委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 田中たけし君 |
副委員長 | 伊藤まさき君 |
理事 | 大松あきら君 |
理事 | 山口 拓君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
小林 健二君 | |
小山くにひこ君 | |
淺野 克彦君 | |
西崎 光子君 | |
神野 吉弘君 | |
鈴木 勝博君 | |
吉原 修君 | |
田島 和明君 | |
川井しげお君 |
欠席委員 なし
出席説明員知事本局 | 局長 | 秋山 俊行君 |
次長 | 井澤 勇治君 | |
総務部長 | 大井 泰弘君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 倉田 潤君 |
総合対策部長 | 小濱 哲二君 | |
参事 | 浅川 英夫君 | |
総務局 | 局長 | 中田 清己君 |
総務部長 | 醍醐 勇司君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 矢口 貴行君 |
人事委員会事務局 | 局長 | 泉本 和秀君 |
任用公平部長 | 宮川 雄司君 | |
監査事務局 | 局長 | 三橋 昇君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
付託議案の審査(決定)
・第三十号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例(継続分)
・第百十七号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第百十八号議案 東京都組織条例の一部を改正する条例
・第百二十九号議案 公立大学法人首都大学東京中期目標について
・第三十号議案に対する修正案
請願陳情の審査(決定)
(1)二二第一〇号 東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案の廃案を求めることに関する請願
(2)二二第二八号 東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正に関する陳情
(3)二二第二九号 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例に関する陳情
(4)二二第三二号 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案に関する陳情
(5)二二第三七号 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例に関する陳情
特定事件の継続調査について
○小磯委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○小磯委員長 次に、意見書について申し上げます。
過日の委員会で理事会にご一任いただきました意見書一件につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。
○小磯委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案及び請願陳情の審査並びに特定事件の閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
これより付託議案の審査を行います。
第三十号議案、第百十七号議案、第百十八号議案及び第百二十九号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
修正案の提出について申し上げます。
ただいま議題となっております議案中、第三十号議案に対し、小林委員外六名から修正案が提出されました。
案文はお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
修正案の提出について
第三十号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
右議案に対する修正案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
平成二十二年六月十四日
(提出者)
小林 健二 田中たけし 大松あきら
小磯 善彦 吉原 修 田島 和明
川井しげお
総務委員長 殿
第三十号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案に対する修正案
第三十号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案の一部を次のように修正する。
第一条の規定のうち第三章の二の次に一章を加える改正規定(第十八条の六の二第二項に係る部分に限る。)中「性的対象」を「性欲の対象」に改める。
第二条の規定のうち目次の改正規定中「青少年性的視覚描写物のまん延」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等の青少年による閲覧等の」に改める。
第二条の規定のうち第七条に各号を加える改正規定(同条第二号に係る部分に限る。)を次のように改める。
二 漫画、アニメーションその他の創作された画像(実写によるものを除く。)において、年齢の表現(音声によるものを含む。以下この号において同じ。)又は年齢の表現がない場合にあつては服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を推定させる事項の表現(音声によるものを含む。)から明らかに十八歳未満として描写されていると認識されるもの(以下「描写された青少年」という。)を相手方とする又は描写された青少年による性交又は性交類似行為に係る描写された青少年の姿態を視覚により明らかに認識することができる方法で、みだりに、閲覧又は観覧する者の性欲の対象として、当該行為を不当に賛美し又は誇張するように描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
第二条の規定のうち第八条第一項第一号の次に一号を加える改正規定中「肯定的に」を「不当に賛美し又は誇張するように」に改める。
第二条の規定のうち第九条の二第一項に各号を加える改正規定(同項第二号に係る部分に限る。)を次のように改める。
二 第八条第一項第二号の東京都規則で定める基準 漫画、アニメーションその他の創作された画像(実写によるものを除く。)において、描写された青少年を相手方とする又は描写された青少年による性交又は性交類似行為に係る描写された青少年の姿態を視覚により明らかに認識することができる方法で、みだりに、閲覧又は観覧する者の性欲の対象として、当該行為を不当に賛美し又は誇張するように描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
第二条の規定のうち第十八条の六の二の見出しの改正規定中「青少年性的視覚描写物のまん延」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等の青少年による閲覧等の」に改め、同条第一項の次に一項を加える改正規定を次のように改める。
2 都は、青少年をみだりに性欲の対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と連携し、青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等(第七条各号に該当する図書類又は映画等のうち当該図書類又は映画等において青少年が性欲の対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類又は映画等をいう。以下同じ。)を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないようにするための環境の整備に努める責務を有する。
第二条の規定のうち第十八条の六の二に一項を加える改正規定中「青少年性的視覚描写物のまん延の抑止に向けた」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないようにするための」に改める。
第二条の規定のうち第十八条の六の二の次に三条を加える改正規定(第十八条の六の三の見出しに係る部分に限る。)中「青少年性的視覚描写物のまん延」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等の青少年による閲覧等の」に改め、同改正規定(第十八条の六の三第二項に係る部分に限る。)中「性的対象」を「性欲の対象」に、「青少年性的視覚描写物」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等」に改め、同改正規定(第十八条の六の四の見出しに係る部分に限る。)中「青少年性的視覚描写物のまん延」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等の青少年による閲覧等の」に改め、同改正規定(第十八条の六の四第三項に係る部分に限る。)中「性的対象」を「性欲の対象」に、「青少年性的視覚描写物」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等」に改め、同改正規定(第十八条の六の五の見出し及び第一項に係る部分に限る。)中「性的対象」を「性欲の対象」に改める。
附則第一項本文中「平成二十二年十月一日」を「平成二十三年一月一日」に、同項第一号中「平成二十二年四月一日」を「平成二十二年七月一日」に、同項第二号中「青少年性的視覚描写物のまん延」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類又は映画等の青少年による閲覧等の」に、「平成二十二年七月一日」を「平成二十二年十月一日」に改め、附則第二項中「平成二十二年七月一日から同年九月三十日まで」を「平成二十二年十月一日から同年十二月三十一日まで」に改め、附則第三項中「平成二十二年七月一日」を「平成二十二年十月一日」に、「同年十月一日」を「平成二十三年一月一日」に改め、同項の次に次の一項を加える。
4 知事は、この条例の施行後三年を目途として、この条例中第一条の規定のうち第三章の二の次に一章を加える改正規定及び第二条の規定のうち第三章から第三章の三までの改正規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(提案理由)
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案の文言の一部をより都民に分かりやすいものとするとともに、施行後三年を目途に改正規定の一部の施行状況に検討を加え必要な措置を講ずるための規定を整備する必要がある。
○小磯委員長 これを本案とあわせて議題といたします。
提出者の説明を求めます。
○田中委員 第三十号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案の一部を修正する条例案について、その趣旨を説明いたします。
第三十号議案の条例改正案は、去る二月二十四日に執行機関から都議会第一回定例会に議案として提出されたものであり、総務委員会に付託されることが決定されたものであります。
議会として受けたこの条例改正案について、第一回定例会において精力的に審議を行ってまいりましたが、一部の会派から、条例の理念には賛同するとしながらも、関連規定について十分かつ慎重に審議し、都民の誤解を払拭する必要がある。また、関係者の意見を広く聞かなければならないなどの意見が出たことを踏まえ、審議を継続することとなりました。
しかし、その間にも、インターネットや携帯電話に起因する青少年の被害やトラブルの発生、また児童ポルノ事件の頻発や、子どもを性の対象とする悪質な漫画等の一般書棚への陳列など、子どもが傷つけられ、その健全な成長が妨げられている状況が進行しております。
このような現状から子どもを守り、その傷ついた心身を回復させるための取り組みには一刻の猶予もありません。改正規定に基づく新たな取り組みを早急に実施すべきであり、一日も早く条例改正案の成立を目指すべきであります。
都議会として議案の付託を受け、条例の理念には賛同するという立場で継続審議を決めた以上、都民の誤解があるのであれば責任を持って議論し、その誤解を解消し、条例の理念を実現するための建設的な努力をしていく。これが議会人としての当然の責務であると考えます。
自民党と公明党は、当初より原案に賛成する立場ではありますが、条例改正案に対し懸念を抱く会派に対して、それを解決するための具体的な修正案をみずから提出していただいた上で、改めて議会各会派において検討を加え、議会の総意としての結論を取りまとめていくことが筋であると考え、再三再四にわたって働きかけを行いました。しかし、最後まで修正案がみずから提出されることはなく、大変遺憾に思っております。
したがいまして、我々自民党と公明党は、都民の代表として選ばれた責任と誇りを有する議会人として、他会派に率先してその責務を果たすべく、条例改正案への一部修正案を提出することとしたものであります。
その目的は、各条文の文言の一部がわかりにくいという指摘を踏まえて、原案の趣旨を変えることなく、より都民等にわかりやすいものに置きかえるとともに、条例改正案の拡大解釈やひとり歩きを心配するご意見を踏まえて、その実施状況を踏まえた議論と、見直しの機会を確保するということであります。
具体的な修正部分を順に申し上げますと、まず第七条第二号及び第九条の二第一項第二号における非実在青少年という略称の定義や趣旨がわかりにくいという指摘を踏まえ、改正案原案においては、「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)」とされていたものを、「漫画、アニメーションその他の創作された画像(実写によるものを除く。)において、年齢の表現(音声によるものを含む。以下この号において同じ。)又は年齢の表現がない場合にあつては服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を推定させる事項の表現(音声によるものを含む。)から明らかに十八歳未満として描写されていると認識されるもの(以下「描写された青少年」という。)」と修正いたしました。
次に、第七条第二号、第八条第一項第二号及び第九条の二第一項第二号における「肯定的に」の文言についてもあいまいさがあり、青少年の健全な性描写を肯定的に描いた漫画等が広く対象となってしまうのではないかとの懸念が見られることから、執行機関の類似の説明を踏まえ、「不当に賛美し又は誇張するように」と修正いたしました。
また、第七条第二号及び第九条の二第一項第二号における「性的対象として」についても同様に、青少年の性に関する描写がありさえすれば対象となる余地があるように見えるとの不安が示されたことから、「閲覧又は観覧する者の性欲の対象として」と修正いたしました。
また、同じ「性的対象として」という文言は、目次を含めた第三章の三、第十八条の六の二第二項及び第十八条の六の三第二項、第十八条の六の四第三項の各規定においても使用されておりますので、これらについても同様に「性欲の対象として」と修正いたしました。
次に、目次を含めた第三章の三、第十八条の六の二から第十八条の六の四にかけての規定及び附則第一項第二号において、第七条各号に該当する図書類または映画等のうち青少年が性欲の対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類または映画等を指す略称として「青少年性的視覚描写物」という文言が置かれていましたが、これもその趣旨が平易にわかるよう、「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類」に修正いたしました。
さらに、目次を含めた第三章の三、第十八条の六の二から第十八条の六の四の各規定の見出し並びに第十八条の六の二第二項及び第四項中に「まん延の抑止」という文言が置かれていたところ、これに対し、青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類の創作、出版行為や、十八歳以上の者に対する販売や閲覧までが抑止の対象となるとの不安を抱かせるとの指摘が見られたことから、所要の文言整理を行うことにより、都の責務等の内容が青少年が容易に閲覧しないための措置であることを明確化したものであります。
最後に、先ほど申し上げたとおり、条例の文言が拡大解釈されたり、ひとり歩きするおそれがあるとの心配を払拭するため、附則第四項として、「知事は、この条例の施行後三年を目途として、この条例中第一条の規定のうち第三章の二の次に一章を加える改正規定及び第二条の規定のうち第三章から第三章の三までの改正規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という規定を置き、施行後三年を目途として、施行状況の検討と見直しの機会を確保することといたしました。
なお、重ねて申し上げますが、あくまでも我が党及び公明党は原案に賛成する立場であり、原案の趣旨を損なうことなく、条文を都民にとってよりわかりやすくするための修正を行ったものであります。修正案の詳細につきましては、新旧対照表等資料をご参照してください。
各会派の賛同を求めて、趣旨説明といたします。
○小磯委員長 説明は終わりました。
これより修正案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○淺野委員 それでは私から、提出された修正案につきまして幾つか質問させていただきたいと思います。
我々都議会民主党は、この定例会までの間に、青少年が社会で健全に育つことを願い、さまざまな現場の調査や意見交換そして研究を行ってまいりました。
この条例案のもと、青少年の健全育成に、ともに協力していく各種団体やPTA、父母の会、子どもを守ろうという有志の方々、企業や漫画家、有識者など、本当に多くの皆さんとの意見交換や、書店、コミックマーケット、携帯電話販売店などへの視察、先日の参考人だけではない多くの皆さんの意見を聞き、現場を見てまいりました。
今回、提案者の皆様が修正案を出されるということは、少なからず原案に対して何らかの問題点があるとの意識をお持ちだったから修正すると推察いたしますけれども、その原案が持つ問題点をどのように認識されているのか、改めてお伺いさせていただきたいと思います。
○田中委員 先ほど提案趣旨説明でも申し上げたとおり、我が党と公明党は条例改正案原案の趣旨及びその条文の文言について全く問題はなく、直ちに可決成立させるべきものと考えております。
しかし、条例改正案が継続審議とされている間にも、インターネット上の有害情報や性的メディアのはんらんにより、現に東京の子どもが傷つけられ、その健全な成長が阻害されている実情にあることにかんがみ、そのような状況から直ちに子どもを守り、傷ついた子どもの心身を回復させるための取り組みには一刻の猶予も許されないという認識を我が党及び公明党は共有しております。
このため、原案の趣旨の早期実現を図ることが不可欠であると考え、原案の趣旨、内容には変更を加えず、その文言のみをよりわかりやすい表現とする修正を行うこととしたものであります。
さらに、原案の拡大解釈やひとり歩きを懸念する都民や関係団体等に配慮し、施行後三年を目途として、条例改正部分の施行状況について検討を加え、必要な措置をとる旨の附則を置いたものであります。
重ねて申し上げますが、原案そのものの趣旨及び条文に、何ら問題はないものと認識をしております。
○淺野委員 何ら問題がないけれども、修正案を出すということだったということですね。
この総務委員会における前田参考人の発言でも、漫画家の皆さんからのヒアリングをしていなかったことは素直に失敗だったと認めておりました。さらに、今、提案説明をしていただきました田中副委員長も、第一定例会での質問の冒頭、麻生元総理や自身が漫画好きであることに触れられ、漫画家の皆さんが自民党に意見書を持ってきてほしかったという趣旨の発言もされておりました。
そこで、この第二定例会、継続審議というか、このときまでに、各団体や漫画家の皆さんなど、特に誤解されているとおっしゃっている方々から直接どのような意見を聞き、それがこの修正にどのように反映されているのか。
また、先ほどの説明の中にもございました、一般書棚へのさまざまな見せたくない漫画の陳列が進行しているという発言もありましたが、それも、どのように確認されたのかについて伺いたいと思います。
○田中委員 私ども自民党と公明党は、第一回定例会において提案された原案が継続審議とされた理由の一つとして、保護者や事業者など、関係者の意見を聴取していく必要があるとのご主張があったことを踏まえ、修正案の検討に当たっては、実際の関係者の生の声を聞くことが重要と考え、原案の懸念をお示しになる関係者の方々を含め、さまざまな方のご意見を広く聞き、策定したものであります。
例えば先日、出版社数社と雑誌協会などの代表の方々にお会いし、意見交換をさせていただき、現在の状況等についても伺っております。
また、漫画家の方々も含め、実際に創作活動をされている方々、さらには弁護士など法律の専門家の方からも、メール、手紙、電話あるいは直接のご訪問等でさまざまなご意見をいただいてまいりました。
加えて、条例改正案への反対や、慎重審議を求める意見を表明したさまざまな団体の声明文等にも目を通させていただき、修正案の策定に当たっての参考とさせていただきました。
一方、子どものために条例の早期成立を求める保護者の方々、例えば東京都小学校PTA協議会の役員の方々、あるいは私立の幼稚園、初等、中等学校の父母の会の連合会の役員の方々などにお会いし、子どもが容易に手に取ることができるようなところに、子どもとの悪質な性描写のある漫画等が置かれている現状を親として憂え、子どもの健全育成のために一刻も早くそのような現状を改善したいという思いを伺ってまいりました。
その結果、この条例は、子どもを守るため、ぜひとも早期に成立させる必要があるが、原案の条文のわかりにくさが誤解や懸念を招いている面もあると判断をいたしまして、特に誤解や懸念が多数寄せられている条文の表現について、よりわかりやすくするための修正案を策定し、提出したものであります。
○淺野委員 重ねていってしまったのでわかりづらかったかもしれませんが、もう一つ、先ほどの説明の中で、一般書棚への陳列が進行しているとおっしゃっておりました。その確認はどのようにされたのか、お願いします。
○田中委員 その確認につきましては、それぞれの地元の書店に複数議員が書棚の現状を確認させていただき、十分な区分陳列がされてない旨を確認してまいったところであります。
○淺野委員 一般に、進行しているという場合は、当然事前に一回確認し、再度確認して、さらに進行しているというのが普通だと思いますが、それはいいです。
それでは、各文言について細かく伺っていきたいと思いますが、まず、性的対象という言葉を、性欲の対象という言葉に改めることにつきまして、どのように理解が進んでいくというふうに認識されているのかを教えていただければと思います。
○田中委員 このことについても、概要は先ほどの提案趣旨説明で申し上げたとおりでありますけれども、「性的対象として」については、青少年の性にかかわる描写が少しでもあれば対象になるのではないかとの懸念を踏まえ、性欲の対象としてと修正することにより、専ら青少年を読み手の性欲の対象としたような描写、つまりいわゆるエロ漫画のみが対象であるということを明らかにしたものであります。
以上です。
○淺野委員 では次に、青少年性的視覚描写物の蔓延という言葉を、青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類または映画等の青少年による閲覧等の、というように改めることにつきまして、原案でどのような誤解が生じ、どういった点が問題で、修正案ではそれがどのように解決されると期待されているのか教えていただければと思います。
○田中委員 これも先ほど冒頭申し上げましたとおり、我々としては原案でも十分理解されるものと賛成をしてまいりましたが、あくまでも誤解を招くことがあってはならない。そのようなことから対応、修正したものでございますが、青少年性的視覚描写物につきましては、新たに設けられた略称規定であり、わかりにくいとの指摘を踏まえ、一見してその指すところがわかりやすいということから、青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類という文言にいたしました。
そして、蔓延の抑止という文言につきましては、蔓延という言葉が、青少年の健全な性的判断能力を阻害するおそれのある図書類であっても、青少年が容易に閲覧等をできる状態を想定しているにもかかわらず、広く成人に対する流通や創作、出版自体をも対象となるようにも受け取られるという指摘を踏まえて、所要の文言整理を行い、都の責務等の内容が、青少年が容易に閲覧または観覧することのないようにするための措置であることが明確になるように修正をしたものでございます。
○淺野委員 青少年が容易にこれを閲覧、観覧しないための措置と明確化したとおっしゃったので、あえて伺わさせていただきますが、この閲覧等の「等」というのは何を想定していらっしゃるのか教えていただければと思います。
○田中委員 閲覧等ということに関しましては図書類を見るということでございまして、その「等」の字には何が入っているかということでありますが、観覧ということを指しておりまして、観覧というのは映画等、アニメーションやDVD、これを対象にしているものであります。
○淺野委員 よりわかりやすくというのであれば、当然、図書類の閲覧または映画などの青少年による観覧といった方がよりわかりやすいと私は思いますけれども、認識の差なんでしょうから、しようがないですね。
では、先ほど、一見してわかるというご説明がありましたので、またこれも聞かせていただきますが、青少年性的視覚描写物という言葉から、この修正がかかることによって視覚という言葉が外れます。これによって、小説も含むのではないか、つまり文章による表現を含むのではないかという疑いが発生してしまうのではないかというふうに考えますが、どのようにお考えでしょうか。
○田中委員 ご質問の前の確認でございますが、映画等と具体的に書いた方がいいのではないかということでありますが、修正案におきましては漫画やアニメーション等の創作された画像における登場人物ということを明確にしておりますので、その趣旨に沿った修正案であると我々は認識をしているところであります。
それから、第七条第二号の非実在--のところでございますが、この非実在青少年という文言については新たに設けられた略称で、その定義も含め難解であるという懸念を踏まえ、略称を、描写された青少年といたしました。(発言する者あり)済みません、失礼いたしました。
青少年の性的視覚描写物の部分でございますが、これにつきましては新たに設けられた略称規定であり、わかりにくいとのご指摘も踏まえまして、一見してその指すところがわかりやすい、青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類という文言に改めさせていただきました。
それから、小説が入るのではないかということでありますが、我々の、あるいは原案も含めまして、この想定につきましては小説は入らないものと認識をしております。
以上です。
○淺野委員 少しちょっと混乱されたようですが、もう一度だけ伺います。
視覚という言葉が外れることによって、小説も含むという疑いが発生すると。それに対して、説明では一見してわかるとおっしゃっているので、一目見ただけでは小説が入らないということが理解されないのではないですかという疑問点にお答えいただければという質問でございます。
○田中委員 修正案にも漫画等ということの明確な規定をさせていただいておりますので、修正案には入れておりますので、小説は入らないものと認識をしております。
以上です。
○淺野委員 どうやら、ちょっと読んでいる文章の場所が違うようですので、あえてまたいいませんが、その漫画等というのが入っているのは、先ほどの非実在青少年を修正した場所でありまして、青少年性的視覚描写物のところには漫画等という文章は一切載っていないんです。にもかかわらず、漫画等と入っているからというのは--しようがないですね、もとの原案をちゃんと理解されているのかどうかが疑問でありますけれども、答えられないというのでしたら、先に進めさせていただきます。
では、ちょっとあえて確認をさせていただければと思うんですけれども、先日の質問の中でも、田中副委員長から青少年の性描写は規制しなければという言葉があったり、あるいは、この修正案の第十八条の六の四第三項でも、図書類または映画などが判断力を阻害すると。つまり閲覧が判断力を阻害するのではなくて、そのもの自身、図書類や映画が判断力を阻害するという文章がはっきりと載っているわけですけれども、その存在自体を規制する必要があるような印象を与えてしまうんじゃないかという懸念がありますが、これでも、閲覧しないための措置であることが明確化した修正であるといい切れるのかどうかだけ、お答えいただければと思います。
○田中委員 我々は今回の修正案において、しっかりとした対応ができるものと認識をしているところであります。
○淺野委員 誤解を払拭する必要はもしかしたらあるのかなという気もしますが、それでは第七条第二号、いわゆる非実在青少年に関する定義と文言、これを修正されているわけですけれども、ここも、どのような問題点を認識されていて、つまりどのような誤解を招くというおそれがあると認識され、この修正をすることでどのように理解が進むとお考えなのか、お答えいただければと思います。
○田中委員 非実在青少年ということでありますけれども、この文言につきましては新たに設けられた略称で、その定義も含め難解であるという懸念も踏まえ、略称を、描写された青少年といたしました。
その上で、それが漫画やアニメーション等の創作された画像における登場人物であることを明らかにする文言を挿入するとともに、該当性を判断するに当たって、年齢の明確な表示があれば、その表示が優先され、服装その他の年齢を推定させる事項の表示については、年齢の明確な表示がない場合に限って参照されるべきことを明確にし、年齢が十八歳以上であると明記してあるにもかかわらず、十八歳未満を推定させる制服、セーラー服などを含みますが--を着ている等の描写は該当しないということを明らかにしたものであります。
何を期待するかということですが、これまでの議論の中でも、いわゆる条例を恣意的な、あるいは意図的な判断がなされてはならないという多くの方々のご懸念、ご不安があるので、それをより明確にするため、当初は非実在青少年と明記いたしました。しかしこの名称が余りにも創作された文言であり、ストレートに響かないという多くの方々のご指摘もあったために、より明確な表現としたものであります。
そのことによって、いわゆるこの修正案が意図的な運用がされることはないということを期待して、修正をしたものであります。
以上です。
○淺野委員 次に、肯定的にというのを、不当に賛美しまたは誇張するようにと修正することにつきまして、都が、不当に賛美しているか、あるいは誇張していると認識すれば、該当してしまうのではないか、つまり恣意的な解釈ができるんじゃないかと推測され、範囲が広がってしまうおそれが払拭できていないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
あるいはもう一つ、肯定的というのと誇張という言葉が同義語であるとはちょっと私には思えないんですけども、そこもいかがでしょうか。
○田中委員 肯定的ということにつきましては、青少年の健全な性的成長過程を肯定的に描いた漫画等が広く対象になってしまうのではないかとの懸念も見られたことから、都議会等における執行機関の類似の説明を踏まえ、不当に賛美しまたは誇張するようにと変更することにより、本来は賛美され、または誇張されるべきでない社会規範に反する悪質な行為等を、さも悪質でないように表現したものに限定することを明らかにしたものであります。
以上です。
○淺野委員 今のお答えの中で、肯定的と誇張というのが同義語かどうかということについてはお答えいただいていないわけですけれども、では次に進みたいと思います。
さらに修正案の中では、幾つかの文言を抽出しまして、わかりにくい、誤解を招くからわかりやすくしますという根拠に照らしてやっているということでありますが、であるならば、逆にいうと、修正していない場所は誤解を生まない、あるいは完全に理解されているという認識であるという理解でよろしいでしょうか。
○田中委員 そもそも、繰り返しになりますが、我が党及び公明党は、原案の文言で十分その趣旨が理解できるため、本来、修正は必要なく、原案のままで可決成立させるべきものであるという立場であります。
しかし、原案に対して示された懸念の中では、漫画等に関するものが突出して多かったことから、原案を最大限に尊重しつつ、懸念の払拭に努めることが望ましいという判断から行ったものであり、修正されていない箇所については十分理解されるものと認識しております。
○淺野委員 提案者である都知事もわかりづらいといったこの条例案ですら、提案者の皆様から見ると全く理解できるし、普通の都民の皆様にも理解が進むという理解だというふうに認識をしているということをお答えいただきました。
それでは最後に、改正部分、三年ごとに検討して必要な措置を講ずるというお話でございますが、これは現行条例の部分は一切含まず、改正部分だけ三年ごとに検討するという、施行状況の対象を改正部分だけに絞っているのはどうしてかということを教えていただければと思います。
○田中委員 質問の前の、冒頭の知事の発言に対してのところでありますけれども、我々の理解としては、知事の「わかりづらい」という部分は、今回の修正案でしっかりと対応しているものと認識をしております。
その上で、今回の附則の中に盛り込んだことにつきましては、最近、都民等から私ども両党に寄せられる意見を見ますと、都が質問回答集や議会答弁で示している解釈、運用が、本当にそのとおり実施されるのか不安である、将来、拡大解釈され、現在の説明とは違った運用になってしまうのではないかといったものが目立っておりました。
このことは、立案者としての都の解釈について都民の理解が進んだ一方で、将来の拡大解釈への不安が払拭されていないことを示すものだと思っております。そこで、三年後の検討、見直し規定を設けることにより、そうした拡大解釈の有無、運用上の問題がないかどうかを検討し、必要に応じ、規定の見直しも視野に入れることを議会として都民に約束することで、こうした不安の払拭を図ろうとするものであります。
なお、改正されない部分はなぜ含まれないのかということでありますが、議会でも再三議論されておりますが、昭和三十九年から運用されているこの条例に対しては、私どもは青少年健全育成の環境確保には多大な成果があったものと認識をし、改正箇所以外においては現行のとおり多くの都民の方々に認識をされているもの、そしてまた多くの成果を上げているものという認識に立っておりますので、この附則の対象にはしなかったということであります。
○淺野委員 先ほどの質問--答えが一つだけあったので、最後に申し上げておきますが、私が申し上げたのは、そもそも原案どおりの文言で理解は十分進むという認識をしていますという発言があったので、都知事がわかりにくいといっていても、皆さん方はわかりにくいと思っていらっしゃらないんですね、という意図でいったものでございますということだけ申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○田中委員 先ほどの、小説が含まれる、含まれないの議論のことに対しましては、明らかに修正案の中に、三章の三の第十八条の六の二の二項に規定されておりまして、第七条各号に該当する図書類または映画等のうち当該図書類または映画等において青少年が性欲の対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類または映画等をいう、ということを具体的に明記しており、小説類は含まれないということであります。
以上です。
○淺野委員 答えていただいたので、一度、今終わるといいましたが、答弁を求めて、お答えが、ちょっと私の質問の趣旨と違ったので--先ほど私が聞いたのは、その定義があることはわかった上で、一見してわかるといっているのに、定義を見なきゃわからないんだったら、わかりやすくなったとはいえないんじゃないんですかという趣旨の質問だったんですけれども、それでお答えいただけるんだったら、どうぞもう一度お願いします。(発言する者あり)
○小磯委員長 では、終わりにします。
○吉田委員 私も、修正案について若干絞って質問させていただきます。
修正案を提出する動機は、趣旨は間違いないけれども、あくまでも字句上の誤解を解消するためだということで、修正案を提出する趣旨について説明がありました。
私は、部分的な字句の修正で、提案されている条例案の問題点は解消できるものではないという見解に立っておりますけれども、せっかく出された修正案ですので、何点か基本的な点だけこの機会に確認をさせていただきたいというふうに思います。
第一は、いわれた趣旨である、字句をめぐって誤解が解消されたというものなのかどうかということだと思うんです。
既に議論がございましたけれども、今回の条例提案に当たっては、参考人の前田教授自身が認めていたとおり、自主規制を拡大するという提案であるにもかかわらず、十分関係者の合意を得ることがなかったというところが大きな問題だったと思います。
この点について、先ほどの質疑の中で、自民党及び公明党としては、修正案提出に当たっては十分関係者の意見を聞く努力をしてきたというご答弁がありました。率直にいって、私、その点を改めて確認したかったわけですけれども、そういう答弁がありましたので、それでは、そういう関係者との協議の結果として、このような修正によって誤解が解消されるというご判断をされたんでしょうか。また、そういう声が出されたんでしょうか。その点をまず、ご答弁をお願いいたします。
○大松委員 ご指摘のように、今回この原案が継続審査とされました理由の一つ、保護者や事業者など、関係者の意見を聴取する必要があるという主張を踏まえまして、私ども自民党、公明党、両党は修正案を検討するに当たり、実際に関係者の方々の生の声を聞くことが重要と考え、原案への懸念をお示しになられていらっしゃいます関係者の方々を含めまして、さまざまな方のご意見を広く聞き、策定したものでございます。
私も、反対意見を述べられてメールを送ってこられた方、アニメーションクリエーターの方にも直接お会いしてお話をいたしまして、このたびの条例案につきまして詳細をご説明させていただきまして、この条例案につきましては必要であり、適切であるということでご理解を得たものでございます。
○吉田委員 私は、反対声明を出された多くの団体の方々は今回の修正案によっても決して納得できるというものではないと思いますし、そもそも明確な反対意見を表明している人は、字句の誤解ではなく、このような規定をすること自身について異論を表明しているのではないかなというふうに感じます。
二つ目について質問いたします。先ほどもお話がありましたけれども、修正案は性的対象という言葉を、性欲の対象といいかえております。そして、修正案第七条第二号では、閲覧または観覧する者の性欲の対象として描写、という規定に改められました。
そこでお伺いいたしますけれども、こうした規定と、従来からある「性的感情を刺激する」ということは、私はほぼ同意義ではないかなというふうに思いますけれども、違いがあるんでしょうか。いかがでしょうか。
○大松委員 ご指摘の両者につきましては異なるものでございます。
まず、閲覧または観覧する者の性欲の対象として描写といいますのは、子どもの性交等のシーンを読み手の性欲の対象として描写したものということであります。すなわち子どもと大人、または子ども同士の性行為が全編の大部分にわたって描かれているような、いわゆるエロ漫画と世間で認識されている漫画のうち、子どもとの性行為の描写がメーンであるものに対象を限りまして、真摯な恋愛の結果としてのベッドシーンを描いたものや、文学作品を忠実に漫画化したものなどは対象でないということを、これは原案につきましても同様でありますけれども、そのことをより明確に表現したものであります。
しかし、先ほど申し上げましたいわゆるエロ漫画が、常に、現行基準でいいますところの読み手の性的感情を刺激するとは限りません。現行基準の性的感情を刺激するものは、その性描写の程度が相当に克明であることを要するわけでございますけれども、修正案の対象は、現行基準に至る程度まで性描写が克明であることを必要としていないわけでございます。これにつきましては、原案につきましても同様でございます。
したがいまして、修正案の「性欲の対象」は「性的感情を刺激」するということとは異なるものでございます。
○吉田委員 今ご答弁がありましたけれども、いろいろな意見があるかと思いますが、現実に、現条例では、性的感情を刺激という規定が盛り込まれているわけです。
それ以外のもので、さらにこうした性欲の対象としての描写ということになれば、一体どのようなものが対象になるのかということで、多くの関係者が懸念を抱かざるを得ないのは道理のあることだと思います。
今、るる説明があり、いわゆるエロ漫画というお話がありましたけれども、そういうこととして理解をすることは決して容易なことではなく、こうした規定によって、新たな規制対象が広がるということに懸念を表明することは当然のことだと私は思います。
最後に、これもやりとりはありますけれども、大事な点なので改めてお聞きしておきたいと思います。
修正案には、附則第四項として、条例施行の三年後に改正規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということが書かれております。これは、懸念があるからこのような、心配があるから規定を設けたんだという、いわば第三者の声があるからということでありますけれども、改めて、なぜこの規定を設ける必要があるのかということについてもご答弁をお願いいたします。
○大松委員 都民の皆様方などから、私ども公明党、自民党、両党に寄せていただいております意見を拝見させていただきますと、都が質問回答集や議会答弁で示されている解釈、運用が、本当にそのとおりに実施されるのかが不安である。将来、拡大解釈され、現在の説明とは違った運用になってしまうのではないかと、こういう内容が目立っているわけであります。
このことにつきましては、立法者であります都の解釈について都民の皆様方の理解が進んでいるという一方で、将来の拡大解釈への不安が払拭されていないことを示しているわけでございます。
そこで、三年後の検討、見直し規定を設けることによりまして、そうした拡大解釈の有無、運用上の問題がないかどうかを検討いたしまして、必要に応じて規定の見直しも視野に入れるということを議会として都民の皆様方にお約束をすることで、そうした不安の払拭を図ろうとするものでございます。
○吉田委員 不安の払拭ということをいわれましたけれども、私はやっぱり、都が提案した一部改正案も、皆様方の字句の修正案も、やはり明確に何をもって規定するのかという点では、あいまいさが解消できないというところに本質的な問題があるということのあらわれとして、こうした規定を設けざるを得なかったというふうに受けとめざるを得ません。
それは、前回の委員会でも、参考人でご発言された前田教授自身が、言葉できれいに書き分けろということは無理なんですということを、これは、みだりに、肯定的、という言葉を想定した場合ですけれども、そういう発言をし、やっぱり一つ一つ、事に当たりながら判断していかざるを得ないということを述べました。
したがって、それは単に第三者の懸念ではなく、いわば条文そのものの持っている問題がはらんでいるからこそ、こうしたことにならざるを得ないのではないかなというふうに理解する次第であります。
以上で私の質疑を終わります。
○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
修正案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、修正案に対する質疑は終了いたしました。
この際、本案及び修正案に対し、発言の申し出がありますので、これを許します。
○小山委員 第三十号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案に対する修正案について意見を申し上げます。
都議会民主党はこれまで、次代の社会を担う青少年たちが心身ともに健全に成長することを願い、携帯電話を介したインターネット上の有害情報や、書店における図書類での性表現などに関して、携帯電話販売店やフィルタリング会社、モバイルサイトの審査機関、書店などを視察し、課題や自主的な取り組みの進展など、現状把握に努めてまいりました。
また、この条例のもと、青少年の健全育成にともに協力していただく皆さん、例えばPTAや父母の会、子どもを守ろうという有志の方々、各種団体、企業、漫画家、弁護士会、教育などの有識者など、多くの皆さんと意見交換を行ってまいりました。
そして、出版関係四団体で構成する出版倫理協議会に対し、現状を踏まえて、自主規制の徹底や青少年の健全育成に対する新たな取り組み、児童ポルノによる青少年被害者の救済にさらに努力するよう求めました。出版倫理協議会からは、青少年の健全育成に対して今後とも努力を尽くしていくとの返答を得ました。
都議会民主党は、情報モラル教育や情報リテラシー教育、性教育など、青少年が成長する中でみずからを高めていく教育も大変重要であると考えています。保護者や地域を初めとした社会全体で、子どもたちの性的なメディアに対する受容環境を制御していくことも不可欠です。
そして、性的虐待を受けた子どもたちへの心身の回復などの支援にも重きを置く、総合的な取り組みが必要だと認識をしております。都議会民主党は、今後も青少年の健全育成のために真摯に取り組んでまいります。
一方、石原知事自身は、改正案を議会に提出してから、継続審議の決定後、実は精読していなかったと告白するとともに、非実在青少年という言葉はわけがわからない、どんどん変えるべきだと発言され、結果、責任を持てないものが議会に提出されたことがわかりました。
今回、他会派から、都が行うかわりとして、改正案に対する修正案が提出されました。このことから、都議会のほぼすべての会派が、改正案に対して少なからず問題があるとの意識を持っているのではないかということが改めて確認されたと考えます。
修正案は、改正案の趣旨を変えずに文言を変え、都民にわかりやすいものとしたとのことですが、十分とはいえず、さらに幅広い議論が必要であると考えます。私たちは、知事みずからが不備を認める議案、改正案が、いまだ議会に提出されたままになっていることを問題視し、撤回と再度責任の持てる案を提出するよう求めています。
これらのことから、今回、いずれの議案にも反対をいたします。
○吉原委員 都議会自由民主党を代表いたしまして意見を申し上げます。
我が党は、今回、総務委員会に付託された知事提出の全議案に賛成する立場ですが、特に第三十号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案及び我が党と公明党が提出した同条例改正案の一部を修正する条例案について意見を申し上げます。
提案趣旨説明及び質疑においても繰り返し申し上げたとおり、我が党は第一回定例会当時から原案に賛成の立場でありますが、条例改正案の理念を共有するという一部会派の言葉を信じ、条例改正を円滑に進めるために、やむを得ず継続審査に同意したものであります。
しかしながら、継続審査の間にも、インターネット上や児童ポルノ、悪質な漫画などにより心身を傷つけられ、健全な成長を脅かされている子どもが着実にふえていることから、子どもを取り巻く環境を早期に改善するため、我々は原案の趣旨を尊重しつつ、その条文を都民にとって、よりわかりやすいものにするための修正案を公明党と共同で提出いたしました。
原案及び修正案の内容は子どもを守るための取り組みであり、都議会民主党や生活者ネットワーク・みらいの皆さんが主張される、教育による対応や業界の自主的取り組みによる対応と、決して矛盾するものではありません。
以上のことから、原案への賛成を前提としつつ、修正案に賛成をすることを表明し、かつ、全会派の賛同をお願いいたしまして、意見を終わります。
以上です。
○小林委員 第三十号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案について申し上げます。
第一回定例会で提案された本改正案は、子どもを児童ポルノやインターネットによる被害から守り、子どもを性の対象として扱う悪質な漫画などを書店において成人コーナーに区分陳列し、子どもに見せない、売らないようにすることを目的としたものです。
公明党は、未来の宝である子どもが、いたずらに性の対象となり、ぬぐいがたい心の傷を負うようなことがあっては断じてならないとの信念から、本改正案に賛成であります。しかし、各会派の皆様方のご理解をいただくとともに、より多くの都民の方々に原案の理念を理解し、共有していただけるような努力を執行機関に求めて、継続審査としたものです。
継続審査後、より具体的に明確に本改正案の趣旨を都民に周知する都の取り組みや、本委員会において参考人招致を行うなど、今日まで真剣に、精力的に本改正案の実現に向けて取り組んでまいりました。
特に参考人招致において、赤枝恒雄医師は、二十年以上前から同じ議論がなされているが、一向に進んでいない、急ぐ問題であり、これ以上待てないとの発言をされましたが、何としても子どもを守りたいとの強い覚悟があふれたこの発言は、本改正案を審議する私たち委員一人一人が共有しなければならない心であると思います。
継続審査とした以上は、第二回定例会で結論を得るために最大限の努力をしていくことが都議会の責任であります。むろん都提出の原案に賛成でありますが、都民の理解をより一層得られるために、私どもは自民党とともに、都民からいただいた多くのご意見を踏まえ、よりわかりやすい文言に置きかえるとともに、かつ拡大解釈という懸念を払拭するために、本制度の施行後三年を目途として施行状況の検討を加え、必要な措置を講ずることとした修正案を本定例会に提出いたしました。修正案を示し、具体的な対応に懸命に取り組んでいくことが、都民の負託を受けた私たち都議会の責任であり、使命であると考えます。
以上のことから、我が党として原案及び修正案に賛成するとともに、各会派もこれに賛同いただくことを期待することを表明します。
なお、東京都組織条例の一部を改正する条例案及び都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案及び公立大学法人首都大学東京中期目標については賛成することを表明し、意見表明を終わります。
○吉田委員 本委員会に付託された議案に対する、日本共産党都議団としての意見を述べます。
初めに、第三十号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例についてです。
そもそも、すべて国民は十八歳未満といえども、表現の自由や知る権利等を保障されていますが、青少年はいまだ人格形成の途上にあるため、その心身の健やかな成長の環境を整備するために、条例で一定の基準に該当する図書類や情報を青少年が容易に閲覧、観覧できないようにすることは一般的に認められていることです。しかし、この間の審議及び参考人質疑等によって、それでもなお今回の条例改定案が決して容認できないものであることが明瞭になりました。
第一に、出版及び創作活動への重大な影響です。
改定案は、現行条例にもある、青少年に対し性的感情を刺激し、残虐性を助長し、または自殺もしくは犯罪を誘発するという規制基準を満たさない漫画等であっても、十八歳未満とみなされるキャラクターの性交また性交類似行為が描写されていれば規制対象となし得るとするものであり、その基準である「みだりに」、「肯定的に」は恣意的に判定されかねず、これにより、出版及び創作活動の萎縮をもたらす危険が否定できません。
表現の自由を制約する理由となる立法事実が、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するという抽象的なおそれであり、事実として具体的に明示できないものであることも重大な問題点です。また、個々の出版物にとどまらず、出版事業者への新たな規制も許されません。
第二に、家庭教育への行政の過度な介入の問題です。
インターネットや携帯電話の利用に関して、改定案によって新設される規制措置の多くは、国の青少年インターネット環境整備法に定められた、一、青少年みずからの主体的な情報利用、発信能力の習得。二、民間の自主的かつ主体的な取り組みを国及び地方公共団体が尊重すべきこと。三、保護者がみずからの教育方針と青少年の発達段階に応じて青少年を援助することという基本理念から逸脱するものです。法曹界からも、家庭への介入として批判の声が上がっています。
以上により、本議案に反対です。また、自民党及び公明党提出の修正案は、以上のような原案の根本問題を何ら変えるものではないので反対です。
なお、同様の立場から、提出されている請願、そして陳情については趣旨採択すべきと考えます。
この機会に、都の青少年行政を、治安対策や取り締まり偏重から、青少年の人格形成を支援する原点へと立ち返らせ、青少年が性的自己決定能力や情報リテラシーを身につけることができるよう、総合的な施策を具体化すべきことを重ねて申し述べておくものです。
次に、第百十八号議案、東京都組織条例の一部を改正する条例についてです。
スポーツ振興や国体成功のために、都が行政組織の力を結集して取り組むことは当然のことです。しかし、今、都のスポーツ振興施策に求められているのは、石原知事がオリンピック招致の名で進めてきたイベント偏重のあり方を抜本的に見直し、地域や学校など、草の根からの都民のスポーツ誘起にこたえて、スポーツのすそ野を広げることを土台に据え、スポーツの多面的な発展の条件を整備することです。こうしたスポーツ施策の転換の方向が示されず、これまでの延長線上での事業をさらに進めるための組織編成には同意できません。よって、反対です。
次に、第百二十九号議案、公立大学法人首都大学東京中期目標についてです。
我が党は、そもそも都立の四つの大学の統廃合と独立行政法人化は、大学の教育研究条件を後退させるとして強く反対し、実際に、標準運営費交付金を毎年二・五%ずつ削減した第一期中期目標にも反対しました。今回の第二期中期目標においては、削減率を一・〇%としたものの、増額こそが求められている大学の現状を無視しており、同意できません。よって、本議案に反対です。
以上です。
○西崎委員 まず初めに、第三十号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例及び修正案に対して意見を述べます。
今回の条例改正に当たっては、多くの方からの意見が都にも各議員にも寄せられました。当初は、条例の文言があいまいであり、言論の自由を規制されるのではないかという不安から、出版関係、また弁護士会などから反対する意見も出されています。とても大きな反響があり、大変な影響力のある条例をわずかな間に判断することは慎重にならざるを得ませんでした。
そこで、この間に、携帯会社、フィルタリング技術開発の企業、出版、雑誌関係のさまざまな団体や、地域で活動している親御さんからも意見や要望を伺いました。だれもが、子どもの性的搾取や性的虐待が起きている現状、子どもが有害情報にさらされている現状を放置していいとは考えていません。しかし、単に表現の規制、取り締まりをするだけで、子どもたちをこのような社会から守れるとはいい切れないのではないでしょうか。
本条例は、青少年の環境整備を助長するとともに、青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し、青少年の健全な育成を図ることを目的とすると定めるだけで、子どもの権利保障、子どもの最善の利益保障の理念が基盤とされていません。
大人の、上から目線で子どもを支配、監視し、悪いものだけを排除するだけでは、被害に遭った子どもへの救済という点で全く不十分です。また、親の責務にも行政が介入できる条文になっており、プライバシーの侵害のおそれもあります。
行政にすべての判断を任せるのではなく、保護者、出版業界が一丸となって、子ども自身が、何が俗悪な表現であるかを理解できるように教育し、子どもたちにどのような社会がつくれるのかを考えていくべきだと思います。
よって、都議会生活者ネットワーク・みらいは、第三十号議案及び修正案に反対し、この請願陳情に関しては賛成いたします。
次に、第百十八号議案、東京都組織条例の一部を改正する条例について意見を申し上げます。
この条例は、この夏、東京国体に向けて実行委員会が立ち上がるのを機に、スポーツ組織を一元化するため、新たにスポーツ振興局を設置するものです。地域でのスポーツ振興や障害者スポーツ振興、東京国体への準備をすることは必要であり、推進することに反対するものではありません。これまでの担当局で、多摩国体への支援や地域の草の根スポーツへの支援などを充実させることができたのではないかと考えます。
新たにつくられる組織規模は、現在の生活文化スポーツ局など幾つかの組織体制を合わせ、さらに国体の準備のための増員を考えれば、百人規模までになります。それだけの組織編成をするのであれば、当然どのような事業を行うのか、年間予算も含め、三月時点で検討され、議会に諮られるべきだと考えます。詳細な事業内容も予算も示されないままこの時期に提案されることについて、無条件に賛成するわけにはいきません。よって、反対いたします。
以上です。
○小磯委員長 発言は終わりました。
これより採決を行います。
初めに、第三十号議案を採決いたします。
まず、小林委員外六名から提出された修正案について、起立により採決いたします。
本修正案に賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○小磯委員長 起立少数と認めます。よって、修正案は否決されました。
次に、原案について起立により採決いたします。
本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○小磯委員長 起立少数と認めます。よって、第三十号議案は否決されました。
次に、第百十八号議案を採決いたします。
本案は、起立により採決いたします。
本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○小磯委員長 起立多数と認めます。よって、第百十八号議案は原案のとおり決定いたしました。
次に、第百二十九号議案を採決いたします。
本案は、起立により採決いたします。
本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○小磯委員長 起立多数と認めます。よって、第百二十九号議案は原案のとおり決定いたしました。
次に、第百十七号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認めます。よって、第百十七号議案は原案のとおり決定いたしました。
以上で付託議案の審査を終わります。
○小磯委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
請願二二第一〇号、陳情二二第二八号、陳情二二第二九号、陳情二二第三二号及び陳情二二第三七号を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
これより採決を行います。請願二二第一〇号、陳情二二第二八号、陳情二二第二九号、陳情二二第三二号及び陳情二二第三七号を一括して採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、いずれも趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○小磯委員長 起立少数と認めます。よって、請願二二第一〇号、陳情二二第二八号、陳情二二第二九号、陳情二二第三二号及び陳情二二第三七号は、いずれも不採択と決定いたしました。
以上で請願陳情の審査を終わります。
○小磯委員長 次に、特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていないお手元配布の特定事件調査事項につきましては、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○小磯委員長 この際、所管六局を代表いたしまして、中田総務局長から発言を求められておりますので、これを許します。
○中田総務局長 当委員会所管の六局を代表いたしまして、一言御礼申し上げます。
当委員会に付託されておりました議案につきまして、熱心なご審議をいただき、まことにありがとうございました。この間、委員会審議を通じましてちょうだいいたしました貴重なご意見、ご要望等につきましては、可能な限り今後の都政運営に生かしてまいります。
今後とも小磯委員長を初め、委員の先生方にはよろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、御礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。
○小磯委員長 発言は終わりました。
これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。
午後二時十三分散会
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