総務委員会速記録第三号

平成二十五年三月十五日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長中山 信行君
副委員長鈴木 章浩君
副委員長山下ようこ君
理事橘  正剛君
理事原田  大君
理事吉田 信夫君
佐藤 由美君
中屋 文孝君
星 ひろ子君
谷村 孝彦君
吉原  修君
西岡真一郎君
服部ゆくお君
小沢 昌也君
川井しげお君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長笠井 謙一君
危機管理監宮嵜 泰樹君
理事前田 敏宣君
総務部長山手  斉君
訟務担当部長和久井孝太郎君
復興支援対策部長野口 一紀君
復興支援調整担当部長早川 剛生君
行政改革推進部長堤  雅史君
情報システム部長長澤  徹君
首都大学支援部長伊東みどり君
人事部長中嶋 正宏君
労務担当部長内藤  淳君
主席監察員藤森 教悦君
行政部長砥出 欣典君
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務鴫原  浩君
区市町村制度担当部長西村 泰信君
総合防災部長村松 明典君
企画調整担当部長箕輪 泰夫君
統計部長高橋 英次君
人権部長並木 勝市君
人事委員会事務局局長真田 正義君
任用公平部長石井  玲君
試験部長芦田 真吾君
審査担当部長小澤 達郎君
監査事務局局長松井多美雄君
監査担当部長仁田山芳範君

本日の会議に付した事件
意見書について
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十九号議案 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十七号議案 東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 平成二十五年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 平成二十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第三十号議案 東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 東京都職員互助組合に関する条例の一部を改正する条例
・第三十五号議案 東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十六号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第三十七号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第三十八号議案 東京都知事等の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第三十九号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第四十号議案  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第四十一号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第四十二号議案 住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
・第四十三号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第四十四号議案 東京都新型インフルエンザ等対策本部条例
・第四十五号議案 東京都防災会議条例の一部を改正する条例
・第四十六号議案 東京都災害対策本部条例の一部を改正する条例
・第百二十六号議案 包括外部監査契約の締結について
・第百二十七号議案 東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
・第百二十八号議案 境界変更に伴う財産処分に関する協議について
・第百三十九号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都産業科学技術振興指針(第三期)の素案について
・新たな多摩のビジョンの素案について
・東京都離島振興計画の素案について
・平成二十五年度都区財政調整の概要について

○中山委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○中山委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十五年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会の所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十五年三月十四日
 東京都議会議長 中村 明彦
総務委員長 中山 信行殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(木曜日)午後五時
(別紙1)
総務委員会
第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 総務委員会所管分
第二号議案 平成二十五年度東京都特別区財政調整会計予算
第四号議案 平成二十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
(別紙2省略)

○中山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、人事委員会事務局、総務局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分及び第四十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○中山委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分及び第四十七号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○中山委員長 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第三十号議案から第四十六号議案まで、第百二十六号議案から第百二十八号議案まで及び第百三十九号議案並びに報告事項、東京都産業科学技術振興指針(第三期)の素案について外三件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○西岡委員 東日本大震災から二年が経過いたしました。あの二年前の記憶と教訓、決意したことを風化させないことが最も大切なことと感じております。
 きょうは、都が取り組む帰宅困難者対策と防災隣組について伺ってまいります。
 まず昨年十一月に策定し、来月四月より施行される帰宅困難者対策実施計画について質問いたします。
 大規模災害発生時、都内では五百十七万人と想定される膨大な数の帰宅困難者が発生をいたします。こうした状況に対応するには、いうまでもなく公助のみならず、自助、共助も含め、社会全体で取り組む必要があります。
 都は、全国に先駆けて帰宅困難者対策条例を策定するとともに、国や九都県市などの自治体、経済団体などを構成員とする帰宅困難者等対策協議会を設置し、活発な議論を行い、昨年九月には最終報告や事業者向けのガイドラインを策定しました。実施計画は、この協議会の成果を踏まえ作成したと聞いています。
 この実施計画では、事業者に従業員の備蓄に加え、帰宅困難者の支援を見込み、一〇%余分に備蓄をすることを啓発することや都立施設を活用した一時滞在施設七万人分の準備に加え、行政としての民間事業者の取り組みを後押しする一時滞在施設への備蓄品購入補助や税制面での支援策などの取り組みが盛り込まれています。
 これらの点が大変大きな特徴となっており、三・一一の際には震度五強であれだけの混乱が生じた東京、この東京が経験した教訓を踏まえて、これらの計画を着実に進展していくことが都には求められていると感じております。
 こうした施策を着実に実施していくためには、民間における積極的な取り組みや実践が欠かせません。
 都はどのように取り組んでいく方針なのか、まず最初に伺わせていただきます。

○村松総合防災部長 災害時に発生する膨大な帰宅困難者に対応するためには、行政による公助だけではなく、都民や民間事業者による自助、共助の取り組みが不可欠でございます。
 具体的には、企業や学校による一斉帰宅の抑制、一時滞在施設の確保などについては、民間事業者の幅広い協力が重要と考えます。
 このため、今回の実施計画におきましては、事業所防災計画に帰宅困難者対策を明記するよう東京消防庁が事業者に対し指導することや一時滞在施設に協力する民間事業者に対するさまざまな支援策を盛り込んだところでございます。
 今後、こうした施策により民間事業者の協力を得て帰宅困難者対策を着実に実施してまいります。

○西岡委員 ご答弁ありがとうございました。
 帰宅困難者対策にはいろんなポイントがありますが、一斉帰宅の抑制、都民の方々が全体として冷静になって行動すると、この抑制という観点が大変に重要なポイントだと考えます。
 しかし、いざ災害が発生した際には、多くの人は、まず最初に自分の身の安全、と同時に、ご家族の方の安否が最も気になる点であると思います。
 こうした場合、通話による安否確認を選択する方が多いと思いますが、東日本大震災のときも一斉に多くの人が通話による連絡を選択したために、最大九割の通話規制が行われたと聞いています。私自身も、皆さんもそうだと思いますが、携帯電話、全くつながりませんでした。
 この安否確認ができなければ、皆さんご家族の安否はどうか、とても気になってしまって、一刻も早く帰らなければならない、こう考えるのが普通の心情だと思います。
 昨今、災害時伝言ダイヤルの普及やインターネット回線による災害時情報サイトが大変充実してきていることは承知をしています。しかしながら、子どもや高齢者など、そういった最新の情報通信技術の発展による情報を得られない方が相当数存在しておりまして、いわゆる災害面でのデジタルデバイドが歴然と存在しているのが実情です。
 私も自分の家族の例を出して大変恐縮ですが、母に伝言ダイヤルの使い方を何度説明しても、なかなか理解をしていただけません。
 今般の都の帰宅困難者対策の大きなポイントは、特に都心部などにおいては、自分がいる場所に一定時間とどまることであると考えますが、そのためには家族の安否確認は欠かせません。今後、予想される首都直下地震の際、都民の皆さんが安全な場所にいるのなら、安心してその場にとどまることができるようにしていくためには、こうした安否確認を含む情報通信環境、携帯電話の通信環境がさらに整備されることが重要と考えております。都のご見解を伺います。

○村松総合防災部長 大規模災害が発生した際、家族等の安否確認は一斉帰宅を抑制する上で重要となります。これまで都は、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会の場などを通じ、通信事業者に対しまして情報通信環境の向上を働きかけてまいりました。これに対して事業者は、大規模災害発生の際にも通信が途絶えないように、携帯電話基地局を増設するとともに、広範囲に電波を送受信する基地局の設置などのハード対策を進めております。
 あわせて携帯電話操作にふなれな方にも利用できます災害用音声お届けサービスの提供などのソフト対策にも取り組んでいるところでございます。
 こうした民間事業者の取り組みを踏まえまして、九都県市とも連携して安否確認手段の確保について周知を図ってまいります。

○西岡委員 ありがとうございました。
 事業者の方に都の方もいろいろと働きかけていただいていることであります。今後とも働きかけを強化していただきたい。特に携帯電話の回線環境が向上いたしますように働きかけを行っていただきたいと思います。
 また同時に、今、充実しつつあるさまざまなインターネットを活用したサイトの活用、こういったものに関しては、高齢者の方々が使い方を学ぶ必要があります。メディアや場合によってはいろいろな市区町村の取り組みなどを通じて、そういった高齢者の方々にも使い方をきめ細かくお伝えしていくような、そういう全都的な取り組みも、あわせて要望しておきたいというふうに考えております。
 実施計画では、都営地下鉄における利用者保護が盛り込まれております。地下鉄の利用者保護として駅を活用することはとても画期的であります。また、天候などからの影響を受けにくい地下の利用は、帰宅困難者の待機場所としても極めて有効な空間と考えます。
 今般の実施計画は、都の実施計画なので、都営地下鉄にしか触れられていないのは当然としても、JRなど他の鉄道事業者の取り組みがどのようになっているのか大変重要な観点であります。三・一一の際も新宿駅などにおいて、さまざまな現象がありました。
 現状と都としての今後の取り組みを伺ってまいります。

○村松総合防災部長 都は、帰宅困難者等対策協議会におきまして鉄道事業者とも議論を重ね、駅における利用者保護のガイドラインを取りまとめました。
 鉄道事業者においては、このガイドラインを踏まえ、利用者の保護や備蓄の確保などを行うこととなります。
 例えば、都営地下鉄やJR、東京メトロは駅における備蓄の確保を既に実施しており、また他の鉄道事業者においても同様の対策を検討していると聞いております。
 都は、本年一月に国とともに設置した連絡調整会議におきまして、鉄道事業者の取り組み状況を把握するとともに、会議の場などあらゆる機会を活用いたしまして、事業者に利用者保護のための取り組みを促してまいります。

○西岡委員 鉄道の駅には、毎日多くの方が行き交っております。通勤通学時間帯ならなおさらであると思います。こうした時間帯では、駅の利用者が発災後、安心してその場にとどまれるよう、地下鉄も含めたさまざまな鉄道関連施設の耐震性の確保が極めて重要と考えます。
 都のご見解を伺わせていただきます。

○村松総合防災部長 昨年策定いたしました地域防災計画では、各鉄道事業者の取り組みといたしまして、駅等の耐震化を促進するとともに、災害に関する取り組みについてわかりやすく利用者に周知することを明記したところでございます。
 また、交通局では都営地下鉄につきまして東日本大震災での教訓も踏まえ、運行の早期再開の観点から地下駅の中柱などの補強を計画的に実施すると聞いております。

○西岡委員 ぜひ都内鉄道事業者全体の耐震性の取り組みを促進していっていただきたいというふうに考えます。
 次に、駅周辺の帰宅困難者対策についてでありますが、大きなターミナルの駅では鉄道事業者だけでは駅に相当数殺到する滞留者を誘導することは、とても難しいのではないかと考えます。
 都は、東日本大震災以前に都内で八カ所、駅周辺の事業者を構成員とする駅前滞留者対策協議会を立ち上げ、地域のルールや訓練を実施してきています。この実施計画では、駅前滞留者対策にはどのような方策が盛り込まれているのか伺います。

○村松総合防災部長 東日本大震災前に設置されました八カ所の駅前滞留者対策協議会につきまして、都はその立ち上げ支援とともに協議会と連携した発災時の訓練を実施してまいりました。
 実施計画では、条例に基づき総合的な帰宅困難者対策を推進するという観点に立ちまして、実践的な訓練に加えて駅周辺地域における一時滞在施設の確保や帰宅支援についても駅前滞留者対策協議会と連携し、取り組むことなどを盛り込んだところでございます。

○西岡委員 帰宅困難者対策は、山手線上に大きなターミナル駅を抱える区部に目が行きがちであります。しかし、地震で電車が広範囲にとまれば、帰宅困難者は鉄道が通るところではどこにおいても発生をいたします。
 首都直下地震が起きれば、多摩地域でも帰宅困難者が多数発生をいたします。多摩地域における帰宅困難者対策をどのように進めていくのか、都のご見解を伺わせていただきます。

○村松総合防災部長 多摩地域におきましても、主要駅を中心に多くの帰宅困難者の発生が懸念されることから、区部、多摩を問わず、帰宅困難者対策を実施していく必要がございます。
 これまで都は、八王子駅におきまして駅前滞留者対策協議会を立ち上げ、発災時における対応訓練を実施して、東日本大震災の際の対応にも効果を発揮いたしました。
 これをモデルといたしまして、立川駅、吉祥寺駅などにおきましても協議会が設置され、現在都内には十七の協議会が活動しております。
 今後、実施計画に沿って多摩地域も含めまして、都内の自治体や駅前滞留者対策協議会から成る連絡会議を創設いたしますが、こうした会議も活用いたしまして、多摩地域の帰宅困難者対策を推進してまいります。

○西岡委員 ご答弁をいただいて、ありがとうございました。
 多摩地域の帰宅困難者対策もぜひ積極的に推進していただきたいと要望いたします。
 帰宅困難者対策について伺ってまいりました。帰宅困難者対策の取り組みは、何といっても、都民自身がご家族などで事前に帰宅ルートを確認しておいたり、災害発生時における行動原則を認識するなどの防災意識が最大のかぎを握っていると思います。
 私自身は、昨年、小金井市の子ども会連合会が主催した都庁から歩いて小金井に帰るという、そういう帰宅困難者訓練に自分自身も参加をさせていただきました。とても寒くて、どしゃ降りの雨が降る中での訓練でありました。
 でも、この訓練はよかったと思います。悪天候の中でも当然災害は起きるわけでありますので、いい経験になりました。
 子どもたちも、もう本当に横殴りの雨が降る中ですが、懸命に必死になって目的地である都立小金井公園を目指して歩きました。
 その中で私自身も本当にさまざまな気づきがありました。
 沿道の帰宅困難者の支援サービスなどの役割が本当にとても重要であるということも認識できました。首都直下の場合を想定すれば、訓練したような想定どおりに家にたどり着ける確証はほとんどないと思います。そのためにも社会全体で外出先や勤務先で大地震に遭遇した場合の万全の対策を講じていかなければなりません。
 都が全国に先駆けて取り組んだ帰宅困難者対策は極めて重要であります。今後とも有効な帰宅困難者訓練の継続実施も含め、今般の実施計画に基づく帰宅困難者対策に鋭意取り組んでいただきますよう改めて要望し、次の質問に移ります。
 次に、防災隣組について伺います。
 私は、東京の災害対策、とりわけ地震対策においては建物対策と地域のきずなづくりが大きな対策の二本柱と考えております。
 阪神・淡路大震災でも東日本大震災でも、地域住民による自助、共助の取り組みが従前からしっかりと構築されていた地域では、その後の被災状況や人命救助において大変大きな力を発揮していたことは明白であります。
 今後、危惧されている首都直下地震への備えには、一人一人がみずからを守る自助、近くにいる人同士が助け合う近助、また共助が最も大切であります。
 また、こういった地域の力を高める活動の中に、災害時要支援者対策の視点を盛り込んでいくことも重要です。
 都は、東日本大震災で示された教訓から、昨年より大都市ならではの共助の仕組みとして防災隣組の事業をスタートしました。
 主な取り組みとしては、東京防災隣組の認定と普及です。意欲的な防災活動を行う団体を東京防災隣組として認定し、その活動を広く紹介していく事業です。
 そしてもう一つが地域防災力向上モデル地区の指定、支援です。これは、新たな防災活動を始める地区をモデル地区に指定し、防災に関する専門家を派遣するなどにより活動の立ち上げを応援していく事業であります。
 既に両事業ともに第一回目の団体が認定され、ホームページや都が作成したDVD、時にはメディアなどにも、その状況が広報されております。私自身もDVDを見せていただき、大変勉強になりましたし、意欲的に本当に取り組んでいただいている地域の防災リーダーがたくさんいらっしゃるんだなということを学ばせていただきました。
 これらの活動を広く紹介することにより、都内の各地域のさらなる取り組みを促し、新たな防災活動を誘発していくことは極めて重要です。そして、これらの成果を全都的に広めていくことが大いに期待をされております。
 本来、これらの取り組みは市区町村が担っていますけれども、都が防災隣組の事業に乗り出す意義とこれまでの成果はどのようなものなのか、最初に伺わせていただきます。

○箕輪企画調整担当部長 発災時に一人でも多くの命を救うためには、地域における自助、共助の取り組みが非常に重要でございます。
 こうしたことから、都は自主防災組織の育成支援を担ってきた区市町村と連携いたしまして、意欲的な共助の取り組みを全都的に広げていくため防災隣組の事業を開始いたしました。
 まず昨年三月、三十六の団体を東京防災隣組として認定し、DVDつきインタビュー冊子の作成やシンポジウムの開催のほか、マスメディアも活用して広く活動の普及を図りました。
 また、認定団体の交流会を開催し、行政区を超えた防災隣組同士の情報交換、ネットワークづくりの支援も行いました。
 さらに、防災活動を開始する地域をモデル地区として四地区指定し、区市町村や関係機関と連携しながら安否確認方法の確立など、それぞれの地域の課題解決を支援いたしたところでございます。

○西岡委員 地域における防災力の担い手、そして都が進めている防災隣組事業の推進は、その大半が町会、自治会や自主防災組織の自主的な取り組みが大きなベースになっているのが現状であります。また、それ以外にも企業などにも自衛消防組織などが存在しています。しかし、多くは地域の町会、自治会、自主防災会などが担うのだと思います。
 そこで、私、昨年末に都内の町会、自治会の組織率、加入率の現状がどうなっているのかなということを調べてみました。
 その結果、加入世帯数及び加入率がゼロなどの回答をした自治体を除いた平均値は、特別区では町会の加入率が五八・三一%、多摩部が五〇・三五%となっていました。多摩地域の方が特別区よりも低い現状にあることは意外でありました。
 区部で最も加入率が高いのが大田区の七四・六九%、これは極めて高い加入率だなと思います。支部では八王子市の六三・二三%、多摩地域の町村では奥多摩町の九二・九二%がなっていました。
 町会、自治会の加入率は、長い目で見ますと年々低下傾向にあるものと考えますが、東日本大震災の教訓を風化させないためにも、市区町村や東京都がこうした自主活動の向上を支援していくことは重要な取り組みであります。そして、今般スタートしたこの防災隣組事業の進展が町会、自治会の活性化につながることを大いに期待しております。
 そこで、都が取り組む防災隣組の事業推進と町会、自治会等の地域組織の活性化への寄与に関して東京都のご所見を伺わせていただきます。

○箕輪企画調整担当部長 今年度、防災隣組事業を推進する中で、発災時の安否確認の取り組みや木密地域での実践的な初期消火訓練など防災隣組の取り組み事例やノウハウをさまざまな媒体を通じて広く紹介してまいりました。
 その結果、他の自主防災組織から活動内容について問い合わせを受けたり、認定団体を中心として周辺地域を巻き込んだ取り組みが新たに始まるなど、防災隣組の活動が他の地域へ広がりを見せております。
 また、認定団体からは長年地道に努力してきた取り組みが脚光を浴びることで、今後の活動の励みになったとの声が寄せられております。
 こうした取り組みを引き続き進めていくことが地域防災の担い手である町会、自治会等の活動の活性化につながるものと考えております。

○西岡委員 隣組の活動が他地域にも広がりを見せているということや、本当に現場で頑張っている方々の努力というのは並々ならぬものがあると。利他の精神で本当に地域のために頑張っている人がたくさんいらっしゃいます。こういった方々が脚光を浴びて、こういったすばらしい取り組みが広がっていくということは本当にすばらしいことだと思っておりまして、ぜひ今後とも積極的なPRをしていただきたいと思いますし、できますれば、メディアをどんどん活用していただいて、東京で頑張る地域の防災リーダーの方々の取り組みや努力を多くの方々に知っていただきたい。そのことで例えば自分が住んでいるまちが脚光を浴びれば、町会や自治会に余り関心がなかった方も、自分たちも何か協力しなければと思っていただけるようになっていただきたいと思いますし、ここは本当にぜひ防災隣組のこの事業の大きなポイントはすばらしい取り組みを広めていくということ、このことが一番大きなポイントだと思っておりますので、ぜひ推進していただきたいというふうに思います。
 災害対策の最大の敵は、高い防災意識が薄れ風化していくことです。社会全体で高い防災意識を維持向上していかなければなりません。そのための施策の構築も重要な視点であります。
 都は、東日本大震災で示された教訓から生まれたこの事業を継続発展していくために、今後どのように取り組んでいくのか、最後にご所見を伺い、質問を終えます。

○箕輪企画調整担当部長 地域の自助、共助を維持継続するためには、意欲的な防災活動を行う団体をさらに数多く掘り起こし、その取り組みを広く普及していくことが重要でございます。
 こうしたことから、都は現在、防災隣組の第二回認定に向け準備を進めております。
 地域防災の中核的な存在である防災隣組を大幅にふやし、新たな認定団体のすぐれた取り組みを広く波及することで、防災隣組を都全域に展開させてまいります。さらに来年度から新たに東京防災隣組への専門家派遣を開始いたします。防災活動の専門家が認定団体に赴きアドバイスを行うことで、団体活動のさらなる充実に向けた支援を行ってまいります。
 引き続き、自主防災組織の育成支援を担ってきた区市町村や関係機関と緊密に連携をとりながら、防災隣組事業を推進することで住民の防災意識の維持向上を図ってまいります。

○吉原委員 それでは、私の方からは三項目にわたりまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、首都大学東京の国際化についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 今は、もう何といっても国際競争の激しさが増している時代でございます。こうした国際社会の中にあって、活躍できる若い人たちを育成していくこと、これは日本の国益に大きな効果があることでありますし、将来的にもつながっていくものと強く確信をしているところでございます。
 そのためには、首都大学の学生はもちろんでありますけれども、都立高校生、あるいは私立の高校生にも長期で海外に学んでもらうような、そんな環境をつくっていかなきゃならないと思っています。
 そのことは文化の違いだとか、あるいは物の考え方だとか、そういうことに触れるチャンスが大変多いわけでございますし、そうした、たまった、さまざまな体験や知識を身につけることができるような環境をこれからつくっていかなければならないんではないかなというふうに思っています。
 その意味では、東京都はそうしたことに施策をしっかり講じていくことが今求められているんではないかなというふうにも強く思っています。
 我々自民党としても、これまで平場の議論でもそうでした。委員会の質疑でもそうでした。あるいはまた代表質問でもそうでありましたけれども、この問題をたびたび提案させていただいてきたところでございます。
 首都大学東京の学生の海外で学ぶ機会が若干ふえてきた、こんなお話もお聞きしているところではございますけれども、平成二十四年度、今年度です、海外留学をされた学生はどの程度なのか、お伺いをいたします。
 それにあわせて首都大学の全学生数の大体何%程度に上がっているのか、あわせてお尋ねをいたします。

○伊東首都大学支援部長 首都大学東京から海外の大学に派遣した学生は、平成二十四年度は約六十名となる見通しで、これは学部、大学院を合わせた学生数九千三百九十五名の約〇・六%に当たるものでございます。

○吉原委員 少しずつふえているんだろうと思いますけれども、学生数全体からすると、一%にも満たさないわけでございまして、聞くところによりますと、東工大についても、もう二%を超えている。あるいは筑波大学も二・三%ぐらいに比率はなっていると、こういうことでございますので、国立、都立の差はあるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、都心に通ってくる学生たちもたくさんいらっしゃるわけで、そういった意味では、少しずつもうちょっとふやしていかなければいけないなというふうに思っているところでもございます。
 二十三年度は、首都大学東京で留学、短期、長期含めて四十四人ぐらいだと、こういうお話をお聞きしました。しかしながら、本当に一時的なホームステイだとか、あるいは観光気分で行くというんじゃなくて、やっぱり一年ぐらいの長期にわたってということが効果のあることだというふうに思っているわけで、それを考えたら、四十四人のうち長期の人は七人ぐらいしかいないということですから、若干二十四年になってどのぐらいになったのかわかりませんけれども、きっとそう多くはふえていないんだろうなというふうに推察するしかないんですけれども、大学として今後海外留学生の拡大に向けて、どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○伊東首都大学支援部長 海外の大学への派遣数を拡大するため、東京都も大学と連携し、長期の留学に対して留学生の渡航費用や生活費用として一定の経済支援を実施するほか、留学中の事故にいつでも対応できる相談体制を整備するなど、留学生に対するサポート体制の充実を図ることとしております。
 このような取り組みにより、長期、短期を合わせた海外への留学生を平成二十五年度は百三十名、二十六年度は百五十五名、二十七年度は百七十名と順次拡大して派遣する計画でございます。

○吉原委員 今までも経済的な負担というのは、本人にとってもご家族にとっても大変大きな負担になるわけでございまして、長期留学にとっては大変今まで障害が大きかったわけです。
 今お話をお聞きしますと、二十五年度で、これ長短合わせてということですけど、百三十人、二十六年度は百五十五人、二十七年度は百七十人の計画を今している、こういうことでございますけれども、ぜひ引き続き長期留学に数多くの学生が参加できるような、そういった方法を一層努力をお願いしたいというふうに思っています。
 冒頭申し上げましたけれども、これまでも高校生、特に公立高校、あるいは私立高校の海外留学にも自民党として力を注いできたということは冒頭申し上げました。そうした中にあっては、二十三年の冒頭から進めてきたんですけれども、その年の終わりには公立高校でも次世代リーダー育成というものをしっかりとつくっていただいて、とにかく二十五年度からは、もう既に海外に出ていく子もおられるようでございますので大変いいことだなというふうに思っています。
 加えて、私立のこともお願いをしてまいりましたけれども、私立の協会の方とも相談もしながら、いよいよ来年度からは進めていただく、こういうことになってまいりました。
 そういった意味では、大変いい方向で私自身は進んでいるし、若い子どもたち、学生にとっても、そういう機会を得られるということは生涯自分の人生にとっても、また大きなプラスになっていくんだろうと思っていますので、そういった意味では、高校生の場合は、特に公立もしかり、私立もしかりだと思いますけれども、留学に例えば一年行っていたとすれば、やっぱり受験を控えている子どもたちにとってはマイナスになると、こういうことも考えられないわけではないというふうに思っています。
 そうした意味では、せっかく首都大学東京、東京の公立大学ですから、都立高校、あるいは私立高校と連携をしっかりととっていただいて、留学を経験した方には首都大学東京に入る、その入試の中で少しそうした方々が入るための選抜制度というものを考えていってもらいたいなというふうに思っています。
 子どもたちも三年になって留学する人もいないでしょうから、その留学が足かせとならないような首都大学東京に入れるような選抜制度というものをしっかりつくっていただきたいなというふうに思っていますけれども、これも今までお願いをしてまいりました。今の検討状況、もしわかれば教えてください。

○伊東首都大学支援部長 首都大学東京は、これまで世界で活躍することができるグローバル人材を育成するため、平成二十一年度に国際センターを設置し、学生交換留学協定の拡大や各種留学プログラムの提供など、さまざまな取り組みを実施してきました。
 こうした取り組みに加え、首都大学東京の国際化の一層の推進を図るため、留学経験や国際社会で活躍する意欲のある高校生を対象とした特別な入試の実施に向け、現在、学内において検討を行っているところでございます。

○吉原委員 どうもありがとうございます。
 ぜひ早目に検討結果を出していただくようにお願いをしてもらいたいと思いますけれども、どうしたって海外に行くということになると、日本のように四月じゃないところの入学が多いわけですから、そういった意味では、今検討中だということになると、来年度の入試ということ、入試というか、向こうに留学して帰ってきたときに入れるという状況にはないんだろうと思いますから、できれば二十七年ぐらいには、ぜひそうしたことが実現されるようにご努力を引き続きお願いをしたいというふうに思っているところでございます。
 それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、自衛官募集の都の協力について、何点かお伺いをいたします。
 実は、私も地元の町田市で自衛官募集の相談員を務めさせていただいております。毎年というわけではございませんけれども、東京都内にも自衛隊の東京地方協力隊の募集案内所というのは、もう幾つもあるんだろうと思います。私たちの町田市にもあるんですけれども、そういった皆さんと協力をしながら相談員の皆さんと一緒になって、ことしの年明けもその活動を街頭でさせていただきました。
 ちょうど二年になりますけれども、あの三・一一があったんだろうと思いますけれども、本当に街頭活動をしていて若い子どもたちも、あるいは年配のおじいさんやおばあさんたちも含めて、本当に、募集についての案内を手渡しをさせていただく活動の中で、皆さん手を差し出してきて、そのチラシも含めた資料を受け取っていただきました。
 これは多分きっと、かつてにはなかったんだろうなというふうな印象を本当にそのとき受けたんですけれども、やっぱり自衛隊の皆さんが身を粉にして日本の暗い影を落とした三・一一で大活躍をしていただいたということが、これからも若い人たちにとっても、大変印象深いことにつながっていくんだろうというふうに思っているわけでございまして、そういった意味では、私たちの東京にあっても、いつ直下型の地震が起こるのかわかりません。そのときは、それぞれの部隊で、それぞれのみんながそうした救助活動も含めて参加をされるんだろうと思いますけれども、特に自衛隊の皆さんにはお世話になることがきっと多いんだろうというふうに思います。
 そうした意味では、都民の暮らしを守っていただいている究極は自衛隊だなというような思いをしているわけでございますけれども、そうした意味で募集活動は、今、東京都も協力をすることになっているわけでございますけれども、その法的な位置づけと具体的な協力内容についてお伺いをいたします。

○村松総合防災部長 我が国を防衛する優秀な自衛官を適切に採用することは非常に重要なことと認識しております。
 自衛官の募集は、都道府県ごとに自衛隊が設置しております地方協力本部が主体となって行っておりますが、自衛隊法第九十七条によりまして、都道府県や市町村は、その事務の一部を法定受託事務として処理することとされており、都もこれに基づきまして自衛官募集事務に協力しております。
 具体的には、毎年一回、「広報東京都」に募集の概要を掲載しているほか、東京都交通局と連携いたしまして、都営地下鉄の全車両に約一カ月間にわたり広報用ポスターを掲示するなど、広く都民への周知に努めているところでございます。
 さらに、自衛隊東京地方協力本部と連携いたしまして、区市町村の事務担当者向けの説明会を開催するなど、区市町村における募集事務への支援を行っております。

○吉原委員 法定受託事務ということでございますけれども、協力をしていただいている立場にもちろんあるし、今もポスターも含めて一定の取り組みが行われている、大変ありがたいことだと思います。
 その一方で、より具体的で有効な方策として考えられることが自衛官候補生の適齢期である高校生を対象とした取り組みではないかと思います。高校の就職掲示板にポスターを掲示したりだとか、あるいは生徒にパンフレットを配布する、さらには生徒向けに説明会を開催して、直接高校生に自衛隊活動の内容や日常生活などを説明して、その魅力をPRすることではないかというふうに思います。特に説明会は意欲を持った人材を確保する上では、大変重要ではないかと思います。
 そこで、こうした都立高校での説明会が開催されるよう、だれがどのように働きかけているのか、また開催の実績はどの程度なのか、お伺いをいたします。

○村松総合防災部長 自衛隊の東京地方協力本部は、学校の進路指導担当者向けに自衛隊の活動を紹介する見学会を毎年二回開催しておりまして、こうした場で各学校での生徒向けの説明会の開催を働きかけているほか、同本部の各地域事務所が直接都立高校に出向きまして説明会の開催を依頼しているところでございます。
 この結果といたしまして、都立高校での自衛官募集の説明会の開催実績は、平成二十三年度で七校、平成二十四年度で九校となっております。

○吉原委員 昨年度は説明会の開催実績が七校、こういうことでございました。今年度につきましては少しふえて九校であるということでございますけれども、都立高校二百弱あるわけでございますので、少し少ないのではないかな、努力をしてはいただいているんでしょうけれども、少し少ないんではないかなというふうに思わざるを得ません。
 今まで東京地方協力本部の地域事務所と各学校の直接交渉では、なかなか学校側も進めにくいのか、どういう意味なのかわかりませんけれども、現状では進んでこなかった実態があるわけでございまして、すべての都立高校にこうした説明会が開催できることをしっかりと知らせる、このことは大切です。
 そして、自衛隊活動について、高校の進路指導の担当者の理解を得るということも大変重要ではないかなというふうに思います。
 教育庁の本庁も巻き込んだ取り組みがもっと必要になるように、総務局は教育庁と連携をして、ポスターの掲示やパンフレットの配布、説明会の開催など、多くの人材を獲得できるよう積極的に取り組みを進めていくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○村松総合防災部長 ご指摘のとおり、都立高校でのポスター掲示や説明会の開催など、学校を通じた募集PRは、生徒に直接自衛隊の魅力を知ってもらい、幅広い人材の確保につなげていく上で重要でございまして、そのためには各学校の進路指導担当者等に自衛隊への理解を深めていただく必要がございます。
 このため、教育庁では自衛隊からの進路指導担当者向けの見学会開催のお知らせを配布しております。また、昨年総務局は教育庁、自衛隊の三者の事務担当者による連絡会議を開きまして、採用状況などの情報の共有を図ったところでございます。
 今後、教育庁との連携をさらに深めまして、地方協力本部が直接説明する場の設定による進路指導担当者向け見学会への参加促進など、学校でのポスターの掲出や生徒向け説明会の開催につながる具体的な方策につきまして検討を進めてまいります。
 あわせて、広報紙への募集記事を充実させるなど、より積極的に自衛官募集に協力してまいります。

○吉原委員 教育庁とも連携が進められているし、教育庁、自衛隊、そして総務局三者の連絡会議もやっていただいている、こういうことでございますから、ぜひそのことを進めていただきたいなというふうに思っています。
 今年度から一泊二日の宿泊防災訓練というのは高校で始まりました。その主なものは消防庁にということのようでございますけれども、防衛庁の関係で一、二校あったようでございまして、八潮高校も学校で宿泊防災訓練を行った際に、防衛庁の方から来ていただいて話を聞いたり、あるいはさまざまな取り組みの今後のことについてもレクチャーを受けたようでございますので、こうしたことも大変必要なことではないかな、いいことではないかなというふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、自衛隊は私たち都民にとっても、先ほど申し上げたように、いつ直下地震があるかわからないわけでございますので、もう欠かすことができない、そうした存在になっているわけでございます。
 今お話しいただきましたけれども、ぜひしっかりとした協力を通じて、意識の高いすばらしい自衛官が生まれるように期待をしておりますので、よろしくお願いをいたします。
 最後に、多摩・島しょ振興についてお伺いをいたします。
 我が党は、多摩・島しょ振興を最重要課題の一つと位置づけまして、これまで都と是々非々の議論を重ねて、さまざまな施策を実現してまいりました。
 例えば、多摩地域では、南北道路主要五路線を初めとした主要幹線道路の整備や鉄道の連続立体交差、産業サポートスクエア・TAMAや首都大学東京の産学公連携センターの開設などによって、中小企業の経営、技術支援の強化などが図られてきたわけでございます。
 また、島しょ地域においても、港湾、空港等の整備による交通アクセスの改善やブロードバンドの整備による情報通信環境の進展、基幹産業である農漁業の基盤整備による生産性の向上が図られてきたものと思っています。
 こうした中、都は多摩・島しょ振興の中期目標ともいうべき新たな多摩ビジョン及び東京都離島振興計画の素案を策定されました。
 そこで、これまでの議論も踏まえ、何点かお尋ねをさせていただきます。
 初めに、新たな多摩ビジョンについてでありますけれども、今回のビジョンは都の施策の方向性にとどまらず、多摩の市町村、地域の民間企業やNPOなど、さまざまな主体における今後の活動方針となるものと聞いているわけでございますけれども、施策の具体化、事業化に当たっては、関係各局や市町村と十分に連携を図っていくことが必要であります。
 そこで、施策の具体化、事業化に向け、どのように各局と連携を図っていくのか、伺います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 新たな多摩のビジョンに基づく多摩振興の実現には、関係各局が十分連携し、施策の具体化、事業化に早急に取り組んでいくことが重要でございます。
 そのため、全庁横断的な組織であります多摩・島しょ振興推進本部のもとに設置されている検討会におきまして、実務レベルの検討を精力的に進めてまいります。

○吉原委員 ビジョンの具体化、事業化に向けた各局との連携についてはわかりました。
 それでは、市町村や民間企業、あるいはNPOとどのように連携を進めていくのか、伺います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 ビジョンの策定に当たりましては、各市町村との意見交換を十分に行うとともに、多摩地域に活動の拠点を置いております民間企業、金融機関や商工団体など二十七団体、まちづくり等に精通した大学教授などの有識者六名から多摩地域の現状や課題、今後の可能性などについて精力的にヒアリングを行ってまいりました。
 今後、各市町村はもとより、これらの団体等とも引き続き緊密に連携を図り、一体となって本ビジョンに基づく施策の具体化に取り組んでまいります。
 また、来年度、多摩の魅力発信事業を各地で展開し、ビジョンの方向性などを発信していくとともに、テーマ別のシンポジウムを開催するなど、広く普及啓発を図り、多様な主体による自発的な取り組みを促してまいります。

○吉原委員 新たな多摩ビジョンの具体化、事業化に向けましては、民間や行政、さまざまな主体との連携が図られていくように期待をするものであります。
 しかしながら、ビジョンに示した方向性を実効性のあるものとしていくためには、まずは市町村がビジョンの観点に沿った取り組みを自発的に、そして主体的に進めていくことが必要であろうかと思います。
 そのためには、都においても市町村との連携にとどまらず、その主体的な取り組みの誘導を図るため、財政面も含め積極的に支援していくことが重要と考えます。
 そこで、今後の市町村の支援に向けた都の取り組みについて伺います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 ご指摘のとおり、本ビジョンの実効性を高めるためには地域のまちづくりの主役でございます各市町村が地域の特性を十二分に発揮し、主体的な取り組みを進めていくことが重要でございます。
 こうした観点から、都としても、今後、本ビジョンに基づく各市町村の取り組みの推進を図るため、市町村と緊密に連携しながら効果的な支援策を検討してまいります。

○吉原委員 市町村に対しても、ぜひ有効な支援策を示していただきたいと思います。
 我が党の野島幹事長の代表質問でも申し上げましたけれども、ビジョンの策定はあくまでも出発点であり、今後、都が早期に施策の具体化に取り組み、魅力と活力にあふれた多摩の姿を示していくことが重要であります。
 特に、平成二十五年は多摩東京移管百二十周年という節目の年でもあります。あわせてスポーツ祭東京二〇一三の開催が重なる年であります。新たなビジョンに基づいて、しっかりと多摩振興に取り組んでいってほしいと思います。
 次に、東京都離島振興計画についてでありますけれども、離島振興計画に掲げた定住促進と持続的発展を実現していくためには、島しょの町村や庁内各局との連携を十分に図りながら、実効性のある振興策を展開していくことが重要であります。
 さきの一般質問では、我が党の三宅正彦議員の質問に対しまして、計画策定後は町村と連携して進行管理やフォローアップを行うとの答弁がありました。
 そこで、今後の進行管理やフォローアップの具体的な進め方について、お伺いをいたします。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 本計画の実効性を確保していくためには、事業の進展に応じて達成状況などを検証していくことが必要不可欠でございます。
 このため、これまでの事業所管局からの報告に加え、庁内各局と島しょ町村とが一体となって進行管理などを行う新たな組織を構築し、本計画の目標達成に向けて総力を挙げて取り組んでまいります。

○吉原委員 離島振興計画につきましても、計画策定後の進行管理とフォローアップがしっかりと行われていくことが何よりも重要であります。
 各局、各島と綿密な連携を図っていただきながら、島しょ振興に取り組んでいってもらいたいと思います。
 約十年ぶりとなるビジョンと計画の策定によりまして、今後、多摩と島しょが同時に新たな取り組みをスタートすることになります。このことは、多摩・島しょ振興にとっての一つの大きな転換期を迎えているといっても過言ではございません。
 最後に、これからの多摩・島しょ振興に向けて総務局長の決意を伺いまして、質問を終わります。

○笠井総務局長 ビジョンにも書きましたけれども、多摩地域というのは今後人口減少や高齢化がかつてないスピードで進んでいく。区部よりも早く人口減少が来てしまいます。ビジョン策定の際に、いろんな市町村とか民間企業にヒアリングを受けましたけれども、その中ではやっぱり多摩の可能性に期待する一方で、現状のままでは多摩の将来展望が開けないという極めて切迫した声も上がっておりました。
 また、島しょ地域では、人口減少とか産業の低迷が顕著でありまして、将来的なコミュニティの崩壊も懸念されております。島しょの首長さんたち、町長さんとか村長さんたちからは定住対策、そして産業振興などのソフト施策の重点的な推進が島しょ振興には欠かせないんだと、こういった声が上がっておりました。
 こうした多摩・島しょ地域が直面する状況を打開して、新たな未来を築き上げていくには、私ども東京都だけではなくて、こういった地域の厳しい現実に直面する市町村ですとか民間企業、そしてNPOなどの団体さんがそれぞれ持てる力を結集して、課題解決に取り組んでいくことが本当に不可欠だと思っております。
 今後とも多摩・島しょの振興、これ東京都の中では私ども総務局が、自分でいうのもおかしいですけど、かなめになりますので、先頭に立って、あらゆる主体と一丸となって、この多摩・島しょ振興に全力で取り組んでいきたいと思っております。

○橘委員 私からは、総務局関係の来年度予算に計上されております東日本大震災の復興支援対策に関連いたしまして、被災地から都内に避難されている方々への支援策を中心に質問いたします。
 我が党は、今定例会の代表質問におきまして、都による今後の被災地支援は長期的支援を視野に入れて対応していくべきと主張いたしました。同様に都内で避難生活を送っている方々への対応につきましても、長期支援を念頭に個々の実情に応じた手厚い支援を行っていくべきと考えます。
 そうした観点から何点か伺ってまいります。
 まず、都内避難者は都の集計によりますと、震災発生から二カ月後の一昨年六月初旬の時点で五千七十五人、その後増加いたしまして昨年四月初旬の時点で九千五百五人とピークになっております。
 ことし二月初旬の時点では九千七十八人と、この十カ月で約四百人が減少しております。全体的には減少傾向にあるものの、いまだ九千人以上が都内で避難生活を送っていらっしゃいます。
 こうした方々が都内での避難生活を長期化せざるを得ないことに伴い、健康への影響、福祉サービスの要望、住宅の相談、将来への不安、就職の悩み、人間関係など、さまざまな課題を抱えていると聞いております。私も板橋区内の避難者から、そうした話を幾つか伺っております。
 そこでまず多くの課題を抱えながら、都内での避難生活を続けていらっしゃる方々に対する都の支援の現状について伺っておきたいと思います。

○早川復興支援調整担当部長 都では現在、応急仮設住宅といたしまして都営住宅や民間賃貸住宅など約千九百戸、約四千六百人の避難者の方々に提供しております。また、福祉や就職などの相談窓口を各関係部局に設置いたしますとともに、避難所を巡回する就職相談会など、きめ細かい就労支援や都立高校の入学料免除などの就学支援など、生活全般にわたる支援を実施しております。
 さらに、戸別訪問活動や避難者同士の交流会の開催といった避難者の孤立化防止に向けた区市町村や民間団体等の取り組みを支援いたしますとともに、支援イベントや相談窓口の案内など、避難者にとって有益な各種情報を毎月二回直接郵送いたしますなど、各局が連携して行っております。

○橘委員 相談窓口の設置、特に医療サービスや福祉サービスに関する相談につきましては、東京都が避難者を受け入れた初期のころ、保険証を持ち出すことができなかったとか、あるいは都内でのサービスを受ける手続の違いがあったり、申し込みや手続の窓口がわからないといった声が多数出ておりました。
 このため、私は平成二十三年第二回定例会の一般質問で、これまでと同様の福祉サービスを都内でも受けられるようにする相談体制を講じるよう提案いたしました。都内避難者の受け入れ当初と現在ではこうした分野のニーズも変わってきていると思いますけれども、現状のニーズ、対応について伺います。

○早川復興支援調整担当部長 都内での避難生活が長期化することに伴いまして、避難者のニーズは当面の生活についての相談から、現在の住環境に対する悩み、除染作業や災害公営住宅建設の進捗状況、東京電力による損害賠償など、今後の生活を見通す上で必要な情報まで複雑多様化してきております。
 こうした状況を踏まえまして、総務局内に総合相談窓口を設け、避難者の抱える多岐にわたる相談事を丁寧に聞き取り、各局や関係機関、民間団体等と十分に連携して、きめ細かく対応しております。
 あわせて、それらの団体等に寄せられた避難者からの要望等につきましても、適宜情報の提供を受け、支援策に有効活用しております。
 また、避難者の今後の生活再建に役立ちますよう避難元自治体が都内で行います現地の復興状況等についての説明会の開催、こちらを支援することなどの取り組みも行っております。
 加えまして、避難生活の長期化を踏まえまして、現在、昨年度に引き続き避難者へのアンケート調査を実施しております。避難者の置かれている現状や課題等の詳しい把握に努めておるところでございます。

○橘委員 昨年度に続きましてアンケート調査を実施するというお答えでございましたけれども、このアンケート調査というのは、すごく実態面を反映した要望等が出てくるようでございまして、これは力を入れて取り組んでいただきたいと思っております。
 まず具体的なことについてお話を申し上げますけれども、避難生活をしている都営住宅の継続使用について、これは結構相談がございます。住民票を移さなければならないのか。それはどうすればいいのか。それから、収入の増加による入居継続への影響はあるのかどうか、それから具体的な心配事の相談、こういったものが実際に寄せられております。
 これは確認したところ、住民票の有無とか、それから収入、例えば東京で長期的になりますので、正式に就職したとか、それによって収入がふえたとか、そういったものが実際にございます。そうしたことは使用継続の条件ではないということ、これは確認しておりますけれども、他の都内避難者の中にも同じような心配をされている方も多いのではないかと私は思います。
 住宅の例を今申し上げましたけれども、こうした個別の心配事などにもこたえるために、避難者の個別の意向などを十分に把握して、情報の提供など具体的な支援について先手先手と手を打っていくことが大事であろうと思います。
 避難元の自治体からも各種情報や連絡等が届いているようでありますけれども、実際は詳細に見ていない方も結構いらっしゃるようでございます。これが現実であります。都は直接面談による情報提供にさらに力を入れまして、相談対応など身近に寄り添う支援が大事だと私は考えますが、見解を伺います。

○早川復興支援調整担当部長 先ほど申し上げました総合相談窓口において、電話対応のみならず、必要に応じて避難者との面談を実施いたしますとともに、職員が避難者の交流会などに参加いたしまして、避難者からの個別の相談に直接対応しております。
 あわせまして、福島県との連携のもと、総務局内に福島県の職員に駐在をしていただき、その職員が交流会や戸別訪問活動に赴いて、地元職員ならではの親しみやすさを生かして、避難者のニーズをより深く酌み取り、その情報を都と福島県とで共有しております。
 さらに、宮城県や岩手県に対しましても、こうした地元職員による避難者への直接の訪問活動ができないか投げかけているところでございます。
 今後もこうした取り組みを充実強化し、避難者に寄り添った支援を引き続ききめ細かく実施してまいります。

○橘委員 今、宮城県や岩手県にも地元職員による避難者への直接の訪問活動、これは実施を投げかけているという答弁ございました。これは福島県から派遣されている職員の方というのは一名でよろしかったでしょうか。でよろしいですね。--はい。
 今、都内に避難されている福島県の出身者の方って非常に多い実態でございますので、これはもう少し、これはこちらで判断するわけにいきませんけれども、もう少しふやしていただきたいとか、そういったものもこちらからある程度要望しておくとかというふうになさってはいかがかと思います。
 同郷の方の、県の職員が同郷の方だとやはり親しみを感じるようでございまして、こうした相談業務になれている同じ県の出身者の都庁職員のOB等がいらっしゃいましたら、そうした方々も活用するという、そういうのも一つの方策かと思いますので。ただし、これは被災県との連携もございますので、一概にこれはこちらだけで、東京都で判断するわけにいきませんけれども、そういったこともまず検討対象として被災県と協議をしていただければと思いますので、これは要望にとどめておきます。
 現在、避難者の方々は地元に帰るのか、それから都内避難を続けるのかなど、今後の生活の再建に戸惑い、不安を募らせているのではないかと思います。特に、原発事故に伴い、福島県から避難されている方々の多くは、先の見通しがなかなか立たない状況となっております。したがって、都は長期的視点から手厚い支援を念頭に今後の対応を講じていくべきだと考えます。
 都内での避難生活が長期化すれば、国や福島県を初め、被災県、被災市町村との連携や都庁各局との総合調整役としての総務局の役割は非常に大きくなっていくと思います。そうした面から笠井局長の決意を伺っておきたいと思います。

○笠井総務局長 先ほど部長の方からもご答弁いたしましたように、震災から三年目に入って、被災地の復興の動きも本格化しつつあるわけですけれども、被災地によって復興のスピードが、大きな違いが出てきている。
 そういう中で避難されている方々のニーズも震災直後のような当面の生活支援から今後の生活の再建やその自立に向けた支援というふうに状況が変わってきているわけです。このため、私ども総務局が中心となって、避難者を取り巻く状況やニーズの変化を的確に把握する、先ほど部長の方からも申し上げました総合窓口もそうでございますし、それから、私どもの方が福島県の方にお願いをして、とにかく職員を一人出してくれということで理事がおっしゃったように、その方が安心するからということで出してもらった。それから何といっても、地方自治体の中で福島、宮城、岩手三県に事務所を出しているのは東京都だけなんです。ですから、そういう意味ではアンテナを張って、現地の状況を毎日のように報告させていますけれども、そういうことで、私ども情報を十分現地からも送ってもらい、それから避難者の方からも情報を入れて、何とか今後とも生活全般にわたって、まさに避難者の方々に寄り添ったきめ細やかな取り組みを行うとともに、避難者の方々の一日も早い帰還、そしてまた生活再建に向けて総務局が中心となって都庁一丸となって、避難者の方々の支援のさらなる充実を努めていきたいと、こういうふうに思っています。

○橘委員 私たちも被災地の関係者の方々と定期的に連絡を取り合ったり、情報を聞いたりしておりますけれども、まだいまだに県の担当者等も大変な困難状況、まだ大変な状況が続いているようでございまして、細かいところまで行き届かない、そういった面もございますといった話もございました。
 また、必要とわかっていながら、これがなかなか手を打てないという、そんな現実もあるようでございます。そうした面で東京都が可能な限り、できることは東京でカバーしていくと、そういった対応をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、テーマを変えまして、今定例会に提出されております東京都職員定数条例の一部を改正する条例に関連して質問いたします。
 同条例案では、知事部局や公営企業など行政系の職員定数を全体で二百三十一人の減とする内容となっております。都全体の職員の定数は、大きな流れで見ますと、美濃部都政をピークに減り続けている傾向にあると認識しております。
 まず、警察や消防、学校などの職員を含めた都全体の職員定数が最も多かったときと比較し、平成二十五年度はどの程度減員となっているのか、そのうち、知事部局や公営企業などの行政系の職員定数についてはどうなのか、あわせて伺います。

○中嶋人事部長 東京都全体の職員定数について、これまで最も多かったのは昭和五十三年度の二十二万二千七百八十九人でございました。その後、鈴木都政下で二万三千八十五人の減、青島都政下で八千四百二十九人の減、そして石原都政のもとで二万三千三百三十六人を削減するなど、数次にわたる行政改革や財政再建推進プランに基づく内部努力の経過などを経まして、平成二十五年度の職員定数は十六万五千三百七十九人となっております。
 すなわち、昭和五十三年度と比較いたしますと、平成二十五年度は五万七千四百十人の減、率にして二五・八%の減でございます。このうち、知事部局や公営企業など行政系の職員定数は、昭和五十三年度の八万四千百四十四人に対しまして、平成二十五年度が三万八千五十八人でございまして、数にして四万六千八十六人の減、率にしまして五四・八%の減となっております。

○橘委員 数字である程度、この傾向性というのはわかりますけれども、本来ならば、これ折れ線グラフにすると、すごくわかりやすいんですけれども、美濃部都政のときにぐっと上がりまして、ふえまして、そして鈴木都政から少しずつ下がり始めて、青島都政で下がって、そして石原都政になって、またさらに格段と下がったという、こういったグラフの様相が出るわけですけれども、ピーク時から東京都全体の職員数が四分の一程度減って、そして、中でも知事部局や公営企業など、行政系の職員の減が顕著になっていると思います。これは鈴木都政や青島都政で取り組んできた行政改革と石原都政が取り組んだ財政再建推進プランなど、数々の行政改革プランを実施してきた結果であると認識しております。
 これまで、全体で相当な数の職員定数を削減しておりますけれども、一連の行政改革プランが終了した後の平成二十二年度から今日までの職員定数全体の傾向性について伺いたいと思います。

○中嶋人事部長 平成二十二年度以降、東京都職員全体の総定数ですが、まず治安対策の強化や学校教育の充実などによりまして、警視庁や学校職員の定数は一貫して増員の傾向にあります。その一方、行政系の職員定数については、一連の行政改革プランが終了した後も、総人件費抑制の観点から徹底した内部努力を継続しておりまして、その結果、総定数は平成二十二年度で対前年比六人の減、平成二十三年度で対前年比三十六人の減となり、引き続き減員の傾向を維持いたしました。
 平成二十四年度は、警察官の増員に加えまして、東日本大震災の経験を踏まえたハイパーレスキュー隊の増設による消防吏員の増員や小学校の三十五人学級の実施など、警視庁、東京消防庁、学校職員での例年にない大幅な増員が行政系職員の削減数を上回ったため、総定数は前年と比べ、二百三十二人の増員となりました。
 しかし、その後、今回条例案をご提出させていただいております平成二十五年度におきましては、行政系職員の内部努力の徹底によりまして、総定数は対前年比百四人の減となり、再び減員の傾向となっております。

○橘委員 徹底した内部努力によりまして総定数と給与関係費の総額を抑制したことは、これは評価したいと思います。そのような取り組みを行いながら、東京都は東日本大震災の発災から今日まで積極的に被災地支援を行っております。
 総務局復興支援対策部のホームページによりますと、これまでの累計でことしの三月一日現在、警察や消防を含めた都全体で三万二千八百三十人の職員を被災地に派遣をしております。職員が余っているから派遣できたということではないと思います。被災地支援に職員を送り出した職場の支援、残った職員が派遣した職員の仕事をカバーする、そういった努力があったからこそできたのであって、被災地に行った職員と同様に送り出した職場の職員も懸命だったと想像いたします。
 まさに、ぎりぎりの状況で仕事をしている。また被災地の応援になるんだったらば、自分たちも努力をいとわない、苦労をいとわない、そんな思いが伝わってくるように思います。
 民間企業の血のにじむような経営努力を考えますと、ただやみくもに公務員の数を全体でふやすという状況ではないということは十分わかっておりますけれども、被災地支援や都の防災対策において土木や建築などの技術職員の重要性を感じる場面に私も多く接しまして、都として必要な数の職員は確保しておくべきだと考えております。
 また、団塊の世代が大量に退職したことを契機に、技術継承の重要性もいわれております。一例として、土木や建築などの技術職を中心に取り上げましたけれども、児童相談所などの福祉や医療現場などにおきましても、同様の課題を抱えていると思います。
 そこで、こうした課題がある土木や建築、福祉、医療などの技術職の職員定数については、現在どのように対応しているのか、伺います。

○中嶋人事部長 行政系職員全体につきましては減員の傾向を続けておりますが、その中でも土木、建築、機械、電気のいわゆる四大技術職種の職員定数につきましては、防災対策など都政の重要課題の解決に向けた現場の執行力を確保するため、平成二十四年度に四十一人、平成二十五年度に三十人を増員しております。
 また福祉分野におきましては児童相談体制を強化するため、平成二十四年度に心理職を十一人、平成二十五年度に福祉職を十三人増員しております。
 さらに医療分野におきましても、都立松沢病院の本館診療棟の開設など、都立病院の医療体制の強化などを目的としまして、平成二十四年度に七十八人、平成二十五年度に四十六人の看護師を増員しております。
 一方、技術職の定数増につきましては、こうした規模の面だけではなく、質の面での対応も重視しておりまして、例えば、土木技術や児童福祉の専門分野におきまして、新規採用職員などを対象にベテラン職員を活用した実践的な研修を行うなど、人材育成の強化にも今後取り組んでいく予定でございます。

○橘委員 徹底した内部努力による減員を行う一方で、医療や福祉、技術系職員の確保に努めるなど、めり張りのつけた行政系の職員定数になっていることや人材育成に取り組んでいること、これはよく理解できました。
 警察官や消防官、救急隊員はいうまでもありませんけれども、行政系の職員の中でも、先ほどの土木や建築、医療、福祉などの職員は、いざというときに一人でも多い方がよいと感じているのが私の偽らざる実感でございます。
 実は、きょうこの質問をいたしましたのは、去年の十月に私が宮城県の被災地に、気仙沼に行ったときに東京都が派遣しております任期つき職員の方、三名の方と懇談をさせていただいた、そのことがきっかけでこういう質問をさせていただいております。
 その方たちから直接、都の職員の定数とか、そういった直接的な話はございませんでした。ただし、その経過を事前に調べていったところ、当初は正規の職員が、技術系の職員が派遣されておりました。それが業務に差し支えがあるという事態になりまして、そして、間隙をあけることのないように任期つき職員をまた派遣して、それは結果的に継続的な支援、人材の支援になっているわけですけれども、私が重視しましたのは、正規の職員を派遣して、それを持たさざるを得なかったという、本来の業務に影響が出る可能性があるということが私はひっかかるところがございまして、これは全くの余裕のない状況の中で、こういうことをやっていたら、いざ首都直下地震が発生した、また大きな災害が発生した場合に、これは一体どうなるんだろうという、そんな疑問も抱いた。それが今回の質問になったきっかけでもございました。
 そして、こういう状況の中で、私はむだを排除した効率的な行政運営を否定するつもりは毛頭ございませんけれども、今回の私が視察したときに考えたこと、東日本大震災での経験、それから減少傾向が続いている職員定数条例、これを重ねますと、一抹の不安を感じざるを得なかったのが実情でございます。これから、先ほどいいましたように、首都直下地震に備えた職員の体制、これは都民の命を守るという観点からも大事な視点であろうかと私は思っております。
 それから、「二〇二〇年の東京」、これを強力に推進する上でも技術系を中心に必要な人員というのは非常に多くあろうと思います。そうしたことを考えますと、今後の都の職員体制というのは、ある程度命を守るという観点に絞る、そういった、またこの首都直下地震に備える「二〇二〇年の東京」、これを強力に推進する、そういった観点からの体制も必要になってくるのではないかというふうに感じた次第でございます。
 そこで、今後、都の行政系の職員定数をどのように推進していくのか、基本的な考えをお聞きしたいと思います。

○中嶋人事部長 東京都の執行体制は、高度な防災都市の実現を初めとする「二〇二〇年の東京」に掲げる事業など、都政の重要課題を解決するための取り組みを着実に推進していくものでなければなりません。
 一方、都の職員に係る人件費は、基本的に都民の税金で賄っておりまして、執行体制も常に最少の経費で最大の効果を発揮するものでなければなりません。
 このため、行政系の職員定数につきましては、毎年度、各局とも十分に調整をしながら、需要動向や個々の職務内容と業務量などを踏まえた上で削減すべきところは削減すると同時に、都政の重要課題への対応や、ただいま理事ご指摘のような課題などに対応するために真に必要な人員については積極的に増員をすることで総人件費抑制の要請にこたえるとともに、強固な執行体制の構築にこれまで努めてまいりました。
 今後とも、なお一層、この基本的な考え方に沿いまして、職員定数管理のさらなる適正化に努めてまいります。

○橘委員 人件費の総額を抑制しなければならない。このことは間違いなく確かでありますけれども、住民サービスに必要なもの、特に都民の命にかかわるもの、こういう都民の命を守るという観点で、部門によっては職員をふやすという考えがあってもよいのではないかと私は考えます。
 今後の職員定数については、何が何でも削減ありきというものではなくて、減らすものは減らす、ふやすものはふやす、こういう必要な部門についてはめり張りをつけながら、人件費の抑制という課題ともバランスのとれた定数管理を行って、真に都民の信頼を得る執行体制の確保に努めていただきたいと思います。
 こうしたことを要望いたしまして、質問を終わります。

○吉田委員 私からは、今の話ともリンクすることですけれども、正規職員の増員とともに、いわゆる臨時職員、非常勤職員の処遇の問題について、まずお伺いをいたします。
 知事部局の非常勤職員数は昨年四月時点で六千百三十八人、臨時職員の方の数は千二百十五人、合計しますと七千三百五十三人に及びます。これは、知事部局の正規職員数二万四千三十七人の三一%にも及ぶという状況となっています。
 ご承知のとおり、今、社会全体で非正規雇用が広がるもとで、そうした非正規雇用の方々の就労条件の改善が日本の経済全体にとっても、日本の未来にとっても大きな社会問題になっていると思います。
 それだけに東京都みずからが雇用する臨時職員や非常勤職員の方々の処遇向上のために、率先して努力をすることが求められていると思いますけれども、この点、どのように考えていらっしゃるのか、まずは基本的な見解についてお伺いいたします。

○内藤労務担当部長 都におきまして最少のコストで最も効率的、効果的な行政サービスの提供を実現していくためには、限られた人材を最大限に有効活用していくことが重要であると認識しております。
 このため、都では個々の職務内容や業務量等を十分に勘案した上で、常勤職員、非常勤職員及び臨時職員等が的確に役割分担を行い、スリムで効率的な執行体制の確保に努めているところでございます。
 こうした中、臨時職員や非常勤職員の勤務条件につきましては、これまでも業務内容はもとより、社会経済情勢の変化や常勤職員の給与との均衡等を考慮して、適切な賃金、報酬となるよう見直しを行ってまいりました。
 具体的には、臨時職員につきまして業務内容等に応じた複数の賃金単価を設定するとともに、平成二十年度には賃金単価を引き上げたところでございます。
 また、非常勤職員につきましては、職務の困難性の高まりを考慮しまして、例えば、消費生活相談員につきまして平成二十一年度に報酬額を引き上げるとともに、職務の実態に応じまして、高い職責を担う新たな職を主任として設置したところでございます。
 今後とも、それぞれの職にふさわしい勤務条件の実現に努めてまいりたいと考えています。

○吉田委員 今後とも、それぞれの職にふさわしい勤務条件の実現に努めていくというお話でした。職にふさわしいとの答弁ですけれども、非正規職員数の削減が進められる中で、正規職員と変わらない役割を今、非正規の方々が果たされている。これは賃金だけの問題ではありませんけれども、そうした果たしている役割にふさわしい処遇全体の引き上げというものが私は求められているというふうに思います。
 次に、こうした地方公共団体での臨時職員、非正規、非常勤職員の広がりの中で、前回も紹介いたしましたが、総務省は全国的な調査を行い、また研究会を進め、それに基づいて総務省としての、これは技術的助言という性格でしょうけれども、文書が三年前ですか、出されていると思いますけれども、こうした総務省の助言の概要についてご答弁をお願いいたします。

○内藤労務担当部長 お話の文書は、総務省が地方公共団体におきます臨時、非常勤職員の任用等に係る留意点に関しまして技術的助言を通知したものでございます。
 改めてこの通知が出された背景でございますが、本来任期を一年以内とする非常勤職員につきまして、任期ごとの客観的な能力実証がされることなく、同一職員が長期にわたり繰り返し任用されている実態があるなど、任用管理上の問題が指摘されている状況にございました。
 そこで総務省は、臨時、非常勤職員の任用管理の適正化を図るため、各団体に対しまして、任用管理に関する基本的な考え方を周知徹底するとともに、あわせて具体的な任用管理上の留意点を提示したものというふうに認識しております。
 具体的な留意点でございますが、まず報酬の制度や水準につきまして、職務給の原則を踏まえ、職務の内容と責任に応じて適切に決定すべきこと、休暇につきましては、労働基準法等の各種法令の規定を踏まえて定めるべきこと、さらに費用弁償につきましては、通勤費相当分について費用弁償として支給可能であることなど、多岐にわたる技術的助言が行われてございます。

○吉田委員 そうしたもとで、都の臨時職員、非常勤職員の方々への処遇が、もちろん努力はされているでしょうけれども、現時点で適切性はどうなのかということについて具体的に質疑を進めていきたいと思います。
 私は、これまでも他の道府県の臨時職員及び非常勤職員の処遇を調査いたしましたが、それに比べてみても率直にいって、東京都の非正規職員の皆さんへの処遇は十分なものではない、改善が求められているというふうに思います。
 以下、具体的な現状についてただしていきます。
 まず、臨時職員の処遇に関してですけれども、都の場合、臨時職員の雇用期間は二カ月とし、更新一回となっています。これは、地方公務員法の規定や他の道府県と比べても、極めて異例なものだといわざるを得ません。
 その結果、事情上一定期間の終了でありながら、二カ月ごとに短期間に新規採用と同じ更新手続を行うことが求められていると。その中で一部に運用上の誤りがあったことは本委員会で総務局自身認められた経過があります。
 しかし、国は地方公務員法で臨時職員の雇用期間を六カ月というふうに定め、更新は一カ月というふうにしておりますし、多くの他の道府県ではこの国の地方公務員法の規定に基づいて雇用期間は二カ月ではなく六カ月というふうに定めているのではないでしょうか。
 改めて、都の臨時職員の雇用期間の現状とその理由についてご答弁をお願いいたします。

○内藤労務担当部長 臨時職員の雇用期間についてのお尋ねでございますが、都におきましては一回の雇用期間が二カ月以内で更新一回、最大六カ月までを基本といたしまして、事業執行上やむを得ない特別の理由がある場合には、雇用の当初から二カ月を超えて六カ月まで雇用できる仕組みとなってございます。
 こうした雇用期間の設定は、臨時の職が短期または季節的な業務等を担うという性格を踏まえるとともに、安易な職の設置、継続を抑止し、また雇用される方との関係におきましても、いたずらに長期雇用の期待感を抱かせることのないようにすると、こういった趣旨で設定しているものでございます。

○吉田委員 地方公務員法自身も短期、あるいは季節的というものであることは明確に示しているわけですよね。その上で雇用期間として六カ月、更新一回というふうに規定していますし、それに基づいて他の多くの道府県がこれに準じた更新をしているわけですから、六カ月と定めることが何ら短期間の雇用にとって障害となるものでは決してないというふうに思います。
 私は改めて、以前も主張いたしましたけれども、この点はぜひ少なくとも地方公務員法に基づいて改善をすべきだということを強く求めていきたいと思います。
 次に、臨時職員の処遇の中でも通勤費の扱いの問題です。
 多くの県は、臨時職員の場合でも通勤費は別途支給しているというのが前回の調査でも浮き彫りになりました。この点も以前の総務委員会で指摘しましたけれども、改めて、都は臨時職員の通勤費をどのように扱い、またその理由についてご説明をお願いいたします。

○内藤労務担当部長 都におきましては、臨時職員の賃金につきまして従前どおり具体的な業務内容等に基づき、通勤費相当分も含めて日額を設定してございます。
 なお、臨時職員に対しまして通勤費相当分を費用弁償として支給するか否か、また通勤費相当分を賃金に含めるか否かにつきましては、各自治体がその地域におきます労働力の需給状況等を考慮して独自で判断するものと認識してございます。

○吉田委員 さらに具体的にお伺いいたしますけれども、現在、臨時職員の方々の時給は九百二十九円というふうに聞いておりますが、この交通費相当分のことですけれども、この通勤費は、その中で幾らが設定されているのでしょうか。具体的にご答弁をお願いいたします。

○内藤労務担当部長 先ほどもご答弁差し上げましたとおり、臨時職員の賃金単価につきましては、通勤費相当分も含めて設定してございます。したがいまして、そのトータルとして現在日額七千二百円という設定でございまして、うち交通費相当分が幾らかという形では明示しているものではございません。

○吉田委員 もし、賃金にこの交通費が組み込まれているというならば、具体的にこの交通費分、通勤費分について明らかにすることができると思うんです。含まれているけれども、具体的に明らかにすることはできないということになっていますが、改めて私、東京都臨時職員取扱要綱というものを見させていただきました。その給与についての規定を見ますと、給与については日額とし、賃金予算の範囲内において支給すると。そして、諸手当については、時間外勤務及び休日勤務を行う場合には、割り増し賃金を支給するものとし、その後ですけれども、その他の諸手当は支給しないということになっています。
 そうすると、今の説明ですと、支払われている賃金の中に交通費、通勤費相当分を入れているということですけれども、この要綱上では通勤費は支給しないということになっているわけです。しかも、具体的な通勤費相当分についても示されていないということは、東京都として通勤費を払っているのかということ自身も改めて疑問に感ぜざるを得ませんし、先ほどの答弁との関係でいえば、国の総務省の文書、これはあくまでも技術的な指導ではありますけれども、その中で通勤費相当分については費用弁償として支給可能であるということを定めているという点についても注目をする必要があると思います。
 それで、私は改めて各道府県の通勤費の状況について調べてみました。残念ながら、まだすべての県から回答が寄せられておりませんけれども、四十六道府県中、三十四の道府県から回答がありましたが、その中で二十八県が通勤費は別途支給するとしているというふうに回答がありました。回答された県の中で八二%です。
 ちなみに、新潟県ですけれども、別支給ですし、かつ時給が千五十八円というふうに規定されていました。また、二つの県が込みで支給しているという回答があり、その一つが香川県でしたけれども、この香川県の時給を見ますと、九百六十円ということで東京都の時給よりも同じ込みでも高かったということも紹介をしておきます。
 ぜひ私は要綱自身の中にきちんと通勤費、交通費の支給ということを定めることも含めて、また時給額も含めて改善をしていただきたいということを要望として述べさせていただきます。
 次に、非常勤職員に関してなんですけれども、この点は昨年の総務委員会でも質問いたしましたから、質問は省略いたします。
 非常勤職員の処遇の中で、私、やはり他県と比べてみても改善が必要だなと強く思っていることの一つが更新回数の設定です。都の非常勤職員は、すべて一般職ではなく特別職の非常勤職員だというふうに聞いておりますが、それだけの専門性を持って重要な役割を果たしています。しかし、任期は一年であるために更新を繰り返して、一定の期間就労されているというのが実態です。
 都は、この更新回数を四回というふうに限定しました。この問題、昨年も質疑しましたけれども、改めて、他県の消費生活相談員の方々に限って再任用の回数の上限を設けているのかどうかということで問い合わせをいたしました。
 そうしますと、消費生活相談員に非常勤職員を充てているというふうに回答された二十八道県の中で上限を定めているが十県、上限はなしというのが十八県で多数でした。
 今はこうした三点に絞って紹介いたしましたけれども、都の臨時職員、非常勤職員の処遇で他県と比べてみても、おくれている問題が浮き彫りになっていると思います。
 ぜひ今日の状況にふさわしく見直しの検討をお願いしたいと思います。
 とりわけ、例えば臨時職員の雇用期間二年間というのは、もう何十年前に定められたものなんですよね。やはり当時から比べてみても状況の変化というものを見る必要があると思います。
 この課題の関連で最後に伺いたいことは、非常勤職員の方々の育児休暇、育児休業の対応についてです。都の正規職員と非常勤職員では、この育児休業がどのようになっているのか。非常勤職員の場合、休暇をとった場合、その後の更新に影響があるというふうに聞いていますが、状況についてご答弁をお願いいたします。

○内藤労務担当部長 都におきましては、地方公務員の育児休業等に関する法律に基づきまして、必要な条例を定めて育児休業制度を整備しております。これによりまして常勤職員が三歳に満たない子を養育する場合、当該子が三歳に達する日まで休業することが可能となってございます。
 一方、この法律では特別職の非常勤職員について、その職の性格等から適用対象とされておらず、現在、都の非常勤職員には育児休業制度が導入されていない状況でございます。このため、非常勤職員が育児に係る休暇を取得しようとする場合、ノーワーク・ノーペイの原則に基づきまして、勤務実績のない欠勤扱いとなり、相応の報酬減額や勤務実績の除算がなされることになります。
 このことは、法律上の取り扱いに起因するものでございますが、育児支援が社会的な要請となっている中で、都としても人事制度上の課題の一つと認識しております。今後、各職場の実態等に関して、十分に検証していく必要があるものと考えております。

○吉田委員 確かに、法律上の取り扱いに起因するものだという答弁がありました。法改正によって、育児休業の保障が非常勤職員にも拡大されたにもかかわらず、特別職の非常勤職員の場合には、今紹介があった地方公務員の育児休業等に関する法律の対象にならないという問題があるというのは、私も承知をしています。
 ただ、地方公務員法の逐条解説を見ても、労働基準法による身分扱いというものをどう見るかという点では、特別職であっても従属労働者である者については、労働基準法が全面的に適用されるというふうに規定されています。
 さらに、総務省の文書についても調べてみましたが、これは皆さん、もちろんご承知でしょうが、平成二十二年十二月に出された、これも事務連絡ではありますが、次のように書かれております。
 特別職の非常勤職員は、地方育休法の対象でないところを、今般の同法の改正が民間との均衡を踏まえたものであり、育児・介護休業法の趣旨が労働者性のある者についての最低基準を設けるものであることにかんがみ、労働基準法が適用されるものであれば、各地方公共団体において、今般の法改正を踏まえた対応が図られるべきであることに留意する必要がありますというふうに既に書かれているわけですよね。
 そういう点で見れば、今、十分に一つの課題であるというふうに認識し、検証していくという旨の話がありましたが、ぜひ特別職の非常勤職員の方々にも、こうしたことがきちんと適用されるようにご努力をしていただきたいということをこの問題の最後にお願いをしていきます。
 次に、防災対策、震災対策について若干質問を申し上げます。
 これまでも本委員会のたびごとに防災対策、震災対策について取り上げて質問させていただきましたので、きょうは、その後の新たな問題だけ絞って質問いたします。
 まず立川断層帯地震への対応の問題からお伺いをしたいというふうに思います。
 既にニュースでも報道されて注目を集めておりますが、新たに立川断層帯地震の断層の調査が行われ注目を集めています。
 この点で、東京都はこの調査にどのようにかかわっているのか。また、この調査結果を今後どのように生かそうとしているのか、ご答弁、ご説明をお願いいたします。

○箕輪企画調整担当部長 都は文部科学省の調査観測プロジェクトの運営委員会に参加しておりまして、プロジェクトの各事業を実施するに当たりまして、地元の市や町、あるいは関係者の調整を図るなどの協力を現在行っております。
 今後も関係市町と連携いたしまして、この文科省のプロジェクトの実施状況やプロジェクト完了時に得られた研究成果につきましても、都民にわかりやすくお示しし、耐震診断、耐震補強や家具類の転倒防止策、この推進など都民の自助、共助の取り組みにつなげてまいります。

○吉田委員 前回の被害想定では、この立川断層帯地震が入っていなかったんですけれども、昨年発表された被害想定では、立川断層帯地震が対象となって、そして地域防災計画でも一定の記載がされています。
 ぜひ最新の知見を受け、関係市町とも連携して都市インフラの耐震強化を初めとする適切な対応に努めていただきたいというふうに思います。
 次にもう一つ、この間の新しい取り組みについてお伺いをしておきたいと思います。
 東京都の防災会議地震部会の活動状況を知りたいと思ってホームページで確認いたしますと、南海トラフの巨大地震など、新たな被害想定の調査検討を始めているということを知りました。
 それで、南海トラフ巨大地震の被害想定とその対応について、検討状況についてご説明をお願いいたします。

○箕輪企画調整担当部長 南海トラフの巨大地震の関係でございますが、内閣府が昨年八月に南海トラフの巨大地震による被害想定、これを公表いたしました。
 この被害想定では、島しょへの高い津波の到来が想定されておりますが、各島の詳細な被害状況が示されておりません。このため、東京都防災会議の地震部会で都独自の被害想定に着手いたしたところでございます。
 地震部会では、島の各地に到達する津波高、浸水域、人的、物的被害などにつきまして島ごとの検証を進めておりまして、まとまり次第、その結果を島しょ町村に提供するとともに、ハザードマップ作成につなげるなど、各島の津波対策を支援してまいります。

○吉田委員 防災問題の最後に、震災対策事業計画についてもお伺いをしておきたいというふうに思います。
 ご承知のとおり、都は条例で震災対策事業計画を知事が策定するということを定めています。しかし、最新の計画は平成二十二年度までとなっており、それ以降、新たな計画は策定されないまま今日を迎えています。
 東京都は、地域防災計画の見直し等があって、それに基づいて策定するということを今まで答弁をされてきましたけれども、既に地域防災計画は昨年見直しが行われました。
 早急にその策定が求められているというふうに思いますが、どのような内容で準備をされ、いつまでに策定をする予定なのか、ご答弁をお願いいたします。

○箕輪企画調整担当部長 震災対策事業計画でございますが、都は昨年十一月、地域防災計画を全面的に修正したところでございます。
 お話の事業計画につきましては、地域防災計画に示した課題ごとの取り組みや被害軽減と都市再生に向けた目標を踏まえまして、内容を検討しているところでございます。
 関係各局とも十分に調整を図りながら取りまとめてまいります。

○吉田委員 いつごろまでに策定されるということはお答えはできませんか。

○箕輪企画調整担当部長 震災対策事業計画、この詳細な内容につきましては現在検討中ということでございます。
 地域防災計画、修正いたしましたが、これを踏まえて関係各局と十分に調整を図ってまとめてまいります。

○吉田委員 要望をさせていただきますけれども、当然のことではありますが、減災目標を達成するための問題は、具体的にどのような施策をどれだけの量でいつまでに進めるのかという具体的な計画を、この震災対策事業計画の中ではきっちりと示していただくことが重要だと思います。
 また、それを裏づけるために、そのための事業費をどれだけ必要とするのかということも明らかにすることが必要だと思います。
 できていない前からいうことも変かもしれませんが、その計画とあわせて進行管理ということについても、全庁的なことですから、その中で総務局が進行管理を束ねるという点でも大いに努力をしていただきたいということを要望としてお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

○星委員 私からは、新たな多摩のビジョンについて何点かお伺いをしたいと思います。
 新たな多摩のビジョン素案では、二〇三〇年ごろを念頭に多摩の目指すべき姿を掲げるとしています。
 市町村はさまざまな行政計画を持っていますし、東京都も「二〇二〇年の東京」を初めとして、これまでいろいろなビジョンや計画を示しております。
 そもそもこのビジョンは、多摩地域の市町村にとってどのような計画と位置づけられるものなのか、まずお伺いをしたいと思います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 新たな多摩のビジョンは、多摩地域を取り巻く大きな状況変化を踏まえまして、西暦二〇三〇年ごろを念頭に入れ、広域的な視点から、これからの多摩の進むべき大きな方向性を示すものでございます。また、本ビジョンは都の施策の方向性にとどまらず、多摩の市町村、民間企業やNPOなど、さまざまな主体の今後の活動指針となるものでございます。

○星委員 そうすると、基本構想のようなものなのかというふうにとらえたいと思いますけれども、そうしますと、このビジョンの内容になりますけど、三三ページに横田基地の軍民共用化が挙げられております。これは石原都知事が提唱されて引き続き猪瀬新知事も非常に積極的に意欲的に取り組んでおられることは十分承知なんですけれども、私どもの地元は、もう既にご存じだと思いますけれども、長年横田基地の飛行騒音、航空機騒音に悩まされ続けておりまして、毎年毎年、七十デシベル以上という基準値超えの数値も出ております。
 そういった中において、この軍民共用に関しましては、非常に難色というか、ある意味、市も議会も挙げて非常に反対をしている。これは私の地元の昭島だけではなくて、飛行直下というところの地域は皆そうだと思いますけれども、こういったものがある中で、こういうふうな例示を示されてのビジョンということなものですから疑問に思うんですけれども、市町村や市民の意見聴取というのは、この間どのように行われたのでしょうか。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 本ビジョンの策定に当たりましては、昨年七月以降、逐次すべての多摩の市町村を直接訪問いたしまして、首長の皆さんなどと多摩地域の諸課題やこれからの施策の方向性などにつきまして意見交換を進めてまいりました。
 また、市長会、町村会などの場におきまして、節目節目でビジョンの基本的方針や骨子、論点などを説明するとともに、地域で活動する民間企業やNPO、まちづくりなどに精通した学識経験者などにもヒアリングを行ってまいりました。
 今後、素案に対するパブリックコメントや市町村への意見照会を経て、年度内に最終案をまとめる予定でございます。

○星委員 七月からいろいろ意見聴取などをされてきたということですけれども、実はパブリックコメントを今募集しておりまして、そこで初めて、このビジョンというものを知ったという都民から幾つか問い合わせも来ています。
 そして、また私はこの間幾つかの市の担当に問い合わせをしてみましたけれども、市長会や町村会などからは、市町村交付金や包括補助金などの増額、また個別の課題については毎年の予算編成に関する要望等で東京都に申し入れをしていますし、さまざまな局面で東京都と協議をしているので、このビジョンについては余り特別なものというふうにとらえていないという、そういう意見もいただきました。
 そういったことで、私は市町村と東京都がしっかりと連携をして、多摩の活性化に向けていろいろ取り組みをしていくということにはちょっとつながらないかなというふうに違和感を感じます。
 今後、アクションプログラムの策定や施策を決定する場合には、各自治体の地域特性を生かしていく必要があると考えますけれども、今後の市町村との丁寧な意見交換というものが必要だと思いますけれども、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、今回ビジョンの策定に当たりましては、多摩の全市町村を直接訪問するとともに、市長会、町村会等の場におきまして、ビジョンの策定過程に応じて内容を説明するなど、市町村に対しましてはきめ細かく丁寧な意見交換を行ってまいりました。
 今後、本ビジョンの具体化に向けましても、市町村の果たす役割は大変大きいことから、引き続きこうした十分な意見交換などを行いながら進めてまいります。

○星委員 多摩を取り巻く状況の変化についてですが、急激な高齢化や経済活動の縮小、都市インフラ、建築物の老朽化、緑、農地の減少、自治体財政の悪化などの問題について触れられておりまして、多摩に住む都民に多くの方と、私もそうですけれども、東京都と認識を同じくしているというふうに感じます。
 しかし、主体となる多摩のそれぞれの自治体は、同じような地勢、風土、まちの成り立ちのところもあれば、全く違うところもあります。市民の望む多摩の都市像というのもさまざまだというふうに思います。また、市民の生活圏域が市の区域とは必ずしも一致しません。特に、自治体の境界付近に住んでいる方は区域に限られた住民サービスでは困る場合もあります。例えば、小中学校の学区域や自治体運営のコミュニティバスなどがその例だと思いますけれども、広域的な観点で取り組むべき課題については、市町村が近隣自治体と連携協力して事業を実施していくことになると思います。
 こういった多摩地域の問題意識を市町村、そして東京都が共有した上で今後の多摩の姿というものを都が示すことについては、それぞれの自治体の首長や担当者との意見交換はもとより、企業やNPO、生活している当事者の都民の方たちが自分たちのまちや多摩にどういう思いを持っているか、どういう地域にしていきたいか、まず考えるチャンスを与えていただきたいというふうに思いますし、東京都は丁寧に聞き取りをしてからビジョンをまとめ上げていくのが私はいいというふうに思います。
 主体となる市町村というものが積極的にみずからのまち、多摩がどうあるべきかという、こういう意識づけが必要だし、それはそこに住まう住民の方たちも同様だというふうに思います。そして、それをバックアップするのが東京都の役割であるというふうに考えます。
 ちょっと視点を変えて質問させていただきたいと思います。
 基本認識を、右肩上がりの成長、拡大から、活力ある都市の成熟、持続への発想の転換としており、この認識は私も当然のことだというふうに思います。この三つの視点について共感をできるところであります。
 これからは開発中心、大企業、大型集合住宅誘致、そこを中心に雇用もにぎわいも創出するという、こういう時代は終わったのではないかというふうに思います。
 これから雇用がふえるようになるには、私は地域のニーズから生まれてくるものだというふうに思いますし、その可能性が多摩には潜在力がすごくあるというふうに思っています。
 ベンチャー企業の中でも、ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスがさらに広がりを見せるといいなというふうに思っておりますけれども、そういったところに対して技術支援と資金援助が必要であるというふうに思います。そして、またこれらの担い手となる民間企業やNPOなどの支援についてお伺いをして質問を終わります。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 今後のビジョンの具体化に向けましては、先ほどの市町村と同様に、多摩地域で活動する企業、事業者、NPOなど、さまざまな団体の協力が不可欠でございます。
 本ビジョンの素案では、大学と地域の自治体、NPOなどとの連携による新たな特産品の開発や企業を退職した高齢者などによるビジネスの展開など、地域が有する資源を活用した産業の活性化をこれからの進むべき方向性として明らかにいたしました。
 今後、各局や市町村、民間企業やNPOなどと連携し、一体となってビジョンに掲げた方向性の実現に向けた方策を検討してまいります。

○中山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十分開議

○中山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山下委員 それでは、私からは報告事項に対し、多摩・島しょ振興について質問させていただきます。
 東京には二十三区とともにベッドタウンとして発展し、都市機能と自然環境が融合した多摩地区と海に囲まれ、行楽客などにとって貴重ないやしの空間となっている自然の恵み豊かな島しょ地域があり、それぞれの地域が相互に連携、補完し合って発展してきたことが首都東京の大きな強みでもあると考えます。
 都はこれまで平成十三年に将来の多摩の発展に向けた基本構想として、多摩の将来像二〇〇一を策定し、これに基づく多摩アクションプログラムなどの計画で施策を推進、また島しょ地域に関しては、昭和二十八年から過去五回、十年ごとに改正、延長された離島振興法に基づき、その都度策定した東京都離島振興計画に沿って振興策を進めてきたと認識しております。
 こうした中、都はこのほど新たな多摩・島しょ地域の振興の方向性を示す新たな多摩のビジョン及び東京都離島振興計画の素案を策定しました。
 そこで、この素案を踏まえて伺います。
 まず離島振興計画について。
 計画策定の根拠である改正離島振興法では、離島の国家的、国民的役割が明確に位置づけられています。そこで都は、伊豆諸島の担っている役割をどのようにとらえているのか伺います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 伊豆諸島は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれ、都民、国民にとって、価値あるいやしの空間であるとともに、特色ある文化をはぐくんできた地域でございます。
 また、我が国の排他的経済水域の確保等の観点から国益を維持する上で重要な役割を担っており、国家、国民的役割は大変大きいものがあると認識をしております。

○山下委員 ただいまのご答弁を伺いますと、今回の計画素案の基本理念、定住促進と持続的発展は、国益を守るという非常に重要な論点からも大きな意義を持つことがよくわかります。
 では、この定住促進と持続的発展を進めるにはどうすればよいか。それにはやはり、島民が安心して暮らしていけることが何よりといえるでしょう。安心して暮らせる島なら、もともとの島民が島で暮らし続けるだけでなく、島への新たな移住者をふやすことにもなります。
 安全で安心な伊豆諸島。島々の魅力を高めるために、都はどのような施策を展開していくのか、伺います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 島民や島への移住者が安心して住み続けていくためには、生活の安定と島独自の魅力を高めることが重要でございます。
 そのため、港湾等の整備による交通アクセスの改善や医師等の確保による医療の充実、農業、漁業などの基幹産業の担い手育成などにより、島しょ町村と一体となって住み続けたい、移り住みたいと思える島の実現に向けて取り組んでまいります。

○山下委員 続いて、新たな多摩のビジョンについて伺います。
 このビジョンでは、多摩地区を取り巻く課題を踏まえたこれからの多摩の方向性が示されています。そこで、ビジョン策定に当たっての多摩に対する都の基本認識について伺います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 多摩地域は東京の人口の三分の一となる四百万人の都民が暮らし、都市の利便性を有するとともに、豊かな自然環境に恵まれ、多様な魅力を持つ地域でございます。また、最先端産業や数多くの大学、研究機関が集積し、東京の発展の一翼を担う重要な地域でもあります。
 一方で、人口減少局面の到来や高齢化の進展など地域を取り巻く状況は大変大きく変化をしてきております。このような状況変化を転機ととらえ、地域の特性を最大限に活用した持続可能な魅力と活力にあふれた多摩を目指していくことが必要と認識をしております。

○山下委員 この質疑の冒頭で、私は多摩地区はベッドタウンとして発展したと表現いたしました。つまり、東京にとっての多摩の相対的な位置づけは、住まう場所、暮らし息づく場所といえます。私自身、多摩で生まれ育った人間でございます。
 多摩の魅力は、一般的には都心部よりも自然に恵まれ、空気がきれいで、総じてゆったりとした住環境であることといえるでしょう。
 都心への通勤ラッシュにもまれながらも、帰宅したときにほっとできる空間、休日に安らぎの時間を過ごせる場所、さらに定年退職後に生きがいを持って暮らせる地域、元気で長生きできるまち、こんな多摩なら魅力的で、このような住環境の充実を図ることが理想であり、同時にそれが東京全体の底力をはぐくむことにもつながると考えます。
 そこで、都は今回の新たな多摩のビジョンにおいて、どのように多摩の住環境の整備を進め、魅力的な地域にしていこうと考えているのかを伺います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 多摩地域を取り巻く状況が大きく変化する中で、多摩が魅力と活力あるまちであり続けるためには、あらゆる世代が安全かつ快適に生活できるまちづくりを進めていくことが重要でございます。
 そのため、新たな多摩のビジョンの素案では、商店、医療機関、公共施設の集積など、あらゆる世代が安全かつ快適に生活できるまちづくり、学生や元気な高齢者の力を生かした地域の活性化、生涯を通じてスポーツを楽しめる環境の整備など、今後の進むべき方向性として明らかにしたところでございます。

○山下委員 それでは、今回策定されたビジョンや計画に基づき、都は今後どのような体制で多摩・島しょのさらなる活性化に取り組んでいくのかを伺います。

○鴫原多摩島しょ振興担当部長 多摩・島しょ地域を取り巻く状況の変化に的確に対応していくため、行政のみならず、地域にかかわるあらゆる主体の力を結集していくことが必要不可欠でございます。
 今後、本ビジョン及び本計画の方向性に基づき、庁内各局はもとより、市町村、地域の民間企業など、多様な主体と一丸となって施策の具体化に取り組んでまいります。

○山下委員 ありがとうございました。
 多摩・島しょを活性化するためには、それぞれが独自の地域資源を生かして発展していくとともに、都民全体が居住地の市区町村に限らず、多摩や島しょ各地の魅力を知り、そこに愛着を持つことが重要であると考えます。
 学校での教育も含め、多摩・島しょ地域の現状や魅力を多くの人が理解する機会をふやし、都民が同じ東京として、多摩・島しょに郷土愛を抱けるような環境づくりを進めていただきたいと思います。
 そのことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。

○中屋委員 まず、本定例会に提案をされております新型インフルエンザ対策本部条例について伺います。
 国レベルにおいても、我が党は、かねてより新型インフルエンザを国家の危機管理の課題として取り組み、その成果の一つとして、昨年四月に新型インフルエンザ等対策特別措置法が制定をされました。
 都が提案をしている本条例は、この特別措置法に基づき制定をするものであります。
 これは、まだ記憶に新しいと思いますけれども、四年前、平成二十一年四月に新型インフルエンザが発生したメキシコでは、当初、死亡者が多いと報道され、マスクが売り切れたり、手洗いやせきエチケットを励行したり、都民の皆さんは不安な日々を送りました。
 このときは幸いにも弱毒性であったため、大きな混乱は生じませんでしたが、過去にはスペイン風邪のように感染後の致死率が二%という強毒性の新型インフルエンザが発生をしておりまして、我が国全体で対策に当たることが必要であります。
 特に人口が集中する大都市東京においては、蔓延やそれに伴う混乱を防止するために都が果たすべき役割は非常に大きいものと考えます。
 そこで、この特別措置法の制定により、都は具体的にどのような役割を担うことになったのか、条例制定の趣旨を含めて伺います。

○村松総合防災部長 新型インフルエンザ等対策特別措置法は、国、都道府県、区市町村など関係機関の役割やそれを果たすための基本的な体制などについて定めております。
 特別措置法で、都は発生時に国の方針に基づきまして、新型インフルエンザの蔓延防止のための集会施設の使用制限、混乱防止のための食品や医薬品の売り渡し請求、買い占めの抑制、医療提供体制の確保などの役割を担うこととされております。また、住民に身近な区市町村が予防接種などの役割を果たすこととなっております。
 さらに、同法におきまして、各種の対策を効果的に行うため、知事を本部長とする東京都新型インフルエンザ等対策本部を設けることとされておりまして、今回、その体制につきまして条例案を提出しているところでございます。

○中屋委員 ただいまご答弁で都が担う責任が非常に大きいということが理解をできました。いざというときに備えてしっかりとした体制を構築して、どのように行動するか、あらかじめ詳細に検討しておくことが必要であります。
 今ご答弁にもありましたけれども、新型インフルエンザ対策は、医療関係の対応はもちろん、物資の確保、集会の制限など多岐にわたります。
 また、ことしに入って海外では、鳥から人への鳥インフルエンザの感染が確認をされておりまして、こうしたウイルスが変異し、新型インフルエンザがいつ発生してもおかしくないといわれております。
 こうした状況を考えれば、早期に関係局が連携をして実効ある対策を講ずる必要があると思います。
 都は、対策本部条例の制定後、新型インフルエンザ対策をどのように進めていくのか伺います。

○村松総合防災部長 新型インフルエンザの発生による影響を最小限に抑えるため、事前の備えや発生時の対応を定めた行動計画を早急に策定する必要がございます。
 多岐にわたる対策を検討するため、福祉保健局を初め、各局と連携し、全庁的な検討体制を構築いたしまして、本年六月に公表予定の国の行動計画との整合性を図りつつ、年内を目途に都の行動計画を策定する予定でございます。
 さらに、行動計画の策定と並行いたしまして、水際対策や病院など現場での対応力の向上を図る訓練を実施してまいります。

○中屋委員 今回の条例は、新型インフルエンザ対策の新たなスタートであることが確認できました。今後、速やかに各局連携による実効性ある行動計画を策定していただくとともに、医療現場などでの訓練を積み重ねて、新型インフルエンザへの備えに万全を期すことを要望し、次の質問に移らせていただきます。
 間もなく、この四月から東京都帰宅困難者対策条例が施行されます。
 二年前の東日本大震災当日、都内で三百五十二万人の帰宅困難者が駅や路上にあふれ、大きな混乱が起きました。このことを教訓に、新たな対策に取り組んでいただいたわけで、ちょうど二年前、大震災の直前に予算特別委員会で国と一体となって帰宅困難者対策に取り組むべきと訴えた私といたしましては、非常に感慨を覚えます。
 大都市東京だからこそ直面する困難な課題を克服するため、都は、国や事業者団体とともに協議会で議論を積み重ねて対策を練り上げ、その内容を全国初の条例に盛り込み、昨年には、条例施行に向けた実施計画も策定をいたしました。
 こうした官民が連携して具体的な取り組みを一歩一歩積み上げていくというのが社会全体で対策に取り組む大都市ならではの共助だという意味で画期的だと評価をしております。
 そこで、本日は一つの節目として条例施行に向けた都の取り組み状況についてポイントを絞って伺います。
 まず帰宅困難者対策では、安全を確保した上で事業者や学校などの施設内にとどまってもらい、社会の混乱を最小化する一斉帰宅の抑制が最も重要であります。
 そのために、事業者や学校には、水や食料などを三日分備蓄することも必要です。
 しかし、最近警視庁の調査によれば、首都直下地震が起こった際には、いまだ半数の人たちがすぐ帰ると回答しておりまして、企業や学校にとどまってくれるのか心配であります。
 また、条例の施行を間近に控え、企業における備蓄などの取り組み状況も気になっております。
 一斉帰宅の抑制を確実に行うためには、都民の意識を高めることに加え、備蓄などの準備ができているのか、企業の取り組みに関する調査が必要と考えますけれども、見解を伺います。

○村松総合防災部長 本年四月の条例施行を視野に入れまして、都は、都民や事業者向けの説明会を開催するとともに、広報東京都や新聞広告、広報番組、主要駅や電車内のデジタルサイネージを活用し、広報活動を積極的に行ってまいりました。
 さらに、この三月十八日から丸ノ内線内十九駅におけますホームドアシートに一斉帰宅の抑制を初めとする対策の内容を掲出するなど、広報の強化を図ってまいります。
 また、事業者に対しまして、備蓄の現状などの実態調査を定期的に実施することで、帰宅困難者対策の進捗状況を絶えず把握してまいります。

○中屋委員 広報紙、新聞、テレビ、駅の構内や車内など、さまざまな場所や媒体を使っての取り組みが進められていることがわかりました。条例が施行される四月以降もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、家族等との安否確認についてであります。
 災害時に最も欲しい情報は、家族や知人、友人の安否に関するものであります。NTTや携帯電話各社がそれぞれ災害用伝言板サービスなどを提供しておりまして、都も災害時の安否確認手段として推奨をしております。
 しかし、伝言板サービスは、各社が別々に運用しているため、安否の確認は各サービスを個別に検索しなければならないという課題があります。大規模災害の混乱の中、これは大変な問題だと思いますが、先ごろ、この課題を事業者同士が連携して解決したと伺いました。
 そこで、この事業者間の連携の具体的な内容について伺います。

○村松総合防災部長 ご指摘のとおり、安否確認サービスは、提供している事業者間の連携がなく、利用者が各サービスを個別に検索する、こういった課題が生じておりました。
 都といたしましても、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会の場を活用いたしまして、通信事業者団体に改善を働きかけてまいりました。協議会の議論も踏まえ、先般、事業者間が連携いたしまして、この課題を解決する検索システムを開発したところでございます。
 このシステムは、安否確認を行いたい人の氏名、または電話番号をすべての伝言板サービスの中から検索できるものでございます。一回の操作で伝言の検索が可能となることで、安否確認の迅速化が図られるものでございます。
 今後、都におきましても、この検索システムを広く普及してまいります。

○中屋委員 都民にとっては非常に役に立つことと思いますので、ぜひしっかりと周知を図っていただきたいと思います。
 次に、一時滞在施設の確保についてであります。
 先日の我が党の代表質問において、民間の一時滞在施設の確保を進めるために備蓄品の購入費の六分の五を補助する新たな制度を開始するとの答弁がございました。この補助金以外にもさまざまな支援策があると聞いておりますが、確認として、一時滞在施設に協力する民間事業者への支援策について伺います。

○村松総合防災部長 都は、昨年十一月に帰宅困難者対策条例に基づきまして、都の対策を取りまとめました実施計画を策定いたしました。
 実施計画では、一時滞在施設の確保に向け、区市町村と帰宅困難者を受け入れる協定を結んだ事業者に対して、備蓄品の購入費を補助するほか、帰宅困難者の受け入れに必要となる備蓄倉庫について、都市開発諸制度の活用や、また二十三区内におきましては、固定資産税等の減免などの支援策を実施していくこととしております。

○中屋委員 一時滞在施設の確保のために、さまざまな策を講じていくことはわかりますが、問題はこれらの支援策を活用して、いかに一時滞在施設を確保していくかであります。
 九十二万人ともいわれる行き場のない帰宅困難者の滞在場所の確保を都はどのように進めていくのか伺います。

○村松総合防災部長 行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設を確保していくためには、より多くの事業者が条例の趣旨を理解し、共助の取り組みに参加していただくことが重要でございます。
 そのため、都は広く社会全体に、さまざまな広報媒体を活用した普及啓発に加え、防災ツイッターなども活用した積極的な広報を展開してまいります。
 また、企業に対しましては、都の支援策等に関する説明会の開催や経済団体などを通じた働きかけを行ってまいります。
 さらに、ターミナル駅周辺地域においては、区市町村や駅前滞留者対策協議会と連携した地域包括協定締結などの取り組みもあわせて進めていくこととしております。
 こうした多面的な取り組みによりまして、行き場のない帰宅困難者が安心して待機できる場所を確保してまいります。

○中屋委員 以上、帰宅困難者対策について現状と今後の取り組みについて伺いました。
 一年前に比べて、さらに取り組みが進んでいるということもわかりました。しかしながら、民間企業の取り組みの一層の促進や九十二万人の滞在施設の確保などの課題もあります。
 最後に、こうした帰宅困難者対策という大都市東京の課題の克服に取り組む局長の決意を伺います。

○笠井総務局長 帰宅困難者対策という、非常にまたこれ大変な事業なんですが、先ほど中屋委員がおっしゃったように、これだけ我々が帰らないでくれといっても、警視庁の調べでは、まだ半数がやっぱり帰りたい。これは、それぞれ都民の方に、とにかくとどまってくださいということを繰り返し繰り返し私どもが広報してご納得いただく、これしかないと思いますので、それは本当にこれからも繰り返し繰り返しいろんな場をかりてやっていきたいというふうに思っています。
 それから、もう一つ、非常に厄介な問題は一時滞在施設の確保でございまして、これは当然東京都や区や市の、そういう公共施設はもう当たり前ですけれども、一時滞在施設に指定するんですが、民間の方々のご協力を得ないと、とてもじゃないけど、全部を収容できない。
 先ほど部長の方からもお話ありましたけど、駅前の滞留者対策協議会、これターミナル駅でつくっていますけれども、これがあるところで聞いた話によりますと、そこでもってそういう帰宅困難者の対策、訓練をやると、それぞれいろんな企業の方々が、これは大変だということで、非常に協力的になってくれるという話を聞きまして、私ども都といたしましては、これからもあちこちでそういう訓練をやることによって、とにかく理解をしていただくことを一生懸命やっていきたいというふうに思っています。
 いずれにいたしましても、この帰宅困難者対策については、民間の企業の方の協力を得て、そして多くの先進事例をつくり出して、そして共有していくことで社会全体で取り組む帰宅困難者対策の底上げも図っていきたいと、こういうふうに思っております。

○中屋委員 局長の熱い決意が伝わりました。帰宅困難者対策は新たなステージに入ります。さまざまな制度や仕組みの用意はできましたけれども、これからは実行していくということが重要であります。今後の都の取り組みの強化を要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○佐藤委員 私からは、犯罪被害者等の施策を確実に進めるべきという観点から質疑を行いたいと思います。
 昨年の第三回定例会で我が会派からは、犯罪被害者等の施策を確実に進めるべきということを念頭に基本条例の制定に向けて議員提案をしたところでございます。
 成立には至りませんでしたけれども、犯罪被害者等の施策を確実に進める、そのことに関しては認識は一にしたんだというふうに認識をしております。
 平成十六年に犯罪被害者等基本法が制定をされて、犯罪被害者の権利について明記がされて、回復を支える施策の必要性については広く認識されるようになっているとは思います。しかしながら、実際に施策が十分に行き渡っているのか、動いているのかという観点については、まだまだやらなければならないことが多くあるというふうに考えております。
 東京都の計画は、第二次の計画となっているところでありますけれども、何をいつまでにどれくらいの数字、到達をすればいいのか。そうしたことが年度別、あるいは五カ年の中でその数値がなかなか明らかになっていないところがあります。
 平成二十三年から始まって、来年は、平成二十五年はちょうどその第二次計画の折り返しの年度となるところであります。これまでの計画の到達点、逆に浮上した問題点、そして今後の課題についてどう把握して認識しているのか、お伺いいたします。

○並木人権部長 都は、現在、東京都犯罪被害者等支援計画に基づきまして、被害者支援を全庁挙げて推進しております。
 この計画では、総合相談窓口を初めとする各種の支援策、区市町村や民間団体等との連携、都民意識の啓発の充実強化を三つの柱としております。
 主な取り組みとして、被害者支援都民センターと共同で総合相談窓口を設置し、精神科医等による最新の療法を用いたカウンセリングなどを含め、相談支援に当たっております。
 二十三年度には一時居所制度を同居していない親族も同伴して宿泊できるように拡充しました。
 また区市町村に対し、相談窓口の設置を働きかけ、二十四年四月には都内六十二の全区市町村において相談窓口が設置されております。
 今後も被害者支援の一層の充実に向け、区市町村の窓口機能の充実や都民の理解促進を図ることなどが必要と考えておりまして、二十五年度は引き続き区市町村職員向け研修の実施などにより、区市町村における被害者支援の取り組みのさらなる充実へのサポートを行うなど、着実な被害者支援を実施するとともに、新たに医療関係者を対象に性犯罪被害者支援研修を行う予定でございます。

○佐藤委員 今お話のあったさまざまな総合相談窓口、早期援助団体としての被害者支援都民センター、この窓口であったり、あるいは区市町村の窓口など整備をし、拡充をしていくとともに、具体的な施策を充実させていく必要があるというふうに思います。
 まず、この入り口となる窓口の観点ですけれども、被害者がこうした支援につながる端緒となるのは、捜査に係る警察がある場合もありますし、また長年沈黙を守って、沈黙を経て、さまざまな体の支障を来すなどの中でこうした相談窓口に電話をしたりとかする形でアクセスする場合もあります。
 そうした回復を支えるところ、入り口となるアクセスポイントに関しては、大変重要で、ここで被害を受けた人として認められなかったりすれば、そこで気持ちがくじかれますし、そうした観点からも区市町村に連絡をした被害者が確実に支援につながるためにも、こうした窓口の充実が必要だと思います。
 議員提出をした第三回定例会において、その質疑の中で星都議であったと思いますけれども、市区町村の相談窓口の設置状況と専任の相談員の配置状況について質疑が行われております。そして、人権部長からは、この市区町においては全六十二区市町村ですべてで窓口が設置をされて、専任の窓口については中野区と杉並区と多摩市の三区市というふうに答弁があるところであります。
 直近では国分寺市の方で専門相談窓口ができたことは承知しておりますので、四市においては専門の相談窓口が開設をされていることは認識をしております。
 しかし、一方で星都議からの指摘がありましたけれども、ここの市区町村に電話など連絡をして、さまざまな担当セクションが兼務をしているというような状況がありますし、また、なかなか犯罪被害者の担当窓口がどこかわからないというような市区町村もあることが実態であります。
 こうした中で、市区町村の人員体制、この相談窓口、兼務とはいえ、六十二区市町村で窓口が設置されているというふうなことですけれども、それぞれの市区町村の人員体制、また総合相談窓口での人員体制についてお伺いをいたします。

○並木人権部長 都は早期援助団体である被害者支援都民センターと共同で総合相談窓口を設置し、臨床心理士など専門的訓練を受けた犯罪被害者相談員を中心に置きまして相談支援に当たっております。
 また、各区市町村では住民に身近なサービスを提供するため、それぞれその実情に応じまして、人権担当部署、あるいは市民相談担当部署、防犯担当部署などに必要な人員を配置して窓口を設置し、相談に対応してございます。

○佐藤委員 兼務状態はわかりましたけれども、担当の職員の数はどれくらいで行っているんでしょうか。

○並木人権部長 各区市町村におきましては、各区市町村の判断により適宜必要な人員体制を組んでいると考えておりまして、そういった中で対応しているというふうに理解しております。

○佐藤委員 児童相談所、あるいは婦人相談などもそうですけれども、そうしたさまざまな問題を抱えて相談に来る相談窓口においては、相談担当者はチームで一つ一つのケースに当たらなければ、相談者自身が傷ついてしまって相談窓口の機能は継続をしないのが実情であります。
 実際に私自身、被害者を担当している職員、先駆的な取り組みをしている職員などからお話を伺っていますと、それぞれの区市町村では兼務の中で担当者は一人というような実態があると聞いております。
 そうした中で、実際に被害者の方から相談が来たときに自分の対応がこれでいいのかどうなのか、さまざまな不安を抱えながら職務に当たっていることが私の中では聞いているところであります。
 区市町村、その職員を都民センターで受け入れをして、実際に被害者支援の現場での知見を区市町村に持ち帰って事業を立ち上げていく、このことが実際に窓口を設置するよう声がけをすることが実質的に動くためにも必要だということは提言をし、実際に今、被害者支援都民センターの方に働きかけをし、また区市町村の方に各都の職員の方から働きかけをして、そうした研修を実施していることは承知をしておりますけれども、実際にその窓口というのは、窓口ですというふうに看板を立てる以上、何かをここで提供するということがなければ、その所管部署というのは、なかなか動かないのが実態だと思います。
 そして、区市町村においては、例えば杉並区のように日常家事支援など、被害者が被害直後において混乱する中で、買い物とか日常生活ができないといったそのサービスを支援していくことも条例として設けている中で、また、さまざまな被害直後においては捜査であったりとか、さまざまな司法手続があって出かけなければならない、あるいは行政の中でも死亡届とかも出さなきゃいけない、そうした付き添いとか、手続の付き添いとかも不可欠の形で、こうした支援、身近なところの区市町村だからこそ提供できるサービスがあるというふうに考えます。
 この点に関して、都としてはどのように具体的に働きかけを行っていくのか、お伺いいたします。

○並木人権部長 都におきましては、東京都区市町村犯罪被害者等支援連絡会を開催しておりまして、この会は区市町村で犯罪被害者支援を担当する所管課の課長や担当者が出席し、情報交換を行う場でございますけれども、こうした中で得られた情報を各自治体で事業を推進する材料として活用をしていただいております。
 また、この会議を通じて、自治体間で交流を図られ、各自治体の情報が必要な場合には担当者間で協議したり、情報交換することにつながっております。
 ただいま申し上げましたとおり、各区市町村、その実情に応じまして、それぞれの判断により、必要とされる体制を組んでいるものと考えておりますけれども、都としては支援の充実を目指し、区市町村向け研修の実施などにより、区市町村に対するサポートを行ってまいります。

○佐藤委員 さまざまな支援につなげるマネジメントできる人がいるという意味での総合相談窓口、法律、あるいは医療、福祉、心理のカウンセリングなど、そういった専門的な職種が集まっている窓口として被害者支援都民センターを置くとして、そうした中で区市町村が行政で用意できるような居住や福祉サービスを充実するというような、さまざまなそれぞれの役割というものを改めて明記をして、それをつないでいくという形を改めて構築をしなければ、ただ単に連携をするというだけではなかなか形づくられていかないのではないかというふうに考えます。
 また、もしそういう形で総合相談窓口というところに専門職などを集中して置くというふうなことを考えるのであれば、高田馬場一つでは東京都の中では少ないわけですから、多摩の方にもう一つ置くとか、そうした総合相談窓口としての機能を改めて充実をさせていくことが必要なのではないかというふうに思います。
 また、こうしたアクセスポイントとネットワークを構築した中で、せっかくそこにたどり着いても被害者のために使える資源がなければ、福祉サービスなどが実際になければ、そのマネジメントする力がある専門職種であったとしても、実際に支援につなげることはできない中で、具体的な施策の充実が必要だというふうに考えております。
 被害者は実際に被害に遭うことで仕事が続けられなくなって収入も減少し、あるいは自宅に住み続けることができなくなったりします。
 そして、そうした中で被害者の回復を支える具体的な施策の充実を図るべきと考えます。
 まず一点目の経済的な支援に関してであります。
 先ほど申し上げたように、被害者は仕事が続けられなくなって収入が減少し、一方で医療費であったり、あるいは引っ越しの費用であったりとか、あるいは裁判所が東京都内にないところであれば、そのために往復をしたりとか、さまざまな支出が増加をするところにあります。
 こうした中で、国では第二次基本計画においても、犯罪被害者等給付金の制度の拡充についても明記をしておりますけれども、一方で地方自治体においては見舞金とか生活資金貸付の制度などの導入の促進を掲げているところであります。
 東京都とほかの県においては導入をしている例もありますけれども、東京都においてそうした制度に関して見解を伺います。

○並木人権部長 犯罪被害者の方に全国あまねく経済的な支援を行うことは国の責務でございます。
 現在、国は犯罪被害者給付制度の拡充などの検討を進めており、都も早期に制度化に向けて今年度、国に対し提案要求を行っております。今後も国に対して早期実現を働きかけてまいります。

○佐藤委員 必ずしも経済的な支援は国の責務というふうに限定をされるものではないというふうに考えます。実際に犯罪被害者給付金の制度に関しては、給付されるまで時間がかかる中で、緊急に想定外の出費も迫られる中で、身近な区市町村で出せるような枠組みをつくるとか、そこのあたり東京都として、こんなに大変大きな人口を抱える東京都なのですから、だからこそ改めてそうした枠組みについても検討を進めていくべきであるというふうに考えます。
 またこうした形で居住の安定、安全な居場所づくりは不可欠であります。性暴力の被害者においては、加害者が近くにいる場合も多い中で安全な居場所は必要でありますし、また殺人や放火などで居住を失うことに直面をした場合には、今、一時的なホテルや旅館を提供するような制度はありますけれども、一週間が限度でありまして、こうした中で新たな自分の生活の場をすぐに、この一週間の中で探し切るというのは大変困難という状況があります。
 中期的な安定した居住の場所の確保が必要と考えますが、この点についての取り組みを伺います。

○並木人権部長 住まいの対応についてですけれども、先生お話しのように、被害直後の対応としては、一時居所の場としてホテル、旅館等を提供しておりますが、これに加えて、中期的には都営住宅の優遇抽せんに加え、不動産業界の協力を得て、民間賃貸住宅のあっせん、紹介を個別に実施しております。

○佐藤委員 以前にも都営住宅に関しては、優遇抽せんに関して取り上げていましたけれども、優遇抽せんに関しては、まさに直面をしている居住、住居を失った人に対しての支援にはならないということを指摘しているところですけれども、この優遇抽せんに関しては、また公営住宅の開放に関しては、どのような状況に今取り組みが進んでいるでしょうか伺います。

○並木人権部長 都営住宅につきましては、私どもの局ではなく別の局の所管でございますのでつぶさに承知しておりませんけれども、いずれにしましても、現在の段階におきましては優遇抽せん制度を設けていただき、それに従って対応していただいているという状況でございます。

○佐藤委員 局が違うというご答弁でしたけれども、後の質疑にもかかわってきますけれども、いかに被害者を中心にして東京都が持つ施策を投入していけるのかという観点から戦略的に計画も立て、また所管の部署にも取り組みを横ぐしを刺していく必要があるのではないかというふうに改めてお伝えをしておきたいと思います。
 また、次に精神的なケアに関しては、東京都の第一次の基本計画においても中心的な取り組みをしなければならないとして挙げられているところであります。
 被害者が必要とする治療を容易に受けることができるよう、精神科医等に容易にアクセスできる仕組みをつくるべきという観点から、体制の充実をしていくという答弁がありましたけれども、今どのような体制で取り組んでいるのか、伺います。

○並木人権部長 被害者の回復の過程では、精神科医や臨床心理士のカウンセリングが果たす役割は極めて重要でございます。
 このため、東京都総合相談窓口では、支援の体制を充実する上で今年度臨床心理士を一名増員し、現在、精神科医二名、臨床心理士三名によりカウンセリングを行っております。
 また、ただいま横ぐしを刺してという話ございましたけれども、犯罪被害者支援に関しましては全庁挙げて支援しておりまして、当然所管の都営住宅を管理する部門でもそういった対応をしていただいておりますけれども、今現在個別にどうやっているかについては承知していないということで、我々としては働きかけをして、現在は優遇抽せん制度で対応していただいているという状況でございます。

○佐藤委員 今、被害者支援都民センターにおけるカウンセリングについてのお話がありましたけれども、実績について伺います。

○並木人権部長 総合相談窓口におけます支援の状況ですけれども、平成二十三年度におきまして相談等の件数は五千六十件でございます。この中におきまして、精神科支援等の業務を行っておりますけれども、それにつきましては平成二十三年度では五百十四件ということになってございます。

○佐藤委員 今お話のありました五百十四件なんですけれども、単純に十二カ月で割り返すと月四十三人で、週五日稼働していると仮定をした場合、日に二人被害者のケアができるというふうな形になっております。
 カウンセリングは長期にわたって複数回行わなければならないという中で、日に二人ということであるということは、その支援が行き届いている人は、数としては、人数としてはもっと少ないというのが実態であるというふうに思います。
 被害者支援都民センターでこうした精神科医、臨床心理士を置いてカウンセリングを行うという試みは大変重要なことで、ぜひとも拡充をしていただきたいと思いますけれども、一方で治療ができるような、PTSDの診断ができるような、そうした医師は限られている中で、広くそうした取り組みができる被害者支援に精通をしている精神科医、あるいは臨床心理士、カウンセラーについてのリストなどをつくることによって、幅広くどこにアクセスをしても、そうした被害者が回復ができるような体制をつくっていくことも必要ではないかと思いますので、この点については昨年の委員会でも提言をしているところですので、ぜひとも取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、性暴力被害者の支援に関して伺いたいと思います。
 二十二年の第二回本会議で医療機関の啓発や技術向上の促進について、私自身提言をいたしたところであります。緊急避妊費用や初診料などの公費負担の制度がありながら、証拠保全手続とかが未了によって公費がなかなか使えないという状況があるという中で、医療機関の技術向上は大変重要なところであります。
 こうした中で、東京都は平成二十五年度、来年度新たに性暴力被害に関して医療従事者向けの研修を実施すると聞いております。大変期待をしております。そのねらいについてお伺いをいたします。

○並木人権部長 性犯罪被害者の支援に当たっては、医療機関での適切な対応が不可欠であり、特に医療機関と関係機関との連携の促進及び被害者の立場に立った適切な対応の促進を図る観点から、医療現場において支援のコーディネートを担う医療関係者の理解を深めることが有意義と考えております。
 このため、来年度は看護師等を中心に性犯罪被害対応に関する研修を行うことを予定してございます。

○佐藤委員 性暴力被害に関しては、愛知や大阪でワンストップセンターが設立をされているところであります。また内閣府の方でもワンストップ支援センターの開設の運営の手引などを作成して、各自治体に設置の促進について働きかけをしているところであります。
 昨年六月に、性暴力救援センター・東京が、まつしま病院の協力のもとで開設をしているところで、東京都としても、ここと連携をしていきたいということを答弁しているところですけれども、改めて東京都として、性暴力救援のワンストップ支援センターの設置に向けてどのように取り組んでいくのか、伺います。

○並木人権部長 内閣府の手引では、ワンストップ支援センターは被害直後から総合的な支援を可能な限り一カ所で提供するもので、被害者を関係機関等に確実につなぐことを含むとされておりまして、病院拠点型、相談センター拠点型、相談センターを中心とした連携型の三つの類型が示されております。
 この手引の考え方も参考に、東京にとって最もふさわしいワンストップ支援センターのあり方について、庁内外の関係機関と協議しながら、必要な検討を行ってまいります。

○佐藤委員 性暴力の被害者は、性暴力の被害であるということを認定されるかどうかでも大きなハードルがあるところであります。警察を介しての被害届においても、なかなかそこが大きなハードルになっていると聞いております。
 また、生活の再建までの援助であったりとかも必要で、こうしたワンストップセンターで被害者に寄り添って継続して支援をしていける、こうした取り組みは大変重要な不可欠な取り組みであるというふうに考えております。
 韓国においては、以前もここの委員会でご紹介をしていると思いますけれども、既にワンストップセンターが全国で設置をしているところでありまして、警察病院、公立病院、あるいは大学病院の中にセンターが設置をされて、相談員や警察官が常駐をして二十四時間対応しているというふうに聞いているところです。
 また、性的な虐待を受けた子どもは、さらに問題が深刻であって、十三歳以下の子どもたちのワンストップセンターも韓国では設置をされているというふうに聞いております。千三百万人の人口を抱える東京都においても、このセンターの設置を進めていただく必要があるのではないかというふうに考えています。
 一方で、こうしたセンターなんですけれども、性暴力救援センター・東京もそうですし、レイプクライシスセンター、弁護士等によって組織をされたレイプクライシスセンターTSUBOMIであったり、あるいは性暴力救援センターはカウンセラーや産婦人科医などが集まって立ち上げているものですけれども、こうした民間団体の行っている活動は、まさに公共を担っているというふうに考えております。
 実際、この性暴力救援センターでは、倉庫に電話を引いて二十四時間稼働をして相談員が交代で詰めて、これを全部手弁当で行っているような実態があります。
 また、殺人遺族の会、あすの会を代表にさまざまなものがあって、犯罪被害者等基本法の制定に向けての推進力になり、またさまざまなこうした当事者、また支援者が施策を牽引しているのは周知のとおりであります。
 東京都は被害者支援都民センターに、二千万円の負担金の支出を予算に計上しているところですけれども、被害者等の支援、施策の充実を図るためには、こうした民間団体の取り組みなくしては成り立たないのが実態でありますし、これを維持することが、発展させていくことが必要であるというふうに考えております。
 一方で、こうした民間団体の活動は、事務費、事業費など本当にさまざまな負担をかき集めてやっているのが状況であります。公費の負担に関して、私は公共的なサービス、公共を担っている運営であるだけに、財源を入れていくことを検討していかなければならない時期に来ていると思いますけれども、見解を伺います。

○並木人権部長 性犯罪被害を含めます犯罪被害者支援におきましては、民間団体も独自の取り組みを進めておりますが、被害者を社会全体で支えていく観点から、各団体の活動内容に関する情報収集を行うなど、民間団体と連携についても検討していく必要があるというふうに考えてございます。

○佐藤委員 ぜひとも情報収集をして実態を把握していただいて、前向きに検討を進めていただきたいと思います。
 場所であったり、資金面であったり、あるいはこうした相談員などの人材の養成も含めて民間団体は担っているのでありまして、場所の提供であったりとか、そうした研修のバックアップであったりとか、さまざまな形で支援をしていくことはできるのではないかというふうに考えておりますので、ぜひとも前向きに検討していただきたいと思います。
 また二千万という予算ですけれども、単純に人件費が例えば一人頭五百万で年収というふうに考えても四名の、その二千万の内訳が人件費で成り立っているわけではないのは承知していますけれども、例えば、四名を雇う、年収五百万でいったら四名しか雇えないわけですし、三百万としても、それは六人とれるかどうかというような状況の中で、一つ一つ、この東京都全体の被害者支援のセンター・オブ・センターとしての機能を担っていくという状況が東京都としての被害者支援として十分なのかどうか、それを全体的に考えていきたいというふうに思います。
 そして、これは被害者支援都民センターばかりではなくて、こうした民間団体の活動に対しては、一つも公費が入っていない状況があるわけですから、こうした面についても目を向けていかなければならないのではないかというふうに思います。
 そして、こうした事業は民間団体にただ単にやってもらうというばかりではなくて、こうした民間団体、それぞれの支援者、あるいは当事者が持っている経験、あるいはそうした知見が施策に反映をさせていく、持続的に反映をさせていけるような取り組みが不可欠であるというふうに考えますが、取り組みを伺います。

○並木人権部長 犯罪当事者や関係者の意見の把握等につきましては、被害者支援都民センターとの定期的な打ち合わせ、あるいは相談内容、相談記録の把握、相談員との意見交換を通じまして、被害者の置かれた状況等を把握してございます。
 また、被害者支援都民センターにおいて行われる当事者グループの話し合いの場や都が実施する研修会や被害者週間行事のほか、各種犯罪被害者支援シンポジウム等において当事者からお話を伺うとともに、区市町村で支援に従事する職員や医療関係者との意見交換を通じて意見も把握してございます。これらにより把握した意見も踏まえ、支援策や啓発の実施のように工夫を凝らすとともに、二十五年度は新たに医療従事者を対象にした性犯罪被害者研修を行うこととしているところでございます。

○佐藤委員 ぜひとも協働を進めていただきたいと思います。
 先ほどの公営住宅にも関係してきますけれども、都庁内第二次基本計画においても、それぞれの局がそれぞれに相談窓口を持っていることはよくわかるんですけれども、どの被害者のために何のためにどの窓口を使っていくのかという視点がなかなかない記述になっているのではないかという印象を受けるところであります。
 今、いじめの問題、いじめという言葉がふさわしいかどうかわからないような行為がある中で、少年被害者に対しての治療等の専門家、あるいは体制の整備も求められておりますし、また交通被害者、重度に後遺障害を負った方、高次機能障害の対応についても東京都としては支援の施策を持っているはずですけれども、そうしたものもすべて整理をして、そのためにどういう取り組みが必要なのかという手段と、そして達成の目標の数値と区分をして、何年度に何をするのかというのをはっきり決めて、一つ一つ山を登っていかなければならないのではないかというふうに思います。
 本日は、こうした窓口とか支援策に関してのみ取り上げましたけれども、啓発の観点からの取り組みも必要で、年一回の犯罪被害者等の週間、十二月の週間にシンポジウムを行うというのみならず、事業主に対しての就労、被害回復のための休暇制度の周知など、一つ一つやらなければならないことはたくさんあると思います。
 リーフレットをつくるだけではなくて、まさに被害者が使える施策として、あるいは制度として、あるいは条例であったり、あるいは事業であったりとか、そうした一つ一つ行政だからこそ持てる権限を持って具体的な施策を立ち上げていただくことをまた要望いたしまして、私からの質疑を終わります。

○中山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十八分散会

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