総務委員会速記録第十二号

平成二十一年十月二十二日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十五名
委員長小磯 善彦君
副委員長田中たけし君
副委員長伊藤まさき君
理事大松あきら君
理事古館 和憲君
理事山口  拓君
小林 健二君
小山くにひこ君
淺野 克彦君
西崎 光子君
神野 吉弘君
鈴木 勝博君
吉原  修君
田島 和明君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本局局長吉川 和夫君
儀典長川田  司君
次長山口  明君
理事川澄 俊文君
理事真田 正義君
総務部長大井 泰弘君
地方分権推進室長森山 寛司君
参事松下 隆弘君
外務部長遠藤 雅彦君
参事長澤  徹君
基地対策担当部長中村 信一君
参事新美 大作君
政策部長野村 俊夫君
計画調整部長梶原  洋君
参事山越 伸子君
青少年・治安対策本部本部長倉田  潤君
総合対策部長小濱 哲二君
参事浅川 英夫君
参事伊東みどり君
選挙管理委員会事務局局長矢口 貴行君
人事委員会事務局局長泉本 和秀君
任用公平部長宮川 雄司君
試験室長内藤 泰樹君
参事鷲見 博史君

本日の会議に付した事件
 選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
 人事委員会事務局関係
報告事項(説明・質疑)
・平成二十一年「職員の給与に関する報告と勧告」について
事務事業について(質疑)
 青少年・治安対策本部関係
事務事業について(質疑)
 知事本局関係
事務事業について(質疑)

○小磯委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、青少年・治安対策本部及び知事本局関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項の聴取を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○淺野委員 選挙管理委員会の事務事業に対しての質疑をさせていただきます。
 そもそも普通選挙制度をとっている我が国においては、だれしもが選挙に行けるように、そして、さまざまな障害があっても、できる限り選挙というものを、投票という形で参加ができるように担保をしていく必要があると。そういった考え方の中で、これまで期日前投票やさまざまな方策を講じて投票率の向上を、あるいは、さまざまな人が選挙に行きたいと思った場合にはできるだけ自分のスケジュールの中で自由に投票が行けるようにといった取り組みをされてきている。そのことについては、私も高く評価できるところだと思っております。
 しかしながら、一般の、いわゆる自由に行動ができる方々については、そういった形で利便性が向上しているというところでありますけれども、特に、例えば障害を持った方などについては、できるだけ選挙に行くチャンスを広げてやることも必要ではないか。昨今の行政の施策において、障害者の方々も自分の生活に直結した影響を受ける範囲が非常に広いと考えられますので、政治に対する意識も非常に高い方が多いのではないかと思われます。
 その中で、例えば、目の不自由な方が投票所に足を運ぶためにさまざまな苦労をされているという声が、私の耳にも入ってきております。現実にふだんの生活の中で家族と同居しているなど、投票所、ふだん足を運ばないような場所に対してでも、実際に連れていってくれる方がそばにいていただければ、それはその方の問題は解決できるだろうと思いますが、ひとり暮らしであったり、あるいは同居されている方が非常に忙しくなかなか一緒の時間がとれない、そういった方の場合については、正直、投票の機会を失う可能性が高いのではないか、そのように考えております。体の障害で、移動機能、体を動かすことに障害という形での認定がされている方については、郵便投票などの行為が認められているというふうにお聞きしておりますけれども、障害が認定されていなくても、現実的には移動が非常に困難を伴うという方もたくさんいらっしゃいます。そういった方への支援策というのが、まだまだ十分に行われていないように私には感じられます。
 今後そういった、特にふだん行きなれていない投票所に足を運ぶことが非常に困難を極める方々に対する支援策として、選挙管理委員会としての解決していく考えがおありになるのかどうか。また、そういった方々の投票行為をできるだけ支援するということに対して、現状、認識されている課題というものがあればお伺いしたい、そのように思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 障害者の投票についてのお尋ねでございますけれども、障害のある方を含めまして、だれもがひとしく投票できるようにしていくことが大変重要であると考えております。
 これまでも私ども東京都選挙管理委員会では、障害者団体から毎年要望をお聞きする機会を設けておりまして、例えば、選挙公報の音声版の作成をすることや投票箱に選挙名を表示した点字シールを張るなどして、視覚障害者のための改善などを今まで図ってまいりました。しかしながら視覚障害者の中には、今お話が委員からありましたように、投票所へ行くことが困難な方もいるかと思っております。
 ことしも十一月に、視覚障害者団体あるいは障害者団体から要望を聞く機会がありますので、その際に、よく実情をお聞きしたいと思っております。また、区市町村に対しましても、投票所へ行くことが困難な視覚障害者の実態についても確認してまいりたいと考えております。

○淺野委員 ぜひ、そういった視覚障害者の方々、それを代表する団体の方々からの意見をよく聞いて、実現に移していただきたい。
 ただ、障害者の方々の団体というのは、正直、要望を挙げれば切りがないというか、たくさん出してしまうことを恐れて幾つかに絞って出しているという嫌いもございます。ぜひ逆に、こちら側で考え得る、こういった問題はないですか、ということを積極的に聞くような体制をこれから構築していただけることを期待し、これは意見として申し上げておきます。
 次に、そういった選挙制度を担保するという中で、正常な政治活動として、選挙における活動というのが担保されていくということが非常に重要であると私は考えております。
 公職選挙法は、特に、一般の方々がだれでも選挙に立候補ができるようにといった意味で、選挙ができるだけお金がかからないように、そして、そこにお金が存在することで投票行動の方向性が変わらないようにといった趣旨で、さまざまな禁止行為というのが出されております。
 これまでも選挙管理委員会、各区市町村の選管も含めて、東京都においては、ポスターの掲示やリーフレット、パンフレット等で周知、告知をされているように、政治家から有権者への寄附は出すことも求めることも禁止されているということについて、どうやらたくさんの方々が認知され周知徹底ができてきているのではないかというのは実感としてもございますし、また調査等のデータでも出ているようでございます。
 しかし、その中においての具体的なことについては、実はまだまだ認識が乏しいというのが現状でございます。社会通念上の現実の世の中に合っているかどうかを抜きにして考えますと、法律論でいけば、例えば会費ということが明記されていない会合において、飲食を伴うから自分の食べる分だけは納めますといったような政治家がいた場合、これは当然、法律上禁止されていることは選挙管理委員会の皆様もご理解していると思います。あるいはお祭りや、これから始まる忘年会、新年会、さまざまな地域、町内会や各種団体がとり行う会合についても、基本的に、一般会員の方々を含め、そこに会費という形での明記がないものについては、一切の金品の提供は禁止されている。これは当然のことながら、社会の通念、いわゆる文化的な今の生活の中では全然現実に即していないということは理解しておりますが、我々公職にある者は、少なくとも法で決まっていることはまず守った上で、現実に即していなければ変えていくという、そういった対応が必要だと思います。
 その上で、まず法をきっちりと守らせるというためには、正直、政治家自身が有権者にはなかなかいいづらいという環境もございますから、両方が具体的なことについて一つずつしっかりとした認識を持っていくということが、これから先、普通選挙を担保していく上では非常に重要なことであると、私はそのように考えております。
 政治家からの有権者への寄附が禁止されていることが周知されてきたのであれば、次は、例えば町内会であるとか、お祭りの団体であるとか、さまざまな実行委員会であるとか、そういったところも含めまして、こうした分野、それがお祭りなのか祝賀会なのかわかりませんが、そういう具体的な会合において、こういう場合は禁止に当たります、当たりませんといった具体例をしっかりと提示した上で、具体的なことについての周知徹底を図ることが今後の課題として必要であると考えます。
 今後、そういった具体的な周知を行うおつもりがあるかどうか、また、それについてどのような具体策を考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 今お話がありましたように、公職選挙法では、公職の候補者等、いわゆる政治家の皆さん方に対しましては、いかなる名義をもってしても選挙区内にある方々に対する寄附は禁止されておりまして、また何人も、政治家に対しては寄附を要求することも禁止されております。都選管といたしましては、毎年、お祭りあるいは盆踊りのある夏、年末年始のあいさつ回りが多くなる冬に、寄附禁止PRの強化期間を設けまして、都民にこれまで周知をしてきたところでございます。
 具体的にはポスターを三万枚、リーフレットはこういうものですが、多分議会の各部屋にもあると思いますが二十三万部作成し、区市町村の選管、あるいは都内に約四千二百人おります明るい選挙推進委員の皆さんを通じまして、町内会、商店会などで配布を行い、取り組みを行ってきたところでございます。
 今、委員から話がありましたように、周知をしても、まだまだ具体的な事項に対しては十分知っていないというところがあります。平成十九年に実施しました世論調査では、政治家への寄附禁止というのは九割方知っているという話がありますが、具体的に、例えば病気見舞いやお祭りへの寄附などにつきましては、四割から五割程度の認知度にとどまっております。
 そのため、これから私どもとしましては、どういうものが病気見舞いの場合に具体的に禁止されているのか、それをQアンドAの形で事例を紹介して周知徹底するなど、そういうことを考えながら、リーフレットの内容について工夫を図ってまいりたいと考えております。

○淺野委員 リーフレットの中での具体例、よろしくお願いしたいと思います。
 ただ、リーフレットはカラー版で立派に刷っていく形でコストもかかるでしょうから、先ほど申し上げた具体的なターゲット、もちろん我々公職の候補者も含めて、こういった方々にはこういったポイントに気をつけてくださいというものを、こういう白のペラ一枚に、簡単な表にまとめるだけで十分だと思いますから、ぜひ、常にそういったものが手に入る、そして皆さん方の手元に配布できるような形で徹底を図っていっていただきたい、そのように考えます。
 先ほどから申し上げているとおり、法律を守るという意味では、今のところは大変重要なポイントであると思いますが、一方で、今の日本の文化的な生活の中では全く現状に即していないというのも事実でございます。正直申し上げまして、地元のお祭りやさまざまな会合、例えば結婚式は、本人が出席の際は、公職の候補者は認められているという現状はありますけれども、それ以外の祝賀会においても基本的には、会費を載せず、行く側がその中身を推しはかって包んで持っていく--お互いの理解のもとに具体的にいわなくてもわかっていくという、これ、日本的な美しい考え方だと私は思いますし、それが本当の日本の文化でございますけれども、これは、今の公職選挙法でいけば当然許されない行為となってしまいます。ですから、逆に公職選挙法の方が今の社会の常識に合っていないだろうというところも多々あるのではないかと考えます。それ以外にも、例えば今の選挙の運動は当然選挙期間中に限られているわけでございますが、どの公職の候補者に聞いても、日常の政治活動の中で選挙を意識していないことは全くなく、当然、意識しながらも、それが選挙活動とならないように気をつけながら活動をしているというのが現状でございます。
 そういったところで、最初に申し上げました公職選挙法の本来の本質的な意味であります、だれでもが普通に選挙に平等に参加できるという状況を担保した上で、現実の今の世の中に合った形で公選法を変えていくという必要もあります。これは当然のことながら、政権与党になりました我々民主党の中でも議論として挙げていかなきゃなりませんが、現実の具体的な方策を行っていらっしゃいます選挙管理委員会、区市町村の選管から都道府県の選管までの方々というのは、具体的な内容として、現場で、今の公選法と現実の世の中というのが合っていない部分があるというのは、実感として生まれるところはきっとあると思います。
 そういった分野について、所管である総務省に対して、ぜひ意見をいって変えていくといったことも、あるいは方向性を持ってもらうということもやっていっていただきたいと思うんです。
 そういったことについて、これまで取り組んできたこと、そして今後ともどのようにやっていくのかということを、確認のためにお伺いいたします。

○矢口選挙管理委員会事務局長 公職選挙法は、昭和二十五年の制定以来、その時代時代の政治的、社会的経済情勢を反映しまして、幾度も幾度も改正されてきたところであります。
 東京都選挙管理委員会ではこれまでも、四十七都道府県選挙管理委員会で組織します都道府県選挙管理委員会連合会とともに、国に対してさまざまな改正の要望を行ってまいりました。
 最近の結果を申し上げますと、平成十五年の期日前投票制度の導入、あるいは平成十八年の国外におきます不在者投票制度の創設など、公職選挙法の改正が行われたところでございます。
 今後とも、高齢化の進展など社会情勢の変化に対応して、国民一人一人の参政権が確保できますように、引き続き国に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。

○淺野委員 ぜひとも、現実に即した形の中での普通選挙が実行されますように、現場からの意見もぜひお伝えしていただきますようお願いいたします。
 選挙管理委員会のお仕事というのは、当然のことながら、選挙を監視する立場でありかつ事務的な仕事もされていく、そういったところであるとは思いますけれども、何よりも大切なのは、有権者側から見て選挙というものが行きやすい、そして政治家というものが近くに感じられるような制度になっていくこと。そして、逆に政治家側から見て、選挙というものが取り組みやすく、有権者の皆様に対してさまざまなことをできるだけ低コストで伝えられる環境を用意していただくというのが、選挙管理委員会の方々にぜひともお願いしたいことでございます。
 どうかこれからもそういった理想的な選挙の実現に向けて、ご努力をお願いいたしたいと思います。
 私の質問はこれにて終わらせていただきます。

○田中委員 引き続き、私からも選挙管理に関しまして何点か質問させていただきます。
 選挙が行われるごとに、投票率がどうなるかということが大変注目をされます。
 一つには、投票率によって選挙結果にも大きく影響するという点もありますけれども、基本的には、投票権、参政権というのは、二十歳以上の国民に与えられた憲法でも保障されている貴重な権利であります。また、貴重な参政権を得るに当たりましても、明治時代の多くの先人たちの命をかけたさまざまな努力の結果として、今日の参政権が得られているということもしっかりとかみしめていく中で、その権利の行使をすべきだろうというふうな思いをしているところでございます。
 また、いうまでもなく日本は間接民主主義の国家でありまして、選挙を通じて選ばれた議員によって国会や地方議会が構成されており、国や地方自治体の運営が行われているところであります。そのような視点から、より多くの民意を反映した議会構成であるかどうかが真の民主国家につながる、そういうこともいえるかと思いますので、そういった視点からも、まさに投票率の向上といったものは大変重要な課題だろうというふうに思っております。
 決して、何というのでしょう、政治的な思惑というものは一切挟まずに、客観的、公平的な視点からも、多くの国民の方々に政治に参加していただく、そして投票率が向上するということを我々も望んでいるところであります。そしてまた、行政の皆様にもその貴重な国民の権利を行使しやすい環境を整えていただく、そういう視点からも、選挙管理委員会、選挙管理委員会事務局の皆様のさらなるご尽力を期待しているところであります。
 本年も、私ども東京都議会議員の選挙が七月に行われました。投票率の向上に向けましては、先ほどの質疑にも少し出ておりましたけれども、いろいろなご努力もこれまでしていただいております。例えば投票時間の延長、あるいは投票所の増設などもありましたし、最近では、今もお話出ておりました期日前投票といったものが導入されてきております。
 そこで、今回の都議会議員選挙の投票率あるいは期日前投票での投票者数が、前回の都議選と比較いたしましてどのような結果だったのか、まずお伺いしたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 期日前投票は、平成十五年の公職選挙法の改正により導入されまして、投票日当日に仕事や用務の都合で投票することが困難な有権者は、選挙の告示日の翌日から投票日の前日までの間に投票することができるようになった制度でございます。
 ことし七月に行われました都議会議員選挙の投票率は五四・五%と、前回の四四・〇%から比べまして一〇・五ポイントの増となったところでございます。特に、期日前投票の投票者数につきましては、前回の四十七万八千人に比べまして、今回は八十七万五千人と、約一・八倍も増加しており、投票者総数に占める割合は一五・三%となってございます。

○田中委員 今も具体的な数字を挙げていただきましたが、この期日前投票が着実にふえてきているその背景には、投票所の増設、あるいは啓発活動も功を奏した結果なんだろうということでございます。そしてまた前回の投票率と比較しますと一〇・五ポイント上がっている。これは多分に、期日前投票が導入された一つの大きな成果なんだろうというふうに思っております。
 今後、このような視点からも、期日前投票がさらに国民の皆様に理解をしていただいて浸透され、そしてまた投票率につながる、そのこともある意味期待をしているところでございます。選挙のあり方というのは、いわゆるライフスタイルの変化にも対応していかなきゃいけませんし、国民の方々が参政権、投票権を行使しやすい環境づくりのために、今、さらなるご尽力をいただきたいと思っております。
 一方で別の視点から、この期日前投票のことについてお伺いをしたいと思います。確かに投票率の向上に向けては、期日前投票の制度が大きく貢献されていると認識をしておりますが、一方でこの制度を導入するに当たっての経費がどれぐらいかかっているのか、そんな視点からもちょっとお伺いをしたいと思います。
 期日前投票所に要した経費及び選挙人一人当たりの経費は幾らぐらいだったのか。また参考までに、当日投票も含めた投票所経費の総額及び当日投票における投票者一人当たりの経費についてもお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

○矢口選挙管理委員会事務局長 今回の都議会議員選挙におけます投票所に要した経費でございますけれども、まず七月十二日投票日当日の投票所は六十二区市町村におきまして千八百六十九カ所ありまして、それに要した経費は約十二億七千万円でございます。七月四日から十一日までの期日前投票所につきましては二百七十二カ所でありまして、その経費は約三億七千万円となっております。これらを合算した投票所経費の総額は約十六億四千万円でございます。
 今、委員からお話がありました投票者一人当たりの経費でございますが、当日投票所と期日前投票所の経費を投票した人で割ってみますと、当日投票所では約二百六十五円であり、期日前投票所では約四百十八円となってございます。

○田中委員 今、数字をいただきましたけれども、期日前投票と当日の通常の投票日に投票するときの、投票所を開設するコストということでお伺いをしましたが、これ、比較してどのように判断をするかというところでありますが、当日投票が約十二億七千万、期日前投票が三億七千万。期日前投票が当日の約四分の一ぐらいかかっているということの評価でありますが、確かに期日前投票は投票率の向上につながっているという効果がある一方で、経費は、比較しますと、若干といえるのか相当といえるのか何ともいえませんけれども、逆に、投票日に投票するよりもより多くのコストがかかってしまっている。
 ある方からいわせれば、民主主義を実現していくためには経費はかかってしまうもんだという意見もあります。その辺のいわゆる費用対効果といったものも、まだこの期日前投票が始まって数回の選挙しか行われておりませんので、この部分はぜひ、経費に対する効果がどのようにあらわれてきているのか、投票率が、どのように結果が出てきたのかということもあわせて、これは、しっかり検証していくべき今後の課題なのかなというふうに思っておりますので、要望といいますか、問題提起とさせていただきたいと思います。
 さらに、この期日前投票について、また別の角度からお伺いをしたいんですけれども、これまで我々の都議選でいえば、九日間の選挙運動があった後の十日目に投票日があった。またこの八月には衆議院選挙が行われましたけれども、十二日間の選挙運動があった後に投票日があったということで、本来の選挙のあり方からすれば、ある一定期間の選挙運動を通じてその選挙運動をしっかりやり終えた後に、つまりは有権者に対して、個人なりあるいは政党の主義主張をしっかりと浸透させた上で投票日を迎える、それが本来の選挙としてのあるべき姿なんだろうと思います。
 しかし、今もお話ありましたように、期日前投票が既に浸透して大分活用されてきておりますし、今後この傾向からすれば、さらに期日前投票の割合がふえてくるのかな。そうしますと、都議選でいえば九日間、衆議院選でいえば十二日間の選挙運動を通じて、しっかり有権者の方々に主義主張を訴えた後の審判を仰ぐという行動から、選挙のあり方そのものも、期日前投票が進んでくることによって大きく選挙運動の内容も変わってきてしまうのかな、変わらざるを得ないのかなというふうな思いがしているところであります。そういったことも踏まえ、いかにして、期日前投票という制度を有効に生かしながら、また正確に立候補者側の思いも有権者に伝え、正確な情報を得た上での判断を仰いでいくか。そのことが、今後の選挙制度の大きな課題になってくるのかなというふうな思いがしております。
 そこで、じゃあ、選挙期間の前の事前活動の中でどのようなことが取り入れられるのか。そういったことは、ある意味我々サイドの課題でもある一方で、また公職選挙法のもとでの大きな制約があるということで、今後の経過の中でいろいろな対応がなされるんだろうと思いますが、いま一つ具体的な思いをしている中では、公示日を迎えて早い段階からしっかりと有権者に我々の主義主張を訴えていく、その一つの方法として、今インターネットが相当普及されてきております。今後、投票日を迎える前の段階で投票の意思決定をする有権者に対しましては、インターネットを通じて我々の主義主張をしっかり伝えていく、これも大きな効果のある方法ではないのかな、そんな思いもしております。
 そこで、お伺いをしたいんですけれども、インターネットを活用した選挙運動に対しての、選挙管理委員会としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 現在、公職選挙法では選挙運動に使用できます文書図画について定めがあり、ポスターやはがきなどに限定されておりますので、インターネットを使用した選挙運動は禁止されているところでございます。
 しかしながら、インターネットにつきましては、候補者が有権者に対しまして政策等を迅速かつ詳細に伝えることができ、そのことは有権者にとっても大変大きなメリットでありますので、またさらに、比較的低廉な費用で開設、維持が可能であるということから選挙運動の一つの有効な方法であると考えております。
 このため、都道府県選挙管理委員会連合会を通じまして、平成十九年より、インターネットを使用した選挙運動ができるように、公職選挙法の改正を国に対して要望しているところであります。本年度も引き続き、全国の選挙管理委員会と連携をとりまして、法改正の要望をしていきたいと考えております。

○田中委員 今回の都議選でいえば、国政の選挙も近かったということもありまして、本来の東京都政の課題が争点とされた選挙というよりも、むしろ、その後に即行われるであろう衆議院選挙と関連づけられたマスコミ報道が多かったために、またマスコミ報道では都議選が衆議院選の前哨戦であるかのような報じられ方をしてしまい、我々からすれば、都政の課題とは全く関係のない次元での判断を有権者の方からされてしまったのかな、実はそんな思いも個人的にはしているところであります。
 我々は、九日間という限られた選挙期間の中で--そうではなく、東京都政の抱えている課題はこうだ、石原都政に対する評価の審判を仰ぐ選挙である、ということを盛んに、九日間を通じて主張してまいりました。それをしっかり聞いてくださった方には、ある一定の理解も得ていただいた後の投票をしていただいたんだろうと思いますが、前段にお話をしております期日前投票がどんどん浸透してくるとなると、まさに我々の主張というよりも、むしろマスコミの報道の情報を主に判断材料として投票行動を起こす方々がますますふえてしまうのかなと、そんな思いもしております。
 ですから、決して期日前投票に対する否定的な考えを持っているわけではありませんけれども、その時代時代のライフスタイルや社会状況に応じた選挙制度というものも、正確に民意が反映できるような選挙制度を期待をしているところでありまして、そういった視点からは、ぜひ東京都選挙管理委員会の皆様には、国に対してもそのようなお立場からしっかりと、より民意の反映される選挙制度確立に向けてのご努力をいただきたいと思っているところであります。
 以上で質問を終わります。

○西崎委員 ことしは都議選、衆議院選挙と、先ほど来お話がありましたけれども、二回の選挙があり、いずれも前回を上回る投票率でした。
 選挙は、市民にとって政治に対する意思を表明するチャンスであり、できるだけ投票率を上げ、民意を反映していくことが大切です。しかし、若者など、選挙に関心がないことから、投票率の低下が大変心配されています。
 その中でも、過去の選挙では高齢者の投票率は常に高いと聞いています。そこで、最近行われました選挙における年代別の投票率についてお伺いいたします。

○矢口選挙管理委員会事務局長 ことし実施しました都議会議員選挙と衆議院選挙の年代別の投票については現在調査中でございますので、平成十九年七月に実施しました参議院議員選挙の年代別投票率で申し上げたいと思っていますが、まず参議院議員選挙は、全体の投票率は五七・九%でございました。
 年代別投票でございますが、事業概要の二〇ページにこのような表があります。これを言葉で説明しますと、まず十九年七月の参議院議員選挙でございますが、年代別に二十歳代が三五%と最も低く、三十歳代は四九%、四十歳代は五九%、五十歳代は六八%、六十歳代は七六%、七十歳代以上は六八%となっておりまして、特に高齢者の投票率を見てみますと、六十五歳から六十九歳までの投票率は七七・一%となっており、全体の投票率と比べ約二〇ポイント上回っております。
 このような高齢者の高い投票率は、年代別投票率の調査を始めました昭和五十年代から変わっておりませんで、高齢者の投票率が全体の投票率を大幅に上回っている傾向にございます。

○西崎委員 六十五歳以上の高齢者の方の投票率が高いということは、今のデータを見せていただいてよくわかったんですけれども、医療や福祉など、自分たちの生活に大変不安を感じているからでしょうか、高齢者の投票率が非常に高くなっています。
 しかし、高齢者の方の中には、きょうはお天気が悪いから投票に行けないとか、足が痛くて出かけられない、あるいは最近よく相談を受けたのは、認知症のために本人が投票できるかどうかわからないといった、家族からのご相談とかの声も聞きました。都市の高齢化に伴いまして、その声は年々多くなってきたように思います。
 歩行困難や、介護が必要であり、身体的な理由で投票所に行けない人に対しても投票する権利はあるはずです。先ほども障害者の方のお話が出ていましたけれども、このような人たちに対して、どのように投票する権利が守られているのか、伺います。

○矢口選挙管理委員会事務局長 高齢者の投票についてでございますが、高齢者のうち投票所へ行くことが困難な方々の投票につきましては、現在、公職選挙法では二つの不在者投票制度がございます。
 一つは、選挙管理委員会が指定した老人ホーム等に入所している方々につきましては、その施設において投票することができます。もう一つは、自宅で介護等を受けている高齢者で介護保険法の要介護五と認定されている方々や、身体障害者手帳の、両下肢、体幹、移動機能障害が一級または二級の方々につきましては、郵便等を利用して投票することができるようになってございます。

○西崎委員 今のお話を伺いますと、高齢者の場合、介護度五であれば郵便を利用した投票制度が利用できるということになっていますけれども、私は、本当にこの基準だけで判断できるのか疑問に思うところです。
 介護度五以下であっても、歩行困難であったり、投票に行けない人たちはいるのではないかと思います。
 そこで、このような基準を見直していくべきではないかと思いますけれども、見解をお聞かせください。

○矢口選挙管理委員会事務局長 今後、ますます増加していきます高齢者を含めまして、一人一人の投票する権利を確保していくのは大変重要だと考えてございます。
 自宅において郵便等により投票ができる高齢者の基準は、先ほどご説明申し上げましたように要介護五の認定等を受けていることが必要な条件となってございます。しかしながら、現在、委員のお話がありましたように、要介護五の認定を受けていない方であっても、投票所へ行くことが困難な方々がたくさんいらっしゃいます。
 このため、都道府県選挙管理委員会の連合会というところと一緒になって、国に対して、郵便等投票ができる対象を要介護四の方々にも拡大するように、これまで要望しているところでございます。
 今後とも、投票所へ行くことが困難な方々の投票機会の確保のために、さらに強く働きかけてまいりたいと考えております。

○西崎委員 今お話、高齢者の場合だけ伺ったんですけれども、公職選挙法ができて、もう五十年以上経過して改正されていますけれども、本当に今の時代に即した法律であるのかどうか、いま一度見直す時期に来ているんではないかと思います。
 投票率を上げるためには、どのような市民でも投票に行ける方法や、また先ほども期日前投票のお話がありましたけれども、早くから有権者が候補の情報を得やすい、関心が持てるような情報提供のあり方、例えば戸別訪問やインターネットによる選挙運動を自由にすることも、私は、検討課題だと思います。
 みんなが参加できる選挙を実現するためにも、国にも要望していただくことを申し述べまして、質問を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○小磯委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○宮川任用公平部長 東京都人事委員会は、去る十月九日に都議会及び都知事に対しまして、地方公務員法第八条、第十四条及び第二十六条の規定に基づき、一般職の職員の給与について報告及び勧告を行うとともに、同法第八条の規定に基づき、人事制度等について報告をいたしました。
 本日は、お手元に、この勧告等に関する資料として資料第1号、平成二十一年人事委員会勧告等の概要及び、資料第2号、職員の給与に関する報告と勧告を配布させていただいております。これから平成二十一年職員の給与に関する報告と勧告につきまして、資料第1号の概要に従ってご報告をさせていただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、資料の一ページ、一番上の四角い枠の中、1、ポイントの欄をごらんください。
 ことしの勧告の大きな特徴は、昨年からの景気の急速な悪化による民間の厳しい賃金雇用情勢を反映して、例月給、特別給ともに引き下げ、年間給与は平均でマイナス十七万六千円と、過去最大の減少となったことでございます。ちなみに、例月給、特別給ともに引き下げるのは、平成十五年以来六年ぶりのことでございます。
 まず、例月給につきましては、ことし行った実態調査の結果、都職員の給与が民間従業員の給与と比べて額にして一千四百六十八円、率にして〇・三五%上回っていたことから、この公民較差を是正するため給料表の引き下げを勧告いたしました。
 ごらんいただいております枠のすぐ下の2、職員と民間従業員の給与比較のところに、比較の方法と結果をお示ししてございます。これにより、給料表のプラス改定がなかったのは、改定を見送った年も含め平成十二年以降十年連続となります。
 また、この給料表の引き下げに当たりましては、職責の反映と昇給カーブのフラット化を重視して改定を行っております。この点につきましては、少し具体的にご説明をさせていただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、二ページをお開き願います。(2)、改定の概要のア、給料表とイ、諸手当の欄をごらんください。
 イ、諸手当の欄にあります地域手当につきまして、平成十八年の勧告において、国との制度的均衡を図るため、平成二十二年度に支給割合が国と同様の一八%となるよう段階的に引き上げを図るとともに、その引き上げに見合う給料月額の引き下げをあわせて行うこととしております。
 ことしの地域手当の支給割合は、一六%から一ポイント引き上げ一七%にいたしましたので、ア、給料表の欄に記載がありますように、先ほど申し上げました公民較差分〇・三五%を加えて、給料月額を計算し直しますと、平均一・二%引き下げる必要が出てまいります。
 その引き下げに当たりましては、職責、能力、業績をより一層反映した給料表構造とする観点から、給料月額を一律に引き下げるのではなく、高齢層は平均より強目にマイナス一・五%まで引き下げる一方で、初任給付近の改定率は〇・〇%とするなど、若年層や管理職層の引き下げは弱目としております。ただし、医師に適用する医療職給料表(一)につきましては、医師の人材確保を図る観点から引き下げ改定を行わないことといたしました。この点につきましては、後ほど詳しくご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、いま一度、一ページの1、ポイントのところにお戻りいただきたいと存じます。
 特別給、いわゆる賞与につきましては、ことし行いました実態調査の結果、民間従業員の支給割合は四・一五月であり、都職員の支給月数四・五〇月を〇・三五月下回っておりました。このため、特別給の支給月数につきまして〇・三五月の引き下げを勧告いたしました。
 具体的な改定内容につきましては、恐れ入りますが、二ページの(2)、改定の概要のイ、諸手当のうち特別給の欄をごらんいただきたいと存じます。
 特別給の改定に当たりましては、業績が反映される勤勉手当は年間支給月数一・〇〇月ありますが、そのまま据え置きまして、期末手当を三・五〇月から三・一五月へと〇・三五月引き下げることといたしました。
 なおことしは、五月の臨時会でご審議をいただきまして、六月期の期末手当の支給を〇・二〇月分凍結する特例措置を講じております。このため、引き下げ月数〇・三五月から凍結しました〇・二〇月を減じた〇・一五月を、三月期支給いたします期末手当から差し引くということといたします。また、特別給の支給期につきましては、国や他団体が六月期、十二月期の年二回としていることなどを考慮いたしまして、都におきましても平成二十二年度以降は六月期、十二月期の年二回とし、年間支給月数を配分し直すことといたします。
 なお、勧告に伴う給料表及び諸手当の改定には給与条例の改正が必要でありますので、例年第四回定例会で条例改正の審議をお願いいたしております。仮にことしの十二月中に改正給与条例の公布が成りますと、(3)、実施時期等のところでお示ししておりますとおり、来年一月一日から実施に移されることになります。
 その場合の、ことし四月から十二月までの給料等の公民較差相当分につきましては、来年の三月に支給される期末手当によって調整され、全額解消されることになります。
 以上、勧告のポイントについてご説明させていただきました。
 恐れ入りますが、三ページの上から四行目、イ、住居手当制度のあり方の検討をごらんください。
 国家公務員の住居手当につきましては、八月の人事院勧告で、自宅に係る手当が廃止され、今後は借家、借間に係る手当のみ支給することとされました。
 一方、都の住居手当につきましては、職員の住宅事情等から、自宅と借家、借間の別を設けていないなど、制度の趣旨や支給要件が国とは異なっております。このため、ことしは見直しを行わないことといたしましたが、昭和四十五年の制度創設以来ほとんど見直しが行われていないことから、国の見直しを契機に、今後の住居手当制度のあり方について検討していくことといたします。
 続きまして、(2)、各給料表の課題に応じた取組のア、医療職の給与の見直しの欄をごらんいただきたいと存じます。
 まず医師につきましては、全国的に人材不足が深刻化する中、国や各種医療機関において処遇の改善が図られており、都においても、これまで諸手当などの見直しを重ねてきましたが、ことしは医師の給料表について引き下げ改定を行わないことといたしました。今後は、各種の医療機関における医師の処遇を、都の医師の給与に的確に反映する手法を検討してまいります。
 次に、看護師や助産師などその他の医療職の給与につきましても、人材確保の観点から、給料表を、職務の専門性をより重視したフラットな昇給カーブへ転換していく中で効果的な初任給水準を確保するなど、見直しに取り組んでいくことといたしました。また、看護師、助産師の採用制度につきましても、5、(1)のア、多様で有為な人材の確保に向けた取組の推進の(イ)、看護人材の確保に向けた取組にありますように、受験資格の拡大や試験、選考内容の簡素化など、抜本的な見直しを行うことといたします。
 そのほか、人事制度及び勤務時間制度等に関する報告(意見)につきましては、三ページから次の四ページにかけまして記載してございます。
 首都東京の将来を見据えた実効性の高い施策を着実に実施していくためには、高い資質と志を持つ首都公務員を確保するとともに、次代を担う職員を計画的に育成していくことが重要となっております。このため、(1)、今後の人事制度のあり方のところでは、有為な人材の確保に向けた取組の推進や個々の職員の適性、能力、経験等に着目した育成の重要性などについて言及をしております。
 四ページにあります(2)、職員の勤務環境の整備のところでは、超過勤務の縮減や仕事と子育ての両立支援のための取り組みに加え、職員の心の健康保持の観点から、パワーハラスメント問題の研究や検討の必要について述べております。
 また(3)、公務員倫理の確立では、職員に、公共のために働く誇りや高い倫理観を持って行動することを求めております。
 最後に五ページでございますが、参考といたしまして、人事院勧告との比較や大都市(十八政令市)の勧告状況、モデル給与例などについてお示しをしてございます。ちなみに、ことしの勧告が完全に実施されますと、一番上の表にありますように、職員の平均年収は行政職給料表(一)でマイナス十七万六千円、このことは冒頭でも、ことしの勧告の特徴として申し上げておりますが、人事委員会勧告が始まって以来、最も大幅な減額となります。
 なお、お手元に配布させていただいております資料第2号、職員の給与に関する報告と勧告の冊子には、今回の勧告等の全文が記載されておりますので後ほどごらんいただければと存じます。
 以上、簡単ではございますが、平成二十一年職員の給与に関する報告と勧告についてのご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○小磯委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、事務事業に対する質疑とあわせて行いますので、ご了承願います。
 なお、事務事業につきましては、既に説明を聴取しております。
 これより事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 ご発言を願います。

○山口委員 私からは、平成二十一年職員の給与に関する報告と勧告について、お伺いをさせていただきたいと思います。
 地方公務員の給与は、申し上げるまでもなく、職務とその責任に応じて支払われるものであり、生計費並びに国や他自治体の職員、そして民間の従事者の給与などの事情を考慮して定められるものであります。
 ことし五月、都の人事委員会は、景気後退により民間の夏季一時金が急激に減少するとの見通しを受け、独自の調査を行うことなく、特別給を一時凍結するとした臨時勧告を行いました。この臨時勧告を受け、都議会民主党は、人事委員会が給与勧告を行う際には、安易に国に追随するのではなく独自の判断を行うべきであり、本勧告に当たっては民間給与を精緻に調査をし基礎データをしっかり把握した上で行うべきと指摘をさせていただきました。
 本日は、こうした我が党の主張を踏まえて、都人事委員会が今回の給与勧告をどのように検討してきたのか、確認をさせていただきたいと思います。
 一般に人事委員会が給与勧告を行うに当たっては、必要なデータを得るための調査を実施し結果を分析、検討するなどの手順を踏んでいくと聞いています。今回、都人事委員会の職員が一千六十六の事業所を対象に、人事委員や特別区人事委員会と分担をしながら直接給与事務担当者との面談の上、調査票の記入を行ってきたということであります。
 この民間給与実態調査は、いつから、どのくらいの人数で、どの程度の期間を通して行われたのか、お伺いをします。

○宮川任用公平部長 ただいまの山口理事のお話にもございましたように、民間給与実態調査は、人事委員会事務局の職員が直接出向きまして、民間事業所の例月給や特別給の支給実績について調査を行うものでございます。
 ことしも五月初めから七月末までの三カ月間にわたって実施をいたしました。都人事委員会では、事務局の管理職を含む約二十名の職員が中心となりまして、担当する職務と折り合いをつけながら、先方の都合に合わせて出かけていき調査を進めました。調査事項も相当な数に上りますので一回で完了するのは極めてまれなことでございまして、何回か足を運んで調査票を記入していくことになります。
 都が分担をいたしました約三百五十事業所を、職員一人当たり平均十八事業所を担当して調査を終えた次第でございます。

○山口委員 それだけの回数足を運ばれているわけですから、景気が極めて悪い中、人事委員会の職員の皆さんが実際に調査を行ってみて民間事業所の状況をどのように感じられたのか、これをお伺いしてみたいと思います。

○宮川任用公平部長 ことしは、調査の依頼に対しまして、業務多忙を理由に消極的に対応する事業所が例年になく多くございました。
 表向きは業務多忙ということになりますが、その裏には、景気が悪いために経費を少しでも抑えるという目的で、直接企業の収益にはつながらない給与、あるいは経理といった間接部門の体制を圧縮しているようなところもございます。企業の担当者といたしましては、煩瑣な調査に余りかかわりたくないという気持ちが働いているというふうに思われます。
 こうした景気悪化の激しさ、厳しさを実感する中で、調査にご協力をいただくため、職員の根気とかなりの時間を必要といたしました。
 その結果といたしまして、一千六十六の対象事業所のうち八百三十三事業所についてご協力をいただき、精緻な公民比較を実施し得る基礎データを確保できた次第でございます。

○山口委員 さて、生計費や経済雇用情勢といった指標も、分析に関して重要な位置を占めているわけであります。生計費は、四年前と比較をして特に保健医療、交通、教育などの費用が上がるなど、合計額は上昇しています。
 一方、都内の労働経済指標では、支給給与がことしに入って前年比で六カ月連続の減少が続き、六月時点で有効求人倍率は〇・六二にまで下がり、完全失業率も四・八%に上昇するなど、雇用情勢も悪化をしています。
 こうした中で、都内の民間企業における給与改定や雇用調整がどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

○宮川任用公平部長 民間給与実態調査の結果によりますと、まず給与改定について、ベースアップを実施した事業所の割合が一二・七%と、昨年の二六・六%に比べ半減いたしております。また、定期昇給を実施した事業所の割合も昨年より減少をしております。
 採用の停止、抑制や残業の規制、非正規社員の契約更新の中止、解雇などのいわゆる雇用調整等を実施した事業所の割合が四七・五%となっており、昨年の一四・三%に比べ大幅に増加をしております。こうした調査からも、民間の賃金雇用情勢については極めて厳しい状況にあると認識をいたしました。

○山口委員 先ほどの質問、そして今の質問を踏まえて聞いてきても、民間の置かれている経済状況そして雇用の状況というのは極めて厳しいということが、皆さんが調査の上で肌で感じられ、そして数字にもまさに今あらわれてきている中だと思います。
 そんな中、人事委員会では、各種データを踏まえて給与勧告に向け審議を進めてきたと思いますが、それでは、五月の臨時勧告の総括も含め人事委員会においてどのような議論が行われたのか、お伺いをしたいと思います。

○宮川任用公平部長 人事委員会では、民間給与実態調査等で得られました各種データの集計分析結果を踏まえまして、八月から十月の勧告直前までの間、勧告に向けた審議を七回実施いたしております。
 七回の審議を概括いたしますと、第一回及び第二回において、審議のベースとなる職員給与及び民間給与に関する実態調査の集計、分析結果等について点検、確認を行いました。第三回からは本格的な議論に入ったわけですが、各人事委員の疑問や指摘にも対応しつつ、例月給や特別給の改定方針、採用制度を初めとする人事制度のあり方、超過勤務の縮減を初めとする勤務環境の整備に係る課題等について活発な議論を展開し、考え方を整理いたしました。
 審議を通じて各委員から出された意見を二、三ご紹介させていただきますと、公民較差を解消し、職員給与を民間給与と均衡させる必要があるという意見がございました。また、国が制度改正した住居手当の取り扱いについては、国と都の制度の相違などから今回は見直さないにしても、今後の制度のあり方は検討していく必要があると、こういう意見がございました。
 また、先生お尋ねの五月の臨時勧告についてでございますけれども、この臨時勧告におきましては、各種の調査結果をもとに六月支給の特別給を〇・二〇月分凍結する特例措置を講じたことは、今回の調査結果からも適切であったといえるのではないかと、こういった意見も出されたところでございます。

○山口委員 東京における状況というものを伺ってきているわけなんでありますが、先ほどご説明がありました資料第1号、概要の五ページを拝見いたしますと、大都市(十八政令市)の勧告状況というものがあるわけなんですが、公民較差は名古屋市がマイナス二・九九%、静岡市でもマイナス〇・九八%と、地元の製造業の業績を反映してなんでしょうか、この東海地方は極めて特に厳しい状況にあるというのが見てわかるわけであります。
 それを初めとして、他の道府県においても一体どのような傾向が見られるのか、東京都では分析をされているんでしょうか。お伺いしたいと思います。

○宮川任用公平部長 他の道府県人事委員会の勧告における公民較差につきましても、政令市で突出をした傾向の見られた東海地方のほかにも北海道や東北、山陰といった地方で、都の三角〇・三五%を上回る厳しいところもございました。
 公民較差は、それぞれの地域の経済情勢等の実態があらわれたものであり、勧告に当たりましては、各団体において地域の実情を踏まえた判断がなされているものと考えております。

○山口委員 今ご説明があったように、政令市にしても他の道府県にしても、よく見てみれば、それぞれの地域の状況を反映して非常に厳しい状況にあることが見てわかります。
 また、同じページを見てみると平成十五年以来の勧告の推移が掲載されているわけでありますが、こうした勧告の推移も踏まえて見ていった中で、人事委員会としてことしの勧告を取り巻く状況についてどのように認識をされているのか、最後にお伺いしたいと思います。

○宮川任用公平部長 給与勧告は、職員の給与を社会一般の情勢に適応した適正な水準とする役割を果たしております。
 例月給について見ますと、平成十四年に初めてマイナス較差が生じて以降は、ほぼ毎年引き下げ改定となる厳しい状況が続いております。特に、昨年九月のリーマン・ブラザーズの破綻以降、世界的な金融危機を発端とした景気の悪化は、都内民間における賃金雇用情勢にも急激な打撃を与えました。
 このため、五月に人事委員会として三十五年ぶりに臨時勧告を行い、初めて特別給の支給を一部凍結いたしましたのに加え、今回、職員の平均年収が過去最大の減額となる勧告を行うに至るなど、ことしは例年になく極めて厳しい状況にあると認識をしております。

○山口委員 民間の経済状況、そして雇用の情勢というものが極めて厳しい状況にあるということが、今回の民間給与の実態調査の結果からも見てとれることがよくわかりました。そして私たちも、どういう状態にあるのかということをしっかりと理解をしなければならない、このように考えているところであります。
 一方、人事委員会の給与勧告は、都内の区市町村のみならず中小企業の給与改定にも大きな影響力を持つと私は考えております。このため、我が党としては、勧告の取り扱いについては、経済雇用情勢に与える影響も十分に考慮しながら慎重に検討していくことが必要であると考え、しっかりと今後努めていただくよう要望し、質問を終わります。

○古館委員 それでは、私も、職員の給与に関する報告と勧告について何点か質問します。
 昨年来の急速な景気悪化を理由として、人事委員会は、例月給それから特別給ともに引き下げて、年間給与は、資料第1に示されていますけれども十七万六千円のマイナスと、先ほどからるるありますように過去最大の減収を勧告しました。これは、五月の臨時勧告に引き続いて賃下げありきの勧告だ、このようにいわざるを得ません。
 そこでお尋ねですが、人事委員会事務局に対して組合からさまざまな要請などがあったと、このように思いますが、どのような内容の要請などがあったんでしょうか。

○宮川任用公平部長 古館理事のご質問にお答えいたします。
 人事委員会事務局では、ことしの勧告に向けまして、三月四日から勧告直前の十月二日まで計九回にわたり職員団体の代表から要請を受けております。人事委員会には、その内容を報告をしております。
 その主な要請内容についてでございますけれども、職員給与に民間給与を正確に反映すること、勧告の基礎となる民間給与実態調査の対象企業の規模を五十人以上から百人以上に見直して職員給与及び一時金を引き上げる改善勧告を行うこと、国とは制度的に異なる住居手当については引き下げや廃止の勧告はしないこと、超過勤務縮減のための実効ある取り組みを推進すること、仕事と子育ての両立支援策やメンタルヘルス対策の充実を図ることなど、多岐にわたっております。

○古館委員 職員給与に民間給与を正確に反映することということと同時に、今お話がありましたけれども、この民間給与実態調査は対象企業の規模が五十人以上なわけですよね。組合の方は、この問題について少なくとも百人以上にしてもらいたいと。もともと、いわゆる東京都の公務員の人数というのは物すごい多いわけですから、こういう状況の中で五十人以上というのが適切かどうかということはやっぱり論議のあるところだし、組合としてこの点で見直しをする必要があるという点は私は理解できますし、また、住居手当について引き下げるとか廃止というのは、もともと住居というのはある意味で固定した金額で来るわけでありまして、それを下げるとか下げないとかというのは、給与の問題ですからもちろんあり得ないことじゃないんだけれども、住居手当などをこういうふうに引き下げだとか廃止だとかということについてはやっぱりすべきではない、なじまないと、こういうふうに私なんかも思いますね。
 それで、仕事と子育ての両立支援策だとかメンタルヘルス対策の充実ということについては、これ今、本当に深刻な問題として起こってきている。こういう問題についてはやっぱり東京都などが率先して、どのようにしてこの子育ての両立支援、メンタルヘルス対策--これはやっぱり先駆的に東京都としてやっていかなければならない仕事だというふうに認識をしておりまして、充実を図っていくという点でも、私も含めて強く求めておきたいなと思っております。
 そこで二つ目の質問ですけれども、組合からの切実な要求は、まさしく生活実感に基づいたものであって真摯に受けとめるべきだと考えております。人事委員会は一連の要求をどのように受けとめ、勧告に反映したんでしょうか。

○宮川任用公平部長 人事委員会の勧告制度は、申し上げるまでもない話でございますけれども、職員の労働基本権制約の代償措置である。各人事委員はこうした基本認識に立ちまして、職員団体の要請を真摯に受けとめ審議を行っております。
 これまでも都人事委員会は職員の給与について、都民の理解と納得が得られるよう、民間給与の実態を的確に把握し、適正な水準を確保するため勧告を行ってきております。ことしも、民間従業員の給与をできるだけ広く把握し職員給与に反映させることが適当との判断に基づき、企業規模五十人以上でかつ事業所規模五十人以上の事業所について調査を行い、勧告の基礎といたしました。
 こうした人事委員会としての基本姿勢を堅持しつつ、職員団体の要請については可能な限りしんしゃくをしております。具体的には、住居手当について、国と都では制度の趣旨、要件や、職員の住宅事情が異なることから、ことしの勧告におきましては国と同様の見直しは行わず、ただし今後、制度のあり方を検討するとしております。
 また、超過勤務の縮減や、仕事と子育ての両立支援のための取り組みのさらなる充実、職員の心の健康保持の観点からパワーハラスメント問題の研究の必要、などについても言及をしております。
 今後とも、職員の給与を初めとする勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう、第三者機関として適切な役割を果たしていく考えでございます。

○古館委員 いわゆる公務員が、ずうっと職員の労働基本権が制約のまま、その代償措置としてこういう形で勧告がある、本来は、そういうような状況が私はない方が適切だと思っているんですね。だけれども、そういう意味での労働基本権制約の代償措置としての勧告として、いかにしてそこで働いている人の、いわゆる賃金を含めた、それこそ生活権を守っていくのか、こういう点では非常に大事な部分があると思うんですね。
 しかも、東京都のような大きな人員がいるところで、どれだけの賃金を引き上げるかということについては、それこそ東京全体の賃金ベースに大きな影響を与えていくものであって、私はそれをプラス要因に転化していかなければいけないなと、こういうふうに考えているものであります。
 ですから、先ほどもちょっと述べましたけれども、企業規模が五十人以上、事業所規模が五十人以上の事業所と、こういうような状況でして、その点について先ほどの答弁だと、職員団体の要請については可能な限りしんしゃくをしてきたということ、この問題については、ここで今そのようにいわれているとおりであります。
 具体的に住居手当の問題、先ほどちょっと私指摘をしましたけれども、国と同様の見直しを行わない、今後制度のあり方を検討するという点については、やっぱり職員の立場に立ったあり方の検討ということをぜひ求めておきたいと、このように思っております。
 超過勤務の縮減だとか仕事と子育ての両立支援、こういうための取り組みのさらなる充実ということも出された、これも貴重なことだと思っています。同時にパワーハラスメント、この問題の研究の必要性についても言及をしてきたという点は極めて重要なものだというふうに思いますので、これはぜひ、緊急な大きな課題として取り組みを進めていってもらいたいと思っております。
 そういう中で、今後とも第三者機関として適切な役割を果たしていく、こういうふうに今述べられましたけれども、その立場をぜひ堅持していただきたい。
 最後に私の意見でありますけれども、今回の勧告は、行革の名のもとで過重労働にあえぐ職員の生活を直撃するばかりか、都内企業が勧告に追随をしていけば景気のさらなる悪化を招いていくものでありまして、これは、負の連鎖を生じかねないやり方だというふうにいわざるを得ません。人件費削減ありきの行革では、官製ワーキングプアを生み出すだけで都民サービスの向上にはつながらない。人事委員会には、いたずらに政治に追随することなく第三者機関としての使命、役割、そうした責任を想起するように強く求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○小磯委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○小山委員 私からは、中学生の職場体験についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 中学生の職場体験につきましては、平成十七年度から東京都として全都的に実施されております。この職場体験が五年を迎えましたので、改めてこの質疑の場で、本来の当初の職業体験が持つ意義、あるいは目的について確認をさせていただきたいと思います。
 第一点目として、当初の、東京都として中学生の職場体験を始めた目的や経緯についてお伺いをいたします。

○浅川参事 中学生の職場体験は、若者の働く意欲が希薄になっているという社会状況を踏まえまして、若者の社会的自立を促進することを目指して、平成十七年度に都の重点事業として開始いたしました。
 この事業の目的は、都内全公立中学校の生徒を対象にして、五日間、学校を離れ、地域の商店、地元の民間企業、公的施設などの職場で実際に仕事を体験し、社会の一員として望ましい社会性や、勤労観、職業観を育成することでございます。
 推進体制といたしましては、産業団体、企業、区市町村や教育委員会等の行政関係者、学識経験者など、中学生の職場体験にかかわる団体、個人を構成員といたします中学生の職場体験推進協議会を設置いたしまして、中学生の職場体験の周知、機運の醸成、また受け入れ事業所の確保などを図ってきておるということでございます。

○小山委員 ご答弁ありがとうございます。
 今お伺いをいたしました中で、五日間、この中学生の職場体験は行われていると。また、当初の目的の中で、地域の商店や地元産業、こういったところで実際に職場体験をすることによって社会性や勤労観、また職業観を育成するということを目的とされているということでお伺いをいたしました。
 当初、大きな点として、やはり五日間実施をするということが、恐らく、今回東京都が取り組まれた、大きな職場体験の実施のポイントであろうと私は思っております。
 そこで、この五年間、五日間の実施を、目途として行ってきておりますが、実態としてどうなっているのかお伺いをしたいと思います。

○浅川参事 開始初年度でございます平成十七年度は、都内全公立中学校の四七%が参加し四万六百二名の中学生の参加でございましたが、昨年度は九九%の参加率で八万三百二十七名の中学生が参加し、実施対象学年の生徒がいないなどの特別な理由を除きまして、都内すべての公立中学校が参加してございます。
 受け入れ事業所の理解と協力、また学校の努力によりまして、五日間実施した学校は平成十七年度八十二校でございましたが、今年度は二百四十六校を予定してございます。
 なお、実施期間につきましては、当初、五日間の実施を目標として掲げて取り組んでまいりましたが、三カ年実施してきた中では受け入れ事業所の確保が難しい、そういうような場合がございました。
 また、平成二十年三月に改訂されました学習指導要領に職場体験が新たに位置づけられまして、その期間は五日間程度ということになってございます。そうしたことから、東京都としては平成二十年度より、実施期間を五日間程度として取り組んでございます。

○小山委員 ただいまのご答弁をいただきました中で、五日間という実施に向け、いろいろな、各学校やあるいは企業の協力によって、年々参加率が高まっているということはよくわかりました。
 しかしながら、今ご答弁の中にもありましたように、当初、目的としていたこの五日間の実施ということがなかなか大変厳しい実情にあるということ、これは、先般ちょうだいいたしましたこの東京都の中学生の職場体験の報告書の中にも、たくさん記載がされております。
 この実態として、たまたまくしくも私ども府中市の例が、この中にも掲載されております。府中市は、もちろん全校で取り組みをしておりますけれども、この取り組みの中の課題において、やはり五日間の実施というのが大変厳しいんだと。特に、各地域に根差した地元の商店街や、あるいは地域の企業ということでの受け入れが難しくなってきている、こういった実態が述べられております。
 これはどういったことかといいますと、府中市は、実は平成十七年よりさかのぼること五年前からこの職業体験、そもそもはチャレンジツーデーズという事業として実施してまいりました。このときは二日間の実施で、地域の企業あるいは地元商店街にたくさん受け入れていただきまして、大変この事業そのものの効果を得ていたわけであります。しかしながら、五日間実施をするという東京都の全都的な取り組みの中で、当初の、地域に根差している、地域の商店街や地域の企業での受け入れが、なかなか難しいという現状が出ております。
 具体例を挙げれば、例えば美容、理容の組合などでは、休みの期間がこの五日の中に必ず一日挟んでいるという現状などもありますし、あるいは、今の経済情勢の中で負担感があって、なかなか五日間の受け入れが難しいという現状があります。
 そこで、私の地元ではこういった声を聞いているわけでありますが、五日間程度という実施に変えられたということでありますけれど、地域の事業所がなかなか受け入れが難しいという現状が起きていないかどうか、このことについて確認をさせていただきたいと思います。

○浅川参事 地域の事業所等の中には、五日間の受け入れが困難な状況が見受けられるということは、私どもも産業団体の聞き取りやアンケートなどから承知をしてございます。
 それにもかかわらず今現在、中学生の職場体験の期間を五日間程度に設定している理由でございますが、一日、二日目は初めて大人の職場で一緒に仕事をするために緊張して過ごして、ようやく三日目、四日目に仕事にもなれ、自分でも考えられるようになる。五日目には自分なりに工夫をすることや苦しい中でも最後までやり遂げたという達成感、満足感を味わうことができる。そのことが、その生徒にとって次の成長へとつながっていくということを考えておるということから、そのように設定しておるということでございます。
 いわば、最初のうちはいわれたことを忠実に行う受け身の段階から、みずから考え能動的に動けるようになるまでには、やはり中学生という発達段階を考えた場合五日間程度は要するということでございまして、そのことは実際に実施してきた状況を見てもいえるのではないかというふうに考えております。
 そのため、生徒を五日間受け入れられる事業所を、やはり今後ともできる限り確保できるように努力をしていきたいというふうに考えてございます。

○小山委員 今お答えの中で、確かに五日間の成果、効果というのはよく承知をしているわけですけれども、しかしながら実態として、当初の目的でありました、地域の商店や地元の企業でさまざまな社会性だとか勤労観だとか職業観を育成をしていくんだという本来の趣旨から、実態が乖離し始めているんではないか、こういうことを感じたので、今回あえて質疑をさせていただきました。
 実際、府中市などでもそうですけれども、他の地域においても、私が聞く中では、もともと地元の商店街や地域の企業が受け入れていたところが、実態として、今はチェーン店であるとか公的機関が受け入れざるを得ない、あるいは受け入れているような内容に徐々に変わってきつつある、こういった現状があることを私はさまざまな地域から聞いております。
 こういった現状、本来、中学生の職業体験で求めてきた、その地域に根差した--キーワードは地域だと思います。その地域の社会や地域のコミュニティの中でこういった職業体験の事業を円滑に実施をしていくためにも、今後、この五日間程度の実施については地域の実情等を踏まえて柔軟な対応をすることが必要だと思います。そして、地域の連携を重視した内容となるよう都として考えるべきではないかと思いますが、その点についてのご見解をお伺いいたします。

○浅川参事 本事業の推進におきましては地域の事業所の理解と協力を得ることが大前提であり、必要不可欠でございます。そのため、職場体験発表会の中で事業所から指摘された課題について明らかにし、対策について協議するとともに、五日間程度の実施に向けて取り組んだ区市町村、学校、事業所での具体的な取り組み事例について職場体験報告書にまとめ、関係機関、関係団体等に配布し周知を図ってございます。
 地域の商店などでさまざまな事情により五日間の受け入れが難しいという場合も、委員お話しのとおり、現実にあるということも聞いておるのは先ほど申し上げたとおりです。そのような場合につきましては、中学生の職場体験では五日間程度が中学生の発達段階では必要であると、先ほど申し上げたことについてまずは十分ご説明し、ご理解をいただいた上で可能な範囲でのご協力をぜひお願いしたいと考えております。
 今後とも教育庁と協力し、区市町村、区市町村教育委員会、受け入れ事業所、学校との連携を図る中で、生徒にとってよりよい体験活動となるよう支援していきたいというふうに考えております。

○小山委員 今後、五日間程度という実施の中で地域の区市町村あるいは区市町村教育委員会、また事業所や学校とも連携を図っていくというご答弁ですので、ぜひともそういった地域の実情に合わせた職場体験事業というものが推進をされるように望んでおきたいと思います。
 そして、この報告書の中に、実際、五日間の職場体験を実現するに当たってということで具体的な事例が示されております。これは、複数の事業所をこの五日間の中に組み込んで実施をしていったり、そういった他の地域のさまざまな実情がこの職場体験の報告書の中にはあるんですけれども、やはりこういった地域の実情に沿う中でこの職場体験を実施していただきたいと思います。そして、本来の目的である、地域の社会あるいは地域のコミュニティの中でこの職場体験事業が実施されるように求めまして、私の質疑とさせていただきます。ありがとうございました。

○吉原委員 それでは、私の方からは、繁華街の安全・安心の確保についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 昨年、平成二十年の都内における刑法犯の認知件数は、ピークであったときの平成十四年の約三十万件のときから六年連続して減少してきました。そして、昨年では約二十一万件となっているわけでございまして、数字の上では東京の治安はかなり回復してきたのではないかなと、こういわれるようにまでなりました。我々自民党としても、治安の回復こそが都政の重要課題だというような思いの中で、都の皆さんと一緒に犯罪の起きにくいまちを一生懸命つくってきた、そんな思いをしているわけでございます。
 しかしながら、この数字とはまた裏腹に、都民の要望の第一位は五年も続けて治安対策となっているわけでございます。都民は東京の治安にまだまだ不安を感じている、そういう実態がこの調査の中にあらわれているわけでございまして、これも引き続きしっかりと対応していかなければならないなというふうに思っているところでもございます。
 ことしの四月は、東京都安全・安心まちづくり条例を改正いたしました。
 繁華街などにおける安全・安心の確保に関する規定を設けたところでございますけれども、広く多くの皆さんに知っていただく、そういう意味も含めて、改めてその改正の目的、趣旨、そしてその改正によって期待されるといわれている効果について、あわせてお尋ねをしたいと思います。

○伊東参事 都はこれまでも、安全・安心まちづくり条例に基づき、区市町村、都民等と連携し、安全・安心まちづくりの推進に取り組んでまいりました。
 委員ご指摘のとおり、都内における刑法犯認知件数は着実に減少しておりますが、残念ながら、都政への要望では治安対策が五年連続一位になっており、都民の体感治安の改善は大きな課題でございます。
 特に繁華街等においては、違法風俗営業や客引き、暴力団による資金獲得活動が繰り返されております。また、昨年は秋葉原や八王子などで無差別殺傷事件が発生するなど、繁華街等の治安に対する都民の不安が広がっております。
 繁華街等における安全対策を推進していくためには、行政、警察による対策に加え、事業者や地域住民等による自主的な取り組みが重要でございます。そこで、繁華街等の防犯力を高め、都民の体感治安を改善していくことが重要であるとの認識から、地域ぐるみの防犯活動を推進していくことを目的として条例改正を行ったものでございます。
 効果についてでございますけれども、条例改正による効果につきましては、条例とそれに基づく指針にのっとり、繁華街等において事業者や地域住民、区市町村、管轄の警察署等が連携し地域の実情を踏まえた地域ぐるみの防犯対策が推進されることで、繁華街等がより一層安全な場所となり、都民の体感治安の改善にもつながるものと期待しているところでございます。

○吉原委員 繁華街を含めた都内の安全・安心を確保して向上させ、都民の体感治安の改善につながる、このことはまことに時宜を得たものであるというふうに受けとめさせていただいているところであります。
 次に、条例にあわせまして、ことし四月より繁華街における安全対策の支援事業が実施されているわけであります。改めてではありますけれども、これはどのような事業なのか、お伺いをいたします。

○伊東参事 本事業は、繁華街ごとに防犯に取り組む組織、協議会を立ち上げ、事業者、地域住民、地元自治体、警察等が一体となって、防犯カメラ等の防犯設備の導入、防犯環境の整備、防犯パトロールの実施など、地域の実情に応じて行われるハード、ソフト両面からの安全対策を支援するものでございます。
 都は、こうした地域の取り組みを支援する区市町村に対し、必要な経費の二分の一の補助を、一地域約二千万円を限度に行うものでございます。今年度から三カ年で十五の地域を目途に事業の実施地域を選定することとなっており、それぞれの地域の取り組みが、今後、他地域における取り組み推進の参考事例になることも期待しているところでございます。

○吉原委員 都や区市町村、警察の取り組みに加えまして、地域のさまざまな団体や住民が自分たちの問題として防犯に取り組むことで、繁華街を初めとした都内全体の防犯力のさらなる向上にもつながる、そういうふうに思っているわけでございます。
 次に、本事業の今年度の実施地域を教えていただきたいと思います。

○伊東参事 本年度は、七月に、千代田区秋葉原駅周辺、墨田区錦糸町駅周辺、目黒区自由が丘駅周辺、豊島区池袋駅周辺、八王子市八王子駅北口周辺、立川市立川駅周辺の六地域を選定したところでございます。

○吉原委員 この六地域を選定していただいて、今、その事業を進めていただいているということだろうと思いますけれども、お話をいただきますと、二十三区そして三多摩においても共通項もあるし、またそれぞれの繁華街での特徴もあるんだろうと思います。そうした実情に合った対策がきっと進められているんだろうとは思いますけれども、それぞれの地域の事業の進捗状況をお尋ねいたします。

○伊東参事 現在、各地域において、防犯に取り組む組織、協議会を立ち上げ、事業者、地域住民、地元自治体、警察等が一体となって繁華街等の防犯対策に有効と思われる対策について検討を重ねております。今後、地域における定期的なパトロール活動や防犯設備の設置などが進む予定でございます。

○吉原委員 七月からスタートしたということでございますので、まだまだその効果等について評価をする段階には行っていないんだろうというふうには思いますけれども、ぜひ引き続き、それぞれの地域に合った事業の推進をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 三カ年で十五カ所ということでございますから、十五カ所が状況に応じてふえるのか、どういうふうになっていくのかわかりませんけれども、今年度、第一年度目で六カ所を今進めていただいているわけであります。残り九カ所になりましょうか、また状況によっては変わるかもしれませんけれども、私の住んでいるところの町田市も、かつては西の歌舞伎町などとやゆされた時期もあったわけでありますが、防犯カメラやさまざまな対策を練っていただいて大分よくなってきたなという意識は持っているわけであります。
 しかしながら、三多摩においても第二の人口を有している町田でございます。町田だけがどうだということではありませんけれども、JRそしてまた小田急線と交差をしている地域でもございます。ましてや都県境と接している地域でもございますので、そういった意味では、まだまだ、町田の繁華街においてもそういう対策は進めていかなければならないなという思いは私自身もしているわけでございます。
 ぜひ来年度の中では、町田もその幾つかの中に加えていただいて、事業を進めていただきますようにお願い申し上げたいというふうに思います。
 最後で大変恐縮でございますけれども、繁華街における防犯対策の強化を含め、東京の安全・安心、この目的確保に向けた本部長の決意をお伺いをいたしまして、質問を終わります。

○倉田青少年・治安対策本部長 都はこれまでも、区市町村や地域ボランティアなどと連携しまして、子どもの安全確保、共同住宅及びその周辺の防犯環境の整備など、さまざまな取り組みにより地域の防犯力の向上に努めてまいりました。こうした取り組みと警察による取り締まり等が相まって、刑法犯の認知件数は、ピークであった平成十四年から六年連続して減少するなど、数字上は治安は着実に改善しております。ただ、都民の治安に対する不安は払拭をされておりません。
 そこで、従来の対策に加えまして、多くの人々が集い、憩う繁華街等における防犯対策を充実強化するため、安全・安心まちづくり条例を改正し、あわせて繁華街等における安全対策の支援事業を実施することとしたものでございます。
 今後とも、治安の維持こそ最大の都民福祉との認識のもと、区市町村や警察、地域の皆様との連携をさらに一層強化し、重層的、複合的に取り組みを推進して、都民の体感治安を改善し世界一安全で安心な首都東京の実現に努めてまいります。

○小林委員 私の方からは、現在の情報通信技術の発展に伴う青少年対策、そしてまた自転車総合対策という二点にわたって、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 初めに、青少年対策でございますけれども、近年のインターネットやまた携帯電話などの情報通信技術の発達は、利便性が向上した反面、犯罪の温床となっている点も否めない状況であるかと思います。特に、青少年が巻き込まれ悲しい結末となっている事件も多発しております。
 かつて、ある新聞社が、二十世紀において人間を幸せにした物、不幸にした物--物質の物ですけれども、これは何かというアンケートを行ったことがございました。幸せにした物については一位が抗生物質、二位がテレビ、三位が飛行機という結果でありました。一方、不幸せにした物につきましては一位が核兵器、二位が化学兵器、毒ガス、三位が地雷という結果でございました。
 二十一世紀におきまして、このインターネット、パソコンそして携帯電話というものが後世にどのように評価をされるのかまだわからない現状でございますけれども、人類が発明し生み出した技術、物も、それを利用する側の人間の英知によって幸福にも不幸にもなってしまうということはいうまでもありません。インターネットや携帯電話も、まさにそれを利用する人間の英知、そして知恵が問われているというふうに思います。
 青少年の健全な育成に当たって、現代の情報通信技術の発展に伴った対策は急務であり、正しい知識とともに正しい知恵を身につけていく取り組みを積極的に行っていかなければならないというふうに考えております。
 東京都は、インターネットや携帯電話のトラブルから青少年を守るために、今年度より、東京こどもネット・ケータイヘルプデスクを開設されたと伺っていますが、このヘルプデスク開設の周知状況について、まずお伺いをいたします。

○浅川参事 東京こどもネット・ケータイヘルプデスクの周知についてでございますが、都内の公立、私立、すべての小中高校生全員に対し、学校を通じて、小学生にはチラシ形式のもの、中高校生にはカード形式のものを配布いたしました。また、七月十日には女性タレントを一日相談員としてデモンストレーションを行うなど開設イベントを実施したほか、都民に広くPRするため「広報東京都」八月号への掲載を行いました。
 そのほかにも、相談受け付け用ホームページを開設し、リンクの張りつけを庁内関係局、通信関係事業者、区役所、市役所、各PTA連合会などに依頼するなどいたしまして、普及に努めているところでございます。

○小林委員 このヘルプデスク開設から、期間としてはまだ間もない状況かと思いますけれども、今日までの具体的な相談事例と運営状況についてお伺いをいたします。

○浅川参事 開設からことし九月末までの相談受理件数は百八十八件でございます。
 相談内容で一番多いのは不当料金請求などの架空請求への対応であり、以下、アドレスなど個人情報の削除方法、迷惑メール、利用料金、誹謗中傷、ネットいじめ、ネット・ケータイ依存などとなってございます。
 また、相談者では、中学生本人からの相談が一番多く、以下、高校生本人、中学生の保護者、小学生・高校生の保護者、小学生本人の順となっております。
 具体的な相談事例でございますが、男子高校生から、携帯電話からアダルトサイトに接続してしまい、高額の請求が来たが親に話すことができない。また、女子中学生から、掲示板に自分の名前を書き込まれ、毎日、顔も名前も知らない人からメールが来て困って悩んでいる。そういった、これまではだれにも相談できず、一人で悩み、不安を抱えていたと思われる子どもからの相談が多く見られます。
 また、女子中学生の保護者から、娘が架空請求を受け自分で二十数万円払ってしまい、さらに親のクレジットカードの番号まで教えてしまい、クレジット会社から請求書が来たがどうしたらよいかなど、保護者自身も経験のない事案の対応方法についての相談が寄せられております。

○小林委員 ありがとうございます。
 既にこのケータイヘルプデスク、これは都内の公立、私立すべての小中高校生に対してチラシまたカードが配布されているとのことですけれども、このヘルプデスクは、トラブルに巻き込まれてしまった青少年にとっては大変に大事な存在であるというふうに思いますので、より安心を与える取り組みと周知徹底がなされますよう、改めて要望したいというふうに思います。
 次に、特定の学校の話題のみを扱ったサイト、いわゆる学校非公式サイトとヘルプデスクとの連携についてお伺いをさせていただきます。
 この学校非公式サイトも、いじめに絡んだ報道などで取り上げられまして大変大きな社会問題となっております。
 昨年、文部科学省が発表しました、青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査報告書によりますと、昨年三月の時点で確認できた学校非公式サイト数は、URLのあるサイトが四千七百三十三、そしてスレッドが三万三千五百二十七という結果でございました。このスレッドを実質的な非公式サイトとみなして、合計三万八千二百六十個が確認されたというふうに報告がなされております。
 都は「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九の中で、教育庁の新規事業として、学校非公式サイトの実態把握を行い、不適切な書き込みやサイトの削除要請を行う事業を開始されたというふうに伺っております。青少年・治安対策本部の行っているこのネット・ケータイヘルプデスク事業とは、どのような連携を行っているのかをお伺いいたします。

○浅川参事 学校非公式サイト等監視事業との連携につきましては、ヘルプデスクで受理した誹謗中傷、いじめなどの相談で、学校非公式サイトが舞台となっていることが確認できた場合には、教育庁に情報提供いたしまして、教育庁において書き込みの削除要請や所管の教育委員会、学校への連絡を行うなど、組織的対応を図るということとしてございます。
 また、教育庁主催の、有害情報から子どもを守るための対策検討委員会のメンバーといたしまして意見交換を行い、相互の事業の運営に資することとしてございます。

○小林委員 ありがとうございます。
 この学校非公式サイトにつきましては、青少年の人権、またひいては人命にかかわる大事な課題であるというふうに思いますので、ぜひとも関係各局との緊密な連携のもとで、この問題につきまして迅速な、また非常に的確な対応をさらにお願いしたいというふうに思っております。
 次に、自転車総合対策についてお伺いをいたします。
 都は平成十九年に、自転車の安全利用推進総合プランを策定されました。この中身については私も拝見をしましたが、数々の思い切った対策も提案をされておりますけれども、策定されて二年が経過し、改めまして、このプラン策定に当たっての背景やプランの位置づけについてお伺いをいたします。

○伊東参事 自転車に関連した交通事故、運転マナーの低下、放置自転車問題など、自転車の利用に関して交通ルールの遵守の徹底、マナーの向上は大きな課題となっておりました。
 このため、学識経験者、都民、関係機関等から成る検討会を設置し、平成十九年一月に自転車の安全利用推進総合プランを策定いたしました。
 このプランの位置づけは、関係機関が自転車に関する施策を立案、計画する際のガイドとなるよう、各種の対策を幅広く提案する形で策定したものでございます。

○小林委員 都においては、このプランをもとに、幾つか具体的な社会実験を既にされたというふうに伺っております。
 昨年におきましては、杉並区の中杉通りにおいて自転車走行空間の確保についての実験が行われ、実験結果については既に報道されておるとおりでございます。さらに駅周辺における放置自転車対策について、モビリティ・マネジメント手法の活用の提案がこのプランの中でされておりまして、この手法についても同じく社会実験を実施したというふうに伺っていますが、その実験の内容と結果についてお伺いをいたします。

○伊東参事 モビリティ・マネジメント手法を活用した社会実験は、平成十九年十月に、東急東横線都立大学駅周辺で東京工業大学と連携して実施いたしました。
 その内容は、放置駐輪しようとする人に、リーフレット等を活用して対面による働きかけをし、個人の行動を規定している信念、態度、道徳心等の心理要因に働きかけることで、放置自転車を減らすという手法でございます。
 この社会実験では、有効であるという結果までには至りませんでした。しかしながら、現在、各区市町村が積極的に取り組んでいる自転車対策の中の声かけ運動などは、この手法の趣旨が生かされ、駅前放置自転車の減少に寄与しているものであると考えております。

○小林委員 最後になりますが、この自転車の安全利用推進総合プランは、先ほどご答弁をいただきましたように、都の関係各局や区市町村などが自転車に関する施策を立案、計画するときのガイドとなるよう、各種の対策を提案する形で策定されたものであるとのことですけれども、せっかくこのような形でさまざまな幅広い提案をされているのですから、このプランをもとに各自治体がどのように取り組んでいるのかを積極的に掌握し、さらに具体的に各自治体に発信するなどの取り組みをして、このプランの価値を高めていく必要があるのではないかと思いますが、ご見解をお伺いをいたします。

○伊東参事 都といたしましては、毎年度、区市町村を対象とした現況調査を実施するなどして、区市町村の先進的な取り組みについて把握をしているところでございます。また、把握した内容につきましては、区市町村担当者会議の場を活用するなどして、情報の共有化を図っております。
 今後とも、都は区市町村など関係機関との連携を緊密に、自転車問題の解決に向けて取り組んでまいります。

○小林委員 現代社会の中において、交通渋滞の緩和や環境負荷の軽減、また個々人の健康促進といった側面からも、自転車利用の推進、そしてそのための自転車対策というのはこれからますます重要になってくるというふうに思います。
 私が申し上げるまでもありませんけれども、この自転車対策というもの、これは大変に広範な、そしてさまざまな諸課題を抱えております。これで万全といった対策を確立するためには大変な困難も伴うかというふうに思いますけれども、関係各局また自治体などと議論を闘わせ、そしてまた緊密な連携をとり合う中で、少しでも万全の対策に近づいていく取り組みというものを改めて要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小磯委員長 この際、議事の都合により、十五分程度休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時十二分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ご発言を願います。

○西崎委員 私からは、ひきこもり対策について伺います。
 これまで生活者ネットワークは、若者のひきこもり対策について取り上げ、都の取り組みについて質問してきました。今回は、二十年度の取り組みを踏まえ、今後どのようにこの事業を展開していくのか、何点か伺います。
 近年、人とのかかわりを十分に持てずに就労や就学に至らず自立できない若者が多く見られ、社会問題になってまいりました。特に、自分の力だけでは社会に参加しにくい若者、いわゆるひきこもりは、都内に少なくとも二万五千人はいるとの推計も出されています。
 この問題は、単にひきこもりの状態にある人やその家族の問題として見過ごしていけるものではないと思います。ひきこもりの問題を放置しておきますと、若年労働者の減少や社会的負担の増大などといった、東京の将来に影響を与える問題に発展する可能性もあり、その意味では対策を講じていかなければなりません。
 都は、平成十九年度に開発したひきこもり等の若年者支援プログラムに基づく支援を、東京都若者社会参加応援ネット、コンパスとして、平成二十年度、八月から開始していると聞いています。
 そこでまず、ひきこもり等の若年者支援プログラム事業の目的及び内容について伺います。

○浅川参事 ひきこもり等の若年者支援プログラム事業、通称コンパスは、ひきこもり等の状態にある若者の自立支援と、そうした若者を支援する団体等の組織体力の維持向上を図るとともに、事業の実施状況の検証を通じて効果的な支援プログラムを確立することを目的としております。
 支援プログラムは、ひきこもり等の本人及びその家族を対象として体系的、連続的な支援を行うためのプログラムと、支援団体等を対象としてセミナーや研修会、団体間の交流促進等を行うプログラムとから構成されております。このうち、ひきこもり等の本人及びその家族を対象とした支援には、訪問相談・支援、自宅以外の居場所の提供、社会参加への準備支援の三種類がございます。

○西崎委員 今の答弁で、ひきこもりの状態にある人や家族への支援方法にさまざまなものがあることがわかりました。ひきこもりになりますと、自分の部屋や自宅から出ることさえできずに、家族との会話もなくなるそうです。
 先日、心配された親御さんから相談を受けたことがあります。そのときに、家に訪問して本人の相談に乗ってくれるような支援をしてほしいという要望を受けました。支援プログラムの中には訪問相談事業が取り組まれていますけれども、その実施状況はどのようになっているのか、伺います。

○浅川参事 コンパスの訪問相談・支援は、二つのNPO法人に委託して実施しております。平成二十年度は、八月の事業開始以来、四十四名の登録者に対して延べ百六十三回の訪問を行いました。

○西崎委員 困難な状況にある人が自立するための第一歩となる訪問相談や支援は重要だと思います。平成二十年度から、実際にNPO法人がコンパス事業で数多くの訪問を実施しているとのことなので、今後にぜひ期待したいと思います。
 このようなひきこもり等の支援を一年余り実施してきて、課題も出てきているのではないかと思います。事業の実施状況の検証を通じて、さらに効果的な支援プログラムを確立するためにどのような取り組みを行っているのか、お聞かせください。

○浅川参事 平成二十年度は、外部委員を含む検討会を設置し、コンパスを委託するNPO法人等の実施状況及び課題等を把握した上で、課題への対応策及び効果的な支援プログラムのあり方等を検討いたしました。
 この検討結果を受け、平成二十一年度の支援プログラムでは、ひきこもり等の状態にある若者の家族が本人の状況を正しく理解することや、家族の社会的な孤立を防ぐことなどを目的といたしまして、個別面接や学習会、親同士の集いを実施することなどの改定を行いました。

○西崎委員 二十一年度の支援プログラムは二十年度の実施内容から検討したもので、さらに改善されていて、今後も状況に合わせて見直していくことが大切だと思います。ひきこもり等の人が自立するためには、家族や身近な地域で支えていくことが必要ですが、今後、地域で活動しているNPO法人が支援プログラムを実施するようになることが望ましいと思います。
 そこで、都は支援プログラムをどのようにNPO法人等に普及させていくのか、見解をお聞かせください。

○浅川参事 支援プログラムは、毎年度検証及び改定を重ね、平成二十二年度までにNPO法人等によるひきこもり等の支援手法として確立したいと考えております。
 普及策といたしましては、都内のNPO法人等を対象として、確立した支援プログラムに関する説明会を開催し、コンパスの実践例を紹介するなど、NPO法人等が支援プログラムの内容や有効性を理解しやすい方法で周知を図る予定でございます。

○西崎委員 ひきこもり等の社会参加を一人一人の状態に合わせてきめ細かく支援していくためには、今NPO法人のことをお聞きしましたけれども、行政側、区市町村においても、支援プログラムを実施するNPO法人等と協働したひきこもりの支援を広げていくことが必要だと思います。都は、区市町村のひきこもり支援への取り組みをどのように促進していかれるのか、見解をお聞かせください。

○浅川参事 区市町村におけるひきこもり対策に関しては、平成二十年度から、ひきこもりセーフティーネットモデル事業を実施しております。
 この事業は、若者のひきこもり対策を行うために、各区市町村が、教育、福祉、保健医療、就労支援等の行政分野や関係機関、地域団体等が緊密に連携したネットワークをセーフティーネットとして構築し、個人の状況に応じた適切な支援を継続的に行うことを目的としております。
 この事業は現在、新宿区、足立区、西東京市、渋谷区の四区市で取り組んでおりまして、そのほとんどがNPO法人と協働して、不登校経験者や高校中退者、ひきこもりの状態にある方などへの支援を実施しております。
 今後は、このひきこもりセーフティーネットモデル事業のノウハウを都内区市町村に提供することで、区市町村におけるひきこもり対策を支援してまいります。

○西崎委員 ひきこもりの原因や背景は複雑であって、本人や家族あるいは行政だけで解決することは難しいと思います。これまで地域ではさまざまな市民団体が、不登校やいじめ、ひきこもりの問題を抱えている人たちに対して、支援のための活動をしてきていると思います。
 私は地元が世田谷なんですが、いろいろな市民団体の方からもお話を伺って、その受け皿となるものは地域にあると思うんですが、NPO法人も、事務所を探したり、財政的な支援がないとなかなか活動を継続していくことができないと思います。ぜひ、地域で活躍するNPO法人などが区市町村と協働してひきこもりなどの状態にある人やその家族に対する支援を行うなど、ひきこもり対策が今後一層推進されるよう要望しまして、質問を終わります。

○淺野委員 青少年・治安対策本部に対しての質疑を行いたいと思います。
 まず初めに、特に青少年の問題、若者が抱えている問題というのは非常に根が深いところがございまして、今、西崎委員がおっしゃったひきこもりの問題、あるいは若年層で行われる非行にあらわれるような万引きだとか、そういったさまざまな問題がございますけれども、基本的には、青少年、若者の起こす問題ということについては、既に問題として発覚してきたことへの対処以上に、それが起こる前に未然に防ぐということが非常に重要になってくるんだろうと。それは、若者の年代を考えたとしても、やはり教育の現場や、あるいはその他のさまざまな現場との連携が必要不可欠になってくると思います。
 そこで、教育庁やあるいはその他の担当部署、こういった問題については全庁的に取り組んでいく必要があると思いますが、現状例えばこれをやっている--会議をただ開いているというだけではなくて具体的にどういった連携をとっているのかということについて、教えてください。

○小濱総合対策部長 子どもや若者をめぐりましては、委員ご指摘のように、非行やひきこもりなど、さまざまな問題が重層的に生じております。そのため、庁内各局はもとより、警察、学校、地域のより一層の連携が求められております。
 都は、こうした問題を個別の問題としてだけとらえるのではなくて、子ども、若者という大きなくくりの中でとらえ直した上で、全庁横断的な取り組みを迅速かつ的確に行っていくことを目的といたしまして、平成十九年一月に、副知事を座長とした東京都子ども・若者問題対策会議を設置したところでございます。
 この会議では、各局連携の基本となる情報の共有を図るとともに、子どもの安全対策、ひきこもりを含めた若者の自立等支援など、子どもや若者をめぐる十の課題につきまして政策の方向を示すなどの取り組みを行っております。
 この会議から始まった、教育庁と連携した取り組みといたしまして、当本部の事業でございます地域安全マップづくり事業が小学校の授業に取り入れられたことや、教員、スクールカウンセラー、民生、児童委員などが参加し、ひきこもりと不登校問題をテーマにいたしました不登校・若者自立支援フォーラムを共同で開催したことなどがございます。
 今後とも、子ども、若者を取り巻く社会状況の変化を踏まえまして、課題の見直しを行いますとともに、関係各局と連携して課題解決に向けた取り組みを進めてまいります。

○淺野委員 連携した取り組みは、今お答えいただいたとおり、さまざまなところで行っているんだということはよくわかります。
 しかし、私がふだん感じることでございますが、行政の場合というのは、どういった事柄をやっているかということに対して、こういった事業を行っています、あるいはこういった会議、フォーラムを開いております、講師を派遣しております--そういう、やっていることについては非常に評価できるんですけれども、では、やったことについてどうなのかということが、特になかなか出てこないのではないか。
 連携していく中でも、各部局ごとに、相手のやっていること、課題と方向性を示すということが終わった後、では逆に、その課題と方向性を示した後で、前回の課題に対しての取り組みはどうだったのか、その効果はどのくらい出ているのかといったことを、これからもお互いに厳しく監視をし合う、そういったことが本当の意味での連携だと思いますので、そうした取り組みをぜひ進めていっていただきたい、そのように思います。
 そこで、そういった取り組みの中でやはり--であるならば、この青少年・治安対策本部としても、自身が行っている事業に対しては常にその効果、そしてその影響というものを意識しながら政策を方向づけていかなければならない。
 そういった中で、例えば最も、効果の測定というか数値化が難しい事案として、先ほど西崎委員もおっしゃっておりましたひきこもり対策ということについて、お伺いさせていただきます。
 西崎委員がおっしゃっていたとおり、検証して、方向を決めていくということについては先ほどの説明でわかりました。逆に、ちょっと違った視点からの質問をさせていただきますが、そういったひきこもり対策、先ほど、例えば訪問の実績としては、四十四人が登録して延べ多数の訪問の実績をやりましたというような答えが出ておりましたが、東京都が調べたひきこもり状態にある若者の推計人数というのは、今、約二万五千人といわれております。
 訪問の活動が必要な人たちがそのうち何%いるかというのは、まだこれから調査をしなければならないかと思いますが、総数で約二万五千人、しかもこれは下限の数値で、恐らくこれより多いだろうといわれている中で、たくさんいるひきこもりの方々に対して、今やっている事業を展開していく中でどのくらいコストがかかっていくのか。そして、そのコストが実現可能なのかということを常に検証していく姿勢が必要だと思います。
 一つ一つ細かく対応していくという姿勢は大変必要ですが、それが二万五千人全員にできないのであれば、全員に対して細かく対応するにはどうしていったらいいのかということを常に意識してやっていく必要があるかと思います。
 こういった対策事業、個別にどのような効果があるのか。また、それを受けてそのコストを勘案した上で、今後、全体を広くカバーしていくためにはどういった展望を持って行っていくのか、伺いたいと思います。

○浅川参事 ひきこもり対策といたしましては、NPO法人等と協働してひきこもり等の状態にある若年者の社会参加支援等を行う、通称コンパスと呼んでおりますひきこもり等の若年者支援プログラム事業、また、区市に委託してひきこもりの未然防止や支援を行う、ひきこもりセーフティーネットモデル事業などを実施しております。
 このうちコンパスにおきましては、ひきこもり等の本人及びその家族を対象として体系的、連続的な支援を行うプログラムを利用した結果、自宅からほとんど外出することができず訪問相談を行っていた利用者が、フリースペースに通うことができるようになった例などが見られております。
 ひきこもり等の若年者支援プログラムは、先ほど申し上げたとおり、本事業の実施状況を踏まえた検証、改定を重ねまして、NPO法人等によるひきこもり等の支援手法として確立し、都内のNPO法人等に普及させていく予定でございます。
 また、ひきこもりセーフティーネットモデル事業は教育、福祉、就労支援などの連携したネットワークを構築し、個人の状況に応じた支援を行っております。この事業では、中学校三年間不登校だった子どもが、ともに仕事をする体験を積み上げていくことによりまして少しずつ自信をつけ、今では自分に合った仕事として職人の見習いを始めた例などが見られております。
 都としては、今後、都内の各区市町村にモデル事業で得られたノウハウ等を提供いたしまして、ひきこもり対策を広げていきたいと考えております。

○淺野委員 今のお答えの中で、確かに、個別に行っている事業の中での効果があることはわかりました。しかし、一つ一つのNPOに依頼している件、あるいは各区市町村にノウハウなどを提供して行うといっても、そのコストがどのくらいかかっているのか、そしてそれが、今の東京都の財政あるいは各区市町村の財政的に認められる範囲で出していける額なのかどうかという検証を常にしておかなければ、これから先いつかはお金がないからという理由だけですべての支援策を見限ってしまうという結果が出てくることが、容易に想像がつきます。
 将来にわたって、お金がないことをいいわけにしないように、今からのしっかりとした検証を続けながら、常に実現可能であるかどうかを意識して、全体に対してきめ細やかな対応ができることを今後の要望としていっておきます。
 また、今申し上げました、実現可能かどうか、そして今から取り組んでおかなければならない問題として、もう一つ、子ども見守りシステムの構築、運用についても質疑をさせていただきます。
 現在、この子ども見守りシステムというものが、東京都においても調査研究の段階で、構築、運用していこうという話でございます。東京都においてもあるいは日本全国においても、各自治体で、こういった携帯電話やICタグといったハイテク技術を使って子どもを地域全体、あるいは家族も含めた中で見守っていこうというシステムの構築が、さまざまなところで進んでおります。
 少し話がそれますが、昭和の初期に環状七号線が整備されようとしたときに、整備されるときの審議会に参加していた大学の教授がはっきりと、今から立体交差にしておけば、将来にわたって自動車の需要がふえてきたときにも交差点が渋滞せずにいられるから、今からすべきだということを進言していたにもかかわらず、当時は、いやいや、とりあえずは今は予算の都合もあるのでといって平場でつくり、結果として今環状七号が、もう既に立体交差事業が終了しておりますけれども、多大な金額と大幅な時間、そして利用者の、渋滞、ストレスといったいろんな問題を引き起こして、やっと完成したという事例がございます。
 先々で読めることであれば、その時点でどのような難問であっても常に前向きに取り組んでいく姿勢が、今の行政には求められていると思います。そういった観点から見れば、今さまざまな種類が存在しているこの子ども見守りシステムも、将来にわたっては、どこに引っ越してもあるいは旅行で移動しようとしても、日本国内であればどの地域にいても同じシステムで見守ることができるというのが、本当の意味で子ども見守りシステムの導入の意義があることになるんだと私は考えております。
 将来的に統一していこうということに対して、既に進んでいる自治体などがあって課題も非常に多いとは思いますけれども、東京都としてこれから先、いずれは少なくとも東京都下、できれば八都県市や首都圏あるいは日本全国といった単位で、システムの統一に向けてこの主導をとって活動していくつもりがあるかどうか。また、それがあるというのでしたら、現在それに向けて小さな一歩でもいいから何か進めていることがあれば、具体的にお聞かせいただきたい。

○伊東参事 都においては、区市町村が実施主体となって、携帯電話等の情報通信機器を活用し、子どもからの危険通報を地域のボランティアが受け、子どものもとに駆けつけて安否を確認する子ども見守りシステムについて、検討を行っております。
 一方、都内の幾つかの区市においても、携帯電話や電子タグを活用し、子どもの緊急時の駆けつけを行うものや登下校時の通知を行うものなど、地域の実情に応じた子ども見守りシステムが提供されております。
 ご指摘の点につきましては、実施主体である区市町村の考え方に開きがあること、また、ボランティアの確保や費用負担のあり方など解決すべき課題が多いことから、さまざまな角度から検討を重ねているところでございます。

○淺野委員 今、検討を続けているというお答えをいただきました。
 ぜひ早目にそういったものの検討に着手し、また、他の区市町村との連携を深めていってできるだけ早期に統一をしていく。また、今後それを進めていこうという自治体に対しては、余り手段が広がり過ぎないように、うまい主導そして指導、誘導を行っていくよう、東京都の活動を期待しております。
 この発言をもちまして、私の質問を終わりとさせていただきます。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。

○小磯委員長 これより知事本局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○神野委員 私からは、アジア人材育成並びにアジア大都市ネットワーク、通称アジネットについてご質問をさせていただきたいと思います。
 東京都は、アジアの将来を担う人材の育成に資する施策に充てるため、平成二十年度にアジア人材育成基金を設置いたしました。
 平成十八年策定の「十年後の東京」にうたわれておりますアジアの人材育成、この政策がいよいよ始まっていくわけでありますけれども、予算概要の歳出を見たときに、アジア大都市ネットワーク21並びにアジア人材育成として三億六千八百万円が計上されております。まずはこの歳出についての内訳のご説明をちょうだいいたしたいと思います。

○長澤参事 アジア大都市ネットワーク21及びアジア人材育成の経費として計上しております三億六千八百万円の内訳でございますが、アジアから優秀な留学生を受け入れ、アジアの都市問題の解決や発展に資する研究を通じた人材育成等を行うアジア人材育成経費に二億九千五百万円、アジア大都市ネットワーク21の事務局運営経費として三千八百万円、中小型ジェット旅客機の開発促進や危機管理ネットワーク等の共同事業経費として三千五百万円となっております。

○神野委員 ただいまのご答弁にございました留学生の受け入れでございます。この留学生の受け入れに当たりましては、首都大学東京の授業料はもちろん、奨学金として毎月十七万円。これは給付でありますから貸与ではありません。そして住宅も原則ゼロと。いってみれば、国費留学生並みの待遇が与えられているわけであります。
 今、日本の学生は、経済情勢が非常に厳しくてなかなか大学に行けないということで、奨学金制度が充実をしておりますけれども、いずれにしろそれは貸与であって給付ではありません。
 計画によりますと、今後定期的に留学生の受け入れが行われるということでございますけれども、これだけの好待遇の留学生の選定方法、これが一体どのようになっているのか。
 そしてまた、留学の条件の中で、卒業後の進路についての項目があるわけでありますけれども、東京に本社のございます企業や研究機関への就職ということが入っております。この東京の企業や研究機関への就職については、これは義務づけがされているのか。この点についてお伺いをいたしたいと思います。

○長澤参事 留学生を選定する際、アジア諸国の国籍を有すること及び修士の学位または専門職学位に相当する学位を得た者などといった出願資格を定めまして、インターネットで広く公募するとともに、アジアの大学とのネットワークを活用し、真に優秀な人材を選考する方法をとっております。
 卒業後の進路でありますが、出願資格の一つとして、課程終了後は、東京に本社または支社がある日本企業、並びに日本または他のアジア諸地域の大学、研究機関及び公務員のいずれかに就職する意思があることを条件としております。

○神野委員 受け入れた留学生のその後の進路について、基本的に義務づけではないというご答弁であるというふうに認識をしているわけでありますけれども、東京都は留学生の受け入れの目的として、アジアの発展に資する、こういった目的を掲げているわけでございます。ただ、一口にアジアといっても、歴史的にも地政学的にも非常に多様な地域であります。例えば中国との関係を初めとして、そしてまた戦前の西欧諸国による植民地支配等を初めとして、単にアジアと一言でいうんであるならば、それが東京にどうつながってくるのか、どうもこれが理解しがたいわけであります。
 例えば、この留学生の受け入れが、最近なかなか勉強をしない、レベルが下がっているといわれております日本の大学生に対して、よい刺激を与えてそのレベルを向上させようという教育的見地からの話ならば理解をすることができるわけなのでありますが、たびたび強調されております、アジアの発展に資する--これがどうして東京のためになるのか、この点を私はどうしても理解をすることができない。これは、アジア大都市ネットワーク21、通称のアジネットについてもいえるわけでございます。
 これまでも我が国は、国際貢献そして国際友好という、いってみれば美名のもとに多くのむだを重ねて、そして日本の富を多く海外にばらまいてきた。そういった轍を踏まないためにも、今回、多額の税金を投じて行われますアジア大都市ネットワーク21、そしてこの留学生事業、なぜアジアなのか。そしてそれが将来の東京にとってどういったメリットを生むのか、その点をご説明いただきたいと思います。

○長澤参事 アジアは世界の人口の六割を超え、欧米に並ぶ第三極として近年目覚ましく発展しており、日本の輸出に占めるアジアの比重が一九九〇年の三一%から二〇〇八年には四九%になるなど、東京とアジア諸都市は経済を初め各方面にわたり互いに深く影響を及ぼし合うようになっております。
 東京が今後も発展を続けるにはアジアとの連携が必要であり、また、アジアが今後も発展を続け世界の中で存在感をさらに高めていくためには、大都市が手を携えそれぞれの国を動かし課題を解決していくことが不可欠であります。
 東京都は、アジア大都市ネットワーク21の成立以後、アジアの諸都市が直面するさまざまな課題の解決に向け、危機管理、感染症対策あるいは環境問題など、幅広い分野で各都市と協力して実績を重ね、成果を上げてまいりました。
 産業振興の面から見ますと、事業化成功に向けて支援を行っております国産初のジェット旅客機である三菱リージョナルジェットは、東京都が実現を目指すアジアの技術と能力を生かした中小型ジェット旅客機、すなわちアジア旅客機の開発に向けた第一歩となるものであります。これらの航空機の開発製造を支える航空機産業は、高度技術集約的な高付加価値産業であると同時にすそ野の広い産業であり、国産旅客機の量産さらにはアジア旅客機の開発が実現すれば、産業全体の高度化が図られ、都内の中小企業へも大きな波及効果が見込まれます。
 今後も引き続き、このような取り組みを通じ、東京ひいてはアジアの繁栄と発展を牽引してまいります。

○神野委員 東京都は現在、中小企業対策ということで、新銀行東京、そしてさまざまな制度融資等、金融面に非常に力を入れているわけなのでありますけれども、地域に戻って現場の声を聞きますと、お金を貸してくれるのはいいけれども、もっと仕事が欲しいという声が非常に切実なんですね。
 そういった意味で、今回のこの航空機産業の発展、大きな期待を持っております。アジアにおいて、国産旅客機の販路の拡大、そしてまた東京のこういった航空機産業の発展という、東京の利益というものが第一に生かされるような形で、今後の東京都のアジア外交をぜひ繰り広げていっていただきたいと思います。くれぐれも、大都市間の友好ですとか、そういったきれいごとではなくて、東京都にとって大きなメリットがあるような形で、こうした施策を進めていっていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それでは引き続きまして、同じく歳出の項目の中で都市外交の推進という項目、大きな割合を占めておりまして四億九千八百万円、この内訳についてご説明をいただきたいと思います。

○遠藤外務部長 平成二十一年度予算における内訳でございますけれども、財団法人自治体国際化協会関連の経費といたしまして三億六千六百万円、姉妹友好都市との交流関連経費として六千六百万円、C40ソウルサミット関連経費といたしまして一千百万円、その他の事務経費といたしまして五千六百万円が計上されているところでございます。

○神野委員 ただいまご説明の中にございました、歳出の中で大きな割合を占めておりますのが財団法人自治体国際化協会、通称CLAIRですね、これについてでございますけれども、この概要について、上部団体といいますか総務省との関係を含めてご説明を願いたいと思います。

○遠藤外務部長 財団法人自治体国際化協会は、地域の国際化を推進するため、地方公共団体の共同組織といたしまして昭和六十三年七月に設立されたものでございます。
 東京に本部を置き、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、シドニー及び北京の七つの主要都市に海外事務所を設置しております。こうしたネットワークを活用することで自治体の海外活動、国際交流、情報収集、あるいは調査活動などの支援を行うとともに、JETプログラムと申します語学指導を行う外国青年の招致事業や、国際化に対応できる人材の育成、地域国際化協会への支援などを行っているところでございます。
 また、総務省とのかかわりについてでございますが、設立時の経緯などから、役員五名のうち二名が総務省の出身者となっておりまして、七つの海外事務所の所長にも総務省からの派遣職員が就任しているとの報告を、CLAIRから聞いております。

○神野委員 ただいまのご説明の中で、地方公共団体の共同組織として昭和六十三年の七月に設立をされたということでございます。
 都の負担金、大分大きくなっているわけでございますけれども、それでは、その他の自治体との間での東京都の分担金の額、そして仕組み、さらには事業全体において、東京都のCLAIRに対して享受している主な実績についてお伺いをいたしたいと思います。

○遠藤外務部長 東京都の分担金でございますが、平成二十一年度においては、都の負担金は二億八千万円、全国での合計は十六億三千万円となっております。この分担金は、年末ジャンボ宝くじに上乗せして発売されております国際交流推進くじの収益金の一部を各自治体における発行枚数で案分して計算された額を、負担する仕組みとなっております。
 また、他府県の分担金でございますが、都に次いで額の大きいのは大阪府でございまして六千七百万円、首都圏では千葉県が四千七百万円、埼玉県が四千五百万円、神奈川県が二千八百万円となっております。また、政令指定都市の分担金といたしましては、大阪市が七千八百万円、横浜市が四千六百万円などとなっております。
 事業の実績についてでございますが、海外事務所において、自治体関係者が海外で行う調査や視察等に対して関係機関とのアポイントメントの取りつけ、あるいは資料提供等の活動支援などを行っておりますが、これが平成二十年では三百十三件の実績となっております。このうち十八件が都からの依頼によるものでございまして、この中には、ニューヨーク市の警察本部の訪問、パリやロンドンへの観光プロモーションのための出張、及び都内の区や町の海外視察に対する支援が含まれているところでございます。
 また、自治体等からの依頼によって海外事務所が行う調査は、同年度におきまして二十一件ございまして、このうち三件が都からの依頼になるものとなっております。

○神野委員 ご説明にもあったわけでありますけれども、宝くじの収益金がいってみれば財源となっているとはいえ、東京都が二億八千万、そして大阪府、大阪市合わせても大体一億四千万ぐらいということで、東京都がそれだけ宝くじの売り上げが多いということではあるんでしょうけれども、ほとんど倍になっているわけですね。
 東京都の分担金が突出をして、そしてまた東京都の職員の方も出している。そういった現状の中で、今お話を伺った限りにおいては、東京都のCLAIRに対しての必要性というものがほとんど感じられないのが現状でございます。今のご答弁によりますと、海外視察先の紹介そしてアポイントメントの取りつけといった駐在員の業務も、海外情報調査、業務支援依頼といった実績も、CLAIRの全体の中で東京都の占める割合というものが非常に低くなっているわけであります。
 そういった状況というものを見たときに、CLAIRの活動というものは今後大きな改善の余地があると思うのでありますけれども、そのことについて東京都の見解をお伺いをいたしたいと思います。

○遠藤外務部長 自治体国際化協会におきましては、先ほども述べましたとおり、さまざまな活動を通じまして、規模の小さな自治体、東京都以外の小さな自治体なども含め、全国の自治体の国際化推進に一定の役割を果たしてきたと認識しております。また東京都におきましても、ただいま答弁した内容で数字で出てこない部分についても、さまざまな利益を享受しているというふうに考えております。
 しかしながら、日々変化する国際社会情勢に応じまして、事業内容を時代のニーズに合った内容へと常に見直していく必要があるとも考えております。都といたしましては、外務部長がCLAIRの理事としてその運営にかかわり、これまでも、効果的な運営が図られるよう理事会などさまざまな場を通じて発言などもしてまいりました。その結果、厳しい財政事情にある地方自治体の声を反映いたしまして、本年六月の理事会において二十一年度の分担金が約一〇%引き下げられるなど、一定の成果を上げてきたというふうに考えております。
 今後とも、変化する自治体のニーズにこたえ、それに適した支援を効果的に進められるよう、また自治体にとって有益な事業運営が図られるように、都としても積極的に関与してまいりたいと思います。

○神野委員 この歳出の項目の中で都市外交の推進ということがうたわれて、その予算の中の大きな部分がCLAIRに対して投入されているわけであります。こういった東京都の海外事業というのは、先ほどの人材交流においても申し上げたように、やはり、人を出してお金を使うのであるならば東京都にとって少しでもメリットがあるような形で運営をしていただきたいということが、最大の眼目であるというふうに私は理解をしておりまして、このCLAIRについても、今後、この分担金の問題、そしてまた海外事務所の問題、人の問題、ぜひ東京都にとってよりよい、利用する価値があるような形で変更をしていくような検討がなされることを要望して、私からの質問を終了したいと思います。
 以上です。

○吉原委員 それでは、私の方から、横田基地の軍民共用化について、それともう一点、横田基地あるいは厚木基地における周辺の住宅騒音に関してのお尋ねを若干させていただきたいと思います。
 東京にはかねてから、横田基地を軍民共用化にして飛行機を飛ばそうと、こういう課題がありました。まさに十年ぐらい前だったと思いますけれども、石原知事が一生懸命になりまして、都の行政の皆さんも一生懸命になり、今日まで進めてきているわけであります。知事も、アメリカに行った際には、幾度となくだろうと思いますけれども、アメリカ政府の方にもさまざまな形で要請をされてきた。そしてまたそのことが功を奏して、日米首脳会談にも小泉さんが取り上げていただきながら、ブッシュさんとその問題についても協議を重ねてきました。その結果の中で、日本とアメリカによるスタディーグループというものを立ち上げられて、この横田基地の軍民共用化の検討をされてきたというふうに認識をしているところでもございます。
 しかしながら、最近はその話も余り耳にしなくなったなと、こういう思いをしているわけでございます。今後、私たちのこの東京はもちろん、三多摩においても、横田基地の周辺整備あるいは多摩都市モノレールの推進などなどを含めて、多摩にとっての振興という意味でも大変大きくかかわりがあるわけでございまして、もちろん、首都圏の空港機能を補完していく、そしてまた日本の国力を維持するために大変必要だ、こういうことをいわれてきました。もちろん地元のそれぞれの皆さんにも当初はさまざまな意見があったと思いますが、最近も、地域の皆さんからも、進めてもらえるように、こういうお話も耳にしてきたところでございます。
 そして、今日までの経過の中でも、あの横田基地から臨時便を海外に向けて出そうじゃないか、こういう話も若干進んできた。しかしながらそのことも現在ではかなわない、こういうことになっています。
 その間にも、アメリカの在日米軍の再編整備、軍備の再編整備の問題もあったんだろうと思いますし、沖縄の普天間基地の移設問題も大きく絡んできたんだろう、さまざまな要因があったんだろうとは思います。しかし、私たちのこの東京にあってもあるいは東京都を中心とする地域にあっても、何とか横田基地を軍民共用化にしてもらいたい、この思いは変わらないわけでございまして、そういった意味でさまざまな障害がこの問題にはたくさんあろうかということも承知はしております。アメリカの方の都合もあるでしょう。そのことによって、日本がアメリカ側と話す、そういった状況の中にもなかなか難しさがあるというのも知っています。
 そしてまた、東京都も、直接そのスタディーグループの中で検討する、発言をするというところまでは立ち入れないということも承知をしているわけでありますけれども、しかしながら、この軍民共用化については、私たち東京にとって、そしてまた近隣県にとっても、日本にとっても、大変意味のあることだろうというふうに思っているわけでございます。
 ブッシュさんからオバマさんにもかわりました。また、日本でも政権がかわったわけでございます。そうした中にはさまざまな状況はあるわけでありますけれども、ぜひ東京都としても、引き続き国に対しては、このスタディーグループの検討をしっかりと進めてもらえるように、これからも声を小さくすることなく、何といいましょうか、国に対して物申していっていただきたいなというふうに思っているわけでございます。
 できるだけ早目にこの軍民共用化を実現するために、局としてどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。

○新美参事 横田基地の軍民共用化につきましては、国への提案要求のみならず、八都県市首脳会議、関東地方知事会の要望なども通じて、国に対してその早期実現を求めてまいりました。また、アメリカの新政権が軍民共用化に向けた取り組みを確実に引き継ぎ、協議に積極的に対処するよう、日本政府から強く働きかけることを改めて求めているところでございます。
 引き続き、さまざまな機会をとらえて軍民共用化の必要性を訴えるとともに、日米協議の促進に向けて、関係省庁との連絡会の場などを通じまして、国との緊密な連携を図っていく必要があると認識しております。
 今後とも、国と一枚岩となって、横田基地の軍民共用化の早期実現を目指してまいります。

○吉原委員 ぜひ積極的に、声を大にして進めていっていただきたいというふうに思います。
 次に、アメリカの基地にかかわる中での住宅防音工事について、お尋ねをしたいと思います。
 横田基地も、当然もう長く住宅防音工事については進めてきたと承知もしております。そしてまた厚木基地に関係する周辺の住宅防音工事についても、最近少しまた進んできたということも承知をしているわけでありますけれども、何といっても地域の皆さんにとっては、あの飛行機の音というのはすさまじいものでございます。日々生活する中には、もちろん健常者もいるしお年寄りの皆さんもいたり、あるいは病気の方もいたりハンディを持った方々もたくさんいらっしゃるわけでございまして、そのことが、横田基地もそうでありますけれども厚木基地も、防音をしっかりやらなきゃならないという区域も指定していただいて、進めてきていただいているわけであります。
 これまでの住宅防音工事がどの程度、横田基地あるいは厚木基地に関係するところで進んできているのか、お尋ねをしたいと思います。
 特に町田の場合も、ここ三年間はそういった工事を進めてきていただいているわけでありますけれども、その辺の状況も含めてお尋ねをいたします。

○中村基地対策担当部長 住宅防音工事の助成につきましては、国が基地周辺対策の一環として行っている制度でございます。具体的には、騒音が著しいと認めて、国が指定している第一種区域内に所在する住宅を対象に、その所有者等が行う騒音防止軽減のための工事について、国が直接補助金を交付するものでございます。
 住宅防音工事の実績につきましては、防衛省北関東防衛局によりますと、横田基地では、昭和五十年に住宅防音工事が開始されてから平成二十年度までの累計で約三万三千世帯であり、対象世帯の大部分について工事が行われております。
 また、厚木基地の町田市につきましては、平成十八年一月に区域の見直しが行われた後の、平成十八年度から二十年度までの三年間の実績は約四千三百世帯でございます。これにかかった国の経費は約百三十三億九千万円でございます。

○吉原委員 今お聞きをいたしましたけれども、横田基地の方については順調に進んできた、三万三千世帯、こういうことでございます。
 厚木基地に関しましては、今お話もいただいたわけでありますけれども、十七年度にしっかりとそのエリアを決めていただいて十八年度からスタートをしたと、こういう認識を持っているわけであります。この三年間の中で約百三十四億、国の補助金を使っていただいて、近隣の対象の住宅の皆さんにはしっかりと対応してきていただいたと、これは大変ありがたいことであります。
 しかしながら、町田のそのエリアも、先ほどお話をさせていただきましたように区域が大変広がり、対象戸数としても四万七千戸と、こういうことになっているわけでございまして、四万七千戸のうち、どう考えてもまだ七千戸も済んでいないんだろうと思うわけでございます。やっぱり今の状況の中では、もちろん横田基地もそうでありますけれども、厚木基地から離発着をする飛行機も今と昔とは変わらないわけでございますので、そういった意味では、引き続き悩まされている方々は、エリアは決まっているけれども、まだまだいる。こういう状況をできるだけ早いうちに解決をしていただきたいというのが地域の皆さんの思いであります。
 そうした中にあって、これから国の方の予算がどういうふうにかかわりを持ってくるのか、ちょっと心配な部分もあるわけでございまして、そのことが、直接生活される皆さんに影響がないような形で、しっかりと予算を確保した上でこの防音工事の整備も進めていってもらいたいというのが我々の思いであります。
 そういった意味では、生活第一と、こういうふうに今の政権はいわれているわけでございますので、局の皆さんも、直接お金を出す方ではないかもしれませんが、国に対して、防衛省に対して、そのことをしっかりと東京都として訴えていってもらいたい。そして、四万七千、残りがあと四万強あるんだろうと思いますので、その四万強の部分をできるだけ短い期間の中で解決をしていただく、そのことにぜひ汗をかいていただきたいというふうに思います。
 東京都として今の現状をどういうふうに思われていて、今後どのように取り組んでいくのか、その思いをお聞かせいただきたいと思います。

○中村基地対策担当部長 北関東防衛局の説明によりますと、厚木基地の住宅防音工事については、建築年度の古い住宅、高齢者が居住する住宅などを優先し順次実施することとしております。お話のとおり、平成十八年に対象区域が広がり、対象世帯数が格段に増加いたしました。
 都といたしましては、騒音による負担を一刻も早く軽減し、住民の生活環境を改善することが何より重要であると認識しております。このため、住宅防音工事が迅速かつ確実に進捗するよう、基地周辺対策の拡充を国に対し引き続き強く働きかけてまいります。

○大松委員 私の方からは、気管支ぜんそく患者への医療費助成制度に対する拠出金について伺います。
 東京都は昨年八月、大気汚染医療費助成制度を拡充し、それまで十八歳未満に限られていた対象者を、十八歳以上で、都内に一年以上居住する気管支ぜんそくの方にも広げました。その結果、気管支ぜんそくについては全年齢の患者の皆様方が医療費助成を受けられるようになり、大変に喜ばれております。改めて申し上げるまでもなく、これは一昨年、東京大気汚染訴訟の和解条項にその柱として盛り込まれたもので、制度の拡充を提案した東京都石原知事の英断は高く評価されております。
 また、この制度では、大気汚染物質を排出している自動車メーカー、首都高速道路株式会社が、国や東京都とともに、社会的責任として拠出金を出し合うという画期的なスキームになっております。その拠出金について、対外交渉を担っていただいておりますのが知事本局の皆様方でございます。
 そこで伺います。裁判の和解から二年が経過をしましたけれども、現在までの医療費助成制度に対する拠出金の状況を伺います。

○大井総務部長 お話の大気汚染に係る医療費助成制度でございますが、その拠出金のスキームは五年間で総額二百億円と見込まれております。その経費を、大気汚染訴訟で被告となった各自が社会的責任を果たすという観点から、都が三分の一、国が三分の一、自動車メーカーと首都高速道路株式会社がそれぞれ六分の一ずつ負担をするというものでございます。
 これまでの拠出の状況でございますが、国が六十億円、自動車メーカーが三十三億円、首都高速道路株式会社が六億円となってございます。

○大松委員 二十年度の決算書類を見ますと、東京大気汚染訴訟和解金収入は、八十八億円の予算額に対しまして収入額が六十一億円、未収入額は二十七億円となっておりますけれども、これが首都高の分ということになります。和解条項の文面では、東京都は、首都高に対して負担を求めていくとありまして、一方首都高の方は、経営判断としての可能な最大限の対応をすることとしたものであり、今後とも関係各位の理解が得られるよう努めていくとなっております。
 この和解の趣旨は、首都高は負担できる分だけ支払えばいいというものではなく、経営状況は考慮されつつも、大気汚染物質を排出する者はその社会的責任として都制度で決められた分は支払わなければならないものと、私は理解をしております。
 都はこれまで首都高とどう交渉を行い、その経過の中で、首都高は拠出金に対してどう考えているのか伺います。

○大井総務部長 和解条項では、首都高速道路株式会社は都に対し五億円を拠出するものとされております。また、同じく和解条項には、お話のように、都は制度のスキームに従って引き続き首都高速道路株式会社に対して負担を求めていくと、こういうふうになってございます。
 このため、首都高速道路株式会社とは、和解条項に従いまして、平成十九年度に五億円が拠出された後も、制度のスキームに沿った応分の負担として残額の拠出を求めて、副知事が社長と直接会談をすることを初めとして、私ども担当者間においても繰り返し交渉を重ねてきたところでございます。
 しかしながら、首都高速道路株式会社は、社会的責任に応じた拠出金の負担に理解をしつつも、景気の後退ですとか、あるいは昨年八月三日の早朝に首都高速道路五号池袋線においてタンクローリーの火災事故があって、そのために通行どめの影響が長引き、こうしたことで通行台数が減少し厳しい経営状況にあると。そういったことから、平成二十年度は一億円しか拠出できない、こういうことでございました。

○大松委員 昨年八月に医療費助成が十八歳以上の方にも拡大をされまして、そこで認定された患者数は、ことし九月末時点で四万八百六人にもなっております。今も毎月千三百人程度ずつふえていると伺っております。
 私も長年、環状七号線沿いの周辺に住んでおりまして、それが原因かどうかはわかりませんけれども、四十歳になりましてぜんそくと診断をされました。幸い、集中的な治療で症状は出なくなりましたけれども、そもそもぜんそくは慢性疾患で、長期にわたって症状をコントロールしていく自己管理が大切でございます。
 この制度は当面五年ということでありますけれども、慢性疾患というぜんそくの特徴を考えれば、患者の皆様方に安心していただくためにも、医療助成は五年で打ち切られるべきではなく、見直しをしながらも継続していかなければなりませんし、制度を継続するためには、その財源を安定的なものにしなければなりません。
 そのためにも、首都高には、東京都の制度のスキームに従って、現在の制度が見直されるまでに応分の負担金を拠出していただくよう強く求めていくべきであります。
 都は今後、首都高に対して、あと二十七億円の拠出に向けて粘り強く交渉をしていただきたい。二十一年度の拠出の見通しも含めて所見を伺いまして、質問を終わります。

○大井総務部長 首都高速道路株式会社からは、厳しい経済情勢等を背景に通行量が依然として低迷しているほか、高速道路の補修、補強の費用の確保に余裕がないなど、経営が厳しいといったこと、それから、今年度も年度末決算を見通せる時期にならないと拠出が可能かどうか判断できない、こういうふうなことを聞いております。
 しかし、都としては、こうした厳しい経営状況も踏まえた上でも、和解の意義を損なわないために、首都高速道路株式会社が早期にその社会的責任を果たすべく、今後とも引き続き拠出を強く求めてまいります。

○古館委員 それでは、私からも「十年後の東京」についてお尋ねをしたいと思います。
 知事がオリンピック東京招致に言及したのが平成十七年九月二十日の本会議でありました。「十年後の東京」は、翌年の十八年に刊行されたんです。ですから、知事の言及というのは、はっきりいってトップダウン的に出されてきた。
 石原知事はその巻頭で、今夏、東京は二〇一六年オリンピック競技大会の国内立候補都市に選定された、そして、十年後のオリンピックは、成長のステージを経て成熟を遂げつつある東京がさらに機能的で魅力的な都市に生まれ変わるための絶好の機会でありますと記しております。この「十年後の東京」がオリンピック招致の構想を具体化するものとして出されてきた、これはもう明らかでありました。「十年後の東京」の裏表紙では、これもまた「オリンピックを東京に、二〇一六年!」と、こんなふうに印刷されております。
 さらには知事の巻頭のあいさつで、今夏、東京は二〇一六年オリンピック競技大会の国内立候補都市に選定されました、このように始まっているんです。東京オリンピック、「東京」がなくても、オリンピックという言葉が、この「十年後の東京」の中で四十カ所ほどあるんですね。多くの施策がオリンピックに関連づけられて出されているというのが「十年後の東京」の特徴の一つだと考えております。こうした構想から打ち出されてきたのが、この「十年後の東京」であります。
 インフラ整備については、申請ファイルで、環状五号線の改良工事など既存インフラ整備で一千億円とか、圏央道、首都高速中央環状道路など一兆円を超える莫大な費用がかかる計画、これらがメジロ押しになっているものであります。
 しかし、オリンピック招致が結局は実現しませんでした。そこでお尋ねしますが、そのことで実行プログラムはどのような影響が出るとお考えでしょうか。

○梶原計画調整部長 「十年後の東京」でございますけれども、「十年後の東京」は、東京が近未来に向けて、都心インフラの整備だけではなく、環境、安全、福祉、文化、観光、産業、またスポーツの振興といったさまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく姿と、それに向けた政策展開の方向性を都市戦略として内外に明らかにしたものでございます。
 この「十年後の東京」は、オリンピック・パラリンピック招致の成否にかかわらず、東京がさらなる成熟を遂げ、より機能的で魅力的な都市に生まれ変わるため、着実にその実現を図るべきものでございます。
 また、「十年後の東京」への実行プログラムは、「十年後の東京」で掲げました八つの目標の実現に向けた政策を着実かつ迅速に実施するための三カ年のアクションプランでございまして、個々の政策はオリンピック・パラリンピックの招致結果に影響を受けるものではないと考えております。こうした考え方はこれまでも繰り返し答弁をさせていただいております。
 今後とも、社会情勢の変化や新たな都民ニーズに対して、迅速かつ的確に対応しながら、「十年後の東京」で描いた二十一世紀の都市モデル実現に向けた先進的な取り組みを着実に進めてまいります。

○古館委員 今、一生懸命、オリンピックというのをどっちかというと否定的にしゃべって、そうじゃないんだよといっているんですけれど、結局はオリンピックに名をかりて、やることは、今おっしゃったように、大きな道路を初めとする大型開発、これらを大盤振る舞いしていくと。こういう形で計画として出され、具体化されていったものもあります。
 結局は、おっしゃったように、オリンピックにかかわりなくて大型開発が進められてきたし、ですから今後も、オリンピックがあろうがなかろうが関係なく、この開発がどんどん進んでいくと。その代表的な事業計画が、三環状道路が生まれ変わるなどというアピールで三環状道路等の整備促進などが据えられて、それで平成二十年度の事業費が一千六百十四億円。三カ年事業費としては五千七百六十六億円が予定されているんですね。
 そこでお伺いしますが、道路計画についていうと、批判の強い外環道路などの根本的な見直し、これを私は求めますが、いかがでしょうか。

○梶原計画調整部長 まず頭に、「十年後の東京」の中で、さらなる成熟都市に向けた三つのねらいというのが書いてございます。これは、残された二十世紀の負の遺産を解消すること、より機能的で魅力的な東京の姿を明らかにすること、東京の価値や信用力を高めその貴重なレガシーを次代に継承していくこと、この考え方、いまだにその考え方にのっとってこの「十年後の東京」は進めていくべきものだと考えております。
 外環のお話でありますが、今、理事からは、批判の強い、というお話もありましたけれども、外環道につきましては、都市計画変更後も八十回を超える住民との話し合いを重ね、本年四月に地元の意見や要望に対する国と都の考え方を示し、五月には国において事業化された道路でございます。
 外環道は、東京から全国に放射状に延びる高速道路を環状に連結し、東京のみならず広く全国にその便益が及ぶ重要な道路でございます。費用対便益は二・九と全国でもトップレベルであり、渋滞解消や環境改善などの効果も非常に大きい、早急に整備されるべき路線だと考えております。
 都としては、外かく環状道路の一日も早い完成に向けて、引き続き国に働きかけてまいります。

○古館委員 そういう形でどんどんどんどん大型開発は進めていくと。
 私どもは、そうした計画そのものの転換をぜひこの際だからやっていく必要があるということをいって、このインフラ整備について考えられる--これはちょっと違ったらまた正確に教えてほしいんですが、インフラ整備で七兆五千億円ほどかけようとしていたと、こういう形で今我々は試算をしているんですが、その点について、違ったらまたご指摘いただければと思います。
 それで、私は各決の総務局の質疑で、東京国体にこそしっかりと力を入れる必要があると、こういうことを指摘いたしました。なぜかというと、はっきり決まっているのは東京国体だったんです。オリンピックは受かるか受からないかわからないという中で、国体というのがきっちりと年度も決まって、やることは間違いないと。だから、こういうところにこそ力を入れる必要があるんだということを指摘いたしました。
 知事本局の分掌事務を見ていますと、東京オリンピック・パラリンピック招致本部との連絡に関すること、こういうような形なんかがあるんですね。こういう中で、やっぱり、オリンピックじゃなくて国体というのをきちんと位置づけをしていただきたいと。
 そこでお尋ねしますが、この「十年後の東京」で、平成二十五年度に東京国体、全国障害者スポーツ大会開催、その準備が掲げられております。知事本としてもぜひ後押しして進めていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

○梶原計画調整部長 まず、七兆五千億のお話ですが、これはオリンピックに要するインフラ整備ということでのご発言かと思いますが、これも私どもの立場とはちょっと違いますが、試算されている内容については、立候補ファイル、申請ファイルに含まれていない道路、それから、実行プログラム、「十年後の東京」にも記載されてない、例えば羽田と築地の道路だとか、そういうものも全部含まれた数での試算で出された数ということでございまして、私どもが計画として出している数を積み上げるとこうした数にはなりません。
 それから国体の関係でございますけれども、「十年後の東京」におきましては、目標8に、スポーツを通じて次代を担う子どもたちに夢を与えることを定めまして、スポーツの振興を通じて競技力の向上と世界の子どもたちの健全育成に貢献し、生涯を健康的に過ごせる社会を実現することを目指した政策の一つとして、東京国体の成功を位置づけてございます。
 また、既に実行プログラム二〇〇九におきましても、施策の43、オリンピック、国体につなげるスポーツの振興として、具体的な施策、例えば国体の会場となる施設の整備でございますとか、ジュニア期からのアスリート養成、あるいは東京国体環境指針の策定などを実施することとしてございます。
 今後とも、平成二十五年の東京国体の成功に向け、都の施策、事業に関します全庁的な企画調整役である知事本局として、その役割を十全に果たしてまいります。

○古館委員 さっきの七兆数千億円の話が、この計画、いわゆるこの冊子にはないけれども、ほかの、全体を入れたものがそうだと、そのように答弁があったというふうに今認識をいたしました。
 そして、こういう中で、特に災害に強い都市をつくると。こういう問題について、これはかなり個別政策になるんですけれども、首都東京の信頼を高めるということが実行プログラムでも述べられておって、緊急に着手する問題として、耐震化について述べております。
 二〇〇九年の「十年後の東京」への実行プログラムを見ますと、八八、八九ページで目標が掲げられておりまして、そこでは、小中学校等の校舎等については当初目標を三年間前倒しし平成二十四年、二〇一二年度までに耐震化を完了する、このうち、倒壊等の危険性が高い校舎等の耐震化を平成二十二年、二〇一〇年までに完了するとしております。私立小中学校・幼稚園等や、保育所、社会福祉施設等は新規事業として計画されているなど、これは評価をいたします。しかし、前倒しを、ぜひこれは求めたいなと思っております。
 こうした耐震化こそ--平成二十二年、二〇一〇年、これが都立の高等学校の耐震化目標としている年度なんですね。したがって耐震化完了に横並びできるように、ほかのそれぞれの小中学校とか、幼稚園とか、そういうのもぜひ横並びで入れていただきたいなと、このように思っております。
 達成年次も思い切って前倒しをすることを求めますが、いかがでしょうか。

○梶原計画調整部長 まず、最初の、七兆五千億あるいは九兆円、インフラ整備がオリンピックにかかるというようなご主張があるかと思いますけれども、私どもとしては、その試算というのはさまざまな問題がある--例えば、先ほど申しましたのは、計画であるとか、実行プログラムであるとか、「十年後の東京」に書かれた路線でもない路線の数値も全部積み上げた数字が古館理事がご試算なさった数字で、私どもとしてはそういう数字は持ち合わせていないし、考えていないということをお話ししたつもりでございます。
 それから、学校の耐震化ということでございますけれども、今、理事の方からお話がありましたように、十八年十二月、「十年後の東京」に平成二十七年度までに小中学校を一〇〇%耐震化するという目標を定めました。その後、二十年五月に中国の四川大地震というのがあったわけでございますけれども、二十年十二月に策定した実行プログラム二〇〇九で、さらにこの耐震化の目標を加速させて、目標年度の前倒しを行ったものでございます。
 具体的には、財政支援と人的支援を行うことにより、公立小学校については目標年度を三年前倒しし平成二十四年度までに、私立小学校については目標年度を二年前倒しし平成二十五年度までに完了することといたしました。さらに、公立小学校のうち特に、例えばIs値の低い建物について、危険性が高いものについては、その緊急性を踏まえ平成二十二年度までに完了することとしております。
 耐震化の工事と申しますのは、学校が休みの期間中に行わざるを得ないこともあり、耐震診断から始めますと、設計、工事に通常二年から三年程度要するということになります。
 今回の目標年度は関係者の意見などを踏まえて可能な限り前倒ししたものでございまして、この目標を確実に達成してまいります。

○古館委員 都立高校というか、高校についてはそういうふうに一番先にやりますよと。だから私なんか読んでいると、この順番に順位がついているのかなというふうに感じちゃうんですね。だから私は、できるだけ前倒しをして耐震化を実現するようにしてほしいなと、こういうふうに考えております。これは要望であります。
 オリンピック招致に向けて、都では今日まで四千億円に上る基金が積み立てられてきました。これは、私も総務の方で、この四千億という基金についてお話をさせていただいたんです。都民は決してトップダウン事業というのを望んではおりません。先ほど述べたように、このトップダウン事業というのは都民から批判も受けてきているんです。今こそ、こうした基金を都民の暮らしや福祉、営業、教育など、都民生活最優先の都政へと転換させていく、このことを強く求めておきたいと思います。
 そういう点では、確かに財務局という声もありましたけれども、いわゆる知事本局の担っている仕事というのは政策そのものの策定でもあり、そうした事業をどのようにして進めていくかという点での大きな責任もある部署であります。私は、はっきりいって、別に褒め過ぎということではないんですが、知事本局というのは東京都の頭脳だと思っています。その知事本局が最も関心を向けなければならないのは、都民の生活実態を直視し、都民の暮らし、何を今都民は望んでいるのか、このことにこそ力を集中して、そういう中で計画を東京都として練り上げていく、そういうところに知事本局としての値打ちといいますか、真価があるんじゃないかなというふうに私は思っています。そうした点で、ぜひこの問題について力を尽くしていってもらいたい、このように考えているところであります。
 最後に、知事本局として、先ほどいったけれども、四千億円のこうした基金の使い道の問題なども含めて、全庁的に討議をしていただけないかなと。これは質問の通告の中にありませんでしたが、この点についてお答えしていただければありがたい。
 以上です。

○吉川知事本局長 お話を聞いていると、都民、都民とおっしゃるんですが、都民といった場合、都民の総意というのをどうとるかというのは、かなり、政治というか、そういう意味では、知事なり都議会議員の皆様方が都民の総意をどうとるかというのは、正確にやっぱり語っていただきたいというような気がします。
 いわれなくても、知事本局というのは東京の発展、成長、それから都民の安心と安全のために全庁的な調整役としてこれまでも努めてまいりましたし、今おっしゃったような課題については、十月二日の結果を受けて、現在、東京都だけじゃないかもしれませんけれども、今回の結果をきちっと総括をするということがまず第一義かなというふうに思っております。

○古館委員 今そのように局長に答弁をしていただきました。
 しかし、都民の総意とか都民の思いとかという--だけどオリンピックそのものが本当に都民からそういう形で受けとめられたかというと、私は必ずしもそうじゃないというふうに思っています。そのことが、結果として選ばれなかったということにもつながっていくわけですから、このことだけ指摘をして、私の質問を終わります。
 以上です。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十一分散会

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