総務委員会速記録第二十二号

平成二十二年十二月十日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長高倉 良生君
副委員長吉原  修君
副委員長松下 玲子君
理事小山くにひこ君
理事谷村 孝彦君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
西崎 光子君
鈴木 勝博君
三宅 正彦君
服部ゆくお君
中屋 文孝君
花輪ともふみ君
大沢  昇君

 欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長比留間英人君
危機管理監加藤 英夫君
理事塚田 祐次君
総務部長醍醐 勇司君
訟務担当部長和久井孝太郎君
行政改革推進部長土渕  裕君
情報システム部長高橋 宏樹君
首都大学支援部長宮本  哲君
人事部長中嶋 正宏君
労務担当部長内藤  淳君
主席監察員清宮眞知子君
行政部長岸本 良一君
多摩島しょ振興担当部長高木 真一君
区市町村制度担当部長堤  雅史君
事業調整担当部長榎本 雅人君
総合防災部長中村 長年君
企画調整担当部長細渕 順一君
統計部長三田村みどり君
人権部長荒井  浩君

本日の会議に付した事件
 総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十九号議案 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十四号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十一号議案 東京都人権プラザの指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・東京都犯罪被害者等支援計画(素案)について

○高倉委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査及び報告事項の質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百五十九号議案、第百六十四号議案及び第百九十一号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○花輪委員 それでは、東京都人権プラザの指定管理者の指定について伺いたいと思います。
 まず、私たち都議会民主党は行財政改革の視点から、指定管理者制度の担い手でもある監理団体の契約のあり方、また経営に関する問題、また情報公開を初めとした都民への説明責任のあり方、こういうものを検討するために、党内に監理団体プロジェクトチーム、検証のプロジェクトチームをつくりまして、精力的にこれまで議論を続けてまいりました。
 都の公の施設について、都民サービスの向上や効率的な運営を目的とする指定管理者制度が導入されて五年がたち、今定例会において、百六十八の施設に上る指定管理者の指定案件五十件が提案されております。
 総務委員会においても、人権プラザの管理運営に関する議案として、監理団体である財団法人東京都人権啓発センターを特命選定により候補者とする、そんな議案が、今回、出ております。
 この人権プラザなんですが、これは都の人権政策上、大変、重要な施設だと私も思います。映画や講演会を初めとした人権啓発行事や、また、犯罪被害者の支援や高齢者の虐待防止、そういうことを目的にした電話相談なんかもしております。
 こういうことを、これまでこの人権啓発センターが仕事を受けて、施策の推進の役割を担ってきたわけですが、まず伺いますが、財団法人東京都人権啓発センターが平成十八年から、この人権プラザの指定管理を受けております。この運営の実績とこれまでの評価を伺いたいと思います。

○荒井人権部長 東京都人権プラザは、さまざまな人権課題に関する普及啓発を行うことを目的に、都が人権啓発の拠点として設置した施設でございます。
 平成十八年度に東京都人権プラザの指定管理者に指定されました財団法人東京都人権啓発センターは、夜間相談の実施や図書資料室の利用時間の延長など、利用者へのサービスの向上を図るとともに、建物管理委託に複数年度契約を採用するなど、経費の節減に努めてまいりました。
 この結果、指定管理者制度導入後、来館者数でございますが、導入前年の平成十七年度に約三万人であったものが平成二十一年度には約四万一千人と三六%増加しており、また相談件数は、十七年度千百四十二件でございましたものが二十一年度は千六百十一件と四一%増加するなど、事業実績は着実に向上しております。さらに、事業費については、平成十七年度に約八千万円弱であったものが平成二十一年度には約七千万円と一一%削減されております。
 このような取り組みについて、東京都人権プラザの指定管理者評価委員会は、制度導入以降の四年間、良好な運営が行われているという評価をしております。
 都としては、東京都人権プラザの指定管理者である東京都人権啓発センターは、都と密接な連携のもとで効率的、効果的な管理運営を行い、都の人権施策の推進に寄与しているものと考えております。

○花輪委員 今回、この人権プラザの指定管理について、引き続き人権啓発センターに特命で発注する、そんな提案なわけですが、これまでの運営がある一定程度、評価できるものとしても、公の施設をこれから五年間、いわゆる入札もない、プロポーザルもない中で発注するのであれば、やはりそれ相応の説明が都民に対して必要だと思うんですね。ここしかやるところがないんだという、そういう説明が必要だと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

○荒井人権部長 東京都人権プラザの指定管理者には、都との密接な連携を確保する必要があるとともに、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律により、中立性の確保が求められております。
 東京都人権プラザの指定管理者となっている東京都人権啓発センターは、都の人権施策を実施するために設立された団体であり、人権問題都民講座などの実施や、人権情報誌の発行、研修講師の派遣など、人権全般に関するさまざまな教育、啓発、及び人権の擁護等の事業を多角的に実施し、都民の人権意識の高揚に努めております。
 平成二十三年度からの指定管理者については、東京都人権啓発センターが東京都人権プラザの指定管理者として良好な実績を有しているとともに、中立公平な立場から都の人権施策を確実に遂行することができる唯一の団体であることから、特命により選定することとしたものでございます。

○花輪委員 この人権センターも監理団体なわけです。
 今回、特命で発注するその理由はわかったとしても、今後、多額の税金が投入をされるんです。ですから、監理団体としての透明性というものも、これはしっかりと確保をしていただかなければいけないというふうに思っています。
 これまで、私たちの監理団体の検証ワーキングチームや、また今までの決算または事務事業質疑の中で、私たち民主党も随分と、監理団体の契約の中身の検証をしようかというふうに思ってやってまいりました。契約の相手方ですとか、契約がどんな契約なのかとか、また幾らぐらいの契約をしているのかとか、また契約の先にはOBがいるのかいないのかとか、そんなことを検証しようと、そういうふうにやってきたわけですが、なかなかこれが、実はハードルが高かったんです。
 例えば、ある団体は一年間に千七十件ぐらいの契約があって、そして、その総額は五十億円を超えているようなところがありました。じゃ、その契約について教えてちょうだいよと、そしてその中身を明らかにしてくださいといいましたら、出てきた件数は何と六件、金額は明らかにされませんでした。なぜ六件なのと聞きましたら、情報提供するのは一件一億円を超えた契約だけです、そんなふうにいわれちゃったんですね。
 私も、監理団体の指導監督基準で一億円の基準があるというのは知っていました。しかし、これは、一億円を超えた契約はホームページなんかで公表しなきゃいけないですよ、契約件名と相手方と、いわゆる天下りがそこにいるか、いないか、これを公表しなきゃいけないですよということを基準で決めているんです。
 これは、公表しなきゃいけないということを決めているんですが、公表しちゃいけませんよ、一億円以下は公表しちゃいけませんよという、そういう基準ではないんですね。
 しかし、団体によっては間違った解釈をして、そして情報開示に後ろ向きな、そういう団体においては、特に、都合の悪い情報を出したくない、そんなときのいいわけに使われている、私はそんなようにも感じたわけです。
 そして、今回、そんなこともありましたので、代表質問の中で、都がこれまで以上に監理団体を積極的に活用していくのであれば、やっぱり税金の使い方の透明性、団体の透明性も高めていかなければいけないというふうに代表質問で聞きました。局長の方からは、監理団体の契約情報の公表拡大など、一定の取り組みを行っていく、そんなような答弁もあったわけです。
 局長、ぜひ、今後その公表の内容について、どういうふうに契約を公表して、そしてその時期はいつぐらいから公表をしていくのか、そのあたりをご答弁いただければと思います。

○土渕行政改革推進部長 今回の見直しは、都民への説明責任を果たしていく観点から、監理団体が都から特命随意契約で受託した事業等について契約情報の拡大を行うものであります。
 具体的には、対象となる受託事業等の実施に当たりまして、団体が本年十二月一日以降に締結する二百五十万円以上の契約及び、特命で契約を行う、いわゆる特定契約全件につきまして、契約件名、契約の相手方、契約金額などを公表します。あわせて、当該受託事業の概要や収支状況も公表し、経営の一層の透明性向上を図っていきます。
 なお、公表時期につきましては、毎年度、当該団体の決算情報の公表とあわせて、ホームページへの掲載などにより行ってまいります。

○花輪委員 今、部長の方から、十二月以降に締結する契約で二百五十万円以上については公表していくと。契約の件名、相手方、金額などを公表する、そしてその公表の時期については団体の決算の時期だというお話がありました。
 今回、契約の一億円の、ここにラインがあるんですが(パネルを示す)、今までは一億円以上しか公表されていませんでした。監理団体が契約する件数というのは、全部で五千百件あって、そのうち二百二十五件しか今までは公表されなかったんですね。ほぼ公開されていなかった、公表されていなかったというのに近いというふうに思います。
 ただ、今回は、都から特命で監理団体に契約がおりてきて、そして特命で、今度は監理団体から民間企業に仕事が出ていく、そういう契約については、少額契約を除いて全部明らかにしましょうというふうになりました。
 これは、大変、私は、前進だなというふうに思います。ただ、特命契約じゃない、普通の競争契約とか、または独占契約、緊急契約、こういうものについては、二百五十万円以下のものについては明らかにされないんですね。まだ、ここに、契約の関係で明らかにされない部分があります。
 例えば、公園協会が受けているトイレの清掃なんかで、利用者の方から、あそこのトイレいつも汚いんだけど、どうなっているのよといわれたときに、じゃあ監理団体がどういう契約をしているか、そういうことを確認しようと思っても、二百五十万円以下だと、これは出てこなくなっちゃうんですね。やっぱり私は、これは公開の度合いという意味でいうと、まだ課題があるなというふうに思うんですが、こういうことについて、例えば議会にしても何にしても、私たちがここの部分の契約はどうなっているんですかと聞いたときに、基準では今の黒い矢印のところだけですから、二百五十万円以下については公開しませんよというのではなくして、やはり求めに応じては、最低限、情報の提供があってもいいと思うんです。
 それがなければ、なかなか、監理団体の契約内容とかまたは経営状況について、確認のしようがないと思うんですよ。ぜひそのあたりも進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○土渕行政改革推進部長 平成十二年度以降、全監理団体で、都が示した情報公開モデル要綱に準じた情報公開に関する規定を整備するとともに、役員報酬や職員給与の状況、都OBの在籍状況など、団体の経営情報に関する公表範囲を順次拡充するなど、団体の自主性を尊重しながら、情報公開の取り組みを推進してきました。
 都政を支えるパートナーとして監理団体を積極的に活用していくに当たりまして、経営の透明性を向上させていくことが必要であると考えます。
 今後、監理団体が独立した団体であることを踏まえながら、みずから主体的な経営判断に基づき、適切に都民への説明責任を果たしていくよう働きかけてまいります。

○花輪委員 今、団体に対して、この白抜きになっちゃっている部分も公表するように都が働きかけてくれるということでしょうから、団体もこれから出してくれることになるというふうに期待をしたいと思います。
 あともう一つ、今、十二月一日からの契約分については公表をしていくというようなお話がありましたが、例えば、来年私たちが決算委員会の中で、二十二年度の監理団体の契約とか経営内容についてちょっと審査をしたいなとか、検証をしたいなというときに、二十二年度の中なんだけれども、十二月一日以降の契約は出るけれど、四月の一日から十一月の三十日までの契約が出ないよというのだと、これもなかなか、来年の決算以降、審査はしづらいというふうに思うんです。
 ぜひそういう情報についても、十二月一日というふうに日を決めたから、十二月一日以降じゃなかったら公表しないよ、十一月の三十日以前のものは公表しちゃいけないんだよということじゃなくて、これも求めに応じて、経営情報についてはしっかりと時期も遡及して公表するというふうに努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○土渕行政改革推進部長 平成二十二年度の決算審議に資する観点から、公表基準日以前である四月から十一月までに締結した契約の情報につきましても、監理団体が独立した団体であることを踏まえながら、みずから自主的な経営判断に基づき、適切に都民への説明責任を果たしていくよう働きかけてまいります。

○花輪委員 今また、部長から、説明責任を果たすように団体に働きかけるということでしょうから、恐らく各団体も、十二月一日以前にもしっかりと遡及して、これから情報開示をしていただけるものというふうに理解をさせていただきたいと思います。
 あと、天下りの問題も指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 この十一月の二十九日に、幹部職員の再就職状況ということで一覧表が出ました。
 部長級、課長級、局長級はもちろん、そして、その人たちがこの春の退職時に、例えば監理団体に行ったのか、報告団体に行ったのか、公益団体に行ったのか、民間企業に行ったのか、または再任用だったのか、または再就職しなかったのか、さまざま非常に細かく出していただきました。これは私も、本当に皆さんご努力をいただいたなというふうに評価をさせていただきたいというふうに思っておるわけです。
 昔は局長の再就職先もなかなか明らかにしてもらえなかったようなことから考えると、十年ぐらいかかったわけですが、随分進んだなというふうに私は思っております。
 ただ、このように天下り白書は出していただいているんですが、例えば監理団体とか、または局本体の場合もあるんですが、随意契約が長年にわたって続いているとか、そういうときに、何でここ、同業他社がいるのに、こんなに毎年毎年同じところに発注しているのとか、そういうことを聞こうかなと思ったときに、やっぱり局にしても、団体にしても、一億円以上の発注がないと、このOBの情報については出せませんというふうにいつもいわれてしまうわけです。
 特に、これから監理団体を一体的に活用して、税金をどんどんどんどん特命で投入していくという、そういうような時代に皆さんはしていこうというふうに思っているわけですから、ぜひこの幹部職員の再就職についても、しっかりと公表をしていっていただきたいというふうに思います。
 特に、天下りの人材バンクもつくって、公表も始めました。スタートしたばかりですが、今いったようにまだまだ課題はあると思うんですね。ぜひ、その課題の解決に向けて、皆さんにもご努力をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○中嶋人事部長 都は、幹部職員の再就職につきまして、人材の一層の有効活用と透明性の向上を図るため、再就職情報を一元的に管理することを目的として本年九月に都庁版人材バンクを整備し、その制度の概要を第三回定例会で報告いたしました。
 このうち、透明性の向上につきましては、法律の規制がない中で、職業選択の自由との関係などを視野に入れまして、都民の理解を得るため、できる限り実効性の高いものといたしました。具体的には、まず公表の対象を、これまでの監理団体等に加えまして新たに民間企業等も含め、部課長級以上の幹部職員全員に拡大をいたしました。
 次に、事前の手続として、新たに民間企業から求人票を求め、再就職決定後の公表、営業活動の制限について同意を得ることとしまして、仮に得られない場合は、人材情報の提供を行わないことといたしました。
 あわせて、就職が決定した後、職員本人からも職務内容などを詳細に記載した報告書の提出を受けまして、営業活動の自粛を確認することといたしました。こうした再就職に関する都のルールを遵守させるため、制度の趣旨、内容を、退職予定の幹部職員に対し既に周知徹底を行いました。
 都庁版人材バンクは今年度スタートした制度でありまして、今ご提示いただきましたけれども、先月末に第一回目として具体的な再就職状況を公表したところであります。
 今後、透明性の一層の向上という観点にも立ちまして、その運用状況を十分に検証してまいります。

○花輪委員 今、これで終わりじゃないよと。まだまだ再就職についても、どういうやり方があるかを含めて考えていくよというようなご答弁でした。今回のこの再就職状況の報告書、いわゆる天下り白書を拝見させていただいていても、例えば病院のお薬の担当だった課長さんが薬の問屋さんに再就職をしたりとか、挙げてみると、えっ、何でこんなところに行くの、大丈夫なのというようなところはたくさんあるわけですね。ですから、そのあたりの見直しもしっかりしてもらうと。
 あと、入り口だけなんですね、これ。入り口だけではなくて、例えばさっきいったように、随意契約がずうっと続いているじゃないかと。その説明もなかなか説得力のある説明がいただけないよと。もしかして、幹部職員が再就職しているんじゃないのと聞いたときに、入り口だけじゃなくて、今この現状、そういう会社にいるかどうか、そういうことも含めて、しっかりと、ぜひ明らかにするように見直しを進めていっていただきたいというふうに思います。
 今は、もう既に、監理団体の一億円以上の契約については、今までのルールでもOB情報は提供するということになっているんですが、ただ、このあたりは、今回のこの人材バンクのルールが出たために一億円のOB情報が出なくなってしまうというんじゃ困るんですね。そのあたりはどうでしょうか。これからも一億円を超えた監理団体の契約についてのOB情報というのは、入り口だけじゃなくて、今この瞬間にいるかいないかも含めてお答えいただけるということでいいんですかね。

○土渕行政改革推進部長 先ほどご説明いたしました今回の契約情報の公表範囲の拡大は、都から特命で受託した事業等については、いわば都の代行者として事業を実施することから、より透明性の確保が求められると判断したものであります。
 一方、従来から実施している一億円以上の特定契約に関して、契約相手方への都管理職OBや団体OBの再就職者数の公表につきましては、団体が締結するすべての契約を対象としており、今後も継続して実施してまいります。

○花輪委員 この天下りの問題については、監理団体が結ぶ一億円以上の契約はオープンになるんですが、東京都が結んでいる、例えば五十億円でも三十億円でも、随契で仕事を出している先、そこに天下りがいるかいないか聞いても出てこないんですね。
 監理団体の一億円以上は出すけれど、本体だけはまだ守られているという、そういう仕組みになっているんですよ。ぜひ、このあたりも大きな課題だと思いますので、皆さん、これも検討していただくように、これは、きょうは要望とさせていただいておきます。
 あと、前回公募にしていた指定管理を、今回特命にするという事例も随分とあるというふうに思います。
 例えば公園協会の庭園なんかも、今までは公募をかけていたと。五年前は公募だったんですが、ことしから特命にすることになりました。それで小石川の後楽園ですか、私、この前、行ってきました。ちょうど紅葉の時期だったんですが、大変込んでいましたね。外まで行列ができるぐらい、ずらあっと並んでいました。そして、ライトアップとか、さまざまなイベントも行って、来場者数も実はふえているということなんですね。
 ちょっとこれグラフがあるんですが、平成十五年が大体二百四十万人、この庭園全体でいうと二百四十万人の入園者数で、ちょっとここ、一時、落ちているんですが、これは桜の開花がどうもずれたらしいんです。年度で割っていますので、三月中に桜が咲いちゃうと前年度に入る。四月以降に桜が咲くと翌年度に入っちゃうということで、少しここは誤差があるんですが、見てみますと右肩上がりで上がってきています。特にぐいっと上がったところがあるのがどこかというと、五年前、指定管理者の公募による導入があったんですね。まさに、監理団体としてみても、公募で選ばれると思うと、緊張感を持って、恐らくこれは努力をしてくると思うんです。次の五年後にちゃんと自分たちも選定してもらえるように、選んでもらえるように努力をしなきゃな、そういう努力が、私がこの前行ったときの大行列につながっていたんだというふうに思います。こういう数字でもあらわれているわけですね。
 また、指定管理者管理運営状況評価結果についてというのが出ているんですが、これは毎年、なされているようです。例えば昨年は、指定管理がされているのが全部で二百十一件、なされているんですが、これを三段階で分けています、S、A、B。Sは昔の通信簿でいうと、よくできました。そしてAは普通です。Bが、努力しましょうとか頑張りましょうというやつですね。S、A、Bで分かれています。そして二百十一件中、Sは二十三件でした。よくできましたは二十三件。そして二十三件中、公募で選ばれた業者は十九件。そして特命で選ばれた業者は、業者というか、特命で選ばれたところはたったの四件でした。人権プラザも残念ながら「普通です」のAランクだったんですが。
 これで何がいいたいかというと、やっぱり公募をしたところはSが多いんです。公募をかけたところは、やっぱり次に選ばれたいと思うから、努力をしているんですよね。その次に仕事がなくなってしまうんじゃないか、評価をされるんだという、その緊張感が、やっぱりそれぞれの団体とか、それぞれの管理をするときのモチベーションにつながってくるのかなというふうに私は思います。
 ですから、今回の人権プラザもそうですし、また、たくさん、公園とかも含めて特命になっていますが、今回いろんな局長が、代表質問の中でも、唯一無二の団体ですと。もうそこしかやるところはないから、公募をかけずに特命なんですといいますけれど、ぜひ、毎年毎年ちゃんと評価をしてもらって、そして五年たったら、公募をするかしないかも含めて、もう一度再検証、再評価をしてもらいたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○土渕行政改革推進部長 今回、新たに監理団体を指定管理者に特命選定した三十三施設につきましては、その施設や政策の特性を踏まえた新たな視点に基づく評価が必要なものと認識しております。
 そのため、政策目的の実現のため管理者が取り組むべき事項を、新たに評価項目として設定します。さらに、指定期間全体の事業計画における進捗度を評価し、その結果を次年度以降の施設運営に反映するなどの手法を導入します。
 こうした取り組みを通じて、特命選定を受けた監理団体がその役割を十全に発揮しているか検証し、確認してまいります。

○花輪委員 公の管理をしていただくわけですから、ぜひ各団体が緊張感を持って、都民サービスに努めていただく、そういうようなことになるように、皆さんにも工夫をしていただければなというふうに思います。
 今回のこの質問をするに当たって、例えば、島しょ振興公社さん、総務局の監理団体ですね、あと、今の啓発センターさんですか、実は、いろんなことをお尋ねをいたしました。本当に丁寧に、実は、この二つの団体は応じていただきました。
 契約情報については、都からの特命発注の分だけじゃなくて、自主事業分も含めて情報の開示をしてもらいましたし、過去の分に既にさかのぼって情報の開示をしていただきました。
 また、金額が多い、少ない、一億円を超えているとか、超えていない、これなしに、契約先にOBがいるかいないかも含めて情報の提供をしてもらいましたし、そのOB情報を局も団体も持っていないときには、わざわざ相手の契約企業に連絡をとって、いるかいないかも調べていただきました。さすが総務局の監理団体だなというふうに、まさにここは恐れ入ったわけですが、ぜひこの姿勢をこれからもしっかりと持っていってほしいと思うんです。
 そして、都民に対して、監理団体がしっかりと説明責任を果たせるように、そういうような団体になっていただけるようにぜひ努力をしてもらいたいと思いますが、局長の決意を伺いたいと思います。

○比留間総務局長 本年九月に策定いたしました東京都監理団体活用方針においては、都政を支える重要なパートナーとして監理団体を位置づけまして、積極的に活用していくとともに、都民への説明責任を果たすため、さらなる経営の透明性向上を図ることといたしております。
 この活用方針に基づき、都から特命で受託した事業等については、契約情報の公表範囲を二百五十万円以上に拡大することとし、さらに、このうち監理団体が特命で契約を行う、いわゆる特定契約については、二百五十万円未満の契約も含めて、全件公表してまいります。
 また、本会議でご答弁いたしましたけれども、団体の情報開示の適切な運用の確保に向けて、情報公開審査会が未整備の団体に、設置を求めていくとともに、審査会に外部委員の登用を図るよう指導をしてまいります。
 今後とも、監理団体がみずからの経営判断に基づき、都民に対する説明責任を果たしていくよう、経営の透明性向上に取り組んでまいります。

○三宅委員 私の方も、指定管理者制度について質問させていただきます。
 今回、本委員会では、人権プラザの指定管理者として、監理団体である財団法人東京都人権啓発センターを特命により選定する事案が付託されております。
 東京都人権啓発センターは、既にこの五年間、継続して指定管理者として人権プラザの管理運営を行うなど、都政の重要な政策である人権施策のまさにセンターとしての役割を担っており、適切な選定であったと認識しております。
 あわせて今定例会には、人権プラザと同様に、制度導入から五年間が経過し、更新時期を迎える、百六十八施設にかかわる五十の指定管理者の指定議案が提出されております。
 指定管理者制度につきましては、我が党は長きにわたって骨太の議論を重ね、今定例会におきましても、高橋かずみ議員の代表質問では、監理団体のこれからの活用という観点から、また宇田川聡史議員の一般質問では、指定管理者として監理団体を活用する意義及び人材育成の必要性の観点から質疑を行いました。
 これまで我が党では、監理団体は都民のための政策を実現する上での都政の一翼を担うパートナーであるとの認識のもと、昨年六月にはPT報告書を取りまとめました。その中で、指定管理者制度につきましても、施設の目的や性格によって、最も適した担い手や手法を見きわめる必要があることを提言したところでございます。
 今回の指定議案はこうした我が党の主張が制度運用の見直しとして結実したものとして高く評価する立場から、指定管理者制度も含めた監理団体の活用について質問いたします。
 公の施設は、都民サービスの提供の場となるなど、まさに都政の現場であり、その管理運営は都民の生活に直結する極めて重要な役割を担っています。このような施設を指定管理者制度によりアウトソーシングするには、指定管理者の選定方法や指定期間は妥当であるか、評価制度は適切に機能しているかなどについて、十分検証していく必要があります。検証に当たって、総務局は制度を所管する立場から、指定管理者から現場の声を直接聞き取り、地に足のついた検証を進めるべきではないかと考えます。
 都は制度導入後、その運用状況についてどのような検証を行い、検証の結果、どのようなものであったか、伺います。

○土渕行政改革推進部長 平成二十年度に、全指定管理者四十三団体を対象としたアンケート調査や事業者へのヒアリング、現場調査を実施し、制度の検証を行いました。
 その結果、制度運用に関しては各事業者からおおむね高い評価を受けたものの、検討すべき課題が明らかとなりました。
 具体的には、施設の特性から管理運営の継続性が必要であり、公募にはなじまない施設があること。施設運営に当たっては、人材育成や地域との連携構築が必要であり、指定期間を長期化すべき施設があること。適切な公募期間の確保や、施設のグループ規模を縮小し、事業者が参入しやすくする必要があること。評価の基準を明確にすることや、毎年度の評価結果を次回の選定時に反映できる仕組みとすることなど、制度の見直しの必要性がある事項が明らかになりました。

○三宅委員 制度はおおむね良好に運用されているものの、現実に施設の管理運営を行っている事業者からはさまざまな意見があり、見直すべき点も存在することがわかったとのことでした。
 さきにも述べましたとおり、都民の生活に直結する施設の運営を担わせる制度であるからこそ、常にそのあり方を検証し、見直すべき点は確実に見直していくのが行政の責務であると考えております。
 そこで、こうした現場の声を踏まえ、今回の選定に臨んで、都は指定管理者制度の運用について具体的にどのような見直しを行うのか、伺います。

○土渕行政改革推進部長 今、申し上げました課題を踏まえまして、施設の位置づけや性格を改めて検証した結果、都の重要な政策と密接な関連がある特定の施設に関しては、監理団体への特命による選定を可能とする、良好な管理運営を行っている管理者につきましては、次回選定の際にインセンティブを付与する仕組みを構築するなどの見直しを実施しました。
 さらに、選定手続における公正性、透明性の向上を図るため、選定委員会の委員の過半数を外部委員にすることや、選考経過についても公表範囲を拡大することとしました。
 あわせて、施設運営に対する評価についても、施設の設置目的などに応じて、都が重視する事項については重点的な配点を行うことも可能とするなどの見直しを行いました。

○三宅委員 都が、我が党の明らかにした課題を真摯に受けとめ、現場の声も反映した形でしっかりと見直しを行ってきたことについては理解しました。
 特に今回の見直しでは、公の施設の特性を踏まえ、施設の能力を最大限発揮することができるよう、監理団体を特命で選定できるようにしましたが、この内容が指定管理者の指定議案に、どのように反映されているのか、伺います。

○土渕行政改革推進部長 今定例会では、百六十八施設に係る指定議案が提出されており、このうち三十三施設について今回の制度運用の見直しを反映し、公募から、監理団体への特命による選定に変更しました。
 これらは都の重要な政策と密接な関連のある施設であり、具体的には、発災時に都の迅速な救援、復興活動のネットワークのかなめとなる防災公園、文化遺産としての価値向上と次世代への伝承が必要な文化財庭園、まちづくりにおいて、にぎわいの創出と防災の拠点として公共空間の核となる臨海副都心地域内の海上公園など、公的性格を持つ団体による管理が政策実現の観点から必要であり、監理団体を管理者として、特命により選定したものであります。
 また、特命することにより、長期かつ安定的な管理が継続することとなり、人材の育成、技術、ノウハウの蓄積、継承、地域などとの関係構築が可能となるものと考えております。

○三宅委員 我々は、監理団体は公と民との両方のよさをあわせ持つ一・五セクターとの位置づけ、その活用が、都にとって行政責任を果たしつつ、都民サービスの向上を図る上で必要なことであると考えております。この観点からも、今回の制度の見直しは大変意義のあるものと評価します。
 しかし、この見直しを生かしていくためには、監理団体が長期かつ安定的に人材を確保し、その育成を図りながら、都の政策実現に向け、施設の管理運営をしっかり担うための技術、ノウハウを継承し、まさに現場を担う団体の管理能力を維持、向上させていくことが重要かつ不可欠であると考えます。
 そこで、これらを担保していくために、監理団体の人材育成にどのように取り組んでいくのか、伺います。

○土渕行政改革推進部長 今回の指定管理者選定の見直しにより、監理団体においては長期的視野に立った施設の管理運営が可能となり、都が培ってきた高度な技術やノウハウが継承され、これらを担う人材の育成を図ることができます。
 また、職員を都の関連職場へ派遣し、行政の実務を経験させることで、企画管理能力の習得や幅広い視野を養うことができます。団体職員の派遣受け入れは平成二十年度に制度化してまだ間もないことから、今年度は五団体六名の職員を受け入れていますが、今後、順次、拡大していく予定であります。
 さらに、団体の将来のリーダーとなり得る固有職員を対象とし、首都大学東京の協力を得て、経営改革研修を実施するなど、団体職員の能力向上に力を注いでいます。
 今後も、監理団体が将来を担う人材を計画的に育成できるよう、都としても支援してまいります。

○三宅委員 サービス提供の担い手の育成には息の長い取り組みが必要ですが、監理団体自身の努力と東京都の支援があって、着実に歩み始めていることはわかりました。いうまでもなく、都民サービスは行政だけではなく、その支援、補完機能を有する監理団体と一体となって提供していくことが必要です。
 指定管理者制度の運用見直しや監理団体活用方針の策定は、まさに都と監理団体が一体となった取り組みを具現化するものであります。
 最後に、総務局長に、今後の監理団体活用について決意を伺います。

○比留間総務局長 都はこれまで、効率的かつ柔軟なサービスの提供が可能となる施設については、都と一体となって事業を推進するため、公と民の双方の性格を持つ監理団体を設立し、活用をしてまいりました。
 現在、監理団体は、都市づくりや産業振興、福祉、医療など、幅広い分野で都政の現場を担っており、長年にわたる事業運営の中で蓄積された技術、ノウハウを生かし、まさに都政運営になくてはならない重要なパートナーとなっております。
 今回の公の施設の指定管理者選定においては、こうした監理団体の役割を踏まえ、都の重要な政策と密接に関連する施設については、監理団体を特命で選定する見直しを行ったところでございます。
 今後とも、都民サービスの向上を図っていくため、透明性のさらなる向上など不断の改革に取り組みつつ、監理団体を政策推進のパートナーとして一段と機能させるよう、都政のさまざまな領域で積極的に活用してまいります。

○吉田委員 私も、第百九十一号議案、東京都人権プラザの指定管理者の指定について発言をいたします。
 いうまでもなく、東京都人権プラザは重要な役割を果たしているものと認識しているものです。
 さて、今回の選定委員会の概要を見ると、指定管理者候補の評価基準として、プラザ事業実施に当たり、中立性かつ公平性を確保することができるかどうかを挙げています。しかしながらこの視点で見ると、提案をされている財団法人東京都人権啓発センターは、東京都以外で唯一出捐金を出している同和関係の団体が、理事、評議員の役員構成でも、唯一それぞれ二名の役員を出すなどの状況となっています。
 東京都は既に同和事業について特別対策を廃止し、一般対策としております。また、センターの年間一般相談件数を見ても、全体で千四百二十件中、同和問題は十一件となっているのが現実です。人権問題をめぐる状況が大きく変わっている中で、また、中立性かつ公平性の視点からも疑問を感じざるを得ないことを指摘しておきます。
 以上です。

○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高倉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○高倉委員長 次に、報告事項、東京都犯罪被害者等支援計画(素案)についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 犯罪被害者等支援計画については、私ども酒井政調会長の本会議の代表質問において質疑が行われたところであります。
 そこで、この常任委員会においては、さらに具体的な点について質疑をいたします。
 まず、平成二十年に現在の計画が策定されてから間もなく三年が経過しようとしていますが、都として、これまでの計画の到達点及び逆に浮上した問題点、今後の課題についてどう把握しておられるか、認識をお伺いいたします。

○荒井人権部長 都は、平成二十年に東京都犯罪被害者等支援推進計画を策定し、総合相談窓口において、延べ六千件を超える相談、カウンセリング、付き添い等に対応するなど、被害者支援に取り組んでまいりました。
 本年一月に実施した実態調査によれば、約六割の被害者から、犯罪被害者等基本法の制定後、支援の取り組みが進んだとの評価が寄せられている一方、行政に対しては、相談事業等の充実と、被害者に対する理解を求める啓発が求められております。
 こうした意向を踏まえ、相談事業の充実強化に向けた取り組みや、都民意識の啓発に努める必要があると認識しております。

○鈴木委員 次に、現行計画の評価を踏まえて、今回の計画の素案では、どういう方向性で、どういった点に重点を置いて、計画を見直し、施策を立ち上げていくつもりなのかをお伺いいたします。

○荒井人権部長 今回の計画の素案では、都内における犯罪被害者等支援の進展を踏まえ、全庁を挙げた取り組みを進めることにより、支援の充実を図り、犯罪被害者等基本法の基本理念の実現を目指すこととしております。
 計画策定に際しては、被害者に対する実態調査の結果や相談窓口における相談状況等を踏まえ、相談事業の底上げを初めとする支援策や区市町村等との連携体制、都民意識の啓発について、それぞれ充実強化を図ることとしております。

○鈴木委員 ご答弁をいただいた実態調査でございますが、その結果はこの計画の素案にも添付されております。
 この調査では回答数が百七十四件と少なく、また交通被害者が六割、殺人被害者からの回答が三割でございます。一方、性犯罪被害者からの回答はないという、被害分類に偏りのある母集団となっています。
 また、回答者の八割は犯罪被害者等基本法施行以前に被害に遭われた方とのことで、これまでの東京都犯罪被害者等支援施策の改善点などを把握するには難しい面があると思います。その点を指摘しておきます。
 都議会民主党は、被害者都民センターを初め、被害者支援団体、当事者団体からのヒアリングの中で、現在、都の被害者支援における課題は、犯罪被害者等基本法が制定され、推進計画が制定されてきたものの、実際に個別の案件を支援しようとしてもそれに応じた支援が全都的に用意されておらず、また広域的な対応が必要なときにも対応に苦慮するという点が、大きな課題と考えております。
 したがって本日は、今後五カ年計画に当たって、被害者が求める支援が確実に被害者に届く形で実施され、充実させるため、具体的にどういう施策が必要なのか、そういう観点で質疑を、これから細かい点、させていただきます。
 性犯罪被害について、まずお話をお伺いしますが、平成二十一年度の総合相談窓口における相談等件数を被害分類別に見ると、性犯罪被害が最も多く、三分の一を占め、千件を超えました。そこでまず、性犯罪被害に対する支援について何点かお伺いします。
 性犯罪被害に遭った方に対してワンストップで支援する警察庁のモデル事業が、愛知県警により実施されています。都においても取り組むべきと考えますが、所見をお伺いします。

○荒井人権部長 性犯罪被害者を対象とする窓口を設置することは、利用者が性犯罪被害者と特定されるおそれがあるなど、プライバシー保護等の観点から慎重に対応すべきであると認識しております。
 国では現在、愛知県内の病院において性犯罪被害者対応拠点モデル事業を実施中で、今後その成果を検証し、結果を公表すると聞いております。
 都としては性犯罪被害者に対する支援をより充実させるため、この検証結果等も踏まえながら、窓口のあり方を含め、引き続き関係機関と協議してまいります。

○鈴木委員 性犯罪被害を受けた女性の警察に対する被害申告率は一割程度とされており、大部分は被害申告をいたしません。性犯罪被害者ワンストップセンターは、精神的ケア、医師による治療を受け、被害申告などの対応を一カ所で行えるようにするものです。
 隣の韓国では、既に十六カ所整備されております。公立病院などの中に設置され、相談員、警察官が常駐し、二十四時間対応と聞いております。被害者支援窓口に入るに当たっては、診察に入るようにしか見えないように、当然プライバシーは保護されているというところです。
 性的虐待を受けた子どもたちは、さらに問題が深刻化しており、韓国では十三歳以下の子どものためのワンストップセンターも整備されている中、一千三百万人の人口を抱える東京においても、こうした施設の整備が早急に望まれるところでございます。
 第二回定例会一般質問では、性犯罪被害者に対して、緊急避妊費用や初診料等を公費で負担する制度の運用における課題を取り上げています。この制度を利用するためには証拠を保全する技術も必要であり、被害者を診察する産婦人科医がこの制度や証拠保全手続に精通していない場合には、証拠を保全せずに治療を行ってしまい、後から公費負担を申請しても実現できない場合があるのが現状であり、医師にこの制度を周知していく必要があると指摘しています。
 これに対して東京都は、医療関係者に対するより一層の啓発に取り組むとともに、事件の捜査や、医療費の公費負担に必要な証拠保全等に関する技術向上策、こういったことに関しても検討してまいりますと答弁しております。
 しかしながら今回の素案には、この点、言及が見られません。具体的に、いつまでにどういう頻度で医師の研修をしていくのか明記すべきと考えますが、所見をお伺いします。

○荒井人権部長 性犯罪被害者等に対する支援をより充実させていくことは、大変重要な課題であると認識しております。個別の施策に係る事項については、現在、計画の素案を公表して、十二月十五日まで、都民からの意見を募集しているところでございます。
 関係局において、それらを踏まえました検討をした上で、最終的に東京都犯罪被害者等支援推進会議でも検討してまいります。

○鈴木委員 都議会本会議でも指摘され、また本年三月、内閣府の男女共同参画会議において専門調査会が出しました報告でも、性暴力被害者専門のワンストップ支援センターの設置の促進、そしてまた医療関係者の啓発、研修を強化し、性犯罪を潜在化させない環境整備を図ると提出されている中で、東京都犯罪被害者等支援基本計画にこのことが全く言及されていないというのはいかがなものか、ぜひ前向きに検討いただきたいと思います。
 先ほど答弁いただいたように、具体的に施策を実現していただくため、次に、経済的な支援についてお話をお伺いします。
 第二回定例会で取り上げられていた居住の安定についてです。
 自宅が殺人の現場になったり、性犯罪被害の場所になった場合には、被害者は転居を余儀なくされます。この居住について、東京都は現在、一時居所の対策を講じていますが、中期的な居住場所についての施策がありません。
 素案では、長期居住の点で、都営住宅について五倍の抽せん率としていますが、これとは別に一時使用を認めるなどして、中期的な住居の確保についても施策を打ち出し、居住の安定に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いします。

○荒井人権部長 被害者支援の中で居住の関係につきましても、それぞれの所管の部門を含めまして、素案を公表しておる中で、十二月十五日までの都民からの意見を参考にしながら検討し、最終的に東京都犯罪被害者等支援推進会議で検討するものでございます。

○鈴木委員 次に、精神的ケアについて質問をさせていただきます。
 どの犯罪被害者も、時間の感覚がなくなるなど精神的な面への影響が深刻であり、カウンセリングなどの相談体制の充実が重要です。子どものころに性的虐待を受けた被害当事者は、大人になってからも精神的治療が継続して必要になるということも多いと聞きます。精神的な治療を行える医師が不足している中、その周知が必要です。また、臨床心理士のカウンセリングを受けるに当たっては、保険の適用もありません。
 都独自で総合相談窓口に臨床心理士を配置していますが、精神的ケアをどこでも受けられるよう、費用を支援するなどの独自施策を計画に盛り込むべきと考えますが、見解をお伺いします。

○荒井人権部長 犯罪被害者等が心身に受けた影響から早期に回復するためには、その状況に応じた適切な保健医療サービスを受けられることが重要と考えております。
 このため、都の総合相談窓口においては、臨床心理士や精神科医等によるカウンセリングを他の自治体に先駆けて実施しているほか、都立の各精神保健福祉センターでは、精神的な悩みや心の病気に関する相談を実施しております。
 今回の素案では、行政職員や精神保健福祉関係職員で、実務経験が一年以上三年未満の者を対象に、相談等の基礎的な知識を学ぶ研修を行うこととしております。
 なお国においては、被害者に対するカウンセリング費用の公費負担について今後二年以内に検討し、必要な施策を実施すると聞いており、この動向を十分に注視してまいります。

○鈴木委員 国においても、被害者に対するカウンセリング費用の公的負担について今後二年以内に検討し、必要な施策を実施すると聞いております。ぜひ、都も協力をして、被害者の精神的ケアの公費負担を前向きに検討いただければと思っております。
 次に、旅費についてお伺いします。
 犯罪被害者への経済的支援として、旅費支援について、裁判管轄が異なる裁判所への旅費支給などについては、大阪府の摂津市では条例で規定しているところでございます。
 東京都においても、旅費支給を初め、条例で規定をし、都独自の旅費に対する経済的支援を創設すべきと考えますが、所見をお伺いします。

○荒井人権部長 経済的な支援の関係でございますけれども、経済的支援につきましては、国の犯罪被害給付制度なども徐々に充実してきておりますが、犯罪被害者等の支援のためには必ずしもまだ十分ではないという面もございます。
 都としては、犯罪被害者に対しまして、国の各制度とあわせて、都における既存の貸付制度なども、情報の提供に努めております。犯罪被害者等が被害者参加制度を利用して、裁判所に出廷する際の旅費等の支給に関しまして、現在、国において負担を軽減するための制度の導入について検討を行い、二年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施すると聞いておりまして、この動向には十分に注視してまいります。

○鈴木委員 これまで、支援の拡充について質疑をいたしてまいりました。
 被害者への支援を進めるに当たっては、都と区市町村、民間支援団体等と関係機関が連携し、途切れることのない支援をしていくことが犯罪被害者等基本法でも明記されているところです。
 支援においては、東京都として広域的に創設し、行うべき支援と、各区市町村で行われることがふさわしい支援とが構築され、連携していくことが重要との観点から、次に、お伺いします。
 被害者は、日常生活を送ること自体が困難になっています。
 そうした中で、家事もままならず、家庭不和になることも少なくありません。またこうした中で、被害直後からさまざまな申請や捜査、裁判といった司法手続を行う必要もあります。そういう意味で、日常家事支援の制度や手続補助、付き添いなどが不可欠です。
 こうした個別に寄り添う支援は、全区市町村で立ち上げることがふさわしいと考えますが、所見をお伺いします。

○荒井人権部長 被害者支援の取り組みの一つとして、都内の区市町村の中には、調理や、衣類の洗濯、生活必需品の買い物など、日常生活への支援を行っている自治体もございます。
 こうした取り組みは他の自治体の参考となることから、都としては、今後もこのような事例を区市町村に紹介することなどにより、多角的な取り組みが進むように働きかけてまいります。

○鈴木委員 今回の素案では、東京都は区市町村との連携体制を構築していくということを掲げています。この方向性については賛成であり、一定の評価をするものであります。
 先駆的な区では、職員を被害者支援都民センターに数カ月派遣して、実際の支援現場で学んだことを自治体に持ち帰って施策を立ち上げたところもあります。この取り組みを全区市町村に広げる必要があるのではないでしょうか。
 本会議での答弁では、区市町村の取り組みのさらなる充実に向け、サポートするということでありますが、その取り組みについてお伺いをします。

○荒井人権部長 都では区市町村の取り組みをサポートするため、窓口等で支援を担当する区市町村職員を対象とした被害者支援研修等を既に実施しております。
 また、全区市町村で構成する支援連絡会を開催し、先進的な取り組み事例の紹介を行うなど、支援に関する情報提供も行っております。
 今後、これまでの取り組みに加え、新たに総合相談窓口で研修生を受け入れるほか、都の相談員が区市町村を訪問し、相談の留意点や困難事例への対応を助言することなどにより、区市町村の相談事業の充実を図ってまいります。

○鈴木委員 区市町村支援担当窓口数については三分の二まで至ったと、過去、答弁がございましたが、専用窓口は、現在、三市区町村しかないのが実態でございます。
 各区市町村相談窓口の設置に当たっては、担い手となるキーパーソンとなる職員を育成すること。そして、相談事業とは、単に話を聞くというのではなくて、支援につなげるためのアクセスポイントとして実施することが重要であって、そのことにかんがみれば、区市町村として支援内容をしっかり持つことが相談窓口の設置に必然的につながると考えます。
 さて最後に、だれしもが犯罪被害者になる可能性があります。被害者が二次被害を受けることなく被害を回復するためには、多くの都民がこの制度について理解をすることが不可欠です。その観点から、今後の啓発活動についてお伺いをいたします。

○荒井人権部長 犯罪被害者に対する支援において、区市町村や民間団体と一体となって啓発に取り組むことは重要であると考えております。
 これまでも、犯罪被害者週間の講演会などの啓発行事を、区市町村や民間団体と協力して開催してまいりましたが、今後、区市町村や町会連合会、PTA協議会など、地域で活動する民間団体がイベント等を行う際に、犯罪被害者等の置かれている状況と必要な支援についての資料や、被害者に対する支援への協力を訴える展示パネルを提供するなど、啓発活動の充実を目指してまいります。

○鈴木委員 昨日のNHKのニュースでも、千葉県の高校で、犯罪被害者の母親の講演を取材しておりました。
 都においても、都民への理解の増進等への取り組みとして、教育庁においては、犯罪防止・犯罪被害者理解教材、及び犯罪被害者等の体験談を取り入れた非行防止・犯罪被害防止教育推進指導資料の、各学校での活用を促しますとしております。
 また、警視庁の取り組みとして、中高生を対象とし、交通安全教室、薬物乱用防止等非行防止教室と連動して犯罪被害者等による講演を行い、命の大切さ等の理解を深め、犯罪を犯してはならないという規範意識の向上を図りますと記載をされております。
 こうした各局の取り組みを融合させて、具体的に学校で実施するなどしながら、実効性のある啓発活動とするよう要望をいたします。
 最後に、犯罪被害者等基本法が制定され、国は刑事訴訟法の改定も行いました。まさに、犯罪被害者の人権を守るための具体的な法制度が完備されたということです。国の法制度の改革により、地方自治体は犯罪被害者の具体的な人権支援の義務が生じたということです。我が会派が求めています犯罪被害者条例は、都の犯罪被害者への責務と具体的な支援を規定することで、実効力をまさに担保することでございます。
 ぜひとも都は早急に犯罪被害者条例の整備に着手し、条例制定により犯罪被害者の人権を守るよう強く要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○小林委員 今、鈴木委員の方からもさまざまご質問がございましたので、若干、質問の趣旨がかぶる点もあるかもしれませんが、何点か確認をさせていただきたいというふうに思います。
 犯罪被害に遭われた方、また、そのご家族の悲しみ、苦悩、怒りは、軽々に論ずることのできない、当事者でしかわかり得ない葛藤があるというふうに思います。本日のこの質問をさせていただくに当たりまして、交通事故で小学生のお子様お二人を亡くされたお母様の手記を拝見いたしました。そこには次のように記されておりました。
 私たち被害者は、実情を多くの人に理解してもらうために、社会へ向けて声を出し続けています。まずは無関心をやめて、私たち被害者の声に耳を傾けてください。被害に遭うということは、遠くの世界で起きている出来事ではなく、私たちが暮らしている社会の中で毎日のように起きている現実なのです。決して他人ごとではありません。一人でも多くの方が被害者に対する理解を深めてくださることを願っております。このように述べられておりました。
 この手記の一言一句の言葉を重く受けとめて、犯罪のない社会を目指していくということはもちろんのことでありますけれども、犯罪被害に遭われた方々の心を少しでもいやし、再び希望を持って人生を歩んでいかれるように、行政、そして周囲の人々が力を合わせて取り組んでいくことは極めて重要なことであるというふうに思います。
 このような犯罪被害者の方々の声を受けて、平成十六年に、被害者の権利保護を目的として犯罪被害者等基本法が制定されました。
 この法律において、国そして地方公共団体、国民のそれぞれに、被害者等の支援に取り組む責務があるとの規定がなされましたが、改めて確認をさせていただきますが、この犯罪被害者等基本法では、地方公共団体は被害者支援に関し、どのような責務を負うこととされているのか、お伺いをさせていただきます。

○荒井人権部長 犯罪被害者等基本法は、地方公共団体は基本理念にのっとり、犯罪被害者等の支援等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し及び実施する責務を有すると定め、基本的な施策として、犯罪被害者等が、日常生活または社会生活を円滑に営めるよう相談に応じ、必要な情報の提供や保健医療サービス及び福祉サービスの提供など、必要な施策を講ずるものとしております。
 このため、都は平成二十年に東京都犯罪被害者等支援推進計画を策定して、この計画に基づき、施策、支援に取り組んでおります。

○小林委員 この犯罪被害者等基本法を受けて、平成二十年に東京都犯罪被害者等支援推進計画を策定されたわけですが、計画期間が三年であり、間もなくその計画期間を終えるわけですけれども、この推進計画をもとに、今日まで都として取り組んできた犯罪被害者支援の取り組みの成果について、どのように認識をされているのかお伺いをいたします。

○荒井人権部長 都では、平成二十年に策定した東京都犯罪被害者等支援推進計画に基づき、被害者支援に全庁を挙げて取り組んでまいりました。
 例えば、平成二十年四月に開設した総合相談窓口では、これまで延べ六千件を超える相談、カウンセリング、付き添い等の支援を実施してまいりました。また、区市町村、民間団体等とも連携して、啓発活動などにも取り組んでまいりました。
 本年一月に犯罪被害者等の協力を得まして実施した犯罪被害者等の実態に関する調査によれば、犯罪被害者等基本法制定以降の取り組みの進展を、六割を超える被害者が評価しており、取り組みの成果は着実に上がっているものと認識しております。

○小林委員 今回の東京都犯罪被害者等支援計画は、間もなく計画期間を終えるさきの支援推進計画を、より一層充実させるために策定をするわけでありますけれども、行政として支援計画をつくるためには、何より被害に遭われた方やそのご家族の声、置かれている状況を把握し、実効性を高めていくことが非常に大切であるというふうに思います。
 都では、本年一月にこの計画の見直しに当たって実態調査を行っておりますが、その調査の結果、どのような課題が浮かび上がったのかを改めてお伺いさせていただきます。

○荒井人権部長 実態調査によれば、被害者は生活環境が激変し、犯罪による直接的な被害にとどまらず、精神的被害、経済的被害等にも苦しんでいます。
 被害者が置かれた状況については、「余り知られていない」と「全く知られていない」とを合わせますと、八割を超える被害者が、世間一般から知られていないと回答しています。
 また、行政に対して、今後充実させていくことが望ましい支援として、各種相談事業等の充実と、被害者に対する理解を深める啓発事業の充実を望んでおり、今後こうした要望にこたえていく必要があると認識しております。

○小林委員 被害に遭われた当事者の方々からの直接の声を聞いた上で、今回の改定作業に着手されたこと、これは大変に、私は重い意味があるというふうに思います。恐らくこの声を寄せてくださった方々は、心の傷もいえぬ中で調査に応じてくださったことと思いますし、また勇気を持って答えてくださったというふうに思います。
 今回、この調査におきましては、調査票の郵送及び回収によるアンケート調査で実施されたということで、特にこの調査対象である犯罪被害者の方々については、発送数に対して有効回収率が三九・九%と、先ほどもご指摘ございました。
 一見すると、この数字が非常に低いようには見えますけれども、私は、実はそうではなくて、行政の側が次の支援計画をつくるために、改めて皆様の声をお聞きをしたいと、そのような形で、ぜひとも声をお聞かせくださいという形でやったとしても、実際の当事者の方々はそれに答えたくてもまだ心の整理ができていない、また心の余裕がないという中で、実はこういう形で応じてくださったんだというふうに思います。
 そういう意味では、たとえ数は少なかったとしても、まさにこのいただいたお声というものが着実に次の支援計画に反映されていくことが、非常に重要ではないかというふうに思います。この実態調査の中でさまざまな課題が見えてくる中で、そのいただいたお声一つ一つを着実に前進させていくことが、勇気を持って声を寄せてくださった方々の心に報いていくことだというふうに思います。
 その声の一つとして、先ほど答弁にもありましたが、各種相談事業の充実という点がありました。都では、平成二十年の支援推進計画とともに総合相談窓口を設置し、施策の一つの核となっているものと理解をしております。
 そこで、この総合相談窓口では、どのような方が相談員となって、被害者の方々から相談を受けているのか。また、相談のほかにどのような業務を行っているのか、お伺いいたします。

○荒井人権部長 総合相談窓口では、相談業務に三年以上の経験を有するなど、国家公安委員会規則が定める要件を満たした者のほか、臨床心理士や精神科医が、相談、カウンセリング等を行っております。
 相談員は必要に応じて、裁判所や病院等への付き添いや、被害直後の一時的な居住場所の提供を行うなど、きめ細やかな支援を実施しております。
 なお、総合相談窓口では、警察への被害届の提出の有無などにかかわらず、被害者からの相談に対応しております。被害に遭ったことを周囲に知られたくないため、警察への届け出をためらっている方々などに対しましても、相談員がきめ細かく相談に応じております。

○小林委員 被害に遭われた方は心の整理がつかない中で、どこにどのように自分の気持ちをぶつけていいのか、また相談をしていいのかわからない状況が多々あるかというふうに思いますので、この総合相談窓口の役割、これは大変に重要であるというふうに考えます。
 平成二十年の支援推進計画策定以降の総合相談窓口の相談状況を見ますと、被害種別として、殺人、交通被害、性犯罪被害、暴行傷害、財産的被害と五種ある中で、特に性犯罪被害に気がかりな数値がございました。
 平成二十年度において三百九十三件の性犯罪被害の相談件数があった中で、翌平成二十一年度には相談件数が一千百一件と、約二・八倍増加しております。増加の要因はさまざま考えられると思いますけれども、総合相談窓口においても、しっかりこの性犯罪被害に対応できる体制を整えていかなければならないというふうに考えます。
 そこで今後、被害者支援のために、具体的にどのように総合相談窓口を活用していく方針か、あわせて、増加しているこの性犯罪被害者からの相談に対して、どのように対応していくのかをお伺いいたします。

○荒井人権部長 都の総合相談窓口は、引き続き支援を着実に実施していくとともに、都内全域のセンターとしての役割も果たしてまいります。
 今回の素案では、被害者が被害直後に速やかに総合相談窓口を利用できるよう、被害者が治療を受ける医療機関においても、相談窓口の周知を図ることとしております。
 また区市町村に対しては、職員を研修生として受け入れるほか、相談員が区市町村の窓口を直接訪問して、支援についての助言を行うこととしております。
 性犯罪被害者支援については、精神面への影響が特に深刻であるといわれており、注意深い対応が必要であることから、総合相談窓口では被害者等の置かれた状況を総合的に判断して、被害直後の一時的な居住場所の提供、精神科医等によるカウンセリング、病院等への付き添いなども行います。
 さらに、時間的経過とともに、裁判所への付き添い、継続的なカウンセリングや自宅訪問など、必要に応じて、被害からの回復に向けた支援を行っております。
 なお素案では、一時的な居住場所の提供に当たっては、被害に遭われた方と同居していない親族も付き添うことができるよう、見直しを検討することとしております。

○小林委員 ありがとうございます。
 冒頭ご紹介した、お子様を亡くされたお母様の手記には、周りの人がよかれと思っていった何げない言葉が心に突き刺さり、それによってさらに苦しめられていますとの、二次被害について述べておられました。
 都が行いました実態調査において、被害後の他人の言動や態度により傷ついたことがありますかとの質問に対し、加害者及び加害者側弁護士などの加害者側関係者の対応というものが八五・九%、警察、検察など捜査関係者の対応が六二・四%と高い数値を示しておりました。そして、役所窓口での対応というのも三〇・六%ございました。
 犯罪被害に遭われた方や、そのご家族の苦しみを推しはかることは大変に難しいことであるというふうに思いますけれども、犯罪被害者支援においては、ともに苦しみ、前進していくという心を私たちは忘れてはならないというふうに思います。
 総合相談窓口には、大変多くの相談が寄せられておりますが、職員の皆さんも真摯に、また誠実に対応されているというふうに思いますけれども、寄せられる相談一つ一つが被害者の方々の苦しみであり、叫びであり、人生であるということをしっかりと心にとどめて、対応には十分に配慮しながら、今後とも支援を充実させていただきたいというふうに思います。
 そして、職員の皆さんにこのようなことを要望するからには、私自身も被害者の方からご相談をいただくようなことがあれば、同じ心でお手伝いができるよう取り組んでいくことを誓いまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高倉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十八分散会

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