委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 小山くにひこ君 |
副委員長 | 鈴木 章浩君 |
理事 | みやせ英治君 |
理事 | 中屋 文孝君 |
理事 | 清水ひで子君 |
松田やすまさ君 | |
河野ゆうき君 | |
栗山 欽行君 | |
徳留 道信君 | |
野上 純子君 | |
両角みのる君 | |
島田 幸成君 | |
藤井 一君 | |
川井しげお君 |
欠席委員 なし
出席説明員知事本局 | 局長 | 中村 靖君 |
儀典長 | 伊藤 秀樹君 | |
次長 | 武市 敬君 | |
理事 | 遠藤 雅彦君 | |
理事 | 猪熊 純子君 | |
総務部長 | 河内 豊君 | |
調整担当部長 | 小室 一人君 | |
自治制度改革推進担当部長 | 奥田 知子君 | |
外務部長 | 櫻井 和博君 | |
国際共同事業担当部長 | 小菅 政治君 | |
基地対策部長 | 新美 大作君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 筧 直君 | |
政策部長 | 池田 俊明君 | |
尖閣諸島調整・政策担当部長 | 福崎 宏志君 | |
計画調整部長 | 小池 潔君 | |
総合特区推進部長 | 瀬口 芳広君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 河合 潔君 |
総合対策部長 | 横山 宏君 | |
青少年対策担当部長 | 坂田 直明君 | |
治安対策担当部長 | 五十嵐 誠君 | |
総務局 | 局長 | 中西 充君 |
危機管理監 | 宮崎 泰樹君 | |
理事 | 中村 長年君 | |
総務部長 | 榎本 雅人君 | |
訟務担当部長 | 和久井孝太郎君 | |
復興支援対策部長 | 西村 泰信君 | |
行政改革推進部長 | 鈴木 勝君 | |
情報システム部長 | 長澤 徹君 | |
首都大学支援部長 | 伊東みどり君 | |
人事部長 | 内藤 淳君 | |
労務担当部長 | 栗岡 祥一君 | |
主席監察員 | 高橋 英次君 | |
行政部長 | 砥出 欣典君 | |
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 | 矢岡 俊樹君 | |
区市町村制度担当部長 | 西川 泰永君 | |
総合防災部長 | 村松 明典君 | |
企画調整担当部長 | 村山 隆君 | |
防災担当部長 | 早川 剛生君 | |
統計部長 | 中村 豊君 | |
人権部長 | 箕輪 泰夫君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 森 祐二郎君 |
本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
陳情の審査
(1)二五第四三号 公職選挙法の改正を求める意見書の提出に関する陳情
青少年 ・治安対策本部関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・東京都自転車安全利用推進計画(案)について
知事本局関係
報告事項(説明)
・「新たな長期ビジョン(仮称)」論点整理について(説明)
陳情の審査
(1)二五第三八号 在外邦人等の子どもの人権を守る対策を求める意見書の提出に関する陳情
(2)二五第四九号 憲法を改悪せず第九条を守り抜くことを求める意見書の提出に関する陳情
総務局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・職員の結核休養に関する条例を廃止する条例
・東京都組織条例の一部を改正する条例
・総務大臣に対する中核市の指定の申出に係る同意について
報告事項
・平成二十五年台風二十六号に伴う被害状況と都の取組等について(質疑)
・東京都新型インフルエンザ等対策行動計画について(説明)
・職員の給与に関する条例の一部を改正する条例について(説明・質疑)
・東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例について(説明・質疑)
・東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例について(説明・質疑)
・職員の分限に関する条例の一部を改正する条例について(説明・質疑)
○伊藤委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の事務事業に対する質疑、青少年・治安対策本部及び総務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び青少年・治安対策本部、知事本局及び総務局関係の報告事項の聴取並びに選挙管理委員会事務局及び知事本局関係の陳情審査を行います。
なお、本日は、事務事業及び台風関係の報告事項については、資料の説明を聴取した後、一括して質疑を終了まで、また、給与関係四件の報告事項については、説明聴取の後、一括して質疑を終了まで、さらに提出予定案件及びその他の報告事項については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
陳情の審査を行います。
陳情二五第四三号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○森選挙管理委員会事務局長 お手元の請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
陳情二五第四三号の公職選挙法の改正を求める意見書の提出に関する陳情について、ご説明申し上げます。
本件は、天野敬也さんから提出されたものでございます。
陳情の要旨でございますが、公職選挙法第百四十条の二における連呼行為について、保育所の周りでも静穏を保つよう規定を改正することを求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、公職選挙法第百四十条の二第一項は、選挙運動のための連呼行為を原則として禁止しており、例外として、同項ただし書きにおいて、演説会場等の場所においてする場合並びに午前八時から午後八時までの間に限り、選挙運動のために使用される自動車または船舶の上においてする場合の連呼行為を認めております。
ただし、同条第二項において、例外として、連呼行為を行う場合においても、学校及び病院、診療所その他の療養施設の周辺においては、静穏を保持するように努めなければならないとされております。
連呼行為の静穏の保持の規定は、連呼による騒音が一般人の社会生活に支障を及ぼさないようにとの配慮から設けられたもので、授業、診療、療養等については、特に静かな環境のもとにおいて行われることが必要とされるため、学校、病院、診療所その他の療養施設の周辺では、連呼行為をするに当たっては、静穏を保持するように努めなければならないとされているものでございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
本件についてご発言願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、よって、陳情二五第四三号は不採択と決定いたしました。
陳情の審査を終わります。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○伊藤委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○河合青少年・治安対策本部長 平成二十五年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております青少年・治安対策本部関係の案件につきまして、ご説明申し上げます。
今回提出を予定しております案件は、条例案一件でございます。後ほど総合対策部長から詳細をご説明いたしますので、私からは概要を説明させていただきます。
ご審議をお願い申し上げますのは、東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例案でございます。
交通安全対策基本法の改正に伴い、東京都交通安全対策会議の委員について、知事が必要と認めて任命する者を充てることができることとなりました。このため、本条例を改正し、知事が必要と認めて任命する委員の定数及び任期に係る規定を設けるものでございます。
以上で条例案の概要説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○横山総合対策部長 第四回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布してございます資料第1号、平成二十五年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の表紙をまずお開きください。
一ページは、東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例(案)の概要でございます。
まず、上段にございます条例の改正理由についてご説明いたします。
交通安全対策基本法が改正されまして、都道府県交通安全対策会議の委員につきまして、都道府県知事が必要と認めて任命する者を充てることができることとなりました。これに伴いまして、委員について定めております東京都交通安全対策会議条例第三条において、知事が必要と認めて任命する委員の定数及び任期を定めることといたしました。
次に、下段にございます改正内容でございますけれども、その中の(1)の知事が必要と認めて任命する委員の定数につきましては、区市町村長及び消防機関の長のうちから任命される委員等といったほかの委員の定数を踏まえまして、五名以内といたします。
その下、(2)の委員の任期につきましては、他の委員と同様に二年といたします。
一番下になりますが、3の施行期日でございますが、本条例案は公布の日から施行することとしております。
条例案の案文につきましては、あわせてお配りしてございます資料第2号、平成二十五年第四回東京都議会定例会提出予定条例案をお配りしてございます。
二枚めくっていただきますと、一ページ目と二ページ目が条例案、三ページ目が新旧対照表となっております。後ほどごらんいただきたいと存じます。
以上をもちまして、今定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○伊藤委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
東京都自転車安全利用推進計画(案)についてを聴取いたします。
○五十嵐治安対策担当部長 青少年・治安対策本部では、本年七月に施行いたしました東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例に基づいて策定する、東京都自転車安全利用推進計画につきまして、このたび計画案を作成いたしましたので、ご報告いたします。
お手元に配布しました資料は、資料第3号及び資料第4号の二点でございます。計画案そのものにつきましては資料の第4号でございますが、説明は資料の第3号、計画案の概要をまとめましたA3の資料に基づきさせていただきます。
それでは、資料第3号、東京都自転車安全利用推進計画(案)についてをごらんください。
初めに、一番上の枠組みにあります本計画の位置づけでございます。
本計画は、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例に基づきまして、自転車の安全利用に関する都の施策や関係者の取り組みを推進することを目的といたしまして、各主体が取り組むべき具体的な事項等を取りまとめ、知事が策定する計画でございます。
なお、計画案の作成に当たりましては、庁内関係局及び自転車を利用される都民、自転車関連業界、鉄道・運輸業界、商店街団体等の関係者から成る協議会を設置し、自転車の安全利用を推進するために関係者が取り組むべき事項についてご議論いただきまして、これらの関係者のご意見も踏まえ、作成しております。
次に、その下の枠組みに移りまして、計画案の概要でございます。
まず、本計画の理念につきましては、社会全体で自転車の安全利用に取り組み、自転車事故がなく、自転車の交通秩序が確立された社会を実現するという条例の理念を踏まえたものとしております。
次に、本計画の計画期間につきましては、都内の交通安全対策の大綱である第九次東京都交通安全計画の計画期間は平成二十三年度から平成二十七年度までとなっていることにあわせまして、平成二十七年度末までとしております。
なお、平成二十八年度以降は、新たな東京都交通安全計画の策定とあわせまして、本計画も改定することを予定しております。
次に、本計画の数値目標につきましては、計画の理念の実現に向け、平成二十七年における数値目標を次の三点挙げております。
一点目は、自転車乗用中の死者数を年間二十五人以下といたします。なお、この数値は第九次東京都交通安全計画の目標数値である、平成二十七年中の道路交通事故死者数百五十人未満との整合を図ったものでございます。
二点目といたしまして、自転車事故の発生件数を年間一万三千件以下といたします。
最後に三点目として、駅前放置自転車の台数を三万台以下といたします。
次に、計画案では、行政、自転車利用者、事業者等の各主体が自転車の利用に関するそれぞれの社会的責任を踏まえ、自転車の安全利用を推進するために取り組むべき事項を記載しております。
具体的には、例えば安全教育の推進につきましては、まず、自転車利用者が主体的に交通ルールを学んでいただきます。また、保護者、学校、事業者等には、それぞれ子供や従業員に対し交通安全教育を推進していただきます。行政は、こうした関係者による安全教育が広く行われるよう必要な支援を講じるとともに、みずからも関係者と連携し、安全教育を幅広く実施することなどを記載しております。
そのほか、放置自転車の削減、安全な自転車利用環境の整備等につきましても、それぞれの主体が取り組むべき事項を具体的に定めております。
最後に、一番下の枠組みでございますが、計画の策定に向けた今後の予定でございます。
このたび作成しました計画案は、資料第4号のとおりでございますが、この計画案につきまして、本日より都民からの意見募集を行います。その後、いただいたご意見も踏まえまして、来年一月に本計画を策定し、公表する予定でございます。
東京都では、本計画を策定することによりまして、社会全体で自転車の安全利用に取り組み、自転車事故がなく、自転車の交通秩序が確立された社会を実現するという理念を普及させるとともに、引き続き実効性のある自転車対策に取り組んでまいります。
以上をもちまして、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○伊藤委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
○伊藤委員長 これより知事本局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
新たな長期ビジョン(仮称)論点整理についてを聴取いたします。
○小池計画調整部長 今月一日に公表いたしました新たな長期ビジョン論点整理について説明させていただきます。
お手元の資料第1号によりご説明させていただきます。
一ページをお開き願います。新たな長期ビジョン論点整理の発表に当たり、長期ビジョン策定の目的、論点整理の位置づけなどをお示ししました。
二ページをお開きください。長期ビジョンにおける二〇二三年の将来像を、一人一人が輝く世界一の都市東京とし、右側に、将来像実現に向けた三点の基本目標を掲げております。
一点目は、オリンピック・パラリンピック大会を成功させるとともに、大会開催を推進力として、東京と日本をさらに発展させるでございます。現在の高度な都市機能を活用しながら、競技施設やユニバーサルデザインのまちづくりなど開催準備を万全に進めるとともに、都市基盤の充実や国際化の推進を図るなど、東京をますます発展させてまいります。また、これらの取り組みを通じて被災地の復興を加速させるなど、その効果を全国に広げて、日本の発展を牽引してまいります。
二点目は、安全・安心の確保などの東京が直面する課題に対し、中長期を見据え、民間の力も活用しながら解決への道筋をつけ、世界のモデルとなる都市を実現するでございます。激化する都市間競争、首都直下地震など、東京が直面する多くの重要課題に対し、数十年先といった長期を見据え、東京に集積する民間の力も活用して課題解決への道筋を描き、安全・安心の確保などの政策目標を実現してまいります。こうして東京をさらに成熟させて、世界のモデルとなる都市へと進化させてまいります。
三点目は、ソフト、ハードが一体となった構造的福祉を推進し、新しいコミュニティを形成するなど、来るべき少子高齢・人口減少社会に備えて改革を加速させるでございます。少子高齢化や人口減少社会に的確に対応するため、幅広い分野で縦割りを超え、ソフト、ハードが一体となった従来の枠組みにとらわれない政策を積極的に展開してまいります。
四ページをお開きください。長期の政策展望に不可欠な東京の人口、世帯の推移を五十年先の二〇六〇年まで予測してお示ししました。
人口ですが、二〇六〇年の東京の人口は、二〇一〇年に比べて約二割減少し、人口ピラミッドは、右側上段に示しましたとおり年少人口の割合が低く、六十五歳以上の老年人口の割合が高い、つぼ型に変化してまいります。また、中段以下に示しましたとおり、高齢化の一層の進行により、二〇六〇年には、老年人口の割合が二〇一〇年の二〇%から三九%に上昇する一方、生産年齢人口は大幅に減少し、現役世代一・四人で一人の高齢者を支える時代を迎えることとなります。
七ページをお開きください。世帯でございますが、二〇六〇年には、単独世帯の割合が全世帯数の五〇%近くに達するとともに、七十五歳以上の後期高齢者の単独世帯が二〇一〇年に比べて二・四倍増加し、八十三万世帯となります。
八ページをお開きください。人口推計を踏まえつつ、二〇二三年の将来像を実現するための今後の政策展開の方向性を六本の政策の柱としてまとめ、二十の政策目標を設定し、掲載しております。
まず、第一の柱は、オリンピック・パラリンピック開催にふさわしい国際都市の創造でございます。
大会の万全な開催準備とともに、世界の新たなモデルとなる都市空間の創出により、東京を世界にますます開かれた国際都市にしてまいります。右側には、政策の柱ごとに政策目標を掲げ、主な論点と政策の方向をお示ししました。
一〇ページをお開きください。第二の柱は、安全・安心で、持続的発展が可能な都市の創造です。
地震や豪雨、老朽化が進む都市インフラへの備えを万全に進めるとともに、エネルギー利用のさらなる高効率化や、水や緑に親しめる空間の創出、保全により、都市と環境の両立を実現してまいります。
一二ページをお開きください。第三の柱は、子供や若者が未来への夢と希望を持てる都市の創造でございます。
少子化の進行に歯どめをかけ、子供が健やかに成長するための積極的な支援とともに、若者の意欲と潜在能力を最大限引き出し、世界と渡り合える人材を育成してまいります。
一四ページをお開きください。第四の柱は、女性、障害者、高齢者などすべての人が安心して暮らせ、活躍できる都市の創造でございます。
都民一人一人が社会で活躍できる環境の整備とともに、体感治安の改善などにより、全ての都民が生涯にわたり健やかで安心して暮らせる町を実現してまいります。
一六ページをお開きください。第五の柱は、グローバル展開を進め、国際競争を勝ち抜く都市の創造でございます。
東京が将来にわたり持続的な成長を遂げていくため、海外需要の獲得と国内市場の活性化に向けて取り組むとともに、多くの外国人旅行者や外国企業を呼び込むことで、東京のプレゼンスを向上してまいります。
一八ページをお開きください。第六の柱は、多様なライフスタイルを選択できる成熟した都市の創造でございます。
生活や人生を豊かにする多様な選択肢を提供できる東京の強みをさらに伸ばすため、時間や場所に制約されずに、ライフスタイルを自由に選択できる環境を整備してまいります。
以上が新たな長期ビジョン論点整理につきましての説明でございます。大変雑駁ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。
○伊藤委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○伊藤委員長 次に、陳情の審査を行います。
初めに、陳情二五第三八号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○河内総務部長 お手元の資料第2号、請願・陳情審査説明表に基づきご説明いたします。
一ページをお開きください。まず初めに、陳情二五第三八号、在外邦人等の子どもの人権を守る対策を求める意見書の提出に関する陳情についてご説明いたします。
この陳情は、東京都西東京市の稲垣賢吾さんから提出されたもので、その要旨は、在外日系人、在外邦人の子供をいじめから守るための対策を早急に求める意見書を提出していただきたいというものでございます。
本件についての状況をご説明いたします。
米国においては、これまでニュージャージー州のパリセイズ・パーク市の公立図書館、ニューヨーク州ナッソー郡の公園、ニュージャージー州ハッケンサック市の裁判所脇の三カ所に慰安婦の碑が設置され、平成二十五年七月には、カリフォルニア州グレンデール市内の公園に慰安婦を象徴する少女の像が設置されております。また、平成十九年七月に米連邦下院で、従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議が採択されているほか、平成二十五年にはニューヨーク州上下院、ニュージャージー州上下院などで慰安婦に関する決議が採択されております。
本件に対する日本政府の対応及び見解をご説明いたします。
平成二十五年八月の松田公太参議院議員の質問主意書に対し、慰安婦像や慰安婦記念碑の設置については、政府として、グレンデール市その他の米国側関係者等に対し、慰安婦問題に関する我が国の立場等を申し入れてきたが、結果として設置されたことは極めて残念である。政府としては、慰安婦問題に関する我が国の立場等について、説明等を在外公館等を通じて、米国側関係者等を含め広く国際社会に対して行ってきており、引き続き理解を得るべく努力してまいりたいと答弁しております。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
本件についてご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二五第三八号は不採択と決定いたしました。
○伊藤委員長 次に、陳情二五第四九号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○河内総務部長 お手元の請願・陳情審査説明表の三ページをお開きください。
陳情二五第四九号、憲法を改悪せず第九条を守り抜くことを求める意見書の提出に関する陳情についてでございます。
この陳情は、憲法改悪に反対する東京共同センター代表の塚本晴彦さんから提出されたもので、その要旨は、憲法を改悪せず、第九条を守り抜くことを求める意見書を内閣総理大臣宛てに提出していただきたいというものでございます。
本件についての現在の状況でございますが、日本国憲法第九十六条では、憲法改正の手続について、国会で衆参各議院の総議員の三分の二以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とすると定められております。また、国会法第六十八条の二では、日本国憲法の改正案の原案を発議するには、一定数の国会議員の賛成を要すると規定されております。
平成二十二年からは、憲法改正のための国民投票に関する手続を定める日本国憲法の改正手続に関する法律が施行されておりまして、憲法改正の原案が発議されますと、衆議院憲法審査会及び参議院憲法審査会で審議された後、衆参各議院の本会議に付されることとなっております。
なお、現在、衆参各院には、国会法第百二条の六に基づき憲法審査会が設置されておりまして、日本国憲法及び憲法に密接に関連する基本法制について、広範かつ総合的な調査が行われております。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
本件についてご発言願います。
○徳留委員 陳情二五第四九号、憲法を改悪せず第九条を守り抜くことを求める意見書の提出に関する陳情について、趣旨採択を求める立場から発言いたします。
憲法九条は、侵略戦争と植民地支配によって、アジアと世界に甚大な犠牲をもたらした反省に立って、日本が二度と再び侵略国にならず、世界平和の先駆になるという国際公約でもあります。
また、ここには、広島、長崎で原爆を体験した日本国民の、核戦争という地獄は世界のどこでも二度と繰り返してはならない、そういう思いが込められています。世界とアジア、日本の平和の思いが凝縮した、結晶した宝が憲法九条だと思います。世界に誇るこの宝を守り抜き生かした自主自立の平和外交を行ってこそ、日本はアジアと世界の平和に貢献し、本当の信頼を得ることができると思います。
憲法を変えようという人たちは、北朝鮮や中国との関係を考えても憲法の改定が必要だといいます。しかし、北朝鮮の問題にしても中国との領土問題などにしても、何よりも求められるのは、道理に立った外交交渉によって解決を図ることだと思います。
尖閣諸島周辺の日本領海内での中国の監視船の航行や、飛行機による領空侵犯は絶対に許されません。中国による今度の一方的な防空識別圏の設定には、強く抗議をいたします。力によって日本の実効支配を脅かす動きは、国際法上も絶対に認められない行為であります。
この問題では、日中双方が領土にかかわる紛争問題の存在を認めて、冷静な外交交渉による解決を図るとともに、現状を変更する物理的な対応、軍事的な対応を厳しく自制をして、両国の経済関係、人的、文化的な交流に影響を与えないよう努力することが必要だと思います。
専ら力と力の立場に立って、これらの問題を軍事力の強化、軍事同盟強化、憲法九条を変える、それに利用するというのは、日本国民を危険にさらす、分別もない最悪の姿勢だと考えております。
紛争を戦争にしない、紛争の対話による解決は、今、世界が真剣に取り組んでいる課題であります。東南アジア諸国連合、ASEANの国々では、東南アジア友好協力条約、TACと呼ばれる平和共同体が形成されて、ユーラシアのほとんどの国、世界各国五十七カ国、世界人口の五七%がこの平和共同体に参加をしています。
ここでは、紛争が起こっても絶対に戦争にしない、日本国憲法の九条を先取りする努力がされています。軍事に頼らない平和的安全保障の考えを取り入れて、その実践のために、ASEAN諸国連合は年間千回もの会議を開いて、徹底的に話し合いを継続しています。憲法九条を生かしたこのASEAN方式を北東アジアにも広げようというのが、私たち日本共産党の提案でもあります。その際、最も力強いよりどころとなるのが憲法九条ではないかと思います。憲法九条を生かした平和外交によって、アジアと世界の平和に貢献してこそ、アジアと世界から本当に信頼される日本になると思います。
以上で発言を終わります。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二五第四九号は不採択と決定いたしました。
陳情の審査を終わります。
以上で知事本局関係を終わります。
○伊藤委員長 これより総務局関係に入ります。
初めに、事務事業及び報告事項、平成二十五年台風二十六号に伴う被害状況と都の取り組み等についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○榎本総務部長 九月十七日の当委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料第1号、総務委員会要求資料の一ページをごらんください。1、小笠原諸島振興開発事業の実績でございます。
平成二十一年度から平成二十四年度までの四年間の事業費について、交通施設整備、産業振興・観光開発、生活基盤施設整備、防災・国土保全及びその他に分けて掲げてございます。備考欄には、主な事業を記載しております。
二ページをごらんください。2、都職員の育児休業取得率の推移でございます。
都職員の育児休業取得率について、平成二十二年度から平成二十四年度までの推移を掲げてございます。
三ページをごらんください。3、都における非常勤職員等数の状況(局別)でございます。
知事部局の非常勤職員数及び臨時職員数について、平成二十三年、平成二十四年及び平成二十五年の職員数を五ページまでそれぞれ掲げてございます。非常勤職員数については各年八月一日現在、臨時職員数については各年八月に雇用された人数となっております。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○中屋委員 初めに、先般の台風二十六号によりまして亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げる次第です。
特に、大島における土砂災害については甚大な被害が生じました。私も先日、我が会派自民党を十八名連れて、その現場を歩き、被災者の方々からさまざまな声を聞いてまいりました。被災者の皆さんから、住宅の確保など今後の生活に不安を覚えているという数々の声を聞き、また、行方不明者の捜索活動も続いている現状を見て、まだまだ復興に向けた道のりは険しいと痛感いたしました。
復旧に向けて、都も町もさまざまな対策を打ち出し始めておりますが、今回はこうした大島の現状を真っ正面から見据え、先日報告されたこの台風被害の経緯及び初動対応と、そこから得られた教訓、そして現状行われている復旧に向けた取り組みを中心にお聞きしてまいりたいと思います。
最初に、今回の大島土砂災害を教訓とした防災の取り組みについて伺います。
大島において多数の犠牲者が出てしまった土砂災害について、災害が発生するまでの都と大島町あるいは支庁との情報などのやりとりについては、数多くの報道もされており、さまざまな議論が交わされました。
しかし、この災害から教訓を学び取るために最も大事なことは、台風二十六号接近に際して、気象庁ですら想像もしていなかった豪雨が、深夜、大島を中心に集中的に降り注ぎ、その二、三時間後には土石流が発生して、多数の犠牲者が出てしまったという事実に目を向けることであります。
こうした自然災害による犠牲者を防ぐためには、日ごろより自然災害の脅威を基礎自治体である区市町村と住民が十分認識をして、それに対する備えを怠らないという基本的かつ地道な取り組みこそが、実は最も重要であると考えます。こうした観点から、都として大島の災害を教訓に、区市町村とも連携してさまざまな防災の取り組みを強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
○村松総合防災部長 今回の大島における災害から、住民に身近な区市町村が、被害が生じる可能性のある地区を把握した上で、住民避難の具体的方策を事前に検討しておく必要を改めて認識いたしました。また、今回、土砂災害において砂防施設等が被害の軽減に一定の役割を果たしており、予防対策の重要性も明らかになりました。
こうしたことから、すぐに実行できる取り組みとして、各首長と直接連絡をとれる体制の整備などを図ったところでございますが、今後とも区市町村と連携しながら、ハード、ソフト両面で防災対策を強化してまいります。
○中屋委員 こうした災害で犠牲者を出さないためにも、都の担う役割は非常に重要であります。
我が党は、公約でも、休日、夜間でも災害に対する安全・安心を確保することを掲げております。災害に強い安全な東京を目指して、今後とも引き続き区市町村とも連携して、防災に向けた取り組みを強化していただきたいと思います。
次に、発災直後の初動対応について伺います。
大島での災害発生後、都は、大島町とも連携しながらさまざまな応急対策を講じてまいりました。まずは、救出救助を行うため、自衛隊、警察、消防などや医療関係者などによる応援活動、現地で必要な物資の輸送、二次災害防止に向けた土のう設置や、島外避難などのハード、ソフト両面にわたる取り組み、さらに被災者に対する各種支援などであります。
こうした初動対応は、地元の大島町や関係機関と連携しつつ、各局協力のもと、全庁を挙げた取り組みが必要であります。今回の災害に対して、総務局としてどのようなことを取り組んだのか、お伺いをいたします。
○村松総合防災部長 都では、発災後直ちに自衛隊への災害派遣を要請するとともに、大島町や関係機関と緊密な連携を図り、自衛隊、警察、消防、海上保安庁などによる迅速な救出救助活動を展開してまいりました。また、現地の情報を的確に収集するため、大島支庁に現地対策本部を設置するとともに、台風二十七号の接近に伴う災害対応強化に向け、全庁を挙げた災害即応対策本部を速やかに立ち上げるなど、体制整備を図ったところでございます。
こうした体制に基づきまして、現地のニーズ等に応えるべく、各局が連携協力しながら全庁を挙げた応急対策を速やかに実施してまいりました。例えば、東京DMATの派遣や応急給水の実施などの応急対策、高齢者、障害者等の島外避難や広域的な物資搬送、大型土のう設置を初めとする二次被害防止対策など、各局が持てる力を最大限に発揮いたしまして、連携しながら取り組んできたところでございます。
○中屋委員 都が関係機関とともに全庁を挙げて応急対策に当たったことはよくわかりました。一人でも多くの方の命を救うため、また、被災後の不便を少しでも軽減させるためには、初動対応が大変重要となってまいります。
今後とも切れ目のないよう、復旧、復興の取り組みを実施していくとともに、今回の初動対応の検証も行い、さらなる危機管理体制の強化を図っていただきたいと思います。
次に、今後の大島の復旧、復興に向けた取り組みについて伺います。
十月十六日未明の災害から約一カ月半が経過をいたしました。都は、応急対策を行うための災害即応対策本部を十月三十日に廃止いたしました。同日、大島応急復旧プロジェクトチームにおいて、今後の応急復旧対策の検討を開始しております。現地の生活再建等に向けて、既に数多くの支援などの取り組みが各局で進められておりますけれども、全庁的に今後どのように応急復旧対策を進めていくのか伺います。
○村松総合防災部長 都では、これまでも発災直後から支援物資の提供や中小企業への融資、生活再建支援など、被災者の方々に対するさまざまな支援策について、時期を逸しないよう積極的に実施してまいりました。また、被災地のニーズに合わせたハード、ソフト両面にわたる支援を各局連携しながら展開していくため、災害即応対策本部廃止と同時に、三人の副知事が加わる大島応急復旧プロジェクトチームにおいて検討を開始いたしました。
現在、このプロジェクトチームのもとに設置したワーキンググループで、生活再建に向けた支援、都市インフラの復旧、産業、観光支援、危機管理体制の見直しなどにつきまして、全庁を挙げて検討を進めております。
今後とも現地ニーズに応じた対策を適宜実施していくとともに、年内には応急復旧対策の全体を取りまとめ、あわせて先々の復興対策の方向を示してまいります。
○中屋委員 既に各局も具体的な支援策を展開するなど、現地の要望に即応できるよう的確に取り組んでいることはわかりました。
復旧、復興に向けた取り組みは、まだまだ端緒についたばかりであります。復旧が進む中で、新たなさまざまなニーズが出てくることも想定されます。被災者の方々を初め、町の皆さんの声にきちんと耳を傾けながら、総務局が音頭をとって全庁を挙げて取り組むよう要望いたします。
次に、被災した方々の住まいの確保について伺います。
今回の土砂災害では、住宅で約百二十棟、住宅以外でも九十棟近くが半壊以上の被害を受けました。住宅を失った方は、いまだ再建のめども立たず、生活再建に向けた道のりは険しい状況であります。現在、教職員住宅に仮住まいをしている大島町の被災者からは、来年三月までとなっている仮住まいの期間について心配の声も出ており、早期に仮設住宅など落ちついた住宅へ入居したいという声も出ております。
また、住宅が被災しながらも、半壊という判定をされたことで公的支援の見通しが立たないと、具体的に修理あるいは建てかえに踏み出せないという声も聞いております。既に大島町の要請を受け、応急仮設住宅の建設に向けた検討も始まっていると聞いておりますが、何よりも住宅の確保こそが生活再建の第一歩となります。
そこで、今回の災害において住宅に被害が発生した方々に対して、都としてどのように取り組み、また今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○村松総合防災部長 都では、避難所生活を続ける住民の方々に対しまして、生活に必要な備品等を整備した上で、現在、教職員住宅を仮住まいの場として提供しております。また、応急仮設住宅への入居など、被災者がさまざまな手続を行う際に必要となります罹災証明の発行を迅速に行うため、職員を大島に派遣し、町の建物被害認定調査などを支援いたしまして、十一月二十一日から罹災証明書の発行が始まっております。
さらに、都市整備局におきまして、住宅再建に向け災害復興住宅資金利子補助を実施するとともに、住宅の応急修理などに関する被災者への相談対応も行っております。
福祉保健局では、被災者生活再建支援法を適用し、全壊や大規模半壊世帯等を対象に被災者生活再建支援金を支給するとともに、国の制度の対象とはならない半壊世帯に対しまして、住宅の建設、購入費を最大二百万円、補修は最大百二十万円、賃借は最大八十万円支給することといたしました。
加えて産業労働局においては、土石流等により甚大な直接被害を受けた中小企業を対象に、災害復旧資金融資の限度額を八千万円から五億六千万円へと大幅に拡大するとともに、利子を全額補給するなど、中小企業者に対する金融支援も拡充しているところでございます。
今後も、罹災証明の発行状況なども踏まえまして、仮設住宅の供与など被災者の声も聞きながら、生活再建へ向けて各局連携のもと取り組んでまいります。
○中屋委員 これまで各局が協力しながら、被災者の方々の住まいの確保に取り組んできたことはよくわかりました。
先週二十一日、木曜日から罹災証明の発行が始まりまして、これによって被災状況が確定されれば、具体的に応急仮設住宅の供与なども可能となります。住家被害が半壊の場合は、応急仮設住宅の供与の対象とはならないと聞いておりますが、半壊の場合でも生活は困難をきわめ、こうした被害を受けた方々に対して十分な支援が必要と考えます。
繰り返しになりますけれども、生活再建の第一歩は住まいの確保であり、スピード感を持って取り組んでいただくことを要望しておきます。
次に、東日本大震災に伴う被災地支援について伺います。
大島視察で、土石流に流され跡形もない集落を目にしたときに、東日本大震災直後のあの緊張感が私によみがえりました。あれから二年半余りが過ぎ、東北の被災地では、復興まちづくり事業が本格的に動き出しました。町なかでは瓦れき処理が進み、建設資材を積んだトラックが絶え間なく往来するなど、徐々に復興のつち音が響き始めていると聞いております。
しかしながら、町がもとの活気を取り戻すまでにはほど遠く、事業のおくれが目立っている。まだまだ支援の手が必要であります。時の流れは無情で、被災地に関する報道は、東京でもめっきり少なくなりました。また、被災地入りするボランティアの姿も最近は少なくなってきたと耳にしております。今回、超党派でつくっております防災議連、川井会長を含めメンバーが暮れに現地に入るということを聞いております。
このように、被災地への記憶が薄れていく中にあっても、首都東京が、電力、農林水産物などの供給の多くを被災地に依存してきたことを決して忘れてはなりません。被災地の復興はまだ道半ばであり、多くの時間を要するが、その原因の一つとして、被災自治体の職員不足があると聞き及んでおります。これからも被災地をしっかりと支援していかなければなりません。
そこで、被災地に対する都の人的支援について、何点か質問をいたします。
都は、我が党の要望を踏まえ、被災直後から現地事務所を立ち上げ、被災地の状況やニーズを捉え、的確な人的支援につなげてまいりました。そこで、これまでの人的支援の実績を伺います。
○西村復興支援対策部長 都はこれまで、警察、消防、合わせまして延べ三万人を超える職員を被災地に派遣し、総力を挙げて人的支援に取り組んでまいりました。具体的には、発災直後からの救出救助活動、医療救護活動、ライフラインの応急復旧、避難所運営など、さまざまな支援を行ってきたところでございます。
支援三年目を迎えた現在、被災地のニーズは、地域を支えるインフラの本格復旧や新たなまちづくりなど、被災者の生活再建を見据えた取り組みに移行してございます。こうしたニーズに的確に対応するため、現在は、技術職員六十八人、事務職員三十二人の総勢百人を被災地に派遣しておりまして、全国第二位の兵庫県の五十七人と比較しましても、群を抜いた派遣数となってございます。
○中屋委員 時宜にかなった職員の派遣は、被災地に大変喜ばれたのではないかというふうに思います。発災から二年余りが過ぎましたけれども、被災地の復興は長期化の様相を呈しておりまして、復興を阻む課題が次々と生じているのも事実であります。この難局を乗り越えていくためには、全国の先頭に立ってきた都が、行動力のある士気の高い人材を派遣することが被災地の復興に欠かせないと考えます。
そこで、被災地への職員派遣に当たっての都の考え方について伺います。
○西村復興支援対策部長 被災地の復興に資する経験とスキルを持つ士気の高い職員を派遣することは、復興を加速する上で重要であるというふうに認識してございます。このため、現地事務所を通じて被災自治体から詳細に聞き取りを行いまして、技術職員については、復興まちづくりに即戦力となる人材を派遣し、事務職員につきましては、庁内公募を通じ、被災地支援に高い意欲を持ち、厳しい状況でも着実に成果を上げることのできる職員を選抜、派遣してございます。引き続き被災自治体のニーズを的確に把握しまして、復興を阻む課題に積極的に取り組む職員の派遣を行ってまいります。
○中屋委員 現地のニーズを的確につかんで、都は昨年九月、技術職員の不足が深刻化している沿岸部の被災市町村を中心に、即戦力となる任期つき職員を採用、派遣をいたしました。採用当初、都庁で行われた出陣式が多くの報道機関で取り上げられまして、注目を集めました。あれから一年が過ぎましたが、被災地でその力を発揮して活躍していることと思います。
そこで、任期つき職員の派遣により、被災地にどのような成果をもたらしたのか伺います。
○西村復興支援対策部長 被災地に派遣している任期つき職員は、復旧、復興を加速させるため、都が全国に先駆け、行政OBと民間ゼネコン経験者などを採用したものでございますけれども、ご指摘のとおり、即戦力として復興の最前線で現在四十四人が力量を遺憾なく発揮しておるところでございます。
具体的には、行政での土地区画整理事業の経験を生かしまして、事業計画の策定や地権者との交渉で成果を上げております。また、津波浸水区域から高台移転を進める防災集団移転促進事業では、都派遣の任期つき職員がチームを組みまして、お互いの経験から知恵を出し合い、事業の迅速化に貢献しておるところでございます。
任期つき職員は、これまでの経験や技術力を生かしまして復興の加速化に貢献するとともに、被災自治体の若手職員にノウハウを伝えるなど、被災地を力強く支えているところでございます。
○中屋委員 職員おのおのが技術者として、被災地の復興で確実に成果を出していることがよくわかりました。さまざまな課題がある中で、復興を後押しする彼らの姿勢に敬意を表したいと思います。また、被災地の状況を的確に把握し、任期つき職員の採用に迅速に取り組んだ都の対応を高く評価したいと思います。
さて、九月八日に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致が決定をいたしました。招致プレゼンテーションの場で、七年後の東京大会では、復興を果たした被災地の姿を、返礼の意を込めて披露することを世界に対して約束いたしました。この約束を果たさなければなりません。
そのためにも、今後とも都は現場を持つ強みを生かして、被災地、被災者が復興に向けてみずから踏み出す歩みを総力を挙げて後押しするべきと考えます。また、今回の災害により甚大な被害を受けた大島についても、復旧、復興に向けて全力で取り組むべきであります。
最後に、大島、そして東日本大震災における被災地の復旧、復興について、総務局長の決意を伺いたいと思います。
○中西総務局長 多くの犠牲者が出てしまいました大島の土砂災害について、この間、自衛隊、警察、消防、海上保安庁などを初め、国の関係省庁や他自治体、多数の関係者のご助力により、救出救助活動や応急対策に取り組んでまいりました。この場をおかりいたしまして、改めて関係者の皆様に感謝を申し上げます。
応急仮設住宅の建設など、復旧、復興への道のりはこれからでございまして、全庁挙げて復旧、復興に取り組むため、三人の副知事も加わります大島応急復旧プロジェクトチームを立ち上げ、年内には応急復旧対策の全体を取りまとめてまいります。
一方、東日本大震災におきましては、都はこれまで被災地の状況や要望を的確に把握しながら、全国に先駆けた震災瓦れきの受け入れ、被災自治体への職員派遣、ふくしま東京キャンペーン、被災地応援ツアーなどのほか、都内避難者へさまざまな支援を行ってまいりました。
岩手県及び宮城県では、震災瓦れきの処理が今年度末で終了する見込みでございます。また、インフラの復旧等の復興事業の発注が平成二十七年度に向けてピークを迎えるなど、地元における復興への取り組みはいよいよ本格化しつつございます。
大島では、応急復旧を進める段階、また東日本大震災の被災地におきましては、本格復興を迎える段階と、被災地の置かれた状況は異なりますが、都の復旧、復興に向けた取り組みに対する期待は、いずれも大変高いものと考えております。今後とも被災地の状況やニーズの変化を的確に把握し、各局と連携協力をいたしまして、全力で取り組んでいく決意でございます。
○中屋委員 今の局長の力強い決意をお聞きいたしました。ぜひ早期復旧、復興を目指して力を注いでいただきたいと思います。
東北、伊豆大島と場所は違えど、被災地おのおので復旧、復興の進みぐあいは一様ではなく、被災地のニーズも多様化をしております。都は、その内容を見きわめながら、引き続きそれぞれの被災地の状況に応じた支援を実施し、復旧、復興に踏み出す被災地を力強く後押ししていただければというふうに思います。しっかり頑張っていただきたいと思います。
以上をもって質疑を終了します。
○野上委員 初めに、公立大学法人の首都大学東京についてお伺いいたします。
公立大学法人首都大学東京は、幅広い分野を持った公立総合大学である首都大学東京、高度専門技術者を育成する産業技術大学院大学、それから中学卒業段階から五年間の一貫教育を行う都立産業技術高等専門学校の二大学一高専を有し、創立以来、大都市課題の解決や都市の産業振興に資する人材など多様な人材を育成、社会に輩出してまいりました。
私は、これまでの法人の取り組みについては、高く評価しているところでございますが、昨今の社会経済状況の変化は激しく、それに伴い、社会が求める人材も変化し続けております。きょうは、そのような状況を踏まえて、首都大学などの人材育成について幾つか質問させていただきます。
まず、ものづくり人材の育成についてお伺いいたします。
これまで東京や日本の産業発展を支えてきたのは、優秀なものづくりの人材の存在でございます。ちょうど葛飾区の杉野ゴムの製造会社の杉野社長さんが、江戸っ子一号という、深海七千八百メートルまで到達して、深海の撮影に成功したということがテレビで放映されておりましたけれども、非常に技術力が高く、費用も安く、コンパクトな内容で、非常に将来が有望視されております。しかし、非常に杉野社長も苦労されまして、約四年間、もう本当に大変な苦労の中でこれがつくり上げられたということでございます。
ものづくり人材の育成において、五年間の一貫教育で実践的な技術者を育成してきた高専、これは大変大きな役割を果たしてきたと考えております。しかし、最近は、グローバル化の進展などにより、企業が求める能力、知識は高度化、多様化しておりまして、高専における人材育成も、その変化に合わせた取り組みを行っていく必要があると感じております。
そのような状況で、都立産業技術高等専門学校は、他の高専にはできない特色として、首都大学東京あるいは産業技術大学院大学と連携した取り組みができるとの強みがあると考えます。法人の強みを生かし、二大学一高専が連携したものづくり人材育成の具体的な取り組み内容について、お伺いいたします。
○伊東首都大学支援部長 これまで二大学一高専の連携として、都立産業技術高等専門学校専攻科、これは五年間の高等専門学校の教育を修了した後、さらに二年間、高度な専門技術を学ぶ教育課程ですが、この専攻科から産業技術大学院大学への接続プログラムを設けているほか、高等専門学校から首都大学東京へ毎年十名前後編入しております。
新たな取り組みとして、二十四年度より、高専生を中心に首都大生や産技大生をリーダーとしたチームを組み、上下水道に関する研究など与えられた課題について、海外体験なども行いながら調査研究を実施するグローバルコミュニケーションプログラムを開始いたしました。今後も、二大学一高専を有す法人の強みを生かした連携を行い、高度な知識や技術を持ち、国際感覚豊かなものづくり人材を育成してまいります。
○野上委員 グローバルコミュニケーションプログラムは、今答弁にありましたように、高度な技術だけではなく、国際感覚も持たせることができる、今の社会ニーズに合った取り組みだと思っております。ぜひこのような取り組みを発展させていっていただきたいと思っております。
さて、今、国際的に活躍できるものづくり人材育成について答弁がありましたが、グローバル化が進展し、国際競争の激しさが増す昨今、私は、世界を舞台に活躍できる若者の育成は喫緊の課題と感じております。
都は、高校生などを対象に次世代リーダー育成道場を開設するなど、若者の海外体験の後押しをしております。そこで、首都大学を見てみますと、毎年、大学から海外へ派遣する学生はふえているようですが、それでも平成二十四年度の実績で六十二名と、学部、大学院を合わせた学生数の一%にも満たない数字です。これは決して十分な数字とはいえないと思っております。大学として、今後海外へ留学する学生数を拡大するための取り組みについてお伺いいたします。
○伊東首都大学支援部長 首都大学東京では、平成二十一年度に国際センターを設置し、世界で活躍することができるグローバル人材を育成するための取り組みを行ってまいりました。海外の大学へ留学する学生をふやす取り組みとしては、交換留学を行うための協定締結校を平成二十年度末の三校から、平成二十四年度末には十六校に拡大したほか、東京都も大学と連携し、中長期の留学に対して留学生の渡航費用や生活費用として一定の経済支援を実施しております。その他、外交官や商社マンなど国際社会で活躍している方を講師に迎えたグローバルキャリア講座の実施などにより、学生の留学意欲の向上を図っております。
これらの取り組みにより、海外の大学へ留学する学生は、国際センター設置前の平成二十年度十六名と比較して、平成二十四年度は四倍に増加しました。今後も海外の大学との交流拡大や留学に向けたさまざまなプログラムの開発など、首都大学東京の海外留学拡大への取り組みを都として支援してまいります。
○野上委員 首都大学生の海外派遣の取り組みが着々と進んでいるということを聞いて、少し安心をしております。グローバル人材の育成は、社会からの重要なニーズです。このニーズに応えられるように、首都大学は国際化推進の取り組みを続けていっていただきたいと思っております。
最後に、首都大学の就職支援についてお伺いいたします。
大学が社会のニーズに応えた人材育成を行っているかの評価の一つとして、就職率があると考えております。平成二十四年度、首都大学東京の学部生の就職率は、全国平均が九三・九%に対して九七・一%となっておりまして、その点については高く評価いたします。
けれども、その一方で、残りの二・九%の学生が、就職を希望したのに就職できず、卒業していっていると。このような未就職の卒業生へのケアも大切と私は考えます。大学として、未就職の卒業生への支援を含めた学生の就職支援への具体的な取り組みについてお伺いいたします。
○伊東首都大学支援部長 首都大学東京では、就職を希望する学生を支援するため、年間を通じキャリアカウンセラーによる就職相談を実施しているほか、学内企業セミナーなどの各種就職ガイダンスを開催しております。
委員ご指摘のとおり、未就職の卒業生への対応も重要と考えており、平成二十四年度から、希望者に対して就職支援行事を初めとする就職情報のメール配信を開始するなど、在学生と同様の支援を実施しております。今後も学生ニーズを踏まえ、適切な就職支援を行ってまいります。
○野上委員 就職できないまま大学を卒業した学生は、本当に心細い思いで就職活動を続けていると思い、私は心配しておりました。新卒と既卒では、全然もう就職状況も違ってきますので、今後も未就職の卒業生を含めて丁寧な就職支援を行っていただきたいことを要望いたします。
東京は、いうまでもなく世界でも代表的な大都市です。それを支える人材を育成することは、まさに都が設置した首都大学東京を初めとする二大学一高専に課せられた重要な役割と考えます。社会経済のニーズに的確に対応しながら、東京の発展に寄与する人材のみならず、世界で活躍できる人材を育てていってほしいと思います。
次に、都庁の情報セキュリティーについてお伺いいたします。
平成十二年に電子都庁推進計画が策定され、計画書は平成十三年三月に出されておりまして、今からもう既に十三年経過しようとしていますので、都庁のさまざまな部署でシステム化が急速に進められてきたことを感じます。パソコンなどのIT機器は、多くの情報を処理できるので業務効率は向上しますが、一方で、一たび取り扱いを誤れば、多くの情報が漏えいし、インターネット環境を通じて瞬く間に拡散してしまう危険もはらんでおります。
都庁では、総務局が中心となって都庁全体で情報セキュリティー対策を進めてきたと認識しております。しかし、最近でもサイバー攻撃による個人情報の抜き取りや、USBメモリーの紛失による個人情報の紛失など、新聞紙上でも頻繁に目にします。その中でもUSBメモリーは、持ち運びには大変便利ですが、小さいので紛失する危険性が高いです。さらに、多くの情報が保存できることから、もし仮にそれを紛失した場合、そこに保存されている膨大な情報が流出してしまう危険性は極めて大きいです。
一方で、USBメモリーは、取り扱う個人の不注意による紛失がほとんどでありまして、これを減らしていく取り組みは、みずからが実践していくことができるものであります。都庁でも、かつて個人情報の入ったUSBメモリーなどの紛失が多く発生したと記憶しておりますが、そこで、都庁におけるここ五年間の個人情報を含むUSBメモリー等の紛失事故の件数をお伺いいたします。
○鈴木行政改革推進部長 USBメモリー等の紛失による事故は、警視庁、消防庁、学校を含めた都庁全体で、平成二十年度に八件、二十一年度に十件発生し、これをピークに、二十二年度九件、二十三年度六件と減少し、二十四年度にはゼロ件となっております。また、今年度も現時点において事故は発生してございません。
なお、USBメモリー等を紛失したこれらの場合において、具体的な個人情報の流出は確認されておりません。
○野上委員 二十一年度に十件あった紛失事故が、昨年度はゼロ件になったということでございますが、そこで、都庁ではUSBメモリーの紛失事故を防止するために、いろいろな対策を講じてきたと思います。その内容についてお伺いいたします。
○鈴木行政改革推進部長 都では、USBメモリーの紛失事故を防止するため、まず、平成二十一年度に情報セキュリティー対策基準を改定し、USBメモリーを用いてのデータの保存を原則禁止といたしました。業務上、やむを得ずUSBメモリーを使ってデータを外部へ持ち出す場合には、認証機能つきのUSBメモリーを使用するとともに、データの暗号化やファイルへのパスワード設定をすることで、万が一紛失した場合でも、情報が漏えいしないよう対策を講じております。
さらに、二十三年度には、USBメモリーを使用せずに、より安全に情報のやりとりができるよう、大容量のファイルを転送する仕組みを導入したほか、二十四年度には、職員の事務用パソコンからUSBメモリーへの書き出しができないよう、データの出力機能を制限したところでございます。
また、こうした技術的な対策とあわせて、全職員を対象としたeラーニングによる研修や、情報セキュリティー強化月間による自己点検などにより、USBメモリーの取り扱いについて徹底を図っております。これらの対策を積み重ねることにより、職員一人一人の自覚を促し、紛失事故の未然防止に向け、手を緩めることなく取り組んでまいります。
○野上委員 USBメモリーへの書き出しができないように、データ出力機能を制限したので、USBの持ち歩きがなくなったために、USBをなくすということがない、紛失ゼロの取り組みが実ったということだと思います。
一たび個人情報が流出すれば、流出した情報の対象者に多大な迷惑をかけるだけではなく、都庁に対する信用も大きく損ねることになります。今後ともこれらの取り組みを継続し、強化し、USBメモリーの紛失を未然に防ぐように努めていただきたいと思っております。
教師間でも、昨年つくったデータ、資料を少し変えて授業に使用したいけれども、時間がなくて、休日に自宅で作業しなければいけないこともありまして、このUSBを持ち出すことも、USBに書き込むこともできなくなったために、作業を学校内で行って、途中作業のデータをパソコンで自宅に送って作業し、また、学校のパソコンにつくったデータを送付して作業をしているというようなこともお聞きしております。
確かに、USBに書き込むことができないので、送信作業が大事なんですけれども、もう一つ大事なのは、送付されたメールの中に、例えばウイルスが潜んでいるという問題もあるのではないかというふうなことも懸念材料でございます。
という意味で、次にサイバー攻撃について質問させていただきます。
企業や組織に対するサイバー攻撃も今は後を絶ちません。特に近年、攻撃型といたしましては、標的型サイバー攻撃といわれる、個々の企業や組織を狙ってカスタマイズされた特徴を持ちます。したがって、従来のセキュリティーの手法だけでは、企業や組織の大事なデータを守り切ることが難しいのではないかと感じております。なぜなら、最高のセキュリティーをかけている政府の各省庁でも攻撃をされておりまして、常に新たな手法を編み出して、対象を研究しながらその攻撃を進化させている、そういう現状がございます。
特に、情報セキュリティーの課題といたしましては、サイバー攻撃による情報の抜き取りが挙げられております。これまでの攻撃は、職員宛てに送られてきたウイルスの添付されたメールを開封することによって、そのシステム全体が感染し、情報が抜き取られるケースがありました。
しかし、先般の新聞報道によりますと、行政機関の職員がよく閲覧をするニュースサイトにウイルスを仕込んで、それを閲覧すると感染するというような手口によって情報が抜き取られたという記事が掲載されております。これを水飲み場型攻撃というそうなんですね。
また、現在では、電子メールを使って都庁外の人とも仕事上のやりとりをすることが一般的となっていますが、仕事上の関係者を装ってメール交換を何回か行った後に、ウイルスつきの不正メールを送ってきたりウイルスの仕込まれた不正サイトに誘導したりする、やりとり型攻撃というものも、近年被害を広げているということでございます。
ITに関する技術は日進月歩で進化しており、攻撃者の手口も徐々に巧妙化してきているといえます。これらは、システム面での対応はもとより、職員一人一人が情報セキュリティーに対する高い意識を持っていなければ防ぐことはできません。
そこで、都庁では、標準型メール攻撃に対して対策を講じていると思うんですけれども、その具体的な内容についてお伺いいたします。
○鈴木行政改革推進部長 サイバー攻撃の手法が巧妙かつ多様化していることを受け、従来のウイルスチェックに加え、送信元を詐称する成り済ましメールを機械的に判別するなど、新たな技術的対策に取り組んでおります。
しかし、技術的な対策だけでは防ぎ切ることのできない、いわゆる先生おっしゃるところのやりとり型攻撃や水飲み場型攻撃など新たな攻撃手法に対しては、職員一人一人がその危険性を真に理解し、攻撃を受けた場合の対応を確実に行えることが重要でございます。
このため、一昨年度より標的型メール攻撃訓練を導入し、昨年度は約三万人の職員を対象に、疑似的な不審メールによる実践的な対応訓練を実施いたしました。また、標的型メールの見分け方や対応方法を記載した情報セキュリティーポケットメモを職員に配布し、攻撃に対する対応方法の周知徹底を図っております。
こうした技術的、人的対策のほか、国や警視庁などとの情報連絡体制を構築し、最新のサイバー攻撃に関する情報を共有しますとともに、緊急時に迅速な対応がとれる体制を整備しております。今後も、日々変化する標的型メール攻撃等への備えに全力を挙げて取り組んでまいります。
○野上委員 都民の個人情報を預かり、都民の生活を支える重要な基盤である都庁の情報システムにおいて、個人情報が抜き取られたり、有事の際にシステムが稼働しないで行政機能が麻痺することがあっては絶対にならないことであります。それらを確実に守っていくためにも、総務局が中心となりながら、日々進化する攻撃者の手口にも適切に対応できるよう、都庁の全職員が一丸となって情報セキュリティー対策に取り組んでいっていただくことを強く要望しておきます。
次に、職員のメンタルヘルス対策についてお伺いいたします。
私は、平成二十一年の予算特別委員会で教職員のメンタルヘルスを取り上げて、その後も文教委員会で、職場復帰には早期発見、早期治療が重要であることを訴え続けてきました。当時、教育長からは、精神科医や臨床心理士、学校長や区市町村教育委員会の代表などで構成するメンタルヘルスに関する検討会を設置し、さまざまな施策を講じるという力強い答弁をいただきました。
その後、メンタルヘルスに関するチェックシートを用いたストレス検査を全国で初めて行うなど、前向きに取り組んできていただいております。
一方で、知事部局においても、心ならずも精神疾患に陥り、職場を離れることを余儀なくされている職員が多数いると聞いております。このメンタルヘルス対策は、職員の健康管理だけでなく、公務の能率を維持する観点からも極めて重要なものと考えております。
まず初めに、知事部局において、精神疾患、いわゆる心の病を理由として病気休暇や病気休職を余儀なくされている職員数の推移についてお伺いいたします。
○栗岡労務担当部長 都政運営の経験を重ねてまいった貴重な人材である職員が、精神疾患によって長期に職場を離れざるを得ない状況は、組織運営上も大きな損失でございまして、メンタルヘルス対策は極めて重要であると認識してございます。
都の知事部局における精神疾患を理由としました病気休暇等を三十日以上取得した職員の数は、平成十四年には二百四十八人でありましたが、十年後の平成二十四年は三百四十三人となってございます。
この間の推移を見ますと、平成十九年までは、ほぼ一貫して上昇傾向にございました。しかし、平成十八年三月に東京都職員の心の健康づくり計画を策定しまして、相談体制の整備や講習会の実施など、さまざまな取り組みを進めて以降、上昇傾向に歯どめがかかってきてございます。
こうした取り組みの結果、直近三年について申し上げますと、平成二十二年の三百九十六人から、平成二十四年には三百四十三人まで減少してございまして、計画に基づく早期発見、早期対応に向けた対策の効果が着実にあらわれてきているものと考えてございます。
○野上委員 私がメンタルヘルス対策において重要と考えている早期発見、早期治療に既に取り組まれており、長年増加傾向であった職員の精神疾患について、都の対策が効果を上げているということでございました。また、増加傾向が続いていた職員の精神疾患が減少傾向に転じたことは、大変に喜ばしいことであります。
それでは、ただいま説明のあった東京都職員の心の健康づくり計画に基づく具体的な取り組みについてお伺いいたします。
○栗岡労務担当部長 平成十八年三月に作成いたしました東京都職員の心の健康づくり計画は、労働安全衛生法第六十九条に基づきまして、職員の心の健康保持増進を図るため、事業主として継続的かつ計画的に対策を実施する指針となるものでございます。
計画では、この趣旨に従いまして、予防に向けた啓発などを行う一次予防、早期発見、早期対応のため相談などを行う二次予防、さらには円滑な職場復帰支援や再発防止などのために行う三次予防を設定いたしまして、罹患の予防から復職に至るまで包括的に、職員の状況に応じたきめ細かな対策を実施してきたところでございます。
具体的には、全職員向けに心の健康度チェックを配布したり、管理監督者向けに講習会を行いますとともに、精神科医、心理職及び精神保健相談員等の専門スタッフを配置しまして、身近で気軽に相談することができる体制を整備してございます。
○野上委員 メンタルヘルス対策として、予防的な取り組みとしての一次予防、早期発見としての二次予防、早期治療、再発防止としての三次予防に、組織的、また包括的に取り組み、職員、職場それぞれの役割を踏まえて、きめ細かい支援を実施してきていることがわかりました。このような支援が、精神疾患により職場を長期に離れる職員数の減少につながったのだと思います。
一方で、精神疾患への対策の難しいところは、再発の可能性が高いということでございます。ことしの六月に発表された独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、何と三二・四%の企業が、メンタルヘルスにより休職した社員の半数以上が再発を繰り返すと回答しております。知事部局におきましても、精神疾患の再発に苦しむ職員は多いと思いますが、再発防止策についてお伺いいたします。
○栗岡労務担当部長 都の知事部局におきましても、平成二十四年、精神疾患による病気休暇等から復職した職員のうち、二割程度の職員が再発してございまして、再発の予防は喫緊の課題であると認識してございます。
このため、復職支援のためのグループ指導事業、職場へのならしを目的とした職場復帰訓練、そして復帰後三カ月から六カ月程度、再発予防のための面接指導を行うなど、一人一人の状況に応じたきめ細かな対応を行いまして、円滑な職場復帰訓練や再発の防止に努めてございます。
今後とも職場全体の公務能率を一層向上させますとともに、職員や職員を支える家族の安全と安心を確保する観点からも、職員の心の健康問題への対策を推進してまいります。
○野上委員 ぜひこのメンタルヘルス対策に力を入れていただきたいと思っております。
次に、職場のセクシュアルハラスメント防止対策についてお伺いいたします。
職場のセクシュアルハラスメントは、職員の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに、職員が能力を十分に発揮することへの妨げにもなります。それはまた、職場秩序の乱れや業務の支障につながり、組織の社会的評価に悪影響を与えかねない問題でもございます。
先日も、防衛省におけるセクシュアルハラスメントの事件が新聞報道されたことを皆様もご存じだと思いますが、公務の職場におけるセクシュアルハラスメントは、公務に対する信用を失墜させかねない深刻な課題ではないでしょうか。
都においては、これまでもさまざまな取り組みを実施してきているところだと思いますけれども、このセクシュアルハラスメント対策の現状についてお伺いいたします。
○栗岡労務担当部長 セクシュアルハラスメントは重大な人権問題であるとともに、職員の能力発揮を妨げ、職場の秩序を乱し、正常な業務遂行を阻害する職場管理上の重要な問題であると認識してございます。
都におきましては、平成十一年度から職場におけるセクシュアルハラスメント防止に関する基本方針を運用開始しまして以降、セクシュアルハラスメント防止連絡会議の設置、相談体制の整備、防止月間の設定など、職員の意識啓発等防止対策を継続して実施してまいりました。
その結果、平成十三年度に実施したアンケート調査では、セクシュアルハラスメントを受けたことがあると回答した職員が三割程度でございましたところ、平成二十三年度の調査では一割程度まで低下してございまして、継続して実施してきた防止対策の効果があらわれてきているものと認識してございます。
○野上委員 これまでセクシュアルハラスメントの防止に継続的に取り組んでくださったその成果が上がっていることがわかりました。
しかしながら、事実、三割から一割になったものの、まだ一割ぐらいの職員の方がセクシュアルハラスメントに悩んでいるということであれば、被害者の救済策の充実がさらに必要と思うわけです。
とりわけ、被害者がいつでも気軽に相談し、傷ついた心をケアしてくれる相談窓口の役割が重要であると考えます。
そこで、都の被害者に対する相談体制窓口の整備状況についてお伺いいたします。
○栗岡労務担当部長 万が一被害を受けた場合に、職員が安心して相談できる環境づくりが重要であると認識してございます。職場の上司である管理監督者に加え、全庁相談窓口、各局人事担当課に設置されます各局相談窓口、さらには一般財団法人東京都人材支援事業団の相談室など複数の窓口を設けまして、職員が相談しやすい体制を整備してございます。
相談窓口の担当者に対しましては、毎年度対応マニュアルやビデオ教材を利用しまして被害者との応対方法を説明し、相談の質の維持向上に努めてございます。また、職員アンケートでも、被害者の約六割が直属の上司を相談相手として選択しているという結果を踏まえまして、今年度は管理監督者向け啓発リーフレットを改訂し、改めて配布する予定でございます。被害者にとって重要な役割を担う管理監督者が、被害者の立場をより理解して対応できるよう、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。今後とも職員の人権の保護と公務能率の向上の観点から、相談窓口の適正な運用に努めてまいります。
○野上委員 メンタルヘルス、それからセクシュアルハラスメントについて、東京都が積極的に取り組んで、少しずつ成果を上げてきているということがわかりました。
次に、社会的な問題となっているパワーハラスメントについて意見を申し上げます。
本年九月に、国も民間企業等の取り組み事例を掲載した職場のパワーハラスメント対策ハンドブックを発表いたしました。近年、パワーハラスメント防止対策への関心が社会的にも高まっております。このハンドブックの中にもさまざまな事例がございまして、パワーハラスメント防止対策は、職場の規模や業務内容、または風土など、それぞれの組織の実情に応じて行われるべきであって、一律になかなか決められるものではないと思っております。
しかし、パワハラというのはちょっといじめと似たところがあって、職場の上司の考えでは、この人にしっかりと仕事をしていただこうとかという思いやりを持って接していても、いざ、いわれた本人がいじめのようにとってしまうと、それがパワハラであるという、非常に難しいところなんですね。受けとめ方も非常に微妙でありまして、本来ならば、その人の成長のために、自分が嫌われてもいいから、いってあげようと思っていっていることが、逆にパワハラととられたりとか、それだったらもう余りいわないようにして放っておこうとか、いろいろ難しいところもあるんですね。
そういう意味でも、これから今後このパワーハラスメントに対しましては、取り組みが必要ではないかと思っております。まさに人間関係がどれぐらい深いかによって、いわれたことも、いいようにとれる人間関係があれば、パワハラと捉えられないんですけれども、人間関係がうまくいっていないと、ちょっと軽くいったことでもパワハラにとられてしまうということもございます。ですから、そういう意味では、人間関係をうまく調整し、解決をしていく部下と上司のコミュニケーションを図っていくということも大事ではないかと思っております。
都においては、パワーハラスメントの対策について労使で意見交換を行っていることも聞いております。ぜひパワーハラスメントの発生しない、風通しのよい職場づくりに向けて努力されることを期待いたします。
次に、最後の質問になりますけれども、大島における土砂災害についてでございます。
台風二十六号がもたらした災害によってお亡くなりになりました皆様のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
先日、都議会公明党でも大島の現状の視察をしたところでございます。発災直後に比較すれば落ちつきを取り戻しつつあるものの、一カ月を過ぎて、まだなお住民の生活再建は道半ばというふうに感じたと、皆さん申しておりました。二十一日から罹災証明も発行されておりますが、こうした甚大な被害が発生し、多くのとうとい命が犠牲となった今回の災害について、まずはその初動対応について振り返って、今後の災害対応の教訓に結びつけていくことこそ重要ではないでしょうか。
そこでまず、都と区市町村との情報連絡体制についてお伺いいたします。
大雨警報や台風に関する情報など気象庁から発信される情報は、区市町村が避難勧告等を検討するに当たって大変重要な情報となります。気象庁等から都が入手した情報を迅速かつ確実に区市町村に伝えることが重要と考えます。これまで気象情報等をどのように区市町村に伝達していたのかと、そしてまた今後どのように改善していくかについてお伺いいたします。
○村松総合防災部長 都から区市町村に対する気象情報等の伝達方法についてでございますが、これまでは関係機関にファクスを送信した際、機器のふぐあい等により届いていた場合には電話で確認しておりました。今回の教訓も踏まえまして、今後はファクスの到達が機器上で確認できたとしても、相手方の受信確認がない場合につきましては、電話による連絡を行いまして、受信の有無を確認することとしたところでございます。
また、重要な情報を確実に伝達するため、区市町村の首長や防災責任者の携帯番号も把握いたしました。
現在、大島応急復旧プロジェクトチームにおきまして、情報連絡方法等を含む危機管理体制のあり方について検討しておりまして、さらなる改善を図ってまいります。
○野上委員 私たちもよくあるんですけれども、ファクスは送ったから自分の情報が相手に伝わっているだろうと思っているんですけど、ファクスを見てもらっていなかったりすることも多いので、必ずファクスを送った後に、届いたとかって電話することがあるんですけど、そういうしっかりと連携がとれる体制を、確実に情報伝達をやっていただきたいというふうに思っております。これは都民の命にかかわることなので、特にそうしていただきたいと思っております。
次に、避難勧告についてお聞きしたいと思っております。
避難勧告は、区市町村長が発令することになっておりますが、その判断は住民に多大な影響を与えるものです。今回、大島への台風接近に伴い、土砂災害警戒情報が発表されており、こうした情報も参考としながら、適切なタイミングで避難勧告を発令する必要があります。
そこでまず、土砂災害警戒情報の意味と、この土砂災害警戒情報が出た際に避難勧告が発令された例が過去三年間で都内にどれだけあったのか、お伺いいたします。
○村松総合防災部長 土砂災害警戒情報は、大雨による土砂災害発生の危険度が高まった場合に、区市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や、住民の自主避難の参考となりますように、気象庁と都道府県が共同で発表する防災情報でございます。
都内では、平成二十二年度以降、土砂災害警戒情報が二十二回発表されておりますが、これに基づいて避難勧告が発令された例はございません。
○野上委員 今ございましたように、こういうふうに、土砂災害警戒情報が過去二十二回発表されているんですけれども、この中に、やはり人的被害があったり物的被害があったりしているんですけれども、それでもなかなか避難勧告が発令されたことがないということで、やはりこの事実はすごく大事だと思っております。だから、なかなか長は判断基準が難しいですよね。いかに出すかということが大事だと思っております。
区市町村によっては、自分の区とか市で独自の避難勧告を発令しているところもあると聞いておりますが、区市町村の規模もさまざまでありまして、広域自治体である都が一定の考え方を示して、東京都が全力で区市町村とその首長を支援すべきだと考えますけれども、見解をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 避難勧告等は、現地における実際の気象状況や今後の予想、避難所確保等の状況を総合的に勘案して発令するものでございまして、法律上、区市町村の役割となっております。
都としても、基本的には、現地の状況を最も正確に把握し得る各区市町村の判断によるべきと考えておりますが、一方で、事前に留意すべき点などを周知しておくことも重要と考えております。
今回の災害対応におきましても、台風二十六号に引き続く形で台風二十七号が接近した際、避難勧告等の発令に当たりまして、円滑な避難行動がとれる発令時刻の設定、避難所までの経路や誘導方法等の検討など留意すべき点につきまして、各区市町村に周知したところでございます。
今後、大島応急復旧プロジェクトチームにおける危機管理体制の見直し等を通じて、さらに検討を進めてまいります。
○野上委員 避難勧告等の発令をどのように判断するかということは、区市町村によっては大変困難な課題であると考えております。ぜひ都として支援することを求めます。
次に、避難勧告等の発令に当たって一つの指標となる特別警報についてお伺いいたします。
気象庁による特別警報は、数十年に一度の大雨などが予想された場合に発表されるものでありまして、本年八月三十日に運用が開始されたばかりですが、今回、大島において記録的な豪雨が発生したにもかかわらず、発表されることはありませんでした。島しょという特殊性を持つにもかかわらず、局地的な豪雨という基準で判断されたと聞いておりますが、こうした仕組みそのものに問題があると思います。特別警報については、島しょという特殊性も考慮されるような制度改善をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 特別警報は、数十年に一度の降雨量となる大雨などが予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合に発表されることとなっておりまして、当該地域の住民は、直ちに命を守る行動をとる必要があるとされております。国は、特別警報の制度を担保するため、発表基準にある程度の面的な広がりを持つ広域性を加えており、現在の技術では、今回のような局所的な大雨を予測することは、特に海に囲まれた島しょ部であることからも困難としております。
また一方で、今回の大島における災害を受けまして、国は、島しょ部において特別警報に準ずるような大雨が局所的に観測された場合には、地元気象台長から自治体の長に対して直接電話でホットラインにより危機感を伝えることとしております。特別警報の仕組みが、島しょ部の特殊性に対応し切れていない現状は明らかであることから、都といたしましては、今後国の取り組み等を見据えた上で、必要に応じて国に制度改善等を求めていきたいと考えております。
○野上委員 特別警報の発表は、島しょ部の町村長にとっては、避難勧告等を出す際の重要な指標になると思います。ぜひ都として制度改善を国に求めていただきたいと思っております。
次に、災害時の東京都の体制についてお聞きをいたします。
東京都は、十月十六日に前田副知事を本部長とする現地対策本部を設置いたしました。十八日には、台風二十七号の接近に伴い、東京都災害即応対策本部を設置いたしました。現地対策本部に責任のある幹部を配置することで、現場のニーズを把握するとともに、災害即応対策本部と連携して、必要な対策を迅速に実行していく体制は適切であったと考えます。
今後、局地的な災害に対して、幹部を筆頭とする現地対策本部を設置するとともに、本庁にも本部を設置し、都庁全体が連携して対応するという体制を今後の手本としていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 今回の大島の災害対応では、現地の情報を的確に収集するため、大島支庁に現地対策本部を設置するとともに、台風二十七号の接近に伴う二次被害防止に向けて、災害即応対策本部を速やかに立ち上げ、現場と本庁とが相互に連携をとりながら対策に取り組んできたところでございます。
今後も、発災時においてはこうした体制を参考としつつ、現地ニーズに即した実効性ある初動対応を実現してまいります。
○野上委員 災害発生時は、初動体制をいかに迅速に確立するかが重要であり、日ごろからその準備を行うことが必要となってきます。
準備の一つとして、物資の備蓄があると思います。今回の災害では、報告にもあったようにさまざまな物資を大島に輸送しています。大変ご苦労があったかと思いますが、その労力を軽減するとともに、より迅速に被災者の方に届くようにするためには、備蓄が重要だと考えます。食料等はもちろんのこと、避難生活において必要な物資はさまざまです。
そこで、お聞きいたしますが、特に女性や高齢者、子供などのニーズにきめ細かに対応した備蓄が必要だと考えますが、見解を伺います。
○村山企画調整担当部長 東日本大震災の教訓を踏まえて、昨年度修正した地域防災計画においては、災害時要援護者や女性、子供など、さまざまな避難者のニーズに対応した物資の確保に留意することを改めて記載し、区市町村に対して備蓄品の確保等を促しているところでございます。
また、今回の大島町では、町の地域防災計画に基づき備蓄を進めていたところでございますが、生理用品や子供用、大人用のおむつなどが不足したところでございます。それらの物資の調達に当たっては、都は、本年三月に締結した全国規模のネットワークを持つ物販事業者との協定を初めて活用いたしました。
今後とも大島における災害を教訓に、区市町村に対して備蓄の必要性を周知するとともに、備蓄や調達体制を強化し、災害時のきめ細かな物資確保に努めてまいります。
○野上委員 さらなる生活物資の充実、迅速な確保をお願いしたいと思います。
今回お聞きしたことは課題の一部でございまして、その他の課題も含め引き続き検討していただき、より一層防災対策を充実していただくことを期待して、質問を終わります。
○徳留委員 台風二十六号による集中豪雨と土石流で甚大な被害を受けた大島の本格的な復興、復旧、被災者支援の具体化の問題と、今回の大災害の経験から、今後の東京全体の防災対策にその教訓をどう生かしていくのか、この二つの大きなテーマについて質問いたします。これまで三回の大島訪問を通じての現地の調査と、多くの被災者の皆さんからの要望を踏まえて質問したいと思います。
まずは、この災害で亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
今回の大災害では、町の対応のあり方はもとより、都や国の災害対応の現状についてしっかりと検証を行って、その教訓を今後の東京全体の防災対策に生かすことが重要だと思います。大島の本格的な復旧、復興、被災者支援に当たっては、決して行政的、実務的に対応するのではなくて、何よりも一人一人の被災者の声や思いに、しっかり寄り添って具体化することが大事だと思います。この姿勢が、被災地、被災者の立ち直り、再建していく上で本当に大きな勇気と元気、展望を与えることになります。
私も、東日本大震災で、一年間、最大の被災地宮城県石巻を中心に、現地責任者として、延べ三万人を超える被災者の救援活動に取り組んできた経験からも、この姿勢が一番大事だと実感をしております。
先日十月二十二日の衆議院の予算委員会で、我が党の笠井議員の質問に対して古屋防災担当大臣から、被災者の立場に立ったきめ細かな支援に取り組む、このたびの被災対応について速やかにまた検証を行った上で、その教訓を今後の対策に生かすなど、災害対策に万全を期してまいりたい、こういう答弁がありました。この姿勢、立場が大事だと思います。
被災者の生活と住宅の再建、仕事や雇用、商売などのなりわいの再建、そして何よりも大島の地域社会が再建されて、被災者の皆さんが自力で歩き出せるところまで、都や町が国とともに責任を持って公的な支援を行うこと、このことを復興、復旧の基本原則にすべきだと思います。
決して期限を切ったり、選別したり、個人財産の形成になるといって支援を曖昧にしたりということがあってはならないと思います。そのためにも、国、都、町が従来の制度による支援にとどまることなく、被災者の深刻な実態と要望に応えて、巨大な財政力を持つ東京都が独自に柔軟な発想で具体化すること、国への支援を強く求めることが必要です。
そこで、まず最初に、大島の本格的な復興、復旧、そして被災者支援に取り組むに当たっての都の基本的な姿勢とともに、国や町との連携を含む都の全庁的な体制と取り組みの現状について、どうなっているか伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 都では、大島の早期復旧、復興に向けて、現地対策本部を通じて被災地のニーズを把握しつつ、関係機関等と連携し、被災者支援に取り組んでおります。
具体的には、大島応急復旧プロジェクトチームを設置しまして、全庁を挙げての復旧支援を行う体制を構築いたしました。プロジェクトチームのもとには、生活再建ワーキンググループ、都市インフラ復旧ワーキンググループ、産業観光ワーキンググループ、危機管理ワーキンググループの四つのワーキンググループを立ち上げまして、関係局が連携をとりながら、必要な支援策を検討しております。
○徳留委員 現地で要望を聞いた被災者からは、予想を超える土石流の被害地域を見て、安全に住める場所はどこなのか、大島で住み続ける見通しを早く示してほしい、こういう声や不安の声が数多く寄せられました。それだけに、学者など専門家の知見を結集して、土砂災害の危険箇所を急いで確定するなど、安心して生活と住宅、なりわいの再建に取り組めるよう、展望や見通しを示すことが急がれています。土砂災害の危険箇所を確定する取り組みの現状、対策はどうなっているのか、答弁をお願いいたします。
○村松総合防災部長 土砂災害に対する復旧対策につきましては、建設局を中心に、学識経験者や国土交通省、大島町長、庁内関係局から成ります、これは仮称ではございますが、伊豆大島土砂災害対策検討委員会を十一月二十九日に立ち上げまして、緊急的なハード対策や危険箇所の見直し等を進めることとなっております。
○徳留委員 都として、土砂災害防止法に基づいて、急いで専門家の知見を集めて島内の危険箇所の詳細調査を実施して公表するとともに、大島町と連携をしてハザードマップを作成して、土砂災害対策を具体化してほしいと思います。
もちろん、多摩を初め東京全域の土砂災害の危険箇所の調査とハザードマップの作成も急がれております。被災者の個人所有の土地活用の見通しを急いで明確にするとともに、東日本大震災の経験のように、沿岸部の津波の危険地域では、移転を求めて個人所有の土地の買い上げがなされたように、調査の結果によっては、使用不可能になった私有地の代替地の確保や買い上げなどを国や都として検討することが必要になってくると思います。このことも検討を要望しておきたいと思います。
そこで、個人住宅の再建に向けての支援策の具体化の現状と、応急仮設住宅の建設についての具体的な取り組みの現状はどうなっているのか、伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 住宅再建に向けては、都市整備局におきまして災害復興住宅資金利子補助の実施や被災者への相談対応を行っております。また、福祉保健局では、被災者生活再建支援法を適用し、被災者生活再建支援金を支給するとともに、国の制度の対象とはならない半壊世帯に対しまして、住宅の建設、購入費を最大二百万、補修は最大百二十万、賃借は最大八十万円を支給することといたしました。
このほかにも、教育庁では、住宅が被災したため避難所生活を続ける住民の方々に対しまして、現在、教職員住宅を仮住まいの場として提供しております。
○徳留委員 都の独自の支援策の具体化が行われることを評価して、歓迎をしたいと思います。
しかし、現行制度では、家屋全壊の被害の場合には国の生活再建支援で三百万円が上限となっています。それ以外の被害の場合には支援がなく、ゼロというように、大きな格差があります。家屋の全壊、半壊あるいは一部半壊など、多様な家屋の被害状況に応じた住宅再建への柔軟な支援の具体化、国の支援金への都独自の上乗せ、長期の無利子融資などを都が行って再建を後押しするよう、ぜひ要望したいと思います。
さらに、現地では、倒壊家屋、瓦れきの撤去費用などもぜひ支援してほしい、こういう要望もありました。この点では、予算規模では東京の十分の一の岩手県が、知事を先頭に超党派一致して、東日本大震災でも柔軟で積極的な独自支援を具体化いたしました。ことしの七月、八月、九月の岩手地方を襲った豪雨、台風被害のときにも、全壊家屋に対しては県独自に百万円、大規模半壊世帯に対しては五十万円の支援、さらには住宅を再建する場合には二百万円の追加支援、改修には百万円、半壊には二十万円、床上浸水には五万円の支援を行っています。こうした実例もぜひ参考にしていただいて、独自の柔軟な具体化を要望しておきます。
さらに、被災者の要望をよく聞きながら、応急仮設住宅、永住できる公営住宅の建設を急ぐと同時に、こうした仕事では、極力大島の建設業者を活用して、被災者などの雇用拡大にもつながるよう要望しておきます。
次の質問は、大島の産業の再建の問題です。
今度の大災害から大島を再建していく上で鍵を握るのは、観光業を初めとして、被災した大島の中小企業、産業再建に向けての取り組みではないかと思います。この点で、今この産業の再建に向けての取り組みの現状はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
○村松総合防災部長 大島町の産業の復旧に向けまして、十一月二十一日から大島町が実施しております罹災証明の発行及び生活再建に係る特別相談の中で、個人事業主からの相談にも対応しております。
また、産業労働局では、土石流等により甚大な直接被害を受けた中小企業を対象に、災害復旧資金融資の限度額を八千万円から五億六千万円へと大幅に拡大するとともに、利子を全額補給するなど、中小企業者に対する金融支援を拡充しております。
さらに、農地、農業用施設の被災状況や漁場等の被害状況調査も行うなど、産業の復旧に向けた取り組みを進めているところでございます。
○徳留委員 ここで、被災した土石流下流部の民宿経営者の声を紹介します。
何とか再開したいけれども、罹災証明では一部半壊と査定をされて、支援金はゼロといわれたと。実態は、一メートル近く土砂が流れ込んで、畳もふすまも冷凍冷蔵庫も洗濯機も全部だめになってしまった。補修、家財購入を含めて五百万はかかると思うけれども、手持ち資金がなく困っていると。一部損壊への支援金も含めて、補修などへの補助制度を都でも町でもぜひつくってほしい。こういう切実な要望がありました。
また、土石流が直撃した神達地域の、天皇が宿泊した経験もある老舗のホテルの社長は、ホテルの周辺の地域が今後危険地域になるのかどうか、たくさんの死者も出た地域であり、先のことは考えられないと。しかも、一部半壊で支援金はゼロのために再建は容易ではないと、悩みを語っていました。
大島の観光産業を初め中小業者は、大島の再建にとっては、公共財産ともいえる役割を果たしているんではないかと思います。この見地からの支援の強化が求められています。
そこで要望として、観光産業を初め島の産業復興の計画を作成して、都として積極的に支援を強めていただきたい。また、土砂や流木で被害を受けている漁港など漁業資源の調査を都としても実施して、現状把握に基づいた支援を早急に具体化していただきたいと思います。
また、職を失った町民の就職支援を強化して、復旧、復興に当たる公共工事などは、町民の仕事確保と結びつけて進めることを強く要望しておきます。
この点でも、先ほど紹介した岩手県では、この夏の集中豪雨、台風被害に対して、観光事業者には、営業の復旧、再建のために、被災した地域の市や町と県が共同で最大二千万円の補助を行っています。本当に大島の町全体の再建にとっては、こうした観光業など産業の再建が大変大事だと思います。こうした経験も参考にして、思い切った支援の具体化をお願いしたいと思います。
次に、被災者の生活再建に向けた支援の現状について、特に、親戚とか縁故先などを頼って避難している被災者への支援が行き届いているのかどうか、取り組みの現状について伺います。
○村松総合防災部長 被災者の生活再建に向けては、十一月二十一日から大島町が実施している罹災証明の発行及び生活再建に係る特別相談に都職員等を派遣するなどの支援を行っております。
また、福祉保健局では、被災者生活再建支援金の支給及び災害援護資金の貸し付け及びそれらに係る相談等を実施するとともに、義援金の募集も行っております。
さらに、主税局では都税の減免を案内しているほか、大島町では医療費負担の免除や介護保険料の減免、徴収猶予を案内しているところでございます。
○徳留委員 被災者への生活支援では、親戚や縁故先を頼っている被災者を含めて、被災者全体をよく掌握して、支援物資や義援金の配分など、支援の内容に格差や差別が生まれて、つらい思いをすることがないようにすることが大事だと思います。
私が聞いた話では、教員住宅に避難をされている方々には三度三度の食事も届いているけれども、親戚とか縁故先に避難している方々にはそういう援助がないということで、不満の声が上がっているということも聞きました。
その上で、要望として、仕事を失い収入が断たれた人への支援を行い、生活保護受給者が受け取った義援金を受給額から差し引くことがないよう配慮していただきたいと思います。また、被災者、親族などの船賃のさらなる減免のための支援を都として実施していただきたいと思います。
さらに、親の死亡、失業などで経済的支援が困難になった大島出身の都内在住の大学生、高校生などの皆さんが勉学を諦めて夢を失うことがないよう、きめ細かい支援を都として行っていただきたいと思います。
被災者、惨状を経験した子供の中には、精神的におびえたり、かなりダメージを受けている状況があるといわれています。その解決のために、心のケアなどのカウンセラーの派遣拡充、精神的にダメージを受けている人への自宅訪問など、積極的に対応することも要望しておきます。
次に、質問として、今度の大島の豪雨、土石流の災害は、私が聞いた専門家の人は、千年に一度の大災害だという人もいました。従来の制度などの見直しも始まっているようです。それだけに、今度の大災害の経験、教訓から、都や気象庁など国の災害情報伝達の方法、体制が、これまでどおりでいいのかどうか問われています。
そこで、災害情報の伝達方法の改善の必要性についてどのように認識されているのか、今後どのように改善していこうと考えておられるのか、伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 気象情報を初めとする災害情報は、区市町村長が避難勧告等を発令するに当たり重要な判断基準となることから、都から区市町村へ確実に情報を伝達する必要がございます。こうしたことから、都は、今回の大島の災害対応の経験を踏まえまして、区市町村へ災害情報を送付した際の受信確認を徹底するとともに、確認がとれなかった場合に備え、首長や防災責任者の携帯番号を把握するなど情報伝達の体制強化を図ったところでございます。
○徳留委員 現在の制度では、避難勧告、指示の発令は、県単位の土砂災害特別警戒情報がもたらされ、区市町村長の責任で発令することになっています。大島では、局所的集中豪雨であったために、土砂災害特別警戒情報は発令されませんでした。こうした問題点を踏まえて、都として、今後区市町村への必要な助言、協力を行うなど、都の地域防災計画をより効果的なものに見直すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○村松総合防災部長 住民への避難勧告等の発令につきましては、災害対策基本法の規定に基づき、区市町村長が実施することとなっております。東京都地域防災計画では、区市町村が避難勧告等の判断、伝達に関するマニュアルを作成しまして、その上で気象情報や水位情報等に基づき、総合的に発令の判断を行うことを定めております。
また、都は、地域防災計画に基づき、避難勧告等の発令基準に関する区市町村からの問い合わせについて、技術的な支援を行うこととなっております。
なお、今回の災害対応においても、台風二十七号が接近した際、避難勧告等の発令に当たりまして、円滑な避難行動がとれる発令時刻の設定、避難所までの経路や誘導方法等の検討など、留意すべき点につきまして、各区市町村に周知したところでございます。
○徳留委員 災害発生が予想されたときに、区市町村長が避難勧告や避難指示を発令する場合、区市町村には避難所運営などに伴う大きな負担が生じるために、決断をちゅうちょすることがないよう、都として職員の支援や財政支援を行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○村松総合防災部長 避難勧告の発令に伴う避難所の運営等につきましては、基本的には発令を行った区市町村の責任において行うものと認識しております。
しかしながら、災害救助法が適用となるなど大規模な災害の場合には、職員の派遣など都としても必要な支援を行っており、今回の大島の災害においても、避難所の開設や運営のための職員を派遣するなどの支援を行ったところでございます。
○徳留委員 今度の土砂災害の経験から見ても、砂防堰堤の不十分さも明らかになったと思います。実際に、三原山から山津波のように襲ってきた土石流を食いとめた砂防堰堤もありましたが、多くは乗り越えられて、それが町を襲うということになりました。特に人家に近い場所について、さらに堰堤をふやしたり、土砂の堆積量をふやすなど対策を急ぐべきだと考えますけれども、都の見解を伺います。
○村松総合防災部長 都は、砂防法に基づき、特に土石流発生の危険性が高く、かつ人家や公的施設の多い渓流を砂防指定地に指定しまして、砂防堰堤や流路工などの対策工事を行っております。引き続き、地域防災計画に掲げた土石流等対策を所管局において適切に推進していくものと考えております。
○徳留委員 都内には、土砂災害のおそれがある箇所は約一万五千カ所あると想定されています。まだ危険箇所の指定率は三割前後にとどまっています。土砂災害警戒地域の指定について、計画を前倒しにして指定を行うこと、特におくれている島しょ・多摩地域については、早期に進める必要があると思います。今後の対策はどうなっているのか、見解を伺います。
○村松総合防災部長 土砂災害防止法に基づき、都はこれまでも、平成二十四年度末時点で土砂災害警戒区域を約五千六百カ所、土砂災害特別警戒区域を約三千百カ所指定してきたところでございます。今後とも所管局におきまして、区域指定の取り組みを着実に進めてまいります。
○徳留委員 最後の質問になります。
この土砂災害警戒地域の指定の中で、民有地が指定された場合の対策について、融資の創設など対策が進むような措置をとるべきではないかと考えますけれども、この問題についての都の見解を伺います。
○村松総合防災部長 土砂災害警戒区域等の指定は、避難行動の迅速化などにつなげ、被害の抑制を図るものでございます。とりわけ土砂災害特別警戒区域の指定により、特定の開発行為の抑制、建築物の構造規制を行うことで、土砂災害による人的被害の防止を図っていくこととしております。
○徳留委員 今回のまれに見る大島の局所的集中豪雨、土砂災害、土石流災害、そして多数の犠牲者、被害者を出したことを他山の石として、今後、地球温暖化がいわれ異常気象が広がる傾向が強まる中で、ほかの島しょ部あるいは多摩地域、都心部でも同じような土砂災害あるいは水害が発生することに備える対策の強化が急がれます。
都は、国への予算要望の中でも、ソフトとハードの連携した土砂災害対策の推進を求めて、土砂災害危険箇所の基礎調査及び砂防事業、地すべり防止事業、急傾斜地の崩壊対策事業について、国に財政支援を求めています。備えあれば憂いなしという予防の見地から、震災対策とともに風水害対策など、防災対策の一層の強化を要望して、質問を終わります。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十四分休憩
午後三時三十分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○小山委員 冒頭、このたびの台風二十六号によって犠牲となられた方々のご冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。いまだ行方のわからない方の一日も早い救出確認と、被災地の一日も早い復興を願いつつ、質疑に入ります。
台風二十六号は、十月十五日から十六日にかけて関東地方に大雨と暴風雨をもたらし、十年に一度といわれる大型の台風の猛威が伝えられる中、東京都内において土砂災害や床上床下浸水等による被害が発生をいたしました。とりわけ伊豆大島の大島町における土石流災害は、激甚災害の指定を受ける甚大なものとなってしまいました。
私ども都議会民主党は、十月十六日に知事に東京都の対応について申し入れを行い、十八日に、幹事長、政調会長を初め会派議員が、党所属国会議員とともに現地入りをし、現場の被害状況の調査と確認を行うとともに、大島町役場や大島支庁を訪れ、川島町長を初め関係者より、被害状況や被災者への支援状況、各方面からの支援体制や要望を伺い、国や都への要請や連携協力を図ってまいりました。また、この十一月十七日から十八日にかけて、本委員会の島田委員や私を初め都議五名が、国会や市区の議員とともに大島を訪れ、ボランティア活動を行うとともに、復旧、復興状況を調査してまいりました。これらの活動や調査を踏まえ、以下、質問をさせていただきます。
なお、重複する部分もあろうと思いますが、何とぞお許しをいただきたいと思います。
まず、今回の台風二十六号による大島町の災害においては、災害情報の伝達と、その情報を受けての判断に大きな問題があったことが明らかとなっています。特に、土砂災害警戒情報については、十月十五日の午後六時五分に発令をされてから、大島町が認識をされたのが十六日の午前一時三十分と、大幅なおくれが生じております。この点については、土砂災害警戒情報の伝達が防災ファクスのみの伝達であったことが、災害対応のおくれにつながったと指摘をされております。
そこで、都として大島町の災害を受けて、どのような改善を図られたのかお伺いをいたします。
○村松総合防災部長 気象情報を初めとする災害情報は、区市町村長が避難勧告等を発令するに当たり重要な判断基準となることから、都から区市町村へ確実に情報を伝達する必要がございます。
こうしたことから、都は今回の災害を契機としまして、区市町村へ災害情報を送付した際の受信確認を徹底するとともに、確認がとれなかった場合に備えまして、首長や防災担当者の携帯電話を把握するなど、情報伝達の体制強化を図ったところでございます。
○小山委員 改善をされたことは承知いたしましたが、本来この点については、大島町の地域防災計画にもありますように、この受令確認が総務局の総合防災部にされることとなっておりまして、この確認が十分なされていなかったという課題もございます。ぜひ、今後の災害発生時において、この情報伝達と確認が正確かつ速やかにされることを強く求めておきたいと思います。
さて、もう一つ指摘されている課題に、特別警報がございます。
大島町では、台風二十六号によって一時間降水量が百ミリを超え、積算降水量が八百ミリを超える記録的な大雨にもかかわらず、特別警報が発表されない事態が生じてしまいました。伊豆大島にある気象庁の大島特別地域気象観測所では、二十四時間雨量八百二十四・〇ミリを観測しています。通常であれば二カ月ほどの雨量が、わずか一日で降ったデータとなっております。一九九一年以降における大島元町の二十四時間雨量の最も多い記録は四百ミリ程度でございまして、一気にその二倍の値が今回の雨量であったということと、まさしく記録を更新するほどのすさまじい豪雨となりました。
このような記録的豪雨にもかかわらず、特別警報は発表されませんでした。今回の雨量からすれば、大雨特別警報が発表されていたはずであります。しかしながら、この発表されなかった大雨特別警報の基準をよく見てみますと、長期の基準としては、四十八時間降水量及び土壌雨量指数が五十年に一度の値に達する、さらにここがポイントなんですが、五キロメートル格子が府県程度の広がりの範囲内で五十格子以上か、もしくは短期の基準としては、三時間以上水量及び土壌雨量指数が五十年に一度の値に対する、またここにもあるんですが、五キロメートル格子が府県程度の広がりの範囲で十格子以上となっているということがあります。このことから、島しょ部における特別警報がほとんど発表されることがない基準となってしまっております。
また、大島町におけるこの四十八時間雨量の基準は四百十九ミリ、そして三時間雨量の基準は百四十七ミリと公表をされております。今回の台風二十六号による雨量は二十四時間で、先ほども申し上げましたが、八百二十四ミリを観測しておりまして、基準をはるかに上回るレベルでございました。しかし、伊豆大島のこの五キロメートル格子は、全て足しても実は九つしかございません。大雨特別警報が出されなかったのは、この基準を満たしていないと判断されたのが大きな要因でございます。
しかしながら、この伊豆七島や小笠原諸島などの島しょ部を有する東京都において、この問題は憂慮すべき問題だと思います。島しょ部においては、特例としてこの格子数を減らすなど、基準を変えることが必要だと思います。
先週、全国知事会は、自治体の危険性に対する判断に混乱が生じたとして、特別警報の発表の範囲を市町村単位に細分化するなど運用のあり方を見直すよう、この二十五日に気象庁に提言しました。全国知事会では、災害から確実に命を守るには、自治体による適切な避難誘導が欠かせないとして、内閣府に対しても避難勧告などの指数を見直したり、啓発活動を行ったりして取り組みを進めるよう求めております。都としても、この大島町の災害を受けて、伊豆七島や小笠原諸島などの島しょ部を有する自治体として、本制度の改正、改善に取り組むことが必要であると考えます。
そこで、島しょ部において特別警報が発表されないという課題に対し、都としても国に改正を求めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 特別警報は、数十年に一度の降雨量が予想される大雨の場合、当該地域の住民に対し、直ちに命を守る行動をとる必要があると判断した際に出されるものでございます。国の発表基準では、ある程度の地域での広域性を加味しており、今回のような局所的な大雨を予測することは困難としております。
一方で、今回の大島における災害を受けまして、国は、島しょ部において特別警報に準ずるような大雨が局所的に観測された場合には、地元気象台長から自治体の長に対して、直接電話で危機感を伝えることとしております。今後、国の取り組み等を見据え、必要に応じて国に制度改善等を求めていきたいと考えております。
○小山委員 次に、現行の地域防災計画の修正についてお伺いをいたします。
現行の東京都地域防災計画風水害編におきまして、土砂災害については、情報の特徴及び利用に当たっての留意事項という記載がありまして、大雨による土砂災害発生の危険度を、降雨に基づいて判定し発表するもので、個々の急傾斜地等における植生、そして、今回非常に大きかったのはこの地質だと思うんですが、地質・風化の程度等の特性や地下水の流動等を反映したものではないとしております。そして、情報の利用に当たっては、個別の災害発生個所・時間・規模等を詳細に特定するものではないことに留意、さらに、情報の発表対象とする土砂災害は、技術的に予知・予測が可能である表層崩壊等による土砂災害のうち土石流や集中的に発生する急傾斜地の崩壊とし、ここが難しいんですが、技術的に予知・予測が困難である斜面の深層崩壊、山体の崩壊、地すべり等については発表対象とするものではないことに留意としております。これらの留意事項を踏まえた上で、先ほどもありましたけれども、区市町村長が行う避難勧告等の発令に当たっては、情報を参考にしつつ、周辺の渓流・斜面の状況や気象状況等も合わせて総合的に判断すると記載がされております。これは非常に、先ほどの質疑の中にもありましたけれども、区市町村長が判断を行うには非常に難しい留意事項、さらに規定となっております。
そこで、これら現行の地域防災計画を、このたびの島しょ部の土砂災害を踏まえ、まずは、この地質調査等の特性を反映するなど、都及び市区町村等の地域防災計画の修正を図るべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○村山企画調整担当部長 東京は、市街地が連なる都市部を初め、山間部や島しょ部など多様な地域特性を有しております。
都はこれまでも、地域の特性に合わせ各種対策を取りまとめ、地域防災計画に反映してまいりました。また、区市町村が地域防災計画を修正する際には、都としても被害想定や都の防災対策等、参考となる情報を提供するなど、実効性ある計画策定に向けて支援してまいります。
○小山委員 ただいまのご答弁からは、この市区町村の地域防災計画の策定には、もう十分な支援をしていかれるということのご答弁がありましたけれども、やはりその策定をした上で、この東京都の地域防災計画の風水害編の規定も、ぜひ修正をしていただきたいというふうに思います。
次に、大島町の今後の復旧、復興に向けた取り組みについてお伺いをしたいと思います。
まず初めに、この十一月二十一日から、被災された方々に対し罹災証明発行手続が開始をされておりますが、現在の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
○早川防災担当部長 罹災証明書は、市区町村が現地調査を実施し、被害の状況を確認し、発行するものであり、各種被災者支援制度の適用を受けるに際しての重要な証明書でございます。
大島町における罹災証明書の発行に当たりましては、発行手続ができるだけ早く開始されるよう、都は都内市区町村などと連携し、現地調査及び発行業務に対する人的、技術的な支援を行ったところでございます。こうした支援のもと、副委員長お話しのとおり、十一月二十一日から罹災証明書の発行が開始されておりますが、大島町によりますと、十一月十二日までに被害を確認した建物三百六十八棟の所有者や居住者に対しまして、昨日十一月二十五日時点で二百九十八棟について罹災証明書を発行したとのことでございます。
○小山委員 ただいまご答弁いただきましたように、三百六十八棟に対して二百九十八棟ということですので、約八割方の罹災証明の発行手続がなされたということで、このことは評価をさせていただきたいと思います。
あわせて、先ほどの実際に被害が確認された建物ということの中には、全壊だとか半壊だとかさまざまな課題もあります。このことも、十分今後の検討課題としていただきたいというふうに思います。そういった中で、今後、被災者のために迅速に罹災証明が発行できるよう、都ができる限りの支援を引き続きしていただきたいと思います。
都や大島町では、この罹災証明の発行手続にあわせて、仮設住宅への入居を希望するか、そういった意向を確認する調査も進めていると伺っております。
そこで、被災者の方への早期の生活再建に対する取り組みについてと、また、とりわけ自宅を失った方への住まいとして、避難所として今、設置をされております教職員住宅、この教職員住宅が来年三月末までの提供ということになっておりますが、その後の対応についてもお伺いをしたいと思います。
○村松総合防災部長 被災者の一日も早い生活再建を支援するため、都は十月三十日、第一回大島応急復旧プロジェクトチーム会議を開催し、応急復旧対策のための庁内の連携強化を図ることといたしました。この会議におきまして、大島町の意見を十分に踏まえ、検討し、今後、年内を目途に、生活再建、都市インフラの復旧、産業や観光の支援、今後の災害に対する危機管理体制の見直しなどの応急復旧支援を取りまとめていくこととしております。
お話の被災者への住宅の提供につきましては、当該プロジェクトチームのもとに設置いたしました生活再建ワーキンググループで取りまとめてまいります。
○小山委員 ぜひ、この生活再建ワーキンググループの中で、先ほど来もお話がございましたけれども、実際、教職員住宅に避難をされている方、さらには半壊で大変苦しんでいらっしゃる方、そういった方も含めて、ぜひ対応ができるように検討をしていただきたいと思います。
東京都が、この都の教職員住宅などで避難生活を続けている住民を対象にした仮設住宅ということで、先般、報道がされて、二〇〇五年に廃校となりました北の山小学校のグラウンドに建設をされて、来年三月までの完成を目指すということを聞いております。先ほど、中屋理事からもお話がございましたが、ぜひこの半壊も含めて、被災された方々の住まいの確保をしっかり講じていただきたいというふうに思います。
次に、災害ボランティアについてお伺いをいたします。
このたびの台風二十六号による災害に対し、大島社会福祉協議会では、十月十八日正午に災害ボランティアセンターを開設されて、十一月十七日までに島内外から延べ四千四百二十名のボランティアの参加と、延べ四百十三件の復旧活動、被災者支援活動が行われてまいりました。
私たちは、十一月十八日に災害ボランティアセンターにお伺いをし、被災した家屋からの泥出しなどのボランティア活動を行うとともに、大島社会福祉協議会の皆さんやボランティアセンターの中心的メンバーから、これまでの活動や今後の課題についてお話をお伺いさせていただきました。十一月十八日時点で、今後の災害ボランティアセンターとしては、復興に向けた変化が見られた段階で、センターの機能を災害復旧から生活支援へと移行していくという旨の説明もございました。
また、ボランティアの中心的なメンバーの方からは、今後も引き続き被災された方々に寄り添い、長期にわたってともに歩んでいけるよう各種の活動を展開していくという本当に心強い決意も述べられておりました。こういったボランティアの皆様や、大島社会福祉協議会を初め各地域の社会福祉協議会や団体、組織からの派遣に、深甚なる敬意を表したいというふうに思います。
一方、このボランティアの派遣、受け入れ体制の構築に課題があるということも述べられておりました。大島社会福祉協議会と東京都災害ボランティアセンターとの連携において、各市区町村社会福祉協議会からの派遣協力が行われていたそうでありますが、この派遣が四日ごとに総入れかえとなってしまって、派遣、受け入れ体制の継続的な構築に、随分困難、支障を来していたということがお話としてありました。
今回のボランティア活動の結果というものを、今後の都内における災害などに備えて生かしていくためにも、このボランティアの派遣、受け入れ体制の構築に際し、都として必要な支援策を講ずるべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 大島におけるボランティア活動につきましては、生活文化局が東京ボランティア・市民活動センターと共同で東京都災害ボランティアセンターを設置し、災害ボランティアコーディネーターの派遣を行うなど、現地の大島社会福祉協議会災害ボランティアセンターの運営を支援しております。
なお、大島社会福祉協議会ボランティアセンターでは、土砂出しや瓦れき撤去などの多人数を要するニーズは終息しつつあることから、十一月二十五日から、島外からの個人ボランティアの受け付けを一旦見合わせております。
○小山委員 今の段階で、なかなか確定的なご答弁もしづらいんだと思いますけれども、ぜひ今回のこの大島での派遣、受け入れ体制の成果というものを、しっかりと次にやはりつないでいただきたいと、このように思います。その点を申し上げておきたいと思います。
そして、ぜひ、先ほど申し上げましたけれども、大島での災害ボランティア活動の経験と結果を踏まえた上で、都が支援策を講ずる中で、都内での災害時におけるボランティア派遣及び受け入れ体制の構築が、事前の段階、災害前の段階で十分図られ、災害後におきましては早急かつ万全の体制がとられるよう求めておきたいと思います。
次に、大島町からの要望について、都の見解と対応をお伺いしたいと思います。
十一月十八日にお伺いした際に、町長や町議からは都に対するさまざまな要望がございました。また、ボランティアセンターからも、現場の実態を踏まえた切実な要望もありました。
この町長や町議、さらにはボランティアセンターからの要望で、共通をして、そして最も強く求められたことが、専門職員の派遣でございました。道路や港湾の復旧に必要となる技術者の派遣はもちろんのこと、被災された方々のメンタルケアのためのカウンセラーなどの派遣など、専門的知見を有する職員の派遣がどうしても必要だということをおっしゃられておりました。特に、被災された方々はもちろんですが、現地の消防団、さらには島内の方でボランティア活動に継続的に参加されている方の中にも、この心的外傷後体験や喪失への体験などから、二次災害も心配されているとのことでございました。
そこで、現地における専門職の不足に対して、都としても専門職を可能な限り派遣し、早期の復旧、復興を支援するべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 これまで総務局においては、区市町村と連携しまして、建物被害認定調査や罹災証明書発行業務に関し支援職員を派遣してまいりました。また、福祉保健局においては心のケアについて、さらに建設局においては道路復旧に関する技術支援について、それぞれ職員を派遣しております。
今後とも、町のニーズを踏まえて対応してまいります。
○小山委員 今、ご答弁の中から、現在実際、総務局を初め福祉保健局、建設局においても派遣をされているということはわかりました。今入れていただいていることが、非常に多分、島にとってはありがたいんだと思いますし、その上で、さらにやはり増員をお願いしたいということだというふうに思います。
ぜひ全庁を挙げて、この大島町の復旧、復興に取り組んでいただくことと、ぜひ必要とされる専門職員の派遣を増員していただきたいというふうに思います。
最後に、激甚災害の指定と各事業の取り組みについてお伺いをいたします。
国は、十一月五日、この台風二十六号による伊豆大島の土石流被害を激甚災害に指定することを決定いたしました。農地や農業関連施設の復旧事業費は十一億五千万円、地元の中小企業などの被害額は二十億四千万円と試算をしております。また、十五日には、橋や道路など公共土木施設の被害についても、激甚災害に指定すると決定をいたしました。公共土木施設の復旧事業費は、これも二十三億八千万円と試算をされております。激甚災害指定によって、復旧事業への国の財政補助率かさ上げがされることや、事業再建を目指す中小企業が資金繰り支援を行われるなど、特例措置の適用が受けられることは大変意味を持っていると思います。
そこで、これらの激甚災害に指定された各事業の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。
○村松総合防災部長 激甚災害の指定は、国が市町村及び都道府県の各事業の被害状況を調査しまして、その被害額が基準を上回る事業について行うものでございます。今回の指定によりまして、農地、農道など農業用施設及び林道の災害復旧事業や、町道等の公共土木施設等に関する災害復旧事業における国庫補助率のかさ上げ、また事業再建を図る中小企業者等への融資限度額の拡大が図られることとなります。
こうしたことから、事業所管局において、復旧、復興に向けた取り組みを促進してまいります。
○小山委員 事業所管局がこの取り組みを促進していくということでございますので、先ほど答弁の中でもいろいろ述べられていたように、全庁横断的な組織ができているわけですから、その中でこの取り組みについて、ぜひ総務局としても支援促進をしていただくように求めておきたいというふうに思います。
これまでの質疑で申し上げてまいりましたけれども、台風二十六号の大島町の災害から、改善すべき課題として三点、土砂災害警戒情報の伝達、島しょ部における特別警報の改善、地質調査などを反映した地域防災計画の修正、この三点がぜひともなされるように求めておきたいと思います。
さらに、大島町の復旧、復興支援として、罹災証明の迅速な発行、仮設住宅の建設や住まいの確保、ボランティア派遣、受け入れ体制の支援、専門職員の派遣、激甚災害指定に伴う各事業への取り組みなどについて、るる申し上げてまいりました。ぜひ、これらの改善と取り組みによって、東京都の防災施策の充実と大島町の早期の復旧、復興が実現するように強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○両角委員 私からは、事務事業について何点か質問させていただきたいと思います。
まず、東京都の文書管理と条例の管理と総点検ということでお伺いをさせていただきたいと思います。
東京都の仕事も、文書に基づき行われる、そういった類いのものだと思いますが、現在その文書の適正な管理というのは、例えば情報公開への対応などを踏まえますと、重要性をさらに増してきているのではないかと、このように考えるわけでございますが、都では文書の保存や廃棄といった文書管理について、どのような考えに基づいて実施をしているのか、まず伺いたいと思います。
○榎本総務部長 適切な文書管理は、都民にとって都政に関する情報を迅速かつ容易に得ることや、都政への参加を進めるために重要でございます。
都では、平成十一年に制定いたしました情報公開条例におきまして、公文書の適正な管理の必要性を規定するとともに、文書の発生から廃棄までを統一的なルールで統制するため、東京都文書管理規則等を整備いたしました。この文書管理規則におきまして、文書の取り扱いの基本として、正確、迅速、丁寧に取り扱い、事務が適正かつ能率的に行われるように処理し、及び管理しなければならないことを定めております。
○両角委員 平成十一年に情報公開条例が制定をされ、また都の文書管理規則等も定められているということでございますが、既にそれから十五年近くが経過をしているわけでございまして、この間に、例えば情報通信技術が進歩するなど、都政を取り巻く状況というのも大きく変化をしてきていると思います。これに伴って、文書管理もこういったことに対応していくべきではないかなと、このように考えるわけでございます。
そこで、都の文書管理のルールにつきまして、こうした社会情勢の変化等も踏まえて、どのような対応を行っているのか伺いたいと思います。
○榎本総務部長 都では、情報通信技術の進歩といった社会情勢の変化に対応すべく、電子化による効率的な文書管理を図るため、文書総合管理システムを導入いたしました。
これに伴い、文書管理規則におきましても、書面による決定方式にかわる電子決定方式の導入や、電子文書の取り扱いを規定いたしました。さらに、公文書館に引き継ぎを受けた長期保存文書について、作成後三十年経過した時点で、その歴史的資料としての保存価値等を評価し、保存の必要性を決定する仕組みを導入いたしました。
○両角委員 電子決定を導入されたり、電子文書の取り扱いという今日的な対応をされているということでございますので、しかし、業務や文書保存の効率化を図るためには、より一層、この電子決定といったようなことを促進して、都庁内の意思決定を迅速化していくということも重要ではないかと思うわけでございますが、これに関する見解を伺いたいと思います。
○榎本総務部長 電子決定を進めることで、意思決定に要する時間の短縮が図られますとともに、紙文書が削減されることで、文書の保管に要するスペースも削減されるといった効果も見込まれます。このように、電子決定は事務の効率化に資することから、引き続きその活用を促進していくことが必要と考えております。
○両角委員 都庁内の文書というのは、膨大な数に上ると思いますので、例えば今の電子化された文書を、クラウドを活用した管理をすれば、保存や検索がより容易になるということも可能かもしれませんし、あるいは決裁を簡略化するというようなこともあわせていただきまして、今後とも時代の流れや技術革新に対応した文書の適正管理を進めていただければと思います。
引き続きまして、条例の総点検という趣旨で伺いたいと思います。
手元の資料によりますと、平成十五年度からのこの十年間で、百二十二件の新しい条例ができたということでございます。東京都の施策の多様化や、地方分権の流れや、法律の増加に伴って、条例が増加をしているということであろうと思うんですが、一方で、現時点で必ずしも必要でないような、そんな条例も残っているのではないかと、このようにも感じる次第でございます。
今後も、東京都の条例というのはふえていく傾向ではないかと思いますが、不要な条例等の廃止について、都ではどのような対応をされているのか伺いたいと思います。
○榎本総務部長 条例につきましては、法令改正や社会経済状況の変化による制度、事業の見直し等に伴い、所管局で必要性を精査の上、適切に廃止を行っております。最近十年間におきましては、事業の終了や施設の廃止などに伴いまして、四十八件の条例を廃止しております。
○両角委員 ご答弁によりまして、所管局が必要性を精査して、この十年でも四十八件、不要な条例を廃止しているということで、これはただただ膨大になってくるのではないんだということで安心をしたところでございますが、一方で、現在ある条例や規則や規程なども、時代に合わない、いうなれば陳腐化したものもあるのではないかなと、このようにも感じる次第でございますが、こうしたことに対するチェックと見直しが必要だと、このように思う次第です。
そうした観点から、条例等全体のチェックや見直しがどのように行われているのか、このことを伺いたいと思います。
○榎本総務部長 条例等につきましては、所管局が実際に事業等を執行する立場から、法令改正の動向や事業等を取り巻く状況を踏まえ、必要な改正、廃止などの措置を講じることとしております。総務局におきましては、各局を担当いたします法規主査が、法制的な観点から適時必要な情報提供や助言などを行い、条例等の適切な整備、運用が図られるよう支援を行っております。
○両角委員 所管局が適切な対応をしていると。総務局としては、法制的観点から助言等を行っているというようなことでございました。
今回、質問に当たりまして、この東京都の例規のチェックというのを軽くさっとやらせていただいたんですが、ここに一つ例規があります。これは、運輸傭員見習生輔導員規程というものでございまして、昭和十四年六月二十八日局規程第八号というものなんですが、これは例えば第七条に、「輔導員所定ノ輔導ヲ為シタルトキハ左ノ区分ニ依リ手当ヲ支給ス」こうありまして、「電車車掌タル輔導員 四円五十銭」というふうに書いてあるんですね。多分、こういうものがあると思うんです。今、多分、こういったものは現在、これは先ほど確認したら生きている規程だということでございました。まだ廃止をされていないんですね。
ですから、やはり大きな都庁の中で、いろんな条例、規則、規程というものが、中にはもう時代に合わないものがあるということがあると思いますので、担当局が責任を持って必要な措置を講ずるということでございますが、それだけではなくて、この全体のチェック、見直しというのを、総務局が目くばせをしてやるということも必要ではないのかなと、こんなふうに感じる次第でございます。
そういった意味で、時代に合わなくなっていないかどうかというような視点を持って、条例や規則等を定期的に総点検をする。別ないい方をしますと、棚卸しをするということで、東京都としてより適切な条例や規則等の管理ができ、そのことが結果としてシンプルでわかりやすい都政に資する、このように私は考えるわけでございますが、このことに対する所見を伺いたいと思います。
○榎本総務部長 条例等は、自治体における施策実現の手段でありまして、社会経済状況の変化などに即し適宜改正を行うとともに、必要がないことが明白になった条例等については廃止するなど、適切な措置を講じていくことが必要でございます。
このため、こうした視点のもと、条例等を所管し事業等を執行する各局を交えた連絡会議を年度当初に開催しておりまして、今後もこのような場を通じ、情報共有や意見交換等を密に行うことなどによりまして、各局と連携して、より一層適切な条例等の整備、運用に取り組んでまいります。
○両角委員 各局、あと総務局では、法制、その担当の主査の方が幾つかの局を持って、日常業務の中でチェックをしている。さらに、連絡会議等で各局とも調整をするということでありますが、ぜひこの棚卸しという視点も参考にしていただいて、今後、適正な条例管理等をしていただきたいと、このように思う次第でございます。
引き続きまして、再任用制度につきましてお話を伺いたいと思います。
先ほどお話にもございましたが、この新たな長期ビジョンの論点整理の中でも、東京都の人口も二〇六〇年には二割減すると。そのときには、生産年齢人口は約四〇%、東京都、減るんだということでございました。
そんな中で、今、考えていかなくてはいけないのは、日本の国は、人口減で、生産年齢人口も減っていって、だけれども、これから活力を維持していくためにはどうするかといえば、これはもちろん女性の方が労働にもっと参加をしていただける、そういうことが一つは必要でしょうし、もう一つは、やはり高齢者の方が仕事に携わるということではないかと思います。
そういったことを考えたときに、この首都東京が、しっかりとこういった新しい時代をフォローするような制度をつくっていくことが必要ではないか、このような趣旨で質問をさせていただきたいと思います。
まず、事実確認ということで何点か伺いたいと思いますが、平成二十四年度末で、この三月三十一日に定年退職した方の再任用、実際に再任用制度で再任用した方の実績について伺いたいと思いますが、その再任用をされた職員数、そして職層別、課長さんは何人とか、部長さんは何人再任用されたという人数を伺いたいと思います。
また、あわせまして、この東京都の再任用制度には勤務形態が二パターンあるということのようでありますけれども、この勤務形態別にそれぞれ何人の方が再任用にされているのかということを伺いたいと思います。
○栗岡労務担当部長 平成二十四年度末定年退職者のうち再任用となった職員は、教員、警視庁、消防庁を除き七百九十三名でございまして、職層別の内訳は、部長級が五名、課長級が十六名、一般職員が七百七十二名でございます。
また、勤務形態別の人数は、常勤職員同様週五日間勤務するフルタイム職員につきましては百十五名、週四日間勤務します短時間勤務職員は六百七十八名となってございます。
○両角委員 平成二十四年度末で七百九十三人の都庁の職員の方が再任用になったということですね。部長級は五人で、課長級が十六人、一般職員が七百七十二人ということですから、ほぼ一般職員の方が対象となっている。実態としてはそうだと。この勤務形態別でいいますと、週四回勤務をする短時間勤務の方がかなり多いと、六百七十八人。フルタイムで勤務をされる方は百十五人と、そんなことでございましたが、それではこの再任用の職員の方々は、どのような業務に従事をするのか伺いたいと思います。
○栗岡労務担当部長 再任用職員の業務内容についてでございますけれども、定年前の職員と違いはございませんで、本格的な業務に従事してございます。
○両角委員 あわせて、今、業務内容を伺ったんですが、その給与水準ですね。業務に従事するというのは、ほぼ同じ業務ということなんですが、再任用職員の業務水準は、定年前の水準と比べると、どのような割合になっているのかお聞かせをいただきたいと思います。
○栗岡労務担当部長 給与水準についてでございますけれども、全体の約八割を占めます短時間勤務の主任級再任用職員で比較しました場合、定年前の給料月額約三十七万円に対しまして、再任用職員は約十九万円となってございまして、定年前の約五割程度の水準となってございます。また、勤務時間が定年前と同様のフルタイム勤務の主任級再任用職員につきましては、約二十三万円となってございまして、定年前の六割程度の水準となってございます。
○両角委員 今、ご答弁いただきまして、短時間勤務で現役時の約五割、フルタイムで六割ということでございました。仕事内容は従前と変わらぬ本格的な業務ということでございましたが、この再任用の職員のこと、制度を考えるときに、必要な考える視点というのが幾つかあるのかなと私は思うわけでございますが、一つは、やはり能力と意欲があって、組織にしっかり貢献できる方が引き続き働いていただくという、そういう視点ではないか。いわゆる問題を抱えた職員の方が、モラールの低い方が、そのまま何となく何年間を過ごすような場であっては、これはいけないと。そのためにも、しっかりとセレクションを行って、その方の能力がしっかり発揮できるような適正な職場と業務を用意することが必要ではないかと、そういうことだと思います。
一方で、若年世代の新採用の枠を食ってしまうようなことも、これはよろしくないだろうということでございますが、じゃ、そのためにはどうしていくかということなんですが、先ほどもお話をしましたように、これからこの日本の社会を考えたときに、女性はとりあえず、今は議論から置いておいて、高齢者の方が社会に貢献をしていく、そんな政策というのが必要ではないかというふうに感じているわけでございます。
私、たまたま童門冬二さんの話を見ていたんですが、いわずと知れた都庁のOBの方で、局長まで務められた方でありますけれども、五十一歳で都庁をみずから退職されて、今、八十六歳の現在も現役なんですけれども、最近、本を出されまして、「五十歳からの勉強法」という本なんですね。生涯現役でどうやっていくかというような、そんな視点で書いているわけでございますが、まさに六十歳、定年をしても、しばらくの間、社会に貢献をして仕事ができるような、そんな社会がこれから求められていくんだろうと。
そのときに、単なるこれは労働政策としてマクロで見て、固まりとして見るだけではなく、実際に定年退職をされた方が、本当に生きがいを持って働くことができることが、結果として組織にもプラスになるんだろうと、そんなふうに考えるわけでございます。
現状、ちょっと再任用の方がどんな形かというのは、つぶさにはわからないわけでございますが、しかし、三月三十一日に定年退職をする。定年退職をすると、職場で四十何年間ご苦労さまでしたと、花束が何かをもらって、うちに帰るとお父さんご苦労さまといわれて、おちょうしか何かで一杯つけてもらうわけですね。しかし、翌日から再任用の職場に行って、給料が半分に減って、お話を伺うと同じ業務ということですから、例えばどこかの税務事務所に行っていたら、別の区の税務事務所に行って、五割減のお給料になって、翌日から気持ちの整理も余りつかないで、何となく中途半端にいると。周りも何となく気を使って、そんな感じが実態ではないかなという感じもするわけでございまして、これから人生八十年、八十五年という中で、本当に個人も生きがいを持って組織貢献ができる、個人も生きがいを持って六十歳からの仕事に取り組める、そんなことを考えたときに、私は、実はやっぱりシフトチェンジをする、そんな期間も必要かなというふうに思うんですね。
具体的には、再任用を、三月三十一日に退職をしたときに、翌日からもう仕事をしたいんだという方は、どんどんしていただく制度でいいと思うんですね。しかしながら、場合によっては、若干、三カ月後から仕事につきたいとか、その間にちょっと違うリフレッシュをすると。こんなことをすることによって、本人の意識も全く切りかわるでしょうし、あるいは、これから五割減の仕事でも、これはこれからの第二の人生にとって必要なことなんだ、しっかり組織に貢献をしよう、そして、結果として東京都の税務の窓口でも気持ちよくお仕事ができると、こんなことになるんじゃないかなと思うんですけれども、そういったことを考えますと、私は、この再任用の意欲と能力を引き出して、しっかりと組織貢献のできる再任用制度を構築していってほしいということなんです。
そのためにも、この退職翌日からすぐ再任用しなきゃいけないですよというような単線の制度ではなくて、人によっては、場合によっては再任用時期をずらして選択できるような、そんな複線の制度設計を人事の皆さんにはしていただきたいなというふうに思うんです。
その結果として、職員も気持ちが切りかわって、これから第二の人生を歩む。そのことが、職場に行っても、今までいた例えば山田課長さんが、山田さんといわれながら、しかし、周りもしっかりもうシフトチェンジができている。さらには、都民に対するサービスもしっかりしたものになるということで、こういったことが有意義なものではないかと思うんですが、こういった複線の制度設計についての見解を伺いたいと思います。
○栗岡労務担当部長 都は、これまでも都民サービスの向上につながるよう、定年退職後の職員が引き続き意欲を持って働ける人事制度の見直しに取り組んでまいりました。
再任用職員につきましては、定年前職員と同様、本格的な業務に従事していますことから、一定期間、リフレッシュできるような制度を設けますことは、個別の人員の確保や給与上の処遇など、組織運営や職員個人にとっても解決すべき課題が多く、国、他府県におきましても、このような措置はとられてございません。
こうした状況に加えまして、年金制度の改正による無年金期間の発生に伴いまして、雇用と年金の確実な接続を図るという観点から、民間の取り扱いと同様に、地方公務員におきましても、国の通知により、定年退職日の翌日に再任用することとされてございます。
今後、国におきましては、民間の実態も踏まえた再任用職員の給与水準の本格的な設定や、定年延長も含めた制度の再検討が予定されてございまして、こうした状況も見きわめながら、高齢雇用制度については適時適切に対応してまいります。
○両角委員 組織運営上や職員個人にとっても解決すべき課題が多く、国や他団体についても、こんなことやっていませんよということで、端的にいえば難しいということでありましたけれども、しかしながら、私は、この今いったような日本の国がどんどん人口が減っていく、そして生産年齢人口というのもあわせて縮小していく中で、まさに女性と高齢者が生きがいを持って仕事ができるような制度、個人の生きがいが全体としての活力、社会の活力にも通じるような制度を、日本の国もつくっていかなければいけませんし、まさにこの首都東京の自治体からこういうことを始めるべきだ、このように考えるわけでございまして、ぜひとも今後の研究課題として取り組んでいただきたいと要望させていただきたいと思います。
次に、危機管理について伺いたいと思います。
東京都では危機管理監という方がいらっしゃいます。これは危機管理のための職ということでございますが、危機管理監について、どのような経緯で設置をされ、いかなる役割を果たすことが期待されているのか、これをまず伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 危機管理監の職は、平成十五年四月、東京都組織規程を改正し、初めて設置したものでございます。この規程において、危機管理監は、防災及び危機管理に関する事務につき、総務局長を補佐し、これらの事務を整理する職とされております。
○両角委員 平成十五年に規程を改定して設置したということで、それによれば知事の命を受け、関係各局を総合調整、関係機関等への要請をすると、そういうことでございますが、そうすると、この都の危機管理というものは、危機管理監を実質の司令塔とした一元的な対応が予定されているんだと、このように理解をしてよろしいでしょうか。
○村松総合防災部長 都においては、各局がそれぞれの所管する事業遂行上必要な危機管理対策をその内容や特性に応じて実施しております。危機管理監は、こうした各局の取り組みのみでは対応できない場合などにおいて、知事の命を受け、総合調整を行うとともに、発災時における自衛隊、警察、消防などの関係機関への要請等を行っております。
○両角委員 実質は各局が対応するということでありますけれども、しかし、現在の危機管理監は自衛隊の師団長の経験者というふうにも伺っておりますので、そういった危機管理の専門家、プロが各局の実動するところを総合的に情報をとって、何かあったときに一元的に対応ができるような、そんな姿が理想ではないかと、こんなふうに感じるわけでもございます。
ところで、危機管理といいましても、いろいろな種類があるわけでございまして、例えば昨今では、このシステム、東京都庁にもシステムがさまざま構築をされているわけですが、このシステムに浸入をして情報を盗んだり、あるいはシステムそのものをダウンさせたり、あるいは、今、東京都でもホームページや、さらにツイッターでどんどん情報を発信しろと、こういうことでやられているわけでございますが、こういったホームページやツイッター情報を書きかえて、誤情報を発信するといったようなサイバーテロが大きな問題となっているんではないかと思います。
そこで伺いますけれども、都庁におきまして、これまでこういったサイバー攻撃を受けて被害が出た事例というのがあるのかどうか伺いたいと思います。
○鈴木行政改革推進部長 警視庁、消防庁、学校を含めた都庁全体で、これまでサイバー攻撃によりシステムが停止し、情報が抜き取られた事例は確認されておりません。
ホームページが不正に書きかえられた事例は、把握できる範囲で、平成二十年に一件発生しております。本件については直ちに原因を究明し、適切な措置を講じたところでございます。
○両角委員 システムの浸入等はないということで、これはいいことだなと思いますが、ホームページの不正書きかえというのが、平成二十年に一件あったということで、幸いにも、その後、こういった事例が発生をしていないということでありますけれども、しかし、今はこういったネット社会にあって、もっと大規模なサイバー攻撃というものがいつ仕掛けられるかわからないということでもあるわけでございます。
そういったことを考えますと、常日ごろからこのサイバー攻撃に対する備えというものをしっかりとしておく必要があると思うわけでございますが、そこで、現在、都ではこういったサイバー攻撃に備えて、どのような対策を行っているのか伺いたいと思います。
○鈴木行政改革推進部長 都では、情報セキュリティーに関する原則的な対策を規定した基本方針や対策基準に基づき、各局がシステムの機器の構成や情報の重要性などを踏まえた具体的な情報セキュリティー対策を講じております。
例えば、職員が日常業務で利用し、インターネットと接続している情報系システムにおきましては、ネットワークの入り口での防御策として、不正なアクセスを遮断するとともに、サーバーと端末に最新のウイルス対策ソフトを導入して、ウイルスの検知を行っております。また、システムの重要度に応じて、サーバーやネットワークなどシステム構成の二重化や、定期的なバックアップによるデータの保全、遠隔地での保管など、万が一障害が発生した場合でも被害を最小限にするための対策を講じております。
ホームページにつきましては、過去に発生した事例も踏まえ、各局が外部の専門家によるセキュリティー診断を行い、必要な対策を講じるよう指導しております。そのほか、国や警視庁との情報連絡体制を整備し、サイバー攻撃に関する最新情報の共有化を図るとともに、庁内各局とも情報を共有し、サイバー攻撃による被害の未然防止に取り組んでおります。
○両角委員 対策は講じられているということでございまして、さまざま対策も、もうやられているということでありますが、サイバー攻撃というのは必ず防げるというものでもないと思いますので、そのことを考えまして、一たびこの都庁のシステムが停止をしたり、情報が改ざんされるなどありますと、これは都政の運営や都民の生活に大きな影響を与えるということになります。
例えば、ホームページが改ざんされると混乱が起こるかもしれませんし、システムがダウンすると業務が滞る、都民生活が結果として影響を受けると。情報が書きかえられたり、盗まれるということも起こり得るかもしれないわけでございまして、このようなことが万一起こってしまった場合、どのような組織が対応をして、対応マニュアル等はどのようになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○鈴木行政改革推進部長 都は警視庁が平成十三年度に設立したサイバーテロ対策協議会に参画し、警視庁や民間の重要インフラ事業者と連携して、サイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大防止や事案への迅速な対応がとれる体制を整備しております。
また、庁内におきましては、情報セキュリティーを所管する総務局と各局とが連携し、情報収集や迅速な対応に当たることとしております。
そのほか、都における具体的な対応としまして、都民生活に直結するシステムについては、各局がそれぞれ具体的な対策を講じておりまして、例えば都立病院の電子カルテや会計管理局の財務会計システムにつきましては、自然災害などシステムが停止した場合でも業務を継続する処理手順をマニュアル化し、訓練を実施するなど、都民サービスや行政運営に支障を来さぬよう対策を講じております。
○両角委員 マニュアルや訓練も実施をされて、対応をされているということで、一安心というところでございますが、この質問をさせていただいている中で若干違和感があったんですね。それは何かというと、危機管理という視点で、サイバーテロということで質問をさせていただいているんですけれども、この対応をしている部署というのが行政改革推進部であると。行政改革課の課長さんが質問のやりとりをしたということなんですね。
ここに行政改革推進部の事務分掌があるんですけれども、どんなことやっているのといったら、もちろん行政改革推進部ですから、業務の効率化とか、あるいは市場化テストとか、指定管理制度に関する事務とか業務改善、まさにこういうことがメーンであって、その中に電子情報処理に係る規格及び調整、指導に関する事務というのもあります。しかし、これはどういうことかというと、契約処理の適正化とか、調達等に関する局調整、指導とか、システムの評価というようなことなんですね。
もう一つ、情報セキュリティーに関する事務というのもありまして、全庁的なセキュリティー対策に関する指導というのもあるんですが、危機管理という概念は、第二次大戦以降出てきたといわれている概念でございまして、クライシスマネジメントということで、非常事態に対するということでありますから、こういった日常の安全管理というのとちょっとレベルが違うのかなと。
今、東京都では危機管理監というポスト、局長級のポストを設けて、例えば危機にはいろいろな種類があります。震災、風水害、あるいは疫病みたいのがパンデミックで急激に広がるとか、その一つの固まりとしてサイバー、あるいはそういったテロがあるんではないかと思うわけでございまして、そういったことを考えると、実は行政管理部が局として対応するというよりも、例えばITシステム危機管理室とか、そういったようなところがしっかりと対応して、最終的にそれが危機管理監のもとに一元化をされて、何かあってもしっかりと対応ができるというのが、私の危機管理に対するイメージなんですけれども、そういった意味で、今後、組織のあり方とか機構のあり方をぜひ考えていただきたいなと。
これは質問ではございませんで、要望としてお聞きをいただきたいと思います。
最後になりますが、行政監察について伺いたいと思います。
行政監察室というのが事務分掌の事務事業の冊子にございまして、なかなか行政監察という言葉が、我々、なじみがないものですから、これは何なんだろうというところが最初の関心を持ったところでございます。
そこで、まず行政監察室の組織目標、いわゆるミッションと存在意義についてお聞かせをいただきたいと思います。
○高橋主席監察員 行政監察室の主要業務であります服務監察は、予防監察と事故監察に大別をされます。予防観察は職員の服務状況及び服務に関連する事務事業の内容を監察するものでございまして、事故監察は服務に関する法令等の諸規定に違反した職員等に係る事実関係を調査し、処分方針を検討するものでございます。
行政監察室はこれらの服務監察を通じて、各局職員の服務規律の確保と服務に関連する事務事業の改善を図ることによりまして、汚職や非行を許さない職場づくりに向けた取り組みと、公平公正な監察の実現を推進しております。
○両角委員 服務ということがキーワードでございました。そして、そのことによって、二つの種類の監察によって、いわゆる汚職等の防止効果があるということで、大変重要な部署なんだということを理解したところでございますが、都庁内にはほかにも例えば監査委員とか、会計管理局の検査とか、検査や監査をするセクションというのがあるわけでございまして、こういったところの事務が重複をしないのかなというところが若干気になるところではあります。
そこで、今お話をしたような、いわゆる監査や検査をするようなセクションと対比して、行政監察室はこういった、どのような役割の違いがあるのかということをお教えいただきたいと思います。
○高橋主席監察員 行政監察室が行っております予防監察でございますが、これは毎年一回、三級事業所以上のほぼ全部署を巡回しまして、出勤簿、休暇職免等処理簿などの職員の勤怠に関する書類を初め、許認可、契約事務、公金管理事務等に関する書類などを調査しまして、服務管理等に関する不適切な事例を発見するとともに、所属の管理職や職員との意見交換などにより、職員の意識啓発を行うことを通じて、汚職等非行事故の発生防止を図るものでございます。
予防監察はこうした目的で行うことから、お話の監査委員の監査や会計管理局の検査などと、その役割において重複するものではございません。
○両角委員 役割が違って、趣旨が違うんだということを理解させていただきました。そこで行政監察室が行う監察ということには、予防監察、事故監察、二種類あるということでありましたけれども、それではこれらの監察を通じて、どのような事実が把握をされて、何が改善をされたのか、ちょっとこれまでの成果を聞かせていただきたい、このように思います。
○高橋主席監察員 まず予防監察を通じて改善指導を行いました具体例としまして、休暇の申請手続のおくれや、当日、朝の申請が見られた例、あるいは現金や金券類を不適切に保管していた例、また、通勤手当等の支給要件の認定を誤った例などがございます。
こういった問題点につきましては、当該事例を是正するよう指導するとともに、各局、各部署で行う汚職等防止委員会などを通じまして、他の部署も含めて、再発防止を図ることとしております。
次に、事故監察についてでございますけれども、事故監察の対象となります非行や事故などにつきましては、収賄、窃盗、傷害などの刑事事件、職務怠慢や法令違反等の服務規律違反、また自動車運転事故を中心とする交通事件などがございます。
行政監察室は、事故発生の際に、事故の当事者、管理監督者、関係者等から公正、詳細かつ丁寧に事情聴取を行いますとともに、必要に応じて関係資料等の収集、分析、現場の実地調査など、事故の状況の確認を行いまして、法令違反の事実、内容、程度について総合的に事実関係を確認し、懲戒処分等に係る厳正な措置意見書を作成しております。
なお、これら事故監察の事故処理件数は、平成二十四年度におきましては六十八件ございました。
○両角委員 実績等もお話しいただきまして、都庁というこの大きな自治体の内部統制に対して役割を果たしている機関なんだということを理解させていただきました。これからも役割を果たしていただきたいと思います。
最後に、台風の風水害の件で一言要望だけさせていただきたいんですが、大島で台風が発生して被害が発生をした折に、うちの会派に大島に元住んでいた方から連絡があったということでございます。それは、親戚の方、島外に結構大島の方は出られている方が多いということで、おじさんが流されて生き埋めになってしまっていると、一刻も早く大島、島に行きたいんだけれども、今、家も流されてないし、宿泊場所もないんだと、どうにか対処ができないかなということがございまして、担当の部署にそういったお話をさせていただいたところなんですが、当然、まだ災害が発生して初動の時期でありますから、まさに初動に対応する部隊すら宿泊の場所がないような状況で、なかなかうまく、すんなりとは対応ができないようなことだったと思うんですが、今後、こういったことがないのが望ましいんですが、またこういった大きな被害が出た場合に、親族、家族が島に戻りたいといったようなときに対応ができるような手はずというのも、今後の研究課題ということで、ぜひ検討していっていただきたいという要望をさせていただいて質問を終わります。
○みやせ委員 まずは冒頭、今回の伊豆大島における台風で被害に遭い亡くなられた方々に対し、謹んで哀悼の意を示すとともに、ご尽力いただいている自衛隊や関係部局の方々、ボランティアの方々に、心より敬意と感謝を申し上げます。
私からは、災害直後の混乱期における七十二時間以内の情報の共有化をテーマに質疑をさせていただきます。
なお、私の方で質疑を予定していて、既にご答弁がありました内容に関しましては、意見や提案を中心に述べさせていただきます。
災害発生時においては、救急救出活動に要する七十二時間、すなわち初動態勢が極めて重要であります。各機関が連携して効果的な初動態勢を行うためには、円滑な情報の共有化を図らなければなりません。
今回、自衛隊、警察、消防等による救出救助活動、避難所のニーズ把握、支援物資の提供等に際しまして、七十二時間以内の中でどのように関係機関相互の情報の共有化を図ってきたのか。その問いに対しましては、先ほどの答弁の中で、対策本部を設置し、しっかりと情報の共有を図ってきたところもあるというご答弁をいただきました。
私も先週の金曜日に伊豆大島に視察に行ってまいりまして、大島支局や、また、大島の首長のお話、また現地の方々のお話を直接お伺いすることができましたが、避難勧告の発令など、大変難しい判断があったとお聞きいたしました。
やはり判断の前段階から、野上委員からありましたように、必要な情報を東京都としても、首長を孤立させずに、東京都としていかにサポートするかが課題だと私も実感をしてまいりました。非常に判断が難しく、その中でどう判断していけばいいのか、そのことに首長が戸惑っておられましたことをお伝えしたいと思います。
そこで質問になりますが、行政といたしまして、今回の初動態勢、とりわけ七十二時間以内の情報共有化におきまして、課題は何であったのかお伺いいたします。
○村松総合防災部長 今回の災害におきましては、発災後速やかに自衛隊、警察、消防等が応援職員を現地に派遣し、被害状況や必要な支援内容等を把握するとともに、救出救助活動等を展開いたしました。
しかしながら、離島という地理的に本土と離れている特性があることから、都庁において現地の生の声を直接聞くことが困難な状況にもございました。
このため、現地に職員を派遣するとともに、テレビ会議システムなどの活用を図ったところでございます。
○みやせ委員 離島ということで、非常に情報の共有が厳しかったと、率直に課題になるところをご理解いただきまして、また、かつ、テレビ会議システムの導入など改善が見られているということですので、ぜひ今後につなげていただければと思っております。
さて、このたびの災害に対しまして、私宛てにも都民の方々から、何か募金をしたい、現地に行って手伝いたいなど、善意の声が多く届けられております。
東日本大震災においても、いつ、どこに、何を、どれだけ必要なのか、情報が錯綜しておりました。私自身も東日本大震災を含めまして、海外の紛争地、災害地を駆けずり回ってまいりましたが、まさに信頼できる情報の確保が肝となっておりました。
そこで、復興に向けて、東京都として、刻々と変わる現地のニーズを把握し、どこに何が必要なのか情報を取りまとめること、さらにはそれを外に発信する必要があると思いますが、見解を伺います。
○村松総合防災部長 甚大な被害を受けました大島町への支援のために、義援金を十月十九日から募集しておりまして、このことに関しましても東京都ホームページで受け付け方法等を公表しているほか、募集協力機関でございます日本赤十字社や東京都共同募金会についての情報もあわせて掲載しております。
また、大島におけるボランティア活動の情報につきましては、現地の大島社会福祉協議会災害ボランティアセンターにおきましてニーズを把握し、必要な情報をホームページ等で公表しております。
○みやせ委員 今回は、限定された地域での災害ではございましたが、今後、首都直下地震、大きな災害でございます。情報が錯綜する中で、現場で必要とされる情報を的確に、そして迅速に把握することがいかに大事であるか。また、大災害になりますと、世界中から物資や人が集まってくる、そういった善意が集まってくる可能性が大いにございます。ぜひ適切な情報を時には英語で発信するなど、ホームページ及びいろいろな情報ツールを通じて発信していく必要があるかと思います。
そして、次の質問になりますが、今回の教訓を踏まえまして、今後懸念される首都直下地震に備えまして、各機関相互の七十二時間以内の情報の共有化をさらに強化すべきと考えますが、この所見をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 今後発生が懸念されております首都直下地震に対応するため、発災から七十二時間を中心に、都と関係機関との具体的な連携方法や手順をあらかじめ定めた首都直下地震等対処要領の策定について、現在進めているところでございます。
○みやせ委員 ありがとうございます。現在策定を進めていらっしゃるということでございますが、ぜひ今回の教訓をその何百倍、何千倍と被害が想定されます首都直下地震に対して生かしていただければと思います。
例えば、各避難所や各行政、いろいろ組織がございますが、各部門にアイパッドを支給して、さらにはクラウド化を図り、情報の一元化を図りまして、次の動きを図る。そういった最新のIT技術を活用したリアルタイムでの情報の共有化が、まず何を動くにせよ、一番大事な要素になってくるのではないかと思っております。
最後になりますが、そもそも今回の災害に際しまして、五十五年前、すなわち昭和三十三年の狩野川台風の教訓が大島には、本来であれば、あったはずでございました。首長も当時は、六歳だったそうです。火山や津波に対する防災意識があったにせよ、土砂崩れによる災害への防災意識が希薄になってしまったとのお声をいただきました。
また、現地の住民の方々のお話を聞きましたら、やはり防災、土砂崩れに対する危機意識というのはほとんどなかったと、率直なご意見も聞いております。土砂崩れへの防災意識、それがだんだん風化してしまい、教訓が生かされなかったことが大きな課題となったのではないでしょうか。
先日の朝日新聞の調査でも、自身の災害への備えが十分ではないという方が八九%を占めまして、さらには今住んでいる地域での過去自然災害があったかどうかに関心がある、そういった方が七九%を占めております。今後はさらに都庁内の関係各所と連携しながら、諸島部の防災教育向上のみならず、今回の災害を都心各地の防災意識をさらに向上していくきっかけと教訓としていただくことを強く要望いたします。
また、最後になりますが、また何よりも本庁の職員の皆様も、さらに今以上に大島の現地、現場に入っていただきながら、現地、現場で復興に尽力をしている方々のニーズや課題をじかに肌で感じていただければと思っております。その経験がまさに首都直下地震の備えとなるものと確信しております。
以上、意見を述べさせていただきましたが、私の質問を終わりといたします。
○河野委員 私からは、事務事業について幾つかお聞きしたいと思います。
都内に東日本大震災の被災者がまだまだ避難をされているという現状があるかと思うんですけど、東日本大震災の発災から二年半が経過をして、いまだ多くの方々が避難を余儀なくされております。私の地元、この委員会には四人の板橋区の方がいますけど、板橋区でも三百人近い方がまだ避難生活を続けられております。都営の成増団地にもたくさんの方たちが避難をされております。
現在、被災地では避難者の早期の帰還を目指し、除染や災害公営住宅の建設などに全力で取り組んでいるところでありますけど、また多くの避難者が帰還できていないまま現在の状況に至っております。
そこで、まず都内の避難者の状況と支援策についてお伺いしたいと思います。
○西村復興支援対策部長 都内では、現在全国で最多となります八千名を超える方々が避難生活を続けておられまして、このうち福島県からの避難者は約七千名、宮城県は約一千名、岩手県は約三百名というふうになってございます。こうした避難者に対しまして、都は都営住宅などの応急仮設住宅を約千七百戸提供するとともに、避難生活全般に関する総合相談窓口の設置、避難場所を巡回する就職相談会などの就労支援、それから都立高校の入学料の免除などの就学支援など、生活全般にわたる支援を行ってございます。
また、避難者への個別の訪問活動など、孤立化を防ぐ取り組みや避難元自治体の復興への取り組み状況等、避難者に有益な情報を毎月二回定期的に郵送するなど、きめ細かい支援を各局と連携して実施しているところでございます。
○河野委員 さまざまな支援を実施していただいているということで、引き続きこのような取り組みを続けていただきたいと思います。
避難生活が長期化してくると、当初想定してないようなさまざまな問題が生じてくる。例えば、これは特定の方というわけじゃないんですけど、うちの地元にもそういうふうな話をちらほらと聞こえてくることがあるんですけど、例えば応急仮設住宅によって、避難者と長期に連絡がとれなくなっている事例や半年以上も住んでいないんじゃないかなというふうに思われるような事例というのも、小耳に挟むといいますか、聞こえてまいります。
もちろんこういうケースというのは、本当にごくまれなケースなんだと思うんですけど、こういうことが地域の方に耳に入ってくることによって、避難者全体に対して好ましくないような風評みたいなものが広がってしまうということは決してよくないことだと思っております。
もとより支援を惜しむものでは決してなくて、必要な方に対しては、必要な支援をしっかりと提供することは当然のことだと思いますけど、都としてこういうふうな風評が広がらないように、今後とも適切にさまざま対応をしていただくことを要望したいと思います。
それについては要望させていただきまして、さて国が定める五年間の集中復興期間の折り返し点が経過した現在、地域によって進捗の差はあるものの、インフラの復旧や災害公営住宅の建設などについては、徐々に進みつつあります。避難者の一刻も早い帰還が求められている中、被災地でのこうした変化も踏まえて、今後の被災者支援をどのように行っていくのか、方向性をお聞かせください。
○西村復興支援対策部長 被災地では、避難者の帰還を目指しまして、除染や災害公営住宅の建設に全力を挙げて取り組んでおりまして、長期にわたり帰還が困難となった地域からの避難者を県内の他の地域で受け入れることについても、関係自治体の間で協議が進められております。また、国におきましては、原発事故による避難者の帰還に向けた対策を年内にも取りまとめるというふうに聞いてございます。
一方、都が本年二月に実施した避難者へのアンケート結果によりますと、都内に定住したいと考える人の割合は四四・三%に上っておりまして、避難生活の長期化に伴い、今後の生活再建に対する考え方にも変化が生じているところでございます。
都は、これまでも避難生活全般にわたる支援に積極的に取り組んできましたが、今後こうした被災地の復興状況や国の動き、避難者、避難元自治体の意向等を十分に踏まえながら、帰還に向けた支援のあり方について検討を行ってまいります。
○河野委員 間もなく震災から三年になるわけですけど、被災者の帰還は一刻も早く進めていただきたいと思っておりますので、引き続きの被災者に寄り添った支援策を期待したいと思います。
次に、地域防災計画についてお伺いしたいと思います。
東京都が東京都地域防災計画を修正することによって、各区市町村の方がそれに応じて整合性の合った地域防災計画を修正しております。私の地元の板橋区でも、平成二十四年度修正ということで、地域防災計画を修正しているわけですけど、その中に医療救護等対策というところで、そこの中で区市町村の活動内容として、避難所等に医療救護所を設置、それと災害拠点病院等の近接地等に緊急医療救護所を設置、運営とあります。また、医療救護所の設置場所については、原則として五百人以上の避難所、二次避難所、医療機関及び災害現場とするとあります。
そこで、お聞きします。
緊急医療救護所は、拠点病院や災害拠点連携病院等の近接地などと対象にされておりますけど、なぜこれを避難所、いわゆる医療救護所のところに設置するという考えはなかったのか、これを二つ設置すること、これはなぜなのか、理由をお聞かせください。
○村山企画調整担当部長 地域防災計画においては、医療救護所の設置について、発災からの時間に応じて設置場所等が計画されております。発災直後から七十二時間までの超急性期においては、重症者等の治療、収容が優先されるため、傷病者が殺到することが想定される災害拠点病院等の近接地などに緊急医療救護所を設置し、トリアージを行うとともに、軽症者に対して応急処置を行う計画になっております。
一方、避難所等においては、慢性疾患治療、被災者の健康管理や公衆衛生的ニーズが高まるので、区市町村が区市町村地域防災計画に基づき、状況に応じて医療救護所を設置することとなっているところでございます。
○河野委員 わかりました。要するに緊急ということで、七十二時間以内に設置するところと、その後に設置するということなわけなんですけど、これは一応要望として聞いておいていただきたいんですけど、板橋区内には救急告示医療機関というのは二十一あります。これが想定されている緊急医療救護所になる予定なわけですけど、拠点連携病院の指定に手を挙げてくれている病院は二十一のうち十一しかない、半分しかないんですね。こういう状況しかありません。しかも、これらで、その病院の門前でトリアージポストを設置してくれるかどうかというのは、いまだに決まっていない状況です。
これは福祉保健局の所管として、総務局の方で計画を立てて、福祉保健局にやってもらっているわけなんですけど、今現状としてはこのような形で、皆さんの方で計画を立てて、福祉保健局の方で区市町村と連携してやりなさいということなんですけど、現状としては、そういうふうにトリアージポストがまだ決まっていないところがたくさんあるということを現状として把握していただいて、これはぜひ連携をとっていただいて、責任のある対応を進めていただきたいということを要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
以上です。
○島田委員 本日、この質疑としては最後になります。予定の方は大分早まっているようですが、もう少々おつき合いいただければというように思っております。
総務局の事務事業についてお伺いしたいと思います。
最初に、多摩振興についてお伺いいたします。
本年は、東京のスポーツにとって大きな節目となる年でありました。九月には二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まりまして、そしてまた多摩地域を中心としたスポーツ祭東京二〇一三が開催されました。多くの方々がスポーツに親しむ機会が生まれたわけであります。
私の選挙区の西多摩地域でありますけれども、バレーボールだとかサッカーだとか、いろいろなスポーツも開催されましたし、特にあきる野市では馬術の競技が開催されまして、これはめったに見ることができない競技でありまして、多くの方が参加されておりました。
そういう意味でも、非常にこのスポーツ祭東京、盛り上がりました。本当に皆様方の東京都の活躍にも敬意を表したいところでありますし、またこれを機にスポーツの施設、この整備も進んだところでございます。
今後、多摩地域では、区部に先んじた高齢化の進展が見込まれておりますが、多くの人々が健康に生活するためには、日ごろから定期的に運動するなど、スポーツを楽しむ環境を整えていくことが重要であります。
私は、多摩の住民としまして、本年開催のスポーツ祭東京二〇一三のレガシーを生かすとともに、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致も見据えて、多摩地域においても、スポーツ環境の整備を進めるべきだと考えます。
都は、新たな多摩ビジョンを受けて、今後それを具体化するための行動戦略をつくるとしておりますが、その中でスポーツ振興に向けた取り組みをどのように盛り込んでいくのか、都の見解をお伺いいたします。
○矢岡多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 本年三月に策定をいたしました新たな多摩ビジョンでは、スポーツ振興の重要性を踏まえまして、スポーツ祭東京二〇一三の開催や二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック招致の機運を生かしまして、誰もが生涯を通じて気軽にスポーツを楽しめる環境を整備することとしてございます。
このため、都は本年の多摩フェスティバルにおいて、スポーツ祭東京二〇一三開催一カ月前イベントとして、ゆりーとパークin国営昭和記念公園を開催するなど、多摩地域の方々がスポーツに親しめる機会を提供してきたところでございます。
新たな多摩のビジョン行動戦略、仮称でございますけれども、策定に当たりましては、ビジョンで示しました考え方や本年の取り組み状況を踏まえまして、多摩地域におけるスポーツ振興の取り組みについて検討してまいります。
○島田委員 都では、今、知事本局の方が中心となって、新たな長期ビジョンを策定しておりますけれども、オリンピック・パラリンピックの成功が重要な課題であるということでございます。スポーツ祭東京二〇一三のレガシーを生かす今後の取り組みを期待したいと思っております。
そして、今ご答弁もありましたが、多摩のビジョン行動戦略に、多摩地域におけるスポーツ振興の施策をしっかりと盛り込んでいただきたいというふうに思っております。
また、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催の折には、国内外を問わず、多くの方々が東京を訪れることになると思います。大会期間中に東京を訪れる多くの方々が多摩地域にも足を伸ばして、多摩の魅力に触れていただけるような、そうした取り組みが今後ますます重要になってくるというふうに思っております。
七年後に、国内外から多くの人を多摩地域に呼び込むためには、今から多摩地域外の人々、例えば二十三区や他県に住む人々に対して、多摩の魅力を広く発信する取り組みを行っていくことが必要だと考えております。多摩の魅力の発信について、都はどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いします。
○矢岡多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 都では、本年八月に多摩三十市町村商工会議所、東京都商工会連合会などと連携をいたしまして、開催いたしました多摩フェスティバルを初めといたしまして、謎解きをしながら観光スポット等を回遊する宝探しチャレンジや西多摩の自然の中を歩くトレッキングといった体験型イベントの実施や多摩の多様な魅力をまとめた映像の配信など、さまざまな取り組みを通じまして、多様な多摩の魅力を発信しております。
さらに、二十三区において多摩の農産物等をPRする出張市場、マルシェを開催するなど、多摩地域外の方をも対象といたしました多摩の魅力を発信する取り組みを進めてまいります。
○島田委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの競技は、主に区部が中心で開催されるわけでありますが、オール東京で東京が一丸となって開催するためには、多摩地域の方々も何らかの形でかかわることが重要であるというふうに思っております。多摩地域の魅力の発信を促進する取り組みを充実し、国内外から多くの方々を多摩地域に呼び込む施策の充実を要望し、次の質問に移ります。
次は監理団体に関する諸課題について何点か質問をさせていただきます。
一点目は、監理団体の契約についてであります。
都は、監理団体を都政の重要なパートナーと位置づけ、都政のあらゆる場面で活用しております。このことを理由に、都は毎年継続的な財政支出や都職員の派遣を行い、団体の役員には都を退職した幹部が多数就職しております。
私は、昨年の第三回定例会一般質問において、各局から監理団体へ委託する契約のうち、随意契約の占める割合が多いことを踏まえ、民業圧迫につながらないよう、民間にできることは民間に任せるよう要望したところであります。
一方で、監理団体が都政と密接に関連する事業を実施するのであれば、当然団体の経営の透明性を向上させ、都民への説明責任を果たすことが重要であり、このため、監理団体が行っている契約については、都民の理解を得ていくことが一層必要であると考えております。
現在、契約に関する公表状況としましては、一億円以上の契約件名、契約方法、相手方などを公表しておりまして、そのうち都でいう随意契約に当たる特定契約におきましては、契約相手方への東京都管理職OBや当該団体管理職OBの再就職数などを公表しております。こうした取り組みについては、認めるものでありますけれども、公表基準である金額そのものの見直しは行っていないわけであります。
監理団体の契約について、都民への説明責任の向上、公正性、公開性を高めるためにも、現行公表基準のハードルをもっと上げていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
○鈴木行政改革推進部長 監理団体が都政の重要なパートナーとして、その一翼を担うためには、契約を含めた事業運営について都民の理解を得ることが重要でございます。都はこれまでも、監理団体の経営実績や経営目標の達成状況等を議会や都民に公表しますとともに、役員報酬や給与関係情報のほか、主要事業の指標や財務指標といった経営情報について公表を義務づけるなど、団体経営の透明性の向上に努めてまいりました。
とりわけ契約条項に関しましては、お話のあった一億円以上の全ての契約を公表対象とすることに加え、都から特命で受託した事業等において、再委託を行う場合には二百五十万以上の契約及び団体が特命で契約を行う、いわゆる特定契約の全てを公表対象とし、経営のさらなる透明性の向上に努めております。
一方、監理団体は基本的に独立した団体でございまして、その経営のあり方は自主的、自立的な判断のもと行われております。契約案件の公表につきましても、都が定める基準を踏まえつつ、みずからの主体的な判断に基づいて対応するべきものと考えております。今後も団体の自立的な経営を踏まえ、経営の透明性の向上に向け、引き続き適切に働きかけてまいります。
○島田委員 今答弁をいただきましたけれども、現行の基準のハードルは今のところ上げないで、自立的な判断に任せるということだと思いますが、これは先ほど申し上げましたけれども、東京都の管理職OBが多数就職しているなど、東京都と関係が深い監理団体でありますので、この経営の透明性を向上していくこと、これが重要だというふうに考えておりますので、引き続きこの点は検討していただきたいと要望をさせていただきます。
一方で、マラソン財団など、一部の団体では、これはマラソン財団では五千万円だそうでありますけれども、基準を引き下げている団体もあるというふうに聞いております。積極的にこのような契約などの公表を行っている団体については、都としても適切に評価していくべきであり、その取り組みをほかの団体にも分かち合いながら、監理団体改革を進めていくことが重要であるというふうに考えております。
公表に関する各団体の自主的な取り組みを後押しするためにも、インセンティブを与えるような仕組みを構築すべきでないかと考えます。見解をお伺いいたします。
○鈴木行政改革推進部長 監理団体が経営の透明性を向上していくことは重要でございます。経営の透明性向上など、監理団体が自主的な取り組みを目標化する場合には、毎年度実施している経営目標の達成度評価制度を通じて、今後とも適正に評価し、その結果を広く公表することで、他の団体の取り組みにつなげてまいります。
○島田委員 ぜひこのような経営目標の達成度評価制度を通じて、監理団体の経営の透明性の向上を図っていただきたいと、そのように思っております。
次に、この経営目標の達成度評価制度についてお伺いいたします。
毎年設定しております監理団体の経営目標については、本年九月の第三回定例会の本委員会において、平成二十四年度の達成度評価と平成二十五年度の目標設定状況の報告がありました。本制度については、それぞれの団体の特性などに応じて、団体みずから経営目標を設定し、その達成度を評価、公表することで、団体の自発的な経営改善を促すものとして一定の効果があるというふうに考えますが、これを踏まえて一点確認をしておきたいと思います。
一昨年、平成二十三年度でありますが、一昨年に監理団体の一つであります住宅供給公社の幹部職員による汚職事件が発生いたしました。都はこの事故を踏まえまして、平成二十三年度の団体経営評価を改めて再評価の上、C評価としたところでありますが、九月の本委員会で報告を受けた内容によりますと、こうした重大な事故を発生した住宅供給公社の平成二十四年度の経営評価が最上位のA評価となっています。事故の重大性を勘案すれば、たった一年でA評価になること自体、私自身にとっては本当に大丈夫なのかと心配になっているところでございます。
このような重大な事故を起こした団体の評価をすぐにA評価とすることは妥当なのか、また住宅供給公社に対しては、都はどのような対応を行ってきているのか、お伺いをいたします。
○鈴木行政改革推進部長 ご指摘のあった住宅供給公社の汚職事故につきましては、都としても重く受けとめ、都と公社が一丸となって再発防止や都民の信頼回復に向け、さまざまな取り組みを進めてまいりました。都では、速やかに副知事をトップとする汚職等防止委員会を発足させ、監理団体を含めた全庁横断的な検討を進め、契約事務等における厳正なチェック、服務監察による指導強化、監理団体の幹部職員向けのコンプライアンス研修等に取り組みました。
一方、公社では事故職員を懲戒免職処分とするとともに、公社内に汚職等防止対策委員会を立ち上げ、事故の事実解明や原因分析を行いました。その後は理事長をトップに内部統制の強化、管理職への指導監督徹底などに公社を挙げて取り組んでおります。
お話のあった二十四年度の住宅供給公社の経営評価につきましては、こうした取り組みを前提とした上で、少子高齢社会に対応した住環境の整備や都営住宅居住者の安否確認の充実等の取り組みを総合的に勘案したものでございます。
具体的には、安否確認に関しては対応マニュアルを見直し、公社職員による迅速な調査や入室確認に努めた結果、前年の四倍もの居住者の救出につなげたほか、公社独自に十一区市との間で安否確認に係る連携協定を締結するとともに、地域での見守り事例集を作成の上、千五百を超える地元自治会への配布、普及に努めました。こうしたことなどを総合的に評価し、A評価としたものでございます。
○島田委員 今ご答弁ありましたが、この住宅供給公社、これは都と密接に関係している監理団体であります。そして、この汚職事故といった不正事故が二度と起こらないように、しっかり指導、チェックをお願いしたいというふうに思っております。
最後の事項として、監理団体における有期雇用についてお伺いいたします。
この四月から改正労働契約法が施行されたことにより、有期雇用が反復更新され、通算五年を超えた場合に、無期契約労働へ転換できるとするなど、非正規労働者の雇用の保障を拡大する内容となっております。五年という年数については、今後見直しがあるかもしれませんが、いずれにせよ民間企業においては、現在その対応に追われている状況にあります。
都や区市町村の非正規職員は公務員と位置づけられているため、この法律は適用されないようでありますが、民間企業と同じように法人格を持つ監理団体は適用されることとなります。今回の法改正を受け、監理団体に対してどのような影響があるのか、まずお伺いいたします。
○鈴木行政改革推進部長 民間企業と同様、有期雇用など、多様な人材を活用し、効率的な事業執行を行っている監理団体の運営にとりまして、今回の法改正は経営上影響があるものと考えております。
委員ご指摘の有期雇用者の無期労働契約への転換が規定されましたほか、雇用期間に定めがあることによる不合理な労働条件の禁止などが盛り込まれております。このため、各団体では、事業規模の伸縮に伴う人員調整や労働契約上の係争などについて、困難な対応が求められることが予想されます。また、職員採用のあり方や人事制度など、団体の組織運営全体の見直しが求められるものと考えております。
○島田委員 監理団体について、今回の法改正は経営上影響があるということだというふうに思います。
監理団体が都の補完代行業務を実施するのであれば、効率的な団体運営が求められ、当然団体内における人事管理やコンプライアンスの観点からも、今回の法改正を受けた適切な対応が求められます。その上で団体運営を進める際、今回の法改正は影響が多い内容であると、大きい内容であると考えますが、今後どのように団体を指導していくのか、お伺いいたします。
○鈴木行政改革推進部長 今回の法改正を受けまして、都では本年九月、監理団体及び地方独立行政法人の人事担当者を対象に、首都大学東京から労働法の専門家を招き、実務に即した研修を複数回実施いたしました。
今後は国の動向など、関連情報を収集し、各団体に積極的に提供しますとともに、法改正の影響が出てくる平成三十年以降を見据え、必要規定の整備などを促してまいります。こうした取り組みを通じ、各団体が法令にのっとった適正な団体運営が行えるよう、引き続き指導してまいります。
○島田委員 監理団体については、冒頭申し上げたとおり、都政の重要なパートナーとして活用していくのであれば、引き続きしっかりと総務局による指導監督をしていってほしいということを要望し、最後の質問に移りたいというふうに思います。
第三回の定例会一般質問におきまして、私は男性の育児参加について質問させていただきました。
その関連で次世代育成支援についてお伺いします。
次世代育成支援について、男性の子育て参加促進を中心に何点かお伺いいたします。
我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ、次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、育成される環境の整備を図るため、平成十五年に次世代育成支援対策推進法が成立しました。
次世代育成支援対策推進法では、各事業主に対し、次世代育成支援に向けて取り組む内容を定めた事業主行動計画の策定を要請しております。都においても、平成十七年三月に東京都職員次世代育成支援プランを定め、これまでさまざまな視点から職員の仕事と子育ての両立支援に取り組んできたことは評価しております。
最近では、町なかでベビーカーを押す男性を見かけることも多くなり、男性の子育て参加は進んでいるようにも感じますが、ことし七月に国が公表した雇用均等基本調査によりますと、男性の育児休業取得率は一・八九%で、前回調査より〇・七四ポイント低下いたしました。民間においても、男性の育児休業取得は依然として進まない状況でありますが、都の男性職員についても同様の状況と伺っております。
そこで、都における男性職員の育児休業取得状況について、どのように認識しているのか、お伺いいたします。
○栗岡労務担当部長 次世代育成支援プランによる取り組みを開始いたしました平成十七年度におけます男性職員の育児休業取得率は〇・九七%でございました。それ以降、男性職員の育児休業取得促進に向けた取り組みを行ってまいりました結果、育児休業の取得率は上昇いたしまして、二十二年度には二・二%と、取り組み開始当初の約二倍となりまして、その後二十三年度は二・五%、二十四年度は一・八%と二%前後で推移してございます。
取得率が二%前後にとどまっている理由についてでございますが、主たる家計の負担者である男性職員が育児休業を取得することによる経済的な損失に加えまして、晩婚晩産化の影響により、管理監督者となってから子供が誕生する男性職員が増加しておりまして、本人の立場上も育児休業を取得しにくい状況もあるものと考えてございます。
こうした家庭と仕事など、さまざまな事情から、男性職員の育児休業の取得が促進されにくい状況もあるものと認識してございます。
○島田委員 今ご答弁にありましたけど、管理監督者となってから、最近は管理監督者になるのが比較的若いところで管理監督者になると、それで、そうしてから子供が誕生するケースがあるということで、管理監督者になれば責任上の重さというものもあり、なかなか難しい。そこで育児に参加して休むというのは非常に難しい状況、よくわかる状況でございますが、今、家庭との仕事の問題に加えて、世間では待機児童問題が深刻化する中で、子供を保育所に入所させるために育児休業を取得しない事例もあると聞いておりまして、男性の育児休業取得が進まない要因は複合的で、特効薬がないということは理解しております。
今、聞いた状況でございますが、しかし男性の育児休業取得率向上は社会全体からの要請でもあります。男性の育児休業取得率を向上させていくためにも、まずは子育て参加を希望する男性が仕事と子育てを両立することができる職場環境づくりを進めていくことが必要だと考えております。男性職員の子育て参加促進に向けた具体的な取り組みについて、お伺いいたします。
○栗岡労務担当部長 子育ては、父親と母親が協力して行っていくことが重要と認識してございまして、次世代育成支援プランでは、父親である男性職員が積極的に子育てに参加できるよう、さまざまな支援に取り組んでございます。
具体的には、男性職員の育児休業取得を奨励するチラシの配布に加え、積極的に育児に携わっている男性職員の体験談の紹介などに取り組んでまいりました。また、今年度は働き方の見直しや男性職員の子育て参加をテーマとしまして、管理監督者向けのセミナーを開催し、複数の部長級職員がみずからの育児体験も踏まえ、職場の実践的なマネジメント手法を紹介いたしました。
こうした取り組みを通じまして、男性の子育て参加に対する管理監督者の意識改革や男性職員がより支援制度を利用しやすい職場環境づくりに努めますとともに、管理監督者自身の子育て参加も促しているところでございます。
今後とも制度を利用しやすい職場の雰囲気づくりを推進しまして、男性職員の子育て参加の促進に取り組んでまいります。
○島田委員 今ご答弁いただきましたが、特にことしはセミナーを行って、管理監督者に対する男性の子育て参加、この意識改革を行ったということでございます。先ほどの答弁もありまして、管理監督者が比較的若くなってきて、そしてやっぱり管理監督者というのは非常に重要ですよね。その他の職員の皆様方がこういう子育てに参加して休業したいというときに、管理監督者にお願いするわけでございますので、そういう面ではやっぱりこの管理監督者の意識改革、きょうここにいる男性の職員の皆さん方が多いわけでありますけれども、ぜひ総務局の皆様方を中心に、東京都全体が職員の男性が育児参加をしやすい、そんなような環境を整えていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○伊藤委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○中西総務局長 今定例会に提出を予定しております総務局所管の案件は条例案六件、事件案一件の計七件でございまして、このうち総務委員会に付託される予定のものは、条例案二件、事件案一件の計三件でございます。
それでは、付託予定案件の概要につきましてご説明申し上げます。
まず、条例案でございます。恐れ入りますが、資料第2号、平成二十五年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の一ページをごらんください。
番号1、職員の結核休養に関する条例を廃止する条例でございます。これは結核性疾患に関する状況の変化等を踏まえ、結核休養制度を廃止するものでございます。
次に、番号2、東京都組織条例の一部を改正する条例でございます。これは東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催準備を進めるとともに、東京都のスポーツ行政の推進を図るため、オリンピック・パラリンピック準備局の設置等を行うものでございます。
続きまして、事件案でございます。
恐れ入りますが、資料第3号、平成二十五年第四回東京都議会定例会提出予定事件案の概要をごらんください。
総務大臣に対する中核市の指定の申出に係る同意についてでございます。これは八王子市の中核市指定に係る総務大臣への申し出に、都として同意することについて議会にお諮りするものでございます。
以上が付託予定案件の概要でございます。
詳細につきましては、総務部長からご説明いたします。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○榎本総務部長 総務委員会に付託される予定の条例案二件及び事件案一件についてご説明申し上げます。
まず、条例案でございます。
恐れ入りますが、再び資料第2号、平成二十五年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の一ページをごらんください。番号1、職員の結核休養に関する条例を廃止する条例でございます。
これは、医療技術の向上などにより、結核性疾患を取り巻く状況が変化していることやそれを受けた国、他団体の制度改正状況等を踏まえ、結核休養制度を廃止するものでございます。
施行日は平成二十六年一月一日を予定しております。
次に、番号2、東京都組織条例の一部を改正する条例でございます。
これは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催準備を進めるとともに、東京都のスポーツ行政の推進を図るため、スポーツ振興局を改組し、オリンピック・パラリンピック準備局を設置するとともに、分掌事務の規定を整備するものでございます。
施行日は平成二十六年一月一日を予定しております。
続きまして、事件案でございます。
恐れ入りますが、資料第3号、平成二十五年第四回東京都議会定例会提出予定事件案の概要をごらんください。
総務大臣に対する中核市の指定の申出に係る同意についてでございます。八王子市の中核市指定に係る総務大臣への申し出について、平成二十五年九月十八日、八王子市議会において議決され、同年九月二十六日、八王子市長から同意の申し入れがございました。これを受け、都として同意することについて、地方自治法の規定により、議会にお諮りするものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○伊藤委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
初めに、東京都新型インフルエンザ等対策行動計画についてを聴取いたします。
○早川防災担当部長 東京都新型インフルエンザ等対策行動計画についてご説明をいたします。
恐れ入りますが、お手元配布の資料第6号、東京都新型インフルエンザ等対策行動計画の概要をごらんください。
本件につきましては、去る第三回都議会定例会におきまして、東京都新型インフルエンザ等対策行動計画素案の段階で、中段左側に記載いたしました都行動計画の概要などについてご説明をさせていただき、ご審議をいただいたところでございます。中段右側の策定の経過をごらんください。
本日は、本行動計画素案について実施いたしましたパブリックコメントの結果につきまして、また新型インフルエンザ等対策特別措置法第七条第六項の規定に基づき、本行動計画の策定につきましてご報告をいたします。
下段のパブリックコメントに寄せられた主な意見をごらんください。
意見募集は、平成二十五年九月十七日から同年十月十六日までの三十日間で実施をいたしました。同期間を通じまして、個人、団体の方から八通、総計三十二件のご意見をいただきました。
パブリックコメントに寄せられた主な意見についてでございますが、まず高齢者や障害者に対する情報提供について求めるとしている区市町村の協力の具体的な内容を示してほしいというご意見をいただきました。
この意見に対する都の考え方でございますが、高齢者や障害者の方に対し、各種広報媒体を通じた周知や民生委員やケアマネジャーを通じた情報提供などへの協力依頼を考えております。
続きまして、区市町村立学校の臨時休校、休校の解除について、当初から東京都の判断基準を示してほしいというご意見をいただきました。
この意見に対する都の考え方でございますが、新型インフルエンザ等発生時に、国の基本的対処方針や文部科学省の方針を踏まえ、早い段階で都の判断基準を示す予定でございます。
なお、病原性の強弱、流行の拡大状況を参考にして、基準は随時見直す必要があることも想定をしております。
続きまして、政府が都内を対象区域として緊急事態宣言を行った場合に、知事の権限として措置できることとなりました施設の使用制限の運用において、区市町村担当部署との調整、協力を想定している場合は明記をしてほしいとの意見をいただきました。
このご意見を踏まえまして、区市町村等の協力を得ながら、施設の使用制限等の措置を実施する旨、同行動計画に追記いたしました。
以上のとおり、素案に対する都議会でのご議論やパブリックコメントを通して寄せられたご意見を踏まえまして、十一月二十五日、お手元配布の資料第7号でございますけれども、このとおり東京都新型インフルエンザ等対策行動計画を決定いたしました。
以上が主な内容でございますが、詳細はお手元資料第7号、東京都新型インフルエンザ等対策行動計画をごらんいただきたいと存じます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○伊藤委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○伊藤委員長 次に、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例について外三件について聴取いたします。
○榎本総務部長 今定例会に提出を予定しております条例案のうち、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例など、四件についてご報告申し上げます。
恐れ入りますが、資料第2号、平成二十五年第四回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の二ページをごらんください。
番号3、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
これは東京都人事委員会勧告などを踏まえ、今年度の公民較差等に基づく職員の給料等の規定改正と給与制度の改革等にかかわる規定改正を行うものでございます。
まず、1、今年度の公民較差等に基づく職員の給料等の規定改正についてでございますが、主な内容は三点でございます。
(1)、給料表の改定でございます。行政職、公安職など、六つの給料表を人事委員会から勧告された給料表等に改めるものでございます。
(2)、その他の改正でございます。給料の調整額の支給限度額を表のとおり改正するものでございます。
次に、(3)、平成二十五年十二月に支給する期末手当に関する特例措置でございます。
本年四月からこの改定実施日の前日までの期間に係る例月給及び特別給の公民較差相当分を解消するため、平成二十五年十二月に支給する期末手当の額を調整するものでございます。
次に、2、給与制度の改革等に関わる規定改正についてでございますが、主な内容は二点でございます。
(1)、分限処分における降給の導入でございます。分限処分において新たに降給を導入することに伴い、必要な規定整備を行うものでございます。
(2)、特地勤務手当等の見直しでございます。再任用職員について、新たに特地勤務手当等の支給対象に追加するものでございます。
施行日はそれぞれ資料に記載の日を予定しております。
その他条例の改正に関して必要な事項を附則に規定しております。
次いで、三ページをごらんください。番号4、東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例及び番号5、東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
これらは東京都人事委員会勧告を踏まえ、特定任期付職員及び任期付研究員の給料月額の改定等を行うものでございます。
施行日は公布の日の属する月の翌月の初日としてございます。
最後に、番号6、職員の分限に関する条例の一部を改正する条例でございます。
これは公務能率の維持及びその適正な運営の確保を図る観点から、勤務実績がよくない職員に対する分限処分として、免職、降任に加え、給料を引き下げる降給に関する規定を新たに設けるものでございます。
施行日は平成二十六年四月一日としております。
説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○伊藤委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○清水委員 ただいまご説明のありました職員の給与に関する条例の一部改正などについて、意見を申し上げます。
賃金引き上げで働く人の所得がふえなければ、不況は打開できないことは、政府も財界も否定することができなくなっています。一方、国による地方公務員給与削減や消費税増税など、公務員賃金、労働条件に対する厳しい情勢が強まる中で、今回の内容の結果となったと聞いています。
内容は、人事委員会勧告どおりとするという方向で妥結されたことについては、基本的に尊重するものです。雇用と年金の接続を実現するという高齢雇用制度の確立に関して、基本的に希望者全員雇用が確保され、任用方法についても、希望によって短時間勤務の職への任用、更新を保障することになったという点は、一定の評価をするものです。しかし、再任用への成績率の適用などについては、今後の検討を求めておきたいと思います。
次に、都の非常勤職員と臨時職員について二点発言いたします。
まず、処遇についてです。
都は労働組合に対し、来年度から一定の処遇改善を実施するという情報提供を行ったと聞きました。具体的な内容は、非常勤職員の主任職の設置拡大や育児休業制度の導入、臨時職員の通勤費を賃金とは別に支給するというものです。処遇改善を早急に実施すべきと主張してまいりました私どもとしては、遅きに失した感もありますが、都には今回の見直しを皮切りとして、引き続き非常勤職員などの方々の処遇を改善していくことを求めます。
また、非常勤職員の勤務条件に係る団体交渉の取り扱いそのものについてですが、都は、いまだに非常勤職員の次年度の勤務条件は管理運営事項であり、労働組合との団体交渉事項に当たらないと主張し、今回の見直しについても、団体交渉を行うことなく、あくまで情報提供を行ったと聞いています。
しかし、その主張というのは都労委や中労委、東京地裁、そして東京高裁と、四度にわたって否定され、東京高裁では都の対応について、憲法二十八条が労働者に団体交渉その他の団体行動する権利を保障した趣旨が損なわれるとしています。都は、これまでの判決を尊重して、団体交渉を行うことを求めてまいります。
以上です。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時四十七分散会
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