか、基本的な考え方、こういう整理の仕方で数値というのを扱っているということを伺いたいと思います。
○小池計画部長 今回の長期ビジョンでは、東京の将来像の実現に向けた政策目標を設定し、その政策目標を確実に達成するための到達点を可能な限り数値化して明らかにしております。さらに、これによりまして政策の進捗状況につきましても、都民にわかりやすく示すことができると考えております。
○両角委員 狙いとしては、今のご答弁では政策の進捗状況を都民にもわかりやすく示すことができる、そういったツールですよというお話でございました。
一方で、この設定、私が伺ったのは、この長期ビジョンの中でさまざまな数字が出てきます。例えば、待機児童の解消を目的として四万人分の保育サービスの利用児童の枠をつくったということで、この四万という数字は何かというと、目標設定が目標設定年次に待機児童をいなくするという目標を実現するための数字であると、そんなふうに理解をします。ですから、それは理想とする状況を実現するための数字なんだと。
数字にはいろいろありまして、これ数字は各局で挙げてくるわけですよね。例えば、首都空港機能の強化という、四一ページには空港容量の拡大ということで、なかなか数量化ができないんでしょうけれども、そういう挙げ方をしたりもします。それはそれぞれが目標としたものに対して各局が数字を挙げてくるんだと思うんです。しかし、じゃ、政策企画局として、このプランをつくるところの部署としては、数字を挙げるときに、これはものを実現するための、理想の状態を実現するための具体的な数字をつくってくれということなのか、あるいはそうではなくて、今ありきに対して努力をして一〇%増しの数字を挙げてくるのかとか、いろんな数字の挙げ方がありますので、そこら辺の共通した、こういう数字で出してくださいよというものが、多分このプランの考え方に通じると思ったから伺ったわけです。
例えば、国が予算とか政策をつくるときに、各省庁からいろんなものが上がってきて、それをホチキスどめするとよくいいますよね。例えば、首相の施政方針演説をするときに、各省庁のを全部ホチキスしたのを読んでいるだけじゃないかなんて話がなされるときがあります。ですから、私はプランニングをするに当たって、政策企画局、プランをつくるところが数字の意味も含めて、こういう数字で出してくださいと、ただただ各局から上がってきたのをがちゃっとホチキスどめをしているのではないですよねということで確認をさせていただいた次第でございます。
続いて、進行管理に数値を使っていくということでありましたけれども、ビジョンの進行管理自体がどんな形になっていくのかということをお聞きします。
○小池計画部長 最終報告におきまして三カ年の実施計画を掲載してまいりますが、ビジョン策定後における進行管理は、この実施計画などに基づいて実施してまいります。
○両角委員 実施計画を主として進行管理していくということで、三カ年の実施計画をつくるというのが今回のビジョンの一つの特徴でもあると。知事も本会議のときにおっしゃっておりましたけれども、絵に描いた餅にならないように実施計画を使って進行管理をしていくんだと、そのときにこの数値目標が一つの達成目標になっていくということだろうと思うんです。
これもちょっと他の委員からお話があったところなんですが、そのときに大切なことは財源の裏づけということでありまして、実施計画ができ上がって三カ年で事業がのっかってくるということでありますけれども、その三カ年にのっかってきた事業が実際に実行することができるのかということは、一つは予算、一つは人員ということになろうかと思いますので、実施計画に掲げられた事業に関する予算や人員というのは、どのように扱われるのかということを伺います。
○小池計画部長 実施計画は、ビジョンで掲げる政策の着実な実現に向け、今後三年間で実施する事業の内容と必要な事業費を明らかにするものであります。長期ビジョンで選定する事業につきましては、予算、人員等を優先的に措置していくこととしております。
○両角委員 今ご答弁で予算、人員等を優先的に措置していく、実施計画にのったものにはということでありましたから、一つの担保だと思うんですが、計画を策定するときに、そういったことを東京都の場合は政策企画局と財務局ですか、企画と財政が分離をしているわけですから、企画財政局とか、そういう形ではないので、まずは財政部門にプランをつくっていくに当たって、これは優先的に予算を実施計画上にのったものは担保してくれということをこの答弁でいただいたとおり、オーソライズをしっかりしていただきたいと思います。人員については、政策企画局内部の話でしょうから、それは担保がされているんだというふうに理解をしたいと思います。
そういったことがこれから本当に着実な三カ年ごとの計画の実施になっていくんだろうというふうに考えますので、ご答弁いただいたとおり、財務部局とも調整をして、しっかり進捗を図っていただきたいというふうに要望させていただきます。
そして、最後になりますけれども、今、仮称東京都長期ビジョンという形で出ているわけです。ちょっと私、混乱をしているところがありまして、この総務委員会で所属させていただいて、この長期ビジョンの話って何回かしたことがあるな、伺ったことがある。前知事の時代も新しい長期ビジョンをつくるという話があって、それがちょっと立ち消えになって、そしてまた今長期ビジョンの話ですから。東京都長期ビジョンというのがどのことをいっているのかなということが若干混乱をするわけでございます。
それで、最後の質問というのは、長期ビジョンのネーミングについてであります。
名は体をあらわすということはいわれます。これから十二月最終報告がなされるということですから、この長期ビジョンが最終的に三カ年実施計画とともに世に出ていくということになると思うんです。それは我々議会に対しても、あるいは都民に対しても、これからの二〇二四年ですか、に向けて、東京都はこういう展開を総合的にやっていくんですよということをまさに示していくわけなんですが、このネーミングを東京都長期ビジョンとか、何か当たり前ではなくて、名は体をあらわすということで、まさにこれがスパンとわかるような、こうした都市像となっていくんだな、東京都はこういう展開をしていくんだというような具体的なイメージをあらわすようなものとしていっていただきたいなと、こういうふうに思うわけです。
本当であれば政策企画局長に伺いたいんですが、なかなか難しいところもあるようですから、部長の答弁を伺います。
○小池計画部長 ビジョンの名称につきましては、中間報告では仮称として東京都長期ビジョンとしておりますが、今後十二月の最終報告に向けて鋭意検討してまいりたいと思います。
○両角委員 今るる質問させていただきましたが、計画部門の皆さんは、ここ一、二年ずっと計画をつくり、計画をして、計画をつくりということで大変だったんではないかなと、こんなふうにも推察をするわけでございます。しかしながら、オリンピックを一つの契機として、さらに四年後も見据えて、今新しい知事のもと、もう一回都政が仕切り直しをして新しい方向性を打ち出すという大変貴重な誇り高いお仕事をされているわけでございますから、しっかりと取りまとめていただいて、すばらしい最終報告が十二月に発表されることを期待しまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○鈴木委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックもいよいよあと六年後の開催を迎えているわけですけれども、招致に全力を投入していた時期とは異なりまして、万全の体制を整えて成功へ導く時期を迎えている。そして、そのためには東京都はもちろん、国や民間事業者、そして都民初め、オールジャパンで準備を着実に進めていかなければいけない今時期であるというふうに私は思っております。
そのような中で、今回舛添知事のもとで初めて長期ビジョンの中間報告が発表されたわけです。
今日、石原知事や猪瀬知事の時代と異なる状況を東京や日本も迎えている、私はそのように思っております。
例えば、オリンピック・パラリンピックの施設整備も含めた公共事業の実勢価格が大幅にふえております。また、最近の異常気象のように、防災対策が何よりも都政の喫緊な課題にもなってきており、またデング熱などのように本当に新たな感染症対策にも取り組んでいかなければならない、多岐にわたっているというふうに私は思っております。
中間報告を見させていただきますと、本当に舛添知事のもとで今後どのような見通しが立てられて、どのような政策をされていくのか、私はこの中間ビジョンを関心を持って読ませていただきました。
そして、これまでの特徴と大きく違うのは、今まで議論がありましたけれども、数値化されて二百三十項目も掲げられている点ではないかなというふうに思います。
内容を見ると、かなり意欲的な数値が並んでいるわけですけれども、一番大事なのは実現可能性であり、この中間報告ではまだ少しわからない面もたくさんあるというふうに思っております。
知事の強い思いが込められて明るい方向を示そうとしているのは理解できますが、これらの数値が何を意味して、都民の生活にどのように影響して、実現に向けて道筋はどうなっていくのか、広く一般の都民に具体的に理解されなければ意味がないというふうに思います。
明るい方向を示すのはよいけれども、都民に政策を示していくことに当たっては、実施に向けた実現可能性を担保していくことが強く求められ、私は数値化にこだわることによって、やはり先行き不透明な今日において、先ほど部長がお話、答弁されておりましたけど、執行管理の柔軟性が失われないか若干心配しております。
ぜひ、大切なのは都政を前進させていく、その一言に尽きるというふうに思っておりますので、今後の取り組みに期待をさせていただきたいというふうに思います。
さて、東京と日本には少子高齢化の進行も重い課題としてのしかかっておりますけれども、何よりも経済の持続的な成長も大きな課題であります。
日本経済は、安倍政権の誕生によって上昇基調にあるとはいわれておりますけれども、最近の経済指標を見ますと、決して楽観できる状態でありません。第一の矢の金融政策、第二の矢の財政政策に続く、何よりも第三の矢である成長戦略の着実な実行が欠かせないわけであります。
東京には大企業や外資系企業のほかに、何よりも優秀なものづくり技術を持つ中小企業が集積して、これまでも東京のみならず、日本の経済を牽引してきたわけであります。
私の地元大田区にも優秀な技術を持つ中小企業が集積しております。この中小企業が本当に成長していくためにも、東京が何よりもグローバル時代の厳しい国際競争を勝ち抜いて、先頭に立って日本経済を牽引していかなくては私はいけないと思っております。
新たな長期ビジョンの中間報告では、東京の産業分野において都内の開業率を一〇%台に上昇させるとの政策目標が掲げられておりますが、そこでまず、その数字の持つ意味と東京の産業活性化とのつながりをお伺いいたします。
○小池計画部長 産業を活性化するには、ものづくり基盤の充実強化のほか、中小企業の成長産業への参入など、さまざまな要素が存在しております。その中でも新たな事業を起こすベンチャー企業などの活動は、経済活性化に必要不可欠な要素であります。
東京における開業率は約四・六%となっておりまして、国際的にはイギリスやアメリカなど一〇%を超える国が多い中で東京は低い水準にあります。
開業率は、経済の新陳代謝が活発かどうかをはかるバロメーターであり、経済のさらなる活性化を実現するために開業率の上昇が必要となると考えております。
○鈴木委員 今イギリス、アメリカの開業率が高いという答弁をいただきましたけれども、廃業率も高いというふうにいわれている中で、経済の流動性を促す環境がまさに整っているわけです。そこを踏まえて、よいところはしっかりと担保して足りないところを改善していく。過渡期においては、私はそのことが一番大事じゃないかなというふうに思います。
また、一口に起業、創業といいましても、製造業分野やサービス業分野までさまざまな業種、業態があります。かつて、我が国ではホンダやソニーのようなベンチャー企業が活発に活動し、大きく成長して日本ブランドの代表へと育ち、日本経済そのものを力強く牽引してまいりました。これらの事業者は、製造業分野での起業、創業の大きな成功例であるというふうに私は思いますが、現在では海外に比較して新たな起業、創業が低いということであります。
しかし、大事なのは、なぜ低い水準にあるのか。なぜ、第二、第三のホンダやソニーが誕生してこないのか。起業、創業に当たって、これまでハードルがあったのではないかという原因をよく分析しなければ、高い数値目標を掲げても私は意味がないというふうに思います。
そこで、開業率が低い水準にある原因を都はどのように分析しているのかをお伺いいたします。
○小池計画部長 起業、創業を取り巻く課題としましては、資金調達や経営に関する知識、ノウハウの習得、起業や事業運営に伴う各種手続、質の高い人材の確保などが挙げられます。また、失敗時の大きなリスク負担や高額な創業経費の返済の重圧などの課題もありまして、こうした幅広い観点から起業、創業を支援する仕組みの充実が必要と考えております。
○鈴木委員 それでは、今伺いました課題を踏まえまして、開業率を上昇させていくためには、実際にどのような着眼点で政策を展開していくのかお伺いいたします。
○小池計画部長 まず若者、女性、高齢者、企業発ベンチャーなどの幅広い主体がそれぞれの経験や強みを生かした多様な起業を数多く創出できるよう支援してまいります。
そのためには、起業家の卵の発掘や起業家精神の育成などの新たな取り組みを進めて、産業界の旗手となり得る起業家の輩出を目指すとともに、成功事例を広く発信して起業に挑戦する機運を醸成してまいります。
また、すぐれた民間インキュベーターが集まる東京の地の利を生かしまして、これらインキュベーターの連携により、創業予定者の発掘、育成から成長段階までの一体的な支援に取り組んでまいります。
さらに、法人設立手続の簡素化、迅速化など国家戦略特区の取り組みとも連動し、日本人、外国人、ともに起業しやすい環境を整備してまいります。
○鈴木委員 幅広い層が豊かなアイデアを持って新たに起業しやすい環境を東京の産業の活性化には本当に大切なわけでございます。今さまざま答弁いただきましたけれども、私も経営者として仕事をさせていただきましたけれども、チャレンジしやすい環境にしていくためには、やはりリスクヘッジ、そして資金繰りということが何よりも現実に大切になってきております。
そうしたことを考えますと、この分野は東京都がやる分野ではないわけでありますけれども、やはり金融機関とかさまざまな関係機関と一体となって、そうした現場を見て私は政策展開に結びつけていただきたいなというふうに思っております。
そうした点も踏まえて、より具体的な施策が最終報告でわかりやすく示されるように、これから注目していきたいというふうに思います。
次に、冒頭にも述べたように、東京には日本経済を支えてきた優秀な技術を持つ中小企業がたくさんあります。安倍首相が視察した町工場でも、岡野工業さんのように痛くない注射針という世界で一つしかない技術を持っているなど、東京の中小企業には優秀な技術がたくさん蓄積しております。
大田区でも、かつては九千社の中小企業があったわけですけれども、今は四千社ほどに減少してしまいました。そこには、いろいろな原因がありますけれども、これまで多種多様な企業が集積していることに強みがあり、またお互いが連携して切磋琢磨して新たなイノベーションをなし遂げ、魅力的な新しい製品を世に送り出してきたわけです。
グローバル経済が急速に展開する中で、中小企業を取り巻く環境は厳しくなる一方といわれておりますけれども、この厳しい競争を勝ち抜くために、都は今後十年間を見据えて、どのように東京の中小企業の支援を行っていくのか、この中間報告の考え方をお伺いしたいと思います。
○小池計画部長 中小企業が厳しい国際競争を勝ち抜くためには、成長産業分野への参入や海外展開を通じて新たなイノベーションを生み出し、グローバル市場における東京の産業のブランド力を確立することが必要であります。
そこで、健康、医療、環境、エネルギー、危機管理などの成長産業を戦略的に育成して、中小企業の新たな参入を促進してまいります。
また、中小企業の海外展開に当たりましては、現地支援体制の強化や知的財産権侵害への対策のほか、国内外の展示会等を通じての外国企業と都内中小企業の相互交流やマッチングなど、幅広く支援してまいります。
○鈴木委員 今ご答弁ありましたけれども、東京の中小企業が積極的に成長産業に参入していくということは、優秀な技術を最大限に生かして新たな付加価値を生み出すことにつながっていくことです。そのためには、大学や研究機関などの研究成果を産学連携で活用して、高付加価値な新たな製品を生み出していくことは、今後何よりも成長戦略として重要なことであります。この分野は、まさに現場を持つ東京都が積極的に取り組んでいくことであるというふうに私は思います。
また、知事が推進する都市外交の中でも、今答弁にあった外国企業と東京の中小企業のマッチング支援などにつながる経済交流も活発化していただきたいというふうに思います。私は、ここはまさに政策企画局の出番であるというふうに思っております。ぜひそうしたことを踏まえて、積極的な取り組みを期待していきたいというふうに思います。
またあわせて、これらの政策について今後のより具体的な政策展開を注目していきたいというふうに思います。
ところで、小規模企業を初め、東京の中小企業では後継者不足も深刻な悩みの一つであり、後継者がいないために優秀な技術が途絶えることは東京のみならず、日本全体の国家的な損失であるといえます。
先ほど述べましたように、大田区の中小企業が減少していることの原因の一つでもあり、今回の長期ビジョンではどのような取り組みを進めようとしているのかをお伺いいたします。
○小池計画部長 東京の産業集積を維持し、強化するためには、小規模企業を初め、中小企業の円滑な事業承継が必要不可欠であります。都は、中小企業がこれまで培ってきた技術やノウハウを喪失することなく承継できるよう支援策を積極的に展開し、東京の産業基盤の維持発展に取り組んでまいります。
○鈴木委員 東京のみならず、日本産業の維持発展のためにも非常に切実な課題であるというふうに私は思います。相続制度の関連もありますので、この分野は国と連携してしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
また、先ほど触れましたけれども、長期ビジョンに示された政策課題を着実に解決していくためには、一つの局だけでなく、都庁全体が縦串と横串をしっかりと通して連携して政策を進めていくことは何よりも不可欠なことであります。
今後、最終報告に向けて政策の実現に向けた道筋を都民にわかりやすく示していただき、今後十年間を見据えた羅針盤として、都民、事業者に希望を与える産業展開を期待したいと思います。
そこには意欲的なことは当然でありますけれども、政策実現性ということも大切にして、新たな信頼を与えられるような最終報告にしていただきたいと要望して、私の質疑を終わります。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二十八分休憩
午後三時四十五分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより総務局関係に入ります。
報告事項、平成二十五年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績及び平成二十六年度東京都監理団体経営目標の設定状況について外四件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○榎本総務部長 九月十六日の当委員会におきまして要求のございました六件の資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元配布の総務委員会資料をごらんください。
一ページをお開きください。1、防災上重要な公共建築物の耐震化率でございます。
消防署や警察署等の防災上特に重要な建築物と建設事務所や保健所等のその他防災上重要な建築物について、それぞれ都立、区市町村立別に耐震化率を掲げてございます。
二ページをごらんください。2、家具類の転倒等防止対策を実施している家庭の割合、居住地別でございます。
平成二十五年十二月時点での家具類の転倒等防止対策を実施している家庭の割合を居住地別に掲げてございます。
三ページをごらんください。3、消火栓の普及数及び防火水槽の設置数、区市町村別でございます。
平成二十五年四月一日現在の消火栓の普及数及び防火水槽の設置数を掲げてございます。
四ページをごらんください。4、防災市民組織のスタンドパイプ、可搬消防ポンプの保有状況、区市町村別でございます。
平成二十五年四月一日現在の防災市民組織のスタンドパイプ、可搬消防ポンプの保有状況を区市町村別に掲げてございます。
五ページをごらんください。5、消防団員数の定数に対する充足状況、区市町村別でございます。
平成二十五年四月一日現在の消防団員数の定数に対して、現員数及び充足率を掲げてございます。
六ページをごらんください。6、整備地域の不燃領域率、地域別でございます。
整備地域の不燃領域率を地域別に掲げてございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○栗山委員 二十七日に突然噴火をした御嶽山を初めとする、ここ最近、自然災害に関するニュースを聞かない日がございません。日本各地で台風や集中豪雨、またそれに伴う土砂災害の発生が続いております。過日も茨城県を震源とする地震が発生し、都内で震度四を記録するなど、ことしに入り、関東地域で三回も震度五弱の地震が発生しております。まさに日本が災害大国といわれるゆえんでありまして、昨年の大島での痛ましい土砂災害を経験した東京も、いつまた自然災害に襲われるかわかりません。自然災害をとめることはできない以上、どのように立ち向かっていくのかを都民に示し、具体的な取り組みを展開していくことが東京都に課せられた大きな課題である、こう認識をしております。
これまで我が党が示してまいりました災害対策に係るさまざまな提言を踏まえ、地域防災計画の見直しを行い、東京の防災力向上に向けた取り組みを進めてきた点は、大いに評価をしております。
こうした中、今回、都は新たに二〇二〇年までの目標を示した東京の防災プランを策定するとして骨子を公表いたしましたが、東京の防災対策を推進していく上で、このプランの果たす役割を明確にしていくことが重要であるというふうに思っております。
まず、東京の防災プランを策定することとした意義についてお伺いいたします。
○矢岡総合防災部長 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を契機として、東京を世界一の都市へとしていく上で、その前提となる東京の安全・安心を確保していくことが重要であります。その実現に向けては、公助とともに自助、共助が一体となって防災対策を推進していくことが欠かせません。
このため、二〇二〇年を目標に、自助、共助の取り組みやそれを促す取り組み、また行政みずから推進していく公助の取り組みなど、あらかじめ備えるべき具体的な取り組みを示す東京の防災プランを策定することといたしました。
あわせまして、都民一人一人の理解と協力が不可欠であることから、地域防災計画で掲げる予防業務の実効性を担保し、発災時の円滑な応急復旧業務を確保する対策につきまして、都民にもわかりやすい内容で取りまとめております。
このプラン策定を通じまして、世界一安全・安心な都市の実現に向け、都民、地域、企業、行政が一体となって防災対策を推進していくことを狙いとしてございます。
○栗山委員 我が党はこれまで、一貫して自然災害の脅威に対して、都民、地域、企業と東京都を初めとする行政が一体となって防災対策を進めていかなければならない、こう述べてまいりました。東京の防災プランは、まさにその点を踏まえ策定したものであるということがはっきりいたしました。
もう一点明確にしておかなければならない点は、地域防災計画との関係性でございます。
今の答弁で、防災プランは地域防災計画も踏まえているということでありましたが、地域防災計画では、首都直下型地震や南海トラフ型地震に関して、被害想定で示された被害に対して、例えば死者を約六千人減少させるなど減災目標を明確に定め、その達成に向けた対策が記載をされております。
一方、防災プランでは、災害発生によって起こり得る事態と、その事態に対して自助、共助、公助が目指すべき共通の将来性が示されております。この将来像の実現に向けて取り組みを進めていくということでございますが、地域防災計画の減災目標であり、これをどのように理解をすればよいのか、明らかにしていく必要があるというふうに思っております。
そこで、防災プランで掲げる将来像と地域防災計画の減災目標との関係性についてお伺いをいたします。
○矢岡総合防災部長 地域防災計画では、被害想定で示された被害に対し、死者を約六千人減少、建築物の全壊、焼失棟数を約二十万棟減少等を減災目標として掲げてございます。計画に定める予防、応急、復旧ごとに対策を進めていくことで、被害想定結果に対する減災結果を示す、いわば数値目標というものであります。
一方で、東京の防災プランで掲げる将来像は、都民、地域、企業、行政が一体となって目指していく将来の東京の都市像であり、いわば共通のビジョンともいうべきものであります。この自助、共助、公助共通の将来像達成に向け、一体で取り組みを進めていくことで、被害想定に基づく減災目標の達成にも大きく寄与するものであると考えております。
○栗山委員 確かに、死者を六千人減らしますという数値目標を設定していること、これは非常に意味のあることだろうというふうに思います。
一方で、どういう状態になればそうなるのかというイメージが湧きにくかったという印象もありますけれども、今回のプランで示した将来像が、いわばその具体的都市像をイメージさせてくれる役割も果たすものであると理解をいたしました。また、将来像の実現がひいては減災目標の達成につながっていく、リンクしたものだということもよくわかりました。
こうした点も踏まえ、次に、今回示された取り組みの方向性についてお伺いをいたします。
首都直下型地震は、今後三十年以内に七〇%の確率で起こるとされておりまして、発生時に起こり得る人的被害は想像を絶するものとなるということが予想されております。都の被害想定では、最大で死者約一万人弱、重傷者約二万二千人を含む約十四万八千人もの人々が負傷するとの想定が示されております。
建物の耐震化や木造密集住宅地域の改善などを図り、こうした被害を最大限軽減していくことはもちろんでありますけれども、大規模地震がいつ発生しても、まずは住民同士が助け合い、負傷者を救出し合える環境をつくっていくことは、これまで日本が経験した大災害から得た貴重な教訓でもございます。
今後作成予定の防災ブックを各家庭に広く行き渡らせて、それを活用した普及啓発、こうしたものを行うなど、住民一人一人の防災意識を高め、近所や地域で助け合える力を強化していくことが重要だろうというふうに思っております。
発災時に自助、共助による救出活動が適切に行えるよう、地域の防災力を高める取り組みをどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
○矢岡総合防災部長 大規模地震による人的被害を軽減するためには、まず都民みずからの命を守る自助、相互に助け合う共助の取り組みを推進することが重要であります。
東京の防災プランでは、自分たちの力で家族や地域を守れるようにするため、地域の防災訓練を初め消防団等の活動への参加など、自助、共助として取り組むべきものを示してございます。その上で、防災ブックを活用した普及啓発や、都立学校での宿泊防災訓練などの防災教育を通じ、自助、共助の意識醸成を促進するとともに、大小さまざまな住民参加型訓練の実施や消防団の機能強化など、都民の災害対応力向上を促してまいります。
こうした取り組みを通じまして、災害時に住民が適切な対応がとれるよう、地域の防災力を向上させてまいります。
○栗山委員 地域の防災力向上、この視点は非常に重要な点でありますので、今後の具体的取り組みを注視させていただきたいと思います。
一方で、自衛隊あるいは警察、消防等による迅速な人命救助を行い、一人でも多くのとうとい人命を救うなど、公助による応急対策も当然必要でございます。都を初め関係機関が円滑に救助救出活動を行える体制を構築していくことが重要であると、こう捉えておりますけれども、そのためにどのような取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。
○矢岡総合防災部長 発災時には、自衛隊、警察、消防等を初めとする関係機関との円滑な連携のもと、公助による命を守る災害対応体制の構築も欠かせません。
こうした認識のもと、本年四月には首都直下地震等対処要領を策定するなど、初動時の対応力強化の取り組みを進めてまいりました。今後、さらにその実効性を確保していくことが必要でございます。
具体的には、東京の防災プランでは、救出救助活動に必要となる道路の閉塞を防ぐため、橋梁の耐震化や無電柱化を推進するとともに、道路上に散乱した瓦れきを迅速に撤去できるよう、関係機関と連携し、道路啓開計画を策定してまいります。
また、昼夜を問わず行われます大規模救出救助活動の拠点となる都立公園の防災機能強化や、緊急消防援助隊等、全国からの応援部隊の受け入れ拠点整備に加えまして、災害重機部隊等、高度な活動能力を備えた専門部隊の創設などを進めてまいります。
こうした取り組みによりまして、対処要領の実効性を高め、大規模な災害が発生しても、迅速かつ的確な救出救助活動が展開できる環境を整えてまいります。
○栗山委員 我が党はこれまで、対処要領の重要性について提言等を通じて再三指摘してまいりました。多くの都民の命を守るとの決意のもと、取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。
切迫性の高い大規模地震への備えも重要でありますけれども、先ほど冒頭に述べましたとおり、都市化や温暖化等の影響に伴い、近年多発している集中豪雨や台風あるいは土砂災害への備えも非常に重要でございます。
ことしの夏は、四国地方や近畿地方を襲い、大きな爪跡を残した豪雨、七十人以上のとうとい人命が失われた広島での土砂災害、沖縄や北海道で特別警報が発令されるなど、多くの風水害に日本全土が見舞われた年でもあります。
都内でも、六月下旬に調布市や三鷹市などで大量のひょうが降り積もり、農作物被害等が発生したことを初め、都内の多くの地域で局地的に激しい豪雨が降り、建物への浸水や道路の冠水が多発するなど、もはや異常事態が常態化、通常化している、こうした気象状況であるともいえます。
こうした集中豪雨や土砂災害が多発しているという現状を踏まえて、東京都の安全を守るため、防災プランにどのような取り組みを盛り込んでいるのか、お伺いをいたします。
○矢岡総合防災部長 近年、各地で多発しております風水害の教訓等を踏まえまして、集中豪雨や台風、土砂災害などの被害を最小限に食いとめ、都民の生命や財産を守っていくことが重要であります。
そのため、東京の防災プランでは、事前の被害軽減策の習得や避難等の意識づけなど、自助、共助が備えるべき取り組みを示すとともに、住民が適切な判断を行えるよう、情報提供の充実や安全に避難できる環境の整備を進めてまいります。
また、豪雨などの水害の発生、拡大を防ぐため、河川や下水道の施設整備を実施するなど浸水対策の推進をするとともに、土砂災害の危険性が高い地域における砂防事業の実施に加えまして、土砂災害警戒区域等の指定等を進めてまいります。
こうしたソフト、ハード両面からの対策を総合的に展開することで、安全な避難ができる体制とともに、集中豪雨や台風等による浸水被害、土砂災害被害が軽減される環境が整っているという将来像の実現を目指してまいります。
○栗山委員 まさにただいま、自助、共助、公助が一体となって、災害に強い安全な東京をつくっていくという強い意気込みを感じました。
しかしながら、今回の骨子はあくまでも取り組みの方向性しか示しておらず、まだ実のついていない枝葉の段階だろうというふうに思います。具体的な事業展開を示し、このプランにしっかりと実を実らせていくことが重要であるというふうに思います。
先日、我が党の代表質問に対して、舛添知事は、具体的かつ実効性のある取り組みとその道筋を工程表として加え、年内に完成させると発言をされております。今後六年間の取り組みを工程で示すといっても、事業の進捗やその時々の状況により、なすべき具体性展開は変遷していくものというふうに思っております。六年という時間の中で、どのように今回示した将来像を実現していくのか、ある程度短いスパンで示していくことがより具体的であると、こういえるのではないかなというふうに思っております。また、都民にもわかりやすい内容で示すという意図を決して忘れることがあってはならないというふうに思っております。
そこで、今回の骨子に工程表を加えて東京の防災プランを完成させるとのことでございますが、具体的にどのように策定をしていくのか、お伺いをいたします。
○矢岡総合防災部長 東京の防災プランは、行政のみならず、都民、企業の皆様にとっても、二〇二〇年までの防災の指針としていくことを狙いとしており、具体的かつ実効性のある事業展開を示していくことが重要でございます。
こうしたことから、今回明らかにしたそれぞれの起こり得る事態に応じて示した将来像の実現に向けた取り組みの工程表として、まずは今後三年間で進めていく具体的な事業を盛り込んでまいります。その上で、骨子と同様に、工程表につきましても、都民の皆様に読んで理解していただけるよう、わかりやすい内容で策定をしてまいります。
○栗山委員 今後三年間で進める具体的事業を示すというご答弁がありましたが、しっかりと取りまとめをしていただき、都民や企業の皆さんと東京都を初めとする行政が一体となって防災対策を進めていくことができる内容になることを強く期待しております。
我が党は、既に七月に東京を世界で一番の都市にを実現するための政策提言を示しております。具体的な事業の取りまとめに当たっては、防災に関する提言内容をしっかり受けとめながら、積極的に反映していくことを強く求めて、東京の防災プラン骨子に関する質問を終わります。
次に、小笠原諸島振興開発計画素案についてお伺いをいたします。
我が党は、これまで小笠原の振興に全力で取り組んできており、先日の代表質問でも質疑が交わされたところでございます。
小笠原諸島では、終戦一年前の昭和十九年に約六千八百人余の島民が本土へ強制疎開することになり、終戦後は米国の統治下に置かれ、昭和四十三年に我が国に復帰するまでに四半世紀近くの時間を要しております。
復帰以降、東京都も国や村と一体となり、小笠原の生活基盤や社会基盤の整備を重点的に進めてまいりました。その結果、交通、産業、生活基盤など各種基幹施設の整備等、相応の成果が上がってきているものと認識をしております。
しかしながら、小笠原は、その歴史的な特殊事情に加え、本土から約一千キロメートルも離れているという地理的特性などにより、交通アクセスの改善や公共施設の老朽化など、依然として残された課題が山積をいたしております。
こうした中、昨年三月には、我が党が中心となり、都議会全会派一致で、時限法である小笠原諸島振興開発特別措置法の改正・延長に関する意見書を決議し、本年三月末には要望どおり改正、延長が行われました。
これを受け、東京都では新たな振興開発計画を策定することになりました。都はこれまでも計画を策定し、小笠原の振興と発展を図ってまいりましたが、計画を策定する意義とその効果について、確認の意味でお伺いをいたします。
○佐々木多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 これまで都は、小笠原の特殊事情による課題を解決するため、数次にわたる計画に基づき、さまざまな施策を講じてまいりました。
計画策定の意義といたしましては、今後の小笠原諸島の振興開発の基本的方針と施策を明らかにし、これに基づく事業を積極的に推進するために定めるものでございます。
また、計画策定による効果といたしましては、計画に位置づけられた事業が国庫補助の対象となった場合、補助率のかさ上げなどの特例的措置を受けることにございます。今後とも、こうした財政措置などを効果的に活用してまいります。
○栗山委員 この計画素案は、パブリックコメントを経て、国との協議を行った上で成案となるわけでありますけれども、計画を確実に実現していくためには、その財源の確保というのが極めて重要でございます。都としても村と連携しながら、国庫補助金の確保に向けて国への働きかけを積極的に行い、計画に基づいて円滑に事業が実施できるよう取り組んでいただきたいというふうに思います。
これまでの計画における主な成果としては、平成二十三年に、屋久島、白神山地、知床に続き、我が国で四番目の世界自然遺産登録が実現し、観光客が増加する契機となりました。また、同年七月には、海底光ファイバーケーブルの敷設により情報通信環境が劇的に向上し、高度通信が可能になりました。前回の計画に位置づけられた施策が実を結び、小笠原振興開発に着実な進展があったものと受けとめております。
次に、今回の法改正、延長を踏まえて策定する計画と前回の計画との違いについてお伺いをいたします。
○佐々木多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 今回の計画と前回の計画との主な違いでございますが、まず、今回の小笠原諸島振興開発特別措置法の改正により、法の目的に定住の促進が追加されたことを踏まえまして、新たな計画では、生活環境の整備や交通アクセスの改善、教育の充実などに関する取り組みを拡充してございます。次に、さまざまな主体が相互に連携し、振興開発を推進していく旨を新たな計画に明示してございます。また、都と村の取り組みや役割分担、年度ごとの取り組みを明確化しているところでございます。
このように、新たな計画では、都や村、村民など振興開発に携わる全ての関係者が連携して、主体的、積極的に振興開発に取り組むことによりまして、より実効性を高めることを目指してございます。
○栗山委員 ただいまご答弁にございましたように、交通アクセスの改善についても取り組みを拡充していくということでございます。小笠原の村民にとっては、航路も航空路もともに生活に直結する最大の関心事となっております。外海離島であります小笠原においては、交通アクセスの改善は、村民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要であると思います。
そこで、今回の計画では、交通アクセスの改善に向け具体的にどのような取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。
○佐々木多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 外海離島である小笠原の村民にとりましては、航路、航空路ともに極めて重要な課題であると認識をしてございます。
まず航路につきましては、東京と父島を結ぶ「おがさわら丸」の経年劣化に加え、世界自然遺産登録に伴う観光客の増加や多様化するニーズに対応するため、都は、国や村、運航事業者と、大型化、高速化、快適化などに着目した新たな船舶の建造を進め、また、出発時間など運航形態の見直しを図っていく予定でございます。父島と母島を結ぶ「ははじま丸」につきましても、経年劣化が著しいことから、新たな船舶を建造し、「おがさわら丸」、「ははじま丸」ともに平成二十八年度の就航を目指すことを、今回の計画において位置づけているところでございます。
一方、航空路の開設につきましては、これまでも幅広く検討を行ってきておりますが、現在検討しております三つの案のいずれにも、自然環境への影響や費用対効果、運航採算性などさまざまな課題がございますことから、関係者との調整等にそごを来さないよう慎重な配慮を行いながら、引き続き課題の整理、検討を進めてまいります。
○栗山委員 航路につきましては、「おがさわら丸」とあわせて「ははじま丸」についても、平成二十八年度就航を目指すとの答弁がございました。村民の期待に応えられるよう、引き続き取り組みをよろしくお願い申し上げます。
一方、航空路につきましては、小笠原にとって長年にわたる極めて重要な課題であると認識をいたしております。開設に当たっては、さまざまな課題があるということも十分承知をしております。
航空路につきましては、過去たどってきた経緯あるいは経過があることから、村や国を初め関係者間で、くれぐれもボタンのかけ違いのないよう慎重な配慮を行いながら、また丁寧な調整を行いながら、引き続き幅広く、かつ着実に調査検討を進めていただきたいというふうに思います。
今回の振興開発計画素案では、それぞれの施策や取り組みがより具体的にわかりやすく記載をされておりまして、小笠原振興について都の意欲的な姿勢がうかがわれるわけでございます。また、小笠原村民を初め都民にも、読みやすいものとなっているというふうに認識をしております。
しかしということでありますけれども、計画は、策定するだけでなく、いかに実施をして小笠原の振興、発展を実施していくかが重要であると思います。
そこで最後に、これからの小笠原の振興、発展に向けた局長の決意をお伺いしたいと思います。
○中西総務局長 小笠原の地理的、歴史的な事情によります課題の克服に向け、計画に基づき振興策を着実に講じていくことは、村民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要でございます。加えまして、村民が定住し続けられる社会基盤を維持していくことは、我が国の排他的経済水域を保全する上でも不可欠でございます。
そのため、今回の計画素案では、定住の促進や村民生活の安定に向け、交通アクセスの改善を初め、住宅や教育、医療など、村民の生活環境に関する取り組みなどを重点的に拡充してございます。
今後とも、今回策定いたします計画に基づき、自然環境との調和、共生を図りながら、小笠原の自立的発展に向け、国や村と連携して全力で取り組んでまいります。
○栗山委員 ただいま局長から力強い決意を伺いました。
答弁にもございましたように、本土から隔絶した外海離島の小笠原諸島では、二千五百人もの村民が住み続け、さらには、新たな村民を迎えていくということが国家的役割としても重要なことでございます。小笠原諸島が占める排他的経済水域は約百十九万平方キロメートルでありまして、日本の国土面積約三十八万平方キロメートルをはるかに上回ります。伊豆諸島五十二万平方キロメートルを加えると百七十一万平方キロメートル、日本全体の四五%を東京都が占めることになります。
先々週から、小笠原諸島の父島と嫁島の領海内に二十隻もの不審船が領海を占拠、サンゴを不法漁獲しているのではないかという情報もありまして、憂慮すべき事態であるというふうに捉えております。
小笠原諸島の振興開発は、東京都のみならず国益を守ることにも直結するものであり、都としても引き続き全力を挙げて取り組んでいただくことを切に要望して、私の質問を終わります。
○野上委員 東京の防災プラン骨子について何点か質問させていただきます。
都は、オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年を目標に、行政による公助、都民や企業などの自助、共助、それぞれが取り組むべき対策を示した東京の防災プランの骨子を公表いたしました。読ませていただきましたが、二十七ページというコンパクトな分量にもかかわらず、それぞれの事態に対して、行政の取り組みのみならず都民や企業が備えるべき取り組みを列挙するなど、これまでにはない形でまとめられております。
舛添知事は、これまでも万機公論に決すべしと述べられ、さまざまなテーマにおいて専門家等から意見を幅広く聞いてこられました。防災に関しても、六月に知事も参加され、女性三名を含む防災の専門家との意見聴取が開催され、女性や高齢者などの視点を踏まえた対策や、都民や企業の取り組みの大切さなどについて、活発な論議が行われたと聞いております。
こうした防災の専門家から出されたさまざまな提案等を東京の防災プランにしっかりと反映していくべきと考えますが、見解を伺います。
○矢岡総合防災部長 世界一安全・安心な都市の実現に向けまして、オリンピック・パラリンピック開催年の二〇二〇年を見据えて、自然災害に対する備えを万全なものとすることを目的に、女性三名を含む八名の防災の専門家から六月に意見を聴取いたしました。
そこでは、首都圏も視野に入れた災害に強い都市づくりや、自助、共助による具体的な行動に結びつけていく行政の取り組み、女性や高齢者、外国人などさまざまな目線に立った防災の取り組みなどを論点に、活発な議論が行われたところでございます。
地域における要配慮者対策の推進や自助としての備蓄促進など自助、共助の重要性や、女性や外国人の視点を加えた防災対策の展開など、さまざまなご意見を踏まえまして、今回の骨子に可能な限り反映を行ったところでございます。
○野上委員 第二回都議会定例会の総務委員会の質疑におきましても、私から女性の視点を盛り込むことの重要性について触れました。女性の視点、高齢者に配慮した取り組みなど、専門家の意見も十分に踏まえたものとなっていることがわかりました。
特に、災害発生時には高齢者など要配慮者への支援は欠かせません。このプランのシナリオでも、高齢者などは迅速かつ円滑に避難することが困難であると示されております。まさに地域で助け合える環境をつくるとともに、行政もしっかりとサポートしていくことが求められます。
災害に備え、要配慮者を初めとする避難者が安全に避難することができる体制を事前に構築しておくことが重要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
○矢岡総合防災部長 避難開始のおくれなど、発災時の避難行動に伴う混乱を防ぐためには、避難場所や避難所等に安全かつ迅速に避難できる体制を整えておく必要がございます。
東京の防災プランでは、家庭や地域でいつでも避難できる環境をつくるため、非常用持ち出し袋の準備や避難経路の確認、近所の方との協力した避難行動要支援者の誘導支援など、自助、共助の取り組みを示してございます。
また、公助の取り組みといたしまして、全ての区市町村で要配慮者の避難支援プランを策定できるよう、発災時の住民避難の役割を担う区市町村の取り組みを支援するとともに、防災教育の充実等を通じて、避難者が安全に避難できる環境を整備してまいります。
こうした取り組みに加えまして、避難道路等における都道のバリアフリー化等、道路などの防災機能向上を図るなどハード面も含めて、災害が発生しても避難者が安全で迅速に避難できる体制の構築を進めてまいります。
○野上委員 近隣の住民が協力をして高齢者などの避難を支援するなど、災害時にはこうした共助の取り組みが多くの人の命を守ることにもつながってまいります。区市町村ともしっかり連携して、避難時の都民の安全確保に向けた取り組みを進めていただきたいと思います。
もう一点、発災時に命を守る上で重要なことがございます。備蓄品をしっかりと確保できているかどうかです。
自宅が無事な方は自宅で生活をしていただき、自宅が倒壊や焼失した方は避難所で避難生活を送ることになります。どちらにしても、災害を生き抜いていくには食料や生活必需品が不可欠です。被災後に生活に必要な発災後三日分の備蓄を、自助、共助、公助それぞれの立場で進めていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
○矢岡総合防災部長 発災後の生活に必要不可欠な食料や生活必需品等を日ごろから備蓄することで、災害の発生に備えることが重要でございます。
プランでは、自助、共助の取り組みとして、日用品等の買い増しや補充等を進め、三日分の食料等を準備することなどを示すとともに、公助の取り組みとして、家族構成等を踏まえた備蓄を継続的に行える仕組みの構築や、防災ブックなどを通じ都民の備蓄への意識の醸成をするなど、各家庭における備蓄を促進してまいります。
また、水道管路の耐震化などを通じて飲料水を着実に確保するとともに、高齢者など要配慮者にも配慮した備蓄を推進するなど、都と区市町村が連携し、避難所生活者に必要な食料、生活必需品等の確保を進めてまいります。
こうした自助、共助、公助の取り組みを通じまして、今後、避難所や自宅での避難生活に必要な三日分の備蓄を確保してまいります。
○野上委員 公助による備蓄はもちろんのことですが、今後、都民一人一人がしっかりと備蓄を行えるよう、具体的な促進策を取りまとめていくことを期待しております。
二一ページになりますけれども、これまで首都直下地震への取り組みを伺いましたが、島しょ地域の地震対策も重要です。
都議会公明党は、第二回都議会定例会において、避難対策や備蓄強化が南海トラフ地震への最大の課題との認識に立ち、具体的な取り組みと事業スケジュールを明らかにし、島しょ部の地域特性に応じた対策の実施を求めました。それに呼応する形で、都は東京の防災プランにおいて、島しょ地域における地震に対する取り組みを盛り込んだ点は高く評価しております。
十二月に向け、具体的な工程を示すことを引き続き要望しておきますが、今回、津波対策について、改めてどういう方向性で対策を進めていくのか、一点確認いたします。
島しょ地域を襲う大きな地震が発生すれば、津波が押し寄せますが、しっかりとした事前の備えがなければ、防災プランのシナリオで示すとおり、避難開始のおくれや避難行動時等に混乱が起き、人的被害の発生に直結してまいります。将来像に示す津波に対する人的被害が大幅に軽減される体制をしっかりと進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○矢岡総合防災部長 島しょ地域における大規模な地震の発生に伴う津波に対しましては、住民等が迅速に避難できる体制を事前に整えておくことが重要でございます。
東京の防災プランでは、訓練等への参加に加えまして、地域の人と連携した避難計画の策定など、地域で津波避難に対する対策をとるなどの備えを自助、共助の取り組みとして示してございます。
加えまして、各島しょ町村による津波ハザードマップの策定支援や、宿泊施設等の津波避難計画の策定促進など、観光客も含めた避難対策の推進を図るとともに、避難路や津波避難タワーの整備等を着実に進めてまいります。
一方で、数十年から百数十年に一回起こる可能性のある津波、いわゆる発生頻度の高い津波に対しましては、浸水防止に向けた海岸堤防のかさ上げ等を図り、津波から人命や財産を守ってまいります。
ソフト、ハード両面から対策を講じていき、津波による人的被害が大幅に軽減される体制づくりを図ってまいります。
○野上委員 首都直下地震や南海トラフ地震など切迫性の高い地震に対して、公助に加えて自助、共助による事前の取り組みが非常に重要でありまして、とりわけ発災直前、直後に的確に都民が対処することが命を守ることにつながります。
防災プランのシナリオでは、南海トラフ地震については緊急地震速報の話が記述されていますが、残念ながら首都直下地震では一言も触れられておりません。緊急地震速報は命を守る行動をとる上で非常に貴重な情報です。こうした情報に対して自助、共助がどういう行動をとるべきなのか、都は防災プランの中でしっかりと都民に明示するよう強く要望しておきます。
二五ページになります。さて、先月、九月十日に発生した局地的な激しい豪雨に伴い、私の地元である葛飾区、またお隣の江戸川区でも、JRの新小岩駅では改札口付近が水浸しになるなど、床上浸水等の被害も発生をいたしました。
今回、実はこれは水が流れてきたためではなく、一軒一軒お尋ねをいたしますと、これは内水氾濫でございました。トイレや風呂場の中から下水の水があふれ出してきたと、そういう内水水害ということで、土のうは全く間に合わなかった状況でございまして、当初、ごみ袋の中に水を入れて口をしっかり縛って、トイレの中に入れたり風呂場の排水口のところに置いたり、そういうことをしていればかなり防げたのではないかということが後でいわれておりました。
河川や下水道の整備など、浸水被害の発生、拡大防止に向けたハード対策を進めていくことは大変重要ですが、整備には多くの時間を要します。一方で、昨今の気象状況を踏まえると豪雨は待ってくれません。そのために、住民自身による大雨等への備えが必要となってきます。都民一人一人に集中豪雨等に対する備えについて自覚をしてもらうことが重要と考えますが、見解を伺います。
○矢岡総合防災部長 集中豪雨や台風などに伴う被害を軽減するためには、公助による対策はもちろんのこと、自助、共助による被害軽減に向けた取り組みが重要となります。
東京の防災プランでは、自助、共助の取り組みとしまして、ハザードマップ等を通じた地域の危険場所の確認や、屋内避難等に備えた家庭での備蓄、気象情報等の情報収集を行うなどの取り組みを掲げてございます。
また、発災時に適切な行動がとれますよう、先ほど委員からもありましたけれども、止水板や簡易に作製できる土のう、水のう等の活用をして排水口を塞ぐなどの事前の浸水被害軽減策の習得や、命を守る手段としての避難の意識づけなども示してございます。
都民への情報提供の充実や、水害の発生、拡大を防ぐ施設等整備を、公助による取り組みとともに、こうした都民一人一人の取り組みを通じまして、集中豪雨や台風等による被害の軽減を図ってまいります。
○野上委員 住民自身に対処法の知識があるかないかで、おのずと結果も違ってくると考えます。
災害は時を選びません。いつでも発生し得る自然災害に対し、自助、共助、公助それぞれがしっかり事前の備えをすることが重要であり、このプランがその取り組み指針となるよう今後の策定作業に期待し、質問を終わります。ありがとうございました。
○徳留委員 東京の防災プラン骨子について、震災対策、集中豪雨対策を中心に、要望や提案を述べつつ幾つか質問させていただきます。
今回の東京の防災プラン骨子は、切迫する首都直下型地震、相次ぐ異常な気象現象のもとでも都民の命と安全、財産を守り抜く、舛添都知事が強調する世界一の防災都市、あるいは世界一安全・安心の都市東京をしていく上で極めて重要なもので、そういう内容に年末に向けて充実させていくことが求められています。そのためにも、これまでの経験を踏まえつつ、最新の知見、最新の到達点を踏まえて、災害の予防対策の観点から、公助の積極的役割とともに、自助、共助の具体化も求められています。
まず震災対策についてです。この問題では、昨年末の中央防災会議の最終報告、ことし三月の閣議決定の首都直下地震緊急対策推進基本計画の内容をしっかりと生かすことが重要だと考えています。
この首都直下型地震への基本計画では、その中でわざわざ膨大な人的、物的被害への対応という見出しを立てて、その一番目の項目で、あらゆる対策の大前提としての耐震化と火災対策を特別に強調しています。
そこで、まず地震、火災対策でございますが、防災プランの骨子では、二〇二〇年に向けてあらかじめ備えるべき取組についての項目で、出火・延焼の抑制とあります。二〇二〇年までに備えるべき取り組みとして、災害時に火災が発生しても、燃え広がらない、燃えないまちが至るところで形成とあります。しかし、防災プラン骨子では、火災発生後の延焼に重きを置いているのではないかという気がいたします。
問題は、首都直下型地震では、私たちが経験している通常の火災とは全く様相が一変して、同時多発的な火災が発生する可能性が極めて大きいということです。これをどうやって発生しないようにしていくか、特に木造住宅密集地域での火災発生をどう食いとめられるのか、そこが非常に、犠牲者を少なくして被害を最小限に食いとめていく鍵を握っていると思います。
特に、阪神大震災で火災発生の原因が明確になっているものでは、停電後の電気の復旧による復電火災、それから、通電火災の原因が判明しているうちの六一%は、電気が原因となって出火しているということを、私たちは肝に銘じて対策を具体化していく必要があると思います。
しかも、この電気火災は、地震発生から一時間経過してから発生し、あるいは地震発生から三時間経過した直後に発生するような、そういう電気火災が大変多いということを、一九九六年、平成八年の日本火災学会の調査報告では示されております。
だからこそ、二〇一一年三月の東京都の火災予防審議会地震部会の第十九期答申でも、昨年十二月の中央防災会議の最終報告でも、また、ことし三月の閣議決定の推進基本計画でも、建築物の耐震化などとともに、感震ブレーカーの設置によって火災対策の重要性を強調しています。
この直下地震の推進基本計画では、感震ブレーカー等を設置することによって、電気関係の火災の出火を完全に防止できた場合には、人的、物的被害は約半分に減らすことができると、そして、さらに住民等によって初期消火が可能な限り達成された場合には、火災による死者は九五%まで減らすことができるとしております。
この閣議決定の推進基本計画では、感震ブレーカー等の一〇〇%配備の方策の検討を進めて、早急に実施すべきと述べて、さらに、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向けた対応の第一に、即効性のある取り組みとして、まずは木造住宅密集地域を対象として、短期間での感震ブレーカー等の設置を目指すべきとしています。
ことし七月十八日開催された東京都防災会議の議事録を読みますと、発言者二人だけでした。そのうち学識経験者は二人で、その中の市民防災研究所理事の池上三喜子さんは、東日本大震災に触れて、東京消防庁の集計によると、この地震で発生したと考えられる火災が三十二件あった、その主な出火原因は、電気ストーブとか、熱帯魚のヒーターに起因したもの等、電気火災が多かったようであると述べて、市民が各自、感震ブレーカーを取りつければ、これらの火災を減らすことができる、自助という意味で、都民みずから自宅の火災を防ぐということで、感震ブレーカーをみずから取りつけるということを推進するべきではないかと思う、こういう発言をされています。
問題は、その原因が何だったかについて、私も含めて、ましてや有効な火災防止の対策については、通常の火災経験からは、地震火災の場合については、ほとんど多くの皆さんが実感しようがないということではないかと思います。それだけに、行政など関係機関の啓発、宣伝、普及促進の具体的な努力がないと、感震ブレーカーなどは、大事だといわれながらほとんど進んでいないということにもなります。
国も関係機関と一体になって、今回の推進基本計画を踏まえて、より突っ込んだ検討の具体化を急いでいるようであります。しかし、これを待つのではなくて、今回、防災プランの骨子の中で全く記載なしではなくて、警鐘乱打しないといけないのではないかと私は思います。
例えば、都の防災ホームページ掲載の防災ポケットガイドや東京消防庁の「地震に対する十の備え」というパンフレットなどには、電気やガスに起因する火災発生防止のため感震ブレーカー、感震コンセントなどの防災機器を設置しておくと小さくであっても書かれています。また、避難の前に安全確認電気、ガスなども書かれています。
しかし、こうした対応には相当の防災意識が私は必要だと思います。感震ブレーカー等の防災機器については、いまだその信頼性、有効性、便利性などが浸透しておりません。今、行政も各機関の中でも、積極的なイニシアチブの発揮なしには、これは普及できないと考えます。そういう意味で、先日の九月十六日の総務委員会答弁にあったように、いまだに内閣府の世論調査でも、全国の感震ブレーカーの設置状況は世帯で六・六%にとどまっています。
そこで質問いたします。
防災プランの骨子の中でも、首都直下地震の際の出火原因の中に通電火災、復電火災が多いことを警鐘乱打するとともに、出火対策として感震ブレーカーを含めて明記すべきではないか。そしてさらに、各種の出火防止対策として、出火を最小限に食いとめる具体策をきちんと示すべきだと考えますけれども、見解を伺います。
○矢岡総合防災部長 出火防止対策につきましてでございますけれども、大規模地震等に伴います火災による被害を防止するためには、延焼防止対策はもちろんのこと、出火防止対策の推進も必要であることは、委員ご指摘のとおりだと思います。
こうしたことから、今回のプランにおきまして、火災が発生しても、燃え広がらない、燃えないまちが至るところで形成されているという二〇二〇年に向けた将来像を掲げ、その達成に向けた必要な取り組みをまとめているところでございます。
具体的には、延焼遮断帯となる特定整備路線の整備など延焼防止対策に加え、出火防止対策として、耐火構造住宅への建てかえ、漏電遮断器の設置等や消防水利の確保、住民参加型の訓練実施などの取り組みを盛り込んでいるところでございます。
また、感震ブレーカーにつきましては、その効果につきましては、今まだ、るる検討しているところでございまして、一律にそれを導入することがいいことなのかどうなのかというところは、まだ結論も出ていないところもございますので、今後のいろいろな検討等、推移を見守っていきたいというふうに考えてございます。
○徳留委員 さまざまな出火防止の総合的な対策の一つとして、感震ブレーカーの設置などでまずは火災の発生を食いとめて、延焼させないことが重要だという警鐘乱打は、行政など関係機関の独自の役割を発揮することなしには徹底しないと思います。これだけ感震ブレーカーの重要性が強調されても、防災プラン骨子に一カ所も記載されないでいいのかと、なぜそういうことになるのか、私はこの問題が軽視されているんではないかと大変不思議に思います。
もちろん、今、漏電遮断器設置ということをいわれました。私は、こういう文書では初めてこういうのを聞きました。意味を調べると、それは震災火災との関係は、余りその機能としては強調されていません。感震ブレーカーが記入されないでこういうのが突然出てくるというのは、ちょっと不思議に思います。
都として、感震ブレーカー設置の重要性について、都庁横断的に共通の認識に立って、区市町村などと連携して、通電火災、復電火災防止の重要性、具体策について、本気になって啓発、普及を推進してほしいと思います。
もう一つ、首都直下地震の防災対策の大事な柱として強調されているのが、建物の倒壊をいかにして防ぐかという住宅の耐震化問題です。
国も、ことし三月に閣議決定した推進基本計画の中で、耐震化率を一〇〇%にすれば、全壊倒壊と死者数を約九割減らせるとして、あらゆる対策の大前提として、国、地方公共団体は、建物の耐震化の取り組みを強力に推進というふうに強調しています。
ところが、都の耐震化の取り組みは、所有者の自己責任ということから、最も危険な木造住宅の補助対象は、木造住宅密集地域の整備地域のごく一部に限定されています。二十三区内では対象地域は全体の面積の一割、多摩地域については一切対象になっていません。耐震助成制度のある都道府県の中で、対象地域を限定しているのは実質的には東京だけであります。しかも、補助対象の内容も、災害弱者への上乗せや簡易改修補助がないなど、都内の区市町村が行っている補助制度に比べても貧弱になっていると思います。
その結果、二〇〇六年、平成十八年度のこの制度創設から、二〇一二年、平成二十四年まで約六年間の耐震化の補助実績はわずか七百二十三件。一方、東京よりはるかに財政力の小さい静岡県は、同じ時期の実績が一万四千七百二十九件で、東京の二十倍もの補助件数になっています。
防災プラン骨子では、二〇二〇年までに住宅の耐震化率を九五%にするといっています。最新の到達として示されているのは、二〇一〇年度、平成二十二年度の八一%ですから、これまでの取り組みのテンポでは、さらに一四%引き上げて九五%にするというのは困難ではないかと思います。
我が都議団は、こうしたことから、今定例会に住宅の耐震化を抜本的に促進するための補助条例を提案して、審議してもらっています。
そこで質問ですが、防災プラン骨子で掲げる住宅耐震化九五%の目標達成のためには、耐震化の補助対象の地域と補助額の抜本的な拡充など、どうしても必要ではないかと考えますけれども、都の見解を伺います。
○矢岡総合防災部長 耐震化に向けての取り組みについてでございますけれども、揺れによる建物倒壊やそれに伴う死傷者を軽減するためには、耐震化の取り組みが欠かせません。
今回のプランでは、住宅の耐震化九五%や都営住宅の耐震化一〇〇%等を二〇二〇年までの目標として掲げ、建物の耐震化や更新に向けた取り組みの方向性を示してございます。
具体的には、耐震診断や耐震改修、建てかえによる機能更新など、都民みずからできる自宅等の安全対策の推進、マンションの耐震化、建てかえに向けた支援、市街地整備に通じた建物等の建てかえ、更新等の促進、都営住宅や公社住宅の耐震化等について盛り込んでございます。
この方向を踏まえまして、十二月に具体的取り組みを工程表として示してまいります。
○徳留委員 首都直下地震被害の最小限化にとって、火災発生後の初期の段階で火災を食いとめ、延焼を防ぐことが重要だと思います。その初期消火を強化する上で、個人として消火器類あるいは家具の転倒防止あるいは感震ブレーカーなど、防災グッズなどを常備するとともに、防災市民組織のスタンドパイプや軽可搬消防ポンプの必要な資器材などの拡充、そして防火水槽など消防水利の整備、消防団の拡充が重要だと思います。
ところが、お手元にあるような資料請求でいただいた資料によりますと、スタンドパイプ保有状況は、実態掌握について、区市町村の責任ということでしょうけれども、二十三区内の八区、島も入れて三十四市町村では実態が不明です。可搬消防ポンプは、二十三区内では二区、島も入れて二十四市町村も不明ということでした。さらに、消防団の定足率は平均が九〇%、七割や八割のところもあります。
ちなみに、長期ビジョンの中間報告では、二〇二四年まで、十年後までですけれども、防火水槽百二十基、深井戸十基という増設の数値目標を掲げておられることは、大変評価できるものだと考えています。
そこで質問ですが、スタンドパイプや軽可搬消防ポンプの普及、活用、消防団の拡充と訓練などを通じて初期消火を強化する上でも、都としてもっと主体的に取り組んで、普及、活用、拡充を促進する必要があると思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○矢岡総合防災部長 初期消火に必要な資機材等の整備につきましては、地域防災計画におきましては、主に区市町村及び東京消防庁が行うこととしてございます。
こうした役割分担を踏まえつつ、都としても、初期消火力の強化など地域防災力の向上を図るために、消防団の機能強化に向けた団員確保や装備資機材の整備推進、災害時の対応の円滑化に向けた住民参加型訓練の実施など、今回のプランに盛り込んでいるところでございます。
○徳留委員 先般の愛知県での集中豪雨に伴って地下鉄の駅が冠水するという事態が起きて、報道されました。この事例は、近くの高層ビル建設の現場からの流水もあったようですけれども、東京でも、時間百ミリ前後の局地的な短時間集中豪雨が発生するならば、同じようなことが起こり得るのではないかと思います。
既に、早稲田大学の関根正人教授などがNHKで何度か、東京でも地下対策、地下鉄対策の重要性を強調して、みずから訓練のシミュレーションなども紹介して、事業者と利用者に対して避難訓練の必要性を含めて警鐘乱打されています。
しかし、今回の防災プラン骨子には、地下街対策については明記されているものの、地下鉄対策、この言葉も含めて、地下鉄への浸水対策などが触れられていません。
そこで質問ですけれども、集中豪雨に伴う浸水対策として、地下街対策とともに地下鉄の駅対策もしっかりと明記して、具体化等を推進すべきだと考えますけれども、見解はいかがでしょうか。
○矢岡総合防災部長 東京の防災プラン骨子では、近年の集中豪雨や台風等による浸水被害などを踏まえまして、二〇二〇年までに備えるべき風水害への取り組みも盛り込んでございます。
地下街対策につきましては、二〇二〇年までに大規模地下街九地区における下水道の七十五ミリ対策を完了させることを掲げ、下水道整備も進めていくとともに、大規模地下街の浸水対策計画の充実を図ることなどを記載してございます。
一方で、地下鉄の浸水対策についてでございますけれども、地域防災計画に基づきまして、鉄道事業者がそれぞれの計画に従って取り組みを進めております。また、都営地下鉄につきましては、平成二十五年度末に既に止水板の設置などの浸水対策を完了しているところでございます。
○徳留委員 次に、最近の気象状況のもとで、局所的で短時間の集中豪雨、竜巻など急激な気象の変化に対応して、これまで以上のハード面の対策とともに、住民の機敏な避難などを促すソフト面の対策も重要になっていると思います。
昨年の大島の土砂災害でも、最近の広島の土砂災害でも、急激な気象条件の変化、時間百ミリ前後の集中豪雨の際には、余りにも激しい豪雨のために、避難指示などが伝わらなかったと、聞こえなかった、こういう声が報告をされています。
そこで質問ですけれども、都として、急激な気象変化、災害に関する情報を直接に地域住民に確実、迅速に伝える仕組みづくり、例えば緊急地震情報のような、そういう使い方も応用できないものかというふうに考えます。こういう取り組みについて防災プランの骨子に盛り込むべきではないかと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○矢岡総合防災部長 都の地域防災計画では、都が区市町村に対して警報や注意報の情報を伝達し、その情報を区市町村が住民へ周知することとしてございます。
そのため都は、大雨洪水警報や河川水位の予報等が発表された際は、速やかに区市町村へ情報を伝達しており、本プランでは、気象庁から都に配信される警報等の情報を自動的に区市町村や区市町村の防災担当者へ送信するシステムの構築について記載してございます。
なお、都としましても、ホームページやツイッターを通じまして、災害情報を直接住民に発信しており、この内容についてもプランに盛り込んでいるところでございます。
○徳留委員 最後の質問になります。
今年度予算化され、防災プラン骨子の中にも記載されて、作成予定になっている防災ブックの作成と内容について質問いたします。
備えあれば憂いなしといわれるように、災害を最小限に食いとめるためには、日ごろからの予防対策が大変重要だと思います。特に、首都直下地震など大規模災害の際には、同時多発的に災害が発生し、それへの対応には、公助の役割とともに、自助、共助の対応が本当に大事になってくると思います。都民一人一人、各家庭の日常的な防災意識の向上、日ごろからの災害対策の具体化、訓練などの要点を周知徹底することが不可欠だと思います。
ところが、私自身が最近、意識的に防災関係の啓発用のパンフレットを見比べてみますと、パンフレットや資料があるものの、防災の強調点や要点がまちまちになっているような感じがいたします。先日も池袋の防災会館にも行って、全てのパンフレットなど見比べてみましたけれども、やはり強調点が違うなと、都庁内のいろんな担当部署によっても違うような気がします。
今回の作成予定の防災ブックでは、都民目線に立ってこうした点を精査し、改めて防災の要点が、都民一人一人にとっても各家庭にとってもわかりやすく、防災意識が高まっていく上で重要な役割を果たす内容にしていただきたいというふうに思います。
防災ブックの作成、現在どのような取り組みになっているかをお聞きして、質問を終わります。
○矢岡総合防災部長 首都直下地震等の大規模災害につきましては、公助の取り組みはもとより、自助、共助の取り組みが大変重要でございます。
このため、今回の防災プランでも、都民にもわかりやすく自助、共助の取り組みを示しており、防災ブックについても、今後作成、配布し、各家庭での災害に対する意識を高め、備えが万全となるよう、普及啓発を図ることを記載してございます。
現在、防災ブックにつきましては、最新の知見も踏まえつつ検討を進めているところであり、一家に一冊常備され、各家庭における防災の指針となるよう取り組んでまいります。
○小山委員 私からは、東京の防災プラン骨子についてお伺いをさせていただきます。
本防災プランでは、世界一安全・安心な都市の実現に向け、二〇二〇年を目標に、都民、地域、企業及び行政があらかじめ備えるべき防災の具体的な取り組みを明示するとされております。あらかじめ備えるべき防災の具体的な取り組みとありますように、東京の防災プランの施策実現には平時からの備えが不可欠であります。
先月、八月に東京都が杉並区と合同で実施をいたしました総合防災訓練では、その中でも特に重要な取り組みでありまして、私も訓練現場を視察させていただきました。さまざまな訓練が行われる中で、この防災プランにも記載のあります罹災証明書発行等を行う被災者生活再建支援システムを活用しました被災者の生活再建支援のための訓練が行われておりました。この訓練では、都内の市区から派遣されてまいりました職員が、都民の皆さんに罹災証明書の発行までの一連の流れを体験していただけるように設営をされ、災害後の対応や平時の備えを学べる機会として、大変有効な訓練でありました。
そこでまず、この訓練で活用されておりました被災者生活再建支援システムとはどのようなメリットがあるシステムなのか、お伺いをさせていただきます。
○小久保防災担当部長 被災者生活再建支援システムは、被災者が各種支援を受ける際に必要となる罹災証明書を市区町村が迅速かつ効率的に発行することを目指して、平成二十三年度に開発されたものでございます。
被災度判定チャートの採用、調査票のスキャナーでの取り込みなどによる罹災証明書発行事務の迅速化、効率化が期待されるとともに、都内市区町村がこのシステムを導入することで事務の共通化が図られ、発災時の効率的な相互応援が容易となります。
本年八月に大雨被害を受けた京都府福知山市では、急遽このシステムを導入することとなりましたが、都及び都内市区職員の応援のもと、発災後二週間程度で罹災証明書を発行し、早期の生活再建支援につなげたところでございます。
○小山委員 被災者生活再建システムによって、迅速かつ効率的な罹災証明書の発行が可能となり、さらに、本システムを導入することで都内市区町村において事務の共通化が図られ、そして相互支援が効率的に行われるということが最大のメリットであると、そして、このことによって早期の生活再建支援につながるとの認識であることがよくわかりました。
そこで、ただいまのご答弁にもございましたように、京都府福知山での災害に対しまして、都及び都内市区として住民の生活支援に向けて職員を派遣されたとのことでございますが、その内容についてお伺いしたいと思います。
○小久保防災担当部長 都内自治体では、平成二十四年度以降、被災者生活再建支援システムの導入が進んでおり、また都においては、自治体職員を対象とした生活再建支援に関する訓練等も行ってまいりました。
このため、八月十六日から十七日にかけての大雨により、床上、床下浸水等の多大な被害が発生している福知山市及び京都府から依頼があり、九月一日から三十日までの間、業務に精通した都及び市区職員、合計二十八名を福知山市に派遣しております。派遣職員は、現地において、建物被害認定調査の補助業務や罹災証明書発行窓口での住民対応、支援等の業務に従事しております。
○小山委員 この九月一日からあす三十日までの派遣という早期かつ迅速な対応を評価したいと思います。また、この派遣によりまして、発災後二週間程度で罹災証明書を発行することが実証されたということであります。都内自治体での活用が始まっております生活再建支援システムが、他県においてでありますが、実際の災害の場面で大いに役立つことがまさに実証されたのだと思います。
この罹災証明書の発行は、このたび報告をされました地域防災計画の震災編と風水害編にもそれぞれ記載をされております。あらゆる災害の発生とその対応は、この防災プランにもありますように、被災者に対する生活再建支援の始まりを意味しております。災害が沈下した後は、現場での被災状況の判定、被災者台帳の作成、被害の度合いを証明する罹災証明書の発行、そして仮設住宅への入退去など、自治体の業務は多様かつ長期にわたって発生をすることになります。
過去の一例としまして、二〇〇七年の新潟県の中越沖地震では、最も被害の大きかった柏崎市においてでございますが、この罹災証明書の発行から支援完了まで二年の月日を要したということもあります。そのような過去の経過を踏まえて、都として大いにこの取り組みを図られているのだと思います。
そこで、被災者生活再建支援システムを用いました先月の総合防災訓練における訓練によって、どのような成果が得られたのか、お伺いをさせていただきます。
○小久保防災担当部長 このたびの総合防災訓練では、市区職員約四十名が参加し、システム操作はもとより、建物被害認定の考え方や生活再建支援業務の全体像を住民に説明するなど、実践的な経験を積むことができました。こうした経験は、首都直下地震等の発生時に膨大な件数の罹災証明書が申請された際にも、発給業務の迅速化、効率化に生かすことができると考えます。
また、住民の方にも、どのような基準により自宅の被害の程度が決まるのかなどについて、訓練を通じて理解いただけたことは、発災時の被害認定をより円滑に進める上で役立つものと考えております。
○小山委員 今いただきましたご答弁での成果を含めまして、本訓練を高く評価させていただきたいと思います。
また、今回の訓練に参加をしました市区の職員の皆さんからでありますが、実際のシステム操作や対応、これを実践的に学べたとの声が寄せられておりました。また、これら訓練視察や職員の意見を踏まえまして、総合防災訓練の取り組みは、これはもちろんのことでございますが、罹災証明発行や生活再建支援に係るこのような業務を平時から学び、そして備える取り組みが大変重要だと考えております。
そこで、訓練以外にも、職員の能力向上に向けた取り組みをさらに進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○小久保防災担当部長 本年一月に国が修正した防災基本計画において、罹災証明書の発行体制の整備として、都道府県または市町村担当者の研修機会の拡充を図るものとすることが規定されました。
これを踏まえ、本年五月に大島町において住家被害認定調査業務等の研修を実施いたしました。研修には約三十名の市区町村職員が参加し、町役場や支庁から、昨年度の台風被害発生後の対応や現在の生活再建支援の状況について講義を受けるとともに、実際に建物被害認定調査を実施した現場や罹災証明書発行会場を視察いたしました。
また、本年六月からは、六回連続で、建物被害認定調査から罹災証明書発行、被災者の生活再建支援事務に至る一連の業務について研修を実施しており、約五十名の市区職員が受講しております。
今後とも、罹災証明書発行など市区町村職員の被災者支援業務に係るマネジメント能力向上に取り組んでまいります。
○小山委員 ぜひ今ご答弁ありましたように積極的に進めていただきたいと思います。
そこで、被災者生活再建支援システムの都内市区町村への導入状況について、お伺いをさせていただきたいと思います。
○小久保防災担当部長 被災者生活再建支援システムについては、現在までに一市六区一町の合計八自治体が導入済みでございます。加えて、本年度末までにさらに三区が導入予定となっております。
○小山委員 これまでの質疑からも、大変有効である被災者生活再建支援システムの導入が、いまだ導入予定を入れても十一自治体にとどまっているというのは、都としても課題として認識をしなければならないと考えます。
首都直下型地震はいつ起こるかわかりませんし、また、東京における密集した市街地を考えれば、都内の被害は甚大なものとなることが予想されます。都内自治体においてシステムの導入は急ぐべきであると考えます。
さきの総合防災訓練において、自治体職員の方からは、本システム導入に当たって、初期投資の約一千万円の費用と、それから年間二百万円ほどの維持管理経費がネックとなっているという声をお聞きいたしました。私は、都民の安心・安全を考えれば、財政的支援も含め検討すべきと考えます。
そこで、都はこのようなことに対しどのように認識をしているのか、お伺いをさせていただきます。
○小久保防災担当部長 ご指摘のとおり、被災者生活再建支援システムの導入に伴い、初期投資や維持管理で市区町村に一定の費用負担が生じることについては、都としても承知をしております。
このため、平成二十四年度の災害対策基本法改正で、市町村長に対して罹災証明書を遅滞なく交付することが義務づけられたことも踏まえ、都として昨年度から、国の関係省庁に対し、システム構築のための財政支援について要求しているところでございます。
○小山委員 ぜひ都内市区町村におきまして本システムが早期に整備をされまして、首都直下型地震を初めあらゆる災害発生後の備えとして、十全に取り組まれることを求めておきたいと思います。
災害対策は、発生時の対応のみが注目されがちであります。しかし、実際は生活再建支援を含む多様かつ膨大な、しかも長期に及ぶ取り組みが、これまでの災害事例からも明らかであり、大変重要であると考えます。これらの業務を効率化し、被災者への速やかな支援体制を整えておくことが、都民の安心・安全に大いに寄与することになります。
ぜひ、防災プランを初め都の災害対策として生活再建支援のさらなる取り組みを求めまして、私の質疑を終わります。
○みやせ委員 私の方からは、まずは東京都監理団体経営目標についてお伺いをいたします。
東京都はこれまで、職員定数の削減、事業の見直し、指定管理者制度などの活用、職員の意欲を引き出す人事管理など、全国に先駆け、国や他自治体を上回る徹底した行財政改革を進めてまいりました。
監理団体につきましても、都は、これまで六十四団体ありました監理団体を、平成十二年の都庁改革アクションプラン、平成十八年の行財政改革実行プログラム等により、監理団体を三十三団体まで効率化してまいりました。都議会結いと維新では、民間に任せられることは民間に任せて活力を生み出していくという考え方でございますので、こういった取り組みは大変評価できるものであります。
こうした中で、このたび平成二十五年度経営目標の達成状況を拝見させていただきましたが、このたびの経営目標達成評価に当たり、どういった観点で評価をつけているのか、お伺いをいたします。
○三木行政改革推進部長 監理団体における経営目標の達成度評価制度は、経営責任の明確化を図るとともに、自律的な経営改革を促進するため、団体自身が設定した目標の達成度を評価するものでございます。
目標の設定に当たりましては、一、都民・利用者の視点、二、財務の視点、三、内部管理の視点の三つの視点に基づき、各団体において具体的な指標を設定してございます。
目標値につきましては、団体の経営改善に向けた努力を促すという観点から、基本的には前年度実績を上回る水準での目標設定となるように、都として団体を指導しており、各団体は、それらを達成すべく努力することとなってございます。その結果、達成度合いに応じて、A、B、C、Dの四段階で評価をしているところでございます。
○みやせ委員 ありがとうございます。
全三十三団体が、都民・利用者、財務及び内部管理の三つの視点から、各団体合計で二百九十八の具体的な指標を決定されているとのことでございました。
一方、評価の分布を見ますと、Aという最高評価に評価が集中しておりますが、私がかつて在籍しておりました企業では、個人の目標クリアの状況が十五段階にも及び、達成状況も九五%では最高評価を得ることができず、二〇〇%ぐらいでようやく最高評価となっておりました。企業評価につきましても、帝国データバンクなどによる民間の企業業績調査会社においては、より詳細のランク分けがされております。
そこで、監理団体の評価において、AからDまでの四段階評価でありますが、事実上、A、B、Cの三段階の評価になっているように見ることもできます。より現状を正確に把握するためにも、より評価を細かく分けるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○三木行政改革推進部長 制度構築当初は三段階評価で運用しておりましたが、よりきめ細かく評価を行うことを主眼として、平成十八年度に見直しを行い、現在は、AからDの四段階評価に再構築して今に至っているところでございます。
平成二十五年度は、Dの評価をつけられる団体はございませんでしたが、実際、過去においては、現在のD評価に相当する達成率七○%未満となった団体も複数ございました。
○みやせ委員 ありがとうございます。
これまで三段階評価から四段階評価に変えてきたことがうかがえました。しかし一方、四段階評価を始めたときと比べ、時代や状況の変化もありますので、ぜひ評価をさらに細かく分けていただくよう検討していただくことを要望いたします。
さて、具体的な中身を見てまいりますと、非常にA評価が多いことが見受けられます。Aの評価が多いということは、それぞれの団体の皆様が日夜大変努力をされていることにほかなりません。
しかし一方で、平成二十五年度の結果を見る限りにおいて、七割の団体がAとなって集中していることは、正しい現状を認識するためにも、適正な評価設定になっていないのではないかと思われることもなくはありません。ご所見をお伺いいたします。
○三木行政改革推進部長 制度見直しを行った平成十八年度の経営目標の達成状況につきましては、現在のA評価に相当する九五%以上を達成した団体は、当時の対象三十八団体中十団体、二六%でございました。
一方、平成二十五年度の経営目標の達成状況は、対象三十三団体中二十二団体、全体の六七%の団体がA評価を達成するなど、その割合は着実に増加をしているところでございます。これは、各局の指導のもと、団体みずからが設定した経営目標の達成に向け、積極果敢に取り組んだ結果であるというふうに認識してございます。
○みやせ委員 ありがとうございます。
しかし一方、やはりA評価という一くくりの評価になってしまいますと、現状が適切に把握できないように思います。A評価をいただいた団体に関しましても、そのA評価のレンジの中にはさまざまあると思っております。例えばAプラス、Aマイナスなど評価の詳細化をしていただき、正確に監理団体の状況がよりわかるよう要望いたします。
次に、監理団体の七割近くの評価がAとなっておりますと、一般の方々が見たときに、監理団体自身が定め、都が定めた目標設定は身内に甘いのではないか、軽くクリアできるようなものを設定しているのにすぎないではないかといった誤解を与えてしまうかもしれません。そういった疑念を払拭するためにも、評価項目の設定や目標数値の設定に、都だけではなく外部の視点を加えた評価制度にすべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
○三木行政改革推進部長 これまでも都におきましては、他の自治体や国に先駆け、都庁本体と並んで、監理団体において包括外部監査の導入を行うとともに、監査結果につきましては、全ての団体で共有をした上で翌年度の経営目標設定に活用するなど、積極的に外部の視点を導入してまいりました。
経営目標の設定に当たりましては、所管する各局とともに全庁的な視点からの総務局によるチェックを経た上で、最終的には、副知事をトップとする監理団体改革推進委員会で審議、決定をし、公表しておるところでございます。
また、今、身内に甘いのではというお話がございましたが、経営目標につきましては、基本的には、先ほど申し上げましたとおり前年度実績を上回る水準での目標設定、しかも所管局及び私ども総務局におきまして、厳しく妥当性、客観性を精査しているところでございます。
今後もこの制度を適切に運用しながら、団体の経営改善、自律的経営の促進に努めてまいりたいと思っております。
○みやせ委員 外部の視点ということではありますが、都や都の関連組織による評価制度に終わらすことなく、より一層、外部の視点を大切にした評価制度にしていただくよう要望いたします。
次は、その評価指標について質問させていただきます。
先ほど冒頭での答弁で、評価指標に関しましては、全三十三団体が、都民・利用者、財務及び内部管理の三つの視点から、各団体合計で二百九十八指標をみずから決定されているとのことでございました。
一方で、来場者数や実施率などの項目が多く見られ、顧客側の視点に立った指標が、三十三団体の二百九十八指標のうち、私が数えたところ三指標しかございませんでした。目標設定に関しまして、単に来場者を何人集める、セミナーを何回実施するといったものだけではなく、その来場者やサービスの受け手がどの程度満足度を得ているかも重要な指標であると考えます。
そこで、監理団体は都からの税金を使って運営されているわけでもありますから、そこには利用者の満足度や評価をしっかりと評価の指標として入れていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
○三木行政改革推進部長 利用者の満足度を評価指標として設定することは、都民サービスのさらなる改善にとって有効な考え方の一つと認識してございます。
現に、監理団体が担っている指定管理施設におきましては、施設ごとに利用者満足度調査をきめ細かく実施しておりまして、それらを踏まえた評価を通じて、各施設のさらなるサービス改善に生かしているところでございます。
また、直接利用者満足度調査を監理団体本体の経営目標に取り入れているところ、平成二十六年度になりますが、六団体ございます。ほか、施設の利用率、稼働率やサービス向上に資する取り組み実績など、利用者の満足度に直結する経営目標を設定し、団体の特性に応じて利用者満足度を踏まえた運営を行っているところでございます。
○みやせ委員 ありがとうございます。
一層、顧客満足度の評価指標をふやしていっていただければと思っております。
民間企業の場合、顧客の満足度、利用者の満足度が基本にあって、次に顧客数の確保が重要となっております。また、満足度を経年変化で見ることによって、事業のどこに課題があるのか、また、その事業が改善されているかを確認することができるようになり、さらなる監理団体の向上につながります。満足度調査が監理団体の特性によっては当てはまらないものもあるかと思いますが、透明性を確保し、現状を正確に把握することこそ、都民のさらなる信頼につながると思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、東京の防災プランに質問を移したいと思います。
このたびの東京の防災プランを拝見させていただきましたが、地元の消防団、また地元の関係者の皆様にも見ていただきました。まだまだ詳細を詰めていかなければならないものの、発災後の動き方が時系列に、かつ網羅的に並んでおり、行政の動きとリンクしているので大変わかりやすいといった声が聞こえてまいりました。
私自身も大変価値のある防災プランだと思っておりますので、微力ながら、さらによいものにしていけるような、私もアイデアを出していきたいと思い、質問させていただきます。
さて、私ども、昨年の第四回定例会総務委員会の場をおかりしまして、一貫して、発災後七十二時間の対応、具体的には関係機関の連携、実態に合った訓練について、幾つか提案、質問をさせていただきました。今回は、防災プランの中から関連して幾つか質問をさせていただきます。
先般、大規模救出救助活動拠点において、警察、消防、自衛隊、海上保安庁等による連携のために、首都直下地震に備えた合同訓練が杉並区で実施されてまいりました。
東京の防災プランの中では、災害時に対応が円滑に行えるよう、大小さまざまな住民参加型訓練を実施するとありますが、先日、杉並区で行われました首都直下地震に向けた合同訓練をどう総括しているのか、所見をお伺いいたします。
○矢岡総合防災部長 八月三十日に杉並区と合同で実施した総合防災訓練では、木造住宅密集地域を有する杉並区の特性を踏まえ、住民主体の防災対応力の向上を図る訓練を実施いたしました。また、臨海部でも、自衛隊、警察、消防等防災機関相互の連携強化を目的に、医療救護訓練や救援物資輸送訓練を実施したところでございます。
詳細な検証はこれからでございますけれども、九十を超える防災機関のもと、一万人を超える住民参加を得ておりまして、地域防災力の強化が図られるとともに、防災機関相互の連携について知見を得ることができたと考えてございます。
○みやせ委員 ありがとうございました。
一方、前回の質疑の中におきまして、合同訓練の内容を対処要領や防災計画の改定に生かしていくと答弁がありました。
そこで、東京の防災プランの中においても、これまでの取り組みに首都直下地震等対処要領が記載されております。この対処要領に今回の訓練の反省点をどう生かしていくのか、所見をお伺いいたします。
○矢岡総合防災部長 本年四月に策定いたしました首都直下地震等対処要領は、想定される被害の特性に応じた災害活動をあらかじめ定めたものであり、策定後、関係機関との協議や実践的な訓練によって検証を行い、適宜、その成果を対処要領の修正に反映させていくこととしてございます。
今回の総合防災訓練につきましては、先ほどご答弁いたしましたとおり、現在詳細な検証を行っているところであり、今後、関係機関の意見を踏まえつつ、必要に応じて対処要領の修正に反映させていきます。
○みやせ委員 前回の訓練は、首都直下地震に特化した初の訓練だと認識しておりますし、また、実施から日が浅いので、今まだ検証している最中だと思いますが、ぜひ関係機関だけではなく、現場の訓練に参加をした住民の方々、そういった多くの方々の声をより多く聞いていただき、防災プランの策定に生かしていただければと思っております。
次に、共助、公助の分野において、区市町村と住民との連携は不可欠なものであることはいうまでもありません。しかしながら、一方でまだまだ課題があると認識をしております。
先日、実際に地元の住民の方からご相談を受けまして、大災害が起きたときに避難所に行くことしかわからないし、連携のイメージも湧いてこない、そういった訓練をしたことがないといった声も聞こえてまいります。最も共助が求められる発災後七十二時間、地元の方々や消防団、特別区であれば区民消火隊、区の担当者と、災害時どう動けばいいのか、都内には数多く自治会、町会などの防災市民組織がありますが、災害発生時にどの程度活動ができるのかは、自治会や町会によってばらばらなのが実態だと捉えております。
今までも、地域住民を巻き込んだ区市町村との連携強化は答弁にございましたが、この防災プランの中で描いた迅速な救出救助活動を展開できる環境の実現には相当時間がかかるといわざるを得ません。発災時にどう動けばいいのか、現場にはまだ浸透していない状況をどう捉え、どうスピードアップを図るために区市町村と向き合うのか、ご所見をお伺いいたします。
○矢岡総合防災部長 首都直下地震等対処要領は、首都直下地震等が発生したときに、都が各機関と効果的、効率的な連携のもと、円滑な応急対応活動が展開できるよう、各機関相互の基本的な連携内容や手順につきまして示したものであり、区市町村とも十分意見交換を行いながら作成したものでございます。
さらに、現在、訓練や区市町村との意見交換等の機会を捉えて、本要領の普及と検証も行っているところでございます。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、区市町村との連携強化に取り組んでまいります。
○みやせ委員 ありがとうございます。
首都直下地震は、まさにあす起こってもおかしくない状況でありますので、ぜひスピード感を持って取り組んでいただくことを要望いたします。
次に、首都直下地震に向けた訓練の内容についてお伺いをいたします。
防災プランで描いた迅速な救出救助活動を展開できる環境の実現には、災害は同時多発するため、総合防災訓練において、本庁での動きを含め、他の区市町村でも同時に実施すべきだと考えておりますが、所見をお伺いいたします。
○矢岡総合防災部長 総合防災訓練は、地域住民の災害対応力や防災機関の機能の強化を目的に、地域を限定して集中的に行ってございます。
今年度の総合防災訓練では、杉並区内各地区での住民主体の訓練を実施するとともに、中央区晴海地区及び江東区有明地区で、防災機関の連携強化に向けた訓練を実施したところでございます。
また、首都直下地震など大規模災害が発生し、都内各所で火災延焼や家屋倒壊などが多発する中、都庁舎において関係機関との連絡調整を図るための訓練につきましては、図上訓練という形で実施をしております。図上訓練では、都内各区市町村を初め、自衛隊、警察、消防などさまざまな機関の参加のもと、仮想的な状況を設定した上で、情報の収集伝達や対策の検討などを実践的に行っているところでございます。
○みやせ委員 現実的には、関係機関の連携を評価、確認するもので、なかなか難しいのが実情であるということは十分承知をしておりますが、実際は災害は同時多発し、地域によっては自衛隊が来ない、消防も来ないといったことも予想されます。何とぞより多くの地域を巻き込んだより実践的な訓練へと拡大していただくことを要望いたします。
例えば、図上訓練と実際の総合訓練を組み合わせた形で実施する形等も検討していただきたいと思っております。
次に、共助のかなめとなる住民のソフト面についてお伺いいたします。
東日本大震災では、私は大丈夫だ、みずから危険を冒しても近所の人を助けたい、また、皆と同じ動きをしていれば安心だといったさまざまな心理状況が働き、多くの人が逃げおくれるなど、とうとい命を落としてまいりました。
この防災プランを見ますと、ハード面を重視する姿勢が見受けられますが、そうした姿勢のみならず、先ほど申し上げました心理状況、正常性バイアス、利他行動、同調バイアスなど、災害時の人の心理状態をどう捉えているのか、ご所見をお伺いいたします。
○矢岡総合防災部長 今お話にありましたように、災害発生時には、危険な状況ではないと思い込む正常性バイアス、自分の命を顧みず他人を助けようとする愛他行為、判断や行動を周りに合わせようとする同調バイアスなど、災害時の心理が働いた場合、人的被害等が拡大する可能性がございます。
このため、今回の防災プランでは、都民一人一人が災害時に適切な行動がとれるよう、災害時の被害の様相をシナリオでわかりやすく示しつつ、自助、共助の取り組みとして対処すべき内容を記載してございます。
あわせまして、自助の取り組みとして、災害時にはまず自分の命を守ることが重要です、地震の揺れを感じたら、身の安全を確保するための行動をとりましょうという心構えも記載しているところでございます。
○みやせ委員 ありがとうございます。
発災時においては、住民はパニック状態となりがちになります。平時からどう現実に向き合い、どう行動どうすべきか等の周知を図っていくことが求められます。また、その認識を持っていただいた上で、訓練やシミュレーションによって実際に検証していくことが求められます。ぜひとも、ハード面のみならず、ソフト面をさらに加味した東京の防災プランにしていっていただければと思います。
次に、最後の質問になります。
昨今、東日本大震災を受けまして、新しい防災研究のアプローチも始まってまいりました。それを受けまして、総務省において最先端防災システム構築プロジェクトがスタートいたしました。
例えば、災害時に、一般車のカーナビやタクシーの走行距離などのデータを民間事業者からリアルタイムにいただき、緊急車両の搬送に役立てる動きも重要です。また、地域による共助がうたわれておりますが、その地域による共助の力を具体的に時間ごとに数値化する共助マップといった新しいマップの製作をする動きも始まってまいりました。このように、共助力マップ、ビッグデータの時代の新しい防災研究も進んでおります。
今回の防災プランにこうした新しい防災への取り組み、研究を取り入れていってほしいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
○矢岡総合防災部長 今回の防災プランでは、二〇二〇年に向けて、発災時に必要な情報を的確かつ迅速に発信できる体制を構築することとしており、地理情報システム機能やビッグデータ等の活用などの検討や、災害情報システムの基盤整備について記載をしているところでございます。
○みやせ委員 ありがとうございます。
実際に、今後より一層具体的な動きにつながるよう要望いたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○両角委員 それでは私からは、まず平成二十五年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について伺います。
初めに、公立大学法人首都大学東京の平成二十五年度の業務実績評価に当たって、どのような評価作業を行ったかについてお答えをいただきたいと思います。
○伊東首都大学支援部長 平成二十五年度は、公立大学法人首都大学東京にとって第二期中期計画期間の三年目に当たり、六年間の計画期間の折り返しに相当する年でございます。
公立大学法人首都大学東京の評価を行う東京都地方独立行政法人評価委員会公立大学分科会は、平成二十五年度の評価に当たり、六年間の中期計画に掲げた目標の達成に向けて、これまでの取り組みも含めてどの程度事業が進捗しているかを適切に評価するため、前年十二月に業務実績報告書作成要領を見直しております。
その後、平成二十六年度に入り、法人からの業務実績報告書の提出を受け、ヒアリングを実施し、内容を精査した上で評価を行ったところでございます。
○両角委員 首都大につきましては、六年間の中期目標の折り返し点の年に当たるということで、そこも含めて評価を行ったというお話でございました。
それでは、今回の二十五年度の評価実績の特徴といったものはどういうものなのかについて伺います。
○伊東首都大学支援部長 公立大学法人首都大学東京の平成二十五年度実績は、公立大学分科会から、単年度計画に対する実績という点でも、また第二期中期計画全体の進捗という点でも、総じて順調に成果を上げていると高く評価されています。
項目別に特徴的な取り組みを見ると、教育面では、これまで行ってきた授業評価アンケートの質問項目を見直して、具体的な学生の意見、要望を把握し、その結果を授業改善に反映するというサイクルを強化したことが挙げられます。
また、研究面では、学長の指示のもと、世界の頂点となり得る研究分野の構築を目指すため、新たな研究分野の創成に向け、ソーシャルビッグデータの分析、応用のための学術基盤の研究など、四つの研究グループを大型研究費の支援対象として決定しており、これも特徴的な取り組みとして挙げることができます。
○両角委員 教育面、研究面等で評価の特徴ということで、成果についてご報告をいただきました。
文科省のスーパーグローバル校、手を挙げていた中で、今回指定されなかったのは残念なことではありますが、首都大東京は私の地元八王子にございまして、大変すばらしい大学だなというふうに私は思っているところでございます。
そうした中で、今回、首都大のほかに、東京都が所管をするというか、持っている地方独立行政法人が三つあるということでございまして、首都大のほかに、一つは産業技術研究センター、これは所管局がかわりますが、もう一つが東京都健康長寿医療センターということでございます。
それぞれが評価委員会、分科会に分かれて評価をしておりまして、その評価を見ますと若干特徴があるということで、一つ特徴、それを見て率直に感じたことでございますけれども、東京都の健康長寿医療センターや、あるいは産技研の評価の中では、評定がS、A、B、C、Dと五段階評定になっているということでございます。それに対して首都大東京については、一、二、三、四と四段階評定になっているということでございまして、首都大については、評定一が年度計画を順調に実施していると、評定二がおおむね順調に実施していると、三については十分にできていないと、四は大幅な改善が必要と、こんな評価、評定になっているわけでございます。
今回、首都大については、評定一、順調に実施しているが三項目、その他についてはおおむね順調に実施しているという、そんな評定を受けているということなんですけれども、大学ですから、研究、教育、いろんな分野で取り組みがなされていると思います。
そうした中で、例えば産技研を見ますと、S評定というのは、年度計画を大幅に上回って実施しているというものなんですね、そういう評価であります。産技研の報告書を見ますと、業務全体がすぐれた進捗状況であるということで、本当にそんなにSが、これはSが九項目で、Aが十、Bが五となっていますけれども、そんなにS評価がついているものかなと思いましたら、九項目もついているんです。
その項目についても、例えば、評定の説明で、これは産業関係ですから、当事業を活用することで中小企業が自社のオリジナル製品を開発できたすぐれた事例であると、こう書いてあるんです。すぐれた事例であると、こういう評価をしていると。
通常、こういう評価をするときに、なかなかSとかつかないのかなというふうに思っています。私も自分の経験でいうと、職員の採用の面接官というのをやったことがありまして、A、B、C、D、Eの五評定でありましたけれども、なかなかAってつけられなかった、そんな記憶があります。
そんなことを考えたときに、今回の首都大の評価が四つで、順調に実施しているとおおむね順調というのが、先ほどのご答弁ですと、例えば研究、教育面で事例として挙げてもらったのは高く評価しているんだということなんですが、何となくそんなふうに感じない感じがするんです。
それで、例えば首都大についても、研究面でも、今まで取り組んで顕著な成果を上げているものがあるかもしれませんし、途中まで来ているものもあるのではないかと思うんですが、それがこの四評定だと見えない。
先ほど別の委員の質問者とちょっと似たような視点なんですが、そんなふうに思いますので、私としては首都大の評価方法について、例えば、チャレンジングな目的を立てていたり、特筆すべき成果、実績を明確に出せるような、そんな評価が行えるようなことが重要で、工夫をすべき点もあるのではないかと思うわけでありますが、ご所見を伺いたいと思います。
○伊東首都大学支援部長 公立大学分科会では、事業の進捗状況や成果に応じて、最上位の評定一から最下位の評定四までの四段階で評価を実施しており、平成二十五年度は、年度計画四十八項目のうち三項目を最上位の一と評定いたしました。評価に当たっては、特筆すべき実績がある場合に限定して最上位の評定一をつけることで、顕著な成果を確実に評価しております。
公立大学分科会においては、毎年必要な評価方法の見直しを行っており、より一層めり張りをつけることができる評価の方法も含め、今後も、都と公立大学分科会の間で十分に意見交換をし、適切に業務実績評価を行ってまいります。
○両角委員 最上位の評定が一だということですが、最上位の一にも一プラスとマイナスがあると、同じようなお話ですけれども、そんなような気もいたします。
今ご答弁の中で、この評価方法も、毎年、東京都と評価委員会の公立大学分科会が意見交換をして、この実績評価を行っているということでありますので、今、めり張りをつけることができる評価の方法も含めて適切にというお話がございました。ぜひ評価をされる方もやる気が出るような、本当に特筆的なことは評価がきちっとしていただけるような、そんなめり張りのある評価方法を今後とも検討していただきたいと思います。
次に、監理団体の経営目標に関する点について伺いたいと思います。
監理団体の経営評価ということで、これは、いただいた資料では、平成十三年度に経営目標、目標管理の手法を入れたと、そこから十年ぐらいの間にいろいろ改善をなされてきたんだと思うんです。ですから、監理団体の経営目標評価というのは、ある一定の完成した形にはなっているんだなというふうには理解をしているんです。
しかしながら一方で、監理団体といっても、一般的な都民のイメージというのは外郭団体でありまして、都民の皆さんからは、やはり外郭団体じゃないかという、そういった厳しい目が向けられているということも忘れないでいただきたいと、このように思います。
そうした中で、今回この報告事項の中で、評価によって役員の報酬を、評価がすばらしい場合は役員報酬を増することができると、評価が悪い場合は役員報酬が減になると、こういった制度が、これが平成十三年度から入れられて、拡大をされてきているようでありますけれども、まず、過去五年間における役員業績評価において、五%が増額可能ですよと評価された団体状況について教えていただきたいと思います。また、そういった評価を受けたところは、実際、できる規定ですから、評価を受けて役員報酬を上げているのかいないのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○三木行政改革推進部長 役員業績評価におきまして増額対象となる団体は、過去五年間で見ますと、五%増額が可能とした団体は、平成二十一年度二団体、以後、平成二十二年度から二十五年度までの四年間で毎年一団体ずつ、合計で六団体が対象となってございます。
実際に役員報酬を増額するかどうかは、各団体の経営状況や団体を取り巻く環境等を総合的に勘案した上で、団体自身が主体的に判断するものでございます。先ほどの六団体のうち、今回報告対象となりました二十五年度の評価対象団体、公益財団法人東京都環境公社でございますが、この一団体につきましては、今後団体の方で判断するということになるわけでございます。したがいまして、これを除きます五団体のうち、実際に報酬を増額させたのは三団体、報酬増額を行わなかったのは二団体ということになってございます。
○両角委員 五年間で六団体が五%役員の報酬を増額できるという、そんな団体になったと、そのうち、しかし、だからといって全部の団体が役員報酬を増額しているわけではないということでありました。これは各団体の状況に応じてそれぞれ判断をされているんだろうということで、そういった対応については評価をさせていただきたいと思います。
ところで、役員報酬について五%増額となる場合は、A評価を受けた上で、特に顕著な場合ということのようでありますけれども、具体的にどんな仕組みの中で、A評価を受けているところがいっぱいあるわけですけれども、どこが顕著で、どこが五%増額してもいいよという判断をどんなふうにするんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○三木行政改革推進部長 まず、各団体におきまして、経営目標達成をし、かつ所管局の局長等が求めた水準以上の顕著な成績を上げた団体の理事長等については、その取り組み実績等につきまして、都が五%増額が可能な団体として評価をするというものでございます。
繰り返しになりますが、増額対象になった団体の役員報酬、これを実際に増額するかどうか、これは団体自身が主体的に判断をするというものでございます。
○両角委員 お答えがあった中で、経営目標を達成し、一番いい評価を受けた、その上で所管局の局長等が求めた水準以上の顕著な実績を上げた団体が五%可能団体として評価されるということですが、ちょっと具体的な取り組みが今見えなかったようなんですけれども、事前に伺った中では、監理団体改革推進委員会というものがあって、その合議の評価があるんですよと。すなわち、A評価を受けた団体の中で、例えばその業務を所管する、同じカテゴリーの業務を所管している監理団体が、局長さんから見て、これは期待以上のすばらしい成果を上げたということがあったときに、その局長さんがこの委員会にかけるという形なんでしょうか。要は、この委員会は、副知事を筆頭として局長、部長さん、九人になっている委員会で、そこで、その局がいうような顕著な成果というのはもっともだということになれば、五%を増額することが可能であると、そんなような仕組みだろうと思うんです。
それでは、こういった仕組みが導入をされてからもう十年ぐらいたっているわけですけれども、これは例えば、監理団体三十三団体が実際業務を遂行するためのインセンティブとして、これは働いているんだろうかということを伺いたいと思いますが、端から見ると、東京都が自分のルールで、これは非常によくできたよということで五%上げていいよと、お手盛りと捉えることはないかなという、そんな危惧もあるわけですが、ご見解を伺いたいと思います。
○三木行政改革推進部長 先ほどの委員のご指摘のところですが、局長の評価を、総務局長評価というのを次の段階で行いまして、最終的に監理団体の改革推進委員会で決定をするという流れになってございます。
今のご質問でございますが、役員業績評価制度でございますが、役員の業績を的確に把握し、これを適正に評価するとともに、評価結果を役員報酬に反映させることにより、団体の自律的経営及び経営改善の促進に資することを目的としているものでございます。
本制度の運用によりまして、団体の経営改革、改善に向けた経営トップのリーダーシップのさらなる発揮を促すとともに、トップに対する高評価が組織全体のモチベーションの向上につながるなど、団体における業務遂行においてインセンティブが働いているというふうに考えてございます。
例えば、平成二十三年度の経営評価、業績評価におきまして、役員報酬五%増を行った公益財団法人、二十三年度は東京都環境公社だったわけでございますが、東日本大震災の被災自治体からの災害廃棄物処理につきまして、平成二十五年においても理事長を先頭に組織を挙げて柔軟に受け入れをし、事業を円滑に終了させるなど、被災地の復興に多大な貢献をしたということでございます。
また、お手盛りのお話がございましたけれども、先ほど来、五年間で六団体ということになってございます。先ほど申し上げましたように厳正に審査をしている。またそれぞれ、この後の答弁であるかもしれませんけれども、私どもとしては、お手盛りという批判は当たらないというふうに考えてございます。
○両角委員 最後に、このテーマの最後なんですが、その評価の方法、評価というのは、指標づくりも団体がやって、自己評価してA、B、Cとつけるという部分と、その中で今度は関連する局長さんが、ここは特にやっているなと、よくやっているなということをして、そして総務局長さんが、今のお話だとよしと判断をして、委員会にかけて、委員会でも各局長さん、部長さんが、いいじゃないかということで五%増を決めるということなんですが、ここにかかわっている方々はみんな、いわゆる都庁官僚、都庁の役人さんなんですね。
そういったことを考えると、仕組みとしては、監理団体の評価からいろんなものはかなりでき上がっていると、そんなふうには感じるんですが、そこにやっぱり外部の目が、例えば五%を決める委員会の中にも、今、九人の委員の中には外部委員のような方は一人もいらっしゃいません。ですから、私からすると、やっぱりこれはお手盛り感を都民の目から見られてしまうんじゃないかなと、そんな危惧も持つところでございまして、そうした意味合いで、外郭団体への信頼を高めるために、外部の視点を、この評価なり、あるいは五%を決める委員会なりに入れるような、そんな考えをしていくべきではないかと思うわけでございますが、ご見解を伺いたいと思います。
○三木行政改革推進部長 監理団体の経営目標達成度評価制度は、団体の経営責任の明確化を図るとともに、自律的な経営改革を促進するため、団体みずからが設定した目標の達成度を評価する、いわば団体の自己改革を促す取り組みだというふうに考えてございます。
これまでも都におきましては、他の自治体や国に先駆けまして、都庁本体と並んで、監理団体において包括外部監査制度を導入するとともに、地方自治法の規定に基づく監査委員による財政援助団体等監査の実施や、監理団体が担っている指定管理施設における利用者満足度調査などを踏まえた評価、経営状況に関する毎年の都議会への報告、さらには、都の制度に準じた情報公開の徹底など、都民目線に立って、あらゆる角度から団体運営に関する効率性や透明性の確保などに取り組んできたところでございます。
各団体の経営目標の設定に当たりましても、包括外部監査の結果を全ての団体で共有した上で、翌年度の目標設定に活用するなど、積極的に外部の視点を導入してきてございます。
また、所管する各局とともに、全庁的な視点からの総務局でのチェックを経た上で、最終的に副知事をトップとする監理団体改革推進委員会で審議、決定をし、設定した経営目標を公表してございます。さらにその上に、目標の実現に向けまして、各団体が鋭意取り組んだ結果を評価した上で評価結果を公表するなど、いわば事前と事後の双方でその状況を広く都民にお知らせをし、一層の透明化を図ってきたところでございます。
今後も、このような監理団体に対する多様な取り組みを重層的、複合的に展開をするとともに、この制度を適切に運用しながら、団体の経営改善、自律的経営の促進に努めてまいろうと思ってございまして、そのような外部の目線、一方で団体の自己改革を促すという経営目標達成度評価制度、こういったものを適切に組み合わせながら、両方のバランスをとりながら、外部の視点も取り入れながら、このような取り組みを継続してまいりたいと思っておりまして、繰り返しになりますが、お手盛りとの批判は当たらないのではないかというふうに考えてございます。
○両角委員 今るるご説明いただきまして、外部の視点も入っているんですよと、外部の視点は何だというと、包括外部監査と一般の監査だと、定例監査だと、そういうお話だったと思います。かなり外形的に完成度が高い仕組みができ上がっているのは確かです。
ただ、要は評価した結果に対して、例えば五%上げたことがいいのか悪いのかということに対して、外部評価がもし入るのであれば入るということでありますが、要は、その結果をつくり上げていく過程において外部の視点を入れることが大切で、そうした方がいいんじゃないかなと思って、もったいないなと、こんなふうに思うんです。ここまで一生懸命やられているのに、もう一歩、外部委員を入れてしまえばもっとオープンな形になって、皆さんの評価が大変高まるんではないかなと、そんな感想を持ちましたので、これは東京都の監理団体がもっと、一点の曇りなく都民の皆さんから見ていただくための提案だということで、ぜひ耳にとめておいていただきたいなと、そんなふうに思います。
次に、最後の項目でございますが、東京の防災プランについて質問させていただきますが、一つ、策定に至った経緯、それとプランの位置づけについて、まずは伺いたいと思います。
○矢岡総合防災部長 東京の防災プランは、オリンピック・パラリンピック開催を見据えまして、二〇二〇年を目標に、自助、共助、公助があらかじめ備えるべき取り組みを取りまとめるために、任意の計画として策定するものでございます。
今後、具体的な取り組みを盛り込んで、年内に完成させ、二〇二〇年に向けた東京の防災の指針と位置づけていくことにしてございます。
○両角委員 任意計画であるということが一つのポイントであろうと思いますし、目的としては、位置づけとしては、二〇二〇年に向けた東京の防災の指針だということでございました。
プランの果たす役割というのは、先ほど来の答弁でお話があったようだと思いますが、自助、共助、公助の取り組みを都民、企業、行政が一体になって進めていくために、役割が果たせるんだということだったろうと思います。
そうした中で、私はやはり気になるのは地域防災計画との関係なんです。これについても、先ほど来の質疑の中で、地域防災計画は法定計画であって、こちらの東京の防災プランについては任意計画であるということであります。
先ほどちょっと議席でぱらぱらと見ていたんですけれども、地域防災計画も、どんな現状で、何に取り組んで、公は何をする、あるいは企業は何をする、民間は何をする、今どんな状況にあるということが書かれていると。
ただ、非常にこれ、見るのも大変ですから、そういった意味で、こちらを拝見したときに具体的なシナリオが書いてありまして、発災後何時間でこういう状況があると、それに対してこういうことができるということで、非常にわかりやすく落とし込んであるなということなんですが、しかしながら内容については両者、盛り込んであることが、この骨子の段階ではほぼ一緒ではないかなという、そんな感じもいたします。
そうした中で、せっかくこうやってつくって、細かい参考書のようなもので、非常にわかりやすくはなっているということで、評価をするものではありますけれども、これからこれが、例えば行政の内部資料として、行政マンの皆さんが、地域防災計画を見るよりもすごいビジュアルでわかりやすいからだということであれば、余り意味がないと思うんですね。
やはり意味があるのは、例えば企業の方であったり民間の方が、非常にわかりやすいですから、今こういう状況にあって、何をすべきだということが書いてあると。これから工程表がつくということですから、そういった意味で意味あるものだと思うんですけれども、これが最終的に完成をしていくに当たって、できれば、ここまでこういったものをつくられたわけですから、都民の皆さんが日常携行できるような形で、こういうシチュエーションのときは何をして、何を準備しておけばいいんだなというようなことが、本当にぺらっとしたようなものであると非常にいいんじゃないかなと思うんです。
先ほどの質疑の中で防災ブックの発行の話がありましたので、若干かぶりが出ちゃうようなところがあって危惧をするところでありますが、この防災プランが完成した暁には、都民の皆さんが日常的に活用ができるような、そんなイメージの、携行できるようなぺらっとしたパンフレット化を図るといった視点を持っていっていただければいいなと、そんなふうに思うわけでございますが、ご見解を伺いまして質問を終わります。
○矢岡総合防災部長 先ほど来ご答弁させていただいていますが、防災対策を進めていく上では、公助に加えまして自助、共助の取り組みが不可欠であることから、今回、防災プランの骨子を都民にもわかりやすくコンパクトにまとめたところでございます。
今後、具体的な取り組みを工程表として加え、完成させていきますが、完成後も、広く都民の皆様に手にとって読んでもらえるよう取り組んでいきたいと考えております。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時十分散会
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