総務委員会速記録第五号

平成二十二年三月十八日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十五名
委員長小磯 善彦君
副委員長田中たけし君
副委員長伊藤まさき君
理事大松あきら君
理事古館 和憲君
理事山口  拓君
小林 健二君
小山くにひこ君
淺野 克彦君
西崎 光子君
神野 吉弘君
鈴木 勝博君
吉原  修君
田島 和明君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
青少年・治安対策本部本部長倉田  潤君
総合対策部長小濱 哲二君
参事浅川 英夫君
参事伊東みどり君
総務局局長中田 清己君
危機管理監島田幸太郎君
理事志賀 敏和君
総務部長醍醐 勇司君
参事和久井孝太郎君
行政改革推進部長和賀井克夫君
情報システム部長鈴木 尚志君
首都大学支援部長岸上  隆君
人事部長中西  充君
労務担当部長安藤 弘志君
主席監察員渡辺  勉君
行政部長笠井 謙一君
特命担当部長鈴木 隆夫君
都区制度改革担当部長塩見 清仁君
参事高橋 宏樹君
総合防災部長中村 長年君
参事細渕 順一君
統計部長三田村みどり君
人権部長荒井  浩君
国体・障害者スポーツ大会推進部長皆川 重次君
選挙管理委員会事務局局長矢口 貴行君

本日の会議に付した事件
 選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十九号議案 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
・第五十号議案 東京都選挙管理委員会関係手数料条例の一部を改正する条例
 青少年・治安対策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出 青少年・治安対策本部所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
 総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 平成二十二年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 平成二十二年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第三十一号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第三十五号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
・第三十七号議案 東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十八号議案 東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十九号議案 東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十号議案  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第四十一号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十二号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十三号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第四十四号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第四十五号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第四十六号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第四十七号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第百五号議案 包括外部監査契約の締結について
・第百六号議案 東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
・第百七号議案 境界変更に伴う財産処分に関する協議について
報告事項(質疑)
・小笠原諸島振興開発計画について
・平成二十二年度都区財政調整の概要について
・渋谷駅及び上野駅における駅前滞留者対策訓練の実施について
・都政のBCP(東京都事業継続計画)〈新型インフルエンザ編〉(素案)について

○小磯委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○小磯委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、青少年・治安対策本部及び総務局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分、第四十九号議案及び第五十号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○鈴木委員 私からは、投票率の向上について何点かご質問をさせていただきます。
 国民の生活様式が多様化し、それに伴いまして国民の投票率をどのように上げるか、上げるための施策が重要であると思っておりますが、これまでどのような法改正が行われてきたのか、お伺いをいたします。

○矢口選挙管理委員会事務局長 これまで、投票率の向上や投票環境の向上のために幾つかの公職選挙法の改正が行われてきております。
 主な改正について申し上げますと、平成九年の改正では、投票時間が午後六時までから午後八時までと二時間延長になりました。また、不在者投票をすることができる事由につきましても緩和されまして、これまでやむを得ない用務などに限定して認められていましたが、旅行やレジャーなどの事由でも不在者投票が可能となりました。
 平成十五年の改正では期日前投票制度が創設されまして、これまでの不在者投票では投票用紙を封筒に入れ、さらに封筒の表面に署名するなど煩雑な方法でありましたが、期日前投票では投票用紙を直接投票箱に投票するなど、投票方法が簡素化されてきました。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 今お話しいただいたように、これまで、有権者が投票しやすいさまざまな施策が法改正も含めて行われてきたということですが、例えば都議会議員選挙においては、期日前投票でどういう状況であったか、そのことについてお伺いいたします。

○矢口選挙管理委員会事務局長 都議会議員選挙におきましては、平成十七年から期日前投票が実施されております。
 期日前投票を利用した人数を比べてみますと、平成十七年都議会議員選挙では四十七万七千九百四十九人、平成二十一年都議会議員選挙では八十七万五千百九十五人と、三十九万七千二百四十六人の増となっております。これを投票者総数に占める期日前投票者数の割合で見てみますと、平成十七年では一〇・八%から、平成二十一年の都議会議員選挙につきましては一五・三%と増加しております。

○鈴木委員 今、お話しいただきましたように、東京でも多くの有権者が期日前投票に行かれていることがわかりました。
 有権者にとって、参政権を行使するための時間的、空間的な機会がふえるということは大変重要なことですから、今後もいろいろな施策をとられていくことが望ましいと思っております。
 そこで、駅前やショッピングセンターでの期日前投票所はどのくらい設置されていて、それらの場所での投票状況はどのようなものだったのかをお聞かせください。

○矢口選挙管理委員会事務局長 昨年の都議会議員選挙におきまして、駅の改札口から百メートル以内に設置されました、いわゆる駅前期日前投票所について調査しましたところ、三十七カ所設置されておりました。平成十七年と比べますと、九カ所増加しております。
 例えば、駅前に設置した期日前投票所を見てみますと、足立区のJR北千住駅前にありますシアター一〇一〇では、十七年の都議会議員選挙では五千百九十三人、二十一年の都議会議員選挙では一万二百二人と、約二倍となってございます。
 また、府中市の京王線府中駅構内の市政情報センターでは、十七年には千二百四十人であったものが、二十一年につきましては四千五百八十人と、三・七倍の増となってございます。

○鈴木委員 今、お話しいただきました北千住は私の選挙区でございまして、大変、投票率が上がったというお答えをいただきました。それぞれ一定の成果を上げておられるということが数字でもわかりました。
 今後さらに投票率を向上させるためには、有権者にとっては、便利のよい駅前やショッピングセンターなどに期日前投票所を設置することが有効であるということがわかりましたが、今後の都選管の考えをお伺いいたします。

○矢口選挙管理委員会事務局長 期日前投票所の設置につきましては、投票の秘密が守られ、かつ投票所におけます秩序が適切に保持できることが要件となってございます。いろいろな数多くの人が集まります駅前やショッピングセンターなどに期日前投票所を設置することは、多くの人が投票しやすく、投票率の向上につながるということが考えられます。
 しかし、駅前やショッピングセンターなどには、区市町村の公共施設が残念ながら少のうございます。また、民間施設を借り上げて期日前投票所を設置する場合、現在の厳しい財政状況の中では新たな経費負担が生じることや、国政選挙を通じたすべての選挙で同じ場所を確保できるかなどのさまざまな課題がございますので、これらの課題に対しまして区市町村とともに検討し、今後とも有権者が投票しやすい場所へ設置できますよう、一人一人の投票する権利の確保に努めてまいりたいと考えてございます。

○鈴木委員 今お話しいただきましたように、できる限り都民が投票に行きやすくなるための施設を、区市町村共同にいろいろと働きかけをしていただきまして、投票率向上に努めていただくことを最後に要望し、私の質問を終わります。

○小山委員 私からは、二件についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、一件目は、ただいま鈴木委員の方からもありましたように、やはり投票率向上、これは大変大事なことであろうと思いますが、その中でも、投票所になかなか行くことができない、投票することが困難な方々というのがたくさんいらっしゃいます。その方々を担保する制度として郵便投票制度というものがありますが、現在、今の段階で、障害等によって投票所に行くことができない、そういう投票困難な有権者に対しての郵便投票制度の対象者についてお伺いをさせていただきたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 郵便投票制度は、公職選挙法第四十九条の第二項によりまして、身体に重度の障害がある選挙人のために設けられた制度でございます。
 その対象者は身体障害者手帳の両下肢、体幹、移動機能障害が一級または二級の方や、介護保険法の要介護五と認定されている方などとなってございます。
 また、本年四月からは、肝臓機能障害が一級から三級の方も対象となります。

○小山委員 ただいまご答弁をいただきましたように、実際、身体障害者認定をされていて、手帳の一級、二級、これは特に両下肢、体幹、移動機能障害といったことで、郵便投票制度が認められている。また、要介護者にも、今の段階では要介護五に該当する方が認められているということであります。
 しかしながら、私ども、実際選挙戦を戦っている者として、またこういった有権者の方々から多く耳にする言葉といたしまして、今、該当されている障害者や要介護者の中以外にも、投票に行くのがなかなか困難な方々が多数いるということを私どもは承知いたしております。疾病の方もいらっしゃいますし、また、要介護五以外の要介護者の中にも、そういったことが存在しております。
 そこで、やはりこの対象に、現段階での対象に該当しない有権者にも、この郵便投票制度を認めていく、拡大をしていくべきだというふうに私は考えております。例えば、要介護四で投票所へ行くことができない方も多数いらっしゃると思いますが、この点に関して、都の見解をお伺いしたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 これからますます増加していきます高齢者を含めて、投票所での投票が困難な選挙人の権利を確保していくことは重要なことと考えてございます。
 高齢者などで投票所へ行くことが困難な方の投票につきましては、現在、郵便投票のほかに、選挙管理委員会が指定しております老人ホーム等に入所している方は、その施設において投票することができます。郵便投票では、先ほどご説明いたしましたように、介護保険法の要介護五の認定を受けていることが必要でございます。
 しかしながら、委員から今お話がありましたように、現在、要介護五の認定を受けていない方であっても、投票所へ行くことが困難な方がいらっしゃいます。このため、都選管としてはこれまでも国に対しまして対象の拡大を要望しておりますが、この二月二十六日も小倉選挙管理委員会委員長を先頭に、都道府県選挙管理委員会連合とともに、総務省に対しまして、郵便投票ができる対象を要介護四の方々にも拡大するよう強く要望したところでございます。

○小山委員 ご答弁ありがとうございます。
 今、東京都の取り組みも十分よくわかりました。先ほどおっしゃいましたように、肝臓機能の障害の方も新たに認定をされた、追加をされたと。そして、都の認識としても、こういった要介護四の方の中にも同じように投票困難者がいるということを重々承知されているということですから、ぜひこの拡大に向けて、いま一層の取り組みをしていただきたいと思います。
 もう一つは、この要介護者もそうですし身体障害者の方々もそうなんですが、実はなかなかこの投票制度というものが、十分周知、理解をされていないということが見受けられます。
 それはどういったところによく見受けられるかといいますと、初回の投票の際に、実はこの郵便投票制度というものを十分承知していなくて、いろいろな問題、課題が起きているということがあります。特に、選挙になりまして、自分が投票所に行くことができない、そういった段階で初めて郵便投票というものに気づいて、郵便投票をするための証明書の交付の申請をされて、そこから慌てて投票券の交付がされるという、実はかなり時間的にもきつい、そういったお声を私ども耳にします。
 特に地方、基礎自治体の市区町村の選挙であれば、もう投票日までの日数が短いわけですから、こういった郵便投票制度を十分承知していなければ本人たちの参政権を行使することができないという状況がありますので、ここで、こういった郵便投票制度を十分理解していただくためにも、初回の障害者認定あるいは介護認定をされた方々への十分なる周知への取り組みというものが必要だと思いますが、都のご見解をお伺いいたします。

○矢口選挙管理委員会事務局長 新たに郵便投票を行うことができる方々に対しましては、投票に関する情報を十分に周知することは極めて重要なことでございます。区市町村におきまして、障害者手帳を交付する際などに郵便投票を説明したガイドブックを配布したり、区報等で周知しているところでございます。
 また、都選管におきましてもホームページを活用して郵便投票の案内をしたり、福祉保健局が発行しております「社会福祉の手引」においても、内容を掲載して周知しているところであります。
 今後とも、区市町村選管や福祉担当部局と連携をいたしまして、郵便投票制度の周知をより一層進めまして、一人一人の参政権の確保に努めてまいります。

○小山委員 ご答弁ありがとうございます。
 今、他局とも十分連携をして取り組んでいただけるということですので、ぜひ、やはり身体障害者認定時あるいは要介護認定時、こういった認定のときに、この郵便投票制度というものを十分皆さんにお知らせしていただいて、実際の投票の際に十分この投票がしっかりできるような体制づくりというものを整えていただきたいというふうに強く要望し、こちらの質問を終えさせていただきます。
 続いて二件目としまして、今回、伺っております第五十号議案の選挙管理委員会手数料条例の一部を改正する条例についてお伺いさせていただきます。
 まず、今回の条例改正によって、都民から国会議員関係政治団体の少額領収書の写しを閲覧したいという申し出があったとき、そして、閲覧に引き続き少額領収書などの写しの交付を申し出た場合に、どのような手続がなされ、手数料をどのように支払っていくのか、お伺いをさせていただきます。

○矢口選挙管理委員会事務局長 平成十九年の政治資金規正法の改正によりまして、国会議員関係政治団体にかかわる少額領収書等の開示制度が創設されました。
 国会議員関係政治団体というものは、国会議員が代表となっております政治団体などでございますが、この政治団体は、昨年の平成二十一年一月一日以降のすべての支出につきまして、領収書を徴収し、その保存が義務づけられました。一万円を超える領収書につきましては、その写しを収支報告書とともに、五月の末までに総務大臣または選挙管理委員会に提出することになってございます。
 また、一万円以下の領収書、いわゆるこれが少額領収書でございますが、一万円以下の領収書につきましては、政治団体が保存し、開示の求めに応じて写しを提出するという仕組みになってございます。
 開示の流れにつきましては、少額領収書等の開示請求を受けた場合、選挙管理委員会は、まず初めにその請求が権利の乱用または公序良俗違反と認められるかどうかを検討し、十日以内に政治団体の会計責任者に対し、写しの提出命令を行います。団体は、提出命令後、原則二十日以内に写しを選管に提出いたします。
 次に、選管は、少額領収書等の写しに印影、口座情報などの個人情報があった場合にはそれを黒塗りするなどの作業を行った上で、開示請求者に、閲覧または写しの交付を行います。
 お尋ねの、閲覧に引き続き写しの交付を行う場合は、閲覧の手数料は既に納められているために、写しの交付手数料から閲覧手数料を差し引いた額が手数料の額となります。

○小山委員 今、ご答弁をいただいたことで流れはよくわかりました。
 その手数料条例の中で、この閲覧手数料をどのように位置づけられているのかお伺いしたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 閲覧に当たりましては、開示する書類を作成する必要があるため、先ほどお話ししたように、団体に対して提出命令を行い、提出された書類に個人情報等の黒塗りを行い開示するなどの、特定の請求者のための特別の役務を提供することになりますので、閲覧手数料はこうした開示準備のための費用の負担と位置づけられます。
 政治資金規正法では、少額領収書の写しの開示を受ける者は、総務大臣に対する請求に係るものについては開示の実施に係る手数料を納めなければならないと規定されております。
 国会議員関係政治団体の少額領収書の開示制度は、情報公開法や都情報公開条例とは別に、政治資金規正法によりまして、国所管、都所管の団体を問わず新たに設けられたものでありますので、開示制度の整合性を図るために、閲覧手数料につきましては地方自治法に基づき、本条例により定めたものでございます。

○小山委員 今、閲覧手数料の位置づけについては、都の見解がわかりました。
 そこで、平成二十二年度の選挙管理委員会事務局予算の中で、この閲覧手数料をどのように見積もっていらっしゃるのか、見積額についてお伺いいたします。

○矢口選挙管理委員会事務局長 現在、政治団体が収支報告書にあわせまして提出している五万円以上の支出に係る領収書がございますが、この写しにつきまして、情報公開条例に基づいて閲覧または写しの交付を行っているところでございます。
 二十二年度の予算見積もりに当たりましては、平成二十年度及び二十一年度におきましては閲覧の実績がなく、すべてが写しの交付であること、また、この少額領収書等の写しの開示制度は本年の十一月中の収支報告書の公表以降となることなどから、平成二十二年度予算におきましては、閲覧手数料につきましてはその収入を千円と見積もった次第でございます。

○小山委員 今、るるお伺いをさせていただきましたけれども、本条例は、やはり都の情報公開条例の規定を横引きするものだというふうに考えられます。私ども都議会民主党としましては、東京マニフェストにおいて、情報公開の徹底により、不正な都政の現状がもしあるとすればそういったものを正していく、また公正な都政に改めていく、そういったことを実現していくと訴えてまいりました。
 そこで、私ども民主党は、都が都政の住民参加を促進し住民自治を高めていくためにも、情報公開制度全般において閲覧手数料を廃止していく方向で、ぜひ考えていただきたいと思います。
 私どもは引き続き、都に閲覧手数料の廃止に関する議論を深めていくことを求めまして、質問を終わらせていただきます。

○淺野委員 私からは、昨年の十月に行われましたこの総務委員会において、私が質問したことにおいて、その経過及び内容についての確認をさせていただきたいと思います。
 まず、昨年の総務委員会におきまして、私の方から、政治家が選挙区内の有権者に対して寄附をすること、あるいは有権者側から寄附を求めたり、もちろん受け取ることは禁止されている、そういったことというのは、周知徹底されてきているという感覚はあるけれども、個別具体的な案件を見るとまだまだ誤解があったりあるいは理解がされていない、そういった部分があるのではないか、その部分についてどうされていくかというような質問をさせていただいたところ、事務局長から、政治家が選挙区内にある者への寄附が禁止されていることについては、具体例をしっかりと紹介し、またPR用のリーフレット、これはこれまでもつくってきたものではございますが、この内容についても工夫をしていくといった答弁をいただきました。
 あれから、およそ半年近くたっているわけでございますが、その後、この工夫の内容というのはどのようになってきたのか、ご確認をさせていただきたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 今、委員のお話がありましたように、公職選挙法では、公職の候補者等、いわゆる政治家の皆さんはいかなる名義をもってしても、選挙区内にある方々に対する寄附は禁止されておりまして、また何人も政治家に対して寄附を要求することも禁止されております。
 このことにつきましては、従来からポスターの掲示やリーフレットの配布を中心に周知に努めてきたところでございます。
 十九年に実施しました世論調査では、九割を超える有権者が政治家の寄附禁止につきましては知っていると答えておりますが、お祭りへの寄附や差し入れなど、具体的なことにつきましては五割程度の認知ということでございました。
 それで、先ほど、十月の総務委員会で今後工夫をして考えていきますと答弁申し上げましたが、二十二年度におきましては周知用リーフレットの内容に工夫をいたしまして、一つは、禁止されております寄附の具体例をQアンドA形式の問答集で紹介していくもの、もう一つは、寄附ができるか否かにつきましてマル・バツ方式によるチェックリストを作成し、より具体的なPRを実施する予定としてございます。

○淺野委員 今、ご答弁いただいたとおり、具体例を挙げたPR用パンフレット、こういったものを工夫していくと。その中でも、QアンドA形式あるいはマル・バツ形式といった、見る人がわかりやすい物にしていくということは非常にありがたいと思います。
 ふだんから法律に接している、あるいは法の文章に接しているという機会がそんなに多くはない一般の方々にとりましては、法律からそのまま具体的な内容を予想することは困難でございますから、やはりこういった具体例をしっかりと示していただいて、また政治家の側、つまり我々のような議員の側にも誤解がある場合、あるいは間違った覚え方をしている、運用がなかなか理解されていない場合もございますから、改めて、政治家や各種団体、一般の有権者の皆様にも周知徹底を図っていっていただきたいと思います。
 今後、二十二年度でこのパンフレットをつくっていくということでございますが、その周知徹底をする方法について伺いたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 具体的な内容の新しいリーフレットにつきましては、盆踊りや夏祭りの行われている時期や、忘年会、新年会が行われる年末年始の時期に合わせまして、区市町村選挙管理委員会を通じ、都内の町会、町内会、自治会、商店会あるいはお祭りの団体などに対しまして配布していく予定でございます。
 また、区市町村の町会連合会総会などの際につきましても配布して、さらなる周知徹底を図る予定でございます。

○淺野委員 区市町村の選挙管理委員会が、直接、町会や連合会あるいは各種団体について、できるだけ周知徹底を図っていく。そういった中で、できるだけ政治家と有権者がいい関係でいられる、誤解を招かない関係でいて、かつ健全な選挙が行われるということを求めていきたいと思います。
 また次に、先ほど我が党の小山議員からの質疑の中にもありましたが、移動機能障害、障害を持った方々の投票の、もっと簡素化というか、やりやすい投票の仕組みについて、私からもお伺いしたいと思います。
 これも、昨年十月の総務委員会の質疑におきまして、視覚障害者の方が投票所に足を運ぶことが困難であるということを私が聞いたところ、その支援策についての質問に対して事務局長から、昨年の十一月に視覚障害者団体などから要望を聞く機会があり、その際に実情を聞いていきたい、また、区市町村に対しても、このことに対する実態を確認して把握していくといった旨の答弁がございました。まず、その結果がどうであったのか伺いたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 昨年の十一月に視覚障害者団体からお話をお伺いしたところ、視覚障害者の中には事故等により後天的に障害が発生して投票所へ行くことができない方がいるので、対応を考えてほしいなどの要望がございました。
 また、区市町村からその実情を聞きましたところ、視覚障害者及びその家族などから、自宅から投票所までへの介助、あるいは視覚障害者も郵便投票の対象に加えてほしいなどの要望が寄せられているとのことでございました。

○淺野委員 今のご答弁で、実情については理解をされているのかなという気はいたします。
 では逆に、こういった要望、あるいは区市町村が把握している実情を聞いて、先ほどの答弁の中でも都選管としての対応というのがございましたが、あえてこの団体などの要望がどのように反映されていくのか、そこをポイントに確認をさせていただきたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 身体に障害のある有権者一人一人の投票する権利を確保することは大変重要でございます。現在、区市町村におきましては、最寄り駅から投票所までの案内や、車いすの貸し出しなどの支援を行って、投票所までの足の確保に努めているところでございます。これらの支援を他の区市町村にも広げるように、都選管としては働きかけてまいりたいと考えております。
 さらに、都と区市町村とで選挙事務の改善を検討する東京都選挙事務運営協議会がありますので、この運営協議会におきまして、障害者の投票について検討することを昨年十二月に開始したところでございます。
 現行法の中で対応が可能なことや、または法改正を伴うことなど、現状の把握と可能な方策を区市町村とともに検討し、本年の十二月までに取りまとめていく予定でございます。

○淺野委員 ただいまの答弁で、要望されたことを検討し、そしてできる限り早目に反映させていくといったご意思を確認できたと思っております。
 先ほどの私の質問の具体例のパンフレットといい、それから移動機能障害、あるいは郵便投票の対象を広げていくことなど、選挙管理委員会の皆様が、一般の有権者の方々が投票しやすい、あるいは明るい選挙というものが実現できていくように非常に努力されているということについては、私ども、高く評価をさせていただきたいと思います。
 しかし一方で、先ほどの小山議員の質問の中にございました要介護四の方々を郵便投票へ加えることについては本年二月二十六日に要望していると、こういった回答がございましたけれども、十一月の時点で視覚障害者の方についての要望も聞いているのであれば、二月二十六日のこの要望に間に合わせるように最大限の努力を払うと。つまり、選挙というのは毎年毎年やっているものではございません。中には四年に一回、六年に一回というものもございます。そういった中で、できるだけ早くに対応することをしていかないと、権利を失うという機会が多くなってしまう。チャンスがそんなに数が多いわけでありませんので、できるだけ早い対応を心がけていくということを私から強く要望をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○小磯委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、青少年・治安対策本部所管分及び第三十号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○小山委員 私からは、第三十号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例についてお伺いをいたします。
 本条例改正案の提案理由にもありますように、条例改正の目的は、児童ポルノ根絶の機運醸成や、インターネットの利用環境を整備していくことによって、青少年の健全な育成を図るものであります。
 児童ポルノの根絶については当然のことでありますし、まさしく、都民の機運を醸成していく中で根絶していかなければならないと考えております。そして、性的虐待を受け心に大きな傷を負った子どもたちを保護し、心身ともに回復させる支援が必要であります。さらには保護者に対する指導を行っていくことも重要であります。
 また、子どもたちのインターネットの適切な活用については、国が青少年インターネット環境整備法を昨年四月一日に施行するなど、子どもたちの情報モラルと情報リテラシーの向上への取り組みが本格的に始まったところであります。親子間において携帯電話のルールをつくる、こういった取り組みも重要であると思います。
 こうした総合的な取り組みを行っていくことによって、青少年の健全な育成を図っていく必要があります。しかしながら、本条例改正案における条文や新しい概念に対し、多くの市民や団体、業界から懸念の声が出されております。また、表現の自由に抵触するおそれがあるとの指摘もあります。
 そのような点から、本条例改正案における条文や規則について質疑をさせていただきます。
 まず第一に、第三章の三を初めとして、本条例改正案全体に蔓延の抑止という文言がありますが、この蔓延の抑止とは、具体的にどういうことを規定し意味しているのか、お伺いをいたします。

○浅川参事 条例改正案における蔓延抑止とは、同規定が定義する青少年性的視覚描写物が青少年に容易に閲覧できる状態に置かれていることにかんがみ、これらを青少年が閲覧または観覧することを抑止するという意味でございます。

○小山委員 明確なご答弁ありがとうございます。
 今、ご答弁いただいたように、この蔓延の抑止という言葉は青少年が閲覧または観覧することを抑止すると、これが、この条例改正案全体の言葉の意味であるということをご答弁いただきました。
 であるならば、これだけ明確に、しかもはっきりわかる内容で指し示していただいているわけですから、この蔓延の抑止という言葉をしっかりだれにでもわかるように、青少年が閲覧または観覧することを抑止という言葉に、本来、置きかえてもよかったのではないかと思いますが、都のご見解をお伺いします。

○浅川参事 蔓延の抑止という言葉を使いましたのは、今現在、そのような青少年性的視覚描写物が実際蔓延して、その結果青少年に容易に閲覧できる状態があるということを何とかしなくてはいけないと考えまして、青少年が閲覧または観覧しないように、蔓延の抑止をするといういい方をしたものでございます。

○小山委員 今ご答弁いただいた中で、条例の本来の目的は、先ほど一番初めにお答えいただいた中にもありますように、青少年に、青少年がということに置きかえてもいいのですが、容易に閲覧できる状態、こういったものを変えていかなければいけない、そういったことがこの趣旨であるということをお答えいただいておりますので、本来であれば、やはりこの蔓延の抑止というものがしっかり定義をされていなければならない。
 そして、その定義が、青少年が閲覧または観覧することを抑止することなんだとはっきり都としてお答えをいただいたわけですから、やはり本来であれば、この文言をこういう形で、先ほど淺野議員もいわれましたように、条例というのは、都民が見てだれもがわかるような文言にして、規定しておかなければならないと思います。そういった点からいうと、この蔓延の抑止というのは、しっかりそういう文言であるべきであったと私は思います。
 続いて、第七条の二号に、これが新たな概念としてまた定義をされました非実在青少年についてお伺いをいたします。非実在青少年とは、十八歳未満と表現されていると認識されるものとありますが、具体的にはどのようにこの非実在青少年を判断するのか。また、この条例文の中には、音声による描写とありますが、何をもって十八歳未満と認識されるのか、お伺いいたします。

○浅川参事 非実在青少年とは、年齢または服装、所持品、学年、背景など、人の年齢を想起させる事項の表示またはこれらの事項の音声による描写から、明らかに十八歳未満として描写されていることをもって判断いたします。
 具体的に申し上げますと、視覚的に幼く見えるなどの主観的判断によらず、年齢や学年の表示のほか、ランドセル所持、小学校や中学校の教室で授業を受けているシーンがあるなどの客観的要素の描写から、十八歳未満であることが明らかなものに限定する趣旨でございます。
 各事項に該当するものとして具体的に想定されるものは、例えば服装につきましては小学校の制服であるとか、所持品につきましてはランドセル、また○○小学校と記載された名札、背景につきましては幼稚園や小学校等と表示された建物に入っていく描写や、何年何組等の表示のある教室で授業を受けている描写等でございます。
 音声による描写とは、声の質やしゃべり方が幼いことではなく、以上の客観的要素がせりふやナレーションにより表現されていることを指します。
 したがいまして、作品中において年齢が十八歳以上であると明記されていれば、視覚的にどれほど幼く描かれていても、非実在青少年には該当いたしません。
 以上のように、適用範囲を厳格に定めることにより、表現の自由や創作物の多様性の尊重の視点への配慮を十分に行っているものでございます。
 なお、不健全図書指定に当たりましては、第三者機関である青少年健全育成審議会に諮問することになっており、恣意的な判断は排除されるという仕組みにもなっておるということでございます。

○小山委員 今、非実在青少年についてお答えをいただきました。
 そのお答えの中に、視覚的に幼く見えるなどの主観的判断にはよらない、そして年齢や学年の表示のほか、ランドセル所持、小学校や中学校の教室で授業を受けているシーンがあるなどの客観的な要素の描写から、十八歳未満であることは明らかに限定されるということが一方でお答えいただいております。
 そしてもう一方で、作品中において、あるいは作品全体でもそうでしょうが、年齢が十八歳以上であると明記されていれば、視覚的にどれほど幼く描かれていても非実在青少年には該当しないと。これは正直、今お答えいただいている双方で、ほとんどこの非実在青少年の意味が何なのかというのが打ち消されているのではないでしょうか。矛盾を抱えているような内容に、私は今の答弁からうかがいました。
 本来であれば、この非実在青少年の定義というのが、もっと明確にそして何なのかをしっかり規定をしない限りにおいて、表現の自由、先ほど表現の自由には十分注意をされているということをおっしゃっておりましたけれども、やはりこれが新たな定義として位置づけられた以上、これにはほかの余地を持たせるようなことのないしっかりとした定義づけがあるべきだったと、私はこのように考えます。
 それでは、三つ目として第十八条の六の二の二項、これもこの条例案全体に規定をされておりますが、青少年性的視覚描写物、これが出てまいります。この青少年性的視覚描写物、これが何かについて、改めてお伺いをさせていただきます。

○浅川参事 青少年性的視覚描写物とは三種類ございまして、まず第一が、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、または自殺もしくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある図書類または映画等に該当するもののうち、青少年が性的対象として扱われているもの。
 第二が、非実在青少年を相手とする、または非実在青少年による性交または性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法で、みだりに性的対象として肯定的に描写した図書類または映画等、これは今回新たに規定する第七条二号の図書類のことでございます。
 第三に、十三歳未満の者であって、衣服の全部もしくは一部をつけない状態または水着もしくは下着のみをつけた状態にあるものの扇情的な姿態を視覚により認識することができる方法で、みだりに性的対象として描写した図書類または映画、要するにいわゆるジュニアアイドル誌のうち悪質なものということを想起していただければと思います。
 以上の三つでございます。

○小山委員 お答えをいただきまして、この青少年性的視覚描写物は、大きく分けて三点であると。
 一つは、もともと現行の第七条、そして改正案でいえば第七条の第一号に該当するものの中で、青少年が性的対象として扱われているもの。そして二点目としましては、先ほど来、非常に課題として挙げられている、非実在青少年の規定である第七条二号の図書類。そして、十三歳未満の者で、というお答えをいただきましたいわゆるジュニアアイドル誌の中で悪質なもの。
 この三点を規定されたということです。これに関しては、この三点の青少年性的視覚描写物についてはよくわかりました。
 次に第十八条の六の四で、都民等の責務が新設されております。
 この中で、新たに、何人もという文言がございますが、ここでの何人もという文言の対象者はだれであるか、お伺いいたします。

○浅川参事 何人もとは、国籍、住所、年齢、性別を問わず、都域内にいるすべての人を指します。
 条例の原則は属地主義でございまして、条例の中で都民との文言が使われた場合には、その指す対象は都内に住所を有する方であるが、実際に条例の適用を受けるのは、都民が都域内にいる場合に限られます。
 一方、何人もとの文言が使われる場合、都域内にいる都民はいうまでもなく、都外に住所を有する方であっても、都域内にいる間は適用されるものでございます。
 したがって、第十八条の六の四第一項につきましては、何人も児童ポルノをみだりに所持しない責務を有するとの規定であることから、都域内にとどまる限り、都民、都民以外を問わず、みだりに児童ポルノを所持しない責務がかかるものでございます。
 例えば、都外に在住している方であって在勤地が都内にある方等につきましては、現に都内にとどまっている間は、みだりに児童ポルノを所持しない責務がかかるということでございます。

○小山委員 今お答えいただきました、ここでの何人もという規定、これはもちろん都民のみならず、都域内にいるすべての方が対象になるということでございました。さらにこの条項は、所持に関し、みだりにという文言はついておりますけれども、今、国での単純所持のさまざまな議論がある中で、何人もと規定しているわけですから、非常に慎重に扱わなければならない文言であると思います。
 その中で、このご答弁の中にありました、都民だけでなく都外の人も含めてということですから、この現行条例を見てみますと、現行条例の適用に当たっては、第三条において、条例全体の運用上の注意としてこういった条文があります。都民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならないとしております。
 しかしながら、今のご答弁から、これは都外の人たちへも適用をされるということですから、第三条におけるこの運用上の規定そのものに瑕疵が出てくるのではないでしょうか。つまり、都外の人たちの人権、こういったものを守ること、これがどうなってしまうのか。権利が侵害されないのか。
 また、この条例改正案において、やはり、都外の人、都域内にいる人たちすべてを対象にしているわけですから、都外の人へのこういった条項の追加も必要であると思います。
 ぜひ、都の見解をお伺いしたいと思います。

○浅川参事 第十八条の六の四第一項の規定は、児童ポルノの根絶に向け、都内における自主的な取り組みを心がけていただくためのものでございます。
 自主的な取り組みを行わないことについて罰則など一切の規制は存在せず、都民であるか否かにかかわらず、この規定の適用を受ける方の権利が侵害される局面は想定されてございません。
 なお、本条例に限らず、東京都の条例は東京都の条例制定権に基づき都民のために定められているものでございます。
 したがいまして、本条例第三条もその趣旨に従って、本条例の運用に当たっては、その本来の目的を逸脱して、これを乱用し、都民の権利を不当に侵害しないよう慎重に運用しなければならない旨を、明示的に規定しているものでございます。
 しかし、都民の権利のみならず、都民以外の方の権利についても不当に侵害されるべきものでないことは、憲法の権利に係る各規定等に照らしても当然のことでございまして、地方自治体として、都域内における権利擁護に関し、都内に住所を持つか否かで差をつけることはあり得ないものでございます。
 これまでも、これからも、都外に住所を有する方に対しても、当然に第三条の趣旨を踏まえた対応を行うものでございます。
 また、現行条例第九条第四項、これは条例制定時は第九条第二項でございましたが、何人も、青少年に指定図書類を閲覧させ、または観覧させないように努めなければならないとの規定を初め、昭和三十九年の条例制定当時から、何人もを用いた規定が複数含まれておりますが、これらの規定の適用に当たり、これまでに、都民でないがゆえに重大な権利侵害が行われたというような事例は承知してございません。

○小山委員 今、るるご答弁をいただきましたが、皆さん聞かれていて、本当にこの条文上の整合ということ--それから、やはり今回が、都民だけではなくて都外の人たちに対しても新たな責務を有するという規定ですから、そういったときにおいてそこに十分配慮をしなければいけないというのは、これは当然のことだと思います。
 さらには、憲法で規定されているから条例上に規定をしなくていいんだということになれば、これはすべて、条例の本来の目的と、またこれは、そごが生じてくると私は思います。やっぱりこういった点からも、今回の条例においては瑕疵が見受けられますので、ぜひこういった部分に関して、特に今回、東京都が取り組まれる新たな取り組みなわけですから、本来ならば十分慎重、かつ先ほどの文言の中にもありましたけれども、明確な定義づけをしっかり行っていかなければならないということを改めて申し添えたいと思います。
 次に移ります。同じく第十八条の七を初めとして、多くの規定が新たに追加をされました。
 この規定はまず、「自己若しくは他人の尊厳を傷つけ」、こういう文言があります。この文言は、具体的にどのようなことを想定されているのか。また、だれが判断をするのか。
 そして、この同項を初めとして、新たに加えられました「違法若しくは有害な行為を行い」、また、「犯罪若しくは被害を誘発する」とそれぞれ規定がありますが、あえて「有害な行為」、または「被害を誘発する」と加えたことは、どのようなことを想定されて加えられたのか。また同じく、だれが判断をするのかお伺いします。

○浅川参事 「自己の尊厳を傷つけ」の典型例といたしましては、自分の裸体画像をプロフに掲載するとか、みずから援助交際の相手を求める書き込みをするというようなものでございます。
 「他人の尊厳を傷つけ」の典型例といたしましては、掲示板上で他人の誹謗中傷を行う、学校非公式サイト内における誹謗中傷、いじめ行為でございます。
 「有害な行為」の典型例といたしましては、性行為または性器等のわいせつな描写等の情報を公開する、迷惑メールの送信、大量メールの送りつけでございます。
 「被害を誘発する」の典型例としましては、みずから援助交際の相手を求める書き込み、掲示板などにおける特定の者をいじめることについての他者への呼びかけを、それぞれ想定しております。
 いずれも第十八条の七に関しましては、どのような情報がインターネット環境整備法でフィルタリングすべき対象とされている青少年有害情報に当たるかの、個別具体的な判断やフィルタリングの基準は事業者において定め、自治体が介入すべきでないとされていることから、具体的な例示を条例に示すことはできないものでございます。
 また、第十八条の八第一項、第三項、第四項に関しましても、第十八条の七の規定を踏まえた規定であるため、具体的な例示を示すことは差し控えたものでございます。
 また、主体についてでございますが、それぞれの条文の主体でございまして、具体的には、第十八条の七、インターネット利用に係る事業者の責務においては青少年のインターネットの利用に関する事業を行う者。第十八条の八第一項においては保護者。同条第三項においては行政機関。同条第四項においては知事でございます。

○小山委員 今、お答えをそれぞれいただきましたけれども、この内容、それぞれ事業者の責務等々に入っているわけですから、自主的な規制であるからあえてこちらには記載をしないんだというお答えでありました。
 しかし、それぞれの文言が非常に抽象的で、これらの典型例として今、お答えいただきましたけれども、こういう典型例がしっかりお答えがされているのであれば、これは事業者にとっても、はっきり何をもって対応していけばいいのかということがわかると思います。しかし、これが、もしどういったことかがはっきり明記されないうち、あるいは明示されない中において、この条例が施行されるということになれば、当然、自主規制という名のもとに、過度の規制が行われる可能性が十分あるのではないでしょうか。
 なぜなら、当然、事業者の責務ですから、少なくともこういったことをなるべくさせないような方向に傾いていくのではないでしょうか。こういったことが十分危惧される条例の内容ではないかと、私はこのように考えております。
 ですので、こういった部分については、ぜひとも東京都としての、この後に私も質疑でお伺いをいたしますけれども、規則の中のことも十分お答えをいただきたいというふうに思います。
 先ほど来、さまざまお伺いをさせていただきました本条例改正案におけます中でも、インターネットの利用環境の整備というものが、フィルタリングの内容であるとか、あるいはフィルタリング解除の際の正当な理由の基準等、都が民間の取り組みに一つ介入することにつながる記述が見受けられるという、こういう指摘もあるんです。ですから、先ほど申し上げたことの一方ではこういった指摘もある。つまり、それはあくまでこの規定が明確でないことに伴うわけです。
 そこで、国の青少年インターネット環境整備法第三条において、主体が世界に向け多様な表現活動を行うことができるインターネットの特性に配慮し、民間における自主的かつ主体的な取り組みが大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重することを旨として行わなければならないと、こういうふうな規定がされている中で、これらの改正点がやはり、法律の範囲内で条例を制定することができるという憲法第九十四条の規定に反するおそれがあると思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○浅川参事 先ほどの質疑の中で、「自己の尊厳を傷つけ」ということではなくて、さらにその具体例を条文に書かないと過度の規制に当たる、そういう心配があるんじゃないかというお話がございましたが、この青少年有害情報と申しますのは、法律におきまして、あくまでも、公衆の閲覧に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するものというものに定められておりまして、法律におきましても、その例示として第二条第四項で三つほど挙がっておりますが、それはあくまでも例示にすぎないということでございまして、最終的な判断はその事業者にお任せするということでございます。
 私どもが提案しておる条例につきましても、具体的に起きている事故の類型といいますか、そういうようなものを提示いたしまして、そういうような視点に配慮しながら事業者の方での取り組みを行っていただきたいということでございまして、事業者について、過度の規制にわたるとか、そういうようなものは一切想定しておらないということでございます。
 それから、ただいまのご質問でございますが、いわゆる青少年インターネット環境整備法におきましては、法の基本理念として、民間における自主的な取り組みが大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重すると規定されてございます。
 また、同法の附帯決議におきまして、事業者等が行う有害情報の判断、フィルタリングの基準設定等に干渉することがないようにすることとされております。
 条例改正案のインターネット利用環境整備に関する各規定は、これらの法の規制の範囲を越え、また、法の民間の自主的取り組みを尊重する趣旨に反し、例えば個別の有害情報の判断やフィルタリングの基準設定を行うといったものでは一切ないということでございます。
 そういった法の規定や趣旨を十分に踏まえた上で--法の施行後もインターネット上のコミュニティサイトやプロフィールサイトなどの非出会い系サイトを通じて被害に遭う青少年がふえるなど、インターネットに関し、青少年が被害者や加害者となるさまざまな問題が発生しているということが現実問題としてございます。そういうことにかんがみまして、同法の規定の趣旨を定着させ、その実効性を向上させるために規定するものでございます。
 その規定は、もちろん同法に違反するものでもなく、また、もとより憲法に違反するものではございません。

○小山委員 今、お答えをいただいた中で、現在、多くの事業者の方々から懸念の声が寄せられているわけです。
 だからこそ、先ほど、法律あるいはこのインターネット環境整備法の中でしっかり民間の自主的な取り組みというものを尊重していくと。そういった中においてはこうした懸念が生じないように、事前にしっかり事業者から意見の聴取などを行って、本来、条例の策定につなげていくということが大事だったのではないでしょうか。あえて、こういったことを法律の中でうたっているわけですから、こういった懸念がありますよということをうたっているわけですから、そういったことをしっかり行った上で、条例改正となるべきものであったと私は考えます。
 次に、今までいただきましたそれぞれのお答えの中で、実在をしない創作上の非実在青少年にかかわる視覚表現の規制という点において、表現の自由にかかわる、そういった規定が盛り込まれたにもかかわらず、先ほど来お伺いをしております文言や規定において、あいまいかつ不明確な部分が見受けられます。これも本来、憲法第二十一条で定める表現の自由にかかわる案件であれば、より慎重に、より明確にしていかなければならないということはいうまでもありません。
 その点からすると、本条例改正案は、条文や文言において、より慎重な対応が必要であったと考えますが、都のご見解をお伺いいたします。

○浅川参事 漫画等の創作物を含め、青少年の健全な成長を阻害する図書類について青少年の閲覧を制限する制度は、昭和三十九年の青少年健全育成条例制定時から存在しており、長野県以外のすべての県で制度化されております。
 岐阜県の同種条例に係る最高裁判例においても、このような制度は表現の自由を保障する憲法第二十一条に違反するものではなく、合憲と判断されております。
 しかし、表現の自由が憲法上重要な位置を占めるものであり、既存の制度への追加にとどまるものといえども、その範囲の拡大に当たっては十分に慎重な配慮を行うことが不可欠でございます。
 このことにかんがみ、新たに自主規制の対象を追加するに当たりましては、その対象となる描写を客観的に十八歳未満と表示されているものに限り、さらに性交または性交類似行為に限定し、これを、みだりに性的対象として肯定的な描写をしたもの、つまり正当な理由なく性的好奇心の対象として不当に賛美し、または誇張したものに限っております。
 先ほど、非実在青少年というところで、これがもっと別の規定の仕方があったのではないかというお話がございましたが、我々は、表現の自由というものを尊重した場合、やはり明らかに限定的、明確的で、厳格な規定が必要であるという判断を行いまして、ああいったような個別具体にわたる規定にしておるということでございます。
 また、不健全図書指定対象につきましては、さらに、強姦等というような明示的な例示を、今回条文に置きました。そういう意味で、従来の、著しく性的感情を刺激、というような規定に比べましても、詳細かつ限定的に定めており、十分に慎重な対応をしておるところでございます。
 また、不健全図書として指定する場合には、第三者の方々を構成員といたします青少年健全育成審議会に諮問の上、指定するという慎重な手続をとる仕組みとなっているほか、具体的な追加部分の運用に当たりましては、施行前に、自主規制の主体となる出版関係業者との間で意見交換や周知を行い、このような規定の趣旨に関する共通理解を十分に深めた上で適切に運用していく考えであり、表現の自由への十分慎重な配慮を行っていくという考えで取り組みたいというふうに考えております。

○小山委員 今、十分配慮していく、あるいはこういったものを尊重していく、そういうお答えをいただいたわけでありますけれども、しかし今の状況を見ますと、決してそうはなっていないんじゃないでしょうか。多くの懸念の声が寄せられて、そして、本来条例が定めるべき、あるいは条例の目的とするべきところとは、意図せざる方向にまで進んでしまっているのではないでしょうか。
 先ほど、この不健全図書指定のことについても最後お答えをいただきましたけれども、本来、こういった事業者あるいは出版関係者、もちろん表現の自由という、創作という点からすれば、作家なども含めてそういった声を十分に聴取した上で、こういった取り組みを行っていくべきではなかったのかと、ここでも申し添えておきたいと思います。
 そこで、それぞれ条例の中で、今回新たに改正されることによって、規則の中で定められることが大変多くなっております。これは少し時間をいただきますが、改めて、やはりこれは大変大事な部分でありますので、この条例改正案中にあります、東京都規則で定めるところと規定をされている部分について、順次お伺いをさせていただきたいと思います。そして、それぞれの新たに規則に定める事項については、具体的にお答えをいただきたいと思います。
 この改正条例案中には、八つの、東京都規則で定める部分がございます。まず第一としまして、第五条の二第一項の推奨携帯の基準についてお答えをいただきたいと思います。

○浅川参事 それでは、まず第五条の二第一項、推奨携帯の基準につきまして、東京都規則で定めることとなっておりますが、これにつきましては、基準を策定するための委員会を設けまして、関係事業者や有識者等による検討を踏まえて基準を策定した後に、規則として定めていきたいということを予定しております。(発言する者あり)つまり、この規則につきましては、関係事業者や有識者等による具体的な検討を踏まえた上で今後定めるということでございまして、今の時点ではまだ具体的なものは定まっていないということでございます。

○小山委員 まず、八つあるんですけれども、それぞれ一つずつわかりやすくお聞きかせいただきたいということで、一つずつお答えをいただければと思います。
 今、お答えをいただいたこと、まだこれからということでありますけれども、本来、条例を示されるべき内容ですし、この規則に関しても本来しっかりお示しをいただきたいと思います。
 では、二つ目としまして、第五条の二第二項の、推奨に際した意見徴収についてお伺いをいたします。

○浅川参事 先ほどお答えした中で、ちょっと言葉が足りなかったので追加させていただきます。
 推奨携帯の基準に関してでございますが、推奨携帯の制度の創設は十月一日からということを想定しておりまして、十月一日の施行に間に合うように、関係事業者、有識者等の意見を聞いた上で基準を策定し、十月一日の施行には滞りなくこの制度が動くように行っていくということでございまして、これからご説明いたしますそれ以外の規則とは、公布の時期が異なるということでございます。(傍聴席にて発言する者あり)

○小磯委員長 傍聴人は静かにお願いいたします。

○浅川参事 ただいまお尋ねのものでございますが、第五条の二第二項における、携帯電話推奨制度に関する、東京都規則で定められるところにより関係者等の意見を聞く事項といたしましては、一つは、携帯電話端末等の機能等に関する事項、二つ目は、前項に掲げる事項のほか、推奨に必要と認める事項でございます。

○小山委員 続いて、三つ目の、第八条第一項第二号の不健全図書指定の基準についてお伺いいたします。

○浅川参事 第八条第一項第二号における不健全図書指定に係る東京都規則で定める基準として想定してございますことは、強姦、強制わいせつ等、刑罰法規に触れる性交または性交類似行為を不当に賛美しまたは誇張するもの、二つ目が、近親相姦等著しく反倫理的な性交または性交類似行為を不当に賛美しまたは誇張するもの、第三は、これらを擬似的に体験させるもの、これはゲームなどを想定してございます。

○小山委員 それでは、四つ目の、第十八条の六の五第三号の指導の対象となるジュニアアイドル誌の基準についてお伺いいたします。

○浅川参事 第十八条の六の五における、いわゆるジュニアアイドル誌のうち、著しく扇情的なものとして東京都規則で定める基準として想定しておりますことは、性器、肛門もしくは乳首、これは、以下、性器等と呼ばせていただきます。もしくはその周辺部、これは、陰部、臀部及び乳房でございます--を殊さらに強調し、またはその衣服もしくは水着等の上から認識できるように、性器等もしくはその周辺部の形状を殊さらに浮き立たせた姿態。
 二つ目が、飲食物その他の物品を用いること等により、性交または性交類似行為を容易に連想させる姿態。
 三つ目が、青少年の性器等もしくはその周辺部を他人がさわり、または青少年が他人の性器等もしくはその周辺部をさわる姿態。
 第四が、前三号に掲げるもののほか、衣服の全部または一部をつけず、または水着等のみをつけた状態にある十三歳未満の者の姿態であって、その描写がこれらの基準に該当するものと同程度に扇情的なものでございます。

○小山委員 それでは、五つ目の、第十八条の七の二第一項にあります、解除に際し保護者が提出する書面の記載事項についてお伺いいたします。

○浅川参事 条例第十八条の七の二第一項の、フィルタリングの解除の申し出に際して、東京都規則に定めるところにより提出する書面の記載事項として想定しておりますものは、保護者の住所、氏名及び電話番号、携帯電話端末等の電話番号、正当な理由及び保護者が適切に監督するためにとる方法、フィルタリングサービスを利用しない旨の確認に必要な事項でございます。

○小山委員 六つ目としまして、第十八条の七の二の第一項にあります、正当な理由についてお伺いいたします。

○浅川参事 条例第十八条の七の二第一項の、書面に記載する東京都規則で定める正当な理由として想定しておるものは、まず青少年が就労している場合で、フィルタリングを利用することで業務に著しい支障を生ずること。
 第二に、青少年が心身に障害を有し、または疾病にかかっている場合で、フィルタリングを利用することで日常生活に著しい支障を生ずること。
 第三に、保護者が、青少年のインターネットの利用状況に関する事項の閲覧を可能とする役務を利用することなどにより、青少年がインターネット上の青少年有害情報を閲覧することがないように適切に監督すること。
 第四に、知事が告示により指定する理由でございます。

○小山委員 長くなっておりますけれども、二つ、大事な点ですので、お聞かせいただきたいと思います。第十八条の七の二第二項の、事業者の説明事項についてお伺いいたします。

○浅川参事 条例第十八条の七の二第二項の、事業者が契約に際し、保護者に説明すべき東京都規則で定める事項として想定しておりますものは、青少年がインターネット上の青少年有害情報を閲覧する機会が生じること。インターネットを不適切に利用することにより、青少年が自己もしくは他人の尊厳を傷つけ、違法もしくは有害な行為をし、または犯罪もしくは被害を誘発するおそれがあること。第三に、青少年有害情報フィルタリングサービスの内容。第四に、青少年が青少年有害情報を閲覧することがないよう、保護者が適切に監督するために有益な役務内容。第五に、保護者がフィルタリングサービスを利用しない旨の申し出をする場合には、正当な理由を記載した書面を提出する義務があることでございます。

○小山委員 最後に、第十八条の七の二にあります第三項の記録、保存の方法についてお伺いいたします。

○浅川参事 条例第十八条の七の二第三項の規定による記録及び保存に係る、東京都規則の定めるところにより、として想定しておりますものは、記録及び保存に係る書面は、保護者がフィルタリングサービスを利用しない旨の申し出をするときに提出した書面により、かえることができるということ。第二に、保護者がフィルタリングサービスを利用しない旨の申し出をするときに記載した適切に監督するためにとる方法は記録、保存しないことができること。第三に、書面または記録の保存の期間は、契約が終了し、もしくは解除された日、または当該契約に係る青少年が満十八歳に達する日のいずれか早い日までの間とするということでございます。

○小山委員 今、それぞれご対応いただきました規則については、本日初めて示されたわけでありますが、やはり本条例改正案については、先ほど来いっておりますように、条文や文言について明確に規定されるべきもの、あるいは疑義を持たれない文言であるべきということ、こういったことを強く申し上げておきたいと思います。
 また、ほかの質疑のご答弁からも、改めて懸念されることが多々ございました。さらに、これから定められる規則もあるということであります。こういった点からも、私は、今後も委員会において十分な審議を求めて、本質疑を終わらせていただきたいと思います。

○吉原委員 それでは、私の方からも、このたびの東京都青少年健全育成条例の改正案について若干お尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回、この条例の改正案に当たりまして、私のところにも、もう委員の皆様のところも全員そうだと思いますけれども、本当に、全国から多くのメール、あるいは手紙やはがきもたくさんいただきました。
 その一つ一つを見させていただくにつけ、さまざまなことが心配されている、あるいは、もう少し条例のことも理解をしていただいた上でメールや手紙もいただきたいなというような部分もたくさんあったわけであります。
 しかしながら、こうして条例を改正するに当たって、本当に多くの皆さんにそういった意識を持っていただく、このことは私は決して否定するものでもありませんし、やっぱりそのことが、私たちのこの東京にあって、民主主義的な、あるいは都民の福祉の向上にもつながるし、健全な東京都の建設にもつながっていくんだろうと、そういう意味ではまあまあよしとすべきかなというような思いをしております。
 もともと、もうこの条例は、青少年の環境の整備を助長するとともに青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止して、青少年の健全な育成を図ることを目的としている、こういった目的を持って昭和三十九年に制定されたものだというふうに理解をしているところでもございます。
 昭和三十九年といえば、私もまだ小学生でありました。この委員の皆さんでも、生まれていない方も複数、多分いらっしゃると思います。そういった中では、日本という国も、もちろん東京も大空襲がかつてあったわけでございまして、あの敗戦のときから現在の今日に至るまでの--世界では、日本はよく頑張った、短い期間の中で経済成長を遂げてきた、こういわれる日本に成長してきたわけであります。
 昭和三十九年といえば、結果はよくはありませんでしたけれども、東京オリンピックがありました--今回は、東京は、日本は残念でありましたけれども、三十九年というのはそういった、大変、節目の年であったなと。まして日本や東京にとっても、あの厳しい時代から何とかいい国をつくろう、近代的な経済的に強い国をつくろうと、そういって、かつての先人たちが、やっぱりそのためには子どもたちもしっかりとした教育の中で、あるいはルールの中で育っていくことが大切だ、そういわれてきて、この条例ができたんではないかな、私はそんな思いをしたところであります。この東京においても、やっぱりその時代その時代の青少年をめぐるさまざまな問題の解決に、私は、一定の大きな役割は果たしてきたというふうに思っているところでもございます。
 今回の条例改正に当たりまして、大きく分けて二つの項目があります。一つ目は、インターネット利用環境等の整備について。もう一つが、児童ポルノ及び青少年をみだりに性の対象として扱う図書類等について、こういうことでございます。
 まず、二つ目の項目の中にもあります不健全図書指定の制度、仕組みについては、先ほどお話をさせていただきましたけれども、昭和三十九年に条例が成立した時点からあったわけでございまして、今日までこの条例も計五回の改正がありました。しかしながら、その内容については今日までほとんど変わっていないわけであります。
 子どもにとって有害な図書を子どもたちの目に触れさせないようにするものですけれども、条例制定当時は、いわゆる卑わいな図書類には写真も多く入っていたようにお聞きをしております。
 ところがその後、そういった写真中心の本は、出版社の皆さんあるいは発行所、発行をされた皆さんだと思いますけれども、自主規制などによって子どもたちの目に触れることはなくなってきた。そして現在では、不健全図書として指定されるものはほとんどが漫画だそうであります。
 またその内容も、卑わいなものだけではなくて、残虐なものや、あるいは自殺や犯罪を誘発させるようなものも入ってくるようになったわけであります。こういったものはいずれも、子どもが見る必要がないんではないか、私自身もそう思っているわけでございまして、本来、大人が常識的な行動をとっていれば、こうしたものを条例で規制しなくとも、子どもが見ることはないんではないかなというふうに思います。
 ただ、残念ながら現実には、いろいろな口実をおつけになったり、あるいは子どもに見せなくてもよいものを売りつける大人の人たちもいないわけではありません。そういった状況の中にあって規制せざるを得なくなるわけでございまして、それを、子どもの選択だとかあるいは判断だとか子どものせいにする、このことは大人の責任としていかがなものなのかなというふうに思います。
 同様の条例も、長野県ただ一県を除いてほかのところは全部、東京はもちろんでありますけれども、道府県も、もう制定をされているわけでございまして、東京は民主主義の基本はしっかり守っている、そういってもよろしいんじゃないかなというふうに思います。
 なぜかというと、規制の対象を条文でできる限り明確にしているというふうに私も理解をしておりますし、その手続も、先ほど来いろいろ議論もあったわけでありますけれども、第三者の意見等を事前に聞いて、さらに発行所なんかも含めて、事前規制ではなくて、出版された後に規制をかける事後規制ということであります。さらには、まず業界団体の自主的な取り組みを促した上で、そこから漏れた著しく悪質なものを不健全図書に指定するようにしているわけであります。
 また、そうした漫画やアニメのうち、子どもを強姦してしまう、あるいは近親相姦をしているというようなものなどを、積極的に、これはいいものだと、こんなような感じを抱かせるような、また受けとめ方をさせるようなものも、これまで著しく残虐なものとか自殺や犯罪を誘発するようなものにしてきたのと同じように、不健全図書に追加してしまおうということだと私は理解をしております。
 したがいまして、ちまたでいわれております、あるいはメールや手紙や先ほどお話ししたはがきも含めていろんなことをいわれているわけでありますけれども、多くの皆さんがいわれているような、裸の入った漫画あるいはアニメをすべて規制してやろうというような意識はないんじゃないか、私はあの条文案も見て、そんなことを感じているわけであります。
 当然、委員の皆さんもこの条例案を審議するに当たりまして、さまざまな資料というものもごらんになったというふうに思っているわけでありますけれども、だれだってああいうものを見たら、子どもには見せたくない、できるだけそういうものは、権利はあるけれども子どもたちに見せるような場所に置いていいのか、本来はそういうことを皆さん本当に感じておられるんじゃないでしょうか、というふうに私は思っているわけでありますけれども、こういった社会の常識が当然求めているものを、私は、規定したものにすぎないというふうに思っています。こうした漫画、アニメを子どもが自由に見ることができる、このことこそ問題だと思うわけでありまして、そういう思いを持つのは、まさに普通の感覚、常識だと、こういうふうに思っているわけであります。
 こうした、今までお話ししたようなことを放置してしまうということが続くということになりますと、行政はもちろんでありますし我々議会もそうでありますけれども、こうした漫画やアニメにかかわる作家の皆さんやあるいは出版、発行所、そういった皆さんも、やっぱり社会から大きな批判を受ける、こういうことは、私は間違いないなというふうに思います。
 現にこの間も、数日前に、公立小学校のPTAの皆さんや、あるいは私立のお母さんやお父さん、そういった父母の会の皆さんもお越しをいただきました。多分皆さんのところも、各会派、回られて、その皆さんの主張もお聞きになったんだろうというふうに思うわけでありますけれども、私自身は、ああいったPTAの皆さんや、実質自分が子どもさんを抱えているお父さんやお母さんの話を聞くと、ごくごく自然だなというふうな思いをせざるを得ません。
 だから、メールや手紙やはがき、そういったところにさまざまなことを書いていただいておりますけれども、本当にそうなのかということを、どこでどういう人たちがどういう形で確認をして、そういう文章なり発言をしてきたのかなと、本当に疑問に思っている一人であります。
 こうした今回の条例の仕組みが、逆に出版団体や作家の皆さんの存在を守って、今日の漫画やアニメの世界が発展するような隆盛を裏で支えてきたんではないかなというふうに思うわけであります。それは、やっぱりアニメも漫画も、今や全世界では、日本の漫画はすごい、アニメはすごい、こういった高い評価をいただいているわけでございまして、そういった意味では、作家の皆さんや出版社の皆さんも一定の意識を持って今日まで対応されてきている、そういうふうに私も、その部分は理解しているわけであります。
 しかし、今回の改正について、表現の自由を侵害する、こういう根強い反対もあるわけでございまして、人によっては、条例そのものが憲法違反だ、こういわれる方も少ないわけではありません。
 ただ、先ほどもお話ししましたように、基本的な規制の仕組みあるいは手続は従来と変わっていないわけでございまして、あえていわせていただくと、この条例の不健全図書指定制度によって表現や創作の自由を奪われた作家や、出版の自由を制限された出版社は、本当に今日まであったんでしょうか。多分そういう声は、そうないんではないかなと理解します、私、個人的には。そういうふうに聞いているわけでございます。
 この条例で定める不健全図書指定制度は何を目的としているのか、まず先にお尋ねをいたします。

○浅川参事 本制度の目的でございますが、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある図書類を不健全図書類として指定することによりまして、これらの図書類を青少年が閲覧する機会を制限することにございます。

○吉原委員 この条例の不健全図書指定制度の仕組み、そして指定されるまでの事務の流れを、自主規制も含めてわかりやすく説明していただけますか。

○浅川参事 都は、表現の自由、出版の自由との兼ね合いから、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると思われる図書類を青少年の目に触れないようにするための取り組みにつきましては、図書類発行業者や、その属する自主規制団体による自主的な取り組みを最大限尊重するというスタンスをとってきてございます。
 この自主的な取り組みと不健全図書指定制度によりまして、販売の現場におきましては、青少年への閲覧、販売の制限や区分陳列が適切になされるなどの成果をおさめております。
 東京都の不健全図書指定制度は、一つ一つの図書類を審議して知事が指定する個別指定方式を採用してございます。
 知事は、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類、これは書籍、雑誌、図画、写真、ビデオ、DVDにつきましてはゲームソフトなどでございますが、これを不健全図書類として指定することができまして、その指定基準は、著しく性的感情を刺激するもの、甚だしく残虐性を助長するもの、著しく自殺もしくは犯罪を誘発するもののうち、施行規則に該当するものとなってございます。
 不健全図書指定の流れにつきましては、まず都が、青少年が自由に立ち入ることができ、かつ何の制限もなく図書類を手に取って閲覧することができる一般書店やコンビニエンスストア等で指定基準に該当すると思われる図書類を購入し、指定すべき図書類の選別を行います。そして、選別した図書類につきまして、自主規制団体、これは出版倫理協議会とか首都圏新聞販売懇談会、日本フランチャイズチェーン協会などでございますが、そうした自主規制団体から意見を聴取しその意見を踏まえ、業界関係者、青少年の保護者、学識経験者などで構成される青少年健全育成審議会に知事が諮問を行い、審議会の答申を受けて、知事が不健全図書として指定し、告示することとなります。
 指定の効力といたしましては、青少年への販売、頒布、貸し付けの禁止、陳列する際の包装、これはビニール包装とか十字ひもかけでございます。あと、区分陳列の義務が生じることとなります。

○吉原委員 だからこそ、青少年の目に触れないような、そういった措置の意義というものを多くの皆さんが理解していたからこそ、この制度、条例というものが今日まで続いてきたんじゃないでしょうか。
 それでは、不健全図書の指定の現状についてお伺いをしたいと思います。
 年間、どのぐらい不健全図書に指定されているのか。それは具体的にいうとどんなような図書があるのかも、あわせてお願いいたします。

○浅川参事 不健全図書類の指定状況につきましては、平成十八年度は二十九冊、平成十九年度は四十冊、平成二十年度は三十六冊、平成二十一年度は三十二冊の図書類を指定しており、その年によって違いがあるものの、おおむね三十冊から四十冊の図書類を指定してございます。
 平成十八年度からの四年間で合計百三十七冊の図書類を不健全図書として指定しておりますが、そのうち、百十九冊が漫画となっております。

○吉原委員 今ご答弁いただきましたように、これまでの四年間で百三十七冊の図書類を指定してきた。そのうち、漫画が何と百十九冊だと、こういうお話でございます。
 今のお話、当然のことながらいうまでもありませんけれども、漫画は既に不健全図書指定の対象となっているわけでございまして、漫画が今回初めてこのような不健全図書の指定の対象になったかのようにいわれている人たちもいらっしゃるようでありますけれども、これまでの条例についても理解していただいていなかったというような方が、こういわれてきたのかなというふうに思わざるを得ない部分があります。
 このことが何といっても、漫画も、今回初めてではなくて、今まで既にその指定の対象となっているということが、まさに新たな改正案にとっても重要なことでございます。そうした理解の上で、今回の改正は、これまでの対象に、非実在青少年、こういうふうに規定されるものを新たに加えるものと理解をしているわけでありますけども、この非実在青少年とはどのようなものなのか、そしてなぜ加えるのか説明してください。先ほど若干ありましたけれども改めてお願いしたいと思います。

○浅川参事 第七条の二号に新たな概念として定義された非実在青少年とは、十八歳未満と表現されていると認識されるものであり、年齢または服装、所持品、学年、背景など、人の年齢を想起させる事項の表示またはこれらの事項の音声による描写から、明らかに十八歳未満として描写されているものに明確に限定をして定めております。
 今回、この非実在青少年を相手とする、または非実在青少年による性交または性交類似行為をみだりに肯定的に描写したものを不健全図書類の対象に追加した理由は、これらの漫画等を目にした青少年が、このような性交または性交類似行為を、それが当たり前のことであり、皆がこのような行為をしているんだという、性に対する誤った認識を持つことによりまして、性に対する健全な判断能力の形成を阻害されるおそれがあるということを理由とするものでございます。

○吉原委員 数日前に都庁で、漫画家の皆さんがお越しいただいて記者会見をされたそうであります。
 新聞に載っておりましたからいいと思いますけれど、里中さんや、ちばてつやさんや、あるいは永井豪さん初め、ちょっと人数は、我々のところにはお越しいただけなかったものですからどういう人たちが来たのかよくわかりませんけれども、とにかく記者会見をされたようであります。
 そのときに、永井豪さんはこんなことをいわれていたようであります。
 これは新聞報道でございますので、多分間違いはないなと思いますけれども、四十年前にこんな条例があったら、「ハレンチ学園」という作品も世に出せなかっただろうと話していたそうであります。
 四十年前でございますので、昭和四十五年ごろでしょうから、もう既にこの条例はあったんだろうと思います。
 きょう、大方の皆さん、若い人たちは見ていないかどうかわかりませんけれど、「ハレンチ学園」は見られた方もたくさんいられると思います。委員長も見られましたか。本当に人気のあった漫画だというふうに思っておりまして、私も昔は読んだことがございます。しかし、確かに裸が出てきたりはしておりましたけれども、性交があったかどうかなんていうふうな思いは、その当時は余り記憶に今ないんですけれども、なかったように思っているんですね。
 例えばの話でありますけれど、具体例を挙げないとなかなかわかりにくい、こういうお話もありましたので、今お話をさせていただきました「ハレンチ学園」という作品、日本の皆さんにはこよなく愛された漫画の一つだろうというふうに思いますけれども、こういった作品が、今回の新たな基準に照らし合わせたときに不健全図書として指定されるようなものなのか、お伺いをいたします。

○浅川参事 委員お話しの内容でございます場合、不健全図書類等の指定といたしましては、第八条に新たに追加する基準として強姦等、著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したものというものがございまして、委員のお話の関係からは、これには到底該当しないというふうに考えられますので、不健全図書には該当いたしません。
 また、現行条例においても、委員のお話の内容であれば、不健全図書には該当しないというふうに考えられます。

○吉原委員 あわせて、三月十七日ですから、きのうの新聞に出ておりました漫画家の竹宮惠子さん、この方は京都の精華大学のマンガ学部の部長を務められているようであります。
 竹宮さんが代表作を幾つかかいておられるんだろうと思いますけれども、私ちょっと存じ上げていないんですが、代表作の一つに「風と木の詩」、こういうものを発表され、一九七〇年代、こういうふうに書いてありまして、一世を風靡した、こういう記事が載っておりました。この続きがあるんですけれども、この作品についてはご案内でしょうか。

○浅川参事 文庫版で拝見させていただきました。

○吉原委員 そうしますと、今、ご案内だということでございます。竹宮さんが、この衝撃的な題材を取り扱った背景には危機感があった、当時、女の子は余りにも性の情報から隔離され男女が平等ではなかった、無知のまま現実に直面する前に、愛情のない性行為や強姦のような性暴力など、さまざまな性の形があると知ってほしかった、こういうふうにコメントをされております。
 その前後にもいろいろ記事に書いておられるんだろうと思いますけれども、例えばこの文面からすると刺激的な作品であったように私自身は感じたんですが、「風と木の詩」ですか、写真も載っているんですけれども、この作品もこういった不健全図書に指定されるように値するんでしょうか。

○浅川参事 まず、描写そのものについて申し上げますと、裸の少年が折り重なっているシーンはございましたが、ある意味ではその程度のものにつきましては、みだりに性的対象として肯定的にかいたというものには該当しないというふうに考えております。
 また、そもそものストーリー性といいますか、そういうストーリーの内容というものが非常に重要でございまして、性交場面でもって読み手の性欲を専ら満足させる目的でかいたような漫画というものは対象になりますが、この竹宮さんの作品につきましては、そういう目的でかかれたものでは全くございませんので、これは到底該当しないというふうに思っております。

○吉原委員 今、たまたま二つ、「ハレンチ学園」と「風と木の詩」ですか、お話をしました。
 たまたま、うちの会派に来る新聞の中にも見開きで出ていたものですから、ちょっとお尋ねをさせていただきました。ぜひ、皆さんも心配事があるようであれば、購入して見ていただければいいと思います。
 先ほども何度かお話をさせていただきました、基本的な規制の仕組みや手続は従来と変わっていない、こういうことでありますので、確認の意味でお伺いをさせていただきますけれども、こうして新たに対象となったものを不健全図書に指定する事務の流れは一体どういうふうになるのか、教えていただけますか。

○浅川参事 先ほどご答弁いたしましたように、現行の不健全図書の指定の流れと全く変わることはございませんで、東京都青少年健全育成審議会の審議を経るなど、極めて慎重な手続を経て行うものでございます。

○吉原委員 ただいまの答弁にもありましたように、今回新たに対象となる非実在青少年も、これまでと同様、まずは自主規制。そして、ひどいものに対しては限定して不健全図書に指定という、これまで認められてきた手続の中で取り扱われる、こういうことであります。
 私は、今回の条例改正に当たりまして、当然のことながら青少年の健全育成を図るために当たり前のことだなというふうに思います。一部には、一部にはというのは、いただいたメールの中にいろいろ書いてありましたけれども、憲法第十九条あるいは二十一条、九十四条に違反だと、こういうふうに主張をする人がいるわけであります。
 それではお伺いをしたいんですけれども、今日までこの条例というものも運用をされてきたわけであります。もしこれまでと変わらない手続、あるいは仕組みが変わらないということであれば、じゃあ条例そのものは、一体、憲法違反であったにもかかわらず今日まで続いてきてしまったのかな、こういうふうに思わざるを得なくなってしまうわけであります。こうした憲法違反だと主張する皆さんに対する見解を教えていただきたいと思います。

○浅川参事 創作物を含め、青少年の健全な育成を著しく阻害する図書につきまして、これについて青少年への閲覧を制限する制度は昭和三十九年の青少年健全育成条例制定時から存在しており、また全国的に見ましても、長野県を除くすべての県で制度化されております。
 岐阜県の同種の条例に係る最高裁判例におきましても、青少年の健全育成のために青少年の閲覧を制限するそのような制度は、表現の自由を保障する憲法第二十一条に違反するものではなく、合憲であるというふうに判示されております。
 今回の条例改正案につきましても当然、現行条例の枠内にあり、憲法に違反するところは全くございません。

○吉原委員 わかりました。
 そういうことで、また一人でも多くの皆さんが、そういう誤解を解いていただけるような、そういうふうになってもらえればありがたいなと思います。
 私たちのこの日本、もちろん東京もそうですけれども、民主主義国家の中に我々は生活しているわけでございますので、それぞれさまざまなご意見があると、これは当然だろうというふうに思います。
 しかし、私たちは、それぞれの選挙区の皆さん、有権者の皆さんからこの東京都議会の議席をお預かりしているにすぎない代弁者でございますので、そうした代弁者の皆さんが構成しているこの議会というところに都民の皆さんが求められているのは、何といっても、一つは文化や芸術の発展はもとよりでありますけれども、都民福祉の向上、あるいは健全な社会の建設にあるわけだろうなというふうに、私はそう思っています。
 そのためにも、良識ある判断を我々一人一人がしていかなければならないわけでございまして、昨日の新聞報道によりますと、民主党の皆さん初め複数の会派の皆さんも、少し意思表示が別の形で、というようなニュアンスの新聞もありました。
 今回のこの条例は青少年を守ることを目的にして提案されている条例でありまして、現在でも起こっている被害の拡大を抑止するためには、やっぱり何といっても一日も早く成立させるべきであり、そのための努力を我々は惜しんではならないんではないかなというふうに思うわけであります。
 しかも、知事からといいましょうか、行政側から我々議会に対して提案をされた案件でありますから、やっぱり議会のルールとしては当然のことながら、請願や陳情ではありませんから、賛成なのか反対なのか、賛否は、しっかりとその意思を持つということは、議会人にとっては当然のことだろうなというふうに思うわけでございます。
 もし昨日のような民主党さん--きのうは民主党さんだけだったと思いますけれども、そういう判断があるとするならば、それは都民から負託を得てこの議会の中で代弁する立場の、都民のさまざまな意見やそういったものを代弁する立場の議会人としては、いかがなものなのかなということを思わざるを得ないわけでございまして、あしたが採決の日、こういうふうになっているわけであります。
 先ほど議員からも、小山議員でしたか、審議の話もありました。いろいろなことがあると思いますけれども、またそれとは別に、第一回定例会の中でも日程は日程で組まれているわけでございまして、皆さんも、今日に向かっての意見はこれからもまだ幾つもあるわけでございますし、さまざまなご意見をいただけるんだろう、そんなふうに思っているわけでございますので、ぜひ議会人として、私は、イエスなのか、賛成なのか反対なのかという意思表示は、ぜひ最後には出していただきたいなというふうに思っているところでもございます。
 そのことだけを申し上げまして、我々はとにかく良識ある判断をしなければならない、子どもたちに対してどういう環境づくりをしていくか、このことを議会でまたしっかりと協議をしながら、激論を飛ばしながら、私たちのこの日本の中にあって、東京の中にあって、将来に向かってつくっていく役割を果たさなければならない、子どもたちに対しての対応というものは、我々は、良識を持った判断の中にしかない、こういうふうに思っているわけでございますので、どうぞ民主党の皆さんも、よき判断をいただきますように再度お願いをいたしまして、私の質問を終わります。

○大松委員 青少年健全育成条例の改正について質問いたします。
 これまでの質疑の中で、条例の文言の定義等につきまして詳細なやりとりが行われてまいりました。その上に立ちまして、どうすれば子どもを守ることができるのか、こうした視点から東京都の見解を伺いたいと思います。
 児童ポルノは児童への性的虐待であり、自分の力で自分を守れない弱い立場である児童への許しがたい人権侵害であり、犯罪であります。
 その児童ポルノ犯罪が、今、日本でふえているわけでございます。昨年の検挙件数は前年比で四割増、過去最高の九百三十五件で、被害児童数も、個人が特定されたものだけで約二割増の過去最高の四百十一人です。このおぞましい現実に向き合い、児童ポルノ撲滅へ向けたさらなる取り組みが、今、求められているわけでございます。
 国際的にも児童ポルノ撲滅へ向けた取り組みは急速に進んでおりまして、日本におきましても、児童買春、児童ポルノ禁止法改正の議論も行われております。そして、その焦点は単純所持の禁止であります。
 現行法では、頒布、販売や、それらを目的とする所持、製造は禁止されておりますけれども、他に提供する目的のない、いわゆる単純所持は禁止されておりません。世界では単純所持を禁止する国がふえる一方、単純所持を禁止していないのは、先進八カ国ではロシアと日本だけであります。
 児童ポルノは児童の性的虐待の映像であり、その所持を認めることは、映された子どもへの人権侵害、精神的虐待を恒久化することであり、自分が見るだけならいいということは許されず、日本においても単純所持は禁止されるべきであります。
 私ども公明党は、単純所持を禁止する、児童買春、児童ポルノ禁止法改正案を国会に提出しておりますが、このたび東京都として、何人も児童ポルノを所持しない責務を有すると条例で宣言をする意義は大変大きいと確信いたします。この点につきまして、東京都の見解を求めます。

○浅川参事 ご指摘のとおり、児童ポルノの存在は、被写体となっている青少年が現実に存在し、性的虐待や性的犯罪の対象となっていることを示すものであり、さらに一たんインターネット上に載せられれば、これを完全に削除等をすることは非常に困難なものでございまして、被害者は、製造時はもちろん、その後も長きにわたる苦しみをこうむっております。これは、まさに青少年健全育成条例がその防止を目的としております、青少年の福祉を阻害する行為の最たるものでございまして、青少年の健全な育成の観点から放置することができないものであって、青少年を守るべき大人として、強い責任と自覚を持ってその根絶を図るべきものでございます。
 しかし、児童ポルノの根絶の手法として、児童ポルノ法に基づく製造、販売等を処罰することにより、その製造等の絶無を期すことが重要であることはもちろんでございますが、特にインターネット上において容易に複製、閲覧可能である現状にかんがみれば、これを根絶するためには処罰のみによることでは足りず、既に流通している児童ポルノを減少させるための地道な取り組みが必要でございます。
 したがいまして、条例におきましては、何人も児童ポルノをみだりに所持しない責務を有するとの規定を置きまして、児童ポルノは悪であり、許さないという都民の意識を醸成するとともに、捜査機関が捜査のために所持する場合などの正当な理由がある場合を除き、児童ポルノを所持しない、意図せずして所持していたことに気がついた場合には速やかにこれを削除する、インターネット上で児童ポルノを発見した場合にはプロバイダー等に削除を要請するなどの自主的な取り組みを都民に心がけていただくことにより、既に流布している児童ポルノについての拡散防止と流通削減を図り、この根絶を期すものでございます。

○大松委員 昨年、六月二十六日の衆議院法務委員会で、参考人として出席をいたしました日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンさんは、こう発言をされております。
 被害者の子どもたちは、今まで撮られたものは全部消してほしいんです、だれかが持っているというのを思うだけで、本当に毎日レイプされているというような気持ちになってしまうんです。
 また、小学校のときに写真を撮られた女の子の訴えとして、あの写真がどうなったのかを考えると恐ろしくて、中学生に上がってから、私はリストカットや自殺未遂を何度も繰り返しました、ネット上に自分の写真がばらまかれていないかと、何かに取りつかれているように毎日探していますとの声を紹介されております。
 また、アグネス・チャンさんはこうも述べておられます。
 児童ポルノはポルノなどではなく、犯罪や虐待の現場を永久に残した、心をずたずたにする残酷な凶器です、凶器を持ち続けることを許してはいけません。
 子どもたちを児童ポルノの被害から守るためには、単純所持を禁止するとともに、そのうち、自己の性的好奇心を満たす目的での所持については罰則を設けるべきであり、私ども公明党は、その旨の法案を国会に提出しております。速やかに審議を始め、成案が得られるよう、強く求めているところでございます。
 この単純所持に関する処罰につきまして、東京都の見解を求めます。

○浅川参事 第三者への提供等を目的としない、いわゆる単純所持を処罰化により厳格に禁止することは、児童ポルノの需要を抑えることにより児童の性的虐待を少なくすることができるとともに、被写体とされた子どもの苦しみの源であるその流通を防ぐ意味からも、児童ポルノの根絶のために非常に大きな意義がございます。
 このため、都といたしましても単純所持の処罰化が必要であると考えておりますが、問題の国際性や、インターネット上のはんらんを効果的に規制するという観点からは、その実施は国が全国一律に行う必要があり、国に対してその責任を果たすよう強く求めていくこととしております。
 なお、単純所持の処罰化に当たりましては、国において、その処罰の対象となる行為の定義等について十分検討し、免罪を防止するとともに、現行の児童ポルノ法の規制の範囲よりも狭くならないようにするなど、さまざまな観点から十分に検討が行われるべきものと考えております。

○大松委員 次に、半裸、水着姿で児童に扇情的なポーズをとらせた写真集やDVD、いわゆるジュニアアイドル誌について伺います。
 ジュニアアイドル誌は、子どもが性の対象として扱われていても、極めて悪質なごく一部のものを除いては児童買春、児童ポルノ禁止法の規制対象にはならず、一般書店で普通に販売されています。
 こうした実態は子どもを性の対象とする風潮を蔓延させ、青少年の健全な育成を阻むものであり、被写体となった児童が後に不特定多数の人に性的対象として扱われたことを知ったとき、深刻な精神的ダメージを受け、逃れがたい苦しみにさいなまれることになります。
 ジュニアアイドル誌の場合、児童が自分の意思で被写体となることは考えられず、保護者と出版社が共同して制作、販売しているという悲しむべき実態があります。
 また、ドラマに出演するにはまずグラビアで名前を売らないとというタレント事務所の言葉を信じて、中学一年のときに水着姿を撮影された生徒が、後に実名つきで映像が流され、深刻ないじめに遭ったという事例も報道がなされているわけでございます。
 ジュニアアイドル誌などで子どもがみだりに性的対象にならないよう、東京都としての取り組みが求められております。都の見解を求めます。

○浅川参事 ジュニアアイドル誌と呼ばれる低年齢の青少年の水着姿等の写真集やDVDの中には、水着姿等の青少年に大またを開かせ局部を強調したり、水着を陰部に食い込ませてそれを接写するなど、明らかにこれらの青少年を性的対象とのみとらえた悪質なものがございます。
 ご指摘のとおり、みずからの性的判断能力が未熟な年齢において、保護者による積極的な売り込みなどによりその被写体となった青少年については、成長の過程においてみずからが性的対象とされたことに気づき、精神的な傷を負うおそれが高いと考えております。
 このような事態を防止するため、保護者に対し、十三歳未満の青少年がこれらの悪質な写真集等の対象とならないよう、自分の子どもを積極的にこのような写真集に売り込まないようにすることはもちろん、青少年が他人にそのような誘いを受けた場合にも、適切に断ることができるために必要な保護監督や教育を行うよう努める規定を置くものでございます。
 また、事業者に対しましても、十三歳未満の青少年がそのような写真集等の対象とならないよう努めることとする規定を置くものであります。
 さらに、保護者や事業者が実際に十三歳未満の青少年をこのような写真集等の対象とした場合には、知事が、保護者に対しては、将来子どもが負うであろう精神的な苦痛等について理解するとともに、今後は青少年をそのような図書類の被写体としないように努めること、被写体となった青少年の心のケアに努めること、既に販売等をされたものの増刷り、再版等に係る契約を行わないことなどを、事業者に対しては、既に販売等をされたものについては増刷り、再版等を行わないように努めることなど、必要な指導を行うことができることとするものでございます。

○大松委員 次に、子どもに対する強姦や近親相姦などを描写した漫画、アニメ、CGによるゲームなどについて伺います。
 大手を含む多くの出版社から出ている漫画などの中には、児童との性行為を全編にわたって描いたものがあります。こうした漫画などに登場するキャラクターは実在する人物ではないため、児童買春、児童ポルノ禁止法の規制対象とならず、一般書店などでだれでも容易に入手ができます。
 しかし、その内容は、現実に起きれば強姦や性的虐待であるにもかかわらず、児童がそれを望んでいるかのように描かれているものがあります。保護者から見て、決して子どもの目に触れさせたくないものであり、子どもを性の対象とする風潮を助長し、子どもに誤った性道徳を植えつけ、青少年の健全な育成を阻むものであります。
 このように、漫画などで、子どものキャラクターに対する強姦などの性的犯罪や近親相姦が肯定的に描かれたものについては不健全図書に指定するなど、青少年の目に触れさせないように取り組むべきであります。東京都の所見を求めます。

○浅川参事 ご指摘のとおり、漫画等において、明らかに青少年として描写されている登場人物に対する強姦や輪姦といった犯罪に該当する性交などをその青少年が喜んで受け入れたり、また積極的に成人をこのような行為に誘うような設定のものや、親子、兄弟間の近親相姦に係る性交などを不当にすばらしいものとして執拗に描いたものが見られます。
 これらのうち、著しく性的感情を刺激するものにつきましては、現行の条例において不健全図書として指定し、青少年の閲覧等を制限することが可能でございますが、描写の程度が性的感情を刺激する程度に達していないものは、現行条例では規制することができないということでございます。
 しかし、このような著しく社会規範に反する青少年の性交などを青少年が閲覧した場合には、このような行為が社会的に許されており、まねしても構わないものであるといった認識を持つことになりかねず、実社会において、みずからを性的対象にしようとする大人からの誘いに対する抵抗感が薄れるなど、性に対する健全な判断能力の形成が阻害されてしまい、健全な成長が阻害されるおそれがございます。
 したがって、青少年の性交または性交類似行為に係る姿態をみだりに性的対象として肯定的に描写した漫画などにつきましては、青少年に対する販売などの自主規制の対象とするとともに、強姦や近親相姦などを不当に賛美したり誇張するなど、肯定的に描いたものにつきましては、都による不健全図書指定の対象に追加し、青少年への販売を制限しようとするものでございます。

○大松委員 この点につきまして、この条例の条文が拡大解釈をされ、表現の自由が制限されたり、多くの漫画やアニメが規制対象になるのではないかなどの指摘がございますけれども、この点につきまして東京都の見解を求めます。

○浅川参事 今回の改正案で、不健全図書指定基準への追加により新たに青少年への閲覧を制限する対象は、明らかに十八歳未満の青少年として表現されている非実在青少年に係る性交または性交類似行為を視覚的に描写したもののうち、さらに強姦など著しく社会規範に反する行為をみだりに性的対象として肯定的に描写したものに限っております。
 非実在青少年の定義は、年齢または服装、所持品、学年、背景、その他の、人の年齢を想起させる事項の表示または音声による描写から、十八歳未満として表現されていると認識されるものとしております。
 これは、漫画等において十八歳未満の青少年として表現されているものについて、視覚的に幼く見えるなどの主観的判断によらず、年齢自体や、年齢を想起させる所持品等に係る表記やせりふ等による音声描写などの客観的要素から十八歳未満であることが明らかなものに限定するという趣旨でございまして、そういうことで定義を行ったものであり、十分に厳密かつ限定的な定義であると考えております。
 したがって、作品中において年齢が十八歳以上であると表現されていれば、視覚的にどれほど幼く描かれていても非実在青少年には該当しないものと考えております。
 さらに、指定に当たりましては、青少年健全育成審議会に諮問した上で都が不健全図書指定することとしており、該当性の判断についても、このような慎重な手続を経た上で行われるものでございます。加えて、不健全図書指定は青少年への閲覧等のみを規制するものでございまして、図書類自体の創作や出版、成人への流通を規制するものではございません。
 このように、新たに基準に追加する対象につきましては、表現の自由にかんがみ、厳格かつ制限的に規定し、かつ指定の過程においても客観性を担保しており、恣意的な拡大解釈による創作活動への規制や、多くのアニメや漫画に対する規制に当たらないものでございます。

○大松委員 こうした条例を改正するに当たりましては、憲法との整合性を図り、表現の自由を初め人権への配慮をするのは当然のことでありまして、そのことにつきまして明快な答弁をいただいたものと評価をするものでございます。
 その上で、このたびの条例改正案というのは、どうすれば児童ポルノという性的虐待、犯罪から子どもを守ることができるのか、また子どもを健全に育成するにはどうすればいいのか、この視点に立って判断をしなければなりません。
 また、インターネットの陰の側面として、児童ポルノのような犯罪被害が瞬時に世界に広がり、恒久化してしまうという現実があります。こうした現実の中で、児童ポルノを撲滅していかなければなりません。
 東京都が必要な施策を早急に実施できるよう、そのことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○小磯委員長 この際、議事の都合により、十五分間休憩いたします。
   午後三時二十四分休憩

   午後三時四十分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き委員会を開会いたします。
 ご発言願います。

○古館委員 それでは、第三十号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案について伺います。
 まず、質疑を行う前提となる、私ども日本共産党の立場を明らかにしておきます。
 子どもを性的対象とする児童ポルノは子どもに対する最悪の虐待行為であり、その非人間的な行為を日本共産党は絶対に容認しません。また、児童ポルノが青少年の性的自己決定能力の形成に否定的な影響を及ぼす危険に対して、十分な注意を払わなければならないと考えております。これらの点で、一人の被害者も出さない、そういう社会をつくり出すことは大人社会の重大な責任であります。
 我が党は、子どもの人権を守る立場から、児童ポルノの根絶を目指します。
 また、インターネットや携帯電話の普及が、子どもの成長にもたらす積極面を生かしつつ、その利用によって子どもが被害を受けることのないようにするために力を尽くしてまいります。
 そのための大道は、国民的、都民的合意の形成と、世論による包囲、民間の自主的な努力であります。同時に、国民、都民の内心の自由、表現の自由を侵害しないことを前提として、国や都が支援を行うことは重要であり、法令により一定の規制を行うことも必要であると考えます。
 こうした中で、東京都青少年健全育成条例は、都民の自主的、自発的な努力によって青少年の人格完成を支援することを最大の目的としているのであります。本条例の改正案に対しては、この見地に立脚して臨まなければならないと考えています。
 以上を前提として、質問をいたします。
 今回の改正案では、児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物の蔓延抑止に向けた機運の醸成及び環境の整備に関する条項を新たに設けたことが提案されております。
 そこでまず伺いますけれども、本案における児童ポルノとはどのようなものを指しているのですか。定義をご説明願います。

○浅川参事 条例改正案では、児童ポルノについて、いわゆる児童ポルノ法で規定される児童ポルノをいうと定義してございます。その法の定義では、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を、視覚により認識できる方法により描写したものをいうとされております。第一号、児童を相手方とする、または児童による性交または性交類似行為に係る児童の姿態。
 これまで私の答弁で性交類似行為というのをたびたび申し上げておりますが、性交類似行為について、少し説明させていただきます。
 性交類似行為とは、児童ポルノ法、児童福祉法、また我々の本条例等におきまして規定されている法令用語でございまして、その内容は、手淫、口淫、肛門性交、獣姦など、実質的に性交と同視し得る態様における性的な行為を指すとの解釈が、類似の判例により確立されている用語でございます。したがいまして、この性交類似行為というものにつきましては、あいまいさ、明確さを欠くというような点はない用語であるということでございます。また、単なる裸、キス、また青少年が折り重なっているのみの描写というものは、性交類似行為には該当する余地のないものでございます。
 次に、第二号でございます。他人が児童の性器等をさわる行為、または児童が他人の性器等をさわる行為に係る児童の姿態であって、性欲を興奮させ、または刺激するもの。
 第三号は、衣服の全部または一部をつけない児童の姿態であって、性欲を興奮させ、または刺激するものと定められております。

○古館委員 これは、国の児童ポルノ法、いわゆる児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律、この定義と同じということのようです。国会では、この児童ポルノ法の対象となる児童ポルノの中に漫画やアニメ、これらを加える改正を行うかどうか、こういう動きがありましたけれども、児童ポルノに類する漫画等をめぐる改正の動きがどのようなものに今なっているのでしょうか。ご説明をいただきたいと思います。

○浅川参事 児童ポルノに類する漫画等につきましては、自民党、公明党案では、附則において、児童ポルノに類する漫画等と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとの規定を置いておりますが、かつての民主党案におきましては、仮に立法の必要性があるとしても、個人的保護法益である児童ポルノ法とは別の法律であるべきとの立場から、言及はなされておりません。
 かつての民主党案というのは、昨年の春の段階で民主党案として提案されていたものでございまして、今現在は、自民党、公明党案のみが国会に提案されておりまして、民主党案については今の段階では提案されていないことから、こういうような比較をさせていただきました。

○古館委員 今、述べられたように、自民党、公明党の改正案でさえ、漫画やアニメを児童ポルノに加えることは見送ったと、こういうわけですね。民主党の案では触れられてさえおりません。それは、やはりこの問題は、表現の自由との関係で極めて慎重でなければならない、こういう問題だからであります。
 そこで、東京都青少年健全育成条例の今回の改正案でありますけれども、第七条第二号、第八条第一項第二号、第十八条の六の二第二項などで、新たに非実在青少年、すなわち漫画、アニメなどの作品の中で十八歳未満として描かれた人物が登場する、そのような創作物についての規定を設けております。そして、非実在青少年の性的な描写について、その絵の描かれ方だとかストーリーと性的描写との関係だとか、そういういわば創作物の内容いかんによっては、表示図書だとか、場合によっては東京都によって不健全図書に指定できるようにしよう、このようにするものであります。
 第九条の三では、不健全図書にかかわる知事の勧告、公表の権限の強化も盛り込んでいます。ですから、当然、表現の自由が侵害される危険があるのではないかと多くの人々が心配をしています。
 今定例会の本会議や予算特別委員会でも、この点での危惧が表明され、質疑が行われました。
 その際、青少年・治安対策本部の倉田本部長は、漫画等において明らかに青少年として表現されているものを非実在青少年と定義した上で、その性交または性交類似行為に係る姿態を正当な理由なく性的対象として肯定的に描写した漫画等について、青少年に対する販売等の自主規制及び不健全図書指定の対象に追加しようとするものと答弁されました。
 そこで伺いますけれども、ある作品を、非実在青少年の性交または性交類似行為に係る姿態を正当な理由なく性的対象として肯定的に描写した漫画等と判断する基準や根拠は、何なんでしょうか。ご説明をいただきたい。

○浅川参事 まず初めに、児童ポルノ法と、私どもが今回ご提案させていただいています条例の不健全図書指定制度との関係が、少し混同なされて受けとめられている向きがございますので、そこを整理してご説明させていただきます。
 児童ポルノ法は、実在の児童の被害防止を目的とし、その実現のために処罰規定を置くもので、その対象は、成人、青少年を問いません。一方、条例の不健全図書指定制度は、青少年の性的判断能力の形成の阻害の防止を目的としまして、その実現手段は青少年への閲覧規制にとどまるものでございます。両者は明確に、目的や手段を異にするものでございまして、今回の規定と、児童ポルノ法に画像を含めることは全く別の問題でございます。
 非実在青少年についてでございますが、年齢または服装、所持品、学年、背景、その他の、人の年齢を想起させる事項の表示または音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるものと定義いたしまして、視覚的に幼く見えるなどの主観的判断によらず、年齢や学年の表示、ランドセル所持、小学校や中学校の教室で授業を受けているシーンがあるなどの客観的要素の描写から十八歳未満であることが明らかなものに限定しております。また、音声は、声の質やしゃべり方が幼いことではなく、以上の客観的要素がせりふやナレーションにより表現されている場合を想定してございます。
 また「正当な理由なく」とは、学術的見地、犯罪捜査等の目的で描くものを除外する趣旨でございます。さらに「性的対象として肯定的に」とは、読者の性的好奇心を満足させるシーンとして不当に賛美しまたは誇張して、という意味でございます。
 したがって、単に子どもや、子どもの裸の描写が含まれる漫画やアニメを規制するというものではございませんで、その内容、表現が、ただいま述べたようなものに当たるかどうかを判断するものでございます。
 なお、その判断は、自主規制におきましては出版関係者が判断することを基本としつつ、その中で著しく悪質なものに限り、青少年健全育成審議会の判断のもとに、都が不健全図書として個別に指定するものでございます。

○古館委員 今「正当な理由がなく」と、このようにご説明がありましたけれども、学術的見地、それから犯罪捜査等の目的で描く漫画、アニメなどは、全体の中では限られたものであります。ほとんどの漫画、アニメ作品は、論理では表現し切れないような、人間の何らかの感情に訴えたり、何がしかの感動を呼び起こしたりすること、それ自体を目的として創作されるものです。それらをすべて一応対象になり得ると。また肯定的に描いているかどうかの境目も、読者の性的好奇心を満足させるものかどうか、不当に賛美しまたは誇張しているかどうかなど、とらえ方や感じ方が分かれる問題で、恣意的に判断される余地が大きなものであります。
 それで、一つ伺いたいんですけれども、今のご答弁によると、例えば漫画の登場人物で明らかに子どもとして描かれているキャラクターが、作品の中で自分の年齢が十八歳以上だと発言をしたら、そのキャラクターは非実在青少年とみなされないことになると解釈できますけれども、そういう理解でいいのでしょうか。

○浅川参事 そのような理解になるものでございます。

○古館委員 そのことは確認をして、そもそも、漫画やアニメのような創作物の中の世界に住む非実在の人間に規制の網をかぶせよう、そうすることに無理があるんですね。
 次に、改正案が、性に関する健全な判断能力の形成を阻害するとしている点について伺いたいと思います。
 今回の条例改正は、第二十八期東京都青少年問題協議会の答申、これは二〇一〇年一月十四日のを受けて提案されております。この答申では、漫画、アニメ等が青少年の性的判断能力の形成を阻害するということが当然のことのように推定されておりますけれども、論証はどこにもなされていないんですね。
 こういう大事なことについて論証もなく断定していいものかどうか、この点について、ご見解はいかがですか。

○浅川参事 平成十九年に内閣府が行いました有害情報に関する特別世論調査においては、実在しない子どもの性行為等を描いた漫画や絵への規制について、対象とすべき、どちらかといえば対象とすべきと回答した者が約八五%となっておりました。また、平成二十一年六月には、自主規制団体であるコンピューターソフトウエア倫理機構が性暴力を描写した陵辱系ソフトの制作の禁止等などの対応を決定するなど、一部で自主的な取り組みが見られております。
 今回の改正案は、青少年の健全育成に関する知見を持ち、都の施策形成の参考になる意見を述べることが可能な委員により構成される東京都青少年問題協議会の答申に基づくものであり、加えて、先ほど答弁した調査結果や、自主規制団体の動向から類推される社会的要請なども踏まえ、提出したものでございます。
 青少年は性に関する健全な判断能力がいまだ十分ではなく、強姦などの性的描写を肯定的に描いた著しく悪質な漫画等を閲覧することで、その健全な性的判断能力の形成を阻害するおそれがあるのではないかと認識することにつきましては、学問的な知見というものをまつまでもなく、多くの都民が心配をし、またその認識については合意が得られるものと考えております。

○古館委員 今、述べられたわけですけれども、青少年が心身ともに健やかに成長できるようにする、これはだれもが願っている共通の願いだと思うんですね。
 問題は、青少年が心身ともに健やかに成長できるようにするために、何よりも教育的な観点が必要だ、私どもはこのように考えております。
 大人である私たち都民が、青少年に対してどのような援助をすることが本当に青少年の成長、自主的な人格形成にプラスになることができるか、これが、教育学あるいは児童心理学、教育社会学、性教育などの科学的な知見と、それらを総結集して探求されなければならないものだと、このように私ども日本共産党は考えています。
 そこで伺いますけれども、漫画、アニメ等における青少年の性的描写が、それを見た青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するとする学問的知見には、どのようなものがあるのですか。お答えいただきたいと思います。

○浅川参事 ただいまの学問的知見というものにつきましては、なかなか今現在、見出せていないという状況でございます。

○古館委員 私どもも、今の意見は一致していますから質問したんですよ。そしたら正直に、学問的知見というのはなかなか見出せないということで、紹介はなかったんですね。
 非実在青少年の性交等を描いた漫画、アニメ等が、実在の青少年への性的虐待の原因となるとする説、あるいは青少年の性的判断能力の形成を阻害するという説、これらはいずれも十分な科学的根拠をもって証明されてはいないのです。
 もちろん漫画、アニメ等の影響が全くないと証明されているわけでもないし、私もそんなことをいっているわけじゃないんですけれども、ただ、第二十八期青少年問題協議会の答申や条例改正の提案者が、青少年の性的判断能力の形成を阻害すると断定されているので、聞いているんです。
 そこで、この答弁で紹介されたんですけれども、多数の人々がそう思っている、それから多くの都民の合意が得られるものと考える、これがそちらのいい分といえばいい分のような感じなんですね。しかし、それでいいのかということが、やはり問題にしなきゃならない。
 歴史を振り返っても、芸術作品の中には、最初は社会の多数派から非難されたり、場合によっては弾圧されたりした、そういう歴史がありますね。後にその価値が認められるようになり、人類の貴重な財産にまでなったという例が数え切れません。ですから、人間の創作物、表現行為の規制にかかわることには極めて慎重でなければならない、そのように考えているところでございます。
 しかも、今、議論しているのは、将来の社会を担う青少年の心と体の成長にかかわることでありますから、より一層慎重さが求められております。科学的、学問的な英知を結集して、全都民的な議論と合意によって進められなければならない、これが鉄則だと思います。
 先ほどの答弁にもありましたとおり、児童ポルノ法の改正論議の際には、自民党、公明党の改正案でも、漫画、アニメにまで規制の対象を広げることは見送り、政府は児童ポルノに類する漫画等と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進する、こういう附則を置いているんですね。つまり、漫画の描写と、現実の子どもの権利侵害との関連性あるいは因果関係は、まだ証明されていない、調査研究しなければならないといっているんです。
 日本図書館協会も、二〇〇一年のことですけれども、政府が青少年保護育成条例を法制化しようとして青少年健全育成基本法案を提出したとき、有害図書に接することが青少年の逸脱行為の原因になるという因果関係の科学的証明はない、このように指摘をして反対しました。その箇所を読み上げてみたいと思います。
 政府は、一九七七年度以来、再三、有害図書類と青少年の逸脱行動とを関係づけるべく調査を重ねていますが、有害図書類に接することが逸脱行動の原因であるという結果は得られていません、このように書いているんですね。
 表現と行動の因果関係が科学的に証明できないのですから、どのような表現が逸脱行為の原因であるかを科学的に定義することは不可能なんです、このことも、規制する表現対象の恣意的拡大を可能にする、このようにも述べているんです。
 結局、この法案は国民の幅広い反対によって成立しませんでした。
 以上のように、青少年の成長にとって極めて重要な問題であるにもかかわらず、改正案は余りにも拙速であり、しかも表現の自由との関係でも、危険といわざるを得ません。こうした条例改正は、漫画、アニメなどの創作活動を実質的に規制し、表現の自由を萎縮させることにつながりかねません。
 あわせて私は、今回の改正案をめぐって、もう一つの重大な問題点を指摘しておきます。
 改正案の第十八条の六の四第一項で、何人も児童ポルノをみだりに所持しない責務を有すると規定されている点についてであります。いわゆる単純所持の問題であります。
 国の現行児童ポルノ法では、児童ポルノの個人的な所持、いわゆる単純所持については処罰の対象としていないんですよ。ところが、第二十八期東京都青少年問題協議会の答申はこれを問題として、政府及び国会によるいわゆる単純所持の処罰化の実現に向けた迅速な取り組みを強く要望し、都においても国に対しこの旨の要望を行うべきである、このように提唱しているんですね。今回の条例改正案は、このことと関連しているといわざるを得ません。
 そこで伺いますけれども、国の児童ポルノ法の改正が論議されたとき、単純所持をめぐっては、自民党、公明党、民主党はどのような提案を行い、それは現時点でどうなっているんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

○浅川参事 先ほど理事のお話の中で、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるものというふうに、我々は条文としてご提案申し上げておるんですが、そこを、「おそれ」という部分がないというお話であったんで、そこは、我々の提案の内容とは異なるのかなというふうに思っております。
 それから、その科学的証明がないというところで、表現の自由の方が重要なのではないかというお話をいただきましたが、我々、今回提案しているのは、その証明というものがなくても、実際、その子どもを守るという観点からやはり必要なことはやっていかなきゃいけないだろうと。そして、それは最高裁の判例の補足意見の中でも、必ずしも科学的証明はなくても相当の蓋然性があればいいというふうなこともございますので、我々はそういう立場で今回提案しているということをご理解いただければと思います。
 それで、平成二十年六月、自民党、公明党は、みだりに児童ポルノを所持、保管することについて、一般的な禁止規定を置いた上で、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持、保管する行為について罰則を置くなどした改正案を国会に提出いたしました。
 これに対し、民主党は平成二十一年三月、自己の性的好奇心を満たす目的の立証は自白の強要につながり、免罪を生む危険性があるなどの理由から自民党、公明党案に反対し、その代案として、児童ポルノの定義を見直し、児童性行為等姿態描写物とした上で、それを有償または反復して取得する行為について罰則を置くなどを盛り込んだ改正案を国会に提出いたしました。
 これら両案につきましては、衆議院法務委員会で審議され、修正協議において各党が単純所持の規制に合意した旨の報道もなされましたが、最終合意に至る前、平成二十一年七月に衆議院が解散し、廃案となっております。
 その後、平成二十二年一月十八日に自民党、公明党から、何人もみだりに児童ポルノを所持し、またはこれに係る電磁的記録を保管してはならないものとすること等とされた改正法案が、衆議院法務委員会に今現在、付託されていると承知してございます。

○古館委員 今、いろいろご説明がありました。
 民主党の考え方、それから自民、公明の案とか、そうしたこともこの答弁の中で出されたわけでありますけれども、私ども日本共産党は、もとより児童ポルノの存在そのものを、国民、都民が自主的で自覚的に克服して根絶していく、そういう社会的な活動や努力、これが必要だと考えております。だからこそ、単純所持を法律で一律に禁止したり処罰したりすることには反対をしています。
 その理由というのは二つあります。
 第一に、たとえ単純所持を法律で一律に規制したとしても、児童ポルノの流出の効果的な歯どめにはならないことは、単純所持を禁止しているはずの欧米各国の実態からも明らかであります。
 青少協答申は、主要八カ国の中で児童ポルノの単純所持を規制していないのは日本とロシアだけ、先ほどもこういうお話が他の会派からありましたけれども、このように指摘しておりますけれども、現にインターネット上に流出している児童ポルノや児童虐待の動画像は、単純所持を禁止している欧米諸国からのものが圧倒的に多数であります。
 例えば、イタリアに本拠を置く児童保護団体の「虹の電話」の調査、二〇〇七年でありますけれども、この調査では、児童ポルノの国別サイトの順位では、日本が七番目の四百五十七件。これより上位はドイツ、オランダ、アメリカ、ロシア、キプロス、カナダの六カ国と。そのうち上位三カ国のドイツ、オランダ、アメリカは、いずれも児童ポルノの単純所持を禁止している国であります。これら三カ国だけで、全児童ポルノサイト三万九千四百十八件のうち、実に約八五%の三万三千三百三件、このように占めているんですね。
 このことをとりましても、単純所持の禁止や規制が児童ポルノ流出の歯どめにならないということは、今、紹介した点でも明らかであります。
 第二に、単純所持を規制し、処罰するという場合、どのようにして所持を把握、証明するのかという問題があります。
 憶測だとか疑惑の段階から取り締まりを可能にすることにつながりかねず、捜査当局の恣意的な捜査を招く危険もあります。また、表現の自由、そして家庭生活上の写真などと児童ポルノとの関係なども考慮しなければなりません。
 以上の理由から、我が党は、単純所持の法的禁止、処罰化には反対であります。
 本定例会本会議では、公明党が代表質問で、今回の条例改正案には、何人も児童ポルノを所持しない責務を有するとの規定を初め、児童ポルノの根絶に向けた意欲を強く感じる、今後は罰則規定の導入などを検討すべきだとして知事の所見を求めたのに対し、知事も、単純所持の処罰化は国が全国一律に実施する必要があり、都としては国に対しその責任を果たすよう強く求めていく、このように答弁されました。
 私は、第二十八期青少協答申と知事及び与党が、単純所持の法的禁止、処罰化を主張していることを容認することはできません。
 そこで伺います。改正案の第十八条の六の四第一項、何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有するという規定は、都民等の責務といういわば宣言的な規定であって、東京都として単純所持を禁止したり処罰したりするものではない、このように理解できますけれども、そのように理解してよろしいんでしょうか。

○浅川参事 本条文の趣旨は、児童ポルノの根絶に向けて、児童ポルノは悪であり、許さないという都民の意識を醸成するとともに、正当な理由なく児童ポルノを所持しない、意図せずして所持したことに気づいた場合には速やかにこれを削除するなどの自発的取り組みを都民に心がけてもらうことにあり、他律的に禁止をするということではなく、また罰則なども設けていないものでございます。

○古館委員 今の答弁は、東京都として禁止するものじゃなくて、罰則なども考えるものではないと、そういうご答弁ですね。
 この改正案に対して、私はこういう問題についてやっぱり改めて確認をしておきたいことがあるんですけれども、東京都青少年健全育成条例、これは青少年の健全な育成を図るために、都民の責務をどのように位置づけているのか。この問題も重要でありまして、前文の理念を踏まえてご説明していただきたいと思います。

○浅川参事 現行条例の前文には、我ら都民は、心身ともに健全な青少年を育成する責務を有することを深く自覚し、青少年もまた社会の成員としての自覚と責任をもって生活を律するように努めなければならないとの理念が明記されております。
 青少年の健全な育成を図るためには、保護者、青少年の育成にかかわる方、及び事業者の皆さんなどの都民の方々の理解と協力が不可欠であり、昭和三十九年の条例制定時より、青少年の保護、教育に関する保護者の努力義務や、事業者による図書類等の販売の自主規制などをお願いしてきたところでございます。
 今回の改正におきましても、当然この基本理念は変わっておらず、ゆえに、児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物の蔓延防止に向けた都民等の責務など、都民の方々の自発的努力を求める規定を設けようとするものでございます。

○古館委員 今、ご答弁いただきましたけれども、青少年健全育成条例とは、本来、都民の自主的、自発的な努力によって、青少年の人格完成を目指すべきものであります。そのためには、前文にも書いてあるとおり、都民がみずからの責務を深く自覚することが出発点にならなければなりません。
 ところが今回の改正案の発表は、圧倒的多数の都民にとっては極めて唐突なものであります。戸惑いをもって受けとめられております。都民の自覚と合意を形成し、力を合わせていくにはほど遠い状況、このようにいわざるを得ません。
 以上、ただしてまいりましたけれども、今回の条例改正案は、表現の自由の萎縮につながりかねず、漫画等の規制と青少年の心身の健全な成長との関係が科学的根拠に基づかず、都民の自発的な協力を得られにくい状況をつくり出す、こういうことなどなど重大な問題点を抱えており、私たち日本共産党は反対であります。徹底審議を尽くすべきであり、専門家の幅広い参加も含めた都民的な論議が必要と考えております。少なくとも、今定例会で拙速に結論を出すことには、断固反対であります。
 最後に重ねて、未来を担う青少年の成長と自主的な人格の完成を、私たち大人社会が責任を持って応援するために、学問的知見を含めて都民の英知を結集し、都民の合意をつくり力を合わせて取り組むことを提起して、私の質問を終わります。
 以上です。

○西崎委員 私からも、東京都青少年健全育成条例の一部を改正する条例についてお伺いをしたいと思います。
 私で、この条例に関して五番目の質問者になりますので、多少重なっている部分があるかと思いますが、その辺は答弁の方で配慮していただければと思います。
 この条例は昭和三十九年に制定されまして、平成四年以降は、情報化の進展あるいは子どもを取り巻く環境の変化などで、次々に新たな改正を行わざるを得ない状況になってきております。その中で、携帯電話は、子どもにとっても大きな情報ツールになっているということもあります。
 東京都は、平成十七年及び十九年の改正で、子どもに見せたくない情報にフィルタリングを告知、勧奨することを盛り込まれましたが、その効果についてはどのように検証されたのか、伺います。

○浅川参事 改正の効果を検証するため、平成十八年三月と平成二十年三月に家電量販店等を対象とし、フィルタリングサービスの告知、勧奨、提供の状況やその方法等に関するフィルタリングに関する実態調査を行いました。
 平成十七年の条例改正ではインターネット事業者に対する告知、勧奨の努力義務を定めたため、平成十八年三月の調査において、条例における努力義務の対象となっていない家電量販店等に対する調査を行い、告知、勧奨等を行っている販売店は三一・三%にとどまっているということがわかりました。その結果を受け、平成十九年の条例改正においては、携帯ショップや家電量販店に対する告知、勧奨の努力義務を定めました。
 また、平成二十年三月の調査では、再度、家電量販店等に対してフィルタリングサービスの告知、勧奨の状況について調査を行い、十九年改正の効果を検証しておりまして、告知、勧奨している販売店は八五・五%となりました。
 以上のことから、条例改正により努力義務を定めた効果として、事業者による告知、勧奨の履行が徹底されたものと考えております。

○西崎委員 今のお話ですと、現在でも、販売店ではフィルタリングサービスの告知、勧奨が進んでいるということですけれども、インターネットや携帯の利用がどんどん低年齢化する中で、子どもがインターネットや携帯を利用することで被害に遭いやすい情報を目にする機会を最小限にすることは必要だと思います。
 子ども自身がそういった情報を判別できる能力を身につけることが重要だと思いますが、都はこれまで、どのようにかかわってきたのか、伺います。

○浅川参事 青少年自身がインターネット上の有害情報について判別するためには、保護者などが家庭や地域の場などにおいて青少年とともにインターネットの利用に当たって遵守すべき事項を定めるなど、適切な利用を確保することが重要でございます。
 都は、平成十九年三月から、インターネットやゲームの悪影響から青少年を守るため、ファミリeルール講座を実施しております。
 この講座にご参加いただくことで、各家庭において親子のきずなを深めつつ、携帯電話やインターネット等の利用に関する家庭内でのルールづくりを実践していただいております。
 なお、東京都教育委員会におきましても、全学級で、発達段階に応じた携帯、ネット被害防止の指導を行っていると聞いております。

○西崎委員 こういった講座に親子で参加している人、あるいは今回の条例改正に関して、新聞報道を見られて漫画を購入して、親子でお互いに見合って意見をいい合ったというような電話もかかってきたりしておりますけれども、こういう環境をつくっていく状況の中では、非常に、何か規制をしていかなければいけないんじゃないかというような感じには受け取れませんが、むしろこういう講座に参加しない、あるいは情報教育を受けないような家庭や子どもたちへの対応が、今、迫られているのかなというふうには思います。
 今回の改正のもう一つの焦点は、不健全図書の指定拡大です。
 青少年の健全な育成を著しく阻害する図書類について青少年への閲覧を制限する制度は、昭和三十九年の条例創設のときから設けられているということですけれども、不健全図書の指定について、先ほどデータを挙げて、ここ三年間程度の指定数のお話がありましたが、その出版元の状況、そして青少年にふさわしくないという判断の基準はどのように決められているのか、この二点について伺いたいと思います。

○浅川参事 出版元はそれぞれ異なりますが、平成十九年五月から平成二十一年十一月までの間に十六回もの指定を受けた発行社が一社、平成二十年五月から平成二十一年七月までの間に七回の指定を受けた発行社が一社ございます。
 また、不健全図書につきましての判断の基準というものは条例の施行規則において定められておりまして、その主なものは次のとおりでございます。
 まず第一が、著しく性的感情を刺激するものということでございまして、これを幾つかさらに細かく分けたものがございますが、一つご紹介いたしますと、全裸もしくは半裸またはこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、または人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであることというようなものでございます。
 二番目が、甚だしく残虐性を助長するものということで、これも一つだけご紹介いたしますが、暴力を不当に賛美するように表現しているものであることなどでございます。
 三つ目が、著しく自殺または犯罪を誘発するものでございまして、自殺または刑罰法規に触れる行為を賛美し、またはこれらの行為の実行を勧め、もしくはそそのかすような表現をしたものであることというようなものなどが定められております。

○西崎委員 不健全図書の指定は、年三十から四十程度で漫画が大部分ということですが、もし指定された場合に、指定の取り消し、異議申し立てについてルールはあるのでしょうか。もしあれば、これまでの申し入れの件数もお答えください。

○浅川参事 指定の取り消し、異議申し立てにつきましては、条例で特別の規定を置いておらず、通常の行政不服審査制度による規定が適用されるものでございます。
 なお、これまで申し入れが行われたことはございません。

○西崎委員 この間の条例改正についての情報公開についてですけれども、不健全図書の指定の可否を審議する青少年健全育成審議会についての公開は、どのようになっているのでしょうか。
 また、青少年問題協議会の答申素案に対するパブリックコメントの公開などが、出版界から要望が出されていますけれども、情報公開についての見解をお尋ねします。

○浅川参事 東京都青少年健全育成審議会は、その運営要領におきまして公開で行うものとされておりますが、審議会の決定により非公開とすることができるとされております。現在は、指定候補となっている図書類などを個別具体的に審査することなどから、会議自体は非公開とし、会議資料、議事録などを公開することとしてございます。
 また、東京都青少年問題協議会の答申素案については、それに対する都民の意見、いわゆるパブリックコメントを募集いたしました。その結果につきましては、主な論点を整理した上で、協議会の見解を付して公表しております。
 また、このパブリックコメント全体、そのすべてを見たいというような開示請求が出された場合には、情報公開条例に基づく手続により、適切に対応しております。

○西崎委員 青少年健全育成審議会は、運営要領においては公開で行うとしていますけれども、現状は非公開という、その理由は今おっしゃいましたけれども、その審議会の決定の仕方にやっぱりその委員の感性とか感覚がすごく左右されるので、大変心配される声も出てきているということだけ申し上げておきたいと思います。
 今回この条例改正の中で、各委員、必ず皆さんお聞きになる非実在青少年という概念なんですけれども、何度も答弁いただいてご説明いただいているんですが、なかなか、はい、わかりましたというような感じには受け取れません。というのは、やはりこの部分の解釈が大変難しいのではないかというふうに思います。
 非実在青少年の性行為や性体験を描写した表現によって衝撃を受けたり不快を感じたりする蓋然性については、受け取り方の個人差が大きい以上、表現規制ではなくて、ゾーニング規制によって対処すべきであり、非実在青少年に関する表現規制は不要だと指摘する声もあります。この点、また後で述べたいと思いますけれども、もっと検討すべきではないかというふうに私も思います。第七条の二号ですけれども。
 児童ポルノについても、古館委員からいろいろご意見ありましたけれども、法律の規定でもあいまいさが指摘されています。純粋に、子どもの、特にいたいけな幼児、小学生の性までが無制限に営利の道具にされている現状は、見過ごすことはできません。
 この条例では児童ポルノをどのように規定しているのか、先ほどちょっとお話がありましたけれども、私どもが大変心配しておりますのは、これまでに七生養護学校の性教育が行き過ぎた性教育であるとして非難されました。教材が没収されたこともあります。
 児童ポルノが拡大解釈され、性教育教材までが規制対象となるのではないかと危惧する声も私どもの方に寄せられていますので、どうお考えか、伺いたいと思います。

○浅川参事 ただいまのお話の中で、ちょっと誤解があろうかと思いますので、私ども正確にお話ししたいんですが、表現の規制というようなことは今回、青少年の閲覧についてはございませんで、区分陳列をお願いするということでございます。それも、まず第一に、販売事業者さんたちが自主規制を行っていただくと。それで実際販売する際に、いわば成人図書としてゾーニングしていただくというようなことを、今回ご提案させていただいております。
 我々が不健全図書指定をする場合は、そういう中でも著しく悪質なものが一般の書棚の方にあったときには、いわば自主規制が十分至っていなかったとき、その中でも著しく悪質なものについて、ゾーニングといいますか区分陳列をお願いすると、そういうようなものでございます。
 それから、条文がすごくわかりづらいというお話をいただきました。
 我々、表現の自由との関係から、いわば規制すべき対象といいますか、それを正確に定義しようということになりますと、どうしても言葉をいろいろ使わざるを得なくなり、その結果、正確性は増すけれどもわかりにくさも増してしまうというようなことでございます。
 しかし、表現の自由というものを規制するということであれば、やはり正確性というものが大事かなと思いまして、少々わかりづらいんですが正確に条文をつくったということでございますので、ご理解いただければと思います。
 児童ポルノにつきましてでございますが、この条例改正案では、その所持も根絶の対象とし、都の責務として、広報啓発活動によって機運の醸成を図るとともに、事業者及び都民と連携し、根絶のための環境の整備に努めていくことを定めてございます。
 現行条例の目的にのっとり、青少年の健全な育成や青少年の福祉を阻害するおそれのある行為などを防止し、青少年を取り巻く環境整備の推進を図るというものでございます。
 また、改正案では、児童ポルノについて、いわゆる児童ポルノ法で規定される児童ポルノをいうと定義してございます。お話の、性教育教材が、人形や漫画など実在の児童の姿態ではないものについては、児童ポルノには該当いたしません。

○西崎委員 青少年健全育成の条例の改正のたびに、一方で、条例の実効性に疑問を持ち、青少年に対するメディアリテラシーの重要性が指摘されます。
 生活者ネットワークは、性の問題は、条例で規制するよりも青少年が自分で判断できる力をつけるようにすべきであると訴えてまいりました。そのためには、時代に即した性教育などが必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○浅川参事 青少年には、その年齢に応じた適切な性的判断能力を持たせることが必要でございますが、十八歳未満の者はみずから、有害なものとそうでないものを見分ける能力が、まだ十分ではございません。
 都では、条例に基づく不健全図書指定制度を運用することによって、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある図書類等を青少年が閲覧等をすることのないようにしており、今回の改正案では、新たに、明らかに青少年として描いた人物に対する強姦など、著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写した図書類などを、不健全な図書類等の指定基準に追加することとしております。
 ご指摘のように、青少年の性に関する健全な判断能力を育成していくということは重要なことでございまして、改正案におきましては、保護者等に対し、青少年がいわゆるジュニアアイドル誌等のうち扇情的なものの対象とならないように、適切な保護監督及び教育に努める努力義務を規定しております。
 また、学校におきましても、性教育は人格の完成を目指す人間教育の一環として、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に即した指導を行っていると聞いております。

○西崎委員 子ども自身がさまざまな暴力、中には性暴力も含まれますけれども、そこから身を守るために、子ども自身が力を発揮できるようにサポートするCAPというプログラムも、生活者ネットワークは、ぜひ東京都に取り入れていくことをいってまいりました。また、被害を受けた子どもの救済こそ、最優先で行われるべきだと思います。今こそ、子どもの権利の視点に立って、何をなすべきかを広く考え、実行していく必要があると思います。
 今回の条例改正の文言については、一番初めに小山委員がいろいろと質疑をされておりましたけれども、条例改正のその中身が大変わかりにくいという点があると思います。とりわけ、非実在青少年の定義についてはわかりにくいのではないかと思います。わかりにくいケースにおいては、行政的裁量の恣意性の問題があると思います。
 今回の条例改正に当たって、宮台眞司さんという首都大の先生がいらっしゃいますが、ホームページで意見書を出しております。
 その中身、先ほど指摘しました意見もそのことが書かれておりますけれども、その中で、日本の漫画やアニメの文化が世界的に認められてきた背景の一つには、欧米の漫画やアニメと違って、設定が成人か青少年かに関係なく、キャラクターが未成熟でかわいいというところにある、かかる文化的特性ゆえに、非実在青少年にかかわる規定は問題をはらみやすいということが書いてありました。そのほかにもいろいろ書いてありますけれども、私は、やっぱりこういったことが指摘されている以上、もっと議論が必要ではないかと思います。
 都が条例で規制をするたびに、それが拡大解釈され文化や表現の自由を損なうのではないかという、さまざまな憶測あるいは意見が飛び交っております。それはやはり、条例改正の目的、なぜ今、条例改正をしなければいけないのか、またその意義についてきちんと伝わっていないからではないかと思います。
 東京都が子どもを取り巻く環境に対して抱いている危機感については共感しますが、この条例の実効性を高めるためには、業界の協力なしには実現できないと思います。理解を求めるために、さらなる議論そして努力が必要だということを申し述べまして、質問を終わります。

○淺野委員 私からのこの条例の中身に関する質問に入る前に、先ほど、答弁の中で少し気になることがございましたので、確認をさせていただきます。
 先ほど、吉原委員の質問の中にありました「ハレンチ学園」それから「風と木の詩」、これは不健全図書指定には当たらないという答弁がございましたけれども、その前の、我が党小山委員の回答のときには、審議会の判断によってということで、都による恣意的な判断は行わないといっていることと、これは矛盾するんじゃないかと思いますけれども、その見解をお聞かせください。

○浅川参事 先ほど、吉原委員に対する答弁の中で不健全図書指定の流れというのをご説明させていただきましたが、まず第一段としまして、我々都側の方で、一般の青少年が購入できるような書店において百数十冊、本を買い、その中から、まず第一次的にその候補に挙がるものにつきまして、我々の方である程度指定基準に照らし、本当に指定していいかどうかというような分の候補を選びます。
 そして、実際に指定するとなると、さらに健全審の方での判断を仰ぐということでございますので、我々が購入してくる雑誌とかすべてを健全審の方にかけるというわけではございません。やはりこれは不健全図書指定をせざるを得ないといいますか、そういうようなものについては絞り込んで、どうしてもやっぱり指定した方がいいというものに、いわば慎重を期して行っていくわけでございますので、そういうことでご理解いただければと思います。

○淺野委員 我々が判断する余地、いわゆる都の皆さんがいう我々というのが、大分、判断の範囲が随分大きいなという気がいたしますけれども、今の観点でいくと、要は候補になるかならないかみたいなところまで、全部、都が判断できていいという理解でいいんでしょうか。

○浅川参事 我々都側でまず第一の選考をする際は、恣意的に行うわけではなくて、やはり条例、規則に定める基準に基づいて選定いたします。
 先ほどの「ハレンチ学園」につきましては、性交であるとか性交類似行為というようなものの描写を伴っていないということでありますので、それは我々の段階でも、明らかに対象外であるというふうにいえるということでございます。

○淺野委員 完全に、その内容の判断ですね。つまりそれは都の職員が見る主観で判断するということですよね。

○浅川参事 我々の主観ではなくて、条例、規則に書いてある、できる限り客観性を持って記載されているその基準に基づいて判断をするというものでございます。

○淺野委員 さっきの判断の中で、要は都のやり方として、主観がなくて客観的に判断するんだと、条例に載っているので判断するんだと。しかし、実際に今この委員会で、いろいろ質疑の中で問題になっているのが、客観的に見るところにこの条例であいまいさがあって--というところで問題にされているわけであって、答弁の中で、皆さん方が、いやこれは入っている、入っていないということをいっていたりするわけですね。あるいは、これはここを目的としたものではありませんとか、ありますとかという答弁が出ているわけですよ。
 ということは、我々が聞かない限りは、その主観というのが公表されないわけでありまして、その主観に基づいて判断していることになるんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがですか。

○浅川参事 何度も申し上げますが、条例及び規則に照らして、それが指定基準に当たるかどうかということで判断するものでございます。
 それと、先ほど「ハレンチ学園」の件で、吉原委員が実際に読んだときのご記憶では性交がなかったということでございましたので、そういうような内容であったならば、それは当たらないということを申し上げたということでございます。実際にその「ハレンチ学園」、あれは相当のボリュームがありますが、それを読んだ上で判断したということではなくて、性交とかがなかったというような内容であった場合であれば、そうだということでございます。

○淺野委員 どうも、そういった姿勢が疑念を招くという感覚が、ちょっと薄いんじゃないかと思うんですね。
 我々の中でいっているというのは--要はこの中身が先ほどの答弁の中でいっているところ、小山委員が聞いたときには、最終的な判断をやっているというのは審議会だといっているのにもかかわらず、先ほどの答弁の中で、この場ではっきりと、これは入りませんよ、当たりませんよといっている。仮定を前提にするでもなく、「ハレンチ学園」や「風と木の詩」というのは指定には当たらないと、そうはっきりといわれているわけですから、これは、明らかな行政による恣意的な判断の介入の余地が残っているようにしか見えないんですけれども、それはどうでしょうか。

○浅川参事 先ほど答弁の中で、実際に指定する際の基準というものの一部をご紹介いたしましたが、より正確に、客観的に我々が行っているということをちょっとお話ししたいと思います。
 指定基準のまず第一号でございます、著しく性的感情を刺激するものというものとして考えておりますのが四つございます。一つ目が、全裸もしくは半裸またはこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、または人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。二つ目が、性的行為を露骨に描写し、または表現することにより、卑わいな感じを与え、または人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。三つ目が、電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に卑わいな行為を擬似的に体験させるものであること。四つ目が、以上の三つまでに掲げるもののほか、その描写または表現がこれらの基準に該当するものと同程度に卑わいな感じを与え、または人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
 二つ目の基準が、甚だしく残虐性を助長するものというものでございまして、これも四つございます。一つが、暴力を不当に賛美するように表現しているものであること。残虐な殺人、傷害、暴行、処刑等の場面または殺傷による肉体的苦痛もしくは言語等による精神的苦痛を刺激的に描写し、または表現しているものであること。三つ目が、電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に残虐な行為を擬似的に体験させるものであること。四つ目が、以上三つまでに掲げるもののほか、その描写または表現がこれらの基準に該当するものと同程度に残虐性を助長するものであること。
 三つ目の区分でございますが、著しく自殺または犯罪を誘発するものとして、三つのものを定めてございます。自殺または刑罰法規に触れる行為を賛美し、またはこれらの行為の実行を勧め、もしくはそそのかすような表現をしたものであること。二つ目が、自殺または刑罰法規に触れる行為の手段を、模倣できるように詳細に、または具体的に描写し、または表現したものであること。三つ目が、電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に刑罰法規に触れる行為を擬似的に体験させるものであること。
 以上の基準に照らし、我々が、実際の個々の図書をこの基準に照らして該当するかどうかというものを詳細に調査し、指定図書の候補になるかどうかを決めるということでございまして、恣意的にやっているというようなご指摘は当たらないということでございます。

○淺野委員 一度確認させてもらいますが、今ご答弁された中の一番最初、著しく性的感情を刺激するものというのは、次のいずれかに該当するものであることというところ、全裸もしくは半裸またはこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、または人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであることと、「または」「または」と並んでいますが、要はこの中の一つ、全裸もしくは半裸またはこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、というところに該当した時点で、これは指定図書に含まれるものだと思うんです。
 そうすると、この卑わいな感じを与えているかどうかの判断はだれがしているんですかということが聞きたいんです。

○浅川参事 最終的に指定をするかどうかという判断を行うのは、学識経験者であるとか保護者であるとか、また出版業界の人たちであるとか、そういう人たちから構成される東京都青少年健全育成審議会、都議会議員の先生方も入っておられますが、そういう中で、最終的に指定するかどうかというものは決めるということでございます。

○淺野委員 最初にそれをいっているんですね。今そういって、つまりこういう卑わいな感じを与えるかどうかの判断は審議会がしますと答弁されているのに、何で、じゃあ、あそこで、これは入りませんという判断が出てくるのかということを聞いたんです。お答えください。

○浅川参事 月々、百数十冊購入してくるものの中から、先ほど申し上げた基準に照らして、指定するおそれがといいますか、指定する可能性のあるもの、指定を検討していただくような内容のものであるもの、そういうものを青少年健全育成審議会で判断してもらうということでございまして、いわば第一次的に、その基準に当たりそうかどうか、指定になりそうかどうかという部分の第一次スクリーニングといいますか、それは我々事務局の方で行っているということでございます。

○淺野委員 先ほどの吉原委員の質問というのは、これは不健全指定図書に当たるのかという質問だったんです。つまり不健全図書指定の候補になるかどうかではなくて、指定図書として当たるかどうかを聞かれていて、当たりませんということを行政としてはっきり示しちゃっているわけですよ。
 この態度をしているときに、でも実際には審議会がちゃんとやりますよといって、だれが信用するんですかということを私は聞きたいんです。

○浅川参事 先ほど申し上げた基準に照らして該当しないものであれば、それは、我々の段階で該当しないということがわかるわけです。したがって、明らかにもう該当しないというのがわかるもの、そういうものを青少年健全育成審議会で、これは指定に相当するような図書だという形で上げることはないということです。だから先ほどの「ハレンチ学園」も、性交というような、そういう場面がないということでありますれば、それは最初から候補にもならないということでございます。
 ちなみに、「ハレンチ学園」が発売された昭和四十五年当時も、指定されたとの記録はないということでございます。

○淺野委員 何かこの答弁やりとりするの、切りがなさそうな気がしますから一度いっておきますが、要は私が気にしているのは、我々の態度がどうのこうのという話も先ほどから出ていますから、この際ですからはっきり申し上げておきますけれども、健全な青少年を育成するという、またその環境をつくりたい、あるいは児童ポルノ、性犯罪、福祉犯罪といったものに青少年が巻き込まれないようにするということ、これに対しては我々は本当に賛成できると。そして、そこにおいて、表現の自由だ何だという心配がある人たちに対しても、こういう社会を実現するためには協力を仰ぎたいという気持ちも多々あります。
 そこで一番問題になってくるのが、恣意的な判断をするかどうかということがすごく心配されているからこそ、慎重な扱いをしなきゃいけないと。結果が厳しくなるか甘くなるかというのは、それはその行動自体が、その結果どっちに傾いているかと、その状況がどうであったかということであって、大切なのは、健全な社会をつくるために、例えば今の話でいけば、恣意的な判断という意味でいえば、本来だったら大多数の人が青少年には見せたくないなと思えるようなものでも、その時点に都政として恣意的な判断でそいつを外すことも可能になってしまいますよということを指摘したと思ってください。
 厳しいか甘いかということをいっているんじゃないんです。
 そんなことをやりとりしていても時間がなくなってしまいますから、いっておきたいんですが、要はですね……(浅川参事発言を求む)まだ何も質問していません。
 青少年の健全な育成を促すために、本当の意味での、今いったようにさまざま施策を行ったり、あるいは児童ポルノやインターネットの悪影響といったものから守る社会をつくりたいという目的は、本当に賛同できるんです。そのために、ぜひ実効性のある、かつ危険性の少ない形で条例をつくっていくべきだと思いますし、そういったものを我々は評価をしていくべきだと、そのように思っています。
 しかしながら、我々の立場として、議会として、規制というある意味強制力があったり、そういったものを設けるときに関しては、まずその目的を達成するために、この規制によって実効性があるということを確認しなきゃいけませんし、あるいは、この規制以外に基本的に方法はないよね、そういう状況だねということも確認しなきゃいけない。または、この規制によって不利益をこうむる可能性がある善良な都民の方や団体の方、そういった方々の関係を気にしたり、悪意を持って運用しようとする人たちからの防御を考えたり、そういった観点でさまざまな考察と検証を行っていくことこそが本当に大切な我々の姿勢なんだと、そのように思っております。
 今回のこの条例改正案が提出されたことによって、少なくとも、被害が少なくなる、青少年が巻き込まれる、そういったものをなくしていきたいと望む青少年の保護者の皆さんや教育関係者の方々、そういった方々以外にも、逆にこれによって不利益をこうむる可能性があったり、あるいは自分たちが行っている表現が侵されていくんじゃないかという心配を持っている方々からも、賛成、反対、それぞれの意見が恐らく皆さんのもとにも、そして我々のもとにも寄せられているわけであります。
 私たちは、ぜひ、こういった関心のあるときに、一つ申し上げておきたいことがございます。賛成、反対、さまざまな意見がございますけれども、まずこの条例案そのものが提出された背景というのは、青少年が巻き込まれる性犯罪や福祉犯罪、そういった被害者になってしまうという社会状況がなかなか好転していかない、そういったものもございますし、あるいはこれまで協力を求めてきた自主的な取り組みが都民の皆様に対して見えづらかったり、あるいは実効性が薄いんじゃないかなと感じられる、そういったこともあったんだと思います。
 ただ、こういったものを推進してほしい、つまり賛成だということを求めている方には、ぜひお伝えしておきたい。
 社会というのはさまざまな考え方で構成されていて、いろんな議論があります。いろんな意見があります。そういった方々と常に議論をし、あるいはわかり合う努力をして、そういった大人の姿というものを見せる、その行為そのものでも、青少年の健全な育成というのは担保されるし、大きな効果があるんじゃないかと私は思うわけであります。
 また一方で、表現の自由を求められている方々にも申し上げておきたい。
 そういった自由の裏側には責任が存在しているということ。あるいは、青少年が健全に育成していくという目的をかんがみれば、そういう社会環境をつくり上げていくことに、自分たちの表現をするということを行っている方々がそういう社会をつくることに積極的に関与をしていく、そういう行動を見せることが、実は翻って、表現の自由を守ることにつながるんだということも、ぜひわかっていただきたい。
 そういったことを我々は意見として伝えさせていただいた上で、議会人としては、多種雑多な考え方を踏まえて、慎重な審議と考察を尽くし、青少年、その保護者、教育者、表現者、さまざまな方々が納得し、安心し、あるいは自分たちの役目を自覚できるような、そういう結果に結びつくような形で結論を出すことこそが、本当の意味でこの条例が求める目的を達成することにつながるんだろうという覚悟を持って挑ませていただく。その上での質問をさせていただきます。
 まず第一に、先ほど小山委員への答弁で、蔓延の抑止という表現についての答弁がございました。
 これは成人を規制するわけではないということでございましたけれども、この条例改正案の中には、その後に、さらに環境の整備という文言も出てきます。
 環境というのは、周りを、がばっと固まって回っているものですね。自分たちの周りすべてというものがありますから、環境を整備していくんだという表現では、社会を取り巻くすべてを含む、つまり成人や、自由な権利をある程度担保される、つまり責任を持って行動がとれるという方々も含んでいるんじゃないかという疑義をぬぐえないんじゃないかと思えますけれども、それについてのご見解をお知らせください。

○浅川参事 環境整備に係る規定は、青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧または観覧できる状態が継続することにより、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長するべきでないことについての機運の醸成に努めるとともに、青少年が容易に閲覧または観覧することのないよう、環境の整備に努める都の責務を規定するものでございまして、これらの図書類に関する青少年の閲覧機会の抑制を目的とするものでございます。
 そして、条文上も、青少年が容易に閲覧または観覧できないようにという目的でもって縛っておりますし、また事業者、都民に、同じく努力義務を求めている内容につきましても、青少年が閲覧または観覧しないようにという目的でもって取り組むということでございますので、条文上からもはっきりと、成人への規制というのは意味するものではないということでございます。

○淺野委員 蔓延の抑止にしても環境の整備にしても、これは青少年が見ないようにするんだ、あるいは閲覧を抑制するんだというような意図を持ってつくっているという答弁でございましたが、そうであるならば逆に、青少年に対して影響力が大きい、つまり実際にその青少年らを読者として見ている図書類の発行事業者の皆さん、あるいは漫画やアニメーションといったものをつくっていらっしゃる作家の方々、また広い観点から見れば、大学などの研究機関においてそういったことを研究されている方々から、意見をしっかりと聞いておく、そういった態度も必要なのではないかと思いますけれども、ご見解をどうぞ。

○浅川参事 当本部では、現行条例の運用に当たり定例的に出版業界との意見交換会を実施しておりますが、改正案の内容につきましては、その機会をとらえ説明をしております。今後も必要に応じ、随時、意見交換を行ってまいります。
 また、作家や研究者の方などとの意見交換についても、検討していきたいと考えております。

○淺野委員 ここでもう一つ、先ほどの答弁の中で気になったことがございますので、確認をさせていただきたいと思います。
 先ほど、西崎委員の質問の答弁の中で非実在青少年という話が出たときに、明らかに青少年だということの確認がとれる状況の中で、不健全図書指定においては、さらに強姦やその他の違法行為、そういったものを肯定的にかいてあるものは取り締まろうということでございました。
 これは恐らく、これまでの条例で取り締まろうとしてきたときに、そういった漫画類がうまいこと逃げられてしまって、なかなか確保することが難しかった。あるいは不健全な図書指定をしようと思ってもそこがなかなかできなかったんだという思いがあって、わざわざこういう限定をされているんだと思いますが、それがそれで合っているかどうか。
 であるならば、もう一つ聞きたいのは、先ほどの小山委員への回答の中で、十八歳以上であると明記されていればこの規定には当たらないということでありますと、第八条二号ですか、不健全図書指定をするための中では、要は、非実在青少年という定義に当たるものの中で、強姦など著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したものを指定するという規定になっておりますから、その最初の非実在青少年規定のところで、十八歳以上ですよと書いてあったらすべて外しますといえば、実体的にこの規定は何の実効性も持たなくなるような気がするんですけれども、ご見解を教えてください。

○浅川参事 まず一つ、誤解があるといけないので、ちょっと申し上げさせていただきますが、取り締まると今おっしゃいましたが、我々は取り締まるわけではございませんで、不健全図書類の指定を行い、その図書を青少年が見られないような形で区分陳列をお願いするということでございますので、大人の方はきちっと読めるわけです。
 普通、取り締まるというと、存在そのものがこの世の中で許されないかのように受けとめられてしまいますので、我々としてはそういうような用語の使い方はしないで、不健全図書の指定として、それは区分陳列であるということでございます。
 同第二号をつくった理由でございますが、第一号は要件で、性的感情を刺激しという要件がございます。現在、性的感情を刺激しないまでも、強姦であるとか輪姦であるとか、描写においては性的感情を刺激しないけれども青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害する可能性があるんじゃないかというものについて、我々としてはやはりこれは不健全図書の指定をして区分陳列をしていただきたいという思いから、第二号を新たに設けたということでございます。

○淺野委員 その上で、実効性があるかどうかの答弁をいただきたいんですけれども。先ほどの質問の中の実効性に関してのところです。

○浅川参事 十八歳以上という表示がありますれば、それを見た青少年にとれば、それは自分の世界のことではないということになりますので、それは対象から外れるということでございます。そういう意味では、十八歳以上というものの表示がなされているものと明らかに十八歳未満であるというふうになっているものとでは、その影響度合いというのは異なるというふうに思っておりますので、この規定でありましても実効性はあるものというふうに考えております。

○淺野委員 先にいっておかなきゃいけなかった--取り締まる云々の言葉については、おっしゃるとおりということで理解をしております。
 今の答弁につきましても、十八歳以上と書いてあれば、青少年は自分の世界のことではないと思うから実効性はあるだろうと。
 正直、恐らくここにいる委員の全員が、苦しい答弁だと思ったと思います。それで実効性を担保するというのであれば、ここまで熱く考えることもないかなと思えるぐらい、そんなに甘いものじゃないだろうという気はいたします。私としては、やはり、十八歳以上という文言が入っていればどれだけの表現をしていてもそれはオーケーなんだということになれば、この規定そのものはあってもなくても同じ規定になっちゃうだろうなというところを、一応指摘させていただきます。
 続きまして、フィルタリングの件につきましては、先ほど西崎委員の質問の中で、フィルタリングの勧奨、その他は進んでいるという感覚があるということになっていたみたいですが、フィルタリングの加入率といったものがどういったように推移をしているのか。
 また、なかなかそれが思ったように伸びていないという感じがあるという話も聞くことがあるわけですけれども、その原因はどのように考えているのか。それについて、まずもってお答えください。

○浅川参事 都が本年三月に、小中学生の子どもに携帯電話を持たせている保護者に対して行ったフィルタリングに関する実態調査におきましては、フィルタリングに加入しなかったが二六・七%、加入したがその後解除したが五%、合わせて三一・七%でありました。
 これは前年の五〇%に比べれば大きく減少しておりますが、昨年四月に施行された青少年インターネット環境整備法において、原則として青少年の利用する携帯電話についてはフィルタリングの提供が義務づけられたことにかんがみれば、いまだ期待される水準にはなっていないというものと考えております。
 加入しなかった、または後で解除した理由につきましては、子どもを信用しているからという理由が三五・八%、特に必要を感じないからが二六・三%、フィルタリング自体を知らないが一三・七%となっておりまして、子どもの有害情報閲覧の危険性等に関する保護者の意識や知識が十分でないことや、フィルタリングに関する説明が十分に行われていないことがうかがわれます。
 第二十八期青少年問題協議会の答申におきましても、青少年が使用者であるかどうかの確認が保護者の申し出のみに基づいており、また、販売店における説明が必ずしも十分ではない、正規の販売店と代理店の販売店での対応に差があるなどの問題が指摘されております。したがって、保護者に対するフィルタリングの啓発、告知、勧奨が、契約時やフィルタリングの解除の申し出時に徹底されるような取り組みも必要でございます。
 このため、条例改正案第十八条の七の二第二項におきまして、携帯電話等事業者に対し、青少年が使用する携帯電話においてインターネット接続役務を提供する契約の締結に当たっては、青少年または保護者に対しフィルタリングサービスの内容等を説明するとともに、その内容を記載した説明書を交付する義務を設け、フィルタリングやその必要性に関する保護者の知識及び意欲の向上を図ることとしております。

○淺野委員 携帯電話から、もちろんインターネット接続も入っておりますけれども、フィルタリングで子どもたちを守っていこうという姿勢、あるいはその必要性というものについても私は納得できるし、私的には、フィルタリングの加入率というのはぜひ上げていくための施策を行っていくという必要があると思っております。
 しかし、そういった中で見てみると、この条例ではそういう実効性に非常に不安が残る形になっている。
 この条例案では、携帯電話端末を推奨しようという条例案になっておりますけれども、現実の今の携帯電話の普及の仕方、あるいは販売店においての端末の選び方といったものをかんがみると、端末そのものを推奨するということよりも、東京都が推奨する契約プラン、それも年齢に応じた契約プランを東京都が推奨し、例えば小学校三年生だったらこういうプランがいいですよ、中学生ならこういうプランがいいんじゃないですかと。年齢に応じた携帯電話の使い方もさまざまあるでしょうから。またどうしても必要だという保護者の方が、子ども、青少年に携帯電話を買い与えるようとするときに、契約で縛ることで、あるいは縛るといういい方がきつければ、東京都が推奨したものを選べば少なくとも一定基準以上の安全は担保されるんだという方が、保護者にとっても易しいし、そして青少年も、限られたデザインから選ぶのではなくて、かなり、売っているものすべてから選べるけれども、契約で合わせていけるという自由度も担保される。今の携帯電話の契約形態であれば、少なくともこの条例の中で解除の要件を強化するといっているんですから、そう簡単に強化できないという形になれば、契約で、使う機能をかなり限定的に保つことが可能だと、私は思います。
 その観点から見れば、その目的を達成するためにも、端末を推奨するよりも契約を推奨する、そういう形に改めた方がいいんじゃないかなと思うんですが、ご見解を伺います。

○浅川参事 目的は、委員と私どもと同じかと思いますが、その方法論がちょっと今、異なるというところでございますが、東京都が考えております携帯電話端末の推奨制度は、携帯電話を持つことを推奨するのではなくて、保護者が携帯を持たせるべきと自主的に判断した場合に、保護者が携帯電話を選ぶ目安としていただくためのものでございます。
 教育庁も、どうしても持つ必要があるときは、必要最小限の機能を持つ携帯電話を選ぶということの呼びかけを行っております。さらに、低学年のうちは携帯電話を持つ必要性も比較的乏しいと考えられ、通学途上の安否確認のためなど、その状況は限定されることが想定されます。
 このように、必要な場合に限ってのみ携帯電話を持たせる場合においては、さまざまな機能を備えた機種よりも、機能を限定したシンプルな機種が向いており、付加されるサービス等を推奨の対象にするのではなく、端末そのものを推奨することが適切であると我々は考えております。
 また、携帯電話等は新たなモデルが開発され、販売されるスピードは極めて速うございます。多様なサービスが付加された機種の中から特定の機能を選択し、数年後に選択していなかったサービスを利用しようとしたときには、既に、その保護者等のニーズまたその使用する子どもたちのニーズに合わない、時代おくれのものとなっている可能性も高いということから、機能が限定されたシンプルな端末を推奨することが望ましいと考えております。
 最初から限定的な機能しか使用しないことを想定しているのであれば、多機能機種のものについて限定的に機能を制限する契約を行うよりも、それに特化した携帯電話等の方が安価に製造可能であり、保護者や青少年にとっても安価に購入ができる。そしてまた必要な機能がついているということで、使い勝手もよいというふうに考えられます。
 既に携帯電話事業者においても、通話、メール機能等に限定した子ども用携帯というものを販売しており、推奨制度はそのような自主的な努力を支援する意義もございます。
 なお、保護者が既に所持している多機能機種のものについて、年齢等に応じた推奨携帯の基準に照らして自主的に機能を限定する契約を行っていただくということであれば、委員お話しのように、そういうような機能を選んで、推奨携帯の趣旨に照らしても望ましいことであるというふうに考えております。

○淺野委員 これも、ちょっと難しいだろうな、苦しいなという気がいたします。
 何を私がいいたいかというと、普通に考えて、今おっしゃった端末を推奨する制度と、契約を推奨する制度とをもし考えたときに、契約を推奨する制度の中には、端末を推奨する制度で期待されるような形を含むことができるんです。つまり、シンプルな機能しかない携帯電話というのを契約上つくることができるということです。
 一方で、端末を推奨する制度の場合には、契約で推奨するときのメリット、これが一番大きなのは、年齢に合わせて使う機能を更新できるというメリットですね。最初から機械的にハード面で機能が限定されているものであれば、当然のことながら、それ以上の機能を得るためには買い直さなければいけません。
 しかし、年齢が上がってきたときに、その契約の中で、この機能はもう少し付加してもいいなという思いがあれば、例えば具体的にいえば、小学校低学年であれば、どうしても持たなきゃいけないんだったら、メールも、本当に限られた登録したアドレスからのメールしか一切もう受け付けない、送信もできないという限定にしていたと、しかしその子が物をちゃんと長もちさせて高学年あるいは中学生になったときには、友達同士も、周りの持っている子もちょっとふえてきただろうから、では迷惑メールを防止すればそれでいいでしょうといったような形。あるいは、さらにもうちょっと大きくなって、中学生で買った子が高校に上がったときには、インターネットも、フィルタリングがかかった状態であれば携帯から閲覧してもいいだろうというような更新を、契約であれば、同じ機種のままできます。しかし、端末であれば、メール機能に限定した端末から携帯でインターネットを見る端末に変えるためには、買いかえなきゃいけない。
 そもそも東京都は、環境基準、カーボンマイナスオリンピックを掲げたぐらい、環境に優しいという観点でいくんだったら、子どもの健全育成に環境的な視点を入れるんだったら、物を長もちさせるためには推奨携帯ではなくて推奨契約の方が、俄然、合致しているだろうという思いがあります。もし反論があるんだったら、後ほどいっていただければと思いますが、次の質問にいかせていただきたいと思います。
 さて、この改正条例案におきましては、自主的であったり、あるいは強制力を持ったりといった、双方での規制がある程度強化される、あるいは限定的、具体的な対象を定めて、その範囲が少しふえる。今までちょっとわかりづらかったところを、多少具体的にしようという努力もあったようには思います。
 しかし、そもそも、東京都つまり行政が規制をかけていこうという動きをするときには、相当な事情と経緯があったはずだ。つまり、冒頭にも申し上げたとおり、規制というのは最終手段のようなものであって、ほかに策があるならば、まずその策を行った上で、最終的にはここにたどりつくしかなかったんだという事情であるべきだと私は考えます。
 この条例で掲げた、青少年の健全を育成する、そういった環境をつくる、あるいは青少年が自主的にそういう大人になれるように努力と責任を自覚して努めていく、そういう社会をつくっていこうとするために、都として、この条例改正案を提出する前に、自主的な民間の努力や働きかけ、そういったものに対して具体的にどんなことを促した上で、そしてどういう状況が変わらないから行われたということがなきゃいけないと私は思うんですけれども、それについての所見を伺います。

○浅川参事 青少年をみだりに性的対象として肯定的に描写した図書類等が容易に青少年の目に触れる状態にあり、青少年の健全な成長を阻害している社会事情にかんがみ、都は青少年問題協議会に対し、メディア社会が広がる中での青少年健全育成について諮問を行いました。
 この協議会は、青少年の健全育成に関する知見を持ち、都の施策形成の参考になる意見を述べることが可能な委員により構成されたもので、検討の中で事業者への意見聴取を行うなど、幅広く議論を行った上で答申を出したものでございます。
 そして今回の改正案は、この答申を踏まえつつ、前述のような社会状況にかんがみ、行政としてとるべき施策を検討した上で提出したものでございます。また、関係する業界とは、随時、意見交換を行っております。
 それを具体的な事例でご説明したいと思います。
 例えばまず、不健全図書の指定の関係についてでございます。
 昭和三十九年の条例制定時より、青少年の保護、教育に関する保護者の努力義務や、事業者による図書類等の販売の自主規制などの努力義務が定められているとおり、まずは都民による努力義務をお願いするのが本条例のスタンスでございます。
 そのような条例の趣旨について都民への普及啓発に努めた結果、ある一定の成果を得ているものと認識してございますが、不健全図書の指定のように、条例により、努力義務ではなく義務づけを盛り込む背景といたしましては、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある図書類等が容易に青少年の目に触れる状態にあり、都として環境を整備しなきゃならないという状況があるということでございます。今回、指定基準に新たな要素を加えたのは、そのような図書類等が容易に青少年の目に触れる状態にある状況を踏まえたものということでございます。
 またもう一つ、具体例で申し上げますと、携帯電話のフィルタリングの関係についてご説明します。
 都内における、法施行後の平成二十一年中のインターネットサイトに係る少年の福祉犯罪被害児童数は、都内で百八十四人、前年比で五十四人増加しております。その内訳も、コミュニティサイトやプロフィールサイトなど、青少年がアクセスしやすい非出会い系サイトにおける被害が百四十八人と、出会い系サイトを通じて被害に遭った少年三十六人の四倍に上っており、看過できない状況にございます。
 民間の自主的かつ主体的な取り組みを尊重するという法律の趣旨を遵守することは当然でございますが、このように、現に青少年の被害等が増加しているという現状にかんがみ、青少年の福祉を阻害する行為を防止し、その健全育成を図る責務を負う都として、同法の規定の趣旨を定着させ、その実効性を向上させるために、今回、フィルタリングの実効性確保に向けた事業者の努力義務など、都として必要な規定を設けるものでございます。
 したがいまして、法の趣旨に反して民間の自主的な取り組みを軽視し、規制するものではなく、また、個別具体的な有害情報の判断や、フィルタリングの基準設定を行おうとするものではございません。
 都においては、フィルタリングの実効性確保に関し、民間事業者による一層の取り組みを促すよう、都の相談窓口で把握したフィルタリング開発に資すべき情報をフィルタリング開発事業者に提供したり、また第三者機関によるサイト表現の審査において活用できるように、不健全指定した図書類の情報を提供するなど、その取り組みを促す支援を実施しておりまして、今後も都としての努力を継続していく予定でございます。

○淺野委員 今の答弁の中で、確かに、都内において青少年の福祉犯罪被害がふえていると。あるいは、非出会い系サイトにおける被害が出会い系サイトの四倍に上っているなど、数字において看過できない状況にあるということを何とかしなきゃいけないという、そのお気持ちはよくわかります。我々も、それには本当に賛同いたします。
 であるからこそ、その実効性をやはり気にしていかなければいけない。
 そういった実効性を担保するために必ず考えなければいけないのは、原因がどこにあって、その原因を排除するためにはどういう方策が一番有効なのか。そういった検証があってこその実効性の担保だと、私はそのように思っております。
 例えば、今の答弁の中にございました--これは不健全指定図書のところです。指定基準の新たな要素を加えたのは、青少年の健全な成長を阻害するおそれのあるような図書類が青少年が容易に見られるような、つまり区分陳列などが進まないような状況を踏まえたという答弁がございました。
 では、そういった図書類が区分陳列が進まないような状況に置かれているということを、例えば、経年に従い毎年毎年ふえているよ、何冊ずつこんなふうになっているよというような具体的な数値で把握しているのか。あるいは、区分陳列が進まない主な原因はどこにあると考えて見ているのか。そういったことを、要素、科学的な見地ということも先ほどございましたが、具体的な数値や何かとあわせて、その状況をどのように確認しているのかを伺いたいと思います。

○浅川参事 まず、今、区分陳列が進まないというお話がありましたが、今現在の自主規制の基準に基づいて区分陳列をしていただいて、そこでもなかなか、その中でも著しく悪いものがあるということで、実際に指定しております。
 そのことと、今度新たに我々が基準をつくるということでございますが、新たに我々がつくる基準についての区分陳列というものは、ある意味ではそういうような基準を示しているわけではないですから、一般の事業者さんたちにしてみれば、そういうようなものを区分陳列していないのは、いわば当たり前といえば当たり前のことなわけです。つまり、我々が基準を設定していないわけですから、通常の青少年が買えるようなところで売っているということでございますので、区分陳列が進まないから新基準をつくるということではないというのを、ここをちょっと正確にご理解いただければと思います。
 それから、非実在青少年の性交または性交類似行為に係る悪質な漫画等につきましては、現在、指定基準に含まれておらず、その具体的な判断基準がないために、経年変化に伴う具体的な数値というものを把握しているわけではございません。
 しかし、都におきまして、不健全図書審査のため毎月百二十冊から百四十冊の候補図書類を購入しておりますが、今回の条例改正案において追加しようとしている第八条第一項第二号の規定に照らせば、健全育成審議会への諮問対象として検討し得る程度の図書類が、数冊程度あるのではないかというふうに考えております。

○淺野委員 今、区分陳列が進んでいないから新しい基準をつくるというよりも、全く別の観点から見て青少年に悪影響を及ぼすものをさらに見つけた、あるいはそういうのがありそうだから、それをこの指定基準に加えていこうという判断でいったんだと思います。また、そういったことが問題提起されたり議論をされたりした場というのが、この条例を出すのに当たって答申を出していただいた青少年問題協議会、そういった場なんだろうと思います。
 そこで、この青少年問題協議会についても伺いたいんですが、私たちがこの青少年問題協議会の中を見させていただくと、児童ポルノや、あるいは漫画、アニメのどぎつい表現のもの、性的な表現が強いもの、こういったものを規制していこうと、本当はこういうものは規制しなきゃいけないよという推進する立場の方々か、あるいはとりあえず議論を見守ろうというような中立的な立場の方がいるだろうという気はいたしますが、逆に、これは協議会の場ですから、そういった規制では表現の自由を侵す危険がありそうだとか、あるいは行き過ぎた規制をかけるべきじゃないんじゃないかというような意見をふだんから表明しているような、いわゆるこういった規制に対して否定的な立場の人が、そもそも青少年問題協議会の中にいらっしゃらなかった、そのようにお見受けいたします。
 私が考えるに、こういった方々、その慎重な意見を持っているというような立場の人たちの意見を、どのようにくみ上げたのかということについてお伺いをしたいと思います。

○浅川参事 青少年問題協議会におきましては、専門部会における協議及び答申の取りまとめに際し、後藤啓二ECPAT/ストップ子ども買春の会顧問、吉川誠司財団法人インターネット協会主幹研究員、安川雅史全国Webカウンセリング協議会理事長の各委員から、それぞれの専門的見地に基づく意見聴取を行ったほか、社団法人テレコムサービス協会倫理委員長、携帯電話事業者五社、EMAと呼んでおりますモバイルコンテンツ審査・運用監視機構、東京都青少年健全育成審議会会長及び出版倫理協議会議長から、インターネットや携帯電話等の利用に関する青少年の被害や加害、トラブルの現状や、事業者における自主的取り組みの現状、図書類における有害情報の現状等について、意見聴取を行いました。
 また、青少年問題協議会の委員の方に、否定的な立場の方とか慎重な立場の方がいらっしゃらないじゃないかというようなお話がございましたが、私どもといたしましては、委員選定の際にはもちろん、いろいろな各分野で活躍している学識経験者、また弁護士の方々、また都議会議員の先生方も各会派、全会派ではございませんが、ご出席いただいて、委員としてはさまざまな意見が出るようなメンバー構成でやっておるというふうに思っております。
 これらの聴取で得られた多面的なご意見や知見を踏まえつつ、青少年を被害、加害に遭わせないための対策等について、専門部会委員における検討、議論を行ってまいりました。また、事務局において、都における取り組みの現状や関係法令、国、関係機関等における取り組みについての資料を作成し、検討の素材として提供してまいりました。このような中で、現状及びその対策については、規制に否定的な立場を含め、多面的な検討が行われたものと考えております。
 さらに、第一回拡大専門部会におきまして専門部会作成に係る答申素案を提出し、専門部会委員以外の青少協委員のご意見を賜った後に、昨年十一月二十六日から十二月十日までの間、都民のご意見を募集いたしました。このいわゆるパブリックコメントにおいてさまざまなご意見が寄せられ、それを踏まえて答申素案に必要な修正を施した上で、本年一月十四日の第二回総会における知事への答申に際し、主な論点についての協議会の見解を付して公表しております。
 パブリックコメントの中で、特に漫画家など、創作者の立場からのご意見については別途取りまとめて整理し、パブリックコメント後の専門部会における答申素案の検討に供しましたほか、第二回総会においても、主たる論点を専門部会長から紹介しております。さらに、答申策定過程及び条例案策定の過程において、携帯電話等事業者や出版関係事業者との、累次にわたる意見交換を行ってきたところでございます。
 このように、青少年問題協議会における答申策定の過程及びその後の条例案策定の過程においては、十分に多方面からのご意見を聴取し、適切に反映してきたものと考えております。

○淺野委員 別に、議論が十分じゃないとかという話よりも、そもそもの姿勢として、この条例案の中に書いてある文言を読めば、機運の醸成、各種団体の協力、都民の理解、そういった言葉が出てくるわけでございます。それを本気で考えているんであれば、協議会の場においても、そういった方々からの意見聴取をして検討したから十分な検討ができているというよりも、そもそも、検討段階の協議会委員として入っているかどうかということも大きな問題だと、私は思っております。
 私が何をいいたいかというと、別に、全員が中立的とか、若干賛成とか若干反対とかという人たちで集まっているなら、それはそれでいいだろうという気はしますけれども、あくまで団体として、そういった推進をするような活動をしているようなところの人を入れるんであれば--この人を入れるんであればということです、バランスを持って、ふだんから反対の立場を表明しているような人も入れた方が、後でこの協議会の答申を理解してもらうのに、態勢が整えやすかったんではないかと私は考えております。
 今、答弁の中で、パブリックコメントの話が出ておりました。
 先ほど西崎委員からもこの件については質問がございましたけれども、このパブリックコメント、いろいろと取りまとめて公表をしていますよということはおっしゃっておりますが、人数であるとか中身をそちらでまとめて分類して、それに対する見解とともに発表していますということはあるんでしょうが、やはり私は、そこの部分、数字や割合といったさまざまな観点からしっかりと検証できる形で公表されている方が、機運の醸成だ、あるいは都民の理解だということを考えるんだったら、それもした方が、よりよかったんじゃないかと思うわけですけれども、この所見を伺いたいと思います。

○浅川参事 寄せられたご意見におきましては、一件の意見において、項目を詳細に分けた上でその項目ごとに見ると、賛成とか反対とか、双方の内容が含まれているものが非常に多うございました。
 また、答申素案において述べていない項目についての反対意見、例えば、子どもの裸が出てくる漫画、アニメはすべて規制対象にするのはおかしいんじゃないかとか、入浴シーンを描いた漫画を所持していると逮捕されるのは不当だとか、そういうような意見も多うございました。これらを答申素案への反対として整理することは適切じゃないというようなことなどから、一律に素案に対する賛成、反対と、意見をされた方を、素案に対する賛成であるか反対であるかというふうに整理することとなるわけで困難でございまして、そういう意味で、賛成、反対に分けた統計というのをとって公表することはしなかったものでございます。
 しかしながら、先ほども述べたとおり、主なご意見をまとめ、代表的な意見として九の分野について三十五に集約し、これに対する協議会の見解を取りまとめ、第二回総会において、協議会としてご承認いただいたものを一覧にして公表したところでございます。
 多数寄せられたご意見につきましては、青少年問題協議会専門部会において検討し、これに基づいた答申素案の修正を行っており、また、答申提出と同時に、これらの主たるご意見及び協議会としての見解を公表しており、募集した都民の意見については十分に反映したものとなっておるところでございます。
 また、都民のご意見の内容を踏まえ答申素案を修正したということ、またその内容につきましては、第二回総会において、専門部会長が答申案の説明を行った際にご説明をしてございます。

○淺野委員 今の答弁の中にございましたとおり、パブリックコメントの段階で相当な混乱があるということは十分わかってたんだと思うんですね。というのは、一人の方が、賛成、反対いろんなことを述べたり、あるいは答申素案でさえしっかりとした理解をされずに送ってくる方がいらっしゃった。今のこの条例案、改正案が置かれている状況も、先ほど吉原委員もおっしゃっていましたが、条例の中身をしっかりと理解されないで反対の論を述べている方がいるのも事実だと思います。
 したがって、この条例案のときに出てきたこの状況を考えれば、もっと理解をしてもらう姿勢、プロセス、やり方を研究してしかるべきだったんじゃないかなと、そのような考えを持つわけであります。
 その原因究明という観点でいくと、青少年が被害者や加害者にならないようにすることというのは、本当に皆が望んでいることだというところには疑いの余地はないんじゃないかなと私は思います。ただ、東京都においては、ではどういう状況のときに、あるいはどんな環境にいるときに青少年が被害に巻き込まれていくのか、そういう調査研究をしておくべきだと思いますし、そうしたことによっての条例案であるべきだと思います。
 先ほど古館理事の質問の中にもございました、漫画やアニメが犯罪もしくはそういう青少年の被害にどのような影響があるのかということについての科学的な見地をとっているのかどうか。都の見解は、そういったものはデータとして把握していないと。古館理事も、同じだというようなことをおっしゃっていました。
 直接そういったものではございませんが、先ほど西崎委員がおっしゃっていた首都大学東京の宮台眞司さんの理論を読むと、例えばその中には、マスコミ効果という研究をしていると。このマスコミ効果という研究の中で、例えば今回の場合、漫画やアニメの影響が、直接、性的あるいは暴力的な行動に結びついている、その素因を形づくっているという説が、強力効果説というんでしょうか、その効果説であり、もともと素因を持った人間がその行動をとってしまうときの最終的な引き金の一つにしかならないというのが、限定効果説というものだそうであります。
 つまり、このマスコミ効果という研究の中では、そもそも対人関係のコミュニケーション、対人ネットワークがある子どもたちや人間については、こういうメディアからの影響がかなり限定的に作用するということは知られていて、一番大切なのは、こういう表現が受容される環境--それが、たった一人で何時間も何十時間も何日も同じようなジャンルのものを見続ける、読み続けるという環境に置かれているのか、それとも、そういったものを見たりするんだけれども、常にさまざまな意見を持ったさまざまな人と意見交換ができたり話ができたりする環境にあるのか、それによって与えてくる影響は全く違うんだという、そういうことが知られているということであります。
 であるならば、ここからが最も重要だと思いますが、重要視すべきは表現内容というよりも、その表現を受容している青少年の環境にあるんだと。これによって影響が大きく出たり小さく出たりするということが、ある程度科学的な調査によってわかっている、あるいはそれに関する学術的な論文も発表されているということです。
 都は、こういった規制をかけるとき、原因究明の必要性は先ほどから何度も申し上げておりますが、こういう調査研究をちゃんとすべきだったんじゃないのかなと。
 先ほど、そういった把握をしていないとおっしゃっていましたので、そこの分野についての見解をまずお伺いするのと同時に、先ほど非出会い系が四倍になっているという話がありましたから、具体的に非出会い系のコミュニティサイトというところでどのように被害に遭っているのかという現実についても、あわせて調査研究の結果をお話しいただきたいと思います。

○浅川参事 青少年・治安対策本部におきましては、非出会い系サイトのコミュニティサイトで、青少年がなぜ被害に遭うのかについての研究は行っておりません。
 それは、個別の犯罪に関する詳細なデータは、捜査機関でございます警視庁において管理されております、特定の個人の人権に係る重大な個人情報等を含むものであるために、都はその詳細を知り得る立場にないということによるものでございます。
 ただし、都が昨年七月に子どものインターネット、携帯電話に係るトラブルの相談窓口として開設いたしました東京こどもネット・ケータイヘルプデスクにおいては、受理した相談に関する青少年のトラブルの傾向等につきまして、随時、分析、検証を実施し、その結果などを都の事業等の検討に活用するともに、関係機関への情報提供を実施しております。例えば、相談事例から、ブラックリスト式のフィルタリングの対象外とされているコミュニティサイトからリンク可能なサイトにおいて、青少年が架空請求詐欺の被害に遭った事例を把握し、当該コミュニティサイトに通報した例などがございます。

○淺野委員 都は、それを知るべき立場にないし、研究も行いませんでしたという答弁がございました。
 そういった姿勢で臨む限りは、都民の理解を得ようとか機運の醸成を図ろうという都の真剣な姿勢というものを感じることができないといわれても、しようがないのではないかなと、私は思います。
 やはり、やり方は知恵を出せば幾らでもあるわけでありまして、個人的な情報がとれないから研究できないのではなくて、そういった情報を限りなく個人情報を削除した中で統計的なデータとして示してもらうなり、あるいは犯罪心理学や、今いったようなマスコミ効果や、そういった人たちの意見を聞く機会をつくるとか、本来であれば、そういう努力をした姿勢を見せることこそが、都民の理解、機運の醸成というものにつながるんではないのかなと、私は思います。
 先ほどの青少年問題協議会において、では、こういった被害発生の原因について研究した、あるいは考察をしたというのはどのようになっていたのかも教えてください。

○浅川参事 調査研究につきましては、都が行う調査研究につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、東京都として青少年問題協議会に諮問いたしまして、そこで、青少年の被害やその原因についてさまざまな意見聴取をしております。
 具体的に申し上げますと、青少年問題協議会専門部会において、吉川誠司財団法人インターネット協会主幹研究員、安川雅史全国Webカウンセリング協議会理事長の各委員、社団法人テレコムサービス協会倫理委員長から、青少年のインターネット、携帯電話利用に係る被害や加害の実態やその対策の現状について、意見聴取をしております。
 さらに、これらの意見聴取の内容や、都及び教育庁が実施した関係するアンケートの内容を踏まえ、その被害や加害の原因について検討を加えております。その結果、青少年問題協議会の答申におきまして、例えば青少年に関しては、情報モラル教育、メディアリテラシー教育の必要性、保護者に関しては、危機感の不足と意識啓発の必要性等を指摘しております。
 これを受けて、都は、児童生徒の情報モラルと情報リテラシーの向上に向けた取り組みを一層充実させるとともに、家庭内でのルールづくりを支援するファミリeルール講座を拡大して実施する等の取り組みを行う予定でございます。
 都において直接ということではなくて、このような青少年問題協議会の専門家の委員の方々のさまざまな学識など、またそういうような研究などを我々は活用しながら、都の施策を進めておるということでございます。

○淺野委員 本来であれば、科学的なデータや、かなりの深い研究考察を行った結果において原因が究明、あるいは原因がこれではないか、この原因にはこの対処をした方がいいんじゃないかというものがあってこその都の施策であり、そしてそれが周知徹底、理解された上で条例あるいは規制をつくるということが理想的な形だろうと思います。
 この条例改正案においてよく聞かれることでございますが、今回は、自主的な規制、いわゆる民間の自主的な努力を促すもの、自主規制であるもの、企業努力を促すもので、そういった、努めなければならないとか責務を負うとか、自主的に取り組むことを促すものであるんだから、そこまで過敏に反応しなくてもいいんじゃないかと。強制的な規制というのはいわゆる指定図書、そういったところに限られてくるようなところがありますので、そんなに過敏に反応するというのはどうなのかという意見も聞かれることがあります。
 私は、これは少々、大きな誤解をされているようだと思います。
 私たち、委員の皆様も、我々政治家がこの条例案を見た、そのときも思うことだと思いますが、ふだんから法律的な用語あるいは法律そのもの、条例、そういったものに著しく接触している方々にとって見れば、そこに書いてある文章の内容をほぼ正確に理解することが可能です。しかしながら一方で、素人あるいは素人に近い形の人間が、条例を読んだだけ、法律文章を読んだだけで、そのことが意図している中身までを正確に理解するということはなかなか難しいのではないか。
 私は、この規制に関する説明の中で、例えば何度も問題になっている非実在青少年の部分について、これは実際にいる人間、例えば俳優さんが、実年齢は十八歳以上だけれども設定上十七歳、十六歳という演技をして、性的に非常に、何というんですか性的な感情を著しく促すような演技をしている場面が映っていた場合、これはこの非実在青少年と、つまり実年齢は違うわけですから、非実在青少年に当たるんですかというような話もしました。そうすると、この非実在青少年には、そういう実際の人間が演技をしたものは一切含まれておりませんという答えが出てきました。それはどこでわかるのですかと聞いたら、文章を読めばわかりますが、認められるものという「もの」の表現が漢字ではなくて平仮名だから、ここには人間は含まれないんですと、これが法律用語ですというような説明をいただきました。
 私の法律用語に関する勉強不足は、これから一生懸命勉強してカバーしていこうと思いますが、かように、文章をただ読んだだけで理解するということは非常に難しいところがございます。自主規制というのは逆にいうと、そういう法律に関する素人の方々に、条例の中身に基づいて努力して、自分たちで規制をかけてくださいとお願いするものです。
 その結果どのようになるか。まじめに、都がいっていることに協力しよう、健全な青少年の育成のために自分たちも協力しようとする善良な都民の皆さんであればあるほど、過度に規制をかけ、大きく人の権利を侵害する行動をとってしまうおそれが高くなってしまうというのが、あいまいな表現に含まれる危険性だといっているんです。
 逆に、強制的な規制の場合には、判断を行うのは法律にふだんから触れている法の専門家の方々でございますから、むしろこの表現でどのように運用されるかについては、過度な規制に走ってしまうおそれという意味では、感じられないでしょうと。
 自主規制だから大丈夫ということであれば、例えば児童ポルノ法についても、それが施行されたときに、ある書店が、非常にベストセラーとなった「バガボンド」という漫画の中身がこの法律に触れるんじゃないかと思って、店頭からすべて撤去したという事例がございます。そういう事例を挙げれば、本当に限りなく出てくるでしょう。
 民間で自主的にやりなさいといえば、まじめにやろうとすると過度に反応する。だから、しっかりと定義づけをしなきゃいけないんじゃないですかということを申し上げております。
 また一方で、強制的な規制をするというときには、先ほどいったあいまいなところへのおそれはかなり制限されますが、もう一つ怖いのは、じゃ、悪意を持ってその規制を運用する立場の人間、悪意を持った人間がその規制を運用する立場になったときに、そういう悪意に基づく乱用が絶対できないような防御策をあらかじめ設定しておく必要があるだろうと。
 この二点について、つまり自主規制を促す場合にはあいまいな表現を避けて、過度な規制を民間が自主的にやってしまわないようにすることが必要、悪意を持って乱用する強制的な規制に対しては、それの防御をしっかりやらなきゃいけないという、こういう要請に、この条例改正案がちゃんとこたえられているか。どう考えていられるかということについての所見を伺います。

○浅川参事 非実在青少年の性交等に係る漫画等を、青少年への販売等の自主規制の対象に追加するに当たりましては、委員おっしゃるように、過剰な自主規制が行われることもいけないし、またその自主規制に不足があってもいけない。いわば適切に、正確に理解していただいた上で、自主規制に取り組んでいただくということが必要だというふうに考えております。
 そのためには、新たに自主規制の対象となるものとして都が想定している図書類につきまして、もちろん文言についての解説も必要ですし、具体的なイメージそのものについても十分に図書類出版事業者に理解していただけるように、今回の都議会における質疑や説明等なども織り込みながら、正確な理解をしていただくような解説書というものをつくって、図書類出版、流通業界等の関係者との意見交換を行い、具体的なイメージまた正確な内容の理解、そういうものの上で適切に運用していくということが必要であろうと思っています。
 そして、それはまさに委員ご指摘のように、正確な定義づけ、それから周知、意見交換。正確な定義づけにつきましても、我々としては、きちっと説明すればというか、そこだけで理解が至らないようなところにつきましてもきちっと我々が内容のご説明をし、ご理解いただくような、あいまいではない、きちんとした定義づけを行っているというふうに考えておりますし、周知、意見交換などの面でもしっかりやっていくというようなことを考えております。
 我々としては、そういう対応は十分やっていけるといいますか、遺漏なく準備はできる、そういう状態にあるということでございます。
 もう一方、悪意に基づく乱用の防御策というようなお話でございますが、不健全図書指定基準の追加など、強制的な規制の運用に関する条例改正の考え方というものにつきましても、ただいま行っているさまざまな質疑や議論の結果というようなものが、議事録、そしてそのような解説書というようなものにきちっと明記されまして、当然のことながらその条例改正の基本的考え方にのっとった運用がなされるということですから、恣意的な運用などというのは考えられないということ。
 また、そういうような運用の積み重ねによりまして、条例の解釈というものも、広く図書類出版、事業者の方々とも共有できる、また確定したものになっていくように進めていくことができるというふうに考えております。
 また、実際に具体的な規制となる不健全図書の指定に当たりましては、青少年健全育成審議会の審議を経て指定する仕組み、そのような慎重な手続を経ることとされておりますので、乱用がなされるとか、そういうふうな心配は一切ないというふうに考えております。

○淺野委員 もちろん、今、答弁ですから、そういわなきゃいけないという気持ちもあったのかもしれませんが、一切ないという感覚こそが最も恐れなきゃいけないと。限りなくゼロに近いというくらいの、常に、どこかにミスがないのかということを確認し続けるという意思があった方が、私は、悪意を持った乱用をより防ぐ結果につながるだろうなということは思います。
 また、この自主的な規制についていわせていただきますと、もちろん現行の条例そのものも出版後における規制でございますから、皆さん、区分陳列だったり、そういったところだけを気にしているように思いますが、はっきりしているのは、作家の皆さん方が例えば漫画をかくとき、あるいはもちろんコンピューターでCGをつくるときでもそうですが、かなりの労力を必要とします。当然、費用的にも時間的にも、結構大変な思いをする。せっかく出したものがぽんと書店の端っこに置かれることがないようにつくりたいと思う人もいるでしょう。
 ですから、実は、表現者つまりつくる側の人たちは、つくる段階での心理的な規制というのが必ず発生するんだと思います。ですからこそ、今、説明にあったものは、こういう、これはいただいたものでございますけれども、都民ならだれでもというか、取りに行けばだれでももらえるということでございますが、「東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説」というこの分厚い冊子がございますけれども(「買わなきゃだめだ」と呼ぶ者あり)買う--わからないですけれども、何か、とりあえず今、資料でもらっていますが、私がいいたいのは、先ほどいったように、自主規制をお願いして機運の醸成と都民の理解を求めるんであれば、これ、書いていることはいいと思うんですよ。ですが、中身だって、本来であれば普通の人が見てわかりやすく書いた方が、私はいいだろうなと思います。
 表現の規制というか、不健全な図書に指定する場合には、こういう事例がだめなんですよということを具体的に書いておいて、それがマル・バツ形式なのかわかりませんけども、ぱっと見てある程度わかる、わからないことは問い合わせればさらに答えてくれると。かなり、そういう担保をするという姿勢も示すことが、都民の理解であったり、機運の醸成につながるんだと。
 相当な努力が必要とされるとは思いますが、そのぐらいのものを見せてこそ、全体でつくり上げる青少年の健全な育成につながる社会に、本当につながっていくんじゃないかと、私はそのように思います。
 もう一つ、この条例案の中で気になるところ、現行条例もそうなんですけれども、この条例の中における青少年というのは十八歳未満であることが定義されております。
 しかし、だれが考えても、特に子どもを育てる親御さんならわかることだと思いますが、幼児期から小学校、中学校、高校、多感な十代や思春期、体つきが大きく変わる時期、さまざまな時期が、この十八歳未満という大きな枠の中で一つの扱いをされているんです。
 最初に冒頭申し上げたとおり、この条例の実効性、大きな目的、青少年が健全に育成される環境、そこを目的にするのであれば、青少年を十八歳以下でぼおんと一くくりにしただけにしておかないで、大切なのは、年齢に応じた対応ができるように、そういった文言を定義してみたりすることが必要なんじゃないか。
 あるいは児童ポルノの規制についても、先ほど大松委員が例示されていた中学一年生の例は、これは中学一年といういい方でしたのでわかりませんけれども、十二歳か十三歳かで、この条例の適用になるかどうかが大きく変わります。これは十三歳未満が適用になっているからでございまして、私の感覚からいけば、漫画などの創造物は十八歳未満と見られるものをすべて規制するけれども、実際の被害者がいる、実在する被害者が存在する児童ポルノに関しては、十三歳未満というかなり限定された年代に限っている、こういったことも、この条例の趣旨から見ると、どうなんだろうという気がするわけでございます。
 したがいまして、この青少年という、十八歳未満という定義づけですが、一つの年齢枠でやらずに、青少年の健全な育成を求めるんだったら分ける必要があったんじゃないかと、これではちょっと無理があるんじゃないですかと思うんですが、見解を伺います。

○浅川参事 まず初めに、条例の解説本でございますが、閲覧が可能だという、そういうことでございます。
 それから、具体的な、新規に規制した内容がわかるようなものをちゃんとつくって周知すべきだということにつきましては、先ほども解説書を作成すると申し上げましたが、あと一般都民の方にも理解していただけるようなパンフレットをつくるとか、そういうような周知を図るのであれば当然のこととして、我々は取り組む予定となっております。
 それから、十八歳未満を一つの年齢枠で区切るのは若干無理があるんじゃないかというようなお話でございますが、まず、ジュニアアイドル誌、DVDの対象年齢を十三歳未満としたのもおかしいんじゃないかとお話がありましたが、十三歳未満の子どもとした理由でございますけれども、十三歳未満の子どもは青少年の中でも特に性的判断能力が未熟であると。それは具体的に申し上げると、例えば刑法上は、合意があっても強姦とみなされる年齢であるということが、まさに性的判断力が未熟だということの最もわかりやすい例でございます。
 また、十三歳未満の子どもというのは社会通念上、青少年の中でも特に保護者の全面的な保護監督下にあることが期待される年齢であるというようなこと、そういうようなことから、ジュニアアイドル誌関係については、十三歳未満というものを、今回、規制の対象にしたということでございます。
 そもそも条例全体が十八歳未満の者を対象とする基準を定めたのは、児童福祉法やいわゆる風俗営業適正化法などで十八歳未満の者を一定の保護対象としていること、青少年の精神的、身体的な発達状況等を考慮したものでございます。
 成長の段階に応じてその程度に差はあるものの、一般に青少年の判断能力等が成人に比べて未熟なことにかんがみれば、青少年の福祉の阻害を防止する観点からは、その保護の対象を、条例上可能な最大限の年齢に定めておくことが適当であるというふうに考えております。
 しかし、青少年の年齢や成長段階に応じた判断能力の向上に応じ、それぞれ期待される健全さのあり方が異なるということも、また事実でございます。
 このため、今回の条例改正におきましては、例えば携帯電話端末の推奨制度において、青少年の健全な育成に配慮した機能を備えている携帯電話等端末を、青少年の年齢に応じて推奨することができることといたしまして、青少年の年齢に応じて利用可能な機能をふやしていくことを想定しております。
 また、不健全図書指定制度につきましては、前述の青少年の福祉の阻害を防止する観点からの制度でございまして、その対象は十八歳未満とする必要がございます。
 しかし、ゲームソフトや映画については、業界による自主的な取り組みとしてよりきめ細かな対象年齢区分表示、レーティングを行っていることから、このような取り組みの一層の普及を図るとともに、これを踏まえ、図書類出版、流通業界に対し、小学生や中学生を対象とする漫画等であって、青少年への閲覧を一律に規制するほどの必要はないものの児童生徒の性行為の描写を多く含むものについては、青少年や保護者が外観から判別できるよう、内容や表現に応じた推奨年齢を表示することについて、自主的な取り組みを求めていくということを検討してまいります。

○淺野委員 今の答弁の中で、やはり民間の自主的な努力に協力を求めなければいけない部分、確かに規制で一律にかけるという形よりも、規制自体は最大限、最もまずいものだけを限定的に規制し、それ以外の部分については民間の自主的な努力、規制に協力を求めていこうという姿勢は、こういった条例の場合には、そのとおりだろうと思います。であるならばこそ、そういった方々の意見は参考にし、また協力体制を築き上げていく努力をしていきながらやっていくべきだと思います。
 この第十八条の八には保護者への指導、助言という規定がございまして、必要に応じては聞き取りなどの調査を行うということを伺っております。
 これはどのような場合を想定しており、そして、どの機関がこの聞き取りなどといった調査を行うつもりなのか。ケースによっては、関係各所、さまざまなところとの連携も必要だと私は思いますけれども、それについてあわせてご見解を伺います。

○浅川参事 保護者への指導、助言に伴う調査規定につきましては、インターネットを利用して特定の者に対するいじめなどを呼びかける書き込みを行ったようなケースなど、現実に青少年の健全な成長を阻害する行為が明らかに行われた場合に限り、その再発を防止するため行政が保護者に対し適切に監督するよう指導、助言を行うに際し、必要な事実確認のため関係者の同意のもとに任意の聞き取りを行うものであって、強制力を伴うものではございません。
 具体的には、例えば当本部の事業でございます東京こどもネット・ケータイヘルプデスクや、当本部が条例第四条の三に基づき受理しております都民の申し出等により、インターネットを利用して青少年が第十八条の八第四項に規定する違法、有害な行為等を行ったことを把握した場合に、その内容に応じ、適切に関係機関等と連携をとりながら事実確認に努め、最終的には最も適切な機関において必要な対応をしていくこととなります。
 例えば、青少年が、いわゆる学校非公式サイト等において他の青少年からいじめに当たる書き込みを受けているとの相談があった場合には、学校非公式サイト監視事業を実施している教育庁の担当者等に適宜連絡をとり適切に対処してもらうこととなり、その相談や対処の過程で、いじめを行った青少年の保護者によるインターネット利用の監督が不十分であったと判明した場合には、学校側において適切な助言等が行われるものと考えます。
 また一方、例えば、青少年が自己の個人情報を安易にインターネット上の掲示板等に掲載したことを後悔し、その削除方法等を親に相談したが、親が自分にはわからないなどと放置し、不安になった青少年が相談してきた場合においては、当本部が行っておりますヘルプデスクや当本部の担当者が削除手続の代行を行った上で、当該青少年の保護者に対し、今後は青少年が個人情報を安易に書き込んだりしないよう適切に監督することや、親自身でできる削除依頼方法の教示を行う場合などが考えられます。

○淺野委員 今まで、聞いている方々から見れば、賛成なのか反対なのかという思いもあるような質問があったかもしれませんが、私がいいたいのは冒頭に申し上げたとおり、この条例案を通すことによって、健全な社会、健全な青少年を育成する、そういうことに対して本当に実効性があるのか、そして危険性はないのか、この二点をしっかりとチェックしなければならない。
 そういった意味では、例えば非実在青少年の、十八歳以上であるという表示があればこの規定には当たらないという答弁が反映されるのであれば、これは完全に抜け穴になってしまうだろうという懸念が生まれますし、一方で、携帯電話を、端末を推奨するのであれば、契約を推奨した方がより効果も実効性も高いだろうという懸念も生まれる。かように、この条例改正案は不十分な気がする、今までの検証において、そのように感じるわけであります。
 先ほど大松委員がおっしゃった、どうしたら児童ポルノから子どもたちを守れるのか、どうしたら健全な青少年の育成ができるのか。それは、条例案を通すか通さないかという判断よりも、この中身が、それを担保する実効性を持っているのかどうか、阻害がないのかどうかしっかりと判断する必要があるんじゃないか。そういった意味では、なかなか、この条例案はそういった要請にこたえ切れていないんじゃないのかなということを私から表明をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

○小磯委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二十分休憩

   午後六時五十分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ご発言を願います。

○田中委員 大変、長時間にわたる熱心なる審議、皆様お疲れさまでございます。
 多くの委員の方々の質疑が続いておりますので、重複を避けながら、また、一部重なる部分は若干角度を変えてお伺いをしていきたいと思います。
 今回、青少年健全育成条例の改正案が提案をされております。
 今回の内容は、子どもたちが健やかに育つために、児童ポルノを根絶することや、子どもたちが性的対象となっている図書類を青少年の目に触れないようにすることであろうと思います。
 我々は先日、東京都小学校PTA協議会、東京私立初等学校父母の会連合会、東京都私立中学高等学校父母の会中央連合会の方々より要望書をいただきました。
 その主な内容は、子どもたちが児童ポルノの犠牲者となり大人の性的視線にさらされ、インターネット上で永久に広まっている現状、また幼い子どもの性交を積極的に肯定する漫画などが規制されることなく店頭に置かれている現状に強い危機感を訴え、こうした現状から子どもを守り、そして子どもが健やかに育つために児童ポルノを根絶すること、また子どもが性的対象である図書類を青少年の目に触れないようにすることを願い、訴えるものであり、子を持つ親として当然の強い思いであろうと、我々も受けとめさせていただいております。
 まさに今回のこの改正案の趣旨として、子どもたちが健やかに育つことを望まない親はいないと思います。健全に育つ環境を求めていくことは親としての当然の願いである、また、そのような環境を整えていくことこそ、親として大人としての当然の務めだと我々は思っております。この点はだれもが理解する共通の認識であろうと思っております。
 また、さきの質疑にもありました、先進国で児童ポルノを規制していないのが日本とロシアだけという中におきまして、まさに、子どもを守るための努力をさらに力強く行っていかなくてはならない、そんな認識をしているところでございます。
 たびたび、きょうの質疑にも出ておりますけれども、今回の条例改正案に対し反対の立場から、ちばてつやさん、里中満智子さん、永井豪さんらが記者会見を行っております。複数の委員さんも触れていますので、私も少し触れますが、永井豪さんは「ハレンチ学園」が出たときにたたかれたという発言がございました。
 私、名前が田中たけしと申しますが、たけしという字は、この永井豪さんの豪の字を使って、たけしと読みますが、ご本人がおっしゃっていた「ハレンチ学園」が出たときにたたかれたというときには、私はまだ小学生でございまして、まさに永井豪さんと同じ名前だからとして、私も少したたかれた経験がございました。しかしそのことを通じて、「ハレンチ学園」という本を読んだり見たり、あるいはその後出てまいりましたさまざまな、「デビルマン」ですとか「キューティーハニー」などのような漫画も読んで、愛読者でございます。
 先ほどのお話の中で、吉原委員の方から、「ハレンチ学園」は今回の不健全図書に指定されるのかどうか云々の質疑がある中で、これは対象外であるという質疑がございました。私は、まさにみずからの経験からも、あの中には今回の規制の対象になり得るような記述は全くない、現物を見ながらそんな判断をしましたし、恐らくほぼ同世代の浅川参事におかれても、その当時現物をごらんになった上で、すべてはごらんになっていないかもしれませんけれどもおおよその範囲をごらんになった上で、この「ハレンチ学園」の著書の中には今回の対象になり得るものはないだろうという推測といいますか、推定のもとでご判断されて、そして、さらには、それだけではなくて、発行されてから今日までの間にも、その著書が青少年健全育成審議会にかかるようなものではないというご判断から、先ほどのようなご答弁があったものと私は理解しております。そのことに対する疑義が一部委員から出ておりましたけれども、私は決してそのような疑義が生じるようなご発言ではなかったというふうに認識をしております。
 そのことに対しまして、恣意的な判断がその中に含まれてしまってはいけない、まさにそのとおりだと思いますが、そのときのやりとりの中においての恣意的判断が仮に加わるとするならば、本来、青少年健全育成審議会にかかる問題でもない著書を審議会にかけることこそ、私は恣意的対応だろうと。かからなかったということは、そこには何ら恣意的判断は含まれなかったという思いをしており、浅川参事のご答弁に対しても、はっきりと理解をしているところでございます。
 その上で、「ハレンチ学園」のお話もありましたが、ご本人は「ハレンチ学園」が今回の規制の対象になるかのような発言がありましたが、結論としては対象にならない。誤解であったと思います。そして一部新聞には、少し具体的に述べますけれども、「ドラえもん」のしずかちゃんの入浴シーンや「クレヨンしんちゃん」のおしりを出すシーン、こんなことも規制の対象になるんじゃないかという、そんな新聞がありましたが、こんなことも、当然のこととして規制の対象外であろうと思っております。誤解に基づく判断だろうと思います。
 また、反対する方々の意見の中に、今回の改正で、一般の漫画すべてが規制の対象になってしまうような誤解が生じておりますが、私はこれまでの議論を通じて、そのような懸念は一切ないというふうな思いを強くしているところでございます。
 ちばてつやさんや里中満智子さんたちの記者会見を聞いていて、少し、誤解に基づいた発言が多分に多いような気がしてなりません。ご自身たちのこれまでの作品は、すべてを私も見たわけではありませんが、決して恣意的な判断を加えるわけでありませんけれども、今回の条例改正に当たっての対象には当然なり得ない、それぞれの作者の方々の作品だろうと思っております。
 今回の記者会見は、恐らく漫画界の大先輩が、後輩たちの活動する世界にいささかの制限があっては、将来の漫画界の発展を損ねるのではないか、そんな思いからの記者会見だったのかなというふうな受けとめ方をしております。
 また一方で、きょうも多くの傍聴の方々がお見えでいらっしゃいますが、きょうの質疑を通じて、あたかも東京都政が、漫画、アニメに対して批判的な視点からとらえようとしているように、これもまた誤解をされてはいけないので改めて申したいと思います。
 私も今回の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、まさにアニメというのは日本が誇るべき文化であると思っております。そしてまた、貴重なる観光資源であると思っております。
 世界的にも日本のアニメは高く高く評価をされておりまして、先日の一般質問でも述べましたが、パリで開催された日本アニメを紹介するジャパンエキスポには十六万人もの来場者がございました。また今、ビッグサイトではアニメフェアも、東京都が主体的になりましてフェアを実施いたしております。
 また、それぞれの地域でも、例えばですが、伊藤副委員長のご地元の葛飾では、「こち亀」と地元の商店街との連携がなされて振興策がなされておりますし、山口理事や西崎委員のご地元の世田谷区では、たしか桜新町の「サザエさん」ですとか、あるいは祖師ヶ谷大蔵の「ウルトラマン」なども、そういうアニメやキャラクターを通じて地域の活性化につなげる、そしてまたそのことに対して東京都も積極的に支援をしている。そんな現状もございますので、ぜひ、東京都というのは、決してアニメに対して否定的なまた批判的な対応をとっているのではない、そのこともご理解をいただきたいと思っているところでございます。
 そして、今回の条例改正では、多くのアニメを認めつつ、十八歳未満のキャラクターを性的対象とした漫画を青少年に簡単に目につくような場所に置くことや販売することを自主的に規制したり、十八歳未満のキャラクターを性的対象とした漫画の中でも、特に強姦あるいは近親相姦など、社会規範に反するような行為を肯定的に描いている漫画は、これはちょっと行き過ぎているんじゃないか、そんなことから青少年の健全育成に反するのではないか、こういったものだけを不健全図書に新たに指定をして、青少年に見えないような措置をとろうといった内容でございます。
 十八歳未満のキャラクターの強姦や近親相姦など、社会規範に反するシーンの漫画を青少年に見せないようにすることによって今の漫画界が廃れるような、そんな小さな漫画の世界ではないと私は思っております。そんなことでは決して廃れない、そしてまた世界に誇るべき日本の漫画だと。そしてまた今後の発展に対しましては、都としても積極的に支援をしていくべきものだというふうに思っております。
 反対を主張される方々のご意見も、少し、誤解に基づいたものが極めて多いような気がいたしております。その誤解を解く意味でも、ここはぜひ原点に立ち返るべきだと思っております。
 そのような視点から改めてお伺いをいたしますが、今回、改正案が提案されております青少年健全育成条例、その改正前の現状の条例というのは、何を目的としている条例なのか、改めて確認の意味でお伺いをしたいと思います。

○浅川参事 東京都青少年健全育成条例の目的は、青少年の環境の整備を助長するとともに、青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し、もって青少年の健全な育成を図ることでございます。
 この目的にのっとり、青少年の健全な育成を阻害する図書類等について、青少年がこれらを容易に閲覧等をすることのないようにするため、不健全図書類等の指定等を行っております。

○田中委員 今回の改正前の現行の条例においても、青少年の健全育成の視点からの自主規制はなされておりますし、また、ひどいものを限定して、青少年健全育成審議会の答申を受けた上で不健全図書への指定を行っていると。
 決して、今回の改正が行われて初めて不健全図書の指定がなされるというわけではなく、既に行われている制度であるということでございます。
 今回の改正に当たって、青少年を守るという理念は、そういった意味で全く変わっていないと思いますが、改正条例における十八歳未満のキャラクターによる肯定的な性描写の規制は青少年の知る権利を奪うという主張をされている方が、一部いらっしゃいますが、このことに対するご見解をお伺いします。

○浅川参事 今回の改正案におきましては、漫画等において明らかに青少年として表現されているものを非実在青少年と定義した上で、その性交または性交類似行為に係る姿態を正当な理由なく性的対象として肯定的に描写したものを、青少年に対する販売等の自主規制の対象に追加し、それらのうち、強姦など著しく悪質な行為を表現した漫画などについては、不健全図書指定の対象に追加しようとするものでございます。
 これは、青少年がこうした性暴力の対象となることや、近親相姦等の対象となることを描写した漫画などを青少年が閲覧することにより、青少年の健全な性的判断能力の形成を著しく阻害するおそれがあるため、青少年の保護の観点から閲覧を制限するものでございます。
 そもそも、青少年の健全な成長を著しく阻害する図書の青少年の閲覧規制自体につきましては、岐阜県条例に係る最高裁判決で合憲とされており、このように、青少年の健全な性的判断能力の形成を著しく阻害するものについても同様に閲覧制限するのは、判例に照らし、過度の権利制限とはいえないものと考えております。
 まさに、これは青少年を守るための規定であり、青少年の知る権利を奪うという性格のものではないと考えております。

○田中委員 まさに私も、青少年の知る権利を奪うということではなくて、青少年自身を守るための措置である、そしてまた青少年たちを守っていく、そのことは我々大人の責務である、そのような思いを込めた今回の改正案だろうというふうに、強く理解をしております。
 それで、また、ある主張がありますけれども、今回の改正で、青少年の性行動を肯定的に表現した漫画がすべて規制されるとの主張がありますけれども、これは本当なんでしょうか。この点も改めて確認をしたいと思います。

○浅川参事 不健全図書として青少年への閲覧を制限する対象は、非実在青少年に係る性交または性交類似行為の描写のうち、さらに青少年を強姦するなど、著しく社会規範に反する行為をみだりに性的対象として肯定的に表現したものに限定しております。
 これは、非実在青少年に係る性交または性交類似行為の描写のうち、読者の性的好奇心を満足させるための描写として殊さらにその行為を賛美し、あるいは殊さらにその行為を誇張して描いた悪質な漫画等であり、極めて限定的なものでございます。
 したがって、青少年の性行動を肯定的に表現した漫画すべてを規制するものではございません。

○田中委員 今回の改正によって、青少年健全育成のため、今まで行っていた自主規制の項目の中に、十八歳未満のキャラクターによる肯定的な性描写をされた図書が加わったということ、そしてその中でも、社会規範に反する強姦や近親相姦シーンのある図書を、今まであった不健全図書の中に新たに加えたというだけの規制だと思っております。
 ですので、これまでも多くの方々が疑念を持っていた、例えば「ハレンチ学園」も規制にはなりませんし、しずかちゃんも対象にはなりません。「クレヨンしんちゃん」も対象にはなりません。
 青少年の性行動を肯定的に表現した漫画すべてが規制になるわけではない。ぜひ、そのことは、きょうも傍聴されている皆様も含めて、ご理解をし、安心をしていただきたい。しかし一方で、我々は、性的被害を受けてしまうであろう子どもたちを守る責務があるんだ、そんな思いで質疑をさせていただいているところでございます。
 一部の有識者といわれる方が、今回、新たに規制の対象としようとしている非実在青少年にかかわる描写は、条例を改正せずとも現行条例で規制ができるではないか、そんな主張をされております。先ほどもちょっとそんな質疑もありましたが、改めてお伺いしたいと思います。

○浅川参事 著しく性的感情を刺激しない程度の表現にとどまるものでありましても、青少年に対する性暴力や近親相姦などを是とする内容の漫画などを青少年に閲覧させることは、性に関する健全な判断能力の形成が阻害される面で、適当ではないと考えております。
 一方、そのような漫画などを閲覧規制の対象とするため、著しく性的感情を刺激し、という現行条文を拡大して解釈することは、まさに、行政の恣意的な運用による表現の自由の過度な規制であるとのそしりを免れないものであると考えております。

○田中委員 今ご答弁がありましたように、現行条例でも対象となり得るのではないかという疑念を持つ方々への配慮をするためにも、今回の非実在青少年の規定が加わったというふうな理解を私はしているところであり、むしろ厳格な対応がとられるものと確信をしているところでございます。
 そしてもう一点、別の視点からお伺いいたしますが、先日の報道によれば、健全サイトの認定のための審査機関の方が、いわゆる非出会い系サイトで被害が出ていることについて、一般社会と同様、ある程度やむを得ないとの立場をとったということであります。
 そしてまた、モバイルコンテンツ審査・運用監視機関、通称EMAといわれておりますが、EMAの認可は管理されている公園のようなものであり、これに対して、条例改正案の対応は子どもを公園に入れないようにするものだとして、子どもたちが小さなけがをしながら段階を経て成長していくことが重要と発言された方もいらっしゃると聞きました。
 私はそれらの発言を聞いて、大いなる疑問を感じました。
 安全なサイトと信頼した結果、小さなけがではなく性被害に遭う、こんな現状も今あり、大変な被害を受けている方も多くいると伺っております。子どもがこうした被害に遭わないよう、子どもの立場に立った実効性のある取り組みこそ関係事業者にも求められるはずなのに、これが事実とすれば全く失望せざるを得ない発言であると、私は、現在の子どもが大変心配でならない思いをしております。
 このような現状では、やはり行政が責任を持って取り組む必要があると思っております。青少年の健全育成に責任を持つ都として、しっかりと青少年を守っていくべきと考えますが、青少年健全育成に向けたご決意をお伺いしたいと思います。

○倉田青少年・治安対策本部長 青少年の健全育成は、都の重要な責務と認識をしております。もとより、家庭、学校、地域等、社会全体で取り組まなければならない課題ではございますが、行政として、責任を果たすべきことは責任を果たさなければならないというふうに考えます。
 今回の条例改正案は、インターネット利用に伴い青少年が犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが後を絶たず、また児童ポルノ事件が増加するとともに、青少年を性暴力の対象とするような内容の図書類などを青少年が容易に目にすることができる、そういう環境にあることにかんがみ、こうした状況を改善するため、事業者や保護者の自主的な取り組みの実効性の向上を図るとともに、行政として必要な措置を行うため提案したものでございます。
 次代を担う青少年の健全育成のため、都としてその責務をしっかりと遂行してまいりたいというふうに考えております。

○田中委員 何点か確認をさせていただいた中で、青少年を守ることを目的として提案されたこの条例を否定する明確な理由は、私は、もうなくなったんじゃないか、そんな受けとめ方をしております。
 もしとか、たら、れば、などといった、そんなことで、この条例改正案に向けて必要以上に時間を弄するということは、私は、今の子どもを守っていくべき我々大人の責務を果たし得ないだろうというふうな思いをしております。
 憲法のことに触れる方もいらっしゃいますが、先ほどの岐阜県の判例にもあるように、決して今回の条例案は憲法違反でもありませんし、むしろ憲法第十二条には、この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また、国民は、これを乱用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う、とあります。
 これは、まさに子どもの、あるいは子どもを対象としたそういったものの、性的な図書を得るという、あるいは表現するという自由を認めることと、子どもをしっかりと健全育成のためにも守っていくということを踏まえた上で、私はその責任ある立場からは、子どもを守るべき対応をすべきだろうと思っております。
 私は、現在自民党に所属をしておりますが、こよなく漫画を愛し、多くの漫画愛好家の方々から強い支持を受けた麻生前総理が実現しようとしていた、いわゆる漫画の殿堂の建設に対し断固反対をされた民主党の方々に、その漫画愛好家の方々が強く改正案反対を呼びかけられている現状は、何か不思議な思いがしてなりません。
 そして、東京都青少年問題協議会で十数回に及ぶ議論を通じて、答申を経て改正案が提案されたものと私は認識をしております。ぜひ一刻も早くこの改正案を議決することが、子どもを守る、我々の責務を果たすことにつながるという思いを強くし、また同僚議員の理解も得て子どもを守っていきたい、そんな思いで質問をさせていただきました。
 ご清聴ありがとうございます。

○小林委員 私からは、青少年健全育成条例改正案における、インターネットそして携帯電話に関する利用環境の整備についてお伺いをいたします。
 先ほど来、さまざまお話ございましたけれども、私のところにも、さまざまご心配をするお声、たくさんちょうだいしておりますので、そのようなお声一つ一つを中心にしながら、何点か、その点についてお聞きしたいというふうに思っております。
 携帯電話やインターネットの急速な普及によりまして、社会は劇的な変化を遂げました。情報通信技術の進展は、社会にとっては功罪相半ばしているのが現状であります。
 時代状況が刻々と変化している中で、次代の宝である子どもたちをどのように守り育てていくのか、私たちは強い決意のもと、あらゆる知恵を働かせ行動していかなければならないというふうに思います。
 昨年四月より、青少年インターネット利用環境整備法が施行されまして、青少年が安全にインターネットを利用できるような環境整備へ一歩前進をしましたが、今回の条例改正案は、さきに施行されたこの法律の規定をどのようにとらえ、そして何を目的とした条例の改正なのか、改めてその趣旨をお伺いいたします。

○浅川参事 昨年四月にインターネット環境整備法が施行されましたが、法施行後も、インターネット上のコミュニティサイトやプロフィールサイトなどの非出会い系サイトを通じて被害に遭う青少年がふえるなど、インターネットに関し、青少年が被害者や加害者となるさまざまな問題が発生しております。
 民間の自主的かつ主体的な取り組みを尊重するという法の趣旨を遵守することは当然でございますが、現に青少年の被害等の減少が見られない現状にかんがみ、青少年の福祉を阻害する行為を防止し、その健全育成を図る責務を負う都として、同法の規定の趣旨を定着させ、その実効性を向上させるために、フィルタリングの実効性確保に向けた事業者の努力義務など、都として必要な規定を設けるものであり、法の趣旨に反して、民間の自主的な取り組みを軽視したり規制したりするものではございません。
 また、個別具体的な有害情報の判断やフィルタリングの基準設定を行おうとするものでもございません。

○小林委員 条例改正案の中で、知事は、青少年がインターネットを利用して自己もしくは他人の尊厳を傷つけ、違法もしくは有害な行為をし、または犯罪もしくは被害を誘発したと認めるときは、その保護者に対し、当該青少年について再発防止に必要な措置をとるとともにそのインターネットの利用に関し適切に監督するよう指導または助言をすることができる、というふうにあります。
 保護者に対して指導、助言ができるという規定がございますけれども、この規定につきましては、家庭への過剰な介入であるとの指摘も、私、いただいておりますが、この規定を設ける理由は何なのか、その見解をお伺いします。

○浅川参事 インターネット環境整備法第六条には、フィルタリングの利用等により青少年のインターネット利用を適切に監督する保護者の努力義務が規定されており、青少年のインターネット利用の管理は、一義的には保護者の責任において、その自主的な取り組みにより行われるべきものであることは間違いないところでございます。
 しかし、教育庁が平成二十年十月に実施した、子供のインターネット・携帯電話利用についての実態調査によれば、携帯電話、インターネットでのトラブルについて、児童生徒がトラブルがあったと回答した割合と、保護者が相談を受けたという割合では、小学校で八・四ポイント、中学校で一〇・九ポイント、高等学校で一八・九ポイント、特別支援学校で一四・六ポイント、後者の保護者が相談を受けた割合という方が低くなっておりまして、現に、子どものインターネット利用に伴う危険性などについての関心や保護監督が不十分な保護者が存在するというところでございます。
 そして、現に、保護者の関知しないところでのインターネット等への書き込みなどにより、自他に加害、被害をもたらしている事例も多く、保護者の自覚を待つだけでは、青少年を十分に守ることはできないというふうに考えております。
 したがって、特定の者に対するいじめを呼びかける書き込みを行ったようなケースなどで、現実に青少年の健全な成長を阻害する行為が明らかに行われた場合において、その再発を防止するため行政が保護者に対し適切に監督するよう指導、助言をすることは、青少年の健全育成を実現する上でやむを得ないものであるとともに、法における保護者の努力義務を促すという意味で、法の実効性の確保に資するものであると考えております。
 また、調査は、指導、助言に必要な事実確認のため、関係者の同意のもとに任意の聞き取りなどを行うにとどまるものでございまして、現実に青少年の健全な成長を阻害する行為が明らかに行われた場合に限られるという前提を踏まえれば、過剰な介入には当たらないものと考えております。

○小林委員 今回の改正案の中には、フィルタリングの実効性の確保という内容も含まれておりますが、保護者がフィルタリングを解除するに当たっては、青少年が有害情報を閲覧することがないよう適切に監督するなどの正当な理由を記載した書面を、携帯電話インターネット接続事業者に提出するということが規定されております。
 これにつきましても、保護者の方々からは、保護者に対する過剰な規制であり、違法ではないかという疑義も持たれておりますが、この規定の目的についての所見をお伺いします。

○浅川参事 当該規定は、保護者がフィルタリングを解除することにより青少年が有害情報を閲覧する機会が増大することにかんがみ、保護者が解除を申し出る際には、保護者にその危険性を十分に認識していただいた上で、青少年が障害等を有しておりフィルタリングによって十分にコミュニケーションがとれない場合などを除いて、フィルタリングを利用しなくても青少年が有害情報を閲覧することのないよう保護者が適切に監督することを促すために、都が保護者に対して書面提出を義務づける規定でございまして、要件を定めて解除を制限するものではございません。
 フィルタリングの提供は、あくまで事業者と一般都民の間の私的契約にかかわることであり、当該書面の提出の有無には左右されず、保護者の申し出があれば解除は可能です。
 なお、法の第六条では保護者の責務として、フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、と規定されており、保護者が法第十七条に基づきフィルタリングを解除した場合もなお、この第六条における保護者による適切な管理が求められることは当然でございます。
 むしろ、第六条で特に例示され、特段の申し出を行わなければ事業者により必ず提供されるフィルタリングの利用を保護者の意思で解除する場合には、フィルタリングにかわる有効な手段や家庭でのルールづくりなどにより、保護者が強い責任を持って監督の努力義務を履行することが求められると考えられます。このような考えに基づき、条例改正案においては、以上の規定を置くことにより、法に定める保護者の管理に係る努力義務の履行を促すものでございます。
 以上のことから、条例改正案は法に反した過剰な規制ではなく、むしろ法の実効性を確保するものと考えております。

○小林委員 さきにも述べましたけれども、改正案の中にある規制対象となる情報、これは、青少年がインターネットを利用して自己もしくは他人の尊厳を傷つけ、違法もしくは有害な行為をし、または犯罪もしくは被害を誘発したと認めたとき、というふうに規定をされておりますけれども、この表現が大変にあいまいであるとの指摘がございます。
 青少年インターネット利用環境整備法の中では、有害情報を、青少年の健全な成長を著しく阻害するものというふうに規定をしておりまして、法律を越えた、直接的かつ過剰なサイト規制につながるとの懸念の声がございます。この規定の趣旨について見解を伺います。

○浅川参事 そもそも、条例が法に違反する規定を置くことはできず、本条の努力義務の対象となるフィルタリングの対象となる情報が、法に規定する青少年有害情報、すなわち、インターネット上で公衆の閲覧に供されている情報であって、青少年の健全な成長を著しく阻害するものの解釈を拡大するものではないことは当然の前提でございます。
 しかし、法施行後も、コミュニティサイトやプロフィールサイトなどの非出会い系サイトを通じて福祉犯罪被害に遭う例が増加しており、この中には、掲示板上に自己の裸の写真を掲示したことがきっかけになっている事例なども見られることなどを踏まえ、事業者に、青少年の被害や健全育成の阻害につながる行為に関する視点を提示し、現状を踏まえた、青少年の被害防止に向けたフィルタリングの実効性の確保に関する一層の取り組みを促すために置くものでございます。
 具体的にどのような情報をフィルタリングの対象とするかの個別的判断や、その基準の設定は、従前どおり、あくまで事業者にゆだねられるものであって、都が直接的にこれを判断等をするものではなく、サイト規制には当たりません。
 なお、都としても、コミュニティサイトに係る被害実態などの情報については、警察当局とも連携しながら、分析、提供などを行っていく考えであり、官民連携して、子どもを守るために実効性のあるフィルタリングの運用が図られるよう、貢献してまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 最後になりますが、都はこれまでも、この条例に、フィルタリングの提供について事業者の努力義務を規定するなどの取り組みなど、またファミリeルール講座など、保護者への啓発活動にも積極的に取り組んでこられたというふうに認識をしておりますけれども、このような今の情報通信社会におきましては、さらなる教育、啓発への取り組みというものが加速をしていかなければならないというふうに思います。
 今回の条例改正案の中においても、教育、啓発活動に関する規定がありますけれども、まずその内容について確認をさせていただきたいと思います。そして、既に行われているファミリeルール講座等の事業についても今後拡大する予定があるのか、あわせてお伺いをいたします。

○浅川参事 法第六条に、保護者が青少年のインターネット利用を適切に管理する努力義務が定められていることにもかんがみ、その具体的な取り組みを促進するため、保護者に対し、みずからが、インターネット利用に伴う危険性やその回避のための方法等についての知識を習得するよう努めるとともに、家庭内でのルールを定めることなどに努める規定を置くものでございます。
 さらに、携帯電話等事業者に、青少年が使用する携帯電話等の契約時におけるインターネット利用の危険性などの説明を促すなど、広く、保護者一般に対する啓発機会の拡大を図ることとしております。
 なお、ご指摘のとおり、これまで都においては、各家庭で子どもがインターネットや携帯電話などを利用する際のルールを保護者と子どもが一緒につくり上げるためのノウハウを身につけられるよう支援するため、グループワーク形式によるファミリeルール講座を実施してきており、本年一月までに九十回開催し、約三千七百人余の参加を得てきたものでございます。
 今後も、その実施規模の拡大や、就労等により平日の講座への参加が困難な保護者に配慮した、夜間、休日における受講機会の拡大などに取り組むこととしております。

○小林委員 ありがとうございます。
 私が申すまでもありませんけれども、情報通信技術の進展というのはもう日進月歩で、非常に速いスピードで進んでおります。そういう中にありましては、私たちがそれに対応できないようなおくれをとることは、絶対にあってはならないというふうに思います。
 そういう中で、やはりインターネット社会というのは厳然と存在をしているわけでありまして、このインターネット社会におきまして、苦しい思いをしている人、また、そこでつらい思いをしている人、悩む人を、そこから絶対に出さないという、ここがすべての出発点ではないかというふうに思います。
 そして、この出発点を我々共通の認識として、そのために、やはり正しい知識を普及していく。そして、この正しい知識をもとにして、正しい知恵を発揮していけるような環境、教育、そしてまた啓発というものをしっかりと取り組んでいかなければならないというふうに思います。
 どうか、教育庁などとも連携をしながら、この点もしっかりと取り組んでいただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○伊藤委員 既に多くの委員から青少年健全育成条例の改正案については質問がございましたので、私からは、地域防犯活動の支援策と自転車対策について、端的にお伺いをしたいと思います。
 平成二十一年の都内の刑法犯の認知件数は二十万五千七百八件であり、戦後最悪を記録した平成十四年の三十万一千九百十三件から大幅に減少しております。これは七年連続の減少だそうであります。これは警察や地域の取り組みのたまものと思っておりますけれども、一方で、都政への要望を見ますと、治安対策を挙げる都民が六年連続して第一となるなど、体感治安は回復しているとはいえない状況であります。
 引き続き、地域の自主的な防犯活動を支援する、東京都の支援策の重要性があると考えておりますが、この補助制度の目的と仕組み、さらに、この制度を活用して、どれぐらい防犯カメラが整備されたのかお伺いいたします。

○伊東参事 防犯カメラの設置についての補助制度でございますけれども、安全で安心なまちづくりを早期に実現するため、商店街、町内会、自治会等の地域団体が防犯カメラ等の防犯設備を自主的に設置しようとする場合に、その経費の一部を補助することにより、地域の方々の自助、共助の取り組みを支援することを目的として、平成十六年度に創設いたしました。
 具体的には、商店街等の地域団体が防犯カメラ等を設置して地域で継続的に防犯活動を実施する場合、都が区市町村を通じて、原則として三百万円を上限に補助対象経費の三分の一、区市町村が補助対象経費の三分の一以上を補助するものでございます。
 この制度で、平成十六年度から平成二十年度の間に、延べ百二十六の地域団体に対し、計千六百十九台の防犯カメラの設置を補助いたしました。

○伊藤委員 それでは、設置された防犯カメラの効果についてお伺いいたします。

○伊東参事 防犯カメラは、犯罪を行おうとする者に、見られているという意識を与え、犯罪を思いとどまらせる効果が期待できるものでございます。
 また、防犯カメラの設置とともに、地域団体による防犯パトロール等の防犯活動が継続して行われることで、地域の安全・安心が高まっていると認識しております。
 警察や行政によるさまざまな取り組みと、こうした地域団体による取り組みが相まって、都における犯罪認知件数の減少につながっていると認識しております。

○伊藤委員 地域の活動と連動していくと、かなりの効果があるという答弁でございましたし、防犯カメラの画像で犯人が検挙されるという例も何例か報道されていますので、これは効果があるというふうに私も考えております。
 都の要綱によりますと、先ほど答弁でもございましたが、最低五年間活動を継続していくということが条件となっているわけでありますが、補助を受けた団体の活動状況については把握をしているんでしょうか。
 把握をしていないとすれば、区市町村を通じて現状を把握していくことが必要だと感じます。この補助制度ができて、平成十六年でありますから、ちょうど五年がたつところでありますので、把握をする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○伊東参事 防犯カメラの設置に対する補助は、委員ご指摘のとおり、防犯に関する地域活動を最低五年間継続することが見込まれると区市町村が認めた地域団体に対して行っております。したがって、区市町村から特段の申し出がない限り、防犯に関する地域活動が継続して行われているものと考えております。
 なお、地域で子どもの見守りなどの防犯活動を行っている地域団体の活動状況等については、区市町村等を通じて把握してまいります。

○伊藤委員 ぜひとも、補助を出しっ放しということではなくて、継続してやっているかどうか把握をしていただくということが一つと、仮に途中でやめている団体があるとすれば、どのような理由でやめたのかということを分析していただいて、さらにそれを施策に生かしていただくと、このように展開をしていただきたいと思います。
 そして、防犯カメラの設置の議論をするときに、一方で必ずプライバシーの問題、ご疑念のある方がたくさんいらっしゃると思います。
 杉並区では独自に区でルールを決めたりして、地域でいろんな活動があると思いますので、きちんとプライバシーの観点も含めて--商店街では百二十六カ所と聞いております、たしか全体で千カ所以上の商店街が東京ではあると伺っておりますので、引き続き、条件の整ったところからこうした補助制度を導入していただいて、世界一安全な都市、東京を目指していただきたいと思います。
 続きまして、自転車対策についてお伺いをしたいと思います。
 既にこの問題については、我が党の多くの議員からもさまざまな観点から提案がなされているところであります。これも端的にお伺いしたいと思います。
 自転車対策は、非常にいろんな方が日常的に使う身近な乗り物でありますけれども、一方で、危険な乗り方をするとけがをしたり、中には死亡事故があったりということで、マナーを普及啓発していく必要があると思います。
 そもそも、都の青少年・治安対策本部が行う自転車対策とはどのようなものなのか。そしてさらに、都が区市町村や関係機関と連携して取り組んでいる自転車総合対策について、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○伊東参事 都が行っております自転車総合対策でございますけれども、ご指摘のとおり、自転車利用者のルール、マナー違反は、交通事故の誘発や放置自転車問題など、交通の秩序を乱すさまざまな問題を引き起こす原因となります。
 当本部では、交通秩序の維持なども含めた交通安全の観点から、自転車利用者のルール、マナーの向上、普及啓発などに取り組んでいるところでございます。
 具体的には、放置自転車対策として、駅前放置自転車クリーンキャンペーンや都内放置自転車に係る現況調査を実施しております。また、自転車安全利用対策として、五月の自転車月間に合わせ、自転車の安全利用を呼びかける自転車安全利用TOKYOキャンペーンや、自転車安全利用教室を実施しております。これらの取り組みを、区市町村や関係機関と連携協力して実施しているところでございます。

○伊藤委員 ルールの遵守の徹底とマナーの向上に向けて、自転車安全利用対策で実施している具体的な取り組み状況と、最近では自転車を安全に利用していただくためのハード面からの対策として、自転車専用レーンなどの自転車走行空間の整備が進んでいるということでありますけれども、現況をお伺いいたします。

○伊東参事 自転車走行空間の整備についてのご質問でございますが、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇によりますと、平成二十一年度末までに、区部で五十三・七キロメートル、多摩地域で八十四・九キロメートルの自転車走行空間が整備される見込みとなっております。

○伊藤委員 区部で五十三・七キロ、多摩で八十四・九キロと、多くの地域で整備を進めるということでありますけれども、自転車走行空間は歩行者、自転車、そして自動車がともに安全・安心に通行できるためのものでありますけれども、今後、各地域で整備が進めば、当然利用者もふえると思います。しかし、交差点部分などについては、これまで以上に注意が必要だと思います。
 こうした自転車走行空間を安全に利用する上でのマナー向上策にも取り組む必要があると思いますが、所見を伺います。

○伊東参事 現在、自転車走行空間の整備が順次進んできているところであり、今後の自転車走行空間の整備状況や、自動車、自転車等の交通量及び交通事故発生状況等を考慮しながら、自転車走行空間が整備されている地元区市町村や関係機関とも連携協力して、これまでの取り組みも含め、今後も、効果的な自転車の安全利用の普及啓発に努めてまいります。

○伊藤委員 ぜひとも、ハード面の自転車対策にあわせて、やっぱりマナーの向上の運動にも取り組んでいただきたいと思います。
 例えば、近隣の小学生、中学生を呼んで、そこで実際に講習を行うということなども考えられるというふうに思いますので、ぜひともこれまで以上に、こうしたマナー向上策を東京都としても取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。

○小磯委員長 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第三十一号議案、第三十二号議案、第三十四号議案、第三十五号議案、第三十七号議案から第四十七号議案まで及び第百五号議案から第百七号議案まで、並びに報告事項、小笠原諸島振興開発計画について外三件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○醍醐総務部長 二月十八日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の二枚目をごらんいただければと存じます。小笠原諸島振興開発事業の実績でございます。
 平成十一年度から平成二十年度までの十年間の事業費につきまして、交通施設整備、産業振興・観光開発、生活基盤施設整備、防災・国土保全、その他に分けて掲げております。
 なお、各項目の主な事業につきましては備考欄に掲げてございます。
 簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○伊藤委員 私からは、東京都の人権施策についてお伺いをいたしたいと思います。
 一九四八年、国連総会で、世界人権宣言が採択をされました。その中に、すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等であるとの規定がございます。
 国でもさまざまな施策を展開しているところでございますけれども、都でも、人権施策を総合的に推進するための指針ということで、平成十二年に東京都人権施策推進指針が策定されておりますが、この指針の策定の背景、理由などについてお伺いいたします。

○荒井人権部長 指針につきましては、平成九年に、国が、人権教育のための国連十年に関する国内行動計画を定め、今後、人権教育の推進等に取り組むこととした上で、地方公共団体に対しても行動計画の趣旨に沿った取り組みを求めたことを受けまして、都における総合的な人権施策のためのガイドラインとして策定したものでございます。
 策定に当たって、東京都は、平成十一年に人権に関する世論調査を行うとともに、学識経験者による専門懇談会を設置し、一年近くにわたる議論を経て懇談会からの提言を受けた後、都民や関係機関等からの意見、要望等を踏まえ、平成十二年十一月に東京都人権施策推進指針として定めたものでございます。

○伊藤委員 指針策定以降十年間がたっておりますけれども、都では、この間どのように人権施策に取り組んできたのか。また、取り組みの成果はどうであったのかお伺いいたします。

○荒井人権部長 指針においては、東京都が推進する人権施策の基本理念として、人間の存在や尊厳が脅かされることなく、自らを律する自立した個人が、権利行使に伴う責任を自覚し、共存と共感で相互に支え合い、都民が世界に誇れる東京をつくると定めています。
 都では指針策定以降、この基本理念に基づき、その後の社会状況等に応じながら人権施策の推進に取り組んでまいりました。
 具体的には、指針に掲げる女性、子ども、高齢者、障害者などの各人権課題について、各局がそれぞれの施策体系のもとで必要な施策を実施しています。
 例えば総務局では、人権問題全般や同和問題、アイヌの人々に関する普及啓発を行うとともに、犯罪被害者等のための総合相談窓口の設置などの支援事業に取り組んでおり、東京都としては、各局の取り組みのもと、各事業が着実に推進しているものと考えております。

○伊藤委員 総務局並びに各局でさまざまな施策が展開されて、成果が上がっているというご答弁でありましたけれども、しかしその一方で、この指針に定義づけをされております人権推進本部会議が一度も開催をされていないということで、一部、批判の声もあるということもつけ加えておきたいと思います。
 それで最後に、現行の指針策定から十年間が過ぎております。十年一昔という言葉がありますけれども、この十年間の中で、例えばハンセン病回復者であったりとか、婚外子差別の問題であるとか、ホームレスの問題などが近年大きくクローズアップされております。
 国でも、例えば二〇〇二年にホームレス自立支援法、二〇〇四年にはDV防止法、さらには、二〇〇九年にはハンセン病問題基本法など、さまざまな人権施策が国において行われてございます。
 東京においても、本当にさまざまな人権問題が生じているところでありますけれども、現行の指針について、この間の状況の変化を踏まえ、大きく見直すべき時期に来ているのではないかと考えますけれども、ご見解を伺います。

○荒井人権部長 現行の指針策定からことしで十年が経過するものの、指針に定める基本理念は普遍的であり、現在もなお有効なものと認識しております。また、指針に基づく個々の事業については進行管理を行って、社会状況等に応じた施策の見直しを実施しているところでございます。
 しかしながら、指針については、国における人権施策の取り組みや東京における人権問題の状況など、社会状況の大きな変化があった場合には見直しを検討すべきであると考えております。
 現在、国においては、人権侵害に対する救済制度に関する検討がなされていると聞いています。このように、国における制度が大きく変わる場合には、都の人権施策にも大きな影響を及ぼすことが想定されます。このため、都としては、引き続きこうした国の動向などを十分に注視してまいります。

○伊藤委員 社会状況に大きな変化があった場合には見直しを検討するというご答弁でありましたけれども、国の大きな施策の展開の中で、ぜひとも時宜にかなった対策をやっていただきたいと思いますし、この指針の文章の中に、人権施策は、長期的な視点に立ち持続的に取り組んでいきますが、五年を目安に、施策の見直しを行いながら進めますという文言がございます。
 施策を変えていただくのも非常に重要なんですけれども、やっぱりこの指針にきちんと盛り込んでいくということが、まさに、都内外に対して東京都が人権施策をきちんと進めているという、私は大きな例証になるかというふうに思いますので、ぜひともご検討いただきたいと要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、職員の海外研修についてお伺いをいたしたいと思います。
 中長期的な重要課題に取り組むには職員の育成が重要であり、首都東京を担う都庁職員が海外へ出かけ知見を広めることは、大変有意義なものと考えております。
 職員の海外研修は二十年度に再開されたということでありますけれども、以前に実施していた海外研修はどのようなものであったのか、その内容をお伺いいたします。

○中西人事部長 職員の海外研修は、高度な行政処理能力の習得と職員の視野の拡大及び資質の向上を目指して、昭和三十二年度から開始され、平成九年度に休止をいたしました。
 研修の内容は、昭和三十二年度の創設以来さまざまな変更がございましたが、休止前の平成八年度の内容について申し上げますと、研修生の事務事業等に関連する事項、都の課題や重点施策に関連したテーマ、局事業に関連したテーマについて、研究または海外の実情調査を行ったものでございます。
 平成八年度の研修生の人数は、三カ月ないし六カ月の期間のコースに十二名、十六日程度の期間のコースに五十名の、計六十二名でございました。

○伊藤委員 昭和三十二年、今から五十年以上も前に開始した、都ならではの先進性のある研修であったのに、平成九年度には休止となったということでございましたけれども、どのような理由からだったんでしょうか。

○中西人事部長 休止する直前の平成八年度の当初予算編成は、二千七百億円もの財源不足が生じたため、財政調整基金の全額取り崩しや他会計からの借り入れで辛うじて財源を確保するという、極めて深刻な状況でございました。
 緊急事態ともいえるこうした状況を一刻も早く克服し、都財政の安定性を確保するため、平成八年度に財政健全化計画が策定されました。この計画の中間のまとめの中で、経常的経費削減の一つの項目といたしまして、海外研修は原則として休止と明示されたことにより、平成九年度から休止としたものでございます。

○伊藤委員 それでは、そのような財政的な理由で中止された海外研修が平成二十年度に再開されたということでありますが、そのねらいはどのようなものなのでしょうか。

○中西人事部長 東京都におきましては、平成十八年三月、東京都職員人材育成基本方針を策定いたしまして、人材育成に基軸を据えた人事管理を積極的に推進していくことといたしました。
 具体的には、職員一人一人の意欲を引き出し、強みをはぐくむ配置管理を進めるとともに、組織ニーズに対応した能力を付与するための研修の見直しに積極的に取り組み、人材育成機能を強化してまいりました。
 一方で、近年、横田基地対策に代表されますように、高度な国際関係業務が増加するとともに、環境対策のようなグローバルな政策立案能力が職員に必要とされる時代となってまいりました。こうした状況を踏まえまして、首都公務員として必要な国際感覚や語学力を養うために、平成二十年度より海外研修を再開したものでございます。

○伊藤委員 まさに、東京都が置かれているグローバルな環境にのっとって職員の研修を行うと。私は非常に、大変重要な取り組みだというふうに思います。
 再開された研修の内容と実績は、どのようなものなのでしょうか。

○中西人事部長 平成二十年度に海外研修を再開するに当たりまして、国際関係業務を担い得る対外交渉能力や語学力の習得など、研修を通じた職員の育成目的を明確にするとともに、その内容についてもより実践的なものとするよう、政策課題プログラムと大学院派遣プログラムの二つのコースを設けました。
 政策課題プログラムは、都政の喫緊の課題について海外の行政機関等で調査研究し、その結果を施策に反映させるものであり、一方、大学院派遣プログラムは、アメリカの公共政策大学院で、公共政策の専門知識と、外国の専門家等と論争できるレベルのコミュニケーション能力を身につけさせるものでございます。
 海外研修の実績でございますが、平成二十一年度におきましては、政策課題プログラムに八名、大学院派遣プログラムに七名を派遣いたしました。

○伊藤委員 先ほども触れましたように、平成九年度の休止の理由が財政上の理由ということでありましたけれども、まさに、今も二年間で一・一兆円も税収が減るというような状況であります。
 今後も税収が伸び悩むと予想されますけれども、今後の職員の海外研修について、都ではどのようにお考えになっているのかお伺いいたします。

○中西人事部長 先ほどもご答弁いたしましたが、平成九年度からの海外研修の休止は主として財政上の理由によるものでございますが、その一方で、研修の成果が都政に十分に還元されていない面もあるのではないかという意見があったことも否定できません。
 この点も考慮いたしまして、平成二十年度に海外研修を再開するに当たりましては、研修終了後、できる限り研修の成果を十二分に発揮できる部署へ研修生を配置いたしまして、研修で培われた対外交渉能力や高度な職務能力などを都政に還元させるよう努めております。
 都財政は厳しい状況を迎え、今後の経済情勢も不透明ではございますが、人材育成は短期間になし遂げられるものではございません。海外研修を初めとする職員の育成策につきましては、厳しい財政状況を考慮しつつ、できる限り継続して実施することで、都政を支えるプロ職員の育成に粘り強く取り組んでいきたいと考えております。

○伊藤委員 きのうも、私の体験のIVプログラムというものを取り上げましたけれども、実は私だけじゃなくて、公明党の大松理事も同様のプログラムに参加をしていたり、自民党の早坂議員もたしか参加をされていると思います。それぞれ、恐らく都政でこうした研修の成果が、私自身はともかくとして、上がっているんじゃないかなというふうに思います。
 先ほど、やっぱり費用対効果の面で都民から厳しいご意見があったと、まさにそうだと思うんです。どれだけお金をかければ、どれだけの成果が上がるのかというのはなかなか数値化できない。ですから、その成果を積極的にPRしていくことが必要だということと、やっぱり、こうしたものは長期的な視点に立ってというご答弁もありましたけれども、なくなったりまた再開をしたりということは、私は、本来余りあってはいけないんだと思います。
 当然、財政状況の中で柔軟にやっていかなければいけませんけれども、ぜひとも、今後とも長期的な視点に立って、都が先進的に導入した、こうした研修システムというものをしっかりと都政の中心に据えていただいて、首都公務員としての必要な能力を都の職員の皆さんに習得していただけるような研修のシステムを、今後とも構築をしていただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。

○田中委員 私は時間内に、伊豆諸島、小笠原諸島に対する島しょ振興に関してお伺いをしたいと思います。
 既に今定例会におきまして、我が党の代表質問あるいは予算特別委員会等でも触れておりますが、私も長年にわたりお世話になった強い思いがあるのであえて触れさせていただきますが、昨年十二月、私どもの大先輩である川島忠一先生がお亡くなりになりました。私自身、ご葬儀にも参列をいたしましたし、また、一月に行われた補欠選挙にも、島しょ部の方に行ってまいりました。
 この島しょへの訪問を通じまして、川島先生の、島に対するこれまでのご功績の大きさ、あるいは多くの島民の方々から愛されていた川島先生のお人柄などにも触れる機会がございました。また、ご地元の方々との会話を通じまして、一方で、まだまだ島のために尽くしていきたい、そういう川島先生の無念さもしみじみと感じて帰ってまいりました。
 今回、我が会派の議員の方々も多く島に赴きましたけれども、恐らく同様の感想を得て、帰ってこられたんだろうと思います。そのような思いも含めて、川島先生のご遺志を継いだ三宅議員の活躍に大いに当然期待したいわけですが、また一方で、私ども自民党も結束して、川島先生のご遺志を実現すべく島しょ振興に努力をしていきたい、そんな決意を新たにして今、帰ってきたところで、これからも取り組んでいきたい、そんな思いで質問をさせていただきたいと思います。
 伊豆諸島あるいは小笠原のこの地域というのは、大変貴重な自然資源や豊富な海洋資源に恵まれている一方で、我が国の排他的経済水域の確保の観点から、国益を維持する上でも重要な役割を担っております。また、都民を初め首都圏を中心に訪れる人々にとっての、都会の雑踏から離れて自然と触れ合える貴重な財産でもあります。
 我が党としてはこれまで、島しょ地域の遠隔性や重要性にかんがみ、島民生活の安定や福祉の向上、観光を軸とした産業振興など、島しょ地域の振興に積極的に取り組んでまいりました。その結果、生活環境は大きく改善されたものと認識をしております。しかし、まだまだ課題も、依然多く残されているものと認識をしております。
 そこでまず、都は、島しょ地域の振興に現在どのように取り組んでいるのか、改めてお伺いしたいと思います。

○高橋参事 都はこれまで、島しょ地域の重要性から、法に基づき、各町村からの意見を踏まえ、都としての振興を定めた計画を策定しております。
 まず、伊豆諸島地域におきましては平成十五年度に、平成二十四年度を期限とする東京都離島振興計画を策定して、伊豆諸島地域の振興に取り組んでおります。
 本計画では、「価値ある地域差の発揮に向けて」を振興の基本理念といたしまして、観光、交通、情報通信、防災の四つの重点施策を掲げ、これに基づいた施策を展開することにより、伊豆諸島の観光立島実現による自立的発展を目指しております。
 一方、小笠原諸島地域におきましては、平成二十五年度を期限とする小笠原諸島振興開発計画を昨年十二月に策定し、今回、本総務委員会に報告させていただきました。
 本計画では、自然環境の保全と産業振興の両立による自立的発展を基本理念とし、振興開発に取り組むこととしております。

○田中委員 今お伺いしましたように、伊豆諸島地域あるいは小笠原諸島の地域において、各町村の意見を踏まえて計画を策定し、島しょ地域の振興に取り組んでいるというお話でございました。
 島と一言でいっても、それぞれの島の特性がございます。大変、小笠原などは東京からも距離があり、また自然環境にもある意味恵まれている一方で、厳しい自然環境のもとでの地域であります。また、三宅島のように、火山噴火の後の復興を遂げようとして懸命に努力をされている島もあります。
 ぜひ、島しょということで一くくりで対応するのではなく、きめ細かく、それぞれの島民の方々からの意見を踏まえた上での計画を策定し、着実な実行に移していただきたいと思っているところであります。
 そこで、これまでの取り組みの成果について、確認をしたいと思います。

○高橋参事 島しょ地域は太平洋上に点在する島々から成り、台風や冬の強い季節風、平たん地が少ないなどの厳しい自然環境にあることから、港湾、道路の整備や、小離島の足の確保としてヘリコミューターの導入など、町村からの要望も踏まえ、必要な社会基盤の整備に努めてまいりました。
 また、航路維持のための事業者への補助や、島内の物価抑制などのための輸送費補助を行うとともに、診療所や介護施設の整備に取り組み、福祉の充実を図ってまいりました。
 一方、島の主要産業である観光におきましては、滞在、体験、通年型観光への転換を促進し、観光客誘致に着実な成果を上げてきた地域もございます。
 さらに農水産業におきましては、栽培漁業などによる水産資源の確保や、生産方法の普及指導などによる農業振興を進め、一定の成果を上げてまいりました。

○田中委員 今、大変厳しい環境の中においての、それぞれの努力の成果をお伺いいたしました。島しょ地域を取り巻く厳しい状況にあっても、一定の成果を上げてきたと。
 しかしながら、島しょの地域は依然として人口の減少が続いたり、あるいは高齢化が進行しております。また、本土ももちろん経済的な影響を受けておりますが、それ以上に、経済の低迷から、小規模自治体であるがゆえの財政運営も厳しい状況にあるという状況であります。
 そういったことも踏まえまして、この島しょの地域というのは、いろいろな観点からのアプローチというんでしょうか、取り組みがあろうかと思います。
 港湾関係からは港湾局が、そして都道の関係であれば建設局、農業や水産業、観光の視点からは産業労働局等々、東京都の各局がそれぞれの視点を通じて、島しょ振興に取り組んでいるわけですが、それら各局のいわゆるコーディネーターといいますか、全体を統括していく役割にあるのが、まさに総務局のお務めだろうと。まさに島しょ振興のかなめといってもいい総務局であると、私は思っております。
 そのような視点から、島しょ地域の自立的発展を遂げるため、今後どのような支援をしていくのか、そのご決意をお伺いしたいと思います。

○中田総務局長 今、田中副委員長のお話がありましたように、島しょ振興を推進するためには、島しょ地域の厳しい自然環境の中で、島民生活の安定はもとより、観光振興を主軸とする産業振興にも資する港湾、道路、防災など、こういった基盤整備に取り組むとともに、各町村の主体的な取り組みを支援することが重要であると認識しております。
 都はこれまで、町村の意見を十分踏まえ、東京都離島振興計画や小笠原諸島振興開発計画を策定し、観光、交通、情報通信及び防災など、島しょ地域の振興発展に取り組んでまいりました。
 今後とも、課題を解決し、一層の島民生活の安定と向上を図るため、ここに軸足を置きまして、ぶれることなく、社会基盤の整備や産業の活性化に向けまして、都庁一丸となって取り組むとともに、市町村総合交付金など、町村に対する支援を効果的に組み合わせまして、島しょ地域の自主的、自立的発展を積極的に支援してまいります。

○田中委員 今、ご決意をお伺いいたしましたが、引き続き島しょ部の振興を安定的に進めていくためには、しっかりとした財源の基盤が必要だろうと思っております。今お話がありました市町村総合交付金などを活用する中で、しっかりとした財源確保のもとでのご対応をいただきたいと思いますし、また一方で、考え方として、この市町村総合交付金は島しょ部だけではなく、都内の市町村と、ある意味同列の中での財政制度だと思っております。
 そういった意味では、まだまだ社会基盤整備が進んでいない、市町村と比較するとまだまだ行わなくてはならない状況がある中での、同列の同じ土壌での交付金の活用ということではなくて、場合によっては、島しょ部の独立した視点からの交付金制度といいますか、制度になるのかあれですが、しっかりとした財源確保ができる、そんな仕組みづくりも含めて、この島しょ部の振興に向かわなくてはならないのかなと、そんな思いもしております。
 ぜひこれは、総務局のかなめである総務局長を中心にした皆さんのご尽力をお願いすると同時に、しっかりと島しょ部の振興に向けた今後の議論を続けていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 以上です。

○小林委員 私からは、新型インフルエンザに対する都政のBCPについてお伺いをさせていただきます。
 都は、全国に先駆けて、強毒性の鳥インフルエンザの流行に備えまして、行動計画また対応マニュアルの策定や、治療薬でありますタミフル、リレンザの備蓄に努めてこられました。昨年四月の下旬にはメキシコで発生しました新型インフルエンザが瞬く間に世界じゅうに拡大をいたしまして、六月にはパンデミックを宣言する事態となりましたことも、また記憶に新しいことでございます。
 ことしに入りましてからは感染者数が減少してきていますけれども、今後、ウイルスの病原性の変異なども想定されまして、行政としても迅速かつ的確な対応が求められてくるというふうに思います。
 公明党は、昨年の第三回都議会定例会の代表質問におきまして、新型インフルエンザ流行時においても、限られた人員で円滑に事業を継続するとともに、今回の弱毒性の経験を生かし、柔軟に運用できるBCPの策定を求めてまいりました。
 これを受けまして、都は、本年二月に都政のBCPの素案を発表し、パブリックコメントを経て、今年度中に策定するというふうにされておりますけれども、こうした取り組みを私どもも大変高く評価をいたしておるところでございます。
 そこで、今回都が策定をいたします都政のBCPは、どのような特徴を持っているのか、改めてお伺いをいたします。

○細渕参事 都政のBCPの特徴ですが、三点ございます。
 第一に、強毒性のインフルエンザの発生を想定しておりますが、ウイルスの病原性や感染力等に応じて、学校の休業や事業活動の自粛要請等を弾力的、機動的に実施することで、弱毒性にも対応できるようにしたこと。
 第二に、BCPの策定の目標を定めまして、発生段階に応じて実施する主な取り組みを整理いたしたことです。
 第三に、都政の業務を、新たに発生する業務と、継続、縮小、休止業務に整理しまして、限られた人員で必要な業務を実施するための全庁的な応援体制を記載したことでございます。
 なお、具体的な人員計画等につきましては、今後各局で策定いたしますBCPを踏まえまして、二十二年度中に策定する予定でございます。

○小林委員 ありがとうございます。
 都政のBCP、この素案の発表に当たりましては、この二月にパブリックコメントを実施されておりますけれども、このパブリックコメントにおきましてはどのような意見が寄せられたのかをお伺いさせていただきます。

○細渕参事 二月三日から二十六日までの間、都民からのご意見を募集しましたところ、六十二件のご意見が寄せられました。
 その内訳でございますが、まず、広報広聴体制の強化や、新薬を含めた抗インフルエンザウイルス薬の備蓄など、都の対策に関するものが三十一件。また、職員の欠勤率や交代制勤務など、人員計画等に関するものが十件。その他、字句の修正等に関するものが二十一件となってございます。これらのご意見を踏まえまして、今月末までに都政のBCPを策定いたします。

○小林委員 ありがとうございます。
 この三月末にBCPを策定をされるということでございますので、ぜひともこの策定に当たりましては、今お話のございましたパブリックコメント、寄せられました意見をしっかりと反映していただきたいというふうに思います。
 BCPは、東京都だけが策定すればいいものではなく、都民生活に欠かすことができない多くの業務は、基礎的自治体である区市町村が担っております。区市町村におけるBCPの策定というものも推進をされていかなければなりません。
 しかしながら、現在このBCPを策定している都内の基礎的自治体は、都内全体六十二のうち、まだ十八しかございません。残り四十四が策定をされていない状況であります。
 その理由としては、具体的な策定方法が、各基礎的自治体がわからないということが一つ主な原因となっているところでもあります。この点につきましては、公明党が、やはりさきの第三回都議会定例会の中におきまして代表質問で質問したのに対し、東京都の方からは、区市町村のBCP策定を支援するために、平成二十一年度中にガイドラインを策定するとのご答弁をいただいております。
 このガイドラインの現在の策定状況と、区市町村におけるBCPの策定支援の実施方法についてお伺いをいたします。

○細渕参事 昨年九月に、都と区市町村の課長級職員によりますBCP策定ガイドライン検討委員会を設置いたしまして、精力的に検討を進めてまいりました。現在、最終的なまとめの段階にございまして、今月中にガイドラインを策定することとしてございます。
 また、区市町村職員向けの研修会を実施しますとともに、先進的な取り組み事例を紹介するなどの情報提供に努めまして、区市町村のBCP策定を支援してまいります。

○小林委員 新型インフルエンザ対策という点につきましては、自治体はもちろんでございますけれども、自治体のみならず、ライフライン事業者等の民間事業者も、このBCP策定をすることが大変に重要になってまいります。
 昨年九月に産業労働局が実施しました、災害、事故、感染症等対策に関するアンケート調査によりますと、回答のあった約二千の企業のうち、BCPを策定するなどの対策を実行している企業の割合、これが二八・四%となっているところでございます。非常に低い割合でございます。
 都は、今年度から、事業者のBCP策定を支援するために、講習会の開催、また事業者団体が実施する研修会への講師の派遣などを実施されておりますけれども、今日までどのような取り組み状況であるのか、お伺いをさせていただきます。

○細渕参事 今年度から開始いたしました講習会の開催や研修会への講師派遣等の実績ですが、本日現在で計四十六回でございます。
 その主な内容ですが、一つに、感染拡大防止策や具体的なBCPの策定方法の説明、もう一つに、事業者団体が策定しますガイドラインや訓練実施に当たっての指導、助言がございまして、引き続き二十二年度も実施してまいります。

○小林委員 一年間に四十六回実施をされたということで、大変に精力的に取り組まれて実施をされてきたというふうに思います。二十二年度も引き続きということでございますので、さらに充実した形での取り組みを、あわせてお願いしたいというふうに思います。
 都民の命、そして健康を万全の体制で守っていくためにも、このBCPの策定というのは、東京都そしてまた区市町村、事業者が積極的に取り組んでいくべき重要な課題であるというふうに思います。
 都は、すべての区市町村でのBCP策定ができるよう、また事業者への啓発に積極的に取り組んで、官民一体となって、都民の安全、そして安心を守っていけるような対策が講じられるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○淺野委員 私からは、東京都特別職報酬等審議会につきまして、端的にお伺いしたいと思います。
 本定例会には、知事、あるいはその他、監査委員、人事委員会委員などの給与の引き下げにかかわる条例案が提出されておりますけれども、一方で平成二十二年度予算案には、この条例案でいわれている給与の引き下げというものが反映されてはおりません。本来、議会に提出する、執行機関が出す予算案それから条例案というものは、やはりできる限り整合性がとれているべきだと思います。
 いろんなところに、各委員会に確認しますと、報酬等審議会の答申が出るのがことしはおくれたために、残念ながら間に合わせることができなかったというような答えを聞きました。
 報酬等審議会の答申内容を予算案に反映させるためにも、東京都の特別職報酬等審議会のスケジュールを何とか前倒しすることができないのか、お伺いいたします。

○中西人事部長 知事等の給料につきましては、東京都特別職報酬等審議会の答申を踏まえ、条例案を策定することになっておりまして、審議会からは、例年一月中旬ごろに答申をいただいております。
 審議会の開催に当たりましては、国や他団体の動向、社会経済動向など、さまざまな情報を十分に収集する必要がございますが、何よりも一般職員の給与を確定することが不可欠でございます。
 一般職員の給与は、十月の初旬に都の人事委員会勧告が行われ、その後、十一月中旬ごろに労使交渉が妥結、第四回定例会で給与条例案をご審議いただき、十二月中旬ごろに都議会の議決があり、ここで初めて確定をいたします。その後、十名の外部委員から成る審議会委員のスケジュール調整を行いますので、報酬等審議会の開催はどうしても一月中旬ごろとなってしまうということでございます。
 こうしたことから、審議会のスケジュールを大幅に前倒しすることは困難であると考えております。

○淺野委員 審議会のスケジュールを前倒しするのは難しいとの答弁でございました。予算案に反映させれば構わないという、私は考え方でございますので、であるならば、予算編成を担当している財務局と打ち合わせをしながら、何とか調整することは難しいのかなということが思われるわけでございますが、予算編成を行う財務局と事前に調整することはできなかったのでしょうか。教えてください。

○中西人事部長 今年度の特別職報酬等審議会は一月二十二日に開催いたしましたが、その事情を少し申し上げますと、今年度は審議会の委員の改選期に当たりまして、十名の委員の中の半数の五名が交代となりました。
 新しい委員については、できる限り全員出席していただくように日程調整を行いましたところ、開催可能な日は一月二十二日だけでございました。一月二十二日は予算原案の発表日であり、私どもとしてもできる限り避けたいところでございましたが、この日以外の開催はできなかったという事情がございます。
 一方、この時期には既に予算編成作業が予算原案発表の段階にまで進んでいたことから、今年度は、財務局と事前調整を行って、予算案と条例案の整合性をとることはできませんでした。

○淺野委員 今年度はできなかったということでございました。
 しかし今後は、やはり財務局と連携しながら、そして特別職報酬等審議会の日程も、一日でも二日でも前倒しできるような早目の調整を心がけて、予算案に条例案とを一緒に反映させた形で提案していくべきだと思いますけれども、所見をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○中西人事部長 知事等の給料に関する条例案と予算案の内容につきましては、その整合性がとれていることが望ましいところでございますが、現状のスケジュールでは、報酬等審議会の答申内容を予算案に反映することはなかなか難しい状況でございます。
 来年度以降につきましては、予算原案発表のスケジュールも踏まえつつ、財務局と十分意思疎通を図って対応してまいりたいと考えております。

○神野委員 いよいよ本日の総務委員会、最後の質問でございます。
 私からは、外部監査制度についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、東京都の外部監査制度は平成十一年度から導入されまして、この間、目覚ましい成果を上げてこられたわけでございます。実際に監査に当たられた外部監査人のご努力には、本当に心から感謝をさせていただきたいと思っております。
 地方自治法の改正によりましてこの外部監査制度が導入されましたのは、現行の監査委員監査では、その独立性と専門性に限界があると。そういった趣旨を重視して、今後も都の外部監査制度においては、都民の目から見て独立性とそして専門性がしっかりと担保される制度であるべきだという、その視点を持って何問か質問させていただきたいと思います。
 地方自治法第二百五十二条の三十六、連続して四回、同一の者と包括外部監査契約を締結してはならないという規定があるんです。
 平成二十二年度の包括外部監査人は、平成二十年度そして二十一年度に引き続き、鈴木啓之先生がご担当されるわけでありますけれども、この規定に従いますと、平成二十三年度の監査人には新たな監査人が選定をされるわけであります。
 その選定はどのような日程で、そしてどのような方法で行われるのか、お答えを願いたいと思います。

○和賀井行政改革推進部長 平成二十三年度の外部監査人選定に係る具体的な日程についてはまだ未定でございますが、東京都におきましては、これまで包括外部監査が財務に関する監査を主体としていることなどから、財務書類の監査に精通しています公認会計士が包括外部監査人として適任であると判断をしまして、日本公認会計士協会東京会に複数の候補者の推薦を依頼し、その中から選定しているところでございます。
 平成二十三年度の外部監査人の選定に当たりましても、同様の考え方に基づきまして、来年の第一回都議会定例会への議案提出に間に合うよう、ふさわしい人物を選定する予定でございます。

○神野委員 複数の候補者の中から選定をされていらっしゃるということであります。
 昨年の総務委員会でも指摘をさせていただいたんでありますけれども、これまでの外部監査人、筆谷先生、守屋先生、園先生、そして現在の鈴木先生、皆さんすべてが、新日本監査法人という監査法人の代表社員でいらっしゃいます。しかも、一番最初の筆谷先生以外は、監査人になられる前に必ず前任者の補助者としてその監査チームに入っていらっしゃるんです。
 都のご答弁では、あくまで個人との契約であるため、所属の監査法人は問わないというご見解なんでありますが、監査というのは一人ではできません。チームで行うものです。当然、都の外部監査でも、その監査人の先生には補助者がついて監査が行われるわけであります。
 今回、公表されております公認会計士名簿、これはだれでも見られる名簿なんでありますけれども、これをもとに、私、調査してみたんですが、鈴木監査人の補助者である会計士さんは、みんなやはり新日本監査法人の所属なんです。これだけの人数の会計士さんが一度に東京都の監査に従事するわけでありますから、個人の契約であるからといって、この新日本監査法人、全く関係ないとは私はいえないと思うんであります。
 これまでの監査人選定に当たってのルールを見てみると、次回の監査人の先生は今回の補助者の先生の中から選ばれて、また、この新日本監査法人の先生となるんじゃないかなと思われるような関係があるわけであります。
 冒頭申し上げたとおり、これまでの監査人の先生のご努力、これは本当に私、評価させていただいているんです。第三者の目で都政を評価するという外部監査の取り組みというのに関しては、本当に、これからももっとその範囲を広げるべきだとまで思っているんです。
 だからこそ、すべての都民の目から見たときの独立性というものを担保する意味で、この監査人の選定に当たっては、所属の監査法人も考慮に入れて選定をすべきだと考えるのでありますが、ご見解を伺いたいと思います。

○和賀井行政改革推進部長 包括外部監査は、一人の独立した個人としての監査人が責任を持って実施するものでございまして、その所属する法人がどこであったとしても、監査人としての独立性に問題が生じることはございません。
 都におきましてはこれまでも、外部監査人の選定に当たりましてその所属する法人について考慮したことはなく、また今後も考慮することはございません。
 加えて、公認会計士法第一条の二において、公認会計士は独立した立場で公正かつ誠実に業務を行うことが規定されていることからも、包括外部監査人としての独立性は確保されてございます。
 都ではこれまでも、包括外部監査人としてふさわしい能力、見識を有する人物を選定し、都議会で承認をいただいてきたところでございまして、今後とも包括外部監査人の選定に当たりましては、適切に行ってまいります。
 なお、先ほど委員から、あたかも補助者の中から次期監査人を選定するルールがあるかのようなお話がございましたが、監査人の選定につきましては、先ほどご説明したとおり、公認会計士協会東京会から推薦された複数の候補者の中から選定しているものでございまして、ご指摘は当たりません。

○神野委員 繰り返し述べますけれども、私は、この包括外部監査というのは、大変に評価をしているのは変わらないんです。今、補助者から選んでいないとおっしゃっていただいたわけなんですが、選ばれた監査の先生が結果としては補助者であったのは、これは事実であります。
 民間の上場企業でも、監査法人による監査というものが義務づけられています。上場企業というのは株式発行して、そして投資家がその株式を買うわけでありまして、投資家が投資先の企業の判断をするのは、この監査報告書を見てその財務の健全性というものを判断するんです。
 東京都が民間と違うのは、やはりみんなの税金で運営をされているという点です。
 民間企業では、監査法人はそのままで、監査の先生だけを変えるという取り組みをしているところが多々あるのは私も承知しています。ただ、東京都の場合は、やはり一千万を超える東京都民の皆さんが、東京都政のその健全性について非常に大きな関心を持って見詰めているわけでありますので、私としては、やはりせっかくの外部監査なので、だれが見てもその独立性というものが担保されるような形で、今後とも外部監査人が選定をされていくことを希望いたしまして、質問を終えたいと思います。

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時三十八分散会

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