総務委員会速記録第十七号

平成二十年十二月十一日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長馬場 裕子君
副委員長伊藤 ゆう君
副委員長崎山 知尚君
理事大松  成君
理事倉林 辰雄君
理事松村 友昭君
鈴木 章浩君
後藤 雄一君
山口 文江君
石毛しげる君
串田 克巳君
木内 良明君
鈴木 一光君
大沢  昇君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本局局長吉川 和夫君
儀典長多賀 敏行君
次長河島  均君
理事川澄 俊文君
総務部長大井 泰弘君
地方分権推進室長森山 寛司君
外務部長猪熊 純子君
国際共同事業担当部長高橋  誠君
参事中村 信一君
参事延與  桂君
政策部長遠藤 雅彦君
計画調整部長松浦 將行君
総務局局長中田 清己君
危機管理監島田幸太郎君
理事志賀 敏和君
総務部長岳野 尚代君
参事和久井孝太郎君
行政改革推進部長和賀井克夫君
情報システム部長紺野 秀之君
首都大学支援部長松本 義憲君
人事部長中西  充君
労務担当部長安藤 弘志君
主席監察員齋藤  進君
行政部長笠井 謙一君
多摩島しょ振興担当部長松山 英幸君
参事鈴木 隆夫君
参事塩見 清仁君
総合防災部長石野 利幸君
企画調整担当部長鈴木 省五君
統計部長三田村みどり君
人権部長荒井  浩君
国体・障害者スポーツ大会推進部長谷島 明彦君
選挙管理委員会事務局局長矢口 貴行君
監査事務局局長白石弥生子君
参事三森 生野君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 監査事務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十七号議案 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 選挙管理委員会事務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十五号議案 東京都選挙管理委員会関係手数料条例
・第二百十六号議案 選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百八号議案  職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例
・第二百九号議案  東京都統計調査条例の一部を改正する条例
・第二百十号議案  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十一号議案 職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十二号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十三号議案 東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十四号議案 東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第二百四十二号議案 公立大学法人首都大学東京が徴収する料金の上限の認可について
報告事項(質疑)
・都政のBCP(東京都事業継続計画)〈地震編〉について
 知事本局関係
報告事項(質疑)
・「地方分権改革推進委員会第二次勧告に向けた提言」について

○馬場委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○馬場委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、選挙管理委員会事務局、総務局関係の付託議案の審査及び総務局、知事本局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百十七号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○馬場委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百十五号議案及び第二百十六号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山口委員 今回、第二百十五号議案について、私ども、この新設条例に賛成する立場ではありますが、情報公開条例の、手数料条例にかかわるということで、都道府県の中でも写し、閲覧に関しての手数料が設けられているのは東京都と香川県のみ、そしてまた写しの手数料が二十円という、他の自治体の倍ということで、私どもも、住民の方たちからも、これに関しては東京都は高過ぎるのではないかということで何度かご意見をいただいています。
 この条例改正のときには、私ども生活者ネットワークも受益者負担ということで賛成はした立場ではありますが、十年近くたちまして、情報公開も今では行政サービスとしては当然の仕事ということでは、この手数料に関して、一度見直しをするべきではないかということだけ一言申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○馬場委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百八号議案から第二百十四号議案まで及び第二百四十二号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○串田委員 我が党では、さきの第二回、第三回定例会において、人材の確保育成についてさまざまな質問をしてきました。団塊の世代が大量に退職し、少数精鋭の執行体制となっていく中で、職員の企画能力の維持向上や事業執行体制の強化を図るためには、職員の人材育成に力を注ぐことが最重要課題であると、前回の総務委員会においても私が表明したところであります。
 こうした中、今回の議会においては、新設の条例として、職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例が提出されました。研修は、もとより職員の人材育成の重要な手段です。これまで我が党が何回かにわたってただしてきた内容を踏まえ、この条例の制定趣旨などについて、何点か伺います。
 まず、この条例の対象となる研修として、どのようなものを想定しているのか伺います。

○中西人事部長 この条例の対象でございますが、国内の大学の大学院の課程またはこれに相当する外国の大学の課程を履修する研修であり、派遣される職員の同意を得て、都が実施するものでございます。

○串田委員 では、都では、現在この条例の対象となる研修として、どこの大学院へ何名程度派遣しているのか伺います。

○中西人事部長 全庁または複数局に共通する事項や課題などに関する研修を行う中央研修といたしまして、平成十二年度から、政策研究大学院大学へ毎年一名を派遣しております。また、局の職員育成に取り組む局研修では、例えば教育庁におきまして、本年度より教職大学院へ十五名の派遣を開始したところでございます。

○串田委員 国が留学費用の償還に関する法律を平成十八年に制定したのは、留学後に早期離職をする職員が多く、国民からの批判が出たためであり、法律制定後は抑止効果が働き、ことし八月には、早期離職をする国家公務員が減ったとの新聞報道もありました。都においては、平成十二年度から政策研究大学院大学に派遣しているという答弁がありましたが、早期離職した職員はいたのか伺います。

○中西人事部長 昨年度までに政策研究大学院大学に派遣した研修生は八名ございます。研修終了後、離職した者はございません。
 研修生は、大学院におきまして、地方自治やまちづくりに関する専門的知識に加え、高度な政策形成力と行政運営能力を身につけ、都政に役立てております。

○串田委員 早期離職者が出ていないということですが、そういう状況であえて今、大学院派遣研修の研修生にその研修費用を償還させる条例を制定する理由は何か、伺います。

○中西人事部長 公費で大学院に派遣された職員が万が一にも早期離職するようなことがあれば、都民を初め各方面から批判を受けることになります。このため、研修生の早期離職を抑止し、大学院派遣研修の成果の公務への還元を担保するため、本条例を制定するものでございます。
 また、局研修におきましても、教育庁の派遣研修のように、専門性を高める研修は今後ふえることも考慮いたしまして、その条件整備の意味も含め提案させていただいたものでございます。

○串田委員 冒頭申し上げたとおり、今後の都の執行体制を強化するためには、人材育成に力を入れることが喫緊の課題と考えます。人材育成の手段にもいろいろなものがあると思いますが、今回制定する条例の対象となる大学院派遣研修が都の人材育成の中でどういう位置づけであり、またどういう目的を持つのか伺います。

○中西人事部長 都は、平成十八年三月に策定いたしました東京都職員人材育成基本方針に基づき、人材育成を基軸に据えた人事管理を積極的に推進しております。
 具体的には、職員一人一人の意欲を引き出し、強みをはぐくむ配置管理を進めるとともに、OJT、職場外研修、自己啓発の職員研修の三本柱を充実させることで、人材育成機能の強化に取り組んでおります。
 大学院派遣研修は職場外研修の中のメニューの一つであり、職員を大学院に派遣することで、ますます複雑高度化する行政需要に対応できる専門的能力及び知識を付与し、その資質の向上を図り、もって都行政の推進に資することを目的とするものでございます。

○串田委員 大学院に職員を派遣し、専門的能力や知識を付与し、それを都政に還元させることは有意義なことです。また、今回の条例制定は、公費で行う大学院派遣研修に対する都民の信頼を確保し、大学院派遣研修の実効性を確保するための重要な条件整備であることを認識しました。
 それでは最後に、職員の大学院派遣研修を含め、今後どのような人材育成策を検討し、職員のレベルアップに取り組む事業の執行能力を高めていくのか、総務局長に伺います。

○中田総務局長 今後の人材育成についてお答えさせていただきます。
 今定例会の所信表明におきまして石原知事は、経済危機の行く末は混沌としているが、東京は徹底して政策に磨きをかけ、首都公務員の奮闘を督励しながら、都民、国民の期待に全力でこたえてまいると述べたところでございます。東京都職員は、まさにこの言葉のとおり、首都公務員としての力を十二分に発揮していかなければならないというふうに考えております。このため、都は今までの取り組み以上に職員研修を充実させることで、少数精鋭体制の中、執行能力を高める人材育成を進めてまいります。
 まず、本年度はOJT元年として職場内研修を強化するとともに、今話もありました海外研修等を再開したところでございますが、この取り組みを今後も継続し、職員の実務能力の向上と国際感覚の醸成に努めてまいります。
 また、みずから進んで高度で多様な能力の習得に取り組む意欲を持つ職員が多数いる中で、こうした職員の成長意欲に組織的にこたえられる魅力ある仕組みづくりにも積極的に取り組んでまいります。
 今後とも、このような職員研修の充実によりまして、人材の精鋭化を図るとともに、研修成果を職務に十分に還元できる適切な配置管理に努め、日本の未来を切り開く首都東京の執行体制を強化してまいります。

○串田委員 人材育成は一朝一夕の短時間でできるものではなく、それなりの時間がかかるものです。総務局が東京都職員人材育成基本方針のもとに人材を長期にわたり育成していく考えであれば、今後もさまざまな取り組みを拡充し、継続的に実施していかなければなりません。
 例えば自己啓発については、職員みずからが学びたいと思っていても、組織を挙げてバックアップするという姿勢に欠けていたのではないでしょうか。
 また、都は、オリンピック・パラリンピック招致に向けて一丸となって進んでいます。これに向けて海外諸都市に情報を発信し、東京をアピールできる実践力を持った職員の育成にさらなる取り組みが必要でしょう。
 加えて、これらの人材育成施策と同時に、大学院派遣研修を幹部職員への登竜門とするなど、研修を積ませた人材をより有効に活用するため、個々の職員の能力開発状況に着目した配置管理に留意することが重要であります。そして、人事施策のすべてが人材育成に向けて収れんしていく体制になることが大切だと思います。
 いずれにしても、東京から日本の未来を切り開く首都公務員として、都職員の人材確保育成は、これは極めて重要な課題であります。この課題に取り組むためにも、最も有効なツールである職員研修に今後一層の力を入れて進めていくことを強く要望して、質問を終わります。

○伊藤委員 それでは私からも、今質疑にありましたテーマについて掘り下げて質疑をさせていただきたいというふうに思っています。
 都政に対する都民ニーズの高度化、複雑化によって、職務に必要とされる知識、能力がより専門的なものへと変化する中で、東京都の職場においても、いわゆる専門家、スペシャリストが求められております。そうした中で、スペシャリストの育成を図るために、職員をこうした派遣制度によってさまざまな体験をさせるということは極めて有用な、有効な手法の一つだと、こういうふうに思いますので、今後ともこうした研修制度の拡充を図られることを要望する立場から質疑をさせていただきたいと思います。
 それで、今回の条例の中で、対象となる研修項目については今お話があったわけでありますけれども、この政策研究大学院大学への派遣研修は過去八年間の実績があるということですけれども、そもそもなぜ派遣先としてこの政策研究大学院大学を選定したのか、また、同研修は何を目的として行われ、実際にどのような成果が上がっているのかお伺いしたいと思います。

○中西人事部長 東京都におきましては、職員の政策形成能力の向上を図るため、高いレベルでの政策研究が期待できる政策研究大学院大学を派遣研修先として選定いたしました。同大学への派遣を終えた研修生は、その受講成果を都政のさまざまな分野において、政策の企画立案などを通じて都政に還元しているところでございます。

○伊藤委員 都庁の中だけでは知り得ない知識などが、こうした派遣先から大いに得られることだというふうに思いますけれども、研修の一つの目的としては、知識、知見を広めるのみならず、そこに集う異業種の方々との交流というのも、視野を広げるのに大変メリットが大きいものだというふうに認識をしております。
 しかし、今日では、政策研究大学院大学のみならず多くの大学に公共政策や公共経営を研究する大学院が設置をされています。この後、石毛委員からも詳しくは触れさせていただきますけれども、私の母校の早稲田でも、最近は公共政策の大学院が設置をされて、元県知事さんなども教授を務められるということがあります。
 こうした現状を踏まえると、特に民間企業からの研修生が多い私立大学などを新たな派遣先や派遣人数の増員について検討をする時期に来ているのではないかと思いますが、所見を伺いたいと思います。

○中西人事部長 派遣先や派遣人数につきましては、政策研究大学院大学での研究成果や他の私立大学におけるカリキュラム内容、またほかの人材育成策とのバランスなどを踏まえまして検討していきたいと考えております。

○伊藤委員 行ってこられた方に聞いていただくのが一番、一つはいいんだろうと思いますけれども、ただ、なかなか行った人というのはほかとの比較検討ができないんだと思いますから、いろんな情報収集というものに努めていただきたいなというふうに思います。特に、やはり異業種の方々が集う大学というのがメリットが大きいんではないかなと。お話を伺うと、この政策研究大学院大学は多くの地方の自治体の方々がいらっしゃっているということであって、民間の企業からの研修生というのが相対的に多くないということを伺っておりますので、ほかの大学への研修もぜひ検討していただきたいと思います。
 そして、都では本年度より、ワシントン・ジョージタウン大学への三カ月の海外研修が開始をされました。同研修では、語学や対外交渉能力の向上を目的として、六名の職員が派遣されたというふうに伺っているわけですけれども、この海外研修では具体的にどういった内容の研修が行われていて、また今年度の六名の研修生が、研修終了後に都においてどういう立場でどのような職務に従事しているのか、お伺いしたいと思います。

○中西人事部長 本研修におけるプログラムでございますが、交渉力やプレゼンテーション力の向上を目的といたしました英語教育のほか、公共政策に関する講義、演習などにより構成されております。また、本年度の研修生六名につきましては、研修終了後、知事本局外務部、産業労働局などに配属をされまして、全員が国際関係の業務に従事をしております。

○伊藤委員 石原知事が就任してから、東京都も、以前に増して、国際的な視野、視点を持つようになったというふうに認識をしています。事実、羽田の国際化はまさに東京の玄関機能を高めるということになっているわけでありますので、こうした国際競争能力みたいなものを東京が真剣に考え始めた一つの証左だろうというふうに思います。
 そういう中にあって、こうした海外研修の必要性というのは、おのずから高まってきているというふうに思うんですけれども、三カ月の研修期間を通じて、学術そのものはもとよりですけれども、アメリカでのその三カ月間の人脈形成というのも、今後東京都にとって貴重な財産になってくるのではないかなというふうに思います。
 語学とプレゼンテーション能力を身につけることも大事ですけれども、せっかく公費で三カ月間そこにとどまって、さまざまな方々と出会うチャンスがあるわけですから、人脈形成を図るということも大事なんじゃないかなというふうに思っています。
 そうした観点から、現地のビジネスマンや、あるいはニューヨーク市、ワシントンDCの行政マンとの人材交流機会を持つことも検討すべきではないかというふうに思います。特に、このワシントン・ジョージタウンはDCの中にあるということで、ホワイトハウスからも近い。連邦政府ビルの中からも近い、こういうことでありますので、こうした人材交流の機会を持つには格好の場所だろうというふうに思うんですけれども、ご所見はいかがでしょうか。

○中西人事部長 本研修プログラムにおける公共政策講義の中で、大学側の仲介により下院議員や自治体職員などとの意見交換を実施するなど、現地との人材交流にも取り組んでいるところでございます。そうした成果も踏まえつつ、効果的な現地での人材交流手法について検討する予定でございます。

○伊藤委員 ちょっと見たら、ジョージタウン大学は本当に多くの国際交流活動をされているようですので、そうしたメニューは豊富にそろっている方なんだろうというふうに思うんですけれども、しかし都庁の、例えば若手の職員の方が向こうに行って、上院議員と会わせていただいたとしても、いい話は聞けるかもしれませんが、しかし名刺交換してお友達になれるかというと、そういう立場ではなかなかなくて、立場の違いというものがあるんだろうと思います。
 ですから、やっぱり現地で、例えばニューヨーク市に勤める人であったり、あるいはワシントンDCに勤める同世代で同じような職種にあるような人たちとの交流をすることで、将来にわたっての友人関係というものが形成されるんじゃないかな、こう思いますと、これまでの大学だけに頼った人材交流のみならずの、新たな人材交流機会というものを考える必要があるんじゃないかなと思います。
 というのは、外から、東京というものが海外からどう見られているのかということを、これからやっぱり東京都も考えていかないといけない時代じゃないかと思います。今までは、東京都から海外に発信するということが多かったように思いますけれども、例えばここに「ロンリープラネット」という、これは旅行ガイドでございまして、世界の、実に出版されている旅行ガイドの二五%のシェアを誇るという、いわゆる日本で売っている「地球の歩き方」の世界版でございます。大体百十カ国ぐらいのものが紹介されているそうですけれども、これが日本版でありまして、残念ながらというか誇るべきというか、表紙は相変わらず芸者さんということでございまして、中をめくって写真が入っているんですけれども、多くは寺院であったり、あるいは東京も多少紹介されていますが、築地の市場のマグロが並んでいるところというものが多くて、本当にこれが東京の今の魅力あるポイントに触れられているかというと、必ずしも六本木ヒルズであったりだとか、あるいは表参道ヒルズであったりとか、多くの東京の若者、アジアの若者が楽しむ地域が紹介されているとはいいがたい内容になっています。
 エキゾチックな東京ということでありまして、我々が伝えたいと思っている東京の姿と、必ずしも海外の人たちが受けとめている姿というのは違うんじゃないかなと。そういうところも海外研修に行かれたときに触れられるということは、非常に都政にとってプラスになるんじゃないかなと思っています。
 そういう中で、こうした観点から、今後は東京オリンピック・パラリンピックの招致を目指す東京の立場もありますので、平成十八年には都とロンドン市の政策提携にかかわる協定書も結ばれています。ジョージタウン大学に加えて、例えば時代時代に合わせて、ロンドン市への職員派遣など、都が抱える時々の重要案件に合わせて職員の海外研修も拡充をしていくべきではないかというふうに思うんですけれども、ご所見を伺います。

○中西人事部長 都におきましては、ジョージタウン大学への派遣研修のほか、海外研修の一つのメニューといたしまして、都政が抱える喫緊の課題を解決するため、職員が海外で調査研究を行い、その成果を施策に反映させる政策課題プログラムを再開し、今年度は十名の職員がニューヨークやロンドンなどにおいて研究を行っております。
 また、国際化に対応できる人材の育成に取り組む財団法人自治体国際化協会に対しましても、現在六名の職員派遣を行っているところでございます。
 今後も、職員の国際感覚の醸成という見地から、海外への派遣研修について効果的なあり方などを検討してまいります。

○伊藤委員 アジアのビジネスマンに、ある会社がアンケート調査をとって、今後十年後にアジアの一番中心的な国際都市はどこになるかという調査をしますと、これはいろんなアジアの諸都市で調査をされていましたけれども、二五%の人たちが上海だということでありまして、今、五%ぐらいの東京と答えている人たちも、十年後には上海にその機能を奪われて、東京が中心になるといっているのは二、三%ぐらいだそうです。
 どうしてそういうふうに海外から見られてしまうのかということが、やはりこれから検証されるべきなんじゃないかなというふうに思うんです。実はちょっと調べてみたんですけれども、アメリカ、つまりニューヨークや、ロンドンにおける、例えばアジア圏の企業の上場状況というのは非常に活発です。
 どれぐらい活発かというと、例えばニューヨークの市場においては、中国企業が四十一銘柄、それからインドの企業は十二銘柄、日本企業も十九銘柄、ニューヨークの市場で上場されて、ロンドンも、同様に非常に、特にインドはもともとの関係がありますから二十八銘柄と活発なんですけれども、片や、東京の証券取引所の一部上場企業の中で、アジア圏の企業というのはたったの二銘柄しかありません。これはマレーシアの企業と韓国の企業と、二つの企業だけであります。
 同時に、どうしてそういうことが起きるのかということで少し関係者の人に聞いたんですけれども、東京にはアジアの金融機関がほとんど進出してきていないじゃないかという話でありまして、中国の銀行が東京に進出してきているといっても、三つしかありませんし、韓国においても二つの銀行、台湾でも四つの銀行しかありません。こういうことでは、なかなか上場しようにも、企業にとっては金融活動がしやすい状況に東京はないということです。
 こういうことも、恐らく東京にいるとなかなかわからないんですけれども、アメリカにおいては、国際都市の比較というものがしやすかろうと思うので、ある程度頭に入った上で、アメリカに行って、そして現地ビジネスマンとの意見交換をすることによって、東京の強み弱みというものがはっきりしてくるんじゃないかなというふうに思います。
 こうした観点を持って、研修にも励んでいただきたいと思いますし、また、人材交流するには間に入るアレンジメントをしてくれる方が必要だろうと思います。在外日本大使館なども、東京都の職員の方が研修で来るということになれば大いに協力をしていただけるんではないかというふうに思いますので、こうした在外日本大使館と都の連携も視野に入れて、今後、一層の海外研修の拡充を図っていただきたいことを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

○石毛委員 今の伊藤副委員長に続いて、第二百八号議案、職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例について質問させていただきます。
 条例の対象となる派遣研修として全庁の研修を行う中央研修では、政策研究大学院大学の派遣を行っているということですが、そもそも、都内には公共政策または公共経営等を学べる大学院としてどのようなものがあるのか、お伺いいたします。

○中西人事部長 社会的、国際的に活躍できる高度職業人を養成する専門職大学院が平成十五年に開学をいたしまして、それ以降、公共政策、公共経営等を学べる大学院がふえている状況でございます。
 都内の大学といたしましては、例えば首都大学東京、法政大学、明治大学、早稲田大学などがございます。

○石毛委員 私もたまたま早稲田の大学院の方に籍を置いておりますけれども、都内だけでも多数の公共政策または公共経営の大学がある中で、中央研修として政策研究大学院大学に毎年一名派遣しているだけということで、都の実態としてはちょっとどうなのかと。
 特に、私のいるところでは、自治体として数百名ぐらいのところで、毎年一名派遣しているという状況が何市かございます。そういうところを考えてみますと、東京都の全体では、十六万人という職員、その規模に比べると大変少ない、また職種も偏っているというか多くない、こういうことであります。
 また、海外に目を向けてみますと、今年度より、語学や対外交渉能力等の向上を目的としてワシントンのジョージタウン大学への三カ月間の研修が開始されたのですが、現在、都における唯一の海外大学での実績であります。
 そこで、海外の派遣研修としてなぜジョージタウン大学が選定されたのか、その点をお伺いいたします。

○中西人事部長 ジョージタウン大学は、米国の首都にある大学として、理論だけではなく、政府書記官との交流、イベントなどを通じまして、実践的な政策過程に接することができる点を特徴とする大学でございまして、公共政策分野における全米有数の名門校でございます。
 また、都の設立する首都大学東京におきましても多くの研修実績があり、既に同大学での一定の信頼関係もあることから、この大学を選定したものでございます。

○石毛委員 先ほど政策研究大学院大学とジョージタウン大学、国内でも国外でも一校しかないということで、いかにもこれはちょっと不十分でないか。職員の資質向上を目指すということであれば、より多くの職員の派遣を考えるとともに、特に企画立案を行う行政系職員の派遣をもっとふやすべきではないでしょうか。
 また、派遣先の大学においても、国内外を問わず、より多くの大学を視野に入れてもよいのではないか。その辺、お伺いいたします。

○中西人事部長 派遣をいたします人数や職種、派遣先などにつきましては、現在、派遣を行っている大学院での研究成果や他大学におけるカリキュラム内容、また、ほかの人材育成策とのバランス等を踏まえ検討してまいりたいと考えております。

○石毛委員 特に海外研修においては、英語圏より、いろいろな情報が必ずしも入る状況にない国、例えばヨーロッパだとか中近東とかアジアとか、こういった方のが、より国際感覚が磨かれるというようなことがございます。海外研修の派遣先についても、そういった意味では幅広く求めてもよいのではないでしょうか。世界の中の東京といわれるわけであります。こうした多様な地域への海外研修の促進を足がかりに考えてはいかがでしょうか。この意味でも、海外研修についてジョージタウン大学に三カ月というだけでは、いかにも短いという印象がぬぐえません。長期研修も検討すべきだと思います。
 ちなみに、私も、今EUの本部の議会が置かれているフランスのストラスブールというところに留学をしておりましたけれども、いずれにしても、こうした価値のある研修を単発で終わらせては効果が半減すると思います。
 今後、都の収入も若干下がってくるというふうに予想されるわけでありますが、海外の今回のサブプライムあるいはリーマン等によって、海外のことであるけれども、日本で非常に大きな影響が出ているわけですね。こうした状況だからこそ、継続して取り組んでいくべきだと思います。
 海外研修を初めとする大学院派遣研修の実施に対する決意をお伺いいたします。

○中西人事部長 大学院派遣研修は、ますます複雑高度化する行政ニーズに対応できる専門的能力及び知識を付与し、職員の資質の向上を図るものでございます。研修の効果等を的確に検証した上で、その趣旨を踏まえて適切に対応してまいります。

○石毛委員 最後になりましたけれども、東京は刺激に満ちた、先ほど伊藤副委員長からも、旅行の部分で、本ですか、「ジャパン」というのを見させていただきましたけれども、やはり東京はオンリーワンのまちだと思います。その目を常に世界に向けておりますし、世界からも日本に注目しているところであります。
 首都公務員の今後の国際感覚の醸成に向けて、大学院派遣の研修を初め、より一層の研修のメニューなども充実を求めまして、私の要望とかえさせていただきます。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○馬場委員長 次に、報告事項、都政のBCP(東京都事業継続計画)地震編についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。

○大松委員 私の方からは、東京都の事業継続計画であります都政のBCPについてお伺いをいたします。
 一九九五年の阪神大震災では、私も四日目から被災地に入ったわけでございますけれども、そこでは本当に想像を絶する大惨事、大混乱を目の当たりにしてまいりました。こうした震災の中にありましても、私ども都政を担う者は、住民の生命、財産を守り、首都東京の都市機能を維持していかなければなりません。その事前対策として、この都政のBCPは大変重要であります。
 このたび東京都は、大変切迫性が指摘をされております首都直下型地震を想定し、都政のBCPを策定されました。その中身を拝見させていただきましたけれども、震災時においても優先して継続すべき業務、応急対策業務、これをあらかじめ選定をしておきまして、人員や資機材が制約された中におきましても、こうした重要業務を円滑に遂行していくための対策がまとめられていることを高く評価をするものでございます。
 また、阪神大震災では、みずから被災をされながらも、その自治体の職員の皆様方が、それぞれの持ち場に駆けつけられたわけでございますけれども、その瞬間から、あっちが先だ、こっちが先だと、両の手を左右に引っ張られ、体がちぎれそうな思いの中で眠る間もなく働き続けられ、体調を壊され倒れられたという方がたくさんいらっしゃったということもよく伺っているところでございます。こうした観点からも、大変このBCPは重要になるわけでございます。
 この都政のBCPにつきましては、平成十九年の第一回定例会の一般質問で、我が党の上野議員がその重要性を指摘いたしました。また、さきの第三回定例会の本委員会においても、我が党の小磯議員がその詳細につきまして質疑を行ったところでございます。
 その中で、初動期における人員不足に対しまして、局内、また局間の応援体制を整備していくこと、これに加えまして、OBの職員等、またボランティアの活用についても検討していくとの答弁がございました。今回策定をされました計画の中にも、OB職員等の活用が盛り込まれているところでございます。
 そこで、まずこのOB職員の活用につきまして現状を伺います。

○石野総合防災部長 OB職員の活用の現状でございますけれども、現在、建設局におきましては、大規模地震災害に際しまして、被災施設の状況把握や応急復旧の支援を図ることを目的としまして、平成九年に設立されました建設防災ボランティア協会と協定を締結しまして、過去に建設局の職員として勤務した経験のある方などを災害時に活用することとしてございます。
 また、東京消防庁では、平成七年に災害時支援ボランティア制度を創設し、ボランティアとして登録したOB職員等が、震災など大規模災害時に消火救出救護活動などの支援に当たることとしております。

○大松委員 震災時にこのOB職員を活用している局はまだ限られているようでございます。多くの局でこのOB職員等を活用していくことが大変重要でございます。今後の東京都の取り組みについて伺います。

○石野総合防災部長 現在、各局におきましては、都政のBCPを踏まえまして、具体的な人員体制や作業手順等を明らかにするため、危機管理マニュアルの見直しを行っているところでございます。この見直しを行う中で、各局に対しまして、OB職員やボランティアの活用事例につきまして情報提供するとともに、その活用策について各局と調整してまいります。

○大松委員 震災時にこのOB職員に力を発揮していただくためには、業務内容について日ごろから定期的に研修等をしっかり受けていく、実施をしていくということが必要になるわけでございます。
 また、現職の職員の方がけがをしたときは公務災害となるわけでございますけれども、OB職員等がけがをしたときなどの補償についても配慮をし、ボランティアとして安心して活用していただくための体制づくりが必要であると考えますが、都の所見を伺います。

○石野総合防災部長 OB職員等が震災時に重要業務に従事するためには、理事ご指摘のとおりでございますが、業務内容や役割についても十分理解することが不可欠でございます。このため、こうした制度を活用する各局がOB職員等に対しまして研修等を実施するとともに、防災訓練等への参加などを呼びかけるようにしてまいりたいと考えております。また、OB職員等が安心して業務を遂行できますよう、ボランティア保険などを取り入れることについても検討してまいります。

○大松委員 この都政のBCPに盛り込まれました対策を全庁的に広げていくと同時に、区市町村や関係団体にもこの策定を広げていくことが重要であります。前回の本委員会におきましても、危機管理監から、区市町村や関係団体にもBCPの策定を強く働きかけるとの答弁がございました。
 今後、庁内外にもこのBCPを広めまして、東京都全体の災害対応力を強化していくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。

○馬場委員長 これより知事本局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 前田理事は、公務のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、報告事項、地方分権改革推進委員会第二次勧告に向けた提言についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。

○松村委員 地方分権改革推進委員会第二次勧告に向けた東京都の提言について伺います。
 我が党の立場は、地方に真の自治権と財源を移譲する地方分権は必要とするところですが、この間地方分権の名でやられたことは、地方交付税の縮小による地方財政の破壊や構造改革なるものを見ても、国も地方も小さな政府を目指すとして、国民、住民サービスの切り捨てであったことは明らかです。
 ところで、この提言では引き続きその方向を進めさせようとしているといわざるを得ません。そこで伺いますが、地方分権で進めようとしていることは、国も地方も小さな政府をつくることなんでしょうか。

○森山地方分権推進室長 国の出先機関の事務権限を地方に移管することによりまして、二重行政のむだを解消するとともに、議会によるチェックや住民監査請求制度など仕組みのあります地方自治体で、地域のニーズに合わせて事業をより効果的、効率的に実施していくこと、これが必要だと考えております。
 都が実施する事業につきましては、当然、住民のニーズを十分把握しながら、合理的、効率的な執行体制で行っていくべきものと考えております。

○松村委員 ちょっと私の質問にずばり答えていないようなんですけれども、例えば勧告の提言、この一ページにはこういうふうに書いてありますよね。地域の行政課題への対応についてまで、国が直接行ったり一々差配したりする時代ではもはやないと。国は、国内課題は原則として地方にゆだね、国際社会における国家戦略に注力すべきであり、これまでの国主導の行財政システムを抜本的に変革し、地方の自立を実現しなければならない。こういうふうにしている点は、まさに国に小さな政府論を迫るものであります。
 そして、二ページの、今答弁があったこの出先機関のところでも、国の出先機関は廃止縮小のところがありますよね。そこで、出先機関が現在行っている事務は原則として地方に移管し、出先機関を廃止縮小する方向で抜本的に見直すべきである。そして、三ページでは、国の出先機関の事務を都が効果的、効率的に実施するなどとして、都においていかに人員削減を行ってきたかを強調しています。要するに、これが示していることは、移された国の事業についても、都としてそれを拡充していくというのではなく、どんどん縮小していくというものです。
 またその一方で、三ページには、国に残すべきといって、幹線道路は国の仕事といっておりますけれども、これは国から福祉や教育などの住民サービスを減らした分、外環などへの大型道路に投入しろというのと同じことだというふうに私は思います。
 さらに五ページでは、労働相談業務も、都道府県労働局と地方とが重複して行っており、行政コストの面からむだが生じているため、地方に一元化し、国の出先機関は縮小するとしています。
 このことも、現在起きている事態を見れば、私はいかに間違った方向を提案しているかは明らかだというふうに思うんです。今、例えば大企業などが本当に身勝手な雇用の大リストラをやろうとしています。このとき、東京労働局と産業労働局が一体となって指導是正に協力しなければ、本当に都民の雇用は守れないではないかというふうに思うんです。やはり大企業ですから、一地方というよりも、そういう国の労働行政を監視監督する、また、必要な、雇用を守るための労働法制をしっかりつくらせる、そういう現場からのことがなければ、本当に的確な政治としての対応は図れないというふうに私は思います。
 世界の流れを見ても、イギリスの小さな政府論、これは完全に失敗しましたよね。また、アメリカのオバマ大統領も大きな政府を目指すとしています。世界の教訓に学ぶべきではありませんか。
 大体、都税調、この都税調の答申も十一月に出されましたよね、持ってきましたけれども。これは、小さな政府ではもうだめだと、しかし大きな政府でもなく、ほどよい政府が必要、中程度だというようなことをいわざるを得ないんですよね。これとこの分権の提言の方向はどう修正していくのかも、非常に疑問に思うところです。
 そして、七ページの2のところに、地方の自立的な行政運営に向け、国の関与は原則廃止すべきという方向も、分権化の対象に、国民生活関連行政が国政の機関から外されることによって、国民の基本的な人権を保障するナショナルミニマムが私は危うくなってしまうというふうに危惧いたします。
 そこで伺いますけれども、ナショナルミニマムは必要ないのですか。その点についてどうでしょうか。

○森山地方分権推進室長 七ページの自治事務に対する関与は原則廃止すべきというところについてのご質問だと思うんですけれども、私ども考えていますのは、地方の事務は地方みずからの判断と責任で行うことが原則であると、国の関与は真に必要なものに限られるべきだというふうに考えております。
 しかし、現実的には各省庁が全国一律の基準をつくって、その必要としている範囲が余りにも広範囲にわたっているというような中で、地方は事細かな基準に縛られて、多くの分野で地域の実情に応じた事業を柔軟に展開できないというような状況になっています。こういう状況の中で、したがいまして、国の基準は標準的なものとして位置づけて、地方が条例で、基準ですね、これの強化や緩和、変更ができるようにすることが必要であるというふうに考えております。

○松村委員 それは、国の行き過ぎたそういう支配や干渉を、今まで私たちも補助金行政のですね、一面においては確かに批判してきますし、変えさせなければならないと思うのです。
 しかし、この間の流れからいって、国の関与はすべて原則廃止といいながら、今の憲法が保障する国民の権利、文化的生活を営む権利とか、それから居住ですよね、居住権とか、学習する教育権、こういうものがどれもやはり今脅かされている。そういう基本的な人権や社会保障制度、それからまた住民のシビルミニマム、これは国と地方と一体となって保障する、この立場にしっかり立たなければいけない。
 そのためには、もっとナショナルミニマムを発揮させて、そういうものを向上させていく。財政がない地方には国にもっと支援をさせる。また、財政力がある自治体はさらにそれに上乗せして、もっと住民ニーズにこたえていくというふうにならなければいけないのに、全体の流れとしては違うんです。国のそういう憲法でうたっているナショナルミニマムすら、確かに標準的とかいうことはいっていながらも、全体としてはそれを国もなくす方向、また地方もそれを受けながらも、何でももう官から民と、市場だということで、東京都も率先してそれをなし崩しにしてきている。
 そういう中で、現にこの間、国において、社会保障が毎年二千二百億円も切り捨てられて、うば捨て山と呼ばれるような後期高齢者医療制度まで導入されている。またさらには、この間、医療費削減、これも国でさんざんやってきて、結果、医師不足や看護師不足が起きている問題一つとってみても、こうした方向は、やはり私は間違いだというふうに思います。憲法に基づくナショナルミニマムをしっかり確立させ、財政力が弱い地方には政府が援助する、それをさらに上乗せする地方独自の施策の展開が自由に保障される方向に、私は向かうべきだというふうに思います。
 もうこれ以上述べませんけど、七ページ、八ページに例を挙げている学習指導要領の問題、これも国のそういう教育のあるべき中身やあれを示さなければ、石原知事のもとでああいう侵略戦争を美化するような教科書までつくったり、さんざんなそういう教育が一地方で独自だなんていって、こういう学習の中身まで地方地方でつくってやるなんていうことになったら、これは私はいかがなものかと。
 それから保育所設置基準、これも今私ども、東京都が率先してやって、これを国の基準にしようといっている認証保育の問題も、やっぱり営利企業が参入するようなところにまで設置基準をつくるというようなことが本当に今、国民、都民が求められる、そういうことなのかということからいっても、私はこの提言している方向の中身は違うんじゃないかと。本当に真の住民主権といいますか自治権、そしてまたそれに基づく自治体の自治権というんですか、国からの独立したというか、関与を許さないというこの二つは、憲法上に保障している方向だと思うんですよね。その方向にこそ、やはり進めていく改革が必要だというふうに思っております。
 以上です。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時一分散会

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