総務委員会速記録第四号

平成二十五年三月十九日(火曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長中山 信行君
副委員長鈴木 章浩君
副委員長山下ようこ君
理事橘  正剛君
理事原田  大君
理事吉田 信夫君
佐藤 由美君
中屋 文孝君
星 ひろ子君
谷村 孝彦君
吉原  修君
西岡真一郎君
服部ゆくお君
小沢 昌也君
川井しげお君

欠席委員 なし

出席説明員
知事本局局長前田 信弘君
儀典長伊藤 秀樹君
次長長谷川 明君
総務部長藤田 裕司君
地方分権推進部長潮田  勉君
自治制度改革推進担当部長樋口 正勝君
外務部長櫻井 和博君
国際共同事業担当部長熊谷 克三君
基地対策部長新美 大作君
横田基地共用化推進担当部長筧   直君
政策部長池田 俊明君
政策担当部長調整担当部長兼務鈴木  勝君
尖閣諸島調整担当部長坂巻政一郎君
投資政策部長松下 隆弘君
計画調整部長澤   章君
計画調整担当部長秀嶋 善雄君
総合特区推進部長瀬口 芳広君
青少年・治安対策本部本部長樋口 眞人君
総合対策部長中村 長年君
青少年対策担当部長坂田 直明君
治安対策担当部長五十嵐 誠君
選挙管理委員会事務局局長影山 竹夫君

本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十八号議案 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
青少年・治安対策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出 青少年・治安対策本部所管分
付託議案の審査(質疑)
・第二十九号議案 東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例
知事本局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出 知事本局所管分
報告事項(質疑)
・「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三について

○中山委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、青少年・治安対策本部、知事本局関係の予算の調査、選挙管理委員会事務局、青少年・治安対策本部関係の付託議案の審査並びに知事本局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分及び第四十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○原田委員 国民主権の我が国におきましては、主権者教育こそが社会をよくする基本であります。このことは以前も取り上げさせていただいたわけでございますけれども、今、選挙管理委員会でもさまざまな事業を展開されていることと思います。
 しかし、現状では、今、学校教育課程の中で主権者教育がほとんど行われておらず、二十になって初めて、自分は何も知らないということに気づくという話も聞くところであります。私が話をした学生も、いざ選挙権を得て選挙に行こうと思ったと、そのとき何も知らない自分にびっくりしたというようなことを私に語ってくれたようなこともございました。
 ともかく、学校教育の中でないということで、なかなか気づく機会も少ないわけでございますから、学校教育の中に主権者教育を取り入れていくということは、大変重要な課題であろうと思います。
 都選管は、昨年の二月に、若年向け政治的リテラシー育成事業として、児童生徒を対象とした出前授業、模擬投票に取り組んできたとのことであります。その後、連携を経て、区市町村の独自事業にもつなげていきたいというふうにもされておりました。
 そこでお伺いいたしますけれども、今年度の都内における開催実績はどのような状況か、伺います。

○影山選挙管理委員会事務局長 出前授業、模擬投票については、都選挙管理委員会がみずから実施するほか、区市町村や民間団体との連携による開催等も含めて、都内全域に事業として広げるよう取り組んでいるところでございます。
 今年度、都選管の主催事業は、昨年末の都知事選挙及び衆議院議員選挙が急遽実施されることになったため、中止となりましたけれども、区市の選管が実施する際に、さまざまな情報提供や連携開催、民間団体への後援名義の付与や啓発資材の貸し出しなどを行ったところでございます。
 その結果、区市町村選管による小、中、高、大学における開催実績は、出前授業実施校が前年度の六校から今年度十四校へ、模擬投票実施校が前年度八校から今年度十四校へ、出前授業、模擬投票の同時開催が、前年度の二校から今年度八校へと大幅に増加しているところでございます。
 また、これ以外にも、模擬投票に取り組む民間団体等がありまして、衆議院議員選挙の期間中、都内九校で模擬投票が実施されております。

○原田委員 区市町村や民間団体での取り組みの拡大は、評価するところであります。
 今ご答弁の中で、都知事選挙、衆議院選挙によって独自事業が中止になったとのことでありましたけれども、本来であれば、選挙のあるときこそ関心も高まるところでありますので、中止になったのは大変残念なことだと思います。
 もちろん、両方ともスケジュールどおりの選挙でなくて、急遽ということでございますから、そこの事情はしんしゃくいたしますけれども、翻ってことしのことを考えてみますと、ことしは少なくとも都議選、参議院選という、都内全域で実施される大型選挙が二つ予定をされているところでございます。もちろんお忙しいこととは思いますけれども、こうした機会をとらえて事業を行うことこそ、効果的なのではないかというふうに思うところでございます。
 直前になりますと、アイドルを起用いたしたりしまして、広報活動が行われたりするわけでございますけれども、そういった直前の広報活動も、それはそれで意義があることだとは思いますけれども、本当の意味で関心を高めていく、そして社会をよくしていくためには、長期的に見た地道な取り組みが重要になってくるのではないかと思うところでありますし、そうした取り組みこそが本質的で効果的なのではないかなと思うところでございます。
 そこでお伺いいたしますけれども、来年度、都選管としてはどのような取り組みを展開していくのか、伺います。

○影山選挙管理委員会事務局長 先ほど申し上げましたとおり、模擬投票に取り組んでいる民間団体等により、昨年の都知事選挙及び衆議院選挙の期間中に、実際の候補者や名簿届け出政党に対する模擬投票が行われた事例がありまして、有意義だったというふうに聞いております。今後も、こうした団体に引き続き連携とか支援を続けてまいります。
 一方、選挙期間中に選挙管理委員会が主体となって実施することは、選挙事務の円滑な執行という点で困難な面もありますことから、都選管が主催する事業としては、都議会議員選挙及び参議院選挙の前後でそれぞれ一回ずつ、計二回の実施を予定しているところでございます。

○原田委員 それぞれ前後で一回ずつ、計二回ということでございますが、本当にいいチャンスでございますので、取り組んでいただきたいと思います。
 取り組んでいただくに当たっては、内容の充実にも取り組んでいただきたいと思うところであります。
 これまでの取り組みでは、有権者として投票する部分についての取り組みとなっているというふうにお伺いをしております。しかし、我が国では、一定の年齢になれば、だれしもが被選挙権も得るわけでございまして、当然、選ぶ側、そして選ばれる側の双方について理解を深めてこそ、本当の意味での主権者教育になるのではないかと思うところであります。
 模擬投票の取り組みなどでは、実際の器材を活用しているというふうにも聞いております。こうした実際の器材を利用した取り組みは、臨場感にもあふれて、生徒児童にとっても大変有意義なものと考えられます。
 そして、これは投票する側だけではなくて、投票される側でも同じことがいえるのではないかと思うのであります。実際の器材を使用しまして、立候補する側に立つこともまた重要な教育機会となるというふうに思うのであります。
 そこで、模擬投票に向けて、個人演説会等を行う際に、立候補者役も児童生徒に担わせることで、より効果的な取り組みになると考えますけれども、所見を伺います。

○影山選挙管理委員会事務局長 模擬投票において、立候補者役を児童生徒が担い、候補者として、例えば選挙公報やポスターをつくったり選挙演説などを行うことは、有権者とは異なる候補者としての視点から政治や選挙をとらえることを経験でき、事業の臨場感をより高めるという点からも大変効果的と考えております。
 都選管が開催した学校でも、今後は児童生徒に候補者役をやらせたいという先生の意見もあったところです。この取り組みにより、学校側の特徴や要望に応じた実施方法の選択も可能になるのではないかと考えております。
 都選管としても、今後、開催する学校のニーズにきめ細かく対応する中で、多角的な視点から、児童生徒が政治や選挙をとらえる効果的な方法を積極的に提案していきたいと考えております。

○原田委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 こうした取り組みでありますけれども、現状では、予算措置をしない中で、できる範囲の取り組みについて取り組んでいるようでありますけれども、そうした中でも都内に確実に浸透し、広がりを見せているということは、それはそれで大変すばらしいことではないかなというふうに思うところでございます。
 しかし、やはり現状では、事業が行われているのはどうしても限られた学校ということになってしまっているわけでありまして、今後、必要であれば予算づけするなどによりまして、内容を充実することも検討していっていただければなというふうに考えているところでございます。
 そこで、適切に予算を確保し、都内のより多くの児童生徒が実際に体験し、学習できる事業に育てていくべきと考えますけれども、お考えを伺います。

○影山選挙管理委員会事務局長 都選管としても、事業を拡大する方向で取り組んでおりまして、今後の事業に当たっては、教育機関ですとか若年層との意見交換等で出された提案を取り入れるなど、事業内容の充実を図ってまいります。
 一方、国においても、昨年五月に総務省と文科省による主権者教育のあり方等連絡協議会が設置されまして、児童生徒への主権者教育の充実に向けた検討が重ねられております。これらの検討を踏まえ、区市町村啓発担当者会議の場などを通じて、お互いのノウハウや経験などの情報の共有化を図り、財団法人明るい選挙推進協会などとも連携して、質の高い事業となるよう取り組みを進めていきたいと考えております。

○原田委員 最初にも申し上げましたけれども、我が国は国民主権の国でございますから、主権者一人一人が、よりよくこの世の中のことについて考え、そしてかかわっていくということが、我々のこの社会をよくしていく一番の本筋の道なのではないかというふうに思うわけでございます。
 そうした意味で、まだまだこれからできる取り組みというのはたくさんあると思いますので、そうした中で、選挙管理委員会としても、これまでの取り組みの知見を生かしていきながら、将来に向けて事業を拡大し、さらに量的にも質的にもよい取り組みを展開していただけるように期待いたしまして、私の質問を終わります。

○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○中山委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、青少年・治安対策本部所管分及び第二十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○中村総合対策部長 二月十八日の当委員会において要求のございました資料につきまして説明させていただきます。
 お手元の総務委員会要求資料、一ページをごらんください。都道における自転車走行空間の整備状況の推移でございます。
 本資料は、建設局の事業概要に記載されたデータをまとめたものでございます。
 都道における自転車走行空間につきましては、自転車レーンや自転車道等の整備により、平成二十一年度末において八十三・二キロメートルであったのに対し、平成二十四年度末においては百十九・五キロメートルとなる見込みでございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○中山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○原田委員 今回の都議会には、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例、いわゆる自転車条例の案が提案をされているところでございます。先ごろの予算特別委員会でも取り上げましたけれども、自転車はこの都内でも主要な代表交通手段となっておりまして、そうした実態を踏まえ、また、昨今の自転車に関する関心の高まりを踏まえたこの時期に、こうした条例案が提出されるということは、時宜にかなったものではないかなというふうに思うところでございます。
 しかし、肝心なことは、条例が制定されればですけれども、制定された後に、社会全体で取り組みを進めることでありまして、そのためにも、引き続き都の役割は重要であると思うところであります。
 この条例案が自転車の安全な利用の促進につながるかどうかというのは、具体的にどのように取り組みが進められるかにかかっているわけであります。この条例案の中では、条例上に別途幾つかの文書や組織を作成したり、あるいは設置したりすることになっておりますけれども、これらについてどのような形になっていくのか、確認をしておきたいと思います。
 まず、第八条において、知事は、都が実施する自転車安全利用促進施策及び都民等の取り組みを総合的に推進するための計画として、自転車安全利用推進計画を策定するということになっております。
 そこでお伺いいたしますけれども、現在でも東京都には交通安全計画があるわけでございますが、都の交通安全計画との関係を含む計画策定の趣旨や予定されている内容、スケジュール等について、お伺いをいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 自転車安全利用推進計画は、社会全体で自転車の安全利用対策を進めるための基本となるものとして策定するものでございます。計画には、行政、自転車利用者、事業者などの取り組みについて、安全教育、利用環境の整備などの分野ごとに記載する予定でございます。
 交通安全対策基本法に基づき、五年ごとに策定している都の交通安全計画におきましても、自転車に関連する記述はございますが、この自転車安全利用推進計画は、都の交通安全計画を踏まえ、本条例案に基づき、自転車の安全利用に関する取り組みをより詳しく明らかにするものでございます。
 条例施行後、関係者による計画の策定に関する会議を開催するとともに、都民の意見も聞きながら策定する予定でございます。

○原田委員 今、関係者の会議という話もありましたけれども、本当にさまざまな主体を巻き込むものでもあるでしょうし、また、今後の取り組みの基本となるものでもあろうかと思いますので、関係者、また広く都民の意見を反映した上で、しっかりしたものをつくっていただきたいなと思うところでございます。
 次、またお伺いしますけれども、第十条では、知事は安全利用指針を定めるとしているところでございます。この安全利用指針については、自転車利用者による技能、知識の習得や、関係者による教育が適切に行われるために作成されるとのことであります。
 そこでお伺いしますけれども、関係者との連携と、具体的にはどのように作成していくのか伺います。また、第十一条から第十六条までの規定との関係はどうなっているのか、お伺いをいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 条例案第十一条では、利用者が自転車を安全で適正に利用する上で身につけておくべき交通ルールなどを習得することが努力義務とされております。また、第十二条から第十六条では、事業者、家庭などにおいて、利用者に交通ルール等を習得させることが努力義務とされております。
 自転車の安全利用指針は、こうした努力義務が適切に果たされ、自転車利用者が安全で適正に自転車を利用できるようにするために作成するものでございまして、利用者が習得すべき技能や知識をわかりやすく記載する予定でございます。
 これらのうち、例えば交通事故に遭わないための乗車方法などについては、警察が把握している実際の交通事故の発生状況等に関する情報を踏まえる必要があり、また、児童等に対して交通ルールなどをわかりやすく伝えるためには、日ごろから児童生徒に向き合っている教育の現場の声なども生かすべきと考えられます。
 当本部といたしましては、こうした関係者と連携して、条例制定後、速やかに指針を作成することとしております。

○原田委員 今、わかりやすくという言葉も何度か出てきましたけれども、本当に各方面から参照される、あるいは都の方でパンフレットをつくる際には、そのものずばり、そのパンフレットの中身になるといったようなイメージもきっとあるわけでございましょうから、これは多くの方面の意見も踏まえつつ、実際に使われやすいものになるように作成していただきたいなというふうに思うところでございます。
 また、一種の標準的な文書ということになるんでしょうから、そういった意味では、当初、総花的なものになるかもわかりませんけれども、今後いろんな調査もしていくというようなこともありますので、利用実態に応じて、例えば、子どもたち向けにはこういうこと、あるいは成人の通勤に利用されている方にはこういうことが大切だとか、そういったターゲットを絞った形での取り組みも研究していただきたいなというふうに思うところでございます。
 次、またお伺いしますけれども、第二十条では、知事は点検整備指針を定めるとしております。この点検整備指針は、安全利用指針とはどのように異なるのか伺います。また、車体の性能等に関連するものであろうということがこの文言から想像できるわけでございますけれども、専門的、技術的な事項も多くなると思われるわけですけれども、どのように作成していくのか伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 自転車点検整備指針は、利用者が日常的に自転車を適切に点検整備することができるようにするため作成するものでございます。
 安全利用指針にも、自転車を点検整備すべきであることは記載する予定でございますけれども、点検整備指針には、具体的に日常的または定期的に点検すべき事項や整備の方法などをわかりやすく記載する予定でございます。
 指針の作成に当たりましては、自転車の構造等に関する専門的、技術的な知識が必要であることから、自転車製造事業者や販売事業者の団体などとも連携して、速やかに作成いたします。

○原田委員 よくまち中を歩いておりますと、キーという音をさせながら走っている自転車ですとか、実際にそういう自転車も多くあるわけでございます。やはり自転車は車両でございますので、その点検整備というのは、当然、周りの人にとってもそうですし、乗っておられる方にとっても、点検整備、安全性の確保というのは大変重要なことであろうかと思います。自転車が販売される際に、簡単なマニュアルということで添付されたり、あるいはホームページから必要なときに簡単にダウンロードできるような形にしたり、そういった形で、実際に効果的に活用されるものとなりますように検討いただければと思います。
 今まで、いわゆる文書的なものでございましたけれども、今度、組織的なものについてもこの条例上には記載がございます。
 二十四条におきまして、自転車道や自転車駐輪場等の整備に関して、都は区市町村その他の関係者と連携して必要な措置を講ずるとされております。
 その次の第二十五条では、利用環境整備のために、自転車利用環境整備協議会を置くことができるというふうにされているところであります。利用環境整備のための協議会をつくるとのことでありますけれども、これは実際に置かれる際には、常設に近いようなものなのか、あるいはごくごく限定的なものなのか、そういったことも含めてどのような運営を予定しているのか、その詳細をお伺いします。

○五十嵐治安対策担当部長 自転車の走行空間を整備し、利用者が安全に道路を走行できるようにするためには、道路管理者である国、都、区市町村と交通管理者である警察の連携が必要でございます。また、それぞれの場所における自転車利用環境の整備に当たりましては、沿道の事業者やドライバーなどの他の道路利用者に与える影響も考慮する必要がございます。
 そのため、都が自転車利用環境整備協議会を設置することとし、その協議会を、道路管理者や沿道の事業者、運輸事業者などのさまざまな関係者の調整の場とすることを想定しております。協議会は常設のものではなく、各地域の実情などを踏まえ、必要に応じて開催することを予定しております。

○原田委員 それぞれ各地の状況には地域差があるということもあるでしょうし、また、タイミングによっていろんな課題というのもあるでしょうから、そうしたことも踏まえて、適宜対応していただきたいなというふうに思う次第でございます。
 以上、条文について聞いてまいりましたけれども、もう一つ、条文に出てこないところでありますけれども、自転車利用に関連して重要な部分についてご質問させていただきたいと思います。
 我が党の代表質問に対しまして、スマートフォンを通じて駐輪場位置情報の提供を開始するという答弁がございました。駐輪場の計画的な整備、先ほど出てきました協議会などでの協議も通じてなされるのでございますけれども、駐輪場そのものの整備も大切でございますけれども、既存の施設を利用するということももちろん重要でありますし、また、実際に整備されたけれどもだれにも知られていないというのでは、意味がありませんので、新しく整備された施設に関しましても、やはり知られるということが重要でありまして、そういった意味においては、これはよい取り組みだと思うわけでございますけれども、情報提供事業について詳細をお伺いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 自転車の駐輪場に関する情報は、これまでも、インターネットに地図を掲載する事業者などにより、自転車利用者に提供されてまいりましたが、情報の内容は、各事業者が独自に収集したものにとどまっております。
 そこで都は、区市町村を通じて、公営、民営を問わない多数の駐輪場の位置情報のほか、その利用時間や料金などの情報を収集し、都のホームページに公表することといたしました。地図サービス事業者が都の公開情報を活用することで、より多くの駐輪場に関する詳細な情報が自転車利用者に提供されることとなります。最も早い事業者は、四月から、都の収集した情報をインターネットサイトに掲載する予定でございます。
 都は、随時、駐輪場情報を更新するなど、継続的に駐輪場情報を提供してまいります。

○原田委員 もう四月から、早いところでは始まるということで、この活用にも期待が集まるところでございます。当然、取り組みを始めても、その取り組み自体が知られなければ、またしようがないところもありますので、その取り組みの広報についても取り組みを進めていただきたいと思いますし、またあわせて、この事業の中身そのものも取り組みを進めていただきたいと思うところでございます。
 本当に、私が子どものころ自転車に乗っていたころは、便利なものでもサイクルコンピューターと、速度と距離ぐらいが出るものでございましたけれども、今や自転車用のカーナビにも匹敵するような自転車ナビというんでしょうか、そういったものも販売されていたり、そこまでいかなくても、スマートフォンのサイトで同等の機能を果たすようなものもあるわけでございまして、こうした情報技術を活用した取り組みというのは、本当に重要になってくるのではないかなと思います。
 それとあわせてなんでございますけれども、実際にその場に行って、どこに駐輪場があるのかということがわかるということも、やはり大切なことだと思います。駐車場ですと、よくPというマークがあって、空とか満とか書いてあるようなのがセットであると、ああ、ここは駐車場なんだなと思うわけでございますけれども、私も車を運転しておりまして、車をとめようとしてそのサインを目がけて行ったら、そこが駐輪場だったと、同じようにPと、空と満というような文字を組み合わせて使っておりまして、混乱したなんていうこともありました。
 実際に、二輪車のものも含めて、四輪車の駐車場、二輪車の駐車場、そしてまた自転車の駐輪場という形で、さまざまな形の駐車施設が今後都内にも広がっていくことと思いますけれども、それぞれの区別をしていくということも大事でありますし、また、今回は自転車ですから、自転車に関して、ここに自転車駐輪場があるんだというようなこと、例えば、東京においては、新しく外側にどんとわかる形でつくられるというよりは、やはり都心ですと、ビルの地下ですとか、あるいは敷地の奥の方ですとか、そういった目立ちにくいところ、あるいは今まで余り活用されてこなかったところも含めて、整備というのが進んでくることになるでしょうから、より一層、自転車駐輪場がどこにあるのかというのが現場でわかる仕組みというのも大切になってくるかと思います。そうしたことで、位置情報サービスとあわせて、リアルな場面での案内の充実ということにも取り組んでいただければというふうに、これは要望しておきたいと思います。
 こうしたさまざまな取り組みを進めていただいて、やはり自転車の普及あるいは利用の拡大のかぎは、一番には安全ということでございましょうから、自転車の安全な利用の促進に向けて、今後とも取り組みを進めていただきますように申し上げまして、私の質問を終わります。

○吉原委員 都がこのたび提案をしております自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例につきましては、我が党としても全面的に賛成しているわけでございまして、ぜひいいものをつくっていきたいなというふうに思っているところでございます。
 きょうは、この場では、駅前の放置自転車問題について何点か質問させていただきたいと思っています。
 駅前の放置自転車の実態を把握するために、これまで都では、放置台数について調査をいたしまして、結果を取りまとめ、公表してまいりましたが、放置台数は平成二年から年々減少して、平成二十三年はピーク時の五分の一の約四万二千台まで大きく減少してまいりました。私の地元の町田でも、平成十二年当時は放置台数が二千四百台を超えている状況でございましたけれども、市や関係機関が連携をいたしまして駐輪場の整備などを進めてきまして、平成二十三年には百八十三台までに減少いたしました。放置自転車の実態調査は、都や市区町村が具体的な施策を進めるとともに、その成果を確認する上での基礎データとして、とても重要であると思っています。
 そこで伺いますけれども、そもそも放置自転車台数の調査はどのような経緯で実施をされ、どのような形で集計、公表が行われてきたのか、お伺いをいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 駅周辺の放置自転車などの台数につきましては、内閣府が昭和五十二年から隔年で都道府県を通じて調査を実施しておりまして、都内につきましては、区市町村が集計した台数を都が取りまとめてございます。また、内閣府が調査を実施しない年は、都が区市町村の協力を得て調査を実施しております。
 放置台数の確認は、毎年十月の晴天の平日、午前十一時ごろに実施されておりまして、駅からおおむね五百メートル以内の区域に放置されている自転車などを集計しております。
 なお、各駅ごとに、自転車につきましては百台以上、原動機付自転車と自動二輪車は、合わせて五十台以上の場合を計上しております。
 都は例年、前年の十月に実施した調査の結果を翌年度に公表しておりまして、昨年十月の調査結果につきましても、二十五年度の早い時期に公表する予定でございます。

○吉原委員 調査結果につきましては、国、都、市区町村で共有されて、それぞれが実施する対策に生かされている、こういうことだと思います。
 しかしながら、今お話ございましたけれども、自転車百台以上、そしてバイクと原付は合わせて五十台以上だけを計上する、こういうことでございます。全国的に見れば、特に地方はそうだと思いますけれども、百台に満たない放置自転車は問題とされない地域もたくさんあるんだろうと思いますけれども、しかしながら、十分なスペースがない都内の多くの駅の周辺については、数十台の放置自転車が通行の妨げとなったり、あるいは美観を損ねる、こういった問題が生じているわけでございますので、全国一律の調査方法では、東京の実情を反映できないのではないかなというふうに思っています。
 国の調査は国の調査といたしまして、次回から、東京都は独自に、百台未満もきちんと集計して公表すべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 駅周辺の放置自転車は、駅ごとの台数が百台に満たない場合であっても、歩行者の通行を妨げるなど対応が求められる課題であると認識しております。このため、きめ細かく放置の実態を把握し、放置自転車を解消するための対策に生かすことが必要でございます。そこで、都は、昨年の調査において、放置自転車について、百台未満の駅も報告の対象とするよう区市町村に依頼したところでございます。
 今後は、統計の連続性にも留意しながら、これまでの基準による調査結果だけではなく、百台未満の駅の放置自転車を集計した調査結果についても、あわせて公表することといたします。

○吉原委員 大変細かく公表していただけると、こういうことでございますので、ありがたいことだと思いますけれども、バックデータは詳細なほど実態を正確にとらえることができるわけでございますので、今後は、こうした取り組みを継続的に行っていただきたいと思います。
 さらに、実態を把握するだけでなく、放置自転車を解消するために有効に活用していく、こういうことが大切ではないかと思います。より詳細な実態調査を取りまとめるだけでなく、放置自転車解消に向けて市区町村等の取り組みを後押ししていくべきである、こういうふうに思いますけれども、都の取り組みについて伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 放置自転車対策は、身近な自治体である区市町村が中心となって取り組みを進めております。
 都はこれまで、区市町村などと連携して、毎年十月に駅前放置自転車クリーンキャンペーンを実施し、駅周辺の放置自転車の防止について啓発を行ってまいりました。
 さらに、今回の条例案では、放置自転車問題の解決に向け、区市町村が道路管理者や鉄道事業者などから成る協議会を設置した際、区市町村の申し出などにより都が必要な協力を行うことや、自転車の利用環境を整備するための協議会を都が設置できることを規定しております。
 既に、東京駅周辺につきましては、都と警視庁が連携し、地元区、鉄道事業者、地域商店会などの関係者を集めた対策会議を開催し、関係者がそれぞれの立場で取り組む事項を、短期的に実現可能なものと中長期的な対応が必要なものに分類して検討しているところでございます。
 都は引き続き、区市町村と連携した放置自転車防止の啓発を行うとともに、こうした協議会の設置や放置自転車の解消に資するノウハウの提供などによりまして、区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。

○吉原委員 放置自転車の問題も含めまして、自転車の安全で適正な利用を進めるためには、行政や民間企業、学校や地域、そして家庭など、社会全体で対策に取り組まなければならない、こういうことはもういうまでもございません。都といたしましても、条例制定を機に、より一層の自転車安全対策に取り組んでいただくことを期待したいと思います。
 最後に、自転車条例の七月一日施行に向けて本部長の決意を改めて伺いまして、発言を終わりたいと思います。

○樋口青少年・治安対策本部長 自転車は、都民の生活に密着した利便性の高い乗り物ですけれども、一方で、交通ルール、マナーに反する運転が問題となっております。特に、交通事故の問題は今なお深刻でございます。昨年も、戦後最も少なかったとはいえ、都内で百八十三人ものとうとい命が交通事故で失われております。このうち三十四人の方は自転車利用中に亡くなられた方です。
 社会全体の取り組みにより、究極的には、こういったとうとい命が交通事故で突然失われる、そういったことをゼロにしなければならないと思っておりますけれども、そのためには、自転車については、利用者自身が交通ルールを学び、守るだけでなく、企業、家庭等における安全対策、警察による悪質な利用者に対する指導取り締まりのほか、行政といたしましても、交通安全教育の徹底、安全な走行空間の整備、放置自転車の防止といったさまざまな施策を、関係機関、関係事業者、関係団体とも協力して総合的に進めていく必要があると考えております。
 このたび提案しております自転車安全利用条例案は、知事が代表質問に対して答弁いたしましたとおり、自転車利用者の規範意識を高めるとともに、社会全体で自転車の安全で適正な利用を促進するためのものであります。
 都民の安全で安心な暮らしを守る青少年・治安対策本部の本部長としまして、関係部局と一丸となって、交通事故のない社会を目指して全力で取り組んでまいります。

○橘委員 私は、昨年十一月の総務委員会で、自転車安全利用条例の制定に向けた検討状況について何点か伺いました。
 特に、ヘルメットの着用と保険の加入については、義務化するのかどうか、これを質問したわけですけれども、これに対する答弁は、さまざまな要素を総合的に判断しながら検討するというものでございました。
 結果的に、今回の条例案については、ヘルメット等の安全器具については、第十九条で利用するよう努めるものとするとしており、保険については、第二十七条で、保険等への加入その他必要な措置を講じるよう努めなければならないと、それぞれ規定されております。いずれも努力義務としておりますけれども、最終的にこのような案になった理由について伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 ヘルメットの着用は、事故発生時の被害の軽減に効果があり、また、保険への加入は、事故発生時の被害者の補償をより確実なものとし、加害者の経済的負担を減らすための備えとして重要でございます。
 他方、ヘルメットの購入や保険への加入には、自転車利用者などに経済的な負担が発生する側面がございます。また、現状におきましては、特にヘルメットの普及率が低いことなども勘案いたしまして、これらにつきましては、まずは自転車利用者などの取り組みを促す規定としたところでございます。

○橘委員 自転車の安全利用につきましては、義務規定ではないけれども、ヘルメット、保険などの努力規定、これによって意識が高まる契機になろうかと思います。こうした自転車利用者の努力だけではなくて、社会全体での取り組みを進めることが重要であると考えます。
 条例案にも、自転車販売店等の関連事業者だけでなく、事業者一般に関する規定がさまざま盛り込まれております。改めて、一般の事業者はこの条例により具体的に何をしなければならないのか、確認しておきたいと思います。

○五十嵐治安対策担当部長 条例案では、業務に自転車を使用する事業者については、従業員に対する安全指導、使用する自転車の点検整備、保険への加入などが求められております。
 また、従業員が自転車で通勤している事業者については、従業員に対する安全指導のほか、通勤用自転車が適切に駐輪されるよう駐輪場所を確保するか、または駐輪場所が確保されていることの確認が必要となります。
 そのほか、顧客などが自転車を利用して事業所に来られるような自転車の駐車需要を生じさせる事業者につきましては、顧客などの自転車が適切に駐輪されるよう、駐輪場所の確保または違法駐輪をしないことの啓発が求められます。

○橘委員 自転車に関する条例の制定は、我が党がかねてから主張してきたものでありますけれども、この内容を利用者が実行する、あるいは社会全体で確実に実行してもらうためには、条例自体の広報啓発が欠かせないと私は考えます。自転車利用者だけでなく、事業者も自転車の安全利用に取り組むべきという社会的な機運は、残念ながら現状では十分ではないように思えます。そうした中で、事業者に着目したこれらの規定を条例化したことは、高く評価できると思います。
 事業者の意識を高めるためにも、条例内容の周知が必要なわけですけれども、この条例は七月一日施行とのことでありますけれども、事業者に対する周知について、都は具体的にどういうふうにして取り組んでいくのか、この点について伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 自転車を使用する事業者、従業員が自転車通勤をしている事業者、自転車の駐車需要を生じさせる事業者につきましては、規模の大小や業種を問わず、多数の事業者が該当するものと認識しております。
 都といたしましては、自転車の利用に関係するすべての事業者が、自転車の安全利用について意識を高めるとともに、条例上求められる措置を講じていただけるよう、ホームページに条例の内容に関するQ&Aを掲載するほか、「広報東京都」を活用するなどして広報を行ってまいります。
 また、事業者向けのリーフレットを作成し、商工団体などを通じて配布するほか、事業者に直接説明する場を設けるなど、きめ細かな啓発に努めるとともに、事業者における取り組みについても広く報道されるよう、報道機関にも積極的に情報を提供してまいります。

○橘委員 今、答弁で、ホームページに条例のQ&Aを掲載、それから「広報東京都」などを通じて広報するという答弁がございましたけれども、自転車は子どもからお年寄りまで利用する。また、ほぼ同じ道を一緒に使うわけでありまして、この人たちがホームページとか広報なんかに目を通すのかというと、余りそういう機会はないように思います。したがって、文字だけではなかなか浸透しないというのが現実であろうかと思います。
 したがいまして、何らかの、東京都の広報媒体の中のテレビとか、それから映像等による活用、これも検討していただきたいと思います。これは意識の啓発の上で非常に大事だと思いますので、この点については要望にとどめておきますけれども、具体的に検討していただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。

○吉田委員 私も、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例について質問いたします。
 特にお伺いをしたいのは、自転車道の整備に関してです。自転車道の整備は、安全利用の土台ともなるもので、都はもちろん、行政固有の責任に属する課題だと思います。
 条例では、第二十四条で自転車道の整備に関する都の責務を定めています。明確な義務規定なら講じなければならないとの規定も考えられますが、条例は、必要な措置を講じるものとするという旨、規定をしています。この点について、なぜこうした規定をしたのか、まずご説明をお願いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 講じるものとするという文言と、講じなければならないという文言の違いということだと思いますけれども、これは、語感の違いあるいは言葉のニュアンスの違いということになるかもしれませんけれども、講じなければならないと規定した場合は、そこから都に新たな義務が生じるようにも読めるということだと思います。しかし、道路環境などの整備につきましては重要な行政課題でございまして、この条例によって新たに義務が生じるものではなく、既に取り組まれてきた事項であるというふうに考えております。
 そこで、本条例案におきましては、講じなければならないではなく、確認的な意味合いで講じるものとするとの責務規定を置くことで、道路環境等の整備の重要性を明らかに示したということでございます。

○吉田委員 当然のことだというご答弁だと思うのですが、イギリスの自転車政策について紹介をした文献を読んでみますと、イギリスの自転車政策を見て考えさせられるのは、どんな困難に直面しても自転車を優遇するインフラと制度をつくっていくことだという強固な意思であると、その努力が日本とイギリスの格差を生んでいる原因ではないかという旨の記述がありました。
 そこで、本日の委員会に整備状況の資料を提出していただきました。この資料によりますと、新設を除けば、例えば既設の歩道で年間整備されたキロ数を見ますと、平均で四・八キロ、車道で整備された距離を年平均で見ますと一・七キロ、合わせて、既設の車道、歩道の自転車道整備は、平均で年六・五キロということになっています。島しょを除く都道の総延長が二千キロというふうに紹介されていますが、これまでのペースでは、百キロ分を整備するのに約十五年かかるということになります。
 改めて、当然のことではございますけれども、目標を明確にして推進する必要があると思いますし、この条例によってこうした自転車道の整備はどう促進されていくのか、この点についてご答弁をお願いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 本条例の第二十四条におきまして、自転車の安全で適正な利用を促進するために安全利用環境の整備が必要であると、都はそれに対して、関係機関と連携して必要な措置を講じるものとすると、都の責務を規定しております。そのための具体的な方策として、その次の第二十五条において、走行空間の協議会を設置するというようなことも盛り込んでございます。
 そのような取り組みを通じて、先ほどの東京都が策定いたしました自転車空間の整備計画、これを計画どおり達成していくというふうに、必要な働きかけを行っていきたいというふうに考えております。

○吉田委員 東京都建設局は、昨年、東京都自転車走行空間整備推進計画というものを立てまして、その中で、現時点での都道の整備実績、これは二〇一一年度ですけれども、百十二キロとなっておりますが、既設道路の整備で、今後九年間で新たに百九キロ整備するという目標を掲げています。これだと年平均十二キロ整備する必要があるわけで、これまでの努力を、単純に計算すれば二倍に引き上げる必要があると、直接的には、これは建設局の責任が問われる事業なんですけれども、参考までに、建設局の来年度の予算で自転車走行空間の整備がどうなっているかというふうに見ましたら、予算額は今年度と来年度も同じで六億八千万円、距離数にすると、来年度の整備距離は四・三キロと、これはもちろん既設だけですから、それ以外に新設の道路ができれば、そこに自転車道がついていれば、これに加算されるということですが、この推進計画自身で定めたものは、既設道路の中でどれだけ整備するかということですから、果たしてこのペースで大丈夫なのかという疑問もわくわけですけれども、直接的には建設局の事業でありますが、ぜひ、新たに成立するであろう条例の所管局として、大いにイニシアチブを発揮していただきたいと、これは要望として述べさせていただきます。
 次に、自転車道の整備といっても、私も詳細に把握しているわけでありませんけれども、交差点の形状などによって、安全な自転車道の整備のあり方というのは異なるのだということを専門家は指摘しています。
 先ほど紹介した本でも、例えば自動車の左折レーンがある場合、左折する自動車と交錯することなく自転車が直進できる仕組みをどういうふうに進めていくのか。例えば自転車専用の信号機をつけるのか、それとも一時停止の位置を自動車と自転車とで差をつけることによって、優先的に自転車を先に直進させるのかとか、そういうことがありますし、さらに、Y字型に、道路が二またに分かれる場合に、歩道寄りの自転車がどう右方向に進めるのかということも課題だと書いてありました。
 なるほどなというふうに思ったのですが、もちろんそうしたことは既に検討されていると思いますけれども、そういう問題についてどのように対応されていくのか、ご説明をお願いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 ただいまお話のございました交差点部における安全対策、これは非常に重要でございまして、自転車事故の多くが交差点で起こっていると、そういう実態を踏まえれば、交差点における安全対策をどうしていくのかということが、非常に重要な課題として浮かび上がってくるわけでございます。
 これにつきましては、昨年の秋に、国土交通省及び警察庁が安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインというものを作成しておりまして、その中で、交差点の空間の安全対策等につきましてのガイドラインを示しております。先ほど申し上げました建設局における整備計画、こちらについても、そうしたガイドラインを踏まえて、必要な措置を講じていくものというふうに了解しております。

○吉田委員 自転車道の整備は、一定の時間がかかることは当然わかりますけれども、こうした明らかに、例えば交差点などで直ちに改善すべきような点があれば、ぜひ柔軟に対応を促進していただきたいというふうに思っております。
 次に、自転車の利用促進とともに安全利用を図るために、自転車駐輪場の整備は極めて重要な課題だと思います。先ほども議論がありました。この点で、条例第七章第二十九条は、事業者に対して自転車の駐車場の確保について定めを設けております。こうした条文を設けることによって、これまでとどのように事業者に対する整備促進を促すことになるのか、その点についてご説明をお願いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 自転車の駐輪場の整備につきましては、区市町村の定める条例において義務づけできるという規定がございます。
 具体的に申しますと、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、いわゆる自転車法という法律ですけれども、この法律におきまして、地方公共団体は、大量の駐車需要を生じさせる施設で条例で定めるものを新築し、または増築しようとする者に対し、条例で自転車等駐車場を設置しなければならない旨を定めることができるというふうに規定してございます。この法律に基づきまして、駐輪場の設置義務を課すことができるということになっておりますけれども、その対象となるのは、大量の駐車需要を生じさせる施設の新築などに限られているということでございます。
 そこで、この条例案におきましては、施設の規模の大小や新築かどうかを問わず、事業者に広く違法駐輪防止の取り組みを求めるために、自転車法のこうした規定に抵触しないように、駐輪場の設置を、義務ではなく努力義務という形ではございますけれども、規定しているということでございます。

○吉田委員 最後に、条例は、ヘルメット利用や自転車損害賠償保険などへの加入に努めなければならないと規定をしています。
 ヘルメットに関しては、埼玉県や京都府の条例でも盛り込まれていますけれども、高齢者や、あるいは子どもなどに対象を限定するということに対して、提案されている条例は、年齢制限がなく、全利用者を対象に努力を求めるという条例になっていると思います。
 そこで、もちろん個人の判断にゆだねられるものではありますけれども、こうした課題促進のために、都としてどのようなことを検討されているのか、ご答弁をお願いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 自転車の安全利用を促進するためには、まず利用者の規範意識が求められるというふうに考えております。
 都といたしましては、利用者が車両の運転者としての自覚と責任を持って安全で適正に自転車を利用するよう、区市町村、関係機関、団体等とも連携して、交通ルール、マナーの遵守だけではなく、今お話しのございましたヘルメットの着用や保険の加入などについても、その重要性を理解してもらえるように広報啓発に努めてまいります。

○星委員 それでは、私からは、青少年・治安対策本部に向けて、二つのテーマの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、東京都青少年問題協議会について質問をさせていただきたいと思います。
 大人はもとより、子どもたちにも急速に携帯電話、インターネット端末が普及しており、スマートフォンを持つ子どもも多くなっております。こういった市場も拡大の一途です。電車の中で、ずっとスマホでゲームをしていたりする光景をよく見かけます。食事のときも寝るときも携帯電話をそばに置いて、メールが来たらすぐに返信することに気を使っている子も多いという話を聞いています。しかし、日常生活の中で、子どもたちがスマホや携帯に過度な時間と意識を費やしていることについては大変心配をしています。
 そういう中で、第二十九期の東京都青少年問題協議会においては、青少年のインターネット、携帯電話への依存についての調査研究というテーマで検討審議しているということをお伺いをしております。今回どうしてこの問題を取り上げたのか、その理由をお伺いをいたします。

○坂田青少年対策担当部長 教育庁の平成二十三年度の調査結果によりますと、中学生、高校生の約二割の生徒が、携帯電話でのメールを一日に三十回以上、送信または受信を行っております。また、高校生の二五%以上が、インターネットのサイトを一日のうち二時間以上利用していると回答しているなど、過度に、また長時間、インターネットや携帯電話を利用する子どもたちがいることがうかがえます。さらに、最近、多くのメディアで、インターネット、携帯電話への依存の問題が取り上げられており、深刻な事例も生じております。
 一方、青少年のネット、携帯への依存につきましては、都としてはまだ十分に問題の把握はできていない状況でございまして、この問題の現状と子どもの心身に及ぼす影響を調査研究するため、東京都青少年問題協議会でこのテーマを取り上げたものでございます。

○星委員 大人であれば、仕事によって一日に多くのメールを打ち、インターネットで長時間調べ物をするということはあります。しかし、子ども、若者においても、魅力的なゲームや音楽、動画、チャットを使用しての友達とのやりとりや、学校教育現場の場でもITを使っての教育が進められているなど、今日、人間同士の顔の見える直接的なコミュニケーションが少なくなり、携帯やパソコンを通じた間接的なコミュニケーションや、画面上における擬似的な体験がふえている状況は、子どもの心身に何か影響を及ぼすのではないかとも心配をしております。
 今回、東京都の青少年問題協議会が青少年のネット、携帯への依存について調査研究することは大変意義があることと期待しております。
 そこでお伺いをいたしますが、協議会における審議の体制、現在の検討状況、今後のスケジュールについてはどうなっているのでしょうか。

○坂田青少年対策担当部長 青少年問題協議会におきましては、昨年十二月の第一回総会におきまして、今回のテーマで審議することを決定いたしました。学識経験者十三名で構成する専門部会を設置しまして、具体的に検討を開始したところでございます。
 現在まで二回の専門部会を開催いたしまして、精神科医や元教員の委員などから、ネット依存と診断する場合の症状や子どものコミュニケーションに及ぼす影響などにつきまして意見を聴取しております。
 来年度も、引き続き、おおむね月一回のペースで専門部会を開催いたしまして、幅広く専門家等から考えや意見を収集するとともに、必要に応じて委託調査を実施してまいります。

○星委員 ぜひ調査研究を進めて、早期に一定の成果を出していただきたいと思います。
 その上で対策も検討していただきたいですけれども、社会において進化し続けるITが一方でありながら、大人はよくて、青少年に対しては歯どめや規制を強化するということになるのだとしたら、それは私は疑問を持つものであります。大人も子どもも同様、みずからの心身の自己管理能力、メディアリテラシー向上が必要であるというふうに思います。携帯に夢中になり、子育て中の親が子どもに向ける注意が散漫になったり、パソコン、携帯で視神経を酷使し、健康を害するということもお伺いしております。
 諮問の内容は、ネット依存ということで、協議会には精神科の医師がメンバーにもいらっしゃるようですけれども、身体における影響という点でも、眼科の医師や、あるいは電磁波についての専門家なども登用していただきたいということを強く要望いたします。
 次に、私も東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例についてお伺いをいたします。
 これまでの委員会質疑でも、また今回の本会議でも、自転車の駐輪場の問題について質問をしてまいりました。
 放置自転車対策については、自転車安全利用条例案では、都が駐輪場を含む利用環境の整備を図るという規定のほか、事業者に対して二つの規定が設けられています。一つは、駐車需要を生じさせている事業者による駐輪場所の確保や啓発の努力義務、もう一つは、従業員の通勤用自転車についての事業者による駐輪場所の確保や確認の義務です。後者については今回の議会で既に幾つか議論がありますので、前者についてお伺いをしたいと思います。
 この努力義務の趣旨は何か。また、駐車需要を生じさせている事業者とは、聞きなれない表現ですけれども、具体的にはどのような事業者を指すのでしょうか。

○五十嵐治安対策担当部長 事業者の店舗や事務所などに顧客等が自転車を利用して来訪する場合、その自転車をどこかに駐輪する必要が生じます。この場合、事業者が事業を行うことによって顧客等が駐輪する必要性、つまり駐輪需要が生じているということでございまして、本条例案では、業種や規模の大小を問わず、こうした駐輪需要を生じさせる事業者について、違法駐輪を防止する措置を求めることといたしました。
 具体的には、顧客が自転車で施設にやってくるスーパー等の小売店舗、駅、文化施設を運営する事業者や、取引先が訪れる事務所を有する事業者等が広く対象となります。
 なお、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律におきまして、自転車等の大量の駐車需要を生じさせる施設の設置者という表現がございまして、本条例案の用語はこれに倣ったものでございます。

○星委員 違法駐輪をしないことは利用者の責任ではありますけれども、事業者側にも一定の責任があるという発想だというふうに思います。一台一台の違法駐輪が全体として大きな迷惑となるのですから、広範な事業者に努力義務を課すことは理解できますけれども、高層ビルや商店街の小規模な店舗のように、現実には事業者が駐車場所を確保することが困難な場合もあります。このような場合、事業者はどうするべきだというふうに東京都は考えていますでしょうか。

○五十嵐治安対策担当部長 条例案では、事業者が駐輪場所を確保することや顧客等に対して駐輪場を利用するよう啓発することなど、違法駐輪を防止するために必要な措置を努力義務化してございます。
 お尋ねのような場合におきましては、店舗や事務所の周辺に違法駐輪が生じないよう、近隣の駐輪場の利用を呼びかけることなどの取り組みを行っていただくということになります。

○星委員 大規模な商業施設などにおいては、区市町村の条例で駐輪場の附置義務が課せられています。こうした義務とこの条例案の努力義務との関係はどうなっているのでしょうか。附置義務に基づく駐輪場があれば、東京都の条例の努力義務を果たしていることになるのでしょうか。

○五十嵐治安対策担当部長 先ほどご答弁いたしましたとおり、区市町村の条例では、大量の駐車需要を生じさせる施設に対し駐輪場を設置する義務を課してございますが、対象は新築の施設などに限られております。他方で、本条例案の努力義務では、駐車需要を生じさせる施設の規模の大小や新築かどうかを問わず、広く違法駐輪防止に向けた取り組みを求めております。
 区市町村条例の義務により駐輪場整備を行っているとしても、来訪する顧客等の自転車の数が駐輪場の収容台数を上回り、施設周辺の路上などに放置されていれば、結果的に駐輪場が不足しているということでございます。この場合、施設を運営する事業者には、さらに駐輪場所を確保するか、近隣の駐輪場を利用するよう啓発するといった努力が求められることになります。

○星委員 施設にしっかり駐輪場所が確保されていることは、違法駐輪の防止にもなり、また、施設利用者にとっては、周辺の駐輪場を探さなくても目的地に駐輪できるようになり、自転車の利便性も増していきます。事業者においてこうした取り組みがしっかり行われるよう、違法駐輪防止に向けた意識を向上させる都の取り組みを要望したいと思います。
 秋の委員会の事務事業質疑では、この都庁の駐輪場についても質問させていただきました。実際、都庁の周辺の道路にも相当数の自転車が放置されています。近隣の高層ビルの来場者の自転車かもしれませんけれども、都庁に用事のある人や、都営地下鉄の都庁前駅の利用者の自転車も含まれるのではないかというふうに考えます。駐車需要を生じさせる事業者である東京都自身の取り組みを改めて要望したいと思います。
 また、まちの小さな店舗や商店街でほんの少しとめるだけの場合も、厳密には条例は適用されるのですけれども、もともと自転車は車両であるという意識を改めて一人一人に持っていただくことがこの条例の趣旨であることから、都民への条例の周知徹底については、東京都自身が積極的にきめ細かく行っていただくことを要望して、質問を終わります。

○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。

○中山委員長 これより知事本局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、知事本局所管分及び報告事項、「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○原田委員 都は本年一月、「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三を作成したところであります。当初は、昨年じゅうに発表する予定と聞いておりましたけれども、前知事の突然の辞任によりまして作業が中断、新知事就任後、一カ月で急遽発表というような変則的なスケジュールになったところでございます。
 大もととなっております「二〇二〇年の東京」自体、一昨年の十二月に、それまでの「十年後の東京」を衣がえしてつくられたものでございまして、その際、同時に、「二〇二〇年の東京」への実行プログラム二〇一二というのがつくられたわけでございますけれども、一年経まして、この実行プログラム自体も名前を変えまして、アクションプログラムというふうになって発表されたところだというふうに受けとめているところでございます。引き継がれたものだということにいたしますと、実行プログラムはもともと毎年改定するというふうにされておったものかと受けとめているところでございます。
 こうした中、知事が交代したわけでございますけれども、知事交代に伴って、都の基本計画も改定されて当然という考え方も出てくるかと思いますけれども、もしそうしたとらえ方をすれば、この実行プログラム、アクションプログラムと名前を変えたわけでございますけれども、これのみならず、「二〇二〇年の東京」本体も改定すべきというような意見も出てきてしかるべきだったのかなというふうに思うところでございます。
 そこでお伺いしておきますけれども、今回の改定はどういう位置づけなのか、伺います。

○澤計画調整部長 今、理事からお話のあったとおり、一昨年の十二月に、新たな長期ビジョンでございます「二〇二〇年の東京」並びにその具体化を図ります三カ年計画である実行プログラム二〇一二を策定したところでございます。この「二〇二〇年の東京」では、三カ年計画を毎年度改定することとしてございまして、今年度も、上期から実行プログラム二〇一二の改定に向けた作業を順次進めていたところでございます。
 そのような中、昨年十二月に知事の交代という事態が起こりました。この段階では、既に実行プログラムの改定作業は最終段階に入ってございました。就任をいたしました猪瀬知事は、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を目指す二〇二〇年の東京の姿と、それに向けました政策展開を示した「二〇二〇年の東京」につきまして、これを継承するという方針を明確にいたしました。さらには、新しい知事のもとでの政策展開の方針をできるだけ速やかに都民にわかりやすい形でお示しをする必要も生じました。
 こうしたことから、まずは「二〇二〇年の東京」の目標達成に向けた取り組みを充実強化すること、さらには新知事の方針を都民の皆様にお示しすること、この二点を軸に、今回、三カ年計画を改定することといたしまして、本年一月にアクションプログラム二〇一三として策定、発表したものでございます。

○原田委員 基本的には、これまでの流れの一環の中に知事の新しいものものせていったというような形で受けとめられるものだと理解をするところでございます。
 その大もとになりました「二〇二〇年の東京」の方でございますけれども、そのときの副題といたしまして、大震災を乗り越え、日本の再生を牽引するといった副題がついておりました。これも本当に当時の空気感の中で、大震災の影響というものが色濃く反映されたものになっているわけでございます。
 そうした中で、合理的な政策体系をつくっていくというよりも、メッセージ性を強く出すというところが強く打ち出された部分もあったのかなというふうに思うところでございまして、これは昨年の予算特別委員会の中で私も取り上げましたので、きょうは詳しくは挙げませんけれども、計画といたしますと、基本のところでは八つの目標と二十二の施策があるということでございますけれども、これとは別に、十二のプロジェクトというものが特別に掲げられていたという形になっていたかと思います。
 今回継承したということでございますけれども、アクションプログラムの中には、目標と施策の体系とはまた別途、重点事業というものが出てきておりまして、二〇二〇年の本体の方にも、目標、施策とは別に十二のプロジェクトがあると、アクションプログラムの方にも、目標、施策とは別に重点事業ということが挿入されてきておりまして、ますます複雑になってきているのかなというふうに、拝見させていただいてそう感じるところでございます。
 そこでお伺いしますけれども、十二のプロジェクト、それから重点事業と、ともに施策のいわば体系からはみ出しているようにも見えるわけでございますけれども、それぞれどのような位置づけなのか伺います。

○澤計画調整部長 まず、十二のプロジェクトでございますけれども、長期ビジョンでございます「二〇二〇年の東京」の政策展開を支えるためのプロジェクトでございまして、「二〇二〇年の東京」に掲げました八つの目標の達成のために、十年間というスパンで戦略的に展開をしていく取り組みでございます。
 また、重点事業でございますが、猪瀬知事が「二〇二〇年の東京」を継承するとしたことから、アクションプログラム二〇一三において、選挙公約で掲げました取り組みを初め、新たに取り組むべきもの、取り組みを加速すべきものを、「二〇二〇年の東京」に掲げました八つの目標ごとに整理をしてお示しをしました。これが重点事業でございます。

○原田委員 重点事業にしましても、後ろにありますこれまでの施策と重複しているものもあるわけでございますし、また、これは十二のプロジェクトも同じことでございます。こうした重複、特別に取り出しているという側面も中にはあるのかもわかりませんけれども、こうした重複があることが、より一層、この政策の体系というものを複雑に見せている要因でもあるわけでございますけれども、ただ、これを活用していくに当たっては、複雑だとしても、それをきちんと理解して、使いこなしていかなくてはならないわけでございます。
 そこでお伺いしますけれども、重点事業と十二のプロジェクトの関係性、これはどのように整理されているのか伺います。
 それとあわせて、当然、目標があって施策があるという、一般の計画にもある普通の体系があるわけでございますけれども、こうした体系との関係性はどうなるのか、お伺いいたします。

○澤計画調整部長 先ほどもご答弁をいたしましたとおり、まず十二のプロジェクトにつきましては、長期ビジョンの「二〇二〇年の東京」を推進していくために、二〇二〇年で示しました八つの目標に沿いまして、必要な取り組みをお示ししたものでございます。
 次に、今回の三カ年計画で位置づけました重点事業でございますが、これまでも都は、毎年度策定をいたします実行プログラムにおきまして、長期ビジョンに掲げた目標に従い、取り組むべき事業を体系立てて整理してまいりました。今回につきましても、限られた時間の中での作業ではございましたが、知事が選挙公約で掲げた取り組みや、新たに取り組むべきもの、取り組みを加速すべきものを、アクションプログラム二〇一三におきまして、八つの目標に沿って、可能な限りわかりやすくお示しをしました。
 平成二十五年度予算とあわせまして、速やかに新知事の方針を都民にわかりやすくお示しすることが必要と考えまして、このような形で取りまとめをしたものでございます。

○原田委員 本当に、今ご答弁ありましたけれども、限られた時間の中で最大限わかりやすくということで、その点はご努力いただいたのだなとは思うわけでございますけれども、これ、中身を見ていきますと、例えば重点事業の中でも、電力改革のように、目標の表現は、低炭素で高効率な自立分散型エネルギー社会を創造するといったようなことでございまして、直接的にどうつながっていくのかといったようなところで、間に少し段階を踏まないとイメージがつながっていけないものもあろうかと思いますし、あるいはその次のところでは、九段下駅の壁の話と羽田の国際化が並列で並んでおりまして、しかも取り上げられ方は壁の話の方が大きいということで、レベル感がまちまちであったりもするところでございます。
 これも十二のプロジェクトのときに、震災の直後でメッセージ性という話も先ほどしましたけれども、やはり新知事就任直後ということで、目を引くことを比較的優先して取り上げられているというところもあろうかなと想像はするところでございますけれども、この事業実施が目標の達成にどういうふうに寄与していくのか、ひいては都民の暮らしがどういうふうによくなっていくのかということをしっかりとイメージできるようにしていくということが、本来、計画をつくっていくときに一番大事なところになってくるのだろうというふうに思うところでございます。
 繰り返しになりますけれども、先ほど時間の制限はあったということでございますけれども、今後につきましては改善が求められるところでございまして、例えば、重点事業に掲げられたものが目標にうまく当てはまらないようであれば、新しい目標を立てるとか、こうしたことも含めて、すっきりとわかりやすい形にしていただきたいなというふうに思うわけでございます。
 そこでお伺いしますけれども、今後、この重点事業をどのように扱っていかれるのかお伺いいたします。

○澤計画調整部長 重点事業に掲げました取り組みの中には、既に具体的に事業を進めているもののほか、島しょ部におけます再生可能エネルギーの活用や、都立小中高一貫教育校などのように、新たな政策展開の基本的な方向性をお示ししたものもございます。こうした取り組みにつきましては、来年度、事業所管局を中心に、事業スキームなど具体的な内容を検討してまいります。
 また、重点事業の中には、ハローワークの都への移管など、国の制度や規制を変えていくことが必要な事項もございまして、これらにつきましては、今後、戦略的に国への要求を実施してまいります。
 各局と緊密に連携をとりながら、八つの目標ごとに政策展開のさらなる具体化を図ってまいります。

○原田委員 ぜひ、実際に事業を実施することになる各局と連携されて、わかりやすい形、また効果的に執行できるような形で、ブラッシュアップしていただければなと思うところでございます。
 先ほど、二〇二〇年をそのまま継承したという中で、知事も、いい方によっては執行機関の一部でございますから、その中でのアクションプログラムの中に、既定の定められた方針のもとで、定められた取り組みを行っていく中に位置づけられているというふうにもとらえることもできるのではないかなと思うところでございます。
 この基本計画がきちんと定められていれば、各局もその方針に従って有機的に、まさに連携という話もありましたけれども、連携して動いていくことができるようになるのではないかなと、その具体的な形というのが事業評価であったり、あるいは予算編成であったりするのだと思います。
 これまでは、そうした中で、体系としても、また、都庁の中でのさまざまな連携のときのかぎとしての計画のありようというものを追求する中で、改善が進められてきたと、さまざまな改定もそうした方針のもと行われてきたというふうに受けとめてはいるわけでございます。
 しかし、最初に申し上げましたように、今、体系のいってみれば乱雑さが増大いたしまして、個別のプロジェクトの羅列に下手をすればなっていってしまうのではないかなというようなことも感じられるわけでございます。
 こうした乱雑さがふえていって、外向けのパフォーマンス的なことのみにとどまるようになっていってしまっては、本来必要であるべき施策の体系というものが失われてしまって、適切な予算配分、それから正しい評価、こういったことの阻害要因にもなりかねないということを懸念するわけでございます。
 そこで、改めてお伺いをしておきますけれども、そもそも計画というものを知事本局ではどのようにお考えになられ、どのように運用しようとされているのか伺います。特に、PDCAサイクルや予算編成との連動についてどのように考えていらっしゃるのか、伺います。

○澤計画調整部長 都は、これまでの計画におきまして、事業の進捗状況や成果を随時検証し、その結果を次の計画に反映させていくというプロセスを経まして、随時、計画を策定してまいりました。
 今回のアクションプログラムにおきましても、このようなプロセスを経まして、三年後の到達目標、事業費総額及び年次計画を具体的に定めておりまして、財務局と連携を図りながら策定することで、計画初年度の事業費につきましては全額予算計上してございます。
 アクションプログラムに盛り込みました事業は、PDCAサイクルを機能させ、計画の内容をよりわかりやすい形で示すとともに、その質を高めていくことで、「二〇二〇年の東京」に掲げました目標の確実な実現を図ってまいります。

○原田委員 今、アクションプログラムにのっている事業は、PDCAサイクルにのせて検証していくというようなことでございますが、これは当然、重点事業もそのような形になっていくのだろうというふうに思います。
 本当に、先ほど複雑だという話もさせていただきましたけれども、わかりやすい形と、ただ形としてわかりやすいだけではなくて、質も高めていくというようなことでございますから、そうした形で本当の意味で行政の基本になっていく、計画にあるように、取り組みを進めていただければなと思うわけでございます。
 こうした行政計画というのは、もう皆様、私から申し上げるまでもないですけれども、ただ単に計画の大もとになるというものだけではなくて、さまざまな関係者のコミュニケーションツールにもなるものだと思うわけでございます。この計画によってその認識を共有し、そのもとで、互いに異なる部署にいる人たちも連携して動いていくということになるわけでございましょうし、また、政策判断をする人たちも、この計画あるいはそれによって生じた結果をもとに、さまざまな判断をしていくことになるわけでございましょうから、これをしっかりとしたものにつくり込んでいくということは、大変重要なことだと考えております。
 そうした点で、今回、若干特殊な要因もあったということはありますけれども、今後に向けて、アクションプログラムにつきましても、しっかりとつくり込んでいっていただき、そしてまた、それをよい都政運営につなげていっていただければなと思うところでございます。
 以上で質問を終わります。

○鈴木委員 私からは、アジアヘッドクオーター特区についてお伺いいたします。
 政権もかわり、景気も幾分明るい兆しが見えてきたところでございます。この流れを本格的景気回復に結びつけていくことが重要であり、アベノミクスで示された三本の矢の機動的な取り組みこそ、今求められております。
 さて、いうまでもなく、経済成長をもたらす重要なファクターというのは、労働力、資本、技術革新といわれております。現在、人口減少が始まっている我が国において、こうしたことを踏まえて、特に海外より人、情報、資本などの経済成長の原資を引き寄せていくことが、今後の成長のかぎといっても過言ではありません。
 しかしながら、日本の立地競争力は急速に低下しております。日本に拠点を置く外国企業数は、二〇〇五年のピークから約五百社程度減少し、現在、約三千社程度となっております。また、海外からの投資状況を見ても、日本の対内直接投資残高の対GDP比は三・九%程度でございます。ジェトロによると、先進国の平均水準は三〇・一%ということですので、世界的に見ても極めて低水準でございます。
 こうした状況を打破するためには、東京の中心部を対象に外国企業を呼び込み、高い技術力を有する都内中小企業とマッチングさせることで、新規需要や技術革新を創出させなければならないと思います。
 そうした中、欧米やアジアの多国籍企業の業務統括拠点、また研究開発拠点を誘致することを目指すアジアヘッドクオーター特区が、平成二十三年十二月、国際戦略総合特区に認定されました。またその後、特区の具体的取り組みを定めた国際戦略総合特別区域計画が平成二十四年七月に認定されております。具体的な誘致活動が始まったのはそれ以降といたしましても、半年余りが経過しております。アジア地域だけでも誘致活動が激化する中で、東京への外国企業誘致はそう簡単ではないことは想像にかたくありません。
 とはいえ、具体的な誘致の話を期待したいと思っているわけですけれども、そこで、外国企業誘致に向けた取り組みの現状をまずお伺いいたします。

○瀬口総合特区推進部長 アジアヘッドクオーター特区取り組みの初年度になりました平成二十四年度は、まずは、東京都が総合特区という制度を活用いたしまして、外国企業誘致に積極的に乗り出したということを広くPRする取り組みに重点を置いてまいりました。
 例えば、アジアヘッドクオーター特区の英語版のウエブサイトを開設するとともに、外国企業の経営者層を主な読者層とするフォーチュン誌に特集記事を掲載するなど、海外に向けて特区の広報活動を実施してまいりました。
 また、ドイツや米国などで開催されました医療機器や家電業界といった各業界で注目度の高い海外見本市に参加し、対日投資に関心を示した外国企業に対して、東京の魅力やアジアヘッドクオーター特区の取り組みをPRしてまいりました。
 加えて、外国企業の事業活動を英語でサポートするビジネスコンシェルジュ東京を開設し、ビジネス支援を行いながら東京への投資を促しております。
 こうした取り組みの結果、外国企業からの問い合わせや特区の取り組みに係る具体的な質問等も寄せられ始めておりますが、外国企業が本格的な事業活動の拠点とする現地法人を設置する意思決定を行うまでには、数カ月から一年程度は時間を要するというふうにいわれております。
 現在、対日投資に関心を示した外国企業が来日する機会をとらえまして、直接面談をいたしたり、ビジネスパートナーとなります可能性のある企業を紹介するなど、誘致活動を展開しており、こうした取り組みを通じまして、特区エリアへの拠点設置につなげていく考えでおります。

○鈴木委員 今の答弁にありましたビジネスコンシェルジュ東京は、東京都が民間事業者に委託して運営しているところです。きめ細やかなサービスの提供など、民間事業者ならではのメリットがある一方、行政書士等の専門家との連携には不安もあります。きめ細やかなサービスの提供など、民間事業者ならではの、日本における円滑なビジネス活動や生活関連情報の提供等、ワンストップで提供する機関を求める海外企業の声にこたえられるだけの活動が行われているのか、開設後これまでのビジネスコンシェルジュ東京の活動実績をお伺いいたします。

○瀬口総合特区推進部長 ビジネスコンシェルジュ東京は、外国企業に対し、東京のビジネス環境に関する情報提供や、ビジネスを展開する上で必要となるさまざまな支援をワンストップで提供する窓口として、昨年十月に丸の内に開設したものです。
 開設以来、現在まで七十を超える外国企業から相談、問い合わせを受け、日本でのビジネスパートナーを開拓したい、東京でのビジネス展開のためにオフィスを紹介してもらいたいといった具体的な相談が寄せられており、東京進出を考える外国企業の支援機関として着実に定着してきているものと認識しております。
 ビジネスコンシェルジュ東京は民間事業者に委託しておりますが、その運営に当たっては、外国企業の個別性の高い専門的ニーズに迅速的確に対応するためにも、行政書士、弁護士、公認会計士等の専門家との連携が重要と考えております。
 このため、例えば東京都行政書士会に対しまして、外国企業の法人設立や外国人の入国審査関係業務を得意分野とする行政書士との連携について、都としても協力を依頼しているところでございます。

○鈴木委員 先ほどの答弁によれば、これまでの誘致の取り組みは、主にホームページや海外見本市で関心を示した外国企業や、ビジネスコンシェルジュ東京に相談に来た外国企業を対象に、東京への拠点設置を働きかけたということであったと思います。
 こうした誘致のやり方は、例えるならば、本当に大海に投網を投げて手繰り寄せるというような形での誘致活動ではないかなというふうにも思うわけですけれども、世界じゅうには多くの企業があるわけですけれども、平成二十八年度末までに、業務統括拠点及び研究開発拠点五十社を含む外国企業五百社を誘致するという高いハードルを達成していくためには、具体的な誘致対象企業のねらいを定めた積極的な誘致活動が必要であるというふうに思います。
 誘致活動が本格化する来年度においては、戦略性のある効果的な取り組みが求められると思いますが、具体的にどのように考えているのか、お取り組みをお伺いいたします。

○瀬口総合特区推進部長 来年度は、外国企業の経営層と幅広いネットワークを有し、多国籍企業の海外事業展開をサポートするなど豊富な実績を有している民間企業のノウハウを活用しまして、より戦略性を持って具体的な誘致対象企業のねらいを定めた攻めの誘致に取り組んでまいります。
 具体的には、民間企業と協働いたしまして、誘致対象として有望な産業分野ですとか企業のリストアップをまず行い、このリストに載せた企業の経営層に直接、接触をいたしまして、当該企業を取り巻く市場環境など、東京、日本進出の具体的なメリットをその企業に提示することなど、投資の意思決定のために必要となる資料の作成ですとかコンサルティングを実施することによって、東京進出を働きかけてまいります。
 加えて、誘致活動を行うに当たりましては、相手側に、まずこちらの話に耳を傾けていただく必要がございます。そのために、いわゆるドアオープナーと申しておりますが、そういう支援措置というものを相手側に提示することによりまして、東京における拠点設立時に必要となる人材採用費などの経費の助成制度を創設しまして、東京進出を後押ししてまいります。
 さらに、総合特区制度で設けられた税制の優遇措置につきましても、対象となる企業の資本金要件の緩和ですとか、特区内に限定されている事業所設置場所に関する要件の緩和など、外国企業にとってより魅力的なものになるよう、制度の見直しを国に働きかけてまいります。

○鈴木委員 私は、この事業の肝というのは、多くの外国の企業と幅広いネットワークを有している、そうした企業との連携を密にしながら、民間のノウハウを引き出していくということが私は第一だというふうに思っておりますので、そのところをもっと研究されて、積極的に取り組んでいってほしいなというふうに思います。
 最後に、このことから、羽田空港跡地において大田区が整備を目指している産業交流施設における都のかかわりについて、幾つかお伺いをさせていただきます。
 産業交流施設は、都が国へ申請した国際戦略総合特別計画において、海外を含む広域的な企業、研究機関、大学などとの人材交流と技術連携ネットワークを構築し、誘致した外国企業と国内中小企業とのビジネスマッチングの機会の提供とともに、対日投資のワンストップサービスなどを実施と記載されております。
 知事本局長も、さきの本会議において、我が党の議員の質問に対し、産業交流施設はアジアヘッドクオーター特区の目的に沿うものと答弁されております。また、区が求めている規制緩和項目については、区と連携しながら国と交渉を進めていると答弁されておりました。
 このように、産業交流施設の整備については、都と区が共通認識のもと、同じ方向を目指しているものと改めて認識しましたけれども、そこで、アジアヘッドクオーター特区の実施の責任者として、知事本局長に、産業交流施設の実現に向け、区とどのように今後連携していくのか、改めてお伺いをいたします。

○前田知事本局長 大田区が実現を目指しております、今お話しの産業交流施設を整備するためには、大田区が要望されています国有地の減額譲渡であるとか、施設整備にかかわる無利子貸付の規制緩和を実現することが必要かつ不可欠だと思っております。
 この規制緩和協議は、特区の申請者でございます東京都が交渉の主体となって、国と進めていかなければなりません。そのため、知事本局としては、国との交渉を現在も鋭意行っているところでございます。
 ことしの春には、施設整備に係る無利子融資の協議を予定しておりますが、当該施設の稼働率が論点となっております。このため、東京都としては、大田区と連携して、稼働見込みを裏づけるためのデータ収集等を行っております。
 また、産業交流施設は、さきの予算特別委員会において私からご答弁申し上げたとおり、誘致した外国企業と国内企業とのビジネスマッチング機能を持ちまして、都が設置したビジネスコンシェルジュ東京との相乗効果が期待されております。施設の具体的な内容につきましては、今後、大田区においてさらに精査されるものと考えております。
 知事本局といたしましては、区と都の関係部署間の総合調整を行いまして、大田区が設置いたします産業交流施設の機能が十分に発揮されるよう努めてまいります。

○鈴木委員 この羽田の跡地においては、国有地でありますので、本当に特区申請者の都が責任を持って国との交渉に当たっていただきたいというふうに思います。
 また、この取り組みというのは、冒頭述べましたけれども、今後の経済成長を確かなものとするために、私は、本当に海外のそうした成長の原資を引き寄せていくことが重要であるというふうにも思っておりますし、そうしたことも含めて、都が本当にこれから、東京から日本の経済をさらに成長を確かにしていくものとして、積極的に取り組んでいっていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○谷村委員 それでは、私も、先般公表されて、本委員会に報告をされた「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三について質問をいたします。
 余り難しい質問はいたしませんので、しっかりとお答えをいただきたいと思いますけれども、まず、「十年後の東京」と、そして昨年度、二〇一一年十二月に策定された「二〇二〇年の東京」、この基本計画としての位置づけ、あるいは関係性について、どういうふうにとらえておられるのか、ご説明をいただきたいと思います。

○澤計画調整部長 長期ビジョンでございます「十年後の東京」及び「二〇二〇年の東京」、いずれも石原都政下における長期ビジョンでございますけれども、「二〇二〇年の東京」は、二年前、震災の影響あるいは社会経済状況の変化、こういったものを踏まえまして、一つ前の「十年後の東京」計画を改定し、新たな長期ビジョンとして位置づけたものでございます。

○谷村委員 ということは、東日本大震災を経て見直されたものと、そして、東日本大震災があっても、そのまま継続していくべきものというのがあるということでよろしいですか。

○澤計画調整部長 「二〇二〇年の東京」の柱立ては八つでございますけれども、基本的には「十年後の東京」計画を継承してございます。
 ただ、中身といたしまして、当時の状況を踏まえまして、防災ですとかエネルギー、こういったものをより重点的に取り組むということで、内容を充実強化してございます。

○谷村委員 先ほど原田理事も触れておられましたけれども、「十年後の東京」と「二〇二〇年の東京」というのは、石原都知事のもとで作成をされたもので、アクションプログラム二〇一三については猪瀬知事になって、長期ビジョンとおっしゃいましたけど、基本構想なり基本計画になるのでしょうけれども、その実施計画については猪瀬知事のもとでつくられたという位置づけになりますけれども、そういう意味では、「十年後の東京」から「二〇二〇年の東京」に至るまで、当然、五年以上にわたって副知事をされていたわけですから、この流れについては、すべて承継をされているものであるというとらえ方でよろしいでしょうか。

○澤計画調整部長 今回のアクションプログラム二〇一三を策定するに当たりましては、猪瀬知事は、石原知事のもとで策定いたしました「二〇二〇年の東京」の長期ビジョンを継承するという基本的な考え方に基づきまして策定をしておりますので、基本的な考え方、政策展開につきましては、継続的に行っていくという考え方でございます。

○谷村委員 その確認をさせていただいた上で、時間があれば大きく二点、なければ一点に絞って質問させていただきたいと思いますけれども、「十年後の東京」が構想されて発表になって、幾つの実行プログラムがつくられているでしょうか。

○澤計画調整部長 「十年後の東京」計画がつくられましたのが平成十八年十二月でございます。翌年の平成十九年十二月に、初めて「十年後の東京」計画のもとでの実行プログラム二〇〇八が策定されまして、その後、二〇〇九、二〇一〇、二〇一一と、合わせて四つの実行プログラムが策定をされてございます。

○谷村委員 先ほどの私の前の質問の中で、知事本局によって、随時このアクションプログラム、それまでは実行プログラムがなされていたというご答弁がありましたけれども、これだけ、四回、アクションプログラムを入れれば五回になりますね、二〇一二を入れれば、五回策定されてきた実行プログラムあるいはアクションプログラムについて、その検証がどのように行われて、どのように生かされてきたのでしょうか。

○澤計画調整部長 実行プログラムにつきましても、アクションプログラムにつきましても、策定の前提といたしまして、前回策定をしたプログラムの検証、分析を各局とともに行いまして、その成果を次の計画に反映させるというプロセスを必ず踏んでございます。

○谷村委員 ちょっと話は飛ぶんですけれども、実行プログラム二〇一一、多摩の南北主要道路五路線について、話を絞ってお伺いしたいと思いますけれども、二〇一一年、「十年後の東京」実行プログラム二〇一一で掲げられた数値と、それから二〇二〇年の実行プログラム二〇一二で掲げられた数値というのが、どういうふうに検証されて新たに記載されたのでしょうか。

○澤計画調整部長 実行プログラムにおけます多摩南北道路の進捗状況は、当然、次の三カ年計画を策定する前提として、現況の実施状況あるいは課題、こういったものを、きっちり分析して、次の計画の目標に反映させるということを行っております。

○谷村委員 では具体的にお尋ねしますけれども、実行プログラム二〇一一で掲げた目標と、それから実行プログラム二〇一二で掲げた目標、それぞれ数値はどうなっていますか。

○澤計画調整部長 多摩南北道路につきましては、実行プログラム二〇一一、こちらは平成二十二年からスタートしておりまして、当時の進捗状況が七三%でございました。この三カ年計画の最終目的年次であります平成二十五年度には八一%までという目標を設定してございます。
 また、実行プログラム二〇一二におきましては、スタート地点の平成二十三年度におきます整備率が七三%でございました。ここからスタートいたしまして、三年後の平成二十六年度に八一%を目標として掲げてございます。

○谷村委員 ということは、平たくいえば同じ数値ですよね。これはどういう検証をされて、それがどのような形で反映されたということなのでしょうか。お尋ねしたいのはここなんです。数値が同じで、それをきちんとPDCAされていて、検証を随時されていたというのであれば、同じ実行プログラム、形は違いますけれども、そこに同じ数値が出てくるはずはないと思いますので、そこをもう少し詳しくお願いします。

○澤計画調整部長 道路整備の目標につきまして申し上げますと、道路を初めとするインフラ整備におきましては、事業期間が長期にわたるということ、また、周辺環境への配慮、ほかの計画との整合、用地買収に要する期間など、さまざまな不確定要因がございます。そのため、毎年度改定をいたします計画の中で、その時々の進捗状況を適時適切に勘案して、新たな目標を設定してございます。

○谷村委員 新たな目標の設定というのは、新たな数値が出てくるものだと思いますけれど、数値自体が新たではないので、これはどういうふうに検証されて、それをまたどういうふうに記載されているのかというのをお尋ねしているわけですから、新しい数値が出ていないということは、今のお話とはちょっと異なると思いますので、済みません、もう一度、大事なところなので、お願いします。

○澤計画調整部長 先ほど数字を申し上げました、実行プログラム二〇一一でも最終目標が八一%であり、次の年次につくりました実行プログラム二〇一二においても同じ八一%であったと、これはその間に進捗がうまくいっていなかったということをあらわしてございます。その部分をちゃんと検証して、次の目標数値に掲げたということでございます。

○谷村委員 それでは、「二〇二〇年の東京」でも、「十年後の東京」の流れを受けて、大変重要な施策が掲げられております。特に、幹線道路ネットワークの整備というのは大変重要でありまして、東京の最大の弱点、最大の弱点というぐらいですから、一番最重要課題になると思いますけれども、その最大の弱点は交通渋滞を解消することだと、これをしっかりとぜひとも進めていただきたいと思うわけですが、多摩の南北道路というのは、自立した多摩の生活圏あるいは経済圏をつくっていくためには、最低限度必要なものなわけです。これは多摩の将来像二〇〇一で、それまでの二十三区と比較して発展を目指す多摩から、二十三区、区部に依存しない自立した、あるいは都市同士が連結をした、連携をとった多摩に発展の方向性を変えようというふうになってきたわけでございまして、そういう意味では、多摩の南北道路主要五路線の整備というのは、多摩の発展においても非常に重要なものになるわけであります。
 「十年後の東京」では、二〇一六年までに九五%となっておりますけど、二〇二〇年の本体の方ではどういう目標になっていますか。

○澤計画調整部長 「二〇二〇年の東京」におきましては、多摩南北道路、こちらは二〇二〇年におおむね完成させることとしてございます。

○谷村委員 そういう記載になっているということは、同じ事業で、「十年後の東京」が目指したものと比較して、どのような受けとめ方をされているのか、ご認識なのか、確認させていただきたいと思います。

○澤計画調整部長 ご指摘の「十年後の東京」におきましては、平成二十八年、二〇一六年までに、多摩南北道路を九五%完成させるという目標を掲げてございます。一方、一昨年の十二月に策定いたしました「二〇二〇年の東京」では、平成三十二年、二〇二〇年におおむね完成というふうにうたってございます。
 この差をどう見るかということでございますけれども、先ほど私が実行プログラムの二つの数字を申し上げたとおり、多摩南北道路につきましては、「十年後の東京」計画と比べまして、二〇二〇年の計画では若干おくれているという認識を持っております。

○谷村委員 若干おくれておられる認識ということで、ちょっと驚きなんですけれども、では、二〇二〇年までにおおむね完成というのは、九五%をイメージしたときと、おおむね完成というのは、どういう違うイメージをお持ちなんでしょうか。若干の違いというのはどこにあるのか、ちょっとわからない。
 これは言葉遊びになってはいけないので申し上げますけれども、二〇一六年の段階で九五です、二〇二〇年の段階でおおむね完成ですよ、四年の開きがある。もしこれが九五%から、おおむねですから一〇〇にはいかないでしょう、九九%、九六か九七か九八かわかりませんけれども、それが二〇二〇年。二〇一六年で九五%を目指したのは、これは若干のおくれですか、ご認識としては。

○澤計画調整部長 「二〇二〇年の東京」計画において、平成三十二年におおむね完成というふうに申し上げましたのは、道路整備につきましては、最後の数%でさまざまな状況で進まないということもございますので、そこら辺を勘案しまして、おおむね完成という表現を使ってございます。
 ただ、この九五とおおむね完成の間にどれぐらいの差があるかというのは、これは本当に定性的な位置づけになってしまいますので、明確なことはなかなか申し上げられないんですけれども、九五よりも、四年間かけておりますので、さらに進捗しているという状況だというふうに認識をしております。

○谷村委員 じゃ、もう少しわかりやすく申し上げますけれども、今回のアクションプログラムでは二〇一五年に八四%でしたよね、完成率が。「十年後の東京」は二〇一六年に九五%なんです。一年間で一一%の差が開いている。これは若干のおくれですか。

○澤計画調整部長 言葉の解釈はいろいろあると思うんですけれども、一たん「十年後の東京」計画におきます二〇一六年における九五%というのを見直して、先ほど私が申し上げたとおり、多摩南北道路についてはおくれが生じているということを前提に、新たな目標として二〇二〇年におおむね完成ということを掲げたものでございますし、今回発表いたしましたアクションプログラム二〇一三におきましても、スタート地点の平成二十四年度、こちらの完成整備率が七四%、ここからスタートしてございますが、三年前に策定いたしました実行プログラム二〇一〇では、平成二十四年度の目標が八〇%でございました。既にここで六ポイントのおくれが出ているということでございます。そのように認識をしてございます。

○谷村委員 今あなたがそういうふうに認識をされているというのは、こうやってお尋ねをすればわかるんですけれども、進行管理を知事本局がされているんですよね。進行管理されているんですか、どうなんですか。

○澤計画調整部長 多摩南北道路に限らず、計画事業につきましては、すべて進行管理を手前どもで実行してございます。

○谷村委員 であれば、二〇一六年を目指した「十年後の東京」と、それから、突然、「二〇二〇年の東京」に変わって、それが毎年毎年、「十年後の東京」でいうと五回でしたでしょうか、実行プログラムが出てくると。しかも三年の期間の実行プログラムというのが出てくると。それが、二〇一一年までが実行プログラムだったのが、今度、二〇一二年からアクションプログラムになって、「二〇二〇年の東京」に変わっていくと。それが、随時、三年置きでローリングをされていくので、その事業が進んでいるのか進んでいないのか、これは非常にわかりにくいのです。
 それで、目標を示したから、今もおっしゃいましたけれども、七四だったのが七〇だったとかという、スタートの段階でおくれているんだという認識をいわれましたけれども、目標数がそういうふうに変わったんだということをどこかで発表されているのですか、進行管理をされているとおっしゃるのであれば。お尋ねします。

○澤計画調整部長 進行管理におきまして新たな目標を設定し、新しい計画に盛り込んでございますが、前回策定をした計画と今回の計画で、目標が一つ一つ変わりましたという形で、都民の皆様にお示しをしてはございません。あくまでも新しい目標を新しい計画の中でお示しをしてございます。

○谷村委員 そのアクションプログラムの中に書くか書かないかは別として、一たび掲げた目標というもの、これは都民の皆さんにお示ししているわけですよね。それが進んでいるのか進んでいないのか、おおむね「十年後の東京」で記載されたものが、そのまま二〇二〇年になっているわけではないので、一概にはいえませんけれども、おおむねきちんとした進行をされているんだろうと私は受けとめているわけですけれども、その中でローリングをしていく中で、実は多摩の南北道路主要五路線についてはおくれていたんだということが、しっかり読めば、わかる人はわかるかもしれませんし、あるいは職員の中で、読まれていない方はわかっていないかもしれませんけれども、それは進行管理といえないのではないですか。
 目標を示すことによって、あれという、二〇一一年の実行プログラムと二〇一二年のアクションプログラムの目標年次が一一%と同じだというふうに読み込む人は、仮にわかったとしても、進行管理をされているというお立場であれば、そういうことで何も動きがない、アクションがないということでは済まないんじゃないでしょうか。

○澤計画調整部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、新しい計画をつくる際には、すべての計画事業につきまして進捗状況、成果、課題を十分に検証して、新しい計画に盛り込むということをしてございます。その中で、現下の状況においてどのような目標が妥当なのか、これを新しい計画に盛り込むという形での進行管理を行っております。

○谷村委員 あなたがおっしゃっているのは、それは進行管理ではなくて、新たな計画策定の作業であって、進行管理というのは、こういう目標になっているのに、三年間のローリングですよ、実行プログラム、アクションプログラムというのが。それが進んでいるのか進んでいないのかということを管理する、進行管理というのは。
 でも、今あなたがおっしゃったのは、新しい計画をつくるときに、どうなっているかというのを確認して、こうなっているから、例えば二〇一一でも二〇一二でも同じ目標を掲げたというだけのことです。それは進行管理とはいえないのではないですか。おくれているということがわかれば、それはおくれていることは、どこかでしっかりとプッシュをするなり、強調するなり、あるいは都民の皆様にお約束をしているわけですから、これはちょっとおくれていますよというものがあってしかるべきなのではないですか。

○澤計画調整部長 多摩南北道路を例にとりますと、明らかに、数年前に策定をした三カ年計画と現行の三カ年計画では、スタート時点で整備率に差があると、おくれていると。そのおくれを、事業局と調整をして、なぜおくれているのか、進めるためには何がネックになっているのか、そういうところを分析して、新たに、今後三カ年で、どういう手法でどこまでできるのかというのを検討して、その結果を盛り込んでいるわけですから、単に新しいものをつくり続けているということではなくて、そこに過去の反省をちゃんと踏まえた上で、目標を設定しております。

○谷村委員 では、もう一度お尋ねしますけど、「十年後の東京」では二〇一六年に九五%の達成をすると。「二〇二〇年の東京」ではおおむね完成すると。これが九九か九八か九七か、数値的には明らかにしませんよ、できませんよと。だけど、二〇一六年に、九五%でもいいですけど、二〇一六年に九五%とするのと、二〇二〇年におおむね完成、九〇%台でしょう、どのくらいかわかりませんけれども、年月の形でいけば四年間、開いているわけです。これは若干のおくれですか。
 例えば、知事の任期も四年で一回りになります。都議会の方も四年で一回りになります。それぐらいのスパンでおくれているのに、それは、進行管理をしている、検討した結果を発表している、だけど若干のおくれとしか認識していないと、それでは都民の皆様への説明にならないじゃないですか。

○澤計画調整部長 私の言葉の中に、若干ということで誤解が生じたと思っております。先ほどもご答弁申し上げましたとおり、アクションプログラムを策定するスタート時点で、八〇%という目標が現行の整備率七四%と、六ポイント後退をしているという認識をお示しをしたものでございまして、こういうおくれを踏まえて、多摩南北道路につきましては、一日も早い開通に向けて、適切な進行管理を行っていきたいというふうに考えております。

○谷村委員 もう少し、くどいようで申しわけないんですけれども、そういうおくれを認識されているのであれば、あるいはされていたのであれば、そのことを議会なり都民の皆様にきちんと説明するべきではないですか。つくったらおしまい、おくれているから次の新しい目標にしてつくったらおしまいというような考え方では、進行管理をされているとも当然いえませんし、それから、目標年次が達成できないと判断した段階で、その要因は何だったのかと。ひょっとしたら、受けとめ方によっては、アクションプログラムそのものに問題があったから、道路を建設するというのは大変な作業ですし、いろんな不確定要素が入ります。だけど、九五%という目標を設定したという、その目標設定に問題があったのか。あるいは、三年間の実行プログラムでも達成できていない面がある、その目標に問題があったのか、それとも事業局としての建設局の不安定要素の問題が大きくあったのか、これすら、何すら説明がないじゃないですか。そういう不確定要素のあるものだから仕方ないんだということであれば、「二〇二〇年の東京」の計画そのものが、数値を示しているそのもの、あるいはアクションプログラムの目標年次そのものに、信憑性がなくなってしまうわけです。
 そんな当たり前だというような態度をとられて、今検証しているから次のものをつくったんだというふうにして、六%もおくれていた、あるいは四年間もずれるというようなことになっているときに、それは私は、策定するだけの方ならいいです。発表した責任者、これはだれですか。発表した責任者というのは。策定する責任者はいいでしょう、つくればいいわけだから。だけど、発表して、それが達成されなかったということについて何も触れないで、見てみたら、何だ、こんなにおくれていたのかという、発表責任というのはあろうかと思うんですけど、局長ですか、発表責任者というのは。だれですか。

○前田知事本局長 東京都として発表しておりますので、これは最終的には東京都の代表者である知事ということになります。
 今お話をお聞きしておりましたけれども、多摩南北道路というのは、多摩の方々にとっては非常に関心の大きい、しかも全部が完成するのを心待ちにしている道路だと思います。もちろん、計画にものせまして進めておりますが、いろいろお話の中で、当然、事業を執行する局とは、計画を策定する段階で綿密に打ち合わせをしまして、その計画策定時点で見通せる目標といいますか、それを打ち合わせの上で策定をし、発表しておりますので、その時点で、私どもの知事本局も、この事業を行います建設局も、当然その方針は同じであり、それが東京都の方針になっております。
 実際に道路をつくるということになりますと、るるご説明がありましたけれども、用地買収であるとか、あるいは道路に関連する鉄道の立体交差をどうするかとか、個々出てまいりまして、場合によっては計画どおりに進まないということもあるかと思います。その場合のご質問だと思うんですけれども、所管局はその場合でも、いろんな条件の中で全力を挙げて取り組んでいるというふうに思っています。
 私どもも、その状況を把握して、どうしたら少しでも前へ進むか、予算なのか、あるいは体制なのか、そういったことも含めまして把握をして、そういう状況ではあるとしても、少しでも前に進むようにということで、毎年度の計画の改定はしております。
 ただ、お話の中に、計画ではできないものをできるといってもしようがないので、その都度、計画をつくる時点で、先ほど申し上げましたように、その時点での最近の見通しを出しておりますけれども、ただ、それが都民の方々に、例えば二〇一六年にできる予定だったものが何年に延びますよということが、路線、路線、この計画は多摩南北道路トータルでいっていますので、住民の方の関心が強いのは、やっぱりお近くの個々の路線だと思うのです。路線ごとに明確にこうなりますよということの発表が果たして十分だったかということについては、これは、今後、我々も計画をつくっていく、新たな計画をこれからもつくりますので、今のお話をもとに検証して、その発表のあり方については研究をしていきたいと、このように思います。

○谷村委員 私は事業がおくれていることを責めているわけではないんです。道路建設ですから、用地買収というのは大体五年を目指してされるようですけれども、できる場合もあるし、大反対を受ける場合もあるし、理解をいただけない場合もあるし、それをいっているのではないんです。
 掲げた目標を責任持って発表されておきながら、その目標が達成されなかった、あるいは達成するには見込みがないとか、そういうことがわかっていて、そういう事実というものをどこにも触れないで、知らん顔して新しい発表を出しているという、こういうことをしたら、発表されている計画あるいはアクションプログラムそのものの信用性がなくなりますよということを申し上げているわけで、事業がおくれる、あるいは事業を一生懸命やってください、それはもう当然の話です。
 だけど、アクションプログラムそのものを扱っていらっしゃる知事本局さんとしてのスタンスというものを変えていただかないと、信用が地に落ちてしまいます。アクションプログラム二〇一三で、知事の前文、一番最後に何て書いてありますか。

○澤計画調整部長 「『絆』という言葉があります。しかし、言葉だけでは『絆』は生まれません。具体的な政策を進めることで『絆』が生まれ、一人ひとりが輝きはじめるのです。若者と高齢者が知恵と情報を伝え合い、強者が弱者を助け、余裕のある人がない人を助け、お互いに助け合う。そういう東京を造り上げていきたいと思います。都民の皆様のご協力をよろしくお願いいたします。」以上でございます。

○谷村委員 今読んでいただいた一番最後の文言で、一緒になってこの計画をつくっていきましょうよと、一緒になって新しい東京をつくっていこうというのが知事の呼びかけです。最後に何ておっしゃっているかというと、都民の皆様のご協力をよろしくお願いいたします、と、都民の理解があって、あるいは都民と一緒になってやっていこうというのがアクションプログラム二〇一三で、今までの二〇一二とか、あるいは実行プログラムとかという知事の前文とは全然違ってきた趣があるわけです、知事がかわったから当然なんですけど。その都民に対して協力を呼びかけている計画について、やっぱり信憑性が少しでもゆるがせになったら、都民だって協力してくれないですし、その知事の思いだってどこかへいってしまう。
 だから、きちんとした進行管理がなされていて、それがうまくいく場合はうまくいっているといえばいいし、うまくいっていないんだったら、こういう状況下であったけど、新たな目標としてもう一回やりますという、この作業、それ自体をアクションプログラムに書くかどうかは別として、そういった責任ある対応をしていただきたいというのが趣旨なわけですけれども、よろしいでしょうか。

○澤計画調整部長 今後の計画策定に当たりましては、検証結果の計画への反映をより丁寧に行いますとともに、都民の皆様にわかりやすく説明する、また、ご指摘のありました多摩南北道路を初め、進捗状況を明確にしていきたいというふうに考えております。

○谷村委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 ちょっと時間がたちましたので、もう一問はこれで控えさせていただきますけれども、ぜひこれ、関心がある、皆様、物すごい労力をかけてまとめておられるものであるがゆえに、都民の皆様からも、あるいは私たち議員も大変、アクションプログラムが発表されて、その事業がどう進んでいくのか、どの目標になっているのかというのは、大変に注目しているものでありますので、それが計画どおりいかなくなる、あるいはいかなくなりそうだ--進行管理するからそれはわかるんだろうと思うんですが--というようなことがあった場合は、基本的に情報発信か、あるいは情報提供なりしていただくようにしていただいて、そういったことは知らないんだという顔で、新しいものをぽんと出して終わりにするようなことのないように、このローリングが、アクションプログラムを毎年毎年出されて、三年間の目標でローリングすることによってわかりにくくならないように、ぜひお願いをしたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○中山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十九分休憩

   午後三時三十六分開議

○中山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○吉田委員 アクションプログラム二〇一三について質問いたします。
 アクションプログラムは、六ページで事業費一覧を示しています。来年度では総計七千八百億円、三カ年では二兆六千八百億円です。一般会計と公営企業会計合わせて、いうまでもなく年間約十二兆円ですから、この事業費一覧は、その六%から七%を掲載したということになっています。
 そこでお伺いいたしますけれども、事業費として掲載された事業とそうでない事業との違いは何なのか、その点についてまずご説明をお願いいたします。

○澤計画調整部長 まず、計画の基本認識でございますけれども、アクションプログラム二〇一三は、長期ビジョンでございます「二〇二〇年の東京」で描いた都市像の実現に向けて、真に実効性のある取り組みを重点的に推進する三カ年計画でございます。
 したがいまして、目標達成のための効果が高く、重点的、集中的に実施していく事業を選定しておりまして、アクションプログラムに取り上げた事業は、高い実効性を確保するため、予算と人員を優先的に措置することとしてございます。
 お話の事業費の一覧でございますけれども、アクションプログラム事業の展開に要する三カ年の事業費を施策ごとにお示ししたものでございます。

○吉田委員 私としては、今の説明では納得いかないわけですけれども、では、事業費一覧に掲載されていない事業が何で、載ったのが何かということは、非常に判読しがたいわけですけれども、載っていないものが集中的、実効的に展開する必要がないのかという意味合いにも受け取られてしまいます。
 この三カ年の事業費総額に占める目的別事業費の比率を見ると、防災が高いのは当然ですけれども、二番目に高いのが外環道路などの整備を盛り込んだ目標4の陸と海と空を結び、東京の国際競争力を引き上げるで、全体に占める事業費の比率は三一・三%。それに対して、目標6の少子高齢社会における都市モデルを構築し、世界に範を示すはわずか七・七%、その中でも少子化対策は二・四%、高齢者対策は三・〇%です。
 しかし、このアクションプログラムの末尾で、策定に当たって都政モニターアンケートなどを行って、そうした要望が反映されたかのように記載をされていますけれども、この都政モニターアンケートの結果で見れば、防災に次いで、二番目に強く都民の皆さんが関心を寄せ、期待を寄せているのが、少子高齢社会における都市モデルを構築するという課題であります。そうした都民要望から見ても、アクションプログラムの重点の置き方については、違和感を感ぜざるを得ません。
 次に、具体的な中身についてお伺いをしていきます。
 いうまでもありませんけれども、こうしたプログラムをつくる上では、都が直面する課題、都民が直面する課題に正面からどう向き合うのかということが問われていると思います。その一つとして、防災対策の強化は当然のことです。同時に、知事自身も予算特別委員会の答弁などで強調した東京の高齢化の急増に行政がどう対応するのか。中でも難しい課題が、独居世帯あるいは高齢者のみ世帯の増加への対応です。
 「二〇二〇年の東京」では、冒頭部分で、七十五歳以上の独居高齢者は、二〇一〇年から二〇一五年で一・二五倍にふえる、二〇二〇年にはさらに一・四四倍に増加をするということをわざわざ棒グラフで示しています。
 アクションプログラムでは、こうした独居高齢者の増加、そしてその中では当然、要介護高齢者の増加になるわけですけれども、こうしたことにどのように対応しようというふうにしているのか、ご答弁をお願いいたします。

○澤計画調整部長 核家族化や高齢化の進行によりまして、今後、独居高齢者世帯や高齢者のみ世帯が一層増加することが見込まれております。
 都市化の進展や住民の流動化など、地域のつながりが希薄化する中、社会的に孤立しやすい高齢者世帯を見守り、適切な支援にいち早くつなげていくための仕組みづくりが必要となっております。
 こうしたことから、アクションプログラム二〇一三では、高齢者等の異変を発見し、関係機関につなぐ役割を担う見守りサポーターを養成し、地域の見守り体制の強化を図ることとしてございます。あわせて、高齢者の相談対応や、地域と連携した見守りの拠点であるシルバー交番の設置促進を図るなど、高齢者世帯が地域で安心して暮らせる環境づくりを進めてまいります。
 また、安否確認や緊急時対応サービスを兼ね備えたケアつき住まいにつきまして、区市町村と連携を図り、平成二十六年度までに約一万戸の目標達成に向けて整備を進めてまいります。

○吉田委員 地域の見守り体制を構築していくということは、もちろん重要な課題です。しかし、それはある程度自立をした生活ができる高齢者の場合です。介護が必要で、かつ介護度が重くなり、しかも独居、さらに夫婦のみという状況では、地域の善意だけでは到底解決をすることができません。だからこそ、特別養護老人ホーム入所希望者が増加し、また、施設が不足しているために、デイサービス施設の宿泊事業をやむなく利用せざるを得ない。そうした介護保険の正規の事業とは別な形で、宿泊サービスが結果的には拡大をするという状況が生まれています。まさに、そうした状況にどう東京都が対応するのかということにこたえることが、私は、アクションプログラムというならば、求められていると、それに対して極めて内容的には不十分だというふうに指摘せざるを得ません。
 さらに強調したいことは、真にアクションプログラムが都民や高齢者の生活の実態に即した内容となっているのかということも、私は問いたいと思います。
 例えば、一定の介護が必要な高齢者の住宅問題です。猪瀬知事が強調し、そして重点と位置づけられている事業としてケアつき住宅があります。しかし、このケアつき住宅は、本会議の代表質問に対する答弁で都市整備局長も答弁しているように、あくまでも中堅所得層を対象としているものです。
 中堅所得層というのはどの程度の層かというふうに都市整備局に聞きましたけれども、厚生年金の平均受給額であると、たしか約十八万程度だというふうに思いますけれども、そういう方々をあくまでも対象にしているということで、そうすると、ケアつき住宅を幾ら整備しても、少なくとも国民年金受給者など、こうした十七万、十八万以下の方々に対する対応はとられないということになります。こうした点について、一体アクションプログラムではどのように対応しようとしているのでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

○澤計画調整部長 アクションプログラム二〇一三では、低所得者を含めたすべての高齢者が住みなれた自宅や地域で暮らし続けていけるよう、見守りネットワークの構築を初め、医療や介護、住まい等の総合的なサービス提供の体制づくりの推進を図ることとしてございます。
 一例で申し上げますと、所得の少ない高齢者が安心して暮らせる都市型軽費老人ホームについて、区市町村と連携をし、平成二十八年度までに二千四百人分の整備を進めてまいります。

○吉田委員 ケアつき住宅も決して十分とはいえません。しかし、ケアつき住宅の整備目標はたしか一万戸ですよね。それに対して、今、低所得の方々を対象とした都市型軽費老人ホームの整備は、平成二十八年度まででも二千四百人分ということで、圧倒的に足らないことは明白だと思います。
 住宅だけではありません。いうまでもなく、医療も介護も経済的負担のために、収入の低い方々が、実際に抑制せざるを得ないという事態が広く生まれていることは明らかです。そういう都民の生活の現実に対して、どう適切な対応を東京都として展開をしていくのかということが、私は、こうした計画を立てる原点といいますか、前提として問われているし、その点で極めて不十分だというふうに指摘しておきたいと思います。
 次に指摘したいことは、投資的事業の見直しについてです。
 特に伺いたいのは、既存施設の老朽化や耐震強化対策です。東京オリンピックや高度経済成長期に急増した都市インフラの老朽化への対応及び都市インフラの耐震強度も、従来のレベル一から、巨大地震にも対応するレベル二への耐震強度の強化が重要な課題として浮上しています。
 三カ年及び二〇二〇年まで、こうした既存都市インフラの老朽対策や耐震強度対策として、どの程度の事業費を推計しているんでしょうか。

○澤計画調整部長 アクションプログラム二〇一三におきまして、長寿命化、耐震化という項目は、目標の1、施策の1に含まれてございます。この施策の1は、震災対策に集中して取り組み、地震に負けない都市をつくるという項目でございます。この施策の1の三カ年の総事業費は一兆三百七十一億円でございます。
 なお、二〇二〇年までの総事業費については算出をしてございません。

○吉田委員 今答弁にあった目標1の施策1は、震災対策関係全体を網羅したというものですから、必ずしも老朽施設の更新や、あるいは耐震強化対策の事業費というふうにストレートに見ることはできないと思います。中には、いわゆる幹線道路などを延焼遮断帯として新規に道路整備するというものまで見込まれていますけれども、したがって、三カ年で一兆三百七十一億円というのは、ストレートで理解することはできませんが、しかし相当巨額な事業費がこの分野に今後必要となるということは明らかです。しかも、三カ年だけで今いった金額ですから、今後、二〇二〇年を目指せば、極めて莫大な事業費が今後必要となるということも明白だと思います。
 私もこの間、総務委員会その他の場で、この問題をただしてまいりましたけれども、例えば堤防、水門の耐震強化を進めるだけで、建設局と港湾局の事業費は十カ年でたしか三千三百億円、橋梁の長寿命化計画は既に建設局から示されておりますけれども、十年間で二千三百二十五億円という金額が示されています。さらに、都立施設の中でも主要施設の維持更新計画が十カ年で進められていますけれども、今後六年間だけで、残事業費は約四千八百億円というふうになっています。
 さらに、アクションプログラムでは、今後、トンネルや、あるいは港湾施設などの長寿命化計画も立てるということになっていますから、こうした総事業費全体を整理すれば、極めて莫大な事業が東京都の肩にかかってくるということは明らかです。
 他方、アクションプログラムでは、既存の幹線道路計画の整備を加速させるとともに、とりわけ外環については、東名以南の事業化まで打ち出しています。数年前に都の財務局が委託研究で、高齢化の進行に伴う社会保障分野の自然増、あるいは都市インフラの維持更新の増加のもとで、どう財政運営を進めるのかということが検討されました。その中で当然、投資的経費のあり方、その中で新規と維持更新をどの程度の比率で進めていくのかも記載されていました。
 私は、都の総合計画、戦略的計画ならば、今まさにこうした視点での検討が必要ですし、とりわけ新規事業については、抜本的な再検討が求められるべきだというふうに思います。
 そこでお伺いしますけれども、重点事業だけを羅列するのではなく、税収の推移とか、社会保障関係の当然増の見込み、さらに、投資的経費では維持更新費の増加見込みなど、全体の財政計画をきちんと持って、これを示すべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。

○澤計画調整部長 繰り返しになりますけれども、アクションプログラムは、「二〇二〇年の東京」に掲げました目標の達成に向け、新規性、先進性を持つ取り組みや、今後三カ年で加速して進める取り組みを積極的に取り上げまして、集中的、重点的に施策を展開するものでございます。
 高齢化対策や防災対策など、アクションプログラムに掲げた事業は、都民にとりましてどれも重要な事業でございまして、その実現性を担保するため、財務当局と緊密に連携し、財政見通しを持って進めております。
 平成二十五年度の事業費につきましては、全額予算計上しており、予算案を本定例会でご審議いただいているところでございます。

○吉田委員 私は、参考までに、他県のこうした中長期的な計画がどのような内容かということを幾つか調べてみましたけれども、その中で、お隣の埼玉県の五カ年計画、平成二十四年度から二十八年度を挙げてみました。
 そうしますと、さまざまな施策を示した後に、財政収支見通しというものを掲げているんです。それで、平成二十四年、二十五年、二十六年、二十七年、二十八年度というふうにありまして、歳入がどのように推移するのか、その中ではもちろん、県税等の推移と同時に、それに見合った形で歳出をどのように見通すのかということが書かれていて、人件費でいえば、六千五百七十億円が最終年度では六千二百九十億円に、扶助費では八百億円が九百八十億円、さらに投資的経費でいえば千五百三十億円を千三十億円に、この場合には圧縮するというふうに示されております。
 やはり、今後、高齢化に伴う社会保障関係の当然増というものは、正面から立ち向かわなければなりません。その財政需要はきちんと保障されなければならないと思いますし、繰り返し述べている都市インフラの老朽に伴う対策も必要です。そうした中で、おのずと何に真に重点的に財政を投入することが、今求められているのかということを検討するという点では、これは直接的には財務局の責任に属することかもしれませんけれども、こうした総合的な戦略を立てるに当たっては、財政的な側面からの検討とその明示というものを、私は強く求めておきたいというふうに思います。
 先ほどから議論がありますけれども、次にお伺いしたい点は、基本計画でもある「二〇二〇年の東京」の転換が求められていると私は思いますけれども、今後の「二〇二〇年の東京」を見直すことなく、単年度のローリングを今後も繰り返していくのかどうか、その点についてお伺いいたします。

○澤計画調整部長 「二〇二〇年の東京」は、東日本大震災後の新たな社会経済状況に対する的確な対応並びにオリンピック・パラリンピック競技大会の開催を目指す二〇二〇年の東京の姿とそれに向けた政策展開を示したものであり、計画期間は平成三十二年までとなっております。
 今般、「二〇二〇年の東京」に基づきますアクションプログラム二〇一三を策定したところでございまして、来年度予算と連動させながら、計画に盛り込んださまざまな施策の具体化に全庁挙げて取り組んでまいります。

○吉田委員 私はやはり、そもそもの計画である「二〇二〇年の東京」の抜本的な見直しが、改めて求められているというふうに指摘しておきたいと思います。
 最後に、アクションプログラムとも重なりますけれども、来年度予算でどうしても一点質問しておきたい点があります。
 それは、アジアヘッドクオーター特区との関係ですけれども、外国企業誘致のための委託料が計上されていると思います。約三億円だと思いますけれども、この委託料について、来年度の誘致目標、委託内容などについて、概要の説明をお願いいたします。

○瀬口総合特区推進部長 アジアヘッドクオーター特区におきましては、外国企業のアジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点を、最終的には五十社誘致することを目標としておりますが、このうち、平成二十五年度は十社誘致したいというふうに考えております。
 この目標達成に向けまして、先ほどもご答弁させていただきましたとおり、外国企業の経営層と幅広いネットワークを有し、多国籍企業の海外事業展開をサポートするなど豊富な実績を有する民間企業のノウハウを活用し、誘致対象企業のリストアップ、あるいはそれらの企業の経営層に対する直接働きかけといった外国企業発掘、誘致事業を行うことにしております。これにかかります事業費は約三億二千万円を予定いたしております。

○吉田委員 これまでも意見を表明してきましたけれども、外国企業誘致が東京の経済発展のかなめであるかのように位置づけ、大盤振る舞いの優遇税制をとり、さらに、誘致のために委託料まで払うということは、私は納得できません。そうした優遇策をとるのだったら、都内の中小企業対策にこそ回すべきだという意見を述べて、私の質問を終わります。

○佐藤委員 私からは、都内の老朽化したインフラの更新が急務な中で、PPP事業実施のための調査についてお伺いいたします。
 高度経済成長期に集中して整備をされた大量の都内老朽化したインフラの更新が急務な状況の中で、一方で財政が厳しく逼迫している状況があります。平成二十二年六月の閣議決定された政府の新成長戦略でも、既存のインフラの維持管理、更新等に対して、民間の裁量を高めたPPPの手法の積極的な活用を図っていくこととしております。
 既に東京都は、発電事業を投融資先とした官民連携インフラファンドを立ち上げて、インフラ整備に民間資金を活用したモデル事業に取り組んで、実績を重ねているところでありますが、来年度、新たに老朽インフラの更新などにPPP手法を活用するため、計画している調査について、まず趣旨と概要についてお伺いいたします。

○松下投資政策部長 今後の我が国におきましては、少子高齢化による税収減や、あるいは社会保障費の増大が見込まれております。そうした中で、公共インフラ等の整備、更新を公的セクターの資金のみで賄うことについては、一定の限界もあるだろうと考えられております。こうしたことから、都は、官民連携事業、いわゆるPPP事業に関する調査研究を行うこととしたところであります。
 都が来年度に予定する調査では、まず、都が保有する主なインフラ資産の現状や、あるいは将来見通しなどの把握を行うとともに、国の内外におけるインフラ整備に当たり、民間資金を活用した先進事例に関する調査を実施いたします。
 あわせて、民間資金の活用に適したインフラ分野を選定するとともに、実際にこの分野を対象にした、事業投資などに関するシミュレーションなども行っていきたいと計画しております。
 また、こうした調査を踏まえた上で、有識者等の知見を得ながら、専門家による第三者的な検証のあり方や、プロジェクトへの参加の是非の判断を行う意思決定の仕組みなどを整理することとしております。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 内閣府が昨年九月に発表した社会資本ストック推計の調査では、国内のインフラの社会資本のストックは、二〇〇九年時点で約七百八十六兆円、うち東京都では六十兆円となっております。また、国土交通省での平成二十一年度の白書において、今後五十年間に必要な老朽インフラの更新費用は百九十兆円に及ぶというふうな試算が公表されておるところでございます。こうした中で、インフラの維持管理、更新のあり方において、新しい手法を積極的に検討するということは意義のあることと思います。
 一方で、そもそも公共インフラは、福祉の向上と経済発展に必要な公共施設、社会生活の基盤、経済産業基盤で、民間企業が事業として成立しにくいことから政府が提供されることを原則として、資金は税を基本とし、また、原則としてその所有は行政側にあることを前提に、一般的に行われてきたことは周知のとおりであります。
 一方でまた、企業は、リスクと利益を勘案して参入することを行動基準とする中で、すべてのインフラの分野がPPP事業になじむわけではないと考えます。
 そこで、都としては、どのような分野、どのような特徴を持つインフラがPPPの事業になじむものと考えているのか、お伺いをいたします。

○松下投資政策部長 ただいまお話にありましたように、PPP事業になじむようなインフラの選定につきましては、事業成立の可否を採算性や市場等の観点から検証する必要がございます。来年度の調査におきましては、これを大きなテーマの一つとして認識しているところでございます。
 我が国では、行政に比べまして、民間事業者による資金調達力やインフラの管理能力には、経営規模や、あるいは経験、こういった問題からいまだ不確実な部分もございます。PPPによる事業実施にメリットが出るようなケースは、ある程度限定されるものと考えているところでございます。
 しかしながら、一方、海外では幅広い分野のインフラ整備にPPPを適用しているケースもあるということでございますので、今後、国内外の先進事例を参考にしつつ、どのようなインフラがPPP事業になじむのか、調査の中で明らかにしてまいりたいと考えております。

○佐藤委員 ぜひ、民間の強みを生かした事業の選定を、しっかり検討していただきたいと思いますし、逆に、PPPの適用になじまない分野に対しての対応も、今後考えていく必要があると考えます。
 今お話がありましたように、海外で幅広い分野でインフラ整備に、PPPの手法を活用した多数の事例があるということですけれども、本調査でこうした事例の調査を行うというお話がありましたけれども、具体的にどのような事例を取り上げていくのか、都として把握している事例についてお伺いいたします。

○松下投資政策部長 事例でございますが、国内の事例におきますと、例えば横浜市によるアメリカ山公園事業というのがございまして、同市が出資する鉄道の駅舎上部を増築した上で、屋上には横浜市の市立の立体都市公園を整備する、そのほか、公募した民間事業者が、増築部分に保育所や結婚式場などを誘致いたしまして、そこで得られる施設利用料を同公園の維持管理費用に充てているなど、そうした先進事例がございます。
 また、神奈川県小田原から箱根を結ぶ有料道路が、海外ファンドの関連会社に譲渡されておりまして、その後も運営されておりますように、諸外国では、有料道路、発電所あるいは港湾施設など、多くのインフラ施設が民間資金の投資先となる例が多いと聞いてございます。

○佐藤委員 海外のファンドが入ってくる可能性もあるということで、日本の経済に対しても何かインパクトがあるのかなという部分があると思いますけれども、いずれにしても国内ではまだ事例が少ないことから、海外の先進事例の調査は重要だと思います。
 そうした中で、PPPを活用した事例、それぞれ個別において、資金調達の方法や行政の関与のあり方など、さまざまな点から掘り下げていただいて、効率的な施設の改修や維持の保全方法などについて明らかにしていただきたいと思いますし、同時に、こうした事業を推進している国においては、こうした政策を先に進めていく、ドライブをかけるインセンティブなど、制度的な工夫もあるところと思いますので、ぜひともそうした観点からの検証も進めていただければと思います。
 先ほどお話がありましたが、今回の調査では、こうした取り組みをするに当たって、専門家による第三者による検証のあり方や、プロジェクトの参加の意思決定の仕組みなどについても、整理をするというお話がありました。PPP事業の実施に当たっては、企画段階から民間が参加して、その持つスキルを投入して、具体的な事業をつくり上げるところに特色がある中、こうしたプロジェクトに都が参加をしたり出資をすることが想定されるところであります。
 企業は、リスクとともに参入を決定いたします。一方で、行政の行動基準は、経済の効率性とは別の視点も持っているところであり、今回は、インフラを確実に更新できるのかという目的を達成できるのかという視点も必要になると思います。こうした観点から、PPP事業の実施に向けては、慎重な、しっかりとした仕組みづくりが必要になると考えます。
 そこで、来年度の調査スケジュールとともに、PPP事業実施に向けた意思決定、検証の仕組みづくりについて、どのようなイメージでいるのか、とりわけ第三者的な検証機関と議会との関係についてお伺いいたします。

○松下投資政策部長 調査のイメージでございますが、今年度、都が立ち上げました官民連携インフラファンド事業では、ファンドからの投融資に当たりまして、事前に、法律、会計あるいは投資業務などの専門家から構成されます、投資評価委員会というものを設置しております。これらが、当該投融資先に係る将来の需要予測とか、あるいはキャッシュ・フロー分析など、専門的知見を踏まえた検証を入念に実施し、投融資の安全性を担保しているものでございます。
 来年度実施する調査におきましても、こうした投資評価委員会を参考にしながら、さらに仕組みづくりに向けた検討を進めるとともに、将来、都議会においても、現行のPFI事業における例を勘案しつつ、適切にご審議をいただけるような、そういった仕組みづくりに取り組むものでございます。
 なお、調査の具体的なスケジュールにつきましては、現時点で未定でございますが、できるだけ早期に調査に着手しまして、PPP全般にわたる調査を一定程度行った上で、さらにPPP事業の実施に向けた、制度や仕組みづくりを行うことと考えております。

○佐藤委員 都の官民連携インフラファンド事業では、多数の事業関係者とやりとりに当たっても、高度な金融、法律面、さまざまな高度な専門的な知見が求められると聞いております。将来的に規模の大きいインフラを対象に、このPPPの手法を駆使した事業を実施する場合に、今以上に高度な対応が求められる可能性もある中、リスクに対しての管理体制の構築は不可欠と思います。
 また、住民、都民の生活向上のためのインフラ維持更新という目的にかなうかどうか、その支出規模が適正かどうかという判断できる体制も不可欠だと思います。
 PPPにおいては、官と民の役割、関係が問われていると思います。おのおのの持つ強みが発揮されることを期待しますとともに、老朽インフラの維持更新に向けた新たな取り組みの構築に向けて、一石を投じる調査になることを期待いたしまして、私からの質疑を終わります。

○橘委員 私の方からは、アクションプログラム二〇一三について質問いたします。
 行政の中長期計画については、その計画期間中に、政治状況、社会状況あるいは財政事情等の変化はつきものでございます。したがって、その都度、必要に応じて、各施策の進捗や効果等を十分に分析し、また検証し、その結果を迅速かつ柔軟に反映することが重要であろうと思います。
 その観点から、今回のアクションプログラム二〇一三を見てみますと、事業の検証結果を踏まえ、当初の目標を修正したもの、あるいは新たな取り組みの打ち出し等が随所に見受けられます。
 そこで、どういう方針のもとにこうした策定作業を行ったのか、まず確認しておきたいと思います。

○澤計画調整部長 計画の策定に当たりましては、常に施策の進捗状況を点検し、その結果を新たな目標設定、事業展開に反映させながら、社会状況の変化を踏まえて、施策の展開を検討しているところでございます。
 アクションプログラム二〇一三の策定におきましても、事業所管局と連携を図りながら、従前に発表した実行プログラム二〇一一や二〇一二におきます取り組みの実績、課題等を十分に検証いたしまして、その結果を計画事業に反映させております。

○橘委員 検証を反映した上で、今回のアクションプログラムが策定されているとのことでございますけれども、ただ事業分野によっては、実績や進捗が芳しくない事業もございます。そうした事業につきましては、より詳細な分析に基づき、計画の見直しを行ったり、また、課題を常時検討しながら推進する体制をとるべきであろうと思います。そうしないと、事業分野によっては、ばらつきが大きくなってしまうんです。それによって、そのままの体制で続きますと、結果的にバランスの非常に悪い「二〇二〇年の東京」になってしまいかねない、そういう事情もございます。
 例えば、高齢者の住まいや認知症対策の現状を見ますと、これはさらに詳細な推進計画と実行力が必要ではないかと私は思います。都の推計によりますと、二〇二〇年に都民の四人に一人が高齢者となり、高齢者数は三百二十一万人に達する。また、七割以上の高齢者が住みなれた地域で暮らしたいと希望もしていらっしゃいます。
 こうしたニーズに対応していくためには、介護が必要となっても地域で暮らせる体制づくりが必要なわけです。猪瀬知事は、安全都市の実現を目指す一環として、高齢者の住まいの充実を打ち上げました。また、今定例会の予算特別委員会におきましても、我が党の質問に対し、高齢者が安心して人生を過ごせる住まいの整備に、スピード感を持って取り組むと表明しております。
 そこで、アクションプログラム二〇一三において、住まいや認知症対策などの高齢者施策について、どう分析をし、そして計画に反映したのか、具体的にお答えいただければと思います。

○澤計画調整部長 高齢者が可能な限り、住みなれた地域で暮らし続けていくためには、多様なサービスの組み合わせや地域での支え合いにより、高齢者を重層的に支える体制づくりが重要でございます。
 高齢者の住まいにつきましては、平成二十六年度末までに、サービスつき高齢者向け住宅、ケアつき住まいでございますけれども、これの約六千戸整備に向けて設置促進を図ってきたところでございますが、今後見込まれる急激な高齢者人口の増加に対応するため、さらに取り組みを加速させる必要が出てまいりました。
 こうしたことから、アクションプログラム二〇一三では、医療・介護サービス事業所の併設や、近隣居住の推進を図る都独自の推進策を新たに導入し、区市町村と連携をしながら、今後二年間で約一万戸の目標達成に向けて整備を推進してまいります。
 また、認知症対策につきましては、これまで、認知症高齢者グループホームの整備促進や、認知症ケアにかかわる人材育成など、地域の人的資源、社会資源を活用した支援体制の構築に取り組んでまいりました。
 しかし、今後、何らかの認知症の症状がある人は、平成二十三年の約三十二万人から、平成三十七年には約五十二万人まで増加すると見込まれております。このため、認知症の症状がある高齢者を早期に発見、診断し、必要な支援につなげるため、認知症の疑いを判断するチェックシートの開発や、区市町村への認知症コーディネーターの配置など、新たな取り組みを開始することといたしました。
 現状分析を踏まえ、計画に盛り込んだ新しい取り組みなどによりまして、高齢者施策を一層充実させてまいります。

○橘委員 今、具体的な説明がございました。これは随時分析しながら、検証しながら、どこでどう修正したらいいのか、これを常に考えておく必要があろうかと思います。そうでないと、結果的に見るとかなりおくれていたとか、そういったことにもなりかねませんので、その辺は十分慎重に対応して取り組んでいただきたいと思います。
 今のと関連いたしまして、障害者雇用について伺います。
 都内の障害者雇用数は、平成二十四年六月の時点で、前年より約六千人増加し、障害者雇用三万人増に向けて順調に推移していると思います。しかし、都内企業の法定雇用率は一・六六%にとどまっており、法定雇用率は未達成の状況にあります。
 四月からは、民間企業の法定雇用率が現行の一・八%から二・〇%に引き上げられることになりますが、そうした動きに対しまして、アクションプログラム二〇一三では、具体的にどういうふうに事業を展開していくのか、見解を伺います。

○澤計画調整部長 お話の都内企業の障害者の法定雇用率でございますけれども、従業者数が一千人以上の大企業では一・八八%、三百人以上一千人未満の企業では一・五一%、五十六人から三百人未満の中小企業では〇・九三%と、企業の規模によって差が生じております。
 法定雇用率を達成することが困難な中小企業を支援するためには、企業や就労支援機関などに対しまして、多様な施策を展開していく必要がございます。
 このため、アクションプログラム二〇一三におきましては、職場定着を支援する東京ジョブコーチの増員や、障害者を雇用する中小企業への都独自の賃金助成制度などによりまして、障害者雇用に取り組む企業への支援を充実しております。
 また、グループワークと職場実習を通じて、就労支援機関と法定雇用率未達成企業の連携を促し、障害者の一般就労を促進する事業を新たに実施することとしました。
 こうした取り組みなどによりまして、障害者雇用の一層の充実に向け、着実に施策を進めてまいります。

○橘委員 今回のアクションプログラム二〇一三は、政権交代の過渡期に策定されたものでございまして、新政権となった現在の景気の状況、政策の骨格、それから社会の状況、それらも大きく変化しておると私は思っております。それに伴いまして、計画途中でも、事業計画の変更あるいはスピードアップを求められる事業分野も、出てくる可能性があるのではないかと思います。
 このアクションプログラムは、三カ年の計画期間でありますけれども、景気、経済の変化、それから政治状況の変化、また社会状況の変化、こうしたことをどう反映していくのか、説明をお願いしたいと思います。

○澤計画調整部長 最近の経済動向といたしまして、円安による輸出環境の好転、株価の回復、ベースアップや一時金増額などの賃金環境の改善、こうした兆しが見え始めております。
 都政を取り巻く状況は日々変化をしておりまして、計画策定後の社会経済状況の変化に迅速かつ的確に対応していくことが、「二〇二〇年の東京」に掲げました目標を量、質ともに高いレベルで達成することにつながると思います。
 このため、社会経済状況の変化を的確にとらえまして、今後の年次計画の設定や事業展開のあり方などを検証いたしまして、アクションプログラムの改定に反映させていきたいと考えております。

○橘委員 「二〇二〇年の東京」というのは、東京以外ですけれども、地方議会の皆さんが非常に注目しているというのを最近私も耳にいたしました。やはり東京がこういう目標を掲げて、こういうふうにやっていくという、これを掲げますと、それをどうやっていろんな壁を乗り越えて実現していくのか、そういったことに対してもまた注目をしているようでございます。そういった話も伺いました。
 やはりこれは、東京という自治体をリードする立場のところが、こういういろんな壁を乗り越えて、そして住民のために、いかにいい行政、また施策を講じていくのかということが大事であろうと思いますし、それが全国に波及していくと思いますので、そうした時代の状況の変化にも臨機応変に対応しながら、この計画を推進していっていただきたい、このことを申し上げて、私の質問を終わります。

○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十分散会

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