委員長 | 吉倉 正美君 |
副委員長 | 佐藤 由美君 |
副委員長 | 中屋 文孝君 |
理事 | 伊藤こういち君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 大西さとる君 |
栗林のり子君 | |
星 ひろ子君 | |
しのづか元君 | |
服部ゆくお君 | |
田島 和明君 | |
吉原 修君 | |
三宅 茂樹君 | |
馬場 裕子君 | |
和田 宗春君 |
欠席委員 なし
出席説明員青少年・治安対策本部 | 本部長 | 樋口 眞人君 |
総合対策部長 | 中村 長年君 | |
青少年対策担当部長 | 山中 康正君 | |
治安対策担当部長 | 五十嵐 誠君 | |
総務局 | 局長 | 笠井 謙一君 |
危機管理監 | 宮嵜 泰樹君 | |
理事 | 前田 敏宣君 | |
総務部長 | 山手 斉君 | |
訟務担当部長 | 和久井孝太郎君 | |
復興支援対策部長 | 野口 一紀君 | |
復興支援調整担当部長 | 早川 剛生君 | |
行政改革推進部長 | 堤 雅史君 | |
情報システム部長 | 長澤 徹君 | |
首都大学支援部長 | 伊東みどり君 | |
人事部長 | 中嶋 正宏君 | |
労務担当部長 | 内藤 淳君 | |
主席監察員 | 藤森 教悦君 | |
行政部長 | 砥出 欣典君 | |
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 | 鴫原 浩君 | |
区市町村制度担当部長 | 西村 泰信君 | |
総合防災部長 | 村松 明典君 | |
企画調整担当部長 | 箕輪 泰夫君 | |
統計部長 | 高橋 英次君 | |
人権部長 | 並木 勝市君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
総務局関係
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第十一号 東京都犯罪被害者等基本条例
報告事項(質疑)
・平成二十三年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績及び平成二十四年度東京都監理団体経営目標の設定状況について
・平成二十三年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について
青少年・治安対策本部関係
報告事項(質疑)
・東京都自転車対策懇談会の提言について
○吉倉委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○吉倉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査並びに総務局及び青少年・治安対策本部関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより総務局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
議員提出議案第十一号を議題といたします。
本件について提出者の説明を求めます。
○しのづか委員 議員提出議案第十一号、東京都犯罪被害者等基本条例案の提案理由を説明いたします。
犯罪などに巻き込まれた被害者及びその家族は、突然生命を奪われるなど、身体や精神に重大な障害を負わされます。また、精神的ショックや被害者感情への配慮に欠いた言動や対応、捜査や公判などの過程における認識不足の対応といった二次的被害、経済的困窮などに苦しめられ、社会において孤立を余儀なくされてきました。
東京は、三菱重工ビル爆破事件や地下鉄サリン事件といった犯罪被害者支援策が進展することとなった重大事件の発生地であり、性犯罪を初めとした都内の犯罪発生水準や交通事故発生件数も依然として高い状態にあります。
だれもがいつでも犯罪被害者となる可能性があるからこそ、都においても犯罪被害者やその家族の立場に立った適時適切な支援を提供する犯罪被害者などの権利利益の保護を図ることに一層取り組む必要があります。
犯罪被害者などが直面する困難は多岐にわたります。被害直後から日常生活を回復するまでの緊急介入から中長期的な支援を途切れることなく行っていくためには、国や都、都民など区市町村、関係機関、民間支援団体などがおのおの連携協力して支援に取り組むことが重要です。
そこで、私たちは犯罪被害者や当事者団体、民間支援団体、専門家、関係自治体の皆さんから都が行うべき犯罪被害者支援についてのご意見をいただきました。
この条例案には、犯罪被害者などのための施策の基本理念や都や都民などの責務、都が講じるべき施策の基本となる事項を盛り込み、社会全体の連携のもと犯罪被害者などのための施策を総合的かつ計画的に推進することを目指しました。東京都犯罪被害者等基本条例の制定によって、都民に対して犯罪被害者等支援の重要性を周知徹底していくべきと考えています。
以上が提案の趣旨であります。
本委員会において、十分ご審議の上、議員の皆さんのご賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○吉倉委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○中屋委員 それでは、私の方から何点か質問させていただきます。
犯罪の被害者の方に対する支援については、我が党は積極的に進めるべきであると考えております。被害者支援の取り組みは、犯罪被害者等基本法に基づき、国を挙げて施策に取り組んでいる。その基本となる法律の成立過程を改めて振り返ってみたいと思います。
過去、日本の社会においては数々の痛ましい事件が起きてまいりました。にもかかわらず、犯罪被害者支援の問題は長く忘れ去られた問題でありました。犯罪被害者の支援のための活動に精力的に取り組まれてきた全国犯罪被害者の会、またはあすの会とも申しますが、その代表である岡村弁護士さん、この方は、証券会社の顧問弁護士をされておりましたが、株取引の関係で逆恨みをされまして奥様を殺害されるという大変痛ましいご経験をされた方でございます。
この岡村さんが平成十五年、三十九万人もの署名を携え、小泉総理大臣のところに面会に参りまして、支援の必要性を直接訴えかけたことが大きなきっかけとなりまして、事態は大きく前進を遂げることになりました。
自民党が検討のための小委員会を設置いたしまして、多くの被害者の方の意見を聞き、それに対する関係省庁の報告を受けながら法案作成に向けた提言を作成いたしました。その後、公明党さんと法案作成PTを設置いたしまして、民主党との話し合いも十分に行った上で議員立法として衆議院本会議で全会一致で可決をされまして、平成十六年に犯罪被害者等基本法が制定をされたのであります。
東京都においても、犯罪被害者等基本法やこれに基づく国の基本計画のもと、既に二回にわたり犯罪被害者等支援の計画を作成いたしまして、全庁挙げた推進体制を整え、区市町村、民間団体との連携により、総合的かつ計画的に支援の取り組みを進めてきております。
その結果、国や都、そして区市町村及び民間団体といった関係者のさまざまな努力により犯罪被害者支援の取り組みは確実に前進をしてきております。
犯罪被害者支援の取り組みは重要な課題であります。社会全体で取り組むべきであります。そういった意味で、犯罪被害者支援に取り組んでいる弁護士会や全国犯罪被害者ネットワークなどの関係団体や区市町村、被害者の方、また広く都民から意見を聞いた上で実効性ある施策を切れ目なく行うことが重要です。
こうした社会全体で取り組むべき課題に対しては、まず何より国を挙げて一丸となって取り組むべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○佐藤委員 ただいま岡村弁護士の奥様が殺害をされたところから、これまでの日本の犯罪被害者等施策に関しての経緯に基づいて中屋副委員長からお話がありました。まさしくご指摘のとおり、国を挙げて、また日本の社会を挙げてこの犯罪被害者等の施策に対しては取り組んでいくものであるというふうに考えております。
同時に、被害者がこれまで忘れられた存在であり、被害を受けたことによって社会に包まれるべき被害者が社会から孤立をしてきたこと。そのことについて、もっと日本の社会において多くのすべての人がそれを認識して、また行政、国、自治体ともどもそれぞれの立場から、また民間支援団体等の先進的な活動に対して、それを取り入れながら、もっともっと発展をさせていく必要があると考えております。
○中屋委員 社会全体で取り組むべきであることは理解を得られたようです。
国民全体がひとしく救済される制度を構築することは、まさに国の責務であります。特に、犯罪被害に伴う経済的支援については、全国一律の制度として国が責任を持って行うべきものであります。本会議で知事も犯罪被害者の方に全国あまねく経済的支援を行うことは国の責務であると明確に答弁をしております。
加えて、現在国は、平成二十三年三月に策定をいたしました第二次基本計画に基づき、犯罪被害者支援の施策を充実するため、各種制度の拡充について一年から三年の年限を限って検討をしております。
具体的には、犯罪被害者給付制度について検討は平成二十五年度中に結論を出す予定でありますが、先日も法務省から犯罪被害者が裁判に参加する際の交通費、宿泊費の公費負担に関して来年度から実施する方針を固めたとの報道があったばかりであります。
今後、国の犯罪被害者支援の取り組みの拡充について結論が出てくる状況にあり、その結果を踏まえることが妥当であります。したがって、政府に働きかけて早急にこうした支援制度の拡充を実現させることこそ重要なのではないかと思います。
また、国に対して制度の拡充を要望しておるのか。そこを伺いたいと思います。
○佐藤委員 ただいま中屋副委員長から国の方で審議会で審議をされているので、その結論を待った上で都の方の施策をするべきだという点のご指摘がありました。また、本会議での石原都知事の方で経済的支援の羅列になっているという、こういう認識の上で、この経済的な支援については全国あまねく補償をするべきであるので、都単独でする必要はないという知事の発言を受けましてお話もありました。
しかしながら、経済的な支援に関しましてですけれども、石原都知事はこの条例に関して経済的支援の羅列というふうにおっしゃっていましたけれども、ご提案させていただいている基本条例は、経済的支援にかかわらず、まさに国の方の施策でも挙げているように四つの基本方針、また五つの重点課題であります経済的な支援、また精神的、身体的な被害の回復、あるいは手続の部分での関与の拡充、また支援のための体制整備、また国民、都民含めての理解の啓発など、さまざまな角度からの総合的な支援をこの条例では規定をしているところであります。
だからこそ、石原都知事の認識がまず誤っていることを申し上げた上で、この条例の必要性を申し上げたいと思います。
また、第二次基本計画の方を都として策定をしているというお話がありましたけれども、国との関係でいえば、国の方で第二次計画に関して策定をする以前に都の方で策定をしているところであります。国の基本計画を踏まえた上で、では東京都として東京都の持つ特徴、多くの人々が行き来をし、多くの人口を抱える東京に、大都市である東京、また首都である東京に必要な施策がどういうふうなところにあるのかというところを特徴づけた計画をするべきであるというふうに考えます。
また、国の審議会の方で審議をしているということですけれども、そのことに関しては私も承知をしておりますけれども、この推進会議での審議については、これからも不断に時代の変遷とともに当事者が置かれている状況を踏まえて、その施策が前進するようにずっと継続をして会議が開かれるわけであり、この結論を待ってから初めて都が動くというのではなくて、まさしく、いつも都の方の基本姿勢でもありますように、国がやらないところを牽引して自治体として、東京都として引っ張っていく、そして発信をしていく、牽引をしていく、そうした都の姿勢でもってこの犯罪被害者等施策についても進めていく必要があると考えております。
○中屋委員 もう既に都議会民主党がやっているということであれば、なぜその民主党政権にその制度の拡充に向けた検討を加速させないのかということが疑問になります。
まずは国の動きを加速させるということが先決であろうかと思います。その上で、都は地方自治体として必要なサポートをしっかりしていくことが重要です。
東京都は、法律の趣旨を踏まえて犯罪被害者を取り巻く実態やその率直な声を聞きながら作成した第二期の支援計画に基づき取り組みを進めております。具体的には、被害者支援都民センターと共同して総合相談窓口を設置し、他の自治体に先駆けて最新の療法に基づくカウンセリングを実施しているほか、もとの住居に戻れない方へ一時居どころの提供など、きめ細かな支援も実施をしております。
特に、平成二十年に設置した被害者支援都民センターの相談窓口には、昨年度五千件を超える相談が寄せられております。
ちょっと紹介をいたします。
犯人の自己中心的な残虐な行為で息子を失い、人生にも社会にも絶望している中、都民センターのスタッフの方々には献身的な支えをしていただいた。裁判の過程では、私たちを都民センターの方が駅のホームで待っていてくれました。その助けがあったからこそ、最後まで裁判を見届けることができました。今では、センターの存在が何かを信じながら生きていくことの支えとなっています。
もう一つ紹介します。
一人息子がトラックに追突され命を落としました。センターに連絡を入れると、私たちの話にじっと耳を傾けてくれた。安易な慰めや、より悲惨な事例を持ち出さない心遣いがとてもうれしかった。被害者参加制度の中では、いいにくいことや気づかないこともかわって発言をしてくれました。支援してくださった皆さんに心から感謝したい。
被害者にとっては裁判が終結ではない。事件から二年後、センターを知り、多くのスタッフ、支援者、自助グループの仲間とめぐり会い、苦しいのは私一人ではない。たった一度の人生をむだにしてはならないと思えたときから、前を向いて生きていけることができました。
被害者支援都民センターの相談を通じて、多くの感謝の声が寄せられております。このように取り組みが着実に進んでいる中で、現場を混乱させるような条例がなぜ必要なのかということが理解できない。今あえてこの時期に条例を制定することが必要なのか、先ほどの提案説明からは見えてまいりません。
国や都が犯罪被害者支援の取り組みを全く行っていない状況であれば理解できるかもしれませんが、既に着実に取り組みを進めている今、なぜこの時期に条例制度が必要なのか。改めて、その理由を伺いたい。
○佐藤委員 ただいま総合相談窓口として指定をしている被害者支援都民センターの方の事例をもちまして中屋副委員長からお話がありました。
被害者支援都民センターの活動につきましては私の方でも承知をしております。皆さんもお手元にあると思いますけれども、「もう一度会いたい」、この遺族の手記ももう十冊以上を数えているところであります。
被害者支援都民センターは、まさしく早期援助団体として指定を受けて、そして早期の介入から、また中長期の支援を継続している団体であります。また、その被害者が集う自助グループの活動もサポートをしている。そのことも承知をしております。
しかし、この犯罪被害者の施策に関しては、被害者支援都民センターの今の規模だけでは届かない方がたくさんいらっしゃいます。また、性犯罪被害に特化をしてクライシスセンターを立ち上げる団体もあれば、また殺人遺族の会として、先ほどもお話がありました、あすの会、この条例を策定をするに当たって、あすの会の皆様方からもさまざまなお話を聞いてまいりましたし、また、全国の早期援助団体のネットワークであります全国被害者支援ネットワークの方々とも、また法曹関係者、医療関係者とも、さまざまな意見交換をして、この条例案を提出しているところであります。
現場を混乱させるというご指摘がありましたけれども、決して現場を混乱させるものではありません。さまざまな多くの民間支援団体が事務的な経費もない中で、この被害者の支援を行っているということ。これはまさしく公的な施策として位置づけなければならないところを手持ちの弁当でやっている、そうした団体の活動をバックアップして、なお一層、この被害者支援の活動を展開させていくためにも、この条例は必要であります。
また、計画の第二次計画に関しても、お話がありましたけれども、この東京都の第二次計画についてのアンケートは、回答数が百七十四件と大変少なく、またこのアンケートが実施されている時期につきましては、犯罪被害者等基本法施行以前に被害に遭っている方に対してのアンケートでありまして、第一次基本計画において何が足らないとか、そうした立ち返りを踏まえた上での第二次基本計画になっておりません。時代の変遷とともに必要な基本計画を策定して、目標数、また目標の期間に向けての施策をどんどん進めて積み重ねていく必要がある中で、その取り組みが行われていない。そうした意味でも、条例をもって犯罪被害者等の施策が必要だという基本条例を制定した上で、行政として、また社会の民間支援団体の活動に関して施策を展開していくことが必要であると考えます。
まさしく今なぜ条例が必要なのかということに関しては、なぜこれまで条例がなかったのか。平成十六年に基本法が制定をされて、今まさに八年がたつ中で、どこまでその支援が被害を受けた方々に届いているのかというところに立ち戻ったときに足らないところがあると考えるからこそであります。
これまで準備を進めてまいって、そして今になって、むしろ遅かった、そうした思いを持っております。
○中屋委員 犯罪被害者支援の必要性について伺っているんではないんです。犯罪被害者支援の取り組みは積極的に進めていくべきであることに異論は全くないんです。今条例を制定することは、まさに屋上屋を架すものであって、現場での着実な取り組みを混乱させるばかりではないかと思います。あえて条例を制定する説明として理解することはできません。
今は、支援計画に基づき着実に取り組みを実施することが何よりも重要であろうと思います。今回提案されたこの条例案には、経済的支援に関するものが場当たり的に提案をされております。経済的支援は、他の社会保障制度との整合性が当然に求められると思います。だからこそ、国の制度の拡充検討を見きわめなければ、効果的な施策にならない。
さらには、現時点で都において経済的給付に関して独自の規定を定めることになれば、都と国の制度の整合性を図る必要があります。そもそも制度を比較し、整合性を検討しようにも、民主党からは具体的な制度設計が示されておりません。この条例が具体的にどのような政策を求めているのか。また、予算規模もわからない。
仮に、この条例が成立した場合には、執行機関が施行規則を定めることになります。政策立案機能の発揮として条例提案するのであれば、実施に必要なさまざまな点も詰めて、せめて施行規則の概要もあわせて示すくらいの姿勢が必要ではないのか。これでは具体的な施策の内容は執行機関に丸投げといわれても仕方がないと考えますけれども、その辺見解を伺います。
○佐藤委員 都は、支援計画の遂行にとどまることなく、犯罪被害者等のための施策の基本理念や都や都民等の責務、都が講じるべき施策等を定めた支援の方針を明確にこの条例で位置づけることによって社会全体の連携のもと犯罪被害者等のための施策を総合的、計画的に推進することを目指したものであります。
なお、都道府県におきましては、宮城県や神奈川県、岡山県などにおいて犯罪被害者等支援に特化した条例が制定されていることを申し添えておきたいと思います。
○中屋委員 いずれにしても、現時点で制度設計上当然必要となる施行規則の骨子さえも示されていないんです。思いばかりが先行し、実態が伴っていないといわざるを得ません。制度の詳細が明らかでなく、何でもかんでも経済的に支援すればいいというのでは、新たなばらまき施策を条例化したと評価せざるを得ません。
これでは、これまでの質疑で明らかになったように、そもそも今なぜ条例が必要なのかの説明が不十分であります。第一義的に責任を持つ国において、経済的支援策の検討が進んでいる現在、その動向を見据えるべきであり、その上で議論をするべきはずの会派間の調整も不十分です。
議会意思の表明である意見書も全会一致による意思決定を原則にしております。いわんや、議員提案条例については十分な協議が必要でありまして、とりわけ財政支出を伴う条例は、執行機関側とも十分協議をいたしまして、全会一致で提案するのが筋であります。しかし、民主党にはそれに向けた努力は全く見られませんでした。
何度もいいますけれども、犯罪被害を受けた方々への支援は、社会全体で行うべきであります。だからこそ、我が党は基本法制定の際に、きちんと議論を積み重ねて、他党とも十分調整の上、法案を提出したのであります。
そうした中で、民主党提案の条例案は、経済的支援策が羅列されているのみで、具体的な内容は執行機関に丸投げ、しかも、ばらまき的であって東京の犯罪者支援の取り組みに何の意義ももたらせないものであり、内容的にも極めて大きな問題があります。我が党としては賛成することはできません。
これまで条例の問題点を指摘してきましたけれども、到底納得できる答弁はもらえませんでした。内容の問題点、そして議員提出条例という都議会における重みをしっかりとかんがみて、本条例案を撤回すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
○佐藤委員 中屋副委員長におかれましては、条文を最初から最後までお目通しをいただいたんでしょうか。どういうところが経済的なばらまきという条例になっているのかを逆にお聞きしたいというふうに思います。
総合的な支援体制の拡充やさまざまな窓口との連携、また人材の育成、そして精神的混乱に陥っている被害者、またその雇用がなくなるといったそうした被害者が直面をする困難に基づいて、そのニーズに基づいた施策が進められるよう、この条例については総合的に基本条例として提案をさせていただいているところでございます。
私ども都議会民主党においては、この十八期において、一年を経過したときから、この我々が都議会に送っていただいて、それから一年を経過してこれまでの間、あすの会の方々、あるいは被害者支援都民センターの方、あるいは自治体の関係者、被害当事者、あすの会の方々は申し上げましたけれども、さまざまな方々と意見交換をし、今まさに置かれている施策の課題などについてお話を伺いながら、この条例案をまとめてまいったものでございます。--(七十九字削除)--
中屋副委員長がまさしく一緒に、まさにこの被害者支援が必要だとおっしゃるのであれば、ぜひともこの条例の提案、共同提案にしていただければよかったかなというふうに思いますし、一緒に努力をしていただければと心から願うものでございます。
○中屋委員 最後にしますけど、余りにも答弁が感情的過ぎて、私の質問に全く何も答えておりませんけれども、犯罪被害者の方の支援を充実させていくという方向は、どの会派も同じであると思っておりました。が、この間の条例提案の経緯を振り返りますと、民主党さんには社会全体で取り組むという姿勢も議員提案条例の意義に対する認識も感じられません。大変遺憾でありますが、やはりこれは国に任すという、そういう姿勢が私は必要であるというふうに思います。もう一度お考えをきちっとまとめていただければ、私としても大変ありがたいというふうに思います。
以上で質問を終わります。
○伊藤委員 今、中屋副委員長、また佐藤副委員長の答弁、やりとりを聞かせていただいて、なぜ、このときに都の条例なのか。その辺のところも、私もよく今の答弁ではわからなかったところもありますので、繰り返しの質問になることもあるとは思いますけれども、お願いしたいと思います。
犯罪は、いつどこでだれに対して発生するかわからないこの社会の中で、都民、国民の一人一人が犯罪被害について我がこととして真剣にとらえなければならないということは、私も思いは同じであります。そして、何より人として絶対に許すことのできない犯罪の被害に遭った方、そしてご家族、またご遺族の方々は、その犯罪によって命を奪われる、家族を失う、傷害を負わされる、財産を奪われるなどの直接的な被害にとどまらずに、心身の不調や、また精神的な後遺症、生活の立て直しなどに苦しめられている、こういう現状があるということは、よく認識をしているところでございます。
だからゆえに、国と地方自治体、そして都民と国民がしっかりと連携をして社会全体でこうした方々を支えていかなければならない。この思いも同じでございます。
民主党提案の条例案について、私からは条例案の第一章の総則について、何点か質問をさせていただいてまいります。
まず条例の根幹は、これはいつも申し上げさせていただくことでありますけれども、条例の根幹は目的にある、私はこのように思います。その目的の第一条には、東京都及び都民等の責務を明らかにするとありますけれども、まず初めに、この都民の責務というのはどういうことを考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○吉倉委員長 答弁者に申し上げます。
答弁に当たりましては、質問内容を踏まえていただいて、的確、簡潔に答弁いただきますようによろしくお願いいたします。
それでは発言願います。
○佐藤委員 犯罪被害者は、事件発生後、事件による直接の被害のみならず、対応する関係者、メディア、周囲の人々及び社会全体からのさまざまな二次的な被害を受けています。捜査機関や司法関係者を初めとした方々からの心ない発言であったり、メディアの報道、周囲の方からの好奇の目にさらされること、そうした被害を受けている状況があります。
また、入院や裁判の公判への出廷であったり、精神的なショックから勤務が休みがちになるなど、日常生活を回復するに至るまでには、さまざまに時間がかかるところでございます。そうした犯罪被害者の置かれている状況を認識する。そのことに都民等が理解を持つ、そうしたところに責務、努力義務を規定したものでございます。
○伊藤委員 私が聞きたかったこととちょっとずれておりますけれども、次に進みたいと思います。
条例案の第十九条には、都民の理解の増進ということで記載をされておりますけれども、この都民の責務、今お聞きした都民の責務と、この都民等の理解の増進、これはどういう関係になりますか。
○佐藤委員 四条にいう都の責務につきましては、(発言する者あり)四条の責務と理解の増進との関係をお尋ねいただいたのではないかと思いますけれども、都の責務において一般的なところを規定し、十九条におきまして、その責務が果たされるよう都民の理解が増進されるよう施策を規定したのが十九条でございます。
犯罪被害者等が近隣住民などの言動や報道機関の過剰な取材、報道などによる二次的被害に苦しめられることがないよう、教育活動、広報活動、啓発活動などを通じて、被害者が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉、また生活の平穏への配慮の重要性などについて都民等の理解を深める施策として規定をしたところでございます。
○伊藤委員 かなり聞きたいことと答弁がずれておりますけれども、私が申し上げたいのは、目的にある都民の責務という言葉というのは非常に重いことだと思います。この都民に責務、これをいうのであれば、この責務とは何なのかということをきちんと私は示さなければいけない、このように思います。
先ほど第十九条の話をしましたけれども、十九条においては、都が犯罪被害者等の名誉や生活の平穏への配慮の重要性について都民等の理解を深めるよう必要な施策を講ずるもの。都がやるべきことはわかります、これで。しかし、都民が負うべき責務というのがいま一つ、この目的からは読み取れない感があります。
続けて、この条例案第五条には、都民の責務の中身が書かれているわけでありますけれども、都民は、犯罪被害者等を孤立させないよう努めなければならないと書いてありますけれども、これはどういうことを意味しているのか、指しているのか、聞きたいと思います。
○佐藤委員 先ほど申し上げましたとおり、犯罪被害者は事件発生後、事件による直接の被害のみならず、対応する関係者、周囲の人々、メディア等から好奇な目、心ない対応をされてきたところがございます。そのために、犯罪被害者は家の中にこもり、社会から隔絶をして生活せざるを得ない状況があります。
そうした中で社会に包まれるべき被害者が孤立をしてきた、忘れられてきた存在となってきたことは、これまでの経緯でも明らかかと思います。そうしたことのないように、社会で被害者を包むべき、そのことを明記したものでございます。
○伊藤委員 確かに、犯罪の被害に遭った方、また家族、ご遺族、こうした方々が孤立をして、そしてさまようようなことがあってはいけない。これは私も確かにそう思います。
一方、国の基本法も読んでみました。ここには国民の責務等々が書いてございますけれども、この国の基本法にも孤立させないよう努めなければならないという条文は載っておりませんでした。
ここで私が申し上げたいのは、これは犯罪被害者側から見ればでありますけれども、確かに孤立があってはなりませんけれども、一方で犯罪被害者であることを知られたくない場合もあります。また、知っていても触れてほしくない場合等もあると思います。
私は、条例で孤立させないよう努めなければならないという、こういう条文を載せてしまうことで、規定してしまうことで、かえって拡大解釈によって、この犯罪被害者等の方々が二次被害につながってしまうようなおそれもあるのではないかと思いますけど、その辺の危惧についてどう思いますか。
○佐藤委員 犯罪被害者がさらしものにならないようにするために、だからこそ、犯罪被害者等が置かれている心身的な状況について理解を深めることが重要であるというふうに考えます。
その理解の上で、まさに隣人である者が根掘り葉掘りを聞くことではなくて、まさしく自分を責めてしまいがちなその被害者を、あなたがやっていること、あなたが感じていることを受け入れるところから、ともにその回復に歩んでいける、そうした社会が築いていけるものだと考えております。
○伊藤委員 先ほど申し上げたように、この犯罪被害者等基本法、国の基本法にはこの孤立という言葉は前文の中に触れられているだけで、この条文の中には、それを国民の責務の中に書くようなことにはなっていないわけです。その辺のところも十分踏まえた上での条例案にすべきだった。私はこのように思うものであります。
次に、条例の根幹は目的という話もしました。もう一つは、この条例の根幹である定義について何点か質問したいと思います。
第二条の一項には、犯罪等の定義が書いてありますが、犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為とするとありますけれども、これはどういう犯罪を指しているのか。これに準ずるものとはどういうものなのか、これを伺いたいと思います。
○佐藤委員 犯罪等というのは、刑法その他我が国の刑罰法令に触れる行為を意味します。加害者が責任能力がない場合であったとしても、加害行為が犯罪の構成要件に該当する場合は犯罪に含まれます。
また、犯罪に準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為もいいます。警告の対象になるようなつきまとい、身体に対する暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動、あるいは児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食も含まれます。
○伊藤委員 今ご答弁いただいた犯罪等の中身でありますけれども、根拠は何からそのようにご答弁いただいたんでしょうか。
○吉倉委員長 答弁を願います。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○吉倉委員長 速記を始めてください。
○佐藤委員 根拠は、犯罪被害者等基本法に基づく解釈でございます。
○伊藤委員 私が持っている資料にもその辺の犯罪等の定義、これは資料として持っておりますけれども、基本的に国が定めた基本法の中の、これはどういう定義かということを内閣府が示した解釈ということで私は理解をしております。
これを今回民主党提案の都の条例の案では、犯罪等の定義が国の基本法の丸写しでございますので、もう少しこの定義をきちんとうたってもらえるならば、さらにブレークダウンをした提案なんだなということが理解はできるわけですけれども、今根拠を聞きましたけれども、この根拠も基本法から来てますよ。また、国の支援計画から来てますよ。内閣府の解釈から来てますよということであるならば、あえて、ここでこの条例を出す必要があるのかなというふうに私は思うものでございます。
また一方では、この犯罪等の定義について限りなく広範に及ぼしてしまうのであれば、これは解釈によって非常に不公平な条例となるわけでありますので、かえって混乱を生じさせてしまう。このような危惧もあるわけであります。
では、続きまして、第二条の二項には犯罪被害者等とありますけれども、この犯罪被害者等とは、どういうことを指しているのか伺いたいと思います。
○佐藤委員 犯罪被害者等は、二条の二項に定義をしておりますように、犯罪等により害をこうむった者及びその家族または遺族をいいます。
○伊藤委員 私は、この第二条の二項を見て率直に思いましたけれども、実際にこの犯罪被害に遭われている方々の中に、公明党にも相談を寄せていただいている方の中に、法律上婚姻関係でない、こういう方もいます。また法律上、親子の関係でない、だけれども、実質、その一家の大黒柱を失ったりとか、そういうこともあるわけでございまして、こういう方々は含まれないのかどうかです。
ちょっと時間がないので、そのまま続けて聞きますけれども、この犯罪被害者等、この対象も非常にあいまいであります。これは、都民を指しているのか、あるいは国民を指しているのか、あるいは外国人も含まれて指しているのか。その辺のところは、いかがお考えでしょうか。
○佐藤委員 まず一点目につきましては、婚姻関係等を含めまして法的な形式的にとらえるものではなくて、実質的に家族として関係があった者については含めると考えております。
二点目につきましては、都内で犯罪が発生したときのその被害者、また都外で犯罪が発生したとしても、その被害者が都民である場合を含めております。
○伊藤委員 それでは、先ほどと同じですが、今のご答弁いただいたその根拠はどこから来ていますか。
○佐藤委員 範囲につきましては、属地主義に基づいて、現地で、この東京都内で起きた犯罪の被害を対象としているものでございますし、また都民については、その都民の行動した先での被害も含めるというふうに考えたものでございます。(「根拠を聞いたんだけど」と呼ぶ者あり)根拠は属地主義に基づいて、現在さまざまな施策が動いているからでございます。
○伊藤委員 今の根拠の質問ですが、もう一度伺います。
先ほど答弁いただいた犯罪被害者等、これはどういう方を対象としていますか。その解釈は、どこを根拠にしていっておりますかということを伺っているんです。
○佐藤委員 犯罪被害者等のことに関しましては、基本法に基づいております。
○伊藤委員 今聞きましたこの対象となる方々についても基本法の中で、きちんとこれがいわれておる。また、支援計画の中でそれをさらにブレークダウンをされている。また、先ほど申し上げたとおり、内閣府で示した解釈、これも示されている。また、さらにそれを、東京都として、この支援計画の中で都としてそれをどうとらえるのかというところまで、都の支援計画の中には書いてあるわけであります。
私が申し上げたいのは、つまり、国の基本法、また支援計画、また都の支援計画、この中にも国民、また国、また都としての責務がしっかりと記されております。また、対象も明確にここに記されているわけであります。ですので、あえてここで、この都の条例をうたって、そしてまた申しわけないけど、かえってこれをあいまいにしてしまうようなことがあってはならない、私はこのように思います。
先ほども中屋副委員長の質疑の中でもありました。今国は、この給付等を具体的に検討をしているわけであります。この具体化を踏まえて、そして、また都の支援計画に足らざるところがあるのであれば、給付等も踏まえて、新たな支援計画をまた都が作成をしていくときに当たって、この支援計画をしっかりと充実をさせていく。私は、こっちの方が犯罪被害者の支援として実効性のあるものとなるというふうに思いますけど、いかがでしょうか。
○佐藤委員 基本法におきましても、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定をして実施をしていく責務を有するとしているところでございます。
また、繰り返しになりますけれども、他県においても犯罪被害者等支援に特化した条例が制定をされているところでございます。
○伊藤委員 先ほどから他県においてもという話が何度も出てまいりました。じゃあ、その他県においては、こういう支援計画、具体的な支援がどの程度進んでいるのか。都よりも進んでいる、またそれに加えて条例もある、そういう状況なのかどうか。また、これは改めて、その辺のお話も伺えれば、このように思うものでございます。
私が最後にお聞きをしたいのは、先ほども中屋副委員長の話の中でございました平成十六年に、この犯罪被害者の方々を何としても救わなければいけない。こうした思いから超党派で衆議院において全会一致で可決をされ、この法律が成立をした。そして、今の、まだまだ足らざるところはあるかもしれませんけれども、これが推進をしてきている状況でございます。
今このときに、なぜ都議会民主党がこの条例案を、なぜこのときに出さなければいけないのか。そのとき、また必要性、そしてまたもう一点は、今政府は民主党政権でございますから、都議会民主党として政府民主党にこの条例の制定について何か働きかけを行ってきたのかどうか。個別な話ではないです。都議会民主党として、これをやってきたのかどうか、その辺も二つお聞きをして質問を終わりたいと思います。
○佐藤委員 例えば、神奈川県の方では、かながわ犯罪被害者サポートステーションを開設して、犯罪被害者などからの相談を受けた際に、県、県警、被害者支援センターの三者による支援調整会議を行って、被害者のニーズにこたえる支援を連携して決めているところでございます。また、センターを通じて犯罪被害者等に対して日常生活支援も行っているところでございます。
神奈川県犯罪被害者等支援条例の十三条で、この日常生活への支援を規定しているところでございます。
○伊藤委員 今の必要性と国に対して、都議会民主党として働きかけはどういうふうにやったんですかという質問は。
○吉倉委員長 質問内容を踏まえて答弁をお願いいたします。
○大西委員 済みません、ちょっとピンチヒッターで入らせていただきますが、まず先ほど先生いわれた政令都市では宮城や山形、神奈川、京都、岡山県と岡山市でこの支援に特化した条例が制定していることをまず述べさせていただきます。
そして、なぜ今必要かということでございますが、先ほど中屋先生もおっしゃられましたが、今五千件の相談がある。それだけたくさんのニーズがあるわけです。
それで、一方でこの東京という大都市の特有な傾向がほかよりもあると。やはり地域的な特性、たくさん人口密度が多い、また、その中での犯罪の凶悪、ストーカーとか精神的なものから肉体に及ぶまで、いろんなものが混在する、いろんなその特徴の中で、今はまだ遅きに失したぐらいの気持ちで、私たちは出させていただきました。
中屋先生も伊藤先生もおっしゃられましたけど、まだまだ不十分だ。確かに不十分かもしれません。だからこそ、一緒になって共同でこれからも、あんた、ここがおかしいよとおっしゃっていただいて、それをどんどんどんどん掘り下げていく、そのための僕らは起爆剤として今回出させていただきました。
そして、今国との関係を最後に聞かれましたけど、まずここで我々がその方針を出して方向性を示す。その中で国との協議は当然私たちも責任持ってさせていただきたい、そのように考えているところでございます。(発言する者あり)民主党として--(発言する者あり)いや、その一つの方針をみんなで、東京都の中で決める。これがやっぱり我々は必要だと感じているところでございます。
○伊藤委員 最後に意見として述べたいと思いますけれども、質疑をやらせていただく中で、申しわけないけれども、なぜ今なのか、なぜ都の条例なのか、これが理解が深まる質疑とならなかったのは残念に思います。
私は、今回提出された民主党提案のこの条例案については、非常に形式的な形骸的な内容である。私は、本当にこの犯罪被害者の方々、この方々への支援を推進をするのであれば、多くの方々が暮らす首都東京ですから、具体的に支援を進めるために都の支援計画、これをさらにさらに充実をさせていきながら進めていくべきだ。このことを意見として申し上げて終わります。
○吉田委員 それでは、私からも民主党提出の東京都犯罪被害者等基本条例について、主に基本点について質疑をさせていただきたいと思います。
犯罪による犠牲となって心身に大きな被害を受けた方々の苦しみは、我々の想像を超えるものだと思います。そして、被害を受け、苦しむ方々に対して、生活から雇用、医療にわたる総合的な支援策を強化していくことは、先ほどからも議論がありますけれども、当然重要な課題だと認識しています。
二〇〇四年、議員立法によって成立した犯罪被害者等基本法の質疑の中でも、我が党は諸外国から見ても対策はおくれており、基本法は一歩前進であると評価するとともに、真に実効性ある対策がとられるよう財政措置の強化などを求めたところであります。
先ほどから質疑がありますが、もちろん、犯罪被害者等に対する生活支援も含めた手だては、一義的に国に責任があると思います。ただ、我々は、同時に必要な点について東京都が独自に条例制定も含めて支援策をとるということは決して否定されてはならないことだと思います。
ただ、先ほどからの議論を見ても大切だと思うことは、今条例としてこれを提出すること、また、条例に示された具体的な施策が真に関係者のコンセンサスを得たものとなっているのかということが我々議会の中で共通認識になり得るかどうかということが前提として大事だと思います。
もう一つは、一般的に国の施策では不十分であり、ニーズが高いから支援策が必要だというレベルではなく、いわば法律でいえば、立法事実に当たる、現状では、これだけまだまだ大きな格差、不十分な点が非常に広範に存在している。したがって、それを埋めるための条例や具体的な施策によることを東京都が実施する必要があるという、いわば立法事実が一つ一つの提案されている内容について明確にされるということが、やはり議会としては質疑を進めていく上での大前提だと思います。これは一般論だけで議論を進めることは適切ではないと思います。
そういう意味から若干質疑をいたしますけれども、その第一である被害者団体、あるいは支援団体、また関係者、さらに直接かかわっていないにしても都民の方々のコンセンサスがこの条例案の中ではとられているのかということは、まず出発点として非常に大事な点だと思います。もちろん、先ほどから話がありました。会派としては、さまざまな方々から意見を求めたことは承知ですけれども、この点が本当に広く都民や関係者のコンセンサスを得たものだというふうにいえるのかどうか。具体的なご答弁をお願いいたします。
○佐藤委員 繰り返しになりますけれども、私どもは犯罪被害の当事者、また支援団体、長年に支援を続けてきた関係者の方々、法律専門家、医療関係者、さまざまな方から都が行うべき犯罪被害者支援についてのご意見をいただいて取りまとめたものでございます。
立法事実につきましては、まさしくそこを明確にして必要な施策が進められるべきであると私もそのように思います。
例えば、居住の安定につきましては、都市整備委員会におきましても、私は都営住宅の活用などについて質疑をしてまいりましたけれども、例えば自宅が現場になって、そこに即日住めない、そうした方、自宅が住めない、そうした方々に対しての都営住宅の開放についても指摘をしてまいりましたけれども、議会と執行部のこの都議会だけでは、なかなか進まない施策も条例を制定することによって確実に被害者に必要な施策、ニーズにこたえる施策を進める根拠になるものであるというふうに考えております。
○吉田委員 もちろん、提案に当たってさまざまな方々の意見を聞く努力はされたことは十分わかる話です。しかし、問題は我々はこうやって議論をするときに、ここに盛り込まれている具体的な施策が真に関係団体の方々の共通の要求なのかということを我々は確認をすることができないわけです。もし、行政の側がこうした条例を提出するとしたら、その前に、その前提となる実態調査、要望の調査が行われるでしょう。そして、条例の骨子が示されてパブリックコメントがとられるでしょう。そういうものを我々は見た上で、この提出された条例案が確かに妥当か否かという判断をするわけです。
しかし、今の説明は、自分たちは努力をしてきたよということは、それはわかりますけれども、こうやって議会としてその是非を質疑しようとしたときに、それを確認することができません。もちろん、個々の会派は個々の会派として努力はされているでしょう。ですから、私は本当にこうした方向が関係者や都民のコンセンサスか否かということならば、例えば、この条例案の成立を急ぐのではなく、それは提案者としてのご意向ですけれども、こうした総務委員会の中で関係者を呼んで参考人質疑をした上で、その是非を検討するという方法だって、私は提案されてよかったのではないかと思うんですが、そうした点はどうでしょうか。
○佐藤委員 議会として参考人質疑を公式として実施をして聴取をするべきという考え、これにつきましては、まさしく拒むものではございません。
○吉田委員 いろんな意見の違いはありますけれども、私もやっぱりできれば政党として、会派としての政策判断はあると思います。私どもも条例提案してきたときにいろんな意見を受けましたけれども、事柄の性格からすれば、拙速ではなく、議会としてやはり納得できるような努力があるべき課題ではないかなというふうに思いますし、先ほど立法事実は示してきたというお話ありましたけれども、率直にいわせていただければ、条例提案の趣旨説明を含めて、あるいは私に至るまでの質疑を通しても極めて話が抽象的で具体的な立法事実の必然性の提案というのはなかったというふうにいわざるを得ません。
次に、基本的な点でさらに質問させていただきますが、これ、基本条例という名称になっていますよね。基本条例とはそもそも何なのか。個別条例と何が違うのかということについて、どういうふうに定式化されているかについて私も十分認識をしているわけではありません。ただ、基本条例というふうに位置づいていながら、条例の中身は、かなり経済的な給付にしても、民間住宅の家賃補助にしても、交通費等の支援などにしても、相当具体的な中身が示されていると。単に基本方向を示しているものではないというふうに条例を見て受けとめました。
本来ならば、そういう点では基本条例というふうに位置づけてはいますけれども、事の重大性や影響の広がりからすれば、個別条例で具体的に定めると、とりわけ給付的な課題についてはいうべきでないと、極めてあいまいなものを残すというふうに思いますが、もちろん提出に当たって、そうした法務的検討はされたんでしょうけれども、その点はどのような検討をした上で、こういう条例提案になったのかをお聞かせください。
○佐藤委員 基本的に基本条例として提案をしておりますけれども、具体的に施策策定、実施などにつきましては、この条例案にありますように施策推進会議でのご検討が必要になってくるかとは思います。
しかしながら、こちらで提案するに当たっては、こうした施策が必要であるということについては、先ほど来事実がどうなっているのかという個別の事実、被害者が置かれているニーズを踏まえて、施策については念頭に置いているものはございます。
また、例えば、給付に関しましては、ほかの県でもそうですけれども、まず基本条例の方で支給をするとして、また別条例として対象、あるいは給付額について定めている例がございますので、そうした定め方もあるかと思います。
--(七十四字削除)--
○吉田委員 基本方向を示して、あとは具体についてはというお話ですけれども、基本条例の中で、かなり具体的な、どのような施策をするかということが明示をされているわけですよね、その経済支援の方向性を示しただけではなく。それだったら、しかも、こうした経済的給付事業というものは非常に広く影響を及ぼすものです。
したがって、私はすべてを詳細にわたって条例化せよとはいいません。しかし、かなめをなす問題については、私はやっぱり条例の中で盛り込む必要がありますし、こうして質疑をするに当たっても、先ほどから質疑がありましたが、一体どの程度のことをするのかということをあいまいにしたままで是非を問うといわれても、態度表明が非常に困難だという問題とも連動してきます。
細かいこと一つ一つは聞きませんが、代表例として、この第十一条、経済的負担の軽減で、生活資金の給付等必要な施策を講ずるということについてお聞きいたしますが、先ほどからありましたまず対象要件です。どういう方々を対象とするのか。そして、その給付額の設定に当たっては、現在の国の給付金との整合性をどう図るか、あるいはその給付対象者の収入や所得というものを考慮するのか、それとも機械的一律支給なのか。さらに、その給付期間というものを一体いつまで給付をするのか、生涯給付をするのか。さらに、そうした給付手続というものは、どこでもって執行されるのか。そして、皆さん方が想定した給付対象の場合には、一体何人ぐらいが想定されるのかということは少なくとも示していただきたいと思いますし、そのすべてを条例に書き込むべきだとはいいませんけれども、それなしには、こうした場で具体的な質疑を深めることは困難ではないかなと思うんですが、答えられる範囲で結構ですから、お願いいたします。
○佐藤委員 今のご質問につきましては、私どもが想定をしてきたのは、犯給法につきましては支給まで大変長期間がかかるという実態があるということを踏まえまして、しかしながら、転居が必要になったりする方々が多くあります。また、仕事ができなくなって減収になる方があります。そうした方々のまさに当座の資金を支給する必要がある、つなぎの資金が必要だということにつきましては、現場の方々からのお話の中で浮き彫りになりました。だからこそ、この部分につきまして穴埋めをすることを考えております。
また、何人ぐらいかという規模につきましては、例えば性犯罪被害の方であれば、安全確保のために転居も必要になってまいりますので、千四百人、また千五百人、それに殺人の現場になった方などが想定されるのではないかと考えております。
○吉田委員 私は、条例にすべて書き込む必要があるというところまでいい切ってはいないんですが、少なくとも、今いった対象要件、給付額、給付期間等、皆さんの案としてはこうであるということが示されるのがこうした場で質疑をしていく上で前提ではないでしょうか。
しかも、今のご説明だと、経済的負担の軽減のところは何か当座の穴埋めであるというふうなご説明がありましたが、少なくとも、この十一条の文言からすれば、そういう当座の穴埋め的な経済給付だというふうには読み取ることはできません。もっと生活資金を一定期間、恒常的に給付をするのかというふうに私は読み取ってしまいます。
そのことを一つとってみても、こうした条例の制定については、より正確さが必要ではないのかなというふうに思います。
今の話と関連するんですけれども、結局、対象給付額、給付期間などの基本を私は条で定めるべきだと思いますけれども、それが条例の中にありませんから、そうすると、議会の意思とは無関係というといい過ぎかもしれませんけれども、結局、ある程度執行機関にゆだねられるということになるわけですよね。その点はどのようにお考えでしょうか。
○佐藤委員 委員ご指摘のとおり、条例と規則に関しましては同じような認識を持っております。ただ、細かいところにつきましては、推進会議でもまれるものと考えております。
○吉田委員 次に、私はこれが一たび東京都の条例になったということを想定して考える必要があると思うんですけれども、もちろん、さまざまな本人の意思や努力と無関係に生活が困難になるという方々は、いろんな分野でいらっしゃいます。そうした方々に対する一つの施策として、この場合には十一条で生活資金の給付ということが示されています。そうしますと、当然、それだったら犯罪被害者等の方々だけではなく、他の分野についても同じ都民として生活資金の給付を求めるということは当然起きてくると思いますし、行政としては、施策の公平性という観点から、それに応ずることが当然求められると思います。
ただ、これは行政側に求められることですから、皆さんがやりますというふうにこたえる立場ではありませんけれども、少なくとも私は会派としては、当然他の分野であったとしても一定の理由をもって生活困窮になった場合には、単に生活保護という制度だけではなく、東京都独自にこうした生活資金の給付や、あるいは家賃助成という施策も当然会派としては統一的な対応をとるというふうに理解してよろしいのかどうかということも、この機会にお聞かせください。
○佐藤委員 生活困窮に置かれている方々の実態についての施策に関しては、私もいろいろ思うところはございます。ただ、今回につきましては、犯罪、自分の意思とはかかわらずに、この被害を受けた方の置かれている状況に対して、どのような施策が必要かという観点から、この基本条例案は提出をしております。
○吉田委員 もちろん、そういうこともあるかもしれませんけれども、私は政党、会派として、こういう施策をもって都民に対する対応をするということになれば、これはあくまでも犯罪被害者等だけですよということはとるべきではないし、それは都民との関係で説明がつかなくなると思うんです。
こういうことを提案するんだったら、ほかの分野であったとしても、当然会派としての態度が問われるのではないかなと。もちろん、これは会派の判断の問題ですから、私が是非の結論を示すことはできませんけれども、私はそこまでの自覚と責任を持って、提出する限りにおいては出すべきだというのが本来の立場ではないかなということを思います。
時間がちょっと来てますけれども、もう一つ、東京都の責務と都民の責務という規定があって区市町村については特段の定めはありません。ただ、施策全体を進める上で区市町村との連携という文言がたしかあったかと思うんですけれども、それで、やはり相当広範囲な対象の方々に対する施策ということになれば、東京都だけですべてを実務的に担うのかという問題があると思うんです。そのときに、もし区市町村の協力を得るということになれば、当然それに基づく必要な手続等の規定がないと、果たしてこれだけで執行できるのかという若干の疑問ですね。絶対できないとはもちろんいい切れないと思うんですが、そういう点については、どのような判断をされたのでしょうか。
○佐藤委員 区市町村との連携につきましては、都としては区市町村の事業が立ち上がるように、その研修を実施することなどを盛り込んでいるところでございます。ただ、市区町村に窓口の設置を求めろ、まとめろといっても事業は立ち上がらないものでございます。最終的には組織は人で動くからだと考えます。
だからこそ、被害者支援都民センターに協力を得て、区市町村の実務担当者が何カ月か研修をして、そうした職員がもとの区市町に戻って、犯罪被害者支援に必要な事業、また施策を立ち上げられるようにという提言をして今動いているとは思いますけれども、そうした東京都と区市町の関係がつくれると考えております。
○吉田委員 最後に意見を述べさせていただきます。
これは他の会派の皆さんも強調され、私どもも当然犯罪被害に遭われた方々に対する対策というのは決して十分なものではありませんし、強化をしていかなければならないと。私どもはそのために、国は一義的責任を果たさなければならないと同時に、東京都としての独自の対策というのはあり得ることだし、それを条例で定めて、さらに責任を持って進めていきたいという点でもあり得ることだと思います。
しかし、事柄の性格からすれば拙速に走るのではなく、関係者や関係団体、さらに広く都民からもやはり合意と納得が得られるという努力があるべきだと思いますし、また、議会の意思も大いに反映された形で、適切な形で実を結ぶということが必要ではないのかなと。
そういう立場から、提出者として先ほど参考人質疑は妥当であるというお話ありましたけれども、ぜひご検討していただけないものかという意見を述べまして、私の質問を終わります。
○星委員 それでは、質問をさせていただきます。
犯罪被害者は一たん被害に遭うと、身体的、精神的苦痛を受け、さらに経済的負担や回復まで長期にわたって被害者やその家族を苦しめます。生活者ネットワークは、これまで都における総合相談で最も数の多い性犯罪被害者支援について再三質問を行ってきました。
直近の資料では、二十三年度も五千六十件の相談のうち、性的被害が二千二百二十三件と半数近くを占めています。特に、性犯罪被害者は、自分の落ち度を責め、思い出すだけでもパニック状態に陥るほどの心に深い傷を持つため、通報をためらい、被害届を出すまで至らないケースが多く、この件数は相談窓口にたどり着いた方々をあらわす数字であり、氷山の一角であるといわれています。
若い女性や子どもたちに望まない妊娠や性感染症の問題も起こり得ることも危惧され、迅速で的確で継続した医療支援、心と体の回復への支援体制が必要です。
そのためには、何よりも、すぐさま駆け込める相談窓口が必要ですが、都は今回の代表質問で今年度都内すべての市区町村に相談窓口を設置したと答弁がありました。身近な自治体に相談窓口ができたことは評価するものですが、一般の相談業務と違って犯罪被害者支援には法律、医療、福祉、心理カウンセリングなど専門的な知識が必要です。
そこで、提案者である民主党さんにお聞きする前に、まず人権部に確認をさせていただきたいのですが、市区町村の相談窓口の設置状況と専任の相談員配置の状況、専門相談員がいない市区町村への支援はどうなっていますでしょうか。
○並木人権部長 お話のとおり、平成二十四年、ことしの四月から都内六十二区市町村のすべてで相談窓口が設置されております。このうち、犯罪被害者支援専任の相談員を置く窓口は、中野区、杉並区、多摩市の三区市でございます。
しかし、専任の相談員を置かない区市町村でも被害者が窓口を訪れた場合には、福祉などの専門部署や東京都総合相談窓口と連携を図り、犯罪被害者支援として適切な対応ができるようにしてございます。
被害者に最も身近な基礎的自治体として、迅速に行政サービスを提供できる区市町村の役割は重要でございまして、相談窓口職員の支援ノウハウの向上のため、東京都総合相談窓口において、研修生の受け入れや区市町村の窓口訪問による助言等を行い、相談窓口の充実に努めてございます。
○星委員 ありがとうございました。私は、幾つかの市区町村に聞き取りをしました。この問題は、自治体によってかなりの温度差がありました。担当セクションもさまざまです。企画分野、あるいは従前からの市民相談の中で包括する場合、あるいは安心・安全の防犯担当部門。セクションはさまざまであり、そして正直申し上げて、なかなか窓口が見つからない市区町村もございました。大変驚きました。
専任や専門的知識を持つ人材の登用については、人材確保に大変困難をきわめているというのが市区町村の現場の声でした。必要性は理解していても、基礎自治体には人もお金も時間もないという、そういう声を多く聞きました。
都は、犯罪被害者支援計画を作成していますが、現場、被害者にとって最も身近な市区町村がまだまだ受け皿として成り立っていないのが現実ではないかと私は実感をいたしました。
そこで、提案者の民主党さんにお聞きをいたしますが、まず今回のこの条例を出された意義について、特に支援計画がある中で都における計画の存在、国の動向ともあわせて、この条例が東京都に必要な理由をお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤委員 今委員がご指摘をされたように、まさしく市区町村においては、それぞれの意識、取り組みぐあいによって、全く犯罪被害者支援の格差が生じているところでございます。また、都は第二次の犯罪被害者等支援計画に基づいて施策を進めているとのことですけれども、都の調査結果でも、この計画や支援策については十分に周知がされているとはいいがたい状況があります。さらなる取り組みが必要だと考えております。
この条例によって、施策の基本理念や都が講じるべき施策等を定める方針を定めて都条例において明確に位置づけることによって、総合的に計画的に推進することができると考えております。
そして、この条例が制定をされることによって、計画がまさしく目標件数、期間、そうしたスケジュール、具体的な目標を持って進められていくものとして位置づけられるものを期待するものでございます。
○星委員 答弁ありがとうございました。先ほど性犯罪被害のことを述べさせていただきましたが、私は先月、大阪の性暴力支援センター、SACHICOが設置されている阪南中央病院に視察に行ってまいりました。SACHICOでは、被害発生と同時にウーマンラインという女性警官の付き添い、医療現場で女性医師の診察、治療、専門相談員による個々に応じた支援のつなぎなどワンストップで行って二次的被害の防止、早期な自立支援を行っています。
この条例により、切れ目のない支援が可能になってくるのを私は期待したいものですが、泣き寝入り、たらい回し、二次的、三次的被害を防ぐために、この条例が果たす役割についてお伺いをいたします。
○佐藤委員 まさしく性犯罪被害においては、その支援センターにたどり着くこと、その機会に恵まれている人が少ないというのが実態でありまして、委員ご指摘のとおり、そうしたまだまだ氷山の一角にもあらわれていない潜在的な被害を受けた方々が支援につながるようにするためにもこの条例は必要であると、果たす役割は大きいと考えております。
例えば今挙げられましたSACHICOですけれども、東京の方でも強姦救援センター、あるいはTSUBOMIなどが立ち上がってきておりますけれども、そうした団体の活動費、経費については、なかなか手持ちの弁当でやっている中で、この条例によって民間支援団体が行っている施策に対してバックアップをすることによって被害者の施策がなお一層促進されていくものと考えております。
○星委員 被害者の支援として医療及び生活支援について、かなり具体的なイメージ、事例についてありましたらば、先ほど来条文の中にかなり具体的に経済的支援については書かれているというふうに、そういったお話もありましたけれども、改めてどういった医療及びその生活支援というものをお考えになっているのか、お聞かせいただければと思います。
○佐藤委員 まず、医療につきましては、例えば精神科医ですけれども、犯罪被害者等の治療に当たれる精神科医は大変数が限られております。その上に、その精神科医がどこにいるのかがわからないのが被害者の置かれている状況であります。また、カウンセラーの対応に関しては医療保険の対象にもなっていない状況があり、そのカウンセリングを受けるについても、被害者みずからの負担になっている状況があります。
そういう観点からも、都の方で精神科医、あるいはカウンセラーの活動について取りまとめをし、あるいは産婦人科医についても、以前私が代表質問でも取り上げましたけれども、緊急避妊費用の公費助成を申請するに当たっても、その証拠保全の手続を知らないがゆえに、それが残らないでしまっている被害者、そうしたことをなくすように産婦人科医に対して働きかけをしたりということで東京都が行える施策は大変範囲は広いというふうに考えております。
○星委員 この条例を制定することによりまして、先ほど私も市区町村の窓口がまだまだ力量的に不十分ではないかという話を申し上げましたけれども、被害者を中心として、市区町村、あるいは支援団体であるNPOや民間団体、こういった方たちも手弁当で、ある意味ボランティアで行っているという、こういう実態もございますけれども、この条例制定により、市区町村やこういった団体への支援がより促進をされるのではないかというふうに期待ができるんですけれども、そのことについて見解をお伺いいたします。
○佐藤委員 まさしく委員がご期待をいただいているような形がとれるというふうに考えております。
民間支援団体は、民間であるがゆえに個別の事情にきめ細かく、また中長期にわたって同行支援も含めて、その被害者の回復に寄り添っていくことができます。また、それが被害者の回復に向けて非常に重要な公的な位置づけとしての行政サービスに本来であれば当たると考えておりますので、そうした部分について、この条例によって、その活動をバックアップしていくことが可能であるというふうに考えております。
○星委員 阪南中央病院に視察に行かせていただきましたと先ほど申し述べましたけれども、ここに置かれた性暴力救援センターでは、開設から一年半ですが、多くの子どもや女性の性的虐待や性暴力と向き合い、医師や支援員が昼夜を問わず被害者に寄り添い、被害者の人権に配慮した取り組みを行っています。今まで飛び込めるところは警察しかなかったことを考えると、女性にとって大変得がたい機関だというふうに思います。このSACHICOを中心に、今では警察、医療、福祉といった機関がネットワークを組み、支援、救済が行われています。
それでは、もう一点、人権部に確認をさせていただきたいことがあります。
都内でも性犯罪被害について民間病院が二十四時間電話相談を始めています。連携を進めるべきと考えますが、現在どのような状況にあるのでしょうか。
○並木人権部長 本年六月、性犯罪被害に取り組むある民間病院に二十四時間電話相談を行う性暴力救援センター・東京が開設されました。東京都総合相談窓口では、この病院と犯罪被害者支援の充実についての情報交換などを通じて連携を図るとともに、性犯罪被害者の意向に基づき、この病院を案内しております。
また、昨年度には、この民間病院からの意見も踏まえ、性犯罪被害者の診察時における対応の留意点などをまとめた医療機関向けのパンフレットを作成してございます。
○星委員 ぜひ連携強化をお願いしたいと思います。
それでは、最後に意見を申し上げます。
犯罪被害者、とりわけ性犯罪被害者に対する支援と啓発のほかにも、女性や子ども、高齢者など社会的に弱い立場にある人への人権侵害を防止することが今日大きな課題となっています。私も実は地元で暴力的な行為を受けたにもかかわらず、犯罪の立件が難しいと警察にいわれ、市や都の各種相談機関をたらい回しにされ、精神的に疲弊してしまった方から相談を受けたことがあります。
その方は、精神科の医師から転地療養しかないと診断され、やむなく転居をすることになりました。最近の報道でも、子どもの虐待や学校のいじめにより、とうとい命が失われる事件が続いており、このような問題に対しては、それぞれの被害者を救援、救済し、支援していくとともに、人権尊重理念の普及啓発が重要になってきます。
都は、都民に人権尊重の理念を正しく理解してもらえるよう人権啓発の取り組みを積極的にこれからも進めていくことが求められています。
また、質問の中で取り上げた市区町村や民間支援機関では、専門的ノウハウの取得、運営経費など公的補助の拡充を強く求めています。都における条例の制定により、犯罪被害者やその家族が救われ、支援に携わる方々の応援になることを強く願うものです。
これで意見を申し添えておきます。
○栗林委員 最後の質問者になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
それでは、条文の中から一つずつちょっと確認をさせていただきたいと思うんですけれども、まず六条の部分です。ここに新たに総合的かつ計画的な推進を図るために、基本的な計画を定めなければならないというふうにうたわれておりますけれども、現在、東京都の犯罪被害者等支援計画、これは第二期目の計画ということで平成二十三年から二十七年までの計画がかなり一期よりも改善されて、また拡充されたものができ上がってきているとは思うんですけれども、この条例を制定すると、この新たにつくらなければならない基本計画、この関係はどのようになってくるんでしょうか。
○佐藤委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、東京都で定めました第二次犯罪被害者等基本計画につきましては、基本法制定以前の被害に遭っている方々にアンケートをとり、またそのアンケートの回収も百七十四と大変少ない母集団の中で立てられた計画でございます。
また、国の犯罪被害者等の基本計画との進めている関係も時期が前後していることから、その反映もなかなか難しい状況になっているかと思います。
そういう観点で、この条例に基づいて新たに犯罪被害者等支援計画を策定して、これまで取り組みが進められていない居住の安定、あるいは医療の確保などについて必要な目標件数、また実施期間、スケジュール感を明記した計画が定められるものと考えております。
○栗林委員 今新たにと伺ったんですが、この二十七年度までに向けての東京都でつくられた支援計画は、かなり踏み込んで拡充もされていますし、今までの議会で各会派が取り上げてきた質問の要望等も盛り込まれているように思います。ましてや、今国でも検討中のところもございますし、またそれが変わるたびに、またつくり直すというようなことでは、ちょっと事務的な労力等も含めながら果たしてどうなのかなという気もいたしますが、先ほどの質問ともちょっと重複しますけれども、私はこの計画に基づいて、かなり取り組みが、決して十分ではないかもしれませんけれども、着実に取り組みがされていると思います。
この条例を制定することで被害者支援が特段に何か進むのでしょうか。そもそもこの条例を制定するねらい。条例を制定しなければできない、そのねらいは何なんでしょうか。
○佐藤委員 今ある計画の中ですぐれたところは、もちろん引き継いで、なお一層展開をしていくことを否定するものではありませんし、ぜひとも、それはどんどん進めていただきたいと思います。
またプラスして、この条例でも定めておりますように、犯罪被害当事者や、あるいは各界の関係者から構成される犯罪被害者等施策推進会議で、なお一層必要な部分に関して追記をして犯罪被害者等基本計画案を作成していくのが望ましいと考えております。
また、条例によってどういう違いがあるのかというご指摘ですけれども、先ほども答弁をしましたように、きめ細かな支援を行っている民間団体への支援もできますし、また、首長が交代をしたとしても、東京都の特性を踏まえた上での犯罪被害者等の施策が推進をしていくものと考えております。
○栗林委員 ちょっとよくわからなかったんで、済みません。申しわけありません。何回も重ねちゃうかもしれません。
次に、先ほど吉田理事からも触れられていましたけれども、給付に関してところなんです。
私も十一条からこの十一条、十二条、十四条、このあたりがちょっと内容的にもう少し具体性にイメージができるものにと思いました。先ほど吉田理事も触れられていましたので十一条は飛ばして、この十二条、十四条です。この辺の対象とする犯罪の種類とか都内在住要件の有無とか、また資産があるかないかとか、また、その補助する期間とか、その対象物件となる家賃水準だとか補助額の上限だとか、こういったところをどう想定されているか。この十二条、十四条、このあたりの中身を少し教えてください。
○佐藤委員 まず、十二条につきましては、先ほどの星委員に答弁をしたような形でありまして、カウンセリングが必要な方に対しての費用的な補助も考えているところでありますし、また犯罪被害者等の支援に精通をしている医師の紹介なども考えているところであります。
十四条につきましては、例えば、平成十七年に国土交通省の住宅局長の方から犯罪被害者等の公営住宅への入居についての通知が発せられているところですけれども、繰り返しになりますけれども、自宅が犯罪の現場になって、まさしくそこで住まうことができない被害者に対して、抽せんという不安定な形ではなくて、即必要な入居ができる。そして、例えばこの通知、国土交通省の住宅局長からの通知でありますように、公営住宅の目的外使用を認める。目的外使用等が一年というふうになっている。そういう例もあることから、こうした公営住宅、あるいは民間住宅の活用によって中長期的に被害者の被害の回復に当たる施策、居住の安定を求める条文となっておりますけれども、こういうことも我々は念頭に置いて議論を重ねてまいりましたけれども、詳しいところは推進会議の方でもまれるものと考えております。
○栗林委員 結局は犯罪の種類とか、都内に住んで住民票がどこにあって、都外にあっても今住んでいるのが東京、いろんなさまざまな複雑な条件というのは物すごく多様なものになってくるのではないかな思うんですけれども、その辺はまだ詰められていないということです。
そうしますと、やはりこういったさまざまな給付制度も含めまして、来年度からの実施を考えた場合、こうした経済的支援策の実施に当たっては、どのぐらいの予算、予算規模はどのぐらいのものとしてお考えなんでしょうか。
○大西委員 済みません、今回のは基本条例なんで、これは犯罪被害者などのための具体的な施策の策定、実施に当たっては、その内容などを勘案し、施策の対象となる犯罪被害者などの範囲を規定していくこととなりますので、ここでは具体的な数値を挙げさせていただくのはちょっとできません。
○栗林委員 何かちょっと踏み込むことができない状況ですね。
じゃあ、済みません、最後に一つだけ、もう一つ聞かせていただきます。
最後、二十三条、ここに犯罪被害者や支援者等の施策推進会議を設置するということがあります。ここを読ませていただくと、その犯罪被害者等施策の推進会議では、犯罪者、犯罪被害者等の基本計画の案をまず作成するとなっているんです。
次に来て、施策に関する事項について審議して、そして施策の実施を推進して、そしてその実施の状況を検証して、評価して、そして監視するというふうになっているんですが、これどういう内容になってくるんでしょうか。つくって、推進して、検証して、評価して、監視って、全部がその会議でやるということは余り意味がないかなと思うんですが、ちょっとこれ具体的にどういうことを考えられているのか。
○佐藤委員 犯罪被害者等基本法にありますように、国の方でも施策推進会議を設置をしております。この施策推進会議は、被害当事者がメンバーとなりまして、被害者が置かれている状況、またその支援や施策に対して精通をしている現場の医療関係者、法曹関係者、あるいは研究者等で構成をされる会議になっております。
この犯罪被害者等施策推進会議によって、時代の変遷とともに、また、これまで長年置かれてきた被害者が抱えているその課題に対して正面と向き合い、そして、さまざまな情報を各関係機関からとって進めていける、そうした推進会議を置いております。
これによって、犯罪被害者等施策が犯罪被害者等の視点に立った実効性あるものとして自立して施策が進んでいくものを期待するものでございます。
○栗林委員 済みません、案をつくった人たちがそれを審議して、またそれを推進して、検証して、監視というのは、どういったことになるんでしょうか。監視するということは。
○佐藤委員 犯罪被害者等基本法と同じものでございます。
日本全体の国においての犯罪被害者等施策に関しましては、国の方で基本法に基づいて設置をされております犯罪被害者等推進会議の方で同じような状況で進められておりますけれども、これは時代の変遷に合った課題について施策に反映をしていける大変有効な会議であると考えます。
東京都においても、東京都のきめ細かな地域地域の事情もあると思いますけれども、そうしたことにアンテナを張って、東京で起きている、また東京で活動している支援団体との顔の見える関係をつくって、そして犯罪被害者等施策が現場と乖離することなく進められていくよう、この会議を設置したものでございます。
○栗林委員 現在も都内、都庁内にも庁内の連携、市区町村との連携、あと外部十一団体との連携等々で、そういった会議体は持っているかと思うんですけれども、ちょっとこの辺のこの推進会議だからこそできるんだというものが、ちょっといま一つ見えてこない状況でした。
今、求められているのは、もっと個別具体な課題、制度は準備はされたけれども、その制度と制度のすき間の中にあって使えないという、そういうお困りなご相談、実に多いです。
例えば、住民票は地方、他府県にあり、住んでいるのは東京だけれども、裁判所等に行く場合に子どもを預けたいけれども、保育園に入れたい。やはり区市町村の保育園というのは住民、区民が優先というか、なければ申し込みもできない。そういったこととか、民間支援団体さんからの経済的支援というのは、それは本当に多く声は届いております。
さまざまな個別具体な改善、拡充というものは、もちろん必要です。でも、それはもう条例制定を待つことなく、現場で困ったことを、速やかに私たちは議会で取り上げ、それを交渉していくというのが議員に与えられている責任ではないかと思っております。
今いろいろ伺いましたけれども、やはり経済的支援を例にしても、余りにも漠然として、対象基準とか対象者とか金額、そういったことがいまだに不明でもあります。そういったことから、この本条例案の内容は受け入れるわけにはいかないかなと思います。
先ほど中屋副委員長からもお話ありましたけれども、この犯罪被害者基本法、これが二〇〇四年十二月に制定されるまで、先ほど中屋副委員長からもお話ありましたけれども、自民と公明党で犯罪被害者等基本法案プロジェクトチーム、自民党の保岡興治先生、元法務大臣、弁護士でもいらっしゃる方を座長に設置をして、この法整備化の検討を続けてきました。
公明党の中にも漆原衆議院議員、この方も弁護士、を座長にして犯罪被害者等保護・救済に関するプロジェクトチームを立ち上げて被害者団体と意見交換を行うなど、基本法の成立を強く推進してまいりました。
ここで関係してきた方たちがいっていたのは、恩恵を受ける支援法ではなく、被害者自身が有する権利、権利法の制定を強く主張してきた。そして、法律に被害者支援の根拠が権利として明文化された。自分の権利として胸を張って、さまざまなサービスを受けられる環境をつくりたいというのが法律制定に向けて頑張った方たちの思いです。
この制定までには、実は皆様もご存じかと思いますが、市瀬朝一さんという一人の父親の闘いがありました。一九六六年です。市瀬さんには二十六歳になる一人息子さんがいらっしゃいました。帰宅中に見ず知らずの通り魔に命を奪われました。市瀬さんは、この悲しみを振り切るかのように遺族会を立ち上げました。一九六六年です。もう五十年近く前になります。
そして、遺族会を結成いたしまして、犯罪被害者補償を求める国会請願を行うんです。しかし、国の返事は立法化は慎重に検討したいと事実上のゼロ回答です。この方、市瀬さんは、工場を経営されておりましたけれども、みずからの工場も畳み、人生をかけて市瀬さんはこの運動を起こします。資金も全部資産をなげうって頑張りました。しかし、最終的に資金難で立ち往生し、やはり国を動かすには力が足りないと市瀬さんは大きな壁にぶち当たります。そのときに、当時横浜の公明党の市議会議員で服部信吾さんという方がこの話を聞いて、これは大変な問題だ、何とかできないかと、後に、この服部さんは参議院議員になるんですけれども、市瀬さんとともに、犯罪被害者の家へ何軒も足を運び、現場の声を伺いました。
そこで浮かび上がってきたのは、犯罪の被害に遭った人も悪いという社会風潮があったんです。これは何とかしなきゃいけない。そして、市瀬さんは、もう突然肉親の命を理由なき殺人で奪われたやり場のない怒り、絶望的な悲しみ。もう殺され損なのか、もう泣き寝入りはごめんだと服部さんと力を合わせて、この社会風潮を変えようと立ち上がりました。そして、服部さんと一緒にこの活動を続け、そんなとき社会情勢に変化が起きました。
七四年の八月に起きた三菱重工ビル爆破事件を機に、マスコミが犯罪被害者をめぐる補償のあり方を論じるようになりました。市瀬さんも刑法学の専門家である同志社大学の教授の大谷先生の協力を得て運動に拍車をかけていきました。社会的な関心は一気に高まりました。
公明党も七五年三月一日には犯罪被害者補償法要綱を発表し、翌七六年五月には、犯罪被害者補償法案を議員立法で参議院に提出しました。それが廃案になっても、その都度、独自法案を国会に提出し続けました。
法務省からも、この国で最もこの補償制度の立法化を考えられたのは公明党と国会答弁で言及するほどでございました。
そして、七七年一月、法務省が予算の復活折衝で犯罪被害者補償制度の立法調査費の計上を決めました。ここで改革への突破口が開きました。
残念なことに、市瀬さんは過労による心臓病で入退院を繰り返す中、この調査費復活決定の三日前に帰らぬ人となりました。服部議員も亡くなりました。市瀬さんの死後、この会を支えて、七八年、六万人の署名簿を添えて国会に立法化早期実現を迫り、そして、できる限り早く立法化するよう努力したいという答弁をかち取り、その市瀬さんの苦闘の生涯をまとめた一冊の本、「もう泣き寝入りはご免だ」が出版されました。そして、映画「衝動殺人 息子よ」が全国公開され、日本じゅうから大きな反響を寄せられ、八〇年四月、犯罪被害者等給付金支給法が成立し、犯罪被害者の救済への第一歩が踏み出されました。そして、平成十六年、犯罪被害者等基本法が制定になりました。
私は、これを伺ったときに、本当に長きにわたって命がけでこの問題と闘ってきた関係者がつくった歴史があると思いました。
東京都で大きな一歩を踏み出すのであるならば、やはり血の通った、すべての方たちから拍手喝采で喜んでいただけるような、そういう提案を全会派一致でするべきではないかと思います。残念ながら、今回の提案されている民主党の条例案には、それが感じられません。
以上です。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時四分休憩
午後三時二十分開議
○吉倉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
報告事項、平成二十三年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績及び平成二十四年度東京都監理団体経営目標の設定状況について外一件に対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
○和田委員 監理団体の経営目標の達成度の評価制度についてお伺いをいたします。
この経営実績の報告書を読みますと、二十三年度の経営目標の達成状況が記載をされておりまして、全三十三団体のうちで、その目標である都民・利用者あるいは財務や内部管理の三つの視点から、それぞれが約三百の指標を設定しております。
それを総括してみてどうなったのかというので、この状況が今報告されているわけでありますが、そのうちの九五%を達成した、それから九五%未満で九〇%がほぼ達成、おおむね達成、達成不十分というふうに四段階に分けて評価をされているわけでありますけれども、当初目標の九五%以上を達成したというのは、東京動物園協会などを含め二十四団体、ほぼ達成が九団体、そして、おおむね達成というのはなし、それから達成不十分なしということで、全体的には達成、ほぼ達成という形で、すべての三十三団体が目標をクリアしていると私は評価をしたいところであります。
その経営実績の中で、公益法人等二十三団体ありますけれども、その二十三団体のうちの、公益財団法人、一般財団法人あるいは特例の民法法人、二十一団体がありますが、この経営実績を見ますと、当初の一般正味財産増というのが一千五百九十三億円、同じく減が一千五百九十三億円で、当期の一般正味財産の増減はゼロというふうな一つの評価があります。
それから、特別法人の場合は一団体ありまして、総収益が一千三百十一億円、総費用が一千二百三十二億円、したがって当期利益は七十九億円という報告もあります。
さらに、社会福祉法人一団体ありますが、総収入が百二十六億円、総支出が百二十六億円で、これも当期収益差額というのはゼロ円という報告もあります。
最後に、株式会社十団体ありますが、総収益は一千四百八十九億円、総費用が一千四百三億円ということで、当期利益が八十六億円という報告もなされているわけであります。
それぞれが経営目標がありますものですから、収益が上がればいいというものではありません。しかし、今回この報告を読んでみますと、おおむね順調にそれぞれの目的を達成しているというふうに私は評価をするものであります。こういうことの前提で以下質問をさせていただきます。
この制度は平成十三年度から導入されておりまして、ことしでちょうど十二年目を迎えているところであります。十二年間という長い期間でありますから、私どもの記憶する限り、五十団体以上が過去にあったと思います。そして今三十三団体。二十団体ぐらいが整理や統廃合されてきているというふうに、この十二年間の歴史を振り返ることができます。
そのような中で、十三年度に経営目標の達成度評価制度、これを導入した背景というのを振り返ってみて、どういうふうに当局は評価をされているんでしょうか。
○堤行政改革推進部長 東京都は、平成九年度から、各監理団体の経営実績や財務諸表など経営状況を的確に把握し分析した上で評価する東京都監理団体経営評価を実施してまいりました。しかし、この制度では、目標による管理の観点が不足しておりまして、団体の経営状況に基づいた経営責任を問う評価が不十分でございました。
このため、団体の経営責任や都としての指導監督責任を明確にする目的で、団体みずからに経営目標を設定させ、その達成度を評価する現在の制度を導入したところでございます。
○和田委員 当時を振り返りますと、監理団体そのものはいろいろなことをいわれました。屋上屋ではないのかとか、あるいは役所のもう一つの部門ではないのかとか、相当に手厳しいご批判もありましたが、しかし監理団体の本来の果たすべき役割も片一方であったわけであります。
当局の方は、ともすると、どちらかというと、そのご批判の方に当然耳をかして改善して、今日、私が申し上げたような数字を上げてきている、あるいは経営実績を上げてきているというふうに私は評価をしています。もとより完全はありませんから、反省すべき点、改善すべき点は今でもありますけれども、総体的には、十三年度に始まった以前の監理団体との比較から見れば、隔世の感があると私は思っているんです。
振り返って、平成十三年度から今日まで、一遍に振り返ることはできませんけれども、ちなみに五年経過した今から六年前、これは平成十七年度になりますけれども、それと今回の評価過程に至るまで、どういう推移といいましょうか、達成過程があったのかということの認識をお伺いいたします。
○堤行政改革推進部長 本制度導入当初の平成十三年度の経営目標の達成状況につきましては、目標値の九〇%以上を達成した団体は、十四年度の評価時に存在していた対象の五十三団体中二十七団体、率にしますと五一%でございまして、残りの二十六団体が目標値の九〇%を達成できない状況にございました。
導入から五年をたちました平成十七年度でございますが、目標値の九〇%以上を達成した団体は、対象の四十団体中二十七団体、率にしますと六七%でございまして、残りの十三団体が目標値の九〇%を達成できなかったということでございます。
そして、今回発表いたしました平成二十三年度の経営目標の達成状況は、冒頭、委員からもご指摘がございましたとおり、すべての団体が目標値の九〇%以上を達成しておりまして、各団体が着実に目標を達成していると考えております。
これは、団体みずからが設定いたしました経営目標の達成に向けまして、各局の指導のもと、積極果敢に取り組んできた結果であると認識をしております。
○和田委員 当初、都側の方と団体側の方のそれぞれの経営目標、目的というのが、余り合致していなかったものですから、ぎくしゃくした、そういう背景を、都民の皆さん方から屋上屋云々というようなご批判があったように私は記憶をしているんです。その反省を生かす形で、今答弁いただいたように、時代とともに達成率が上がってきている。時代とともにご不満やご批判も消えてきているというのが、私はパラレルな平行線上に上がってきているなというふうに評価をしているんです。
その間、団体はどんなふうな意識で経営を改善してきたかといいますと、まず団体事業の効率化を図ってくる、あるいは経営責任を明確化してくる、あるいは簡素効率的な執行体制を確立してくる、あるいは固有職員の人事や給与制度の見直しをする。さらに、先ほど申し上げた、都民から見てご批判のある問題についての情報公開制度の実施だというようなことで、五つ、六つの改善点を手際よく処理して今日まで来て、今の成果が上がっているというふうに私は肯定的に考えているんです。
ともすると批判のさなかにありがちな監理団体が、ここまで自助努力をしてきたということ、また指導監督してきたという当局に、私は一定の評価を今時点で与えているわけですが、この十二年間振り返ってみて、団体数が五十三から今三十三まで減っています。統廃合等によって、もちろん廃止されてきたわけでありますけれども、一つの事例として、どういう形でその団体が廃止をされたのか、その理由であります。
それから、廃止された団体の職員がその後どうなったのか。ただ廃止をした、そしてもうお役目御免だから退職だよという形でいくのかどうなのか。これは一定のルールがあって、どこの団体でも統廃合は時代によってあるかもしれない。その都度の思いつきであってはならないわけでありますし、当然、監理団体に職を持っている方々の生活も保障しなければなりません。また、手際よく監理団体の役目が終われば統廃合もしなければならない。そういう二律背反の中で、当局はどんなふうな工夫、努力をしてきたのか、教えてください。
○堤行政改革推進部長 平成十三年度以降これまでの間に、統廃合等で廃止になった団体の例でございますが、その一つに、平成十五年四月に財団法人東京都保健医療公社と統廃合いたしました財団法人東京都健康推進財団がございます。
統廃合の理由といたしましては、健康づくりから疾病の予防、診断、治療に至る包括的な保健医療供給体制の整備を行うためでございます。
統廃合の効果といたしまして、両団体合わせて当時七百九人おりました職員数を六百六十五人へ、全体で四十四人減らしました。主に、都派遣職員の引き揚げを行うことによりまして、執行体制のスリム化を図ることができました。
なお、都からの財政支出につきましても、予算ベースで四十九億五千万から四十二億七百万へと、七億四千三百万円の削減を行ったところでございます。
○和田委員 今、具体例として健康推進財団を廃止したと。その中で四十四人の職員数を削減して、それを都派遣職員の引き揚げという形で解決をしたというような事例でありますが、私どもが一番危惧するところ、効率化はもちろん結構です。そのときに、そこで生活をしてきた人たちの、職員といっていいでしょう、この方々が極端な不利益を得て路頭に迷うようなことがあってはならない。その一方で合理化をしていかなければならないという二律背反を常に当局は意識しながら、仕事をされていると思うんでありますけれども、そういう姿勢をこれからもぜひ貫いていっていただきたいというふうに思うんです。その厳しさがあってこそ公職であるというふうに私は理解するからであります。
いろいろな事業を今までやってこられましたけれども、最終的な経営目標、それを決定するのはあくまでも総務局でありまして、各局は、具体的な受け入れ組織として団体を統括するので、その上の管理、指導するところはやはり総務局であります。このところのしっかりとした基盤がないと、先ほど来私が申し上げた都民からの批判なりご不満なりがまた噴出してくるだろうと思うものでありますから、これまでの総務局の姿勢をさらに強化して、自覚をされて、各団体との交渉や、あるいは指導監督に当たっていただきたいということを、ここでは申し上げておきます。
それでは、もう一回もとに戻りますが、目標設定をされて、それを克服してくるということは大変大事なことでありますけれども、その目標設定に当たるプロセス、過程はどういうふうになっているか、お願いいたします。
○堤行政改革推進部長 目標設定に当たってのプロセスでございますが、まず、団体が作成をいたしました経営目標の案につきまして、団体トップによる所管の局長とのプレゼンテーションを行うなど、団体と所管局との間で経営目標等の客観性や妥当性について協議を行っております。
その後、所管局を通じて提出されました経営目標につきまして、所管局と総務局との間で客観的なデータの検証等をもとに詳細な協議を行いまして、最終的には、総務局が全庁的な視点を持って調整いたしました経営目標を、副知事をトップといたします監理団体改革推進委員会に付議いたしまして、確定をしております。
さらに、この経営目標につきましては、毎年議会への報告を行うことによりまして、公正性や妥当性の確保についても万全を期してございます。
○和田委員 今、部長答弁にありましたとおり、もちろん統制された、きちっとルールにのっとった、あるいはルーチンワークにのっとった指導監督をされて、最終的には副知事をトップとする監理団体改革推進委員会へ諮って確定をし、議会にもそれを報告すると。今、この報告を受けているのもその結果でありますが、そういう正しい妥当性を確保した形での結果を繰り返すことによって、私どもが今手にしている成果があるというふうに私は思っています。
したがって、このことをブラッシュアップすることはあっても、決して緩めることのないように、くどいんですが、何回もいいますけれども、ぜひ努力をいただきたいし、そのいい一つの流れの中で、監理団体の改革は着実に上がってきているというふうに私は思っているわけであります。
そこで、目標設定に当たって、今、ご自身がおっしゃった総括的な立場である総務局は、各局や、あるいは各団体に、どのように指導や監督する方針を適切に出しているのかということについてのお答え願います。
○堤行政改革推進部長 各団体が設定をいたします経営目標につきましては、団体の経営戦略や都施策の推進に寄与するとともに、都民サービスの向上を推進するなど、目標を達成することによりまして広く都政に貢献できるものとなるよう、各局、各団体あて指導をしております。
○和田委員 まさに総務局がしっかり自覚をして、各局との対応、各団体との関係を、責任を持って、今まで以上に責任を強くして当たることによって、今、私が取り上げている監理団体の実績そのものがますます高まってくるし、その高まったことを我々議会も評価をし、また都民にもそれを周知させることによって、今までないと思いますけれども、監理団体に与えられた誤解のようなものを払拭していくということが大事だろうと思いますし、ともすると、行政と民間の間にあって、監理団体の姿がおぼろげそうに見えるわけでありますから、そこのところをもう少し日を当てていく、そのことによって今まで日が当たらなかったために出てきている誤解のようなものを解いていく。そういうことで、そこで働いていらっしゃる方々のモラールも上がってくる、やる気も上がってくると思いますものですから、皆様方の立場は大変とうといものだというふうにご自覚をいただきたいと思います。
さてそこで、それぞれの各団体は経年、毎年毎年目標を立てることはいいのでありますけれども、大きな社会変化、例えば、今回のように三・一一の大きな、世界的な災害が起こりましたけれども、そういうものを受けて、果断に敏感にこの監理団体が、関係あるところについては何らかの、そういう傾向や流れを受け入れて、それに対応するような敏捷な経営方針とか何かということも含め考えるべきであると思うんでありますけれども、ちなみに過去にどういうふうに、我が国全体あるいは世界全体の大きな流れの中で、監理団体が対応したことの実績などがあるか、ご披露願いたいと思います。
○堤行政改革推進部長 すべての監理団体が一律で実施すべきと総務局が指導した目標の事例でございますけれども、まず、東京都がCO2排出量の削減や緑の東京十年プロジェクトなど環境政策を強力に進めている状況を踏まえまして、監理団体におきましても、社会貢献を果たす観点として、平成二十年度の目標から、環境配慮行動について目標を設定させております。
また、平成二十三年度の目標設定からは、平成二十二年九月に策定をいたしました東京都監理団体活用方針を踏まえまして、方針に掲げた監理団体の活用の考え方や、各団体の活用の考え方に沿ったものとなるよう、指導を行っているところでございます。
○和田委員 どうしても仕事というのは、一たんフレームをつくってしまうと、そのフレームが自縄自縛になって、目の前に起こってきている大きな変化には対応できなくなる、そういうきらいがあります。そのフレームが強くて確実であればあるほど、社会変化という予期しないものに対しての対応が鈍るという、大変皮肉な現象になりがちでありますけれども、ただいまの答弁ですと、CO2の排出量の問題や緑の東京十年プロジェクトでは、それなりの対応をしたということでありますから、そういう要素も常に入れることによって、動く、あるいは働く監理団体というような色彩もぜひそこに当てはめていただきたいと、適宜入れていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。
それでは、毎年毎年繰り返してくる経営改善の一つのローリングでありますけれども、行き着く先はどこなんだろうか、最終目標はどこに置いているんだろうかなというふうに疑問に思うんです。それはどういうふうに考えたらよろしいですか。
○堤行政改革推進部長 この制度において、各団体は、みずから掲げました経営目標を達成するよう努力を行いまして、未達成となった場合には、その原因などを分析、改善の上、翌年度以降、確実に達成するよう努力するという、いわゆるPDCAサイクルを徹底してございます。
仮に、団体がみずから掲げた経営目標を達成した場合であっても、都といたしましては、当該団体を監理団体として指定している以上は、活用方針に沿った公共性の高い経営目標を継続して設定させていく必要があると考えてございます。
○和田委員 行政全体もそうですし、監理団体が特別ではありませんが、果てしなき効率化、果てしなき対住民サービスということで、存在価値もあるわけでありますし、存在理由もあるわけでありますから、ここは今ご答弁のとおり、つらいところかもしれませんが、さらにさらに改善していくという運動体として考えたら、これからも都民に寄り添う形で自己改革していくことをお願いするし、また総務局の方は、それを指導監督するという本来の役割をしっかり自覚していただきたいというふうに、繰り返し繰り返しお話を申し上げたいと思うんです。
ただ、私は、冒頭申し上げましたとおり、監理団体は、ただただ黒字を追求していくという、そういう組織ではなくて、黒字を追求するのであれば私企業になればいいわけであります。しかし、そこに公的な一つの色彩を当てはめていきますと、ただ単に黒字追求だけではない、人間性といいましょうか、あるいは効率性を超えた文化性といいますか、あるいは非営利的なそういうものも含め、監理団体は一方の役目としてあるだろうというふうに思っているんです。
何よりも、都民が目に見えない利益、目に見える利益をそれぞれ満足する形でもって受けとめられるような、そういう組織が監理団体だろうと思うわけでありますから、この報告にいたしましても、黒字、黒字という形ではなく、内容をしっかり私どもが理解できるような形の報告書にできるだけ変えていっていただきたいと思いますし、この制度を今私は評価してまいりましたけれども、より有効な活用方法に生かせるように、改善もお願いしたいと思っているところです。
ところで、平成二十年以降、この監理団体は公益法人化を時代の趨勢で進めていかざるを得ませんでしたが、どのような進捗状況になっているのか。この法律的期限は来年の十一月というふうに私は記憶しますけれども、もう一年余しかありませんけれども、この進捗状況についてはどうなのかというふうに問いかけたいと思います。
○堤行政改革推進部長 監理団体の公益法人改革への取り組みについてでございますけれども、現在、東京都新都市建設公社一団体を除きまして移行が済んでおります。東京都新都市建設公社につきましても、平成二十五年四月を目途に、公益財団法人への移行手続を進めているところでございます。
○和田委員 これで最後になると思いますけれども、監理団体の存在と高齢化社会に向けての高齢者活用という問題に触れたいと思います。
高齢化社会がもう既に始まっておりまして、監理団体の職員もその波の中では逃れられないと思います。監理団体に今職を持っていらっしゃる方が一万名余いらっしゃるわけでありますけれども、その方々の平均年齢は、東京都の職員の四十二歳を二歳ぐらいオーバーする四十四歳ぐらいと聞いております。
したがって、ほぼ都の職員と同じ平均年齢で監理団体職員一万名もいるわけでありますが、私は、監理団体の中には、経験ですとか知識だとか、そういうものを十二分に使える監理団体が幾つかあることを承知しています。したがいまして、高齢化社会を今我々が感じて、これからますます強くなってまいりますけれども、この監理団体の中で経験や知識を、定年だからといって打ち切るのではなくて、監理団体に移行することによって、より長くその経験を伝承し、継承されるような、そういう人をふやすことによって、途絶えがちな職人わざのようなものですとか、あるいは技術的な継承の問題ですとか、そういうものが再びその監理団体の中で生き返ってくるような気がしてならないわけであります。
したがって、高齢者の就労や業務の技術継承というようなことを含め、監理団体は単なる第三者的な職場としてではなくて、中身をより、技術継承ですとか高齢者の生きがいとかというような、そういうところにまで視点を置いた上で、これからの監理団体の運営をしていくべきだろうと思うんです。
そこで、評価基準の中に、各団体が高齢者を採用する、それも技術や経験を持った人を採用するというような評価項目を当局の方が入れるなどして、監理団体に督励をし、指導監督していくというようなことも必要だろうというふうに思うんでありますが、達成度の評価制度の中にそういうことを含めることはお考えなのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○堤行政改革推進部長 監理団体は、都の施策の推進になくてはならないパートナーでございまして、一昨年策定をいたしました活用方針でも、これを明確に位置づけてございます。
東京都、監理団体、民間の三者の役割分担の見直しが進む中で、都からの事業移管に伴いまして監理団体の業務範囲が拡大するなど、監理団体はこれまで以上に、都の現場を担う重要な役割を果たすようになってきております。
既に都の現場機能を担う一部の監理団体におきましては、ベテラン職員の退職に伴いまして、技術や知識の継承が大きな課題となっておりますことから、新人職員の育成の観点からも、豊富な知識、経験を有する高齢職員の活用を図ってございます。
今後、同じような課題を抱える団体が出ることは十分考えられます。その際には、みずからの経営目標の一つとして、知識や技術の継承あるいは人材育成などを掲げ、その具体的な方策を目標設定とした場合には、都としても適切に評価を行ってまいります。
○和田委員 冒頭に申し上げましたけれども、総務局は指導監督する立場というふうに書かれて、明記をされております。したがって、そうあってほしいとか、そうしてもらえないかというのではなくて、あるところに行けば指導する、監督するという積極性を持って各団体と対応する、そういうことのめり張りをつけることによって、ともするとあいまいに思われがちな監理団体の存在を、当局は際立たせるという効果もあるわけでありますから、そこのところは、指導するときは指導する、監督は監督するということのめり張りをつけた指導監督をまさにお願い申し上げて、私の質問を終わります。
○吉原委員 それでは、私の方からは、既に報告をいただきました平成二十三年度の首都大学東京の業務実績評価についてお伺いをさせていただきます。
平成二十三年度は、第二期の中期目標期間の最初の年でありますが、今回の業務実績評価書を見ますと、年度計画に掲げました五十一の大項目、そして百五十五の小項目の検証が行われた結果、評価委員会は高い評価をされているわけであります。このことについては、大学当局あるいは総務局の皆さんの大変なご苦労の中の結果ではないかなというふうに思うわけでございまして、評価をさせていただきたいというふうに思います。
今や、社会経済などさまざまな面で海外との交流が急速に進んで、世界がますますグローバル化している時代であります。こうした時代でありますから、世界を舞台に活躍できる国際感覚豊かな人材を育てるという大きな役割を大学に求められているのではないかなというふうに思います。
今回の評価書の中でも、国際化に関する取り組みという項目があります。そこには、都の人材育成基金を活用し、首都大学東京においてアジア諸都市からの留学を受け入れ、東京とアジアの橋渡し役になり得るアジアの優秀な人材を育成した、こういうふうに大変評価をされているところでもございます。
そこで、首都大学東京の留学生の状況について伺いますけれども、外国からの留学生の受け入れ状況、そしてまた逆に、首都大学東京から海外に留学生として送り出している、どのぐらいの人数がいらっしゃるのかお伺いをさせていただきます。
○伊東首都大学支援部長 首都大学東京における留学生の状況についてでございますが、首都大学東京から海外の大学に派遣した学生は、平成二十三年度で四十四名となっており、内訳は、交換留学により海外へ派遣した学生が七名、短期留学をした学生が三十七名でございます。
また、海外から首都大学東京に受け入れた留学生については、平成二十四年五月現在、学部生、大学院生を含め三百五十五名となっております。
○吉原委員 今お話しいただきましたけれども、二十三年度で海外から大学に受け入れた留学生は三百五十五名、首都大学東京から留学生として送り出した実質的な留学生は七名、プラス、短期留学生の皆さんもおられるんだろうと思いますけど、三十七名と、こういう数字ということでございますけれども、都として、大学の留学生の派遣や受け入れに対してどのような支援を行っているのか、お尋ねいたします。
○伊東首都大学支援部長 留学生の受け入れ、派遣に対する支援についてですが、留学生受け入れの支援については、都は、アジアの将来を担う人材の育成に資する施策を推進するため、平成二十年度にアジア人材育成基金を設置し、さまざまな事業を展開しております。
その一つとして、アジア各国から首都大学東京の大学院に、アジアの発展や大都市問題の解決に資する高度先端的な研究等のために留学してくる外国人留学生に対して、奨学金の支給や住居の確保等の生活支援を行っています。
留学生派遣の支援については、大学において、交換留学協定の締結により留学先での授業料負担をなくすなどの取り組みを行っております。
○吉原委員 外国人の留学生の受け入れについては、首都大学東京という大学に対しての魅力も多分にあるんだろうと思いますし、今お話ございましたように、留学生の受け入れ、三百人を超えている、こういうことでございます。経済的な支援というものも東京都が直接補助している、こういうことにもその一利があるんだろうと思います。
しかし、大学から送り出しの方は東京都の経済的な支援は全くない、こういうふうにお聞きをしているわけでございまして、こういうことが本当に影響しているのかどうなのか、それはちょっとわかりませんけれども、実質的な長期留学といいましょうか、一年以上を超えて留学をされるという方々は七名しかいない。こういうことで大変大きな、来る留学生と送り出す留学生の差が余りにも乖離をしているのではないかなということを考えますと、全く残念でならない、そんな思いもしているところです。
先ほど申し上げましたけれども、グローバル化が進んで国際競争の激しさが増す中で、世界を舞台に活躍する国際感覚豊かでタフな若者を輩出することが、今、社会からも求められているわけでございます。そうした若い人たちを育成するための手段として、海外留学は非常に効果的だなというふうに私は思っているわけでございます。
にもかかわらず、生活費などの費用負担が大きな課題として、留学をちゅうちょする学生も大変多いのが現状ではないかなと思います。こうした現状の中では、世界を舞台に活躍する国際感覚豊かで次世代リーダーとなれる若者を育成する大学に、なかなかなれないのではないかなというふうな心配を少ししているわけでございます。
東京都としても、日本の将来を担う若者を育てる取り組みとして、一定の期間を要する長期の留学生に対しましては、経済的な支援を含めた積極的な支援をしていくべきではないかというふうに思います。見解をお伺いいたします。
○伊東首都大学支援部長 海外への留学生をふやす取り組みについてですが、ご指摘のとおり、豊かな国際感覚の醸成や語学力の習得に長期の留学は効果が高いとされております。
そのため、長期の留学生をふやすために、海外の大学との間で交換留学を行うための協定の締結校を、平成二十二年度末の四校から、平成二十三年度末には十一校に拡大いたしました。
また、首都大学東京が世界で活躍できる人材を輩出する大学として発展するよう、都は現在、首都大学東京と連携し、留学生の渡航費や生活費などの費用負担の軽減のための経済的支援や留学中のサポート体制の充実など、留学生支援制度について検討を進めており、今年度中に支援制度を構築する予定でございます。
○吉原委員 今年度中に支援制度をしっかりとつくっていっていただく、こんなご答弁をいただいたわけでございまして、ぜひしっかりとした制度をつくっていただいて、若い人たちが外国に行ってしっかりと勉強していただいて、そしてまた日本に戻った中で、将来的にも日本で大きな活躍ができるような、そんな国際感覚を持った若者を育てていただけるように、頑張ってもらいたいなと思っています。
次に、高校生の留学経験を評価する大学の入学者選抜方法についてお尋ねをしたいと思います。
昨年十二月の四定で、我が党の代表質問の中でそのことを取り上げさせていただきました。高校生が海外留学を通して、言葉の壁を乗り越えて異文化に接して、さまざまな物の見方あるいは考え方に触れることは、人間形成はもちろんでありますけれども、日本を担う将来ある若者を育成することにつながる、こういう提案をさせていただきました。
今日では、ご案内のとおり、既に次世代リーダー育成道場が実現をいたしまして、もうスタートしていただいているわけでございます。
その提言を昨年させていただいた際に、あわせて、首都大学東京において留学した生徒の実績を適切に評価していただいて、入学者選抜を取り入れてもよいのではないか、こういうお尋ねをして見解をお伺いいたしました。これに対して局長からも、これから検討していきますと、こういう答弁をいただいたところでございますけれども、そのことについての現在の検討状況についてお尋ねをいたします。
○伊東首都大学支援部長 留学実績を評価する入学者選抜についてですが、首都大学東京は、広く国内外で起きているさまざまな事象に関心を持ち、都市社会の課題を発見し、その解決に向けてリーダーシップを発揮する人材の育成を目指しております。これまでも、多様な能力や資質を持つ学生を受け入れるため、推薦入試、AO入試、特別選抜などの入学者選抜を行っているところでございます。
留学実績を評価する入学者選抜方法については、今年度から、教育庁で実施している次世代リーダー育成道場の状況などを踏まえつつ、留学した生徒の能力や資質を生かせる仕組みについて検討しております。
○吉原委員 それでは最後に、首都大学東京の留学生の状況に関して、今、数点お尋ねをさせていただきました。現在でも、若者の内向き志向が強まっている、こういわれている時代でございます。世界の中で活躍できる人材育成は大変重要でありますから、東京都の設立したといいましょうか、かつての都立大学、今の首都大学東京が、国際化に積極的に取り組んでいただくことを改めて要望いたしまして、質問を終わります。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
○吉倉委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
報告事項、東京都自転車対策懇談会の提言についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中村総合対策部長 九月十八日の当委員会において要求のございました資料につきまして説明させていただきます。
恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回の要求でございました資料は、記載のとおり三件でございます。
一ページをごらんください。自転車事故の高額賠償の例でございます。
都内においては、三段目、平成十九年の事例がございまして、賠償額は五千四百三十八万円となっております。
続きまして、二ページから三ページは、自転車関係の保険の例でございます。
特定の車両に付加された保険、これは点検整備を受けたあかしであるTSマークが貼付された自転車であれば、運転者がだれであっても補償の対象となるものです。そのほか、自転車に特化した保険、傷害保険と一緒に加入する保険等、その形態別に表にまとめてございます。
四ページをごらんください。都内自転車防犯登録の流れでございます。
都内における防犯登録の流れを図式化したものでございます。
以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○吉倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○しのづか委員 それでは、東京都自転車対策懇談会提言についてお伺いいたします。
エコ、健康問題、そして渋滞軽減、身近なまちおこしなど、絶大な効果を発揮する自転車は、今や、欧米のみならず韓国、そしてメキシコなどでも、主要な交通機関になり得ると、現在大変に注目され、有効利用されています。
私も二年前、都市問題調査団の一員として、この自転車政策について、オランダのアムステルダム、そしてドイツのフライブルク、フランスのパリ、イギリスのロンドンと四都市を調査してまいりました。
今、日本では、中でも首都東京の自転車状況には、どうしても問題があり、これはすべての人に共通する認識となっていると思います。
中でも、今回問題となっている点は二つあると思います。まず一つ目が、自転車がルールとマナーを守らないということ。その結果として、特に歩道上の自転車事故が非常に多いこと。二つ目が、放置自転車対策に多大なお金がかかっているということです。
特に、日本の自転車の利用状況には、私としては異常な現状があるのではないかと思っております。その現状のその一として、自転車が歩道を走行することがスタンダードになってしまっているということ。二つ目として、自転車が、歩道上もそうなんですが、道路上、左右でたらめに走ることに、だれも何の疑念も持っていないこと。そして、三つ目として、そもそも交通を取り締まる側の警察官が自転車の走行ルールを守っていないということです。これは、世界の先進国じゅうどこにも例がないそうです。その結果、日本の自転車事故は、数、そして率ともに、先進国では断トツのワーストワンになっているということです。
この現状を踏まえながらも、自転車を有効活用し、身近な都市交通手段として位置づけることが現在求められています。そのためには、私は、必要なインフラの整備と法の整備と、そして教育、啓発のあり方、これが大いにかかわってくると思っております。
自転車を含む交通政策は、都市政策と非常に密接に関連していると思います。本来ならば、都全体で自転車の利用促進も含めた都市交通のあり方について検討すべき課題であると思いますが、その中で、今回、自転車対策懇談会から自転車問題の解決に向けてという提言書が出されました。懇談会の中でも交通政策についての議論があったみたいですが、提言の内容は、自転車利用の促進というよりも、安全利用に特化した内容となっています。
そもそも、どのような目的でこの懇談会を設置したのか、まずお答えください。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車は、都民生活に密着した身近な乗り物でございまして、多くの都民が日常的に利用しているものでございます。
こうした自転車の利用が促進されるためには、安全に利用されることが前提であり、自転車利用者のルール、マナー違反や、自転車の放置等が問題となっている中で、まずは安全で適正な自転車の利用が図られるべきとの観点で、懇談会を設置し、関係者に議論していただいたものでございます。
○しのづか委員 私が前提で話したこととそうずれていないかなと思います。
そして、今回の提言の内容を見させていただきまして、そしてまとめも見させていただいた中で、総論として、一つは、自転車対策は、自転車にかかわる幅広い関係者がそれぞれの責務に基づく取り組みを着実に実行し、解決に向けたあらゆる努力をすることが必要であると。二つ目として、都民の意識を高め、関係者の施策の実施を担保するためにも、都において自転車の安全利用条例を制定することが有効であるとされております。
ということは、目的として自転車の安全利用条例の制定というものがあるわけなんですが、この条例制定のねらい、これは何か、見解をお伺いします。
○五十嵐治安対策担当部長 条例を制定すること自体の効果といたしまして、自転車を安全で適正に利用するという利用者の意識を高めることがあると考えられます。
また、都だけではなく、家庭、学校、事業者等の関係者の責務を明らかにするとともに、それぞれが取り組むべき具体的な施策を法的に明らかにすることによりまして、社会全体での着実な取り組みが期待されるものと考えております。
○しのづか委員 それでは、提言の内容に入る前に、先ほども紹介した日本の自転車の利用状況の異常な現状というものをちょっと紹介したいというか、まずはお聞きをしたいんですが、自転車の歩道走行など、道交法上では自転車はどのように走るべきだと定められているか、まずお答えください。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車の通行方法は道路交通法に規定されておりまして、これによれば、自転車は車道の左側端を通行することが基本となっております。
ただし、歩行者の通行の妨げとならない場合には、路側帯を通行することが可能でございまして、児童や高齢者等以外の利用者であっても、一定の要件を満たす場合には、歩道を通行することも可能でございます。
なお、歩道を通行する場合には、歩道の車道寄り部分を徐行して通行しなければならないとされております。
また、交差点におきまして右折する場合には、左側端に沿った二段階右折をすることとされております。
○しのづか委員 多分、今のお答えは道交法の十七条、十八条、そして六十三条、これを簡単に答弁していただいたということなんですが、基本的に、自転車は車道の左側を走ることということがまず大原則なんです。自転車法規の中で、最重要項目というのは十七条と十八条というものであり、これが自転車の絶対的な基本原則です。警察庁の交通方法に関する教則の改正版の中にも、車道左側通行原則の堅持というのは一番先に出てきます。
しかし、原則があれば例外もありまして、それが六十三条なんですが、道交法第六十三条の四、その第一項として普通自転車の歩道通行というものがあります。普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができるとし、〔1〕、道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができるとされているときとなっています。これはいわゆる自歩道規定といわれまして、自転車及び歩行者専用の道路標識、よく青い、歩行者と自転車が併記されている、あの道路標識がある場合は、自転車が歩道を通行してもいいということをいっています。この条文が拡大解釈され、ほぼすべての自転車が当たり前に歩道を通るようになってしまったというのが現状ではないかと私は思っています。
しかも、この規定が適用される自転車歩行者道というのは、現在は歩道全体の約四割ということです。歩道を走っている自転車の半数以上は、既に道交法を守っていないということになってしまっているんです。
さらに、二〇〇八年六月施行の道交法の改正の中で、道交法第六十三条の四第一項、ただし、警察官などが歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでないとして、一番、道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。二番目として、当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。三番が問題でして、前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるときとなっています。
この三の、歩道を通行することがやむを得ないと認められるときには、歩道を通行することができるという部分が拡大解釈され過ぎていて、現状の車道も歩道もでたらめ状態というものを追認してしまっています。このことにより、特にこの十年で、歩道上の自転車対歩行者の事故が実に七倍にも増加しております。これが今回の自転車対策懇談会を開くもとになったのかなと私も思っているんです。社会問題になっています。
だからこそ、条例で安全利用のルールを決めようとする都の考え方は理解するものなんですが、最初に申し上げたように、私は、国の法レベルでの自転車の歩道走行に関しての見直し、これが必要だと考えます。法整備が必要だと申し上げましたが、都としては、国に対して道交法の改正を強く求めてもらいたいと思います。これは意見としておきます。
自転車の問題点は、このような基本的なルールとマナーが徹底されていないということであり、今回の提言では、このマナー違反を改善するために、〔1〕、安全教育の機会の確保と受講の促進、そして〔2〕、悪質な違反に対する取り締まり、これらを挙げております。
自転車のルール、そしてマナーを徹底するためには、安全教育を普及させるとともに、悪質な違反に対する取り締まりを強化するべきであると思います。この点については、懇談会の提言でも、いろんな方が意見もおっしゃられておりますし、まとめの中でも言及されています。
都として、この両方の施策についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 安全教育につきましては、幅広い年齢層の利用者に対して実施する必要がございまして、そのためには、都、警視庁、教育委員会や区市町村が民間事業者とも連携して、社会全体で教育を行っていくことが必要でございます。都としては、幅広い関係者による安全教育が効果的に行われるよう、そのマニュアルを作成するなど、関係者の取り組みを後押しする施策を検討してまいります。
取り締まりの強化についてでございますが、自転車対策懇談会には警視庁の関係部局も事務局として参加しておりまして、警視庁がこの提言を受けとめ、適切に行っていくものと承知しております。
○しのづか委員 ぜひこの連携の強化、青治さんの場合は、いわゆる安全利用というところの範疇でしか、局としての事務というのができないんですよね。やはり環境整備ですとか取り締まりということになると、連携が欠かせないと思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。
先ほども私、申し上げたんですが、そもそもまちの中を警らしている交通対策を取り締まる側の警察官がこのルールを守っていないというのは、私はもう一丁目一番地だと思っています。まずは、条例制定による取り締まりの強化というものも大事なんですが、それをうたう前に、警察が身をもって範を示すべきと私は考えております。まちのお巡りさんの自転車の乗り方、これが変われば、特に子どもたちの安全教育には絶大な効果を発揮すると私は確信しておりますので、ぜひ、これは青治さんにいう話ではないんですが、意見として、こういう意見があったとお伝えください。
そこで、今回の提言の中にあるナンバープレート制度、デポジット制度に入ります。
今回の各委員からの意見にもあるように、有効性、これは私は認めております。しかし、制度導入の効果については懸念材料があると思っております。また、いきなりナンバープレートやデポジットに移行する前にやるべき対策があるのではないかとも思っております。
今お使いの自転車やネット通販で買った自転車など、すべての自転車にプレートをつけることが可能なのか。それと、県境がそうなんですが、よく通勤で使われている方もいらっしゃいますが、他府県からの自転車の流入、これをどうするのか。そして、ナンバープレート管理には大がかりなシステムを有することから、多大な費用をどこから工面するのかなど、制度導入に当たってはさまざまな課題の整理が必要であると思います。その慎重論の意見も、いただいた資料の中にもありました。
ナンバープレート制度は、私の知る限り、世界では、上海に五十年前ぐらいから存在しております。また、ベルギーも近年、ナンバープレート制度を導入したんですが、結局は有名無実化しているというふうに聞いております。すべての自転車にプレートがついている状況にはありません。
また、日本では、昭和三十三年まで、鑑札制度というナンバープレートのようなものがあったと聞いておりますが、どのような理由から制度設計され、そして廃止になったのか、ご存じでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車の鑑札制度につきましては、地方自治体が自転車荷車税を課税した際の納税の証明として、自転車に番号を表示した鑑札を装着する制度であったというふうに聞いております。
しかし、戦後、自転車が大衆化していく過程において、税の収入に比べ、徴税に必要な事務手続に要する経費が大きくなってきたことなどの理由から、自転車荷車税そのものが廃止され、鑑札制度も廃止されたというふうに聞いております。
○しのづか委員 今お答えあったように、結局は管理にお金がかかり過ぎちゃって、やめちゃったんです。大衆化していって、要は管理し切れなくなっちゃったというのが、私が聞いているところであります。
また、今回の問題の背景として、放置自転車対策が挙げられています。確かに放置自転車対策だけを見れば、デポジット制度というのは有効な手段かもしれません。しかしながら、放置自転車はここ十年間で四分の一に減少しているということも事実であります。そもそも着実に成果を上げている放置自転車対策を理由にすること自体、私は無理があるように思えてなりません。
都は、放置自転車が減少している現状、これをどのように認識しているのかお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 平成二十三年十月に都が区市町村を通じて実施した駅周辺の放置自転車等に関する調査によりますと、都内の駅周辺の放置自転車等は約四万二千台となっております。平成十三年の同じ調査では約十九万八千台であったことから、この十年間で放置自転車等は大幅に減少しているということでございます。
しかしながら、放置自転車が通行の妨げとなり、まちの美観を損なうだけではなく、撤去活動等の放置自転車対策に年間約百六十二億円を要するなど、依然として大きな問題となっております。
したがいまして、都といたしましては、今後とも、区市町村等の関係者と連携しながら、放置自転車対策を推進していく必要があるものと認識しております。
○しのづか委員 今のお答えのとおりなんです。だからやらなくていいとはいっておりません。お金がかかっているのも現状だと認識しておりますので、もし制度設計するのであれば、これ以上の税金投入を図るような、税金ということは事業にお金をかけるだけじゃなくて、人手だとか何だとか、今回の提案でいうと、結局は利用者負担という、税金とは違う形の負担が提案をされるのかなというふうに私は懸念をするものですから、一言申し上げました。
また、地方自治法第二条第十四項にも定められているように、地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならないとされておりまして、解決策は、きちんと実効性があり、税金投入を最小限に抑えることができるもの、これからやるべきであると思います。
いただいた懇談会の資料では、防犯登録制度の仕組みを活用した新たな登録制度の例が示されておりますが、これをどう運用していくのかなんですが、このように今ある制度を活用して無理のないところから始める、これを考えるべきであります。
しかし、既存の防犯登録制度というものは、防犯という視点から制度設計されているため、義務が徹底していなく、さらに登録情報の連携、これが都道府県によってばらばら、ばらばらというか連携されていないんです。都道府県単位でしか登録をされていないということで、課題の整理が必要ということがあります。
まずお聞きをしたいんですが、新しい登録制度を設けるのではなく、まずは防犯登録を改善すべきではないかと考えるんですが、なぜ防犯登録の徹底ではだめなのか、お答えください。
○五十嵐治安対策担当部長 防犯登録は、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律に基づく制度でございまして、その制度のあり方は基本的に国が検討すべき事項であると考えております。
一般論といたしましては、自転車は私有財産であり、防犯登録が盗難の防止や被害回復といった防犯を目的としている制度である限り、現状以上に公的な登録を徹底した制度とすることは困難であると考えております。
ナンバープレート制度やデポジット制度が有効に機能するためには、都内の自転車利用者全員が参加する厳格な登録制度が必要と考えられますが、現行の防犯登録は一部の自転車が登録されていないことなどから、これらの制度の前提としては十分に機能しないものと考えられます。
そのため、現行の防犯登録では不十分な点を補うものとして、新たな登録制度を設けることが必要ではないかというふうに考えております。
○しのづか委員 お答えいただきましたが、ぜひ検討していただきたいのが、ダブルスタンダードにならないようにしていただきたいということです。
問題と対策には、私は先ほどから繰り返し申し上げているように順番があると思います。なるべく税金がかからない、それでいて実効性があるという方向から、一つ一つ積み重ねていくべきだと思っております。その順番とは、まず警察官の自転車の安全運転から始まり、左側通行の徹底、そして車の違法駐車の排除、そして自転車ルールの周知徹底、これは学校による安全教育だけではなく、例えば免許の切りかえ時に自転車の走行ルールを説明するですとか、自動車の免許そのものを持っていない方に対してどうするかという、その辺の課題があるんですが、いろんなあらゆる手段でそれをやると。それと駐輪場の整備や自転車走行レーンの整備などのインフラの整備だと思います。
ナンバープレートやデポジットのような施策というものは、私は、最後の最後、どうしてもだめなときにやるべきことだと考えておりますが、その見解をお伺いします。
○五十嵐治安対策担当部長 当本部といたしましては、まず自転車の安全で適正な利用を促進するための条例を早期に提案できるよう取り組んでまいります。また、庁内各局、警視庁、区市町村等の関係者とも連携し、安全教育の充実、自転車の安全な走行空間の確保、駐輪場のさらなる整備等についても、引き続き取り組んでまいります。
ナンバープレート制度やデポジット制度につきましては、自転車利用者のルール、マナーの向上や、自転車の放置防止に有効な方策であると認識しておりますが、他方、導入については課題もあることから、ただいま申し上げました自転車の安全利用に向けたさまざまな取り組みの推進とあわせて、これらの制度の導入の是非やその制度のあり方について、関係者の意見を踏まえ、検討してまいります。
○しのづか委員 ぜひ、きょう申し上げたことも含めて慎重に検討していただきたいと思います。
本日は、安全利用を促進する条例や交通安全教育の充実、また新たな登録制度について質問いたしました。これらの取り組みは重要ではあると思いますが、自転車の安全利用のためには、先ほどから申し上げているように、最初に申し上げた、インフラの整備と法整備と教育、啓発と申し上げましたが、インフラの整備、いわゆる自転車道や自転車レーンの整備を初めとする道路環境の整備、改善が不可欠であり、安全教育とは私は車の両輪であると考えております。
今後、都市の交通手段として自転車の役割はますます重要になると思われますが、交通安全全体を取りまとめる青治本部としては、条例の制定といった取り組みとともに、建設局、そして都市整備局などとも連携した総合的な取り組みを進めてもらいたいと思います。
関係機関の連携について、最後にお伺いをいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車の安全利用を促進するためには、教育の充実等とあわせて、自転車を安全に利用できる走行空間の整備も重要であると認識しております。
自転車対策懇談会の提言におきましても、ネットワークとしての自転車走行空間の整備の重要性について指摘がございまして、これを重く受けとめているところでございます。
当本部としては、国や区市町村などの道路管理者や交通管理者である警視庁等が、自転車の安全な走行空間を確保する取り組みを一層進めるよう、引き続き関係機関と緊密に連携し、交通安全対策を一体的かつ総合的に推進してまいります。
○しのづか委員 最後に意見なんですが、最初に申し上げたように、自転車政策というものは、やはりこれからの東京の都市交通というものを考える中で、私は重要な位置づけになってくると思います。ぜひ、青治本部、そして先ほど申し上げました都市整備局や建設局、そして警視庁など、各局がきちんと連携をしながら、都市交通問題をどうしていくのかということ、都市交通といわゆる都市づくり、都市計画と連動して取り組みを進めていくことが大事だと思います。
ちなみに、栃木県宇都宮市、そして札幌市など、先ほどもいった世界のどこにも例がないといったものを、普通の国、普通の世界と同じようなルールの自転車大国になろうという取り組みがあります。車道自転車レーンというものを敷設しまして自転車事故を四割減とした、もう既に実績が出ている実例もあります。こういった実例を参考にしながら、これからも自転車の安全利用についての取り組みを進めていただきたいと思います。
これで終わります。ありがとうございました。
○吉原委員 私からも、自転車対策懇談会の提言に関しまして何点かお尋ねをさせていただきます。
まず初めに、懇談会の概要、また、どのような観点からこの提言が取りまとめられたのか、冒頭にお伺いをいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 懇談会は、自転車利用者や小売業者等の幅広い関係者で構成されておりまして、自転車の安全利用を促進するための課題とその対策について議論していただいたものでございます。
提言では、自転車をめぐる諸問題を、自転車の安全利用、放置自転車、走行空間の三つの観点でとらえた上で、それぞれの課題に対して、教育の機会の確保と受講の促進、駐輪場の整備と案内の充実、ネットワークとしての走行空間の整備などの具体的対策を示していただいたところでございます。
○吉原委員 提言の観点ということで三点、自転車の安全利用、放置自転車、走行空間、こういうことで今答弁をいただいたわけでありますけれども、私の方からは、自転車の安全利用というものについて、自転車利用者のルールとマナーの問題について、何点かお伺いをさせていただきます。
自転車利用者の信号無視あるいは夜間の無灯火での運転は、ルールは知らないというわけでは全くないんだろうと思いますけれども、明らかにこれはルールを無視しているわけでございます。こういった事例に対しましては、警察が指導だとか警告だとかというのは当然でございますし、取り締まりを行っていくというのは、今さらいうことでもありません。
しかし他方で、自転車のルールについて周知が十分でないものもあるのではないかなというふうに思います。例えば自転車の通行場所は、当然のことながら原則車道でございます。例外的に歩道通行などができる場合の規定は、児童や高齢者が通行する場合のほかに、道路標識等によって歩道通行が可能とされている場合、そして、車道の状況から歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合など、なかなかいろんな場面があって、複雑でわかりにくいのではないかなというものが多いと思っております。結果的に、あくまで例外である歩道通行の規定が拡大解釈をされて、無秩序な歩道通行がまかり通っているような場合が多々あるわけでございます。
自転車利用者に対する安全教育については、ルールやマナーを遵守すべきという意識づけをする面、もう一方では、ルールを知らない利用者に対して遵守すべきルールをしっかりと理解させるという、この両面の取り組みが必要だというふうに思っておりますけれども、見解を伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 ただいまお話がありましたとおり、自転車のルール、マナーの問題には二面性があるものと認識しております。
信号の遵守、自転車の二人乗りはしないといった基本的なルールを守らない自転車利用者に対しては、交通ルール違反は違法行為であり、決して行ってはならないということを徹底して教育する必要がございます。
他方、成人であっても、自動車等の運転免許を所持していない場合は特に、基本的な道路標識の意味も含め体系的に交通ルールを学ぶ機会がなく、ルールそのものを知らない、理解していないという場合があり、自転車の安全利用に必要な知識を教える内容の教育を行う必要があると認識しております。
○吉原委員 安全教育の必要性を認識していると、こういう答弁をいただいたところでございますけれども、昨年三月の東日本大震災、私たちの国にも大変暗い影を落とした出来事でございましたけれども、その後から今日まで、会社に行くという意味も含めた中での通勤利用と思われる自転車が大変ふえてきたように実感をしているわけでございますけれども、こうした一般の大人の人に対する安全教育の充実についての見解を伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車が関与する交通事故は、二十代、三十代の層で多く発生しておりまして、成人に対する安全教育が重要でございます。
未成年者に対しては、学校を通じた教育を実施するなどの対応が可能でございますが、成人層につきましては、統一的な教育の機会がないことから、さまざまな関係者の協力を得ながら、幅広く取り組みを展開していく必要がございます。
都としては、区市町村、民間事業者と連携した大規模商業施設における安全教育等の取り組みを行っているところでございますが、通勤という点に着目すれば、事業者による従業員の安全教育を促すことも重要であると認識しております。
○吉原委員 成人層に対しては幅広い取り組みが必要だと、こういうことでございます。
一方、事業者による自転車通勤者への安全教育が必要だと、こういうことで今答弁いただいたところでございますけれども、それ以外に、通勤者だけではなくて、今、バイク便というのも利用者が大変多くなったというふうにお聞きもしているわけでありますけれども、一方で、メッセンジャーといわれる自転車の宅配便の事業者も多くあるわけでございます。こういった事業者は法的にはどのような位置づけになっているのか。また、自転車宅配事業者というのが都内に大体どのぐらいあるのか、もしわかれば教えていただければと思います。
○五十嵐治安対策担当部長 自動二輪車を利用した貨物運送事業につきましては、排気量百二十五ccを超える二輪車を使用する場合は、貨物自動車運送事業法の規定に基づき、軽貨物自動車運送事業として国土交通大臣に届け出る必要がございます。他方、排気量が百二十五cc以下の自動二輪車や電動機つき自転車、また自転車を利用した貨物運送事業については、法的な規制はなく、だれでも自由に営業できる状況にございます。
したがいまして、お尋ねの自転車宅配便の事業者数は把握してございません。
○吉原委員 自転車で多くそういった事業をしている会社もあるわけでございますけれども、当然のことながら、一般の大人も、自転車に乗るときのルールというものをしっかりと守っていかなきゃならないわけでありますけれども、特に業をなして、なりわいとしている自転車による宅配事業者というのは、一般の人よりもさらに高い自転車利用に対する責任というのがあってしかるべきだろうなというふうに思うわけでございます。
東京都は、自転車の安全利用のための条例をこれから制定するということで、今、準備を進めていただいていると思いますけれども、都として法的に自転車宅配便を位置づけて、事業者をしっかり把握して、指導できる体制をつくっていくべきではないかなというふうに思っています。今回の条例ではそうした規定は盛り込むことになるのでしょうか、どうなんでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車対策懇談会の提言にありますとおり、自転車を使用する事業者は、従業員に交通安全教育を行う必要があるものと認識しております。
都としては、自転車便の事業者が実際に自転車を運転する従業員に適切な安全教育を行い、自転車の安全利用が確保されるよう、今後、制定に取り組む自転車の安全で適正な利用を促進するための条例に必要な規定を盛り込むことを含め、具体的な取り組みを検討してまいります。
○吉原委員 自転車宅配便事業者が従業員への安全教育をしっかりと行っていただいて、交通ルールを遵守して、自転車を使う多くの都民の皆さんの範となるような自転車の利用をぜひしていただくことは、大変意義のあることだというふうに思います。
そういった事業者の取り組みを促すためにも、例えば従業員にしっかりと安全教育をされた自転車宅配便事業者、こうした事業者については、都として何らかの登録だとか、あるいは認証するような制度をぜひ設けることはできないかなというふうに思っています。そしてまた、登録した事業者の自転車には、外見上、登録したことがわかるような表示をするということも検討されるべきであると思いますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
次に、自転車を利用されているさまざまな事業者についてお伺いをいたします。
自転車を利用する事業者という点では、今お話をさせていただきました自転車の宅配便に限らず、商品の配達や従業員の移動手段として自転車を使用している事業者もたくさんあるわけでございます。こうした事業者についても、自転車宅配便事業者同様に社内で安全教育を行ってもらうべきだと思いますけれども、見解を伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車は、買い物やレジャーといった個人的な利用だけではなく、さまざまな事業活動において広く利用されているものと認識しております。
都としては、自転車を業務に使用するあらゆる事業者が責任を持って従業員に対して適切に安全教育を行うことができるよう、そのマニュアルを作成するとともに、企業や業界団体とも連携し、安全教育に資するリーフレットを作成、配布するなど、今後もさまざまな活動を展開してまいります。
○吉原委員 自転車を利用していただいているすべての事業者に、しっかりと安全教育をしていただくことは大変重要だと思います。
自転車のルールとマナーの問題について何点かお伺いをさせていただきました。交通ルールとマナーの遵守は、当然、自動車やバイクあるいは歩行者にも求められるわけであります。
ことしの都内の交通事故の死者数は、昨年比で大幅に減少しているとはいっても、既に百人以上に上っているわけでございます。自転車利用者の死者、あるいは自転車の危険な運転の犠牲になる歩行者も含めて、都内の交通事故死者数ゼロを目指した取り組みがますます必要だと考えております。
死者ゼロに向けての樋口本部長の決意を伺いまして、質問を終わります。
○樋口青少年・治安対策本部長 先生のお話にありましたとおり、都内における交通事故における死者数は、十年前の約五割に減少しておりますが、今なお一年間で二百名以上の方が交通事故で亡くなられております。
私は、ご案内のとおり警察出身でございますけれども、これまで警察の現場におきまして、事件、事故等で命を亡くされたご遺体に接し、あるいはまたご遺族にもお会いすると、そういう経験を何度も重ねてまいりましたけれども、交通死亡事故は、被害者のとうとい命を突然に奪うだけでなく、残された遺族に耐えがたい苦しみを与えるものであることを実感してまいりました。
このようなみずからの実体験から、交通事故などに遭うことなく、安全で安心できる当たり前の日常が平穏に続くことが都民の方々の切実な願いであると認識し、交通死亡事故等の悲劇を繰り返してはならないとの強い思いをかねてから持ち続けております。
痛ましい交通事故を一件でもなくし、究極的には交通事故のない社会を実現するためにも、警視庁、関係行政機関、事業者等の関係者の方々と連携して、自転車の安全で適正な利用の促進に向けた取り組みを初め、交通安全に関するさまざまな施策について、今後とも全力で取り組む所存でございます。
○伊藤委員 それでは、私からも、東京都自転車問題懇談会提言について何点か質問をさせていただきます。
都議会公明党はこれまで、自転車問題について繰り返し議会の中で質問、そしてまた問題提起、提案等をさせていただきました。
こうした中、都は積極的に自転車問題に取り組み、このたびは、学識経験者、自転車利用に関する関係者、そして行政の実務者等による東京都自転車問題懇談会を設置し、あらゆる角度から問題点の整理のほか、具体的な提言をしていただいております。この間、委員の皆様には熱心に議論を重ねていただいたこと、こうしたことに心より感謝を申し上げる次第でございます。
この提言をもとに、いよいよ条例制定へ向けて、東京都とともに、都議会公明党としましてもしっかりと取り組み、また邁進をしてまいりたい、このように決意を新たにするものであります。
自転車の適正利用と都民の安全・安心を確保、そしてまた実現をしていくためには、私は、まず安全教育の機会の確保と受講の促進が重要だと考えます。
これまでは、安全教育の一環として、区市町村や学校等で自転車安全教室などが開催されてまいりましたけれども、一概にはいえませんけれども、そこに参加する人はいつも決まっている人であったりとか、あるいは教室の内容の工夫も非常に難しかったりだとか、課題も多かったように思います。今後は、提言にもあるように、問題解決を図るために、これまで以上に実践的な安全教育を推進する必要があると思います。
そこでまず、懇談会の提言においては、都は安全教育のためのマニュアルを作成すべきとされておりますけれども、自転車利用者は非常に年齢層も幅広く、画一的なマニュアルでは、単に知識として習得すべき交通ルールを列挙するだけのものとなってしまう懸念があります。
そこでまず、マニュアルについてはどのようなものを作成しようとしているのか、また検討していこうと思っているのか、この辺を伺いたいと思います。
○五十嵐治安対策担当部長 幅広い利用者に対する教育は、家庭や学校等で子どもに対して行うだけではなく、行政機関や事業所等も含めた社会全体で行われるべきでございます。
こうした教育は、知識として習得すべきルールを教示するだけではなく、道路における危険予測とその回避の方法といった実践的なものも内容とすべきと考えられます。都としては、こうした内容を都民全体にわかりやすく示す教育のマニュアルを作成すべく、具体的な内容を検討してまいります。
○伊藤委員 小学生への自転車安全教室では、子どもたちが興味を持って学習できるようにするために、学校あるいはPTAの保護者の方々が、毎回、どんなやり方にしようか苦労しているという話も聞いております。また、今後は、都のマニュアルに従って、企業、また事業所等が独自に社員への教育をしようとしても、どんなプログラムがあるのか、どのように進めればいいのか、迷うのではないかと思います。
例えば、自転車を乗り始めるころの小学生には小学生なりの成長過程に合わせた内容、習得させるべき内容もあると思います。
また、きょうの青少年・治安対策本部から資料要求で出された資料を見ても、自転車事故の高額賠償の例を見て改めて思いますけれども、男子高校生が、あるいは女子高校生が、男子中学生が事故を起こしてしまって、取り返しのつかないことにもなっている。こうした状況を踏まえて、中学生、高校生には、それなりの成長年齢に合わせて、一たび事故になれば、一瞬にして自分も加害者にもなるし、また被害者にもなってしまうこと、こうした事故の恐ろしさを疑似体験させるなどの工夫も必要だと思います。
また、子育て中の保護者には、子どもを乗せて走るときに注意しなければならないこと。また、よく見かけるのが、子どもを乗せたお母さんが、後ろのスタンドをカチャンと立てて、八百屋さんで野菜を買っている間に自転車がひっくり返ってしまって、子どもが頭を打つと、こういったようなけがを見かけることもあります。
こうしたそれぞれの層に合わせた交通安全教育をしっかりと具体的に教える内容を示していく必要があるのと同時に、これから行われていく安全教育を進めていくに当たって、多様なプログラムあるいは多様なメニューというものを都民に示しながら、今回はこの内容をしっかり学んでいこうと、また、こういう対象の方々はこういうことを学んでいこうということが選択できるようなものが必要ではないかと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
○五十嵐治安対策担当部長 安全教育の内容を受講者に真に理解してもらい、安全な自転車利用の実践につなげるためには、教育内容をマニュアル化するだけではなく、教育を行う方が受講者の状況等に応じた効果的な教育を行えるよう、その手法や手順をわかりやすく、きめ細やかに示す必要があると認識しております。
都としては、多様な主体によるさまざまな交通安全教育が効果的に推進されるよう、関係者の意見も踏まえ、真に実効ある安全教育の方法を幅広く検討し、その普及に努めてまいります。
○伊藤委員 ぜひとも、マニュアルの作成とともに、教育プログラムあるいはメニューといったものを、実際に安全教育を実施する方法を示していただきたいと思います。
次に、私は都議会のことしの一定で、安全講習の参加者に対するインセンティブの付与について質問をいたしました。先ほどもいったとおり、これまでの安全教室には、本当に来て受けてほしい人がなかなか来てくれないという実態もあると思います。参加者による自発的な受講の意識の醸成も大事でありますけれども、区市町村においては、交通安全教室を初めとする自転車対策事業を積極的に実施しているところもあり、そうした区市町村の果たす役割は非常に重要であると思います。
区市によっては、参加していただいた方に、本当に来てよかったと思ってもらえるような工夫、あるいは、ここに来て得したな、こう思ってもらえるような工夫をしていきながら、幅広い人たちにこうした教室の受講をしてもらうことを取り組んでいるところもあります。中には、受講してもらった人にTSマークを付与したり、あるいは駐輪場の優先利用、こうしたものをインセンティブとして付与しているところもあります。
しかしながら、個々の区市町村におけるこうしたインセンティブの取り組みには限界もあると思います。取り組みを一層推進するために、都として何らかの支援をすべきというふうに思いますけれども、見解を伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車は都民生活に密着しており、安全な利用の促進については、基礎的自治体である区市町村の果たす役割は大きいと認識しております。
区市町村における安全教育が効果的に行われるよう、都は、自転車の交通ルールをわかりやすく習得できる自転車シミュレーターを活用した安全教室や、スタントマンの実演により交通事故を再現し、その恐ろしさを実感してもらう安全教室を主催するほか、区市町村の安全教育担当者の実務能力の向上を図るための講習会も開催しておりまして、引き続きこうした取り組みの充実を図ってまいります。
○伊藤委員 受講者には、区市町村が第一義的にはしっかりとインセンティブを与えていく、また、都としては区市町村にインセンティブを与えていく、こうしたこともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
このたびの懇談会の提言の中にも、関係者がそれぞれの責任において必要な対策を実施することを担保するため、都において、自転車の安全で適正な利用に関する条例を制定し、予算措置を講じて実行することが有効であると考えられるので、積極的な検討を進めていただきたい、このようにございます。
都としてしっかり予算措置を講じていただきながら、都みずからの施策も推進すべきと思いますけれども、また区市町村への支援も講じることを強く求めておきたいと思います。
先日私は、地元の品川区内で、車は一方通行の道、そして少し広目の道路であるために、一方通行でありますけれども、結構車がスピードを出して通る道路があります。ここにある日突然というか、自転車ナビマークがあらわれまして、しばらく様子を二、三十分ほど見ておりましたらば、その道は、よく自転車が無造作に、あっちもこっちも走っている道路でありましたけれども、二、三十分見る中で、ナビマーク、要するに自転車が進むべき方向を示し、自転車が通るべきスペースを示したマークでありますけれども、三十分見ている中で、見事に自転車の利用者は、進むべき方向、スペースを守っておりました。この効果は私の想像以上であったと、このように思った次第であります。
自転車ナビマークについては、課題もあることは認識をしておりますけれども、こうした課題改善も図りながら、ぜひとも自転車ナビマークを設置促進していくべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車ナビマークにつきましては、現在、警視庁において、一定の基準に従って設置を進めております。これは法律に定めのあるものではなく、警察だけではなく道路管理者でも設置することが可能であると承知しております。
懇談会の提言では、ナビマークを歩道に設置する場合は、歩行者優先の考え方に誤解が生じないよう、設置方法を工夫すべきとの指摘がなされておりますが、ナビマークにつきましては、自転車の通行場所をわかりやすく示すという観点からその設置を進めるべきとされております。
都といたしましても、安全教育の充実とあわせ、自転車の通行場所をわかりやすく明示することは、通行ルールを守った安全な利用の促進に効果的であると考えております。
したがいまして、交通安全を推進するという当本部の役割を果たすためにも、警視庁等と情報交換をしながら、自転車ナビマークが普及するよう、積極的に働きかけや協力を行ってまいります。
○伊藤委員 自転車の安全利用を推進していくためには、教育の充実とともに、今申し上げたような、例えば自転車ナビマークを初め、安全な走行空間を確保していくことが重要と思います。こうしたものを設置していくためには、当然、地元レベルでの地元の方々を含めた協議会のようなものを設置していく必要があると思います。
そしてまた、走行空間でありますけれども、走行空間は、ここまで行くと、そこから先はなくて、また違うエリアに行くと突然走行空間があらわれるということもたびたび見かけるわけでありますけれども、走行空間のネットワーク化を図っていくことも非常に重要だと思います。
また、走行空間は、いろんなネーミングがあったりとか、あるいは設置主体者によって色が違ったりとか、またマークが違ったりということも、提言の中で指摘がされておりますけれども、こうした共通のマークや色を都内全域でしっかりと共通化を図っていくということも大事かと思います。
いずれにしても、走行空間はいろんな種類もある、またマークもある。こうしたものを統一化していきながら連続性を持たせていく、こうしたことを進めるためには、先ほど申し上げたような協議会、そしてまた、道路管理者あるいは区市町村、また国、いろんな関係機関が力を合わせなければ、これはなかなか進んでいかないというふうに思います。
そこで、私は、東京都が、道路管理者や、あるいは国、区市町村、またこういう協議会の接着剤として、積極的に自転車走行空間のネットワーク化、拡大を図っていこうということを働きかけていくべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 都内の道路総延長は約二万四千キロございまして、自転車の走行空間のネットワーク化に向けては、各道路管理者や警視庁等の関係者の連携による地道な取り組みが必要でございます。
当本部といたしましても、道路管理者である国、区市町村、建設局、交通管理者である警視庁を初めとする関係者の取り組みが進むよう、連携調整の場としての協議会の設置について働きかけていくほか、自転車の通行場所の統一的な表示に関する効果的な取り組み事例について、関係者に情報提供するなどの取り組みを推進してまいります。
また、当本部では、本年度、複数の道路管理者にまたがる地域において、関係者の合意形成を図った上でネットワーク化を進めるものとしては初めての社会実験を予定しており、その結果を踏まえまして、ネットワーク化に向けた課題を明らかにし、今後の施策に活用してまいります。
○伊藤委員 ネットワーク化に向けて初めての社会実験を行っていくというご答弁でありました。ぜひとも成功させていただきたいというふうに思うのと同時に、これまでは、それぞれの、私の地元でいえば品川区の中での取り組みがあるエリアで行われておりました。しかしながら、区境をまたぐエリアでこうした取り組みを進めていくということも私は重要だと思います。
例えば、品川区と大田区で、行政区はまたぎますけれども、このエリアとして一緒に取り組んでいこう、あるいは品川区と港区でこう取り組んでいこう、こうしたことも必要になってくるかと思いますので、ぜひとも、ネットワーク化の社会実験を成功させていただいた、その次には区境をまたぐ取り組みも進めていただきたい、このように要望いたします。
最後に、条例の制定について、我が党はかねてから求めてきたことでありますけれども、このたびの本会議におきましても、自転車の安全で適正な利用促進のための条例の制定に取り組むとの答弁がありました。また、本日質問したような論点も踏まえて検討を行っていただきまして、多くの都民から納得の得られる条例案を早期に作成していただきたいと思います。
ぜひとも、樋口本部長が本部長の間になるべく早くこれを制定していただきたい、このように思うものでありますけれども、本部長の決意を伺って、質問を終わります。
○樋口青少年・治安対策本部長 自転車問題につきましては、これまでも都議会において、条例の早期制定に向けたご意見等をいただき、また自転車対策懇談会では、すべての委員の方々が、自転車問題の現状への一種の危機感あるいは社会的な使命感を持って、密度の高い熱心なご議論をしていただきました。
したがいまして、懇談会からいただいた提言につきましては重く受けとめておりますが、その内容は多岐にわたり、関係機関の協力があって初めて実現できるものや、関係者のご意見も踏まえて詳細に検討すべきものなども含まれていると認識しております。
そこで、自転車対策懇談会の提言を受けて、自転車が関与する交通事故が一件でも減少し、自転車利用者だけでなく、すべての都民にとって安全な交通社会が実現するよう、まずは自転車の安全で適正な利用を促進するための条例を早期に提案できるように、全力で取り組んでまいります。
○星委員 それでは、私からも、自転車対策懇談会の今回出された提言について質問をさせていただきます。
各会派、多くの議員がこの自転車に関して質問をずっとされてきております。それだけ都民の関心が非常に高いことだと思いますが、私も地元に帰れば、まさに自分の体の一部のように自転車で行動しておりますけれども、実は正直申し上げまして、自転車のルール、マナーについて熟知しているわけではありません。議論されているとおり、非常にいろいろわかりづらいことがあると思います。
質問に入ります。
東日本大震災後のエネルギー問題、首都圏直下型地震の発生による交通網の麻痺などを考えると、車から自転車へシフトする、もっと自転車を促進する必要があるというふうに考えています。
そもそも自転車利用を促進することは、CO2を排出しない、有酸素運動による健康な体づくり、移動における低コストなど、環境、医療、経済などの問題を解決する一助となり、持続可能な社会を目指すための重要な交通政策であると考えています。
ヨーロッパやアメリカ、韓国、台湾などの世界の主要都市で、こうした自転車政策を交通政策として確立する中、東京は、いまだに利用者の高まるニーズに自転車政策が追いついていかない現状です。
生活者ネットワークはこれまで、自動車中心とした道路整備を進め、歩道や自転車道の整備が後回しになってきたことが最も大きな問題であるというふうに指摘してまいりました。
今回出された懇談会のまとめは、第一に事故、第二に放置自転車対策と利用者のルール、マナーに重点が置かれ、そのための規制や教育の強化が目立つ内容になっているようにお見受けをいたします。
確かに、地域でも自転車のモラルの低下の声は多く聞かれ、私も、時たまそのような光景を目撃することはあります。しかし、自転車はだれでも利用ができ、買い物や通学、通勤などに市民の気軽な足となっていることから、多くの都民から、規制が強化され利用しづらくなるのではないかという心配の声も上がっています。
そこで、原則論なんですが、基本的なルールであります自転車安全利用五則について、学校、企業、団体など、これまでも繰り返し教育、啓発を行ってきていると思いますけれども、こういったところでない、もっと幅広い主婦や中高年、そして最近では高齢者の自転車事故も大変ふえております。幅広い世代への広報、そして啓発というのは、現状どういうふうになっていますでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車の安全で適正な利用を促進するためには、社会全体での取り組みが重要でございます。
あらゆる年齢層の自転車利用者に対して適切に安全教育を行うためには、区市町村、自転車販売店、駐輪場事業者といった関係者だけではなく、スーパー等の小売業者、町内会、老人クラブ等のさまざまな団体の協力を得ることが必要でございます。
都としては、こうした方々の協力を得て、主婦や高齢者といった方に対しても、交通安全教室への参加を呼びかけるとともに、リーフレットを配布することなどにより、自転車のルール、マナーの遵守が浸透するよう、必要な取り組みを推進してまいります。
○星委員 自転車の走行は基本車道ですが、もともと狭い道路が多く、車のために考えられた設計になっており、車、自転車のすみ分けが大変困難でありますけれども、区市町村の各自治体は可能な道路から専用レーンの設置に取り組み始めています。
しかし、先ほど来指摘がありますように、地域での連携、ネットワーク化が図られていなくて、形式も表示もばらばらです。懇談会でもこのことは取り上げられていますが、自転車問題に取り組む青少年・治安対策本部でも積極的に必要な措置を講じるべきではないかと思いますが、見解をお願いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車は、管理者の異なるさまざまな道路を走行することから、自転車の安全な走行空間は、道路管理者の区分を超えてネットワークとして確保されるべきと考えております。
当本部としても、道路管理者である国、区市町村、建設局、交通管理者である警視庁を初めとする関係者の取り組みが進むよう、連携調整の場としての協議会の設置について働きかけていくほか、自転車の通行場所の統一的な表示に関する効果的な取り組み事例について、関係者に情報提供するなどの取り組みを推進してまいります。
また、当本部では、本年度、複数の道路管理者にまたがる地域において、関係者の合意形成を図った上でネットワーク化を進めるものとしては初めての社会実験を予定しておりまして、その結果を踏まえ、ネットワーク化に向けた課題を明らかにし、今後の施策に活用してまいります。
○星委員 都道と市区町村道路における専用レーンの連続性を確保することについて、ぜひ都としての支援策を関係各局とともに積極的に協議をしていただきたいことを切に要望したいと思います。
次に、自転車の通行で、歩道の通行の質問はもう既にしのづか委員からもされておりますので、いわゆる例外というか、現在の道路では幅員、構造的に厳しいから専用レーンが設置できないということになると、当面、歩道を通行しているということになるのですが、実は例外であるという、このことの周知というものが、私はまだまだ徹底をされていないというふうに思いますけれども、この周知を徹底すべきだというふうに思いますが、見解をお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車は車両でありながら、その利用には運転免許が不要であるといったことから、通行すべき場所を初めとしたルールの詳細について、利用者が体系的な教育を受ける機会が十分でないということは事実でございます。
都としては、関係機関と連携し、自転車の歩道通行に関する利用者へのルールの周知を徹底していくほか、実際にルールにのっとった安全な通行がなされるよう、警視庁とも連携し、例えば自転車の通行場所を示す自転車ナビマークの設置に向けた協力を行うなど、必要な取り組みを推進してまいります。
○星委員 先ほどしのづか委員からもご紹介がありましたけれども、私も宇都宮市の事例をちょっと調べてみたんですが、車道左側通行というまず基本中の基本の、自転車は車道を走る、そして左側通行であるという、この二原則をまず市民に徹底させる。そのさせるために、住民の理解のもと、各地で行われている実験区間よりもさらに長い距離、四・六キロ、大体各地域では平均三百メートルから四百メートル、レーンが引かれているというのが実情だそうですけれども、思い切って四・六キロという、ここに自転車専用レーンということでカラー舗装し、レーン上の違法駐車を極力減らす。そして、ネットの山内議員からも以前指摘があったと思うんですけれども、交差点におけるレーンからの自転車横断帯の誘導ということをなくしたことにより、事故を四割減らした、このことに成功したというふうに私もお聞きをしました。
今回の懇談会でも、自転車による事故の多発の問題を第一に挙げておりますけれども、ルール、マナーの徹底はもちろんのことでありますけれども、自転車利用者にとっては、安全な走行空間の確保ということをあわせて行っていくべきだというふうに私は考えています。
次に、ナンバープレートやデポジット制度の導入がこの懇談会の中でも提言をされております。このことはマスコミで大きく取り上げられたこともあり、かなり反響がありまして、都民から早くも私どものところに数多く意見が寄せられております。
そこで、少しご紹介をしたいんですが、ある方のご意見ですが、テレビを見ていまして、自転車にナンバープレートをという報道を見ました。そこでは、実際には放置自転車数は激減している、自転車事故数は減少しているにもかかわらず、対策費は高騰し続けているとありました。インターネットで都の資料を拝見したところ、確かに放置自転車は激減しているようです。自転車事故数も減っているようでした。それなのになぜわざわざナンバープレートとデポジットを管理する団体を新たに起こし--この方はこういうふうに解釈されたんでしょう--利便性を低下させる施策をとる必要があるのでしょうか。既に防犯登録という制度があるのだから、それを利用すればいいとしか思えませんと、一例ですが、こういうご意見が来ています。
それとさらに、こういった登録制度ということになりますと、いわゆる個人情報の管理をだれがどういうふうにするのかという懸念の声も聞かれております。
このことについて都の見解をお願いしたいと思います。こういった制度の導入と個人情報保護の問題、ぜひ、このことについて見解がありましたらば、お願いをいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 ナンバープレート制度やデポジット制度を導入する場合には、先ほどご答弁申し上げましたとおり、すべての自転車利用者が参加する厳格な登録制度が必要と考えられます。
登録された利用者の情報は、自転車の安全な利用が確保されていることの確認や、区市町村が撤去した放置自転車の所有者の特定等のために有効に活用することが考えられますが、あわせて個人情報の管理を徹底する必要がございます。
都としては、これらの制度については、導入の是非やその制度のあり方について、関係者の意見を踏まえ、検討してまいります。
○星委員 それでは、意見を申し上げたいと思います。
安全利用の観点で条例化を図られていくというようなことがおおむねお答えに出ているんですけれども、自転車の問題は、対策とか問題とかというふうにいわれるのは非常に寂しい思いがいたしまして、私は、利用促進という観点で施策を進めていっていただきたいということがまず根っこにあります。
最初から申し上げていますように、世界の主要都市で着々と自転車による都市の成熟というものが見られます。日本はそもそも狭い国土で、もともと車中心に道路がつくられたという経緯もありますし、あるいは多摩地域に多く見られるように、農道がそのまま道路になって、車道になって、周辺の開発がどんどん進み、あげくの果てには、車は一方通行で歩行者の安全が担保されているような、そういう地域もたくさんある中で、今、自転車のルール、モラル、マナーということも改めて問題になっています。
非常に複雑多岐にわたって、構造的にもソフト、ハード両面にも、たくさんたくさん課題があると思いますが、基本は、これからの持続可能な社会、環境ということ、あるいは経済的な面、健康という面も含めて、私は、利用促進という観点で条例を考えていただきたいということを切に願っている者の一人です。これは意見として申し上げておきたいと思います。
○大西委員 各会派が皆さん熱心に討議されて、そうすると結構同じ問題が当たってきますので、全く一緒のところは割愛させていただきますが、似ているところはちょっとお許しをいただきたいと思います。
今回の東京都の自転車対策懇談会の提言、これが出ましたけど、自転車の安全利用を促進するための総合的な内容は盛り込まれておりますし、短期間でこれだけ議論を深めて提言がなされたこと、これ自体に関しては、率直に私は評価をしたいと思います。
そんな中で、先ほどからも何度も出ておりますが、自転車利用のルール、マナー違反が問題となっております。指導、警告や取り締まりも重要でありますが、一つは教育という問題、ルール、マナーを教え、またルールは守るべきだとの意識を持たせることは、確かに重要だと思います。
特に、自転車というのは小さな子どもから、幼稚園ぐらいのときに乗り始めるのが普通であります。私も自分の子どもに幼稚園のときに教えた覚えが、つい最近ありますが、未就学児や小学校の低学年の教育を充実させるということが一つの施策だと思いますが、この点についての見解をお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車が安全で適正に利用されるためには、利用者に対する教育が重要でございます。
自転車は、小さな子どものころから利用を始める乗り物であり、幼児や小学生に対しては、自転車の乗り方だけではなく、安全利用のためのルール、マナーの教育も徹底し、それらを早い段階から身につけることができるようにすることが必要でございます。
都としては、家庭や学校において、子どもたちが将来にわたり自転車を安全に利用するための教育が適切に行われるよう、区市町村や教育委員会等の関係機関と連携して、自転車シミュレーターを活用するなどした安全教育を推進してまいります。
○大西委員 今ご回答があったように、学校教育での教育というのは、一つ大きな、重要なポイントになると思います。
子どもたちが徐々に大きくなってきて、さて中学生になりました、高校生になりましたと。そうなると体格も大きくなってきます。そして、自転車も相当なスピードで運転するようになります。最近見ていますと、携帯電話を持ち始める時期とも重なりますし、大人もそうですけど、学生が携帯電話、スマートフォンを操作しながら自転車を運転するという、そういう危険な場面をよく見ることがございます。こうした状況をどのように認識して、どのような対策を立てておられるのか、講じておられるのか、お伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 交通ルールに違反する自転車の利用は、利用者自身だけでなく、周辺の自動車や歩行者にとっても大変危険であり、ルールにのっとって利用される必要がございます。
交通安全教育は、受講者の年齢などの特性に応じた内容にする必要があり、若年層に対しては、自転車を利用することにより、みずからが被害者となるだけではなく、加害者にもなり得ることについてもしっかり認識してもらう必要がございます。
都としては、子どもたちが自覚と責任を持って自転車を適切に利用できるよう、教育委員会、警視庁等とも連携し、スタントマンを活用して交通事故を再現するスケアードストレート方式を用いるなどして、実践的な教育を推進してまいります。
○大西委員 続きまして、先ほどから何回か出ておりますが、安全な走行空間の確保について伺います。
自転車は車両ではありますが、速度等を考えても自動車と同列に論じることはできないと思います。したがって、道路環境においても、自転車、自動車、歩行者がそれぞれ分離された空間を走行できることが安全対策上は理想であり、これが俗にいう専用レーンになるわけですが、道路幅員や予算を考えると、自転車道や自転車専用レーンをネットワーク整備することは、現実的にはなかなか厳しいものもあり、車道の左端を通るという、自転車が通行すべき場所の表示を進めていくことがまず第一だと思います。
道路管理者や警察が、自転車の通行場所を水色で色づけしたり、自転車ナビマーク、先ほどから何回も出ておりますけど、これを表示したりする取り組みをしておりますが、都道だけでなく、国道、区市町村道も含め、こうした表示のネットワーク化であれば、ある程度早期に実現すると思われますが、改めて、自転車の走行場所の明示についての見解を伺います。
○五十嵐治安対策担当部長 自転車対策懇談会の提言におきましても、連続した自転車走行空間の確保を実現していくことが必要だとされております。
当本部としても、道路管理者である国、区市町村、建設局、交通管理者である警視庁を初めとする関係者の取り組みが進むよう、連携調整の場としての協議会の設置について働きかけていくほか、自転車の通行場所の統一的な表示に関する効果的な取り組み事例について、関係者に情報提供するなどの取り組みを推進してまいります。
また、当本部では、本年度、複数の道路管理者にまたがる地域におきまして、関係者の合意形成を図った上でネットワーク化を進めるものとしては初めての社会実験を予定しており、その結果を踏まえ、ネットワーク化に向けた課題を明らかにし、今後の施策に活用してまいります。
○大西委員 ちょっと話を違う方に飛ばしていきますが、ナンバープレートについてお伺いいたします。
懇談会において検討すべきとされた段階であり、都としても、今後これから検討していくということでありますが、そもそもこうした議論がなされた背景は何か。そして、現状の防犯登録制度では十分でないとの認識もあると伺いますが、具体的にはどういう点が問題なのか、改めてお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 自動車とは違いまして、自転車には外部から登録番号を容易に識別できるナンバープレートが装着されておらず、交通事故を誘発するような危険な自転車利用があっても、利用者の特定が困難な状況にございます。もし登録番号が外部から識別できるように表示されていれば、利用者の特定以前に、そもそも車両の運転者としての自覚を持った自転車利用が期待できるといった指摘が懇談会においてもございました。
防犯登録につきましては、登録番号を記載したシールを車体に貼付してございますが、外部からの視認性は低く、通信販売された自転車は、その多くがそもそも登録されていない現状にございます。また、自転車の所有者の変更や所有者の住所等の変更についても、登録情報の更新が不十分であり、データが実態と乖離しているものと考えられます。
こうした現状を受けまして、自転車対策懇談会におきましては、自転車利用者の責任感を醸成し、ルールの遵守やマナーの向上を図るための制度として、自転車利用者全員が参加する厳格な登録制度を前提としたナンバープレート制度の導入に向けて、積極的に検討すべきとされたものでございます。
○大西委員 実は私も、このナンバープレートの採用にはとても賛意を示させていただきたいと思います。今いわれたような効果がたくさん期待できるわけです。
一方、問題もいろいろあると思います。私は一つ、その問題の中に、車道にあるパーキング、これはさっきのネットワークとも若干重なりますけど、ほんの少数の人間が長時間、本来使用できる多くの人からその権利を奪ってしまっている、一部の人が道路を占有するという愚策であると私は思います。こういうのを少しでもなくして、先ほどのネットワークとともに、ナンバープレートをつけて、利用者が自覚を持った運転をしてもらうというのが一つ大切だと思っております。
続きまして、きょう、一周回ってきたわけですけど、だれも聞いていない問題が一つあると思います。これは我が党の代表質問にもありましたが、そして私も資料請求させていただきましたが、自転車が加害者となった事故で五千万円を超えるという事例が出てきているわけです。ここできょう出していただいたのでも三千百万、五千万、五千四百万、三千万、一千二百三十九万と、これは普通の家庭にとっては、突然降ってくる大変な問題になるわけです。また、それも男子高校生、女子高校生、中学生とかという方が起こしているわけでございます。
ここで問題になるのは、僕は事故の備えとして保険が絶対に必要じゃないかなと思っております。自転車保険については、自転車事故に特化した保険でなく、いわゆる個人賠償責任保険の範囲で、自転車事故の補償がカバーされる例もあるところもあると聞いております。ただし、加入の義務がないことから、自転車利用者に保険が行き渡っているとは思えない状況です。
懇談会の提言には、自転車利用者は損害賠償責任保険の加入に努めるべきとの指摘がされておりますが、保険の普及のために、都が制定を検討しているという条例においては保険加入の義務化をしようとしているのでしょうか。その辺をお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 交通事故が起こった際の被害者、加害者双方の経済的負担を減らすために、事故が起こった場合への備えとして、損害賠償保険の果たす役割は重要と認識しております。
損害賠償保険の普及のためには、自転車購入時を初めとしたさまざまな場面におきまして、利用者に保険加入を呼びかけるなどの広報、啓発を行うことが重要であると考えております。
保険加入の義務化につきましては、自転車に関する他の義務規定とのバランスなどを考慮する必要がございまして、今後検討してまいります。
○大西委員 将来的にナンバープレート制度を導入する際には、自転車利用者すべてが参加する厳格な登録制度を導入するならば、ナンバープレートだけでなく、あわせて保険もすべての自転車利用者に義務化すること、これは車と同じで可能なわけでございます。
先ほど部長もいわれましたけど、これは加害者と被害者両方を守ることにもなるわけですから、そして、例えば一番最初に買ったときにちょっと余分に払うとか、いろんなパターンも考えられると思うんで、ぜひ保険の義務化というのは検討していただきたいということを強く求めさせていただきまして、質問を終わります。
○和田委員 自転車は大変便利な乗り物でありまして、都内に今、九百万台も既にあるということでありますから、一家に一台以上あるという計算になろうと思います。それほどまでに数は多くあり、そしてまた乗るのも自由、しかしそこに制限、制約はないということでありますから、乗れる能力のある人は、お年寄りから幼稚園児まで含め、路上にそれぞれ自分の意図を乗せて動き回るという状態が、今の偽らざる東京都内の自転車の九百万台の動きであります。これについて、事故がある、あるいは事件があるというようなことから、東京都の自転車対策懇談会、自対懇と私はいいますが、自対懇で今回報告書が出されてきたということであります。
この自対懇の報告書そのものを全部読んでみますと、全くごもっともなことでありまして、私が二十年ぐらい前に警察関係の方に、車と人とか、車と自転車とか、車と車の事故数はわかったんだけれども、自転車と人の事故数はわかりますかといったら、わかりませんといっていました、当時は。ところが、今はもうはっきり数字も上がってくる、被害度合いも、先ほど保険の額もあったとおり、具体的に社会問題にもなってきて、今こそ手を打たなければならないという局面が、この自対懇の報告書の中に盛り込まれているというのが私の実感です。
そこで、遅くとも来年の一定ぐらいまでには、多分もうそれしかありませんけれども、やっぱり条例案というようなものを出していくくらいに迫られた状態が、今の東京都の実態だろうと私は思います。
そこで、端的にお聞きをいたしますけれども、自転車の登録制度の問題です。まさに防犯登録制度でありますけれども、この資料によりますと、新車を購入した場合から自転車の防犯登録番号を使用する場合まで含め、それぞれチャートになっておりまして、登録料金の五百円が新規に登録する場合に必要、それから再登録も五百円必要と、それを自転車販売店に納入し、登録カードを提出した上で、一般社団法人の東京都自転車商防犯協力会というところに納入し、登録カードを提出して、警視庁の生活安全総務課の本部の方に登録データが集積されるという流れがここに説明されております。
この中で、もしもこの状態が条例化に移った場合どうなるかということについては、後ほど触れますけれども、現行のシステムの中で、この制度の実施主体はだれ、どこなんでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 東京都におきましては、防犯登録は一般社団法人の東京都自転車商防犯協力会が実施しております。これは、東京都公安委員会が、自転車法に基づいて同協会を防犯登録実施団体として指定したことによるものでございます。
○和田委員 その次に、最終的には警視庁本部の生活安全総務課がデータをストックするわけでありますけれども、東京都の自転車商防犯協力会と警視庁の生活安全総務課との関係はどういうふうになっていますか。
○五十嵐治安対策担当部長 警視庁は、同協力会を指導監督する立場でございまして、また、同協力会から防犯登録データの提供を受け、警察業務に活用するとともに、放置自転車対策を行う区市町村からの照会に対応しているものでございます。
○和田委員 我々がよく見るところで、防犯登録していない自転車に警察官が職務質問でしょうか、して、何かメモしたり、問い合わせを本庁かどこかにしているような風景をよく見ます。それは、自転車商防犯協力会が出しているシールか何かとチェックして、警視庁が、ついていないからどうしたんですかということで、登録してあるかどうかを問い合わせをする。それが間々、ほかの余罪を摘発するきっかけになるかもしれない。あるいは、登録してなければいけませんね、登録した方がいいんじゃないですかというようなことの指導になって、自転車の保存確定というか、保有確定が実現するというようなことにもなるかもしれません。したがって、今の防犯登録の一つのメリットは、はっきり今でも当然あるわけでございます。
ここに、登録料が五百円となっているわけでありますけれども、この登録料については、東京都は五百円ですけれども、ほかのまちでは六百円とか四百円とか、間々あるようでございます。したがって、この五百円の根拠というのも、全くそれぞれの自治体なり何なりで、あるいはその団体でなっているような状態で、不確実だということを私どもは承知しているんですが、今後、東京都の自対懇が提案しているようなナンバープレート制度に移行していく場合、この防犯登録制度との関係から、運営主体がどういうふうに変わっていくんだろうかというふうに思うんですが、お答えいただけますか。
○五十嵐治安対策担当部長 東京都が登録制度を構築する場合、制度の目的を達成する効果的な仕組みにするとともに、金銭面、手続面で自転車利用者に過度の負担をかけるべきではないというふうに認識しております。
自転車店で購入時に登録するという防犯登録が広く普及していることから、防犯登録制度も参考にしつつ、制度の導入の是非や導入する場合の運営主体も含めた制度のあり方につきまして、関係者の意見も踏まえ、検討してまいります。
○和田委員 もとより既存の、こういうチャートに示されているような流れは、あるところ合理化された知恵の産物だろうと思っています。したがって、先ほど申し上げたとおり、登録されていない、したがって警察官がチェックする、そこで登録しましょうといっていただくのも一つの効果でありますし、そのほかに、過去に何か不穏な行為があったりなんかしていて、それが摘発されるという、そういう結果も生むということでは、この防犯登録制度そのものは、継承していくべきだろうと私は思っているんです。
したがって、制度がナンバープレートに変わったとしても、自転車商の方々の協力会と警視庁の関係、さかのぼれば販売店で登録をするというような一連の流れは、私は、瑕疵のないというか、問題のない流れになってきているし、これを生かすことがまた、もしも条例を導入した場合に、プレート制度を導入する場合にも、今までの防犯登録制度をそのまま利用すればいいわけですから、私はスムーズな流れになってくるのかなというふうに思うんです。
ただ問題は、今までなじんできた防犯登録とナンバープレートの重複をどういうふうにクリアして、ナンバープレートの方にスムーズに移行していくかという技術的な問題はあると思うんです。
しかし、それは自対懇の中で寄り寄り検討していただいて、当然これのメリットを生かす形で、今までの防犯登録のメリットを生かす形でナンバープレート制度に移行していくという、そういう方向で選択していく方が、私は、エネルギーもあるいはコストもかからない賢明な移行措置だろうというふうに思っている、感想だけは申し上げておきたいと思います。
次に、保険について伺いたいと思うんです。
先ほど来も話がありましたけど、自転車に特化した保険もありますし、それから包含した保険もあって、それぞれ商品はばらばらのようであります。
資料要求をさせていただいたものから見ますと、低廉なものについては年間千七十円というようなものから、高額なものまで、それぞれ補償内容によって違うのは当然だろうと思っております。
私は現在、駅まで、一日百円の有料の自転車置き場に置かせていただいて都庁へ来たりしております。一カ月に、毎日というわけにはもちろんいきませんから、十五日としても千五百円、また年間にしても一万八千円ぐらいでもって、自分の自転車が気持ちよく出し入れできて、そして丁寧に管理されているという、そういう気持ちの上でのスムーズさを利得できるわけでありますから、一日百円は私は大変安いコストだろうと思っております。そのことによってまちも美化が保たれますし、それから、ある意味では高齢者の方々の仕事も、高齢者のシルバー団体の方々がやっている仕事でありますから、そこでその方々の多少の利益になるということも考えますと、自転車置き場というのは、もっともっと定着させていくべきだろうというふうに思っているわけです。
自転車を利用する者の責任としては当然だと思うんでありますが、自対懇の提言の中では、通勤、通学、事業者の業務による自転車利用者については保険加入を義務づけることなども検討すべきだと、こういうふうになっております。東京都では、自対懇の提言を踏まえて条例を検討していくという方針は、もう確定されているようでありますけれども、保険義務については、先ほど来の質問の中でも、まだ漠としているようであります。
また、通学用の自転車については学校単位で加入している場合も多いと思われますし、事業用の自転車については、お店あるいは会社等でやっていらっしゃると思うんですが、やはり通勤時の事故保険については、余り整備されていないように聞いているんであります。
したがって、そこら辺の補てんをどういうふうにしていくかということについては、どうお考えでしょうか。
○五十嵐治安対策担当部長 交通事故が起こった際の被害者、加害者双方の経済的負担を減らすために、事故が起こった場合への備えとして、損害賠償保険の果たす役割は重要と認識しております。
保険は、まず自転車利用者自身の責任で加入すべきものでございますが、業務上や通勤での自転車利用につきましては、事業者にも関係する問題であると認識しております。保険の普及に向けた方策につきましては、こうした点も踏まえまして検討してまいります。
○和田委員 この提言の中で、ちょっと視点は違うんですけれども、悪質な違反に対する取り締まり等という自対懇の提言があります。悪質な違反をする自転車利用者については、警察において指導、警告にとどめることなく、確実に取り締まりをすべきであると、取り締まりという言葉を使ったりしております。それから、自転車利用者全体に対して、ルール、マナーの遵守を促すためには、警察による指導、警告や取り締まりだけでなく、学校で云々とこうなっております。取り締まりという言葉などが使われておりますと、当然これは、取り締まる範囲の中には罰則、罰金等も含めて入るだろうと思うくらいに、きちっとした制度として確立しようという意図がそこに込められていると思うのでありますので、そうしてほしいとか、そうすべきだという願望的な、そういうことであれば条例の意味は全くなくなります。ある一定の制約をお願いすることによって、条例が条例たるものになるわけでありますから、すべてを規制とか罰則化しろとは決していいませんけれども、今回の条例の意味合いというのは、ある程度踏み込んだところで、皆様方に制約、制限をお願いするということになるわけでありますから、保険についても、そういう必然性をやはり加味した上で検討していくべきだろうということを申し上げておきます。
最後に、ヘルメットについてもお伺いいたしたいと思います。
これも提言の中の促進という形になっておりますけれども、私も自転車愛好者でありますから、先ほど申し上げたとおり一日百円で預けておりますが、先日、ヘルメットを買いました。それというのも、万世橋警察署で八月からですか、署員の方が着用するということも受けまして、大枚六千円も出して買いましたけれども、大変高いヘルメットではありました。
しかし、これも考えてみれば、頭部を打って重過失を受けるよりも、事前にヘルメットをかぶって自転車に乗るということを一種の習慣化することによって、世の中にそういう人がふえてくれば、ヘルメットと自転車、自動車に乗ったらシートベルトをするというのと同じように、セットで考えるような習慣を身につければ、ヘルメットと自転車だって別に違和感はないはずでありますから、シートベルトだって初めは相当問題があったようにいいますけれども、なれてみれば当たり前のことで、今は後部座席もやるのが常識になっておりますので、やっぱり私は、根気強くヘルメットと自転車というのは、自対懇の指し示すような方向で進めていくべきだろうというふうに思っております。
ヘルメットについては、私はほとんど見たことがありません。ただ、ヤクルトの女性がヘルメットをつけて配達している姿を一度見たことがありますが、ああ立派なことをおやりになっているなというふうに思いました。それは営業の方針がどうかわかりませんが、女性で髪型などを気にする人も多いんでしょうが、お仕事中、ヘルメットをかぶっていらっしゃる姿を見て、なるほどというふうに感じ取ったことであります。
したがって、なれれば、そのぐらいのことは当たり前になるようでありますけれども、ヘルメットにかかわることで、ヘルメットが生死を分けた死亡の事例などについて、そちらでご承知ならばお知らせください。
○五十嵐治安対策担当部長 警視庁によりますと、昨年、都内では一万九千二百九件の自転車が関与する交通事故が発生し、三十八人の方が自転車乗車中の事故で死亡しております。このうち、三分の二以上の二十六人が頭部が主な損傷部位であったということでございます。
○和田委員 七、八年ぐらい前でしょうか、もうちょっと前ですね、都議会で取り上げました。そのときには幼児のヘルメットの問題を取り上げたことがあります。ある自転車のメーカーに視察に行きましたところ、ビデオテープを見せられまして、見ていると、幼児は大変頭部が重いものですから、お母様、お父様に乗せられた自転車から落ちるときに頭から転落するもので、そこで致命傷を受けて大変なことになるんですよという、シミュレーションを含めビデオを見て、大変なことだなというようなことで質問したことを覚えておりますが、幸いにして、今、まち中で自転車に乗っているお子様のヘルメット姿が、大体私が見ている限り、三人に一人、少なくとも四人に一人ぐらいは拝見するようになりまして、これもなれれば何ともない、また、お父様、お母様の常識になってきたのだなというふうに、伝播していることは、いい意味での歓迎をすべき伝播だろうと私は思っているんです。
このヘルメットが、今お答えいただいたとおり、三分の二の二十六人が頭部損傷で亡くなっていると。三十八人中二十六人が頭で亡くなっているということは、自転車メーカーのおっしゃっているとおり、やはり子どもも含め大人も頭が重いので、どうしてもそちらにいっちゃうのかなという事例を、今警視庁の報告を大変重大なデータとして僕は受け取ったわけでありますが、ヘルメットも含め、先ほどの保険もそうでありますけど、やっぱり義務化をしていく方向をしっかり打ち出していくべきじゃないかと思うんですが、自対懇の中での議論はわかりますけれども、先行きどのような見通しをされているかお伺いいたします。
○五十嵐治安対策担当部長 大変痛ましいことでございますけれども、毎年多くの方が交通事故の犠牲となっております。
自転車利用者につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、頭部損傷が死亡の原因である割合が高く、ヘルメットの着用は死亡事故の減少に効果があるものと考えております。
ヘルメットにつきましては、道路交通法で、十三歳未満の子どもの保護者に対して着用させる努力義務が課せられておりますが、子どもも大人もヘルメット着用の普及が十分ではないというのが現状でございます。
都としては、事故の実態やヘルメット普及の現状、道路交通法の規定等も踏まえ、その普及方策を検討してまいります。
○和田委員 せっかく条例をつくることでありますし、先ほど読み上げましたとおり、厳しく取り締まるというようなことも含め、あるところ政策課題などが入っている条例です。したがって、精神的な憲章のようなものではなくて、取り締まりも含めて場合によってはありますよというくらいにたださないと、先ほど申し上げたように、三十八人死亡のうちの二十六人が頭部だというようなことも含め、大きな社会問題になっているという、そういう局面を受けてつくる条例であります。
私は、自転車は広域行政になじむ課題だろうと思っているんです。先ほど来ありましたけど、隣のまちに行ったから制度が変わっちゃっている、道路のペンキの色が変わっているというんじゃなくて、まさに東京都全体に共通の一つの方向で、広域行政で進めていくことによって、区境が変わったら、あるいは市と市の間が変わったら、表が変わったよということではなくて、東京都で統一のもので、どこへ行っても同じルール、同じことを求められるということで一貫性がある、したがって東京都条例になじむものだというふうに考えているんです。
ですから、ほかの市区町村がいろんな思いでやる、手がけて時間とコストをかける前に、東京都が、自分たちはこういうふうにやるけれども、こうしてくださいねというふうにやれば、むだなコスト、エネルギーを市区町村がかけずに、東京都になじめばいいわけでありますから、その意味で私は、広域行政の最たるものが自転車対策であり、自対懇の報告書に盛られているものだというふうに思っているんです。
この条例は、単なる自転車のルール、マナーを改善する、厳しく規制するという意味ではなくて、自転車問題を介在させて、都市における我々生活者としての自由かつ責任のある生き方そのものについて厳しく考え直すきっかけになる。そういうことで、放縦に満ちた都会生活から、ある程度ルール、マナー、規律のある生活に戻していく大きなテーマとして、我々の自転車とのつき合い方の中での条例化に、私どもは積極的に加わっていきたいと思うし、場合によっては罰則も含め、義務化も含め、積極的にこの機会を活用していくべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時五十九分散会
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