委員長 | 吉倉 正美君 |
副委員長 | 佐藤 由美君 |
副委員長 | 中屋 文孝君 |
理事 | 伊藤 興一君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 吉田康一郎君 |
栗林のり子君 | |
星 ひろ子君 | |
しのづか元君 | |
服部ゆくお君 | |
田島 和明君 | |
大西さとる君 | |
吉原 修君 | |
三宅 茂樹君 | |
和田 宗春君 |
欠席委員 なし
出席説明員知事本局 | 局長 | 秋山 俊行君 |
儀典長 | 高原 寿一君 | |
次長理事兼務 | 小林 清君 | |
理事 | 大井 泰弘君 | |
総務部長 | 雜賀 真君 | |
調整担当部長 | 鈴木 勝君 | |
地方分権推進部長 | 潮田 勉君 | |
自治制度改革推進担当部長 | 山内 和久君 | |
外務部長 | 中山 正雄君 | |
国際共同事業担当部長 | 熊谷 克三君 | |
基地対策部長 | 市毛 良之君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 新美 大作君 | |
政策部長 | 松下 隆弘君 | |
計画調整部長 | 澤 章君 | |
総合特区推進担当部長計画調整担当部長兼務 | 瀬口 芳広君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 樋口 眞人君 |
総合対策部長 | 中村 長年君 | |
青少年対策担当部長 | 山中 康正君 | |
治安対策担当部長 | 伊東みどり君 | |
人事委員会事務局 | 局長 | 多羅尾光睦君 |
任用公平部長 | 大村 雅一君 | |
試験部長 | 鈴木 隆夫君 | |
審査担当部長 | 小澤 達郎君 |
本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十八号議案 東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
青少年・治安対策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出 青少年・治安対策本部所管分
報告事項(質疑)
・東京都自転車総合政策検討委員会報告書について
知事本局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出 知事本局所管分
報告事項(質疑)
・「二〇二〇年の東京」及び「『二〇二〇年の東京』への実行プログラム二〇一二」について
○吉倉委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、青少年・治安対策本部、知事本局関係の予算の調査、人事委員会事務局関係の付託議案の審査並びに青少年・治安対策本部、知事本局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより人事委員会事務局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分及び第三十八号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
○吉倉委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、青少年・治安対策本部所管分及び報告事項、東京都自転車総合政策検討委員会報告書についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中村総合対策部長 それでは、二月二十日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明させていただきます。
お手元の総務委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただき、目次に記載してございますとおり、今回要求のございました資料は二件でございます。
一枚おめくりいただき、一ページをお開きください。若年者自立支援の実績でございます。
上段には、ひきこもりの相談に応じる東京都ひきこもりサポートネット、下段には、平成二十二年度まで実施いたしました若者社会参加応援ネット、コンパスに寄せられた相談件数と主な事例を示しております。
二ページをお開きください。上段には、若者を対象とした総合的な相談窓口でございます若ナビ、下段には、非行少年の立ち直りを支援するワンストップセンターぴあすぽに寄せられた相談件数と主な事例をお示ししています。
三ページをごらんください。平成二十四年度集中的な渋滞対策事業実施予定箇所でございます。
上段には、右左折レーンの改良等の道路施設の改善、中段には、需要予測信号制御による信号制御の高度化・最適化、下段には、交通情報板の設置による交通需要の分散化について、それぞれ平成二十四年度の実施予定箇所をお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○吉倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大西委員 ただいま説明いただきました集中的な渋滞対策の資料、ありがとうございます。まず、これにつきましてお伺いをいたします。
まず、この集中的な渋滞対策、確認のために、この事業の内容についてお伺いをいたします。
○伊東治安対策担当部長 集中的な渋滞対策の内容ですが、この事業は、東京都、警視庁、東京国道事務所が連携し、用地買収等を伴わずに、既存の道路空間を活用した即効性のある渋滞対策として、ハイパースムーズ作戦と銘打って平成二十年度から取り組みを開始しております。
それまでの交差点における道路施設の改善等による対策と異なり、交通渋滞を路線区間単位でとらえて、ITS技術、ITSとは、最先端の情報通信技術により、渋滞解消や交通事故減少等を目指す交通システムですが、そのITSを導入しながら対策を実施しており、交通流の円滑化とそれに伴うCO2の排出削減への寄与を目的として事業を推進しております。
○大西委員 二十年度からハイパースムーズ作戦として新たな事業を開始したと今おっしゃいましたが、これまでの事業実績というのは、短い期間ですが、どのぐらいあったんでしょうか、お伺いいたします。
○伊東治安対策担当部長 平成二十年度から二十三年度までの四年間におけるハイパースムーズ作戦の事業実績でございますが、事業の対象となる路線区間を特定して直接的に事業を行った箇所としては、道路施設の改善が九カ所、信号制御の高度化、最適化が延べ十六カ所、交通情報板の設置が十二カ所となっております。
これらに加え、路線区間において直接的に事業を行うのではなく、広く路線区間全体を対象に行っている事業として、荷さばき可能駐車場の設置や、運転者、都民に渋滞解消事業への理解と協力を呼びかける普及啓発事業などを実施してきております。
○大西委員 これまでの事業実績というのはある程度はわかりましたが、一方で、都内の渋滞状況を見たら、やはり渋滞解消に対するさまざまな地元からの要望というのはたくさんあると思います。
そこで、次にどこを実施箇所に決めているのか、事業箇所をどのように決めているのか、お伺いをいたします。
○伊東治安対策担当部長 事業実施箇所の選定方法でございますが、都区部の渋滞の状況を踏まえ、渋滞距離が長い地点について現地調査等を行い、ハイパースムーズ作戦の手法を用いて早期に渋滞対策の実施が見込める箇所を事業の実施箇所として選定しております。
渋滞の原因は、交通需要の時間的、空間的な集中や、駐車車両の存在、道路幅員が狭いことなど、地点によってさまざまであり、現場の状況を踏まえながら、既存の道路空間の中で対策が実施できる箇所を選定しております。
○大西委員 この資料を見てわかるとおり、私は足立区なんですが、日光街道で千住宮元町から竹の塚三丁目ということで、もろに私の地元の日光街道の部分を事業対象にしていただいて、本当にありがたく思っているところでございます。私自身も日々、よくこの道路は使わせていただくんですけど、これから自分で、どれぐらい減っていくのかというのを体感していこうとは思っております。
この渋滞、当然、だれもが解消してほしい、そのぐらいの大変な渋滞がよく起こるんですけど、都としては、この路線の渋滞の解消についてどのように今計画しているのか、お伺いをいたします。
○伊東治安対策担当部長 日光街道の渋滞についてでございますが、千住宮元町において、右折車の滞留による渋滞が見られたため、平成二十一年度に東京国道事務所が主体となり、右折レーンの延伸を実施しております。来年度は、それに加え需要予測信号制御の導入を予定しており、さらなる渋滞の解消に向け、取り組みを進めることとしております。
○大西委員 済みません、ちょっとここでお伺いしたいんですけど、今、需要予測信号制御を導入されるということで、すばらしいなと思うんですけど、千住宮元町から南の方は、ごめんなさい、どうなっているのか。これ、今までもうやっておられるんですか。要するに、日光街道というのは当然足立区で終わるわけじゃありませんので、そこからどんどんどんどん都心の中の方、上野の横を通って入っていくんですけど、こっちの方の予定というのはどうなっているのか。
○伊東治安対策担当部長 二十一年度に実施をいたしましたのは、千住宮元町の右折車滞留による渋滞への対処ということで、それより南の地点については対策は実施をしておりません。
○大西委員 やっぱり横に服部さんがおられるわけですから、路線というのは最初から最後までやってあれなんで、当然ここで、足立区の方で効果が出たら、その先をどんどん信号制御というのをやってほしいと思うんですけど、信号制御という、先ほど部長がいわれましたITS技術を活用した取り組みであると、今後の発展が本当に期待される分野だと僕も思います。
東京の渋滞というのを解消するには、そうした新たな手法を活用した取り組みも積極的に進めるべきだと思いますが、一方で、そうした手法を取り入れる場合、どのくらいの効果があるのかを確認することもまた重要であると思います。この信号制御について、都として効果検証を行っているなら、ぜひ教えていただきたいと思いますが、お願いします。
○伊東治安対策担当部長 ITS技術を活用した需要予測信号制御化の効果については、これまでの事業実施箇所における効果について警視庁で調査を行っております。
この調査は、信号制御の切りかえ日の前後で平日五日間ずつ行ったもので、調査によると、渋滞の激しさをあらわす指標である渋滞長が、平成二十年度に需要予測信号制御化を実施した靖国通り、京葉道路で二七・三%の減少、二十一年度に実施した環七通りで一四・四%の減少、二十二年度に実施した環八通りで一二・五%の減少という結果が得られております。
都としては、需要予測信号制御化は渋滞の解消に効果があると考えており、今後も着実に実施していく予定でございます。
○大西委員 今皆さんも多分びっくりされたと思いますけど、二七%の渋滞が緩和されると、これはすごいことだと思います。これだけの効果が確認--当然一二%のところもあったわけですけど、最大値でそのぐらいまでいけるわけですから、もっとこの事業箇所をふやした方が、当然予算の関係があると思うんですけど、必要だと思います。
今後、集中的な渋滞対策の事業にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○伊東治安対策担当部長 渋滞解消には、交差点における道路施設の改善のような点での対策や、路線区間を対象とした線での対策だけでなく、荷さばき可能駐車場の設置等、対象路線区間全体を対象とした、いわば面としての対策も重要と考えております。
また、渋滞の解消は、行政の取り組みだけでなく、都民や運転者の協力なしには決して実現することができず、その意味で普及啓発の取り組みも重要でございます。
今後も、各局及び警視庁、東京国道事務所と連携しながら、既存の道路空間の中で実施できる対策を総合的に実施してまいります。
○大西委員 交通渋滞というのは、知事も東京の抱える一番大きな問題だとよくいわれております。当然、CO2排出削減の観点からも解消は喫緊の課題だと思いますので、こういう新しい方法をどんどん進めていっていただきたいと思います。
続いて、次の問題をちょっと質問させていただきます。
私は、現在、青少年健全育成審議会という審議会のメンバーの一人でございます。ここしばらくさせていただいているんですが、この中で、青少年の健全な育成に関する条例の中に優良映画の推奨制度というのがあります。
これまでの推奨の実績や推奨した映画の周知方法について、まずお伺いをいたします。
○山中青少年対策担当部長 青少年健全育成条例におきまして、映画、演劇、演芸及び見せ物で、その内容が特にすぐれていると認められるもののうち、青少年を健全に育成する上で有益であると認めるものにつきまして、知事が推奨することができる旨の規定がございます。これに基づき、条例の施行規則で定められた推奨基準を満たす優良な映画を推奨しております。
平成二十三年度は、青少年健全育成審議会の答申を踏まえ、九本の映画を推奨いたしました。また、過去五年間では三十六本の映画を推奨しております。
推奨された映画につきましては、都から都内の学校等に対し、推奨された旨を通知するはがきを送付するなどして、青少年に対して周知をしております。その際、昨年からは、新たに希望する学校等には、事業者から映画のポスターを送付してもらえる旨もあわせて通知しておりまして、事業者から送付されたポスターを掲示していただいております。
○大西委員 今、過去五年間で三十六本という話が出ましたが、世の中には、子どもたちに見せた方が絶対いいんじゃないかといういい映画がたくさんあると思います。
より多くの映画を推奨するための取り組みについて、お伺いいたします。
○山中青少年対策担当部長 推奨は、映画事業者からの申請に基づき行うこととしております。したがいまして、推奨映画の数を増加させるためには、事業者の方により積極的に申請をしていただく必要がございます。
都といたしましては、より多くの申請をしていただけるよう、今後とも業界団体を通じるなどして、事業者に対して都の推奨制度の周知を図ってまいります。
○大西委員 いい映画ができたときに、東京都に頼めばこういうプラスになるんだという業者にとってのメリットがあれば、なお業者も飛びついてくると思いますので、今、部長さんがいわれましたように、こっちから業者に、ありますよ、ありますよ、ありますよっていうだけだったら、私はちょっと弱いような気がします。
それだけをちょっとお伝えして、一方で、今度は青少年に対する周知についてお伺いいたしますが、推奨映画のポスターを希望する学校は、事業者から送付してもらえるということですけど、どのぐらいの数の学校からそうした申し出があるのか、教えてください。
○山中青少年対策担当部長 ポスターの送付につきましては、事業者の協力を得て、昨年から行ったところでございます。これまでのところ、六本の推奨映画につきまして、申し出のあった学校は十五校、それぞれの事業者がポスターを送付したところでございます。
○大西委員 六本、十五カ所というのは、多いと思いますか、少ないと思いますか。
○山中青少年対策担当部長 都内の学校等の数からいたしますと、非常に少ない数ではないかと思っております。
○大西委員 そうですね。明らかに少ないですよね。これは本当に少ない。
何で少ないかというのを考えてみたら、一番最初に部長がいわれたやり方、はがきを一枚送るわけですね。要するに、今こういういい映画がありますよというはがきを学校に送るわけです。そうすると学校は、大体が副校長さんが見られるのかな、それを見て、いいからちょうだいみたいな話になるわけですけど、当然皆さんもご存じだと思いますけど、小学校や中学校の校長先生の机の上というのは、もう書類がだあっと積まれているわけです。そこに一枚のはがきがひょこっと行って、それに対して、うちにちょうだいなんて手を挙げないですよね。
だから、やっぱり、小学校や中学校が自分からちょうだいというんじゃなしに、せっかくいいんだから、ポスターを張ってくださいよというのを業者と一緒にやることというのは考えられないでしょうか。
○山中青少年対策担当部長 推奨映画の普及のために、ポスターやチラシを数多く送付する等の措置を講じるためには、事業者の協力が不可欠であると考えております。
この三月十三日に推奨した映画につきましては、都が通知のはがきを送付するだけでなく、都から学校の所在地一覧の情報提供を受けた事業者が、都からの推奨を受けたことを示す映画のチラシを、映画の上映を予定している映画館の周辺に所在する学校等に送付していただく予定となっております。
都では、今後とも事業者の協力を得ながら、より効果的な周知に努めてまいります。
○大西委員 学校の中にその映画のポスターが張られているということを業者が知り始めたら、これは物すごい大きな宣伝効果になると思うんです。学校に幾らポスターを張ってくれといったって、普通は絶対無理じゃないですか。
でも、こういう形をとれば、学校の中でそういうふうないい映画のポスターが張られる。子どもたちも、見たいなともし思ったときに、あと親御さんが最近は、地域の社会との交流でよく学校とかに行かれるわけです。そこで、こういう映画があるんだったら子どもに見せてやろうかなとふと思ったときとか、何も思わなくても、家へ帰って、子どもがそれを見たいと親にいったとき、ああ学校に張ってあったあれだなというイメージがあれば、すごくプラスにはなると思います。
だからこれからは、今やり始めたこの制度、当然、業者が送料ぐらいは負担するわけですけど、そんなのはいってみれば微々たるもので、テレビでCMを流すことに比べれば、ほんのちょびっとでできるわけですし、その分、効果は絶大だと思うんで、そういうことをやり出したことを業者に伝えることもまた必要であって、それによって爆発的にこれがふえていくと思いますし、また映画の内容も、東京都で推奨をもらうためによくしていくとも考えられる。いいことが大分出てくると思いますので、ぜひそれはやっていただきたいと思います。
その上で、都として推奨している以上、都も責任を持ってこの周知運動をやらなきゃいけないんですけど、その予算的な問題、予算の状況についてお伺いいたします。
○山中青少年対策担当部長 平成二十四年度の予算におきまして、推奨映画を周知するためのはがきの印刷、送付代のほか、不健全図書の指定に関する経費等も含め、青少年健全育成条例の運用に要する経費といたしまして二千四百六十二万一千円を計上しておるところでございます。
○大西委員 不健全図書の周知というのは、これもまた重要ではありますが、私は、よい映画を多くの子どもたちに見てもらうための予算の効果的な執行、これが必要だとすごく思います。ぜひ、限られた原資でありますけど、努力をしていただいて、よい映画を少しでも見てもらう、そんな方に取り組みをしていただきたいと思いますが、最後に決意をお伺いいたします。
○山中青少年対策担当部長 都では、これまでも郵便はがきではなく、交換便や電子メールを利用して学校等に推奨映画の周知を図るなど、予算の効果的な執行に努めているほか、都のホームページに推奨映画のホームページのリンクを設けるなどの取り組みも行っております。
今後とも、はがきや電子メールでの周知にとどまらず、チラシを同封した通知文の送付を検討するなど、一人でも多くの青少年が推奨映画を観覧することになるよう、その周知のための工夫を凝らした取り組みを展開してまいります。
○中屋委員 私の方から、自転車対策について何点か質問させていただきます。
東京都は先月、自転車総合政策検討委員会報告書を公表いたしまして、この委員会にも報告があったところです。
自転車利用者が交通社会の一員としての責任を持って安全な利用に努めること、そして民間事業者を含めて社会全体で自転車対策を進めるとの方向性は、妥当なものと考えます。今後求められるのは、その具体化に向けていかに取り組んでいくかということであろうと思います。そうした観点から何点か伺います。
まず初めに、平成二十三年における自転車が関与した交通事故の状況についてお伺いいたします。
○伊東治安対策担当部長 警視庁の統計によりますと、平成二十三年中の都内の交通事故発生件数は五万一千四百七十七件で、前年比三千五百三十六件、六・四%の減少、交通事故死者数は二百十五人で前年と同数でございました。自転車の関与した事故の件数は一万九千二百九件で、前年比六百八十二件、三・四%の減少、自転車乗用中の死者数は三十八人で三人減少しております。この結果、全交通事故に占める自転車関与事故の割合は三七・三%でございます。
なお、自転車対歩行者の事故件数は千十件、死亡者は三名でございます。
○中屋委員 今、答弁ありましたように、自転車が関与する事故というのは、交通事故全体の三分の一以上を占めているということでございます。
しかし、自転車には自賠責のような保険制度が整備されておりません。事故が起きた場合に、被害者に対する補償が大きな問題となると思います。実際にあったお話ですが、加害者となった自転車利用者に対して五千万円という高額な賠償請求が認められたケースもあるということです。
現状では、自転車を対象とした保険商品は少ない状況で、また、自転車利用者の保険加入に対する認識というのも十分ではないようです。被害者、加害者の双方を守る意味で、保険への加入を促すことが急務であると考えますが、都の見解を伺います。
○伊東治安対策担当部長 自転車は、自動車、自動二輪、原動機付自転車とは異なり、自賠責のような保険に加入する仕組みがありませんが、車両の一種であることに変わりはありません。
お話の高額な賠償請求が認められている事例は、自転車が重大事故の加害者となるケースが見られることから、自転車利用者の社会的な責任を問い、被害者救済を求める声が高まってきている社会状況の反映だと考えられます。将来的には、原則として保険に加入すべきことが自転車利用者の共通認識となることを目指し、可能なことから対策に努めてまいります。
○中屋委員 今ありましたように、将来的には、原則として保険に加入することが自転車利用者の共通認識になるようにするとのことですけれども、そのためには利用者の理解と保険業界の協力が必要であると思います。
できるだけ多くの利用者が保険に加入するよう努めてもらいたいと思いますけれども、自転車を対象とした保険の普及について、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
○伊東治安対策担当部長 自転車を対象とした保険の普及については、自転車に特化した保険商品の開発、提供及び補償内容の説明に関する損害保険業界への要請や、保険加入に関する利用者への普及啓発などを行ってまいります。普及啓発については、今後拡充する予定の安全講習の機会に取り組むほか、自転車販売業者等、民間事業者の協力を求めていきたいと考えております。
また、来年度、自転車政策全体に関して幅広い関係者による検討の場を設ける予定であり、損害保険業界にも参加をお願いし、今後の取り組みについて検討し、合意形成を図ってまいります。
○中屋委員 次に、自転車のルール、マナーについてでありますが、安全講習の機会を拡充するとの答弁、今ありましたけれども、ぜひ強力に取り組んでもらいたいと思います。
そこで、自転車にはもちろん免許制度というものはありません。利用に当たって、ルール、マナーを習得する機会が保障されていないということが問題だと思います。すべての自転車利用者が何らかの安全講習を受けられるように、受講機会を確保していくことも大変必要だと思います。また、受講を促すためには、身近な場所で手軽に受講ができるということも大変必要でありますので、ぜひいろいろな手法を使って、工夫をして進めてもらいたいと思います。
そこで、来年度の自転車安全講習の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
○伊東治安対策担当部長 来年度より自転車シミュレーターを導入いたしますが、これは、狭い場所や雨天時の屋内でも講習の実施が可能となる機器であるため、今までの自転車安全教室では取り組めていなかった場所での実施が見込めるものでございます。
導入に当たっては、同種の活動を展開しているタクシー業界等の民間事業者とも協力して、地域や学校での交通安全講習に提供するなどの取り組みを推進してまいります。さらに、自転車事故の件数が多い成人層への訴求のため、大規模商業施設と連携した取り組みを行うほか、企業の従業員教育で活用していただくことも検討してまいります。
○中屋委員 都内区市町村の中には、安全講習を受講した児童生徒に自転車免許証を交付しているものもあると聞いております。私の文京区の方でもそういう取り組みをしているところがあります。これは、もちろん法令に基づく正式な免許ではありませんが、子どもたちに自転車のルール、マナーを学ぶ意欲を持たせる一つの工夫であると私は思います。
都が、今後、一般成人を含めました安全講習を進めるに当たって、自転車シミュレーターのような新しい手法を積極的に活用するなど、さまざまな工夫を凝らしていただきたいと思います。
また、先ほどの答弁で、自転車政策全体に関して、来年度、幅広い関係者による検討の場を設ける予定とのお話がありました。自転車問題の解決には、多くの都民、関係者が共通認識を持って連携して取り組むことが重要だと思います。悪質な違反者には警察による厳しい取り締まりが必要ですが、自転車利用者がみずからの責任を自覚してもらって、社会全体でルール、マナーを守る意識が高まれば、悪質な違反者も減っていくものと思います。社会全体で自転車対策の推進に向けた、これは本当に大変なことだと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたい。
そこで、本部長の決意を最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
○樋口青少年・治安対策本部長 自転車利用者が交通社会の一員としての責任を持ち、安全な利用に努めるとともに、民間事業者を含め社会全体で環境整備を進めることは重要であると考えております。
現在、自転車利用者に関する都民意識調査を行っており、その結果を今後の対策に生かしてまいります。
さらに、来年度、自転車の製造販売事業者、バス、タクシー、トラック等の運輸関係事業者などの関係業界のほか、自転車利用者や歩行者を含む幅広い関係者が参加する検討の場で合意形成を図ってまいります。
こうした取り組みにより、多くの関係者の理解を得て、役割分担を明確にし、連携を強化して、実効性ある自転車対策を推進してまいります。
○伊藤委員 私からは、まず初めに若者支援について質問をさせていただきたいと思います。
都が平成十九年度、十五歳から三十四歳の若者を対象に調査した結果によりますと、自室からほとんど出られない、また、自分の趣味に関する用事のときだけ外出するなどのひきこもり状態の人が、都内に少なくとも二万五千人以上いるというふうにされております。これは都内に二万五千人ですから、私は大変なことだというふうにこの数字を見て思います。
ひきこもりは甘えているだけ、また、怠けているなどと、一見、楽をしているように見えるわけでありますけれども、しかし、本人は社会とかかわれないことに深く苦しんでいることが多いと思います。親や家族は思わず、こうした息子さんなり娘さんなりに対して、しかってしまったりとか、頑張れ、頑張れと励ましてしまったりとかしてしまうわけでありますけれども、しかし本人は余計に前に進めなくなってしまう。そして、長期化していく中で、どう接すればいいのか頭を抱えて、次第に家族もあきらめてしまうということも多くあると思います。
ひきこもりの若者への支援においては、まず家族が身近な窓口で気軽に相談することができること。そして、相談を通じて、ひきこもりの本人が、支援につながり、社会参加に向けた一歩を踏み出せることが重要であると思います。
都は、都民が身近な地域で支援を受けられるよう、NPO法人等との協働により、ひきこもり支援に取り組む区市町村への補助事業を平成二十三年度新たに開始したということでありますが、まず今年度の取り組み状況について伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都は今年度から、都の登録を受けたNPO法人等との協働により、支援体制整備を行う区市町村にその事業経費の二分の一を一年間補助する事業を開始するとともに、必要な情報の提供や、連携相手となるNPO法人等との円滑な関係づくりをサポートし、区市町村の取り組みを支援しております。
今年度は、世田谷区、足立区、青梅市、日の出町の四区市町がこの補助事業を実施しております。
具体的な事業例といたしましては、青梅市では、ひきこもりの問題を抱える家族を相談支援に結びつけるため、訪問相談に関する豊富なノウハウを有する登録団体と協働し、民生委員、児童委員への講習会や家族向けの講演会、保護者相談等を行っております。
また、世田谷区においては、相談窓口の利用につながった若者を状況に応じた支援に結びつけるため、若者の就労相談窓口を中心に、さまざまな関係機関が参画する事例検討会などを実施しながら、機能的なネットワークの構築に取り組んでおります。
○伊藤委員 私のもとにも、ひきこもりの問題を抱える家族からの相談が数多く寄せられております。私もその都度、相談窓口やNPOの取り組みを紹介させていただくわけでありますけれども、恐らく相談に来られる方は氷山の一角であるというふうに思います。実際には、何をどうすればいいのかわからないまま困り果てている方々が大勢いらっしゃることと思います。
ただいまも区市の事例を紹介していただきましたけれども、都は二十四年度に向けて、これまで以上に身近な地域における支援の取り組みを充実させていくとともに、より多くの悩みを抱える家族に支援に関する情報が届くよう、工夫をしていく必要があると思いますけれども、あわせて見解を伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都では、新たに支援体制の整備に取り組む区市町村を増加させるため、補助事業を活用して、ひきこもりの若者への相談支援事業を開始するよう、区市町村に積極的に働きかけてまいります。
あわせて、区市町村がひきこもりの支援事業を構築する際の参考となるよう、補助事業を実施した区市町村が事業の実施状況等を報告する情報交換会や、区市町村の担当職員がNPO法人等の支援内容について実地で学ぶ研修等を実施いたします。
さらに、ひきこもりの問題を抱える家族が支援に関する情報に接する機会がふえるよう、地域センター、公民館等、都民が利用する地域の施設でのチラシ配布や、区市町村の広報紙への記事掲載等、きめ細かな広報に取り組んでまいります。
○伊藤委員 ひきこもりがいらっしゃるご家庭、ご家族の方々は、ある意味、恥ずかしい、どこに相談に行くのにもこんなことで恥ずかしいとか、あるいはさっきもいったように、甘ったれているからそうなっているんだとかいうことで、長期化してしまう場合が本当に多く見受けられます。ぜひとも都は、こうした支援をやっているということを積極的に情報を広げていただきたい、このように思います。
ひきこもりの状態になる前に必ず兆しがあると私は思います。都議会公明党は、若者のさまざまな悩みを受けとめる若者総合相談、若ナビを応援してまいりましたし、また、その拡充も求めてまいりました。
そして、都は、従来から実施していた電話相談あるいはメール相談に加えて、相談員に直接会って相談できるカフェでの面接相談を今年度は試行的に実施したということでございますけれども、今年度、面接相談を利用した若者がこの相談をどのように評価しているのか。また、来年度はこの面接相談をぜひ試行から本格実施すべきと考えます。今後の展開について伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都では、若者がカフェでリラックスして相談できる相談員派遣型面接相談を昨年七月から試行実施しております。相談者からは、直接会って話を聞いてもらえることで不安な気持ちが落ちつき、前向きになれたなど、好評を得ております。
今年度の試行結果を踏まえ、来年度は引き続き毎週土曜日に本格実施することといたします。
今後も、気軽に悩みを吐露する機会が欲しいといった若者のニーズにこたえられるよう、面接相談を含めた事業の認知度向上に取り組んでまいります。
○伊藤委員 面接相談、若者の感想から、前向きになれたということでございました。さきにも申し上げたように、ひきこもりは必ず兆しがあるわけですから、ちょっと後押しをしてあげる、また話を聞いてさしあげる、これだけで私は十分に効果があるというふうに思いますので、ぜひ今後とも、この若ナビ、頑張っていただきたいというふうに思います。
厳しい経済雇用情勢の中、若者は仕事のこと、将来の展望など、さまざまな問題や悩みを抱えております。都は、青少年・治安対策本部における若者の自立支援だけでなく、雇用や精神保健等、さまざまな分野で若者をサポートしております。
例えば、先ほどのひきこもり支援や若ナビのほかにも、産業労働局が実施する若年者あるいは新卒者就労支援や、先日も予特で本委員会の栗林委員が提案をし、また、知事が実施を約してくださいましたボランティア婚活なども含めて、若者に関する都のこうした施策がばらばらに行われていては、私はもったいないと思います。今後は、都が局横断的に若者を支援する月間などを定めて、若者本人やその家族に対し、これらの都の取り組みを集中的に広報していく、届けていくべきだ、このように思います。
そこで、庁内の関係部署との連携のもと、都を挙げて若者をサポートしていることを都民に対してもっとアピールすべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都では、新卒の若年者の就業支援や、思春期、青年期の問題に関する精神保健相談等、さまざまな取り組みを通じて次代を担う若者を支援しており、これらの事業の情報を当事者である若者やその家族に広く伝えることは、重要なことであると認識しております。
これまでも、各事業の効果的な実施に資するため、庁内外の関係機関が参画する会議等を通じて、各機関の事業内容に関する情報共有を図ってまいりましたが、今後も、支援困難事例への対応について複数機関による検討を行うなど、より緊密な連携を行ってまいります。
あわせて、関係機関が相互に協力しての広報展開やイベント開催など、さまざまな機会をとらえて、また多様な媒体を活用しながら、若者やその家族に対し、都の若者支援の取り組みについての周知を進めてまいります。
○伊藤委員 ぜひとも、青少年・治安対策本部が若者支援に関する都のかなめとして頑張っていただきたいと思います。
次に、先月公表された自転車総合政策検討委員会報告書に関連して質問をさせていただきます。
自転車は、子どもから高齢者まで最も身近な乗り物として利用されてきましたけれども、交通事故の多発、運転マナーの悪さ、放置自転車問題など、手軽さの裏返しとなるさまざまな問題も生じてまいりました。
これまでも、自転車問題に関して都は取り組みを推進する一方、国においては道路交通法の改正などが行われるなど、さまざまな動きがありました。
こうした中、先月報告書が公表され、この中に、都は、報告書を踏まえ、それぞれの地域の実情に合わせて、都民、事業者、行政の三者が連携協力しながら、自転車をめぐる諸問題の解決を図る仕組みづくりに向け取り組んでいくとしております。私は、この中でとりわけ広域行政を担う都と区市町村の連携が重要だと考えます。
そこでまず、報告書の具体化に当たって、都と区市町村の連携についての基本的な考え方を伺いたいと思います。
○伊東治安対策担当部長 自転車対策を進めるに当たっては、住民に身近な区市町村における取り組みが重要ですが、取り組みの前提となる制度やルールの整備は、都において統一的に行うことが望ましい事項だと考えております。
自転車対策を進めるには、制度やルールの整備に加え、幅広い関係者との調整や、民間事業者を含む関係機関、団体との連携体制が必要であり、個々の区市町村において個別に取り組むのは限界がございます。
そのため、都は、区市町村における対策の円滑な実施のための支援として、防犯登録データの改善、自転車駐車場の整備、点検整備の普及等、民間事業者を含む幅広い関係者との連携の仕組みづくりに取り組んでまいります。
○伊藤委員 都として、地域の実情に応じた区市町村の取り組みをバックアップしていくということでございました。非常に重要なことだと思います。
報告書では、これまでの自転車問題の課題を総合的に整理されました。その柱の中の一つである交通ルールの遵守とマナーの向上について、次に質問したいと思います。
自転車は、免許がなくても、だれもが手軽に利用できる乗り物でありますけれども、道路交通法などの規則を利用者全員に周知する機会が確保されておりません。学校やPTAが主催する子どもたちへの安全教育や、区市や団体が開催する自転車安全教室が開催されておりますけれども、こうした教室に参加する人は、むしろ安全に対する意識が高い人であるように見受けられます。報告書の中の資料を見ても、自転車による事故を起こしているのは一般成人層が多く、この層への働きかけが重要であると思います。しかし、こうした一般成人の方々に、幾ら自転車安全教室への参加を単に呼びかけても、今さらという返事が返ってくるのは明らかであります。
そこで、ある市では、安全講習修了者に対して、自転車の点検整備を受けた人にTSマークを添付するための費用を助成したりとか、あるいは駐輪場を優先的に定期利用できる取り組みを行って、効果を上げているというふうに聞いておりますが、こうした取り組みはぜひ広げていくべきだと思います。できれば、年に一度、点検整備と安全講習をセットで受けると何らかの特典が得られて、参加してよかったと思えれば、それがまた広がり、よい促進策となると思います。
そこで、安全講習を初めとする区市町村の自転車対策事業の参加者へのインセンティブの付与について、都の見解を伺いたいと思います。
○伊東治安対策担当部長 自転車利用者が交通社会の一員としての責任を自覚し、安全講習の受講や定期的な点検整備等に主体的に取り組むべきだという認識が社会で共有されることが望ましいと考えております。
そのような社会的認識を醸成するため、当面は、利用者が講習や点検整備を受けてよかったと思えるようなインセンティブの付与が有効だと考えますので、ご指摘のような先進事例を広く周知し、研修等を通じて情報やノウハウの提供を行ってまいります。
さらに、点検整備の促進等の民間事業者の協力が必要なものも含め、自転車対策におけるインセンティブのあり方について総合的に検討してまいります。
また、自転車シミュレーターのほか、反射材の効果を体験できるツールである、くらピカBOXや、飲酒体験ゴーグルなどの安全教育器材の貸し出しなどで、区市町村の取り組みを支援してまいります。
○伊藤委員 今後は、区市町村だけじゃなくて、都が行う自転車対策事業の参加者へのインセンティブの付与についても検討していただきたいと要望しておきたいと思います。
今のご答弁の中で安全教育器材の話がありました。いろんな器材があるんだなということを改めて思いますけれども、それとは別に一つ提案をさせていただきたいと思います。
私はこれまで、交通事故によってかけがえのない子どもを失った親御さんの悲しみに幾度となく出会ってまいりました。その気持ちにどうおこたえをしたらいいのか、本当に締めつけられるような思いでありますけれども、子どもたちを事故から守っていくには、親だけでなく、社会全体で子どもの目線を理解した上で対策を講じていくことが重要だと思います。
ここにちょっと用意させていただきましたけれども、これは、平成十八年の第一回都議会定例会で提案をさせていただきまして、福祉保健局で作製をしてもらいましたチャイルドビジョンでございます。子どもの視野が私たちが思っているほど広くはない、意外と狭いものだということを体験できるチャイルドビジョンであります。
私たち大人は、成人になりますと、普通に見ていると、左右が百五十度ぐらい見えているということですけれども、六歳ぐらいまでの成長する過程の子どもたちは九十度ぐらいしか見えていない。また、上下でいうと、私たちは百二十度ぐらい見えているわけですけれども、子どもたちは七十度ぐらいしか見えていない。しかも、これをかけて手を動かしてみていただくとわかるんですが、ここまで大人だったら見えているんですが、見えていないんです。こういう状況がある。また、これをかけながら子どもの目線まで下がって、実際に曲がり角とかに立ってみると、こういう状況で子どもたちは物を見ているのかということがわかるというものでございます。
子どもの視野は、私たち大人よりかなり狭く、例えば親子で並んで自転車で走っているときに、並んで走っている親御さんには見えていても、子どもにはその車は見えていないとか、その先は大人には見えていても子どもには見えていないということをよく理解した上で、子どもたちを自転車に乗せる。あるいは私たちが自転車を運転するときに、子どもが見えているときに、自分は見えているから相手の子どもも見えていると思っていますと、実は子どもはこっちの方を見えていなかったということもあるわけであります。
このチャイルドビジョンは、そうした子どもの狭い視野を体験できる道具であります。これを小さい子どもさんを持つ保護者の皆さんや、あるいは自転車を利用する人たちにぜひとも体験してもらいたいというふうに思います。
そこで、今後行われていく交通安全教室の中で、チャイルドビジョンをぜひ活用していただきたいと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○伊東治安対策担当部長 保護者が子どもの視野の狭さを体験的に理解した上で、子どもが自転車に乗る場合の安全確保に配慮できるようにすることは望ましいと考えます。
都は、区市町村と連携して、小さな子どもを持つ保護者を対象とした幼児二人同乗用自転車安全教室を開催しているほか、来年度は、大規模商業施設における自転車安全教室の実施を予定しており、こういった事業での活用について検討してまいります。
○伊藤委員 今後開催していく安全教室については、ぜひとも、大人のマナーの向上、これも大事な視点でありますけれども、子どもの事故防止についても、必ずこうした教室の中に視点を入れていただきたいと思います。
次に、自転車走行空間の確保について伺いたいと思います。
歩行者、自転車、そして自動車、それぞれの空間が分離された走行空間の整備は、それぞれの安全確保と交通事故防止のために重要であると考えます。
先日の本会議一般質問で、私は警視総監に自転車ナビマークの活用について質問をしましたけれども、ナビマーク、これは法定外表示であって、地元関係者の合意さえあれば、比較的自由に設置ができるものであります。
これまでは、区市町村道や、あるいは都道、国道でばらばらに走行空間確保が進められており、連続性が担保されていない実態がありました。本格的な道路整備はなかなか難しくても、例えば、このナビマークを活用して、都道と区市町村道の走行空間に連続性を持たせることは可能ではないかと考えます。
都が、区市町村と連携し、地域における連続した走行空間を確保するための今後の取り組みについて伺いたいと思います。
○伊東治安対策担当部長 これまでは、区市町村道、都道、国道のそれぞれで整備が進められてまいりましたが、連続性やネットワークに関しては十分実現されてきたとはいえません。道路の整備だけではなく、さまざまな工夫を凝らすことで、地域の実態に合った連続性のある走行空間を確保することは重要でございます。
このため、区市町村、都、国といった道路管理者や、交通管理者である警視庁等の関係機関が一堂に会し、地元の地域団体や業界団体などの関係者の意見を聞きながら、最適なルートなどについての調整を図る仕組みを検討してまいります。これにより、さまざまな手法を柔軟に組み合わせて、自転車走行空間の連続性やネットワーク化の実現を図ってまいります。
○伊藤委員 最後に、幼児、児童の安全確保対策について要望を述べさせていただきます。
平成二十年に、幼児、児童を自転車に同乗させる場合などは、ヘルメットをかぶせることが道路交通法で努力義務となりました。その当時には、多くの保護者の間でヘルメットのことが話題となりまして、区市町村でも熱心に取り組みが進められました。
それから四年近くが経過をいたしまして、あのときの関心や熱意は少し薄らいできているのかなという気がいたします。昨日は、私は久しぶりに、子どもがヘルメットをかぶっている姿を見かけました。久しぶりに見たということは、最近余りかぶっていないというのが実感であります。
先ほども述べましたけれども、子どもたちを不慮の事故から守るためにも、こうした取り組みは、粘り強く継続的に展開をしてもらいたいと要望いたします。
また、行政や民間事業者、都民の三者がそれぞれの責任を果たし、また協働して、社会全体で自転車問題の解決に向けて取り組みを進めるためにも、都による新たな条例を制定することも積極的に検討していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○吉田(信)委員 私も、東京都自転車総合政策検討委員会報告書について若干の質問をさせていただきます。
本報告書は、基本方針として、自転車を主要な交通手段と位置づけ、利用を促進するための環境を整えることを重視した、いわゆる十九年プランを前提としています。この点は重要であり、利用者促進の方向でいかに環境整備するのかということが東京都に求められていると思います。
もちろん、解決をしなければならない課題はさまざまあります。しかし、エネルギー対策あるいは地球温暖化対策という点で見ても、自転車の促進は図らなければなりません。また、より安全で、そして気軽に移動する手段としての自転車の役割は非常に重要であり、そうした立場から、問題解決のために都が努力することが求められていると思います。
以下、報告書に関連して若干の質問を行います。
まず、交通ルールの遵守、マナー向上についてです。
自転車利用者に走行ルール、マナーを身につけてもらうための取り組みとして、東京都荒川区で実施されている自転車運転免許制度が全国的にも注目をされています。これはどのような制度なのか。また、同様の制度を導入している道府県、区市町村などがあるのか否か、まずご答弁をお願いいたします。
○伊東治安対策担当部長 お話の荒川区が実施する自転車運転免許制度は、小学校四年生以上と中学生を対象に、講義、筆記試験、実技講習を修了した者に対して自転車運転免許証を交付する事業でございます。この事業で交付される自転車運転免許は、安全講習の受講を証明するものであり、安全意識を高めてもらうことがねらいであると承知しております。
道府県における取り組みについての調査は実施しておりませんが、今年度、都内では三十九区市町で類似の事業を実施しております。
○吉田(信)委員 安全な自転車の乗り方や交通ルール、自転車マナーについて学び、自転車事故を未然に防止し、社会ルールを守る地域を実現していくという目的で行われているというふうに聞いております。しかも、小中学生だけではなく、高校生あるいは希望すれば一般の方も取得が可能だということも聞いております。もちろん、自動車免許証のように、免許証がないと運転できないという拘束力を持つものではありませんけれども、マナー、ルールの普及、定着という点で注目すべき事例というふうに私は見ていいのではないかなと思います。
そこで、報告書は、自転車利用者の走行ルール習得の機会を充実させるための関係機関が連携を強めることや、そのために安全教育を受けることのインセンティブ付与等の工夫を行うことを施策方向として打ち出しています。その一つの方策として、自転車運転免許制度は検討に値するというふうに思いますけれども、検討委員会ではこの問題をどのように検討されてきたのでしょうか。
○伊東治安対策担当部長 自転車運転免許制度については、自転車走行ルールの遵守、マナーの向上を議題として行った作業部会の際に、複数の委員から荒川区における取り組み等に関する発言がございました。
安全教育を受けることのインセンティブについては、武蔵野市等において自転車駐車場の使用に係る優遇措置等を行っている事例がございます。
現在、区市町村で実施されている自転車運転免許制度は、主として小学生を対象に行われている事業であり、報告書においては、ルールの遵守、マナーの向上に関する今後の方向性として、中学生、高校生と一般成人を対象とした取り組みを中心に取りまとめを行っているため、インセンティブ付与の事例としては、武蔵野市等の取り組みを挙げたものでございます。
○吉田(信)委員 荒川区内の小学校からの報告書を読みますと、制度開始以来、区内で発生した自転車事故では、免許取得児童が起こした事故はゼロだと。また、区内の小学校三年生の間では、早く四年生になって自転車免許証を取りたいなど、成長のあかしともいえる制度として非常に注目をされているというふうに聞いています。他方、中学生から成人世代という点では、可能なんですけれども、実態としては免許取得者が少ないというのも現実だというふうに聞いています。
そういう問題はありますけれども、しかし、制度が開始されたとき小学校四年生だった児童は、ことし十九歳になるということも聞いていますが、長期的な視野から見れば、こうした時期にきちんとした取り組みを行うということは、非常に大きな意味がある取り組みではないのかなというふうに思っております。そういう意味で、引き続き、この取り組みの積極面や、あるいは解決をする問題点などについて、大いに研究する必要があるのではないかなというように思います。
もう既にご承知と思いますけれども、この荒川区の取り組みについて、早稲田大学の藪下史郎教授の指導のもとに、学生の研究グループが調査検討し、次のような政策提言を行っています。
例えば一つとして、取得者が名実ともに全年齢層に及ぶように、満十五歳以上を取得資格とするような新たな制度の検討や、さらに、取得するインセンティブを付与するということで、駐輪場の新規契約による優先権だとか、新規自転車購入時の割引券などということも検討課題として報告されております。こうしたことも、今後の取り組みの中で検討あるいは普及していくべきではないかなということを意見として述べさせていただきます。
次に、放置自転車の取り組みについて一点お伺いをいたします。
本報告書は、放置自転車が区市町村にとって財政的、労力的に大きな負担となっていることが指摘をされています。
現在、放置自転車対策のために都内の区市町村が負担しているコストは、年間で総額どのぐらいになっているのか、現状についてご答弁をお願いいたします。
○伊東治安対策担当部長 都が行った調査によりますと、平成二十一年度の全区市町村の決算額の合計で、自転車駐車場整備等に係る経費が約五十八億円、撤去、保管、処分等に係る経費が約百二十九億円でございます。
○吉田(信)委員 決して少ないコストではありませんし、しかも、駐輪場の整備よりも撤去その他の費用の方が二倍以上も多いというのは、改めて驚かされる次第であります。
報告書は、いまだに駐輪場の駐車可能台数が不足している駅が多数ある現状などを考慮すれば、ハード面の整備に関しても、鉄道事業者等民間企業を含む関係機関の継続的で実態に即した協力体制が不可欠だというふうに述べています。さらに、具体的取り組みとして、鉄道事業者や自転車駐車場の附置について、大規模店舗立地法に基づく届け出を義務づけられている事業者に対しても、設置を求めていく仕組みについて検討を求めていくと述べていますけれども、ぜひこうした点について、今後大いに具体化、促進を図っていくことを求めておきたいというふうに思います。
最後に、意見を表明させていただきます。
マナー、ルールなどのソフト対策とともに、やはりおくれているハード対策が重要だというふうに思います。とりわけ日本、東京では、自動車優先の道路対策あるいは交通対策が進められてきましたけれども、自転車利用促進の位置づけを高めるとともに、それにふさわしい政策の転換が今求められているというふうに思います。
ご承知のとおり、既にヨーロッパでは一九九〇年代から、自転車の利用を促進する政策、取り組みがさまざまな形で取り組まれております。一方、東京では、自転車が安心して通れる道がまだ少な過ぎます。自転車が走れる空間が整備されているのは都道のうち六%。本報告では、安全な歩行空間の確保を論じている箇所がありますけれども、こうしたおくれを分析し、抜本的な転換の方向を示さなければ、仏つくって魂入れずということになりかねません。
来年度予算案での道路の自転車専用部分をつくるための予算はわずかに四億円。他方、外環道路などの事業費でいうと一メートル一億円といわれていますけれども、自転車専用道路は一億円で一キロ整備できるというふうに推測できます。
自転車は、その便利さ、人々の移動の権利とともに、健康面からも、環境やエネルギー政策の面からも、人に優しいまちづくりという点から見ても、抜本的にその取り組みを支援していく必要があります。
この点で、東京都が関係局挙げて取り組むことはもちろんですけれども、その点で所管局としてのイニシアチブを発揮されることを求めて、私の質問を終わります。
○佐藤委員 私からは、これまでも質疑がいろいろありましたが、青少年、子どもと若者の健全な育成社会の構築に関して質疑を行いたいと思います。
今、子どもは、生まれたときから、大変高度で複雑化された社会の中で成長していくことになっています。そうした中で、やはり子どもたちを危険な環境にさらさないということ、例えば虐待であったり、薬物であったり、あるいは児童ポルノ、それは状況によってはインターネットも危険な因子としてとらえられることもあると思いますけれども、こうした環境を改善していくこと。そして同時に、こうした困難さの中で、さまざまな非行であったり、いじめや不登校、ひきこもりあるいはニート、あるいはリストカットを繰り返すなど、薬物依存などからの立ち直り、そして回復を支えるという、そういう環境の側面と、そして一人一人の育成、成長を支えていく、そういう両方の面からの取り組みが求められていると私は考えておりますけれども、都は、青少年の健全育成に関しての施策について、平成二十四年度、どのような考え方のもとで予算を組み、事業方針、そして具体的な事業展開を考えているのか、お伺いいたします。
○山中青少年対策担当部長 当本部では、若年者自立支援のために、例えば若者の相談を広く受けとめる東京都若者総合相談、若ナビを運営しております。また、ひきこもり等の支援につきましては、相談窓口である東京都ひきこもりサポートネットを運営するほか、個別の支援を担うNPO法人の育成や、区市町村職員のための情報交換会、勉強会等も実施しているところでございます。
非行少年の立ち直り支援につきましては、非行少年の居場所として、就労支援や学習支援等を行うワンストップセンターぴあすぽの運営、非行少年と向き合う更生保護関係者の方々に利用してもらうためのガイドブックの作成や、保護司活動支援協議会の開催、立ち直り支援に係る人材を育成するためのセミナー、講演会等を開催しております。今後とも、これらの施策を総合的に着実に実施して、推進してまいる必要があると考えております。
平成二十四年度に関しましては、若年者自立支援に関する予算として一億六千九百万余円を計上して、継続的にこの事業を実施、充実してまいる所存でございます。
○佐藤委員 そういう形で、さまざまな事業の取り組みを進めていくというお話がありましたけれども、今回、委員会に対しての資料も出されて、ひきこもり等の社会参加、あるいは非社会的行動に係る対策あるいは支援事業など、資料が提出をされているところでありますけれども、例えば、今お話がありました若ナビからどういうふうな施策を展開していくのか。個別の事案を支援していく、今この中にありますように、相談事業の中で、継続して相談をしていく中で就労支援につながったとか、あるいは非行に走っていた子どもとかに関して、深夜徘回等が見られた少年に対して補助を行った結果、子どもが進んでいくというような成果も出ているところですけれども、そうした個別的な支援、そしてまた、ここに延べ相談件数などありますけれども、相談から上がってくるさまざまな制度や施策の課題に関して、どういうふうにその情報を施策に転換しているのかをまず伺いたいと思います。
また、先ほどお話がありましたぴあすぽの事業に関して、私もぴあすぽの方をお伺いをさせていただいたことがありますけれども、東京都内に成城に一つあるばかりであります。成城にあることで、その地域、その近くにいる子どもたちに対しての支援というのであれば、ほかの地域の子どもたちが空白状況になってしまいますし、もし一つということであれば東京都内の中で統括機関として、ほかの支部機関とかの身近な居場所をつくったりとか、あるいは生活自体を支援していくというような、そうしたさまざまな複合的な取り組みとかが必要になってくると思いますけれども、こうした施策の課題に対して見解を伺います。
○山中青少年対策担当部長 まず最初に、悩みや不安を抱えた若者からの相談を広く受けとめる総合相談窓口であります若ナビでは、平成二十一年七月の事業開始以来、平成二十三年十二月末までに一万七千件を超える相談を受け付けております。
相談内容としては、職場や大学等における人間関係が築けないという悩みや、就職活動が不調であることによる将来への不安等、さまざまな相談が寄せられており、専門的な支援が必要な場合には、就労支援機関や保健所を初めとする精神保健関係機関等を紹介しております。また、相談受け付け状況等についても、これらの関係機関との情報共有を定期的に行っているところでございます。
次に、ぴあすぽについてでございますが、少年院を出院した少年、保護観察中の少年、保護観察期間を終えた少年等、さまざまな状況にある少年に居場所を提供したり、就学支援、就労支援等を行っております。ご指摘のとおり、現在は世田谷区の一カ所のみの運営でございますが、相談は世田谷の近辺を中心に都内全域からも受けておりまして、多摩地域から当施設に通っている少年も中にはおるところでございます。
○佐藤委員 ところで、この四月には子ども・若者育成支援推進法が施行されるところでもあります。また、東京都内では子ども家庭総合センターが開設を予定されているところですけれども、青少年・治安対策本部として、例えば子ども家庭総合センターの開設に当たって、準備の段階からどのようにかかわってきて、また、これからどういうふうに取り組んでいくのか。庁内における連携、あるいは国と区市町村との縦の関係も含めて、その連携状況についてお伺いいたします。
○山中青少年対策担当部長 この四月に、子どもたちに適切な支援が行き届きますよう、子ども家庭総合センターが開設されるということは承知しております。
私ども青少年・治安対策本部といたしましては、発足いたしますセンターに対しまして、私どもが運営するぴあすぽなどの施設の周知も図っていただき、子どもたちの利用を呼びかけるなど、関係各局等と緊密な連携を図ってまいりたいと思っております。
○佐藤委員 今、ご答弁の中で、そうした中で、紹介先としてぴあすぽの周知を図ってもらうというような取り組みをしているのだというご答弁がありましたけれども、ぴあすぽあるいはひきこもりなどの青少年が持っている各事業自体、重要な事業だと思いますけれども、そうした単独の事業を単独で回していくということよりも、むしろ東京都の中で青少年・治安対策本部として、やはり青少年という対象に対してどのような支援をしていくことが必要なのか。子どもを中心にして、例えば子どもにとっては、虐待を受けた子どもが非行--非行の裏には虐待があったりとかというような状況もあるわけで、さまざまな困難を抱えている中で、それが非行という形で出るのか、あるいはひきこもりという形で出るのか、それとも不登校という形で出るのか、それは子どものさまざまな現象というか、反応、SOSだと思うんです。だから、子どもが置かれている状況も含めて、どういうふうな施策とかをしていくことが必要なのかということを総合的に考えるのが青少年・治安対策本部の役割であると私は思います。
だから、今回、子ども家庭総合センターが、例えば警察庁の少年サポートセンターであったり、あるいは福祉保健局が持っている児童相談所、あるいは教育庁が持っている教育相談センターが、文京区とかあちこちにあった、高田馬場とかにあったのを、いろいろ物理的に一つのところに寄せるということは、ただ単に物理的に近くにいるというだけではなくて、そうした子どもに対しての総合的なアセスメントを、チームとして各専門的な知見を持ち寄って支援していくという取り組みであるというふうに承知をしております。
だからこそ、青少年・治安対策本部は、準備の段階から、また今後に向けても、青少年の健全な社会に向けて、そうした個別個別の支援からどういう施策が求められているのか、治安対策の問題もそうですし、逆に、一人一人の支援についてもどうなのかということを、情報を得て施策にどういうふうに転換していくのかという姿勢でかかわっていくことが私は求められていると考えます。
そういう観点からも、改めて、各所管所管の事業を連携していくということはもちろんですけれども、イニシアチブを持って施策を進めていくために、その事業を一つの所管に寄せるとかというのみならず、専門的な知見を持った人材を配置したりという取り組み、目的達成のための施策推進のために、組織的な側面からの取り組みも進めていくことが重要だと考えますけれども、見解を伺います。
○山中青少年対策担当部長 当本部では、警視庁や教育庁との併任職員、また福祉保健局との兼務の職員を必要なポストに配置するほか、各分野について、事業の実施に当たりましては、専門性とノウハウを有する関係各局やNPO法人等と連携いたしまして、各種の事業を実施しております。
例えば、今年度はNPO法人等がひきこもりの若者の支援に当たり相談することができる精神科医等の専門家を新たに確保したところでございます。また、ひきこもりに係る相談機関の実務的な連携の強化を図るため、東京都児童相談センター、東京都教育相談センター等を構成機関とする連絡調整会議を開催したり、若者の社会参加のための合同説明会を関係各局と開催するなどの連携を図っており、今後とも、関係機関と緊密な連携のもと、若者の自立支援のための事業を展開してまいります。
○佐藤委員 ぜひとも、補導される少年、例えば犯罪とか触法になるという段階にならない少年もたくさんいる中で、また保護観察とか、どういう形であれ、社会の法の網の中に入ってくる子どもはいいですけれども、そうではなくて、家は危険なんだけれども帰っているような状況とかもあるわけで、そうしたところとの連携も含めて取り組みを進めていただきたいということを要望しまして、私からの質疑を終わります。
○吉田(康)委員 よろしくお願いいたします。
私からは、外国人犯罪の防止対策についてお伺いします。
昨年八月の都民生活に関する世論調査では、治安対策への要望が第三位でありました。要望の第一位は、震災後という影響もあり防災対策でありましたが、第二位の高齢者対策とほぼ同率でありました。都民の治安対策に関する要望は極めて今も高いわけです。この背景には、都民の体感治安への不安があり、外国人犯罪もその不安材料の一つであると考えます。
このような現状を踏まえまして、昨年十一月の総務委員会で、都における外国人犯罪防止のための取り組みについてご質問するとともに、引き続きの対策をお願いいたしました。
法務省によりますと、平成二十三年一月一日現在の全国の外国人登録者数は約二百十三万四千人で、前年より約五万二千人減少しております。また、不法滞在数については約十万人といわれております。このそれぞれの数字が額面どおり受けとめられないものだという可能性があることについては、前回、私が指摘をいたしましたが、これを単純に計算しますと、日本に滞在している外国人登録等をしている外国人の約五%に当たるわけです。
一方、警視庁によりますと、平成二十二年中の都内における来日外国人の検挙人員は三千三百二十五人であり、その内訳は、正規滞在者が二千四百五十二人、不法滞在者が八百七十三人であります。これを勘案しますと、外国人検挙人員の七四%が正規滞在者であり、残る二六%は不法滞在者となります。すなわち、不法滞在者は外国人登録者数の五%にも満たないけれども、都内において犯罪者として検挙された来日外国人の二六%が不法滞在者だということになります。
このような現状を踏まえますと、不法滞在者への対策は引き続き重要であります。そして、犯罪の温床にもなりかねない不法滞在外国人を減少させるためには、外国人の不法就労を防止することが重要だとのことであります。
そこで、青少年・治安対策本部では、外国人不法就労防止対策に関して、昨年度から外国人適正雇用推進月間を、そして今年度からは、新たに外国人適正雇用推進宣言事業所づくり事業に取り組んでいるとお聞きしております。昨年十一月以降、これら事業に対しどのような取り組みを行ったのか、そして、平成二十四年度はどのような取り組みを行っていくのか、お伺いします。
○伊東治安対策担当部長 当本部では、昨年六月を外国人適正雇用推進月間とし、飲食店が多い新宿、渋谷、池袋、六本木、品川、町田において、東京入国管理局、警視庁、区市町村、防犯協会等と連携し、六百事業所を訪問して普及啓発活動を実施したのに引き続き、昨年十二月にも外国人適正雇用推進月間を設定いたしました。
昨年十一月以降の取り組みとして、昨年十二月の月間中の三日間に、昨年六月同様、関係機関とともに、飲食店が多い新大久保、新橋、北千住の各駅前において街頭キャンペーンや、外国人適正雇用推進宣言事業所づくりに取り組みました。
この外国人適正雇用推進宣言事業所づくりでは、飲食店の繁忙時間帯である昼食時や夕食時を避けるなど、事業所の営業形態に配慮し、限られた時間の中で効率よく集中的に呼びかけを実施するために、新大久保駅周辺と新橋駅周辺地区はそれぞれ三エリアに、北千住駅周辺地区は四エリアに分け、新大久保駅周辺地区では七十五事業所、新橋駅周辺地区では百事業所、北千住駅周辺地区では百事業所を直接訪問し、適正雇用に関する呼びかけを行いました。
平成二十四年度も、六月及び十二月に外国人適正雇用推進月間を設け、関係機関との連携のもと、今年度同様に、外国人適正雇用推進宣言事業所づくりの取り組みを行ってまいります。
○吉田(康)委員 ありがとうございます。駅頭での街頭キャンペーンや九百カ所近い事業所を直接訪問するなど、さまざまな対策を行っていることを理解いたしました。
しかし、繁華街には外国人客が訪れる店も大変多く存在し、そうした店舗には、不法就労を含む犯罪行為を助長するおそれのある外国人を対象としたフリーペーパーが置かれていることがある、このことを前回指摘させていただきました。
昨年十一月のこの委員会で、このようなフリーペーパーが犯罪インフラとして見過ごすことができないものであり、対応を求めましたところ、都として対応を検討するというご答弁でありました。都のフリーペーパー対策についてお伺いいたします。
○伊東治安対策担当部長 フリーペーパーに関しては、警視庁や区市町村、東京入国管理局等の関係機関とともに、さきに述べた事業所づくりの際に、事業主に対し、中国語等で書かれていて内容が確認できないものや、不法就労等を助長するおそれがあるものについて、事業所に置かないように注意喚起を行っております。
○吉田(康)委員 早速ご対応いただいておりまして、ありがとうございます。
都内、特に都心の繁華街におきましては、フリーペーパーがあふれているように思います。不法就労あるいは犯罪を助長するおそれのあるフリーペーパー対策を、今後ぜひ第一目標の一つとして取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○伊東治安対策担当部長 今後も、関係機関の理解と協力を得ながら、不法就労等を助長するようなフリーペーパーに対して対策を講じてまいります。
六月に予定している外国人適正雇用推進月間において、広報対象を、飲食店、ホテルなどの外国人を雇用する事業所以外に、コンビニエンスストア、日用雑貨販売店、ネットカフェなど外国人が利用する店舗にも広げるなど、より一層効果的な周知、広報を行っていきたいと考えております。
○吉田(康)委員 ありがとうございます。
そして、不法滞在者の多くが不法就労者であるというふうに聞いておりますが、ことし七月から施行される改正入管法では、新しい在留管理制度が開始され、これまでの外国人登録制度が廃止になります。そして、新しく在留カードが導入されますが、この在留カードは不法滞在者には与えられないなど、これまでの外国人登録証明書とは異なる点があります。こうした制度の変更点について、外国人を雇用する事業主に十分に理解してもらうことが重要であります。
改正入管法の施行に向けて、都としてどのように周知を行っておられるのか、伺います。
○伊東治安対策担当部長 現在、都が実施している不法就労防止啓発講習において、事業主に対し、在留カードの見方や雇用の際の注意点をわかりやすく説明しております。今年度は、この講習を八十一回実施することとしております。
なお、本日現在、七十九回実施し、受講者は約八千三百人でございます。
改正入管法の施行が七月九日であることを受け、平成二十四年度も今年度と同様に、この不法就労防止啓発講習で広く周知を図ってまいります。
なお、本年二月に当本部で作成した啓発用資料である外国人労働者雇用マニュアルには、在留カードの見本など新しい情報を掲載し、適正雇用に関する周知に努めております。
○吉田(康)委員 青治本が設置されたのが平成十七年八月、不法就労防止啓発講習は、その翌年、平成十八年度以降続けている不法滞在外国人対策の中核的な事業であります。
不法滞在の外国人が就労しようとする際、偽造された外国人登録証明書を使ったり、外国人登録証明書をコピーしたものを加工するなどして、正規の滞在者を装うケースがあると聞きます。
外国人による犯罪を防止する対策の一つとして、身分を偽った外国人の不法就労を未然に防ぐため、外国人の身分確認については、身分証明書の原本での確認、これを行うことが重要であると思います。
都では、事業主が外国人を雇用する際に、身分証明書の原本で身分の確認を行うよう指導しているのかどうか、伺います。
○伊東治安対策担当部長 都が取り組んでいる不法就労防止啓発講習等において、事業主等に対し、外国人の雇用に関する身分確認は、外国人登録証明書の原本で行うように指導しております。
○吉田(康)委員 外国人登録の状況を見ますと、国内の登録の約二割が東京都でなされていることから、外国人が東京に集中していることが浮かび上がってまいります。外国人の集中する国際都市東京は、外国人の不法就労の防止対策にもしっかりと取り組んでいただかなければなりません。そして、そのためには広く都民に不法就労防止への協力を訴えていかなければなりません。
都は、今後どのような対策をとっていくのか、お伺いいたします。
○伊東治安対策担当部長 都は、外国人適正雇用推進月間中の昨年十二月八日、事業主を中心とした講習会を開催するとともに、東京入国管理局、警視庁、東京労働局から講師を招聘し、外国人登録証明書の見方、在留資格ごとの雇用可能な職種等の説明会を行いました。
都としては、今後も東京入国管理局、警視庁、区市町村等の関係機関と協力し、不法就労防止啓発講習、外国人適正雇用推進月間、外国人適正雇用推進宣言事業所づくり、公共交通機関へのポスターの掲出等の継続的な取り組みを実施し、外国人の不法就労防止について、広く都民に対し普及啓発を行ってまいります。
○吉田(康)委員 この問題をいろいろ私も勉強させていただいておりまして、こういうこともできるんじゃないか、こういうこともやっていただかなきゃいけないんじゃないかと、いろいろと心配したりしておるんですけれども、細かくやっていただいている内容をお聞きすると、大変少人数の中で本当に一生懸命取り組みをしておられることがよくよくわかります。
担当部局は少数精鋭で本当に頑張っていらっしゃると思いますので、引き続き、都民の安全、治安への都民の安心を担保するために、関係各局と連携して頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
○和田委員 自転車総合政策検討委員会の報告書に関連をしてお伺いいたします。
前委員の皆さんの質問と重複を避けますので、順番等が多少変わると思いますけれども、よろしくお願いいたしたいと思うんです。
さて、東北大震災の余波を東京も含め大変受けました。その際に、東京にもいろんな影響がありましたけれども、自転車屋さんの自転車がすぐに売り切れになってしまったというような現象もありました。それは、公共機関等が途絶をしたということもありましょうが、少なからず、通勤の皆さんが反射的に、自転車ならば自分のうちまで帰れる、自分の目的地まで行けるという安心感から、自転車を選択されて購入されたということだろうと思うんです。それほどまでに私どもの日常生活の中には自転車は深く、大変有意義にかかわりを持っているという一つの象徴的な出来事が、あの大震災の東京レベルでさえもあったわけであります。そういう意味では大変有効な移動手段でありますけれども、一たびこれを間違えますと大変な事態にもなるということが、先ほど来の質疑の中でも出てまいりました。
私は、道路交通法の第十七条から入っていきたいと思うんですけれども、ここでは規定はこうなっています。車両は、歩道または路側帯と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。いわゆる車両というのは車道を通行しなければならないという結論。しからば自転車はどうかというと、これも車両の中に入ります。入るのでありますが、しかし自転車が免責される、あるいは除外されるというケースが、四つの場合においてのみ自転車は歩道通行が可能ですよというふうに、これまた除外規定として道交法上に規定をされております。二〇〇八年の六月一日に改正された時点でありますけれども、少なくとも道交法上にはこう書いてある。
それで、改めて確認しますと、児童(六歳以上十三歳未満)や幼児(六歳未満)が運転をする場合、二つ目、七十歳以上の者が運転する場合、三つ目、安全に車道を通行することに支障を生じる程度の身体の障害を持つ者が運転する場合。要するに、児童、幼児、七十歳以上、体の不自由な身体障害の方、この三つは、当然、なるほどなとうなずくことでありますが、ただ四番目が問題であります。車道等の状況に照らして自転車の通行の安全を確保するため、歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合、ここには年齢も、先ほどの身体上の問題とか何も書いてありません。状況に照らして自転車の通行の安全を確保するために、歩道を通行することがやむを得ないと認められた場合には、車両といえども、自転車といえども、歩道を使用もしてもいいですよというふうになっているんです。
私どもが、今、間近に目にしている自転車のほとんどは、第四項目めのやむを得ない場合という中にそれぞれ、承知しているかどうかわかりませんけれども、理解をして、車道以外、歩道を使っているということです。
したがって、警察官の方、取り締まる側の方も、多分この除外規定の四項目にすべての判断を置いて、七十歳以上の方でない、あるいは体が不自由でない方は、そこに焦点を置いてセーフ、セーフという形で見逃していらっしゃるのが、ここの四項目の一つの除外規定の援用というか、活用というか、こういう形になっていると思うんです。しかし、ここの場面が、今、各委員が議論されたように、損害賠償も含め裁判訴訟になってきたりするとき、四項目が大きなかぎを握っているということなんです。
したがって、ここの場面を、この四項目めをきちっと整理整とんしない限り、いつまでも自転車の事件、事故というのは絶えないというふうに思うのでありますが、ここで、先ほど来と重なるかもしれませんけれども、このような形で整理整とんされていない道交法上の漏れというか、抜け穴といいましょうか、そういうところから生じてくるでありましょう都内における自転車事故、ここ十年間の経緯についてお知らせをいただきたいと思います。
○伊東治安対策担当部長 都内における自転車の関与する事故全体は、平成十六年の約二万七千件以降、減少を続けており、平成二十三年は約一万九千件でございました。
対自動車の事故については、平成十四年の約一万四千件以降、減少を続けており、平成二十三年は約一万六百件でございました。
自転車同士の事故については、平成十五年から平成二十年までは増加を続け、平成二十年は約千八百件でしたが、平成二十一年以降は減少に転じ、平成二十三年は約千三百件でございました。
対歩行者の事故についても、過去十年間では、平成二十年が最も多く、約千二百件でしたが、その後、減少を続け、平成二十三年は約千件でございました。
○和田委員 事故の件数を見ますと、経年的に見まして下がってきているとか、そういう報告が今ありましたけれども、しかし、あってはならない事故が、件数としては少し減ってきているとはいえ、やはり千とか万とかのオーダーであるということは、極めて異常な事態だというふうに受けとめなければならないと思うんです。
そうなりますと、今までの道徳ですとか、常識ですとか、そうあってほしいなという願望ではなくて、やはりここまで来ると、要するに法律的な、あるいは条例的な一つの仕組みの中で、フレームの中で、乗る方も、それから歩行者も、双方がお互いに相手を理解しながら、どう事故、けがを避けていくかという段階に来ていると思うんでありますが、東京都の見解はいかがですか。
○伊東治安対策担当部長 自転車をめぐる問題については、利用形態の変化、性能の向上、法令や制度の改正、自転車に対する都民の意識の変化など、自転車にかかわる環境の変化に的確に対応して検討することが必要でございます。
問題の解決には、条例による利用環境の整備を含め、さまざまな対策が考えられますが、義務化などの規制的な対策と、普及啓発を初めとする誘導的な対策を含めて、幅広い関係者の合意形成を図りながら、実効性のある対策を検討してまいります。
○和田委員 要するに、実効性のある対策というのがポイントだろうと思うんです。幾ら理念的にうたい、高らかに自転車はこうあるべきだとうたってみても、けがや事故、あるいは場合によっては死亡事故などが減らなければ意味がないわけでありますから、いかに実効的な施策が打てるかというところが、私はこれからの、この報告書を受けた以降の一つの東京都の問われる姿勢だろうと思うんです。
さてそこで、先ほど来、この報告書が出された後、お二方の委員へのご答弁に多分あったと思うんですが、新年度から検討の場というものを設けながら、具体的に落としていきたいといいましょうか、何らかの検討、利害関係者の参加を含めながらやっていきたいというふうなことを答弁されておりましたけれども、これと報告書の関係をどういうふうに理解したらよろしいですか。
○伊東治安対策担当部長 新年度における検討の場におきましては、報告書の議論も十分にご報告をし、それを踏まえた上で、より広くの分野から多くの方の意見をお伺いしていきたいと考えております。
○和田委員 この報告書が出された時点と検討の場を設けたときには、それぞれ意味合いが違うと思うんです。要するに報告書というのは、有識者を含め、もちろんそのときには利害関係者もいらっしゃると思いますが、その方々がいろんな立場、角度からのご意見を一つのレポートにまとめた。
しかし、新年度になったら検討の場を設ける中では、報告書をどういうふうに、自転車を乗る方あるいは保護者も含め、社会、世間にこれを広めて理解を、利害関係者ももちろん出てきますから、それを理解してもらうような具体的なアクションに移していくかということが問われるだろうと思うんです。
したがって、そのときに、きょうの委員会で出されたような各種の自転車に対する要望なり、あるいはこうすべきだという一つのサジェスチョンもありましたけれども、そういうものはどういうふうにその検討の場に生かされるんですか。
○伊東治安対策担当部長 報告書につきまして、きょうの委員会を含め、お寄せいただいたさまざまなご意見につきましては、新年度における検討の場の中で、私ども事務局から整理をしてご報告し、さらにご意見を広く伺っていきたいと考えております。
○和田委員 要するに義務教育時点で、学童に、あるいは生徒に、自転車の安全運転などについての講習を広めていかなきゃならない、実際的なそういう教室もしなきゃいけないと思いますけれども、テキストブックのような形、あるいは副読本のような形で何か考えていることがありますか、また考えていくべきだと思うんでありますが。
○伊東治安対策担当部長 自転車の安全教育につきましては、中学校学習指導要領解説書の中に、健康安全・体育的行事における心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成の中で、自転車運転時などの交通規則の理解について例示されていると承知しております。
学校教育の現場においては、限られた時間の中で非常に多くの要請にこたえなければならないという実態もあるため、当本部では、教員による自転車の安全教育を支援するため、中学校を対象として、教員が取り組みやすく、効果が期待できる教材等の作成に向けて、現在、教育庁と連携して検討を進めているところでございます。
○和田委員 一昨日の委員会のときにも、政治教育の段階で、義務教育のときから、選挙なり投票なりというものの重要性、民主主義の重要性を訴えるべきだよというようなことをご指摘申し上げましたが、やはり同じく、日ごろの安全教育が大事だろうと思うんです。大人になってから、もちろん再教育、リカレントするのも大事でありますけれども、一番初めにハンドルを握る、一番初めに自転車に触れるというときに、どういう緊張感と、自分の義務なりなんなりがそこに自覚されているかということが大事でありますから、まず、今の教育委員会とのすり合わせの中で、具体的に安全教育をどうやっていったらいいかということに、ぜひぜひ心を砕いていただきたいということを強く要望いたしておきます。
次に、暴力団の排除条例に関連をしてお伺いいたします。
これは、昨年十月に東京都も全国に並ぶ形で条例が施行されました。このときに、暴力団というものに対する一定の、一般社会、市民、都民の方々がどんなことをしてはならないのか、あるいはしていいのか、してはいけないのかというようなことの例示といいましょうか、そういうものをしておくべきだというようなことを、私も警察・消防委員会の中でも指摘をしたところでありますが、暴力団と交際をしない、あるいは恐れない、資金の提供をしない、利用しないといったような、ないないというような運動を申し合わせるような形で、暴力団と距離を置く、あるいは絶滅していくということを、東京都は確立をした形で運動方針の中に盛ったと思うんでありますが、この条例をより具体的にわかりやすく都民に広めていくためには、条例にどういうことが抵触して、どういうことが抵触しないのかというようなことについての例示をもっともっと細かく、頻繁に健全な都民に周知徹底していく必要があろうというふうに思うんでありますが、いかがでありますか。
○伊東治安対策担当部長 この条例では、事業者が暴力団員等に対して、その威力を利用したり、暴力団の活動を助長する目的で利益を供与する行為が禁止されており、例えば、不動産業者が所有する土地を売却するに際し、立ち退かない住民を追い出すために、力ずくで追い出してほしいと暴力団に依頼し、金銭を支払う行為、内装業者が暴力団事務所であることを認識した上で暴力団事務所の内装工事を行う行為などが該当すると承知しております。また、第三者が暴力団員である事実を隠ぺいすることの事情を知った上で、自己の名義を暴力団員に利用させる行為が禁止されていると承知しております。
なお、個々の事案については、外形的な状況からは、利益供与違反になるのか否か判断できないような場合には、早い段階で警察に相談していただきたいと考えております。
今後、当本部としては、警視庁と連携し、条例をわかりやすく解説した都民向けのリーフレットの作成や、暴力団排除キャンペーン等の広報啓発活動を実施してまいります。
○和田委員 まさにこれも啓発啓蒙活動が大事だと思います。暴力団というと、昔ならば、怖いというか、一見したところ、すぐわかる人が多かったんでありますけれども、このごろはわかりにくい形で、いろんなところに潜んでいらっしゃるというような、そういう声も聞くわけでありますから、健全な都民がそのことにおびえたり、侵されることのないような、そういう健全な都民生活を担保していく意味でも、ぜひぜひ啓発活動、啓蒙活動をお願いいたしたいと思うんです。
さて、私どもが承知している限りでは、一部、暴力団との縁を切って、そして健全に都民生活を考えよう、あるいは実行しようという組織がもう既に動いているようであります。例えば、ある区などでは、お祭りなどに大体、一般都民とかかわりを持つ暴力団が出てくるようなケースが多いようでありますけれども、そういうものを除外した形で、自発的に祭りを仕切ったり、あるいはイベントを自分たちで企画して、最後まで後始末もやるというような、そういうことに成功しているような事例を聞くんでありますけれども、それについては、東京都の方は承知をされておりますか。
○伊東治安対策担当部長 東京都世田谷区代沢にございます北澤八幡神社では、例大祭において、地元住民らが実行委員会を組織し、暴力団と関係のある露店商には出店許可を出さないようにして、暴力団の排除活動を行ったと承知しております。
○和田委員 世田谷ではそんなことをされているように今報告で知りました。ほかにもあるようでありますけれども、今ご答弁いただいたような形で、先行して、世田谷はある神社を中心にしておやりになっているようであります。
ある区ができるのであれば、二十三区を問わずに二十六市も含め、区市問わずに、この考え方やこの実績というのを広めていく必要があるだろうと思うんです。全都的にカバーされれば、少なくともこれから春先、桜のお祭りから始まって秋のお祭りまで、いろんな計画や企画が出されてきて、夏休みも特に多くいろんなことが行われるようになります。催し物が行われますけれども、そういう過程の中で、東京都は、やはりもっともっとこういう成功事例を他の自治体に機会があるたびに広げていくべきだというふうに私どもは思うんでありますけれども、どのようにお考えになりますか。
○伊東治安対策担当部長 世田谷の事例における成功のポイントは、地元住民の間に暴力団排除の強い意思があったこと、暴力団排除の意思を明確に外部に示したこと、さらに、地元警察と協力することによって暴力団を寄せつけなかったものと理解しております。
今後、当本部としては、祭りやイベントにおいて暴力団排除に成功した事例を暴力団排除キャンペーン等で劇形式で紹介するなど、都民にわかりやすい形で広報啓発を行い、暴力団排除機運を高めていきたいと考えております。
○和田委員 暴力団というと、全く接触しないで一生終わる一般の方々が大部分の方であります。ただ、一たび接触をしてしまうと、そこからずっとそういう関係に引きずり込まれるというようによくいわれておりますから、まず近づかない、恐れないというのは、先ほどの標語にありましたけれども、そういうところを健全な都民に実体験してもらうような形を、私どもは経験するべきだろうと思うんで、その意味で、今おっしゃったような警視庁と連携して、いろんな意味での暴力団排除のキャンペーンを張るとか、劇形式でやるとか、一般の都民が近づきやすいような、怖くて近寄れないんじゃなくて、なるほどと知って理解した上で、それらを毅然として拒否をしていくというような、そういう運動を展開していくべきだと思うものですから、ぜひそのキャンペーンなどについては、新年度早々、積極的に関係する組織と連絡をとりながら進めていただきたいと思います。
とりわけ夏ごろには、先ほど申し上げたような、子どもたちや何もわからない方々を中心にした行事が組まれる時期でもありますから、せっかく二十四年度予算も組まれていることでありますので、ぜひそれを実行していただきたいと思います。
さて、次に、ドラッグの問題について触れたいと思います。
私は使いたくないんでありますが、よく脱法ドラッグと、こういうんです。脱法というのは、合法と違法の間にあるのが脱法だろうと思うんですが、日本語というのは、まさに漢字の中に意味が込められているのでありますから、脱法という漢字の中には、合法なんだよという面と違法なんだよという面が、両方、この脱法の中には意味として受けとめられるように、あいまいな表現だろうと思うんです。だれが決めたか私は知りませんが、このことが通俗的には脱法ドラッグといわれております。
私は、極力この用語は使わないで今日まできましたけれども、要するに、脱法だろうと何だろうと健康に害をなすものは全部これは違法であって、脱法などというものはなくて、合法か違法しかないよという、私は考えでありますが、当局はどのように考えておりますか。
○山中青少年対策担当部長 いわゆる脱法ドラッグにつきましては、明確な定義はございません。薬物の乱用から、青少年を初めとする都民の健康と安全を守ることなどを目的とした東京都薬物の濫用防止に関する条例においては、乱用を防止すべき薬物とは、所持や使用が禁止されている覚せい剤や大麻などのほか、「これらと同等に、興奮、幻覚、陶酔、その他これらに類する作用を人の精神に及ぼす物で、それを濫用することにより人の健康に被害が生じると認められるもの」と規定されております。
○和田委員 規定はそのとおりだろうと思うんです。だけど、その脱法ドラッグなるものを、一たび青少年が吸ったり飲んだり、あるいは食べたりするかもしれませんが、そうすると幻覚症状を起こしたりして、ことしの一月ですか、渋谷の方でハーブなるものを吸引したか何かした人が、吐き気を催したりして健康を害したというような事例も出ております。
でありますから、やはりハーブであろうとドラッグであろうと、お医者様あるいは一般の薬局で、これは健康にいいですよというもの以外は全部違法なのであります。脱法などというあいまいな言葉を行政当局は使うべきではないというふうに私は思います。
そうでありますが、これを所管する国のレベルの厚労省の医薬食品局などはどんなふうにこれを考えているかといいますと、化学式で、枝といいますか、手が出ていますけれども、それが一本違うと合法で、一本違うと違法だというようなところの仕分けの中で、合法か違法か分けているというふうに見解をいっています。
しかし、その一本が出ていくことによって、違法、合法で、抑えたにしても、違法になったとしても、次にそれを、出っ張らなければいいんだろう、へっこんでいればいいんだろうという形で、売る側の方はまたそこにつけ込んで、枝の少ないやつとか、別な方向に出ているものを考えて売りに出ていく。それが合法だというような、世間でいう脱法ドラッグと称して売っているわけです。その追っかけ、イタチごっこの形でもって今日までずっと何年も来ました。
私が見た限りでは、新宿のまちなどは、目の前に脱法ドラッグというふうに書いて売っている時期がありました。とんでもないことをやっているなと私は思いましたけれども、脱法を許してはならない、あるいは違法なんだよということをしっかり、当局も含め、警察も含め、厚労省も含め、限定して、厳しく決めるという意味ですよ、その意味で抑えていかない限り、どんどんどんどん枝を伸ばしたりへっこめたりすることによって、まさに、アヘン戦争ではありませんが、国じゅうが、あの種のものに汚染された青少年が出てきて、勤労意欲も学習意欲もない青少年が出てくるような危険性を感じるわけなんです。
その意味で、やはり国に向けても私どもは、一つ一つ追っかけっこではなくて包括的に、こういうものはだめですよと、全部ふろしきで包むような形で禁止をしていく。違法なのだというふうな形で、国も東京都も決めつけていかないと、いつまでも、脱法だとか逃げて、青少年の精神や身体を毒していくようなこの種のものがまちから消えていかないというふうに思うんでありますが、見解を問います。
○山中青少年対策担当部長 法的に違法とされているかいないかにかかわらず、人の健康を害し、また青少年の健全な育成に著しい悪影響を与える薬物につきましては、福祉保健局、警視庁など関係機関とも連携をいたしまして、青少年に対し薬物乱用の恐ろしさについて啓発を図り、健全な育成に努めてまいりたいと思っております。
○和田委員 これも公式的な答弁だと思います。ただ、これも人権の問題だとか、枝が一本出ているとか出ていないとかということの細かなことの中で、化学的、薬学的な判断の中で、それは禁止されたり罰則を受けるというような微妙な問題ではありますけれども、使う青少年はそんなこと知らないし、使う都民も知らないで、快感だとか何かを求めて買っているわけです。
ところが、それを使い続けることによって身体上、精神上の不健康が惹起されるとなれば、ここのところは禁止していくというような世論形成をつくっていく必要があるだろうというふうに思いますし、まずは国の方にも、包括的な一つの禁止に入るような形で、私どもも働きかけをしなきゃならないと思いますけれども、東京都もやはり国の動きを敏感に察知しながら、国に先んじてこの種の問題には手を染めていく。歓楽街が多い大都市東京でありますから、そういう中で、青少年の精神、身体が汚染されていくというようなことは、極力避けなければならぬというふうに思いますものですから、そのことを強く訴えて、私の質問を終わります。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時五分休憩
午後三時二十分開議
○吉倉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより知事本局関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、知事本局所管分及び報告事項、「二〇二〇年の東京」及び「二〇二〇年の東京」への実行プログラム二〇一二についてを一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○雜賀総務部長 要求のございました資料三点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料に沿いましてご説明いたします。
まず、一ページをお開きください。アジアヘッドクオーター特区における外国籍企業五百社を誘致した場合の経済波及効果を、都内と都外あわせて記載しております。
次に、二ページをごらんください。アジアヘッドクオーター特区及び特定都市再生緊急整備地域における優遇税制でございます。
それぞれの対象、期間、概要を記載してございます。
最後に、三ページをごらんください。アジアヘッドクオーター特区において、法人税の優遇措置を行うことによる都の税収の推計額、算定根拠でございます。
外国企業の業務統括拠点、研究開発拠点五十社の経常利益額、法人事業税の実効税率及び法人事業税の減額見込み額をお示ししてございます。
以上、簡単でございますが、要求資料の説明とさせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○吉倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○和田委員 初めに、副首都問題についてお伺いをいたします。
この経緯は、もう知事本局もご承知だと思いますから、重ねてと思いますが、経緯ということでありますが、少したどってみたいと思うんです。
昨年六月二日に、石原知事と危機管理都市推進議員連盟の会長の石井参議院議員とが面談をしております。そのときに、一部新聞にも報道されておりますが、石原知事は、首都機能移転は賛成できないけれども、副首都ならいいよというような、そういうご意見があったやに報道されております。さらに、翌月の七月一日になりますが、同じく石原知事、それから石井参議院議員、さらに当時の橋下大阪府知事などが会ったりして、この問題についての議論をしております。さらに、新しい年に改まりまして三月七日、藤村官房長官は、衆議院内閣委員会の答弁の中で副首都という言葉を出し、創設する仕組みなどを検討したいということで答弁をいたしております。さらに、三月十五日には、我が党、民主党の首都中枢機能バックアップワーキングチームの中間報告しているのを公表いたしております。要するに昨年の六月から、いろんな方々が会ったり党も取り組んだりして、首都に準ずる副首都という構想が出てきているということで、国会の公の質疑の中にも出てきているということであります。
そこでお伺いいたすわけでありますが、今まで申し上げたような昨年六月二日から始まっている副首都の一連の東京都を中心にしたこれらの動きについて、当局はどのように把握をしておりますか。
○潮田地方分権推進部長 昨年来、そうしたさまざまな議論があることは私どもとしても承知をしてございます。
ただ、万が一の場合のバックアップ体制につきましては、現実的な議論を重ねまして、しっかりと準備をすることが必要かというふうに考えております。ただし、一時的なバックアップの必要性、こういったお話と首都機能の移転、こういったものを混同して、多大な費用をかけて、やみくもに遠隔地へ首都の機能を分散するということになりますと、人材、情報、技術の高い集積に裏打ちされました東京の競争力をそぐものでありまして、日本の再生に大きな支障となりかねないものと承知しております。
バックアップ体制を考える際には、日本を牽引する首都東京の役割をしっかりと踏まえた上で行っていくべきものと承知しております。
○和田委員 私は首都機能の移転とか何かいっていませんで、昨年六月から始まって、この三月まで続いてきている一連の、内閣も含めて動いてきている経緯を承知していますかということを聞いたのでありまして、首都機能の移転のことは私も触れておりませんし、そこまで私は答えを求めておりません。
ただ、過剰防衛的にそういうふうにおっしゃるということでありますれば、あえて私もそこまで踏み込まざるを得ませんが、少なくとも、今答弁いただいたバックアップというのは、どういうふうに受けとめたらいいんですか。
○潮田地方分権推進部長 バックアップと申しますのは、第二回の定例会で知事がご答弁させていただいておりますが、大規模災害時に首都機能を一時的に代替補完するものというふうに解釈しております。
○和田委員 一時的にでも、機能移転というか、機能移動といいましょうか、それはまかりならぬということになるのかどうなのか。東北大震災の大変貴重な経験を私どもは学んだわけでありますが、規模は小さいといえども、企業を一つ例を挙げてみましても、サプライチェーンなるものがよく出されました。その補給網というか、鎖のようなものがしっかりしている企業は早く立ち直ったけれども、それがなかったところは、いまだに立ち上げに苦労されているというようなことを聞いております。企業実績にもこれは影響してきているというようなことで、サプライチェーンなどという言葉が出てきております。
首都の一つの機能の問題についても、サプライできる、いつでも補給できるようなところがあれば、よくいわれている東京湾の北部で大変強度の強い地震が起こるなどというのが、東大の地震研から出されたりなんかしておりますけれども、そういう一連の対応の中で、やはり行政のサプライチェーンなるものをしいていく際に、それが首都機能移転なのがバックアップなのかということの定義は、大変あいまいだろうと思うんです。
今答弁、一番初めのときもそうですし、二回目もそうですが、何しろだめだ、だめだというふうに今ある首都機能そのものを抱え込むような、そういう、ある意味では抱え込む、保守的な発想のようでありますが、東北大震災からどういうことを、じゃあ学んだんですか、首都機能の問題、首都の新しい災害に対応すべき一つのアクションとして。
○潮田地方分権推進部長 大規模災害時におきましても、首都機能を維持確保していく、そういったことは重要であるというふうに認識しております。
しかしながら、国家の危機管理、そういったことの要請からしますと、まずは首都への打撃を最小限に食いとめるべきだというふうに考えておりまして、そのため、東京の防災力強化をしっかりと図ること、まずその一点目、それが重要かと思っております。
その上で、さまざまな被害想定に対応できるような、例えば九都県市の集積も生かしながら、多層的なバックアップのあり方を国として十分に検討していくべき、そのように考えております。
○和田委員 九都県市も含め、近くでカバーするというのは当然のことであります。
しかし、東北大震災だけでもあれほど広域なところで震災被害があり、またそれに加えて放射能もありましたけれども、少なからず震災被害はあったわけです。今回、想定される東京湾の震災が起こった場合などは、首都圏といわれるところも甚大な被害を一遍に同時的に受ける。いわゆる同時多発的な被害を受けるというふうに私は思っているんです。
したがって、私どもは、三月十五日に公表された我が党のバックアップワーキングチームの中間報告などを参考にせざるを得ないというところでありますけれども、この提言の前の中間報告ということになると、こんなことをいっています。
例えば、官邸のバックアップとなる防衛省並びに立川の防災センターは、各省及び各省のバックアップ地との間の専用回線や各省で整備する通信システムの連携がなく、商用回線が途絶する場合、代替施設として機能しない。なお、立川防災センターの商用電話回線は八本のみで、真下に立川断層があることを付言しておくというふうに、ここでは危機管理のことを強く、我が党のワーキングチームは指摘をしております。多くの省庁でバックアップは業者任せで、その復旧には外部の支援が必要であり、被災状況での機能が担保されていないというふうに自己批判しながら、国のレベルでありますよ、国のレベルではこうなっている。
振り返って東京都は、首都圏で何となくお互いに補完し合おうよという形でよろしいんですか。
○潮田地方分権推進部長 今お話がございました立川の話、私も、事実の確認はしておりませんが、そういったやりとりがあったやにも聞いておりますけれども、現在、立川の方が仮にそうした状況にあるということで、国がそういう状況にあるということであるとすれば、看過できない問題でございますので、専用回線あるいは通信システムの連携など、国の責任においてしっかりと改善を図っていくべきものというふうに考えております。
ただ一点、先生からお話ございましたように、大規模な震災というお話も、そういったことも含めて一挙に壊滅するというようなお話も、最悪の状況下ということで、必要最低限の備えをするという意味では一つの考え方だとは思っております。
しかしながら、霞が関の中央省庁ですとか、総理の官邸あるいは議員宿舎などは、順次、既に耐震化あるいは建てかえを進めておりまして、霞が関についていえば、残る二庁舎、これにつきましても、今後早急に着手がされる予定だというふうに聞いております。そうした意味で、耐震化については、かなり高いレベルでの備えが整うことになっているようであります。
そうしたことから冷静に考えますと、それらが一挙に壊滅するというようなことが現実に想定され得るかどうか、こういったものについては、科学的な知見に基づいて、しっかりと議論をされるべきものだというふうに考えております。
実際の災害は、さまざまな被害の段階が起こり得るものだと思っておりまして、遠くにバックアップの拠点を構えるよりも、埼玉を初めとしました、先ほど申した九都県市のエリア内の近隣でのバックアップ、こういったものも、より早く、有効に機能する場合も大いにあり得るのではないかというふうに思ってございます。
したがいまして、国の方で今、いろんな議論がされているやには聞いておりますが、極端な壊滅シナリオだけで議論するのではなくて、科学的、客観的な判断に基づいた被害想定を踏まえた適切なシナリオも設定しまして、冷静で的確な検討を行っていくべきものというふうに考えております。
○和田委員 冷静な知見、科学的というふうに、まさに進歩主義的な答弁をいただいたんですが、それが読み切れなくて東北大震災があったんじゃないんですか。それが読み切れなくて放射能のあの事件があったんじゃないんですか。
だから我々は、想定外はもうなしよというようなことを一つの教訓として、あの大震災から学んだわけなのですから、考えられる最悪の最悪の事態を用意しながら、それで来なければよし、来たらそれに対応できるというふうに備えておくべきが、我々は危機管理の大きな要諦だろうと思っているんです。
それを、余り大騒ぎするなとか何とかというような抑圧的に考えるんじゃなくて、私も何も、扇動して、何かないものをあるがごとくいったり、五のものを十、二十に誇大にいっているわけじゃなくて、今回の東北大震災から学ぶべき教訓というのは、あの放射能にしても、原発にしても、あるいは震災にしても、冷静に考えた上で、その道をしっかりつけておかなかったために、科学者などが後知恵的にいろんなことをおっしゃっているけれども、なるほどなというようなことが随分当てはまっているのはそこだろうと思うんです。
今回、我々も東京都議会として、我が都議会民主党としても、東京都民の安全なり安心をどう確保していくかというときに、ほとんど一週間に一回は体感地震が、我々も感ずるくらいに頻度多く地震が起こってきているということを都民は全部知っているわけです。それがどういうふうな結末になるかということは、それこそ予見はできませんけれども、しかし、我々の与えられている知見の中で、最大限、最悪の状態を覚悟しながら準備しておくということは、我々としての責務に当たるのではないかというふうに思うんです。
このことは、答弁が大変かたくなというか、私どもの主張とかみ合わないところが随分あります。これは、これから回を重ねるたびにいろいろ詰めていくことがあろうと思いますけれども、中間報告を我が党が今回、十五日に公表しました。したがって、本答申がこれから出てきますけれども、東京都は少なからず、政府なりそういう機関から、バックアップ体制について協議をいたしたいんですけれども、あなたは応じてくれますかといった場合に、どうされますか。
○潮田地方分権推進部長 いうまでもなく、大規模災害時においても首都機能を維持、確保していくことは重要でありまして、そこについて私ども何ら否定するものではございません。
しかしながら、先ほども申しましたように、何よりもまずは、首都直下地震などの大規模災害につきましては、首都機能への打撃を最小限に抑える取り組みが一番重要でございます。東京都としましては、「二〇二〇年の東京」に掲げておりますように、東京の防災力を飛躍的に高める取り組みを強力に進めまして、世界に誇れる安全な都市とすることが、都民の生命と財産を守る責務であると、かように考えておるところでございます。
仮に、私どもが申している、まずは東京の防災力の強化をしっかりと図るべき、その上で九都県市も含めたさまざまな多層的なバックアップのあり方を検討すべきという思いに国の方でも立っているとすれば、お話のような、どういった協力要請があるかよくわかりませんけれども、その段階で判断をしていく必要があるというふうに考えております。
ただ一方で、やはり新聞報道で拝見しますと、大阪をとりあえずのバックアップ拠点というふうに位置づけたというような報道もございます。仮に、肝心なバックアップ機能をどの範囲で、どういうふうに考えていくのか、あるいはそれに対してどの機能をどういうふうにしていくのか、そういったものの十分な議論なしに場所の話が仮に先行していくとすると、それは事実上の首都機能移転につながるのではないかと、かように懸念を抱いているところでございまして、いずれにしましても、国の今後の検討状況を注視してまいりたいというふうに考えております。
○和田委員 私の質問の最後は、経緯だとか東京都の思惑を聞いたんじゃなくて、もしも政府なり国の方から、そういうふうに協議しませんかといった場合に受けるか受けないかということです。端的に、受けるか受けないかだけ答えをいただけますか。
○潮田地方分権推進部長 繰り返しのご答弁になりますけれども、東京都といたしましては、どういった協力要請があるかわかりませんけれども、そういったご提案があった段階で判断していきたいというふうに考えております。
○和田委員 東京都は東京都で、東京都から国を動かすという意欲も大変大事だと思いますが、しかし東京都もあくまでも国の中の一つの都市でありますし、大変貴重な生命、財産が都内にいらっしゃるわけでありますから、そこのところを抜きにして、ただただ東京都の、いうなれば首都機能移転というふうに、私はいっていませんけれども、そこだからそれには乗れないよというわけにもいかないでしょうと。やはりそのときそのときの臨機応変な措置というのが、行政なり政治に求められるわけでありますから、それはそれなりに、要請があったときに、受けるべきかどうかを判断した上で、よろしく検討をしていくべきだというふうに思います。私は受けるべきだともいっていませんし、受けざるべきだというふうにいっているわけでもありません。そういうふうに柔軟な姿勢で、今回の副首都問題について考えていくべきだということを申し上げておきたいと思うんです。
次に、木造密集地域対策についてお話を申し上げたいと思うんです。
これは「二〇二〇年の東京」に関係することでありますが、これについては、基本的には冊子で了解をいたしました。
しかし、現行、指定をされた区、特別区ですが、その動きについては何か掌握をされておりますか。
○澤計画調整部長 現在、事業を所管しております都市整備局において、さまざまな取り組みを進めているというふうに聞いております。
○和田委員 二月に一応公表して、八月ぐらいまでにという時間があるわけでございますけれども、しかし一方で、木造密集地域を抱えている区では、この情報に、飛びつくというとあれですけれども、渇望していたという節もないわけではありません。
したがって、早く動きを始めている区もあるやに聞いておりますから、そこのところは、震災とセットになるかもしれませんが、少しでも早く事業を推進するという自治体があれば、それにこたえていく必要があるだろうというふうに思うものですから、できるだけ積極的に情報をつかんで、早いスタートをぜひとれるような、そういう事前の準備をお願いしておきたいと思います。
そして、当面、三区を試行といいましょうか、モデル的に行うということでありますけれども、問題は、この企画はいいんだけれども、どういうふうに財政的な措置なり援助が、不燃化特区にされた場合に東京都の方からあるのかなというような不安もあろうと思うんですが、現時点でお答えいただける範囲での特区に対するあらゆる支援というものについて、お答えいただきたいと思います。
○澤計画調整部長 ただいま、都市整備局の取り組みといたしまして不燃化地域の特区制度のお話があったかと思いますけれども、都市整備局におきましては、これまでの都市計画事業など強制力のある手法を用いることを基本とする一方で、地域の状況に応じまして、従来よりも手厚い支援を期間を限定いたしまして実施することとしております。その支援のメニューにつきましては、不燃化助成の上乗せ、あるいは都税の減免措置、まちづくりの種地となる都有地の提供などを、区からの提案も踏まえながら具体化を図るということとしてございます。
○和田委員 不燃化助成の上乗せとか、あるいは都税の減免の問題、さらに種地の都有地の提供と、そういうような誘導策を用意するということも大事だと思うんです。
問題は、これは総務局の方にかかわりがあるんでありますけれども、やはり財政的な問題とすると、都区財調などの関係はどうなのか。大変窮屈かなと思うんですが、やはりその辺のところまで、もちろんこれは特別区間の合意も必要でありますけれども、補佐してやることによって、この種の事業に、大規模事業になると思いますけれども、該当する区は乗りやすくなってくるのかなというふうに思うものでありますから、極めて推進する方向で、後押し方をお願いいたしたいというふうに思います。
これは最後になりますが、同じく「二〇二〇年の東京」に関連をするのでありますが、スポーツクラスターについてお伺いいたします。
これの基本的な思想、概念はどういうふうに理解したらよいのでしょうか。
○澤計画調整部長 「二〇二〇年の東京」計画では、大規模スポーツ施設を中心としましたさまざまな施設の集積、これをスポーツクラスターと定義をしてございます。
具体的には、まず国際大会レベルの大規模イベントの開催が可能な施設を中心としていること、二つ目に高い集客能力があること、三つ目といたしまして、スポーツ以外にも多様なイベント、施設が誘致可能であり、まちのにぎわい創出の効果が高いこと、こういった点を満たした地域を想定してございます。
このような観点から、神宮、駒沢、武蔵野の森、臨海の四つの地区をスポーツクラスターとして位置づけまして、四大スポーツクラスタープロジェクトとして打ち出し、整備促進を図ることといたしました。
本プロジェクトの推進によりまして、国際的な大会の招致を進め、都民のスポーツ熱を高めるとともに、にぎわいのあるまちづくりを目指しまして、スポーツ祭東京二〇一三、また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催にもつなげてまいります。
○和田委員 方向づけはわかりました。
ただ、私どもは、あえてここで指摘をしておきたいことは、スポーツ祭東京二〇一三あるいは二〇二〇のオリンピック・パラリンピックに向けるという方向はいいのでありますけれども、それが終わった後、一般都民が息長く使えるような、そういう施設にやはりなっていないと、ただスポーツ祭あるいはオリンピックだけの施設で終わってしまっては残念だというふうに思いますから、そこも立派に貫徹しながらも、終わった後の一般都民の利用も、そこでまさににぎわいを持って行われて、スポーツが健康的にますます東京の中に位置づいていくというような方向を加味した、そういうクラスターであってほしいかなというふうに思っているんです。
でありますから、今、四カ所指摘されましたけれども、そこ以外にも都民が親しみやすいようなそういう施設があれば、オリンピックあるいは国体、スポーツ祭に関係なくとも、スポーツクラスターにどんどん入れて、核をふやしていくことによって、スポーツ祭やオリンピックにとらわれない、一般都民の運動に親しまれる施設をつくっていくという方向にもなじんでくるのかなと思うものでありますから、基本的にその考えをもう一回お聞かせください。
○澤計画調整部長 「二〇二〇年の東京」計画では、四大スポーツクラスタープロジェクト以外にも、都民のだれもがスポーツに親しむことができる環境を創出するために、公園、遊歩道などの体を動かしたくなるような場の整備を進めていくとしております。
また、気軽にスポーツを楽しむことができる地域スポーツクラブをすべての区市町村に設置するとともに、都民が参加しやすいスポーツイベントの拡充など、地域スポーツの活性化を図ってまいります。
こうしたスポーツ振興策をさまざまに講じまして、多くの都民がスポーツに取り組みやすい環境をつくりまして、そのすそ野を広げていきたいと思っております。
○和田委員 毎年毎年これは見直すということになっていますよね。毎年見直すということでありますから、新しい環境変化が起こったときには、積極的にそこをクラスターに指定し、そして、その周辺の住民なり自治体に一つの激励というか、奨励を与えていくということは、私はネーミングライツと同じような考えでとっていくべきだろうと思うんです。
たまたま、西が丘というのが私どもの北区にあるのでありますが、そこは国立サッカー場があったり、スポーツ科学センターがあったり、オリンピックなり、あるいは選手がそこでいい成績を上げるたびに注目されるような場所があります。その近くに、産業技術研究所が移転した後の三万平方メートルぐらい大きな敷地が、今、取り壊し作業中です。これは多分スポーツ施設になるかなというふうにいわれておりますが、そんなことなんかも含め、環境変化があったときには、やはり積極的にその地域とも相談しながら、指定をしていくと、クラスターをふやしていくというようなことで、特別区に限りません。多摩も含め、自然環境も含め、そういういいところがあれば、どんどんクラスターに指定あるいは指名していくべきだというふうに思うのでありますが、いかがお考えでしょうか。
○澤計画調整部長 委員ご指摘の、北区の西が丘にスポーツ施設が集積をしているということは十分承知してございます。
また、一般論でございますけれども、「二〇二〇年の東京」計画を着実に推進するために、アクションプランであります実行プログラム二〇一二を策定しておりまして、この実行プログラムは、これまでの取り組みや新たな施策展開について検証を加えながら、毎年度改定を行っていくということとなっております。あらゆる施策についていえることでございますけれども、この改定作業の中で、状況の変化も見きわめながら、必要と考えられる取り組みにつきまして検討を進めてまいります。
○吉原委員 それでは、地方分権改革に伴う条例案が今定例会で提出されております。私の方からは、国の地方分権改革の取り組みの進捗状況を確認するという意味合いで、義務づけあるいは枠づけ、権限の移譲について何点かお尋ねをさせていただきます。
明治維新以来の中央集権は、我が国の近代化あるいは経済の発展に、他国では類を見ないほど、しかも短期間のうちに大きな成果を残してきたわけでございます。
しかしながら、時代の流れ、時代の変遷とともに、国から地方への分権改革の体制を積極的に進めていかなければならない今日であります。と同時に、またこのことは強く求められている時代でもあるわけでございます。
今回提出されております義務づけ、枠づけの条例案は、昨年の五月、そして八月に成立をいたしました第一次一括法、そして第二次一括法に基づいて提案をされているわけでございます。自由民主党が政権担当時代に進めてまいりました地方分権改革がようやく形になってあらわれてきたものと感じているわけでございます。
この第一次の一括法、そして第二次の一括法について、内容について改めてお伺いをさせていただきます。
○山内自治制度改革推進担当部長 義務づけ、枠づけの見直しのもととなっている一括法についてですが、第一次一括法は、平成二十一年十二月に閣議決定された地方分権改革推進計画を踏まえ、四十一の法律に関する義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大を図ることを主な内容としております。その中心となる施設・公物設置管理の基準については、例えば、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準や道路構造の技術的基準等が都道府県の条例に委任されております。
また、第二次一括法は、平成二十二年六月に閣議決定された地域主権戦略大綱を踏まえ、百六十の法律に関する地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大を図ることを主な内容としております。施設・公物設置管理の基準については、例えば公園等のバリアフリー化の構造基準等が条例に委任されております。
さらに、第二次一括法は、四十七の法律に関する都道府県の権限を基礎自治体--区市町村ですが--へ移譲することも内容としております。
基礎自治体の権限移譲につきまして例を挙げますと、未熟児の訪問指導、これは既に特別区と保健所設置市、八王子市、町田市にまで認められているものですが、これを市町村まで拡大することや、家庭用品販売業者への立入検査、これは都道府県の権限ですが、これを市まで拡大する。騒音、振動、悪臭に係る規制地域の指定、これは現在、特別区まで認められているものですが、これを市まで拡大するといった権限を基礎自治体へ移譲することを内容としております。
○吉原委員 義務づけ、枠づけの見直しは、全国一律とされていた基準を見直し、地方がそれぞれの実情とか、あるいは特性に応じた施策を展開できるようにすることを目的としているわけであります。そのためには、地方に十分な裁量の権限というものを与えられることが何をさておいても重要だと思うわけでございます。
それぞれの個々の法律によって異なると思いますけれども、第一次及び第二次の見直しによって、基準の策定について、全体的に見て地方にどの程度の裁量の権限が与えられたのか、お伺いします。
○山内自治制度改革推進担当部長 第一次一括法及び第二次一括法によれば、地方自治体が条例を制定する際の基準には、条例の内容を直接的に拘束し、当該基準に必ず適合しなければならない従うべき基準のほか、地域の実情に応じた異なる内容を定めることができる標準、それと同様な形の参酌すべき基準の三つの類型がございます。
基準としては、地方自治体の自主性を強化し、自由度の拡大を図るために、標準、参酌すべき基準といった裁量のある基準が望ましいのですが、第一次一括法、第二次一括法によって、基準の策定を地方自治体の条例に委任するとされたもののうち、約半数のものが従うべき基準とされており、依然として国による規制が強く残っている状況にあります。
○吉原委員 今のご答弁の中をお聞きしますと、まだまだ国による規制が強く残っている状況がある、こういうことでございますけれども、こういうことでは本当に分権改革の趣旨が生かされるのか、今後心配になるわけであります。
我が自由民主党政権時代に、地方分権改革推進委員会が行った勧告では、約四千項目を超えて義務づけ、枠づけの見直しが示されておったわけでございます。その見直しがきちんと進んでいるのかどうなのかを確認しておきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○山内自治制度改革推進担当部長 現在、法律による国の義務づけ、枠づけの見直しにつきましては、これまで三次にわたる見直しが行われてきました。
地方分権改革推進委員会の勧告で示されました四千七十六条項のうち、約四割の千六百四十八もの条項がいまだ検討すらされていない状況でございます。また、検討はしましたが、見直しを行わないとされたものが約三百条項ほどありまして、未検討になっているものと合わせて、約半数程度の義務づけ、枠づけの見直しがいまだ至っていない状況にあります。
政府は、これらの残された条項について、今後見直しの検討の対象とはするとしていますが、政府みずから見直しを行うのではなく、地方からの提案を受けて進めるとしており、極めて消極的な取り組み姿勢を示しております。
このように、義務づけ、枠づけの見直しについてのこれまでの政府の取り組みは、従うべき基準などが多いという見直しの質の点もさることながら、条項数という量の点でも決して十分とはいえない状況にあります。
○吉原委員 第三次見直しを含めて、まだ半数程度の見直しにとどまっている、こういうことのようですけれども、国はぜひとも積極的にこのことを進めてもらいたい、そういうふうに思うところでございます。
四月一日からは、多くの事務、権限が都から区市町村に移譲されるわけでございます。せっかく事務や権限が移譲されるわけでございますので、各区市町村は独自の裁量で、それぞれの地域の特性や実情を生かしてもらいたいと思うわけであります。
とはいっても、区市町村によって極端に違いがあり過ぎて、都民生活に過剰な影響があってはならないというふうにも思うわけでございまして、各区市町村それぞれが地域の特性、実情を生かしながらも、都全体としてバランスがとれるような、都市間競争もまた生まれるような地方分権を進めていくことが重要ではないかというふうに思うわけであります。大変難しいことだと思いますけれども、都としても、区市町村に対して十分な調整等をぜひお願い申し上げたいというふうに思います。
そして、当然のことでございますけれども、区市町村に事務、権限が移譲されるということになれば、区市町村には少なからず財政的な負担がかかってくることになるわけでございます。そういった意味でいえば、事務、権限の移譲に伴う財源措置は一体どういうふうになっているのか、伺います。
○山内自治制度改革推進担当部長 第二次一括法に基づいて都から区市町村へ権限移譲される事務については、権限の拡大とあわせて、それに見合う財源の確保も重要でございます。権限と財源とは、今、先生のお話にございましたとおり、まさに車の両輪であり、地方が権限を行使し、住民に対する責任を果たしていくためには、権限に見合った財源が不可欠でございます。
第二次一括法に基づき基礎自治体に権限移譲される事務については、地域主権戦略大綱により、国の責務で確実な財源措置がなされるものとされております。これまでの国の説明では、地方交付税について、基準財政需要額の算定におきまして、都道府県分から市町村分に振りかえ、市町村分を増額措置することで対応するということでございます。
○吉原委員 義務づけ、枠づけの見直しにつきましては、半数近くが従うべき基準とされておりまして、実質的には地方に裁量の余地はないわけであります。これでは国が全国一律の基準を定めているのと同じでありまして、何のための見直しなのか疑問を感じるところでございます。
また、地方分権改革推進委員会が勧告したにもかかわらず、いまだ手つかずの項目が数多く残されているわけですから、この点においても全く不十分であるといわざるを得ないというふうに思います。
さらには、区市町村への事務、権限の移譲につきましては、財源措置について、地方交付税による措置という課題も残されているわけであります。移譲される事務、権限につきましては、内部事務的なものや処理件数の少ないものも含まれておるわけでございまして、すぐに支障が出るような状況ではないというふうに思いますけれども、不交付団体の市町村は大変心配しているわけであります。
都は、そのことをしっかりと受けとめていただきまして、特別区や不交付団体を含むすべての市町村に財政措置がなされるように、国に強く求めていくべきであろうかと思いますが、このような課題を解決しないで、本来の地方分権改革を実現することはできないと思っています。ぜひとも真の地方分権に向けて、国に対しての努力を惜しまないでいただきたいと思っているわけでございまして、今後の都としての取り組みについて局長にお伺いをいたしまして、質問を終わります。
○秋山知事本局長 地域の特性とニーズに合わせた施策を地方みずからが進めていくということは、地域の活性化の決定的に重要な問題ということでございまして、地方分権、今後の地域社会を考える上で不可欠だと思っております。また、地方の立場以外からも、国が本来、経済政策や外交などに特化して国政を運営していくためにも、この国の形として、やはり地方分権が不可欠ではないかというふうに考えております。
しかし、今後の分権改革の流れを見ますと、具体的スケジュールが明確でなくなってきているなど、先行きにかなりの不透明感を持っております。かつて、一丁目一番地というような位置づけもございましたけれども、いずれにしても、本来、国政の重要課題の一つであったというふうに思っておりますけれども、やや後退しているのではないかという危惧を持っております。
まず一点目は、今後の対応でございますけれども、こういった認識のもとで、政府が分権を進めるための道筋、枠組み、こういったものを再度はっきりさせていくという方向が、例えば全国知事会などと連携をして進めていくということが重要ではないかというふうに思っております。
一方で、具体的な分権の進捗状況、先ほど義務づけ、枠づけでも話がございましたけれども、中身は極めて不十分、それからいろいろ課題もあるというのは、委員ご指摘のとおりでございます。
部長からるる答弁いたしましたけれども、義務づけ、枠づけの見直しを見ましても、見直しが行われた事項が半分、さらに、見直しても、その結果、従うべき基準という、これは要するに裁量がないということですけれども、裁量を地方に与えないというものも多数あるというような状況でございます。それから、財源措置につきましても、不交付団体については財源がおりていかないというような仕組みになっているということでございます。
とりわけ問題は、東京の場合、人口や都市機能が極めて集中しておりますし、地価も高いということでございまして、大都市特有の事情を抱えているというふうに考えますと、地方の裁量を認める見直しが一部行われたというふうに申しましたけれども、例えば保育所の居室面積基準などは、地域限定ということで、都内でも地域を限定されておりまして、さらに時間も限定で、二年間の限定で裁量を発揮していいよというような、非常に不十分な見直しだという状況でございます。
また、見直しが行われていない事項、例示を挙げますと、病院の基準病床、これなどは、東京には高度医療が集積して、全国から患者が集まるというような実態を全く無視して、見直しが行われていないというような状況がございます。
不交付団体への財源措置も含めまして、こうした大都市特有の課題へ具体的に声を上げていくということが、二番目に今後必要になってくるんだろうというふうに思っております。こういった問題は、とりわけ九都県市などの大都市と連携をして、その改善を国に強く求める必要があるだろうというふうに思っております。
国に、分権を進める道筋、大きなものを要求していく、つけさせていくということとともに、東京の活力を維持するための裁量確保のための個別具体的な要求を大都市と一緒に進めていくと、この二本柱で今後の分権を進めていきたいというふうに思っております。
○伊藤委員 私からは、「二〇二〇年の東京」に関連して何点か質問をさせていただきます。
「二〇二〇年の東京」では、これまでの都政の重要課題であった環境対策、急速な少子高齢社会への対策に加えて、東日本大震災で明らかになった防災力の向上やエネルギー政策、そして国際競争力の強化などを政策強化のポイントとして挙げております。東日本大震災から一年が経過しましたけれども、あの甚大な被害を私たちは教訓に、防災対策、またエネルギー政策の強化が喫緊の課題であることはもちろんであります。
一方、今の我が国の経済状況から今後のことを考えると、国際競争力の強化もまた重要な課題であると考えます。都がアジアヘッドクオーター特区の推進により海外企業の誘致を促進することも必要でありますが、「二〇二〇年の東京」の中の八つの目標の一つに、陸と海と空を結び、東京の国際競争力を引き上げると掲げているとおり、高度な都市インフラ整備も国際競争に打ち勝つためには不可欠であると考えます。
そこでまず、そのかなめである交通ネットワークの整備状況と、今回新たに策定した「二〇二〇年の東京」計画における今後の取り組みについて、伺いたいと思います。
○澤計画調整部長 交通ネットワークの整備でございます。
まず、道路ネットワーク、特に三環状道路につきまして申し上げますと、平成十八年に三五%であった整備率を、平成二十二年度末には四七%までに引き上げておりまして、今後十年間で、平成三十二年度末の時点で九〇%にする予定でございます。
その内訳でございますけれども、首都高速中央環状線につきましては、平成十八年に六四%であった整備率が平成二十二年度末までに八四%となっております。平成二十五年度には全線開通する予定でございます。
また、圏央道につきましては、同じく三一%から四六%まで進捗をしておりまして、今後十年間で全線を開通していく予定でございます。
さらに、東京外かく環状道路、こちらは平成二十一年度に事業化をいたしました関越道と東名間の区間、こちらを平成三十二年度までに完成させる予定でございます。
こうした幹線道路整備に加えまして、羽田空港の国際化や港湾物流を円滑化いたします東京ゲートブリッジの整備などによりまして、空港、港湾機能を一層強化してまいりましたが、今後とも、「二〇二〇年の東京」計画に沿いまして、陸海空の交通ネットワークの整備を推進してまいります。
○伊藤委員 次に、今、ご答弁にもありました三環状道路の整備効果について伺いたいと思います。
新しい道路整備が進むと、目的地への時間が短縮されるなどの効果があるのはもちろんでありますけれども、加えて、今回の東日本大震災の教訓も忘れてはなりません。津波による壊滅的な被害をこうむった地域において、一刻も早い救出救助や支援物資の輸送に、東北自動車道を初めとする幹線道路の存在意義が改めて明らかとなりました。
また、私は何度か被災地に入らせていただきましたけれども、その被災地で目にしたのは、悲惨な災害廃棄物、瓦れきといわれておりますけれども、これが端によけられた後に、地震によって多少はゆがんでおりましたけれども、現前とアスファルトの道路が残っておりまして、ある一面、こうした道路が被災地の復旧、復興を支えている、こういっても過言ではないと思いますし、改めて道路ネットワークの必要性を実感した次第であります。
昨年の三・一一以来、各地の地震発生確率が高まっている中、東海、東南海、南海の三連動地震が発生した場合、我が国の大動脈である東名高速道路は大きな被害を受けることが予想されます。
そこで、三環状道路の整備について、時間や経済的な観点と防災の観点からも、具体的な効果について伺いたいと思います。
○澤計画調整部長 今、ご質問にございました具体的な道路の整備効果でございますけれども、一例で申し上げますと、中央環状線の開通によりまして、新宿から羽田空港の間の所要時間が、現在の約四十分から約二十分に半減をいたします。羽田空港へのアクセスが向上いたします。
また、圏央道の開通効果といたしましては、八王子から京浜港までの所要時間が、現在の百二十分から約六十分、こちらも半減をするということでございまして、輸出入の貨物の大半を占めます海上輸送の速達性が大幅に向上いたします。
また、高速道路ネットワークが強化されることによりまして、我が国最大の総合港湾であります京浜港の背後圏が拡大をいたしまして、コストダウンとスピードアップという相乗効果によりまして、貨物の集荷力が向上いたしまして、京浜港のアジアハブポート化に大きく貢献するものと考えております。
さらに、今回の大震災では、災害時における緊急輸送道路の確保がクローズアップされましたけれども、道路ネットワークの整備によりまして、災害時における東西交通の分断を防ぎ、首都機能を維持するとともに、復旧、復興等の大動脈となるなど、その効果は多岐にわたっております。
道路ネットワーク強化は、渋滞の緩和、解消だけではなく、港湾、空港機能との相乗効果によりまして、首都圏全域の国際競争力の強化に資するものと考えております。
○伊藤委員 防災力の強化とともに、国際競争力の強化をしていくためには、高度な交通インフラを整備していくことが必要であるということはよくわかりました。
しかし、今後、激化する国際都市間競争を勝ち抜くためには、新たな視点、長期的な展望も必要ではないかと考えます。
そこで、これまでにない「二〇二〇年の東京」計画における新たな視点と長期的展望について伺いたいと思います。
○澤計画調整部長 東京、新宿、渋谷など都心の拠点駅、こちらは周辺にオフィスや商業施設が高度に集積するとともに、交通機関の乗り継ぎ拠点といたしまして、国際都市東京の骨格を形成する重要な交通インフラとなっております。
「十年後の東京」計画におきましては、景観施策として東京駅舎の復元、また、文化発信施策といたしまして渋谷駅周辺の整備を取り上げたところでございますけれども、こうした別々の施策として進めてきた拠点駅における基盤整備につきまして、今回の「二〇二〇年の東京」計画におきましては、目標4として一つに束ねまして、施策の柱として強力に推進することを打ち出しております。
また、特定都市再生緊急整備地域や総合特区など、新たな制度を活用いたしまして、ハード、ソフト両面から都市再生を推進してまいります。
さらに、長期的な展望といたしまして、リニア中央新幹線により東京、名古屋、大阪が約一時間で結ばれ、日本を牽引する三大都市圏が一体化することによりまして、日本の国際競争力がさらに強化される姿を「二〇二〇年の東京」計画ではお示ししてございます。
○伊藤委員 特定都市再生緊急整備地域は都内で四地区、あわせて総合特区についても、アジアヘッドクオーター特区が指定をされました。
その中でも私が注目しているのは、地元の品川周辺でありますが、品川駅、田町駅周辺の地域であります。
「二〇二〇年の東京」にも一四九ページのところから出ておりますけれども、リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅周辺は、先日も山手線の新駅ができるという報道がありましたけれども、駅周辺に大規模な未利用地が残されており、ポテンシャルが高い地域であります。また一方で、品川駅の南側の地域は、屋形船や釣り船が並ぶ運河が縦横に形成されておりまして、その横には品川宿があった旧東海道が走っており、豊かな水辺の自然と歴史の特徴がある、大変に魅力的な地域であります。
こうした地域特性を踏まえて、品川駅周辺地区のまちづくりが行われるべきであると思いますけれども、「二〇二〇年の東京」計画で示された品川駅周辺地区のまちづくりが今後どのように行われていくのか、伺いたいと思います。
○澤計画調整部長 理事ご指摘のとおり、品川駅周辺地域は、未来的なまちと旧東海道品川宿などの歴史的な資源が隣接をいたします特色ある地域でございます。今後、それらが調和したまちづくりを行うことで、地域の魅力を生かしていきたいというふうに考えております。
品川駅、田町駅周辺地域は、折しも、昨年十二月に総合特区、本年一月に特定都市再生緊急整備地域に指定されるなど、まちづくりの機運が高まっております。今後、これらの制度を一体的に活用し、基盤施設の整備と国際的ビジネス機能の導入をあわせて実施し、それらを支える文化、交流、にぎわい、宿泊といった機能も誘導してまいります。
また、環境面では、芝浦水再生センターの下水熱の有効利用によりまして、先進的な環境負荷低減策を取り入れたまちづくりを推進してまいります。
まちづくりに当たりましては、総合特区制度により設置されました地域協議会によりまして、地元区など関係者の意見を踏まえて、合意形成を図りながら、国際化された羽田空港やリニア中央新幹線の結節点にふさわしい拠点として整備を進めてまいります。
○伊藤委員 品川駅周辺の整備は、東京、さらには我が国の発展に必要であると思います。しかしながら、その推進に当たっては、地元協議会や地元の品川区、港区、またそこに住む住民の意向を重視することで、周辺と調和のとれたまちづくりが進められるよう要望したいと思います。
また、品川の対岸には東京港トンネルや、りんかい線でつながる臨海副都心があります。アジアヘッドクオーターやMICEの中心となる臨海部への交通アクセスを、さらに強化を図ることも重要であります。
私は、国道三五七号線の整備の促進、また、JR東海道貨物支線を活用した新たな交通ネットワークの形成についても期待をしているところであります。今後、都のさまざまな施策を束ね、効果的に東京の国際競争力が強化されることを願いまして、質問を終わります。
○吉田(信)委員 私も「二〇二〇年の東京」、とりわけアジアヘッドクオーター特区を中心に質問させていただきますが、それに先立ちまして、米軍オスプレイ配備問題について若干質問いたします。
報道の範囲ですけれども、オスプレイの沖縄普天間基地配備を前にして、その前に本州の基地に事前に配備をするという可能性が報道され、その候補の一つとして、報道では横田基地の名前も挙がっています。
都としてこの問題についてどのように情報収集し、認識されているのか、まずご説明をお願いいたします。
○市毛基地対策部長 報道されました内容につきましては、国に事実確認をしたところ、国からは、大型輸送ヘリコプター、CH46ヘリコプターを、垂直離着陸輸送機オスプレイに機種変更するスケジュール等の詳細につきましては、何ら決まっておらず、現在、米国側で検討中であるとのことでございました。また、米国政府にさらなる情報提供を求め、得られた情報があれば、地元自治体に対し、丁寧に誠意を持って説明したいとの国からの回答も得ております。
都といたしましては、報道された内容は確証が得られた情報ではないために、引き続き国に対しまして、その真偽も含めまして情報提供を求めているところでございます。
○吉田(信)委員 オスプレイは、開発段階で何度も死亡事故も含めて事故が多発をしてきたという経緯があります。また、爆音も大変深刻なもので、それだけに、配備が予定されている沖縄県あるいは普天間市では、こぞって反対の声を上げており、当然のことだというふうに思います。
もちろん報道の範囲ではありますけれども、東京都内でも、福生市、立川市など周辺の五市一町は、国に配備の中止を要請したというふうに報道されておりますが、この周辺自治体の要請内容について、ご承知と思いますが、ご説明をお願いいたします。
○市毛基地対策部長 三月十四日に、五市一町で構成いたします横田基地周辺市町基地対策連絡会が防衛大臣に対しまして要請を行ったと聞いております。
その内容は、まず一点目が、国から横田基地周辺自治体に対し事前に連絡がないままに新聞報道されたことはまことに遺憾であるということ、二点目は、報道にある内容が事実であった場合、横田基地へ一時配置されることは、周辺住民の感情を逆なでするだけでなく、安全な生活を脅かす行為であるということ、三点目ですけど、オスプレイの横田基地への一時配置を行うことがないよう強く要請するということなどでございます。
○吉田(信)委員 報道段階であったとしても、周辺自治体がこうした要請行動を行うのは、私は当然のことではないかなというふうに思います。横田などを対象とした一時配備のねらいは、事前に沖縄県以外に配備をして、安全だから沖縄でも大丈夫だということを演出したものではないかというふうに推測がされます。
いずれにしても、東京も、都として、たとえまだ未確定であったとしても、横田基地に配備すべきではないということをやはりいち早く態度表明することが求められているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○市毛基地対策部長 都といたしましては、先ほど申し上げましたけど、新聞報道があった時点で、直ちにその内容について国に対して照会いたしました。繰り返しになりますけれども、その回答というのが、CH46ヘリコプターをオスプレイに機種変更するスケジュール等については何ら決まっていないとの回答でございます。
いずれにいたしましても、都といたしましては、正確な情報に基づいて、適時適切に対応していく所存でございます。
○吉田(信)委員 新聞報道の範囲ですけれども、既に山口県知事あるいは岩国市長なども、こうした報道に対して直ちに反対の表明をするというふうに聞いております。しかも、東京の場合には周辺自治体が中止の要請をしているという事実もあります。
私はやはり、相手の通告を待つということではなくて、事前に東京都として、こういう報道があるけれどもという態度表明をするということも重要な選択だというふうに思いますが、この問題を重視して、動向を注視していくというのは間違いありませんか。ちょっとその点。
○市毛基地対策部長 都といたしましても、いろいろな動向を注視しながら、いずれにしても、繰り返しになりますけれども、やはり正確な情報の確証に基づきまして、適時適切に対応していく所存ということでございます。
○吉田(信)委員 私は、適時適切というのは早いこともあるんじゃないかなと思うんですけれども、次に質問を進めます。
「二〇二〇年の東京」について伺います。
知事は、「二〇二〇年の東京」について、私の代表質問に答え、次のように述べました。この計画を羅針盤にして、防災力の向上やエネルギーの安定供給体制の構築だけではなくて、福祉、環境、教育などあらゆる分野において先進的な取り組みを戦略的に展開し、都民、国民の安全・安心を確保していくつもりでありますというふうに発言をされました。この知事のいう羅針盤なるものが、どのような方向に向かっているのか、本当に都民の暮らしや安全を守り得るものなのかということについて伺っていきたいというふうに思います。
まず最初に、実行プログラムは三カ年の事業費の一覧を示していますが、これはどのような意味を持つものなのか。掲載された事業とここに掲載されていない事業とはどう見たらいいのか、その点についてまずご説明をお願いいたします。
○澤計画調整部長 「二〇二〇年の東京」計画は、二〇二〇年、十年後の東京の姿をあらわしまして、それに向けた政策展開の方向性を示した都市戦略でございます。具体的な施策展開や、それに伴います事業費につきましては、実行プログラムにおいてお示しをしてございます。
この実行プログラムでございますけれども、「二〇二〇年の東京」計画の実現に向けまして、政策展開を具体化した三カ年のアクションプログラムということでございます。目標達成のための効果が高く、重点的、集中的に実施していきます事業を選定しておりまして、実行プログラムに取り上げました事業は、高い実効性を確保するため、予算、人員を優先的に措置することとしてございます。
事業費一覧でございますけれども、実行プログラム事業の展開に要します三カ年の事業費を施策ごとにお示ししたものでございまして、特に平成二十四年度の事業費につきましては、予算編成と連動させております。計画額の全額が予算案に計上されております。
○吉田(信)委員 そうすると、今の答弁ですと、計画をされた事業とそうでない事業というものは、重点的、集中的に実施をしていく事業として選ばれたものだというご説明だと受けとめます。
知事は、私の代表質問に対する答弁の中で、事業費の多寡をもって施策の軽重を比較すること自体が何ら意味を持たない旨のご答弁をされました。しかし、この事業費は、今答弁されたように、重点的、集中的に実施をするというふうに都が認識し、判断したものを選んだものだということです。
私は、三環状などに三四%の事業費を充て、超高齢社会の到来を強調しながら高齢者対策はわずかに四・二%、少子化対策はさらに少なく三・一%ということを指摘して、批判しましたけれども、知事は比較は意味がないというふうにいいましたが、しかし明らかに、どこに重点を集中的に行おうとしているのかということが反映されているという意味では、非常に意味がある点だというふうに指摘せざるを得ません。
そこで、具体的にお伺いしますが、例えば高齢者施策です。二〇二〇の中では、世界に範を示す都市モデルを高齢者分野で進めていくんだということが強調されています。もちろん、超高齢化社会ということがいわれ、高齢者人口の急増というのは大きな問題ですが、何よりも、都民にとっても、行政、社会全体にとっても深刻なのは、単に高齢者がふえるだけではなく、要介護高齢者の増大にどう対応するのかということだと思います。
この点で、世界に範を示すとは具体的にどういう対応をするのかという点が、私は、二〇二〇の計画を見る限り、浮き彫りになってこないという印象を持たざるを得ませんが、いかがでしょうか。
○澤計画調整部長 高齢化が急速に進展をし、ひとり暮らし高齢者等が増加する中、介護が都政の重要な課題の一つであると認識をしてございます。
こうした状況を踏まえまして、「二〇二〇年の東京」計画におきましては、すべての区市町村で、地域の実情に応じた高齢者見守りネットワークを構築するとともに、高齢者の地域生活を支えます総合的なサービス提供体制づくりを推進することとしてございます。
また、超高齢社会におきましては、要介護高齢者の増加だけではなくて、健康で活動意欲のある高齢者も増加することから、こうした高齢者の雇用確保なども進めまして、高齢者のだれもが安心して暮らし続けることのできる環境を整備し、その姿を世界に発信することによりまして、今後、高齢化が急速に進む諸外国のモデルとしてまいります。
○吉田(信)委員 率直にいって話が極めて抽象的なんですよね。代表質問でも指摘したように、現実の問題として独居高齢者が増加する、あるいは高齢者のみ世帯が増加するという中で、特養ホームなどの施設介護のニーズというのは高まらざるを得ないという事態なんです。
他方、介護施設全体で見れば、東京の設置率は、全国、日本の中でも最低クラスと。今の現状というのは、世界に範を示すどころの状況じゃないというふうに思います。こうした介護施設の深刻な事態をどう打開していくのか、計画ではどのように示しているのでしょうか。
○澤計画調整部長 「二〇二〇年の東京」計画では、高齢者の地域生活を支える介護サービス基盤をさらに充実するために、大都市東京の特性に応じました多様な手法を活用しまして、特別養護老人ホームなどの整備を促進することとしてございます。
さらに、実行プログラム二〇一二では、特別養護老人ホームなどの整備に関しまして、地域の実情に応じた整備費補助の加算、定期借地権の設定によります用地確保の支援などを掲げているほか、特別養護老人ホーム併設のショートステイに加えまして、単独型のショートステイの整備も支援することとしてございます。
具体的な整備目標につきましては、現在、福祉保健局で策定中の第五期高齢者保健福祉計画の中で、区市町村がそれぞれの地域の介護ニーズを踏まえまして算定をした平成二十六年度までの入所者数見込みの合計値に基づいて示すこととしておりまして、必要とされる入所定員総数の確保に努めてまいります。
○吉田(信)委員 今のご答弁の多くは、既に実施をされているというものではないでしょうか。基本的に現在の延長線上では、今の事態を打開することはできませんし、特養ホーム四万人といわれている待機者の増加に対応できないという事態が引き続き継続されることは明らかだと思います。
また、多様な手法というお話がありましたが、これがどういうものを意味しているかわかりかねますが、例えば認知症グループホームあるいは小規模多機能ということを指すとしたら、この点でも整備率が全国の中でも最もおくれているというのが率直な現状です。そういう点は指摘せざるを得ないと思います。
次に、防災対策についても伺っておきたいというふうに思います。
「二〇二〇年の東京」では、耐震化対策が強調されていますが、この点でも、私は、基本的にはこれまで東京都が発表してきた計画の延長線上ではないのかなという印象を強めます。
とりわけ私が問題だと思うのは、先ほど、防災対策で、首都機能を守るということの重要性が強調されましたが、他方、都民の生命、財産を守るという点で重要な住宅の耐震化という点では、どのようにこれを具体的に促進していくのか、計画を見る限りでは非常に不十分だというふうに指摘せざるを得ません。
例えば、住宅の耐震化率は二〇一五年までに九〇%、二〇二〇年までに九五%という設定がありますが、この目標達成のために具体的に、耐震化住宅を二〇一五年、二〇二〇年までに一体何戸ふやすのか。自然更新等、それだけではもちろん不十分ですから、都独自の支援策による耐震化戸数はどのように設定して、どう対策をとるのかということが具体的に問われていますけれども、この点いかがでしょうか。
○澤計画調整部長 住宅の耐震化でございますけれども、住宅の耐震化は、自助、共助、公助の原則を踏まえまして、まず建物の所有者が、みずからの問題であり、かつ地域の問題であることを認識いたしまして、主体的に取り組むことが不可欠でございます。このため、耐震化に向けました建物所有者の意識を高め、積極的な行動を促すことが重要と考えておりまして、区市町村や関係機関と連携した普及啓発により一層重点的に取り組むとともに、これまで取り組んできたさまざまな施策を着実に実施してまいります。
さらに加えまして、耐震マーク表示制度や木密地域不燃化十年プロジェクトなどの新たな施策を複合的、重層的に推進することによりまして、目標の達成を目指してまいります。
○吉田(信)委員 不燃化プロジェクトは、主に不燃化に焦点を当てた取り組みだというふうに私は認識をしております。
いずれにしても、今の東京都の具体的な計画でいえば、都の支援によって耐震化すべき戸数というのは二十三万戸という計算になります。しかし、一体この二十三万戸を今後どのように積み上げていくのかという点でいえば、今までの制度と、さらに今いわれた不燃化プロジェクトということで、到底追いつくとは思いません。
例えば木造住宅の耐震助成制度がありますけれども、五年間の実績で見ると、東京全体で東京都の制度としては約三百戸です。もちろん、それ以外に区市町村がやっていますから、それを積み上げれば大きな数になりますが、少なくとも東京都の固有の木造住宅に対する耐震助成の実績が、東京全体で五年間でわずかに三百戸程度しかないという現実から見れば、多少の努力があったとしても、到底この目標を達成することは、今の計画上では不可能ではないかということを私は感じざるを得ません。
さらに、防災対策で疑問なのは、新たな被害想定が今検討されています。そして、それに基づく地域防災計画の見直しが準備されていますが、被害想定にしても、あるいは地域防災計画の見直しにしても、かなり抜本的なものになるということは、現段階で十分想像がつくと思います。
例えば、被害想定の前提になる震度想定で見れば、震度六強という地域は相当広がるというふうに伝えられていますが、さらに震度七ということも新たに加味する地域が拡大をいたします。したがって、施設の耐震なども、これまでレベル一対応だったものを、レベル二対応に抜本的に引き上げていくという分野も、少なくない都市インフラの中でありますし、また、新たな津波対策ということも、ハード、ソフトの総合的な対策がとられます。こうした防災対策の抜本見直しにどう東京都は対応しようとしているのかという点なんです。
昨年末に二〇二〇の計画を立て、実行プログラムが発表されましたけれども、一年足らずで抜本見直しをこの分野では少なくともせざるを得ないと思うんですが、どのように対応するのでしょうか。
○澤計画調整部長 震災対策、防災対策は、「二〇二〇年の東京」計画におきまして大きな柱の一つでございます。
大震災後の状況の変化を踏まえまして、今回の計画にさまざまな施策を取り込んでおりまして、具体的に時系列で申し上げますと、大震災後に直ちに取り組む課題を集約して実行に移しました東京緊急対策二〇一一、ここにおけます取り組み、また、都として取り組むべき防災対策の基本的な方向性を示しました東京都防災対応指針、これらを踏まえまして、帰宅困難者対策やライフラインのバックアップ機能の強化など、その内容を十分に取り込んで計画の策定を行いました。
また、「二〇二〇年の東京」計画を着実に推進するため、三カ年のアクションプランである実行プログラムを策定してございますけれども、これは、社会情勢の変化等を迅速かつ的確に反映するため、毎年度改定をすることとしてございます。
今後、新たな被害想定や地域防災計画が発表されれば、その内容を踏まえまして、実行プログラムの改定の機会などをとらえまして、必要な対策を講じていくこととしてございます。
○吉田(信)委員 もちろん、個々具体的な施策の強化、拡充ということは、それぞれされるんでしょうけれども、しかし私は、都政の方向性やあり方の全体のフレームから考えたときに、こうした防災対策の抜本的な強化ということになれば、財政運営や予算編成のあり方という基本も含めた見直しにつながる可能性といいますか、そういう問題として私は提起したつもりであります。
さて次に、アジアヘッドクオーター特区の問題について質問を進めさせていただきます。
「二〇二〇年の東京」計画の中でも重視をされているのがアジアヘッドクオーター特区の問題であることはいうまでもありません。私は、この間の総務委員会の質疑の中でも指摘をしてまいりましたけれども、石原都政のもとで、都市間競争に打ち勝つということが、都政のいわば最優先課題のように強調されてきました。そして、都市インフラの整備ということも進められてきました。こうした路線をさらに今回のアジアヘッドクオーター特区では拡大をして、東京都でいえば、法人事業税は全額免除--期間を区切ってではありますけれども--ということをしますし、また特定都市再生緊急整備地域では、これは国事業ということになりますが、五年間にわたって不動産取得税は半分、固定資産税も半分という、これまで以上のいわば優遇策をとってまで、これまでの路線をさらに加速させるということが準備をされています。
問題は、以前も指摘をしましたけれども、こういうことをやってきて、そして東京都は、東京が成長することが日本の成長につながるんだというふうにいい続けてきましたけれども、実際問題としてこの十年余の中で、東京の経済が成長し、都民の暮らしや中小業者の営業が向上したといえるのかと。いえるというなら、その根拠を示していただくというのをまず大前提として求めたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
○澤計画調整部長 都市インフラ重視に対するご質問かと思いますけれども、東京の最大の弱点が渋滞でございます。この渋滞の解消によりまして、東京がさらなる成熟を遂げまして、より魅力的な都市に生まれ変わることができるというふうに考えております。
一例で申し上げますと、道路整備に関しまして、三環状道路につきましては、中央環状新宿線の開通によりまして、都心環状線の渋滞の長さが約二六%短くなっております。地上を走ります山手通りの交通量も、国道二四六号線との大坂橋交差点付近で一日当たり約六千台減少、率にして一四%減となっております。さらに、この大坂橋交差点から初台交差点までの所要時間は、十九分から十分程度に半減をしてございます。こうした整備効果が着実にあらわれております。このような経済効果は、直接、間接に都民生活の向上につながっております。
また、三環状道路は、首都圏に集中する放射状の高速道路の相互を連結しまして、交通の分散などを図ることにより、首都圏の都市活動を活発化し、都民生活を快適にするのみならず、広く日本全体にその整備効果を及ぼしております。
加えまして、東日本大震災において改めて認識されましたように、環状道路の整備は、災害時における人や物資の輸送ルートの多重化を果たしまして、都民、国民の生命、財産を守る意味からも重要な役割を担っており、東京の経済活性化や都民生活の向上に大きく寄与するものと認識してございます。
○吉田(信)委員 ちょっと私の質問の趣旨が十分伝わらなかったようですが、私は、都市インフラの効果を確認する意味で質問したのではなくて、いわゆる世界都市東京というスローガンのもとに、都市間競争に打ち勝って、東京にいかに外国企業を集中させるかと、あるいは東証取引における上場外国企業の数をどれだけふやすかというふうな政策目標を掲げて進め、そのことが東京と日本の経済を牽引するんだというふうにいい、そして、都民の暮らし、中小業者の営業も向上するかのようなことが強調されてきました。
しかし、昨年の委員会でも示していただきましたけれども、例えば東京都内の外資系企業の数は、ふえるどころか後退をすると。そして、東京の経済が、製造品出荷高あるいは小売業販売高、また勤労世帯の消費支出の推移も、以前の委員会で示していただきましたけれども、プラスどころかそろってマイナス傾向というのが現実なわけです。そのことを総括し、分析をすることなしに、さらなる優遇策でこの道を進むというのは、私は、羅針盤としては不適切ではないかということを強調したいわけです。
そこで伺いますけれども、このアジアヘッドクオーターの特区申請で、東京都は一応認められたわけですけれども、この第一次指定に当たって、国は都に留保条件を示したというふうに思いますが、この留保条件についてご説明をお願いいたします。
○瀬口総合特区推進担当部長 昨年十二月に国際戦略総合特別区域の第一次指定を受けました七団体につきましては、すべてに留保条件が付されております。
アジアヘッドクオーター特区につきましては、外国企業の誘致が日本経済にどう貢献するのかを明らかにし、長期ビジョンのもとで特区を推進することといった留保条件が付されております。
既に本会議で知事本局長が答弁しておりますとおり、この留保条件に対応していくため、特区を推進する組織であります地域協議会として域内ビジョンを策定しまして、このビジョンに基づき、特区推進に官民一体で取り組んでいく所存でございます。
○吉田(信)委員 私は、留保条件がつくのも当たり前だというふうに思います。この留保条件では、日本の経済、社会にどのような貢献をすることを想定しているのか、一層の説明を行うことというふうに求めています。もちろん、他の特区も留保条件がありますが、こうしたいわば特区の前提、根本問題について指摘をしているのは、他に例がないのではないかなというふうに思います。
昨年、都は、この指定を受けたときに発表した資料、これは写しですけれども、その中で、経済効果は全国へ波及(総合特区プラス都市再生)というふうに書いてありますけれども、何と経済効果は約十四兆六千億円というふうに書かれています。
しかし、きょうの資料でも示されているように、この十四兆数千億の大半は都市再生の経済波及効果ですね。アジアヘッドクオーター特区の経済波及効果というのは極めてわずかだということが、きょうの資料でも明らかです。一兆円にも満たないと。しかも、日本に波及するといっても、うち都外というのはわずかに一億五千八十一億円です。
こういうことを国が承知しているかどうかわかりませんけれども、こういう事実から見ても、これで日本の経済を牽引するんだというふうなことは、到底いえる話ではないのではないかなというふうに指摘せざるを得ません。
さらに、もちろんこの経済波及効果自身が推計値ですから、私は正確かどうかを確認することはできませんが、もし経済波及効果ということで争うとしたら、私は、先ほどいった特養ホームなども含めてですけれども、認可保育所を初め福祉施設の整備など、都民ニーズと合致しつつ、高い経済波及効果あるいは雇用効果を生み出すという施策というのは、もっとほかに選択肢はあるんだということも強調しておきたいというふうに思います。
次に、こうした、私の認識でいえば極めて不確実、不透明な事業でありますけれども、法人事業税でいえば、東京都は五十社を想定しているようですが、五年間にわたって全額免除と。また、都市開発についても不動産取得税、固定資産税は五年間半額という極めて手厚い対応をとろうとしています。
しかし、こうした税についても何点か疑問がありますので、まとめて質問いたしますので、簡潔にお答えいただきたいというふうに思います。
その一つは、税の場合には、当然公平性の原則というのが問われると思うんですけれども、総合特区に指定されたエリア内で従前から事業を行っている外資系企業はどのような扱いになるのか。排除されるとしたら、不公平だというふうに訴えがされる可能性があると思うんですが、これはどうなのかというのが一点目。
二つ目に、既に日本国内には存在しているけれども、都外にある外資系企業が総合特区で定められた地域に進出してきた場合に、これも優遇の対象になるのか。
三つ目に、そもそもどれだけ来るかわからないと同時に、来たけれどもいつまでいるかわからないというリスクが極めて高いと思うんです。五年足らずで途中で撤退したという場合は、その分について減税の払い戻しを求めるのかどうかということも興味深い点だと思います。
さらに、減免措置、免除の措置については、一体だれが決定するのか。
さらに、五年間ということになっていますが、これは今後延長することがあり得るのか。
こういう点について、ちょっとたくさんなんですが、簡潔にお答えをお願いいたします。
○瀬口総合特区推進担当部長 法人事業税の減免につきまして、五点、先生からご質問いただいたかと思いますので、まとめてお答えさせていただきます。あわせて、最初のご質問にございましたアジアヘッドクオーター特区の趣旨につきましても、この減税にかかわりあるということで、(「簡潔にお願いします」と呼ぶ者あり)はい、申しわけありません。
まず、人口減少、少子高齢化の進展によりまして、これから成長を促します原資がだんだん先細りをしてまいります。こうした中で、きちっとした成長戦略のもとで、新しい商品あるいはサービス、販売等を生み出していくことが必要になってくるというふうに考えております。
このため、アジアヘッドクオーター特区におきましては、外国企業の統括拠点等を東京に進出を促すことによりまして、海外から、新しい資金はもとより、人材、情報、技術、経営ノウハウなど、金銭面でははかれない無形の経営資源を新たに導入することによりまして、日本の経済を活性化するということを目的といたしております。
このため、都が行います法人事業税の減免につきましては、新たに特区内にアジアの業務拠点等を設置する外国企業を対象にして行うことにいたしております。したがいまして、既に他の地域でそういった拠点を有しているのを東京に移転するという場合には、対象にしないという方針でございます。
このような新規の外国法人が仮に五年を経ずに撤退した場合ということにつきましては、外国企業の認定に当たりまして、きちっと事業計画等で確認をとって精査してまいりますので、基本的に五年間で撤退するということは考えておりません。万一そのような場合につきましても、現時点におきましては払い戻し等の措置は考えておりません。
それから、これらの法人事業税減免の決定につきましては、最終的には主税局が当然実施をいたしますが、事業計画の精査等に当たりましては、私ども知事本局も関与してまいります。
それから、税の減免措置につきましては、法律で、対象法人に対する法人税の所得控除が五年に限り行うということになっておりますので、都が行います法人事業税の減免につきましても、それにあわせて行うことにいたしております。
なお、先生のご質問の中で、経済効果、一億幾らというふうに、都外がということでご指摘ありましたが、本日の資料で提出いたしておりますように、都外分が千五百八十一億というふうに推計をいたしております。
○吉田(信)委員 私の数字をいい間違えたのは訂正させていただきますけれども、いずれにしても、私は別に、外資系企業が来ることや誘致することを全否定しているわけじゃありません。
ただ、重点としては、今いろいろいわれましたけれども、日本の中小企業なり日本の研究開発機関なりに対する都としての対策こそ重視すべきではないのかということを強調したいと思いますし、優遇税制について、これから始まることですけれども、私は、これはさまざまな問題、波乱を呼ぶものではないかということを指摘させていただきたいというふうに思います。
そもそも、法人事業税全額免除という優遇措置の有効性に関してなんですが、こうした税負担が本当に外国企業進出の障壁になっているのかということ自身が、私は極めて疑問であります。そういう要望は高いんですか。改めてこの点、確認をしたいと思います。
○瀬口総合特区推進担当部長 法人税の実効税率でございますが、日本の法人税の実効税率は、諸外国、例えば、ソウルは現在二四・二%、上海は二五%、香港一六・五%、シンガポール一七%でございます。こういった諸外国に比べて高く、ビジネス環境としては劣るという指摘がされております。
このため、国による法人税の優遇措置と、都が行います法人事業税の減免を一体的に行うことによりまして、法人税の実効税率をアジア諸都市と競争可能な水準まで引き下げ、外国企業の誘致を推進してまいります。
○吉田(信)委員 今、そういうご答弁がありましたけれども、それぞれの都市が何で競うかというのは違いがあると思うんです。
私は、平成二十年度対日直接投資に関する外資系企業の意識調査報告書というものをこの機会にちょっとだけ勉強してみましたけれども、その中で阻害要因ということについて聞き取り調査をしていますが、これは調査対象企業でいえば相当数になりますから、かなり信憑性が高いものだというふうに思います。
その中で、大きな項目でいえば、確かに、ビジネスコストの高さというのが阻害要因になっているんです。しかし、ではビジネスコストの高さというのは、具体的な項目でいうと何なんですかということについても設問があります。その第一は人件費です。それが四八・〇%、ビジネスコストの高さの二つ目は不動産です。これが三三・五%です。ちなみに、税金というのは、それからはるかに下がって一七・五%です。
さらに、全体の阻害要因ということの一覧表のグラフがあるんですが、見えないでしょうけど、ここからこう下がってくるんですが、税金ということを挙げたのは何と十番目なんです。私は、そういうことからしても、この優遇税制で呼び込むということが果たして適切なのかどうかということもあると思います。
なお、本会議での局長答弁のことがあったので、一言だけこの場で説明をさせていただきますが、私の代表質問のOECDの優遇税制の問題提起に対して、政府を通じてOECDから、これは有害税制に当たらないという回答を得ているという旨のご答弁がありました。これは私どもも質問者としての責任がありますから、国に直接伺って、OECDとのやりとりについて詳細に確認してまいりました。
しかし、国の説明は、OECDが有害税制だというふうに掲げているリストの第一に、優遇措置が金融サービス等の活動から生じる所得に対し、無税もしくは低税率で課税していることというのを挙げているんです。そうすると、東京のアジアヘッドクオーター特区の優遇税制はこれに当たるというんです。
ただ、これに当たったとしても、以下の三項目が重ならなければ有害税制とはみなさないという条件がついています。何かといいますと、一つは、優遇措置が国内市場から遮断されていること、二つ目に透明性が欠如されていること、四つ目に納税者に関して有効な情報交換を行っていないということがされていた場合には、東京都の事業の場合には、金融サービス等の活動から生じる所得への課税が無税もしくは低税ということになれば、有害税制だという指摘を受ける危険性はあるんだと。したがって、東京都の措置がどういうものになるか、まだ国としてわかっていないから、その計画を見ながらの判断になるんだというふうに説明を受けましたし、OECDは、これから有害リストをつくる策定の過程だという説明も受けましたので、この機会に紹介をさせていただきます。
さらに、一番最初の質問に戻りますけれども、外国企業の誘致、国際競争に打ち勝つために、都市インフラ、とりわけ三環状などの整備が挙げられていますが、その根拠を具体的に示していただきたいと思います。
○澤計画調整部長 アジアヘッドクオーターのご質問の冒頭の私の答弁と重複するところがございますけれども、三環状道路を初めとする道路ネットワークの整備によりまして、東京の最大の弱点である渋滞の解消を初め、CO2の排出量削減などの環境改善、物流の効率化、防災力の向上など、さまざまな効果が見込まれております。こうした都市インフラ整備の相乗的な効果が、東京をより機能的で魅力的な都市へと生まれ変わらせ、外国企業の誘致や国際競争力の強化につながっていくものと認識をしてございます。
○吉田(信)委員 「二〇二〇年の東京」でも、目標4では、陸と海と空を結び、東京の国際競争力を引き上げるという表題が掲げられています。
今紹介をした経済産業省の平成二十年度対日直接投資に関する外資系企業の意識調査報告書という欄で、外資系企業が日本でビジネスを進めていく上での阻害要因の回答、先ほど示しましたけれども、その中でインフラの未整備というのは最下位です、阻害要因としては日本は。この報告書の限りでは。パーセントでいうと一〇・八%の回答です。
これは、この調査だけではなく、以前にも指摘したと思いますが、都が申請書に記載をした申請に当たって外国企業からヒアリングした要望割合という欄があります。そこでも、都市インフラの整備というのは要望の中で最下位で、さらに低く七%ということでした。
逆に、外国企業が日本への進出を重視する、どういう点に着目をして進出するのかということは、一位が社会、政治が安定していること、二つ目に有力な提携先があること、三つ目に輸送、物流インフラが整備されているということを、逆に挙げているのが現実なんです。
私はそういう点で見れば、今、何よりも、外国企業の誘致というだけではなく、日本の今の経済そのものにとって問われているのは、国民の購買力を高めて、日本の市場をより高めていくということだというふうに思います。
今の経済産業省の調査でも、日本進出に当たってどのような投資環境の魅力を感じたのかという設問がありますが、その回答の一位は、潜在顧客ボリュームの大きさで四六・七%、二つ目がカントリーリスクが低いこと、四四・七%、三位が投入商品の競争力が検証できること、そして市場の成長が期待できることということを挙げているわけです。あれこれではなく、日本と東京の潜在的な顧客の力あるいは市場の成長性、これこそが一番ですし、同時に、そのことは、単に外資系企業をどうするかというだけではなくて、東京の経済あるいは中小企業の営業という点でも、何よりもこの点に着目して、どのような手だてをとるのかということこそ最大の課題ですし、そのために、東京都が長期計画の中でどのような対策をとるのかということを具体化することこそ求められているということを指摘いたしまして、私の質問を終わります。
○星委員 それでは、質問をさせていただきます。
私からは、官民連携インフラファンドについてお聞きをしたいと思います。
さきの一般質問で、官民連携インフラファンドの基本的なこととして、東京都が創設する意義や発電事業の見通し、さらに監視や情報公開などについて質問させていただきました。そこで、さらに詳しく幾つかのことについてお聞きをしたいと思います。
まず、今後のスケジュールについてお伺いをいたします。
○松下政策部長 当事業を進めるに当たりまして、まず、ファンド運営者を都が公募することからスケジュールが始まってまいります。
現在、その準備といたしまして、ファンド運営者の公募に向けて募集要項等の作成作業を進めているところであります。この四月にも公募を開始し、六月末ごろにはファンド運営者を選定する予定であり、その後、選ばれたファンド運営者が、都以外の出資者を募っていくことになります。こうしたスケジュールとなってございます。
○星委員 ただいま、四月に公募を開始するということで、ファンドマネジャーの募集は四月ということですが、どのように募集を周知していくのでしょうか。また、この募集期間に応募がなかった場合はどうなるのでしょうか。
○松下政策部長 ファンド運営者の募集につきましては、都が募集要項を定めまして、プレス発表、ホームページ掲載により公表し、広く周知してまいります。
応募の見込みをちょっと申し上げますが、最近、自治体などが電力需給契約の相手先としまして、特定規模電気事業者、いわゆるPPSに切りかえる動きが加速しております。しかし、PPSでは、こうしたニーズにこたえられるだけの供給能力が不足しておりまして、今後の設備投資需要が見込まれております。こうした状況から、このファンドが投資先とする発電事業には資金需要が十分あり、また、投資する側のファンド運営者の応募も期待できるものと考えております。
その上で、万が一のケースでありますが、応募者がいなかった場合は、募集条件を見直すなど、改めて公募することとなります。
○星委員 ファンドの運営者を六月に選定するということですが、選定のために評価委員会を設置するというふうにお伺いをしています。それはいつごろのことでしょうか。選定は評価委員会で行い、決定は東京都が行うのでしょうか。
○松下政策部長 ファンド運営者の決定につきましては、専門的な評価を経て、都として判断するものであります。その専門的な評価を行うため、四月の公募開始までには評価委員会を設置するものであります。
○星委員 内外の機関投資家あるいは事業会社などへの呼びかけは、東京都がするのでしょうか。数百億円を集められるのでしょうか。さらに、集めるためにどういうことをするのでしょうか。何をするのでしょうか。
○松下政策部長 都の出資金以外の出資の呼びかけにつきましては、ファンド運営者が直接、機関投資家等に呼びかけて募集することになります。先ほど申し上げましたが、PPSによる設備投資需要など、発電事業には資金需要は十分あると認識しておりまして、数百億円のファンドへの出資は十分集まるものと考えております。
○星委員 事業費を一千億円規模を目指すというふうにお伺いしています。発電事業者らは、ファンドの投資に加えて民間金融機関からの融資を受けるようですけれども、どのような方法をとるのでしょうか。ファンドマネジャーに任せるのでしょうか。
○松下政策部長 投資先の発電事業等の事業費の確保につきましては、ファンドの投融資だけではすべての事業費を賄えない、こういう状況でありますので、発電などの事業計画の中で、発電事業者、ファンド運営者、銀行その他金融機関が調整を行うものであります。したがって、発電事業の事業費確保に都が直接かかわることはございません。
○星委員 ファンドマネジャーが決まりましたら、七月以降運用していくことになるのだと思いますけれども、投融資先の募集、決定というのは、どこがいつするのでしょうか。
○松下政策部長 具体的な発電事業などの投融資案件につきましては、広く募集するという形ではなく、ファンド運営者がみずからの責任において開拓し、事業可能性の検討などを行った上で投資判断することとなっております。ファンド運営者は、具体的な投融資案件が発生する、その都度、都を含む出資者全員の意見を聞き、投資決定するものであります。
○星委員 最近、電力不足ということを商機として、太陽光発電への投資や自家発電設備導入資金の融資などのいろいろな金融サービスが出てきています。こうした流れの中で、そもそも東京都がインフラファンドを創設する必要性があるのでしょうか。基本的なことなんですが。
○松下政策部長 発電事業に対します新しい幾つかの金融サービスにつきましては、こういったものがあることは承知しておりますが、いずれも小規模なものが多く、このファンドが目指すところの長期的かつ安定的な資金供給の枠組みと、そういったものではないと考えております。また、発電事業における資金需要は膨大なものがありまして、その需要を満たすには、まだまだ不足しているとも考えております。
したがいまして、都が先導役となって官民連携インフラファンドを創設し、新しい資金の流れを構築していく必要性は十分にあると認識しております。
○星委員 東京都は一投資家ということですが、そしてさらに有限責任ということだというふうに思いますけれども、官民連携というからには、出資だけの責任では済まないのではないでしょうか。
○松下政策部長 投資事業有限責任組合契約に関する法律というのがございまして、その第九条におきまして、有限責任組合員は、その出資の価額を限度として組合の債務を弁済する責任を負うと明確に規定されております。したがいまして、有限責任組合員である都は、出資の価額以上のものを求められることはないものであります。他の出資者も全く同じ条件でありまして、都が負担を肩がわりするといったこともございません。
ただ、我が国の電力事業は独占的な状況が続いており、いまだ多くの参入障壁がある実態でございます。都としましては、規制緩和による公平公正な競争環境の確保を国に働きかけるといった役割を今後とも果たしていきたいと考えております。
○星委員 お答えありがとうございました。
最後の質問ですが、管理報酬という運営コストがかかってきますが、これは事業に直接使われていないことにはならないのではないでしょうか。投資回収の仕組みはどういうふうになっているのでしょうか。
○松下政策部長 制度上、ファンド運営者に管理報酬を支払うと、こういった制度は当然でございまして、出資金の中からファンド運営費を支出すること、これまた収益を生み出すために必要不可欠なものであります。したがいまして、ファンド運営者は、ファンド運営費を含めて配当等により事業者から資金を回収し、出資者に対しては、出資金を上回る額の還元を目指すものであります。
なお、こうした仕組みは、都のファンドに限らず、経済産業省の指導などにより、広く一般的に行われているものであります。
○星委員 最後に、意見をいわせていただきます。
ファンドをつくる意義の一つには、社会資本投資における長期的かつ安定的な資金循環システム構築に東京都が先導的役割ということを期待してのことがあるんだろうというふうに思います。しかし、呼び水ということで、金融市場への政策誘導の役割を果たすということは、ファンドという性格上、リスクはつきもので、広い意味で都民にもリスクを負わせることになるのではないかと私どもは懸念があります。
また、今後、投資の対象として再生可能エネルギー、このことが考えられている点について期待するものではありますが、質問でも指摘をさせていただきましたように、既にこのマーケットに対しまして、次々に大なり小なり民間が参入する流れですから、わざわざ税金を投じて呼び水とするのには多少疑問が残ります。
今後、具体的なことは明らかになっていくんでしょうけれども、どこまで都民と情報を共有して、そして東京都が情報公開をして説明責任を果たせる仕組みが、まずは担保できるかどうかということがかぎになると思いますので、そのことを強く要望いたし、質問を終わります。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で知事本局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十八分散会
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