総務委員会速記録第十一号

平成二十一年九月十六日(水曜日)
第一委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十五名
委員長小磯 善彦君
副委員長田中たけし君
副委員長伊藤まさき君
理事大松あきら君
理事古館 和憲君
理事山口  拓君
小林 健二君
小山くにひこ君
淺野 克彦君
西崎 光子君
神野 吉弘君
鈴木 勝博君
吉原  修君
田島 和明君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本局局長吉川 和夫君
次長山口  明君
総務部長大井 泰弘君
青少年・治安対策本部本部長倉田  潤君
総合対策部長小濱 哲二君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部本部長荒川  満君
技監福島 七郎君
企画部長細井  優君
参事重田 敏光君
参事梅田 弘美君
招致推進部長中嶋 正宏君
招致戦略担当部長保坂 俊明君
新施設建設準備室長末菅 辰雄君
公募準備担当部長野崎 誠貴君
総務局局長中田 清己君
危機管理監島田幸太郎君
理事志賀 敏和君
総務部長醍醐 勇司君
参事和久井孝太郎君
行政改革推進部長和賀井克夫君
情報システム部長鈴木 尚志君
首都大学支援部長岸上  隆君
人事部長中西  充君
労務担当部長安藤 弘志君
主席監察員渡辺  勉君
行政部長笠井 謙一君
特命担当部長鈴木 隆夫君
都区制度改革担当部長塩見 清仁君
参事高橋 宏樹君
総合防災部長中村 長年君
参事細渕 順一君
統計部長三田村みどり君
人権部長荒井  浩君
国体・障害者スポーツ大会推進部長皆川 重次君
選挙管理委員会事務局局長矢口 貴行君
人事委員会事務局局長泉本 和秀君
任用公平部長宮川 雄司君
監査事務局局長三橋  昇君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係
報告事項(質疑)
・IOC評価委員会報告書について
 総務局関係
報告事項(質疑)
・平成二十年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績及び平成二十一年度東京都監理団体経営目標の設定状況について
・平成二十年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について
・小笠原諸島振興開発計画(素案)について
・東京都地域防災計画(火山編・大規模事故編)の修正について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○小磯委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件につきましては、本日の理事会において協議の結果、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○小磯委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、東京オリンピック・パラリンピック招致本部及び総務局関係の報告事項に対する質疑、並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。

○小磯委員長 これより東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、荒川本部長から紹介があります。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 公務のため、過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員を紹介させていただきます。
 招致推進部長の中嶋正宏でございます。
 なお、次長の並木一夫と連絡調整担当部長の藤森教悦は、他の公務のため、本日欠席をさせていただいております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○小磯委員長 紹介は終わりました。

○小磯委員長 次に、報告事項、IOC評価委員会報告書についてに対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○古館委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 十月二日のIOC総会で開催都市が決まります。知事のコメントでは、開催理念や環境を重視したコンパクトな大会計画、そして充実した輸送システムや財政力、こういうことについて、評価委員会から非常に高く評価されたというコメントがありました。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、二〇一六年のオリンピック・パラリンピック競技大会に立候補しているのが、東京、シカゴ、マドリード、それからリオデジャネイロの四つの都市であります。そこでお聞きしますけれども、総括として最も高い評価を受けた、これはどの都市でしょうか。

○中嶋招致推進部長 今回のIOC評価委員会報告書は、各立候補都市の立候補ファイルの内容や現場視察などを踏まえまして、大会計画のすぐれた点や課題とすべき点について、具体的に記述したものでございます。昨年六月の立候補都市選定時とは異なりまして、数値により評点をつけるというものではございません。
 これは、この報告書が、各IOC委員が十月二日の開催都市決定の投票の際の参考にするために作成されたものでございまして、立候補都市の間の優劣をつける目的のものではないからでございます。
 なお、オリンピック・パラリンピックの招致活動におきましては、他の立候補都市と比較するようなコメントはできないという招致ルールでございますので、改めて申し上げさせていただきます。

○古館委員 私の手元にあるものでは、サマリーの概要ということで、それぞれ評価があって、リオデジャネイロが、立候補ファイルだとかプレゼンテーションは、詳細で質は非常に高いと。これは、非常に高いといういい方をしてあるのはここだけなんですね。
 あとは、マドリードは質はさまざま。それからシカゴは質は高い。東京も質の高いものだと。ですからそういう意味でいう、私のさっきの質問でいうと、ここでいわせていただくと、リオデジャネイロが非常に高い、こういう評価があるんですね。
 そういうことの中で、〇九年度の九月三日の資料、これが今私がいったもので、東京はシカゴとともに質は高いという評価、それでお聞きしますけれども、それぞれの開催都市でのIOCの世論調査、これはどのようにあらわれているんでしょうか。四都市についてお尋ねをいたします。

○細井企画部長 IOC評価書における世論調査の結果でございますけれども、委員会資料にも記載してございますけれども、東京での支持率は五六%、シカゴは六七%、マドリードは八五%、リオデジャネイロは八五%でございます。IOCによりますと、この調査はことしの二月に行われたということでございます。
 二月以降、三月の東京マラソン、また衆参両院での招致決議、市町村や経済界、運輸業界、観光業界などの民間団体との連携した招致機運の盛り上げなどによりまして、都民、国民のオリンピック・パラリンピック東京招致に対する支持は非常に高まっておりまして、四月後半に実施した調査では八〇%を超える支持率でございました。
 また、六月から七月にかけて行われました十代の若者を対象とした調査でも、支持率は約八割に上がっており、支持は着実に拡大していると認識しているところでございます。

○中嶋招致推進部長 先ほどの理事のご質問の中に、立候補ファイルやプレゼンテーションの質についてのIOC評価報告書のコメントについてご発言がございましたけれども、一言申し添えさせていただきますが、今回のIOC評価委員会の報告書の、四都市の評価の要約である最後のサマリーというのがございますけれども、その中に確かにそのような記載がございました。
 ただ、これは中身を見てみますと、それぞれの計画の総合的な評価としてこれをコメントしているというものではございませんで、立候補ファイルにおける表現ですとか、評価委員会訪問時のプレゼンテーションにおける技術面での方法、こういった方法論についてすぐれているかどうかというような評価でございまして、そういう意味では部分的な評価というふうに私ども受けとめてございます。
 したがいまして、リオデジャネイロが、そういった高い評価、その部分においては高いコメントをされているというのは事実でございますけれども、これをもって大会計画の全体が総括されたというものではないというふうに、私どもとしては考えてございます。

○古館委員 私が今挙げたところは、部分的ではない--というふうにいっているんですけれども、この概要の中で、今私がいった、非常に高いとか、質は高いとかといった部分、最初に何が書かれているかといったら--総括という部分についてです。だから、総括だから、全体について評価しているんだということを、まずはきちっとそこは改めていただきたいし、私はそういう理解でこの質問をさせていただいていますので、まずここに書いてある1、2、3、4という数字が、その後に並ぶんです。最初にぼんと来たのが、総括という中で、今私が指摘をしたような内容になっているんだということをいっておきたいなと、このように思っております。
 東京の場合は、賛成が五五・五%で、反対が二三・三%。シカゴが賛成が六七・三、反対が一二・二。マドリードが賛成八四・九で、反対が六・八。リオデジャネイロが賛成八四・五で、反対は九・二と。局の資料の中で、東京オリンピック招致に関する世論調査についてというのがあって、局がやっているものについては大体、WEBとかの調査で六千人、三千人、三千人。最後の方の、二十一年四月について招致委員会がやったという支持率調査では、七三・五%というふうに出ているんですね。
 この七三・五%って随分高いなと思ったんですが、これは電話で調査をしたということなんですね。電話で調査、しかも会話しての回答だというふうに私に説明をしております。一千人ですね。大体ほかは六千人だったり四千人だったり三千人だったりと、そういう調査のサンプルなどがやられているんですけれども、しきりに、この七三・五%、高くなっているよという。これは、いわゆる電話調査によって一千人、しかも、実際に出た人と会話をして、それで、支持するかしないかということを聞いているわけですからね。これはすぐに、あ、そうですかというふうに納得するというわけにはいかない。そういうふうに私は考えているところであります。
 それで、同じ時期に各新聞社などがそれぞれやっているんですけれども、二十一年四月ですが、共同通信社が五五・六%とか、毎日新聞が五七%とか、それから読売新聞社が五五・一とか、朝日新聞社が五五。だから、各マスコミがちゃんとやっているやり方でいいますと、ほとんどが五割台というのが、今の都民のオリンピックに対する実態だというふうに、私は思っているところであります。
 そういう状況の中で、ナンバー9の競技及び会場というところで、会場視察において、既存会場の幾つかは実際には建設が必要だ、今のままでは使えないよと、こういうふうにいっている箇所がありますね、この中で。先ほどいったサマリーの概要の中でも。
 これについては、どこのことを具体的に指しているんでしょうか。

○中嶋招致推進部長 競技会場の施設関係につきましては、立候補ファイルの中で、全く新しくつくる新設会場と、既存会場を改築などしながら活用するものと、既存会場をほぼそのまま使うもの、あと、オリンピックだけのために仮設でつくるものと、こういう四区分で、立候補ファイルとしてIOCに提出いたしました。
 私どもとしまして、その既存会場の中で、大規模なものも含めまして、改築や改修を施した後、オリンピックにふさわしい会場としていくというものにつきましては、この基準に照らして、既存会場として分類して出したものでございます。
 その部分につきまして、今回IOCが実際に現場を見て、これは分類のうちの新設会場に当たるという指摘があったのは事実でございます。ですからこれが恐らく曲解されまして、東京としては、既存会場をそのまま立候補ファイルに出しましたが、来てみたら、実際には非常に改修が必要だというのが初めてわかったというようなことのように、曲解された形で一部報道もされておりますけれども、これは正しくございません。
 今いいました、IOCの方から、新設会場として分類しますよというふうに報告書で書かれました会場につきましては、以下の六会場でございます。(「六会場」と呼ぶ者あり)六会場です。
 東京辰巳国際水泳場。それと夢の島公園。それと夢の島につくりますユース・プラザというのがございますが、これはIOCの基準からいきますと、それぞれホールごとに会場というふうに位置づけますので、そのユース・プラザのアリーナのA、B、C。それと大井のホッケー競技場。以上、この六会場でございます。

○古館委員 そういう形で、今、六会場ということで明らかにされました。ですからそういう部分でいうと、いい方によっては、東京の立候補ファイル自身が、本当にそういう意味でオリンピックの会場としてたえられるかどうかということについての信憑性もやっぱり問われているというふうに、私はいわざるを得ないと思うんですね。
 あと、選手村の建設に供される敷地の広さについても懸念があるとか、あるいは宿泊施設についても、ホテル客室の提供に関する保証期間は開会式から閉会式のみを対象にしているとか、これだと、保証期間が延長されなければ、早期に到着する必要のある関係者は実質的に、より高い宿泊料金を払うことになるだろうという、こんな指摘などもあるんですね。
 それと、やっぱり選手村とオリンピックスタジアムの周辺の交通が課題であると。こういうような状況がいろいろ厳しく指摘されているということでありまして、私どもはこのオリンピックの問題については、これまでも、東京の招致ということについて疑問を投げかけておりますし、この立場から引き続き、今後とも質疑をしていきたい。
 以上で私の質疑を終わります。

○中嶋招致推進部長 一言、ちょっと申し添えさせていただきます。
 先ほど、立候補ファイルの信憑性ということをお話しいただきましたけれども、繰り返しになりますが、東京は、先ほど申し上げました六会場につきましては、大規模なものも含めまして、恒久施設工事が必要という認識に基づき、その整備計画や建設費用など、必要な事項についてはすべて立候補ファイルに盛り込みましてオープンにしております。
 したがいまして、今回のIOCの指摘というのは会場の分類の問題でございまして、これによって、追加的な施設整備など、抜本的な計画変更が生じるというものではございませんので、立候補ファイルの信憑性云々の問題というのは当たらないというふうに考えてございます。
 それと、最後にもう一言申し添えさせていただきますが、先ほどの総合評価の観点でございますけれども、総務委員会の資料でご提出いたしました資料にもありますように、各都市とも、すぐれている点、課題とされた点、それぞれ具体的にあげつらってございます。
 その中で、他都市の比較はできませんけれども、事東京に関して申し上げさせていただきますと、課題とされた点につきましては、先ほど理事の方からもご指摘ございましたが、各テーマについての技術的な側面についての指摘でございます。これらは計画の根幹にかかわるものや、開催能力自体を問うようなレベルのものではございません。
 しかも、これらにつきましては、IOCの評価委員会の視察が終わりました六月に、IOCで計画の説明の場がございましたが、テクニカルミーティングというふうに申し上げておりますけれども、そういった機会におきまして、既にこういった問題点についてIOCに説明済みでございます。
 一方、計画の強みとして、かねてからアピールしてございました開催理念ですとか環境を重視したコンパクトな大会計画、それと充実した輸送システムや財政力といったものにつきましては、今回の報告書で評価委員会から正当に高く評価されてございます。したがいまして、総合的に関していいますと、東京の計画につきましては全体として、IOCから非常に高い評価をいただいているというふうに考えてございます。

○古館委員 今お話がありましたけれども、そういう指摘というのは、別に東京だけじゃなくてシカゴだとかマドリードだとかリオデジャネイロだとかに、そういうことでこういうところはちゃんと改善しなさいよとか、こういうことはちゃんと修復しなさいとか、そういうことというのはやられているわけですからね。そういう意味で、別に東京だけに指摘があったということ--だけではないというふうに思うんですね。
 だからそういう部分でいうと、私たち日本共産党としては、先ほどオリンピックの問題でいいましたけれども、そういうところにお金を使うんだったら、やっぱり今、都民の福祉だとか暮らしだとか教育だとか、そういうところにちゃんとお金は使うべきだということをずうっといい続けてきておりまして、この問題についても、引き続き私たちは注目をしながら、やっぱり暮らし最優先の方向で質疑をしていきたい。
 以上でございます。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係を終わります。

○小磯委員長 これより総務局関係に入ります。
 報告事項、平成二十年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績及び平成二十一年度東京都監理団体経営目標の設定状況について外三件に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○鈴木委員 まず、公立大学法人首都大学東京の今後のあり方について、その視点から、幾つか私の方から質問をさせていただきます。
 首都大学東京は、東京都立大学を初めとする四つの大学が再編統合しまして、平成十七年に設置された新しい大学でございます。このような新設の大学が誕生しましたその経緯におきまして、果たすべき役割を、まずお伺いさせていただきます。

○岸上首都大学支援部長 公立大学法人首都大学東京は、大都市における人間社会の理想像の追求を使命といたしまして設立されました。
 東京都にふさわしい大学として、東京という大都市における諸課題を見据えて教育研究活動を行い、世界の諸都市に共通する人類の諸課題の解決に貢献するとともに、その成果を社会に還元し、都民の生活文化の向上発展に寄与することが首都大学東京の役割でございます。

○鈴木委員 首都大学東京が、都民そしてまた都政や、この大都市社会のために、大きな役割を果たす存在となることは大変重要なことでございます。
 今回の業務実績評価は、新しい大学が設立されまして四年目という節目に当たります。新設のこの大学に入学された方々が初めて社会に出られてからの評価でございます。
 このような大きな節目にありまして業務実績の評価を受けたわけでございますけれども、今回の評価につきまして、都としてはどのような受けとめ方をしていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○岸上首都大学支援部長 今回の業務実績評価でございますけれども、項目別評価におきまして、全五十二項目のうち、年度計画を順調に実施している評定一が八項目、年度計画をおおむね順調に実施している評定二が四十三項目となっておりまして、年度計画を十分に実施してきていない評定三が一項目あったものの、全体として、第一期中期計画が折り返し点に立った段階で、ほぼ順調に年度計画が進行しているものと認識しております。

○鈴木委員 今、発言がありましたように、首都大学東京を初めとする三つの教育機関、これが、基本理念の実現に向けて着実に運営が実行されているということは理解をできました。しかし、私も今回初めて、この評価書の冊子を長々と読ませていただきましたけれども、大変、記載内容が膨大かつ細かく及んでおりまして、大変な時間を要しました。
 そういう意味におきましても、お聞きしましたところ評価の手順としては、法人からの業務実績報告書をもとに評価委員がヒアリングをして、そしてこの評価書をまとめていたということでございますけれども、この業務実績報告書を見ると、小項目が何と二百七十に及んでおります。都が運営費を支出している立場から、大学運営全般にわたって細目までチェックするということはもちろん必要なことでございますけれども、これでは一般の都民はもちろん、大学の関係者にとっても大変読みづらいものになっている冊子であると考えております。
 そういう意味で、業務実績報告書を作成する大学はもちろんのこと、読んで評価をしております評価委員の方にとっても、全体の総評の中でもありましたけれども、大きな負担になっていると推測をしているところでございます。大学としては、こうした報告書の作成に時間を二カ月、三カ月割くよりも、教育研究の活動や、あるいは優秀な人材をたくさん確保するという本来の教育活動に、より大きな力を入れるべきであると考えております。
 そもそも、大学の業務実績を評価する、その意義というのはどこにあるのか、お伺いいたします。

○岸上首都大学支援部長 業務実績評価は、法人の中期計画の事業の進行状況を確認しまして、法人の業務運営状況をわかりやすく社会に示し、都民への説明責任を果たすとともに、教育の質の向上や法人の業務運営の改善向上に資することを基本方針に、実施するものでございます。

○鈴木委員 事業の進捗状況を確認することはあくまでも業務実績評価の一部でありまして、大学の業務運営の向上、改善に資することこそが、私は最終の目的になっているのであると考えております。大学には、都民からの税金がもちろん多額に入っておりますし、その使途を納税者である都民に知らせること、さらには、もちろんそれを読んだ人の意見やアイデアを業務運営に生かしていくことが、この評価項目の最終的な目標であると考えております。
 しかし、こうした大変に網羅的な内容では、大学が何に重点を置いて取り組んでいくのか、この首都大学の特徴が実は逆に見えにくくなっているのではないか、そのように思っております。設立当初であればともかく、ある程度運営が軌道に乗ってきた段階では、大学が力を入れる、取り組む事項などに重点を置いた、めり張りある評価をされていくべきであると考えております。
 評価については、大学関係者はもとより、一般の人々にとってももっとわかりやすいものにしていく必要があると思いますが、いかがでございましょうか。

○岸上首都大学支援部長 この評価が大学に対して実効性ある取り組みを促しまして、それにより大学が着実な成果を上げていくためには、学内の構成員のみならず、都民を含めた学外にも、よりわかりやすく伝えることが必要だというふうに認識しております。
 評価項目につきましては、現行の中期計画に定められたものでありまして、その構成自体を変更するということは困難でございますが、評価が学内構成員を動機づけ、個々の自律的、自発的取り組みを促すものとするという観点からも、その運用面を含め、あり方について改めて検討いたしまして、可能なところから見直していく考えでございます。

○鈴木委員 現在の中期計画期間においてはできることに限界があるということでありましょうけれども、二年度分の評価が残っておりますから、その間においても、もっとわかりやすい評価となるようにできるだけ工夫をされ、次の計画期間において、評価の内容についてはぜひとも抜本的な改善を行うことを望みます。
 続きまして、私の方から、監理団体の経営目標達成度評価制度に関して、何点か質問をさせていただきます。
 私は、民間企業に長年勤めておりまして、経営の側にも回っておりましたけれども、民間企業においては、一たん設定した経営目標は非常に重い意味を持つことになります。
 経営目標が達成できない場合には、株主からも大変厳しい追及を受けたり、あるいは借り入れている銀行からも大変厳しいことをいわれたり、あるいは社員、そういった方々に対するボーナス、賞与、これも決定されていくことでございまして、社長などの役員の責任は、大変重要な責任問題につながるケースさえございます。
 こうした観点から、今回の評価制度では、最も高い評価であります「達成」となっていない団体が数多く見受けられます。この結果を、それぞれの団体がどのように受けとめて、今後どうしていくのかが問われているのではないかと考えます。
 格付などの一般経営評価と異なりまして、各団体が設定した経営目標の達成度を評価するということですけれども、結局、各団体がみずから目標設定するということであれば、低い目標設定、あるいは達成しやすい目標設定になってしまうのではないかと思われます。
 目標設定が団体のいいなりでは、この制度が適正に運営されているとは考えられません。目標設定に当たっては、具体的にどのような調整を行っているのか、お伺いいたします。

○和賀井行政改革推進部長 目標の設定に当たりましては、まず各団体が事業の目的や特性などに応じまして目標設定を行った後、その団体のトップが、目標達成に向けた取り組みなどにつきまして所管の局長と意見交換を行います。その際、都事業を支援、補完する団体の存在意義を踏まえまして、所管局の意見も取り入れているところでございます。
 その後、過去の実績などを参考に、適正な目標水準とするなど、総務局が全庁的な立場から調整いたしまして、最終的には副知事をトップとする監理団体改革推進委員会に付議をし、経営目標を確定させております。

○鈴木委員 経営評価というものは、ただ単に、目標を設定してそれが達成できたかどうかを機械的に判断する、そういうものでは意味がないと考えます。
 団体や会社が一丸となって、その経営目標達成に向けて努力することこそが重要でございます。私の経験からも、経営者みずから、トップがリーダーシップを発揮して、社員が高いモチベーションを有する場合のみ、会社の業績というのは向上していくものでございます。
 そこで、本評価制度では、経営目標の達成に向けて、各団体において職員が末端まで一丸となって取り組むことを促す制度といったものがあるのかどうか、お伺いいたします。

○和賀井行政改革推進部長 経営目標達成度評価制度は、団体事業の目的や特性に応じまして、みずからが経営目標を設定することを通じて、団体の自発的な経営改善を促す制度でございます。
 各団体では、まず団体の職員がそれぞれの事業において組織として取り組むべき課題を洗い出しまして、これをもとに、経営陣が団体としての経営目標を決定しているところでございます。
 このように設定されました目標は団体全体で共有されておりまして、経営陣のリーダーシップのもと、目標達成に向け、一致団結して取り組みを進めているところでございます。

○鈴木委員 経営評価が余り芳しくない場合には、トップの報酬が五%から一〇%削減されるということに関しましては、トップが一定の結果責任を果たすという点で理解できますけれども、報酬面で責任をとるだけでは、経営評価制度を生かす視点からは不十分であると考えております。この結果を受けて、特に達成度が不十分な団体におきましては、翌年度より、よりよい経営を目指していくことが肝要であろうと思われます。
 最後の質問になりますけれども、経営目標の達成度評価の結果を受けて、それぞれの団体におきまして、翌年度の経営実績の向上に向けてどうつなげていくのかを、お伺いいたします。

○和賀井行政改革推進部長 達成度評価の結果につきましては、都がホームページ等で都民に対して公表するとともに、各団体において、当該年度の取り組み状況や経営目標の達成の程度、それに至った要因などを、所管局とともに検証を行っております。
 その上で、次年度の目標を設定しまして、前年度の課題を解決するとともに、目標達成に向けました具体的な取り組みを通じて経営実績の向上を図っているところでございます。
 こうした取り組みを継続的に実施するよう総務局としても指導し、着実に監理団体の経営改善を促しております。

○鈴木委員 本評価制度において設定された目標が、それぞれの団体の抱える経営課題を解決し、将来ビジョンを実現するための取り組みを反映したものになっているのか、引き続き検証していくことが肝要であろうと思います。また、監理団体が行うべき事業を民間に任せていく事業に関しても、社会情勢など、都政を取り巻く環境に適切に対応しまして不断の見直しを行うこと、これが大変重要であると。
 そして、今後とも、本評価制度を適正に運用して監理団体改革を一層推進することを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。

○田中委員 私は、過日ご報告がありました小笠原諸島振興開発計画(素案)につきまして、何点か質問させていただきたいと存じます。
 この振興開発計画の素案は、小笠原諸島が置かれているさまざまな特性を踏まえての素案だろうと思っております。一応確認のためではありますが、例えば地理的な特性でいえば、東京から千キロ離れた場所であるということであります。そしてまたそのことから、我が国の排他的経済水域を確保している、国益にも大いなる貢献をしている場所でもあります。
 そしてまた、東京から千キロ離れているがゆえの自然的な特性も、さまざま、この小笠原にはございます。
 小笠原の固有の植物でありますムニンツツジ、ムニンノボタン等々固有の生物も生育しておりますし、また、特別天然記念物のハハジマメグロがいたり、あるいはオガサワラオオコウモリなどの天然記念物なども生息しているという自然的な特性もございます。
 また一方で、歴史的な特性もこの小笠原にはございまして、第二次世界大戦の大変悲劇的な、大きな影響を受けてしまっておりますが、昭和十九年の際には、約六千八百人余りの島民の方々が、その戦争の影響を受けまして本土への強制疎開を強いられてしまった。そしてまた戦後の米軍による占領が行われてまいりましたが、昭和四十三年に日本の本土に--帰還するまで、約四半世紀にわたって米軍による支配下に置かれてしまった、そういう背景もございます。
 そのような歴史的な特性を踏まえまして、小笠原の社会基盤や生活基盤の復興は、内地と比べ著しく立ちおくれた状況が続いてまいりました。
 そんな中、我が党は、日本への返還以来、今日に至るまで全力で小笠原諸島の復興、発展を図るために取り組んできた、そのような自負をしているところであります。その結果として、交通、産業、生活基盤などの各種基幹的な施設の整備等にも相応の成果が上げられたものと思っております。
 しかし、小笠原は他の島々と比べ、遠隔離島であるがゆえに、依然として残された課題があると思っております。
 このようなことから、我が党が中心になりまして、本年の三月の末に時限立法であります小笠原諸島振興開発特別措置法を改正し、延長したところであります。今回、都は本改正法に基づきまして、今後五年間の小笠原諸島の振興発展の道しるべとなる小笠原諸島振興開発計画を策定することとしておりますが、今回の振興開発計画とこれまでの計画との主な違いについてお伺いしたいと思います。

○高橋参事 今回の計画とこれまでの計画との主な違いでございますが、第一に、小笠原諸島振興開発特別措置法の改正に伴います、小笠原諸島の振興開発に係る事業者、住民、特定非営利活動法人、その他の関係者間における緊密な連携及び協力の確保に関する事項の追加がございます。
 第二に、国が策定した基本方針に基づき、振興開発計画において施策や事業の効果を評価するための目標を設定することとし、あわせて具体的かつ総合的な評価を行うことの追加。
 第三に、地域イントラネット基盤施設整備事業において敷設する海底光ケーブルを活用した情報通信環境の向上に関する事項を、新たに定めた点でございます。

○田中委員 今、主に三点、前回とのこれまでの違いということでご報告をいただきました。特に三点目のイントラネット、海底光ケーブルの敷設について少し質問させていただきたいと存じます。
 この小笠原は、先ほども申し上げましたが、東京から千キロ離れているということでありまして、それがゆえの特性を生かした、自然的あるいは地理的特性を生かした、小笠原の振興開発が行われるべきだと思っておりますが、一方で、今日は情報化社会となっておりまして、ユビキタス社会であればいつでもどこでもだれとでもという情報のコミュニケーションが図られる時代となっております。それであるために、たとえ千キロ離れている小笠原といえども、私は、この情報化が進んでいる今日におきまして、情報化、情報の格差の是正といったものを求めていくべきだろうと強く思っているところであります。
 そういった中での今回の海底光ケーブルの敷設というのは、大変、小笠原の島民の皆様にとっても、この素案、計画に対する大いなる期待があろうと強く思っているところであります。
 そこで、この海底光ケーブルの敷設により、情報格差の是正が図られると思っておりますが、その敷設の今後の予定についてお伺いしたいと思います。

○高橋参事 小笠原海底光ファイバーケーブル敷設による情報基盤整備、保守及び運用事業に係る企画提案者につきましては、平成二十一年九月十一日に建設局が公告をし、公募を行っているところでございます。
 この公告によりますと、企画提案書は十一月二十日までに提出され、企画提案書の審査結果及び事業者の決定は平成二十一年十二月十八日までに通知することとなっております。事業者は、海底光ファイバーケーブル敷設による情報基盤の整備を、平成二十三年三月三十一日までに行うこととなっております。

○田中委員 ぜひ、予定どおりの整備がなされることを大いに期待しております。
 今の小笠原の方々にとっての通信手段は、今の衛星回線を使っての情報のやりとりがなされていると思います。今後の、先ほどいった情報格差の是正といった視点からは、一つは、今日利用されている衛星回線の、何というのでしょう、補強といったことも一つ方法として考えられますし、また今回の海底光ケーブルを活用しての情報格差の是正のための手段、方法があろうかと思います。
 この両者を比較いたしますと、衛星回線ではもう既に、容量の低いものではありますが設置をされているということから、その拡張という視点からいえば、いわゆるイニシアルコストはそうかからないのかなという利点もあろうかと思いますが、ただ、回線の安定性だとか容量の部分でいうと、光ケーブルの方が数段上だろうというふうに思っております。
 衛星回線ですと、ご案内のとおり天候による影響も受けてしまいますし、太陽雑音といわれるものの影響を受けまして、年二回、一週間程度の日中数分間、通信障害を受けるという、そういう自然現象から起きる影響も、衛星回線の場合は起き得るということで、回線の安定性というものは劣るのかなというふうに思っております。
 一方、この光ケーブルにおきましては、そういった天候による影響も受けることなく、しかも衛星回線よりも大容量の情報の入手が可能となってくる。あるいはそのランニングコストが、衛星回線と光ファイバーケーブルを使ったときの最少値と最大値のそれぞれの比較をすると、光ファイバーケーブルを使った方がランニングコストは三倍から四倍安く運用できるという、そういった調査結果も出ております。
 そのようなことも踏まえると、衛星回線以上の大容量の情報のやりとりが、この光ケーブルを活用することで、その島民にとってのさまざまな利便性の向上を図ることにつながる、大変重要な情報インフラの整備につながるものと思っております。
 この情報通信格差の是正といった視点で、今申し上げましたように、島民生活に大いなる影響を与え、また島民の方々の生活の変化といいますか、向上といった視点にも貢献するものだろうというふうに大いなる期待をしているわけであります。
 今後、この光ファイバーケーブルを活用いたしまして、具体的にどのような用途に活用し、それが島内の産業の振興や島民生活にどのような貢献をしていくのか、その点をお伺いしたいと思います。

○高橋参事 海底光ケーブルの敷設運用によりまして、大容量かつ高速通信のみならず、地上デジタル放送も安定的に視聴することが可能となります。
 高速通信が実現する結果、本土との距離を克服する新たな産業誘致の可能性が高まるとともに、島内産品の販路の拡大や観光スポット映像の配信による観光PRの充実など、島内産業の振興が期待されております。
 また、村民生活になくてはならない医療においては、内地の専門医との連携を図る遠隔医療について、島内の診療所の医師では対応できない専門的な画像診断を行う画像伝送システムの高速大容量化などにより診療内容の充実が期待できるほか、インターネットを利用した学習や、ネット配信による映画鑑賞などの活用が想定されております。
 今後も小笠原村の意向を踏まえつつ、活用策について幅広く検討を進めてまいります。

○田中委員 ただいまご報告いただいたように、さまざまな、島民の方への影響、いわゆる産業の振興に対する活用が図られたり、あるいは住民の方にとっての健康面での対応がなされるということで、大いなる期待をされると思っております。
 そしてまた、小笠原村の住民あるいは関係機関へのブロードバンド化ニーズ調査結果によっても、やはり同様の評価がなされております。
 高速インターネット環境に対しては、七六・七%の方がぜひ活用したいといっていらっしゃいますし、また地上デジタル放送に対しては七三・二%の方々、そして遠隔医療についても七一・七%の方々が期待をされております。またさらには、生涯学習や在宅健康管理に対しても六〇%以上の方々が期待をされているという結果も出ております。ぜひ、この光ファイバーケーブルの敷設によって、島民の方々への期待におこたえをしていただきたいなと強く願っているところでございます。
 小笠原諸島は、本土から南に約千キロ離れた遠隔離島であり、我が国の排他的経済水域の約三割という広大な海域を確保しており、我が国にとり、大変重要な地域であると強く認識をしております。今回の計画期間中に、海底光ケーブルの敷設や予定される世界自然遺産登録などにより、住民生活が一変することも予測がされます。
 都は、地域の活力を引き出しつつ、こうしたツールを有効に使い、島内産業の振興や定住環境の向上など、小笠原諸島のさらなる振興開発を積極的に図っていただきたいと思っておりますが、そのことに対する局長のご決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。

○中田総務局長 小笠原諸島は、田中副委員長がおっしゃったとおり、多くの固有種が生息または生育している、また特異な地質、地形を有するなど、世界的にも貴重でかけがえのない自然の宝庫であると認識しております。加えまして、我が国の排他的経済水域、この確保の観点からも、国益を維持する上で非常に大きな意味合いがある土地、島であると認識しております。
 小笠原諸島の振興発展のためには、地域住民の一層の参画を進めまして、地元の発意あるいは創意工夫、こういったことによりまして島づくりを進めていくことが肝要であるというふうに思っております。私ども総務局の方にも、村の村長、森下村長であるとか、あるいは村議会の方、こういった方が、強い要望を持ってたびたび来ております。また、恐らく先生方の方にも行かれているかと思います。
 都としても、小笠原諸島地域のこういった重要性にかんがみまして、今回策定します小笠原諸島振興開発計画に基づきまして、村や国、関係団体や住民などと連携を図りながら、今後とも自主的、自律的な発展を積極的に支援してまいります。

○田中委員 ぜひお願いをしたいと思います。
 今回のこの計画素案に盛り込まれております光ファイバーケーブルの敷設については、もう既に前内閣となってしまいましたが、麻生内閣におきましての経済危機対策、平成二十一年度の補正予算の中に盛り込まれた事業だろうと思っております。
 まだ正式な表明はないので何ともいいかねますが、鳩山新内閣におかれましては、まだ執行されていないこの補正予算については、一時凍結、見直しをするというような話もございますが、これだけ島民の方々からの期待もあり、また島民の方々の生活の、あるいは産業振興にも大いなる効果のある事業につきましては、鳩山内閣においても、地元の住民のご意向をしっかりと踏まえていただいて一刻も早い予算執行がなされ、そして小笠原のさらなる振興がされますように、大いなる振興が進むことを大いに期待をいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○小林委員 本日、委員会での初めての質問をさせていただきます。総務局の皆様には今後とも大変お世話になりますが、どうかよろしくお願いいたします。
 私の方からは、先日報告のございました東京都地域防災計画大規模事故編の修正について何点かお尋ねをさせていただきます。
 ここ十年におきまして、都内では、平成十二年の地下鉄日比谷線列車脱線事故、また平成十三年の新宿歌舞伎町でのビル火災、そして平成十九年の渋谷区温泉施設爆発火災、また平成二十年の首都高速五号線でのタンクローリー事故、危険物火災と、大規模と位置づけられる事故が発生をしております。いつ、どこで、どのような事故が起きるか予測しがたい状況の中にありまして、都民の生命そして財産を守っていくためのこの計画は、まことに重要であると認識をしております。
 今回、この計画が修正されたわけでありますけれども、新規に加えられた項目として、行政、事業所、都民等の連携というものがございます。
 行政、事業所、都民等の連携については、地域防災計画の震災編、また風水害編には既に盛り込まれておりますけれども、このたび、この大規模事故編に加えられた背景そして目的を、改めてお伺いさせていただきます。

○中村総合防災部長 平成十七年四月に兵庫県尼崎市で発生いたしましたJR福知山線脱線事故は、死者百七名、負傷者五百四名の大惨事の事故となりました。この事故の現場におきまして、現場周辺の事業所が負傷者の救済や搬送などに大きく貢献しておりました。
 都はこの教訓を生かしまして、大規模事故におきましても、行政が事業所や都民と連携を図る必要性があると考え、今回の計画修正に盛り込んだところでございます。

○小林委員 今ご答弁いただきましたように、JR福知山線の脱線事故の教訓を踏まえて盛り込んだとのことでございますけれども、この事故のあった兵庫県は、阪神・淡路大震災を乗り越えた経験がありまして、ともに助け合う共助の精神が培われていたと思います。
 その一端として、この事故の際に、地元企業または地域住民の方々がどのような協力を具体的に行ったのかを改めてお伺いさせていただきます。

○中村総合防災部長 現場周辺の事業所や地域住民との協力の内容についてでございますが、それぞれの企業の、事業内容や所有する資器材などに応じて行われました。
 具体的には、バールなどの工具を持参して大破した車両から被災者を救出、被害者の誘導や搬送、被災者の応急手当てや病院への輸送、ぬれタオルや氷、飲料水を初めとした物資の提供などの協力があったと報告を受けております。

○小林委員 ありがとうございます。
 冒頭にも申し上げましたけれども、大規模事故というのは、いつ、どこで起こるかわからないものであります。万が一事故が発生した際の、地域住民や地元企業との連携ということも、具体性を持たせるにはさまざまな課題もあろうかと思います。
 仮に、この東京都内で大規模事故が発生した場合、地元事業所や地域住民との連携について、現状をどのようにお考えになっているのか、東京都のご見解をお伺いいたします。

○中村総合防災部長 地元事業者や地域住民との連携についてでございますが、都内で大規模な事故が発生した場合、救助活動は、東京消防庁を初めとする救助機関が対応いたします。その上で、救助機関だけでは必ずしも十分に対応できないもの、例えば毛布や飲料水などの物資の提供、被災者が避難するための施設の提供、軽症者に対する励ましや介抱など、共助の精神に基づく事業所や都民の協力は、非常に有益なことでございます。
 このように、大規模事故などの災害時には、行政、事業所、都民が助け合う地域連携を強化することが重要であると考えております。

○小林委員 ありがとうございます。
 地域と事業所との連携ということにつきましては、この地域防災計画大規模事故編におきましては、防災について地域貢献の意志のある事業者の紹介を受けたときは、区市町村と連携して、災害現場における協力も視野に入れ、事業者と地域との連携が図られるよう努める、というふうにございます。
 災害時においては、この自助そして共助、公助の連携が大切になってまいりますが、積極的に共助に対してかかわっていこうとする地域貢献の意志のある事業所を、行政としてもしっかりと把握をし、広く連携をしていけるような体制づくりをしていくべきであるというふうに考えますが、この点につきまして、当局のご見解をお伺いいたします。

○中村総合防災部長 委員ご指摘のとおり、災害から一人でも多くの生命と財産を守るためには、第一に自助、第二に共助、そして、これら自助、共助と行政が担う公助が連携していくことが重要であると認識しております。
 この点、現在消防署では、さまざまな事業者を対象とした自衛消防隊の訓練指導や救命講習会などを実施しており、また警察署では、災害時における応急対策業務にかかわる協定を、事業者との間で締結しております。
 一方、東京商工会議所においては、災害時の地域社会への支援に前向きな会員企業の把握に努めております。今後、都といたしましては、これらの情報を総合し、災害時に積極的に共助にかかわっていこうとする地域貢献の意欲のある事業者を把握し、区市町村と関係防災機関がこうした事業者の情報を共有できるよう、検討してまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 この突発的な大事故というものにつきましては、想定外の対応が迫られる場面が多々あろうかと思います。計画性を持った対応だけでは済まない状況もある中で、いかに的確に、また実質的に都民の皆様をお守りしていくのかということに対して、これからも検討すべき課題は山積しているかというふうに思います。
 大規模事故対応ということについては、私も私の立場で、地域住民の皆様方からご意見そしてご要望をちょうだいしながら、東京都の職員の皆様とともに、より連携を密にしながら、そして都民の皆様をお守りしていく地域防災計画のさらなる向上のために働いてまいる決意でございますので、今後ともよろしくお願いをいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

○古館委員 それでは、私も、公立大学法人首都大学東京業務実績評価書の件について、何点かお伺いいたします。
 三ページで、大学の今後の可能性が非常に大きいと、そういう評価がありまして、その中で、大学が、学生に対して提供するサービスだけじゃなく、卒業生や地域住民に向けた間接的な効果も含めて、大学全体としてどう社会に貢献できるのか、こういう視点から、新たな可能性にチャレンジして首都大学東京のブランドを高めていってほしいと。
 これは皆さん、そのように思っているし、その場合に、次に書かれているんですけれども、学生支援、都との連携、教員の給与体系の見直しなど、具体的に改革が進んでいる点は評価される一方で、想定していなかったマイナスの影響にも配慮する必要があると、こういうふうに述べているんですが、この、想定していなかったマイナスの影響にも配慮する必要があるというのは、どういうことかというのをまずお尋ねしたいと思います。

○岸上首都大学支援部長 首都大学東京では、より効率的、効果的な業務運営を目指しまして、教授及び准教授につきましては平成十九年三月に、助教につきましては平成二十年六月に裁量労働制を導入いたしました。本年五月に開催しました評価委員会におきまして、評価委員と大学の教員とが意見交換を行った際に、この裁量労働制が話題になりました。
 大学における裁量労働制は、みなし労働時間を一日八時間としまして、実際の始業時刻及び終業時刻を各教員にゆだねるというものでございます。この制度の導入につきまして、自分の裁量で時間がやりくりできるという、そういう評価をする意見が大半でございましたが、一方で、教員の時間の融通がきくのでついやり過ぎてしまうということがある、というご意見もございました。
 こうしたことを受けまして、本制度について、全体としては評価するものの、運用に当たり評価する必要がある側面もある、ということを指摘したものでございます。

○古館委員 それはちょっと置いておいて、四ページ目で、戦略的大学連携支援事業ということが出されておりますよね。
 これは、文部科学省が支援を開始した戦略的大学連携支援事業、これも一層活用して国公私立の枠を超えた教育研究の連携を進めていくことを期待すると、こういうことですので、これはどういう中身なのかと。これについて、首都大としてはどういうふうな形で実行されているのかということを聞きたいんですが。

○岸上首都大学支援部長 この戦略的大学連携支援事業といいますのは、国公私立大学間の積極的な連携を推進しまして、各大学の教育研究資源を有効活用することにより、大学が地域の知の拠点として地域と一体となった人材育成の推進を図ることを目的に、平成二十年度から開始された事業でございます。
 大学にとりましては、この事業に選定されるということは、国から補助金を得られるということに加えまして大学の事業が国に認められたということになりますので、大学に対する社会的な評価の向上にも資するというふうに考えております。
 首都大学東京といたしまして、平成二十一年度に、新潟医療福祉大学、札幌医科大学、埼玉県立大学、及び日本社会事業大学と連携した事業が選定されております。

○古館委員 ごめんなさい、今の最後の、連携した事業というのはどんなことなんですか。ちょっと参考までに教えてください。

○岸上首都大学支援部長 首都大が参画しましたこの事業でございますけれども、QOL向上を目指す専門職間連携教育用モジュール中心型カリキュラムの共同開発と実践というものでございます。(「よくわからない」と呼ぶ者あり)私も専門ではございませんけれども、QOL、つまり健康、生活の質の向上を目指す、そういう専門職を育成するに当たって、連携して教育していく、そういうモジュール、どういうカリキュラムを組んだらいいのかと、そういうことを共同で開発しようというプロジェクトでございます。

○古館委員 それで、七ページのところなんですけれども、ここの真ん中あたりで、また環境問題とあわせて、少子高齢化が進む中においても持続可能な社会を目指すことも日本の課題だ、東京都は最低の出生率にもかかわらず、人口流入のおかげで子どもの減少という問題に直面はしていないが、本当の意味での持続可能な社会の実現に向けて、子どもの幸せや、高齢化による孤独、介護などの問題の取り組みを進めていってほしいと、こういうふうに述べています。
 これは、法人いわゆる行政法人としての見解なのか、それとも、これ自体は東京都自身もかかわってこういうような形で出てきているのか、その点はどういうふうな状況になっているんでしょうか。

○岸上首都大学支援部長 この評価自体は、先ほども申し上げましたけれども、大学のあり方、運営、それから教育の質の向上等、そういったものに資するということを目的としたものでございますので、直接的には、この評価書自体は法人に対して発せられたものでございます。

○古館委員 なかなか大きなテーマみたいなのがたくさん書かれております。やっぱりこの首都大に対する都民の期待というのは、大きいものがあると思うんですね。ですからその点について、必要ならばさらに東京都としての財政支援をと。
 私が気にしているのは、法人という形になっていくと、やっぱりどうしても勉強ですから、大学だからそこで何かもうかるという話にはなかなかならないわけですよね。したがって、これだけの知的な財産という部分を、東京都自身が、全国に知らしめられるような大学になってきているというふうに--大学だというふうに感じているわけでして、最後に私がいいたいのは、ここに対する東京都としての必要な財政力、投入するべきところについてはきちんと財政を使うと、こういうことを強く求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○淺野委員 先ほど我が会派の鈴木委員の方からも、監理団体についての報告につきまして質問をさせていただきましたが、その辺の質問と重複しない範囲で、簡潔に少し私からもご質問させていただきたいと思います。
 これまでの監理団体改革、さまざまなことをやってきておりまして、団体数、職員数の削減や、あるいは契約情報、幹部職員の再就職、そういったことに関する情報が公表されてきている。そういったことについてはある程度、一定の評価をさせていただきたい、そのようには考えております。
 しかしながら、現在のこの経営目標の達成度の評価制度というものが、一〇〇%完璧なものだという自信を持つことなく、常によりよいものにしていくという不断の努力が必要であろうということも現実であると思います。そういった中で、現状の評価制度の中身につきまして何点か疑問に思う点がございましたので、教えていただければと思います。
 まず最初に、先日、この評価の説明等を受けたときに、経営トップの評価に関しては、団体の経営評価ということをやった後、それ以外に、所管の局長による、経営者トップ、団体のトップに対しての評価を行って総合的に判断をするというようなことがありましたけれども、特に団体トップには元局長、あるいはそういった幹部職の方がついている場合も多くあるだろうと。
 そういった中においては、現状、都庁においての、いわゆる後輩が先輩を評価するという現象が起きてしまう。もちろん、役職なんだから、それはそれでしっかりやっていますということもあるのかもしれませんが、少なくとも団体のトップの人たちにとっても、待遇も悪くなり、しかも後輩からいいか悪いか判断されるという状況、あるいは後輩から見ても、お世話になった先輩だとすれば、先輩をいいか悪いか判断するというところは、機械ではないので、人には心がありますからなかなかストレスがあるというか厳しいところがあるんじゃないかなと思います。
 ですから、所管局長による評価を導入して、そろそろ三年ほどたちまして、三回、この評価というものを行ってきましたけれども、この仕組みそのもの、全くなくせといっている意味ではなくて、私はこの仕組みそのものがもうちょっといい形にできないのかなということを常日ごろ思うわけですけれども、この仕組みの是非についてどのようなご判断をされているのか、お答えください。

○和賀井行政改革推進部長 現行の団体トップの業績評価は、団体の経営評価に加えまして所管局長の団体トップに対する評価を行って、総合的に判断し、役員報酬に反映する仕組みでございまして、平成十八年度に導入したものでございます。この評価制度の導入によりまして、団体トップのリーダーシップの一層の発揮、さらにマネジメント力の向上、経営改革の促進につながっているものと評価してございます。
 なお、先ほど、後輩が先輩を評価できるのかというお話がございましたが、そもそも都庁では、いわゆる年功序列による人事を行っておりませんで、役職に応じ、自分よりも年長の職員を評価指導する立場に立つということはごく一般的なことでございます。
 また、都の管理職は毎年、悉皆で人事評価の研修を受けておりまして、適正な評価を行うノウハウを身につけているということから、ご懸念の点は当たらないというふうに考えてございます。
 さらに監理団体の場合には、評価結果につきまして、副知事をトップとしました監理団体改革推進委員会に付議した上で最終的に決定しておりまして、客観性、妥当性も確保されております。

○淺野委員 ただいま客観性が担保されているということのお答えがありましたけれども、常日ごろから、私は行政の中のあり方について思うことでありますが、行政の中にいらっしゃる方々は、このようにやっているから大丈夫だという、それはそれでもちろん大丈夫なんだろうと信じるところでありますけれども、一方で、よくいわれる都民の安心・安全といったいい方をしたときに、この安心という部分、実は心という文字が入っているとおり、どう思われているのかということを意識することは非常に重要なことだと思います。
 特に、税の使い道に対して非常に厳しい視線が常日ごろから送られているこの昨今におきましては、やはり、どのように意識されるのか、あるいはそれを見た人が客観的にどう思うのかということを意識しなきゃいけない。やっているから大丈夫ですというのは、実はその安心という部分については当たらないんじゃないのかという思いがあります。
 そういった観点から見て、実は、今のトップの人事評価ということ以外にも、例えば過去の議事録等を見ますと、東京都道路整備保全公社というところが駐車場経営を行うのは、別にこれは民間でもできるんじゃないかという話があったときに、都心における渋滞解消というような目的もあって行っているんです、というようなことが議事録にあります。だとしたらこの評価制度の中において、東京都道路整備保全公社が評価されるに当たって、渋滞解消がどの程度できているのかといった指標があってしかるべきだと、私はそのように考えるわけです。
 これはもちろん経営計画であり、経営目標として出しているのだから、当然、収益を意識するということは大変重要なことだと思います。それが民間の考え方でありますが、一方で、監理団体というものの存在意義は、公共性があり、非採算性の分野においても必要だから、都が出資して存在させていると。そういったものがあるというのであれば、逆に、都民サービス、都民の目から見て、都民におけるサービスが向上しているよということがはっきりとわかるような指標を入れた評価制度にすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○和賀井行政改革推進部長 この評価制度では、顧客満足度などの都民利用者の視点、それから自己収支比率などの財務の視点、さらに人事給与制度の見直しなどの内部管理の視点に加えまして、CO2削減などの環境配慮行動の四つの視点から目標設定を行っております。このうち、都民サービスの向上という点では、主として都民利用者の視点において、各団体とも必ず目標を設定させております。
 今後とも、どのような目標を設定し評価をしていくかにつきましては、都民がサービス向上を実感できるような評価制度となるよう、不断の見直しを行ってまいります。

○淺野委員 これからもそういった努力を続けていただけるというのは本当にありがたいことで、ぜひよろしくお願いいたします。
 私は、そういった意味で、今も申し上げたとおり、監理団体、できるだけ少ない数でできるだけ規模の小さい形で進んでいく方が、より都民の理解も得やすいし、また都政運営においてもプラスだろうと思います。
 今、質問させていただいた内容にも若干関連するところでありますが、例えば先ほどの、都民から見ての視点ということでいけば、今の都の監理団体というのは、いわゆる国における外郭団体と全く同質のもの、同レベルのもの、簡単にいえば天下りするためにつくった団体じゃないかという見られ方をしているのが非常に強いような気がいたしております。
 都として必要だから置いているんだ、もちろん必要だから置いているものがあるということも私は十分理解しておりますけれども、であるならば、この監理団体が、外郭団体や何かといわれている、いわゆる天下り団体とは違うんだということを示すためにも、その評価制度としてせっかくこうやって毎年毎年公表しているわけですから、その中で、都民にも広く理解を促す努力をしなければならない、そのように考えております。
 ですから、この目標の中における設定の指標の中にも、いわゆる存在意義というものがどのくらい反映されているのかということを見ていくべきなんじゃないかと、そのように考えるわけであります。例えば、過去のここ三年間大きく改革が進んで、より厳しい評価制度になって進んできたと思うんですけれども、この三年間見てきたとしても、いろんなものがいっぱいありましたが、幾つか全部見ていくと、例えば東京観光財団というのがあります。
 これは平成十八年、正確にいえば平成十六年から十九年までの四年間が、いわゆる「概ね達成」というような評価を受け、平成二十年においては「ほぼ達成」ということで、一応評価が上がっております。これはもちろん配点の問題もあるんでしょうが、では現実的にその観光財団の詳しいところを見ると、実は財務の中での経営の中では、十八年において国際ホステルの運営については五百万円の収益があり、十九年に見込みで三百万程度があった。そして二十年においては、目標は九百万に設定しておりましたけれども現実的には二百万程度の赤字になってしまっているというような評価が、たしかこの本を見ていただければ、そういう形の報告になっているんだろうと。
 もちろん、先ほどもいったとおり、経営指標といっても収益だけを見る必要はない、これは監理団体としての報告なわけですから、実際問題としては、評価が上がったのは実はほかの部分があったんだということがあってしかるべきだと思います。であるならば、都民の方がこれを普通に見れば、経営目標といって赤字になっている、あるいは収益が落ち込んでいるのにもかかわらず、過去数年から見て評価がことしになって上がったよというのは理解されづらくなってしまうので、評価の中に監理団体が持っている存在意義--十八年に発表されましたこの三カ年の中にミッションという形で載っておりますけれども、この存在意義とリンクした形の指標がちゃんとあって、こういう意味でこの監理団体は置かれているんだと。ですから、例えば赤字になったとしても、多少非採算性のことを覚悟して置いているということもあるわけですから、であるならばそこで、このミッションについてやっているので、これについて高い評価が得られているんだからことしは評価が上がりましたということが理解できるような、そういう存在意義や監理団体の役割と関連性をちゃんと明確にしたものをしっかりと評価して、それを都民に公表すべきだと考えるんですけれども、いかがお考えかを教えてください。

○和賀井行政改革推進部長 都の監理団体は、国の外郭団体とは異なっておりまして、従来、都が直接実施していました用地買収ですとかあるいは水道施設の運転管理といった事業を受託するなど、まさに行政の支援、補完機能を果たしております。したがって、都政の現場の一翼を担う団体であるというふうに考えております。
 このような、監理団体の存在意義それから将来ビジョンなどにつきましては、中期経営計画において団体ごとに明示をしておりまして、その中で、ビジョン達成に向けた三カ年の取り組みも経営目標として設定しているところでございます。
 今回ご報告いたしました経営目標達成度評価におけます目標設定は中期経営計画に連動しておりまして、団体の存在意義、役割に基づく目標設定となっているものでございます。
 なお、中期経営計画につきましては都のホームページにも掲載しておりまして、都民への公表は適切に行っていると考えてございますけれども、今後とも都民の視点に立ちまして対応していくとともに、団体の存在意義等につきましても、社会情勢の変化に応じて不断の見直しを行ってまいります。

○淺野委員 今お答えいただきました中期経営計画ということでございますけれども、この中期経営計画は、実は一般企業も恐らくそういった形で当然やっているわけでありますが、行政というのは基本的には単年度予算で動くところでございますので、もちろん毎年毎年の見直し、そして先々においての戦略を持ちながら、毎年毎年で常に考え直していくというような形をとっているわけでありますけれど、監理団体におきましては、そういった、いわゆる行政の縛りというかさまざまな法律などにおける縛りというところから、ある程度緩く外されている部分もあると思います。
 そういった意味では、複数年でという考え方も、例えば契約においてももちろん既に導入されていらっしゃると思いますけれども、契約やさまざまな分野において、毎年毎年という見方ではなくて複数年、三年なり五年をスパンとした中での計画あるいは評価、そういったことを導入していってもいいんじゃないかなというように思います。
 今回、たまたま平成十八年に三カ年、中にはビジョンとして五年後というのも入っておりますけれども、大まか、大体三カ年の中期経営計画というものを発表されていらっしゃるのでしたら、逆に、中期経営計画を受けて三年たったわけですから、三年たったところで、総括としてこの三年間の達成度あるいはそういったものに対する評価というのを、また別に行ってもいいのではないかなと思いますけれども、それについてのご見解をお知らせください。

○和賀井行政改革推進部長 経営目標達成度評価におけます目標は、中期経営計画における三カ年の経営目標に連動しておりまして、複数年の視点からの目標設定となってございます。
 十八年度に策定しました中期経営計画は、毎年度、実績に応じてローリング、つまり見直しを行っていますところから、最終年度に当たる二十年度は、既に十八年度、十九年度の実績を踏まえ、過去の課題を克服すべく、また新たな目標を設定したというものでございまして、これに連動する今年度の経営評価は、事実上、中期経営計画の達成度を評価することになっているというふうに考えてございます。

○淺野委員 今のお答えにありましたとおり、二十年度がこの三年間を受けているというのは、このローリングを見ても実はわかることであります。それは残念ながら、わかるというのは、目標設定の段階で、非常にビジョンを意識した設定になっていると思えるところが多々ございました。というのは、例えば三年間の間に、著しく業績が落ち込んでしまうと予見されるべきところ、今いった例は、例えば観光財団などはまさに、収入が下がっているにもかかわらず、最後の最後、ビジョンには二十年度に九百万と書いている以上は、二十年度の目標値はやはり九百万になっているというような形で、この二十年度の目標値というのが十八年に発表したビジョンを非常に意識したものになっているので、今回のが回答になるという--いっていることはわかりますけれども、毎年ローリングを行うというのであれば、できればむしろ目標設定の段階で、今までの現状を踏まえて、三年前の十八年にはこういったけれども、二十年においては目標の中で、細かい指標の中で多少の修正があってもよかったんじゃないかなということは思っておりますので、今後の参考にしてみてください。
 さてこの達成度評価においては、いわゆる監理団体の存在意義は、都政運営を支援、補完するということも先ほどお話に出ておりました。であるなら、例えばこの税務協会の報告を見ると、区市町村への講師の派遣の件数が何件何件ということを目標にし、それを結果として記入されておりますけれども、それであれば逆に、派遣した数よりも、派遣した区市町村の納税、徴収率がどのぐらい変わったのかということとか、あるいは島しょ振興公社でのヘリコミューターのキャンセル率低減策の実施ということが指標目標に入っており、それが実績として載っておりますけれども、この振興公社についても、キャンセル率の低減策を実施したのであれば、じゃどのくらいの値がどのように低減したのかということこそが、目標値であり評価の対象となるべき値だと考えますけれども、これについてのご見解をお知らせください。

○和賀井行政改革推進部長 委員のご指摘は、いわゆるアウトカム指標を設定すべきという趣旨だと思いますけれども、例えばお話の徴収率アップの事例で申し上げれば、税務に携わる職員の知識ですとか交渉力、あるいは早期に対応するなどの仕事のやり方、さらには外部要因であります経済状況など、さまざまな要因が複合的に関係してくるものだろうというふうに考えております。
 税務協会の講師派遣数につきましては、そのうちの一つの要因と思われます職員の知識、交渉力のアップを目指したものでございまして、それが徴収率アップにどのように寄与したのかということは、先ほど申し上げたような複雑な因果関係が推定される場合には、その測定というのは大変難しい問題だろうというふうに考えてございます。
 ただ、いずれにいたしましても、アウトカム指標の設定ということにつきましては、行政全体としても非常に関心の高いところでございますので、引き続き研究課題としていきたいと考えております。

○淺野委員 確かに、今おっしゃったアウトカム指標というのが非常に重要になってくるだろうと私は思っております。引き続き、ぜひこの監理団体以外のところの分野においても検討していただきたいと思います。
 これで最後の質問となりますが、私は常に思うことは、検証可能な形での評価は行わなければいけませんし、失敗を一々つっつくことよりも、その失敗を糧に、未来に向かってどのような施策を打っていくのかと考えることこそが最も重要なことであると意識しております。ですから、失敗を恐れることなく、そこからさまざまなことを学び取って検証に回していくという姿勢が、常日ごろから、行政あるいはもちろん議員も含めて必ず必要になってくると考えておりますので、そういったことをぜひ導入していっていただきたい、そのように考えております。
 そして最後の質問になりますけれども、そういった意味で全体としてこの評価制度を細かく見ると、まず大きなところを見させていただきますと、東京都は各監理団体において、もちろん団体の規模や役割に応じての差はありますけれども、出資し、あるいは毎年補助金、委託などといった形で、さまざまな支援をされていると思います。
 もちろんこの大もとであるものは税金でございますので、この税金を使って、そういったところに存在意義があると認め、その団体に役割を与えてお金を投じている以上、東京都からどのくらいのお金が毎年入っているか、あるいはもともと幾らぐらいの出資--これはデータとして載っておりますけれども、そういったことに対して、与えられた役割、存在意義の中で、行政、東京都あるいは都民の皆様に対して、どのくらいの効果として返しているのか。そういったような考え方での指標もつけるべきじゃないかと、そのように思うわけであります。
 つまり、行政コストとその効果を意識するという仕組みは、民間などでは当然コストパフォーマンスということで考えておりますけれども、ともすると、行政というのはそういったところ、なかなか採算性の合わない分野も多々ありますのでコストを余り意識しないということもありますが、昨今の事情を見るとおり、税収が限られている以上コストは意識すべきだと、どのような分野においても。それが赤字か黒字かという問題ではなくて、自治法にも載っているとおり、最低のコストで最大限の効果を上げるというのが行政の役目だとするならば、コストが意識されていないのに、最低のコストでやっているということが検証できるわけがないと私は考えておりますので、そういったコストを意識して効果がどの程度になっているかということを意識するのは、非常に都政運営にもプラスになると思います。
 そういった意味で、この監理団体の評価制度の中に、東京都から出されているお金、つまり東京都が負担しているコストですね。東京都が負担しているコストに対して、東京都にどのくらいの効果として返してもらっているのかという指標をふやすことも、ありなんじゃないかと思います。それについてのご見解をお知らせください。

○和賀井行政改革推進部長 費用対効果の指標を定めるべきというご質問だと思いますけれども、こちらの評価は監理団体の経営の評価ということでございまして、監理団体は、都が実施していました例えば用地買収などを受託したり、また指定管理者として、都施設の管理運営も行っているところでございます。
 監理団体の指定は、もともと都が直接実施していましたよりも、効率的、効果的に事業執行ができる場合に行うものでございまして、委託をする段階で既に行政コストの削減につながっているものというふうに考えてはおります。
 一方、安かろう悪かろうということのないように、質を確保する観点から、今回のようなさまざまな指標を設定し、評価をしているというところでございます。
 例えば、道路整備保全公社の道路用地取得ですとか歴史文化財団の展覧会の年間観覧者数など、監理団体が受託した事業を確実に実施しているかどうかを検証する目標を設定してございまして、ご指摘の点を反映したような評価制度に、現在の時点では、監理団体に関してはそういう評価制度になっているかというふうに考えております。

○淺野委員 今のご回答につきまして、一点だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 確かに、東京都がやるよりも効率的またコストが削減できる効果があるという意味で監理団体を設定させていただいているというのであれば、むしろそれが、先ほどいったアウトカムじゃないですけれども、外から見てわかる指標になっている--この監理団体の評価報告書は、確かにできているとおっしゃるかもしれませんが、一つ一つの監理団体、先ほどいった、この団体は本当に必要かどうかと都民から見られたときに、これは東京都がやるよりもこのぐらいの削減効果があるんですよということがアウトプットされていて初めて都民はそれを見て、ああ、これは税のむだ遣いよりもより効率的な使い方なんだなというふうに意識できるものだと思います。
 そういった都民の目を意識した、これからの評価制度をよりよい形にしていっていただくことを私からのお願い、また意見として申し上げさせていただきまして、これで私の質問を終わらせていただきます。

○神野委員 初めに、小笠原諸島振興開発計画について伺います。
 先ほど田中副委員長からもお話がありましたように、小笠原諸島、大変、国益にとっても非常に大きな位置づけがございます。
 昨年、返還四十周年を迎えたわけでございまして、返還以来、数次の振興開発計画に基づいて、港湾、道路、住宅、島民が生活をするために必要な基盤整備が進められてまいりました。それでまず、今回策定されます小笠原諸島振興開発計画の基本的な考え方について伺いたいと思います。

○高橋参事 小笠原諸島においては、これまで生活、交通、産業基盤の整備を重点的に行い、島民が生活するために必要な基盤整備について相応の成果を上げてまいりました。
 しかし、いまだ残された課題として、産業の低迷や自然への影響、本土との交通アクセス改善、生活環境整備の必要性などがございます。
 これらの課題を解決するため、環境への負荷が低減される持続可能な循環型社会のもと、自然環境の保全と産業振興の両立による自立的発展を目指すことを基本理念として、振興開発を進めることとしております。

○神野委員 小笠原諸島には、大変多くの固有種、植物、動物含めて生息そして生育しており、特異な生態系を形成しています。
 まさに日本のガラパゴスとでもいえるような場所なんですけれども、観光の目玉でございます自然環境の保全と産業振興の両立というのが、果たして本当に共存が可能かどうかということをお伺いしたいと思います。

○高橋参事 小笠原諸島の恵まれた自然環境は、同諸島の観光振興にとって最大の地域資源であり、その持続的な活用を図っていくためにも、自然環境の保全は重要であると考えております。
 このため、振興開発計画では、自然環境を活用したエコツーリズムを機軸として島内産業の振興を図ることなどにより、自然環境の保全と産業振興の両立を目指してまいります。

○神野委員 今お話がありましたように、小笠原の自然環境というのはまさに地球レベルの財産だと思います。
 その保全を図るとともに、同諸島の存在を全世界に発信していくため、今、世界自然遺産への登録に向けた取り組みが進められていると聞いておりますけれども、現在の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。

○高橋参事 本件の所管局は環境局でございますが、平成十九年一月、国は世界遺産暫定リストへ小笠原諸島を掲載し、ユネスコへ提出いたしました。その後、外来種対策や保護担保措置の充実を進めており、早ければ平成二十三年夏ごろに、世界自然遺産登録の可否が判明する予定でございます。

○神野委員 小笠原諸島では、農地の開発、そして植林等の開拓に伴って外来種が持ち込まれ、小笠原の固有種の生態系そして希少な自然環境に、現在大きな影響を与えているといわれています。こういった外来種の持ち込みを阻止するという観点に立ちますと、無秩序な観光客の誘致というものは、逆に大きな問題となるわけであります。
 そこで、この外来種の持ち込みの阻止、これについての施策をお伺いしたいと思います。

○高橋参事 これまで小笠原諸島においては、世界的にもたぐいまれな生態系や地質等を有する同諸島の自然環境をよりよい形で後世に引き継いでいくため、自然環境の保全や、外来種による影響の回避、軽減等を進めております。
 世界自然遺産の登録などにより観光客等が増加した場合においても、この自然環境を適切に保全するため、利用マナーの普及啓発や東京都版エコツーリズムによる利用人数制限等の厳格な適用により、適切な対策を実施していくこととなります。

○神野委員 最後に、小笠原と東京との航空路の関係についてお尋ねをしたいと思います。
 東京からも遠く離れております小笠原諸島でございまして、本土との交通アクセス、今は船が主でございまして、片道の所要時間が約二十六時間、そして週約一便の航路に限られているということで、一度行くと一週間帰ってこられないわけでありますけれども、交通アクセスの改善というのは、小笠原の問題を考えるに当たって喫緊の課題であるというふうに私は考えております。
 そこで、小笠原への航空路、この開設の現在の検討状況についてお伺いをするとともに、もう一つ、小笠原のこの貴重な自然環境を破壊しないという観点に立って、水上飛行艇、この活用の可能性についてお伺いをしたいと思います。

○高橋参事 都は、住民参画の手法であるパブリックインボルブメント、PIを活用し、小笠原航空路開設を検討するため、平成二十年二月、小笠原村とともに小笠原航空路協議会を設置いたしました。協議会は同年十月、このPI活動を評価し助言するための小笠原航空路PI評価委員会を設け、さらに平成二十一年六月、小笠原航空路PI実施計画書を策定いたしました。
 次に、水上飛行艇活用の可能性についてでございますが、現在、自衛隊が使用している水上飛行艇US2を民用機として転用するための改造開発、及び型式の証明取得には、多額の費用が必要であると思われます。また、水上飛行艇が離発着する場合には、航空法上、水上飛行場を設置する必要があり、何らかの自然改変が必要となると考えております。

○神野委員 日本は戦前、二式大艇という世界で最大の飛行艇を飛ばした国でありまして、また今の東ティモールそれからパラオ諸島まで、定期航空路まで持っていた水上飛行艇大国であります。その誇りある日本の歴史をもう一度かみしめて、ご検討いただきたいと思います。
 それでは、引き続きまして、東京都地域防災計画の火山編、そして大規模事故編の修正についてご質問させていただきたいと思います。
 最初に、防災計画の火山編、大規模事故編でありますけれども、それぞれの修正のポイントについてご説明をお願いいたします。

○中村総合防災部長 最初に火山編の修正のポイントでございますが、三点あります。
 一点目は、国が発表いたしました富士山噴火の被害想定を踏まえ、噴火に伴う降灰対策について明記いたしました。二点目は、気象業務法の改正に伴い、気象庁から発表される噴火警戒レベル及び噴火警報に対応して、都の非常配備体制を整備いたしました。三点目は、三宅島噴火災害の教訓を踏まえまして、火山ガス噴出への対策を明記いたしました。
 次に、大規模事故編の修正のポイントでございますが、JR福知山線の脱線事故の教訓を踏まえまして、鉄道事業者との連携の強化、防災機関が事故の情報を共有化できるよう現地連絡調整所の設置、事故現場における民間事業者との連携の強化を明記したところでございます。

○神野委員 それではまず、火山編についてお伺いをしたいと思います。
 今回の修正では、新たに富士山噴火降灰対策というものが盛り込まれているわけでありますけれども、富士山の噴火によって事業所に降った火山灰は、その所有者が対応するということでございます。
 ただ、大規模な施設を所有する事業者では、この降灰量というのは膨大となります。雪ならば解けるわけでありますけれども、対応が非常に困難な場合も考えられるわけであります。こういった場合には、行政が何らかの対応を考えるべきだと思いますけれども、東京都の見解をお伺いしたいと思います。

○中村総合防災部長 大規模な施設を所有する事業者の火山灰への対応でございますが、火山灰の収集と運搬については、各事業者が行うこととなります。火山灰の最終処分につきましては、各事業者で対応することが困難であるため、行政が対応いたします。
 この場合、火山灰の最終処分は原則として区市町村が行うことになりますが、区市町村による処分が困難な場合は、都が対応することになります。
 しかし、富士山噴火に伴う降灰は大量で、都県を越えた広域的な課題でもあるため、国に対しまして総合的な降灰対策を働きかけてまいります。

○神野委員 それでは次に、大規模事故編について伺います。
 先ほど小林委員からもお話がありましたけれども、今回修正の理由となった、平成十七年のJR福知山線の脱線事故、あのときの、近隣事業所の日本スピンドル社さん、現場周辺にあった事業所の従業員の皆さん、経営者の皆さんの献身的な救助活動というものが、私は非常に記憶に残っております。
 こういった他者を助ける利他の意識の醸成というものは、災害時における被害を最小限に抑えるために重要であると思っておるわけでありますけれども、そのための施策を一体どのように施していくのか、東京都の見解をお伺いしたいと思います。

○中村総合防災部長 防災意識の醸成についてでございますが、だれもがみずからのできる範囲で被害者の救助活動に協力することは、被害を最小限に抑えるために非常に大切なことと思っております。
 先月実施いたしました総合防災訓練では、初めての試みといたしまして、公的な救助隊が被災地に到着していない発災直後を想定して、地元事業所と地域住民とによる救助訓練を実施いたしました。
 都は事業所に対しまして、このような防災訓練などへの参加を促すとともに、事業所防災計画の策定指導や、救命講習会の実施などを通しまして、防災意識の醸成に努めてまいります。

○神野委員 ありがとうございます。
 災害というのはいつ来るかわかりませんが、いつ来てもおかしくはないということでございますので、引き続き、活動なり方針をしっかりと立てていっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。

○小山委員 私からは、平成二十年度公立大学法人首都大学東京業務実績評価について、二点についてお伺いをさせていただきます。
 まず一点目は、昨日の一般質問の中でも少し触れさせていただいたんですが、多摩の産業振興という観点から、この首都大学東京の中にも産学公連携センターが設置をされて、多摩地域の産業振興に資するということで、大きく掲げられております。この実績評価の中にも、一五ページでは、この取り組みがおおむね順調に実施をされているということや、あるいはそれぞれその項の評価の詳細については、その後六八ページ以降にも数々記載をしていただいております。
 その中を拝見させていただくと、この産学公連携センターの推進、各大学との連携がどのように取り組まれているかが、いまだ、この記載の中にははっきり書かれていないというふうに感じております。
 そこで、現段階での産学公連携センターの現状と、実際、説明の中にもありますそれぞれの数値目標のさらなる引き上げや、それぞれの実績値、この件についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 そしてもう一点は、この冒頭のところで、平成十七年に設置をされて初めて卒業生を迎えるわけでありますが、この卒業生は首都大学東京としての卒業生でありまして、統合される前の都立大学の卒業生の扱いが、この間ずっと、首都大学東京において何も対応されていないと、実は私、このように感じております。これは、私自身、都立大学の卒業生からも、首都大学東京の統合に当たって非常に危惧をされている部分でもありました。ですので、この都立大学が四年制大学として再編統合されて首都大学東京になったことで、都立大学の卒業生に対してどのような対応をされているのか、その点をお伺いさせていただきたいと思います。
 以上、よろしくお願いします。

○岸上首都大学支援部長 首都大学東京は、産業界や公的研究機関等との連携を通じ、大学の学術研究の成果を広く社会に還元するために、平成十七年の開学と同時に産学公連携センターを設置いたしました。
 センターでは、他の研究機関や企業との共同研究、受託研究の推進を初め、企業からの技術相談への対応、セミナー開催等による情報発信、情報交流などに取り組んでおります。その結果、センター設置後、共同研究や連携事業等の実績については、件数、外部資金獲得額ともに順調に増加してきております。
 先ほどのお尋ねの実績でございますけれども、直近三カ年の受託共同研究等の件数、実績を申し上げますと、平成十八年度が二百九十八件、十億三千万円余り。それから、平成十九年度が三百三十一件、十一億二千万円。二十年度が三百七十一件、十四億円となっております。
 また、卒業生への対応の件でございますけれども、旧都立大学におきましては、卒業生への対応は同窓会が中心となって行っておりました。そして大学としては、卒業後に進学、就職等について相談があった場合に、個別に対応していたということでございます。しかしながら、近年、大学における教育の質やあるいは成果が問われる中で、学生に対するきめ細かな支援の強化が求められてきておりまして、卒業生への対応についても、その充実が望まれてきております。
 こうしたことを踏まえまして、首都大学東京では、卒業生との結びつきの強化を目指し、初めて卒業生を輩出したことしから、まず卒業後の進路や連絡先の把握等を開始しております。今後、就職活動支援などにおいて、卒業生と連携した取り組みをさらに充実していく予定でございます。
 なお、都立大の卒業生も含めまして、すべての卒業生は大学にとって貴重な財産でもございますことから、首都大学東京をよりよい大学にしていくためにも、卒業生との連携は極めて重要だというふうに考えております。

○小山委員 それぞれご答弁ありがとうございます。
 まず、一点目の産学公連携センターについて、直近三カ年の推移をお伺いいたしました。確かに、この評価報告書にあるとおり、実績値ともに順調に推移していることがわかります。ただ、先ほどの質疑の中でも一部ありましたけれども、各大学との連携に関しては、いまだちょっと多摩地域の大学との連携は不十分であるように感じております。特に、私の府中市におきましては東京農工大学ですとか東京外語大学が所在をしておるんですが、こういった大学にも同じように、そういった産業振興のインキュベーターの施設が存在をいたしております。東京外語大学では、知的財産産学連携室なども設けて、こういった多摩地域の産学連携を図っていこうといった施設が設置をされております。
 多摩振興プロジェクトの中でも、この首都大学東京の産学公連携センターというのは、各産業そして官と学というところの連携を、こういった形で記載していただいておりますので、ぜひ学の部分で、首都大学東京のみならず、多摩地域に所在をする各大学のこういった連携室あるいは連携センターとも十二分に連携強化を図っていただいて、多摩の振興に資するような産学連携センターになるように、ぜひ要望しておきたいと思います。
 そして、もう一点は、先ほどお伺いをいたしました都立大学の卒業生の件、大変ありがたいご答弁をいただきましたので、ぜひ都立大学の卒業生も含めて、やはりこの首都大学の卒業生というのは東京都の本当に財産だと思いますので、そういった部分の連携をしっかり図っていただくように要望いたしまして、私の質疑とさせていただきます。
 ありがとうございます。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。

○小磯委員長 次に、先般の人事異動に伴い、青少年・治安対策本部長に、倉田潤君が就任いたしました。
 倉田本部長からごあいさつがあります。

○倉田青少年・治安対策本部長 去る九月七日付で青少年・治安対策本部長を命ぜられました倉田でございます。小磯委員長を初めまして、委員の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りながら、子ども、若者が健やかに暮らせる首都東京、並びに世界一安心で安全な首都東京の実現のために、全力を尽くしてまいります。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○小磯委員長 あいさつは終わりました。

○小磯委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時一分散会

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