委員長 | 吉倉 正美君 |
副委員長 | 佐藤 由美君 |
副委員長 | 中屋 文孝君 |
理事 | 伊藤 興一君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 吉田康一郎君 |
栗林のり子君 | |
星 ひろ子君 | |
しのづか元君 | |
服部ゆくお君 | |
田島 和明君 | |
大西さとる君 | |
吉原 修君 | |
三宅 茂樹君 |
欠席委員 一名
出席説明員総務局 | 局長 | 笠井 謙一君 |
危機管理監 | 醍醐 勇司君 | |
理事 | 塚田 祐次君 | |
総務部長 | 山手 斉君 | |
訟務担当部長 | 和久井孝太郎君 | |
復興支援対策部長 | 砥出 欣典君 | |
復興支援調整担当部長 | 野口 一紀君 | |
行政改革推進部長 | 土渕 裕君 | |
情報システム部長 | 長澤 徹君 | |
首都大学支援部長 | 皆川 重次君 | |
人事部長 | 中嶋 正宏君 | |
労務担当部長 | 内藤 淳君 | |
主席監察員 | 長谷川 均君 | |
行政部長 | 岸本 良一君 | |
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 | 榎本 雅人君 | |
区市町村制度担当部長 | 堤 雅史君 | |
総合防災部長 | 村松 明典君 | |
企画調整担当部長 | 箕輪 泰夫君 | |
統計部長 | 荒井 浩君 | |
人権部長 | 並木 勝市君 |
本日の会議に付した事件
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十四号議案 東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
報告事項
・東京都防災対応指針について(質疑)
○吉倉委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより総務局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百五十四号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○吉倉委員長 次に、報告事項、東京都防災対応指針についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○山手総務部長 十一月二十八日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の一ページをお開きいただきたいと思います。平成二十年度から平成二十二年度までの東京都震災対策事業計画における建物の耐震化に関する事業実績でございます。
都立建築物の耐震化、住宅の耐震化などの事業ごとに、目標年次でございます平成二十二年度末の目標と事業実績とをそれぞれ掲げてございます。
恐れ入ります、二ページ、これの裏になりますが、お開きいただきたいと思います。平成二十年度から平成二十二年度までの東京都震災対策事業計画における地震に強い都市づくりに関する事業実績でございます。
左端にありますように、道路、橋梁等の整備・耐震補強と、地すべり・土石流対策の大きく二つに分けて、事業ごとに目標年次である平成二十二年度末の目標と事業実績とをそれぞれ掲げてございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○吉倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○しのづか委員 それでは、東京都防災対応指針の中から何点か伺います。
今回の東日本大震災はもちろんのこと、過去の震災や水害などの教訓から、大きな災害が発生したときに、自分たちのところまで消防や自衛隊などの救助がたどり着くにはかなりの時間がかかりますし、面的にも大きな被害が想定される震災などの災害に対して、特に初動においては、公助には限界があることも明らかです。まず自分の命を守り、家族を守り、そして、向こう三軒両隣、隣近所を助ける。つまり、自助、共助の取り組みが何よりも重要であると考えます。
このたびの東京都防災対応指針においては、自助、共助の取り組みとして、知事が提唱する防災隣組の構築が盛り込まれています。
そこでまず、防災隣組の構築に当たっての基本的な考え方を伺います。
○箕輪企画調整担当部長 大規模地震の発生時に一人でも多くの人の命を守るには、公助のみの取り組みには限界があり、自助、共助の取り組みが重要でございます。今回、東日本大震災を経験して都民の防災意識が高まっているこの時期を逸することなく、都民の危機意識を喚起し、地域住民一人一人の意識を高めて、自助、共助の力を再生していくことが必要でございます。
このような観点から、新たな共助の取り組みである防災隣組を構築し、地域における共助の担い手である町会、自治会など、地域内のさまざまな主体の意欲的な活動を後押しして、地域の防災力の向上を図ることといたします。
○しのづか委員 今、防災隣組の構築に当たっての基本的な考え方を伺いました。
地域の自助、共助の取り組みとしては、町会や自治会、管理組合などを母体とする自主防災など、防災市民組織が既にそれぞれの地域でその役割を担って活動しています。そこをベースとして取り組みを促していくのが効果的な方法だと私は思います。
私の住む地域は、多摩ニュータウン開発以前の昭和三十年代に民間開発により宅地造成された住宅地であります。多摩丘陵の農地、いわゆる段々畑をそのままの土地形状で造成されていて、宅地面積も狭く、宅地内の道路も私道が多く狭隘です。二十三区内の木密地域と同じような環境にあり、だからこそ地域の防災意識はもともと高いのですが、その活動の中核を地元の自治会が担っています。
個人情報保護法などの制定によって地域の連帯意識が薄まってきたことや、新潟中越地震などの震災をきっかけに、これはいい出しっぺは、私の父親が自治会長でありましたので私の父親なんですが、地元自治会では数年前から、災害時における支援の有無や避難時に持ち出せる食料や道具など、防災備品の有無などを防災アンケートとして実施しています。最初のころこそ回答率が七〇%台と低かったんですが、実際に車いすを押しての避難訓練や備品を使っての炊き出しなどの訓練を行ったり、自治会報などで意識啓発を続けた結果、今ではほぼ一〇〇%に近い回答率になっています。
四百世帯を超える自治会の構成員が二十の班に分かれていて、自治会長のもと、それぞれの班が班長を中心に担当を決めて、ふだんから災害要支援者である地域のお年寄りや障害者の見守りを実践するまでになり、活発な活動を続けています。この班長も一年交代で輪番制にしていて、自治会員は必ず役員を経験するようにもしています。近所に顔見知りをふやすことを目的としたお祭りやおせっかい運動から始め、当初は地元自治会だけの取り組みだったのですが、災害時は近隣の小中学校が一時避難所となることもあり、呼びかけた結果、現在では、地元の小学校を会場に、近隣八自治会が合同で毎年防災訓練を行うなど、避難所を運営する八自治会合同での防災組織も立ち上がっています。
私自身も、数年前から地元でこのような活動を実践していることもあり、今回の防災隣組の理念は非常によく理解できるのですが、自治会などの防災市民組織とは別に新たな組織をつくろうとするのではうまくいきません。都議会民主党としても、隣組よりも町会や自治会、あるいは消防団などの既存の組織をもとに、地域活動の若返りを図っていくことが重要かつ効果的であると考え、その支援を求めることを提言にも盛り込みました。
そこで、地域の防災力の向上には、既存の自治会などを母体とした防災市民組織をうまく活用すべきだと考えますが、都はどのように取り組むのか、見解を伺います。
○箕輪企画調整担当部長 町会や自治会などを母体とした防災市民組織は、地域の防災活動の重要な担い手の一つであり、地域の防災力の向上に向け、こうした組織の活性化を後押しすることは有効な方法の一つだと考えております。
防災隣組の構築に当たりましては、防災市民組織の活動を初め、地域と事業者、あるいは企業同士の連携など、さまざまな防災の取り組みを掘り起こし、先進的な取り組みなどを、仮称でございますが、東京都防災隣組として認定するとともに、その内容やノウハウ等を広く紹介するなどして、地域の防災力の向上につなげてまいります。
○しのづか委員 今、お答えいただきました先進的な事例を広く紹介していくということは重要なことでありまして、そこから気づきが生まれてくると思います。そして、その取り組みを促すためにも絶えず発信し続けることが重要だと思います。
さて、都内には、私の地元のように自治会の活動が非常に活発なところもあれば、一方で、リーダーや構成員の高齢化などの理由から、活動が低調な地域も多いと聞きます。また、そもそも町会や自治会自体が存在しない地域もありまして、このような地域で防災活動を立ち上げ、活性化していくためには、防災活動を担う住民一人一人が防災の大切さに気づくことも大切なのですが、何よりも活動の核となる人材、組織を取りまとめるリーダーを発掘し、育成していくことが必要であると考えます。
そこで、防災隣組を広めていくに当たっては、リーダーとなる人材を発掘し育成していくことが重要だと考えますが、都はどのように取り組むのかを伺います。
○箕輪企画調整担当部長 まず、都民の危機意識を喚起するとともに、共助の重要性につきまして、各地域の特性を踏まえたきめ細かい意識啓発を行い、都民一人一人がみずからが防災の担い手であるとの意識を高めてまいります。
さらに、地域における共助の中核となる人材を育成するため、町会等の組織のリーダーを対象とした研修会を開催するとともに、若手に対する防災教育や実践的な訓練の指導を行うなど、広く防災を担う人材の育成を図ってまいります。
○しのづか委員 人材の発掘、そして育成は何事においても重要でありますので、ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。
こうした取り組みを進めていくためには、地域と深くかかわっている区市町村をいかに取り込み連携していくかが重要です。先ほどから申し上げているように、地域の防災については、それぞれの地域の住民一人一人を初めとして、町会や自治会などさまざまな主体が主役であり、これにどう働きかけるかがかぎであると考えます。
防災隣組を構築していくに当たっては、区市町村が主体的に取り組み、都は普及啓発の側面から主役たちを支援する、そういう役割を担うことが望ましいと思います。しかしながら、私の地元の市役所もそうですが、多くの区市町村の防災を所管する部署だけでは、人数も少なく、防災担当だけに担ってもらおうとしてもうまくいかないと思います。自治会などを担当する部署などの協力も得ながら進めていくべきであります。
そこで、防災隣組の構築において、都は区市町村とどのように連携していくのか、お伺いいたします。
○箕輪企画調整担当部長 防災隣組の構築に当たりましては、区市町村の防災担当者には、構築の趣旨などについて丁寧に説明、周知していくことはもちろん、また、区市町村の町会や自治会などを担当する部署や地元の消防等の関係機関からも協力が得られるよう、防災担当者を通じまして働きかけてまいります。さらに、都の関係局とも連携し、意識啓発や隣組の認定に当たりましては、区市町村の担当部署と十分な情報のすり合わせを行うなど、区市町村とは絶えず緊密に連携してまいります。
○しのづか委員 防災を所管する部署同士、自治会、町会などを所管する部署同士、そして、都と区市町村が縦と横、それぞれ連携を図って進めていくというきめ細かい取り組みをぜひお願いいたします。
最後に、都心のビジネス街における自助、共助の観点から伺います。
私の住む多摩地域などの郊外においては、昼間は通勤や通学で都心地域など他の地域に出かけている人が多く、昼間に地域で見守り役となるべき人は大変少ない状況となっておりまして、昼間の高齢者など、要援護者同士や若い子育て世代、そして場合によっては地域の大学や高校、小中学校などとの助け合いが課題となっています。これとは反対に都心地域においては、昼間は比較的若い人、生産年齢人口が多いということになります。
先日、明治大学大学院の中林教授からも話をお伺いしましたが、発災時、都心地域で帰宅困難者となる人の多くは若く動ける人であり、自分の身が守れたら人を助ける側に回るべきで、いかにそのようにしむけるかが大切だとおっしゃっておりました。私も、このような視点は、特に企業が集積する東京の都心部においては大変重要な視点だと思います。しかし、こうした人々を助ける側に回すためには、企業などとしての積極的な取り組みが不可欠だと思います。災害が起きる場所や規模によっても変わってきますが、首都直下地震などのように東京が直接被災するような大規模災害の場合は、公共交通網も情報通信網なども麻痺してパニックに陥ってしまうことが想定できます。だからこそ、ふだんから非常時の備えをしていく必要があると思います。
そこで、都心地域における自助、共助の取り組みとして、企業単位や企業同士の取り組みを促していくことが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○箕輪企画調整担当部長 都心地域における企業単位や企業同士の防災活動は、地域の防災市民組織の活動と同様に自助、共助の取り組みとして重要でございます。
例えば、東京駅の周辺においては、企業同士の防災隣組というべき活動が既に始まっており、帰宅困難者対策にも取り組んでおります。
こうした企業の事例につきまして、都と国、民間事業者を含めた帰宅困難者等対策協議会の場で報告することなどにより、事業者団体を通じて、企業単位や企業同士の自助、共助の取り組みを促してまいります。
○しのづか委員 今、都心地域における企業への自助、共助への取り組みについてお答えいただきましたが、これは都心だけに限りませんが、生産年齢でいえば、大学や高校など学生の活躍も期待できることから、各学校への取り組みを促していくことも重要だと思います。この学校への取り組みの促進について、防災を所管する総務局から、教育委員会や生活文化局、あるいは区市町村など関係機関とのより一層の連携を要望しておきます。
以上、私の地元の自治会活動の経験を通じた地域の自助、共助の取り組みと、都心地域における自助、共助の取り組みについて伺いましたが、防災対策はそれぞれの地域を担うさまざまな主体による自助、共助の取り組みをいかにうまく生かしていくかが重要であり、地域の自治がしっかりとしていれば、防災だけではなく、まちづくりや防犯など、さまざまな課題の解決につながると思いますので、その点よろしくお願いいたします。
また、災害は発生する時間を選びません。今回の東日本大震災は午後の時間帯でしたが、阪神大震災のときは早朝であったように、昼間に発災する場合と早朝や夜間に発災する場合とでは、自助、共助の取り組みについても、どこでだれが何をすべきかということは大きく異なると思います。
私の地元の取り組みを先ほど紹介しましたが、私の地元ではそのような意識からも、昼と夜とで別々に地域の見守りの担当を決めているなどの工夫も行っています。
このように、昼と夜の違いや地域の特性などにも配慮したきめ細かな防災対策こそが重要であると思います。こうした視点をぜひ防災隣組の構築に生かし、東京の防災力の向上に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○中屋委員 私からも何点か質問をさせていただきたいと思います。
我が党はこれまでも、東日本大震災復旧・復興対策推進本部を設置いたしまして、被災地の早期の復興と東京の防災力向上に向けて、精力的に取り組んでまいりました。さきの代表質問では、同本部において取りまとめました防災対策強化に向けての提言に基づいて、防災対策についてお伺いしたところであります。
都の実施した都民生活に関する世論調査におきましても、都政への要望として、防災対策が五三%でトップとなるなど、都民の防災への関心が非常に高いことがうかがわれます。そこで改めて、都の防災対策についてより掘り下げて質問をさせていただきます。
まず、東京都防災対応指針について伺います。
指針では、二つの目的とその達成に向けた対策の方向性が示されておりますが、改めて、その基本的な考え方についてお伺いいたします。
○村松総合防災部長 東京都防災対応指針では、東京の防災対策の原点を再確認する趣旨から、都民の生命の安全を確保することと首都東京の機能を維持することの二つの目的を掲げました。これは、膨大な昼間流入人口を抱える大都市の特性を踏まえつつ、防災対策の原点である住民の命を守ることを明らかにするとともに、災害による東京の停滞が、都民生活への影響はもとより、国の機能不全にもつながりかねないことから、都市機能を維持することを示したものでございます。こうした目的に照らしまして、多様な主体の連帯を強化し、それぞれの取り組みを有機的に結びつけて展開してまいります。また、施策の徹底強化と複線化、多重化を促進し、バックアップを確保してまいります。
指針の内容は、仮称ではございますが、「二〇二〇年の東京」及びその実行プログラム、平成二十四年度予算におきましてより具体化するとともに、地域防災計画の修正にも反映し、東京の防災力を向上してまいります。
○中屋委員 指針の内容は、今後「二〇二〇年の東京」や来年度予算において、より具体的に示され、地域防災計画の修正にも反映されるとのことでございますが、その中でも、防災対策の基本となるのはやはり地域防災計画であると思います。指針で示した内容を着実に地域防災計画の修正へとつなげていくことが重要と考えます。
今後、地域防災計画の修正にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○村松総合防災部長 指針の内容は防災対策全般にわたっていることから、地域防災計画の修正に当たりましては、都の各局はもとより、国、区市町村、防災機関等と緊密に連携して検討を進める必要がございます。
このため、指針の内容に即して、東京都防災会議のもとに、大規模水害に備えた広域的な避難体制や、発災時に有効に機能する物流、備蓄のあり方といった課題に応じた検討部会を設置することといたしました。
部会におきましては、関係機関と緊密に連携を図りながら、実務担当者を中心に具体的な対策を検討し、地域防災計画を修正してまいります。
○中屋委員 ぜひ精力的に検討を進めていただきたいと思います。
次に、個別の取り組み内容についてお伺いいたします。
高度防災都市の実現を目指すためには、都市の耐震性を向上させるハード面での取り組みが不可欠であります。我が党が取りまとめました提言の中でも、地震に強いまちづくりのさらなる推進を、防災対策の柱の一つとして位置づけております。一口にハード整備といっても、木造住宅密集地域の不燃化や建築物の耐震性の向上、ライフラインの機能確保など、その内容は多岐にわたります。
そこで、高度防災都市の実現に向けて、ハード対策全般をどのように推進していくのか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 東京の防災力を向上するためには、ご指摘のとおり、都市基盤を強化するハード対策の推進が必要不可欠でございます。このため、個別の建築物の耐震性の向上はもとより、面的な都市基盤の整備や、これらを相互に結びつけるネットワークの構築を推進してまいります。
具体的には、医療機関や学校はもとより、特定建築物やマンションの耐震化を促進するとともに、都市の不燃化に向けた木造住宅密集地域の整備促進、防災公園や都市開発とあわせた防災拠点の整備なども進めていくこととしております。また、三環状道路の整備を初めとする道路ネットワークの整備、橋梁や鉄道の耐震化、上下水道のネットワーク化など、ライフラインの機能維持のための対策を推進してまいります。
こうした取り組みは、ハード局を中心に展開されていくこととなりますが、総務局といたしましても各局と連携し、発災時における都市機能の確保に万全を期してまいります。
○中屋委員 こうした取り組みが都の各局において着実に進められるべきものであることは、十分に理解をしておりますが、防災対策の取りまとめをする総務局として、各局と連携を図って都市の安全性の向上に努めていただきたいと思います。
次に、避難対策についてお伺いいたします。
三月十一日の東日本大震災や夏の台風十二号、十五号の被害を目の当たりにいたしまして、改めて津波や洪水の恐ろしさを再認識したところであります。
こうした水害に備えるためにも、ハード対策を進めることは重要であるが、一方で、東日本大震災で、大津波により東北地方の水門や防潮堤などが破られた教訓から、万が一の浸水に備えて、ソフト面からの備えとして、適切な避難対策を講じておくことも必要不可欠であると思います。
都は、こうした水害への備えとして、指針において広域避難プロジェクトを展開することとしておりますが、具体的にどのように推進していくのか、お伺いいたします。
○村松総合防災部長 大規模な浸水が生じた場合には、都といたしましても、広域行政の立場から避難のあり方や具体の方策を講じていく必要があることから、広域的な避難対策を関係機関の連携により検討を進める広域避難プロジェクトを推進することといたしました。
具体的には、東京都防災会議のもとに区市町村や防災機関、学識経験者から成る検討組織を設置し、海抜ゼロメートル地帯における避難誘導や避難者の受け入れ調整などについて検討を進めてまいります。
検討に際しましては、避難のシミュレーションなど詳細な分析を行うとともに、専門的な知識、知見を有する学識経験者や区市町村と十分に意見交換を行ってまいります。また、検討結果を踏まえまして、九都県市など近隣自治体とも広域的な連携を図りながら、避難のための仕組みを整え、大規模な浸水被害への備えを固め直してまいります。
○中屋委員 区市町村とも連携を図って、万全の備えを講じていただきたいと思います。
このような行政主導の公助の取り組みも重要ではありますが、防災対策の基本となるのはやはり自助、共助であります。発災直後に行政の救助がすべての現場に駆けつけることは現実的には困難であります。都民一人一人がみずからを守り、家族を守り、隣人を救う自助、共助の取り組みが、一人でも多くの都民の命を守るためのかぎを握っております。その意味で、知事が提唱いたしました防災隣組構築への取り組みは、東京の自助、共助を強化するものであります。東日本大震災の経験で都民の危機意識が高まっている今、時宜を得た取り組みと高い評価をいたします。
現在、地域には、自助、共助の活動を担う防災市民組織がありまして、これまでもさまざまな取り組みを行ってまいりました。
私は、さきの決算特別委員会第一分科会の質疑におきまして、地域の防災市民組織を積極的に育成すべきとの観点から、幾つかの質問を行いました。これを踏まえ、改めてご質問させていただきます。
防災隣組の構築に当たりましては、地域の防災市民組織を応援し、その活性化を図ることが望ましいと思いますが、具体的にどのように展開するのか、お伺いいたします。
○村松総合防災部長 地域における自助、共助の力を強化していくためには、日ごろからの地域の活動の積み重ねが必要であり、防災市民組織の役割はきわめて重要と認識しております。
ご指摘のとおり、これまでも都内には防災市民組織が約六千七百存在し、活動を続けておりますが、構成員の高齢化や若い世代の参加が少ないなどの課題がございます。
こうしたことから、防災隣組の構築に当たりましては、既存の防災市民組織を支援し活性化していくことが重要であると考えております。そのため、地域で行われている意欲的な防災市民組織の活動を区市町村を通じて掘り起こしまして、仮称ではございますが、東京都防災隣組として認定いたします。その取り組み内容やノウハウを広く紹介するとともに、意欲的な活動を担うリーダー相互の交流の場をつくり、地域防災活動の担い手の育成とネットワークづくりに取り組んでまいります。
○中屋委員 元気な防災市民組織を防災隣組として認定し、応援し、担い手を育てることは大切でございます。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
しかし、そのさきの決算特別委員会の質疑において明らかにされましたように、防災市民組織については構成員の高齢化などの課題がございます。活動が停滞している地域もあると聞いております。防災市民組織の活動が活発でない地域に対して、都としてどのように働きかけるのか、お伺いいたします。
○村松総合防災部長 意欲的な取り組みを他の地域にも広めていくため、例えば木造住宅密集地域など、地域の特性から早急に防災機能を向上する必要がある地域や、意欲はあるもののノウハウがわからない地域などを対象といたしまして、モデル地区を選定いたします。モデル地区におきましては、地元町会、区市町村及び消防署とも連携いたしまして、他の地域における先進的な取り組みやユニークな取り組みの手法を導入し、きめ細かく支援することで活性化を図ってまいります。
活性化に当たりましては、祭りなどの地域イベントや新しい情報通信手段を活用するなど工夫を凝らして、若い世代の参加を促してまいります。
こうした具体的な取り組みを通じ、向こう三軒両隣はもとより、町会とPTA、町会と事業者、企業による防災隣組など、多様な主体の活動を支援し、地域防災力の向上を図ってまいります。
○中屋委員 次に、帰宅困難者対策についてお伺いいたします。
都は、我が党の代表質問に答えて、今後、帰宅困難者対策のための新たな条例の制定に着手する旨を明らかにいたしました。条例の制定に当たっては、民間事業者の協力を得ることが不可欠であり、事業者など十分に議論をして理解を得ながら進めていくことが必要だと考えますが、所見を伺います。
○村松総合防災部長 帰宅困難者対策につきましては、東日本大震災の発生時に都内で大きな混乱が生じたことや、首都直下地震の切迫性が指摘されていること等を踏まえまして、対策の一層の充実強化を図る必要があると考えております。
帰宅困難者対策は社会全体で取り組む必要があることから、都は、国、近隣自治体、民間事業者等で構成する協議会を設置いたしまして、帰宅困難者対策について議論を積み重ねてまいりました。こうした検討を経て、先般、関係者による合意のもと、企業内待機の徹底や企業における三日分の備蓄などを内容とする、一斉帰宅抑制のための基本方針を取りまとめたところでございます。
帰宅困難者対策に関する条例につきましては、この基本方針を踏まえたものとするとともに、引き続き協議会におきまして議論を積み重ねるなどによりまして、事業者の理解を得るよう努めてまいります。
○中屋委員 ぜひ多くの関係者の理解を得られるようご尽力をいただいて、実効性のある対策をしっかりと検討されるよう要望いたします。
次に、通信の確保について伺います。
三月十一日当日、携帯電話の不通など通信が大きく混乱したため、家族との安否確認もままならない状況に置かれた人々は一斉に帰宅行動をとりまして、このことが大量の徒歩帰宅者の発生へとつながりました。
発災時の安定的な通信を確保することの重要性は、我が党はこれまでも代表質問や提言などで強く訴えてきたところであります。都は、発災時の安定的な通信の確保に向けて、今後具体的にどのような取り組みを進めるつもりなのか、所見をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 発災時には、都や区市町村、自衛隊などの防災機関相互の通信はもとより、防災機関から都民への情報提供、都民相互の情報連絡を確保することが極めて重要でございます。
このため都は、防災行政無線や災害時優先電話等を活用するなど、通信手段を多様化し、防災機関相互の安定的な通信を確保してまいります。
また、都民への情報提供の充実と都民相互の通信の確保を図るため、ホームページ機能の強化やツイッターなどのソーシャルメディアの活用を促進するほか、情報通信の基盤強化に向けた無線LANの実証実験を行ってまいります。
○中屋委員 災害時に何よりも重要なのは、必要な情報を的確に伝達することであります。それが実現できて初めて都民に冷静な行動を促すことができます。通信の安定確保に向けて通信事業者とも連携し、着実に対策を講じていただきたいと思います。
これまで防災対策について伺ってまいりましたが、防災対策は幅広く、関係する機関等も多岐にわたります。真に東京の防災力を向上するためには、都の各局が一丸となることはもとより、区市町村や防災機関、都民、事業者も巻き込んで、防災力強化のムーブメントを巻き起こす必要があります。
最後に、東京の防災力向上に向けた総務局長の決意をお伺いいたしまして、質問を終わります。
○笠井総務局長 東日本大震災は、被災地に大津波による甚大な被害をもたらしたばかりか、遠く離れた東京にも、大量の帰宅困難者の発生などさまざまな影響を与え、改めて自然の脅威を私たちに見せつけたところでございます。
今回の大震災の対応を通じ、災害は公助の力だけでは防ぎ切れるものではなく、発災時に一人でも多くの命を守るためには、都民や事業者などによる自助、共助が極めて重要であるということが明らかになりました。
この教訓を踏まえ、都は、このたび取りまとめました防災対応指針において、多様な主体の連携による防災隣組の構築、社会全体で取り組む帰宅困難者対策など、自助、共助を再構築する対策をお示しいたしました。
今後、都はこの指針でお示ししたこうした取り組みを強力に推進し、一人一人が防災と向き合い、考え直すきっかけをつくり、自助、共助の力を強めていくとともに、公助の取り組みのブラッシュアップ、スピードアップを図ってまいります。迫りくる首都直下地震に立ち向かうため、自助、共助、公助のすべての力を結集し、東京の防災力向上に全力で取り組んでまいります。
○伊藤委員 それでは、私からも東京都防災対応指針について質問をさせていただきます。
東日本大震災は、被災地はもとより、震源から遠く離れた都内においても大量の帰宅困難者が発生するなど、大きな混乱が生じました。
私は、今回の震災における教訓として、発災時の初動の対応がいかに重要であるかということを痛感させられました。この観点から何点か質問をさせていただきたいと思います。
初動対応を行う上では、まず迅速な情報連絡が不可欠であります。東日本大震災の発災時には、先ほどもありましたが、携帯がつながりにくくなって、家族との安否確認や交通機関の運行情報などの情報収集が困難となりました。このことが徒歩による帰宅者を増加させた要因の一つであるというふうに思います。
また、昨今では、携帯電話屋さんに行きますと、私の持っているような折り畳みのこの携帯電話、ほとんど姿をなくしまして、ほとんどはスマートフォンが並べられている、こういう状況でありますけれども、スマートフォンを所持している人が大変にふえてきているわけでありますが、スマートフォンについても災害時に有効に機能しないおそれがあると思います。こうした対策をしっかりと講じておく必要があると思います。
都議会公明党は、本年の第二回定例会において、災害時の情報通信と帰宅困難者対策について、早急に対策を講じるよう求めてまいりました。帰宅困難者については、都、国、民間事業者団体から成る帰宅困難者等対策協議会で検討されていることと思いますけれども、その構成及び検討状況について、また、災害時における携帯電話や災害伝言ダイヤルの活用など、情報通信基盤の強化についてどのような検討が行われているのか、まず伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 今回の震災では、通信事業者による通信規制と基地局の通信容量を大幅に超えるアクセスの集中により、携帯電話がつながりにくくなり、災害伝言サービスについても接続が困難となりました。このため都は、発災時の情報通信基盤の強化について国へ強く働きかけ、現在、予備の基地局の増設など、基盤強化に係る取り組みが進められているところでございます。都を初め、国や近隣自治体、経済団体、通信事業者等から成る帰宅困難者等対策協議会では、第一回に安否確認手段の確保など、今後の検討事項を申し合わせ、第二回には、企業から従業員への安否確認手段の周知などについて、基本方針として取りまとめたところでございます。
今後都は、この協議会をもとに、国や通信事業者とともに、通話のふくそうの影響が少ない安否確認手段の確保など、情報通信基盤のさらなる強化に向けた実効ある対策を検討してまいります。
○伊藤委員 情報通信基盤の強化は極めて重要な課題であります。ぜひとも実効性のある対策に取り組んでいただきたいと思います。
なお、申し上げておきたいのは、今回の震災では情報連絡の手段として、ツイッターを利用した人も多くいたようであります。このツイッターは非常に便利なツールである一方、誤った情報が流される危険性もあると思います。あってはならないことでありますけれども、仮に災害発生直後にデマが流される、このような可能性もあります。こうしたデマ情報によるパニックが起こることがないように、都民に対し、いかにして正確な情報を伝えていくのか、検討を進めてほしいというふうに思います。
続いて、帰宅困難者支援について伺いたいと思います。
今回の震災では、東京においては、災害時帰宅支援ステーションの認知度が低かったことから、避難所とこのステーションを混同されるなど、一部で混乱も生じました。今後は、災害時帰宅支援ステーションや一時待機施設について防災マップに表示するなど、工夫を行い、都民に対し周知を図っていくことが重要であると思います。
一方、三月十一日、私の地元の品川でも、深夜十一時ごろでありましたけれども、国道一五号線のところの近くを通ったときに、歩道からあふれんばかりに人が長蛇の列で、神奈川県方面に歩いていかれる方がいらっしゃいました。
この国道と並行するところに北品川商店街という商店街がありまして、この商店街の中の八百屋さんの前を私が通ったときに、八百屋さんの前でみそ汁をつくって、帰宅される方々に振る舞っていらっしゃる、こうした八百屋さんがいらっしゃいました。寒空の中、あと何時間かけて家に着くのかわからない、こうした方々が余りにも気の毒で、お店の売り物であるなめこを入れてみそ汁をつくって、なめこがなくなると今度はもやしを入れて、そうして励ましてくれた。こういうお話を伺ったのと、また私もその場におりました。こうしたこの八百屋さんの始めたことが近隣に広がって、そして近隣の方が何かお手伝いすることはないかといってお手伝いに集まってきてくれた。また、この話が商店街の先につながって、今度はその先のお茶屋さんも一生懸命に、この帰宅困難の方々を励まされていた。こうした商店街もあったわけであります。
都は、これまで以上に帰宅困難者をこうして支援をしてくださる事業所や、あるいは商店街なども、あらかじめ協力を求めて対策を拡充しておくべきだというふうに思います。
そこで伺いたいと思いますが、災害時帰宅支援ステーションと一時待機施設の役割の違いを明確にし、わかりやすいマークなどにより都民への周知を図るとともに、それぞれの拡充も図っていくべきというふうに思いますが、所見を伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 災害時帰宅支援ステーションは、徒歩帰宅者に対しまして水道水、トイレ、情報などを提供する、都や九都県市と協定を締結したガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの店舗でございます。一方で、一時待機施設は、帰宅が可能になるまで待機する場所がない方々を一時的に受け入れる施設でございます。
今回の震災の際には、災害時帰宅支援ステーションと一時待機施設とを混同する事例が見られたことから、それぞれの役割など改めて周知する必要があると考えております。
このことを踏まえまして、都は、他の自治体や関係機関、民間事業者などと連携して、各方面から都民へ周知を行うとともに、施設の表示方法や協力先の拡充についても、帰宅困難者対策等協議会を通じて検討してまいります。
○伊藤委員 災害時帰宅支援ステーションや一時待機施設を拡充しても、都民の認知度が低いと、いざというときに有効に活用することができないと思います。周知徹底と拡充、この両面からの取り組みをぜひともお願いしたいと思います。
また、帰宅困難者を一時待機施設に受け入れるに当たっては、災害時要援護者への配慮も必要であります。障害者や高齢者、また子どもなどの中には、情報を入手することが困難であったり、車いすなどを使用していて移動が困難であったり、また、知的障害者など、災害時にはパニックになってしまい、救援すら求められないというような方々もいるということを忘れてはいけないと思います。
これまでの地域防災計画では、災害時要援護者については区市町村による対策が中心であり、これによってきめ細かな対策を一層講じていくべきだというふうにも思いますけれども、一方で、今回の震災を教訓に、帰宅困難者は区市や都県を越えて移動していることを踏まえて、都としても、広域的な視点に立って対策を講じていくべきであるというふうに思います。
そこで伺いますけれども、今後、地域防災計画の見直しの検討に向けて、帰宅困難者対策において、広域的な視点も含め、障害者や高齢者、子どもなどの災害時要援護者の受け入れに万全を期すべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 災害時要援護者に関するご質問でございますけれども、一時待機施設におきます帰宅困難者等の受け入れに当たりましては、障害者や高齢者など特別な支援が必要な災害時要援護者を優先することはもとより、帰宅困難者の中には都外に在住している方々がいることも踏まえまして、円滑な受け入れを行うことができるよう、運用体制を整備しておく必要がございます。
また、障害のある方々につきましては、情報を得るに当たって制約を受けることから、特別な配慮や支援が必要となり、例えば、聴覚障害者の場合には視覚を中心とした手段によって情報の提供を行うなど、きめ細かな支援が必要になると考えております。
こうしたことを踏まえまして、都は、協議会におきまして、一時待機施設への受け入れに当たっての運用方法などについて、都外から来られる方なども含め、災害時要援護者への特別な配慮や支援なども検討を行ってまいります。
○伊藤委員 帰宅困難者対策を考えるに当たっては、災害時要援護者への対策についても十分考慮していただきまして、万全の体制を整備していただきたいと思います。
災害時に迅速かつ的確に対応を行うには、行政機関内の円滑な情報連絡が不可欠であります。今回の震災で、都は、防災行政無線を活用することで、区市町村等、行政機関内部の情報連絡を確保することに努めましたが、災害対応に関係する外郭団体、協力機関との間の情報連絡は、電話等の通信手段に頼らざるを得ない状況であります。災害発生時には、行政機関内の強固な情報連絡体制を構築しておくことはもとより、災害対応で重要な役割を担う外郭団体、協力機関等との情報連絡体制の確保も重要であります。
東日本大震災では、これらの団体や機関等との情報連絡において、電話やファクス等が通じにくい状態となって、災害対応に支障を来した例もありました。このため、今後都は、衛星携帯電話や無線機を配備するなど、外郭団体や協力機関等との情報連絡をしっかりと確保するべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 都の外郭団体等の中には、応急復旧対応で重要な役割を担う団体があり、また、都の各局が災害時の応援協定を締結している機関もございます。これらの団体、機関等との間では、災害時においてもふくそう等の影響を受けない通信手段の確保が必要となります。
このため、都は今後、当該団体、機関等との情報連絡体制の現状や災害時の役割等を検証し、災害時でも相互の通信を確保できる手段の配備に向けて検討していくこととしております。
○伊藤委員 外郭団体、協力団体に加えて、行政機関から都民に対して、災害時に、地域住民等に正確な情報を迅速かつ確実に提供することは、住民の不安を払拭し冷静な行動を促す上で重要であります。そこで重要なのは防災行政無線であると思います。
区市町村は、地域住民等に対し防災行政無線等で情報提供しておりますけれども、これまでも、台風による河川の増水情報が全く聞こえなかったとか、あるいは今回の震災についても、内容が聞き取りにくかったという苦情が多く寄せられております。いざというときにこうした防災行政無線による情報が聞こえなかったということがないように、対策を講じていく必要があると思います。
そこで、災害時の地域住民等への情報提供について、都は、区市町村を支援する立場からどのような対応を行っていくのか、伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 区市町村の防災行政無線について、都といたしましても、区市町村を支援する立場から、現在、その運用状況に関するアンケート調査を行っておりまして、早期にその結果を取りまとめてまいります。その結果を踏まえまして、行政区域をまたがる情報の伝達など、広域的な観点から課題を検証し、防災行政無線の機能を補完する通信手段に関する提言等も含めまして情報を提供するなど、区市町村を支援してまいります。
○伊藤委員 防災行政無線の活用は、先ほど申したとおり重要であります。例えば、地下など、この無線の声が聞こえない場所もあります。こうしたところには個別にラジオを配布するなどの取り組みを行うとする区も出てまいりました。こうした対策は非常に重要であるというふうに思います。国や都も、このような区市町村の取り組みをしっかりと支援をしていくよう要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
今回の震災のときには、携帯がつながりにくいなど情報通信が困難となる中、ラジオが非常に役に立ったという声も多くありました。実際に帰宅困難者は、移動途中ということで、職場等テレビのあるところから離れて移動するわけでありますので、ラジオを聞きながら歩いて帰宅をされた方々もいらっしゃいました。そして、その聞いていた方が、自分が聞いたラジオの情報、交通機関が動き出した等の情報を周りの人に伝えているという光景も、私も目にいたしました。
災害時の情報収集手段として、多くの都民は、こうしたテレビやまたラジオを活用することから、こうした媒体による発信は非常に重要で、また有効であると思います。
そこで提案をしたいというふうに思いますけれども、発災時には、都の報告団体であるFMラジオ局、J-WAVEなどと事前に協議をしておいて、いざというときにラジオ局の協力を得て、直接知事の声で都民が落ちついて行動することを呼びかけるなど、効果的な情報発信が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。
○村松総合防災部長 今回の震災の際には、知事が記者会見を通じて、駅周辺での混乱による二次災害を防止するため、都民に向けて冷静に行動するよう注意喚起を行うとともに、無理に帰宅しないよう報道機関を通じて情報を発信いたしました。
首都直下地震発災時の都民への情報発信として、テレビやラジオなどの媒体を利用することは重要であると考えており、協議会におきまして、日本放送協会や民間の放送団体とともに、都民への適時適切で有効な情報提供方策についても検討してまいります。
○伊藤委員 災害時の情報収集手段として、ぜひ、テレビ、ラジオなどの媒体の活用と、発災後、極力、なるべく早く情報を提供できる体制を検討していただきたいというふうに思います。
そして、発災時に的確に対応するためには、日ごろからの訓練も重要であります。
訓練といえば、都は十月に、シナリオを一部ブラインド化した総合防災訓練を小金井公園で実施いたしました。今回の訓練は、同時に東京港臨海部での水門や陸閘の閉鎖等の訓練なども実施するなど、非常に意義のある訓練であったと思います。重要なことは、こうした訓練を引き続き、繰り返し行っていくことだというふうに思います。
そこで伺いますけれども、都は今回の震災を踏まえ、シナリオを一部ブラインド化した総合防災訓練を実施しましたけれども、今後は、電気が使えない、あるいは情報伝達器具が使えない、こうした状態で訓練を行うなど、これまで以上に厳しい、最悪の条件を想定したブラインド訓練を繰り返し実施すべきというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○村松総合防災部長 今回の震災では、住民の自助、共助による取り組みや自治体間の連携が大きな力を持つことが明らかとなりました。
住民の防災力や自治体間の連携を強化するためには、日ごろの取り組みの積み重ねに加え、実践的な防災訓練を実施することが有効でございます。このため本年度は、多数の地域住民の参加を得て、四市と合同で、訓練シナリオの一部をブラインド化する実践的な訓練を実施したところでございます。
小金井公園では、警察、消防、自衛隊等の防災機関などが連携した大規模な救出救助訓練や、市の職員、ボランティア等によります緊急支援物資搬送訓練などを実施いたしました。そのほか、東京港臨海部では、水門閉鎖や晴海地区の陸閘閉鎖、住民等の避難訓練を実施したところでございます。
今回の訓練結果を検証しまして、より一層厳しい条件を想定した訓練などを実施していくことによりまして、住民の災害対応力の向上と自治体間の一層の連携強化を図ってまいります。
○伊藤委員 こうした都の防災訓練、実践的な訓練を重ねていく、これも非常に大事でありますけれども、住民や事業者の訓練についても充実していくことが重要だと思います。
つい先日、私は近所の方にこういうことをいわれました。震災後のこの秋にも地域の防災訓練をやったけれども、震災以前の去年やった訓練、おととしやった訓練、そして、今回の震災を踏まえて新たな訓練を地域でやるのかと思ったらば、全く同じ内容でしたという話でありました。一方、地元の品川のある町会では、独自に夜間の災害を想定して、夜間避難訓練を行ったという事例もあります。
そこで伺いますけれども、住民や事業者が行っている訓練についても、バリエーションをつけた訓練を行うことができるように、先進的な事例を紹介するなど、都が支援をしていくべきというふうに考えますけれども、所見を伺いたいと思います。
○村松総合防災部長 発災時に一人でも多くの人の命を守るためには、一人一人がみずからの命を守る自助、そしてともに助け合う共助が重要でございます。このため、日ごろから災害時に備え、住民や事業者による実践的な訓練が行われることが必要となります。
今回の震災を踏まえ、住民や事業者などにおいて、定型的な訓練にとどまらず、実践的な訓練が行われるよう、お話の夜間の避難訓練のような先進的な事例を区市町村に周知するとともに、地域の防災力の向上に向け、近隣世帯や小規模な住民単位によるまち角防災訓練や、地域の事業者と町会、自治会等との合同訓練など、地域の特性に応じた訓練の実施を、区市町村と連携し促進してまいります。
○伊藤委員 いざ災害が起きたときには、住民や事業者が慌てることなく的確な行動をとれるようにするためには、こうした実践的な訓練が欠かせません。ぜひ地域防災力向上に向けた取り組みをお願いしたいと思います。
最後に、未曾有の大震災を踏まえ、都としても、これまでの防災対策を抜本的に見直す必要があると思います。
そこで伺います。今回の震災を踏まえ、今後どのように防災対応を講じていくのか、高度防災都市東京を構築していくかなめとなる総務局長の決意を伺って、質問を終わります。
○笠井総務局長 今回の大地震は、遠隔地で発生した地震にもかかわらず、都内において、情報通信の途絶ですとか電力供給の停止、物流の停滞など、ふだんは当たり前だと思っております都市機能の脆弱性を浮き彫りにいたしました。このような震災の教訓を踏まえ、従来の発想を大きく転換させ、これまでの防災対策を再構築することといたしました。
今般、首都直下地震への備えを一層強化するとともに、東海、東南海、南海連動地震など、遠隔地の地震に対しても備えることを内容といたしました東京都防災対応指針を取りまとめたところでございます。こうしたさまざまな災害から都民の命を守り、首都東京の都市機能を維持していくためには、自助、共助の取り組みを強力に推進していくとともに、あらゆる事態に備え、考えられる施策を複線化、多重化していくことにより、東京の総力を結集して対応していくことが必要だと思っております。
今後、庁内各局はもとより、国や区市町村、事業者などと連携し、実効性のある防災対策を推進してまいります。
○吉田(信)委員 私からも東京都防災対応指針について伺わせていただきます。
我が党は、防災対策の抜本強化を求めて本会議、そして本委員会で質疑をするとともに、防災対応指針の発表を前にして、都知事あてに提言を提出いたしました。
指針では、こうした我が党の論戦や提言が反映されている面もあります。例えば想定する地震について、海溝型地震とともに立川断層帯地震を新たに加えることとなりました。また、具体的な課題についても部分的ではありますが、提案が反映されております。しかし、基本的な問題で見過ごすことのできない疑問点、問題点があり、この機会にただしていきたいと思います。
さらに、指針は来年度予算編成、そして新たな実行プログラムに反映するという性格を持っていると思います。そして地域防災計画にもつながるものであり、そうした諸計画に盛り込むべき課題について幾つか、これまで余り触れてこなかった問題を中心に、積極的に提案をさせていただきます。ぜひご検討いただきたいと思います。
まず初めに、基本的な問題について疑問点を伺います。
指針では、東京の防災対策の根本目的として、都民の命を守ることを明記しております。しかし、災害対策基本法では、生命、身体及び財産を災害から保護するという規定となっており、都のこれまでの基本的な防災にかかわる諸方針、文書も、この規定に即して記述をされてきたと思います。しかし、今回なぜ、指針ではあえて命だけという記載になったんでしょうか、お答えをお願いいたします。
○箕輪企画調整担当部長 災害対策基本法が、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護することを直接の目的として、国、都道府県、市町村等の責務について規定していること、これは承知しておりまして、自明のことと考えてございます。
防災対応指針は、この中でも、東日本大震災を踏まえまして、防災対策において最も大切な都民の命を守るということを明らかにしたものでございます。なお、当然のことながら、指針にも、住民や事業者の財産の保全や生活の安定化を図る対策については盛り込んでございます。
○吉田(信)委員 命を守ることが最も大切だということは、東日本大震災を踏まえる以前から一貫した命題だと思うんです。ただ、東京都のこれまでの防災関係の公式な方針、文書を見れば、都民の生命、身体及び財産を保護する、あるいは守るということを都の目的として明記をしてきました。皆さんにいう必要はないことではありますけれども、東京都地域防災計画でも明記をされ、さらに東京都震災対策事業計画の中の知事あいさつでも、そのことが明記をされています。それをあえて、今回の指針で命だけの記述にしたことは、私は見過ごすことはできないと思います。
しかも、なぜこの点にこだわるのかということですが、防災の専門家が雑誌に記載している論文の中で指摘をしているんですけれども、最近の傾向として、防災の目的についてせめて命だけは守ることがということが強調され、その結果として、災害時の自助、共助が重要との傾向が強まっているという警鐘があります。こうした指摘から見ても、私はこの点は明確にしておく必要があるというふうに思います。
そこで改めて、一般論ではなく都の防災対策の目的について確認をさせていただきたいと思いますが、いかがですか。
○箕輪企画調整担当部長 災害対策基本法が、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護すること、これを直接の目的としていることは十分に承知しております。都の防災対策も当然に法に基づいて適切に実施してまいります。
また、防災対応指針では、都民の生命の安全を確保することと首都の機能を維持すること、この二つの目的を示しておりまして、そのための対策も着実に推進してまいります。
○吉田(信)委員 十分に認識しているということをいいながらあえてなぜ、防災対応指針では極めて限定的な表現となったのかということについて私は伺ったわけです。
先ほど紹介した防災関係の専門家は、市の防災事業にも長年にわたってかかわってきた方です。その方は、防災の目的規定について、これは災害対策基本法の規定についてですけれども、ここには住民の生命、身体と財産は、劣後することなく保護する対象であり、それは地域社会の安全化と一体的であるとの考え方が含まれているというふうに指摘をしております。せめて命だけでも守るべきとの考えが広まっているが、もちろんこれは直接的に踏査したものでありません。こうした傾向からは、災害、危険を生み出している社会経済的な背景を直視して、防災上の根本的な弊害である、災害に脆弱な地域社会を改善していくという、積極的な取り組みは生まれないというふうに指摘をしているわけです。
したがって、改めて聞くわけですけれども、基本問題ですから、災害対策基本法は知っているかということを私は聞いたわけじゃないわけです。都の防災対策の目的について改めて確認をする意味で伺ったんですけれども、東京都震災対策条例では、第一条、目的で、都民の生命、身体及び財産を震災から保護することを目的とするというふうに規定しています。さらに、第二条、知事の責務でも、都民の生命身体及び財産を震災から保護し、その安全を守るというふうに規定しています。これが基本であるということは確認できますね。
○箕輪企画調整担当部長 震災対策条例では、前文で自助の考え方、共助の考え方を示し、都民と公助の役割を果たす行政とが連携を図っていくことが欠かせないとうたっております。その上で、知事、都民、事業者のそれぞれの責務について定めておりまして、殊さらに自己責任のみを強調しているということではございません。自助、共助、公助のバランスのとれた防災対策を推進してまいります。
○吉田(信)委員 ちょっと私の質問と今の答弁違うと思うんですが。
○箕輪企画調整担当部長 改めて目的でございますが、災害対策基本法が、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護することを直接の目的としていることは十分に承知しており、都の防災対策も当然にこの法に基づいて適切に実施してまいります。
防災対応指針は、この中でも、東日本大震災を踏まえて、防災対策において最も大切な市民の命を守ること、これを明らかにしたものでございます。
なお、当然のことながら、指針にも、住民や事業者の財産の保全や生活の安定化を図る対策については盛り込んでございます。
○吉田(信)委員 私は、東京都の条例で規定している目的について確認をするという意味で伺ったんですが、先ほどと同じ答弁でした。私は、そのことが明確にされないということは極めて懸念をされるということを指摘しておきたいと思います。
こだわって質問しましたけれども、実際に指針の内容を見ると、先ほど紹介した専門家の指摘のように、専ら災害時の救命救出などは強調されていて、それ自身はもちろん重要です。しかし、防災対策の重要な課題である予防、そして減災、被害をいかに減らすかということは、相対的には極めて弱い、不十分だというふうに私は指針を読んで感じました。
しかも行政としては、予防対策あるいは減災対策は固有の責務として重要だと思うんです。そうした点に照らして極めて不十分だと思うんですが、いかがでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 発災に備えた体制の整備、都民、事業所の自主防災体制の強化、道路整備や施設構造物の安全化等の予防対策は、当然に重要と考えております。指針におきましても、高度な耐震性を備えた都市づくりや、発災に備えたライフラインのバックアップの確保などの項目の中に予防対策を盛り込んでおりまして、ご指摘は当たらないと思います。
○吉田(信)委員 全く盛り込んでないというふうな乱暴なことは私はいっておりません。ただ、震災が発生してからの応急対応などの位置づけや課題の具体化に比べたら、相対的に極めて弱く、不十分であるということは、指針を見れば明らかだと思います。しかも東日本大震災の教訓から、こうした位置づけでいいのかということが問われますし、こうしたことで本当に都民の生命、財産を守ることができるのかということが問われていると思います。
しかも予防対策、とりわけ都市インフラ、生活インフラ等の耐震化の現状が、全体的にもかなり進んでいて何ら問題はありませんと、したがって記載は不十分ですというなら、それは説明としてはあり得ると思います。しかし、私は重要な分野で耐震化は極めておくれていると。例えば、この間質疑でも明らかにしてきましたが、都営住宅の耐震化、また東部河川堤防の耐震化を初め、都の責任が問われる重要な分野の耐震化で重大なおくれがあります。指針では、そうしたおくれの分析もなく、またおくれた現状に立った強化方向ということについても示していません。
二つの事例を紹介しましたけれども、そのおくれている、あるいは、この分野をもっと強化しなければならない、そういう認識はどうなんでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 防災対応指針は、東日本大震災の教訓を踏まえて、今後の防災対策の方向性と具体的な取り組みを示したものでございます。
施設構造物の耐震化につきましては重要な課題であると考え、指針におきましても、建築物の耐震化の基本的方向性を示すとともに、都営住宅の耐震化の推進、あるいは河川の堤防、護岸の耐震化の推進について記載してございます。今後とも各所管局と連携の上、耐震化を推進してまいります。
○吉田(信)委員 私は、おくれているという素直な認識はないのかということで、事例についての見解を伺いました。
都営住宅の耐震化についても記載されているといっても、極めて限定的なものです。本会議の代表質問でも指摘しましたけれども、住宅全体の耐震化率は約八〇%ですが、都営住宅の耐震化率は七〇%にもいまだ到達をしておりません。六〇%台です。他県がどうかというふうにいえば、私は調べてみて、直接報告書を出してもらったんですが、神奈川県は一〇〇%、静岡県も一〇〇%、愛知県、千葉県、埼玉県は九〇%の後半です。
こうしたことから見ても、私はやっぱりおくれを直視して、そしてそれをどう打開するかということが、指針の中で位置づけられない限り、本当に都民の生命、財産を守ることはできないということを指摘しておきたいと思います。こういう点では、やはり各局任せではなく、総務局がこの点で責任を持ってイニシアチブを発揮するということも要望しておきたいと思います。
さらに、木造住宅の耐震化、不燃化というのは直接的に生命、財産を守る上で、重要な課題であることはいうまでもありません。これまでも、不十分ながらもそうした位置づけで、震災対策事業計画などでは位置づけられてきました。しかもこの分野も極めておくれており、二〇一五年度、平成二十七年度、耐震化率九〇%にするという見通しは立っていません。にもかかわらず、指針の中ではこの木造戸建て住宅の現状と打開の方向は位置づけられておりません。
そこで伺いますけれども、住宅耐震化の中で木造戸建て住宅の耐震化は重要課題と考えますが、指針の中でそういう点がなぜ位置づけられていないのでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 木造住宅を含め、建築物の耐震化につきましては重要な課題であると考えており、指針におきましても、高度な耐震性を備えた都市づくりに向けた建築物の耐震化について記載しております。加えまして、木造住宅密集地域の整備や耐震化についても記載してございます。
○吉田(信)委員 高度な耐震性を備えた都市づくりの記載では、マンションは確かに記載されておりますけれども、木造戸建て住宅の耐震強化という文言を私は見出すことはできませんでした。
これまでも質疑の中で明らかにしてまいりましたが、きょう若干新たな資料も紹介しておきたいと思いますが、きょう提出いただいた資料の中にはたしか掲載されていないかもしれませんが、震災対策事業計画では、三年間の木造戸建て住宅の耐震改修の目標は、たしか千九百戸というふうに記載されていたと思います。しかし実際には、実績は二百三十二戸です。目標比わずか一二%。これまでのこうした状況では、到底強化されていかないということはもう明らかだというふうに思います。
都営住宅と木造戸建て住宅の二例を紹介しましたけれども、生命、財産に直結する重要分野で、都みずからの計画から大幅におくれている。だから私は指針を検討するなら、これまでも強調してきましたが、まず震災対策事業計画で示した到達の分析が前提ではないかということをいってまいりました。しかし、指針はそうした分析がありません。
そもそも改めてお聞きいたしますけれども、震災対策事業計画の到達の分析は、指針検討の上で重視すべき課題だったんではないでしょうか。なぜそうしたことが行われていないのでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 防災対応指針は、東日本大震災の教訓から明らかになった課題を踏まえて、今後の防災対策の方向性と具体的取り組みを示すものでございます。
指針の策定は各局と十分調整しながら進めてきたものであり、事業の現状や震災対策事業計画の進捗状況につきましても、必要な範囲で把握しております。
なお、震災対策事業計画の位置づけ等につきましては、未曾有の大震災を踏まえ、防災対策を再構築していく中で改めて検討してまいります。
○吉田(信)委員 私は現状の分析なしに指針の方向は出てこないと思います。もしそれがされてないとしたら、指針の内容について改めて疑問を呈さざるを得ません。
しかも、震災対策事業計画での知事あいさつでは、そもそも東京が大地震に見舞われたら被害は甚大であること、しかし地震の予知はできず、このため、日ごろの備えによって被害を少なくする、死者の半減などの減災目標を定めて取り組む旨のことが強調されているわけです。この到達を分析することは前提だと思います。
次に進みますけれども、これまでおくれの克服ということを強調してまいりました。早期にやはり、計画どおりの達成のために努力を強めることが重要だというふうに思います。同時に、これまでの計画を進めていくということと同時に、新たに想定地震に海溝型地震、さらに立川断層帯地震が加えられました。そうした新たな想定にふさわしい耐震化の、従来の計画を上回るレベルアップあるいは事業規模の拡大ということが不可避となっていると思うんですが、いかがでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 防災対策は焦眉の急であることから、東日本大震災の教訓を踏まえ、早期にこれまでの防災対策を再検証し、今後取り組むべき基本的方向性と取り組み内容を指針に示したところでございます。
現在、東京都防災会議の地震部会におきまして、想定対象とする地震それぞれにつきまして被害想定を検討しているところでございます。この結果を踏まえて、必要な対策について適切に講じていくということは当然であると考えております。
○吉田(信)委員 地震部会がこの二つの地震を加えた際のコメントが発表されておりますけれども、立川断層帯地震でいえば、立川市を周辺とする地域の中で震度七ということが起き得ることが、これまでも指摘をされております。それにふさわしい耐震強化ということが新たな課題として浮上すると思いますし、また海溝型地震は、震度が強いと同時に、地震が一定時間にわたって続くということもたしか指摘がされていたと思います。おくれを克服すると同時に、こうした新たな事態にふさわしい予防対策、減災、耐震強化ということが強められるべきだというふうに思います。
さらに、こうした二つの地震の追加によって、被害の規模が拡大することは明らかですけれども、この東日本大震災を経験して、都民の皆さんからの質問や不安の一つに、近所に避難所の小学校があるけれども、この地域の人がみんな入れるのかという疑問をよく聞きます。
そこで伺いますが、現在の都民の何割程度を収容する予定あるいは可能なのか、この二つの地震の追加によって、収容規模また備蓄量の引き上げということも検討課題になると思うんですが、いかがでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 避難所につきましては、全都民の一定割合という考え方でなく、被害想定の避難所生活者数を踏まえて確保を図っているところでございます。
避難所の確保の状況についてでございますが、平成二十二年四月現在、島しょを除く都内の避難所の最大収容人員数は約三百九十五万人となっており、現在の都の被害想定における最大約二百六十万人の避難所生活者の数を上回っているということでございます。
なお、新たな二つの地震による被害想定につきましては、現在、地震部会において検証作業中ということでございます。
○吉田(信)委員 さらに、東日本大震災を経験して新たな課題がさまざま浮上していると思います。その幾つかについて質問をいたします。
指針でも触れていますが、懸念されている点について何点か質問いたしますが、その一つはトイレの確保についてです。
下水道施設の破損は回復まで時間がかかります。また、水と違って各自が何日間備蓄して対応するという点では制約があります。しかし、都の計画は、避難所さらにターミナル駅のマンホールと管の継ぎ手の耐震化であり、一般の住宅に通ずる耐震化ということについては極めて不十分です。マンホール数は東京全体で四十八万というふうにいわれていますが、耐震化の推定は数万程度だと思います。これでは、災害時に大都市東京では極めて深刻な事態になることは明らかだと思いますが、災害時のトイレの確保ということはどのように考えているのでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 地域防災計画では、発災時の住宅のトイレにつきましては、家庭や事業所において災害用トイレの備蓄や、水のくみ置き等による生活用水の確保に努めることとされております。
そこで都は、総合防災訓練等の際に災害用トイレの実物を展示するほか、都民向けのパンフレットに記載するなど、都民の普及啓発に努めており、こうした取り組みは引き続き実施してまいります。
○吉田(信)委員 皆さんの中で災害用トイレがどの程度準備をされているか知りませんし、都庁で災害用トイレがどうなっているかも、私ちょっと確認しておりませんけれども、それはそれで重要な課題でしょうが、指針自身が施策の多重化、複線化というふうにいっているわけですよね。都の責務としてはやはり、私はマンホールの耐震化をできる限り幅広く推進をするということだと思います。ただ、東京都の今の計画では、避難所、そしてそれに続いてターミナル駅近くのマンホールの耐震化ということしか計画にないわけです。それをやはり広めて、一般住宅も含めてマンホールの耐震化ということが、私は避けて通れない課題ではないかというふうに思います。
次に、新たな課題として指摘をしたいのは、避難所におけるプライバシー、とりわけ女性に対する特別の配慮ということが、東日本大震災の教訓からも、経験からも浮き彫りになっているのではないかなというふうに思います。既に地域防災計画の見直しを行っている県の中では、避難所の運営の項目で見直しの課題として、男女双方の視点に配慮した避難所マニュアル策定指針の見直しを追加し、さらに、避難所における女性の生活環境を良好に保つための取り組みの実施を追加するという検討が始まっています。
指針ではこの点不十分だと思うんですが、他県のように積極的に検討課題にすべきだと思うんですがいかがでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 今回の震災では、避難所生活におきまして、女性のプライバシーの確保が十分でなかったり、女性のニーズを踏まえた物資が提供されないなどにより、女性がさまざまな不安や悩みを抱える事例もあったと聞いております。
防災対応指針におきましては、避難所等での生活に関する対応として、女性など現場の要望を踏まえて物資を選定するといった視点も必要であるということを課題として示してございます。
○吉田(信)委員 指針の中で書かれているのは物資ですよね。それにとどまらず、生活環境を良好に保つための角度からの検討ということは、私は避けがたいことだと思います。
しかも、私自身が身近に経験した例で、都内に避難してきた方々の避難所ですけれども、間仕切りする物資がないわけですよね。体育館で避難された方々に対して、それで応急的に、例えば体育施設でしたから、卓球のネットというものに毛布をかけて間仕切りの代替にするということがありました。そういう意味では、東京都自身の経験からしても、そういう間仕切りを初めとする、より全般的な検討ということは避けがたいと、しなければならないということを、ぜひ強調させていただきたいと思います。
次に指摘しておきたいのは地盤対策です。
今回の東日本大震災から、学会の中では地盤災害という概念を強調している向きもあります。いうまでもなく、液状化が非常に広範囲で発生し、深刻な被害を生みました。さらに、仙台市などの丘陵地、造成宅地で地すべり、擁壁の崩壊等から深刻な被害が発生いたしました。
建物の耐震化ということは当然重要ですけれども、それとあわせて土台である地盤の強化ということは、極めて重視すべき課題として浮上してきていると思います。
この点で指針を見ると、液状化は強調されていますが、東京にとって重視すべき、例えば多摩の丘陵地の造成宅地の地盤擁壁対策ということは記載がありません。今後の課題として重視をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 住宅、建物の耐震化におきまして、地盤の強化も有効な手段であるというふうに認識してございます。
指針では、丘陵地が多い多摩地域についての斜面崩壊対策などの安全対策の重要性と、その対応としての急傾斜地崩壊対策事業等の実施について記載しております。なお、地域防災計画では、都内における地すべり対策等について盛り込んでおりまして、計画に基づき適切に対処してまいります。
○吉田(信)委員 指針で記載されているのは、避難所等の被害防止という項目で、避難所及びそこに至る道路の対策という位置づけとなっております。丘陵地の住宅対策、丘陵地に住む方々の生命、財産を守るという立場から、より積極的な検討を求めておきたいというふうに思います。
さらに、今度の東日本大震災、そして原発事故から、どうしても新たに重視をすべき課題として原子力発電所の事故の問題があります。
この点でも、既に地域防災計画の見直しを検討している県の中では、新たに原発事故対策を加え強化をする検討が始まっております。例えば、長野県はそもそも原子力災害編がなかった県のようですが、県境が柏崎刈羽原発から四十キロ余と近く、中部電力の浜岡原発、北陸電力の石川県志賀原発が県境から百キロ以内に位置するとして、新たに地域防災計画に原子力災害編を盛り込む作業に着手をしたというふうに報道されております。当然なことだと思います。
そこで伺いますけれども、EPZ、緊急時の計画地域には、避難地域にはない場合であったとしても、浜岡原発で事故が発生すれば、距離的に見て、今回の福島原発以上の甚大な影響が首都東京を直撃をするということは明らかだと思います。現地域防災計画では、この原発事故に対して、従来の原発安全神話ということを前提としていますから、これまでの対応では対応できないということは明らかですし、さらに、具体的に浜岡原発の事故を想定した対応はありません。あくまでも川崎市内にある東芝の施設だけが対象施設というふうになっています。
改めて、浜岡原発を初めとして、こうした原発事故を想定した対応を地域防災計画の見直しの中で位置づけて取り組んでいく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 都は、既に福島原子力発電所事故につきまして、放射線量の測定と公表、都民からの相談や風評被害への対応等を講じているところでございます。
また、都は既に、隣県の原子力施設等を対象とした地域防災計画を策定してございます。
遠隔地の原発事故に起因する放射性物質等による影響につきましては、第一義的に責任を負う国が抜本的な対策強化を図るべきであり、地域防災計画につきましては、こうした国との役割分担や国が策定する防災基本計画等を踏まえて整理していくべきものと考えております。
○吉田(信)委員 もちろん、一義的に国の責任は当然のことですけれども、地域防災計画の中で原子力災害編を策定することが課題として東京都にあるわけですよね。しかし、今の計画では、浜岡原発の事故というのは想定外という位置づけになっていると思います。
もちろん我々は、浜岡原発は震源地の直上にあり廃止すべきだという立場ですけれども、現実に存在し、しかも東京から百八十キロという事態からすれば、浜岡原発の事故を想定した対策をとるということは当然の東京都の課題だと思います。
この点で、先ほど紹介した長野県の資料をインターネットで見ますと、既にことし、この先月から、専門家を含めた部会を立ち上げて検討し、年内にも原案を策定するということとなっております。東京都としても、今地域防災計画の見直しを各分野にわたって行っています。その一つとしてこの問題も位置づけて、専門家の協力を得て検討作業を進めていくべきだと思うんですが、改めていかがでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 長野県において、地域防災計画における原子力災害対策について検討が進められていることは承知してございます。
東京都は既に、先ほども申し上げましたが、福島原子力発電所事故についての放射線量の測定、公表、都民からの相談や風評被害の対応等を講じているところでございます。
放射性物質等による影響につきましては、第一義的に責任を負う国が抜本的な対策強化を図るべきでございまして、都としては、地域防災計画につきましては、こうした国との役割分担や国が策定する防災基本計画等を踏まえて整理していくべきものと考えております。
○吉田(信)委員 国の動向というものを考えながらということなら、それは当然のことですけれども、ぜひ東京都固有の判断と、やはり研究が必要な課題だと私は思います。ぜひ専門家を結集した検討を直ちに行うことを強く求めておきたいというふうに思います。
このように、一つ一つ挙げていったら、さまざまな課題が見直し、さらに強化をすべき課題としてあると思います。既に私たちは提言を提出しており、それは今後の予算編成、さらに地域防災計画の抜本見直しの中でも積極的に受けとめて検討していただきたいということを、強く要望しておきます。
また、地域防災計画の策定は極めて重要であり、提言でも強調していますが、東日本大震災の教訓を酌み尽くし、また最新の知見を生かし、そして専門家の英知を結集して策定していただきたいこと。さらに、東京都のこれまでの防災対策を検証し、弱点はきちんと是正するという立場に立って努力をしていただきたいと。そのことが都民の生命、財産を本当に守ることができるのかどうかということが問われる課題となっているというふうに感じます。
以上、要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
○星委員 それでは、よろしくお願いいたします。
このたび明らかにされました東京都防災対応指針では、自助、共助の大切さに着目して、地域住民の一人一人の防災意識を高め、地域における共助の担い手として、町会、自治会等、自主防災組織の機能強化をうたっています。そのことは至極当然のことでありまして、行政が側面からサポートしていくことに何ら異論はございません。しかし、地域をよくわかっている市区町村の意見をよく聞いていただいて、さらなる連携の強化を進めていくためには、東京都においても地域の実態をしっかりとつかんでいただきたいと思います。
そこで質問をいたしますが、自主防災組織の組織率や年齢構成など現状と、活動の活性化に向けて都としてどのように働きかけを行っていくのか、まずお伺いをいたします。
○村松総合防災部長 都内には、平成二十二年四月一日現在、約六千七百の自主防災組織がございまして、自主防災組織が活動範囲としている地域の世帯数は、全世帯の八割弱となっております。平均年齢が六十歳以上の組織が全体の半分以上を占め、また、防災訓練などに参加しない人も約六割に達しており、自主防災組織の活性化が必要であると認識しております。
このため、防災隣組の構築を通じて、区市町村にも働きかけながら、その活性化を進めてまいります。
○星委員 お答えをいただきました。
自主防災組織は地域ごとにいろいろな違いがあると考えております。例えば昼間と夜間人口の違い、工業地域、商業地域、繁華街など、特性の違いがあると思います。あるいは高齢化がとても早く進行している地域など、その構成はさまざまであります。
私の地元を例にとってみますと、自治会の組織率は四九%から五〇%ぐらいで推移をしておりまして、これは都内においてはまずまずだと思っていますが、しかし、活動の実際の担い手は、今ご答弁にありましたようにかなり高齢化しておりますし、民生委員や消防団の方たち、こういったところのお役を兼務している方たちもとても多いです。
若年世帯は、それでは特に無関心かというとそういうことではなくて、共働き、単身赴任、あるいは職業や職種などの勤務形態の多様化、こういうことに伴い、地域活動に実際に参加できる時間はとても限られています。平常時の交流不足にならざるを得ない状況というのがあります。
そんな中で、私は地元の市から取り寄せた町丁別のデータというものを見てみました。そうしますと、昭和四十年代にいわゆる新興住宅といわれました閑静な住宅地、あるいはこの時代に建設をされた公団や都営住宅、こういったところの高齢化はもう本当に著しくて、軒並み三五%とか六%というような状況であるということがわかりました。こういったところはまさにその自助、共助といっても現実的にとても厳しい状況にあると思います。自助よりむしろ要援護者の仕組みを強化するというような状況ではないかと思います。
しかし、公務員住宅なんかがあるエリアは、非常に、〇・八八%という若年層のエリアであるということもわかりましたけれども、こういったところは昼間はほとんど留守ということもわかって、当然のことだと思います。
こういった地域ごとの特性があると思いますけれども、隣組ということをおっしゃるのですから、地域防災組織のこういったところの活性化に向けて、地域の特性を踏まえて取り組みを進めることが必要だというふうに考えておりますけれども、東京都の見解をお伺いいたします。
○村松総合防災部長 自主防災組織については、各地域における特性の違いを踏まえた上で、基礎的自治体である区市町村において、地域の実情を踏まえた取り組みを進めることが基本であると考えております。
都といたしましては、都内における共助の強化、充実を図るため、地域の実情を知る区市町村と緊密に連携を図りながら、地域ごとの特性の違いを踏まえ、防災隣組の構築を進め、自主防災組織の活性化に取り組んでまいります。
○星委員 指針では、防災隣組につきまして、モデル地域を選定して進めていくというふうに書かれておりますけれども、どのような考え方で地区を選定していくのでしょうか。
○村松総合防災部長 モデル地区につきましても地域の特性を踏まえまして、例えば、木造住宅密集地域など、地域の特性から早急に防災機能を向上する必要がある地域や、意欲はあるもののノウハウが不足している地域などを対象として選定してまいります。
モデル地区におきましては、区市町村はもとより、地元町会、消防署とも連携し、他の地域における先進的な取り組みやユニークな取り組みの手法を導入し、地区内の防災活動の担い手をきめ細かく支援することで、地域の防災活動の活性化を図ってまいります。
○星委員 住宅街は、実態なんですけれども、本当に日中はほとんど留守のところが多いです。共働きというのはもう本当に当たり前の話になっておりますし、いらっしゃるのは単身の高齢者や老老世帯というような状況の中で、空き家になっていて、いわゆる施設に入所されてしまっているだとか、お亡くなりになられたとかいうような、もう大きなお屋敷でもそういうようなところが目につくようになっておりまして、こういったところに対して、いわゆる防犯とか防火上も非常に課題に、地域ではなっております。なかなかその持ち主、権利者の追跡というのも、地域の中ではとても難しいというような話も聞いています。
地域の助け合いの必要性というのは非常に重要な視点ではありますけれども、ぜひ市区町村と十分協議をしていただいて、隣組の構築とか強化というのは、第一義的には足元をよく知っている市区町村、そして地域の見守り活動が盛んに行われておりますけれども、こういった住民の方たちが主役というか、この方たちとの連携の問題であると私は考えています。
東京都がやっぱりすべきことは、防災に強いまちづくりに対してハード、ソフト両面で、積極的にやっていっていただきたいし、特にその住宅施策など、いわゆるソーシャルミックスにおけるまちづくりだとか、他局との連携というものも十分出てくると思いますけれども、そういった視点でいわゆる防災に強いまちづくりということを考えていっていただきたいと思います。
とにもかくにも、自助、共助の仕組みは非常に大切であるという認識は私も持っておりますので、ぜひ市区町村の意見を十分聞いていただいて、どういった支援が必要なのかということも掘り下げて聞いていただいて、意見交換していただく中で進めていっていただくことを強く要望をさせていただきたいと思います。
次に、有害物質や化学物質を扱っている事業所あるいは大学、研究機関などの対応について、具体的にはどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○村松総合防災部長 今回の震災では、都内におきまして化学物質による死者が発生していることから、震災時の化学物質に起因する災害の未然防止や被害の最小化を図る必要があると考えております。
このため、所管局である環境局におきまして、災害時の事業所の初動態勢等について検証した上で、非常災害時の化学物質管理手法を検討するほか、PCBの流出拡散防止のための対策も講じるなど、大規模震災を想定した化学物質管理の強化拡充を進めていくこととしております。
○星委員 ふだんは適正に管理されているものであっても、震災により、万が一これらが漏出した場合、地域住民に与える影響ははかり知れないものがあります。震災対策の推進に当たっては、地元自治体や事業所、そして地域住民との情報の共有や事前協議というものが大変大切であるというふうに考えております。こういったことを東京都は、強いリーダーシップをとって進めていっていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○吉倉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十一分休憩
午後三時十分開議
○吉倉委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○佐藤委員 私からも防災対応指針に関して質疑をさせていただきたいと思います。
三月十一日に発災して以来、春、夏、秋と定期的に東北被災地に入って当事者の方、また支援をされている方々からお話を伺い、意見交換をしてまいりました。改めて、こういった緊急救命期から復旧復興期へとフェーズが移っていくに従って、ニーズも変わっていっているところです。改めて、こうした東日本大震災で顕在化したことを共有しながら、被災者の視点に立った都の防災対策を推進するべきという立場から、避難、自治体の役割、そして復旧復興期までの点で、幾つか質疑をしたいと思います。
最初に、避難対策についてお伺いをしたいと思います。
三十年以内に首都直下型地震が発生するというふうにいわれていますけれども、それは三十年後に起きるわけではなくて、今まさに起きる、そういった危機感を持つ必要があると思います。そして、まさに今起きて避難の受け皿があるのか、そういった点から、円滑な避難のために十分な避難所を確保されているのか。そしてその避難所の安全性が担保されているのか、現時点での避難所の確保状況と避難所指定の基準について、確認をさせていただきたいと思います。
○箕輪企画調整担当部長 平成二十二年四月現在、島しょを除く都内の避難所の最大収容人員数は、約三百九十五万人となっております。現在の都の被害想定における最大の数が約二百六十万人の避難所生活者の数でございまして、これを上回っているということでございます。
また、地域防災計画では、避難所の指定基準として、町会または学区を単位として指定すること、耐震、耐火、鉄筋構造を備えた公共建物等を利用すること、受け入れ者数はおおむね居室三・三平米当たり二人とすることの三点が示されております。
○佐藤委員 災害救助法で、都道府県が行うべき救助として、避難所の提供に加えて食品の給与が挙げられています。とりわけ乳幼児、女性、高齢者など、災害時要援護者に対しては十分に配慮することが必要です。国連総会決議に基づいて設立されたフォーラムが策定したガイドラインの、自然災害発生時の被災者保護に関する運用ガイドラインでも、健康を保つための最低限の要素、栄養素に配慮すること、環境の影響を受けやすい子ども、障害者、高齢者、病気の方々への配慮がうたわれているところです。
都は物資の備蓄を進めているところですが、今回の大震災の教訓を踏まえて、乳幼児や女性などの災害時要援護者の視点に立った物資も必要と考えます。離乳食の調達や影響なども、避難者と都との間でも課題となったところです。改めて都の見解を伺いたいと思います。
○箕輪企画調整担当部長 乳幼児や妊産婦などの災害時要援護者への対応につきましては、きめ細かな配慮が必要とされます。今回の震災では、乳幼児や女性に必要な物資が提供されないなどの事例もあったと聞いており、また、国の通知でも、離乳食や生理用品など現場の要望に耳を傾けた物資の選定が示されております。
このため、都は、今回の被災地の状況や国の通知等を踏まえまして、災害時に必要となる物資の品目や量、物資の確保方法につきまして検討を進めてまいります。
○佐藤委員 施設やこうした物資の確保に加えて、避難所でどういったケアがあるのかというのが最も重要だと思います。
東北のある避難所に、発災後三月の末、発災後十日過ぎたころに支援として入った医師が避難所を巡回いたしました。そうした中で、手の甲がもう肉もすりむけて中の骨も見えるくらいのおばあちゃまを発見されて、本当にふだんの状況であれば、すぐにでも病院に駆け込むようなけがであっても、そのおばあちゃまは本当に布を当てるだけでもうずっと我慢をしていた、そんなこともありました。まさに避難をされた方々は、そんな大変な状況の中で、自分のそういった身体的なけがとかも含めて黙って我慢をしていると、そういうこともあります。
そうした中で、病院の機能、拠点病院の機能を確保するばかりではなくて、避難所に対してのそうした医療関係者、医師、保健師など巡回をしていく、そうした連携が必要だと考えますが、所見を伺います。
○箕輪企画調整担当部長 発災時に、乳幼児や妊産婦などの災害時要援護者、慢性疾患の避難者等に対する医療提供や薬剤投与、メンタルヘルスケア等を提供することは重要でございます。
発災時においても適切な医療機能を確保するためには、医師や看護師に加えて歯科医師、薬剤師、保健師、精神保健福祉士など、多様な医療人材が一体となって活動することが求められます。このため、都は、関係団体との協議を進め、災害時に従事できる医療人材の教育の充実に努めてまいります。また、心のケアチームの編成につきまして民間医療機関へ協力を求めるなど、必要な体制整備を図ってまいります。
○佐藤委員 まさにそうした取り組みを進めていただきたいと思います。
先ほどの関係からは、例えばほかにも、だんなさんが津波に流されて、みずからはおなかの中に子どもを身ごもっていて、幼い子どもを連れた、そういった母子も黙ってその避難所で過ごしていたと。経済的な部分とかでも困難が予想される中で、中に入った巡回した医師また保健師は、そうした家族がいるということを行政区長の方に伝えて、生活の支援が必要な方がいるということを伝えたことも聞いております。
避難所の運営に関しては、まさに避難者、被災者による避難所の運営、また意思決定の参画が原則であり、そのことを改めて確認するとともに、外とのつながりが大変重要です。
今回の被災地でも、ボランティアが大きな役割を果たしていました。発災直後から現地に入ってボランティアのコーディネーターをしてきた女性などは、車の中で寝泊まりをしながら、三月から数カ月、私が会ったときは五月ですから、二カ月間ずっと車の中で寝泊まりをしながら、ボランティアの受け入れなどを行っていました。
一方で、今回のボランティアは、そうしたなれた方ばかりではなくて、何とかしたいという思いで初めてボランティアに入った方もいる中で、ボランティアの方が活動していくに当たっては、ボランティアの活動を支えるそうした環境も必要であるということが明らかになっておりました。改めて、その災害のボランティアコーディネーターの方々の知見を活用するとともに、そうしたボランティアの活動環境を備えることも必要と考えますが、都の見解を伺います。
○箕輪企画調整担当部長 被災地の多様なニーズに対応し、ボランティアを有効に機能させるためには、これを円滑に受け入れる体制や環境を整える必要がございます。
このため、被災地のニーズとボランティアのマッチングを行うボランティアコーディネーターを、関係団体と連携して育成してまいります。また、今回の被災地におけるボランティアの受け入れ状況等に係る調査検証を行い、活動拠点のあり方を検討するほか、活動支援に係る訓練を実施するなど、効果的なボランティアの受け入れ体制を構築してまいります。
○佐藤委員 厚生省の大規模災害における応急救助の指針、阪神・淡路大震災の後につくられた指針ですが、ボランティアとの積極的な連携を明記しているところですが、改めてそうしたボランティア、積極的な連携をするとともに、こうした、例えば今回の場合だと、まちじゅうがなくなった中で、そうしたボランティアが後方から、例えば岩手県であれば遠野の方から沿岸地の方にボランティアが動いて入っていくとかいう形で、後方の拠点とかを整えたりとか、そこで、まだ機能があるような温泉旅館とかをボランティアの受け入れとして整えていくとか、そういったさまざまな工夫が必要とされるということが、現地でのその取り組みの中でうたわれておりましたし、また、ボランティアは、緊急救命期の泥かきや炊き出しといったフェーズから、最終的な復旧復興期に当たっては、生活相談や子どもの学習支援などにも力を注いで、女川の向学館などは、本当に放課後の勉強をしたい、しなければならないという子どもたちの環境づくりなどに対して、大学生の受け入れなどを行うというような取り組みを進めていました。
東京都は今回の東北とまた違う条件にありますが、人口も多い中で、さまざまなこうした今回の課題を生かして、具体的な受け入れ体制とかを構築していくことが必要だと思います。
次に、災害時での自治体の果たすべき役割について、幾つか確認をしたいと思います。
発災時には何よりも重要なのは情報であります。今回も、現地で何が起きているのか、国もまた県もなかなか情報をとれない、現場の市区町村では現場での対応に追われて、なかなか報告も上げることもできないという中で、何が起きているのかわからない、身動きがとれないというような状況もあったところです。
都が災害のそうしたときに指令の拠点として機能していくためにも、その初動の対応をしていくためにも情報の収集が必要であります。災害電話一個だけというばかりではなくて、複合的な通信手段の確保が必要と考えますが、都としての取り組みを伺います。
○箕輪企画調整担当部長 発災時における被害情報などは、応急対策の実施に不可欠なものであり、行政機関内の情報連絡が迅速確実にとれる体制を構築しておく必要がございます。
このため、災害対策本部等の体制の検証や、連絡要員の確保などによる体制の整備に加え、衛星携帯電話の配備や防災行政無線の活用等により、安定的な通信の確保を図ってまいります。
○佐藤委員 今回の震災では、自治体が大きな被害を受けて機能ができなくなった、そういった自治体もあったところです。一方で、多くの市区町村では、防災協定、災害時における相互援助協定に基づいて、発災直後から迅速な支援が行われました。
一方で、幾つかの基礎自治体が指摘をしているように、現在の法体系は、災害対策基本法では災害対策と基礎自治体の責務を規定している一方で、災害救助法では法定の受託事務としていて、市区町村長の役割は補助的なものと位置づけている中で、迅速な対応をするに当たって、その市区町村の権限の責務を明確化するとともに、国からの財政支援を明記する必要があるというようなことも要請をしているところです。
今のこうした法体系、国、都道府県、区市町村の縦の関係を主軸にしているところですが、自治体間の迅速な支援を実現するためには横の連携強化も一層促進していくことが必要です。都道府県との相互間、あるいは区市町村相互間、そうした広域的な連携を推進するべきと考えますが、都の見解を伺います。
○箕輪企画調整担当部長 今回の大震災では、姉妹都市としての提携や防災協定などに基づいた市町村間の相互支援が有効に機能いたしました。
これを受けて区市町村では、広域避難や広域の応援などに係る他自治体との協定締結等の検討が進められているところであり、都としても、効果的な連携事例の紹介など、区市町村を支援する取り組みの検討を進めてまいります。
また、都道府県間の連携については、域外自治体との相互支援を進めるため、九都県市における相互支援体制の検討を、他の県市と連携して積極的に推進するとともに、広域ブロックによる防災協力体制を検討するため、域外の地域との情報交換を行ってまいります。
○佐藤委員 次に、自治体の役割として、都市機能の確保が必要なところです。
南三陸のある孤立した集落では井戸水で、ふだんは飲み水には使えないとされている井戸水だったんですけれども、それで二週間孤立した集落では生き延びたという状況があって、その方々からお話を伺いましたけれども、改めてそうした水道や下水道といった、ライフライン、あるいは井戸水なども含めたそうした確保が必要であると思います。緊急輸送道路沿道沿いでの耐震化を図っているとはいえ、そうした孤立する集落はあるであろうということを想定して、改めてライフラインの機能確保のための取り組みを強化するべきと考えますが、都の見解を伺います。
○箕輪企画調整担当部長 都市機能の維持を図る上で、上下水道の耐震性向上の重要性は、今回の震災からも明らかでございます。このため、所管局におきまして、重要施設等における耐震継ぎ手管の整備や、下水道管とマンホールの接続部、水再生センターやポンプ所などの耐震化を推進してまいります。
また、広域的な送配水管のネットワーク化、水再生センター間の連絡管の整備などにより、バックアップの確保も進めてまいります。
○佐藤委員 今回は、ガソリンスタンドで並んだというような形で、エネルギーの確保も必要なところです。病院やあるいは緊急車両への優先的な配分をするなど、関係機関との事前の取り決めをしていくことが必要であると考えますが、電力や燃料などに関して、確保に向けて、またその配分に向けて都としてどのように取り組んでいくのか、伺います。
○箕輪企画調整担当部長 今回の大震災では、電力供給の停止や物流の断絶などにより、計画停電の実施や燃料の不足など、さまざまな混乱が生じました。
今回の教訓を踏まえ、都は、電線類の地中化を促進するとともに、病院や公園など都民の生命にかかわる施設や災害時の拠点となる施設に自立分散型電源の設置を推進いたします。
また、燃料につきましては、発災後の連絡体制、燃料の搬送体制などの検証や、関係機関との訓練の実施などにより、災害拠点病院や緊急通行車両等への供給を着実に担保できる対策を講じてまいります。
○佐藤委員 東京都の中のそうしたライフライン、あるいは燃料確保など、人が動けるそうした機能を確保していくことに対しての役割を、十分に果たしていただきたいと思います。
そして同時に、治安の維持も大変重要であると考えます。
今回でも、実際には窃盗などの犯罪もあったと聞いております。昼避難所にいても、半壊した二階で夜、窃盗に入られるというのを防ぐために戻って、半壊した二階で寝泊まりをされている方もいましたし、逆に夜は怖いので避難所に来て泊まったりという被災された方もありました。まさしくそういった治安の維持に向けて、警視庁も警ら活動など入っていましたけれども、治安の維持に向けての取り組みについても進めていただきたいと思いますし、また、災害時には性被害とかも発生することはいわれているところです。改めてそうした必要な対策を講じることを求めまして、次に復興復旧期に向けての質問に移りたいと思います。
発災後、復興に向けてまさしく取り組みを迅速に進めていくことが必要です。生活が混乱に陥った被災当事者の方々にとっては、息をとめてやはり生活はすることはできないと、一日も早く事業を再開したい、あるいは働いて元の生活を取り戻していきたい、そうした思いを強く語られていました。そして前を向くために、順番がありますけれども、まずは生活を安定させるために住居の確保、これをいわれていました。改めて、応急仮設住宅などの住居の確保に対しての、都としての取り組みを伺いたいと思います。
阪神・淡路大震災では、応急仮設住宅の建設地が生活圏から遠隔であったりして、追い詰められて自殺をされた方も多かったことは周知のとおりですし、また、今回の東日本大震災の沿岸沿いにおいても、なかなか建設用の土地が、がけということもあって、リアス式海岸ということでなかなか土地もとれないという中もありましたけれども、建設がおくれた地域もあります。
一方で、こうした応急仮設住宅を改めて建設をするばかりではなくて、民間の賃貸住宅の借り上げも今回ありましたけれども、具体的に、事前に都としてどのように準備を関係機関とともに取り組んでいくのか、見解を伺います。
○箕輪企画調整担当部長 都といたしましては、被災者の受け入れに関し、他県との広域的な連携を図るほか、都営住宅等の公的住宅や、直接建設による応急仮設住宅にあわせて、関係団体との協定に基づく民間住宅の借り上げによる住宅を活用し、必要な応急仮設住宅を確保してまいります。
また、建設用地や建築資材の確保のあり方について検討するとともに、資材の円滑な調達ができるよう、燃料確保対策や道路ネットワークの構築を進めてまいります。
○佐藤委員 まさにそうした住宅、箱としての住宅の確保をしていただきたいとも思いますし、同時に、今応急仮設住宅ではそれぞれのお部屋に入っている方々が、集会所とかで集まって話をしながら、改めてそこで手芸をして、その手芸で少しでも自分たちの生活の足しにしようというような、そういった居場所づくりとともに、雇用とはちょっと違いますけど、そういった形で何か現金の収入を得て、自分たちの生活を、年をとられている方々だけれども、そうした取り組みもNGOとかで進められているところです。
改めて、そういうふうに避難をされた方、被災をされた方それぞれが、互いに同じような経験を持つからこそ持っている課題とかを吐き出せるような場所、そうした場所も、転々とその箱をつくる--もしそういう民間賃貸住宅とかを借り上げているのであれば、そういった集まれるような場所を必要とすると思いますし、応急仮設住宅でもそういった集まれるような集会所とかの建設も、ぜひとも強く配慮に入れて建設をしていただきたいと思います。
そして、復興に当たっては新たなまちづくりが必要になるところ、口でまちづくりといっても、実際に建物を建てようとするとなれば、その住民の土地や家屋に対しての権利の確定が不可欠となるところは周知のとおりです。さまざまな相続の問題や賃貸の問題など、あらゆる紛争がそうした非常時に噴き出してくるところがあります。
さまざまなそういった関係する各士業が相談会を開設をする、そして行政手続であったり、銀行の預金の本人が死亡した場合に、その家族が相続をしないうちからでも、現金が必要なので銀行の預金とかをおろさなければなりませんけれども、そうしたときにどういった手順をとればいいのか、そうしたさまざまな相談、ソフトでの支援が必要になってくるところです。
首都直下型の地震の発災時も同様の事態が発生することが想定されますが、こうしたことの支援に対して、都はどのように取り組んでいくのか見解を伺いたいと思います。
○箕輪企画調整担当部長 復興に向けたまちづくりを円滑に推進するためには、土地や家屋に関する権利調整を迅速に進める必要がございます。また、被災住民の生活の早期の安定化を図るためには、さまざまな住民の疑問や不安を解消する相談機能の確保が求められます。
このため、都は、地域防災計画におきまして、関係各局との連携協力による被災者総合相談窓口の設置について定めており、発災時には、住宅や就業、福祉などさまざまな相談に応じる体制を整えてまいります。
また、弁護士会など十九の専門団体との間で、復興まちづくりの支援に関する協定を締結し、専門的な相談にも対応できる体制を整備するなど、住民への支援体制を構築しております。
○佐藤委員 ぜひそうした取り組みも進めていただきたいと思います。阪神・淡路大震災でも、やはりそうした確定をしなかったところは、まちづくりとしての新たなものが建たなくて、空地が点在をしている、そんな状況もあります。ぜひともそうしたソフトの面の取り組みも事前に進めていただきたいと思います。
また今回、東北の市民復興委員会のメンバーの方、その方は現地で事業を行っていまして、当日は飛行機でローマの方に出張に行っていました。そして、飛行機をおりると幾つものメールが入っていて、東日本大震災が起きたこと、そして津波が起こったということをイタリアの方で知ったという状況を聞きました。そして、家族にそういう状況なので、何とかメールとかがつながったときに、家族は一応無事だよというような、あなたは仕事をしてきなさいと、あなたがすぐ帰ってきても何もできることないから、そんな大変なことだから、そういった家族の励ましとかも受けながらその出張をこなしたと。
ただ、その出張が終わった後、戻ろうとしたときに、そのときには福島の原発の事故も報道をされている中で、イタリアから日本に対して飛ぶ飛行機がなかなかなかったと。やっと飛ぶとなったときには、成田ではなくて関空の方に飛ぶんだと。とりあえず関空でもいいから、自分は現地に五歳と三歳の子どもがいるんだ、帰らなきゃいけないんだということをいって、何とかその切符を回してもらって関空まで戻ってきた。そして、バスの会社の方々の協力で、東北に戻るバスが何台も並ぶ中で、全員をそのバスは運んでくれたらしいんですけれども、それに乗って、やっと元の、気仙沼市の方でしたけれども、戻ったというようなお話もありました。
まさしく、東京都の中だけでみんなが過ごしているわけではなくて、そういうふうに外と行き来をしている。そうした中で広域的な連携とか、あるいは関東一帯が機能を失ったときにどういうふうに広域の連携をしていくのか、あるいはいろいろ出入りをしている方々のそうした交通の足のネットワークをどうしていくのか。さまざまなこと、自治体として果たす役割は幅広いと思います。
財源の問題とかもあるとは思いますけれども、ぜひとも関係機関と協議をしていただいて、そうした部分の対策、また、先ほどの幾つかの市区町村からもいわれているような法令、災害対策、災害救助法とかのそうした法体系の見直しに対しての働きかけも含めて、十分に取り組んでいただきたいことを求めまして、私からの質疑を終わりたいと思います。
○栗林委員 それでは私の方からは、初めに、我が党の代表質問でも取り上げました女性の視点からの防災についてお伺いをさせていただきます。
我が党は、全国の女性議員で女性防災会議というものを立ち上げまして、全国の自治体に対しまして聞き取り調査をいたしました。女性の視点からの防災行政総点検ということで行いました。都道府県、政令市など六百五十八自治体のうち、地方防災会議に女性委員を登用していない自治体が四割を超えるという現状も明らかになりました。また、地域防災計画に女性の意見を反映させていない自治体が五四・七%に上がった、そういう結果も今回の聞き取り調査で明らかになりました。
こういったことを受けまして、この我が公明党の女性防災会議では、十一月二十四日に、女性の視点を生かした災害対策についての第一次提言というものをまとめまして、国の方に、災害対策基本法の改正なども含めた提案をさせていただきました。
これは全国のデータでございますが、東京都でも、私たち聞き取り調査をさせていただいたんですが、東京都は全国に比べますとかなり進んでおりまして、防災会議に女性の委員が登用されているかというのも、これは充て職なのでその立場に女性がいないと委員にはならないという、女性を何割決めなさいという仕組みにはなっておりませんので、そういった背景もあるんですが、何と東京は八一%が地方防災会議に女性の委員が登用されておりました。また、女性の意見が反映されているかというアンケートにも、約六〇%が反映しております、こういったお答えもいただいております。また、防災担当部局に女性が職員として配置されているか、ここもほぼ、二十三区はほとんど配置をされているという、多摩は若干配置をされていない市町村ございましたけれども、かなり占める割合は高い位置にありましたが、ただ十分とは決していえないと思います。
このアンケート調査の中で、やはり総点検した際に、避難所の女性用のトイレや着がえ場所がなかったとか、女性や乳幼児向けの備蓄物資が不足している、そういった現状も明らかになりました。
そこで今回、この指針の中には、どのような方法で女性の声というものを反映していただいたのか、初めに伺います。
○箕輪企画調整担当部長 今回の震災では、避難所生活におきまして、女性のプライバシーの確保が十分でなかったり、女性のニーズを踏まえた物資が提供されないなどにより、女性がさまざまな不安や悩みを抱える事例もあったと聞いております。また、国の通知でも、生理用品や離乳食など、現場の要望に耳を傾けた物資の選定が示されております。
東京都防災対応指針の策定に当たりましては、実際に現地に出向き、被災地の自治体からの聞き取りなどの調査を行ったほか、被災地の自治体に派遣された女性職員、区市町村、専門家などからの意見聴取などを通じ、被災地の実情や課題の把握に努めました。
指針におきましては、こうした被災地の状況や国の通知などを踏まえまして、災害時に必要となる物資の品目や量、物資の確保方法について検討を進めていくこととしております。
○栗林委員 まだまだ決して十分とはいえない対応かと思います。今後もしっかり取り組みをお願いしたいと思います。
次に、共助という点からお話を伺いたいと思うんですが、先ほどの聞き取り調査で、私たちは小中学校における防災教育、避難訓練、これを質問させていただきましたところ、かなりやはりいろんな取り組みを各区市町村やっておりました。
中には、中学生の地域防災力向上プロジェクトということで、もうかなり専門的な、ロープワークをしたりとか、応急救護をしたりとか、初期消火をしたりとか、心肺の蘇生法、心臓マッサージやAEDなどを使うような体験型の、中学生がプロジェクトを組んで行ったり、また、その中からさらに地域の防災リーダーを育成するなんていう、そういった取り組みもしているところもあったり、またある区はレスキュー隊をつくり、レスキュー隊として実際に地元の消防団と合同活動したり等々、非常にその地域に中学生からどう貢献していくのか、どうかかわっていくのかなんていう、そういう訓練、教育をしているようなところも多く見受けられました。
今回のこの指針の中の一六ページにもございましたけれども、今後の防災対策の方向性ということで、多様な主体が個々の防災力を高めるとともに、主体間の連帯を強化するとございます。そして、その施策の具体例として防災隣組が挙げられていました。これはどのようなイメージとしてつくられたのか伺います。
○箕輪企画調整担当部長 地域の防災力を向上させるためには、地域住民一人一人が意識を高めるとともに、さまざまな主体が防災活動に参加していくことが必要でございます。
そこで、地域の住民同士はもとより、地域内のさまざまな主体が参加して行う意欲的な共助の活動を、仮称でございますが、東京都防災隣組として認定していくということでございます。
具体的には、向こう三軒両隣を初め、町会、自治会など地域住民間の連携のほか、町会とPTA等との連携や町会と事業者等との連携、さらには企業間同士の連携など、さまざまな主体が参加した先進的な取り組みを、区市町村を通じて掘り起こし認定してまいります。
さらに、そのノウハウ等を都民に広く紹介するとともに、幾つかの地域をモデル地区として指定し、先進的な取り組みを導入することにより、共助の取り組みを広げてまいります。
○栗林委員 地域のあらゆる年代が一つになって地域を守っていく、こういう体制は大変重要だと思います。共助ということからしっかりとした仕組みを構築することが、大変求められていると思います。
しかし、日ごろから人間関係の希薄さ、これが課題となっている地域では、やはり課題も多いと思います。自助という点から各自、各家庭の取り組みに関して防災力アップ、これも大変重要でございます。区市町村や町会で、自助対策の啓発事業等もたくさん取り組んでいますけれども、日中地域にいない方、また外出ができない方にとって、一番身近に情報収集できるのがテレビでの放送でございます。テレビで放送されるものは録画も可能なため、シリーズ化というものもできると思います。ぜひ、都政の情報発信を日ごろからしているMXテレビなどを活用して、防災番組、これを提供することはできないものでしょうか。
○箕輪企画調整担当部長 都民一人一人が防災への意識を強く持ち、日常の備えとすることは大変重要であり、多くの人が見るテレビを活用して防災情報を発信していくことは有効でございます。
三月十一日の東日本大震災を契機として、防災についての社会的関心が高くなってきており、各テレビ局において特集番組が組まれております。都としても、有益な番組については積極的に協力しております。
お話しのMXテレビで申し上げますと、東京都提供の「TOKYO BOY」では、五月十五日に、都民に伝えたいこと、地震の手引として、防災対策に係る番組を放送しております。また、都議会提供のテレビ東京の「TOKYOほっと情報」では、先月二十八日に、三月十一日の東日本大震災での当日の対応や、十月に行われた総合防災訓練に関する内容の番組を放送いたしました。
今後も各テレビ局を初め、さまざまな報道番組に防災情報を積極的に発信してまいります。
○栗林委員 ぜひお願いしたいと思います。やはり特別番組ではなくて、朝ドラ、連ドラもそうなんですが、やはり同じ曜日、同じ時間でこのテレビを見ると情報が得られるというような、そういう定着することが大事ではないかと思います。重要な情報番組があるというふうに位置づけられると、大変さまざまな方たちから、防災教育も含めて防災力アップにつながることは間違いございませんので、積極的にお願いしたいと思います。
やはり番組をつくるとお金もかかります。ですからいろんな工夫をしていただきまして、防災関係の企業からCM、広告を取ったりとか、いろんな工夫をしながら、ぜひこの防災番組、こういうときだからこそ本当にこういう情報提供は必要でございますので、積極的にこれは取り組んでいただきたいことを要望いたします。
それでは最後に、避難者にとりましても、また帰宅困難者にとりましても、停電、断水でも利用できるトイレの確保が大変重要です。非常用トイレについて伺います。
○箕輪企画調整担当部長 今回の震災におきまして、被災地では断水に伴うトイレ不足が問題となりました。災害時にも公衆衛生を維持するため、区市町村と連携し、多様な災害用トイレなど、発災時のトイレ機能の確保をしていくことが必要でございます。
このため、防災活動拠点や避難場所に指定されている公園において、避難所や帰宅困難者のための防災トイレを整備するほか、区市町村と連携し、仮設トイレの設置が可能なマンホールの指定拡大を行うなど、多様な災害用トイレの確保を図ってまいります。
また、避難所等からの排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化を進めるなど、災害時のトイレ機能の確保に努めてまいります。
○栗林委員 物資の提供なり食料の備蓄等があって、食料は提供されても、やはりこの排せつというものは、本当にセットで考えていかなければならない大変大事な取り組みではないかと思います。発災直後は、とにかく応急的に、穴を掘ったりとか使えるものを工夫してとか、被災地に行ったときにはそういうお話も伺いましたけど、やはり避難生活が長くなるとそういうことにもいきません。この指針の七二ページにもございましたけれども、やはり衛生面からも環境整備が大変重要だと思います。
最近、大変この非常用トイレも研究開発されておりまして、もういいものがどんどん出ております。電力も使わずに、衛生をきちっと保ちながら、においもしない、菌もそこから出ないというような商品も多く出ておりました。また、段ボールできちっと個室が確保できて、かぎもかかる段ボールの個室、トイレ用のそういう個室なんかも、非常用の備蓄として提供している、そういう商品も出ているようでございました。
やはりこのトイレ一つとっても、女性の視点というのが大変重要でございます。これから少子高齢化、人口減少社会に進む中、さらに進化し続ける、この対応指針に取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○吉田(康)委員 皆様お疲れさまでございます。各分野にわたって真摯なご議論をされていることに、本当に敬意を表する次第でございます。
私からも、本日の、東日本大震災を契機に今回の指針がつくられて、その質疑をするということに当たりまして、この東日本大震災から九カ月がたったわけで、改めて亡くなられたたくさんの方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様、ご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
そして、この間の東京都の被災地、被災者への支援はまさしく、全国の自治体を牽引するものでありまして、改めて心より敬意を表する次第でございます。
そして、この被災地への支援のみならず、都が必ず行わなければならないのが、未曾有の被害をもたらした今回の大震災の重い教訓を必ず生かし切って、将来、想定外だったという言葉は絶対に使わないように、東京の災害に備える体制を万全に整えていくことでございます。
そうした意味におきまして、都議会民主党は、これまで被災地各地を視察して、都内の避難者から直接お話をお聞きし、防災の専門家の方々などとの会合を重ねて、十一月二日、東京の防災対策への提言と題して、四二ページにわたる提言を都に提出をさせていただきました。
この十一月二十五日に公表、二十八日にこの総務委員会で報告をされました、今回の東京都防災対応指針を読ませていただくと、第三回定例会で我が党が質疑をした内容や、今、私が触れました我が党の提言の内容をかなり盛り込んでいただいておりまして、私自身、この会派の防災小委員会の事務局長という役職をいただいて、この提言の取りまとめに当たってまいったのでございますが、今回の指針は、例えばマグニチュード八クラスの地震を想定する、複合災害をきちんと想定し備える、水害への備えを強化するなど、従来の取り組みから大きく踏み込んだ内容となっておりまして、基本的に高く評価をいたしているものでございます。
東日本大震災の惨禍を受けて、首都東京の防災対策の抜本的な見直しが待ったなしの課題でございます。そういう観点で、今後、地域防災計画の修正に向けて取り組んでいただく中で、さらに一歩前に進むために、そういう観点から質疑を申し上げてまいります。
ただいま申し上げたように、今回の指針は、できれば本当はマグニチュード九クラスの地震も想定してほしかったとはいえ、マグニチュード八クラスを想定するということで大きく前進をしておりまして、また、我々が提言において指摘、要望したような、さまざまな対策を必要とする分野についてきちんと網羅しておられるので、本当に高く評価をしております。
しかし、そういう前提なんですが、しかしその上でどうしても指摘をしなければいけないのが、海抜ゼロメートル地帯への対策という点でございます。
東日本大震災を踏まえて、我々は、代表質問や委員会質問などさまざまな場で繰り返し指摘を申し上げてきたんですが、ゼロメートル地帯では、津波、高潮、地盤沈下など、最悪の事態の場合に、津波や洪水が防潮堤を超える、あるいは断層で堤防が崩れる、水門が閉まらない、あるいは地下鉄その他のトンネルから水がこのゼロメートル地帯にあふれ出すなど、まさしく想定外という事態によってゼロメートル地帯に浸水、冠水するという事態を想定しなければいけないと思います。この事態はもちろん、地域に住まわれる百五十万の方々のみならず、日本経済全体に甚大な途方もない影響を及ぼす事態であります。
こういうシナリオというか、シミュレートについて都民の関心も次第に高まってきております。このリスクを恒久的に抜本的に解消する方法は、もちろん、ゼロメートル地帯全部を海水面より高く、例えば海抜二メートルとか八メートル以上に盛り土して地盤をかさ上げするということであります。しかし、これは一朝一夕にできることではありません。それでも、できるところから少しずつ、例えば避難場所となる公園、あるいは広域的な面の再開発をする地区などから、少しずつでも地盤をかさ上げしていくということは考えられると思うんです。
そこで、都内でも公園などについて、地盤のかさ上げに取り組む自治体も出てきていると聞いておりますので、都や区の取り組み状況について伺います。
○村松総合防災部長 江東区では、津波等の水害時に民間の施設を一時避難施設として使用する協定を事業者と締結しております。
江戸川区は、新中川沿いの区立公園の高台化など、身近な高台の確保を図る取り組みのほか、大規模な公園の整備や高台化の推進等により、避難場所の拡充を図る対策を示しているところでございます。
葛飾区でも、都市計画のマスタープランの中で、中川沿いの公園において人工的な高台を確保するなどの取り組みを掲げております。
また、都におきましては、荒川下流域等でスーパー堤防の整備にあわせて、周辺のまちを盛り土によりかさ上げする市街地再開発事業を進めているところでございます。
○吉田(康)委員 ありがとうございます。いろいろ、そのゼロメートル地帯の区でも取り組みが始まった、都でも取り組みをやっている。このスーパー堤防というのは、私はとても大事だと思っております。ぜひ進めていただきたいと思っておりますが、各自治体がこうして取り組みを進めているわけで、都も各局がさまざまな施設を有しているわけでありまして、そしてまた日々、土木を伴うさまざまな事業を恒常的に実施しているわけです。ですから、都としても、まずはみずからの施設について、引き続き、より一層取り組みを進めてほしい、このようにお願いする次第であります。
そこで、ゼロメートル地帯における都立施設の地盤のかさ上げ、あるいは施設が水害に見舞われた際にも機能を維持できるように、非常用発電機や管理施設の、例えば上層階への移設、これは今回の震災より前から決まっていたことですが、墨東病院も地下から高いところに自家発電の発電機を移すということが決まっているということで、非常に先見の明があるなと私は思っているんですが、こういう中核的な機能、施設を水のかからない上層へ移設するなど、そういうことを初めとする対策を進めるべきだ、どんどん進めていくべきだと思うんですが、ご見解を伺います。
○村松総合防災部長 従来の発想を超える被害をもたらしました東日本大震災を踏まえて、都は被害想定の再検証を行うとともに、学識経験者等で構成される地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会を設置いたしまして、堤防の耐震性や機械設備等の耐水性の検証と必要な対策について、検討を進めているところでございます。これらの検討を踏まえながら、適切に対応していくこととなります。
○吉田(康)委員 現在、検証、そして検討中ということでご答弁でございます。最悪の事態というのを本当に真剣に想定していただいて、その対策をしっかりと進めるよう取り組んでいただきたいと思います。
そしてまた、こうした取り組みは都や区だけでなくて、民間の戸建ての住宅やマンション、そしてオフィスビルなどにも広げていく必要があると思います。
特に民間においても、建物の更新、一回更地にするとか、あるいは再開発をするなどの機会には、対策が大幅に進むことが期待されるわけであります。この地域に暮らす住民の方々は、これまでは堤防があるから大丈夫、都がしっかりやっている、浸水などはしないと思っていらっしゃったかもしれませんけれども、万々が一の今回の東日本大震災のような大震災、そして複合災害のときには、最悪の場合には浸水するかもしれないんだと、こういうことをお知らせすれば、知らされれば、みずからを守るために取り組みを始めるだろうと思います。まずはこの考えられる事態、最悪の想定をしっかりと知らせることが必要であります。
そこで、民間の方々に、そして建築物に対しても浸水被害があり得るということを知らせて、みずからを守っていただくための取り組みを進めることを呼びかけるべきだと思いますけれども、見解を伺います。
○村松総合防災部長 ただいま申し上げました被害想定の再検証などを通じまして、海抜ゼロメートル地帯におきます浸水の危険性や必要な防災対策について検討を進め、その結果を民間建築物の所有者を含めた都民に対しまして適切に示してまいります。
○吉田(康)委員 これは適切に示していくというのは勇気も必要だと思うんです。しかし、やはりしっかりとお伝えしなければいけないと思います。
民間事業者などは、事業を継続するために必要であれば積極的に投資をします。ですから、本当にそういう情報に接して、取り組みが進んでいくということを期待したいと思います。
この指針にもきちんとゼロメートル地帯の対策というのは記載されております。これについては私も評価をしているんですけれども、一つだけ非常に残念に思っていることがあります。それは、せっかく書いてあるんですが、その概要、A3で何枚かいただきました概要や、あるいは項目のタイトルに、海抜ゼロメートルという文字がないことなんです。この指針の項目には、東京湾沿岸の水害への備えの強化とありますけれども、これは本当は、私は、東京湾沿岸並びにゼロメートル地帯の水害への備えの強化と、こういうふうにすべきであったと思うんですけれども、ご見解を伺います。
○村松総合防災部長 東京湾沿岸の水害への備えの強化の項目についてでございますが、本項目では、東京湾沿岸地域や区部東部ゼロメートル地帯に係る対策を記載しております。
具体的には、被害想定の検証、水門等の耐性の検証及び運用管理、東京港の耐震性の向上、水門や陸閘等を的確に機能させるための情報連絡体制、広域的な浸水被害に係る避難誘導について記載しておりまして、こうした対策の多くは東京湾沿岸に係るものであることから、本項の表題につきましては、東京湾沿岸の水害への備えの強化としたところでございます。
本項中の広域的な浸水被害に係る避難誘導につきましては、区部東部ゼロメートル地帯を念頭に置いたものでございます。広域的な避難誘導の検討内容や被害想定の検証結果の周知を図ることで、都民の意識喚起を図ってまいります。
○吉田(康)委員 このゼロメートル地帯を念頭に置いているし、内容もゼロメートル地帯に係る対策を記載していると。しかし、取り組み事項の中では東京湾沿岸部のものが多いので、項目名としてはそうしたということでございます。これはわかる部分もあるんですけれども、これはちょっと私はまずいと思うんです。
改めて私が述べる必要もないと思うんですが、沿岸部というとやっぱり沿岸部をイメージするんですよ。しかし、この満潮面以下のゼロメートル地帯というのは、荒川、隅田川を遡上して足立区にまで及んでいるわけです。葛飾区、江戸川区、江東区、墨田区、荒川区と足立区まで及んでいるわけです。かなり深く広いエリアであります。
洪水、高潮、津波、そして台風などの複合災害によって、これはどこか水が入ったら、水はとまりませんから、ずっと奥まで行くわけですよ。この地域が一たん浸水した場合には、長期にわたって水は、海面下ですから、水は引かないというよりくみ上げないとなくすことができないわけです。海の高さよりもくみ上げないと。
東京湾沿岸部でさまざまな対策を講じているのは、沿岸部そのもののみならず、この深く奥までの地域全体を守るためでありまして、この域内の中小河川や運河に連なる水門も、あるいは湾岸部だけでなくて荒川、隅田川に沿って内陸部まで幾つも設置されているわけであります。
また、先月十一月十四日の公営企業決算特別委員会で、私、交通局に質疑させていただいたときに、その質疑の内容が一部の新聞にも報じていただきましたけれども、都営地下鉄、この隅田川の下に四本、都営新宿線とか大江戸線とか浅草線とか、こういう地下鉄が隅田川の下を通っていて、この隅田川の底が抜けたときに、その地下鉄の中に水がばあっと入っていっちゃうと、もうあちこちにどんどんどんどん流れていってしまうのを防ぐために、交通局はトンネルに防水扉を、その四本のトンネルにつくっているんですが、このうち三つは電動で、遠隔操作で五分で閉まると。しかし一番古い浅草線の防水扉は、古いですから手動で、係員がその場に行って、このトンネルの中その場に行って、三十分かけて閉めなければいけない。これを早く遠隔の電動にしたらどうですかといったら、もう大変な経費もかかるし、なかなかできないと。地下鉄の通行をとめないと工事もできないしと。いや、そういわずに研究してやってくださいと。研究しますと。こういうやりとりをしたんですけれども、それができるまで本当にいつ水が中に入ってくるか、そのゼロメートル地帯に入ってくるかわからない。こういう状況であります。
この地域に百五十万人、都民の一割以上の方が住んでいらっしゃるわけで、沿岸部だけじゃなくてその奥まで含めた、足立区まで含めた方々に、これはもう自分たちのまちにかかわる危機だということをしっかりとお伝えして理解していただくためにも、私はやっぱり明確にゼロメートル地帯の対策ということを銘打つべきだったと思うわけであります。
今後、国の中央防災会議の検討を受けて、東京の地域防災計画の修正に向けてお取り組みをされる。この中でぜひこの海抜ゼロメートル対策というメッセージをより強く、より明確に打ち出していただくようにお願いを申し上げます。
そしてまた、今回の指針では国の中央防災会議の専門調査会の報告内容を紹介しておりまして、発生頻度は低いけれども甚大な被害をもたらす最大級の津波に対しては、住民等の避難を軸に、それだけではなくて土地利用、避難施設、防災施設などを組み合わせてとり得る手段を尽くした、すべて尽くした総合的な津波対策の確立が必要であると、こういうふうに書いてあるというふうに紹介していただいております。
都は今回、住民避難に係る検討組織を設置してプロジェクトを進めるということにしていただいておりますが、こうした避難にかかるようなソフト対策に加えて、やはり、国の専門調査会の報告でも指摘しているように、土地利用、避難施設、防災施設などを組み合わせて、とり得る手段を尽くした総合的な対策、すなわち、ソフト対策だけではなくてハード対策も尽くした総合対策、この中には、先ほど私が述べました地盤のかさ上げとか、重要な施設を高いところに移設するということにも取り組んでいくべきだと考えます。
文化財のようなものは、一度損なわれて、あるいは失われてしまえば、我が国から永久に失われて取り戻すことができないものであります。地盤をかさ上げして移築するとか、少しずつでもこの平時のときに進めていく必要があると考えます。
確かに、地盤のかさ上げという事業は、数年でできるようなものではありません。ゼロメートル地帯で最も深いマイナス四メートルの地域というのがあります。こういうところに至っては、例えば建物を建てかえるときにあわせて五十年に一回、一メートルずつかさ上げしていったと。そういうふうに計算すると二百年かかるわけです。しかし、地道に着実に進めていけば、長い時間かかっても必ず解消できることも確かなわけであります。ゼロメートル地帯全部マイナス四メートルじゃなくて、五十センチのところも一メートルのところも三メートルのところもあるわけです。
都は、ほかの面においては、基幹道路の整備とか、木密地帯の不燃化などの取り組みについては、なかなか進まないといいながらいろんな事業を考えて、地道に着実に、これを改善する、進める事業を粘り強く進めています。この地盤のかさ上げとか浸水対策についてのハード対策についても、同様に手を尽くして事業を打ち出すように、総務局から各ハード局に働きかけていただく必要があると思うんです。そういう面で、今回の指針のこの水害のところの主な対応策の中に、例えば水害を抑えるまちづくりと、ハード対策というような項目が必要だったと私は思うんです。
オランダでは、かつて十三世紀ですか、津波によって国土の四分の一が海面下に沈みました。しかし、その後ずっと営々と干拓事業を行って、ポルダーというのは干拓地ですね、ポルダーを築き上げて、今でも国土の四分の一が海面下です。だけれども、自分の国は低いから土砂がないですから、ドイツなどから土砂を買い入れて、そのポルダーのかさ上げなどをして、今でも国土を築き続けているわけです。ゼロメートル以下のポルダーに土を入れて。
都市の建設は百年の事業でありますが、一日早く取り組みを始めれば一日早く子孫の安寧が得られるわけでありますので、こうした取り組みを進めるためにぜひ総務局において、ハード局と連携をするということの中で、都として方針を示していただくよう取り組んでいただきたい、このように要望申し上げます。
そしてもう一点、これは別のことで、災害時の要援護者などの情報の確保についてお伺いしたいと思います。
災害時にどこにどのような支援を要する人がいるのかということを、そういう情報を的確に把握することは最重要であります。しかし、個人情報保護が声高に叫ばれる現代において、非常に困難も極めているというお話も本当に問題になっております。
被災地を訪問したときにお聞きした話ですけれども、被災地でメンタル不全になった方を支援するため、心のケアをするボランティア団体の方が被災者の応急仮設住宅に駆けつけたわけであります。そこで、その仮設住宅を運営する別のボランティア団体の方から、個人情報保護の関係で、その仮設住宅の中のどこにそのメンタルの問題を抱えた方がいらっしゃるのか、教えちゃいけないことになっているから教えられませんということで、双方とも、もう何かもう、どうしたらいいんでしょうねと途方に暮れたと。これは役所との協定の中でそういうふうにせざるを得なかったと。必要なときに必要な人に支援する人がいるのに、支援が行き届かないという状況が起きているということであります。
要援護者の情報の集め方、伝え方というものには、もちろん十分配慮するべきことが大変ありますが、あらかじめ仕組みや方法を確立しておく必要があります。要援護者のみならず、発災時のいろいろな方々の安否確認、そして、要援護者の救出、救護に役立てるために、情報を収集管理する取り組みをどのように進めるのか、お伺いします。
○村松総合防災部長 今回の震災では、災害時要援護者の安否確認が円滑に行うことができないなどの課題がございました。また、都内では、区市町村が実施主体として、民生委員等を活用した安否確認の仕組みづくりを行ってきましたが、今後、高齢者の増加等に伴い、災害時要援護者を支援する人材が不足する可能性も懸念されているところでございます。
こうしたことから、都といたしましても、災害時要援護者名簿の整備などの区市町村の取り組みを支援するとともに、情報の共有、管理、活用等の方策について、区市町村、関係機関と連携し、民生委員等も含め、協力体制づくりを推進することとしております。
○吉田(康)委員 これは仕組みづくりというのは、非常に重要であります。
それで、今のご答弁で区市町村の取り組みを支援するとともにと、まずおっしゃったわけでありますけれども、こういう震災のときに、区市町村が機能を麻痺してしまうという事態も、最悪の場合想定されるわけであります。都としては、都民の情報ということでございますので、区市町村の取り組みを支援するのみならず、都が主体的にしっかりと情報を管理して活用できる体制というのを、ぜひつくっていただきたいと思うんです。もう命の問題の前に、分権の建てつけというのはちょっと優先順位が低いんだと思うんですよ。災害の対応時にはまた、個人情報保護ということよりもまた、命を優先すべきであります。
こういう面において、法制度面で国に対して、有事あるいは震災時、こういうときには個人情報の保護について、いろいろ一部適用除外とか、さまざまなことを国に都として要望して、本当に実際に情報を持っているのに使えないとか、あるいは情報がわからないというような事態が、本当にこの国において起きない、東京において起きないようにしていただきたいと思います。
本日は、この防災対応指針の取り組みについて、大変すばらしいという高い評価をするという前提のもとで、さらにもっと取り組みを進めていただきたいという観点から、いろいろと質問、要望を申し上げました。大変に防災対策は非常に幅広く、取り組むべき課題が本当に多いわけでございますが、本当に本質的に必要なことは何なのかということについて、いろいろな建てつけとかそういうことにとらわれずに、真摯に目的を達成するということで、本質をとらえた対策をぜひ推進していただくように要望をいたしまして、質問を終わります。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時十九分散会
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