委員長 | 中山 信行君 |
副委員長 | 鈴木 章浩君 |
副委員長 | 山下ようこ君 |
理事 | 橘 正剛君 |
理事 | 原田 大君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
佐藤 由美君 | |
中屋 文孝君 | |
星 ひろ子君 | |
谷村 孝彦君 | |
吉原 修君 | |
服部ゆくお君 | |
西岡真一郎君 | |
小沢 昌也君 | |
川井しげお君 |
欠席委員 なし
出席説明員青少年・治安対策本部 | 本部長 | 樋口 眞人君 |
総合対策部長 | 中村 長年君 | |
青少年対策担当部長 | 山中 康正君 | |
治安対策担当部長 | 五十嵐 誠君 | |
総務局 | 局長 | 笠井 謙一君 |
危機管理監 | 宮嵜 泰樹君 | |
理事 | 前田 敏宣君 | |
総務部長 | 山手 斉君 | |
訟務担当部長 | 和久井孝太郎君 | |
復興支援対策部長 | 野口 一紀君 | |
復興支援調整担当部長 | 早川 剛生君 | |
行政改革推進部長 | 堤 雅史君 | |
情報システム部長 | 長澤 徹君 | |
首都大学支援部長 | 伊東みどり君 | |
人事部長 | 中嶋 正宏君 | |
労務担当部長 | 内藤 淳君 | |
主席監察員 | 藤森 教悦君 | |
行政部長 | 砥出 欣典君 | |
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 | 鴫原 浩君 | |
区市町村制度担当部長 | 西村 泰信君 | |
総合防災部長 | 村松 明典君 | |
企画調整担当部長 | 箕輪 泰夫君 | |
統計部長 | 高橋 英次君 | |
人権部長 | 並木 勝市君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 影山 竹夫君 |
本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
青少年・治安対策本部関係
事務事業について(質疑)
総務局関係
事務事業について(質疑)
○中山委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、青少年・治安対策本部及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
○原田委員 今、都知事選挙が予定されているわけでございますけれども、一番大事なことは、やはり都民一人一人が、都政というのは自分の暮らしにかかわることなんだと思って参加ができるようにする、当事者意識を持つということが大変重要なことではないかと思っております。
そうしたことを考えた際に、選挙とは何か、あるいはもう少し大きく考えてみれば、民主主義とは何かということを、一人一人がしっかりと考えられる、そうした東京であってほしいというふうに願うわけでございますが、それに際しては、やはりそもそも民主主義とは何か、選挙とは何かということについて、学ぶ機会がしっかりと提供されているということが大切であろうと思っております。特に、今度の選挙でも、初めて投票するといったような若い方もいらっしゃるかと思いますけれども、学校教育の中において、選挙の意義、民主主義の意義というものをしっかりと教えるということが大変重要なことではないかと思っております。
これまでは、いろいろとあったのでございましょうけれども、中立性だとか、公平性だとかといったことが、恐らく過度に学校現場では気にされてしまいまして、そもそもの政治とは何か、選挙とは何かといったことが、学校現場の中でなかなか取り扱われてこなかったといったようなことが、やはり昨今の若年投票率の低下といったようなものにもつながっているのではないかなというふうに考えているわけでございますけれども、先日の事務事業の説明の中で、都選管としても、若年層を対象とした啓発事業ということにも力を入れていらっしゃるというようなご説明はございました。
そこで、お伺いをしていきたいと思うわけでございますけれども、この冊子の中では、主権者教育の実施ということで、選挙出前授業、模擬投票ということを行ったというようなことでございますが、これは比較的新しい取り組みかと思います。
欧米の本当に民主主義が根づいている国では、いろんなところで模擬投票ですとか、あるいは模擬議会ですとか、こういったことが学校現場の中で行われているわけでございまして、そうしたところが民主主義の奥深さ、あるいはすそ野の広がりといったものにもつながっているのではないかなと思うわけでございまして、こうした出前授業というものがこの東京においても始まったということは、大変喜ばしいことだなというふうに考えているところでございます。
そこで、まずお伺いしたいと思うんですけれども、行われたという出前授業ですけれども、その実績と学校の反応はどうだったのかということについてお伺いしたいと思います。
あわせて、中学生用の選挙学習冊子「Let’sすたでぃ選挙」というタイトルだそうでございますけれども、従前よりこういったものもつくって配布しているということでございましたけれども、こうしたものの活用状況についてもどうだったのかということについて、あわせてお伺いしたいと思います。
○影山選挙管理委員会事務局長 都選管として取り組んだ出前授業、模擬投票でございますが、ことしの二月に、都立小石川中等教育学校で中学校三年生を対象に実施したものがございます。
参加した生徒たちは、都知事選の候補者役の大学生が行う選挙演説を聞き、また質問もしながら、そして、自分たちの考えで投票して当選人が決まるということに大変興味を持ち、積極的に参加していただきました。また、校長先生を初め学校側からも、主権者教育の一環として高い評価を得たと考えております。
また、この様子は、財団法人明るい選挙推進協会により、他の自治体の取り組みも交えてDVDとして編集され、取り組み事例として全国の区市町村選挙管理委員会に配布されているところでございます。
また、「Let’sすたでぃ選挙」は、選挙制度の仕組みですとか重要性を理解してもらうことを目的に、中学三年生を対象として、公民や社会の授業で活用できるよう作成したものでございまして、今年度は約十二万部を作成し、都内の国立、公立、私立、すべての中学校八百六十九校に送付したところでございます。
作成部数は、追加要望に伴いまして毎年増加傾向でございまして、授業での使用割合は、平成二十三年度のアンケート調査によりますと、アンケートに回答した学校のうち六五・四%に達し、前年に続いて増となっております。
○原田委員 ありがとうございます。
ことしの二月に都立の小石川中等教育学校でということで、都立の方でも中等教育学校、中学校ができたということで、従前よりもやりやすい環境が整ったということも、こうしたことが始まったきっかけかなと思いますけれども、本当にいい取り組みだと思いますので、ぜひ広げていただきたいなと。
この「Let’sすたでぃ選挙」の方で、都内の公立、国立、私立と全部のところに、八百六十九校配ったということでございます。ただ、出前授業は八百六十九校すべてで行えるといったような状況ではまだないと思いますし、なかなか現状の選管の体制の中では、そうしたことも難しいかとは思いますけれども、ぜひいろいろと、これを拡大していくための取り組みを来年度以降も続けていただきたいなというふうに思うわけでございます。
授業を行われた反応として、選挙への関心が強くなったと、ほとんどの生徒が受けていたりということで、かなり好評なようであったかと思いますので、こうしたことを次につなげてということも、選挙管理委員会の中でお考えになられているかと思いますが、こうした若年層を対象とした事業をぜひ今後も拡大していただきたい、拡大していくべきだというふうに考えるところでございますけれども、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
○影山選挙管理委員会事務局長 若年層の政治意識の向上ですとか投票率の向上のためには、選挙時啓発と同時に、このような常時啓発としての取り組みが欠かせないと考えております。
出前授業及び模擬投票については、児童生徒たちに対し、より質の高い授業として提供できるよう努めるとともに、多くの区市町村が地域の学校などと連携して独自開催へつなげることができるよう、共同開催ですとか、ノウハウなどの情報提供に努めていきたいと思っております。
また、「Let’sすたでぃ選挙」については、これまでも作成に当たり、教育委員会の協力を得て内容の充実を図り、使用率を向上すべく、中学校の校長会ですとか、社会科教師の研究会などの機会を利用して、PRなどを行っているところです。
今後も引き続き、教育機関との連携により内容の充実に努めるとともに、学校の授業ばかりでなく、区市町村やNPOが取り組む出前授業等の教材など、さまざまな用途にも活用してもらえるよう、働きかけを行っていきたいと思っております。
都選管としては、これらの活動以外にも、若者との意見交換会の開催などをしまして得られた意見とか情報を啓発事業に生かすべく、取り組んでいるところであります。
今後とも、国や教育機関、区市町村、若者たちの団体などとの連携を図り、相乗効果を発揮しながら、より効果的な事業を実施できるように取り組みを進めてまいります。
○原田委員 ぜひ、いろいろとできることはあるかと思いますので、今後とも進めていただきたいと思います。特に、教材の開発といった部分、それから、具体的に授業をどう運営していくかといった教案を公開、共有していくですとか、そういったことで、あるいは一部やっていらっしゃるかもしれませんけれども、先生方に対する講習会だとか、そういった形で、広げていくためにできることというのはいろいろとあるかと思いますので、そうした取り組みを通じまして、しっかりと都民が学校教育の中でも、選挙について、あるいは民主主義について学ぶ機会が得られるように、そして、都民としてそこに参画していくんだと、当事者意識をしっかりと持っていけるような体制をつくっていけるように、今ご答弁の中でおっしゃられておりましたけれども、選挙のときだけではなくて、日ごろからそういった取り組みが行われていくように努めていただければなというふうに願うところでございます。
以上で質問を終わります。
○鈴木委員 私からも、都知事選挙について幾つかお伺いをしたいと思います。
都政の重要な施策の一つでありますオリンピック・パラリンピック招致活動も、来年の九月七日のブエノスアイレスでの総会でのゴールに向けて、今まさに大きな山場を迎えているところであると思っております。我が国の招致決定への大きなハードルである招致機運の盛り上げについても、先般のロンドン・オリンピックのアスリートの活躍や、そしてその後のメダリストの凱旋パレードを契機に、上り坂になってきているところと考えております。
ところが、だれもが驚愕した思いで受けとめたと思いますが、今般の招致活動の顔であった知事のまさかの辞職があったわけであります。都政の空白をさせてはいけない、そうした思いの中で、私どもがやるべきことをしっかりとやっていくことが大切であり、そのスタートが私は都知事選挙であると思っております。
その経過を復習いたしますと、まず、十月二十五日に石原慎太郎前知事から都議会議長に退職の申し立てがあったことから、三十一日に開催された第一回臨時会において知事の退職が同意されました。そのため、東京都選挙管理委員会は、都知事選挙の選挙期日を、十一月二十九日告示、十二月十六日投開票と決定したところであります。
都知事選挙は、いうまでもなく首都東京、国際都市東京の顔であり、また、一千三百万都民の代表である都知事を選ぶ極めて重要な、かつ注目を浴びる選挙であることはいうまでもありません。そんな中で、限られた時間の中で最善の努力をしていくことが大切であります。
そこで、現在、選挙管理委員会では、選挙の円滑な実施に向けて準備を進めているところと思いますが、私からその取り組みについて、まず、最近行われた都知事選挙の投票率とその特徴についてお伺いいたします。
○影山選挙管理委員会事務局長 石原前知事が初めて当選した平成十一年の選挙では、有権者数は九百五十二万人でございましたが、前回、二十三年の選挙では有権者数は一千五十一万人と、約百万人増加したところです。
こうした中で、投票率でございますが、平成十一年が五七・八七%と最も高く、平成十五年では四四・九四%と下がりましたが、十九年が五四・三五%、二十三年が五七・八〇%と、連続して増加しているところでございます。
特徴でございますが、年代別投票率を見ますと、特に二十代、三十代の若年層世代の投票率が低く、前回都知事選では、最も投票率の高い六十歳代の六九・七%に対して、最も低い二十歳代では三九・一六%と、従前から比べますと上昇しておりますが、なお二倍近い開きが見られているところでございます。
○鈴木委員 選挙というのは、当日の天候とか、また景気やさまざまな要素が影響するわけですけれども、昨年執行された前回の都知事選挙では、東日本大震災直後にもかかわらず投票率が上がったとのことでありましたが、広報啓発活動はどんな内容で実施し、どんな効果があったと考えているのかをお伺いいたします。
○影山選挙管理委員会事務局長 昨年の都知事選挙は、東日本大震災の直後であったことから、その影響を大きく受けましたが、そうした状況でも、二十種類に及ぶ啓発事業を実施しました。
まず、イメージキャラクターとして、特に若年層世代を中心に幅広い層にアピール力のありますAKB48を採用し、投票率の低い若年層に向けた取り組みを重点的に実施しました。具体的には、街頭の大型ビジョンですとか、電車内のモニターなどへの集中的な動画広告の放映、インターネット広告など、さまざまな媒体を活用したところであります。さらに、イメージキャラクターによる期日前投票を報道機関に公表し、大きなパブリシティー効果も発揮されたと考えています。
このような事業に加えまして、街頭キャンペーンや新聞広告など、幅広い広報啓発活動を行ったところであります。これらの取り組みもあり、前回都知事選挙の投票率は、先ほども申しましたとおり五七・八%と、前々回の投票率から三・四五ポイント上回ったところでございます。
また、年代別の投票率についても、前々回選挙との比較で、特に二十歳代が五・七一ポイント、三十歳代が五・八二ポイント上昇したところであり、若年層世代の投票率の向上など、期待する効果が得られたと考えております。
○鈴木委員 先ほども冒頭お話しさせていただきましたけれども、とにかく今回の選挙は突然の知事退職に伴う選挙でありますので、準備期間や周知期間が短く、従来の都知事選挙に比べて制約や困難も多いというふうに思っております。
こうした状況でありますが、ぜひとも広報啓発活動を中心に、選挙事務にしっかりと準備をして取り組んでいただきたいというふうに思うわけですけれども、そうした決意をお伺いしたいと思います。
○影山選挙管理委員会事務局長 今般の都知事選挙においても、特に若年層世代の投票率が低いことから、引き続きこうした世代を対象にした啓発に力を入れて取り組んでいく必要があると考えております。
そのために、街頭の大型ビジョンですとか電車内モニター、交通広告など、さまざまな媒体を使って選挙の周知、啓発を行うとともに、新たにスマートフォン向けコンテンツの作成ですとか、フェイスブックなどの活用により、若年層に効果的な媒体を利用する予定でございます。
今回は、準備期間や周知期間が短いという制約がございますが、例えば、毎年恒例のイベントですとか行事を、選挙時啓発として衣がえするとか活用するなど、都知事選挙により多くの有権者が参加してくださるよう、積極的に広報啓発活動に取り組んでまいります。
また、選挙事務の円滑な遂行に万全を期すため、今月十日には全区市町村の選挙管理委員会委員長会議を開催するなど、区市町村選挙管理委員会とより緊密な連携をとり、事前準備の徹底を図るなど、一層の工夫を図って取り組んでまいります。
○鈴木委員 今、決意を聞かせていただいたわけですけれども、今回の都知事選挙が行われます十二月十六日は、同時に都議会議員選挙の補欠選挙が実施されることになっております。都民の代表である都知事と都議会は車の両輪として、防災や福祉、環境など、都政に関する重要課題に取り組んでいかなければならないことはいうまでもございません。
今回の選挙は、これまでと比べて短期間で準備を進めていかなければならないために、厳しい状況ではありますけれども、先ほど局長が答弁されましたように、一千万人の有権者が一人でも多く投票していただけるよう、広報啓発活動に全力で取り組んでいただくとともに、選挙事務を滞りなく行っていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○山下委員 私からは、選挙、政治に関する広報啓発などにつきまして、先ほどの原田理事やただいまの鈴木副委員長とは別の角度から質問をさせていただきます。
石原都知事の辞任を受けて、急遽、知事選挙が十二月に行われることになり、さらに、これから来年の夏にかけては、都議会議員選挙、衆参両院の国政選挙も必ず行われます。選挙管理委員会では、不正のない選挙の実現と、投票率の向上のための取り組みを一段と強化させる時期に入ったことと思います。その取り組みの大きな柱の一つは広報啓発であると認識しております。
そこでまず、選挙管理委員会で力を入れている広報啓発について伺います。
○影山選挙管理委員会事務局長 選挙に関する広報啓発には、大きく分けまして、選挙時の活動、選挙時啓発と、常日ごろの啓発活動、常時啓発といっていますが、この二つがございます。
選挙時啓発としては、街頭キャンペーンの実施ですとか、ポスターや横断幕、交通広告の掲出、インターネットを活用した広告など、さまざまな事業を実施しているところでございます。
しかしながら、真に投票率を上げるためには、このような選挙時の啓発だけでなく、常日ごろの啓発活動が大事であり、その重要なものの一つとして明るい選挙推進事業があると考えております。
この事業は、政治や選挙に関する意識の向上、投票への参加、きれいな選挙の実現を目指した取り組みであり、都内の五十四の区市町村において、約四千六百名の明るい選挙推進委員が活動しております。主な活動は、地域住民や推進委員を対象とした研修会や講演会の開催、若年層啓発としては、新成人へのバースデーカードの送付ですとか、学校との連携及びイベントを活用しての模擬投票などがございます。
都選挙管理委員会は、明るい選挙推進協議会が行う事業の費用援助や共同開催、あるいはさまざまな取り組みへの情報提供、推進委員の活動の手引書の作成、提供などを行っているところでございます。
○山下委員 わかりました。
明るい選挙推進事業の充実が、幅広い世代、さまざまな立場の人々への選挙のアピールになることと思いますし、このほかに、選挙後には世論調査も行っていると聞きます。世論調査の結果が次の選挙の投票率向上につながることも期待したいと思います。
その上で、私の現状に対する危惧をお話しさせていただきます。
私ども議員、政治活動をする者は、公職選挙法と政治資金規正法という、主に二つの法律にのっとって日々活動しなければなりません。違反のない正しい活動をしなければならないというのは、いうまでもないことでございます。
私の危惧というのは、一般の有権者が、ともすると法律による選挙運動や政治活動の規制を拡大解釈して、あたかも、政治にかかわることが仕事上など自分自身の不利益になるのではないか、政治や議員にはかかわらない方が無難であると思っているような風潮を感じることでございます。これが進めば政治への無関心層がふえ、投票率の低下につながることにもなると思います。
そこで、法律上、一般有権者が政治活動や選挙運動などに関して制限を受けることを明確にしていくことで、それ以外の部分、つまり制限を受けない範囲がある程度確認できて、堂々と政治や政治家にかかわることができると考えます。これも重要な広報啓発であると私は考えます。
一般有権者と政治、議員、選挙等とのかかわり方における法律上の制限について伺います。
○影山選挙管理委員会事務局長 公職選挙法では、選挙期間中の候補者や政治団体が行う選挙運動について一定の規制をしているところでございます。また、政治資金規正法は、個人が政治団体に対して行う寄附について上限額を定めているところでございます。さらに、地方公務員法や教育公務員特例法では、職員や教員の政治活動に対して一定の規制を定めているところでございます。
しかしながら、このように制限的に法律で定められているものを除けば、それ以外の活動について特段の規制はないものと承知しております。
○山下委員 ありがとうございます。
制限のない部分は法律上問題がない、つまり、一般有権者への法律上の制限は極めて限られた範囲であると解釈いたします。
憲法で思想、信条の自由が保障されているということを改めて確認し、そして、この質疑が投票率の向上のための形を変えた一つの広報啓発につながりますことを願って、私の質問を終わらせていただきます。
○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○中山委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
○原田委員 私からは、自転車施策関係について質問をさせていただきます。
自転車関係につきましては、昨今、注目が高まっておりまして、その中には当然、健康面でのいい影響、環境負荷の低減といったこと、あるいは最近は消防団でも、いわゆるマウンテンバイクが配備されたりしておりますけれども、災害時の交通手段としての利用ですとか、さまざまないい面がございます。また同時に、交通ルール、マナーの問題といったこと、それから伝統的な問題でいえば放置自転車の問題など、その利用に関しては幾つかの課題があるのも事実でございます。
しかしながら、こうしたことを乗り越えて、自転車をやはりこの東京という都市の中でも有意義な交通手段としてきちんと位置づけていこうというような時代になってきているのではないかなというふうに感じるわけでございますけれども、そのための方策につきましては、きちっとした議論をしていかなければならないかと思っております。
より本質的には、自転車だけではなくて、歩行者や、あるいは都営や民間会社の経営問わず、バスですとか、電車ですとか、地下鉄ですとか、あらゆる交通体系をきちんと総合的に考えて、どういった交通分担率を考えていくのか、その中で、それぞれの交通手段をどういう位置づけにしていくのかといったようなことを考えていくことが求められているのではないかなというふうに思うわけでございますけれども、本日は、青少年・治安対策本部の事務事業の質疑ということで、その分野について何点かご質問させていただきたいと思っております。
自転車は、実際に東京という都市の中でも利便性の高い乗り物でありまして、将来的にも主要な交通手段になっていくんだろうというふうに思うわけでございますが、そのためには、やはり自転車が安全に走行できるというような走行空間をきちんと整備するということが大切だと思っております。そのためには、自転車が安全に走行できる道路のネットワーク化といったようなこともございますし、各所での自転車の専用走行空間の整備といったこともございます。
しかしながら、現状はといいますと、やはり車社会の影響を引きずっておりまして、どうしても、まだ車の交通需要が満たせていないから、自転車の方までなかなか手が回らないといったようないい方も、時にはされることもございますけれども、そうしたことでは、車優先の発想ですと、既存の道路上でスペースに比較的余裕があるところにのみ、自転車道を整備していく、自転車走行レーンを整備していくといったようなことになってしまうかと思いますけれども、自転車というものをきちっと一つの交通手段として位置づけるのであれば、自転車交通の安全をより重視した整備計画の提案といったようなことも、あってしかるべきではないかなというふうに思うわけでございます。
このことに関しまして、交通安全全般を担当する青少年・治安対策本部としての認識と取り組みをお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 走行空間のネットワーク化のためには、国、区市町村、建設局という道路管理者や、交通管理者である警視庁など、さまざまな関係者が連携することが必要でございます。
現状では、自転車専用の走行空間の確保が十分であるとはいえませんが、その整備につきましては、自動車、歩行者も含めた道路交通全体の果たす機能や、その安全の確保の中で検討されるべきものと認識しております。
当本部といたしましては、自転車の走行空間の確保について議論するために関係者で構成された自転車通行環境整備課題ワーキンググループに参加し、継続的な議論を行っているほか、早期の提案を目指して検討中の自転車の安全で適正な利用を促進するための条例においても、走行空間のネットワーク化のための規定を設けることを検討しております。
○原田委員 今、自動車、歩行者も含めた道路交通全体の果たす機能について、しっかりと検討していくといったご趣旨のご答弁がございましたけれども、少し余談的になりますけれども、インドなんかに行きますと、一つの道路で、人が歩いている、牛が歩いている、また車が走っている、オートバイが走っている。そこにラクダが歩いていて、象が通っているというふうなことで、本当にいろんな交通手段が、道路空間というものをともに使っているというようなことがありまして、そうしたものが道の原風景だなというのを、海外のそういったところへ行くと思うわけでございます。
東京は高度に発展しておりまして、その中で効率性を追求してきて、いろいろと分けて考えるというようなことになってきているわけでございますけれども、そうした中でも、道路空間というものをしっかりと、どういうふうに使っていくのかといったことについて、一回、予断を持たずに考えていくといったようなことも、また大切なのかなというふうに感じる次第でございます。
現実の東京の話でいいますと、さはさりながら、これだけの交通需要をさばくために、さまざまなことが行われておりますけれども、そうした中で、東京としてやっていくべきもの、通行空間のネットワークと並んで安全対策上重要だなと思いますのは、交差点の問題でございます。
この適切な対策を講じるためには、事故状況の分析が大変重要であるかと思いますけれども、まず、交差点におきます自転車が関与する事故の発生状況やその原因について、お伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 平成二十三年中に都内で発生した自転車が関与する交通事故は一万九千二百九件でございました。このうち、交差点内で発生した事故が一万二千五百八十八件と約三分の二を占めており、さらにその約八割に当たる一万四十九件が対自動車の事故でございました。
交通事故の原因は、一件一件異なるものではございますが、安全確認が不十分であるなど、自転車利用者を含む事故当事者に何らかの違反がある場合が多いと考えられます。
○原田委員 今、東京都の方では、渋滞解消という文脈の中で、交差点の改良についても順次進めていただいているわけでございますけれども、こうしたところに交通安全といったことも、特に自転車の交通安全といったことも、ぜひあわせて考えられるといいかなと。当然、個別個別のケースでは、それぞれ考えられておるんでございましょうけれども、今のご答弁でも、交差点内で発生した事故が約三分の二というようなことでございまして、ここの安全性を高めていくということが、自転車の安全利用ということについて本当に重要だと思っております。
直接的な原因は、ヒューマンエラーといったようなことがあるにしましても、例えば、左折で巻き込まれやすいような構造の交差点でありますとか、構造的な原因というのもあるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
車の側からすると、立体交差してふくそうをなくすということがいいんでございましょうけれども、自転車側からしますと、それだけの陸橋を自転車をこいで上っておりるというのはまた大変なことでございますし、そうした意味では、やはり平面の交差点をいかに安全にするか。車の側からいっても、当然、幹線道路以外ではできないわけでございますし、平面の交差点をいかに改良していくかといったようなことが大切じゃないかなというふうに思うわけでございます。
そうしたことを考えますと、自転車事故の多発地点を特定した上で、交差点の改良だとか、それから交通規制のあり方の見直し等の取り組みを進めていく必要があると考えるわけでございますけれども、取り組みをお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車の安全な利用を促進するためには、利用者自身が交通ルールの遵守を徹底するほか、交差点を含め、そもそも事故が起こりにくい環境を整備することが重要であると認識しております。
その具体的な対策は、交通管理者や道路管理者において行われることとなりますが、警視庁においては、自転車の安全な通行を確保する観点から、交差点内の自転車横断帯の撤去を進めるほか、事故発生状況等も踏まえ、自転車も含む道路交通全体の状況に応じて各種交通規制の見直しを行うなど、必要な措置を講じているものと承知しております。
また、各道路管理者においても、自転車事故に特化したものではございませんが、事故発生状況等を勘案して、交差点についても必要な道路改良を行っているものと承知しております。
○原田委員 これからも適切に行われていくように、また、さまざまな情報等も上がってくるでございましょうから、臨機応変に対応していただければなと思う次第でございます。
ハード整備に関していいますと、走行空間だけではなくて、当然、走りっ放しではいけないわけで、目的地まで行ったらとまるわけです。そしたらとめる場所が必要ということで、駐輪場の確保というものが大切になってくるわけでございます。
駐輪場の確保といった場合に、自転車の利用が進んでいるヨーロッパの都市を見ますと、その利用のあり方、大きく分けて大体二パターンありまして、一つは、オランダですとかドイツだとか、こういったところは、自前の自転車で行き来をするというのが主流のパターンでございます。
また、もう一つのパターンは、これは市長が肝いりの政策でやったりしておりますけれども、パリのヴェリブですとか、ロンドンのサイクルハイヤーのように、自前の自転車で人々が動くというよりは、まちの中に、自転車シェアリングとでもいいましょうか、共有の自転車を、どこで借りても、どこで返してもいいというようなのをくまなく配しまして、人々が利用できるようにするというようなパターンでございますけれども、日本の状況を見ますと、東京という都市の広さ、これはヨーロッパの都市と比べても相当広いわけでございますし、また、自転車の現時点での普及率という意味でも、利用される方は、結構自前で持って利用されているようなこともございますので、自前の自転車を使った場合に、きちんと駐輪する場所があると。オランダやドイツのようなパターンの整備といったものが、まずは基本になってくるのかなという気もいたします。
例えばオランダのケースでいいますと、アムステルダムの中央駅、一番の中心の駅の真裏に、本当に巨大な駐輪場が整備されていたりします。
また、ちょっと小さい都市ですけれども、ドイツのフライブルクなんかでも、フライブルクのこれもまた中央駅に電車が通っていると。そのわきには駐車場があって、レンタカーがあって、その上に駐輪スペースがだあっとありまして、その上の階、橋になっているんですけれども、路面電車が通っていてというようなことで、交通結節点のところに複合的な交通サービス施設の整備が行われておりまして、その中に、きちんと自転車のスペースといったものも位置づけられていたりするわけでございます。
翻って、我が国のこと、東京のことを見てみますと、アムステルダム中央駅の裏側と、東京にいいかえていうと、東京駅の八重洲口みたいなところかなとも思うわけでございますけれども、東京駅周辺では放置自転車が昨今増加しておりまして、対策もなかなかままならないというような話も聞いているところでございます。
そこで、東京駅周辺の放置自転車の状況や原因、そしてその対策についてお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 平成二十三年度の駅前放置自転車の現況と対策によりますと、東京駅周辺の放置自転車の台数は八百三十台で、駅別で見ますと、赤羽駅に次いでのワースト二位でございました。これは、東京駅周辺には十分な駐輪場がないことと、近年、湾岸部等において高層マンションの建設が進み、その住民が通勤する際などに、東京駅まで自転車を利用し、周辺に放置していることも原因と考えられます。
放置自転車対策は、基礎的自治体である区市町村を中心に行われておりますが、都としては、先般、千代田区、中央区、道路管理者、交通管理者に働きかけまして、東京駅周辺の放置自転車問題についての意見交換の場を設けたところでございます。
都といたしましては、今後も、鉄道事業者も含む関係者との連携の強化により、放置自転車問題の解決に努めてまいります。
○原田委員 今、東京駅周辺に関しましては、意見交換の場を設けるですとか、あるいは関係者との連携強化といったお答えをいただきました。
実際に、現在は区市町村が主体となってこの対策を進めているんだと思いますけれども、東京都としては、東京駅に限らず、放置自転車問題についてどのように関与していくのか、お伺いしておきます。
○五十嵐治安対策担当部長 平時における安全で円滑な交通の確保のみならず、災害時における迅速な避難を実現するためにも、放置自転車の対策は重要な課題でございます。
現在、都は、毎年十月に、区市町村や関係機関と連携して駅前放置自転車のクリーンキャンペーンを実施しております。
また、自転車の安全で適正な利用を促進するための条例を早期に提案すべく検討中でございますが、その中では、放置自転車対策として、従業員の通勤用自転車の駐輪場所を事業者が確認することを義務づける規定を設けることなども検討しております。
都としては、道路空間の安全確保のため、今後とも、区市町村や関係機関、団体と連携して、放置自転車対策を推進してまいります。
○原田委員 駅のない鉄道というのはあっても、乗りおりできないから意味ないわけですし、同じように、駐輪場がなければ自転車の利用というものもできないわけでございますから、駐輪場の整備に関しては、本当に走行空間の整備だけでなくて、それとあわせてしっかりやっていかなければならない課題だろうというふうに考えているところでございます。いろいろと新しい規定の検討などもされているようでございますけれども、一つ一つ実効性のある取り組みを進めていただければなというふうに思うわけでございます。
そこで、ちょっとこれは改めてお伺いしておきますけれども、先ほど、東京駅は赤羽駅に次いでワースト二番目というようなことでございました。北区の赤羽駅がトップ争いを毎年しておりまして、また王子駅もトップ五ぐらいにいつも入ってくるわけでございます。
確かに、放置自転車が多いということで、放置自転車というのは、当然困った存在ですし、やめてもらわなければいけないわけでございますけれども、裏を返せば、それだけの自転車交通需要があって、それらの駅で乗りかえ需要があると。にもかかわらず、それにサービスが追いついていないというようなことでもあるのかなと思うわけでございます。
両駅は主要な交通結節点でございまして、例えば、赤羽駅から埼京線で都庁のあります新宿までも十分、十五分で着くわけでございますし、京浜東北線で東京方面も行けるわけです。王子駅に関しても、同じく京浜東北線で東京駅まで十五分程度でございますし、地下鉄南北線も通っておりまして、永田町までも十九分というようなところでございます。
こうした交通の便利な線が通っている赤羽、王子、北区なわけでございますけれども、北区全体でいっても、実は北区の面積の約八割は、最寄りの駅から徒歩十分圏内なわけでございます。当然、買い物利用等もございますけれども、事通勤での利用ということでいえば、周辺区からの流入も相当あるわけでございます。
例えば、これは駐輪場の利用実態でございますけれども、田端駅にあります駐輪場などは、その約九割が区外の方の利用といったようなことになっていまして、田端ですと、具体的には荒川区ですとか文京区の方々といったことになるわけでございますけれども、こうした実際に複数の区にまたがって自転車を利用される方は移動し、そして駐輪をされているというような実態があるわけでございます。
さきの走行空間の確保にしましても、放置自転車問題にしましても、複数の区にまたがる自転車問題について、広域自治体として、東京都としても果たすべき役割が重要だと考えますけれども、見解をお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、自転車走行空間の確保につきましても、放置自転車問題への対処につきましても、区市町村、道路管理者、交通管理者などの複数の関係者が緊密に連携することが重要であると認識しております。
都といたしましては、特定の区市町村内において複数の道路管理者が関与するような事案のみならず、複数の区市町村にまたがる事案につきましても、それらの区市町村の間で必要な協議が行われ、十分な調整が図られるよう、広域自治体としての責務を果たしてまいります。
○原田委員 本当に大都市としての特性で、生活圏というのは、一つの区の中にとどまらず、広がっているわけでございますので、そうした部分についても、大都市東京として、しっかりと目を向けられるように取り組みを進めていただければなと思うわけでございます。
殊に、今回はそこまではお聞きはしませんけれども、駐輪場と道路整備は、本来であれば一体として行っていくというようなことも大切なのではないかなと思うわけでございます。
先ほどのヨーロッパ諸都市の例でも、交通結節点にさまざまな機能を持たせて、そこに自転車も集まるというような形をつくっているわけでございますけれども、当然、駐輪場を整備しても、そこに行く道がなければ行かれないわけですし、また、道をつくっても、とめるところがなければ行き先がなくなるというわけでございますので、道路整備と駐輪場の整備というのは一体になっていくと。
また、特にこういう、東京駅もそうかもわかりませんけれども、赤羽、王子もそうかもわかりませんけれども、こうした交通結節点をきちっと整備していって、交通の円滑な連携というの考えていった場合には、複数区にまたがって、どのような交通環境を整えていくべきなのかといったようなことが、大変重要な課題になってくるかと思いますので、そうした観点でも、複数の市区町村にまたがるような課題でも積極的に取り組んでいくような体制をとっていただきたいなと思う次第でございます。
少し話が変わりまして、放置自転車といった場合、駅前で放置自転車が撤去されている風景等々、よく見るわけでございますけれども、各市区町村は、自転車法に基づいて放置防止条例等を制定しまして、対策に取り組んでいるわけでございますが、駅前等を放置自転車整理区域というようなことで設定しまして、その区域内においてのみ即時撤去等の強い行政権限を認める一方で、この区域に入っておりませんと、そこがたとえ公共的な場所であっても、民法上の私権、所有権が強く保護されておりまして、現実的に放置されている自転車に対する取り組みに苦慮しているというケースがあるわけでございます。これは、何も駅から離れたところに限ったことではございませんで、主要駅周辺でも整理区域に指定されていない、いってみれば穴のような部分で、放置自転車が増加しているというような話も聞くわけでございます。
マンションや商業施設の駐輪場の無断駐車等も含め、区市町村が撤去できるかできないかにかかわらず、こうした不適切な駐輪全般を社会からなくしていく、そのための取り組みをしていくべきだと思うわけでございますけれども、ご見解をお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車の不適切な道路通行に限らず、不適切な駐輪も含め、自転車利用者のルール、マナーが社会的な問題となっております。
都としては、利用者のルールの遵守、マナーの向上により、自転車が安全で適正に利用されるよう、自転車利用者を初めとした関係者の責務を明らかにする条例を早期に提案できるよう取り組んでまいります。
また、駅周辺などにおいて必要な駐輪場所が確保されるよう、駐輪場の整備について、区市町村等の関係者と連絡調整を行うなど、協力してまいります。
都は、今後とも、自転車の放置対策も含め、自転車が安全で適正に利用されるよう、積極的に取り組んでまいります。
○原田委員 とめられる側にとりましては、何も悪いことはないのに例えば放置されて、その扱いに苦慮してしまうと。事によると、いろいろ手間がかかったり、撤去のためにお金がかかったりといったことで、何も悪くない人がそうやって負担を強いられるというようなことにもなりかねませんので、そうしたことが起こらないように、適切な仕組みづくりをご検討いただければありがたいなというふうに思うわけでございます。
自転車の利用の促進に当たりましては、やはり安全な利用ということが一番大事なんだろうというふうに思うわけでございます。利便性だとか、環境へのいい影響だとかはありますけれども、自転車の利用というものをきちっと都市の中で位置づけていくには、自転車は安全な乗り物だと、安全な移動手段だというようなことをまず担保するというようなことが大切なわけでございまして、そのためには、走行空間が危険な状態をそのままにしておいて、利用者に安全に利用してくださいというような訴えをするだけではなくて、安全に走行できる都市空間をきちんとつくっていくということが大切なんだろうなというふうに思うわけでございます。
先ほどの放置自転車の問題にしましても、確かに放置自転車ということで、これはきちんと対応していかなければいけない課題なわけでございますけれども、現にそこにある需要を満たしていく、そのような都市空間の整備をしていくといったような考え方も必要なのではないかなというふうに思うわけでございます。
課題はいろいろありますし、また関係者も道路管理者、交通管理者等々、多岐にわたるわけでございますけれども、だからこそ、より一層、取りまとめ役を務めていただいております青少年・治安対策本部の役割は重要になってくるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
現状では、こうした調整機能を果たしていく局ということでは、青少年・治安対策本部ということでございますので、当然、交通安全ということがメーンにはなろうかと思いますけれども、さまざまな制約もあろうかと思いますけれども、独自の施策の推進だけではなくて、全体を見据えた訴え、そしてまた関係者間の調整などにお取り組みいただければありがたいなというふうに思う次第でございます。
以上で質問を終わります。
○中屋委員 私の方からは、自転車の安全利用条例について何点かお伺いをいたします。
さきの議会で、自転車の安全で適正な利用を促進するための条例を早期に制定したいとのご答弁がありました。これまで我が党も繰り返して訴えてきましたように、自転車利用者のルール、マナーの問題は深刻で、ぜひ実効性のある条例を提案していただきたいと思っております。
その具体的内容については、鋭意検討していただいていると思いますけれども、どのような内容を盛り込む予定か、現時点での検討状況をお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車は、身近な交通手段として都民に広く利用されており、その安全で適正な利用を促進するためには、社会全体での取り組みが必要だと認識しております。
したがって、今回の条例は、自転車利用者のみならず、行政、自転車販売店等の事業者、自転車を事業に使用する事業者等のさまざまな関係者の責務を明らかにし、それぞれが取り組むべき事項を具体的に規定することを検討しております。
内容といたしましては、関係者が協力して自転車対策を推進するための基本となる計画を都が策定することを明示するとともに、安全教育の推進、自転車の点検整備の普及、損害賠償保険の普及、自転車の放置防止のための取り組み、走行空間のネットワーク化のための関係者の連携等、さまざまな内容を具体的に規定することを検討しております。
○中屋委員 今お伺いいたしますと、本当に幅広い内容でございまして、論点は幾つもあるようですけれども、きょうは、自転車の車体の安全性や点検整備を中心に伺ってまいりたいと思います。
以前、ブレーキの整備されていない自転車が公道を走っているとして問題になりましたけれども、ハンドルが曲がっていたり、タイヤの空気圧が十分でなかったり、前照灯が整備されていないような自転車も走っている状況でありますけれども、法令上は、こうした自転車を運転することは禁止されているのでしょうか、お伺いします。
○五十嵐治安対策担当部長 道路交通法の規定によりまして、一定の基準に適合する制動装置が装備されていない自転車の運転は禁止されております。また、夜間におきましては、前照灯と自転車後部の尾灯または反射器材が装備されていない自転車の運転は禁止されております。このほか、東京都道路交通規則においては、警音器が装備されていない自転車の運転も禁止されております。
なお、二輪の自転車につきましては、道路運送車両の保安基準の対象外であるため、空気圧が十分でないタイヤの自転車を運転しても、道路交通法の整備不良車両の運転の禁止規定には直ちには違反しないということでございます。
○中屋委員 さすがにブレーキは整備する必要があると。しかし、パンクした自転車については禁止されていないということでは、点検整備の普及といってもなかなか進まないのではないかと思います。
自転車の特性を考えますと、車検制度とまでは必要ないと思いますが、整備不良の運転を禁止するといった規定は検討すべきだと思いますけれども、そこのご見解を伺いたいと思います。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車を含む車両についての整備不良等の場合の運転の禁止規定につきましては、既に道路交通法や東京都道路交通規則において規定されておりまして、今回の条例において、自転車の運転に関するルールを定めることは予定しておりません。
他方、適切な制動装置が整備されていない自転車のように、道路上で運行された場合には、利用者が法令に違反するような自転車が販売されることは望ましくはありません。そこで、今回の条例におきましては、自転車販売店がこうした違法な自転車を販売することを禁止する規定を設けることを検討しております。
○中屋委員 違法な自転車を売ってはいけないという規定が今までなかったこと自体が驚きであります。ぜひそうした規定も盛り込んでもらいたいと思います。
そこで、今回の条例をつくる上で、整備点検についてはどのような規定を設けるのか、現在の検討中の範囲内で構いませんので、ご答弁をいただきたいと思います。
○五十嵐治安対策担当部長 条例におきましては、自転車の点検整備の習慣を普及させるために、都による点検整備指針の作成を規定することを検討しております。
条例とは別途作成する点検整備の指針においては、自転車の利用者が日常的に、または定期的に点検整備すべき事項やその方法につきまして定めることを検討しております。
また、条例におきましては、この指針が広く活用されるよう、自転車利用者や自転車を業務に使用する事業者が、指針に従った適切な点検整備を行うよう努めるべきとの規定も検討しております。
都といたしましては、条例に位置づけられる公的な点検整備の指針が自転車利用者等に活用されることによりまして、より安全な自転車が普及するよう努力してまいります。
○中屋委員 健康にも環境にもいい自転車の利用がふえることは大変に喜ばしいことですけれども、その前提となるのはルールを守った安全な利用であります。こうした条例の規定や指針の作成によって、自転車はしっかり点検整備をして利用することが当たり前の習慣になるように期待をしております。
そこで、今回せっかく条例をつくるということであれば、東京の自転車問題を見据えて、東京独自の規定も私は盛り込むべきと思いますけれども、見解を伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車利用者のルール、マナーの問題、こうした問題は東京都だけでの問題ではないと認識しております。
自転車の安全利用に関する条例は、都道府県のものといたしましては、京都府及び埼玉県において既に検討されているものと承知しております。都といたしましては、こうした前例も参考としながら、より実効性のある条例とする必要があると認識しております。
違法な自転車の販売の禁止、行政による公的な点検整備指針の作成、指針に基づいた自転車利用者等による点検整備の努力義務といった規定は、京都府や埼玉県の条例にはございませんで、東京都独自のものであると承知しております。
このほか、安全教育の推進や放置自転車対策のための規定などにつきましても、自転車利用者のみならず、行政、事業者等が果たすべき具体的役割を定めることにより、都としての責任ある総合的な内容の条例とすべく検討してまいります。
○中屋委員 条例の中身だとかねらいというのが少しわかってきたような気がいたします。
条例や指針をつくれば、直ちに自転車利用者のルール、マナーが改善するというわけにもいかないだろうけれども、社会全体で自転車問題に取り組むことによって、確実にこの問題は改善していくと私は思います。
そこで、今後も、教育庁とか警視庁とかと連携をして、安全教育の徹底、悪質な違反者に対する指導、警告、取り締まりも含めて、総合的な自転車対策をさらに講じていただきたいということをお願いいたしまして、質疑を終わります。
○谷村委員 それでは、青少年健全育成条例に関連して質問をいたします。
平成二十二年十二月の都議会第四回定例会におきまして、本条例の改正案が付帯決議をつけられた上で可決、成立しました。
この条例改正につきましては、民主党、共産党、生活者ネット・みらいさんの反対により、修正案を加えた改正案が一たび否決されるなど、成立に至るまで、都議会及び出版業界等において大議論となっただけでなく、非実在青少年といった言葉が流行語となるなど、児童ポルノ法の限界を鋭く突いた表現ではあったかとは思いますけれども、そうしたことなどから広く社会的にも関心を持たれたものとなりました。また、ネット上では、意図的かつ悪質な非難中傷なども行われたりしました。
改正条例は、既に全面施行されて一年以上が経過をしております。この時期に過去の議論を総括し、本条例の意義をいま一度改めて確認することは、今後の青少年健全育成を推進していく上でも必要なことであると思います。
そこで、条例改正の議論の中で特に争点となりました漫画等の図書類に関する、いわゆる新基準の問題を中心に何点か質問をいたします。
まず、なぜ条例改正が必要だったのかという点から確認させていただきたいと思いますが、不健全図書類について、社会的にどういう状況やどういう問題があったので条例改正に至ったのか、お伺いをしたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 条例改正以前は、児童に対する性交など刑罰法規に触れる性交、性交類似行為や近親相姦等を、これを読んだ青少年がこうした性交等が社会的に許されていると誤解してしまうように描いた漫画等が、書店において青少年でも容易に買うことができる書棚で売られている状況がありました。
これらの漫画等は、これまでの条例の基準である性的感情を著しく刺激するとして区分陳列されている漫画等に比べ、刺激の程度は必ずしも高くはありません。したがって、これらの漫画等に対し、これまでの基準を無理に拡大解釈して適用することは、行政の恣意的運用になりかねないため、これらの漫画等を成人コーナーに区分できる新たな基準を条例で明確に設けていくことが必要であると考え、条例改正に至ったものでございます。
○谷村委員 条例改正前の書店やコンビニなどでの状況として、子どもに対する悪質な性行為を描写している漫画などがあったということ。そして、そうした漫画を子どもに販売したりできないようにする区分陳列を求めることが、必ずしもそれまでの条例基準ではできなかったので、条例改正が必要であったというご説明だったかと思います。
平成二十二年十二月の改正で、どのような図書類を不健全図書類として条例の基準に追加したのか、いわゆる新基準についてご説明をお願いしたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 不健全図書類に関して、先般の条例改正で追加された新たな基準、いわゆる新基準とは、業界への自主規制を求める基準の新たな基準と、不健全図書類の指定基準の新たな基準の二点についての基準でございます。
一点目の業界への自主規制を求める新基準でございますが、これは条例第七条第二号で規定しており、漫画、アニメーションその他の画像で実写を除くもののうち、刑罰法規に触れる性交もしくは性交類似行為または婚姻を禁止されている近親者間における性交もしくは性交類似行為を、不当に賛美し、または誇張するように描写しまたは表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるものについて、図書類の発行、販売を業とする者などは、これらの図書類を青少年に販売し、頒布し、もしくは貸し付けまたは観覧させないように努めなければならないという内容でございます。
二点目の不健全図書類の指定基準についての新基準でございますが、これは条例第八条第一項第二号で規定しており、今申し上げた業界の自主規制を求める基準に該当する図書類のうち、強姦等の著しく社会規範に反する性交または性交類似行為を、著しく不当に賛美し、または誇張するように描写し、または表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げるものとして、東京都規則で定める基準に該当するものについて、知事は、青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができるという内容でございます。
○谷村委員 改正条例で追加されたいわゆる新基準につきましては、業界に自主規制の努力義務を求める基準と、そして、その中でも青少年への販売禁止を区分陳列を強制される不健全図書類の指定基準があるということを改めて確認をさせていただきました。
そこで、次の質問でございますが、この条例改正案の審議の過程で、表現の自由の侵害ではないか、あるいは漫画家の創作活動を萎縮させるのではないかとの反対論がありましたが、こうした反対論について、今改めての見解をお伺いしたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 先般の条例改正は、社会的に許されない性交、性交類似行為を不当に賛美または不当に誇張するように描写または表現することで、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げるおそれのある漫画等について、書店などのいわゆる成人コーナーに置いてもらい、青少年が見たり買ったりしないようにするものでございます。
青少年の健全な成長を阻害するおそれがある図書類を区分陳列する制度は、これまでも都条例で規定されており、ほとんどの道府県に同様の制度があるところでございます。
先般の条例改正で追加したいわゆる新基準の対象となる漫画等についても、あくまでも区分陳列を求めて、青少年への販売等を行わないことにとどまり、このような漫画等を描くこと、創作すること、出版すること、十八歳以上の方が買ったり見たりすることは、これまでどおり自由でございます。
したがって、表現の自由を侵害するものではなく、また、漫画等の描き手の創作活動を制限するものでもございません。
○谷村委員 当時は、この条例改正案について随分大騒ぎになりましたけれども、今ご答弁いただいた内容につきましては、ごく当然、当たり前のことをお話しいただいた、ご答弁いただいたにすぎないなということをつくづく感じるわけでございます。
平成二十二年十二月に都議会で可決、成立する前の第二回定例会で、修正を加えた改正案、これが、先ほど申し上げましたけれども、民主党、共産党、生活者ネットワーク・みらいさんの反対で否決をされたわけであります。
その際に、改正案の成立を求めていた東京都小学校PTA協議会会長の方がコメントをされておりまして、それが平成二十二年六月十七日の東京新聞朝刊に掲載されております。
どのようなコメントをされているかといいますと、子ども不在の政治の駆け引きで否決され、非常に残念。子どもが性的対象になる被害や風潮の蔓延は危機的状況なのにと失望を隠さない。反対する人は自分たちへの権利侵害ばかり主張して、子どもの環境を悪化させるということは認めようとしない。本当に権利を侵害されているのは子どもだというコメントを出され、大変に失望感を表明されたわけですけれども、この六月七日、採決が行われる前には、東京都小学校PTA協議会は各会派に要望書を提出しております。そこでは、改正案は親としてごく当たり前の願いを反映したもの、野放しで児童が性的対象になる現状を一刻も早く改善すべきと考えますというような内容でありまして、協賛団体として、おやじ東京あるいは日本ガーディアン・エンジェルスなどの三団体名がお名前を連ねていらっしゃるわけでございます。
こうした状況下で、お子さんをお持ちになる、あるいはならなくても、ごく自然な多くのご要望がある中で、この条例が審議され、一たんは否決されましたけれども、十二月に成立をしたわけでございます。
先ほどのご答弁に、あえてつけ加えさせていただくとするならば、こうした青少年への図書類の販売制限については、岐阜県青少年保護育成条例に関する平成元年の最高裁判決において、憲法二十一条第一項に違反するものではないと明確に示されているわけであります。そうした質疑や答弁が都議会でもなされていたということを確認のために申し添えさせていただきたいと思います。
そして、その改正条例が成立し、そして施行されていることについて質問させていただきますけれども、条例改正で追加されたいわゆる新基準の不健全図書について、その後の書店あるいはコンビニ等での扱いや状況がどうなっているのか、お伺いをいたします。
○山中青少年対策担当部長 改正条例が全面施行されました平成二十三年七月以降、不健全図書類として指定された図書類は四十四件でございます。そのうち、著しく性的感情を刺激する図書類は四十三件、著しく自殺もしくは犯罪を助長する図書類は一件でございまして、いわゆる新基準で指定した実績はございません。
○谷村委員 ありがとうございます。
改正条例施行後一年以上が経過をしておりますけれども、新基準該当の不健全図書類は、いまだ指定されていないということですが、それはなぜなのか。条例審議の過程の中ではいろんなことが議論されましたけれども、いまだ新基準該当の不健全図書類は指定されていないということですけれども、なぜそういう状況なのかということについて、どのように受けとめておられるか、見解をお伺いしたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 改正条例の趣旨が出版業界において理解が浸透し、適切な自主規制がなされていることもあるのではないかと考えているところでございます。
○谷村委員 そういう適切な自主規制によって、新基準に触れるような不健全図書が確認されていないということであろうかと思いますけれども、先般の条例改正の意義が、こうした結果を踏まえて改めて確認されていることと思うわけであります。
改正条例が都議会で可決、成立したことに関連して、ちょっと話がそれますけれども、当時、一部の出版社から、東京国際アニメフェア二〇一一について協力、参加を拒否する旨の声明が出されたことが報道されておりましたけれども、アニメフェアの開催についてはその後どうなったのか、確認をさせていただきたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 昨年春の東京国際アニメフェアは、東日本大震災の影響で開催されませんでしたけれども、本年春のアニメフェアにつきましては、混乱なく開催されたと聞いております。
○谷村委員 アニメフェアについて、改正条例成立直後も円滑な開催を危ぶむ声もあったかと思いますけれども、ことしの春のアニメフェアについては特に混乱がなかったということで、確認をさせていただきました。
またちょっと話を戻しますけれども、不健全図書指定につきましては、青少年健全育成協力員の方々に大変に重要なご活躍をしていただいております。
そこで、青少年健全育成協力員制度について、どのような制度かということについて確認をさせていただきたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都は、青少年が安心して育つ環境を整備するため、平成十六年の条例改正で、東京都青少年健全育成協力員制度を設けております。
協力員は、地域で青少年健全育成などにご協力いただいている一般都民の方を、区市町村等からの推薦に基づきまして都が委嘱をしているものでございます。
その活動は、都内の書店等において、不健全指定された図書類や成人向けマークのついているいわゆる表示図書類などについて、その包装や区分陳列が適切になされているかを調査して、都に報告をしてもらうものであり、不適切な店舗があるという報告がある場合は、都の職員が調査を行い、必要に応じて書店等を指導しているところでございます。
○谷村委員 大変に重要な役割を果たしていただいているわけでございますけれども、青少年を取り巻く環境の整備に当たっては、一生懸命やっていただいておりますけれども、行政だけの取り組みではどうしても不十分になります。
世界で最も治安のよいといわれた国際都市東京の治安が、かつて深刻に悪化をした際には、犯罪防止あるいは犯罪の抑制というものを警察だけに任せるのではなく、地域社会が一丸となって取り組むべきだということで、平成十五年、この年を治安回復元年と位置づけて、それから三年間で目標を達成させたという歴史が東京都にはあるわけであります。
その際に、青少年・治安対策本部も誕生し、あるいは駐車違反の取り締まりは民間に委託されたりとなったわけでありますけれども、地域の方々のご協力を得て行うということは、地域の子どもは地域で守り育てるという考えが広く浸透する意味におきましても、大変に有意義なことだと思います。
次は、いじめ問題について地域を挙げて取り組んで、今の危機的状況を脱出するべきだと考えているわけでありますけれども、地域社会の役割あるいはその取り組みというものが、これからさらに重要となってくると思うわけであります。
こうした協力員制度の活用を含め、今後の青少年の健全育成のための環境整備の取り組みについて、お伺いをしたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 青少年健全育成協力員については、昨年度末の八百六十六人から、今年度は千人を超える方に委嘱を行い、都内各地域における青少年を取り巻く環境浄化活動の充実強化に取り組んでおります。
また、協力員からの報告などをもとに、不健全図書類などの区分陳列等が不適切な店舗については、都としても個別に立入調査を実施して、適時的確な指導に鋭意取り組み、速やかな改善を促してまいります。
さらに、出版業界等と積極的に意見交換を行い、青少年の健全育成という観点から、業界において自主的取り組み、自主規制の徹底が図られるよう、引き続き強く働きかけてまいります。
○谷村委員 ぜひ今後とも、地域の協力員の方々とも連携を密にしていただいて、環境浄化活動に取り組んでいただくとともに、業界の自主規制のさらなる徹底を図っていただきたいと思います。
最後に、今、青少年をめぐる問題の中で、国際的にもその取り組みが求められている児童ポルノについて質問をいたします。
漫画、アニメのキャラクターは実在しない人物の描写でありますけれども、児童ポルノは、被写体となっている青少年が現実に存在し、性的虐待や性的犯罪の被害になっていることを示すものであります。
先般の条例改正では、児童ポルノの根絶等についての規定も盛り込まれたところでありますが、今後の都の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 平成十一年に、児童買春及び児童ポルノ禁止法、いわゆる児童ポルノ法が制定され、児童ポルノの販売や販売目的の所持、製造等が禁止されましたが、これらの目的以外での所持、すなわち単純所持は禁止されておりません。
単純所持は、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持するといったものですが、単純所持が違法でないことが児童を性の対象とする風潮を助長し、また、児童ポルノの被写体とされた児童にとって、著しい精神的苦痛を長期間もたらしております。
一方、奈良県では、十三歳未満の子どもを使用して作成されたポルノについて、正当な理由なく所持することを禁止し、違反者に罰則を科す条例を平成十七年に制定しておりますが、特に、インターネットを中心として、我が国では児童ポルノが蔓延しております。
都では、このような状況をかんがみ、青少年健全育成条例を改正し、都は、児童ポルノを根絶するための環境の整備に努めること。また、都民は、児童ポルノの根絶について理解を深め、児童ポルノを発見した場合は適切な機関に通報するなどの責務を定めたところでございます。
都の条例改正後、平成二十三年十月には京都府において、正当な理由なく児童ポルノの所持を禁止する条例が制定されるなどの動きも見られますが、今後、都は国に対し、児童ポルノの単純所持を違法とし、違反者を処罰できるよう、児童ポルノ法の改正について、引き続き強く要望していくとともに、児童ポルノの根絶に向け、都民への普及啓発に取り組んでまいります。
○谷村委員 今のご答弁で、特にインターネットを中心として、我が国では児童ポルノが蔓延をしているという表現を使われましたけれども、本当にご答弁のとおりであって、児童ポルノはその存在自体が絶対に許せないものであります。
しかし、これが漫画やアニメなら許され、しかも、それを未成年者が自由に購入可能な環境にあった。そして、それを目にしたり読んだりした未成年者には、それが社会的には許される行為であったという誤ったメッセージを送っていたということになるわけであります。
共産党さんや生活ネットさんについては、最後まで条例改正に反対をされました。今でも反対をされているのかもしれませんけれども、これは、青少年健全育成を推進する立場からは大変に残念としかいいようがないわけであります。
児童ポルノにつきましても、一刻も早く抜本的かつ実効性のある対策が求められております。都としても、改正条例の趣旨を踏まえ、引き続き、児童ポルノの根絶に向け積極的に取り組んでいただくよう要望するとともに、児童ポルノの単純所持処罰化の法改正が国において早期に実現することを期待しまして--といっても、今の国政には期待するだけむだですので、切望しているということを強く表明いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○吉田委員 私もこの機会に、青少年健全育成条例で漫画等に対する新たな規制を導入して以降の状況及び本部としての対応についてお伺いをしたいと思います。
我が党は、この問題について、規制は最小限に抑えるべきであり、あくまでも自主的な努力が促されるべきであること。そして、そのためには社会的合意がきちんと努力されること。当然、出版関係者との合意の上にもって必要な改正が行われるべきということを申し上げてきました。また同時に、私たちは、青少年自身の判断能力をいかに育成するのか、そのことに行政として努力をすることが求められており、そうした努力がこの間進められてきたのではないかと、この点で先般の条例改正に対して意見を申し上げたところであります。
さて、新たな規制を導入して以降の昨年度及び今年度の現時点でのいわゆる不健全図書指定の件数について、あわせて、この五年間、そうした指定件数がどの程度推移をしてきているのか、ご答弁をお願いいたします。
○山中青少年対策担当部長 改正条例施行となりました昨年七月以降の昨年度の指定件数は二十五件でございます。また、今年度四月から十月までの指定件数は十九件でございました。
過去の件数でございますけれども、平成十九年度は四十件、二十年度は三十六件、二十一年度は三十二件、二十二年度は二十九件、二十三年度は三十七件でございます。
○吉田委員 今、五年間にわたる指定の件数を紹介していただきましたが、平成十九年度の四十件が最も高く、それ以降は四十件以下という状況となっております。
なお、前回、この条例案の時代ですが、質疑をするに当たって、より過去の指定実績を資料としてお示ししていただきました。例えば、ちょうど十年前になるかと思いますけれども、二〇〇二年、平成十四年の指定件数は七十九件、さらに翌年の二〇〇三年、平成十五年は百二十四件ありました。その当時と比べて、平成十九年四十件というのは大きく減少している。私どもはそういう実態から見て、あえて規制を強化する必要があるのかというふうに思いましたし、さらに、それ以降、四十件を超えることがないという状況があります。
もちろんさまざまな要因がありますけれども、私は、こうしたことを見ると、やはり出版関係者の自主的な努力は行われているという点は、間違いなく評価できる点ではないのかなと思います。
この点で、審議会での指定に先立って行われている打合会の役割というのは重要だと思いますが、この打合会の趣旨、目的についてご答弁をお願いいたします。
○山中青少年対策担当部長 青少年健全育成条例第十八条の二により、知事は、不健全図書類等の指定をしようとするときは、青少年健全育成審議会の意見を聞かなければならず、その場合は、同条第二項により、図書類の販売等の自主規制を行っている団体があるときは必要に応じ当該団体の意見を聞かなければならないと規定しております。
この自主規制団体から意見を聞くのが打合会でありますが、これは、業界関係者からの意見を聞く機会を設けることによって、不健全図書類の指定について、より慎重な指定手続を踏むためであると同時に、話し合いの機会を持つことにより、業界の自主規制が一層促進されることを期待するものでございます。
○吉田委員 そこで、昨年七月の総務委員会で、私、この打合会について質問しました。そのときの答弁では、打合会のあり方について、条例改定を機に自主規制団体との間で議論を開始しており、要望の検討を含め議論を行っていくとの答弁がありましたが、その後、この点はどのように努力がされたのでしょうか。
○山中青少年対策担当部長 自主規制団体から、打合会において不健全図書類として指定やむなしとの意見が一定数に満たなかった場合は、青少年健全育成審議会に諮問しないというルールをつくるべきであるといった要望が出されたことはございます。
その要望を検討した結果、条例上、打合会は、審議会の審議に先立ち、自主規制を行っている団体から意見を述べてもらうためのものであり、打合会における意見の数によって審議会への諮問の可否を決めることはできない旨、自主規制団体には回答しております。
なお、打合会における自主規制団体から、審議会の議事録と出版各社の過去一年間における不健全図書類の指定回数一覧表の提供依頼がありましたので、参考資料として作成し、打合会において配布しております。
○吉田委員 一定の改善の努力がされていることは承知しておりますけれども、しかし今のご答弁で、より慎重な指定手続を踏むためであるということならば、もちろん数の機械的な対応は難しいかもしれませんけれども、やはり審議会への諮問を見送るということがあって当然だと思います。
そこでお伺いしますけれども、打合会で、単に数的な多数だけでなく、内容的にも説得力のある意見が出された場合、諮問について考慮するということはあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○山中青少年対策担当部長 青少年健全育成審議会への諮問の可否の決定に当たっては、打合会における意見の数だけで決めるのではなく、打合会で出た意見の内容も参考としております。
先ほど答弁したとおり、打合会の目的の一つは、不健全図書類に関して、より慎重な指定手続を踏むためのものであることから、今後も、打合会の意見については真摯に受けとめ、適切な手続を行ってまいります。
○吉田委員 次に、審議会の運営に関しても質問しておきたいと思います。
この点についても何回か質問させていただきましたけれども、その後、どのような改善の努力がされているんでしょうか、お答えください。
○山中青少年対策担当部長 条例改正時に付された都議会付帯決議、すなわち新基準の適用に当たっては、作品を創作した者が当該作品に表現した芸術性、社会性、学術性、諧謔的批判性等の趣旨を酌み取り、慎重に運用すること。また、東京都青少年健全育成審議会の諮問に当たっては、新たな基準を追加した改正条例の趣旨にかんがみ、検討時間の確保など適正な運用に努めることとの趣旨を踏まえ、所要の改善に取り組んでおります。
具体的には、作品の芸術性、社会性などを調査し、審議会に結果を報告する専門委員を審議会に設置することとし、専門委員の人選については、自主規制団体と協議した上で当該委員の委嘱を行っております。
また、新基準の候補図書類については、審議会各委員がストーリーや設定等を把握するのに十分な時間が確保されるよう、希望する委員には、審議会開催当日の午前または審議会開催日前に、当該図書類を閲覧または観覧することを可能としたところでございます。
なお、審議会の要請を受け、不健全指定の理由や指定に至る議論の経過が具体的にわかるように、都知事が不健全図書として指定した図書類について、その指定図書類の実物と、打合会における意見及び審議会の議事録をあわせて、指定後一定の期間を定めて十八歳以上の都民が閲覧できるよう、都において措置を行っているところでございます。
○吉田委員 審議会の運営に関して、これはかつても私、公開にすべきではないかという質問をさせていただきました。大阪などは公開し、傍聴も認めているということでございますけれども、この審議会の公開についてはどのように対応されているんでしょうか。
○山中青少年対策担当部長 東京都青少年健全育成審議会運営要領五において、審議会は公開で行うものとする。ただし、審議会の決定により非公開とすることができるとされており、現在の第二十五期審議会は、本年十月の審議会の決定により、原則非公開となっております。
非公開の理由としましては、諮問図書類を個別具体的に審議するに当たり、委員が自由に発言できる環境が必要であること。不健全指定になるか否かが決定される前の段階でその図書類の名前が特定、公開されることとなり、出版社に不利益をもたらすおそれがあるのではないか。また、議事録を公開しており、十分議論の内容自体の透明性は確保されているのではないかといったことなどであります。
一方で、諮問図書類について、作品の芸術性等に関し、特に慎重に審議する必要があると審議会において判断する場合には、個別に改めて公開についての議論を行うと、本年十月の審議会であわせて決定しております。
なお、大阪府では、不健全図書類について、審議会における審査が必要ない包括指定制度を中心に運用しておりますが、都では、個別具体の図書類すべてについて、審議会の意見を聞いた上で指定する個別指定制度を採用しているといった違いがございます。
○吉田委員 私はやはり、審議会運営要領では原則公開ということが明記をされているわけですから、それを基本にして運営することが本来求められていることではないかなというふうに思います。
最後に、改めて、出版関係者の自主的努力をどう認識しているのか。また、そうした出版関係団体の意見、要望をどう受けとめて今後努力をしていくのか、ご答弁をお願いいたします。
○山中青少年対策担当部長 これまで、出版倫理協議会等の業界団体が率先して自主規制の努力を進めていることは認識しておりますし、今後の一層積極的な取り組みを期待しております。
一方で、平成十六年以降、不健全図書類のうち、約五割が業界団体に所属していない出版社の発行によるものであり、これらの出版社には積極的な自主規制が期待できないことなどから、先般の条例改正に至ったという経緯がございます。
今後も、打合会などの機会を通じて、業界団体や個別の出版社と率直な意見交換を行い、青少年を取り巻く環境の整備に資するよう、建設的な議論を行ってまいります。
○吉田委員 今、その五割が団体に属していないというお話がありました。これは条例改定案の審議のときにもこうした旨のお話がありましたが、私は、この点についても業界団体に当時お聞きしたところ、業界団体は、そうした参加していない団体に対しても、やはり同業者として積極的に働きかけるという努力をされているということは、非常に重要なことではないかなというふうに思います。
冒頭も述べましたけれども、私どもは、やはり規制についてはあくまでも自主的な努力が前提であり、そしてそのためには社会的な合意ということがその土台にあってしかるべきだと思いますし、それは単に私どもの見解ではなく、これも条例についての審査をする委員会でも述べましたが、PTAの全国組織が行ったアンケートでも、第一に挙げられたのは出版社の自主的な努力を促したいということで、規制については極めて低い要望であったということから見ても、こうしたことが社会的な合意ではないかというふうに思います。そうした努力を一層進められることを心から期待をして、質問を終わります。
○星委員 それでは質問をさせていただきます。
ことしの春、就活に失敗し、自殺する若者が急増しているというショッキングな報道がありました。二〇〇七年から自殺原因を分析する警察庁によりますと、就活の悩みで自殺した十代から二十代の若者はこの四年間で二・五倍、特に学生は四年前より三・二倍にふえているそうです。背景は雇用情勢の悪化が原因といわれています。
それでは、無事に企業に就職できた若者はどうかというと、今、現代型うつと呼ばれる、若者に多い新しいタイプのうつ病が問題になっています。以前、NHKの番組で取り上げられたとき大きな反響がありました。余りにも自分の部下に当てはまるといった上司や、子どもを心配する親からの問い合わせが多くあったと聞いています。
従来型のうつ病と同様、不眠や気分の落ち込みなどの症状を呈する一方で、常にうつ症状に陥っているわけではなくて、職場を離れると気分が回復し、趣味や旅行など好きなことには活動的になると。うつになった原因は、自分ではなくて職場など他人にあると考える自己中心的な態度がよく見られるため、一見、怠けや性格の問題ととらえられることが多いようですが、閉じこもり、何もできなくなり、さまざまな身体的なストレスから、さまざまな症状を誘発するなど、本人は大変苦しんでいるのが現状です。そういう事態に陥る前には、何より若者が気軽に悩みを打ち明ける仲間や相談相手が必要だというふうに思います。
東京都では、十八歳以上の悩みを受けとめる総合相談窓口である若ナビを開始し、昨年度も七千四百件を超える相談に対応したと聞いています。この若ナビは、今日の若者のニーズにそれなりにマッチした相談窓口になっていると思います。
しかし、そこにたどり着けない若者もいるということも考えられます。私の周りにもその存在を知らない若者は多くいました。
そこでお伺いをいたしますが、若ナビのホームページがありますけれども、昨年度のアクセス件数や、このアクセスをふやすための取り組みについてお伺いをいたします。
○山中青少年対策担当部長 若者総合相談若ナビでは、相談の流れや相談事例を紹介するとともに、メール相談を受け付けるため、ホームページを開設しており、昨年度のサイトへのアクセス件数は延べ九万五千件余りでございました。
悩みを抱えた多くの若者に若ナビについて周知するため、今年度に入り、インターネット上でのウエブ広告等を実施した結果、アクセス件数は、今年度上半期だけで六万二千件を超えております。
○星委員 アクセス件数だけで、反響がありやなしやということは一概には決められませんけれども、とりあえずページをまずのぞいてみていただくということが大事だと思います。
また、リーフレットなどを作成されて配布をしているというふうに思いますけれども、公共施設などに設置していても、私は、余り若者はそういうところに立ち行かないのではないかなというふうに思いますので、ぜひもう少し若者の動線に、目に触れるところにリーフレットなども置いていただく工夫をお願いしたいというふうに思います。青少年健全育成の観点からは不健全だというふうに思われるような場所でも、例えば盛り場でもいいですけれども、若者を救うんだという、こういう気概があれば、そういうところにもぜひ置いていただくぐらいの工夫をしていただければいいなというふうに思います。
戻りますけれども、非正規雇用の拡大を初めとする厳しい雇用状況や、二十代、三十代の若者の自殺率は上昇傾向にあることから見ても、現代の若者を取り巻く状況は厳しく、深刻な問題を抱えたケースも多いのではないかというふうに思います。
若ナビにも、このような社会情勢を反映した相談が寄せられているというふうに思いますけれども、現状についてお伺いをいたします。また、若ナビだけでは解決できないような複雑なケースについては、関係機関との連携が必要だと思いますけれども、どのように対応されていますでしょうか。
○山中青少年対策担当部長 まず、相談の内容についてでございますが、若ナビには、昨今の就職難の中、就職活動が不調で自信を失ってしまった若者からの相談等、現在の若者の置かれている困難な状況を反映した相談が多く寄せられております。
例えば、就職活動中、面接に数十回落ちた若者から、一カ月先の未来も見えないとの相談がありましたが、複数回のやりとりを通じて、相談員が、まず家族に話してみることや少し充電期間を置くことなどを提案したところ、相談者が徐々に前向きな気持ちを持つようになったという事例がございました。
また、身近に友人がいるにもかかわらず、その友人には悩みを話せず、深い孤独感を感じている若者からの相談も寄せられております。
次に、関係機関との連携についてでございますが、相談内容によっては、相談者に必要な支援を提供できる保健医療、福祉、就労支援等の関係機関を紹介いたします。また、これらの関係機関が参加する若者の自立等支援連絡会議等を通じて、若ナビの相談対応状況や各機関の若者の支援の取り組み等についての情報を共有し、連携の強化を図っております。
○星委員 今日、生活習慣やコミュニケーションのとり方の指導まで、企業が今の若者にするような状況もあります。そしてまた、道を外させまいというか、引きこもらせまいというふうなことから、進学先や就職先の確保に保護者の方たちもいろいろ奔走しておりますけれども、しかし逆に、こうした周囲の対応で、ますますひきこもりが長期化してしまうケースもあるというふうにお聞きをしております。若者を取り巻く状況から浮かび上がるのは、従来の社会の価値観に適応させようという大人と、適応できない苦しみを抱えた若者のギャップなのではないかというふうに感じます。
私も、ある企業の管理職にお聞きしたところ、部内でも優秀な若者が突然休みがちになり、自宅にいるにもかかわらず連絡もとれなくなってしまう。しばらくすると元気になるけれども、また同じことを繰り返し、結局は退職をしてしまったそうで、残念でならないという、こういうお話をお聞きしました。
企業も今日、病気休暇、産業医などのカウンセリングなどを行う仕組みもありますが、そもそも、そうなる前に、会社の上司、同僚であれ、親、友人であれ、その若者が心を許し、愚痴や悩みを聞いたりする存在がいたのだろうか、ストレスでうつになったり、自殺まで至らなくても、潜在的な予備群が多くいるのではないかというふうに推察をします。また、昔と違い、今日の若者にとっては、日常的に関係性のない第三者で、しかもそれなりに専門性や経験のある場所が必要なのではないかというふうに考えます。
そういう意味において、東京都が若者の相談事業を若者がアクセスしやすい形で行っていることは、私は意義があるというふうに思いますが、この若ナビの相談員が事業の中で感じ取ったり、事業で見えてきた今日的な若者の自立に向けての課題に対して、相談、そして取り次ぎということにとどまるのではなくて、東京都の若者支援策全体につなげるべく、積極的に各局と連携、働きかけを行っていただきたいというふうに思います。そのことを要望させていただきたいと思います。
次に、私も自転車について何点かお聞かせをいただきたいと思います。
自転車の安全で適正な利用を促進するための条例の検討状況について何点かお伺いをいたします。
この条例については、自転車利用者のルール、マナーの向上について目指すものであるのに対して、条例の中身がまだ明らかにならないうちに、ナンバープレート制の導入の件などが先行して報道されてしまったため、不安の声も一部聞かれています。現状でも自転車の通行場所が非常にわかりにくい中で、さらに細かなルールが定められ、混乱するのではないかといった声もあります。
そこで、まず確認をしたいのですが、この条例では、自転車利用者のルールやマナー、例えば、車道や歩道の通行方法について具体的なルールを定めるということも検討しているのでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 都では、自転車の安全で適正な利用を促進するための条例を早期に提案すべく検討中でございますが、自転車の道路における通行方法につきましては、既に道路交通法で規定されており、今回の条例において新たな通行ルールを定めることは予定しておりません。
条例におきましては、むしろ、自転車の利用者がその通行ルール等を正しく理解し、実践して、自転車を安全で適正に利用できるようにするため、安全教育の推進や点検整備の促進などにつきまして、行政、事業者、自転車利用者等の関係者の責務を明らかにする規定を設けることを検討しております。
○星委員 ありがとうございました。
安全で適正な利用という条例の趣旨には、先ほど来質疑がありましたけれども、放置自転車対策も含まれるものと考えております。
最近、東京駅周辺の放置自転車が問題となっていますが、実はこの都庁の周辺でも放置自転車が見られます。それらが都庁利用者によるものなのか、都庁前駅の利用者によるものなのかは定かではありませんけれども、現実に自転車は放置をされています。
何らかの対策が必要であると考えますが、そもそもこの都庁舎には自転車駐輪場というものがあるのでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 第一本庁舎及び第二本庁舎に地下駐車場がございますが、これは自転車用ではございません。この議会棟とホテルの間にある議事堂通りの高架下の大型車用駐車場内に来庁者用の駐輪場が設けられております。
○星委員 おっしゃる場所を私も実は見てまいりましたけれども、大型バス専用の駐車場の一番奥の片隅にあります。都庁舎全体で見れば、確かにあるということになりますが、本庁舎からは随分遠く、非常に利便性が悪いというふうに思います。
つまり、この庁舎が建設される際には、自転車利用者による来訪や自転車通勤をほとんど想定していなかったのではないかというふうに思います。都庁に限らず新宿駅周辺で考えても、自動車駐車場は多少ありますが、基本的にバスや電車の利用を前提にまちがつくられており、例えば映画館やデパートに自転車駐輪場があるかというと、ほとんどありません。
商業施設については、各区市町村の条例により、その規模に応じた駐輪場を設けることが義務化されていますが、基本的に新築ビルが対象であり、古いビルについては義務化をされていません。また、商店街のように、全体としては大きな駐車需要を生み出しているのに、個々の施設が小さい場合も義務の対象外というふうに聞いています。
自転車の利用が進む中、市区町村条例との関係はあると思いますが、都が制定を検討している条例においても、放置自転車対策として、こうした状況に対処する駐輪場についての規定を設けるべきではないかというふうに思いますが、ご所見をお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律では、地方公共団体は、自転車等の大量の駐車需要を生じさせる施設で条例で定めるものを新築し、または増築しようとする者に対し、条例で、自転車等駐車場を設置しなければならない旨を定めることができると規定されております。
駐輪場の必要性の程度は、地域によって異なることから、現状では、区市町村がこの法律に基づいて条例を制定して、一定の施設の設置者に駐車場の設置義務を課しておりますが、都といたしましても、駐車需要を生じさせる施設の設置者が需要を満たす駐輪場所を確保することが望ましいと認識しております。
そこで、今回の条例におきましては、こうした施設の設置者に対して、駐輪場所の確保や、利用者に対し、周辺の駐輪場の利用案内をすることを促す規定を設けることを検討しております。
○星委員 商業施設もそうですけれども、先ほど申し上げたとおり、都庁も自転車の駐車需要を生じさせている施設というものに該当するはずだというふうに思います。ぜひ庁舎管理部門に働きかけていただきたく、まずそれを要望させていただきます。
最後に、通勤者の駐輪場所の確保についても伺います。
条例においては、自転車通勤を認めている事業所は、従業員が駐輪場を利用しているかを確認するといった規定を設けるということを検討しているというふうに、今のお答えの中にもありました。
通勤では、自宅から勤務地まで自転車を利用する場合もあれば、自宅から駅まで自転車を利用し、あとは電車を利用する場合もあります。これらの場合、事業者は具体的にどのようなことをしなければならないのでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 条例では、事業者がみずから駐輪場所を確保するか、または駐輪場を利用していることを従業員に対して確認すべき旨を規定することを検討しております。
この規定においては、自転車の放置を防止する観点から、従業員が自宅から職場まですべて自転車を利用する場合だけではなく、自宅から最寄り駅までの間など、通勤経路の一部で自転車を利用する場合も対象とする必要があると認識しております。
この場合、職場まで自転車で来る従業員については、事業者が職場等に従業員用の駐輪場所を確保する必要が生じ、また、職場近くまでの利用も含めて、通勤経路の一部で自転車を利用する従業員については、路上等に放置せず、駐輪場を利用していることを事業者が確認する必要が生じるものと考えております。
○星委員 都庁は、職員の通勤用の駐輪場はないというふうにお伺いをしています。先ほど、一応設置はされているけれども、それは職員の通勤用の駐輪場ではないというふうに認識をしておりますけれども、したがって、通勤途中の駐輪場の利用を確認するケースがほとんど、すべてになるというふうに思われますが、それもしっかりやってもらいたいですが、例えば災害時の帰宅困難者対策としても、通勤時の自転車利用が、今、大変注目をされており、特に東京都では、公共交通機関がとまっていても迅速に職員は参集しなければならないという状況になるというふうに思います。そういった職員が多数いるのではないかというふうに思われます。
防災対策の観点からも、来庁者用の駐輪場とあわせて、職員の通勤用の駐輪場も整備をするべきだというふうに思いますけれども、関係部局とぜひ連携して、このことを早急に検討していただきたいというふうに思います。
また、自転車に関する条例の検討は、市区町村、そして企業、商店会、都民すべてにとって大変な関心事でありますので、交通ルール、マナーの徹底に始まって駐輪場の整備まで、現状に多くの課題がある中での今条例の検討ですから、市区町村や関係機関としっかり今後も協議をして、そして制定に向けて努力をしていただくことを強く要望して、質問を終わります。
○山下委員 私からは、高齢社会の現在において、高齢者の安全で安心な都民生活という観点から質問させていただきます。
最初は、交通安全をテーマにいたします。
まずは、現在の高齢者の交通事故の発生状況及びその傾向について伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 住民基本台帳によると、都内の六十五歳以上の高齢者人口は、平成二十四年九月現在、二百七十一万人で、全人口千二百七十三万人に占める割合は二一・三%となっており、高齢者人口、高齢化率ともに過去最高を記録しております。
一方、警視庁統計資料によりますと、平成二十三年中の都内における高齢者の交通事故発生件数は一万三千二百三十三件で、全事故発生件数五万一千四百七十七件の二五・七%を占めております。また、平成二十三年中の高齢者の交通事故死者数は八十八人と、前年に比べ八人増加しております。これは、全交通事故死者二百十五人の四〇・九%を占めており、高齢化率と比較しても高い割合となっております。
○山下委員 ただいまのご答弁にありましたように、交通事故の全死者数に占める高齢者の割合は、高齢化率と比較しても高いということですから、高齢者を対象にした交通安全教育の徹底や、普及啓発活動のさらなる充実が非常に重要であると考えます。
学校に通う世代なら、学校における全員対象の交通安全教育を実施することができますが、高齢者の場合、全員対象の交通安全教育の実施というのは、ほぼ不可能であると考えます。たとえ自治会や高齢者クラブなどで行ったとしても、これらの組織に加入していない人も多く、情報が届かないケースが当然生じることになります。
都は、これらも踏まえ、高齢者を対象とした交通安全教育並びに普及啓発活動をどのように行っているのか伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 都では、高齢者に対しまして、区市町村や警視庁と連携し、各種キャンペーンを通じての交通安全意識の普及啓発や、スクリーン上の映像で道路横断時の危険を疑似体験できる歩行者教育システムなどを活用した参加体験型交通安全教室を実施しております。その際には、パンフレットなどを活用し、運転免許の自主返納制度の周知にも努めております。
こうした取り組みに加えまして、交通安全教育を受ける機会が十分ではない高齢者に対しては、高齢者が多く訪れる巣鴨通りにおいてチラシを配布したり、高齢者は自宅の近くで事故に遭うケースが多いことから、身近なコンビニエンスストアやスーパーにポスターを掲示することなどにより、事故防止を訴えております。また、シルバーパスの申請時にバス協会が配布する利用案内に、交通事故に遭わないために注意すべき具体的事項を掲載しております。
今後も、交通安全教育を受ける機会が十分ではない高齢者に対し、関係機関等との連携協力により、高齢者が集まるさまざまな機会、場所をとらえた教育や普及啓発を推進してまいります。
○山下委員 よくわかりました。ありがとうございます。
続きましては、防犯、中でも高齢者の被害が指摘される振り込め詐欺についての質問です。
まずは、振り込め詐欺の被害の現状を伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 警視庁の公表資料によれば、平成二十三年中の都内の振り込め詐欺の認知件数は千五百六十三件、被害総額は約三十六億二千万円でございます。本年九月末現在の認知件数は千三百五十一件、被害総額は約三十七億二千万円となっており、既に被害総額は前年を上回り、認知件数も昨年に迫る状況となっております。
特徴といたしまして、金融機関の窓口やATMで振り込ませるのではなく、被害者の自宅まで現金を取りに行く手口の犯行が多く発生しております。
また、本年九月末までの振り込め詐欺全体の中で、息子や孫をかたるおれおれ詐欺の認知件数は九百件、振り込め詐欺全体の約六七%、被害金額は約二十九億三千万円で、全体の約七九%を占めております。
そのほか、払い過ぎた医療費や保険料をATMで還付しますといって現金を振り込ませる還付金詐欺は、昨年一年間の都内の認知件数が十七件だったものが、本年九月末までに二百九十二件と大幅に増加しております。
なお、おれおれ詐欺の被害者の約七六%、還付金等詐欺の被害者の約七八%を六十歳以上の女性が占めております。
○山下委員 わかりました。
では、振り込め詐欺を防ぐために、都がこれまでに実施してきた取り組みについて伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 当本部では、主に三つの対策を実施しております。
一つ目は、防犯講話でございます。被害者層である高齢者に振り込め詐欺の最新の手口や防犯対策をわかりやすく伝えるため、劇団員を使った実演形式の防犯講話や腹話術による防犯講話を、区市町村や警視庁と連携して大規模なイベントで実施してきたほか、今年度からは地域の老人クラブなども対象として実施しております。
二つ目は、関係機関と連携した対策でございます。東京都、警視庁、金融機関などが加盟する特殊詐欺対策官民会議を通じて、金融機関に対してさまざまな防止対策を要請しております。例えば、ATMでの一日の引き出し限度額の引き下げを高齢者に呼びかけることや、金融機関の窓口において、被害に遭っていると疑われる高齢者への声かけの徹底などを要請し、被害の防止対策を強化しているところでございます。
三つ目は、各種広報媒体の活用でございます。都内の病院や薬局などに、高齢者を対象とした被害防止を呼びかけるポスター、リーフレットなどを配布したほか、ラジオCM、ラッピングバスなど、さまざまな媒体を利用して注意喚起を実施いたしました。
また、振り込め詐欺を防ぐには、被害者となりやすい高齢者に対して、その息子や孫から被害防止を呼びかけることが有効でございます。これを促すために、子、孫世代を対象として、電車内の映像広告や街頭ビジョン等を活用した広報啓発活動も実施いたしました。
○山下委員 都がさまざまな取り組みを行っていることがよくわかりました。
その上で、ひとり暮らしですとか、交通安全の質疑でも触れましたように、自治会や高齢者クラブなどにも加入していなく情報が届きにくい人々、また、外出が少ない高齢者に対しては、特にその人たちを意識した対策も必要と考えます。都は、これらの人々にどのような振り込め詐欺防止対策を実施しているのか伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 当本部といたしましても、キャンペーンや町会等を通じたチラシ等の配布だけでは被害防止の情報が行き届いていない高齢者がおり、こうした高齢者に、いかにして必要な情報を届けていくかが課題であると認識しております。
当本部では、これまでに、宅配便業者の配送業務や、警視庁の高齢者宅個別訪問活動と連携し、被害防止を呼びかけるリーフレットを配布するなどして、広報啓発に努めてまいりました。
さらに、必要な情報を確実に届けるため、高齢者の見守り等を行うシルバー交番事業など、区市町村の高齢者事業との連携を検討しております。
○山下委員 ありがとうございました。
日本の高度成長時代を牽引してきた人々、高齢者の皆さんの大切な命と財産を守るために、これからも、さらなる普及啓発の向上を目指しての取り組みをお願いして、質問を終わらせていただきます。
○鈴木委員 私からは、不法滞在外国人対策についてまずお伺いいたします。
前知事の発案による都の尖閣購入は、我が国がこれまで積み残してきた領土への取り組みに一石を投じたわけであり、自然発生的な寄附が十万件、額で十五億円弱も寄せられたことは、国民の関心が高かったことがあらわされております。
結果的には国が国有化したわけでありますが、そのことに対しての中国における対応は、常軌を逸した反日デモが繰り広げられたわけであります。このデモにおいては、日本の企業に対する襲撃や略奪、日本車に対する破壊等が行われました。このような日本に対する抗議行動は、アメリカやイギリス、ハンガリーなどにおいても、中国系住民により行われたとの報道がなされております。
また、二〇〇八年の北京オリンピック開催の際には、チベット問題で中国への非難の声が高まる中、聖火リレーが長野でも行われましたが、その際にも、沿道でチベット問題への抗議を行おうとする人々の前に、バスなどによって集団で集まった中国人により、大きな中国国旗を持った方々が列をなして進行し、チベット問題への抗議活動を見えなくするような行動をとったことが挙げられます。これらの大規模なデモなどは、中国政府の指示に基づくものとの見方もあります。
ところで、現在、日本国内には約六万七千人の外国人が不法に残留していると推定されております。今後、尖閣諸島の国有化に絡めて、中国側から一方的に日中関係を悪化させるのであれば、日本国内においても、日本に滞在する中国系住民や留学生などによる大規模な反日デモ等が行われ、日本国民の生命や生活、財産に重大な不安を引き起こすことも考えられるわけであります。
そうしたデモ等の参加者の中には、不法滞在者もいると思われます。不法滞在者は、日本で正規に職業につくことができないので、その多くが不法に就労しているものと思われます。
反日デモに限らず、日本の治安に悪影響を与え、犯罪の温床ともなりかねない不法滞在外国人を減少させるためには、その生活の糧となる不法就労の取り締まりと、不法就労をさせない環境づくりが重要であります。
そこで、取り締まりや指導については、警視庁や入国管理局が推進しているところでありますが、不法就労をさせない環境づくりについて、青少年・治安対策本部はどのような対策を行っているのかをお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 当本部では、不法就労させない環境づくりを推進するため、都民や事業主等に不法就労防止についての啓発を行っており、平成二十二年から六月を外国人適正雇用推進月間と定め、警視庁、東京入国管理局、区市町村と連携して、街頭キャンペーンを実施しております。さらに、平成二十三年からは、十二月も外国人適正雇用推進月間と定め、同様のキャンペーンを実施しております。
また、事業主に対して不法就労防止について直接働きかけるため、関係機関と連携して事業所を訪問し、事業主に外国人労働者雇用マニュアル等を配布するなどして、外国人の適正雇用を宣言する事業所づくりを行っております。
さらに、不法就労者が多く雇用されている業種の事業主を中心に、不法就労防止啓発講習を実施しているところでございます。
○鈴木委員 不法就労防止について各種対策を実施していることは承知しましたが、不法就労の防止には、外国人を雇用する事業主側が、働きたいという外国人の在留資格をしっかりと確認しないといけないわけでありますが、一般の事業主は、その確認方法がよくわからない場合があると思われます。
また、本年七月に入管法が改正され、外国人登録制度の廃止や、外国人登録証明書にかわり在留カードが交付されるなど、新しい在留管理制度が開始したことから、その周知を図るための広報も重要であります。
そこで、在留資格の確認方法や新しい在留管理制度についての事業主に対する広報啓発はどのようなことをしているのか、お伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 当本部では、在留資格の確認方法や新たな在留管理制度の周知を図るため、事業主等に対し、不法就労防止啓発講習を実施しております。
この講習では、雇用しようとする外国人が就労可能かどうかの判断を容易に行えるよう、在留カードや改正入管法に係る情報を掲載した外国人労働者雇用マニュアルの改訂版を活用し、外国人を雇用している、または雇用しようとしている事業主等に対して、在留カードの見方や雇用の際の注意点等をわかりやすく説明しております。
なお、今年度は十月末日までに講習を三十八回実施し、約四千五百人が受講しております。
○鈴木委員 今後もぜひ、雇用する側の事業主が制度や法律について知らなかったなどといわせないようにするためにも、不法就労防止のための広報啓発を積極的に実施していただけるよう要望いたします。
不法就労問題については、事業主だけでなく、留学生を受け入れている大学や日本語学校なども、適切な留学生管理をする必要があります。中には、留学してきた学生の所在がわからなくなるようなことがあったり、留学生が風俗営業店で不法就労していることなどもあります。
このような留学生の適正な管理や不法就労については、警視庁や入国管理局など関係機関が取り締まりや指導を行っているものと承知しておりますが、不法就労防止対策を推進するためには、警視庁を初めとする関係機関などの連携も重要であります。
そこで、不法就労防止対策に関して、警視庁などとどのような連携をとっているのかをお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 東京入国管理局、警視庁、東京労働局及び東京都で、不法就労を許さない社会の構築及び留学生を含む外国人が正しい知識のもと安心して活動できる環境づくり等の推進を目的として、広報啓発分科会、違法活動対策分科会で構成される外国人滞在適正化連絡会議を設置し、不法就労防止対策や摘発の状況、不法就労等の実態等について情報の交換を行っております。
また、警視庁や地元住民等とともに、外国人の多い新大久保、六本木地区のパトロールや各種キャンペーンなどを行っております。
今後とも、関係機関と連携し、不法就労防止に向けた普及啓発を推進してまいります。
○鈴木委員 都民の治安に対する不安を解消するためにも、今後も、不法滞在外国人対策として、不法就労防止に全力で取り組むよう要望いたしておきます。
次に、防犯カメラについてお伺いいたします。
三月十一日の震災は、私たちに地域のきずなと共助の重要性を改めて感じさせましたが、防犯も防災と同様に、地域における共助の取り組みが重要であります。
そのような地域の共助の取り組みとしての防犯活動を支える都内の防犯ボランティア団体は、昨年末時点で三千八百四十団体あると聞いておりますが、防犯パトロールを初めとする各団体の活動は、地域の安全・安心に大きな役割を果たしており、東京都はそれら団体の活動を積極的に支援していく必要があります。
各団体の活動としては、パトロールや防犯のための広報啓発のほか、商店街や町会が主体となって行う街頭防犯カメラの設置があります。防犯カメラは、目黒区の住宅街での殺人事件や、渋谷駅での殺人未遂事件で、犯人検挙に大きな役割を果たしており、また犯罪抑止にも有効な設備でありますが、その整備には多額の費用が必要であり、地域による防犯カメラの設置には公的支援が重要と考えます。
都は、防犯設備の整備に対する区市町村補助事業及び地域における見守り活動支援事業により支援しておりますが、改めてその概要についてお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 都は、平成十六年度から、商店街や町会、自治会等による防犯カメラ等の防犯設備の整備を支援するため、都が三分の一、区市町村が三分の一を補助し、地域団体が三分の一を負担する防犯設備の整備に対する区市町村補助事業を実施してまいりました。
一方、地域における見守り活動支援事業は、地域団体による自主的な防犯活動をさらに広げていくために、町会、自治会同士または町会、自治会が商店街等の団体と連携して取り組むことを補助条件として、平成二十二年度から開始したものでございます。
この事業では、防犯カメラ等の防犯設備の整備費だけではなく、防犯パトロールの装備品の購入経費も補助対象とし、都が二分の一、区市町村が三分の一を補助することで、地域団体の負担を三分の一から六分の一に軽減しております。
今年度からは、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うため、補助対象に町会、自治会が単独で行う活動を加えております。これにあわせまして、防犯設備の整備に対する区市町村補助事業については、内容を整理し、補助対象を商店街のみとして、産業労働局に事務を執行委任したところでございます。
○鈴木委員 こうした目的や状況に応じた事業を行っていることから、都内の治安は着実に改善してきており、犯罪認知件数は、三十万件を超えた平成十四年のピークから、昨年は十八万六千件まで減少しておりますが、これは、警察や行政、そして何よりも地域の方々の地道な努力によるものと考えられます。
しかし、昨年の都の世論調査では約半数が、また、ことしの七月に行った警視庁のインターネットモニターアンケートでも約八割の方が、犯罪に遭う不安があると回答しております。
このように、今も多くの人が犯罪への不安を感じている中、防犯カメラの有効性が広く認知されてきたこともあり、防犯カメラの整備に取り組む地域がふえていると感じております。
先ほど紹介した調査やアンケートでも、防犯カメラに期待する回答が六割を超えており、今日、多くの方が防犯カメラの整備を望んでいる状況がありますが、都は、このような状況を踏まえ、的確に事業を進めていく必要があると思います。
そこで、防犯設備の整備に対する区市町村補助事業と地域における見守り活動支援事業を合わせた、二十二年度、二十三年度の防犯カメラへの補助実績についてお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 防犯設備の整備に対する区市町村補助事業と地域における見守り活動支援事業を合わせた防犯カメラ等の防犯設備整備への補助実績は、平成二十二年度は三十件、五千九百二十七万一千円であり、二十三年度は四十二件、八千九百十三万六千円でございました。また、両事業を合わせた防犯カメラの整備台数については、二十二年度が四百三十八台、二十三年度が五百七十台でございました。
○鈴木委員 今のご答弁でも、昨年度の実績は件数で四割、金額はそれ以上にふえておりますが、今年度の状況についてお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 今年度の補助金の申請状況につきましては、地域における見守り活動支援事業は五十六件、一億四百八十四万六千円、産業労働局に事務を執行委任している防犯設備の整備に対する区市町村補助事業は十三件、一千九百八十九万九千円と聞いており、両事業を合わせると六十九件、一億二千四百七十四万五千円となり、昨年度より件数、金額とも増加しております。
なお、防犯カメラの台数につきましては、予算執行中であり、まだ集計できておりません。
○鈴木委員 今のご答弁によって、今年度は昨年度よりもさらに多くの地域が取り組んでいることがわかります。来年度も地域の取り組みを確実に支援していただくためにも、ぜひ産業労働局と連携をしながら、大きく支援していただきたいと要望しておきます。
防犯カメラの整備は、地域にとって大きな事業であり、実施に当たっては、どのようなカメラがよいのか、費用は適正なのか、またどのように運用していくのかなど、さまざまな検討が必要となりますが、一般の商店街や町会、自治会は技術や専門知識もなく、わからないことも大変多いと思います。整備に当たっては、地元の警察署の助言や設置業者からの提案などもあるのでしょうが、都内の防犯カメラの整備状況等を知ることができれば、地域の方にとって大いに参考となると考えております。
また、平成十六年に補助を受け、整備された防犯カメラは、設置後約七年を経過し、老朽化により更新の時期を迎えていると考えられますが、補助は新規整備に限られており、地域、団体にとって大きな負担となっております。我が党は以前から、新規整備だけでなく、地域が引き続き活動できるよう、更新も含め支援するよう求めてまいりました。
そこで、防犯カメラ整備への支援に当たっての整備や、運用に関する技術的な支援と防犯カメラの更新に対する支援についてをあわせてお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 現在、数多くの企業が防犯カメラを製造、販売しておりますが、機能や性能の違いにより価格もさまざまであり、また、設置方法や維持管理の仕方によっても費用が大きく異なることから、町会や商店街等が防犯カメラの機器の性能や整備費、運用費等の妥当性を検討することには、難しい面があると認識しております。
そのため、機器の性能や整備費等に関する情報提供などの技術的な支援を行うことは、地域が効果的に防犯カメラを整備するために有効と考えております。
都はこれまで、防犯カメラ一台当たりの平均事業費や整備における留意事項を区市町村の担当課長会議で示し、また、ホームページで補助事業のガイドラインや整備事例を紹介するほか、都民からの問い合わせにも対応してまいりました。
今後、補助事例の分析や整備した団体への取材を行い、カメラの機能、設置方法別の整備費や維持管理費の状況のほか、工夫した事例等を、区市町村の担当課長会議やホームページで紹介するなど、より有用な情報の提供に努め、地域が効果的に防犯カメラの整備に取り組めるように支援してまいります。
また、東京を安全で安心して暮らせるまちとしていくためには、多くの地域が防犯カメラの整備や防犯パトロール等の自主的な防犯活動に取り組み、活動を続けていく必要がございますが、防犯カメラ等の防犯設備の整備には多額の費用が必要なことから、行政による支援が重要と考えておりまして、地域が引き続き防犯カメラを運用できるよう、必要な予算を要望したところでございます。
○鈴木委員 都が緊急治安対策本部を立ち上げ、東京の治安回復のため、外国人組織犯罪対策、少年問題対策、安全・安心まちづくりの推進に取り組んで以降、不法滞在外国人や犯罪認知件数は大幅に減少するなど、大きな成果を上げていると考えております。
しかし、ギリシャの財政危機に端を発したEUの不況は世界経済に暗い影を落としており、都内の景気も、東京財務事務所が十月三十一日に発表した都内経済情勢報告の総括判断では、前回から下方修正され、先行きが心配されております。
治安は社会経済の影響を大きく受けることから、楽観することはできません。世論調査でも、依然、多くの人が犯罪への不安を感じている状況であり、引き続き治安改善の取り組みを推進していく必要があります。
そこで、東京の治安のさらなる改善に向けた本部長の決意をお伺いし、質疑を終了いたします。
○樋口青少年・治安対策本部長 先ほど副委員長からご紹介していただきましたとおり、平成二十三年の都内における刑法犯の認知件数は、ピーク時の六割、六二%程度になりますけれども、そこまで減少するなど、数字の上では東京の治安は大きく改善してまいりました。
しかしながら、都民生活に関する世論調査では、犯罪に遭う不安を感じるとの回答が半数を超えるなど、都民の体感治安については、まだ十分に改善されていない状況がございます。
これらの不安の背景には、振り込め詐欺、ひったくり等の身近な犯罪が多く発生していることや、地域の連帯感が薄れてきていること等があると考えております。防犯対策とあわせて、地域のきずなづくり等に取り組むことが重要と考えております。
そこで、都といたしましては、振り込め詐欺等の被害防止のための防犯講話、あるいはひったくり対策のキャンペーンを警視庁と連携して行うとともに、町会、自治会等による防犯カメラの整備や防犯パトロール活動への支援、そして、地域の子ども見守り活動を主導するボランティアリーダーの育成等に取り組んでまいりました。
今後とも、警視庁を初め区市町村等の関係機関や都民と連携いたしまして、犯罪防止や防犯意識の向上に向けた啓発活動をさらに強力に展開していくとともに、地域の自主的な防犯活動を積極的に支援することで、地域の連帯感を醸成し、犯罪のない安全で安心な首都東京を実現するために全力で取り組んでまいります。
○橘委員 私からは、都が提案するとしております自転車安全利用に関する条例に関し、質問いたします。
我が党は、近年の自転車に関係する事故の多発を重視いたしまして、自転車の安全利用に関する条例の早期制定を一貫して主張してまいりました。
私も昨年、条例を既に制定しております京都府と京都市に視察に伺いまして、条例の運用状況や課題、また、条例に関する道路構造の改良状況などを調査してまいりました。
京都府と京都市、同じ県と市でありますけれども、そこに二つの条例があるという関係性であるとか、重複する部分をどういうふうに調整しているのか、その辺など関心がありまして伺ったわけですが、大変参考になる情報もたくさんございました。そうしたことについては、我が党の折々の提案、主張の中で触れてきた次第でございます。
きょうは、それを踏まえまして、条例化に関しまして、今後の取り組みについて、ある程度のテーマに絞って伺っていきたいと思います。
まず、ヘルメットの着用については、一定の規定を設ける方向で検討していると伺っておりますけれども、ヘルメット着用の義務化というのは、安全確保に万全を期するためには有用である一面、全面的な義務化は、地域の中での日常的な自転車利用の中では不便を来すとの強い意見もございます。
このヘルメットの着用についての検討状況が今どうなっているのか、どんな課題があるのか。条例化に向けて作業を進めているわけですけれども、その中でのそうした課題を含めた検討状況について、まず伺っておきます。
○五十嵐治安対策担当部長 平成二十三年中の都内の自転車乗用中の死者数は三十八人でございまして、その約七割が頭部損傷を主要な死亡原因としております。したがいまして、ヘルメットの着用は、自転車の死亡事故を減少させるために効果があるものと認識しております。他方、実態といたしましては、自転車利用者はヘルメットを余り着用しておらず、法令上も、十三歳以上の者については着用する努力義務も課されていない状況でございます。
今回の条例におきましては、ヘルメットの着用を促進するための規定を設けることを検討しておりますが、具体的な内容については、こうした現状を総合的に判断しながら検討してまいります。
○橘委員 次に、条例制定の一つの課題となります自転車運転利用者の保険加入についてお聞きします。
近年、自転車利用者が加害者となった事故に対しまして、五千万円を超える高額の賠償を命じる判決が出るなど、自転車利用をめぐる社会的、また法律的な見方は大きく変化しているかと思います。
ヘルメット着用と違う点は、保険加入というのは一定程度普及はしておりますけれども、これも、義務化するのか、努力にとどめるのか、難しい判断が求められると思います。少なくとも高額賠償の判例が出ていることから、加害者、被害者双方の経済的な負担を軽減するためには、保険加入の促進策は不可欠と考えます。この点について認識、また検討状況について伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車の利用により、歩行者等の第三者に損害を与えてしまった場合に備えるものとしては、個人賠償保険や業務用の損害賠償保険のほか、最近では、さまざまな保険会社から自転車の事故に特化した保険も販売されております。交通事故が起こった際の被害者、加害者双方の経済的負担を減らすために、事故が起こった場合の備えとして、こうした損害賠償保険の果たす役割は重要と認識しております。
他方、保険は事故が発生した際の負担の軽減に資するものであり、事故そのものの危険を回避するためのものではございません。今回の条例におきましては、保険加入を促進するための規定を設けることを検討しておりますが、保険加入に関する具体的な内容については、こうした状況を総合的に判断しながら検討してまいります。
○橘委員 次に、自転車の点検整備について伺います。
自転車のタイヤがパンクしたり、ブレーキワイヤーが切れたりしたら、自転車店で修理してもらいますけれども、多少空気が抜けていたり、ブレーキのききが悪い程度では、そのまま利用しているような人も、まちの中では数多く見受けられまして、大変危険だと常々見ております。
こうしたことが、衝突事故や人身事故につながるケースが少なからず発生しているわけでございまして、この点検整備に関する条例の規定の検討状況、先ほど質疑がございまして、これについては答弁がありましたので、これについては質問の重複を避けたいと思いますけれども、点検整備については、その重要性を条例で規定したからといって、これについてはそれだけで効果があるわけではないと思います。点検整備というのは運動論として具体化すべきと考えます。それによって有効性が保たれるのかなというふうに私は考えております。
例えば、自転車販売店や自転車メーカー等と連携をしまして、春、秋の交通安全期間中を自転車点検整備キャンペーン期間として具体的な活動を展開したり、点検整備もあわせて実施する自転車の交通安全教室を展開したりするなど、条例化を契機に、そういう運動論的な取り組みが普及、定着するようにしていただきたいと思います。
これは、あくまで私は、条例が制定されるということを前提にして、それを踏まえて運動論化すべきというふうに申し上げておりますので、この答弁はあえて求めませんけれども、条例案を見てから、また改めて議論をさせていただきたいと考えております。
次に、自転車シミュレーターを利用した交通安全教室について質問いたします。
今年度から全都的に開始しました自転車シミュレーター安全教室が大変好評だと聞いております。この教室の概要とこれまでの実績、参加者の反響などについて伺いたいと思います。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車シミュレーターとは、模擬自転車、液晶モニター、制御用パソコン等で構成され、まち中を自転車走行する疑似体験を通して、ルールやマナーを楽しく修得できる教材でございます。
都は、区市町村や学校、商業施設等と連携し、自転車シミュレーターを活用した安全教室を、今年度計六十回開催する予定でございまして、十月末までに四十八回実施し、三千七百九十七人が体験しております。
参加した小学生からは、スピードを出し過ぎてはいけないことがわかった、高校生からは、ふだんどれだけ危ない運転をしているかがわかった、これから注意したい、中高年の方からは、正確なルールを知ることができたなどの感想が寄せられておりまして、さまざまな世代の方がルールやマナーを習得できる、よい機会となっております。
今後も、あらゆる世代を対象として、自転車の安全利用を促進する取り組みを進めてまいります。
○橘委員 今の答弁で、既に四十八回開催しておりまして、その感想の紹介があったわけですけれども、世代を超えて共通するところは、経験して非常によかったと、それから注意するようになったと、そういった感想が寄せられているわけです。
実は、安全な自転車運転というのは、利用者が意識を高めることが非常に大事なわけでありまして、それが日常の中では、なかなかそういう機会が少ないというのが現状であります。しかしながら、こういうシミュレーターを使った安全教室なんかに通うと、楽しみながら、また画面を通じてですからある程度わかりやすい、そういった安全教室にもなるわけでございます。
したがって、今現在、この運用をしておりますけれども、東京都のものが一台、それから個人タクシー組合だったでしょうか、そこから借りているものが二台、計三台で運用していると聞いておりますけれども、これだけ好評で、また、聞いているだけでも有効性がある程度確認できる、そういったものであるならば、これから何らかの形で工夫しながらふやしていくことも一つの方策かなと思います。
例えば、自転車の安全運転に関しては、自動車関連の団体であるとか、それから自転車メーカーであるとか、さまざまな団体や業者、そういったものが関連していくわけですから、そうしたところも協力を得ながら、教室の開催回数をふやすために、台数をふやす工夫をしていってはどうかと考えますけれども、これについて見解を伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 ただいまご答弁いたしましたとおり、自転車シミュレーターに関しては、多様な、さまざまな世代の方がルールやマナーを習得できるよい機会であるというふうに私どもとしても認識しております。
ご質問にありましたとおり、東京都といたしましても、さまざまな機会をとらえ、あるいはさまざまな関係者の協力を得ながら、あらゆる機会をとらえて、シミュレーターを使った自転車の安全利用の促進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時四十分休憩
午後三時五十六分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより総務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
○山下委員 私からは、日本人の今最も大きな関心事の一つといえる防災について伺います。
防災対策については、地域防災計画の修正のために、これまでに多くの議論が行われ、大体の議論は出尽くしていると思われます。そこで私は、地元である多摩地区の防災対策に絞って、簡潔に質疑をさせていただこうと思います。
ことし四月に公表された被害想定では、多摩直下地震や立川断層帯地震が発生した場合の最大震度は七で、広い地域が震度六強の揺れに襲われることで、人的にも物的にも甚大な被害が生じるとされています。
多摩に住む四百万都民が安心して暮らせるよう、多摩の地震に対して十分な備えが必要なのはいうまでもなく、その意味で立川広域防災基地への関心が高まります。
ここには、国立の災害医療センターや、自衛隊、警察、消防のヘリコプター基地、それに東京消防庁のハイパーレスキュー隊など、多くの防災機関の施設が整備され、国の災害対策本部の予備施設もあります。都もこの中に立川地域防災センターを設置しています。
多摩都民の中には、名前は知っているものの、その機能などはよく知らないという方もいらっしゃると思います。
そこでまず、立川広域防災基地に整備されている都の立川地域防災センターの設置の経緯と位置づけについて伺います。
○村松総合防災部長 立川広域防災基地は、首都直下地震など南関東地域に広域的な災害が発生した場合に、人員や物資の緊急輸送の中継集積拠点、自衛隊、警察、消防などの援助隊の運用受け入れ拠点など、災害応急対策活動の中核拠点として位置づけられ、米軍立川基地跡地に各種機関の施設の整備が図られました。
都は、平成三年、この広域防災基地内に立川地域防災センターを整備いたしました。同センターは、多摩地域に大きな災害が発生した場合に、多摩地域の防災活動の拠点施設として位置づけられております。
○山下委員 立川広域防災基地、そして、立川地域防災センターの多摩地区の防災活動の重要な拠点としての位置づけがよくわかりました。
では、この立川地域防災センターが具体的にどのような機能を備え、実際に災害が発生したときにどのような役割を果たすのかを伺います。
○村松総合防災部長 立川地域防災センターは、大規模災害発生時に職員が参集し、新宿庁舎の東京都防災センターと連携し、情報収集や救援物資、医療物資などの供給など、現地での災害支援活動を展開することとされております。
同センターには、新宿の防災センターとの情報連絡を円滑に行うため、防災行政無線を整備しているほか、テレビ会議システムや災害情報システムを備え、これによりまして、被災情報の把握や関係防災機関との連絡調整を行うこととしております。
また、センター内には、医療物資、水、食料、毛布等の救援物資を備蓄し、他の地域からの救援物資の輸送拠点としての機能も有しております。
このほか、併設する住宅棟には、災害対策要員が居住し、休日、夜間にも対応できる体制を整えております。
こうした役割を確実に担えるよう、建物につきましては、特に耐震性能の向上を図るべき施設として位置づけられた上で設計されており、十分な耐震性を確保しているところでございます。
○山下委員 ありがとうございます。
さまざまな機能、十分な耐震性の確保についてのご答弁をいただき、多摩四百万都民の安心につながることと思います。また、この施設は多摩のためだけでなく、都心部での地震の際の支援の拠点にもなると認識しております。機能をしっかりと維持するとともに、必要に応じて拡充するなどして、高度防災都市東京の一層の充実に努めていただきたいと思います。
続きましては、首都大学東京について伺います。
東京で都立の大学の改革が始まったのは、先ごろ辞任した石原知事の就任間もない平成十二年のことと記憶しております。つまり、大学改革による首都大学東京の誕生、そしてその歩みは、石原知事の時代の一つの象徴ともいえます。
そこで、石原知事が辞任した今、改めてここで、首都大学東京を総括するための質疑を行いたいと考えます。
まず、首都大学東京の設立の経緯と現在の大学の概要について伺います。
○伊東首都大学支援部長 平成十二年六月、知事が第二回都議会の所信表明において、都立の四大学の改革に着手したと発言いたしました。
この当時、大学には、教育の再生や社会の諸課題への対応といった困難な課題があったこと、大学への入学希望者全入時代に近づき、大学間競争の時代への予測などがあり、このため、都立の大学の人的、物的資源を集約して総合力を発揮することにより、東京の教育改革の一翼を担うとともに、大都市の抱える課題の解決へ貢献することとなりました。
また、平成二十四年五月現在、首都大学東京の学生数は、大学院生を含めて九千三百九十五名でございます。学部構成は、都市教養学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の四学部となっております。
○山下委員 これまでの経緯を伺い、首都大学東京が平成十七年に、大都市における人間社会の理想像を追求するという大きな目標を掲げてスタートしたことがよくわかりました。
では、実際に当初の目標はどの程度達成できているか、また、目標達成のために、特にどのようなことに力を入れて取り組んでいるのかを伺います。
○伊東首都大学支援部長 開学当初の平成十七年に都が示した六年間の第一期中期目標に基づき、首都大学東京は、教育研究や法人運営に関するさまざまな取り組みを行い、各年度の計画をほぼ順調に実施し、中期目標をおおむね達成いたしました。
特色ある取り組みの一つとして、大都市東京の現場体験を通じて問題意識を醸成し、主体的に取り組む能力を養成するため、毎年三百名を超える学生が現場体験型インターンシップを履修しております。あわせて、自己の表現力やプレゼンテーション能力を高めるため、基礎ゼミナールを実施しております。
また、優秀な人材を確保して質の高い教育研究が実現できるよう、任期制や年俸制、評価制度を基本とする教員人事制度の導入などを行っております。
○山下委員 時代背景を踏まえた新しい学部編成と特色ある取り組みをご紹介いただき、大学としての枠組み、いわば器が整い、その運営も理想に向かって順調に進んでいると感じます。
その上で、やはり最も重要なのは学生の質、つまり、どのような人材が大学で育てられているかという点です。大学教育と学生の質のバロメーターとなるものの一つが就職状況といえるでしょう。
そこで、卒業生の就職状況を含めた首都大学東京に対する内外からの評価について伺います。
○伊東首都大学支援部長 首都大学東京の学生に対して、一部の授業について行ったアンケートによれば、授業の目的を意識しながら学習することができたという意見が上昇傾向にあり、平成二十三年度の調査では、おおむね五割を上回っています。
また、首都大学の学部生の就職率は、平成二十三年度は、全国平均九三・六%に対して九七・八%となっております。就職先ですが、製造業や情報通信業などの民間企業が多く、医療、福祉関係、官公庁が続いております。
一方で、一般選抜の志願倍率は、平成二十一年度の六・二二倍から年々上昇し、平成二十四年度では七・四三倍となっており、大学の取り組みが一定の評価を得ていると考えております。
○山下委員 首都大学東京が成果を上げていることがよくわかりました。
卒業生が社会へ出て活躍することは、もちろん大学の社会貢献といえるものですが、首都大学東京の場合、それだけでなく、都が設立した大学として果たさなければならない社会貢献の責務もあると考えます。
それは、例えば都内の企業や東京都との連携であったり、さらには、大学の研究を都民生活の向上に役立てることなどが挙げられます。こうした視点からの大学の社会貢献の現状について伺います。
○伊東首都大学支援部長 首都大学東京では、地域産業の振興のため産学公連携センターを設置し、産学公コーディネーターにより、研究成果の発信や企業ニーズの収集を行うなど、他の研究機関や企業との多岐にわたる連携、交流を推進しています。
また、東京都や区市町村ともさまざまな連携事業や共同研究を実施するなど、都のシンクタンクとして積極的な連携を進めております。具体的には、自然環境保全を担う人材を育成するため、環境局が創設したエコトップ・プログラムの修了に必要な科目を履修できるようにしたほか、見守りロボットの開発など、高齢者の生活の支援にも取り組んでおります。
今後も、教育研究の成果を社会に還元し、都民生活の向上、発展、あるいは産業の活性化に貢献してまいります。
○山下委員 首都大学東京が都民のニーズや東京都の政策にこたえていくことは、東京のみならず、日本の世の中全体の向上を促し、海外への波及効果をも生み出すものと考えます。日本の首都、世界の大都市東京の大学として、今後、さらに全国から優秀な人材を募り、世界に羽ばたいていけるような人材がキャンパスから巣立つことを期待します。
そこで、首都大学東京は、今後どのような将来展望のもとに運営を行っていくのかを伺います。
○伊東首都大学支援部長 首都大学東京は、都が示した平成二十三年度から始まる第二期の中期目標を達成するため、中期計画を策定し、大学の使命である大都市における人間社会の理想象の追求に向けたさまざまな取り組みを行っております。具体的には、国際性豊かな人材を育成するための環境整備や、世界の頂点となり得る研究分野の育成などに力を入れています。
都は、今後とも、首都大学東京が大都市の課題解決に貢献する人材を育成していけるよう、一層支援をしてまいります。
○山下委員 首都大学東京の大都市の課題解決に貢献する人材育成という方針は、東京と同じような都市問題を抱える世界のほかの大都市のモデルになると考えます。
知事はかわりますが、今後、首都大学東京が日本を代表する大学となるだけでなく、世界をリードする大学となりますよう、関係者の皆様のなお一層のご尽力を要望させていただき、私からの質問を終わります。
○吉原委員 それでは、私の方から、まず最初に防災対策の現況につきまして、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
東日本大震災の発生以来、約一年半にわたりまして、抜本的な防災の見直しを今進めているところでございます。
去る九月には地域防災計画の修正素案が提示されて、この十一月十四日に本案が決定される予定だというふうに思っています。
これまでに、本会議や防災対策特別委員会、そしてこの総務委員会でも、さまざまな質疑が行われてまいりました。そこで、本日は、最近の本会議等で我が党が質疑を行った総務局関連の案件の事業の進捗についてお伺いをしたいと思います。
まず、地域の自助、共助の推進を図るために都が取り組んでおります東京防災隣組についてですけれども、都は、地域で意欲的な防災活動を行っている三十六団体を第一回の防災隣組としてこの三月に認定をいたしました。そして、防災訓練への参加、あるいは事例集の発行やシンポジウムなど、さまざまな形を通じて、その普及を図ろうとしてまいりました。
発災時に都民の命を救うためには、こうした自助、共助の取り組みを広めることが何より重要であり、大切な事業だと思っています。第一回認定の三十六団体がそれぞれすばらしい活動をされていることはよく承知をしております。
しかし、これらの団体以外にも、都内の各地域で、それに負けず劣らず活発に活動されている団体が幾つもあると思います。我が党は、第三回定例会の代表質問で、早期に第二回の認定を行うべきと主張いたし、これに対して、十一月に募集を開始するとの答弁をいただきました。
そこでまず、東京防災隣組の第二回認定に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。
○箕輪企画調整担当部長 地域防災力の向上を図るためには、自助、共助の中核を担う東京防災隣組の果たす役割が非常に大きいことから、東京防災隣組の認定団体数の増加を図ることが重要でございます。
そのため、本年度、早期に第二回の認定に着手することといたします。本日、区市町村に通知し、候補団体の募集を開始いたします。
認定に当たりましては、各区市町村の防災担当課が地域コミュニティ主管課と緊密な連携のもと、地域の活動を十分に調査し、推薦いただくよう依頼いたします。また、多様な団体を候補として掘り起こすことができるよう、推薦締め切りを十二月下旬とするなど、十分な推薦期間を設定いたします。推薦された団体の活動実績等を確認いたしまして、専門家の意見を踏まえ、年度内に第二回認定団体を決定する予定でございます。
地域の実情に通じた区市町村と緊密に連携して、東京防災隣組の都内全域への波及を目指してまいります。
○吉原委員 きょうから十二月下旬までその募集を行っていると、こういうことでございますので、各区市町村の担当者は町会あるいは自治会の皆さんとは通じておりますので、ぜひ綿密な連携を図っていただいて、意欲ある団体を積極的に認定していただくように、お願いをしたいと思います。
次に、消防団についてお伺いをいたします。
これにつきましても、第二回定例会で人材確保や育成の観点、あるいはまた、第三回定例会でも資器材の整備の観点から質疑をいたしまして、活動の充実に向けた取り組みを求めたところでございますし、さきの防災対策特別委員会でも、私の方からも質疑をさせていただきました。
東日本大震災では、地域が壊滅するような過酷な状況の中でも、身命を賭して地域を守ろうとした消防団員の活躍は何物にもかえがたいものがありました。都内にもこうした高い志を持った消防団の方々がたくさんいらっしゃるわけでございます。でありますからして、非常時の消防団の活動を支えるためにも、団員の安全確保や救出救助のための装備を万全にしなければならないと思っています。
地元の消防団の皆さんから話を伺うと、とりわけ重要なのは情報通信の確保、つまり無線だと、こういうことのようでございます。多摩の消防団が扱う無線は、消防無線、そしてまた防災行政無線など、それぞれ方式が異なっておりまして、整備が十分でないところがあります。
三多摩の場合につきましては、こうしたものは市町村が当然整備するというふうには理解をしているところでございますけれども、現況では、それを待っていては、いざというときに間に合うのか大変心配しているわけでございます。消防団員の安全確保に緊急的な支援が今必要ではないかと考えているところでございます。
こうした装備の課題に対応するために、具体的な検討を進めていただいているものと理解をしておりますけれども、その前提として、特別区の消防団と比較した場合の市町村の消防団の装備上の差異について、どのように調査し、認識をされているのか、お伺いをいたします。
○村松総合防災部長 消防組織法の規定に基づきまして、特別区の消防団に関する事務は東京消防庁が、多摩・島しょ地域の消防団に関する事務は市町村が行うこととされ、それぞれが必要な資器材を配備しております。
消防団が都全域で十分な活動を展開するためには、市町村が管理する地域につきましても、その活動上の課題を把握する必要があることから、先般、その状況について調査いたしました。
これによりますと、団員の安全確保のための装備や、発災時に住民を救出救助するための装備は、十分でない状況がございます。また、消防無線につきましては、ご指摘のとおり、市町村によって装備の方式が異なっておりまして、地元の消防署との連絡手段が確保されていない場合もございました。
こうした状況を踏まえまして、広域的な視点から、都が早急に行うべき対策について検討を進めているところでございます。
○吉原委員 ぜひともオール東京の視点を持っていただいて、一歩でも二歩でも前に進むように取り組んでいただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
防災関係の最後にもう一点、応急給水体制についてお伺いをさせていただきます。
我が党は、第二回定例会の代表質問で、発災時の飲料水の確保に積極的に取り組むべきと主張いたしまして、給水拠点の配置状況など、さまざまな観点から調査分析を行う旨の答弁をいただいたところでございます。
応急給水槽につきましては、私もかつて随分、総務委員会で質疑をさせていただいた経緯がございます。当時は、それまで続けてきた応急給水槽の整備を終わらせるという方針が示されましたので、その課題について取り上げたものでございます。
そこで、まず、応急給水体制の整備に係るこれまでの経緯についてお伺いをいたします。
○村松総合防災部長 都は、震災時の断水に備え、都民の飲料水を確保するため、浄水場、給水所などに応急給水資器材を整備しまして給水拠点とするとともに、これらの施設のない地域には、昭和五十二年度から応急給水槽を設置し、居住場所からおおむね二キロメートルの範囲内に給水拠点を確保するよう努めてまいりました。
その結果、給水拠点がカバーする範囲が計画給水面積の約九七%にまで達するなど、おおむね応急給水槽の設置が達成されたことから、平成十七年度をもって新規の応急給水槽の設置を終了いたしたところでございます。
○吉原委員 おおむね半径二キロ圏内に一カ所を目安に整備し、おおむね整備が完了したから終了したということでございました。
しかしながら、これは当時、私も総務委員会で質疑したのですが、実際には空白地域が複数残っているわけでございます。
この見直しは、監査の指摘も踏まえまして費用対効果の観点から行ったものだ、こういうことでございましたけれども、もちろん円と円のすき間のような小さなものであれば、これは給水車を出してとか、あるいはまたペットボトルでの備蓄でとか、いろいろな方式でカバーするというのは合理的だとは思います。
しかしながら、私の地元も含めまして、特に東京都と隣接県の境に当たる地域は、給水拠点までの距離が非常に遠くて、空白面積も小さくないのに、そのまま残されてしまっているケースがあるわけでございます。
昨年三月に東日本大震災が起こりましたけれども、被災地では、広範囲に、また長期間にわたり断水が生じました。混乱の中でも、例えば仙台市の応急給水槽は、震災当日に給水を開始し、非常に役立ったというふうなこともお聞きをしております。また、都内でも飲料水の確保が大きな課題ともなりました。三・一一以降、再度の見直しが必要ではないかと、平場でも私は強く訴えてきたつもりでもございます。
東京都には理解をいただいて、本年度に予算を計上し、調査を進めていただいているわけでございますけれども、ぜひ前向きな対応をお願い申し上げたいというふうに思っています。
まさに都民にとりまして命の水を確保するために、改めて応急給水体制を再検討して、空白地には応急給水の整備を進めるべきと考えているところでございますけれども、現在の検討状況についてお伺いをいたします。
○村松総合防災部長 ご指摘のとおり、東日本大震災におきまして、被災地や都内での飲料水の供給に課題が生じたことを踏まえまして、都は、本年度、新たな被害想定に基づく応急給水量の検証など、さまざまな観点からの調査分析を行っているところでございます。
この中で、現在の給水拠点の配置状況を改めて精査したところ、現行の給水拠点までの距離が遠い地域や、居住する人口が多い空白地域があるなどの課題も浮かび上がってまいりました。この調査結果をもとに、発災時などの緊急時の飲料水確保に向けて、必要な措置を検討しているところでございます。
○吉原委員 行政が一度やめたものを再検討して進めるということについては、なかなか難しいということも、そのこと自体は理解をしているわけでございますけれども、この件につきましては、ぜひしっかりとした検討を踏まえていただいて、方針を見直していただいて、必要な整備を早急に進めていただきたいと思います。
以上、防災隣組、消防団、応急給水槽と自助、共助、公助、それぞれの課題につきまして伺いました。いずれも、明確な問題意識のもとで検討や取り組みが進められていることにありがたく思っているわけでございます。ぜひこの方向をもちまして、都民の命を守るために、引き続きたゆまぬ努力をお願いしたいというふうに思います。
続きまして、新たな多摩のビジョンについてお伺いをさせていただきます。
この十年の間に社会や経済の動向も大きく変わりました。こうした時代背景の中にありまして、策定以来、はや十一年を過ぎました多摩の将来像二〇〇一の見直しを、我が党は本年の第二回定例会の代表質問において提案をさせていただいたところでございます。早速、都は、二〇三〇年ころを念頭に入れて、新たな多摩ビジョンを策定することを表明いただきました。
今後、多摩地域においては人口減少や高齢化が進み、ますます厳しい局面を迎えることが十分に予測をされているわけであります。そうした中にあってもインフラ整備は着実に進んでいますし、また、先端技術産業や数多くの大学、研究機関も集積しているわけでございます。そうした環境を生かしていく、あるいは豊かな自然環境を生かしていくなど、特色のある都市づくりが十分可能な地域でもあるというふうに思っています。
我が党の第三回定例会の代表質問でも、将来構想は、往々にして行政の思いが先行してしまって、単なる絵にかいたもちに終わらないようにと、新たな多摩ビジョンについて伺いました。
そこでまず、今回のビジョンを策定する意義について見解をお伺いいたします。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 平成十三年の多摩の将来像二〇〇一の策定から十年以上が経過いたしまして、多摩地域は間もなく人口減少局面を迎えるとともに、大規模工場の撤退、団地の老朽化や都市インフラの更新時期の到来など、多摩を取り巻く状況は大きく変化しております。また、東日本大震災の発生を契機とした災害対策の強化や、電力、エネルギー問題への対応など、これまで想定し得なかった新たな課題も生じております。
こうした多摩を取り巻く状況変化や課題などをかんがみますと、これからの多摩の進むべき大きな方向性を示した新たなビジョンを早期に明らかにすることが必要であると考えております。
○吉原委員 今答弁いただきましたとおり、震災や災害への対策やエネルギー問題への対応はもちろんでございますけれども、大規模な工場の撤退も数多く出てまいりました。あるいは団地の老朽化ということも大変問題になっているわけでございます。多摩を取り巻く環境は、かつてとは大きく変わってきていますので、的確な対応をしっかりやっていかなければならないと思っているところでございます。
そのためにも、明確な視点を持って臨んでいかなければならないと思っていますが、どのような視点を持ってビジョンの策定をしていくのか伺います。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 新たな多摩ビジョンの策定に当たりましては、多摩地域が有する資源を最大限に活用することはもとより、多摩を取り巻く状況変化を強みに変えていく発想の転換を図っていくことが必要と考えております。
また、地域の発展に大きな影響を与えてきた企業、事業者を、これからの持続的発展に向け積極的に取り込んでいくとともに、自治体、住民、事業者など、多様な主体が地域の内外を超えて連携することで、共存共栄を図っていくことが重要になると考えております。
これらの視点を軸にいたしまして、二〇三〇年を目途とした多摩の進むべき方向性を明らかにしてまいります。
○吉原委員 ビジョンの策定に向けまして、民間企業へのヒアリングも現在進めていただいていると聞いているわけでございますけれども、先ほどの視点につきましてどのように具体化を図ろうとしているのか、あわせて伺いたいと思います。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 新たな多摩のビジョンにつきましては、現在、市町村からの意見聴取に加えまして、地域で活動している民間事業者や、まちづくりに精通した有識者等へのヒアリングを行っているところでございます。
これまでのヒアリングでは、例えば、事業者やNPOなどを主体とした行政区域を超えた観光資源の活用や、産学公連携の推進などの意見を伺っております。また、大規模工場の撤退という状況変化を新たな地域づくりの契機ととらえ、自治体や住民、企業などとの連携のもと、地域が望むまちづくりの推進についての提案がございました。
こうした意見などを参考にしながら、新たなビジョンの方向性について検討を進めてまいります。
○吉原委員 ぜひとも市町村や企業、幅広くヒアリングを行っていただきまして、引き続きビジョンの策定に向けた検討をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
現在の三多摩は、都市化が進んだところもありますし、閑静な住宅が建ち並ぶ地域もあります。そしてまた、にぎやかな商業地域もありますし、豊かな緑があるなど、さまざまな地域があるわけでございます。今作業が進んでおります新たな多摩のビジョンでは、それぞれの地域で多摩の住民が文化的な日々の生活ができる、住みよい環境が感じられる、バランスのとれたものになるよう検討していくことが大切だろうというふうに思っています。
加えて、来年の秋には、スポーツ祭東京二〇一三が開催されるとともに、三多摩が東京に移管されて百二十年の節目となる記念すべき年でもございます。
三多摩の歴史あるいは伝統文化を多摩都民が再認識する機会として、また、魅力発信につながる機会としての取り組みを前向きに検討していく旨の総務局長の答弁を、既に平成二十三年の第四回定例会で、私の代表質問の中でいただきました。
そこで、この取り組みを含めまして、新たなビジョンの策定を初めとした今後の多摩振興に向けた局長の決意をお伺いいたしまして、質問を終わります。
○笠井総務局長 多摩地域は、東京の三分の一の人口を有しておりまして、都市の利便性と豊かな自然環境を兼ね備えた多様な魅力を持つ地域でございます。
一方、多摩地域におきましては、今後の人口減少や高齢化の進展、そして都市インフラの更新需要の増大など、かつての多摩の将来像二〇〇一策定時と比べまして、地域を取り巻く状況は非常に厳しさを増しておるところでございます。こういった厳しい状況の中で、新たな視点による発想の転換も図りながら、多摩の持続的発展に向けた大きな方向性を都が示していくことが何よりも重要であろうと考えております。
また、来年、平成二十五年は、スポーツ祭東京二〇一三の開催とあわせて、多摩東京移管百二十周年という、多摩地域にとって節目の年でございまして、この機会をとらえて、現在、関係局や市町村との連携のもと、多摩のさまざまな魅力を発信する取り組みを検討いたしております。
今後とも、活力と魅力にあふれる多摩の実現に向け、今回のビジョン策定などを契機に、多摩地域の一層の振興に全力で取り組んでまいります。
○橘委員 私からは、東日本大震災の被災地に対する都の人的支援について質問いたします。
我が党は、被災地の復興状況や都の支援の現状などを把握し、都による引き続きの支援のあり方を模索するために、継続的に被災地を訪問しており、その一環として、私は、先月中旬に宮城県気仙沼市と女川町を視察してまいりました。
大震災から二度目の秋を迎えたわけでありますけれども、まちは依然として大津波で跡形もなく、行政関係者や住民の方たちから話を伺いますと、まちの復興は思うように進まず、住民の生活再建も展望が開けないなど、厳しい状況が続いておりました。国の復興予算が計上されているにもかかわらず、予算の執行がなかなか進まないという声も聞かれまして、結果的に復興の手ごたえが感じられないというのが現状のようでありました。
予算執行も含めまして復興が進まない原因の一つとして、被災自治体の職員の不足が早くから挙げられておりました。特に、土木、まちづくりといった分野を担う専門技術職の確保には苦慮しておりました。こうした事態に対し、東京都は人的支援の一環として、任期つき職員四十七人を採用し、九月に被災地に派遣をいたしました。
先月十六日に私が気仙沼市に伺った際、気仙沼市役所に赴任した東京都採用の任期つき職員のうち三人の方と面会し、お話を伺ってまいりました。
三人の方は、現役時代、都や区の土木、都市計画、区画整理などの部署の専門家であり、赴任して一カ月ではありましたけれども、被災地の課題や復興の方向性などを的確に把握しておられました。同時に、地元の意向に沿った形で自分たちの技術やノウハウを生かして、復興にいかに貢献できるか、地元の皆さんに喜んでいただける仕事ができるか、そういったことを熱く語っておられたことに感銘を受けました。地元の行政関係者からは、技術力の高さに大変驚いていると、そういった声も聞かれましたし、期待も大変なものがありました。話を聞くほどに、被災地の復興支援として技術職員派遣の重要性を改めて認識した次第でございます。
技術職員の派遣については、我が党も主張してきた被災地支援の一環でございますが、改めて、本年九月に被災地に派遣した任期つき職員の採用、派遣に至った経緯を伺っておきます。
○野口復興支援対策部長 本年に入りまして、被災地が本格的な復旧、復興を進めていく中で、特に甚大な津波被害を受けました沿岸部の被災市町村を中心に技術職員の不足が深刻化し、被災市町村から都に技術職の派遣要請が相次ぐようになりました。しかしながら、都は、既に被災三県に多くの技術職員を派遣しており、さらなる派遣には限界がございました。
一方、被災自治体の中には、行政機能を著しく低下させ、採用余力に乏しい団体も見受けられたことから、都は、被災地の本格復興に必要な技術者を確保するため、全国に先駆けて、本年四月に被災地支援に係る任期つき職員の一般公募に踏み切ったわけでございます。
そして、ご案内のとおり、本年九月に、即戦力となる行政OBや民間経験者四十七人を任期つき職員として採用し、被災地に派遣したところでございます。
○橘委員 技術職員の派遣要請は我が党にも数多く寄せられておりました。これを踏まえまして、ことし二月二十八日の第一回定例会の代表質問で、我が党は、専門職員の中長期にわたる支援が不可欠であると訴えまして、都の継続的で力強い対応を求めたいと主張いたしました。これに対しまして笠井総務局長からは、ニーズに即した職員を中長期で派遣し、被災自治体の業務の一翼を担うことで早期復興に貢献するとの答弁があり、今日の任期つき職員の派遣となっているわけでございます。
私がお会いした気仙沼市派遣の三人の方については、業務内容等は本人たちからあらかたお聞きしましたけれども、任期つき職員四十七名、この方たちは幅広い分野で専門技術や技能を発揮していると聞いております。この担っている業務を具体的に説明をお願いしたいと思います。
○野口復興支援対策部長 被災地におきましては、沿岸部を中心にまちが壊滅的な被害を受けましたことから、インフラ復旧事業とともに、津波浸水地域から高台への住居移転を伴う防災集団移転事業などの業務が著しく増大しており、任期つき職員はこうした業務を支援しております。具体的には、道路、河川、港湾の各施設の災害復旧のほか、高台移転に伴う区画整理や災害公営住宅の建設など、新たなまちづくりに従事しております。
このように、任期つき職員四十七人は、これまで培ってきました経験、技術力を生かし、復興の担い手として被災地を力強く支えているところでございます。
○橘委員 幅広い分野にわたって専門的な知識、技術を生かしていることはよくわかりました。
そして、今回の任期つき職員で非常にいい工夫だったなと感じましたのは、その三人の方からお話を伺いましたら、区や都の職員だけでこれを編成したならば、なかなかいい知恵は出なかったかもしれないと。けれども、民間の企業で働いていたノウハウを一緒に披瀝し合うことによって思わぬところでいい知恵が出ると、そんなお話も出ておりました。これは非常にいいことだなと思って、官民のチームワークの力が復興に大きく貢献するのではないか、そんなお話もしておりまして、非常に心強く感じてまいりました。
この三人の方は、自分たちの力、身につけた技術を復興に捧げたいという熱い情熱を語っていた、これが非常に印象に残っております。
ところが、この人たち、情熱はあるんですけれども、住宅が確保できないために、勤務地の気仙沼市役所まで毎日、お隣の岩手県内にある仮設住宅から、電車と徒歩で一時間をかけて通っているんです。その仮設住宅というのは山間部にありまして、駅から暗い道を歩いて帰る。そんな状況で、被災した方たちも生活には不便なもので、なかなか入り手がいなくてあいている、そこに住んでいるという、そういう状況でもございました。
こうしたところで、単身赴任の生活も大変な状況の中で暮らしているというのがよくわかりました。他の方も同じような思いであるでしょうし、同じような状況で業務に当たっていることを思いますと、改めて敬意を表したいと思います。かといって、東京都が応援して住宅をつくれるかというと、その土地がないというのが現状でありまして、こういう状況の中では最大限の配慮かなというふうにも感じてまいりました。
あわせて、被災地の状況を的確に把握し、都庁とか区役所のOBあるいは民間企業のOBを任期つき職員の採用として迅速に取り組んだ都の対応は、高く評価したいと思います。
さて、都が先鞭をつけた任期つき職員の取り組みを参考にして、被災県が独自に任期つき職員の採用に踏み切るなど、被災自治体が主体的に人材確保に取り組み始めるという、人材確保という面では新たな動きが始まっているようでございます。一方的に支援を受けるという体制から、自分たちで技術職員を確保し、育てようという取り組みは、非常にいい方向性だと私は思いました。
しかし、技術者を中心に被災地では人材に限りがありまして、現地では、役所と民間事業者が人材を奪い合っているといったお話もありました。
そこで、広く首都圏から人材を募集できるように、被災自治体を支援していくことも、今後の人的支援のあり方を考えた場合、重要ではないかと思います。したがって、任期つき職員の採用など、被災自治体が独自に取り組むこうした職員採用を、東京都が本腰を入れてサポートしていくべき、これがこれからのステージに合った人的支援のあり方でもあるかと思いますけれども、この点についての見解を伺います。
○野口復興支援対策部長 任期つき職員を活用した取り組みにつきましては、東京都が全国に先駆けて実施したものでございますが、ご指摘のとおり、被災地における人材確保の有効な手だてとして、現在、宮城県、福島県、岩手県といった被災自治体も相次いで導入を決め、首都圏を含む全国から技術系職員など必要な人材を募り、採用する動きが広がっております。
こうした動きを踏まえ、都といたしましては、募集から採用に至る人材確保のノウハウを被災自治体に伝えるとともに、採用広報の協力、選考会場の提供など、できる限りのサポートを行っております。
今後とも、復興に向けて被災地が踏み出す歩みを積極的に後押ししてまいります。
○橘委員 今の答弁にございましたように、被災自治体が独自に人材確保に乗り出す中で、ただ、自治体の知名度が低いために順調に進まないこと、こういったことも懸念が出ておりました。
事実、東京都による任期つき職員の採用に応募した方は、東京都の採用だから信頼度が高いために応募したという声も少なからず私は聞いております。そうした都に対する信頼を協賛する形で提供しながら、継続的に支援をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
この人材派遣に関連して、逆に東京都が被災した場合の人材確保について、一点お聞きしておきたいと思います。
一たび首都直下地震などの大規模地震が発生すると、甚大な被害が予想され、行政機関の職員だけではマンパワーが不足し、対応できないという事態が考えられます。つまり、現在の被災地の人材不足と同様の事態が、東京が被災した場合に、さらに大規模な形で発生することが想定されるわけでございます。
こうした際に、行政のOB職員、消防、警察、自衛隊のOB職員、そうしたそれぞれが現役時代に培った専門的なノウハウを生かすことによって、貴重な戦力となるのではないかと思います。また、平時においても、こうしたOB職員の有する豊富な知識、経験を普及啓発活動などに積極的に活用していくことも重要であると思います。私は、今回の被災地の人的確保の状況を見て、そういうことを感じたわけでございます。
そこで、東京都として、防災業務へのOB職員等の活用をどのように考えているのか、所見を伺います。
○村松総合防災部長 都内には、多年にわたり防災業務に携わり、専門的なノウハウを有する人材が数多く存在することから、首都直下等の大規模地震に備えるためには、こうした人材を有効に活用していくことが重要でございます。
このため、今回の地域防災計画の修正素案におきましても、発災時に東京消防庁のOB職員などを、応急救護活動や消火活動等を支援する専門ボランティアとして活用する旨を記載いたしました。また、都立公園等の避難場所における施設管理業務の支援や、交通規制の際の交通整理誘導や資器材の搬送、設置支援などに、OB職員を含む防災業務のノウハウを有する者のボランティアとしての活用についても盛り込んだところでございます。
こうした取り組みによりまして、今後とも、防災に関する専門的なスキルや経験を有する人材の活用を図ってまいります。
○橘委員 震災に対する復旧、復興というのは、資金も予算も大変大事でありますけれども、人材の確保がいかに大事かということを、現地に行って痛感してまいりました。
この人材確保、東京だから人がいっぱいいるという、そういうわけではないかと思います。したがって、ふだんから確保する体制を整えて、いざというときには迅速に対応できるような、そんな体制を組んでいただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○吉田委員 私は、専務的非常勤職員及び離島振興計画の二点について質問いたします。
まず、専務的非常勤の処遇についてお伺いいたします。
私たちはこれまでも、臨時職員、また非常勤職員の処遇の問題について取り上げて質問してきました。いずれも極めて不安定な就労で、かつ賃金などの処遇も、正規職員の皆さんと比べてみたら極めて低い水準となっています。
例えば、消費生活相談員の方は、賃金が月額二十二万円余、しかも十年勤務しても、昇給ももちろん、一時金も退職金もありません。しかし、仕事の内容は正規職員と変わらないだけではなく、高い専門性を発揮し、国の各種審議会の委員まで務めている方がいらっしゃいます。
そこで、まず実態について確認をしたいと思います。
知事部局における非常勤職員についてですが、現時点と十年前の職員数及び職員定数全体に対する比率をお答えください。
○内藤労務担当部長 まず、専務的非常勤職員とはどのような性格の職かと申し上げますと、これは一定の学識、知識、経験等に基づき、各局の事務執行上必要とされます専門的な分野の職務に従事する特別職の地方公務員でございまして、その任期は一年以内としてございます。
ご質問の知事部局におけますこうした専務的非常勤の職員数でございますが、今年度当初、平成二十四年四月一日現在、一千三百八十三人でございまして、十年前の平成十四年四月一日時点では三百四十一人となってございます。
また、職員定数に対する比率でございますが、二十四年四月一日現在、五・八%、十四年四月一日時点では一・一%でございました。
○吉田委員 中間の推移がどのようになっているかはちょっと確認できませんけれども、今のご答弁だと、実数で約四倍、全職員定数に対する比率でも五倍以上に専務的非常勤の方がふえています。その一方で正規職員の方が大幅に削減されてきたことは、皆さんご承知のとおりです。私は、正規職員を減らす一方で、それを非常勤職員で置きかえるというようなことは是正すべきだと思います。
同時に、見過ごせないことは、その専務的非常勤の方々の処遇、とりわけ、きょうこの場で質問したいことは就労期間の問題についてです。
専務的非常勤は、公募により、任期期間は一年となっていますけれども、二〇〇七年、平成十九年までは、定年制はありましたけれども、更新回数の制限はありませんでした。したがって継続で勤務することができました。しかし、同年、要綱が改定され、翌二〇〇八年からは、更新回数は四回という条件が設けられました。
更新回数の上限導入について、当時の総務委員会での我が党議員の質問に対して、当時の理事の答弁は、適正な人材、事業執行体制の確保という観点から、一定の期間ごとに点検、見直しの機会を設けるべきだということから、更新を四回に限らせていただいているというご答弁でした。
そこでお伺いしたいことですけれども、他の道府県の状況です。専務的非常勤、また、その中で消費生活相談員について、更新回数の上限が設けられている県が多数なのか否か、この点についてはどのように認識をされているでしょうか。
○内藤労務担当部長 他の道府県におきます非常勤職員の更新回数の定めにつきましては、消費生活相談員も含めて正確な実態は把握してございません。
他の道府県が、そもそも任期一年以内という非常勤職員制度の原則を踏まえた上で、更新回数を設定するか否かにつきましては、当該地域におきます人材確保の困難度、また円滑な事業実施の確保、さらには事業執行体制の定期的な見直しなどの観点から、それぞれの実情を踏まえて総合的に判断するものと考えております。
○吉田委員 正確な実態は把握されていないということですけれども、少なくとも、ここに平成二十年四月一日現在ということで、国の総務省が発行されている臨時・非常勤職員に関する調査結果があります。これは全地方公共団体と同時に都道府県分ということもあって、しかもその中には、専務的非常勤等の職種別の更新回数があるか、上限があるかないかということを発表していますね。これは承知していらっしゃるわけでしょう。
○内藤労務担当部長 委員ご指摘の調査につきましては国が行ったものでございまして、平成二十一年のものだと承知しております。
ただ、先ほど正確な実態を把握していないと申し上げましたのは、私どもとして、東京都として実施した直近のデータがなかったということで、そういうご答弁をさせていただきました。
○吉田委員 数年前のものですけれども、少なくとも国の調査ですから、これが正確性に欠けるというふうには判断する必要はないと思います。
これを見ると、例えば消費生活相談員の特別職非常勤については、三十五県のデータが発表されていますが、上限ありは十県に対して、任用回数の上限がなしというのは二十五県ということになっていますから、上限回数は設けていない県がこのデータでは多数だということになっています。
もちろん、個々の判断は、それは各地方公共団体が判断することでしょうけれども、しかしこういう実態にあるということも、私はやっぱり参考にすべきではないかなというふうに思っております。
次にお伺いいたしますが、この要綱の改定で更新回数が四回までの上限が設定されて、今年度でちょうど五年目を迎えますから、最初の採用と更新四回で、今年度で上限打ち切りという方々が生まれることになりますが、そういう対象の方々が何人いらっしゃるのか、ご答弁をお願いいたします。
○内藤労務担当部長 平成二十四年度に更新回数上限に達します専務的非常勤職員は、知事部局におきまして二百九十八人となります。
○吉田委員 そうすると、このままでは二百九十八人の方が任用が打ち切られると、新たな応募に挑戦しなければならないということになるかと思うんですが、要綱では、四回の更新を超えても継続できるという規定があると思うんですが、この点についてご説明をお願いいたします。
○内藤労務担当部長 お話の要綱、それは東京都専務的非常勤職員設置要綱でございますが、その第五の三におきまして、雇用期間を四回更新した専務的非常勤職員について、職務の性質上特別の理由があると認められる場合は、選考によりまして、同一の職に採用することができる旨定めたものでございます。
これは、更新回数上限に達した専務的非常勤の職につきまして、その職に従事する職員の退職により、公募を行ったとしても新たな人材の確保が極めて困難で、また、その職が欠員となることで事業執行上著しい支障が発生するような場合におきまして、例外的に、公募によらず、現に従事する職員を再度任用することを可能とするものでございます。
○吉田委員 次に、その運用についてお伺いいたしますけれども、特別な理由がある場合の対応ですが、任用している局の判断だけではなく、総務局との協議を制度化していると思います。それ自身、私は極めて疑問ですが、今回、この特別の理由があるとして継続の協議を申し出た局と対象非常勤職員数についてお答えください。
○内藤労務担当部長 今年度、総務局に対しまして、先ほど申し上げました要綱に定める特別の理由について事前の協議を申し出た局は、生活文化局と産業労働局の二局でございます。
その該当する職の内訳でございますが、生活文化局につきましては、東京都消費生活相談員の主任相当職及び当該生活相談員の一般職相当職の二つの職でございます。そのうち、更新回数上限に達している職員数は、主任相当職で十人、一般職相当で十五人でございます。
もう一つ、産業労働局でございますが、これは農芸員の職のみでございまして、更新回数上限に達している職員は一人でございます。
○吉田委員 そうすると、消費生活相談員に関しては、主任及び一般、合わせて二十五人の継続が生活文化局から協議対象として申し出があったということですが、これに対して、総務局はどういう回答といいますか、対応をされたんでしょうか。また、その理由についてお聞かせください。
○内藤労務担当部長 消費生活相談員の職につきましては、その採用におきまして、消費生活専門相談員、消費生活アドバイザーあるいは消費生活コンサルタントという、いずれかの資格を有することが求められておりますが、これまでの欠員が生じた際に行った公募においても、有資格者が多数応募しているという実態を聞いてございます。
こうした状況を踏まえますと、公募により、より広く有為な人材を確保することが可能であるということから、総務局として生活文化局に対しましては、要綱に定める例外的な取り扱いを適用する妥当性が低い旨、意見を付したところでございます。
○吉田委員 改めて確認しますけれども、総務局がそういう意見を付した場合に、生活文化局はそのままそれを適用しなければならないんですか。それとも、最終的には生活文化局の固有の判断にゆだねられているんでしょうか。
○内藤労務担当部長 生活文化局、原局でございますが、先ほどの総務局の意見も含めて、改めて当該局におきまして、特別の理由の適用の適否につきまして検証した上で、適切な判断を行えるものと考えております。
○吉田委員 形式論でいえば、総務局は意見をいうけれども、最終的には直接の事業局が判断できるんだということですけれども、ただそれにしても、生活文化局は、先ほどいったように、一定の資格を要する者について、公募すれば多数の応募があっただとかということについては十分承知なわけです。
しかし、そういう認識の上に立って、さらに継続雇用のために特別の協議の対象とするということの申し出があったと思うんです。それに対して、単に公募で有資格者が多数応募しているから、確保できるからという理由で、妥当性が低いというふうに総務局が判断をするというのは、越権的な行為ではないのかなという印象を持ちますが、いかがでしょうか。
○内藤労務担当部長 吉田理事ご指摘の越権か否かということは、評価をどうするかということがあろうかと思うんですが、この非常勤職員制度の運用に当たりまして、総務局は、制度を所管するとともに、全庁的な観点から、その制度の適用の均質性などを確保するため、各局に対しまして必要に応じて指導、調整を行う役割を担っております。その一環としての事前の協議に対する意見だと、このように考えております。
○吉田委員 それではお伺いいたしますけれども、妥当性が低いというふうに判断をされたということですが、そういう結論を得るために、どのような調査なり、あるいは事業局と話し合いなりを持ってきたんでしょうか。
○内藤労務担当部長 先ほどご答弁しましたように、総務局としての役割を先ほど申し上げました。また、各局におきましては、この要綱に基づきまして、専務的非常勤職員に関する職の設置、廃止の検討、選考、採用、具体的な職務内容の設定など、それぞれの職場実態に応じた制度の運用の検討等を行っているところでございます。こうした局と、私どもにおきましては、要綱に基づきます手続に従いまして、意見交換及び状況の確認等を行い、その結果として総務局としての意見を付したところでございます。
○吉田委員 それでは具体的にお伺いいたしますけれども、例えば消費生活相談員に関しては、昨年二月十日付で消費者庁長官から各都道府県あてに、消費生活相談員に対する雇いどめについてのお願いという通知が出されております。
また、ことし七月に同じく消費者庁から地方消費者行政の充実・強化のための指針が出され、その前文で、担当大臣からも、専門性に配慮した処遇についての要請が記載されておりますが、こういう文書は承知した上で出された結論なんでしょうか。念のためにお伺いします。
○内藤労務担当部長 承知した上での結論でございます。
○吉田委員 承知した上というふうにいわれますけれども、例えば、その内容を紹介させていただきますが、ことし七月に、指針の冒頭に記載されている担当大臣の文書を紹介いたします。消費生活相談には、消費者問題に関する専門的な知識と、実務経験の積み重ねによって得られる事業者との交渉力などの技能が必要です。同一者の再任用は排除されないことについて、総務省と認識を共有しています。専門性に配慮した任用と処遇をぜひともお願いいたしますということをわざわざ大臣名で明記をされているわけです。
さらに、昨年二月の都道府県知事あて通達にどのように記載されているか。非常勤職員である消費生活相談員の任用回数に制限を設けないなど、消費生活相談員の専門性の向上にご配慮いただきますようお願いいたしますと、任用回数に制限を設けないことに、法令上の問題があるわけではない旨申し添えますということまで、わざわざ都道府県知事あてに通知がされているわけです。それを百も承知の上で結論を出されたということになったら、一体、じゃこういうものはどう認識されたのかということを私は改めて極めて疑問に思います。(発言する者あり)
さらに、実態について紹介をさせていただきます。
例えば、主任を務めている消費生活相談員の方で、不動産グループの主任リーダーを務めていらっしゃる方がいらっしゃいますが、相談員として一人前になるには最低五年はかかると。十年以上の勤務経験を持つ職員が多数いなければグループ制をとることはできませんというふうに訴えています。
しかもこの方は、例えば二年前の一月にはリフォーム価格相談対応検討委員会の委員、さらに二年前の四月には日本建築家協会本部建築家認定評議会の評議員、さらに九月には国土交通省の民間住宅標準契約改定委員会の委員、そして国民生活センターの全国相談員の講師を務めるという方なんです。
資格があって公募すれば一定数は集まるから、数が確保できるんだということに、私は当たらないと思うんです。これだけの水準の維持、継続を求めるということがやはり当然行政には課せられているし、だからこそ、少なくとも生活文化局は二十五名の方の継続で協議を申し出たんじゃないですか。
それはその局の、先ほど地方自治ではないかなどというご発言がありましたけれども、私は、それだったら、局のそういう判断を最大限尊重するというのが人事部の判断ではないかなということを極めて強く思います。
最後に一点確認しておきたいんですが、意見を送付したということについては、あるいは協議内容については、文書で記録が残されているんでしょうか。
○内藤労務担当部長 まず、ご質問の生活文化局への回答につきましては口頭で行ってございます。
それと、先ほど来から吉田理事のご指摘がありますように、例えば消費生活相談員の専門性につきまして、私どもとしてそれを否定するわけでもございません。ただ、非常勤職員制度の基本というものが、先ほど冒頭申し上げましたように、特別職の非常勤職員として任期一年が原則でございます。したがいまして、任期一年ごとの職及び雇用というものが独立したものでございまして、たまたま私ども更新という表現なり使っておりますけれども、毎年毎年、能力実証を行った上で、結果として翌年度、同一の方がその職についていると、こういったものでございます。
また、更新四回という部分でございますが、これは先ほど申し上げましたように、一たん公募するという形で、例えば、先ほどまさに吉田理事ご指摘のように、この分野の専門性を持った方は多数いらっしゃるということも片や事実でございます。その中で、大きなところから、より有為な人材を採用する、そういう意味では公募という仕掛けもこれまた必要なのかなと、このように考えております。
したがって、先ほど申し上げましたように、毎年毎年、独立した職でございますので、四回に達した方が、当然のことながら再度公募に応募され、能力実証されれば、その後も結果的に継続された雇用となるものでございます。
○吉田委員 どこの大臣かはいいませんけれども、大臣の文書でも、実務経験の積み重ねによって得られた技能ということをあえて強調しているわけです。そういうことを私は、一般論ではなくきちんと考慮する必要がありますし、繰り返しいいますが、生活文化局からは継続の協議を申し出ていたということを重く受けとめるべきだと思います。
それと、口頭で伝えられたということですけれども、この点、もう一度聞きますが、それでは総務局の判断を示した稟議書なり文書は残されているんですか。
○内藤労務担当部長 先ほど来申し上げておりますように、この要綱上、特段様式の設定はしてございません。ただ、事前の協議を行うという手続は、これは設定しておりますので、その中で、特段文書は残しておりませんが、結果として、きちんとした意見交換及び協議を行ったところでございます。
○吉田委員 私は、総務局が生活文化局に結論をいうに当たって文書が残されていないということ自身が、極めて手続的にも疑問だというふうに思います。いずれにしても、こうした総務局の対応について根本的な検討を強く求めておきたいと思います。
次に、テーマを変えますが、島しょ振興、とりわけ国の離島振興法の改正に伴う東京都の対応について質問いたします。
国は、来年三月末をもって期限を迎える離島振興法を延長する改正を行いました。これは単に延長だけではなく、新たな拡充も盛り込まれており、この振興法改正を機に、島しょ振興対策の強化が東京都に求められていると思います。
まず、確認の意味でお伺いしますが、国の離島振興法の改正の主なポイントについて説明をしていただきたいと思います。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 離島振興法は、厳しい自然条件下にある離島地域と本土との格差を是正し、島民生活の安全と向上を図ることを目的に制定されました時限法でございます。
今回、十年ぶりに法改正、延長が行われまして、その主なポイントは三点あり、一点目は、離島振興に対する国の責務について新たに規定したこと。二点目は、ソフト施策の充実を図るため、離島活性化交付金制度などを創設したこと。三点目は、地域の創意工夫を生かした振興を図るため、離島特別区域制度の整備について検討することを明らかにしたことでございます。
○吉田委員 新たな拡充があり、都としての対応が求められていると思います。
そこで、都として、振興計画策定に向けた取り組みの経過、今後の予定、さらに国の改正により都が新たに策定する計画に盛り込もうとする新しい内容について、ご答弁をお願いいたします。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 東京都離島振興計画は、国の定める基本方針に基づきまして、島しょ町村が作成する計画案を可能な限り反映し、都が広域的な視点から伊豆諸島全体の振興の方向性を示すものでございます。
本計画の策定に当たりましては、島しょ町村及び庁内各局から提出された計画案をもとに、これまでヒアリングや意見交換を実施してきたところでございます。
今後、都といたしましては、離島振興計画素案を取りまとめ、パブリックコメントなどを経て、年度内を目途に策定する予定でございます。また、その内容につきましては、改正法の基本理念に基づきまして、就業促進や定住対策を図るための方策を新たに盛り込む予定としております。
○吉田委員 大いに島しょ町村等の意見を踏まえた計画策定の努力をお願いしたいと思いますが、ただしかし、これまで、今年度までの十年間の計画があったわけです。これがやはりどこまで到達されて、もしされていないとしたら、どういう問題があるのかということの総括が、新計画準備の土台ではないかというふうに私は思います。そうでないと、計画を描いても、単にかいたもちにすぎないということにもなりかねないと思いますが、その点どのように考えて対応されているのでしょうか。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 先ほどもご答弁いたしましたように、離島振興計画は、国の定める基本方針に基づきまして、町村が作成する計画案を可能な限り反映し、都が広域的視点で伊豆諸島全体の振興の方向性を示すものでございます。
現在、島しょ町村では、これまでの計画の達成状況などを勘案し、計画案の策定を進めているところでございます。
都といたしましても、現行計画の達成状況などを総合的に検証し、新たな振興計画に反映していく予定でございます。
○吉田委員 そこで、参考までに具体的にお伺いいたしますけれども、この十年間で、例えば観光客数あるいは農業、漁業の売上高などの推移はどのような状況だったんでしょうか。ご答弁をお願いいたします。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 伊豆諸島における十年間の産業実績を、平成十三年と平成二十二年で比較いたしますと、まず観光客数につきましては、平成十三年が約四十七万人に対し、平成二十二年は約四十一万人、また、農業売上高につきましては、平成十三年が約三十六億円に対し、二十二年は約三十一億円、漁業売上高につきましては、平成十三年が約二十九億円に対し、二十二年は約二十六億円となっておりますが、伊豆諸島の産業は気象状況などの影響を受けやすく、その実績は年により変動しております。
例えば、農業売上高におきましては、平成二十年度約三十億円が、翌二十一年度は三十六億円、さらに、二十二年度約三十一億円となっております。また、漁業売上高でも、平成二十年度約二十九億円、二十一年度約二十五億円、二十二年度約二十六億円となっており、その売上高は毎年増減を繰り返しております。
○吉田委員 確かに自然的な影響が、とりわけ他の地域と違って強く影響するということだけに、計画を立てると同時に、本当に各分野の事業を前進させていくというのは、それだけやはり具体的な支援ということが求められていると思います。
単に計画を立てるだけではなく、それをいかに実現するかという具体策、支援策を充実させていく必要があると思いますが、この点どのようにお考えでしょうか。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 都はこれまで、離島振興計画に基づきまして、生活インフラの整備や災害対策、産業振興、医療や教育環境の整備など、島しょ町村への支援策を総合的に進めてまいりました。
今後、一層島しょ地域の振興を図るためには、何よりも各島の町村が主体となって取り組み、自立した島づくりを進めていくことが重要でございます。都といたしましては、島しょ地域の重要性にかんがみ、今後とも、島しょ地域の自主的、自立的発展を支援してまいります。
○吉田委員 自立的、自主的発展を促進する上で、東京都の具体的支援を改めて求めておきたいと思います。
あと、具体的な点について二点お伺いいたします。
今年度までの計画を見させていただきますと、例えば、安全で安定的な島外交通が掲げられ、三宅島に関する記載では、十年後の目標として、高速ジェット船の就航により短時間で来島が可能となりというふうに書かれていますが、これをめぐる状況というのはどういうふうになっているのでしょうか。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 現在の三宅島航路では、大型貨客船が一日一便運航しております。
こうした中で、三宅村は昨年度、運航事業者に対しまして、新たに高速ジェット船を就航することを要望しております。この要望を受けまして、運航事業者は、昨年とことしの六月に、東京-三宅島間の高速ジェット船の試験運航を実施してございます。現在、運航事業者が、気象、海象状況等を勘案し、運航の可能性を検討しているものと聞いております。
○吉田委員 さらに関連して、小笠原諸島について一点伺います。
二年前の事務事業質疑でもお伺いいたしましたけれども、小笠原諸島における航空路開設及び定期船の更新について、都は現在どのように対応しようとしているのでしょうか。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原諸島への航空路につきましては、平成二十年に都と小笠原村で構成する小笠原航空路協議会を設置いたしまして、これまで航空路開設についての検討を行ってまいりました。
航空路開設に当たっては、さまざまな課題がございまして、現在、航空路協議会において、硫黄島活用案、水上航空機案、洲崎地区活用案の三案を中心に、課題を整理し、引き続き検討を行っているところでございます。
一方、航路につきましては、現在、東京-父島間には「おがさわら丸」が、父島-母島間には「ははじま丸」が運航しております。
現在の「おがさわら丸」は、就航してから十五年が経過しており、「ははじま丸」は二十一年が経過しております。今後、船舶の更新に当たりましては、運航事業者や小笠原村などの関係者とともに、幅広い視点で検討してまいります。
○吉田委員 今、限られた時間の中で質疑をさせていただきましたけれども、いずれにしても、各島の自立した取り組みが行われるように、財政的には島しょ町村は極めて厳しい状況だと思います。ぜひ財政的支援はもちろん、抜本的な支援の強化を求めて、私の質問を終わります。
○星委員 それでは、私からは、最近大きな動きがある障害者の人権に関して質問をいたします。
障害者の権利に関する条約については、国連において二〇〇六年に採択され、ことし十月現在、百二十五カ国が批准しています。日本はまだ条約批准には至っていませんが、条約の締結に向けて、国は、平成二十一年十二月から当面五年間を障害者の制度に係る改革の集中期間と位置づけ、必要な国内法の整備を初め、障害者にかかわる制度の集中的な改革の推進を図っています。
昨年七月には障害者基本法が改正され、特に注目すべき内容は、必要かつ合理的な配慮の確実な提供を怠ることは、障害を理由とした差別の一形態と規定されたことです。
合理的配慮という法的概念が国内法に初めて盛り込まれたものであり、障害者に対して何も配慮しないと差別になるということを明らかにしたものです。合理的配慮の具体的内容は、障害の種類や程度、場面によって多岐にわたりますが、このような認識は、残念ながらまだまだ浸透していないのではないかと思います。
そのほか、民間企業における障害者の法定雇用率は、平成二十五年四月以降、一・八%から新たに二%に引き上げられ、障害者を一人以上雇用することを義務づけられる事業主の範囲も拡大されることとなりました。国及び地方公共団体における法定雇用率も、二・一%から二・三%へと引き上げることになっています。
このように、国において障害者施策に大きな動きがある中で、人権部においても、障害者の人権尊重について都民に対して積極的に発信することが必要です。
そこで、障害者の人権に関する人権部のこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。
○並木人権部長 都は、都民一人一人の存在と尊厳が守られる東京を目指し、人権施策を総合的に推進しております。
障害者を初め個別課題については、所管局がそれぞれの施策の中で必要な対応をしておりますが、人権部としても、人権問題に対する都民の理解を深めるため啓発を行っております。
障害者に関しましても、人権啓発冊子や「広報東京都」で、障害のある人もない人も、ともに地域で活動できる社会をつくる必要性を都民に伝えております。人権啓発行事やテレビ、ラジオ広告では、各分野で活躍する障害者を起用し、その苦労や努力、周囲の支えの実例を示すことなどにより、障害者への正しい理解を呼びかけております。
また、東京都人権プラザにおいても、障害者に関する資料の展示や体験学習会を行うなど、さまざまな機会をとらえて、都民の理解の増進を図っております。
○星委員 人権部としても、都民の理解を深めていくために、今お答えいただいたようなさまざまな普及啓発に取り組んでいるとのことですけれども、引き続き啓発に積極的に取り組んでいくことを要望したいと思います。特に、合理的配慮というこの法的概念については、ぜひとも広く普及すべきというふうに考えます。
経済情勢がますます厳しくなっていく中で、いわゆる社会的弱者といわれる人たちへの風当たりは、ますます強くなっていくことが懸念されます。そういった意味で、人権部が人権尊重の観点から幅広く取り組みを進めていくことが重要であると考えます。
例えば、今、社会的に大きな問題となっております学校におけるいじめの問題などは、これは重大な人権問題だというふうに考えます。一義的には所管の局においてそれぞれ取り組むべき課題ですが、人権施策を所管する人権部としては、こうした社会の情勢を踏まえ、これまで以上に積極的に都民全般に対し人権意識の高揚を図っていく必要があると考えます。
そこで、人権啓発施策の今後の取り組み内容についてお伺いをいたします。
○並木人権部長 人権部では、障害者のほか、女性、子ども、同和問題、犯罪被害者など、東京における人権課題全般を対象に幅広い内容の啓発を行っております。
その一方で、人権課題をめぐるその時々の社会情勢に応じてテーマを抽出し、重点的に啓発していくことも重要でございます。このため、例えば、現在大きな社会問題となっているいじめに関しては、国などとの連携事業であります、小学生がかいた絵をデザインしたラッピングバスによる啓発や、Jリーグ試合会場での大型ビジョンなどを用いた啓発において、いじめに関する相談を受け付ける専用電話、子どもの人権一一〇番を強調して案内するなどの取り組みを行っております。
今後とも、庁内外の関係機関などと連携し、啓発の手法を工夫しながら、時宜を得た啓発事業を積極的に推進することなどにより、都民の人権意識の高揚を図ってまいります。
○星委員 力強いお答えをいただきました。
千名を超える職員、歳出事業費一兆二千億規模の総務局の中にあって、人権部は職員二十二名、三億六千万円の事業費規模であり、組織としては小さいですけれども、事業概要で述べられているように、都民一人一人の人権が尊重される社会を実現するために、人権施策の企画立案や調整、理念の普及啓発、研修、相談機関との連携など、人権施策を総合的に推進するといった大変意義深いセクションであるというふうに思います。
今、まさにいじめによる自殺や、先ほど青少年・治安対策本部でも少し触れさせていただきましたけれども、若者の自殺など、こういう問題が大変社会問題化していますが、こういう現実を見聞きするにつけ、これらの背景には、子ども、親を取り巻く貧困や格差、夢、希望がない、先行きが見えない不安、人との信頼関係がない孤独感、さまざまな痛みを抱えた立場からの、さらに弱い者へやいばを向けるような負のスパイラルを私は感じています。
人権尊重の精神は、何も特別なことではなくて、人を思いやる、慈しむといった感情であり、本来だれにでもあるはずのものですけれども、生まれ、安心して育ち、学べ、働ける実感があれば、自然に根づくものと感じますが、多くの人々の暮らし向きや未来への不安が増大している今日にあっては、より都政の基軸に人権尊重を据え、さまざまな人権問題に対して強く発信すべきと考えます。
特に、障害者の人権については、障害者施策として福祉保健局を中心に具体的に取り組みは進められているというふうに思いますけれども、まちづくり、雇用、教育など、実はさまざまな施策が複合的に絡んでいることから、ぜひとも人権部におかれましては、企画調整等役割を発揮して、総合的な人権施策の所管として、今後も積極的に取り組みをお願いして、質問を終わりたいと思います。
○谷村委員 それでは、新たな多摩のビジョン策定に絞って質問をいたします。
多摩地域は、さまざまな個性や特性、また潜在力のある、魅力的で発展の可能性に満ちた地域であります。
都は、平成十三年、二十一世紀に入ってから、多摩地域の発展の潜在力を生かす視点から、自立と連携を基本理念とした多摩の将来像二〇〇一を策定し、二〇一五年の多摩のあるべき姿とその取り組みの方向性を明らかにしました。
今般、都は、多摩を取り巻く大きな状況変化等を踏まえ、二〇三〇年ごろを念頭に入れた新たな多摩のビジョンを策定することを表明しております。ビジョン策定に当たっては、これまでの多摩振興の取り組みをしっかり検証した上で、今後の多摩地域の目指すべき姿や理念、それを明らかにすることが何よりも重要であると考えております。
そこでまず、多摩の将来像二〇〇一の策定以降、多摩振興の取り組みがどの程度進んできたのか、ご認識をお伺いいたします。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 都は、平成十三年に多摩の将来像二〇〇一を策定し、これまで、将来像の具体化に向けて多摩の振興を図ってまいりました。
将来像に掲げた取り組みの成果といたしましては、例えばインフラ整備の分野では、圏央道の着実な延伸や南北主要道路五路線などの交通ネットワークの整備が進展いたしました。また、産業分野では、産業サポートスクエア・TAMAの開設を初め、地域の中小企業への支援体制の充実が図られました。さらには、多摩総合医療センターの開設による医療体制の強化など、ハード、ソフト両面から、多摩振興に向けた取り組みが着実に進展してきたものと認識をしております。
○谷村委員 多摩振興の取り組みにつきましては、着実に進んでいるとのことでございますが、今回の多摩の新しいビジョンの策定に当たって、地域を取り巻く現在の状況や多摩の将来像二〇〇一に掲げた理念等も踏まえながら、今後の多摩振興に向けた新たな理念を明らかにしていただく必要があるかと思います。
そこで、新たなビジョンの策定に当たっての都としての基本的認識についてお伺いします。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 多摩の将来像二〇〇一では、自立と連携を基本理念といたしまして、二〇一五年の多摩のあるべき姿と取り組みの方向性を明らかにいたしました。
今後、多摩地域の人口は、二〇一五年の四百二十万人をピークに減少局面に転じていくことが想定されております。また、地域の発展に大きな役割を果たしてきた大規模工場の相次ぐ撤退など、多摩を取り巻く状況は大きく変化しております。
このような状況変化などを踏まえますと、多摩の将来像二〇〇一で示した基本理念を基本としつつ、都市の成熟と持続という新たな視点も加えたビジョンが求められているものと認識しております。
○谷村委員 多摩の将来像二〇〇一では、それまで区部との比較による三多摩格差の解消という視点から取り組んできた、その視点を、もうこれからはやめようということで、多摩地域のさまざまな個性や特性、魅力的で発展の可能性に潜在力、こうしたところに焦点を当てたことなどに、大変に画期的なビジョンでありました。三多摩格差ということをいうのはやめようよという、その切りかえがあったわけであります。
その象徴となる言葉が自立と連携ということになると思いますが、今、ビジョン策定に係る基本認識についてお伺いをいたしましたけれども、二〇一五年の四百二十万人をピークに人口減少が始まるという、東京都では初めて経験する社会情勢にあって、引き続き、住民生活を支えていくという視点が特に必要になってくるのではないかと思います。
特に、多摩地域は、ひとり暮らしをされている高齢者の増加、買い物弱者の発生などの課題も顕著となっております。新たなビジョンの策定に当たっては、地域の実態も踏まえたソフト面の施策の方向性も明示していくことが必要であると思います。
そこで、新たなビジョンにおいても、圏央道、先ほどお話もありました都道では多摩の主要五路線の整備推進、また、多摩地域の山手線としての多摩都市モノレールを初めとする交通網など、ハードの整備はもちろんのこと、これからは、生活者の視点を踏まえたソフト施策の方向性をきちんと打ち出していく必要があるかと思います。ご見解をお伺いいたします。
○鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 委員ご指摘のとおり、新たなビジョンの策定に当たりましては、地域の生活者の視点を踏まえた方向性を打ち出していくことが必要でございます。
都はこれまでも、多摩の将来像二〇〇一に基づき、地域の医療体制の強化や校庭の芝生化の促進など、多摩地域の生活環境の向上に向けた取り組みを進めてまいりました。
新たなビジョンにおきましても、多摩地域の実情や今後の課題等に着目しながら、暮らしやすいまちづくりや、地域の安全・安心の確保という視点も踏まえた方向性が必要と考えております。
現在、ビジョンの策定に当たりまして、地域の実情を把握するとともに、地域のさまざまな声を反映するため、市町村や事業者などと幅広く意見交換を進めておりまして、その成果も踏まえながら、ビジョンの方向性の検討を進めてまいります。
○谷村委員 二〇三〇年の将来像や施策の方向性など、ビジョン策定に当たっては、地域の声を反映していくこととあわせて、都庁内各局からの視点や意見、提案を酌み取り、幅広く検討していくことも必要になってくると思います。
そこで、ビジョン策定に当たっては、総務局として各局との連携を十分に図っていただき、都庁の総力を挙げて、すばらしいビジョンとなるよう取り組んでいただきたいと思いますが、笠井総務局長のご見解をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
○笠井総務局長 多摩振興を進めていく上では、委員がおっしゃいましたとおり、総務局だけではできないわけでございまして、各局が一丸となった、むしろ都庁全体が一生懸命取り組んでいくことが不可欠でございます。したがいまして、庁内の連携を十分に図っていくことは大変重要であるというふうに認識しております。
そのため、今回のビジョンの策定に当たりましては、私は、多摩振興のかなめとなるのは総務局だと思っておりますので、総務局が先頭に立って、ソフト、ハードの両面から、これからの多摩の目指すべき姿ですとか、進むべき方向性などについて、全庁横断的に検討を進めてまいりたいと思っております。
○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十八分散会
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