総務委員会速記録第三号

平成二十四年三月十九日(月曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十五名
委員長吉倉 正美君
副委員長佐藤 由美君
副委員長中屋 文孝君
理事伊藤 興一君
理事吉田 信夫君
理事吉田康一郎君
栗林のり子君
星 ひろ子君
しのづか元君
服部ゆくお君
田島 和明君
大西さとる君
吉原  修君
三宅 茂樹君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長笠井 謙一君
危機管理監醍醐 勇司君
理事塚田 祐次君
総務部長山手  斉君
訟務担当部長和久井孝太郎君
復興支援対策部長砥出 欣典君
復興支援調整担当部長野口 一紀君
行政改革推進部長土渕  裕君
情報システム部長長澤  徹君
首都大学支援部長皆川 重次君
人事部長中嶋 正宏君
労務担当部長内藤  淳君
主席監察員長谷川 均君
行政部長岸本 良一君
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務榎本 雅人君
区市町村制度担当部長堤  雅史君
総合防災部長村松 明典君
企画調整担当部長箕輪 泰夫君
統計部長松原 恒美君
人権部長並木 勝市君
選挙管理委員会事務局局長影山 竹夫君
監査事務局局長塚本 直之君
監査担当部長長谷川 研君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十一号議案 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十九号議案 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
・第四十号議案 選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 平成二十四年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 平成二十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第二十八号議案 審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第二十九号議案 東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十号議案  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十五号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十六号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第三十七号議案 東京都帰宅困難者対策条例
・第百二十四号議案 包括外部監査契約の締結について
・第百三十三号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成二十四年度都区財政調整の概要について

○吉倉委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉倉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○吉倉委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十四年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会の所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十四年三月十五日
東京都議会議長 中村 明彦
総務委員長 吉倉 正美殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(木)午後五時

(別紙1)
総務委員会
第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 総務委員会所管分
第二号議案 平成二十四年度東京都特別区財政調整会計予算
第四号議案 平成二十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算

(別紙2省略)

○吉倉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、選挙管理委員会事務局、総務局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分及び第四十一号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○吉倉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉倉委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○吉倉委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分、第三十九号議案及び第四十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○和田委員 投票率の向上の問題について、何点かお伺いをいたします。
 過去五回の都議会議員選挙の投票率を見ていますと、五回の間で一番高い数値を出したのは、平成二十一年度の五四・四九%でありました。五回の間の選挙で一番低い投票率は、平成九年の四〇・八〇%であります。この五回を平均しますと四八・一五。
 これが高いか低いかという問題はありますけれども、やはり基本的に民主主義が一般投票、すなわち投票で決まるということになりますれば、高ければ高いほどいいというわけでもありません。大変高圧的な独裁的な国でも、投票を行使したときには九五%を超えるという数字がある国もありますし、また、低いところは三〇%を切るようなところも選挙によってはある場合もあります。
 したがって、どの投票率が一番その国にとって、その自治体にとって適正であるかというのは、時代やあるいは民意の動きによって可変されるもの、すなわち動いてしかるべきものだというふうに思いますが、やはり、独裁的な体制のもとで行われる選挙は九五%を超える。これはやはり異常であります。また、三〇%を切るような無関心な住民や国民がいるような選挙については、これまた異常であります。
 したがって、どこが適正な投票率であるかということは、常に選挙管理委員会も含め、議会も有権者も含め、みずからの任務をしっかり把握する中で、どのような、それぞれの使命を完遂したらよろしいかということに、日々腐心をしなければならないというふうに思うんであります。そういう立場から、以下数点にわたって質問をさせていただきます。
 私どもが関心を持つ投票率の大きなポイントのかぎとなるのは、若年層の投票率の向上であります。
 若い方の選挙に対する関心が大変薄くなってきているという一般的な傾向があります。そういう中で、つい先ごろ、これは二月二十四日になりますけれども、都選管が、都立の小石川中等学校におきまして、選挙の出前授業というんでしょうか、こちらが出ていって模擬投票をしていただいたということが、我々にも資料配布をされました。
 私も関心を持っていたところでありますが、これについて、一番新しい若者の選挙に対する一つの試みでありますだけに、対象とした試みであるだけに、どういうふうに選管は承知をしているのか、お伺いいたします。

○影山選挙管理委員会事務局長 若年層の投票率でございますが、前回の平成二十一年の都議会議員選挙で見ますと、推定投票率でございますが、六十歳代は七二・六六%に対し、二十歳代は三一・〇九%と、他の年代と比較しても若年層の投票率は非常に低い傾向にありまして、ほかの選挙においても同様な傾向を示しております。
 これまで若年層の投票率向上に向けた取り組みとしましては、常時啓発事業として、児童生徒に選挙への関心や興味を持ってもらうための、明るい選挙ポスターコンクールの開催ですとか、公民の授業などの参考になるように、都内の中学三年生全員を対象に、選挙学習冊子「Let’sすたでぃ選挙」などを作成、配布などさまざまな事業を展開してきたところでございます。
 また、選挙時啓発としても、昨年実施されました都知事選挙では、幅広い世代から支持されてアピール力もあるイメージキャラクターを採用し、それを使用した啓発媒体として、街頭に設置されました大型ビジョンですとか、電車内モニタービジョンなどを活用した動画広告の放映などを行ったところでございます。
 今回、新たな試みとして、将来を担う中高生に、早い段階から主権者としての自覚を促し、選挙の意義とか重要性を理解してもらうことなどを目的といたしまして、中学三年生を対象に、選挙出前授業及び模擬投票を都教育委員会の協力を得て、文京区選挙管理委員会と共催により実施したところでございます。

○和田委員 申すまでもなく、教育基本法の第十四条は二項目用意しておりますが、一項目めは、良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならないという一項目があります。良識ある公民として成長していく過程で、教育基本法は政治的な教養の尊重ということを、強くここでうたっているわけであります。
 したがいまして、きょうは文教委員会ではありませんからここのところは深入りしませんけれども、やはり選挙とか投票というものが単なる社会人になってから、はたちになってから、あるいは二十五になってからというように、選挙権、被選挙権というふうに意識するんではなくて、基本法に書いてあるとおり、良識ある公民、それは政治的教養というものを教育課程の中でしっかり学んでいくべきだというふうに、基本法で一項目で書いてあります。
 このところは、教育者であろうと、あるいはそれにかかわらない人間であっても、やはり我々の共通の後継者である義務教育を受ける子弟が、その教育課程の中で正しく政治教育を受ける、あるいは政治的教養をしっかり身につけるということは、かけがえのない一つの財産にも将来なるわけでありますし、それがひいては、先ほど出されました、六十歳代では投票率が七二%、二十歳代では三一%というふうに、このように若年層の投票率が六十歳代の方と比べて半分以下になってしまっているという残念な結果をしっかり回復していく意味では、もう少し教育基本法の第一項をしっかり、関係者及び我々社会人も自粛をした上で、彼らの意欲的な参加を求めていく、そういう道筋をつくっておく必要があるだろうというふうに思うんであります。
 そこで、小石川の例の模擬投票、これは関心を持って私も見ておりましたけれども、生徒たちの反応、反響、初めてのことでありますし、新鮮であったために、いろいろな予期せぬ感想なり意見が出てきたと思うんでありますけれども、特徴的なものについてお伺いいたします。

○影山選挙管理委員会事務局長 今回の事業は、まず初めに選管職員が、選挙制度の概要ですとか、若年層の低投票率の現状について説明を行い、次に、大学生六人が都知事選挙の立候補者に扮し、みずから選挙公報を作成した上で個人演説会を行いました。その後、候補者と生徒たちとで質疑応答を行いまして、生徒みずからが判断した候補者に投票するという形で実施いたしました。
 また、投票や開票に際しましては、文京区選管の協力を得て、実際の選挙で使用している投票箱ですとか投票記載台、計数機などを使用して行ったところでございます。
 なお、今回の授業に参加した生徒たちは、立候補者の演説に真剣に聞き入り、次々と積極的に質問し、投開票においても、自然に開く投票用紙ですとか、投票用紙をカウントする計数機に驚くなど、大変興味深く投開票に参加している様子がうかがえました。
 実施後行ったアンケートで、以前と比べて選挙に対する関心が強くなったが三十七人中三十四人、これは今回一クラスのみの実施でございましたので、三十七人が母数ですけれども、それから、このような授業をまた受けてみたいが三十七人中三十六人と好評で、生徒たちにとっても大変有意義な授業になったものと考えております。

○和田委員 都議会でも、自民党の田中議長のときに、都議会の議場を使って議会を開いたことがあります。各学校から選抜をされた方々が議席に座って都議会議員になりかわるというような雰囲気や、あるいはその場の勉強されたということで、私もその場におりまして、大変まじめに皆さん頑張っていらっしゃるなということを受けたわけでありますが、こういう機会を提供することによって、今回は投票する側でありましたけれども、投票される側、候補者になった側の方も、模擬的に生徒に体験させながら、緊張感なり、あるいは厳粛な自分の投票権という権利を行使する際の気持ちの高ぶりといったようなものについて、もっと学んでいただいて、有権者になったときに、あるいは被有権者になったときには、これを正しく行使できるような、そういう政治教育の場をもっともっと深めていく必要があろうと思うんです。
 今回の小石川の中等教育学校について、選管の方は高い評価をされているように今時点は聞きました。もうしばらく時間がたつといろんな結果が出てきて、よくも悪くも出てくるかもしれませんので、それを正しく静かに分析、評価しながら、やはりもしもよろしければ、この結果を全都的に広げて、政治教育というこの一つの大事な教育を、正しく東京都の中学校の公民課程に広げていくというようなことで、先行きは若年層の政治に対する無関心、ひいては投票率の低下というものに対する回復策として、私は、選管は、この前は文京区の選管と協力されたようでありますけれども、もとより出先の選管とは当然協力しなきゃなりませんが、教育委員会とも連携をとりながら、若いうちから政治や投票、あるいは政治教育に関心を持つような、そういう働きかけを、実際に動ける立場の選管の方から選挙管理委員会の方にアクションを起こしていったらどうかというふうに提案するものでありますが、どのように考えますか。

○影山選挙管理委員会事務局長 今回実施した出前授業及び模擬投票は、参加した生徒はもとより、先生方や学校関係者にも好評でありまして、生徒たちの選挙や政治に対する関心を高める効果があったと思われます。
 今後、都選管としてもさまざまな工夫を凝らして、この事業の一層の充実に努めてまいりたいと思います。今回のケースを参考にして、区市町村選挙管理委員会が主体となって、地域の学校と連携して同様の事業が行えるよう、都及び区市町村教育委員会にも協力を求めていきたいというふうに考えております。

○和田委員 再々申し上げたとおり、民主主義の根幹が選挙です。選挙で投票率が六十歳代と二十歳代を比べて半分以下だというような状況が決していいわけではありません。あらゆる手段を講じてこの投票率の回復に選管は意を強く用いていくべきだというふうに思うんでありますので、今の答弁の結果を注目してまいりたいと思うんであります。
 次の質問に移ります。
 ところで、教育の現場から離れて、有権者になった場合の投票率の問題です。
 国によっては義務制の投票制度を取り入れている国がありますね。それらについての状況をどのように把握されていますか。

○影山選挙管理委員会事務局長 いわゆる投票を義務づける義務投票制度は、イタリアやオーストラリア、ベルギーなどで採用されているところです。これらの国の投票義務違反に対する罰則については、制裁の規定がないものから、選挙人名簿から抹消される場合があるものや、あるいは罰金が課されるものまでさまざまでございます。
 また、各国の投票率は、二〇〇八年に行われたイタリアの総選挙は八〇・五一%、二〇一〇年に行われたオーストラリアの連邦議会選挙では九三・二二%、同じく二〇一〇年実施のベルギー総選挙では八九・二二%となっており、日本の国政選挙と比較して高い傾向を示しているところでございます。

○和田委員 別に投票が義務制だから投票率が高いというふうに直結しているわけではないと思いたいと思います。ただ、結果としてですけれども、義務制を講じているイタリアの八〇・五%、それからオーストラリアは九三%、それからベルギーが八九と、大変高い投票率を得ている国が、どうしても義務制を取り入れているということとの連携をうかがい知らざるを得ないところがあります。
 私どもは、ここへ行くまでにできる努力はしっかりしていく。それには、何も若年者だけじゃなくて、一般の我々も関心を持たせるような工夫、努力をしなきゃならないと同時に、やはりあらゆる手段を講じた上で、やむを得なくなってきて、例えば投票率が国政段階で二〇%台になっちゃったとか、そうなれば、単純にいえば一一%とれば国全体を動かせるような形になるわけでありますから、そんな恐ろしい選挙を我々は予想しているわけではありません。
 しかし、そうなる可能性を防ぐために、選挙管理委員会はできるだけの投票率を確保していってほしいという意味で、今申し上げている小石川の中等教育学校のこの交流などをもっと広げていく、もっと広げていって、義務制を導入しなくても済むような、そういう日本の選挙制度、とりわけ投票率に関しては、ぜひそのような働きかけをしていただきたいと思うんです。
 さてそこで、今時点で、国会では十八歳についての考え方が出てきております。すなわち、投票権をはたちから十八歳に二歳若返らせるというのと、成人をはたちから十八歳に切り下げるというふうなことを、政府は考えようとしております。このように、もしもですよ、十八歳の投票権がもしも付与された場合にどういうことが考えられますか。

○影山選挙管理委員会事務局長 都内で実施されました各種選挙において共通することでございますが、初めて選挙権を得た二十歳の投票率はそれ以降、二十一歳から二十四歳の年齢層では一たん低下して、その後は年代の上昇とともに投票率も上がっていくと、そういう傾向があります。
 例えば、平成二十一年に行われた都議会議員選挙では、二十歳の推定投票率が三七・三四%、二十一歳から二十四歳の年齢層が三〇・一二%、二十五歳から二十九歳の年齢層が三〇・八四%、三十歳から三十四歳の年齢層が三九・八七%と、それ以降は順次上昇していると、こういう傾向を示しております。
 選挙権が仮に十八歳に引き下げられた場合の投票率について想定すると、やはり十八歳という時点では、初めての投票ということもあり、二十歳と同様高くなる傾向があると想定されますが、それ以降はやはり、一たん下がって徐々に上昇していくという同様の傾向が見込まれると思われます。

○和田委員 成人式などを見ますと、成人式に行った舞台で我々も乗ったり、その新成人の方々と交流してみますと、そのときに選挙管理委員会が、あなたははたちですから、次の選挙はしっかり選挙権を行使してくださいねというふうに、選管もかかわり持ってますよね。持ってますよね。その時点では確かにフレッシュな感じで、はたちの方々は自分も選挙権を行使しようぞと思うかもしれないけれども、二度、三度となってくると低減しちゃうというのが今のお答えでした。
 そういうふうに一過性のものではなくて、繰り返しますが、恒常的に選挙の必要性、民主主義にとってのかなめだというところなどは、やっぱり政治教育じゃなきゃだめなんですよ。政治教育をしっかりしていくことによって、たまたま成人式のときには、ぜひ次の選挙で使ってくださいねということはいいとしてもですよ、もう自分の生活と民主主義の投票なり投票権というものは、切っても切れないものだということを、密接不可分だということを教育しておかないと一過性のもので終わってしまう、またその繰り返しだということになることを私は恐れます。
 したがって、繰り返しますが、教育委員会なり何なりと協力しながら、いかに日常の選挙なり政治に対する関心を深めていくかという努力を、選挙管理委員会はいろんな手段を使ってやっていただきたいと思うんです。
 最後になりますけれども、質問に入りますが、その前にやっぱり、選挙運動については、投票率を上げていくために戸別訪問の解禁をしていくだとか、あるいは選挙に対するもう少し、公職選挙法の縛りが、何か悪いことをするんじゃないだろうかというようなそういう先入観で、立候補する人あるいは有権者に、そういう懐疑の目で当初から見ているようなふうが法制度中あります。
 したがって、明るく正しく和やかに選挙やろうというよりも、選挙にかかわることは家訓としてだめだぞなんといううちも、今だに東京でもありますし、地方でもあるくらいに、選挙は怖いものだというふうに忌避されちゃってる傾向があるんですけれども、こういうところはやはり打ち砕いていって、選挙は明るいものであって、正しくやって、国や地方自治体を立て直していこうよ、明るくしようよというような、積極的な前向きなそういう選挙管理をしていく必要があるだろうと私は思うんです。
 そういう意味で、私は、さきにオーストラリア、イタリア、ベルギーなどは、八〇%超えるような、そういう義務制を講じた結果出てきている数字と思われるような数字もありますけれども、やはりそういう義務制を講じない限りは、七五%前後ぐらいを健全な民主主義国家の投票率として私個人的には理解しておりますので、そういうところまで持っていくために、どういうふうに今後、今までの答弁を総括する意味で、選挙管理委員会はこれからもどう取り組んでいくかということをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

○影山選挙管理委員会事務局長 今後の啓発事業の取り組みは、先生いわれたように投票率向上のみならず、主権者教育の充実ですとか、政治的なリテラシーというんでしょうか、政治的な判断力、分析力というんでしょうか、の向上が求められていると思います。こうした観点に立って事業を実施していく必要があると考えております。
 特に、若年層を中心とした啓発事業としては、先ほど来取り上げられております選挙出前授業ですとか模擬投票を充実するとともに、啓発事業に若者の率直な意見を取り入れるため、二十歳代の若者との意見交換会の定期的な開催ですとか、情報発信手段として大きな役割を果たしておりますホームページの内容の充実、さらには大学生を対象とした選挙管理委員会インターンシップなどを検討していきたいと思っております。

○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉倉委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○吉倉委員長 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第二十八号議案から第三十七号議案まで、第百二十四号議案及び第百三十三号議案並びに報告事項、平成二十四年度都区財政調整の概要についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山手総務部長 二月二十日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の一ページをお開きいただきたいと思います。1、「審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例」等についてでございます。
 同条例の平成二十二年度における適用実績及び職員の旅費に関する条例における宿泊料について、それぞれ記載をしてございます。
 それでは、二ページをお開き願います。2、防災市民組織の主な消防資機材の整備状況でございます。
 防災市民組織の組織数及び消火器などの主な消防資機材の整備状況について、区市町村別に平成二十三年四月一日現在でまとめたものでございます。
 五ページをお開きいただきたいと思います。3、防災市民組織の年間訓練実施延回数及び参加者数の推移でございます。
 区市町村において把握している情報をもとに、平成十八年度から平成二十二年度までの実績をまとめたものでございます。
 八ページをお開きいただきたいと思います。4、仮設トイレ種別備蓄数(区市町村別)でございます。
 マンホール設置型トイレなど、仮設トイレの種別の備蓄数につきまして、区市町村別に平成二十三年四月一日現在でまとめたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○吉倉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大西委員 私からは、予算案の関連で、まず首都大学東京について質問をさせていただきます。
 現在は大学全入時代ということで、すべての学生が望みさえすれば大学に入ることができると、そういう、需給バランスが全員入れるぐらいまでになっているわけでございますが、当然一部の大学に集中する、そういう傾向があります。ということは一方で、一部の大学では定員割れしたり、学生の学力低下が深刻な問題となっているわけでございます。
 その中で、例えば明治大学というのは、十一万人を超える志願者集めて、早稲田を抜いて三年連続で一位となっている、この例をとってもわかるように、魅力のある大学はたくさんの学生を集めているわけです。
 このような中、東京都が持っている唯一の大学でありますこの首都大学東京において、大学間の競争を優位に進めて、多くの優秀な受験生を引きつける大学となることがやはり期待されると思うんですが、そこで、首都大学東京の過去五年間の志願者の状況について、まずお伺いいたします。

○皆川首都大学支援部長 首都大学東京では、平成十七年の開学以来、多くの意欲ある志願者を確保するため、オープンキャンパスやホームページの充実、高等学校への訪問など、積極的に入試広報に取り組んでまいりました。
 この結果、一般入試選抜における志願者倍率は、平成二十年度が六・六倍、平成二十一年度が六・二二倍、平成二十二年度が六・九五倍、平成二十三年度が七・一〇倍、そして、平成二十四年度が七・四三倍でございます。
 今後も効果的な広報活動を展開いたしまして、優秀な学生の確保に努めてまいります。

○大西委員 ここに、文部科学省による平成二十四年度国公立大学入学者選抜の確定志願状況というのがございます。これによれば、国立大学は四・六倍と、公立大学が六・四倍であることからしますと、先ほどご答弁いただきましたこの首都大学東京というのは、全国平均を上回っていることは評価できます。
 一方で、別に東京と大阪比べる必要はありませんけれど、ほとんど同じような規模の公立大学である大阪府立大学はといえば、何と八・三倍と、負けているわけですね、こちらが。現状に甘んじることなく、一層受験生を引きつける大学となる、やはり努力が必要だと思われます。
 受験生が大学を選ぶ要素としては、キャンパスの立地とか環境とか、部活動など学生生活の充実という点もありますが、当然一番重要なのは、多くの学生が、首都大学東京でこんな問題を学びたいんだ、この内容を勉強したいんだという、特色のある授業や中身がやっぱり必要だと思いますが、そういう点、どのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○皆川首都大学支援部長 首都大学東京では、大都市における人間社会の理想像の追求を使命といたしまして、大都市の特色を生かした教育を実施し、広く社会で活躍できる人材の育成を進めております。
 大都市の特色を生かした教育として、例えば、大都市東京での現場体験を通じて問題意識を醸成し、課題に主体的に取り組む能力等を養成するため、主に学部一年生を対象とした現場体験型インターンシップを実施し、毎年六百人程度の学生が都や区市町村、民間企業での実習を行っており、学生からは有意義な体験として評価を得ております。
 また、所属する学科やコースにかかわらず、都市に関連する幅広い学問分野を学ぶ都市教養プログラムや、都市社会の抱えるさまざまな課題を理解し、ゼミ形式で解決方法を探る基礎ゼミナールなどを実施しております。

○大西委員 今、大都市の東京の特色を生かした内容ということでご答弁いただきましたけど、当然この東京にはいっぱい大学があるわけでございますから、やはり今後とも不断の見直しを行って、いい公立大学という形をとってほしいと思います。
 今、学生が選ぶその理由として、環境や立地や、そして一番大切なのは内容ですよという話をしましたけど、もう一つ大きな、大切な点というのはやっぱり就職だと思います。入り口に入っても出口でつまずいているようじゃだめなんで、どういうところに就職しているかというのは、学生たちにとっては大きな関心のあるところです。ご存じのように経済不況になって、なかなか大学を卒業しても就職できないという学生がたくさん出ているわけでございます。
 このような中、首都大学東京ではこの就職支援というものにどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○皆川首都大学支援部長 都が法人に示しております第二期中期目標におきまして、学生支援に関する目標の一つとして、就職支援をきめ細かく行うことを掲げております。
 首都大学東京では、学生サポートセンターが中心となって、就職を希望する学生を支援するため、学内企業セミナーや面接対策講座などの各種ガイダンスを適時適切に開催しているほか、年間を通じキャリアカウンセラーによる就職相談などを実施しております。
 また、就職未内定者向けの企業説明会やカウンセラーによる個別相談、就職支援情報の配信など、個々の状況に応じきめ細やかな支援を行っているところでございます。

○大西委員 いろんなきめ細やかな就職支援に取り組んでいるということはわかりましたけど、それじゃあ、現実の数字で、首都大学東京における、例えば過去三年間の就職の状況を伺います。

○皆川首都大学支援部長 首都大学東京の学部生の就職内定率でありますけれども、平成二十年度は全国平均の九五・七%に対し九六・三%、平成二十一年度は、全国平均の九一・八%に対し九五・五%、そして、平成二十二年度は、全国平均の九一%に対し九五・六%となっており、いずれも全国平均を上回っております。
 なお、就職未内定のまま卒業した学生に対しても、就職を希望する在学生と同様に、就職資料室の利用のほか、キャリアカウンセラーによる相談、求人情報の提供、学内就職支援行事、学外就職活動イベントの案内を実施しております。
 今後とも、首都大学東京で学んだ学生が社会で活躍できるよう、きめ細やかな就職支援に取り組んでまいります。

○大西委員 頑張っていただいているとは思いますけど、海外留学というと、ちょっと考えてみますと、知事もこれはよく、学生が海外に行くのがおっくうになっているということを大分危惧されていますが、この海外留学の経験というのが、私はすごく就職に有利だということをお伺いしております。首都大学東京で海外に送り出している子どもたちの人数と、逆に海外からいろんな人材を受け入れて、大学自体を国際化していくことも大切だと思いますので、まず出した人間と受け入れた人数を教えていただけますか。

○皆川首都大学支援部長 首都大学東京における平成二十三年度の留学生の状況でご説明させていただきます。
 交換留学により海外の大学に派遣した学生は五名、短期留学をした学生は二十五名でございます。また、海外から受け入れた留学生については、学部、大学院生を含めて二百八十六名となっております。

○大西委員 今のご答弁、ちょっと残念だと思う方は皆、たくさんおられると思うんですけど、留学に出したのは五人、五人ですよ。短期留学した人が二十五人。これはやはり、いかにもちょっと残念な数字かと思います。
 やっぱり就職に海外留学が有利だというのはもう絶対確かなことで、私もちょびっとだけなんです、ちょっとずつぐらいなんですけど、何回か大学時代には海外に行って、就職のときに、僕のときは八六年で、一ドルがまだ二百四十円ぐらいのときでしたけど、それでも行ってきて数カ月の話を就職のときにすれば、すごく当たりがよくて、そういう話を問答したところは全部僕は内定取れたという経験もございます。こんな全然自慢じゃないですけど。
 やはり今の子どもたちはそれよりも、海外に出ている総体数が減ってきているわけですから、もっともっと海外に向けて生徒を送り出すということが物すごく必要だと思います。
 一方、受け入れているのは二百八十六人ということで、相当の海外の方が日本に来られて、そこらでいろんな言葉が飛び交っている、そういう国際的になることはいいと思うんですけど、一方で出す方はちょっと、僕はすごく残念な数字だと思うんですけど、これもっとやっていこうという気はありますでしょうか。お伺いします。

○皆川首都大学支援部長 先ほどもお話ししました、東京都が法人に示しております第二期中期目標というのがございますけれども、この中で、グローバルな視点に立った教育研究の推進を重点事項と位置づけまして、広く国内外で起きているさまざまな事象に関心を持ち、大都市の課題に先駆的に取り組む人材を積極的に育成していくことということを示しております。
 これを受けまして法人が作成した第二期中期計画では、留学生への支援や海外の大学、都市等との教育研究協力の拡大など、国際性豊かな人材の育成環境を整備していくこととしております。この計画に基づき、今後首都大学東京では、国際化の取り組みを着実に進めてまいります。

○大西委員 ぜひ、その国際的な取り組みをどんどんどんどん進めていっていただいて、厳しい予算の中かもわかりませんけど、そういうところには、必要なところには必要な予算を配分していただいて、首都大学東京が世界で活躍できる若者を育成、輩出していただけるように強く要望をさせていただきます。
 続きまして、もう一つの問題に移らせていただきます。
 僕は、去年の十一月二十八日にこの総務委員会で、部落、同和の問題について若干触れさせていただきました。そのときに都はこのように答えているわけですね。都は、人権問題を都の重要課題の一つであると考え、同和問題も人権問題の重要な柱としてとらえてございます。今後とも、区市町村や民間企業などと連携しながら、あらゆる機会をとらえ、都民に同和問題の正しい理解と差別をなくすことの大切さを訴えてまいりますと、このように東京都は私にこの委員会で答えられて、同和教育をしていこうと、人権問題をなくしていこうとされたわけですけど、私のところにとある新聞が届きました。その文をちょっと読んで、私は正直びっくりをしたんですが、これは、昨年の七月と九月に計三回開催されているみたいですけど、東京都の福祉保健局が主催しているらしいんですが、人権研修会というのがあって、その中での講師が、何を考えてるのかはちょっとわからないですけど、部落の方々に対して、あの人たちは怖い人たち、言葉が乱暴、教育程度が低く、生活程度が低いと親から差別的に教えられたと、こういう発言をされていて、その受講中、低位性につながる発言がずっと講演全体に貫かれていたと、こういう話です。
 また、それ以外にも、とある東北の方の町を指して、現実の被差別部落の所在地や町名を具体的に述べていると。それとか、またレジュメの中にえた、長吏などの差別語を羅列してたと。そして、講演の中で、この差別語は命にかかわるので絶対使わないでくださいと、使って厳しい問い詰めを受けるのは皆さんたちなので、絶対使わないでください、こういうことを人権の研修会でいわれたと。
 これに関して、私はこの団体に今回一切調査はしていません。本当かうそか、ひょっとしたらこれが全部うそかもわかりません。でも、こういうことがこういうある程度の公的な新聞に載るということ自体、非常に問題だと思うんですが、これについて東京都はこの状況を把握しておられるのか、お伺いいたします。

○並木人権部長 この研修は、社会福祉事業に従事する者を対象として実施されているものでございまして、内容については現在、この研修事業の所管局におきまして、事実関係の確認を進めております。

○大西委員 今、事実関係を確認中ですということをおっしゃられましたが、これ七月から九月に行われている研修なんですね。それで、何で今まだ調査中なのか、確認中なのか、一体いつまでかかるのか、それはちょっと教えてください。

○並木人権部長 研修を評価するに当たりましては、講師の意図でありますとか、具体的な表現方法、あるいは受講者とのやりとりなど、研修全体の流れとその中での発言の位置づけなどを十分に把握する必要があると考えております。
 まず事実関係などの早期究明を行うことが重要であると考えておりまして、現在それに努めております。

○大西委員 じゃあ、この研修が実施されたのはいつですか。それで、講師を務めたのは一体だれですか。また、こういう差別を受けたと思われる方、受講生から話は聞いているのか、その辺をお伺いいたします。

○並木人権部長 今年度の社会福祉事業従事者人権研修は、昨年の七月から九月にかけて計三回実施されております。研修講師を務めたのは外部講師でございます。また、その受講生からは所管局が話を聞いており、その場に人権部も同席してございます。

○大西委員 それじゃあ、もう事実はわかってるんじゃないですか。何でまだ今確認中、確認中というご答弁になるんですか。その辺もう一度教えてください。

○並木人権部長 先ほどお答え申し上げましたように、研修を評価するに当たりましては、講師の意図でありますとか、具体的な表現方法、受講者とのやりとりなど、全体の流れとそれからその中での発言の位置づけなど、十分に把握してやっていく必要がございます。そういった意味で、事実関係などの早期究明を行っている段階でございます。

○大西委員 じゃあ、これについて人権部はどのように考えているのか。また、仮にですよ、仮にで結構なんですけど、この研修が差別を助長するような研修だったとわかった場合、今後繰り返さないためにどのような対策を考えておられるのか、お伺いいたします。

○並木人権部長 この研修に関しましては、人権部の考えということでございますけれども、これにつきましてはただいま申し上げましたように、研修の評価に当たりまして、その内容について十分に把握する必要があるということで、事実関係などの早期究明を行うことが重要であるというふうに考えてございます。
 いずれにしましても、庁内の人権担当課長会等におきまして、これまでの差別事象の例を紹介するとともに、人権課題を正しく理解し差別を起こさないための具体的な取り組み方法を含め、人権意識の啓発を継続的に行っていくよう、改めて周知をしていきたいというふうに考えてございます。

○大西委員 部長、申しわけないですけど、この事実関係を早期究明するというのをやりますというのは、そういうご答弁していただきたくなかったわけなんですけど、というのは、僕はまずこの問題を、こういうのが来てますよと指摘したのは、もう一週間以上前の話なんですね。そのときに人権部の人から、もう次の日にですよ、次の日に、まだ確認中で、僕はこの委員会でちょっと取り上げたいという話をしたら、時間がかかるんで、まだ時間がかかるんで、一週間後の委員会には間に合いません。いきなりもうあきらめから始まっているわけですね。一週間という時間が少なくともそこにあるわけですよ。その時間で全く確認がとれない。
 でね、これ録音されてないみたいなんで、そういう会議というのは時間がたてばたつほど忘れていくことだと思います。これ一月二十五日に、そういう何かみんなが集まりあって、どうだこうだとやっているみたいですから当然、都としてはその相当前から話をわかっている、とらえてるはずなんでね。そこで何で、その関係者ちょっと何人か集めて、これどうだったんだって聞いたらそうでしたよと、これはひでえなと、じゃあやめようという話になればいいと思うわけなんです。
 皆さんもね、例えば一月とか十二月の会議のことを今思い出してくれっていわれて思い出したとして、それまた二週間たってもう一回思い出してくれといったら、それ以上のこと思い出せますか、どんどんどんどんやっぱり人間の記憶というのは減っていくわけでしょう。
 僕は、一番問題なのは、早期究明が必要です、それはきちんとしたことは明らかにすることが必要だと思います。これがうそかもわかりません、それもあわせてやらなきゃいけないんですけど、だからといって全部これが悪いとかいいとかいう話を先延ばしにしていったら、この人三回同じこといっているわけですから、またほかのところでこの外部講師、名前も公表してないわけですから、もし、その方をほかの局が、福祉保健局でやってよかったらしいよって聞いて、ほかの局がまたやるということも考えられるじゃないですか。これは早急に、さっさとそんな人はもうまずやめさせろということから始めて、何でこんなことが起こったのかということ。これ、仮にこれだったら本当にまずいことですから、ぜひともそういう、事実把握のために時間が必要だ必要だといって先延ばしすることだけは、ぜひやめていただきたいと思います。これについて、見解を本当は聞きたいところなんですが。

○並木人権部長 この件に関しまして話を聞いたのは、本年一月に入ってからでございますけれども、状況については、先ほど申し上げましたように、それ以降、所管局が中心になりまして事実関係の解明、早期究明に向けていろいろ話し合いをやっております。そういった意味で、鋭意人権部の方も入りまして一緒に取り組んでおりますので、よろしくお願い申し上げます。

○大西委員 人権意識の高揚に向けてということで、やはり都の中でだれがリーダーシップを持つのか。これはやっぱり人権部さんですよね。人権部がこれをもっと啓発して、差別をなくすという方に向いてくれなきゃ絶対いけないと思いますけど、人権部さん、もっとリーダーシップを発揮するべきだと思いますが、その所見を伺います。

○並木人権部長 人権意識の高揚に向けた対応でございますけれども、これまでも人権部では人権啓発行事の開催、あるいはさまざまな広報媒体を活用した啓発や研修の実施等により、同和問題を初め、さまざまな人権課題について人権意識の高揚に努めてきたところでございます。
 今後も、各局での人権施策の取り組みに対しまして必要な助言を行うとともに、差別意識の解消に向けた教育、啓発を充実するよう、積極的に各局に働きかけてまいります。

○大西委員 では、今最後に、積極的に各局に働きかけるとおっしゃいましたけど、働きかけたら当然その効果というのを検証して、責任もやっぱり一方では、ある意味負うときも必要じゃないかなとは思いますけど、その点どのようにお考えか、ちょっと所見をお伺いいたします。

○並木人権部長 各局での施策の状況につきましては、努めて把握をするようにしてございます。

○大西委員 ぜひ部長がもっと強権をもって、もう東京都じゃ絶対にこんな差別は許さないんだと、そんなことがあったらおれが東京都の取り締まりのトップだぐらいの気持ちで、こういう問題に対してはやっていくことが、僕は東京都では必要だと思いますので、そのことを要望させていただいて質問を終わります。

○中屋委員 私の方からは、喫緊の課題であります帰宅困難者対策について、何点か質問させていただきます。
 東日本大震災から一年がたちました。当日、都内では三百五十二万人の帰宅困難者が発生し、駅や路上にあふれ、大きな混乱を招き都市機能が麻痺したことは、私たち都民に大きな教訓を残しました。
 あの日はちょうど昨年の第一回定例会の最終日でありましたが、私はまさにその第一回定例会の予算特別委員会で帰宅困難者の問題を取り上げまして、国や関係自治体、事業者が一丸となった取り組みが必要であると訴えました。都も協議機関の設置に向けて取り組むと答弁をいただきました。そのやさきの震災だったわけであります。
 帰宅困難者の問題は、まさに都市機能の脆弱性の象徴でありまして、官民挙げて取り組まなければならない課題であります。我が党はこれまで、帰宅困難者対策の再構築により、実効性のある対策を速やかに推進することを求めました。都はこれにこたえて、先ほど申し上げた質疑を踏まえまして、国と民間事業者を含めた協議会を設置いたしまして、精力的な協議を進めていただいております。先般、中間報告がまとまったとのことであります。
 そして、こうした協議会での議論を踏まえ、都は今定例会に帰宅困難者対策条例を提案されました。震災から一年が経過する時期に明確に対策を示していくというのは、まことに時宜を得た取り組みだと思います。そこで本日は、この条例の考え方や具体的な対策について質問させてもらいます。
 まず、都がこの時期に条例を制定する意義について、確認の意味も含めて、改めてお伺いいたします。

○村松総合防災部長 都は国とともに、昨年九月に、近隣自治体や経済団体等を構成員といたします帰宅困難者等対策協議会を発足させ、十一月には一斉帰宅抑制の基本方針を、また、この三月には中間報告を取りまとめるなど、精力的に議論を重ねてまいりました。
 東日本大震災の発災から一年を迎える中、都民の関心が高いこの機をとらえ、協議会での合意事項等を踏まえまして、まず都民、事業者、そして行政が取り組むべき基本的責務を明文化した条例を制定することといたしました。
 その上で、条例で規定いたしました内容を実施するための具体的手順や、必要となる行政の支援策等について、引き続き協議会で関係機関等と十分に議論し、その内容も踏まえ、都として実施計画を定めていくこととしております。

○中屋委員 帰宅困難者対策は、まさに待ったなしの課題であります。都民や事業者、そして行政がそれぞれの役割分担のもと、できるところから対策に取りかかる必要があります。その意味で、今回新たな条例を制定して、都民や事業者の基本的責務をまず明らかにすることは、対策全体を進めていく上で非常に意義のあることだと考えております。
 では、具体的な対策の四つの柱について順に伺ってまいりたいと思います。
 一つ目の柱は、一斉帰宅の抑制です。駅周辺に人が殺到し、道路にあふれるのを抑止しないと、都内は大混乱になるばかりか、建物や道路の損傷もある中、けが人が多く生じますし、救出、救護の妨げとなります。何よりもまず、むやみに移動を開始しないことを企業の従業員に徹底していく必要があります。
 また、東日本大震災の当日、一部の駅であったような利用者の締め出しが二度と起きないように、鉄道事業者等に利用者保護を徹底してもらわなければなりません。
 そこで、都は一斉帰宅の抑制の取り組みを、条例制定を契機にどのように進めていくのか、伺います。

○村松総合防災部長 国が実施した調査では、東日本大震災での混乱を経験したにもかかわらず、首都直下地震が発生した場合に約五割の人がすぐに帰宅すると回答しております。こうしたことから、一斉帰宅の抑制の徹底は、帰宅困難者による混乱と事故を防止するためにも極めて重要でございまして、条例案では、都民に発災時にむやみに移動をしないよう求めるとともに、事業者には従業員の施設内待機や、そのために必要な三日分の備蓄を求めております。
 こうした都民や事業者の取り組みを実効性あるものとするため、都は、国との協議会で議論を重ね、発災時から帰宅を開始するまでの間の企業における施設内待機の基本的手順や、用意すべき備蓄品等について中間報告として取りまとめたところでございます。
 今後、協議会でさらに議論を進め、都による一斉帰宅抑制の要請や施設内待機の手順の具体化を図るとともに、時差帰宅等の帰宅ルールについても検討し、その結果をガイドラインとして取りまとめ、事業者に働きかけてまいります。また、一斉帰宅抑制の広域的な広報など、首都圏の自治体と連携した取り組みを進めていくことで、実効性ある対策を推進してまいります。

○中屋委員 事業者と合意できた内容をまず条例に盛り込んで、協議会で引き続き議論をして、最終的にはガイドラインという形で徹底を図っていくということでよろしいんですね。
 企業の中に三日間とどまるというのは、想像してみると、水や食料、毛布などのほか、着がえ、寝る場所の確保などさまざまな課題が出てくると思います。具体的な手順も含めて、民間事業者の協力を得られるよう、引き続き精力的に議論をしていただきたいと思います。
 この一斉帰宅の抑制の徹底を図るために不可欠なのが、二つ目の柱、家族との安否確認です。
 家族の安全が確認できないと仕事に集中できなくなるのは当然です。東日本大震災では固定電話や携帯電話は、ふくそうなどにより大幅に利用が制限され、家族となかなか連絡がとれず困った経験を持つ方も多かったと思います。
 残念ながら、こうした事態に備えた災害用伝言サービスや災害用伝言ダイヤル一七一は、余り認知されていないようであります。都は、ポケットメモのようなものを作成して周知を図っておりますが、こういうものは実際に操作してみないと覚えられないもので、お年寄りの方にとってはハードルの高いことかもしれません。若い人、年配の方それぞれの実情に応じた多くの手段を用意して、大切な人との連絡を確実にできるよう、周知徹底に取り組まなければなりません。
 そこで、都は、都民一人一人が災害発生時の安否確認を確実にできるよう、どのような方策を講じていくのか、伺います。

○村松総合防災部長 条例案におきましては、災害発生時の安否確認を徹底するため、都民に対して、あらかじめ家族等との連絡手段を確保すること、また事業者に対しましては、従業員と家族と連絡手段を確保するよう周知することを求めております。
 都はこれまで、国との協議会においても通信事業者と議論を重ねておりまして、通信のふくそうの影響を受けにくい安否確認手段の確保や周知方策等について検討するとともに、去る二月三日にも、都内三カ所のターミナル駅で、災害用伝言板、ツイッター等、多様な手段を活用した安否確認訓練を実施いたしました。
 今後は、訓練での成果を検証するとともに、協議会でも検討を続けて、ふくそうに備え、災害用伝言ダイヤル一七一やツイッター等のSNSなど、それぞれの特性を踏まえた複数の安否確認手段の利用を九都県市と連携して広く周知するとともに、訓練等による体験、活用を通じた利用促進を検討してまいります。

○中屋委員 家族とのきずなを確認するということは、役所や会社で災害対応を担う方々にとっても、時として命の水や食料よりも大切なことであるということもあります。災害用伝言サービスはふだんは使えませんけれども、毎月一日と十五日には体験サービスが受けられます。習うよりなれよ、日常の中で家族とともに実際にやってみるという取り組みが広がるようしていただきたいと思います。
 対策の三番目の柱が、会社の中にとどまる従業員以外の人、つまり、買い物客や旅行者など、行き場を失って駅や集客施設に滞留する人々を受け入れるための一時滞在施設の確保であります。
 東日本大震災の際にも、都は区市町村などの協力を得て、多くの帰宅困難者を受け入れましたけれども、首都直下型地震では都内ではさらに多くの被害が想定されるため、一時滞在施設の確保を急がなければなりません。
 さきの本会議で都は、都庁舎を初めとした施設をみずから一時滞在施設として指定するとともに、国や区市町村、民間事業者にも協力を求めていくとしております。しかしながら、民間事業者にとってみれば、社会的責任を果たしたいという思いはあっても、費用負担や事故が起きた場合の責任の所在などがはっきりしないと協力できないとか、そもそも協力する余裕がないといった状況も考えられます。
 都は、こうした民間事業者の状況を踏まえつつ、どのようにして一時滞在施設の確保に取り組んでいくのか伺います。

○村松総合防災部長 都はこれまで、協議会におきまして、一時滞在施設の確保に向けて経済団体等と議論を重ね、官民の役割分担の基本的考え方、備蓄など一時滞在施設として求められる要件、開設や運営に当たっての基本的な手順等を中間報告に盛り込みました。
 こうした基本的考え方に基づきまして、まず都は率先して、都庁舎や都立学校などの都立施設や、監理団体が運営します都関連施設を一時滞在施設として幅広く指定し、必要な物資の備蓄や安否確認のための災害時公衆電話の設置など、必要な体制を整備してまいります。
 また、民間施設を一時滞在施設として確保するに当たりまして、協議会での議論をさらに進め、事故が発生した場合の責任の所在の明確化など、一時滞在施設の運営に係る具体的課題を整理した上でガイドラインを策定するとともに、行政に求められる支援策について検討してまいります。

○中屋委員 多数の帰宅困難者を受け入れるためには、大規模な施設を確保することも重要ですけれども、オフィスビルのエントランス部分の開放など、多くのビルで少しずつ受け入れてもらうことも必要であると思います。せっかく協議会で議論をしているわけですから、ぜひとも業界挙げた協力が得られるよう、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 こうした取り組みは企業にとってはかなりの負担であろうと思います。一斉帰宅抑制のための備蓄は自助の世界でありましょうが、周辺にいる帰宅困難者を一時的に保護するとか、一時滞在施設として協力するなどの共助については、無償の善意だけでは進まないと思います。経営基盤の弱い中小企業に対して、こうしたさまざまな取り組みを進めてもらうためには、具体的な支援策を早急に講じていく必要があると思います。
 都は、今後実施計画の策定にあわせて検討を進めるとのことでありますが、しっかりとした支援策を講じていただくよう要望しておきます。
 四つ目の柱は、こうして職場や一時滞在施設にとどまった帰宅困難者を、救助、救急活動が落ちついた後に帰宅させるための支援であります。
 さきに取りまとめられた中間報告の中では、帰宅困難者全員をバスやタクシーで自宅付近まで搬送した場合、実に六日間もかかるとのシミュレーション結果が示されております。現実的にはかなり難しい話でありまして、やはり特別な対応が必要な方に限った実施が現実的であると思います。歩ける人は歩いて帰る。そのために適切なサポートが必要となります。
 都はこれまでも、都内の地場のガソリンスタンド、コンビニなどのチェーン店などの協力をいただきまして、災害時の帰宅支援ステーションを設けてまいりました。こうした取り組みを一層強力に進めて、安心して歩いて帰れる体制をつくっていかなければならないと思います。
 そこで、都は、災害時帰宅支援ステーションの充実、代替輸送の確保に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、伺います。

○村松総合防災部長 職場や一時滞在施設にとどまった帰宅困難者の帰宅を支援するため、条例案では、飲料水やトイレ、災害関連情報を提供する災害時帰宅支援ステーションや、代替搬送手段の確保について規定しております。
 災害時帰宅支援ステーションにつきましては、都はこれまで、九都県市と連携し、事業者団体等との協定締結により拡充を進めてまいりましたが、主要道路沿いにおきましても店舗の少ない地域が見られることから、地域の実情に合わせた確保が課題となっております。
 そのため、今後、都として引き続き企業や事業者団体に働きかけるとともに、区市町村とも連携いたしまして、地域の企業を指定する取り組みを推進していくことで、災害時帰宅支援ステーションの拡充を図ってまいります。
 また、代替搬送手段につきましては、協議会でシミュレーションを実施いたしましたが、副委員長お話しのとおり、搬送に最大で六日を要することが明らかになりまして、搬送対象の絞り込みの必要性が課題となっております。
 今後、協議会で議論を続け、搬送対象者を初め搬送拠点や搬送ルートの設定、またその誘導方策、関係者の役割分担等について検討してまいります。

○中屋委員 今、代替輸送による搬送などの話がありましたけれども、例えば各企業においても、従業員の方をどうやって帰すのか。一人一人の居住地、帰る方面などを踏まえた具体的な検討が必要であると思います。こうした個々の企業での対策が進むよう、取り組んでいただきたいと思います。
 帰宅困難者の課題は、三月十一日の経験、先月の大規模な訓練、そして、今回の都の条例制定などによりまして、社会的な関心が高まっており、事業者の備蓄の取り組みも進み始めております。今まで伺ってきた多岐にわたる課題について、都民や事業者の取り組みを促すためには、さまざまな関係者とも連携して対策を進めていく必要があり、都の条例は、まさにその先導役としての役割が期待されております。首都直下型地震の切迫性が指摘されておりますが、先週も千葉で震度五強の地震がありました。まさにいつ来てもおかしくない地震への備えを急がなければなりません。
 そこで最後に、帰宅困難者対策の推進のために、社会全体を巻き込んで全力で取り組んでもらいます総務局長の決意をお伺いしたいと思います。

○笠井総務局長 昨年の東日本大震災の当日、都内はご案内のように、日付が変わっても帰宅困難者で大混乱をしておりました。こうした混乱を二度と繰り返さないように、帰宅困難者対策は社会全体で取り組む喫緊の課題であるというふうに認識をしております。
 このため、東京都は都民の関心が高いこの機をとらえ、都民や事業者、そして行政の基本的責務を明確にし、帰宅困難者対策を総合的に推進する条例を、国や他の自治体に先駆けて本定例会に提案したわけでございます。
 今後の対策の推進に当たりましては、国との協議会で関係機関と十分に議論を進め、取り組みの具体化を図るとともに、九都県市を初めといたしました首都圏の自治体とも連携いたしまして、広域的な取り組みを展開してまいりたいと思っております。
 そして、何よりも大切なのが自助、共助ということでございまして、都民の方々には、むやみに移動を開始しないという鉄則に基づいた行動を、また事業者の方々には、周辺の帰宅困難者を受け入れる取り組みにご協力いただく。そして、都はこうした取り組みを先頭に立って全力でサポートしてまいりたいと思います。
 帰宅困難者対策を機を逸することなく推し進めることで、発災時における都民の方々の安全確保と、首都東京の機能維持に万全を期してまいりたいと思っております。

○中屋委員 発災時に、それぞれがみずからの責任を果たしつつお互いに助け合う帰宅困難者対策は、人と人とのつながりが希薄になった大都市東京における一つの新しい共助の形になり得るのではないかと、大いに期待をしております。力強い決意をいただきましたので、局長のもと一丸となって、ぜひ、首都東京の帰宅困難者対策を強力に推進していただくよう求めまして、私の質問を終わります。

○伊藤委員 では、私からも帰宅困難者対策、そして東京の防災対策の強化について質問をさせていただきます。
 三・一一東日本大震災から一年が経過をいたしました。被災地の一日も早い復興を心から願うのと同時に、あの日あのとき、三・一一のときに、震源地から離れた東京でも大きな混乱があったことが、きのうのことのように思い起こされます。
 当日は大きな揺れの中、多くの都民がまず脳裏に浮かんだことは、家族の安否だったことだと思います。本震の後にも余震による大きな揺れが続く中、最も身近な通信ツールである携帯電話やメールが使えませんでした。鉄道がとまっているにもかかわらず無理してでも帰ろうとする、約三百五十万人といわれた帰宅困難者を発生させた原因は、こうした安否確認ができない、情報が得られないということでありました。
 ただいまの中屋副委員長の話にもありましたけれども、こうした課題を踏まえて、都議会公明党は、これまで議会において重ねて、この情報通信手段の改善と確保を求めてまいりました。そして都は協議会の中で検討していくということでありますけれども、まずその検討状況について伺いたいと思います。

○村松総合防災部長 都は、帰宅困難者等対策協議会のもとに、電気通信事業者や放送事業者等が参加いたしましたワーキンググループを設置して、議論を重ねまして、通信のふくそう等に備えた複数の安否確認手段の確保や、周知の基本的考え等につきまして、中間報告に盛り込んだところでございます。
 今後、訓練成果の検証を踏まえ、協議会の最終報告に向けて、安否確認手段の具体的な周知方法や操作の習熟方策等について検討してまいります。

○伊藤委員 先日の二月三日には帰宅困難者対策訓練が行われました。私も東京駅の訓練を視察させていただいてまいりました。この訓練の結果が先日お配りいただきましたけれども、結果を見ると、訓練の中で実際に家族と安否確認に利用した手段を聞く設問では、やはり携帯電話とメールに頼った人が最も多く、ツイッター、またフェイスブック、ミクシィなどのSNS、ソーシャルネットワークサービスを活用した人は、二十歳代の若者の一二%、五十歳以上ではツイッターがわずか一%、その他のSNSの利用者はゼロでありました。
 また、今回の訓練を踏まえて、今後はどの安否確認手段を使用しようかと思うかという設問に対して、災害用伝言板と答えた方が最も多く、多世代にわたって活用に期待されているのが、この災害用伝言板や伝言ダイヤルであるということがわかりました。
 そこで、災害用伝言板や伝言ダイヤルについて、都はこれまでどのように都民に周知を図ってきたのか、伺いたいと思います。

○村松総合防災部長 都は、九都県市で連携しまして、通信事業者の協力も得て、災害用伝言板や災害用伝言ダイヤル等の利用方法を解説したポケット版のリーフレットを作成し、首都圏内の公共施設等で配布するなど、広く周知を図っているところでございます。
 また、災害用伝言板等の周知に向け、昨年十月に実施いたしました総合防災訓練におきましてリーフレットを配布するとともに、去る二月三日の帰宅困難者対策訓練では、参加者に実際に体験していただくなど、訓練の機会を活用した普及啓発を行っております。

○伊藤委員 ご答弁いただいたように、これまでに主にリーフレットの配布によって普及啓発を行ってきたと、また二月三日には体験もしていただいたということでありました。
 しかし、二月三日の訓練において、家族との安否確認の手段を事前に決めていたかという設問に対して、必要性は理解していたが決めていなかったという方が四九%いたと。また、今回の訓練を踏まえて、家族との安否確認手段を今後どのようにしようと思うかという設問に対して、訓練以前は決めていなかったが今後は決めようと思うと答えた人が四七%いたと。
 そういう数字の結果でありましたけれども、三・一一より一年がたちました。あの三月の十一日、多くの方々が、都民の方が、家族との安否確認を早く決めなくてはいけないというふうに思ったはずであります。しかしながら、今回のこの訓練に参加したという、意識の高い人であってさえ、約半数の人がいまだに決めていない、対策を講じていないということがわかったわけであります。大規模災害の切迫性が高まる中、今できることは何でもやっていくということが大事であると私は思います。
 私の周りにも聞いてみました。災害用伝言板や伝言ダイヤルを練習しておかなければと思いつつ、まだやっていないという人や、一度やってみたが難しくて途中であきらめたという人が多くおりました。なぜ途中でやめたか、なぜやってないか。それには理由があるわけであります。
 やってみた方はわかると思いますけれども、意外と簡単ではありません。操作が難しい、あるいは、家族の意識の統一を図る、家族でみんなで一緒に一斉にやるということは、そう簡単なことではないということであります。
 ちなみに、大変に失礼ですけど、この場でも伺わせていただいてよろしいでしょうか。もう既にそれぞれのご家庭で、何らかのこの伝言板、ダイヤルも練習して使いこなしているという方はいらっしゃいますでしょうか。--さすが意識の高い総務局、局長も手を挙げていただきましてありがとうございます。
 災害用伝言板と伝言ダイヤルの違いがまずわからないということからやってないという人もいました。それから、伝言板にはメールと音声があって、伝言を送る相手の電話番号をあらかじめ登録しておかなければならない。そのやり方がわからないからやってないという人もいました。
 伝言ダイヤルは、一般電話の電話機を使うんじゃなくて、電話番号を基地局として登録をしたり再生をしたりしますけれども、その電話機回線がダイヤル回線なのか、プッシュ回線なのかによって、途中の操作方法が違うわけでありまして、自分の基地局とするこの電話がどっちの回線かがよくわからなくて、そのまんまやってないと、こういう人たちもおりました。また、練習日は一日と十五日ということでありましたけれども、今度一日が来たらやろうねって家族でいってたんだけど、気がついたら二日になってたとか、一日、十五日を逃してしまう、こういう方もいらっしゃいました。
 つまり、通信環境や家族構成によって、ご家庭に適した安否確認の伝言方法があるわけでありまして、事前に練習や体験をして習熟をしておかなければ、いざというときにあの三・一一の教訓は私は生かせない、このように思うものであります。
 そこで、今後は多くの世代に活用が期待される災害用伝言板や伝言ダイヤルを、一人でも多くの都民がどこにいても使いこなせるように、例えば毎月、都民家族安否確認の日というものを定めるなどして、都はこれまで以上に積極的に都民に呼びかけて、繰り返し練習、体験する取り組みを推進すべきと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○村松総合防災部長 むやみに移動しないという基本原則のもと、一斉帰宅を抑制するためには、家族の安否の確認が重要でございまして、災害時のふくそうに強い安否確認手段の認知度向上とともに、操作の習熟を促す必要がございます。
 去る二月三日の訓練では、災害用伝言板を初め、ツイッター等ソーシャルネットワークサービスを活用した家族との連絡訓練を実施いたしましたが、災害用伝言サービスの認知度や習熟度の向上の必要性が改めて明らかとなりました。
 このため都は、国との協議会におきまして、通信事業者団体とも十分に連携し、災害用伝言サービス等の周知方法や、通信事業者が毎月一日と十五日に提供しております体験サービス等を活用した習熟方策について、今後具体的検討を進めてまいります。

○伊藤委員 先ほども申し上げたとおり、今できることは私はしっかりと今やっておくべきだ、このように思います。やるやらないは都民お一人お一人の自由でありますけれども、ただ、今先ほど申し上げたように、やらない理由、これをしっかりと把握した上で、都民をしっかりサポートしていく、これが私は広域行政の都の役割だというふうに思いますので、ぜひ具体的に、一刻も早く対策をお願いしたいというふうに思います。
 次に、帰宅困難者対策への情報提供手段の確保について、質問をさせていただきます。
 情報は迅速性、正確性とともに、複数の手段を用いて、多重的に情報提供を行うことが重要であります。
 三・一一の日に、私は、列をなして家路を急ぐ多くの帰宅困難者の中に、ラジオ放送をイヤホンをはめて流れてくる情報を自分が聞きながら周囲の人に伝えている光景を目にいたしました。つまり、移動しながらでも情報を聞き続けることができることが大事だと、改めてラジオの有効性を実感した次第であります。
 そこで、提案でありますけれども、東京都の報告団体であるFMラジオ局、J-WAVEなどと連携して、日ごろから都の防災情報のほか、先ほども提案させていただいた都民家族安否確認の日の呼びかけだとか、あるいは伝言板や伝言ダイヤルを体験してみましょうという、こういう呼びかけが、こういうラジオを通じて日ごろからできるように、早急に連携を強化していくべきというふうに思いますが、見解を伺いたいと思います。

○村松総合防災部長 ラジオは、災害時に停電した場合におきましても、乾電池の利用によって受信が可能になるという利点がございます。災害発生時の情報提供手段としては有効と考えております。
 お話のJ-WAVEを初めとしたラジオ放送機関は、日ごろから防災関係の情報提供や報道を行うとともに、指定地方公共機関として都の災害対策本部と連携し、災害時における広報活動や、被害状況等の速報を行う役割を担っております。
 今後とも、ラジオ放送機関と連携を図り、災害時等の迅速、的確な情報提供に努めてまいります。

○伊藤委員 ぜひともラジオを有効活用できるように、都は、この協議会等もまた通じながら、事業者に対して、だれでも今身近なツールとして持っている携帯電話、この機能の中にFMラジオを受信できる機能を付加できるように、また議論のテーブルにも上げてほしいし、働きかけていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 災害時の要援護者対策についてでありますけれども、災害時要援護者の対策については、これまで区市町村の役割とされてきました。しかし、三・一一でも実際にあったように、障害がある人は地元の区市だけにとどまっているわけでなく、社会参加が進む中、広域で活動されておられます。いつどこで襲ってくるかわからない災害に備えて、広域行政を行う都が、帰宅困難者の中に支援を必要としている人がいることを忘れてはなりません。
 都議会公明党は、これまでも繰り返し、こうした方々が助けを求めたいときに周囲が支援の手を差し伸べやすいよう、ヘルプカードの取り組みを推進するよう、そして、さきの予算特別委員会では、帰宅困難者対策実施計画の中に反映すべきと求めてまいりました。
 そこで、現時点での災害時要援護者への対応について、都の見解を伺いたいと思います。

○村松総合防災部長 災害発生時に、高齢者や障害者等の災害時要援護者は、情報提供や避難誘導に当たり、きめ細かな対応が必要でございまして、一時滞在施設への誘導、受け入れを初め、自宅への搬送に当たっても特に配慮することが求められております。
 こうしたことから、都は国との協議会で議論を重ね、一時滞在施設への優先的な受け入れや、帰宅困難者の搬送シミュレーションに基づいた優先的搬送の検討などについて、中間報告に盛り込んだところでございます。
 今後、協議会におきましてさらに議論を深め、一時滞在施設への誘導や、施設内での対応方法等についても、ガイドラインとして取りまとめるとともに、代替輸送の具体的な内容につきまして検討を進めてまいります。

○伊藤委員 ぜひとも災害時要援護者が、こうした大災害が発生したときに、準備不足によって被害に遭うということがないように、対策をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 地域防災計画の修正、また帰宅困難者対策など、着々と災害に対する備えが進んでおります。
 最後に、忘れてはならないもう一つの視点として、東京都島しょ地域の問題であります。
 危惧される東海、東南海、南海地震の三連動の地震が発生すれば、伊豆諸島あるいは小笠原諸島は大きな影響を受けることは容易に想像できます。加えて、三連動地震と、もし首都直下地震が同時に発生をすれば、都としてもその対応が島しょ地域まで及べるのかどうかが心配であります。
 そこで、地域防災計画の修正に当たっては、島しょも含めて、最悪のシナリオを想定した計画を立てて対策を講じておくべきというふうに思いますが、所見を伺いたいと思います。

○箕輪企画調整担当部長 島しょ地域における防災対策の構築に当たりましては、東日本大震災の教訓を踏まえまして、東海、東南海、南海連動地震なども視野に入れて、施設整備によるハード対策と避難誘導、物資備蓄などのソフト対策を組み合わせた防災力の向上が重要でございます。
 現在、国の中央防災会議では、南海トラフの巨大地震に関する検討を行っており、また、東京都防災会議地震部会では、学識経験者が最新の科学的知見に基づき、元禄関東地震を対象として、島しょ地域を含めた津波に関する被害想定の見直しを行っております。
 これらの結果を踏まえながら、東京都防災会議のもとに設置した検討部会において、ソフト、ハード両面から島しょ地域の防災対策について検討し、その内容を地域防災計画の修正に反映してまいります。

○伊藤委員 本日は、帰宅困難者対策を初め、防災対策の強化について質問させていただきました。今後、実施計画の策定、あるいは各方面にわたってのガイドラインの作成、そして地域防災計画の修正と、総務局、やることがたくさんだというふうに思いますけれども、着実に東京都の防災力の強化が図られますように、かなめである局長を中心に総務局頑張っていただきたいとエールを送りまして、質問を終わります。

○吉田(信)委員 それでは私からも、防災対策を中心に質問をさせていただきます。
 私は、第一に津波対策について、二つ目に初期消火体制について、三つ目に、今、議論がありました帰宅困難者対策について、お伺いを進めていきたいと思います。
 まず初めに、津波対策の基本方針について伺いたいというふうに思います。
 ご承知のとおり、津波対策は、国が昨年防災基本計画を見直した中で、最大の見直し事項ということになりました。そして、従来は地震災害対策の中の一部だった津波対策を、津波編として独立をするということとなりました。
 そこでまず、基本点について確認をする意味でお伺いいたしますが、国の防災基本計画と都道府県の地域防災計画、防災事業の関係は、どのように防災対策基本法で定められているのか、ご答弁をお願いいたします。

○箕輪企画調整担当部長 災害対策基本法第三十四条により、国の中央防災会議は防災基本計画を作成することとされております。また、同法第四十条により、都道府県防災会議は、防災基本計画に基づきまして、都道府県地域防災計画を作成することとされております。

○吉田(信)委員 基本点は、国の防災計画に基づいて、都道府県が地域防災計画を策定するということですね。しかし、都の津波対策を見ると、国のこの防災基本計画に沿ったものなのかという点で疑問があります。
 具体的にお伺いしますけれども、予算特別委員会で、我が党が津波の想定をどのように検討しているのかという質問に対して、局長は、記録に残っている都内で最も大きな津波として元禄関東地震、それを対象としているんだと、これが最新の科学的知見であるという旨のご答弁がありました。
 今紹介した国の防災基本計画はどのように書いてあるかといえば、ご承知と思いますけれども、あらゆる可能性を考慮し、最大クラスの津波を想定するということ、そのためにできるだけ過去にさかのぼって調査をするということを示しています。
 しかし現時点で、文献的記録では元禄関東地震かもしれませんけれども、それ以上過去に、より大きな津波被害をもたらした可能性というのは、私は否定できないと思います。それを調査することが求められているというふうに私は思いますけれども、そうした調査の必要性がないというふうにもし認識しているというならば、どういう根拠でそういう判断に至ったのかということについて、納得あるご答弁をお願いいたします。

○箕輪企画調整担当部長 東京都防災会議地震部会におきまして、現在記録に残っている地震の中では、都内に最も大きな津波をもたらしたとされる元禄関東地震を対象として、学識経験者が最新の科学的知見に基づき、津波の被害想定の見直しを行っているところでございます。

○吉田(信)委員 再度お伺いしますけれども、この元禄関東地震以前に、よりさらに大きな津波被害をもたらしたということはあり得ないという認識だということですか。

○箕輪企画調整担当部長 地震部会におきまして、東京湾における過去の津波の記録も踏まえまして、現在記録に残っている地震の中では、都内に最も大きな津波をもたらしたとされる元禄関東地震、これを対象として、学識経験者が最新の科学的知見に基づき、津波の被害想定の見直しを行っているところでございます。

○吉田(信)委員 今のご答弁では、これ以上過去に最大の津波があったということを、私は否定できないと思うんですよ。
 しかも、例えば神奈川県の津波浸水想定検討部会の部会長を務められております早稲田大学の柴山先生は、著書の中で次のように述べています。元禄関東地震を最悪の津波のイメージと考えていたのですが、それをシミュレーションモデルで再現しても、鎌倉の大仏まで津波は到達しません。ところが、明応東海地震津波の折には大仏まで津波が来たという古文書の記録が、鎌倉大日記の記述などに残されていると。そして、次のように述べています。東京湾についてはこれまで、湾外から来襲する津波として元禄関東地震津波、湾内で起きる津波として東京湾北部地震を想定したのです。これからは、湾外から来襲する津波に明応型東海地震津波と慶長型地震津波を加え、さらに湾内で発生する津波として三浦半島断層群と房総半島鴨川断層群地震の連動した場合を加えようとしていますというふうな論文を発表されているんですね。
 科学的知見というふうにいいますけれども、こうした点も含めて、私は大いに留意をして取り組んでいくことが、東京都に今求められているんだということを指摘しておきたいというふうに思います。
 しかも、防災基本計画は津波の想定に当たって、具体的に次のように書いてあります。古文書等の資料の分析、津波堆積物調査を挙げて、できるだけ過去にさかのぼって調査をすることと。それもしないで、既存の今確認できる記録だけで想定するというのは、私は防災基本計画にも反するものだというふうにいわざるを得ないと思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、古文書について再分析をすること、あるいは、津波堆積物の調査、そのためのボーリングの実施、これは既に行われたんですか。あるいは計画はあるんですか。ご答弁をお願いいたします。

○箕輪企画調整担当部長 地震部会におきましては、現在記録に残っている地震の中で、都内に最も大きな津波をもたらしましたとされる元禄関東地震を対象として、学識経験者が最新の科学的知見に基づき、津波の被害想定の見直しを行っているところでございます。
 学識経験者の科学的知見の中には、これまでの歴史地震に関する専門家が行った調査結果なども、当然含まれておりまして、こうした学識経験者において、津波の被害想定の見直しを行っているところでございます。

○吉田(信)委員 国の津波災害編の記述は、過去の話じゃないんですよね。これからの想定に当たって、古文書等の資料の分析、そして津波堆積物の調査ということを提起して、そして、できるだけ過去にさかのぼって正確に調査するものとするというふうに書いてあるわけですよ。
 改めてお伺いしますが、もちろんそれは、専門家の方々の見解に基づいて東京都もご答弁されているとは思うんですが、事実として、津波堆積物調査、そのためのボーリングというのは、東京都でなくても委託機関であっても専門家であっても結構なんですが、東京の中で行われたんでしょうか。

○箕輪企画調整担当部長 都が設置した地震部会におきましては、東日本大震災を踏まえた被害想定の再検証におきまして、従来の地震被害に加えまして津波による被害の想定を行うこととしまして、記録に残っている地震の中では都内に最も大きな津波をもたらしたとされる一七〇三年の元禄関東地震、これを津波の想定地震として選定したところでございます。
 同部会には、我が国の地震、津波の第一人者を招聘いたしまして、歴史地震に関する記録や津波堆積物に関する研究成果も含めまして、現在の地震学の最新の知見に基づき、被害想定の検証を進めているところでございます。

○吉田(信)委員 どういう専門家が集まっているかということを私は聞いたわけではなくて、また、国の防災基本計画の津波編も具体的に指摘をしているわけですよね、堆積物調査と。具体的にはボーリング調査がこれに当たると思うんですが、されてないわけですよね。東京都としてボーリング調査は。もう一度そこをちょっとご答弁をお願いいたします。

○箕輪企画調整担当部長 繰り返しになりますが、都が設置した地震部会では、東日本大震災を踏まえた被害想定の再検証におきまして、従来の地震被害に加えまして津波による被害の想定を行うこととして、記録に残っている地震の中で都内に最も大きな津波をもたらしたとされる元禄関東地震を津波の想定地震として選定いたしました。
 同部会には、我が国の地震、津波の第一人者を招聘し、歴史地震に関する記録や津波堆積物に関する研究成果も含め、現在の地震学の最新の知見に基づき、被害想定の検証を進めているところでございます。

○吉田(信)委員 私があえてこのことを強調したのは、千葉県にしても神奈川県にしても、新たにボーリング調査を始めたり始めようとしているということなんですよ。
 例えば、千葉県では既に元禄関東地震に基づく予測は過去に行ったんですよね。その行った上に立って、さらに新たにボーリング調査を、たしか二十数カ所だと思いますけれども、行って、その解析を行ってそれをより想定に反映させるという努力を現実にしているんですよ、今現在。さらに神奈川県の予算案を見させていただきましたら、来年度の予算の中でボーリング調査を実施すると、そういう努力をしているわけです。
 したがって当然、科学的知見というからには、その裏づけであるこういう調査をすることが私は当然のことであり、しかも、それが国の防災基本計画の中でも明記をされているんだということを重ねて指摘しておきたいというふうに思います。
 さらに、対策の前提としてお伺いしたいのは、津波予測図あるいは浸水予測図の策定の問題です。
 都が津波対策を検討する上でも、また区と共通認識のもとに総合的な対策をとる上でも、情報を共有するということは前提だと思います。その点で、津波予測図の策定、検討は非常に重要ではないかなと私は思います。しかも、ご承知のとおり、津波は東京一律の高さではありません。地形、海岸線の構造物によって違う形で影響を及ぼします。そのためにも、シミュレーションによる予測図の策定が必要不可欠だというふうに思いますが、この点どのように考え、行われているんでしょうか。

○箕輪企画調整担当部長 東京湾内におきまして、地形などにより津波の影響が異なってくるというのは当然のことと考えております。
 地震部会におきましては、現在被害想定の見直しの中で、最新の地形データに基づきまして、津波に関する精緻な検証を行っているところでございます。四月に公表を予定してございます。

○吉田(信)委員 四月に公表を予定しているというお話なんですが、被害想定一般ではなくて、津波予測図あるいは浸水予測図、そういうものを四月に公表するというふうに認識してよろしいんですか。

○箕輪企画調整担当部長 津波による被害想定、この内容につきましては、地震部会におきまして現在検討しているところでございます。

○吉田(信)委員 いや、ちょっとよく理解できなかったんですが、津波予測図ないし浸水予測図といわれるものを発表するんですかというのが私の質問なんですが。四月に公表するという中身として。

○箕輪企画調整担当部長 津波による被害想定、これにつきましてでございますが、どういった発表の内容となるかということも含めて現在検討中でございます。

○吉田(信)委員 もちろん、中身がどうなるかということは専門家の分析の結果だと思うんですが、私はやっぱり、津波予測図あるいは浸水予測図というものを出すのは行政の責任だと思うんですよね。その内容がどうなるかというのは、もちろん専門的な研究にゆだねざるを得ないと思います。
 はっきりとしたご答弁ではありませんでしたけれども、例えば昨年末に成立した津波防災地域づくりに関する法律では、第八条で、都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、津波浸水想定(津波があった場合に想定される浸水の区域及び水深をいう。)を設定するものというふうに定めていますよね。こうしたことから見ても、当然、予測図ないし浸水予想図というものは準備される必要があると思いますし、この点でも、既に千葉県あるいは神奈川県では、中途段階も含めて明らかにしながら準備が進められているということに目を向けていく必要があると思います。
 いずれにしても、東日本大震災を経験して、都民の生命、身体、財産を守る責任を果たすためには、想定が不十分だった、あるいは想定外だったということはあってはならないというふうに思います。しかも、国の防災基本計画もそうした精神で、あらゆる過去にさかのぼって最善の想定を行うということを呼びかけていることを、真摯に受けとめて具体化していただきたいということを述べて、次の事項に移ります。
 次に、地域防災力、とりわけ初期消火に関して質問したいというふうに思います。
 都の防災対応指針では、施策の第一に、地域の連帯の再生による防災隣組の構築を掲げました。来年度予算案ではわずかに四千四百万円余と。どんな事業をするのかといえば、認定とモデル地区の設定、専門家の派遣によるアドバイスというふうに聞いております。
 もちろん、専門家を派遣して地域ごとに防災上の課題や弱点を早く点検し、そして、その対応を共通認識に進めていくということは、大事なことだというふうに思います。そうしたこととあわせて私は、大事なことは、やはりいざというときに初期消火を進めるための消防水利あるいは機材等が、各地域地域ごとに、自主防災組織ごとに整備、配備されているのかどうかということも大事な視点だと思います。
 それで、きょうも資料を用意していただきましたけれども、こうした初期消火等のための水利あるいはスタンドパイプ、軽可搬ポンプ等の機材の確保、配備状況についてご説明をお願いいたします。

○箕輪企画調整担当部長 防火水槽等の消防水利につきましては、平成二十三年四月現在、都内に二万一千九百八十基でございます。それから、平成二十三年四月現在で、可搬消防ポンプの配備台数につきましては、三千三百七十一台でございます。スタンドパイプの配備状況については把握してございません。

○吉田(信)委員 資料を出していただきましたけれども、都内の自主防災組織の数は、区部そして市町村合わせて七千六十四団体ですね。可搬ポンプで見れば、配備台数が三千三百七十一台。平均すると二団体に一台程度ということになりますが、配備されてない団体が四千五百十団体あるというふうに聞いております。
 やはり、広域的に、しかも地震の場合には同時災害が発生する可能性が極めて高いわけですね。発災直後に、消防署あるいは消防団による即応的な消火活動ということは、同時多発災害の場合には期待できないという事態が起こり得るということを見ておく必要があると思います。それだけに私はやはり、自主防災組織による初期消火活動の備えというのは、非常に重要な課題だと思います。
 最近、荒川区を訪問して話を聞いたんですけれども、荒川区内では、火災発生箇所が地震想定の中で三十八カ所というふうに想定しているんだそうです。三十八カ所になると、管内の尾久、荒川両消防署からの消防台数の数では到底対応できないと。さらに、管内の消防団の分団数でいっても、たしか十数分団だと思いますが、これでも全分団が手分けしても対応することができないと。そのために、荒川区の場合には、D級可搬ポンプをすべての町会、自主防災組織に配備をするという取り組みをしていると。あるいはもっと経費もかからず、即応性の高い点では、赤いバケツをたしか万という単位で配って、それを家の軒先に置いておくこと自身が意識を高めると。あるいはすぐそのバケツを投げるだけで消火に役立つという意味で取り組んでいるというふうに聞きました。
 しかし、今資料も示していただいてご答弁もありましたけれども、この自主防災組織当たり一台に達してないと。配備されてないと。全く持ってない組織が約四千五百団体、全体の六四%が、もちろん可搬ポンプさえあればいいというわけじゃありませんけれども、配備してないというのは、やはり現状として検討が必要ではないかというふうに私は思います。
 こうした現状をどのように認識しているのか。配備を促進すべきだと思いますし、そのために都として、財政を含めて何らかの対策が求められていると思うんですが、いかがでしょうか。

○箕輪企画調整担当部長 自主防災組織が活動するための環境整備として、防災活動資機材の配備につきましては、各区市町村が実情に応じてさまざまな支援を行っているものと認識しております。
 都は、東京都地域防災計画におきまして、区市町村に対し、自主防災組織の活動用資機材の充実等を働きかけることとされておりまして、今後とも、国の事業や各種団体が行っている助成事業の制度の活用を周知するなど、区市町村に対する働きかけを行ってまいります。

○吉田(信)委員 区市町村の事業ですけれども、現状から見ればアンバランスがあるのも明らかで、これでは震災のときの対策として大丈夫なのかということはやはり、広域自治体としても目を向けていく必要があると思います。
 今ご答弁の中で、東京都として活動用資機材の充実等働きかけるという旨のことが、地域防災計画に定められているというふうに述べられましたけれども、それだったらそれにふさわしい、都としてのやはり現状に即した対策ということをぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 他県の例で、市町村地震防災対策緊急推進事業というものを来年度予算で組んで、市町村がこうした防災力を強めるために自由に使える予算を特別枠として組むという県も見ることができました。都はもちろん、総合的な市町村総合交付金という制度がありますけれども、それを拡充することとあわせて、やはり防災対策を強めるための特別の手だてということも、私は検討課題としていいのではないかというふうに思います。
 さらに、この点で、消防団について一点質問させていただきます。
 総務省消防庁は、東日本大震災を踏まえた今後の消防防災体制のあり方に関する答申の中で、消防団について次のように述べています。団員の処遇や、長く減少傾向が続いている団員数の確保などについて検討を行い、地域コミュニティの核である消防団の充実強化を図っていく必要があると。そのために都としても必要な対策が求められているというふうに思います。この点で、二十三区消防団とともに、市町村の消防団への支援の強化が求められていると私は思います。
 幾つかの市の防災担当者に電話で実情や要望を聞く中で、驚いたことが一つあります。ある市、これは西武線沿線の市ですけれども、団員の防火服が、全団員分に支給できていないと。出動のときには、出動者は詰所に寄って、自分の体形に合ったサイズの防火服を選んで着て出かけるという説明でした。
 私はやっぱり、少なくとも全団員が防火服を、それぞれが確保しているのが当たり前ではないのかなというふうに思ったんですけれども、東京都市長会からも消防団に対する都の支援の要望が出されていると思いますが、こういう現状の認識と都としての対策についてお伺いしたいと思います。

○箕輪企画調整担当部長 多摩地域の消防団に関する事務は、消防組織法の規定により市町村が行うこととされており、市町村みずからが必要な資機材の配備を行っております。
 市町村ごとの資機材の配備状況につきましては、市町村がそれぞれの消防団、団員の活動状況を踏まえ、配備の必要性に応じて行っていると聞いております。
 防火服についてでございますが、通常、火災現場へ出動し消火活動に従事する団員分を配備しており、消火活動に従事しない警戒活動や広報等に従事する団員分は配備していないと聞いております。
 なお、都は広域行政の立場から、消防訓練所を設置し、団員の教育訓練を実施するとともに、すぐれた消防団及び消防団員に対する表彰の実施や、技能向上を目指した消防操法大会に対する補助など、消防団の人材育成に関するさまざまな支援を行っているところでございます。

○吉田(信)委員 消防庁にちょっと確認ができないまま、この質問に立っているんですけれども、私は二十三区の場合には全団員に防火服は支給されているんじゃないかなと思うんですけれども、何か全員でなくたっていいんだというような、今の答弁に聞こえたんですけれどもね、私はやっぱり、少なくとも、備品上のアンバランスも、区部と市町村とではあるのが現実なんですよね。例えば昨年、東京消防庁は、二十三区の消防団には全分団に簡易の空中線量の測定器を配布いたしましたが、多摩の市町村では多分配布されてないと思うんですよね。等々も含めて、現実に格差がある中で、少なくとも全分団が、やっぱり防火服は団員分そろえられるような支援ということはぜひ検討していただきたいということをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、帰宅困難者対策です。
 条例で提案されている帰宅困難者対策についてですけれども、条例で知事、事業者、都民の責務、努力義務ですけれども、定められているということは、私は必要なことだというふうに思います。しかし、問題はいかに実効性あるものにできるのか、するのか。そのために都としても具体的に何をするかが明確にされていく必要が大事だというふうに思います。そうした立場から、若干の質問をさせていただきます。
 それで、帰宅困難者対策について東京都にどのような要望がありますかということで、私どもなりに都下の区市町村に質問をいたしました。その回答の中で一番共通していたことは、広域自治体である都は一体どこまでやってくれるのか、どこまで責任を持つのか、その範囲を具体的、明確にしてほしいということが共通して出されていました。もちろんこれは今後の課題ですから、初めから全部明らかにするのは困難さがあるかもしれませんけれども、そういう立場から、個々の具体的な問題について若干質問いたします。
 例えば、一時滞在施設及び災害時帰宅支援ステーションの全体的な確保は、私はやはり広域自治体である東京都の責務だと思います。都全体でどの程度の利用者を見込み、何カ所なり、どれだけの面積なりの確保が必要というふうに考えているのか。また、そのために東京都としてはこれだけを確保するから、区市町村等ではどれだけを確保してほしいと考えているのか。その確保のために東京都はどんな支援をするのか。この点まずご答弁をお願いいたします。

○村松総合防災部長 一時滞在施設は、買い物客や行楽客等、災害発生時に行き場のない帰宅困難者を受け入れる施設であることから、受け入れ者数の算定に当たりましては、こうした帰宅困難者の動向を把握する必要がございます。
 現在、被害想定の見直し作業の中で、帰宅困難者数についても検証を行っておりまして、この結果も踏まえ、受け入れ者数の算定を行っていく予定でございます。また、一時滞在施設におきます飲料水や食料等の備蓄や運営手順等の基本的考え方につきましては、現在、帰宅困難者等対策協議会におきまして、事業者団体等と議論を進めておりまして、こうした議論を踏まえて、必要な支援策等についても検討し、今後実施計画に盛り込んでまいりたいと考えております。

○吉田(信)委員 この点で、一時滞在施設の確保のために、民間企業、民間施設や大学等に協力を求め協定を結ぶという努力がされています。
 ただ企業によっては、受け入れることはいいけれども、その後の責任がどこまで負わされるのかと。もちろん食事やトイレの確保、どれだけその責任を負うのかということから、どうしても積極的になり切れない、協力を得ることができないケースがあるというふうに聞いています。確かに企業としたら、そういう点について不安を感ずるのは否定することはできないと思います。こうした問題を区市任せにすることも不適切だと思います。
 都として、この企業等の不安解消のために何らかの目安を示したりしていくことが必要ではないかというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。

○村松総合防災部長 帰宅困難者対策におきまして、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保は重要でございまして、行政だけではなく、広く民間事業者の協力を得る必要がございます。
 現在、さまざまな区市で民間事業者との協定締結に向けた取り組みが進められておりまして、こうした取り組みを加速させていく必要もございます。このため、一時滞在施設としての具体的運営手順や行政に求められる支援策等につきまして、国との協議会で引き続き検討を進め、その結果を実施計画に盛り込み明らかにすることで、民間事業者に理解と協力を求めていくこととしております。

○吉田(信)委員 さらに、備蓄についても、都は全体としてどの程度の備蓄の確保を必要と考えているのか、また都の責任でどれだけの備蓄を確保するのか、そして区市町村、事業者等の備蓄に都はどのように支援をするのか、ご答弁をお願いいたします。

○村松総合防災部長 一時滞在施設におきましては、その間の飲料水や食料等を備蓄しておく必要があると考えております。また、一時滞在施設の確保に当たりましては、都、区市町村、民間事業者がそれぞれの役割分担のもと、連携協力して取り組んでいく必要がございますことから、都は国との協議会におきまして、経済団体等と議論を重ね、中間報告において、備蓄など一時滞在施設として求められる要件や、開設、運営の基本的手順等を取りまとめたところでございます。
 今後、協議会におきまして、飲料水や食料等の備蓄のあり方、さらには必要となる都の支援策についても引き続き検討しまして、その結果を実施計画に盛り込んでいくとともに、都は率先して都立施設や都関連施設を一時滞在施設に指定し必要な備蓄を行っていくこととしております。

○吉田(信)委員 また、これは区からの要望というか質問だったんですけれども、次のようなことがありました。災害時の避難所となる小中学校が、帰宅困難者の一時滞在所に、ないしステーションになると。その結果、周辺からの災害避難者と帰宅困難者が混在する事態が予測されるが、どう対処したらよいか示してほしいという要望でした。この点どのように考えていられるのか、対応するのか、ご答弁をお願いいたします。

○村松総合防災部長 原則としまして、避難所は地域の住民の方々の避難者を受け入れる施設でございまして、また、一時滞在施設は、帰宅困難者の方々を受け入れる施設でございます。国との協議会におきます一時滞在施設の確保、運営等に関する基本的考え方の検討は、この原則に基づいて行いまして、中間報告として取りまとめたところでございます。
 今後、一時滞在施設や避難所への具体的な誘導方法や、避難所における避難住民と帰宅困難者が混在する場合の混乱防止につきまして、当然ながら区市町村とも十分に協議してまいります。

○吉田(信)委員 現実問題を考えれば、備蓄も含めて二重に対応することが求められるという点では、本当に事前によく準備し想定した対策ということが求められているというふうに思います。
 帰宅困難者対策で、私は非常に難しいといいますか、責任の重い問題についてお伺いしたいんですが、やはり広域行政としての都の役割で重要なことは、この帰宅抑制の指示、さらに、どの時点でこの帰宅抑制の解除を判断し示すのかということだと思いますし、しかも、その帰宅抑制の指示や、あるいは解除、帰っていいですよというか、どういうふうになるのかわかりませんが、それをどのように行政や事業者その他都民に伝達するのかと。その決定をどんなふうに、だれの責任で進めるのかというのは、非常に難しくかつ重い責任があるし、具体的に問われることだと思いますが、これはどのように今、検討されているのかということもお答えをお願いいたします。

○村松総合防災部長 発災時には、帰宅困難者は都内で広範にわたり発生することから、一斉帰宅抑制の必要性を判断し、都民や事業者に施設内待機を要請する役割は、広域的自治体である都が主体的に担うこととなります。
 都は、国との協議会におきまして、事業者団体等と議論を重ね、都から事業者に対する一斉帰宅抑制の要請など、施設内待機の基本的手順等を中間報告として取りまとめたところでございます。今後、協議会でさらに検討を続け、一斉帰宅抑制の要請の時期や手法等につきまして、ガイドラインとして取りまとめ、都民や事業者に周知してまいります。

○吉田(信)委員 解除のときには、東京都は何か指示を出すんですか。

○村松総合防災部長 解除の場合につきましては、どのような指示を出すかということについて、それらも含めまして現在検討をしているところでございます。

○吉田(信)委員 あと、先ほども災害時要援護者の問題が話題になっていましたが、私は、この条例案の第二条第三項に、災害時要援護者に対して特に配慮という言葉になっていますが、この特に配慮というのは具体的にどのようなものを指すのか。現在検討していることがあったら、ご説明をお願いいたします。

○村松総合防災部長 大規模災害発生時におきましては、高齢者や障害者等の災害時要援護者の安全確保や避難誘導等にきめ細かな対応が必要となります。
 都はこれまで、国との協議会におきまして議論を重ね、駅での利用者保護や一時滞在施設への受け入れ等に当たり、災害時要援護者に優先的な対応を図ることを中間報告に盛り込みました。今後、こうした対応の具体化や、わかりやすい情報提供のあり方、優先的な搬送等について協議を進めまして、その結果を実施計画に盛り込んでいくこととしております。

○吉田(信)委員 この帰宅困難者対策の最後に伺っておきたいことは、ある面でいえば最大の対策といってもいいんじゃないかと思うんですけれども、公共交通の確保と、もし災害が起きて一時的に使えなくなったとしても、早期に回復、復旧ができるということが、ある面でいえば、最大の対策とも位置づける必要があるのではないのかなというふうに思います。
 もちろん、鉄道施設の耐震化対策というのはこれまでも進められてきましたけれども、しかし、震度七ということが今、いわれている中で、それに耐え得る耐震化なのかということも、再度検討されるべきことだと思いますし、最近の東京都防災会議の地震部会の議事録を読んでいましたら、火災が鉄道に与える影響もシナリオで検討した方がいいのではないかと。駅施設や線路は耐震性があったとしても、東京の場合には住宅密集地の中を線路が通っていくという線路もあると思うんですね。
 周辺の火災、あるいは地震などによって使えなくなるというふうなことも、シナリオで検討した方がいいという趣旨だと思うんですが、そういう対策をどのように進めてきたのか、あるいは今後進めていこうとしているのか、ご答弁をお願いいたします。

○村松総合防災部長 鉄道事業者は、阪神・淡路大震災を受けまして施設の総点検を実施し、国の基準に基づき、高架橋などの耐震補強工事を実施してきているほか、震災による列車事故を防止するための安全対策を講じているところでございます。
 各鉄道事業者におきましては、今回の震災を踏まえ、駅部や高架橋等の耐震補強に取り組むなど、対策の強化が行われているところでございまして、また、都の防災都市づくり推進計画におきましては、鉄道の沿道の市街地も含めて、延焼遮断帯として位置づけ整備を図ることとしております。

○吉田(信)委員 以上で質問を終わりますけれども、ぜひ帰宅困難者対策では、実効性のある手だて、対策、そして広域自治体としての都が必要な役割を大いに果たすということを、改めて要望しておきたいと思いますし、津波対策について冒頭何点か質問させていただきましたけれども、ぜひ、国の防災基本計画が定めたあらゆる可能性を考慮し、最大クラスの津波を想定した対策をとるという点で、東京都が、私何点か指摘をさせていただきましたけれども、現在の記録に残っている元禄関東地震だけではなく、文献調査、さらにボーリング等をきちんと実施していただきたい。そして、津波の浸水予測についてきちんとしたシミュレーションを明らかにし、区市町村、都民と情報を共有することによって、ハード、ソフトの総合的な対策をとっていただきたいということを強く要望して、私の質問を終わります。

○吉倉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十九分休憩

   午後三時三十五分開議

○吉倉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○星委員 それでは、私も帰宅困難者対策条例について質問をさせていただきます。前の吉田理事の質問と重複するところがありますので、重複は避けさせていただきまして要望に、その部分はとどめさせていただきながら、また違ったところをお聞きしたいと思います。
 まず、条例の目的の中の部分の冒頭なんですけれども、大規模災害が発生したことに伴い、公共交通機関が運行を停止し、当分の間復旧の見通しがない場合というような記述をされております。ここのところの中の部分で、私もこの発令を指示する権限はだれなのかとか、解除するのはだれなのかとかいうような、やっぱり疑問を持っておりましたけれども、今お答えをいただいておりますので、それはわかりましたが、ただ、こういった非常事態に、まさに判断して号令をするというタイミングというのは、非常に難しいと思います。
 三・一一のときは情報がなくて、皆さん最寄り駅に行けば何らかの交通手段の情報が得られるということで、大勢の方が詰めかけたということがありまして、こういう感覚というのは極めて一般的なものだと思いますので、駅周辺の混乱というものを非常に招いたわけですので、この辺のところの部分もぜひ鉄道事業者や駅周辺の商店街などとも十分に協議をしていただいて、今後検討していっていただきたいというふうに思います。
 一斉に鉄道がストップして、本当に当分の間復旧の見通しがないということが明らかな場合と、少しずつ動き出す場合みたいなものもあると思うんですけれども、そういうことも含めて、いろいろなシミュレーションで今後検討していっていただきたいということを要望させていただきます。
 さらに、いわゆる要援護者の問題ですけれども、これも質問がかぶりましたので要望させていただきたいんですけれども、たまたま外出をしていた高齢者、障害者、外国人など、特に配慮しなければならない方、このほかにも妊産婦や、いわゆる病院などへ通院をしているなど、体調がすこぶる悪い方もいらっしゃると思います。公共施設や病院、都市施設など、建物内にとどまれる方もいらっしゃいますし、たまたま移動中というか、まちの中にいる場合もあると思いますので、そういう方に対して保護をして、そしてその帰宅抑制というところの中の部分で、一時滞在施設への誘導、さらにその方の状況に応じたサポートということもあると思いますので、今後協議会で詳しく、きめ細かく検討していただきたいということを要望させていただきます。
 質問ですが、都民は大規模災害発生時に、やはり情報というものをとても必要とすると思います。むやみに移動しないよう努めることというふうに条例でされていますけれども、都民にはどのような手段でそのことを伝えていくのか、まずお伺いをいたします。

○村松総合防災部長 災害時にむやみに移動しないことを初め、帰宅困難者に正確かつ迅速な情報を提供することは重要であることから、都は、国との協議会で通信事業者等と議論を重ね、帰宅困難者への情報提供の手順や役割分担の基本的考え方について、中間報告として取りまとめました。
 また、去る二月三日に実施した訓練におきましても、大型ビジョンやエリアメール、ツイッターなどさまざまな手段を使いまして、むやみに移動しないことを周知いたしました。
 今後、訓練の成果を検証した上で、多様な情報提供手段の活用方策等について、さらに協議会で検討してまいります。

○星委員 次に、この条例のある意味一つの目玉であります、事業者の責務の問題について質問いたします。
 働く人、ショッピングやレジャー、公共交通手段を使い都内を行き交っている人には、さまざまな方がおりますし一人一人事情も違います。一口に事業者の責務によるといっても、現代においては働き方がさまざまです。例えば派遣による出先で遭遇する。あるいは電話を置いているだけのような事務所で外回りが中心のような仕事もあります。事業者の責務として、大規模災害時に従業員を施設内に待機させ、そのための備蓄等に努めなければならないというふうにしておりますけれども、こうした--努力義務ですけれども、これを小零細の事業者も含めてどのように周知していくのか、お伺いをいたします。

○村松総合防災部長 帰宅困難者対策の推進に、条例で明文化した都民や事業者が取り組むべき基本的事項について広く周知し、理解と協力を求めていく必要がございます。
 このため、都は条例で規定した内容につきまして、ホームページやパンフレット、広報紙など、さまざまな媒体を活用し広く周知に努めるとともに、事業者団体等に対する説明の場を設けてまいります。さらに、九都県市等とも連携した首都圏における広域的な広報も実施することといたしております。

○星委員 今回の条例は、事業者への協力要請が大きな位置づけになっております。このことが深く浸透すると、帰宅困難者の問題もかなり改善をするというふうに思います。
 ただ、一口に事業者といっても、東京には大企業だけでなくて、聞くところによると六十万以上もの事業所というものが存在し、ごくごく小さな事務所で備蓄や滞在環境整備がかなわない事業所もあると思います。周知、理解を求め、小さな事業者側にも努力をしてもらうとともに、東京都も体制整備について相談や支援の輪をぜひ広げていくことを求めたいと思います。
 また、何よりも訓練というものは非常に大切であるというふうに考えます。中小企業の方、零細企業の方々が実効性のある訓練をまめにやること、そして参加できる仕組みというものが必要だというふうに思います。訓練によって、今までの事業所内でさまざまマニュアルとか、ルールとかあると思いますけれども、そういうものの不備も発見するということもあるというふうにいわれておりますので、ぜひこういった仕組みづくりも強化するよう、東京都としてもいろいろアドバイスをしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

○しのづか委員 それでは、私からも今定例会に提出されている東京都帰宅困難者対策条例について、何点かお伺いいたします。
 企業が多く集積するこの首都東京で大規模な地震が起き、帰宅困難者が大量に発生するということは、この東京にとって、三・一一東日本大震災の経験からも非常に大きな課題だと思います。私の地元、多摩、稲城もそうですが、多摩地域においては、平日昼間は夫婦ともに都心に通う共働き世帯も多い、そういう地域です。お父さん、お母さんがともに家に帰れなくなり、電話もつながらない中、子どもが一人で不安な夜を過ごすといったことにもなりかねません。一斉に帰宅せず企業内にとどまりましょうといわれても、子どもが心配で、どうしても家に帰りたいという人も出てくると思います。先ほどの皆さんの発言の中からもそういったことが想定されます。
 親にとって子どものことは何よりも心配で、子どもの安全をどうやって確保し、親との連絡をとるのか。私は、これが帰宅困難者対策を円滑に進めるためのかぎを握っていると考えます。こうした視点から質疑をいたします。
 まず、これは確認の意味も含めてなんですが、都は新たに条例を制定して帰宅困難者対策を総合的に進めるとしています。こうした前向きな姿勢は大いに評価できますが、共通認識を持つためにも、今回、都が帰宅困難者条例を制定する目的について、お伺いをいたします。

○村松総合防災部長 帰宅困難者対策は、首都直下地震の切迫性が指摘される中、都民、事業者がそれぞれの役割と責任を理解した上で、社会全体で取り組まなければならない課題と認識しております。
 このため、都民の関心が高いこの機をとらえ、まず帰宅困難者対策を総合的に規定した条例を制定いたしまして、企業における従業員の施設内待機やそのために必要な三日分の備蓄、駅等での利用者保護など、都民や事業者、そして行政が取り組むべき基本的事項を明らかにしたところでございます。

○しのづか委員 今、都民や事業者のとるべき基本的な内容を条例で明示するということで、社会全体での取り組みを促していくという答弁がありました。
 取り組みの詳細は今後、実施計画などでもっと明らかになるのでしょうが、例えば企業に備蓄をしてもらったり、家族で話し合ったりという取り組みは、条例制定という手法をうまく使って世の中にアピールすれば、今後広がっていくと思われます。したがって、新たに条例を制定することについては評価をしたいと思いますが、問題は、その実効性をいかにして担保するかということです。
 条例を見た場合に、比較的大づかみに物事を規定しているように感じられます。つまり、基本的な内容は定めているものの、例えば駅での利用者の保護は、具体的にはだれの負担で何をするのか、手順はどうかなどは、まだまだこれから調整をしていく状況かと思います。
 そこで、条例で規定した内容について、その実効性をどのようにして確保していくのか、お伺いをいたします。

○村松総合防災部長 条例で規定した内容を実施するための具体的な手順等について、国との帰宅困難者等対策協議会で事業者団体や関係機関等と十分に調整を行い、実施計画で定めてまいります。
 この実施計画には、従業者の施設内待機や利用者保護の具体的な手順、さらには事業者が帰宅困難者対策を実施するに当たり必要となる支援策などを盛り込んでまいります。
 また、首都圏の自治体と連携して広域的に取り組みを進めることにより、実効性ある帰宅困難者対策を推進してまいります。

○しのづか委員 条例で基本的事項を定め、実施計画で具体化するという、この二段階で進めていくということでした。
 物事は何でも一朝一夕には進みませんので、段階を踏んでいく、そういうことはそれはそれで理解をいたします。民間団体を入れた協議会で話し合いを進め、さまざまな行動ルールをつくるとのことですが、話し合いをしている今の段階では、このときは平時なので、なかなか調整、そして議論というものも進みづらい面もあるでしょう。
 ただ私は、帰宅困難者対策というのは、例えば首都直下地震といった大災害、ある意味有事の対応ですから、平時のように調整していくというのではなく、権限ある者の一元的な命令のもとで行えばいいのではないか、そのようにも思います。有事に大切なのは、責任の所在を明らかにした上で、できるだけシンプルなルールのもとで行動していくということだと思います。
 そこで、先ほども申し上げましたが、一例として、親の一斉帰宅を抑制するためのかぎを握る、子どもの安全をいかに確保するかということですが、例えば、保育園の場合は親が基本的に迎えに行きますから、親が迎えに行くまではきちんと保育所でその子どもの安全というものは確保されます。小学生の場合なんですが、平日の昼間に学校にいるときの地震ということであれば、これは保護者が迎えに来るまで学校が保護するというのを徹底すればいいと思います。あと夜中や休日であれば、家で家族といるから、これも大丈夫だと思います。
 問題は、例えば学校の登下校の途中ですとか、放課後の時間帯だと思うんです。
 私の地元の市役所などに確認したところ、放課後でも学校に子どもがいれば、夕方の五時半ぐらいまでは学校が責任を持って面倒を見ると、学校を離れていたらそれは保護者の責任であるということでした。これでは、親はどこに連絡をとったらいいのか。もしその時間帯に--東日本大震災も同じような時間帯でした。午後三時前後の時間帯で、そのときの対応でいえば、私の地元でいえば、まず学校から帰すということを徹底したということでした。
 でも、やはり私は震度六以上の地震が発生した場合には、子どもはとにかく一たん学校に集まるといった、わかりやすい統一的なルールを決めるべきだと思います。子どもは毎日学校に通っているわけですから、たとえ友達のうちにいようと、公園にいようと、そこからどういうルートを通れば自分の通っている学校につくかということを知っています。つまり、自分の家の次に親しい場所であると思います。それから多くの場合、学校は、一時的な避難所に指定をされています。仮に大きな被害があった場合には、学校が避難所としていずれ立ち上がるのですから、行動としては私は合理的だと思います。夕方や休日に親と一緒にいる場合に地震に遭っても、みんな一緒に学校に行って避難所の立ち上げや運営に協力すればいいと思うんです。
 今申し上げた具体例は、地域と学校にかかわることなので、民間事業者との協議会で話し合うルールとは少し内容が異なると思いますが、いずれにしても、非常時のためのルールをつくるために協議会で議論をし、都民や事業者に理解を求めていくことが大切だと思います。
 大規模災害発生時は、危機管理という観点から都の責任を明確にし、都民や事業者に統一的な行動を促していく必要があると私は考えますが、見解をお伺いいたします。

○村松総合防災部長 災害時に帰宅困難者は、区市町村、都県をまたがり広範にわたり発生することから、大規模災害発生時に、都は広域的自治体として、区市町村や事業者その他関係機関と連携して、帰宅困難者対策を総合的に推進していく役割を担っております。
 こうしたことから、都は、発災時に一斉帰宅抑制の必要性を判断し、広く都民や事業者に統一的に施設内待機を要請することとしております。

○しのづか委員 ぜひ、具体的なことはまだまだこれからでしょうけれども、私は東京都としてのリーダーシップを発揮していただきたい、そのように思います。
 そして、先ほどから申し上げている学校に集まるルールの件ですが、とにかく一たん学校に集まると。学校は子ども全員の安否を確認すると。親は学校に連絡すれば子どもの状況がわかる。そして学校が放課後も含めて、子どもの保護に責任を持つと。そういった、私はシンプルな原則、これが必要だと思っております。
 帰宅困難者対策を円滑に進めるためにも、登下校中に災害が発生した場合の安全確保についても、対象が子どもたちですから、児童や生徒にもわかりやすい統一的なルールを制定すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○村松総合防災部長 条例案では、子ども等の安否確認や安全確保につきまして、都民の責務としてあらかじめ家族との連絡手段の確保を求めておりまして、学校等に対しても、児童生徒等の安全確保のための必要な措置を講ずるよう求めております。
 登下校中に災害が発生した場合の児童生徒の安全確保でございますが、教育庁の学校危機管理マニュアルでは、大きな揺れがおさまったら、学校、自宅、避難所のいずれか一番近いところに避難するとされております。
 今後とも、教育庁を初め区市町村や学校の関係機関と連携し、子どもにもわかりやすいルールの検討など、児童生徒等の安全確保のために取り組んでまいります。

○しのづか委員 今のご答弁で、学校危機管理マニュアルの例がありました。学校、自宅、避難所のいずれか一番近いところとなっていると、そうするともう三通りあって、子どもに判断させるということはわかりにくいんです。もっと、だからわかりやすい、そこに集まる、親は学校に連絡すればきちんと安全確認がとれると、そういう方が私は、有事の対応としてはわかりやすいのではないかと思っております。地域のつながりという意味でも、小学校単位での活動というのは非常に私は意味があると考えております。
 この問題は、学校所管の教育庁や区市町村の教育委員会、それと防災セクションが連携をとらないとなかなか進まないと思います。その連携というのが私は非常に大事というか、逆に難しいということもあると思います。きちんとそのルールを一つのルールとして決めていくことが大事なんじゃないかなと思います。ぜひ総合防災部が積極的に関与して取り組んでいただくよう、強くこれは要望しておきます。
 いずれにしても、首都直下地震が発生したときには、大変な状況の中、企業も行政もさまざまな災害対応をしなければなりません。帰宅困難者の発生による混乱を減らすために、今回の条例にかけられる期待は私は大きいと思います。しっかりした実施計画をつくり、効果的に対策を進めていただくよう期待をして、質問を終わりたいと思います。

○佐藤委員 二十四年度の予算の審議に当たりまして、私からは、その前に帰宅困難者の条例と、あと犯罪被害者支援の観点の業務の関係と、そして、さまざまな業務の取り組みにとってベースとなる東京都と区市町村とのあり方、その大きく三点について質疑を行いたいと思います。
 帰宅困難者対策条例について、まずお伺いをいたします。
 これまでるる質疑が行われてきました。重なる部分もありますけれども、しかし、改めて条例として義務を課すのであれば、その内容や考え方、立ち位置について整理をしておく必要があると思います。その観点から、重複するところもあるかと思いますけれども、伺いたいと思います。
 都が条例を制定する意義、目的について、自助、共助、公助の考え方に基づいて制定をしているという答弁が続いていますけれども、改めて意義についてお伺いをいたします。

○村松総合防災部長 帰宅困難者対策は、自助、共助、公助の考え方に基づき、社会全体で取り組むものでございます。このため都民、事業者、行政それぞれの役割に応じた帰宅困難者対策への取り組みを明文化し、都民や事業者等の理解と協力を求めることといたしました。
 条例案には、発災時の一斉帰宅抑制から帰宅支援までの一貫した帰宅困難者対策について総合的に規定し、取り組みの強化を図ってまいります。

○佐藤委員 今ご答弁がありましたように、まず条例という形で制定をするということで、基本理念を示して、都内で共有して、その具体化、それを進めるために計画を進めていくというお答えがありました。それがまず条例として制定をするのが意義であると。そしてもう一つは、社会全体として取り組むものだという形で明文化をするというところに目的があるというふうにお話がありました。
 この点、私が思うに、確かに、災害の発生した後の混乱期において、一人一人が判断をして行動していく、そうしたことを求めていくというのは事実上大切なことであるとは思います。しかし、条例として義務を課すという観点からも、改めて、こうした有事の際には都が責任を持って対策に当たる、これが大前提であると思います。安全保障や社会保障、こうしたことの取り組みなくして国家、自治体の役割はないと考えるからです。
 改めて、帰宅困難者対策の推進に当たって、都が果たすべき責務についてお伺いいたします。

○村松総合防災部長 帰宅困難者対策は、発災時の一斉帰宅抑制から混乱収拾後の帰宅支援まで多岐にわたることから、都は広域的自治体として総合的に対策を実施する役割を担っております。
 具体的には、都は発災時に一斉帰宅抑制の必要性を判断し、広く都民や事業者に対して、従業員の施設内待機や駅等での利用者保護など、必要な取り組みを要請いたします。
 また、一時滞在施設の確保に当たりましては、都立施設や都関連施設を率先して指定するとともに、帰宅支援の際に必要となる災害時帰宅支援ステーションの拡充に向け、九都県市と連携して取り組んでまいります。
 こうした都の取り組みに加え、都民や事業者の自助、共助の取り組みも促し、社会全体での実効性ある対策を推進してまいります。

○佐藤委員 本当に駅の周辺、三月十一日、あのときに発生をした状況、駅の周辺に滞留者が集まったり、あるいは路上で、屋外で被災した方が保護を求める、そうした観点から、改めて退避できるスペース、一時滞在施設というのは非常に重要であると思います。なので、本日は一時滞在施設、この施設に対して、都としてどういうふうに考えてそれを位置づけていくのかを中心に、都の責務について確認をしていきたいと思います。
 例えば十二条においては、この一時滞在施設の確保として、区市町村と事業者それぞれの役割を分担して協力を求めているところです。まずはこの内容、区市町村と事業者の分担というところについて、どのような趣旨でここに条文を制定しようとしているのかお伺いいたします。

○村松総合防災部長 一時滞在施設の確保や運営に当たりましては、官民挙げた取り組みが不可欠であることから、都は条例で、都が率先して都立施設等を一時滞在施設に指定すること、また、施設の確保に当たりまして、区市町村や民間事業者に協力を求めていくことを規定しております。
 区市町村は、所管する施設で受け入れ可能なものを一時滞在施設として指定するとともに、地域の民間事業者との間で、一時滞在施設の提供に関する協定を締結する役割を担っております。
 また事業者は、都や区市町村からの求めに応じて、共助の考え方のもと、可能な範囲で一時的に待機する場所、飲料水、トイレ等を提供する役割を担っております。

○佐藤委員 今お話があったとおり、都としては各区市町村に、あるいは事業者に協力を求めていくという立場で、一時滞在施設としての指定に関しては、区市町村の力が大きいというような状況になっています。
 確かに、具体的な場所であったりとかを選定をしていくに当たっては、区市町村の役割は大変大きいと思いますけれども、先ほどるるお話がありましたように、なかなか事業者として、一時滞在施設として指定をされたときにどこまで何ができるんだろうかということを不安に思う方々が多い中、東京都としてはその大枠としての考えを示さなければならないと思います。
 大きなスペースを確保しているコンサート会場であったりとか、野球場であったりとか、そうしたところは確かに大きなスペースを持っている、そのスペースを開放する、それだけで大変大きな協力であると思いますけれども、それに加えて例えば備蓄を求めたりとか、毛布とかを買ったりとかあるいは保管をしたりとかいうところまで求めることが、果たしてよいのかどうか。
 私が思うに、一時滞在施設は一義的に都が開設をする施設として機能をさせるべきだと思います。その物理的な拠点として、都の施設だけではなかなかその滞留をしている人を受け入れるキャパシティーがないと、そういう意味で物理的なところの協力を求めたいのだということがベースにあると思います。
 そういう観点で、六条にいう、都として必要を認めるときに支援を行うという規定がありますけれども、私は、都はその一時滞在施設、そうした形で指定をした施設はまさに都の施設として機能していくのであって、事業者が何か活動をして支援をしていくというのとは、ちょっと切り分けていく必要があると考えております。
 そういう観点から、都はどのような場合に、六条にいう必要を認めるときということを考えているのか、また、どういう内容の取り組みを考えているのか、今の時点での、明らかにして整理している部分についてお伺いしたいと思います。

○村松総合防災部長 帰宅困難者対策は社会全体で取り組む必要があり、官民の協力が不可欠であることから、こうした事業者等による取り組みを促していくに当たり、必要と認めた場合に支援を行う旨を条例に規定しております。
 例えば、一時滞在施設の確保に当たりまして、現在都は、帰宅困難者等対策協議会において、一時滞在施設における飲料水や食料等の備蓄や、運営手順等の基本的考え方について、事業者団体等と議論を進めております。こうした議論を踏まえまして、今後必要となる支援策についても検討し、実施計画に盛り込んでまいります。

○佐藤委員 今お話がありました、そうした経済的な負担とともに、やはり責任の主体がだれなのかということをはっきりしていく必要があると思います。
 そういう観点から、例えば一時滞在施設として指定をされた場所で事故などが起きた場合の責任をどういうふうに考えていくのか、お伺いいたします。

○村松総合防災部長 行政の要請により、民間事業者が一時滞在施設として帰宅困難者を受け入れた際に、事故等が発生した場合の責任の所在を明らかにしておくことは、一時滞在施設を確保していく上でも必要と考えます。こうしたことから、帰宅困難者の受け入れ中に事故が発生した場合の対応や、その責任の所在についても、今後検討を進め、一時滞在施設のガイドラインに盛り込んでいくこととしております。

○佐藤委員 先ほどもお話ありましたけれども、ビルの下の小さなスペースに通りがかりの人を保護したりとかする、そうした事業者は数多くこの間もありましたし、これからもあると思います。そういう取り組みこそが共助であるというふうに思います。
 今回、一時滞在施設という形で指定をして、あふれ出るような滞留者、その方々を保護していく。そうした取り組みは都としての主体的な施策として位置づけていくべきものと思います。なので、経済的な負担はもちろんのこと、何か事故が起きた場合の対応においては、もちろんその事業者に故意とか過失があって損害とかが起きた場合は別ですけれども、そうではない場合には、まさにその一時滞在施設として何か起きた場合、それは避難所とかの運営等に準じて、都としての責任を考えていかなければならないと思います。そうした責任の所在を明らかにして初めて、民間のそれぞれの事業者が協力していく、何を協力をすればいいのかが明らかになっていくのだと私は考えます。
 今回条例を制定するに当たって、そうしたさまざまな運用の根拠となるものに関して、ガイドラインにすべて盛り込んでいくというお話ですけれども、今の段階では、ガイドラインがどうなるか検討中であると。だからそのガイドラインが、今の時点ではブラックボックスに入っているわけです。
 さまざまな善意の取り組みがそこに集結されることを期待はしてますけれども、だからこそ、そのガイドラインの策定に当たっては、協力をする当事者それぞれの意見とかが反映されなければならないというふうに強く思いますけれども、今後のガイドライン策定に向けての取り組みについて伺います。

○村松総合防災部長 都は、国との協議会を昨年九月に発足させ、社会全体で取り組む帰宅困難者対策につきまして議論を続けているところでございます。
 こうした中で、一時滞在施設につきましても、開設や運営の手順、備蓄や情報提供のあり方等についてワーキンググループを設置し、詳細な議論を重ねており、こうした検討を踏まえましてガイドラインを取りまとめてまいります。

○佐藤委員 ぜひその取り組みを進めていただきたいと思います。
 そしてまた、都立学校など都有の施設を一時滞在施設として開設する場合も想定をされているところです。先ほど、避難所として開設をした学校に一時滞在を求める方が保護を求めてくる場合のことも話がありましたけれども、改めてそうした学校が、事実上、今回の場合私が聞かなきゃいけないのは、都立学校を一時滞在施設として開設する場合には、子どもたち、生徒の安全を保護することは外せないことであると思いますけれども、現場の教職員は限られている中で、一時滞在の保護を求めてくる方がいると思います。
 そうした場合の取り組みに関してどのように検討されているのか、見解を伺います。

○村松総合防災部長 発災時には、都立学校はそこに通学する生徒の方々の安全確保と、一時滞在施設として帰宅困難者を受け入れると、こうした二つの役割を果たしていかなければならないと考えております。
 都立学校で帰宅困難者を受け入れる場合には、まず生徒の安全確保を図った上で受け入れると、そういったことを考えております。

○佐藤委員 三月十一日は、交通は麻痺するとしても水道、あるいは電気、あるいはトイレなども動いていたという状況があったかと思います。首都直下型の地震が来たときに、そうしたライフラインがどこまでもっているのかということ、あるいは傷病者がどこまで出るのかということも含めて、さまざまなリスクを我々は考えていかなければならないというふうに思っております。ぜひとも、東京都としてさまざまな関係団体をつないで主体的に、その責任を果たしていくために取り組みを進めていただくことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、犯罪被害者等支援に関しての施策に関してお伺いをいたします。
 ことしの二月に、山口県光市の母子殺害の加害者の判決が確定をしたところであります。また、平成十六年に犯罪被害者等基本法が制定をされて、昨年の三月に国の方で、また一月にはこの東京都で、犯罪被害者等支援推進計画が改定をされまして、ちょうど一年になったところになります。
 到達状況はどういうところにあるのか、被害者が置かれているその社会的な地位に対しての確立に向けた、その被害当事者の長年の取り組み、つらさとかがあった上で、基本法は制定されたわけですけれども、被害者がその被害を回復してもとの生活を取り戻していくために、身体的、精神的あるいは経済的、刑事手続への関与など、さまざまな社会の理解などが求められているところです。まさにその被害者を中心として回復を支えることが必要であり、支援をしていく人、そしてまた、それを支援ができる社会資源と制度の環境の両輪が不可欠であると考えます。
 そうした観点から、きょうは、相談支援の端緒となる場所、相談やカウンセリングのアクセスポイント、またその支援のネットワーク化、そして被害回復に向けて使える社会資源の構築の三点について、順に質疑をしていきたいと思います。
 まず、相談の窓口に関しては、身近な区市町村で相談をしやすいよう、その充実が求められているところです。窓口で、被害者がここに来れば安心ができるという、そういった窓口をつくる必要があります。傾聴して主張を整理をして、被害者が今後の見通しについてわかるような情報を提供するとともに、ただ話を聞いてというだけではなくて、支援の端緒となるために今後どういう対応をしていくのか、そういう事業の立ち上げまでを区市町村でしていくことが必要です。
 そのために、例えば早期援助団体と指定をされている被害者支援都民センターの協力のもと、職員を派遣して、座学ではなくて実際に派遣をして、その支援の現場で研修を行って、そしてそれを持ち帰って各市区町村に事業を立ち上げること、そうした提案をこれまでしてまいりました。
 今、区市町村の窓口の拡充の状況とそのための施策について、お伺いいたします。

○並木人権部長 都は、早期にすべての区市町村で相談窓口が開設されるよう、都及び都内六十二の全区市町村で構成する東京都区市町村犯罪被害者等支援連絡会で、各自治体に働きかけるとともに、これまで犯罪被害者等の相談窓口を設置していない自治体への直接訪問などを積極的に行ってまいりました。
 その結果、一般の市民相談室や人権施策を所管する部署などを含め、犯罪被害者の声を受けとめ、各自治体の住民サービスや専門機関の支援を紹介する体制を整える区市町村がふえてきております。平成二十四年度には、都内すべての区市町村で相談窓口が設置される見込みでございます。

○佐藤委員 そうした形でことし相談窓口が設置されるという見込みをお話しいただきました。今現在では、被害者等の相談専用窓口に関しては、中野区や杉並区、日野市という三カ所に限られているところであります。
 担当の部署があることと相談の窓口が開設していることは大きく異なりますし、また、区市町村では市民相談や区民相談というような一般的な相談窓口、そうした相談窓口から犯罪被害者等の施策につながっていくような取り組みも進められていかなければならないと考えております。
 そうした市区町村、先駆的な取り組みをしている市区町村と、そうでない市区町村が情報を共有するような情報連絡会の実施などが必要と考えますけれども、都としてのその観点からの取り組みについて伺います。

○並木人権部長 被害者等が安心して区市町村の窓口を利用できるよう、区市町村の事業の底上げを図ることは大変重要でございます。
 そこで都は、被害者支援都民センター内に設置した東京都総合相談窓口におきまして、平成二十三年度から、新たに区市町村の相談窓口職員を研修生として受け入れ、被害者支援のノウハウを実地に習得してもらう取り組みを開始いたしました。今年度は四区市から職員を受け入れ、一人当たり一週間または二週間の研修を行っております。
 また、東京都総合相談窓口の専門職員が区市町村を訪問して情報交換や助言を行う取り組みを開始し、今年度は九区市を訪問いたしました。さらにこうした訪問、助言の際や、東京都区市町村犯罪被害者等支援連絡会の場を活用しまして、日常家事支援でありますとか生活支援貸付など、区市町村において取り組み可能と思われる支援の先進的事例の情報を提供してございます。
 今後とも、こうした取り組みにより、区市町村の支援水準の向上を促進してまいります。

○佐藤委員 今お話がありましたように、身近な相談窓口、区市町村での窓口が立ち上がることと同時に、専門性の高い被害者の支援を行っていくような総合相談窓口との連携が不可欠であるというふうに考えます。
 センター・オブ・センターとしてのそうした機能を持つ総合相談窓口における、直近の相談と支援の推移、また、相談体制の充実に向けての取り組みについてお伺いをいたします。

○並木人権部長 東京都総合相談窓口におきます電話や面接での相談、精神科医等によるカウンセリング、付き添い支援などの件数は年々増加しておりまして、平成二十二年度の総件数は約四千八百件と、窓口を開設した平成二十年度の一・七倍に及んでおります。今年度も昨年度と同程度以上の件数になると見込んでおります。
 最近では、複数回にわたる面接、カウンセリングなど、反復、継続的な支援が必要な事例も多くなっております。また、犯罪被害の類型別に見ますと、近年、性犯罪被害者への支援が大きく増加し、全体の四割に達しております。
 こうした状況に対応するため、都は、平成二十四年度予算案において、相談員の一名増員を計上しております。新たに配置する相談員については、専門的な知識や最新のカウンセリング療法を習得している職員を予定してございます。
 今後とも、被害者のさまざまなニーズにこたえられるよう、窓口運営の充実を図ってまいります。

○佐藤委員 被害の回復においては、その身体的、精神的な部分から始まって、警察での事情聴取に応ずること、あるいは検察の手続、あるいは住んでいる区市町村に対しての手続であったりとか、さまざまな手続がある中で心身の回復をしていかなければならない、またそうした中で、仕事とかもできない状況で経済的な収入も減じたり、さまざまな段階で障害があり、そのステージごとに支援が必要となってきます。
 混乱をしているそうした被害者がその状況の中で、あらゆる支援窓口を駆けずり回ることは大変難しい状況がある中、ワンストップで支援を受けられる状況が不可欠であります。そして同時に、今お話があった被害者支援都民センターにすべての人が相談に行くわけではなくて、さまざまなきっかけで、被害の当事者の先輩であったりとか、例えばあすの会であったりとか、あるいは交通遺族の問題を抱えている方、あるいは交通遺族、あるいは少年被害の方々、それぞれのネットワークがある中で、どこの窓口に行ったとしても必要な支援にたどり着ける、そういう状況が必要と考えますが、そうした水平的なネットワーク化に向けての取り組みについて伺います。

○並木人権部長 都では、東京都区市町村犯罪被害者等支援連絡会のほか、町内会、PTA組織、不動産事業者団体など、地域で活動する民間団体を主な構成員とする、犯罪被害者等支援を進める会議を設置しております。また、警視庁においても、都の関係各局、事業所、司法関係者などで構成する東京都犯罪被害者支援連絡会を開催しております。
 こうした会議の場で情報提供、情報を共有することで、支援機関相互の連絡体制を整えており、支援の必要な被害者を紹介するなど、ネットワークとしての機能を発揮しております。
 あわせて、被害者がどこへ連絡し相談に行けば、みずからが必要とする支援を受けられるのかがわかるよう、支援内容とその窓口を一覧にした都のリーフレットを区市町村や支援機関に配布し、各機関が相談を受けた際などに利用しております。
 今後とも、被害者が必要な支援を迅速に受けることができるよう、こうした取り組みを充実させてまいります。

○佐藤委員 ネットワーク化にはいろんなレベルがあると思いますので、今行っているその警視庁の支援連絡会もありますけれども、もっと能動的な実務担当者レベルのネットワークを構築をしていけるような仕掛けも必要ではないかと思いますし、法曹とか医療関係者、臨床心理士、あるいは教員、教師、そういったところの協力が得られるような状況が必要であると思います。
 医療機関の理解を広げていくとともに、その被害者支援に精通した医療機関をピックアップして、被害者が必要とする治療を確実に受けられる体制の整備が必要です。とりわけ、被害者支援に精通した精神科医、臨床心理士は限られていて、どの医療機関においても適切なカウンセリングが受けられる状況にはありません。
 医師会等の協力を得て、精神科医等のリストを取りまとめて、被害者や支援者がそのニーズに応じてアクセスするようにできるような仕組みをつくるべきと考えますが、所見を伺います。

○並木人権部長 被害者支援におけるカウンセリングは、被害者の回復に向けて、中長期的に総合的な支援を提供していく中で、重要な役割を担っております。
 東京都総合相談窓口では、まず被害者との電話や面接相談によりその状況を把握し、回復に向け寄り添っていくための信頼関係を構築した上で、精神科医や臨床心理士のカウンセリングの必要性の判断を含めた支援プランを作成しております。精神科医等のカウンセリングは、こうした支援プランの一環として、被害者の状況変化に応じ反復継続的に行うことが重要でございます。
 今後とも、被害者の回復の状況を見ながら、適切な支援を提供していく体制を充実させてまいります。

○佐藤委員 今お話しいただいた医療機関の理解に関しては、精神科医のみならず産婦人科医の協力も大変重要であります。そして、ことし二月には、性被害のワンストップセンターのTSUBOMIも、大阪のSACHICOあるいは愛知と続いて、東京でも開設をされたところであります。
 そうした意味で、先ほどのネットワークとも絡むんですけれども、被害者支援都民センターに行くのと違って、まずこうしたTSUBOMIであったりのワンストップセンターに行って支援の端緒になるという場合が出てきます。そういう意味でも、水平的なネットワーク化を進めていく必要がありますし、また、医療機関の啓発や技術向上の促進に関しては、平成二十二年の第二回、私が本会議で、また二十二年の第四回定例会のこの総務委員会で鈴木勝博委員からも、産婦人科医の啓発や技術向上の促進について質疑をしたところ、検討していくというふうな答弁でありました。
 その後の取り組み状況とともに、性犯罪被害者支援の今後の方向性についてお伺いをいたします。

○並木人権部長 性犯罪被害者の支援に当たりましては、被害者と最初に接する医療機関において適切な対応を行うことが、被害者に安心感を与え、回復に向けた第一歩になると考えております。
 そこで、都は今年度、医療機関の役割と必要な診療及び事務手続、被害者の心理状態とそれを踏まえた対応方法、専門支援機関などを記載したパンフレットを作成し、東京産婦人科医会や東京都病院協会等の協力を得て、都内の産婦人科医に配布いたしました。こうした取り組みにより、性犯罪被害に関係する医療機関の理解が深まっており、今後庁内関係局や警視庁とも協議しながら、医療機関との連携による支援のあり方について検討してまいります。

○佐藤委員 また、こうした医療とはまた別に、居住の安定も重要な支援の柱になります。自宅が現場となる場合など、自宅に住めなくなる状況があります。都としては六泊七日の一時居所の制度を置いていますけれども、その利用に関しては、被害者支援都民センターを経由して申し込む必要があるというふうに聞いております。
 そうした中で、区市町村や民間団体から直接に要請があった場合でもこの制度を利用できるようにするなど、使いやすい制度運用が求められているところですけれども、見解を伺います。

○並木人権部長 被害直後に自宅に戻ることができない被害者やその家族に対し、六泊七日までのホテル、旅館宿泊を支援する一時居所の提供制度は、被害直後に落ちつくことのできる環境を提供するという意義がありまして、その後の回復に向けて支援していく第一歩でございます。
 支援に当たっては、都は被害内容や被害者本人の状況から居所の必要性を判断するとともに、被害に遭った場所や通勤先なども踏まえた場所の選定も行っております。その上で、警視庁や被害者支援都民センターと連携し、被害直後の混乱状態にある被害者に対し、付き添いや精神的ケアなど、きめ細かな支援を行っております。また、今年度からは、都外に住む被害者の親族の同宿も支援の対象にする制度改正を行っております。
 今後とも、被害者の立場に立って制度を有効に活用してまいります。

○佐藤委員 ぜひとも被害者の立場に立って、制度を運用していただきたいと思います。被害者が被害者の判断で、だれに付き添ってもらうかも含めて、制度はフラットにだれしもが使えるような形で運用をお願いしたいというふうに思います。
 次に、経済的な支援に関して、治療と旅費、裁判管轄が東京ではなくて地方になる、犯罪地にまで裁判に行かなければならない状況も多々あります。今話をしましたような、自宅が現場となって移転しなければならない場合もあります。そうした支出が急増する一方、仕事ができなくなって収入が減少する中、給付金支給はすぐに支払われないという実態もあります。
 経済的な安定がなくして生活の再生はない中で一時金など、生活資金支援をする制度が求められているところですけれども、見解を伺います。

○並木人権部長 経済的支援につきましては、国の犯罪被害給付制度も徐々に充実してきておりますが、まだ必ずしも十分ではないという面がございます。
 都としては被害者等に対し、国の制度や都が行う一時費用の貸し付け、社会福祉協議会による緊急小口資金の貸付制度などの情報を提供しております。また、各区市町村が行う生活資金貸付を犯罪被害者等が利用できるものにするよう、東京都区市町村犯罪被害者等支援連絡会や区市町村への個別訪問の際に働きかけております。
 一方、国では、第二次犯罪被害者等基本計画に基づき、犯罪被害者等給付金の拡充及び新たな保障制度の創設、被害者参加制度により、裁判所に出廷する際の旅費の負担軽減などについて検討しており、今後とも、こうした動向を十分に注視してまいります。

○佐藤委員 今後、今本当に事業がどこまで立ち上がるのかというような質疑が繰り返されているわけですけれども、ぜひともそうした事業が立ち上がって、この計画がどこまで、どういう数値まで実績が上がれば到達ができたのか、目標地点まで到達をしたのか、そうした段階的に支援が拡充をしていく、そして被害当事者あるいはその友達であったりとか、教師としてその周りにいる人たちが接していけるようになるような、そうした取り組みを進めていただきたいと思います。
 被害者週間では、ことしは内閣府の国民のつどいでは、中野区議会議員の近藤さえ子さんが講演をされたことはご存じのとおりかと思います。近藤さえ子さんは、本当に普通に暮らされていて、だんなさんが仕事の関係で殺害された。いつになってもなかなか見つからない中での不安の大きさであったりとか、それがわかった後に、警察が捜査の段階で人が入れかわったりとか、あるいは中野区の方に相談に行ったときのことなどをお話をされていました。
 やはりだれしもがなり得ることであり、そうした当事者の声にそれぞれが耳を傾けて、まず理解をして寄り添っていく。そこからやはり事業とか、何か専門的であるとか、あるいはどこか遠い話であるという実感から逃れて、事業として、国民が、国民というよりは人々すべてが支えていける制度になっていくのではないかなと思いますので、ぜひとも皆さんのそうした取り組みを求めていきたいと要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。最後です、済みません。
 今お話がありましたように、東京都の施策は、やはり区市町村の動きと連動していかなければ実効性は担保されないというふうに考える観点から、都と区市町村のあり方についてお伺いをしたいと思います。
 まずは、地域主権改革推進一括法が四月に施行されるに当たって、権限の移譲を中心にお話を伺いたいと思います。
 これまで東京都から区市町村へ権限の移譲が行われていますけれども、地域の自主性や自立性を拡大するという基本的な趣旨がある一方、執行体制や財源など懸念事項も多くあるところであります。そして、この権限の移譲は、最終的には住民の暮らしや福祉の向上や、あるいは自治の発展につながることが何よりも重要であると思います。
 そこでまず、これまでの権限の移譲に関して、権限の移譲後、そういった事務処理上、あるいは住民サービスの課題に関して、東京都としてどのように検証し、あるいはフォローアップを、私としてはフォローアップなどをしていく必要があると思いますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○岸本行政部長 都は、区市町村が住民ニーズに的確にこたえ、地域の実情に応じた行政運営を行うことができますよう、建築確認事務や騒音規制に関する事務など、住民に身近な事務を移譲してまいりました。移譲された事務は、区市町村がみずからの判断と責任において主体的に実施していくものでございまして、住民サービスの向上を図るため、事業効果の検証などを行いながら、適切な事務執行に努める必要がございます。
 なお、都は、移譲後においても、区市町村からの照会や相談には随時対応し、円滑な事務執行を支援しているところでございます。

○佐藤委員 ぜひとも、どういう業務がうまくいっているのか、あるいはうまくいっていないのかというような検証もすることが必要であるというふうに思います。迅速な形で許認可が出るようになるというような事務はいいのかもしれませんけれども、さまざまな形で専門性が欠けていたりとか、人手が不足して停滞をしてしまうような事務もあると聞いております。そうしたことも含めて、一つ一つ個別にフォローアップ、対応して相談体制を支援していくと同時に、全体としてどういうものが移していける業務なのか、法定の権限移譲とは別に、都と区のあり方の検討もしている場はあると思いますけれども、ぜひとも進めていただきたいと思います。
 財源の問題に関しては予特の方でもお話がありましたけれども、事務が移った後の財源の問題もありますけれども、執行体制は大変重要な課題であると思います。先ほどお話をしましたように、事務の増量に伴う人員の増なども求められますけれども、その手当てとは別に専門性とかの人材の養成が不可欠であると考えます。
 そういう意味で、都として事務事業を担う人材の派遣や研修などを実施していくことが不可欠と考えますが、取り組みを伺います。

○岸本行政部長 区市町村が権限の移譲を受ける際には、区市町村において円滑な事務執行のための体制を整備するとともに、地域における住民ニーズに的確にこたえ、さらなる住民サービスの向上を図るため、専門的知識や技術を持った職員を育成していくことが重要でございます。
 都は、これまでに蓄積されたさまざまな事業ノウハウを確実に継承するため、移譲事務の内容や区市町村からの要望を踏まえ、事務マニュアルの提供や実務担当者向け研修の実施に加え、専門職員の区市町村への派遣や区市町村職員の研修生としての受け入れなど、さまざまな支援を行ってまいりました。
 今後も都は、権限移譲に当たって、区市町村の人材育成の取り組みに対して積極的に支援してまいります。

○佐藤委員 ぜひその取り組みを進めていただきたいと思います。それは、権限移譲の範囲に限らないと思います。やはり新たな行政課題が発生する中で、どうしても、先ほどの犯罪被害者支援もそうですけれども、事業が立ち上がらない区市町村が多々あるところ、都としてやはり、地域主権の改革が進む中で、都道府県の機能として市区町村の自治の支援、あるいは行政技術の高度性とか政府間の媒介とか調整が指摘されている中で、都としても、そういったところの手当てをどんどんとやっていかなければならないというふうに思います。
 例えば、前に厚生委員会におりましたけれども、自殺対策一つとっても、それぞれの地域特性によって自殺の原因は違う中で、自営業者の方の自殺が多い地区もあれば、無職の方の自殺が多いところもあれば、高齢者の方の自殺が多い地域もある。そうしたその所轄ごとにその地域特性に応じてどういう支援をしていくのかということは、区市町村が考えるところではあると思いますけれども、じゃあ、そういう事業をどういうふうに立ち上げていくのか、あるいはどういう事業があればいいのかという、どういう事業を立ち上げるのか、どういう事業メニューを選んでいけばいいのかというようなこと、そうした環境を整えるのは東京都の役割であるというふうに思います。
 長年の行政の取り組みがあったような保育であったりとか、あるいは都市再生の事業であったりとかは、さまざまな事業メニューがある中で、地域特性に応じていろんなメニューが選べるような状況が今あると思いますけれども、しかし新たな行政課題に関しては、成年後見制度の活用もそうですし、なかなか環境が整っていないという中で、東京都が少子高齢社会に対してどういうふうに対応していくかという形、いろんな目標とか計画を立ててますけれども、じゃあ、どういう事業とか環境づくりを持っていて、区市町村がそっちの方向に動きやすいような状況があるかというと、なかなか課題は多いのかなというふうに思います。
 啓発であったりとかはもちろん重要ですけれども、じゃあ、具体的にそういう方向に施策を進められるような、後押しをするような補助事業を立ち上げたりとか、あるいはその人材の育成であったりとかに対してのバックアップとかをしていくことが、東京都としては求められていると思います。
 例えばなんですけれども、昨年の住民生活に光をそそぐ交付金が国の方からありました。この交付金に関しては、住民生活に非常に重要でありながら光が当てられなかった分野に対しての交付金でありましたけれども、DVとか児童虐待とか、更生保護とかですね。そうした事業でありましたけれども、各市区町村の実績は図書の購入が多い状況がありました。こうした、区市町村がどういうふうな補助事業をやったのか、なかなか事業が立ち上がらなかったのかというような原因を、所管局はその交付金の状況を知らないという状況もありました。
 都と区市町村が連携するに当たっては、例えば各個別の事業ごとの所管局同士で区市町村でやりとりをするときに、有効なそうした情報とかを都庁内の全庁的に共有する必要があると思いますけれども、この住民生活に光をそそぐ交付金の経由庁としての役割を担っていた総務局としての今後の情報提供、全庁的なその情報共有に関しての取り組みについて伺います。

○岸本行政部長 ただいまお話しございました住民生活に光をそそぐ交付金でございますが、平成二十二年度の国の補正予算で実施されました単年度の交付金でございまして、これまで光が十分に当てられてこなかった分野に対する地方の取り組みを積極的に支援するという趣旨で設けられた交付金でございます。
 区市町村は、この交付金を活用して図書館事業の充実ですとか、DV被害や児童虐待を防止するための事業の実施など、交付金の目的に沿った事業を実施しておるところでございます。
 区市町村がどのような事業を実施するかは、住民ニーズや地域課題、事業効果などを総合的に勘案して、区市町村みずからの判断で決定するものでございまして、都といたしましては区市町村の判断を尊重すべきと考えているところでございます。
 なお、区市町村におきます交付金の活用状況に関する関係局への情報提供につきましては、区市町村の意向を踏まえながら適切に対応していくものでございまして、ご指摘については今後の参考とさせていただきます。

○佐藤委員 東京都自体はとても組織が大きいですけれども、ぜひとも横の情報共有などをしていただきたいと思いますし、各対象、例えば青少年に対しての対象にする事業も教育庁であったりとか、教育庁、福祉保健局、警視庁など、それぞれに分野が、切り口は違いますけれども所管が分かれているという状況があります。切り口は違ったとしても、子どもが抱えている問題に対して、それを東京都全体として取り組んでいく、そうした組織のあり方も含めて、今の状況、現代の行政課題に対応する状況をつくっていかなければならないというふうに思いますけれども、その組織のあり方に関して都の見解を伺います。

○中嶋人事部長 今日の複雑かつ変化の絶えない時代にあって、都としても課題解決のため、縦割り行政の打破に努めてきております。
 例えば、このたびの東日本大震災におきましても、国の対応が後手後手に回る中、被災地、被災者への支援や都内の防災対策に、警察、消防、福祉、医療など、すべての部署が現場で培ってきた人材、経験、手段を結集いたしまして、各局一丸となって迅速に取り組んでまいりました。
 お話のような今日的課題や新たな行政課題に対する組織のありようにつきましては、これまで以上に現場からの発想に基づいて各局が最大限の力を発揮しますとともに、各局各分野に横ぐしを刺した都としての総合力をもって、区市町村とも連携し、課題の解決に向け努めていくことが必要であると考えております。

○佐藤委員 ぜひとも全庁的な取り組みを進めていただきたいと思います。
 最後に、そうした東京都と区市町村との関係に戻りまして、現在の都区のあり方検討委員会の状況が、昨年の三月からなかなか動いてないというふうに認識をしていますけれども、今後の取り組み状況と今後の進め方についてお伺いいたします。

○堤区市町村制度担当部長 東京都と特別区は、都区のあり方を根本的かつ発展的に検討いたしますために、都側は副知事など、区側は特別区長会会長などを委員といたします都区のあり方検討委員会を設置いたしまして、検討を進めているところでございます。
 検討委員会は、都区間の合意に基づきまして、事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度の三点を検討事項といたしておりますが、これまでは、まず検討事項の一つでございます事務配分に関しまして、大都市の一体性を確保しつつ住民サービスをより充実させていくという視点から、四百四十四項目の事務事業について整理を続け、昨年十二月の検討委員会におきまして一定の方向づけを行ったところでございます。
 今後の進め方についてでございますが、繰り返しになりますが、検討委員会の検討事項が事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度の三点でございまして、都としては、事務配分と特別区の区域のあり方はセットで議論すべきものと考えてございます。このことを踏まえまして現在、実務レベルで区と協議を行っているところでございます。

○佐藤委員 規模が大きくなるということで行政の効率化などを進めていくということもあるのかもしれませんけれども、最終的にはやっぱり、住民に必要なサービスをあまねく届けるような体制はどういうことなのかということが、やはり原点かなというふうに思いますので、そういう観点で取り組みを、振り分けとかも含めてしていただいて、ともに東京のあるべき姿というか、一人一人のあるべき暮らしはどういうことなのかということに対して知恵を出し合っていかれればと、平成二十四年もそれを続いて取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○和田委員 東京都の人権施策推進指針に関連してまずお伺いいたします。
 平成十二年にこの「みんなの人権」というものの中に、東京都がこれから目指すべき目標が掲げられております。十年以上たっているわけでありますけれども、その間、人権にかかわるいろいろな国レベル、あるいは東京都レベルでの課題が生じてきたり解決をされたりしてきたという経緯がございますけれども、象徴的なものについて挙げていただきたいと思います。

○並木人権部長 平成十二年に東京都人権施策推進指針を策定して以降、平成十七年の犯罪被害者等基本法、それから、平成二十一年のハンセン病問題基本法の整備など、人権施策が進展する一方、児童や高齢者に対する虐待、いじめ、インターネット上の人権侵害などの問題が引き続き起こっております。こうした中で人権課題を取り巻く状況は依然として厳しいというふうに考えてございます。
 この間、都は指針に基づき、社会状況等に応じながら、女性、子ども、高齢者、障害者などの各人権課題についてさまざまな取り組みを実施し、平成二十年に東京都犯罪被害者等支援推進計画を策定するなど、人権施策を着実に推進してきたところでございます。

○和田委員 今、犯罪被害者の基本法とハンセン病の問題基本法は国レベルでできました。これが当然、東京都にも全国的にも波及をしているわけでありますけれども、私が今回取り上げたいのは、この指針の中身も含め思想的なことであります。
 つい最近も、ご承知かもしれませんが、法務省はこの四月から、新年度から刑務所内における男子の中でも、性同一性障害などの方に対しては、特別にシャンプーの問題ですとか下着の問題とか、そういう問題の配慮をしようというふうに、あの強固な刑務所の中の暮らしぶりにも性同一性障害についての配慮をするというふうになっております。
 また私の経験では、この都庁に来る途中にも立っているビッグイシューの販売者の方がいますけれども、あの方々の全部はホームレスの方でありますが、あの方々が通常立って売っていると、これは道路交通法違反でありまして、立っていることまかりならぬていうのが原則でありますけれども、東京都のいろいろな配慮の上、あそこに立って売っても支障のないような形で、今は、繁華街を含め、ホームレスの方々の社会復帰を前提にしながら、ああいう寛容な措置をとっているという事例もございます。
 このように十年間の時間の中で、東京都の人権指針、十二年に決めて以来、国の大きな動きもありますが、東京都が目に見えないながらもやってきている動きも、今申し上げたとおりあります。それを集約したのがこの冊子なのでありますけれども、そこには一から十まで書いてあります。
 まず初めに、女性の人権問題、子どもの人権問題、高齢者の人権問題、障害者の人権問題、同和、アイヌの人々の人権問題から始まって、第九番目が犯罪被害者やその家族の人権問題となっている。最終的な十番目のところに、さまざまな人権問題というふうになっておりまして、ここに七つ記載されています。その七つは、刑を終えて出所した人、性同一性障害者、性的指向、あるいは路上生活者、これホームレスですね。それからプライバシーの侵害や名誉毀損、親子関係・国籍、これハーグ条約、それから拉致問題というふうに、七つがこの二ページの中に込められております。それ以外の九つの項目は、全部二ページを使いながら記載をされ、図も入り、時には表も入ったりして、都民が見れば、なるほどこういうふうに東京都の中の人権問題は扱われてるのかなというのが明確なんでありますけれども、この七つに関しては全部二ページに込み込みになっています。
 これが、問題を軽く扱っているとは決していいませんけれども、少なからずこれを読んだ方々は、この十というところに全部七項目が入っている、とりわけ拉致問題などについても、国家的、国際的な問題になっているものが、十番目の一番最後、七番目にまでなっているわけですね。順序までこだわるとはいわないながらこだわっているかもしれませんが、やはりここのところは、それぞれ一項目ずつ起こしながら二ページを提供して、明るいこういう見やすいような色彩の中で、東京都の人権はこういうふうに扱っていますよというような形で、都民に--あるいは、もしかするとこれ学習材料になるかもしれませんけれども、中高生の人権問題の教科書に使ってもらうというようなことが必要なのではないかなというふうに思うんです。
 十年たちましたけれども、さまざまな世相変化、社会変化、国際変化の中で、東京都はこの指針にかかわる、とりあえず具体的な問題としてこれにどういうふうな訂正や改廃を加えていくのかという問題と、それから、施策的にはどういうふうな視点でこの人権問題を進めていこうとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○並木人権部長 指針におきましては、東京都が推進する人権施策の基本理念として、人間の存在や尊厳が脅かされることなく、みずからを律する自立した個人が、権利行使に伴う責任を自覚し、共存と共感で相互に支え合い、都民が世界に誇れる東京をつくるというふうに定めてございます。
 この指針の基本理念は普遍的であり、現在もなお有効なものと認識しておりますが、東京における人権課題の状況や国における人権施策の取り組みなど、社会状況の大きな変化があった場合には、先生ご指摘のような視点も踏まえて見直しを検討すべきであるというふうに考えてございます。

○和田委員 大変熱心な答弁だったんですが、最後聞き取れなかったんですが、私の今指摘したような形で見直しを検討するというふうに、聞こえなかったか聞こえたかわからないので、もう一回答弁してください。

○並木人権部長 指針の基本理念は普遍的でありまして、現在なおも有効なものというふうに認識してございますけれども、東京における人権課題の状況や国における人権施策の取り組みなど、社会状況の大きな変化があった場合には、先生ご指摘のようなそういう視点も踏まえまして、見直しを検討すべきであるというふうに考えてございます。

○和田委員 社会変化、いろんな諸情勢の変化によってはという条件がついていますけれども、今私が申し上げたように、東京都みずからが変化を惹起し、いい意味でですよ、そういう状況をつくってきているわけですから、いつまでもこの七項目を二ページの中に入れたりしないように、また入れたりしないで、二ページ目にきちっと入れてやって、ページ数にしたって十四ページふえるだけですから、それと同時に、この小冊子だけではなくて、実質上の行政の中身も濃くしていく。そういうきちんとした姿勢を私は求めているわけでありますので、そこのところをこれからもよろしく努力を願いたいと思うんです。
 次に、人事制度についてお伺いいたします。
 これは、過去ちょうど十年前に、ここですね、東京都における人事制度の現状と今後の方向というのが出されました。平成十二年七月であります。それから、今回の、昨年十一月にこれからの人事制度の基本的方向というのが、同じ方向なんですが、今後の方向と基本的方向で、間に十年ぐらいけみしているんですが、その中に、十八年に、中間的な一つの方向として、三月に東京都の職員人材育成基本方針というのが出されております。これは職員の視点というのと、それから組織の視点というふうに、ポイントを二つに絞って、これからの東京都の人事問題についての、ある意味では方向性をしっかり打ち出しているものなんです。
 この基本的な方向と、それから今後の方向の間に、十八年に出されたものを三つをこう、点々々を線で結んでみると、大体東京都の人事の方向が把握されるということで、これを中心にして質疑をさせていただこうと思うんです。
 平成十二年の今後の方向を定めたときには、任命権者のレベルでいうと、大体知事部局と、それから公営企業部局で五万三千人ぐらいの職員が当時いました。トータルで十七万八千ぐらい。これは警察、消防、それから学校も含め、全部ひっくるめて大体十八万ぐらいいました。そのうちの五万三千人が職員であったわけですが、今回、この新しく基本的方向を出したときには、五万三千から大体二五%ぐらい、職員の数が知事部局と公営企業段階で減っています。そういうふうに総体が減った中で、今回のこの基本的な方向が出されたものですから、どういうふうに私はこの基本的方向が、平成十二年から十八年、それから二十三年、昨年十一月の段階まで来る過程で変化があったのかなということで関心を持っておりまして、この基本的方向について、先ほど申し上げた三番目の点になるわけですけれども、どういう方向、目的づけでこれを定められたのかということをまずお伺いいたします。

○中嶋人事部長 都では、これまで国や他団体に先駆けた人事制度改革の取り組みや、計画的な人員配置を進めるなど、簡素で効率的な執行体制の整備に努めてまいりました。
 しかしながら、東日本大震災を契機としまして、これまでに経験したことのない新たな課題が浮き彫りとなるなど、都政が担うべき行政課題は一層高度化、複雑化している状況にございます。
 また、組織運営の面では、長年にわたり都政の中核を担ってまいりました団塊の世代の職員が大量に退職いたしまして、十年前と比較して半数近くの職員が入れかわりましたことから、ベテラン職員の知識やノウハウなどの専門性の継承が危ぶまれる状況も生じております。
 こうした状況の変化には、現行の人事制度の枠組みでは対応し切れないことから、新たな時代の要請にこたえつつ、十年先の将来を見据え、一層強固な少数精鋭体制を支える人材の育成活用を目的としまして、今回の基本的方向を策定したものであります。

○和田委員 十年後ということなのですが、先ほど申し上げましたけど、十八年に基本方針というのを出して中間的な見解を出しました。その前十二年には、今後の方向という形で出して、それがぶれてぶれてぶれてきて、今回の基本的な方向になったと私は見ているんです。
 ですから、当初、もう東京を含め日本の出生率も含め、出生人口が決まれば五年後には五歳年をとる。あるいは六十年たてば六十歳年をとるとわかっていながら、その対応がおくれたために、三ポイントにおける軌道修正的な方向づけの、これからの方針ですよというのを、十年間の間に、十八年もひっくるめて、三回出さざるを得なかったというのが私の一つの見方なんです。それほど人事というのは流動的であって、また世相的でありますから、決めて固定的にはいかないというのはよくわかります。
 かつて私どもが学校を出て就職するときには、ちょっと問題がある発言かもしれませんが、公務員になり手がいなかった。みんな企業の方に行った時期がありました。しかしここ数十年は、公務員の方が企業よりも魅力があって、そして多くの方が公務員志向になってきている。しかしながら今の人は、かつて公務員よりも私企業の方が人気があったよなんてことをいっても想像もつかないと思うんですね。しかし、事実そういう時代はあった。そのときには、やはり私企業の方に有為な人材が集まってきて、私企業がどんどん企業の方が繁栄し成長していった。だけどこの低成長になってきたりしますと、どうしても揺り戻し的に公務員の方の志向が多くなってきて、集まって質が高くなってくればいいのでありますけれども、やはり追いつかなくなって、その当時の、補てんができないものですから、ここにきて団塊の世代が卒業してしまうと、卒業というのは退職ですけれども、もう後の補充がきかない。中途採用などということをうたっていますけれども、そのとおりいってないというようなことが全部積み重なってきて、今回の基本的方向の、私は設定になったというふうに思っているんです。
 そこで、採用試験制度などについても、今回の基本的方向では、知識だけじゃなくて課題解決力などにその評価を置いた試験制度を取り入れたいとか、あるいは思考力を見きわめる試験内容にしたいとか、こういうふうにきれいにうたってはいます。しかしそれをどう実現していくのか、どう実行していくかということは、ここにはまだうたってない。そういうことなどについてどう進めていくのかというのが一点目です。
 それから、二点目は、高齢化社会を迎えて、なおかつ団塊世代が卒業してしまった後、高齢者に対する雇用、高齢者雇用をどういうふうに考えていこうとしているのか、これについてお伺いいたします。

○中嶋人事部長 まず採用試験制度につきましてですが、採用は都における重要な経営戦略の一つであり、これからの都政を支える豊かな発想力と高度な専門性を兼ね備えた多様な人材の確保が求められております。
 こうした中、今日の大学教育におきましては、社会ニーズを反映した学部の多様化、学際化が進み、現行の法学などを中心とした限られた分野からの出題が多い採用試験では、多様な人材を幅広く取り込みにくい実態がございます。
 今後は、採用試験の企画、立案、実施を担う人事委員会とも緊密に連絡いたしまして、首都公務員の素地を有する人材が見極められるような試験内容の見直しに取り組んでまいります。
 また、試験区分や昇任などの基礎となります職種についてでございますが、職種は職務をその類似性により分類したものでして、職務遂行に当たって必要とされる専門的知識や経験等に基づいて個々に設定されます。
 都の事務事業は、社会の変化、行政需要の変化に的確に対応しなければならず、都はその都度職種の見直しを行ってまいりました。今後も事業動向を見きわめまして、職務実態を精査した上で、必要な職種の見直しを行ってまいります。
 最後に、六十五歳まで働ける環境づくりですけれども、組織にとりましても、専門性の継承という観点から、ベテラン職員が六十五歳まで活用できる環境整備は重要であると考えております。そのため都では、定年退職後に、これまで培ってまいりました知識や経験を生かして、定年前と同様の本格的な職務に従事する再任用制度を平成十三年度から導入しておりまして、今後はこの制度をさらに活用してまいりたいと考えております。

○和田委員 ご承知のとおり、平成二十五年度末に定年退職を迎えた方は、このままでいくと無年金、無収入になっちゃう。それをどうその間を埋めていくかという問題が社会的な一つの課題になっています。そういう中で、今お答えいただいた高齢者の問題、卒業者の問題というのが出てきます。
 私は遠からず、東京都も定年延長をせざるを得ないだろうというふうに思ってはいるんです。したがいまして、人事構成全体を見ていった中で、一つの、五年先十年先もうわかっているわけでありますから、これから先の定年卒業者の数の問題、それをどう補完していくかというような問題、これなどはもう今のうちから先取りして動いていくべきだと思います。
 それから、試験制度の問題、採用試験の問題ですが、今まではどうしても、先ほど答弁があったように、法学とか、どちらかというと司法試験的なそういう問題の出題傾向もありましたし、短答式のいろいろなそういう問題もありましたが、やはり人間的あるいは応用のきくような柔軟性のあるようなそういう設問、試験問題を出していくようなことをすることによって、職員の融通性というか柔軟性もそこの中から求めていくという時代が来ているんではないかなということも添えておきたいと思うんです。
 それから、次の問題は、係長級職の昇任の選考の問題です。
 これはかつて本人の申込制もあったわけでありますが、これは極めて評判が悪いというか、申込率が低くなってきて、実際上に完全実施となった--十四年から導入していますけれども、十九年から完全実施になった以降、申し込みの率だけを読み上げてみますと、十九年が三九・二%、それから二十年度が三七・三%、平成二十一年が三五・八%、二十二年度は三四・九、ずっとこう右下がりに減ってきて、ついに三五%にまで減ってきています。
 こういうような形の中で、ようやく本人申込制の見直しに手を染めるということになるわけでありますが、これなどについても、なぜなったのかということを私ども、まず聞かなきゃならぬと思っております。
 それからもう一つは、勤勉手当などの成績率の問題ですね。これはどういうふうに反映させようとしているのかどうなのか。今回の基本的方向の中で取り扱い方をお聞きしたいと思います。

○中嶋人事部長 都の組織運営におきまして、係長は実務のリーダーという極めて重要な役割を担っておりますことから、係長級の昇任に当たりましては、意欲と能力のある職員がみずから選考に申し込む仕組みを導入いたしました。しかしながら、その後、昇任適齢期にあります職員の出産や育児、介護など家庭事情のほか、必ずしも昇任を望まない職員意識の変化もありまして、結果的に選考の申込率が低下しております。
 こうした中、係長に求められる能力の明確化や、必要な経験を積ませる配置管理など、チャレンジしやすい環境の整備に努めてまいりましたが、今後は、職員のライフステージにも配慮しつつ、組織として必要な適任者を選抜する仕組みに改めてまいります。
 また、勤勉手当の成績率は、職員の頑張りを特別給に反映させるものであり、職員のモチベーション向上にも有効な仕組みでありますが、その実施に当たりましては、客観的な評価制度の整備と的確な運用が前提になります。そのため、都におきましては、まず全国に先駆けて人事考課制度を導入いたしまして、評価に対する職員の納得性を高めながら、順次管理職、係長へと段階的に対象範囲と査定幅を拡大してまいりました。
 今後、こうした取り組みをさらに強化いたしまして、成績率の運用を一般職員にまで拡大していきたいと考えております。

○和田委員 ちょっと苦しい答弁だなというふうに思うんですね。私が尋ねているのは、本人申込制の見直しが、三五%までこうずっと右下がりになってきちゃった。これはもう原因として、今おっしゃったように、昇任適齢期の職員の人が出産したり育児したり介護したりするという家庭事情のほかに、本人のモラールというか、昇任を望まない意識の変化が出てきちゃったために三五%になりましたよと。
 こんなんでいいんでしょうかね。生活環境が変わったから、本人の意識が変わったから、三五%しか昇任選考申し込みはないんですよということで、他人事じゃないと思うんですね、これは。私はそう思いますよ。そこのところをどうしていくかというふうに、いわゆる士気、モラールを高めていくというのが、やはりトップなり責任者の一つの姿勢だろうと思うんで、こうなったんでしようがありませんよというんじゃ、どこの組織も成り立たないじゃないですか。
 いわゆる先ほど申し上げたとおり、今の厳しい経済状況の中では、就職希望者はみんなあこがれの職というのが公務員なんですよ。公務員に、周りの人があこがれている職の人がですよ、昇任適齢期になっても出産だ育児だ介護だっていうんで望まない。それからいろんな事情から望まないというように意欲がなかったら、私企業の人が聞いたら何ともったいないことかな、場合によっちゃ批判も出てくるかもしれない。そういうことで、その上司である幹部の方々の職員教育が成り立っているのかなということでは、私は残念だなというふうに思います。
 それから、人事考課制度についてはここにも書いてあります。十二年前にもしっかり書いてあって、そこでは確かに全国に先駆けてということでうたって立派だと思いますけれども、それを最終的には段階的に対象範囲と査定幅を拡大していきますよというだけで終わっちゃってる。人事考課制度っていうのはどこでももうこのごろは取り上げているんですけれども、それの段階的な対象範囲と査定幅を拡大して、どういうふうになっていくのかというところまで出てこないと、これまた同じような、何年かたって質問したら、いや、段階的に対象範囲と査定幅を拡大したけれども、結局、この数字、三五%と同じように、当事者が意欲がなかったもんですからだめでしたという形になってしまうかもしれない。そうではなくて、やはり組織というのは、経験者なり責任者がしっかり教育していくところから意欲が出てくるし、組織全体も活性化してくるわけでありますから、他人事のような答弁じゃ困ります。そのことだけ申し上げておきます。
 それから、最後になりますが、四問目になりますけれども、今申し上げたことと関連するんですが、制度をこのように三回にわたって方向を変更しても、改正しても、その実効性が整ってこないと、ただ、絵にかいたもちに終わってしまうんです。このことを総括する形で、人事部長になりますか、答弁をお願いします。

○中嶋人事部長 人事制度は、制度の適切な運用を通じまして、都の事業の円滑な推進に資することが目的であります。
 今回の基本的方向では、この目的を達成するために、多様な人材が確保できる採用制度、計画的な配置管理による専門性の向上、職員の頑張りに一層報いる給与制度、さらには、管理監督職の機能強化などの実現に取り組んでいくこととしております。
 こうした制度改正をより実効性の高いものとするためには、制度のねらいを各局各職場に浸透させるとともに、制度の運用を通してさらなる課題を把握し、今お話にありましたような、その都度必要な見直しを加えまして検証していくというプロセスが重要であります。
 今後も引き続き、適時適切に制度の運用を検証し、必要な対応を図ってまいります。

○和田委員 次に、小笠原の問題に移ります。
 これは昨年六月に世界自然遺産に登録されまして、その後、観光客が随分と増加しているようでありますが、その観光客の変化についてまずお伺いいたします。

○榎本多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 世界自然遺産登録後、平成二十三年七月から十二月までの半年間におけます帰島、仕事、研究目的以外での「おがさわら丸」乗船客数は一万三千六十四人で、前年の同時期と比較いたしまして約一・五倍に増加しています。
 繁忙期の七月、八月は大きな変化はございませんが、秋の閑散期の落ち込みが例年ほど激しくなく、高どまりしているという状態でございます。
 また、観光クルーズ船によります来島者数につきましても、同じ七月から十二月までの半年間の実績で二千百四十五人となっております。前年は、同時期に予定されていた入港が悪天候により中止となるなど、実績がなく比較が行えないことから、平成二十一年の同時期と比較いたしますと、約一・八倍に増加しております。

○和田委員 大多数の方は、「おがさわら丸」も含めた船で行くことになっていると思います。大多数の方はですね。この「おがさわら丸」もほぼ満席に近いときもあったり、天候によってはいろいろありますけれども、順調にいっているように聞いております。
 「おがさわら丸」も三十三年ごろが一つの買いかえ時期になるのかなというように思います。今から十年後ぐらいでありますが、そうなりますとまた東京都の方も、過去の例からすると、六十億ぐらいかかる費用のうちの半額を東京都負担、三十億ぐらいの負担が、同じ形を新造成するとなるとかかってくる、また造成期間も二年ぐらいで新しい船ができるといいながらも、さかのぼって三年、都合五年ぐらいはこの船にかかわって竣工するところまで時間がかかるとなれば、あと五年ぐらい先には、もう船の建造をどういうふうに東京都がかかわっていくのかという結論を導かなきゃならないという事態に遭遇します。
 したがって、一方で世界自然遺産についてのお客様がふえたということは歓迎しながらも、老朽化してきている「おがさわら丸」の新しい買いかえについての財政負担も含め、その会社との話し合いも含め、そろそろ準備をし始める時期にかかってきているのかなというふうに思いますものですから、観光客の増加だけに喜々とするだけではなくて、そういう行政の支援背景などについても、よろしく配慮していただきたいというふうに思っております。
 さて、「おがさわら丸」の件はそういうことでありますが、やはり小笠原の一番の課題は航空路だろうと私は思います。その航空路の検討は今どういうふうになされてきているのか、お伺いいたします。

○榎本多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原の航空路についてでございますが、平成二十年に都と小笠原村で構成いたします小笠原航空路協議会を設置し、航空路開設についての検討を行っております。
 航空路開設に当たりましては、自然環境への影響を初め、費用対効果、運航採算性、安全性の確保など、さまざまな課題があり、現在、航空路協議会において、硫黄島活用案、水上航空機案、洲崎地区活用案の三案を中心に、こうした課題の整理を行っております。

○和田委員 先ほど来答弁いただいたとおり、観光客は順調にふえてきていると。そしてまた世界自然遺産の環境汚染というか、そういうことにもセッティングがしっかりできてきているということでもあります。したがって、島全体の経済的な波及効果も含め、順調にはなってきているんで、それで安心し切るわけではありませんけれども、島がかつてよりさま変わりし始めてきているな、いい意味でさま変わりしてきているなというふうに思うもんですから、ここは慎重にかつやわらかく温かく見守っていただきたいというふうに思うんです。
 私は、どうしても島にとって必要なのは飛行機だろうと思っています。船は、三十三年の「おがさわら丸」の新造成も含めて、それはいいと思いますが、何しろ、妊婦の方だとか体の緊急性の病気の問題だとか、そういう方々の話を島に行くたんびにお聞きをしたりしますと、何としても二十六時間、あるいは場合によってはもっとかかる船では間に合わないのではないかなという気がします。
 それから、たまたま知事とも同席したときに、知事も観光客は時間をかけてふえていけばいいんだ、緊急時の島民のためには、自衛隊、海自がいろいろ面倒見てくれるというようなことも含めて話をされておりましたけれども、やはり知事も飛行機の重要性には何か一つの思いがあるように思うんでありますけれども、東京都の考え方はいかがなものでしょうか。

○榎本多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 現在、小笠原諸島への交通アクセスは片道約二十六時間、週約一便の「おがさわら丸」に限られますことから、島民生活には多くの負担が生じている状況でございます。特に、重篤な救急患者が発生し、島内の医療機関で対応することが困難な場合には、海上自衛隊に対し要請をし、飛行艇等による救急搬送を行っております。こうしたことからも、緊急時の移動手段としての飛行機は、医療や福祉の分野など、島民生活の安定にとって大きなメリットをもたらすものであると認識をしております。

○和田委員 現場に行っていろいろ説明をお聞きして、飛行機、飛行場の問題などを聞いていますと、やはり環境問題などが障害となっておりまして、なかなか飛行場を建設するというところは難しいのかなというふうに思います。そうなってきますと、やはり水上飛行艇が、当面のところ解決の道ではないのかなというふうに思っております。
 また、これはあくまでも報道ニュースでありますけれども、昨年の七月と記憶しますが、防衛省の関係で、武器輸出三原則をある一定自由化することによって、水上飛行艇を民間転用できるというふうな、そういうニュースもございました。ある会社によると、座席を輸送用に改変しますと、大体三十八席座れるようになるというふうな報告もちょうだいいたしております。
 こういうような形で、武器輸出の三原則などが崩れたということも含めまして、水上飛行艇の活用などについて、とりわけ小笠原航空路への水上飛行艇の導入などについては、どういうふうな考えを持っていらっしゃるのかお聞かせ願いたいと思います。

○榎本多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原航空路への水上飛行艇の導入につきましては、小笠原航空路協議会において、硫黄島活用案、洲崎地区活用案とともに検討を行っているところでございます。
 水上飛行艇につきましては、今委員ご指摘のとおり、七月に報道もございましたけれども、昨年の四月に防衛省におきまして、自衛隊機であるUS-2の民間転用を行う場合の手続が定められたと承知してございます。一方で、メーカーによりますと、実際に旅客輸送を行う民用機として転用するためには、機体の大規模な改造開発や型式証明の取得などに数百億円規模の費用を要する可能性もあると聞いております。
 また、水上飛行艇を民用機として小笠原航空路に導入するためには、湾内または湾外に水上飛行場を設置することとなります。湾内に設置する場合には、航空法上、周囲の山を削るなどの自然改変が必要と考えられ、湾外に設置する場合には、波浪の影響により就航率が低下するというおそれがあるなどの課題がございます。
 引き続き、US-2の民間転用の動向の把握に努めますとともに、課題の整理を行い、他の二案とともに、自然環境への影響を初め、航空機材の技術開発動向、経済性、安全性の確保など、多面的な検討を行ってまいります。

○和田委員 あれもだめ、これもだめで、四面閉塞状態になってきているのが、小笠原に関係する飛行機の問題なんですね。
 船は、もうくどいようですが何回も申し上げますが、順調にいくようになって、三十三年の船のつくりかえという問題を一定視野に入れながらやればいい。問題は、緊急時の命の問題、そういうときにどういうふうに、二十六時間かけていいのかどうなのか、また一方で、国際的に緊張が、ある国のいろんな行為によって高まってきているときに、海上自衛隊が、主に東京が当てにするような形での民生輸送を頼られて、それほど余裕がある国なのかというふうに見られても、私どもはまさに遺憾だろうと思うんです。
 したがって、海自は海自の本来の任務にしっかり当てはまりながら、たまたまのときにはいいんでありますけれども、もとより海自に期待をするというようなことになると、諸外国から見るといかにゆとりのある防衛なのかなというふうに見られがちともとれますから、そうではないような、まじめな形での都独自の姿勢というのを、やはりここできちっと確立していく必要があるだろうと。要するに、東京都の海上の飛行艇の問題をしっかり位置づけていく必要があると思うものですから、最後のまとめのご答弁にあったように、しっかり検討していただいて早い結論を出していくことが、都民にとっても、島民にとっても大事なことだというふうに思いますものですから、これも強く要望いたしておきたいと思います。
 最後の問題に入りますが、都区財調の問題です。
 これは、三月十六日に、ここにいらっしゃる笠井さんが、特別区の区長会の西川太一郎さんとやり合ったという、意見をぶつけ合ったというかやり合ったというか、それが一部新聞に載っています。それは、東京都と特別区のそれぞれの立場を地方制度調査会という政府の諮問機関でぶつけられたということでありまして、これは長い間、笠井さんであろうと西川さんであろうと、その前の責任者であろうと、ずっと続けてきた、全く遠くて近い問題であります。それだけに、私がこれから申し上げる財調問題も、西川区長さんとそれから笠井さんの間の議論の、そこら辺に尽きているのかなと思うものですけれども、これについては付言はしませんが、財調問題に絞って、きょうは二、三点の質問をいたしたいと思うんです。
 さて、今年度の財政調整の協議会がもう終わりましたけれども、議論が前に進まなかったというようなこともいわれております。これについては東京都の考え方はどういうふうに、前に進まなかったのか進んだのか、お伺いいたしたいと思います。

○岸本行政部長 二十四年度の都区財政調整につきましては、去る二月十日の都区協議会で都区合意が図られたところでございます。
 今委員からお話のございました都区の間での議論と申しますのは、協議の中で主に三点ございました。一つは都市計画交付金の扱いについての問題でございまして、それは、区の考え方といたしましては、要は都市計画交付金についてすべての都市計画事業を交付対象とするとともに、その都区の実施割合に見合うように交付金総額の拡大を図れというようなご主張でございました。しかしながら、都といたしましては、この問題につきまして、その財源となっております都市計画税は、都が実施する都市計画事業等に充てるために都が賦課徴収する目的税であること、したがいまして、都区財調におきます調整三税のように、法律により特別区にその一定割合を配分することとされている税とは制度上の性格が異なるということで、区がおっしゃるように、都区双方の実績の割合で配分するという考え方はとり得ないということでございます。
 ちなみに、このことは平成十八年二月の都区合意において決着がなされているというふうに考えておるところでございます。
 なお、都市計画交付金につきましては、これまでも必要に応じて順次拡充を図ってきておりまして、区の都市計画事業の実施状況を勘案しつつ、議会のご支援をいただきながら、交付金の予算額の確保に努めてきているところでございまして、今後とも適切に対応してまいります。
 次に、二つ目の問題といたしまして、年度途中に調整税が減ったときの対策の問題がございました。
 一般の市町村であれば発行できます減収補てん債の赤字債部分の起債につきまして、制度上特別区としては発行ができないと、この問題についての議論がございましたが、これは国の制度におきまして、この赤字債部分について、市町村が通常の起債を充当してもなお、適正な財政運営を行うために必要とされる財源に不足が生ずると認められる場合に限り、発行が認められるというものでございまして、都といたしましては、当然この問題に関しまして、国から求められる実際の財政運営上の必要性があるのかないのかということについての議論を、都と区の間で始めることが先決であると区に提案しているところでございますが、区の方はその必要はないとして、議論が進んでおりません。
 最後の問題として、財調におきます特別交付金の割合の引き下げの問題がございました。
 平成十九年に都区協議会の合意を経まして、調整税の配分割合の変更とあわせまして、特別交付金の割合を二%から五%に、これは財調条例の本則で改正したものでございます。平成十九年度以降、その申請額は、交付実績を大幅に上回っている状況でございます。また、東日本大震災を踏まえまして、災害復旧等の緊急のニーズに即応できるこの特別交付金の必要性が再認識されたものと考えております。
 こうしたことから、実際の各区のニーズは高く、今後とも災害等の復旧に要する経費のほか、普通交付金では捕捉できない各区の独自性が発揮される事業への対応も重要でありますことから、現行の五%の割合を変更する必要はないと、そのように考えているところでございます。

○和田委員 特にことしは固定資産税の見直しが行われるということを含んで、財調が決着を見たというふうに、それこそ承知をいたしておりますけれども、このように、全く予測のつかない経済あるいは景気動向の中で、財調も東京都は東京都のいい分、二十三区は二十三区のいい分でぶつかり合っているわけです。主に争点というのは財源、財政問題だというふうに尽きていると思います。
 ただ、その中でも、今後の課題とする主な事業項目として、認証保育所等の保護者負担軽減の補助の問題ですとか、あるいは高齢者民間アパートの借り上げあっせん事業の問題、子どもの医療費の助成費事業の問題、それから、インフルエンザの予防接種費の問題、あるいは放課後の子ども教室の推進事業費の問題、さらに小学校の校舎改築経費の問題、こういうふうに七つなど、今後、まだ一生懸命お互いに協議しましょうよというふうに、こういうところではまだまだ財源問題とは違って、協議の可能性がまだあるわけです。またもっといえば、妥結したというか、そういう項目も多く載っています。
 ですから違いだけを大きくいうつもりは私ありませんけれども、やはりどうしても特別区などでは、立体化事業などについてはもう東京都に、大規模なものはもちろん東京都になりますけれども、区レベルでやれるものについては区でやらせてよというような声も切実に伝わってくるわけです。
 したがって、それをいまだに弟扱いして、いや、それはおれたちがやるからいいよという形じゃなくて、やはり自主性に見合った形で歩み寄りを図っていくということで、先ほども申し上げた七項目などについては、これからペンディングで協議しましょうよというようなことになっているような、そういうところに少しでも、その接点を用意しながら話を詰めていきませんと、十六日の笠井局長と西川区長会会長さんの、活字だけ見れば相当ぶつかり合ったというふうに見れるようなそごが出てくるわけでありますから、そういうことのないような形で協調関係を持っていくためには、やはり東京都の方が、ある程度余裕を持った形で話し合いあるいは対応を図るという必要があると思うんでありますけれども、いかがでしょうか。

○岸本行政部長 都区財政調整制度は、都と特別区、そして特別区相互間の財源の均衡化を図り、特別区の自主的、計画的な運営に資することを目的とするものでございまして、特別区の財政運営の根幹であると考えております。
 これまで、都区間でさまざまな課題が生じましたが、その都度互いに誠意を持って協議を行い、困難を乗り切ってまいりました。
 一方で、特別区に対しましては、国や地方から厳しい目が向けられており、こうしたことも踏まえながら都区間で真摯に議論を深め、当事者である都と区が議論をする中で解決を図っていく必要があるというふうに考えております。都といたしましても、現行の財政調整制度について課題と認識している事項もございますことから、今後も区と十分協議の上、財調制度の適切な運営に努めてまいります。

○和田委員 細かくは、具体的な項目については触れませんでした。大ざっぱに都と区の財調問題、調整率も含めて、大変困難な問題が横たわっていることは承知の上でありますから、概略だけお話しを、私の意見をいいまた答弁してもらったわけですが、やはりこれから、防災の問題とか、何かが起こってくると、どうしても東京都プラス都心に近いというとあれですが、ビル街の多い特別区の被害想定とか何かも絡めて、すぐに相談に乗らなきゃならないのは都区だろうと思っているんです。
 その意味で、私はこの都区の財調制度を中心にした協議会を、より有効にこれからも継続していくためには、何らかの知恵を働かせなきゃならないというふうに思っておりますので、議会としても関心を持っていくべきだというふうに思います。
 これは委員長にお願いしたい、副委員長にもお願いしたいんでありますけれども、この財調の協議会の中で、区の意見は、例えばこんなことをいってます。
 都市計画交付金の見直しについては、都側は財調協議の場で議論するものではないとのご主張で、議論そのものはできませんでしたと。協議を拒否する姿勢自体いかがなものかと思いますが、まして、ただいま区側の幹事から報告を聞いたところですが、都が協議課題と認めないという理由で、都区間の議論そのものを記録に残さないという姿勢は、長い協議の経緯の中で前代未聞のことといわざるを得ませんというふうに、特別区側の方は相当憤慨した形で、二十四年二月十日の都区協議会の中で、最終的な総括をしているんです。
 私は、都区協議は大体毎年十二月から始まるものですから、この所管の総務委員会で十二月少し前に、やはり関係する特別区の区長さん方を、役員の方でも呼んでいただいて、どういうことがあなた方は望んでいるのかというようなことを含め、参考人になるのか、あるいはただ単なる懇談会になるかわかりませんけれども、委員会としてこの重要な財調問題を含め、都区協議の課題について、一たび関係の方のご意見を聞くような場面を設定してほしいということをぜひ理事会でお諮りいただきたいということを申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。

○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉倉委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十九分散会

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