総務委員会速記録第七号

平成二十三年六月二十七日(月曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十五名
委員長高倉 良生君
副委員長吉原  修君
副委員長松下 玲子君
理事小山くにひこ君
理事谷村 孝彦君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
小宮あんり君
西崎 光子君
鈴木 勝博君
三宅 正彦君
服部ゆくお君
中屋 文孝君
小沢 昌也君
大沢  昇君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本局局長秋山 俊行君
儀典長高原 寿一君
次長理事兼務井澤 勇治君
理事小林  清君
総務部長大井 泰弘君
地方分権推進部長松下 隆弘君
自治制度改革推進担当部長松浦 慎司君
外務部長中山 正雄君
国際共同事業担当部長長澤  徹君
基地対策部長市毛 良之君
横田基地共用化推進担当部長新美 大作君
政策部長野村 俊夫君
計画調整部長武市  敬君
計画調整担当部長瀬口 芳広君
青少年・治安対策本部本部長倉田  潤君
総合対策部長産形  稔君
青少年対策担当部長浅川 英夫君
治安対策担当部長伊東みどり君
調整担当部長山中 康正君
担当部長藤田  聡君

本日の会議に付した事件
 青少年・治安対策本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 青少年・治安対策本部所管分
 知事本局関係
報告事項(質疑)
・都政運営の新たな戦略について

○高倉委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、青少年・治安対策本部関係の付託議案の審査及び知事本局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、青少年・治安対策本部所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○松下委員 まず冒頭、東日本大震災でお亡くなりになられた多くの皆様のご冥福と、被害に遭われた多くの皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地支援に取り組むすべての皆様に感謝と敬意を表したいと存じます。
 三月十一日の東日本大震災後、都政の大きな方向性について、都政運営の新たな戦略が五月二十七日発表されました。同日、東京緊急対策二〇一一も発表され、被災者、被災地の復旧、復興支援と、都内の被害対応、防災力強化の両面から東京がなすべきことが取りまとめられています。
 その中で、青少年・治安対策本部が所管局となっている対策としては、停電や震災にも備える事故防止、防犯体制の整備と震災後における都民の治安の確保があり、今定例会に、治安対策の推進に要する経費として六千四百九十五万五千円の補正予算が計上されています。この補正予算計上の目的と内訳についてお伺いいたします。

○産形総合対策部長 当本部所管の補正予算についてでございますけれども、さきの東日本大震災を受けた緊急対策として、東京の治安確保のために早急に実施すべき事業に要する経費のうち、補正が必要な予算額を計上したものでございます。
 震災発生後、義援金詐欺やひったくりなど、電力不足に伴い街頭照明が暗くなっていることに乗じた犯罪が発生していることから、これらの犯罪被害防止に向けた広報の強化に要する経費として、一千九百九十五万五千円を計上しております。また、夜間の防犯活動を支援するため、防犯ボランティア団体等に対しLEDベストなどの装備品を貸与する経費として四千五百万円を計上しておりまして、これら両事業の合計で六千四百九十五万五千円を計上したものでございます。

○松下委員 それでは、今ご説明のあった二つの事業について、それぞれ幾つかお伺いをしていきたいと思いますが、まず、震災後における都民の治安の確保に関して、実際に現状がどうなっているのかをお伺いしたいと思います。震災発生後の都内の被害状況についてお答えください。

○伊東治安対策担当部長 警視庁の取りまとめによりますと、震災後、都内において、震災を口実とした義援金詐欺等が未遂を含め二十九件認知されております。
 義援金詐欺の特徴として、被害が比較的少額であるため届け出がなされにくいこと、あるいは、募金が被災者に届けられるか確認できないことなどから、詐欺の被害に遭ったとの認識がないケースも数多くあると思われます。
 また、ひったくりが、震災後二カ月で前年同期約二割増の三百四十八件と多発しています。

○松下委員 震災を口実とした義援金詐欺等、未遂を含めて二十九件とのことですが、被害額が少額なことや、この二十九件というのも氷山の一角なのではないかという懸念もあるのかなと、お答えを聞いていて感じた次第でございます。
 私自身、都議会の防災議連での街頭募金や、所属しております民主党としての募金活動を震災後行ってまいりました。私の地元武蔵野市でも、武蔵野商工会議所や青年会議所、日赤奉仕団、商店街等、さまざまな団体が、被災地支援のために街頭募金活動を行いましたが、そうした多くの善意の活動が行われていることと同時に、その善意をねらった詐欺事件が発生しているということはとても悲しく、被害に遭わないよう注意喚起を行うことは重要であると私も考えます。
 被害防止に向けた注意喚起のための広報強化として、これまではどのような広報を行っていたのか、伺いたいと思います。また、新たに異なる方法で行おうとしている、そのよりどころとするもの、根拠の部分をお答えください。

○伊東治安対策担当部長 これまで、振り込め詐欺や義援金詐欺等につきましては、ポスターの掲出やラッピングバス、都電の運行、チラシの配布等により、注意喚起のための広報を実施しております。
 震災後のひったくりや義援金詐欺の被害状況の検証を行いました結果、ひったくりは被害者のほとんどが女性で、年齢層は幅広く各年代にわたっており、また、義援金詐欺等の被害者は高齢者と女性が多いことが判明しております。これらの検証を踏まえて、広報の対象者や方法について検討し、効果的な広報媒体を選定いたしました。

○松下委員 これまでの取り組みを検証した上で、より効果的な広報媒体を選定していただきたいと思います。被害に遭われた方の性別や年齢の特性等、検証された上でわかってきたとのことですが、ぜひ、より効果的な選定を行っていただきたいと思います。
 私の地元の武蔵野市では、振り込め詐欺被害に遭わないための心得を印刷した特製トイレットペーパーというものを作製しています。先日、武蔵野市が開催しました市民安全大会でこのトイレットペーパーが配布され、私もいただいてまいりましたが、日々トイレで使用するトイレットペーパー、紙そのものに注意書き、心得のようなものが書いてあり、なかなか斬新であるというふうに私は感じました。
 また、警視庁武蔵野警察署が、その同大会では、被害に遭わないための、実際にどういった手口で振り込め詐欺等を持ちかけてくるのか、警察の署員が寸劇を行い、披露もされていました。
 それぞれ各自治体で自主的な取り組みを行っていることと考えますが、こうした自主的な取り組みをどのように評価しているのか、今回の二千万円の補正予算で新たに東京都が行う広報で、どういった効果をねらっているのか、また、事後、効果をどのように検証、チェックをするのかお伺いいたします。

○伊東治安対策担当部長 区市町村におきましては、管内の警察署等と連携し、地域の実情に応じたキャンペーンの開催や啓発用品の作製及び配布をしていると聞いており、今後とも、地域の実情に合わせたさらなる活発な取り組みを期待しております。
 都としては、全都的で幅広い広報を行い、被害の防止に努めてまいります。広報に当たっては、被害の多い女性や高齢者を主たる対象としておりますが、さらにその他の層にも呼びかけ、家族や地域の方々を通じ、被害者層を見守り、被害の防止効果を期待するものでございます。
 広報効果につきましては、今後とも、被害状況の推移を注意していきたいと考えております。

○松下委員 では、具体的にどういった広報媒体を、今回の補正予算では活用する予定なのか、具体的にお伺いしたいと思います。また、あわせて契約に際しては入札等、どういった方法をとるのかもお答えください。

○伊東治安対策担当部長 広報媒体につきましては、高齢者に聴取者の多いラジオ、女性を含む幅広い年代に効果が期待できる電車内車内映像広告、そして多くの買い物客が利用するコンビニエンスストアのレジ広告等を予定しております。
 また、契約につきましては、希望制指名競争入札により、業者の選定を予定しております。

○松下委員 今、ラジオや電車内の映像広告やコンビニの広告等、広報媒体についてお答えがございました。
 例えばラジオCM一つとっても、ローカルラジオ、地元独自のFM放送等ですね。そうしたローカルラジオは、地域住民に非常に身近な地元市も出資しているような放送局もあるかと思いますが、そうしたスポット広告を入れるのか、そうではない大手のラジオ局、どこのラジオ局に、どのような番組に広告を入れるのか、どのように選択をするのか、もう少し具体的にお答えください。

○伊東治安対策担当部長 都の役割といたしまして、都民へ全都的に広く情報提供する必要から、都内全域をカバーする放送局を選定する予定でございます。具体的番組等の詳細については今後検討してまいります。

○松下委員 番組によって、例えば視聴者の年齢分布が異なると私は考えますので、被害状況の検証結果を踏まえた番組等の選択ができるようにぜひ取り組んでいただき、事後についても検証を引き続きしていただきたいと思います。
 次に、停電や震災にも備える事故防止、防犯体制の整備について、幾つか伺いたいと思います。
 都内で数多くの防犯ボランティア団体の皆様が、日夜、市民、都民の安全を守るためにご活動をいただいていることと存じます。そうした防犯ボランティア団体の夜間防犯に関して、課題や問題点等、聞き取りを行っているのかどうか、まず初めにお伺いいたします。

○伊東治安対策担当部長 都内の防犯ボランティア団体の活動状況につきましては、定期的な活動調査や活動現場の視察などを通じて把握に努めております。
 震災後には、区市町村や防犯ボランティア団体から、夜間の防犯パトロールに関して、停電時の暗やみの中での防犯パトロール活動に対する不安や、街頭照明の減灯により地域が暗いことに対する不安、また暗がりで起こるひったくり等犯罪の増加への対策の必要性を聞いており、自主的な夜間防犯パトロールを強化していることを確認しております。

○松下委員 震災後、停電時の暗やみの中での防犯パトロール活動に対する不安や、街頭照明の減灯等により不安がある。そんな中で、さらに夜間にパトロールを強化していると確認しているといったことから、今回、LEDベスト等の配布という補正予算が組まれていることかと思いますが、LEDベストというのが、防犯に使用するという意味では全く初めてのことかと思いますので、もう少し具体的に幾つかお伺いをしたいと思います。
 LEDベスト等の配布に関して、各自治体にどういったニーズがあるのか、各自治体への意向調査というものは行っているのか、お伺いいたします。

○伊東治安対策担当部長 LEDベストの着用等は、パトロール活動中の交通事故や負傷事故の防止等、パトロール員の安全確保にも有効であるとともに、パトロール活動を周囲にアピールすることで、犯罪をたくらむ者に対しての抑止効果が向上するものと認識しており、その配布は、停電時の暗やみの中での防犯パトロールに対する不安に対応できるものと考えております。
 なお、LEDベストの配布に当たっては、区市町村を通じて必要数量の調査を行い、有効に活用されるよう配慮いたします。

○松下委員 LEDベストと聞いて私自身、まず初めに思い浮かんだのが、夜間の道路工事等で工事現場の方が着用されているベストに、Vの字というか、VにLEDの電球が施されてぴかぴか光っているもので、色はたしか工事現場は赤で光っているものだと思いますが、そもそも今回、防犯パトロールに使用しようとしているLEDベストというものは、具体的にはどのようなものなのか伺いたいと思います。
 工事現場で使用しているベストとの違いや、また、どういった表記をするのか。ベスト自体に東京都と書くのか、そのあたりも伺いたいと思いますし、既存の防犯ボランティアは、それぞれ名前を入れたジャンパー等を着用しており、団体によって色も異なります。私の地元でも、十三団体の防犯ボランティア約七百名が日々活動をしてくださっておりますが、それぞれ色が異なり、各団体ごとの連帯感というものも感じます。
 その上で、ベストがどのように利用されるのかどうか、また、要望があればすべて人数分用意できるものなのか、分配方法等どういった考えを持っているのか、より具体的にお答えいただきたいと思います。

○伊東治安対策担当部長 LEDベストでございますけれども、夜間の安全確保が不可欠な状況において、搭載したLEDの点滅により、極めて高い視認性を発揮する安全ベストでございます。
 ベストには、防犯パトロール中であることを示す表示と、都が配布した装備品であることを示す何らかの表記を行うことを予定しております。また、その素材には、重ねて着用しても透けるようメッシュ地を予定しておりまして、装着時に各団体の活動用ユニホームとの併用は可能と考えております。
 なお、共用の装備品であることを説明した上で配布いたします。

○松下委員 LEDベストの着用、防犯ボランティア等への配布は、行政として新たな取り組みであると思いますが、これを機に、防犯ボランティアを行ってくださっている都民に感謝をしつつ、多くの都民に新たな取り組みを広報するべきと考えますが、ご見解を伺い、質問を終えたいと思います。

○伊東治安対策担当部長 現在、都内の多くの防犯ボランティア団体では夜間パトロールが実施されており、パトロール員の安全確保や、パトロール活動自体をアピールするため、反射材つきベストの着用や懐中電灯の携行は広く行われています。停電時の真っ暗やみの中、こうした装備品に加えて、みずから発光するLEDベストを活用することは、極めて有効性が高いと認識しております。
 LEDベストを着用した効果的な活動事例については、都の運営するホームページ、大東京防犯ネットワークを活用して広く都民に紹介し、その普及を進めていくとともに、都民、事業者及びボランティアの協力を得ながら、引き続き安全・安心まちづくりの輪を広げていくこととしております。

○中屋委員 私からも何点か質問をさせていただきたいと思います。
 三月十一日の東日本大震災では、一万五千人以上の方が亡くなり、今もなお七千名余りの方の行方がわからずにおります。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災地が一刻も早く復興できるよう、心から願っております。
 震災では、東京においても七名の方が亡くなられ、発災当日は約十万人もの帰宅困難者が学校や公共施設などで夜を明かすなど、その影響は非常に大きなものでありました。私たちは、この災害で生じた、また顕在化したさまざまな問題や課題を真摯に受けとめて、大規模な災害に強い首都東京を実現するために、速やかに対策を練り、取り組みをする必要があると考えております。
 震災などの大規模災害においては、直接的な被害だけではなくて、発災後の混乱に伴う被害も大きなものがございます。その一つに混乱に乗じた犯罪の発生があり、今回の緊急対策も、そのような観点から取り組まれたものと考えております。
 十六年前の阪神・淡路大震災においても、震災時の混乱を利用した犯罪が発生いたしております。行政はもちろん、警察や防犯協会など、当時の方たちは、各種媒体を利用いたしまして積極的な広報を行いました。約二百団体を超すボランティア団体がパトロール活動を展開するなどして、秩序を保ち復旧、復興に当たっておりました。東日本被災地においても、警察の目が行き届かないことに乗じて、不在の家屋などから盗みやATMからの現金略奪が生じております。地域の方々が自警団を組織して、みずから地域を守るためのパトロールを行っていると聞いております。
 このように、災害時においては、身近できめ細かな対応ができるボランティア団体の取り組みがとても重要であり、また効果的であると考えておりますが、震災後の都内各地における防犯のための取り組み状況や事例についてお尋ねいたします。

○伊東治安対策担当部長 本年四月に、都内の区市町村に震災後の防犯への取り組みについて確認しましたところ、ほとんどの自治体で、夜間帯を含めた防犯パトロールの強化や、震災に乗じた振り込め詐欺、悪徳商法等の被害防止のための啓発活動など、防犯の取り組みが行われておりました。また、防犯ボランティア団体においては、震災による停電や節電などでまちが暗くなったことから、暗がりでのひったくりや痴漢被害への地域の不安をなくすため、新たな夜間パトロールの立ち上げや、パトロールの実施時間を夜間帯にシフトするなどの取り組みが確認されております。
 そのほかにも、防犯ボランティアからは、安否確認のために高齢者宅を訪れたり、震災の翌日にパトロールを行い、工作物の倒壊状況など町内の危険箇所を確認して、インターネットを通じて紹介するなどの取り組みを行ったと聞いております。

○中屋委員 ちょっと宣伝になりますけれども、私の地元の文京区でも、平成十二年から欠かさず月二回のパトロール、特に湯島方面では活発に行っておりまして、お隣の上野の方々とも、きょう服部先生もお見えですが、連携をとってパトロールなども行っております。義援金詐欺の被害防止なども呼びかけて、チラシ配布なども最近はしております。
 災害時において特に重要なのは、自助、共助の精神であります。今回、震災後の各地域のいろいろな取り組みを見て、改めてそれを実感したところであります。まさにこのような地域の連帯した取り組みが、東京の安全・安心を根源から形づくるものでありまして、広域自治体である都は、その取り組みを強化していくためのさらなる支援を行っていく必要があると考えます。
 今回の補正予算での事業は、震災に関しての緊急対策ということから、スピード感を持って効果的に取り組むことが求められます。
 震災後、暗がりにおけるひったくりや痴漢被害を防止するために、多くの地域で夜間パトロールが強化されていると伺っております。暗がりではだれでも不安を感じるものですが、都内でも実施された計画停電では、まちが本当に真っ暗になり、なれた道でも歩くのも怖かったと聞いております。停電によりすべての明かりが消えた漆黒のやみの中で活動することはとても不安なものです。できるだけ安心して防犯パトロールをしていくことがより重要になってまいります。いつ起こるかわからない災害や、電力危機による停電時の暗やみに備え、パトロールの安全を守りその効果を高めるLEDベスト等を都が配布いたしまして、パトロール活動する方に着用していただくことは、行政として行うべきものでありまして、まさに時宜を得た的確な取り組みだと私は思っております。
 そこで改めて伺いますが、LEDベスト等の装備品を防犯ボランティアなどへ貸与する今回の事業は、どのような考えに基づき行うものであるか、お伺いいたします。

○伊東治安対策担当部長 都内において、震災による停電でまちの明かりがすべて喪失した暗やみでの活動を体験した地域のボランティアの方からは、安全に活動するために苦労したと伺っており、停電で明かりのない状況におけるボランティア活動への支援は急務と考えております。
 停電時の夜間防犯パトロールにおいて、みずから発光するLEDベスト等の装備品は、反射材によるものに比べ視認性にすぐれており、安全性やパトロールの効果を高めることができ、有効性が極めて高いものでございます。
 現在、都内の区市町村のうち、四十七団体が防犯活動への装備品の支給や購入への補助を行っており、都も、安全・安心まちづくり推進地区における装備品等の購入に対して、区市町村とともに補助を行っておりますが、これまで夜間パトロールに特化した支援は行っておりません。震災後、いつ起こるかわからない停電に備え、防犯ボランティアが安全に夜間パトロールを行えるように、LEDベスト等の装備品を貸与していくことが必要であると考えたものでございます。

○中屋委員 しっかりと現場の意見が生きた今回の取り組みということがよく伝わってまいります。
 今ある課題への対応は、日常的な取り組みとして当然に行っていくものですが、いつ起こるかわからないのが災害であり、先手先手で迅速に対応していくことが、震災などの危機への対応のあり方であり、ぜひ早く実施していただきたいと、このように思います。
 都内における犯罪は八年連続で減少しております。日本が世界一安全といわれた昭和四十年代の水準を上回るまでになっておりますけれども、都民生活に関する世論調査では、都政への要望の第一位が七年連続して治安対策となっております。いまだ都民が安全を十分に感じることができない状況と私どもは認識をしております。そのような状況において、さらに震災が起こり、それに伴う犯罪が都内で発生する事態を思えば、人々が安全を感じることなどはできないはずであります。
 震災などの大規模災害時における治安の確保は、平時にも増して重要であります。
 そこで最後に、震災時における治安確保について本部長のご決意を聞かせていただいて、質問を終わります。

○倉田青少年・治安対策本部長 治安の確保は、人々が安全で安心して暮らしていくための最も基本的な事項であり、震災等の大規模災害時においては、社会、人々の混乱による二次被害の防止や、円滑な救助支援活動のためにも不可欠なものでございます。
 東日本大震災では、被災地において多くの住民がまちから避難し、警察や行政機関も被災し十分に機能できないなど、人々の目が行き届かない状況のもと、残った家屋や店舗における窃盗などが発生しております。また、東京におきましても、震災に関連した義援金詐欺や悪徳商法のほか、電力不足による節電対策で街灯が消え、まちが暗くなる中でひったくり等の犯罪も発生しております。
 このような震災時における社会の混乱や人々の不安に乗じた犯罪は、卑劣なだけではなく、不安や混乱を増大させ、復旧、復興を妨げるものであり、決して許してはならないと考えております。治安は警察や行政が責任を持って確保しなければならないものであり、都として全力で取り組んでいく所存でございます。
 しかしながら、震災など大規模災害時においては、警察や行政の対応も限られることから、地域における安全を地域の力で確保することも必要であり、そのためには、自主的活動による地域のきずなを深めていくことが重要であると考えております。
 都といたしましては、東日本大震災における治安状況や地域の取り組みを確認し、引き続き、地域の自主的な防犯活動への支援などを行い、地域の防犯力や連帯感を高めることで、災害時においても治安が確保されるよう、全力を挙げてまいります。

○高倉委員長 ほかに発言はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高倉委員長 なければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高倉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。

○高倉委員長 これより知事本局関係に入ります。
 報告事項に対する質疑を行います。
 報告事項、都政運営の新たな戦略についてを議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小宮委員 今回報告のあった都政運営の新たな戦略の中で、特に「十年後の東京」計画の改定について伺います。
 我が党の代表質問に対し、計画期間が半ばを迎え、また、東日本大震災により新たな課題も浮き彫りになったことから、「十年後の東京」計画を充実強化した上で改定するとの答弁がありましたが、充実強化した上で改定するというのはどういうことか、まず伺います。

○武市計画調整部長 本会議におけます、局長からの充実強化した上で改定するとの答弁が意味するところでございますが、まず、「十年後の東京」計画に掲げた各施策につきましては、引き続き着実に推進していくということ。それにさらに上乗せをする形で、今回の東日本大震災から得た教訓を踏まえ、新たな課題に対応すべく、防災対策の強化でございますとか、エネルギー対策の推進などにも取り組むということを示しております。
 こうした点を基本といたしまして、現行の「十年後の東京」計画を、二〇二〇年に目標を置きまして、これからの新たな十年間を計画期間といたします長期ビジョンを改定する、そういう考え方でございます。

○小宮委員 当初、平成十八年十二月に策定された「十年後の東京」計画は、その後改定を重ね、都市インフラ、福祉、環境、産業、スポーツ振興など、さまざまな分野の施策を充実強化するだけでなく、昨年末には、若者への就業支援や都市型集中豪雨への対応など、新たな課題にも対処すべく改定をされています。
 そこで、このたびの震災を受けて新たなビジョンへと改定するに当たっては、一たん「十年後の東京」計画を総括することが必要と考えますが、これまで取り組んできた期間をどのように評価するのか伺います。

○武市計画調整部長 「十年後の東京」計画は、二〇一六年を目標としておりまして、計画期間の半ばを迎えたところでございます。
 この間、「十年後の東京」計画をもとに先進的な取り組みを推進してきた結果、例えば、二十二年度末の時点で街路樹六十八万本の整備、公立小中学校の耐震化率八八%などの成果があらわれてきてございます。
 一方で、目標の達成に向けまして、さらなる努力が必要なものもございまして、例えば、緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化につきましては、全国で初めて所有者に耐震診断を義務づける条例を制定したところでございまして、創意工夫を加えながら取り組んでいるものでございます。
 「十年後の東京」計画で掲げました施策につきましては、引き続き着実な推進を図ることによりまして、成果を確実に生み出し、東京を成熟した都市へと進化させていかなければならないと考えております。

○小宮委員 おっしゃるように、成果が既にあらわれ出した施策もありますが、多くの施策が道半ばであり、その結果はこれからの取り組みいかんであると思います。
 しかしながら、今直面している未曾有の危機に対して、首都として被災地、被災者を全力で支援することは、同胞として、また被災地から多くの恩恵を受けてきた都民として当然のことでありますし、また、いつ起こるかもしれない震災に備えて、東京の防災力を一層強化することは、都政が新たに取り組まねばならない喫緊の課題であると思います。東京の持つ力を総動員して、今ある「十年後の東京」計画への取り組みと、このたび生じた課題とを両立していく。東京にはそれだけの力があるとも思います。
 そこで伺います。こうした多様な施策に新たな十年間でどのように取り組んでいくつもりか、そして、その十年間の取り組みを経て実現している二〇二〇年の姿はどのようなものであるかを伺います。

○武市計画調整部長 東京が震災を乗り越えさらなる発展を遂げていくためには、大震災による影響を直視した上で、中長期的な視点を持って、時宜にかなった対策を講じていくことが必要であると考えます。
 そこで、都政運営の新たな戦略では、今年度から二〇二〇年までの新たな十年間を三段階のステージに分けまして、おのおのの段階に応じた取り組みを展開していくことによりまして、東京を新たな成長の軌道へと乗せる道筋を示しております。
 まず、今年度を含みます第一ステージにおきましては、直面する危機を打開し、非常事態から脱却するということを第一に、防災対策に力を注ぐこととしております。第二ステージ、第三ステージにおきましても、十年先、二十年先を見据えながら施策を展開し、三段階のステージを経た二〇二〇年には、東京は環境と経済が高次元で両立するとともに高度な防災機能を備えた都市として、アジアのヘッドクオーターに進化している、そのような都市を目指しております。
 こうした取り組みによりまして、東京は大震災を乗り越えて発展を続け、日本の再生を牽引していく必要があると考えております。

○小宮委員 今回の地震は、被災地だけでなく、他の多くの地域にも深刻な影響をもたらしました。
 私たちが日ごろから意識しているかいないかにかかわらず、電力はもちろん、水、食料、空気など、東京の暮らしや経済を支えるインフラは、多くの地域に支えられて成り立っています。
 東京への一極集中か地方への分権かという対立からは、日本の活力は生まれません。本当の意味での東京と地方との共生の中にこそ、私たちの目指すべき国家像や、その中心たる東京の将来が見えてくるのではないかと思っています。
 その視点を持ってこそ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが、本当の意味で国家の再構築、復興への足がかりになると思います。そのための構想づくりや施策の実現に、自民党はこれからも全面的に東京都と協力をし、力を尽くしていく所存であることを申し述べ、質問を終わります。

○小林委員 私からも、今回報告のありました都政運営の新たな戦略について、何点かお伺いをさせていただきます。
 初めに、大震災発生以降、復旧、復興支援を初め、都政の新たな課題について今日まで全力で取り組んでいただいております、知事本局の皆様を初め関係者の皆様に心から敬意を表し、感謝を申し上げます。
 このたびの大震災は、いうまでもなく日本のさまざまな価値観、また倫理観、人生観など多くの問題提起がなされております。
 さきの本会議における我が党の代表質問の中で、イギリスの歴史学者アーノルド・トインビー博士の挑戦と応戦の理論を引用しましたが、フランスの科学者であり、また思想家であったルネ・デュボス博士が、その著書の中で、常に変化を続ける環境に対して、人間はみずから適応しようと闘ってゆかねばならない、これは生き物すべての宿命であり、生命の法則であり、また本質そのものであるということも述べております。人類の英知を結集して、絶対に負けない、断固復興してみせるとの強い信念で、この試練を乗り越えていかなければなりませんし、なかんずく政治がその役割を大きく担っていかなければなりません。
 その意味において、日本の心臓部である首都東京が、日本の復興に向けてどのような役割を果たし、何を発信していくのか。そして、いかにして首都東京を災害に負けない堅固な都市としていくかが極めて重要であります。国の対応が遅々として進まない中、この未曾有の試練を乗り越えていくための東京の姿は、後世の人が模範とすべき、歴史に刻まれる都政運営をしていかなければならないと考えます。
 初めに、東日本大震災発生以降、今回のこの都政運営の新たな戦略を策定するに至った経緯についてお伺いをさせていただきます。

○武市計画調整部長 東京都は、三月十一日の震災発生直後から、被災地、被災者への復旧、復興支援や、都内におけます被害への対応など、当面する課題に全力で取り組んできております。
 こうした初期対応でございますとか緊急対応を行いながら、そればかりではなく、あわせまして、大震災の発生という都政を取り巻く環境の根本的な変化を踏まえまして、中長期的な都政の課題と進むべき方向を明らかにする必要があるとの認識に立ちまして、三月二十九日に、こうした点を基本戦略として策定するという方針を明らかにいたしまして、先月の末に都政運営の新たな戦略として公表したところでございます。

○小林委員 この戦略の冒頭の、大震災から日本が立ち直るため首都東京がなすべきことという項目において、三点にわたってその役割が記されておりました。
 まず一点目が、日本の頭脳部、心臓部である東京が、いち早く成長、進化の軌道に乗り、発展を続けることが、日本全体の活力を取り戻すことにつながります。二点目が、これからの東京の政策展開を考える上で、東京一都市のみならず、我が国を牽引する手だてを、また地方を活性化する手だてをも、首都東京の責務としてとらえることが重要です。そして最後に、今回の大震災を教訓に、これまでの防災対策を抜本的に見直し、高度な機能を備えた災害に強いまちに東京を変えていきますというふうに指摘をされておりました。
 以上のような指摘でありましたけれども、首都東京がなすべきことを実行していく上で、都政運営の新たな戦略、この位置づけについてお伺いをいたします。

○武市計画調整部長 都政運営の新たな戦略は、大震災後の都政運営の基本的な考え方でございますとか、中長期的に目指すべき東京の都市像を明らかにするものでございます。東京を新たな成長の軌道に乗せるための道筋を、三つの戦略と三段階のステージによってお示ししておりまして、今後の都政運営の基本戦略となり、また、これから策定に着手をいたします新しい長期ビジョンへのベースとなるものでございます。

○小林委員 今、ご答弁にもありましたように、東京を新たな成長の軌道に乗せるために三つの戦略と三段階のステージを示したということでございますけれども、当然のことながら、戦略の基軸となるものは、今後の都政運営の方向性として何を目指し、その実現に向けてどう取り組んでいくかということであると思います。
 この都政運営の新たな戦略に、これからの政策強化のポイントが掲げられておりますが、改めてその考え方についてお伺いさせていただきます。

○武市計画調整部長 東京は大震災の影響をいち早く乗り越えて発展を続け、日本を牽引する役割を担っていかなければならないと考えております。そうした現下の状況を踏まえまして、今後の政策展開の方向性を考えた場合、やはり防災関係の施策を充実強化する必要がございます。そうした点で、まず一つには、高度な防災機能を備えたまちづくり、二点目には、都民生活の安心・安全の向上と首都経済の発展、三点目といたしまして、低炭素型エネルギー政策の推進、この三点を特に充実強化するポイントとして掲げたものでございます。

○小林委員 今ご答弁ありましたように、この政策強化のポイントとして掲げられた以上は、それを目に見える形としてあらわして、現実の上で都民生活の安心、そして安全に寄与していくことこそが重要であるというふうに思います。
 私もあの震災以降、地元を歩かせていただく中で、今まで経験したことのない地震、津波、そして原子力発電所の事故という事態に、多くの皆さんから不安の声をお聞きする一方、何としてもこの試練に負けず乗り越えていこうとの強い決意の声もお聞きしております。
 今、都政に求められていることは、さまざまな思いを抱きながら生活をされている都民の皆さんの心の機微を敏感に感じ取って、懸命にその心にこたえていこうと努力する姿勢ではないかと思います。ぜひとも、着実な政策の実現にご努力をいただきますことを改めてお願いしたいと思います。
 次に、先ほど三つの戦略の一つに、新たな長期ビジョン「二〇二〇年の東京」の策定が掲げられております。現在、都では二〇一六年を目指して、二〇〇六年に策定されました「十年後の東京」計画に基づいて、都政を前進させてきたわけでありますけれども、今回戦略として打ち出された「二〇二〇年の東京」、そして、今までの「十年後の東京」、これらの今後の相互の関係性、また扱いについて確認をさせていただきます。

○武市計画調整部長 現在、「十年後の東京」計画に基づきまして都政運営を進めてございますが、大震災後の環境変化を踏まえまして、都政運営におきましても、政策の質的な転換を図る必要があると考えております。
 このため、「十年後の東京」計画の基本理念でございますとか、主要な政策は引き継ぎながら、防災対策の強化でございますとか、エネルギー政策の推進など、大震災の教訓を踏まえた新たな課題への対応を充実強化していく、そういった観点から、二〇二〇年までを目標といたしまして、現在の「十年後の東京」にかわる新しい長期ビジョンといたしまして、年末を目途に、「二〇二〇年の東京」、この名称はまだ仮称でございますけれども、こちらの長期ビジョンを策定するものでございます。

○小林委員 この年末を目途に策定されるとのことですけれども、この「二〇二〇年の東京」という長期ビジョン、これは五十年先、百年先の東京を決定づける、極めて私、重要な計画であるというふうに思っております。全庁を挙げて計画策定に取り組んでいくことになると思いますけれども、都庁全体で取り組んでいくということは、やはり知事本局の皆様の果たす役割、これが大変に大事になってくると思います。
 最後に、「二〇二〇年の東京」の策定に向けて、知事本局の果たすべき役割について確認をさせていただきます。

○武市計画調整部長 新しい長期ビジョンでは、都政を取り巻く環境の変化でございますとか、新たな課題というのを的確に反映させていきまして、今後の都政の羅針盤となっていくものでございます。
 知事本局は、各局と連携いたしまして、局をまたがるような横断的な調整を行うなど、全庁的な視点から総合調整機能というものを発揮して、新しい施策をつくり出していきまして、所管をする部局といたしまして、「二〇二〇年の東京」の策定に当たってまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 この都政運営の新たな戦略の最終章、東京から日本を再生するというところには、次のような言葉が記されておりました。
 低迷を続けていた我が国は、さらに大きな負債を背負うことになりましたが、このまま座して死を待つわけにはいきません。国政が混迷を極める中、その底力を持っているのは、国家の中の国家ともいうべき東京をおいてほかにありません。
 私は、いずれも大変にこれは重い言葉であるというふうに受けとめました。座して死を待つわけにはいかない、東京をおいてほかにないとの覚悟とこの使命感は、これからの都政運営において、忘れてはならない大事な精神であると思います。
 大事な大事なこれからの都政において、都民の生命を守り、都民の安心・安全に寄与していくとの覚悟と使命感、これをともどもに共有をし、日本を再生しゆく東京を築いてまいりたいと強く念願をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○吉田委員 私からも、東日本大震災で亡くなられた皆さんに心からの哀悼の意を表すると同時に、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 さて、都政運営の新たな戦略について、この機会に若干質問をさせていただきます。
 東日本大震災を経験し、また福島原子力発電所事故がいまだに収束の見通しが立たないだけでなく、都民生活にもかつてなく深刻な影響を及ぼすという事態が引き続いております。そうした中で、都がこれまでの戦略を見直すということは、ある面当然のことだと思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、東日本大震災と原発事故による深刻な影響を、改めて政治やあるいは自治体のあり方というものを、根源に立ち戻って考える必要性を求めていると思います。知事本局がこの新たな戦略を策定するに当たって、東日本大震災やまた原発事故から、何を教訓とし、また何を生かすべき点としてとらえて策定をしたのか、まずその基本点についてお伺いいたします。

○武市計画調整部長 今回の大震災は、首都直下型の地震ではなく遠隔地の地震であったというにもかかわらず、その直接的な被害が東京に多く及んだこと、また、間接的な被害も含めまして、広範かつ複合的な被害が発生したということがございます。加えまして、都内におきましても初めて放射性物質の拡散という問題に直面いたしまして、都民の間に不安が広がるなど、これまでの防災対策の想定を大きく上回る状況が発生してございます。
 こうした状況を踏まえまして、首都直下型地震に加えまして、いわゆる東海、東南海、南海の三連動地震のような、遠隔地に震源があるような場合への対応も含めまして、東京都の防災対策を抜本的に見直し、高度な防災都市を目指すこととしたものでございます。
 また、計画停電による混乱でございますとか、電力不足の問題というものは、これまでの価値観でございますとか、過度に便利になった生活様式を転換する契機としていかなければならないというふうにも考えてございます。
 こうしたことを踏まえまして、都政運営の新たな戦略を策定したものでございます。

○吉田委員 東日本大震災と原発事故についての、東京都として今、どう受けとめて対応するのかというご答弁だと思いますが、それ自身、私はもちろん否定するものではありません。
 ただ、私なりに思う点を若干述べさせていただきますが、私は何よりも第一に、自治体としての原点に立って、住民の命と財産を守るということを何よりも最優先の課題として取り組むことの重要性というものを、今度の事態は私たちに教えているのではないでしょうか。
 第二に、住民の安全確保最優先の立場から、それを脅かす想定や指摘をされていることについては、いささかも軽視をしないと。対策をとり尽くす。とりわけ、知事も人災だと認めざるを得ませんでしたけれども、福島原発事故による深刻な事態は、この点をいささかでも軽視すれば取り返しのつかない事態を招くんだということを、私は教えていると思うんです。そういう立場に立って新しい戦略を考えることが、今、東京都に求められているのではないかなというのが私の考えです。
 ただ、そうした立場で発表され、報告があった都政運営の新たな戦略を見ると、極めて重大な疑問、問題点を感じざるを得ません。
 一番の結論は、これはとりわけ率直に驚いたことですけれども、戦略の冒頭に、これからの都政運営の方向性ということが展開をされています。その第一で、大震災後の都政運営の基本的考え方ということが展開されていますが、その冒頭で、震災被害に足踏みすることなくという文言から始まっています。すなわち、震災被害があるけれども、それで足踏みをしたりちゅうちょをするのではなく、都市インフラを初め、これまで立てた計画の取り組みは加速をするんだという記述になってますね。こうした従来の立場をさらに加速するということをまず第一に掲げて、本当に限られた財政力がある中で、被災地の支援や復興、あるいは本当に防災都市づくりというものを進めることができるのかという意味から、私は疑問に感じたわけです。
 少し具体的に質疑をしたいと思いますが、震災対策など具体的な問題については、知事本局で行う点では制約がありますから、基本的な問題意識ということについて質問したいと思います。
 新たな戦略では、改めて防災対策を質量両面で充実強化するとともに、首都として被災地、被災者の支援に全力で取り組みますというふうにあります。また、政策強化のポイントでは、高度な防災機能を備えたまちづくりということを掲げています。
 そこで質問いたしますけれども、この防災対策を質量両面で充実強化するとは具体的にどのようなことなのか。また、財政規模としてはどの程度の金額を想定しているのかということについて、お答えをお願いいたします。

○武市計画調整部長 まず、大震災後の都政運営の基本的な考え方でございますけれども、二点、「十年後の東京」計画の着実な推進と、環境の変化を踏まえた防災対策の充実強化を掲げてございますが、私どもといたしましては、この二つ、いわば二兎を追うということになってくるかと思いますが、これまでの計画につきましては、震災だからといって後退するのは逆に許されないと考えておりまして、取り組みを着実に推進した上で、さらに防災対策も充実強化していくということでございまして、東京であれば、この二兎を追う政策というのは十分可能であろうというふうに考えてございます。そうした中で、今回の震災を踏まえまして、これまでの防災対策というのをさまざまな角度から検証、再構築するということも、当然必要だと考えております。
 その中で、例えば量的な拡充、量的充実という面でございますけれども、自家発電設備の増設など、事業規模を拡充することによって効果が上がるというものがございます。そうしたものについては量的充実を図っていく必要があるというふうに考えてございまして、一方で、帰宅困難者対策の再検討など、仕組みづくりでございますとか、体制の見直しというものが必要なものがございまして、そうした点につきましては、いわゆる質的な充実強化というんでしょうか、質的な見直しということが求められてくると考えておりまして、それら質的な取り組み、量的な取り組み、両方を組み合わせながら万全な対策を講じていく必要があるというふうに考えてございます。
 なお、財政的な面でございますけれども、このたびは、現時点におけます最初の対応といたしまして、現在ご審議をいただいております補正予算の中で、建築物、施設の耐震化でございますとか、津波、高潮対策など、東京を高度な防災都市に生まれ変わらせるものとして、約六百億円の予算を計上しておりまして、補正予算全体では千三百七十四億円の予算というのを計上し、ご審議をいただいているところでございます。

○吉田委員 補正予算では、東京を高度な防災都市へ生まれ変わらせるというふうにして、六百十六億円を確かに計上しています。これはあくまでも今年度についてですから、この先どうなるかという問題はありますが、私はやはり、今年度であったとしても、この六百億円余自身は決して十分なものではないというふうに思いますが、ただ、報告された緊急対策の予算を見ると、この東京を高度な防災都市へ生まれ変わらせる約六百億円のうち、例えば、その中には企業や家庭における電力ピークカット対策で二百四十九億円、都みずからが行う電力不足に備える率先行動で六十九億円、合わせて三百十八億円が入っています。もし私の認識違っていたらご訂正をお願いしたいんですが、そうだとすると、実質的な防災都市対策というのは約半分ということになります。
 さらに驚いたのは、やはり防災対策という点で見れば、住宅の耐震化というのが、非常に人命を救う上で大きな比重を持たざるを得ないと思うんですが、今度の補正予算の中の住宅の耐震化にかかわる部分で、どれだけの予算がとられているのかと。木造密集地域対策、マンションの耐震化促進で二億六千万、さらに緊急輸送道路対策を合わせても、私の計算だと六億六千万円です。今、補正予算の規模の総額が示されましたけれども、この総額に占める住宅耐震関係の六億六千というふうに計算しますと、一%にも満たないということなんですね。
 もちろんこれは初年度ですから、それだけですべて推しはかることはできないかもしれませんけれども、しかしそれにしても、この高度な防災都市ということをいっていながら、補正予算の住宅耐震関係が全体の一%にも満たない、六億円余と。これが、知事本局が想定しているような高度防災都市づくりというイメージなのかということが、率直に疑問なのですが、いかがでしょうか。

○武市計画調整部長 今回の東京緊急対策二〇一一に基づきます補正予算につきましては、先ほども申し上げましたとおり、現時点においての緊急の対応という形で取り組んでいるものでございます。
 私どもも、その住宅の耐震化につきまして、ご意見ございましたが、非常に重要な施策だというふうに考えておりまして、今回ここで計上している予算だけをもって、それですべてが終了するわけでは当然ございません。その点は同じ認識に立っていただいているかと思いますけれども、そうした中にありまして、ただ、これまでも既に、例えば住宅の耐震化につきましては、特定緊急輸送道路の沿道の建物の耐震化につきましては、第一回定例会におきまして条例改正を行いまして、その沿道建築物の所有者について耐震診断の義務化を課すなど、全国で初めての取り組みというのも行いながらやっているものでございます。
 また、予算を措置すれば進むというよりも、特に耐震化につきましては、いろいろそれまでの障害、例えば複雑ないろんな権利関係でございますとか、そういったものを取り除いた上で進めなければいけないというものもございますので、そうした点も考慮しながら、我々取り組んでいく覚悟でございまして、六億六千万だけをもって多い少ないという議論は、ちょっと我々としては違うのかなというふうに考えているものでございます。

○吉田委員 知事本局に対してですから、具体的な予算をめぐる質疑、あるいは事業をめぐる質疑ができないので、私のいい方も非常に遠回りないい方しかできないんですけれども、これは事実として紹介させていただきますが、例えば横浜市は、東日本大震災を受けて、耐震改修助成に対して、そもそも東京都よりも高いんですけれども、一般世帯に対して百五十万の助成をしていたんですが、これではやはり対応ができないということで、新たに七十五万円の追加的な措置を、三年間限定ということでとっているんですよ。そういうことも私、あったものですから、改めて、東京都が高度防災都市を掲げながら、そのいわば初年度である補正予算がこの程度の規模で、それが知事本局の高度防災都市という目標の状況なのかということで、質問をさせていただきました。
 ただ、こうした住宅の耐震関係の補正予算が一%以下、厳密には〇・五%ですけれども、という事態というのは、私は決して偶然ではないと。それは都の防災都市についての基本的な考え方が反映しているのではないかというふうに思うからです。それは、これまで私ども繰り返し主張してまいりましたけれども、石原都政になってから、都の防災対策は、予防最優先から自己責任が第一であるというふうに変わりました。
 私は、多くの皆さんはもちろん、みずからの命を守るために努力をされていると思います。それは当たり前のことです。しかし、今度の大震災を受けても、自分の努力では守ることができない事態が起きているわけですよね。そういう意味では、やはり自治体が何よりも住民の命を守るということを最優先に掲げて、あらゆる手だてを尽くすということを行政の方針の基本に据えることが必要ではないのかと。それをただ自己責任、自己責任と、その意識が薄いから防災がおくれているんだというような発言は、私は許されないというふうに思います。
 この点で質問したいんですけれども、その戦略が掲げている高度防災都市、あるいは高度な機能を備えた防災都市の概念についてなんですが、戦略では、首都機能が麻痺する事態を避けるためという文言があります。その一方で、災害から一千三百万都民の命、財産を守ると、生命、財産という言葉は一言もありません。なぜ、こうした基本戦略の中で都民の生命、財産を守るということが改めて強調されていないのかということを極めて疑問と思うんですが、いかがでしょうか。

○武市計画調整部長 まず、私ども、災害に当たりまして自己責任というものだけを強調しているというつもりは毛頭ございませんで、ただ、いわゆる自助、共助、公助といったそれぞれのバランスをうまくとっていくこと、公助だけでなく自助、共助も行っていただくということが、結果として災害の被害を一番小さくするだろうと、そういうふうに考えておりまして、自助、共助にも引き続き取り組んでいただく。また、さらに共助の取り組みなども加速させていただく必要があるだろうと。それが都民のためになり、災害を減らす減災に最も効果があるだろうと、そういうスタンスで取り組んでいるものでございます。
 それで、その高度防災都市についてでございますけれども、改めて申し上げるまでもなく、都民の生命、財産を守るということは行政の第一の責務でございます。これまでもそうした観点から、防災対策を初めといたします都の各種施策を推進してきております。
 それに加えまして、今回の大震災では、首都機能を安定的に維持することの重要性というものが明らかになったかと思います。それも大きな今回の震災の教訓の一つであったろうというふうに考えております。災害時におきましても、首都機能を安定的に維持するということが都民生活の安全・安心にもつながるものと考えておりまして、この新たな戦略の中ではそうした記述もしておりますが、それと同時に、この都政運営の新たな戦略の中では、これから強化をしていく三つの政策のポイント、その一つに都民生活の安心・安全の向上と首都経済の発展というものを掲げてございまして、そうした中で都民の生命、財産を守るという取り組みは、これまで以上に強化をしていくつもりでございます。

○吉田委員 この問題にこだわったのは、今回の戦略だけではなく、やはり自己責任ということが第一に強調されていることもあって、民間住宅、個人住宅に対する対策というのは極めておくれてきているという立場から、あえて質問させていただきました。
 それで、「十年後の東京」の中では、災害に強い都市づくりを掲げていて、具体的な耐震化の到達目標なども示されています。しかし私は、これは極めて到達がおくれているという認識ですけれども、お答え願いたいんですが、掲げた目標の中で木造住宅や都営住宅、さらに下水道の耐震化の到達状況はどうなっているか、お答えをお願いいたします。

○武市計画調整部長 公表しております最新のデータでは、木造の戸建て住宅の耐震化率は十七年度末で六四%でございます。
 また、都営住宅につきましては、こちらにつきましては、東京都施行型の都民住宅なども含んだ数値でございますけれども、都営住宅などといたしまして、棟数、棟の数では六六%、戸数、部屋の数では七二%の耐震化率となっております。この木造戸建て住宅、都営住宅いずれにおきましても、平成二十七年度の末までに九〇%とすることを目標に施策を推進してございます。
 次に、下水道の耐震化でございますけれども、下水道局では、震災時に重要な役割を果たします避難所でございますとか災害拠点病院など、そういったところの二千五百カ所に重点化をいたしまして、下水道管の耐震化を実施しておりまして、この下水道管の耐震化率は、二十二年度末の見込みで六八%となっておりまして、こちらにつきましては、三年後の二十五年度末までには九三%の完了を見込んでいるところでございます。

○吉田委員 木造住宅の耐震化率は十七年度の六四%ですから、この数字をもって議論することはちょっとしにくいですけれども、私が都市整備局から聞いた二十一年度末の現状は、そうはいっても七〇・六%というふうに聞いております。いずれにしても、先ほど二十七年度九〇%という目標が示されておりますけれども、到底今の状況では、これに近づくことは容易なことではないということは明確だと思います。
 さらに、下水道管の耐震化率は、二十二年度ですから、一番最新のデータで六八%ということでご答弁がありました。しかし、これはご答弁の中でもいわれたとおり、この分母は都内全体のマンホールではなく、あくまでも避難所が機能するために、すなわち二千五百カ所の避難所関連のマンホールを分母にして、どこまで耐震化が進んでいるかというのが、この六八%という数ですよね。
 下水道局にあらかじめ聞いてみましたけれども、マンホールの総数というのは四十七万八千個あるんだそうです。そういう避難所だけに限定しないで、すべてのマンホールの数から見れば、耐震化の達成率は一〇%にも満たないというのが現状だと思います。したがって、我が党は代表質問でも、マンホールすべてを耐震化するだけでも四千億余円がかかるんだという意味で、そうしたところに優先的に財政投入を行うべきだということを述べた次第です。
 部長は先ほど、あくまでも二兎を追うんだということをいわれました。もちろん、それ自身を決して否定するわけではありませんけれども、しかし、これだけ東日本大震災を受けて、都民の命と財産を守るためにあらゆる手だてを尽くすということが求められています。その一方で東京都の、今幾つかの指標を挙げましたが、耐震化の到達というのは極めておくれてるといっても、決していい過ぎではないと思います。そうすると、私はかなり思い切った財政投入を、この東京の防災都市づくりのためには投入しなきゃならないと思うんです。
 今年度補正予算は、先ほど額が示されましたけれども、もっと一定のスパンで、防災対策にどれぐらいの費用が必要なのかという推計というのはされていないんですか。

○武市計画調整部長 私ども、その防災対策、特に耐震化につきましては、できる限り進めていくというのが基本的な考え方でございますが、ただ、先ほども若干申し上げましたが、例えば木造住宅密集地域におきましては、耐震化の進捗がなかなか思わしくないという状況は、その複雑な権利関係、あるいは狭隘な道路とか、そういったものに起因をしておりまして、予算だけを積めば進むというものではないという状況にございます。
 また、下水道管につきましても、これをすべて使用をとめてしまって工事をするといったことであればまた別かもしれませんが、日常の生活に配慮しながら、都民生活でございますとか、道路交通の影響を少なくしながら工事をしていかないといけないと、そういう状況の中で耐震化を進めているというものでございます。
 その防災対策につきまして、これからどのようにしていくのかというお話は、まさにこれからの課題でございまして、一つには、総務局の方が中心になって、これから東京都防災対応指針というものを取りまとめてまいります。それを踏まえまして、私どもは年末には「二〇二〇年の東京」というものを取りまとめてまいりますので、その中でどれぐらい示すことができるのか、なかなか数字で明確に幾らというのが出せるのかどうかは、いろんな状況があり、現時点で明言できませんけれども、そうした中で、防災対策というのを大きな柱に据えて、今当局が計画している長期的計画というのもつくっていきたいと考えております。

○吉田委員 私はこの点で意見を述べさせていただいて、ちょっと次の質問をさせていただきますけれども、やはり、本当に都民の命と財産を守る、そして東日本大震災を受けて、住宅の耐震化を事例として挙げましたけれども、津波対策、液状化対策にしても、相当抜本的な財政投入、もちろんそれは予算だけじゃありません。かつハード、ソフトの対策が必要でしょう。そういうことも含めて、抜本的なやはり努力というものが今、求められている。そのことを基本戦略にしっかりと位置づけることが必要だと思います。
 にもかかわらず、基本戦略の冒頭がですね、まず足踏みすることなく、これまでの計画はさらに加速をするんだというところから入ることはあり得ないだろうというのが私どもの認識であります。
 次に伺いたいのは、被災地の復興と東京の関係についてです。
 戦略は、東京の発展が日本の活力を取り戻すというふうに位置づけています。しかし、この点で私は疑問に思うんですけれども、第一に日本経済全体の回復ということを考えれば、また、それなしに東京の回復は私あり得ないと思うんですけれども、やはり東北地方の復興と発展なしに、日本経済の回復というのは成り立ち得ないんじゃないんでしょうか。そこに最優先で、東京都自身が総力を発揮して支援をするということが求められていると思うんですが、この点での認識、いかがでしょうか。

○武市計画調整部長 被災地、被災者の方々が一日も早く復旧、復興していただくというのは当然のことでありまして、我々としても東京都として全力を挙げてまいりますが、東京都も当然行っていきますけれども、これは東京都ばかりではなく、まずやはり国、国家というものがきちんと責任を持って対応していく、そうした中で、首都である自治体として東京が支援していくと、そういう構図なんだろうなというふうに考えております。
 我々としましても、当然のことながら、一日も早い東北地方の復興を願っておりまして、その旨も都政運営の新たな戦略の中で記載しておりますが、そうした上で、この甚大な影響を受けた日本の再生をしていくためには、東京がいち早く立ち直りまして、日本を牽引していくことが必要であるということを私ども考えているものでございます。
 また、委員、ただいまのご質問の冒頭に、「十年後の東京」計画につきまして、震災被害に足踏みをすることなくという点で再度ご指摘ありましたので、一点だけつけ加えさせていただきますと、私ども、現行の「十年後の東京」計画の中では、防災についても記載しておりますが、それ以外に環境でございますとか、福祉、医療などについても加速をして取り組みということを記載してございまして、そうした福祉の問題などにつきましても、私どもとしては、足踏みをすることなく加速して取り組んでいく所存でございます。

○吉田委員 私はやっぱり現段階でいえば、被災地の救援、復興、そして本当に東京の都民の命と財産を守る、私たちは防災福祉都市というふうにいってますけれども、そこに総力を挙げるということが求められているというふうに思います。
 次に、また、今いわれたように、私は本当に国が総力を挙げて取り組むことが、現地の復興にとっても求められていることだと思います。ただ、日本経済の回復の土台というのはやっぱり国内の購買力、消費の向上であり、また生産の回復だと思うんです。そういう点で、やっぱり東北の占める比重というものは極めて小さくないものがあるわけですから、そこに支援をするということに改めて全力を注いでいただきたいということを述べておきます。
 この点で、私は第二に質問したいことは、戦略では、第一ステージ、第二ステージ、第三ステージというふうに掲げておりますけれども、文言を見る限りでは、支援が第一ステージであるかのような印象を受けます。やはり私は、復興支援というのは相当長期にわたって、かつ相当の財政的な支援も含めて取り組んでいく必要があると思うんですけれども、どのぐらいの規模でどれだけの具体的な支援に取り組むのかということについては、どのようなお考えなのでしょうか。

○武市計画調整部長 被災地、被災者の方々に対しますご支援につきましては、その第一ステージだけで終了するとは私ども毛頭考えておりませんので、それは引き続き第二ステージ、第三ステージにおきましても、必要な支援は行っていく所存でございます。
 どれくらい支援をしていくのかという点につきましては、今、東京都の場合は現地、岩手、宮城、福島、三カ所にそれぞれ現地事務所を置きまして、現地のニーズというのを酌み上げるような形で取り組みをしてございます。そうしたところからの報告に基づきながら、さらに必要な追加的なご支援をしていくということで、これは相手方もまだすべてが固まり切っている状況でもないというふうに私ども理解しておりますので、そうした状況を見ながら弾力的に取り組むことこそが求められているのだろうと考えているところでございます。

○吉田委員 最後に、これは意見として述べさせていただきますけれども、東京の発展についてです。
 第二ステージでは、外国企業の積極的誘致といった経済成長に向けた取り組みが強調されています。これまでも国際競争力、そして外国企業の東京誘致で打ち勝つんだということが、いわば一つの都政の重要課題、命題とされて、それを理由に都市インフラへの財政投入などが合理化され、促進をされてきたという経過があると思います。
 しかし、前回の実行プログラムの質疑でも明らかにしましたけれども、じゃあ、石原都政になって東京の経済全体、さらに日本の経済が牽引されるということがあったのかというふうにいわれれば、極めて疑問です。
 答弁でも紹介されましたが、例えば、消費あるいは購買力を左右する勤労者の東京における賃金の推移を二〇〇〇年と二〇〇九年で見れば、確実に上昇するどころか、月額で、前回の答弁ではたしか約二万円程度、賃金が減少しています。小規模小売業の販売額も前進ではなく、この十年足らずですけれども、後退しています。さらに、都内の製造業の出荷額についてもご答弁がありましたが、二〇〇〇年の十八兆円が二〇〇八年には十兆円に減少し、これは工場一工場当たりで見ても減少しているということが明らかになりました。
 こうした経過から見ても、これまで繰り返してきたような企業の本社や外国企業の東京集中を加速させることによって、東京の経済が向上するかのようなことは、事実としては違う結果になっているということが浮き彫りだと思います。私はそういう点で、「十年後の東京」の見直しはもう避けて通れない。やはり何よりも都民の購買力をいかに高めるのか。東京の経済を支える中小企業の力をどう引き出すのか。そのことを軸に東京の経済の発展ということを検討していただきたいという要望を述べて、私の質疑を終わらせていただきます。

○高倉委員長 ほかに発言はありませんか。--なければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高倉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十八分散会

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