委員長 | 吉倉 正美君 |
副委員長 | 佐藤 由美君 |
副委員長 | 中屋 文孝君 |
理事 | 伊藤 興一君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 吉田康一郎君 |
栗林のり子君 | |
星 ひろ子君 | |
しのづか元君 | |
服部ゆくお君 | |
田島 和明君 | |
大西さとる君 | |
吉原 修君 | |
三宅 茂樹君 | |
和田 宗春君 |
欠席委員 なし
出席説明員知事本局 | 局長 | 秋山 俊行君 |
儀典長 | 高原 寿一君 | |
次長理事兼務 | 小林 清君 | |
理事 | 大井 泰弘君 | |
総務部長 | 雜賀 真君 | |
調整担当部長 | 鈴木 勝君 | |
地方分権推進部長 | 潮田 勉君 | |
自治制度改革推進担当部長 | 山内 和久君 | |
外務部長 | 中山 正雄君 | |
国際共同事業担当部長 | 熊谷 克三君 | |
基地対策部長 | 市毛 良之君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 新美 大作君 | |
政策部長 | 松下 隆弘君 | |
計画調整部長 | 澤 章君 | |
計画調整担当部長 | 瀬口 芳広君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 樋口 眞人君 |
総合対策部長 | 中村 長年君 | |
青少年対策担当部長 | 山中 康正君 | |
治安対策担当部長 | 伊東みどり君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 影山 竹夫君 |
人事委員会事務局 | 局長 | 多羅尾光睦君 |
任用公平部長 | 大村 雅一君 | |
試験部長 | 鈴木 隆夫君 | |
審査担当部長 | 小澤 達郎君 |
本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(説明)
青少年・治安対策本部関係
事務事業について(質疑)
人事委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・平成二十三年「職員の給与に関する報告と勧告」について
知事本局関係
事務事業について(質疑)
○吉倉委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局関係の事務事業の説明聴取、青少年・治安対策本部、人事委員会事務局及び知事本局関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
初めに、選挙管理委員会事務局長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。
○影山選挙管理委員会事務局長 選挙管理委員会事務局長の影山竹夫でございます。
吉倉委員長を初め委員の皆様にご指導を賜りながら、選挙管理委員会の公正、公平な事務の執行に全力を尽くしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、当委員会との連絡に当たります幹部職員を紹介させていただきます。
担当部長で総務課長事務取扱の米博義でございます。
よろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕
○吉倉委員長 あいさつ並びに幹部職員の紹介は終わりました。
○吉倉委員長 次に、事務事業について説明を聴取いたします。
理事者の説明を求めます。
○影山選挙管理委員会事務局長 それでは、選挙管理委員会事務局が所管しております事務事業につきましてご説明申し上げます。
お手元の事業概要をお開き願いたいと思います。
まず、一ページをお開き願いたいと思います。初めに、選挙管理委員会の設置や職務及び権限についてでございます。
選挙管理委員会は、地方自治法に基づき設置され、四人の委員をもって構成されております。同数の補充員とともに都議会において選挙され、任期は四年でございます。
その職務及び権限につきましては、ごらんの一ページから次の二ページにかけて記載がございますように、公職選挙法、地方自治法及び政治資金規正法などの規定に基づいて、選挙に関する事務などを管理しております。
三ページをごらんいただきたいと思います。現在の選挙管理委員及び補充員は、小倉基委員長ほか、表に記載のある方々でございます。
四ページをお開き願いたいと思います。当事務局の組織でございます。
事務局長のもとに二課、一担当課長で構成され、職員の定数は、常勤二十五名、非常勤三名となっております。
五ページをごらんください。総務課、選挙課の事務分掌につきましてお示ししてございます。
六ページをお開き願いたいと思います。予算でございます。
まず、歳入ですが、平成二十三年度は合計二千五十四万余円で、その主なものは、政党助成事務及び在外選挙人名簿登録事務に係る国庫支出金でございます。
次に、歳出でございますが、平成二十三年度は合計三十七億四千四百万円で、その主なものは、四月に行われた都知事選挙に要する経費のうち、平成二十三年度執行分でございます。
次に、七ページですが、事業ごとの歳出予算額をお示ししてございます。
八ページをお開き願いたいと思います。主要事業でございます。
まず、選挙管理でございますが、公職選挙法などに基づき、選挙執行計画の決定、選挙長の選任、立候補届け出の受け付けなどの事務を行っております。
なお、四月に行われた都知事選挙の結果を中ほどに記載しておりますが、投票率は五七・八%で、前回の投票率を三・四五ポイント上回っております。
九ページをごらんください。区市町村選挙管理委員会に対する助言・支援でございます。
都内の区市町村選挙管理委員会と連携し、選挙制度に関する調査研究及び選挙事務の改善に関する協議を行っております。
また、日ごろから、職員研修や都が管理執行する選挙の事務説明会などを通じて、区市町村の職員に対し必要な助言、支援を行っております。
次に、選挙公営でございます。
選挙公営制度は、選挙運動の公正を確保するため、候補者間の機会均等を保障するなどの趣旨で設けられております。選挙の執行に当たりましては、通常はがきの交付やポスター掲示場の設置を初め、各種選挙公営の管理執行を行っております。
一〇ページをお開き願います。選挙争訟でございます。
都議会議員選挙及び都知事選挙に係る異議の申し出に対する決定や、区市町村の選挙に係る区市町村選挙管理委員会の決定を不服とする審査申し立てに対する裁決を行っております。
さらに、都の行った決定や裁決及び国会議員の選挙について訴訟の提起があった場合の被告としての対応など、選挙に関する争訟の事務を行っております。
なお、本年七月末までの過去一年間の争訟事件の状況につきましては、表に記載のとおりでございます。
一一ページをごらんください。政治資金規正でございます。
政治資金規正法に基づき、政治団体の届け出の受理や収支報告書の受理、公表などの事務を行っております。
なお、昨年十二月三十一日現在の政治団体の届け出数は、中ほどの表にありますように、五千八百六十七団体でございます。
一三ページをごらんいただきたいと思います。選挙に関する広報・啓発でございます。
都選挙管理委員会では、区市町村選挙管理委員会などと連携して、年間を通じて行う常時啓発及び選挙の際に実施する選挙時啓発を行っております。
常時啓発といたしましては、明るい選挙推進大会の開催などの明るい選挙推進事業のほか、小中高生を対象としたポスターコンクールの実施や、中学生向けの学習冊子の作成、配布など、特に若年層をターゲットとした啓発事業に力を入れて取り組んでおります。
また、選挙時啓発といたしましては、一四ページに記載のとおり、さまざまな媒体を使って選挙の周知、啓発を行っております。
四月に行われました都知事選挙におきましては、若年層からの支持の高いイメージキャラクターを起用し、街頭の大型ビジョンや電車内モニターへの集中的な動画広告の放映など、さまざまなメディアを活用し、投票率向上に向けた取り組みを積極的に実施いたしました。
この結果、先ほど説明しましたとおり、投票率は五七・八%と、平成以降に行われた過去六回の都知事選挙で二番目に高い投票率を記録したところでございます。
そのほか、事業概要には記載しておりませんが、東日本大震災により四月の統一地方選挙が延期されました岩手、宮城、福島の東北三県から、このたび、選挙の円滑な執行のため選挙事務の支援が求められました。
これを受けまして、当委員会では、都内の区市の選挙管理委員会や全国の選挙管理委員会と連携して、大規模な職員派遣の実施や投票箱など選挙物資の提供など、積極的な支援を行ったところです。
現在、十一月二十日に投開票が行われます福島県議会議員選挙などについて、全国の選挙管理委員会とともに、全力を挙げて支援しているところでございます。
最後になりますが、一五ページ以降に、任期満了日一覧、最近執行された選挙、本年四月執行の都知事選挙における主な啓発事業など、関連する資料を取りまとめておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
以上、当局の事務事業についてご説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○吉倉委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○吉倉委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中村総合対策部長 十一月一日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回要求のございました資料は、記載しておりますとおり六件でございます。
まず、一ページをごらんください。全国の国・地域別入国者数の推移でございます。
平成十三年から二十二年までの十年間の入国者数を国、地域別にお示ししたものでございます。
二ページをごらんください。全国の国籍別外国人登録者数の推移でございます。
平成十三年から二十二年までの十年間の外国人登録者数を国籍別にお示ししたものでございます。
三ページをごらんください。全国の国・地域別不法残留者数の推移でございます。
平成十四年から平成二十三年までの十年間の不法残留者数を国、地域別にお示ししたものでございます。
四ページをごらんください。都内の国・地域別犯罪件数の推移でございます。
平成十三年から二十二年までの十年間の犯罪件数を国、地域別にお示ししたものでございます。
五ページをごらんください。都内の外国人犯罪数でございます。
平成十八年から平成二十二年までの罪種別犯罪数を、五ページから九ページにかけて年ごとにお示ししたものでございます。
一〇ページをごらんください。全国の旅券・外国人登録証明書等偽造の国・地域別検挙件数の推移でございます。
平成十九年から二十二年までの検挙件数を国、地域別にお示ししたものでございます。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○吉倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○吉田(康)委員 よろしくお願いいたします。私からは、外国人犯罪の防止対策についてお伺いをいたしたいと思います。
都内における刑法犯の認知件数は、八年間連続で減少しておりまして、都内の治安の回復、これは本当に喜ばしい傾向だと思っております。これは、これまでの青治本さんのお取り組みの成果でもありまして、大変評価するところでございます。
しかし、都民生活に関する世論調査、平成二十二年八月実施分におきましては、治安対策への要望はまだまだ強く、また、治安対策の中で力を入れてほしい分野の四番目に来日外国人による犯罪の防止が挙げられるなど、都民の体感治安は改善しておりません。
そこで、外国人の犯罪という切り口から、まず都内の治安状況について、認知件数と検挙件数を含めてお伺いし、そしてその上で、外国人の滞在者数と外国人の犯罪状況についてお伺いします。
○伊東治安対策担当部長 平成二十二年におけます都内の刑法犯認知件数は、平成十四年の三十万一千九百十三件から十九万五千九百七十件まで減少し、数値的には、世界一安全な国といわれました昭和四十年代を下回るまでに都内の治安は回復しております。
ちなみに、刑法犯の検挙件数につきましては、平成二十二年には五万八千二百二十七件でございます。
外国人の滞在者というご質問をいただきまして、数字的に押さえておりますのが外国人登録者でございますので、外国人の登録者数についてお答えをさせていただきますと、全国的には減少傾向にある中で、都内では増加を続け、平成二十三年一月には約四十二万人となっております。
都内での外国人刑法犯の検挙件数でございますが、平成十九年の八千百四十五件をピークに減少いたしまして、平成二十二年には四千三百六十七件となっております。
○吉田(康)委員 ただいまのご答弁をお伺いして、件数が減っているということで、大変喜びたいというふうに申し上げたいところなんですが、もうちょっと詳しくお聞きをしていきたいと思うんです。
外国人の登録者数は四十二万人と、三カ月以上滞在する人が四十二万ということで、それよりも少ない滞在期間の方はここには含まれないと。その後、オーバーステイとかいろいろあるんですが、この四十二万人は、都の人口約一千三百十六万人のうちの約三%を占めております。
これに対して、都内の刑法犯検挙件数今、約五万八千件とご答弁いただきました。このうち外国人の検挙件数は四千三百六十七件と、これは約七・五%に当たります。大変荒っぽい計算になりますけれども、今出てきている数字だけで考えますと、外国人については、都民一般の平均の約二・五倍の刑法犯が検挙されているということになるわけであります。
大変残念なことですが、こうあるべきだと、こうあってほしいということと、事実はこうであるということは、乖離することがございまして、この現実をもとに、いろいろと都内の治安を考えていかなければなりません。
青少年・治安対策本部は、治安の維持こそ最大の都民福祉という認識に立って、外国人犯罪対策にも懸命に取り組んでこられたと認識をしております。これは本当に、外国人の犯罪の防止は、我が国の治安を守るために大きな課題であり、そして、これから我が国に入国してくる外国人はどんどんふえていくと、こういう趨勢にございます。また、同じような比率であれば、国内、都内の犯罪数、検挙件数もふえていくと予想せざるを得ないと、私は残念ながらそのように思っております。
そして、外国人の犯罪を防止するためには、警察や入国管理局などと連携した、まずは普及啓発と、そして取り締まりなどの取り組みが不可欠であります。これまでの取り組み内容と成果についてお伺いいたします。
○伊東治安対策担当部長 平成十五年十月、法務省、東京入国管理局、警視庁と東京都の四者で、首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言を発表し、全国約二十五万人の不法滞在者を五年間で半減することを目標として取り組みを実施いたしました。その結果、各機関との連携のもと目標を達成いたしました。
平成二十一年十二月には、東京入国管理局、東京労働局及び警視庁とともに、外国人滞在適正化連絡会議を設置し、連携した対策に取り組んでおります。
また、平成二十二年六月を外国人適正雇用推進月間と定め、東京入国管理局、警視庁及び区市町村とともに、都内各地で街頭キャンペーンを実施いたしました。
法務省入国管理局によると、東京都内で不法就労の事実が認められた者は、平成十七年中は一万六千六百十二人でございましたが、平成二十二年中は三千四百六十二人となり、五年間で約八割減少しております。
○吉田(康)委員 ありがとうございます。
今ご答弁の最後で、平成二十二年、都内で不法就労の事実が認められた方は約三千五百人ぐらいと、五年間で八割減少したというご答弁で、本当にこれは、把握された数字が都内の実態のすべてであれば非常にありがたいんですが、どうも皮膚感覚で、本当に都内で不法就労されている方、そんな数なのかなというふうにも思うわけです。
青少年・治安対策本部は、外国人の犯罪対策として、これまででは都民への普及啓発についてはどのように行ってきたのか、次に伺います。
○伊東治安対策担当部長 平成二十三年四月に発表された法務省入国管理局の統計によりますと、平成二十二年に退去強制手続をとった出入国及び難民認定法違反者は約二万四千人で、うち不法就労していた者の割合は約八割を占めています。
犯罪の温床にもなりかねない不法滞在外国人を減少させるためには、外国人の不法就労を防止することが重要であると考えております。
そこで、当本部では、平成十八年から、不法就労の多い食品、製造、建設業等の事業者を中心に、外国人の不法就労を防止するための不法就労防止啓発講習を実施しております。また、不法滞在外国人の円滑な出国を促すため、出国命令制度の周知用ポスターを作成し、都内の電車やバスに掲出いたしました。
○吉田(康)委員 ただいまご答弁で、入管法違反者約二万四千人のうち、不法就労の割合は約八割ということでありました。この違反を見つけられなかった方々については、多分同じような比率で就労されているんじゃないかと思うんです。
ここでちょっとご紹介したい人がいるんですが、坂東忠信さんという方がいらっしゃいます。警視庁に十八年間勤務をされ、そのうち約八年間を北京語を使う刑事通訳捜査官として、中国人犯罪者を延べ一千四百人取り調べた方です。これは普通の通訳捜査官じゃない刑事の方だと、半分ぐらいしか取り調べが、調書を書いたりすることができないようですが、まさしく現場を知り尽くしたプロの方です。
この方の著書の一つに「通訳捜査官」という本がございまして、ここには次のようにあります。
「私が扱った中国人被疑者や参考人」、この参考人というのは、つまり犯罪を犯している人ではなくて、その犯罪の状況を聞くために、普通のかたぎの生活をしているはずの方をお呼びした参考人など「のうち半数近くは、なんと密入国者だった。」と。中略、「また私の接した中国人を見ていると、正規入国者の半分近くは、滞在期間なんてほとんど気に掛けていない。」、オーバーステイするということですね。中略、「私は何度もごくありふれた密航者の部屋にガサ入れに行き、彼らの部屋に散らかっていた、たくさんの開錠練習用ドアノブ」要するにドアのノブが、いろんな種類のノブだけ部屋にいっぱいあるわけですね。要するに空き巣をする練習用にいっぱい持っているわけです。そしてその「開錠用具、偽造テレカ、偽造旅券」、パスポートですね、「各種の偽造回数券などをこの目で見てきた。」、中略、「経験から言って、東京では就学生」、つまり学生さんですね、留学生です。就学生「など正規滞在の中国人ですら、職質(職務質問)を食らってヤバイものを一切持っていないということのほうが珍しかったのである。」、と書かれております。
大変な、現場で地べたをはいずり回って一生懸命やっている方からすると、こういう感覚で、ほら話ではなくて、きちんと本に書かれておられますが、この不法滞在、不法就労、そしてさまざまな犯罪のない安全な東京ということを我々は期待しているわけですけれども、繁華街などにおける不法就労防止対策、これにどのように取り組んでおられるのか、伺います。
○伊東治安対策担当部長 繁華街等における不法就労防止対策としては、今年度から新たに適正雇用推進宣言事業所づくりに取り組んでおります。
これは、関係機関である東京入国管理局、警視庁、区市町村等と連携し、都内の繁華街等において、飲食店を中心に事業所を訪問の上、直接、事業主等に対し適正雇用を呼びかけ、ステッカーやリーフレット等を配布するものでございます。
同ステッカーは、事業主が当該事業所において不法就労者を雇用していない旨の記載があるもので、そのステッカーを事業所の入り口など都民の目にとまる場所に貼付することで、事業主の適正雇用への意識の向上と都民に対する適正雇用のアピールになっております。
これまでの取り組みを実施した地域は、新宿、渋谷、池袋、六本木等九カ所で、十二月には、さらに新大久保等三カ所で実施する予定でございます。
○吉田(康)委員 いろいろとご苦労されているというご答弁であります。
これに関連して、国の警察庁では、平成二十三年三月に犯罪インフラ対策プランというものを策定しまして、同プランにおいては、全国の都道府県警察が犯罪インフラ対策を総合的に推進するための体制を構築し、関係行政機関、東京都ですね、と情報の共有化を図り、組織を挙げた対策を推進するものとしております。
都としては、犯罪インフラ対策についてどのような連携を行っているのか、これから行うのか、お伺いをします。
○伊東治安対策担当部長 警察庁は、国内の組織犯罪、詐欺、窃盗、サイバー犯罪等のあらゆる犯罪の分野で巧妙に張りめぐらされている犯罪を助長し、または容易にする基盤を犯罪インフラとし、都道府県警察に対し、関係行政機関と協議会を設けるなどして、犯罪インフラ対策に対する連携強化を通達により指示しております。
都としては、犯罪インフラ対策について、外国人滞在適正化連絡会議を通じて警視庁と連携し、情報の共有化を図ってまいります。
○吉田(康)委員 これはぜひ連携を強めていただきたいわけであります。
特に、池袋などの繁華街には中華料理屋さんもいっぱいあって、中国語等のフリーペーパーがたくさん置かれています。このフリーペーパーは中国語なので、我々なんか余り読む気もしないし、読んでもよくわからないと。余り我々の意識に入らないものなんですが、これを頑張って読んでみると、例えば、発音はわかりませんけれども、黒を白にするというような広告がどおんとあるわけです。黒を白にするというのは、中国語の定型の言葉で違法を合法にでっち上げるということで、違法なものを合法にでっち上げるために私のところに電話してくださいと。そしたら、例えばにせの旅券を一万円で売ってあげますよとか、にせの免許証をつくってあげますよとか、あるいは偽装結婚をしたい人はこちらとか、こういうものであります。
日本人は、これが中国語だからわからないのですけれども、こういうものが我が国内、都内において、堂々と犯罪行為を助長するような広告が掲載されて出回っていると、これは許されざる事態であります。
このようなフリーペーパーに関してどのような対策を行うのか、お伺いします。
○伊東治安対策担当部長 来日外国人を対象としたいわゆるフリーペーパーは、日本での生活全般に有用な情報源とされている一方、一部では不正な広告を掲載している例もあると認識しております。
警視庁及び東京入国管理局と連携し、繁華街等の事業所訪問の際、直接、事業主に対し、不正な広告を掲載しているフリーペーパーを置かないよう注意を促すなどの対応を検討してまいります。
○吉田(康)委員 これは本当にぜひやってください。
去る九月十四日に警察庁が発表した対策プラン策定後半年を経過した犯罪インフラ対策の推進状況等についてによりますと、今ご答弁もいただいた不法滞在者等向けのフリーペーパーに掲載されている広告、これは以下のようなものがあると。資格・身分の偽装の仲介、不法就労のあっせん等求人関係、地下営業、地下銀行とか、不正な住居のあっせん、その他と。こういうものを警察庁で調べたら総計七百三十六件あって、国別にいいますと、中国が五百三十一件、韓国が百五十三件、あとはちょぼちょぼちょぼと、こういうような感じでございます。
フリーペーパー上に犯罪を助長する広告記事が掲載されていることが判明した場合には、当該フリーペーパーの発行者に対し、広告掲載の打ち切り等の措置を講ずるよう要請をしているし、これからもするということですが、これにあわせて、今ご答弁あったように、都から、そういうものを自分のお店の近くに置かないようにということを、ぜひやっていただかなければいけないと思います。
都の取り組みも大事でございますけれども、入国管理政策そのもの、あるいはさまざまな書類、申請その他の事務もあります。犯罪防止に関して国へ働きかけを行うことが極めて根本的に重要だと考えますけれども、どのような働きかけを都は行っているのか伺います。
○伊東治安対策担当部長 当本部から国への提案要求に関しましては、偽装滞在対策強化のための審査、調査の入国管理関係職員の人員体制の増強、留学生受け入れ教育機関への指導強化、さらに不法就労防止対策強化を要求しているところでございます。
○吉田(康)委員 ありがとうございます。
外国人による犯罪を防止するための方策の一つとして、外国人登録証明書や旅券のコピーで、各種サービスあるいは手続、こういうことをしてしまう、受けてしまうということが多いんですが、コピーによる同定、これで大丈夫だよという認定をしないように、周知徹底、注意喚起を行う必要があると思っております。
都民への啓発事業についてはどのように行っているのか、お伺いをします。
○伊東治安対策担当部長 一般都民に対しましては、六月及び十二月に外国人適正雇用推進月間を設定し、都内各地で街頭キャンペーンを実施し、適正雇用の呼びかけを行っております。
事業主に対しては、不法就労防止啓発講習において、外国人の採用に関して必要な身分確認を外国人登録証明書の原本で行うよう指導しております。
○吉田(康)委員 ありがとうございます。本当にこれは大事です。
それで、外国人登録証、この制度も来年七月にちょっと変わるようでありますけれども、現状、例えば先ほどの広告の一つに「求む、真厨師」と、こういう代表的なものがあります。厨師というのはつまりコックさんです。単純労働はだめで、きちんと技術、技能を持った人でないと入れないと。それを彼らはどうするかというと、とにかく皿も洗えないような方でも、コックさんだといって日本に入国させるんです。それで手数料を取るわけです。入ってきて、その後はどこかへ行っていなくなってしまう。そういうことを続けていた中華料理屋さんは、にせのコックさんしか来ないわけですから、本当のコックさんがいなくなっちゃうわけです。店の事業ができなくなっちゃうので、今度は本当のコックさんを求むと。「求む、真厨師」と、こういう広告があること自身、にせコックさんの入国が横行しているということなんですけれども、とにかくそれも、入管の制度が若干変わるようでございますので、その辺も含めて、外国人による犯罪の防止に向けた今後の青治本のお取り組みについて伺います。
○伊東治安対策担当部長 来年七月に改正入管法が施行され、外国人登録法に基づいて区市町村が行っている外国人登録証明書の交付にかわり、国が一元的に行う在留カードが導入されます。
在留カードは、適法に我が国に中長期間在留する外国人に交付されます。具体的には、在留資格、短期滞在の者や、三カ月以下の在留期間の者並びに在留資格を有しない者などには交付されません。この在留資格を有しない者には交付されないという点については、不法滞在者を含む外国人すべてが交付対象である外国人登録証明書とは異なるものでございます。在留カードには偽変造防止のためのICチップが搭載されます。
都では、改正入管法による在留カードの導入について、外国人労働者雇用マニュアルの改訂版の作成や不法就労防止啓発講習、街頭キャンペーン等で周知を行うとともに、今後とも、東京入国管理局、東京労働局、警視庁、区市町村等各関係機関と連携し、事業主に対し、適正な雇用に関する注意喚起及び普及啓発活動を推進してまいります。
○吉田(康)委員 この新しい改正入管法で、若干、外登証にかわって在留カードということで、期待できることがある反面、三年までという期限が五年に延びる、あるいは一年間のうちの短期の出入りについては自動的に認めるなど、緩和された部分もあるわけであります。
世の中では、お札についてすらにせ札というものがあるわけで、せっかくICチップを入れても、上に政策あれば下に対策ありで、いかなる手を使っても偽造を図ろうという手合いも当然出てくるわけでございます。国と、そして警察と、しっかりと東京都は連携をしていただいて、せっかくICチップで確認できるといっても、それを使う都民の、事業者の側が、そういうものを読み込む装置がなかったりすると、何の意味もないわけでございますが、そういうことも含めて、新しく進んだ制度に、東京都民がきちんと対応できて、不正あるいはそこで泣き寝入りとか被害を受ける、こういうことが本当になくなるように、取り組んでいただきたいと思います。
きょうは、外国人の犯罪防止ということに特化してご質問しましたけれども、青少年の健全育成あるいは交通安全、治安の安全を含めて、全般について、ぜひ引き続き頑張っていただきますようにお願い申し上げて、質問を終わります。
○中屋委員 私の方からは、地域の防犯パトロール活動について何点かお伺いをいたします。
犯罪が起きにくく、安全で安心して暮らせる社会は、警察や行政だけではなく、防犯パトロールや子ども見守りなどの活動に取り組む地域のボランティアの方々に大きく支えられていることはいうまでもありません。このような地域の方々の活動は、防犯はもとより、震災時などにおいても活躍が期待されるものであり、事実、三月の東日本大震災においてもさまざまな活動に取り組み、地域の安全・安心の確保に貢献されておりました。
行政が行う公助の取り組みとともに、地域における自主的な防犯活動などの共助の取り組みを支援していくことが、これからの安全で安心できる社会を実現させるためには重要であると考えております。そのような観点から何点か質問させていただきたいと思います。
本年第二回定例会における当委員会において、このたびの震災による緊急対策として、震災等災害時における停電のときでも、防犯ボランティアの方たちが安全に防犯パトロールを行えるように、LEDベスト等の装備品を貸与する事業が提案をされました。
私も、ボランティア活動の重要性や事業の意義などについて質問いたしましたが、装備品の申し込みなど事業の実施状況について、まずお伺いをさせていただきます。
○伊東治安対策担当部長 防犯ボランティア団体等から夜間パトロール用装備品の貸与申し込みは、区市町村等を通じて行っており、本年九月までに千百十三団体からの申し込みを受け付けました。
九月までの申込数量は、LEDベスト一万九百十七着、LED合図灯一万六百四十六本となっており、現在も新規及び追加の申し込みが来ております。
本年十二月までに、LEDベスト一万五千着、LED合図灯一万二千本が段階的に納品される予定でございますが、既に納品されたLEDベスト及びLED合図灯について、区市町村を通じて貸与を開始しております。
○中屋委員 もう既に大変多くの申し込みがあるということは、大変喜ばしいことであります。
みずから発光するLEDベストなどの装備品は、停電時において安全に防犯活動を行うために有効であると同時に、停電時でなくとも、周囲から目立ち、防犯効果も高いものであり、私の地元文京区の防犯ボランティアの方たちも、ぜひ使いたいという多くの声が上がっております。
そこで、各地域に対してこの事業の趣旨を伝え、夜間パトロールの取り組みをさらに広げていく必要があると考えますが、見解を伺います。
○伊東治安対策担当部長 震災等災害時の停電の際に、防犯パトロールを安全に行うために貸与するLEDベストやLED合図灯は、反射材によるものに比べ視認性にすぐれており、パトロールの効果も高められるものであることから、夜間パトロールを行う防犯ボランティア団体等に貸与することで、活動の充実が図れるものでございます。
貸与の手続は、地域に身近な区市町村を通じて行っていますが、防犯ボランティア団体等が十分に把握されていない状況も見られることから、さらに区市町村に働きかけるとともに、都が直接に地域団体へ事業の説明を行い、団体からの直接申し込みも受け付けることといたしました。
安全に夜間パトロールを行うための装備品を活用して、さらに防犯活動を充実していただくことをボランティア団体等へ丁寧に伝えるとともに、今後の貸与申し込みについても、追加調達を含めて対応してまいります。
○中屋委員 いろんな事情で、時間や予算の制約もあると思うんですけれども、事業の趣旨を踏まえて可能な限り対応していただきたいと思います。
都内の各地域においても、さまざまな防犯ボランティア団体がまちの安全のために頑張ってくださっております。しかし一方、団体によっては、メンバーの不足、資金の不足など、それぞれの苦労を抱えていると伺っております。こうした地域の活動を支援していくためには、ボランティア団体の活動内容や、活動を行う上でどのような悩みや苦労があるのかを把握することが必要であると考えます。
そこで、防犯ボランティア団体の活動状況や課題などについてお伺いをいたします。
○伊東治安対策担当部長 平成二十二年十二月末現在、警視庁が把握している防犯ボランティア団体数は三千七百十一団体でございます。
昨年度、これらの防犯ボランティア団体に対して、活動に関するアンケート調査を都が実施したところ、千三十四団体から回答を得られました。
その結果、結成母体について、七二・八%の団体が町会、自治会と回答しています。活動内容としては、防犯パトロールが九一・七%と最も多く、子どもの安全確保が五八・八%と続いております。
防犯ボランティア団体が活動している中で抱えている問題としては、メンバーの高齢化が六八・三%、活動メンバーの確保が五四・四%と続くなど、活動を担う人材に関する課題が上位を占めております。
○中屋委員 今のご答弁でわかりましたけれども、高齢化が進んでいると。そしてまた、メンバーの確保の問題が多々あるようであります。
そこで、実際に地域活動において中心となる人を決めるということは大変重要であると思うんです。そこで、活動を継続し、さらに発展させるために、中心となって活動する人材の育成が必要だというふうに思います。
そこで、都は、防犯活動を中心となって活動する人材の育成にどのように取り組んでいるか、お伺いをいたします。
○伊東治安対策担当部長 都民生活に関する世論調査において要望の高い治安対策の中でも、特に子どもに関する施策が上位を占めていることを踏まえ、子供見守りボランティアリーダー育成講座を開講し、平成二十二年度から三カ年、五回にわたって、合計三百人のリーダー育成を目指して取り組みを進めております。
これまで、平成二十二年度に五十五名、二十三年度前期に三十三名が修了し、十一月十九日に開校する後期講座には六十七名が受講を予定しております。
講座では、防犯の専門家による講義、ボランティアリーダーによる体験談、グループ討論などを通して、組織づくりや他団体との連携、課題解決や新たなプランづくりに関する情報やノウハウを提供しています。
また、今年度からの三カ年事業である子供見守りチャレンジ提案事業により、防犯ボランティア団体等が実施する先進的な子ども見守り活動に対して、区市町村を通じて活動経費の補助を開始しており、今年度、子どもの登校、下校時にあわせて花に水をやる見守り活動など、七つの取り組みを補助対象事業として決定いたしました。
今後も、新たな企画や新たな連携に対して支援し、さらにその取り組みを波及させるなど、活動の強化を図り、機運を盛り上げてまいります。
○中屋委員 今お話ありましたように、地域の安全・安心は、町会、自治会を初め防犯ボランティア団体などが行うパトロールや登下校時における地域の方による見守り活動など、地域に暮らし、また事業を営む方々に支えられており、そのような活動が都内の各地域で展開されてこそ、東京都全体の安全・安心が確保できるものと考えます。そのためにも、各地域の取り組みへの支援が大変重要となっております。
地域における自主的な防犯の取り組みへの支援を充実させていくことが治安の改善に不可欠であると考えますが、最後に本部長の所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○樋口青少年・治安対策本部長 だれもが安全で安心して暮らせる社会づくりには、行政や警察だけではなく、防犯パトロールを初めとする地域住民の方々などによる取り組みが重要でございます。
都は、防犯カメラ等の防犯設備整備や防犯パトロールの装備品への補助等を行うとともに、子供見守りボランティアリーダー育成講座に取り組むなど、地域における自主的な防犯活動を支援してまいりました。
地域の方々や警察、行政が治安の改善に取り組んできました結果、都内の犯罪件数は平成十五年から八年連続で減少しておりますが、都民生活に関する世論調査では治安対策が毎年上位にあります。このように、都民の体感治安は依然として厳しい状況にございます。
その背景といたしましては、地域社会のきずなの希薄化や社会の規範意識の低下が影響していると考えております。規範意識を高め、地域のきずなを取り戻すためには、地域の方々が連帯して、みずからの地域の防犯に取り組んでいくことが有効であります。
都は引き続き、防犯設備整備などへの補助や防犯ボランティアの育成、活動への支援などを着実に進めるとともに、よりきめ細かく支援ができるように取り組んでまいります。
○伊藤委員 初めて総務委員会に所属をし、質問させていただきます伊藤興一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、私の方からは、青少年育成総合対策について質問したいと思います。
ことしに入って、携帯端末をめぐる状況が大きく変わってきているなということを、この都庁周辺の新宿を歩いてもつくづく感じることであります。というのも、携帯ショップ、数々ありますけれども、ほとんどが今、私が持っている折り畳みのような携帯電話ではなくて、スマートフォンになってきております。
お店の方に伺いました。携帯とスマートフォンは、はっきりいって何が違うのかその特徴を教えてほしいということをいいましたらば、スマートフォンは、今まで以上より便利に持ち運べるパソコンという答えが返ってまいりました。
子どもたちの間でも、新しいこうした機器が進化して、また、どんどん変わっていくサービス、こうしたものが子どもたちの間にも普及をしていくことは、時間の問題だなというふうに改めて感じるものであります。こうした中、これまで以上にインターネットによる有害情報あるいはトラブルから青少年、子どもたちを守っていくことは、ますます重要になってくるというふうに思います。
都では、ファミリeルールの講座や出前講演会を開催するなど、携帯電話やインターネットに関する危険性知識の普及に努めているということでありますけれども、こうした時代の変化を通じて感じている課題について伺いたいというふうに思うのと、また、あわせまして、家庭内のルールづくりが重要であるということはいうまでもありませんけれども、子どもが、我が家もそうですけれども、中学生以上になってきますと反抗期にもなってまいりますし、保護者がルールづくりをしようといってもなかなかうまくいかないことも、我が家でもございます。
加えて、保護者が、大人の方が、子どもよりも、そのサービスの内容だとか、こんなに便利だということを知らない、子どもたちの方がよっぽど知っているというようなことも状況としてあるわけでありまして、こうした状況に対処するために、私は、親子が一緒に学べるような、また、一緒に問題意識を共有できるような場を積極的に提供していくことが重要であるというふうに思いますけれども、あわせてこの二点、都の所見を伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都では、平成十八年度から、インターネットや携帯電話に関して、各家庭の状況に応じた家庭ごとのルールをつくり、これを実践してもらうためのファミリeルール講座を開催するとともに、平成二十年度からは、インターネットや携帯電話の危険性等を題材とした出前講演会を開催しております。
出前講演会につきましては、昨年度、学校等において計百七十二回開催いたしまして、二万四千六百八十七人の参加を得ております。このうち、四分の一に当たる四十五回については、保護者と青少年の双方が参加する形態で開催いたしました。
他方、保護者が比較的少人数のグループになって、具体的なルールづくりのコツを学んでいただくeルール講座につきましては、昨年度三十九回実施し、千七百六十五人が参加いたしました。
本年度も、これらの取り組みを継続してまいりますが、家庭内のルールづくりを推進するためには、出前講演会とあわせてeルール講座を開催するなど、より参加しやすい形態で開催する工夫が必要であると認識しております。
具体的には、学校等の主催者側と調整しつつ、親子がともに参加する講演会をさらに増加させることや、その内容についても、知識の一方的な伝達にとどまることなく、親子がその場でルールづくりをする時間を設けるといった工夫を図るなど、質量ともに充実を図っていきたいと考えております。
○伊藤委員 ぜひとも、青少年のインターネットによる有害情報、またトラブルから子どもたちを守る、こうしたことを推進していただきたいと思います。
次に、若年者自立支援について質問したいと思います。
私のもとに、これまでも、家族にひきこもりがいるご家庭からの相談が何件か寄せられました。来たご相談については、どの相談も長期化しているご相談であって、事態はかなり深刻なものもございました。
中には、家族の中に、もういいんだと、あきらめているんだという声も聞かれますけれども、都内には、少なくともこうしたひきこもりの方が約二万五千人いるというふうに推定されるということでございます。
都は、平成十九年に、ひきこもりの若者、またその支援を行うNPO法人の実態調査を行って、そのNPO法人のノウハウを活用して支援するため、都は平成二十年度からは、ひきこもり等の若者の社会参加を応援する事業、コンパスを実施し、支援の仕組みづくりに取り組んできたということでありますけれども、まず、このコンパス事業に取り組んだ三年間の成果と、そしてまた、今年度から新たな取り組みが始まっているというふうに聞いております。その取り組みを伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 若者社会参加応援ネット、コンパスは、平成十九年度の調査の成果である、ひきこもり等の若者支援プログラムを検証し、支援方法等の枠組みを確立することを目的に、四つのNPO法人に委託して、平成二十年度から二十二年度まで実施した事業でございます。
具体的には、ひきこもりの若者の状況に応じて、本人が外に出ることが難しい場合に自宅等に訪問して相談に応じる訪問相談、自宅以外の居場所を運営するフリースペース、ボランティア等の体験活動を行う社会体験活動という三つの類型で支援を実施いたしました。
三年間で約千名の若者がコンパスを利用し、その支援の実施状況の検証を通じて、都は、平成二十二年度末にひきこもり等の若者支援プログラムを確立いたしました。
平成二十三年度は、支援プログラムを適正かつ継続的に実施できるNPO法人等を登録する制度や、NPO法人等へのサポートを実施し、確立した支援プログラムを普及、定着する事業に着手しております。
都は、この取り組みによって、ひきこもりの若者やその家族が安心して支援を受けられ、区市町村が安心して協働することができるNPO法人等を育成してまいります。
○伊藤委員 新たな取り組みが始まった、そしてまた、支援プログラムの普及、定着事業によって、都民が安心して利用できるNPO法人がふえるということは、大変に喜ばしいことだと思います。
しかしながら一方、先ほど申し上げた、私のところにご相談にお見えになった方を私もコンパスにおつなぎをさせていただきましたけれども、そのご家族からは、このたびの新たな制度は利用料金がかかり、経済的な負担が大変に大きいという話も聞いております。このように、経済的な余裕がなくて費用負担が困難であるという場合もあると思います。
こうした経済的負担が大きいという場合も含めて、ひきこもりを何とか打開していくに当たって困難な状況にある若者、そしてまた特に家族に対して、都はどのように支援を行っていくのか、伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都は、本年度から、支援プログラムを適正かつ継続的に実施できるNPO法人等と協働して、若者の自立を支援する区市町村の取り組みを推進する事業を開始いたしました。
この事業を活用している区市町村の中には、住民がNPO法人等のサービスを利用する際の負担を軽減することにより、ひきこもり等の状態にある本人や家族の支援を行っているところもございます。
都は、ひきこもり支援を行うNPO法人等と区市町村により、若者やその家族が安心して支援を受けられる環境が整備されるよう支援してまいります。
また、都は広域的なサービスを提供する立場から、東京都ひきこもりサポートネットで相談に応じるとともに、ひきこもりに係る連絡調整会議を設置し、困難な状況にある若者やその家族への支援に、関係機関と連携して引き続き取り組んでまいります。
○伊藤委員 家族にとっては、ひきこもりのご家族がいるということは本当に大変なことだと思います。経済的な理由からこうした支援が受けられないということがあってはならないと私は思いますので、ぜひ今後、こうした経済的負担を少しでも軽減できるような取り組みも考えていただきたいというふうに思うものであります。
今ご答弁にありました東京都ひきこもりサポートネットを初め、青少年問題に対する都のさまざまな取り組みは、大変に有意義でありますけれども、ひきこもりがご家族にいらっしゃるご家族にとっては、こうした取り組みをやっているということすら知らない方もたくさんいらっしゃるわけでありまして、私は、知らなかったという人がないように、ぜひこの広報にしっかり力を入れていただきたい。
もしできることであれば、例えば児童の虐待防止月間だとか、女性の健康を守る月間だとかありますけれども、ひきこもりを含めて若年者の方々を都が支援しているんだよということがアピールできるような月間を設定するなどして、広報にしっかり力を入れていくべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○山中青少年対策担当部長 都におきましては、ホームページの活用、パンフレット類の作成、配布を初め、都民に各種の取り組みを知っていただくための広報活動を展開しております。
また、ひきこもりのきっかけとなり得る不登校が起こりやすい長期休暇明けに、不登校・若者自立支援フォーラムを開催するなど、実施時期にも配慮しながら、当事者や支援者に対し、都が実施する各種事業の周知を図っております。
しかしながら、支援を必要とする対象者すべてに取り組みが十分に浸透するためには、さらなる広報啓発の実施が必要であると認識しており、その方法、内容とも常に見直しを図りつつ、ひきこもりの問題を抱える家族向けのチラシを図書館等の身近な施設で配布するなど、今後も創意工夫を凝らした活動を展開してまいります。
○伊藤委員 ぜひとも、ひきこもりをしっかりとサポートできる体制を推進していただきたいというふうに要望いたします。
また、続けて若年者の支援について質問させていただきますけれども、かねて私も、予算特別委員会だったと思います。いわせていただいたと思いますけれども、青少年、高校を卒業し、大学に進学する、あるいは就職をする。高校を卒業した時点から結婚されて子どもさんをもうけるまでの間、行政による支援が本当に薄い年代層でございます。それは、フレッシュマンとして社会に飛び出していくわけでありますから、夢に向かって、目標に向かって、しっかり頑張れという年代であるということは理解はしているわけでありますけれども、昨今、この経済状況、また雇用情勢がなかなか好転をしない中において、総務省のデータではこんなデータがありました。
本年九月の完全失業率の数字でありますけれども、完全失業者数は二百七十五万人、そのうち十五歳から三十四歳までの割合は、三八・五%と、何と百六万人もの若者たちが職につけていない、こういう状況があるわけであります。
先ほど申し上げたように、社会に出て、フレッシュマンとして本来ならば活躍したかった、でもそうじゃない、状況は今そうなってはいないという中で、多くの若者がさまざまなことに悩み、また困難にぶち当たっているのではないか、このように思います。
本来であれば、家族がそうしたことを受けとめる、また先輩が受けとめる、こうしたこともあるでしょうけれども、なかなかそうしたことを外に打ち明けることができない若者もたくさんいるというふうに思います。
東京都では、若者総合相談、若ナビを開設されましたけれども、私は、この若ナビ、大変に評価するとともに期待もしているところであります。
この若ナビについて、これまでの実績について伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 東京都若者総合相談、若ナビでは、平成二十一年七月に電話相談を開始し、ことしの九月末までに約一万三千六百件の相談に対応いたしました。
また、若者の心理、生活状況に適合した方法として、パソコン及び携帯電話からのメール相談を平成二十一年十一月に開始し、約二千百件の相談に対応いたしました。
相談内容はさまざまですが、例えば、働き始めて数カ月たっても職場で人間関係をうまく築けない、就職活動を続けているが、いまだに内定をもらえず、自分が将来何をしたいのかわからなくなったといった人間関係や就労に関する悩みが寄せられており、話を聞いてくれる人がいると思うだけでもうれしい、相談することで少しすっきりしたなどの感想もいただいております。
平成二十二年度の新規相談のうち、二十代及び三十代の若者からの相談が約八割を占めており、心理的に孤立している現代の若者が気軽に相談できる窓口として活用されております。
○伊藤委員 資料で、ことしの九月末まで若ナビにどんな相談が寄せられたか、お話を伺いました。
グラフを見ると、大きく分けていただきましたけれど、自分のことという項目が六一%、仕事のことが一〇%、対人関係が一三%、家族関係が九%、その他が七%と、自分のこと六一%ということであります。ということは何を示しているかというと、一つの相談が、本当に自分自身のことを通して、生き方であったり仕事のことであったり多岐にわたる、それこそ幅の広い相談を受けていらっしゃるんだなということが、この結果を見てもわかるわけでありますけれども、それぞれのケースに応じた専門機関に円滑につないでいくべきことがたくさんあると思います。
一人の若者の悩み、あるいは壁を乗り越えさせるためには、専門機関同士のネットワークの構築が重要であると思います。このネットワークの構築のために都はどのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都は、東京都若者総合相談、若ナビの開設にあわせ、平成二十一年七月に、東京しごとセンター、精神保健福祉センター、発達障害者支援センターなどの十九の専門機関による若者の自立等支援連絡会議を設置いたしました。連絡会議においては、若者支援に関する情報の集約と共有、若ナビを初めとする各専門機関の取り組みに対する意見交換等を行っております。
また、若ナビの相談員が相談者に対して適切な専門機関を紹介できるよう、就労支援機関から講師を招いて相談員の研修会を実施するなど、実務的な連携体制の構築に努めております。
○伊藤委員 若者にとって大変に身近なツールである携帯電話と、また、メールによる相談をやっていただいたということでございますけれども、特にメールについては、なかなか話して相談できないという方もいるということも含めて、非常にいいやり方であるというふうにも思います。
また一方では、電話による相談が一万三千六百、メールが二千百件、数の多さからいうと、圧倒的にやっぱり電話が多いわけであって、メールもいいけれども、やっぱり自分で声を出して、また声を聞きながら相談を聞いてほしい、またいろんな方向性を示してくれたらうれしい、こういうこともあらわれているのではないかというふうに思います。
こうした若者たちは、できれば相談員の方と直接会って悩みを打ち明けたいという若者も多くいると思います。しかし、こうした若者は、公的な相談機関を訪ねるというのにある程度勇気が要るでしょうし、敷居がちょっと高く感じている人たちもいると思います。
そこで、まち中で若者がリラックスして相談できるような方法を工夫して、直接会って悩みを打ち明けられるような体制をしっかりとふやしていったらどうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○山中青少年対策担当部長 都は、深刻な悩みにまでは至らないが心に抱えたものをだれかに聞いてほしい、気軽に悩みを吐露する機会が欲しいといった若者のニーズにこたえるため、平成二十二年度から相談員派遣型の面接相談を試行しております。
これは、都内の複数のカフェを相談場所として確保し、相談日に相談員を派遣する予約制の面接相談であり、相談者からは、カフェで落ちついて話をすることができた、絡まっていた心の糸がほどけたようだった等の感想をいただいております。
今後とも、新たな相談手法である相談員派遣型の面接相談を広く周知し、より多くの若者の悩みを受けとめてまいります。
○伊藤委員 ぜひこの若ナビを拡充、また発展するとともに、多くの悩んでいる若者に知ってもらう努力もお願いをしたいというふうに思います。
次に、中学生の職場体験について伺いたいと思います。
職場体験は、地域の商店や、あるいは地元の産業、公的施設等の職場で仕事の体験をさせるということによって、中学生に社会性や勤労観、そして職業観を育成するということを目的として行われております。そして、その経験を通して、中学生はその職業を目標に勉強にも頑張れるということもあると思います。
職場体験の実施に当たっては、受け入れ事業所の理解と協力が不可欠であると思います。その意義を理解し、協力していただいている事業所の存在は大変に大きいというふうに思います。
しかし、生徒が必ずしも興味、関心のある職種の体験を行うことができていないという実態があるのも事実でございます。私の周りでも、職場体験に行ったはいいんだけれども、本当は介護の仕事に進みたいと思っていてそっちを希望したんだけれども、そっちはだめで、結局、飲食店の店員さんをやらせてもらいましたという話もありました。飲食店の店員さんも職場体験としては非常に大事なことでありますけれども、将来の職業観をしっかり持つ、こうした観点からいえば、できれば中学生のニーズをしっかりとキャッチした、マッチングした職場体験を進めていくべきではないか、このように思うものであります。
ある事業所の、中学生が将来つきたい職業ランキングというのが出ておりました。中学生の男の子、一位、二位はスポーツ選手、三位が学校の先生、四位がドクター、五位が公務員、皆様方の公務員でございます。六位が技術者、エンジニア、七位が車の整備士、カーデザイナー、八位がゲームクリエーター、ゲームのプログラマー、また、ちょっと飛びますけれど、十一位には調理師やコックさんが入っております。
また、女の子のランキングでありますけれども、一位が保育士、幼稚園の先生、二位が看護師、三位には漫画家、イラストレーター、飛ばして第五位には美容師、理容師、六位には学校の先生、第七位には動物の訓練士、動物園の飼育員、また八位にはケーキ屋、パティシエ、九位にはファッションデザイナー、こんなものが入っておりますけれども、中学生が、男の子も女の子も将来どういう仕事につきたいんだというニーズをキャッチしていただいた上で、職場体験の協力をしていただける事業所を広げていただくような、こうしたマッチング、また連携というものが私は必要じゃないかというふうに思います。
都として、中学生の職場体験に関して、こうした希望やニーズを反映させた受け入れ事業所拡大のためどのような取り組みを行っていくのか、伺いたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 中学生の職場体験は、中学生に社会の一員としての自覚を促すとともに、望ましい社会性や勤労観、職業観を育成することを目的としており、その効果的な実施に当たっては、地域、家庭、学校の連携や協力が欠かせないと認識しております。
一方、生徒の取り組み意欲という点からは、生徒の興味、関心のある事業所での体験が望ましいと考えております。この点、都といたしましては、多様な業種の受け入れ事業所の確保に向け、社団法人日本フードサービス協会や社団法人日本フランチャイズチェーン協会など、多くの産業団体の協力を得て、中学生の職場体験推進協議会を設置し、産業団体や企業に対し、事業の趣旨への理解を求め、協力の確保に努めているところでございます。
今後とも引き続き、職場体験推進協議会に参加する産業団体、企業の数や業種の拡充に努めるとともに、東京子ども応援協議会や心の東京革命推進協議会の会員など、青少年関連団体や産業団体、企業などへ働きかけを進め、また、教育庁、各区市町村教育委員会と連携することにより、生徒の興味、関心も踏まえた受け入れ事業所の確保に努めてまいります。
○伊藤委員 中学生の職場体験、すばらしい、また大事な事業であると私は思います。また、中学生にとっては初めて見る社会でありますので、できれば、先ほど申し上げたとおり、望みをかなえてあげるような職場体験にしていっていただければというふうに思います。
次に、自転車総合対策の推進について質問をさせていただきます。
都の自転車施策については、本年二月の第一回定例会の代表質問や、あるいは予算特別委員会で、都議会公明党が条例制定の必要性を強調したのに対し、都は、自転車総合政策検討委員会を設置し、検討を開始するとの答弁がございました。また、せんだっての第三回定例会の一般質問で、我が党の斉藤やすひろ議員の質問に対し、検討委員会は本年六月に設置され、警視庁を初め関係各局のほか、区市町村、交通安全協会等の関係団体や業界団体の参加を得て、自転車の安全利用の推進や自転車走行空間の確保などのテーマについて、今年度末を目途に検討しているという答弁がございました。
そこでまず、六月から現在までの検討経過と、また検討の事項、内容について伺いたいと思います。
またあわせて、自転車の安全利用の確保のためには、自転車の点検整備と損害保険への加入を促進することが重要であると思います。なぜならば、自転車は大変に身軽な乗り物でございます。ゆえに一瞬にして加害者にもなれば被害者にもなってしまう、こうした危険性もはらんでいるわけでありまして、現在、自転車安全整備士による点検整備を経た安全な自転車であることのあかしとして、TSマークの制度がありますけれども、このマークには附帯保険もついておりますし、その果たす役割は大変に大きいと思います。
このTSマークの普及についてもこの検討対象となっているのか、あわせて伺いたいと思います。
○伊東治安対策担当部長 自転車総合政策検討委員会につきましては、六月に第一回検討委員会を開催した後、月一回のペースで作業部会を開催しており、現在までに検討委員会を一回、作業部会を五回開催しております。
第一回、第二回の作業部会では、ルール、マナーの向上を議題とし、対象別の普及啓発、学校における安全教育、損害保険などに関する課題を検討いたしました。
第三回、第四回の作業部会では、自転車走行空間の確保を議題とし、国道、都道、区道それぞれの道路管理者と交通管理者である警視庁からの報告を受け、意見交換を行いました。
第五回の作業部会では、平成十九年に策定した自転車の安全利用推進総合プランの見直しの視点について検討いたしました。
また、TSマークにつきましては、第二回作業部会で、損害保険の現状などとあわせて議論になっております。普及を促進すべきであるとの意見と、保険期間の短さや補償額の少なさを懸念する意見とをともにいただいております。
○伊藤委員 自転車の問題は、多くの都民から私たち議員のもとへも、何とか対策を強化してほしい、こうした声が多く寄せられております。
都議会公明党はかねてから主張させていただいているとおり、東京都自転車条例の制定に向けて、この検討委員会を活発に行っていただきたいということを要望させていただきます。
最後に、振り込め詐欺の防止対策について伺いたいと思います。
青少年・治安対策本部の方からも資料をいただきました。振り込め詐欺については、多少減少傾向にあるものの、被害額は増加をしております。特に、おれおれ詐欺のうち、手口も巧妙になってくる中で、手渡し型というのが五二%を占めているということで、この手口も次から次へと新しくなっていく。
また、こうした振り込め詐欺には、特に高齢者の方々が被害に遭っているということは、私は深刻な問題であると。一生懸命に働いてこられた高齢者の方々がだまされるということは、あってはならないというふうに思うものであります。
また、ひったくりにつきましても、被害者の約九割が女性ということで、女性をねらう、弱者をねらうこうした犯罪は、何としても撲滅をしていかなければいけないというふうに思います。
先日、私が自宅に戻ったときに、我が家の子どもが、お父さん、突然お巡りさんが来たという話をしました。何かと思ったら、ピンポンと来たので、ドアのこれをのぞいたら、制服を着たお巡りさんが玄関の外に立っていたから、僕は何も悪いことしていないのにと一瞬思ったと。あけてみたらば、ひったくりあるいは振り込め詐欺の注意を呼びかけるビラをわざわざ玄関まで一軒ずつ持ってきてくださっていたということでありました。本当に感謝申し上げるのと同時に、こうした取り組みというのは本当に大事だなというふうに思います。
青少年・治安対策本部においては、キャンペーン等において防犯講話を実施しているということでありますけれども、ぜひ継続してやっていただきたいというふうに思います。
この防犯講話につきましては、以前、私のマンションでも、最寄りの警察署にお願いをしてやっていただいたことがございます。何といっても本物を聞くのが一番いいという警察官のアドバイスもいただきまして、振り込め詐欺で実際に起こったやりとりのテープをマンションの方々に聞いていただきました。
本当に皆さん、高齢者の方々初め、顔が真っ青になるような思いで、怖いね、私は絶対引っかからないと、こうおっしゃっていましたけれども、皆さん引っかかった方もそうおっしゃるということでありますけれども、こうしたよりリアルな講話を、私は、大きくイベントでやっていくことも重要だと思いますけれども、こうしたマンションの自治会だとか町会だとか小単位で幾つもやっていきながら、より多くの人たちに防犯講話を実施していくことが必要であるというふうに思います。
最後に、青少年・治安対策本部の振り込め詐欺防止対策、防犯講話の拡充に向けての取り組みを伺って、質問を終わります。
○伊東治安対策担当部長 振り込め詐欺被害防止の実演式による防犯講話は、本年度は現在まで十九回実施しております。
これまで、区市町村等が主催する大規模なキャンペーンのほか、地域自治会、老人クラブなど、二十人程度の小規模な集会等でも防犯講話を実施してまいりました。さらに、警視庁と連携し、PTA連合会等に働きかけ、各学校のPTA集会においても注意喚起活動を実施しております。
今後も、防犯講話実施に当たっては、可能な限り、町会、自治会連合会、老人クラブ連合会などにも働きかけ、それぞれの集会の規模、参加者の年齢層などに応じた内容とし、振り込め詐欺の最新の手口や被害防止のポイントなどについて、効果的に啓発活動を行ってまいります。
○星委員 それではよろしくお願いいたします。
私からは、若者の自立支援体制について二点ほどお伺いをいたしたいと思います。ただいま伊藤委員からも、コンパス事業の実施状況など丁寧な質疑がありましたので、重ならないような視点で質問をさせていただきたいと思います。
近年、さまざまな要因によって、就労や就学など自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている、いわゆるひきこもりの若者の増加が社会問題となっています。
ひきこもり状態になる要因やきっかけは、学校におけるいじめ、就職活動の失敗、家族関係などさまざまですが、人間や社会への不信から外出が困難になり、長期にわたり社会とのかかわりを持たなくなります。また、障害や病気が隠れていてもそれに気づかず、健康状態がさらに悪化することもあります。こうした若者たちは、家族との関係がこじれることが多くて、本人だけでなく家族も大変苦しんでいます。
東京都では、ひきこもりなどの状態にある若者の社会参加を応援するため、NPO法人との協働事業であるコンパスを三年間実施してきました。同時に、それぞれの地域で個人の状況に応じた適切な支援を受けることができるよう、市区町村が地域でのネットワークを構築するモデル事業を二〇一〇年まで行い、ただいまもお話がありましたけれども、一定の結果を得たことから、今年度は、さらに今までの成果を活用した事業を行っているというふうにお伺いをしております。新たに幾つかの市区町村が若者の自立支援事業に取り組むということもお伺いをいたしております。
私は、生活に一番身近な市区町村やNPOが、地域で支援体制を本気で取り組んでいくのがベストではないかなというふうに考えております。
そこで、市区町村における若者の自立支援体制の構築をさらに推進するためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。
○山中青少年対策担当部長 社会とのつながりを失っているひきこもり等の若者を適切な支援に結びつけるためには、身近な地域において、本人や家族に対する個別の働きかけを行う必要があります。また、ひきこもりの背景、要因はさまざまであるため、若者の状況に応じて、社会参加に向けた支援のほか、学習支援や就労支援を実施する必要があり、複数の関係部門が連携して対応することが求められております。
そこで、住民との接点を持つ機会が多い区市町村が関係部門の連携体制を構築して、ひきこもり等の若者の支援に取り組む場合に補助金を交付する若者の自立等支援体制整備事業を本年度から新たに開始いたしました。
○星委員 私は、昨年、早くから若者の自立支援に取り組んできた福生市のNPOの青少年自立援助センターを視察してまいりました。
青少年自立援助センターは、一九九九年にNPO法人として設立されましたけれども、実はもっと長い経験がございまして、前身のタメ塾というものを行っておりまして、三十年以上の長きにわたって、不登校、ひきこもりの青少年の自立支援活動を行ってきています。施設には七十ぐらい部屋がありまして、二十四時間サポートの寮生活を送る中で、多様な就労や自立支援を進めていました。
ここに集まる若者は、十代から三十代までが対象ですが、日本の社会では、子どもの教育責任は専ら親に負わされているために、真に問題を抱えた若者の存在把握がおくれがちです。
そこで、支援のため他人や地域力を活用するということは必要なことではないかというふうに理事長が話しておりまして、特に、寮生である若者の仕事の発掘、実際の労働ということに、若者の気持ち、そして体力を向けさせるなど、そのために地域の商店や事業所などに協力をお願いしていたのが大変印象的でした。
若者の自立支援に対しては、このような支援の専門的なノウハウ、そして深い知識と経験というものを十分に持っていないと、なかなか難しいのではないかなというふうに感じているところです。
そこで、東京都は、ひきこもり支援事業の事例を市区町村で共有できるような取り組みをぜひ行っていくべきと考えますが、今後の展開をお聞きしたいと思います。
○山中青少年対策担当部長 都は、補助事業を活用して若者の自立支援体制整備を進めている区市町村が、取り組み状況や今後の課題について発表する情報交換会を、全区市町村の関係部署の職員を対象として開催いたします。このような機会を通じて、補助事業の成果を他の区市町村に還元し、区市町村における支援体制整備を推進してまいります。
また、NPO等の支援団体が実施しているひきこもり支援の実態を学ぶための実地研修等を行い、新たに支援体制の構築に取り組む区市町村を支援してまいります。
○星委員 ひきこもりというのは、日本独特の言葉だそうです。福生の青少年自立援助センターでも、ひきこもりというふうに私が申し上げると、ひきこもりという言葉は使わないでください、今ひきこもり状態にある若者というふうにいってくださいというふうにしかられたんですね。
そしてまた、昨年、イギリスの子ども家庭省にお伺いをしてきましたけれども、引きこもる人間が悪いと考えるのではなくて、引きこもる状態になるにはそれなりの要因があり、課題は皆さまざまで複雑に絡み合っています。
二十代、三十代の若者の自殺というものが本当に多くなっておりまして、この報道が伝えられるたびに胸が痛む思いです。私は、東京都のこれまでの取り組みは大変評価しておりますけれども、やはり全都的に広がってほしいというふうに深く思っております。
東京都の姿勢を、市区町村や、そしてNPOと共有しながら、さらに取り組みを広げていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○栗林委員 それでは、私の方からは、事業概要の中の青少年健全育成条例の運用等で、二〇ページにございますけれども、青少年健全育成協力員制度についてお伺いをしたいと思います。
東京都は、平成十六年の条例改正で、指定図書類などの包装と、また陳列が適切に行われているかどうかということをチェックするといいますか、協力員制度を設けて、区市町村からの推薦などで都民を協力員として委嘱して、そしてその協力員は、書店などで販売状況等について調査をして、その結果を都に報告することになっていると聞いております。
初めに、青少年健全育成協力員の役割と平成二十二年度の活動実績について、お伺いをいたします。
○山中青少年対策担当部長 青少年健全育成協力員の役割は、書店、コンビニ店等で、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある図書類の包装や区分陳列の状況を調査し、都に報告をしていただくものでございます。不適切なものがある場合は都に報告をいただき、都の職員が調査を行い、必要に応じて書店等を指導しております。
平成二十二年度につきましては、八百三十六人に委嘱いたしまして、延べ八千八百九十七店を調査していただいております。
○栗林委員 八百人以上も協力員がいるということは、大変心強いと思いますが、しかし反対に、この制度は余り知られていないと思います。せっかく協力してくださる方たちは、東京の青少年の未来を守るために、忙しい時間をつくって活動してくださっていると思います。
さらに協力員という制度に誇りを持って取り組んでいただけるように、協力員の活動をもっと活発にするような施策を考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山中青少年対策担当部長 青少年の健全育成に必要な環境を確保するためには、協力員の活動をより一層活発化するための取り組みが重要であると考えております。
具体的には、委嘱の際の研修会において、地区ごとの協力員同士のコミュニケーションを広げるための場を設けたり、特に熱心な協力員の体験をご報告していただくことのほか、協力員の存在や活動について都のホームページに掲載するなど、さまざまな取り組みを検討してまいります。
○栗林委員 ぜひお願いしたいと思います。大変すばらしい取り組みですので、メディア等を使って紹介するなど、協力員制度の充実を図るべきではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、事業概要の中の二三ページにございますけれども、非行少年の立ち直り支援策について伺わせていただきます。
先日、法務省から二〇一一年度の犯罪白書が公表されました。これは国の数字ではありますけれども、一般刑法犯で検挙された人のうち、少年は八万五千八百四十六人、何と二七%を占めています。再非行も過去最悪の三二%という数字でございました。
法務省は、今回初めて、少年院を出た後の追跡調査というものを実施しました。少年院を出た若者の四割近くが、二十五歳までに再び犯罪に手を染めているという実態も判明して、保護観察終了後の対策が課題とされております。
この再犯防止は、やはり就学、就労や家族関係など、生活環境を整えて、社会に受け入れられているという安心感が更生しやすくなるとはいわれていますけれども、非行少年といわれている立場の子どもたちは、幼いころより親から虐待を受けているケースが多いとの調査結果も出ています。心のケアを含めて、専門家でなければ対応ができないサポートでございます。
この非行少年を立ち直らせるためには、少年自身を非行に走らせている環境から離れさせる必要があります。こうした意味において、東京都が現在運営している非行少年立ち直り支援ワンストップセンターぴあすぽは、まさに少年にその身を置く環境を変えさせるべく、居場所の提供や、また就学、就労支援を行っているものであり、非行少年の立ち直り支援にとって非常に大切な取り組みであると考えます。
そこで、これまでにぴあすぽがどのような成果を上げてきたのか、お伺いいたします。
○山中青少年対策担当部長 都では、青少年問題に取り組んでいるNPO法人と連携して、非行少年立ち直り支援ワンストップセンターぴあすぽを世田谷区内で運営しております。
具体的な活動としては、少年院出院者等の非行少年に対し、相談対応や居場所の提供を行う生活自立支援、学習補助や学校見学への同行等を行う就学支援、しごとセンターへの同行や面接の練習等を行う就労支援を実施しております。
平成二十二年度の相談支援件数は延べ七百五十四件であり、その中には、学習補助や面接の練習等の支援を行った結果、高校進学を希望する少年を進学に結びつけた事例もございます。
○栗林委員 非行少年への支援は、それぞれの少年に合わせた対応が必要であり、その支援には多大な労力を要することと考えられます。
しかし、一人でも多くの少年の立ち直りを助けるためには、こうしたぴあすぽのような存在をもっと知ってもらうことが必要ではないかと思います。
そこで、今後、ぴあすぽの周知についてはどのような取り組みを考えていらっしゃるのか、伺わせていただきます。
○山中青少年対策担当部長 ぴあすぽの利用状況は、通いやすさという点から、世田谷区やその近隣の自治体に居住する少年が比較的多くなっております。
都といたしましては、都の全域から多くの少年に利用していただけるよう、非行少年と接する機会が多い保護観察所、保護司の方々や警視庁等にぴあすぽの利用を呼びかけるほか、都が主催する非行少年立ち直り支援のためのセミナーなど、さまざまな機会をとらえて、関係者にぴあすぽの活動を紹介するなど、ぴあすぽの周知を徹底してまいります。
○栗林委員 ぜひお願いしたいと思います。
先日、この犯罪白書が公表された翌日だったと思うんですが、各紙、この問題について取り上げている記事が多く出ておりました。その中で、私も大変考えさせられる記事がございました。
朝日新聞だったと思うんですけれども、少年時代に犯罪を犯して死刑判決を受けている、拘置所に今いる人からの手紙であり、それを取材した記者の記事ではございましたけれども、その人は、犯罪を犯して死刑判決を受けた元少年という立場で書かれていましたけれども、「私はギャクタイ、イジメ、捨てられるという中で生きてきました」という手紙で始まっていました。その成育歴が大変問題かなと思いました。「三歳のときに両親が離婚。母はパチンコに明け暮れる。妹と弟の三人でカップラーメンを分け、猫のえさで飢えをしのいだ。小学校では服が汚いといじめられ、シンナーを吸うようになる。非行の果てが、会ったばかりの少年たちとの凶行だった。」ということで、大変な罪を犯してしまうんですけれども、「残虐な事件だった。犯した罪は、きちんと償わなければならない。だが、もっと早く彼と向き合い、手を差し伸べる大人がいたら、何かが違っていたのではないか。」。そして、元少年が手紙の最後に結んでいた言葉が、「私のような人間はもう作らないでほしい」という言葉で締めくくられてはいるんですけれども、もっと向き合う大人がいたら、そういったことを考えますと、ぴあすぽというセンターは、この辺の事情に大変詳しい専門家が、一人一人きめ細かなケアに当たっていらっしゃると思います。
一度は非行という道を歩んでしまっても、温かく支えてくれる人がいて、信じられる人に出会うことで、再びチャレンジし、頑張ろうという気持ちに変わっていきます。一人でも多くの少年がぴあすぽのようなところを利用できるよう、より効果的な周知方法を検討していただきたいと思います。
実はこのぴあすぽは私の地元にございますので、何度か伺ったことがございます。オフィスビルでもなくて、行政の施設でもないので、本当に普通の一軒家という施設でございます。そういった構えからも気軽に立ち寄れるということで、大変利用がしやすいかなと思うんですが、しかし残念ながら、この広い東京でここ一カ所でございます。非常に狭いです。スペースも決して広い場所ではないです。この事業内容から考えますと、もう少し広い場所を提供できるような補助をする支援も必要ではないかと考えます。
また、ぴあすぽをもっと利用してもらうよう、その周知に努めることは大前提ではありますけれども、今後は、多摩方面とか、ほかの地域にもこのような施設を設置することをぜひ検討していただきたいと思います。
次に、事業概要の二八ページでございますけれども、早期からのしつけの後押し事業というところを伺わせていただきます。
大変大事な事業でございますが、しつけというのは、身に美しいと書いて「躾」、大変美しい日本語ではないかと思います。ただし、広辞苑で調べますと、「仕付糸」の「仕付け」という字が出てきて、縫い目を正しく整えるために仮にざっと縫いつけておくのを「仕付け」というというふうに出ております。和裁では、美しく縫い上げるための予備の工作で、縫い目を固定するためにあらかじめ仮に縫うこととなっていました。
人間が本来生きていく中で、子どものころからしつけられて、例えば、夜はおやすみなさいとあいさつをしたり、朝はおはようございますとあいさつをする。いってみると早寝、早起き、朝ご飯という、そういう中に、本来、家庭教育がしつけていくものであるかと思いますけれども、今、なかなかそれが難しいという状況でもあります。
こうした早期からのしつけ後押し事業というのは、早期からこういった事業を、市区町村と役割分担しながら推進をしていくというねらいでもありますけれども、初めに、この事業が区市町村とどのような役割分担で、どういうような流れで実施されているのか、伺わせていただきます。
○山中青少年対策担当部長 早期からのしつけの後押し事業における子育て講座は、住民に身近な区市町村が実施主体となるのが基本であり、講座の開催会場は児童館、幼稚園、保育園などの施設でございます。
子育て講座開催までの流れですが、まず会場となる児童館などの希望を踏まえ、区市町村から都に対し講座実施申請を提出していただきます。その上で、都では、講座の内容となるプログラムの提供及び講師の派遣を行い、区市町村における子育て講座開催の支援を行っております。
○栗林委員 私も決して偉そうにいえる立場じゃなく、反省も込めて、これからこういう事業をしっかり後押ししていただくことが大変重要ではないかと思います。
このような事業の情報をもっと広く提供することが必要となりますので、この講座のさらなる普及、拡大は今後どのように取り組んでいらっしゃるのか、伺わせていただきます。
○山中青少年対策担当部長 都は、区市町村の所管課のみならず、講座の開催場所となる児童館、幼稚園、保育所などに対し、本事業が広く周知されるよう、引き続き積極的に広報を行ってまいります。
具体的には、本事業のポイントをまとめたリーフレットを作成し、実施申請の方法や開催までの流れについて解説したわかりやすいマニュアルとともに、区市町村や児童館などの施設に配布いたします。
また、各区市町村の児童館長会などの機会をとらえ、直接現場の担当者等に対し、本事業の周知を行ってまいります。
こうしたことを通じて、区市町村及び現場の施設に本事業の浸透を図り、講座のさらなる普及、拡大に取り組んでまいります。
○栗林委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
次に、事業概要四九ページにございます自転車総合対策等の推進についてお伺いをさせていただきます。
初めに、放置自転車対策について伺います。
東京都では、毎年、駅周辺における放置自転車台数、駐車可能台数、撤去、返還、処分と、自転車駐車場の整備状況等について実態調査を行っているとのことでございますが、まず直近の調査における撤去、返還、処分の内訳についてお伺いいたします。
○伊東治安対策担当部長 平成二十二年度調査では、都内の原付、自動二輪を除く放置自転車の撤去台数は七十三万三千七百五台、返還台数は四十六万二千八百六十一台、処分台数は三十一万二千九百九台でございます。
処分の内訳としましては、廃棄物として処分したものが十六万二千四百五台、資源として売却したものが十一万八千百八十六台、リサイクルしたものが三万二千三百十八台でございます。
○栗林委員 リサイクル台数が三万二千三百十八台ということでございますけれども、ことし三月、東日本大震災が発生した後、被災地では、多くの人が避難所や仮設住宅での不便な生活を強いられるとともに、道路状況の悪化や燃料不足などで自動車の使用が制約され、そのような中、自転車が被災者の足として大変役に立ったと聞いております。
東京都は、こうした中、いち早く区市町村と連携協力をして、放置自転車を整備、再生して被災地へ提供する活動に取り組んでいただきました。
初めに、この取り組みの概要について伺わせていただきます。
○伊東治安対策担当部長 東日本大震災の発生後は、被災地からさまざまな支援が求められましたが、その中で、自転車を提供してほしいとの要望も寄せられました。
区市町村では、放置自転車対策のための協力組織として、全国自転車問題自治体連絡協議会、通称全自連を設置しております。被災地への自転車の提供に当たりましては、全自連事務局に協力をいただき、被災自治体等から要望があったとき、全自連事務局が調整して提供する区市町村を決定していただいております。
区市町村では、所有する放置自転車の中から状態のよいものを選び、点検、整備の上、かぎの交換等を行った再生自転車として提供していただいております。都は、提供区市町村から被災地までの搬送の業務を担っております。
現在、被災地へ提供された自転車は、高校生の通学用など、被災地の足として幅広く利用されております。
○栗林委員 それでは、これまでに被災地に提供した再生自転車の台数と提供先の内訳、県別で教えていただければと思います。
○伊東治安対策担当部長 十月末現在、総台数は二千二百六十六台、うち、岩手県四百五十台、宮城県千百五十台、福島県六百六十六台でございます。
○栗林委員 本当にありがとうございました。
私も、被災地の自治体から、自治体の町役場等々も、自転車がつながらないということで、そこに入っていたボランティアさんを通して、石巻とか南三陸とか山田町とか、たくさんの、その都度赤木課長が頑張っていただきまして、たくさんの要望を受け、つながせていただきました。現地からは、とても助かる、東京都から送っていただいた自転車で、瓦れきのすき間を通って物資を届けたり、また、子どもたちが学校に通うのに、通学に使わせていただいたり等々、大変喜びの声をちょうだいいたしました。放置自転車は、減少、なくすということが大前提であり、その方向に向けて取り組むことは大前提ではありますけれども、こういう有効な利用は大変重要かと思います。
次に、幼児二人乗り用自転車教室についてお伺いをさせていただきます。
初めに、この事業を開始した経緯を伺わせていただきます。
○伊東治安対策担当部長 幼児二人同乗用自転車の安全教室についてご説明をさせていただきます。
平成二十一年七月の東京都道路交通規則の一部改正によりまして、フレームの強度などの安全基準を満たしたものであれば、自転車に幼児を二人乗せて通行することが認められました。
当初、基準を満たした幼児二人同乗用自転車は高額になることから、幼児の保護者が購入をちゅうちょするのではないかという懸念がございました。そのため、実際に試乗し、走行の安定性を体験してもらうことで、幼児二人同乗用自転車の普及促進を図るとともに、安全利用を推進するため、安全教室を実施することといたしました。
○栗林委員 大変重要な取り組みだと思います。私たちが子育てしているときは、普通のママチャリに一人、二人、三人、四人とたくさん乗せていても、平気で走っているような、それで余り事故もなかったかなと思うんですけれども、やはり自転車の性能がよくなるとスピードも出ます。それだけ安全で、マナーをしっかり守っていかないと大事故につながるという可能性も出てきております。
子育て中の父親、母親の苦労は理解できますけれども、一方で、子どもを乗せながら、危険でマナーの悪い運転をする若い親もよく見かけるようになってまいりました。前後ろに子どもを乗せて、子どもたちがその親の運転を学ぶということにもなります。こうした取り組みを通じて、幼児を持つ父親、母親のマナー意識が向上して、それが子どもにもよい影響を与えて、社会全体のマナー向上につながれば、すばらしい事業ではないかと思います。
そうした観点から、この教室では、主にどのようなことを参加者に指導しているのかを含めて、事業の概要と現在までの実績について伺います。
○伊東治安対策担当部長 幼児二人同乗用自転車安全教室は、区市町村が参加者の募集を行い、幼稚園、保育園等の会場を確保した上で、区市町村と都で共催で実施しております。
安全教室では、幼児二人同乗用自転車に実際に試乗していただき、子どもの乗せ方やおろし方、安全走行の留意点など、幼児二人同乗用自転車の特徴を説明しています。また、子どもへのヘルメット着用、交差点での一時停止や安全確認など、自転車通行ルール全般についても参加者に指導しております。
都では、この安全教室を年十回開催しており、現在までに延べ十八回開催し、九百六十二人の方が参加していらっしゃいます。
参加者からは、幼児二人同乗用自転車の特徴や自転車通行ルールについてよく理解できたとの声をいただいております。
○栗林委員 ぜひ、子どもの命を守ると同時に、三つ子の魂ではありませんが、先ほどのしつけ教室と同じように、やはり乳幼児からの環境がすべてのお手本となっていくと思います。
こうした取り組みが多くの区市町村に広がるよう、今後とも力を入れて推進をしていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
○吉倉委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
事務事業及び報告事項、平成二十三年職員の給与に関する報告と勧告についてに対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
○中屋委員 私からは、職員採用試験について何点か伺いたいと思います。
まず、一日の当委員会で理事者から説明のございました採用試験実施に当たっての大震災に伴う被災地支援について伺いたいと思います。
三月十一日に発生した東日本大震災は、多くの方々の命を奪い、地域に甚大な被害を与えたことは、全国民の脳裏に強く焼きついていることと思います。
震災後、被災地では、既に八カ月が過ぎた現在においても震災のつめ跡が至るところに残り、災害復興がなかなか進まない状況の中で、地元企業の被災により新卒者の就職環境が非常に厳しくなっていると聞いております。
都は、大震災に対し総力を挙げて支援を行ってまいりましたけれども、人事委員会として取り組んだ東日本大震災に伴う被災者支援はどのようなものであったのか、お伺いをいたします。
○鈴木試験部長 被災地の非常に厳しい現実を前にいたしまして、人事委員会といたしましては、平成二十三年度の職員採用試験の実施に際し、被災地支援のための特例的な取り扱いを緊急に決定し、三月三十日に公表したところでございます。
その内容は、第一に、大震災後、直近の時期に実施された大学卒業程度のⅠ類B採用試験について、被災により指定期間の四月八日までに申し込みができない受験希望者に対して、第一次試験直前の五月二日まで申込期間を延長するとともに、その間、休日を含めて、専用電話による受験申し込みの受け付けを特例的に実施いたしました。
第二に、九月十一日に実施された高校卒業程度のⅢ類採用試験の第一次試験会場について、例年の都内会場に加え、被災地の都庁志望者がより受験しやすいよう、東北会場を宮城県名取市内の尚絅学院大学に設けました。
Ⅲ類採用試験全体の受験者千七十五人のうち二百三十二人が東北会場で受験し、引き続き余震等の不安もある中、受験者の安全確保に万全を期し、総務局の被災地支援宮城県事務所の協力も得ながら試験の運営に当たり、無事に終了することができました。
その後、面接試験を経て、十一月四日にⅢ類採用試験の合格者百十一人を発表したところでございますが、うち二十四人が東北会場受験者でございました。
○中屋委員 都の工夫によって、努力によって、こうしたいい結果が出たことは評価をしたいと思います。
合格者の中には、大震災により厳しくつらい体験をされた方もいらっしゃると思いますが、この体験を都政に生かし、都の職員として強い使命感を持って、存分に活躍してくれることを期待しております。
次に、都の職員採用に対する取り組みについてお伺いをいたします。
昨年度の本委員会での質疑では、職員採用試験について、各分野でより有為な人材を確保するために、キャリア活用選考の改正を行うなど、一定の効果を上げてまいりましたが、全体を見ますと、中核となるⅠ類B試験、事務区分の競争倍率が、近隣と比べ相対的に低いという課題があるとのことでありました。
また、特別区や市役所に比べると、職員の具体的な仕事内容をふだん目にする機会が少なく、見えにくい都庁の業務について、ホームページや大学就職説明会を通して、多様な受験層に都職員の魅力を理解してもらうことによって、受験者数をふやしていきたいと、こういう答弁でございました。
そこで、本年度の採用試験、どんな状況だったのかお伺いいたします。
○鈴木試験部長 職員採用の中核でございます大学卒業程度のⅠ類B採用試験、事務区分では、本年度の受験者数四千百三十八人、合格者数六百三十五人、競争倍率は六・五倍であり、受験者数、競争倍率ともに前年度を上回る実績となりました。
人事委員会では、従前から、優秀かつ気概のある人材を受験に誘導するため、任命権者と連携して職員採用PRに力を注いでまいりました。
今年度の採用試験に向けての平成二十二年度のPR活動では、特に、都庁の仕事の内容や魅力を生き生きと、かつ具体的に周知できるよう、大学生向けの民間就職サイトを活用するとともに、各大学主催の就職説明会等で、出身大学のOBの都職員を派遣して説明を行うなど、さまざまな工夫を行いました。
今後とも、さらなる競争倍率向上の取り組みを一層工夫していく必要がございますが、本年度につきましては、受験者層に対する職員採用PRが一定の効果を上げたものと考えております。
○中屋委員 受験者数、競争倍率ともに引き上げることができたということは、評価をしたいと思います。今後も、さまざまな受験層へのPRを通じて、一層の競争倍率の向上につなげてもらいたいと思います。
次に、被災地の復興はもとより、今後予想される直下型地震や都市型集中豪雨などの災害に対し、都民の安全・安心を守るための治水、津波対策、防災施策の立案、実施に当たり、資質の高い土木職を初めとした技術職員の確保が不可欠であると思います。
そこで、本年度、技術職の採用試験の状況をお伺いいたします。
○鈴木試験部長 平成二十三年度の職員採用に当たりましては、東日本大震災を受けまして、被災地対応や都の防災対策の見直し等、都政の喫緊の重要課題に不可欠な技術職の確保に十分配慮しております。
例えば土木区分では、大学主催の就職説明会において、理系学生をターゲットとして、都政の第一線で活躍する若手土木職員によるPRを行うとともに、土木専門技術雑誌へ職員募集広告を掲載するなど、資質の高い技術系学生や民間経験者を都庁受験に誘導するよう努めました。
さらに、Ⅰ類A採用試験及びキャリア活用採用選考の合格者総数を、平成二十二年度より三十七人ふやしまして百二十五人とし、大学院卒業程度の専門性の高い人材や、民間企業での職務経験、知識等を持ち、即戦力として活用できる人材を確保いたしました。
○中屋委員 今の答弁を聞きますと、都の高度な専門的知識を持つ技術職をふやすための努力というものがよくわかりました。
ところで、都によって有為な人材確保については、十一月一日の当委員会において説明のございました職員の給与に関する報告と勧告の中でも詳細に触れられております。
そこで、多様で有為な人材確保に向けて、採用試験制度の面でも改善していく必要があると思いますが、具体的にどう対応するのか、お伺いいたします。
○鈴木試験部長 若年人口の減少が続くとともに、我が国における大学進学率は大きく上昇し、大学及び大学院における教育内容は多様化しております。また、採用市場では、民間企業と官公庁との採用の仕組みの違いから、就職準備の指標が大きく異なり、早い段階から民間希望層と公務員志望層とが分化する傾向が見受けられます。
一方、都庁におきましては、各行政分野の高度化、複雑化によるニーズ等を背景として、これから伸びていくさまざまな可能性や高度な専門知識を持った人材、社会で活躍し、豊富な民間企業経験を持った人材等、多様な人材の確保が求められております。
こうした状況の中で、これまで都は、Ⅰ類A採用試験やキャリア活用採用選考等、採用の種類を広げ、多様で有為な人材の確保に取り組んでまいりました。
今後も、この取り組みを一層さらに進め、民間企業志望者層も含めて、幅広い層から多様な資質、能力を有する人材を発見、採用していくことが必要であると考えております。
そこで、例えば事務区分において、幅広い出身学部学科等から受験しやすい試験とするなど、能力実証のあり方について検討、見直しを行い、都政の複雑かつ困難な課題に対応し得る有為な人材を確保できるような採用試験制度を構築してまいります。
○中屋委員 今のご答弁にもありましたように、民間企業の志望者層も含めて、より多くの人にも都庁に目を向けてもらいたい。幅広い層から人材を採れるような魅力ある職員採用試験制度となれば、競争倍率もより上がることと思います。
最後に、一層の有為な人材の確保に向けた取り組みについて、局長の決意を伺いたいと思います。
○多羅尾人事委員会事務局長 ただいま中屋副委員長からもお話がございましたように、都政の発展に不可欠なものがすぐれた人材でございます。
職員は、採用後、基本的には三十年から四十年の長きにわたり都庁に勤務するものでございますので、人材確保は人事委員会の最も重要な使命の一つと考えております。
当委員会といたしましては、昨年度の総務委員会における委員のご指摘も踏まえ、本年の職員の給与に関する報告と勧告の中で、採用環境を踏まえた新たな人材確保の取り組みの必要について言及させていただいたところでございます。
この背景といたしましては、首都公務員としての都職員には、第一線の現場で都政のさまざまな課題を迅速、的確に解決していく実務能力や、国や他の自治体をリードする高度な政策立案能力等が求められておりまして、より広く深い専門的知識、技術や旺盛なチャレンジ精神を持った職員を育成していく必要がございます。
このためには、公務員に就職できればどの自治体でも構わないというような方ではなくて、都政に貢献することに強い使命感を持った、また特定の専門分野に強い方ばかりでなく、法律に強い方ももちろん必要ですけれども、法律に強い方ばかりが都の職員になるということでは、これは困るということで、多様な分野の勉学、就業を経験した人材、こういう方を、高学歴化や転職市場の拡大という人材供給構造の変化の中で、民間企業や国とも競い合って、ぜひとも採用していかなければならないという考え方でございます。
今後、任命権者とも連携いたしまして、採用PR活動の一層の充実を図るとともに、採用試験の具体的な能力実証手法まで視野に入れ、採用制度を改善し、成長性の高い有為な人材を一人でも多く採用できるよう努めていく所存でございます。
○伊藤委員 人事委員会事務局に初めて質問させていただきます伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、私からは、本年の勧告の中でもかなりのページを割いて意見が付されております人事制度と人材育成、そしてまた、職員の疑問や不満に制度的に対処していく苦情相談制度について、何点か質問をしたいと思います。
初めに、人事制度についてでありますけれども、人事制度は、都民のために日々汗を流して、一生懸命仕事をしてくださっている職員の方々の意欲を高め、その能力を最大限に発揮させ、それを効率的な都政運営に生かすものでなければならないと思います。また、人事制度について、都民の信頼と理解が得られる仕組みを構築していくことは、人事委員会の重要な役割の一つであると思います。
これまでも人事委員会は、任命権者とともにさまざまな見直しを行ってきたと思いますけれども、とりわけ本年の報告では、今後の人事制度のあり方と題して、全般的、抜本的な見直しを進めていくとされております。
そこで、まず伺いたいのは、なぜ今、全般的、抜本的な見直しが必要なのか伺いたいと思います。
○大村任用公平部長 都の人事制度を取り巻く環境は、近年大きく変化してきてございます。行政の高度化、複雑化の一層の進行、大学進学率の上昇や大学院卒業者の増加に見られる採用市場の変化に加えまして、仕事と生活の調和を重視する傾向が強まり、職員の働き方や仕事に対する意識も変化してきてございます。
また、現行人事制度の基本部分は、昭和六十年前後に職員の構成において大きな山を形成していた団塊の世代の活用などを念頭に置き、その世代を中心に構築したものでございますが、近年、それらの職員が大量退職をし、職員の年齢構成は大きく変わってきてございます。
一方、国におきましては、人事院が本年の勧告にあわせまして、国家公務員の定年年齢を平成二十五年から平成三十七年にかけて、三年に一歳ずつ六十五歳まで引き上げることが適当と意見してございます。
こうした都の人事制度を取り巻くもろもろの環境変化を踏まえまして、少数精鋭による執行体制を一層強化していく観点から、採用から退職に至るまで、人事制度を全般的、抜本的に見直していく必要があると考えてございます。
○伊藤委員 行政を取り巻くさまざまな環境の変化に伴って、都は人事制度を根本から見直す時期を迎えているということでございました。
一方で、年金と高齢期雇用の密接な関係の問題は、これは公務だけではなくて、民間も含めて今後の大変重要な社会的課題であると思います。
国においては、民主政権におきまして、年金支給開始年齢が引き上げられるとか、突然そういう話も出てまいりまして、社会的にも、今、大変混乱をしているところでありますけれども、この定年制や、雇用あるいは年金、こうしたものの全体像が示されない中で、非常に不透明でございます。
いずれにしても、民間の雇用情勢は依然として厳しい状況にある中、公務部門における高齢期雇用を考えていく際には、都民の理解と納得が得られるよう努めていく必要があると思います。
国家公務員の定年を延長することとなれば、都を初めとした地方公共団体も、よほどのことがない限り定年を延長することになると思いますけれども、東京都人事委員会は、こうした国の動きを踏まえて今後どのように検討を進めていくのか、伺いたいと思います。
○大村任用公平部長 現在の定年年齢でございます六十歳を超えます職員の雇用のあり方につきましては、都においても、人事制度全体に影響が及ぶ重要かつ喫緊の課題であると認識してございます。
本年、人事院が意見の申し出において提示いたしました各施策、例えば、一定の範囲の管理職が六十歳に達した場合に、他の管理職ポストなどに異動させる役職定年制などにつきましては、今後詳細な研究を進めてまいりますが、都と国では、仕事の内容はもちろん、職員構成や任用実態も異なるため、都の実態を考慮した適切な制度となるよう検討していく必要がございます。
また、現在の再任用職員の大多数は短時間勤務でございますが、団塊の世代の大量退職により、知識、技術などの継承が課題となっている中、六十歳を超えた職員の有効活用という点では見直しが必要でございまして、定年延長を行うか否かにかかわらず、六十歳を超えた職員のフルタイム勤務の割合を高めていく方向で検討を進めるべきというふうに考えてございます。
○伊藤委員 少子高齢化が進む中、労働力人口が減少しており、働く気力、体力、能力のある高齢職員を十分に活用できる方向で検討を進めていただきたいというふうに思います。
一方、高齢職員の活用に伴って心配されることもございます。それは、新規採用職員の数が極端に抑制をされたり、あるいは係長、課長等への昇任が詰まってしまって、若手や中堅職員のモチベーションが下がってしまうと、組織全体の活力が低下してしまうのではないかと。こうした制度設計に当たっては、こうしたことにも十分に配慮していく必要があると思います。また、六十歳を超える職員の給与についても、総人件費にも影響が出るのではないかというふうに思うわけであります。
ぜひ、こうした問題についても、全国の自治体、ひいては民間企業の模範となる制度を東京都がつくり上げていくよう、大いに期待をしたいと思います。
さて、少数精鋭による執行体制を進める中、今後の都庁を支える優秀な人材の採用が必要であるとともに、採用後の計画的な人材育成が極めて重要であると思います。そこで、人材育成という切り口で確認をさせていただきたいと思います。
都の職員には、首都東京という、現場から発生するさまざまなニーズに対して、迅速、そして的確にこたえていく能力や、また、国に先駆けて先鋭的な課題に果敢に対応していく能力など、首都東京で働く公務員ならではの高い能力が求められると思います。
採用後、職員は各職場で経験を積んでいくわけでありますけれども、幾ら採用時には優秀な職員であっても、その後の人材育成を効果的に行っていかなければ、行政課題の高度化、専門化に対応できる人材は育たないと思います。民間企業においても、近年、団塊の世代の大量退職に伴い、ベテラン職員が有する知識、また技術等の継承が大きな問題になっていると聞いております。
そこで都は、こうしたベテラン職員の有する知識あるいは技術の継承とともに、職員の専門性を確保、強化していくため、今後どのような取り組みを行っていくのか、伺いたいと思います。
○大村任用公平部長 都の職員全体に占めます五十歳代後半の割合は、いまだに高く、ここ数年間は、それらの職員が大量退職をし、豊富な実務経験を有するベテラン職員が急速に減少していく状態でございます。このため、都におきましても、若い世代へのノウハウの継承は重要な課題であると認識してございます。
また、お話しいただいた行政課題の高度化、専門化への対応という視点に加えまして、六十五歳までの雇用確保措置に伴う職員の在職期間の長期化などを考慮いたしますと、特定の事業分野、職務分野に精通した人材の育成に一層努めていく必要がございます。
採用直後から退職に至るまで、すべての職員が専門性を高めつつ、その時々で組織に最大限貢献していけるよう、職員の配置管理の見直し、研修制度の整備、人材情報の管理、蓄積を有機的、一体的に推進するなど、計画的な人材育成を都の組織全体で行っていく必要があるというふうに考えてございます。
○伊藤委員 民間企業においては、例えば採用から退職まで同一部門に配属をしたり、複線型の昇任制度を整備するなど、個々の社員の専門性を最大限に生かすため、より徹底した取り組みを行っていると聞いております。
都においては、さまざまな職場、業務を経験させて、いわゆるゼネラリストを育成していくことも重要でありますけれども、少数精鋭による執行体制を進めていくのであれば、職務に精通したその分野の専門家、いわゆるエキスパートの育成にも力を注ぎ、適切に評価をしていくべきだと思います。
都と民間では状況が異なると思いますけれども、民間の取り組み事例も参考に、専門性を重視した管理職への昇任ルートを太くしていくなど、幅広く検討を進めていただきたいと思います。
こうした人事制度の変更は、すべての職員に大きな影響を与えることとなるため、十分な周知が必要であります。
私自身も、以前は品川区の職員でございました。職員時代、こうした人事制度あるいは給与とか、制度が大きく変わるときというのは非常に大事だなというふうに思っておりました。なぜならば、そのとき私は出先機関におりましたけれども、こうした制度が大きく変化をするとき、情報が職制ルートで余り入ってきませんでした。一方、他のルートから、少し色がついて情報が入ってくるものですから、本当のことがよくわからない、こうした経験がございます。
職員への周知は、主に総務局の役目かもしれませんけれども、周知が適時適切に行われないと、職員の不満や苦情のもととなると思います。全般的、抜本的な見直しであるならばなおさら、職員へのきめ細かい周知が求められていると思います。この点、人事委員会にもぜひお願いをしたいと思います。
今、職員の不満や苦情という話を申し上げましたけれども、近年、職員からの苦情相談を処理する制度が、人事委員会の事務として法的に位置づけられたと聞いております。少数精鋭体制の中で、勤務条件等についていろいろと悩みを持つ職員もいると思います。
そこで、事業概要による平成二十二年度に受けた苦情相談件数は七十件ということでありますけれども、この制度は有効に機能しているのか、伺いたいと思います。
○小澤審査担当部長 人事委員会では、以前から、勤務条件に係る苦情や相談等に対応してきたところでございます。
平成十七年度からは、人事委員会の機能を充実して、一定の手続が必要な勤務条件に関する措置要求、それと、不服申し立てには必ずしも至らないような職員の苦情に適切に対応するため、地方公務員法の改正によりまして苦情相談が法的に位置づけられたものでございます。これによりまして、改正法施行後には毎年百件前後と、それまでの倍の件数の苦情相談を処理しているところでございます。
職場における日々の問題は職場で解決するのが原則でございますが、職場だけでは十分に対応できないものにつきましては、人事委員会が専門的、中立的な立場から支援する必要があると考えております。
人事委員会が行う苦情相談は、職員が勤務上の疑問や要望などについて直接上司に打ち明けられない場合など、職場で解決できないときに、口頭による簡便な手段による救済を目指すものでございます。
具体的には、職員の申し出や主張を正確、丁寧に把握し、本人に助言し、あるいは専門的、中立的立場から所管部署に苦情内容を伝えることなどにより、解決に努めているところであります。
例えば、人事異動に不満のある職員につきまして、職場と連絡をとって、上司がその理由を改めて詳しく説明し、職員の納得を得るなどのことでございます。このように対処することによりまして、職員が安心して公務に専念できるようになっているものと考えているところでございます。
引き続き、苦情相談制度の周知を図るとともに、より使いやすい制度となるよう工夫して、苦情相談が一層有効に機能するように努めてまいります。
○伊藤委員 庁内にも、また出先事業所においても、一人で悩みを抱えている職員も少なくないというふうに思います。ご説明いただいた苦情相談を初め、人事委員会が果たしている公平審査機能は、職員にとっていわば最後のよりどころであり、大変大きな意味を持っていると思います。今後とも適切な対応をお願いしたいと思います。
冒頭から申し上げてきたとおり、人事制度については大きな転換期を迎えております。採用から高齢期雇用に至るまで多岐にわたる制度改正で、人事委員会にとりましても転換期である、私はこのように思います。
最後に、制度改革を行っていくに当たって局長の考え、また決意をお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
○多羅尾人事委員会事務局長 今後、ますます困難な課題に挑戦していく都にとりましては、都が組織として常に最大限の力を発揮していくことが求められております。そのためには、若手職員からベテラン職員までのすべての職員の積極的な育成、活用が大変重要であり、それを支える人事給与制度の担う役割は極めて大きなものがございます。
まず、人事給与制度は、努力し、成果を上げた職員が評価されるべきという考え方が大切だと思っております。その上で、新宿のような本庁部門だけではなくて、出先事業所で働く多くの職員にもわかりやすいことが大切であり、さらには、都民の皆様にも納得していただけるような合理的な仕組みであることが必要でございます。その上で、時代の変化を的確にとらえ、個々の制度の見直しを適時適切に行っていくべきものと考えております。
現在、団塊の世代の退職によるさらなる少数精鋭体制への移行、伊藤理事のご指摘のような都政の行政課題の高度化、複雑化による専門的知識、技術の必要性の高まり、さらには、年金制度に端を発する高齢者雇用の拡大の要請など、都の人事給与制度を取り巻く環境はかつてない大きな変化を示しております。
人事委員会といたしましては、このような環境変化を踏まえ、任命権者とも十分に連携しつつ、一人一人の職員に着目し、採用から退職に至るまで全職員が、例えていえばでございますけれども、プロフェッショナルな首都公務員として、それぞれの強みを生かして職務に全力投球し、活躍できるような、抜本的できめ細かな人事給与制度改革に全力で取り組んでいく所存でございます。
○吉田(信)委員 報告事項、東京都人事委員会による職員給与に関する報告と勧告について、幾つか質問させていただきます。
ことしもマイナス勧告となりましたけれども、この結果は、職員の生活や職員としてのモチベーション、さらに、公務員給与は他の民間賃金にも大きな影響を及ぼすものとして、重大だと考えています。しかも、マイナス勧告は、もちろんことしだけではなく、この間、連続的に進められてまいりました。単年度だけではなく、深刻な影響を見る必要があると思います。
そこでまず、石原都政のもとで勧告実施の推移、その結果、平成十一年度、一九九九年度と今回の勧告で、平均年収でどれだけの減額になったのか、改めてご説明をお願いいたします。
○大村任用公平部長 例月給につきましては、平成十一年度以降、プラス勧告が二回、据え置き勧告が二回、マイナス勧告が九回、また、ボーナスである特別給につきましては、プラス勧告が二回、据え置き勧告が四回、マイナス勧告が七回となってございます。
平均年収の推移につきましては、平成十一年の行政職給料表(一)適用職員では、平均年齢四十二・六歳で平均年収は七百五十一万円、平成二十三年は、今回の勧告に基づき給与改定がされた場合、平均年齢四十二・二歳で平均年収は六百六十一万四千円となり、平成十一年と比べまして、額で八十九万六千円、率では一一・九%の減少となります。
ここ数年、例月給、特別給ともにマイナス勧告が続いてございますが、厳しい社会経済情勢の中で、民間給与の改善が進んでいない状況が反映されているものと認識してございます。
○吉田(信)委員 この十二年間で見ますと、約一二%の減額、金額にして年間八十九万六千円、約九十万の減額ということです。これを月額で計算しますと、何と約七万五千円の減額ということの影響は、極めて大きいものだというふうに思います。
念のために伺いますけれども、同じ時期における民間事業者の給与の推移、変化率はどのようになっているのでしょうか。
○大村任用公平部長 民間企業の賃金状況に関する公的な調査には、全国の人事委員会と人事院が共同実施をしております職種別民間給与実態調査のほかに、国税庁が所管しております民間給与実態統計調査、厚生労働省が所管しております賃金構造基本統計調査などがございます。
国税庁の調査では、平成十一年と最新の調査結果である平成二十二年を比べると、平均年収は約一一%の減、厚生労働省の調査では約七%の減となってございます。
いずれの調査も、調査目的の違いから対象とする従業員の範囲が異なっておりまして、データの集計方法も、役職、年齢などに着目したものではなく、単純平均で集計していることなどから、調査結果の数値にはばらつきが生じてございますが、平成十一年以降、民間給与が減少し続けていることにつきましては、共通した結果となってございます。
給与勧告に当たりましては、こうした厳しい民間給与の状況を的確にとらえ、正確に職員給与に反映させているところでございます。
○吉田(信)委員 今紹介された二つの調査は、これは対象は東京という限定ではなく、全国の調査結果ですし、厳密な意味ではこれをもって正確に比較することはできません。しかし、それでも、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の減少率も減少しているといっても、都の職員の減少率が高いということも見ておく必要があると思います。
さらに伺いたいのは、民間事業者での給与改定の結果についてです。ベースダウンが果たして多数の企業で行われたのか、また、いわゆる春闘の結果はどうだったのかということについて、ご答弁をお願いいたします。
○大村任用公平部長 今回の民間給与実態調査では、ベースアップの慣行がある民間事業所は全体の約三割程度にとどまってございます。このうち、ベースアップを実際に実施したのは一割強で、残りの二割弱は、ベースアップの慣行はあるものの中止となってございます。また、ベースダウンを実施した事業所は、ことしはございませんでした。
また、春闘におけます定期昇給分も含めた賃上げ率の妥結状況につきましては、都内事業所を対象とした都産業労働局の調査では一・七四%、全国の主要企業を対象とした厚生労働省の調査では一・八三%、日本経済団体連合会の調査では、大手企業一・八五%、中小企業一・六四%となってございまして、定期昇給分も含めた賃上げ率は、前年とほぼ横ばいの状況となってございます。
こうした結果から、ことしの春の賃金改定は、厳しい経営環境のもとで、多くの民間企業が定期昇給のみにとどまっているものと理解してございます。
○吉田(信)委員 今の数字で見ても、わずかながら一・数%の増という結果となっている事例が紹介をされました。
しかも、私、東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きという、これは東京都が実施している毎年の調査で、つい最近だと思いますが、平成二十二年の年平均結果というものが出ていましたので、調べてみました。
そうしましたら、現金給与総額は対前年比〇・八%の増と、さらに、決まって支給する給与は対前年比〇・三%の増ということもありましたし、これは昨日の新聞報道だと思いますが、厚生労働省が十五日に発表した二〇一一年の賃金構造基本統計調査によると、大卒新任給は二年ぶりの増ということも、現実的には行われているということを指摘しておきたいと思います。
さらに、東京都の職員給与の勧告額は、もちろん民間との均衡という観点もあると思いますが、それだけですべて決定されるものではないというふうに思います。当然、生計費の考慮が重要な要素だと思いますし、そうした観点から、報告では八ページに、東京都生計分析調査から、ことし四月の生計費が昨年四月の生計費に比べて六・六%減っているということが指摘をされています。
しかし、私は疑問に思うのは、四月のみの数値で比較をして生計費が減っているから、マイナス勧告でも妥当だというふうに判断するのは、必ずしも適切ではないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○大村任用公平部長 給与勧告は、地方公務員法第二十四条第三項に基づきまして、職員の給与水準の決定に当たって民間準拠を基本といたしまして、あわせて生計費や国、他の地方公共団体の給与などを考慮することとされております。
こうした法令の趣旨を踏まえ、都では、標準生計費を、総務局が実施する東京都生計分析調査における生計支出、消費支出に基づき算定しまして、主として初任給水準の検討などに積極的に活用してございます。
標準生計費の算定基礎に四月の生計支出を用いることにつきましては、民間と公務の給与を調査いたします職種別民間給与実態調査と職員給与等実態調査のいずれもが、四月分の給与を調査対象としており、比較基準として同じ四月分の生計支出を用いることは合理的であり、適切と認識してございます。
さらに、民間給与には、お尋ねの生計費も含めて、物価、消費、雇用、景気の動向など、さまざまな社会経済情勢が反映されていると考えられ、こうした民間給与との均衡を図ることによりまして、職員給与に生計費も含めた世間一般の水準が反映されていることになるというふうに考えてございます。
○吉田(信)委員 私は、この東京都生計分析調査を改めて調べてみましたが、例えば四月分の生計支出ということを見ますと、平成二十一年、二十二年、二十三年は減少が続いています。しかし、年全体の平均額ということで生計分析調査の結果を見ますと、逆に、減少ではなく、二十年から二十一年、二十二年というふうに、わずかではありますけれども、生計支出は増加をしているというものが統計上示されています。
私は、実態に即して考えるならば、年全体で上がっているのか下がっているのかということが、本来ならば指標として考慮されるべきだというふうに思いますし、昨年もこの問題はいったような記憶があるんですが、ぜひ今後こうした点についても大いに留意をしていただきたいという要望として述べさせていただきます。
率直な疑問点を質問させていただきました。自治体労働者の給与は税金による行政費用であり、適正な水準が求められています。同時に、生活が保障されなければならず、公務員としてのモチベーションが発揮されることも当然留意すべきです。しかも、東日本大震災に直面し、今でも被災地で都の職員の皆さんが奮闘しております。
そうした状況を見ると、マイナス勧告が毎年のように強いられ、しかも結果的には、十二年間で平均八十九万六千円、月額だと七万五千円も減額という結果は、決して適正とはいいがたいという意見を述べて、質問を終わります。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十八分休憩
午後三時五十五分開議
○吉倉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより知事本局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○雜賀総務部長 要求のございました資料六点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料に沿ってご説明いたします。
まず、一ページをお開きください。姉妹友好都市との主な交流実績でございます。
平成二十年度から平成二十二年度までの各姉妹友好都市との主な交流実績を三ページまで記載してございます。
次に、四ページをごらんください。総合特区の指定申請に至る経過でございます。
総合特区の指定申請に至る昨年からの経過を記載してございます。
続きまして、五ページをごらんください。アジアヘッドクオーター特区に係る民間事業者等からの提案の概要でございます。
民間事業者等からの提案について、提案者、概要及びエリアを一覧にしてございます。
次に、六ページをごらんください。親会社が海外にある都内企業数の推移及び全国比でございます。
企業数及び全国比の平成十三年から平成二十三年までの推移を記載してございます。
続きまして、七ページをごらんください。都内にある資本金規模十億円以上の企業数の推移でございます。
東京における企業数、全国の企業数及び全国比について、平成三年から平成十八年までの五年ごと及び平成二十一年の数値をお示ししております。
最後に、八ページをごらんください。東京の主な経済指標の推移でございます。
製造品出荷額、小売業販売高及び勤労世帯の消費支出の推移をお示ししてございます。
以上、簡単ですが、要求資料についてご説明させていただきました。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○吉倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○しのづか委員 私からは、「十年後の東京」及び実行プログラムについて、何点かお伺いいたします。
平成十八年、二〇〇六年の十二月、二〇一六年の東京の姿とそれに向けた政策展開の方向を示す都市戦略として「十年後の東京」計画、これが策定をされました。その内容としては、八つの目標を具体的に掲げられて、計画が進められてきたわけですが、その「十年後の東京」計画も、計画期間の半ばを今迎えようとしています。
そこで、都は、みずから掲げた八つの目標について、その達成度合いを現段階でどのように認識しており、そして、どのように今後の取り組みにつなげていくのか、所見をお伺いいたします。
○澤計画調整部長 「十年後の東京」計画は、二〇一六年までを計画期間としておりまして、ちょうどその半ばに差しかかっております。現在までのところ、おおむね順調に進捗していると認識をしております。
一例で申し上げますと、八つの目標のうち、目標2の都市インフラの整備では、整備率約九割を目標とする三環状道路につきまして四七%が完了、骨格幹線道路の整備につきましては、整備率九五%の目標に対しまして、昨年度末で区部環状道路が八七%、多摩南北道路が七三%となっております。
また、目標の5、これは少子高齢などの福祉施策でございますけれども、この中で、十年間で三万人以上の創出を目指す障害者雇用につきましては、平成二十二年度までの四年間で、目標の三分の二に当たる約二万人の雇用を実現してございます。
今後は、これまでの取り組みを検証いたしまして、直近の社会情勢等も踏まえ、計画に掲げました目標の実現に向け、取り組みを着実に推進してまいります。
○しのづか委員 今、具体的な例を挙げてご報告いただきましたが、今ご報告いただいたのは、おおむね順調というか、計画以上に進んでいる事業かなと思うんですけれど、当然のように、計画ですから、順調に進んでいる事業、そうではない、これからもう少し加速した取り組みが必要な事業、この二つがあると思います。
私も、多分、計画全体としてはおおむね順調に経過をしているのではないかなというふうに評価をしておりますが、まず、その中で具体的な取り組みとして、「十年後の東京」を策定した翌年度の二〇〇七年に、「十年後の東京」計画に掲げる八つの目標の実現に向けた政策を着実かつ迅速に実施するためということで、三カ年のアクションプランとして実行プログラム二〇〇八が策定されて、以後、二〇〇九、二〇一〇、二〇一一と毎年改定をされてきました。
そこで、実行プログラム二〇〇八策定に当たっての考え方及び二〇〇九、二〇一〇、二〇一一、それぞれの改定のポイントについてお伺いをいたします。
○澤計画調整部長 実行プログラムは、「十年後の東京」計画の実現に向けまして、取り組みを加速する三カ年のアクションプランを策定することによりまして、今後の都の事業展開を明らかにし、行財政運営を先導するものでございます。
平成十九年に実行プログラム二〇〇八を初めて策定いたしまして、その後、施策の進捗状況や成果を検証いたしまして、社会情勢の変化に的確に対応するため、毎年度改定を行っております。
まず、平成二十年度の改定におきましては、大地震の続発を契機といたしました学校の耐震化の強化、また、医師不足による外来分娩休止問題に対応する都独自の医師確保対策などを盛り込んだところでございます。
次に、平成二十一年度の改定では、世界初の都市型キャップ・アンド・トレードがより機能するように、中小規模事業者のCO2削減をクレジット化する仕組みを創出するとともに、少子化を打破するために、福祉、医療、雇用、住宅、教育などの施策の垣根を超えた対策を集中的に実施することといたしました。
また、昨年の十二月に改定をいたしました実行プログラム二〇一一では、若者に対する就業支援や局地的な集中豪雨への対策などを緊急重点事業と位置づけまして、現場を持つ都ならではの取り組みを集中的、重点的に推進していくことといたしました。
○しのづか委員 それぞれの年次の社会情勢の変化に伴って、重点事業というものをポイントをとらえて改定作業を進めてきた、これは本当に評価するものです。
多分、全国の自治体の中でも、東京都のように毎年改定をされているなんていうところは少ないのではないかなと思うわけなんですが、これについては後で触れさせていただきますが、まず実行プログラムの検証についてお伺いをいたします。
実行プログラムでは、施策の進捗状況をどのように検証して、計画のPDCAサイクルを図ってきたのか。また、現在財務局で行われている事業評価とどのように連動しているのかについて、お伺いいたします。
○澤計画調整部長 「十年後の東京」計画に掲げました目標を確実に実現するためには、施策の進捗状況を点検いたしまして、その結果を新たな事業展開に反映するとともに、社会情勢の変化を踏まえた施策を展開していくことが重要でございます。そのため、財務局とともに各局と連携をいたしまして、実行プログラム事業につきまして検証を実施し、その結果を改定につなげているところでございます。
現行の実行プログラム二〇一一の策定過程で申し上げますと、昨年度の当初に二〇〇九及び二〇一〇の実行プログラムにおける取り組みの実績、進捗状況の検証を行いました。その結果を昨年七月から実施しました改定作業に反映させております。
また、財務局所管の事業評価、こちらは、都が実施するすべての事業につきまして事後評価を行いまして、評価結果を次年度の予算に反映させる取り組みでございます。今申し上げました計画の検証作業とは性格を異にするものでございます。
今回、平成二十四年度の予算の依命通達の中で、「十年後の東京」計画に掲げる目標に向けた取り組みにつきましても、二十三年度の事業評価の重点対象とすることとしておりまして、知事本局が行う検証に加えまして、新たな視点からの検証がなされることと考えております。
○しのづか委員 今ご説明をいただいたんですが、改定作業そのものというのが、計画の開始がその年度当初の四月だとすると、改定作業にもう既に夏ぐらいから取りかかると思うんです。それで毎年毎年ローリングをしていくということで、直近の検証結果というと、その前の年の決算というふうになってしまうので、なかなかそこがつながりにくいというか、ただ、ことしから事務事業で重点事業というふうにとらえて、そこもあわせて検証を行っていくということなので、それはいい取り組みなので、これからもぜひ続けていただきたいと思います。
それでは、実行プログラムの改定に当たって、今の検証作業の素材ともなるそれまでの成果や事業の進捗状況、これをどのように示しているのか、お伺いいたします。
○澤計画調整部長 実行プログラムにおきましては、施策ごとにこれまでの取り組みと到達点を明記するとともに、事項によっては、これまでの推移をグラフで示すなど、わかりやすさを意識しまして、成果や進捗状況を示しているところでございます。
また、各事業における計画年度の前年度末における実績見込みを可能な限り記載することによりまして、各事業の現状を明らかにするとともに、「十年後の東京」計画の実現に向けた三年後の到達目標を示しております。
○しのづか委員 先ほどもお答えにありましたように、それぞれの改定のポイントとして、当時の社会情勢の変化でポイントを変えて、例えば具体的に数字を申し上げますと、二〇〇八年のアクションプランでは、三十九施策、三百三十四事業、そのうち新規が百五十四事業、二〇〇九年は四十四施策、三百九十四事業、そのうち新規が百四十一事業、二〇一〇は二十六施策の三百六十四事業、新規が九十二事業、二〇一一年は二十六施策、三百七十四事業、新規が二十七事業、改定が八十一事業と、新規だけ足していっても、例えば二〇一一年の三百七十四事業を大幅に上回っちゃうんですよ。四百十四事業になっちゃう。
要は、その当時、三カ年のアクションプランとして、重点事業として実行プログラムに掲げたものが、極端な例を申し上げると、次の年には実行プログラム事業としてはなくなってしまう。それがやはり次の、知事本局の皆さんの検証とか、局の皆さんの中では、その状況というのはわかるかもしれないけれども、我々議会や都民の方というのが、その施策の進捗状況とか結果というのがわかりにくくなっているというふうに私には感じます。
計画の進捗状況をわかりやすく示すために、例えば、平成二十年度から二十二年度までの三カ年計画である実行プログラム二〇〇八、持ってきたんですけれど、これは去年までの事業で終わっているわけですから、これの検証結果をきちんと報告することによって、きちんと総括していくことが、次の取り組みにつなげていくためにも、これを毎年度でやっていけばいいわけですから、二〇〇九もあるし、二〇一〇もあるし、その結果がどうだったのかというのをきちんと、今までやっている検証作業に加えてやっていただくような取り組みも、私は必要ではないかなと考えております。これは意見にしておきます。
そして、三月の東日本大震災以降、被災地はもちろんのこと、東京を取り巻く環境も激変をいたしました。都は、この震災から得た教訓を踏まえた都政運営の大きな方向性として、都政運営の新たな戦略を発表し、その中で「十年後の東京」計画を充実強化した新たな長期ビジョンとしての「二〇二〇年の東京」を策定することをうたっておりますが、策定の理由の一つとして、「十年後の東京」計画が計画期間の半ばを迎えたことを挙げております。計画期間の半ばを迎えたのであれば、これまでの取り組みや成果を検証し、「十年後の東京」計画を総括することが前提となると考えております。
そこで、この点も踏まえて、「二〇二〇年の東京」の策定の考え方についてお伺いいたします。
○澤計画調整部長 お話にございましたように、「十年後の東京」計画が計画期間の半ばに差しかかったこと、また、東日本大震災によりまして、防災やエネルギーなど新たな課題が明らかになったことから、「十年後の東京」計画の改定を行うこととしました。
改定に当たりましては、「十年後の東京」計画に掲げた各施策を引き続き着実に推進していくことを基本に据えつつ、これまで進めてきた取り組みや成果を検証した上で、都政を取り巻く現状についても的確にとらえ、さらなる充実強化を図っていく必要があるというふうに考えております。
○しのづか委員 お答えいただきました。もう来月、十二月にはそれが発表されるということですし、私は、「二〇二〇年の東京」と「十年後の東京」は全く別の、それは新しい長期ビジョンだというふうに理解をしております。ぜひこの点も踏まえて、この五年間の総括をきちんとしていただきたい、このことを申し上げて質問を終わらせていただきます。
○中屋委員 私からは、九月末に申請をいたしましたアジアヘッドクオーター特区について伺います。
アジアヘッドクオーター特区は、五年間で五百社の外国企業を誘致することを目標に掲げております。外国企業が東京に拠点を置くということは、その企業が有するすぐれた経営資源や高い生産性が東京の経済の活性化をもたらす効果があります。特に、世界に誇る高い技術力を持ちながらも、その技術力を生かすビジネスパートナーや販路を見つけられずに苦しんでいる都内中小企業にとっては、千載一遇のチャンスであります。
そこで、外国企業誘致が中小企業の振興とどう結びつくのかについて、伺います。
○瀬口計画調整担当部長 今回東京都が申請いたしましたアジアヘッドクオーター特区では、外国企業のアジア統括拠点や研究開発拠点を誘致することを目標に掲げておりますが、その目指すべき姿は東京の産業の振興であります。
近年、製造業の生産拠点が海外に移転するなど産業の空洞化が顕在化しており、経済の低迷と相まって、高い技術を持ちながらも、中小企業は厳しい経営環境にさらされております。誘致いたしました外国企業とそうした中小企業とをマッチングすることで、さまざまな経営課題を克服し、新たなビジネス展開につなげ、新技術、新サービスを創造する魅力的な市場とすることで、都内の中小企業の振興を図ってまいります。
○中屋委員 都が提案している特区が、単に外国企業誘致を目的とするものではなくて、都内の中小企業振興につながることはわかりました。シンガポールや韓国などで、国を挙げて外国企業誘致に取り組む理由もわかります。
さて、諸外国の外国企業誘致政策としては、外国企業に対する税の優遇措置がよく指摘されますが、外国企業が進出する拠点を選択するに当たっては、単に税優遇のみで判断することはないのではないかと思います。ビジネスが行いやすい環境や従業員の生活環境、さらには防災、エネルギーへの備えなど、総合的に判断しているのではないかと思います。
今回、アジアヘッドクオーター特区を申請する上で、外国企業などからヒアリングを行ったと聞いておりますけれども、そこではどのような意見が出され、どのように施策に取り組んだのか、お伺いをいたします。
○瀬口計画調整担当部長 アジアヘッドクオーター特区を申請するに当たりまして、二十五社の外国企業等からヒアリングを行っております。
そこでは、まず、外国企業が他国へ進出するに当たり、税優遇措置だけではなく、ビジネス環境、生活環境などを総合的に判断しているとの意見が示されております。また、日本は資本力と技術力においてアジアにおける優位性を保持し、プロトタイプ市場としても非常に魅力的な市場であるとの意見も多くございました。
その一方で、改善すべき点として、ビザ申請手続や法人設立手続などの迅速化などのビジネス環境整備に加え、外国人子弟が学べる環境の整備など、生活環境の整備についても多くの意見が寄せられております。
こうした現場の声を取り入れ、今回のアジアヘッドクオーター特区は、外国企業を誘致するために、例えばコンシェルジュ機能を整備し、各種申請をワンストップで行うなどのビジネス支援、外国人受け入れ拠点校を整備する生活関連支援など、四つの機能を備え、複合的に展開してまいります。
○中屋委員 今回の特区の申請に当たっては、民間の提案を反映させるなど、民間と一体となって取り組んできたようでありますが、今後、特区の取り組みを進めていく上で、民間のアイデアをどう生かし、外国企業誘致を東京の産業活性化につなげていくのか、お伺いをします。
○秋山知事本局長 海外からの投資対象として日本はどう見られているかということですが、最近、るる各種調査が出ております。もちろん、マーケットの大きさとか経済発展のぐあい、いろいろ状況はあるんだと思うんですけれども、やはり中国にはかなり離されているというデータが出たんです。インドともほぼ肩を並べて、追い抜かれるんじゃないかというようなことがございます。対外的な地盤沈下につきましては、都としてもかなり危機意識を抱いているという状況にございます。
このような状況に対応するという意味もあって、今回、アジアヘッドクオーター特区を申請いたしました。これは、先ほど話がありましたとおり、アジアの拠点となる外国企業や研究開発拠点、これを誘致するということで東京のポテンシャルを引き出す。また、その結果として中小企業の振興、活性化を初め、東京の経済産業の活性化をまず図ると。しかし、そこにとどまらず日本全体の経済再生を促すということまで視野に入れた提案というふうになっております。
東京の潜在力を引き出すという方法の一つは、やはりインフラの整備でございまして、これにつきましては、羽田空港の国際化、それから三環状の整備など、これは進めてきたということでございますが、もう一つのかぎが、東京に集中する民間の力を最大限に使っていくということかというふうに思っております。
このため、特区申請に当たりましては、外国企業に対して直接ヒアリングを行い、現場のニーズをきちんと把握したということに加えて、ただいま副委員長からご指摘があったとおり、民間事業者からの具体的な提案を受けまして、それを特区に取り入れて提案をしているというのが大きな特徴になっております。
さらに、対日投資の分野における第一人者でございます島田晴雄氏に会長に就任していただきまして、民間事業者と地元区等などで構成する地域協議会を立ち上げて、目的実現に向けた具体的な検討を官民一体で進めているという現状にございます。
都としては、国に対し、民間の力を最大限に引き出すというための大幅な規制緩和を求めますとともに、都みずからも独自の対策を積極的に講じまして、世界の都市間競争を勝ち抜き、先ほどお話ありました中小企業を含め、東京全体の、そして日本全体の活力を一層高めていきたいというふうに考えております。
○中屋委員 厳しい競争も予想されますけれども、ぜひ特区指定をかち取り、東京の国際競争力を高めて、アジアのヘッドクオーターへと進化させる取り組みを力強く進めていただきたい旨を申し上げて、質問を終わります。
○栗林委員 それでは、私の方からは、「十年後の東京」計画に関連して何点か質問させていただきます。
先般説明がありました仮称「二〇二〇年の東京」の策定方針によりますと、今回、「十年後の東京」計画が計画期間のちょうど半ばを迎えた、また、東日本大震災から新たな課題が浮き彫りになり、こうした課題にも迅速、的確に対応しながら、「十年後の東京」計画の実現に向けた取り組みを着実に推進するとともに、中長期的に都政が進むべき方向性を示す必要があるということでございました。特に、大震災により明らかになった新たな課題は、適切かつ迅速な対応を求めるところでございます。
もう一つの改定理由が、「十年後の東京」計画が計画期間のちょうど半ばを迎えた点でございます。計画策定が平成十八年ということで、平成二十三年で五年目となります。このような背景から、計画の策定となるため、この計画のこれまでの主な取り組みと成果を徹底的に検証した上で、今後のさらなる課題を精査する必要があります。
そこで、初めに、防災対策についてお伺いをさせていただきます。
今回の東日本大震災では、遠隔地での地震であったにもかかわらず、都内でも数多くの被害が生じました。都内にはいまだに木造住宅密集地域が存在しており、直下型などの大地震の際には大きな被害も想定されているところです。
こうしたことを踏まえて、「十年後の東京」計画における防災対策のこれまでの主な取り組みと成果、そして今後の課題をどう認識されているのか、伺わせていただきます。
○澤計画調整部長 「十年後の東京」計画における防災対策では、建物の耐震化を喫緊の課題としてとらえまして、取り組みを積極的に推進してございます。
例えば、公立小中学校の耐震化につきましては、当初、平成二十七年度末の一〇〇%耐震化を目指しておりましたが、三年の前倒しを目指し、助成制度を充実するなど、取り組みを加速させてまいりました。その結果、平成二十二年度末で九四%となっておりまして、来年度末の完了に向けまして着実に進捗をしてございます。
また、特定の緊急輸送道路につきましては、沿道建築物の所有者に対しまして耐震診断等を義務づけます全国で初めての条例を制定するなど、早期の耐震化に向けた促進策を講じてございます。
こうした対策に加えまして、都内には、ご指摘のとおり、環状七号線周辺を中心に木造住宅密集地域が広がっておりまして、都民の生命、財産を守るという観点から、このエリアの不燃化が大きな課題となっております。こうした取り組みを加速していく必要があると認識しております。
○栗林委員 重要課題ではございますけれども、住民の合意とか、また経済的負担ということが、なかなか進まない難しい問題も抱えております。しかし、災害はいつ起こるかわからない、待ったなしといえます。課題の一つにもなっております老朽化したマンションの耐震などの対応策も、あわせてお願いをしたいと思います。
次に、今後さらに深刻さが増すことを懸念されています高齢化社会対策について伺います。
都は、昨年度から、東京モデルとして高齢者の新たな住まいの整備を進めているところです。今後の超高齢化社会においては、さらに大きな課題となってまいります。
そこで、高齢者施策についてのこれまでの主な取り組みと成果、そして、今後の課題についてどのように認識をされているのか、お伺いをさせていただきます。
○澤計画調整部長 これまでも、都は、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームなどサービス基盤の整備や、高齢者のための新しい住まいづくりなどを進めてまいりました。
しかし、平成二十二年の国勢調査によりますと、都内の高齢者の割合が、平成十七年に一八・五%だったものが二〇・四%になるなど、高齢化が急速に進行しております。さらに、都内ひとり暮らし高齢者人口も、平成十七年の五十万人から、平成二十二年には六十二万人に増加をしております。
今後の十年間を見通しますと、ひとり暮らし高齢者のさらなる増加も見込まれますことから、地域での見守り体制の充実を図ることが大変重要でございます。それと同時に、高齢者医療の充実、高齢者が安心して住み続けられる環境の整備など、対策を強化していく必要があると考えております。
○栗林委員 今ご説明がありましたように、東京都の高齢化率が二〇・四%ということで、二一%を超えると超高齢社会ということになります。国の調査では、今、六十歳以上の高齢者人口が過去最高の二千九百五十八万人で二三%となったということで、二〇二〇年の予測は約二八%ということも出ておりました。
今後は、高齢者の単身世帯の急増等、また、地域の見守り体制、また医療、介護連携の住まい、また年金で暮らせる住宅等々、たくさんの課題がございますが、そういった課題にも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、緑の創出について伺わせていただきます。
私も、緑の保全と創出は大変重要なテーマと位置づけて、今までも取り組ませていただいておりましたけれども、「十年後の東京」計画では目標の一番に出てきております。目標1、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復元させるとして挙げられております。
十年間で千ヘクタールの緑を新たに創出するとしておりますけれども、初めに、この取り組みの成果と今後の課題についてお伺いをいたします。
○澤計画調整部長 千ヘクタールの緑の創出につきましては、都市公園の整備を積極的に進めるなど、平成二十二年度末までに四百六十三ヘクタールの緑を生み出してまいりました。また、街路樹の整備につきましても、目標の百万本に対しまして、昨年度末で七十万本と順調に進捗しております。
今後とも、目標達成に向けまして、緑の創出を着実に推進いたしまして、水と緑の回廊で包まれた美しい東京を実現してまいります。
○栗林委員 推進をしていただく中で新たな課題なども見えてくると思いますが、一つ一つ克服をして、何とかこの目標千ヘクタール達成に向けて努力していただきたいと思います。
また、「十年後の東京」計画の中では、緑の創出に向けた社会的な機運を高めていくために、緑の東京募金の創設をしていただいています。この募金の状況と活用状況はどうなっているのか、伺わせていただきます。
○澤計画調整部長 緑の東京募金への募金額でございますけれども、昨年度末で七億七千万円となってございます。
いただいた募金につきましては、海の森、また街路樹の整備、校庭の芝生化や花粉の少ない森づくりに活用してございます。
なお、海の森につきましては、公募した都民による植樹会を実施するなど、目標の四十五ヘクタールのうち、二十二年度末までに十五ヘクタールを整備してございます。
○栗林委員 私も、海の森は二度ほど行かせていただき、大変注目をしているところでございます。この海の森の整備もまだ全体の三分の一程度というところですけれども、そこで提案をさせていただきたいと思います。
以前、街路樹の計画の中で、マイツリー事業というものを実施し、大変好評だったと聞いております。海の森の整備に当たっても、例えば植樹で思い出づくりができるような、そんなメモリアル専用エリアをつくったりなどして、苗木を植樹してはどうかと思います。
この植樹も、今、ボランティアで進められていると思いますけれども、例えば目的別にボランティアのチームを組んで、親子連れのチームがあったり、また、元気高齢者向けのチームがあったり、また、未婚の男女の方たちにお集まりをいただくような、そういうチームがあったり、ボランティアを通して、新しいきずなが生まれたりネットワークが生まれたり、そういったことにもつながってくるのではないかと思います。
また、今回の震災で東京に避難をされている方たちにもご参加いただく、そういうメモリアル的な事業にもつないでいただくことも大事かなと思います。
緑の森の中には、さまざまな人たちの思い出や歴史、また未来、夢が込められているような、海の森は緑とハートがあるという、そういう森にしていくのもいいのではないかと思っています。
これは港湾局が直接担当している事業ではありますが、東京の緑の創出は、事業の関係してくる部局の名前を見ましたら、ほとんど全局の名前が挙がっておりました。知事本局さんの事務事業の中にも、都の施策事業に関する全庁的な企画調整役というふうにうたわれております。どうか、緑のデザインをしていく、プロデュースしていく部局として、関係部局を横ぐしでつないで、この目標の進捗状況を確認して、さらなるビジョンへと発展をぜひさせていっていただきたいと思います。
「二〇二〇年の東京」は、現在策定中とのことではありますが、東日本大震災により明らかになった課題と、そして現在の「十年後の東京」計画に掲げられている事業の取り組みについても、適切に充実したものとして策定していただくよう要望し、質問を終わります。
○服部委員 初めに、都市外交について伺います。
東京都はこれまで、ニューヨーク市が五十一年前、昭和三十五年といいますから、東龍太郎知事の時代に初めて姉妹都市を提携した。以来、世界の大都市と姉妹友好都市の提携を行って、また石原知事になってからは、アジアとの交流、こういったものを重視してまいりました。都議会も、各都市に代表団や調査団を派遣して、各都市からの訪問団を受け入れてまいりました。
最近の動きとしては、東京都は水ビジネスに進出し、また、CO2削減に取り組むICAP、国際炭素行動パートナーシップ、これに都市として初めて加盟するなど、世界に対して先見性のある施策を発信し続けています。
また、さきの第三回定例会で石原知事は、ただいまも中屋副委員長から質疑がありましたけれども、アジアヘッドクオーター構想を打ち出しました。我が国の頭脳部、また心臓部である東京が、日本の牽引車として、今後も都市外交や海外戦略を積極的に展開していくことが私は重要だと考えています。
首都東京には各国大使館の集積があります。そこでまず、各国の大使館が都内にどのくらい設置をされて、またどのような業務を行っているのか、伺います。
○中山外務部長 平成二十三年十月末現在、都内には百五十三の国や地域の大使館、代表機関が設置されております。
大使館は、自国を代表して日本政府と交渉を行うほか、日本の政治経済情勢などの情報を収集し、自国政府に報告を行うほか、各国の外交活動の拠点機能を担っております。また、ビザの発給や有事の自国民保護などの領事業務を行うとともに、自国と日本との経済、文化関係等の発展、促進に取り組んでいるところでございます。
○服部委員 ただいまの答弁によると、都内には百五十三の国や地域の大使館がある、こういうことです。
特命全権大使、これは着任に際して、各国元首の名誉と威厳を代表して天皇陛下に拝謁をして、各国元首から託された陛下あての信任状を奉呈し、本国政府の訓令に基づいて、駐在国との外交交渉及び在住自国民の保護、監督に携わる唯一の外交施設であります。
最近、昨年はモンゴルのジグジッド大使、また先月にはインド大使が、石原知事への表敬訪問をされたと伺っていますけれども、国を代表する大使みずからが都との関係構築の場に臨むということは、東京都に対する、石原都政に対しての期待のあらわれにほかなりません。
各国大使館とのきずなを一層強固なものとして、国際社会からの負託にこたえるためにも、大使館との交流推進に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、都はこれまでどのような取り組みを進めてきたのか、伺います。
○中山外務部長 世界の大都市は、環境問題や危機管理等、多くの共通課題を抱えておりまして、都の先進的施策に対する海外の国、都市からの関心も非常に高いものがあります。
東京都は、大使館と連携いたしまして、都政に対する理解を深めてもらうために、外国からの賓客と知事との会見、都施設の視察や施策説明、大使からの会議、行事等の招待など、在京大使館からのさまざまな依頼に対して対応しております。
また、毎年、東京都総合防災訓練に外交団を招待して、都の災害対策について情報提供を行っているほか、知事も参加する在京大使館との情報連絡会を定期的に開催して、都の施策を紹介するなど、在京大使館との交流を推進しているところでございます。
○服部委員 三月十一日の東日本大震災においては、衝撃が全世界にも広がって、各国からはさまざまな支援の申し出がありました。震災直後は、原発事故による放射能の影響で、一部の在京大使館が移転をしたり、一部閉鎖を余儀なくされましたが、今ではすべての大使館が業務を再開したと聞いております。
自国民の安全確保を使命とする大使館は、災害時に在住外国人の拠点となるため、都における災害情報を大使館に迅速に提供すべきだと思います。
各国の代表機関である大使館は、都市外交を推進するに当たって大きな基軸であり、災害時だけに限らず、東京の魅力あるいは先進的な施策、これをアピールするため在京大使館との交流を進めていくべきだと、そのように考えますが、今後の大使館との連携について所見を伺います。
○中山外務部長 災害時において、東京都は、地域防災計画に基づきまして在京大使館等との連絡調整を行うこととなっております。
東日本大震災の際には、都内の水道水の放射能測定結果等の災害関連情報を在京大使館に提供したところでございます。
また、被災地から都内に避難された方々に対しまして、デンマーク大使館からの弁当、玩具提供や、スウェーデン大使館による大使公邸への避難民の方々の招待など、大使館による取り組みを私どもとして支援したところでございます。
さらに、ことしは東日本大震災によりまして外国人旅行客が減少したこともありまして、防災や観光の視点から、在京大使館等との情報連絡会におきまして、隅田川、東京港の視察を行う予定にしております。
今後も、さまざまな取り組みの積み重ねによりまして在京大使館等との連携を深めまして、海外諸国に対して首都東京を効果的にアピールしまして、都市外交を積極的に推進していきたいと考えております。
○服部委員 次に、アジア大都市ネットワーク21についてお伺いします。
先月、アジア大都市ネットワーク21の総会がソウルで行われました。平成十三年に発足して以来、数えて十回目になる総会でしたが、この間、アジアの首都及び大都市が連携をして、さまざまな成果を上げてきたと思います。
そこで、最初に、この十年間の活動をどう総括されているのか、これまでの取り組みの成果についてお伺いいたします。
○熊谷国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21では、平成十三年の設立以降、アジアの大都市が直面する課題の解決に向けて、中小型ジェット旅客機の開発促進、危機管理ネットワーク、アジア感染症プロジェクト、職員能力向上プログラムなど、幅広い分野の共同事業に各都市と協力して取り組み、実績を積み重ねてまいりました。
中小型ジェット旅客機の開発促進を例にとると、アジア各国の専門家を構成員とする実務担当者会議の取り組みも一つの契機となって、MRJ、三菱リージョナルジェットの製造への台湾とインドの企業の参画が実現いたしました。MRJの座席数は、当初五十席未満の規模で計画されていましたが、アジア大都市ネットワークが一貫して百席前後の旅客機開発を提唱する中、結果的に最大九十二席の座席数で事業化が決定されるという効果も生じております。
また、職員能力向上プログラムでは、これまで、加盟各都市の計三百四十七名もの職員を対象に専門研修を行い、各都市における人材育成を推進するとともに、都市間のネットワークの構築を通し、技術や経験の共有が進んでおります。
こうした取り組みを通じて、各都市との協力関係を強化し、アジア地域の繁栄と発展、プレゼンスの向上に貢献してまいりました。
○服部委員 儀礼的な国際交流にとどまらず、アジアの首都及び大都市が連携を強化して、大都市が抱える共通課題に対する継続した取り組み、これが成果につながっていると思います。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災を初め、七月にはソウルで集中豪雨が発生し、多くの死亡者や行方不明者が出る被害をもたらしました。また、先月のタイにおける洪水被害、これは市民生活に大きな打撃を与えるとともに、現場に工場を多く持っている日本企業にも大きく影響を及ぼしたのは記憶に新しいところです。
先月行われたソウル総会、これは東日本大震災発生後初めて開催をされた総会ですが、具体的にどのような議論が行われ、どういった成果があったのか、伺います。
○熊谷国際共同事業担当部長 ソウル総会は、十都市の参加を得て、大規模な都市災害に備えた防災対策の強化をテーマとして開催いたしました。
東京からは、東日本大震災後の東京都の対応及び建築物の耐震化による緊急時の幹線道路の確保について発表し、このたびの未曾有の災害の状況や、首都東京としての対応と教訓、今後の取り組み方策などについて報告を行いました。また、ソウル、台北、マニラからも、防災管理政策や洪水対策に関する取り組みなどについて発表が行われました。
これらの議論を踏まえ、アジアの大都市に共通する脅威である大地震、津波、大型台風、集中豪雨などの大規模災害に関して、迅速な対応と効果的な復旧のノウハウや技術、経験を共有するとともに、既存の共同事業の枠組みを通じて災害対策の検討を進めることに合意し、ソウル宣言に盛り込んだところです。
○服部委員 災害に対する危機管理、これは大変重要なことです。
ソウル総会の成果を踏まえたアジア大都市ネットワーク21の危機管理の取り組みについて伺います。
○熊谷国際共同事業担当部長 大規模災害のノウハウ、技術、経験の共有という趣旨のソウル宣言を受け、危機管理ネットワークを中心に取り組みを開始しております。
まず、本年十月二十九日に実施された総合防災訓練に、ソウル、シンガポール、台北、台北に隣接する新北市の、過去最多となる四都市の救助隊を招聘し、東京消防庁との連携のもと、震災での救助を想定した、あらかじめ訓練シナリオを知らせない実践的な訓練を行いました。
さらに、総合防災訓練にあわせて、初めて大規模災害対策研修を実施し、バンコク、クアラルンプール、マニラ、新北から計八名の参加を得ました。研修では、総合防災訓練の視察や、福島第一原子力発電所で放水活動に従事したハイパーレスキュー部隊指令による講義及び意見交換を行い、震災対応の経験の共有を図りました。
また、共同事業の一つであるアジア感染症対策プロジェクトにおいては、被災地の感染症対策について、既に東京から各都市に情報提供を行っております。
今後は、十一月下旬に策定予定の東京都防災対応指針に取りまとめられた内容を、危機管理ネットワーク連絡網を活用して共有をし、来年の危機管理会議に向け、継続して情報連絡と意見交換を行ってまいります。
○服部委員 私は、ことしの八月の末に、都議会自民党の同士五人とモンゴルの首都ウランバートル市を訪問して、G・ムンフバヤル市長との会談を初め、水事業の関連施設の調査活動をしてまいりました。
モンゴルが社会主義体制から民主化、市場経済化へ移行する大困難の時期、一九九〇年代になりますけれども、日本政府は、無償援助、技術協力、有償資金協力など、最も早く救いの手を差し伸べた最大のドナー国として、モンゴル政府、国民は今でも日本に謝意を示しています。東日本大震災の際には、日本にいち早く救援隊を送って、また救援物資も届けてくれました。
ウランバートル市は、現在、人口が約百二十万、国の総人口の三分の一以上が首都に集中をして、特に人口増加に伴って、インフラ整備がおくれている区域でのゲル地区、ゲルは本来、草原に住む遊牧民の移動式の住居ですけれども、これがだんだん拡大をして、上下水道整備が今最大の課題となっています。
ウランバートル市長からは、アジア大都市ネットワーク21が提唱する大都市間での連携に対して、非常に積極的な姿勢を示していました。
昨年は、東京総会で、ロシアのトムスク市もオブザーバーで参加しているという話も伺っておりますけれども、今後のアジア大都市ネットワーク21の充実発展のためにも、ウランバートル市のように、参加を希望する都市についての加入を検討していくべきではないかと考えますけれども、見解を伺います。
○熊谷国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21は、昨年開催した十年目の年の東京総会、ことし開催した第十回目のソウル総会を経て、来年開催予定のシンガポール総会で、会員都市をほぼ一巡するという節目の時期を迎えております。このような時期に当たり、会員都市の拡大は大変意義のあることと考えております。
委員ご指摘のウランバートルは、平成二十年度以降、共同事業であるジュニアスポーツアジア交流大会に毎年選手団を派遣しているほか、本年九月に開催されたアジア危機管理会議にもオブザーバーとして参加するなど、意欲的に活動をしております。
新規加入の意向が寄せられれば、他の会員都市とも相談、協議しながら、前向きに検討してまいります。
○服部委員 ぜひ実現に向けて取り組んでいただきたい、そのように申し上げます。
ここで、東京都の新たな都市外交の展開について、私の意見を申し上げたいと思います。
アジア地域の繁栄と発展を目指していくためには、まず東京がリーダーシップを発揮して、アジアの大都市間の連帯と協力を強固にしていくことが必要です。
今まで、東京都は十一の海外の都市と姉妹友好都市提携をして、行政や文化など、都がこれまで培ってきた友好関係を推進してきました。さらに、石原都知事が提唱したアジア大都市ネットワーク21の基本理念、ここにありますけれども、基本理念は、アジアの大都市は、歴史的にも経済的にも相互に深いかかわりを持って発展してきた。アジアがさらに発展し、国際社会でより重要な役割を担うためには、一層緊密な関係を形成して協力することが必要であるとして、アジアのアイデンティティーをより強固にし、国際社会におけるアジア地域の重要性を高めて、アジアの社会、経済の発展を図ることを目的として、都市間での強固な協力連携関係を築いてきました。
首都東京の財政規模、これは、ノルウェー、サウジアラビア、インドネシアの国家予算に匹敵し、数多くの問題に対処して培った経験、技術、人材があり、国家をしのぐ実行力もあります。
私は常々、外交は相互信頼に基づく人間関係が基本である、こう思っておりますが、在京大使館との連携を密にして信頼関係を築き上げ、東京の持つポテンシャルを生かして、直接、都市ではなく、モンゴル、インドあるいはベトナム等、海外の国と、新たな戦略的なパートナーシップを構築することが重要だと私は考えます。
水事業を初め、教育、医療などの分野でも国際貢献ができるよう、今までの都市間交流をさらに前進させて、東京から都市外交の展開を積極的に図るべきだと、そのように考えますが、最後に局長の所見といいますか、決意を伺いたいと思います。
○秋山知事本局長 東京の都市外交でございますけれども、手法としては、姉妹友好都市ということによる交流と協力、それからアジア大都市ネットワーク、これは都市間で共有する行政課題を解決していこうという、実務的な課題解決に向けた仕組みでございます。さらに、ご質問ございました在京大使館を通じて、東京の魅力そのものや都の先進的な施策を発信していくというようなことでやってまいりました。
今、服部委員からのご提案でございますが、こういった縦割りの事業を超えて、都市ではなく、国家を視野に入れてパートナーシップを築くべきではないかというご提案だというふうに理解をいたしました。
アジア大都市ネットワーク21で見ましても、参加都市のうちには、例えばでございますけれども、シンガポール、これは都市国家でございますので、シンガポールとアジネットをやるということは、ある意味、国家ともやっているという側面がございます。また、マニラやクアラルンプール、これはいわば国の機関として都市が位置づけられておりますので、そういった側面も持っているということで、現状でも、結果としてでございますけれども、国家とある側面のパートナーシップを築いているという側面があろうかと思います。
また、アジア大都市ネットワークの中で、今、アジア感染症プロジェクトという共同事業がございますが、この中で今年度、新型インフルエンザ対策をやっております。これを進める上で、都市によっては、その国の法律の制度上、国直轄に対策がなっているということで、なかなかうまく機能しないような側面がある。
それから、日本での保健所のような地域の保健衛生機関、これが明確に位置づけがないとか存在していないというようなケースもあって、都市とだけでやっていても、なかなか効果が上がらないケースも散見されているというようなことでございまして、相手の国を巻き込んで対応した方がより効果的な場合があるというような事例も、出つつございます。
さらに、都には、先進的な環境対策への取り組み、中小企業の高い技術力などございまして、こういったポテンシャルを海外にきちんと効果的に伝えていくというためには、海外の都市だけではなく、水道事業の海外展開を見ましても国ともやっておりますので、都市を支える立場である国との連携を推進していくということも、重要になってきているというふうに理解をしております。
こうした展開も視野に入れつつ、これまで築いた信頼関係をもとに、さまざまな機会をとらえて、都ならではの都市外交を積極的に展開して、国際社会における東京の存在感を高めていきたいというふうに考えております。
○吉田(信)委員 私は、アジアヘッドクオーター特区の事業について、さらに、いわゆる破壊的教育改革について、この機会に質問させていただきます。
まず、アジアヘッドクオーター特区についてです。
石原知事は、東京の成長戦略として、総合特区を活用して外国企業を積極的に呼び込み、東京をアジアのヘッドクオーターとして進化させていくということを、第二回定例会、さらに第三回定例会でも所信表明で強調いたしました。
そして、知事本局が所管をする、仮称ですけれども、「二〇二〇年の東京」への各局の提案に当たっての留意点としても、第一に示されたのがアジアのヘッドクオーターとしての地位を確立するための目標及び政策展開を検討することということでした。
しかし、率直に私、疑問に思うのは、ここに、「東京構想二〇〇〇-千客万来の世界都市をめざして-」というコピーを持ってきましたけれども、都市間競争に打ち勝って、外国企業を積極的に東京に誘致をすることで東京の経済を発展させるということは、この十年来、いわれ続けてまいりました。
改めて、さらにそれを進めるために、これまで以上の手だてを尽くすということが打ち出されつつあるわけですけれども、率直にいって、こうした外国企業の東京誘致の促進が、東京と日本の経済発展、ひいては都民の生活向上につながるという前提的な認識だと思うんですけれども、その具体的な根拠というものをまず伺いたいと思います。
○澤計画調整部長 我が国に対する諸外国からの投資の拡大は、新たな技術の開発や経営ノウハウの導入などを通じまして、経済の活性化、新規事業の創造などにつながっております。日本に限らず、外国企業と国内企業の連携によりまして経済が活性化されることは、世界各国で見られることでございます。
○吉田(信)委員 極めて一般的なお答えですけれども、それに類することはこれまでもいわれ続けてきたというふうに私はいわざるを得ません。
実際にこの間、外国の企業や研究所などが既に都内に誘致をされていますけれども、そのことによって東京の経済なりの成長、発展がどのように進められたのか、経済統計なども含めてお答えしていただきたいと思います。
○澤計画調整部長 経済産業省の調査結果を引用させていただきます。
外資系企業動向調査というものがございまして、直近でいいますと二〇一〇年版がございます。実績はすべて平成二十一年度ベースでございますが、この調査によりますと、平成二十一年度の外資系企業全体の売上高経常利益率は四・二%でございます。日本の全法人の平均二・三%をはるかに上回っております。この傾向は二十一年度に限ったことではございませんで、少なくとも平成十五年度以降、すべての年度で外資系企業が上回っておりまして、日本企業よりも高い利益率で経営実績を上げております。
また、雇用の面で見ますと、外資系企業の常時雇用者数の実績は四十八万人でございまして、前年度比九・六%増でございますが、これに対し、日本の全企業の対前年度比は〇・六%増にとどまっておりまして、外資系企業は雇用の面でも日本経済に寄与しているものと思われます。
こうしたデータからも、外資系企業の誘致は、日本の経済発展や都民生活の向上につながっていくものと考えております。
○吉田(信)委員 今の数値は、日本の企業に比べて外資系企業の方が、売上高、利益にしても、雇用者数にしても、伸びているということについてのみの数値だと思います。そうしたことが東京の経済や都民生活の向上にどういう形で波及しているのかということは、言及がありませんでした。
もちろん、外国企業の東京誘致を否定して私は発言しているわけではありません。問題は、それをまさに日本と東京の経済成長のかなめであるかのように最優先に位置づけて、これまで以上の新たな支援策をとるということが、東京都政としての最優先課題なのかということに、私は率直な疑問を持っているわけです。
私も、そうした点について若干調べてみましたが、これはもう皆さんお持ちでしょうが、JETROが「対日直接投資の意義と今後向かうべき方向」という冊子を出していまして、この中で、外資系企業の雇用数が伸びているというふうな資料もありますが、例えば、これももとは総務省のデータですけれども、全国だと思いますが、二〇〇一年と二〇〇六年の外資系企業の雇用数は、企業数が伸びていながらも減っているというデータもあるということを紹介させていただきます。
私が見た限りでは、こうした新たにアジア本社、研究開発拠点を積極的に誘致することによって新たな新成長戦略を進めていくということは、昨年六月の民主党政権の閣議決定、新成長戦略、アジア拠点化の推進という中で打ち出されたものだと思います。
先ほど述べましたけれども、都は石原知事のもとで、外国企業誘致をめぐって都市間競争に打ち勝つことが、いわば至上命題というふうにして、都市インフラの整備を進めてきました。そして、既に外国企業が三千九十九社、都内に存在をしていると。都心のオフィスビル開発や周辺の若干の経済的な効果はあるかもしれませんが、私は、それは極めて限定的なものだというふうにいわざるを得ないと思います。
他方、資料を出していただきました。東京の主な経済指標の推移ということで幾つかピックアップをしましたが、都内の製造品出荷高は、平成十二年とそして二十二年で比べると、十七兆九千億円余が八兆円台ということで、もう大幅に激減しています。
さらに、これは資料では出していただいておりませんが、従業員が四人以上の工業統計の事業所数で見ると、同時期で二万八千社が一万五千社に激減をしています。また、失業率の増加や非正規雇用の増加ということが現実にあるわけです。
これを、別に皆さん方の責任だという気はもちろんありません。それは歴代の政府の責任が極めて重大なものがありますけれども、現実的に東京都が、都市間競争に打ち勝つことが事実上の最優先であるかのようにして進めてきたけれども、東京の経済も都民生活も、数的指標で見ればこういう結果になっているということをどのようにとらえ、総括されているんでしょうか。
○澤計画調整部長 経済の状況についてでございますけれども、平成二十三年十月、先月の月例経済報告によりますと、景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、引き続き持ち直ししているものの、そのテンポは緩やかになっているとされております。
○吉田(信)委員 今のご答弁は、現瞬間的な局面の評価だと思うんです。やはり国の歴代政府の経済政策の責任というのは極めて重いものがあると思いますけれども、十年で見たときにこれだけ落ち込んでいると。とりわけ製造業の企業数そのものが激減をし、製造品出荷高も約半分に減っているという状況があったわけで、改めて、やはりこうした総括の上に、東京都としての中小企業の支援策なりを、あるいは都民の購買力向上策をどう進めていくのかという観点からとらえるべきだというふうに思います。率直にいって、民主党政権の新成長戦略に飛びついてこれを進めるというのは、いかがなものかというふうに私は思います。
国内消費が落ち込み、その上に円高ということがあって、中小企業が残念ながら国内で活動できないと、不本意ながらも海外に進出せざるを得ないというふうな事態が起きています。
先ほどの答弁だと、このアジアヘッドクオーターも中小企業対策なんだということをご主張ですけれども、しかしストレートにもっと、都内の中小企業対策、あるいは何よりも前提である消費購買力の引き上げ策、そういうことをもっと最優先にして政策立案を進めていくべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○澤計画調整部長 都は、従来から、都内中小企業に対する振興策につきまして、経営支援、技術支援、創業支援対策など、重層的に実施をしてまいっております。加えまして、今回のアジアヘッドクオーター特区におきましても、外国企業と都内中小企業の連携を通じまして、中小企業の振興に寄与するものと考えております。
○吉田(信)委員 私は、外国企業の誘致ということを見ても、あれこれの支援策以前の問題として、東京の購買力、市場としての価値、これが高まることなしに、部分的な手をとったとしても、それは極めて限定的なものにならざるを得ないというふうに思います。
改めて、この間の現実と経過を総括して、本当に東京の経済、都民生活を向上させるために、どのようにすべきだという観点から再検討していただきたいということを強く求めておきたいと思います。
アジアヘッドクオーターの二つ目で私が疑問に思い、ただしたいこと、それは結論的には、大手不動産企業への支援策ではないかというふうに思わざるを得ないということです。
総合特区で指定地域を決めて、さまざまな支援策が提案されていますが、それは単に外国企業に対する優遇支援策にとどまらず、その地域でオフィスビルなどの都市開発を進める、いわばディベロッパー、大手不動産企業などへの支援策が軒並み打ち出されています。
これまでも、都市間競争に打ち勝つためには都市インフラが必要だというにしきの御旗のもとで、アセス要件の緩和だとか、容積率の引き上げということが行われてまいりました。
それで、改めて、今回、総合特区とあわせて特定都市再生緊急整備地域の指定が進められていますが、この支援策で具体的に、まだ要望段階ではあるかと思いますけれども、そうした指定地域でのオフィスビル開発に対して、規制緩和や税制上の支援策としてどのようなものを求めているのか、その全体像についてご説明をお願いいたします。
○瀬口計画調整担当部長 特定都市再生緊急整備地域では、制度といたしまして、都市計画道路の上空利用のための規制緩和等や、不動産取得税、固定資産税等の税制支援がございます。また、今回申請いたしました総合特区におきましては、自立分散型エネルギーシステム導入などに係る規制緩和を求めております。
○吉田(信)委員 全体像というふうに私は問うたつもりですけれど、今のは極めて一部ですよね。
申請書を読ませていただきますと、申請提案の中には、例えば市街地再開発事業の国庫負担基準、原則有効空地率四五%、これをさらに特例として三〇%により拡大することを求めるという項目が記載されていましたし、さらに、市街地再開発事業の参加組合に対する税制上の優遇策ということもありました。
こういうものを並べれば、これまでを超える支援策が、誘致をされる外国企業ではなく都市を開発するディベロッパーに対して行われる。とりわけ不動産取得税、固定資産税を減税すると。五年間という限りはありますけれども、これも税収が低下する中で極めて大きなものだというふうに思わざるを得ません。そういう意味でいえば、企業誘致、アジアヘッドクオーターという名のもとに、新たな大手不動産企業に対する支援策というふうにいわざるを得ません。
そこで、さらに、先ほどちょっと要望をヒアリングしたということがあったので、これは質問でなくて、私、いわせていただきますが、二十五社からの聞き取りをしたということですけれども、意外と少ないんだなと思ったんですが、それがもし期待されているとしたら、外国企業からの要望で、都市インフラの整備という項目はわずか七%でした、回答でいうと。
先ほど紹介したJETROはもっと大きな数で、外国企業から、日本におけるビジネス上の阻害要因ということを、回答数四百三十でその結果を発表していますが、十一項目の回答がありますが、その中で、インフラの未整備だということを阻害要因として挙げたのは、何と全体の回答数の中の一〇・五%で、十一項目の最下位です。事実として紹介させていただきました。
しかも、今回の地域指定に関しては、大手の不動産業者が、事実上それぞれの企業が計画し、プロジェクトを推進しているという地域が、そのまま国への申請に反映していると思いますが、いかがでしょうか。
○瀬口計画調整担当部長 民間から寄せられました提案は、都の構想と合致するものが多かったことから、それらの提案の一部をアジアヘッドクオーター特区に取り入れたものでございます。
○吉田(信)委員 都の構想と合致をしたからというご説明ですけれども、実態からいえば、そもそも民間の提案を八月に受けたわけですよね。それがそのまま国への申請に取り入れられているというふうに私は見ました。森ビルは環状二号新橋、六本木、そして臨海地域、森トラストは環状二号新橋地域、三菱地所は東京駅、有楽町駅周辺等々、東急不動産は渋谷駅周辺地域ということで、それがそのまま国への申請の地域指定として取り込まれているということです。
しかも、こうした大手不動産企業は、そっくりアジアヘッドクオーター特区地域協議会の構成員になっています。この協議会は総合特区法で定められたものですけれども、申請だとか、国と地方への対応問題だとか、特区計画の変更を協議するという、極めて重要な役割を担っています。
この協議会の構成員に民間企業の代表者は七名入っていますが、七名中六名は、大手不動産企業及びその代表者ということになっています。なぜ、民間ということではなく、その中でほとんどが不動産企業ということがこの構成員になっているんですか。いかがですか。
○瀬口計画調整担当部長 地域協議会は、総合特別区域法第十九条におきまして、特区の申請主体たる地方公共団体、特定国際戦略事業を実施し、または実施すると見込まれる者、事業の実施に密接な関係を有する者等で構成することとなっております。具体的な事業提案のありました民間事業者も、したがいましてこの要件に合致するということで、構成メンバーに入っております。
なお、各事業提案の主体の中から、グループで提案をされていらっしゃるところにつきましては、そのグループの代表者という形で参加メンバーを選出していただいているところでございます。
○吉田(信)委員 そういう仕組みなんだといわれればそれまでですけれども、ただ、提案した、グループも含めてですけれども、大手不動産企業が七人中六人というのは、私は極めて異常だというふうに思いますし、先ほどからいわれている中小企業振興との関係があるんだったら、例えば中小企業関係者が入るのかといえば、だれも入っていないということも極めて疑問です。
基本的な点を述べましたけれども、このアジアヘッドクオーター特区にかかわって一つだけ、こだわっていますが、具体的な問題について伺わせていただきます。
決算の質疑でも質問いたしましたが、カジノ誘致に関連してですが、何と私、見て驚いたんですけれども、今回の申請書の中のいわゆるMICE施設、臨海部に想定しているMICE、略称ですけれども、この中でわざわざカジノ関連法案整備状況の注視ということが入れられています。なぜこれを入れられたんでしょうか。また、これは民間の提案者からこういうことを入れてほしいという要望があったんでしょうか。お答えください。
○瀬口計画調整担当部長 カジノの実現につきましては、これまでもご答弁をさせていただいておりますとおり、まずもって国が法整備を行うことが前提でございます。これまでもその旨を国提案で行っております。
そうした事実を背景に、今回の特区申請におきましても、カジノ関連法案整備状況を注視していくということを、これまでの都の主張として記載したものでございます。
○吉田(信)委員 民間の提案者からそもそもこの要望があったのかということは、いかがですか。
○瀬口計画調整担当部長 今ほどもご答弁させていただきましたとおり、この記載は、これまでの都の主張を記載したものでございます。
○吉田(信)委員 これまでの東京都として提案してきたことをそのまま記載したんだということですけれども、以前私が質問したときに、どの地域かという旨もありましたが、お答えがありませんでしたけれども、今回の申請で具体的に、臨海部地域でカジノの誘致という構想というものが浮き彫りになってきたというふうに思います。
このアジアヘッドクオーター特区のことについて、改めて重ねて意見を表明いたしますけれども、外国企業誘致競争に打ち勝つことが東京の成長のかなめのように位置づけて、都市インフラの整備などを進めてきましたが、経済悪化の中、都民の生活や雇用、中小企業の経営というのは後退を余儀なくされています。そうした反省もなしに、この路線をさらに加速するために、新たな支援、優遇策をとるということは、再検討すべきだと思いますし、また、先ほどからアジアの都市外交の話がありましたが、アジアの諸都市との関係でも、また国内の他の諸都市との関係でも、より強力な関係をいかに築くのかということに留意が図られるべきだと思います。
アジアのヘッドクオーターというのは、アジアの司令塔に東京都がなるんだという意味合いに直訳すればなりかねません。こういうことも東京都の態度としては、私は検討すべきだということを述べておきたいと思います。
次に、いわゆるですけれども、破壊的教育改革なるものについて何点か質問させていただきます。
知事は、第二回、そして第三回定例会の所信表明で、破壊的教育改革を行うということを表明し、昨日は円卓会議なるものがスタートいたしました。全容については明らかにされておりませんけれども、きょうはその基本点について何点か伺いたいと思います。
まず、前提問題についてです。
教育の基本原則にかかわってですけれども、教育基本法は、首長による教育への介入についてどのように規定しているのか。また、教育委員会制度は首長との関係をどのように定めているのか、またその理由について、まず基本的な認識をご答弁をお願いいたします。
○松下政策部長 地方公共団体の長の教育への介入につきましては、教育基本法では直接触れてございません。
しかしながら、地方教育行政の組織及び運営に関する法律におきまして、教育委員会及び地方公共団体の長、それぞれの職務権限を定めております。
同法第二十三条によりますと、教育委員会は、公立学校の設置等、教育財産の管理、教育委員会等の職員の人事などを管理執行するとされております。
また、同法第二十四条によりますと、地方公共団体の長は、大学、私立学校、教育財産の取得、処分などを管理執行するものとされております。
このように、それぞれ職務権限が定められている理由としましては、教育行政における政治的中立性や継続性、あるいは安定性の確保などを図るものであると、そういうふうに認識しております。
○吉田(信)委員 今答弁があったように、地方公共団体の長の役割というのは、予算執行等の分野に限られているわけです。しかも、その大前提となる教育基本法十六条では、教育は、不当な支配に服することなくという大原則を定めています。
こうした原則に立って、教育委員会制度というものがどのようにつくられているのかということを改めて私は見直してみましたけれども、これはもう皆さんもご承知のことですが、文部科学省が教育委員会制度について解説をして、ホームページに掲載しています。
教育委員会制度の意義、第一は政治的中立の確保ということが掲げられております。そして、教育委員会制度の特性ということでは、首長からの独立性ということが掲げられております。こうした大前提に立って、破壊的教育改革なるものがどういうものかということについてただしていきたいというふうに思います。
ところが、知事が破壊的教育改革で何を目指すかということについては、全面的には明らかにされていませんが、この間の答弁などを見ると、例えば、戦前の教育勅語を引いて、そうした教育の重要性ということを述べている箇所があります。こうしたことが行われるということになると、今指摘をした教育への介入、あるいは教育委員会の独立性を侵すことになり得る危険があるのではないか、そういう懸念を生じざるを得ません。
そこで、いわゆる知事のいう破壊的教育改革の目的、何を行おうとしているのか、ご答弁をお願いいたします。
○松下政策部長 このたびの教育改革の目的は、知事が本年第二回定例会で述べたとおり、知力、体力、人間力を備え、自信と誇りを持って世界と渡り合える人材を育てることであります。
○吉田(信)委員 知事の発言の一部を紹介されたわけですけれども、そもそも教育の根本目的というのは、人材の育成ではなく人格の完成なんです。これは意見として、教育基本法の一条で定められておりますが、指摘をしておきたいと思います。
今、極めて一般的、抽象的な答弁でしたけれども、しかし知事の答弁の中では、例えば一定の価値観を小学校から刷り込むようにすべきだという極めて具体的な発言が、破壊的教育改革にかかわって行われました。
そもそも、価値観を刷り込むということは一体どういうことを指しているのでしょうか、ご答弁をお願いいたします。
○松下政策部長 知事発言の正しい価値観の刷り込み、このいい方でございますが、これは別の発言で、掛け算の九九のように幼いころから繰り返し唱えさせ、社会的規範を子どもたちに受け継がせるという発言もございます。したがって、教育の理念に反するものではないと理解しております。
○吉田(信)委員 私は、一定の社会規範を定めて、それを九九のように繰り返し暗唱、唱和させて刷り込ませるということ自身、教育のあり方として問われなければならない問題だと思いますが、同時に、そうしたいわば現代版の社会規範、知事の使った言葉でいえば教育勅語のようなものを指していると思いますけれども、そうした社会規範を定めて、繰り返し唱えるような教育を知事が求めるとしたら、それは教育内容にかかわることであり、教育内容に対する知事の介入になるという危険をはらんでいるものだと思いますが、いかがでしょうか。
○松下政策部長 社会規範につきましては、知事は、大切なのは、人間が人間である限り世代や身分、立場を超えて、いわば垂直に継承されるべき価値の基軸になるものを、だれもがきちんと受け継いでいくことと述べております。これは知事の考え方を述べたものであり、教育内容へ介入するものではないと解しております。
○吉田(信)委員 社会規範が必要か否かという一般論ならば、それはそれにとどまる話なんです。しかし問題は、社会規範の重要性を述べたのではなく、知事の発言は、それを現実に教育改革として実行することを求めるという意味合いの発言なんですよ。
例えば、議場での知事の発言を引用しますが、このようにいっています。国民としての当然な国家に対する義務といいましょうか、その心構えを説いていたわけでありまして--これは教育勅語についてです--そういうものをやっぱり小学校のころから刷り込みませんと、子どもたちというのは、価値観というのが造成されていかないと述べています。子どもたちに正しい価値観の刷り込みをするためにそういった教育を建言していきたいと述べているんです。一般的に社会規範の重要性をいっているだけじゃないんです。そういう刷り込み教育を建言していきたいということになったら、一般論にとどまらず、知事が当然正しいという価値観を何らかの形でつくることになり、それを求めることになれば、介入ということなるではありませんか。いかがですか。
○松下政策部長 このたびの教育改革の目的は、次代を担う人材の育成でありまして、単に教育委員会の所掌する事務にとどまらず、経済や国際化あるいは文化、スポーツ等の全庁的な視点から、重層的、複合的にとらえていくことが必要であると考えております。
そのことから、教育再生・東京円卓会議を新たに設置しまして、制度や仕組みにとらわれない議論を開始し、その内容を発信することで、社会全体にも議論を巻き起こしていきたいと考えているものでございます。
○吉田(信)委員 私の質問には答えていただけませんでしたけれども、もう一つだけ紹介しますが、第三回定例会の所信表明で、知事は円卓会議に触れた後、意見やアイデアは、できることから教育の現場で実行しということを発言しているんです。社会規範の重要性を一般的に強調しているにとどまらないで、意見やアイデアでできることから教育の現場で実行しということになれば、それを教育委員会なりに求めるということになるではありませんか。
ここまで知事が発言しているわけですから、私は極めて、教育の大原則である教育委員会は首長から独立をする、介入があってはならないということに反する懸念があるんだということを強く主張し、そういうことがあってはならないということを述べさせていただきます。
もう一つだけ質問させていただきます。
さらに懸念せざるを得ないことは、歴史観に係る問題です。首長が自己の歴史観を教育に求めることは許されないことは当然のことです。しかし、破壊的教育改革に関する知事の発言では、単に現代の若者は近代史、現代史を知らないという問題だけではなく、日本の行った侵略戦争や植民地支配への見方の問題が繰り返し取り上げられてきました。
第二回定例会の所信表明では、戦後、我が国は、正当な歴史を教えることもせずということを強調しました。また、九月の記者会見で記者から、日本の教育の何を今破壊すべきとお考えでしょうかという問いに、それは決まっているじゃないか、戦争に対する史観というものを一方的に強制してきたんだからと答弁がありました。
個人として自己の歴史観を発言することは自由です。しかし、教育に関し、知事として議場の場で、これまでの歴史教育の内容について正当でなかったと決めつけたり、事実上その是正を求めるということは認められるんですか。明らかに教育への介入ではありませんか。
○松下政策部長 知事は、議会の質問に対しまして、価値観についてはいい悪いではなく、事実として何があったかということを近代史、現代史として教えないと、これはだめだなと思いますと、そういう見解を述べられたものであります。
歴史教育の内容について是正を求めたものではなく、教育への介入ではないと考えております。
○吉田(信)委員 先ほど述べましたけれども、教えられていないとか、知らないとかということではなく、今までの歴史について正当ではなかったと、正しくなかったということについて言及をしているわけです。当然、これまでの歴史教育の内容の変更を知事として求めたいという意思があることは明らかです。
教育基本法第十六条は、教育は、不当な支配に服することなくを原則として掲げています。それは戦前、戦中において、戦争遂行のために教育が国によって支配をされたという深い反省のもとで確立した原則であり、我々は、これを揺るがしては絶対にならないというふうに思います。
二点について問題提起をしましたけれども、この破壊的教育改革は知事のいわばトップダウン事業です。それだけに知事の思いがそのまま実行される危険性、可能性が高いから、あえてこの場で質問をいたしました。
私は、こうした介入ではなく、本当に東京の教育が、子どもたちの人格の完成のために、さまざまな教育諸条件の整備を初め、そのことにこそ全力を尽くすべきであり、知事がトップダウンで進めようとしている破壊的教育改革という事業は中止すべきだという意見を述べて、私の質問を終わります。
○星委員 よろしくお願いをいたします。
私からは、基地対策についてお伺いをいたします。
私の地元であります昭島市は、横田基地と隣接しており、滑走路の延長線上に小学校もある、まさに飛行直下という位置にあります。昔から騒音に悩まされており、最近の飛行回数は少なくなったものの、再編整備で横田基地の米軍の中での位置づけはさらに重要なものになり、国際的に何か騒乱があると、航空機の往来が激しさを増したり、テロなどの警戒が強まり緊迫感が増すなど、近隣住民にとってはストレスを感じざるを得ないのが現実です。
このたび公表された航空機騒音においても、年間を通してずっと変わらず基準値超えになっている地点もあります。隣人として友好的に接しながらも、日常的に近隣住民にとっては生活環境を脅かされ、カリフォルニア州であることから、基地内における出来事が実際に確認できない不安を抱えています。
東日本大震災のトモダチ作戦への米軍の参加は、心から感謝をしておりますが、その際に発生した放射性廃棄物が基地内で保管されているということが報道され、この夏でしたけれども、その処理状況が近隣自治体としては大変心配をしております。
まず、横田基地のトモダチ作戦の活動はどのようなものだったのか、基地内の放射性物質の状況は今どのようになっているのか、お伺いをいたします。
○市毛基地対策部長 トモダチ作戦におけます横田基地の活動についてのお尋ねでございますが、六百三十三回のミッションで、輸送機によりまして、主に仙台空港へ、地元企業から寄贈された水四百五十トンを含む物資が約一千トン以上、また燃料約三十万リットル以上、人員が一千二百人以上の輸送を行ったと聞いております。
以上が活動状況でございまして、次に、お尋ねのトモダチ作戦に参加した際に発生した放射性廃棄物の状況についてでございますが、国からの情報によりますと、横田基地においては、航空機等を除染するために用いた布などの固形物につきましては、ドラム缶などに密閉されており、保管容器の周辺では放射能は検出されておらず、人体や環境には影響ないと聞いております。
また、除染した水につきましては、我が国の飲料水の暫定基準の上限よりも低い濃度でありまして、原子力委員会の設けた基準に従って減衰または希釈の上、適切に処分していると聞いております。
これらの廃棄物は、福島第一原子力発電所由来のものでありまして、東京電力を含む日本側が責任を持って処分すべきものでありますが、具体的な処分方法を東京電力を含む日本側で現在検討中であるため、やむを得ず、米軍に引き続き保管するよう要請しているものと聞いておりますが、以上の状況を踏まえまして、住民の方々の不安を招かないように、都は国に対し、速やかな対応方針の決定とともに、詳細な情報提供を要請してございます。
○星委員 お答えをいただきまして、私の手元にも、外務省北米局日米地位協定室からの回答書がございます。これは、私のところには八月十九日付ですが、今のお答えですと、ご答弁いただいたとおりの内容で、今も全く変わっていない状況であるというふうに確認をさせていただきました。
この回答ですと、基地内の保管場所などが大変あいまいでございますし、航空機を洗った水、除染した水も、国基準よりも低い基準で適切に処分というふうに回答しておりますけれども、チェックをしているのはだれなのかも全く不明でございますし、私どもといたしましては、いま一つ釈然としていないんですが、また、この外務省の回答も、実は新聞報道により知った基地周辺市町基地対策連絡会が国に照会をして、初めて近隣自治体、住民が知ることになったという流れです。
私も、昭島市で生まれ育ちましたので、基地とともにずっと生まれ育っておりますけれども、こういったことはいつもいつも、ずっとなんです。報道によって数カ月後、半年後、一年後に知らされるということは、日常茶飯事です。
基地の問題については、地元自治体への速やかできめ細かな情報提供が大切だと思いますが、このような問題が生じても、地元自治体は、基地内に立ち入ったり、あるいは実際に確認することもできないのが現状です。
また、日常的にも、横田基地における下水やごみ処理などがどのように行われているのか、なかなか知ることができず、水や土壌などの環境対策が適切に行われているかどうかもわかりません。
そこで質問ですが、米軍基地は地位協定により日本の法令が適用されておりませんけれども、横田基地における下水やごみの処理状況や環境対策について、東京都はどのような情報を得ているのか。また、米軍基地に日本の環境法令が適用されていないという現実について、東京都としてどのように考えているのでしょうか。
○市毛基地対策部長 まず、横田基地の下水につきましては、地元市の公共下水道から都の流域下水道を通りまして、多摩川上流水再生センターで処理されております。
また、ごみにつきましては、可燃ごみは基地内の焼却処分場で処理を行っておりまして、不燃ごみは、民間のごみ処理業者に委託して処理を行っていると聞いております。
次に、環境法令の適用についてでございますが、日米地位協定によりまして、米軍基地に日本の環境法令は適用されてございません。そのため、東京都としましては、国への提案要求等を通じまして、米軍基地へ国内法令を適用する旨を日米地位協定に明記するよう求めております。
また、平成二十二年六月には、米軍基地の存在する十四都道県で構成されます渉外知事会として、国に対しまして、事故時の立ち入りや平時のモニタリングの実施及び情報公開の促進などの内容を含めた在日米軍基地に関する環境特別協定の締結に係る要請を個別に渉外知事会の一員として行っております。
なお、在日米軍は、施設区域内の環境管理を行うに当たりまして、米国国防省が策定しました基準に沿いまして、環境に関する日本及び米国のそれぞれの国内法上の基準のうち、より厳格なものを選択するとの基本的な考えのもとに、日本環境管理基準を作成しまして、その基準に基づいて、施設区域内の環境保護及び安全への取り組みを実施していると聞いております。
○星委員 お答えありがとうございました。
過去、恐らく十三、四年前になると思いますけれども、横田基地内で大量の燃料漏れ事故がございまして、その事実も半年以上たって、周辺自治体、周辺というよりも隣人ですね、隣人の我々が知ることになり、特に昭島などは地下水を飲料水としているものですから、大変な大騒ぎになったことがございました。このことも、たしかこれは市民が米国に対して情報公開条例を使って、いろいろな詳細な事実が出てきて、逆に国、米軍というよりも、直接本国の情報公開条例を使った方がいろいろなことがわかるという、非常に笑えない事実というか、そういうことに適用したことがございます。
いろいろ、米軍基地を抱える周辺自治体といたしましては、生活環境やまちづくり全般に影響を受けておりますので、ぜひ痛みを酌んでいただきながら、引き続き国や米国に、都民生活の安全のために機会をとらえて、さまざまな要請を行うことを強くお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○大西委員 私からは、友好議員団と姉妹都市とかの関係についてちょっとお伺いをいたします。
先日、私、北京の方に友好議員団の一員として訪問させていただきました。その前に、ソウルもほかのグループが行っていますし、そしてまた十一月の初めには、私ども民主党の会派で、交通政策調査会の役員を中心として八人ほどがニューヨークを訪れて、交通政策を勉強させていただきました。
双方とも、ニューヨーク、北京とも、東京都とは姉妹友好都市でございますが、まず最初に、姉妹友好都市提携をしておられますが、その意義と目的などをお伺いしたいと思います。
○中山外務部長 世界の都市や市民が、行政、文化などさまざまな分野における交流を通じまして相互理解を深めていくことが、都市の発展と友好関係の増進並びに世界平和の実現に貢献するという考え方を基本理念といたしまして、姉妹友好都市提携をこれまで行ってまいりました。
現在、昭和三十五年のニューヨーク市との提携を皮切りに、北京市やパリ市など世界の十一の都市、州と姉妹都市提携を行っているところでございます。
○大西委員 これまでの姉妹友好都市との連携について、今回資料を出していただきました。本当にありがとうございます。
この提出された交流実績を見てみますと、三年間の実績ではございますが、都市間によってある程度はばらつきがあるようにも思います。カイロやニューサウスウェールズ州、オーストラリアですね、それとかサンパウロとか、行き来が余りなくて、例えば受け入れだけのところもありますし、当初の提携の目的が実現できているのか若干疑問なところもございます。
現在、どのような考え方で姉妹友好都市交流を深めて進めていこうとしているのか、その見解を伺います。
○中山外務部長 姉妹友好都市とは、これまで築きました交流の経験を生かしまして、友好親善にとどまらず、都市の問題解決に向けた取り組みも、各局と連携して実施しているところでございます。
近年の実例では、カイロ県にある東京庭園の修繕、ベルリン市との十五周年式典の実施、モスクワ市への桜の寄贈などの交流が行われております。スポーツの分野では、すべての姉妹都市を対象とした東京国際ユースサッカー大会を平成二十年に創設しまして、以後、スポーツを通じて青少年の相互理解を深めているところでございます。
都市の問題解決に向けた取り組みの方では、平成二十年に世界気候変動サミット、C40東京会議を開催しまして、姉妹都市のニューヨーク、北京、パリ、ソウル、ジャカルタ、モスクワからも参加をいただいているところでございます。
また、北京市とは、二十一年度に締結した合意書に基づきまして、水及び環境分野における技術協力や人材交流を実施しているところでございます。
○大西委員 今ご答弁いただきました課題解決型の都市外交、これも当然重要なことでありますが、姉妹友好都市としては、行き来を積極的に推進することもやはり重要だと思います。
しかし、都議会としては、せっかく十一都市と友好都市関係を結んでいるにもかかわらず、長年、ここしばらくはずっと、ソウルと北京にしか友好団を派遣していないという実績があります。
もっとほかの友好姉妹都市へ都議会の友好代表団を派遣するべきじゃないかなと私は考えるんですけれど、議会の交流についてはどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
○中山外務部長 都議会の友好代表団が姉妹友好都市の各都市を訪問することは、大変意義があると考えております。
友好代表団の訪問は、都議会が相手方と調整し、決定していますが、今後、他の友好姉妹都市への訪問を都議会で検討される際には、私ども知事本局としても、議会局の依頼に応じまして、相手方との連絡調整等の支援をできる限り行ってまいりたいと考えております。
○大西委員 じゃあ確認なんですけれど、要するに友好議員団の訪問先は都議会で決定するということでよろしいんでしょうか。
○中山外務部長 先ほども申し上げましたように、都議会が相手方の都市と調整して決定しているということでございます。
○大西委員 わかりました。ありがとうございました。
今回北京を訪れたときに、名前を出していいのかちょっとあれなんですが、自民党さんから早坂議員が参加されたわけです。そして、向こうに行ったときに、一番最初に相手方の団長がウエルカムを表明されて、その中のスピーチの最初の方に、早坂さんの方を見て、友人がまた来てくれましたと、そのようにいわれたわけです。要するに、早坂さんは二年前にも北京に行かれて、今回もう一度行かれていると。連続されたところで、相手方からすごく歓待されて、早坂さんもああいう感じなので、やあみたいな感じで、すごくそこで気さくな雰囲気が一瞬にしてできたということがありました。
その後、早坂さんに聞いたら、向こうから今度一年後に来たときには会ったんですかといったら、いや僕、呼ばれなかったんですという、ここはちょっとまずいなというのは思ったわけです。
また、もう一つ例を出させていただきますと、きょうは高原儀典長がおられますけれど、前の儀典長の川田儀典長さんと僕が初めて会ったのは、フランスのストラスブールで、彼が総領事をやっていたときにたまたまお会いして、そこで僕は、ストラスブールの交通政策を見たいといったときに、彼がそこで交通局長と観光局長を紹介していただいて、ストラスブールの観光局長、交通局長といろいろ話をさせていただいた。その観光局長は、去年の冬にストラスブール祭りで東京に来たわけです。そうすると、やあみたいな感じになるわけです。
今回の、先ほどちらっと話しまたけれど、ニューヨークにまた私たちが行ったわけですけれど、交通政策を知りたいのでいろいろ見させてもらったんですけれど、空港とかメトロとか、そういうところはちゃんと見られたんですけれど、CLAIRの職員の人が本当に頑張っていただいたんですけれど、残念ながら交通局長にお会いできなかった。でも、ほかの部署に行ったところ、上の人が、そんなことだったらいってくれれば、交通局長におれが会わせてやったのにみたいな感じで、次から私のところにいってきてください、そんな関係ができて、CLAIRの職員の方も、じゃ次はそういうことをお願いしていいですかということで、すごく歓待をしてくれました。
要するに、交流というのは当然、都市同士でありますけれど、やはり人間同士の交流というのは一番大切だと私は思っております。これは、要するにせっかく定期的な交流を行っているのですから、中には同じ人間が行くということも大切かなとは思っております。
こういう交流を重ねることによって、同じ人が人間関係をつくるということに関してはどのように考えているか、お伺いいたします。
○中山外務部長 都市間の交流を進めていくためには、お互いの信頼関係が重要でございまして、やはり同じ人が継続して会ったり行ったりするということは、理にかなった一つの方法だと、一般論としても考えております。
○大西委員 ちなみに、これは僕が行きたいといっているわけじゃないですから、それは間違わないでいただきたいんですけれど、議員ではなくなる可能性もありますので。ぜひ都としても、ずっと長い間の回を重ねて信頼関係をつくっていただきたいなと思っております。
また、私は、ニューサウスウェールズ州など他の姉妹都市へも、友好議員代表団として訪問していくべきだと思っておりますし、派遣が実現できるよう、一議員としても議会内でも取り組んでいきたいと思っております。また、都議会が相手方と調整を行う際には、知事本局にもぜひご尽力をいただきたいと思っております。
都議会でもこの取り組みを進めていくことが本当に必要だと思っておりますが、知事本局としても、今後、姉妹友好都市との交流について積極的に進めていくべきだと思いますが、見解を伺います。
○中山外務部長 東京が国際社会の中でその存在感を示していく上でも、姉妹友好都市を初めとしました各都市との交流を図ることは重要と考えております。
現在、世界の各都市は、環境問題や危機管理など多くの共通課題を抱えております。東京には、都市問題の解決に必要な技術、人材、ノウハウなどが集積しており、こうした資源を生かし、大都市が共通して抱える具体的課題に連携して取り組むことで、世界に貢献できるものと考えております。
これまでも、姉妹友好都市やアジア大都市ネットワーク21の加盟都市と連携しまして、具体的な問題解決に向けた都市外交を推進してきたところでございます。
今後とも、各局と連携しながら、また議会の皆様とも連携しながら、世界の都市と知恵や経験を共有しまして、より実りのある都市外交を展開してまいりたいと思っております。
○大西委員 先ほど秋山局長の方からも、都市から国へということもお話がありましたけれど、せっかく姉妹都市を結んだ中で、形式だけではだめだと思いますので、結んだ十一の都市に対しては、しっかりと交流を深めていただくことと、またあわせて、友好都市をふやすということも大切ではないかなと思っています。大都市ではないですけれど、今、ホットな話題でいうと、ブータンなんか、王室が来ておられますけれど、幸福度の高い、ああいうところからも学ぶところも多いのかなとも思っておるところでございます。
その意見を表明させていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。
○吉倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉倉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で知事本局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時一分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.