委員長 | 高倉 良生君 |
副委員長 | 吉原 修君 |
副委員長 | 松下 玲子君 |
理事 | 小山くにひこ君 |
理事 | 谷村 孝彦君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
小林 健二君 | |
西崎 光子君 | |
鈴木 勝博君 | |
三宅 正彦君 | |
服部ゆくお君 | |
中屋 文孝君 | |
花輪ともふみ君 | |
大沢 昇君 |
欠席委員 なし
出席説明員知事本局 | 局長 | 秋山 俊行君 |
儀典長 | 高原 寿一君 | |
次長理事兼務 | 井澤 勇治君 | |
理事 | 小林 清君 | |
総務部長 | 大井 泰弘君 | |
調整担当部長 | 山中 康正君 | |
地方分権推進部長 | 松下 隆弘君 | |
自治制度改革推進担当部長 | 松浦 慎司君 | |
外務部長 | 中山 正雄君 | |
国際共同事業担当部長 | 長澤 徹君 | |
基地対策部長 | 市毛 良之君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 新美 大作君 | |
政策部長 | 野村 俊夫君 | |
計画調整部長 | 武市 敬君 | |
計画調整担当部長 | 瀬口 芳広君 | |
人事委員会事務局 | 局長 | 多羅尾光睦君 |
任用公平部長 | 大村 雅一君 | |
試験部長 | 鈴木 隆夫君 | |
審査担当部長 | 小澤 達郎君 | |
監査事務局 | 局長 | 三橋 昇君 |
監査担当部長 | 並木 勝市君 |
本日の会議に付した事件
知事本局関係
事務事業について(質疑)
人事委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・平成二十二年「職員の給与に関する報告と勧告」について
監査事務局関係
事務事業について(質疑)
○高倉委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、知事本局、人事委員会事務局及び監査事務局関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより知事本局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○大井総務部長 要求がございました資料三点につきまして、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料に沿ってご説明申し上げます。
まず、一ページ目をお開きください。「十年後の東京」への実行プログラムの事業費の推移でございます。「十年後の東京」で掲げております八つの目標につきまして、年度ごとの事業費を掲載してございます。
次に、二ページをごらんください。「十年後の東京」計画の主な数値目標に対する進捗状況でございます。八つの目標に関する主な数値目標と、平成二十一年度末の進捗状況を記載してございます。
続きまして、三ページをごらんください。横田基地に関連する事件、事故等でございます。平成十三年から平成二十二年までの十年間に発生いたしました主な事件、事故等を一覧にしてございます。
以上、簡単でございますが、要求資料の説明とさせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○高倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○三宅委員 初めに、「十年後の東京」と実行プログラムについて何点か質問いたします。
「十年後の東京」の底流に流れる思想は、東京を二十一世紀の都市のモデルにしていくことですが、こういう発想が今とても重要だと改めて思っています。この二十年、日本は停滞し、先が見えない状態が続いています。それゆえ、知らず知らずのうちに我々は悲観的に物を見るようになり、自信を失って、なかなか将来への希望、展望を語りにくくなっていると思います。
国政では特に顕著ですが、政治は、とかく目先のむだ排除などに目が行きがちなように思えます。しかし、将来を見通して、腰を据えて社会を変えていくことが政治の本来の役割であり、それゆえ「十年後の東京」で都市の未来図を描いて展望を指し示し、具体策を着実に進めていくことはとても重要なことだと思います。
都議会自民党は、これまでも知事とともに「十年後の東京」の実現に全力を挙げてきましたが、私も都議会議員の一人として、施策の推進に力を尽くしていきたいと強く思っているところです。
ところで、東京の都市としての特徴は、政治の機能や経済活動が日本の中心になっていることもありますが、同時に、そうした高度な都市機能のすぐ横に豊かな自然が同居していることにあります。多摩・島しょは、東京に、都市としての奥行き、他の大都市にはない魅力を与えています。
多摩でいえば、例えば高尾山は、ミシュランのガイドで三つ星を獲得しています。また、世界自然遺産登録を目指す小笠原の美しさはいうまでもなく、大島も、先ごろ日本ジオパーク委員会から関東で初めてジオパークに認定され、今後、自然を保存しながら教育や観光に生かす新たな取り組みが期待されますし、また三宅島では、噴火のつめ跡を逆に活用した本格的なエンデューロレースが、いよいよ十一月に開催されます。
そこでまず、「十年後の東京」への実行プログラムでは、多摩・島しょにおいてどのような施策をこれまで展開してきたのかお尋ねします。
○武市計画調整部長 実行プログラムでは、多摩・島しょ地域におきまして、平成二十五年開催の東京国体を視野に入れつつ、人、産業、自然など、地域の持つ固有資源を最大限に活用して、さらなる発展を遂げるための施策を展開してまいりました。
実行プログラム二〇一〇におけます多摩・島しょ地域での具体的な施策の展開の例といたしましては、圏央道や外環道などの環状道路や、府中清瀬線などの多摩南北道路の整備、産業総合支援拠点の活用や産業コミュニティ活性化プロジェクトなどによる多摩シリコンバレーの着実な形成、地域医療の支援のため即戦力となる医師を採用し、島しょ地域の公立病院などへ派遣する都独自の医師確保対策、さらに、島しょにいながらにして広尾病院の専門医師の助言を受けられる画像電送システムの充実を図るなどの医療支援体制の整備、また、主婦層だけでなく小学生を初めとした幅広い年齢層の都民に、東京の水産物の魅力や情報を伝えて消費拡大を図る魚食普及活動の展開、あるいは伊豆諸島や小笠原諸島が美しく豊かな自然に恵まれておりまして、観光資源の宝庫でもあることから、小笠原の世界遺産登録に向けた魅力ある景観形成を推進するとともに、多摩の地域におきましては、あきる野、日の出、檜原地域の観光まちづくりを支援いたしております。
こうした施策が、主な取り組みとして挙げられるところであります。
○三宅委員 ハード、ソフトの両面から、さまざまな施策が展開されてきたことに感謝いたします。今後もぜひ、多摩・島しょの置かれた状況にあわせ、また、その持つ魅力、可能性を最大限に引き出すように、施策に工夫を凝らしてもらいたいと思います。
例えば、多摩・島しょ地域を中心に開催される二〇一三年の東京国体は、所管はスポーツ振興局ですが、スポーツの振興だけでなく観光情報の発信や多摩・島しょの名産、農産物のPRなど、幅広く全庁横断的に取り組んでいただきたいですし、都庁における扇のかなめの位置にある知事本局には、特段の頑張りをぜひお願いしたいと思います。
さて、実行プログラムは、ことしも改定作業を進めていると聞いています。そこで伺いますが、ことしの実行プログラム改定の考え方はどのようなものでしょうか。
○秋山知事本局長 東京都では二〇〇六年に、都市戦略としての「十年後の東京」計画を策定いたしました。
これは、二〇一六年の東京の姿と、それに向けた政策展開を明らかにしたものでございまして、三宅委員ご指摘のように、東京を二十一世紀の都市のモデルにしていくという考え方で策定をしておるものでございます。
この「十年後の東京」計画は、そういう意味でいわば東京の未来図の羅針盤としての役割を担っておりますけれども、これを実現するための道筋を示していくものといたしまして、実行プログラムが位置づけられております。
三カ年のアクションプランで、それまでの進捗状況などを検証した上で毎年度改定していくという性格から、そういう方針を立てているというところでございます。
現在、実行プログラム二〇一一に向けた改定作業に着手しておりますけれども、施策の検証結果を反映いたしますとともに、都政をめぐる新たな課題に対し的確かつ迅速に対応していくということから、引き続き、三カ年のアクションプランの改定を進めております。
また、このような毎年実施している改定に加えまして、計画期間が半ばに差しかかっているということから、これまでの取り組みをさらに詳細に検証して総括をしたいと思っておりまして、また、その総括の上に立って、将来につながる政策展開の方向性を提示していくということも考えております。
こうした考え方のもとで、東京の魅力や機能をより高める取り組みを加速させていくという観点から、実行プログラムの改定作業に当たってまいりたいというふうに考えております。
○三宅委員 改定の考え方は大変よくわかりました。
東京全体に目配りをして、東京の多様な魅力、可能性がバランスよく発展していくよう工夫してほしいですし、そのためにも、必要な施策は思い切ってしていただき、実行プログラムをよりよいものにしてもらいたいと思います。
知事本局の頑張りを期待しまして、次の質問に移らせていただきます。
アジア大都市ネットワーク21についてでございます。
アジアは、世界の成長センターとして目覚ましい発展を遂げており、アジア域内の経済的な相互依存関係が強まるとともに、社会的、文化的な交流も一層活発化しています。
こうした背景をもとに、近年、国レベルでも、経済を中心にアジア各国との連携の重要性がクローズアップされるようになりましたが、東京都では早くから知事がアジアの重要性に着目し、アジア大都市ネットワーク21を立ち上げて、さまざまな取り組みを行ってきました。その先見性は、やはり知事ならではのものだと思います。
アジア大都市ネットワーク21は平成十三年の発足以来ことしで十年目を迎え、アジア各都市で開催されてきた総会が会員都市をほぼ一巡し、この十一月には東京で二度目の総会を開催しますが、この間、大都市が連携し、さまざまな成果を上げてきたことと思います。
そこで、アジア大都市ネットワーク21の十年間の取り組みの成果について伺います。
○長澤国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21では、中小型ジェット旅客機の開発促進を初め、危機管理や感染症対策など、さまざまな分野で各都市が協力し、共通する課題の解決に取り組んでまいりました。
例えば危機管理の分野では、都の総合防災訓練に、アジアの各都市のレスキュー隊が平成十八年から五年連続で参加し、救助技術の共有を図ってきたほか、感染症の分野では、アジアでいまだ蔓延している結核の共同研究を実施しております。
また、各分野で、三百名を超す行政職員や専門家への研修を実施してまいりました。
これらの取り組みを通じ、現場レベルでの情報交換や人材交流が充実することによって、会員都市間の信頼関係を強固なものにするとともに、各都市の施策の向上、ひいてはアジアの発展に大きく貢献してまいりました。
○三宅委員 アジア大都市ネットワーク21の活動を通じ、アジアの大都市の連帯が強まってきたことは高く評価したいと思います。東京はこれまでも、アジア大都市ネットワーク21における中心的な存在として、さまざまな問題解決の場面で会員都市をリードしてきました。
他方、東京には都庁以外にも、民間企業を含め、すぐれた技術やノウハウを持つさまざまな活動主体があります。急速な経済発展に伴い、アジアでは環境問題を初めとするさまざまな課題が新たに生じてくることが予想されますが、こうした課題を解決していくには、行政だけでは難しいと思います。
最近、水ビジネスが問題になっており、東京都でも水道局が中心となって関連企業と協力し、マレーシアなどアジアの国々へ調査団が訪問しており、これは、これからの方向性を示すよい例だと考えます。
今後、水道以外にも、幅広い分野での官民が一体となったアジアとの関係強化が必要です。アジア大都市ネットワーク21においても、これまで培ってきた都市間の連携を軸に、将来に向けて、民間を含む幅広い層と連携して事業を展開していくべきだと考えますが、東京総会を契機としたアジア大都市ネットワーク21の今後の展開についてお伺いします。
○長澤国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21は平成十三年の発足以来、アジアの頭脳部、心臓部である大都市が連携して共通する課題に取り組み、成果を上げてまいりました。今後、アジアの大都市が抱える課題の解決をさらに効果的に図っていくためには、行政レベルにとどまらず、ご指摘のように、民間企業を含む多様な主体の活力を取り込んでいく必要があります。
民間の技術やノウハウをアジアに積極的に提供していくことが、アジアの課題解決に資すると同時に、東京の企業の成長や発展につながります。このため、今回の総会では、ネットワークの新たな展開に向けた官民連携の広がりについて討論いたします。
また、総会のレセプションには、東京とアジアの民間企業や経済団体を多数招待し、相互交流を図るほか、総会と連動して開催する産業交流展などを通じて、東京の中小企業のすぐれた技術を会員都市に紹介するなど、東京とアジアの経済交流の活性化を図ります。
今回の東京総会を足がかりとして、これまで培ってきた都市間の連携を一層強固なものとし、アジアのさらなる発展と繁栄に資する、より実効性の高いネットワークへと進化させてまいります。
○三宅委員 今後のアジア大都市ネットワークの展開についてご答弁いただきましたが、対中国との問題もあり、アジアとの関係は一筋縄ではいかないかもしれませんが、ぜひ、東京ならではの技術、人材を生かした活動を、これからも強化していただきたいと思います。
二十一世紀はアジアの世紀と、第三回定例会でも知事は述べていました。さらなる取り組みの進展を期待しまして、私の質問を終わります。
○小林委員 私の方からも「十年後の東京」計画、そしてそれに伴います実行プログラムについて、何点か確認をさせていただきたいというふうに思います。
平成十八年に「十年後の東京」が策定されまして、本年で四年となります。個人であれ、また組織であれ、未来を見据え、そしてまた未来のビジョンを描き、その実現のために今何をなすべきかという取り組みは、大変に重要であります。
「十年後の東京」計画におきまして、石原知事は、二十世紀の負の遺産をこれからの十年間で一気に解消するとともに、東京を、さらなる成熟を遂げた美しいまち、安全が確保された、さらに住み心地のよいまちへと生まれ変わらせることで、新しい歴史として次代に継承してまいりたいと強い決意を述べておりますが、この理念を形とし、東京をさらに高いレベルへ成熟させていくために、「十年後の東京」において三つの取り組みが必要とされております。
初めに、改めて、この三つの取り組みについての考え方についてお伺いをさせていただきます。
○武市計画調整部長 この「十年後の東京」では、今後十年間で東京をさらなる成熟都市に発展させていくためのねらいといたしまして、三つの取り組みを示しております。こうした取り組みを通じまして、東京が世界諸都市の模範となることを目指しております。
その取り組みの第一といたしましては、東京の最大の弱点であります交通渋滞を、三環状道路の整備などによって克服するとともに、成長の過程で生じた大気汚染やごみの急増など、残された二十世紀の負の遺産を解消するための施策に取り組むということを示してございます。
第二は、より機能的で魅力的な東京の姿を明らかにすることでありまして、渋滞解消によって生まれるゆとりを活用いたしまして、快適で利便性の高い都市生活を実現するとともに、だれもがまちを楽しめるユニバーサルデザインのまちづくりを進めていくことを掲げております。
第三といたしまして、水辺からの眺望を重視した良好な景観形成を図ることや、東京の喫緊の課題であります震災対策に集中的に取り組むことにより、美しいまち、安全なまちを実現いたしまして、東京の価値や信用力を高め、その貴重なレガシーを次の世代に継承していくということとしております。
○小林委員 今ご答弁にもございましたように、東京の負の遺産を解消し、より機能的、魅力的な東京の姿を示し、それを実現して東京の価値を高めていくというこの三つの取り組みが必要であるとの認識のもとで、さらに、この「十年後の東京」計画の全体を貫く三つの視点というものが掲げられております。
この三つの視点は、毎年策定されている実行プログラムにおいて、各局が事業案を作成する場合に、十分にこの三つの視点を踏まえていくことが必要とされていると思いますが、この三つの視点の考え方についてもお伺いをさせていただきます。
○武市計画調整部長 「十年後の東京」の全体を貫く考え方として掲げました三つの視点についてでございますが、まず、「十年後の東京」によりまして先進的な取り組みを進めるためには、人類が未来に向かって抱く文明社会の夢を実現する、そのための科学技術を最大限に活用することが必要でありますので、そうしたことから、まず最先端の科学技術力によって未来を切り開くということを一つ目の視点に据えております。
また、先進的な取り組みを行うためには、多様な人材をさまざまな分野のあらゆる段階で新たなレベルアップを図ることが必要であることから、多種多様な人材の集積地でありますメリットを生かしまして、東京から新たな人材育成システムのあり方を発信する、これを二つ目の視点としております。
さらに東京は、今後世界で最も発展することが見込まれております東アジアの諸都市と経済分野で連携をし、そこから生み出される価値をより大きなものとするとともに、文化、芸術などの国際交流による相互理解を深めまして、アジアの紐帯をより強固なものにすることが求められていることから、東アジア諸都市との連携、連帯を通じてダイナミックな発展を遂げること、これを三つ目の視点としているところでございます。
○小林委員 この三つの取り組み、そしてまたこの三つの視点というもとで、この「十年後の東京」計画を着実に実行していくために毎年策定されています実行プログラムも、二〇〇八を最初として現行の二〇一〇に至るまで、二度の改定が行われておりますが、今、新たに年内の発表をめどに、先ほどもご答弁にありましたように、二〇一一の策定に着手されているというふうに思います。
そこで、実行プログラム二〇〇八から二〇〇九への改定、また二〇〇九から二〇一〇への改定において、それぞれどのように検証をされ改定がなされてきたのか、確認の意味で、それぞれのポイントについてお伺いをさせていただきます。
○武市計画調整部長 実行プログラムでは、「十年後の東京」を確実に実現するためのアクションプランということでございまして、毎年度の改定に当たりましては、施策の進捗状況でございますとか成果を検証するとともに、社会情勢の変化に的確に対応すべく施策を再構築しているところでございます。
まず、実行プログラム二〇〇九の改定に当たりましては、ポイントといたしましては、大地震の続発を契機といたしまして安全・安心に対する危機意識が高まっているといったことから、子どもたちを守る学校の耐震化を強化するとともに、医師不足による外来、分娩の休止問題でございますとか、救急搬送の受け入れ困難事案の発生といったことがございましたことから、東京都独自の即効性ある医師確保対策の開始でございますとか、周産期、救急医療体制の再構築などを盛り込んだところでございます。
また、実行プログラム二〇一〇の改定に当たりましては、本年四月から開始いたしました、大規模事業所を対象とした世界初の都市型キャップ・アンド・トレードがより機能いたしますように、中小事業所のCO2削減量をクレジット化する仕組みを創設するとともに、将来の日本の存立をも脅かしかねない急速に進む少子化を打破するために、福祉、医療、雇用、住宅、教育など政策の垣根を越えた対策を構築いたしまして、質、量ともに充実した少子化施策を集中的に実施することとしております。こうした点が、これまでの実行プログラム改定に当たっての主なポイントでございます。
○小林委員 十年というスパンでございますけども、この十年というスパン、これはある意味長いようで短くもあり、先ほど申し上げました知事の決意を目に見える形として実現していくためには、いうまでもなく、一年一年の着実な、また堅実な前進を重ねていかなければならないというふうに思います。その意味で、毎年の実行プログラムの改定において、事業の進捗状況を精査し、今、何をどのように取り組んでいかねばならないのかという緻密な検証こそが極めて重要であります。
しかしながら、昨今の社会情勢の変化の目まぐるしさにおいては、この実行プログラムに掲げた事業のあり方や、また今後の施策の方向性について、軌道修正を検討しなければならない状況にも遭遇するかというふうに思います。
都として大きく掲げ、都民に示した「十年後の東京」の姿は、全庁を挙げて断固実現していくとのかたい志を持ち続けていくことは何より大切であるというふうに思いますけれども、さまざまな状況の変化に、迅速にまた柔軟に対応し、実行プログラムに変更を加える必要が生じた場合、実行プログラムを取りまとめる知事本局はどのような役割を果たしていくのか。また、今日までの改定において具体的な事例があれば、あわせてお伺いをさせていただきます。
○武市計画調整部長 「十年後の東京」計画を実現するためには、社会経済情勢の変化や都をめぐる新たな課題に対しても的確かつ迅速に実行プログラムへ反映させ、施策を展開していくことが重要でございます。そうした場合には、私ども知事本局が各局と連携いたしまして、全庁的な視点に立って調整を行っております。
例えば実行プログラム二〇一〇の策定に当たりまして、ただいま申し上げました少子化対策を例にとりますと、その少子化打開に向け、知事本局としての総合調整機能を最大限発揮いたしまして各局と調整に当たるとともに、新たに局横断的な組織であります少子化打破・緊急対策本部を設置いたしまして、そこでの検討を通じて、子育て家庭を支援する重層的、複合的な新たな施策を構築したところでございます。
○小林委員 最後になりますが、実行プログラムの策定に当たりましては、広く都民の意見や、また区市町村からの意見も取り入れているというふうに伺っておりますが、その一つとして、私、大変、大事な取り組みであると感じましたのが、この実行プログラム二〇一〇におきまして、都の若手職員からの提案を施策に取り入れているということであります。
若手職員からどのように提案を募集し施策に反映させていったのか、具体的にお伺いをさせていただきます。
○武市計画調整部長 この実行プログラム二〇一〇では、ただいまお話しいただきました、若手職員が柔軟な発想力と創造力を発揮いたしまして都の施策全般に対して積極的な提案が行えるような機会を設けるとともに、それぞれがみずからの職務にとらわれず、日ごろから都政全般に関して問題意識を持ってほしい、そうしたことを考えて、首都東京の政策形成を担い得る人材へと成長していく、そういうことを目的といたしまして、「十年後の東京」計画におけます施策を加速化させる取り組みなどについての提案を募集したところでございます。
寄せられた百七十二件の提案内容につきまして、それぞれの提案者の若手職員と私どもの意見交換などを通じて、その事業化に向けた課題などを検討し、その結果といたしまして、アニメを活用した外国人観光客誘致策などの二十六件につきまして、実行プログラム二〇一〇に反映するに至ったものでございます。
若手職員の柔軟な発想力、創造力は都庁の貴重な資源でありまして、今後とも積極的にその意見をくみ上げ、計画策定に限らず、幅広く都政として活用してまいります。
○小林委員 ありがとうございます。
今ご答弁にもありましたように、若手職員の柔軟な発想力、そしてまた創造力、これは都庁の貴重な資源である。これは本当にそのとおりであるというふうに思います。未来を担う若い世代からの意見をどんどん聞き、そして青年とともに考え前進していくところに、真の新しい東京が創造されていくのではないかというふうに思います。
ある教育者が著作の中で、みずみずしい前進の心とエネルギー、新たな未来図を大胆に描く構想力、たくましく難局を突破していく行動力、こうした青年の活力と知恵を引き出し、伸ばし、育てていくことだ、そこに人類の可能性は行き詰まりなく開かれる、と述べておりました。
今後の実行プログラムの策定に当たっても、さらに若手職員の提案を募集し反映させていく取り組みを、ぜひともお願いしたいというふうに思います。
あわせまして、これは要望でございますけれども、都の施策、また事業に関して全庁的な企画調整を行う知事本局でありますので、今後の都政運営に当たって、青年の力で都を活性化し東京を変えていくという視点で、東京に住む青年の意見や声も積極的に都政に取り入れていけるような取り組み、これをぜひともリーダーシップを持って発信していっていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。
○吉田委員 東京には、首都でありながら、横田基地、赤坂プレスセンターを初め八カ所の米軍基地が置かれるという、異常な事態がいまだに続けられております。
きょうは、この都内米軍基地の現状と返還の取り組みについて質問をいたします。
東京都の基本方針では、八カ所の米軍基地について、整理、縮小、返還を求めるというふうに説明がされております。
そこでまず、基本的な取り組みについて質問させていただきますが、整理、縮小、返還を実現するために、都としてどのような取り組み、行動を、この間行ってきたのか、概括的にご答弁お願いいたします。
○市毛基地対策部長 都は、都民生活の安全を守り、地域のまちづくりを推進する立場から基地問題の解決に努めるとともに、基地の整理、縮小、返還を、国への提案要求等により求めるとともに、返還までの対策として共同使用を、特に横田基地の軍民共用化の早期実現を求めております。
○吉田委員 その提案要求では、その中でも多摩サービス補助施設、赤坂プレスセンターについては、直ちに返還を求めるというふうに位置づけられております。
この多摩サービス補助施設、赤坂プレスセンターの、直ちに返還を求めるという点については、そのためにどのような行動をし、現時点でその見通しはどのようになっているのか、ご答弁をお願いいたします。
○市毛基地対策部長 多摩サービス補助施設と赤坂プレスセンターでございますが、国への提案要求におきましては、重点事項といたしまして個別の名前を挙げ、直ちに返還、即時返還ということで提案要求をしてございます。
○吉田委員 現在の見通しなり現状で、何かお答えできることはないんでしょうか。
○市毛基地対策部長 先ほど申し上げましたように、個別に両施設とも、毎年、提案要求しておりまして、その積み重ねによって、即時返還に向けて、要求を引き続き地道に重ねていきたいと考えております。
○吉田委員 繰り返し、国への提案要求をしているというご答弁でありました。
もちろん、それしかしていないのかというようなことはいいませんけれども、例えば、ご答弁ありませんでしたが、米軍基地を抱える都県などで構成する渉外知事会などの取り組みも、私は承知をしております。しかし、こうした、要求する、要望するということだけでは、到底、米軍基地の返還を実現するということは容易なことではないと思います。
私は、やはり真剣に返還を求めるならば、都として、例えば都内の米軍基地の実態がどうなのか、いかに反都民的なのかということを明らかにするなどの取り組みとあわせて、もちろん該当の区市町村、そして都民、議会と協力して、米軍基地撤去、返還の世論を盛り上げていくということが、何よりも決定的なことではないかというふうに思いますが、そうした点はどのようにお考えでしょうか。
○市毛基地対策部長 米軍基地は、ご承知のとおり、日米安全保障条約に基づき提供されているというものでございます。
基本的にはその対応は国の権限に属しますが、先ほど申し上げましたように、都としては、都民生活の安全を守り、地域のまちづくりを推進していくという立場から基地問題の解決に努めるとともに、繰り返しになりますけれども、基地の整理、縮小、返還を、国への提案要求などの機会を利用しまして求め続けていくということでございます。
○吉田委員 繰り返し国への提案要求というご答弁ですけれども、それでは、私はやはり事態を打開することはできないと思います。
例えば該当の区市町村と協力して、横田基地などでいえば、騒音や飛行機事故、さらに米軍と家族等による犯罪や事件など、いかに周辺住民、都民生活が脅かされているのかという実態を調査して、都民に知らせ、基地撤去、返還を求める世論を広げていくということが何よりも重要な課題だと思います。
後でも紹介いたしますけれども、例えばこれは、沖縄県ではなくて普天間基地を抱える宜野湾市ですけれども、米軍普天間飛行場の危険性ということで詳細な分析をして、さまざまな角度から、いかにこの普天間基地が危険で不当なものなのかという調査を詳細な努力で行っているんですよね。そういうことがぜひ必要だと思います。
それで、横田基地に関しての事件、事故等の過去十年間の状況について資料で出していただきました。(資料を示す)これ以外にもさまざまな問題があるかと思いますけれども、例えばヘリコプターの緊急着陸などを見ても、毎年のように、時によっては何回も繰り返し行われておりますし、飛行機部品の落下などという事態も、ここに記載されております。そして航空機騒音については、環境局も継続的に調査をして、データで明らかであります。
こうした問題の一つとして、この機会にお聞きしておきたいのは、燃料漏れが続発しているという問題です。
改めて知事本局発行の「東京の米軍基地」なども含めて、驚いたんですけれども、燃料漏れが続発しています。かつては、航空燃料がタンクから一万八千ガロン、ドラム缶にして三百四十本漏れていたということが明らかになり、大問題になりました。しかし重大なことは、それが今日に至るまで引き続き、航空燃料漏れが後を絶たないということです。
それでご答弁をお願いしたいんですけれども、一九九九年、平成でいえば十一年以降の燃料漏れの回数、流出量、その原因と対策についてどのようになっているのか、お答えください。
○市毛基地対策部長 お尋ねの燃料漏れにつきまして、平成十一年以降の燃料漏れの回数、流出量、その対策等でございますが、確認できた主なものとしまして、平成十四年四月にリットルで約五千六百八十リットル、平成十七年七月に約九千九十リットル、そして平成十九年九月には、原因がバルブの誤動作ということで約五千六百リットルの燃料が流出してございます。
都は、これらの事故に対しまして、基地の周辺五市一町とともに、原因の究明、再発防止、安全管理の徹底及び情報提供について、国に対し適宜、適時適切に要請をしております。
○吉田委員 先ほど述べた知事本局発行の「東京の米軍基地二〇一〇」でも、一九九九年から二〇〇六年の七年間に、軽微なものも含めてと書かれておりますが、約九十件の燃料漏れが続いているということが記述されています。
これは、周辺の環境、土壌などに対しても極めて重大な問題として対応していくことが必要だと思うんですが、先ほど、平成十四年、十七年、十九年とありましたが、直近でも燃料漏れが起きたということを私は聞いているんですけれども、それは事実として把握されていないんでしょうか。ことしに入ってからですが。
○市毛基地対策部長 先ほど申し上げました十九年九月のバルブの誤動作によった約五千六百リットルの流出の後、いろいろ、原因究明等、情報提供についてもきめ細かくやってくれということを要望しています。現に、例えばですけれども、理事がおっしゃった、基地の中で一時的に油が漏れて、それが自然蒸発したという話は聞いております。それはペットボトル二個分ぐらいだと思うんですけれども、本来、基地の中で解決した燃料漏れで、非常に小さなものですけれども、それも、公式というか、情報提供は受けております。そういうものがございますけれども、十九年九月以降の大きなものは、いろいろ対策を練っているので、非常に問題になるような流出というのは聞いておりません。
情報提供は、結構きめ細かく受けている状況でございます。
○吉田委員 基地内で起きたものについてもきちんと情報提供するということが、この間の経過の中で、米軍、政府、そして該当自治体との間で合意されているというふうに聞いていますけれども、例えば、これは福生市議会で既に報告されていますけれども、最近でも、ことし七月十一日、KC-10給油機に給油中に、燃料漏れを起こしたということがありますが、それは東京都は報告を受けているんですか。
○市毛基地対策部長 今私が申し上げましたペットボトル二個分というのは、その案件のことでございます。それは市の方からも、そういう情報を得ております。
○吉田委員 燃料漏れというのも一つの例ですけれども、さまざまな経過がありますが、たとえ微量であったとしても、私は軽視をすることはできないというふうに思います。こうした一例も含めて、しっかりと東京都として日常的に監視をしていくということが大事だと思います。
さらに伺いたいことは、いわゆるクリアゾーン、APZゾーンといわれているものについてです。
米軍は、米軍基地周辺の安全対策のために基地周辺の土地利用に関してガイドラインを、アルファベットでいいますとAICUZ、航空施設周辺適合利用地域を定めていると。これは文献的にもさまざまな形で紹介をされています。それは基地ごとに設定し、周辺自治体と住民に協力を求めるもので、例えば安全確保のために、滑走路の端から何百メートルあるいは何千メートルの範囲は住宅や公共施設は建設しないということが定められております。
そこでお伺いしますが、都は、米軍が設定しているこのクリアゾーン及びAPZ1、危険度一ということについて、どのように把握しているのでしょうか。
また、こうした規定を横田基地に当てはめた場合、滑走路の延長線上にあってはならない住宅、公共施設は、どのような状況にあるのか、把握しているでしょうか。
○市毛基地対策部長 今お話しの米国の基準等についてでございますけれども、把握はしてございません。ただし、米軍施設の周辺におきましては、航空法、国内法の基準に適合するよう、国が適切に対応しているものと聞いております。
また、理事がおっしゃいました横田基地の固有の適用というのでしょうか、その辺につきましては国へ照会しましたが、承知をしていないということでございます。
○吉田委員 国に照会したけれども承知をしていないということですけれども、もちろん政権は変わりましたけれども、国の責任は極めて重大なものだと思いますが、同時に、やはり国任せではなく、自治体である東京都も関連区市町村と協力して、たとえ明らかにされていないにしてもこういう問題の解明の努力をすべきだと思います。
先ほど紹介した沖縄県宜野湾市が昨年四月に作成した資料ですけれども、(資料を示す)その中でも宜野湾市の独自の調査で明らかになった普天間飛行場クリアゾーン、住民地域を最も危険なクリアゾーンに設定しているということで、宜野湾市は独自の調査で、普天間基地の米軍が作成したマスタープランというものがあって、それに基づいて調査をすると、本来、学校や住宅があってはならないという地域が設定されているにもかかわらず、現実には多数のそうした施設があるということを浮き彫りにいたしました。
しかも、ことし七月の福岡高裁那覇支部の基地に関する判決でもこのクリアゾーンが言及されて、学校、病院その他、本来建設されるべきではない施設が存在する世界一危険な飛行場と称されるとまで、その判決の中ではクリアゾーンについても紹介されております。
改めて東京都として、こうしたクリアゾーン、APZゾーンについて調査をする、さらに資料の提出を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○市毛基地対策部長 引き続き、国へ、個別の話も含めまして照会を続けていきたいと思っております。
○吉田委員 私たちは、直接、沖縄県宜野湾市にも、こうした設定の根拠などについて調べさせていただきました。
また少なからず、文献でクリアゾーン、APZゾーンについての規定は明らかになっています。それを紹介しますと、国防総省指令第三、三の二条では、最も事故発生の危険性が高い地域をクリアゾーンというふうにして、滑走路の両端から九百十四メートル、そしてさらにそのクリアゾーンの端から、APZ1、事故危険地域、アクシデント・ポテンシャル・ゾーン・ワンを千五百二十四メートル、約千五百メートルと規定していると。
そして、アメリカ国内の基地を参考にすると、このクリアゾーン、APZ1の地域では、住宅、集会施設、公共施設、商業地域は禁止をするということとなっております。
極めて機械的ではあり、また既に販売されている住宅地図で(資料を示す)今いった、これが滑走路の南端に当たりますけれども、約九百メートルのクリアゾーン、さらにその端から約千五百メートルのAPZ1、もちろんこれは横幅も全部規定されていますが、こういうもので落として見ますと、このクリアゾーンとAPZ1のまさに境界線には、障害者の施設が置かれております。
さらに、これはもう有名な話ですけれども、このオレンジマークは、市立拝島第二小学校があります。これは都営住宅でありますが、その横に高齢者センター、そして小児病院、保育園、特養ホーム、病院、さらにここには中学校が、かすかに線から外れますが、あります。
このように、全部調べてみますと、APZゾーンの中には、拝島第二小学校など三施設、集会所が一カ所、体育館一カ所、高齢者施設が特養ホームなど二カ所、保育園一カ所、障害者施設一カ所、病院等医療機関が六カ所、都営住宅十四棟。民間住宅は、住宅地図で見て数えただけですからざっとしたものになるかもしれませんが、約一千棟。大体、住宅が張りついているのが緑の色ですけれども、こういうこともその一例として浮き上がってまいります。
こうしたことも、ぜひ大いに、普天間基地を抱える宜野湾市の取り組みなども参考にしながら調査をされることを強く求めておきたいというふうに思います。
さらに、基地の影響の問題で次にお聞きしたいのは--したがって、本来ならば、横田基地はアメリカ国内では設けることができないという状況となっていることは明らかなんですね。
さらに別の問題についてもお伺いしますが、横田基地によって周辺自治体は固定資産税を徴収することはもちろんできません。いわばそのかわりとして、基地交付金が国から出されているという関係にあるかと思いますが、固定資産税を課した場合の税収と、実際に地元五市一町が受けている基地交付金の額というものをお示し願いたいと思います。
○市毛基地対策部長 基地交付金の状況でございますけれども、平成二十一年度、横田基地の地元の五市一町に交付されました基地交付金額は約二十七・三億円でございます。
固定資産税が課せられた場合の税額につきましては、五市一町での基地関係税務協議会の要望書によりますと、横田基地と立川飛行場分を合わせて約百五・五億円、固定資産税が課せられた場合の税額という要望書の資料がございます。
東京都としましては、この基地交付金も含めまして、毎年、財政措置の強化の項目の中で、国に対して提案要求はしている状況でございます。
以上です。
○吉田委員 今の数字を機械的に計算しても、基地交付金があるといっても、固定資産税の本来の収入と比べれば三分の一という数字になっていることは明らかです。
次に質問をしたいんですけれども、都は公式には、基地の整理、縮小、返還、撤去ということを掲げながら、私は非常に重大だと思うんですけれども、横田基地の継続強化ともいえるトランスフォーメーション、在日米軍の再編、自衛隊との一体化に対して、反対をするという態度表明はしませんでした。
在日米軍の再編、自衛隊との共同の強化で、横田基地には航空自衛隊の航空総隊司令部が移設し、新たな司令部が横田基地に、今、建設、完成しようとしています。そして、基地内に日米の共同統合作戦調整センターが設けられて、いわば兵たん地としての横田であると同時に、新たなミサイル防衛の中枢的な基地、あるいは日米合同の司令基地という機能が強化されたというふうに、私たちは認識をしています。
こうした米軍再編による横田基地の機能強化をどのように認識しているのか。基地の継続強化になるという事態は、横田基地の返還にとって新たな障害だというふうに私は思いますし、したがって、以前にも予算特別委員会でも質疑をしましたが、反対を表明すべきだというのが私たちの見地です。
この点、どのように認識し、なぜ反対されなかったのか、ご答弁をお願いいたします。
○市毛基地対策部長 航空自衛隊の航空総隊司令部の機能、役割につきましては、共同統合運用調整所の設置によりまして、米第五空軍との間で、ミサイル防衛及び防空に関しましての緊密な調整や相互運用性の向上を図るとともに、自衛隊と米軍の間の情報の共有を図るということを通じまして、日本の防衛のための共同対処に資するとの説明を防衛省から受けてございます。
また、横田基地の機能の役割についてでございますけれども、米軍横田基地の司令部所在基地としての機能に大幅な変更が起こることは想定しがたいとの説明も、防衛省から受けております。
そういう状況でございますので、今後とも、従来から取り組んでおります米軍基地の整理、縮小、返還の取り組みを、引き続き推進していくということでございます。
○吉田委員 説明を受けている。大幅な変更ではない。あるいは日本の防衛のためだと。結局、アメリカや防衛省のいうままというふうにもいわれかねない態度だというように思います。
都は横田基地について、先ほどもお話がありましたけれども、返還までの対策として、共同使用を促進、軍民共用化を早期に実現ということを掲げていますが、結局、アメリカとの協議は不調に終わったままだというふうに私は思いますし、現実も、容易ではない共同使用をアメリカに要請するということを最優先で行えば、結局それによって、本来強く要求しなければならない返還それ自体を正面からアメリカに要求できない、あるいはさまざまな諸問題について厳しく批判することができないということになりかねないのは明らかだと思います。
私は、そうではなく、返還を正面に据えて、かつ都民の世論を広げてこれを求めていくということが、東京都として、都民の安全というならば最優先だというふうに思います。
横田基地関係の最後になりますけれども、つまり日本の防衛のためというふうに説明を受けているという話がありました。
それ自身が事実に反することだというふうに思いますけれども、そもそも世界を見渡して、首都に米軍の巨大な空軍基地があり、また司令部基地があるというのは、日本のこの東京だけではないかというふうに思います。しかも横田だけではなく、合わせて八カ所もの基地があるというのは、世界の首都を見たときにも極めて異常な事態だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○市毛基地対策部長 世界各国の首都に米軍の空軍基地、司令基地等があるかという点でございますけれども、その内容につきましては把握してございません。
○吉田委員 我々の調査では、現時点では、世界の首都、大小さまざまに地域がありますけれども、東京以外に、ないというのが私たちの認識です。それほど(発言する者あり)……余計なこといわないで。私は、異常なことだというふうに思うんです。これは、もう調べればわかることです。
知事は最近、いつまでもアメリカのめかけでいる必要はないなどと、極めて厳しいような発言をしましたけれども、この間の基地問題での東京都の態度を見れば、責任者である知事にそういう資格はないと。基地返還をめぐるこの間の現状と到達点を見れば、石原知事が掲げた公約は一体どうだったのかということが、改めて鋭く問われざるを得ないというふうに思います。
冒頭述べたように、都として、もっと積極的に実態を調査し、本格的に基地撤去の世論を広げていくという努力をすることを求めて、この米軍基地問題の質問を終わります。
続けて、参与について若干質問させていただきます。
参与に関して、六名の参与がどのような助言、進言を行ってきたのか、その実績を知りたくて資料要求いたしましたが、知事本局としては把握しておらずというお答えでした。
そもそも、参与は知事が選任するもので、議会の関与はできません。したがって知事個人の判断が色濃く出る結果となり、規則では、都政について高い見識を有する者のうちから、となっているにもかかわらず、中には家族の知人という関係の方もいらっしゃるように思います。
しかし、都の規則では、参与は知事の策定する重要な施策について知事に進言し、また助言すると定めており、極めて重要な影響を持つ職務だと思います。また非常勤職員扱いで、月額、たしか約三十三万円の報酬が支払われております。
それだけに、どのような方がどれだけ参与となって、知事に対してどのような助言、進言を行ってきたのか。これが、知事以外がわからなく、記録もないという状況を、私は改善すべきだというふうに思います。また、長期に特定の方が参与を続けるということは、公平性という観点からも、私は疑問がわきます。
そこでまず、参与の任期というものは、基本的には一年以内というふうに定められています。ただし再任を妨げないということにもちろんなっていますが、現在の六人の参与の方のそれぞれの通算での任期はどれだけになっているでしょうか。
○野村政策部長 各参与の任期について、就任の月から現任期満了日である平成二十三年三月三十一日まで通算いたしますと、それぞれ次のとおりになります。
まず、高瀬保参与におかれましては十一年六カ月、棚橋泰参与におかれましては同じく十一年六カ月、志方俊之参与におかれましては十一年五カ月、今村有策参与におかれましては九年四カ月、濱渦武生参与におかれましては四年九カ月、相沢英之参与におかれましては一年七カ月となってございます。
○吉田委員 次に、この六人の方へ支払われた報酬額は、総額でどれだけになっているでしょうか。
○野村政策部長 参与の報酬につきましては、非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例に基づきまして、月額三十三万八千円を支出してございます。
現在委嘱しております参与六名につきまして、就任から平成二十二年十月までの支払い実績に交通費相当額を含めた報酬総額は、約一億九千六百九十一万円となってございます。
○吉田委員 約二億円近い報酬が支払われてきたということですね。
この報酬という点でも、個々の方々に立ち入りませんけれども、都の報告団体の社長との兼務や、都の事業で館長を務め、相当の報酬を得ながら、さらに参与として報酬を受けているというふうな状況も、都民から納得できるものではないと思います。
肝心の助言、進言についてですけれども、知事のブレーン的な性格だから組織的に把握は困難だし、それを把握するのは適切ではないというご説明かと思うんですけれども、私的なブレーンならともかく、非常勤職員として月三十三万余円の報酬を受けているわけです。しかも、知事の策定する重要施策について、というふうにわざわざ参与の規定では書かれています。重要施策について助言、進言をすると。
それだけに、どのようにするかは別にしても、助言、進言は、例えば参与から文書で報告を求めるとか、いつどういうことをしたとかいうふうなことも含めて、記録として、少なくとも事項についてきちんと報告をするということは、報酬を払っている、あるいは非常勤職員という位置づけからしても当然なことだと思いますけれども、どうでしょうか。
○野村政策部長 参与の職務に関する実態把握ということでございますけれども、理事のご質問にもございましたとおり、参与は知事の策定する重要な施策について、専門的な立場からの進言、助言を直接知事に行うものでございます。
したがいまして、各参与からの個別の進言、助言は、知事がご自身の判断材料とするものでございまして、事務担当が把握できるものではないと考えてございます。進言、助言については知事の政策判断に生かされるものと理解してございますので、これからも、あえて把握するという考えは持っておりません。
○吉田委員 随分力強く強調されましたけれども、先ほどもいいましたけれども、私的なブレーンという位置づけだったら、それは我々がとやかくいえないかもしれません。
しかし、いわば非常勤職員、公務員という性格で、かつ月々三十三万円も支払われていると。そして、あれこれではなく、今も強調されましたけれども、重要施策についてということで、東京都の政策形成にとって非常に大きな意味を持つという事柄だけに、どこまで詳細かということは別にしても、その方がどういう行動をしてきたのか全くどこにも記録が残らないということは、やはり極めて不正常な事態であり、改めてこれはきちっと把握され、記録されるという仕組みをつくるべきだということを意見として表明して、質問を終わります。
○西崎委員 私からは、アジア大都市ネットワーク21と、その人材育成について伺いたいと思います。
十一月八日、間もなくですが、アジア大都市ネットワーク21の総会が東京で開かれます。これに向けて、今、担当当局は、大変、準備に忙しいのではないかと思います。
アジネットは、平成十三年に第一回総会を東京で開催して以来、ことしで十年目を迎えたわけですけれども、この間、デリー、ハノイなど、アジア各都市で総会を開催するとともに、アジアの大都市問題の解決等に向けてさまざまな共同事業を推進してきたと聞いております。
そこで、都はこの十年間をどう評価しているのか、まず伺いたいと思います。
○長澤国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21では、これまで危機管理や感染症対策など、アジアの大都市に共通するさまざまな課題に共同で取り組み、実績を積み重ねてまいりました。
例えば感染症対策では、新型インフルエンザ対策として、台北が東京都の事例を参考に、地域インフルエンザセンターを設置するなどの成果を上げてまいりました。
また、専門分野ごとの会議やセミナー、研修や共同研究の実施などを通じ、実務者レベルでのノウハウの共有や人材交流を深めることで都市間の信頼関係を培い、関係を強化するなど、アジアの大都市における施策の向上に大きく貢献してまいりました。
○西崎委員 今のお話で、都がこの十年間、アジアの大都市との関係を強化してきたということはわかりました。東京都とアジアが連携を深め、さらにともに発展していくためには、特に人的交流が重要ではないかと思います。
都はアジアの将来を担う人材の育成を目的とした留学生の受け入れを行っていると聞いていますけれども、どのようなスキームで留学生を受け入れているのか、また、これまでの実績と今後の取り組みについてお聞かせください。
○長澤国際共同事業担当部長 平成二十年度にアジア人材育成基金を設立し、アジア大都市ネットワーク21の会員都市にとどまらず、幅広くアジア各国からの留学生を、首都大学東京の博士後期課程に受け入れております。
平成二十年度から現在までに、インドネシア、中国、ベトナムなどから、アジアの発展に資する高度先端的な研究に携わる学生など、計三十名の優秀な留学生を受け入れております。
「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇では、平成二十四年度までに六十名の留学生を受け入れる計画をしており、今後とも、東京とアジアのかけ橋となる人材の育成を推進してまいります。
○西崎委員 平成二十四年度までにアジアの留学生を六十名受け入れるということですけれども、最近、新宿とか銀座を歩いていますと、韓国、中国からの観光客の方が大変ふえているということがよくわかります。地域でも、外国人の方が、昔から比べると多く住まれていて、見かけられるようになりました。しかし、初めて東京で生活をするようになった外国人の方に聞いてみますと、慣習などの違いに、初めは大変戸惑うことも多いといっています。
そこで、アジアからの留学生が、母国とは異なる環境、文化の中で着実に研究成果を上げるためには、彼らが東京での生活になじみ、落ちついて研究に専念できる環境を整備してあげることが大切だと思います。
今の答弁にあった留学生の受け入れに当たり、都では具体的にどのような支援を行っているのか、お聞かせください。
○長澤国際共同事業担当部長 東京都では、国の制度を上回る手厚い留学生支援を行っております。
入学金や授業料を免除するほか、月十七万円の奨学金や研究費の支給を行っております。また、渡航費を支給するとともに、一定額の家賃補助などを行っております。
さらに、キャンパス内に留学生相談室を設け、学生生活に関する相談を受け付けるとともに、留学生のみならず、同居する家族が抱える、文化、習慣の違いなどに関する悩みにも対応するなど、きめ細やかな支援を実施しております。
このような充実した支援を行うことによりまして、アジアからの留学生が安心して研究に専念できる環境を整えております。
○西崎委員 さまざまなことで支援しているということはよくわかりました。
留学生の受け入れによってアジアの人々との関係を深めていくということは、とても大事だと思います。留学生には、東京をよく理解して好きになってもらい、国に帰ったら、東京はよかったと周囲に伝えてもらえるよう、そして東京と各都市のかけ橋になるような人材に育ってほしいと考えます。
このような人材の育成を通じて、都はより一層アジアの諸都市の発展に貢献していくべきと考えますが、都の見解をお聞かせください。
○長澤国際共同事業担当部長 アジア各国から優秀な留学生を受け入れ、都市における水問題など、アジアの大都市問題の解決や、航空機用新素材の開発などのアジアの発展に資する高度先端的な研究を実施し、人材を育成しているところでございます。
今後も引き続き、研究の実施と留学生の受け入れを着実に推進し、各分野における先導的な役割を担うアジアの人材を育成するとともに、高度先端的な研究の結果をアジアの諸都市に還元することによりまして、アジアの発展に貢献してまいります。
○西崎委員 幾つかの点について質問させていただきましたけれども、事務事業を見てみますと、首都大学東京だけではなく、先ほどもお話ありましたように、行政職員等の研修、交流、あるいはアジアに広がる人的ネットワークの構築など、さまざまな事業をこれからも展開していく予定になっていますけれども、留学生に関しては、平成二十四年度まで、三年後の目標として六十名、首都大学で留学生を受け入れることを目指しています。
今後も、このような人材育成や交流を通して、さまざまな分野で両都市の橋渡し役となる人材の育成に力を入れていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○谷村委員 それでは私の方から、横田基地軍民共用化、また「十年後の東京」についてお伺いをしたいと思います。
初めに、横田基地の軍民共用化についてでありますが、横田基地の軍民共用化につきましては、多摩地域だけではない、首都圏西部全体の発展のかなめとなる大変に重要な課題であります。私自身、これまでにも再三にわたり、都議会の場で取り上げさせていただきました。
米国大統領選挙でオバマ氏が当選した直後に行われました一昨年の各会計決算特別委員会の全局質疑におきましても、横田基地の軍民共用化に関して、米国の政権交代を踏まえた今後の取り組みについて質問いたしましたところ、当時の吉川知事本局長からは、軍民共用化という我が国にとって重要な課題が、政権交代に紛れて放置されるようなことがあってはならない、国の関係省庁と緊密な連携を保ちながら米新政権に粘り強く働きかけ、軍民共用化の早期実現を目指していくという、大変力強い答弁をいただいたところであります。
その後、日本においても政権交代があったものの、この軍民共用化については日米双方の新しい体制に引き継がれているとも聞いておりましたが、私の地元からは、一体どうなっているのかとの声も寄せられております。
昨年来、国家戦略にも、また外交、安全保障政策にも全く定見のない民主党政権になってからは、総理大臣を初めとする閣僚らによるその場しのぎの無責任な発言、あるいは無責任な取り組みによって、普天間基地の移転問題が日米間で政治問題化し、まるで反米政権なのかと思わせるような、政府や与党関係者の発言もあり、今や日米間の信頼関係そのものが大きく揺らいでおります。
こうした状況が、横田基地の軍民共用化に関する日米協議に対して大きくマイナス要因として働いていると、多くの都民の方々は受けとめておられます。
こうした最近の日米関係の状況における横田基地の軍民共用化の協議の進捗状況について、まずお伺いをしたいと思います。
○新美横田基地共用化推進担当部長 横田基地の軍民共用化につきましては、再編実施のための日米のロードマップに位置づけられ、日米のスタディーグループによる検討を行ってまいりましたが、これまで合意に至っておらず、継続の協議の扱いとなってございます。
現在の在日米軍の再編に関します日米協議をめぐるさまざまな状況に関しましては、諸般の状況を見ていますと、非常に厳しい環境にあると考えております。
しかし、このような状況におきましても、都としては、関東地方知事会や九都県市首脳会議などとも連携し、各関係省庁に強く働きかけるなど、横田基地の軍民共用化の協議促進に向けて取り組んでおります。
○谷村委員 今般、羽田空港の新しい滑走路が完成し、年間発着枠が拡大されるとともに国際定期便が就航できるようになりました。また、成田空港においても年間発着回数の拡大が検討されております。
羽田、成田両空港の発着枠がふえることで、先ほど申し上げました日米関係も相まって、横田基地の軍民共用化の必要性が低くなるのではないかと懸念する声も大変に多くあります。
しかし、横田基地の軍民共用化は、東京のみならず我が国全体にとっても、その早期実現が希求される最重要政策課題であり、多摩地域の発展にとっても、大いに資するものであることから、私の地元としてもその早期実現を大変期待しております。
そこで、こうした首都圏の空港を取り巻く状況変化を踏まえた軍民共用化の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○新美横田基地共用化推進担当部長 この十月に、羽田空港の再拡張、国際化が実現いたしまして、首都圏の空港機能の向上が図られたところでございます。
しかし、旺盛な航空需要を踏まえますと、近い将来には首都圏における空港容量が限界に達すると予想されておりまして、このまま放置すれば、首都圏の空港の容量不足は必至となっております。
横田基地の軍民共用化の実現は、空港容量の拡大を図ることに加えまして、首都圏西部地域の航空利便性の向上や産業の活性化など、多摩地域の振興に大きく寄与するものと認識してございます。
今後とも、地元の理解と協力を得つつ、国に対して日米協議の促進を図るよう改めて強く要求いたしまして、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。
○谷村委員 では、横田基地の軍民共用化に関してもう一点。
秋山局長ご自身の横田基地の軍民共用化に対するご認識、あるいは実現に向けてのご決意をお伺いしたいと思います。
○秋山知事本局長 ただいま担当部長から答弁したものと若干重複するかもしれませんけれども、今回、羽田ができて、首都圏の航空需要、かなり充足されつつあるという状況にはございますけれども、五年、十年というスパンで見た場合、やはり首都圏の空港容量が圧倒的に足りないというのは、これは明らかでございます。
先ほど申し上げたとおり、この共用化の問題、米軍の再編のロードマップの中に組み込まれていると。日米の、国対国の関係、安全保障の関係の中で整理される課題だということになってしまいまして、日米をめぐる米軍再編、安全保障の問題に課題があればあるほどなかなか話が進まないというのが、先ほど部長から答弁した状況だというふうに思っております。
ただ、先ほど申し上げましたとおり、首都圏の航空需要の逼迫と、関東、東京の西部地域の航空利便性、それから多摩地域の発展ということを考えれば、この課題は都政の課題として、まだまだこれから強力に推し進めていかなければならない課題だというふうに思っております。
国対国の問題の中で国を動かすということになりますと、どうしても、先ほどから答弁しておりますとおり、国に要望するという答弁が多くなって、先生方にははがゆい思いをされているということかもしれませんけれども、やれる範囲の中で力いっぱい頑張っていきたいというふうに思っております。
○谷村委員 ありがとうございました。
大変に力強いご決意、あるいは思いを語っていただいたと思います。
次に、四年前の二〇〇六年に「十年後の東京」構想が策定され、その実行プログラム二〇〇八、二〇〇九、二〇一〇と、三年ごとの取り組みを明示する実施計画が策定されてきました。この「十年後の東京」が発表されて、その目標設定のあり方、掲げられた分野の広さ、そして、「十年後の東京」を、その将来像を明確にイメージできる構想として都民の皆様に夢のある方向性を指し示したことにつきましては、内外にわたり大変に高い評価を受けたわけであります。
前回の統一地方選挙の直後の東京青年会議所の主催による各派代表者による討論会に、私は公明党を代表して出させていただきましたけれども、この構想を批判したいがために、ある会派の代表者が、この「十年後の東京」構想には福祉のことは全く触れられていないという、全く的外れな難癖をつけておられたことは今でも忘れられないわけであります。批判をするなら、きちんと認識をしてから批判をされればいいわけであります。いいかえれば、難癖をつけたくなるくらい、それくらいよくできた構想だったわけであります。
いよいよ実行プログラム二〇一一が策定される……(発言する者あり)吉田さんがそのとき発言されたんでしたかね。だれとも申し上げなかったんですが。
いよいよ実行プログラム二〇一一が策定される大詰めのときを迎えるわけでありますので、確認の意味で質問させていただきます。
「十年後の東京」に掲げられた八つの各目標における数値目標を見ますと、幹線道路の整備を初め、おおむね順調に進捗しているように思います。また「十年後の東京」には、数値では、はかり得ない数多くの施策も盛り込まれているわけであり、例えば八つの目標のうち、目標7については数値目標の設定それ自体がないわけであります。
そこでまず、この目標7につきまして、どのような状況にあるのかをお伺いします。
○武市計画調整部長 この「十年後の東京」は、東京をさらに高いレベルの成熟した都市としていくための政策展開の方向を示した都市戦略でございまして、十年後の姿といたしまして数値目標を掲げているものも多くございますが、その一方で、システムの構築でございますとか制度の確立など、数値であらわせないものを目標としているものも同時に数多く含まれてございます。
お尋ねの目標の7は、意欲あるだれもがチャレンジできる社会を創造するということを目指しておりまして、こちらは数値目標というよりもシステムの構築を中心とした施策体系となってございます。もちろん、そうしたシステムの構築などの実現を目指して、教育の分野でございますとか、雇用の分野などで積極的に施策を展開しているところでございます。
例えば、東京の産業の中で重要な位置を占めるものづくり産業、その人材を育成するために複線型の教育システムの確立を進めてございます。
また、離職者などの生活安定に向けた総合支援対策といたしまして、生活資金の貸し付けでございますとか、職業訓練、介護資格の取得支援などを実施いたしますとともに、いわゆるネットカフェ難民への相談窓口を開設するなど、就業でございますとか生活の支援を必要とする人々に対し、さまざまな取り組みを進めてございます。
○谷村委員 それでは、例えばですけれども救急医療、これについては現在どのような状況になっておりますでしょうか。
○武市計画調整部長 この救急医療につきましても数値目標という形では明示をしてございませんが、救急医療につきましては、現場における初期対応から、その次の救急車での搬送、その後の医療機関における診療まで、一連の流れを迅速、適正につなげていくことを目指しておりまして、現在は救急医療の東京ルールというものを導入してございます。
この東京ルールによる近年の取り組みといたしましては、二次保健医療圏域ごとに設置をいたしました地域救急センターを中心とするネットワークを構築することによりまして、救急医療機関相互間の連携の強化を図り、地域で迅速に救急患者を受け入れる体制づくりを行ってございます。
また、東京消防庁の司令室にコーディネーターというものを配置いたしまして、地域をまたがる搬送事案などにつきまして受け入れ調整を行うなどの救急医療体制の整備を図りまして、三百六十五日、二十四時間安心できる医療システムの構築に向けて着実に施策を推進してございます。
○谷村委員 ご答弁をいただきましたように、数値目標にはなかなかあらわれない、あるいは数値目標にはなじまない施策につきましても、着実に取り組まれているわけであります。
こうした実行プログラムを着実に推進するに当たって、目標の達成あるいは構想の実現に向けて、知事本局としてはどのような目標管理、あるいは進行管理を行っておられるのか、お伺いをいたします。
○武市計画調整部長 目標管理、進行管理についてでございますが、「十年後の東京」で掲げた施策を着実かつ計画的に実施していくために、平成十九年度に、三カ年の事業展開を示したアクションプランでございます実行プログラムを策定するとともに、そのフォローアップといたしまして、平成二十年度以降、毎年度、実行プログラムを改定してございます。
その改定に当たりましては、すべての施策の進捗状況でございますとか効果を検証いたしまして、その結果を踏まえて、私ども知事本局として各局との調整を行いながら、新たな目標の設定でございますとか新しい事業展開に、その結果を反映させているところでございます。
このように、一連の実行プログラムの改定作業の中で、目標管理、進行管理を行っているところでございます。
○谷村委員 知事本局として各局と調整を行い、新たな目標設定、あるいは事業展開に反映されているというご答弁でございましたが、それでは、知事本局として、目標設定や事業展開について具体的にこういうことをやってきましたよという、進行管理や目標管理の取り組みの中で何か具体的な例示ができるようであれば、お答えいただきたいと思います。
○武市計画調整部長 私ども、「十年後の東京」で大きく掲げましたその目標の実現に向けまして、個々の政策の中で目標管理、進行管理などを行ってございますが、例えば、緑をふやすという大きな目標の中で、その手段の一つとしまして校庭の芝生化というのを掲げ、全公立小中学校などにおきまして校庭の芝生化を目指すということを取り組んでいったり、あるいは樹木につきまして百万本を植えるという、その達成をしていくということで、毎年度それぞれの進捗状況を各局に聞きながら、政策展開を、どのようなものがふさわしいのか、継続するのがいいのか、再構築するのがいいのか、そういったことを考えている状況にございます。
○谷村委員 現在、新たな実行プログラム二〇一一の策定のいよいよ大詰めを迎えられることと思いますが、来年は都知事選挙があります。来年の都知事選挙につきましては既にいろいろと取りざたされておりますが、都知事選挙を来年に控えている中での新たな実行プログラムの策定につきましては、さまざまな意見があることと思います。
しかしながら、だれが知事になろうとも、都民の皆様にとって必要な施策は当然実施していかなければならず、そのための実行プログラムの策定につきましても、当然必要なことであると思います。
改めて、この時期に三カ年の実行プログラムを策定することの意義についてお伺いをいたします。
○秋山知事本局長 「十年後の東京」への実行プログラムについてでございますけれども、東京がより魅力的で機能的だという、二十一世紀に真にふさわしい成熟した都市へと生まれ変わるための実施計画として定めているものでございます。
その内容は、実行プログラム二〇一〇で見ましても、ただいま谷村理事からもご質問がありました救急医療体制を初めといたしまして、都民生活に直結する事業を、総額でいいますと一・九兆円、二十六施策、三百六十四事業が年次計画とともに到達目標を示して記載されているというようになっております。
また、三百六十四の事業のうち九十二事業が新規ということになっておりまして、計画の改定を契機にして、新たな施策も生み出されているというふうに考えることもできようかと思っております。
このように、都民生活にも直結いたします具体的な事業を規定した実施計画を改定していくことは、目まぐるしく変化する社会経済情勢や新たな都民ニーズにこたえていくためにも、また都政の行財政運営を先導していく意味からも、都政運営を行う上で欠かせないものというふうに考えております。
とりわけ、二〇一六年の東京に向けて策定されました「十年後の東京」計画、これが折り返し地点に差しかかってきたということを考えれば、今回の実行プログラムの改定に当たりましては、将来につながる政策展開の方向性も示していければということで、今、検討を加えているところでございます。
いずれにいたしましても、都政の課題解決に向けた施策の実施を明らかにした計画を改定していくということは行政の責務であるというふうに認識をしておりまして、そういった認識のもとに改定作業を進めてまいります。
○谷村委員 局長から二度もご答弁いただきまして、大変にありがとうございます。
昨年来、国では、政治主導という言葉がさんざんもてはやされましたが、結局はその政治家の、あるいはその政党の稚拙さばかりが目立ち、目を覆いたくなるような惨たんたる状況であります。
行政の継続性、あるいは首都東京の抱える課題克服、世界都市東京の果たすべき役割、使命等々、来年に向けて、またこれから都知事選挙で騒がしくなりますが、一瞬の遅滞も招くことなく、着実な取り組みを進めていかれるよう強く念願いたしまして、私の質問を終わります。
○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で知事本局関係を終わります。
○高倉委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 私からは、都のキャリア活用採用について何点か質問をさせていただきます。
いうまでもございませんが、東京は首都としてさまざまな都市機能が集中し、そして集積している国際都市でもございます。十月二十一日には羽田空港の新国際ターミナルがオープンするなど、東京を取り巻く社会経済状況は刻々と変化をしており、東京は、その影響が最も早くかつ集中的にあらわれる行政の仕事の現場でもあります。
こうした現場における行政課題に着実に対応していくためには、都庁においては、常に新たな優秀な人材を採用し、育成していくことが大変重要であると考えております。
民間企業では、新規採用だけではなくて即戦力となる人材の確保、こういう制度が従来から広く取り入れられております。民間の研究所の調査でも、このところの不況下で雇用は大きく手控えられておりまして、二〇〇九年度における中途採用実績は二〇〇八年度と比較しますと四九・九%のマイナスになるなど、景気の動向に大きく左右されるとはいえ、中途採用は、企業にとっては社員のモラルアップや戦力アップの面で大変重要な施策であります。
こうした流れの中で、東京都においても、従来から民間企業などでの経験を有する中途採用制度を導入しており、今日まで、毎年、採用試験を実施しているとお伺いしております。
そこで、これまでの東京都の経験者中途採用の制度の概要と現状について、どのようになっているのかをお伺いをいたします。
○鈴木試験部長 東京都は、平成五年度に初めて経験者採用試験を実施いたしました。
その後、少しずつ制度の見直しを行ってまいりましたが、大きな改正といたしましては平成十九年度に、従来の単に経験者を採用するという制度から、専門人材、主任採用試験へと変更したことがございます。
この制度改正は、就業経験のみを求める採用という従来の考え方から、都庁の各職場において、資金運用や財務など、専門的知識、経験へのニーズの高い分野ごとに区分を設定いたしまして、即戦力として活用を図る採用へと考え方を変えたものでございます。
さらに、平成二十一年度からは受験資格における年齢制限を撤廃し、キャリア活用採用選考として実施しております。
平成二十一年度は選考区分を六区分から十二区分へとふやし、合計八十九名募集しましたところ、九百九十六名の申し込みがございました。
○鈴木委員 今お答えをいただきましたように、選考区分をより具体的に分けていくような採用制度の変更は、まさに、都政を取り巻く社会経済状況の変化によって大変多様化しております必要な人材を、外部から登用するための制度改革であるというふうに考えます。このような採用方法は民間企業でもよくとられる手法でもあり、採用の職種や基準がより明確になるなど、合理的なものであると、そのように思っております。
ただ、そこで問題となるのが、転職者の専門性の認定というか、各職場が求める専門知識や経験の判定をだれがどのように行うかというところだろうと思います。まさにこの専門性こそが現在のキャリア活用制度の根幹になる部分ですから、採用に当たってはきちんと専門能力を検証する必要があります。したがって、当然のことながら、このキャリア活用採用選考は、他の採用試験より選考方法が工夫されているのではないかなと思っております。
そこで、今行われております選考方法は、専門能力を検証しようと、どのように行っておられるのか、そこのところをお伺いいたします。
○鈴木試験部長 専門能力を検証する手法といたしまして、まず第一次選考として、職務経歴等を確認する書類の提出を求め、加えまして、専門性に関連する知識を問う記述式の専門試験を取り入れております。
第二次選考、第三次選考の面接では、例えば二十一年度は、専門性や経験を生かして都政にどのような貢献ができるかといったプレゼンテーションを行わせた上で、人物についての評価だけでなく、専門知識や経験の検証を行っているところでございます。
○鈴木委員 今お答えいただきましたように、いわゆる筆記試験だけではなくて、プレゼンテーションやあるいは何回かにわたる面接によって、多角的に専門知識やキャリアなどを何とか検証しようとしている工夫は理解をすることができました。
しかし民間企業の場合は、もう少しいわせていただくと、特定の専門性にたけた優秀な人材を採用するとき、都のように、今行われているような広く一般から募集をするというものではなくて、ある程度特定の個人に着目して、これは大変優秀でいい人材だという方をリサーチしておいて、ヘッドハンティングをするなり専門職として採用する、というのが今や常態となっております。
そういう意味では、東京都においても特に専門性を有する優秀な人材を確保する場合、このような一般的にとられている手法をとれないものなのかどうか、お伺いをいたします。
○鈴木試験部長 地方公務員の採用に関しましては、だれでもその能力実証に基づき公平に任用の機会が与えられるという原則が、地方公務員法に定められております。
したがいまして、民間企業と同じように、特定の個人に着目した、いわゆるヘッドハンティングの手法を採用することは難しいと考えております。
こうした法制のもとにおきまして、都では、民間企業等で培われた専門知識や経験を活用していくため、キャリア活用採用選考を行っているところでございます。ここで採用されました職員は、専門知識や経験を生かせるよう、採用時の配属を決めております。
その後の人事異動は、専門職としてその職務内容を固定するものではなく、一人一人の能力や意向なども踏まえ、広く個人の適性に応じた活用を図っていく方針でございます。
○鈴木委員 東京という地方自治体でございますから、今お話しいただいたように、地方公務員法によって、民間企業と全く同じ手法をとるということは法的にも大変難しいというお話でございましたけれども、当然、都庁も大変大きな職場でございますから、スペシャリスト、ゼネラリスト、両方バランスよく採用していく、あるいは育成していくというのは大変重要であるということも理解できました。
しかし、その専門性に着目して採用していく以上は、より効果的な採用を、今後、絶えずやはり模索して検討していく必要はあるだろうなというふうに思っております。
そこで最後になりますが、専門性の高い人材確保に向けまして、今後どのように考えていくのか、都の見解をお伺いします。
○鈴木試験部長 東京都では、専門性を持つ人材を確保する手法として、平成二十一年度から制度を新たにキャリア活用採用選考を始めたところでございまして、ことしで二回目となります。
この動向も見きわめながら、今後の行政需要や採用市場の変化を的確にとらえ、有為な専門性を持った人材を着実に確保できるよう、必要に応じまして採用方法等について検討してまいります。
○鈴木委員 いろいろとご答弁をいただきましたので、東京都の経験者採用の実態と選考方法については理解はさせていただきました。
制度が始まって、平成二十年度に改正されたということでございますから、今回二回目ということで、まだある意味ではしっかりとした実証データもないということもあると思いますが、冒頭に申し上げたとおり社会経済状況の変化は大変激しく動いておりまして、景気も大変、今、変動が大きいという状況にもなっております。そういう時代にあって、都庁に優秀な人材をしっかりと確保していく、そういう方法をこれからもぜひご検討いただきたいと思います。
東京が国際都市として、アジアの中で常に経済、文化、政治の中心であり続けるためにも、そしてまた都民に常に質の高い行政サービスを提供していくためにも、今後とも引き続いて人事委員会として、検討あるいは研究していただくことを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。
○中屋委員 私からも、職員採用に関連をいたしまして、数点お伺いをさせていただきたいと思います。
民間、自治体を問わずに、優秀な人材の確保というのは、今の時代、本当に必要なこととなっております。
都においても、この東京の自治体経営をきちっと行っていくためには、質の高い有為な人材を確実に採用するということが必要不可欠であります。平成二十年度には試験制度の改正を行いました。翌年度には新制度によって実施をしております。
具体的に申し上げますと、Ⅰ類A採用試験につきましては、専門職分野があります大学院などに対応した試験内容に改めまして、また経験者には、キャリア活用採用試験ということに改めて、受験者についての年齢制限を撤廃したわけであります。これによって、より高い人材を採用できるようになったわけであります。この四月から、その採用された方々が今まさに頑張っておられるわけでありますけれども、この思い切った制度改正によりまして、私は、今後必ずいい方向に結果が出てくると、このように思います。
そこで、昨年実施した試験が当初のねらいどおりの結果となっているのか、まずお伺いをいたします。
○鈴木試験部長 平成二十年度の制度改正は、政策対応力のある多様な人材を幅広く確保し、都政のさらなる活性化を図るためのものでございます。
平成二十一年度に実施したⅠ類A採用試験では、最終合格者のうち、事務職と技術職を合わせた大学院修了者の割合は八割を超え、ターゲットとした層を確実にとらえることができました。
また、キャリア活用採用選考でも、最終合格者のうち、それぞれの分野で生かすことのできる国家資格等を有する者の割合は約六割を占め、そのほかの四割も、民間企業等で専門的分野における経験を十分に積んだ者であり、即戦力として活用できる人材を確保することができたと考えております。
○中屋委員 理想どおり事が運んでいるということでありますけれども、ただ、一つ申し上げたいのは、幾ら優秀な方であっても、現場を知らない、またその中で汗をかかないということでは、やはり一人前とはいえないわけでありまして、ぜひともいろいろな分野で活躍できるような立派な職員になるようにお育ていただきたいと、特に先輩や上司の方々には申し上げたいなと、このように思います。
ところで、優秀な人材を確保するためには、ある一定の競争倍率というものが必要だと思いますけれども、そこでお聞きしたいのですが、東京都の採用試験における競争倍率というのは今どのようになっているのか、状況を教えていただきたいと思います。
○鈴木試験部長 平成二十一年度の競争倍率の実績を見ますと、東京都の採用試験全体では六・七倍であり、必要な倍率を確保しているものと考えております。ただ、採用者の中核となる大卒程度Ⅰ類Bの事務職の競争倍率は、五・四倍でございました。
この倍率を、都が直接人材確保を競い合う関係にある自治体の倍率と比較した場合、例えば特別区は七・六倍、横浜市は六・七倍でございました。そしてさらに周辺の県の倍率を見ますと、埼玉県は一三・七倍、千葉県は一三・一倍でございました。
○中屋委員 ほかの近隣の大都市に比べてちょっと低いという気がいたしますけれども、今いただいた数字、その原因は何だと思われますか。お聞きします。
○鈴木試験部長 委員ご指摘のとおり、優秀な人材を確保するためには一定の倍率が不可欠であります。五・四倍というのは直ちに支障が出る数字ではありませんが、周辺都市より低いことにつきましては懸念しているところでございます。
その原因につきましては、正確な分析は難しい面もございますが、一つは、都の組織規模から来る採用予定者数の多さであると考えます。他県の採用数と比較しますと、平成二十一年度に実施した試験では、大卒事務職の都の採用予定者数四百五十三名に対しまして、例えば埼玉県は五十五名でございました。
さらに加えますと、受験者層にとってより身近な基礎的自治体である特別区や政令市に比べて、都庁での仕事はふだん接する機会が少なく、また多様でありますことから、なかなか見えにくいというところにも原因があろうかと考えます。
○中屋委員 数が多いことによって、倍率がある程度頭打ちになるということはあるかもしれません。
ただ、都には「十年後の東京」に向けての魅力的な施策もたくさんあるわけでございまして、東京都の仕事が見えにくいということであれば、より周知徹底をして伝えていくということが重要になってまいります。特に、東京都にはいろいろな分野、種類があるわけでありますから、就職に迷っている、民間にするか、公務員になろうかという方々はたくさんいるわけでありますから、そうした魅力ある東京の施策を--東京都の職員になりたい、すばらしい内容なんだということをきちっと周知徹底すれば、私は数の増加というのは当然見込めると、このように思っています。
そこで、職員採用に関する情報とか、都庁の仕事の魅力などについての周知というのはどのように行っているか、お聞きをいたします。
○鈴木試験部長 人事委員会では、都の政策やまちづくりの重要性に共鳴し、使命感を持って働く意欲の高い人を都への受験へと導くという考え方に基づきまして、任命権者と連携しながら、民間事業者のノウハウも取り入れ、職員採用PRの強化を図ってきたところでございます。
具体的には、民間企業の就職スケジュールに合わせた職員採用公式ホームページの開設や、就職サイトへの掲載を行ったほか、民間主催の就職イベントや大学主催の説明会など、延べ百件を超えるイベントに参加し、大学生を初め多くの受験者層へ、都の政策や採用に関する情報について周知を図りました。
また、試験日程告知の時期に合わせまして、都庁における採用セミナーや、技術職受験者層を対象とした採用相談会を開催するなど、受験促進へ向けた取り組みを行っております。
今後はさらに、説明会やセミナーなどにおいて若手職員による仕事の紹介を取り入れるなど、都庁の仕事の魅力ややりがいを受験者の目線で具体的に理解してもらうための取り組みを進めてまいります。
○中屋委員 努力は非常に伝わってきますけれども、いうまでもありませんけれども、人というのは貴重な資源でありますから、そのことをしっかりと肝に入れて取り組んでいただきたい。
同時に、今、民間も国も、また他の自治体も頑張っておりますから、そういうところに東京都がおくれをとらないようにしっかりと頑張っていただきたい、このように思います。
最後に、局長の考え、決意をお聞かせいただきたいと申し上げたいと思います。
○多羅尾人事委員会事務局長 ただいまの中屋委員のお話のとおり、都政にとって人は最も大切な経営資源であり、都の組織の屋台骨でございます。これから、都は少数精鋭体制でさまざまな課題の解決に取り組んでいく必要があり、人材確保に当たる当委員会の責任はますます重大であると認識しております。
現在の労働市場や人材供給構造は、厳しい経済情勢、少子化の進行、さらなる高学歴化と、例えば文科省の調査によりますと、大学の理学部、工学部の場合、三分の一の学生は大学院に進学しているというようなことでございます。さらに中途採用の一般化など、多くの要因により、大きく変化しております。
当委員会といたしましては、それらの動向を常に注視しながら、職員採用試験、選考の実施結果についての分析、検証を常時行い、採用PR活動も含め、試験、選考等の実施手法を必要に応じ、適時適切に改正、改善してまいりたいと考えております。
繰り返しになりますが、都政の活力をさらに高めていくためには、継続的な人材確保が不可欠でございます。単に公務員を志望するということではなくて、首都公務員として、東京の発展に貢献する熱意と使命感を持ったすぐれた人材の確保に全力を尽くしてまいります。
さらに、新規採用職員は、都庁という組織の中で鍛えられ、経験を積み、有為な首都公務員に成長していくものだと思っております。任命権者とともに、当委員会も、人材育成にも最大限努力していく所存でございます。
○谷村委員 先日、平成二十二年の給与勧告がありましたが、給与関係では二年連続で、例月給、ボーナスともに引き下げという内容で、職員の皆様にとりましてはかなり厳しい内容となっております。
一部には職員の士気が下がるというご意見もあるようですが、民間に準拠して給与を決定するという、この給与勧告の内容が厳しいということは、それだけ民間の方々の賃金状況が厳しいということにほかならないわけでございまして、都民の皆様のために一生懸命働いておられる都職員の皆様には大変に残念な内容ではありますが、民間の方々の厳しい状況をしっかりとご理解いただき、公務に一層精励していただければと強く念願いたしているところであります。
さて本日は、今回の勧告の中で触れられております公務員制度関係について何点かお伺いをしたいと思います。
国において、国家公務員制度改革基本法をもとに、キャリア制度の廃止や幹部人事の内閣一元化が進められ、また公務員への労働基本権付与の問題、あるいは年金支給開始年齢の引き上げに伴う定年延長を軸とした高齢期雇用のあり方などが検討されており、公務員制度は、今まさに大きな転換期を迎えているといっても過言ではないと思います。
中でも、年金支給開始年齢の六十五歳への引き上げに伴う定年延長は、民間も含め、六十歳定年制が一般的な我が国の高齢期雇用のあり方に、大きな影響を及ぼすものであると思います。
本格的な高齢社会を迎える中で、高齢者の雇用を確保しながら、その能力を生かしていくことは社会全体の要請であり、公務においても、高齢者を活用しながら効率的な行政運営を行っていくことが求められるわけであります。
そこで、公的年金の支給開始年齢と公務員の高齢期雇用制度の動向について、確認をさせていただきたいと思います。
○大村任用公平部長 公的年金の支給開始年齢は、現在、六十歳からでございますけれども、平成二十五年度以降、段階的に六十五歳まで引き上げられることになってございます。そのため、官民ともに、平成二十五年度以降、六十歳で定年退職となる場合には、公的年金が支給されず無収入となる期間が生じることになることがございます。
既に、民間企業に対しましては、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律によりまして、六十五歳までの雇用確保措置が義務づけられております。公務におきましても、六十五歳までの雇用確保措置が必要であり、人事院につきましては、公的年金の支給開始年齢の引き上げに合わせ、国家公務員の定年年齢を六十五歳まで段階的に引き上げることが適当としまして、本年中をめどに成案を得て、立法措置のための意見の申し出を行うとしているところでございます。
定年年齢につきましては、平成二十五年度から三年に一歳ずつ段階的に定年を引き上げていくということとしておりまして、定年年齢を延長する年は、定年退職者が生じないということになります。
都におきましても、今後、国の動向を注視しながら、都職員の高齢期雇用のあり方について検討を進めてまいります。
○谷村委員 ありがとうございます。
そこで、仮に現在の人事給与制度のまま、平成二十五年度から定年延長を実施したとすると、二十五年度末には定年退職者が出ないため、翌年の平成二十六年度には新規採用数が大きく減ることになるわけであります。一方で、定年延長となった高齢者の職員がそのまま残ることになるため、定年延長を漫然と行った場合は、結果として、職員構成のゆがみ、あるいは人件費の増加などの問題を招くことにもなりかねません。
国が定年延長を実施すれば、いずれは都を初めとして地方公共団体も実施することになるわけでありまして、定年年齢が最終的に六十五歳になるのは平成三十七年で、十五年近く先の話のように思われがちでありますが、先ほど指摘させていただいたとおり、職員構成のゆがみや人件費などへの影響は、定年延長の翌年の平成二十六年には生じることになるわけであります。高齢期雇用の検討は、まさに目前に迫った喫緊の課題といえるわけであります。
また、制度面におきましても、同じ公務員とはいえ、国と都では、人事制度や運用の実態が異なるために、国の制度をそのまま都に適用することは難しいと思われるわけであります。
高齢期雇用の検討に当たりましては、国の動きを待って検討を始めるのではなく、都の実態を踏まえて早急に検討していくべきであると思います。
定年延長に伴うさまざまな課題に対して、人事委員会は今後どのように検討を進めていかれるのか、お伺いをいたします。
○大村任用公平部長 定年延長を実施することとなった場合につきましては、今、谷村理事からご指摘のございましたように、その影響は高齢層職員の人件費増大にとどまらず、採用抑制による職員構成のゆがみの発生や、若年、中堅層の人材登用などにも及びまして、解決すべきさまざまな問題が生じるところでございます。
検討に際しましては、こうした課題に適切に対処するとともに、国と都では、職員の年齢構成、職級構成、管理職や監督職への昇任の仕組みなど、人員構成や任用実態が異なることから、都の実情を踏まえた人事制度の設計、構築が必要となるところでございます。
さらに、高齢期の職員の、任用、給与制度の、設計、構築に当たりましては、民間の状況を十分に踏まえた仕組みとしていきますとともに、高齢層の職員がその持てる能力を十分に発揮できるよう、意欲、能力、健康状況、ライフプランなどを、限りなくきめ細かく反映する形で検討していく必要があるというふうに考えてございます。
○谷村委員 日本人の平均寿命が毎年伸びていることを考えますと、一般的な定年年齢である六十歳を超えても、精神的にもあるいは肉体的にも、現役として十分活躍できる時代となっております。
この定年延長を軸とした高齢期雇用制度の検討に当たりましては、年金問題への対応という受け身の姿勢ではなく、むしろぜひとも、少子高齢化による労働人口が減少する中で、都の現場で培った知識と経験を兼ね備えた高齢者を活用していくという積極的な視点を持って取り組んでいくことが重要であると思います。むしろ、民間が定年延長に取り組む際の標準的なモデルとして活用できるくらいのしっかりとした制度を構築していただくよう、お願いをしておきたいと思います。
また、定年延長は退職を控えた高齢層の職員だけの問題ではなく、若年あるいは中堅層の職員の昇任時期など、すべての年齢層の職員に影響が及ぶ問題でもあります。高齢期雇用のあり方の検討だけではなく、現行の六十歳定年を前提とした人事制度全体をここで一度総点検をしていただいて、六十五歳定年制に対応した制度に再構築していく必要があると思います。
私は、二年前の各会計決算特別委員会の全局質疑の中で、教員の人事、あるいは給与制度について議論をさせていただき、その中で、職責や、あるいは業績を重視した人事制度の重要性について訴えさせていただいたところでございます。
今後の人事制度の見直しに当たっては、都政の将来を担う若手や中堅層の職員がその能力を十分に発揮していただいて、意欲を持って職務に取り組めるように、職責や業績を重視した仕組みをこれまで以上に取り入れていただきたいと念願いたしております。
そこで、人事制度の大きな転換期を迎える中で、制度の抜本的改革に向けた今後の取り組みにつきまして、多羅尾事務局長のご決意をお伺いしたいと思います。
○多羅尾人事委員会事務局長 六十五歳定年制は、任用面、給与面など、制度全体にかかわります、近年にない、影響の大きな公務員制度改革だと認識しております。
詳細な検討は、今後、鋭意進めていくことになりますが、単に高齢期雇用のあり方だけではなく、六十五歳定年制導入を契機といたしまして、採用から退職まで人事制度全体を視野に入れ、今後の都政運営に資する抜本的な改革を実現することが重要であると考えております。
具体的な視点といたしましては、都政を担う各年代層のすべての職員について、先ほど谷村理事からもお話がございましたが、努力し、成果を上げた職員が報われる人事制度に徹底していくことが基本であるというように考えております。
その上で、高齢層につきましては、先ほど任用公平部長からもご答弁させていただきましたが、ベテラン職員としてこれまで培ってきた知識、経験、技術等を積極的に評価して、それらを最大限に活用していく前向きな視点が不可欠であると思っております。
一方で、若手、中堅層につきましては、定年延長の影響が人事の停滞や職場の活力の低下等につながらないよう、これまで以上に、能力や業績を的確に評価し活用していく多様なキャリア形成や昇任のシステムが必要と考えております。
さらに、今日、経済情勢等が大変厳しい中、都民の皆様も、より都政に注視していることと思われますが、六十五歳定年制を契機として、都民の皆様にもより一層ご理解いただけるような都の人事制度を構築できるよう、任命権者とともに万全の取り組みを行ってまいる決意でございます。
○谷村委員 大変、ありがとうございました。
公務員制度の転換期に当たり、鋭意あるいは意欲を持って取り組まれようとする決意が、びんびん伝わってまいりました。
さまざまな課題があり、大変だと思いますけれども、都民の理解と納得が得られ、また何よりも、都で働いておられる職員の皆様が納得できる制度となることを重ねて期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○吉田委員 私は、臨時職員の任用問題と今回の報告事項について、簡潔に質問させていただきます。
まず臨時職員についてです。
第三回定例会の代表質問で我が党は、都における臨時職員の実態について取り上げました。直接的には総務局の事柄になりますけれども、任命権者から独立した専門的な人事行政機関としての人事委員会として、いわば基本的な認識を確認させていただきたいと思います。
職員の臨時的任用に関しては、地方公務員法二十二条で定められております。この二項では、人事委員会の承認を得て六カ月を超えない期間で臨時的任用を行うことができる、また、人事委員会の承認を得て六カ月を超えない期間で更新をすることができる、ただし再度更新はできない、というふうに規定していると思います。
ところが東京都の場合には、基本的な任用期間は六カ月以内ではなく、二カ月以内というふうになっております。
それでまず、基本的な点について確認をしたいと思いますけれども、更新回数ですが、連続して二回、三回と、こうした複数の更新は適切か否か、まず基本的な見解をお教えください。
○鈴木試験部長 臨時的任用の更新につきましては、地方公務員法第二十二条に、六月を超えない期間で更新することができる旨、及び再度の更新ができない旨規定されております。
したがいまして、二回、三回の更新につきましては、できないということになろうかと思います。
○吉田委員 そうすると、東京都の場合には二カ月だけれども、更新回数は一回だけだということになるんでしょうか。
○鈴木試験部長 地方公務員法上は二回の更新ができませんので、一回の更新だけということになります。
○吉田委員 代表質問で紹介した事例は、四月から、二カ月、二カ月、一カ月と、二回更新して連続で五カ月勤務をする、そして一カ月失業して、またそれから、二カ月、二カ月、一カ月で更新して五カ月勤務して、一カ月失業をすると、そういう一年のサイクルをずっと臨時職員として続けられてきたという事例を紹介いたしました。
人事委員会としては、こういう私どもの質問をどのように受けとめられたでしょうか。そもそも、東京都において、こうした複数更新されている事態はないという認識なんでしょうか。あるいは、あったとしても問題ないという認識なんでしょうか。
○鈴木試験部長 人事委員会といたしましては、地方公務員法の規定に基づき、任命権者から提出された臨時職員取扱要綱を承認しているところでございます。
その実際の運用につきましては、任命権者において承認された要綱の範囲内で適正に行われていると認識しております。
○吉田委員 要綱に基づいて適正に運用されていると認識しているというお答えでしたけれども、実態調査はされているのかどうか疑問が生じます。
私は、ぜひ、直接的には総務局所管ではありますけれども、人事委員会として、実態についても把握されることを求めておきたいというふうに思います。
そもそも地方公務員法では、先ほど述べましたとおり、雇用期間は六カ月というふうに規定しているにもかかわらず、東京都はなぜか二カ月というふうに狭く規定をしていると。しかし、もちろん二カ月で終わる仕事もあるかもしれませんけれども、そうではなくて、実際上は通年的に臨時職員を充てて仕事をせざるを得ない。したがって、二カ月の短期間で終了できないために、私が紹介したような事態が生まれていると思います。
しかも全国では、全部調べたわけではありませんけれども、二カ月という県は多くはないと思います。多くは六カ月だというふうに私は思いますけれども、そういう点では、そもそも、二カ月というこの要綱そのものが改めて再検討されるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○鈴木試験部長 臨時的任用の具体的な任用期間につきましては、法令の制限の範囲内であれば、設定する職の性質を踏まえ、任命権者の裁量により合理的に定めるべきものと解されております。
したがいまして、任命権者が任用期間を二カ月としていることにつきましては、何ら問題ないと考えております。
○吉田委員 個々の人を何カ月任用するかというのはそれぞれ固有の判断でされるのでしょうけれども、先ほどからいっているように、東京都の場合、多くの他の県と違って、要綱自身で二カ月というふうに、地方公務員法上では六カ月という規定が定められていながらあえて短く設定しているところに、やはり現実との矛盾、乖離が生まれてさまざまな問題が発生しているというふうに思います。ぜひ、検討していただくことを強く要望いたします。
次に、人事委員会の勧告、報告について若干質疑をいたします。
自治体公務員の賃金、人件費は、税金による行政費用であり、適正な水準が求められます。同時に公務員としての生活を保障し、さらに、全体の奉仕者として、公正で民主的で効率的な行政の実現のために積極的に働くことを保障するものでなければならないと思います。
ところが今回の勧告に対して、年収への影響が大きい、私立大学生を扶養している家庭にとって痛手等の声が上がっていることが、新聞でも紹介されています。
平均でも、年間で十万五千円の減給だと。部長の方もいらっしゃる--部長級は約二十万円というふうに伝えられていますが、職員にとって極めて深刻な影響をもたらすことは、もう明らかだと思います。
しかも東京都の場合には、今回深刻だというだけではなく、月例給を見た場合に十一年連続でマイナスないし一回の据え置きと、とにかく一方的に直線で、ほぼ十一年間にわたって下がり続けるという事態は、尋常ではないというふうに思います。
先ほど民間の例が出されましたけれども、例えば都内の民間であったとしても、従業員千人規模以上の大規模事業所で十一年も連続して月例給がマイナスという事態が、多数、当然のような事態になっているんでしょうか。ご答弁をお願いいたします。
○大村任用公平部長 民間の賃金状況の調査につきましては、人事院と、全国の人事委員会が共同で実施しております民間給与実態調査のほかに、代表的な統計調査といたしまして、国税庁所管の民間給与実態統計調査、厚生労働省所管の賃金構造基本統計調査がございます。
人事委員会が実施しておるこれらの調査、あるいは国税庁、厚生労働省が実施している調査につきまして、いずれも給与所得者の平均年収は、平成十一年以降、若干のプラスとなっている年が二、三年程度あるものはございますけれども、それらを除いては減少傾向にございまして、お尋ねの従業員規模千人以上の大企業におきましても、ほぼ同様の傾向となってございます。
これらは、人事委員会が行う民間給与実態調査が民間の賃金状況を幅広く把握して、適切にこれをカバーしているというふうに考えておりまして、給与勧告を通じ、民間賃金を職員の給与に反映する役割を適切に果たしているというふうに認識してございます。
○吉田委員 下落傾向であったとしても、その過程では、統計上若干のプラスもあるというご答弁が今ありました。東京の場合には、十一年間にわたって、ほぼ直線に近く下がり続けているという事態です。
私も東京都生計分析調査を、これは総務局だと思うんですけれども、その勤労世帯の勤め先収入というものを経年的に見てみましたが、もちろん基本的には下降傾向です。しかし、例えば一昨年度の平成二十年度は平均月額五十四万九千円だったものが、昨年度は五十六万円と若干上昇しているというのが現実の反映です。
しかも、国の人事院勧告では全体でマイナス〇・一九%ですけれども、東京都の地域別の民間との格差は、プラス一・〇八%となっていたと聞きます。にもかかわらず、都の勧告ではマイナス〇・二九%ということで、納得できないという声が上がるのも当然だと思います。
他方、デフレ傾向といっても、あるいは物価が下がっているといっても、連続した賃金の引き下げは職員の生活を直撃することは明らかです。
今回の報告を見ますと、冒頭のところで、私が今述べた、都の行っている生計分析調査に基づいて世帯数ごとの生計費というものが紹介されていて、単に民間と連動しているだけではなく、生計費の確保という点でも適切であるということだと紹介されています。
しかし、この都の生計分析調査では、生計費が賃金とともに直線的に下落しているものではないと私は思いますけれども、勤労世帯の生計支出について、二〇〇五年から二〇〇九年までの推移というものを紹介してください。
○大村任用公平部長 東京都総務局が毎年実施しております東京都生計分析調査報告によりますと、食料費、住宅費、光熱水費、教養娯楽費など、一般的な生活経費に対します勤労世帯の生計支出の平均月額でございますが、平成十七年が三十六万七千一円、十八年が三十六万七千百九十三円、十九年が四十二万八千七十二円、二十年が三十五万六千三百三円、二十一年が三十七万一千八百五十円で推移してございます。
調査対象の世帯人数は平均三・三人ではございますけれども、実際の世帯人数が各都市でさまざまであり、また年によっては差が大きくあるなどによりまして大きく差が出ておりますが、生計支出はおおむね月三十七万円前後で推移をしているというふうに考えてございます。
また、職員給与の決定は民間準拠が基本でございますが、そのほか、生計費などへの考慮も必要というふうにされてございまして、人事委員会では、都民一般のいわゆる世間並みの生活水準を把握するため、生計分析調査をもとに世帯人員別の標準生計費を算出しまして、給与勧告に当たり、生計費を十分に考慮した上で給料表を作成しているところでございます。
○吉田委員 今ご答弁がありましたけれども、東京都の調査でも、もちろん統計のとり方という側面はあるかもしれませんけれども、生計費は一定のでこぼこ状態であるにもかかわらず、十一年連続で月例給の低下ということは、私は、生活に深刻な影響をもたらすと思います。
さらに、職員のモチベーション、勤労意欲向上の問題です。こうした連続した賃下げでモチベーションが低下することが懸念されることは当然のことだと思いますけれども、これまでの総括も含めて、どのように考えていらっしゃるんでしょうか。
○大村任用公平部長 人事委員会の給与勧告は民間の給与水準に準拠しておりまして、その内容が厳しいということは、民間の賃金状況が厳しいということにほかなりません。
ここ数年マイナス勧告が続き、給与費総額が減少している中で、職員の意欲、モチベーションを高めていくには、人事、給与制度を、より努力し成果を上げた職員が報われるという仕組みにしていかなければならないというふうに考えてございます。
そうした観点から、ことしの勧告におきましても、任命権者に対しまして、特別給のうち、業績が反映される勤勉手当の割合をより一層高めるよう、具体的な数値を示して取り組みを促したところでございます。
月例給、特別給ともに引き下げとなり、職員に対しましては厳しい勧告になったところでございますが、納税者である都民が置かれている厳しい賃金状況を踏まえまして、都民全体の奉仕者として、職員がより一層職務に励んで、より努力し成果を上げていくようにしていただきたいというふうに考えてございます。
○吉田委員 今ご答弁ありましたけれども、私はやはり、職員全体のモチベーションをいかに上げるのかということが基本で検討されなければならないと思いますし、また新聞等の報道を見ても、昇給カーブのフラット化では、経験を積んだベテラン一般職員のモチベーションは下がるばかりだという声が寄せられていることにも耳を傾けなければならないと思います。
最後に、これは人事委員会だけの問題ではありませんけれども、いずれにしても、官民問わず、異常な給与の連続引き下げは地域経済にマイナスの影響を及ぼしますし、デフレを加速することで国内消費は疲弊し、経済全体にも深刻な影響をもたらすことは明らかだと思います。こうした観点からも、ぜひ今後十分に話し合い、検討されることを希望して、質問を終わります。
○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
それでは、速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高倉委員長 それでは、速記を再開してください。
○高倉委員長 これより監査事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時二十九分散会
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